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1999-07-28 第145回国会 衆議院 決算行政監視委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月二十八日(水曜日)     午前九時一分開議   出席委員    委員長 原田昇左右君    理事 鴨下 一郎君 理事 熊谷 市雄君    理事 佐藤 静雄君 理事 村田 吉隆君    理事 石井 紘基君 理事 前田 武志君    理事 谷口 隆義君 理事 佐々木洋平君       相沢 英之君    赤城 徳彦君       粕谷  茂君    倉成 正和君       桜田 義孝君    田中眞紀子君       田邉 國男君    滝   実君       萩山 教嚴君    林田  彪君       堀之内久男君    矢上 雅義君       山口 泰明君    安住  淳君       鍵田 節哉君    金田 誠一君       熊谷  弘君    葉山  峻君       赤羽 一嘉君    石田 勝之君       旭道山和泰君    若松 謙維君       米津 等史君    辻  第一君       中林よし子君    保坂 展人君       栗本慎一郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  与謝野 馨君         運輸大臣    川崎 二郎君         建設大臣         国務大臣         (国土庁長官) 関谷 勝嗣君         国務大臣         (総務庁長官) 太田 誠一君  出席政府委員         人事院総裁   中島 忠能君         総務庁人事局長 中川 良一君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         防衛庁人事教育         局長      新貝 正勝君         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         国土庁長官官房         長       木下 博夫君         外務省北米局長 竹内 行夫君         大蔵大臣官房長 林  正和君         大蔵省金融企画         局長      福田  誠君         文部省生涯学習         局長      富岡 賢治君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         水産庁長官   中須 勇雄君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         運輸省鉄道局長 安富 正文君         運輸省航空局長 岩村  敬君         郵政省電気通信         局長      天野 定功君         建設省河川局長 竹村公太郎君  委員外出席者         総務庁行政監察         局企画調整課長 鎌田 英幸君         大蔵省主計局司         計課長     児島 俊明君         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    深田 烝治君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       高山 丈二君         会計検査院事務         総局第一局長  関本 匡邦君         会計検査院事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         会計検査院事務         総局第三局長  白石 博之君         会計検査院事務         総局第四局長  増田 裕夫君         会計検査院事務         総局第五局長  小川 光吉君         参考人         (電源開発株式         会社代表取締役         副社長)    舟喜 偕雄君         参考人         (日本銀行副総         裁)      藤原 作彌君         決算行政監視委         員会専門員   中谷 俊明委員の異動 七月二十八日         辞任         補欠選任   三塚  博君     安倍 晋三君   田中  甲君     金田 誠一君   福島  豊君     若松 謙維君   村山 富市君     保坂 展人君 同日         辞任         補欠選任   安倍 晋三君     三塚  博君   金田 誠一君     田中  甲君   若松 謙維君     福島  豊君   保坂 展人君     村山 富市君 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件  行政監視に関する件     午前九時一分開議      ————◇—————
  2. 原田昇左右

    原田委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として電源開発株式会社代表取締役社長舟喜偕雄君及び日本銀行総裁藤原作彌君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原田昇左右

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     —————————————
  4. 原田昇左右

    原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田邉國男君。
  5. 田邉國男

    田邉委員 自由民主党の田邉國男であります。  山梨県のリニア実験線に係る諸問題について御質問をいたしたいと思います。  昭和三十九年に開業した東海道新幹線は、我が国に革命的な高速交通時代の到来をもたらして、欧米諸国を追い越すまでに経済発展をなし遂げた原動力となったことは、国民だれもが認めておるところであります。それだけに、東京—大阪を結ぶ新大動脈、東海道新幹線が集中的に酷使されておることによって老朽化が早まることを想定し、また、東海大地震等災害時にも備えて、当時既に、代替ルートとして中央新幹線早期建設についての検討が始まったのであります。  一方、リニア技術開発については、種々の経過を経まして、昭和五十二年の七月から宮崎実験線を使ってリニア走行試験が始まったのであります。  これと並行して、政府リニア実用化に向けた技術開発のための条件調査、いわゆる新実験線に関する調査を実施しまして、平成元年に先に基本計画が決定されました中央新幹線ルート上の山梨県が、リニアの新実験線建設適地として決定をされたのであります。  この実験線建設は、平成二年の六月、「超電導磁気浮上方式鉄道に係る技術開発の円滑な推進について」という運輸大臣通達が、JR総研JR東海鉄建公団の三者に出されまして、事業三者がこの通達に基づいて策定をした技術開発基本計画及び山梨実験線建設計画運輸大臣承認をして、スタートしたものであります。  この計画において、実験線の総延長は四十二・八キロメートル、総事業費は三千三十五億円、工事の着手は平成二年の七月、完了は平成七年の三月と明記しております。その後、完成期限が二度にわたって変更されまして、現在の計画は、平成十二年の三月までとなっております。建設工事平成二年に着工されて、平成九年四月からは、完成された先行区間十八・四キロメートルにおいて、走行試験が開始されております。  しかしながら、今日に至るも、実験線は、当初計画四十二・八キロメートルに対してわずか四三%の十八・四キロメートルしか建設されておらず、一般区間と言われる二十四・四キロメートルは未着工の状態で、いつになれば完成するのか見通しが立っていないのであります。前にも申しましたように、実験線の総延長は四十二・八キロメートルと明記しております。  リニア中央新幹線建設を目指してスタートした山梨リニア実験線が、既に満九年の歳月を経過してなお現状の姿では、リニア新幹線は初めから夢物語であって、実現の見込みがないのではないかと疑いを持たざるを得ないのであります。  中央新幹線は以上申し上げたような経過でございます。どうしてこうなってしまったのか、なぜ進まないのか、この点を運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  6. 川崎二郎

    川崎国務大臣 田邉委員、お地元でございますので、経過もすべて御存じのことでございますけれども、少し触れさせていただきたいと思います。  お話のように、山梨実験線平成二年、当初の計画では二年から六年までの間に四十二・八キロメートルの全線建設し、平成九年度までに実験を終了したい、こういう計画でスタートをいたしました。  しかしながら、第一番目に、全体的に用地買収がおくれぎみになってきた。その中で、一方で、早く実験を開始すべきである、こういう意見が強まってまいりました。第二番目に、技術開発進展により、当初よりもハイレベルの設備を利用することが可能となり、実験線自体を相当短縮しても技術的に支障が生じなくなってきた。このようなことから、平成四年に一般区間先行区間を分けさせていただいて、先行区間で、十八・四キロでございますけれども、優先的に整備をする、こういう計画にさせていただいて、今日までに至っているところでございます。  したがいまして、そういう意味では所要実験、すべてとは申し上げません、一部の所要実験については大体めどが立ってきているところでございます。
  7. 田邉國男

    田邉委員 地元山梨県におきましては、この実験線建設に大きな期待を寄せまして、建設地として決定したからには、用地交渉の受託を初め、JR総研への百六十億円の無利子貸し付け、それから工事用道路整備など六十億円を超える関連公共事業の実施、さらには土の捨て場の確保等、大変な地元協力を実施してきたところであります。  運輸大臣通達を出し、その通達に基づいて事業主体の三者が計画をつくり、それをまた国が承認した計画であります。国が承認したプロジェクトだからこそ、山梨はさまざまな形で財政負担をしたものでありまして、一民間企業プロジェクトなら、こんなことはあり得ないと思うのであります。また、このプロジェクトについて、実験線建設地山梨県と決めたのも国であります。財源分担を実質的に決めたのも国であったはずであります。そういう意味では、大臣、このプロジェクトをどう認識しておられるのか、伺いたいのであります。
  8. 川崎二郎

    川崎国務大臣 私は、運輸大臣とともに北海道開発庁長官を兼任いたしておりまして、つい最近まで、苫小牧東部開発の問題でいろいろ御議論をいただいてまいったところでございます。民間主体とした開発事業である、しかしながら北海道の開発計画の中に位置づけられている、したがって、国の計画に位置づけられている以上はすべて国で責任を負うべきでないか、こういう議論もございました。しかしながら、道なり市なり、また民間金融団なり、結論として、相応の御負担をいただく中で新しい会社としてスタートさせていただくことになった。御承知だと思います。  そういった意味において、このリニア実験線の問題につきましても、運輸省承認をいたしておることは事実でございます。ただ、基本的には、承認をいたしたわけですから、主体はやはり鉄道総研JR東海等が中心になった民間技術開発プロジェクト、それに対して国が承認を与えて援助をしていく、こういうスキームの中におきまして、山梨県についても、実験線を誘致し、用地買収技術開発に対する無利子融資関連公共事業について、大変御理解をいただいて協力いただいてきたということについては十分承知をいたしております。  そういった中において、私ども山梨県側とも今後の進め方について誠意を持って話し合いを続けてまいりたい、このように思っております。
  9. 田邉國男

    田邉委員 次に、この計画平成十一年度末を一つの区切りとしているんでありますが、平成十一年度末の執行見込み額と当初計画に対しての残額を教えてもらいたいと思うんです。  また、その残額財源負担者別に、どこがどれだけ出しているのか、JR東海は、JR総研は、そして山梨県はどうなっているか、それぞれに答えていただきたいと思います。
  10. 安富正文

    安富政府委員 お答えいたします。  一応の今回の山梨実験線についての資金フレームにつきましては、当初三千三十五億円ということで、いわゆる実験基盤設備及び実用化実験投資、こういうものに振り分けてスキームをつくったわけですが、現在のところ、十一年度末の見込み建設費あるいは試験費の内訳としましては、実験基盤施設投資に千百四十一億円、実用化技術開発費に千三百八十二億円、十一年度末で二千五百億円程度になる見込みでございます。  ただ、当初の資金フレームでは、これは三千三十五億円ということで一応資金的な枠組みをつくったわけですけれども、これは、資金フレームといわゆる関係者それぞれの十一年度末の執行額の差がいわゆる資金残高として何か残るわけではございませんで、当初のいわゆる予算的な資金計画が、現在のところ二千五百二十三億円ということで執行されておるという状況でございます。  具体的には、このうち、JR東海が約千六百億円、それから山梨県が、関連工事及び無利子貸し付けも含めまして百七十三億円、それから鉄道総研が四百二十一億円でございます。そういう一応の資金執行額になっております。
  11. 田邉國男

    田邉委員 今月の十二日に、リニア中央エクスプレス建設促進国会議員連盟、そして運輸省並びJR東海の三者による検討の結果として、「リニア技術開発等の今後の進め方について」という合意内容なるものが公表されております。  それによりますと、山梨県の実験線一般区間について、「早期一般区間建設が行えるよう、各種調査や必要な工事をおこなう。」そして「一般区間土木構造物コスト低減を図るための試験的施設盛土構造)を設置する。」などとなっております。  今から三カ月前の四月に、運輸省の某幹部が、山梨実験線走行試験は現在のままでおおよそ五年間延長することとし、一般区間建設は先送りするという意向を示しました。これに対して我々リニア新幹線関係国会議員山梨県などが一斉に反発をして、一般区間早期完成を強く要請しました。七月十二日の三者合意はそれにこたえたものであります。  しかし、その内容は、必要な調査工事とかコスト低減のための試験的施設といった具体性のないものばかりで、実験線全般の約束は全くありません。これは、関係者反発に対してただ矛先をかわしただけにすぎないのではないかと思います。  前にも申しましたように、実験線の総延長は四十二・八キロメートルと明記してあるわけであります。その点をお伺いいたします。
  12. 安富正文

    安富政府委員 先生今御指摘ございましたように、山梨実験線の今後の進め方については、当面、先行区間を優先して実施する。ただ、まだ完全に実験が終わったわけではなくて、今後、長期耐久性の問題であるとかあるいはコスト低減の問題であるとか、そういう問題につきましてさらに実用化に向けた実験を進めていく必要があるというふうに我々認識しておりますし、これについては、リニア関係します検討委員会においてもそういう方向で位置づけられているところでございます。  したがいまして、今般、先行区間につきましては、当面、実用化を目指した形で、先ほど言いましたような長期耐久性経済性といったような実験について重点的にこれを実施していく、今後も継続してこれを実施したいと。  ただ、一般区間取り扱いにつきましては、先ほど委員の方からもございましたように、関係者間で鋭意協議してまいりまして、七月に議員連盟という形の中で一つ方向を見たところでございまして、その線で、我々としても今後県とも協力してやっていきたいというふうに考えております。
  13. 田邉國男

    田邉委員 どうも十分に理解できないんです。  山梨県のこのリニア実験線は、あくまでもリニア方式による中央新幹線早期完成を目指すものであるはずであります。実用化への技術開発完成するのはいつか、そして営業線着工するのはいつか、中央新幹線関係する各都府県もこれをしびれを切らせて待っておるわけであります。一体この見通しはどうなのか、どのようなスケジュールを示していこうとされているのか、この点を明確にお答えをいただきたい。  そして、山梨県はこの実験線建設には最大限の努力を尽くしたわけでありますから、本当にやるのかやらないのかと県民が不満を持っておるわけであります。その点について御説明をいただきたい。
  14. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず、先ほども御質問いただきましたけれども、十一年の七月に、リニア中央エクスプレス建設促進国会議員連盟役員会において「リニア技術開発等の今後の進め方について」がまとめられました。県からも今いろいろな御意見を聞いているところでございますけれども、基本的には、これを踏まえて運輸省としても誠実に努力をしてまいりたい、また関係者理解を得られるように進めてまいりたい、これがまずリニア技術開発の問題でございます。  一方で、中央新幹線リニアという問題をどう位置づけるかということでありますけれども、これは、自民党のスキームにおきましても、また政党間のスキームにおきましても、中央新幹線というのは整備新幹線の中でどういう形で建設を進めていくか、優先順位をつけながら議論をいただいているところでございます。そういった意味では、中央新幹線をいつ、どういう形で現実的にやっていくかというのは、まだ議論結論が出ていないという形で理解をいたしております。  なお、中央新幹線について、リニアでやるか、もしくは今の方式でやるか、この辺についても、今回の実験経過というものを見ながら御判断をいただくものになってくるであろう、そういう意味ではまだ、あともう少し御議論をいただかなければならないのかな、こんな感じで運輸省としても受けとめさせていただいているところでございます。もちろん、運輸省としても十分勉強は続けてまいりたいと思っております。
  15. 田邉國男

    田邉委員 今後、実験線全線完成するには二千数百億円もの投資が必要ということであります。一方、当初事業費の三千三十五億円のうち、今年度末で約五百億円が留保されることになりますが、実験線として全線が必要ということならば、国や事業者誠意として、まずこの財源を投入して未着工区間建設に入るべきである、その上で新たな国費を投入しても遅くはないと思いますが、どういうお考えですか。
  16. 安富正文

    安富政府委員 委員の方から御指摘ありますように、一般区間建設するとなりますと、また多額コストがかかることになります。  しかしながら、先ほども申しましたように、先般の平成十年七月の超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会で指摘されました、長期耐久性であるとかコスト低減といったような、まだ残されたリニア実験についての課題がございます。これらにつきましては、現在のところ、現行の先行区間において走行試験を実施することによって十分にその技術開発が可能と認識しているところでございます。  したがいまして、一般区間については、今後の対応としては、実用化レベルに乗った場合のその仕様による走行試験のために建設するということで関係者間の合意を見ているところですが、実際の建設には多額コストがかかる、あるいは現状の厳しい財政状況民間のいろいろな投資意欲の減退、先行区間における技術開発進展状況といったようなことを十分見きわめてやっていく必要がございます。当面、直ちにというのはなかなか難しゅうございますけれども、現在、今後の問題としては、用地買収とか各種調査などをやってそういう方向に持っていきたいというふうに考えております。
  17. 田邉國男

    田邉委員 リニア技術は、世界に誇る日本独自の科学技術であります。一日も早い完成国民の大きな自信につながる。二十一世紀の国土の新たな動脈として、また、万一の災害時における東海道新幹線のバイパスとしてリニア中央新幹線を実現させるために、山梨実験線での実用化技術完成を急がなければならないと思うのであります。  大臣の選挙区は三重県であります。三重県は当然このリニア新幹線関係が深いわけでありまして、地元から早期建設についての強い要請を受けられておると思うのであります。国家的見地に立って、ぜひ実現しなければならないとお考えだと思うんです。  このリニア新幹線は、国家的プロジェクトとして運輸省主体性を発揮して積極的に取り組むべきであり、これだけの大事業をすべて民間企業にやらせようとすること自体が間違っておると思うんです。国の事業として行っても、国民は必ず納得するはずであります。それは、整備新幹線国費を投入していることからしても当然であると思うのであります。  運輸大臣、どうですか。最後に大臣の決意のほどを伺って、質問を終わらせていただきたいと思います。  以上です。
  18. 川崎二郎

    川崎国務大臣 田邉先生のお地元も、私の地元も、空港もなければ新幹線も走っていない地域でありますから、リニアモーターに対する期待というものは他の県の方がお考えになっている以上に強いものがある、これは同じ認識であろうと思います。  また、今御指摘いただきましたように、実験線自体についてはJR東海主体になりながらやっておりますけれども、この中央新幹線リニアでやるとしたら、民間JR東海主体として私どもが援助していく形でやり得るかとなると、今日的な財政状況ではなかなか難しい、これがJR東海一つ判断であろうと思います。  そういった意味では、整備新幹線スキーム順番順番にやっていくのか、もう少し私どもの中で議論を煮詰めた中で国家一つの大きな目標としてやっていくか、これはまさにこれからもう少し煮詰めなければならない議論だろうと思います。私ども、しっかり勉強してまいりたいと思いますので、先生もどうぞいろいろな形で御支援を賜りますよう、お願い申し上げたいと思います。
  19. 田邉國男

    田邉委員 どうもありがとうございました。
  20. 原田昇左右

    原田委員長 次に、石井紘基君。
  21. 石井紘基

    石井(紘)委員 初めに、長良川河口堰あるいは徳山ダム建設計画について、かなりこれは長期にわたって地元を初めとして問題が深刻になっておりますので、その点に関して御質問を申し上げます。  長良川河口堰は既に運用が開始されているわけです。これは、木曽川水系にたくさんダムがございます。建設計画中のもの、建設中のものを含めて幾つかありますが、そういう中で、長年にわたって長期水需要計画というようなもの、正確に言いますと、木曽川水系水資源開発基本計画、いわゆるフルプランというものがあって、水の需要はこれだけ必要だというようなことを根拠にしてダム建設計画というものが次々につくられてきたわけです。  しかし、これが計画どおり需要がいっていない。工業用水等々が、もう要らないというようなことに一方ではなってきた。建設計画は、もう三十年あるいはそれ以上前からできているものもあって、そしてそれを無理やりにでも進めなきゃいかぬというような立場もあって、きたわけですが、そういう中で、今申し上げましたこの基本計画フルプランというもの、一九八五年までの水需要見通しを立てたものはあったんだけれども、しかし、その後は、どうも需要が伸びないというような中でフルプランがない期間というものが長年続いてきたわけですね。そして、九三年になって初めてフルプランの改定というものが行われたんです。  しかし、そこに大変な無理があったと思うわけですね。九三年にこの「取り扱い注意」というふうに書かれた極秘の内部資料ができたわけです。これはもうこんな分厚いものでして、これは、私もいただけないものだからちょっとお借りしているわけですが、この中を見ますと、その当時、いかに無理をして長期水需要予測というものを立てたかということが非常に赤裸々にわかるわけです。私に言わせれば、いわばダム建設計画ありき、それのためにいろいろな、こじつけといいますか、工作をして、いかにその必要性というものの根拠を出すかということの大変な苦労の跡が、ある意味では見受けられるわけであります。  そこで、こういうものをつくったということについて、これは表に出ておりませんので一応最初に確認をさせていただきたいと思いますが、国土庁はいかがですか。
  22. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えさせていただきます。  お話のございました木曽川水系につきましては、先生先刻御承知だと思いますが、水系指定を昭和四十年にやっておりまして、当初計画の決定が昭和四十三年、したがいまして、現在の現行計画というのは、一部変更を平成九年にやっておりますが、実質的には第三次ということで平成五年にやっております。  お話ございましたように、いろいろ計画を策定する際には、周辺の諸事情、例えば人口の見直しあるいは産業の見直し等々、あるいは関係県の御意見など聞いておることも事実でございます。その中でかなり無理をしているという御発言、御質問がございましたが、私たちとしては、やはり基本的には、水というものについては御承知のようにかなり限りある資源でございますから、当然、その有限な資源をしっかり守っていかなければいけない、整備をしていかなければならないということは言うまでもないことでございますが、その過程におきまして、各方面との意見交換をしたわけでございます。  内部資料といいますのは、恐らく国土庁の水資源部で整理したものでございますが、資料の取り扱いについて若干、私この席で正確に申し上げるのは差し控えたいと思いますが、私たちは、検討作業については当然公表していくという、基本的には資料の扱いはそのスタンスで臨んでいます。  ただ、作業についてもいろいろなレベルがございますから、すべて作業部隊がやったものを公表するか否かというのは、これは内部でもう少し調整いたさなきゃいけないと思いますが、今お手元にお示しになったような資料については、原則的には公開をしていくことによって広くいろいろな御意見を聞くということは基本的姿勢として持つべきであろう、私はこう考えております。
  23. 石井紘基

    石井(紘)委員 この資料を私はきのう、かなり強引にお願いをして部屋に持ってきてもらったんですが、どうもすぐ持って帰るというような状況でしたので、私はもう徹夜ででもその場でこれは見させてもらうということでやってまいりましたら、きょうまでという約束で貸してくれたわけです。これは、そういうふうに取り扱い注意で外に見せないということですが、今の御答弁ですと、それじゃ、今後外に出してもよろしいということでございますか。
  24. 木下博夫

    ○木下政府委員 経緯のあることでございますから、申し上げましたように、お渡ししている以上、その中身についてはもう既に先生承知いただいているわけでございますから、見せる見せないというレベルじゃないと思いますが、先ほど申し上げましたように、その間におきましては、例えば作業担当者がかなりいろいろなケースを想定してやったことも事実でありましょうし、それから一部には、これは御説明してあると思いますが、国土庁の場合にはいろいろ担当者もかわりますので、いわゆる事務的な、引き継ぎ的に整理しているものもあろうかと思います。すべてを公開することがかえって世間に対して混乱を招かないかどうかという視点も、私は十分配慮すべきだと思います。  いずれにせよ、作業についてある程度まとまったものについて、これから情報公開等もありますが、行政側が基本的にお示ししていくという姿勢は、先ほどお答えしたとおりで結構だと思っております。
  25. 石井紘基

    石井(紘)委員 それでは、この資料の名称、タイトルは「木曽川水系水資源開発基本計画全部変更基礎資料」、こういうものが一つと、同じく「木曽川水系における水資源開発基本計画全部変更協議経緯」というものです。  全部変更というのもおもしろいのですが、この協議経緯というのは、関係省庁あるいは関係市町村の間等で協議をしたもの、協議といっても、主として国土庁、建設省の側から、アンケートのような形でどうだこうだというふうに出して、その回答を求めたものですね。関係省庁というのは、通産省、厚生省あるいは水産庁などであろうと思いますが、今の御答弁ですと、どうも私は十分納得できないのです。というのは、私は先ほど申し上げましたように、どうも水が必要なんだということを何とか打ち出すために無理やりつくった節が各所にあるわけですね。  そこで、通産省にまず伺いたいのですが、通産省は、この資料の作成の過程でどういう態度をおとりになったか。特にこのダムの必要性、水需要というものの長期計画について、長期見通しについてどのような見解をおとりになったか、簡単に御答弁をいただきたいと思います。通産省、いますか。
  26. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 大変申しわけございませんが、御通告をいただいておりませんでしたので、担当局長が参っておりません。その経緯については、大変申しわけございませんが、私のところではわかりかねております。また後刻、御報告を申し上げたいと思います。
  27. 石井紘基

    石井(紘)委員 通産省は来ていないの。通産省じゃないの。
  28. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 資源エネルギー庁長官でございますが、後ほどの別の御質問の御通告として参上させていただいております。
  29. 石井紘基

    石井(紘)委員 わかりました。  それでは、水産庁はいかがですか。
  30. 中須勇雄

    ○中須政府委員 私ども水産庁は、漁業を所管する立場でございますので、この水資源開発基本計画、こういうものの策定過程においてはその御相談を受けるということで、本件につきましても私ども御相談を受け、私ども、内水面漁業との調整を図るという観点からいろいろ御意見を申し上げ、最終的に幾つかの事項を確認して了承した、こういう経過がございました。
  31. 石井紘基

    石井(紘)委員 どういうやりとりをやったかということを聞いたのだけれども、今の答弁にありませんでしたね。  では、環境庁はいかがですか。
  32. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  この基本計画策定に際しましては、関係行政機関の長に協議するということになっておりまして、環境庁にも協議がございました。  平成五年の木曽川水資源開発計画の変更に際しまして環境庁として申し述べた意見でございますが、計画の具体化に当たりましては、水質、自然等環境保全に十分な配慮をお願いしたい旨の意見を申し述べております。
  33. 石井紘基

    石井(紘)委員 水産庁は、このダム建設というものを余りやられますと、やはり水産資源に大きな影響を及ぼしてくるわけですから、そういう観点から、この協議の経過の中で、一言で言ってしまえば、水の需要がないダムをそんなに幾つも建設するというのはむだじゃないかというような趣旨のことを言われたと思うのですね。  それから、こういうことがこの中に書いてあるわけです、通産省は、工業用水は毎秒十二・三トンの供給力過多である、供給が多過ぎるんだと。それから、その前段にいろいろあるのですが、こういうように水需給バランスが確保されない計画というものは妥当なものとは言いがたく、水需給計画についてはなお検討の余地があるものと考えられるとか、またさらに繰り返して、水需給バランスが確保されないにもかかわらず、用途別の水需給内訳を公にすることについてはいかがなものかというようなことをお述べになったりしているわけですね。  それから、環境庁も、都市用水のうち水道用水については、需要想定毎秒十四・三トンに対して供給量は十三・九というふうにおおむねバランスがとれているが、工業用水では、需要想定五・五トンに対して供給量が十七・八トンと、大きく供給量が上回っており、さらに平成十二年度以降、徳山ダムで四・五トンの供給量を見込んでいる、これはおかしいのではないかという見解もお述べになったと思います。  私の申し上げることがもし違っていたら、それぞれの省庁の方、御発言いただければと思います。違っていなければそのままで結構です。
  34. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  環境庁といたしまして、過去の経緯を確認いたしました際の答弁を先ほど述べたとおりでございます。今先生から御指摘のありました点につきましては、ちょっと調査の上、また御回答申し上げたいと思います。
  35. 石井紘基

    石井(紘)委員 私は、ここに書いてあることをそのまま言っているわけですから、調査の必要はないと思います。  そうやって水需要の予測というものを、九三年の時点で、平成十二年は幾らになる、十七年は幾らになる、こういうふうにかなり根拠不明確な予測値を立てたわけですね。しかし、それがそもそも大変多過ぎたというのが現実なわけです。この中に書かれております平成十二年の水道用水の予測は毎秒五十トン、工業用水は三十三トン、合わせて八十三トンなんですね。しかし、実際には、現在の平成九年の時点でもそれより二十トンも少ない。毎秒ですから、一秒間に二十トンも少ないということが現実ですね。  そもそも、こういうダムをつくりたい、そのためのこれまでの水需要予測というものは、ほとんど間違ってきているわけですね。しかも、それは多い方に間違ってきているわけです。それはもう到底、経済成長率がどうなるかとか、あるいは人口増がどうなるかとか、その地域の工業振興、工業発展がどうなるかというようなこと等々、そんなに何十年も先の見通しを立てられるわけはないので、どうもこういうものをつくるのは、将来必要になる——将来必要になるというのは、これはいわば議論のしようがないわけですよ。そういうことでもってつくられた、ダムをどんどんつくるという計画がございます。  ですから、私はこういう数字を見てみますと、もう既に長良川河口堰さえも、今あちこちで市町村が、もう水をよこさないでくれ、勘弁してください、こう言っているわけなんで、いわんや徳山ダム建設というのは、今建設大臣もおられるけれども、この間、これは工事認可をおろしているんでしょう、そういうものはもう必要がないわけですよ。  国土庁、大体、今の長良川水系、木曽川水系における平成九年あたりの水需要というのは、私は先ほど、十二年ということの予測よりも今の時点で既に毎秒二十トン以上少ないというふうに申し上げましたが、そのことと、それからここに書かれている水需要予測というものは、もう既に現時点で大きく違っておる。それからまた、将来こういうふうにはならないだろうと私は思うわけですが、それは肯定されますか。
  36. 木下博夫

    ○木下政府委員 二点についてお答えしたいと思います。  先生もおっしゃられましたように、こういう水資源開発というのはなかなか見通しがつきにくいということは私たちも当然承知しております。かつ加えて、最近の状況から申し上げますと、我が国経済そのものが右肩上がりでまいりましたが、やはり国土の全体の整備、管理という意味では、これからはむしろ人口そのものも徐々に減ってまいりますので、そういうことを前提にした各種指標の見直しは当然やるべきだと思っております。  木曽川水系の現行の計画は、四全総、いわゆる昭和六十二年に策定されたものとか、あるいは昭和六十三年に策定されました第三次の中部圏基本開発整備計画を前提にやっておりますから、そういう意味では、私が申し上げた右肩上がりの時代の、ある程度余韻といいましょうか、残骸があることは私も否定いたしません。  ただ、問題は、先ほど来申し上げておりますように、施設としては大変時間のかかる建設計画でございますから、そういう意味では、きょう言ってあしたつくれということには間に合いませんので、私は、そういう意味では、ある程度計画の先行きの不確実性と建設長期間要するということについてまず御理解いただきたいと思っております。  それから二点目には、おっしゃられました平成十年当時の需要量、供給量は、確かに御紹介いただいた数字とは私の認識も大差ございません。  ただ、例えば供給量で申し上げますと、都市用水に限って申し上げますと九十四・八トンということでございますが、これはいわば雑駁に言いますと最大供給可能量でございまして、例えば雨の降り方その他において異常な状態が起これば、実はこの数字そのものが確保できる状態でございませんし、また加えて、一方の需要量については、ある程度水利権をベースにした付与の実績でございますから、こういう意味では、水利権のカウントそのものに正直申し上げてまだ若干のあいまいさが伴っております。  ただ、この差がある程度開いておるということの実態を我々は無視するわけにまいりません。したがいまして、これからの国土づくりの中で、こういう水系の、それぞれのいわば需給関係と申しましょうか開発計画、こういうものについては新しい視点で私たちは今見直し作業をやっておりますが、きょう御指摘いただいた点も、当然そういう中で、これからの中でやっていきたいと思っております。  先ほども申し上げましたように、くどくなりますが、従来、資源はできるだけ最大限に活用していこうという姿勢があったことも一方でありますが、しかし、限られた資源をできるだけ我々としては有効に、かつむだのないようにという姿勢もとらなきゃいけないかと、これは基本姿勢として常に持ってまいりたいと思っております。
  37. 石井紘基

    石井(紘)委員 今の答弁をお聞きになって、国土庁長官であり、認可をされる建設大臣、この木曽川水系における水資源開発基本計画全部変更基礎資料、こういう中に述べられている水需要予測というものは間違っておったということは明確だと思いますが、いかがお考えですか。
  38. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今まで先生の御質問の論旨、流れをずっとお聞きいたしておったわけでございますが、先生もいみじくもお述べになっていらっしゃいますように、水需要の予測というのはなかなかしがたいことも事実でございます。  それから、水資源開発といいますのは、水の需要というのは、こういうことは先生は専門でございますが、カーブして伸びてくる。ただ、ダムをつくるというのは年数がいろいろかかりますから、そういうようなことで段階的にしか上がってこないわけですから、ある部分では需要に足りないというところ、あるいはオーバーになっているところというのが、段階的とカーブの差は当然出てくるわけでございますから、そこに予測のしがたいところがあるということを御理解いただきたいと思います。  また、徳山ダムにつきましては、これは岐阜県、愛知県、名古屋市のそれぞれの水資源の将来の見通しを受けて、それに対応したダム計画を策定したところでございます。木曽川水系におきましては、この十年間で六回も取水制限が行われておりまして、特に平成六年の大渇水の際には、知多半島で長期間にわたり最大十九時間の断水を強いられたほか、各地で水田への導水をめぐる水争いでけが人も出る等、地方の方々が渇水で大変苦しんでいる事情等々もございます。  余分な話でございますが、この平成六年は、私の松山市におきましても一日数時間という給水制限が半年ぐらい続いたことを覚えておりますが、私は、本当に水の重要性というものを体験いたしまして、そういうようなことを言いますと暴論になるかもしれませんが、水は本当に余るぐらいあった方がいいと今でも思っております。  それで、まずこの徳山ダムのことでございますが、そういうようなことでこれは必要なものである、私はそのように認識をいたしております。
  39. 石井紘基

    石井(紘)委員 水は余るぐらいにと、水でもお金でも、いいものは余るぐらいあった方がそれはいいんですが、一方では、一つダムをつくるのに何千億とかかるわけですね。それから、自然が壊される、生態系が破壊される。ですから、水の需要の中でも、工業用水とかあるいは水道水とかいろいろあるわけですね。そういう中で、現に通産省その他の省庁でも、工業用水用に確保していた分を水道用水に回すとか、いろいろな転用とかというようなこと、そのバランスというものがうまくないんじゃないかというようなことも指摘をされている。だから、そこはやはりいろいろにやりくりをして——それは、十年に一度、百年に一度の災害を防止するということは非常に重要なことですが、しかし、その論理だけでいってしまうと、これは日本じゅうを全部コンクリートで固めてしまわないと、それは一切の災害を防ぐというのは完璧なものにはならないわけですから、そこはやはり、大臣はもっと大所高所の視点に立ってお考えをいただかなきゃ困るわけです。  私が聞いたことに対しての御答弁がございませんでしたが、この水需要予測というものは間違っておったと言っているわけですね。違っておると国土庁の方も言っておるわけなんで、これを大臣はお認めになりますかということです。
  40. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えします。  先ほどから申し上げておりますように、やはり需給問題については常に見直していくという姿勢は、これは余談でございますけれども、例えばほかの交通量見通しとか、そういうものについても当然やるわけでございますから、我々は日々そういうものについて点検をしていくという姿勢は持ちたいと思いますが、今おっしゃったように間違っているということではなくて、私は、新しい時点に沿った形でやはり点検をしていかなければいけないという姿勢とおとりいただきたいと思います。
  41. 石井紘基

    石井(紘)委員 これでいくんですか、いかないんですか、それを言ってください、大臣。もう大臣は向こうへ行かなきゃいけないのですが、私が大臣にお伺いしないと大臣がいつまでも行けませんので、大臣に御答弁いただきたいんです。  これはさっきも、この数字が違っているというわけです。ですから、今後もこの予測で、ここに書かれている予測でいくんですか、それともそうではなくて、先ほど政府委員の方から言われたように、今後別のプランをつくっていくんですか。そのことを大臣の口から答弁してもらいたいわけですよ。
  42. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今官房長が答弁いたしましたように、彼は決して間違っておるという答弁をしたわけではありませんで、くどいようですが、先ほど先生もおっしゃいましたように、こういう水の需給ということは、人口の増加率がどうであるとか、経済成長率がどうであるとか、そういうようなフレームを参考にしてその時点において出したわけでございまして、ましてや関係県の意向も踏まえて、その時点で、平成五年に策定をしたということでありますから、そのときにはそういう予測であったということであります。
  43. 石井紘基

    石井(紘)委員 では、大臣には、恐縮ですけれども、なお詳しくひとつ御研究をいただきますようにお願いをいたしておいて、建設大臣国土庁長官への質問は以上で終わらせていただきますので、建設委員会で御健闘いただきたいと思います。  では、次に移ります。  もう一つの問題は、先日私、予算委員会で申し上げましたが、電源開発の問題であります。これは皆さんにも参考資料を一部お配りいたしましたが、電源開発が奥只見・大鳥のダム増設、それから湯之谷揚水ダム建設、この計画に当たって、その対策費、補償金というものをかなり多額に出しているわけです。  それは、お配りしましたように、例えば湯之谷村というところに対しては、まず一つは人件費、給料、管理職手当、扶養手当、通勤手当、住居手当、期末手当、勤勉手当、寒冷地手当、時間外勤務手当等を負担するとか、あるいは旅費とか、事務用消耗品費、電話代とか印刷代とか、それからまた食糧費、備品購入費、こういう取り決めを行いまして、こういうものを負担してきた。  これは、別の表にありますように、これにはいつ幾日ということはありませんが、各年度ごとに回数が書かれておると思います。私もこれをよく見ていないんですが、この大きい方の表は電源開発さんからいただいたものですが、こういうような形である。  これは、一々確認書とか協定書というものを取り交わして、そして、幾ら幾ら出します、幾ら幾ら出しますという形で、相当回数にわたって電源開発が湯之谷村に支払ってきたものですね。  その中に、発電所建設とは全く関係のないものがかなりあるわけです。この表の中の、八崎地区観光スロープカー、村民交流施設建設、銀山平地区公共下水道整備事業、蛇子沢・銀山平開発事業、この計画については、これは全くこのダム建設とは関係のないものなんですね。  ですから、前段で申し上げました内容の中では、例えば役職手当だとか何か勤勉手当だとか、そんなようなものから、電話代から鉛筆代からそういうものまで出すというのと、もう一つは、全然電源開発とは関係のない、発電所建設計画関係のない、そういうものに対しても、とにかく村が出してくれと言われると、はいはいと出す。  一方には、やはり自然環境を破壊する、マスコミ等でも取り上げられておりますが、クマタカだとかイヌワシだとか、そういう絶滅を危惧されている貴重な生物もたくさん生息しているわけですね、そういうものを壊す。だから、それに対する代償。あるいは、反対のいろいろな声が大きい、そういうものを抑えるためにお金でもってこれを解決しよう、こういう意図が見え見えなんですね。  ですから、この点について確認をさせていただきたいと思うんですが、電源開発さんは、この関連、周辺の市町村があるんですが、こういう対策費、補償費というのは現在のところは湯之谷村だけにしか払っていないということですが、それが本当かどうかということと、それから、それでは今後、周辺の町村に補償費あるいは対策費を、ほぼこういった内容のものを支払う予定があるのかどうなのか、それをまず教えてください。
  44. 舟喜偕雄

    舟喜参考人 お答えいたします。  奥只見・大鳥発電所増設計画、湯之谷揚水発電所計画につきましては、湯之谷村がその計画の現地に行く入り口でございます。すべての資機材の搬入等もそこから行われるということもございまして、湯之谷村にいわゆる公共補償という形で公共施設の建設に対する協力、それから、先ほど先生からお話ございました行政経費の負担増に伴う相応の負担というものを行っております。  それから、ほかの市町村でございますけれども、湯之谷村以外には、湯之谷計画につきましては、上池が入広瀬村ということでございますが、これについてはまだこの補償は行っておりません。  それから、発電所の所在地としては、奥只見発電所が福島県の檜枝岐村、大鳥発電所は福島県の只見町でございますが、これはまだ公共補償は行っておりません。  以上でございます。
  45. 石井紘基

    石井(紘)委員 今後、そういう考えはありますか。
  46. 舟喜偕雄

    舟喜参考人 今後、交渉する場面が出てくると思っております。
  47. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、今後も同様な周辺の町村に対する補償というものが行われることは、可能性として大いにあるということですね。
  48. 舟喜偕雄

    舟喜参考人 はい、あると思っております。
  49. 石井紘基

    石井(紘)委員 それでは、この湯之谷村に対する補償費の中で、全然ダム建設等と関係のないもの、これはちょっと後へ置いておきますが、湯之谷村に対してこれまで幾ら出したか。先日のお話ですと約七億円お出しになったということですが、そのうち、関係のない施設建設に対して出したのは幾らですか。今私が申し上げた八崎地区のスロープカーと村民交流施設と銀山平と蛇子沢の事業、これは別契約で別の協定書か確認書か何かをつくってお支払いになったと思うんですが、これは幾らですか。
  50. 舟喜偕雄

    舟喜参考人 お答えいたします。  今先生御指摘の八崎地区の観光用スロープカーの建設、それから村民交流施設、銀山平地区公共下水道整備事業、蛇子沢・銀山平開発事業、この四件につきましては、一括して四億円を負担するということを約定しております。
  51. 石井紘基

    石井(紘)委員 ちょっと副社長、余り詳しく御存じないようだから、お聞きになって結構ですから、これまでお支払いになった金額は七億円ですね。ちょうど七億円ですか。
  52. 舟喜偕雄

    舟喜参考人 はい。公共施設整備が七億円です。平成五年度から十年度までの既支出額、公共施設整備としてお支払いしたものが七億円ございます。そのほかに、先ほどの行政経費の増加分負担としてお払いしたものが約六千万円でございます。両方合わせまして、湯之谷村にお支払いした公共補償が七億六千万円ということでございます。
  53. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、今、副社長も——ちょうどいい、そこにそのままお立ちになっていていただくとやりやすい。そのままでいいです。(発言する者あり)  そうすると、さっき、今の四事業に対して四億円ということを言われましたから、それを引くと、あと三億六千万円ですが、その約六千万は行政経費の方だと。そうすると三億円残るわけですね。それでいいんですか。そうすると、その三億円は何ですか。
  54. 舟喜偕雄

    舟喜参考人 四億円をお支払いした残りは、公共施設整備でございますけれども、当社が工事を施行して行った分が、奥只見のダムの堤頂の左岸広場整備事業、それから尾瀬口の船着き場周辺整備事業、八崎地区船着き場周辺整備事業、今後十一年度でやるものも含めておりますが、それがございます。  それともう一つは、蛇子沢・銀山平開発事業の後期分、それが……
  55. 石井紘基

    石井(紘)委員 委員長、ちょっとこれじゃ答弁にならないです。困ったね。(発言する者あり)だめだ、そんなのじゃ。
  56. 原田昇左右

    原田委員長 ちょっとまあ、聞いてください。
  57. 石井紘基

    石井(紘)委員 大臣、あなた怒っているけれども、何ですか、今の答弁は。(発言する者あり)さっき四億円だと言ったでしょう。残りの三億円は何だと言ったら、またさっきの四億円と同じことを言っているんですよ、中身を。(舟喜参考人「失礼しました、四億円のほかに公共整備……」と呼ぶ)
  58. 原田昇左右

    原田委員長 ちょっと、参考人委員長の指示で答えてください。  石井君。
  59. 石井紘基

    石井(紘)委員 大臣、どうなんですか、それじゃ。何に使ったか言ってください。七億円の内訳を言ってください、大臣
  60. 原田昇左右

    原田委員長 今ちょっと資料をあれしているから、ちょっと待って。
  61. 石井紘基

    石井(紘)委員 ちょっと時計をとめてください。
  62. 原田昇左右

    原田委員長 では、今のは舟喜参考人に答えさせます。  舟喜君。
  63. 石井紘基

    石井(紘)委員 もういいって、あなたは。わからないよ。大臣に聞いているんだよ。
  64. 原田昇左右

    原田委員長 いや、今の件についてはわかると言うから、まずちょっと聞いてください。
  65. 石井紘基

    石井(紘)委員 聞いていることがわかっていないじゃないか、再三……。
  66. 舟喜偕雄

    舟喜参考人 先ほど申し上げました四億円のほかに、公共施設整備として約三億円がございます。
  67. 石井紘基

    石井(紘)委員 ちょっとこれ、中断してください。
  68. 原田昇左右

    原田委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  69. 原田昇左右

    原田委員長 では、速記を起こしてください。  石井君。
  70. 石井紘基

    石井(紘)委員 この四事業に対する電源開発が支払った金額は四億円だと、さっき副社長の答弁があったわけですよ。ところが、いいですか、時間ばかりかかってしようがないけれども、全体で支払った補償費、対策費は七億六千万円だというふうに官房長からあったわけですよ。その七億六千万円から四事業に払った四億円を引く、さらに行政経費として出した六千万円を引くと、残りは三億円ですねと言っているわけです。そうするとその三億円は何に使ったのですかということを聞いているわけですよ。  ちょっと、申しわけないけれども、頭を整理して、時間がかかりますので、はっきり御答弁ください。
  71. 舟喜偕雄

    舟喜参考人 お答えいたします。  蛇子沢・銀山平開発事業に、その差額の三億円を支出いたしております。
  72. 石井紘基

    石井(紘)委員 そっちの方、いいですか。副社長とよく相談しても結構ですから、正しい答えをしておかないと、後で大きな問題になりますので。  先ほど四億円を何に使ったかと言ったときに、八崎地区のやつと村民交流施設と銀山平と蛇子沢、これに四億円使いましたと言ったのですね。今、残りの三億円は何ですかと言ったら、今また、蛇子沢に使ったと、同じことを言ったのですね。そうすると、どういう意味ですか、これは。
  73. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 ちょっと補足をさせていただきます。  電源開発から、先生お配りいただきましたこの長目の資料がございまして、この左側の上の方に件名がございますが、平成九年三月二十四日協定、そこに各項目がございます。ここで払いましたものが平成八年度に四億円、内訳を書いてございますが、これが副社長が冒頭申し上げた四億円でございます。  その後、左の項をごらんいただきますと、平成十年五月二十二日協定、平成十一年三月二十九日協定という字がございます。これがいずれも蛇子沢・銀山平開発事業でございまして、支払い年度は平成十年度にございます。  その下の計でごらんいただきますと、その分の合計が三億一千五百万円、この合計、過年度計といたしましたものが七億一千五百万円でございます。その後、平成十一年度以降の確定済み分、ここに数字がございます。  こうした数字の経緯を、今、副社長が申し上げました。
  74. 石井紘基

    石井(紘)委員 きょうの副社長の答弁では、私はもう相当時間をとられてしまいましたから、質問時間が少なくなってしまいましたので、これはまた別の機会にしなければいけません。  何度も繰り返しますけれども、この七億六千万円のうちの六千万円は行政経費、それから四億円は今言った四事業。そうすると、残る三億円だけれども、その三億円も、今、蛇子沢を挙げられました、この四事業の中のものだと。これは同じ対象を二つ言っているわけでして、それでは全然わからないわけですね。  ですから、そこのところは、うそを言うつもりで言っているのじゃないと思いますが、もう少しきちっと精査をして、別の機会に、きちっとした、はっきりした、本当のことを出してもらいたいと思うんですね。  この七億六千万円の中には、例えば漁業補償だとか、あるいは伐採や何かの補償費だとか、そういうものもあるはずなんですよ。しかし、あなたの御答弁ですと、そういうものはその中に入っていない。しかも、同じ対象項目に対して二重払いをしたような御答弁になっておりますから、それではちょっと支離滅裂でございますので、答弁者がそういうことですと、質問ができなくなっちゃうわけですね。  ですから、もう一度別の機会を、これは委員長にお願いして、きょうは残念ながら電源開発の方で事情を御存じの方がおいでいただけなかった。私は社長を要求したんですが、社長がお見えにならなかった。ですから、そこは後日理事会で取り計らっていただくようにお願いをしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  75. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 後刻、資料を完璧にそろえましてまた御説明申し上げますが、一点補足をさせていただきますと、今ごらんいただきましたこの縦長の資料で御理解いただけますように、蛇子沢・銀山平開発事業には前期、後期がございます。平成九年協定では、環境影響調査、温泉掘削ほかの費用として払ってございます。それから、平成十年、十一年の協定では、測量、図画作成あるいは引き湯施設、林道整備、それぞれ事業進展に応じた支払い方をしているものでございます。  失礼します。もう一点だけ、申しわけございませんが……(石井(紘)委員「私は委員長に言ったのに、どうしてあなたが出てくるのかね」と呼ぶ)若干の補足でございます。  それから、漁業補償については、この七億の中に入っておりませんで、別建てでございまして、この分もこの表の中に入っております。
  76. 石井紘基

    石井(紘)委員 私は、きょうのこの質疑の進め方については強く改めて抗議をさせていただきます。これは問題として、きょうの質疑に対する対応は別途やらせていただきます。  次に移ります。  それで、漁業補償は幾ら払いましたか。
  77. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 漁業補償につきましては一億五百万円で、これは、今までの御議論がございました公共補償とは別の、一般補償の性格のものとしてでございます。公共補償、一般補償合わせた合計額は十億一千六百万円、この中の漁業補償は一億五百万円でございます。
  78. 石井紘基

    石井(紘)委員 漁業団体は幾つですか。どことどこ、幾つですか。
  79. 舟喜偕雄

    舟喜参考人 檜枝岐漁協、伊北漁協、魚沼漁協、以上の三漁協でございます。
  80. 石井紘基

    石井(紘)委員 それぞれ幾らか聞きたいところですが、きょうはそれは控えておきましょう。  そこで、さっきの話に戻りまして、この全く関係のない事業に、今のお話だと四億出して、今のお話のとおり受けますと、さらに三億出した、こういうことになるわけですね。だから、全部で十億の補償費の中の七億円をそういうふうに関係のない事業に出したということです。  欲しいというものは何でも出してやるというようなことでもってやらなきゃならない理由はどこにあるかといいますと、これは、現地の自然を破壊することに反対をする人たちが多い、そういう中に無理やりダム建設をやろう、それはいわば、言ってみれば金でもって人の心や自然というようなものを買い取る、こういうやり方なんですよ。  そこで、会計検査院にぜひお願いをしたいんですが、このお金の出し入れというものは非常にやみに包まれておりますし、また、趣旨を外れたお金の出し方をしておるわけですね。  これは政府が六十数%の出資をしてできている特殊法人でありまして、この中には、この特殊法人には当然二兆円を超えるこれまでの公的資金が、予算が支出をされておりますし、毎年予算の中からお金が出ております。そういう特殊法人でありますので、これは特に念入りに会計検査院に調査をしてもらわなくちゃいけないと思いますので、時間がありませんので、それだけ会計検査院にちょっとお願いをしたいと思いますが、いかがですか。
  81. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 お答え申し上げます。  電源開発株式会社は、委員御指摘のとおり、政府出資も非常に多額でございますし、しかも、資本金の三分の二が政府からの出資になっているということで、私ども会計検査院といたしましても、重要な検査対象の一つと認識して、従来から鋭意検査に取り組んできているところでございます。  ただいま御指摘の点につきましては、このような対策費が必要であるかどうか、こういう点につきまして、今後の検査の過程におきまして、通産省当局あるいは電源開発株式会社から具体的に事情を確認いたしまして、判断することになるのではないかと考えております。
  82. 石井紘基

    石井(紘)委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。  通産大臣にも見解を聞いておかなきゃいけませんが、時間が参りました。  最後に、私が先日、農業構造改善局の補助金、特に土地改良関係に関する補助金の動き、現実には莫大な農業予算というものが必ずしも農業の健全な発展に寄与していない、あるいは農家に貢献していない、それは、中間でもってさまざまな利権によって吸い取られておるということを予算委員会で申し上げました。これは大きな波紋を呼んでいるものと承知いたしておりますが、これにつきましてもひとつ、農業予算、特に土地改良のさまざまな事業に関する予算の使途、こうしたものについても会計検査院にひとつ念入りな調査をいただきたい。  特に、政治団体土地改良人自由国民会議というものから、平成七年に自由国民会議に対して四千五百万円が支出されておる。しかし、自由国民会議の方にはその収入の記載がない。このことは、先日もその事実関係は自治省が確認をされたところでありますが、そういうことは、事実であれば、これは政治資金規正法にも触れる問題であろうかと思いますし、その他の政治献金等に関する問題も含んでおる。  特に、企業・団体献金というようなものを、補助金をもらっている団体が、その中央組織、それから地方の下部組織、それぞれがずっとそういう形で政治献金をして、それが最後にはどこかに消えてしまうということでは、これは国民の納得は得られません問題だと思いますので、ひとつこうした問題についても会計検査院の方で御検討調査をいただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  83. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 ただいま委員御指摘の点につきましては、今後の私どもの検査活動を実施するに当たりましての参考にさせていただきたいと存じます。
  84. 石井紘基

    石井(紘)委員 では、委員長に、質疑、答弁のあり方について改めて理事会で申し上げさせていただくということを申し上げまして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  85. 原田昇左右

  86. 若松謙維

    若松委員 公明党の若松謙維でございます。  我が党は、先週七月二十四日、臨時党大会を開きまして、基本政策について全党員の了解を得て、新しい形で出発をいたしました。そして、その政策の中で、我が党として、女性そして青年の党として、少子化対策についてかなり突っ込んだ、そして幅広い政策提言も行っております。  そこで、その少子化対策という観点から、いつも私は公務員の皆様に厳しい意見ばかりですので、きょうは、少子化という観点から、公務員の皆様がやや民間と比べて不足しているのではないか、そういう観点から問題点を取り上げてみたいと思います。  まず、人事院にお伺いしますけれども、まず一番目としまして期末・勤勉手当、これはいわゆる基準日、支給の基準日に在職する職員に支給される手当であるわけですけれども、今、この基準日以前三カ月または六カ月以内という算定期間の勤務実績に応じて支給割合が定められていると思います。ところが、この期末・勤勉手当の支給基準日、いわゆる三月一日、六月一日、十二月一日、この三つの日に育児休業期間中である職員に対しましては、たとえ算定期間に勤務実績があっても期末・勤勉手当が支給されていないのが現制度ではないかと思います。  ですから、このような不合理をやはり改めまして、基準日に育児休業中の職員でありましても、算定期間中に勤務実績があれば期末・勤勉手当を支給すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  87. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 ただいま御質問をいただきました件については、かねがねのお申し越しの件でございます。  私たちは、民間状況もよく調べてまいりましたが、ついに民間で、今お話のありましたように、基準日に育児休業をとっておる職員に賞与を支給する企業の割合が七〇%を超えておるという実情がはっきりいたしました。  それともう一つは、今先生がお話しになりましたように、政策のシフトが少子化対策というふうに移ってきておる現行の情勢というものを認識いたしまして、この問題については決着をつけるべきときが来たというふうに考えます。  そういう方向で院内の議論を取りまとめてまいりたいというふうに思います。
  88. 若松謙維

    若松委員 それでは、同じく人事院にお聞きしたいんですけれども、せっかくの機会ですから議事録として記録に残したいわけですけれども、今まで、民間企業において、算定期間中に勤務実績があった場合、育児休業を取得している者について、先ほど七〇%以上賞与が支払われているということですけれども、具体的に、正確な数字をお述べいただきたいと思います。
  89. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 昨年の調査によりますと、七七・三%ということでございます。
  90. 若松謙維

    若松委員 ということですと、やはり公務員の皆様にもこういった点に、民間もかなり導入しているわけですから、人事院としてもぜひ検討していただきたいと、再度要請いたします。  そこで、総務庁長官にお伺いいたしますが、これもかなり具体的な質問ですけれども、育児休業、これは産休と連動して、子供が満一歳になるまでの間に取得する例が多いんですね。ところが、前年の年収に応じて市町村税が課税されるということですので、休業期間中に前年の市町村税を払わなくちゃいけない、非常に休業期間中の経済的負担が大きいということなんですね。  ですから、まさに少子化対策、いわゆる安心して育児ができるように、このような育児休業を取得しやすくする環境づくりが大変重要と考えておりますので、また算定期間中に実際に勤務実績があったわけですから、職員間の不公平感を取り払って、公務能率を向上させる観点からも、総務庁長官として早急に必要な措置をすべきと考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
  91. 太田誠一

    ○太田国務大臣 お答えいたします。  今の御指摘のお話でございますけれども、十二月一日という日に在職というか、勤務をしていないと期末・勤勉手当が払われないというふうなことに対して、今の人事院総裁の御答弁でも、民間ではその間の期間を日割りのような形でもって算定してやるというふうな方法がとられているようでございますけれども、そんなことを公務員の世界でも検討する、前向きに検討するということを今答弁されたと思います。  私どもは、こういう制度につきましては人事院で、専門家による第三者機関の討議を、審議を経て、そしてそれを勧告されるわけでございますから、その勧告を受けて、今若松委員御指摘のような、民間と同じような合理的な制度になるようにこれは改めるということになっていこうかと思うのでございます。  税金の関係は、ちょっと今、負担がその年に集中をするということでございますので、それはまたよく検討いたしたいと考えております。
  92. 若松謙維

    若松委員 公務員の育児休業中の賞与、手当については、ぜひ民間並みの改善もよろしくお願いしたいと思います。  長官はこれで結構ですので、どうぞお帰りください。  続きまして、今度は、従来から取り上げさせていただいております国家公務員の天下りの問題について質問をさせていただきます。  まず、一般論として三点お聞きしますけれども国家公務員の再就職の状況、これについてはいろいろな形で天下りの情報が出ておりますけれども、じゃ、特殊法人または公益法人への天下り、これがどうなっているかということをこの場で、最新のデータでお示ししていただきたいと思っておりますけれども、いかがですか。
  93. 中川良一

    ○中川(良)政府委員 特殊法人それから公益法人への再就職の状況を、総務庁として全体を把握しておるわけではございませんけれども、まず特殊法人につきましては、内閣官房の調べによりますと、特殊法人の全常勤役員のうち、国家公務員出身者の数は、平成十一年一月一日現在で三百二十三人、比率としては四二・一%となっておると承知しております。  また、公益法人、国所管の公益法人についてでございますが、こちらの方は、総理府の調べによりますと、全常勤理事のうち国家公務員出身者の数は、平成九年十月一日現在で千七百二十一人、比率は一八・八%と承知いたしております。
  94. 若松謙維

    若松委員 今、特殊法人が三百二十三人、四二・一%、これはかなり高いと私は認識するんですけれども、それについて、今後どのように取り組まれますか。
  95. 中川良一

    ○中川(良)政府委員 特殊法人の役員のうちに公務員出身者が占める比率につきましては、従来、累次の閣議決定あるいは閣議了解によりまして、内閣官房が中心になりまして、漸進的にその適正化を図ってまいったという経緯がございますので、今後また、各種の御議論を参考にしながら、内閣官房を中心に検討していくということになるのではないかと存じております。
  96. 若松謙維

    若松委員 その検討方向性は、どういう形になるわけですか。例えば、この四二・一%を減らす方向でいくのか、民間からの役員登用というもの、またはプロパーの役員登用、そういったところをふやしていくのか、それについて述べてください。
  97. 中川良一

    ○中川(良)政府委員 私ども、取りまとめるべき立場にございませんので、この席でちょっと方向性までは申し上げるのは適当ではないかと思いますけれども、特殊法人の仕事を遂行する上である程度国家公務員出身者のいわば能力を活用すべき範囲と、それから民間からの登用を促すべき範囲と、そこを総合的に勘案しながら検討していくということになるのではないかと思います。
  98. 若松謙維

    若松委員 太田総務庁長官を帰してちょっと失敗しました。ずっといてもらえばよかったですね。  これはどうですかね、人事院総裁、せっかくいらっしゃいますから、この天下り、特に特殊法人について四二・一%、役員の半分近い人が公務員出身ということで、果たしてこのあり方がどうかということなんですけれども、総裁、もし御意見がございましたら、ひとつ御開陳願います。
  99. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 この問題は、簡単に結論を出すわけにいかぬだろうと思います。  今、人事局長が答弁しておりましたけれども、特殊法人の仕事の中には、国との関係というものを十分保ちながらやらなきゃならない仕事が非常に多うございます。そういう分野については、公務員出身者というものを役員に迎えるということは、それなりの合理性があるというふうに思います。  ただ、最近、特殊法人の仕事の内容も徐々に変わってきておるという指摘がよくなされます。民間企業との競争関係において処理すべき仕事があるじゃないか、また、そういう実態というものも指摘されておるようでございます。したがいまして、そういう分野については、公務員の出身者でなくて、むしろ民間人というものを登用した方がいいだろうという議論も行われております。  したがいまして、一概に、一律にこの議論というものを行って結論を出すというよりも、個々の特殊法人について内容を分析いたしまして、どういう役員構成にするのがその特殊法人の設立目的に照らして一番かなっているかという議論を細かにしていただくのがいいんじゃないかというふうに思います。  したがって、最初に申し上げましたように、一律に、あるいは簡単に結論を申し上げるというには、少し問題が深過ぎるという気がいたします。
  100. 若松謙維

    若松委員 では、ちょっと別の観点からお聞きしますけれども、ことしの三月十六日に、公務員制度調査会、これは小渕首相の諮問機関ですけれども、ここで、「公務員制度改革の基本方向に関する答申」が出されました。その答申の中に、国家公務員の再就職に関して、ちょっと長いんですけれども、読ませていただきます。   現行の規制では、再就職した者と出身省庁との間の接触に関する行為規制は存在しないことから、国民の行政に対する信頼確保等の観点から、現行の規制に加えて、再就職後の行為規制の導入について検討すべきである。再就職後の行為規制に関しては、規制違反について厳正に対処することを念頭に置いて、どのような行為を対象とし、どのような法体系に位置付けるのか、実効性の担保方策を 例えば刑罰とか違反者の公表ですね、  どうするのか等について専門的な検討が必要である。 こう言っております。  これを受けまして、四、五カ月前ですけれども、この調査会の答申に対して、今、政府としてどのように具体的に取り組んでいるか、答弁願います。
  101. 中川良一

    ○中川(良)政府委員 ただいま御指摘ございました基本答申を受けまして、ことしの四月二十七日に中央省庁等改革の推進に関する方針の中で公務員制度改革について定めておりますが、その中で、再就職の公正性、透明性を確保するため、行為規制の導入の適否について検討するということを明記しております。  総務庁としては、この方針に沿いまして、現行の再就職規制との整理をどうするかとか、あるいはまた、さまざまな事項について少し専門的に検討する必要があろうというふうに思っておりまして、関係機関と相談しながら専門的に問題を詰めてまいりたいというふうに思っております。  なお、いわゆる天下り問題一般に関しましては、このほか、基本的には今よりも在職期間を長期化するような人事システムに見直していくこととか、あるいは再就職自体の公正性、透明性を確保するために再就職状況の公表を進めるとか、あるいは人材バンクの導入について検討するとか、いろいろなことを先ほど申し上げました方針の中でも述べておりまして、こういった方針に沿って、関係機関と具体的な改革方策について検討してまいりたいというふうに思っております。
  102. 若松謙維

    若松委員 特殊法人改革はまた、我が党も行政評価手法の導入とか、さまざまな提言をしておりますので、またそちらの方でもしっかり検討していきたいと思っております。  ただ、四二・一%というのは確かに多過ぎる、それが私どもの認識でありまして、ぜひそれを、プロパー登用、民間登用というものを積極的に推進していただきたい。それを要請して、もう時間ですから最後の質問になろうかと思いますけれども、防衛庁にお伺いいたします。  六月十日ですか、本院を通過しました自衛隊法一部改正案の審査におきまして、防衛庁長官が、自衛隊員の再就職の承認の対象について、離職後二年間の再就職で、離職前五年以内に従事していた職務と密接な関係にある企業とされたのを、離職前五年間に在職していた防衛庁本庁または防衛施設庁と密接な関係にある企業とし、再就職の承認を求められた場合は、部外有識者から成る自衛隊離職者就職審査会に付議して、その決議に基づいて承認の可否を決する旨の答弁をしております。これが六月三日の安全保障委員会です。この審査会が有効に機能していることが当然重要なわけですけれども、この審査会のあり方について、今どのように考えているのか。  もう一つ、以前より、防衛庁の内局職員ですか、この再就職に関しては、いわゆる制服組の自衛隊員よりも一般職の公務員と同様の規制をすべきであるという議論がありました。今回の改正では、一般職公務員と同様のレベルまで規制を引き上げることを目的としたものと解釈していいのか。  また、我が党が既に、去年でしたけれども国家公務員法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、これについて、やはりこの天下りに関する規制法案を提出しておりましたけれども、それについてどうお考えなのか、答弁願います。
  103. 新貝正勝

    ○新貝政府委員 お答えいたします。  今回の再就職手続の見直しにおきましては、離職後二年間に離職前五年間に在職していた防衛庁本庁または防衛施設庁と密接な関係のある営利企業体の地位に再就職する者で防衛庁長官承認を受ける必要があるものについては、自衛隊離職者就職審査会に付議して、その議決に基づいて承認を行うこととなります。自衛隊員の適正な再就職を可能とする上で同審査会の果たす役割は、先生御指摘のとおり、大変重要であると考えております。  先生のお尋ねの、同審査会がどうなるかということでございますが、同審査会における審査の中立性、公正性を高めるために、その構成員につきまして、中央省庁等改革において示された方針、これは政府機関の職員は原則として委員としないというような原則でございますけれども、こういったことを踏まえまして、学識経験を有する者の割合を高めることについて検討いたしますとともに、新たに設定する再就職の承認基準等につきましては、同審査会の審議を経て定めることでその公正性を高めたいと考えております。  それから次の点でございますが、内局職員について一般職の公務員と同様の規制をすべきではないかといったような点でございますが、今回の見直しによりまして、御指摘の内局職員につきましては、一般職国家公務員と同様な再就職手続を経ることとなります。  他方で、自衛官につきましては、任期制自衛官についてはすべて承認の対象外とするなど、自衛隊員の職務や任用形態の特殊性をも踏まえたものといたしておるところでございます。  それから最後に、御指摘の国家公務員法及び自衛隊法の一部を改正する法律案についてでございますが、このことにつきましては、今後、一般職国家公務員における取り扱い状況等を踏まえつつ対応してまいりたいというふうに考えております。
  104. 若松謙維

    若松委員 以上、時間が終わりましたので、終わります。  ありがとうございました。
  105. 原田昇左右

    原田委員長 次に、谷口隆義君。     〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
  106. 谷口隆義

    ○谷口委員 本日は、ペイオフにかかわる質問をさせていただきたいというように考えております。  御存じのとおり、二〇〇一年の四月からペイオフが解禁と申しますか、凍結解除になるわけでございます。市中におきましては大変関心のある問題でございます。私は、従来から申し上げておりますように、予定どおりこのペイオフを実施すべきである。  今までの金融問題、不良債権の問題等々を見ておりますと、金融機関の経営者のいわばモラルハザード、また預金者のモラルハザードというような問題もあるというように思うわけでございますが、このような金融業界の経営の問題。また、金融鎖国と言われるような状況の中で、ビッグバンが始められて、海外の金融機関がどんどん我が国に入ってきておるわけでございます。そういう状況の中で、我が国の金融機関と海外の金融機関との間の国際的な競争、こういう競争に打ちかつためにも、ぜひ国内金融機関が強い経営基盤に立っていただきたいというような観点で申し上げますと、ペイオフは予定どおり二〇〇一年四月から解禁をすべきである、このように考えておるわけでございます。  これに対しまして、金融機関の方も、どうも全銀協の会長の方も、予定どおり実施すべきである。また、大蔵大臣もそういうふうにおっしゃっておりますし、日銀の総裁もそのような御発言をされておるわけでございますので、予定どおりペイオフを実施すべきであるという観点で、本日質問をさせていただきたいというように思うわけでございます。  まず初めに、このペイオフに関しまして、日銀総裁が、本年の三月か四月かの御発言で、ペイオフ解禁をする二〇〇一年四月以降の預金者の保護に関し、新たな預金者の保護の枠組みが必要だというような御発言をされておるようでございます。  例えば、具体的に申し上げますと、金融機関の信用度に応じて預金保険料を変える可変料率の導入で預金者保護の財源を強化するとか、また、制度で決めている保護対象の金融商品の範囲を拡大するとか、このようなことを速水総裁がおっしゃっておられるわけでございます。  今、二〇〇一年三月までは御存じのとおり全額保護というようなことになっておりますから、例えば市中におきましては、先日も、幸福銀行であるとか東京相和銀行であるとかいうところが、極めて経営実態が厳しいこのような金融機関が、法外の金利を掲げてコール市場で資金調達をしておった。これは、いずれにしても二〇〇一年三月までは全額政府の方で保護をするという前提のもとで、このようなことが行われておるわけでございます。果たしてこのようなことが正しいのかどうか。これはまさにモラルハザードがきわまっておるんじゃないかと私は思うわけでございます。  本日、藤原副総裁に来ていただいておりますので、この日銀総裁のおっしゃっておる本意、私が申し上げておるように、結局おっしゃっておることは、実態的には今のペイオフを延期するんだということではないのかどうかということを、まず初めにお伺いいたしたいというように思います。
  107. 藤原作彌

    藤原参考人 お答えいたします。  速水総裁がお答えした答弁は、モラルハザードを回避する点からも、安易に特例措置の延長を視野に入れることは適当ではないという表現でまず総括的に申し上げたと思います。それから、御質問にお答えしまして、るる個別的な問題についても言及なさったことがありますけれども、その後、御承知のとおり、預金保険制度のあり方につきましては、先般金融審議会が中間整理ということで問題点を公表いたしました。いろいろな問題点はその中にほとんど網羅されております。  その問題点をどうするかという審議がこれから始まるわけでありまして、一つ一つの問題については、そういった金融審議会の審議の検討を見ながら、私ども日本銀行としましても、研究グループに実務にたけた者を参加させておりますので、いろいろな意見を申し上げながら積極的に議論に参加していきたいと思いますけれども一つ一つの問題についてどう考えるかという点まで、現時点で具体的な結論を出しているわけではございません。  二〇〇一年三月までの特例措置として構築されている包括的なセーフティーネットは、現在我が国金融システムの置かれております厳しい状況にかんがみますれば、どうしても必要なものであります。一方、こうした措置は、預金者、それからその他債権者、金融機関のモラルハザードを惹起する、生じさせるおそれもあります。現在の時限的な措置を延長するかどうかというのは、最終的には立法府を通じた国民判断にゆだねられるわけでありますけれども先ほどの総裁の、安易に特例措置の延長を視野に入れることは適当でないという発言は、そういった点を踏まえて申し上げたものだと了解しております。
  108. 谷口隆義

    ○谷口委員 これは日銀の調査でございますが、生活意識に関するアンケート調査というのを日銀の方でやっていらっしゃいます。これが本年の三月でございますね、国民の方はペイオフについてどの程度知っておるのかという調査の結果でございます。  調査結果によりますと、ペイオフを凍結している特例措置について、期限が二〇〇一年三月末であることを知っていると答えたのは二〇%、特例措置は知っているが期限は知らないというのが二二・九%、預金保険制度は知っているが特例措置は知らないが一三・八%、預金保険制度そのものを知らないと答えた人が四三・二%。こういう状況の中で、一方で、予定どおり二〇〇一年三月に保護が終わって、翌月の四月から凍結解除というようなことになりますと、もう既に二年を切っておるわけでございますので、預金のシフトが大変心配だと言われておるわけでございます。  私は、先ほども申し上げましたように、予定どおり実施すべきという立場で今申し上げておるわけでございますが、一方で、予定どおり進行しながら、例えば国民の間に周知徹底をさせる、これから二〇〇一年四月以降は一千万円以上の預金があると、これは全部、例えば当該金融機関が経営破綻をすると戻ってこないよということを何らかの形で周知徹底させるようなことが必要だと思うわけでございます。これについて十分そのような対応がされておるかというと、実はそうではなくて、私も地元に帰っていろいろなお話を聞く際に、そんなことがあるのですかというような方が実は多いわけでございます。  現実にどのような対応をされておるのか、これは大蔵省の方がいいのかな、福田金融企画局長、お願いします。
  109. 福田誠

    ○福田(誠)政府委員 今、谷口委員御指摘の点は大変重要だと存じております。  ただ、まだ最終的な方向性、具体的な方向性につきまして金融審議会で審議中でございますので、今現在、まだそこまで手当てできておりませんが、できるだけ方針を早く固め、そうした上で、御指摘のように、国民に混乱を招かないように、最大限の努力を挙げて周知徹底を図りたいと思っております。
  110. 谷口隆義

    ○谷口委員 もう二年を切った段階で、二年物の定期はこれにひっかかるわけでございます。一年前が一番危ない、このように言われておるわけでございますが、どうもこの冬のボーナスの時期は危ないのじゃないか、危ないということは大きなシフト、資金移動が起こるのではないか、このように言われております。その前の段階で、いわゆる弱小金融機関は、それはそれなりに、再編を進めるとか何らかの対応を進めておく必要があるわけですね。  もう目前に迫っておる状況の中で、金融審議会の答申がまだはっきりしておらないということで、今このような、放置をしておるようなことでいいのかどうか、大変私は疑問に感じるわけでございますが、どのようにお考えでございますか。
  111. 福田誠

    ○福田(誠)政府委員 ペイオフの問題につきましては、政府の方は方針が変わっておりませんで、本衆議院の本会議で総理大臣から、あるいは予算委員会で宮澤大蔵大臣が答弁されているとおり、従来からの考えに変わりなく、ペイオフを延期することは考えておらないわけでございますが、おっしゃられるように、預金保険制度そのものについてもまだ十分御存じない方もある。そして、今御指摘の一千万円につきましても、ペイオフが仮に行われた場合に、一千万円を超えるものは全く返ってこないという、一つのまた誤解もございます。これは、残りの部分は金融機関が清算された後の配当として戻ってくるわけでございます。  そういうことも含めまして、方針と、そして国民生活に密着する部分については、もうしばらくしましたら、全国に財務局もございますし、いろいろな手段で、あるいは日銀さんとの連携等々をとりまして、遺漏のないようにしたいと存じておるわけでございます。
  112. 谷口隆義

    ○谷口委員 今局長おっしゃったとおりでございますが、ただ、一千万超の場合に、経営破綻した金融機関の整理の状況いかんによって戻ってくる、元本と利息については、預金保険機構がこれを買い取り、概算払いをするということなので、全部返ってこないということはないのですよというようにおっしゃるわけです。  しかし、一方で、日本長期信用銀行と日債銀の状況を見てみますと、長銀は、一九九八年九月末現在で、破綻直前の検査結果によりますと、純資産がプラスの一千六百億あったわけでございます。これが、同年の十月二十七日、清算価値でこれを評価し直しますと、一千六百億円あったのがマイナスの二兆六千五百三十五億円になった。日債銀の方は、一九九八年三月末で、純資産がマイナスの九百四十四億円、これは破綻直前の検査結果です。これが、破綻直後の検査結果で、清算価値で評価したところは、これは一九九八年の十二月の十六日でございますが、マイナスの三兆四百六十六億円。破綻直前の検査結果と破綻直後の検査結果がかなり乖離している、こういうようなことがございます。  欧米では、プロジェクトファイナンスと申して事業ごとの融資をする。だから、融資そのものは、その事業がだめになればその融資がだめになるわけでございますが、全部がだめになるわけじゃない。ただ、我が国では企業の信用に対して与信を行うというような状況があるので、一遍悪化するとかなりの不良債権が積み上がるというような傾向があるわけでございます。  これは日銀の方も、さっき福田局長がおっしゃったように、一千万円を超えてもこれは全部返ってこないということはないのですよと、そういうような誤解の生じないようにとおっしゃっておるわけでございますが、一方で、実態は、このような急激に債務超過が進むと申しますか、清算価値に引き直して評価すると、もうほとんど返ってこないというような事態が想定されるということがあるわけでございます。これについてどのようにお考えでございましょうか。
  113. 福田誠

    ○福田(誠)政府委員 御案内のように、日債銀、日長銀等、現在問題になっております破綻の例につきましては、預金が全額保護されるということで仕組まれているわけでございます。そして、現在、金融再生法なり早期健全化法によりまして、金融機関の財務内容を早期に検査をし、早期是正措置あるいは資本注入によりまして、とりあえずは二〇〇一年の三月までに確たる金融システムを再構築するというのが今の状況でございますので、その間は預金者に迷惑がかからないようにということで全額保護の措置がとられているわけでございます。  したがいまして、私どもは、まずその両輪と申しますか、この期間に財務内容の不健全な金融機関についてはそのような適切な措置がとられることを前提としまして、二〇〇一年の四月以降は、いわばそういう特例期間が過ぎた後の、しかし破綻が全くないとは限らないということで、その時点における預金保険制度はいかにあるべきかという議論をしておるわけでございますので、ちょっと状況は今の状況をそのまま想定したものではないというふうに申し上げたいと存じます。  それから、これからのことでございます。ペイオフということがとかくひとり歩きをしておりますが、今金融審議会で御議論いただいていますのは、預金者に一部負担を求める方法の一つとしてペイオフがございますが、そのほかにも、資産負債承継方式、PアンドAというようなものもございます。いろいろな手段を組み合わせて、できるだけ預金者あるいは借り手を保護できるようなスムーズな制度を考えているという状況でございます。
  114. 谷口隆義

    ○谷口委員 私申し上げましたように、我が国の金融機関の一つの性向と申しますか、欧米に比べて清算価値が極めて悪化するということをまず念頭に入れておかなきゃいかぬということを申し上げたいわけであります。  それと、これまた、金融債の問題でございます。今現在、預金保険の対象にはなっておらないわけでございますが、しかし一方で、全面的に保護をする、このようになっております。これは極めて重要な問題なので、今後この金融債を預金保険の対象とするかどうかについて、以前、宮澤大蔵大臣も言及されたところでございますが、この金融債を預金保険の対象とするのかどうかということについて、御見解をお述べいただきたいと思います。
  115. 福田誠

    ○福田(誠)政府委員 お答えいたします。  現在、金融審議会のもとでもろもろの問題点について詰めているわけでございまして、去る七月六日に、中間的な論点整理が公表されております。  この中で、金融債につきましては、現在は、転々流通する有価証券であり、名寄せにより一人当たり一定限度額まで保護するということが技術的に困難であるというような理由から、預金保険の対象となっておらないわけでございますが、他方で、貯蓄手段となっている個人向けの、しかも転々流通しない保護預かりのもので名寄せが可能であれば、保険の対象とすることが考えられるというような御意見も出されておりまして、この辺につきましては、今後精力的に議論を進めたいと思っております。
  116. 谷口隆義

    ○谷口委員 この金融債は極めて大きな問題でございますので、これも早く何らかの結論を出していかないと、市中に大きな混乱が生じるというように思います。  その他、この預金保険の対象になるかどうかということで、譲渡性預金、CDであるとか、信託銀行のヒットであるとか、外貨預金であるとか、このようなことが問題になっておるわけでございますが、これについてどのようにお考えでございますか。
  117. 福田誠

    ○福田(誠)政府委員 お答えいたします。  まず、譲渡性預金やヒット、外貨預金が現在預金保険の対象となっていない理由でございますが、譲渡性預金につきましては、御案内のとおり、一般の預金と異なりまして金融市場で自由に売買されるものでございます。主として投資家や企業の余資運用対象になっております、大口で通常金利が高い定期預金でございますので、一般預金者の保護を本旨とした預金保険の対象とする必要がないということで除外をされておるということでございます。  それからヒットでございますが、これはもともと元本保証がなされていないということで、預金とは性格を異にするということでございます。  また、外貨預金につきましては、為替リスクの存在等々、もともとリスクの高い商品でございまして、一般預金者を保護するという預金保険制度の趣旨から見ると、保護対象とする必要性が乏しいというような理由で除外をされているわけでございます。  ただ、繰り返し申し上げておりますように、現在金融審議会で検討してございまして、大きな考え方としてはやはり二つございます。  すなわち、保険対象を拡大するとモラルハザードを招いたり保険料負担が増大するということで、できるだけ限定的に考えるべきではないかという意見が片方でございますし、他方で、預金保険の目的は少額貯蓄の保護であるということで、現行ですと一千万円ですが、その限度額の範囲内であれば、国民の基本的な貯蓄手段と考えられるものについては新たに付保対象とすべきではないかといった意見もございます。  それから、何が対象かどうかはっきりしないことが問題なので、とにかくそこを国民に明確に示すことが基本であるというような御意見等々ございまして、このような論点につきましては、先ほど来申し上げているほかの課題とあわせまして、精力的に検討が進められると考えております。
  118. 谷口隆義

    ○谷口委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますが、いずれにいたしましても、ペイオフは予定どおり実施すべきであるという観点でまいりますと、先ほどから申し上げておりますように、国民に周知徹底を一刻も早くやらなきゃいかぬということと、あと、この対象になるものがまだはっきり決まっておらない、金融審議会の答申を待っておるような状況では、これはおくれるんじゃないか。もう二年を切っておるわけでございますので、ぜひそういう観点で、一刻も早く国民にはっきりわかるような形で対応してもらいたい、このように申し上げて、質問を終わります。
  119. 鴨下一郎

    ○鴨下委員長代理 次に、米津等史君。
  120. 米津等史

    ○米津委員 自由党の米津でございます。  昨日、九九年版の防衛白書が報告をされました。昨年よりかなり充実したというふうに思われますが、しかしながら、最近の新聞や書籍においても、自衛隊というのは本当に国を守れるのかという大変素朴な疑問を耳にすることが多くなっております。そのような指摘が多くなっていることに防衛当局はどのようにお考えになっておられるのか、お伺いいたします。
  121. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 「国防の基本方針」にも、「国防の目的は、直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行われるときはこれを排除し、もって民主主義を基調とするわが国の独立と平和を守ることにある。」こういうふうにございます。私どもに課せられた究極の任務は、他国に我が国を侵略させないこと、それから侵略の意図を抱かせないこと、こういうふうに考えております。  このため、私どもといたしましては、防衛計画の大綱に従いましてみずから適切な規模の防衛力の整備を進めるとともに、当然のことながら、日夜厳しい教育訓練を行いまして、練度の高い隊員の育成と精強な部隊の錬成に努め、堅固な防衛体制をとることとしているところでございます。戦後半世紀にわたりまして我が国が平和であったということにつきましては、この自衛隊が平素からこのような体制を維持するために努力を重ねてきたということが寄与しているものと考えております。  また、我が国周辺地域におきます最近の軍事情勢を見ますと、我が国への侵略のみならず、不審船事案などさまざまな事態に対応できる体制を平素から構築しておくということが喫緊の課題であると認識しております。  このため、防衛庁長官のもとに、防衛庁・自衛隊の関係幹部が一堂に会しまして、常日ごろからこのような事由と重要事態に関します対応のあり方を検討し、いざという場合に迅速に対応することができるように、ことしの一月に重要事態対応会議を設置いたしまして、これまで十五回にわたって、さまざまな事案に適切に対処できるよう積極的に議論を行ってきているところでございます。  今後とも、防衛庁・自衛隊の対応に遺漏のないことを期してまいりたいと思います。  今先生御指摘のございました報道でございますが、私どももその報道を読ませていただいております。それらの御指摘は、この我が国の防衛という、国家存立にとって最も基本的な役割を担う専門組織でございます私ども防衛庁・自衛隊に対する期待のあらわれ、叱咤激励、こう受けとめさせていただきまして、これまで以上に、我が国の国民の生命財産を守り、我が国を防衛するため万全を期してまいりたい、かように思いますので、引き続き御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。
  122. 米津等史

    ○米津委員 余りにも叱咤激励が多過ぎて、麻痺してきているんではないかなというふうに思われるような事案が、ここ何件か続いておるように思います。  例えば、平成十年の四月八日付の読売新聞で、これは「日本は安全か」という特集の中で、北朝鮮のミサイルに対する日本の防空システムの脆弱さが指摘されていました。その指摘された数カ月後に、実際にテポドンが発射され、日本上空を通過されてしまったわけです。  また、翌四月九日の、やはり同じ読売新聞の記事で、海上保安庁と海上自衛隊の連携の不備が指摘された。その数カ月後に、日本海で北朝鮮の工作船と思われる不審船による領海侵犯事件が発生し、みすみす逃してしまった。  このように、日本の防衛体制のすきが外部より的確に指摘され、それが次々に現実に発生してきているというわけですが、このような指摘を防衛当局はどのように受けとめて、どのように対処しているのか、具体的にお伺いをいたします。
  123. 柳澤協二

    ○柳澤政府委員 先ほども防衛局長からも御答弁申し上げましたけれども、私どもも、当然、日ごろから種々の事案への対処ということは防衛警備の計画をつくる段階等で念頭に置いているわけでありますけれども、特に、先ほど防衛局長が申し上げたとおり、大臣のもとに重要事態対応会議というものをつくりまして、いろいろな、起こり得るであろうケースについてのブレーンストーミングを行っております。  また、そうした議論の成果、あるいは先生言われましたいろいろ外部の方々の御意見等も踏まえまして、私ども議論の成果は逐次部隊の方にも伝達をしておりますし、また同時に、これは中央から部隊の方にという流れだけではございませんで、実際に現場で活動しております部隊の方からの問題意識を絶えず私どもも聞いております。  そういうものに対して、また中央の方としても、どのような改善策があるかというようなことを日々議論をして、こういった努力は、実は基本的にはエンドレスに続けていかなければいけない、ここまでくれば万全ということはないと私ども思っておりますが、いろいろな私ども自身が体験した事案の教訓もございますし、訓練等で出てまいりました問題点もございますし、先ほど言われた外部からの御指摘、そういったものも踏まえて、日々部内でいろいろ改善の努力はしておるつもりでございます。
  124. 米津等史

    ○米津委員 いろいろ議論をなさっていらっしゃるようにおうかがいいたしますが、しかしながら、余りにも外部の指摘が的確に当たってその事案が発生しているというのが続きますと、やはり、自衛隊というのは頼りないんじゃないか、いざというとき本当に頼りになるのかという不安が取り除けないという状態だと思います。  この不安を取り除くには、予期できない日本の有事に備えて、日ごろからいろいろなシミュレーション、また厳しい訓練を積んでおくことが大変重要だと思います。  例えばまた、一つの例として、航空自衛隊の戦闘機が民間の航空機が飛んでいても戦闘訓練をしない。飛行に当たる気象条件が民間の航空会社の条件よりもより厳しく設定されているので、航空自衛隊が十分訓練ができていないんじゃないかというふうな話もあるようですが、これについてはいかがでしょうか。
  125. 柳澤協二

    ○柳澤政府委員 民航機とそれから自衛隊の戦闘機とは、基本的に性能や運航目的が異なっておりますので、一概には申し上げづらい部分は御理解いただきたいと思いますけれども、基本的には、離着陸のために必要な気象条件というのは民航機も私どもも同質のものであると思っております。  ただ、私どもの場合は、飛行場の離着陸の条件に加えまして、実際に訓練をいたします訓練空域の天候、これは、実際戦闘機同士の戦闘訓練などを行います場合には相手を見ながら運動をいたす必要がございますので、その相手が見えないような気象条件ではやはり実質的に訓練にならないというようなこともあります。そういうことでいえば、気象的な制約条件というのは確かに少し、飛行場だけでなくて訓練空域の方の天候にも左右されるといったような面はあると思いますけれども、そういうことも経験的に、どこの空域、どこの飛行場は年間通じてどういう気象条件というものも頭に入っておりますので、できるだけ効率的に必要な訓練はこなすようにしているところでございます。
  126. 米津等史

    ○米津委員 救難機にいたしましても戦闘機にいたしましても、民間機が飛べないような状態の中でこそ自衛隊の航空機が活躍する場面があるわけで、これは事故防止等いろいろお考えがあるのかもしれませんけれども、そこら辺は、精強な部隊であり続けるためにはそれなりの訓練をし続けなればいけない。  特に、防衛白書でも精強な部隊の錬成を図るというふうに書かれ、また、総理も国民期待する精強な自衛隊というふうに言っておられます。精強とは、要は戦う集団であり、あらゆる事態に対処し得る、要は戦ったら勝つ、必ず勝つんだ、そういう集団でなければ諸外国に対する抑止力にもならない。それこそ税金のむだ遣いであると言えます。  この、戦に勝つという組織になるためには、先ほど申し上げましたように、いろいろなシミュレーションあるいは訓練が極めて重要でありますが、この訓練について防衛庁はどのように基本的な見解をお持ちなのか、お伺いいたします。
  127. 柳澤協二

    ○柳澤政府委員 先生御指摘のように、自衛隊の日ごろの、最も重要なといいましょうか仕事の大部分は、訓練であります。訓練につきましては、これは先ほどの気象条件だけではございませんで、いろいろ、演習場の地積の問題でありますとかあるいは地元との騒音の関係でありますとか、さまざまな制約要因がございますけれども、それを何とか工夫し、克服しながら必要な訓練をぜひやっていきたいと思っておりますし、そのための予算措置でありますとか、あるいは国内の地積等で制約があって十分に実施できない訓練科目等につきましては、米国に部隊を持っていきまして、そこで演練するというような工夫もやらせていただいております。  まさに先生御指摘のとおり、訓練は、自衛隊がいざというときに、必要になった場合にその力を発揮するために一番大事な要素でありますので、欠けることのないように、今後ともできる限りの工夫をしながら充実させていきたいと考えております。
  128. 米津等史

    ○米津委員 お考えはわかりましたが、軍備に制限があっても訓練に制限はないというふうな合い言葉で、旧日本海軍は猛訓練を重ねたというふうなことは有名な話であります。私は、自衛隊の正面装備そのものよりも、むしろ自衛隊員の士気にかかわる問題、とりわけ訓練は自衛隊が精強であり続けるための大変重要な基本であると思います。  そこで、訓練のための予算措置についてこれからどのような工夫をなさるのか、お伺いをいたします。
  129. 柳澤協二

    ○柳澤政府委員 訓練経費についての御指摘でございますけれども先ほど申し上げましたように、自衛隊が常日ごろから一番やっておかなければいけないことは、十分な訓練でございます。防衛費については全体として非常に厳しい状況にはございますけれども、いろいろな新しい科目等も取り入れながら、予算的な面で申し上げればこれで十分ということは確かにないんでありますけれども、例えば、戦闘機パイロットの一人当たりの年間飛行時間でありますとか、あるいは護衛艦の年間通じての航海の時間といったようなことは基本的に維持しながら、さらに新しい科目をその中で行うとか、あるいは、個々の飛行機あるいは船の訓練にとどまらず、部隊としての、集団的なといいましょうか、そういう形の訓練も、特に近年では充実を図れているというふうに考えております。  予算的には、私ども、引き続きできるだけ努力していきたいというふうに考えております。
  130. 米津等史

    ○米津委員 いずれにいたしましても、私たちは世界で第三位の防衛費を払っているわけであります。しかしながら、世界第三位の防衛費を払っていながらも、自衛隊というのは本当に国を守れるのかという不安が常につきまとうというこの現実を、防衛当局もぜひ素直に受けとめていただき、本当の意味での精強な部隊というものの錬成を行っていただきたいと思います。  いつまでも米軍の後方支援部隊ということではなく、北東アジア情勢も変わって、米軍がアジアから縮小というふうな形になれば、いや応なく正面に自衛隊は出ざるを得ない。今までの防衛の考え方も根本的に変え得る時期に来ているというふうに私は思いますので、ぜひ今後も防衛当局の努力期待して、私の質問を終わります。
  131. 鴨下一郎

    ○鴨下委員長代理 次に、中林よし子君。
  132. 中林よし子

    ○中林委員 私は、前回、五月二十七日に続いて、米軍機の無法、不当な訓練、特に岩国米軍基地がやっているエリア567での危険な訓練の問題について質問をいたします。  私の質問のときに、運輸大臣が、米軍が当該訓練・試験空域で安全上問題がある訓練を行っていないものと理解している、こういう答弁をされました。私はそのとき、米軍パイロットの証言も紹介して、この空域で米軍機が空対空戦闘訓練、追撃訓練、対地攻撃訓練などをしている、こういうことも示したわけですが、安全上問題がある訓練はない、こういう答弁は、これらの訓練実態を無視したものであるというふうに私は思います。  エリア567だけではなくして、一月二十一日に三沢基地から飛んだ戦闘機が釜石で事故を起こしております、墜落事故ですが、この事故の報告書も出ております。それを読んでも、対地攻撃訓練だとか空対空戦闘訓練、これをちょうど行っていたときに墜落事故を起こしたものだ、こういう事故報告書も出ております。  そこで、運輸大臣に改めてお聞きしますけれども、島根県の石見空港開港に伴って、自衛隊の訓練空域が高度一万四千フィートまでで、空港から九海里、約十六キロにわたって民間機の安全のために削除された空域に、米軍機が繰り返し飛来して、急上昇、急降下、あるいは追尾訓練などの危険な訓練を行っていることが目撃されているわけですけれども大臣として、この事態をどのように把握をし、どう対処しようとされているのでしょうか。
  133. 岩村敬

    ○岩村政府委員 お答え申し上げます。  民間航空機の安全確保を図るため、昭和四十六年八月に策定されました航空交通安全緊急対策要綱に基づきまして、民間航空機が飛行する空域と訓練の空域を分離しているところであります。したがいまして、運輸省として、訓練空域における米軍の個別の訓練についてまでは関知していないという状況にあるわけでございます。
  134. 中林よし子

    ○中林委員 それならば防衛庁にお伺いしますけれども、この周辺空域について、米軍の使用調整をしているということになっているわけですけれども、エリアQ、7を米軍が使用する際に、自衛隊がやってはならない訓練はやらないという条件を米側に対してつけているのかどうか、お答えください。
  135. 柳澤協二

    ○柳澤政府委員 先般の御質疑のときにも申し上げたところでございますけれども、この空域の使用に係る調整を行っておりますのは、私どもの訓練と他のトラフィックが基本的に混在しないようにということを考えておりまして、どのような飛び方をするかといったようなところは、私ども、調整の権限もございませんし、その内容については承知しておりません。
  136. 中林よし子

    ○中林委員 運輸省は、米軍機が飛ぶことについては自分たちの及ぶ範囲ではないと言い、自衛隊の訓練空域になっているところでいわば調整して米軍機が飛んでいる、その責任を負っている防衛庁も、防衛庁自身はこの訓練空域のところでは初歩的な訓練しかやっていない。今、米軍機の目撃されている空中戦の訓練だとか、そういうような危険な訓練はやっていないということであるにもかかわらず、又貸しをした相手の米軍機がどんな飛び方をやってもいいなどということが本当に許されるんだろうかというふうに思います。  ぜひ、日本の空の安全に責任を持つ責任大臣として、米側は日本の航空法を守っているはずだというようなことをずっと言ってこられましたけれども、アメリカ側の言い分、これを守っているはずだということで信じていくのか、そうではなくて、これまでも実際に目撃している、その空の下で住んでいる広島県や島根県の住民の声を尊重するのかどうか、これが私は問われているというふうに思うわけですね。ですから、これだけ目撃証言があって、国に対しても、わざわざ石見空港が開港されてから安全のために除外されているその地域を米側が危険な飛行をしている、こういうことを調査する、少なくとも調査をする必要があるんじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、責任大臣としていかがでしょうか。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
  137. 岩村敬

    ○岩村政府委員 委員承知のように、米軍機につきましては、航空法の特例法、実際の法律の名前はもう少し長い法律でございますが、航空法の特例法によりまして、航空法の第六章の規定、これは航空交通の指示、飛行計画承認等、それから到着の通知の規定、この規定を除きまして適用が除外をされております。  したがいまして、他の六章の中にあります訓練飛行についての許可、届け出義務、こういったものは適用がされません。したがいまして、訓練の具体的な内容については運輸省として承知をしていないわけでございます。  なお、日米地位協定第十六条によって米軍には国内法令を尊重する義務があるということで、この訓練に当たっての米軍機の運航に当たって、航空法の規定も尊重するという確認を得ているというふうに我々も聞いておるところでございます。
  138. 中林よし子

    ○中林委員 そうなると、わざわざ石見空港が開港したときに、それまでは自衛隊の訓練空域だったところから、石見空港の下の部分、先ほど言った空港周辺、距離は十六キロ、そして高さは一万四千フィートの間は除外をしているわけですよね。それにもかかわらず、自衛隊は飛ばないにもかかわらず、米軍の戦闘機が戦闘訓練などを行っている、こういう目撃はもう後を絶たないわけですよ。  では、それについて、運輸省も責任は持たない、いわばちゃんと国内法を守っているはずだと。はずでないから言っているわけですから。一体そこのところはだれが責任を持つのですか、そういう危険なことをやっていることに対して。大臣、これは内閣の問題として、その除外されたところを危険な飛び方をしているということは、一体だれが責任を持ってくれるのですか。運輸省なのか、外務省なのか、防衛庁なのか、どこですか。
  139. 柳澤協二

    ○柳澤政府委員 私どもも、同様でありますけれども、訓練等で飛行します際の安全性というのは特に日ごろから十分に配慮しているつもりであります。そして、飛行の安全というものに対する責任という観点で申し上げれば、第一義的には当該機のパイロットとそれを運航している組織にあって、それぞれが十分に配慮をしているものであるというふうに認識をしております。
  140. 中林よし子

    ○中林委員 今の答弁、よくわかりません。  そうなると、そこを勝手に飛んでいる、米軍ですからアメリカに責任があると。日本の安全について、日本の政府は責任をだれも持たないのですか。
  141. 柳澤協二

    ○柳澤政府委員 申し上げましたように、それぞれの飛行に関する安全というのは当然それぞれの主体の責任において確保されるべき、まず第一義的にそういうことであると思いますし、それから、米軍の訓練内容について私ども承知していないわけでありますけれども、私どもは、事前の飛行計画あるいは日々の個々のパイロットの訓練を通じまして安全性を十分確保しているつもりでありますし、当然、米軍においてもそのような配慮がなされているというふうに理解しておるわけであります。
  142. 中林よし子

    ○中林委員 そもそもこの自衛隊の訓練空域を米側が使いたいと言ったときに、調整して又貸ししているというときに、アメリカが、米軍機がそういう危険な飛び方をするということを運輸省は想定して又貸しをしているんですか。
  143. 柳澤協二

    ○柳澤政府委員 又貸しという非常にわかりやすいお言葉で御指摘でありますけれども、私どもは、排他的にそこを占用する権限を持っているわけではございませんで、基本的にほかの航空機が入っていただかないことが望ましいわけであります。  ただ、私どもが訓練に使っていないような状況でありますれば、事前に通報をいただいてそこを使っていただいているということでありまして、何の目的でどういう飛行をするかというのは、私どもに対して情報があるわけではございません。そこで、その飛行の安全については、先ほど来申し上げているように、当然それぞれの運航者において確保されるべきものであるというふうに思います。
  144. 中林よし子

    ○中林委員 そうなると、これは重大な問題をあなた方はおっしゃっている。私は大臣がなぜ答弁に立たれないのか不思議でならないわけですが、少なくとも運輸省は、石見空港が開港した時点で、その空港のいわば安全を担保するために自衛隊の訓練空域から除外しているわけですよ。そこを、又貸しした米軍機はどんな飛び方でも勝手し放題、責任はだれもとらない。こんなばかな話があっていいものでしょうか。  今まで事故が起きないからここでは問題になっていないように思えるかもしれませんけれども、もしも釜石のような墜落事故があればとんでもない事態になると思います。エリア567で米軍が無法な訓練をやっているということは後を絶たないわけですが、少なくとも、今自衛隊の訓練空域になっているエリアQというのがあるんですね、一万四千フィート以上のところなんですけれども、そこを含めて全部除外してしまう、そうすれば、アメリカ軍の方にも調整して飛ぶというようなことは起き得ないんじゃないかというふうに思うわけです。  日米安保条約、日米地位協定がありますから、政府としても、全くアメリカが飛ばないというわけにいかないんでしょうけれども、私たちはこの地位協定にも賛成はしておりませんし、米軍の基地も認めてはいないけれども運輸大臣、少なくとも日米地位協定で、米軍の訓練空域、そういう危険な訓練をするのは洋上の方で二十三カ所指定されているわけですよ。そういうところでおやりになったらいかがか、そのぐらいは、民間の空港あるいは空の安全、住民の安全を守る責任大臣として、米側に言うべきではないんでしょうか。
  145. 竹内行夫

    ○竹内(行)政府委員 今先生御指摘の、設定されております訓練空域等の関係でございますけれども、全国にと申しますか、我が国及びその周辺の公海上におきまして二十四カ所の訓練空域というものが日米合同委員会で協議されておりまして、その使用範囲、使用時間帯等を告示しておりますし、航空情報でこれを一般に公知しているところでございます。  この訓練空域と申しますのは、御承知のとおり、米軍航空機の実弾射撃等のために、民間の船舶や航空機の安全を確保する目的ということで設定をされているわけでございます。他方、米軍によります実弾射撃等を伴わない通常の飛行訓練につきましては、日米地位協定上も、施設・区域の上空とか、それから設定されております訓練空域に限って行うということにはなっておらないわけでございます。  また、つけ加えますけれども、航空自衛隊の訓練空域というもので、先生先ほど来御質問の訓練が米側において、米軍において行われているわけでございますけれども、これは、先ほど来答弁がございましたように、自衛隊との間で時間帯等を調整いたしまして航空路の安全に万全を期すという措置をとった上でやっておるわけでございますし、さらに、米側におきまして安全確保の上で万全の措置をとるということは当然行われるべきことでございます。  そういうような状況でございます。
  146. 中林よし子

    ○中林委員 どこの外務省かと思うばかりの答弁でございます。  少なくとも私は、今外務省がそういう御答弁になりましたので、低空飛行訓練について一月十四日に日米合意が六項目にわたって取り交わされましたが、これ自体が非常に実効性を伴わない合意事項だというふうに思うわけです。  例えば民間空港のところは飛ばないというのに飛んでいるというのは、これまでるる述べたことです。それから、土日、祝祭日は訓練に不可欠以外のところは飛ばないという合意がされておりますけれども、少なくとも、一月には三日間四回、二月には二日間三回、それから、これは君田村のちゃんとした記録ですけれども、二月七日には、これは日曜日ですけれども、二機来ております。それから、六月十三日、日曜日ですけれども、これも飛んできております。  こういう合意がされているにもかかわらず、実効性を伴わない。これは厳重に実行させるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  147. 竹内行夫

    ○竹内(行)政府委員 先生御指摘の一月十四日に公表されました具体的な措置に関する文書でございますが、そこには、「週末及び日本の祭日における低空飛行訓練を、米軍の運用即応態勢上の必要性から不可欠と認められるものに限定する。」ということとされております。これは、ここに書いてございますとおり「不可欠と認められるものに限定する。」ということでございまして、必ずしも例外が全くないというわけではございません。  いずれにいたしましても、住民への影響とか安全性の確保ということで問題があるようでございますれば、もちろん我々といたしましては、米側に照会したり協議を行うということについては、やぶさかなく行っていきたいという基本的姿勢でございます。  先生今御指摘されました具体的な日付がございましたけれども、我々もその点については、米側に事実確認ということを五月の段階で行っております。と申しますのは、この文書におきましても、この低空飛行の安全性確保等に実効性を与えますために日本政府と引き続き協力する、協議するというような趣旨の項目がございまして、そういうことに基づいて、必要に応じて我々としても米側には照会を行うということは行っていくつもりでございます。
  148. 中林よし子

    ○中林委員 今申し上げました具体的な日曜日の日付の飛来が不可欠な訓練だったという、その詳細な中身は後で報告してください。  大臣にせっかく来ていただいております。最後に一問、大臣に御答弁いただきたいと思うわけですけれども、島根県益田市の石見空港に、岩国米軍基地の米軍機FA18戦闘攻撃機が十日に緊急着陸をいたしました。この通告が空港管理所に入ったのは着陸の五分前で、いや応なしの強行着陸というふうになっております。着陸して初めて米軍機であることがわかりました。物すごくひどいと思います。  直ちに益田市長は、石見空港は民間利用のための空港であり、いかなる理由にせよ軍用機が着陸したことは非常に遺憾だ、こういう抗議文を岩国米軍基地に送っております。また、島根県知事もこの事態に対して、県民の安全を守る立場からまことに遺憾として、在日米軍司令部に抗議をし、政府にも再発防止を要求しております。  今回の事態、島根県と益田市の要請について、運輸大臣として真剣に受けとめるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  149. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず、先ほどからの御質疑の内容については、外務省、防衛庁から御答弁をいただきましたので、それをもって御理解を賜りたいと思います。  それから、今御指摘いただいた事案でございますけれども、六月十日午前十一時二十四分ごろ、福岡航空交通管制部において、有視界飛行方式により飛行中の米軍機から、燃料欠乏による緊急事態の通報と石見空港へ飛行したい旨の連絡がございました。同管制部は、当該機が緊急事態であったため、石見空港への飛行について支援し、十一時四十三分、石見空港に着陸いたしました。  石見空港の使用を認める権限は、空港の設置管理者である島根県にあります。しかしながら、燃料欠乏のような緊急時の場合は、設置管理者の意思確認のため同管制部が空中待機を指示した結果安全に重大な支障を及ぼすことが考えられ、人道的な観点から必要な支援を行った。  これは、実はガイドラインのときにも、成田の問題でいろいろお話がございました。混雑空港でございますので基本的には難しいというお答えを私はいたしておりますけれども、緊急時においては成田も使うことはあり得ると御答弁をさせていただいているところでありますので、どうぞ、安全という面からは御理解を賜りたいと思います。
  150. 中林よし子

    ○中林委員 時間が参りましたので終わりますけれども、米軍の安全を守ると同時に、日本国民の安全、命を守るということで、これまでの論議を通じて、米軍がどんなに飛ぼうとも、どんなに着陸しようとも手も足も出ない日本の政府の弱腰外交に、私は極めて遺憾ということを申し上げまして、質問を終わります。
  151. 原田昇左右

  152. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  本日は、私自身の携帯電話、それから国会の院内の平河クラブの電話との間の会話がいわば盗聴されたということの背景を少しきちっと議論をしてみたいという意味で、主に郵政省の方に、局長に来ていただいておりますので、早速お聞きをしたいと思います。  何度かこれは問題になっておりますが、昨年三月の原田刑事局長と谷電気通信局長との間の覚書がございますね。これは、通信傍受法関連で両省の覚書がある。  このところ、法案をめぐる技術的な議論も、昨日の参議院の法務委員会あたりでも白熱していろいろ出てきたということでありますけれども、この覚書を新たに、現在の例えば松尾局長との間で準備などをされているのか、あるいはこの覚書が最終覚書というふうに理解していいのか、その点を簡単にお答えいただきたいと思います。
  153. 天野定功

    ○天野政府委員 お答え申し上げたいと思います。  現在のところは、公表されております覚書以外に郵政省と法務省の間に新たな覚書を締結することは予定しておりません。
  154. 保坂展人

    保坂委員 きょうの新聞などにも、これはきのう初めて出た話ではなくて、電気通信局長にもたびたび確認をしていることですけれども、携帯電話同士の盗聴捜査なりあるいは傍受なり、これは技術的には難しいんだ、そういうことが業者の方から語られたということです。  これは同時に、NTTドコモの方に私が確認をしたところ、確かに難しいという話だったんですけれども、やはりデジタル音声をアナログに変化していくようなソフトを開発することで対応したいというふうに聞いているんですね。これは本当なんでしょうか。つまり、そういうソフトを開発していくんだ、あるいは開発しているんだというあたりは本当なんでしょうか。
  155. 天野定功

    ○天野政府委員 前にも先生に御答弁しましたように、携帯端末相互の通信を直接傍受することは、現在の技術レベルでは極めて困難ということでございます。  それにつきまして、通信傍受法案の成立していない現在において、そのソフトの開発を検討しているということは聞いておりません。
  156. 保坂展人

    保坂委員 実はソフトの開発を検討しているというふうに私はもう聞いているんです。それに加えて、きのうの参議院の委員会には、自民党から推薦のあったニフティサーブの取締役の方が出てこられて、電子メールの通信が、例えばリアルタイムの傍受というようなことで遅くなってしまっては困るんだ、加入者からプライバシー侵害について訴えられた場合の免責の規定や、あるいはトラブルが発生した場合の補償面、つまりシステム全体がダウンするとか、そういう部分についても考えてほしいというような声も出たわけなんですね。  こういうところに関して、つまり、この議論が進めば進むほどいろいろな課題が見えてきたと思いますけれども、例えばインターネットについて、ではこういうソフト開発やいわば新しい技術開発、あるいは携帯電話同士の傍受はできないというなら、それを可能にする開発、これは一体どういう予算でだれが責任を持ってやるんでしょうか。
  157. 天野定功

    ○天野政府委員 法案が成立した段階以後の話だと思いますが、今後、現在のシステムでは傍受できないものを新たにソフトを開発して傍受を可能にならしめるためには、捜査機関から通信事業者等に対しまして協力要請がなされることはあり得ると思います。  しかしながら、そのような場合におきましても、郵政、法務両省間の覚書にも記載されておりますように、通信事業者への過度の負担を伴い、電気通信役務の円滑な提供が阻害されるおそれがあるような場合には、必ずしもその協力の要請に応じることにはならないと考えております。
  158. 保坂展人

    保坂委員 そうすると、例えば、携帯電話同士の傍受システムということを構築するにはかなりの時間がかかるし、費用もかかる、こういうふうに言われているわけですよ、事業者の方は。では、それを理由にして、法案はできたけれどもやはりこれは無理ですよと拒否することもあり得るということですか。
  159. 天野定功

    ○天野政府委員 当然に拒否すると言うかどうかはちょっと何とも申し上げられませんけれども、今申し上げましたように、これは法案成立後、捜査機関側と通信事業者等との話し合いになろうかと思います。  それで、現在、どのぐらいのコストがかかるのか、あるいはどのぐらい日数がかかるのか、私ども承知しておりませんし、その辺の具体的な話し合いの中で問題が解決されていくと思いますが、基本的に、過大な負担がかかって本来の電気通信サービスの円滑な提供を阻害するような事態が想定されるような場合には、当然に協力することにはならないということを私どもは想定しております。
  160. 保坂展人

    保坂委員 わかりました。では、拒否することもあり得る、この覚書は生きているということで理解をします。  そして、きょう、もう一つお配りした資料、これはかつて、一年半ほど前に、当時のいわゆる盗聴法と言われる組織犯罪対策三法の議論のためにNTTに行ったときに、NTTが用意した資料であります。  この資料を見ていただくと、電話回線、そしてISDN回線と、二種類書いてあります。そして、今問題に、きょう話題にしているところの試験制御装置、TWSですが、ここのところの括弧のところをちょっと見ていただきたい。その括弧のところは、「通話切断後は割り込んだ回線からの発信は不可。」というふうに書いてあるんですね。つまり、TWSというのは試験制御装置の端末で、ここから一回切っちゃったらかけられませんよと言っているわけなんです。  ところが、この間の議論あるいはNTTの方のお話では、そうではなくて、着信はできないんですよと。一回、TWSでモニターしている、場合によっては捜査員が聞いている、そのときに着信はできないんですよ、発信はできるんですよ、こうなっているんですね。全くあべこべじゃないか。これは、間違いなのか不完全なのか。専門的な部署としてお答えいただきたいと思います。
  161. 天野定功

    ○天野政府委員 いわゆるTWS、試験制御装置のことでございますが、これによってモニターする場合の可能性でございますが、正確に申しますと、アナログ回線の場合とISDN回線の場合は違います。  アナログの場合を申し上げますと、まず、通話中に割り込んでモニターする、これは可能です。その次に、今度は待ち受けの場合はどうかといいますと、発信を待ち受けしてモニターすることは可能でございますが、着信側を待ち受けしてモニターすることは不可能、こういう機能でございます。  それで、今お尋ねの資料に即して申し上げますと、この御指摘の括弧書き、ただし書きの部分は、表現は正確ではないのかもしれませんけれども、一たんTWSにより割り込んで、傍受中にその通話が終わった、終わった後、その割り込みのモニターをなお継続していた場合には、発信もできませんし、また、これは書いていませんけれども、着信も妨げられるというのが正確な表現でございます。
  162. 保坂展人

    保坂委員 局長、これは大事なことなので、私自身に起きたことも考えてみるにも、このTWSというのは全国に二千五百台、操作できる人が一万五千人ですか、大変そういう意味では便利だけれども、それだけ広範な人々が使えるという技術であることも既に確認しています。国会の場に出てくる資料が一年半前と一年半後と一見して正反対というのは、やはりこれは非常にまずいことなので——これは、技術は一定だと思うんですよね。一万五千人の方が操作されるんですから、操作マニュアルもあるでしょう、きっと。そうですよね。アナログの場合ですけれども、どうして着信できないのか、あるいは発信はできるのか、そういうことを、全くの専門家じゃなくても、ああなるほどと理解できるようなTWSの資料を、ぜひ局長、提出していただけませんか。
  163. 天野定功

    ○天野政府委員 TWSの操作マニュアルの提出のことでございますが、先ほども申しましたように、TWSは、意図的に傍受しようと思えばそれに使える機器でございますので、通信の秘密の保護の観点から、関係者以外には公表していないものであり、御提出は控えるべきものと考えております。しかしながら、このTWSという機器自体の機能を説明する資料につきましては、検討させていただきます。
  164. 保坂展人

    保坂委員 委員長にお願いしますけれども、この試験制御装置というのは新しい仕組みなんですね。これを使って今回盗聴操作をやる、通信傍受をやるということで、我々は、なるほどこうなっているのかと聞いたわけですね。聞いたことのただし書きと今の話と全然違うわけで、この技術は一定ですから、そういう意味では、これは委員会として、ぜひ提出をしていただくように求めていただきたいと思います。
  165. 原田昇左右

    原田委員長 理事会で相談いたします。
  166. 保坂展人

    保坂委員 それでは、携帯電話同士の盗聴操作というのは大変難しいというのは恐らくアメリカの場合も同じでしょうね、技術がそう変わっていないと思うので。ただ、いわば盗聴操作先進国であるところのアメリカの場合、これはかなりの捜査費がかかっているということは御承知だと思います。例えば、一件当たり大体七百二十万円かかるというような報告すらある。  通信事業者は大変不安なわけですね、郵政省の方から、次から次へいろいろな協力義務というところで求められるのではないかと。いや、そうじゃないんだよということで覚書をつくったわけですね。アメリカのいわゆる通信事業者に対して、郵政省として、事情を調べたり、あるいは技術的な問題を点検したり、あるいは何らかの調査をこれから始める、そういうつもりはあるのかどうか。
  167. 天野定功

    ○天野政府委員 現在のところ、アメリカの状況調査する予定はございません。
  168. 保坂展人

    保坂委員 アメリカの状況をやはり調査するべきじゃないですか。三十年前からやっているわけです。いろいろな教訓も、また生の声も出てくると思います。  それで最後に、cdmaOneという、今若い世代に人気の、携帯電話というと、確かに移動していくと途中で切れちゃったりするんですね、これが切れない。三カ所の交換局で、三つからの電波でクリアな音声が保たれる、こういう電話が大変人気を呼んでいるんです。PHSで痴呆の老人の大体の居場所を探すという技術も紹介されていますが、このcdmaOneの場合は、三点測量の原理で、いわば地図の上にワンポイント、ピンポイントでその人間の存在を示すということも技術的には可能ではないかと思うんですが、その点に関してだけお答えください。
  169. 天野定功

    ○天野政府委員 cdmaOneを使いまして、今おっしゃるようにワンポイントというほど極めて精度の高いものかどうかはともかく、ある程度の精度で位置情報を把握することを目指した技術開発が、米国企業を中心に行われているということは承知しております。
  170. 保坂展人

    保坂委員 時間になりましたから終わりますけれども、今の位置情報、どこにいるかがわかるということは、それは痴呆老人などを探すのにはとても便利ですけれども、やはりプライバシーというところでは大変な問題を含んでいる。そういう意味で、このプライバシー保護の法制について、もっともっと突っ込んで議論しなければならないということを指摘しまして、おしまいにします。  ありがとうございました。
  171. 原田昇左右

    原田委員長 次に、栗本慎一郎君。
  172. 栗本慎一郎

    ○栗本委員 栗本慎一郎です。  文部省、本来なら文部大臣にお伺いしたいところでありますけれども、それは生涯学習にかかわることであります。  言うまでもなく、学校制度の、あるいは教室の中だけでの教育というものに大きな限界があり、非常に広く、リベラルで緩やかな形で、民間の力も取り入れて教育の現場を広げていこうじゃないか、これは文部省も長く言ってこられたことでありますし、私どもも言ってきたことであります。  しかし、それに関連いたしまして、平成十一年の六月、すなわち先月、生涯学習審議会から答申が出されました。基本的には多くのところで賛成するところがあり、ぜひ進めていただきたいということがあるのですが、時間がございませんので、簡潔に、ポイントを定めて御質問申し上げます。  例えば塾というのがある。民間教育の一つの形態であります。かつては進学塾、受験勉強というところから社会に定着、浸透していったのは事実でありますが、今は非常に大きな変化を遂げている。そういうものはなくなっているわけじゃありませんけれども、大きな変化を遂げているプロセスであるにもかかわらず、塾というもの、学校以外のそういうものは、すべて受験地獄とかそういうものにかかわる悪なのではないかという非常に古い考えがまだおありになるみたいで、だから、答申の中で「過度の」という言葉を最初に使っている。「過度の」という言葉には、既にそこに価値判断が入っているわけですけれども、七時以降までやっていたらおかしいじゃないかとか、規制をしていこうみたいなところがあるのが非常に気になります。  例えば、野山に入って昆虫を調べていこうというふうな塾も既にあります。いわゆる塾ですね。そういういわゆる塾ではないかもしれませんが、ここでは塾と考えられるそういったものがありますけれども、あれこれ規制していこうみたいなことがその中に出てきて、非常に気になりますので、ひとつこの点について、審議会でありますけれども、真意といいますか、今後ともどうお考えなのかということをお聞きしたいと思います。
  173. 富岡賢治

    ○富岡政府委員 先生今御指摘いただきましたことしの六月の生涯学習審議会答申は、二段の考え方をとっているわけでございます。  最初の段階の考え方といたしましては、学校外の学習環境として、今先生おっしゃいました、学習塾とかいろいろなスポーツ教室とかの多様な民間教育事業があるわけでございます。これにつきましては、特に今後学校教育をスリム化するというようなことも考えまして、学習塾を含めましていろいろな民間教育事業が、学校教育とは異なる子供たちの多様な学習ニーズにこたえていくという役割が求められていくんだ、これはこれでそういう役割を持っているんだということが第一段でございます。  第二段といたしましては、しかしながら、子供たちに、長時間に及ぶ通塾とか、あるいは夜間の通塾で健康や心身の発達に著しい影響を及ぼしたり、何度も何度も通塾するというようなことで、例えば、帰ってきてから家庭の団らんとかそういうようなことがなかなかできないというようなことまでいくのはいかがだろうか。過度の学習塾通いと低年齢化ということについて問題点を指摘しております。  そういうことについていろいろな改善をお願いしたいというようなことを提案しているものでございますが、先生御指摘のように、規制的な手法というのはなかなかとれるわけではございませんので、関係者議論の輪を広げていくというふうな考え方をとっているところでございます。
  174. 栗本慎一郎

    ○栗本委員 よくわかります。  例えば、いろいろな塾というか、進学教室じゃないいろいろな形の教室、自然に触れ合う教室、あるいは島に連れていって、それはもう七時以降になるに決まっているのですけれども、一泊するとかいうのを、一月三つ以内にしろよとか、そういったようなことをちらりとでもお考えであれば、それはおかしいと思います。  現在いろいろな弊害があるのは、私も承知しております。その弊害をなくしていくのも、そういう規制とか具体的な、これをこうしろ、ああしろというふうな微に入り細にわたった行政指導みたいな形でおやりになるのじゃなくて、基本を、進学塾をなくすには進学競争の不当な、基本的ないろいろな問題をなくしていくことによって、なくさなければならないのですね。そういったところをぜひともお持ちいただくようにお願いしたいと思います。  もう時間でございます。最後に一言、大臣にかわって局長から、そうだという御返答でもいただければと思いますが、いかがでしょうか。
  175. 富岡賢治

    ○富岡政府委員 先生御指摘のように、調査によりますと、学習塾でも、いろいろな野外活動なんかの組織化をしたりして活動している塾も今大体三割ぐらいあるようでございますから、私どもとしては、そういうような活動をぜひ進めてほしいということを、学習塾の関係者ともいろいろな協議をしながら進めてまいりたいと思っておるわけでございまして、この間答申を得ましてから、学習塾関係者とも随分話し合いの機会を持つようになりました。  確かに、七時ということについてはかなり抵抗感があるようでございますが、自分たちも遅くまでやりたいと思っているわけではなくて、むしろ保護者の方が遅くまでいてくれというような要求が強いものだからというような御説明が多かったわけでございます。そういう努力をすることについては割合、私たちもそう思うというふうな御見解をいただいておりますので、私どもとしては、規制という手法じゃなくて、そういうような話し合いの輪を広げていっていただいて、それが保護者にも伝わって、そういうことが自然に広がっていくというようなことを促してまいりたいという構えでおりますので、そういう方向で進めてまいりたいと思っています。
  176. 栗本慎一郎

    ○栗本委員 時間が来ましたので、終わります。  どうもありがとうございました。
  177. 原田昇左右

    原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十五分散会