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1999-02-10 第145回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月十日(水曜日)     午前十時開議   出席委員    委員長 平田 米男君    理事 佐田玄一郎君 理事 谷畑  孝君    理事 原田 義昭君 理事 宮本 一三君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君       飯島 忠義君    岩永 峯一君       大野 松茂君    小林 多門君       阪上 善秀君    田中 和徳君       玉沢徳一郎君    西川 公也君       蓮実  進君    松本 和那君       宮腰 光寛君    目片  信君       山本 有二君    石井 紘基君       田中 慶秋君    畑 英次郎君       平野 博文君    山本 譲司君       長内 順一君    西野  陽君       辻  第一君    中島 武敏君       中西 績介君  出席国務大臣         建設大臣         国務大臣         (国土庁長官) 関谷 勝嗣君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       久保田勇夫君         国土庁計画・調         整局長     小林 勇造君         国土庁大都市圏         整備局長         兼国会等移転審         議会事務局次長 板倉 英則君         国税庁課税部長 森田 好則君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    小川 忠男君         建設省建設経済         局長      木下 博夫君         建設省都市局長 山本 正堯君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省道路局長 井上 啓一君         建設省住宅局長 那珂  正君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第三局長  大和 顕治君         参考人         (日本道路公団         理事)     黒川  弘君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  島崎  勉君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  今泉 浩紀君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  福田 秀文君         建設委員会専門         員       白兼 保彦君 委員の異動 二月十日         辞任         補欠選任   飯島 忠義君     大野 松茂君   平野 博文君     石井 紘基君 同日         辞任         補欠選任   大野 松茂君     飯島 忠義君   石井 紘基君     平野 博文君 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件     午前十時開議      ————◇—————
  2. 平田米男

    平田委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件につき調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本道路公団理事黒川弘君、住宅都市整備公団理事今泉浩紀君、同理事島崎勉君及び同理事福田秀文君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平田米男

    平田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 平田米男

    平田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩永峯一君。
  5. 岩永峯一

    岩永委員 自由民主党を代表して御質問を申し上げます。  関谷大臣におかれましては、現下の大変厳しい経済状況を踏まえて、経済の下支えとしての公共事業を行うなど積極的な対応をいただき、非常に敬意を表するところであります。  特に、昨年の三次、総額二十四兆円に及ぶ緊急の経済対策補正予算策定、新しく土地税制住宅税制などについての抜本的な税制改革、これらにより経済活動活性化を追求し世界経済を支えるためにも〇・五%の経済成長を公約なさる小渕内閣姿勢に、私といたしましても心より賛同するものであります。  行革につきましても、建設行政官庁巨大官庁にしてはいけないということで二分割する案が一時提案されましたが、私としては、国土行政責任があいまいになり、行政が立ち行かなくなるなどと考え、反対させていただきました。  国土行政とは、治水、利水、交通、住宅などを一括で扱うからこそ町づくり国づくりを行うことができるのであります。縦割り行政の弊害をわざわざこの場でつくることはないと考えたわけであります。  また、行政改革は、規制緩和地方分権と連動してこそ進むものであります。これは私の見通しですが、現在の三千三百市町村市町村合併により五百から千程度まで統合するのですから、都道府県制度が成立するには市町村数が少な過ぎます。結局は、道州制のような、現在の近畿地方などの一地方規模広域行政組織体制に移行することは必然であると考えます。  そこで、そのような州と国土交通省地方支分支局はほとんど同じような規模になるのですから、それら支分支局と州が一体化して仕事がしていけるような形で地方仕事を分権するということが最適であると考えるわけであります。そうすれば、巨大官庁などできませんし、有効に現場中心での行政責任も全うされるものと考えます。  そうした中で、今回の建設行政所信にございます対前年度比約三割増の予算編成住宅ローン控除制度の創設、住宅関連税制の大幅な拡充、住宅金融公庫の貸し付け条件の大幅な改善、行革への取り組み、さらには、国土行政所信にございます二十一世紀国土グランドデザイン地域戦略プランなど、まことに時宜を得たものであると全面的な賛同の意を表させていただきたいと思います。  さて、本日は、都市景観をよくすることについて伺いたいと思います。少々質問が長くなりますが、ひとつお許しをいただきたいと思います。  なぜ、日本の雑然とした統一感がない都市と、諸外国、特に欧米諸国の歴史ある整った都市ではこうも景観が違うのか、日本で美しい町並みをつくることはできないのか、このようなことに関しまして、私は以前から深い関心を持っておりました。  そして、よく指摘されておるのでありますが、所有権に対する国民意識の違いであるということです。例えばドイツでは、ドイツ民法九百三条に、所有権法律または第三者の権利に反しない限り自由に行使できるとありますように、財産権が一定の制限を受けるのは当然であるという理解が一般的であります。  一方、日本世界的に見ても財産権の絶対性が強く、財産権はその行使においてもなるべく自由な方がよいという風潮であります。  また、景観そのものに対する意識も大きく異なると言えます。地方分権が進んでいることもあって、自分の住んでいる都市に対する帰属意識が強い欧米各国では、自分の町という意識が高く、町全体の景観は、町のみならず、自分にとっても誇りであり財産であると考える人が多く存在しております。それに対して日本では、よい景観は個々人にとってかけがえのない財産であるという共通認識が醸成されておりません。  さらに、都市部中心に、自分の住む町に対して帰属意識を持つ人が以前より減少する傾向にあり、町全体の景観よしあし自分の問題として考えない人が多くなっていると指摘されております。  要するに、財産権都市景観価値、これらに対する国民基本認識の差異が結局その国の美観に大きな差をもたらしているということであります。このような指摘はまさしく事実であると私も賛同するところであります。  さて、そこで、我々国政を預かる者としてどうするべきかということになります。  これに関連して、規制緩和の観点から、これ以上財産権行使制限を加えるべきではないという意見があります。また、都市景観が悪いのは国民意識の帰結なのだから仕方がない、国民意識が向上することをただ祈るばかりである、国家がこれにむやみに関与すべきではないといった議論もよく見受けます。  しかし、私はこの意見に反対であります。なぜなら、規制緩和とはよしあしで、時代に合わなくなった規制水準を現在にふさわしい適正なものにする規制改革こそが必要であると考えるからであります。時代の必要に応じて規制をふやすことも当然にあり得るべきということであります。  さらに、政府は、国民意識といえども、これを誘導、形成していく責任を持っていると考えます。  この御時世に規制をしろとはけしからぬやつだと思われるかもしれませんので、まずそのことについて説明させていただきます。  現行の日本都市計画法を見た場合、安全性日照権などの最低限度基準である用途制限は、建築確認と連動した形で拘束力を持っております。しかし、それ以上の規制都市環境水準を向上させるため自然景観都市景観を壊さないようにするといったより踏み込んだ拘束力ある規制は、その当事者間の合意や国の定めた複雑な手続に沿った条例がない限り、規制力がないということが原則になっております。  国民財産権のうち重大なウエートを占める土地利用権最大限フリーにすべきであるという風潮が強いことは、私も承知いたしております。  しかし、海外の例を見るに、計画なくして建設なしと言われるドイツでは、連邦建設法典三十四条の規定で一般的で強力な土地利用制限を課しておりますし、フランスでも、都市計画権限に関する一九八三年一月七日の法律百十一の一の二条に建設可能性制限原則として同様の制限が定められ、景観を保つための制度的担保がとられているというところであります。また、各国これらの規制警察規制となっており、非常に実効性が保たれております。  各国とも、景観を守るために、政府法規制最大限に用いて努力をしている。世界的に規制緩和のあらしが吹き荒れているにもかかわらず、政府景観を守るために明らかに民の分野に口出ししているのであります。口どころか、手も出しているのであります。  要は、景観という価値を守るために規制が必要であるというように考えているのであります。自由主義経済のシステムのまま放任していたら、景観という大切な公共財は守られないという、いわゆる市場の失敗が発生することが明白であると考えるのであります。  また、政府国民意識誘導、形成する責任を持っているということですが、これについても説明をさせていただきます。  我が国は、戦後から一貫して欧米へのキャッチアップを目指し、成長優先主義を貫いてまいりました。ストックの面ではともかく、フロー経済の面では欧米に匹敵する規模を持つようになりました。こうした状況で、ゆがみの目立ち始めた経済成長至上主義は転換すべきであるとされ、現大蔵大臣宮澤喜一氏が首相在任中に打ち出した生活大国路線は、国民に新しい価値観を提示したものであると言えます。そして、その路線は脈々と受け継がれ、現小渕内閣生活空間倍増計画の精神として現在も生き続けております。  生活優先主義という価値観は、国のあり方として国民の中にかなり定着してきたものと言うことができます。それなのに、その日常生活の質に大きくかかわってくる、景観の質をよくしよう、良質の都市景観ストックとして後世に伝えようという価値観は認められないというのは矛盾した話であると思うのであります。それらの議論を整理することで、混乱した国民意識を解きほぐし、二十一世紀にふさわしい道しるべを打ち出すということは政府の重大な責任ではないでしょうか。  また、我が国都市も、例えば東京などは江戸時代から大正期にかけて非常に美しい整った町並み景観を有していたといいます。現に大正時代には、僕のおうちも景色の一つ、都市の美醜は市民の心、といった標語が広く存在しておりました。それが、戦時統制経済高度経済成長期を通じて、効率優先主義によって破壊されていったという歴史を持ちます。景観を大事にするということは我が国固有文化であったはずであります。  現在、意識の高い自治体では景観条例を設置しておりますが、都市計画法上の仕組みと合致しなければ強制力を持ち得ないのが現状であります。財産権制限は国の関与が必要ということですが、地方が独自で条例をつくっても、それを国法の複雑な手続にはめ込めなければならない。これでは、いろいろな特殊事情を抱える自治体政府は、積極的に景観を保護しようとしてもなかなかできないのが現状であります。  要するに、国は権限を持っているが、国民意識にまで踏み込むつもりはない。一方、地方にたとえ意識の高いところがあってもそのための手段が不足しているというジレンマに陥り、町並みづくりに関してリーダーシップ不在状況となっていると考えます。  日本では、景観をこれ以上悪化させないという消極的な行為より、よりよい景観を積極的につくっていくという発想が必要なのですから、より強力なリーダーシップが必要になるということは当然であります。  また、我が国においても、環境問題に対する国家基本的姿勢を明らかにする環境基本法制定がきっかけとなって、環境問題に対する国民意識は現在に至るまで非常に高水準にあります。それと同じように、都市景観問題に対する国家基本的姿勢を明らかにする都市景観基本法制定も考慮すべきではないでしょうか。  そこで、建設省にお伺いしたいのですが、建設省は、積極的によい景観をつくり、後世に残していくために、国民意識喚起や積極的な立法を行っていく意思を持っているのか。それとも、このようなことは地方に全面的に任せたい、国としては関与すべきではないとお考えになっているのか。ことし三月に新しい省庁設置法議論がありますし、建設省としての立場、姿勢を伺っておきたいと思います。以上。
  6. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 岩永先生都市美観景観をきちっと維持していくべきであるということ、これは先生指摘のように、もう戦後五十四年たったわけでございまして、終戦直後は言うまでもなく瓦れき化した国土をつくっていくということでございましたから、まずそういう景観等々を考える余裕はなかったと思うわけでございますが、先生指摘のように現時点においては確かに、例えば電柱地中化なども、電柱のある町並みと、それと今度は地中化されたところを見ますと、もう感覚がといいましょうか美観というのは雲泥の相違がある、そういうようなこともございます。  したがいまして、先生指摘のような都市景観基本法制定でございますが、現在のところもいろいろございまして、美観地区であるとか風致地区であるとか地区計画あるいは都市景観の日なども定めて、いろいろ都市景観の形成に努力をしておるところでございます。その実施に当たりましては、景観を配慮した町づくりができますように補助制度も現在できておるわけでございまして、積極的に取り組んでおります。  それと先生指摘の、やはり国民あるいはその地域住民方々景観に対する意識だろうと思うんです。その意識を醸成するということもまた重要なことでございますから、建設省といたしましては、毎年十月の四日でございますが、十月の四日というのは都市という意味での十月の四日にしておるようでございますが、都市景観の日と定め、広く各種の啓蒙活動を展開いたしますと同時に、都市のすぐれた景観空間デザインを表彰する都市景観大賞というのを設けまして、国民意識喚起に努めているところでございます。  そういうようなことで、私たちは、都市景観をなお一層進めていくために幅広く今後とも対応をしていきたいと考えております。
  7. 岩永峯一

    岩永委員 大臣、先ほども質問で申し上げましたように、やはり環境基本法ができてから、今、環境に対する意識高揚というのは本当に日本、すばらしくなってきたと思いますし、一人一人の意識が大変変わってまいりました。だから都市景観に対するものも、おっしゃることはわかりますし、地域での対応もわかるわけですが、やはり国自身がはっきりとした法律でもってリーダーシップを示していく。そうした中で意識高揚して、そして諸外国に見られるようなすばらしい町並み、一軒の家の中の庭、ガーデンが、御主人が毎週土日に刈り込みをして、そして外観から見たときに我が家は公の一部であるというやはり意識高揚ができるわけでございますので、ぜひともこの基本法に向けてひとつ積極的にお取り組みをいただきたいということをお願い申し上げます。  次に、琵琶湖について質問をさせていただきます。  昭和五十二年の琵琶湖における赤潮の大発生を契機に、消費者グループ中心に、多少の不便はあっても琵琶湖を守るために粉石けんを使おう、富栄養化にストップをかけ青い琵琶湖を取り戻そうと展開された石けん普及運動は、全国で最初の窒素、燐の排水基準を定めた富栄養化防止条例制定の原動力ともなりました。また、毎年七月一日の「びわ湖の日」県下一斉清掃活動には約二十万人の県民が参加し、汗を流し、湖岸を初め琵琶湖への流入河川清掃活動に取り組んでいるのであります。  また、工場等では国の基準より厳しい排水規制基準の適用を受け、農家では肥料使用量を現在で二割、さらに一割の節約に向けて努力し、一度使用した農業用水を繰り返し利用するための循環かんがいなどに努めておるところでございます。  このほか、びわ湖フローティングスクール「湖の子」の就航、世界湖沼会議の開催、風景条例制定国際湖沼環境委員会の設立、ヨシ群落保全条例制定ごみ散乱防止条例制定ラムサール条約登録湿地の指定など、滋賀県においては官民一体となって琵琶湖保全に取り組んでおるのであります。  そこで、お伺いしたいのですが、関谷大臣、確かに琵琶湖法律上、県が管理することになっております。そのことについては、琵琶湖滋賀県民日常生活に組み込まれているという実情、さらには恵みの母への慈しみの心、時には厳格な父への敬愛というようなものがまざり合った滋賀県民琵琶湖に対する特別な親近感考え合わせますと、極めて妥当であるというより必要不可欠な措置であると考えます。自分たちの両親の世話をするのはやはり自分たちの手で行いたい、その方がやはりかゆいところにまで手が届くということで、父母なる琵琶湖のためにもよいと思うのであります。  しかし、だからといって、そのための費用負担をすべて子供がするべきだというのは少し酷ではないでしょうか。しかも、この子供は大変財政的に困っているのであります。介護保険制度ではないわけですが、国が費用負担を見ることがあってもいささかもおかしくない。しかも琵琶湖は、我が国が自然を愛する文化国家であるというとき、日本全国のだれもが真っ先に例として掲げる日本財産であります。  滋賀県民は、便利さや経済的効率を犠牲にし、琵琶湖に愛を注いでおります。このことは琵琶湖環境を守るために不可欠なのであります。しかし、いやだからこそ、琵琶湖を支えるための財政的な支援については、国が負担してもよいのではないでしょうか。  琵琶湖は、カスピ海、バイカル湖に次いでタンガニーカ湖と並び、世界でも三、四番目に古く、国内では唯一の古代湖で、我が国から希少種が次々と姿を消す中で、五十種を超える固有種を有する生態系の宝庫として今なお豊かな生態系をはぐくんで、文化国家日本の看板であります。さらに、近畿圏千四百万人の貴重な水資源として、また人々の憩いの場として国民共通財産であります。琵琶湖恩恵は決して滋賀県民だけが受けているわけではないのであります。その恩恵が財政的に定量化できないというだけの理由で国が負うべき負担を負わないというようなことがあってもよいのでございましょうか。  大臣、このような琵琶湖の存在について、国としてどう位置づけてお考えになっておられるのか、どう扱っていくべきか、滋賀県民の孝行にただ乗りするつもりなのか、正直なところを御意見としてお伺いしたいと思います。  また、こうした琵琶湖とその周辺地域を二十一世紀における湖沼保全モデルとすべく、国土庁を初めとする六省庁国土総合開発事業調整費により、平成九年、十年の二カ年にわたって、琵琶湖の総合的な保全のための計画策定するための調査を実施していただいているところであります。  この調査に関して、調査結果とその見通しについて、以下質問させていただきます。  これまでの琵琶湖総合開発事業により、下水道事業農業集落排水事業合併処理浄化槽等特定汚濁源対策を積極的に進めてこられました。今後は、これらの施策の着実な推進のほか、農地市街地等の非特定汚濁源対策にも本格的に取り組む必要があると考えますが、それらは調査成果に盛り込まれているのでございましょうか。  また、滋賀県では、琵琶湖総合開発に引き継ぐポスト琵琶総として琵琶湖総合保全に取り組んできた経緯もあり、県民は今回の調査に注目しておりますが、調査結果及びそれを受けての計画策定は、いつごろ、どういう形で明らかにされるのでありましょうか。  今回の計画は、二十一世紀における湖と人との共生のモデル琵琶湖で構築しようという、これまでの計画にない崇高で壮大な目的を持つ一大プロジェクトでありまして、その実現のためには、地域住民のライフスタイルの変革はもとより、国、県の、行政としても、これまで以上の緊密な連携をもとに、総合的、計画的に取り組む必要がございます。そして、そのためには、行政関係機関等から成る推進体制を整備して取り組むことが必要であると考えますが、いかがでございましょうか。  以上、お願いします。
  8. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まず、先生指摘のこの琵琶湖保全につきましては、国を挙げて対処していくということでございまして、先生御承知のように、ことし平成十一年の三月末までに、六省庁委員会を設置いたしまして、今進めております。  したがいまして、その結論はまだ出ておりませんが、いずれにいたしましても、先生指摘のように、近畿圏の約一千四百万人の方々生活を支えております水資源でございまして、また、世界でも有数の古代湖として、これは国だけではなくして国際的にも貴重な琵琶湖と認識いたしております。  したがいまして、この推進体制についての調整を図りまして、水源涵養、あるいは環境そしてまた景観保全を含む幅広い分野にわたる総合保全について、今、三月末を目途にまとめようとしておるところでございます。その内容につきましては、そういうようなことで、まだ今発表する段階にありませんが、国を挙げて管理をしていくという姿勢は貫いてまいります。
  9. 板倉英則

    板倉政府委員 岩永先生お尋ねの、まず非特定汚染源対策でございますが、大臣答弁にもありましたように、現在、本年度中、三月中に取りまとめる予定で、関係省庁が共同で調査を実施しておりまして、総合的な保全ということでこの調査を鋭意実施してまいったわけでございます。  その中で、特に御指摘の非特定汚染源対策が大変重要であるということで、この調査成果に十分それを踏まえまして、この農地市街地等における非特定汚染源対策を位置づけていきたいと思っております。  それから、調査成果の取りまとめ、そして計画策定見通しでございますが、これも大臣から御答弁申し上げましたとおり、平成十一年三月末までに成果を取りまとめ、それを踏まえて計画策定すべく、現在鋭意努力中でございます。  それから三点目でございますが、関係機関推進体制の問題でございますが、大臣からも御答弁がございましたように、関係省庁、六省庁中心でございます、それから滋賀県を初め関係府県等から成る推進体制につきまして、現在積極的に調整を進めているところでございます。  以上でございます。
  10. 岩永峯一

    岩永委員 もう答弁は全部終わったんですね。  大変厳しくお願いをいたしました。そして、お答えをいただいていることも十分承知でございます。しかし、財政負担が伴うわけでございますので、それを考えますと、滋賀県民として末恐ろしくなってくるというような部分がございます。  例えば、農業排水も、途中で土地改良をやって、そして貯水池をつくってもう一度上流に水を循環して使っていく、それらが、すべてとは申しませんが農民負担になってくる。そして、企業も排水規制が厳しくなって、滋賀県の企業はこの厳しい経済状況の中で大変な負荷を強いられるという部分もあるわけでございます。それが旅館だとか県民生活すべてにそういうようにかかってくるわけでございますので、そういうことも踏まえて、単に今の国庫補助の制度ではなしに、新たにどうしていくかということもお考え合わせの上、この結論をお出しいただきたいということを要望しておきます。  まだ少々時間がございますので、もう一点だけお願いします。  実は、国会へ来まして最近特に目立ちますのは、赤坂の方に非常に高いビルが建てられております。国会議事堂や首相官邸を一望のもとに見おろすように立っていることに、保安上、国家機密保持上の不安を私は感じるわけでございます。実際にビルが建ったとき、あのビルの窓から首相官邸の首相や国会議事堂の議員諸兄が無防備にさらされてしまうという、また一直線に見通せてしまうという不安もあるわけです。  こういうことに対する危険性を考慮した上で建築確認が下されたのかどうか、そのようなことは現行制度で考慮されているのかどうか、後学のためにお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  11. 那珂正

    ○那珂政府委員 お尋ねの赤坂山王共同ビルにおきます建築確認につきましては、用途地域における各種制限のほか、再開発地区計画に定められました容積率の最高限度あるいは建ぺい率の最高限度など、建築基準法等に基づく制限との客観的な適合を審査しておりまして、御指摘のような周辺重要施設への保安、危険等の観点については、審査してございません。
  12. 岩永峯一

    岩永委員 私は、単に現行法上の問題で処理すべきではなかった。これは国会議事堂、特にこの周辺は日本の象徴でもあるわけです。そして、何よりも大切な機能を有している、国家の、国民の生存にかかわる機能がここに全部集約されているというようなことを考えますと、もっと早い時点で、こういう申請が出ているんだ、政治上どうなのかというところまで私は持ち上げてほしかった。建ってしまってからみんなが気がついて、何だあれと。そこらあたりがどう懸念されたのか、考えられたのかということで、後の祭りになってしまっていることに大変残念な思いはするわけでございます。  このことについてはそれ以上の答弁はいただけないと思いますが、大臣はどう思われますか。
  13. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 確かに、建設省のチェックする範疇の事項ではなかったということなんでしょうけれども、今後は、そういうようなこともまた考えていかなければならないと思います。
  14. 岩永峯一

    岩永委員 以上、ありがとうございました。終わります。
  15. 平田米男

    平田委員長 目片信君。
  16. 目片信

    目片委員 滋賀県勢が続くわけでありますが、お許しをいただきまして、自民党の目片信でございます。大臣初め関係者の皆さん方に質問をさせていただきたいと思います。  まず一点目でございますけれども、都市計画施設等の区域内における建築の規制及びその関連について質問をさせていただきます。  都市計画区域内で多くの都市計画道路の計画がなされております。御承知のとおり、古いもので申し上げれば、もう大正時代あるいはまた昭和の初期、戦中戦後に計画をされた道路がございます。まさに、都市計画でありますから、百年の先を見込んで計画をされたんだろうというふうに思っております。しかし、時代の流れあるいはまた住民の要望、また環境等、その変化によって、その計画された道路が今求められている道路であるのかどうか。検討を要するもの、あるいはまた廃止、変更が望ましいものも多くあるというふうに思っております。  町づくり推進していく中で、新たな開発や新設道路の建設、また既存道路の拡幅、改良等々により整備されている場合が多く見られるわけであります。計画道路の見直し、すなわち廃止、変更は地方自治体において検討されるべきというふうに判断をいたしておりますけれども、地方自治体ではなかなかその議論が進まないのが現状でございます。したがって、現在に至っているんだろうというふうに思っておりますが、大正時代からと申し上げましたが、もう既に八十年余経過をいたしておりますし、戦後から数えても五十年を経過いたしておるわけであります。  そこで、申し上げました区域内における建築の制限であります。  都計法第五十三条「建築の許可」ということで、「都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、建設省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。」このようにあります。法第五十三条一項第一号の「政令で定める軽易な行為」。その政令は、第三十七条「法第五十三条第一項第一号の政令で定める軽易な行為は、階数が二以下で、かつ、地階を有しない木造の建築物の改築又は移転とする。」となっておるわけであります。  また、法第五十四条「許可の基準」、「都道府県知事は、前条第一項の規定による許可の申請があつた場合において、当該建築が都市計画施設若しくは市街地開発事業に関する都市計画に適合し、又は当該建築物が次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、若しくは除却することができるものであると認めるときは、その許可をしなければならない。」こういうふうになっておりまして、先ほど申し上げましたように、階数が二以下で、かつ地階を有しない、地下を有しない、そして主要構造部は、これは建築基準法第二条第五号に定める主要構造部をいうわけでありますが、木造であること、あるいは鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であることということになっております。  なぜ私がこのような質問をするかと申し上げますと、所有者自身が認識をしていない中で計画道路の線引きがなされている。ところが、建築をしようと思いますと、建築確認の申請を行いますと、指導課の方は、計画道路に入っていますからここの部分は二階以下、かつ先ほど申し上げた木造であるとか鉄骨造であるとかブロック造でないとだめですよという指導がなされるわけであります。  所有者から申し上げますと、せっかく自分土地で、用途地域は商業地域であって、かつ建ぺい率であれ容積率であれクリアできているにもかかわらず、その道路の線に入っているがゆえに思うような建築ができない、こういう思いがあるわけでありまして、私はそういうことを実務の中で体験をさせていただいてまいりました。  そのことを考えますときに、先ほど申し上げましたように、地方自治体がそのことを議論せなければならぬわけでありますけれども、当時都市計画審議会等々、御審議をいただいた方々は、申し上げましたように八十年あるいは五十年経過しているわけでありますから、もうおいでにならない。したがって、だれがどうそのことを地方自治体に申し上げたらいいのか、この辺は検討をしていかなければならぬわけであります。そういう現実に直面をいたしました、そのいたした経験から質問をさせていただいているわけでございます。  そこで、現下のこの経済状況を含めて、大変厳しい状況下にあるわけでありますけれども、やはり有効な土地利用を図っていかなければならぬ、そんな思いから、私はこの法第五十三条あるいは五十四条を見直してはどうなんだろうか。この辺のところを関係者の方々にまず質問をいたしたいと思います。
  17. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  先生今御指摘のとおり、都市計画法の五十三条、五十四条といいますのは、道路などをつくる際の都市計画施設の区域において建築物の建築をしようとする者は知事の許可を受けなければならない、こう定めております。これは、都市計画決定した道路等の施設につきまして、将来の事業を円滑にするための土地を確保する、施行を確保するという観点から当該区域の規制をお願いしている、必要不可欠な規制ではないかな、こういうふうに思っておるところでございます。  建築許可の基準につきまして、今先生がおっしゃいましたように、二階建て以下のものしか許可しちゃいかぬということではないか、そういう運用をしているんじゃないか、こういう御指摘もございましたのですが、法律上は、二階建て以下の建築物などについては必ず許可しなければならない、こういう法律上明示されておるのでございまして、それしか許可しちゃいかぬということではなくて、それ以外のものにつきましても、都道府県知事が、申請に係る建築物の態様でありますとか、都市計画道路の事業化の見込みとかそういうようなものの熟度等を勘案いたしまして、将来の事業の円滑な施行を確保するという法の趣旨を踏まえて、ケース・バイ・ケースで許可すべきかどうか判断しているということでございまして、決して二階建て以下のものしか許可しないということではなく、弾力的にその状況に応じて運用をされているということでございます。そういう運用を今後とも積極的に図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  18. 目片信

    目片委員 ただいま御答弁いただきましたように、許可をしなければならない以外のことについて運用の面でという御答弁を賜ったわけでありますが、なかなかこの辺が、建築主事を含めて知事部局、都道府県知事が理解をお示しいただくのが大変難しいな、窓口でもうとめてしまわれるというケースが多々あるわけでございまして、何かその辺が私の気持ちから申し上げて、どう申し上げていいのかわかりませんが、気張ってまたその辺は地方自治体の方に働きかけてまいりたいと思います。  それで次に、先ほど申し上げましたように、計画道路、線引きがなされておるわけでありますけれども、これをもう一度違う視点から見直しをする、あるいはまた廃止なり変更をする、こういうことができないものなのかどうか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  19. 山本正堯

    山本(正)政府委員 先生、今おっしゃいましたように、都市計画道路につきましては、土地の利用動向を勘案しながら、将来にわたる全体的な見通しのもとに必要なものが総合的、計画的に定められている、こういうことでございまして、ある程度の期間が必要であるということを想定している、こういうことであろうかと思います。  しかしながら、今御指摘もいただきましたように、都市計画道路を都市計画決定している、こういうことになりますと土地の使途は制限を受けるわけでございますので、都市計画決定後長期間を経過しているもの、もちろんあるということであろうかと思います。そういうものにつきましては、やはり私どもとしては、まず事業実施の見通しを示すということが一番重要であろうということで考えております。  こういう観点から、早期に事業化を行う箇所を具体的に明示した都市計画道路の整備プログラムというものを策定し公表する、そういうことによりまして計画的な、効率的な事業の実施に努める必要があるというふうに考えておるところでございます。  建設省といたしましても、必要な事業費の確保により支援をすると同時に、こういうプログラム、具体的にいつ、どういう事業をきちっとやるんだというようなことについての策定、公表に向けて私ども公共団体を支援してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  20. 目片信

    目片委員 ありがとうございました。  それでは、次にまたローカルな質問で大変恐縮なんでございますけれども、大戸川ダムについてお尋ねをいたしたい、このように思います。  大戸川ダムは、治水、利水を目的として計画をされたいわゆる多目的ダムでございます。昭和四十六年淀川水系工事実施基本計画に基づいて計画がされました。そういう事業であることをまず申し上げておきたい、このように思います。  淀川水系一級河川大戸川は、下流部に参りますと瀬田川に合流をいたします。その下流の洪水対策として南郷洗堰並びに天ケ瀬ダムで水量の調整が図られておるわけであります。そのためにというのか、その行為に現在琵琶湖工事事務所で瀬田川下流の河床の掘削を施工されておりまして、流速であるとか流量であるとかそういう確保のために頑張っていただいているところでございます。  しかし、今合流ということで申し上げましたけれども、大戸川自身は実は県が管理いたしております。河川に大変堆積した土砂等があるわけでありますけれども、せっかく瀬田川を河床掘削して流量なりあるいは流速の確保に努力をいただいておりますけれども、抜本的にやはり解決するのには、上流部、すなわち大戸川のその本川そのものを改修していくことが不可欠、このように認識いたしておるわけであります。その河川の上流のところにいわゆるダムが計画されたわけであります。  このことは建設省自身も御認識をいただいておるかと思いますけれども、先ほど申し上げました昭和四十六年のその基本計画に基づいて計画発表がされました。しかし、今日までダム反対という看板が一度も掲げられたことのないダム、すなわち、地元はいろいろ問題がございますけれども、そういうようなアピールをするとか、あるいはまた看板を上げて反対されたダムではない。私は、全国でも例を見ないそんなダムじゃなかろうかな、このように思っております。  そこで、これは詳しく申し上げますと、この当該地は、大津市区域で五十三戸、信楽区域で二戸、そして公共施設等公民館が三戸、神社等五戸、寺院一戸がいわゆる水没の対象になります。そして、その土地の面積は百九十・九ヘクターであるわけでございます。  国、県、市の今日まで連携のもとに円滑に推進していただきました。おかげで、大津市区域の五十三戸を初め、神社あるいは寺院、そして集会所等々の集団移転が行われまして、生活再建が図られたわけでありまして、もう二年目を迎えたのであります。この水没する地域は大津市大鳥居町というところでありますが、千年以上の歴史と伝統のある土地柄でございまして、その土地を離れるについては、非常に心を痛め、あるいは万感の思いがした、このように地主さんあるいは対象者の方々が語っておられたわけであります。  大きな障害も全くございませんし、トラブルもなく今日を迎え、大戸川ダム工事事務所自身も努力をいただきながら取り組みをいただいておるわけでありますけれども、そういう地域挙げて取り組んでいただいて、先ほど申し上げた、反対の看板もないあるいはまたトラブルもない、そういうような場所柄でもございますから、私としては早く本体工事に着工をいただきたいし、そして、早い時期に完成をいただきたい、このように思っておるわけであります。  そんなことから建設省にお尋ねをいたしますけれども、本体工事がいつごろ着工されて、大体おおよそ完成するのはいつごろになるのか。もしお示しがいただけるのならお示しをいただきたい、このように思います。
  21. 青山俊樹

    ○青山政府委員 大戸川ダムの本格着工の時期、完成予定見込みの時期についてのお尋ねでございますが、今お話ございましたように、大戸川ダムは淀川水系の大戸川に建設される多目的ダムでございます。大戸川、それから本川の淀川の洪水調節、遊水の正常な機能の維持、また、大津市、京都府、大阪府への水道用水の供給及び発電を目的としておりまして、今お話がございましたように、平成九年度には、水没者の皆様方の非常な協力を得まして水没する家屋の移転もすべて完了したという段階でございます。平成十一年度におきましては、引き続き工事用の道路工事やつけかえ道路の工事を実施してまいりたい、そのような予定をしております。  また、ダム本体の本格着工の時期でございますが、ダムサイトに県道が通っております。主要地方道大津信楽線という県道が通っておりますが、このつけかえが終了してからでないと本体にはかかれないということで、今後、この区間の県道つけかえの工事を促進しまして、早期着工、完成を目指し努めてまいりたいということでございます。
  22. 目片信

    目片委員 もう今局長から県道の話が出ましたので質問には及ばないかと思いますが、せっかくでございますからお尋ねを申し上げたい、このように思います。  まさにお話しのように、県道大津信楽線は大戸川に沿ってつけられた道路でございます。ダムができますとその県道が寸断されるわけでありますから、今お話しのとおりつけかえ工事をいただく、こういうことになります。  一方で、今第二名神高速道路が進められております。若干大津市区域でいろいろあったわけでありますが、鋭意地元の皆さん方の御理解をいただいて、そして現在測量に入るような段階になっております。その県道の脇にジャンクションができるわけでございます。したがって、ふくそうして道路がこの地域でできていくわけでありますけれども、この県道自身は一車線でございまして、大変狭い道路、いわゆる車が離合できない非常に狭い県道でございます。その県道で、七、八年前になりますけれども、普通乗用車が通行中に五トンぐらいの石が落石をいたしまして、とうとい青年二名の人命を失った、こういうような道路であるわけであります。今でも急峻な位置に道路が通っておりますから、やはりできるだけ早い時期につけかえ工事をいただいて、そして、勝手な言い方でありますけれども、現在の道路は工事用道路としてお使いいただいて、今の県道大津信楽線の一日も早いつけかえ工事の着手と完成が望まれているわけでございます。  したがって、今局長から、鋭意努力をいただきながら早期の着工に向けてという御答弁をいただいておるわけでありますが、改めて、もう一回そのことについてお尋ねをいたしたいと思います。
  23. 青山俊樹

    ○青山政府委員 主要地方道の大津信楽線のつけかえの問題でございますが、この大戸川ダムによる水没区域を含む区間につきましては、ダムの建設事業に伴い、つけかえますと同時に、滋賀県との合併事業といたしまして、現在の道路よりも幅員を拡幅し工事を行う予定としておりまして、平成十年度より工事を開始したところでございます。具体的には、大体平均的に六メートルある幅を十一メートルに広げるという形でつけかえ工事を開始したところでございます。  今後、つけかえ道路工事を本格化いたしまして、これも早期供用に向けまして鋭意工事の進捗を図ってまいりたい、かように考えております。
  24. 目片信

    目片委員 最後になりますけれども、住宅施策についてお尋ねをさせていただきます。  公共が行う住宅施策でありますけれども、公営、すなわち県営であったり市営であったり町営であったり、あるいは改良住宅であったり村営であったり、いろいろ自治体が行う住宅施策がございます。  ときに、住宅整備公団あるいはまた雇用促進事業団等々も住宅を多く設置をいただいたわけであります。そうした住宅は、その時期、また社会の情勢の変化に伴い、それぞれのお立場で対策が立てられてまいりました。国、県、市町村がそれぞれの役割と責任の中で国民の要望にこたえてきたものであるというふうに思っております。  昭和二十年代の、公営住宅と申し上げていいのか、木造スレートぶきの住宅から今日の高層住宅に至るまで住宅政策が進められてきたわけであります。その後、私の記憶でありますから誤りがあるかもしれませんけれども、昭和三十年代の後半ぐらいから集合あるいは集積をされまして、各自治体で、効率を高める上からも、あるいは環境からも、そして間取りからも、いわゆる確保するための改築が進められてまいりました。  時、平成七年の一月十七日には、まことに残念ながら大きな災害が発生をいたしました。その阪神・淡路の震災によりまして、耐震強度面が議論されるようになりました。国は直ちに自治体にその調査を指示されまして、安全性について確認をされたというふうに認識をいたしております。  しかし、耐震上安全である建築物であったとしても、今まさに高齢化時代を迎え高齢化が進む中で、高齢化対策あるいは障害者に優しい住宅対策が望まれているのではないでしょうか。  政府は、第三次補正で、三から四の建築物であってもエレベーターの設置を認めると、いわゆる緩和をされたわけであります。そのエレベーター設置は、従前ですと、五階も設置が可能であったということでありますけれども、おおむね六階以上がエレベーターが設置されております。しかし、今回の第三次補正で、三から四の階数であってもエレベーターを設置してよい、いわゆる補助対象だ、こういうことでありますから、この第三次補正だけでそのことが終わってしまうのか。あるいは、平成十一年度も、ひいては十二年度も継続してこのエレベーターの設置について予算措置がなされるのかどうか。このことについてお尋ねをいたしたいと思います。
  25. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まず、平成十一年以降においてもこの措置が継続されるかどうかということでございますが、これは平成十一年度以降も続いて行ってまいります。  それから、先生指摘がございましたように、やはり高齢者向けの公共住宅の促進ということでございますが、これは平成十一年度の予算のときも、最終的な私と大蔵大臣との話し合いになったわけでございますが、高齢者向けの優良賃貸住宅といいますのも、平成十年でございますと一千戸でございましたが、それを平成十一年度には六千戸にするというようなことも行っておるわけでございまして、小渕総理が提唱いたしました生活空間倍増戦略ということにのっとりまして、住空間も極力広くしていくという努力は今後も続けていきたいと思っております。
  26. 目片信

    目片委員 今、関谷大臣生活空間倍増戦略プランのお話がございましたけれども、過日、閣議で決定されたという報道がなされました。どうぞ引き続いて、これらの戦略プランが公共の住宅にも、そして民活もそうでありますけれども、活用されることを望んでおるわけでございます。  大臣の、再度でございますけれども、これからの公共が実施するこの住宅施策が、いわゆる戦略プランに今後も当てはめてやっていかれるのかどうか、最後にお尋ねをしたいと思います。
  27. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 また、こういう予算面あるいは制度面、それと先生指摘のような、やはり御承知のように、住宅ローン控除制度というのも十五年にわたりまして行うということ。ただ、それは期間は二年間ではございますが、その申し込みをされた方は十五年間にわたって利子控除ができるというようなことにもなっております。ですから、そういう三位一体としてこの目的を達成するべく努力をしていきたいと考えております。
  28. 目片信

    目片委員 ありがとうございました。
  29. 平田米男

  30. 石井紘基

    石井(紘)委員 石井紘基でございます。  まず最初に、吉野川の第十堰改築事業について御質問をいたします。  さきに、徳島県の吉野川、現地でもって住民投票条例制定すべしという署名活動が行われまして、先日の衆議院予算委員会での我が党の小林議員の質問にお答えになられて、有権者の約四九%の署名が確定されたということでございました。その後、徳島市議会においてこの条例制定案が否決をされたわけでございますが、いずれにしても、有権者の四九%の署名が確定されたわけであります。  ここで、四国地建の山中局長が、本年の一月、先月、公式な場でこういう発言をしておるわけです。この住民条例制定について、この問題を住民投票という形で、この問題というかこの治水事業の是非を問うことは非常に疑問である、被害を受ける少数の人々の命運を被害を受けない多数の人々が多数決で決めることにもなりかねない、こういう発言をしているわけであります。住民投票で是非を問うということは問題であると言っているんですが、これに対して大臣はどのようにお考えでしょうか。
  31. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まず御質問でございますが、住民投票、いわゆる住民投票条例制定を請求されたわけでございますが、そのことは、そういうことをする権利はあるわけでございますから、それが問題であるとは思いません。
  32. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、やはり現地の住民、あるいは現地の自治体等における、そこで生活をしている皆さん方の意向というものは十分に尊重されるべきだということでございますか。
  33. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今回の一連の流れは、先生先ほど御指摘のようなことでございまして、この吉野川第十堰につきましては、洪水対策上非常に危険である、改築をする必要があると思って建設省がそのプランニングをしたわけでございまして、また、平成十年の七月十三日の吉野川第十堰建設事業審議委員会においても、可動堰に改築することが妥当であるという意見はいただいておるところでございます。  そういう中にあって、この可動堰に移行することを反対する方々住民投票条例制定請求をなされたということでございまして、したがいまして、先生先ほど御指摘のように、そのことは何ら違法なことでもないし、立派なといいましょうか、当然やっていいことで、そういうことが行われた。そして、そのことを採決するかということは市議会にかかってくるわけでございまして、議会制民主主義の日本におきましては、それで徳島の市議会で、委員会でまず採決をされて、その後本会議で採決をするということでございまして、その結果は、御承知のように委員会でも否決をされ、本会議でも否決をされたという中にあるわけでございます。  ですから、そういう四九%の方々の御意見ということは、したがいまして、今後、環境アセスメントであるとか河川法にのっとってこれを進めていくわけでございますから、その過程においてその方々ともまた、十分住民方々意見の疎通を図っていくということで私はやっていくべきであろうと思っております。  したがいまして、四九%の方々のそのお考え方を無視するとか、そういう意味ではないわけでございますが、ただ、今の制度においては、進めていくという方向には変わりはありません。
  34. 石井紘基

    石井(紘)委員 建設大臣の前向きな御答弁をいただいたわけでございますが、そこで、同じく我が党の小林委員質問に対しまして、その質問の内容というのはこういうことです。今大臣おっしゃるように、可動堰の建設に反対をする方々住民投票条例制定を求める署名を集められて、それが有権者の四九%に達したということでございます。そういう中において、小林議員の質問はこういうことですね。  住民行政とのギャップが余りにも大きいのではないか、つまり、今おっしゃる事業審議委員会が現地で行われておりまして、そうした事業審議委員会の審議、これも基本的に公開で行われているようではありますが、そういう審議を経たにもかかわらず、それだけの反対、大きな反対が巻き起こっておるということでございまして、ということは、この審議委員会の機能といいますか審議といいますか、そういう点についてもやはり問題なしとしないのではないかという意味で、小林議員が、その審議委員会の人選や構成や機能の見直しを求めるべきではないか、こう質問したのに対して、大臣の御答弁は、「そこにいささかそういうものがあるということは否定はし得ない」というふうに答えられております。つまり、問題があるということでございます。「それを、それでは今後また違った形でやっていくということもまた考える必要はあるんではないかなとは私も思います。」こういうふうに述べられております。  つまり、審議委員会の議を経たにもかかわらず、それだけ多くの反対が、日に日にむしろふえていくというような状況がございまして、確かにこれは大問題であるという意味では、大臣の御答弁のとおりだろうと思うんですね。  そういたしますと、大臣はこれを、どんな点に問題点があるんだろうか。私に言わせれば、例えばその人選という点でいきますと、これは知事が決めるということで、かなりの数の委員自治体の首長さんということになっております。自治体の首長さんというのは、これはそれぞれこうした公共事業、さまざまな公共事業の補助を受けている立場の代表者でもあるわけでありまして、基本的に推進派が圧倒的に多いというのが立場上からもうなずけるわけでございますが。  まあ、後ろでいろいろささやかないで。今質問しているんだから、聞いていてください。  そういうことで、その人選の問題、あるいはその賛成派、反対派の構成の問題、あるいは中立の学者等々の皆さんということもあろうかと思うわけでございます。ところが、この徳島におけるダム審は大部分が賛成派だけでと言っていいぐらいの構成になっているわけであります。  それから、機能の点といいますと、これはまたダム審といったら、一体どこに法的にもあるいはその他法規範的に位置づけられているのかということが全くはっきりしない、そういう意味では幽霊団体のような形の存在であるわけであります。だれの一体諮問機関なのか、だれが一体それを尊重するのか尊重しないのかという問題もあるわけでございまして、そのあたり、総合的にいろいろ問題が多いんだろうと思います。  そこで、あわせて大臣に、それでは今後違った形でやっていくということもまた考える必要はあるんではないか、こうおっしゃっているわけですが、何かさらに改善策というようなものを、大臣のお考えがございましたら伺わせていただきたいと思います。
  35. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 その委員会の位置づけ等々につきましては局長から答弁をさせていただきますが、私の考え方は、先生指摘のように、その審議会の人選の方法等々は御指摘のような点は確かにあると思うわけでございますが、ただ、現在進んでおりますこの吉野川の可動堰の問題については、現在の法律にのっとって、瑕疵もなくそのままずっと、私は一つ一つステップを踏んできたと思っております。また、それは事実だと私は思いますが。ですから、この問題については、私はこのことで進めていきたいと思っております。  それで、その過程において先生が疑念を抱かれた委員会の構成等々というものは、また考えていくということも必要であろうと思っております。  委員会の位置づけはちょっと局長から答弁させます。
  36. 石井紘基

    石井(紘)委員 位置づけといってもこれは答弁のしようがないでしょうから、余計なことをまた答弁されても時間のむだですので、結構でございます。  そこで、今後の問題ですが、新河川法においては、住民意見を十分聞くとか、あるいは公聴会等を行っていって住民との間にそごがないように、あるいは住民の十分な理解を得るようにという趣旨でそういうことが書かれていると思うんですが、大臣、今後とも、今後ともというか今後は、住民意見を十分聞いたりあるいは理解をより求める努力をしていくとか、そういうことでもって進めていかれるのかどうか。  同時に、公聴会等についてもどのような形で考えておられるのかというようなことも、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  37. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まず結論から申し上げますと、そういうような意味で今後住民方々と十分に話はさせていただくということで、私は指導をしていきたいと思っております。
  38. 石井紘基

    石井(紘)委員 そういたしますと、やはり十分な話し合い等ということで理解を求めていくということですから、それなりの時間も必要であろうというふうに思いますが、いかがですか。
  39. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 それは確かに時間というのはかかるのではないかなと思っておりますが、その反面、その間にまた大洪水でも起こると大変なことでございますから、話し合いを進めつつ、この事業も私は進めていきたいと思っております。
  40. 石井紘基

    石井(紘)委員 それでは次に、道路公団の問題に移りたいと思います。  かねてから私は相当時間もかけて主張してきたことですが、道路公団に道路施設協会という財団法人があって、この財団法人が六十ないし七十の直接出資をした子会社を持って、それ以外にまた百数十に上るファミリー企業という関係企業を持っておる。それで、この道路公団からの維持修繕あるいは保全点検その他の事業を、全面的にそうした道路施設協会の子会社に対して流しておる。それらの子会社というものは、ほとんど道路公団の仕事によって成り立っておる。資本金もこの施設協会から相当部分が出されてきたという中で、これが民間の中小企業の土木あるいは建設関係その他の事業分野仕事を相当に奪ってきたわけであります。  そこで、こうした財団法人というようなものが子会社、孫会社をつくるということはけしからぬということで数年前から繰り返し主張してまいりましたが、一昨年ようやくこれが、一定の閣議決定という形でもって公益法人の出資というものに規制がかかったわけであります。  そこで、道路施設協会は、ことしの九月までというリミットがありますので、この間にこの出資企業の整理をしてきたと思いますが、しかしこの整理というのは、私が言ってきているのとは相当違う方向で行われておるようであります。  そこで、株式の売却というものをどこまで進めたか、この状況について御報告をいただきたいと思います。
  41. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 道路施設協会が有していた民間会社の株式について、今御指摘のように、平成八年九月二十日の閣議決定で、公益法人の設立許可及び指導監督基準において、公益法人は原則として営利企業の株式保有等を行ってはならないとされ、九年十二月十六日の閣議決定で、処分期限が十一年九月末とされたという状況でございます。  それで、道路施設協会ではこれまで六十六社に対しまして総額約三十五億円の出資を行ってまいりましたが、その閣議決定に従いまして、まず公団の管理業務を受注しております五十六社の株式を平成十年の九月までに処分しております。株式の処分に当たっては、公認会計士とも相談の上、株の配当率と長期国債の平均利回りを比較して時価を算出する配当還元方式を原則として株価評価を行いまして、売却先の意向も勘案した上で処分しておるという状況でございます。
  42. 石井紘基

    石井(紘)委員 この五十六社の株式を処分した結果の金額は幾らになっておりますか。
  43. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 三十六億六千万円でございます。
  44. 石井紘基

    石井(紘)委員 この処分の方法ですが、私は、先ほど言いましたような経過でこれらの企業というものは生成してきたわけでありますので、ということはつまり、言ってみれば税金でもってつくった会社。それらの会社には、道路公団あるいは建設省から、大勢の天下りといいますか再就職が相当の量、行われてきた。そうした企業に対して道路公団は全面的にそうした事業を与えてきた。  それによって、つまり言ってみれば、豚に例えると失礼でありますが、じゃ、牛に例えましょう、資本金を出して種つけをした。それに対してえさをたくさん、飼料を与えた。それで、うんと太らせた。太らせた結果、その肉を分けてもらうんじゃなくて、種だけを返してもらう。いわばこういう方法をとったと私は言わざるを得ないと思うんですね。  これは、一〇〇%とは言わないけれども、ほぼ全面的に役所がいわばつくり、育ててきた会社なんだ。そういうものを、民営化ですよと言って、出したわずかな資本金だけを返してもらって、後は引き続き民営会社として道路公団の仕事をやっていきなさいよ、これでは納得されないだろうと思うんですね。いわゆる民間の自由競争の中において育ってきた企業とは全然質が違う。いわば、これは半ば行政の一環という側面もあると言ってもいいような企業なわけです。  そういうものを整理する際に、例えば国鉄が子会社を四百何十社持っておった。それらの子会社は全部自由に放しちゃって、そういうところにみんな利益が、あるいは資産がたまっていたわけですから、そういうところへ全部ため込んでいるわけですから、あと本体の方は赤字に決まっているんです。全部赤字なんです、そうした公的な商売をやる団体というのは。特殊法人もみんなそうです。そういうところだけ残して清算事業団というようなことになってきて、それがえらいことになったわけです。  道路公団の場合もそれと同じようなことを、よりちょっと前進です。株を売っただけ前進ですね、たった三十六億かなんかもらって。だから、私は、そんなことではとてもじゃないけれども許されない、この三けたも四けたも多い金額をやはり回収しなければならないというふうに思うわけで、この清算の仕方というものについて私はそういう基本的な疑問を持っております。  国税庁に来ていただいておりますので、国税庁はそれぞれの企業の調査を当然行うんだと思うんですね、株式会社になっているわけですから。それぞれの企業の調査を行うと思うんですが、行えば、それは株の評価というものがどういうぐあいになされたかということがわかると思うんですね。しかし、これはいろいろそういう税の問題ですから、個々のプライバシーというようなことがあって表には出てこないと思うので困ったことなんですが、そうすると、それはそれで国税庁のレベルで十分に、やれるだけやっていただくということを要望しておきたいと思うんです。  また、それとは別に、今度は財団法人。今取り上げているのは道路施設協会ですが、こうした財団法人に対しても適正にやはり税務調査を行ってもらいたい。今日の法律によりますと、収益事業の部分だけをやればいい。その収益事業というのは、株式を売った収益とかそういうものは入ってこないわけですね。物をつくって売ったとか、そういうようなことばかりしかないわけです。そういうふうに定められているわけですから、そこのところは大きな欠陥で、今日のように公益法人が民間がやるべき商売をどんどんやってしまっているというような状況の中では、ここのところは情勢の変化によるところの法律の大きな欠陥だと私は思います。それはそれとして、財団法人に対する税務調査というものを適正に行っているのかどうかということについて一言お答えをいただければと思います。
  45. 森田好則

    ○森田(好)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生おっしゃいましたように、公益法人に対しましては、法人税の観点からいきますと、収益事業を営む場合にのみ法人税の納税義務があるということであります。ただ、そのほかに、税としては消費税の問題とか給与に関しての所得税の源泉徴収義務というものはまた別途ございます。  我々としては、一般論でございますが、公益法人等に対しましては、各種資料、情報の収集等に努めまして、法人税、消費税の納税義務、あるいは源泉徴収義務のある公益法人等を的確に把握し、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなどによって、その課税の適正化に努めているところであります。こういうことで今後ともやっていきたいと考えております。  以上でございます。
  46. 石井紘基

    石井(紘)委員 今の特にこの道路施設協会については、そういうことで株式の整理ということですが、基本的には会社そのものの問題ということもございますので、ひとつ十分な調査を行っていただきたい。その結果、必ずや問題が多いと思いますので、適正に対処をしていただきたいということを強く要望を申し上げたいと思います。  それから、会計検査院にも一言伺っておきたいんですが、財団法人の運営、あるいはまた、それらがつくってビジネスを大量に大規模に展開しているところのこうした子会社、孫会社については、会計検査院は検査ができないということでございますか。
  47. 大和顕治

    ○大和会計検査院説明員 お答えいたします。  先生御承知のように、検査院の検査対象箇所につきましては、会計検査院法で規定されてございます。御案内のように、認可法人とか公益法人につきましては、認可法人または公益法人だからといいまして、そのことによって会計検査院の検査対象になるわけではございませんで、国または国が出資した法人が資本金の一部を出資しているとか、国が直接または間接に補助金を交付するなどのように、国の財政資金と一定の関係がある場合について検査の対象となるものとなってございます。  今御案内の道路施設協会につきましては、国としての出資等はございませんで、会計検査院法に基づきます検査対象団体にはなっていないものでございます。したがいまして、本院の検査権限は及ばないということになってございます。
  48. 石井紘基

    石井(紘)委員 道路公団の場合は、住都公団なんかと比較しますと、住都公団は直接出資して株式会社をつくっている、だからそこまでは出資関係があって検査できるんだけれども、道路公団の場合は非常に巧妙に、道路施設協会という財団法人、公益法人をつくってしまっている、そこからたくさん子会社をつくっておりますので、これはチェックが行き届かないということで、同じ国の財政、公的資金が関与していながらも、一方は検査しようと思えばできる、一方は隠れみのというか、そこにワンクッション置かれているために、ちょうど逃げ道になっているということなんです。  こういう点についても、会計検査院がチェックができないということだけをここで確認をしておきたいと思います。これは一つの大きな問題点であります。  そこで、道路施設協会というのは、これもまた数年前から非常に不透明、そして不正義といいますか、そうした存在であるということの議論を展開いたしまして、亀井建設大臣のときに、なるほどそれはそうだということで、じゃ見直しましょう、こういう答弁になりまして、見直すことになったわけですね。それで、そのときの議論は、皆さん御案内のように、これはあり得べからざる存在である、間違った存在であるという議論の中で見直しましょうという答弁があった。  ところが、それにもかかわらず建設省はどういうことをやったか、あるいは道路公団はどういうことをやったかというと、確かにこの道路施設協会というものを昨年廃止しました。廃止したけれども、かわってこれを二つに分けて、財団法人道路サービス機構というものと財団法人ハイウェイ交流センターという、一つあったものを、やめるはずだったのをなくしたと思ったら今度は二つつくった。  これはどうして二つつくったかというと、いやそれは競争ということも必要だろうと思ったから、一つの道路で、関越なら関越で、サービスエリア二つ、三つは続かないようにしよう、一つ目と二つ目が道路サービス機構のものだとしたら、三つ目と四つ目は今度はハイウェイ交流センターがやるんだ、したがって、このエリアはこっち、このエリアはこっちというんじゃない、入り乱れて非常に効率の悪い、ばかみたいな、ばかみたいと言っちゃいけないのかな、とても考えられないようなそういう、それをもって競争させている。  財団法人というのは公益法人ですから、公益法人が競争するということはあり得ない。公益法人の趣旨というものは、広く不特定多数の人々の利益にかなう、そういう事業をするのが公益法人でありまして、これは競争ということはあり得ない。これは大体法律違反なんですよ、そういう意味で。競争をさせるために一つのやつを二つにした。  そうすると、ちょっと伺いますが、前の道路施設協会のときの役員は何人だったんですか。
  49. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 道路施設協会二分割の方針を決定した時点の役員数でございますが、理事在籍数は十四名でございました。
  50. 石井紘基

    石井(紘)委員 それでは、それを廃止して今度できた道路サービス機構とハイウェイ交流センターのそれぞれの役員の数は何人ですか。
  51. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 二分割後は、両方合わせますと十三名でございます。両方合わせて十三名という状況です。(石井(紘)委員「それうそじゃないの」と呼ぶ)失礼しました。二十六名でございます。
  52. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、十四人だったやつを二つに分けたら今度は役員が二十六人にふえた。十四人だったときには、道路公団の出身者というものは少なくとも十四人以内ですわね。そうすると、今度二十六人に役員がなった。そこで、道路公団の出身者と道路施設協会の出身者はそれぞれ何人ですか。
  53. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 道路公団の出身者は、二分割後でございますが、道路サービス機構が四名、それからハイウェイ交流センターが六名でございまして、合わせて十名でございます。施設協会から直接行かれた理事数、分割後は十四名だったものが十三名になっているということでございます。
  54. 石井紘基

    石井(紘)委員 それは間違いないですか。道路公団出身者の数は、四名と六名で合わせて十名で間違いないですか。
  55. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 そういうことでございます。
  56. 石井紘基

    石井(紘)委員 これは私のところにある資料と違いますね。本当に間違いないのか。責任持つのですか。大分数が違いますよ。
  57. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 施設協会が道路公団出身者十名でございまして、二分割後も道路公団出身者は十名、変わっておりません。
  58. 石井紘基

    石井(紘)委員 そう言うんだったら、ちょっと一人一人確認しなくちゃいかぬな、これは。時間がかかるけれども。  道路サービス機構の役員の理事長の杉岡さん、副理事長の齋藤さん、理事の徳永さん、浜田さん、田村さん、監事の今井さん、道路公団の出身者じゃない人はいますか、この中で。  それから、ハイウェイ交流センターの理事長の山下さん、副理事長の太田さん、理事の益池さん、三宅さん、大河内さん、高木さん、渡辺さん、この中で道路公団の出身じゃない人はいますか。
  59. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 ちょっと道路公団の御出身の方という今の中で、私どもは建設省国土庁から行かれたというカウントにしておる、例えば今言われました理事長の杉岡さんについては……(石井(紘)委員「私が聞いたことを答えなきゃだめだよ。あなた、勝手に自分で答えないでください」と呼ぶ)そういうことでカウントしておりまして、先ほど申しました内訳で、道路公団出身者は十名と言っておりますが、そのほかに建設省国土庁関係で、先ほど申しましたように理事で従来の道路施設協会の時代には四名おられました。ですから、道路公団出身者というのとは別途に四名おられました。その方たちが、新たに二分割された後には四名という方たちが三名になっているというふうな状況でございます。
  60. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、建設省から道路公団を経て、そしてこれらの財団法人に天下った人をカウントしていなかった。それは別途私が聞くと思って言わなかったのかな。かもしれませんが、私のこの手元にある資料では、この両方を合わせて二十六人の役員のうち、道路公団出身者が十三人おる、それから施設協会の出身者が十七人おるということで、これは協会を二つにして天下りを倍にした、ぴったり倍じゃありませんが、そういう結果になっているわけですね。  これは、こういうことをやっておりますと、まだ子会社が大分残っておりますが、ファミリー企業というものは、従来はほとんど一〇〇%随意契約で道路公団の事業を受けてきたわけです。そういう中で、道路公団のファミリー企業は政治家の財布だなんというようなことまで言われるような非常に不透明なことが多いわけで、防衛庁の発注先企業と似たり寄ったりのこういうような状況に、そういう意味ではあるわけでありますので、この二つの財団法人というのは法律に照らしてもおかしい存在でありますから、これはできたばかりで恐縮でございますが、直ちに解散をすべきだ、こういうふうに思いますが、大臣、いかがお考えですか。
  61. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今、るる二分割をされてその後の理事の数等々を伺ったわけでございますが、先生指摘の点はまた今後是正していくべきだろうと思いますが、分割したものを直ちに今度は廃止しろというのは、ちょっとまたいろいろな角度から検討をしていかなければならないと思っております。  御指摘理事の数等々については、また是正をしていくということだろうと思います。
  62. 石井紘基

    石井(紘)委員 道路公団からこうしたファミリー企業に発注されている維持修繕、保全点検とか駐車場等々のこの事業というものは、大体年間二千億近くあるわけですね。こういうものを今後は全面的にオープンな公開入札にしていって、民間の中小企業がこれに対等に、公正に、公平に参入できる、こういうことをぜひ大臣、決意を固めて対処していただきたいと思いますが、いかがですか。
  63. 黒川弘

    黒川参考人 今先生指摘のように、建設費以外のいろいろ……
  64. 石井紘基

    石井(紘)委員 いいです、答弁。向こうの人だったらいい。
  65. 平田米男

    平田委員長 では、答弁はいいそうですので。  関谷国務大臣
  66. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今ちょっと、道路公団の方の答弁をしてからお答えしようと思っておったのでございますが、そういうオープンな状態にするというのが今皆無であるかどうかをちょっと聞こうと思っておったわけでございますが、いずれにいたしましても、皆無でないにしても、そういうのは少ないことだろうと思いますから、その方向でまた検討をしたいと思います。
  67. 石井紘基

    石井(紘)委員 多少そういう方向に進んできてはいると思いますが、やはり、一〇〇%とは言いませんが、そういう努力目標でぜひ御努力いただきたいと思います。  それからまた、次に移ります。  今度は住都公団の問題ですが、住都公団は、今度法案を出しているようでありますので、このときにまた審議させていただければと思いますが、住都公団についても、亀井建設大臣のときに、これはいろいろな問題が多くて、議論をしました結果、見直しましょうということになったわけですね。  その当時は、地域振興公団と合体させるかとか、いろいろな話も出ておりましたが、結局は、建設省住宅局を中心としたところの声が非常に強く反映されたんだろうと思うんですが、一つは、都市開発の分野に今度はぐっとシフトしていくということのようであります。分譲については、もうとても成り立たないということは、これはさんざんやってきた結果、ついにそちらの方からはやはり撤退せざるを得ないというギブアップの状態ですね。  そこで、若干参考の数字を先に聞いておきたいんですが、現在、公団の分譲住宅の空き状況、これはどんなふうになっておりますか。
  68. 島崎勉

    島崎参考人 売れ残りの分譲住宅についてでございますが、販売促進の強化等を行っておりまして、市場環境の変化に対応した見直しを順次行って早期の解消に努めておりますが、近年、最多時におきまして二千四百五十一戸であったものが、この一月末現在では四百三十七戸となっているところでございます。
  69. 石井紘基

    石井(紘)委員 それは、後で申し上げますように、例えばモデルルーム販売だとかあるいは家具つきの、要するに値引き販売とかそういうことでいろいろある意味では努力された結果、そういうふうに少なくなったのかと思いますが、一方、では建設中の分譲住宅、それからまた計画を中途でとめている住宅、これは、あきにカウントされたくないということで、従来から、でき上がったんだけれども長年塩漬けにしてある、ふすまと畳を入れないで、完成というふうな扱いにはしないでおる、こういうようなもの等、これはどのぐらいありますか。
  70. 那珂正

    ○那珂政府委員 お尋ねの工事中の戸数でございますが、合計で六千五百戸でございます。内訳は、そのうち約二千戸がほぼ完成間近でございます。また、全く工事途中で中断しているものが一千五百戸程度でございます。
  71. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうしますと、売れ残っているのがさっき四百三十七戸と言われましたが、事実上この千五百戸というのも売れ残っているということですね。  そこで、住都公団のさっき言った販売方法ですが、幾つかの団地について私も見てまいりましたけれども、十階建て、十二階建てというようなものが何棟も建っていて、ほとんど売れていないというようなところが一、二年前に相当数ありました。そういうものを、売らんがために全部モデルルーム、モデルルームというのは普通新規の団地なんかへ行きますと一部屋ですね、ここがモデルルームですというのがあってそれを見せてもらうわけですが、全部モデルルームということにして、そして売ったわけですね。  そうすると、その売り方は、例えば一時金、要するに、最初例えば四千数百万の物件だったら七百万円ぐらい払う、その分をまけてあげる。それは、モデルルームだから、要するに工事をやるという前提で、その工事代金として扱って、そしてまけてあげるわけですね。しかし、工事なんか必要ありませんから、まだ人が一度も、建築に従事した人以外は入ったことがないような部屋ばかりでありますから、しみ一点ない部屋ですから、それを工事する必要は全くないわけですね。だから、それを名目にして、その分を値引きした、七百万円とか一千万円とか。  だから、工事代ですから、そうするとこれは消費税を払わなければならぬから、領収書にも消費税という項目があるんですね。買った人はそれを受け取って、領収書で消費税というのがある。しかし、それは消費税を払ってあるのかといったら、公団は払っていないわけですよ、工事していないんだから。そういうようなことで、しかも買った人に、これを税務署へ持っていきなさいと言って、もともとの値段のものを出している。消費税の分も全然明記してない、工事というのは代金を明記してない。だから、結局公団は、買った人に対して消費税の脱税を強いていたわけですね。  それは、あるとき、以前追及しましたら、その点については、半ばうなずきながら、それはもう消費者に、買い手に迷惑をかけません、公団が全部責任を持ちます、刑務所へでも何でも行きますというところまでは言いませんでしたが、そういう答弁でありました。  そうしたら、今度はそれが大変社会的にまずいということになった。そうしたら、今度は別の値引き販売を考えたわけですね。  これはどういうことかといいますと、家具を、家具といったって、そんじょそこらの、我々が買うような家具じゃないですよ。もうイタリア風といいますか何といいますか、物すごいすばらしい豪勢な、豪華な家具を、応接セットからキッチンセットから、ベッドなんというのは高級ホテルに行かないとないようなこういうベッドだとか、ありとあらゆるものをつけまして、そして、ここにいろいろどういうものがついているかというのがばあっと書いてあります。これ五十点ぐらいあるんじゃないですか、四、五十点あるんじゃないですか。カーテンから何からみんなついている。こうやって、この分をおまけ、こういうふうにして、この金額をやはりざっと計算しますと七百万とか一千万とか、そういうふうになっているわけですね。  ある団地の方は、こういう値引きする直前に入居されたような方ですが、私のところへも手紙がたくさん来ていますが、そのうちの一つ、例えばこういう状態ですよ。  入居時は駅の周りは赤土の山、広い通りまで裸電球が金網にぶら下がり、時々真っ暗なときがありました。娘が痴漢に追いかけられ、町の中で人に会うことがほとんどなく、家族ともども精神的におかしくなり、公団に、買い戻してもらいたい、売りたい、こうお願いをしました。  買い戻してもらいたいというのは今ごまんといるんですよ、全国に、分譲住宅を買った人たちが、全然最初の話と違うということで。  それで、まずそうしましたら、診断書を持ってこいとかいろいろ言われて、さんざん痛めつけられて、もしあなた契約守らないんだったら二千万円ペナルティーを出せ、こういうふうにも言われた。ところが、最近は二九%の値引きとか、六百五十万、七百万の家具つきとか、そういうことでやっておる。これは一体どうなっているのか、とても私たちはもう気持ちがおさまりませんということですね。早く、安くてもいいから買い取ってもらいたい、こんなところに住んでいたくない、一生こんなものを、家族ともどもこんな思いをして住みたくないんだ、こういうのがわんさといるわけです。  こういう、非常にインチキ販売をやっているわけですので、当然これは法律的にも問題になってきますよね。今、大体訴訟を出されているのは、どのぐらいの人数が、どのぐらいの方が公団を訴えていらっしゃるんですか。
  72. 島崎勉

    島崎参考人 公団の空き家住宅価格の見直しに伴いまして、一般の購入者が公団に対しまして損害賠償等を求めている件でございますが、現在三件の訴訟が係争中でございます。その人の数でございますが、千二百六十七世帯でございます。
  73. 石井紘基

    石井(紘)委員 千二百六十七世帯。人数にするともっと多いでしょう。  ということは、大体分譲住宅が一年間に売れる数よりももっと多い人たちが、しかもそれを訴えている人たちは、そういう値下げをする前の一年間か二年間に買った人たちですね、大部分。そうすると、買った人たちはもうほとんどが訴えているということですよ。買った人たちのほとんどが訴訟を起こしている、こういうことですね。  そこで、さっきのモデルルームの消費税、この工事代としたところの消費税というものはどういう扱いにしているんですか。公団はそれを計上して納めているんですか。
  74. 島崎勉

    島崎参考人 いわゆるモデルルームの現状有姿のままで販売するということでございますが、それにつきましては、六十一年度からやっておりましたが、平成九年七月でそういう形は終了してございます。  ただ、その際に、今お尋ねがございました消費税でございますが、モデルルーム相当分の、いわゆる補修費相当分にかかわる消費税につきましては、お買い求めいただいた方々の消費税からは差し引いてございます。したがいまして、それは当然公団側が負担をしているということでございます。
  75. 石井紘基

    石井(紘)委員 そこは後で会計検査院にちょっと調べてもらおう。  それから、家具つき販売の財務処理、経理処理というのは、これはどういうふうにしているのですか。
  76. 島崎勉

    島崎参考人 家具つき販売につきましては、ケースが二つございまして、一つは、具体的に公団が委託した専門の業者が家具を販売するという場合と、それから、公団がみずからモデルルームを設定いたしまして、そこで家具をお譲りするという場合がございますが、公団がみずからやる場合につきましては、ほとんど価値がなくなったような家具でございますので、これは無償でお渡しをしている家具だということでございます。  それから、モデルルームの設営業者に、専門業者に依頼した場合には、その業者と購入者の間での家具の販売ということでございます。
  77. 石井紘基

    石井(紘)委員 その辺も、私としては、今までの公団のやり方からすると必ずしも適正に行われているとは思えないわけでございますので、ひとつ、家具を公団が発注している先の会社ですね、それから、公団が自分で家具をつくっていると言いましたけれども、それは公団がつくっているんじゃない、公団がつくっている子会社でつくっているわけでしょう。だから、そういう家具を公団が直接調達している場合と、それから外注している場合の会社ですね、これは全部公団のやはりファミリー企業のはずですので、これを、後で結構ですからお出しいただきたい。  それから、住宅販売の事業をやらせている会社ですね、これも全部詳しい資料をお出しいただきたい、こういうふうに思います。いいですか。
  78. 島崎勉

    島崎参考人 モデルルームの家具の業務を委託しているところでございますが、具体的には、例えば株式会社住宅共栄、都市整備プランニングほか約……資料を後ほどお出しいたします。  それから、委託しているところにつきましても、業者名を具体的にお出しいたします。
  79. 石井紘基

    石井(紘)委員 今の住宅共栄なんかも、それは公団のファミリー企業ですよね。  そこで、会計検査院にぜひお願いしたいのは、こういうふうに社会的なトラブルというのが非常に多数出ているわけですね。それからまた、税務処理上も問題なきにしもあらずという疑いがあるわけです。それから、公団の経理処理。こうしたことについても、一方では、買った人には消費税は隠しておいて税務署へ納めさせていないわけですね。だけれども、公団の方では消費税を納めている。こういうようなこともあるわけですので、会計検査院は、ぜひ厳重にこの住都公団の財務について検査をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  80. 大和顕治

    ○大和会計検査院説明員 検査院といたしましては、先生指摘の趣旨を踏まえて、十分今後とも検査をしてまいりたいと思っております。
  81. 平田米男

    平田委員長 もう石井さん、時間が経過していますから、最後にしてください。
  82. 石井紘基

    石井(紘)委員 最後にします。  最後に、住都公団は、京都で区画整理事業を受注して、受けてやっているわけですね。これは具体的にはどこということはいいんですが、あるところで住専管理機構が最低競売価格より何倍か多い価格で自己競落しているわけです。これはいろいろな事情もあるかと思うんですけれども、しかし住都公団がやっている事業の中での話ですので、住都公団は、ここを区画整理すると将来うんと値が上がる、価値が上がるということを踏んで、例えば最低競売価格が二億四千万ぐらいになっておるものを八億五千万ぐらいで、べらぼうに高い金額で自己競落しているわけですね、住専管理が。  だから、それはいいとも悪いとも私言いませんが、住都公団の事業が順調に進展をしていって、そして周辺の価値が上がるだろうということを見込んでいるんだと思うんですが、住都公団というのはそういう点では非常に問題が多いところでありまして、しかもこういうものを官の、要するに役所がこういう事業を次々展開しているわけで、現在でも膨大な事業を住都公団が独占しておるという状態です。  ですから、そういう点についても住都公団の責任が非常に重くなってまいりますし、住専管理としても、私は、住都公団とのかかわりでやることはひとつ慎重にやってもらいたい、こういうふうに思っております。  それからまた、住都公団は、申し上げますと一兆数千億というふうな膨大な住宅事業を、あるいは不動産ディベロッパー事業を年々やっているわけですが、これは一般大手の民間のディベロッパーの上位十社全部足したよりももっと膨大な、もっと大きな規模の大量の事業をやっているわけです。これが景気に大変悪影響を及ぼしていることは間違いありません。  したがって、住都公団の住宅事業というものは、大臣にも十分、もっと大所高所の見地からひとつお考えいただいてイニシアチブを発揮していただきたい、このことを申し上げまして、答弁は結構でございます。ありがとうございました。終わります。
  83. 平田米男

    平田委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩をいたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  84. 平田米男

    平田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中慶秋君。
  85. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、民主党の立場から、建設省の基本問題について幾つか質問をしたいと思います。  まず、一つは道路行政でありますけれども、御承知のように、昨今の道路行政、車社会においての道路渋滞が大変激しいわけであります。そういう点では、どの部分がどういう形で絶えず渋滞しているかということは百も承知だと思っておりますけれども、その改善がなかなかされていないというのが現状じゃないかな、こんなふうに思っております。  そこで、この道路のあり方として、短期的と長期的な問題のとらえ方があるんだろうと思います。長期的には、新しく道路をつくってみたり、いろいろなことが必要でありますけれども、短期的には、幾つかの方法があると思います。その一つには、鉄道と道路との立体交差の問題があるわけです。  ところが、私もかねてこの席上でこの質問をさせていただいたときに、例えば、国道と鉄道との問題は建設省仕事でありますけれども、あるいは地方道、一般道については地方自治体である、こんな形でありますけれども、現実に今の財政事情からして、考えてみますと、地方自治体にその仕事をしろと言っても無理なんです。そういう点では、道路はいつもループ、全部つながっているわけでありますから、国道であろうと地方道であろうと、国道が込んでいれば地方道も込む、地方道が込めば国道も込むんですから、そういう点では、一般道であろうと地方道であろうと、立体化というのはやはり必要であろう、こんなふうに思うんです。  その辺について、基本問題でありますから、大臣考え方をお伺いしたいと思います。
  86. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 御指摘のとおりでございまして、この立体化ということを進めていきますれば、渋滞が解消されますし、また、環境に対しましてもいい結果を得ることができるわけでございまして、この鉄道と一般道路の立体化等がボトルネックの対策の重要なことであると認識をいたしております。  そういうようなことで、昭和六十三年から、第一次から第三次にわたります渋滞対策プログラムを策定いたしまして、これに従いまして、鉄道と一般道路の立体化を含め、渋滞対策を推進しているところでございます。現在は第三次の渋滞対策でございまして、平成十年度から平成十四年度までで今進めておるわけでございまして、先生指摘の、御指示もございまして、その後、この一般道路の立体化は、昭和五十年度末には約一万五千カ所であったんですが、その後ずっと進めてまいりまして、平成七年度末には二万三千五百カ所と約一・六倍のものを達成しておるわけでございます。  それで、もう一つの先生のポイントでございますが、地方財源も非常に厳しいときであるから、地方分権ということは当然進めていかなければならないが、この立体化のことは国の補助金等々で重きをなしていけということでございますが、そのこともまた今後考えていかなければならない問題であると思っております。
  87. 田中慶秋

    田中(慶)委員 努力されていることは評価をいたしますけれども、現実に都市部における立体化というのが非常に進んでいないわけです。ですから、交通渋滞が起きているというところは絶えずリサーチしてわかるわけでありますから、そこを最優先してやるべきであろう、こんなふうに思います。  もう一つは、例えば国道と地方道、県道との立体化の問題、こういう問題が、かねてから私も指摘をしております。  もうラジオの朝のスイッチから夕方まで、必ずそこは何十年も交通渋滞として流れてくるわけですよ。こういう問題について、建設省は、努力はしているにもかかわらず、現実に重点政策として、もう既に十年も十五年もたっていても、そのことに重きをなしていない、結果が出ていないわけですから。  例えば私が住んでいる横浜の原宿交差点、これはもう絶えず、十年どころか十五年もいつもそこはラジオから流れてくるわけです。あるいは不動坂の立体化、要望されていても、こういう問題が解消されていないわけです。  やはりこういうところを解消することが具体的な交通混雑の緩和になるわけでありますから、道路行政として、より積極的に、重点的に予算をかけてでもやるべきじゃないかな、こんなふうに思うんですけれども、大臣考え方をお聞かせください。
  88. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 それは個別の箇所のことでございますから、実際、現状がどうなっておるか、ちょっと答弁をさせますので。
  89. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 二カ所御指摘いただきました。  まず、国道一号線の原宿交差点でございますが、藤沢から東京方面に向かうというところで、最大では二千三百メートルぐらい、通過時間が十三分ぐらいかかるというような大変大渋滞を起こしているという状況でございます。主要地方道の原宿六浦線との交差点、それから主要地方道の阿久和鎌倉線との交差点のところでございます。  これは、現在、地元と調整を図りながら、用地調査が終了した箇所から順次用地買収を進めておりまして、もともとこの道路付近について用途地域の変更等の要望が出されたりしていまして、そういうのでちょっと調整に時間を要してまいりましたけれども、七年からは理解が得られた箇所も出てまいりまして、九年度から用地買収を開始したところでございまして、今年度も用地買収を積極的にやっていきたいと思っていますし、また、できるだけ地元の御協力も得ながら早期に完成させたいというふうに思っています。  また、もう一つ御指摘がございました国道一号不動坂交差点、これは補助でございますが、やはり非常に渋滞が激しいということで、新渋滞対策プログラムの一環として九年度より着手しております。一部用地買収を進めておりまして、また、これにつきましても、今おおむね一割程度しかまだ買えていないような状況でございますけれども、できるだけ早く地元の御協力をいただきながら用地買収をさせていただいて、完成に向けて努力していきたいというふうに思っております。
  90. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私が申し上げたのは、一つの例示として申し上げたんです。十年も十五年も、絶えずラジオを通じて渋滞地区としていつも報道されるんですよ。ですから、そういうところを最優先でやるべきじゃないかという意味で申し上げておるわけで、大臣、個別の例じゃないんですよ、たまたまこういう一つの例示として申し上げておるわけで、例えば首都圏であれば、必ず十カ所ぐらいそういうことがいつも報道されているんです。ですから、そのことを私は申し上げて、そういうところを最優先でやるべきだ、用地買収であろうと何であろうと。きのうまで一生懸命行ったのが、今度は財政が厳しいからといって行かなくなってくる、こんなことが現実におくれの原因なんですから、やはり重点的にそういうことは。十年も十五年もほうっておいているんですよ、はっきり申し上げて。そこに腰を据えてやるならできるんですよ。ですから、そういうことを道路行政としてしっかりとやってもらいたい。大臣
  91. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 わかりました。重点配分ということは私も考えておりますので、努力をいたします。
  92. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それで、次に、道路公団あるいは建設省、これは道路局になりますかね。  「横浜新道が便利になります」と、こんな大々的に新聞で広告を出しているんですよ。わかりますか。どう便利になるんですか。今、横浜新道というのは、あなたたちはこんなことを言っておりますけれども、逆にいろいろなインターをつくったりいろいろなことをして、むしろ道路渋滞を起こしているんですよ。あなたたちは収益的なことしか考えていない、はっきり申し上げて。みんな遮断するようなものなんですよ。そして、例えばこのような形で工事を進めております。  私は、むしろ今の時代に逆行しているんだと思っている。料金所なんかもう撤廃すればいいんですよ。そして精算方式を考えて、道路公団も一部検討されているようでありますけれども、もう既にそういう形の時代じゃないか。それを料金所を二つも三つもつくって、現実には道路渋滞を起こしている。有料道路が有料駐車場なんですよ、今。そんなふうに言われているんですよ。  例えば横浜新道というものはこういうことですよ。かつてあれをつくったときに料金が五十円だったんです。ところが、拡幅するといって百円になったんです。今度はこういうインターチェンジとかいろいろなことを含めて二百円なんですよ。  あなたたち、うそを言っているんですよ。当時は、百円から二百円になるときには、減価方式でやがて無料に開放しますからと。あそこに、元吉田総理という立派な方がいて、ワンマン道路というのをつくりましたよ、鉄道が遮断されているものですから。しかし、はっきり申し上げて、ペイしたら、料金所がなくなったでしょう。そのようにして、地元の人たちは、同じそばにあるものですから、そういう解釈をしていた。ところが、五十円が百円になり、二百円になり、そしてむしろそんなインターチェンジやあるいはまた料金所をぼんぼんつくっている。  一度見てくださいよ、横浜新道の戸塚料金所から三ツ沢料金所まで。私も、けさも来ましたよ。いいですか。大体、こんなわずかなところで一時間以上かかるんですよ。三ツ沢料金所を過ぎると車一台もいないぐらいなんですよ。いかに料金所というものが道路渋滞を起こしているか。  そして、何ですか、これは。便利になります、こんないいかげんなことを金を使ってやるべきじゃないでしょう。便利じゃないでしょう。あなたたちは今まで枝道から入られたところから金を取れるから、収益性がありますと言うのはわかるけれども、便利じゃないですよ、これは。余計道路渋滞を起こすんですよ。このことをどう考えていますか。
  93. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 今御指摘の横浜新道でございますけれども、三十四年に四車線が完成しまして、また、第三京浜、首都高速道路と接続いたしましたり、沿道の宅地開発が進んだというようなことで、大変交通量が伸びまして渋滞が発生し、今先生指摘のとおりでございます。  それで、昭和五十九年から交通容量を拡大するために六車線化を進めてまいりました。また、料金所の通過容量を拡大するために、戸塚料金所でブースの増設をしましたり、今、逆だというお話がございましたが、一般道路への乗りおりを円滑にするためにインターチェンジの新設や改良をいたしました。平成四年に三ツ沢ジャンクションの車線増設、平成六年に戸塚料金所のブース増設、平成八年には、四車線だったものを保土ヶ谷から新保土ヶ谷間、六車線化を完成させました。  そういうようなことで、幾らか渋滞緩和に効果を上げたというふうに思っています。  ただ、三ツ沢料金所、戸塚料金所、道路本線上に設置されている料金所であるために渋滞が発生しやすい箇所となっておるというのは事実だと思います。  そういうことで、三ツ沢料金所、戸塚料金所、改築したいわけですが、三ツ沢料金所についてはトンネル内の料金所だというようなこと、それから戸塚料金所は周辺が住居化しておりまして新たな用地でブースの増設が難しいというようなことで、なかなか処理能力を増設によって上げることは難しいというふうに思っております。  ただ、料金所の処理能力を上げて渋滞対策を、緩和しなければならないというふうには考えておりまして、十一年度からノンストップの自動料金収受システムの整備を着手して渋滞緩和に努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  94. 田中慶秋

    田中(慶)委員 十一年からノンストップを検討して考えていくんでしょう。そうでしょう。そうしたら、今なぜこの二カ所に料金所をつくらなきゃいけないんですか。これから一生懸命ノンストップをやろうとしている、その考え方と、今そこに料金所をつくってやる、膨大な金を投資して。むだな投資でしょう。
  95. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 新たにつくるというんじゃなくて、今ある料金所の料金収受システムをノンストップの料金収受システムに変えていきたいというふうに考えておるところであります。
  96. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そうじゃないでしょう。あなたは新しく、ここ見てくださいよ。じゃ、あなたのこれはうそですか。料金所が二つできるんですよ。いいかげんなこと言っちゃだめだよ、そんなことは。
  97. 黒川弘

    黒川参考人 ただいま全体の工事について道路局長から答弁がございましたけれども、現在道路公団で、渋滞緩和を図りますために、平成十一年度の完成を目途にいたしまして、今井インターそれから川上インターにおきまして分合流車線長の延伸を図る等の改良工事を進めますとともに、あわせて、今井インターチェンジにおきましては、本線上の交通を分散するための横浜環状道路二号線との連結工事等を行っているわけでございます。そういった工事の中におきましていろいろな対策を講じさせていただいているということでございます。  さらに、今道路局長がお話しになりましたようなノンストップのシステムの導入に着手するということにつきましても、並行してやってまいりたいと考えております。
  98. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ですから、料金所を今何も金をかけてつくる必要はない。ノンストップの検討をしてやることによって渋滞が免れ、そしてこれからの全体の交通料金、何も有料道路をつくるなと言っているんじゃないですから。  そういうことを含めてむだな金を投資して、またことしから検討を始めます、ノンストップの料金体系をとっていきます、これをやる。何も三年ぐらい、現状だっていいんですよ。膨大な費用だけかけて道路渋滞を起こして。そうでしょう。時間なりエネルギーの損なりいらいらなり、いろいろなことを含めて、あの渋滞を見てくださいよ。一度、あなた通ったことありますか、朝のうちに、夕方のうちに。ですから、いつまでもほっておいてこんなことをするんですよ。三ツ沢から全然、朝だってあいているんですよ。  かねて私がこの同じような質問をしたときに、トンネルをもう少しちゃんと建設省は拡幅してやるべきじゃないか、一般道があり首都高があり第三が入って一つになると。いやボトルネックで、あそこの全体の地形からトンネルを拡幅することはできませんと言ったでしょう。議事録を見てくださいよ。それだったら三ツ沢のトンネル、中にある料金所を移動するなり何らかすれば、渋滞なんて解消できるんですよ。そういうところが随所にあるんですよ、こういうものは。  だめだよ、いいかげんなペーパーをつくってもらってそんなの見てたって。毎日僕はそこを通りながらいらいらしているんですから。
  99. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 先生の御指摘、十分勉強させていただきます。それで、無料料金収受システムは来年度からスタートさせるということで、この五カ年中にそういうようなことで実用化できるように考えておりますし、また、第三次の補正もつきましたので、それをできるだけ前倒しするというようなことで、私どもは一年ぐらいは前倒しできるのではないかというふうに考えておるところであります。
  100. 田中慶秋

    田中(慶)委員 一年前倒しするのであれば、最優先で、料金所なんてつくらないで、ここをやってごらんなさいよ。三ツ沢であれだけ、本当ですよ、その日によって全然もう十キロも込むんですから。毎朝七キロは黙って込んでいるんですから。  さっき大臣が言ったでしょう、ではこういうものを重点的にやらせていただきますと。言っていることと、あなたたちが今考えている、答弁しておることは違いますよ。
  101. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 三ツ沢の方の、これは首都高速の料金所でございますが、こちらの方についても同じように対処してまいりたいというふうに思っております。(発言する者あり)
  102. 田中慶秋

    田中(慶)委員 矛盾なんてしていないよ。人の質問に余計なこと言うなよ。  この問題については、本当に真剣に取り組んでもらいたい。  それから、例えば、道路全体、首都圏の道路を考えてみてくださいよ。みんな東京一極集中なんですよ、はっきり申し上げて。環状道路の整備というのをもっと早くしないと、経済的にも、エネルギーも、あるいは大気汚染も、全体的に見て考えてみてくださいよ。例えば東名もみんな東京、中央道も東北道も常磐道も、こういう中で経済効果をあらわすいろいろなことを考えてみてくださいよ。私は、バイパスをちゃんとつくるべきだ、はっきり申し上げて。  今このようなバイパスをつくることについて、環状道路、いろいろな構想はあるんですけれども、着手していないんです。例えば用地の問題があるならば、東名と中央道であるならば、相模川の空間を利用していけばそんなことはすぐにでもできるんですよ。やる気があるかないかの問題なんです。  ですから、このバイパス構想あるいは環状構想というものが、どれだけ経済効果や、あるいはどれだけエネルギーの効果というものがあるかどうか、私は膨大なものだと思いますけれども、その辺について。
  103. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 首都圏のような大都市圏で、先生指摘のように、交通渋滞の緩和、環境保全など、国民生活の向上、社会経済活動効率化を図るために、自動車専用道路の整備を進めていく、またその際に、環状道路の重要性、私ども重々認識しておりますが、そういうことで、首都圏については、三環状九放射の構想を立てて整備を進めておりましたが、緊急性が高いというようなことで放射状の道路からやってまいりまして、そっちの方は九割方完成しているんですが、三環状の方は、今御指摘のように、非常におくれている。そういうようなことで、交通渋滞の原因になったり、いろいろな問題が生じているということは、重々認識しております。  現在は、三環状の方については、二割ほどの整備ができたような状況でありまして、まだまだこれからだということでございます。  それで、環状道路については、都心方向の集中する交通を分散導入するでありますとか、それから都心に起終点を持たない交通をバイパスさせるとか、そういうような効果があるわけでございまして、整備を進めていかなければならないというふうに思っています。  それで、相模縦貫については、今そういうことで、茅ヶ崎—厚木間二十一・六キロについて平成六年の六月に都市計画決定がされまして、六年度から茅ヶ崎市内、順次用地買収を進めてまいりました。八年度には一部工事に着手したような状況でありまして、緒についたというようなところでありますが、地元の皆様方の御協力を得ながら整備をしてまいりたい、鋭意整備を進めてまいりたいというふうに思っています。  またなお、先生から、河川について、利用したらどうかというような御指摘がございましたが、一般河川の縦断方向に工作物を設けるということについては、橋脚等で洪水の阻害要因になるということ、それから洗掘をするんじゃないかというようなこと、堤防、護岸に悪影響を及ぼすというようなことで、原則としては設けないということでございます。  ただ、相模縦貫については、堤防との兼用工作物というようなことで計画決定させていただきまして、河川とも協力していただきながら整備の促進に努めてまいりたいというふうに考えておるところであります。
  104. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、発想、チャンネルを少し変えることによって工事も進む、用地費も安くなる、こういうことで、デスクワークじゃなくして、やはり現場を調査しながらそういうことは特に進めていかないと、もう時代は変わってきているんですから。  町の真ん中を通そうとしたって非常に問題がある。住宅集中のところに、今でも、環状線が計画決定をして、そして一部工事が進んでいるけれども、五年も六年も工事がストップしているんですよ。そういうところは随所にあるわけですから、そういうところをトンネル構想に変えていくとか、私は、そういうことを含めて、全体的な、従来の発想ではなく、道路行政というものはちゃんとしていかないといけないと思う。どう思いますか。
  105. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 今御指摘のように、渋滞対策等、整備を進めていくことは喫緊の課題だというふうに思っております。そういうふうな中でいろいろな工夫をしながら、活用できるものはいろいろ活用しながら進めていきたい。御指摘を十分検討させていただきたいと思います。
  106. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、道路行政ばかりやっていても、前向きに、いや本当に日本経済に大きく影響することなんですから、そういうことを含めてやってほしい。大臣、そのことを強く要望しておきます。  それから、河川行政についてお伺いいたします。  これはもう私の長年の持論であります。  大臣、一級河川の中で、住宅密集地を通って、あるいは駅前を通っている河川がある。その河川を空間利用、河川の空間利用をすべきだ。水に親しむといっても、堤防が直になっているんですからなかなか水に親しむことはできない。水に親しむところは別なところをちゃんとやればいいことであって、駅前の再開発なり駅前の町づくりなり等々を考えると、河川の空間利用というものが多く住民からも求められているし、あるいは行政の人たちもそのことを非常に願っているわけです。  ところが、河川局というのは頭が非常にかたいものですから、なかなかそのことにうんと言わない。だから私は、河川局の考え方を聞かないで、むしろこれはお互いに政治家同士として、集中する駅前のこういう問題については、大臣、やはり政治家として大臣からこの辺についての考え方を述べてほしい。
  107. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 これはなかなか難しいところだと思うんですが、先生は、ですから駅前等々の河川は、それを利用するという方ですね、自然の状態で置いておくという意味じゃないわけですね。  先生指摘のように、役所からレクチャーを受けたときには、河川法でなかなかそれが今はできないという法律にはなっておるわけでございまして、そこでそれを凌駕するようにということだろうと思うのでございますが、この点は先生とちょっと私の考え方、素人の考え方は間違っておるのかもしれませんけれども、やはり河川は、委員指摘のようにではなくして、やはり自然の状態に置いておく方がいいんじゃないかなと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  108. 田中慶秋

    田中(慶)委員 河川の、駅前の部分的なところで、わずか百メーターぐらいですよ、全部やれと言っているんじゃないんですよ。横浜の駅前だって帷子川という河川があって、そこだけふたをして、皆さんがそこに集まったり、いろいろなことをしたりしているわけです。ところが、建設省は、例えば駅周辺の整備のために自転車置き場の促進であるとか駐輪場とか、みんな予算をつけているじゃないですか。  ところが、駅のそばを流れている河川、この空間、私はまさしく、全部やれなんて言っていない、大臣と同じですよ。それは自然というもの、水に親しむべきであり、しかしその部分だけは、河川法どうのこうの、やっているところとやっていないところがあるんですよ。横浜の西口だからできて、例えば戸塚だから、大船だからできないということはないでしょう。法律がそんな区分するんですか。私はそのことを言っているんです。  私は、これ、ずっと国会でもやってきたし、地方で県会のときもやってきているんです。県会は、当時図面まで書いたんですよ。神奈川県議会として、土木として。そうしたら、建設省河川局はこれはノーと言って、だめになった。駅前の全体的な整備。そういうことなんですから、私は何も全部、そんなことを言っているんじゃない。自然を大切にしなければいけないけれども、その部分だけぐらいは、こういう人口の集中とか今の状態を考えたときにやるべきじゃないか。  僕はこれはずっと持論で、そしてやっているところとやっていないところとある。極端なことを言えば、たまたま大臣自分の出身のところはやったかもわからない。当時、横浜には小此木さんという立派な人がいましたから。そして、横浜の一部分をやったんですよ。田舎の方はできない、こんな理由はないでしょう。大臣どうですか、政治家として。
  109. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 それでは、次の先生質問までに考えておきます。
  110. 田中慶秋

    田中(慶)委員 次の質問に移らせていただきます。  それから次は、河川とは別に、都市計画法のあり方についてお伺いをしたいと思います。  都計法は、今度地方自治体にある面ではゆだねることになっておりますけれども、県の都市計画審議会あるいは市町の都市計画審議会、今までは市の都市計画審議会が法的には認められず、任意的にありましたけれども、今度そういうことができるようになりました。現実に工事が着工している度合い、今まで都市計画で決めたもので工事その他が着工しているものはどのぐらいあると思いますか。
  111. 山本正堯

    山本(正)政府委員 都市計画で決定されるものにつきましては、相当の時間がかかるということになっておりますが、全体として把握しているわけではございませんが、都市計画決定をされたものについては順次やっていくということでございます。事業によりましては、三年、五年で事業が終わるものももちろんございますし、十年あるいはもう少し用地交渉等で長引くものもあるというふうに考えております。
  112. 田中慶秋

    田中(慶)委員 質問の要旨にちゃんと答えて。着工しているのはどのぐらいあると思いますかと僕は聞いているんですよ。都市計画決定をし、現在着工しているものはどのぐらいありますかと聞いているんですよ。
  113. 山本正堯

    山本(正)政府委員 今ちょっと手元に持っておりません。恐縮でございます。
  114. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大体三八%ですから。このぐらい権威がなくなってきているんですよ。やはり都市計画決定した以上は、これからしっかりと権威を持たせてやらなければならない。  ということは、都市計画決定をされて、それぞれ着工をする、予算もみんなついて回るんですよ。地方分権だから、今度は都計法がそういう形で地方にゆだねることは僕は非常に大賛成。しかし、私はそのときにすべて一緒に地方自治体地方分権としてゆだねるべきじゃないか。そうでしょう。計画を決定して、そして着工する段階になるとまた建設省が口を出すんですから。ですから、そういうことを含めてこの辺をどう思いますか。
  115. 山本正堯

    山本(正)政府委員 都市計画につきましては、生活に非常に密接に関連するものから、あるいは広域的、根幹的な計画に至るまで、非常に幅広いものを一体的に定めるということでございますので、国、都道府県、市町村が適切に役割分担を担いながらやっていくということであろうかと思います。  基本的に、今先生がおっしゃいましたように、都市計画というのは町づくりでございまして、公共団体が基本的に都市計画を行うというのはおっしゃるとおりでございます。都市計画の決定そのものは、全部、公共団体、県あるいは市町村におりておることは先生御案内のとおりでございます。事業につきましても、そういう格好で都市計画事業として各公共団体が行っていく、こういう格好になっておるところでございます。
  116. 田中慶秋

    田中(慶)委員 各公共団体が行うというけれども、今の財政で行えないものですから、みんな補助金を当てにしているんですよ、はっきり申し上げて。  ですから、権限は与えるけれども補助金は、こういうことになってくるわけですから、私は、財政の問題も含めて、せっかく地方分権でそういうことをやって、今までは地方自治体都市計画決定をしたものがみんな建設省に上がってきたでしょう。今度せっかく地方分権したんですから、そういう点では、財政的にも当然そうあるべきではないかな。大臣、どう思いますか。
  117. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘のように、今回法律改正を行うわけでございますが、改正前の国の関与と改正後の国の関与をいろいろ調べてみますと、大分緩和がされておるわけでございまして、国との調整を要する都市計画の範囲の縮減なども、今までよりも半分になるようになっておりますし、先生指摘のように、そうしてはっきり都道府県と国との関与を明確化するということをやっております。  ですから、制度上はそういうことになりますが、あと財政上にフォローがなければ実現できませんから、そのことはこの法案審議のときにまたいろいろと皆さんと論議をし合っていけばいいと思っております。また、やはりその方向でやらないと文字だけになりますから。
  118. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ぜひ大臣、期待しますからね。これは、せっかく仏つくって魂入れずではしようがないんです。あなたもまだ若い大臣なんですから、そういう点ではこれから大いに、関谷大臣がこういうことをやったということを、この問題一つとっても、財政の問題も含めて、これはぜひ後世に名の残るような形でやってほしいな、こんなふうに思います。  次に、建築基準法の関係に移らせていただきます。  昨年、建築基準法の見直しという、こういう形でありますけれども、ことしの六月から実施ですね。しかし、その内容、運用方法等々についてまだ徹底されていない。これはどういうわけですか。
  119. 那珂正

    ○那珂政府委員 昨年の通常国会におきまして改正されました建築基準法の施行は、二段階に分けて実施されることとしております。その第一段は、ことしの五月に施行を予定しております。  その第一段目の内容でございますけれども、今回の改正部分の大きな二つ柱がございまして、一つは確認、検査を民間開放するというところと、それから基準そのものを性能規定化するというところが二本立てでございまして、前者の方をこの五月から実施していきたい、こう思っております。その実施のために、今鋭意、各都道府県及び特定行政庁等におきまして準備をしてもらっているところでございます。
  120. 田中慶秋

    田中(慶)委員 五月から実施されるものを鋭意検討しているで、本当に徹底できますか。だからお役所仕事と言われるんですよ。  まして、今まで建築確認をおろすのは建築主事が、役所がおろしていたんだ。今度は民間が参入できるんです。ところが、民間が参入できるといったって、また主事の資格を、仕事に参入できるための制度があるんでしょう。では、その制度はなぜ一級建築士に限っているんですか。なぜ国が認めている二級建築士、特に今度の確認問題では、大体木造が主でしょう、ほとんどが。一級、二級建築士差別じゃないですか、それは。私は、二級建築士までその範囲を広げるべきだと思う。そして、それがそれぞれの個人の努力やいろいろなことによってその試験資格を得られればいいわけで、一級建築士と二級建築士とどれだけ違うんですか。
  121. 那珂正

    ○那珂政府委員 お尋ねの民間の確認検査員は、従来行政の職員である建築主事だけが建築確認、検査に携わっておりましたのに対して、改正法によりまして、行政による、主事による検査も並行して残りますけれども、新たに民間の法人、これは公益、いろいろな形の法人、団体があると思いますが、そういうところにもこういう確認検査業務をやってもらおうという趣旨でございます。  そこで、その確認検査業務をやる団体は、一定の技術的資格を有する確認検査員がその仕事規模に応じて必要だということとされておりまして、この確認検査員になるためには、現行の建築主事の資格試験と同じような試験をやっていただく必要があるわけでございます。この確認検査員は、実際上、木造建築士から御指摘ありました二級建築士あるいは一級建築士まで、すべての範囲の設計についてチェックする技術的資格を要するということから、すべてを設計できる資格であります一級建築士が持っている資格をベースとしたところでございます。  なお、実際に受験資格というのは、一級建築士であれば受験資格がございますが、一級建築士と同等の技術的知識があると認められれば、それはそれで受験資格として認められるものと、運用することとしております。
  122. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間が限られているのですから、質問にちゃんと答えてくださいよ。  なぜ二級建築士はできないのかと僕は指摘しているんですよ。どれだけ問題があるのよ。全然問題ないじゃないですか。まして、いいですか、これからまた問題になってくるんですよ、あなた。大体、またこういうことを含めて天下りをつくろうとしているんじゃないですか。この建築主事のOBをまたもう既に集め始めているんですよ。  ですから、何も制度をつくって、一級建築士じゃなくたって、二級建築士だってできるんですから。そういうことを含めて、一級建築士と二級建築士がそんなに差があるわけじゃないですよ。高層のものをやろうとしているんじゃないですよ、これは。どうですか。
  123. 那珂正

    ○那珂政府委員 この新たに制度化されました民間の確認検査員は、先ほども申し上げましたけれども、すべての建築物につきまして、木造だけを限って行うということではなく、出てきたものすべてを検査できる能力を必要とされておりますので、先ほど来申し上げているような一定の技術的知見を問う資格とさせていただいているわけでございます。
  124. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それでは、今回民間委託できるのは何階までなんですか。
  125. 那珂正

    ○那珂政府委員 民間における指定確認検査機関につきましては、特に何階までとか、そういうことはございません。それは、むしろその機関の業務の範囲を自主的に決めていただければよろしいかと思います。
  126. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そうじゃないでしょう。現実に今こういう問題を含めて、あなたのところは内容から何から明確に、今検討している最中で、はっきり言って、高層住宅はだめよと言っているんじゃないですか。民間委託できるのはせいぜい木造とか低層の部分だけだ、それだったら一級でも二級でもできるんじゃないですか、こういうことを申し上げているんですよ。  それからもう一つ、時間の関係もあるから。なぜ中間検査をそんなに強くするんですか。公的資金を借りてやるならば、中間検査はいいでしょう。みんな自己管理で、はっきり自己責任、企業責任ということを明確にして安全の問題もやっているんですよ。中間検査をすることによって、納期もおくれれば費用もかかるんですよ。あなたたちは中間検査をまた義務づけて、なぜこんなことをするんですか。
  127. 那珂正

    ○那珂政府委員 中間検査につきましては、阪神・淡路大震災における反省あるいは昨今の欠陥住宅問題などの状況に踏まえまして、建築物の安全性をより確かなものにしようというためには、どうしても工事の施工段階において適切な工事がなされているということを検査する必要がある、そういう場合があるという理由から創設されたものでございます。  また、この中間検査は、すべての建築物を対象とするものではなくて、各地域の特定行政庁が、それぞれの地域の建築活動の状況を勘案しつつ、本当に必要な対象を絞って指定することとしておりまして、その適切な実施が図られるよう指導してまいりたいと思います。
  128. 田中慶秋

    田中(慶)委員 僕が冒頭に言ったのは、ことしから変わる、内容も今検討中であり明確じゃない、はっきり申し上げて、運用問題。規制緩和だという時代に、自己責任や企業責任だと言われるときに、安全性だとか、そういうことをやる時代じゃないですよ。むしろ企業責任なり自己責任というものをちゃんとする時代に、あれもいけないこれもいけない、規制緩和じゃないでしょう。そういう時代じゃないんです。ですから、運用面で、今あなたが言われているように、本当の部分的に、今までもあったのですよ、公的資金を導入したときに、借りたときに、そういう中間検査があったわけですから、従来と全く同じでいいのですよ。そういうことを含めて、私は、何も屋上屋を重ねてより高いものをつくる、そうじゃないでしょう。そういう時代なんですから、その辺をしっかりと運用面で徹底してください。
  129. 那珂正

    ○那珂政府委員 先生の御指摘の点を十分踏まえて、運用に万全を期したいと思います。
  130. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで住宅局長、例えば今度の規制の中で、今まで公庫の借入金のときに大体みんな同じだったのですけれども、今回、ツーバイフォーは三十年でしょう。木造はなぜ二十五年なんですか。まして、機能証明書というものをもらえば、判こをもらえば三十年だというのですよ。ツーバイフォーであろうが木造であろうが、今これだけ技術が発展しているのに、同じ三十年でいいじゃないですか。そして証明書をもらえば三十年だ、こんなばかなことを、では証明書をどこが発行するのですか。また検査機関でしょう。そんなことはもうやめなさいよ。やはり三十年ならもう同じく三十年でいいじゃないですか。どう思うのですか。
  131. 那珂正

    ○那珂政府委員 お尋ねのは、住宅金融公庫融資に係る物件の償還期間の問題であるわけでございますが、確かに木造については、原則二十五年で、一定の耐久性能がすぐれているものと認められたものについては三十年というふうになっております。  ただ、日本の木造住宅についても、先生指摘のように、この二十年ぐらいの間に耐久性が徐々に回復してまいりました。住宅金融公庫は、当初発足したときには、償還期間も二十年と定められておりました。これは、住宅金融公庫としては、金融機関でございますから、債権保全の観点から、やはり貸付対象たる住宅の平均的な寿命というものをどうしても考えざるを得ないということから二十年でスタートいたしまして、これが二十五年に近年なったわけでございますが、またそういう我が国の木造住宅の耐久性等の状況を踏まえて、おっしゃるようなことでそろえていきたいと思います。
  132. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今度の改正で、そのぐらい一緒にしたらどうですか。そうでしょう。木造の技術も上がり、耐久性なり耐震性というものが非常に吟味されているのですよ。ツーバイフォーだから三十年で、片方木造だから二十五年、こんなことは、あなたの感覚からしておかしいと思う。もう横並びでいいですよ、そのぐらいすると言ってくださいよ。
  133. 那珂正

    ○那珂政府委員 先ほど申し上げましたように、住宅金融公庫の、金融機関として債権保全の観点から今の点についてはそういう仕切りになっておるわけでございまして、ただ、先生の御指摘の趣旨も十分わかっているつもりでございますので、検討させていただきたいと思います。
  134. 田中慶秋

    田中(慶)委員 住宅金融公庫がそのペーパーを出したんじゃないんです。二十五年という根拠は住宅局長のところから出て、これが一番いいですよと出ているから、向こうは素人なんですから。ですから、あなたのところで同じ横一にしたいというんならば、向こうはそうなるんです。あなたがそのぐらいの権限を持っているんですから、そのぐらいやると言ってくださいよ。
  135. 那珂正

    ○那珂政府委員 御趣旨を踏まえて、くどいようでございますが、金融機関としての立場もこれありますので、両方よく検討させていただきたいと思います。
  136. 田中慶秋

    田中(慶)委員 まあ押し問答していてもしようがないですから、しっかりやってください。  これはあと大臣に聞かなきゃいけないんですが、大臣、実は金融機関の貸し渋りという、いろいろな問題がありましたね。せっかく公的資金導入したり、いろいろなことをして景気対策の問題に取り組んでおりますよね。なぜ不動産業界にはこの資金が、借り入れができないんですか。
  137. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この貸し渋り対策ですが、これは御承知のように、信用保証協会が予算を大変大きなものにいたしまして、一昨年の十一月二十六日でございますが、中小の建設、不動産業は、御承知のように不況業種に指定をされましたから、それからは大体倍額、別枠入れると倍借りられるようになったところでございまして、普通保険ですと、今までですと一般で二億円だったのが、別枠で二億円借りられるということになっております。  確かに、もちろんこれは先生専門の分野でございますが、銀行には自己資本率を高めろと言いつつ、そしてまた片や貸し渋りはやめろという、何かアクセルとブレーキを踏んでおるようなことを要求しておるんですから、銀行のつらいところもあるんでしょうが、こういうようなことで、不動産業もその後は多少、多少といいましょうか、よくなったというふうにも伺っております。
  138. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣、いま少しこの辺については実態調査をしながら、やはり全体的な景気対策のために取り組んでほしいということを要望しておきたいと思います。  そこで、住宅公団来ていますか。  私は、きょう私の前任者もやりましたけれども、住宅公団、もう既にその役割は終わったと思っているんですよ。ということは、大臣、同じようなことが、例えば神奈川の場合、神奈川県も横浜市もそれぞれの市町村も、例えば住宅供給公社があり、あるいはまたそれぞれの住宅建設課やらそういうものもあって、屋上屋を重ねている。結果として、売り残りがあったりいろいろな問題が公団には出てきている。  今度は市街化事業をやろうとしている。しかし、私はそんなことは何も住宅整備公団がやらなくたって、同じことやっているんですから、住宅供給公社であろうと地方自治体であろうと、法律に基づいて、市街地再開発法に基づいていろいろなことをやっているわけですから、こういうことを含めて考えてみますと、私は、もうそれらの役割は終わった、こんなふうに思っているわけです。ですから、先ほど指摘をされているように、いろいろな問題が出てきている。  そこで、いいですか、大臣、よく聞いてくださいよ。例えば住宅公団が、自分はここをこうしたいという線引きをして、ここに団地、ニュータウンとかつくろうとする。幹部の人はみんなそこを知っているわけでしょう。ところが、開発予定地に幹部職員がその土地を購入して、情報を先にとって、そして後は換地だといってもらって、新聞にも出ていますでしょう。こういうやり方が現実に行われている。  不動産屋さんじゃないんですよ。課長さんたちが、そういうことを含めて情報を先取りして、そんなことだれでもできるんですよ。一九七四年、公団がそこを予定地として四四%買収した。この課長さんは、説明によると七五年の十一月に買ったと言っているんですけれども、そんなことは自分で全部、そのエリアがどうであろうか、山をどういう形で。そして、現実には四千五百万円ほどの益を出している。こんなことを公団として、いいんですか、これは。
  139. 今泉浩紀

    今泉参考人 お答えいたします。  ただいま先生からの御指摘の点でございますが、新聞の記事につきましては承知してございますが、現在、本人を含めてこの経緯等を含めまして調査をしております。調査をまちまして適切に対処したいというふうに存じております。
  140. 田中慶秋

    田中(慶)委員 これは個々の例でしょうけれども、基本的にあなたたちなり幹部はそういうことをできるんですよ。ところが、氷山の一角かもわからないけれども、こういうことが現実に出ている。  公団が今どんな立場に置かれているのか。もう役割は終わったという、先ほど僕が言いましたでしょう。そのぐらいの立場に置かれているんですから、やはりこういうことを徹底しなきゃだめだよ。課長さんなんて、それだけの権限なり情報が全部入ってくる。極端なこと、インサイダーの取引みたいなものですよ、これは。こんなことを、これから調べてなんて言うんじゃない。あなたの姿勢なんですよ。これは氷山の一角ですけれども、全国にこういうところは幾つでもあると思う。どうですか。
  141. 今泉浩紀

    今泉参考人 私どもは、職員の仕事の仕方というのを信頼しているわけでございますが、こういうことはないというふうに信じております。
  142. 田中慶秋

    田中(慶)委員 とんでもないですよ、大臣。信じている、何でこんな新聞出るんですか。あなたの言葉は取り消しなさいよ。ここにこういうもの出ていて、まして今、公団のこれからの存続までかかっているものを、こんなことはないと信じていますとはどういうことですか。
  143. 今泉浩紀

    今泉参考人 ただいま先生の御指摘の新聞の記事につきましては調査をしているわけでございますが、これ以外につきましては、こういうことがないであろうというふうに申し上げたわけでございます。どうぞ御理解よろしくお願いいたします。
  144. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ないだろうじゃなく、少なくともこういうことが二度と起きないように努力しなきゃいけないし、現実にそういう環境にあるんだから、できるんですよ。問題にならないだけでやっている人がいるんですから、はっきり申し上げて。名前を言ったっていいんですよ、僕は知っているんですから。だから、そういうことのないように、やはりこれから存続の問題があるんだから徹底してほしい、こう申し上げているわけです。  それで、実は大臣、これは本当にこれからちゃんとして、規制緩和とかいろいろなことをやっているでしょう。ところが、今むしろ規制をつくったり、資格制度ばかり建設省はやっているんですよ。  例えば、私が土木屋さんだとしますでしょう。そうすると、事務取扱の責任者、会計責任者、こんなことを、資格制度でなければその仕事ができないようになっている。中小企業のところで事務責任者も置かないですよ。会計責任者は税理士さんかだれかに全部任せますよ。ところが、そういう制度で経営審査が行われるわけ。それで、その資格は講習会といって、いいですか、一回の講習会に二万も三万も取って、それで資格を取る。それは外郭団体が全部やっている。外郭団体は全部OBなんですよ。みんなそういう形で天下りが次々とある。きょうは時間がないからそう余り言いませんけれども、やはり大臣、天下りをなくさないと行政改革はできませんよ。特に建設行政については、先ほどの指摘のように、次々と隠れみのになって天下りがたくさんあるわけですから。  いいですか。ここに私が調べているだけでも、認可法人だけでも、財団法人あるいはまた社団法人合わせて建設省関連が三百四十もあるんですよ。そこに平均で天下りは何人行っていると思いますか、道路施設協会じゃないですけれども。こういう状態なんですよ。ですから、全体的な人事管理は別にしてでも、やはりここにメスを入れていかないと、今の日本建設行政のあり方というものができない。  時間もまいりましたけれども、最後に、これからの道路建設行政について、私は、きょうは実はバリアフリーという問題について、大臣からいろいろな説明があったから、特にその問題をやろうと思ったんです。バリアフリーというのは、極端なことを言えば、きょうは委員長は眼鏡をかけていますけれども、眼鏡をとれば見えないんですよ。同じように、車いすの人たちは全くそれと同じような認識で、あるいはお年寄りはそういう認識で公共事業やそういう問題に取り組んでいかないと、ぜひ、これからの、口だけじゃない、バリアフリーというのはできませんから、そういうことを大臣に要望して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  145. 平田米男

  146. 井上義久

    井上(義)委員 公明党・改革クラブの井上義久でございます。  きょうは、まず住宅政策について大臣に所見を承りたいと思います。  これまでの日本住宅政策、どちらかといえば、右肩上がりの経済ということで地価も所得も右肩上がりで上がっていく、そういうことを前提にして持ち家政策中心住宅政策だったんじゃないか、こう思うわけでございます。  そういう右肩上がりの経済も終えんをしたということで、今経済状況は非常に厳しいですけれども、これは安定成長に当然乗せていかなければいけないわけでございまして、地価、所得とも安定成長時代に入る。  それから、一方で消費者の持ち家とか借家に対する意識のボーダーレス化といいますか、特に若年層は持ち家意識が非常に弱くなって、借家でいい、こういう人が相当ふえているわけでございますし、それから、一方では少子高齢社会ということで、いわゆる子育てをバックアップするようなファミリー向けの住宅とか、あるいは高齢世帯がふえている、高齢者向けの住宅を充実するとか、住宅政策が大きく転換を迫られているんじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。  住宅が景気対策の波及効果が大きいということで、ことしも住宅建設に対するインセンティブを持たせるようないろいろな政策が組まれているわけですけれども、やはりこれは、住宅というのは国の政策の基本の問題でありますから、きちっとした住宅政策をここで再構築して、それを踏まえた上でいろいろな政策をやっていくべきじゃないか。特に持ち家、借家のバランスのとれた住宅政策、あるいはファミリー向け、あるいは高齢者向けの住宅というような観点をきちっと盛り込んだ新たな住宅政策というものをつくらなければいけないんじゃないか、そう思うわけでございまして、この住宅政策の再構築ということについてまず大臣の所見を承りたい、こう思います。
  147. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘のように、住宅に対します国民の皆さんの願望、視点というものも、これはまた戦後大きく変わってきたと思うわけでございまして、確かにこれからは、例えば老後になりますと、先ほども出ておりましたように、バリアフリーの、そういうスケールは、広さはそう大きくなくても老夫婦二人ですから、それはそれでやっていけると私は思うわけでございまして、ですから、やはり持ち家志向というものはだんだん薄れてきておるのではないかと思うんです。  それで、住宅金融公庫でお金を借りて、一人の方が定年まで一生懸命働いて、残ったのはその一軒の家だけであったというような人生では、本当に心寂しい人生ではないかと私は思うわけでございまして、それならば、今の若い方々が持っております、賃貸住宅でいいじゃないか、もっと人生も楽しみたいというような感覚も出てくるわけでございましょうから、いろいろとそういうようなことにおいて、先生指摘のように、右肩上がりの経済のときでございましたら、新築住宅が年換算で百六十万戸なんという時代もございましたけれども、私はもうそういう時代ではないと思うわけでございまして、建設省では百三十万戸を希望としておりますけれども、それは、私はざっくばらんに申し上げまして、百二十万戸でいいんではないかなと。百十万戸に下がって建設省は大変慌てておりましたけれども、私は百二十万戸、そして今度は中古住宅の市場をその間に開発してくればいいんではないかなというふうに思ったりしておるわけでございます。  これからは、十五年間にわたります大幅な住宅ローン控除制度、これは二年間の間に申し込んでくれた方でございますが、そういうようなことも進めていくというふうなことで、先生指摘のように、住宅を持ちたいという方の感覚、それから制度であるとか、いろいろ大きく変わってきておると思うわけでございまして、そういう流れを的確に把握して住宅政策は進めていかなければならないなと思っておるわけでございます。  ただ、小渕総理が生活空間倍増計画ということで、いろいろなもの、買い物の空間を、時間を倍増にするとか、あるいは住宅の床面積を倍増にするとかいうようなことがございますが、ここ喫緊の問題としては、やはりスペースを広く持つということが第一の目的ではないかな、達成すべきことではないかなというふうに私は思っております。
  148. 井上義久

    井上(義)委員 私どもは、この住宅の問題、健康で文化的な生活を営むに足る住宅、これはやはり基本的人権であって、国がその供給をする義務を負う、こういう考え方に立って住宅政策というものをずっと我々は主張してきたわけでございます。  それで、今大臣からもお話がございましたけれども、小渕総理、生活空間倍増計画ということで、具体的に言うと四十平米ぐらいを挙げていらっしゃるんですけれども、現実はほど遠いわけでございます。私は、そういうことじゃなくて、住宅政策を進める上での指標をきちっと今定めるときではないか、またそれが可能なときではないかということで、例えば住空間について見ますと、持ち家、借家を通じて、例えば一人最低二十から二十五平米ぐらいを目指すとか、あるいは、持ち家志向というのはこれは当然ずっとあるわけでございますから、例えば年収、今は五倍程度ということを目標にして、東京都以外は大体それは達成されつつあるわけですけれども、バブルの前に戻ったという意味で達成しつつあるわけですけれども、年収から考えますと、やはり三倍程度で買える。といいますのは、公庫融資は大体年収の五分の一以下が返済額の基準だ、こういうふうに言っているわけでございますから三倍程度。これは、二十年返済ですと大体年収の二〇%程度で返済が可能なわけでございますし、あるいは、借家については、家賃負担というのは年収の一〇から一五%、本来応能負担というのが原則だと思いますけれども、一つの目標として一〇から一五%程度。  そういう具体的な目標をきちっと設定した上で住宅政策をきちっと、借家、持ち家、バランスのとれた住宅政策を推進すべきじゃないか、こう思いますが、どうでしょうか。
  149. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 そういう意味で、数値ではっきりしておりますのは、今後五年間で国民一人当たりの床面積を四十平米弱に拡大することを目標と掲げているところでございまして、そういう数値的にはっきりと打ち出しておるのは、現在のところ、この一点でございます。
  150. 井上義久

    井上(義)委員 四十平米というのは、実際達成できるかということを考えますと、私は現実厳しいと思うのですけれども、それはそれとして、その他いわゆる持ち家の場合の年収の問題あるいは家賃の負担の問題、これも含めてやはり目標を定めるべきだと思いますし、ぜひ検討していただきたい、こう思います。  先ほど大臣がお触れになりました、今回、住宅ローン控除制度を創設したわけでございます。従来の住宅促進税制を大幅に拡充するということで、私どもも高く評価をしておるわけでございます。  これはなぜかといいますと、一つは、減税額を大幅に引き上げられたということ。それから二つ目は、土地も含めて対象になったということ。特に三番目が大きいのですけれども、減税額が十五年間で漸減する仕組みになっていて、減税終了時の激変緩和がとられたということは、これは大変いいことだ、こう思うわけでございます。  一月一日の入居分からということで公庫融資が既に始まっているわけですけれども、一つは、この制度が具体的に発表になって、一月一日からということでスタートして、いわゆる景気対策という側面が非常に強いわけですから、景気回復の呼び水になり得ているのかどうかということで、現状、具体的なデータがあれば教えていただきたいというのが一つ。  それから、大臣、先ほどお話がありました二年限定ということなんですけれども、景気対策という意味では二年限定ということはわかるのですけれども、これもやはり先ほど言いましたように、住宅政策の基本をどうするかということにかかわってくるのですけれども、従来の住宅促進税制ですと六年間で、最初の三年間は三十五万、その次の三年間は二十五万、その次ゼロですよというので、極端に変わっちゃうわけですよね。そうすると、月の返済が、月に直すともう二万とか三万とか大きく違っちゃうわけでございまして、そういう意味で、やはり住宅政策ということを考えますと、これは継続してやっていくというのが基本じゃないかというふうに、始まったばかりですからなかなか言いにくいと思いますけれども、やはりその辺の見通しを持った方がいいんじゃないか、こう思います。
  151. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まず、先生指摘いただきましたように、住宅ローン控除制度は十五年間になりまして、合計の控除限度額が約五百八十万円になる。前の住宅促進税制でございますと、百七十万円ということであったわけでございまして、これは大きなインパクトを与えたようでございまして、住宅金融公庫の第三回募集結果は約十一万戸と前年同期比四五%の増になっております。それから、首都圏マンションの販売状況は、十二月としては一番多い、最多の販売戸数で、契約率も七五%強と好調でございました。それから、住宅展示場への来場者は、十二月に前年同期比で九%の増加に転じました。それから、一月二十九日公表された平成十年十二月の新設住宅着工戸数は、年率換算値で約百十五万戸と増加に転じてきておるところでございます。  そういうような中で、この住宅ローン制度は、先生指摘のように、平成十一年及び十二年における時限措置として導入されることとなっておりまして、今回の決定では平成十三年には住宅取得促進税制に戻ることとされておるところでございます。ですから、それはその後の経過を見ながら、またそれで落ちるようなことになりましたら、これは先生指摘のように、またこれをしばらく延ばすというようなことをやらなければならないのかなとは思っておりますけれども、御指摘のように、今スタートしておるところですから、ちょっと言いづらいところがあります。
  152. 井上義久

    井上(義)委員 これは景気が落ちたら延ばすということを申し上げているのじゃなくて、景気が落ちても落ちなくても、住宅の持ち家をする人たちのやはり生活設計というか人生設計という問題で、やはり基本的な考え方を建設省はきちっと持たないと、激変緩和というのが非常に大事なので、そういう点でこの制度そのものを、大臣、どういうふうに評価していらっしゃるか、もう一回ちょっと伺いたいと思います。
  153. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 失礼しました。  私は、そういうようなことで、景気が落ちたらまた継続というような感覚だったのですが、なるほど、ずっと継続をされる、そういう姿勢で、いろいろ環境も変わってまいりましょう、少子化でもありましょうし、高齢化住宅もやっていかなければなりませんから、そういうようなことでは確かにそうだろうとは思いますが、さて、税収が国とすればそれだけ落ちるわけでございますから、そのあたりはまたちょっと考えなければならないかとも思います。
  154. 井上義久

    井上(義)委員 今すぐそういうふうにおっしゃると、駆け込み需要をせっかく期待しているのになくなっても困りますので、基本的な考え方だけぜひ御理解いただければ、こう思います。  それから、先ほどからちょっと触れていますけれども、賃貸住宅政策につきましてちょっとお伺いしたいと思います。  平成十年の八月に、住宅宅地審議会の住宅部会基本問題小委員会が中間報告を出しておりまして、今後の我が国の賃貸住宅政策の基本的な考え方について方向づけをしているわけでございます。  具体的な施策としては、第一に、賃貸住宅問題の取り組みの強化、特に少子化問題を踏まえ、ファミリー向けの良質な賃貸住宅供給を中心とした居住水準の改善、それから第二に、長寿社会に対応したセーフティーネットの充実、バリアフリー対応の高齢者向け住宅の供給がその主なポイントとして挙がっている、全くそのとおりだと思うわけでございます。  まず最初に、この長寿社会に対応した高齢者向けの優良賃貸住宅、これは平成十一年度で六千戸増の一万戸計上されておりまして、私どもは大変高くこれは評価をしているわけでございます。これも景気対策という側面もあろうかと思うのですけれども、この中間報告でも高齢借家世帯の急増ということが指摘をされているわけでございまして、一九九五年には百八十一万世帯あった、二〇一〇年には三百七十二万世帯にふえるということが指摘されておるわけでありますし、それから、二〇〇〇年から一応介護保険が導入されるということで、在宅介護の受け皿づくりというのも早急に整備する必要があるということを踏まえますと、景気対策でことし一万戸になったからいいやということじゃなくて、一万戸でも、これは高齢世帯の急増ということを考えますとまだまだ十分ではないんじゃないかというふうにも考えるわけでございまして、今後の高齢者向けの賃貸住宅対策、どのように建設省としてはお考えなのかお伺いしたいと思います。
  155. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まず先生、両面から、高齢者それから少子化から御指摘があったのですが、今の高齢者の方でございますが、これは高齢者向けの優良賃貸住宅の供給とあわせて福祉施策との連携も入れた福祉サービスつきの公営住宅を供給するシルバーハウジング・プロジェクトというのを推進しておるところでございまして、高齢者向けの良質な賃貸住宅の整備ということは、積極的になお進めていきたいと思っております。  ですから、先般、最終大臣折衝になりましたけれども、高齢者向けの優良住宅というのは一万戸にしたところでございまして、まず第一歩は着実に前進をしておると認識をいたしております。
  156. 井上義久

    井上(義)委員 今後、どうなんでしょうか。
  157. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今後これだけのことをやっていけば、私はかなりのことは効果は上がってくるのではないかと思っておるのでございますが。
  158. 井上義久

    井上(義)委員 先ほど申し上げましたように、一九九五年、百八十一万世帯であった老人世帯が、二〇一〇年には三百七十二万世帯にふえる。約二倍強になるわけでございまして、果たして今のペースで大丈夫かなというのが私の一番の問題点でございます。  それともう一つは、ことしはある意味で、景気対策ということで相当の上積みになっている、一万戸だということを考えますと、やはり施策のきちっとしたベースにしていかなければいけないわけでございまして、その辺の御決意をちょっとお伺いしたいと思います。
  159. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今の先生の、本当に倍増のような状態でございますから、それも頭に入れて、また次年度の対策をやっていきたいと思っております。
  160. 井上義久

    井上(義)委員 来年一万戸以下に下がるということはないと思いますけれども、これは重要な問題ですので、さらにふえるような方向でぜひよろしくお願いしたいと思います。  それから、その次に賃貸住宅の供給ということで、持ち家と賃貸住宅のバランスのとれたこれからの住宅政策ということなんですけれども、特に賃貸住宅、この供給という面で非常にいろいろな問題があるな、私はこんなふうに思っているわけでございます。  今賃貸住宅には、全世帯の約四割、千五百七十万世帯と言われていますけれども居住されているわけでございまして、しかも、最低居住水準未満の八割が実はこの賃貸住宅に住んでいる人たちなんですね。いわゆる居住水準が最低以下であるという人たちの八割は実は賃貸住宅ということで、一人当たりの床面積の国際比較でも、戸建て住宅はほぼヨーロッパ並みというふうになっているんですけれども、賃貸住宅ではヨーロッパの二分の一、アメリカの三分の一。特に、先ほどから出ていますように、少子化対策ということがこれからの日本の国の最重要課題、ある意味で高齢問題よりも少子化問題というのは国の存亡を決するような大事な問題なわけでございまして、そういう子育て支援ということも含めたファミリー向けの賃貸住宅の供給をどう図っていくかということが焦眉の急なんじゃないか、私はこう思うわけでございます。  私たちも、バブルのころから、家賃控除制度の導入なんかを含めて賃貸住宅住宅政策の柱に立てるようにということで、繰り返し繰り返し言ってきているのですけれども、いろいろなネックがあってなかなか実現しないというのが現状であります。正直言って、優良民賃なんかのいろいろな市場誘導施策というのはとられているのだけれども、本格的に賃貸住宅が大幅に供給をされるというような感じではなかなかないわけでございまして、制度インフラの整備を初めとしていろいろな手をたくさん打たなければいけないと思うのですけれども、言うはやすく行うはかたい。この民間賃貸住宅の供給ということに関して、特に今度公団も、特定の地域に、特定のいわゆる中心市街地といいますか、都心を除いて賃貸住宅を供給するということはやらないわけでございますし、そういう意味でいいますと、民間しか、これからないわけですね。  この民間の住宅供給を促進するために本当にどういうふうにするかということについて、まずお伺いしておきたいと思います。
  161. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 昨年の八月でございましたが、住宅宅地審議会基本問題小委員会というところから中間報告が出されたわけでございまして、今後実施すべき賃貸住宅政策として、制度のインフラの整備が四点ほど指摘されているところでございます。  それは、先生指摘がございましたように、良質なファミリー向け賃貸住宅の供給であるとか、総合的な賃貸住宅供給促進のための制度インフラの整備とか、あるいは豊かな長寿社会を支える賃貸住宅政策、それから都市居住の中心を担う賃貸住宅供給の促進ということを指定された上で、細かくいろいろなことが中間報告では出されておるわけでございまして、賃貸住宅市場のゆがみの是正であるとか、市場ルールの明確化等による透明性の高い賃貸住宅市場の構築とか、賃貸住宅市場へのファイナンスの多様化とかいろいろあるわけでございます。  確かに、こういういろいろな形が昨年の八月に出されたところでございまして、このことを着実に実施をしていくということであろうと思うわけでございまして、まだそういう結果が出ておりません。その中には、既存住宅ストックの有効活用なんというようなこともありますが、こういうようなことも私も重要なことだと思います。ですから、このことにのっとりまして鋭意努力をしていくということで進めていって、一年ばかりちょっと様子を見させていただきたいと思います。
  162. 井上義久

    井上(義)委員 なかなか具体的なイメージが大臣のお話を伺っていてもわいてこないので。  やはり供給がどうしてもされないということは、それだけ民間が参入しにくい業種ということになるんだろうと思うのですね。ですから、民間が参入できるような、しかも、今の賃貸住宅というのは極めて小規模な賃貸住宅といいますか、そういう地主さんが二、三軒とか小さなアパートとかマンションとかというケースが多いわけでございまして、やはり民間の企業がかなり大規模な賃貸住宅に進出できるような施策考えないと、これはなかなか難しいんじゃないか。  そういう意味で、コストという問題があろうかということも含めて、我々は従来から家賃控除制度という形で、家賃の一定割合を控除するという形でコストを下げるということを主張してきたわけでございまして、大分状況も変わってきていますから、これはもう一回建設省の方で、優良賃貸住宅の供給を促進するという観点で、さらに、一時予算要求で出されたこともあるわけでございまして、バブルの時代とは違った意味で、また優良な民間賃貸住宅供給という観点からぜひ検討していただきたい、こう思うのですけれども、大臣いかがですか。
  163. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 確かに、何か中間報告を伺っておりまして、私もお答えしながらパンチのきいた感じは正直もうひとつ持ってないのですが、そういうようなことで、家賃控除制度というのも、これは私は直接響く制度ではないかなと思っておりますが、また検討してみたいと思います。
  164. 井上義久

    井上(義)委員 その次に、住宅品質確保促進法案につきまして。  いわゆる欠陥住宅対策、これは非常に大事なわけでございまして、昨年の建築基準法改正のときの代表質問や、あるいは委員会審議でもこのことを主張してきたわけでございますけれども、今回法制化されるということになって、私どもとしては一歩前進ということで大変評価をしているわけでございます。  消費者が安心して住宅を取得できる市場要件を整備することはもちろんですけれども、性能表示制度や紛争処理体制の整備などで住宅供給者の良質な競争を促すことにもなり、住宅の質が向上する副次的な効果もあるということで、法案の細部、また具体的には法案の審議のときに議論したいと思いますけれども、この法案の概要についてお話しいただければと思います。
  165. 那珂正

    ○那珂政府委員 お答えいたします。  御指摘の法案は、欠陥住宅の発生を未然に防止するとともに、消費者が安心して住宅を取得できるような市場環境を整備していきたいということを目標に、住宅の生産者あるいは販売者が適切な品質確保に取り組むよう促すとともに、消費者に対しても適切な情報が提供されるための市場条件の整備が必要、こういうような背景から、現在検討中でございます。  特に、住宅の性能に関する表示基準、あるいはこれに基づく評価体制の整備、そして二番目には、性能評価を受けた住宅に係る紛争の処理体制の整備、また、新築住宅の請負契約または売買契約における瑕疵担保責任の充実などに関する措置について法制化を図る方向で、現在鋭意検討を進めているところでございます。  こういう内容を盛り込んだ、今おっしゃった、住宅の品質確保の促進等に関する法律案という名称で考えておりますが、その提出に向け、さらに努力してまいりたいと思います。
  166. 井上義久

    井上(義)委員 それで、今特に消費者の皆さんの関心の高い問題は、性能表示制度とそれに伴う紛争処理の問題で、これまでは、欠陥住宅の場合は基準も特になかったということで、裁判という形で大変な労力をかけて消費者の皆さんは争わざるを得なかったわけでございます。  そういう意味で、この制度が整備されたことによって、消費者の側から具体的にどういう利益があるのか。それからまた、先ほどお話がありました、検討中の紛争処理機関、どういうようなものを考えていらっしゃるのか。あるいは紛争処理のシステム、概要が、もし説明できる範囲で結構でございますので、言っていただければと思います。
  167. 那珂正

    ○那珂政府委員 先生指摘のように、住宅専門の紛争処理機関を整備することは、住宅に関する紛争が多発している昨今において大変重要であると思います。  そのため、先ほど申し上げました、現在検討中の法案の中において、地域ごとに、地域の弁護士とか建築士とかあるいは行政に詳しい人など、いろいろな人の協力のもとに紛争を円滑に処理できる、そういう仕組みがうまく盛り込めないかどうか、現在鋭意検討中でございます。
  168. 井上義久

    井上(義)委員 それでは次に、防災都市づくりと再開発についてお伺いしたいと思います。  一九九五年の阪神・淡路大震災、住宅密集地における震災被害の甚大さと、都市における防災対策に大きな教訓を残したわけでございます。もうあれから四年になるわけですけれども、国土庁からいただきました仮設住宅状況をお伺いいたしますと、いまだに五千五百二十四戸、八千七百十六人の方が仮設住宅にお住まいである。既に四年たっているわけでございますし、ほかの水害、災害さまざまありますけれども、数戸、数十戸の仮設住宅でもあれば大変なことなわけでございまして、私は、いまだに五千五百二十四戸、八千七百十六人の方が仮設住宅生活をされているということに対して、国政に携わる一人として大変申しわけないな、そんな思いでいるわけでございます。  恒久住宅への転居の問題、それから生活再建支援の問題、大臣としてどのように現状をとらえていらっしゃるか、お伺いしておきたいと思います。
  169. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まだ仮設住宅に大勢の方が住まわれていらっしゃるということでございまして、このことはまた、移住をしていただく場所との話し合いがつかないというところも正直のところあるわけでございますが、そういうようなことはなお話を進めてやっていきたいと思っております。  そしてまた、もとの場所に戻りたいという御希望の方もいらっしゃるわけですが、その地域がまだ対策ができていないというようなこともあるようでございますが、少しでも御本人の希望に添った場所に恒久的な住宅として住めるように今後も話を進めていきたいと思っております。
  170. 井上義久

    井上(義)委員 ぜひ国を挙げてしっかり取り組んでいただきたいと要望しておきます。  それで、阪神・淡路大震災を教訓にいたしまして、平成九年に密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律、いわゆる密集法という法律制定をされまして、改めて防災づくりに関する新しい方向性が出たわけでございます。  一つは、まず防災都市づくり計画、これは市町村策定することになっているわけでありますけれども、災害危険度の判定などの現況評価の手法は建設省の方で提示をされている、こういうふうに伺っているわけでございます。  また、都市再開発や都市政策、第一義的にはもちろん地方自治体に事業主体があるわけですけれども、建設省が所管をされているわけでございまして、やはり建設省として具体的な、それぞれの町の防災都市づくりについて積極的な関与が必要なのではないか。特に、ノウハウという面で、これは建設省に最大のノウハウがあるわけでございますし、しかも予算も建設省にあるということで、個別具体の話を聞きますと、何となく腰が引けているんじゃないかというような事例が、事例というかそんな感じもするわけでございます。  私は、ともかく、これはある意味で建設行政の一番の基本ですから、この防災問題について建設省どのような決意で取り組まれているか、大臣にまずお聞きしたいと思います。
  171. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 それでは、細かい内容につきましてはまた局長から報告をさせていただきますが、建設省では、建設省の防災業務計画に基づきまして総合的な施策推進しておるわけでございまして、具体的には、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に基づきます安全な市街地整備のための各種事業の推進、それから、避難地、避難路等の骨格的な都市防災施設の整備や共同溝の整備などによるライフライン対策の推進などを行っているところでございます。  先生がおっしゃるように、防災都市というのは本当に建設省中心仕事であるわけでございますから、以下局長がるる述べると思いますが、その細かな施策をちょっと報告させていただきます。
  172. 山本正堯

    山本(正)政府委員 今大臣から基本的な姿勢について申し上げさせていただきましたけれども、大臣から話がありましたように、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、私ども建設省の中でも建設省の防災業務計画というものをつくりまして、災害の中でも地震と台風あるいはまたその他の火災等々に応じて非常に充実をさせていただいた業務計画をつくらせていただいて、今それに基づいて一朝事あるときには態勢を整えよう、こういう格好になっているところでございます。  また、今密集市街地法の法律の施行によりまして、区画整理事業等の各種事業の推進、あるいは避難地、避難路等の都市防災対策についても予算あるいは税制等々の措置について拡充をさせていただいたところでございます。  再開発事業というのは、先生も十分御案内のとおり防災性の向上の観点からも大変重要な事業でございますので、そういう事業についてより一層推進していきたいというふうに思っているところでございます。
  173. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 多少技術的な観点からの取り組みを御紹介させていただきます。  建設省では、総合技術開発プロジェクトというのを昭和四十七年からやっておりますけれども、平成十年から五年間の課題の一つといたしまして、町づくりにおける防災評価あるいは対策技術の開発を主要なテーマにいたしております。  これにつきましては、例えば道路や空き地といったオープンスペースあるいは緑化による延焼防止効果がどの程度あるのか、あるいは災害時の救出、救護に対する道路の役割でございますとか、あるいは耐火性能を有する建築物が建っておりますと、それが有効な遮断装置になるわけでございます。そういったようなことを解明して、現状の市街地の防火性能を具体的にどの程度のランクであるかということを評価する、そういうような手法の開発にも取り組んでいるところでございます。  こういったような技術開発につきましても、平成十年からの措置でございますけれども、一つの重要な課題ということで現在取り組んでいるところでございます。
  174. 那珂正

    ○那珂政府委員 御指摘の、都市の防災の観点から、密集市街地の問題につきましては、特に国の機関としての現住都公団の主な仕事の一つであると認識しております。  具体的には、地方公共団体からの委託に基づく調査、あるいは整備計画を作成したり、あるいは公共施設を公共団体にかわって整備し、あるいはまた従前居住者のための住宅を整備、供給するなどの総合的な施策をこういう地域に集中的に展開していくということをしてきております。  また、地権者による木造賃貸住宅を自主的に建てかえる際のいろいろな形の支援でありますとか、あるいは、そういう事業と連携して、余裕スペースができた場合にはそこに公団賃貸住宅を建てるとか、こういったいろいろな形でこれまでも幾つかの地域で取り組んできておるわけでございますが、何せ密集市街地は全国で二万五千ヘクタール、東京都だけでも五千八百ヘクタールという、大変大きな地域が問題でございますので、住都公団を改組して新たに発足すべく準備しております都市基盤整備公団におきましても、その主要な目的としまして、こういう事業について積極的に取り組んでいく所存でございます。
  175. 井上義久

    井上(義)委員 防災の問題について、今それぞれお話しいただいたんですけれども、この機会なので、大臣、こういうことをどう思われるか、ちょっとお聞きしたいんです。  防災対策というのでどういう事業があるのかというのでいろいろ聞いたんですね。そうすると、今いろいろ説明がありましたように、都市防災構造化推進事業だとか、防災公園・市街地一体整備事業だとか、今度これは新しいのだそうですけれども、あるいは安全市街地形成型都市再生区画整理事業だとか、いろいろあるんですね。  一つ一つ聞くと、ああこれはこういうことなのかというのはよくわかるのですけれども、では、私の町、これはどういう事業に当てはまって、どうやったらできるのかなということが全然わからないのですね、今も三人の方に説明をいただいたんですけれども。  要するに、住んでいるところは一カ所で、自治体も窓口は一つで、自治体の担当者なんかによく聞くと、要するに、もう苦労して苦労して、いろいろな事業を組み合わせていろいろな仕事をするということで、非常に苦労しているわけですよ。そういう目的に合った、それが一つにきちっとなっていれば、どうも何か、それぞれ事業が分かれているというようなことが、現実に仕事をしていく上で非常に現場は苦労しているんじゃないか、そういうことを非常に感ずるんです。  今ちょっと説明を伺っていても、それぞれ、公団がありますよ、公団は住宅局ですよ、再開発は都市局ですよ、政策的には官房もありますよ、国土庁もありますよということについて、防災というのは目的は一つなんですから、そういう事業が、統合化するなりメニュー化するなり、何かもう一つ工夫ができるんじゃないか、しなきゃいけないんじゃないか、こんなふうに思うんですが、大臣、どうですか。
  176. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私は、今兼務しておるのですけれども、国土庁には防災局というのがありますよね。あれはプランニングはプランニングでしょうから、それを行うのが建設省でしょうが、官房長、答弁をお願いします。
  177. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 井上先生のおっしゃるとおり、いろいろな事業で、その地域あるいは地区の防災性能の向上のための事業を用意したり、あるいは自主的な取り組みをお願いしているわけでございます。それがまとまって行われていないのではないか、個々の事業がそれぞればらばらに予算化されて、一つのまとまった有機的な政策になり得ているのか、こういう御質問だと思うわけでございます。  確かに、私どもの事業、防災という観点をとりますと、あらゆる施設について、すべてそれは言えるわけでございます。道路事業につきましても、防災性の観点ということで予算を認めていただいて、橋梁の補強なんかは最大限努力をしてまいりましたし、河川についても同じでございます。あるいは公園ということで、防災という点を加味した防災公園というものも、近年は、阪神・淡路大震災以後、大変重要な課題として取り組んできております。  そういう点で、事業ごとにどうしても防災性の観点というのが出てまいりますので、特にそれを重点化して、アップ・ツー・デートな政策課題に持ち上げた上で予算を重点的に配るということも、一つの方法として我々はやっているわけでございますが、やはり有機的なそういう全体の結合というのは、公共団体あるいは地区全体で見通していただかないとなかなか難しい面もあろうと思います。  我々もいろいろな政策メニューを用意いたしましたけれども、結局その地区の、技術開発のお話もいたしましたけれども、全体を統合して、公共団体、あるいはそれぞれの市町村、あるいは地区というもので全体をまとめていただく、それのいろいろな政策手段としてのお世話をする、あるいはそれをまとめるというようなことに、ソフト面につきましてはやはり内閣あるいは国土庁の防災局が全体を見て支援をしていただくというようなことかなという感じがするんでございます。  ちょっとお答えになっておりませんけれども、全体の取りまとめは公共団体自身が、どういうような事業を有機的にやることによってより以上に防災性を高められるか、住民方々の安全を確保できるかということを主眼に考えていただくということに尽きるというふうに思います。
  178. 井上義久

    井上(義)委員 官房長がおっしゃるとおり、説明されるとそのとおりなんですけれども、例えば防災計画地方自治体がつくる、それに基づいていろいろな事業を考える。そうすると、国にはいろいろなメニューがある。どのメニューでうまく予算が獲得できればこれができるな、あるいは、こっちのメニューはちょっと年度がずれちゃった、そうすると、本当は一体でやりたいんだけれども順番がなかなか回ってこないなというようなことで実は自治体の方は苦労しているわけでございまして、何で事業をする方がそういう苦労をしなきゃいけないのかなというのが我々の実感なわけでございまして、これは、いろいろな、今度国土庁がやる地域戦略プランでしたか、これなんかも同じことだと思うんですけれども。そういうふうに言うと必ず、メニュー化している、各省の予算をちゃんと集めてペーパーは一つになっている、だけれども現場へ行けばやはり同じことを繰り返しているんですね。  ここが、やはり私は地方分権の大きな目的の一つなんだと思うんですけれども、そういうことについて、大臣、今官房長から話がありましたけれども、その点についてどういうふうに。
  179. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 おっしゃるように、私は地方分権の大きなポイントになるんではないかと思います。  ただ、先生指摘のように、地方分権をしましても財源的なものがないとどうにもできませんから、財源的なものをつけて、この分野地方分権、ましてやその地域地域で一番詳しいわけですから、防災の基本計画というのができるのではないかな、そのように思います。
  180. 井上義久

    井上(義)委員 では、簡単に言えば、その防災計画が、自治体でつくったら、これをやるためにはこれだけの予算を全部つけますよ、事業ごとに予算をつけるんじゃなくて、防災計画そのものに予算をつければ一番簡単じゃないですかということを申し上げているわけですけれども、どうですか。
  181. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 事業ごとというと今までの形の変形みたいなものでしょうから、逆に言えば、それは財源的な補助金を防災ということで幾らというふうに決めれば、一つの形になったものが、防災対策ができるのではないかと思います。
  182. 井上義久

    井上(義)委員 要望ですけれども、ですからノウハウは建設省にあるわけで、先ほど官房長からもお話がありましたように、技術的な開発を建設省がされている、それは大変結構なことでございますから、防災計画ができたらこういうやり方があるよ、こういうメニューがあるよ、ですから、総合的な予算を有効に活用してぜひ防災の町づくりをしてくださいよ、こういう仕組みにしないと本当の防災は進まないんじゃないか、こういうことを申し上げておきたい、こう思います。  それから、ちょっと時間がないので、バリアフリーの町づくりということについてお伺いしたいと思います。  平成六年の六月に生活福祉空間づくり大綱というのを建設省が取りまとめられたわけでございまして、これは、日本の国はバリアフリーということについては思想的にも制度的にも非常におくれている中で、大変重要な取りまとめだ、こう思います。  この大綱は、単なる物理的障害物の除去にとどまらずに、生きがいの創出であるとか、あるいは健康の増進といった高次のノーマライゼーションの理念の実現を目標にしているわけでございまして、その観点から、住宅・社会資本の福祉インフラの整備を目指しているということで、この問題、急速な高齢化ということで、この福祉インフラの整備というのは喫緊の課題になっているんじゃないか、こう思うわけでございます。  大綱策定から既に四年になっているわけでございますけれども、この問題は非常に多岐にわたるので、特にバリアフリーの生活空間の形成ということについてお伺いします。  高齢者、障害者等に配慮した建築物の整備について、障害者対応エレベーターやスロープ、あるいは階段の両側手すり、点字誘導ブロックの設置など、まず官公庁施設、これは道路も含めてそうですけれども、これがやはり一番大事だと思うわけでございますけれども、これも、どうもお聞きしますと、事業が各省庁にまたがっていて、大綱は建設省がおまとめになったんだけれども、どの部分がどの程度進んでいるかというのはよくわからないようなことらしいので、せっかく大綱をまとめられたのですから、これはぜひフォローアップしてもらいたい。  四年たってどこの部分がどれだけ進んでいるのか、全体的にフォローアップしてもらいたいというふうに思いますので、その点と、それからハートビル法、いわゆる民間のバリアフリー化のときの融資、これは具体的な数字が出ていると思うので、どの程度進んでいるのかということをまずお伺いしたいと思います。
  183. 那珂正

    ○那珂政府委員 御指摘のハートビル法に基づく建築物におけるいわゆるバリアフリーの整備状況でございますが、平成九年度末現在でございますが、全国で六百八十件が認定済みでございます。平成六年から九年度末までの実績で六百八十件でございます。  それから、これにつきましては、今先生から御指摘ありましたように、一般の民間の建築物が主として対象であるわけでございまして、役所の公共的な建築物については、どういう整備がされているかというのは私どもでまだ把握しておりませんので、御指摘いただきましたように、そのフォローに努めたいと思います。
  184. 井上義久

    井上(義)委員 特に移動におけるバリアフリーについて、車いす等に対応する幅広歩道の整備状況、これだと具体的に進捗状況はわかると思うのですけれども、どんなぐあいでしょうか。
  185. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 目標としましては、二十一世紀初頭までに市街地の住居系商業地区の二車線以上の道路について広幅の歩道を設置しようということを目標に進めておりまして、そうしますと、道路の約一〇%、十三万キロがそういうような対象の道路になります。そのうち、平成九年度末までに三万七千キロ、広幅歩道、三メートル以上の歩道ができておりまして、計画の二八%でございます。十年度からの五カ年計画内に一万四千五百キロを追加整備して五万一千五百キロにしたいと思っていまして、そうしますと計画の四〇%になる。そういうことで、十一年度につきましては二千二百キロの整備を行いたいと考えております。
  186. 井上義久

    井上(義)委員 二十一世紀初頭というのはどの時点を指すのかというのがちょっと明確じゃないので、その辺も含めて、今の計画でいけば、この十三万キロは実現可能なんでしょうか。
  187. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 そういう目標で進めております。二十一世紀初頭は二〇一〇年から一五年ぐらいの感じで見ておりますが、ただ、最後になりますとなかなか難しいところが残ってくるというようなこともありますのであれですけれども、こういうバリアフリー化、非常に大事なことだと思っておりますので、努力していきたいというふうに思っております。
  188. 井上義久

    井上(義)委員 公共交通機関とのアクセスにおけるバリアフリーというのもやはり課題の一つに挙げられているのですけれども、これは運輸省と共同整備になると思いますけれども、駅前広場とか歩行者支援施設の整備という、いわゆる交通結節点の整備、これはどういうふうになっているのでしょうか。
  189. 山本正堯

    山本(正)政府委員 鉄道駅等に集中する交通を円滑に処理して駅周辺の円滑な歩行環境を確保するということで、駅前広場あるいは交通広場などの交通結節点の整備を行っておるわけでございます。  平成九年度末までに約千五百カ所の駅前広場を整備してきておりまして、平成十年度を初年度といたします新道路整備五カ年計画において、今お話がございましたように、二十一世紀初頭、二〇一〇年から一五年ぐらいまでには、一日当たりの乗降客が五千人以上の駅に駅前広場をすべて整備するという中期的目標のもとに、この五カ年間の計画期間内に約二百七十カ所の駅前広場の整備を進める計画としているところでございます。  なおまた、平成十一年度、来年度の予算につきましては、街路事業によりまして、事業費約百七十三億円をもちまして七十カ所の整備を進めるなど、計画の達成に向けて精力的に取り組んでおるところでございます。  また、今先生おっしゃいましたように、八年度から、建設省と運輸省の連携施策によりまして、駅の中にエスカレーターをつけますとかそういうような、駅内外の歩行者快適化作戦と銘打ちまして展開しておるところでございます。  今後一層推進に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  190. 井上義久

    井上(義)委員 それで、この市街地の移動に係るバリアフリーで、自治体の皆さんに聞きますと、特にいわゆる放置自転車が大問題になっているのですね。それで、要するに、幅広歩道を整備しても、それから駅前広場を整備しても、そこがまた自転車置き場になっちゃう、結局もとのもくあみだ、こういうことを繰り返しているというのが現状なんですね。  それで、建設省からこの資料をいただいて、「いきいきとした福祉社会の建設に向けて」、これを見ますと、バリアフリー施設が十分に活用されるためにも抜本的な放置自転車対策が必要であるということで、これも二十一世紀初頭までにとなっているのですけれども、二十一世紀初頭までに駅周辺の放置自転車を解消する、こういうことになっているのですよね。本当に解消できるのかな、解消できたらこれは大変なことだな。  というのは、どうもこの中身は、自転車置き場をつくると書いてあるのですよ。御案内のように、あちこちで自転車置き場ができても、できた当初は放置自転車は減る、しばらくすると、またもとのもくあみになっている。自転車置き場は使われるケースもあるし使われないケースもありますけれども、もとのもくあみになっているというふうな現状で、本当にそんないい手があるのかなというのが現状なんですけれども、建設省は、二十一世紀初頭までに解消する、こうおっしゃっているので、どういうふうに解消するのかぜひ伺っておきたい、こう思います。
  191. 山本正堯

    山本(正)政府委員 今の路上放置自転車対策でございますけれども、今私どもとしても街路事業あるいは特定交通安全施設等整備事業、これに対する補助事業としてやっておりますし、あるいはまた、民間に対する融資の制度、あるいは税制上の優遇措置等々を通じまして自転車駐車場対策を行っておるところでございます。これもまた新五カ年計画におきましても、今、おおむね放置自転車が解消されることを目標にやっておるということでございまして、五カ年間の計画期間内に約四十四万台分の自転車駐車場の整備を図っていこうということを考えておるところでございます。  平成十一年度につきましても、事業費で七十六億円、約三万五千台の整備をやっていこうということで、地方公共団体、民間による自転車駐車場の整備を推進しまして、放置自転車の解消に向けて一生懸命、積極的に進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  192. 井上義久

    井上(義)委員 施策を一生懸命やっていただいたのはよく理解しておるわけでございますけれども、その施策の延長線上に放置自転車がなくなるというふうに建設省考えていらっしゃるのかどうか、もう一回ここで確認しておきたいと思います。
  193. 山本正堯

    山本(正)政府委員 おおむね解消に努めたいというふうに考えておるところでございます。
  194. 井上義久

    井上(義)委員 それでは、自治体の首長の皆さんにそういうふうに言っておきますので、ぜひよろしくお願いいたします。  それでは、以上で終わります。
  195. 平田米男

    平田委員長 青木宏之君。     〔委員長退席、井上(義)委員長代理着席〕
  196. 青木宏之

    ○青木委員 自由党の青木宏之でございます。  いろいろありますが、時間が短いので順次お尋ねをさせていただきますが、主に都市と自然といいますか、そういう関係についてまずお尋ねをさせていただきたいと思います。  これは、一番問題になっております地球温暖化の問題とも絡んできまして、国土建設行政の中でも大変重要な問題ではないか、こんなふうに思っております。大臣もそうでありましょうが、空から都市を見ますとはっきりするわけですけれども、私は名古屋ですけれども、ずっと昔海外から帰ってきて見たときにはそれほどでもないんですけれども、最近というか少し前ですけれども、帰ってきますと、大体、色が変わっているんですね。要するに、黒いんです。そうすると、黒いのが見えてくると、ああ、そろそろ着いたな、こういう感じで、非常に残念に思うわけであります。  そこで、具体的にお尋ねしてまいりますと、一つには都市の緑化ということになろうかと思うんですけれども、緑化にもいろいろありまして、スペースをつくって、あるいは前からある自然のスペースを守る、あるいは人工的に後からつくる。そのほかに、御案内のとおり特殊緑化というのがございまして、建物の屋上それから建造物の壁面、屋上緑化、壁面緑化、あるいは窓の出っ張り、ベランダ緑化とでもいうんですか、というようなもの、室内的にはもちろん室内緑化があるわけです。そのようにいろいろあるわけですが、これはやはり相当意欲的に取り組んでいけばかなりやれると思っておるんですね。  そこで、その中で今度建設省の方でも、いわゆる誘導策といいますか、屋上緑化の誘導策、インセンティブを働かせるような、そういう施策へ踏み出されたということは大変結構かと思うのであります。  しかし、どの程度これは実際効果があらわれてくるのかな。これはやってみなきゃわからない点も当然あるわけですけれども、基本的には今までは、何でもそうですが、できるだけそういう誘導策、税制を含めて誘導策、これをやったら有利だと考えていただくことによって実現していく、誘導していくというのは、効果はそれはそれなりにあったと思うんです。ただ、地球温暖化がなかなか大変だ、これに対して国政全般において取り組んでいくのもなかなか大変だ、その中で、国土建設行政の中で取り組んでいくのも大変だということからしますと、ただ、インセンティブ、誘導策だけでいいのかなという思いがするわけでして、もう少し、法規制までいくとやや問題があるかもしれませんが、しかし、やはり相当行政面でかなり強力にリードしていくというか実現を図っていく、そういう必要があるのではないかなと思っておるわけであります。  そのあたりについての、まず大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
  197. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まず、先生は、地球温暖化対策の観点から緑化を強力に進めていくようにというような御指示であろうと思うわけでございますが、この緑化対策には、今まで御指摘がございましたように、屋上とかあるいは壁面等の緑化を推進することも重要だということで進めておりますし、それの一環として、平成十一年度より屋上の緑化の推進のための低利子の融資制度も措置をいたしたりしておるわけでございます。  ですから、そういうようなことをやっておりますが、御指摘のように、法律である部分は縛るというか、強制的なことをしないとなかなかそういうようなことも進まないのではないかなという御指示でございますが、確かに、いろいろな誘導策を行いますときには、その権利者の私有権の保護と、また公共性というものとのバランスをどのようにやっていくかということが大きな問題になってくると思うのでございます。これからのそういうような温暖化防止策にも関連する緑化から考えますれば、私は、私的所有権よりもやはり公共性の方に重きを置いた対策をやらなければ、そういうようなことは進めていくことはできないのではないかなと思っております。
  198. 青木宏之

    ○青木委員 大臣のお考えをお聞きしまして、全く同意見ということで心強く思いました。その方向へ向けて進んでいただいたらありがたいというふうに思います。  ちなみに、これはある資料でありますけれども、例えば、東京を初めとして、大阪、横浜、名古屋、神戸、広島、福岡、北九州、高松、仙台、札幌、十一都市、これのいわゆる特殊緑化の可能量、何か緑被、緑で覆う面積というんだそうですけれども、緑被面積は約五万二千ヘクタール。これは緑化可能量ですから、特別な工夫をしなくても現時点で可能な量の試算が約五万二千ヘクタール。と言ってもわかりませんが、これは日比谷公園の三千二百二十倍だそうです。ということは、日本にある十一の都市の、現時点で屋上とか壁面とか緑化が可能な面積は、日比谷公園が三千二百二十個できる面積という試算が出ておるようなんですね。そうしますと、これは一つの都市、平均しましてもすごい数、三百ぐらいはできるわけですね、日比谷公園が三百個。  それで、ぽっと出てくるということですから、これはかなり効果もありますし、大臣もおっしゃいましたが、ある程度強制的にしなければということもありますけれども、事が事だけに、推測ではありますけれども、そう抵抗はないのではないかと私は思うんですね。ある程度強制化していっても抵抗はないのではないか、みんな協力するのではないかという感じもしますので、ぜひ今のようにお願いをしたいと思います。  なお、いろいろな効果が期待できるわけですけれども、気温の低下、当然ですね。気温が夏なんかには低下するわけですけれども、東京二十三区の緑化可能な屋根の面積の約八六%を緑化した場合には、平均〇・二度Cから一・四度C低下をする。かなりの効果が、当然予想されるわけでありますけれども、ある。それから当然雨水、降った雨がすぐ下水から流出するのを、要するに湛水能力をそこで持つわけでありますので、乾燥化の抑制とか、あるいは都市洪水の防止にも役立ってくるのではないか。  さらに加えて言えば、この辺が私かなり期待するところでありますけれども、要するに、緑が出てくれば当然その緑にかかわる鳥類、鳥とかあるいは昆虫類、そういったものがこの都会によみがえってくるというか、それが建設省が前からおっしゃってみえる都市における身近な自然というものにつながってくることにもなるので、相当これは効果が期待できるのではないかということですので、ぜひお進めをこれから御検討いただきたいと思います。  なお、コストが若干増加するようでありますけれども、これも試算によれば平均大体一%ぐらいコスト高になるのではないかというようなことでもありますので、それほど難しいことではないのかな、こんな感じもするわけであります。  それから、ついでにといいますか関係して、そういうふうに半強制的というか、法制化あるいは規制化の方向は方向でいいんですけれども、何事もまず隗より始めよということがございます。まずは役所から、行政の方から率先して、あらゆるところで緑化策というものを現実にぜひお進めをいただきたい。  非常に細かいことではありますけれども、例えば、さっきからこの部屋の中をずっと見渡しておるんですけれども、緑が一つもない。非常に狭い部屋ですので、何か大きなものを置くわけにはいかないと思いますけれども、例えば中くらいの、邪魔にならないところへちょっと花を置くとか、緑をつるすとか、それだけでも非常に心和んで、委員会もスムーズに進むんじゃないか、こういう気もしますので、ぜひひとつ、まず室内緑化。そして、例えば部屋から国会を見ておりましても、コンクリの壁がずっとあるだけで、ああいう窓のところへちょっと外国によくあるように取りつけをして緑をやれば、そんなにお金もかからないし、できるんじゃないかというふうに思います。  だから、まずやれるところから行政が率先してそれをやって、そして協力と理解を得ていくということをぜひお願いしたい。  そこで、この間も通ってみたんですが、例えば高速道路にしても防音壁がずっとしてあるんですけれども、防音壁が新幹線から見てもきらきらと反射してまぶしいばかりで、まるっきり金属的な冷たいイメージなんですね。あれを何か緑化できるんじゃないか。一部、例えば道路の壁面なんかにツタや何かをはわせますと、コンクリートを割ったりいろいろなことがあるんでしょうが、前面に何か針金をずっとやって、そこへツタをはわせて、壁には草が食い込まないという工夫をしてあるところが現にあるんですね。  だから、建設省はやってみえるのかどうか知りませんが、工夫をすればいろいろ即座にできることがたくさんあると思いますので、ぜひこれから、さきのお答えはお答えとして大変ありがたいお答えですが、いま一度、私が申し上げた、やれるところからまずやっていこうじゃないかということについての御決意というか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  199. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今、建設省が直轄で整備する公共建築物につきましても、平成六年度に京都の第二地方合同庁舎、それから関西空港合同庁舎で屋上の緑化に取り組んでおるようでございまして、それ以後、平成八年に六件、平成九年に十件というふうに屋上の緑化は現に始めておるようでございます。  それから、先ほどの、防音壁のツタを例えばネットを張って云々というようなこと、そういうようなことも私はいいことであると思いますし、また街路の緑化というのももっと進めていくべきであると考えております。
  200. 青木宏之

    ○青木委員 ぜひ期待をさせていただきますので、よろしくお願いします。  なお、多少関連しますが、具体的に通告していなかったのであれですが、もしお答えいただければと思うんです。  さっき歩道の話も出ましたけれども、特に歩道では最近はかなりやられているようですが、これは緑とは違いますけれども、降った雨ができるだけ直接地面にしみ込むようにということをこれから特に考えていかなければならない。下水は下水整備が当然必要なんですが、今は都市でも、そして山でも、降った雨がすぐ下水とか川とかに流れて、鉄砲水とか都市洪水とか、そういうことになる。要するに、自然であれば降った雨は下へしみ込んで、そして蒸発して乾燥を防いで、また雲になって降る。  最近、これはどこかの委員会、予算委員会かどこかで私も一遍言ったんですが、大臣も御経験があると思うんですが、昔は、夏になりますと夕立というのが必ず来たんですね。暑い、でもにわかに曇ってざあっと降って、そして、ぱっと上がって涼しい風が吹く。いわゆる縁台将棋が始まるという場面ですね。ところが、皆さん余りお気づきになっていないかもしれませんが、夕立というのがほとんど最近ないんですね、暑い日でも。そのまましぐれていって、夜も暑い。これは案外お気づきになっていないが、夕立がないんです。  だから、私、これは専門的なことはわかりませんが、素人ながら、何かその辺の、都市化というか浸透しないというものに若干原因があるんじゃないかな、そんな気もします。それが確かかどうかは別にしましても、やはり自然のものは下へしみ込むというのは悪いことじゃないというか、むしろいいことだと思います。  そこで、日本国じゅうコンクリートの道路がいっぱいあるわけですね、これがしみ込めば非常に効果がある。その辺の技術的なことを、ちょっと今どうなっている状況か、もしお答えいただければ。
  201. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 あれはれんがだろうと思うんですけれども、東京の下水道施設を視察に行きましたときに、その隣にあります公園で、れんがで全部水を下へ通すというのがありました。道路の方はまだその技術はないんだろうと思いますが、局長から答弁をいただきましょう。
  202. 山本正堯

    山本(正)政府委員 今先生の御指摘でございます。私ども建設省でも既に、健全な水循環の回復というテーマで、私どもとしても、透水性舗装について具体的に全国でやり始めているところでございます。  ただ、透水性舗装につきましては、目詰まりがするというようなこともございまして、いろいろな意味で技術開発を今改善を続けながら、実際に事業を実施させていただいている、こういう状況でございます。
  203. 青木宏之

    ○青木委員 それは、技術的にはもうあれですか、かなり進んで。
  204. 山本正堯

    山本(正)政府委員 技術的には大変改善が図られてまいりまして、事実、歩道でありますとかいろいろなところで使用されておるところでございます。(青木委員「車道、車の」と呼ぶ)車道のところも使われております。
  205. 青木宏之

    ○青木委員 ありがとうございます。  それでは、ちょっと話題を変えますけれども、都市再開発の問題に関してであります。  余り時間がないので簡単にやりますが、例えば、この近くで日本一の、最大の開発になるそうですけれども、六本木六丁目地区再開発事業というのがあるそうです。約十一万平米、延べ床面積六十九万平米、総事業費が二千四百五十億円、地権者三百、住居はワンルームから四LDKまでで八百四十戸、九万三千平米ですか。六本木ですが、相当大きなものがこれからここへ、平成十四年度完成というのだそうです。  これはこれで、もう計画ができて、組合ができてスタートして、これから着工して、立派な絵もかかれておりまして、なかなかいいなというものではありますけれども、これはこれでいいんですけれども、問題は、こんなものがこれから幾つもできるわけないんですね。かなり離れてやればそれはできるでしょうが。  そこで、建設省、これは組合認可までに十二年の年月がかかっているそうなんです。もちろん、地権者は三百人おりますから、三百まとめる、説得するだけでも大変でしょうけれども、建設省とのやりとりの中でもなかなかゴーサインが出なかったということだそうなんですが。これは、これだけ大きなものになりますと、やはり全体にかなり影響が起きますし、その後の再開発にも影響が及んできますので、東京なら東京全体の都市計画の中で認可されていかないといけないのかな。何でも民間がやりたいと言うからどんどん、まあその辺が難しいところなんですけれども。  そのあたり、これは日本一、極めて大きい再開発なんで、このあたりの事情というかお考えというか、ちょっとありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  206. 山本正堯

    山本(正)政府委員 今の六本木六丁目の関係につきましては、ちょっと詳細については承知をいたしておりませんですが、今先生おっしゃいましたように、特に都心の再開発といいますと、地権者が非常に多い、権利関係が非常にふくそうしている。それから、組合を設立するというときには三分の二の方々の同意を必要とするということがございまして、あるいはまた地権者の皆さん方が、今までの話でございますと、大変金融関係について、事業費等についての、経済情勢等で一々とんざしているという例が幾つかあろうかと思います。そういういろいろな状況、個別の事情あるいは全体的な状況等も踏まえまして、少しとんざしているんじゃないかなというふうに思います。  私どもの方としましても、手続の面につきましては、いろいろなスピード化をするための改善策でありますとか、三分の二の同意で十分足りるというようなことを周知徹底いたしますように、去年の七月に通達を発出したところでございまして、そういう行政の方からも支援をさせていただいて、早急に立ち上がりができるようにということで考えておるところでございます。  なおまた、今回新しく都市再開発法の改正等を国会に提出させていただきまして御審議をお願いしようとしているところでございますが、その中でも、事業の立ち上がりを早くする、あるいは無利子の貸し付けを早くできるような制度についても、今お願いをさせていただいているところでございます。
  207. 青木宏之

    ○青木委員 最後になりますが、これから本当に都市部での再開発ということは大事なことであると思うんですね。それから、職住近接ということもおっしゃってみえる。そしてまた、現時点では景気対策という点でも大いにやっていかなきゃならぬ。  そこで、今度都市基盤整備公団という新しいものがまたかかわってやっていかれるということで、これも期待が大きいわけですけれども、そこの考え方なんですが、新しいところはもちろんいろいろな考えでぽっとつくればいいんですけれども、古いところの再開発等々は、今の話にも出ましたようになかなか難しい。そこで、難しいですが、基本的な考え方として、やはり日本は、全国的にそうですけれども、表現が悪いですが、何かだらだらと都市が広がっておるという感じがするんですね。  例えば、私ども名古屋ですけれども、名古屋でもかなり真ん中辺でも低層住宅とかいっぱいあるわけですよね。それがだあっと、かなり遠くへ遠くへ広がるばかりだ。それで大きくなるというだけのことでありますので、もう少し集中化というか、高層化ですね。やはり外国でよく見られるようにダウンタウン方式というのか、商業地域的な中枢的な地区にはどっと集約して、どっと上へ、技術もかなり進んでいるわけですので、高層化を思い切って図って、そして余剰地をたくさん出していく。そこの、さっきの緑化とつながってくるわけですが、そういう余ったところをどんどん緑化していくというようなこと。そして、多少間があいてもいいけれども、ちょっと離れたところに低層のいわゆる良環境住宅地域というふうにめり張りをすぱっときかせたような、これからやっていかないと、今までのようなだらだらという感じではちょっとまずいんじゃないかと私は思っております。  そこで、関連してきますのが、私は去年の委員会でも申し上げたと思うんですが、建ぺい率、特に容積率あるいは用途地域も絡まってきますけれども、そういった今の建築上のいろいろな規制等々、これは一遍思い切ってメスを入れて、そういう思い切った再開発なり新しい都市づくりあるいは住宅づくり、これから取り組まれるわけですので、そういう視点でやっていかれるような思い切った規制等の見直しというものにぜひ取り組んでいただきたいなと思うんです。  そこで、もう一つだけ申し上げますと、前の質問でもちょっと出ておったと思うんですが、かねてから私も思うんですが、事業推進というのは非常に年数がかかって、今のスピード時代と言われる中で、十年なんというのは超特急の方で、三十年、四十年、五十年という話ですから、そのころにやっと道路ができたかなと思ったら、全体的に見ると、何だこんな狭い道路を今ごろつくってというような部分が非常に見受けられるんですね。  そこで、やはりこれは私権との絡まりですけれども、さっきの緑化もそうですが、やるべきときはびしっとやる。決定しているんですから、決定したことは、説得するのは非常に大事ですけれども、やはり決まったことはびしっとやるという体制でないと、これはほかの多くの人が結局は迷惑する、また税金も余計にかかるということだと思いますので、その辺の見直しも含めてお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
  208. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まず、建ぺい率といいましょうか容積率のことでございますが、確かにおっしゃいますように、いわゆる土地の有効高度利用という観点から、特定街区であるとかあるいは再開発地区計画等のそういう特別な地域に対しては容積率の割り増しなどを行っておるわけでございますが、そういうようなことをもう少し幅広く強力に進めていきたいと思っております。そういうようなことで、一層の土地の有効高度利用というものに努めていきたいと思っておるわけでございます。  それと、最後の先生の御指摘の問題、確かにいろいろな最近新聞等々で報道されておることもございますが、もちろん皆様方と十分な話し合いをして行うわけでございますが、しかし、そのルールにのっとって進めてきたことは私はきちっとやるべきだろうと思っておるわけでございまして、喫緊の問題につきましても、私は、したがって、そういう姿勢でこれは進めていきたい、そういうふうに考えております。
  209. 青木宏之

    ○青木委員 ありがとうございました。終わります。
  210. 井上義久

    井上(義)委員長代理 辻第一君。
  211. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、何点かについて、建設大臣初め建設省にお尋ねをいたします。  まず、吉野川第十堰の問題であります。けさも同僚議員の質問がございました。私も昨年二日間現地を調査してまいりました。  さて、端的にお尋ねをいたしますが、可動堰の建設の是非を問う住民投票条例制定を求める署名が、徳島市の有権者の四九%、十万千五百三十五人も集まり、過日徳島市議会で審議をされ、結果的には否決をされましたけれども、この結果について、きのうの日本経済新聞の社説は、「直接請求に必要な数を大幅に上回る署名数なのに、市議会の対応は釈然としないものがある。」などと述べております。  この署名の声、この住民の声は大きな大きな重みがあると思います。今後住民の意思を十分尊重して対応していただきたいと思いますが、大臣の御答弁を求めます。     〔井上(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  212. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 吉野川の第十堰の問題でございますが、もう今日までの流れは先生御存じのとおりでございまして、平成十年の七月の十三日に、吉野川第十堰建設事業審議委員会より、これは可動堰に改築することが妥当という結論、意見をいただいておるわけでございます。そういうことに対して、先般住民の方が住民投票条例というものを提出した、それに対して市議会の委員会も否決し、本会議も否決をしたということでございます。ですから、その流れは、住民投票条例を提出したこともこれも正しいことでございます。そして、この審議委員会からのそういうような意見もいただいた上で建設省が進めておりますことも、今までも何にも瑕疵もない、一つ一つと踏んできたわけでございます。  そういう中にありまして、住民方々と、アカウンタビリティーというか十分な話し合いあるいは情報公開というものが十分ではなかったのではないかというようなことが言われておりますが、そういうようなことがあったのかもしれません、あったのかもしれませんが、いずれにいたしましても、今日までのステップの踏み方は両者とも何ら瑕疵はないわけでございまして、ただ、先生おっしゃいますように、四九%の方の反対の意見があるということは、今後環境アセスメントも行いますし、また河川法にのっとっての住民方々の十分なる意見も聞くべきだという項目もあるわけですから、十分にお話をして進めていきたいと私は思っております。  ただ、先生も御理解いただけると思うのでございますが、いろいろな事業をする場合に、百人の方がいて百人全部が賛成するというようなこと、ちょっとあり得ない話であるわけでございますから、そういうことになりますと、やはり正規の手続を踏んで行っておることは、先ほどの御質問にもございましたように、私は、きちっと筋を通すべきものは通していくべきではないか、そのように考えております。
  213. 辻第一

    ○辻(第)委員 重ねてお尋ねをいたしますが、同じ日本経済新聞の社説は、建設省のこれまでの対応に関して、「堤防の補強など市民グループの代替案に建設省はきちんと答えず、可動堰を誘導するような資料だけを示しても市民の納得は得られまい。」と述べております。  けさの同僚議員の質問に対する御答弁でも、大臣は、反対の声の重みや検討のために時間を要することについて御答弁をされたと思います。住民の皆さんは代替案を提示しているわけでございますから、これにも十分耳を傾けた上で、今後のあり方について柔軟な姿勢で真摯に住民意見を聞くことが大事だと思いますが、重ねて大臣の御答弁を求めます。
  214. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 それは、十分に、真摯に話し合いをするということはやっていくように指示を出しましょう。
  215. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひひとつ十二分に対応していただきたいと思います。  公共事業にはまだまだ大きな問題が残されておりますが、我が党は、本院の代表質問で、不破委員長が、日本の予算の中で公共事業が主役をなしているのは世界でも本当に異常だ、また、公共事業規模の半減を目標にその計画的実現を求め、さらに、地方政治でも開発中心主義から住民サービス本位への転換が急務であり、大規模ゼネコン型公共事業から、教育、福祉など国民生活密着型に公共事業の重点を移せと提案をいたしました。志位書記局長も予算委員会で取り上げております。  この間政府が行ってきた公共事業の見直しは、決して十分だとは言えません。また、一九九九年度予算に象徴されるように、逆に拡大に転じるなど、まだまだ問題点がいっぱいでございます。時間の問題もありますので、再度、公共事業の大幅削減と、大規模公共事業から真に必要な事業への転換を強く求めまして、次の質問に移りたいと思います。  次の問題は、賃貸住宅の問題でございます。  賃貸住宅の退去時査定のトラブルが多発をいたしております。今、全国にある賃貸住宅は、公団や公営や民間など千三百六十四万戸、一九九三年の総務庁の住宅統計調査の数字ですが、これは日本の居住世帯の住宅総数の三三・五%、三分の一になります。  転勤などでこの賃貸住宅から引っ越しをする場合など、賃貸住宅を退去する場合に、居住者が住んでいるわけですから、当然天井や壁、床、ふすまなどに汚れや傷みが出てまいります。退去時にはそれを修繕するなどの原状回復を行うわけでありますが、この退去時における原状回復の範囲や費用負担をめぐってトラブルが急増いたしております。私どもの事務所にもいろいろと御相談があります。  国民生活センターが消費生活相談情報システムで収集した退去時の相談件数で見ますと、賃貸住宅の解約での敷金や原状回復に関する相談は、一九九三年は七百三十五件、ところが、翌年の九四年度には二千三百四十六件で一挙に三倍になり、昨年度の九七年度は四千二百三十三件にもなっているんですね。また、不満を持ちながらもあきらめて相談をなさらないという方も多数あると思いますから、この問題の解決は緊急の課題だと考えます。  そこで、建設省は、昨年の三月、このトラブルの未然防止と解決のために、賃貸住宅の退去時の一般的なルールについて、原状回復のガイドラインとしてまとめられました。このガイドラインの基本的な考え方は、住んでいるうちに傷む自然損耗については、居住者に原状回復の義務が発生しないということであります。ガイドラインを示されてまだ一年弱でありますけれども、その成果がどのようにあらわれているのかお尋ねをいたします。
  216. 那珂正

    ○那珂政府委員 お答えいたします。  先生指摘の原状回復をめぐるトラブルとガイドラインについては、私どもで昨年の三月付で取りまとめたものでございます。  その趣旨、また内容については、先ほど先生お触れになったとおりでございますが、一点だけ繰り返させていただきますと、やはり一般の民間賃貸住宅において、こういう退去時の修理、補修、いわゆる原状回復の費用負担をめぐってトラブルが確かに急増しておりまして、そういうトラブルを未然に防止できないかという観点から何らかの指針が必要ではないかということで、それに五年先立って平成五年に同じく私どもからお示ししてあります賃貸住宅標準契約書と、あるいは最近までのいろいろな判例とか取引実務等を総合的に考慮の上、そういう負担考え方をまとめたものでございます。  しかし、実際、今年度、具体的には昨年の夏ごろから、各都道府県、業界団体などに配付しながら、あるいは公共団体が主催するセミナーなどを通じて普及啓発に努めているところでございますが、どの程度普及しているかという成果を具体的にお話しできる段階にはまだ至っておりません。
  217. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ御努力、御苦労をいただいていることが少しわかりましたが、これは兵庫県住宅供給公社の例でございますが、この公社が管理しております賃貸住宅の住まいのしおりというのがあるんですね。これには、退去時の補修費の居住者負担として、玄関錠の取りかえ、畳の表がえ、ふすまなどの張りかえ、室内全塗装クロスの張りかえについては、すべて新しくさせていただきます、このように明記されています。これは大分前につくられたものだと思うんですが、まだそれが変わらずにそういう状態である。これは、まだまだこういうことがあると思うんです。  そこで、お尋ねをいたしますが、このガイドラインを示されて以降、入居のしおりなどの見直しの実態についてどのように把握をされているのか。
  218. 那珂正

    ○那珂政府委員 このガイドラインが対象としておりますのは、一般の民間の賃貸住宅契約についてでございまして、そういう意味では、先生先ほどお触れになりましたように、一千万戸を超える住宅があるわけでございまして、まだその大宗、全体を把握するには全く至っておりません。  ただ、今御指摘になりました住宅供給公社の契約については、公社に対するヒアリングも昨年秋から逐次行っておりまして、公社によってそれぞれこのガイドラインとの差がいろいろとあって、それについて、その差をどういうふうに対応するかということを検討し始めているというふうに承知しております。
  219. 辻第一

    ○辻(第)委員 御苦労いただいておるんですが、まだまだこれからというのが現状ではないかと思います。  この問題での苦情や相談が激増しておるという状況の中から、ガイドラインの基本的な考えを広げると同時に、すべての賃貸住宅で、退去時の原状回復についての契約書やしおりなどをガイドラインの考え方に沿ったものに改善させる必要があるというふうに思います。このことではどのような取り組みがされているのか。同じようなことを聞いて恐縮ですけれども、お尋ねをいたします。
  220. 那珂正

    ○那珂政府委員 まず、公社等の公的賃貸住宅につきましては、今先生指摘もありましたし、先ほど申し上げましたように、昨年秋以来、鋭意、賃貸住宅管理の担当者の全国会議を招集いたしましたり、あるいはそれぞれの地域でのセミナー、講習会等を開催してもらって、そこで一つ一つこのガイドライン、あるいは、それのさらにもとになります先ほど申し上げました標準契約書等の考え方と、それぞれの公社がどういう契約書で、どういうしおりで、またどういう運用でいわゆる原状回復の費用負担を進めているかということをつぶさにヒアリングいたしまして、その差を少しでも近づけて、全体としてバランスのとれた運用内容になるように指導していきたいと思います。
  221. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、この問題で建設大臣に御答弁をいただきたいと思います。  賃貸住宅の最大の貸し主ともいうべき住都公団、これの賃貸住宅の契約書は、私の認識ではまだガイドラインに沿ったものになっていないと思うんですね。そういう中で、すべてではありませんけれども、自然損耗も居住者負担になっているところがあるようなんです。  公団というのは、七十二万戸という大きな戸数を抱えたものでございますので、公団の動向というのは全国に大きな影響を与える、こういうふうに思います。現在、公団は賃貸住宅の契約書を改善の方向で検討されているのかどうか。まだ改善の方向になっていないのなら、建設省として十分な御指導をお願いしたい、このように考えるのですが、大臣の御所見を伺いたい。
  222. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 伺っておるところでは、先生指摘のような自然的な損傷などにおきましては公団負担とし、故意過失による損傷が原因であるならば借りている方に対する請求をするということになっておるようでございまして、その請求をする場合にも、畳単位といいましょうか、平米単位で必要最小限にとどめていると伺っておるところでございます。
  223. 辻第一

    ○辻(第)委員 今そういう御答弁をいただいたんですけれども、そんなきれいなことにはいっていないというのが現場の実態だと思うんですね。私も、かなり御努力をいただいているのはわかるんですが、しかし全体としてはまだ、部分ではいろいろ問題がある。私のところにもいろいろまた相談がございます。そういうことで、ぜひひとつ最初に申し上げました十分な御対応をいただきたいということを重ねてお願いをして、次に移ります。  次に、中小下請建設業者の保護、救済といいましょうか、このような問題についてお尋ねをします。  深刻な不況が長引く中で、建設業に従事する中小零細業者、労働者は、極端な仕事不足と単価、賃金のすさまじい切り下げに苦しんでおられます。また、元請企業の倒産を初め倒産が激増し、下請の連鎖倒産、工事代金、賃金の不払い被害が急増していますね。日本建設産業では、元請が倒産した場合の下請保護制度がなしで、倒産企業の残された資産についても国、自治体が税金、社会保険料の滞納分を優先債権として先取りし、銀行なども抵当権を設定して債権回収を行うため、下請企業は工事代金の回収ができない、現場労働者の労働債権さえも保護されないという事態が広まっております。また、自殺をされるという本当に悲しい中小零細建設業者がふえております。中小の建設業者を取り巻く状況は戦後最悪と言っても言い過ぎでないと思うのでございます。  こういう状況の中で、建設省は昨年十二月九日に建設業の経営改善に関する緊急対策を発表されました。これは元請大企業や中堅企業に対する資金繰り支援に重点が置かれ、仕事の減少に苦しむ地域の中小企業や重層下請のもとで最もしわ寄せを受けている下請中小業者と労働者への実効ある救済措置は極めて不十分であると私どもは考えております。  そこで、中小下請業者の保護、救済について何点かお尋ねをいたします。  まず、仕事の確保の問題でございます。これは昨年我が党の中島武敏議員もお尋ねをしておる問題でありますが、現在、官公需の中小への発注額は四七、四八%と聞いておりますが、もっと引き上げる必要があると思うんですが、どのような対策をとられているのか、一点。そして、地方自治体にも中小建設業者の受注機会の拡大を要請していただきたい、この点についてお尋ねをいたします。
  224. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  先生御案内のとおり、建設業は大変中小企業の方々の占める割合が高い業種ということでございますが、公共工事の発注に当たりましては中小建設業者の受注機会の確保対策を大変重要なこととして推進をしているところでございます。  先生、今御指摘にございました四四、四五という数字でございますが、これは、毎年中小企業向けの契約の目標を定めましてそれに対して努力をするわけでございますが、御案内のとおり、建設省の直轄工事におきます平成七年度の契約の中小企業の実績が四四%、平成八年が四五・七%、平成九年は四七・七%ということでございまして、着実に中小企業向け発注の比率が上がってきている、こういうふうに考えております。  一般的に、中小企業の受注機会の確保のためには、何といっても分離分割発注の推進をいたすこと、あるいは下位ランク業者の方々が上位ランク工事へ参入ができるようにそういう機会をふやすというようなことが大変大事だと思っております。現在、平成十年度の中小企業向けの最後の時期ということになるわけでございます。平成十一年度につきましても、特に発注標準を見直しましてBランクの契約予定金額の上限を上げるというような形で中堅、中小向けの受注機会の確保に努力をしていきたい、こう思っているところでございます。
  225. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ御努力をいただきたいと思います。  次に、下請代金未払いの問題です。この問題では、この委員会で中島議員も質問しているのですが、事態は深刻です。早急な対策が必要です。  まずこの問題で確認をしたいと思うんですが、建設業法四十一条の二項、三項では、賃金の遅滞や他人に損害を与えた場合に勧告の対象になるのは発注者から直接工事を請け負った特定建設業者ですね。この二項、三項で言う立てかえ払いその他適切な措置を講ずるのはこの特定建設業者ですね。簡単にお答えをいただきたいと思います。
  226. 木下博夫

    ○木下政府委員 御質問ございました建設業法四十一条二項及び三項についてですが、おっしゃるとおり、特定建設業者というのは大変資質が高く財産的基礎も高いということで、こういうようないわば勧告ということで道義的責任に対しての指導をさせていただくという条文でございます。
  227. 辻第一

    ○辻(第)委員 私の地元の事務所でもこの問題でたくさん御相談があるんですが、この三年間、元請が大手ゼネコンに限定しても三十五もの工事に上っております。このうち二十三の工事で、本来責任を負うべき元請である特定建設業者が立てかえ払いをせずに、一次の下請業者にその責任を持たせ、立てかえ払いをさせている。私どもの知る範囲では、竹中、熊谷、大林、西松、大成、鹿島などの大手ゼネコンであります。中には、下請契約の中で、労賃や工事代金の未払いが発生した場合、下請が責任を持つような契約になっているところもあります。これは明らかに建設業法に基づく元請責任を放棄したものであり、建設省として改善の指導の必要があるのではないかと考えるのですが、いかがですか。
  228. 木下博夫

    ○木下政府委員 改めて申し上げることではないんですが、建設工事の場合には、おっしゃるように、施工システムとして元請下請関係、まあ下請という言葉は適当かどうかあれですが、それぞれの専門工事業者がいわば現場で具体的な仕事をする、その際に元請と下請でそれぞれが契約をなさるわけでございます。その際、下請が場合によっては二次、三次ということも現場ではあろうかと思います。  ただ、今先生おっしゃられたように、押しつけというお話でございますが、あくまでもそれぞれの契約がベースでございますから、先ほど御紹介のあった建設業法四十一条二項、三項は、そういう契約をあえて否定するものではなくて、その際に、例えば中間的な一次下請などが倒産であった場合、その場合に元請に何らかの現場の管理その他で責任等があれば、それはできるだけ同じ土俵で、いわば倒産の下請の下についたさらなる下の下請に対する指導をしていこうという趣旨でございますから、私どもはそれは個々の契約はどうあるかということがまず第一義的には問題であろうかと思っております。
  229. 辻第一

    ○辻(第)委員 基本的には元請の特定建設業者がやるべきものだ、私はやはりそういうふうに認識をしているんですが、基本的にはそういうことですね。  次に行きます。  具体的な事例を紹介させていただきたいと思うんですが、これは去年の一月から四月に行われた建設省兵庫国道事務所が発注した洲本バイパス中島地区改良工事、同じく宇原トンネル工事、この元請は中島地区が勝村建設、宇原トンネルが戸田建設ということで、ともに二次下請が倒産をいたしております。この現場管理をしたベントレー測量設計という下請の森下さんの労賃が、二百五十万円未払いになっています。森下さんは元請の二社に救済を要請する、同時に、発注者であります兵庫国道事務所の副所長さんからもこの元請二社に声をかけてもらった、話をしてもらったようですが、この元請二社とも一次下請業者に解決を任せて、まだ解決をいたしておりません。  建設省の直轄工事で一年たっても解決しない、こんな事態があるのですが、どのように考えておられるのか。  しかし、お聞きをすると、この元請二社でも解決した問題もあるようです、この同じたぐいの中で。そういうこともあるんですが、この件で言えば、もう一年もなるのに解決しないという問題について建設省はどのようにお考えになっているのか。
  230. 木下博夫

    ○木下政府委員 御質問建設省の直轄工事であるから、余計先生の方からもその辺御関心が高いと思いますが、実は、私どものところに、建設省だけでも年間で百八十件ぐらい紙を持ち込まれております。その他、日々二、三件程度は電話で担当者がそれぞれ応対をさせていただいております。そういう中では、かなり、建設省があっせんをいたしました場でのお話し合いが進んでおりまして、いい方向へ行っているのはあるわけでございます。  たまたま今、それぞれの直轄の事務所の努力があっても、なおなかなか一年という時間の中で解決できない事案をいただきましたが、私も現場のそういうことを細かくは承知しておりませんが、できるだけ、先ほど申し上げました四十一条二項、三項については、それぞれの元請なりが責任を持って下請の相談に乗るような土俵づくりという点では、我々も今後指導していきたいと思っております。
  231. 辻第一

    ○辻(第)委員 十分な対応をいただきたいと思います。  それから、次の事例は、大林組と全国建設業協会の会長を務める銭高組なんですけれども、上位の下請が倒産して工事代金が未払いになった零細な下請業者が、労基法や労働者の生活を守るために借金して、無理をして、無理をしてというのかな借金などをして労賃を払うという場合があるようですが、こうして労賃を払えれば、労賃未払いではないとして建設業法の適用を拒否するということです。これは建設業法四十一条三項の理解が不十分だと考えますが、いかがですか。
  232. 木下博夫

    ○木下政府委員 御質問にございましたように、四十一条二項はいわば賃金の不払いの事案でございますし、それから三項は請負代金その他の不払いの場合でございますから、一たん下請が立てかえて二次下請以降の支払いをしたということであれば、賃金不払いの事案は起こっておりませんので、そういう意味では、下請代金の一部を立てかえたということでございましょう。  内容的にはそういうことでございますが、昨年の十一月十九日も、私どもから、今おっしゃられたようなケースも含めて、なお、下請契約における代金支払いの適正化ということで、いわば賃金不払い等の問題も含めてでございますが、総合的な対応をしていただく。  先ほど先生は、十二月九日の緊急対策は下請に大変冷たいというお話でございましたが、内容は、御承知のように、元下関係の適正化、建設業の構造改革をしていただきたいということで、大分厳しく私どもそれに取り組んでおりまして、現場の方にもそれぞれ、立入調査も含めてでございますが、調査しておりますので、そういうものがまとまりましたら、御指導の結果は御報告したいと思いますが、例年に比べていわば厳しい経済環境の中で、それなりの努力はさせていただいていると思っております。
  233. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう時間がありませんので、次に行きます。  次に、工事単価を割るような低単価、指し値発注の問題です。  これも関西の例ですけれども、四次の下請が約五百万円の不払いになっております。この不払い問題での交渉で、工事代金を払わない三次下請は、資金繰りがつかないので無理に仕事をとった、採算割れだ、払う金がないなどと言います。元請も、厳しい請負額だったので受けてくれる下請を探した、低単価だったことを認めます。しかし、元請のゼネコンは利益を確保しております。  厳しい情勢の中で、ゼネコンも含めた仕事受注競争の激化で請負価格が非常に低くなっています。その一番のしわ寄せを、今の例のように、末端の下請業者が受けております。低単価、指し値発注に対して厳正な措置や指導をお願いしたいということと、公共工事の下請代金は出来高に応じて、材料費を含め、現金で支払うよう指導を徹底していただきたい、この点についてお尋ねをいたします。
  234. 木下博夫

    ○木下政府委員 元請下請の関係につきましては、先ほど来いろいろ御質問ございましたからあえて繰り返す必要はないと思いますが、今日的には、むしろ場合によっては下請の方が元請を選ぶというケースもあろうかと思います。ただ、お話のあったように、指し値というような状況というのは必ずしも契約的には適切でないということも我々十分承知しておりますから、従来から、建設生産システムの合理化指針というのを決めまして、この中で今おっしゃったような趣旨は徹底してまいっておりますが、ことしも、さらにそれを徹底する意味で、書面等で改善措置、指導なども行っております。なかなか問題は深刻であろうということは十分承知しておりますので、今後さらにやらせていただきたいと思っております。  もう一点、お話のございました現金払いのことでございます。  これは、先ほど申し上げました建設産業における生産システム合理化指針の中で、基本的には現金払い、手形も併用する場合であってもできるだけ現金の比率を高めなさいということは言っておりますし、とりわけ労務費相当額については現金払いを原則としております。  ただこれは、私がここでるる申し上げても、やはり何といいましても現場でそうなっていないではないかということもあろうかと思いますから、またさらに我々指導していきたいと思っておりますし、それから、公共工事の場合も問題が多いと思いますが、むしろ私は、民間の、とりわけ建築工事の発注の際のいわば発注額が相当低くなっておりまして、これが全体的に建設業の問題を深刻化しているのではなかろうかと思っております。
  235. 辻第一

    ○辻(第)委員 これまでお尋ねをしてまいりましたように、建設現場の最前線で安い請負で働いている中小零細業者にしわ寄せが行っております。ここに政治や行政が光を当てる必要があるんじゃないか。そのために、元請業者への指導はもちろんですが、行政の素早い対応が大事だと思うんですね。今、下請未払いで建設省の窓口は本省だけですね。それも、三人体制です。  これは大臣にお尋ねしたいんですが、昨年の中島議員の質問で、前任の瓦大臣は、相談事案がふえていることを認めて、当事者間の話し合いが円滑に進むようさらに努力する、このように御答弁をされているんですが、迅速な解決や、零細業者の東京への旅費の問題、それから時間の問題、本当に大変なんですね。ちょっと聞きますと、今、建設省の窓口へ相談に、お願いに行きたいといいますと、大体一月ぐらい待たんならぬというのですね。それで、その日にやっと割り当てをもらって行く。それはもう大変なことなんです。それで未払いで、もうどないもならぬ人が、時間と交通費を使うて東京まで来る。なかなか大変なことなんですね。  そんなこともありますので、ぜひ本省だけではなしに、少なくとも地方建設局に窓口を設けていただくわけにいかぬか、こういう問題であります。大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  236. 木下博夫

    ○木下政府委員 いささか事務的なところもありますので、私からまずお答えさせていただきますが、大変御支援いただいているという気持ちで今の御質問を受けとめます。  ただ、一つは、実情から申しますと、建設行政は本省と各都道府県がやっております。ですから、地方建設局に今直接的にはおろしておりません。ただ、将来的に、これは、中央省庁再編とかあるいは地方出先機関への移譲ということで、今整理はさせていただいています。  先ほどお話があったように、本省の方も大変忙しゅうございますが、できるだけ我々も、一カ月なんてお待たせすることのないようにしてまいりたいと思っております。
  237. 辻第一

    ○辻(第)委員 それは、してまいりたいと言いはったかて、人が足らぬところへ問題が多かったらそないなりますよ、人をふやしてもらわぬと。建設大臣に許可の問題は、やはり本省と地方建設局でやっていただきたいというのがもう切実な要求であります。  それと、もう時間が来ましたかな、知事許可の特定建設業者に対する指導は都道府県ですね。建設業法を理解してはるのかな、まともに対応してはるのかなというようなケースが、我々がいろいろ接触する中でたくさんあるんですね。私も驚いておるんですが、去年の十一月に都道府県あてに課長通達が出されているということでありますけれども、この通達の立場で対処をしてもらうためにも、研修会やQアンドAなどのマニュアルを作成するなどの改善をすべきだと考えるんですが、いかがですか。
  238. 木下博夫

    ○木下政府委員 五十六万八千にわたります建設業者のうち、知事許可業者が御案内のとおり五十五万以上ございますので、そういう意味では都道府県の意味は大変重いと思います。大変行政は今複雑化しておりますので、県もそれなりに頑張っていると思いますが、よく中央と地方の連絡をとらせていただきたいと思います。
  239. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう時間が来たようでございますので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  240. 平田米男

    平田委員長 中西績介君。
  241. 中西績介

    ○中西(績)委員 国土行政に関する大臣所信表明に対しまして、順を追って質問を申し上げたいと思います。  まず第一に、新しい全国総合開発計画である二十一世紀国土グランドデザインを効果的かつ着実に推進してまいりますとあります。このため、計画に掲げた四つの戦略を推進するための指針を本年夏前を目途に策定すると言われておりますけれども、現状はどうなっておるでしょうか。
  242. 小林勇造

    小林(勇)政府委員 現在、国土審議会に政策部会を設置することを決定しておりまして、この政策部会におきまして四つの戦略、四つの戦略と申しますのは、多自然居住地域の形成とかあるいは大都市のリノベーション、それから地域連携軸、それから広域国際交流圏、こういうものの戦略そのものは全総計画で明らかにしたわけですが、その具体的な推進指針について骨太なものを夏前ぐらいまでに政策部会で御審議いただこうということで準備をいたしております。
  243. 中西績介

    ○中西(績)委員 その計画、ずっと進んでまいりますが、その所信表明の後に、その際、公共施設やサービスの充実を促進するに当たり、いわゆるPFIなどにより民間の資金やノウハウを活用することは有意義であると考えていると書いてあります。  この際、私がお聞きしたいと思いますのは、国土庁はPFIというこの構想についてどういう考えを持っておられるか、私の方から指摘をしますので、お答えいただきたいと思います。  PFIプロジェクト形態というのは、主流はサービス購入型になっておりまして、競争入札で選ばれた民間事業体が、契約のもとで独自に資金調達し、施設の設計、建設、運営をして、公共部門や国民に対しサービスを提供するものとしております。その主なものは、道路、橋、鉄道、刑務所、病院施設、庁舎、上下水道。この中で大事なのは、独自に資金調達し、施設の設計、建設、運営をしていくという中身になっていますね。  ところが、今議員立法で提出をされております日本版について見ますと、従来からの公共事業や第三セクターと余り変わりがないと指摘をされるような中身になっておると言われています。第三セクターといいますと、官主導でできた組織でありまして、官民混然と経営陣構成などがされておるわけでありますから、この二つをあわせ考えたときに、どちらを大体構想しておられるのか、また別にあればおっしゃっていただければと思っています。
  244. 小林勇造

    小林(勇)政府委員 PFIに関する国土庁の基本的な考え方でございますが、PFIにつきましては、昨年三月に閣議決定されました新しい全国総合開発計画、二十一世紀国土グランドデザインにおいても、長期的な投資余力の減少等これから見込まれるわけでございますが、その際の今後の効率的な国土基盤投資を推進していくに当たっての重要な考え方の一つであるというふうに位置づけております。  そして、そのPFIの基本的な考え方は、今先生もおっしゃいましたけれども、公共施設等の整備等に民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことにより、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図ることにあると国土庁としても考えております。  また、このPFIの適用に当たっては、事業計画の段階で、官民の役割分担あるいは責任関係を明確にすることが重要と考えておりまして、特に、御指摘のありました第三セクターとの関係でいえば、民活事業や第三セクターの事業の中には、官民のリスク分担が明確でなかったために、経営が悪化した場合の公的部門の負担が大きなものとなっているという指摘があることは御承知のとおりでございます。私ども、そのように認識しております。したがいまして、PFIの適用に当たっては、このような指摘も踏まえて、事業計画の段階で、官民の役割、責任、リスクの分担を明確にすることが重要じゃないかなと考えております。  いずれにしましても、私どもの立場としましては、事業所管省庁と緊密な連携をとりつつ、内閣内政審議室あるいは経済企画庁と連携をとってPFI推進のための総合調整に努めていくということでございます。
  245. 中西績介

    ○中西(績)委員 国土庁考えておられること、大体わかりましたけれども、これから後、今出されておりますPFI法案、これらについてまた論議される際に内容的にもいろいろお聞きをしていきたいと思っています。  次に、小渕内閣の重要施策である生活空間倍増戦略プランの一環として、各地域が主体的に策定する地域戦略プランを積極的に推進し、地域戦略プランは、個性的で誇りの持てる地域づくりが進むよう、都市地方の各地域みずからがテーマを選んで云々と述べられております。  特に、地域独自の戦略プランに対して、政府は、国土庁を総合的窓口として関係省庁一体で推進をするということになっています。重点的な予算配分をして最大限支援すると言われ、推進費二千五十億円を計上し強力に推進するとありますけれども、地方分権推進委員会が、第一回目の勧告から五次にわたって勧告されています。ところが、この五次の勧告までに財政問題については未解決のままになっています。こういう状況では、真に地方自治、分権が確立されるかどうかという大きな問題がここにあると思います。  ということであるだけに、今この分権自治体制を推進するということになれば、私は一番心配するのは、このような形で二千五十億円、四百カ所、平均事業規模が百億円ということになっておるようでありますけれども、財政面で国が補助事業として制約をいつまでも続けていく、こういうことにつながっていきはしないかということを危惧するわけであります、その端緒になってくるのではないかということを。ですから、そうした点についてはどのようにお考えか。
  246. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この地域戦略プランは、先生指摘のように、地方分権と非常に関連が深いわけでございまして、二つの地方公共団体等々が広域的な連携のもとに関連の施策を立ち上げていくという内容であるわけでございまして、おっしゃられますように、約二千億円の推進費というものをつけておるわけでございます。  この三月末までに最終的にまとめるわけでございますが、現在のところ先生指摘の、あるいは御心配のように、この財政的な問題、これは四百カ所で一カ所約百億円ということになっておるわけでございますが、今骨格が出てきておりますのは、正直申し上げましてそれ以上のものを出してきておるのがたくさんあるわけでございまして、そういうようなことも絞っていかなければならないと思いますし、この推進費にのっとって、もうそれが完成するまで国が補助金を出すように誤解されたのではいけないわけですから、その点ははっきりとさせてこれを進めていきたいと思います。
  247. 中西績介

    ○中西(績)委員 この問題については、やはり地方自治体の主体形成が私はおくれておるような気がしてなりません。  したがって、依然として中央に依存する、こういう形態になってまいりますと、これから後、果たして私たちが当初ねらった地方分権問題が解決するか。特に、地方に主体があるということが民主主義の原点ですから、こうしたことを支障のないように、これから後の政策等についても、むしろこれから指導をぜひ強めていただくということが大事ではないかと思いますので、あえてこのことを申し上げました。  それから三点目でございますけれども、水資源政策の展開によりまして、渇水に強い豊かで潤いのある社会の実現に努め、本年度末を目途に新たな全国総合水資源計画策定する、水資源開発、水の有効利用、水資源対策など総合的に取り組みますとありますけれども、特に、水環境保全と整備なしにはこのことは考えられないと私は思います。  特に、水源林などを考えてみたり、あるいは田んぼが荒れて全く保水力がなくなるというようなこと等を挙げていきますとたくさんの問題があるし、あるいは環境ホルモンの問題もあるというようにたくさんの問題がございますので、この点についてどういう内容をお考えになっておられるかお答えいただきたいと思います。
  248. 久保田勇夫

    ○久保田政府委員 先生指摘のように、今度、新しい全国総合開発計画を踏まえまして、いわゆるウオータープランというのをつくる予定になっております。  その中では、ちょっと時間もございませんので、いろいろございますけれども、今おっしゃいましたこととの絡みで申し上げますと、これは水資源部長のもとに虫明教授等から成る勉強会等をつくって研究させていただいておりますが、例えば持続的な水活用システムを構築いたしますとか、水環境保全と整備、これは先ほど御質問になりました山の、水源の活用でありますとか田んぼその他のことも当然含むわけでございます。そういうことも含め、さらには水の文化的機能の見直しというふうなことで、幅広い観点から、新しい状況に応じたウオータープランを計画しているというところでございます。
  249. 中西績介

    ○中西(績)委員 この点で、特に私、行政の皆さんに、全国総合水資源計画策定してこれから推し進めていく際に重要なことは、各省庁の壁をぜひ取っ払っていただいて、総合的に考えていただく。今のような状況にありますときに、それぞれが自分の管轄だというようなことでなかなか今まで問題解決がなされておらない分野がたくさんございますから、こうした点につきましても、ぜひ注意をしていただくことを期待いたします。  次に、御承知のとおり、建設業はかつてない厳しい経営環境に直面しているため、建設省といたしましては、昨年十二月、建設業の経営改善に関する緊急対策を策定し、省を挙げて、建設業者に対する円滑な資金供給や信用補完の確保、中小・中堅建設業者の受注機会の確保等の対策に取り組んでいる、技術と経営にすぐれた企業が伸びられる、透明で競争性の高い市場環境の整備を目指して建設業の構造改革の推進に取り組みますとあります。  ここに書かれてあるとおりなんですけれども、その点で二点お聞きしたいと思います。平成五年に中央建設業審議会が建議されて以降、積極的に取り組んでこられたと思いますけれども、現状と課題、いかになっておるのか。二番目に、その中でも特に不良不適格業者排除対策はどのようになされてきたか。こうした点についてお答えいただきたいと思います。
  250. 木下博夫

    ○木下政府委員 二点についてお答えしたいと思います。  お話のございました平成五年の中央建設業審議会の建議は、御案内のとおり、入札制度について競争性とか客観性あるいは透明性を高めるという趣旨でございまして、例えば一般競争入札の導入とか、あるいは指名競争方式の改善、さらには履行保証制度の改革ということで挙げております。  全国の三千三百余りの公共団体あるいは公庫公団等の入札状況を調べておりまして、この数年の状況を見ますと、ちょっと簡単に申し上げますが、例えば指名基準策定などは、当初は半分もいっておりませんでしたけれども、最近は九割近く浸透しておりますし、それから一般競争入札、これは該当する工事も必ずしもそう多くございませんが、当初は数%でありましたのが、現在は四分の一ぐらいに達したりしておりまして、それぞれの中身は、私たちの知るところ、かなり改善されております。まだ一層頑張らなければいけないと思っておりますが。  それからもう一点、お話のございました不良不適格業者でございます。これにつきましても、五十六万八千という許可業者そのものの実態も我々もいろいろ、もう少し詳細に分析しなければいけないんですが、本来、適正な競争の促進とか、あるいは公共工事の品質確保とかコスト縮減とか、こういう問題に対して、お話のあった不良不適格業者の排除というのは大変重要な問題であろうと思っております。  そのために二点、一点は発注者の方々に提供いたしますデータベースシステムが確立してまいりましたので、現場に張りつけます技術者、これについて的確に配置されているかどうかということを、私たち、これからもさらにこの点について確認をしていくという政策をとりたいと思っております。  もう一点は、もう少し直截的に、それぞれ立入検査をいたしまして現場にございます施工台帳などを確認しながら現場の施工体制を確認する、こうすることによって、いわば余り実力もないのに仕事をとるような建設業者が存在するということをできるだけ排除していくという方針で、これからなお実効があるように取り組んでまいりたい、こう思っております。
  251. 中西績介

    ○中西(績)委員 この点で、地方の場合を見てみますといろいろ多くの問題が私はあると思うんですね。特に暴力団の介入だとかあるいはペーパーカンパニー、こういうところがやはり依然として解消されていないということをそれぞれ聞きます。  それは、先ほど言われましたような点についてこれから後どのように地方を指導していくかという、これは上からかぶせる形であってはならないわけでありますから、主体的に、どのようにすればこのことが貫徹できるかということあたりを本格的にやはり取り組んでいかないと、このように不景気になってくると、特にまたこのことが多発しておる、こういう状況があるわけでありますから、中央に集約された皆さんのデータによればある程度改善されたとかいろいろなことが出てくるかもわかりませんけれども、こうした点がまだまだ不十分だということを言われておりますときだけに、この点について今後の決意なりを披瀝していただきたいと思います。
  252. 木下博夫

    ○木下政府委員 先ほどにも類似した質問がございましたけれども、五十六万八千に達する建設業者の多くは知事許可業者でございますし、それから多くの業者は大体、専門工事業を含めまして零細中小でございますから、先生おっしゃられたようにかなり現場における指導というのは意味があるし、それなりの役目はあろうかと思っております。  そういう意味では、私たちの基本的な方針は立てますが、個別具体に当たってはそれぞれの公共団体の力をかりなきゃいけないと思っております。これからも、そういう意味ではひとつのガイドライン的なことは示していきたいと思っておりますが、その実はできるだけ公共団体と力を合わせて、とりわけ市町村レベルのいわば力というのを高めていく必要があると思います。  それから、先ほど暴力団等のお話がございました。余分なことですが、先日もある外国の雑誌等で日本建設業界の紹介を非常に誤って伝えられまして、それに対してはきっちりと反論いたしましたが、いささかそういうことがまことしやかに流れるのも、その背景として何らかのやはり問題があろうという認識はしております。  今後、例えば最近では警察の方とも連絡をとりまして、全国の警察本部におきまして、現在暴力団等の問題についても本格的に取り組んでいただいていますので、私たち、そういう関係省庁との連携もさらに深めてまいりたい、こう思っております。
  253. 中西績介

    ○中西(績)委員 では、最後になると思いますけれども、豊かな環境の実現の中で、豊かな潤いのある生活環境の実現や地球温暖化問題に対処するために云々とあります。沿道地域環境改善の中で、新道路整備五カ年計画で良好な環境保全形成を四つの一つとして推進し、平成十一年度沿道環境改善事業を創設して、総合的、重点的に実施するようでありますけれども、この沿道環境対策の総合的な推進はいかに計画なされておるのか、特に、新しい事業の創設、改善事業の創設だとかいろいろ言われておるようでありますけれども、これらの問題についてお答えいただきたいと存じます。
  254. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 昨年の十一月に道路審議会から「より良い沿道環境の実現に向けて」という答申をいただいたところでございまして、そこに示されておりますのは、経済社会活動を支える幹線道路の役割と沿道の生活環境保全の両面を図るというものでございます。  それに沿いまして沿道環境の改善を進めていくためには、自動車自体の構造の改善、また低公害車の利用促進、交通の流れの誘導等の施策を総合的に推進することが必要であるということで、何カ月も前でございますか、閣議でも各関係省庁に私からお願いをしたところでございまして、確かに周辺の道路ネットワークの整備、そしてまた遮音壁、環境施設帯などの道路構造の改善ということに取り組んでいきたいと考えております。
  255. 中西績介

    ○中西(績)委員 以上で大体終わりますけれども、今度の皆さんから出されました大臣所信表明、一応私は一定の評価をいたしますけれども、具体的にはなお多くの問題が残存しておるということを申し上げなくてはならぬと思います。また改めて討論できる機会をいただきまして、それぞれ具体的に指摘をしていきたいと思います。  以上で終わります。
  256. 平田米男

    平田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十七分散会