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1999-03-09 第145回国会 衆議院 環境委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月九日(火曜日)     午前九時三十分開議   出席委員    委員長 北橋 健治君    理事 石原 伸晃君 理事 鈴木 恒夫君    理事 萩山 教嚴君 理事 福永 信彦君    理事 小林  守君 理事 佐藤謙一郎君    理事 田端 正広君 理事 武山百合子君       愛知 和男君    岩下 栄一君       大野 松茂君    桜井 郁三君       戸井田 徹君    村上誠一郎君       山本 公一君    近藤 昭一君       西  博義君    丸谷 佳織君       中村 鋭一君    藤木 洋子君       土井たか子君    中川 智子君       武村 正義君  出席国務大臣         国務大臣         (環境庁長官) 真鍋 賢二君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       太田 義武君         環境庁企画調整         局長      岡田 康彦君         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         環境庁自然保護         局長      丸山 晴男君         環境庁大気保全         局長      廣瀬  省君         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         大蔵大臣官房審         議官      福田  進君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         農林水産技術会         議事務局長   三輪睿太郎君  委員外出席者         環境庁企画調整         局環境保健部長 澤  宏紀君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 田中 慶司君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課産業廃         棄物対策室長  仁井 正夫君         農林水産大臣官         房審議官    大森 昭彦君         農林水産大臣官         房審議官    西藤 久三君         農林水産省構造         改善局建設部長 松浦 良和君         労働省労働基準         局安全衛生部長 下田 智久君         建設省道路局次         長       河崎 広二君         自治大臣官房審         議官      林  省吾君         環境委員会専門         員       鳥越 善弘君 委員の異動 三月九日         辞任         補欠選任   土井たか子君     中川 智子君 同日         辞任         補欠選任   中川 智子君     土井たか子君 二月十六日  環境ホルモン対策に関する陳情書(第四七号)  総合的な有害化学物質対策に関する陳情書外二件(第八八号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  環境保全基本施策に関する件     午前九時三十分開議      ――――◇―――――
  2. 北橋健治

    北橋委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野松茂君。
  3. 大野松茂

    大野(松)委員 おはようございます。自由民主党の大野松茂でございます。  大臣、昨日はわざわざ所沢中心としたくぬぎ山地域に御視察いただきまして、まことにありがとうございました。早速でございますが、ダイオキシン問題につきまして何点かお尋ねをさせていただきます。  埼玉所沢市産の野菜が高濃度ダイオキシン汚染されているというテレビ朝日報道を契機として起きました野菜騒動は、お茶にも実は飛び火をいたしましたが、発端となった報道そのものに誤報あるいは意図的報道、行き過ぎた刺激的表現がございました。それが流通業者消費者過剰反応を呼ぶことになりまして、入荷拒否価格大幅下落へと拡大をいたしまして、深刻な事態となりました。まさに報道被害風評被害として新たな問題を提起した、こう思っております。  殊に、未解明部分が多い化学物質安全基準などに対する国の対策のおくれ、当地域に集中する異常な産業廃棄物焼却炉実態につきまして、農家あるいはまた住民のいら立ちはかつてない厳しいものとなっておりまして、ダイオキシン発生源としての焼却炉運転休止を求める事態にさえなっているところでございます。  本来、当地方は関東平野屈指農業地帯でございまして、平地林の落ち葉を堆肥として、有機質をたっぷり使った畑から生産されるすぐれた野菜は、大都会東京の豊かな食生活を支えてまいりました。この平地林の多様な有用性が言われながらも、高い相続税によって手放さざるを得ないという実態の中にございます。そこに立地をした産廃焼却炉は、所沢、狭山、川越など三市一町で一時は五十九施設もございました。昨年十二月の法規制強化後におきましては三十五施設減少をしております。その一番中心でありますところのくぬぎ山地域には、半径五百メートルの範囲内に九事業所十四炉ありましたが、最近では廃止、休止がありまして、五事業所九炉に減少をしております。  地域では、緑を守り、循環型農業を継続するために、平地林農地と同じように相続税猶予の対象にすべきだ、このようなことで、国や県に陳情や請願を続けているところでもございます。  産廃焼却炉ダイオキシン発生源として住民を苦しめ、そして農家を苦しめているわけであります。農家皆さんは、燃やしても有害物質の出ないフィルムの導入、またビニール資材の回収などにつきましても熱心に取り組んでおられまして、新鮮で安全な野菜を食卓に届けるという大きな使命を自信を持って頑張っているところでございますが、さき予算委員会では、所沢では農家自身が生産した野菜を食べないとか、農家は危ないと思って食べなかった野菜を出荷して消費者に食べさせる、このような発言もございました。これは、農家の感情を逆なでするどころか、農家を愚弄するものでございます。  JA所沢市が自主的に調査した結果は異常なものではありませんでした。基準がない中で数字がひとり歩きするのを懸念して、よかれと思って公表しなかったとJAは言っております。JA所沢市の公表に続きまして、生協さいたまコープも、JAいるま野も独自調査結果を明らかにいたしましたが、これも同様、異常な数値ではございませんでした。微量で重要な数値の扱いには慎重であるべきでございます。  この事件で提起された問題は極めて大きく、再び繰り返してはならない貴重な経験として、国は、一刻も早く安全基準を設定すると同時に、県とともに、産業廃棄物焼却施設立地を初め厳しい対応を進めるべきものと強く要請をする次第でございます。  さて、大臣におかれましては、さき所信表明で、ダイオキシン環境ホルモン対策の一層の推進について決意を明らかにされました。本件につきまして、早速三省庁連絡会議の設置など、具体的な対応を進めておられますが、また昨日は現地を御視察いただいたところでもございます。  こうした現状の中から具体的にどのようにこれからなさるおつもりか、また早速着手された実態調査の今後の見通しなどにつきましてまずお尋ねをいたします。
  4. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 昨日は、所沢を初めといたしましてくぬぎ山周辺、また寄居を初めとしまして埼玉県の所々方々を視察させていただきました。大野先生を初めといたしまして、県議会中でございましたけれども、土屋知事さんや県議の堀口先生そしてまた多くの県会先生方のお出迎えをいただきまして、懇談の機会を得ることができまして大変感謝をいたしております。皆様方の並々ならぬダイオキシンに対する関心の深さに、一段とその対策必要性を感じたところであります。ぜひ一緒になってこれらの問題に取り組んでいきたいと決意も新たにいたしたところでございます。  歴史と申しましょうか、ちょっと事前のフォローをしてみますと、所沢の問題については、二月五日に環境庁厚生省及び農林水産省合同連絡会議を設置いたしまして、八日には野菜ダイオキシン類についての実態調査を、十八日にはお茶調査を実施すると決定したところであります。そして、現在、三省庁連携によりまして、埼玉県の協力を得ながら調査を進めておるところでございます。環境庁にかかわるものとしては、土壌とか大気、水などの検体採取はすべて終了いたしまして、検査機関に持ち込み、測定のための濃縮と抽出の作業に入っており、また厚生省農林水産省調査検体採取は終了いたしたと聞いております。同様に測定のための前処理に既に入っておると聞いておるところでございます。  三省庁連絡会議では、三月中に結果を公表するといたしましたが、調査にかかわる作業は順調に進んでいると聞いており、三月中には結果を公表し、皆さんにさらに安心していただけるように努力をいたしておるところでございます。それが現況でございます。
  5. 大野松茂

    大野(松)委員 どうもありがとうございました。早速対応を進めていただいておりまして、このことが地域の者にとりましては何よりも安心につながるわけでございますから、一層ひとつよろしくお願いいたします。  今回のこの一連事件関係して思うことでございますが、安全にかかわる問題は、一定の知見に基づいてその意味を示す必要がございます。今回の報道についてもそうなんですが、報道機関も、そういう性格のものとして本来は慎重に扱うべきものではないか、こう思っております。大臣、このことについてはいかがお考えでしょうか。
  6. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 一連報道による国民やそしてまた生産者に対する不安感危惧感というのは大なるものがあるということを認識いたしたわけであります。それがためには、何としても多くの皆さん方科学的調査によるデータを持ってもらわなきゃならないということで、いわゆる科学的知見を公表すべく努力をいたしておるところであります。  御指摘のように、ダイオキシン問題は科学的知見に基づき慎重に対処すべき問題だと考えており、環境庁としても、我が国において科学的知見集積が進み、国民に的確に正しい情報が提供されるように努めてまいりたい、こう思っておるところであります。  現在では、十数年前より国立環境研究所においてダイオキシン研究を行ってきたところであり、また、平成十年度において、全国約四百地点において、大気土壌水質などの緊急一斉調査発生源調査を行っておるところでございます。さらに、平成十一年度においては、環境モニタリングを初めとする各種の調査研究を予算要求して、万全を期そうと考えておるところでございます。  環境庁においては、今後とも科学的知見集積に努め、その成果を広く普及するとともに、国民の安全の確保のための施策にぜひ生かしていきたい、こう思っておるところであります。
  7. 大野松茂

    大野(松)委員 本件につきましては、埼玉県民にとりましても、大きな不安や行政に対する不信を生みました。土屋埼玉県知事、また斎藤所沢市長平野JA県中央会長らも実は環境庁厚生省農水省などをお訪ねしまして、三大臣陳情要望活動を行いました。私も御一緒させていただいたわけでございますが、それぞれが要望しておりますことの一番は、安全基準、一日耐容摂取量、TDIについて統一性を強く求めているところでもございます。  環境庁は、環境保全を推進するという観点から、厚生省十分連携をして、一日も早くこの安全基準の設定を進めるべきでございます。取り組みの状況などについてお知らせいただきます。
  8. 澤宏紀

    澤説明員 TDIの見直しについてお答えいたします。  厚生省では、平成八年六月に、人の健康を維持するための許容限度として、耐容一日摂取量TDIでございますが、体重一キログラム当たり十ピコグラムと設定されておられます。また、環境庁では、平成九年五月に、より積極的に維持されることが望ましい水準として、健康リスク評価指針値を、一日に体重一キログラム当たり五ピコグラムと設定したところでございます。  平成十年五月に開催されました世界保健機関WHO専門家会議におきまして、ダイオキシン類TDI体重一キログラム当たり一から四ピコグラムとすることで合意したとの発表があったわけでございますが、その根拠となる動物実験等科学的裏づけが明らかにされてこなかったところであります。  平成十一年の一月になりまして、世界保健機関WHO事務局からその根拠となる報告書がようやく届きまして、これを踏まえて直ちに、平成十一年の一月二十八日、厚生省合同学識経験者から成る審議会合同会合を開催いたしまして、TDIについての再検討を開始したところでございます。  環境庁としましては、TDIは、最新の知見に基づき、WHO結論も含めて、我が国専門家により科学的に十分検討を行った上で策定されるものであり、ダイオキシン類健康影響評価にとって重要な判断基準であると認識しておりまして、厚生省とも連携して、可及的速やかに結論を得るべく努力していきたいと思っております。
  9. 大野松茂

    大野(松)委員 まさに可及的速やかな対応をお願いしたいところでございます。  厚生省がお見えだと思います。厚生省お尋ねいたしますが、今回の報道によって、大手スーパー販売停止などが相次ぎまして、不安が一層募ることになりました。不安を解消するためには、国がきちんとした基準を示すことが何よりも大事でございます。  食品から摂取されるダイオキシンについて、全国調査を進めて基準を設置すべきではないかとの声が極めて大きくなっております。一方で、実際に人が口にするすべての食品ごと基準値を設定するのは困難ではないか、こうも思うわけでございますが、どのようなお考えか、見解をお示しいただきたいと思います。
  10. 田中慶司

    田中説明員 御説明申し上げます。  ダイオキシンによる人の健康への影響を評価する場合には、通常食生活から人が取り込みますダイオキシン総量と、それから、先ほど環境庁からも御説明がありましたけれども、耐容一日摂取量TDIとを比較することによって行うことが一般的でございます。そして、国際的にもこのTDIを指標として健康影響を評価するというのが一般的でございます。  また、我が国の平均的な食生活において人が取り込むダイオキシン総量についての調査結果、それから諸外国の状況というようなものを踏まえますと、現在のダイオキシン摂取レベルでは健康影響が生じるとは考えられません。そこで、個別食品基準を設定して何らかの対策を実施する必要はないのではないかというふうに考えているところでございます。  なお、食品中のダイオキシン汚染程度がさまざまであること、それから、個人の食生活も非常に多様であるということから、個別食品ごと基準を設けることは適切ではなくて、通常食生活から人が取り込むダイオキシン総量TDIを比較することによって判断すべきであるというふうに考えているところでございます。  また、ダイオキシンの問題に関しましては、国民の不安を解消していくために、正確な情報国民に伝えていくことが極めて重要であるというふうに考えておりまして、このため、現在実施しております食品中のダイオキシン類汚染実態調査について拡充を図りまして、その結果を公表するなど、ダイオキシンに関する確実な情報を伝達するための適切な措置を講じ、国民不安解消に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  11. 大野松茂

    大野(松)委員 一般に、国民皆さん方は、今回の事件の中で、例えば食品別にそういうものを設けるべきではないか、そういう安全基準が必要なのだということを事あるごとに口にされるわけですけれども、そういう今の御答弁のようなことについては、十分国民皆さん方にも御理解いただけるような説明をする責任が私はやはりありはしないかと思っております。  農水省がおいでになっておられるはずでございますが、今回の事件の中で、こうしたホウレンソウ中心とした、またお茶にまで飛び火をしたわけでございますが、問題が極めて大きくなっております。  問題は、ごみ焼却施設周辺ダイオキシン汚染が各地で表面化をしてきているわけでありますけれども、これら施設の大部分農業地域立地をしているということも農家の不安は極めて大きいと思うわけです。このような事態は十分実は予想されたことでもありはしないかと思っております。全国野菜類農作物農地などについても、こうしたどの程度ダイオキシン汚染されているかというデータを得る努力を、農水省にはこれからもぜひしていただきたいと強く要望するところでもございます。  今回のこの件の中で、実は、作物体の中にダイオキシンがどのような形で取り込まれるのかということも大変議論心配の種になっております。今回の一連の騒ぎの中でも、ホウレンソウへの不安の一因となっておりますのは、ダイオキシンは一体作物体内に、ホウレンソウの中にどんな形で取り込まれるものなのか、本当にホウレンソウの中に、作物の中に取り込まれるものなのかどうかということも大変な不安に実はなっております。  この点について、このメカニズムといいますか、このことは解明されているのかどうか、教えていただきたいと思います。
  12. 三輪睿太郎

    三輪政府委員 御説明申し上げます。  農作物へのダイオキシン汚染につきましては、ダイオキシンそのものが極めて水に溶けにくいという化学的性質を持っていることから、根や気孔から生理的に吸収される可能性は乏しいと考えております。したがって、一般に、降下ばいじんが直接あるいは泥がはねることによりまして茎や葉に付着することが主な原因と考えられております。しかし、先生指摘のように、科学的知見について十分ではないというのが実態でありますので、この点に関しましても、今後十分な科学的な調査研究を進める必要があると思っております。  このため、当省でも、これまでの調査研究に加えまして、平成十一年度からダイオキシン等動態解明作用機構に関する研究について積極的に取り組むことにしております。
  13. 大野松茂

    大野(松)委員 この一連報道もそうなんですが、気孔からホウレンソウの中に入るんじゃないかとか、こういうことがまことしやかに伝えられるものですから、なおさら実はホウレンソウに限らずほかの作物についても心配をする向きが極めて大きいわけであります。そういう意味におきましても、既に今お取り組みいただいているということでございますが、大事な解明策でもありますので、ぜひこの研究を急いでいただきたい、こう思います。  それと、農水省にもう一つお尋ねしたいんですが、農水省では、このたびの誤解を招く不適切な報道によりまして生産者関係者影響が及んだという観点から、テレビ朝日に対して事実関係確認などについて申し入れを行ったと聞いております。そのことについて、どんなことをなさっておられるのか、お聞きいたします。
  14. 西藤久三

    西藤説明員 先生御質問ありましたように、二月一日の報道以来、消費者実需者所沢野菜についての不安感が広がるとともに、ホウレンソウ価格が大変低下する、生産者にも大きな影響が生じた、かつ、その後根拠となった報道数字がその他の実態調査等と比べてほぼ同レベルのものであるという状況を踏まえまして、当省としては、報道において所沢野菜が余り安全でないという事実と異なる報道となった経緯、根拠についての事実確認、それと、事実と異なる放送内容についての訂正とそのことの一般国民への周知のための申し入れを行ってきているところでございます。  テレビ朝日への申し入れにつきましては、二月十日以来、二月十八日、二月二十五日と三回行い、その都度テレビ朝日から回答を得ているわけでございますけれども、回答が不十分なことから、実は昨日四度目の申し入れを行っている、そういう状況にございます。
  15. 大野松茂

    大野(松)委員 どうも十分な回答は得られていないようでありますが、実は、これは地元のJA所沢市も同じようなことをいたしております。これも同じように十分な回答は得られていないわけでございますが、この生産者団体JAが質問している立場と、また農水省が質問されている立場と、それぞれ大事なことでありますので、引き続き十分な回答が得られるような御努力をお願いしたいと思います。  次に、この一連の中から、作物、食物、こうしたことについて検査をしたいというような向きが大変強くなっております。検査費用は、数年前は八十万とも言われてまいりましたが、現在でも二十万から三十万もかかる、このように言われております。ごく微量な検出だけに、その精度が極めて問われるわけであります。土壌大気、さらには食品ということになりますと、検査機関も限られてくるはずであります。  検査を求める検体も多いようでありますが、現実には、精度管理の上からいって、一体我が国には信頼の置ける検査機関というのは幾つぐらいあるのか、お示しいただきたいと思うんです。あるいはまた、検査機器開発技術の育成はどうなっているのか。また、いろいろな測定機関があるわけですが、この測定結果について評価機関も必要ではないんだろうか、そのようにも思うわけですが、いかがでしょうか。
  16. 田中慶司

    田中説明員 御説明申し上げます。  厚生省におきましては、食品中のダイオキシン検査を行っている機関に対しまして、食品信頼性確保するために、平成九年度から研究班を設けて、第三者による技術評価、いわゆる外部精度管理というのを行っているところでございます。これによりますと、平成九年度においては、これはあくまで食品でございますけれども、三機関において問題がないことを確認しております。また、平成十年度においては六機関が参加して、現在精度管理について実施中でございます。  また、検査技術開発でございますけれども、平成四年度から厚生科学研究におきまして食品中のダイオキシン類汚染実態調査を行う中で、食品別検査方法をどうするのか、そして検査感度をどうやって改善していくのかというようなことを研究しているところでございます。  今後の食品中のダイオキシン検査信頼性確保につきましては、関係閣僚会議の申し合わせを受けましてガイドラインを策定するとともに、技術研修それから外部精度管理を実施しまして、検査体制整備を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  17. 大野松茂

    大野(松)委員 ありがとうございました。  このダイオキシン濃度調査というものに非常に関心が高くなっているものですから、何か漏れ承りますと、ダイオキシン調査専門家のとり合いまで起きているというようなことまで聞くわけであります。国立のいろいろな研究機関も持っておるわけでありますから、そうした国立研究機関などにおきましても、これらについてぜひ積極的な対応をしていただきたいと特にお願いを申し上げるところでございます。  最後になりましたが、ダイオキシン問題についてメディア等で大きな話題となっている割には、先ほどもお尋ねいたしましたが、科学的にも知見が不足しておりまして未解明部分が極めて多い状況にございます。その背景には、大量生産大量消費大量廃棄社会構造と、それを支えるために廃棄物減量化を目的とした焼却依存体制があること、問題解決のためには、製造、流通、また消費廃棄に至るすべての関係者がそれぞれにかかわるところの問題点を明らかにして、改善すべき点を総合的に検討していくことが不可欠でございます。  持続可能な自然環境を守る、こういう認識を持って頑張っておられる農家がしばしば犠牲者とされる事例が余りにも多いわけでございます。第二、第三の所沢を生みかねない状況も感ずるわけでありますが、この一連所沢でのダイオキシン問題につきまして、改めて大臣の御所見、そして御決意をお伺いできればありがたいと思います。
  18. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 昨日も現場を視察させていただきましたけれども、環境問題の解決というのは、やはり現場の状況を的確に把握して、そしてそれに対処していかなければならないという考えを私は終始持ち続けております。このために、昨日、焼却施設やその周辺、そしてまた寄居の最終処分場も見せていただきまして、大変参考になった、こう思っておるわけであります。  そこで、今回の視察を通じまして、先生の御指摘がありましたように、ダイオキシン問題に対する対処には大量生産とか大量消費大量廃棄の産業構造やライフスタイルの見直しが必要である、こう確信をいたしておるわけでありまして、政府全体での効果的、総合的なダイオキシン対策が必要であるということを改めて痛感いたしたわけであります。  このために、これまで環境庁が行ってきた施策を充実するとともに、最高の設置でありますダイオキシン対策関係閣僚会議において今月中に対策推進基本指針を策定いたしまして、政府全体として取り組み、国民に一日も早く安心感を与え、そして生産者も励みを持って仕事ができるようにしてまいりたいと思っておるところであります。
  19. 大野松茂

    大野(松)委員 このたびの調査結果に地元も大きな期待をいたしておりますので、ぜひ、万全な体制をもちまして、この問題の早い解明をお願いしたいと思うわけでございます。  実は、地元からは、これだけ大きな報道がされ、大きな事件になっていながら、何で衆議院の環境委員会が開かれないんだという声も私のところには参っております。これだけの期間、委員会を開いていただけなかったことは残念でございますが、ぜひ、この問題についても、委員会の総意といたしましてさらに積極的な対応をしていただきますようお願い申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  20. 北橋健治

    北橋委員長 岩下栄一君。
  21. 岩下栄一

    ○岩下委員 自由民主党の岩下栄一でございます。  質問の機会をお与えいただき、心から感謝を申し上げます。  大臣所信表明の第一番目の項目でございます地球温暖化対策についてお尋ねをしてみたい、このように思います。  本年一月にアメリカの海洋大気局が、昨年一年間の平均表面温度は十四・四六度で、一八八〇年観測以来平均表面温度が最高になったことを発表したわけでございます。また、時を同じゅうして、大気中のCO2を測定しているハワイのマウナロア観測所が、過去十年間でCO2濃度が二倍になったことを明らかにしております。CO2と温暖化の関係を示していると思います。  また、エルニーニョあるいはラニーニャなどの異常気象、あるいは昨年は世界的に自然災害の非常に大きなものがございまして、この被害は、経済的被害として試算いたしますと八百九十億ドルと言われるような災害でございましたし、また多くの人命も失われたというようなことが、恐らく地球温暖化が気象に及ぼす影響の一つの結果であろうということは明らかであるわけであります。  我が国は、一九九六年、CO2の排出量、炭素換算で三億三千万トン、これは世界四位の排出国でございます。気候変動枠組み条約第三回締約国会議、いわゆるCOP3の議長国としての我が国、あるいは、環境立国を標榜していち早く地球温暖化対策の推進に関する法律をつくった国として、大きな役割を担っているということが言えると思うのです。  大臣の地球温暖化対策についての決意お尋ねいたしたいと思います。
  22. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 地球温暖化に対する問題の取り組みにつきましては、世界各国がそれぞれの立場に立って取り組んでおるのは、先生御承知のとおりであります。  島嶼諸国におきましては、温暖化による水位の上昇によりまして埋没してしまうおそれのある危機感を持ってCOP会議にも臨んで、それを主張いたしておるところであります。  我が国といたしましても、この温暖化防止のために種々対策を講じておるところでございますが、地球温暖化問題は、人類の生存基盤に深刻な影響を及ぼすおそれのある重大な問題であると同時に、現在の大量生産大量消費大量廃棄型の社会経済活動や生活様式の見直しを迫るものであります。  昨年十月に成立した地球温暖化防止を目的とした世界初の法制度であります地球温暖化対策の推進に関する法律は、京都議定書に定められた六%の削減目標達成に向けた将来の土台となるものであり、現在、その施行に向けた準備を行っておるところであります。  本法律のもとで、エネルギー需給両面にわたる対策国民のライフスタイルの見直し及びその支援、政府及び地方公共団体による実行計画の策定、実施、そして事業者の自主的取り組みの推進等各般の施策を強力かつ着実に推進してまいりたいと考えておるところであります。  また、京都議定書の早期発効の条件整備を図るために、京都メカニズム等のCOP6での合意に向けて、国際交渉の進展に積極的に貢献するほか、開発途上国の参加を促すための途上国との政策対話にも努力をいたしておるところでございます。
  23. 岩下栄一

    ○岩下委員 ありがとうございました。  国あるいは地方自治体あるいは産業界あるいは国民一体となったこの問題に対する対応が今後必要になってくるというふうに思いますが、大臣のリーダーシップを心から期待をいたしたい、このように思います。  次に、一昨年、COP3において京都議定書が採択以来、具体化のための国際的な検討がなされいることは承知をいたしております。昨年十一月のCOP4は、COP3の議論の結果をさらに詰める部分があったわけでありますけれども、行動計画にとどまった感がございます。そういうようなことで、COP4の成果を改めてお尋ねをいたしたい、このように思います。
  24. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 COP4の成果というお尋ねでございますが、COP4におきましては、我が国といたしましては、COP3で積み残した課題を詰める必要があったわけでございまして、事前のもろもろの準備も含めまして、最大限の努力を傾けましたけれども、依然、先進国と途上国の間の意見の隔たりは大きいわけでございましたし、先進国間でも意見の異なる点がございまして、結局、御指摘のように、今後の国際交渉の道筋を定めましたブエノスアイレス行動計画が採択されたという結果になっております。  この中におきましては、特に、排出量取引などの京都メカニズムにつきまして、その原則あるいは手続、指針などにつきまして、COP6、二〇〇〇年に開催予定でございます第六回条約締約国会議でございますが、このCOP6で決定を行うことを目的とした作業計画を決めたわけでございます。  このように、確かに、COP4におきましては、COP3で積み残した課題の内容につきましては引き続き今後検討していくこととせざるを得ませんでしたけれども、しかしながら、このような行動計画の採択によりまして、京都議定書の早期発効の条件を整備していくことに向けました道筋が明らかになったというふうに考えております。  こういう点で、COP4につきましては、所期の成果を上げたのではないか、このように考えておる次第でございます。
  25. 岩下栄一

    ○岩下委員 ありがとうございました。  COP3で議定書に採択されて、議論不足で先送りされた、COP6においてまたいろいろ取り組む、このようなことでございますが、この先送りされた主要課題でございます森林のCO2吸収を削減分にカウントするいわゆるネット方式、あるいは他国の排出枠を買う排出量取引、他国と削減の共同事業を行うCDM、クリーン開発メカニズム、あるいは共同実施、この四項目について、今後、どのような場面で合意を目指すのか、あるいは進めていくのか、この考え方について改めてお尋ねいたします。
  26. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 お答えを申し上げます。  森林などの温室効果ガスの吸収源の取り扱いにつきましては、国際的には、まず科学的な議論を積み上げる必要があるという認識に基づきまして、IPCCと申しますが、気候変動に関する政府間パネル、ここで二〇〇〇年五月までに、各国の専門家の御協力を得まして、この吸収源に関する特別報告書を作成することとなっております。  また、IPCCでの検討に並行いたしまして、気候変動枠組み条約のもとの科学上及び技術上の助言に関する補助機関、SBSTAと呼んでいるところがございますが、ここにおきましても、政策的観点から並行して検討を進めることになっております。  こうした双方におきます検討を経まして、特にIPCCの特別報告書が出てまいりましたならば、その結果を踏まえまして、同じ年、二〇〇〇年に開催を予定しておりますCOP6におきまして、吸収源の扱いに関する決定案を採択するということがこのCOP4で決められているわけでございます。  また、排出量取引、クリーン開発メカニズム及び共同実施、いわゆる京都メカニズムにつきましては、COP4で決定されたブエノスアイレス行動計画の中におきまして、COP6で決定を行うことを目的とした作業計画を決定をしておりまして、具体的には、この条約のもとの科学上及び技術上の助言に関する補助機関、SBSTAと、それから同じく条約のもとの実施に関する補助機関、SBI、両機関におきまして検討が進められることになっております。  現在、当面の日程といたしましては、四月にこの条約の両補助機関のもとで専門家によりますワークショップを開くことになっておりまして、それらの成果も踏まえまして、五月末から開催されます次回の両条約補助機関会合におきまして国際的な検討が進められることになっております。  我が国といたしましては、こうした国際的交渉に積極的に参画をいたしまして、COP6におきます国際的な合意が形成されますように全力をもって貢献をしてまいりたい、このように考えております。
  27. 岩下栄一

    ○岩下委員 ありがとうございました。  こうした問題が国内の努力を損なうのではないか、削減の抜け穴になるのではないかというような指摘もあるわけでございまして、その点に十分配慮をしながら進めていただきたい、このように思います。  次に、COP3あるいは4の国際交渉において、途上国の参加をめぐっていろいろ困難な論議があったというふうに聞いております。途上国は、温暖化の責任は先進国にある、あるいは先進国が率先して削減を実施すべきだ、こういう声であり、これはもう当然のことだと思います。しかし、IEA、国際エネルギー機関調査予測では、二〇一〇年には中国の排出量が世界全体の三七%、途上国全体で五〇%を超える、こういうような予測もございます。途上国抜きでは温暖化対策も実効を欠くわけであります。今後、途上国の経済活動が活発化することにかんがみて、先進国のみならず途上国を含んで検討していかなければ、これはもうどうしようもない議論になってしまうわけでございます。そういうようなことで、途上国の参加を今後促していく上において、我が国としてどのような考え方があるのか。  また、一月、ソウルで開催されました日中韓三国環境大臣会合の開催の成果といいますか、どういう論議があったのかお尋ねいたしたいと思います。
  28. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、今後、途上国の温室効果ガスの排出量が大きく増加することが予想されておりまして、こうした点から、途上国の参加を得て全地球的な取り組みを進めていくことが極めて重要というふうに認識をしております。  このため、我が国といたしましては、これまでも京都議定書の早期発効のために先進国と途上国の間の橋渡し的な役割を担うことを基本的な考え方として対応してまいった次第でございます。  具体的には、COP4の前から我が国といたしまして非公式閣僚会議を開催をし、真鍋大臣にも議長を務めていただきましたが、さらに大臣は、そのCOP4の前に中国、あるいはCOP4に出席の途上米国を訪れまして、COP4の成功に向けた協力を両国に呼びかけております。さらにCOP4の期間中にも、アルゼンチンのアルソガライ大臣、COP4の議長でございました、それから中国の劉光国家開発計画委員会副主任、中国の代表でございましたが、こうした方々を初め途上国の環境大臣との協議を行いまして、COP4の成功のための協力を呼びかけ、その結果、ブエノスアイレス行動計画の採択に貢献をされたところでございます。  また、従来より、環境庁といたしましても、途上国における温暖化対策を進めるための技術移転などの取り組みを積極的に実施してきております。具体的には、アジア・太平洋地域を対象に、各国の専門家を集めました地球温暖化アジア太平洋地域セミナーというものを毎年実施をしてきております。また、政府といたしましても、昨年十一月の中国の江沢民国家主席来日時に日中間で共同文書を交わしまして、地球温暖化防止に両国の協力を推進するということに合意をしたわけでございます。  また、ただいまお尋ねの日中韓三カ国環境大臣会合につきましては、一月十三日にソウルで開催をされたところでございますけれども、この場におきまして、真鍋大臣は、中国、韓国の環境大臣と協議をいたしまして、京都議定書の早期発効に向けた交渉の促進と、それから各国がそれぞれの責任と能力に応じて対策の強化に全力を尽くすということを強く呼びかけまして、その旨、共同コミュニケにも反映させることができたわけでございまして、そうした点で大きな前進が図られたものと考えているところでございます。  我が国といたしましては、こうした、まずは東アジアの近隣の途上国との政策対話、そうしたことを積み重ねまして途上国との間の相互信頼関係を構築していくこと、そして技術協力の一層の促進などを通じまして途上国の温暖化問題への対処能力の向上を図っていく、こうしたことを通じて、全地球的な対策の促進に努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  29. 岩下栄一

    ○岩下委員 先進国と途上国の橋渡しという大きな役割が我が国にはあると思います。そしてまた、今お話がございましたように、技術移転、環境技術の先進国としての我が国の途上国に対する役割といいますか使命というものをさらに確認をしていく必要がある、このように思います。特に、やはり中国が、IEAの予測で明らかなように、今後非常に大きな排出国になることは火を見るより明らかでございますから、特に中国に対する我が国対応というものを十分考えていただきたい、このように思います。  次に、地球温暖化対策推進法の公布からやがて五カ月が経過をして、いよいよ本格施行が近づいているわけであります。排出削減あるいは排出計画が地方自治体に義務づけられたということで、この点は大変期待できるわけであります。しかし一方、排出量の多い企業については公表に努めなければならないということで、努力目標にとどまっております。国内対策を強化するという附帯決議を私どもはしております。法律施行に向けて、また、この法律を実効ならしむるための対応といいますか取り組みについて、お尋ねをいたしたいと思います。
  30. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 法律の施行に向けて、実効ならしめるためにどのように取り組んでいくのかというお尋ねでございますが、私どもも、地球温暖化対策推進法におきましては、排出量が相当多い事業者に対しまして、計画の作成、公表につき努力義務を課しているということにつきましては、これは事業者の能力や業態が多様であることと、それから省エネルギー対策以外の温室効果ガスへの排出削減対策がまだ緒についたばかりであるという実態を踏まえたものであるというふうに認識をしておるところでございます。  しかしながら、先生指摘のとおり、事業者の取り組みは非常に重要であるということも事実でございますので、環境庁といたしましては、その点にかんがみまして、基本方針において適切な内容を定めるべく、現在、中央環境審議会において御審議をいただいているところでございます。また、昨年十二月からは、真鍋大臣みずから、経済界を代表する企業とも継続的に意見の交換をし、そうしたことを通じまして、一層積極的な取り組みの要請をしてきているところでございます。  この地球温暖化対策推進法の全面施行が間もなく四月に迫っているわけでございますが、この施行後は、この基本方針を踏まえまして、いい意味での企業間競争を通じて、事業者が創意工夫を凝らした計画の策定を進めていくよう、そして実施に進んでいくように、政府といたしましては、さまざまな技術的な情報、あるいは他の事業者による先駆的なすぐれた取り組みにつきましての情報を提供するなどいたしまして、これらの事業者の取り組みを積極的に支援してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  31. 岩下栄一

    ○岩下委員 世界に先駆けた法律でございますし、この法律が絵にかいたもちにならないように、国民的な努力も必要でありますけれども、ぜひ環境庁としても十分な取り組みをお願いしたいというふうに思います。  この法律に基づいて、中央環境審議会において基本方針が検討されてきたというふうに聞いておりますが、その状況についてお尋ねをいたします。  昨年六月の地球温暖化対策推進大綱に、原子力発電を二〇一〇年までに一九九七年比で五〇%ふやすということが盛り込まれました。また、基本方針にもこの原発推進の方針が入れられるというふうに聞いております。しかし、この問題は非常に国民世論としては微妙な問題だと思うのです。そしてまた一方で、いわゆるクリーン電力革命と言われる、いわゆる太陽光、風力あるいは地熱、小規模分散型の電力の確保といいますか、そうした問題とこの原子力というのは対峙する位置にあるわけであって、基本方針の中に盛り込むことについてどうかというようなことでございます。  また、具体的な排出抑制策として産業界の理解も進みつつありますところの炭素税導入の論議については、環境庁としてはどのように考えるのか、お尋ねをいたします。
  32. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 お答えを申し上げます。  地球温暖化対策推進法に基づく基本方針の策定に当たりましては、昨年十月に環境庁長官から中央環境審議会に対しまして諮問をさせていただきまして、審議をお願いしてきたところでございます。昨年の十二月には基本方針の素案を公表いたしまして、全国三カ所で地方ブロック別のヒアリングを開催いたしますとともに、国民からの意見や提案の募集も行ったところでございます。これらも踏まえまして、現在、中央環境審議会で御審議をさらにいただいているところでございます。今後、三月下旬には中央環境審議会からの答申をいただく予定にしているところでございます。政府といたしましては、地球温暖化対策推進法の施行後、地球温暖化対策の基本的考え方や対策の基本的措置などを内容といたします基本方針を閣議決定していただくべく、その案を策定してまいりたい、このように考えております。  ところで、昨日開催をされました中央環境審議会企画政策部会の審議におきましては、電気製品や自動車など、エネルギーを消費いたしますさまざまな製品のエネルギー消費効率の向上などの省エネ対策を徹底する、そして公共交通機関の利用促進も含めまして、エネルギー需要側の対策を徹底的に行うことがまず必要であるということが議論をされたわけでございます。それから供給側の対策といたしましても、先生指摘の新エネルギーと申しますか、クリーン電力革命というお言葉でお触れになられました、太陽光、風力なども含めました新エネルギーの開発導入を積極的に行うということをまず確認した上で、さらに、原子力につきましては安全性の確保などを前提に国民の理解を得つつ進める、こういうような考え方が示されたところでございます。  ここに至りますまでにはさまざまな御議論がございましたけれども、それらのさまざまな御議論を十分尽くした上でこうした総合的な対策を進めることがぜひ必要である、新エネルギーの開発導入も積極的に行いますけれども、やはり現在の我が国のエネルギー需要を満たしていくためには、原子力についても安全性の確保などを前提に国民の理解を得つつ進めることが必要ではないか、ほぼそのようなまとめがなされたところでございます。  それから、炭素税についてのお尋ねでございますけれども、現在環境庁におきましては、環境政策における経済的手法活用検討会を設けまして、経団連なども含めまして各界からのヒアリングを行うなど、環境税を含めた経済的手法の活用に関して検討を進めているところでございます。今後は、これまでの議論も踏まえながら、さまざまな立場からの御意見などをいただき、国民的な議論を進めまして、さらに環境税についての検討を深めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  33. 岩下栄一

    ○岩下委員 ありがとうございました。  時間が迫ってまいりましたので次に参りますが、排出削減の具体的な部分として、重要な部分として、運輸部門の対策が非常に問題だろう、このように思います。この点についてどのような取り組みがあるのか。低公害車普及の取り組みについてお尋ねをいたしますし、また、IPCC、気候変動に関する政府間パネルの特別報告書の草案、昨日の新聞報道にあったわけでありますが、五十年後の航空機のCO2の排出量が、人為的排出量のやがて一〇%に達するというシミュレーションの結果が報告をされております。こうした問題についてどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
  34. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 運輸部門の対策についてでございますが、我が国の運輸部門の二酸化炭素排出量は、一九九六年度のデータによりますと、全体の約二一%を占めておりますし、九〇年度から九六年度にかけまして一九%も増加をしているということでございます。  このため、昨年六月に地球温暖化対策推進本部で決定した地球温暖化対策推進大綱におきましても、運輸部門の対策といたしまして、低公害車、低燃費車の普及の促進、あるいは改正省エネルギー法によりまして導入されたトップランナー方式に基づく厳しい燃費基準の設定、それから航空機などのエネルギー消費効率の向上でございますとか、鉄道や内航貨物輸送の推進、さらにトラック積載効率の向上等によります物流の効率化、そして公共交通機関の利用促進、こういった施策が盛り込まれているところでございます。  特に、環境庁といたしましては、低公害車の普及促進のために、これまでも地方公共団体における低公害車の集中導入に対する補助でございますとか、霞が関におきます天然ガス供給スタンドの整備などの施策を講じてきたところでございますが、さらに、平成十一年度から低公害車の自動車取得税の軽減率につきまして、車種によりまして従来二・四%あるいは二%の軽減でございましたものを、それぞれ二・七%あるいは二・二%に引き上げる、さらには低燃費車の自動車取得税について取得価額から三十万円を控除するなど、税制上の優遇措置を充実することとしているところでございます。  また、航空機の二酸化炭素排出量につきましても、御指摘のとおり、将来は非常に大きな割合に達する可能性もございます。そういう意味で重要でございますが、その削減のために、地球温暖化対策推進大綱におきましては、航空機のエネルギー消費原単位を二〇一〇年までに九五年度に比べまして約七%改善するという目標を掲げているわけでございます。  今後とも、環境庁といたしましては、国、地方公共団体、事業者、国民それぞれの取り組みを進めるための枠組みを定めた地球温暖化対策の推進に関する法律のもとで、大綱に盛り込まれた施策を初めとする運輸部門での地球温暖化対策を、それぞれの主体の連携のもとで着実に積極的に推進をしてまいりたい、このように考えております。
  35. 岩下栄一

    ○岩下委員 ありがとうございました。積極的な取り組みを期待したいと思います。  地球環境問題は人類文明の行き着くところであります。あるいは文明の病というふうに言えるかもしれません。生活習慣、いわゆるライフスタイルの変更が国民ひとしく求められているということが言えると思います。私は地方議会に長くおりましたけれども、特に熊本県の環境政策の中で、シンク・グローバリー、アクト・ローカリーというのはいわゆる県民の合い言葉ということで、いろいろな実行をしていたわけでございます。世論喚起、啓発のために、私どもも国民の意思を代弁する者としてこの世論喚起に努めますけれども、政府、環境庁とされましても一層の努力を期待いたしたい、このように思います。  時間が参りましたので、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
  36. 北橋健治

  37. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 民主党の佐藤謙一郎でございます。  環境庁長官の所信につきまして質問をさせていただきます。  所信の中で環境庁長官は、環境省創設の動きと相まって高まりを見せている国民の環境行政に対する期待にこたえ、二十一世紀を環境の時代とするよう、顔の見える環境行政を進めてまいりますというお話でした。  真っ先にテーマにしたいのは、藤前干潟の問題でございます。  まさに顔の見える環境行政、環境庁長官の御勇断で環境保全の実を上げつつあるということだと思いますが、さきに参議院で私どもの同僚議員、福山議員から質問させていただいてこの藤前問題に対する感想を伺ったわけであります。僣越な言い方ですけれども、この問題で長官御自身一体何を学んでこられたか、その辺についてもう一度お聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、小林(守)委員長代理着席〕
  38. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 この問題に取り組ませていただきましてまず感じたことは、人間は自然と共生していかなければならない、言いかえれば、自然の中に生かされておると言っても過言でないと思っておるわけです。そんな観点に立ちますと、自然環境をよりよくしていくと同時に、現在ある干潟を含めて立派な施設というものはできるだけ残していかなければならない、そんな気持ちに立たされたわけであります。  藤前に干潟があるということで、シギ・チドリ、鳥類の絶好の休息場でありまた採餌場であったわけでありますけれども、そのところを保全していかなければならないという強い気持ちに駆られまして、残されたわずかな場所でごさいますけれども、行きたいなという感じを持ったところであります。  そしてまた、その場所は、ごみのいわゆる焼却場と申しましょうか、そこを埋め立ててしまいたいという市の考えであったわけでありますけれども、何とか考えを改めていただいて、干潟以外のところで埋め立てができないものだろうかということでお願いをいたしたわけであります。今日まで進めてきた問題でありますので、なかなか方向転換が難しかったわけでありますけれども、今日の環境問題に取り組む国民的合意とそしてまた地元の熱意によりましてこれが計画変更されて、そして新しい場所に焼却やまたごみの投棄場所を考えていただいたわけであります。  私は、そんなことを考えますと、今回の一連の問題というのは、やはり環境保全のためにより一層取り組んでいく必要性国民が感じられたんじゃないだろうかと思っておるわけであります。また、一つには、愛知県で行われます愛知万博が大きな因をなしたと思っておるわけであります。これはテーマが環境、共生ということであったわけでありますし、里山を大切にしていこうというようなテーマでもって二〇〇五年に開催されるわけでありますけれども、その万博に対する取り組み姿勢からも今回の藤前干潟の場所移転ということに相なったんじゃないだろうかと思っておるわけでありまして、関係者皆さん方に感謝を申し上げておるところであります。
  39. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 環境保全ということで、名古屋市は二月の十日に免許申請を取り下げたわけでありますけれども、さあこれで干潟をこれから国民の財産として、今大臣が言われましたように、自然と人間との共生の確保という点でぜひともラムサール条約に登録したいと考えているわけであります。そのためには鳥獣保護地区の指定を含めた手順というものがあるわけですけれども、これは、名古屋市がぜひとも登録したいということになればそれですんなりと登録ができるものなのか。特に周辺の未買収地域でいかがわしい土地がまだ随分ある、そういうことがネックになりはしないかというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
  40. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 国設鳥獣保護区の設定問題につきましては、五年に一回やっております国設鳥獣保護区の見直し計画の中で私どもとしてはこの地域を国設鳥獣保護区の設定をしたいということで、三年ほど前から愛知県当局に相談をしているところでございますけれども、実際の設定に当たりましては、地元で公聴会を開きまして、地元の賛同をいただきながら設定をする手順でございます。  それらがうまくいくかどうかは今後の課題でございますけれども、いずれにいたしましても、現在は名古屋市当局において代替地の検討に全力を注いでおられますので、その推移を見守ってまいりたいと考えております。
  41. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 ぜひともラムサール条約に登録をして国民の財産としていきたいというふうに思います。  ここで一つ、地元からこういうことを言われました。大変今度は苦渋の選択であったけれども、ごみの処分場は代替地を見つけよう、環境保全に前向きに我々は対応するけれども、しかしもともと人工干潟は環境庁から言われて自分たちは議論をしてきたんだ、そうした環境庁からの知恵にもかかわらず、専門家の意見を聞いて、これは代償措置とはなり得ないという結論を出された、事前にそうしたことも知らされなかったしというような環境庁不信とも言えるような声が地元の市議会から上がっておりますし、また、当初の計画を四十六・五ヘクタールというふうに狭めていった、そうした中でも環境庁の指導を自分たちは聞いていたんだ、そういう声があるわけですけれども、そういうことはないと考えてよろしゅうございますか。
  42. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  環境上重大な影響があることに対応して代償措置を仮に行うという場合には、少なくとも評価書の作成前にその内容を具体化するとともに、環境保全上の効果や、逆に悪影響の有無の確認検討すべきという基本的な考え方については日ごろから一般的に述べているという点はございます。  ただ、御指摘の藤前干潟の場合につきましては、環境庁としてまず代替案の検討が必要である旨を指摘してきたわけでございまして、代償措置としての人工干潟が必要というような指導をした事実はございません。
  43. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 その面積についてはいかがですか。
  44. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 当初百五ヘクタールぐらいのところから、名古屋市の側が五十強、それから四十六・五ですか、順次面積の数字を落としてきて、それを例えば市議会でそういうふうに発表するとか、市長さんが答弁の中で発表するとかそういう事実があったことは承知していますが、例えばそれを具体的にどういうふうに指導してきたということはないと思います。
  45. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 これから環境行政をやっていくときには、地元の市町村あるいは都道府県との信頼関係というのは一番大事だと思うんですね。こうした誤解に満ちた情報が飛び交うこと自身がやはり不幸なことだと思いますので、これから指導されるにせよ、ますます長官には各方面で勇断を御期待申し上げております。  さきの参議院の予算委員会でも、やはり百聞は一見にしかず、とにかく現場を見ることが大事だというようなことを環境庁長官は言われました。私も去年だけで六十カ所いろいろと視察をして公共事業あるいは環境保全を見てまいりました。  その中で、次のテーマは自然と人間との共生の確保、特に里地をこれからどうやって守っていくかという中で、福井県の敦賀に大阪ガスが液化天然ガス基地を計画している中池見湿地というのがあるんですね。  これは二十五ヘクタールという、地元では休耕田ではあるんですけれども、私はそこに行ってびっくりしました。余りにも見事な自然が敦賀の市街地のすぐ際にあって、そこでは、環境庁が作成したレッドリストによる十一種の絶滅危惧植物が生息していて、トンボ六十一種を含む千三百七十種以上の昆虫、小動物が生息をしている。まさにこれは自然の宝庫、そういう場所でありますけれども、この中池見湿地について環境庁長官は何か御意見がありますか。
  46. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 まさに百聞は一見にしかずで、私も所々方々を見せていただいておるわけでありますが、まだ中池見のところは視察をしていないわけであります。  先ほど人工干潟の問題が先生から指摘されましたけれども、たまたま私は伊勢湾台風のときに補修地域を見たわけであります。それがちょうど藤前の干潟の土をとって、そしてその補修に充てた場所がございました。その場所を見まして、これが昔土をとった藤前干潟かということを実感させられたわけでありまして、それから以降その干潟というものはもとに戻っていないということを感じました。しかし、それは素人の考えでありますから、専門家の意見も聞いてみようということで専門家先生方の意見を聴取したところであります。そうしたら、人工干潟というのはつくってもとても難しいですよというような意見が返ってきたものですから、干潟というものについては、これはやはり天然のものでなければならない、自然のものでなければならないというところに決断の一つの根拠が出てまいったわけであります。  そんなことで、いろいろなところで施設を見せていただいておるわけでありますけれども、施設を見た上での初印象と申しましょうか、ファーストインスピレーションというものが非常に大きな効果をおさめるものと私は思っておるわけであります。  先生のお話にありました中池見のような貴重な自然環境でございますけれども、人とのかかわりの中で形成された里地などには、これらの環境をよりどころとしている動植物が生息、生育しており、生物多様性の国家戦略の中でもその重要性について位置づけているところでございます。  環境庁といたしましても、里地のような人手の加わった自然環境の重要性にかんがみ、平成十一年度から、全国に広く存在する里地の保全方針の検討調査を予定しており、これらの調査を通じて、国土全体の自然環境の保全が適切に図られるように努めてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  47. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 この中池見の湿地をぜひとも見ていただきたいと思うのですけれども、過去に、これは運輸省ですけれども、北陸新幹線の建設ルートになる予定だったのが、ここにあるとおりに、中池見湿地を回避する、環境に配慮して北陸新幹線は回避をしているんですね。それから、工業団地、工業基地開発を通産省がやろうとしたときにもやはり生態系に影響があると言ってここを回避している。  まさにそのときの調査では、十メートル盛り土をすると十メートル沈むとはっきり書くほど超軟弱地帯でヨーグルト状だというわけですね。そこに国家プロジェクトで天然ガスの基地をつくっていく、そうした無謀とも言える計画であります。  しかも、先ほど人工干潟の話がありましたけれども、そうした多様な植生、生態系を一カ所に、植物園のように保全エリアを設けて、そこに全部押し込めてしまおうという。それで本当にこの複雑で多様な生態系が守っていけるだろうかということを私は危惧しています。  藤前干潟を守られた環境庁長官がこうしたもの、例えば今度は民間会社が当事者でありますけれども、そういうところに強い意思を持って環境保全決意をしていただきたいと思いますが、どうお考えでしょうか。
  48. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 中池見湿地におきます大阪ガスの事業につきましては、敦賀港に陸揚げしたLNGを貯蔵するということで、平成八年六月に福井県の環境影響評価要綱に基づくアセスメントが実施され、手続が終了いたしておりますが、この手続の際の福井県知事意見に基づきまして、建設予定地の一部が環境保全エリアとして残されることとなり、現在、事業者においてその整備のための事業が開始をされているところでございます。  環境庁といたしましては、大阪ガスの事業に対して法的な関与の権限は有しておりませんけれども、県知事意見に対する対応状況等につきまして、福井県等を通じて情報収集に努めてまいりたいと考えております。
  49. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 まさに、環境アセスは一応済んでいるということでありますけれども、環境庁長官として、やはり藤前のそうした思いでこうしたところにぜひとも目をやっていただきたい。  地下には泥炭層中の花粉が五万年以上にわたる気候変動を記録していて、それを調査していないということなんですね。これは世界でも、ことしの五月にコスタリカで行われますラムサール条約締約国会議で紹介をされ、その重要性というものが再確認される、そういう場所でありますから、そうした調査もしないで五万年の記録を破壊するということがあっていいんだろうかということ。  それから、大阪ガスは、非常に環境に優しいといいますか、環境というものを大事にしている会社だと私は認識しております。どうか、長官のそうした思いを、藤前干潟の思いをぶつけていただきたい。  先ごろのニュースでも、メダカが絶滅危惧種に指定されてしまうような、そういうような時代になろうとしています。本当に、保全エリアで複雑多様なそうした生物が生き残れるか。人工干潟と同じように、今までそれがうまくいった経験がほとんどないというふうに私は理解しております。その辺について、環境庁長官、ぜひとも一度御視察をいただきたいと思いますが、いかがですか。     〔小林(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  50. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 大阪ガスさんは、環境問題でも非常にすばらしい取り組みをしていただいておるということで、環境庁としてもこの間表彰をさせていただいた企業でもあるわけであります。  その企業が関係する地域でございますし、また、私自身その地を訪れたことがございませんので、ぜひ佐藤先生の御案内、御紹介をいただいて見せていただきたい。そしてまた、視察した印象でもってこれらの問題も取り組んでみたい、かように思っております。
  51. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 大変ありがとうございます。百聞は一見にしかずが、これからの目に見える環境行政のキーワードになるだろうというふうに思います。  そこで、私はきのう千葉の三番瀬に行ってまいりました。公共事業をチェックする議員の会、私は事務局長をやっておりまして、そうした意味では、次の干潟としてこの三番瀬を守れるものなら守りたいという思いで行ってまいりましたが、環境庁長官も二月の十五日にこちらに行かれているということでありますし、そのとき環境保全への決意ということを言われておいでです。  千葉県が環境庁の意に沿うような努力をされているということを参議院の予算委員会の福山議員の質問に対してお答えになっておられますけれども、その環境庁の意に沿うような努力というのは、どういう努力が今なされているかについてお願いいたします。
  52. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 私も、長官に就任して、三番瀬という干潟があるということについての認識は持っておったわけでありますけれども、一度も訪問したことはございませんでした。そこで、藤前干潟の問題も一応方向性がついたので、次なるところということで、三番瀬の場所を見せていただいたわけであります。  やはり、東京湾にもこんなにまだすばらしいところが残されておるかなというのが私の初印象であったわけであります。船橋市の方から見せていただいたわけでありまして、その地を見て、それから市川市の周辺にも足を運んだわけでありますけれども、そことの比較ということになりますと、やはりこの三番瀬の、船橋市から見た環境保全ということが大切であるということに思いをいたしたわけであります。しかし、平成四年から環境庁としてアセスを出しておるわけでありまして、先輩、先人が出した意見も尊重しながら、この問題の取り組みに当たらなければならないと思ったところであります。  ちょうど、手賀沼に視察に行った折に千葉県の知事さんともお目にかかりまして、それらのお話をいたしたわけでありますけれども、当初環境庁からアセスされた方向性というものが今千葉県でも生かされておりまして、その取り組む姿勢にも大きく反映しておる、こう私は承知いたしたものでございますので、千葉県の知事さんにも、できれば、環境保全上干潟の大切さやまた必要性を唱えながら、必要最小限度の開発計画にしていただきたいというようなことでお願いをいたしたところであります。県としても、できるだけその意に沿った対応をしていきましょうということで、御理解ある発言もいただいておるものでございまして、私は、その人間関係、その信頼関係を大切にしながらこの問題に取り組んでいこう、こう思って、先般の参議院の予算委員会での答弁にさせていただいたところであります。
  53. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 大変前向きな御答弁、ありがとうございます。  二月の十二日に長官はNGOの方々と会われて、ラムサール条約の登録地に指定されるように、そうした御発言もあったということで、ぜひとも、この三番瀬と、そしてそのすぐ近くにあります盤洲干潟あるいは谷津干潟、そうした一帯のものを保全していけるように期待をするところであります。  それから、環境庁長官は二月の二十日に和歌山県の雑賀崎に行かれた。ここも、万葉集でも歌われて非常に風光明媚。私も去年行ってまいりましたけれども、そこに港湾建設計画があって、和歌山県が沖合を埋め立てようという。実はその計画の中で、合成写真を使った、これは市民を惑わすような計画まであるわけです。ここも、この景観は何としてでも守りたいと思いますけれども、現地に行かれて長官はどういう御感想でしたか。お聞かせください。
  54. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 長官に就任してから、いろいろな問題が山積しておるわけでありますけれども、まずできるものからということで、一つ一つ取り組みをさせていただいておるところでございます。  たまたま雑賀崎のこの地域も瀬戸内の国立公園の地域内にありまして、一度この地を見てみたいもの、こう思っておったわけであります。ちょうど帰郷途次、和歌山県に赴きまして、その場所を見せていただいたわけでありますけれども、その景観たるや、まさにすばらしい、瀬戸内海の国立公園にふさわしい場所であるということを拝見させていただいたわけであります。  まだ具体的な問題について、私の取り組む姿勢というものは決まっておりませんけれども、立派な景観の保全というものはできる限りなしていかなきゃならないんじゃないだろうかと思っております。  いろいろ、和歌山県の問題でございますので、地元の政治問題の絡みもありまして、この問題を一気呵成に環境行政だけで処理するわけにはまいらない、こう思っておるわけでありまして、その辺の事情もよくよく多くの方々から意見を聞きながら、環境行政の中で必要なものの対策を講じていきたい、こう思っておるところでございます。
  55. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 この周辺はまだ、港湾計画といっても遊休地がたくさんあるんですね。埋め立てた、港湾設備をつくった、ほとんど全く機能していない、もう空き地、空き地、空き地。そういうような中でなお埋め立てをしようというその計画に対して、これも環境保全という観点から、ぜひとも長官の積極的な姿勢をお示しいただければと思います。  この雑賀崎から車で四、五十分行ったところに橋本市という町があります。橋本市でどういうことが起こっているか御存じでしょうか。
  56. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  和歌山県橋本市におきまして、平成六年ごろより、一産廃業者が、建物解体廃棄物などを小型焼却炉で焼却いたしまして、焼却灰などを隣接する谷に不法投棄しておったということを私ども報告を受けております。  具体的には、現在、埋め立てられました廃棄物の分解によりまして、悪臭あるいはガスの発生が認められているということ、あるいは、県の調査によりまして、埋立物から最大千七百ピコグラムダイオキシンが検出されている、そういうことも報告を受けております。
  57. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 ここも、去年の十二月の二十九日に私は行って、余りの悪臭と、もうどうにもいても立ってもいられない、一刻も早くそこを逃げ出したいほどの汚染でした。赤茶けた土が私たちの眼前に迫って、それこそ三十メートルぐらい掘られたその谷底に、四十万立米の産廃が持ち込まれている。中には、建設廃材だけではなくて、車のバッテリーや廃家電の部品、点滴袋などの医療廃棄物、工場から出るプラスチック類なども持ち込まれて埋め立てられている。  それとは別にこの橋本市が有名になったのは、まさに無許可操業のこの業者の黙認や許可の便宜を図ったとされる県職員が金の力で環境行政をゆがめた、これは和歌山地裁の判決でそう言われているわけですけれども、有罪判決を受けた産廃汚職事件でも有名なわけであります。  こうした幾つもの問題が絡み合いながら、実は地元の市民が、これは大変なことだということで、摂南大学の宮田教授に調査を依頼したところ、焼却灰から三万ピコグラム、これは大阪の能勢が三万九千ですけれども、それに次ぐ三万ピコグラム数字が出てきてしまった。  ここは大阪の衛星都市で、かなりの方々が大阪に勤めに出ておられる。ここで新住民農家とが反目をして一時対立があったわけですけれども、私はすばらしいなと思いますのは、その三万ピコグラムを公表するかどうかの苦悩の中で、農家の方々は、隠してももっと悪くなるだろう、我々の子や孫のために本当にためになるんだろうか、我々も加害者であるという自覚を持たなければいけないという苦渋の決断から、この三万ピコグラムを公表する。そして、そこから風評被害との戦いは始まるわけでありますけれども、消費者には消費者の論理があって、少しでも安全な食品を手に入れたい、これは消費者の当然の権利でありますから、そうした消費者立場と、苦渋の中で農業をやっている方々がそうした思いをここにぶつけて、ついきのうですか、この地域約七百世帯の方々約二千人の中で八割の人たちが、アンケート調査に完全撤去を望むということで答え、そして公害調停を申請した。そこまで追い詰められてきているわけであります。  私どもは、過般、ダイオキシン類汚染対策緊急措置法、参議院に二月の十七日に提出をさせていただきましたけれども、その最大の眼目は住民参加。とにかくこんなに大気汚染され、水が汚され、土がどうなっているのか。健康被害もあちこちで出ている。調査をしてくれと言っても、一向にどこも調査に来てくれない。これは明らかに産廃だと言っても、それはそんなに危険なものではないといって押し返されていたわけでありますけれども、住民調査すべきというときに、それを義務づけるためのそうした法律を我々は提出させていただきました。  これから、所沢市の問題を含めて、対策関係閣僚会議が二十四日に開かれて、三月中に対策推進基本指針ですとか、TDIを早急に見直すとか、いろいろと手を打とうとされているようであります。こうしたものを未然に防ぐというのはこれから大いにやっていただきたいわけですけれども、問題は、既に汚染されたところ、香川県の豊島は、私はあれは政治的な決着だったと思うのですね。橋本総理が選挙中に豊島に行かれて、よし、これは何とか救わなくちゃというような政治的な解決方法で物事が処理されていくというのは私は健全であるはずはないと思っておりますし、そうであるならば、豊島にも似たこうした橋本市の問題をどう処理していったらいいのだろうか。  我々も、真剣にこれは考えていくわけでありますけれども、これは基金というのがあって、上限が八億円、国が二億円、それから業界が四億円、そして地方自治体が二億円という新廃掃法で基金があると聞いておりますけれども、これは去年の六月以降に捨てられたものから適用されるということで、どうも橋本市はその基準が満たされていない。  これだけ市民運動が、自分たちの健康と安全のために努力して努力したけれども、今、市民に無力感が漂っていて、公害調停に持ち込むしかないというぎりぎりのところに来ているわけです。この制度はどういう制度で、これからこうした橋本のような場合に機能していくものなのかどうか、その辺を。
  58. 仁井正夫

    ○仁井説明員 御説明申し上げます。  今、先生お話しされた基金でございますが、これは、さき廃棄物処理法を改正していただいて、その結果設けられたものでございます。  前から、不適正処理された産業廃棄物の原状回復のあり方というものが問題になっておりました。これについて、さまざまな御意見があったわけでございますが、産業界と行政とが協調して原状回復をやっていこうということで、新たな改正法施行以降の事案について、産業界も拠出する、国も基金に対して補助をする。そこの中で、地元として、地元の都道府県において、原状回復をやらざるを得なかったところに対して所要の支援をするという内容のものでございまして、平成十年度に事業費四億円を見込みまして、基金額として三億円、国費としては一億円の補助、民間からの拠出二億円ということを予定しているものでございます。  先ほど申し上げましたように、法施行後の事案への対応ということで考えておりますので、法施行前のものにつきまして、今、橋本の事案のお話がありましたけれども、現在、和歌山県において、検討委員会を設置して、先月末に実際に現場に入ってかなりのサンプリングをして調査、分析される、その結果をもととして検討委員会において対応策を検討していくというふうに伺っております。  私どもとしては、県に対して、今までいろいろ回復事業をやった経緯等もありますので、必要な知見の提供等の技術的支援を行っていきたいと思っております。
  59. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 ぜひとも、そうした対策を前に進めていただきたいと思います。  現実に、橋本市では二百人の人が体調を崩した。通院、入院をしている。私自身も、十二月二十九日にたった一時間半行って、もうどうにもならなくなって正月三日間寝込んでしまった。そうした地域がきっとあちこちにあるのだろうと思うのですね。これからという防止の対策も結構ですけれども、現実に健康被害に遭われている方々のそうした立場に立った対策というものを、これからも積極的に望みたいところです。  時間がないので、それでは次に、複合的な環境アセスの必要性を提案させていただきたいと思います。  これは愛知万博のケースですけれども、愛知万博で環境影響評価準備書、こうしたものが出されているわけであります。愛知県で二つの開発計画がもともとあったのは御承知のとおりでありまして、地域整備事業として住宅と道路事業というものがありました。道路事業は名古屋瀬戸道路でありますし、住宅は六千人が入る新住宅市街地開発、そうした住宅計画があって、現実には十一億円の地元負担分を瀬戸市が拒否をしている、そういうことでありますが、どうも地域整備事業が先行して、平成十三年がピークになる。工事が実はどんどん進められていて、ボーリング調査で、海上の森に百二十本のくいが打たれて、もう森の中はあちこち傷だらけだ、そういう状態であります。  そうした地域整備事業が先行して、その後に平成十四年から万博の工事が始まる。壊すだけ壊して、汚すだけ汚して、傷つけるだけ傷つけた後で、環境万博でございますといって工事が始まろうとする。これはやはり明らかにおかしいということだったのだろうと思います。  環境庁が、事業の計画に対して、同時期に、市民にわかりやすい統一資料を出すべきだと指導されたやに聞いております。しかし、これは果たして本当に環境庁が求めたものと同じような趣旨のものなのかどうか。我々も読んでみて、地域整備事業と万博の事業とが余り整合性を持って統一資料には書かれていないというふうに感じられるのですが、環境庁はそれに対してどういうふうにお考えでしょうか。
  60. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生の方から御指摘ございましたように、愛知万博におきましては、関連する公共事業と場所、時期が密接に関係しているということから、それぞれの環境影響評価を連携して行うことが望ましいということで、私どもいろいろ話をしてまいりました。  その結果として、ただいまの準備書作成等に当たりましても、個々の公共事業のものについては担当の公共事業のことを主に書いているわけですが、万博の方には全体の関連が掲げてある、また、さらには全体像が見られるパンフレットを別途につくったというような形で、私どもが申し入れをしたことについて、それなりの努力はしてもらっているんだというふうに思っています。
  61. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 いや、私はとてもそれなりの努力で済む問題ではないと思います。やはり、総合的、複合的な環境アセスというのはどうしても必要であって、それぞれが影響を与え合うような問題については、もっと環境庁としては、それなりの努力ということではなくて、しっかりと指導をしていっていただきたいと思います。  同じような問題が、徳島県の吉野第十堰。これも私は何度か行ってまいりましたけれども、この吉野第十堰の可動堰問題もきょうは触れたかったんですが、それは時間がありませんので。  吉野川大橋の下流に二つの橋がかかる。河口干潟が守られるかどうか、これは大変大きな問題ですけれども、県が都市計画道路、東環状道路橋というものを計画する、道路公団が四国横断自動車道路橋というものを計画し、これは都市計画としてのアセスは終わっているわけでありますが、同時に、その河口干潟の近くに県が流通港湾整備事業を始めている。こうした、それぞれ幾つもの事業がばらばらになっている。  これは、三月一日に、日本自然保護協会が建設大臣に、そうしたばらばらになっているアセスメントを市民による合意形成のプロセスとして実施していくべきだ、市民参加というものを強く主張して申し入れておられるわけであります。  例えば、これから流通港湾整備あるいは都市計画道路はアセスを実施すべきだけれども、今のところ県としてはその辺があいまいだということ、建設省の第十堰建設と絡めて、この河口干潟、シギ・チドリのネットワークとしては谷津干潟とここだけという登録地でありますので、こうしたばらばらの事業が、アセスがなかったり全く独立してアセスを終えてしまったりではなくて、一体となったアセスメントをすべきだと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
  62. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 今先生が御指摘のように、幾つかの事業が周辺で取り組まれているわけでございますが、その取り組みの熟度というのがそれぞれに大分違いがございます。現に、御指摘のありますように、アセスが終わっているものもございますし、これからどうするかというあたりが今後の課題になるようなものもあろうかと思います。  先生の御指摘は、吉野川第十堰の改築事業においてどのような項目を対象として環境影響評価をするか、そういうときに、あわせて総合的な影響を見るべきではないかという御指摘かと思われるわけでございますが、項目自身につきましては、吉野川第十堰改築事業につきましてはこれからのことでございまして、事業者が国民の意見や地方公共団体の意見を受けて検討するということになるんだと思います。  いずれにしましても、先行している事業の内容や環境影響評価の結果等を考慮して吉野川第十堰改築事業の影響の予測、評価が実施されるものと考えておるところでございます。
  63. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 ちょっとよくわからない答弁だったのですが、とにかく、複合したいろいろな事業、やはり熟度に違いがある、だから必要なんですね。熟度が違うから、一体となって、環境庁が指導力を持って、そうした開発する事業についてきちっとしたアセスメントを運用面でもフォローしていく、そういう姿勢が必要だと思います。  時間がないので次に移らせていただきますが、やはり同じ問題が起きております。熊本県の川辺川ダム、これも私は何回か行っております。これは、藤前干潟の人工干潟が今まで効果が立証されていないという理由で排除されたわけですけれども、この川辺川では今どういうことが行われようとしているか。建設省が今、清水バイパスと選択取水設備について提案をしてきているわけですね。これは、ちょっといろいろと長い話をしたいんですが、時間がなくなったので。  まず、川辺川ダムについては、賛成派反対派、五木の子守歌で有名な五木の里が今水没する、その水没しようとしていた土地で大反対運動が二十何年続いた。しかし、刀折れ矢尽きて、何とか反対しようとしていた人たちがやむなくダムを受け入れようとする。今度は、その周りの住民が反対運動を強力に展開する。私も、賛成派と反対派、口もきかないような人たちの両方に来ていただいて、もう涙が出るような話し合いをさせていただきました。  そこで、次から次へと知恵を絞る建設省が、清水バイパスというものを提案してきた。これは、漁業組合の人々がアユがとれなくなるというダム反対に対して、ダムをつくれば水が濁る、魚がすめなくなる、ダムの濁った水だけが下流に流れないように、ダムの上流十五キロから水をとって下流にバイパスさせる。聞こえはいいけれども、結局、ダムの濁った水を上流のきれいな水で薄めるという話、そして、魚に配慮する、配意かもしれませんが。  五木村の人々は何と言っているか。もうそれだけは許せない。長年のダム反対運動の後、今は全くの応援も環境保全運動もなくて、苦渋の選択をしてダムを受け入れた五木村に、清流を吸い取られて濁った水がダムにたまる。踏みつけて踏みつけて最後にけり倒すような仕打ちではないかというようなことを言っているんですが、こうした清水バイパスについて環境庁の御見解をお示しください。
  64. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 御指摘の川辺川ダムの清水バイパス、これにつきましては必ずしも詳細を承知しておりませんけれども、一般的に、清水バイパスといいますのは、ダムの建設によりまして貯水湖ができた際に、その貯水湖からの放流水の濁水の長期化、これを抑える施設だ、いわゆる上流から清流を引っ張ってきましてダム湖の水が汚濁している際に清流を放流する、そういう施設だと認識しております。
  65. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 ほとんど、まだ清水バイパスについては御理解をいただけていないと思います。環境庁でも、これは初めてのケースだということを言っていますけれども、人工干潟でそうであったように、清水バイパス、確かに説明を受けるとなるほどと思うものはありますけれども、これで本当に魚とそれから漁業が成り立っていくのか。その辺は、建設省は建設省の考えがあるでしょうけれども、環境庁としての考え方をきっちりと蓄積をしてそれなりの発言なり指導をしていただきたい、そういうふうに考えます。  それから、最後に一問。中途半端になりましたが、所信の第一の柱であります地球環境問題で、ODAに今度飛ばしていただきます。  このODA問題、今度、国際協力銀行法が審議されることになりました。ここで今、環境ガイドラインというものが、OECDあるいはG7、G8で、国際協力銀行の環境基準として、そうしたガイドラインを共通して持とうではないか、そういう議論が進められているわけであります。  二月の二十六日の参議院の予算委員会でやはり、福山議員の質問に対して堺屋経済企画庁長官が、こうした環境基準については、日本輸出入銀行と海外経済協力基金が統合して合わさりましたならば共通のガイドラインを作成していきたいと答弁されています。また、中央省庁等改革基本法の二十四条一項では、来るべき環境省が、「環境行政における国際的な取組に係る機能及び体制を強化すること。」というふうにあるわけですけれども、こうした中で環境庁は、環境について所管している省庁として、国際協力銀行が十分な環境配慮を行っていくためにどのようにかかわっていく予定なのか。  そして、さらに、今ODAそのものは、四省庁会議をやっていて、通産、大蔵、経済企画庁、外務省、この四省庁しか入っていないわけですけれども、環境庁長官が当然これに入る資格あるいは必要性が私はあると思うんですけれども、そういう時代が今来ていると思われませんか。あるとするならば、自分も入れろということをぜひとも主張して、世界の環境を守っていただきたいと思います。これが最後の質問です。
  66. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 お答えを申し上げます。  国際協力銀行の業務の実施に当たりまして、環境保全観点から、適切な配慮を行っていくことは極めて重要であると私ども環境庁考えております。  このため、環境庁といたしましても、経済企画庁、大蔵省及び新たに生まれます新銀行と密接に連携をしていくこととしております。  具体的に申し上げますと、環境庁として、環境配慮ガイドラインなどの具体的な内容の検討当たりまして、それから、これに基づいて新銀行の業務の実施に当たりまして十分な意見交換などを行っていく、そして、我が国経験を踏まえることはもとよりでございますが、国際的な水準に照らしましても、環境配慮が適切なものとなるように積極的に取り組んでまいりたい、このように考えておりますし、法案の提出に当たりまして、関係省庁とそのような合意をいたしたところでございます。  御指摘のように、環境庁も、今後新たに生まれます新銀行の設立に際しまして、こういう形で、従来の四省庁体制ということは確かにございましたが、今後は、環境庁も積極的に関与をし、発言をしてまいりたい、このように考えております。
  67. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 終わります。
  68. 北橋健治

    北橋委員長 近藤昭一君。
  69. 近藤昭一

    ○近藤委員 民主党の近藤昭一でございます。環境保全基本施策に関する件ということで質問をさせていただきたいと思います。  私も今通常国会から初めて環境委員会に所属をさせていただくわけでございますが、御承知のとおり、環境問題に対する関心というものは、本当に大いに高まっております。総理府等々の調査でも、これは科学技術に関する調査ということでありましたが、科学に関してどういうことを国民皆さんが一番関心を持っているかということでは、やはり環境問題、環境に関する科学技術について大変に関心を持っている、そんなような調査結果が出ていたこと。あるいは、これは大変に大ざっぱな言い方ですけれども、実は私なんかも花粉症でございまして、この時期になると大変に悩まされるわけでありますが、周りでも、何かそれも環境問題としてとられまして、日本の環境行政は、植林というか、そういったことも含めてどうなっているんだと。環境といいますと、環境庁がやっていらっしゃることばかりではなくて、まさしく生活環境という非常に大きな言葉でとらえられる部分があって、そういった意味でも、大変に関心が強いんだと思います。  そういう中で、きょうは大臣の所信に関連しまして、大ざっぱにというか網羅的に幾つか御質問させていただきたいと思います。  今佐藤議員の質問の中に、海外に対する支援、海外協力に関してのガイドラインについての質問がちょっとありました。私は、今回大臣のお言葉の中にありました、日本の顔の見える環境行政をこれからしっかり進めていこう、そういう中で、日本の国内の環境行政ばかりではなくて、日本国民にとって、海外に対してどういう貢献を日本がしているのか、昨今、軍事貢献がどうとかいう議論も大変に多いんですけれども、それも大切で必要なことなのかもしれませんが、それ以上に、近隣諸国と日本が信頼関係を持って平和的にやっていく、やはりそういう必要があると思いますし、そういう中で日本が、環境立国というか、日本というのは環境、自然を非常に愛する国民である、そしてそれを、自分たちの国ばかりではなくて、海外にも目を向けて技術協力をする、そういったことが非常に大切ではないかと思うわけであります。  そういった意味で、国際協力推進は環境方面でどのように行っているのか。例えば、それの拠点はこういうところであるとか、あるいは、方法についてはこういうふうに多くなっている、あるいは、特に重点的にこういった国々に行っている、そんなようなことをお聞かせいただきたいと思います。
  70. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 お答えを申し上げます。  我が国といたしましても、先生指摘のとおり、途上国に対します環境協力というものは非常に重要であるというふうに考えているところでございます。  まず、拠点についてのお話がございました。拠点と申しますと、我が国といたしましては、政府全体といたしましては、まず、国際協力事業団が一つの大きな拠点となっているわけでございます。そして、JICAと申しますが、この国際協力事業団が全国に国際研修センター、国際センターという名前になっておりますが、国際的な研修、研修生を受け入れる、そうしたセンターを全国各地に設置しているところでございます。また、環境庁や地方公共団体も、受け入れるためのいろいろな施設を独自に設けているところでございます。こうしたセンターといたしましては、環境庁には国立環境研究所、さらにそこに設置をしております環境研修センター、こういったところでも設置をしておりますし、三重県その他の地方公共団体におきましても、独自にそうしたセンターを設置しているというような状況でございます。  その重点がどこにあるか、こういうお尋ねでございますけれども、環境庁といたしましては、環境に関する協力は、とりわけ、経済的な面でも社会的な面でもつながりが深いアジア・太平洋地域に重点を置いて取り組んでいるところでございます。このアジア・太平洋地域におきましては、海洋汚染の問題でございますとかあるいは酸性雨、こういった環境問題におきましても地域的なつながりが深いわけでございます。  また、我が国の援助の基本的な理念や原則を示しております政府開発援助大綱、いわゆるODA大綱におきましても、アジア地域にODAの重点を置くというふうにされているところでありまして、我が国といたしましては、そうした立場で、アジア・太平洋地域に重点を置いて環境面の協力も進めてまいりたい。  そうした観点から、ことし一月には日中韓三カ国環境大臣会合も開催をしたところでございますし、また、中国との環境問題での協力の重要性にかんがみまして、日中間の環境協力の強化を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。
  71. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございます。  そういった、今御説明いただいたようなところを通して海外協力をしている、そしてまた、その中には技術支援とか資金的な支援とかあると思うのです。そういう中でもう一度お聞きをしたいわけであります。  特に顔の見えるということですと、まさしく顔を見て海外から研修生が日本に来る、日本の、日本人の顔を見ながらこういった環境技術、環境のことについて研修するというのは非常に必要かと思うのですが、今のお答えの中にも、国際研修センターが各地にあると。これは、かなりの方が日本でそういった研修をやっていらっしゃるのでしょうか。どれぐらいの方がお見えになっていて、全国各地にどれぐらいの研修センターがあるのか。そしてまた、国立環境研究所という研究施設のリーフレットをちょっと手元にいただいているんですが、こういったところでも海外の研修生を受け入れていらっしゃるのか、その点についてお聞きをしたいと思います。
  72. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 お答えを申し上げます。  途上国からの研修生を受け入れる施設といたしまして、先ほど申し上げました国際協力事業団が全国に設置をしております国際研修センターがございまして、これは、今ざっと数えましたところで、たしか十四カ所あるのではないかというふうに考えております。名古屋にも国際研修センターというのがございます。そして、そうしたところで、環境保全関係の研修は、一年に約三百名を受け入れているというふうに聞いているところでございます。  このほかに、環境庁におきましても、先ほど申し上げましたとおり、国立環境研究所の一施設といたしまして環境研修センターを所沢に設置しておりまして、そちらにおきまして国際的な協力を進める、こういうことで、これは主に我が国の国際協力を進めるという観点から、地方公共団体の職員などを対象にして国際協力のための要員を育成するといいますか、そういう観点から研修をしております。また、国立環境研究所そのものも、研究者の育成といいますか、途上国の研究者の能力を育成する、こういうような観点も含めまして、途上国からが主でございますけれども、必ずしも途上国には限りませんけれども、外部から研究者を受け入れて共同研究を実施している、こういう実態がございます。
  73. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございます。  こういった面で日本の顔が見えるようにしていく、それは、国内向けにも、そして海外向けにもぜひとも必要ではないかなという思いがいたします。  そして、実は今のお答えの中にもあったのですけれども、国内向けですね。先ほど同僚議員の話の中にもありました国内、私も地元が藤前干潟のある名古屋でございまして、非常に環境問題、周りから多くの指摘、そしてまた疑問を受けるわけであります。今後こういった環境行政が必要になっていく中で、やはり教育の問題というのが大変に多く出てくると思うわけであります。やはり、いかに環境というものが大事なのか、そして大事にということを理解するだけではなくて、いかに守っていくべきなのか、そういったことを小さいころから学んでいく必要があると思うのです。そういう中で、今お答えの中にも、環境研修センター、そういうところで自治体の専門家を育てていくというようなお答えがあったような気がするのです。  ところで、例えば各自治体で環境教育を行っていくためのリーダーを育てていく、そういうようなことにどう取り組んでいらっしゃるのか。あるいは、自治体を通してやることだけではなくて、例えば、環境庁が日本の小学生とか中学生をどこかに集めて直接環境教育をする、国立公園、国定公園とかそういう中に施設をつくって、そういうところに子供に来てもらって直接指導する、そんなようなことは進めていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  74. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  今日の環境問題の解決のためには、国民一人一人がみずからのライフスタイルを環境負荷の少ないものに変革していく必要があると考えています。そのためには、環境教育、環境学習を推進することは極めて重要であるというふうに考えているわけであります。  そこで、環境庁といたしましては、まず今の御質問に即して申しますと、小中学生による環境活動クラブとして、こどもエコクラブ事業というものをやっております。ちなみに、全国四千クラブ、七万人が参加しております。  また、国立公園、国定公園内で、自然の中で滞在しながら、学び、冒険などを通じて自然や地域との共生を体験する拠点を整備するふれあい自然塾事業に取り組んでおります。  また、環境保全活動を行おうとする市民や事業者に対し、みずからの専門的な知識や経験などを生かして助言する者を積極的に登録して活動していただこうということで、環境カウンセラーとして登録する制度などを設けております。  また、平成十年度第三次補正予算で総合環境学習ゾーン・モデル事業を実施しまして、体験的な環境学習を行える現場を広いゾーンで設けていこうということで現在取り組んでいるところでございます。  さらに十一年度におきましては、こうしたモデルゾーンの成果を踏まえて、中核的な環境学習拠点の整備も図っていきたいということで検討してまいりますし、それから、環境学習支援事業ということを新たに実施する等々の取り組みをなしております。
  75. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございます。  ぜひとも、しっかりこういった問題に取り組んでいっていただきたいと思うわけであります。そういったことをやっていらっしゃることは、私も不勉強であったとは思うのですが、余り知られていないのではないかなと思います。これは大変に例えがよくないのかもしれませんけれども、よく社員研修とかで一週間ぐらい自衛隊に入ってみると何か人間が鍛えられる、そんなようなことがイメージとして広まっているような思いがするわけでございます。  そういった意味で、国がやっているあるいは自治体がやっているそういった環境学習センターというものを、親が本当に自分たちの子供を鍛えるというか教育するのにいい場所だ、そんなイメージが定着していくというか広まっていくように、ぜひとも御努力をいただきたい、そんなふうに思います。
  76. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 ただいま先生の御指摘に対して、若干補足をさせていただきます。  私ども、十年度補正予算によりまして、地球学校構想というものに具体的に着手しております。環境に優しいライフスタイル、ビジネススタイルを普及させ、二十一世紀の新しい経済社会づくりの担い手をつくることが目的であります。  要は、複数の地域をモデルとして取り上げまして、それぞれの地域におきまして、地球温暖化であるとか、化学物質廃棄物・リサイクル、自然環境などの多様な問題に現場で取り組む活動の中で、学習希望者が、生の取り組みや実物に触れ、あるいは汗を流して体験的に環境学習を行えるようにするということで、総合環境学習ゾーンとして集中的に整備していこうということであります。これらの地域では、全国からの学習希望者を積極的に受け入れていくことを期待しておるわけであります。  環境の現場の近くの既存施設に、学習を助ける展示や模型、観察器具、テキストなどを備えさせることからまず始めますが、学習効果がより高まるように情報ネットワークも整備していく、さらに究極的には、地球学校というものの実現をしていこうということで手がけておるところであります。
  77. 近藤昭一

    ○近藤委員 わかりました。ぜひとも、しっかりとお力を入れていっていただきたいと思います。  ところで、そういった環境ということで、今どうしてもダイオキシンの問題あるいは環境ホルモンということが非常に一般的になってくる、一般の人の頭に浮かぶわけでありますが、この問題についての現状の取り組み、そしてまた、国がやっている取り組みの中で、地方とどういうふうに協力をしていらっしゃるのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。
  78. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  ダイオキシン問題につきましては、国民の健康にかかわる環境保全上の重要な課題でありまして、従来から廃棄物焼却炉等に対する規制等各般の施策を進めてまいりましたが、今年度はさらに、さき大臣の答弁もございましたが、全国四百カ所で環境モニタリング調査を実施しているところであります。  また今般、関係行政機関相互の緊密な連絡を確保すべく、去る二月二十三日には、ダイオキシン対策関係閣僚会議が設置されまして、二十四日に第一回閣僚会議が開催されました。ここでは、政府として速やかに対策を推進するために、ダイオキシン対策推進基本指針の策定等を政府一体で行うことが申し合わされたところでございます。環境庁としては、さらに耐容一日摂取量TDIの早急な見直し等、今後もダイオキシン問題について機動的な対応を進め、国民不安解消を図るべく努力してまいりたいと存じます。  また、御質問の地方自治体との連携でございますが、これは地方自治体の担当者の方々に厚生省環境庁が一緒になりまして主催する連絡会議等で意思の疎通を図るように努力を積み重ねているところであります。
  79. 近藤昭一

    ○近藤委員 今の地方のことでもう少しお伺いをしたいわけであります。  まさしくダイオキシン、環境ホルモン、降ってわいたような、一部の中ではそういった危険も指摘されていたのかもしれませんが、こんな物質があるのかとみんなが非常にびっくりしたと思うのです。そうしますと、地方の方では、こういったダイオキシンなんかを調査する、分析する技術なんかはまだ多分整っていない部分があるのではないかなというふうに思うのです。  こういったことについては、国の方からどういうふうに支援をなさっているのかお聞かせいただきたいと思います。
  80. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 御指摘のように、地方公共団体のダイオキシンの分析体制の強化が強く求められているというふうに考えます。  そこで、環境庁では、十年度から地方公共団体におけるダイオキシン分析機器の整備に対して補助を開始いたしました。また、十一年度からは地方公共団体職員を対象とした分析に当たっての研修を開始する予定でもあります。  今後とも、さらに一層の連携の強化に努めていきたいと考えております。
  81. 近藤昭一

    ○近藤委員 大変に多くの皆さんが不安を感じていらっしゃることでございますので、国と地方が協力をしていただきまして、ぜひともしっかりと取り組んでいただきたいと思うわけであります。  そういう中で、ダイオキシン、環境ホルモン、思いがけないような影響が出る。かつては、やはり化学物質は非常に便利なものであって、新しい化学物質開発していく、それが人間の生活にいい影響を与えるんだというふうにだれしもが信じていたわけだと思います。  そういう中で、こうして本当に恐ろしいような影響を及ぼすのではないかという状況があらわれる中で、今後、化学物質についてどう取り組んでいくのか。例えば、余りむやみに驚いて規制をしてもいけないとは思うのですが、ただ、どういう影響が起こるかわからない、そういったある意味での前提のもとにこれから取り組んでいく必要があると思うんです。  そういった、予想もできないような化学物質影響に対するリスクマネジメントと申しましょうかリスク管理については、今後どういうふうにされていくのかお聞かせをいただきたいと思います。
  82. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  化学物質による環境汚染を防止するためには、現在さまざまな規制の手段がございます。例えば大気汚染防止法だとか水質汚濁防止法、化学物質の審査規制法等がございますが、こうしたものによって適正かつ効果的な実施を図っていくことは当然のことでありまして、今先生の御指摘のことは、まだ規制の対象とするほど明確ではないけれども、何らかの形で有害性があるというふうに国際的にも認識されているようなものについて、化学物質を使用していくことの有用性とそうした有害性をどこでどうきちんと管理、調和させていくかという御質問であろうと思います。  この点につきましては、人の健康等に有害な性状等がございまして、また環境中にも広く存在していると考えられる多数の化学物質につきまして、事業者の自主的な管理の改善を促進し、環境保全上の支障の未然防止を図る新たな管理手法としましてPRTR制度につきまして、現在、通産省と共同で今国会に法律案を提出すべく準備を進めておるところでございます。  これによりまして、もちろん事業者の方々にも、その排出量を自分で推計あるいは測定することによって排出を減らしてもらうような努力もしてもらう。それからまた、我々国民も、日常生活の中で、洗剤だとかあるいは塗料等を使うことによって環境中にそういう化学物質を排出している可能性はある。こんなものについても、私ども推計をして公表したいと考えております。  こういうものと相まちまして、有用なものであっても一方で有害性がある、先生の御指摘のように、必ずしも有害性の程度はまだはっきりわかっていなかったり、プロセスはわかっていなくても、そういうものについて、みんなで共通理解をしながら、有用なものは有用なものとして使いながらコントロールしていくという手法を今後考えていきたいと思っておるわけであります。
  83. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございます。  今御答弁の中にもありましたように、本当に有用なのか有害なのかなかなか難しいというところだとは思うんですが、かなりそういった危険性があるという認識をいただいてこれからは対処していただく必要があるのではないかと思いますし、今のPRTR法でございましたでしょうか、とにかく今まで、ちょっと語弊があるかもしれませんが、野放しになってきたようなものをもっと総合的に、化学物質がどういうふうに排出されて空気中にあるのかということをぜひとも多くの人が、政府、いわゆる行政の側、あるいは排出をしている民間の側、排出者の方も理解をする必要があると思うんです。  ところで、そんな中で、今私も申し上げましたが、化学物質に対して非常に厳しい目というものを向けていく必要があると思うのです。ちょっともし名称が間違っていましたら恐縮でございますが、現在化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律というのがあったと思うんです。これは私も中身をよく知っているわけではないんですが、この法律の名称からいいますと、そういった物質の審査あるいは製造に対して規制を加える法律だと思うんです。もっと厳しい化学物質に対する規制をするために、こういう法律を改正していくおつもりがあるのか、御予定があるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  84. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 ただいま先生指摘の法律は、長いものですから、俗に化審法と称している法律だと思います。  これは、先ほど私が答弁で申し上げましたように、明らかに一つの規制法でございます。規制法は、それぞれの知見に応じて、きちんと規制法としての役目を果たすべくその見直しをするのは当然だと思いますが、これは余り私どもが所掌している領域でありませんので、正確にお答えできませんが、当然知見集積に合わせて規制の手段としての法律は見直しがなされるべきだろうというふうに一般的に考えます。  先ほど申し上げたPRTR法は、そういう規制そのものではなくて、自主的管理に基づきまして、排出量をみんなで把握し、自覚し、排出の削減に自主的に努めていくというものでございまして、若干体系が違うわけでございます。その点については御理解賜りたいと思っています。
  85. 近藤昭一

    ○近藤委員 わかりました。所管が違うということかもしれませんが、こういった法律についても、私は中身を詳しく調べた上で申し上げているわけではありませんけれども、この法律に限らず、こういった化学物質に対する規制は厳しくしていく必要があるのではないかと思うのです。  それでは、済みません、ちょっと質問としては用意していなかったんですけれども、真鍋環境庁長官に。本当に大まかなお考えで結構でございますので、こういった化学物質が今非常に大きな影響を与えるということについてどのようにお考えか、お聞かせをいただければと思うのです。
  86. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先ほど来御論議をいただいておるダイオキシン問題も、環境ホルモンの一種である、こう言われておるわけであります。  環境ホルモンにつきましては、第一回を昨年十二月に京都で開催いたしたわけであります。その折にも、けんけんがくがくの意見が出まして、甲論乙駁で、意見の一致というのはどこにあるのだろうかというほど多岐にわたっての意見でございました。  そこで、第二回の国際環境ホルモン会議をぜひ継続して開催していただきたいということで、平成十一年度予算でもって今お願いをいたしておるところであります。この予算が通過すれば第二回の集いも日本国で開催することになっておるわけでありまして、世界の環境ホルモンの会議は日本で開催され、そしてトップ的な知見はそこに集積されておるという状態に今後持っていきたいものと私は思っておるわけであります。  そこで、ただいま問題になりましたPRTRの問題でございますけれども、化学物質のいろいろな弊害があるわけでありまして、それを自主申告やまたお互いの協力によって問題整理に当たっていこうということで、今、通産省を初めといたしまして、建設、農林、厚生の方の関係でようやくにして意見がまとまってきたところであります。もう少しというような段階に参っておるところでありますけれども、ぜひこれらの皆さん方の意見を集約いたしまして、化学物質に対する危険というものを未然に防ぐ対応をしてまいらなければならないと思っておるわけであります。PRTRの問題につきましても、各党各派の皆さん方の御意見をいただきながら、一つの法案としてまとめてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  87. 近藤昭一

    ○近藤委員 大臣、どうもありがとうございました。  本日の質問の冒頭でも述べさせていただいたんですが、とにかく顔の見える環境行政ということで、今大臣もおっしゃられたように、世界にもメッセージを発する、そして、ぜひとも環境庁という環境の立場から、こういった思いがけない化学物質影響に対してしっかりと厳しい目を向けていっていただきたいと思うわけであります。  そこのところで、また、先ほど既に質問にも出ておりましたけれども、大気汚染に関して、車の排気ガスのことでございます。  車の排気ガスというものが大変に大きな空気の汚染原因を占めていると思うんですが、今後、車そのものの規制についてどのようにお考えか。あるいは、よく海外なんかでも行われているところがあると聞いておりますけれども、車の乗り入れの規制をする、そんなようなことについてどういうふうに考えていらっしゃるのか。また、本日新聞にも出ておりましたけれども、税制によって低公害に向けて車の排気ガスの規制をしていくというようなことが新聞にも出ておりましたけれども、その辺についてどういうふうにしていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  88. 廣瀬省

    ○廣瀬(省)政府委員 先生の御質問、三つあったかと思いますが、まず、大気汚染にかかわって自動車排出ガスがどうであるかということでございますが、窒素酸化物にかかわって自動車の寄与率がどうであるか、こう考えておりまして、窒素酸化物、大都市では約六割を自動車が寄与している、それから全国平均では約三割がかかわっているというふうに思っております。  これについては、昨年九月にガソリン自動車について環境庁告示を改正しまして、平成十二年から十四年にかけて排出ガス規制を強化して、排出ガスをおおむね七割削減という考え方を出しております。そして、平成十七年ごろを目途になお半減していきたいという考え方を持っております。  それから、ディーゼル自動車については、平成九年から十一年にかけて規制強化を実施中でございますが、窒素酸化物を約一割から五割、これは車種によって違うわけでございます。それから、粒子状物質を六割削減したいというふうに考えております。そして、昨年十二月に中央環境審議会より、ディーゼル車に関して排出ガスの規制を二段階でより大幅に強化するという答申をいただきまして、平成十四年から十六年にかけて、排出ガスを現行より二割から三割削減に持っていきたい、加えて、平成十九年ごろを目途になお半減していきたいという予定を持っております。  というのは、それぞれ技術の革新ということを入れておりますので、なるべくその辺のところにおいて、余裕は持ってございますが、しっかりした形での対策を進めるということを考えております。  それから、乗り入れ規制の問題でございますが、これは最初の自動車NOx法を決めたときに、難しいということで取り入れてございませんでした。しかし、現実には、金沢市とか仙台市、浜松市などの自治体で、都市内の交通混雑を解消するという観点からパーク・アンド・ライドという考え方で取り組んできております。これは、地方自治体が、地方の商業の町を活性化することとあわせながら、自治体全体が住民とよく話し合いながら物を進める、つまり、規制ということではなくて話し合いの中で有効的に取り入れるというような考え方で進めているわけでございます。この辺については、担当をそれぞれに向けまして調べさせておりますが、今後この問題もどう考えていくか、規制とあわせながらどう考えるかというのはそれぞれ意見をもらっていかなきゃいけない部分というふうに思っております。  それから、自動車にかかわっての税の問題を含めての対策ということがございますが、これについては、大臣からも厳しく、低公害車の普及ということを含めての対策、そして環境に関する問題というのを含めて十分な検討をしなさいという指示を受けておりまして、その検討会を立ち上げながら仕事を進めてまいりたい。今のところ、税については大変複雑な状況を持っておりますので、ここでどうだということは申し上げられません。しかし、大臣からの指示もございますので、視野に入れながら勉強してまいりたいという考え方でおります。
  89. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございました。  排出されるガス、これは技術の革新によってどんどんと進めていっていただきたいと思う。車そのものの規制、いわゆる絶対的な車の総量の規制、そういったものについても必要ではないかと思うわけであります。そういう意味で、今お答えの中にもあったようなパーク・アンド・ライド方式というのが幾つかの自治体でやられているようでございまして、そういったことを国の施策としてもぜひ地方と協力をしながら進めていただきたい、そんなふうに思うわけであります。  そこで、もう一つ。手賀沼のパイロット事業というのが行われているようでございますが、漠然と、水の循環をどうしていくかということでこれが行われているということはちょっとお聞きしたわけであります。こういったパイロット事業が行われるようになったということは、本当に環境行政の中で水というのが大事だということだと思うんですが、どういう背景でこれが行われて、そしてどういう究極の目標ということでやっておられるのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  90. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  二十一世紀の我が国経済社会の持続的な発展のためには、環境保全上、健全な水循環の構築が極めて重要だと考えております。それは、水量のみならず水質をきれいにしていく、あるいは水辺地をきれいにしていく、あるいは景観を保全していくなど、そういう一体的な概念でございます。  ただ、実態を見ますと、我が国におきましては、二十世紀半ば以降都市への人口集中が急速に進みまして都市地域の拡大というのがあったということは御案内のとおりでございます。その結果、水循環の健全性がいろいろな形で影響を受けてまいりました。具体的には、雨水の浸透する地域減少してしまうとかあるいは水田も減少してまいりました。その結果、河川を流れる水の量が不安定化するとかあるいはわき水が枯渇する、あるいは生態系の劣化など、さまざまな障害が発生してきているというのが事実でございます。  したがいまして、こういう事態に対しまして、環境庁といたしましては関係省庁連携いたしまして水循環の回復、構築の着手に努めてきておるところでございます。そのパイロット的な対応といたしまして手賀沼の事業というものを位置づけておりまして、具体的に取り組んでまいりたい。  では、どういうものをやるかということでございますけれども、関係省庁とか地元自治体あるいは地元住民の方々の参加を得まして、まず第一は手賀沼をめぐる水循環機構の解明調査、第二は手賀沼の水を直接浄化するための新技術の実証調査、三つ目には地域住民などの各主体を対象とした普及啓発、こういったことに努めていきたいということでございます。そういう取り組みにおきまして、環境庁が牽引車の役割、これを果たしてまいりたいと思っております。
  91. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございました。  とにかく、今お伺いしましたけれども、そういった水循環についていろいろなところで問題が出てきているのではないかと思うわけでありまして、ぜひともしっかりとそのことについて進めていっていただきたいと思うわけであります。  それでは、質問時間も終了いたしましたけれども、とにかく国民の間で非常に関心が高まっている、そういう中で、やはり私は、環境庁がしっかりとリードをしていっていただく、そして国民の側でも、日本の国内の環境状況はどういうふうになっているのかということをしっかりと自分たちで理解をして意識をして行動をしていく必要があるんだと思います。そういった意味で、積極的に環境庁の方がリードしていっていただくとともに、情報提供していっていただきたい、そんなふうに思うわけであります。  それでは、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  92. 北橋健治

    北橋委員長 丸谷佳織さん。
  93. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。  私も今国会より環境委員会の方に初めて所属させていただきますので、きょうは初めての質問の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ことしの一月にペルーの方で開催をされましたアジア・太平洋会議に出席する機会がございまして、この会議では、同地域から参加しました二十五カ国が地球規模の問題について意見を交換してきたわけなんですけれども、その中で最も時間を費やして議論がされたテーマの一つがやはり環境問題についてでございました。  我が国としましても、先ほど来の御答弁にありますように、ダイオキシン類対策を初めとしまして多角的な方面から環境対策に積極的に取り組んでいらっしゃる姿勢は、大臣所信表明をお伺いし、また本日の委員会質疑の中で十分に理解をさせていただくことができましたので、二十五分と限られました私の質疑時間の中でテーマを絞ってお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。  地球規模問題としましての環境も非常に大切だと思うんですけれども、身近な生活環境から一つ一つチェックをしていくことも非常に大切であると思いますので、きょうは農業と環境問題についてお伺いをします。  一般に、農業といいましても、大変幅広く環境問題にリンクしておりますが、その中から暗渠排水事業について質問をさせていただきます。  言うまでもありませんが、暗渠排水事業は、我が国の農業におきまして、土地の生産力ですとか作物の品質を高めるために欠かすことはできません。この事業自体は、農業基盤整備事業としまして、その規模によって、国直轄で行うもののほか、都道府県あるいは団体営農による補助事業で行われていますけれども、現在、全国の経営耕地面積約四百九十万五千ヘクタールのうち、暗渠排水を必要とされている面積はどの程度と把握されているのか、まずお伺いします。
  94. 松浦良和

    ○松浦説明員 お答えをいたします。  農地の暗渠排水につきましては、土壌中の過剰水を排除いたすほか、地下水位をコントロールするという機能がございます。それで、圃場におきまして、水稲ばかりでなく畑の作物でございますけれども、広く栽培できるようにするために重要な役割を果たしておるのは、先生指摘のとおりでございます。  御質問の暗渠排水を必要とする面積でございますけれども、暗渠排水の目的が、湿田を乾田化したり、それから農作業の機械の作業性を向上させる、さらには作物の生育を良好にする、いろいろ多岐にわたっておるわけでございます。加えまして、水田を畑として利用するかどうかというようなことによりまして変わってくるため、一概に必要な面積ということを申し上げることはできないのではないかと思います。  しかしながら、それではどのぐらいの量をやっておるかということにつきましては、過去五カ年でございますけれども、平成四年から八年までにつきましての暗渠排水の実績でございますけれども、全国で約九万五千ヘクタールという面積がございます。
  95. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 では、暗渠排水事業は一ヘクタール当たりどのくらいの事業費が必要になってくるのか、お伺いします。当然、用いる資材ですとかその地域土壌などによりまして、こちらも一概には言えないと思うのですけれども、ごく平均的で結構ですのでお願いします。  また、あわせまして、一度施工しますと何年ほどもつものなのか、耐用年数もお伺いします。
  96. 松浦良和

    ○松浦説明員 まず、暗渠排水の一ヘクタール当たりの事業費でございますけれども、これは水田と畑がございまして、まず水田につきましては、全国平均で一ヘクタール当たり約百六十万円でございます。これは平成十年の事業の実績でございます。大体その程度とお考えいただければ結構かと思います。それから、畑につきましては、排水不良が生じているところを局部的に改良するという機能がございますので、畑につきましてはちょっとこれは一言で申し上げにくいことはありますけれども、水田につきましては今申し上げたとおりでございます。  それから、もう一つの御質問のおおむねの耐用年数ということでございますけれども、暗渠排水の資材につきましては、これは合成樹脂の管とか素焼きの土管というようなものがございますけれども、一般論的に申し上げれば、耐用年数は基本的には三十年程度ということかと考えておるところでございます。
  97. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 先ほどお答えいただきました、暗渠排水が施されている面積が約九万五千ヘクタール、一ヘクタール当たりの事業費、水田においては百六十万円、そして耐用年数が約三十年という数を組み合わせていきますと、単年度どの程度の予算が必要になってくるか、概算的にでもわかってくるわけなんですけれども、平成十一年度予算案の中で、このようなサイクルで編成され、農業を営む方々の期待にこたえられるようになっているのかどうかはいかがですか。
  98. 松浦良和

    ○松浦説明員 先ほど申し上げましたように、暗渠排水につきましては、水田の汎用化等非常に重要な機能があるわけでございます。  そういう意味におきまして、できるだけ地元の御要望に対応できるように予算等やっておるところでございますけれども、一概に、すべての要望をクリアしているかどうかにつきましては、これはいろいろな形で対応しておるところでございますので、必ずしもそうではないということがあろうかと思います。
  99. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 では次に、この暗渠排水の資材に関してお伺いをしていきたいと思います。  現在、埼玉県下で発生しておりますダイオキシンによる野菜汚染、本日の委員会の中でも取り上げていらっしゃいましたけれども、大変大きな社会問題となっております。暗渠排水用の資材の中核となります吸排水管の多くは、化学製品を原料とする合成樹脂管を利用しているんですが、合成樹脂管を利用するように農水省が勧められているというふうにお聞きしましたが、そのとおりなんでしょうか。
  100. 松浦良和

    ○松浦説明員 暗渠排水用の資材につきましては、先生今御指摘のように、素焼きの土管とか合成樹脂等幾つか種類がございます。これらにつきましては、敷設の手間を含めた経済性なり、対象となる農地土壌の条件なり、それから地域での使用の実績等を勘案して決定されるものでありまして、特段どちらをという指導はないと考えております。
  101. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 では、現在使われています合成樹脂管と素焼き土管の割合、大体でいいのですが、わかりますか。
  102. 松浦良和

    ○松浦説明員 ちょっと古い資料で恐縮でございますけれども、昭和五十九年度に実績を取りまとめたことがございます。この場合、全国で申し上げまして、合成樹脂管については、割合で申し上げて約五五%でございます。それから、素焼き土管とか陶管につきましては、約四一%でございます。それから、その他の資材による管につきましては約四%、このような数字になってございます。
  103. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 申し上げるまでもないのですけれども、暗渠排水の歴史は大変に古くございまして、海外では紀元前の十八世紀から土を焼いた管を利用していましたし、また、我が国でも、竹から始まりまして、明治時代には土管が活用されるようになって、昭和四十年の前半まで食料の増産あるいは新興都市の建設に大きく貢献してきたわけです。その後、価格面ですとか工事の利便性などから、化学物質を使った製品が多く使われるようになっていったのですが、最近、ヨーロッパの各都市、特にスペインですとかオランダでは、再び昔ながらの素焼き土管を使用するようになってきたということなんです。  これは、全国農業土木技術佐賀県連盟の農林部次長の方がヨーロッパ農村整備の視察に行かれた際に、暗渠排水の現場をごらんになっての御発言からなんですけれども、スペインで、一九七〇年代から使用されてきた化学製品の暗渠を半永久的に土壌に埋めておくことの効果におきまして、その問題性が徐々に指摘されるようになってきた、現在はほとんどの地区で土管を使用するようになってきたというのを視察されて見てきたわけですね。同様に、農業の先進国と言われますオランダから、ヨーロッパにどんどん普及していきましたビニールパイプでの暗渠排水も今は影を潜めてまいりまして、化学的物質ではない生きた土管を疲労した土に戻し、土壌改良するために使う傾向が強くなっているというのがヨーロッパの現状だそうです。  こういったヨーロッパ各国の現状を政府の方では把握されていらっしゃいますでしょうか。また、把握されているとしたら、どのように分析をされていらっしゃるのか、お伺いします。
  104. 松浦良和

    ○松浦説明員 暗渠排水につきましては、先ほど申し上げましたように、圃場の汎用化なり高度利用を図るために、土壌中の過剰水の排除等を行う、それで、資材につきましては、敷設の手間を含めた経済性、それから対象農地土壌条件、さらには地域での使用実績等を勘案して決定されるものでございます。資材といたしましては、今申し上げました素焼き土管なり合成樹脂等がありますけれども、現在までのところ、これらにつきまして特段の問題というものは聞き及んでいないところでございます。
  105. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 では、我が国におきましての話をしたいのですけれども、山口大学農学部の教授の方が講演の中で、「暗渠被覆材の有無と水みちの形成について」という講演をされたのですが、暗渠の材料は自然系の素材を利用すること、半永久的に埋設する暗渠は、環境ホルモンが時間経過に伴って溶出するようなおそれのあるものは避けること、そして、暗渠の被覆材は通水面積を広くする効果があるが、中長期的に見ると無被覆材の圃場と変わらなくなる等述べていらっしゃいます。  半永久的に埋設する暗渠から化学物資が溶出する可能性と、環境、平たく言いますと、農作物に与える影響について、ヨーロッパの状況は把握されていないようなのですけれども、では、我が国としましては、農作物に与える影響はないとお考えなのですか、改めてお伺いします。
  106. 松浦良和

    ○松浦説明員 先生が今御指摘の点につきまして、私、つまびらかに存じておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、素焼き土管、合成樹脂、いろいろな材料が使われておりますけれども、現在までのところ、これらにつきまして特段の問題ということは聞き及んでおりませんので、御理解をいただきたいと思います。
  107. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 では、仮に農作物影響はないという結論が出たとしましても、耐用年数が切れ、再施工する際に、その廃棄処分等をめぐって新たな環境問題が生じてくると予想されますが、この点についてはいかがですか。
  108. 松浦良和

    ○松浦説明員 これらの敷設いたしました暗渠管につきましては、焼却ということはしておりませんで、埋め殺し、そのままにした状態で土の中に戻すと聞いております。
  109. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 埋めたままにしておくということですから、本当に半永久的という言葉がぴったりだとは思うのですけれども、農地に化学肥料ですとかあるいは農薬が使われて、自然の堆肥が土に還元されなくなっていった結果、現在、土が疲労しだんだん弱っていく農地に対しまして、化学物質ではなく、土を焼成した土管を使って土地改良に努めていくという視点も非常に大切ではないか、このように私は思います。このことが、ひいては、私たちが安全な農作物を食するということにもつながっていくのではないかと思いますが、環境庁長官はいかがお考えですか。
  110. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 まず、私どもの方で持っておりますデータにつきましても、農水省のものを補足したいと思います。  まず、ヨーロッパにおきまして、暗渠排水管として用いられておる、先生指摘のポリ塩化ビニールなんかでございますけれども、これによりまして公共用水域の汚染が問題となったという報告は、ちょっと私ども受けておりません。これは、農水省の先ほどの答弁に補足しておきたいと思います。  それで、私どもの関連といたしまして、今先生の御指摘の点は、やはり、農業というものが自然を循環利用したものである、それに即した素材等を極力使え、そういう形で自然に優しい農業の展開を図るべきではないか、こういう御指摘ではないかと思います。  やはり原則はそうであろうと思います。ただ、その場合に、コストの問題とか、あるいは農地の管理の問題とか、あるいは水の効率的な利用の問題とか、いろいろ他の要素も絡んでくると思います。そういうものを総合勘案していろいろ利便性の高い資材等も使われていくものである、こう思います。ただ、そこはやはりバランスの問題で考えていかれることでないかと思っております。  ただ、先生御懸念のポリ塩化ビニールなんかの合成樹脂を使いました暗渠排水管の使用につきましては、我が国においても、現在まで公共用水域が汚染されたというような事例は報告されておりません。したがいまして、私どもとしては、そういう点も踏まえながら、要するに自然の循環なのか、あるいは利便性なのかということは、農業者の判断でいろいろ対応されていかれるものではないかと思っております。
  111. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 きょう質問させていただきました背景は、ただの予想ですとか憶測で質問させていただいているわけではございませんで、先ほど申しましたように、実際にヨーロッパの方の農村地域の農業資材を視察された方のお話をお伺いし、あるいは、インターネットでもヨーロッパの方のウエブページを実際に見まして、どのような農業資材を使っているのか、あるいは、どのような大学で農業資材と環境問題について研究をされているのか、それを調べまして、例えば、オーストラリアの大学が出している本を読んだり、あるいは、ニューサウスウェールズの漁場の方たちの研究状況を読んで質問させていただいているわけなのです。ですから、まるっきり根拠がないということではないのです。  汚染は報告されていないと今答弁いただいたわけなのですけれども、実際に、暗渠排水について、その調査研究をされての結果をおっしゃっていただいたわけですか。
  112. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 私どもの方は、調査をいたしますのは、河川とかいう公共用水域におきましていろいろ有害物質が存在しているかどうかということの調査を行うという任務を持っております。  それで、具体的に言いますと、暗渠排水管の一つの資材であるポリ塩化ビニールの原料であります塩化ビニールモノマー、これにつきまして過去に調査したことがございます、昭和五十年でございますけれども。それは、一リッター当たり一万分の一ミリグラムでございました。それで、アメリカの飲料水の基準は千分の二ミリグラムでございますので、それの二十分の一であった、こういうデータも持っております。  いずれにしましても、先生今御指摘になりましたような外国のデータ等につきましては、私どもも収集いたしまして、あるいは先生からもいろいろ御提供いただきまして、いろいろ私どもの知見を持っている人間の間で研究検討はさせてみたいと思っております。
  113. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 では、最後に、農水省にお願いなのですけれども、来年度から、内分泌攪乱物質が農水産物に与える影響調査されていくというふうにお伺いしているのですけれども、その中でも、きょう申し上げました農業資材関連としまして、暗渠排水についても研究をしていただきたいと要望しますが、いかがですか。
  114. 松浦良和

    ○松浦説明員 適切に対処してまいりたいと考えております。
  115. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  116. 北橋健治

    北橋委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ――――◇―――――     午後二時五十分開議
  117. 北橋健治

    北橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武山百合子さん。
  118. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子です。  早速ですけれども、真鍋長官に、総論としまして、今度二〇〇一年から環境省になるわけですけれども、国民の目から見まして省庁再編の目玉と言われているわけですね。現在の環境庁が強大な権限を持つ各省のはざまで右往左往しているんじゃないか、国民の目から見ますとそんな状態なんです。新しい環境省には強力な権限を持っていただいて、ぜひとも国民の期待にこたえて、新しい環境政策、二十一世紀は日本は環境で頑張っていこうと国を挙げて思っているわけですから、果敢に挑戦する役所になってもらいたいと国民は思っているわけですけれども、行革基本法を見る限り、廃棄物対策厚生省から移管される以外は、環境が充実するのかどうか、みんな不安に思っているわけなんです。  それで、行革の理念や二十一世紀の環境省が目指すところについて、何点か率直な長官の決意をお聞かせ願いたいと思います。
  119. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 環境庁ができて二十八年になるわけであります。その間、皆さん方の御協力をいただき、ようやくにして今日を迎えたかなと振り返ってみてつくづく思うわけであります。しかしながら、環境行政の中で環境庁の果たす役割というのは、大きな権限もございませんし、またそれ相応に調整省として私は尽くしてきた、こう思っておるわけであります。  しかしながら、二〇〇一年からいよいよ環境省に昇格するわけでありまして、その昇格するがためにということで、二十一世紀に対する省としての環境省のあり方が問われておるところであります。  環境庁にかかわりのない行政機関はもはやないと言っても過言でない状態になってまいったところであります。先般のダイオキシン対策関係閣僚会議の設置に際しましても、十三省庁がそのかかわりを持ったわけでありますし、また環境庁がその責任を負う省庁としてこの取りまとめに当たっておるところであります。  そのように、環境庁といたしまして、各省庁から期待されるところも非常に私は大きくなってきたと思っておるわけでありまして、その期待に何としてもこたえていかなければならない、こういう気持ちでいっぱいであります。  現在、環境庁が持っている環境保全観点からの総合調整機能を生かして、また省庁再編の方針を示した行革基本法において環境省に付与された各省横断的な調整、他省庁への勧告などの機能を十分に生かしてまいりたいと思っておるところであります。  それから、二十一世紀の環境省が目指すところというお尋ねでございますが、これはもう地球温暖化問題にも見られますように、地球規模で物事を考えていかなければならない時代に差しかかっておるわけであります。ただ、ごみの処理が環境省になったために来るという、ごみ処理省になったわけではないわけでありますから、地球規模の問題にも取り組む姿勢を示していかなきゃならないということで、ことしは韓国に参りまして、中国と日本、韓国、三国の環境大臣会議も開催させていただきましたし、また昨年はエコアジア会議を開いたり、また中国に参りまして、東アジアの環境行政に力を尽くしたところであります。ちょうどCOP4がアルゼンチンで行われましたので、その出発に際しまして、アメリカにも参りまして、環境大臣との集いも持ったわけでありまして、そのように日本は環境に対する面においてはもはや先進国入りをいたしたわけであります。  かつての、十年前のあのバブルの華やかなりしころに公害問題で大変大きないろいろな障害を出したわけでありますから、その経験国として、二十一世紀に対しましては世界の環境行政のリーダー国としてその責任を果たしていきたい、こういう気持ちでいっぱいでございます。
  120. 武山百合子

    ○武山委員 もうちょっと突っ込んでお聞きいたします。体制強化という意味で、現在の環境庁の定員は千人ちょっとと聞いておるわけですけれども、環境省になっても、厚生省から移管される人数がわずかと聞いております。今の体制で人数的にいくんでしょうか。絶対にふやさなきゃいけないと思うのですよ。その辺はどのように道筋を考えていらっしゃいますでしょうか。
  121. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 今千人ばかりの環境庁の職員数で賄っておるところであります。まさに少数精鋭主義で仕事に臨んでおるわけでありますけれども、これでは人が足らない、こう思っておるわけでありまして、環境省に昇格した暁には、やはりリストラの折でございますけれども、必要なところには必要な人を配置していかなきゃならないということで増員等もあり得るわけであります。ぜひ各先生方の御協力をちょうだいしてその体制づくりに邁進していきたい、こう思っておるわけであります。  それがためにということで、先ほども申しましたような二十一世紀に臨む環境省の意欲というものを表に出していかなければならないし、そしてまた環境庁としてしっかりやっておるぞというその姿が私は増員につながるものと確信をいたしておるわけであります。
  122. 武山百合子

    ○武山委員 一方で数万人規模の国土交通省のような巨大官庁が誕生するわけですけれども、現在の環境庁では泡沫官庁と言われても過言ではないような状態だと思うのですね。新たな環境省は国民の期待を背負っているわけですから、せめて数千人規模に、他省庁と対等に張り合えるような十分な体制をつくっていくべきだと思いますけれども、長官はどのくらいの、せめて国民にこのくらいという青写真を示していただけたらもっと張りが、元気が出ると思うのですけれども、いかがでしょうか。
  123. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生の激励をいただいて、勇気百倍でございます。  まず、数字にしてみれば、倍増計画を図っていかなきゃならないと思っておるところであります。でき得ることならば、私は環境行政の中に森林行政なども取り入れていきたい、こう思っておるわけであります。一府十二省庁ということで制限された枠はございますけれども、これからの森林というものは、やはり環境保全のために、そしてまた人間と共生する森林ということを位置づけてやっていくならば、これはもう環境行政の枠の中でやっていかなければならないと思っておるところであります。いろいろ新規採用等難しい点もあろうかと思いますけれども、林野にかかわるパークレンジャーなんというのはぜひそういうところからも賄っていけるものならいいがなというような感じも持っておるわけであります。  先ほど申しましたように、必要なところには必要な人を配置できて、そして環境行政の発展、活躍ができるようにしていただきたいと思っておりますし、また、私もそういう点については陣頭指揮をとっていこう、こう思っておるところであります。
  124. 武山百合子

    ○武山委員 きょう午前中の真鍋長官のお話を聞いておりますと、フットワークがすごくよく、視察も歴代の長官と比べましてあちこち動いていらっしゃるんじゃないかという感想を持っております。  現在の環境庁は、藤前干潟の問題ではかなり頑張ったわけですね。長良川や諫早の干拓では何となく事業官庁に屈服してきたんじゃないかという気持ちもみんな持っているわけですね。ですから、今のお話からしますと、将来林野行政と一緒にやろうというような感じを受けましたけれども、約倍増ということでまず二千人前後の規模で、十分な体制をまず初期の段階としてはつくっていきたいということを聞きましたので、ぜひフットワークのよい真鍋長官の時代に二千人体制をつくっていただきたいと思います。  それでは、また次の質問に行きます。  原子力の方で、動燃の事故は国民に強い行政不信をもたらしたわけですけれども、たび重なる動燃の、科学技術庁のうそには国民は怒りを覚えているわけです。原子力の安全性の監督を科学技術庁に任せておくことに、国民はもうだめですという審判を下したわけですね。  そうしますと、省庁再編では環境省がその役割を担うことが期待されているわけですけれども、省庁再編の議論の中で、九七年の九月の行革会議中間報告では、環境省が二次的チェック機能を担うことが検討課題となっていたにもかかわらず、九七年の十二月の最終報告では、放射性物質に関するモニタリングに限定されたわけなんです。  原子力の安全性確保について国民信頼を得るためには、行革基本法のもとで、原子力推進行政を所管する省でなく、環境省が放射性物質のモニタリングに責任を持って取り組み、第三者機関としてチェックするシステムを確立すべきであると思いますけれども、そうなっているのかどうか。それをお聞きしたいと思います。
  125. 太田義武

    ○太田(義)政府委員 この中央省庁等改革基本法の二十四条、「環境省の編成方針」という中の第四号に、原子力の関係で共管事務の一つとして、環境中の放射性物質に関する監視及び測定に関して「環境の保全の観点から、基準、指針、方針、計画等の策定、規制等の機能を有し、これを発揮することにより、関係府省と共同で所管する」こういうふうになっております。この基本法において、環境省が他省と共管すべき事務として整理されて、しかもその中で、環境中の放射性物質に関する監視及び測定等についての問題であるというふうに整理されております。  したがって、これに基づいて、これから環境省設置法というのが出されるわけでございますけれども、この中では、いわゆる科学技術庁がやっております今のような仕事、これは教育科学技術省に移管されるということだと理解しておりますけれども、その新しい教育科学技術省とともに、国民の安全の確保のために、モニタリングに関する計画の共同策定、こういうものなどを通じて十分な責任を果たせるようにしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  126. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、第三者としてチェックするシステムではないわけですね。共管としてという意味に解釈してよろしいのでしょうか。
  127. 太田義武

    ○太田(義)政府委員 原子力行政につきましては、新しい教育科学技術省のほかに、内閣府でも担当する、あるいは産業省でも担当することになっておりますので、環境省の担当する部分は、この法律の二十四条に書いております環境中の放射性物質に関する監視及び測定に関して、先ほど言いました基準、指針、方針、計画等の策定、規制等の機能を有し、これを発揮することによって関係府省と共同で所管するのだということでございまして、第三者機関として環境省がチェックするという形の整理はなされていないというふうに理解しております。
  128. 武山百合子

    ○武山委員 それは決められたことですけれども、環境庁としてはどう思っておりますか。
  129. 太田義武

    ○太田(義)政府委員 これも御議論いただいた法律でございますので、今、この法律の規定に従ってどういうふうに具体化するかということでございまして、この枠内で議論をしておるということでございます。
  130. 武山百合子

    ○武山委員 私としましては、第三者としてチェックするシステムを確立すべきであると思っている一人でありますので、そういう意見を述べたいと思います。  それでは、次に行きます。  地球環境問題に対応する経済社会への転換についてということを所信の中で述べられたわけですけれども、脱温暖化社会の実現を目指した総合的、戦略的な対応として実現する、省庁だけでなく、これは環境省ですけれども、自治体や産業界、研究者、NGOを含む市民団体など広範な各界各層の知恵を結集する必要があると思います。そのためには総理直属の戦略会議を設置する必要があると私は思いますけれども、環境庁はどう思いますでしょうか。
  131. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 お答えを申し上げます。  去る二月九日に開催されました当委員会におきまして真鍋大臣所信表明で申し上げましたように、環境庁におきましては、二十一世紀における脱温暖化社会の実現を目指した総合的、戦略的な対策の充実強化を図ることとしております。  地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく対策の基本方針を速やかに策定し実行に移すということは、このための第一歩となるものというふうに考えております。この基本方針でございますけれども、これは地球温暖化対策の推進に関する基本的方向でございますとか、あるいは、国や地方公共団体、事業者、国民がそれぞれ講ずべき排出の抑制措置に関する基本的事項など極めて重要なことを定めるものでありますので、その策定に当たりましては、国民各界各層の幅広い意見を聞く必要があるというふうに考えまして、真鍋大臣から中央環境審議会に対して諮問をいたしますとともに、地方ブロック別ヒアリングでございますとか、国民の意見、提案の募集を実施いたしまして、地方団体や事業者、NGOの方々の御意見などを広く伺ってきたところでございます。  ただいま先生から総理直属の戦略会議を設置すべきとの御指摘がございましたけれども、政府におきましては、これまで、総理を本部長といたします地球温暖化対策推進本部を内閣に平成九年に設置しておりますほか、地球温暖化問題に関係する十ほどの審議会を代表する各界の委員により構成されます地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議を総理の要請でこれも平成九年八月に設置しているところでございます。  今後は、脱温暖化社会の実現を目指しまして、先ほど申し上げました基本方針に基づいて、国、地方公共団体、事業者、国民の各主体が一体となった対策の推進に努めていくことが必要であると考えておりますが、そのためには、ただいま申し上げました推進本部におきまして各省庁が結集して対策の推進を図るとともに、中央環境審議会あるいは関係審議会合同会議などあらゆる機会をとらえまして、国民各界各層の幅広い御意見や御知見を伺って、そして皆が力を合わせて対策の推進に努めてまいりたい、このように考えております。
  132. 武山百合子

    ○武山委員 各省庁委員会を設けてということですけれども、なかなかスピードと経過が見えないわけなんですよ。  それで、やはりダイオキシン問題でもそうですけれども、総理直属でそういうリーダーシップをとるということを今国民みんな期待しているわけなんですね。ですから、もっとリーダーシップの強いそういう戦略会議を設置した方がいいんじゃないかというのがあるわけなんですね。その辺が今のお話ですと、半歩前進という毛の生えた程度で、決してスピードアップをしてわっとやるという印象に見えないわけなんですね。  その中でどこが変わったのでしょうか。
  133. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま申し上げました地球温暖化対策推進本部は、総理大臣みずから本部長になられて、副本部長として官房長官、環境庁長官、通商産業大臣、そして十六省庁大臣が本部員になっている、こういうことで、国を挙げて、政府を挙げて地球温暖化対策を進めようという体制でございます。  これは、今から顧みますると、COP3がございました直後の平成九年十二月ということでございますから、もう既に一年以上たっているわけではございますけれども、そうした体制をもちまして、昨年、当委員会でも御審議をいただき、成立をいただきました地球温暖化対策推進法に基づく各般の対策を、推進本部を通じて各省庁が結集して対策の推進を図ろう、こういうことでございますので、御指摘関係省庁それから各界の知恵を結集して対策を進めていく、そのための大きな一歩になるものだというふうに考えている次第でございます。
  134. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひスピードアップをしていただいて、前向きに前進することを強く希望しております。  次に移ります。  環境基本計画の見直しということで、この基本法の計画は平成六年十二月に策定されまして、五年をめどに見直しの時期に来ているわけですね。この五年間の基本計画、どのくらい進んだのか、その辺をどのように評価、総括しているのか、一点伺いたいと思います。それから、今度見直しに当たって、基本方針を持っているのかどうか。それから、具体的にどこを見直すのか。もうそれで四つの質問になります。それから、今度見直しに当たって、環境庁がすべての政策を環境の視点から評価する政策アセスメント的な手法を盛り込んだ方がいいのじゃないかと私は思っておりますけれども、この一点は長官にお聞きしたいと思います。
  135. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  環境基本計画に基づく施策の進捗状況につきましては、これまでも中央環境審議会の方で平成八年、九年、十年と三回にわたりまして点検をいただいております。その点検結果につきましてはこんなふうに言われております。  一つは、まず、施策の進捗状況としては、例えば、環境影響評価法とか地球温暖化対策の推進に関する法律とかの制定等を通じてそれぞれの土俵づくりはやってきておる。それから、各省の個別施策に係る環境保全の取り組みについてもかなり行われてきている。しかしながら、各省庁施策間の連携が必ずしも十分図られていないことにより十分進んでいない面もある、このような指摘がなされておるわけであります。  また、一方、環境を取り巻く問題としましては、地球温暖化の問題、ダイオキシン類等や環境ホルモン等の化学物質による環境汚染等環境問題の現況は、さらに困難さを増しておる状況にございます。  こんなようなことにございますので、新たな環境問題にも適切に対応しつつ、各施策を統一的な方針に基づき体系化し、施策間の一層の連携を図っていくことが今後の課題であるというふうにまず考えております。  それから、環境基本計画の見直しについてはどうかというお尋ねでございますが、広く国民の意見を伺いながら、環境基本計画の進捗状況及び現行計画の問題点並びに化学物質問題等新たに顕在化した環境問題の状況等を踏まえまして、幅広く検討を進めていく必要があるというふうに考えております。  具体的な検討当たりましては、既に触れました中央環境審議会におきます昨年の点検におきまして、環境負荷の少ない持続可能な経済社会や国民のライフスタイルの具体像及びそれに至る道筋を提示していくことという宿題、それから、それを実現するための施策間の連携施策の体系的推進等により環境基本計画の実効性を強化していくことといった宿題、こうしたことの必要性指摘されておるところでございまして、環境庁といたしましては、このような点を踏まえまして計画の見直しの作業を進めてまいりたいと考えております。
  136. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生は易しい言葉で政策アセスメント的な手法というようなことを申されましたけれども、環境庁としての用語で申させていただきますならば、政策や計画段階における環境配慮を徹底するためのいわゆる戦略的環境アセスメントについては、国際的動向や我が国での現状を踏まえて、制度化に向けて具体的な検討を進めることが必要であると考えております。  それから、このために、環境庁では、昨年の七月より、戦略的環境アセスメント総合研究会を設置して調査研究を開始したところであり、その検討状況を環境基本計画の見直しに当たっても生かしてまいりたい、こう考えております。
  137. 武山百合子

    ○武山委員 そうしましたら、手法を盛り込んで、それを生かしていくというふうに解釈してよろしいのですね。――ありがとうございます。  それでは、きょう自治省と大蔵省の方に来ていただいておりますので、次の質問に移ります。  所信の中の都市の大気環境の改善ということで、低公害車の普及ということをちょっとお聞きしたいと思います。  環境庁は二〇〇〇年までに省庁の公用車の一〇%を低公害車にするという目標を立てていましたけれども、現状はどうなっているのか、また二〇〇〇年以降の目標はどのように考えているのでしょうか。
  138. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  率先実行計画に基づきますところの政府の公用車における低公害車の導入状況につきましては、平成九年度末、十年三月末現在でございますが、通常の行政事務の用に供している車両総数、これは地方におきます出先機関も全部含めていますので随分多くなっていますが、車両総数一万五千八百三十六台のうち、低公害車は二十一台、導入割合は〇・一三%でございました。このまま推移いたしますと、平成十二年度においておおむね一〇%に高めるという率先実行計画におきまして定めた政府の目標数値の達成が難しくなるということが懸念される状況にございます。  このような状況を踏まえまして、環境庁といたしましては、昨年九月の閣僚懇談会等数次にわたりまして、大臣から各閣僚に低公害車の積極的な導入を要請したところでありますし、また霞が関の第五合同庁舎における燃料スタンドの整備など、低公害車導入の条件整備を図っているところであります。  こうした結果、最近におきますところの見直し調査によりましては、各省庁とも低公害車の導入の積み上げをしていただくということでありまして、一応、現時点では、十二年度末までに二%弱にまでは上げ得るだろう、こんなような見通しになっております。  なお、これで十分だというよりはむしろ足りないわけでございますから、環境庁としては、機会あるごとに各省庁に対して取り組みの強化を働きかけ、目標の達成に向けて、政府一体となった取り組みが進むよう、さらに一層努力してまいりたいと思っています。  その後のお話ということがございました。まだ目下のところは平成十二年度までどういうふうにこれに対して取り組むかに精力を費やしておりまして、以降の話について現時点でまだ申し上げる状況にはございませんが、それ以降における低公害車の導入のあり方につきましては、地球温暖化対策の推進に関する法律等に基づきます政府の取り組みとの関連も考慮しながら検討してまいりたいと考えております。
  139. 武山百合子

    ○武山委員 成績の評価としては非常に悪いと思うのですよね。二十一台しかまだ使用されていないということで、やはり環境庁としては大いに推進した以上は恥ずかしいと思うのですよね、たったの二十一台では。二十一世紀は環境省になるんだという意味では、どれもこれもやはり一生懸命やらなきゃいけないと思うのですよね。せめてやはり環境庁長官にも御尽力いただいて百台ぐらいにはしていかないと、省庁を初め各地方自治体それぞれ毎年購入するわけですから。みんな環境だ環境だと言葉だけで、実際にはなかなか根づいていないなというところですけれども、ぜひ推進していただきたいと思います。  それから、税制の方なんですけれども、自動車取得税など自動車関連四税のうち、自動車取得税にのみ低公害車の取得に対して優遇措置がとられているわけですけれども、低公害車の大量普及を目指すという長官の決意であるわけですけれども、そのためには、自動車重量税、それから自動車税、軽自動車税についても、低公害車に対して優遇措置を講じた方が買いやすくなると思うんですね。その辺どう思っておりますでしょうか。
  140. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 私も、就任以来、低公害車、低燃費車に対する特別優遇策を講じていかなきゃならないということで、低公害車に対しましては無税運動を環境庁として初めて税制改革で取り組んだところであります。しかしながら、なかなか税制調査会の壁も厚うございまして、税制調査会というのは免税にする税制を検討しておるところではないというおしかりも受けまして、やはり何らかの税は執行していかなきゃならないということで軽減策を講じていただいたわけであります。  しかし、これだけではやはり低公害車を普及、発展させていくためには事足りないということで、新しくきょうから自動車環境税制研究会を設置いたしまして発足さすことにいたしました。  先ほど来先生からも、少し環境庁頑張らなきゃだめじゃないかという御指摘もいただいたわけでありますが、私自身の車も天然ガス自動車に切りかえまして乗車いたしておるわけでありますし、また、環境庁のすぐ横の合同庁舎のところにこの充てん場所を設置すべく予算要求を昨年の補正でやらさせていただきまして、今鋭意この建設に励んでおるところでありまして、いろいろな利便提供もいたしながらこの低公害車の普及、発展に邁進していきたいと思っておるわけであります。  各先生方におかれましても、ぜひひとつ低公害車の乗用をお願いいたしたいと思っておるところでありまして、まず隗からということでやっておりますので、どうぞよろしくお願いいたす次第であります。
  141. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひともみんなが使うという方向でいけたらいいなと思っております。  それでは、大蔵省と自治省の方に来ていただいておりますので、自動車関連税制の見直しということでお聞きしたいと思います。  揮発油税、地方道路税、軽油引取税、自動車取得税、自動車重量税の税率は、現在租税特別措置法に定められている暫定税率となっているということなんですね。この暫定税率はまずいつまで続けるのかということをお聞きしたいと思います。
  142. 福田進

    ○福田政府委員 今先生指摘になりましたうち、揮発油税、地方道路税、自動車重量税、これは国税の三つの税金でございますが、この三税につきまして、平成十年度の税制改正におきまして、平成十年度から十四年度までのいわゆる第十二次道路整備五カ年計画の財源確保必要性や国、地方の極めて厳しい財政事情等を勘案し、従来から租税特別法により設けられております暫定税率を平成十年度から十四年度まで五年間延長することとされたところでございます。
  143. 林省吾

    ○林説明員 地方税であります自動車取得税及び軽油引取税につきましてお答えを申し上げます。  この税は地方道路目的財源となっておりまして、平成十年度改正におきまして、地方道の整備状況、あるいは新道路整備五カ年計画の策定状況、あるいは厳しい地方財政の状況等を踏まえまして、暫定税率の適用期限を五年延長いたしました。平成十五年三月三十一日までの暫定税率となっております。
  144. 武山百合子

    ○武山委員 今お答えいただいたことは今まで至上命題としていたわけですね。そういう今までの発想をこれから転換していかなきゃいけないんですよね。もうやっていけなくなっている時代なんですよね。その辺やはり省庁考えは古いと思います。まずこれを改めて、地球環境保全の視点を導入する必要があると思うんですよね。それで、自動車が環境に多大な負荷を与えてきている割には、環境保全コストを担った価格システムになっていないからなんですね。ですから、例えば地球温暖化の一因となっている二酸化炭素の排出量を部門別に見ますと、運輸部門は二一%を占めているわけですよね。ですから、まずこの暫定税率を廃止して、本則税率に戻して一般財源化する考えは、まず五年後ということですけれども、その辺どう考えていらっしゃるんでしょうか。
  145. 福田進

    ○福田政府委員 先ほど御説明いたしましたように、揮発油税等は、現在道路整備緊急措置法等に基づきその税収を道路整備等に充てることとされております。  このような背景から、現行の揮発油税等の税率水準は、道路整備五カ年計画の期間中の財源を確保する観点、あるいは自動車に係る税負担のあり方等を踏まえまして、租税特別措置法におきまして暫定的に本則を上回る税率とされているところでございまして、現下の国、地方の厳しい財政状況等を踏まえれば、本則税率に戻すということは困難ではないかと考えております。
  146. 武山百合子

    ○武山委員 そういう考えですと環境の保全という目的には当てはまらないと思うんですよね。環境を視点に置いた税制改革の試みを、これから頭の中を変えていかないといけないんですよね。そういう視点に持っていかないと、環境基本法二十二条で経済的手法の検討をうたっていますけれども、今後積極的に推進することを私は望みますけれども、積極的にそういう考えを少しでも持っておりますでしょうか。もう一回お聞きしたいと思います。
  147. 福田進

    ○福田政府委員 環境問題に関します税制面での対応のあり方につきましては、環境問題に関する総合的な政策の一環として、国内外での議論の進展を注視しつつ引き続き調査研究を進めていく必要があると私どもは考えております。
  148. 武山百合子

    ○武山委員 ドイツなどではこういう試みが検討されているということですので日本はこれからだなというところですけれども、ぜひ視点に入れて、やはりこれは国民的視点で税制改革をしていかなきゃいけないと思うんですよね。ですから、これは国民全員に私はぜひ推進したいということを要望して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  149. 北橋健治

    北橋委員長 田端正広君。
  150. 田端正広

    ○田端委員 最初に私は所沢ダイオキシン一連の問題についてお伺いしたいと思いますが、これは大変大きな反響といいますか、話題になりました。食べ物が汚染されているということが大きなショックになったわけでありまして、これは、行政の側に敏速な、もっと事前に対応すべきことがあったと思うし、あるいはオープンにすべきことでもあったんだろうと思いますが、私は、そういう意味では非常に行政側の対応のおくれが混乱を大きくした、こういうふうに思っております。  大臣、昨日現地に行かれたようでありますが、そういうことも踏まえて、今どういう御所見でございますでしょうか。
  151. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 おくれておる、おくれておる、こうよく言われるわけでありますけれども、ダイオキシン問題につきましては、環境庁としてはもう精いっぱいの取り組みを迅速にしたつもりでございます。ただ、現象的に見ますると、そのおくれを指摘されてもいたし方ない、こう思っておるところであります。  しかしながら、環境庁厚生省そして農林水産省の三省庁連携によりまして調査を、埼玉県の協力を得ながら現在鋭意進めておるところでございます。環境庁にかかわるものとして土壌とか大気などの検体採取はすべて終了いたしまして、検査機関に持ち込んで測定のための濃縮と抽出の作業に入っておるところであります。また、厚生省農林水産省調査検体採取は終了いたしまして、同様の測定のための前処理に入っておると聞いておるところであります。このように調査にかかわる作業は順調に進んでいると聞いておりますが、いずれにいたしましても、三月中に結果を公表して消費者生産者に安心と安全を与えていかなければならない、こう思っておるところであります。  いずれにいたしましても、ダイオキシン対策関係閣僚会議でしっかりとした指針を取りまとめさせていただきたい、こう思っておるところでございます。
  152. 田端正広

    ○田端委員 非常に環境庁としては積極的にやっている、それは私もよくわかるんです。しかし、結果として国民あるいは国民の健康被害に大きな影響があったとしたら、これは一生懸命やったけれども済みませんでしたでは済まないということになるわけであります。したがって、三省庁をむしろ引っ張っていくような形で、環境庁がやっているんじゃなくて、国として環境庁がリーダーシップをとってやっているんだということを示していくことが大事ではないかな、こういうふうに私は思うわけです。だから、昨日大臣が現地に行ったということは、そういう意味では大変評価したいと思います。  しかし、例えば、今お話ございましたように、環境庁大気土壌調査、あるいは厚生省野菜とか食品、あるいは農水省野菜、食物の調査、こういうふうにそれぞれ担当を分けてやっておられるのはいいことなんですが、その中で、では周辺住民に対してはどういうふうにしていくかとかこれから廃棄物の問題についてどうしていくかということも含めてやはり考えていかなきゃならない問題であって、我が省庁はこれだけ担当しているんだからこれだけ一生懸命やる、そういうことではもう済まないところまで来ているということを私は申し上げたいと思うんです。  それで、例えば所沢の場合は、そういう意味ではここに三十五の施設が集中している、くぬぎ山を中心に。そして周辺が野菜等の生産地である、あるいは大変自然に恵まれた住宅地である。そういうことを踏まえた上で、こういう集中したところに対してダイオキシンの規制というものを総量的にやはり規制する必要があるんではないかとか、あるいは食物として摂取する一日のダイオキシンの量に対して明確なる指針を国として示す必要があるかとか、こういったことが必要だと思うんですが、大臣はどういうようにお考えでしょうか。
  153. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先ほども申しましたように、三省庁で取り組んだことだけでは十分国民は安心感が得られないだろう、国として取り組むべきだということで、早速内閣としてダイオキシン対策関係閣僚会議というものを設けまして、その最高の責任でもって事の処理に当たっていこうということに相なったわけであります。ですから、その辺の事情も十分ひとつお酌み取りいただきたいと存じます。  それから、きのうくぬぎ山の周辺の市、町を見せていただいたわけであります。ホウレンソウやそしてまたお茶に対する対策はいろいろと各省庁に分かれて講じておるところであります。しかしながら、それでは、焼却によって排出するダイオキシン対策というものは一般廃棄物でできておっても産業廃棄物ではいかがなものだろうか。産業廃棄物は燃焼炉で燃やしてしまえばダイオキシンというものの発生が少ないんだというふうに言われておるわけでありますけれども、これもやはり再検討してみなきゃならないという感じに打たれたわけであります。  そんなことを思いながら、今後のダイオキシン問題につきましては本当に国を挙げての対策を講じて、先ほど申しました安全、安心というものを国民に提供していかなければならない、こう思っておるところであります。  いずれにいたしましても、TDIの問題につきましてもWHOの報告等々を踏まえた対策でございまして、一月末にその報告はされたわけでありますから、今月いっぱいでこの国内対策なんかも講じながらできるだけ早く安全対策を講じていこう、こう思っておるところであります。
  154. 田端正広

    ○田端委員 できるだけ早くと大臣おっしゃいましたが、そういう意味ダイオキシンに対しての特別措置法といいますか特別立法を我々も参議院の方に提出しております。つまり、大気汚染防止法とか水質汚濁防止法とかそういう形でのチェックじゃなくて、ダイオキシンそのものに対してやってはどうかという一つの新しい考え方としてその法律を出させていただいております。  その中で、私は、特に猛毒と言われているこのダイオキシンに対しては、そういう明確な立法ということによって国民に安心していただける状況をつくり出していくべきではないか、こう思っております。  その中身として、例えばTDIについても我々は一応一番厳しい選択として一ピコというものを唱えておりますが、そのほか土壌とか水も含めた包括的な規制であるとかコプラナPCBを含めるとか、あるいは罰則についても明確に最高一年の懲役、最高百万円の罰金とか、あるいは都道府県がその処理場への立入調査や計画変更命令あるいは一時停止命令等もすることができるという権限を持たせるとか、ダイオキシンに対しては厳しく律していく。  そういうことで今回法律を出させていただき、そしてまた、今民主党の先生方あるいは自民党の皆さんともすり合わせをしていこうということで、何としても今国会でこの法律を何らかの形でまとめることはできないか、こういうことで今議論が参議院を中心に進んでいるわけでありますが、この問題について大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。
  155. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 公明党、民主党から法案が出ておることは承知をいたしておりますし、また、それを拝見させていただいておるところであります。  私たちもそれらの問題について今まだ勉強中でございますけれども、しかし、その対策は早く講じていかなきゃならない。ただ、これはもう一党一派の問題でなくて各党が相協力してやっていっていただきたいということで、党としてもいろいろ御検討いただいておるところであります。ぜひひとつ強力なる法案として提出していただきたいと思っておるところであります。  政府といたしましては、先ほど申しましたようなダイオキシン対策関係閣僚会議を軸にいたしましてその対応をしっかりとしていきたい、こう思っておるところであります。
  156. 田端正広

    ○田端委員 もちろん、党派を超えて立法化というものの協議を進めてまいる決意でございますが、これは本来は環境庁がお出しになってもいい法律である、それを今までやってこられないから我々として提案しているわけでありまして、本来ならばそういう大きな問題ではないか、こう私は思っております。  ちょっと、具体例ですが、大阪の能勢町で大変高濃度ダイオキシン汚染がありました。そして、美化センターで働いていた元従業員の二人の血液から、通常の六倍から九倍に当たるという百八十ピコあるいは百三十六ピコという高濃度ダイオキシンが検出されたということでありますが、これについての健康被害というのは心配はないのでしょうか。お願いしたいと思います。
  157. 廣瀬省

    ○廣瀬(省)政府委員 先生の御質問の、働いている人の問題については、労働省が現在調査をしているということでございます。それで、現在能勢町で私どもも具体的に調査をしております。その結果については、三月中に公表したいというふうに考えております。  それで、この前、二月の十三日に能勢町自身が行いました調査というのがございます。この問題については、大阪府に問い合わせましたところ、最終的な評価というのは、現在調査中の大阪府の南部地域住民データとの比較ということと、それから問診票の検討等踏まえて行うということで、最終的な評価はまだ出ていないということになっておりまして、我が環境庁で行っている調査とあわせながら、数字をきちっと検討して今後発表してまいりたいというふうに思っております。
  158. 田端正広

    ○田端委員 地球温暖化防止対策についてお伺いしたいと思います。  政府の地球温暖化対策の基本方針を確定されているようでありますが、その中に、原発について、安全性の確保を前提として、国民的議論を行い、国民の理解を得つつ進める、最終的にこういう表現になったと聞いておりますけれども、私は、原発の議論というものが国民の理解を本当に得られるのか、どういう合意が得られるのかという意味で、大変難しいというふうに感じているわけであります。  例えば、総論として、原発を使えば温室効果ガスが減るからいいんだという意味では原発は賛成できると思うのです。しかし、ではどこに原発が建設されるかとなれば、その地域は必ず反対運動をする。そういう意味では、二〇一〇年までに二十基新設という課題は、これと温室効果ガス六%削減とがセットになっているわけですから、二〇一〇年二十基新設というものが夢のまた夢みたいなことになって、なかなかこれは議論だけで現実は進まないというふうに私は感じております。  したがって、政府の地球温暖化対策の基本方針にこの問題がネックとしてある以上、六%削減というものは絵にかいたもちに終わりはしないかというふうに危惧しているわけですが、大臣、いかがでしょうか。
  159. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先ほど御指摘をいただきましたように、地球温暖化防止のための対応といたしましては、クリーンなエネルギーを確保していかなければならないことは言うをまちませんけれども、それがためにということで、日本も風力発電であるとか地熱とかいろいろと新エネルギーを開発しておるところであります。しかしながら、これは全体のエネルギーからいっても数%という域にとどまっておるわけでありまして、それでは今、OA化された機器なんかがエネルギーをたくさん消費していく中で新しいエネルギーをどういうふうにして確保すべきか、これまた戸惑うところであります。  私も、環境庁長官に就任した当時のあいさつの中で、やはり原子力エネルギーというのは国民的にどうしても忌避反応があるということも重々承知した上で、過渡期的な対策としてこのエネルギーを使っていかなければならないんじゃないだろうか、こう考えておるところであります。世界的に見ましても、先進国においてはもはや原子力エネルギーをもうこれ以上つくらないというようなお話も出ております。しかし、日本の現状からしてみれば、日本ほど安全性の高い技術確保しておる国はもう他にはない、こう自負する領域じゃないかと私は思っておるわけでありまして、この技術を駆使しながら過渡期対策を講じていく必要もあるのかな、こう感じております。  それにいたしましても、中央環境審議会等々からの答申があるわけでありまして、私もきのう新聞で拝見いたしたわけでありますけれども、文言として何か、しつつとかなんとかいうようなことの表現になりつつあるようなことも聞いておるわけでありますけれども、答申を受けた以上、その答申をしっかりと受けとめて対処していく心づもりでございます。
  160. 田端正広

    ○田端委員 私は、理屈ということと現実とに相当開きがある、だから、原子力エネルギーの安全性なら安全性について国民がどこまで理解しているかということが、例えば新設できるかできないかということと直接関係してくるわけです。幾らこう思うと言っても、現実にはこれはもうここ数年進んでいないわけですから、そういう意味では非常に厳しいものがあろうということを言っているわけで、それを前提にして温暖化防止対策というものがつくられるとすれば、これはちょっとなかなか現実性のない計画になってしまうのじゃないかということを心配しているわけです。ぜひそういうこともお考えいただきたいと思います。  ちょっと具体的なことをお伺いいたします。花粉症のシーズンでありますが、今、花粉症にかかっている人というのは大変多い。一千万人とも一千五百万人とも言われておりますけれども、ことしはどういう見通しなのか、ちょっと多いみたいなことも言われております。  私、ここ三、四年、この問題をずっとこの委員会でも何回か取り上げさせていただきました。つまりこれは、はっきり言って、スギ花粉の多い農村、農山林のところでは花粉症の人は少なくて都会で圧倒的に患者が多い、こういうことでありますから、大気汚染と花粉とがかかわっているということは明らかだと思います。  そして、私は、自動車の排ガスの中でもディーゼル排気微粒子、DEPというものですが、これと花粉との相乗作用によって花粉症を引き起こしているのではないかということを指摘させていただいているわけでありまして、この問題についても今までそれぞれの省庁研究を進めていただいたと思います。環境庁厚生省農水省あるいは気象庁、科技庁等も入っているかと思いますけれども、こういう関係の花粉症関係連絡機関会議が行われていると思いますが、その後どういう経過で今日に至っているか、またどういうふうな方向性が出てきたのか、御報告願いたいと思います。  それから、先ほど御質疑がありましたが、私はそういう意味では、やはり低公害車の普及を大幅に進めていく以外この問題はなかなか解決しないだろうと思っております。そして、特にDEP、窒素酸化物等をどう減らしていくかということが大きな問題だと思いますので、先ほどもございましたように、税の軽減ということは、これは大事な視点だと思いますから、ぜひ環境庁が、地方税も含めて、つまり自動車取得税も含めて税の軽減について、そういう視点からも、健康を守るという意味からもやっていただきたい、こう思っております。  今幾つかの点を固めて申し上げましたので、御答弁をお願いしたいと思います。
  161. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  まず花粉症の点についてでございますが、花粉症の問題につきましては、先生既にこの委員会でも何度か御質問なさっておられて、我々も真剣に取り組んでいるところでありますが、診断、治療、予防、発症メカニズム等、まだ解明されていない点が相変わらず多く、調査研究を一層推進する必要があるという認識に変わりはございません。  例えば、診断、治療については厚生省の方の研究が要りますし、発生源対策については林野庁にも協力してもらっていますし、また発症メカニズム等の基礎的な調査は科学技術庁が調査研究を実施しているということでございまして、こうした関係省庁による連絡会議を開催いたしまして、これまで情報交換等を実施しているところでございますが、今後、さらに連携をとりながら調査研究を進めてまいります。  次に、ディーゼル排気微粒子との関係ということでお尋ねがございました。  この点は既に近年医学的な議論がなされてきておりまして、環境庁においても平成三年度からその関係について動物を用いた実験をずっと続けてきております。これまでの動物を用いた実験の主なる成果といたしましては、ディーゼル排気微粒子の濃度をさまざまに変えたモデル濃度による実験の結果、花粉症様の症状とでも申しましょうか、ある種のアレルギー症状みたいなものを誘発する等の実験結果は得られております。  他方、我が国研究者による人の疫学調査、疫学調査と申しますのは、人口集団を対象といたしまして、環境汚染物質の暴露量と健康影響の発生率との関係を統計的に分析する方法でございますが、この疫学調査の結果からは、大気汚染物質と杉花粉症との関連を示す明確な結果は得られていないという状況にございます。  こんなこともございますので、今後とも、ディーゼル排気微粒子と花粉症との関係の究明につきまして、各省庁連携を密にしながら、積極的に研究を推進してまいりたいと思います。
  162. 廣瀬省

    ○廣瀬(省)政府委員 花粉症とディーゼル排気微粒子との関係で、まず自動車単体の対策を申し上げます。  自動車排出ガスの規制強化ということで、平成九年から十一年にかけて現在実施しております。ディーゼル自動車一台当たりの排出量を、約六割これで削減できるというふうに考えております。  そして、さらに強力に対策を推進していくために、昨年十二月、中央環境審議会より、ディーゼル自動車の排出ガス規制を二段階で大幅に強化せよという答申をいただきました。この答申で、平成十四年から平成十六年にかけてディーゼル排気微粒子を現行から約三割削減したい、加えて、平成十九年ごろを目途にさらに半減せよということで、この対策はとってまいりたいというふうに考えております。  そして、先生のおっしゃいました低公害車の一層の普及促進ということで、先ほどから大臣が申しているとおり、税制を含めてその普及対策に努めているところでございます。きょう大臣がもう一つ申しました新しい税の体系というのを含めてなお一層の低公害車の普及ということ、それから、地球温暖化の問題を含めて新しい税のあり方について積極的に取り組んでいくという気持ちで仕事をしてまいります。
  163. 田端正広

    ○田端委員 もう一つ具体的な問題を申し上げます。  電磁波の被曝でありますが、パソコンとか携帯電話が非常に急激にふえていることが大きな要因にもなっていますが、これらから出てくる電磁波というものが健康に障害がないのかどうか、これからこれは大変大きな問題になると思います。  つまり、電磁波というのは、ガンマ線とかエックス線とか太陽光線あるいは電波等々、それらの総称になっているわけですが、その中でも波長の長い電波、これが問題だと思います。例えば高圧線のところでは蛍光灯が光るとか、いろいろな現象があるようでありますし、家電製品においてもいろいろな形で電磁波が出ている。例えば電子レンジ等から出るとか、あるいはパソコンやテレビのブラウン管からも出るとか、いろいろなことが言われています。  これは世界的にも大変大きな研究が行われているようでありますが、例えば、パソコンがこれだけ発達したわけでありますが、このブラウン管から出る超低周波が異常出産、異常妊娠の多発を起こしている、こういう報告があります。したがって、VDTから出る電磁波をもっと規制した方がいいんじゃないかということが議論になっているわけでありますが、こういうことに対して、メーカーがどういうふうに規制しているのか、あるいは行政とメーカーの間でどういうやりとりが行われているのかが今わからない。  それから、例えば家庭内を見ていただいたら一番よくわかるんですが、今、テレビでも何でもリモコン操作がふえていますから、つまり電流が流れっ放しであるわけでありまして、電流が流れている限り電磁波が出ているということになります。したがって、例えば冷蔵庫、電子レンジ、オーブン、トースター、電気ごたつ、電気毛布、ドライヤー等々、いろいろなものが電磁波を発しているわけであります。  例えばドライヤーというのは頭に最も近づけてやる、距離からいっても一番影響は大きいんだろうと素人が考えてもわかるわけであります。それから電気毛布。これは電気毛布にくるまって寝るわけですから、一日六時間、七時間、一日の三分の一か四分の一、電気毛布にくるまって寝ているということになれば、密着して被曝している、こういうことになります。  それから、例えばここだって蛍光灯がいっぱいありますが、普通の電球よりも、白熱灯よりも蛍光灯は電磁波を発生する非常に大きな原因だ、こう言われています。これはもう避けようがない。  それから携帯電話。四千万台を突破したということでありますが、これは非常に周波数の高いマイクロ波である。そして、病院に行っても、病院では携帯電話は使わないでくださいというのが書いてある。つまり、私なんかでもここに携帯電話を持っていますけれども、ペースメーカーを入れている人が携帯電話を使ったらどうなるんだろうという心配が出てくると思いますね。そういった意味で、携帯電話は頭に近いところでするので脳腫瘍とかそういうものの原因にもなっているとか、かかわりがあるとか、そういうことも言われています。  きょうは問題提起だけにしておきますが、この問題は、私、将来大変大きな問題になっていくんだろうと思いますし、また研究を進めなきゃならないテーマだと思います。  そういった意味で、今一応概略だけ申し上げましたが、大臣、直接環境庁関係ないというふうにおっしゃるかわかりません。しかし、健康被害ということになってくれば、これはやはり大きな問題としてとらえていただくことが大事だ、こう思いますので、大臣の御所見を伺って質問を終わりたいと思います。
  164. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生の貴重な御提言をちょうだいいたしました。環境庁としても、健康にまつわる問題でございますので、今後検討課題とさせていただきたいと存じます。
  165. 田端正広

    ○田端委員 以上で終わります。
  166. 北橋健治

    北橋委員長 藤木洋子さん。
  167. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。  早速でございますけれども、きょうは、国道四十三号線と阪神高速神戸線の沿道の自動車公害問題についてお伺いをさせていただきたいと思っております。  昨年の十一月でございますけれども、西宮、芦屋、尼崎の三市が、環境庁長官などへの要望書を提出しておられます。最高裁判決を受けて実施された道路交通騒音対策で一定の低減効果が認められているけれども、このような対策後も受忍限度を満足しているとは言えず、今後は、夜間規制や物流の効率化による発生交通量の低減等の交通流対策、幹線道路の沿線に適した土地利用への転換等の沿道対策といった総合的な環境対策を一層推進していくことが必要だとしております。  そこで、お伺いをいたしますけれども、最高裁判決後の対策で一定の低減効果は上げているけれども、まだ受忍限度を満足しているとは言えず、一層の環境対策を進めていくという立場は、環境庁もまたしっかりとその姿勢をお持ちになっていらっしゃるのかどうか、長官の御所見を伺いたいと思います。
  168. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 昨年の十一月六日付で、国道四十三号及び阪神高速三号神戸線における自動車公害対策についての要望書をちょうだいいたしております。  国道四十三号、阪神高速の沿道地域については、平成七年の最高裁判決において、道路交通騒音等による沿道住民の生活妨害について国と阪神高速道路公団の賠償責任が認められました。国においても、この事態を重く受けとめて、関係省庁連携しつつ施策の推進を図ってきたところでございます。  それから、環境庁としても、国道四十三号、阪神高速の沿道地域について、今後とも最高裁判決を踏まえて、判決で受忍限度とされた騒音レベルを目標としてさらなる騒音対策が推進されますよう、全力を尽くしていく所存でございます。
  169. 藤木洋子

    ○藤木委員 そこで、国道四十三号線の道路裁判原告団は、これも昨年なんですが、九月に被害者実態アンケートの調査をしておりまして、その結果が発表されております。  その調査結果では、最高裁判決による騒音対策での騒音軽減が評価されている反面、小刻みの遮音壁が連なり、大型車の深夜の騒音で多くの方は依然として騒音にさらされており、遮音壁の反射音などがひどくなったと感じている方を合わせて七四%の方が騒音は軽減していないと感じておられる、騒音の元凶は大型車の深夜の走行にあり、不眠、頭痛、いらいらなどの訴えが現状でも多く寄せられているとなっております。この七四%の方が騒音は軽減していないと感じておられることと、いまだ受忍限度を満足しているとは言えないということとは、共通した実態があると私は思います。  そこで、環境庁に伺いますけれども、この騒音に対する切実な沿道住民の訴えを一日でも早く解決すべきだと思うのですが、いかがですか。
  170. 廣瀬省

    ○廣瀬(省)政府委員 先生の御質問の、七四%の人が騒音は軽減していないと感じているというアンケート結果については、目を通させていただいております。  そして、国道四十三号線、阪神高速の沿道地域について、平成七年八月に関係省庁が取りまとめた国道四十三号及び阪神高速神戸線に係る道路交通騒音対策に基づき、施策の推進を図るという考え方で進めてきております。  道路構造対策について、平成八年九月の阪神高速神戸線の全面復旧に合わせて対策が施され、国道四十三号線についても、平成十年四月に片側三車線化、四車線を三車線化にしてきました。それから、遮音壁の設置等がおおむねでき上がりました。さらに、平成十年四月十六日から夜間の車両通行帯規制も開始されました。  このような環境対策の進捗を踏まえ、平成十年七月に地元関係機関で構成された国道四十三号・阪神高速神戸線環境対策連絡会議が開催され、施策の取りまとめと環境対策の効果の検証が行われたわけです。その結果、これまで実施した環境対策による騒音低減効果が確認されましたが、遮音壁の開口部の騒音低減効果が小さいということになります。さらなる施策の具体化を図ることによって、総合的な環境対策を推進してまいりたいというふうに思っております。  環境庁としては、今後とも関係省庁と連絡をしつつ、地元関係機関対策検討を支援することを通じ、判決で受忍限度とされた騒音レベルを目標として、国道四十三号、阪神高速の沿道地域の騒音対策が推進されるよう最善の努力を図ってまいりたいというふうに思っております。  それから、先ほど先生の申された遮音壁のつくり方とかいろいろな問題があります。ただし、長い距離の遮音壁をつくると大変効果は出るんですが、やはり出入りの部分のところというのはどうしても出てきますので、その辺のところを含めてなお研究は続けなきゃいけないというふうに思っていますが、もっときめ細かな形での対策をどう立てていくかは、地元の対策会議の話し合いとか、そちらを十分にサポートしていく、支援する形で、関係省庁にも十分働きかけて、新しい技術をどう見出すか、具体的に少しでも低減できる対策というものはどういうものか、それで、技術の評価というのを具体的に環境庁でも持っていけるような体制をつくってまいりたいというふうに思っております。
  171. 藤木洋子

    ○藤木委員 判決後の対策をいろいろ尽くしてこられたけれどもなお一層研究も重ねて施策をとらなければならないというお話でしたので、それはぜひとも進めていただいて、住民皆さんに一日も早く安心して休める夜を取り戻していただきたいと思います。  そこで、この四十三号線、阪神高速神戸線の沿道で実際に騒音レベル実態はどうなるかということなんでございますけれども、これは、建設省近畿地方建設局と兵庫県などが九八年五月に測定をいたしました夜間のデータを見ますと、四十五地点のうち従来の基準を超えていたのは三十一地点ございました。ところが、新基準を超えるものはどうなるかといいますと、十三地点にとどまってしまうわけです。さらに、昼間のデータになりますと、従来の基準では三十三地点だったものが、新基準ではわずか二地点にとどまってしまうということになるわけですね。  この地域での騒音環境は、今回の基準改定で達成地点が続出するということになってまいります。これは事実上規制を緩和することにならないのでしょうか。環境庁、いかがですか。
  172. 廣瀬省

    ○廣瀬(省)政府委員 先生のおっしゃるデータについては目を通させていただいております。そして、新しい環境基準、等価騒音レベルとL五〇の中央値のとり方の問題のところがございまして、研究報告、そして専門委員会の報告等の書類から見ますと、置きかえについて大変苦労した形で考えております。  そして、具体的には、新しい等価騒音レベルという特性の中で考えますと、連続的エネルギーの強い、高い音にかかわる部分、それからもう一つは、低い音、小さい音の中に間欠的に大きい音が出る場合というのがございますが、今までのL五〇では上のところを切り捨ててしまうということがありまして、人間の心に響く、要するに生活妨害にかかわる部分のところというのをいろいろと問題にすることがございます。ですから、新しい方式で拾いますと、全部の音をエネルギーとして拾って積分的にとるということができますので、その辺のところは具体的な新しい方式をとってまいりたいというふうに思っております。  先生の言われている問題のところでございますが、四十三号線にかかわる部分ということでは、先ほど大臣が答弁したとおり、最高裁の判決をほかの条件も含めて考えるということになりますが、今、ほかの地域の中でも具体的に新しいレベルでの音の評価をしていただいております。そして、気にするのはやはり今までと違う、高い音の部分ではなくて、もっと間欠に出てくる高い音の部分で、多分夕方とかそういう時点のところで変化が出てくるのではないか、もう少しデータをきちっと見ていかないと何とも言えないところがあるというふうに思っております。  とりあえずフォローは続けながら、具体的な新しい等価騒音レベルの定着を含めながら、その特性というのをどのように国民に伝えて、生活に密着した形で新しい等価騒音が取り入れられるかどうかというところをもっと研究を続けさせていただきたいというふうに思っております。
  173. 藤木洋子

    ○藤木委員 今の御答弁では、四十三号線の沿道の皆さん方の、受忍限度を満足していない、あるいは七四%の方が騒音は軽減していないと感じている、そういう地域では新基準でとってそれを機械的に当てはめるということはふさわしくないという御答弁のように伺いました。今後一層の環境対策を進めなければならないというのは当然でございます。  ところが、今回の基準改定で達成地点が続出をして、環境対策にブレーキがかからないかということが私は心配なんですね。従来の基準を超えたものが三十一地点だったわけですけれども、新基準を超えるのは十三地点にとどまってしまうということになりますと、大臣に伺いたいのですけれども、騒音対策を質、量ともに三分の一にするような結果にならないか、こういう心配がございます。  大臣は先ほどの御答弁でも、今後一層の環境対策を進めるというふうに御答弁になられました。最高裁判決をないがしろにするような新騒音基準の四月一日の実施を機械的にやるというようなことはやめていただいて、沿道住民の切実な訴えにこたえていただくべきだというふうに思うのです。大臣、もう一度確認のつもりでお伺いいたしますが、いかがでしょうか。大臣にお答えいただきたいのですが。
  174. 廣瀬省

    ○廣瀬(省)政府委員 先ほど大臣がお答えしております。最高裁判決のことについては、六十五デシベルそれから六十デシベルというものが決められていることについては、国道四十三号線の部分については十分守っていくということで大臣がお答えしております。それについては、私どもはそれに従ってきちっと対応していく、関係省庁とも対応していくという仕事を続けてまいるというふうに思っております。
  175. 藤木洋子

    ○藤木委員 大臣、それでよろしゅうございますか。(真鍋国務大臣「結構です」と呼ぶ)それでは、ぜひそのようにお願いいたします。  それでは次に、この騒音新基準に関連をいたしまして、滋賀県の草津市で、県立草津養護学校と第一びわこ学園に隣接する名神高速道路のインターチェンジの建設問題を伺ってまいりたいと思います。  建設道路から三十メーターしか離れていない草津養護学校には、知的障害と肢体不自由障害の児童生徒が百二十三名通っております。また、第一びわこ学園、これは重症心身障害児の入所施設なんですけれども、約百名の知的障害児が入所しております。県は、この地域を文化・福祉ゾーンに指定しておりまして、大学、保健センター、障害者センターなどの医療福祉施設が集中しております。  私も先月この地域調査してまいりましたけれども、第一びわこ学園の重症心身障害児の場合、呼吸機能が基本的に低下しておりまして、呼吸器感染症での死亡率が高いそうでございます。汚染大気に長時間暴露されますと気管支への刺激が起こりまして、炎症など、さらに呼吸機能の低下を引き起こすというふうに伺いました。人工呼吸器だとか、たんを人工的に吸い出すなどの助けをかりなければならないこともしばしば起こっております。  また、騒音による心理的ストレスというのは筋緊張の高進を招きまして、これが食道逆流あるいは逆流性食道炎症を起こし、それで出血や痛みの悪化を来して、筋緊張高進を悪化させ、睡眠障害を起こす事例があるというふうに伺ってまいりました。ですから、運動会などではピストルは使いませんで笛で合図をする、こういうことになっているわけですね。ところが、この地域は、療養施設、社会福祉施設、文教施設等が集合している地域として、本来騒音環境基準で規定されているAA類型でなければならないのですけれども、県はA類型に指定をしております。  そこで、仮に新騒音基準で見た場合、本来AA類型で、お昼は五十デシベル、夜は四十デシベルでなければならない地域が、もし幹線道路近接空間の特例が適用されるならば、昼は七十デシベルまで上がりますし、夜は六十五デシベルとなってしまいます。こうした新騒音環境基準を適用することは、重症心身障害児の筋緊張の高進を悪化させるなど、社会的弱者に配慮するものとはならないというふうに思うわけです。  過日の新聞によりますと、AA類型に指定すべき地域というのは日本全国九十二地点あるそうでございますけれども、指定されているのは十四地点にとどまっておりまして、計算してみますとわずか六・七%です。私、この数にも驚いたわけでございますけれども、しかも草津養護学校や第一びわこ学園のある地域は指定されていない、そういうことになっているわけですね。  そこで大臣に、ぜひこの地域を、環境庁通達に基づいて、福祉施設等の集合地域にふさわしい類型になるように、滋賀県に協力要請をしていただきたいと思うのですけれども、いかがなものでございましょうか。
  176. 廣瀬省

    ○廣瀬(省)政府委員 先生のおっしゃるびわこ学園それから草津養護学校については私もよく知っております。そして、ここに重症心身障害児が入っておりまして、そういう障害の症状ということについてもよくわかっております。  そして、先生のおっしゃる意味ともう一つ、騒音の問題とこの地域との関係でございますが、環境庁から具体的にここについての指導ができるかできないかという御質問でございます。  先生御存じかと思いますが、環境基本法の環境基準というのがございまして、第十六条がございます。そして、こういう公害問題を含めて物を考えていくときに、地域の特性とかそういうことを含めながら地域に十分考えていただくという考え方がございまして、第十六条の二項で、それぞれの類型を当てはめる地域または水域等を指定すべき場合は、政府は、政令で定めるところにより、その地域、水域の指定の権限を都道府県知事に委任するという形の法律もございます。そういうことを踏まえながら、今持っている問題というのは具体的には滋賀県がよくわかっている状況かと思っております。  そういう中で、滋賀県としても県議会の中での一つの考え方を決めているようでございますし、それから公害等調整にかかわっての委員会で審査もしているということがあると聞いております。そういう中で、類型指定の基本的な考え方の通知が大気保全局長通知で出ておりますので、その辺を踏まえながら県が具体的に考えていただけるものというふうに思っております。
  177. 藤木洋子

    ○藤木委員 実は、県がそのようなゾーンを指定しておきながらこれをAA類型に指定していないというところの矛盾が今噴き出してきているわけです。  建設省要綱に基づく環境影響評価書では、連絡路予定地周辺の予測対象地域として、大気汚染は大津市上田上牧町、騒音は同じ大津市上田上牧町及び上田上平野町が選定されておりますけれども、草津市内は皆無でございまして、草津市内の大気汚染及び騒音に関する記載が評価書のどこにも認められません。  九〇年八月に建設省近畿地建が作成した地域環境保全に係る調査書では、この草津市南笠町も予測対象地域として選定されました。しかし、その予測評価が追加的に行われて、特に配慮を要するという滋賀県環境室長の意見が掲載されているにもかかわらず、これが評価書には何ら反映されていないのです。  建設省に伺いますが、環境影響評価手続は、草津養護学校や第一びわこ学園に対する環境影響が考慮されたのかされなかったのか、どうでございますか。
  178. 河崎広二

    ○河崎説明員 御指摘の草津養護学校、第一びわこ学園などが立地する福祉・文化ゾーン、現在事業中の第二名神道路と現名神高速道路を連絡する道路の沿道に立地をしております。  第二名神高速道路の環境影響評価は、当該連絡道路を含めまして、平成二年から三年にかけて建設省近畿地方建設局におきまして実施をしたところでございます。一般的に、道路に関する環境影響評価に当たりましては、代表する地点を幾つか設定いたしまして、影響の予測及び評価を実施しているところでございます。  そこで、滋賀県内の第二名神高速道路におきましては、例えば、大気汚染、騒音に関する予測評価の代表的地点として七カ所設定をして実施をしているところでございますが、このうち、御指摘の現名神道路との連絡道路の地点につきましては、既存の集落の集積状況等を考慮して、文化・福祉ゾーンより南側の大津市上田上平野町を予測評価の代表的地点として設定をして調査をしております。したがって、文化・福祉ゾーンの直近においては設定をしておりません。  ただ、環境影響評価当時よりこの道路の沿道に文化・福祉ゾーンの立地があるということは認識しておりましたので、環境影響評価書の中におきましても、地域関係住民の御意見に対しまして、滋賀県障害者総合福祉センター等各施設でありますが、これにつきましては、機能に支障を与えないように環境の保全に努めたいという旨の事業者の見解を示しているところでございます。そういう形で、評価書の中では見解を示すという形で盛り込んでおります。  また、先生先ほど御指摘になりました滋賀県との調整に基づく追加的な調査でありますが、これは私どもの要綱に基づく環境影響評価の実施とあわせて、並行して実施をいたしておりまして、その調査書を取りまとめております。  この中では、この文化・福祉ゾーン直近の草津市南笠町を対象として予測評価を実施したところでございますが、その結果は、遮音壁等の必要な保全対策を講ずることによりまして環境保全目標はクリアできるという結果を得ているところでございます。  建設省といたしましては、滋賀県など関係機関連携いたしまして、遮音壁の設置などによりまして環境の保全に配慮して事業を進めてまいりたいと考えております。
  179. 藤木洋子

    ○藤木委員 済みませんけれども、聞いたことに答えていただきたいんです。聞いていないことをいろいろおっしゃらないでください、わずかしかない時間なんですから。  その調査書は評価書には反映していないんですよ。そこまで大切な地域があるということがわかっていながら、そこに対して評価を行うような調査を行わなかったということがわかっただけでも非常に重要なことだということを私は指摘させていただきたいと思います。  それでは、建設省の評価書に対して環境庁長官が意見を述べておりますけれども、調査書が評価書には反映されておりませんし、調査書は環境庁長官にも送付されてはいないんです。ですから、インターチェンジの建設でこの地域施設に深刻な影響を与えることを認識しないまま環境庁長官は意見を述べなければならなかった、こういうことだったと思います。しかし、それでも意見書の中で、一般的にインターチェンジ部分及びトンネル坑口部の周辺において騒音等に係る環境保全目標が達成されるよう十分留意する、このようにお述べになっていらっしゃるわけですよ。ですから、整備計画後に確定または追加されたインターチェンジによって人の健康の保護上著しい影響が生じるおそれがある場合、軽微な変更とは認めないで、手続のやり直しを行うべきではないかと思うのです。  重症心身障害者への健康影響が懸念されている特に浮遊粒子状物質や微小粒子は、評価書や調査書のいずれにおいても予測対象から除外をされております。今、十分な環境アセスに基づいて計画を変更するか、あるいは生活環境のよい地域施設を移転するかなど、この地域の生活環境の保全と重症心身障害者の生命を守るための必要な対策が求められていると思うのです。  そこで、アセスに意見をお述べになった大臣として、環境庁大臣立場をお伺いしたいわけですが、国が社会的弱者を無視して高速道路建設に走るというような強硬措置に出ないようにぜひ御努力をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。これは大臣でないとできません。
  180. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 アセスの大臣と言われたわけでありますけれども、これは平成三年の九月十七日付での意見を申し述べたところでございますので、もうずっと以前のことでございます。  第二東名、第二名神自動車道の環境影響評価については、閣議決定要綱に基づく建設大臣の意見照会に対して、先ほど申しました平成三年九月十七日付で意見を申し述べたところでございます。  意見の概要としては、百四十キロ走行との計画について、試験走行等を含む調査研究を行うなど環境問題が生じないよう配慮をする必要があること、そしてまた、今後の事業の具体化に当たっては、環境保全観点から関係地方公共団体等と十分調整する必要があることなどについて申し述べています。  御指摘の件は、環境影響評価後のさらに具体的な事業計画が定まる段階で生じた問題と認識をしておりますが、現在地元滋賀県において公害審査会の調停が行われていると聞いており、私としては、その推移を見守るとともに、環境庁意見にあるとおり、地元において十分な調整を行っていただきたいと考えております。
  181. 藤木洋子

    ○藤木委員 ぜひ滋賀県と十分話し合っていただいて、施設の方々の健康が守られるようにひとつお力添えをいただきたいというふうに思います。  次に、大臣所信にもございますダイオキシン汚染問題について伺います。  厚生省が昨年九月に発表いたしました豊能郡美化センターにおける調査結果では、同施設においては、焼却炉における不完全燃焼等により高濃度ダイオキシン類を含む排ガスを発生していた上に、排ガスを洗浄した排水の循環利用等により湿式洗煙塔においてダイオキシン類が凝縮され、その一部が屋上の開放型冷水塔から飛沫に含まれて環境中に排出されたとしておられます。  この焼却炉、排ガス処理施設、排水処理施設などの施設の構造基準を示しているのは実は国でございまして、厚生省は、炉頂型の焼却炉に構造上の欠陥があったために、九七年一月の新ガイドラインや八月の政省令改正で、水噴射による不完全燃焼が起こらないような燃焼室の設置であるとか、あるいは燃焼ガスの温度をおおむね二百度C以下に冷却できる冷却設備の設置などの構造基準を改正いたしました。そして今回も、昨年十一月に維持管理指針を改正して、洗煙排水系統の適正な排水処理、それから開放型冷水塔の飛散防止対策などを指導しておられます。  これは、炉頂型の焼却炉や洗煙排水系統また開放型冷水塔の構造上に欠陥があったので改正をしたのではないかと思いますが、厚生省、いかがですか。
  182. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 豊能郡美化センターの事例についてでございますが、本事例につきましては、専門家先生方の十分な解析をいただきました結果といたしまして、八百度を超える高温で安定的な燃焼がなされていなかったということ、あるいは電気集じん機入り口の排ガスの温度が高かったこと、あるいは洗煙排水の循環利用によりまして洗煙排水中ダイオキシン類が高濃度に濃縮されていたこと、さらにはその一部が開放型冷水塔から飛沫とともに排出されていたこと等々の種々の悪条件が重なった結果として生じたものというふうに推定をいたしております。  厚生省といたしましては、現在ダイオキシン対策技術専門委員会におきまして、本事例の高濃度汚染の原因につきまして引き続き検討をしていただいているところでございますけれども、現時点では、焼却炉そのものに欠陥があったかどうかということを判断することは困難であると考えております。
  183. 藤木洋子

    ○藤木委員 そういうことであれば、運転とか運営上のことだけ改正すればいいわけですけれども、そうではありません。つまり、構造上に問題があったわけで、結局は欠陥があったということになります。三井造船の製造責任者の責任というのも極めて重大だと言わなければなりません。欠陥がある焼却炉を自治体に売りつけて、みずからごみの焼却、管理運営まで行って、高濃度ダイオキシンを排出させたメーカーの製造責任というのは重大だと思います。  ところで、自治体の焼却施設厚生省の国庫補助事業の対象になっておりまして、厚生省はごみ処理施設構造指針を都道府県に通知しております。この中の焼却施設構造指針では、流動床式燃焼装置やあるいは水噴射式ガス冷却施設、機器冷却水槽などのあり方を規定しております。しかも厚生省は、一般廃棄物処理施設建設工事に係る発注仕様書と標準様式というのを出しておりまして、実に事細かに決めているわけですね。  このように、厚生省廃棄物処理施設整備国庫補助事業として焼却炉を建設する場合に、厚生省の焼却施設構造指針に合わせて建設工事に係る発注仕様書どおり進められることになるわけです。ですから、欠陥がある、問題のある焼却炉を自治体に売りつけてきた三井造船の責任があることは言うまでもありませんけれども、国庫補助事業を通して欠陥焼却炉の建設を認めてきた国の責任が全くないと言い切れるのだろうか、私はそういう疑問を抱いております。  ダイオキシン対策関係閣僚会議の重要な閣僚の一人として、環境庁長官はどのようにお考えでしょうか。
  184. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 ダイオキシン対策としては、大気汚染防止法や廃棄物処理法に基づき、廃棄物焼却炉等に対する規制を導入するなど、各般の対策を実施しているところであります。  また、御指摘の規制前の焼却炉についても、既設の施設に係る基準値を設定し、施設の改修も含めて必要な対策を行わせることとしております。これらの規制により、今後四年以内に、規制前の全国ダイオキシン類排出総量の約九割を削減できると推定いたしております。  今後とも、関係省庁連携協力して、ダイオキシン対策を政府全体で一丸となって取り組むこととしており、環境庁としては、先頭に立ってその役割を果たしていく覚悟でございます。
  185. 藤木洋子

    ○藤木委員 国は随分長い間ダイオキシン対策を怠ってきたということの結果でございますから、国庫補助事業を通して欠陥の焼却炉建設を認めてきたという国の責任は明らかでございます。  豊能では、施設組合と大阪府が処理区域約四ヘクタールのうち、南斜面の一千二百平米だけ除去工事を行い、覆土を行うということになっております。  土壌や冷却水、施設解体などの汚染処理対策は、これまでの経緯からして、関係自治体の意向をよく聞きながら、国の事業として施設の解体、汚染土壌の入れかえや浄化などを行うのは当然でございますけれども、自治体も半分負担をするということになっているわけですから、当然プラントメーカーも責任と負担をとるべきだと思うのです。既に、三井造船は一日の公害調停で、ダイオキシン対策に関する費用の一部を負担すると表明しておりますので、プラントメーカーの責任と負担をぜひ大臣に追及していただきたいと思います。  時間がないので、次の質問と一緒にしてお答えをいただきたいと思います。  豊能の施設の解体処理に約十五億五千万円のお金がかかるわけで、健康調査汚染土壌の撤去費用などを含めますと少なくとも十九億円近い経費がかかると試算されております。厚生省は、豊能の汚染施設解体処理に補助するとしておりますけれども、それはあくまでも予算措置でございまして、豊能だけの特例ということでございます。しかも、汚染土壌の除去、浄化は自治体と施設組合の負担ということになっております。今後、所沢や豊能のような汚染対策が必要な地域に対する制度的な措置は今のところ全くないわけです。  所沢だとか豊能などの汚染地域について、国と汚染原因者でもあるプラントメーカーの責任と負担で汚染実態調査し、汚染施設土壌を除去、あるいは汚染土壌の浄化などの対策を早急にとらせていかなければならないわけですけれども、それにはやはり制度が必要だと存じます。  大臣に最後にお伺いいたしますけれども、この制度化についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。プラントメーカーの責任と負担、そして制度化について、まとめてお答えをいただきとうございます。
  186. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  ダイオキシンによります焼却施設からの周辺ないしはその施設自体の汚染、それの処理の費用負担でございますけれども、先生御案内のように、汚染原因者負担というものが適用されるということがベースでございます。したがいまして、今、施設設置者である豊能組合はもちろんのこと、あと焼却炉メーカーとの間で適切に処理されていかれるべきものと。それで、その間の関係については、私どもコメントは差し控えたいと思います。  その次に、制度化の問題でございますが、この件につきまして、私ども、例えば土壌汚染実態とかあるいは汚染と人の健康影響との関係解明、あるいは制度化に当たってのいろいろな施策手法の詰めなど、いろいろ解明する問題が非常に多くございます。  したがいまして、まずは、今まで私ども、土壌汚染調査する際に統一的な調査手法がございませんでしたので、まず去年の一月、その評価手法を確立し、そして十年度には全国ダイオキシンによる土壌汚染実態調査を実施し、さらには現在、土壌中のダイオキシン類に関する検討会において、居住地などにおける暫定ガイドライン値及び対策手法に関する検討をいただいているところでございます。  こういうところの検討結果を待って、いろいろ指針値あるいはそれの対策手法というものを考えていきたい。ただ、その場合の要するに費用負担の問題については、汚染原因者負担の問題がございますので、国としてはいろいろ技術的なアドバイス等々について考えてまいりたい、こう思っております。
  187. 藤木洋子

    ○藤木委員 終わりますが、責任者が明確になるような制度にぜひしていただきたいというふうに思いますし、プラントメーカーの三井造船は、この能勢に対しての汚染については一部負担をしてもいいと言っているわけですから、それを下回るような答弁を環境庁からいただくつもりはございませんでした。  終わります。
  188. 北橋健治

  189. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。最後の質問者ですので、大臣、もう少し頑張ってくださいますようにお願いいたします。  まず最初に、農水省にお伺いいたしますが、先日二月十六日に、所沢ダイオキシン騒動というふうな言い方は私余り好きではありませんが、このダイオキシンの問題で所沢ホウレンソウの緊急調査を十カ所されました。これが露地栽培のものなのか、いわゆるハウスとかトンネルと呼ばれている、そこでとられて検体として数値をはかったものなのか、それをお答え願いたいと思います。
  190. 大森昭彦

    ○大森説明員 お答えいたします。  今回の二月一日のテレビによる報道によりまして、所沢産のホウレンソウの取り扱いに大きな混乱が生じましたことから、私どもといたしましては、これにつきまして、緊急に実態調査を実施しているところでございます。  そういう意味におきまして、現在現場にございますホウレンソウの栽培形態、これがすべてトンネル状のビニールの被覆栽培でございます。したがいまして、私どもはこれを対象として現在調査を実施しているというところでございます。  それで、露地物とハウス物とのダイオキシン濃度の違いということにつきまして、これはまだ現在のところはっきりした調査データ等はございません。そういう状況にございます。
  191. 中川智子

    中川(智)委員 今、テレビの報道によりましてとおっしゃいましたけれども、私はもうこのテレビの報道などがある前からダイオキシンの危険性については、そこで生きている人たちは心配の声が高まっていたと思いますが、国の施策のおくれによってあのようなパニックの状況が生み出されたというふうな認識を持っております。  ですから、もっとしっかりした形での調査、それに対する対策というのを、あのことをきっかけにして私はできてよかったなというぐらいの気持ちでおりますことを申し添えまして、いま一つ、今の御答弁の中で、今後、そこの露地物といわゆるハウス物、トンネル物との差というのがどれぐらいあるかというのをきっちり示していただけるのか、そのような形での公表をするおつもりがあるかどうかを伺いたいと思います。
  192. 大森昭彦

    ○大森説明員 私どもは、現在トンネル状のビニール栽培のものを調査しておりますが、実は、先般公表されました、JA所沢市及びJAいるま野でございますが、ここのホウレンソウデータにつきましては、私ども露地物と承知をしております。  したがいまして、今回実施しております実態調査の結果が得られますれば、両者の関係についての一つの知見が得られることになるというふうに私ども考えておるところでございます。
  193. 中川智子

    中川(智)委員 それでは、そこの部分の公表もあわせてお願いしたいと思います。  それでは、環境庁長官に伺いますが、昨日お忙しい中を所沢を視察していただいて、さまざまな状況を見ていらしたと思います。くぬぎ山は、十一の産廃業者がひしめく、いわゆる産廃銀座などと言われているような状況になっております。その視察された率直な感想というのをちょっとお聞かせいただきたい。  時間が余りないものですから、それと同時に、今、閣僚会議におきまして、TDI耐容一日摂取量の見直しを早急にするということが取りまとめられました。そこで、いつごろをめどにということでお話し合いが進められているのかということと、やはりより厳しいものにしていただきたいという要望に対してのお答えをお願いいたします。
  194. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 簡潔にということでございますので、十分意を尽くせませんけれども。  くぬぎ山周辺を見させていただきましたけれども、確かにホウレンソウの、またお茶の適地であるということは認識しておったとおりでございました。そこで立派な野菜がとれるということについての、土壌、土質等々のことについても拝見させていただきました。しかしながら、くぬぎ山に参りますと、その周辺に産業廃棄物の、先生今おっしゃっておりました企業が林立しておりまして、その工場がある周辺の道路整備も十分できていない、まさに路地を入っていくようなところから工場に入らなければならないというようなことで、整然と整理されていない。何とか、地元においても、そういう進出企業があるのだったら、もっと整理した段階で処理をしてもらいたいなという感じもいたしました。  いずれにいたしましても、この産業廃棄物の処理とかまた一般廃棄物の処理等々によってダイオキシンが生じると言われておるわけでありまして、そのダイオキシンの処理につきましては万全を期してほしいな、いろいろ申し上げたいことはたくさんありますけれども、万全を期してもらいたいなというのが私の印象でございました。  それから、TDIの問題につきましては、もう先生何度も委員会でお聞きになっておりますし、先生自身が御承知のとおりでございまして、平成十年の五月にWHOの方から示されました数値に対しまして、科学的根拠に乏しい、動物実験をもう少し重ねた上での数値にしてほしいということで、今年の一月末にWHOから、的確な数値を一から四というピコグラムで一日の吸収量を示していただいたわけであります。  ですから、それを踏まえて、我が国としては、どの数値が最も必要であるかということについての研究検討専門家にしてもらおうということで、今専門家会議でいろいろ検討を急いでいただいておるところであります。この数値が出てまいりますと、やはり、WHOなんかの専門書の方にも数値を示しまして、そして世界的な数値というものの整合性を私は見出していかなきゃならない、こう思っておるところであります。  しかし、時期といえば、専門家会議にお願いをいたしておりますので、できるだけ早くという気持ちでいっぱいでありまして、そのような方向で処理をさせていただきたい、かように思っておるところでございます。
  195. 中川智子

    中川(智)委員 ありがとうございます。  厚生省が十ピコ、環境庁が五ピコというところで、本当に環境庁は頑張ってくださっております。ぜひとも、WHOの一から四、もっと厳しいところで設定をしていただきたいというのを心から要望いたします。  それと、それにあわせまして、TDIの見直しの中で、コプラナPCBが入るかどうか、そこの御答弁をいただきたいと思います。
  196. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  現在御審議いただいております学識経験者から成る審議会合同会合におきまして、TDIの点検等していただいておるわけでございますが、先般送付されましたWHO専門家会合の報告書では、ダイオキシン類にコプラナPCBが含まれていたということを踏まえまして、この合同会議の中でも議論がなされるものと承知しております。
  197. 中川智子

    中川(智)委員 済みません。コプラナPCBが含まれているということですか。ごめんなさい、ちょっとはっきりしなかったのですが。
  198. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  WHOの一ないし四ピコグラムというときに、コプラナPCBを含めた形での議論がなされていることはわかっておりますので、合同会合の中でも、それを踏まえた議論がなされるものだろうと考えております。
  199. 中川智子

    中川(智)委員 含まれた議論がなされるというのは、では、そのような答弁というのは、それでちゃんとわかれということですね。コプラナPCBは入れるということでいいんですね。  それが、いわゆる三種類と、WHOでは十二種類のコプラナPCBというのが毒性評価に入っていますが、WHO同様のという理解でよろしいですか。
  200. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 昨年五月のWHO専門家会合には、我が国からも研究者が出席をいたしまして議論に参加をいたしておりますし、各国の相当高名な研究者の方々が集まって御議論をされた結果が、今答弁にあったとおりでございまして、私どもとしては、その報告はかなり重いものとは思っておりますが、我が国の今設置をしております研究者の合同会合で最終的には御判断をいただくべき事項というふうに理解をしております。
  201. 中川智子

    中川(智)委員 長官、コプラナPCBというのはもうしっかりとダイオキシン類の毒性評価になっているわけです。それで、これを入れると入れないでは、いわゆる四倍ぐらいの評価に差が出てくるということもございまして、ぜひともコプラナPCBを入れた形でのTDIの見直しということでお願いしたいんですが、長官、ちょっとお願いします。
  202. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 役人の発言となりますと、なかなかわかりにくい言葉になっておると思います。私は、もう当然含まれるべきだ、こう思っております。
  203. 中川智子

    中川(智)委員 ありがとうございます。花束でも届けたいというふうな気持ちがいたします。どうもありがとうございます。  この間、環境ホルモン・ダイオキシン議連というのが国会でつくられました。今二百十名の衆参両院の国会議員さんが参加してくださっておりまして、設立総会も非常に充実したものになりました。それで、三月三日のおひな様の日に、所沢の市議会が、市議会議員の方三十五名全員国会の方にいらしていただいて、現状とそして思いのほどをお聞かせいただきました。  そこで、厚生省に伺いたいのです。その中で、たくさんの要望がございましたが、農作物ダイオキシン濃度基準、それを設けてほしいということを切に訴えられました。私も予算委員会の農水分科会で牛乳のダイオキシン汚染の問題とか触れましたけれども、ぜひとも食品ごとダイオキシン基準の設定、それがないと、私たちもどのような形で、個人情報を入れても、これはちょっと食べるのを控えようとか、こちらのものは今妊娠しているけれども大丈夫なのねというふうな形でイメージがわくのですけれども、食品ごとダイオキシン安全基準というものをつくってほしいという要望に対してどのようにお考えでしょうか。
  204. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 ダイオキシンによります人への健康影響を評価する場合には、通常食生活から人が取り込みますダイオキシン類総量といわゆるTDIとを比較することによって行うことが一般的でございまして、国際的にもTDIによって健康影響を評価しているわけでございます。  また、我が国の一日当たりの摂取量の実情を見てまいりますと、直近の値で、コプラナPCBを含めまして、二・四一ピコグラムでございます。総量についてもそういった状況。また諸外国の状況を踏まえますと、我が国におきまして健康影響が生じるとは考えられないというふうに今私どもとしては考えているところでございまして、個別食品基準を設定いたしまして対策を実施すべき状況にはないというふうに私どもとしては考えております。  ただ、先生指摘のように、ダイオキシンの問題に関しましては、さまざまな国民皆さんの不安がございます。的確な情報国民皆さんに提供するということは極めて重要でございますので、現在実施しております食品中のダイオキシン類汚染実態調査につきまして、その拡充を図りまして、その結果を公表するといったこと等、ダイオキシンに関する正確な情報を伝達するための適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  205. 中川智子

    中川(智)委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。  特に、妊婦とか母乳を与えていらっしゃる若いお母さんにとって、本当に何を食べていいかわからないというような状態になっております。せめて妊婦や乳幼児、感受性が強いと言われている子供たちに情報提供をすべきだと思います。  食品安全基準に関しましては、二月の十二日ぐらいに、騒動になっているときに、たしか宮下大臣そして中川農水大臣食品安全基準というのはつくるべきだというような会見の中での御発言があったように記憶しているのですが、その後はTDIのことに一つ議論が集中いたしまして、そこが消えてなくなっているというふうな認識を持っております。  そこの情報提供がしっかりなければ、TDIが単なる努力目標になってしまったら何のことなのかと思うところもございますので、ぜひとも厚生省の前向きな形での情報提供と、そして将来的にはその安全基準を設定できるような方向での議論を尽くしていただきたいということを要望としてお願いしておきます。  次に、環境庁に伺いますけれども、土壌のところは、この間中間報告で千ピコというのが出されて、今回はっきりと決定されると思うのです。いわゆる住宅地が千ピコですね。私も何度も申しておりますけれども、今回でも農地部分で非常に心配だと思います。三百年続いてきた所沢の優良な農家の方たちが、土がともかく怖くなってしまった、どうしてこんなことになってしまったんだろうということをおっしゃっていました。  ですから、農地基準、そしてまた、子供が遊ぶ公園。子供たちは砂遊びというのが大好きです。つめとか皮膚とかから取り込む。せめて公園や農地に対して土壌基準、こうなったらきめ細かなというところではないと思うのですね、当たり前の基準設定だと思いますが、いかがでしょうか。
  206. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  まず第一に、農用地についてでございますけれども、一般ダイオキシン類につきましては、水に溶けにくいということ、そして土壌中のダイオキシン類が植物に吸収されることはほとんどない、こういう報告がございます。こうしたことから、植物から検出される微量ダイオキシン類というものは大気中のダイオキシン類によるものではないかとの研究報告もございます。  ただ、問題は、我が国におきまして、農用地と農作物の相互関係、その測定例が非常に少なくて、汚染実態が明らかになってないということでございます。このため、現在、全国で、平成十年度でございますが、農用地土壌農作物に関する関係調査中でございます。これは、環境庁がそれをやっておりまして、十年度であります。それで、十一年度から三年間かけて、今度農水省がやることになっております。さらに、このたび所沢地域におきまして、緊急的な合同調査もやることになりました。そういうことで、実態解明するということがまず初めだと思います。  その上で、環境庁としましては、現在開いております土壌中のダイオキシン類に関する検討会がございますけれども、そういう場で専門家による検討をしていただきまして、農用地のガイドラインの必要性も含めまして、いろいろ論議はしていっていただきたい、こう思っております。  その次に、子供の遊び場の件でございますけれども、御案内のとおり、千ピコは居住地等というものを対象にしてこの間検討会で御提案をいただいたわけでございますけれども、もう一度考え方を御説明申し上げます。  千ピコグラム土壌からの摂取量は、ずっと七十年間毎日生活して接触したとしても、それ以外の要するに生活環境から摂取するダイオキシンと合わせてみても、今環境庁が定めております健康リスク評価指針値を下回るとの判断で提案された、こういうものでございます。  その場合に、では、子供についてどんな配慮をされているかということでございますけれども、子供は、先生指摘のように、外で遊ぶ機会が非常に多い、かつまた、土壌との接触は当然頻度が高い、こういうことでございますので、ゼロ歳から六歳の子供の土壌摂取量を大人の二、三倍多く見積もって評価をしているというのが第一の考え方でございます。第二の考え方は、土壌への接触の機会につきましては大人の三・五倍にもなるという算定根拠を入れまして、この千ピコというのを提案されているということでございます。これは専門家の提案でございます。  いずれにしましても、子供への影響の配慮につきましては、この間いろいろ国民の方々から意見を聴取いたしまして、さまざまな意見が出されております。現在これらの意見を整理しておるところでございますけれども、引き続き専門家検討していただくことにしておりますので、その専門家検討結果を踏まえまして適正に対応していきたい、こう思っております。
  207. 中川智子

    中川(智)委員 数字的にはそうかもしれませんが、海外でも百ピコという公園の基準がございます。ぜひとも日本でも、せめて子供たちへ、本当にゼロに近づけるための方策という形できっちりやっていただきたいというのをお願いしておきます。  時間がございませんので、労働省さんにも来ていただいているんですが、今回はないかもしれません。また、労働委員会か何かで別にやります。ごめんなさい。  厚生省に伺いますが、私は、去年、かなり早い時期からいろいろな場面で、環境ホルモン、ダイオキシンに関しては質問してまいりました。また、いろいろな話の中で、直ちに環境への影響考えられないという御答弁がこの間ずっとございました。それで、その認識として、直ちに影響はない、そして今後も全くないということは、もう今の時点では考えていらっしゃらないと思います。当然、直ちに健康に影響はないけれども、長期間摂取すれば健康へのリスクがあるというふうな認識を共有したいと思っておりますが、これに対してきっちりと、因果関係なりそのようなことを科学的にデータをとるには、疫学調査というのをしていかないといけないというふうに思うんです。  この間、所沢からいらした人も、私の友人が一人偶然議員さんでいたんですけれども、その方の子供さんも七カ月で死産、心音がもう聞こえなくなったということで、元気に元気に育っていたと思っていたら亡くなった、産婦人科なんかに行ったらそんな話がよくこのごろあるのよねということを話していました。  新利根とか、あと所沢でも、新生児の死亡率とかがんの発症とかということで、住民が自分たちで独自に調査をしているということがございますが、厚生省は、この疫学調査に対してどのようにお思いか、今後やっていくおつもりがあるのかどうか伺いたいと思います。
  208. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 まず、直ちに健康に影響が生じるとは考えられないという表現を用いた点についてでございますが、これは、現時点の科学的知見に基づけば、健康に影響が生じるとは考えられないという趣旨で申し上げたものでございまして、当然将来的な影響も含めて評価をした結果をこう申し上げたということでございます。  それから、疫学調査についてのお問い合わせでございますが、現在、ダイオキシン類の人への健康影響解明する必要があるわけでございまして、厚生科学研究におきまして、血液や母乳中のダイオキシン類濃度測定あるいは子宮内膜症等健康影響に関する研究など、ダイオキシン類の長期的な影響に関する調査研究を推進しているところでございます。  なお、調査研究の実施に当たりましては、ダイオキシン類の人への健康影響を正しく評価いたします調査手法の選択が極めて重要と考えておりまして、御指摘の疫学調査による研究手法も含め、専門家の意見をお聞きしながら検討してまいりたいと考えております。  なお、今御指摘のございました埼玉県の例でございますが、平成九年十一月の環境特別委員会で、埼玉所沢市周辺で流産と先天奇形の発生が多いのではないかという御指摘があったわけでございます。  同月の二十八日付で埼玉県に調査を依頼いたしまして、所沢市周辺の六市町村の産婦人科、医療機関を対象にいたしまして、平成八年及び九年の死産と先天奇形の発生の状況調査の結果が報告をされたわけでございます。  この調査によりますと、平成八年、九年の当該地域におきます死産の頻度は、それぞれ〇・八八%及び〇・八一%となっておりまして、平成八年の全国におきます死産の発生頻度の二・六六に比べてかなり低い値となっているということをつけ加えさせていただきます。
  209. 中川智子

    中川(智)委員 去年、おととしのそのようなことじゃなくて、私は、将来的に、所沢だけではなくて、やはり健康に対しての疫学調査を長期的にやっていくべきだということを申しております。  ですから、今すぐ目に見えた形のそのような数値としてはあらわれないけれども、このように日本のいわゆる燃やすという文化の中で、ダイオキシン心配、環境ホルモンの心配がある中で、長期的な視点に立ってぜひともやっていただきたい、これは要望を含めてお願いしたいと思います。  時間になりましたが、長官、二〇〇一年に環境庁は省になるということで、本当にPRTR制度の導入というのは悲願だったと思います。その中身に対して、またここの場で議論をさせていただきたいと思いますが、ぜひとも、市民を入れた形で、事業者と行政と市民が一緒になってこのような情報をきっちりと手にとることができるようなシステムにしていただきたいと思いますし、鳥獣保護法も、鳥の声を聞いていただいた大臣が、やはり動物たちの声を聞いていただくという形での鳥獣保護法の中身の検討をぜひともお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  210. 北橋健治

    北橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五分散会