運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-08-06 第145回国会 衆議院 外務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年八月六日(金曜日)     午前九時三十分開議   出席委員    委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 上原 康助君 理事 玄葉光一郎君    理事 赤松 正雄君 理事 東  祥三君       瓦   力君    木村  勉君       河野 太郎君    中谷  元君       深谷 隆司君    細田 博之君       松本  純君    八代 英太君       吉川 貴盛君    川内 博史君       中野 寛成君    藤田 幸久君       坂口  力君    西川 知雄君       山中あき子君    藤井 裕久君       古堅 実吉君    松本 善明君       保坂 展人君  出席国務大臣         外務大臣    高村 正彦君  出席政府委員         防衛施設庁総務         部長      山中 昭栄君         防衛施設庁施設         部長      宝槻 吉昭君         法務省入国管理         局長      竹中 繁雄君         外務大臣官房長 浦部 和好君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省欧亜局長         事務代理    飯村  豊君         外務省条約局長 東郷 和彦君  委員外出席者         警察庁警備局外         事課長     内山田邦夫君         外務委員会専門         員       黒川 祐次君 委員の異動 八月六日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君     松本  純君   山中あき子君     西川 知雄君   伊藤  茂君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   松本  純君     阪上 善秀君   西川 知雄君     山中あき子君   保坂 展人君     伊藤  茂君 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田康夫君。
  3. 福田康夫

    福田委員 外務大臣も、いろいろと外交日程立て込んで、本当に御苦労さまでございます。  きょうは、広島平和記念式典にちょうど当たります。先ほど、私もテレビでちょっと出がけに見てきたのですけれども、かつてこの委員会活躍をされておられた秋葉市長平和宣言をしていました。世界に対する呼びかけと同時に、被爆体験がない、そういう若い世代の人たちが平和の理念を引き継いでくれ、こういうようなことをメッセージで呼びかけをしておられましたけれども、私は、秋葉市長は所を得てそういう発言をされていらっしゃる、こう思いまして、本当に頼もしく思ったのであります。これから、世界平和センターとして、日本国内のみならず世界じゅうに呼びかけるその中心になって活躍をしてほしい、こういうふうに思いました。まず秋葉市長にエールを送りたい、こう思います。  それから、小渕総理があいさつをされまして、非核、軍縮についてより一層努力するということを当然のことながら申されておられましたけれども、それと同時に、東京フォーラム成果について御説明をされていらっしゃいました。  私は、東京フォーラムについては、これはこの間、いつでしたか、二回ほど前の当委員会山中委員発言をされていらっしゃいまして、この中で、日本はいつも、大変いいことをしても、それを十分に知ってもらう努力はなかなかしない、こういうことをおっしゃって、議事録もございますけれども、そういうことで、秋の国連においてもそういう訴えをしていただきたいということを言われておったのであります。私も全く同感でありまして、外務省担当局には既にそういうことを申し上げたことがあるのです。  できるなら、小渕総理国連総会出席をして、そういう場で世界に発信をするということが、また日本の姿勢を世界に対して明確にするという意味においても大変いいのじゃないかな、こんなふうに思ったわけでありますけれども、なかなか忙しいお体ですから、そういうところを、例えば、外務大臣は九月の国連総会出席されるのですか。そういう予定はございますか。
  4. 高村正彦

    高村国務大臣 九月二十一日でありますが、国連総会演説をさせていただく予定でございます。
  5. 福田康夫

    福田委員 そういう場で言ってふさわしいものかどうか私は正直言ってわかりません。わかりませんけれども、せっかく日本努力して、そしてこういうものをまとめ上げたというこの成果について、これは悪い中身ではない、こう思います。人に言わせれば、例えば、戦略核弾頭を千発まで削減すべしだ、しかし、これは期限が書いてないじゃないかと言ったり、やはり核廃絶ということはゼロだ、ゼロでなきゃ満足できぬというようなことを言う人もいます。しかし、私は、この全般を見まして、こういういろいろな部門において具体的に少しでも前進をさせるということは非常に大事なことである、それからまた、そういう考え方世界じゅうに示していくということは大変大事なことだ、こう思いますので、できれば国連総会の場で外務大臣から世界に強く働きかけをしていただきたい、こんなふうに思っております。  きょうは、そういう高邁なる理念のもとの話でないので大変残念でありますけれども、これは定番でございまして、最近は、委員会があれば必ずテーマになるというのは、北朝鮮ミサイル発射問題、それから中国関係、こういうふうなことなのであります。両方ともミサイル関係するのでありますけれども、まず、北朝鮮について、事実関係等についてお尋ねをしたいと思います。  まず、このミサイル発射テポドン発射する可能性があるということでありますけれども、このことについては、何らか新しい進展もしくは情報、向こうの動きというものはございますでしょうか。
  6. 高村正彦

    高村国務大臣 まず、委員が御指摘になった高邁なお話の方でありますが、委員の御指摘もありますので、国連総会の私の演説の中に取り入れる方向で検討をさせていただきたい、こう思います。  先般のARFの会合でも、まだ東京フォーラム報告書は出ておりませんでしたけれども、近く出るので、ぜひ参考にしていただきたいということを、私の方から全体会議で申し上げてきたところでございます。  それから、テポドン発射状況でありますが、政府としては、北朝鮮ミサイル関連の動向につきましては、関係諸国間で密接に連絡をとりつつ、細心の注意を払って、継続的に情報の収集、分析に努めておりますが、現時点における情報を総合したところ、北朝鮮ミサイル発射が差し迫っているとは判断していない、差し迫っていると判断するような新たな情報はない、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、政府として、北朝鮮ミサイル発射には重大な関心を持っており、今後とも北朝鮮ミサイル関連活動を注視していきたい、こう思っております。
  7. 福田康夫

    福田委員 この間の安保委員会ですか、防衛庁長官が、八月の十五日とか八月の三十一日、九月九日がもしかしたら、こういうふうなことを言われたのであります。これは、防衛庁長官も特に根拠があって言われたのじゃないだろうというふうに思うのでありますけれども、そういうような非常に差し迫った時期にあるということでありますので、この辺、日本からそうはしないようにという働きかけをするのであれば、もう残された時間はそれほどない、こういうことであります。  そういうことと関連して、ちょうど八月の三日に米朝協議が開始された、それから、昨日ですか、四者協議が開始をされた、こういうことであります。このことについて、内容的なことについて何か新しいものはありますでしょうか。
  8. 高村正彦

    高村国務大臣 特に新しいというものではないわけでありますが、私が承知している一般的なことを申し上げさせていただきますと、四者会合第六回会談は、八月五日よりジュネーブにおいて開催されているわけでありますが、我が国としては、朝鮮半島における永続的な平和の枠組みを構築するという四者会合の目的の達成に向け、とりわけ北朝鮮側協力を得て、今回の会談で少しでも進展があることを期待しているわけであります。  そして、四者会合機会をとらえて、三日及び四日、米朝間協議が行われたわけでありますが、この協議においては、米国からミサイル発射についての強い懸念表明がなされ、先般の日米韓三カ国外相会議を踏まえて、ペリー調整官のアプローチに対し積極的な反応を示すことが北朝鮮にとっても利益となる旨説明を行ったと承知しております。  政府としては、北朝鮮がこうしたメッセージを前向きに受けとめることを期待しているわけでございます。
  9. 福田康夫

    福田委員 この交渉が行われているというさなかで、二者協議及び四者協議当事者ですね、参加している米国中国そして韓国、こういうところと不断の連絡というのはあるんですか。そして、日本がそれに対してこういう考え方をするというふうな意向表明をするとかいうようなことはされているんですか。
  10. 高村正彦

    高村国務大臣 北朝鮮ミサイル発射の抑止に向けましては、先ほども述べましたように、これまでも日米韓の三カ国の間で緊密な協力及び調整を行ってまいりました。  先般シンガポールで開催された日米韓三カ国外相協議におきましても、このような再発射朝鮮半島及び広い地域の平和と安定に悪影響を与え、北朝鮮にとり深刻な否定的結果をもたらすであろうことにつき意見の一致を見、北朝鮮に対し、むしろそのような発射を中止することにより近隣国と前向きな関係を構築することを選択するように求めているところでございます。  ジュネーブで行われている米朝協議におきましても、日米韓三カ国外相協議を受けて、米国から北朝鮮側に対し、ミサイル発射防止に向けて働きかけを行っていると承知しているわけでございます。  四者会合のもう一つ当事者である中国に対しましても、先般の小渕総理の訪中の際に、北朝鮮ミサイル発射の問題について小渕総理より日本側懸念を伝えたのに対して、朱鎔基総理からは、中国朝鮮半島の平和と安定のためにできることはやる用意があるという発言がありました。それから李鵬全人代委員長からは、北朝鮮ミサイル発射についての日本国民の心情は理解できるものであり、機会があれば日本側の心配の気持ちを北朝鮮に伝えたい、こういう発言があったわけであります。  いずれにいたしましても、政府としては、今後とも北朝鮮ミサイル関連活動を注視するとともに、これら関係諸国と緊密に連携しつつ、北朝鮮ミサイル発射を抑止するため最大限の努力を払っていきたい、こういうふうに考えております。
  11. 福田康夫

    福田委員 ただいま大臣お話で、各国に対していろいろと要望されていらっしゃる、そういうことについてはわかるのでありますけれども、北朝鮮をどうしたら平和路線に乗せることができるかということについてはいろいろな論評があります。悲観的な論評というのが多いんですけれども、また、決め手になるような方法、手段というものはなかなか見つからないというのが現状であります。  しかし、一つ申し上げることができると思いますのは、これも多くの方が言っていることでありますけれども、日米韓、この三国がやはり意思統一がしっかりしていないと、同じメッセージ北朝鮮に与えることができないと、北朝鮮はそのはざまをねらっていろいろと画策をする、こういうふうなことがあるんだろうということでありまして、私もそれは全く同感であります。今申しました三者、二者プラス中国との連携、これは今後とも十分な連絡をとり、また日本意思をしっかりと伝えるということが大事だ、こう思いますので、大変なことでありますけれども、ひとつ今後ともより以上の連携をとれるようにしていただきたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。  それから、同じミサイルのことでありますけれども、中国ミサイル発射いたしました。これもいろいろな波紋を投げかけているわけでありますけれども、しかし、その波紋北朝鮮ミサイル交渉にも影響を与えるということもあるわけなんでありまして、これはなかなか我が国にとっても深刻な問題だというふうに思っております。  特に、先般の議事録によりますと、これは小渕総理が訪中されたとき中国に対して、朱鎔基総理に対して北朝鮮の再発射を抑止するということについて協力をというような話をされたようにございますが、けれども、その中国自身ミサイル発射してしまったということになりますと、北朝鮮にどうやっておまえのところミサイルやめろということが言えるのか、こういうように思います。また、そういうことをした中国発射をするときに、日本に対して朱鎔基さんがこういうふうに言ったんだなんということは考えていたわけではないんだろうというように思うのでありますけれども、中国日本に対してはメンツがない、そういう立場じゃないかと思うのですけれども、大臣、どういうふうに思われますか。
  12. 高村正彦

    高村国務大臣 中国側がどういうお考えでミサイル実験を行ったか、そういった状況については必ずしもつまびらかでないわけでありますが、北朝鮮ミサイル発射と全く同一に論ずることはできないだろうと思います。  それは、中国国内で行われたものであり、それから中国が既に中長距離ミサイルというのを持っているということはもうこれは周知の事実でありまして、そういう中で、中国国内で行われたもので国際法的に直接問題があるということではない。ただ、今大量破壊兵器核軍縮流れというものが国際的にある中で、しかも、委員が御指摘になったように日本側としては北朝鮮側にもそういう働きかけをしてもらいたいと期待している中でこういう発射実験を行ったということは、決して好ましいことではない、こういうふうに考えております。  この発射実験直後、火曜日の閣議後の記者会見で私は、どう考えるかと聞かれた中で、決して好ましいことではないと憂慮の念を示しておきました。そしてまた、それを受けて、中国大使館の者と外務省の、私ではありませんが接触をして、懸念表明した、こういうことでございます。
  13. 福田康夫

    福田委員 私が申し上げたかったのは、北朝鮮とのミサイル交渉が行われるという寸前に中国がそういうことをしたということなんで、中国も余り、軍部が強くてというふうな話もありますけれども、外交的配慮なくしてやったのかな、こんなふうに思うので、私は、やはりその辺は中国にかなり強く申し入れしてもいいんじゃないか、こういうように思います。  どちらかというと日本対応は、こう言ったら失礼かもしれませんけれども、慎重な対応をしている、こんなふうに思います。今のそういう外務大臣お話もございましたけれども、もうちょっと強目な発言をされてもよかったんじゃないかというのが私の率直な感想なんです。  また、外務省報道官なんかの報道ぶりも、最初は国際社会流れに逆行すると言っていたけれども、そのうちに、国際社会に与える影響は定かでないとか、そんなふうな言い方になってしまうとかいうようなことが多分あったんだろうと思います。私もちょっと正確なデータはないので断定いたしませんけれども、そういうような表現をされておられたようなことは、これは報道で拝見しておるわけであります。  中国ミサイル発射について、これは中国もいろいろな背景があって、やむにやまれずということがあったんだろうというふうに私は思うので、そういう背景などを考えていきますと、やはりその部分だけの議論というのは当然できないわけでありまして、もっと大きな国際的な観点からの、特に米国との関係というようなものも含めて考えなければいかぬ。特に、米国の、NATOの東方拡大とかいうようなことは、ロシアのみならず中国大変神経をとがらせているということでありますし、その上に日米ガイドラインが成立した、こういうことでありますので、そういう国際環境の中で中国がああいう行動をしたというように理解をすると、やむを得ない部分もあるのかもしれない。  しかし、我々の立場はやはり非核であり、先ほどの広島の話じゃないけれども、核軍縮であり、また通常兵器の削減とかいうようなものも視野に入れたことを国際社会に向かって言っているわけですから、そういう立場というものを常に堅持するという、その上での発言中国に対してもしっかりしていただきたいな、こんなふうに思っております。  そういうミサイル発射の中で例の台湾の問題がありまして、これも非常にナーバスな問題で、これはなかなか外務省当局大臣自身もこのことについて発言するのが、微妙なことでなかなか本音は言えないというふうに私は思いますけれども、こういう中台関係についても我々は、李登輝総統に対して、あれでよかったのかどうか、また中国が、だからといってミサイルを撃ったのかどうか、これはわかりませんけれども、もしそういうのであれば、軍事的な脅威を見せつける、そういうふうな行動をとるとかいうようなことが仮にあるとするならば、やはり日本としてしかるべき筋からはっきりと言っておく必要がある、こんなふうに思うのであります。  このまま放置したときに、米中が対立をする可能性があるのかどうか、より大きな対立に向かうのかどうか、これもわかりません。米国もいたずらにそういう方向を目指しているというふうには私は思いませんけれども、米国に対しても日本として言うべきことはしっかりと言わなければいけない。日本の基本的な考え方は何かといったならば、やはり平和だということ、その点を強調してやっていくしかないんだろうというように思います。  私は正直申しまして、平和路線というのは、大きな流れの中ではそういう方向に動いているというように思っておりますし、また確信をしているのでありますけれども、それをやはり日本がリーダーシップをとってやるような立場というものを堅持していただきたい、こんなふうに思っております。この辺のことは、ちょっと時間の関係もありますので、これまでにしておきます。  全く話がかわりますけれども、外交というものは、これはもちろん外務省が、また外交官がつかさどってやっている仕事であります。その外交官は、やはりいろいろな情勢というものを、外務省内のことだけでない、それから対外的なことのみならず、日本のいろいろな分野の要素を取り入れながら外交というものを進めていく、私はかねがねこんなふうに思っております。  アメリカなんかの例によりますと、あの国は世論をうまく使うんですね。世論を使うという意味においては、もう一世紀前からうまく使って、そしてそれを外交政策にはね返すということもよくやる、そういうお国柄なのでありますけれども、今でもそれは変わっていないというふうに思います。  日本は、世論のみならず、いろいろな分野でいろいろな活躍をしている人がたくさんいるんですね。一つの顕著な例を言えば、NGOなんというのはまさにその最たるものだろうというふうに思いますけれども、最近のNGO活躍ぶりが非常に目覚ましい。各国ともNGOを無視することはできない、こういうふうな状況の中で、日本NGOを支援するということをかなり強力にやるような体制になってきたということであります。またこれは、むしろ外交NGOにおんぶするという部分が、この間のコソボのときのような例を挙げるまでもなく出てきた、こういうことであります。  しかし、そういう団体とかそういうことじゃなくても、一般の人たちの中でも、外交関係ということを意識するんじゃないんだけれども、いろいろと国際的な活躍をしている人はたくさんいるわけであります。そういうものは時として目に見えないという部分がありまして、私もたくさんそういう例は知っておりますけれども、例えば貧困国に対していろいろな応援をする、もちろん、留学生のお手伝いをするとか、それから孤児院をつくるとかいろいろな施設をつくるというふうなことも含めて、相当お金を出している。これは私財でありますけれども、私財を投じて一生懸命やっているという方がおられる、たくさんいる。  それがそのままで終わってしまうというのは、これは私は非常に残念だと思うのですよ。やはりそういうものを隠れてやっている人たちがいるということを世の中にもっとPRしてほしいと思うのですよ。それを外務省がぜひやってほしいな、こう思います。  どういう方法でやるか、これはなかなか難しいので、具体的な方法についてはお考えいただきたいけれども、一つ方法として、外務大臣表彰なんというのは頻発してもいいんじゃないかな、私はこう思っております。これをたくさん出して、そして、ちゃんと見ているんだよというメッセージをそういう人たちに与えるということは大事なことだろう、そうすると、そういうことの継続性も生まれてくるだろう、こう思いますので、その点ひとつよろしく御配慮をお願いしたいと思います。  日本国際化というふうに言っておりますけれども、まだなかなかそれが進んでいない部分があるんですね。日本企業なんかも随分海外に行っております。海外に行っておりますけれども、日本空洞化なんということも言われますけれども、しかし、空洞化を心配する、そういう時代はもう過ぎてしまった、こういうふうに思います。  今、海外生産比率というのは、五年ほど前でしたら六%ぐらいでしたけれども、今は一二%、倍になっております。しかし、ドイツなんかを見ますと、五年前が一二%、それが今や二〇%を超えておる、こういう状況になっているというようにデータで見ておるのであります。アメリカは相変わらず海外生産比率は昔も今も二〇%台をキープしている、それも若干ふえている、こういう状況であります。そのことだけ見ても、まだ日本国際化がおくれているな、こんなふうに思います。  それで、例えば円構想とか円圏だとかいうふうなことを言っていますけれども、実態はまだそこまで行っていないんじゃないか、こう思います。何か事件があると、例えばインドネシアで紛争があれば、インドネシアにいる日本企業なんかは全部引き揚げてくる。こんなことは湾岸戦争のときもありまして、中東におりました日本の銀行にしろ何にしろみんな引き揚げてしまった。しかし、わずかにアラビア石油一社だけ頑張って、爆弾が着弾してそれから逃げ出した、こういうところもありますけれども。そういうようなことで、国際的な信頼度というのはまだまだだというふうに私は思います。  そういう意味において、もう時間がないので簡単に申し上げますけれども、英語教育というのは、大臣、これはひとつ大々的にやられたらどうなんでしょうか。これは所管外でございます。ございますけれども、外交的な配慮から、日本国際化とかそれから日本の将来の行く末を考えた見地から、政治家高村大臣として、政治家としてどんなふうに思いますか。最後にそのことだけお尋ねをいたします。
  14. 高村正彦

    高村国務大臣 英語世界共通語に完全になったとは言えないまでも、なりつつある、こういう状況でありますから、日本学校教育においても英語教育をもっともっとちゃんとやらなきゃいけない、こういうふうに思っております。  私、まだ外務省に入る前、外務政務次官になる前でありますが、文部省の人たちに対して、例えば共通一次試験にディクテーションを大幅に取り入れることをしたらどうだと言ったら、そういう方向を考えているけれども、時間がかかるのですとかなんだとかいろいろ、ああいうことも必要でこういうことも必要で、それには時間がかかるんだと。そんなことを言っちゃだめだ、早くやれと言って、今どこまで進んだかよく、後を追っておりませんが、あらゆる面でしゃべれる英語の教育をする必要がある、そういう点では委員と全く同じ考えでございます。
  15. 福田康夫

    福田委員 ありがとうございました。終わります。
  16. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、上原康助君。
  17. 上原康助

    ○上原委員 まず最初に、在日米軍というか在沖米軍の事件、事故との関連についてお尋ねをいたします。  米軍基地が沖縄に集中しておる関係もあって、相変わらず米兵の交通事故とかその他の事件、事故が多いわけですが、特に公務外の事故によって起きた被害者への賠償問題がなかなか適正、適時に処理されていないという嫌いが相当あります。  そういうこともあって、一昨年のSACO協議の中でこれを改善していくという一定の方向性が出ているわけですが、九五年の六月に米海兵隊員による酒気運転によって対向車線に進入をして死亡事故が発生したことは御承知のとおりです。これは、原告の請求どおりの判決が言い渡されて、被害者への賠償金を支払う確定をしようとした段階で、加害者の米兵が一年六カ月の実刑判決を受けて仮出所をした後に除隊になっている、そして帰国をした、帰国した後の住居が確定をしないということで判決文の送達が不可能になっているという案件になっております。  こういうことはあってよいはずがないのですね。こういうことについて、外務省あるいはこういう事件を担当している防衛施設庁あるいは法務省でも結構ですが、どうお考えなのか。まず、その基本的な認識からお伺いをしたいと思います。
  18. 高村正彦

    高村国務大臣 政府といたしましては、米軍人が公務外に交通事故を起こした場合には、事故の被害者またはその御遺族に対し、日米地位協定、関係国内法令及び被害者またはその御遺族の意思に従って補償措置が適切にとられるよう努めてきているわけでございます。  御指摘があったように、SACO最終報告には、地位協定の運用改善措置の一つとして、被害者救済の観点から、地位協定第十八条六項のもとの請求に関する支払い手続の改善措置が盛り込まれ、実施に移されてきているわけでございます。  具体的に申し上げますと、日米地位協定第十八条六項に基づき、米国政府が加害者にかわって慰謝料を支払うということになっておりますが、SACO最終報告による改善措置として、米国政府による支払いが確定判決額に満たない場合には、我が国政府、これは防衛施設庁が担当するわけでありますが、我が国政府が差額を埋める努力をするということになったわけでございます。  御指摘のように、加害者である米軍人を相手取った損害賠償訴訟の判決が下った際に、被告の米軍人の居所が不明である場合にも、判決を確定するための手続は存在していると承知をしております。この場合、判決の確定までに一定の日時を要することは事実でありますが、これは判決を確定するため、司法当局が民事訴訟法に基づいてとる手続によるものであるということは御理解願いたい、こう思うわけでございます。  損害賠償訴訟の判決が確定し次第、SACO最終報告に盛り込まれた改善措置により、米国政府による慰謝料の支払いが確定判決額を満たさない場合には、我が国政府が差額を埋めるための努力をすることとなります。  このように、被告である米軍人の居所が不明であることは、SACO最終報告の改善措置をとる上での支障になるものではない、こういう状況になっているわけでございます。
  19. 上原康助

    ○上原委員 支障になる状況ではないとおっしゃいますけれども、実際に支障が生じているわけですよね。今申し上げた九五年六月の交通死亡事故というのは、現に判決文が下って、その判決書類を送達したら不在だ。結果として被害者は、賠償金というか損害の全額を受領するということに相当時間がかかっている。したがって、SACO合意によって差額分が生じた場合には日本政府がかわって配慮するということは、それは一歩前進かもしれないんだが、司法当局による民事訴訟の手続だといったって、結果として被害者に、余計な苦痛といろいろな煩雑な司法上の、民事上の諸手続をとらざるを得ないという煩わしさが残るわけですよね。こういう面は改善してもらわなければいかないのです、政府として。  ですから、今後の課題として、酒気運転その他の悪質な行為によって生じたこの種の事件に対して、帰国した米兵の所在不明により送達できないということで賠償手続が大幅におくれるということ自体は、これは解消していないわけです。こういうことはどういうふうに今後改善措置をやろうとするのか。そこはやはり外務省なり防衛施設庁なりがもっと積極的に、あるいは法務省でも結構ですよ、やっていただかないと、そういう点まで、被害者がアメリカ本国の所在まで捜すということは到底不可能ですよね。こういうことに対する改善措置はどうお考えですか。
  20. 山中昭栄

    山中政府委員 地位協定十八条六項は、先ほど外務大臣の方からも御答弁ございましたが、被害者の救済の観点から、米兵にかわりまして合衆国政府が支払う手続を規定している。それで、私どもが被害者に対する補償金を査定いたしまして米国当局に提示をするというわけでありますが、査定につきましては、もちろん、その確定判決額をとらなければならないという趣旨の規定があるわけではございません。  ただ、当庁といたしましては、従来から、被害者が訴訟に訴えた場合には、その意思を尊重いたしまして、判決の確定を待って補償額を査定するということでやってまいっておりまして、本件もまさにそういう事例に該当するわけでございます。  御指摘の、特に被告の存在確認のために判決の確定に日時を要している。これは、被害者救済という観点から、できるだけ迅速に手続を進めるということからいきますと、確かに遺憾なことであるというふうにも考えておりますが、一方、民事訴訟法上の必要な手続を進める上ではやむを得ないことではないかというふうにも思います。  ただ、いずれにいたしましても、今申し上げましたように、総体として、その被害者の早期救済のための手続を進めるということは大変重要なことであるというふうに私どもも認識をしておりまして、これまでに処理をいたしましたケースを振り返ってみて、当庁として、処理手続等のさらなる迅速化のためにどういった改善措置をとり得るのか、今後検討してまいりたいと考えております。
  21. 上原康助

    ○上原委員 今の御答弁では納得しかねるんです。  あえてお名前を申し上げますが、この儀保マリ子さんという方の死亡事件については、実際に、帰国した米兵の所在が不明で、判決文が戻ってきているわけでしょう。そして補償手続は今、宙に浮いておるんだ。それを、民事訴訟の手続上必要だからということでやむを得ないという答弁では、これは納得しかねますよ。  改善措置は当然政府はやるべき、それは。そのことを私は尋ねているんだ。SACO合意の問題であろうと、賠償するのは当たり前なんだよ。改善措置はあるの、ないの。やるんですか、やらないんですかを聞いている。
  22. 高村正彦

    高村国務大臣 被害者の方に加害者側がアメリカのどこにいるのか捜せなどと無理なことを申し上げているわけではなくて、民事訴訟法上、相手方の居所が知れない場合に、その送達という効果を発生させ得る方法があるはずだということを申し上げておる。確かに、それは煩わしくて、ちょっと面倒くさいんですけれども、そういう方法があるわけであります。  これは、すべての裁判において、相手側に送達されない場合に、確かに面倒くさいわけでありますが、日本アメリカ、そういう関係だけでなくて、日本国内の裁判でも被告がどこかに行っちゃったということはよくあるわけで、そういう場合には公示送達とかいうような方法で相手側に送達したとみなす、こういう方法で送達をやっておりますから、それで解決する。  これは、何も沖縄だけの話ではなくて、あるいは相手側が米軍人だけという話でなくて、被告がいなくなっちゃうというのは裁判の上でよくあることで、それに対してはそういう方法が民事訴訟法上規定されているというふうに私は承知をしております。所管外でありますが、一言申し上げておきたいと思います。
  23. 上原康助

    ○上原委員 大臣、それはそんな一般論で片づけられる問題じゃないと思いますよ。国内の案件、事件とは違うと思うんだ、私は。  そういう一般的なことでなくして、事米軍人軍属によって起こされた事件の処理について迅速にやるべきである。これまではうやむやにされた面だってあるわけで、そういうことについては政府がもっと誠意を持って迅速に処理する、手続面あるいはその他の改善措置を講ずるということはできないわけですか。私はそれは常識論だと思うんだよ。  大臣は弁護士でもあられるから詳しいかもしらぬが、私はそんな一般論を聞いているんじゃない。今度の事件の一例を出して今申し上げているわけで、改善措置は講じますね。
  24. 高村正彦

    高村国務大臣 SACOの最終合意において精いっぱいの改善措置を講じたところでございます。  それは、確定判決があれば、その確定判決、相手方が賠償能力があろうがなかろうが、どこかに行ってしまおうがどうしようが、最終的にはその確定判決の額が支払われるように日本政府として最終的に努力する、こういうことになっているわけであります。  その確定判決をとるということは、これは全体の民事訴訟法上の問題で、確定判決をとらなくても済むというところまではなかなか改善措置は難しいのではないかと思いますし、その確定判決が、それをとるのが不可能だというような状況ではなくて、正式な手続さえ進めていただければ確定判決はとれる事案でありますから、多少の面倒くささは確かにあります。それは国内の一般的な事件であっても、すべて同じような面倒くささがあって、それをやっているわけでありますが、それはどうしてもできないというような話ではないので、その手続を進めていただく以外にはないのではないか。  私たちは、沖縄県民の方たちが困っておられることについてはできるだけそれに対応するようにやっていきたいと考えておりますが、確定判決をとるというこの民事訴訟法上の問題については、今の法体系のもとでできることでありますから、そんなに難しい方法ではありませんので、ぜひその手段をとっていただきたい、こうお願いしているわけでございます。
  25. 上原康助

    ○上原委員 私が今お尋ねしていることと大臣が御答弁しておられるのは違うと思う。  確定判決は出ているんだ。確定判決を出して、その判決文を送ったら、相手が居所になんかいないんだよ、それは。だからまた戻ってきたわけだ。そのことの改善措置はどうするかということを私は聞いているんであって、この儀保さんのことについて、じゃ防衛施設庁はどうするのか、どういう改善措置を今考えているんですか。
  26. 山中昭栄

    山中政府委員 私どもも、被害者救済という観点から、何が一番大事かということで考えてまいりました。その大前提がSACO最終報告に基づく処理であるということでございます。もちろん、地位協定十八条の規定の適用そのものにつきましては、確定判決を必要とするというものではありませんが、被害者側が私どもに対して請求を一たんし、その後さらに、増額をした損害賠償請求を求めたという場合に訴訟に訴えるということになるわけでありまして、その場合には当然、被害者側の意思を尊重して、その判決の確定を待って処理をする。  確かに、御指摘のように、判決は出ましたけれども、それが被告に送達をされ、一定の控訴期間を経過しないと確定しないということでございますので、今その手続を進めているということであります。これは、先ほど申し上げましたように、民事訴訟法上やはり必要な手続でございます。  ただ、総体として、被害者の迅速な救済という観点から、今までのケースを振り返ってみて、なおその改善の余地があるものがあれば、私ども、関係機関とも相談をしながら改善していくという考え方でいるわけでございます。
  27. 上原康助

    ○上原委員 これは大いに改善の余地がありますので、外務省、防衛施設庁、協議の上で、こういうケースの場合にどういうふうな処理をやるのか、もっと御検討をいただきたい。これでは納得できません。  次に、これも基地の環境汚染問題についてお尋ねしますが、一つは、もう既に報道されてきましたように、嘉手納空軍基地内のPCB汚染問題、これは主に一九七〇年代に嘉手納飛行場の一角にPCB関係物質を投棄したというか、いろいろ問題になってまいりました。  最近、米側が調査をした結果も報告されて、膨大な英文書を沖縄県、あるいは私の手元にもきのうでしたか、きょう質問すると思ったから急いで持ってきたかわからぬけれども、二ページにわたる要約したものだけ出して、あとはみんな英文なんですね。これではどうにもならない。しかも、この米側調査に対しては、沖縄県も嘉手納町も、周辺市町村あるいは関係住民はまだ理解、納得をしておりません。  日米合同委員会では、何か再調査の必要はないという合意をしたとかしなかったとかいうことも聞かされているんですが、一方、沖縄県に対しては、あるいは嘉手納町に対しては、地元の要求を受け入れて国が再調査をしたい、そういう見解を示したという報道もあるんですが、その事実関係についてが一つと、今後、今指摘をしたような問題を含めて、政府はこのPCB汚染問題について、どう地元側が納得するような結果を生むようになさろうとするのか、御見解があれば聞かせてください。
  28. 高村正彦

    高村国務大臣 米側の環境調査結果に関する報告書によりますと、米国政府は、米環境保護庁の定める基準に基づき綿密な調査及び分析を実施し、厳格な健康リスク評価を行った結果、人間の健康上の危険とはならないとの結論が得られたものと承知をしております。政府としては、このような米側調査の結果を一定の科学的合理性に基づいたものとして評価したいと考えているわけでございます。  他方、政府としては、念には念を入れて周辺住民の方々の不安の解消にこたえる、こういう観点から、日本側による補完的調査を実施したいと考えております。この点につきましては、米側と折衝をいたしまして、米側も原則的に了承をしているところでございます。具体的な点について、現在米側と調整を行っております。
  29. 上原康助

    ○上原委員 補完的調査はなさるわけですね。それは、今米側と調整中ということですから、時期的なことがわかればお答え願いたいと思いますし、私は、急ぐ必要があるんじゃないかということを申し上げます。  そこで、これはせんだって返還された読谷というか嘉手納弾薬庫一部地域についても言えることですが、当時も、これは大田県政のときに問題になって調査を要望されたわけですが、沖縄県あるいは地元が推薦するこういうことに詳しい有識者、日米共同というか合同の調査をしたらという提案をしたんだが、それができなかったわけですよね。米側が一方的にやって、わずか三フィートぐらいのボーリングをしてやったって、それは実際にPCBがどのくらいの含有量かどうかははっきりしない面がある。基準が違う。だから、私の提案としては、日米共同の調査をこの種のものはやるべきだということ。その点はどうお考えなのかということをまずお答えください。
  30. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 今回発表されました米側の調査報告書にかかわります米側の調査、これは、私どもといたしましては、その報告書も読みましたけれども、非常に厳密な米国の基準に従った科学的調査を行ったということで、評価をいたしているところでございます。  ただ、先ほど来申しておりますとおり、念には念を入れ、また、先生がまさしく御指摘されましたとおり、地元の方々の不安を払拭するということも重要なことでございますので、日本側におきまして、さらに日本的な方法と申しますか、日本のやり方によって調査を行うということで鋭意米側と折衝したわけでございまして、結果は、先ほど大臣から申し述べましたとおり、補完調査を行うということで米側の原則的了承も得られたところでございます。  したがいまして、我々といたしましては、地元の住民の方々の不安を払拭するという観点から、その調査の方法等につきましても検討しているところでございます。
  31. 上原康助

    ○上原委員 そういう米側がやったものを評価する。じゃ、あれだけ膨大な、二百五十ページに及ぶものを皆さん、翻訳して提出しますね、提示しますね。それも聞きたい。  それは、補完的調査をやると米側と日程調整しておられる、めどはいつごろを見ておるかということと、米側の調査が、私はそれは評価するに値するものだと期待しますよ、そういう疑惑なり不審を持たれないためには、やはり日米間の専門家による共同調査を最初からやれば手間暇もかからない、不信感も起こらない、そのことを御検討いただきたいということ。  時間がありませんので、もう一つ読谷村とのことでは、これはいろいろ経緯がありますが、そこは申し上げませんが、もう一つ大事なことは、環境浄化などの原状回復の期間については、防衛施設庁がやる特別管理費と軍転法で言うこととは分けて考えるべきなんです。特別管理費の分まで軍転法からその期間を引くということは、そもそも軍転法の目的、趣旨に合わない。それはぜひ改善をしてもらいたい。  この二点についてひとつお答えください。
  32. 宝槻吉昭

    宝槻政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の軍転特措法における返還交付金の支給期間の問題でございます。この支給期間については、御存じのとおり、同法において支給期間を三年間とする、そして、その支給開始日につきましては返還日というふうに規定されておるわけでございます。  私どもは、この返還に際して、返還後の物件撤去のための特別管理費を支給して、また原状回復が必要な場合についてはそれを補償するということになっておりまして、この補償額につきましては、この給付期間、返還給付金の支給額からこれを差し引くというふうに軍転特措法において規定されているところでございますので、私どもといたしましては、この法律の適正な執行に努めていくという考えでおるところでございます。  もう先生大変この問題については御権威でございますから申し上げませんけれども、いずれにしろ、議員立法において先生方が大変御努力され、またいろいろな御議論の末この法律になっているということでございますので、私どもは、先ほど申し上げたような、行政側としてはそういう考えでおるわけでございます。  なお、問題は、この返還された土地の跡利用が大事であるということで考えております。そういった観点で、当庁としては、沖政協の中のプロジェクトチームの構成員として、跡利用の促進について協力してまいりたいと考えておるところでございます。
  33. 上原康助

    ○上原委員 それは違うんだよ、あなた。何を言っていますか。軍転法では特別管理費は差し引いていいなんて書いてない。それは運用の問題だ。恩納ポイントの場合なんか、あなた、汚染物質があって約二カ年かかったんですよ。結局、軍転法の適用は一年しか補償されなかったんだよ。そういう例がこれから次々出てきますよ。  委員長、防衛施設庁はいつから部長クラスがここに来て答弁するんだよ。私、施設庁長官を要求したんだ。それを申し上げておきます。  それは運用の問題なんだ。ぜひ御検討いただきたい。もう時間がありませんから。そんな、あなた、ごまかそうとしたって、私らがつくったんだから、軍転法は。どこにそういうふうに書いてあるか。それは違う、あなたの答弁は。  それでは大臣、最後に、さっきのことですが、補完的調査をなさるということは、政府が初めて示そうとする誠意だ、こういう問題について。アメリカが調査して評価したらもうそれを尊重するということだったが、その点は高村外務大臣の政治的判断と評価しましょう、私も。  そこで、今後のこともありますので、一々アメリカがやったことがどうのこうの、日本側の調査がどうのこうのと言わずに、最初から共同か合同でやればいいんですよ、専門家を入れて。そういうふうに改善をしていただきたいということと、今度の嘉手納の問題についてはできるだけ早目に米側と日程調整をして再調査をしていただきたい。このことについて御答弁を求めて、終わりたいと思います。
  34. 高村正彦

    高村国務大臣 米側も日本側が補完的調査をやることを原則的に承認しておりますので、できるだけ早く具体的な点の調整を終えたい、そしてやりたい、こういうふうに考えております。
  35. 上原康助

    ○上原委員 だから、今後の共同調査とか合同で最初からやるということについては検討の余地があると思うのですが、それについては御見解はないんですか。
  36. 高村正彦

    高村国務大臣 具体的な場所とかなんだとか、米側のいろいろな考え方もありますが、総合的に判断して、そのときそのときで、そういうことが望ましいと思われるような場合には当然日本側としてそういうことを申し入れていきたい、こう思っております。
  37. 上原康助

    ○上原委員 ありがとうございました。
  38. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、玄葉光一郎君。
  39. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。  きょうは、福田先生の言われるところの高邁な核不拡散・核軍縮の問題について、特に核の先制不使用の問題について高村外務大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。  その前にまず、先月の末になると思いますけれども、核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラム報告書が公表をされたところでございます。言うまでもなく、東京フォーラムは小渕外務大臣の、当時でありますけれども、指示によって発足をしたというふうに聞いております。このフォーラムの報告書に対しての政府の受けとめ方についてお尋ねをしたいと思います。  なお、民主党は、報告書が出されたその日に談話を発表しておりまして、この場で御紹介をさせていただきたいと思います。   本日「核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラム」が発表した最終報告に盛り込まれた施策について、民主党は一定の評価をする。例えば、最終報告には米露による新たな包括的核軍縮交渉を促進し、戦略核弾頭を千発まで削減することが提案されているが、これは、民主党が昨年六月 参議院選挙の前でありましたけれども、  昨年六月にとりまとめた、近い将来、全世界の核弾頭数を千発以内とするとの主張と共通するものがある。   他方で、核兵器の先制不使用の制度化が会議の中で取り上げられながら、最終報告に盛り込まれなかったことなど、物足りなさを感ずるところも多いことは残念であり、民主党は今後ともこの問題が国際的な協議の場で検討されるよう求めていく。   今回の最終報告が単なる提案に終っては意味がない。東京フォーラム日本政府のイニシアティブにより設立されたものであり、最終報告が実現するよう日本政府国際社会の中で強い指導力を発揮していくことを求める。 という談話を発表したわけでありますけれども、外務委員会で、正式な高村外務大臣の受けとめ方をおっしゃっていただきたいと思います。
  40. 高村正彦

    高村国務大臣 東京フォーラム報告書は、国際的に著名な核軍縮・不拡散の専門家による熱心な議論の結果、核不拡散体制の弱体化阻止と修復、漸進的削減を通じた核廃絶、包括的核実験禁止条約の発効、STARTプロセスの再活性化、核について透明性を高める措置の採用、核兵器の即時警戒態勢の解除等、極めて広範かつ重要な点につき提言を行っており、政府としても、これらはいずれも一般的に支持し得るものと考えております。  政府としては、今般の提言を踏まえ、核拡散を防止し、核兵器のない世界の実現に向け、ジュネーブ軍縮会議国連総会等の場を通じ、積極的な外交努力を行っていく考えでございます。  この東京フォーラム報告書は、大変貴重なものだ、こう思っておりまして、松永、明石両共同議長からアナン国連事務総長にも直接手渡したところでありますし、これを国連文書として国連で配付してもらいたい、こういうことを日本政府としては考えているわけであります。あるいは、ジュネーブ軍縮会議、そういったところでもこういったものを積極的に活用していきたい、それぞれの二国間との話し合いの中にもこういった提言の内容、そういったものを生かしていきたい、こういうふうに考えております。
  41. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 先ほども申し上げましたように、民主党のコメントを出させていただいて、そのコメントと私の考え方も同じでございます。つまり、一定の評価をいたします。例えば、軍縮会議を再活性化しなさい、全会一致原則なんというのはだめだ、もう直しなさいというようなことまではっきり具体的に求めていて、そういう点は評価できるところであり、今大臣がおっしゃったように、国連の正式な文書として配付をしてもらって、しっかりと実現に向けて御努力いただきたいというふうに思っております。  では、東京フォーラム会議の中で取り上げられたとも仄聞しておりますけれども、結論には盛り込まれなかったノー・ファースト・ユース、つまり核の先制不使用の問題について議論させていただければというふうに思っております。  このノー・ファースト・ユース、核の先制不使用ということでありますけれども、これは、まず議論の前提として申し上げておけば、ここで言う核の先制不使用というのは大きく分けて二つございます。一つは、核兵器保有国同士の間での核の先制不使用という問題、もう一つは、非核国、核を持っていない国に対しての核の使用の禁止という問題も含めてここでは定義をして議論させていただければというふうに思っております。  私の考え方といいますか、このノー・ファースト・ユースの効果というものをどういうふうに考えているかということで最初に申し上げておきたいと思いますけれども、この核の先制不使用の効果として考えられることはたくさんあるわけでありますけれども、まず、何よりも核の持つ政治的な意味合い、有用性というものが大きく変わる、核の持つ価値、有用性というのを下げることにつながるということが一つあります。あるいは、核兵器国間の信頼醸成につながるのではないか、また、それらを通じての核兵器の削減につながるのではないか、さらに言えば、核兵器保有国と非核兵器保有国との間のいわば不平等性というものが少しでも緩和されるのではないか等々、このノー・ファースト・ユースの持つ意義というのは決して小さくないな。  もちろん、これは核軍縮・核不拡散を進める上でのワン・オブ・ゼム、一つのオプションであります。今進めております、あるいは東京フォーラムなどで言うところのカットオフ条約の進展であるとか、あるいは透明性の向上であるとか、そういったものを否定するつもりはないことは言うまでもございません。ただ、重ねて申し上げれば、このノー・ファースト・ユースの持つ効果というのは、核というものの価値を大きく変えるという意味で、かなり大きな意義があるのではないかというふうに考えております。そういう意味で、このノー・ファースト・ユースを取り上げて、大臣のお考えをお聞きしたいと思っているところであります。  七月二日、APECの議論をさせていただいたときに、時間がなくなったので、最後のところで大臣に一言だけお聞きをしました。そうしたところ、大臣の答弁はこのようなものでありました。核の先制不使用については、本当に守ろうとする意図があるかどうか検証できない、そういう状況の中で、先制不使用の考え方に依存して、我が国の安全保障に十全を期すことは困難であると考えておりますというのが大臣の答弁でございました。つまり、ノー・ファースト・ユース、核の先制不使用といったって口約束にすぎないのではないか、さらに、核の先制不使用が制度化されれば、日本の安全保障に支障を来すことがあるのではないか、そういう意味だというふうに思います。  そこで、大臣にお聞きをしたい。  もし米国が核の先制不使用を宣言した、あるいは核兵器保有国同士が核の先制不使用の協定を結んだ、そうしたときに、日本の安全保障にとっては何が困るのか、何に支障が出るのかということをお尋ねしたいと思います。  さらに、あわせてお尋ねをしたいと思いますけれども、非核国に対して核兵器保有国が核使用をしないということを宣言あるいは法的に義務づけた場合、何が日本の安全保障にとって支障を来すのか、困ることになるのか、それをできるだけ具体的に教えていただきたいと思います。
  42. 高村正彦

    高村国務大臣 まず、核の先制不使用を考える前提でありますが、政府の最大、最重要の責務である国の安全保障が結果的に核が使用されない形で確保されるのであれば、その方が望ましいということは、これは言うまでもないことだ、こう思っております。さらに、将来的には、安全保障を害しない形で核兵器のない世界が実現されることが最善のシナリオである、こういうふうにも考えているわけでございます。  他方で、現実の国際社会において、いまだ核戦力を含む大規模な軍事力が存在しており、核兵器のみを他の兵器と全く切り離して取り扱おうとすることは、それは必ずしも現実的ではない、かえって抑止のバランスを崩して、安全保障を不安定化させることもあり得ると考えているわけでございます。  したがって、安全保障を考えるに当たっては、関係国を取り巻く諸情勢に加え、核兵器等の大量破壊兵器通常兵器関係等を総合的にとらえて対処しなければならない、こういうふうに考えております。  こういった基本的な認識に立って、我が国としては、核の先制不使用について、核兵器国間の信頼醸成及びそのことを通じた核兵器削減につながる可能性があることを積極的に評価すべきとの考え方があることは承知をしておりますが、これまでも申し上げたとおり、いまだに核などの大量破壊兵器を含む多大な軍事力が存在している現実の国際社会では、当事国の意図に関して何ら検証の方途のない先制不使用の考え方に依存して、我が国の安全保障に十全を期することは困難であると考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、核先制不使用の問題については、現時点では核兵器国間での見解の一致が見られていないと承知しており、我が国としては米国との安全保障条約を堅持し、その抑止力のもとで自国の安全を確保するとともに、核兵器を含む軍備削減、国際的核不拡散体制の堅持、強化等の努力を重ねて、核兵器を必要としないような平和な国際社会をつくっていくということが重要である、こういうふうに考えています。
  43. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 済みません。今のはよくわからない。つまり、できるだけ具体的に教えていただきたいのです。  よくわからないというのは、一般論としてはなるほどというところもございますけれども、例えば、今、最後に、核兵器保有国の間で意見の一致が見られていないのでという話がありましたが、それは非核国であったって、正しいと思うことがあれば世界働きかけていくのは、これは筋でありますから、どんどん働きかけていっていいのだろうというふうに思います。  何をお尋ねしたかといえば、今、核兵器保有国の間で、お互いに核の先制パンチをすることはいたしませんよという取り決めができた、それで何が日本の安全保障に困るんだろうか。さらに、核兵器保有国が非核国に対して、核の先制パンチはしませんよ、核のパンチは食らわせませんよということを宣言し、あるいは法的に義務づけられた、そのときに日本にとっては何が困るんだろうかということなんです。  御答弁いただけますか。
  44. 高村正彦

    高村国務大臣 核兵器国がそれぞれ話し合って核の先制不使用ということを約束し合える状況になって、そのもとで核の先制不使用ということがされるのであれば、それは私は結構なことだと思っておりますし、日本がこういうことは困ると言う筋合いのことではないんだろう、こう思っております。  ただ、現実に五つの核保有国のうち四つはそういうことをしない、こういうことを言っている現状というのがあるわけです。そして、日本の安全保障というのは、平和外交努力とかいろいろなものももちろんあるわけでありますが、それと同時に、抑止力とすれば、節度ある防衛力の整備と日米安全保障条約というものに依存している中で、そして日米安全保障条約の中で、核、通常兵器、そういったものを含む全体の体系で米国がして、その米国が先制不使用ということに納得していない現状の中で、米国だけじゃありません、五つの核保有国のうち四つはそういうことに全くコミットする気がない、こういう現状の中で、日本が具体的にないということじゃありませんが、安全保障全体の抑止力の中で、今の状況の中で、全くその意図について検証することができないような状況の中でそういうことを具体的に言っていくことは困難である、こういうふうに申し上げているところでございます。
  45. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 最初に定義の話をさせていただきましたけれども、今回は、この核の先制不使用問題を取り上げるに当たっては二つあるんだと。一つは、核兵器保有国相互の先制不使用、またもう一つは、非核国への使用の一般的な禁止という問題でありますけれども、特にその前段、核兵器保有国同士がお互いにいいよということになればいいんだ、ただし現実は、中国を除いて四カ国がイエスと言っていないんだから難しいでしょうということなんだろうと、今の答弁はそう理解をしました。  ということは、例えば、今のパワーバランスからすると、米国がイエスと言い始めれば事態は動くと思いますけれども、語弊があるかもしれませんけれども、米国がいいんじゃないかということであれば行け、ゴーということなのか、それとも、いや、米国にはそれを言ってほしくない、日本の安全保障にとって困るんだ、核の先制不使用という問題が制度化されたら日本の安全保障にとって困るんだということなのか、どっちなのかなと。大臣のお考えもさることながら、日本政府全体として、もちろんそれが、大臣の考えが日本政府全体のお考えということなのだと思いますけれども、どっちなのかなと思うものですから、それをお尋ねしたいんです。
  46. 高村正彦

    高村国務大臣 米国が核の先制不使用ということを、そういうことを一方的に、一方的にでも、あるいはほかの国と話し合ってでも宣言できるような状況の中でそういう宣言をするということについて、日本政府がそれは困るよと言う特別のことがあるということを申し上げているわけではありません。  安全保障の問題というのは、核は核だけでという話、通常兵器通常兵器だけの話じゃなくて、それの組み合わせによって全体の安全保障をしているわけでありますから、例えば、私たちが地雷を禁止するということになれば、今まで地雷で持っていた安全保障の部分をそれではどうやって補おうか、こういうことを当然考えなきゃいけない。だから、現時点ではそういう核の先制不使用を宣言するつもりがないという条件の中で抑止力全体を考えている、そういう状況の中での場合と、そして、米国が先制不使用を宣言する場合というのは、全体のバランスの中で、これは安全保障上の抑止力が機能するねと考えた場合にそういうことをするわけでありますから、そういう状況の中で日本政府がそんなことをしてもらっちゃ困るよと言うことは、私は非常に想定されにくい、こういうふうに思っております。
  47. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 きょうはそれがわかっただけでもよいかなと思いますが、確かに、この議論をするのは、かなりこれは深い議論をしなきゃいけないんだと思います。おっしゃるとおり、いわば兵器の連続性というか、核があって生物兵器があって化学兵器があって通常兵器があって、どこでどう切ったらいいのかというのは確かにあるんだと思います。全くないとは言いません。そういう意味で非常に難しい議論だというふうに思います。  ただ、私がつらつらと考えるに、核兵器保有国同士の先制不使用、これは日本にとって困ることはないんだろう。ただ、非核国に対して先制不使用をする、例えばアメリカが宣言をした、あるいは核兵器保有国同士で制度的な取り決めをした、そのときにどうしても頭をよぎるのは、先ほど来から議論がありますけれども、北朝鮮が頭をよぎるということなんだろう。特に、生物兵器、化学兵器の問題もこれあるよね、これに対して核で報復するということは先制攻撃に当たるよね、そういう心配はあるよねということなのかなというふうに整理をすると思っています。ただ、それを考えても、私自身は、もし核の先制不使用ということを米国が宣言をしても、北朝鮮に対しての抑止効果というのはほとんど減じないんだろうなというふうに実は考えている一人であります。  例えば、この間KEDOの議論がありましたけれども、米朝の枠組み合意の中でも、アメリカは、核使用について北朝鮮に使用しないということを保証するような合意もございました。まだ未履行だという話もありますけれども、そういう合意もありました。抑止というのは相手がどう考えるかによるわけでありますけれども、抑止効果は減じないなというふうに思っている一人であります。  そこで、五十歩譲って、百歩譲って、生物兵器と化学兵器だけが心配だ、それに対しては核を使えるようにしろということであれば、生物兵器と化学兵器は禁止条約があるわけですから、それに加盟していない、加入していない国を除いて非核国に対しての核使用を禁止する、そういうことを私は日本なども働きかけていってもいいんじゃないだろうかと。これは大臣もおっしゃるとおり、実現するときは、全体のバランス、抑止バランスあるいは勢力均衡、パワーバランスが崩れていない前提だということがあるのかもしれませんが、むしろ、こちらからそういうことも含めて考えて働きかけていくのが先ほど来から出ている平和主義日本の役割なのだろうというふうに思っていますが、もう時間がありませんけれども、大臣の御意見をいただければと思います。
  48. 高村正彦

    高村国務大臣 私の意見は先ほどから申し上げているとおりでございますけれども、ちなみに、東京フォーラム報告書でも、核の先制不使用については検証可能性を欠いているという問題点がある等、有効ならしめるにはさらなる議論が必要だとされているということを指摘しておきたいと思います。  そういうような状況で、現時点で日本政府として、率先して委員御主張のようなことを言っていくことは考えていないということでございます。
  49. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 アメリカなどは、例えば一九九七年、NAS、米国科学アカデミーがこういう報告書を出しています。他国が核兵器を取得しようとするインセンティブを減らすためにも、核兵器の先制不使用を公式の宣言政策として採用すべきである、米国とその同盟国の通常兵器の軍事的優位が基本的に脅かされない限り、先制不使用政策の大きな利点がその小さなリスクを上回るだろうというようなことを言っています。あと、もちろん、元CIA長官だとかいろいろな方がそういう話をしています。  あるいは、東京フォーラムの前の一九九六年のキャンベラ委員会でも、御承知のとおり、これはオーストラリア政府の主催でありますけれども、核兵器国が直ちにとるべき措置の一つとして、核兵器の先制使用をしないとの核兵器国での合意と非核保有国に対する不使用の約束というものを挙げています。  あるいは、これも御承知のとおり、一九九八年、新アジェンダ連合、アイルランドとかスウェーデンなど中堅の国八カ国で出された提言の中にも同じような文言が盛り込まれているところであります。  私は、この問題、今すぐどうだこうだということでなくても、外務省の中でかなり真剣に検討していくべきテーマじゃないかというふうに考えています。外務大臣、そういう意味で、真剣に検討を始めるということについてはいかがですか。最後に御答弁をお願いしたいと思います。
  50. 高村正彦

    高村国務大臣 日本の安全保障をきっちり守った上で、核のない世界を実現していくためにどうしたらいいかということについては、私以下外務省職員すべてが常日ごろから考えているところでありまして、核の先制不使用ということに限って具体的な検討を始めるということには私はならないと思いますが、そういったことも含めて常に考えていかなければいけない問題だ、こういうふうに考えております。
  51. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 非常に残念ですけれども、私は、この問題を勉強していて、核軍縮・核不拡散の問題で大事なポイントはたくさんあります、これだけだと申し上げるつもりは全くありません。ただ、この核先制不使用という問題は極めて大切なポイントだ、日本などが本気で検討していくべき極めて大切なテーマだ、そういう認識を持っております。その意味で、外務大臣と認識が違うということは極めて残念だし、私は、その姿勢というのはおかしいというふうに思っております。  以上で質問を終わります。
  52. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、西川知雄君。
  53. 西川知雄

    西川(知)委員 公明党・改革クラブの西川知雄でございます。  私、当選以来八十回ぐらい、予算委員会とかいろいろなところで質問をさせていただいているのですが、金融とか財政とかそういうものが割合専門でしたので、高村外務大臣とは予算委員会のガイドラインのところで一、二度議論させていただいただけで、この外務委員会に出るのは初めてで、きょうはちょっと毛色の変わったと言うとあれですけれども、いろいろな違う観点から問題をとらえてみて、外務省なり外務大臣の御意見を聞きたいと思うのです。  一つは、森山先生もいらっしゃるのですけれども、女性の方から、パスポートについて、かなり私の身近な人からも選挙区の人からもクレームが出ているということで、その点について一つお尋ねしたい。もう一つは、大使及び公使への外部からの起用についてということでお話を承りたい。三つ目は、時間がありましたら、質問通告をしていないのですけれども、ちょっとアメラジアンの話を聞きたい。この三つをきょうはしたいと思います。  一番目の、パスポートのことでございますが、これはどういうことかと申しますと、これからの夫婦別姓とかいろいろなことでかかわってくるのかもしれませんけれども、御主人の戸籍に入った、そして、本籍も当然のことながらそこに入る、それで、パスポートを発行してもらった、これで外国に行った、ところが、離婚をしてしまった。  既にアメリカとかフランスとかイギリスはサインの社会ですから、銀行に行っても、私もアメリカとかイギリスに住んでいたときに、本当におまえはこの西川知雄かということで、サインも書かされて、パスポートのものをちゃんと見せなさいと言われて、そして、最近はクレジットカードなんかがあって変わってきているかもしれませんが、昔はチェックというものを使って、そのチェックを出すときに、必ず二つ、身分証明書を出しなさいと、それで、パスポートはないかと。ないとか言うと、外人というのは常に携帯していないといけないんじゃないかと嫌みを言われたりして、十ドルとか十ポンドの買い物をしたものなのですが、そういうふうなサイン社会になっているわけです。  離婚をしてしまうというと当然のことながら姓が変わる。ところが、パスポートの署名欄は一面にラミネートされていて、何々と書いてある。その人とはもう離婚した。そのサインなんかはもう絶対に使いたくない、使いたくないから離婚した。ところが、今言ったようなトラベラーズチェックのサインとか銀行の口座の開設とかノートのサインとか、いろいろなところでサインを同じようにしないとだめだと。そうすると、離婚をした後のサインが使えない。こういうようなことが実は、国際化時代になって、そして離婚も多くなって、また男女平等の理念が一層みんなのもとで確立されてきて、こういう時代になっているわけです。  そこで、ちょっとまず外務省お尋ねをしたいんですが、こういう場合、現行法での手続というものはどういうふうになっているのか、まずそこから確認したいと思います。
  54. 高村正彦

    高村国務大臣 現行旅券法は、第九条によりまして、旅券の記載事項に変更が生じた場合には新規発給することを原則としているわけでございます。ただし、婚姻、離婚等により氏名、本籍の変更がある場合には、本人が希望すれば、戸籍謄本で確認の上、訂正欄に新しい氏名、本籍を記入することができるようになっているわけであります。  しかし、その場合でも、署名欄は訂正できず、所持人の署名の変更は新規旅券を取得せずに行うことはできない、こういう状況になっております。
  55. 西川知雄

    西川(知)委員 それは法律の解釈で、私もよくわかっております。しかし現実には、今は十年のパスポートができて、パスポートというのはそんなに何回もかえなくていいとか、今言ったような、外国がサイン社会ということで実務上のいろいろな不便がある、そういう現状と今の法律、この二つがあるわけですね。  それで、外務大臣としては、そういう現状を踏まえて、そしてまた法律を踏まえて、離婚をした後、それは、またかえなさい、もう一回アプライしなさいというのはそれでいいわけですけれども、そのときはもう既に外国に行っている場合もあるし、しかも領事館、遠いところだってあるし、そして、今かえたばかりだということもある。そういうときに、例えば署名を新しいところにやって、その署名を今後使うということがどうしてできないんでしょうか。  偽造をされるおそれがある、そういうような話が一つあるわけですけれども、それは偽造をすることをとめるような方法を逆に考えるべきであって、現行法はこうだからという解釈はわかりますけれども、今言ったような背景を踏まえて、何か新しい方法とか、どういうふうにしていったらいいか、そのお考えをお聞かせください。
  56. 高村正彦

    高村国務大臣 委員が御指摘になったように、まさに偽造対策面から、署名にまで訂正を認めない、これは好ましくない、こういうことでやってきたわけでありますし、これからもそうせざるを得ないだろうと思っております。  ちなみに、国際的にも、旅券の記載事項訂正は一切認めず、すべて新規発給とすることが趨勢になりつつあるわけでございます。  必要があれば、各国の例を申し上げますが。
  57. 西川知雄

    西川(知)委員 いいです。  偽造の話はよくわかりますけれども、例えばICAOの報告でも、署名欄のことについては、いわゆる機械読み取り旅券ということでMRPというのがあるわけですけれども、そこのところに付言して、署名欄はその近くであればどこだってよろしい、そういうことが書いてある。要するに、データ、いわゆる機械でやるのと無関係に、署名は近くであれば違うところにやってよろしいというのが、ICAOの報告のアペンディックスのノートの四番に書いてあるんですね。  ですから、その傾向というものはよくわかりますけれども、偽造の方法をとめるのはまたいろいろな方法があるわけですし、前の旅券なんというのはラミネートしていなかったわけですから、今の男女平等とか、サイン社会とか、離婚したのに前の人の署名を使わないといけないというのは、これはどうも時代おくれな感じがします。  私は、個人的に、高村大臣は時代の先端を走ってそういうことに非常にリベラルであると思っているんですが、非常に保守的な考えを今述べられたので、ちょっと意外に思っているんですが、最後にその点についてもう一度だけお答え願いたいと思います。
  58. 高村正彦

    高村国務大臣 私は自由民主党員でありまして、自民党のスローガンの中に、守るべきものは守る、変えるべきことは変える、こういうことになっているわけであります。  それで、先ほど申しましたように、偽造対策の面から好ましくないというふうに思っておりますし、国際的にも、旅券の記載事項訂正は一切認めず、すべて新規発給とすることが趨勢になっている。  これは、旅券というのはまさに国際的に使われるものでありまして、さっき国際的な例は言わなくていいとおっしゃいましたが、念のために申し上げさせていただきたいと思いますが、例えば、ドイツ、イギリス、フランス、米国、いずれも署名の変更はだめだ、こういうことになっているわけであります。ドイツ、イギリス、フランスは、記載事項訂正の可否もだめだ、不可、こういうことになっております。アメリカは、氏名と有効期間について可ということになっていますが、先ほど申し上げたように署名は不可、こういうことになっているわけです。  大体、国際的趨勢に沿っていることでありまして、今、旅券を偽造した上でいろいろな犯罪が行われている中で、変えるという方向にはないのではないか、こういうふうに思います。
  59. 西川知雄

    西川(知)委員 御見解はよくわかりましたが、我々も、外国に行って非常に不愉快な思いをするのはビザの関係とか滞在許可の関係で、三日か四日ぐらい忘れて長くいると、これは法律違反だ、次には入れないぞとか、いろいろな不愉快な思いをするわけです。  普通の人がちゃんと外国に行ったり帰国したりするときに、そういう偽造の問題とかいろいろあるかもしれませんが、もう少しフレキシブルな対応と、そして、こういう場合にはどうしたらいいかという前向きの検討も、やはりされていく必要がある。それが政治であり、行政の方は決まったことをやるだけですけれども、そういう状況のもとで、これからの国際化、それから変わっている時代に対応していくようなことも必要だということを、私はちょっとこの点で述べさせていただきたいと思います。  二番目は、大使及び公使への外部からの起用なんですけれども、外務公務員法の八条によりますと、大使及び公使の任免というのは、外務大臣が申し出て内閣が行って、天皇がこれを認証する。それで、当然のことながら大使の場合ですと、大使アグレマンを要請して相手国からオーケーをいただいて、そして閣議で審議して、そして発令がある、こういう手続をとって任命されるわけです。したがいまして、これは外務省の方から、外務大臣が申し出ないといけないわけです。  そこで、今、特命全権大使が総数百二十名いると聞いているんですけれども、いわゆる外務省プロパー以外のところからの大使の起用数というのは何名で、そのうち民間は何名か、ちょっとお答え願いたいと思います。
  60. 浦部和好

    ○浦部政府委員 お答えいたします。  百二十名のうちに、外務省外からの大使の起用数は九名でございます。そのうち、民間というのでどこまで入れるかでございますが、経団連のお仕事をされていた糠澤さんにハンガリーに行っていただいています。また、ジェトロのお仕事をされていた湯沢さんにエルサルバドルに行っていただいております。  以上でございます。
  61. 西川知雄

    西川(知)委員 それで、行革会議の最終報告のときにもこれが載っておりまして、外務大臣も御存じだと思いますけれども、「大使・公使への外部人材の積極的登用を推進する。」こういうふうに書いてあるわけですが、大臣の御意見では、外部人材というのはどういう人なのでしょうか。
  62. 高村正彦

    高村国務大臣 ちょっと質問の趣旨がよくわからないのですが。
  63. 西川知雄

    西川(知)委員 「外部人材の積極的登用を推進する。」という言葉が書いてあります。これはお読みになっていると思いますが、外部人材というのは、どういう人、どういうカテゴリーの方だというふうに大臣は御理解されていますか。
  64. 高村正彦

    高村国務大臣 まず、外部ということでありますから、外務省のプロパーでない。人材という場合、外務省のプロパーでなきゃだれでもいいという話じゃなくて、それだけの識見を持った、その職務を行うにふさわしい人、こういうことだろうと思います。  まだ明確に御質問の趣旨がわからないのですが。
  65. 西川知雄

    西川(知)委員 もう少し後でもう一回聞きますけれども、アメリカの現状というものがわかれば、外務省の方からも教えていただきたいと思います。
  66. 浦部和好

    ○浦部政府委員 数字がやや古くなって申しわけありませんけれども、平成八年、三年前の数字で恐縮でございますが、米国では、約三分の一、当時の数字でいきますと、職業外交官出身者が九十九名、民間、財界等からが五十名、その他四、こういう数字であると思います。
  67. 西川知雄

    西川(知)委員 そこで、ちょっと時間があるので聞きますが、これは時間がなければ余り質問してほしくないという話だったのですが、大使というのはどういうふうな役割を果たしているのか、また、それの法的な位置づけとかそういうものはどういうふうになっているのでしょうか。
  68. 浦部和好

    ○浦部政府委員 大使は、外務省設置法上、大使館の長として大使館の事務を統括する者を指す、大使の任務として主要なものは、その任国において我が国政府を代表することである、こういうことでございます。
  69. 西川知雄

    西川(知)委員 ちょっと確認ですが、これは、我が国政府ですから、内閣、行政府の一部である、そういうふうに考えてよろしいのですか。
  70. 浦部和好

    ○浦部政府委員 外務省設置法に、外務省の権限の一つとして、日本政府を代表して外国政府交渉等を行うことということがございます。したがいまして、大使はこの権限を外国において行使することができるというふうに考えておるわけでございます。
  71. 西川知雄

    西川(知)委員 そこで、アメリカの例を挙げられましたが、日本におられた、例えばマンスフィールドさんとかいろいろな大使の方は、元政治家、国会議員でありました。  日本の国会議員がすぐに現職のまま大使、公使等になるのは、これは法律上の問題とかいろいろとあって、非常に困難なことだと思うのですけれども、政治家のOBが、将来、いろいろな国の公使、大使になる。昔は、英語とか語学ができないとどうも外交官は務まらないということでございましたが、最近はそんなことはなくて、各省からも留学制度があって、また、国会議員の人もいろいろな外国の留学の経験もあって、また、例えば外務大臣でも外国と交流されておる。そういう方々、政治家OBがいろいろな国でいろいろなことを経験して、日本の国のこと、国民、行政のことも政治のこともよく踏まえた上で、日本国を代表して、そして大使とか公使になっていく、こういうシステムはある意味で大変いいことじゃないかというふうに私は思うのですけれども、政治家として、その辺のことをどういうふうに高村大臣は考えておられるのか、御意見をお願いします。
  72. 高村正彦

    高村国務大臣 一般的に、優秀な人材を外部から大使に登用するということは大変結構なことである。そして、外部からの登用の中、適材適所という中に当てはまる人がいれば、それは政治家であるからいけないという話でもないし、逆に政治家であれば適材適所でなくてもいいという話でもないのだろう。広くそういうことを考えて、外部から優秀な人、適材適所で登用していくということを考えなければいけない、こういうふうに考えております。  アメリカ以外は原則的に外務省職員から登用されているというふうに承知をしておりますが、日本として、優秀な人材を外部から登用するということは結構なことであると思いますし、アメリカにおいても、別に政治家がなるというシステムが確立しているというわけではないのだろうと思います。ただ、現実の問題として、そういう適材がおられるから、そういうことで登用しているという現実はある、こういうふうに思っております。
  73. 西川知雄

    西川(知)委員 国会の方でも副大臣制が導入される。もっともっと国会議員がそういう実際の活動のもとに、政府のもとに入っていって、より議論を活発化させよう、そういうような動きが現在のところ定着しております。ある意味で、大使というのは外務大臣の副大臣みたいなもので、そういうところにいろいろな政治家、国会議員のOB等を入れていくということは私は非常に好ましいことだと思います。  今九人を挙げられましたけれども、あとは、大蔵省が三人、通産省が一人、文部省が一人、総理府が一人、厚生省が一人、全部お役人さんがなっているということで、これでは、日本外交というものは、日本の国の現状を踏まえた上で、外国と交渉して、そしてやっていくわけですから、そこはキャリアの人たちがやっていくということは一つ方法として考えられると思うのですけれども、一般論じゃなくて、もっと具体的に、そういうふうな人たちも大使、公使の職に起用する、こういうことをやっていただきたいと思いますので、外務大臣は何か具体的な案があるかどうか、お答え願いたいと思います。
  74. 高村正彦

    高村国務大臣 現時点で、具体的な案を私が持っているわけではございません。
  75. 西川知雄

    西川(知)委員 しかし、行革の報告書にも出ておりますし、これからはそういう時代でございますので、ぜひ積極的に考えていただきたいと思います。  そこで、ちょっと、質問通告をしていなかったのですが、前に外務省の方でもお答え願っているので引き続き検討結果を聞きたいと思っているんです。  アメラジアンというのは、大臣御存じだと思うのですが、特に、沖縄にいるアメリカの兵隊さんと日本の女性とが結婚をして生まれてきた子供である。ところが、その子供がまだ小さいうちにお父さんがアメリカに帰っちゃう。そして、遺棄された子供が実はたくさんいる。そういうことで、これは公明党・改革クラブの方でも一生懸命取り組んでおりまして、六月十二日にも、公明党の代表の浜四津さんと、私は改革クラブですが、私と、それから文教部会の富田さんと松あきらさんと白保さんが沖縄まで行きまして、アメラジアンの教育権の保障を求める申し入れというものを稲嶺知事にいたしました。割合前向きな姿勢で、我々もその点は評価しておりますが、これにはいろいろとアメリカとの条約の話があるというふうに聞いております。  この条約というものは、例えば、向こうに米兵が帰った、そうすると、そこでアメリカ政府がその養育費なんかを公権力の行使をもって徴収して、そしてそのお母さんなり子供に送る、そういうシステムなんです。ところが、これが、いわゆるレシプロシティーというものがないために、日本は協定を締結していない、これが現状でございます。  そこで、平成十一年三月九日の文教・科学委員会においてこの点を松あきら議員が取り上げまして、それで外務省の答弁がございました。これはこう書いてあります。議事録によりますと、「いずれにしましても、先生御指摘のとおり、アメラジアンの問題は養育費の問題、教育の問題等いろいろたくさんの問題があるわけでございますので、外務省といたしましても、今後とも関係省庁と協議の上、鋭意いろんな協議努力を行っていきたいと存じます。」こういうふうに言っておられて、当然のことながら、外務大臣、これは重要な問題なのでレポートが行っていると思うのですが、そこで、どういうふうな協議をされてどんな努力をされてきているのか、ちょっと現況を、その辺を踏まえて御報告願いたいと思います。
  76. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 先生御質問のアメラジアン、米軍人と日本人女性の間で生まれた子供たちの問題につきましては、御指摘のとおりいろいろ議論がございました。私もその議論に参加をさせていただいてきております。  まさに先生先ほど御指摘されましたとおり、養育費の問題につきまして、枠組み、協定と申しますか、ものを米国とつくりますに当たりましてどういうことができるかということで、外務省としても今まで研究、調査をやってきております。  御承知のとおり、アメリカの法制といたしまして、レシプロシティー、一定の相互的な要件を必要とするということでございます。これにつきましては、養育費等の問題でございますので、関係省庁、これは直接外務省がやるわけではございませんので、いろいろ鋭意御検討をお願いしてきているところでございますが、これまでのところ、我が国の現行法制のもとにおきましては、米国日本側から一定の措置を保障するという要件に合致するような法制に我が国の法制がなっておらないという回答を得ているところでございます。  この問題は、養育費の問題それから教育の問題もございます、多くの要素が含まれておりますので、外務省といたしましては、関係省庁に対しまして御協力をお願いしてきているというところが現状でございます。
  77. 西川知雄

    西川(知)委員 それは全然進んでいないということで、それじゃだめです。向こうは軍人がいて、そして日本人との間に子供が生まれた。日本はそもそも軍隊が九条でないわけですから、そんなレシプロシティーなんというのはできるわけない。だから、そんなレシプロシティーなんというのを待っていたんじゃ、全然問題の解決にはならないし、現実の問題がありますから、この辺は、そんな余り通らないような理屈でやられるんじゃなくて、もっと積極的に進めていっていただきたいと思います。  質問時間が来ましたのでこれで終わりますが、その点、高村大臣、よろしくお願い申し上げます。  以上です。
  78. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、松本善明君。
  79. 松本善明

    松本(善)委員 きょうは、ユーゴの空爆が終わって、新しい段階にユーゴ問題が入っていますが、これはやはり国際政治にも、それから日本外交にも、これからいろいろ教訓あるいは考えなければならぬたくさんの問題があると思いますので、その問題について外務大臣に伺いたいというふうに思っております。  まず最初に、今のコソボの状況ですが、報道されているところでは、セルビア人の虐殺、略奪、放火など、アルバニア系住民によると思われる報復の報道が相次いでおります。七月の二十三日にセルビア系住民十四人が待ち伏せを受けて殺害をされる、国際部隊がアルバニア系住民三人を逮捕したという報道がありましたが、さらに三十一日にもセルビア系農民が射殺されたという報道がされております。今の現状をどういうふうに外務省は把握しているか、お話しいただきたいと思います。
  80. 高村正彦

    高村国務大臣 コソボの治安状況につきましては、全般的には落ちつきを取り戻しつつありますが、地域によっては、アルバニア人によるセルビア人に対する殺害、略奪、家屋への放火等が発生しております。また、報復を恐れた約十七万人の非アルバニア系住民がコソボから周辺地域に流出しております。  このような残念な状況が一刻も早く終息し、すべての民族が平和に共存する社会の構築という目標を実現することが重要であります。国際社会は、この目標に向かって、安保理決議に基づいて設立されたUNMIK、国連コソボミッション及びKFOR、国際安全保障部隊を中心として、一致して取り組んでいるところでございます。
  81. 松本善明

    松本(善)委員 報復の問題もありますし、数千人の死傷者を出したという空爆の問題もありますが、私は、このアルバニア系住民の報復の問題、こういう問題は、民族問題、今外務大臣がお述べになりましたような民族の共存ということなんですが、こういうふうになると、やはり憎しみが連続していくというか、どうしても長く残るというか、それが今までの人類の経験ではないかというふうに思います。  西ドイツの元首相のシュミットさんが、最近、「NATOはアメリカのものではない」という論文を書かれて、その中でこのコソボ問題について、「仮に紛争を強い力で押さえつけることができたとしても、持続的な解決をもたらすことはできない。」ということを書いておられます。  また、ガリ前国連事務総長は日本の新聞のインタビューで、「明らかに国連憲章違反であり、非常に危険な前例となる。国連を弱めるだけだ」というふうに述べているのですが、そのときに、ルワンダでは百万人が殺されている、パレスチナでは約二百万人の難民が五十年間キャンプ暮らしを強いられている、アフリカとアジアで千二百万人の難民が苦しんでいるという例を挙げまして、コソボ百万の難民の苦境は察するに余りあるが、人権問題で差別があってはならぬということを訴えています。  人道問題の多くは国内紛争であるために、内政不干渉という国連の原則とは相入れないと思います。こういう国内紛争は、八九年から九〇年代に起きた武力紛争、これが百三カ所あるそうですが、そのうち九十七カ所が国内紛争だというのが、ワシントンに本部のあるワールド・ウオッチの調査である。こういう問題を国際的な武力で解決するということになると、実際問題としての解決ができなくて、内政不干渉という国連の原則は破壊されることになるのではないかということを大変心配する有識者が全世界的にあるわけですね。  この問題について外務大臣、どのように今お考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  82. 高村正彦

    高村国務大臣 ユーゴにおけるNATOの軍事行動は、国際社会による政治解決のための粘り強い外交努力にかかわらず、ユーゴ政府がこれをかたくなに拒否し、他方で、コソボにおいてユーゴ軍及び治安部隊によるアルバニア系住民に対する攻撃が続く中で、さらなる人道上の惨劇を食いとめるため、やむを得ざる措置としてとられたものであったと理解しております。  このNATOの行動国連憲章の関係につきましては、第一義的には安保理が判断すべきものであると考えております。この点に関連して、空爆開始直後の三月二十六日に開催された安保理公式会合では、ロシアがNATOの武力行使を国連憲章違反とする決議案を提出しましたが、賛成三、反対十二、棄権ゼロの大差で否決されたわけであります。空爆は七十九日間に及びましたが、その際、国際社会が粘り強い外交努力を続けた結果、安保理決議が成立し、和平にこぎつけることができました。  もちろん、委員が御指摘になっているように、和平にこぎつけることができたからといって全体的な解決ができたわけではありませんし、武力によってすべてが解決するなどということは毛頭ないわけでありますが。国際社会努力をし、さらにその努力を続け、当事者にも努力をしていただいて、本当の意味で両方の民族がともに住める平和な社会ができるだけ早く来るように、私たちもお手伝いしていかなければいけないし、それを願っているわけでございます。
  83. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣が御答弁になったのは、前にも、空爆中にも表明された政府の見解を繰り返されたのだと思います。  後の方で一応お答えをされましたけれども、私が特に今問題にしておるのは、結果を見て、このやり方でいいんだろうか、果たして実際に解決をしているんだろうか。報復の問題だとか新たな人権問題その他の、ガリ前事務総長だとかシュミット元首相の言っていることを引用してお聞きしたのは、後から、今見てこれでいいのか。国連憲章の内政不干渉の原則が、ユーゴのようなやり方がもしどんどんやられるということになると破壊されていくことになるんじゃないか。そういう問題について外務大臣はどう考えているのだろうかということをお聞きしているわけなんです。
  84. 高村正彦

    高村国務大臣 内政干渉ということが一般的にいいことでないことはもちろんでございますし、また一方で、人道的に許されないような行動、そういったことは放置しておいてはいけないという面もあるわけです。そういう中で、人道問題もピンからキリまであるのだろうと思いますが、まさに民族浄化と言われるような、もう昨年の段階で二十万人の難民が国外に脱出している、こういうような状況もある。さらに、ユーゴ軍、治安部隊、四万人以上を新たにコソボに投入する、こういう状況の中で、さらなる民族浄化が行われるであろうというような予想があった中で、やむを得ざる措置としてしたもので、どこかの国に人道上の問題、人権の問題があればこういうことが普通にどんどん行われるという話ではなくて、その程度が余りにもひどいので、例外中の例外として行われた措置である、やむを得ざる措置であったと理解をしている、こういうことを申し上げているわけでございます。
  85. 松本善明

    松本(善)委員 例外中の例外というのですが、私の方は前からこの問題で議論をしておりますのは、そういう場合でもやはり国連の手続があるわけですね。経済制裁でありますとか武力の行使は原則としてしない、そして、する場合は安保理事会の決議に基づくということがいわば確立されたものになっている。今外務大臣はロシアの決議のことを触れられましたけれども、私は、この原則がユーゴの問題で崩されていく危険がないかという心配をするわけです。そういう観点です。  改めてお聞きをいたしますが、ASEANの外相会議で共同声明があり、拝見をいたしますと、国連憲章への支持と国際法の基本的諸原則の尊重を再確認したということであります。外務大臣の御理解では、この中には、内政不干渉、紛争の平和的解決、国際的な武力の行使は国連の決定による、各国の武力行使は自衛反撃の場合、これはいわば国連憲章、国際法の基本的諸原則だと思いますが、こういうことを再確認したというふうに理解していいでしょうか。
  86. 高村正彦

    高村国務大臣 国連憲章は、あるいは一般国際法は守っていかなければいけない、こういうことを述べられたものでありまして、一般的に言えば、今委員が御指摘になったようなことは原則的にはそういうことだろう、こういうふうに思っています。
  87. 松本善明

    松本(善)委員 それでは、問題をちょっとかえてお聞きしたいのです。  このコソボの問題につきましてドイツのターゲス・ツァイトゥング紙が、ランブイエのうそということで追及をして、ドイツの議会でも大きな問題になっておりますランブイエ和平合意案の最終案第七章附属文書Bの問題をちょっとお聞きしたいと思います。  これは、コソボ問題での和平交渉交渉期限切れ十八時間前にアメリカが突如提起をしたもので、NATOによるユーゴ全土の事実上の占領という要求を組み入れたものでありました。ランブイエ和平合意案の最終案の第七章附属文書B案というのは、ユーゴ全土にNATO軍が展開をする、NATO軍は治外法権を持つ、警察権を持つなど、まさにユーゴ全面占領案。  外務大臣はこのことを御存じであるかどうか、あるいは御存じだとすればいつ知られたのか、お聞きしたいと思います。
  88. 高村正彦

    高村国務大臣 ランブイエ合意案の第七章は、当事者が、コソボ情勢の正常化のために安保理決議のもとに派遣されるNATOを中心とする国際部隊を受け入れることを定めるともに、附属文書Bにおいて、この部隊がその目的を達成するために与えられる地位、特権が定められていたわけであります。この中に、NATO軍のユーゴ領域通過権、要員の不逮捕特権も含まれていると承知しておりますが、我が国はこの平和合意案に関する交渉当事者ではなくて、交渉の詳細な経緯は承知していないので、合意案の具体的内容にコメントできる立場ではないわけであります。  今、委員、全土に展開できるというふうにおっしゃいましたが、展開という言葉は使われていないと承知しております。通過権、パッセージという言葉を使っているというふうに私は承知をしております。
  89. 松本善明

    松本(善)委員 この附属文書B、全文は外務省にありますか。
  90. 飯村豊

    ○飯村政府委員 附属文書B、全文、外務省にございます。
  91. 松本善明

    松本(善)委員 私ども承知している範囲では、これは、支援、訓練、作戦に必要とされるあらゆる地域及び施設での野営、作戦行動、分宿、利用の権利を含む車両、船舶、航空機とともに、関連する空域、領海を含めユーゴスラビア連邦共和国の全域で、自由に、妨げられることのない通行と妨害のない出入りを享受するというふうに、これは、言葉の問題ではなくて、実際上、全面占領になっていくんだと思います。全土に展開をするということになると思います。犯罪の訴追免除権もあるし警察権も行使をできる。これは、言葉のやりとりではなくて、実際上はユーゴ全土の占領だと私は思います。  外務大臣はそういうふうな認識ではないんですか。全部をよく検討されて、私どもはそういうふうに見ているんですけれども、外務大臣はそういうふうにはお考えにならないんですか。
  92. 高村正彦

    高村国務大臣 私はそういうふうに見ておりません。いわゆる展開、ディプロイメント、パッセージというのは言葉としても違いますし、現実問題として、例えば今度は、NATO軍ではなくてロシア軍がコソボに入るときにユーゴの中を通過して入っていったという事実があるわけでありますが、ああいうことを言ったものだと私は思っております。もう少し検討してみたいと思います。
  93. 松本善明

    松本(善)委員 そういうような程度のものではないと思います。  アメリカのトーマス・ジェファーソン大学のコーン教授が、附属文書Bの存在と交渉経過について、米国の目的は最初から軍事行動をしかけることだったと言っておられます。ユーゴが絶対にのめない提案、これは全面占領というようなものであればのめないことは明白で、そういう絶対のめない提案であるということを承知の上で期限切れ直前にこれを突きつけた。予定どおりユーゴに拒否させた上で、それを理由に空爆を行った、まさにそういうことになるんじゃないか。  よく検討してみるというふうにおっしゃいましたけれども、私は、これはこれからの国際政治の上でも非常に重大な問題だと思います。これから検討されるということであれば、よくこういう国際的な、アメリカの大学の教授の指摘ですよ、そういうことについても深くもう一度検討してほしいと思いますけれども、いかがですか。
  94. 飯村豊

    ○飯村政府委員 二点申し上げたいと思いますけれども、一点は、ランブイエ和平交渉というのは、委員御承知のとおり、単独で、それだけで終わったものではなくて、昨年来長期にわたって和平交渉が進められてきたわけでございます。特に、昨年の十月の十三日にホルブルック・アメリカ特使とミロシェビッチ大統領との間で合意が成立いたしまして、御承知のとおりその中では主として三点規定されております。一つは……(松本(善)委員「細かいことはいいです」と呼ぶ)  一点だけ申し上げますと、OSCEの文民ミッションが戦闘の停止、和平の実施を見守るという規定があるわけでございます。この文民ミッションが派遣されたにもかかわらず、ユーゴ側は引き続き軍事部隊をコソボに展開して、人道的な惨劇を招きつつあったということが背景にございます。その結果このランブイエ交渉が行われたということで、国際社会の追い詰められた立場を一点申し上げたいと思います。  それから二番目には、ランブイエの和平交渉合意案につきましては私ども詳細にコメントする立場ではございませんけれども、国際的な軍事部隊の派遣はコソボにおける正常化というのが目的でございますので、それに伴って種々の規定が行われているということでございます。
  95. 松本善明

    松本(善)委員 一般的にはそういう説明でずっと来ていたわけですよ。だけれども、このことが明らかになってドイツの議会では大問題になっているんですよ。それなら賛成できなかったというような議員も出ている。そういう問題になっているということを考えて、改めて、一応外務大臣は検討してみるとおっしゃったので、政治的にきちっと検討されたいと思います。  それから、この問題を私が特に申しますのは、これはNATOの新戦略概念と関係があるというふうに言う人が結構あるからであります。  オルブライト国務長官も、これはNATOの新戦略概念のテストケースだと。先ほど紹介いたしました論文で、シュミット元ドイツ首相も、アメリカ政府はユーゴでの経過を世界の他の部分で将来起こり得るケースの積極的な先例とみなそうとしている、こういうことを述べておられるわけです。  これの意味するところは、NATOの条約の第五条では、他国から攻撃を受けたときに共同反撃する、これが軍事の建前でした。ところが、この新戦略概念は、第五条以外の危機、要するに攻撃を受けない場合の危機でも戦争行動に出るという方針に踏み出した。その危機の中身は、民族的、宗教的抗争、領土紛争、不適切な改革努力やその失敗、人権侵害、国家の解体などから起こってくる地域危機、こう言っている。これはみんな他国の内政にかかわることですよ。これに対して武力行使をするということになっていきますと、これはやはり内政不干渉という原則が崩されようとしているという国際政治の問題ではないかというふうに思うんです。  外務大臣、こういうような問題について検討されたことがあるでしょうか。
  96. 高村正彦

    高村国務大臣 内政の問題に干渉するということが一般的には許されないということは、私は当然の話だと思っておりますし、何度も繰り返して述べておりますように、この問題につきましては、まさに人道上の問題がとても看過できないところまで来てしまった中における、しかも、そういう状況の中で国際社会が提案した和平案をかたくなに拒否する、今後さらに何が起こるかわからない、こういう状況の中でやむを得ずとられた措置である、こういうふうに考えております。  確かに、NATOの新戦略概念と関連する、こういうことをおっしゃる方たちもいるということは承知しておりますが、日本政府は、そのNATOの新戦略概念がどうだとかこうだとかそういう論評をする立場にあるわけではなくて、具体の問題において、こういうことをまさに国際社会が、安保理決議がない中で、国内で起きた問題についてこういうことをすることが許されるかどうか、その極端な人道的な問題との関連において突きつけられた問題であるということで、私はそういう観点から私なりにいろいろ考えたということはあります。
  97. 松本善明

    松本(善)委員 これは例外中の例外だというお話で、私ども、それでもやはり武力の行使ではなくて、国連憲章で決めた平和的な解決の方向を追求すべきだということでちょっと言ってまいりました。  しかし、それはそれとして、それが例外中の例外ではなくて、一つの先例としようとしているという動きに対しては、これは重大な国際政治の問題になると思うんです。  特に、この方針、新戦略概念を決める前に、アメリカのタルボット国務副長官がドイツで演説をして、我々は、NATOがいかなるものであれ、他の国際機関の下位に置かれたり、みずからの指揮命令系統の統合性を危険にさらしたりしないよう注意しなければならない、こういうふうに言っている。この他の国際機関というのは、何よりもまず国連ですよ。国連がどうあろうとNATOはやる、こういう方針だということをアメリカのタルボットさんは言っているわけです。  時間もありませんからこれは指摘をするにとどめ、そして外務大臣、これはもう国際政治の大きな分かれ目だと私は思います。二十世紀の二つの世界大戦の教訓の中から生まれた国連憲章の原則を守ってそういう国際政治が展開されるか、あるいは、アメリカの覇権を中心にした国際政治の方向へ行くのかという大きな分かれ目にいるんだということを指摘し、また改めてこれはお聞きしたいと思います。  最後に、ちょっとお聞きしておきたいのは、F16の低空飛行の問題です。  これは、前にかなり詳しく釜石の問題でやりましたけれども、この問題では宮城県の県議会が超党派で、何とかしてくれという陳情もしている。こういう動きが全国的に起こってきております。政府は、人口密集地域で三百メートル以上、そうでないところで百五十メートル以上で飛んでいるからいいんだというふうに言われてきておりますが、最近こういうことがわかりました。  昨年の十一月二十日に、陸前高田市の広田半島に住む伊勢純さんという人が、自宅の上空を低空飛行するF16を写真撮影することに成功した。かなりはっきりしたものです。この写真で飛行高度を正確に測定する。家のすぐ上で飛んでいるものですからいろいろなデータがありまして、カメラのレンズは百五ミリ、撮影したのは自宅に隣接するロードで、カメラから見たF16の角度は二十七・五度、F16の全長は十五・〇三メートル。測定結果は、結局二百八十メートルを飛んでいる。念のため、角度の誤差を考えてプラス・マイナス一度ずらしても、二百七十メートルから二百九十メートルなんだという報告をもらいました。三百メートル以下を飛行しないと言っていることがそうでないということが明らかになった例です。  写真も測定に使ったカメラも全部保存をされておりますので、資料を提供すれば外務省自身が事実を確認することもできると思います。今まではなかなか高速飛行する米軍機を撮影することが困難なために、外務省も事実を把握することができなかったということもあるかもしれません。今回はその材料がございます。これを提供いたしますので、外務省自身もこの問題を調べて、そしてもし三百メートル以下を飛んでいるということならば抗議をすべきではないかと思いますが、外務大臣、最後にこのことを伺いたいと思います。
  98. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 今、御質問でちょっと聞き漏らしたところがございますけれども、昨年の十一月二十日とおっしゃられたのでございましょうか。(松本(善)委員「ええ、そうです」と呼ぶ)そうでございますか。わかりました。  この飛行高度の問題に関しましては、もう松本先生御案内のとおり、ことしの一月の日米間の了解において、米軍が低空飛行訓練の際にICAOとか日本の航空法により規定されました最低高度基準を用いるということが確認されているわけでございます。  それと同時に、被害に関しまして、いろいろ苦情があった、あるというような場合には、それは我々といたしましても、米側と話し合いを行う、それを処理するというような姿勢であるわけでございます。したがいまして、今、十一月二十日の飛行ということで、ちょっと私知識がございませんので恐縮でございますけれども、外務省としてもできるだけの調査ということは当然努力をいたしたいというふうに思います。
  99. 松本善明

    松本(善)委員 以上で終わります。
  100. 中馬弘毅

  101. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  きょうは高村外務大臣にぜひ、かなり重い質問ですけれども、受けとめて、速やかに対処をしていただきたいという思いを込めて、在日ビルマ人、ミャンマーという言葉を彼らは使いませんけれども、ミャンマー軍事政権に反対をし、アウン・サン・スー・チーさん率いるNLDの、つまりきちっとした選挙を経た民主主義の政治を回復するべきであるという運動を日本国内でされている方が、実は五月二十三日にミャンマー、便宜的にミャンマーと使いますけれども、ミャンマー大使館の主催する民族舞踊などのコンサートの席があったんですね。このコンサートの席が終了をして、お二人の民主化活動家の方が民主主義を返せというようなことをビルマ語でおっしゃった。その直後に、大使館の職員を含む数人のやはりビルマ人たちに囲まれて、意識を失うぐらいの重傷を負っています。  私、翌日、意識を取り戻したビルマ青年に会いましたけれども、包帯で頭をぐるぐる巻きにして、血で染まったTシャツを見せて、顔面蒼白でした。こんなことが日本で起きたのか、圧政と言われる、軍政と言われるビルマから逃げてきて、日本は安心と、しかし、大使館のそういうことには抗議をしているわけですが、まさかこんな流血事件が起きようとは思わなかったということでございます。  そして、きょうの新聞、朝日新聞ですが、ミャンマー駐日大使が辞任という記事が二面に載っております。わずか七カ月で辞任をされた。そして、このキン・マウン・ティン大使は、七月に一週間の予定で一時帰国された。ところが、一週間を経ても日本に帰ってこないために、ヤンゴンの日本大使館が確認すると、もう辞任をしたということだそうです。この新聞記事は、この事件との関連性も指摘をしています。  こういう事態でございますので、外務大臣、かかる事態を承知していたかどうか、日本政府の姿勢も試されている国内の事件だと思いますので、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。
  102. 高村正彦

    高村国務大臣 まず、キン・マウン・ティン在京ミャンマー大使が辞任したとの報道については、現在のところ正式な外交ルートを通じての情報はもたらされておらず、詳細な事実関係はまだわからない、こういうことでございます。  それから、五月二十三日の在日ミャンマー人暴行事件につきましては、警察当局が現在捜査を行っていると承知しており、外務省としては、警察当局の捜査の結果を待って対応を検討していきたいと考えております。
  103. 保坂展人

    保坂委員 七月三十日に入管問題を取り扱う法務委員会の質疑がありまして、その際に東郷条約局長に、外交特権とはいかなるものなのか、つまり外交官あるいはその家族であれば、人を殴ってもけがをさせてもあるいは何をやってもよいのか、そんなことはないだろうと思いつつ聞いたところ、確かに身体の不可侵など外交特権はあるけれども、ウィーン条約の四十一条などでその国の法令をきちっと遵守するということも基本的に押さえられているので、こういう暴行などが外交特権の中に入るなどという解釈はないという答弁をいただきましたが、七月三十日以後、ミャンマー大使館に厳しく申し入れをするなどアクションを起こされたかどうか。
  104. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 ただいま委員より七月三十日に私が法務委員会で申し上げたことについての御指摘がございましたので、今の委員の御質問に同僚がお答えする前に、念のために、外交特権の問題についていま一度申し上げさせていただきたいと存じます。  外交官及びその家族は、外交関係に関するウィーン条約によりまして、身体の不可侵など一定の特権、免除を享有する。これは、二十九条におきまして「外交官の身体は、不可侵とする。外交官は、いかなる方法によつても抑留し又は拘禁することができない。」こういうふうになっているわけでございます。  他方、先日も明確に申し上げましたように、それでは何をやってもいいのかというと、これはそういうことでは決してないはずなので、一般論として、例えば白昼堂々と暴力を振るうということは外交官としてあってはならないことだと私どもも考えているわけでございます。ウィーン条約におきましても、四十一条におきまして「特権及び免除を害することなく、接受国の法令を尊重することは、特権及び免除を享有するすべての者の義務である。」こういうふうになっているわけでございます。  そこで、この前申し上げましたように、万々が一あってはならないことでございますけれどもそういうことが起きた場合には、今申し上げた身体の不可侵を尊重しつつ、例えば任意の事情聴取、それから、さらに不法行為を継続するというようなあってはならないようなことがあった場合には、それを一時的に抑止するための措置、こういうことはとり得るだろうということを申し上げたわけでございます。
  105. 保坂展人

    保坂委員 質問時間が短いので、省略するために局長の答弁を私の方で要約して質問したのですが、要するに、そこを押さえて、七月三十日以降ミャンマー政府に何らかの申し入れを行ったかどうかというのが質問なんです。
  106. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 先ほど外務大臣から御答弁ございましたように、この問題につきましては、現在警察当局で捜査を行っている最中であると承知しておりまして、外務省としては、その結果を待って行動を起こす、対応を考えるということでございます。
  107. 保坂展人

    保坂委員 これは、僕は何回も警察にも来ていただいてわかっているのですけれども、この現場は一ツ橋の教育会館という大きなホールですよね。そこで流血事件が起きた。そして、二百人ぐらいのビルマ青年たちが抗議していますから、警備のために神田署員もいたのです。大変な事件が起きたということで、警察の方は、三時間にわたって、事情聴取するから大使館員を出せという交渉をしているのです。  それに対して、今度辞任されたと言われるこの大使は、コンサートは公務であり、事情聴取をしたいなら大使館に出向いてこい、職員は引き渡せないというふうにまさにこの特権で拒絶して、警察は引き下がらざるを得なかった。その紛糾する現場に、通訳として外務省の職員も来ているのですよ。ですから、この段階で容疑者あるいは重要な参考人も帰してしまった以上は、どうですか、警察の方はもうやりようがないのじゃないですか。捜査中とは言っているけれども、外交特権で手も足も出ないというのが私が聞いているところですよ。  警察の方に伺いますが、どうでしょう、外交特権に阻まれたときに、容疑者や重要参考人がもう既に出国しているという事実は確認されていますか。
  108. 内山田邦夫

    ○内山田説明員 お答えいたします。  まず、本件の捜査についてですが、本件は、関係者のほとんどがミャンマー人であるなど、捜査上の困難もございます。しかし、警視庁におきましては、法令に従い、厳正公平に鋭意捜査を進めている、かように理解しております。  また、関連でございますが、ただいま申しましたように、本件は現在捜査中ということでございますので、被疑者の社会的地位など、被疑者の特定にかかわる事項について憶測を招くような発言は差し控えたいというふうに考えております。
  109. 保坂展人

    保坂委員 それでは、入管局長に伺いますが、外務省並びに警察庁から、この事件に絡んだミャンマー大使館職員あるいはその家族が出国をしているかどうかという照会を受けた事実はありますか。
  110. 竹中繁雄

    ○竹中(繁)政府委員 お尋ねの件につきましては、先ほど警察の方からお答えがありましたように、警察において現在捜査中ということでございますので、私どもとしてもそのお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  111. 保坂展人

    保坂委員 大臣に伺いますけれども、私、何人も在日ビルマ人の方を承知しています。そして、今入管局長お答えになりましたけれども、大変厳しい人員の中で、日本の難民申請の手続というのは大変なんですね。まだなかなか整備をされていない。そういうビルマの若者たちと語り合って、この人たちはやはり未来の国の指導者になっていく、あるいは重要な支え手になっていく人たちだろうと思っておつき合いをしています。その方たちが、青ざめて、包帯でぐるぐる巻きになって、日本はこんな国だとは思わなかった、ビルマと日本は同じなのか、こう訴えているのですね。  つまり、今条約局長から答弁もあったように、ウィーン条約は、外交特権としてすべての刑事免責をしているわけではないのです。いわば、これは日本政府に対して挑戦ではないか。日本で、ビルマの民主化、NLDを支持する、そういう在日ビルマ人に対して意識を昏睡させるような暴行を働いても、現実に警察は外交特権でなかなか届かない。外務省に聞くと、警察の捜査の進展を待つと。進展するわけがないですよ。  これは一体、だれが責任を持って、警察と外務省と、そして、外務省の方が現場にも来ているということを私は重視したいんですね、通訳として。三時間も紛糾して、大使がこれは公務だから渡せないと言ったときに、では、外務省はどういう立場でこの間に入るべきだったのかということをきちっと考えて、このままこの事態を放置すると、日本はビルマの軍政を批判する資格を失うんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  112. 高村正彦

    高村国務大臣 今のビルマ政府に対しては、日本政府は、民主化を進めてほしい、あるいは人権侵害というようなことはなくしてほしいということは、いろいろなところで申し入れているところでございます。  ミャンマーの外交特権を持っている方が、日本国内で仮に日本の法律に触れるようなことをしたからといって、日本がミャンマーの今の体制について批判をする資格を失うというのはどういう意味なのか私にはよくわかりませんが、日本とすれば、今警察で捜査をしているところでありますから、その捜査の結果を聞いた上で、外務省とすれば、措置するところがあれば措置をしたい、こういうふうに思っております。
  113. 保坂展人

    保坂委員 では、警察の方にもう一度伺いますが、私が何回聞いても、警察は壁に当たっている、外交特権などあってこれ以上入れないんだと。現場だって、これはいわゆる事情聴取もできなかったわけですから。現行犯の現場ですよ。これだってできなかったのに、どうでしょう、警察はもう壁に当たったと言う。  これを外務省にきちっと通告する、壁に当たったとなれば通告するんですか。あとは外交でやってくださいと。それとも、うやむやにするんですか。あるところまで来れば通告するんですか。
  114. 内山田邦夫

    ○内山田説明員 お答えいたします。  先ほども念のため申し上げましたが、現在警察におきましては、被疑者が外交官であるとか、そういった被疑者の特定に係る部分について発言する立場にございません、現在捜査中であるということから。その点を御理解いただきたい。  いずれにいたしましても、現在警視庁において鋭意捜査をやっている最中でございます。
  115. 保坂展人

    保坂委員 大臣、官僚答弁というんですよ、こういうのは。  それは、事実はわからないですよ。事実をきわめようにも、調べようがないんですよ、警視庁には。大使館の中に入っちゃっているわけですから。であれば、大臣として警視庁に、こういう委員会で明かせないこともあるでしょう、実際はどうなのかと照会をして、そして、条約局長もおっしゃるように、万が一それが事実であれば大変なことなので、外交ルートでしっかりと、これは許さぬよということを言っていただきたいわけですよ。それをしないと、こういう暴力を放置する国というふうに見られてしまうんではないですか、こういうふうに申し上げているんです。
  116. 高村正彦

    高村国務大臣 ですから、先ほどから申し上げているように、捜査当局が今捜査中でありますから、事実関係が確定すれば、その事実に基づいて、何か措置をする必要があると考えれば措置をすることになります。今は、事実関係外務省の方ではわからない、こういうことでございます。
  117. 保坂展人

    保坂委員 大臣、だって大使が辞任しちゃったんですよ、確認できないと言うけれども。新聞記事には、ヤンゴンの日本大使館が確認したところと出ていますよ。これ、すぐわかるじゃないですか。電話一本で確認できるじゃないですか。  これだけの異常事態で、警察が、確かに捜査中でしょうよ、捜査できなくていろいろ困っているでしょうよ。やはり、外務大臣として、どうだったのかときちっと聞いていただいて、こういう壁があるなら壁があるということを認知した上で、一体どういうことだったんだということを外交ルートでやるというのは、民主主義の国として当然な責務じゃないですか。
  118. 高村正彦

    高村国務大臣 日本国内で捜査機関が今捜査を継続しているところでありますから、事実関係を確定した上で、どういうことをするかという外交的措置をとる、こういうことを申し上げているわけであります。  現時点で私からはそれ以上申し上げることはありません。
  119. 保坂展人

    保坂委員 傍聴席には、在日ビルマの青年も到着して質疑を見守っているようでございます。命がけでビルマの軍政と戦ってきて、日本国内で、やはり、アウン・サン・スー・チーさん率いるところのNLDの、さまざまな軍政に対する民主主義回復への声を日本国内で、あるいはアメリカにもオーストラリアにもいますけれども、そういう諸君が今大変怖い思いをしているわけです。  今の大臣の答弁だとどうでしょう。もう一度、二度、例えばミャンマー大使館の前で何らかのことがあったときに、ビルマの青年たちが民主化を求める声を上げるときに、大使館からいきなり出てきて、今度はバットでぼんと殴って、大けがをするかもしれない。そういうことを許す国家であってはならないということを、やはりきちっと、毅然とした姿勢をとっていただきたいということなんです。  こんな心配を、これは偶発的な事件であって、二度とこういうことは起こさないように、我々も総力を挙げてそういうことが起きないようにしたいと思いますけれども、まさに外交上、日本の国というのが人権について極めて重みを持ってとらえているという姿勢を示す意味でも、二度とこういうことがない、そして、一回起きたことに対しては毅然とした対応をとるということを答弁していただきたいと思います。
  120. 高村正彦

    高村国務大臣 私自身は事実関係はよくわかりませんが、ずっとお聞きしていて感ずるところは、少なくとも何らかの事件があった。そこに日本の警察が駆けつけた。その時点では、それからさらにそういうようなことが続くことはやめさせたであろう。そして、その加害者と思われる人たちに事情を聞こうとした。しかし、いわゆる外交官特権というのか、職務上やっていることでということで阻まれた。こういうことでありますが、警察の方では今も捜査を続けている、こう言っているわけであります。  だから、そういう状況の中で外国に対して外務省が何かを申し入れる場合、やはり、事実関係を確定して、あるいは、確定できないまでも確定できるところだけでも確定して、捜査機関がある程度の結論を出した上で、どういう措置をとるのかということを、外務省としては、それはそれから考えることになる、こういうことを先ほどから申し上げているわけでございます。
  121. 保坂展人

    保坂委員 これがうやむやになることを私、恐れているわけですね。  ですから、外務大臣としては、現場に通訳として外務省の職員が出向いたわけですから、これは、私人として行ったというのは私、ちょっと疑問なんですけれども、通訳として外務省の職員がいるわけですから、まずそこから、どういうことがあったのかを聞いていただきたいし、そして、外交特権ということは繰り返し警察の現場の方からも私は聞いていますので、これ以上その警視庁の捜査が急進展するとは思えない。  しかし、壁があるにもかかわらずやるでしょう。しかし、やってだめだったときには速やかに外務省にきちっと投げ返していただいて、その後は外交ルートしかないということで、二度とこういう事件が起こらないように、このあたり、整備をしていただくということを要望して、私の質問を終わります。
  122. 中馬弘毅

    中馬委員長 以上で質疑は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十分散会