○
鉢呂委員 環境庁から、
環境を重視してあるいは重点、あるいは
防護、
利用は二次的なものだという御発言はなかったわけであります。
大臣、私も一回講師を呼んだ勉強ですから、必ずしも完全でありませんけれ
ども、こういう考えもある。東大の磯部教授という方がおりまして、私
ども一日勉強させていただきました。そこで言われておりますのは、
海岸において、人間が全くつくりかえることは不可能だという
意味で、先ほ
どもちょっと話があったのですけれ
ども、
一つの
環境基盤というものがある。
それは、今も
お話ししましたけれ
ども、
海岸においてはさまざまな動
植物が
生息をして、あるいは人間の安全にも
影響を与えるものとして
海岸というものがある。しかし、その総体を
環境基盤としてとらえて、これを全くつくりかえて人工的にするということでなくて、その中に三つの大きなカテゴリー、さっきも
お話ありました生態、これは
環境と言ってもいいかもわかりません、生態、そして今言っているように
防護と
利用という三つのカテゴリーを質的に高める。
ある面では、
防護を高めれば
環境にはマイナスになってきますけれ
ども、
環境基盤全体としては質的にも量的にも高まるんだという手法をぜひ見つけていく必要があるということで、例えばの話ですけれ
ども、今回も
砂浜というのを
海岸保全施設ということで入れ込んであるのですけれ
ども、
砂浜というものを安定的につくっていく必要がある。
僕らが考えたら、
砂浜というのは自然だから、
砂浜をつくっていくという考えに少しなじめない面もないことはないのですけれ
ども、
砂浜というものを安定的につくっていけば、例えば
一つは、
砂浜には特徴的に生態系が形成される。例えば、二枚貝だとか底生生物が
生息をして、魚類等が産卵、ふ化する、そういう
ところができる。それから防災面では、
砂浜によって波が来るエネルギーが減殺をされて、したがって危険水域が軽減される。それから三つ目として、
砂浜が人間のレクリエーションの
区域として、
利用という面から出てくる。そういうものとして
砂浜というものをとらえれば、ある面では、
環境基盤としては全部プラスになっていく。
防護というものも、
砂浜によって
防護されるというふうなことを
一つ言っています。
それからアメリカでは、
沿岸域の
管理法というのが発達をしていまして、いろいろな州法もありますけれ
ども、
沿岸域の
管理法の中にはっきりと、現在とこれに続く世代のために
沿岸域の資源を
保護、保存、開発という
ところがいわゆる
防護に関する
ところなんですけれ
ども、開発、修復、増強するものとしてこの
沿岸域を
管理する、この
目的達成のために、生態、文化、歴史、
景観、そういったものの価値及び経済的な開発需要を十分考慮して
沿岸域管理計画を
策定するという
法律の
目的をつくっています。
その
管理計画の中には六つぐらい書いてあります。
一つとしては、
沿岸域における自然資源の
保護。それから二として、
災害危険度の高い
地域の開発をどのように進めるか。開発の
管理という言い方をしています。それから三つ目としては、海ですから、当然水質
保全というものが生まれますから、水質
保全を考えた開発の
管理。それから四つ目としては、
利用のための開発をするんですけれ
ども、その優先度の順位づけをどのようにするのか、そこも大きな
計画に入れ込む。それから五つ目は、大
規模施設を立地するための手続、これも
整備をするんだ。それから六つ目ですけれ
ども、ウオーターフロントの再開発と歴史、文化、
景観の保存というようなことを
基本計画に入れ込めという形でずっとやってきておるということであります。
先ほど
土砂収支のバランスという言い方をしていました。これもこの磯部教授が、
日本でも、静岡県の静岡
海岸がこういう形でずっと
調査をしておりまして、今までは
侵食という形でずっと続いてきましたけれ
ども、静岡
海岸は砂利を採取するという年代がずっと続きまして、したがって
海岸に砂を運ぶということが極端に減った。それをやめて、逐年のデータをとっておるのですけれ
ども、最近は砂の
供給はされてきて、トータルとして砂がふえている。河口付近だけでなくて、一定の
海岸の
区域をとって、ふえてきておるというようなデータも
出した。
先ほど
局長も言いましたけれ
ども、
計画流砂量、それをいわゆる
計画的にさせるには、
土砂収支のバランスをきちんとさせること、そのためのきちんとした
調査というものをしながら、流域単位といいますか、
一つの砂の流れの単位ごとにそこを
調査して、何も
上流の
土砂がどんどん流れればいいというものでもない。
海岸でどれだけの
土砂の流入、砂の流入が必要かというものを割り
出しながら、そのための
河川のかかわりをやっていく。多く出てくるのであればバラスというか
土砂をとってもいい、採取してもいいし、最近はだんだん蛇行する川がなくなりましたから、ある面では大きな砂利が海まで流れていくというような逆の
被害も出ておるわけでありますけれ
ども、そういったものをきちんと科学的に検討して、その中で
海岸保全というものを考えていけば、全部が全部エロージョンというか
侵食されることではないのだということを言っておるわけでありまして、これは
河川審議会の
委員会で検討はされているのです。
去年、一定の方向は
出しているのです。しかし、必ずしも
建設省はそれを積極的に取り上げるということでない答弁も先ほどされていまして、もう少しやはりそこの
ところについて、積極的な
研究なり検討というものを私は進めるべきではないか。
大臣にそこを、細かいことはいいです、そういう検討をもう少しきちんとやりますという
ところの御答弁を願いたいわけであります。