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1999-07-01 第145回国会 衆議院 決算行政監視委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月一日(木曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 原田昇左右君    理事 鴨下 一郎君 理事 熊谷 市雄君    理事 佐藤 静雄君 理事 村田 吉隆君    理事 石井 紘基君 理事 前田 武志君    理事 谷口 隆義君 理事 佐々木洋平君       安倍 晋三君    相沢 英之君       赤城 徳彦君    奥山 茂彦君       粕谷  茂君    倉成 正和君       桜田 義孝君    田邉 國男君       滝   実君    萩山 教嚴君       山口 泰明君    鍵田 節哉君       熊谷  弘君    藤田 幸久君       赤羽 一嘉君    石田 勝之君       旭道山和泰君    米津 等史君       辻  第一君    保坂 展人君       栗本慎一郎君  出席国務大臣         労働大臣    甘利  明君         自治大臣    野田  毅君         国務大臣         (防衛庁長官) 野呂田芳成君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       野田  健君         防衛庁長官官房         長       守屋 武昌君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁装備局長 及川 耕造君         国土庁防災局長 林  桂一君         法務政務次官  北岡 秀二君         法務省人権擁護         局長      横山 匡輝君         法務省入国管理         局長      竹中 繁雄君         国税庁課税部長 森田 好則君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         厚生省医薬安全         局長      中西 明典君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君         労働大臣官房政         策調査部長   坂本 哲也君         労働省職業安定         局長      渡邊  信君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省住宅局長 那珂  正君         自治省行政局選         挙部長     片木  淳君  委員外出席者         警察庁刑事局刑         事企画課長   堀内 文隆君         総務庁行政監察         局企画調整課長 関  有一君         大蔵省主計局司         計課長     児島 俊明君         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    深田 烝治君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       高山 丈二君         会計検査院事務         総局第一局長  関本 匡邦君         会計検査院事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         会計検査院事務         総局第四局長  増田 裕夫君         決算行政監視委         員会専門員   中谷 俊明君 六月九日  辞任         補欠選任   村山 富市君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   保坂 展人君     村山 富市君 同月十一日  辞任         補欠選任   藤村  修君     鹿野 道彦君 同月十四日  辞任         補欠選任   栗本慎一郎君     大島 理森君 同日  辞任         補欠選任   大島 理森君     栗本慎一郎君 同月十七日  委員東家嘉幸君が退職された。 七月一日  辞任         補欠選任   三塚  博君     安倍 晋三君   矢上 雅義君     奥山 茂彦君   鹿野 道彦君     藤田 幸久君   村山 富市君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     三塚  博君   奥山 茂彦君     矢上 雅義君   藤田 幸久君     鹿野 道彦君   保坂 展人君     村山 富市君 同日  理事栗本慎一郎君六月十四日委員辞任につき、その補欠として熊谷市雄君が理事に当選した。 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  歳入歳出実況に関する件  行政監視に関する件     午前九時開議      ————◇—————
  2. 原田昇左右

    原田委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴いまして、現在理事一名が欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原田昇左右

    原田委員長 御異議なしと認めます。  それでは、熊谷市雄君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 原田昇左右

    原田委員長 歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口泰明君。
  5. 山口泰明

    山口(泰)委員 おはようございます。自由民主党の山口泰明でございます。  過日総務庁から出されました国立大学附属病院に関する行政監察結果から質問をさせていただきます。医療というものはいろいろな角度で大変難しい問題ですけれども、ひとつよろしくお願いいたします。  まず最初に、文部省所管国立大学附属病院経営状態について、文部省はどの程度把握しているのかをお伺いしたいと思います。
  6. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 国立大学附属病院収支率でございますが、平成九年度決算で、歳入が五千七十七億円、歳出が五千八百億円で、歳入歳出で除した収支率は八七・五%となっております。  御案内のように、国立大学附属病院は、難病治療方法を研究するなど、我が国の医療をリードする高度先進医療推進すること、医学部学生の実習や若い医師研修を行うなど、未来の医療人教育養成を行うことを重要な使命といたしております。したがいまして、国立大学附属病院では、重症患者難病患者を数多く受け入れ、こうした患者に対して新薬や高額の医療材料医療機器を用いて先端的な高度医療実施開発を進めているため、ある程度多額の医療費が必要となるなどの点についてはやむを得ない面もあろうかと考えておるところでございます。  しかしながら、国立大学附属病院運営改善を図ることが重要、そして必要であることは当然でございます。この点、文部省といたしましても意を用いてきたところでございまして、収支率につきましても、経年で申しますと、昭和五十年度には六七・六%、昭和六十年度には八一・七%、そして平成九年度には八七・五%と、逐次改善が図られてきたところでございます。  文部省といたしましては、今後とも国立大学附属病院運営の一層の改善を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  7. 山口泰明

    山口(泰)委員 ぜひ、収支率を連年高めることをお願いいたします。  二番目に、国立大学附属病院私立大学附属病院に比べて経営努力が足りないと感じておりますけれども、この点について文部省はどう評価をしているのか。  また、具体的改善内容とそのスケジュールがもしあるのであれば、どうなっているかをお聞きしたいと思います。
  8. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 御指摘ございましたように、医学部附属病院収支率は、国立大学平成九年度で申しますと八七・五%であるのに対しまして、私立大学平成八年度で一〇四・九%でございます。このように、国立大学私立大学については収支率の差があるわけでございますが、この違いが何に由来するかということは一概には申し上げられないところもございますけれども、一つには、大都市部病院が存するかなどの病院立地条件、あるいは医薬分業進捗状況差異差額ベッド導入状況、あるいは先端的な高度医療実施状況等、いろいろな要因も考えられるところでございます。  文部省といたしましては、経営努力ということが極めて重要であるというふうに考えておるところでございまして、今後一層の改善方策といたしまして、各病院ごとの総合的な収益や費用の評価のための経営管理指標策定病院長補佐の設置など経営管理体制整備業務機械化外部委託推進による経営効率化等取り組みを進めるとともに、その前提として、企業会計的な視点に立った病院ごとの財務諸表の作成の検討など、可能なものからできる限り早期に実施するなどを通じまして、各国立大学附属病院運営の一層の改善指導してまいりたいと考えております。
  9. 山口泰明

    山口(泰)委員 ちょっと今のとまた似てしまうんですけれども、国立大学附属病院に関する行政監察の中で、附属病院経営改善を進める必要がある旨の勧告を得ておりますけれども、そもそも国立大学附属病院経営改善努力が乏しい原因がどこにあるのか、これは、今も局長おっしゃいました各病院ごと経営状態把握が明らかになっているのかいないのか、その辺も問題があるんではないかと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。
  10. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 行政監察勧告趣旨を踏まえて、文部省としてはさらに一層の経営改善をしていかなければならないと考えておるところでございます。本勧告で御指摘いただいた諸点につきましては、文部省といたしましても、国立大学附属病院運営上課題として重く受けとめ、経営改善に向けての趣旨徹底あるいは取り組み充実を求めてまいりたいと考えております。
  11. 山口泰明

    山口(泰)委員 四番目に、施設整備のため、財政投融資による借入金が年々増大をしており、平成九年度末では八千八百五十三億円の残額で、平成十一年度当初予算で見ると、一兆九十八億円の残額になります。これだけ増大した借入金償還が確実に行われるものと文部省考えているのか、また返済計画がどのようになっているのかをお聞かせ願いたいと思います。
  12. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 国立大学附属病院は、医療技術研究開発の面あるいは学生教育等の面で重要な役割を担っておるわけでございますが、その附属病院の老朽・狭隘化というのがかなり進んでおります。その解消を図る必要がございます。また、高度先進医療機関として、施設につきまして、より一層の高度化、高機能化を進める必要もございます。そういった意味で、大学附属病院の再開発ということが大きな課題となっておるわけでございます。  これら施設整備に当たりましては、財政投融資資金計画的な活用を行ってきているところでございます。御指摘にございましたように、平成十一年度末現在、借入金残高が一兆九十八億円の予定となっておるところでございます。その償還につきましては、毎年度借り入れを行う際に設定されている償還計画に沿って計画的に行ってきているところでございます。今後とも、附属病院のさらなる増収に努めるなど、借入金の返還に支障が生じることのないよう、十分文部省としても配慮してまいりたいと考えておるところでございます。
  13. 山口泰明

    山口(泰)委員 では五番目に、平成十年の大学審議会答申によりますと、「多元的な評価システム確立」ということで、第三者評価システム導入が必要であると提言をされております。今回の勧告にもある経営改善には、第三者評価が大きな改善につながると考えられておりますけれども、また、経営状況把握分析として病院経営分析専門員配置しておりますが、これもまた適正な状況なのかどうか。また、私は長年中小のガス会社に勤め、経営に携わってきましたけれども、こういう経営分析専門員には、文部省事務職員ではなく、経営の、民間の厳しさを知っているという意味でもあるのですけれども、そういった民間の方を起用することも考えているのかどうか、その点についてもお考えをお願いいたします。
  14. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 国立大学附属病院に対し、経営面を十分考慮した病院管理運営等について外部評価を行うことは、附属病院運営改善に資することが極めて大きいと考えているところでございます。文部省におきましても、従来からさまざまな場を通じて運営改善について指導を行ってきたところでございまして、この外部評価についても、その実施を求めてまいったところでございます。  現在のところ、財団法人日本医療機能評価機構による評価を四病院実施しておりまして、今後、他の機関による評価を含め、五病院外部評価実施予定しておるところでございます。なお、その他の評価として、学外外部評価委員会学外有識者等外部評価を依頼している病院もございます。全部で十六病院が既にこのような評価実施している、あるいは実施予定ということでありますが、文部省といたしましては、第三者機関外部機関による評価実施について、さらに各病院指導してまいりたいと考えておるところでございます。  経営分析専門員の件でございますが、平成十一年六月現在で、四十二大学中三十五大学経営分析担当専門員あるいは専門職員配置をされております。これら職員は、大学において予算に長年携わってきた、あるいは病院事務にかかわってきた、そういった期間が平均十年以上の経歴を持ち、かつ病院経営について的確な判断ができる者を充てているところでございますが、今年度からこれらの者を対象として研修実施し、経営分析専門職員の資質の向上に努めているところでございます。  御指摘いただきました、民間からの経営専門家をこういった職員に採用することにつきましては、一つの貴重な提言というふうに文部省は受けとめてまいりたいと考えておるわけでございますが、待遇面等さまざまな事情も考慮する必要もございます。今後十分に検討をさせていただきたいと考えておるところでございます。
  15. 山口泰明

    山口(泰)委員 ぜひその方向でお願いいたします。  六番目として、経営合理化効率化を進めるには、国立大学附属病院といえども私は聖域ではないと思っております。行政改革では、国立病院療養所独立行政法人化平成十六年度に移行する予定となっておりますけれども、国立大学平成十五年まで結論を先送りした経緯があります。しかし、経営合理化効率化考えるのなら、聖域を設けるべきでなく、民間と同じ痛みを伴った改革が必要であります。特に医療従事者適正化等については、各病院によって配置数の格差が、極端な例でありますけれども、二十一倍にもなっているということもお聞きしております。これらについてどのように改革を進めていくのかを、お考えをお願いいたします。
  16. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 御指摘看護助手配置でございますが、各大学附属病院により相当な差異がございます。これは、大学の歴史的な経緯もございますし、また看護助手業務について、外部委託を行っている場合とそうでない場合で異なることなどもございます。今後、各大学附属病院実情を考慮して、適正配置について検討してまいりたいと考えておるところでございます。  また、御指摘いただきました病院改革については、痛みを伴う改革も当然のことながら必要でございます。そのためにも、職員意識改革といった点についても十分に配意していくことが必要であると考えておりまして、文部省といたしましては、経営実態を的確に把握分析し、みずからの病院収支改善するという経営意識を各職員について高めていくよう、積極的な取り組みをしてまいりたいと考えております。
  17. 山口泰明

    山口(泰)委員 七番目としまして、国立大学附属病院でも経営合理化効率化観点から医薬分業推進することは、診療報酬適正化等の問題からも必要であると思います。ぜひ医薬分業を進め、薬剤師合理化等も図っていただくようお願いいたします。  私の地元の話になってしまうのですけれども、先日、小川町の薬剤師会の方が見えられまして、小川町には小川日赤という大きな病院があるのですけれども、今まで県の行政指導において、医薬分業モデル地区と言ってもおかしくない理想的な地域を築いてきたわけでございます。近日門前薬局が開局する運びとなりまして、今まで行政指導を守って門前薬局を開局しなかった薬剤師会の方々は大変憂慮をしております。  厚生省では面分業推進するよう指導しておりますが、このような門前薬局の進出により地域薬局の意欲がそがれてしまう事例を数多く聞いております。これらに関し、厚生省では指導強化とともにどのような対策を考えているのかをお伺いしたいと思います。また、地方分権が進む中で、地域事情を聴取した総合的な判断を基準にした営業許可検討すべきでないかと思うのですけれども、その点をお聞かせ願います。
  18. 中西明典

    中西政府委員 厚生省といたしましては、先生指摘のとおり、適正な医薬分業の姿として、地域においてかかりつけ薬局患者さんあるいは消費者が持っていただき、そういった形で面分業体制推進していくということが望ましいと考えております。  そうした観点から、薬局受け入れ態勢整備というものを行っていく、これを支援していくという観点に立ちまして、医薬品の備蓄あるいは休日、夜間時の調剤等を行う医薬分業推進支援センター整備に対する補助を行うとともに、薬歴管理在庫管理等のためのマニュアルを用意し、薬局応需態勢を支援していく一方、昨年施行されました改正医療法において、二次医療圏ごと策定する地域医療計画の中に医薬分業に関する事項必要的記載事項として盛り込むことを義務づけ、都道府県が、地域実情に応じて医師会薬剤師会等の協力のもとに計画策定実施していくことを支援していくこととしております。現に、そのような方向で施策を推進しているところでございます。  さらに、保険医療機関患者を特定の保険薬局に誘導することを厳に禁止するとともに、診療報酬上も面分業体制推進に資する評価を行ってきているところでございます。  今後さらに、国と都道府県が連携しながら、面分業が促進されるように取り組み充実強化を図ってまいりたいというふうに考えています。  なお、現在国会審議中のいわゆる地方分権法案におきまして、今後、薬局許可については機関委任事務から自治事務に改めるということといたしておりますが、薬事法見地から見れば、薬事法自体保健衛生上の見地から許可の要件を定めているものでございまして、薬事法に基づいて門前薬局であることを理由に薬局の開設を規制する、これはなかなか難しいというふうに考えておるところでございます。
  19. 山口泰明

    山口(泰)委員 わかりました。  最後に、今まで国立大学附属病院の果たしてきた役割は、私は非常に高いというふうに評価もしております。また、高度な専門医療を初め医療技術の進歩にも貢献してきたことは間違いないわけでございます。しかし、現在は、私立病院等においても、医療技術を初め専門的分野では引けをとらない、ある意味ではそれ以上だ。  これは余談ですけれども、私が顧問をしている埼玉医大では、性転換手術を二例目をこの間も実施をさせていただきました。  それは余談でございますけれども、私立には経営努力があり、競争意識も高く、より高度な医療を追求してきた結果であると考えております。  今後、この総務庁勧告を受け、改革を進めていくとともに、職員意識改革、ある面では、官だからというんですか、国立だからという、私(し)をべっ視するような意味のお医者さんもいるように私も見受けられましたけれども、ぜひ、今後はそういった意識改革と高度な医療技術の提供を私はお願いしたい。  また、中央省庁改革基本法で問われております国立大学あり方、そして政策評価制度実施に伴う現状のあり方など、真の改革をこれから求めていきたい、これらについて文部省のお考えを聞かせていただいて質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  20. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 勧告で御指摘いただきました、国立大学附属病院についての経営合理化効率化推進管理体制整備による経営改善医薬分業推進病院経営事務簡素化による医療関係業務運営改善診療待ち時間短縮化やインフォームド・コンセントの充実による患者サービス等充実等の諸課題につきましては、文部省といたしましても、病院運営上の重要な課題考えておるところでございます。  また、これらの諸課題を解決するためにも、職員経営意識強化など、意識改革が大切でございますし、運営管理等に対する外部評価充実も不可欠でございます。  これまでさまざまな場において、これらの趣旨徹底取り組み充実等を求めてきたところでございますが、今後、御指摘を踏まえ、さらに一層の取り組み充実を促し、大学病院改革に努めてまいりたいと考えております。  なお、国立大学につきましては、大学社会的責任を十二分に果たすことができるよう、自律性自主性確立自己責任原則確立が不可欠である、そういった観点に立って改革を進めておるわけでございますが、このことは国立大学病院についても当然当てはまることでございまして、引き続き積極的な改革に努めてまいりたいと考えております。
  21. 山口泰明

    山口(泰)委員 どうもありがとうございました。
  22. 原田昇左右

    原田委員長 次に、藤田幸久君。
  23. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 私は民主党の藤田幸久でございます。本日は、防衛庁長官にお越しいただきまして、防衛庁技術研究本部の不正について、引き続き質問をさせていただきたいと思います。  六月一日にも行政改革特別委員会質問いたしましたが、昨年問題になりました調達本部の問題というのは、いわば調達の川下に当たる契約等の部署でございますが、それに対しまして、その上にある、いわば川上にある技術研究本部の方で、いろいろな研究試作に関する技術報告書が出ていない、それから、いろいろな失敗といったものも明らかになっておりますし、管理報告の不正といったものも、これもその後防衛庁の方で発表いたしておりますが、その関連で質問したいと思います。  時間が限られておりますので、簡潔に質問、並びに答弁の方もお願いをしたいと思います。  まず、長官にお伺いいたしたいと思いますけれども、六月一日の国会答弁、それから、今日まで二回ほど装備局長の方から中間報告をいただきましたが、やはりまだ、技術研究本部情報隠しの動きといいますか体質がいろいろなところにはっきり見られるわけでございます。この際、調達本部に限らず技術研究本部に関しましても、やはり徹底的にうみを出して改革をすべきではないかというふうに思うわけでございますけれども、この点についてまず長官の方からお考えをお聞きしたいと思います。
  24. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 先生から従来から御指摘いただいておりました将来機雷用複合センサー研究試作に関しましては、既に防衛庁から六月十六日に公表したところでございますが、技術研究本部第五研究所長から同本部に対する管理報告におきまして、本プロジェクトの進展が、試作品ふぐあいの発生、あるいは性能確認試験で所期のデータが取得できなかったこと等の問題が生じていたのにもかかわりませず、これを指摘することなく、事実関係に照らし不適切な報告がなされていたことは事実であります。  私は、あらゆる試験研究がすべて成功するとは限らないのでありますから、事実は事実としてきちっと報告すべきであり、不適切な報告がなされるということは許されるものではないと思います。今、委員から情報隠しと批判されてもやむを得ないような事情指摘されましたが、私もそのように考えております。  このような事態があったことを防衛庁としては大変遺憾に思いますとともに、関係者に対して現在厳正な調査を行っており、その結果を踏まえまして、厳正かつ適切な処分を行いたいと思います。  同時に、かかる事態が二度と起こらないように、今、適切な措置について省を挙げて検討をさせていただいているところであります。
  25. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 前回の国会の行革委員会でも、長官の方で、前向きな調査をするという対応をいただきましたし、装備局長の方でも大変一生懸命調査に努力をしていただいているということを大変感謝申し上げたいと思います。  ただ、例えば、十六日の装備局長報告の三ページに、不完全な形で報告されたという技術報告がありますけれども、これは六月一日の国会答弁におきましては、確認試験後の報告書はないと実は答弁をされておられる。ところが、にもかかわらず、この中間報告においては、不完全というような形で実は報告があるようなレポートが出ているわけですけれども、本当にこれは性能確認試験の技術報告なのかどうなのか、この事実関係についてまずお聞きしたいと思います。
  26. 及川耕造

    ○及川政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘の、いわゆる将来機雷用複合センサー平成四年度から六年度の性能確認試験の技術報告につきましては、六月十六日に公表したとおり、平成九年六月に作成されました「複合センサによる機雷用起爆方式の研究」という技術報告がございまして、これに当該四年度から六年度の性能確認試験のデータ等を使用いたしまして、整理がされているところでございます。  しかしながら、この中に盛られましたデータは、平成四年度から六年度に実施されましたIII型センサーの性能確認試験の成果は含まれておりますけれども、I型センサー及びII型センサーの性能確認試験の結果が含まれておりません。したがいまして、不完全というふうに申し上げたところでございます。
  27. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 それはちょっと一見まともに聞こえますけれども、この技術報告というのは、ちょうどその六月一日に装備局の方から摘要表を私いただいておりますので、これははっきり出ておりますけれども、そもそもこの目的が、ここに書いてありますけれども、データ解析の一部として、機雷の起爆論理に重要な部分を占める磁気センサーによるシグネチアにニューラルネットワークを導入し、目標値検出による最適起爆法の検討を行った研究であると書いてあるんです。  したがって、これは所内研究でありますので、いわゆる性能確認試験の技術報告じゃないわけですよね。たまたまデータを利用しただけであって、これは所内研究の研究目的の技術報告ですから、ずっとこの件で私が指摘をしております、あるいは聞いております、いわゆる性能確認試験に関する技術報告じゃないわけですよね、基本的に。いかがですか。だから、これは不完全じゃなくて、そもそも違うんです、性能確認試験に関する技術報告では。
  28. 及川耕造

    ○及川政府委員 御指摘のとおり、報告されました技術報告、「複合センサによる機雷用起爆方式の研究」に関する技術報告の中で触れられているというのは、先生おっしゃるとおりでございます。  ただ、この起爆方式の研究という技術報告は、これの中において使われました、まさに別途III型センサーのデータを使用し、作成されておりますので、したがいまして、内容的に、III型センサーの性能確認試験の技術報告としての内容を含んでいるということも事実ではないかと思います。  こういうことで、これを兼ねるものとして、当時、技本の方では、III型センサーに関する性能確認試験の技報を兼ねた、そういう整理をしたというふうな報告を受けているところでございます。
  29. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 今、装備局長はその報告を受けたというふうにおっしゃっていますが、今回いろいろな調査で、いわゆる技術研究本部の方から報告を受けているその報告自体が、今おっしゃっているように実は情報隠しのいろいろな操作が行われている。一見これは、私もよっぽど調べてみないとわからないくらいに巧妙に——実はそもそも目的が違うわけですね、この技術報告自体が。したがいまして、これは性能確認試験の技術報告じゃないと思うんですね。性能確認試験のための技術報告ならば、そういう目的の技術報告が出なければいけないわけですから。ですから、性能確認試験の技術報告が出たのか出ないのか、イエスかノーかで聞いた場合に、これはノーじゃないんですか。  内容が含まれているというのは、研究の材料として使っただけにすぎないわけで、研究報告の目的として、これは性能確認試験のための報告じゃないわけですから、中間報告として出される場合には、不完全というのじゃなくて、該当するものがなかったというふうに、ノーと言うのが正解じゃないんですか。それが、ノーじゃない、イエスと言っている場合には、私は、技術報告があったかのような報告をした、これはやはり不正な報告になると思います。これは後で調べていきますとはっきりすると思いますけれども、その点、ちょっと確認をしてください。
  30. 及川耕造

    ○及川政府委員 御指摘のとおり、この技術報告の表題は「複合センサによる機雷用起爆方式の研究」でございまして、それが主であることは事実でございます。  ただ、そこに使われましたデータが、再三申し上げておりますように、四年度から六年度に実施されましたIII型センサーの性能確認試験の結果、それを網羅して報告をいたしておりますので、したがいまして、その報告者等につきましても、当時研究を行った者等の名前も書いてあるわけでございます。したがいまして、不完全であり、それから、本来ならおっしゃるように分けて提出すべきものであったかと存じますけれども、そういう報告がなされているということで、不完全ながら一応技術報告としてIII型センサーの性能確認試験報告がなされた、こういう整理をしたというふうに考えております。
  31. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 局長みずから持ってこられたこの報告、六月十六日には、平成四年ないし六年度の性能確認試験に関する技術報告とあるわけです。だから、これは違うわけですよね。三ページの上から九行目、性能確認試験に関する技術報告は出ていないわけですよね、これは所内研究ですから。  ですから、これは私は、技術研究本部の方から局長の方にそういう形のレポートが上がっているんだろうと思うのですが、本質的に性能確認試験に関する技術報告が出ていないわけですよ。そうじゃないですか。この技術報告が、内容が結果的に資料を使ったというのは、もしそういうことが通るならば、例えばいろいろなデータを使っているならばそれが技術報告として成立したということになるんじゃないですか。ほかの例えば資料を使ってもですよ。  だけれども、技術報告というのはちゃんと目的があって、そして仕様もありますよね。そして、内規に基づいてつくっている技術報告ですから、性能確認試験に関する技術報告がなければ、所内研究に関する技術報告、別の目的の報告にたまたま材料として資料を使っているというのは違ったことですよね。非常に重要な点ですので。
  32. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 先ほど局長から、当該技術報告は、性能確認試験終了後、別途III型センサーのデータを使用し作成された「複合センサによる機雷用起爆方式の研究」に関する技術報告が、内容的にIII型センサーの性能確認試験の技術報告としての内容を含んでいることから、これを兼ねるものとして当時技術研究本部で整理されたと答弁しておりますが、委員が御指摘のとおり、技術報告は、研究試作性能確認試験の終了後六カ月以内に作成することとされており、その報告は所長から本部長に対してなされ、内容としては、研究試作については設計思想、試作品の性能概要等が、性能確認試験については試験の結果確認された試作品の能力等が記述されることになっております。  私どもは、委員からのいろいろな御指摘を受けまして、真剣にこの調査をやってきましたが、当面の措置として、未提出のままとなっている技術報告をすべて完成させるよう、技術研究本部長より指示させたところでありまして、これを今直ちに履行しているところでありますから、今御指摘の問題につきましても、私どもは、この兼ねるものとして技術研究本部で整理させたもののほかに、個別に技術報告というものはきちっと作成させたい、こういうふうに対処してまいりたいと思っております。
  33. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 今長官のお話の中で、性能確認試験が終わってから六カ月以内ということが一点、それから、個別の技術報告は後でつくり直すということですから、その二つから類推いたしまして、要するに、性能確認試験に関する技術報告が出ていないということを確認いただけますか。そういうことですね。
  34. 及川耕造

    ○及川政府委員 先生指摘のとおり、六カ月以内に出されたわけではなく、データとしては、その中に盛り込まれ、かつそれを担当した者がそれを報告しているという点では、完全なものではございません。  ただし、その一部の報告がなされているというのも事実でございますので、そこはまた、大臣が御答弁申し上げましたように、きちんとした形でもう一度出し直させる、こういうつもりでございます。
  35. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 それは、技術報告じゃないというのははっきりいたしましたので、ぜひ対応していただきたいと思います。  時間がこれで大分とられましたので、先に移りたいと思います。  資料としてお配りしております一番目の、この研究経緯というものをつくってまいりました。実は、その技術報告を出さないというのがまず内規違反でございます。それから、管理報告の不正が見つかったということは冒頭長官の方からお話があったわけですが、よくよく調べてみますと、これは、技術本部全体でこの報告、検査に関して非常に大がかりな不正があったというふうに言わざるを得ない。  つまり、まず研究試作をして完成する際に、監督検査、完成検査、受領検査という三つの納入時の検査があります。実は、不良品があった、不具品があったということは防衛庁も認めておりますが、にもかかわらず、この三つの検査が通ってしまっている。  それから、管理報告というのを六カ月ごとに出すことになっています。ということは、その不具品が見つかったのが平成三年の三月ぐらいでございますから、この管理報告、表の下の方に十ぐらい出ていますけれども、三つ目、つまり三年の四月か十月以降の管理報告というのは、これは全部、不具品、不良品があったというのに、なかったというふうに通してしまっている。  それから、技術報告というのは、先ほど来お話が出ていますように、六カ月後に出すことになっていますが、三回出ていない。  それから、納入をした後、性能確認試験というのをいたしますが、性能確認試験の中でも、実は、今回はいろいろな不良品あるいは不具品が見つかったわけですが、そういった際には、この下の方、平成五年と六年の下に書いておきましたけれども、技術速報を出さなければいけない。これが未提出になっている。  ということは、この三つの納入時の検査、それから管理報告が六回ないし七回正しく出されていない。それから、技術報告あるいは技術速報というものが数回にわたって出されていない。  そして、この次のページをごらんいただきたいと思いますけれども、これだけのチェック体制が、よりにもよってすべて見破られなかった、あるいはわかっていながら合格の判こを押してしまったというシステム。この所掌事務に基づいて調べてみましたら、今回のこの将来機雷用複合センサーだけに関しましても、これだけの方々、恐らくもっとかかわっているのかもしれませんが、最低これだけの幹部の方々が、虚偽報告、決済責任、承認責任、監督責任、あるいは内規で決められておりますところの達に反して報告を出していないというような、これだけの実は大がかりな形で不正がなされているということがはっきりされるわけでございます。  これは既に防衛庁の方でも調べておられますけれども、既に平成元年から九年まで、技術報告が出ていないものも七百八件中七十八件もあるというような状況でございます。  長官、お聞きしたいと思いますけれども、こういう技術研究本部全体に及んでいる不祥事ですけれども、こうした研究開発体制とか監視体制の抜本的改革が必要だろうと思いますが、これだけチェックポイントがあるということは、これだけたくさんやればチェックできるだろうと思ってこれだけ複雑な体制にしているにもかかわらず、これがすべてが抜けられてしまっている。この点、どういうふうに改善されるのか。ただ単に内規を守るようにとかいったレベルじゃなくて、構造的にこうならざるを得ないようないろいろな構造があるんだろうと思うのですが、それも含めてどういうふうに対応されるのか、長官の方からお答えいただきたいと思います。
  36. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 今委員から御指摘いただいたように、これまでの調査結果から見まして、将来機雷用複合センサー研究試作及び性能確認試験におきましては、平成三年度の研究試作品の納入に当たり、監督検査の項目の一つである海上試験が未実施であること、あるいは、研究試作及び性能確認試験に係る技術報告が一部を除き未提出であること、それから、技術報告速報を含め管理報告については、試作品ふぐあいの発生等いろいろな問題が生じているにもかかわりませず、これを指摘することなく、事実関係に照らして不適切な報告がなされていること等、内規に違反することが多いのでございます。  現在、事実関係の詳細を調査しているところでありますが、これまで明らかになった問題は、ひとり研究試作担当者の問題ではございません。御指摘のとおり、第五研究所、さらには技術研究本部全体にも関係するものと考えております。防衛庁としては、このような事態を二度と惹起することがないように、技術研究本部全体の研究開発に係る管理体制、管理システムというものを抜本的に改善する必要があると考えており、近く、この事案に係る調査結果とあわせまして、そのための具体的な措置を公表したいと考えているところでございます。
  37. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 今回の場合に、納入時における三つの検査がありますが、そこで、例えばその性能や仕様書を満足しなくても三つの検査が通ってしまう。そして、通しておいて、性能確認試験期間中に修正を加えれば、検査のときに実は不良品があっても後で通ってしまうというようなシステムがあるようです。  ということは、検査官はその三つの検査をするわけですけれども、納入の際に、仮に不合格のような、仕様書に合わないとか性能上合わないというようなことがあっても、検査官とすれば、ここに表に書きましたけれども、これだけ上の人々が、これはいろいろな形で黙認をしてしまう、あるいはわかっていても通してしまうということがわかっていれば、そもそも三つの検査のときに、一般の検査官は、これはメーカーがつくってくるものでございますけれども、ほとんどのメーカーに天下りでこの技術研究本部の方からも人が出ているということであれば、仮に目の前にこれは不良品だということが出てきても、仕様書に合わないということが出てきても、これは不合格にできないんじゃないですか。  その辺のシステム、具体的にという先ほどの長官の御答弁ですけれども、その辺を、例えば自分の目の前に不良品が出てきたならば修正ができる、指摘ができるというようなシステムをつくっておかなければ、長官答弁の中で二度と起きないようにという話がありましたが、これは、その構造そのものを変えなければずっと続いてしまうと思うのですが、その点、いかがでしょうか。
  38. 及川耕造

    ○及川政府委員 先生指摘のとおりでございまして、今回の事案に関しましては、I型センサーにつきましては、これは性能試験を実施いたしておりましたけれども、その後にふぐあいが発生いたしまして、それで企業に修理をさせたわけでございますが、II型センサー等につきましては、御承知のとおり、検査項目の一部をスキップして納入をさせてしまったという事実があるわけでございます。  したがいまして、御指摘のとおり、こういったことのないように制度的にチェックの体制をきちんとしなければいかぬということで、ただいま大臣の方からもお答え申し上げましたけれども、現在、私どもの内々の案といたしまして、納入時におきます試作品の品質を確保するために、いわゆる技術審査の制度を、単に試作担当者のみならず、本部関係者、あるいはユーザーであります各幕、各自衛隊等々の方たちにも入っていただいて、その試作品の設計、製造等の妥当性を審査した上で納入させるということができないかといった点を検討している最中でございます。
  39. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ぜひ、納入時のシステムの改善については研究をしていただきたいと思いますが、でき得れば、第三者も含めた方もはいれる。今回気がつきますことは、私は国会議員でございますけれども、例えば国会議員であっても、あるいは防衛庁長官であってもそうかもしれませんけれども、実際に第五研究所なりで行われている実態を知るというのは非常に難しいわけですね。ですから、これだけのチェック体制が実は抜けてしまったということでございますので、その辺、第三者もはいれる。  あるいは、もちろん限定された条件の中で、情報がある程度開示される、アクセスができるような方法をとっていただきたいと思います。  時間の関係で次に移りますけれども、実は、この複合センサーと非常に似ているような研究試作が現在進んでいるというふうに理解をしております。それが複合検知装置というものでございますけれども、これはきょうの資料の中にも入れております。  この四枚目の資料でございますけれども、これは現在進行中でございまして、平成十一年の中ごろには完成するということになっておりますけれども、これが、先ほど来出ております複合センサーその3に極めて似ているというふうに思うわけです。つくる製品、試作品そのものはほぼ同じではないかというふうに私は理解しておりますけれども、そもそも、計画になかった複合センサーその3と似たものをなぜつくっているのか。  それから、複合センサーその3というのは大体合計で七千百万円程度の予算であったものが、ここに出てきておりますものは、合計しますと三億八千万円。つまり、五、六倍にもコストが上がって、現在試作が行われている。これは非常に奇異に思うわけですが、なぜこういったものをつくっているのか、お聞きしたいと思います。
  40. 及川耕造

    ○及川政府委員 お尋ねの複合検知装置の研究試作につきましては、平成十年度から十一年度にかけまして、技術研究本部において実施されているものであります。  かつての将来機雷用の複合センサーの研究試作につきましては、複合センサーにより、艦艇が発生いたします各種水中シグネチアに関しますデータを、それぞれのセンサーを用いまして、時系列的に同時に取得することのみを目的として実施されたものでございます。  今回の複合検知装置の研究試作は、この成果の上に立ちまして、より適切な感度の検出器を備え、同時観測データを取得するのに加えまして、複合検知センサー内において計測されました信号を処理し、そして、機雷にとり最も重要な要素でございます起爆に最適なタイミングを決定することまでを行う、そういう機雷技術への適用性を検証することを目的として実施されているものでございます。  このため、具体的には、本研究試作の構成品のうち、複合検知センサーにつきましては、かつての将来機雷用複合センサー研究試作において試作いたしましたIII型センサーと比べまして、水中電界センサーが付与されていること、それから、各センサーからの信号をデジタル変換をいたしまして、コンピューターを用いてそれらの信号処理を行い、さらに、先ほど申し上げました複合起爆論理による起爆信号を生成する機能というものを付加していることがございます。  したがいまして、III型センサーと比較して価格が高くなっておりまして、他の構成品でございます艦上データ収録装置等と合わせて約三億八千万円で契約をいたしているところでございます。
  41. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 これも先ほど来出ております、恐らく技術研究本部の方からそういう説明を局長が受けられたと思いますけれども、そもそも感度については、センサーというのは材料が同じであれば感度というのはそんなによくならない、例えば光ファイバーでもつくれば別ですけれども。  それから、最適処理ということでございますけれども、これは既に、先ほど私が申しました機雷用起爆方式の研究の方で最適タイミングというものは研究をされておるわけですよ。ですから、研究されたものをメーカーに、これは石川製作所でしょうか、既に防衛庁自身が持っている理論を、メーカーであるところの石川製作所なりに研究させる必要はないわけですよ。  それから、データをコンピューターにということですけれども、とったものをコンピューターで処理をするということは、これは起爆論理をつくるわけですから、起爆論理というのは既にできているわけです。  したがいまして、今いろいろな説明をされましたけれども、そもそも、起爆論理というものができている、防衛庁自身が持っているものをメーカーに研究をさせるということ自体がおかしいんじゃないですか。  したがいまして、基本的に、今回試作品としてつくるものはその3とほぼ同じである。したがって、今いろいろな説明をつけられましたけれども、その説明の前提となっているところの起爆論理自身は、たまたま私は起爆論理に関する摘要表というものを持っておりましたから、この起爆論理に関する摘要表の「目的」というところを読んでみますと、「機雷の性能を向上させる方法として音響、磁気、水圧、振動、電界等の複数の船体シグネチアデータから目標探知、識別及び最適起爆を行う複合起爆方式を確立することである。」と。つまり、防衛庁自身がやっているわけですよ。  たまたま私は、装備局の方で持ってこられた起爆方式の研究、先ほど長官ともやりとりをいたしましたが、つまり、先ほどの、性能確認試験の技術報告じゃない、所内研究方式の報告にすぎないといったその研究そのものが、いわゆる最適起爆論理というものを研究したということの証明になっているわけですから、既にできているものを何億円もかけてメーカーにさせるということはおかしいんじゃないですか。
  42. 及川耕造

    ○及川政府委員 先生の御指摘、さらに私ども勉強させていただきたいとは存じますが、現在までに私どもが受けております報告では、経緯的には、おっしゃるとおり、将来機雷用の複合センサーの研究試作の成果でございました複合センサーIII型で取得されたデータを使用いたしまして、平成七年度から九年度に、第五研究所の所内研究として、御指摘の機雷の最適起爆時期を判断する複合起爆の研究というものが行われたことは事実でございます。  ただ、これは机上研究でございまして、その机上研究の結果、おっしゃるように、課題の技術的な解決というものに対する論理的な整理がついたということで、それを現実の複合検知装置の研究試作に着手しようということで今回の試作につながったというふうに報告を受けているところでございます。
  43. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 報告を受けている、報告を受けているとおっしゃっていますが、報告をしている方々が、先ほど来責任の所在といって私が明らかにした、今回いろいろな管理報告も間違った報告を出した、必要な技術報告も出していない、そういった方々が局長報告をされて、それを局長は読んでおられるわけですよね。その内容が違うということを私は今言っているわけでございます。  したがって、もし起爆論理というものがメーカーの方で確立していないならば、つまり、性能や機能が決まっていないならば研究は発注できないわけでしょう。つまり、石川製作所なりが、起爆論理の例えば特許なりがない段階でこの研究を防衛庁から発注されて、その間に研究開発をして論理を構成するということはできないわけですから、既に性能や機能が決まっていなければ発注できないわけでしょう、メーカーはつくれないわけですから。  だから、先ほど来の、どういう報告を受けているか知りませんけれども、それは恐らく間違いですよ。実際にその3というものは現在横須賀にあるわけですね、私はOBの方から聞きましたけれども。今使えるわけです、使おうと思えば。それを今、新しく同じようなものをつくろうとしている。これは平成十一年の半ばまでにできることになっていますから、あと二カ月ぐらいでできるわけですね。ということは、ほぼ完成されているものが、現物があるはずですよ、この石川製作所に。ですから、もし必要ならば、その横須賀にあるものと石川製作所で今ほぼ完成しているものを実際に突き合わせれば、同じものだというのがはっきりしますよ。  ですから、そもそも前提となるソフトというか論理は、防衛庁そのものが持っているわけで、その持っている研究をさせるということ自体がおかしいんです。研究をさせるということが、きょうのこの一枚紙、「研究の目的」のところに書いていますけれども、「探知・識別能力及び起爆論理に優れた複合検知装置の研究を行い、」と書いてあるわけでしょう。研究は既に防衛庁がやっているわけで、それをメーカーに対して研究しろといってこれだけのお金を出していること自体、おかしいわけです。つくっているものはほぼ同じものをつくっているわけですよ。  ですから、局長が、あるいは長官が受けられている報告自体が間違っているわけです。間違っている根拠を、今、そういうわけで私はたまたま摘要表を持っていますからわかったわけですけれども、きょういろいろ出てきております、いろいろな報告をつくらなかったり管理報告を間違っていた方々が実はそういう報告をされているわけですから、これはおかしいわけです、今私が申し上げているように。どうですか。
  44. 及川耕造

    ○及川政府委員 御指摘でございますので、さらに調査をさせていただきたいとは存じますけれども、少なくとも、論理だけではなくて、試作品をつくって実証するというのはそれなりに必要なことではないかというふうには思っております。ただ、御指摘でございますので、さらに勉強させていただきたいと思います。
  45. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 これは、もし調査をしていただいたら、あるいは今私がお話ししていることで大分はっきりしてきたと思いますけれども、例えば、その3というものは日立造船が元請で石川製作所が下請でしたね。ところが、今度は石川製作所の方が元請になって、日立造船の方が下請になっていますね。これがそもそもおかしいんじゃないですか。
  46. 及川耕造

    ○及川政府委員 恐縮でございますが、ちょっと御質問趣旨があれだったのでございますが、最初の、III型のセンサーは確かに石川製作所がつくっております。それから今回の、石川製作所に決まった場合は、当初指名競争入札であったわけでございますけれども、日立造船の辞退によって、最終的に石川製作所が随契として契約対象者になった、経緯はそういうことでございます。
  47. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 いや、今回の検知装置の方は、ここに書いていますけれども、石川製作所が元請になるんじゃないですか。その前の、その3のときには日立造船が元請になっていたのが今度ひっくり返っているわけですね、同じものをつくっていながら。
  48. 及川耕造

    ○及川政府委員 昔の複合センサーにつきましては、確かにプライムメーカーは日立造船でございましたけれども、その中で、III型センサーにつきましては下請として石川製作所がつくったわけでございます。  今回は、浅い海域でのセンサーでございまして、日立造船と石川製作所が指名競争を行った結果、石川製作所が日立造船の辞退によって契約相手となった、こういう経緯でございます。
  49. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ですから、非常におかしいんだろうと思うんですね。今回は石川製作所の方がこういうふうな元請の形になっている。これは先ほど来言っていますように、同じものが、大体七千万円ぐらい、二年にわたってできているものが、これだけ、ほぼ同じものが五、六倍にふえて、そして元請がこういうふうにかわっている。これは、なぜそういうふうになったのかという理由があるはずでございまして、したがって同じものを、いろいろ理屈をつけておりますけれども、こういう形で水増しをして実は発注をさせてしまっている。  しかも、カレンダーのような表の研究経緯というのを見ていただきたいと思いますけれども、結局、平成元年から複合センサーというものが始まって何回か試作をされてきた。その1、その2はほとんど失敗をした。急遽その3に切りかえた。そして、その3とほぼ同じものを、今度は平成九年、十年、十一年と、予算要求から研究試作と、名前を変えた複合検知装置という形に切りかえてほぼ同じものをつくっている。これはずっと先ほど来申し上げております、確認試験、管理報告その他がずさんであった同じ第五研究所というものが、全部一緒に同じものをやってきているわけですね。  こういう流れの中で、その3とほぼ同じものを複合検知装置という形で今度はつくろうとしている。その3というのは、御承知のとおり、この流れの中で唯一成功したセンサーなわけですね。その1、その2は全部、ほとんど失敗しているわけです。無線方式が失敗したので、有線に切りかえてやっとうまくいったのがその3。このその3だけがうまくいっているというのは、六月十六日にいただいた報告でも、その3だけが感度がいいものができたと出ているわけですね。  それを使わずに、これだけお金をふやして複合検知装置をつくっていること自体が、この全体の流れの中で不正そのものではないかと思うのですが、その点どうですか。
  50. 及川耕造

    ○及川政府委員 先ほど申し上げましたように、新しいセンサーは、その目的において起爆理論との関係でつくったものであり、したがいまして、繰り返しになって恐縮でございますが、新しい水中電界のセンサーの付加でございますとか、あるいはデジタル変換等々の機能を付与しているわけでございます。また、その試作品自体の目的が前回の複合センサーIII型とは違っているということで、先ほど申し上げましたような機能を付与しておりますので、従来のIII型センサーの再利用というのは困難であったという報告を受けております。  したがいまして、ただいま申し上げましたような形での新しいセンサーの開発に取りかかった、こういうことだというふうに思います。
  51. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 語尾が聞き取れませんでしたけれども、これは私が先ほど来御説明しております流れだろうと思いますので、今局長が、それは技術研究本部からの報告ではこうなっておりますとおっしゃっていましたが、それが違うということをはっきりと調査していただきたいと思います。  ということは、また国会の場で実は違う報告があったということがわかりますと、これは大変重大なことでございますので、それも含めて、つまり、報告をして国会等で追及されて、その都度また手直しをしていくということが続く限り、こういったことは続くということになると思いますので、きちっと報告をしていただきたいと思います。  つまり、私がきょう申し上げた内容について、局長の方は反論はされていないわけですね。こういう報告を受けておりますということは答えていらっしゃるけれども、私が言っていることについて反論されていないわけですから、ぜひ確認をいただきたいと思います。  時間が迫っておりますので、一つお聞きしたいと思います。  今回いろいろ、不合格品、不良品、不具品というのが随分出てきているわけです。これはほかの研究についても出てきていると思いますけれども、不合格品であったものを合格品として支払うということは、これはメーカーに対する具体的な利益供与になると思いますが、その点はいかがでしょうか。
  52. 及川耕造

    ○及川政府委員 将来機雷用の複合センサーの試作に関しましては、いずれの試作品についても監督、完成検査を経て納入はされておりますものの、平成二年度に調達されましたI型センサー等につきましては、御承知のとおり、納入後たびたびふぐあいが発生いたしまして、システムが一通り作動することが確認できましたのは平成四年八月でございます。  それから、平成三年度のII型センサー等につきましては、監督検査の項目の一つでありますI型センサー及びII型センサーを組み合わせた海上試験が実施されないまま納入されたということが明らかになっているところでございます。  この事実にかんがみますと、これらの試作品が納入時において仕様書に定められた性能を満たしていたかという点につきましては、問題があったのではないかと考えておりますけれども、その後、プライムでありました日立造船は、無償でこの修理を行いまして正常に作動するまでにいたしているわけでございます。したがいまして、御指摘のような、メーカーに不当な利益を与えたとまでは考えていないところでございます。
  53. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 いやいや、一般論で聞いているわけです。つまり、納入時にこういう、三つ検査がございますが、その際に不良品であるとか不合格品というのが見つかった場合に、それを合格として支払ってしまったと。これから検査体制を改善されますから、その段階で不合格がわかることがあり得るわけですよね。一般的に聞いていますけれども、不合格品であるものを合格品としてお金を支払ってしまったという場合には、これはいわゆるメーカーに対する利益供与になりませんか。
  54. 及川耕造

    ○及川政府委員 さまざまな納入品の中には、納入後にふぐあいが発するものがあることは事実でございまして、かつ、特に試作品のような、トライアルをするものには多いのも事実でございます。その場合には、通常一年間の瑕疵担保が設けられておりまして、その瑕疵担保の範囲内でメーカー等に修理させるか、あるいは、それがどうしようもない等の場合には金額を返還させる等の措置ができるわけでございます。
  55. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ということは、瑕疵担保というのは納入後の話ですけれども、例えば試作研究中の破損とかあるいは不良が発生した、それから納入後の瑕疵担保、これは契約にあるわけでしょうけれども、そういった、つまり仕様書性能を満たさないという場合、それで支払ってしまったという場合には、これは利益供与になるわけですね。
  56. 及川耕造

    ○及川政府委員 納入前でございますと、まさに監督検査等によってチェックするということになりますし、納入後でございますと、ふぐあいの発生につきましては、先方に責めるべき事由がある場合には、まさに瑕疵担保によって無償で修理をさせる、ないし金額を返還させる、こういうことだと思います。
  57. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 時間が迫ってまいりましたので一言、長官、こういういろいろなことが明らかになっておりますけれども、この一連の不祥事に対する責任をどういうふうに長官はお考えになりますでしょうか。
  58. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 今、この問題につきましては、事実関係を詳細調査をしているところでございまして、調査結果を踏まえて、関係者に対しては厳正な処分を行ってまいる所存でございます。近くそういう発表をしたいと思っているところでございます。
  59. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 最後に一つ、航空自衛隊の次期初等練習機につきまして、以前別の委員会で質問いたしました際に、長官の方から選定のやり直しを考えておるという答弁がございましたが、どういう選定のやり直しをお考えなのか、最後に長官の方からお答えをいただきたいと思います。
  60. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 航空機の機種選定につきましては、何よりも公正性、透明性を確保することが必要不可欠であると思います。具体的な方法につきましては現在検討しておるところでございますが、いずれにしましても、二月二日の衆議院予算委員会において議員の御質問に対して私からお答えしたように、選定に当たっては、企業の誤解を生ずることのないような処置を講ずることを初めとして、その公正性、透明性を一層高めるための各般の工夫を講じてまいりたいと思っております。  今検討途上でありますけれども、例えば、提案要求書発出前の会社説明会において機種選定手続の概要の説明をきちっとするとか、あるいは提案要求書の記述文に誤解を生じないように配慮する。例えば、委員からも御指摘ありましたIRANを強制したとの誤解を招くことのないように提案書の記述の修正を実施するとか、あるいは機種選定手続の進捗に応じてその状況等を適宜公表するとか、あるいは機種選定結果を提案会社に対して文書により通知するとか、いろいろな問題がありますけれども、そういうことについて近く公表したいと思っているところでございます。
  61. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  62. 原田昇左右

    原田委員長 次に、石井紘基君。
  63. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 引き続き、防衛庁技術研究本部のいわば不祥事について取り上げさせていただきます。  技術研究本部は、新中距離地対空誘導弾、新中SAM、これの研究開発を三菱電機に請け負わせておるわけだと思います。しかし、この新中SAMの量産については、これはまだ決定もされておらないし、あるいは量産をするか否かも決まっていない。これは開発を二〇〇二年までに行って、そしてその後、防衛庁が装備審査会議を経て、政府の安全保障会議で決めるかどうか、こういう段階のものだというふうに理解をするわけです。  ところが、それが、既に三菱電機の方は、昨年の十二月に滋賀県の新旭町というところの郊外に量産をするための工場建設の準備を始めた。そして、現地の方に開発事業計画等の届出書というものを、現地というのは新旭町ですが、ここに提出をしたというわけですね。  その説明書の中には次のように記されておる。「現在開発中の新中距離地対空誘導弾について、平成十三年四月から組み立て作業が発生する」、その生産期間は「約十年以上」、「年間五十台から百台」というふうなことが記されておるということでありますが、この事実関係について簡単に説明してください。
  64. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 防衛庁としましては、三菱電機が滋賀県新旭町に誘導弾の組み立て工場を計画していることについては聞いております。  ただし、防衛庁としては、報道にあるような新中距離地対空誘導弾、新中SAMと申しておりますが、これについて装備を決定している事実はございません。また、同社との量産に係る契約を結んでいるわけでもありません。また、同社の計画について、防衛庁として一切介入しておりません。同社の計画について、私どもはお答えする立場に現在のところはないのであります。  仮に、新中SAMを装備化する場合には、所要の手続をとり、契約相手方については、現在進めている調達改革の具体的措置に従い、複数の企業から提案をとるなどして、競争性、透明性を確保して決定してまいりたい方針であります。
  65. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今の大臣の答弁のように、一切関知しておらないということですと、どうして三菱電機が、この都市計画法に基づく開発事業計画等の届け出の中に、先ほど私が申し上げたような具体的な内容を明記するんでしょうか。しかも、この内容は防衛秘密に属することなんじゃないんでしょうか。  この内容、そういうことが明記されているということを御存じかどうか。あるいは、もしそれが事実であれば、そのことは防衛上の秘密に属することではないのかどうか。あわせて御答弁をお願いします。
  66. 及川耕造

    ○及川政府委員 大臣が御答弁申し上げましたように、会社の方の考え方そのものについて私どもがコメントする立場にはないわけでございますけれども、三菱電機が新旭町の方に御説明した資料等の中に、ただいま先生指摘のような点が触れられているということは事実のようでございます。  それについて、私どもは全くこれに束縛されるつもりはございませんし、当然のことながら、大臣が申し上げましたような調達改革の具体的措置に従いまして調達等を進めていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  67. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 きょうは時間がないからそれ以上踏み込みませんが、これは明らかにやはり情報が三菱電機から漏れておりますし、それからまた、これまで調達実施本部の事件、不祥事の中にもあらわれてきましたような防衛庁の装備品調達とその研究開発、そしてまたその発注という中での非常に不透明な、もたれ合いといいますか癒着といいますか、そうした関係がある、極めてルーズであるというふうに思いますので、これについてはさらに今後ただしていく必要があるだろうと思います。  そうしますと、これは、三菱電機にこの量産化を、もちろんこれは決定していないわけなんですが、三菱電機に将来発注をするというつもりはないということですね。
  68. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 いや、三菱電機に発注しないということを言っているわけじゃありません。  私どもとしては、今度の調達改革趣旨に従いまして、複数の企業を対象に競争原理を導入しながらやるわけでありまして、その結果、適切なものであれば三菱電機も受注し得ることもあり得る、こういうふうに申し上げているわけであります。
  69. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ぜひ、またぼろが出ないように慎重に進められた方がよろしいのではないかということを申し上げておきます。  もう一つ、別の問題に移ります。  防衛庁長官、どうもありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。  自治大臣にお見えいただいているわけでありますけれども、二、三日前の報道で、前自治大臣の西田司さんは西田興産という会社のオーナーであられまして、そしてこの会社が最近約二億円の申告漏れを出した、それで追徴金一億円余を納付したという報道がございます。これについては、申告漏れといいますか脱税といいますか、その中には、西田前自治大臣の秘書の給与だとかあるいは自宅マンションの家賃、この自宅マンションというのはかなり豪華なものなようですが、この家賃等を会社の方から支払わせておったという内容も入っておるということであります。そうだとしますと、これは、政治資金規正法に言うところの政治家個人への寄附に相当する部分が含まれているわけであります。  この件について自治省は調査をされたんでしょうか、いかがでしょうか。
  70. 片木淳

    ○片木政府委員 ただいま御質問にございました、報道で述べられているような私設秘書の給与やマンションの家賃の肩がわりがあったか否かにつきましては、承知をいたしておりません。承知していないところでございます。調査はいたしておりません。
  71. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 西田前自治大臣は、昨年の七月からことしの一月まで大臣の職にあったわけでありますけれども、その間に税務調査が行われたということについて、把握しておられますか。
  72. 片木淳

    ○片木政府委員 私といたしましては掌握いたしておりません。
  73. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 当時の現職大臣が昨年の十二月ごろから既に調査されておるということを自治省は全然把握しておらなかったということは、今のそういう御答弁でございますから、そういうふうに聞きおくことにしたいと思います。  そこで、これは、こういうことが事実だとすれば政治資金規正法の疑いがあるわけです。たまたま自自連合ができて、新たに野田大臣が途中で交代を、途中でというか、内閣改造が行われて就任をされたわけですが、そのとき、自治大臣をたしか希望されておらなかったんじゃないかと思うのですが、西田自治大臣がおやめになってその後任につかれたという経過なわけです。  それはともかくとして、自治大臣は、選挙の際には少なくとも公明正大な、法にのっとった選挙をするようにという国民へのアピールのようなものをお出しになるんだろうと思うのですが、あるいは常日ごろも、自治省は政治資金の所管を所掌しているわけでありまして、こうした問題については、特に自治大臣たるものは厳粛でなければならないわけであります。そういう意味からいって、もしこういう報道されているようなことが事実であるとしたら、自治大臣は、これはやはり重大な問題として関心をお持ちにならなきゃならぬと思うのですが、いかがでございましょうか。
  74. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 一般論として言うなら、現職の閣僚であれ一般私人であれ、国税当局が必要に応じて差別なく調査の対象とするということは、ある意味では税務行政が公平に行われておるということであろうかとは思います。  それから、いま一つ、政治資金規正法絡みの問題について、少なくともその所管する立場にある者はなおさら、みずからそういったことのないように、違反することのないようなことに戒めていかなければならぬというのは、そのとおりであると思います。  ただ、今回報道されておる件、その内容においてつまびらかにいたしておりませんし、具体的にどういう行為が寄附行為に該当するかどうか、これは個別の事案に即して判断しなければならぬところでもございます。  そういった点で、私が今ここで、いや、これは問題はないとかあるとかいうことを、個別の内容においてつまびらかにしていない段階で、しかもまた自治省はこの問題に関する実質的調査権というのは実はないわけであります、そういった状況下において、このことについて私からいろいろ申し上げるのは控えさせていただきたいというふうに考えております。
  75. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今自治大臣は、実質的調査権がないとおっしゃいました。確かにそのとおりだろうと思いますが、それでは、法務政務次官にお見えいただいておりますので、法務省の方はこのことにやはり重大な関心を持っておられるのか、あるいは今後の対処方針というものがおありになるのかどうか、御答弁をお願いして、終わりたいと思います。
  76. 北岡秀二

    ○北岡政府委員 お尋ねの、報道にありましたことは承知しておるわけでございます。  あくまでも一般論として申し上げますれば、捜査当局におきましては、刑罰法令に触れる行為がありますれば、常に法と証拠に基づきまして適正に対処しているところであります。  このことを前提に、本件のことについてお答えを申し上げますれば、いかなる事件につきましても、捜査機関が捜査を行うかどうかにつきましては、捜査機関の活動内容にかかわる事柄でありますので、お答えすべき性格のものではないと考えておる次第でございます。
  77. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ありがとうございました。
  78. 原田昇左右

    原田委員長 次に、旭道山和泰君。
  79. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 統一会派の明改の旭道山です。よろしくお願いします。  雇用をめぐる情勢と緊急雇用対策について質問させていただきます。  私は、ハローワーク飯田橋及び東京雇用促進センターの視察に参加しまして、最近の厳しい雇用情勢を目の当たりにして、一刻も早く雇用情勢の回復をしなければならないと感じました。また、行政に関する苦情の中にも、雇用情勢の回復を求める声が寄せられているようであります。  まず、雇用をめぐる情勢と、さきに打ち出されました緊急雇用対策について質問させていただきます。  先月二十九日に五月の完全失業率が公表されましたが、その水準は四月に比べて低下はしていますが、まだ高い水準にあると認識しています。高い完全失業率に陥った構造的要因はどこにあるのか、また、今の水準についての率直な見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  80. 甘利明

    ○甘利国務大臣 先般発表になりました五月の失業率が、〇・二改善をして四・六%になっておりますけれども、実はまだまだ油断がならないと思っております。  中身について言いますと、常用雇用が伸び悩んで、パートタイマー等短期雇用、臨時雇用の分がふえて失業率が改善しているということでありますから、まだ本格改善には至っていない、引き続き注意をしていかなければならぬと思っております。失業率の水準は過去最高水準で推移をしておりますから、できるだけ早く、少なくとも非自発的失業の分は改善をしていかないと安定雇用にはならないというふうに思っております。  この原因はもちろん不況でありますけれども、それ以外に構造的要因があると思います。つまり、成熟産業が雇用を維持あるいは拡大し切れない中で、なかなか新産業が育っていかない。端境期にあるというようなことも申せるかと思いますし、開業率と廃業率が逆転をしておりまして、今現在、毎日毎日、日本じゅうの企業の数が減っているわけであります。しかも、開廃業率が低い数字で推移をしている、これがアメリカと決定的に違うところだと思いますから、起業、つまり業を起こす環境整備を産業政策にとっていただいて、新しい雇用の受け皿をつくっていく。そして、そこにスムーズに人材の移動がかなうような政策を、あわせて私どもの方でやっていかなければならないというふうに考えております。
  81. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 政府も、本当にそういうてこ入れをよろしくお願いします。  このような状況改善に向けて、政府におきましては、六月十一日、雇用創出規模七十万人超という緊急雇用対策を産業競争力強化策として決定されましたが、この対策が発動された後の雇用情勢について、具体的にどのような姿を描いているのか。今後の完全失業率等の具体的数値の見通しについて、御認識、御見解、よろしくお願いします。
  82. 甘利明

    ○甘利国務大臣 六月十一日に総理の御指示のもとに緊急雇用対策を取りまとめさせていただきました。その中で、具体的な雇用創出の数字を七十万人強というふうに設定をさせていただいております。  これは、例えば成長が期待される新しい分野で、将来雇用ニーズが起きてくるであろうところに前倒しして雇用してもらいたい、そうしていただく企業には支援措置をいたしますというようなこと。  それから、公的セクターを通じて雇用をつくり出す、臨時的な雇用をつくり出すということで、雇用創出の交付金制度というのを提案をいたしております。これは、各都道府県に基金をつくりまして、市町村が都道府県に申し出て具体的な雇用創出策を練る。これは極力民間委託が中心でありますけれども、場合によっては、行政が期限を一両年と切って雇用するケースも考えられると思いますけれども、そうした策を通じまして、七十万人を上回る規模を想定をいたしております。  そのほかにも、民間の創意や活力を十分に活用して、いわゆるミスマッチの解消を図るとか、あるいは先ほども一部触れましたけれども、円滑な労働移動を支援をする、あるいはエンプロイアビリティーの向上を図る等々、取り組ませていただいております。  そして、これらの結果、完全失業率の具体的な改善見通しはという御質問でありますけれども、正直言いまして、具体的な数字がここまでということはなかなか想定ができません。景気がよくなるときには、雇用失業情勢というのは一時的にはもっと悪くなりますが、これが半年後に好転をしてくる。でありますから、できるだけ期間と、それから深度の深さを緩和して、クイックレスポンスで景気の上昇に雇用情勢が追従をするように頑張りたいというふうに思っております。
  83. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 この対策では教育訓練給付制度の拡充も打ち出しています。資格を取得しても、それを生かせないと意味がないので、失業者の再就職の門戸を広げるために、国や地方公共団体による雇用・就業機会の創出も一つのポイントであるようですが、この地方公共団体に対する特別交付金の交付を二年間とした理由はどこにあるのですか。従来の公共事業による失業者の救済よりは、個人の能力、技術等を生かすための支援という点では評価できると思いますが、二年経過後、どのように対処されるのか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  84. 甘利明

    ○甘利国務大臣 御指摘の雇用創出交付金でありますけれども、これは地方自治体を中心に、いわゆる公的セクターが職場をつくり出すということでありますけれども、二年というふうに期限を切らせていただきました。  と申しますのは、公的セクターがダイレクトに雇用をつくり出すということになりますと、これは過去の失業対策事業の反省から、余り適切ではない。それから、行革は中央、地方を問わず今進めているところでありまして、そういう中で人員の効率的運用というものに取り組んでいるわけでありますから、片方で人数が減っていく中で片方で人数をふやすということになりますと、一体行革とは何だろうかということとぶつかってしまうわけであります。  そこで、臨時、一時的な就業の場でありますから期限を切りまして、しかもできるだけ民間部門を活用して、公的セクターが仕事の場をつくるにしても、民間委託を極力使う、そして期限を切って、臨時、一時的な雇用であるところの性格づけをきちっとするということが大事だと思いますし、その期間内に、産業構造改革が進み、新しい産業の芽が出てきて、あるいは景気も本格回復軌道に乗るということで、本格的な雇用の場、失業を吸収する場が育つ。そこまでのつなぎの策として考えさせていただいておるわけでありまして、あくまでも臨時、一時的な緊急避難措置、そして、それがやがて常用雇用につながっていくような環境整備をそれまでに整えるというふうに取り組んでいきたいと思っております。
  85. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 つけ加えて、中長期の雇用情勢の安定を考えますと、対策でも検討するとされている新産業分野の創出、育成のための規制緩和、制度の改革は大事であると思いますが、どのような御認識か。大臣、よろしくお願いします。
  86. 甘利明

    ○甘利国務大臣 御指摘の規制緩和というのは、新たなビジネスチャンスを拡大いたしますし、あるいは競争によって価格の低下をもたらしますから、それによって需要増が期待をされる。需要が拡大をして、雇用・就業機会の拡大をもたらすということも期待をされるわけであります。一方で、規制に守られている分野については、激しい競争にさらされるわけでありますから、そこの雇用の場を失われるということもあろうと思います。ただし、全体として見ていけば、規制緩和が新しい産業をはぐくみ、企業の競争力をつけ、中長期的には雇用の場の拡大になるというふうに理解をいたしております。  今回、緊急雇用対策に加えて、産業競争力強化策というのが延長国会に上程をされるわけであります。成長が期待されている十五分野、この十五分野が健全に発展をしていくような環境整備、その中に幾つもの規制緩和がありますし、新政策が盛り込まれてくる。これは通産大臣の分野でありますけれども、そうしたことを通じて雇用の場が拡大をしていくということを期待しているところでございます。
  87. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 いずれにしましても、今回の緊急雇用対策が十分に効果を上げられるように、具体的な諸施策をしっかり実行されるようお願いしたいと思います。大臣、よろしくお願いします。  これはまた、関連かもしれないのですけれども、長引く不況と私立高校生の退学問題について御質問させていただきます。厳しい雇用情勢の影響がこんなところにも出ているという観点から、私立高校生の退学問題についてお伺いいたします。  保護者の勤め先が倒産したり、残業の激減、賃金カットなどで減収になったため、学費が払えず退学を余儀なくされるなど、長引く不況で私立高校に通う生徒たちに深刻な影響が出ています。はっきり経済的理由による退学とわかるのは氷山の一角であり、表向きは家庭の事情や進路変更のための退学などの中にも、本当は経済的理由が大きいものがあり、実態はもっと深刻ではないかと思います。  さらに、各校から寄せられた記述回答からは、授業料軽減補助金を申告するとき破産宣告通知を添付する生徒がふえてきた、授業料が払えず、また積み立ててきた修学旅行費を授業料に充てて修学旅行に参加できないなど、深刻な状況であります。  文部省はこのような状況についてどのように把握しているか、お伺いいたします。よろしくお願いします。
  88. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 私立高等学校において経済的理由によって中途に退学した者の数でございますが、平成九年度に文部省が行いました調査によりますれば千六百三十三人となっており、中退者の全体に占める割合は四・三%でございます。これは、平成八年度の調査結果と比べますと百五十二人増、〇・四%の増となっているところでございまして、経済的理由によって中途退学を余儀なくされる者の数が増加していることについては残念なことと考えております。
  89. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 また関連の質問をいたします。  私立中高校の授業料の滞納をめぐって、神奈川県、千葉県、京都府などが、保護者の経済状態によって、年度中授業料補助を受け付けたり、学費を減免したり、学校に対しその三分の二を補助するなどの対策を講じております。国としては、具体的に、例えば私学教育費減税措置の実施など何らかの対策が必要であると思います。見解をお伺いしたいと思います。
  90. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 御指摘ございましたように、各私立高等学校が授業料等の減免を行った場合に、都道府県がその私立学校を設置する学校法人に対して補助を行う制度として、授業料軽減補助事業がすべての都道府県実施をされているところでございます。文部省といたしましても、現下の経済状況にかんがみて、各都道府県に対し、授業料軽減補助事業について、生徒の家計の急変等に対する配慮など弾力的な対応をお願いしているところでございます。  また、日本育英会の育英奨学事業でございますが、平成十一年度から、高校生以上の学生生徒を対象として緊急採用奨学金制度を新たに設けまして、保護者の失職などによる家計急変に対して、勉学意欲のある者に対して随時貸し付けを行うこととしているところでございます。  今後とも、各都道府県における授業料減免の制度あるいは緊急採用奨学金制度等が十分に活用され、経済的に困難な生徒に対する支援が図られ、勉学が継続されるように努めてまいりたいと考えておるところでございます。  なお、平成十一年度の税制改正においては、私立学校を含め、広く国公私立学校に通う子供を持つ親の教育費や子育てにかかる負担軽減の観点から、教育費・子育て減税という形で、扶養親族控除及び特定扶養親族控除の増額がおかげさまで実現をいたしました。今後とも、保護者の教育負担の軽減に向けて引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
  91. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 このように、学ぶ意欲はありながら、長引く不況の影響で生徒の教育を受ける権利が奪われている状況はまことに遺憾であります。政府としても万全の対策をお願いしたいと思います。  私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  92. 原田昇左右

    原田委員長 次に、赤羽一嘉君。
  93. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 公明党・改革クラブの赤羽一嘉でございます。きょうは限られた時間でございますが、ちょっと三つのことについて、それぞれ端的に質問させていただきたいと思います。  まず一つは、先ほど旭道山議員からの質問もございましたが、平成十一年度の日本育英会の奨学金について、特にきぼう21プラン奨学金制度についてお尋ねをしたいと思います。  我が党と自民党の中での政策協議の結果、本年度から奨学金の貸与人員また貸与月額の弾力化とか貸与基準の大幅な緩和が図られたということは、大変喜ばしいことであるというふうに思っております。近年の極めて厳しい経済状況の中で、進学をあきらめたり退学を余儀なくされるようなことがある、このことについて放置しているような国の将来はないものだというふうに私は思っております。すべての学生が奨学金を借りて進学をし、そして就職をした後それを返していけるような制度を、国としてもつくっていく、運用していくということは大事なことであって、今回の平成十一年度日本育英会きぼう21プラン奨学金は大きな前進だという認識でおるところでございます。  そこで、まず、大学生対象の有利子貸与の奨学金に関して、申し込みが殺到して、要件を満たしているにもかかわらず貸与されなかった、こういった苦情が我が党の議員それぞれのところに大変数多く寄せられているわけでございます。統一地方選挙のときにかなりこれを言って政策実現をしたということで、選挙戦をやったその結果もあるんですが、実際申し込んでみたら断られたということが随分寄せられたんです。  まず、そういった実情があったということは文部省として御認識されているのかどうか、それを確認させていただきたいと思います。
  94. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 御指摘の有利子奨学金につきましては、貸与基準を大幅に緩和をいたしましたので、日本育英会では、本年四月から、入学定員に応じて各大学、短大ごとに目安としての採用枠を示して募集を行ったところでございますが、一部の大学においてその枠を超える応募がございました。  そこで、日本育英会においては、全国の応募状況について調査を行ったところ、予算人員のおおむね八割程度の応募状況にあると見込まれることから、それを踏まえまして、去る六月九日に、全国の大学、短大に対し、採用枠を超える適格者については全員奨学生として採用する旨の通知を発出したところでございます。  その状況につきましては現在整理中でございますが、希望する適格者全員に奨学金の支給が行われるものと考えているところでございます。
  95. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 これから質問しようかと思ったんですが、六月九日に通知がされた。これは、六月三十日までに全員採用するという旨の通知だったと思います。きょうは七月一日でありますので、昨日までで、申し込みをし、適格者であった、しかし大学の枠がオーバーをしているということで採用されなかった学生全員が採用できているのですか。そのことを確認したいと思います。
  96. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 六月九日付の通知におきましては、日本育英会への提出期限は、御指摘ございましたように、昨日、六月三十日となっておるところでございます。したがいまして、現在整理中なわけでございますが、日本育英会といたしましては、希望する適格者全員に奨学金の支給ができるというふうに考えているところでございます。
  97. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今回の募集に引き続き、七月十六日までの追加の第二次募集も行うというようなお話も漏れ伺っているところでございますけれども、これは実際行うのかどうか。  そして、行うときには、今回の二十五万人という枠、先ほどの御答弁ではもう八割ぐらいが応募されているということでございますけれども、追加募集をした場合に、二十五万人の枠内で対処できるのかどうか、それをお答えいただきたいと思います。
  98. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 日本育英会においては、当初の募集における応募人員は予定人員の約八割程度というふうに見込んでおるところでございますので、先ほどの六月九日付の通知で、七月十六日を期限として追加の募集を行ったところでございます。  今年度から導入しました有利子奨学金制度におきましては、貸与月額の選択制を導入いたしております。大学生で申しますと、三万円、五万円、八万円、十万円という四つのランクがあるわけでございますが、その中から、学生が希望する額を選択できることとしているところでございます。  この状況を見ますと、平均の希望月額は約六万円でございまして、予算上措置した月額であるところの七万五千円を下回っている状況にございます。したがいまして、現在、日本育英会においては二十五万人を超える奨学生の採用を目指して努力をしているところでございまして、追加募集につきましても予算的に十分対応可能であるというふうに考えているところでございます。
  99. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 予算的な対応は可能だということを確認できればいいと思います。大学生にこれはかなり制度的に浸透していますので、申し込みをしながら不採用になるようなことは極力避けるように御尽力いただきたいと思います。  次に、高校生を対象とした無利子貸与の奨学金について、この成績要件が、平均以上の成績の学生または特定の分野において優秀な学生、それに加えて三番目に、勉学に意欲のある者、このように随分成績の要件緩和がされたと思いますが、しかし実際は、現場ではこれが徹底されずに、成績での足切りというのが行われているような苦情も、また問い合わせもあるのですが、この点はどうなんでしょうか。
  100. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 無利子奨学金につきましては、一般の奨学金制度のほかに、緊急採用奨学金制度というものを平成十一年度から創設いたしております。これは、保護者の失職や倒産などにより家計状況が急変をし、緊急に奨学金が必要となった場合には、高校生以上の学生生徒を対象として行うものでございまして、約一万人の採用枠を用意しているところでございます。この緊急採用奨学金制度におきましては、家計基準を家計急変後の所得見込額とするとともに、学力基準につきまして、勉学意欲がある者としているところでございます。  日本育英会においては、随時その募集を受け付けており、すべての高校生の要望にこたえることが可能な体制となっているところでございます。  なお、こういう緊急採用ではない、通常の無利子奨学金については、一定の学力基準と家計基準を設けて採用を行っているところでございますが、高校生の場合、適格者全員について奨学生として採用を行っているところでございます。
  101. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ちょっと緊急採用奨学金制度の方のお答えがありましたので、それについて触れさせていただきたいのです。  今回、一万人の枠を予算措置された。これは始まっているわけですけれども、まず現状を、どのぐらい採用枠を消化されているのか、ひとつ教えていただきたい。  もう一つは、こっちの緊急採用枠についても、結構これを断られて、別の形での採用が行われているような話も幾つか来ているのですけれども、この家計要件、要件の認定というのがちょっと難しいのではないかなと。首になったとかということであれば証明はしやすいかもしれませんけれども、リストラに遭って収入が減ったとか、非常に認定のしづらい状況も結構出てきているのではないか。  実際、せっかくの制度をつくっても運用がしにくいのであれば、いい制度だと思うのですけれども、なかなか使えないような制度だったら改善をしていかなければいけないので、改めて、この一万人の枠でどのぐらい現状として採用されているのか、教えていただきたいと思います。
  102. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 一万人の採用枠が緊急採用奨学金制度についてはあるわけでございます。現在、どの程度の応募、採用が行われているかについては集計中でございますが、従来の要請等から見れば、希望があればそれに全員対応することが可能であるというふうに考えているところでございます。  なお、この緊急採用奨学金制度につきましては、家計状況の急変等を要件とするわけでございますが、これにつきましては、所得見込み額で対応するなど極めて弾力的な対応をし、希望する学生生徒の要請に的確にこたえるように対処しているところでございます。     〔委員長退席、佐藤(静)委員長代理着席〕
  103. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございます。  緊急奨学金枠の集計をされるときに、その要件として今言われました家計急変の要件について、実際上、非常に弾力的に運用されているのかどうかも含めてぜひ御確認をいただいて、一万人の枠が十分使えるような方向で御指導いただきたいというふうに思っております。  また、成績要件についても、基本的に、勉学に意欲のある者ということで、以前ほどの成績要件というのはかなり緩和されているはずですので、運用面で、現場の混乱で採用されない人がないような方向でぜひ進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それはよろしいですか。
  104. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 奨学金の採用基準につきましては、これまでも改善を図ってまいったところでございますし、十一年度予算におきましても、かなりの大幅な充実をいたしたところでございます。その趣旨が各学校等に十二分に徹底され、奨学生の応募、採用に遺憾のないよう努めてまいりたいと考えております。
  105. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございます。それでは、その方向でよろしく御努力のほどお願いいたします。  次に、話は全然変わるのですが、白内障の眼内レンズの度数の誤った表示で事件が起きたことについて、ちょっと本委員会で取り上げさせていただきたいと思います。  白内障は、数年前に保険適用になったということで、白内障手術を受けている方も大変な数が出ております。平成八年度の九月単月でも四万七千四百七十九件。すごく受けやすくなった。廉価で白内障の手術を受けて、それも成功率も高いということで、まさに保険適用して評判のよかった実例であると思いますが、実は、この六月に、神戸市と横浜市で白内障の手術を受けた二十数名の方に度の違った眼内レンズの埋め込みが行われた。これは報道もされております。  私の地元でも、この手術を受けたけれども全然見えない、調べたらレンズが違っている。それをまた再手術をしたら、非常に目が真っ赤になって、視力は戻らないというふうに言われた。仕事にもかなり差しさわりが出てきて大変困られているという状況です。白内障の手術は安全で手軽なということが非常に浸透していただけに、ある意味ですごいショッキングな事件だったと思いますが、この事件の原因は何であったか、厚生省としてどう了解されているかを。
  106. 中西明典

    中西政府委員 先生指摘の眼内レンズは、ファルマシア・アップジョン社、これは多国籍企業でございますが、この会社がオランダで製造し、その製品を日本の子会社を通じて輸入したものでございます。  そのうち、一部の製品、二ロット、百七個でございますが、包装の表示と異なる度数の製品となっており、その一部については、先ほど御指摘のとおり、既に二十三名の患者さんに使用されていたということでございます。  未使用の製品については既に回収されているところでございますが、包装表示の誤りについての原因につきましては、オランダの製造所におきましてその製品の容器のラベルを取り違えたということでございまして、これはあってはならない単純な人為的ミスによるまことに遺憾な事案であるというふうに認識いたしております。
  107. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 これは、製造の過程でロット番号の包装を間違えたことによって起こった。  これはあれですか、私は専門家ではありませんけれども、そこで間違ったら、実際、手術されるまでのどこにもチェックが入らない。製造元のラベルの張り間違えがこういった視力が回復しないようなことまで引き起こすような事件、そのリスクをヘッジするところが全くないというのは非常に危ない話なんじゃないかなと改めて思っているのですが、この再発の防止策というのは具体的にどういうことがあると考えられているのでしょうか。
  108. 中西明典

    中西政府委員 厚生省といたしましては、眼内レンズ等の医療用具につきまして、その品質が十分に確保されるように、従来から製造業者あるいは輸入販売業者に対して適切な製造管理、品質管理がなされるよう指導してきているところでございます。  今回の事案は、あってはならない単純ミスによるものでございまして、今後このようなことが繰り返されることがないように、薬事監視の機会に、製造業者や輸入販売業者に対して、製造管理及び品質管理規則、これの遵守を含めて必要な指導を行っていくとともに、特に、その眼内レンズの製造、輸入販売業者に対しては、改めて、こうした事案を反省し十分な注意を行うよう、これは指導してまいりたいというふうに考えております。
  109. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 この起こってしまった個別の事案については、製造メーカーに対して、誠意を持って対応に応じていただきたいということを指導していただきたい。これが一点。  また、眼内レンズの許認可を与えている会社に対しても、こういったトラブルが頻発するようなメーカーについてはその許認可も取り外すというようなことも踏まえて、厳しく対応していただきたいと要望させていただきたいと思います。  もう時間がないんですが、最後に一点。  実は、一昨日から昨日にかけて日本を梅雨前線が大変な勢いで襲いまして、私の地元の神戸市内にある兵庫区の、これは二級河川なんですが、新湊川というところで浸水をし、六千八百世帯が避難勧告を受けた。実はこの浸水は、半年前というか十一カ月前、昨年九月の末に西日本を襲った台風のときにも全く同じところが大変な浸水騒ぎで、災害救助法も適用されるような浸水事故は二度目でありまして、このときには、ここは実はあの阪神・淡路大震災の影響で河川の災害復旧助成事業を行っている。かなり大規模な工事でして、その中で起こった不幸な災害でありました。  昨年の九月のときに、災害対策特別委員会で私はこれを取り上げて、二級河川とはいいながら、一義的には県の責任とはいいながら、どう考えているのかということで質問をいたしましたところ、河川局長からは、建設省として、このような災害が再び発生しないように、調査委員会での検討も含め、県に積極的な対応をするように指導してまいりたいというふうに御発言がありました。  それから約半年後、全く同じ状況で、ほぼ同じ原因でこの浸水が発生したことを地元の人はもう大変な怒りを持っておるわけですから、これはちょっと時間がないんであれですが、どんな指導をしたのか、今回についてどう思っているのかということを、建設省としての御発言をいただきたいと思います。
  110. 青山俊樹

    ○青山政府委員 昨年に引き続きまして新湊川の浸水被害が再発したことについてのお尋ねでございます。  この川は、今先生指摘のとおり、平成七年から平成十一年度までの五カ年間で河川等災害復旧助成事業というものを実施中でございまして、十一年六月末現在でその進捗状況は、予算執行ベースで七四%の進捗でございますが、その期間に、昨年、そしてことしと、二年連続で大出水が生じてはんらんしたわけでございます。  私ども、昨年の出水の際に、工事で仮締め切り等をやっていた関係で川の断面が狭まってあふれた要素もあるんではなかろうかということで、それ以降の工事方法につきましては、現在ある河積を、川の断面を狭めないようにということでの擁壁部の仮締め切り工の設置位置を変更する等の指導を行いまして、現状での河積断面は狭めないようやってきたわけでございますが、昨年を上回る雨が降りまして、六月二十九日時点で、十七時三十五分ごろ、新湊川があふれ、浸水被害が生じたということでございます。今回の災害は、昨年を上回る集中豪雨に起因するもので、急激な水位上昇が起こって水があふれたという報告を受けておるところでございます。
  111. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 昨年より豪雨の量が多かったというのも事実かもしれませんが、局長、神戸市内でいろいろなところで浸水が起こっていれば別ですけれども、その小さな河川で起こっているということは、あの地域に行けば、あの河川工事が原因だって全員言っていますよ。  私は素人ですけれども、きのう行ってまいりました。県議団と全部回って見ましたけれども、素人の私でも、ちょっとカーブの外側の方が低くなっているんですね、こんなことで本当に大丈夫なのかなと言って、まさにそこからあふれてきたと。その手すりのところには全部、川のごみがついている。あふれて当然のような状況なんです。  これは、県には一義的に責任があると思いますが、県任せにするんじゃなくて、県は調査委員会どおりやったと言ってこのざまなんで、建設省としてもぜひ特段の配慮で何とか、また来たらまたあふれるという恐怖感が強いものですから、しっかり御指導いただきたいと思います。  以上で終わります。
  112. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員長代理 次に、米津等史君。
  113. 米津等史

    ○米津委員 自由党の米津でございます。  私は、最近増加傾向にある薬物の問題について質問をさせていただきます。  まず、厚生省にお伺いいたしますが、一昨日の参議院法務委員会でも取り上げられ、今では現代のアヘン戦争とまで言われている薬物乱用の現状について、どのような傾向にあるのか、お伺いをいたします。
  114. 中西明典

    中西政府委員 お答え申し上げます。  我が国におきます薬物事犯は覚せい剤事犯が最も多数を占めておりまして、平成九年の検挙者数は約二万人で、薬物事犯の約九割でございます。そのほとんどはメタンフェタミンによる事犯ということになってございます。  また、覚せい剤に次いで多いのが大麻による事犯、これが五%であり、ヘロイン、コカイン等の麻薬による事犯は比較的少ない、一%程度の状況にございます。なお、多種類の薬物を同時に乱用する事例も一定程度あるところでございます。  覚せい剤事犯につきましては、平成七年以降三年連続して増加しておりまして、第三次乱用期に入ったとも言われております。平成十年においては、検挙者数の減少傾向が見られるものの、依然として高原状態にあり、覚せい剤の押収量、これも本年度には既に一トンを超え、昨年度一年間の二倍程度と、大幅に増加していること等から見て、引き続き警戒すべき状況にあるというふうに認識いたしております。  特に最近の覚せい剤事犯の傾向といたしましては、中国を主な仕出し地とする覚せい剤の密輸入物がほとんどであり、それから、暴力団に加えて、来日のイラン人等が密売に関与しているケースが多く、ポケットベルあるいは携帯電話等を利用した巧妙な密売が行われ、使用方法も、注射器を用いずに簡便に、液状の覚せい剤の経口摂取、あるいは加熱した覚せい剤の吸入といったような方法による使用が拡大しているといった特徴がございます。  また、最近の覚せい剤乱用の憂慮すべき点としては、中高生などの青少年の乱用が拡大していることでございます。平成九年の未成年の検挙者数は千六百二人、うち中学生が四十三人、高校生が二百十九人といったような状況で、平成七年以降三年連続して増加しており、平成十年においては若干減少しておりますが、引き続きこれは注視していく必要があるというふうに考えております。  特に中学生については、平成八年の二十一人に比べて、平成九年は四十三人、それから平成十年は三十九人という格好で、ほぼ倍増しておりまして、覚せい剤乱用の低年齢化が進んでいるということであります。  この背景としては、薬物の危険性に対する認識の低下と、薬物が比較的手に入りやすくなっている環境があるのではないかというふうに考えております。平成九年の、総務庁が行いました薬物乱用問題に関するアンケート調査を見ましても、高校生の調査によりますと、薬物を使用することは個人の自由であるというふうに考えておる高校生が二〇・四%、五人に一人という極めてゆゆしい事態であると思います。  厚生省といたしましては、こうした状況を踏まえまして、関係各省と密接に連携をとりながら、取り締まりや、あるいは予防、啓発の充実強化に引き続き努めていかなければならないというふうに認識しております。
  115. 米津等史

    ○米津委員 今御説明ありましたように、押収量一トンというふうな形で、かなり急増しているというふうに考えられます。ただ、この量については氷山の一角であり、薬物乱用の撲滅には抜本的な対策が必要というふうに考えますが、今局長が御説明になりましたように、厚生省の麻薬取締官、それから入管あるいは税関、海上保安官等、いろいろ各省庁にまたがっての御努力が必要だと思います。  私は、厚生省にお伺いしましてびっくりしたんですが、麻薬取締官が全国で百七十五名しかいない。この百七十五名というのはいかにも少ないのではないか。ということは、反対に、第一線で御苦労なさっている取締官の負担が非常に多いというふうに思われますし、また、彼らが自信を持って取り締まれる体制を確立することは喫緊の課題だというふうに思いますが、今後の取り締まりについての厚生省取り組みについて、再度お聞かせいただきたいと思います。
  116. 中西明典

    中西政府委員 薬物乱用対策につきましては、国連においても、乱用薬物の供給面からのアプローチと需要面からのアプローチを車の両輪のような格好で進めていく必要があるとされておりまして、そういった供給遮断と需要抑制という双方から対応していかなければならないというふうに考えております。  厚生省といたしましては、昨年五月に、内閣総理大臣を本部長といたします政府の薬物乱用対策推進本部において策定されました薬物乱用防止五か年戦略に基づきまして、関係省庁と協力しつつ、総合的な取り組み推進してきているところでございます。  具体的には、供給面につきましては、全国八地区の麻薬取締官事務所、今先生指摘のとおり少ないスタッフではございますが、その専門知識、薬学的、あるいは語学も含め、そういった専門知識をフルに活用し、取り締まり業務に当たっておるところでございます。事務所と、警察、税関、それから海上保安庁等の関係機関と協力しつつ、取り締まりの強化を図っていくとともに、昨年六月には、インターネット上で売買されました幻覚剤2C—Bを新たに麻薬に指定し、本年に入りまして、こういった幻覚剤を含む麻薬をインターネットで入手していた事犯について摘発もいたしておるところでございます。  それから、都道府県の麻薬取締員、捜査権限を持っておるわけでございますが、この麻薬取締員と協力しつつ、医療機関において正規に使用される麻薬あるいは向精神薬等の管理の徹底、横流し等のケースというのがないわけではございませんので、こういった徹底指導してきているところでございます。  それから、他方、需要面につきましては、これは従来から普及啓発に力を注いでおりまして、毎年六月半ばから七月半ばまでの一月間を「ダメ。ゼッタイ。」普及運動の期間と設定し、全国各地で、街頭キャンペーンや、地域団体、ボランティアも含め、啓発活動を実施してきているところでございます。  また、この普及運動にあわせて、これは財団法人の麻薬・覚せい剤乱用防止センターの主催によりまして、開発途上国等で薬物乱用防止活動に従事しているNGOの活動資金として、国連を通じて支援するための国連支援の募金活動もあわせて行っているところでございます。  それから、そういった「ダメ。ゼッタイ。」普及運動とあわせて、例年、十月、十一月の二カ月間を運動月間として、麻薬・覚せい剤禍撲滅運動というものを同じく展開し、各種のキャンペーンを行っておるところでございます。  特に、平成十年度におきまして、補正予算の手当ても含め、全国の啓発運動の重要な機材の一つでございます薬物乱用防止キャラバンカー、これを一台から四台に増設いたしまして、全国各地を回り、学校あるいは地域での啓発活動を実施してきているところでございます。  また、中高校生の保護者を対象とした啓発用読本や、新たなテレビ、ビデオつきパネル等の啓発資材を作成、配布する。  それから、これは九年度からやっておるわけでございますが、麻薬取締官OBを教育現場等に派遣し、文部省と協力しながら青少年の啓発を行うとか、そういった啓発活動の充実強化を図るとともに、本年度からは、地域の乱用防止対策としまして、全国五十四カ所の都道府県等の精神保健福祉センターにおいて、薬物に関する相談事業、これを新たに開始することとしておりますほか、薬物依存のメカニズム解明及び社会復帰のための研究を推進するとともに、国立療養所等における措置といたしまして、中毒性の精神病患者の専門的治療のための病床を整備していくということで、十一年四月に国立の下総療養所には四十床の薬物専門病床を整備完了したところでございます。  こういった取り組みを通じて、供給面、需要面双方から力を入れて薬物乱用防止のための施策を展開してまいりたい、かように考えております。
  117. 米津等史

    ○米津委員 ぜひ、今後の予算等で、麻薬取締官の増員を含めて再度強力な取り締まりの体制を整えていただくことを希望しておきます。  続きまして、法務省の方にお伺いをしたいんですが、アメリカの国務省は、国際麻薬対策戦略の一九九八年度の年次報告において、北朝鮮の麻薬密売のターゲットの中心が日本であるという強い警告を出しております。  そこで、法務省の方にお聞きしますが、薬物の密輸は、いろいろな手段を、特に組織的な手段を用いて我が国に持ち込むケースがかなり多いというふうに聞いております。薬物関係で強制送還された外国人のデータやその他事前に入手した情報等を十分に活用して、我が国にとって有害な人物の入国を阻止すべきであるというふうに私は考えますが、人の出入国を管理する法務省としてはどのように取り組んでおられるのか、お伺いいたします。
  118. 竹中繁雄

    ○竹中(繁)政府委員 薬物関係で強制送還された外国人のデータが十分に活用されているかどうかという御質問だと思いますが、薬物事犯により我が国の法令に違反して有罪の判決を受けた者、そういう者は、入管法の第二十四条によりまして退去強制手続の対象とされております。  これらの者に関する情報は、出入国審査リスト、いわゆるブラックリストですが、この審査リストとして電算情報にまとめられております。その結果、こういう者たちが我が国に上陸しようという際には、このリストによって即時的にそういう人間かどうかということを把握することができ、その結果その上陸を拒否することができる、こういうシステムになっております。  入管局といたしましては、今後さらにこのシステムを充実させ、薬物に関係する者に対し、慎重かつ厳格な上陸審査を実施してまいりたいと考えております。
  119. 米津等史

    ○米津委員 昨年の六月五日に、衆議院の安全保障委員会で、法務省は、入国者に関するデータの作成には三週間かかるというふうに答弁をなさっております。私どもが海外に行って出入国するときに書くカード、これらのデータを含めて入国者、出国者に関するデータが、法務省、外務省、警察、それぞればらばらに管理されていて、全体を把握されるまでに何と約三週間を要し、その結果、その間に重大な工作活動や犯罪行為をやられ、三週間以内に出国されてしまうという危険があるということだと思います。この問題提起から約一年が経過しておりますが、法務省としては何らかの改善が図られたのか、お伺いいたします。
  120. 竹中繁雄

    ○竹中(繁)政府委員 コンピューター関係でございますけれども、パスポート自動読み取り装置、我々は英語の頭文字をとってMRPリーダーと言っておりますけれども、これがこの一年間で主要な出入国空港、日本全体の主要なところ全部に配備が完了いたしました。その結果、国際定期便の就航しているほとんどすべての日本の空港で、要注意人物のチェックがこの装置を使って自動的に行われることになったということが、この一年間で一番大きなコンピューター関係の成果でございます。  一方、先生の御指摘がございました出入国データでございますね。入ってくる人たちの名前その他のデータについて、それの収集に三週間かかるというのは、少しよくなっているのか、早まっているのかということでございますが、今現在のやり方は、出入国記録、いわゆるEDカードでございますが、あれをOCR、光学文字読み取り機を使って電算入力をするというシステムでやっております。この方法で三週間というのをもっと縮められないのかということでいろいろやってみたのですけれども、まず、多数のEDカードを日本全国から集めるということに大変時間がかかりまして、出入国情報入力の短縮化というのがちょっとこのやり方ではやはり限度があるのじゃないかというふうに理解するようになってまいりました。  その一方におきまして、先ほど申しましたように、MRPリーダー、パスポート自動読み取り装置というのが日本全国の主な空港に全部配備されたおかげで、その結果、自動読み取りが可能な旅券を所持している外国人に関する出入国情報につきましては、そういう出入国の港において即時に取得して、即時にコンピューターに入力するということが理論的に可能になってきたということでございます。  したがいまして、現在我々は、パスポート自動読み取り装置、MRPリーダー、これを使ったシステムを構築しようというふうにちょっと切りかえまして、今具体的な作業を進めておるところでございます。
  121. 米津等史

    ○米津委員 今御説明いただきましたように、空港や港、約百二十カ所というふうに伺っておりますが、これはあくまでも表の玄関で、不法に入国してくるやからもいるわけですから、法務省並びに厚生省の当局につきましては、ぜひ、より一層の体制の強化を希望しておきます。  以上です。
  122. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員長代理 次に、辻第一君。
  123. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、六月十八日に人権擁護推進審議会が、「人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項について」という答申案を公表されましたが、これについてお尋ねをいたします。  法務大臣をお願いしておったのですが、参議院の法務委員会ということで御出席をいただけないということであります。残念ですが、法務省にお尋ねをいたします。  これに関して、人権教育啓発推進センターのホームページにも掲載をし、幅広い意見を募集しておられます。こうした方法がとられるのはもちろん最近になってからのことですが、以前はこのような措置は考慮されておらなかったわけですから、これ自体は改善だと思います。実際に意見が寄せられているんでしょうか。いかがですか。
  124. 横山匡輝

    ○横山政府委員 委員指摘のとおり、人権擁護推進審議会におきましては、六月十八日に人権教育啓発に関する答申案を公表し、各方面からの意見を募集しているところであります。  答申案につきましては、法務省のホームページに掲載するなど、その周知を図りますとともに、意見につきましては、書面、ファクス、電子メールにより七月十六日まで受け付けることとしておりまして、各方面から意見が寄せられている状況にあります。その寄せられている状況につきましては、現在、数については集計中というところで御理解いただきたいと思います。
  125. 辻第一

    ○辻(第)委員 このような答申案が示されて意見が求められているということ自体、まだ幅広く知られていないのではないかと思いますが、この答申案に対して国民各層から寄せられた意見は、審議会なりあるいは答申そのものにどのように反映されるのか、お伺いをいたします。意見は聞いたけれども、これが聞きおいたということになっては、せっかくの制度も魂は入っていないということになると思うのですが、いかがでございますか。
  126. 横山匡輝

    ○横山政府委員 答申案に対して寄せられました意見につきましては、事務局において取りまとめまして、次回の審議会、これは七月二十一日が予定されておりますが、次回の審議会に報告することとしておりまして、審議会におきましては、この寄せられました各方面からの意見などを踏まえて審議がなされるもの、そのように承知しております。     〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  127. 辻第一

    ○辻(第)委員 十分反映をしていただきたいと思います。  次に、答申案でも、人権や人権教育、啓発についてるる述べております。地対財特法が失効した一九九七年三月末をもって、同特法施行以来二十九年間にわたる特別法による同和対策に終止符が打たれました。一部の経過措置を残して、同和行政は基本的に終結をいたしました。  こうした時期にありながら、えせ同和行為について見てまいりますと、昨年秋に発表されました一九九七年度中のえせ同和行為実態把握のためのアンケートの調査結果では、西日本各地で被害率がふえているようですが、調査結果の内容を簡潔に教えていただきたいと思います。
  128. 横山匡輝

    ○横山政府委員 法務省が平成十年一月に実施しました、平成九年中におけるえせ同和行為実態把握のためのアンケート調査の結果によりますと、回答のありました三千七百三十五事業所のうち、同和を名乗る者または団体から違法または不当な要求を受けた事業所は七百三十九事業所、その要求総件数は千六百七十九件、一事業所当たり約二・三件でありました。  被害率、これは要求を受けた事業所数を回答事業所数で除した比率でございますが、この被害率は全体の一九・八%となっておりまして、そのうち、不法、不当な要求に応じた事業所は二百五事業所。応諾率、これは要求に対して全部または一部応じた事業所数を要求を受けた事業所数で除した比率でございますが、この応諾率は二七・八%を占めております。  以上でございます。
  129. 辻第一

    ○辻(第)委員 この調査昭和六十二年に始まって以来、六回の調査が行われました。日本共産党はその以前からこの問題を指摘していたわけでありますが、結果を見ますと、依然として深刻な実態があることが明らかであります。法務省としてもこれまでからいろいろな取り組みを進めてこられたことと思いますが、現実、なかなか減らない、根絶されない、それどころか増加をしているというのはなぜなのか。御見解を伺いたいと思います。
  130. 横山匡輝

    ○横山政府委員 えせ同和行為は、同和問題は怖い問題であり避けた方がよいとの人々の誤った意識に乗じ、同和問題を口実に企業等に不当な利益や義務なきことを求める行為でありますが、企業等におきましては、同和問題に対する正しい理解が十分でないことや、不当な要求でも安易に金銭で解決しようとする事なかれ主義的な体質があることが、えせ同和行為を横行させる大きな原因になっているのではないかと考えております。  えせ同和行為が増加しております理由としましては、今回のアンケート調査に寄せられました自由意見などにもあらわれてきておりますが、脅迫行為にならないようにするなど、えせ同和行為の手口がますます巧妙かつ陰湿になっていることなどが考えられると思います。
  131. 辻第一

    ○辻(第)委員 人権教育、啓発の問題をめぐっては、これまでから種々の問題が指摘をされております。広島県における異常な同和教育の実態や、あるいは依然として残る乱脈な同和行政、あるいはなお残る逆差別など、数え上げますと切りがない残された問題がございます。ここに、なおえせ同和行為がはびこる土壌があるのではないかと思います。  結局、同和行政が終結したにもかかわらず、なお各地で温存されていると言っても過言ではない実態を、経過措置が切れるまでの間に解決し、同和行政をずるずる続けることのないように、きちんと対応していただきたいと思いますが、いかがですか。
  132. 横山匡輝

    ○横山政府委員 法務省の人権擁護機関では、昭和六十年以来、えせ同和行為排除のための啓発活動に取り組んできておりまして、昭和六十二年六月十五日以降は、全省庁の参加するえせ同和行為対策中央連絡協議会も設置され、同協議会が決定しましたえせ同和行為対策大綱のもとに、えせ同和行為排除に向けた政府一体となった取り組みが積極的に行われてきているところであります。  法務省としましては、今後も引き続きえせ同和行為排除に向けた啓発活動に積極的に取り組んでまいりたい、そのように考えております。
  133. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、この答申案では、今後の問題として法的措置を盛り込んでいませんね。これは当然のことだと思うのですが、法務省はどのようにお考えでしょうか。
  134. 横山匡輝

    ○横山政府委員 人権擁護推進審議会の答申案に何を盛り込むべきかというのは、まさに審議会がお決めになることであります。これにつきましての法務当局としての見解は控えさせていただきたいと思います。  なお、審議会におきましては、答申案に記載してある諸施策はいずれも法的措置をとることなく行財政措置で十分対応が可能であるという認識のもとに、今回の答申案が取りまとめられたものと承知しております。
  135. 辻第一

    ○辻(第)委員 今後の人権教育、啓発ともかかわって、答申案では、行政の主体性の確立、教育の中立性について触れたり、押しつけを否定、行き過ぎた追及行為を批判しております。こうした問題は今に始まった問題ではなく、同和行政、同和教育にかかわって、ずっと以前から指摘をされてきた諸点でもございます。これらの指摘は、結局、同和行政、同和教育が温存されていることによるものと言わざるを得ないわけでございます。  法務省は行政の主体性の確立等をどのように確保、推進されるのか、お尋ねをいたします。
  136. 横山匡輝

    ○横山政府委員 このたびの人権擁護推進審議会の答申案におきましては、人権教育、啓発がその効果を十分発揮するには、その内容はもとより、実施の方法等においても国民から幅広く理解と共感を得られるものであることが必要であるとしまして、ただいま委員指摘のとおり、人権教育、啓発を担当する行政は主体性を確保することが重要であると述べております。  また、人権教育、啓発にかかわるすべての人は、国民の間には人権問題や人権教育、啓発の内容、手法等に関して多様な意見が存在していることにも十分配意し、異なった意見に対する寛容の精神に立って、人権問題等に関し自由な意見の交換を行うことができる環境づくりに努めることが求められるとしまして、人権上問題のある行為をしたとされる者に対する行き過ぎた追及行為は、国民に人権問題に関する自由な意見交換を差し控えさせることになるなど、上記環境づくりの上で好ましくないものと言えると、人権上問題のあるような行為をした者に対しては、人権擁護に当たる公的機関が迅速かつ適正に対応することが重要であると述べております。  法務省といたしましては、答申が出されました際には、これを最大限に尊重しまして、答申の趣旨を踏まえました人権啓発の推進に努めてまいりたいと考えております。
  137. 辻第一

    ○辻(第)委員 行政の主体性の確立など、十分に対応していただきたいとお願いをいたしておきます。  次に、答申案では、人権擁護部門の実施体制の整備が重要であるとしております。この点について、法務省の認識と今後の対応について伺います。
  138. 横山匡輝

    ○横山政府委員 人権擁護行政を所管します法務省は、これまで人権啓発活動や人権侵犯事件の調査、処理等に積極的に取り組んできたところでありますが、中央省庁改革基本法におきまして人権擁護行政充実強化が特に求められていることにも照らして、今後、人権擁護行政実施体制につきましても一層の充実強化を図ってまいりたいと考えております。  また、今回の答申案との関係でございますが、人権啓発につきましては、七月末に取りまとめられる予定審議会の答申に施策についての提言が盛り込まれました際には、これを最大限尊重し、その提言を踏まえた施策の実施に向けて必要な体制整備に努めてまいりたい、そのように考えております。
  139. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうか必要にして十分な御対応をいただきたい、このことを最後に要望いたしまして、終わります。  ありがとうございました。
  140. 原田昇左右

  141. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  私は、きょうは、会計検査院に来ていただいていますし、また警察の官房長にも来ていただいています。  まず、会計検査院の院長にお尋ねいたしますけれども、会計検査院の検査対象に聖域というものがございますでしょうか。
  142. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 お答え申し上げます。  私どもの検査対象は、国の各省各庁を初め、各種の政府出資法人、さらには都道府県、市町村、非常にたくさんの検査対象がございますけれども、私ども、これらの検査対象に対しまして検査を実施する場合には、聖域はないという共通の認識のもとに、公正かつ厳正な検査を行っているところでございます。
  143. 保坂展人

    保坂委員 では、続けて会計検査院に伺います。  検査報告書に、昭和二十三年に物品購入の不適切の指摘などがあったという件が一つだけあるんですが、それ以降五十年間、警察の不正経理などが指摘されたこと、あるいは報告に何らかの記載があったことはあったでしょうか。  多分ないというふうに把握しているんですが、とすると、五十年間、警察の検査に一体延べ何人を費やし、人件費をどれだけかけ、コストをどれだけかけてきたのかということを、短く端的にお答え願いたいと思います。
  144. 関本匡邦

    ○関本会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私どもの会計検査院で警察関係を検査しておりますのが司法検査課というところでございまして、ここは、裁判所、法務省あるいは警察庁といったところの会計検査を担当しているところでございます。  今おっしゃられましたような、過去にさかのぼって全体の検査人日数とか、今ここではちょっと資料を持っておりませんが、少なくとも昨年、平成十年についてのこうした機関に対します検査の実施状況についてお話し申し上げますと、司法検査課の検査人員は十八名でございまして、計九百八十五人日の検査を実施したところでございます。  このうち、警察庁については、本庁のほか、二管区警察局であるとか、十一都道府県県警本部などを対象にいたしまして、約百四十四人日でございます。  大体、毎年このような形で検査をしておるところでございます。
  145. 保坂展人

    保坂委員 五十年間ですから、毎年十カ所近い県警本部に会計検査院がチェックに行くということで、何にも、ほこりも出てこないということなら本当に御立派なんですけれども、多々いろいろ指摘されていることがあるわけです。  院長にもう一度伺いますが、会計検査院が警察本部に入るよというのは、検査院法で、別に予告をしなくても可能かと思うのですね。いわば抜き打ちで検査をするということはできないのか、現状は何日前に告知されているのか、このあたりをちょっとお願いしたいと思います。
  146. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 私ども実地検査を行います場合には、法律上は、特別に事前に予告をしなければならない、こういうことにはなっておりませんで、抜き打ち検査をすることも可能でございます。  ただ、実際の運用の問題といたしまして、検査対象は非常に膨大な量の会計経理が行われているということもございまして、ある程度事前に必要な調書など準備していただきまして、効率的な検査に当たるということで運用しているのが通常のケースでございます。
  147. 保坂展人

    保坂委員 何日前か、後ほどまたお答えいただければと思います。  実はここに、今から三年前の九月のアエラという雑誌に載った「会計検査院の「お迎え方」」という記事がございます。これは、愛知県警の会計課長の名前で、会計検査院が実地検査に来るときの受検マニュアルですね、検査の受け方のマニュアルという内容です。一応、お席にもお配りをしています。  見てみると、例えばマニュアルの部分では、「出来るだけ相手に話させるため、自分の知っていることでもよく拝聴し、むしろ感銘深く聞くなど、聞き上手になること。」「話題を継続させるため、「なるほど」、「初めて伺いました。」などの適当な相槌を打つこと。」とか、「多弁は禁物」「話の中で思わぬ矛盾が出たりして誤解を受けたり、深く追求されたりするおそれがあるので注意する」べしなど、この部分は、まあこんなことを書くのかなという部分もあります。  ところが、「統一事項」というところは、ちょっとこれは見逃せないですね。  例えば、「金庫の保管場所について、施錠のかかる机あるいは脇机の引き出しに格納しておくこと。」つまり、金庫は隠せと。  そしてまた、統一事項の七を見ると、「捜査報告書のうちで提示できるものを2〜3件準備」、これは受検に備えて新しくつくってもいいと書いてあります。そして、「捜査報告書の内容は、旅行日、旅行地、協力者名など旅費、捜査費の支払いと合致していること。」本庁関係課との打ち合わせ、調整をあらかじめしておけと。  あるいは、「旅費」については、旅行実績のない者の命令簿は削除しておけとか、あるいは「「公務自動車証明書発行簿」については、提出(存在)しないものとする。」  あるいは、これは重大ですね、「共通」というところを見ると、「国費認定事件(受理)簿については、提出しない。」「会計関係書類の表紙に保存年限を記載しているものがあれば、保存年限を入れてないものに作り替えておく。」  あるいは、印鑑の集中管理はしない。規程集などはわからない場所に移せ。事務分掌表、宿日直表など勤務実態に関係するものは、机の上や掲示板のところから外して目につかないように注意しておくこと。当直勤務日誌あるいは署日誌など、提示要求のおそれもあるので、一カ月単位でもう廃棄をするということにしてしまえ。こういうような内容が実際に出されている。  それで、聞くところによると、これは八月に出されているようですね、この後、八月の二十六日から検査院の検査が始まるのですけれども、一体このマニュアルは何なんだということがやりとりされたそうですけれども、会計検査院は、こういうマニュアルを出されてどういう気持ちで検査しているのでしょうか。
  148. 関本匡邦

    ○関本会計検査院説明員 お答え申し上げます。  委員指摘のありました、報道といいましょうか、雑誌の件でございますが、個々の事項につきましては我々承知しておりまして、これにつきましては、各項目につきましても念頭に置きまして会計検査に臨んだわけでございます。その際には、必要な資料については提示を求めたり、あるいは口頭で説明を聴取するということなどを行ったわけでございます。
  149. 保坂展人

    保坂委員 それでは、警察庁の官房長にお聞きします。  会計検査院がこのマニュアルは何だと検査のときに尋ねたところ、愛知県警では、これはもう全部警察庁に聞いてほしいというふうに答えたと聞いておりますが、一体こういうマニュアルはなぜできたんですか。どういう存在なんでしょうか。愛知県警だけにあるものなんでしょうか。
  150. 野田健

    野田(健)政府委員 お尋ねのマニュアルというのは、平成八年当時、愛知県警察が、会計検査院の受検に際して、受検要領を作成して事務担当者に配付したという報告を受けております。  なぜこのようなマニュアルをつくったか、受検要領をつくったかということでありますけれども、その時点で前回の検査から四年を経ているということで、受検準備が円滑に行われるよう、事務担当者に対し、念のため、確認すべき事項を事務的に連絡したということでございます。
  151. 保坂展人

    保坂委員 そうすると、今あっさり、そういうことでつくられたとお認めになったので、どうですか、保存年限を記載しているものがあれば入れかえろとか、規程集などはわからない場所へ移せ、これは何か意味がありますか。検査逃れじゃないのですか。
  152. 野田健

    野田(健)政府委員 書類をつくるときに、義務的に表示しなければならないことと、それからそうでないものとがあるということで、統一を図るためにそういう指示をしたという報告を受けております。  個別具体的な内容については、警察庁が、こういうものをつくるべきであるというようなことで指示したものではございません。
  153. 保坂展人

    保坂委員 これは大変な問題だと思うのですね。これは前の官房長が、九六年五月十七日に行われた全国警察本部の総務部長、警務部長などを集めた部内会議でおっしゃっていることだと紹介されていることがあるのです。  こういう会計経理の問題でこういう問題が指摘されているというのは重大だ、警察は法の執行機関であるだけにこの問題は極めて重要だ。仮に経理上違法な行為が行われたとすると、単に会計法、財政法上の問題だけではなくて、刑事罰の対象になってくると。また別の箇所では、仮にどこかででたらめをやっても外に出ないだろうなどと安易に考えてもらっては困る。そういうようなことを前任の官房長が言われているのですが、こういった問題について、現在の官房長の基本的な姿勢はいかがですか、今のマニュアルについても関連をいたしますが。
  154. 野田健

    野田(健)政府委員 九六年当時の官房長が内部の会議でどのようなことを言ったかということについては、コメントを差し控えさせていただきますけれども、一般論として、官房長の職にある者は、会計担当者あるいは警務、総務部長あるいは本部会議等におきまして、必要な予算の確保、あるいは予算の効率的な執行と適正な経理ということについては常日ごろから指示しているところでございます。そして、もし仮に不正行為があるということであれば、当然、会計法令、刑罰法令に照らして厳正に対処すべきものと考えております。
  155. 保坂展人

    保坂委員 もう一回、会計検査院院長に伺います。  大変屈辱的なマニュアルじゃないかと思うのですね、この愛知県警の中から出てきたのは。これは、準備を整えて適正な検査に万全を期すようにつくられたとは思えない部分を私は紹介しました。今の官房長の御説明では、こういうものをつくったということはお認めになったわけですね。しかも、限られた人数で、限られた時間でしか検査できない。こういう実態について、やはり根本的に考え直すべきじゃないですか。抜き打ち検査もそうだし、人員をもっとかける、時間もかける、そういうことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  156. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 私ども、冒頭に申し上げましたように、非常に膨大な検査対象に対しまして毎年検査を行っているわけでございますけれども、その中で、非常に予算規模が大きい検査箇所、あるいは、過去の検査の結果から見まして問題が多いと思われるような検査箇所、さらには、国会あるいはマスコミでいろいろ御論議があって国民の関心が高いような検査箇所に、重点的に限られた戦力を投入して検査に当たる、こういうことでこれまで来たわけでございます。  したがいまして、ただいま委員指摘の件につきましても、念頭に置きながら、検査手法につきましてもいろいろ創意工夫を凝らしながら、今後、厳正な検査に当たってまいりたい、このように考えております。
  157. 保坂展人

    保坂委員 それでは、最後に、会計検査院の方にもう一回聞きます。  先ほど、何日前に警察に予告されているのかということに答弁がありませんでした。  もう一つは、このマニュアルというのは大変失礼なものだと思うのですよ、会計検査院に対しては。大変失礼な、人を食った話ですよ。相づちをこうやって打って、ごもっとも、ごもっともと言いなさいとか、そういうことから始まって、もう検査しようがないような、いわゆる検査逃れの具体的な指示まで、これはつくったんだと官房長がお認めになっているわけです。  とすると、愛知県警の現場では警察庁に聞きなさいというふうに言われて、警察庁に聞いたり、あるいは抗議したり、こんなものは何なんだというきちっとしたやりとりをやったんですか。それをやっていなければ、会計検査院のこの検査の作業五十年自身が、もう予算のむだ遣いですよ。
  158. 関本匡邦

    ○関本会計検査院説明員 最初のお尋ねの、あらかじめ検査の通知ということでございますが、約一カ月近く前ということでございます。
  159. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 私どもの会計実地検査に対しましていろいろな準備をなさっておられることにつきましては、私どもも冷静にその事実関係を受けとめまして、それに対応する方法としては、やはり私どもの方でより厳密に検査を実施していくことが、そういった対応にこたえる方法だというように受けとめておりまして、今後ともに厳正な検査に努めてまいりたい、このように考えております。
  160. 保坂展人

    保坂委員 それでは、警察の方にこのマニュアルについてきちっと言われたのかどうかというところの答弁がなかったのですが、時間が来ていますので、それは後ほど答えていただくようにします。——いいですか。では、それだけ。
  161. 関本匡邦

    ○関本会計検査院説明員 今のお話でございますが、一般論としては、警察庁の方にも聞いておるということでございます。
  162. 保坂展人

    保坂委員 大きな課題を、五十年という長い歴史で全くゼロなので、これは着手することは大変難しいかと思いますが、しかし、こういうことが放置されていてはやはり国民の信頼は生まれてこない、特に会計検査院の責務は大きいということを指摘して、私の質問を終わります。
  163. 原田昇左右

    原田委員長 次に、栗本慎一郎君。
  164. 栗本慎一郎

    ○栗本委員 無所属の栗本慎一郎であります。  いわゆる——いわゆるでは盗聴法ですが、通信傍受法、まだ成立しておりませんけれども、この関係につきまして、簡単にポイントだけお聞きしたいと思います。  そのポイントは、通信傍受されることによって人権がどのように守られるのか云々という議論が非常に強くされておりますし、それは私もしておりますけれども、現実には警察が、国家がですけれども、警察が窓口になって通信を傍受する。その傍受された通信が傍受されるという危険が最も高いんだ。こういったものは、機密といいましても、今我々がインターネットをいじっておりましても、常に、今ここでこれをアクセスするとこの情報が流れますけれどもいいですかと、どんどん聞いてくる。最初は気になるのですが、そのうちに、もう余り面倒くさいから、そこはオーケーしません、次へ行きませんからとやるのですが、国内だけではなくて国際的にという形になります、なっているわけです。  今回、警察が中軸になってNTTに来ているものを引っ張ってとって——今後どのように機材を購入されていくのかということをお聞きしたいのですが、そのお答えの中に、ぜひとも伺いたいのは、それは、その傍受を傍受できるシステム、その傍受が、国内では、国内の犯罪組織が傍受するということもこれはあるでしょうけれども、さらに国外の、犯罪組織じゃないかもしれませんけれども、使われる。あるいは、治安にかかわるようなところに傍受されていく、そういったことが現実には十分以上考えられるわけなのであって、そのことについて、機材購入等の中でどうお考えになっているのか、その辺のところをまずお聞きしたいと思います。まずではございません、ほとんどですが、もう時間がございません。よろしくお願いします。
  165. 堀内文隆

    ○堀内説明員 通信傍受法案につきましては、御案内のとおり、現在参議院において審議中でありますので、確たることを申し上げることができる段階にないことは御理解いただきたいと思いますが、この法案が成立した場合には、法案で規定されております、例えば、傍受をした通信をすべて記録すること、犯罪と関連しない通信の記録を消去すること、立会人が封印をした記録媒体を裁判官に提出すること、こういった事項につきまして適正かつ的確に行うことができるような機材を使用することになるものと考えております。
  166. 栗本慎一郎

    ○栗本委員 それでは、御要望も含めて申し上げておきますが、それが警察からどこかに流れる云々という議論も、懸念も表明されたりしておりますが、私はそのことを申し上げません。  警察がきちんと消去しても、そこまでのラインのところに入ってきている情報がどこかに保留され、留保され、あるいは悪用されて、そちらの方は当然これは消去されないわけです。したがいまして、傍受をしていないということであれば、どこでやっているかわからないわけだからいいのですけれども、これは証拠に使われる傍受をするわけですね。警察が何を傍受しているかということが明らかになってしまって、恐らく世界的にも明らかになっていくだろう。それについて警察がきちんと対応するというだけではなく、傍受を抑える、防御する、そういったことについても今後お考えいただきたいし、また、その辺のところで特段の、日本の傍受をさらに傍受しようというふうな危機が国際的にあるいは国内的に広がったりしないように、その辺のことも。  ただ、御自分のところの機材、これはここで買っておこうというふうなことだけではなく、通信というのは、軍事の問題と違いまして非常に、エキスパートは軍事内部だけではなく、むしろ警察の外に、失礼ながらいるわけです。また、日本国内でなく、世界にいるわけです。非常にレベルが今、はっきり言って違っていると思います。インターネットは世界で広がっていっている、当然のことでありますね。その辺に関して十分御注意をして、予算を、もし通った場合ですけれども、御執行いただきたい。  また、通信傍受の問題というのは、実は、日本の情報をまとめて、外国あるいは何らかのところに、むしろそれが組織的な犯罪機関であったりしたりすると大変困るのですけれども、そうした危険があるんだ、そちらの方がむしろ危険なんだと私は思っておりますので、直接、機材を使って御執行の担当になる警察としては、ぜひとも御注意、また、その辺を今後とも国民の前に明確に、我々はこういう形で頑張っているんだということが言えるようにしていただきたいと思います。  時間が参りましたので終わりますが、ぜひともよろしく頑張っていただくようにという趣旨でございますので、誤解のないように。  では、質問を終わります。
  167. 原田昇左右

    原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十四分散会