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1999-04-16 第145回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月十六日(金曜日)     午前十時開議   出席委員    委員長 平田 米男君    理事 佐田玄一郎君 理事 谷畑  孝君    理事 原田 義昭君 理事 宮本 一三君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君       飯島 忠義君    岩永 峯一君       奥谷  通君    小林 多門君       阪上 善秀君    田中 和徳君       玉沢徳一郎君    西川 公也君       蓮実  進君    松本 和那君       宮腰 光寛君    目片  信君       山本 有二君    石毛えい子君       上田 清司君    佐々木秀典君       田中 慶秋君    平野 博文君       細川 律夫君    山本 譲司君       大口 善徳君    長内 順一君       福留 泰蔵君    西野  陽君       辻  第一君    中島 武敏君       中西 績介君  出席国務大臣         建設大臣    関谷 勝嗣君  出席政府委員         環境庁自然保護         局長      丸山 晴男君         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         国土庁計画・調         整局長     小林 勇造君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    上田 秀明君         外務省経済局長 大島正太郎君         農林水産省構造         改善局長    渡辺 好明君         水産庁長官   中須 勇雄君         運輸省港湾局長 川嶋 康宏君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省道路局長 井上 啓一君  委員外出席者         環境庁自然保護         局計画課長   小林  光君         海上保安庁警備         救難部長    久保田 勝君         建設委員会専門         員       白兼 保彦君 委員の異動 四月十六日         辞任         補欠選任   岩永 峯一君     奥谷  通君   田中 慶秋君     佐々木秀典君   畑 英次郎君     細川 律夫君   長内 順一君     大口 善徳君 同日         辞任         補欠選任   奥谷  通君     岩永 峯一君   佐々木秀典君     上田 清司君   細川 律夫君     畑 英次郎君   大口 善徳君     福留 泰蔵君 同日         辞任         補欠選任   上田 清司君     石毛えい子君   福留 泰蔵君     長内 順一君 同日         辞任         補欠選任   石毛えい子君     田中 慶秋君 三月十八日  大規模公共事業中止に関する請願古賀一成紹介)(第一四八四号)  過疎地域活性化のための新立法措置に関する請願北沢清功紹介)(第一四八五号)  新道路整備五箇年計画の推進と道路特定財源の堅持に関する請願北沢清功紹介)(第一四八六号) 四月一日  大規模公共事業中止に関する請願葉山峻紹介)(第一八一六号) 同月七日  大規模公共事業中止に関する請願穀田恵二紹介)(第二一五一号) 同月十六日  公共事業費総額抑制に関する請願古堅実吉紹介)(第二七三三号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  海岸法の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)     午前十時開議      ————◇—————
  2. 平田米男

    平田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出海岸法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮腰光寛君。
  3. 宮腰光寛

    宮腰委員 おはようございます。自由民主党の宮腰光寛でございます。初めて質問させていただきます。  私は、海岸線といいますか、海から歩いて三分ぐらいというところに住んでおりまして、いわば海の子でありますから、小さいころのことも思い出しながら質問をさせていただきたいと思います。  昔話をして恐縮でございますが、私の小学校のころは、冬になりますと、山にスキーに行くのではなくて浜にスキーに行っていた。小高い砂丘がありまして雪が積もっておりますので、その砂丘から海岸に向かって滑っていた。そんなに急な坂ではありませんからそれほどのスピードは出ませんけれども、まあまあのスピードが出ておりました。海岸線のすぐ手前でとまるというのがなかなかスリルがあって楽しかったというふうに記憶をいたしております。  たしか砂浜はそのころは四、五十メートルぐらいはあったのではないかと思いますが、今は残念ながら砂防林のすぐ手前、四、五メートルのところまで海が来ているというような状況にあります。あるいは、近くに海水浴場もありました。昔は本当の白砂青松の砂浜でありましたけれども、今は残念ながら冬の間にこの砂が全部削られてしまいまして、砂利浜になっております。春先になりますと、近くの二級河川の河口にたまった砂を海岸線までダンプで運んでブルで海岸線の砂をならして、それでお化粧直しをしているというような状況であります。ほかにマリーナ、釣り桟橋あるいはキャンプ場どもありまして、夏になるとにぎわってはいるわけですけれども、やはり昔の面影はだんだんなくなってきているというのが実態であります。  今回、海岸法の大幅な改正案が提出されましたけれども国土保全のためということで最初海岸法が制定されましたのは昭和三十一年、それから四十三年を経過しております。今回の改正案では、総合的な視点からの海岸管理を行うために、海岸防護ということに加えまして、環境利用を新たに目的とすることとしておりまして、今の時代にふさわしい改正内容として高く評価をいたしたいと思っております。  そこで、まず海岸防護に関してでありますけれども、要保全海岸のうちいまだ四割で保全施設が未着手、整備率も五〇%に達していない状況にあります。最近の面的防護方式に改良された海岸と当初から面的防護として整備された海岸を合わせましても千五百キロメートルと、要保全海岸の全体の一割に満たない状況であります。同時に、昭和三十年代に整備した海岸保全施設が更新の時期を迎えているということもありまして、保全施設整備必要性は、海岸法制定後四十三年を経過した現在でも、法制定当時と決して変わるものではないというふうに考えておりますが、まず、この点について大臣から御認識をお伺いしたいと思います。
  4. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘のとおりでございまして、海岸保全というのは何ら変わるわけではないわけでございまして、それに加えまして、海岸環境整備保全並びに公衆の海岸の適正な利用というのが第一に規定をされておるわけでございまして、ですから、法制定以来四十年を経過いたしました今日のあらゆる意味での環境の変化に沿ってこの法律改正を行うということでございますが、その基本海岸保全ということは何ら変わりはない、今後も私は第一として進めていかなければならないと思っております。
  5. 宮腰光寛

    宮腰委員 次に、水産庁長官にお伺いしたいと思いますが、離岸堤整備についてであります。  今回の改正案では、海岸保全施設として新たに離岸堤砂浜を明示いたしております。離岸堤につきましては、これは以前は海面上に波消しブロックが積んでありまして、海岸環境として景観上決して好ましいものではありませんでしたけれども、最近では、海面に顔を出さない人工リーフ整備が進められております。  ここで問題なのは、海が荒れたときに漁船が近づくと危険であるといったことから、人工リーフ整備については漁業者理解がなかなか得られないという実態があるわけでありまして、国土保全のための人工リーフ整備に当たりまして、水産庁としても、海岸法所管官庁として、漁業者理解を求める努力をしていただきたいと思いますが、長官に御所見を伺いたいと思います。
  6. 中須勇雄

    中須政府委員 いわゆる人工リーフについてのお尋ねでございますが、ただいま先生指摘のとおり、水面下構造物を人工的に構築するという形で波を消そうという工法でございます。水面上まで施設が出ている従来の離岸堤と比べますと、やはり面積を非常に広くとるということ、それに伴いまして、漁船の航行であるとか周辺海域での漁業への影響ということが予想されるわけでございます。  しかし、一方では、御指摘のとおり水面上に構造物があらわれてきませんから、景観保全という意味では大変よろしいわけでございますし、これは漁業の面でいいましても、実は、一定の時日がたつことによって藻場が形成される、それが海生動植物生息場になる、こういうメリットもあるわけであります。特に近年、自然環境保全ということに対する国民の期待の高まりということもございますし、私ども基本的に人工リーフについてはこれを推進していきたいというふうに思っております。私どもで進めております漁港海岸、この事業の中でも、全国三十カ所近いところでこの人工リーフに現に取り組んでいるというふうな状況がございます。  ただ、先ほど言ったような問題がございますので、漁業者に着工前に十分説明をするとともに、できた後の標識の設置だとかそういうことを行うことによりまして十分漁業活動にも配慮する、そういうことをしつつ、漁業者理解が得られるように私どもも努力していきたいというふうに思っております。
  7. 宮腰光寛

    宮腰委員 ぜひ理解を得るようにしっかりとお願いいたしたいと思います。  次に、海岸管理の問題であります。  今回の改正法案では、海岸管理のための計画制度の見直しということが盛り込まれております。国は基本方針を定め、都道府県知事海岸保全基本計画を定めることとされておりますが、そういう中にあっても、海岸に関する方針計画策定及び管理について、地方分権理念を生かしていく必要があります。  特に、今度の改正案では、占用許可など日常的な海岸管理については市町村役割を拡大するということになっておりますが、海岸管理に関しまして、自治事務委託事務はどのように振り分けされているのか、河川局長からお伺いいたしたいと思います。
  8. 青山俊樹

    青山政府委員 今回の改正法案でございますが、海岸保全に関する国、都道府県及び市町村役割分担明確化海岸管理への市町村参画促進等を盛り込んでおりまして、地方分権等行政改革理念を実現する第一歩であるという認識を持っております。  機関委任事務の廃止に伴います自治事務法定受託事務の区分の整理につきましては、先般国会に提出されました地方分権一括法案の中で所要の改正をお願いすることとなるわけでございますが、基本的には、海岸保全工事等に関する事務法定受託事務、それ以外の日常的な管理については自治事務と整理することとしております。  具体的には、この分権一括法案の中におきまして、例えば市町村長による占用許可自動車乗り入れ制限等に関する事務につきましては、市町村による主体的な参画を促進する観点から、自治事務と整理しました。一方、海岸保全区域の指定、海岸保全基本計画策定海岸保全施設工事等に関する事務につきましては、津波、高潮等による被害から海岸を守るという国土保全に密接に関連する事務でありますことから、法定受託事務と整理しているところでございます。
  9. 宮腰光寛

    宮腰委員 今、自動車乗り入れ制限の話がありました。資料では、海岸へのアクセス方法のうち自動車が全体の七割以上を占めているということでありまして、大抵自動車海岸まで乗りつけるということになっております。ただ、車のまま砂浜海浜植物群落乗り入れた場合に、自然環境に重大な影響を及ぼすことになりますので、この辺について、今回の法改正でしっかりと位置づけているということだと思います。  ただし、ところによっては海岸が観光の目玉になっているところがある。例えば、石川県の千里浜というのがありますけれども、これは恐らく数キロにわたって車の乗り入れが可能になっておりまして、波打ち際まで車で行ける。しかも、砂がぎっしりと詰まっているということで、車で走ってもほとんどわだちの跡がつかないというところがあります。実は私の友人で、千里浜で車で知り合ってゴールインしたカップルもいるわけでありまして、いわば砂浜は恋の芽生える場所ということも言えるのではないかと思っております。  自動車乗り入れ制限をする区域を指定するに当たりましては、そのようなことも念頭に置きながら、周辺駐車場整備しつつ乗り入れ制限を進める必要があると考えますが、いかがでしょうか。
  10. 青山俊樹

    青山政府委員 今の駐車場整備等の問題でございますが、現在、自動車乗り入れ等によってウミガメの産卵地が荒らされたり、貴重な植物が踏まれる等の問題が生じておりまして、貴重な動植物生息生育環境保護や良好な海水浴場の確保のため、特に必要な地域については自動車乗り入れを制限することができるような法律上の仕組みを組み込んだものでございます。また、乗り入れ制限を実施した場合に、利用者が多い地域では、指定された区域以外へのマナー違反駐車等の問題が生じることも考えられまして、マナーの向上のための広報活動の実施や、駐車場等利便施設整備といった対策を実施することが必要となることも考えられようかと思います。  また、このような対策は、海岸管理者のみならず関係市町村、また地元皆様方との連携を図ることが不可欠でございまして、こういった地元事情をよく御存じの関係者の御協力も得ながら、海岸の適正な利用を図るため、必要な措置を講じてまいりたい、かように考えております。
  11. 宮腰光寛

    宮腰委員 今若いカップルのことだけ申し上げましたけれども、実は高齢者の方々も、なかなか歩いて波打ち際まで行きにくいということがあります。やはり車で乗り入れができれば、波打ち際に行って御夫婦で昔のことを思い出しながらということができるわけでありますので、そういうケースの場合は、今ほどいろいろお話がありましたけれども、一律に乗り入れ制限ということではなしに、自然保護のことを、環境のことも含めながら海に乗り入れるということも、一つは大事な面もあるというふうに御理解いただければありがたいなと思っております。  次に、総合的な土砂管理ということにつきましてお伺いいたしたいと思います。  砂浜侵食原因は、一つには、土砂供給流出のバランスが崩れたこと、二つには、沿岸域における港湾漁港等構造物沿岸方向土砂が遮断されていることなどから発生したものというふうに言われております。最近の十五年間で、砂浜全体の一三%に当たる約二千四百ヘクタールの砂浜が失われているということであります。でありますから、単純計算ではあと百年で全部なくなるということになっていくわけであります。  地元のことをお話し申し上げまして恐縮でありますけれども富山県東部の下新川海岸というところは、相模湾、土佐湾と並んで日本三大侵食海岸一つに数えられておりますけれども、もともと海底勾配が非常に急峻な富山湾、そこに急流勾配河川であります黒部川が流れ込みまして、世界で最も典型的な扇状地を形成してきたという事情があります。  昭和三十年代以降、ちょうどこの海岸法が制定されて以降ということになりますが、その黒部川に黒四ダムを初めとする大規模電源開発砂防事業などでダムが多数整備されまして、海岸への土砂供給が急に減少したことが、この下新川海岸侵食の直接の原因になっております。一部の地域では、海岸侵食や、それから日本海特有の寄り回り波のために、一度ならず二度も住居移転を余儀なくされたというところもあります。昭和三十五年にこの下新川海岸に国の直轄事業が導入されましたが、実は県事業と比べまして進捗率が極めて低い。二年前に海岸関係としては全国で初めて下新川海岸整備事業促進議員連盟という議員連盟も発足をしたわけであります。  そこで、今後日本三大侵食海岸一つであります下新川海岸整備を抜本的に進めていただきたいと思いますが、どのような方針を持っておいでになるのか、河川局長に伺いたいと思います。
  12. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話ございましたように、下新川海岸は非常に急勾配海岸でございまして、台風及び冬季風浪等による高い波浪と急な海底勾配、また数多く存在いたします海底谷という海底の谷の部分への漂砂等の落ち込みによりまして、激しい侵食を受けている海岸でございます。その保全対策については、全国にまれに見るほど難しい、困難な海岸でございますが、逆に、それがゆえに直轄で重点的に取り組まなければならない海岸だと思っております。  具体的には、まず漂砂の流れを解明しなければいけない、また、それをしながら侵食対策を実施していかなければならないと思っております。また、海底勾配が、先生お話しのように二十分の一、二十メートル行って一メートル下がるという非常に急勾配でございますので、設置水深が深いところにも可能な離岸堤のタイプを考えなきゃいかぬわけでございます。通常の離岸堤でございますと設置水深は大体五メートルぐらいまででございますが、ここはもっと深い、七メーターぐらいのところまでできる鋼管ぐいによります支持構造を持った離岸堤、いわゆる有脚式離岸堤整備などを実施しているところでございます。  非常に限られた海岸予算の中でございますが、漂砂機構に関する調査を行うとともに、こういった離岸堤、さらには粒径の大きな礫養浜等侵食対策について重点的に実施してまいりたい。また、黒部川河川流域全体につきましても、総合的な土砂管理対策を推進することなど、安全で安心して暮らせる国土保全に努めてまいりたいと考えております。
  13. 宮腰光寛

    宮腰委員 先ほど黒四ダムのことを申し上げましたけれども、実はほとんどのダムが既に土砂で埋まっておりまして、今建設をしていただいております直轄宇奈月ダム、これが今度湛水開始になるわけであります。砂浜保全につきましては、海岸事業だけでは目的を達成できないという時代になってまいりました。海岸への土砂供給という面から、砂防事業河川事業と組み合わせて総合的な土砂管理を進めていただく必要があるわけでありますけれども、いよいよ宇奈月ダム湛水を開始するというところまで参りました。  このダムは、昭和四十四年八月の豪雨災害、毎秒五千トンの洪水があったということから、地元の強い要望建設にかかっていただいていたわけであります。ようやくこの完成によって流域住民災害の危険から逃れられることになるということでございまして、大変楽しみにいたしております。  この宇奈月ダムの特徴というのは、治水ダムとしては世界で初めての排砂ゲートを持つということであります。洪水のときに下流側に大きな影響を与えないように、土砂ダムにためておく。その後で、洪水がおさまった後で、上流からの水によってその土砂排砂ゲートを通じて下流側に流していくという構造を持っている、世界で初めての治水ダムであります。  ただ、その上流側に、これは関電の発電用ダムでありますけれども出しダムというダム一つ、これは小さなダムでありますが、ありまして、その二つ排砂ゲートを持つダムで、土石流を防止しながら下流側の水害を未然に食いとめていくという機能を果たしていただくことになるわけであります。  この排砂ゲートというのは海岸土砂供給する機能を持っておりまして、砂浜保全観点からは極めて有効であるというふうに思いますが、一方で、下流沿岸漁業被害などにも配慮しながら排砂ゲート運用していっていただく必要があると思います。この宇奈月ダム排砂ゲート運用についてどのようにされるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  14. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話ございましたように、黒部川全体の土砂流出をどうスムーズにしていくのかというのが海岸とも非常に密接なかかわりがあるわけでございますが、この黒部川では、今、先生お話ございましたように、宇奈月ダムというダム治水ダムとしては初めて、洪水調節するダムとしては初めて排砂ゲートを持つダムとして、ほぼ完成に近づいております。  またその上に、関西電力出しダムがあるわけでございます。その出しダム排砂ゲートを持つダムとして、日本で初めてだと思いますが、排砂ゲートをあけて土砂洪水時に流すということをやっておるわけでございます。最初のときは、この出しダムゲートをあけた途端に、長年たまりました有機物が海岸に黒い水になって流出しまして、漁業関係者の方に大変な御迷惑をかけたというふうなことがあったわけでございますが、その後は洪水ごとにかなりうまくと申しますか順調に、排砂ゲートを使っての操作がいっておりまして、これを下流宇奈月ダムと連動しながらやっていかなきゃいかぬだろう。  まさに、この上流出しダム下流宇奈月ダム排砂ゲート運用につきましては、連携しながら排砂を実施しなさいというダム審議委員会の提言もございまして、富山県だとか関係市町、林野庁、関西電力といった関係機関協議調整を図るために、黒部川土砂管理協議会というものを設置いたしました。また、両ダムの貯水池に流入する土砂連携してうまく流せるような連携排砂基本方針をこの協議会で決定したところでございまして、こういった連携を図りながら運用していきたいというふうに考えております。
  15. 宮腰光寛

    宮腰委員 下流沿岸漁業関係につきましても、ぜひ、これまでのデータもあると思いますので、配慮をしっかりとしていただいて、迷惑のかからないような排砂方式でやっていただきたいというふうに御要望を申し上げたいと思います。  大臣にお伺いいたしますが、世界初排砂ダムを持つ黒部川日本三大侵食海岸下新川海岸を、ぜひ総合的土砂管理モデル地域として位置づけていただきまして、世界に先駆けた実践的研究を進めていただきたいと思いますけれども、御見解をお伺いいたしたいと思います。
  16. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 黒部ダムを含めまして周辺の問題でございますが、御指摘のように排砂ゲートつきダムは初めてでございまして、そういうような意味におきまして、全国で現在のところ総合土砂管理モデル流砂系という川が八つあるわけでございます。そういうようなことでございまして、黒部川の特性を踏まえて災害の防止あるいはまた環境保全及び適正な利活用を図るべく、総合的な土砂管理についての調査研究等を今後ともこの黒部におきまして積極的に推進していきますように指導していきたいと考えております。
  17. 宮腰光寛

    宮腰委員 建設省土木研究所でいろいろ研究していただいているということでありますが、世界で初めての排砂ダムということでありますから、その経験を、日本全国はもちろんでありますけれども世界にも情報発信をしていただけるような研究をお願いいたしたいというふうに考えております。  次に、災害時の情報など大量の情報リアルタイムで把握するために、建設省の方で、光ファイバーネットワークによる防災システム整備が進められております。下新川海岸の場合でありますと、十カ所の海岸にカメラが設置され、宇奈月ダム黒部川とあわせてリアルタイムで、河川海岸情報が把握されております。このような災害情報を集中的に管理するシステム市町村に開放するとともに、地域情報化、例えば市町村が出資するケーブルテレビの回線として活用することも可能ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  18. 青山俊樹

    青山政府委員 河川海岸などの管理適正化高度化を図るために、河川等管理用光ファイバー整備を推進しているところでございまして、また、高度情報化社会に対応した広域的な情報通信ネットワークの整備が重要な課題となっておりますことから、河川管理用光ファイバーの収容空間を積極的に民間事業者また市町村等に対して開放することといたしておりまして、地域情報基盤等の整備に当たりまして御活用いただくことも可能でございます。  道路にも光ファイバーを整備するということもございますので、河川、道路の管理用の光ファイバーの敷設を積極的に進めるとともに、ネットワーク化というふうなことも連携をしながら図っていきたいというふうに考えていきたいと思っております。
  19. 宮腰光寛

    宮腰委員 最後になりますけれども、今回の法改正目的であります海岸利用ということと沿岸地域の振興のためには、海岸道路の整備がどうしても必要であるというふうに思います。とりわけ、漁村地域において海岸保全事業海岸道路の整備をあわせて実施することは、高波の被害の未然防止とともに、地域の活性化に寄与するところが大であります。  漁村からの強い要望もありまして、例えば海岸護岸を越えて寄り回り波、高波を屋根に直接受けるというような地域もあるわけでありますので、護岸から住宅地域までの緩衝地帯といいますか、必要は当然なんですが、その部分を生かして海岸道路を整備していく。  そういたしますと、例えば昔からの漁村というのは、海岸べりに納屋なり住宅なりがべったり張りついておりまして、ほとんど海岸利用がされていない地域がたくさんあります。あるいは、漁村というのは昔から人家密集地域でありまして、いざ火災といったことになりますと大規模な火災になってしまう可能性が極めて大きい。しかも、消防自動車も二トン車ぐらいまでは何とかぎりぎり入れていても、四トン車になるともう入れないというような地域がたくさんあります。  やはり、海岸の防災あるいは漁村地域の防災ということを考えましても、海岸道路の整備が必要である、あるいは海に親しむ、海岸に親しむということを考えましても、極めて有効であるというふうに考えております。  ただ、海岸線管理建設省、運輸省、水産庁にまたがっておりまして、この三つの省庁が協力しなければ、なかなか海岸道路の整備は進まないというのが実態であります。ぜひ海岸道路を、建設省、運輸省、水産庁の三省庁が一体となって整備をしていただきたいというふうに考えますが、御見解を伺いたいと思います。
  20. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 海岸線道路整備でございますが、今先生指摘のように、漁港関係者あるいは臨港道路整備関係者といわゆる一般道路の管理者と、それぞれ適宜調整を行いながら整備を進めております。  今お話しのように、道路はネットワークとして活用されないと意味がございませんので、今先生お話しのように、防災とか生活とか、あるいは海岸線保全等も含めまして、地元でそういうようなことでルート等を調整していただいて、整備をできるだけ私どもとしても支援していきたいと思っています。  具体的に、富山—魚津—朝日間で湾岸道路の構想がございます。そういうようなことで、計画の進捗状況を見ながら、私どもとしても積極的に支援していきたいというふうに思っております。
  21. 宮腰光寛

    宮腰委員 ありがとうございました。終わります。
  22. 平田米男

    平田委員長 平野博文君。
  23. 平野博文

    ○平野委員 民主党の平野博文でございます。  河川法の一部を改正する法律案について、順次質問をしてまいりたいと思います。  この問題というのは、私は特に、河川という考え方もそうでありますけれども、それ以上に自然の摂理という観点からこの河川法ということを少し考えてみたいと思うんです。  特に、自然の摂理というのは、やはり雨が降って、その雨が大地に蓄えられて、それが川になって海に流れ込んでいくという自然の循環系の摂理というのが基本にあるんだ、この基本を外してしまうとおかしな問題が出てくるのではないか、こういうふうに思っています。そういう中で、やはりこの基本というのはトータル的な循環というバランスを保っていかなければならないんですというのは、自然の教えだと思うんですね。その教えを、ややもすると人類、人間社会が何かを壊してきたんではないか、このように思えてならないわけであります。  そういう意味におきましては、自然の循環系がバランスをとれておれば、ある意味では、何かが汚染されても自然に浄化され、また逆に、循環することによって環境保全があるいは自然の状態が保たれる、こういうことでありますが、昨今、今の日本状況世界、地球規模で見てみますと、大気汚染や水質汚濁、自然界の浄化の機能が追いつかないという状況があちこちで露呈をしておりまして、環境汚染という深刻な問題になっているのではないか、こういう一面もあるように私思います。  そういう中で、海岸ということで少し特定をいたしますと、この日本におきまして、最近十五年間で砂浜の約一三%に当たる二千四百ヘクタールが侵食される、こういう状況になってきている、こういうふうにも聞き及んでいるわけでありますが、水と海と国土との接点であります海岸線というのは、我々そこに生命を維持し、生産活動している者にとっては最も重要な場所であり、その線が崩壊していくということはやはり大きな問題になろう、こういうことだと思うんです。  したがいまして、こういう状況になってきたということは、やはりいかに今はトータルバランスが崩れているんだ、こういうふうに直截的につないでいいかどうかわかりませんが、私は、特に大臣にお聞きしたいんですが、先ほど申し上げました自然の循環系のトータルバランスのやはり維持を、あるいはもし崩壊しているんだったらそれを復活させるための重要性というんですか、これは非常に私は大事だと思うんです。所管の大臣としても、多分、それはそのとおりだという答えしか返ってこないと思いますが、冒頭、大臣に、どういうふうに御認識されているかを聞かせていただきたいと思います。
  24. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 御指摘のとおりと私も思うわけでございまして、私のような年齢の者にとりますと、本当に海岸といいましょうか、またあらゆる河川にいたしましてもあるいは空気にいたしましても、そういうものが自然浄化をされる限度をもう超えている、あるいはまた超える限界のぎりぎりのところに来ておるのが今の状態であろうと思います。  いずれにいたしましても、戦後半世紀たったわけでございまして、その後は我々の生活水準を上げていくというために自然破壊をしてしまった。現在の経済的な成長というものを求める過程においていささかやむを得なかったという部分もあるかもしれませんけれども、もう少し我々は自然と共生というものを考えているべきではなかったかなと思っておるわけでございまして、私も、建設省に来まして、今後の公共事業は自然と共生のできる、あるいはまた自然を利用しても、先生指摘のようにそれがまた再生されるというか、その循環を壊すことのないようにやっていかなければならないというふうに、私は担当の方にお願いをしておるわけでございます。  ですから、これは国を挙げて、先生御承知のように、昨日発表されましたが、いろいろな中央省庁の省庁名も決定をいたしましたが、そういう中にあってやはり環境庁というものが環境省に格上げをされたということは、そういうことは我々政治家も十分に認識をし、また政府も認識をしているということだろうと思うわけでございまして、私は、そういうまた自然を取り戻す最後の線に来ておるんではないかな。  ですから、そういう意味において今回も、御承知のように今までは防護というのが目的でございましたが、それに環境利用というものが加えられたわけでございます。私は、環境利用というようなことを考えますれば、もちろん利用も必要ですが、それは第二次的なものにすべきではないかな、とにかく環境ということに重きを置いてこの法律は四十数年ぶりに改正されるべきではないかというふうに私は考えております。
  25. 平野博文

    ○平野委員 大臣がそういう基本的なお考えのもとに進められるということは基本でございまして、ありがたいことだと思っておりまして、当然当たり前のことだとも思うところでありますが、ただ、そういたしますと、今まで公共事業で、防護という名のもとにいろいろな安全性とかそういうところ、あるいは利用という目的のためにそういう公共事業をやってきたわけですが、その部分によって随分環境というものが失われてきたところもたくさんあるのではないか、こう思うんですね。  ただし、何を優先させるかということがあるわけですが、やはり余りにも自然環境ということを考慮に入れずに、安全性とか防災のためだという名のもとにすべからく国土をさわってきた、こういうことは私は否めない事実だと思うんですが、大臣、そのとおりだと思いますか。一言でいいですよ、今のは。
  26. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 確かに、人間の生命、安全確保というのが第一ですから、その角度から見るならば、やはり防護というのは当然第一歩の対処すべき目的ではなかったかな、そう思います。
  27. 平野博文

    ○平野委員 そういう中で、私は、海岸ということをとらまえて考えてみますと、海岸機能というのはどんな機能かな、こう思うんですね。  そこで、私は、これは学者の方々も言っておられると思うんですが、生態系のもの、あるいは防災あるいは利用という三つの要素に分類されると思っています。したがって、この三つの要素にきちっと組み込まれた海岸環境が本来理想の姿だろう、このように私は思っています。  しかしながら、生態系と利用する、あるいは防災というのはお互いに相入れない、はだはだと言ったら語弊がありますが、これをやればこちらが壊れる、こういうお互いに相入れない部分を持っているわけです。特に、この要素は、海岸にとってはその機能から見ると不可欠なものであるだけに、このバランスをどのようにうまくとっていくかというこの視点が非常に大事なんですが、ややもしますと、利用面では例えば港湾がやるとか、あるいは生態系でいけば環境庁がそれを見るのか、防災でいくと建設省が見るのか、各省庁によって自分の仕事の役割が違うものですから、トータルバランスを各役所が考えて実行しているかといったら、私はしていないと思うんですね、自分の仕事を一生懸命することが役割でしょうし。そういう意味合いで、トータルバランスという発想で今まで仕事をしてきていないと私は思うんですね。  そういう意味では、今回の海岸法改正案目的に、海岸防護に加え、環境利用ということが新しく加えられたわけですね。ここで言う環境というのは、具体的にどういう位置づけで環境という言葉を入れられたのか。具体的に、そこの環境ということを入れることによって何をしようとしているのか。  きょう河川局長がお越しですが、これ四省庁絡んでいるんですかね。それぞれ役割は違うんですか。本当は四省庁に、私は、環境ということをどういうふうに考えているんだということを聞きたかったんですが、きょうは皆さんお忙しいのかどうか知りませんが、河川局長が代表しておしゃべりになるということでしたので、結構ですと私言いましたので、この環境という位置づけをどのように考えているのか、ぜひお答えをいただきたいと思います。
  28. 青山俊樹

    青山政府委員 今先生お話ございました環境の位置づけでございますが、今回初めて環境、それから利用という言葉が目的の中に入ったわけでございまして、今までは、目的防護だけでございました。先生おっしゃるように、環境という面での発想が欠けていたのも事実ではなかろうかと思います。  また、環境といいますのは、大変、地先地先、地域地域状況が変わるわけでございまして、例えば貴重な動植物がある海岸もございますし、また、例えば、東京湾の東京港だとか横浜港、名古屋港だとか大阪港だとか、そういった大都市周辺港湾、またその横にも貴重な環境もあるわけでございますが、いろいろ地域地域海岸海岸によって異なるわけでございまして、そこのところ地域地域の特性を十分考えながら、そして、今回新たに、防護に加えて環境利用という目的が入ったわけでございますので、そこのところ、一言で言えば調和を図るといいますか、総合的な観点から考えると申しますか、そういったスタンスでそれぞれの海岸管理者が考えていく。また、都道府県知事がお定めになる海岸保全基本計画におきましても、そこのところ地域地域海岸の個性を反映させていくというふうなことが非常に重要ではなかろうかというふうに考えております。
  29. 平野博文

    ○平野委員 そういう環境ということは初めて入れて法案として改正されるわけですが、環境の定義、ここで言う海岸環境というのは、環境を構成する基盤というのは何をもって言うのかというところも大事だと私は思うんですね。  先ほど局長言われましたけれども、調和という表現は、生態、防災、利用という意味の調和ということと、省庁の調和も要りますよ。省庁が勝手に自分のところだけをやるんじゃなくて、省庁の中もきちっとやはり調和して、これ法案、四省庁ですか、出されたということだけれども環境の問題について聞いたら、ちょっとやはり温度差があるように私は思うんですね。そんなこと言っておったらうちの仕事できますかと。例えば、港湾局の方にこの環境の問題を言ったら、港で環境の問題というのはどうするのと、一面そんな、ここまで出ておるようだけれども言わないでおられました。したがって、僕は、そこはやはりきちっと、本当に環境というのはどういう立場であっても常に頭に入れている、こういうことでないといかぬと思うんですね。  そこで、環境基盤ということをやはりきちっと押さえておかないといかぬと思いますから、今局長おっしゃられたように、私は、海岸地域事情によって違う、いわゆる地形の形態が違う、土質も違う、あるいは水質も違う、こういうことだと思うんです。すなわち、トータルバランスというのは環境の基盤の維持があってこそできていくものだと私は思っていますから、今言いましたように、海岸だけをきちっと守ればいいんだという発想では、環境の基盤が守れない、維持ができない。  そうしますと、当然、先ほど冒頭に言いましたように、山から河川を通じて土砂海岸べりに流れていくんですよ。こういう循環系があってこそ環境基盤の部分が守られる、こういうことにもなってくるわけでございまして、やはり本来は自然のリーフをつくっていく、この筋道を切っちゃったらだめなんですね。これは循環系が動かなくなる。ところが、今切れちゃっている。したがって、私は、この堆積をしていく自然のリーフの形成過程というのは非常に大事にしたいと思うんです。  そういう中で、資源のあり方をどういうふうに見るか。自然のリーフというのも僕は資源だと思いますし、人工リーフがそれにかわってやるというんだったらそうかもしれませんが、いわゆる環境基盤の維持が海岸環境の大前提になければならないと私は思うんです。すなわち、もっと直截に言いますと、環境の基盤の維持ができていないのに環境海岸というのはできないと私は思うんですね。その点についてはどうですか。
  30. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話ございました環境基盤の問題でございますが、おっしゃったように、水循環、雨が降り、それが山肌を削り、川に流れ、川から海に出、それが沖合に出たり海岸の漂砂となって流れるという水循環と土砂の流れとは非常に密接な関係があるわけでございまして、またその土砂の流れが海岸、これは海底も含めての地形を構成するわけでございまして、その基盤の上に動植物なり人々の営みなり土地利用なりがあるわけでございまして、先生おっしゃったように、そういった意味での基盤というものを考えますときにも、やはり水循環、それに伴う土砂収支という問題が非常に重要な問題になってきているというのはそのとおりだと思います。  また、人工リーフ等の、離岸堤なんかも一種の人工リーフ、これは水面より上に頭を出しているものも、下にある人工リーフもあるわけでございます。海岸につきましては、砂がございますので、自然の力をうまく考慮しながら保全をやる場合でもやっていかなきゃいかぬというのも事実でございまして、そういった意味でも自然の営みというものを絶えず頭に置いた対応が必要かと考えております。
  31. 平野博文

    ○平野委員 そこで、少し技術論の質問をしたいと思うんですが、海岸侵食というのはどういうテクニカルな面で起こるのか、これをまず質問したいと思います。技術論で結構ですから。
  32. 青山俊樹

    青山政府委員 基本的には、海岸侵食が発生するのは土砂のトータルバランスを失してくるというところが非常に大きいと思います。  具体的には、川からの供給土砂量と、それから沿岸漂砂量、さらには沖合の海底深くに沈んでしまう土砂、そういったところのバランスが崩れて、沖合に行く量の方が川から供給される土砂よりも多くなるというふうなところから、マクロ的には海岸侵食が起こるんだろうと思います。また、ミクロ的には、例えば漂砂の流れを途中で遮るような構造物があった場合には、その漂砂の来る方向の方には砂がたまり、行く方向は砂浜が削られるというふうなことの侵食も起こるわけでございます。
  33. 平野博文

    ○平野委員 この質問に入っていく前に、実は環境庁の方にも来ていただいているんですね。  環境庁の方の立場で見たときに、海岸法の中で環境の問題を取り入れられていることに対して、環境庁はどういう、これではまだ弱い、いや非常に画期的なことなんだ、あるいはこれでは、形はそういうふうに入れているけれども実態にはやはりそぐわないのではないかということが、私は環境庁、もっと積極的に入ってもらいたいという立場に立っていますが、実際の部分でいくと、一応入れてくれておるけれども環境庁はなかなか入りにくいんですよと。言えないと思うけれども、正直に言ってくださいよ。
  34. 小林光

    小林説明員 環境庁といたしましては、御存じのとおり、海岸というのは陸域と海域が接する場所として、非常に多様な生物の生育環境ということで大変重要だというふうに思っています。また、人と海との、自然との触れ合いの場としても非常に大事な場所であるというふうに思っています。  今回の海岸法改正に関しまして、法の目的環境保全ということが加わえられた。非常に我々としても高く評価をしているところでございます。具体的には、基本方針策定する際に環境長官にも御相談いただけるということであります。  環境庁もいろいろ、先ほども環境基盤のことをおっしゃっておりましたけれども日本全国の森林、自然、緑の状況がどうだとか海岸の改変状況がどうだとかというふうな調査を実施してございます。そういうような調査のほかに、例えば国立公園や何かでも、地域を指定してその全体の流域の自然を守るというようなことも努めてございます。  今回の海岸法改正で、環境庁が実施しているいろいろな環境保全のための施策と相まって、海岸部の自然環境保全というものの取り組みが強化されるというふうに考えてございます。
  35. 平野博文

    ○平野委員 今、環境庁の方があれされましたが、何かを進めていく上において環境庁に相談がある、相談があったら環境庁は乗りましょうか、こういう発想の環境庁はもう卒業してもらわなあかんわけですよ。これからは、何を進めるについても環境庁がきちっと物を言うていく。済みません、そういう質問をするために来てもらったのと違います、違うんだけれども、私は、それだけの重い、環境という行政がこれから中心になっていきますよということなので、ぜひそういう視点で環境庁の役人の方もお考えをいただきたいと思います。きょうは、済みません、ありがとうございました。  それで、先ほどの質問に戻ります。  局長からありましたが、やはり土砂の量が流量によって大きく影響される。マクロ、まあミクロの場合にも、やはり流れ着くあるいは浮いておる砂の量が何かによって障害を起こしますと、何かが侵食されてくる、こういうことが基本の大きな要因になっているんだろう、こういうふうにお答えをいただいたんですが、今現在侵食されています侵食海岸の距離ですね。十五年間、全国で総延長距離は大体一千三百二十キロメーターというふうに数字がどこかで出たような記憶がありますが、実際、今侵食されている海岸の距離はどれぐらいの距離が侵食されていっているんでしょうか。
  36. 青山俊樹

    青山政府委員 距離の方のお尋ね、かなり定義が難しゅうございまして、少しでも欠けたら侵食と思うのかとか、かなり後退すれば初めて、どうはかるのかというのがございまして、できれば面積でお答えをさせていただければと思うわけでございます。  昭和五十三年から平成四年という最近の十五年間のデータがございますが、これが年平均の侵食量が、面積で申し上げまして百六十ヘクタールでございます。それでは、明治から昭和にかけての七十年間の年平均はどれぐらいだということでございますと、それの場合の侵食量が七十二ヘクタールでございますので、昔に比べると倍ぐらいのスピード海岸侵食があるというふうなことでございます。
  37. 平野博文

    ○平野委員 ここ近年では、年々大体百六十ヘクタールだ、明治からの状況で見ると大体七十、約倍以上のあれがふえていると。要は、侵食が非常にふえているんだ、こういうことですね。そのふえている要因は何なんですか。
  38. 青山俊樹

    青山政府委員 侵食量がふえているということは、沖合の深いところに持っていかれる砂の量と川から供給される土砂の量、また天然の海岸の、がけなんかございますが、がけなんかが崩れ落ちて沿岸に供給される土砂の量、そういった土砂収支のバランスが崩れて、沖合の海の底に行く土砂の量の方が沿岸に供給される土砂の量よりも多いところ侵食量があるということでございます。  ふえている原因という、時間軸を入れたことでございますが、それにつきましては幾つかの原因が考えられるかと思います。確かに明治時代なんかは、人間の営みも今に比べればそれほど大きくございませんし、日本の人口も今の三分の一程度、四千万人台だったわけでございますので、そのころに比べれば人間の活動力は非常に大きくなっているわけでございます。  例えば、昭和三十年代から四十年代、非常に砂利採取が行われました。これは、海に近い部分の川底の砂利をとればとるほど海岸侵食にはきき方がきつくなるわけでございます。一番きき方が強いのは、海岸の砂を直接とることでございます。その次に、海に近い部分の川底の砂利をとること。さらに、上流に行きますと、ダムなんかで土砂をためるということも、これは、海岸の砂とダムにたまるような砂とはちょっと粒径等の性質は違うわけでもございますが、影響があるだろうというふうに思っております。
  39. 平野博文

    ○平野委員 原因は何かということで局長言われたけれども、戦後の人間の営みの活動にやはり大きな要因がある。  私は、和歌山の紀ノ川という川のそばで生まれたのですが、紀ノ川も私が小さいころは砂利の採取が非常に多かったのですね。だから、橋なんかも、すぐ下のあれが見えてきまして、これもそういう規制がなかったのでしょう、その当時は。バラスとかいいましたけれども、どんどんとっているのですね。  もう一つは、私は、やはり人間の営みでも、ダムをたくさんつくったために、これは当然、ダム利用の中には発電とか農業用水とかいろいろな目的がありますから、それなりにダムをつくっていったのでしょうけれどもダムをつくったために、相当数土砂が流れないで大きな影響を起こしているのじゃないかなと思うのですね。したがって、現在日本の中で稼働しておるダムというのは大体二千五、六百というふうに私は思っているのですが、そこに堆積している土砂の総量というのは大体どのぐらいあるのですか。
  40. 青山俊樹

    青山政府委員 今先生おっしゃいましたように、財団法人の日本ダム協会というのがございますが、そこが発行しておりますダム年鑑によりますと、平成九年度末時点で完成しているすべてのダムの数を総計すると、二千六百四十七という数字を聞いております。また、建設省が所管し、平成十年度末までに完成したダム事業は四百四、現時点で事業化されているダム事業は三百三十六でございます。  この中で、堆砂の状況というお尋ねでございますが、非常に総貯水容量が小さなダムも数多くございます。現在完成しております二千六百四十七ダムのうち、総貯水容量が百万立方メートル、これは小さなため池クラスでございますが、百万立方メートル以上のダムの数は七百八十六ダムでございまして、これに対して調査いたしますと、全体で十二億立方メートルの土砂がたまっている。これは、ダムに対しましては、ダム総貯水容量の七%程度の量でございますが、十二億立方メートルという土砂がたまっているということでございます。
  41. 平野博文

    ○平野委員 そのたまった土砂の量というのは、十二億なんて言われると想像がつかないのですが、これは、例えば、どうなんですか、侵食している百六十ヘクタールという部分と、堆積というのは、つくられてから今積み上がっておるあれですよね、一年間で大体どれぐらい堆積するかというのはわからないのですね。局長、わかりますか、一年間で。
  42. 青山俊樹

    青山政府委員 現在完成しております百万立方メートル以上のダムが七百八十六ダムあるわけでございますが、大体完成後三十年程度だと平均してみれば、十二億立方メートルを三十で割りますと、大体四千万立方メートルぐらいでございましょうか、年間それぐらい、仮に三十年といたしますと、そうなると思います。
  43. 平野博文

    ○平野委員 そうしますと、これは僕、相当数たまっていると思うのですね。  このダムでもう一つ聞きます。今後つくろうと計画しているダムの数はどのぐらいあるのですか。
  44. 青山俊樹

    青山政府委員 現在、事業中のダムの数が三百三十六ダムでございまして、さらにその後にやろうとしているというのは、まだ予備調査といいまして、はっきりとした数が確定できないわけでございますが、それは一つ一つ吟味しながら新規採択というふうな形になっていくわけでございますが、ちなみに、平成十一年度では新規採択のダムはゼロでございました。そういった意味では、三百三十六ダム程度の規模に加えて、年間数ダムが追加されるというぐらいのオーダーだろうと思います。
  45. 平野博文

    ○平野委員 何を言いたいかといいますと、ダムによって相当土砂が流れなくなっている。そういう実態にあるという認識には大臣局長も立っておられると思うのですが、その上に、まださらにダムをつくっていこうという発想に、これは建設省の所轄外のダムもたくさんありますが、つくろうとしている考え方が、私、利用目的は別にしまして、解せぬなというのが一つ。  したがって、ここで私は、ぜひともお考えをいただきたいのは、土砂管理という視点をぜひともこれは入れてもらわないとだめだと思うのですね。今、局長の答弁の中にもありましたように、やはり土砂の動き方によって侵食基本的に起こるわけでしょう。起こるにもかかわらず、土砂管理というのが今日までに一切されていないわけです。この点についてはどうですか。
  46. 青山俊樹

    青山政府委員 今先生お話ございましたように、確かに土砂を総合的に、流域の最上流部から川それから海岸までトータルで物を考えるというのはなかなか今まで難しい問題でございまして、私の知っておりますところでは、昭和四十八年に天竜川につきまして、天竜川土砂動態調査というのを非常に体系的にやった記憶があるわけでございますが、非常に土砂の動きそのものがメカニズムも含めて難しいということがございまして、そういったことの必要性は確かに御指摘のとおりだろうと思います。  具体的には、やはり土砂収支バランスを海岸まで含めてトータルで物を考えて、上流の砂防ダムでも、土砂をためるだけじゃなくて、むしろ粒径の細かい土砂下流に流そうという工夫をする。また、ダムにつきましても、先ほどお話ございました出しダムだとか宇奈月ダムでやっていますように、土砂吐きゲートをあけて土砂を流して、そのかわりに上手にゲートを閉める。また、天竜川なんかでは、ダンプでダム上流の貯水池にたまった土砂をすぐ下流の川に置いて、それで今度は洪水の力をかりてその土砂を海に流すというふうな試みもしております。また、土砂バイパスというのをダムの横につくって、洪水時に土砂を吐くということをやっている利水ダムもございますが、そういった工夫をいろいろとしていかなきゃいかぬなという認識は非常に高まってきたところでございます。河川審議会の中でも、総合土砂管理委員会というものを設けまして、先生方に徹底的な議論をしていただいたわけでございますが、そういったそれぞれの分野ごとの対応じゃなくて、流域全体を見据えた土砂管理という発想に立った対応策が要るのではなかろうかという御指摘をいただいているところでございます。
  47. 平野博文

    ○平野委員 今の局長答弁、今後云々と言うけれども、この土砂管理なんて、これはある意味では学問的にはもう既に随分前からあると思うんですね。ただ、実態論として、どういうふうに掌握してどういうふうに対策を打つかというのが難しい、こういうことなんでしょうけれども、なぜ侵食しているんだというのは、土砂によって侵食しているんだという、このことははっきりしているのにもかかわらず土砂管理ができない、今後の課題だと。  実態面は難しいかもわからないが、土砂の問題によって侵食されるのに土砂管理ができないということでは、仕事をどんどんしていってもどんどん侵食される、こういうことで、悪い言葉で言ったら公共事業の垂れ流しじゃないか、こうなりませんか。
  48. 青山俊樹

    青山政府委員 私どもも、公共事業をしたいがためにやるという発想は持っていないつもりでございまして、むしろ、よりよい国土とは何か、それを実現するためにはどうすべきかというふうなことを真剣に考えているつもりでございますが、この土砂の問題につきましてはタイムラグがあるわけですね。  例えば、三十年代に川底から砂利を掘った影響がすぐその年から出るんであれば非常にわかりやすいんでございますが、十年たち、十五年たちして周辺海岸部にきいてくる。また、ある川では、河床が堆積傾向にある、河床が上昇してきている、地元の人からは、早く砂利採取をするなり河床を掘削するなりして、川底が上がってきたのを何とかしてくれという話があるわけでございますが、それをとってしまいますと今度は海岸がやられる。逆に、川底が上がってくると、ようやく海岸に何年かたってから堆積傾向の現象が出てくる。タイムラグがあるところに難しさがあるというのが一点でございます。  また、特に過去のことで申し上げますと、ダムにたまる土砂の量よりは、海に近い、海岸に近い砂利採取、この量も昭和四十一年から平成七年までの間で二十六億トン、約十八億立方メートルというふうに私は把握しておりますが、ダムにたまっている十二億立方メートルよりも多い量を砂利採取されているわけでございますので、それが海岸に近い分だけ、よりきいてきているということもございます。  ただ、いずれにしましても、そういった時間軸も含めて、土砂収支をにらみながらきちっとした対応をしていかなければいかぬと思っております。
  49. 平野博文

    ○平野委員 局長はそう言っていただいていますが、やはり私は、しつこいようですけれども、この土砂管理のあり方は学問的にもテクニカル的にも見詰めていただきたいし、行政の仕組み的にも、やはり一面的じゃなくて、多面的、トータル的にこの土砂管理というものをしてもらいたいと思うんですね。そうしなけりゃ、こちらはやっているけれどもこちらは全然やっていない、海岸侵食されるから、侵食される側は土砂管理なんかどれだけ流砂があるんだとかいろいろやっているけれども、一方、河川は全く無関係にやっている、こういうちぐはぐな行政の欠陥が今日出てきたんだと僕は思うんです。  そこで、大臣にお聞きしたいんですが、私は、やはり局長からも御答弁の中にありますが、トータルバランスの維持をしていく、こういう視点から見ましても、河川上流域、中流域、下流域、さらには海岸に至るまでの総合的な土砂管理対策を一度やはり明確にしてもらいたいと思うんですね。  それが今国会の法律改正一つ目的でもあるんです。「総合的な視点に立った海岸管理」となっているわけで、海岸というのは川が流れてきて海岸に行くわけだから、やはり河川もあわせた一体的な管理、すなわち総合的な土砂管理の体制をぜひ建設大臣、今後やってもらいたい。特に各省庁絡んでおりますが、各省庁と連携をとる中でぜひ実行をしてもらいたいと思うんですが、土砂管理体制、これ、大臣どうですか。
  50. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この法律をつくります前に、四省庁が集まりまして、環境の問題につきましてもるる論議を行ったわけでございます。その中にありまして、きょう先生が御指摘をいただきました土砂管理というのは、正直申し上げまして十分な論議はなされていないと思っております。ですから、このこと、御指摘の内容を十分また理解をいたしましたから、そのことは今後指示を出していきたいと思っております。  それから、今までずっと先生の御審議を聞いておりまして、確かに難しいものでございまして、保護環境利用ということ、それから、今四省庁に分かれているということ、これは、確かに私もこの機会にそれが一本化できないのかというふうにも考えたりもしましたが、やはり、なかなか内容が違うわけでございまして、今四省庁に分かれておる。ただ、先生指摘のように、省庁がその省庁のことだけでやるならば、それはやはり私は環境保全の方向には進まないと思います。  ですから、これは本当に徹底して、うたい文句だけではなくして、四省庁が徹底して環境保全しながらその利用を進めていくということは、これは、私は本当に強力なる指導と強力な監視というものが必要だろうと思っておりまして、私はそういう感覚でこれをずっと見守っていきたいと思っております。
  51. 平野博文

    ○平野委員 ぜひ強力にお進めをいただきたいと思うんです。  そこで、ちょっと視点を変えて質問したいと思うんですが、第六次海岸事業七カ年計画が平成十年の一月に閣議決定されているんですね。これは、財政構造の改革特別措置法に基づいて二年延ばした計画なんですね。ところが、この計画というのは特にどの法律によってという根拠法がないんです。ないのにもかかわらず、その計画というのはもう既に七カ年計画として進んでいる。今回、海岸法改正が入ってきた。海岸法改正の中には、自然との共生とか調和だというのはこの七カ年計画の中にはもう入っている。入ってやっているんですね。それで、これはもう勝手に国会の云々関係なく閣議決定されて、予算が、これはきちっと私していませんが、仄聞するには、事業費の規模としては一兆七千億ぐらい使ってやりますよ、こう言っておるわけですね。  そうすると、この海岸法という法律にやはり担保されて、そのことによって予算をとって進めていくというやり方と、あるいは、もう七カ年計画計画なんだ、法律に担保されないで各省庁の予算の分捕り合戦のようにとって、ことしは予算とれなかったから物事はできませんよということにややもするとなるんですね。ところが、法律に担保されれば、それはきちっとその法律によって予算が枠組みを組むわけですが、この七カ年計画と今回の海岸法との関係実態論としてはもう七カ年計画で走っておるじゃないか、今回海岸法改正するじゃないか、ここが少し理解がしにくいんですよ。そこをちょっと聞かせてくれますか。
  52. 青山俊樹

    青山政府委員 まず七カ年計画の問題でございますが、海岸事業計画的に実施していくという観点からは、やはりこういった七カ年計画というふうなものを策定することにより、中期的と申しますか、目標を持つということは重要だというふうに認識しております。  今、先生の方のお尋ねは、それが法律に基づくべきものであった方がいいんじゃなかろうかということでございます。各事業に関します法制度の性格によりこれは異なるわけでございまして、例えば、治山治水緊急措置法というものに基づきまして、河川改修等の治水事業は緊急措置法に基づく七カ年計画としての法律上の位置づけを与えられておるわけでございます。それで、こういった七カ年計画のように、事業実施期間、それから事業量、事業費などの具体的、時限的な事項を規定するものを、いわゆる海岸法という基本法でございますが、例えば河川事業でいいますと河川法に相当するわけでございますが、そういった基本法に書くのがなじむのかどうかということになりますと、やはり、余りなじまないのだろう。  ただし、年度年度どんな予算をやっていくのか、また、どういうふうにやっていくのかということでございますと、それはまさに具体の歳出の問題でございまして、毎年度予算として国会の御承認を受けて執行するという、年度年度の予算で執行していくわけでございますし、また、七カ年計画で、全部で何年だからそれを七で割って何ぼだというふうな、機械的な年度ごとの事業費の出し方というのはなかなか難しかろう。むしろ、年度年度、予算案を審議いただくわけでございますから、その中で国会の御承認を得ながら予算が決まっていくというのが現在の状況ではなかろうかというふうに認識しております。     〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
  53. 平野博文

    ○平野委員 それは今のやり方の部分だと思いますが、では予算がとれなかった年はどないするんですかという素朴な疑問と、もう一つは、私が言いたかったことは、より国民の皆さんにわかってもらうために、やはり閣議決定された長期計画というのは、国会で承認案件にしていくべきだと思うのですね、長期がゆえに。やはり、その計画の終了なり、途中段階でもいいのですが、さすがにいいものになったよということの評価制度をこれから導入していく必要性があると思うんですね。この点、ぜひ国会承認、いろいろ抵抗が出てくると思いますが、私は、我が党は承認していくべきだと思っておりますが、承認する、しないは別にいたしましても、きちっとした評価制度を、やはり仕事をするわけですから、導入をしていただきたいな、このように思っているのです。これは強く求めておきたいと思います。これは大臣に聞きたいのですが、もうやめておきます、時間がないですから。強く要望しておきます。  いま一つは、今回の法改正の部分で、国有海岸を一般公共海岸区域として法の対象に組み入れられたわけですね。それで、その管理の主体者は都道府県知事にいたします、また、都道府県知事との協議に基づき、当該市町村長が一般公共海岸管理を行うことになります、こういうことですね。  ところが、今財政が非常に、地方財政厳しいでしょう。そういう中にあって、主体はその都道府県市町村、これは私はいいと思うのですが、よりその管理対象がふえていきますね。そうなったときに、管理費を含めた財政負担が、さらに地方自治体に負担がかかると思うのですね。そのときに何らかの財政支援体制というのを考えておられるのかどうか。
  54. 青山俊樹

    青山政府委員 今先生指摘のとおり、一般公共海岸区域管理に関しましては、県、場合によっては市町村というところが、非常に財政事情が厳しい状況にある地方自治体が対応するというふうになるわけでございます。  ただ、大幅に費用がふえるかということでございますが、いわゆる占用の許認可だとかいった極めて日常的な事務でありまして、例えば、一般公共海岸は一切工事をいたしませんので、そういった工事に伴うような大規模な支出というのはないわけでございますが、やはり負担があるというのも事実でございまして、そういった趣旨にかんがみまして、関係省庁とも協議しながら、何とか地方財政上の措置等をお願いしながら支援策の充実について検討してまいりたいというふうに考えております。
  55. 平野博文

    ○平野委員 時間が参りましたが、もう一つ海岸行政ということで、現在は農水省と水産庁、運輸省、建設省で、四省庁でやっておられるわけですが、海岸の行政の一元化の方向にやはりしていくべきだと思っておるのです。  一元化という発想に立ちますと、地方分権の考え方でいきますと、もうすべて都道府県、あるいは隣接している市町村に、まあ都道府県がいいと思いますが、都道府県に任せたらどうですかと。今、各四省庁があります。それで、大臣も力強く、一元管理をしていかなければなりません、こういう御発言をいただいたのですが、特に地元実態地域実態を一番掌握されている都道府県が、もちろん当然財政もその部分担保してあげないとだめだと思いますが、都道府県がしっかりやりなさいよ、こういうふうにやっていくべきだ、これは私、個人的にそう思っています。  そういう中で、今回の改正で、主務大臣とは多分この四省庁の大臣だと思いますが、海岸保全基本方針というのはそれぞれの四省庁の大臣だと思いますが、今までは、各都道府県出して、国が承認か何かをするという発想から、今後は、国が基本方針を決めて、あとは地方でやりなさいと。いわゆる地方分権の考え方の流れに逆行しているのじゃないか、こう思うのですが、その点はどうなんですか。ぜひお答えいただきたいと思うのです。
  56. 青山俊樹

    青山政府委員 地方分権との関係でございますが、地方分権の方で強く求められておりますのは、国と地方との役割分担を明確にしてきちっとするということでございまして、今先生おっしゃいましたように、国が、主務大臣基本方針を、基本的な考え方を打ち出し、それを受けてあとは都道府県知事がきちっとやるというふうに役割分担明確化するというのは、むしろ地方分権の推進委員会の議論の中でも、国が変な通達だとか運用だとか、そういったことでごちゃごちゃ口を出すのではなくて、方針だけをきちっと法律上明記して位置づけなさい、あとは県がやる、市町村がやるという役割分担を明確にしなさいという御議論が出たわけでございますが、その流れに沿ったものだというふうに認識いたしております。     〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕
  57. 平野博文

    ○平野委員 最後に、何回も言うようでありますが、特にやはり環境の基盤の維持ということを、これがないのに、この維持ができないのにこの問題が解決できるとは、私は思っておりません。そういう視点では、環境基盤の維持を非常に基本に据えていただいて、その上でトータルバランスを崩さない海岸行政をやっていただきたい。とりわけ土砂管理のあり方について、いま一度十分にお詰めをいただきましてお取り組みいただきますことを最後に大臣並びに河川局長にお願いをいたしまして、質問を終えたいと思います。  ありがとうございました。
  58. 平田米男

  59. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今回の海岸法の一部を改正する法案について、民主党の立場で質問をさせていただきます。  今回の改正目的は、従来の海岸被害から海岸防護、さらに環境利用、こういうものを新たにつけ加えて法の整備を行っているわけでありますが、今の平野委員お話にもありましたように、その辺についての国と地方の役割、これらについて、今中央省庁の問題も出ておりますけれども、今局長が具体的にお話しされておりますけれども、そのことがまだこの法案だけでは明確になっていない、はっきり申し上げて。県が何をすべきか。今回のように沖ノ鳥島のような問題については、これは国がしっかりと、ある面では公有海面の問題もあり、二百海里の問題あり、いろいろな国土の問題でありますから、そういうことを明確にすべきだと思っておりますけれども海岸法という形になってきた、それは分離して考えたときに、やはり県、市町村、その辺も含めて、今回の法案の中で私はもっと明確にすべきじゃないかな、このように考えますけれども大臣、これについての考え方をまず冒頭にお聞きしておきます。
  60. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今回の海岸法改正というのは、先ほど平野委員もおっしゃられましたように、国、県、そして市町村の責任分担というものをはっきりすべきということ、そしてまた、地方分権というものを今後どのように進めていくことができるか、私はその試金石みたいなところがあるのではないかなと思っておるわけでございまして、したがいまして、国は、先ほど先生が御指摘いただきましたように、全国における海岸保全基本となる方針策定、そして、沖ノ鳥島のように国土保全上極めて重要な海岸管理を担当するということ、ですから、もう最小限のものであってしかるべきだと私は思っております。  そして、都道府県は、海岸管理者としての基本的な役割を分担する、そしてなお、市町村の方が詳しいわけでございましょうから、市町村は、最も地域に密着した主体として、海岸保全に関する計画策定への関与、それから占用許可等の日常的な管理等を分担するというふうに、私は、はっきりと明記をして、それぞれが役割分担を担っていくということで進めていきたいと考えております。
  61. 田中慶秋

    田中(慶)委員 法律的にもそのことを明確にさせる必要があるだろう。ただ、計画段階で地方自治体の意見を聞くというような問題だけではなく、実行段階においてすべてそういうものを私はこれから地方自治体に、あるいは県なり、僕は県よりもむしろふだんの管理等については市町村にもうすべて委任すべきじゃないかな、こんなふうに思っているわけであります。その辺について、やはり今後実行段階でこれらを明確にしていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、実は地方分権推進という立場で、今回の市町村について、その辺を法的にどのように明確にされていくのか、まず局長にお伺いします。
  62. 青山俊樹

    青山政府委員 市町村役割についてでございますが、まず、地方分権の推進委員会でいろいろな議論がなされたわけでございますが、海岸法改正問題につきましては、国が国家的観点に立った全国的な施策の方針を明確に示し、この方針に即して、日常の管理については可能な限り地方公共団体が担うようにすべきというふうな、役割分担をはっきりさせろという指摘を受けたわけでございます。  また、地先海岸地域の特性を反映させたものにしたいとする多くの市町村の御要望がございます。海岸保全に関する基本計画策定への関与、それから占用許可等の日常的な管理への主体的な取り組みをこういった市町村がなされるということが、今回の法律改正で可能になったわけでございます。今までは、県知事が市町村に、保全も含めた海岸管理をやりなさいということを指定する条項はあったわけでございますが、今回は、日常的な管理保全工事以外の管理市町村がやりましょうという発議をした場合に、県知事と協議が成立すればやっていく、市町村海岸管理者になり得るという制度ができたわけでございます。  また、海岸保全施設工事等につきましては、これはかなり広域的な視点が必要でございますし、また、技術的に難しく財政的な負担も大きいという問題から、やはり県が担っていただくことが適切ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  63. 田中慶秋

    田中(慶)委員 現在、海岸整備その他の問題について、財政的というのも今お話がありまして、さきにも財政論議がありましたけれども、地方自治体の方が、あるいは市町村の方がもっと厳しい財政事情であります。特に県は法人二税にゆだねているところがあるわけで、その辺は、今の景気等々のことを考えていきますと、まだまだことしも来年もそう大きく期待できない状態である。  そういうところで、七カ年計画の一兆円以上の予算がこれから組まれているわけでありますけれども、これらについて、特に災害や緊急整備等の問題を除いて、この財源の配分なり財源の使い方、私は、この問題について、今までのやり方から発想を変えた方がいいんじゃないか。従来は、どちらかというと陳情政治みたいな形でやり、あるいは族議員の発想でそのとり合いをしていた向きもあるわけでありますから、そうではなくして、その優先順位等々についても地域要望等々を含めながらおやりになる必要があるだろう、こんなふうに思っているわけです。  特に、今建設省が、これだけ公共事業を含めて一番おやりになっているわけですけれども、現実に今までの投資効果というものについて何も査定されていない部分がある。総資産対なり、あるいはまた総資本という民間の発想を導入しながら、私は、むしろ公共事業のこの決め方も含め、あるいはまた投資効果を含めて優先順位を決める必要があるんだろう、こんなふうに考えておりますけれども、これは大臣局長、現場と、あるいは建設省全体を預かっている大臣、お二人の考え方をお聞きしたいと思います。
  64. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この問題につきましては、平成十年度に学識経験者等から成ります委員会設置いたしまして、過去の災害の実績、それから災害発生の危険度、関連事業との整合性等を指標化いたしまして優先度を判断する評価手法を作成いたしまして、この平成十一年度に新しく着工する海岸については、その優先度の評価を行って結果を公表したところでございます。今後ともこの評価手法についてさらに検討を加えまして、事業の執行に対する効率性とか透明性の一層の向上を図っていきたいと思っております。  そういうようなことで、御指摘のように、費用対効果分析のマニュアルも作成いたしておりますから、そういうようなものから十分にチェックをいたしまして、優先順位というものは明確にしていくべきだと思っております。
  65. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、これからの公共事業の問題等については、今大臣が答弁されておりますから。しかし、もっと突っ込んで、この投資効果という問題についてもやはり査定をしていく必要があるだろう。  要するに、例えばそれぞれの地区の要望があると思います。その地域要望にどうこたえていくかということの中で、それをどう採用していくか等の問題も含めながら、やはり厳しい財政の中での公共事業といいますか投資なんですから、そういう点は、その辺をしっかりと今後評価を含めてやっていただきたい、これは要望しておきます。  そこで、先ほど総合土砂管理の問題が議題となったわけでありますが、もともとはこの土砂管理建設省の中に余り入っていなかった。海岸侵食というものあるいは国土の侵食というものが、それぞれのセクショナリズムによって侵食されていったわけです、はっきり申し上げて。砂防というものの考え方、河川という考え方、そして海岸というこの考え方を総合的に皆さんのところでは今までやっていなかった、こういうことだと思います。私は、そのことを踏まえながら、やはり自然というものの力、自然というものの形態を含めて、やはりこの考え方を踏襲する必要があるだろうと思っているわけであります。  特に、従来までの考え方の中で、流域水系という言葉はよく河川の中に使われておりました。ところが最近、先ほどのお話のように、流砂系という議論が今やっと始まった、こんなふうに承っているわけであります。さっき大臣もこれらの問題で、土砂管理が十分できていない、あるいは検討していなかったというお話もありました。私は、十分検討どころか全然なかったんだろう、こんなふうに思っているわけであります。ということは、特に、やっと今、流域水系に伴うこの流砂系というものが検討が始まったわけでありますから、そのことがやはり侵食国土保全という立場で大変大切であるということを、私はよくこのことを強調しておきたいと思っておりますし、これらについて具体的にどのような対応をされてきたのか、特に、砂防、河川海岸というこの三点を、しっかりと、どのような関係を持って取り組んでいられるのか、お聞きしたいと思います。
  66. 青山俊樹

    青山政府委員 土砂の流れを総合的に考える、いわゆる流砂系という概念が今回の総合土砂管理委員会の御報告から出てきているわけでございまして、森林を含む山中から海岸までの土砂の運動領域の全体を流砂系という新しい概念でとらえて総合的にやれという提言をいただいたわけでございますが、こういうことをいただいているということは、裏返して言えば、今まで、先生指摘のように、かなりばらばらな部分があったということも事実じゃなかろうかと思っております。  今までどんな取り組みをしているかということでございますが、かなりいろいろな面にわたって取り組みはいたしております。  例えば、砂防におきましては、大規模出水時には大きな礫が流れてきますが、それはとめるけれども、中小洪水では小さな礫しか流れてきません。それは下流に流すという、いわゆるスリット型砂防ダムというふうなものをかなり多くやっております。また、ダムにおきましては、貯砂ダムなんかで、上流で河床を転がってくる土砂をためてそれを取り除くとか、土砂バイパスをやるとか、もしくは排砂ゲート土砂を流すとか、先ほどの宇奈月ダムのような例でございます。  また、一番大きいのは、河川法が制定されましたのが昭和三十九年でございます。それで一級水系、二級水系という分類になったわけでございます。直轄管理区間といいますか大河川におきまして、砂利採取規制をかなり強烈にやりましたので、その影響がかなりきいてきていると思っております。  また、海岸におきましては、港のようにしゅんせつをしなければいかぬ施設もございます。それのしゅんせつ土を養浜と称して砂浜に持ってくるというふうな対応もやっているわけでございます。  またさらには、河川審議会の御提言、御意見に従いまして、一層、土砂を流す砂防、また土砂を流すダム、また堆積した土砂海岸の養浜に活用するような流砂系内の土砂再生システムの構築といったことを進めてまいりたいというふうに考えております。
  67. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、今日までみんなばらばらにやってきた、はっきり申し上げて。例えば、では農水省とどういう形の連携をとられたのでしょうか。植林をしながら、木は全然手入れをされていない。しかし、ダムとの関連は絶対に避けて通れないわけでありますし、あるいは、ただ林道整備だけをする、しかし林道整備して舗装したもの、結果として、それが鉄砲水のような形のものになってくる、地下水との関係も出てくる。  いずれにしても、こういう一連のことを総合的に考えた、検討した形で海岸法という、最終的には海岸になりますけれども、その過程を十分検討していかないといけないだろう。今、流域水系というものから流砂系という言葉が出てきたのが、やっと去年、おととしぐらいから出てきているわけですから。ですから、これは私は逆に評価をしますけれども、もっと精力的にやっていきませんと、幾ら海岸法をつくったところで、現実には砂が全然、はっきり申し上げて受け入れ体制も何もつくっていないということと同じなんですから、そのことをしっかりとこれから取り組んでいっていただきたい、こんなふうに思っております。  特に、今回の問題の海岸法の中で、今までの、少なくとも海岸侵食その他を防護するということから一歩進んで、美しい河川なり安全性なり、あるいは「いきいきした海岸を目指して」ということである、この言葉どおり海岸法がしっかりと位置づけられなければいけないんだと思います。しかし、現実には、環境問題にしてもほかの問題にしても、そのことが余りこの法律の中に具体的に見えてきていないんじゃないか。言葉には、タイトル、表現、こういうところには見えますけれども法律の中にそのことを明記されていない部分が私は目立っていると思いますが、その辺はどう思いますか。
  68. 青山俊樹

    青山政府委員 法律の中で、目的ところで、今まで防護だけだったものが、環境整備保全また適正な利用というのが書き加えられた、これは思想上では非常に大きな転換だろうと思います。  ただ、先生おっしゃったように、より具体的にいろいろなことを考えていかなきゃいかぬわけでございますし、また、河川も含めた水循環、また流砂系、そういったもののトータルの物の考え方も要るでしょうし、そういったことが今回の海岸法改正によりまして理念が非常にはっきりしたということは、これは主務官庁でございます建設、運輸、それから農水、それぞれ理念をそろえてこれに当たるということでございますので、そういった意味では非常に大きなことではなかろうかと思っております。
  69. 田中慶秋

    田中(慶)委員 これは大臣にちょっとこの辺をお聞きしたいわけですけれども、やはり今までの法律という観点で、どちらかというと川屋さんは非常に頭がかたい、はっきり申し上げて。ですから、せっかくこういう形で、今回海岸法改正で、単なる、目的の中に環境とか、それだけを入れたということだけではなくして、「美しく、安全で、いきいきした海岸を目指して」という、このPR雑誌にはそういうことが出ているわけですから、法律の言葉としてなじまないんじゃなく、なじむように、法律というのは何でもありなんです、極端なことを言えば。  ところが、従来の頭から考えると、今までの河川局の人たちは、その言葉はむしろ宇宙衛星かどこかに行くぐらいの発想の転換になると思いますので、やはりそのことを具体的に明確にするぐらいの、法案の中にそういうことを明確にすべきじゃないかな。かたい言葉で、従来と同じように海岸防護環境利用、それを追加して、そんな目的だけではなくして、今の現代に合うような形の法体系にする必要があるだろう、こんなふうに思いますけれども大臣、どうですか。
  70. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 環境長官など関係行政機関の長とは協議を徹底して行っていくというようなことでこの海岸保全基本方針を定めることといたしておりますので、その点については十分に注意を払っていきたいと考えております。
  71. 田中慶秋

    田中(慶)委員 何か、わからないようなわかっているような答弁ですけれども、せっかく海岸管理検討委員会というところでは、そういうタイトルに基づいて海岸法改正に当たっての検討をされてきたんですから、やはり法の整備のときにはその趣旨を十分生かす必要があるだろう、私はそう思っているわけで、やはりその辺が非常に頭のかたいところだと思っておりますが、もう少しフレキシブルにする必要があるだろう、こんなふうに思っております。  これはいずれにしても今後の問題ですから、よくこの法制化の段階で、法制局はうるさいとか難しいとかとよく言うんですけれども、そうじゃない、こちらの意思を鮮明にしていけば、そのことは決して間違っていることじゃないんですから、法制局もちゃんと取り入れてくれますので、やはりその辺を、法制局に任せるのじゃなくして、意思を明確にさせる必要があるだろう、このように思っておりますので、今後の取り扱いとして、大臣の決意を述べていただきたいと思います。
  72. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 最大の努力をいたします。
  73. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで、実は時間の関係もございますので、今回の海岸法の問題の中で、例えば干潟の問題等々についても、私は考慮すべきことであろうと思っております。特に、自然との調和というものが、やはり人間の生きていく上において一番大切なことでありますから、虫や魚やあるいは鳥など、そういう自然界の問題も含めて干潟の問題というものが、これは、全般的にはそれぞれの海岸に干潟があるわけじゃありませんけれども、やはり幾つかのところで、海岸法との関係でリンクする必要があるだろう。  特に、海岸に直接面していない、例えばこの地区であるならば、山梨県なんというのは海岸に直接面していませんよね。ですけれども河川から考えてみますと、そこには相模川が、ずっとその水系を考えていきますと、一番上流が山梨になるわけでありますから、下流がそれこそ相模湾になっていくわけでありますので、こういう一連のことを考えますと、決して、山があるいは海岸がという、こんな限定すべき問題じゃないことでありますので、自然との関係を含めて、この辺についての取り組み方、あるいはまた今日までの過程の中で、農水あるいは環境等々の中での話し合いがあったのかどうか、その辺を述べていただきたいと思います。
  74. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話ございましたように、山の上から海まで、山梨県も、おっしゃったとおり相模湾までつながっているわけでございまして、山梨で出た土砂が海まで行きますし、またごみも同じように海まで行くわけです。また干潟の問題も、環境上非常に重要な位置づけだというふうに私ども認識しております。  幾つかお答えさせていただきますと、まず、干潟につきましては、今回の海岸法改正とは直接関係はないわけでございます。なぜかといいますと、干潟は満潮時には水面下に没するわけでございまして、そういったことでございますが、今、先生がおっしゃった環境上非常に大切だということは、公有水面埋立法に基づきます免許というものを審査する際にもいろいろと、都道府県知事等がその審査を行うわけでございますが、考えていかなければいけない問題ではなかろうかというふうに思っております。  また、全体を、山の上から海までを考え、また環境については、いろいろな自然公園だとか自然環境がすぐれている自然環境保全地域が存在するというふうな問題の場合には、これは環境部局と、それぞれ県レベルでも、県の環境部局と海岸担当部局と十分調整をとっていくことは必要であるというふうに思っております。
  75. 田中慶秋

    田中(慶)委員 局長建設省の中でも、先ほど来申し上げているように、河川局と、あるいはまた砂防と、そういう形で全然セクションが違って、はっきり申し上げて意思の疎通がない部分があるわけですし、地方自治体だって同じなんです。河川課と砂防課で全然違う。こういうことを含めて、権限をこれから地方自治体にゆだねるときには、そのこともやはり総体的にちゃんとする必要があるだろう。  特に、今のお話のように、干潟は直接海岸法とは関係ない、関係あるんですよ、全体的な問題で。ですから、そういうことを含めて、海岸法とは直接、今回の法改正には直接なくても、全体的にはあるんですから、やはりそういうリンクをどのようにするかということじゃないかと思うんです。  そこで、一番大切なのは、これからモニタリングをどうしていくんだろう、はっきり申し上げて。全体のモニタリングをどう考えていくのか、そのことが今回の法律の中に明記されていない。幾ら仏つくっても最後の魂がなければ、私は、この法律は生かされていかないのだろうと思います。このモニタリングについてどのように考えているのか、お聞きします。
  76. 青山俊樹

    青山政府委員 土砂の動きのモニタリングというのが、先生指摘のとおり非常に大切なことでございまして、これは河川審議会の土砂管理委員会の審議の中でも、ぜひモニタリングをやるようにということでございますし、この場でも、はっきりと私の方から、全力を挙げてやっていくという御答弁をさせていただきたいと思います。
  77. 田中慶秋

    田中(慶)委員 もう時間も参りましたので終わりますけれども法律にあるからないからという問題ではないと思います。今のように答弁がはっきりと、モニタリングをやっていきますということですから、それ以上追及はしませんけれども、しっかりとモニタリングをする、これは、土砂だけじゃなく、全体流域の管理を含めて、先ほどの干潟やいろいろなことを含めて関係することでありますので、一貫した行政として、そのことをこれから地方にゆだねるときについても明確にしていただきたいということを要望し、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  78. 平田米男

    平田委員長 この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後二時開議
  79. 平田米男

    平田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鉢呂吉雄君。
  80. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 午前中の同僚議員に引き続きまして、民主党として総括的な質疑をさせていただきたいと思います。  午前中、大臣は、海岸環境につきまして、自然と共生できる方式ということを強調されました。私は、この法案の中身にそのことの何を重点化するのか、そういうことが全く入っておらない、田中委員からもお話がありましたけれども、そういう点でまず質問をさせていただきたいと思います。  自然と言った場合は、何よりもまさに手を加えない自然そのままというのが自然という定義だと思います。この法律に言っております自然、環境というのは、いわゆる海岸環境整備または保全をする、何らかの手を加えるという概念が入っておるわけであります。  大臣にまずお聞きをいたしたいのは、自然海岸という表現があります、自然そのままの海岸、これは本当に大臣として広い立場で答えていただきたいのですけれども、そのことがまず何よりも大事でないか。例えば、侵食を受ける場合もあるでしょう。後でまた詳しくお話ししますけれども、しかし、侵食を受けた砂はどこかの時点でまた堆積をするものとして海岸というのは存在をしておるのだというふうに思います。そういうとらえ方についてどのようにお考えになるのか、そのことも含めて、そのことが第一義的に、優先的に考えられるべきものではないだろうかというふうに私は思いますので、その点のお考えを最初にお聞きしたいと思っております。
  81. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この海岸法の四十数年ぶりの改正なんですが、先生が御指摘の、やはり私がイメージとして持っております海岸というのは、海岸というよりやはり砂浜、そしてまた常でありますように松がそのところにあるというような、白砂青松なんといいますけれども、私はそういうイメージを持っておるわけでございます。  私の地元にも、そういうようなことで本当に真っ白の砂浜があったわけでございますが、そこは別に浸水だとかそういうことは起こっていないのですけれども、ただ、やはり砂浜侵食をされて、その沖合にはテトラポッドが山と積み上げられておる。ですから昔のような海水浴場としては使用ができない。そういう状態になってきておるということですから、私のイメージの海岸というのは、直ちに真っ白の砂浜という感じを抱いておるわけでございます。
  82. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 まさにそういうことであろうと思っています。また、もちろん防護という形で、自然災害を受けてさまざまな人工的な手を加えるということもこの間やってまいりました。これを全く無視するわけにはいかないわけでありますけれども、また、先ほど同僚議員からもお話がありましたけれども、そのことによって自然の循環機能というものが損なわれる。むしろそのことが一つの大きなきっかけとなって、いろいろな面で悪循環といいますか、そういう形も呈するわけでありまして、そういうものを見越して人工的な施設といいますか、ここでいいますと海岸保全施設というものを考慮する、そういう時代に来ておるのではないかなということを、私どもは素人ながら、まあ大臣もある面ではそういう面が強いと思いますけれども、この海岸法を勉強する中でそういう感じがしておるわけであります。  したがって、今回の海岸法改正昭和三十一年以来の大きな改革ということでありますけれども、この程度のことはもうもっと前の段階、十年や二十年前に法律的にも整備する必要があったのではないかなというぐらいの気持ちがするわけですし、この防護に加えて、環境整備保全、そして利用というものを単につけ加えたというだけの目的では、余りにも国民に訴えるものとしても極めて希薄だ。  私は、まさに先ほどの大臣の答弁を法案にしてもいいぐらいの、大臣になったときにはこの法案がおおむねできておったのかもわかりません。例えば、自然と共生できる方式、再生できる、循環される整備環境を重点として、あるいは利用というのは第二義的なものとしてというふうに御答弁があったと思うのですけれども、そういうものがこの法案改正法律にはやはりきちんと明記をされる必要があるというふうに私は思うわけであります。しかし、残念ながらそういう形になっておりません。極めて並列的に三つの要素を書いておるわけでありまして、皆さんの御答弁でこれを十分なものにして、いわゆる国がつくる保全基本方針、これをきちっとしたものにしていただきたい、そういう視点で質問をさせていただきたいと思います。  私の地元は、六年前に北海道南西沖地震がありまして、奥尻を初めとして大変な津波の被害を受けました。十メートルあるいは三十メートルの津波が押し寄せたということで、その防災対策というものをこの六年間でほぼ完成したような形であります。そういう中で道路を通ってみますと、昔は大きな湾の浜があったものが、今はすっかり防潮堤というのですか、六メートル、七メートルの防潮堤が張りめぐらされて車からも海が見えない。海岸に住んでいらっしゃる方は海を見て初めて心が休まるといいますか、そういう方が非常に多いのですね。荒れた海でも静まった海でもいいのですが、やはり海を見て何か平安を覚えるということからいけば、もうコンクリートに張りめぐらされたところに住んでいらっしゃるというところも、まあ具体的に言っても、奥尻の対岸の北海道本土側の大成町の平浜、名前のとおり平らな浜であったのですけれども、そういうところをつくられておる。  ですから、最近は環境権というような中でも、眺望権といいますか眺めを見る権利といいますか、これはいろいろな点で、高層ビルでも言われるわけでありますけれども、眺望権というようなものからいっても、そういう人間の生活上にかかわっても、いわゆる防護にかかわる施設についても、そういうものも取り入れる必要が十分考慮されなければならない時代に来ておるのではないかな。  よく、津波が来たということで、そういう形でつくられて、あと五十年来るのか百年来るのかわからない形でそういうものの中で生活をする。確かに、万が一来たときには大変な被害を及ぼすわけでありますから、そこの勘案が大変大事なんでありますけれども、やはりある程度視点を変える必要があるのではないか。何十億かかったかわかりませんけれども、それだけのものを変えるのであれば、そこに住んでいらっしゃる人家、そこはそんなに住んでいないのですけれども、その方々の移転を考えるとか、場合によってはそういうことも当然あり得るのではないかなということも思うわけでありまして、そういう景観といいますかランドスケープといいますか、全体を考えた海岸保全の考え方というものに立つ必要もあるのではないかと思いますけれども大臣の御所見がありましたら御答弁願いたいと思います。
  83. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 自然の状態を維持していくためには、やはりいささか私有地、民有地というものにも御理解をいただいて協力をしていただくということは私も必要だと思います。  公共事業の問題もいろいろこの委員会でも論議されましたが、もちろんそのアカウンタビリティーというかそういうような説明責任というのは当初から行うけれども、地権者の方々の公共事業に対する理解、そしてその上での、いささか、いわゆる私権といいましょうか、自分の権利というのも少しは抑えていただくというような感覚がなければ、なかなか今後いろいろなことを進めていくことができないのではないかなというふうに私は思っておるわけでございます。  ですから、一般公共海岸というものは、そういうようなことで自然の状態に保持をしていくというわけでございますので、やはり公有地と民有地との、そういうことで一体的な管理というのが私は必要になってくるんじゃないかなと思います。
  84. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 先ほど河川局長は、環境の問題について、地域による環境の違いがあるという形で少し逃げ、質問に対してのそのとおりの御答弁でなかったと思います。  地域の違いはもちろんあるでしょう。東京と北海道のような地域のことを先ほど話されましたけれども、その地域の差異は別として、環境といわゆる防護あるいは利用、この総合的な、あるいは調和をさせるという形にどういう基本的な考えを持ってやるのか、もう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  85. 青山俊樹

    青山政府委員 防護環境利用というものの調和ということについて具体的に考え方を述べよということでございますが、私は、海岸ごとにやはりいろいろな特性があるんだろうと思います。  人家が密集して、前浜が非常に侵食されて高潮等の常襲地帯になっているような地域、ここではやはりその海岸については防護というものが最優先に考えられなければならないと思いますし、一般公共海岸の中で、また国立公園に指定されているようなすばらしい景観を持った砂浜、そういったところについては環境というものが第一義に考えられなきゃいけないというふうに、海岸ごとに、調和を図る中でもやはり濃淡は海岸の特性によってかなり変わってくるというふうに認識いたしております。
  86. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 これは、大臣の先ほど午前中の御答弁と若干違うわけでありまして、大臣は、やはり環境と共生できる、再生できる循環型の整備という中で環境を重点に、利用という、防護までは入っていませんでしたけれども利用は第二義的な、二次的なものだと。このところは、やはり局長の言うように、ある場所では防護の方が最優先されなければならないといったような、ところどころというような形ではもううまくいっておらない、いかないというところに来ておるのではないか。  そういうふうに、全体で、それで環境日本列島きちんとした形でなされていくという形であればいいんです。それはもちろん、地域的にそれぞれ見ていけば、部分的にそういうことは言えると思います。防護を優先して全く環境影響ないということはありませんから、環境にマイナスということはあると思います。日本全体を考えたときに、地域的にそういうことであってそれでいいんだという形には、どうも現状はなっておらないのではないか。  私は、そのことを大臣と同じような立場で局長に求めているとすれば、あなたの御答弁はもっと変わった答弁にならなければならないんじゃないですか。
  87. 青山俊樹

    青山政府委員 先ほど私は、防護環境というふうなことについて、地域地域、特性があるというふうに申し上げましたけれども大臣の御答弁は、基本的に人命だとか生命財産を守るというのが基本、ただ、環境利用というものを考えた場合には環境の方が優先すると、自然との共生という哲学からいっても私は考えるという御答弁でありました。  私も、環境利用というものを、どちらを優先させるのかというふうなことをぎりぎりとお尋ねだとすれば、大臣の御指導のもとに働いておるわけでございますので、環境優先という答弁をさせていただきたいと思います。
  88. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 もっと積極的に、大臣のもとに働いているからというようなことでなくて、もっと積極的な意味合いであなた言ってもらわなかったら困りますよ。もっとそのことを詰めていきますけれども、今回、いわゆる海岸保全区域以外のところを一般公共海岸区域として創設をされました。  そこで、この一般公共海岸について、私は、これをみだりに、いわゆる海岸保全に何らかの手を下す保全区域に指定すべきでないというふうに思いますけれども、まず、これはどのような考え方をしておるのか。それから、どういったときにそういった保全区域に変更されるのか、その基準はどういったものを考えておられるのか。あるいは、一般公共海岸というのは一切の工事、防護のための整備も含めて、工事は行わないというふうに理解をしていいのか。この三点。
  89. 青山俊樹

    青山政府委員 まず、最後の方のお尋ねからお答え申し上げますが、一般公共海岸については一切の防護にかかわる工事はいたしません。そのように私ども認識いたしております。  また、一般公共海岸海岸保全区域に指定することがあるのかというお尋ねにつきましては、これは一般公共海岸区域といいますのは、特に海岸保全施設整備が必要ではなく、自然の状態であっても被害を受けるおそれが少ないと判断されている地域でございまして、今後の侵食状況の変化などを見ながら、必要が生じた場合には海岸保全区域に指定する場合もあり得ることはあり得るわけでございますが、その可能性は極めて小さい。人命財産に非常に差し迫った影響を与えるというふうな状態にならない限り、海岸保全区域に指定するということは行われないであろうと思っております。  また、海岸保全区域につきましては実際にまだ整備率が非常に低うございます。環境に配慮した保全対策をこれからやっていくにしましても、まだ半分にも達しない整備状況でございますので、そういった意味からいきましても、まず海岸保全施設整備は、海岸保全区域を重点にといいますか、海岸保全区域において行っていくということになろうかと思います。
  90. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 もう一つ、逆に、現在海岸保全区域に指定をされております、整備率四八%ということで、なかなかうまくいかない。  私は、これからの整備手法なり、あるいは後でお話ししますけれども、先ほども話しましたが、全体的に土砂管理体系を変えるというようなことで、むしろ保全区域を一般公共海岸区域に変更するということがあってもいいと思いますけれども、そのことを見通しておるかどうか。あるいはまた、これは実際は都道府県区域をつくるんだと思いますけれども、そういう考えを視点として入れて都道府県と協議をしていくのか、この点についてもお答え願いたいと思います。
  91. 青山俊樹

    青山政府委員 現在海岸保全区域であっても、非常に安定した砂浜等が形成されて、時間的に長期的に、また施設等が、非常にいい前浜がずっとでき上がっているというふうな場合には、また考えられることではなかろうかと思っております。  また、今まで、国有財産としての国有海浜地の管理として、占用等の物件があったときに、それを撤去したり行政処分したりすることができなかった場合で、海岸保全区域をかけてそれを処分するというふうな例もございますが、そういった海岸につきましては海岸保全区域を外すということも十分あり得るとは思っております。
  92. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 続きまして、海岸管理のための基本方針、これを国が定めることになっております。従来は国が定める方針というものはなかったわけでございますけれども、今回、新たにこれを主務大臣が定めるように変更したのはどういう意味合いなのか、ここをお答え願いたいと思います。
  93. 青山俊樹

    青山政府委員 今回の改正におきまして、今お話がございましたように、海岸保全基本方針を定めるということでございますが、これは適正な海岸行政を実施するためには、国において海岸保全に関する理念を明示し、共有することが必要であるという認識が一点ございます。  また、今回の改正におきまして、防護観点に加えて、目的そのものに利用環境観点を加えたわけでございますから、海岸管理の考え方が大転換したわけでございます。そういった意味で、国において理念を明示し、共有するということは必要だということでございます。  それから二点目は、行政の一貫性、それから総合的な視点に立った海岸管理の実施等を確保するためには、従来は都道府県知事海岸保全計画というものをつくる制度だったわけでございますが、改めて、新たに主務大臣全国的な観点から海岸保全全般にわたる基本方針を定める制度を創設する必要があるという認識でございます。  また三点目は、国としての考え方を明らかにする。いわゆる通達等による方法ではなく、法律的に明確な位置づけを持った方針として国がその方針を定めるべきである、これは地方分権推進委員会での議論でもそのような議論があったわけでございます。そういった形で、主務大臣海岸保全基本方針を定めるとしたものでございます。
  94. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 方針を定めることは我々も反対でございません。  そこで、何をこの基本方針に定めていくのか、今、抽象的に理念とかという話をされました。私は、先ほど環境との関係でもお話をしたのですけれども、もっとそこのところを、ある面では具体的に、項目なりあるいはその項目の中で、どういう方向にしていくのか、あるいはその考え方等というものを示す必要があるのではないか。もちろん法律の中に示す必要があるというふうに私ども思いますけれども、皆さんは都合よくそれは基本方針の中に落としたわけでありますけれども、そこをもう少しきちんと示していただきたい。  また、見直しはできることになっていますけれども、皆さんの考えだけで見直しをするということになりますと、今回の法律のように三十年も四十年もたなざらしということにもなりかねない。離岸堤なんというのは、ずっと前からやっているのにこの法律自体に明記されたのは今回が初めてということにもなりかねないのでありまして、この見直しというものはどのときにどういう形でやるのか、そこもお示しをいただきたい。  また、この基本方針についてはどういった形でやるのか。例えば学識経験者の意見を聞くとか、審議会を一々つくるというのは屋上屋を重ねる嫌いもありますから、しかし基本方針について国が一方的に決めるという、今、その段階ではないと思うのであります。また、皆さんの、いろいろな保全施設についても進歩といいますか、考え方が随分変わってきた経緯もありますから、そういう点で、国民の意見を反映させるという形をどのようにとるのか、ここについてお答え願いたいと思います。
  95. 青山俊樹

    青山政府委員 まず、海岸保全基本方針につきましては、全国的な観点から海岸保全全般にわたる基本方針を定めようとするものでございまして、具体的には、一つは、一連の広域的な海岸として一体的な海岸保全計画策定すべき海岸の区分に関する事項、例えば、ここからここまでが北見海岸なら北見海岸であるというふうな区分に関する事項でございます。二点目が、防護環境利用の調和のとれた海岸保全基本理念。三点目が、海岸環境を含む海岸保全に関する基本的な考え方。四点目が、海岸防護に関する重要事項というふうなもの。これを学識経験者の御意見を聞いて定めていきたいと思っておりますし、また、この策定に当たりましては、環境庁等の関係行政機関の長とも法律に基づく協議をしていくという定めになっておるわけでございます。  この中身につきましては政令で定めることになっているわけでございますが、この考え方等について、通達等による方法でなくて、法律的に明確な位置づけを持った国が定める方針という位置づけになっておりますので、こういったやり方が適切だろうと判断しております。  なお、この海岸保全基本方針につきましては、公表するということも法律で定められておるわけでございまして、こういった公表をすることによってまた世の中の御意見、御批判等も透明性を持ってお聞きできるというふうに思っております。  また、見直しをどういうふうにして考えるのかということでございますが、これは理念を明示しているわけでございますので、海岸をめぐる社会情勢の変化や社会のニーズの変化に的確に対応していかなければいかぬという一面もございますが、そう始終変えるというものでもございませんで、必要が生じた場合に見直しをする。それがどのような必要が生じた場合にかということにつきましては、社会情勢や社会のニーズの変化等を頭に入れながら判断していきたいと思っておりますが、そう始終変えるというような性格のものではなかろうと思っております。
  96. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、先ほど言いましたように、保全施設関係でも随分変わってきていますし、また、いわゆる自然基盤のあり方全体として、単に海岸だけで考えるのではなくて、先ほどいろいろな検討を加えるべきだという意見もありましたけれども、そういうことからいっても、この基本方針というのは適切な時期にきちんと行うべきである。局長はそうむやみに変えるべきでないという御意見のようでありますけれども、私は、そうではないのではないか。また、最近のいろいろな形も、例えば五年ごとに変えていくとかそういう形をとっておるわけですから、そこはやはりもう少しきちんとした対応をしていただきたいというふうに思います。  それから、海岸保全区域についての環境との関係、今後の形ですけれども環境保全を含み入れて、どのような方向を目指すのか。一つは、環境保全の規制の問題、それから、防護のためのさまざまな施設についてもどういう考え方をしているのか、答えていただきたいと思います。
  97. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話ございましたように、海岸保全区域にありましては、防護のための施策もございますし、また、環境目的のための規制をやることもあるわけでございますし、適切な利用を図るということもみんなあるわけでございます。  特に、海岸保全区域は、侵食を防ぎ、高潮や津波などの災害から防護するため海岸保全施設整備しなければならないという区域でございますが、できるだけ自然の力を利用して砂浜保全と回復を行う、また、その砂浜が持つ波のエネルギーを弱める機能を活用して安全性を高めていくというふうなことで、海岸環境保全への配慮を行いつつ、また、自然の力を知恵を絞りながら使っていきながら必要な整備を進めるというスタンスでいきたいと考えております。  また、必要な区域につきましては車両の乗り入れ規制を行うことや、海岸占用の許可等に際しましても周辺環境との調和に十分留意するなど、良好な海岸環境保全を推進してまいりたい、これは海岸保全区域にあっても環境というものを大切にしていきたい、かように考えております。
  98. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 環境庁がいらっしゃっておると思いますけれども、この海岸保全基本方針策定に当たって、環境長官としてどのようなお考えでこれに臨まれるのか、基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  99. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 お答え申し上げます。  環境庁といたしましては、これまで自然環境保全基礎調査ということで、全国海岸環境についてのデータを蓄積してまいっております。また、全国海岸の五割を超える区域が国立公園などの自然公園の区域になっておりまして、それらの区域についての海岸環境保全に具体的に取り組んでまいっておるところでございます。  お尋ねの基本方針につきましては、法律に基づいて協議をするということになっておりまして、私どもといたしましては、環境庁は現在、環境基本計画というものを定めておりますけれども、いわば環境政策の基本的な方向を定めておりますが、そういったようなところで盛り込まれております自然環境保全のあり方、また、人と自然との豊かな触れ合いの確保が海岸地域において行われるという意味において、そのようなものを含めまして、海岸管理におきましても十分図られるように、必要な調整を行ってまいりたいと考えております。
  100. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 この法案の目的は、海岸防護あるいは環境整備保全、そして利用、これはまさに並列的に並べられておるにすぎないような条文であります。  この点について、環境庁としてどのように考えておられますか。建設大臣の御答弁も踏まえて、答弁していただきたいと思います。
  101. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 海岸区域海岸といいますのは、大変人々に親しまれる水辺、自然海浜ということで、利用という面もございます。また、特に私どもとしては、藻場あるいはサンゴ礁といったような動物あるいは植物生息域ということもございます。非常にきれいな砂浜等については自然公園ということになっております。  そういった環境あるいは利用、そういったものは、自然環境保全あるいは自然環境利用という面で私どもとしてもかかわっておりますが、その中で、防御といいますか海岸保全ということにつきましては、いわばそれとの調和、調整という問題になりますけれども、当然ながら、人命財産への影響ということは、利用する大前提という面もございます。私どもとしては、これまでも十分な調整は図られてきたと思いますけれども、今後とも、新しい海岸法の体系になりましても、調整を図ってまいりたい。  その中で、最近は、国土開発におきましても、海岸保全施設をつくられるときに、いわば環境への影響をできるだけ少なくしていくといったような視点も入っております。また、人命上等でどうしてもその場に必要な施設については、代替措置、ミティゲーションと言われておりますが、それも整備するという考え方も入ってまいっております。  それらも含めまして、私どもとしては、全体としての海岸環境利用、防御というものが総合的にバランスがとれて進んでいくものと期待をいたしております。
  102. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 環境庁から、環境を重視してあるいは重点、あるいは防護利用は二次的なものだという御発言はなかったわけであります。  大臣、私も一回講師を呼んだ勉強ですから、必ずしも完全でありませんけれども、こういう考えもある。東大の磯部教授という方がおりまして、私ども一日勉強させていただきました。そこで言われておりますのは、海岸において、人間が全くつくりかえることは不可能だという意味で、先ほどもちょっと話があったのですけれども一つ環境基盤というものがある。  それは、今もお話ししましたけれども海岸においてはさまざまな動植物生息をして、あるいは人間の安全にも影響を与えるものとして海岸というものがある。しかし、その総体を環境基盤としてとらえて、これを全くつくりかえて人工的にするということでなくて、その中に三つの大きなカテゴリー、さっきもお話ありました生態、これは環境と言ってもいいかもわかりません、生態、そして今言っているように防護利用という三つのカテゴリーを質的に高める。  ある面では、防護を高めれば環境にはマイナスになってきますけれども環境基盤全体としては質的にも量的にも高まるんだという手法をぜひ見つけていく必要があるということで、例えばの話ですけれども、今回も砂浜というのを海岸保全施設ということで入れ込んであるのですけれども砂浜というものを安定的につくっていく必要がある。  僕らが考えたら、砂浜というのは自然だから、砂浜をつくっていくという考えに少しなじめない面もないことはないのですけれども砂浜というものを安定的につくっていけば、例えば一つは、砂浜には特徴的に生態系が形成される。例えば、二枚貝だとか底生生物が生息をして、魚類等が産卵、ふ化する、そういうところができる。それから防災面では、砂浜によって波が来るエネルギーが減殺をされて、したがって危険水域が軽減される。それから三つ目として、砂浜が人間のレクリエーションの区域として、利用という面から出てくる。そういうものとして砂浜というものをとらえれば、ある面では、環境基盤としては全部プラスになっていく。防護というものも、砂浜によって防護されるというふうなことを一つ言っています。  それからアメリカでは、沿岸域管理法というのが発達をしていまして、いろいろな州法もありますけれども沿岸域管理法の中にはっきりと、現在とこれに続く世代のために沿岸域の資源を保護、保存、開発というところがいわゆる防護に関するところなんですけれども、開発、修復、増強するものとしてこの沿岸域管理する、この目的達成のために、生態、文化、歴史、景観、そういったものの価値及び経済的な開発需要を十分考慮して沿岸域管理計画策定するという法律目的をつくっています。  その管理計画の中には六つぐらい書いてあります。一つとしては、沿岸域における自然資源の保護。それから二として、災害危険度の高い地域の開発をどのように進めるか。開発の管理という言い方をしています。それから三つ目としては、海ですから、当然水質保全というものが生まれますから、水質保全を考えた開発の管理。それから四つ目としては、利用のための開発をするんですけれども、その優先度の順位づけをどのようにするのか、そこも大きな計画に入れ込む。それから五つ目は、大規模施設を立地するための手続、これも整備をするんだ。それから六つ目ですけれども、ウオーターフロントの再開発と歴史、文化、景観の保存というようなことを基本計画に入れ込めという形でずっとやってきておるということであります。  先ほど土砂収支のバランスという言い方をしていました。これもこの磯部教授が、日本でも、静岡県の静岡海岸がこういう形でずっと調査をしておりまして、今までは侵食という形でずっと続いてきましたけれども、静岡海岸は砂利を採取するという年代がずっと続きまして、したがって海岸に砂を運ぶということが極端に減った。それをやめて、逐年のデータをとっておるのですけれども、最近は砂の供給はされてきて、トータルとして砂がふえている。河口付近だけでなくて、一定の海岸区域をとって、ふえてきておるというようなデータも出した。  先ほど局長も言いましたけれども計画流砂量、それをいわゆる計画的にさせるには、土砂収支のバランスをきちんとさせること、そのためのきちんとした調査というものをしながら、流域単位といいますか、一つの砂の流れの単位ごとにそこを調査して、何も上流土砂がどんどん流れればいいというものでもない。海岸でどれだけの土砂の流入、砂の流入が必要かというものを割り出しながら、そのための河川のかかわりをやっていく。多く出てくるのであればバラスというか土砂をとってもいい、採取してもいいし、最近はだんだん蛇行する川がなくなりましたから、ある面では大きな砂利が海まで流れていくというような逆の被害も出ておるわけでありますけれども、そういったものをきちんと科学的に検討して、その中で海岸保全というものを考えていけば、全部が全部エロージョンというか侵食されることではないのだということを言っておるわけでありまして、これは河川審議会の委員会で検討はされているのです。  去年、一定の方向は出しているのです。しかし、必ずしも建設省はそれを積極的に取り上げるということでない答弁も先ほどされていまして、もう少しやはりそこのところについて、積極的な研究なり検討というものを私は進めるべきではないか。大臣にそこを、細かいことはいいです、そういう検討をもう少しきちんとやりますというところの御答弁を願いたいわけであります。
  103. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先ほども答弁させていただきましたように、いわゆる防護環境利用というのは、これはなかなか、すべてがすべて同じ方向を向いている内容ではないわけでございます。ですから、私は、もちろん侵食を防いでいくということは今後も強く進めていかなければならないと思いますが、その他の防護というのは、先ほど局長はまだ十分できていないと言いましたが、それは完全なものではありませんでしょうが、それはまた進めるとして、やはり第一には、私は今回は自然の状態に戻してくるというか、やはり環境というのを第一義的にする。  こういう法律になっておりますからそんなことは言えませんが、利用というのはうたわなくてもいずれその範疇で、自然の中での利用というぐらいの利用にしていかなければ、また自然の状態に戻すというか、環境が十分守られるという方向には進んでいかないのではないかなと私は思うわけでございます。  ですから、この三つの角度をどのようにオーバーラップをさせていくかということが大変難しいことだろうと思うわけでございまして、そういう中にあって、先生は御指摘のように、そういういろいろな研究開発もまたやっていくべきだというお話でございます。  それはまた審議会の中でも、また今後、そういうようなことも論議することが出てくるのだろうと思うわけでございますが、その内容を十分存じておりませんので、その内容につきましては局長から答弁をさせていただきますが、私は、いわゆる自然に戻す方向にすべてを持っていくという考えでやっていきたいと思っておるわけでございまして、ですから、やはり一般公共海岸というものがふえてくるようにいろいろな施策をやっていくべきではないかなと思っております。
  104. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話ございましたアメリカにおける取り組みだとか、環境基盤というものが非常に大切であって、それで、利用環境防護もみんな、トータルの環境基盤のレベルが上がるというふうな取り組みをすべきじゃないかという御意見もごもっともだ、こういうふうに思っております。  私ども海岸管理検討委員会というもの、これを四省庁で一緒に検討いたしまして、この委員会の「美しく、安全で、いきいきした海岸を目指して」という提言をもとにこの海岸法改正案を御提案させていただいておるわけでございます。このメンバーに先ほどございました磯部先生も入っていただいているわけでございまして、先生の御指導も強く得まして、そういった全部総合化して、トータルの環境基盤のレベルが上がるというのを目指すべきだということは、全く先生の御意見のとおりだというふうに認識いたしております。
  105. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 いや、その程度は私でも答弁できるので、そういうための具体的な研究、検討をして、そういう方向に持っていくかどうか、局長、そこまで答弁していただきたいと思います。
  106. 青山俊樹

    青山政府委員 具体的な方策といたしまして、一番大切なのは、今お話ございましたように砂浜の働きだと思います。例えば、防護に関しましても、今までは非常に人工的な構造物で波のエネルギーを吸収して、そこでとにかく被害を防ぐというふうな工法が主流だったわけでございますが、そうではなくて、砂浜のようなやわらかいものの方がかえって波のエネルギーを上手に吸収するんだということがわかってまいったわけでございまして、そういった自然の力をうまく使いながら、安定した砂浜をつくり上げていくこと、これが防護の面においても基本的な方策になろうかというふうに考えております。  そのために、具体的には、沖合に非常にかたい岬のようなものをつくって、その間の弓状の砂浜で波のエネルギーを吸収するような、突堤の非常に大きなものでございますが、ヘッドランドといった工法。さらには、離岸堤だと水面上に出まして、非常に景観上また水質上問題があるという場合には、水面下に潜る、いわゆる離岸堤一つのタイプでございますが、人工リーフといったような構造のものをつくって、そこで波の力を利用しながら砂浜をつくっていくというふうな工法が主流になっていくというふうに考えております。
  107. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それは私でも言えるのです、そういうことは。  問題は、あなたは十年もそこで局長でいるわけではないのですから、そういうものも含めてまだ未解明な問題もいろいろあると思いますから、そういう総合的な土砂対策を流系ごとにやっていくとか、イギリスであれば、一定の閉じられた砂の流れがある、したがってそこをイギリスでは十一カ所に設定して、そういうものの収支を見ながら、こういう方法が一番いいというものを具体的にやっているんですね。オランダは、一九九〇年の段階の海岸線をすべて防護する、そのためにはどうするんだというような方向でやっておるわけであります。  そういう研究、検討というものを具体的にやっていく、そういう建設省としての取り組みをするかということをお聞きしているのです。
  108. 青山俊樹

    青山政府委員 今御指摘がありましたように、砂の動きを観測するという、非常に地道な作業でございますが、これは大変大切なことでございます。またフォローアップをする。さらには、流域の山地から海岸まで水循環に伴って土砂の流れもあるわけでございまして、それをいわゆる流砂系というふうに新しく呼んでいるわけでございます。そういった土砂の総合的な動きを見ながら対策を立てるということが非常に必要かと思っております。そのためにはまず観測、それからその観測結果に伴う分析といった地道な作業が大変重要になってくると認識しております。
  109. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ですから、海岸事業として、公共事業として、いわゆるハードの事業だけでなくて、そういうものの全体を考えた予算の使い方にシフトしていくということをきちんと答弁してもらわなければ、私は納得できませんけれども。  同時に、今後の海岸保全施設整備方針、皆さんから事前に図式にしたものをいただいていますけれども、現状は堤防護岸というのが五七%ぐらいになっていますけれども、これは緩傾斜化というのですか、そういう形にしていく。突堤という、何か海に突き出したものが今までもあります、私どもも見ますけれども、これをヘッドランドというような形に変えていくとか、あるいは離岸堤も、先ほども話がありました海中に埋める人工リーフというような形もとりますと。一番問題なのは消波工、消波堤ですね。海岸の端にブロックを積み上げて、余り効果がないんですね、大きな波が来るのですから、高潮が来るのですから。こういうものをそういう方向に変えていくということで御答弁できますか。
  110. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話ございましたように、直立の護岸またその前面に消波ブロックを設置して波のエネルギーを吸収するといったような工法は、私どもでいえばいわゆる線的な防護と呼んでおるわけでございますが、まさに海岸景観環境を悪化させると同時に、波のエネルギーはかたいものにぶち当たればまたそのまま沖合に引いていくときのエネルギーも大きいわけでございまして、砂浜の減少の原因にもなってきたということから、むしろ安定的な砂浜をうまくつけるというふうな面的な防護工法がメーンになるべきだろうというのは先生指摘のとおりでありまして、私どももそのように思っているわけでございます。  また、調査が非常に大切だというのも認識いたしておりまして、そういった認識のもとに進めてまいりたいというふうに考えております。
  111. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣、今月の十四日に、私ども地元の新聞ですけれども、ほとんどの北海道の方が読んでいるものに、「明日を拓く海岸法改正法」、一面で、これは何百万かかるのか何千万かかるのかわかりませんけれども、国の広告でなくて民間、どこかのあれなんですけれども、こういうものが出ました。これはほかの地方ではどうかわかりませんけれども、まさに竹村健一さんを初めとして出たんです。これはこれとして、私もびっくりして見たんですけれども、結局のところ人工リーフをつくれというあれだと思います。  そこで、北海道の関係を若干申し上げますと、先ほど全国整備率が四一%と。しかし、北海道は二六%なわけであります。なぜこのように低いのかは、もう時間がありませんから端的にお答え願いたいんですけれども、あるいは最近の十五年間の侵食海岸の延長でも、全国のうちの四一%が北海道になっております。あるいは予算的に見ますと、国費のベースで見ますと六・二五%と、北海道は別の国でないかと思うぐらい極端に低いのであります。  私の地元を見ましても、十七年間かかってやっとまだ七〇%ぐらい。私の砂原町、砂の原と書きますからまさに砂なんですけれども、駒ケ岳の火山灰があったところで非常に侵食が激しいんですね。一千百メートルの計画を十七年で八百七十メートルしか完成していないということで甚だおくれていまして、私も見ますけれども、道路がなくなったり物置が波で洗われているという状況なわけで、やはりそういうところはきちっとした迅速、重点化をしていただきたい。このことについても御答弁願います。
  112. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話ございましたように、北海道につきましては、海岸保全区域延長が千八百キロメートルもございまして、大変長うございます。また、その多くが侵食対策が必要な海岸、前浜が非常に削られているというふうな侵食が進んでいる海岸が多うございます。  一方、現在の海岸法が制定されましたのは昭和三十一年でございますが、その契機になりましたのは、昭和二十五年のジェーン台風とか二十八年の台風十三号などによります激甚な高潮災害が契機になったものでございます。その後も伊勢湾台風なんかも続いているわけでございますが、いわゆる高潮対策海岸事業の中心であったという時代がかなり続いたわけでございまして、たびたび高潮災害が発生する地域整備率が相対的に高くなっておりまして、侵食対策といいますか、前浜が削れてくるような地域整備水準は相対的に低い。  北海道はそういった意味での侵食海岸が非常に多いということから、このようなことでございますが、これは今後、環境面等も考慮しながら、しかも早急に安定した砂浜をつくるべく侵食対策を精力的に推進してまいりたい、かように考えております。
  113. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 きょうは道路局長においでいただいておりますので、道路における、いわゆる海岸と直接接しておる、そこの防護対策。これは、今も話がありましたように、消波ブロックですとか消波工を積み上げるというのは完全でないということで、また景観上も問題があるということで、だんだん離岸堤あるいは人工リーフにかわってきております。  私も随分指摘も受けるものですから、例えば私の地元でいいますと、国道五号線、八雲町の山越地区あるいは国道二百二十八号線の上ノ国町の石崎地区、この両方を見ても、道路についてはこういう離岸堤の考えが非常に薄いといいますか、そういう状態だと思います。したがって、やはり実際にやっているところを見ますけれども日本海ですと、この上ノ国町がそうなんですけれども、道路よりも、何メーターありますか、うずたかく消波ブロックを積み上げるという方式で、地元の皆さんも効果が薄いという形で指摘を受けていますので、道路局としてはやはり時代の流れといいますか、そういう離岸堤方式に変えていくべきだと私は思いますけれども、御答弁願います。
  114. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 波浪等による道路の交通への支障を防止するというようなことで、地形、気象条件に応じて、今言われたように海岸擁壁だとか消波ブロックをやっておりますが、環境にも配慮する必要があろうということでありまして、国道五号の、今、先生指摘の八雲の山越地区は、既に消波ブロックをやっているすぐそばまで離岸堤ができてきておりまして、そういうようなこととあわせて、私どもも、海岸事業でやっているものと道路事業連携しながらそういうような方向を考えていきたいというふうに考えているところであります。  ただ、一方、二百二十八号の上ノ国町の方につきましては、海岸から急に深くなるというようなことで離岸堤をつくることが非常に物理的に難しいところだというようなことで、やはり今の状況では、波浪等を防止する上で今のような状況、ただ、できるだけ環境にもいかに配慮するかというようなことは検討しなければいけないかと思いますが、なかなか離岸堤みたいなものをつくるのには難しいというような状況でございます。  重ねて申し上げますが、五号の方については、そういうようなことで海岸事業連携しながらこれから進めていきたいというふうに考えているところです。
  115. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それから、先般十三日に、道央自動車道という高速道路ですけれども、ここののり面が崩壊して大規模土砂崩れを起こした。私も毎回通っているところなんですけれども、六十メートルにわたって崩壊したということで、午前九時過ぎのことだったんですけれども、幸い車は入っていなかった、百台ぐらいこの前後で通っていたようでありますけれども。  毎回こういうふうな形で、幸い車が入っていなかったというにすぎないぐらいの状態でして、これは全くの、表面を草で覆った植生工といいますか、そういう状態だということで、再発は許されないと思いますので、事故の概要については求めようと思ったんですけれども時間がありませんので、再発の防止の観点、あるいは復旧はしたかどうか、私ちょっと最近気になったんですけれども、車が通ることができることになったかどうか、その点も含めて御答弁願いたいと思います。
  116. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 道央自動車道の災害でございますが、災害が起こりまして、大変大きい災害だったというようなことで、学識経験者が四名それから日本道路公団のそういう専門の職員二名を早速派遣しまして、詳細な検討を進めております。  それで、事故の原因ですが、今のところまだはっきりこれだという話にまでなっておりませんけれども、今までわかっているところでは、融雪水が非常に多くて供給源になった可能性が高いでありますとか、そういうようなことで積雪量も多く、また雨が降ったということで大変地下水位が上昇したというようなことで過剰な水圧が起きて、それが原因になったんではないかというようなことであります。  それで、早急にこういうような北海道の高速道路についてのり面を調査しまして、七百五十カ所ぐらいそういうようなことを点検しましたが、ほかのところではこういうような異常は発生しておりませんでした。  いずれにしても、こういうようなことが二度と起こってはならないというふうに考えておりまして、この事故についても原因究明を進めるとともに、あわせて、この原因、結果から、ほかのところについても対策を講じていきたいというふうに思っています。  それから、交通の状況ですが、昨日の八時半に復旧しまして、供用を開始しております。
  117. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 以上で終わります。
  118. 平田米男

  119. 長内順一

    長内委員 公明党の長内順一でございます。よろしくお願いいたします。  海岸法の一部改正につきましてずっと議論が続いております。当初はさまざまな角度からの話でございましたけれども、大変哲学的といいますか、基本的なコンセプトについては、同僚議員そして大臣局長等のやりとりの中で随分明らかになってきたのではないかな、こんなふうに思います。私は、重複を避けながら質問させていただきたいなと。  基本的な考え方として、我が国は四方を海で囲まれておりまして、海岸線だけでも三万五千キロに及ぶ。大変な、これだけの海岸線を有している国はほかには見当たらないんではないかなというふうに思います。しかも、海岸線にある市町村なんでありますけれども、面積で三二%、国民の四六%である五千七百万人が居住しているということですから、これまた非常に大きな空間かな。それで、工業出荷額は四七%、商業販売額は七七%。国土の中で、いわゆる海岸線市町村というのは非常に大きな空間で、位置づけを持っているということが数字の上でよくわかるんではないかな。  しかしながら、反面、私たちのこの国は災害も非常に多うございまして、地震、台風、冬の波浪、こういうものによって随分大きな被害を受けている。こんなことで、これまでの海岸法の主たる目的というのはどこにあったかというと、これは防護中心であったということでございます。  それが、昭和三十一年以来の大改革と先ほども申しておりましたけれども、今回の改正によりまして、私が今申し上げた単なる防護から、今度は環境利用という目的が位置づけられました。さらに、対象区域に、従来の海岸保全区域から、新たに一般公共海岸区域ということで、大きく国が管理をしていこうという意欲のあらわれでしょうか、大変大きな面積の海岸を今度は国が地方自治体とともに管理をしていくということもこの法案の特徴とされております。そして、国が基本方針を決め、それから地方自治体が基本計画をつくっていくというようなことで改正案が提出をされているところでございます。  先ほどからさまざまな議論があったところでありますが、私も、ここにある防護環境利用、この三点がどういう力関係になっていくのかなというのは、当初からの疑問な点でございました。大臣そして局長ともども、プライオリティーの一番目は環境であると明言をされまして、これも、議論をしていったときに、防護という、人命そして財産、こういうものを守るということと環境ということが、果たして本当に大臣のおっしゃるような、優先順位が何にも増して環境だというふうに言い切れるものなのかなというふうにちょっと疑問を持ちながら、実は伺っていたところでございます。  今回のこの改正案、従来の防護からプラス環境、活用ということですが、言葉をかえれば、海岸管理検討委員会出しているタイトル「美しく、安全で、いきいきした海岸を目指して」というまことにダイナミックな、大胆なテーマで議論をされたようでありますが、この海岸管理のあり方、冒頭に大臣からお伺いしたいと思うんです。  言うなれば、私が申し上げました防護環境と活用、言葉をかえれば、美しく、安全で、生き生きした海岸、このイメージ、大臣はどのようにお持ちになっているのか。そして、この実現のためにはまず何が必要というふうにお考えになっているのか。このタイトルのイメージと、それから実現のためにどういうふうに考えていくのかという点をまず初めにお伺いしておきたいと思います。
  120. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘をいただきました海岸管理検討委員会が、昨年の十二月二十五日に提言を出しておるわけでございます。「美しく、安全で、いきいきした海岸を目指して」ということでございまして、この中の「安全」ということが今までの防護であったと思うわけでございまして、あとの「美しく、」そして「いきいきした海岸」ということは、いわゆる環境ということに関連しておることだろうと思うわけでございます。  ですから、この委員会の中でも、利用というのはそう余り強力に指導といいましょうか、そういうようなことをしなくても、また利用することはおのずから、自然にそういうことになってくるんだろうと私は思うんでございます。  そういうことで、いずれにしましても、この中の、海岸におけるいわゆる防災、利用環境の調和を総合的に図っていくというふうにうたわれておるところでございまして、バラ色のプランニングのようにとれるところはございますが、やはり私は、余りハードなもの、現実に見ましても、いわゆるテトラポッドが山と積まれておる、そして水質は昔のような本当にブルーの海水の色ではない、ですから、そういうかつての自然の美しさというものを取り戻そうということがあると思うわけでございます。  先生が御指摘のように、どういうようなイメージかとおっしゃられますと、さて、これでこうだということはなかなか答えづらいところであるわけでございますが、とにもかくにも、今後は環境庁とも十分なる意見の交換をして、自然と共生のできる、そういう状態をつくっていく。そしてまた、基本方針は国がつくりますけれども、それ以外は県、それからもう一つ市町村基本計画は落としていくわけでございますから、国の関与は全くの、沖ノ鳥島のようなそういうようなことは国がきちっと管理をするということでございまして、それ以外のことは地方公共団体が一番現場を御存じでございますから、そういうところ基本計画を練っていただく。  ただ、海岸線というのは領土のいわゆる基軸でございますから、海洋法でもそこからはかっていくわけでございますから、そういう点におきまして、根本的といいましょうか、基本的なものはやはり国家が、国がそれを管理しなければならない、それ以外は地方分権の流れに乗って、地方に分権をしていくということではないかな、そういうようなことを考えております。
  121. 長内順一

    長内委員 大臣のイメージといいますか、お伺いできなかったのは残念なのでございますけれども、持っていきたい方向、これは今の発言の中で理解をしたつもりでございます。  地方と国の役割、これも大変重要でございますし、それから、これまでの考えにプラス、建設省河川を扱っていまして、かつての三面張りの河川からだんだん環境重視、親水型の河川、川の方が随分変わってきましたので、そんな意味では、海岸も変わってきていいのかなというふうに受けとめさせていただきました。  私は、「美しく、安全で、いきいきした海岸」、すばらしいキャッチフレーズだと思いますし、これが、ただ視覚だけであってはいけないと思うのですね、見た感じが。先ほど大臣、どなたかに御答弁されておりましたけれども、白い砂に青い松原ですか、このイメージ、私は大事だと思いますが、視覚だけじゃなくて、やはり実質的にこういう美しく安全で生き生きした海岸をぜひつくっていただきたい、こんなふうに思うわけであります。  そこで、実際に、大臣、最近どうでしょう、海辺といいますか、海岸に行ったことはございますでしょうか、なかなか御多忙で足を運ぶ機会がないと思いますけれども。私も、実はなかなかそういう機会がないわけでありますが、ただ、仄聞いたしますところ海岸へ行くと大変ごみが多い。それから砂浜が大変汚染されている。こんな問題が一つ指摘をされているわけでございます。  冒頭に申し上げましたように、哲学的といいますか、この法案の考え方、コンセプトについての、概念的な議論はさっきされましたので、ちょっと私は具体例で大臣と議論をさせていただきたいと思います。  漂着ごみというのがありまして、これは台風や何かの後、川が大変水が多くなりまして川から発生したもの、それからまた、漂流してきまして全く異質のところから流れ着いたもの、海上で船から投棄されたもの、さまざまあるのでありますけれども、まず、海岸線における漂着ごみについて、大臣、どんな御認識でいらっしゃいますでしょうか。
  122. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私も、全く海岸の、海岸といいましょうか、港の十メーター横に自宅があるわけでございますが、そういうようなことで、海岸の近くを通ったりいたしますと、本当に昔のそこで泳いでおったころが懐かしいものですから、その横の公民館で敬老会をやってごあいさつに行ったときなどに浜辺へ出てみるわけでございますが、本当に子供のころの海岸、砂場、その風景とは全然違ったものになっておるわけでございまして、そういう中にありまして、ごみが大変多いということは私も見ておるわけでございます。  そのごみの処理は、市町村においてボランティアの方の協力ども得て処理をしておる、あるいはまた、小学生とか中学生などが夏休みの前にはごみを拾ったことがテレビで放送されたりしておるわけでございます。そういうような海洋の汚染であるとか、またそういうごみの処理というのは、その地方公共団体が処理をするということなのでしょうけれども法律的にしっかりとしたものには今なっていないのではないかなと思うわけでございまして、その処理はどうするのか、これからも本当にしっかりとこう決めていかなければならないのではないかと思いますが、現在では、それはそういうようなことで、地方の公共団体が任意でやっておるのではないかなと思っております。
  123. 長内順一

    長内委員 今回の、先ほどの「美しく、安全で、いきいきした海岸」、例の海岸管理検討委員会の提言の中にも、「海岸部に漂着する大量のゴミ等は、海岸利用環境を大きく損なう。これらに適切に対処していくための仕組みづくりの検討も必要である。」という形で提言がされているわけです。にもかかわらず、今回の法律にこのことが反映されないということは、どういう理由だったのでしょうか。
  124. 青山俊樹

    青山政府委員 今先生お話ございましたように、漂着ごみ対策をやっていくべきである、その仕組みをつくるべきであるという御提言をいただいておるわけでございますが、その第一歩といたしまして、今回は、公共海岸というものを定義いたしました。公共海岸のうち海岸保全区域以外の区域、これは一般公共海岸という形を定義いたしました。そこの管理もちゃんと海岸管理者がするという管理体系を定めたわけでございます。  今までは、一般公共海岸につきましては、単なる国有財産としての海浜地の管理、国有財産に基づく管理というだけだったわけでございますが、まず、きちっと海岸管理者管理する、具体的には県の場合が多うございますが、そういう仕組みを定めたということと、もう一点は、今までは防護だけが目的だったものに、環境利用というものが入りましたから、海岸に漂着したようなごみに対しても、一般公共海岸であっても、また海岸保全区域であっても、海岸管理者としてごみを処分するという対応をする体制が海岸管理者の仕事としてあるんだよということも明示したわけでございます。  ただ、ごみにつきましては、一般に、ほかに清掃部局等の関係もございますから、そことの連携も当然とりながらやっていかなければいかぬと思いますが、まずそういった、ごみに関する責任者は、海岸管理者も責任があるよということを明定したということでございます。
  125. 長内順一

    長内委員 青山局長のおっしゃることはよくわかりますが、せっかく建設省でこれからリーダーシップをとって、海岸法改正して一歩を踏み出そうとしている。今までは、海岸四省庁というのですか、でやっておりましたけれども、私は、ここを一元化なんということじゃなくて、ふやして、五省庁、環境庁を入れてやってもいいぐらい、先ほどの建設大臣の御答弁を聞いていたら、そのぐらいの意気込みがあったわけですよ。ですから、私は、五省庁と言っていいぐらいではないかと。  そのぐらい、これから海岸行政の中で環境の位置づけというのは非常に大きいということを先ほどから認識させていただいているわけでありますから、地方自治体にやらせるだとか、いろいろなことがあるかもしれませんけれども、まずは建設省で、今、これはこれから実施する法案の審議ですから、初めから腰が引けて、どこどこです、どこどこですというのじゃなくて、まずはこういう形で、しっかり受けとめてやっていくという姿勢が私は大事だと思います。  そこで、漂着ごみ対策なのでありますけれども、私は、やはりこの発生源だとか量だとか漂着ルート、こういうことの解明をまずしっかりやるべきではないかな、こういうふうに思います。  これはちょっと大臣に、これからそういうことをやれるのか、やれないのか、後ほどお伺いしたいと思うのですが、私が調査しただけでも、例えば富山県、ここで環日本環境協力センターというのがありまして、ここが中心となりまして、日本海沿岸の韓国、ロシア、日本、それから地域、十六自治体、二十七海岸で、平成九年の九月から十月にかけて漂流物の調査を行っております。後ほど、中身についてはまた別途報告しますけれども、こういう調査をやっている。  また、環境庁では、平成九年度から三カ年計画、つまり平成十一年度まで、廃プラスチックによる海洋汚染防止対策、こういうことで、漂流状況調査を実施いたしております。それから、防衛大学の山口教授という方が、やはり平成九年の二月から、北海道オホーツク海沿岸から日本の最西端というんでしょうか、与那国島に至る三百六十九カ所の海岸で漂着ごみの実態調査を行っている、こんな形でそれぞれ調査が行われております。  そうして、この中で明らかになったのは、随分多くのごみが漂着しているということが、まず当然でありますが、一つ。中身については、外国製のごみの漂着が非常にふえている。それからもう一つはプラスチックの小粒、これはレジンペレットというわけでありますが、このレジンペレットが世界の広範囲の海で漂流しているのが確認されており、海洋生物がこれを間違って飲んだり食べたりしてしまう深刻な問題になっている。もう一つは、砂の汚れがひどい海岸がふえている。今の三つの調査の結果、共通して言えるのはこういうことが言えるそうです。  私は、しつこいようですが、「美しく、安全で、いきいきした海岸」ということになると、見かけだけじゃなくて中身もそうでなければならない。そのためには建設省としても、建設省管理をすることになりました海岸は今回大変ふえたわけでありますけれども、所管のところで、これは自治体も巻き込んで、一度漂着ごみの実態調査などを行う必要があるというふうに私は考えますけれども大臣、いかがでございましょうか。  それから、もう一つやっているのが、運輸省もやっているんですよ。運輸省の第一港湾局といいますから日本海沿岸の担当の局ですが、平成十年度に港湾の廃棄物調査を行っている。ですから、廃棄物というのは今や、何も厚生省の問題だけじゃなくて、それぞれの省庁で一生懸命取り組んでいる。まさに、海岸法で新しいところへ、環境というところに踏み出そうとしている建設省ですから、実態調査ぐらいはぜひやってもらいたい。大臣、いかがでございますか。
  126. 青山俊樹

    青山政府委員 今、大臣の目を見ましたら、実態調査をやるようにというお顔をしておられました。実態調査を実施してまいります。
  127. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 ごみの発生源をずっと全国的にあるいはまた国際的に調べるというのは、これはどういう方法があるんでしょうか……(長内委員「やっているんだもの、いろいろなところで」と呼ぶ)そうですか。それでは、局長にお願いをしまして調べて、しかし、これも調べるといいましても一年ぐらいかかるでしょうから、また御報告をさせていただきたいと思います。
  128. 長内順一

    長内委員 そうです。一年かかるかもしれませんけれども、とにかく、着手しませんと前に進みませんので、ぜひともお願いをしたいなというふうに思います。  また、その結果でしょうけれども、少なくとも、いろいろなところ調査した結果を見ますと、外国製のごみの漂着がふえている。今、大臣がおっしゃったように、これはなかなかややこしい問題です、正直言って。相手のあることでございますから。  それで、今までも漂着ごみに対しては、海の憲法と言われております国連海洋法条約ですとか、それから船舶からの汚染防止についてはMARPOL条約ですとか、それから船からの投棄の防止はロンドン条約ですとか、そのほかエリア的なもの、地域的なものはパリ条約、ヘルシンキ条約、バルセロナの一九八〇年のアテネ議定書だとかさまざまあります。こういうものではどうしようもない、きっとこういうことというのは性善説によって成り立っていると思いますので、日本海で、こう言ってはまずいかもしれませんけれども法律を無視して運航している船舶も随分あるやに伺っておりますから、これではどうしようもないと思います。  しかしながら、これからの実態調査を見た上でなければわかりませんけれども、外国製のごみ、そして外国からの漂流ごみについて、周辺の沿岸諸国との対応、これを実施すべきではないかというふうに思うんですが、外務省、来ていますか、周辺沿岸諸国との協議について可能かどうか、お願いします。
  129. 上田秀明

    上田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来、御指摘ございますように、漂着ごみの問題は地球環境問題として取り上げられておりまして、既に、世界的な規模におきましては、国連の環境計画、UNEPによりまして、一九九五年に、陸上活動からの海洋環境保護に関する世界行動計画というのが決定されておりまして、主として各陸上の方の国の責任で海洋汚染を防ぐようにというようなことが位置づけられております。  さて、そこで我が国の近海でございますけれども日本海と黄海の海洋環境保全目的といたしました地域的な取り組みの枠組みがございます。日本と韓国、中国、ロシアが参加いたしまして、一九九四年から北西太平洋地域海行動計画、略称NOWPAPと申しておりますけれども、これが機能をしております。  先ほど先生から御指摘ございました富山の環日本環境センターには、実は日本におきますモニタリングのセンターをお願いしているところでございます。このNOWPAPというところで、海洋保全環境保全のデータベースの集積でございますとか、今申しました地域のモニタリングでございますとかそういった事業を、まあ始まったばかりでございますけれども、順次実施してきております。  そこで、このNOWPAPの将来の活動の事業一つとして、陸上活動に起因する、要するにごみでございますけれども、陸上活動に起因する海洋環境保全のための措置というものを検討できないものか。つい先ごろも北京で会議がございまして、議論はされました、されましたが、日本とかロシアとかは賛成いたしましたけれども、ほかの国々は予算的措置等が伴わないということでまだまとまっておりませんが、我が国といたしましては、ぜひ、地域の漂着ごみの問題につきまして、このような地域的な枠組みの中で協力ができるように、今後ともこの場で前向きに検討していきたいというふうに考えております。  それとは別に、日中韓三カ国の環境大臣がお集まりになります会合が一月に韓国で開催されまして、日本からは真鍋環境長官がおいでになりましたが、この場でも、海洋の環境保全ということで三カ国が協力していくということが確認されておりますので、こういう場を通じまして、これからでございますけれども、具体化を図っていきたいというふうに考えております。
  130. 長内順一

    長内委員 まさに、海岸法でありましたけれども、これまでの海岸保全管理、こういうところからだんだん考え方を変えていかなかったらだめなんではないかな。ですから、くどいようですが、海岸四省庁でなくて今度は外務省も入れて、環境庁を入れまして六省庁ぐらいでやられたらいいんじゃないかなと思うぐらいであります。  幸い、建設大臣の方からも、まずはこの実態調査、総点検をやるんだと。今、外務省のお話を聞きますと、環境的にも、環境というのは沿岸諸国の環境的にも、整ってきつつあるのかなと。ただ、確かに予算面、いろいろ考えますと、これは横並びではなかなかいきませんから、我が国が少し予算を多くいただいて、リーダーシップを発揮して推進するようにぜひお願いをしたいな、こんなふうに思うところでございます。  それでは、ちょっと時間がありませんので、次に、もう一つの、海岸法の中にあります沖ノ鳥島についてお伺いをさせていただきたいと思います。  まず、沖ノ鳥島につきましては、小さな岩が二つ出ていて、しかしながら、これによって、あの四畳半の岩一つで四十万キロ平方メートルという大変広大な地域の二百海里の経済的水域が確保されている、そんなふうに聞いております。  ところが、これは、時間がありませんからどんどん行っちゃいますけれども、一九八八年の一月二十二日付の読売新聞なんですが、「沖ノ鳥島補強しても経済水域保てない」と。このころ、多分建設省で、沖ノ鳥島が崩れかかっていて、これを補強に入ったと思うんですが、これに対して、海の中に没しかけている沖ノ鳥島を日本が土木工事で補強しても、同島の周囲二百海里を排他的経済水域と主張する法的根拠にはならないと、アメリカのハワイ大学のジョン・バン・ダイク教授は二十一日付のニューヨーク・タイムズ紙に投書し、日本には同水域設定の権利がないと強調したと。同教授は、日本も調印している一九八二年の国連海洋法条約百二十一条は、人間の居住あるいは経済生活を維持できないような岩は排他的経済水域を保つことができないと規定していると指摘をし、キングサイズのベッド程度の大きさしかない岩二つから成る同島はこの規定に当てはまると述べている、こんなふうに述べているわけであります。  そこで、この百二十一条がどんなふうになっているかということでちょっと調べてみましたら、確かに百二十一条の三番目に、人間の居住または独自の経済生活を維持することのできない岩というのは二百海里の排他的経済水域または大陸棚を有しない、こういう一項目があるわけですね。したがいまして、私は、この沖ノ鳥島が日本の領土、そして二百海里の範囲内というふうに確信をしているんですけれども、こういうふうに沖ノ鳥島が日本の領土として、そして、しかも二百海里の排他的経済水域の該当の岩であるというふうな条件というのはどんなふうになっているんでしょうか、外務省、お願いいたしたいと思います。
  131. 大島正太郎

    ○大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  もちろん、沖ノ鳥島は我が国の領土でございます。国連海洋法条約との関連で今先生の御指摘の点を御説明させていただきますと、ちょっと先生もう既に引用された条文、繰り返しになりますけれども、引用させていただきます。  まず、そもそもでございますけれども、国連海洋法条約第百二十一条では、「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるもの」、これを島と定義して、島も原則として排他的経済水域及び大陸棚を有することを定めております。したがって、沖ノ鳥島は、このような条件を満たす島でございます。海洋法上の島だ、岩ではなく島だと理解しております。  他方、今先生も引用されました岩に関する項目というのが同じ条文にございまして、三項でございますが、人間の居住または独自の経済生活を維持することができない岩は排他的経済水域または大陸棚を有しないと規定しております。しかし、この規定には岩とは何かという定義がございません。そして、そのような理由から、その内容が明確ではございませんので、また、各国の国家の実行等を見ても、現時点において、この規定によって特定の地形が排他的経済水域または大陸棚を有しないとする根拠はないということでございます。したがって、我が国としては、沖ノ鳥島は国連海洋法条約のもとでも島だということで、したがって排他的経済水域を有することができると考えております。
  132. 長内順一

    長内委員 わかりました。そういうことで認定されている。ただ、居住だとか経済活動という面ではちょっとひっかかる点もあるんですけれども、ちょっと時間がありませんので、まずは日本の領土である、間違いないということからスタートをしたいと思います。  そこで、建設省が今度は直接、この大事な、岩ではなくて島をこれから恒久的に保存をするために御努力をされていくわけでございますけれども、率直に伺います。  技術的な手法として、これを見ましたら、本当にぽっと岩がありまして、周り全部をさまざまな形で補強している。補強の方が大きくて島の方が小さいというような現状なんでありますけれども、これから先、恒久的に保存するための技術的手法というのは大丈夫なんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  133. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話がございました沖ノ鳥島でございますが、四畳半ぐらいの岩と、また半畳ぐらいの岩と二つございまして、それをサンゴ礁のリーフが……(関谷国務大臣「島です」と呼ぶ)島です。失礼しました。訂正させてください。  四畳半ぐらいの島と半畳ぐらいの島がございまして、それを取り巻くリーフがあるわけでございまして、そのリーフが欠けたりしますと、中にありますサンゴ礁が砂化したものが海の方に流れていくというふうな問題もございますので、リーフ全体を開口部対策も含めて補強していくというふうなことが必要ではなかろうかというふうに思っております。  また、これは六十二年度から護岸等の設置工事等を実施したわけでございますが、施工後約十年が経過しておりまして、非常に温度も高いわけでございますし、また波も高いという厳しい自然条件のために、護岸の破損などの劣化が急速に進行しているのも事実でございます。  こういった状況を見まして、保全に万全を期するように、平成十一年度予算から直轄海岸維持管理費を計上するとともに、今回海岸法改正しまして、国が全額国費によって直轄管理を行う制度を創設することによりまして、当面定期的な維持管理を行う方針でございます。  その他、あとビーチロックだとかいろいろな技術的な検討、また実験等も行いながら、ここの大切な島の維持管理について研究してまいりたい、そのように考えております。
  134. 長内順一

    長内委員 技術的手法についてお伺いしたかったんですけれども、一生懸命やるということですから、きっといろいろな知恵があると思いますから、幅広く情報収集をしていただいて、大変貴重な島でございますから、これを保存されていかれますようひとつお願いしたいと思います。  そこで、実は、ちょっと今回調べているうちに、平成八年の四月二十日に、この沖ノ鳥島に船が乗り上げているんですね。それで重油が七百キロリットル流出している。これはサウザン・ベンチャーという船が乗り上げて石油が流れた、こんなことが実際にあったというのは私はびっくりしたわけでありますけれども、これは事実でございますか。事実かどうかだけ、時間がありませんから、済みません。
  135. 青山俊樹

    青山政府委員 事実でございます。
  136. 長内順一

    長内委員 これは、いろいろ調べてみますと、事実ということですからそのまま行きたいと思いますけれども、釜山からオーストラリア・ニューキャッスルに向けてリベリアの船が乗り上げた、タンクに亀裂を生じてC重油の一部が流出した、こんな形の報告が海上保安庁の方からなされております。  それで、私、ちょっと気になるのは、この船が、船長等乗組員が沖ノ鳥島に対する認識が全くなかったというふうに言っているということ。それから、針路を同島の近くに設定し、そして、全く島があるという認識じゃないものですから平気でここを通ろうとした。さらに、付近航行中も十分な注意を払うことを怠り、同島に気づくことなく乗り上げたものである。  いやいや、さっきから大臣も一生懸命、岩じゃないぞ島だと言っているこの大事な島が、全く周りに関心も持たれずに置いてあって、過って船が乗り上げるなんという事態は、これはどういうことなのか。これは、このままではいけないと私は思います。こんなことがあること自体信じられない。  ですから、これに対する再発防止対策といいますか、ここに大事な島があるんだ、岩じゃなくて島があるんだということをこれから知らしめていく必要がまずある。保全だとか保護だとかどうのこうの言う前に、私は、それがまずプライオリティーの、優先順位の一番じゃないか、こんなふうに思いますが、局長、いかがですか。
  137. 青山俊樹

    青山政府委員 この島の問題につきましては、沖ノ鳥島は、大縮尺海図というものがございまして、これは昭和六十二年及び六十三年に海上保安庁水路部の測量により作成されまして、平成三年に刊行されているというふうに認識しておりますが、まず海図はきちっと島としてあるということでございます。  ただ、先生お話しの、さらに島としての主張をすべきことが何かあるのではなかろうかというお話がございますが、いろいろな観測施設をこのリーフの上等に設置いたしまして、私ども、観測調査等は進めているところでございます。
  138. 長内順一

    長内委員 これは今現在、海洋観測基地だとか研究所だとかいろいろあるわけですね。灯台なんというのはあるのですか。
  139. 青山俊樹

    青山政府委員 沖ノ鳥島の上には灯台はございません。
  140. 長内順一

    長内委員 これはもう時間がありませんからあれですけれども、くどいようですけれども、例えば灯台だとか、もっとここに島があるんだとわかるような形が私は必要だなと。  ですから、これから国が直轄管理をすることになったわけですから、ぜひとも、そんなことも一つの方向性としてお考えをいただいて、二度とこんな船が乗り上げるなんというびっくりするようなことが起こらないように、再発防止に全力を尽くしていただきたい、こんなふうに思います。  それから、あとは、ちょっと冒頭の議論に戻りますけれども、先ほども外務省の方からお話がありましたように、国際海洋法条約で定める島、この条件の中に、人が居住しているだとかそれから経済活動があるだとか、こういうことが書かれているわけですが、今回、この沖ノ鳥島が島として認められる条件、経済活動それから居住、こういうことについてはこれからどんな計画をお持ちか、お願いをしたいと思います。
  141. 青山俊樹

    青山政府委員 私の理解といたしましては、先ほど外務省の方から御答弁がありましたように、これは岩ではなくて島である。島であれば、百二十一条におきまして「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。」こういった意味では立派な島であるので、そういった独自の経済生活云々の三項の条項ではなくて、三項の条項は岩でございまして、島の方であれば「高潮時においても水面上にあるものをいう。」ということだけで立派な島の、百二十一条一項の要件を満たしているというふうに理解いたしております。
  142. 大島正太郎

    ○大島(正)政府委員 お答えを申し上げます。  そのとおりでございまして、繰り返しになりますけれども、岩の方について今先生がおっしゃったような条件が入っていますけれども、岩としての定義がないということで、特定の地形がどうのこうのということをしていませんので、これは島だということでございます。
  143. 長内順一

    長内委員 先ほど申し上げましたように、今回の海岸法、さまざまな視点があると思いますけれども、ただ単に視覚でこういうふうになりましたよということではなくて、きょうは触れませんでしたけれども、漂着ごみの実態調査をしていただく、そして解明をしていただく。砂浜が汚染されている。これは今データがありませんから次回にしたいと思いますが、こういう具体的な事柄を一つ一つやっていくことが、皆さん方が今回海岸法に述べられていること、そして私どもが期待すること、こういうところに結びついていくと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  144. 平田米男

  145. 大口善徳

    大口委員 公明・改革を代表しまして質問をさせていただきたいと思います。  海岸は、白砂青松、なぎさとか、優雅な言葉で文学の世界では表現されており、我が国の文化、歴史、風土を形成した国民共有の財産である、また地球上の共有財産である、こういうふうに思います。まず、そういう海岸に対する大臣の御認識をお伺いしたいと思います。  さらに、今回の改正は四十三年ぶりの抜本的な改正である。その第一条、目的に、防護にさらに環境整備保全、そして適切な利用というのが加わったわけで、これまで何回もこの委員会で議論がされたわけですが、この防護環境利用との関係ですけれども、調和をさせていくということはよくわかるのですが、例えば、この三つの目的が、主とか従の関係があるのかどうかとか、あるいは優先関係があるのかどうかとか、あるいは何が前提で、何がその上に立つものか、そこら辺でイメージがわかるように大臣に説明をしていただきたい、こう思っております。
  146. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 海岸に対する私のイメージといいますと、本当に真っ白の砂浜というのがまず第一に浮かんでくることでございまして、我々のときはもう全く、私は港の端に住んでおりますが、海岸までは水着一つでそこまで行きよったというようなことでございますから、非常に美しい、あるいは真夏でございますとその砂が真っ白でございますから、それが照り返って目が痛いというような、どういいましょうか、そういう本当に自然いっぱいのイメージを今も抱いております。そういうことが私の思いでございます。  それで、今回の、防護から環境そして利用というものが加えられたわけでございますが、防護というのは今までずっとやってきた、ましてこれは人命にかかわることでもございましょう、財産の保護のためにも必要なことですから、これは強いて順番をつけると言えば、それは第一位のことでございましょう。  次の環境利用ということになりますと、私は、もう断然、環境の方がプライオリティーは高いと個人的に認識しておるわけでございまして、理想的な答弁とするならば、この三位一体というか、これが総合的に調和のとれた海岸をということではあると思うわけでございます。ですから、今回の法律改正においては、やはり自然と共生のできる環境の問題を重視していきたいと私は考えております。
  147. 大口善徳

    大口委員 イメージが若干わかってきましたが、次に、海岸法の二条の二で、主務大臣は、海岸保全に関する基本的な方針を定めなければならない。第二条の三で、知事は、海岸保全基本計画を定めなければいけない。そういうことで、基本方針あるいは基本計画策定するに当たって、国民や住民など幅広く意見を聞くことが大事だと思いますが、これについて大臣のお考えをお伺いします。
  148. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 全く私はそのように思うわけでございまして、国が基本方針を決めるというのは、必要にして不可分な最小限度のものであっていいと思うのでございます。先ほどの沖ノ鳥島のお話等もございましたが、やはり排他的経済水域などの基準線が海岸線でございますから、その海岸線を決定する、そういうような基本的なことは国で行う、それ以外は地方に任すということがいいのではないかなと私は思うわけでございます。  今までは、まず県が管理をしておったわけでございますが、今後は、市町村にもその管理を任すこともできます。したがって、なおのこと市町村あるいはまた地域の方々の意見を十分に聞いて、基本方針を決定するということであってほしいと私は思っております。
  149. 大口善徳

    大口委員 今、国民あるいは住民の意見を基本方針あるいは基本計画に盛り込むべきだ、こういう積極的なお話がございました。  まず事務当局に、具体的にこの基本方針に自治体とか国民の意見などをどのようにして盛り込んでいくか、その考え、また、基本計画について必要に応じて公聴会等を行うことになっておりますが、二条の三の五項で必要な場合とはどのような場合か、お伺いしたいと思います。
  150. 青山俊樹

    青山政府委員 基本方針基本計画とを分けてお答え申し上げたいと思いますが、まず、基本方針策定に当たりましては、関係行政機関の長に協議いたすこととなっておりますし、また、その前に広く学識経験者等の御意見を伺うことといたしておりまして、学術的な立場、あと広い分野からの声を反映して原案をつくりたい、主務大臣として原案をつくりたいというふうに考えております。  また、基本計画策定に当たりましては、海岸保全施設整備につきまして、これが小規模な場合等を除きまして、原則として公聴会、説明会の開催等を実施することによりまして、関係住民の御意見を適切に把握してまいるというつもりでございます。
  151. 大口善徳

    大口委員 今、原則としては住民の意見を聞く、こういうことでございましたので、理解をいたしました。  次に、アメリカにおいてミティゲーションということがあります。一般に、環境保全対策というのは、まず環境影響を回避、あるいは最小化が行われるべきであって、代償はその措置をとった上でなお生じる環境影響について行うもの、こういうふうにされております。これがミティゲーションと言われるものと考えております。  そういうことで、海岸保全基本方針策定する中で、基本方針の政令事項の中身はどうなるのか。ミティゲーションの考え方はどのように反映をされるのか。そしてまた、環境アセスメントの対象とならない海岸保全施設整備について、ミティゲーションの考え方に基づいて進められる必要があると考えますが、どうか。そしてまた、基本計画の中に、知事がミティゲーションの考え方を盛り込むことについてどう考えるのか。この四点についてお伺いします。
  152. 青山俊樹

    青山政府委員 海岸保全基本方針につきまして、その具体的な中身を想定しておりますものは、一つは、一連の広域的な海岸として一体的な海岸保全計画策定すべき海岸の区分に関する事項、区分でございます。二点目は、防護環境利用の調和のとれた海岸保全基本理念。三点目は、海岸環境を含む海岸保全に関する基本的な考え方。四点目は、海岸防護に関する重要事項。こういったものを、学識経験者等の皆様方からの意見をお聞きしながら原案をつくりたいというふうに考えております。  また、ミティゲーションのお話でございましたが、今回の法改正で、砂浜海岸保全施設としまして明確に位置づけて、失われた砂浜の復元に積極的に取り組むこととしておるわけでございまして、また、海岸保全施設整備に当たりましても、環境に配慮することを法律に明記しておるわけでございます。先ほどもお話ございましたが、砂浜といいますのは、防護意味でも、また環境意味でも、利用意味でも、非常に大切な存在でございまして、こういったものを大切にしていくということでございます。  また、環境保全基本方針に示される中身を具体的にどう書くかということでございますが、環境影響が悪影響をしないようにできるだけ回避する、もしくはそれを最小化する、最悪の場合でも代償措置をとるというミティゲーションの考え方も、私は非常に大切な考え方だと思っております。  したがいまして、海岸保全基本計画を県知事さんがお定めになる場合に、その地域の特性に応じて、ミティゲーションの考え方を尊重した内容を知事さんがおつくりになるというのが望ましいものではなかろうかと思っております。
  153. 大口善徳

    大口委員 そしてまた、二条の二の二で、主務大臣は、基本方針策定に際して、行政機関の長、環境長官というのが一番大事だと思いますが、と協議をすることになっておりますが、環境庁は、この基本方針策定の協議についてどのような考えで臨むのか。  特に、基本方針にミティゲーションの考え方をどう盛り込んでいくのか。環境アセス法においては、目標クリア型からベスト追求型へ、こういう発想に考え方が変わっているわけですから、そこら辺をどういうふうに生かしていくのかということをお伺いしたいと思います。
  154. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 海岸環境というのは国民にとっても大変大事でございまして、基本方針の項目が政令で明らかにされるわけでございますけれども、その基本方針の協議に際しましては、私ども環境行政の基本的な方向をよく御説明させていただいて、協議してまいりたい。  現在、環境行政の基本的な方向といいますのは、環境基本計画におおむね定められております。それを近々改定するようなこともございますけれども、そういうふうなことを通じて、また、当然でございますが、海岸は多様な自然環境がございます。それが保全されているかどうか、また、人と自然との豊かな触れ合いが確保されるかどうか、そういったようなことについて、海岸環境保全が十分図られるよう調整を図ってまいりたいと考えております。  また、ミティゲーションの考え方でございますけれども先生お話しのような点もございます。影響の回避、最小化、またそれが困難な場合の代替措置ということでございますが、ちょうど六月からは環境アセスメント法が施行されるということで、中央省庁のみならず各自治体におきましても、そういった考え方でのアセスメントがスタートするわけでございますので、私どもとしては、そういう考え方も十分踏まえ、また盛り込んで進めていただければありがたいと考えております。
  155. 大口善徳

    大口委員 本来、公物の管理ということで、環境庁は共管にはなっていないわけですけれども、共管にすべしという議論もあったと聞いております。ですから、私は、この基本方針の中で環境庁がしっかり取り組んでいただくことが非常に大事だ、そういう認識お話を聞いたわけでございます。そういう自覚に立ってしっかりやっていただきたい、こう思っております。  それから、午前中もありました、海岸侵食、明治から昭和の七十年と昭和から平成までの十五年で海岸侵食の消失の面積とか侵食の量の実態とかいうことについて答弁もありました。大体、明治から昭和の七十年の間に五千五十九ヘクタールの消失面積、侵食量が七十二ヘクタール、また昭和から平成の十五年間で二千三百五十九ヘクタールの消失面積で、百五十七ヘクタールの侵食量、こういうことですね。人間の活動が活発化したという理由等を挙げられて、そういう実態が答弁ではございました。  そこで、海岸法の一条、二条において、海岸侵食に対する今後の取り組み方をどのように考えていくのか、また今回の法改正がどのように反映されていくのかということについてお伺いしたいと思います。
  156. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話ございましたように、最近の海岸侵食速度は以前に比べて大分速くなってきている。これは、まさに人間活動によりまして、また自然の活動にもよりまして砂の動き方がいろいろ変わってきたということだろうと思っております。  具体的には、河川砂利の採取などで河川からの土砂供給の減少が生じておる、また海岸部のがけが崩壊しなくなって、もしくは崩壊防止事業がうまくいって土砂供給が減少しているということもございますし、また海岸部における構造物設置等によります土砂移動の遮断というふうな問題もございましょうが、基本的には土砂収支のバランスが崩れている、その崩れ方の度合いが近年非常にひどいということだろうと思います。  一番大きな原因は、海岸に近い河川からの砂利採取が昭和三十年代から四十年代にかけて非常に大量に行われたことが大きな原因と考えられておりまして、この辺、海岸保全基本方針を考えますときに、また海岸基本計画を考える際にも、非常に大切な要素として土砂収支バランスといった問題が出てこようかというふうに考えております。
  157. 大口善徳

    大口委員 その要因については、今分析がございました。  やはり侵食海岸ごとに要因が違うと思うのですね。だから、侵食海岸ごとにその要因は何なのかということでちゃんと建設省は把握されているのか、そういう把握があって海岸法の適正な実施によって侵食を防止するということになってくると思うのですが、そこら辺いかがですか。
  158. 青山俊樹

    青山政府委員 まさにおっしゃるとおり、海岸ごとにいろいろな原因があるわけでございますので、詳細に調査をして、また経年的な海岸形状の変化等、これは深浅測量といったような形で、非常に地道な調査でございますが、それを経年的に、ずっと持続的に続けることによりまして海岸の砂の流れの方向だとかその量だとかいうのが分析することが可能になるわけでございまして、そういった調査も非常に大切だというふうに認識いたしております。そして、そういった海岸ごとの原因、特性をにらみながら対策を立てていかなければいけないのではなかろうかと思っております。
  159. 大口善徳

    大口委員 今、そういう調査必要性ということをお話がございました。そこで、全国海岸において汀線測量とか深浅測量というものの実施状況はどうなっているのか。まずそういう全国調査というものをしっかりやって、しかも、その後もちゃんと追っかけていかなければいけません、モニタリングといいますか、そういう充実も必要だと思いますが、いかがですか。
  160. 青山俊樹

    青山政府委員 今おっしゃいました汀線測量また海底の深さをはかる深浅測量などの調査は非常に重要だと思っておりますが、実際は、全国で気象海象の観測所、波の向きだとか風向だとかそういったことも含めまして、二百二十四カ所に設置して、まず気象海象状況を収集しております。また、定期的な深浅測量を二百八十二カ所で実施して土砂移動の把握に努めているところでございますが、これは全国海岸線の長さに比べては非常に少ない箇所数だという認識を持っております。  また、侵食の可能性のある海岸が我が国は非常に多いものでございますから、簡便な調査方法も含めて海岸状況をフォローアップでき、また経年的な観測ができるような方法、モニタリングの方法も含めて検討してまいりたいというふうに考えております。
  161. 大口善徳

    大口委員 そうしますと、そういう検討をした上で、全国調査はいつごろになるのですか。
  162. 青山俊樹

    青山政府委員 急速にふやすというわけにはいきませんが、簡便な調査方法、例えば汀線測量でありましたら飛行機を飛ばしてずっと写真を撮っていくというふうなことであれば、比較的安い費用でかなりの部分ができようかと思いますし、また深浅の、深さの方は、船で観測器を積んで超音波での反射を見ながら走らせていくというふうな調査になろうかと思いますが、その辺急速にふやすわけにはなかなか難しかろうと思いますが、できるだけこういった地道な調査をふやしてまいりたいというふうに考えております。
  163. 大口善徳

    大口委員 次に、私の地元の静岡・清水海岸についてお伺いしたいと思うのですけれども、磯部教授なんかもこの海岸を挙げておられて、全国でも非常にモデルケースになるようなことだということで御紹介したいと思うのですけれども、この静岡・清水海岸というのは、六千年前の縄文時代に主に安倍川から供給された土砂が沿岸に沿って三保の松原方向に運搬されそれが堆積されることによってできたわけで、これは日本の三大松原の一つと数えられて、羽衣の松ですとか富士山が眺められる景勝地で有名な海岸であります。  昭和三十年代まで七十メートルの砂浜の幅を持つ自然海岸だったわけですが、当時、聞くところによりますと、市民ならだれでもお父さんお母さんに連れられて駒越から三保にかけて砂浜に遊びに行ったという思い出がある。砂浜は堤防を越えるとどこまでも続いて、走っても走っても波打ち際までたどり着けなかった、こういう思い出が静岡県民の間にあるわけです。  しかし、昭和四十年代に侵食が始まって、三保の松原まで侵食が進行して深刻な問題となっておるわけでございますけれども、この静岡・清水海岸侵食原因、今後の侵食の見通しについてはどうなのかお伺いしたいと思います。
  164. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話ございましたように、静岡・清水海岸、約十八キロあるわけでございますが、そこに対する土砂供給源は、大谷崩れというふうなものを山頂部近くに、水源近くに抱えております安倍川という川がございますが、この安倍川にほぼ限られているわけでございます。  安倍川は昔から土砂の堆積によりまして河床が上昇しまして、しばしば大水害があったわけでございますが、昭和三十年代から四十年代にかけまして、洪水対策も含めまして、また骨材利用としての砂利採取といったことで、河床を毎年平均約七十万立方メートルというふうな土砂掘削を実施したわけでございまして、この影響が静岡・清水海岸侵食に非常にきいてきているというふうに考えております。  静岡・清水海岸につきましては、このおおむね十年後の昭和四十年代から侵食が始まりまして、安倍川河口から東に向かって、これは三保の松原の方に向かいまして年間五百メートルから八百メートルの速さで、侵食域といいますか侵食される区域が移動しまして、現在は三保の松原地先にまで差しかかっているというふうな状況でございます。ですから、全長約十八キロのうち十三キロが今まで侵食を受けた、残りの五キロも侵食をまさに受けるおそれのある状態になっているということでございます。  一方では、五十五年ごろから、これは砂利採取を一切禁止しましたので、安倍川河口の東側から逆に侵食から堆積に変わっておりまして、十三キロ侵食されたと申し上げましたが、そのうち既に三キロの区間で砂浜が回復しつつある。ある程度のタイムラグを持ちながら、安倍川の河床が上がりますと、その分安倍川からの海岸への土砂供給量がふえて、堆積のぐあいも出てきたということでございます。
  165. 大口善徳

    大口委員 先ほども局長からお話がありましたように、静岡・清水においては、昭和五十八年から汀線測量、深浅測量を実施しています。この調査海岸の地形を調べて、海岸侵食原因を検討する最も基本的な調査で、経年的な海岸地形の変化を調べることによって毎年どのぐらいの土砂の移動があるかということがわかると聞いています。また、風向とか風速の観測から海岸の受ける波のエネルギーの大きさがわかるので、これからの将来予測ができていくということも聞いております。  そこで、静岡・清水海岸、七十メートル以上もあった砂丘幅がいつごろ復元できるのか、その見通しについてお伺いしたいと思います。
  166. 青山俊樹

    青山政府委員 七十メートル以上もあった砂浜がもとの状態に戻るということは、大体土砂量にしまして五百三十万立方メートルの土砂が現在侵食を受けているというふうに認識しておるわけでございまして、沿岸漂砂量のうち、砂浜についていく土砂の量が年間十三万立方メートルぐらいだというふうに観測しておりますので、それからいきますと大体四十年ぐらいでございます。  また、砂浜の回復スピードが年間約二百四十メートルということから考えますと、三保の松原地先までの砂浜が回復するのはやはり四十年ぐらい後になるだろう、これは安倍川からの供給土砂量が現在と変わらずにずっと続いた場合という前提になろうかと思いますが、そのような見通しを持っております。     〔委員長退席、井上(義)委員長代理着席〕
  167. 大口善徳

    大口委員 そういう四十年というすごい時間がかかると。そういうことで、復元に要する流砂量と、それを確保するために必要な対策というものの今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
  168. 青山俊樹

    青山政府委員 今手を入れずに置いておけば四十年程度かかるのじゃなかろうかと申し上げたわけでございますが、逆に、一日も早く砂浜を復元するためには、安倍川の河床に現在堆積する傾向にあります土砂を直接砂浜に養浜していくというふうなことは考えられるわけでございます。  これは、水害の危険を防ぐと同時に、海岸侵食に対する防護といいますか、復元のスピードを速めるということからも有効ではなかろうかと思っておりますが、そういった措置をすればかなり早い時期に、もっと期間を縮めて七十メーター幅の砂浜が復元できるのではなかろうかと思っております。  これまで既に約三十万立方メートルの砂を海岸に補給してきたわけでございますが、もっと多くの量を、五百三十万立米でございますし、安倍川に堆積している土砂量はたしか約二百万立方メートルぐらいと推測しておりますので、そういったものを直接養浜していきますと、時間的にはもっと短く、そういった砂浜の回復ができるのではなかろうかと思っております。
  169. 大口善徳

    大口委員 そういうことで、その四十年をもっと早くもとの砂浜に復元するよう建設省で努力される、取り組んでいかれる、こういうことをお伺いしました。  これまでの議論の中で、河川審議会の総合土砂管理委員会がまとめた「流砂系の総合的な土砂管理に向けて」という報告書がありますが、そういう土砂管理について大事であるということが議論されました。要するに、山地から海岸までの全領域を含む流砂系という概念を導入して、従来の土砂をとめる対策から適切な土砂移動が、これが防災だとか環境保全とか利用だとかにも非常に重要である、こういう提言であるわけです。その提言にのっとってやっていかなきゃいけない、こう思うわけです。  その中で、大規模ダムだとかあるいは砂防設備に堆積した土砂下流に流していくということが非常に大事だと思うのですね。そのための抜本的な対策の確立についてこれからどう取り組んでいくのか、それをお伺いしたいと思うのです。
  170. 青山俊樹

    青山政府委員 大規模ダムにつきましては、ダムが本来有しております治水、利水上の機能の長期間にわたる維持、また土砂供給によります下流河川海岸環境保全に資するということもございますので、排砂ゲート、バイパストンネル、またダムの貯水池の土砂をしゅんせつ、掘削して下流に持っていくというふうな土砂を流す施策に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  また、砂防につきましては、これから新たに建設する砂防ダムにつきましては、大規模な出水時に大きな土砂を捕捉しまして、通常時の土砂下流に流すことができるようなスリット型の砂防ダム等のオープンタイプの砂防ダム設置を推進してまいりたい。また、既設砂防ダムにつきましても、その機能を考慮しまして、堆積土砂の掘削やスリット化について推進を図って、下流への土砂供給をふやしてまいりたいというふうに思っております。  また、河川にたまっております河川砂利、これは若干河床が上がったからといってすぐ砂利採取として持っていくということにいたしますと、この影響海岸に出てまいりますので、これも慎重に対応する、もしくは養浜として使うというふうな、土砂のバランスを考えながら対応をしていかなければいけないというふうに考えております。
  171. 大口善徳

    大口委員 そういう中で、やはり総合的な土砂管理をしていくことが非常に大事だ。大臣も、全国で八カ所ぐらいの地域をモデルとしてこの総合的な土砂管理をされるという答弁があったわけであります。  そういう点で、特に安倍川の場合は、大きなダムがない、より自然に近い状態の川である、急流で山から海まで近い、それから海岸侵食のデータ蓄積が、調査はもう五十八年からやっておりますから多いというようなことで、ひとつ安倍川というのをモデルにして総合土砂管理計画を早急に策定すべきである、こういうふうに考えますが、いかがですか。
  172. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘のように、平成十年の七月の河川審議会総合土砂管理委員会からの報告を踏まえまして、総合的な土砂管理計画策定を目指して、洪水時から平常時までの土砂移動の量と質をとらえるための調査関係部局が一体となって、安倍川を初めとする土砂管理上問題の生じている流砂系においてモデル的に実施する予定でございます。  したがいまして、御指摘の安倍川は、そのモデルの場所として八カ所ございますが、その中の一つとして実施をしてまいります。
  173. 大口善徳

    大口委員 今大臣から明確な答弁がございました。それが全国に、やはり全国の流砂系ごとに総合的な土砂管理計画というのでしょうか、モデルケースから、今度は全国の流砂系ごとの総合土砂管理計画というものを策定していくということが、侵食を食いとめ、美しい砂浜を復元させることになる、こう思っておりますが、この全国への展開について大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  174. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 そういったことで、美しくかつ安全な海岸をつくっていくということで、そういういろいろなデータを基本にして、今後、海岸侵食原因も、なおあらゆる分野から調査をいたしまして、最終的にそういうすばらしい海岸をつくっていくということで努力をしたいと思います。
  175. 大口善徳

    大口委員 平成九年に静岡の行政監察事務所が「海岸保全利用に関する地方監察」というのを実施しました。その結果、堤防等に無断で鉄筋等が打ち込まれていたり、階段等が設置されている箇所が三十海岸のうち十五海岸あった。堤防等の一部が破損している箇所が三海岸あった。こういうふうに、海岸保全施設実態把握に努めるようにという改善意見が、これは県に出されているわけです。  また、最近、高潮対策のためにつくられた海岸堤防が老朽化していて危険な状況になっている堤防も見られるわけでありまして、そういう点で、この堤防の総点検が必要である、こう考えますが、いかがでございますか。
  176. 青山俊樹

    青山政府委員 海岸堤防につきましては、平成八年時点で、全国で二千九百五十三キロメートルが整備されているわけでございます。これらの堤防の多くは、昭和二十年代から三十年代にかけて全国的に発生いたしました高潮災害に対応して整備したものでございまして、築造されてから四十年以上経過している堤防も多うございます。  こういった長い年月を経た堤防の中には、地盤沈下や海岸侵食などの影響によりまして老朽化が目立っておるのも事実でございまして、安全性に不安のある堤防も多うございます。最近の海岸堤防工事は、これら老朽化した堤防の改築や補強が主体となってきております。  老朽度の点検というのも、これはまだ全国的に実施したことはないわけでございますが、各海岸管理者が独自の判断で行ってきているわけでございますが、最近では非破壊検査の手法も進歩いたしましたので、効率的な調査ができるようになってきておりますことから、点検の一層の実施につきまして各海岸管理者に指導をしてまいるというふうな考えでおります。
  177. 大口善徳

    大口委員 地元でも、平成九年の秋の台風の接近で、安倍川右岸の静岡海岸のほとんどの地区の防潮堤が八十七メートル決壊しました。この防潮堤全体の七百メートルにわたって堤防の空洞化が起きていたということが、県の調査でわかったわけです。  私も、十一月の六日に、住民代表とともに当時の河川局長に、その決壊箇所だけをもとどおりに復旧するのではなく、その防潮堤の全体を再整備する災害復旧助成事業の早期着手、住民に親しまれる海岸整備要望したわけです。その後の対応についてはどうですか。
  178. 青山俊樹

    青山政府委員 静岡海岸の広野地区の災害につきましては、今先生お話しになったとおりでございまして、現地をつぶさにごらんになった大口先生の御指摘のとおりでございます。  このため、約七百メートル、六百九十四メートルでございますが、その一連区間につきまして、再度災害防止のために災害復旧助成事業を採択しまして、離岸堤のかさ上げ、堤防の改築などを実施してきているところでございまして、また環境利用面への配慮として、砂浜を復元するための養浜工を実施しているところでございます。  平成十一年度当初までで、予算ベースで約九割の進捗となる予定でございまして、平成十二年度完成に向け、努力してまいりたいというふうに考えております。
  179. 大口善徳

    大口委員 次に、海岸は多様な動植物の宝庫となっておって、その自然を保護することは大切である。我が党の地元の県会議員も、実は遠州灘や三保の松原等現地調査をして、自然を傷つける車の乗り入れについて、この県立の自然公園条例の規制対象としたわけであります。今回、海岸法の八条の二の第一項の三号の海岸保全区域、三十七条の六、一項の三号の一般公共海岸区域でこれが規制されることになりました。  ところが、心配なのは、地方自治体の公有地それから民有地について規制対象になっていないというふうなことについてどう考えるのかということをお伺いしたいと思います。
  180. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話のございましたように、民有地については公共海岸の対象になっていないわけでございますが、海岸保全区域の指定につきましては、この指定は、国有地のみならず公有地、私有地についても可能な仕組みとなっているわけでございまして、海岸防護のために必要な場合には、海岸保全区域を指定することにより、きちっとしたそういった規制がなされていけるという仕組みでございます。
  181. 大口善徳

    大口委員 次に、新しい全総計画において、海岸よりも広い沿岸域という視点がうたってある。沿岸域の総合的管理ということをうたっているわけですね。これについては長官にお伺いしたいと思います。  それから、沿岸域の現状について総合的な調査研究体制というものを整備しなければいけない。十六省庁が有する情報、各省庁の情報の共有化を図っていくことが大事だ、こういうふうに思います。これについてお伺いをしたい。  それから、新しい全総において、地方公共団体が主体となって沿岸域の総合的な管理計画策定することとなっていますが、その計画策定に当たって住民参加を図るべきである、そういうふうに考えますが、いかがか。  あと、将来的に沿岸域をトータルに管理する法律が必要ではないか、こういう意見も、論文等出ております。これについてどうなのか、お伺いしたいと思います。
  182. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この新しい全総計画、「二十一世紀の国土のグランドデザイン」についてでございますが、その中で、海岸を含みます海域、海の部分と、陸の方の陸域を一体的に沿岸域としてとらえておるわけでございます。  このため、沿岸域の安全の確保、あるいは多面的な利用、あるいは良好な環境の形成等の観点に立って総合的な管理を行うことが必要と考えておりまして、具体的には、地方公共団体が主体となり、沿岸域圏の総合的な管理計画策定するということになっております。  したがいまして、四番目の質問でございますが、いわゆる地域の方の参加ということは、これは必須条件と私は認識をいたしております。国としましては、そのための計画策定指針を明らかにすることといたしておりまして、今後、関係省庁と連携をして、指針に基づいて、その方向で進めていくように努めたいと思います。  あとのことはどうぞ。
  183. 小林勇造

    小林(勇)政府委員 残りの質問にお答えしたいと思います。  まず、総合的な調査研究体制の整備あるいは情報の共有化の件でございますが、沿岸域圏の総合的な管理に際しまして、沿岸域に関する総合的な調査研究及びそれにより得られる情報の共有化など、各省庁の連携が非常に重要だという先生の御指摘はそのとおりだと思います。  これまでも、各省において沿岸域に関する広範な情報整備を一生懸命努力しているわけでございますが、今後、その内容が一層充実されるとともに、今、国土庁あるいは国土地理院を中心に地理情報システムというものを実用にし始めておりますが、この地理情報システムの活用等によって、沿岸域についての情報の共有化や調査研究体制がさらに充実するように努力していきたいというふうに考えております。  それから、最後の御質問の、将来的に沿岸域をトータルに管理するための法律が必要なのではないかという御指摘でございますが、私どもとしては、まず、先ほど大臣もお答えになりましたように、沿岸域に関して、閣議決定された全総に基づきまして、地方が管理計画策定するための国としての基本的な計画策定指針をまずつくる。そして、今後、この策定される指針に基づいて、沿岸域を総合的に管理する観点から、関係省庁と密接な連携を持って、今回改正をお願いしております海岸法を初め港湾法等沿岸域に関する現行のそれぞれの法律をまず万全に運用し、かつ総合的にこれを運用していくことによって、地方公共団体による沿岸域の総合的管理を最大限支援していくというのが、まず順番かと考えております。
  184. 大口善徳

    大口委員 あと若干時間がありますので、海岸法の方、二十五条のただし書き、三十七条の八で、市町村が行う海岸保全区域及び一般公共海岸区域管理に要する費用負担についての、財政の厳しい自治体において管理が必要になった場合に何らかの財政支援というのが講じられるのか、これを最後に聞いて終わりにしたいと思います。
  185. 青山俊樹

    青山政府委員 市町村管理に要する費用負担への何らかの財政支援という問題でございますが、海岸管理のうち、占用許可等ごく日常的なものにつきましては、地域に密着した行政主体である市町村が行うことが望ましいということもございまして、今回の法改正で、市町村の発意に基づき、財政負担の重い海岸保全施設の工事に関する事務を伴わない日常的な管理について、市町村が行うことができる制度を創設するということにしたわけでございます。  市町村は、これまでも実質上日常的な海岸管理の多くを担っておりまして、管理を行う市町村事務が今までに増して大幅にふえるということではなかろうと思っておりますが、良好な海岸環境の形成や海岸の適正利用の確保を含め、海岸の日常管理における市町村役割法律上明定されたという趣旨にかんがみまして、これに必要な費用についての地方財政上の措置等を、関係省庁とも協議しながら、その支援策について検討してまいりたい、かように考えております。
  186. 大口善徳

    大口委員 ありがとうございました。以上で終わります。
  187. 井上義久

    井上(義)委員長代理 青木宏之君。
  188. 青木宏之

    ○青木委員 自由党の青木宏之であります。  時間が非常に限られておりますので、項目的になるかと思いますけれども、お尋ねをしていきたいと思います。今までにかなりいろいろ御質疑のありましたことと若干重複するような点もございますが、一応私の立場からということでお許しをいただきたいと思います。  初めに、今までの議論をお聞きしておりまして、かなりはっきりしてきたなということを、再確認になりますけれども、今回の改正で新たに環境利用という面が加わったわけでありますので、その防護環境利用という三要素がありまして、若干これは二律背反的な要素がありますので、調整をしていくとありますけれども、調整がなかなか大変だな、実際問題になりますと。  しかし、そこにはやはり、先ほど来答弁がございましたように、その中にも優先順位というかプライオリティーがあるのではなかろうかと思ってお聞きしておりましたら、大体、大臣の御答弁の中で、やはり一、二、三という順位をつけるなら、防護一、環境二、利用三、こういうふうに理解、受けとめさせていただきましたが、それでよろしいかどうか、御確認をさせていただきたいと思います。
  189. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私は、そのように思っております。
  190. 青木宏之

    ○青木委員 ありがとうございます。  それからもう一つ、今の大口議員の中でも民有地のことがちょっと出ましたけれども、実際例からしましても、何かちょっと理解が十分自分の中でできない部分がございます。  原則的というか、海岸はとにかく公共のものだ、こういう大原則があるわけだと思うのですが、そこで、海岸線ぎりぎりまで民有地があるケースは多々あると思うのですね。その場合に、今回の一般公共区域には民有地は当てはまらないということなので、そうしますと、その民有地の管理はすべて地主にゆだねて、公共的な義務を負わせるとかそういったものは、これは管理者の段階で、今回なる管理者の段階で、何か条例等で定めて規制をしていく、私権制限をしていくことになるのか、そういうことは起こらないのか。そのあたりはどのように理解したらよろしいでしょうか。
  191. 青山俊樹

    青山政府委員 公共海岸は、あくまで国有海浜を対象にしているわけでございまして、民地につきましては、これは防護をする必要がある場合、人命、財産等の防御、防護をしなければいけないときには、海岸保全区域として民地であってもかけることができる。それ以外の、防御以外の、一切工事をしない、保全工事等をしない一般公共海岸といいますのは、これは民地は全部除かれた国有地、国有海浜地についてかけられるということでございます。  そういった形で、民地の場合は、これはやはり私権があるわけでございますので、防御、防護に対し必要な工事以外の、例えば、立ち入り規制だとか、民地にきれいな花が咲いているのでここはあなたたち行ってはいけませんよというふうな規制をこちらがかけることはしないという考え方でございます。
  192. 青木宏之

    ○青木委員 よくある例で、非常にきれいな海岸、海水浴でも何でもいいのですけれども海岸があって、海岸線ぎりぎりまで民有地だ。そうすると、そこへ行きたくても行けないというケースがあるのですが、これは現在の法律上、あるいはこれからの何かそういう、さっき私が言ったように、管理者が何か規制をかけることができるのか。そのあたりはいかがでしょうか。
  193. 青山俊樹

    青山政府委員 パブリックアクセス等の問題があって、外国では、海岸は民地の場合が非常に多いわけでございます。パブリックアクセスの議論が非常にされまして、またそれなりのシステム整備されておるわけでございますが、日本の場合、逆に、海岸の場合はほとんど国有地で、民地が非常に少ないわけでございます。  そういったことからいきまして、今先生からお尋ねありましたように、浜そのものが国有地であって、かつ、そこに行くまでの、到達するまでの部分わずかのところに民地があるというようなところは、やはり基本的にはその民地の所有者の方と海岸管理者とが相談して、例えば、利用のために適切な通路をつくるのがいいのであればそこを借りるとかいうふうな現実的な手段で物事を解決するということになるのではなかろうかと思います。
  194. 青木宏之

    ○青木委員 実は、後の質問ともちょっと関連しますものですから、その辺をお尋ねしておるわけなんですが、今おっしゃったのは、話し合いで、とにかく浜辺まで行けるように通路をというお話です。  これは、いわゆる陸地における通行権の問題と同じように考えても、通行は多分今の法律でもできるのだろうと思うのですが、これはちょっと後ほど利用の方でまた触れさせていただきますので、とりあえずこれはここでとどめたいと思います。  続きまして、今回、海岸の維持に係る原因者施行及び原因者負担というところがあるわけなんですが、特に一番、時々問題になります油濁、油の事故の問題なんですが、これは今回の規定によれば、とにかく第一原因者に第一義的に施行もそれから費用負担もさせる、こう明記されておるわけで、その辺がはっきりしたわけなんです。  そうしますと、従来は民法上の問題とか、あるいは外国船等の場合ですと国際法上の問題とか、そういう現状の法律で費用負担等々は処理されてきたかと思うんですが、現実には原状回復、油濁が大変だ、とにかく一日も一時間でも早く原状回復しなきゃならぬ、こういうことですから、それは第一にそこの管理者がとにかく早く原状回復しよう、こういうふうに動くわけなんですが、今まで県がやってみえたのかあるいは市町村がやってみえたのか、幾つか例があるわけなので、費用負担は別にして、そのときの立てかえということになると思うんですが、今まではどうであったか。  これからは管理者が市町村というふうになるケースが出てきますから、いわゆる村ということになりますと非常に財政規模も小さい。そうしますと、第一義的に、原状回復するに必要な予算措置も緊急にとり得ないケースも出てくるのではないか。そういった場合にはどういう仕組みになるか、県と話し合いしてやればいいじゃないかということなのか、そのあたりちょっとイメージして御説明がいただければありがたいなと。
  195. 青山俊樹

    青山政府委員 少し専門的な話でございますので長くなることをお許しいただきたいと思いますが、油濁事故の場合でございますが、二つのケースがあろうかと思います。  一つは、油濁事故の原因者がはっきりしている場合。この場合は、その原因者はみずからが生起させた事故の結果に対して責任を有するということでございますので、油濁の処理あるいはそれに相当する費用負担を今度は海岸管理者原因者に請求するということになるわけでございます。  もう一方のケースは、例えば津波等通常想定し得ない自然災害や、過失がなくて衝突された場合で船舶等から油が流出して油濁事故が起こったというような場合には、この船舶等の所有者の責めに帰すべき理由がないわけでございまして、こういった場合には、海岸管理者海岸に漂着した油等の処分についての負担は負うことになるというふうになろうかと思います。  なお、原因者がはっきりしている場合の原因者に負担をさせる場合の費用を一時的に海岸管理者が立てかえなければならない場合を含めまして、海岸管理者だけでは十分な対応が難しい場合には、やはりこれは関係行政機関等で連携を図って対処していくというふうなことになろうかと思います。  また、従前は、市町村がこういった場合対応するというふうな流れになっていたわけでございますが、今回は一般公共海岸管理者も、原則、県が海岸管理者になるということでございますので、市町村よりは財政力のしっかりしている県の方が海岸管理者として対応するという道も開けているわけでございますので、この辺が仕組みとしては変わってきたところだろうと思っております。
  196. 青木宏之

    ○青木委員 それでは、次ですが、国の方が基本方針を定め、実際には県の方が基本計画を定めていくことになると思います。  そこで、先ほども議論に出ておりましたが、関係住民の意見反映という点は十分にしていくべしというようなことはわかるんでありますが、条文上、住民の側からの要望といいますか、例えば公聴会開催にしても説明会開催にしても、そういう要望等についての法的な担保というものはどうもちょっとどこにも見受けられないので、それは一般に陳情だとか請願だとかあるいは口頭でお願いするとか、いろいろな方法でやることはできるでしょうが、それをやってみても全体的に軽微なことだからというような理由で、要するに法文上は必要な場合という規定でございますので、必要がないと行政側が判断すればそういう要望は実際受けられないことになろうと思うんですが、そのあたり行政側はしっかりやってくれるだろうというふうに、とりあえず善意に解釈しておけばいいのか。もし、法文上に規定しようとすればこれは修正しなきゃならぬことになりますけれども、ちょっとそのあたり、若干心配があるなという思いがしますので、ひとつ御説明とともに、そういうことが現実にあらざるような運営がされれば問題が起こらないわけですので、御決意というかそのあたりをちょっとお聞かせいただければと思います。
  197. 青山俊樹

    青山政府委員 基本計画策定に当たりましては、海岸保全施設整備について、小規模な場合等除きまして、原則として公聴会、説明会の開催等を実施することによりまして、関係住民の御意見を適切に把握してまいる所存でございます。  また、住民の方々から公聴会、説明会の要求があった場合には、これは原則として応じるというスタンスでいく所存でございます。     〔井上(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  198. 青木宏之

    ○青木委員 これは今申し上げていいのかどうか、附帯決議等々も用意がされておるようでございますので、国の方からもぜひ管理者等々の方へ、関係住民の意見反映という点については殊のほか留意をされるようにひとつ御指導等をお願いしたいと思います。  さて、次でございますが、先ほど来出ております土砂の問題でございますけれども、きょうの議論の中心的な土砂の問題は、要するに河川流域から海辺までというような本来自然の土砂流砂があって、そして堆積をして砂浜等が形成される、そういう議論が中心だったと思うんです。  現実に行われておるところも既にあるようでございますが、いわゆる養浜する場合に、コスト等の関係もありますから、できるだけ近いところから土砂を搬入して養浜する、そういうことも行われておるようであります。ここでいろいろな方法、先ほど来大臣がおっしゃってみえる白砂青松という、非常に今回はその言葉に象徴されるような改正だと思うんですが、例えば堤防のあり方でも、離岸堤をつくってとかあるいは傾斜の長い堤防にするとかいろいろな方法、それから、そういう養浜、遠浅の浜をつくるあるいは総合的にそういうものをやる、いろいろあるんです。  まず一つ、今私が言った、土砂を持ってきて養浜に使うというのは、大きな意味でといいますか、サンドリサイクルという中の一つだと思うんですけれども離岸堤をつくってやる場合とサンドリサイクルでどんどんと養浜してやっていく場合と、あるいは組み合わせてやる場合と、いろいろな方法があるのかどうか、そのあたり、ちょっとわかりませんが、コスト的な面とか、とにかく浜をできるだけ早く安いコストでつくり上げていくということが大事だと思いますので、そのあたり、ちょっとイメージがはっきりしないものですから、御説明をいただければと思います。
  199. 青山俊樹

    青山政府委員 平成十年のデータでございますが、養浜工につきまして、八十六海岸で、合わせて約二百五十四万立方メートルの養浜が実施されているわけでございまして、この材料の内訳を見ていきますと、海砂や山砂などの購入によるものが約六割でございまして、残りの四割は、漁港のしゅんせつ土、それから河口の砂州、河川の河口部についている州の掘削土、それからダムに堆積している土、または建設残土などの、こういったサンドリサイクルと申しますか、建設残土などの流用によるものが約四割となっているわけでございまして、これから、骨材としての砂利も非常に重要な存在ではございますが、一方この養浜というのも大きな流れになっていくんではなかろうか。  ただ、砂の質だとか、生態系等の環境面での配慮等もしながらではございますが、やはり基本的に養浜工をかなり主体的に大きく、また養浜することによって両側を、ヘッドランド工法等で突堤を出し、岬を出し、その岬、突堤と砂浜との組み合わせで波のエネルギーを吸収するといったような防護工事が非常に主力になっていくんじゃなかろうかと思っております。
  200. 青木宏之

    ○青木委員 それで、これは今建設省の方で、四月からですか、そういう海のことだけではなくして、いわゆる建設残土等々も含めて、何か日本全国津々浦々に至るまで、要するに搬出される土砂あるいは埋め立てに必要とされる需要土砂供給と需要があるわけなんですけれども、それを全部コンピューター上にインプットして、土砂量から土砂の質、そういったもののいろいろな条件まで全部インプットされて、お互いに需要と供給のマッチするもので大きな意味のサンドリサイクルを図りつつあられるということをお聞きしておるんですが、その現状をちょっと御説明いただきたいと思います。
  201. 青山俊樹

    青山政府委員 今御質問があったとおりでございまして、建設省では、建設残土の搬出及び搬入の全国的な情報をオンラインで交換できるシステムを活用していこう、それで建設残土流用を一層ふやしていくなど、多様な調達先の確保に努めてサンドリサイクルをやっていこうというシステムが、ことしの四月より運用を開始したわけでございます。  これの命といいますか心は、今先生おっしゃったように、どこの地域でどれぐらいの、どんな質の残土が必要だという情報と、どこの地域でどれぐらいの質の、どれぐらいの量の残土が発生するという情報と、その両方を、全国的な視野でお互いに情報を共有し合うことによって相互融通が非常にできやすくなっていく、その情報がうまくヒットした相手がなければ、残土が出る方は処分をしなきゃいかぬわけですし、逆に欲しい方はまたどこかから買わなきゃいかぬわけでございます。そういった情報を交換することが、まさに本質的な、非常に大切なことになってくるというふうに認識しております。
  202. 青木宏之

    ○青木委員 四月から作業が始まっておるということですが、多分、今インプット中だろうと思うんですけれども、これは実用といいますか、稼働するのは大体いつごろぐらいからになる見通しでしょうか。
  203. 青山俊樹

    青山政府委員 失礼いたしました。本年四月より運用を開始するということでございますので、ことしの四月からということは新年度ということになろうかと思います。
  204. 青木宏之

    ○青木委員 要するに、もうそれは稼働して、実働に入っているわけでしょうか。
  205. 青山俊樹

    青山政府委員 正確な時点を調べて、また後ほど先生に御説明させていただきたいと思います。
  206. 青木宏之

    ○青木委員 それは、要するに国あるいは地方公共団体、いわゆる公共工事だけで、民間は入っていないというふうにちょっと聞いていますが、現状はそうなのか、そして将来は民間も含めるのか、そのあたりをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  207. 青山俊樹

    青山政府委員 それも正確に、詳細に調べまして、先生に御報告させていただきたいと思います。
  208. 青木宏之

    ○青木委員 もう時間が迫っておりますので、あと一点でございます。  今度、海岸法利用という面のことでございますけれども、もう一度確認をさせていただきたいんですが、先ほどの議論の中で、大臣、ちょっと答弁の中で、あるがままの利用、要するに自然的な利用というものを描いてみえるというような御答弁があったように思うんですが、それでよろしいのか。
  209. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私が意図したことは、いわゆる環境の方が重要であるから、利用というのはその後に続いてくるものとして、もちろんその利用の分野も考えなければなりませんが、まず今は第一義的に、その防護に続いて環境というものを新しく頭に入れて進めていかなければ、環境利用というのを同時に同程度に進めると、なかなか環境の分野が進まないのではないかなという感じで述べさせていただきました。
  210. 青木宏之

    ○青木委員 よくわかりました。  そこで、もちろん環境というのはこれから大事なことでありますが、同時に、やはり地域の活性化等々、海岸をあらゆる面で人間生活に利用、活用するということも大事な要素だと思います。  そこで、一つ、県が管理者になりますと、海岸利用ということにつきましての許認可は管理者たる都道府県がするということになります。民間が申請をしたり等々する場合は、あるいは市町村が申請したりする場合はよろしいんですが、例えば県自体が出資をした第三セクターみたいなもので何かそういう利用をするというようなケースですと、何%の出資かにかかわらず、これは県が出資をして、県が絡んで計画を、そういう場合は恐らく県が実質上は主導的にやるケースが多いと思うんですが、その場合にそれを認可するのはその都道府県だということになりますが、それで問題がないかどうか。そのあたりをお聞かせいただきたいと思います。
  211. 青山俊樹

    青山政府委員 今の海岸に関しての利用に関する許可、占用許可というふうなことでございますが、申請者がだれであるかにかかわらず、公共用財産としての性格に十分留意の上、その用途または目的を妨げない限度において、かつ、海岸防護に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められる場合に限り許可することとされ、適切な運用がなされているものと理解しているわけでございます。  例えば、県であれば、道路管理者であります県知事と河川管理者であります県知事、同じ県知事がいろいろな管理者の立場になることがあるわけでございますが、例えば川に橋をかける場合には、道路管理者である県知事が河川管理者である県知事に協議をするわけでございます。それが同じ知事だからその許可基準が甘くなるとか厳しくなるとか、そういったことはございませんで、相手がだれであろうとそれなりの、河川管理者なら河川管理者、道路管理者なら道路管理者の判断がなされるというふうに理解しております。
  212. 青木宏之

    ○青木委員 そういう場合、基本方針の中でもちろんそれはやられることが前提ですから、当然合法的というか、いいと思うんですけれども、その場合に、例えば国は、一切それに対して要するに口出しをする法的なものはないと考えていいのか、いや、何かこういうふうに国はまだ物が言えるよというふうに考えられるのか。そのあたり、いかがでしょうか。
  213. 青山俊樹

    青山政府委員 今、地方分権関係の法案が今国会に提出されておりますので、それの法案が成立いたしますと、占用許可等の事務自治事務になるわけでございますので、むしろ、国ははっきりとした方針出して、あとは知事さんの御判断ということになろうかと思います。
  214. 青木宏之

    ○青木委員 時間がなくなりましたが、最後に、やはり今回の改正の精神といいますか方向性、これは大変歓迎すべきものだと思います。  そこで、防護環境利用、そういった要素について、日本列島隅々まで、非常に長い海岸線、すべてがうまく管理をされていくということが期待されるわけでありますけれども防護がしっかりしても、あるいはそのあたりの海岸環境がよくなっても、あるいは利用がきちっとされるようになっても、さっき少しは出たかと思いますが、後背地の問題、そしてまた、やはり海岸という限りは海がメーンですから、白砂青松がありましても、肝心の海の水がヘドロで汚れておっては白砂青松も絵にかいたもちという感じがします。  先ほど来、いろいろ御議論が出ておりますが、やはり管理者としてのこの四省の今のスタイルはやむを得ないかもしれませんが、やはりもう少し一歩二歩突っ込んで、そこへ環境庁なりほかの関係する省庁も入れて、管理ということからするとそうかもしれませんが、海岸という限りは海だということで、もう一歩二歩踏み込むような方向性というものが今後出していただけたらありがたいなと思うんですが、大臣、ちょっと一言お願い申し上げたいと思います。
  215. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 四省庁、それにまた今御指摘のように環境庁等々も入れて、やはり水質というか海水の維持ということはまた考えていかなければならないと思います。
  216. 青木宏之

    ○青木委員 ありがとうございました。
  217. 平田米男

    平田委員長 辻第一君。
  218. 辻第一

    ○辻(第)委員 海岸法の一部を改正する法律案に対して質問をいたします。  今回の改正により、海岸管理は、防護が必要な海岸のみを対象とする枠組みから、海岸環境整備保全あるいは公衆の海岸の適正な利用を法の目的に追加をし、基本的には海岸全体を対象とする枠組みに変わります。このことは、従来の海岸法から比べて改善措置であり、より適切な海岸管理に道を開くものと言えると思います。  そこで、従来の海岸防護海岸保全について伺います。  海岸事業は、港湾や漁港の事業とも関連する部分が多いので単純には言えませんが、一昨年来むだな公共事業が問題になってきました中で、公共事業の再評価システムが実施されていますが、建設省、運輸省、それぞれ海岸事業に関する平成十年度の再評価結果を簡明に説明をしていただきたい。
  219. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話がございましたように、私ども、公共事業につきまして再評価をきちっとし、また事業の透明性を高めていこうという意図から、新しく新規事業をやりますもの、採択をするもの、またある程度の年数がたったものを対象に再評価をしているわけでございます。  海岸につきましては、平成十年度に再評価を実施いたしました海岸直轄が十一カ所、それから補助が百四十五カ所でございました。これらの海岸事業につきまして再評価を実施いたしまして、補助事業におきまして一海岸休止というふうな判断をしたところでございます。これは漁業との関係で、工法を十分考えるべく、やはり新しい工法が出てくるまでは休止すべきであるということで、休止をしたという例でございます。
  220. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 運輸省の海岸事業、平成十年度で再評価の対象になりましたのは十五の事業でございます。直轄事業事業、補助事業十三事業と十五の事業でございますが、このうち、再評価の結果といたしまして、一事業について中止、それから一事業につきましては事業施設規模等の見直しを行っております。  以上でございます。
  221. 辻第一

    ○辻(第)委員 これらが再評価の対象となったのは、十年かかっても完成しない事例などであります。また、この間の海岸事業は、テトラポッドやコンクリート護岸、とりわけ垂直護岸など、砂浜保全や親水性あるいは景観の維持保全などに配慮したものとは言えない事業も数多くあります。  以前、朝日新聞のコラムで、太平洋岸に多い直立型堤防では、高さ八メートルの護岸が二重に延びる焼津港付近。日本海側に多い階段式堤防では、親水性を考慮したといいながらも、黒部市では一キロ以上も続き、画一的で殺風景である。また、コンクリート墓場と言われる消波ブロックが、加賀海岸の沖合百五十メートル付近に幅約百五十メートルの山を築くと書いています。さらには、波浪を砂浜海岸線近くの植物などが防いでいるのに、人工構造物優先の事業などが少なくありません。  そこで、大臣にお尋ねをいたしますが、海岸事業に関しても地域住民の参加や情報公開などの不十分さは他の公共事業と同様であります。海岸事業についても、一たん計画したから計画どおりというのではなく、見直しを積極的に進める、中止すべきは中止をする、工法や規模を思い切って見直すなどの対応をすべきではありませんか。  また、もう一点、海岸保全施設設置海岸環境保全に最大限の配慮を行うことが最大の課題ではないでしょうか。いかがですか。
  222. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先ほど局長も少し答弁しておったようでございますが、今、建設省では、あらゆる公共事業にわたりまして、その効率性であるとかあるいはまた実施過程での透明性の一層の向上を図るということで、再評価システムというものを先生御承知のように導入をいたしておりまして、これは学識経験者等から成る事業評価監視委員会設置いたしておりまして、その意見を尊重するということ、そしてまた評価の結果などもオープンに、積極的に公表をしておるわけでございます。  ですから、先生指摘のように、工法等において見直しを行うということもその中の一つでもございましょうし、あるいは継続することが妥当と認められない場合は休止、中止するということと現在もいたしておるところでございます。  そして、次の御質問ですが、環境に配慮した美しい海岸づくりを目指すということはもうこれは基本的な考えでございますから、環境と両立しないものは当然それは行わないということでございます。
  223. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ思い切った見直しをやっていただきたい、重ねて要望いたします。  従来の海岸法では、海岸管理は国の公物の管理として知事に機関委任され、住民に身近な市町村の参加はもとより、住民の参加の思想は皆無であったと思います。  今回の改正で、海岸保全施設整備に関する事項で政令で定めるものについて、公聴会等住民の意見反映措置が盛り込まれたわけでありますが、この立法趣旨についてお尋ねをいたします。
  224. 青山俊樹

    青山政府委員 住民参加の公聴会等を位置づけた趣旨でございますが、海岸保全施設整備を進めるに当たりましては、豊かで潤いのある質の高い国民生活や良好な環境を求めるニーズの増大等の最近の動きに的確にこたえることが必要になっているという認識一つございます。  また、施設整備につきましては、地域住民に密着しまして、関係住民の利害にも大きな関係を持つことがございますので、地域の意向を取り入れることが重要になってきているという認識がございます。  このため、今回の法改正では、海岸保全基本計画策定手続の一つとして、保全施設整備につきまして公聴会の開催等、関係住民の意見を反映させる措置を位置づけたところでございます。
  225. 辻第一

    ○辻(第)委員 そこで、大臣にお伺いをしたいんですが、公聴会等住民の意見を反映するための措置について必要な場合とされておりますが、しかし、せっかく住民の意思を反映する措置を入れられたのですから、実際の運用においては原則として公聴会等を実施すべきであると考えます。原則として公聴会等を実施するように対応していただきたい。御答弁をいただきたいと思います。
  226. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 それは、全く極端というとおかしいんですが、小規模な場合を除いて、私はもう原則そうすべきだと思います。
  227. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひよろしくお願いをいたします。  次に、海岸保全基本計画に盛り込まれる内容について、恐縮ですが、これも簡明にお答えをいただきたい。
  228. 青山俊樹

    青山政府委員 海岸保全基本計画は、広域な海岸を対象といたしまして、総合的な視点に立った海岸保全を行うために都道府県知事が定めるものでございます。  海岸全体についての海岸保全全般に関する事項と具体的な海岸保全施設整備に関する事項を定めるものでございまして、一つ海岸の概要、また海岸保全基本的な事項、例えば、特性の似通った地域ごとにゾーニングを行い、ゾーンごとに、例えば防護すべき海岸の範囲及び防護の目標に関する事項だとか自然環境保全の考え方だとか公衆の利用のための配慮事項だとか、また海岸保全施設整備に関する事項だとか、こういったものを記載する、こういうイメージでございます。まだ確定しているわけでございませんが、イメージとしてはそのようなイメージを持っております。
  229. 辻第一

    ○辻(第)委員 海岸基本計画は、海岸保全区域に関する海岸保全施設整備に関する事項、これは現行法の第二十三条に規定されている整備基本計画に盛り込まれている内容がこれに当たります。いわば各論です。一般公共海岸区域を含む海岸法で対象となる海岸全体に対する海岸環境整備保全利用に関することに触れた総論があるということだと思います。  それで、各論といいましょうか、海岸保全施設整備に関する部分は住民との関係が深いということで公聴会等の規定が入ったということのようでありますが、それなら、なぜ海岸保全基本計画全体について住民の意見の反映の仕組みをつくられなかったのか、その理由を教えていただきたい。
  230. 青山俊樹

    青山政府委員 海岸保全施設以外の環境利用というものも含めた海岸管理全般の問題について直接住民の意見等をなぜ聞かないのかということでございますが、保全施設以外の部分といいますと、これは規制の部分でございます。ここに貴重な動植物があるからここは車の乗り入れを規制すべきじゃないかとか、ここはやはり大いに利用する区域として考えてもいいんじゃないかといった部分でございまして、ここにつきましては、どれが貴重な植物なのか、どれが貴重な生物なのか、また、それがどこの範囲に生息しているかというふうなことを御存じなのは、むしろ学識経験者と申しますか、そういったことの専門家でございまして、また、利用サイド等も含めて利用環境の両方が頭に入っているのはその地区の市町村でございますので、この両者の方々の御意見を聞くのが適切ではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、学識経験者からの意見と、それから地域の総合行政を担う市町村長との意見を聴取する、それを地域の意見として考えるという手続になっているわけでございます。
  231. 辻第一

    ○辻(第)委員 せっかく住民の意見反映の措置を盛り込んでいただいたんですが、極めて限定的なものになってしまっているということで残念であります。その多くが自然海岸で残されている一般公共海岸区域、これについてどう自然や環境を守っていくかということは国民の大きな関心事ですね。この点で政府案は私は不十分さを残していると言わざるを得ないわけであります。  もう一度お尋ねをいたしますが、いかがですか。
  232. 青山俊樹

    青山政府委員 先ほどの答弁と同じになって恐縮でございますが、環境保全や公衆の利用といった事項につきましては、直接住民に意見を聞くよりは、むしろ、地先海岸地域住民を代表するとともに、地域の総合行政を担う者としての市町村長、それと、専門的な知見を有する者としての学識経験者からの意見を聴取することが適切ではなかろうかということでございます。
  233. 辻第一

    ○辻(第)委員 同じ御答弁が返ってきたわけですが、日本共産党は、海岸保全基本計画全体についても民意の反映が不可欠だ、このように考えております。さらに、海岸保全区域の指定についても同様であります。この点では、後に修正案を提起したいと思います。  今回の改正で、海岸環境保全が盛り込まれました。そこで伺います。我が国の海岸線は、海岸防護施設設置だけでなく、かつて高度経済成長の中でどんどん埋め立てられました。日本海岸線の延長は、建設省からいただきました資料によりますと、三万四千六百二十二キロメートルだそうでございます。  そこで、環境庁にお尋ねをいたしますが、自然海岸、半自然海岸、人工海岸はどれぐらいあるのか、また、それぞれ減少傾向にあるのか、増加傾向にあるのか、お答えをいただきたいと思います。
  234. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 環境庁では、自然環境保全基礎調査におきまして海岸調査を実施いたしております。一番直近では平成五年に実施したものがございますが、そこにおきましては、今先生お話しの自然海岸が約五五%、半自然海岸が約一四%、人工海岸が三〇%という現状となっております。  次に、増減状況でございますが、前回の調査昭和五十九年、ちょうど十年前でございます。この調査と比べますと、十年間で自然海岸は約三百キロメートル、一・四ポイント減少、半自然海岸は約四十キロメートル、〇・三ポイント減少、人工海岸は約六百五十キロメートル、一・七ポイントの増加となっております。
  235. 辻第一

    ○辻(第)委員 これまで海岸法は、津波や高潮、波浪などによる災害から海岸防護することに限定されていました。海岸保全区域以外の海岸は、国有財産法上の国有財産、すなわち法定外公共物として、財産管理という観点からの管理が行われているにすぎなかったのですね。それで、海岸に起こっていたいろいろな問題、砂浜の減少や消失、あるいはそういう自然海岸の減少、あるいは砂浜等への自動車乗り入れ、船舶の放置、ごみの投棄、自然破壊など、数々の問題を抱えてきました。これらの問題が今回の法改正で改善されるのかどうかについて、建設省環境庁に伺いたいと思います。  我が国の海岸線は、古来白砂青松という言葉で言いあらわされた砂浜あるいはリアス式海岸などの、景観環境面からかけがえのない財産だと思うわけでございます。今回の改正海岸環境保全が盛り込まれたことに関し、今後どのように保全を図っていかれるのか、建設省また環境庁にお尋ねをいたします。
  236. 青山俊樹

    青山政府委員 今回の法改正は、今までの防護だけではなくて、環境利用防護、調和のとれた海岸を形成し、将来の世代に引き継ぐという精神のもとに、目的から変わったわけでございます。  例えば、海岸保全施設整備に際しましては、海岸環境保全に十分配慮してやっていきたい。具体的には、例えば砂浜というものの存在は、これは環境面でも非常に大切ですし、利用面でも大切ですし、また防護面でも、波のエネルギーを吸収するものとして非常に大切な保全施設であるということから、海岸保全施設に入れて、それを法律上明定する、こんなこともやっておるわけでございます。  また、海岸管理者みずからが、海岸のすぐれた環境保全するために必要な規制等、例えば車の乗り入れとか、ウミガメの産卵地ところはそこを規制するとかいうふうな措置もできるわけでございます。  またさらに、海岸保全のための計画、これは基本計画でございます、知事が策定するわけでございますが、学識経験者や保全施設関係した住民等の意見も十分に反映してこれを作成していく、学術的な知見を持った者の意見も十分聞いて策定していくというふうにしているわけでございます。  さらには、国の基本方針というのを主務三省が出すわけでございますが、この場合は、環境庁とは法定協議を、法律に基づく協議をするということで、十分な連携を図ってまいりたい、かように考えております。
  237. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 環境庁におきましては、全国海岸概況を把握する自然環境基礎調査などを実施いたしますとともに、すぐれた自然の風景地などの海岸地域、またウミガメ産卵地を初めとする生物の重要な生息、生育地等につきましては、自然公園法に基づきまして国立公園などの地域指定を行いまして、保全のための措置として、車の乗り入れ規制、あるいは各種の行為規制、また海浜清掃など、地域の方々の御支援をいただきながら実施をしといったような、保全のための措置をとってまいったところでございまして、今後とも、我が国の海岸保全のために努力をしてまいりたいと考えております。
  238. 辻第一

    ○辻(第)委員 この砂浜保全というのは、やはり非常に大事だと思うのですね。ダムや堰堤建設による土砂のせきとめ、木からコンクリート文化への変遷による河川からの土砂採取などによって海岸線侵食され、約三万四千キロメートルにわたる海岸線は、その約二割にわたる六千八百キロメートルが既に侵食されております。多くの砂浜が消滅をし、消失しつつある。非常に重大な問題であります。  そういう点で、このような砂浜の消滅、消失、これに対して養浜といいましょうか、どのような対応をされるのか、簡単にお答えをいただきたいということと、それから、絶滅の危機にあるアオウミガメの保護にも砂浜保全というのは大事ですね。それから、野鳥の営巣地の問題などもあります。そのような意味での砂浜保全の問題。  そしてもう一点、砂浜として、鳴き砂海岸がございますね。全国にどのぐらい鳴き砂海岸があるのか、お答えをいただきたいと思います。
  239. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話がございましたように、砂浜が非常に大切な存在である、その砂浜を安定的なものにしていくためには、一つは、流域全体を考えた土砂の流れをとらえ、これは流砂系というふうな表現を使わせていただいておるわけでございます。それが海岸に来た場合の土砂収支バランスのようなものを全部総合的に考えなければいかぬだろう。また、環境基盤というお話もございましたけれども、そういった意味でも、砂浜という存在は非常に大切なものであるというふうに認識をいたしております。  その砂浜については、やはり養浜をするということもございましょうし、またヘッドランド等で岬のような部分をつくっておいて、そこで安定した砂浜になるというふうな形の、波のエネルギーを吸収しやすい工法をとるというふうな知恵も要るかと思います。  また、お話がございました鳴き砂海岸でございますが、私の記憶では全国で約三十余りかと思っておりますが、こういったところは海域の水質も陸域の水質も両方大切でございますので、そういった問題も非常にあろうかと思っております。  さらには、ウミガメ等の問題も出ましたが、利用環境との調和というのは、口で言うのは易しいんですが、なかなか現実には難しいわけでございます。例えば、そういった貴重な産卵場所があるところは、そこに利用のための施設は建てないとかいうふうな形の考え方は必要じゃなかろうかというふうに思っております。
  240. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ砂浜保全、鳴き砂浜保全に十分な対応をいただきたい、重ねて要望いたします。  それから、海岸への自動車乗り入れの問題でございます。京都府の久美浜など日本海沿岸でハマウツボなど希少植物が荒らされたケースや、ウミガメの産卵地、あるいは鳥の営巣地などに影響があったりしています。有効な手だてがなく、千葉県の九十九里浜では、県立自然公園であったがゆえに条例で規制が図られました。  今回の改正で、海岸法による規制が可能になった。海岸自然環境保護あるいは海岸利用者の安全確保の観点から、車の乗り入れ規制をどのように運用していくのか、お尋ねをいたします。
  241. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話ございましたように、今回の法改正で、海岸のすぐれた環境保全や適切な海岸利用を図るために必要な措置としまして、車の乗り入れを規制する区域を指定できるというふうなことになったわけでございます。  この区域の指定は、地域の実情等に精通した海岸管理者、知事になるわけでございまして、場合によっては市町村長になるわけでございますが、環境面や利用面等の海岸状況を踏まえて指定される、そして適正な海岸保全に資するというものであろうと考えております。
  242. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、環境庁にお尋ねをいたします。  海岸を汚染する原因一つに、ごみなどいわゆる海岸の廃棄物がございます。この中で外国から漂着するごみの問題でございますが、この実態を把握されているのか、お伺いをいたします。
  243. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  廃プラスチックなどの漂着ごみにつきましては、環境庁といたしましても、海洋において分解されにくいという特性がございまして、海洋環境中に当然ながら長期間存在する、そして、それが海鳥とかあるいはウミガメなんかに誤飲されましていろいろ悪影響を与えるということから、私ども、その実態把握の実施の必要性を痛感しております。  このために、環境庁としましては、平成九年度から廃プラスチックによる海洋及び海浜の汚染の実態把握を実施するための調査に着手しております。もちろん、これにつきましては、外国からのものも、あるいは国内のものも含めまして、どういう実態なのかということを今調査しておるところでございます。
  244. 辻第一

    ○辻(第)委員 一般公共海岸区域海岸法によって管理する法制度になった中で、いわゆるごみや海岸の廃棄物に関して海岸法で対応することが可能でしょうか。それとも、どのような法制度で対処できるのでしょうか。  この問題では、防衛大学の山口教授が、JSCEという雑誌で外国からのごみの漂着について投稿されておりますが、日本海側の海岸や奄美、沖縄などに多く漂着しているようであります。これは必ずしも海岸管理の問題だけではないのかもしれませんが、環境庁が調査を開始されていると伺っておりますが、その調査範囲はどうなっているのか。調査地点が全国に広がっていないなら早く拡大をしていただきたい、このように要望をしておきます。  また、レジンペレットの問題も生態系への影響が懸念されるまでになっています。こうした点で、海岸環境海岸管理という点で見ますと、環境庁など幅広い省庁、分野にわたって連携した対策なしに海岸環境保全はできないと思います。  そこで、建設省にお尋ねをいたしますが、ごみやレジンペレットなどの回収や処理などを含めて今後の対策を強化していただきたいと思うんですが、どのように対応されるのか、お尋ねをいたします。
  245. 青山俊樹

    青山政府委員 まず、海岸に漂着するごみの実態についてでございますが、これは先ほども御答弁させていただきましたけれども、まず十分実態調査をしていくことが大切だろうと思っておりますので、海岸管理者といたしましても、実態を把握するべく努力をするように努めてまいりたいと思います。  また、漂着ごみやレジンペレットの回収処理を含めて省庁連携が必要だというふうに考えておるわけでございまして、今回の法改正でも環境保全、また利用というのを目的に新たに位置づけたわけでございまして、そういった意味でも、海岸のごみ対策を私どもも、海岸サイドも推進していく必要があるというふうに考えております。  ほかにもごみ対策を所管されている機関また省庁があるわけでございまして、連携を密にして、また情報交換を密にしながら、その実態把握また対応策に努めてまいりたいと考えております。
  246. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、海上保安庁にお尋ねをいたします。  海岸において漂着ごみよりももっと深刻な問題になるのが、海岸に放置された座礁船の問題ではないかと思います。座礁船の状況、放置外国船の状況についてお尋ねをいたします。
  247. 久保田勝

    ○久保田説明員 お答えいたします。  海上保安庁が把握しております放置外国船舶は、昭和六十一年に沖縄県の浦添市沖に座礁したパナマ船を含めまして、沖縄県に二隻、鹿児島県に二隻、大分、静岡及び北海道に各一隻の七隻でございます。国籍別で申しますと、パナマ三隻、ベリーズ二隻、ロシア及びシンガポール各一隻となっております。
  248. 辻第一

    ○辻(第)委員 今海上保安庁から御説明をいただいたように、古いものは昭和六十一年に沖縄浦添市沖の貨物船から最近の奄美大島での冷凍運搬船まで、七隻の放置外国船があるということでございます。  海岸法で船舶の放置等ができなくなりますし、簡易代執行ができるようになりますが、それだけで問題は解決いたしません。所有者がだれか、費用の負担をどうするのか、対外的対応など種々の問題があります。自治体が撤去のため億単位の負担をする事例さえあったと聞いています。  今回の改正により、放置座礁船、とりわけ外国船舶についてどのような対処をされることになるのか、お尋ねをいたします。
  249. 青山俊樹

    青山政府委員 放置座礁船につきまして、今回の海岸法海岸管理者が対応することが可能になるわけでございます。この場合は、海岸に放置されたという条件がつくわけでございますが、海岸管理者は原則は知事でございます。市町村よりは財政力の豊かな知事でございまして、この知事であります海岸管理者が、対象となる区域内に放置されている船に対しましては、無許可占用または放置禁止違反として除却命令が可能だ、今先生指摘のとおりでございます。  また、命令を行ってもなお除却されない場合には行政代執行できる、これも御指摘のとおりでございまして、相手が確知できない場合には簡易代執行を行い、迅速な原状回復が可能であろう。状況に応じて、放置船に対する罰則の適用、また、原因者施行や原因者負担の制度により原状回復を図ることも可能でございます。  また、非常に費用負担が大きいわけでございますが、市町村に比べればまだ県の方が、海岸管理者としての県の方が財政状況はしっかりしていると申しますか、ということでございますので、少しは市町村の負担は軽減されるというふうに御理解いただいてもいいんじゃないかと思います。
  250. 辻第一

    ○辻(第)委員 今局長からの御答弁があったんですが、重ねて大臣にお尋ねをいたします。  この放置外国船に関しては、簡易代執行制度の適用が可能としても、最終的に地方自治体の負担が生じることがあるわけでございます。こういうことを含めて、国の協力や支援措置が本当に必要ではないか、このように考えるのですが、いかがでございますか。
  251. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 これは、いろいろ今日までマスコミなどでも報道もされたケースも多々あるわけでございますが、その原因者といいましょうか、その責任者がはっきりしております場合には、外交ルートも通してきちっとその撤去のための費用もまた請求することができるんでしょうけれども、あるいはまた保険等も受け取ることができるんでしょうけれども、放置された船というのは、どういいましょうか、なかなかそういう原因者、また所有者も、台帳で調べていっても、実際に登録されていない船会社であったりとかいうようなことがあって、大変これは本当に困っておる現状でございます。  ただ、今回から代執行ができるようになりましたので、簡易代執行で、スクラップとして売却代金とその費用を相殺するということになるわけでございますが、スクラップ代金ではその費用が賄い切れないという場合が現実でございますので、自治体に少なからぬ負担がかかるということでございます。ただ、地方財政も大変なときでございますから、関係省庁とそういう場合には協議をいたしまして、どのような援助の方策があるかというようなことは検討してまいりたいと考えております。
  252. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ、その地方自治体などへの御対応を十分にやっていただきたい、重ねてお願いをいたします。  放置外国船と同じように深刻な問題は、油濁事故、油の漂着の問題でございます。  昨年でしたか、ロシアのタンカーの事故によって日本海沿岸地方に深刻な影響を生じました。この問題も事柄の性格から、その対策について、海岸管理者のみならず、海上保安庁その他関係機関を含めた対策なしに問題は解決をしないと思います。この問題についても、十分な対策措置をとっていただきたい。時間がありませんので、これは要望をさせていただいて、次に行きます。  次に、沖ノ鳥島の直轄化に関して伺います。  沖ノ鳥島の直轄による海岸の維持管理は予算が二億円計上されておりますが、国として、どの機関が所管し、どのように維持管理をするのか、お尋ねをいたします。  それから、本土から千七百キロも離れた島でございますので、そのチェックだけでも容易ではないと思います。沖ノ鳥島は我が国の経済水域にとっても重要な島でございますので、慎重かつ十分な対応をいただきたい。お尋ねをいたします。
  253. 青山俊樹

    青山政府委員 沖ノ鳥島につきまして、具体的にどの機関がどのような管理を行うのかというお尋ねでございますが、具体的には、関東地方建設局というのがございまして、そこの京浜工事事務所が担当するということになろうかと思います。そういった形での直轄管理を実施するわけでございまして、その維持管理におきましては、護岸等の点検を周到実施しながら必要な調査を行いまして、慎重に、また万全を期してまいりたい、かように考えております。
  254. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、もう時間がありませんので、要望だけして終わりたいと思います。  このように見てまいりますと、従来の海岸防護という狭い対策から、対象になる海岸も規制や対策も拡大されます。単に手放しで喜んでいられないのではないか、このような気持ちを強く抱くのですが、海岸管理の経費の問題などをどうするのか、地方交付税による措置なのか、直接何らかの財源措置をするのか、先ほどこういう関連のことをお尋ねしたわけですが、海岸法施行に向けて、今後の十分な対応なしには海岸法改正の所期の目的を達することはできないと思います。どうかひとつ政府は十二分の対応をしていただきたい、このことを最後に要望して、終わります。  ありがとうございました。
  255. 平田米男

    平田委員長 中西績介君。
  256. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間も大変短いし、さらにまた、午前中からずっと同僚議員の討論の中でも多くの問題が出されておりますので、重複する部分もあると思いますが、基本的なものだけを取り上げまして、お聞きしたいと思います。  現行の海岸法については、災害によって被害があったときに海岸防護をするための目的でつくられた法律でありますけれども環境利用が今度は加わるわけでありますから、従前、海岸法の適用されなかった国有海岸を一般公共海岸区域として管理することになるわけでありますけれども、今まで海岸防護を主たる目的としていた海岸事業から、先ほどからありますように、調和のとれた海岸管理が望まれるということが言われています。  そうなりますと、それぞれの主務省庁において今後どのような施策の転換を図っていくのか、こうした問題についてそれぞれお答えいただきたいと思います。
  257. 青山俊樹

    青山政府委員 現行の海岸法は、津波や高潮等被害から海岸防護するために必要な海岸保全施設整備を行うことを主たる内容とするものでございまして、良好な海岸環境保全を求める社会の要請や海岸利用に対する人々のニーズの高度化、多様化に十分対応できていないという認識のもとで、今先生お話がございましたように、環境利用というのが目的に入ったわけでございますが、海岸保全施設整備に際しましては、海岸環境保全海岸の適正な利用状況に十分配慮して行おうということでございます。もう少し具体的に申し上げますと、砂浜というものを非常に大切にした海岸保全施設整備をやっていこうということでございます。  また、海岸管理者みずからが海岸のすぐれた環境保全や公衆の適正な利用を確保するために必要な規制等を行えるように措置するということも、今回の法律で可能になるわけでございます。  また、海岸保全のための計画につきましては、学識経験者や関係住民等の意見を十分反映して策定するというふうなことも実施するわけでございまして、防護だけではなくて、防護環境利用の調和のとれた海岸を形成する、これを将来の世代に引き継ぎたいというふうに思っております。  繰り返しになりますが、これで防護の色は薄くなるというわけでは決してございませんで、むしろ砂浜というふうなものをキーワードにいたしますと、これは、防護に対しても非常に重要な存在であり、また、環境利用面にとっても非常に重要な存在であるというふうに考えております。
  258. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 農地海岸について申し上げます。  農地海岸は、御承知のとおり土地改良事業等によりまして堤防をつくります。その後背地における国民生命の防護とそれから優良な農地、これを守っていかなければいけないということで、土地改良施設連携を保ちながら海岸事業を実施しているところでございます。  とはいえ、やはり海岸地域住民が海と触れ合うところでございますので、近年の事業実施に当たりましては、環境利用という側面も相当取り入れてきております。環境という点で申しますと、人工リーフをつくる、あるいは緩傾斜護岸にいたしまして面的防護をする。それから、遊歩道をつくったりあるいは休憩所をつくるというふうなこともそれぞれ力点を置いてきておりまして、何らかの形でそういった環境利用という面に配慮をした事業の地区数というのは四分の一ぐらいに上っているわけでございます。  今回、この法律改正によりまして環境利用ということがきちんと位置づけられますと、これが有力といいますか強力なよりどころにもなりますので、私ども、これまで進めてきたこと以上に環境利用という点につきまして、関係省庁とも連携の上、力点を置いていきたいというふうに考えております。
  259. 中須勇雄

    中須政府委員 水産庁の所管しております漁港海岸は、当然のことでございますが、背後に漁村があるということでございまして、漁村住民の生活の場であるとともに、海水浴など海洋性レクリエーションの場としても利用されているということがございます。それから、漁港があるということは、当然近くに水産動植物生息に適した漁場あるいは好漁場がある、こういうことでございまして、同時にまたすぐれた自然環境を有する場所も多い、こういうような特徴もございます。  こういったことを背景にいたしまして、私ども、これから特に、利用面では、漁村の生活環境の向上だとか、あるいは都市住民の憩いの場づくり、こういうものに資する整備を進めるというようなことが一つ。それから、環境面につきましては、水産資源の増殖、保全に配慮した整備を進める、こういうことを重点の一つとしてきまして、漁港整備だとかほかの水産振興施策と一体となった海岸整備に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  260. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 私どもが所管をしております港湾区域等の海岸の背後というのは、御承知のとおり、人口とか資産が非常に稠密に集積しているところでございまして、また、生産とか生活等の諸活動に利用されている海岸でございますので、非常に重要な海岸だというふうに認識をしているところでございます。  そのため、海岸事業に当たりましては、従来から十分な防護を図ることはもちろんでございますけれども、エコ・コースト事業とか、面的防護方式等を導入いたしましたいわゆるふるさと海岸整備事業など、環境面や利用面に配慮した整備は行ってきたところでございます。  このたび、海岸法目的に、防護に加えまして環境とかあるいは利用というものが位置づけられましたことによりまして、今後の海岸整備につきましては、海岸自然環境や人々の利用に十分配慮した白砂青松の海岸づくりや、背後地域の生活環境の改善に資する海岸づくりなど、そういったものを大きな柱として推進してまいりたいというふうに考えております。
  261. 中西績介

    ○中西(績)委員 今のお話をずっと聞いておりまして、内容的に従来、昭和三十一年この法が制定されて以降、いろいろ条件的なものがたくさん出てきたということもあって、このような海岸管理検討委員会の出された提言等を受けて、こうした法律をということになったわけであります。  そうなってまいりますと、私は、もう一つは、先ほどから論議される中で出てきておりましたように、今度は昇格をします環境省とのかかわりをどのようにしていくかということで、先ほど環境庁の答弁をお聞きしておりますと、特定のところをいろいろ挙げて具体的に言っておりましたけれども、そうした問題だけでなしに、総合的にこれからどうするかという問題になってくるだろうと思っています。  そこで、大臣にちょっとお聞きをしたいと思うわけでありますけれども、それは、この海岸行政が、今、四省庁からいろいろお聞きしましたけれども、今後のあり方はさらに複雑化していくであろうということを考えなくちゃならぬと思うんですね。  そうなってまいりますと、運営上、それぞれの縦割りの今までの行政から横断的なものをどうしていくか、こうした問題で、今度行政改革でまたそれぞれが各省庁の枠組みの中で引き合いをしたりいろいろなことをやっておったようでありますけれども、そうしたことがこれから後、本当に行政としての十分な成果を上げ得ることになるだろうかということを考えたときに、私はこれからの海岸行政、事業というものについて一元化する必要があるのではないかということを感じるわけでありますけれども、現状をとらえ、将来展望をどう持つかということをお考えいただいているかどうか、お聞きしたいと思います。
  262. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 海岸保全だけの観点から見ますれば、事業が各省庁に分かれていることは必ずしも好ましいものであるとは考えてはおりません。例えば、過去には海岸の堤防の高さが食い違っていたために問題が起きたというようなこともあったようでございまして、今回私もそういうようなことも感じないこともなかったわけでございますが、しかし、海岸事業でもやはり水産庁、農林省、それから建設省、運輸省、やはりいろいろ違うわけでございまして、建設省の担当の者に、じゃ、運輸の港湾をあなた担当できるかと言うと、やはりちょっと内容、性格、目的等々が違うから、なかなか今直ちにというわけにはまいりませんというような答弁もございました。  そういうようなことでございますから、現時点におきましてはこの四省庁が十分に連携をとっていく。その過程において、その中に例えば環境庁がまた入っていろいろなことを考える。先ほど海外からのごみの問題等々もあって、また外務省とも関係もあるかもしれませんが、そういうふうに連携を十分にとり合っていくということでやるべきではないかなと私は考えておるわけでございます。  それで、とにかく基本方針は主務大臣が共同で策定をいたしまして、そして今度は都道府県がつくります計画によって市町村への管理の権限移譲等も行うこととされるわけでございますから、そういうようなことで、現地の方が一番そのことはまた御存じでもございましょうから、海岸行政がそれで円滑に推進されるんではないかというふうに思っておるところでございます。
  263. 中西績介

    ○中西(績)委員 これから財政がますます厳しくなってまいるわけですから、そうなってまいりますと、今、今度の新しい法律で目指しておる分野について、従来型のもの、いろいろそれぞれの省庁にはあるわけですね、他のものもあるわけですから。これに向けてどう予算化していくかという問題等もたくさん出てくると思いますね。  そのときに、少なくともやはりどこかが統括をしてやるということぐらいしないと、それぞればらばらの形でまた依然としてやっておるということになってまいりますと、何のためのこうして法律を新たにということになってくる可能性だってあるわけであります。行政組織のあり方について私は専門じゃありませんから、どこがどういうふうにするかわかりませんけれども、ここいらをやはり一定の方向性なりなんなりを十分検討していく必要があるんじゃないかと私は思っています。  ですから、今、先ほど出ましたような海岸管理検討委員会、四省庁でやって、それに沿ってみんな、こういうものをつくり上げていこうとしたわけですね。そのときの、これから行政組織そのものがどういう格好でやるのが一番効果が出てくるのか、能率的にできるかという問題等を含めて、これは財源が伴わなければ余り大きな問題じゃないんですよ。財源が伴うものですから、それぞれの省庁の囲い込みというのはまた出てくる可能性があるわけですから、こうした問題について検討する意思があるかどうか、お聞かせください。
  264. 青山俊樹

    青山政府委員 海岸関係の行政の一元化の議論でございますが、海岸というものを考えますときに、確かに、海岸の例えば堤防の高さを決めようというふうなときは海岸担当者が一元化していた方が、同一の者でやった方が早いわけでございますが、一方、海岸の中には港湾区域、漁港区域、干拓堤防というものがあるわけでございます。そうすると、例えば海岸管理者は全部建設省だ、こうしたときに、港湾区域の中にいらっしゃる人々にとってみたら、ある土石の許可を受けようと思ったときに、港湾管理者の許可も受けなきゃいかぬ、また海岸管理者の許可も受けなきゃいかぬ、二重手間になって、両方の者に許可を受けなきゃいかぬというふうな、地域住民にとってはまたマイナスの不都合も出てくるわけでございます。  そういった形で、必ずどこかで、港湾なら港湾区域の中に住んでおられる方のことを考えれば、それは一人の港湾管理者だけにきちっと話をすればいいという状態の方が望ましいわけでございますし、また海岸という、海岸堤防の高さみたいなものを考えますときには、海岸管理者海岸管理者で同一の者の方が望ましい、どこかで切らなきゃいかぬわけでございます。  いずれにしましても、今の体制のもとで、先ほど大臣からお話ございましたように、連絡を密にしながらやっていく、そして有機的な連携を保っていくということが必要じゃなかろうかと思っています。事実、この海岸法改正におきましても、主務省庁でございます四省庁が足並みそろえまして、私どもが昨年度は当番省だったわけでございます、そういった意味で、今こういった審議も私どもがいろいろと段取りさせていただいたわけでございます。逆に、今年度からは農水省さんの方が当番でございまして、またそれはそれでいろいろな展開が図れるという格好での有機的な連携を保ちながらやっていっているところでございます。
  265. 中西績介

    ○中西(績)委員 これから後、だんだん横断的なものが多くなる可能性だってあるわけですし、こうした問題についてのあり方はぜひ検討していただいて、財政困窮の折でありますから、最も効率的にやらなくちゃならぬという観点から検討していただきたいと思います。  それから次に、このように環境利用を加えて法改正するのはもう当然のことでありますけれども、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、防災上必要とされておる海岸保全施設整備、まだ十分だとは言い切れない面もあるわけですね。特に、近年著しく海岸侵食が進んでおると言われておりますし、今後の対策上、特徴的なものについてお聞きをしたいと思います。  と同時に、一般公共海岸区域海岸保全区域に変更してでも一層の推進を図る必要があるのではないかという気がするんですけれども、こうした問題についてお答えください。
  266. 青山俊樹

    青山政府委員 日本海岸線の延長が約三万五千キロでございますが、このうち防護が必要とされる海岸保全区域が一万四千キロ、また一般公共海岸区域もほぼ同じ一万四千キロメートルでございまして、この一般公共海岸区域につきましては、特に海岸保全施設整備が必要ではなく、自然の状態であっても被害を受けるおそれが少ないと判断されている区域でございます。これにつきましては、今後の侵食状況の変化などを見ながら、必要が生じた場合には海岸保全区域に指定する場合もあり得るわけでございます。  一方、海岸保全区域という、こちらの方を着目いたしますと、七カ年計画等によりまして整備を進めているところでございますが、未着手の区間や、何らかの施設があっても整備水準が不十分な箇所も非常に多く残っておりまして、まずは、一般公共海岸区域は自然の状態にしておいて、海岸保全区域についての整備を重点的に行っていくというふうに考えております。
  267. 中西績介

    ○中西(績)委員 従来型のものでなしに一般になるわけでありますから、これからのあり方としては、先ほどからの答弁の中にもありますように、砂地あるいは海浜としてのあり方が問われるわけでありますから、こうしたところにやはり相当の、手を入れるということがいいかどうかは別にしまして、相当の関心を持ち、これから進めていくというその中身が、表現として、私は、今まで予算化していったと同様に、そういうところもやはり見ていく必要があるのではないか、こういうことを考えての話でありますので、こうした点もぜひ検討しておいていただきたいと思います。  時間がもう余りありませんから、もう一点。  一番問題はやはり、海岸保全整備に関する基本計画については、今まで都道府県知事で定めておられましたけれども、今度の改正案では主務大臣基本方針を定めなければならない。この点については、さっき答弁の中でも三点にわたって基本的なものを述べておられました。このことはわかりますけれども、ここいらが、何だかんだ言っても、今までの傾向からすると、権限強化というものが私はすぐ反射的に発想するわけでありますけれども、この点はこれからどうなっていくのか。  この点と、もう一つは、基本方針につきましては範囲あるいは基準等が法に明定されておりませんが、海岸法ではいろいろな基準というものが明定されておりました。したがって、これらにつきましても、今後、長期かつ基本方針であるがゆえに、いろいろな人の意見を聞くなりあるいは多くの人の意見を反映させた上で、こうしたものについての方針を練り上げていく必要があるのではないかと思っています。  こういう方針をつくるに当たって、この海岸管理検討委員会、あるいはこれを見ますと二十一世紀云々ということになっていますね。海岸長期ビジョン懇談会だとか、いろいろなものがこういうふうにたくさんあるようでありますけれども、これらをやはり整理すると同時に、どのように多くのそうした結集されたものをつくり上げていくか。と同時に、先ほど一問に申し上げたように、国の権限だとかそういうもので固定化したりあるいは強制するものでないということをやはり明確にしておく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、この点どうでしょう。
  268. 青山俊樹

    青山政府委員 まず、基本方針をこの法律に明定するということが、決して国としての権限をふやすというふうな発想ではございませんで、むしろ、国の考え方を通達等で知事等にお知らせするというふうなやり方ではなくて、法律的に明確な位置づけを持った方針として国が定めるべきである、これは地方分権推進委員会でもそのような議論があったわけでございますが、決して国の権限を強化するものではなくて、むしろ役割分担明確化する、はっきりとさせるということが大切でございます。そういった流れの中にのっとった措置でございます。  また、技術基準等につきましては、きょうのいろいろな質疑でもございましたように、海岸の技術というのは、日進月歩と申しますか非常に複雑なものでございますので、その基準を絶えず見直していく必要があるだろうというふうに考えておりますし、また、海岸保全基本方針やこの技術基準の策定等に関しましては、学識経験者等の御意見を積極的に、また謙虚に聞いてまいりたい、かように考えております。
  269. 中西績介

    ○中西(績)委員 都道府県知事が、第二条の三の五項にありますように、海岸保全基本計画策定に当たりましては、必要があると認めたときに、あらかじめ公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない、こうありますが、関係海岸管理者が必要があると認めるときだけ措置されることになっておるようでありますけれども地域住民の参画あるいは情報公開を推進して、むしろ積極的に必ず措置すべきである、これくらいの規制をしてでも住民なりなんなりの要求をちゃんと組み入れるということをやはり考えるべきではないかと思うんですけれども、この点についてどうでしょう。
  270. 青山俊樹

    青山政府委員 海岸管理者が必要あると認めるときに限定して住民の意見を聞くということではないかというお尋ねでございますが、逆に限定しないこととした場合には、どんなに小さな、軽微な計画変更等の場合にも、すべて関係住民等の意見を反映させるために必要な措置をとらなきゃいかぬということが法律上の義務になってくるわけでございます。  実際上の策定に当たりましては、海岸保全施設整備につきまして、ごく小規模な場合等を除きまして、原則として公聴会、説明会の開催等を実施いたしまして、関係住民の御意見を適切に把握してまいる所存でございます。
  271. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、この種問題については、今までのいろいろ多くの住民から意見を聞くというそのやり方にはいろいろな形態があったと思うんですね。そうしたときに必ず問題になるのは、一方的に指名された人だとかそういう人たちの意見を聞くというようなものが余りにも今まで多過ぎたわけですよ。ですから、公聴会なら公聴会でも、その任務を果たしていないあるいはちゃんと多くの大衆の意見を代表するものでないという、限定されたものになっていったという傾向があるから私は申し上げておるわけです。  ですから、意見集約あるいは情報公開等についても、いろいろやはり考えた上で、どういうふうにすれば一番最もそうしたものを集約できるかというあり方を、この種問題だけでなしに行政全般についても言えるんじゃないかと私は思うんでありますけれども、こうした点についてこれからの検討が私は大変重要だろう、そのことが、今後の行政のあり方を決定づける大きな、開かれておるかどうかという問題とあわせて大変重要だと思いますので、これらについての検討をぜひやってほしいと思いますが、御意見あれば。
  272. 青山俊樹

    青山政府委員 地域住民の方々の御意見等に耳を傾けて、また実現可能なものは実現していくというスタンスは私ども常に持ち続けていきたいというふうに考えております。
  273. 中西績介

    ○中西(績)委員 あと一問だけ。  市町村管理参画の中で、改正案の五条六項に、市町村長海岸管理者との協議に基づいて、当該市町村区域に存する海岸保全区域管理の一部を行うことができるものとするとありますけれども、当該市町村がこれからどのような管理をするということを想定しておるのか、この点について。
  274. 青山俊樹

    青山政府委員 例えば、イベントや海水浴場利便施設占用許可などの日常的な海岸管理を担当されることを想定いたしております。
  275. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間が参りましたので、終わります。
  276. 平田米男

    平田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  277. 平田米男

    平田委員長 この際、本案に対し、中島武敏君外一名から、日本共産党の提案による修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。中島武敏君。     —————————————  海岸法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  278. 中島武敏

    ○中島委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました海岸法の一部を改正する法律案に対する修正案について、提案理由及びその要旨を申し上げます。  海岸法の一部を改正する法律案は、海岸保全区域以外の海岸の適切な管理、白砂青松と言われるように豊かな自然環境を有する海岸環境保全等を図ることを目的改正されたものであり、海岸保全施設整備に関し住民の意見を反映させるための公聴会等の開催、一般公共海岸区域の創設、海岸保全のための海岸の汚損行為の禁止や違法行為に対する対応などの制度が新設され、海岸の総合的管理を可能とするものであり、今後の海岸管理に有効な改正であります。  しかし、今回の改正海岸に対する住民参加の道が開かれたものの、まことに残念ながら、それは海岸保全施設整備に関する事項のみに限定され、海岸整備保全にとって密接不可分の関係をなす海岸保全区域の指定、海岸保全基本方針海岸保全基本計画については住民参加の制度が盛り込まれておりません。  今こそ、今回の改正で盛り込まれた住民参加の道を、ごく一部の場合にとどめることなく、海岸管理の諸制度に広げることこそが、今回の改正をより有意義なものとする方途であります。  日本共産党は、こうした立場から修正案を提案するものであります。  次に、修正案の要旨を申し上げます。  第一に、海岸保全基本方針を定める手続として、新設する海岸保全審議会の意見を聞かなければならないこととしております。  第二に、海岸保全基本計画を定める場合の手続に関し、海岸保全施設整備に関する案を策定する場合における公聴会の開催等の措置を義務化いたしております。また、海岸保全基本計画を定める場合、公聴会等の開催、あらかじめ案を公告縦覧、意見書の提出、都道府県海岸保全審議会の意見を聞く等の制度を新設しております。  第三に、海岸保全区域の指定、廃止についても、海岸保全基本計画を定める場合と同様の手続を新設しております。  第四に、建設省海岸保全審議会、都道府県都道府県海岸保全審議会を設ける規定を新設しております。また、あわせて、情報公開の徹底を図っております。  以上、慎重審議の上、速やかに可決されますようお願い申し上げ、提案理由及び要旨の説明といたします。
  279. 平田米男

    平田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  280. 平田米男

    平田委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  海岸法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、中島武敏君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  281. 平田米男

    平田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  282. 平田米男

    平田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  283. 平田米男

    平田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、佐田玄一郎君外五名より、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。佐田玄一郎君。
  284. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 ただいま議題となりました海岸法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     海岸法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。  一 海岸保全基本方針策定に当たっては、海岸環境の重要性にかんがみ、環境庁との連携を密にし、その保全に特に努めること。また、海岸保全基本計画策定に当たっては、地域の実情に即した海岸管理がなされるよう十分配慮すること。  二 関係海岸管理者が、改正後の海岸法第二条の三第五項に規定する海岸保全施設整備に関する案を作成しようとするときは、関係住民の意見を反映させるため、原則として、あらかじめ公聴会の開催等に努めるよう指導すること。  三 離岸堤等の海岸保全施設に係る整備事業の実施に当たっては、海岸環境保全に配慮しつつ、効果的かつ効率的に行うこと。  四 市町村が行う海岸管理については、当該市町村における適切な管理が確保されるよう努めること。また、海岸環境保全観点から影響の大きい油濁の回収、放置船の撤去等についてもその早期解決のため所要の対策を講じるよう配慮すること。  五 主務大臣による海岸保全区域管理に係る海岸の指定については、地方分権の推進に逆行しないよう、改正後の海岸法の規定による要件に即し、必要最小限の海岸に限るものとすること。なお、沖ノ鳥島については国土保全上きわめて重要であることにかんがみ、速やかに指定し、その保全に万全を期すこと。  六 海岸環境整備保全及び公衆の海岸の適正な利用を図るため、創設された一般公共海岸区域の制度について地方公共団体及び国民への周知徹底を図ること。  七 河川等からの土砂が適切に海岸供給されるよう、総合的な土砂管理対策を強力に推進すること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げる次第であります。
  285. 平田米男

    平田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  286. 平田米男

    平田委員長 起立総員。よって、佐田玄一郎君外五名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、関谷建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。建設大臣関谷勝嗣君
  287. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 大変ありがとうございました。海岸法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました関係省庁の連携による海岸環境保全関係住民の意見の反映、市町村が適切な海岸管理を行うための配慮等の課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。(拍手)     —————————————
  288. 平田米男

    平田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  289. 平田米男

    平田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  290. 平田米男

    平田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十六分散会