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1999-07-23 第145回国会 衆議院 外務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月二十三日(金曜日)     午前十時三十二分開議   出席委員    委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 上原 康助君 理事 玄葉光一郎君    理事 赤松 正雄君 理事 東  祥三君       瓦   力君    木村  勉君       河野 太郎君    阪上 善秀君       深谷 隆司君    細田 博之君       吉川 貴盛君    川内 博史君       中野 寛成君    藤田 幸久君       坂口  力君    山中あき子君       井上 一成君    藤井 裕久君       古堅 実吉君    松本 善明君       伊藤  茂君  出席国務大臣         外務大臣    高村 正彦君  出席政府委員         国際平和協力本         部事務局長事務         代理      嶋口 武彦君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         防衛施設庁施設         部長      宝槻 吉昭君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    上田 秀明君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省条約局長 東郷 和彦君  委員外出席者         外務大臣官房領         事移住部長   今井  正君         外務省総合外交         政策局軍備管理         ・科学審議官  阿部 信泰君         外務委員会専門         員       黒川 祐次君 七月二十二日  竹島の領土権の確立に関する陳情書(第二七〇号)  新たな日中漁業協定早期締結等に関する陳情書(第三六一号) は本委員会参考送付された。 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国際情勢に関する件     午前十時三十二分開議      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森山眞弓君。
  3. 森山眞弓

    森山委員 私、高村大臣になられてから初めて質問をさせていただく機会をいただきまして、大変きょうはうれしく、光栄でございます。  御就任以来大活躍で、大変頼もしく拝見しております。さぞ心身ともに御苦労だろうと思っておりますが、国民のために、また世界の平和のために大いに御奮闘になりますように期待しております。  そこで、時間もございませんので絞って一、二お伺いしたいと存じます。  今日本国民が一番心配している具体的なことは、北朝鮮ミサイルがまた発射されるのではないかということがその一つではないかと思います。昨年、突然あのテポドンが日本に向かって発射をされました。幸い人間や船の損傷という具体的な被害はございませんでしたけれども、断りもなく日本の国の上を飛びまして太平洋に落ちたということでありまして、大損害になる可能性も大いにあったわけでございまして、重大な主権の侵害であるということは明らかであります。  二度とこのようなことが起こらないようにいろいろと我が方でも方策をとるべきだと思うのでございますが、大変残念ながら、直接対話のチャネルがないというのは現実でございまして、やれることにもいろいろ限りがあるとは思いますけれども、大変皆さんがそれぞれの立場それなり努力していらっしゃるということは承知しております。  例えば、総理中国を訪問なさいましたとき、李鵬全人代常務委員長に、北朝鮮日本懸念を伝達してもらいたいということをおっしゃったと聞いております。そして李鵬さんは、日本国民心配は理解できるし、機会があれば日本側意見北朝鮮に伝えたいと述べられたという報道もございましたが、その後、具体的に李鵬さんあるいは中国側から北朝鮮に働きかけが行われたということは確認していらっしゃるでしょうか。
  4. 高村正彦

    高村国務大臣 先般の小渕総理訪中では、北朝鮮ミサイル発射の問題につきまして小渕総理より、現時点において再発射が差し迫っていると判断しているわけではないけれども、仮に再発射があれば日米韓との関係が大きく後退することは必至であり、再発射を抑止することが極めて重要であるという我が国考えを説明したわけでございます。これに対しまして、朱鎔基総理からは、中国は朝鮮半島の平和と安定のためにできることはやる用意があるという発言がありまして、今御質問李鵬全人代委員長からは、北朝鮮ミサイル発射についての日本国民の心情は理解できるものであり、機会があれば日本側心配の気持ちを北朝鮮に伝えたいという発言があったわけでございます。  中国が、直接北朝鮮我が国考えを既に伝えたということを我が国に言ってきているわけではまだありませんし、そのことも承知しておりません。ただ、中国がそういうことを我が方に言った、このような中国対応は、北朝鮮ミサイル発射の抑止の観点から一定の効果があるものと認識をしております。  小渕総理李鵬全人代委員長に言ったのは、李鵬全人代委員長北朝鮮に行く予定があるということを伺っているが、そのときぜひやってほしい、こういうことを言ったんだというふうに記憶をしております。
  5. 森山眞弓

    森山委員 外務大臣も、この後シンガポールへ行かれて、ASEAN地域フォーラムに出席されると聞いておりますが、その閣僚会議におきましてこの件について何らかのアクションがとられるというような報道がございましたが、それはどのようなことを考えていらっしゃるのでしょうか。
  6. 高村正彦

    高村国務大臣 今回のASEAN地域フォーラムARF閣僚会合及びASEAN拡大外相会合におきましては、政治安全保障経済の諸分野にわたり、我が国関心を有する諸問題に率直な議論を行いたいと考えているわけでありますが、特に、ARFにおきましては、北朝鮮ミサイル問題について、これがアジア太平洋地域全体の平和と安定にかかわる問題であるとの観点も含めて、我が国懸念を説明するとともに、このような懸念各国間で共有されるように働きかけていきたいと考えております。  この機会を利用して、米国のオルブライト国務長官韓国洪淳瑛外交通商部長官と会談し、三カ国の緊密な連携を確認して、北朝鮮ミサイル問題に対する対応について協議をしたい。今までもこの三カ国ではいろいろと協議してきていますが、まだ差し迫ってはいない、こういう認識でありますが、それでも、いろいろなところで準備は進めているというようなことも入ってきておりますので、かなり突っ込んだ話し合いをしてきたい、こう思っております。
  7. 森山眞弓

    森山委員 日本アジアの一員であるのは当然でありますし、特に東部アジア東アジア諸国との連携というのは大変重要なことだと思います。相互のコミュニケーションをよくして、日本もまた世界に向かってアジアを代表して発言していくという立場を持っていると思うのですが、そのような意味で、来年の夏、サミット沖縄で開かれるということが決まったということは大変大きな意味があると思うんです。外務省を中心として政府準備事務局も発足したというふうに言われておりますし、いろいろな計画や構想が今鋭意固められつつあるのであろうと思いますけれども、この機会に私も私見を一、二申し上げて、御感触を伺いたいというふうに思うわけでございます。  まず、沖縄開催が、日本にとって東京や大阪で開くのと違ったいろいろな重要な意味があるということは申すまでもございません。しかし、アジア、特に東アジア諸国から見ても、沖縄サミットがあるというのは独特の意味があるのではないかというふうに思うのです。韓国とか中国とか台湾にとっては距離的にも非常に近い、目の前でございますし、ASEAN諸国にとっても身近な場所でございます。それだけに、沖縄日本の国の中から見て、日本立場で見るのとは違った感じを持つかもしれない。その辺のそれぞれの国の立場に応じた感覚を十分思いやりつつ、十分な目配りをしていただきたいというふうに思うわけでございます。  小渕総理中国に行かれましたとき、沖縄サミットについて言及をされたのでしょうか。同行された外務大臣はいかがであったのでしょうか。もしなさったとすれば、相手の反応はどんなふうであったか、お聞かせいただきたいと思います。
  8. 高村正彦

    高村国務大臣 今回の訪中時を含めて、九州沖縄サミットに関し、中国との間で特に意見交換は行われていないわけであります。総理も行ったとは承知しておりませんし、森山先生からメモをいただきましたが、私もこのことについての意見交換はその時点では行いませんでした。  一般的に、これまでのサミットについては、ケルンサミットを含め、開催の前後にいろいろな形で中国意見交換を行ってきております。今度も当然行うことになります。  ちなみに、中国側からサミット参加についての関心表明というのは今までも一切行われていないということで、我々もどうなのかなという感じは持っていますが、少なくとも現在までそういった関心表明は行われていないわけであります。
  9. 森山眞弓

    森山委員 ほかのサミットはともかくも、来年のサミットは七年に一遍アジアで唯一行われるサミットでございますので、今まで東京でやったときも当然そのような配慮をなさったとは思いますけれども、今回は特にそのようないろいろな状況を考えて、アジア諸国がかなり具体的に深くかかわった格好をとったらどうかなというのが私の感じでございます。  いろいろな有識者の方がさまざまな提案をされているようで、新聞等でも二、三拝見いたしました。例えば、アジアサミットなるものを事前に、できれば沖縄で、もしそれが時期によって無理であれば日本のほかの場所でもいいと思いますけれども、そういうものを催して、そして、個別に各国意見をお聞きになるのももちろん大事だと思います。そのような会議を催して、アジア全体がサミットに具体的にかかわるという形をつくるということもかなり重要ではないかなというふうに思うのでございます。  ケルンでは、ケルンに私は行きませんでしたのでわかりませんけれども、行ってこられた何人かの方からいろいろと話を聞きますと、ケルン開催するということが決まった後、一連のEU関連会議開催したり、さらには音楽祭とか文化行事など、例えば過去のノーベル文学賞受賞者を集めた芸術家会議なども実施したというようなことがありまして、ケルン市民がそういう大型の国際行事になれるという機会をつくる、特にそのようなことで市民関心を高めるという努力もしてきたというような話を聞いております。  ケルンというのはドイツ文化都市として知られたところで、もともと国際交流には非常になれている場所だと私は思うのですけれども、そのようなところでもそういう機運醸成のためのいろいろな努力をして、それを下地にしてケルンサミットを実際に実行したということを聞きますと、沖縄は初めての経験でございますし、いろいろな意味国際的な場所ではありますけれども、このような大がかりなことを行うのは初めてでありますから、それなり準備活動が必要なのではないかなと思うのです。沖縄という地の利を生かして、東南アジア地域を対象にした政治経済文化、スポーツあるいは青少年の何らかの会合とか女性指導者会合とか、そのようなことも考え得ると思うわけでございます。  実は、この六月の下旬に、ニュージーランド政府から呼びかけがございまして、私自身ニュージーランドへ二、三日出かけてまいったのですけれども、これはこの秋に行われるAPEC準備活動一つであるという位置づけで、APEC地域女性指導者会議というのをニュージーランドが呼びかけたわけでございまして、私もお許しをいただいて行ってまいりました。  当然APEC地域各国女性指導者方々とお会いし、いろいろな情報を交換し、議論をし、そして大いに成果があったわけですが、そのほかに、ニュージーランド政府の意気込みというものも何となく感じてまいったというようなこともございまして、そのような催しをいろいろ試みてみるということもいろいろな意味があるのじゃないかなというふうに思います。  さらに、ロジスティックスとか警備とかその他、会の内容によっては一種予行演習的にやってみるということもあり得るかなと思いますので、例えばアジアサミット沖縄でやってみようというようなお考えはおありにならないのでしょうか。沖縄県あるいは名護市その他が考えることでもあるかもしれませんが、これは国家的な行事の一環でありますので、やはり外務省及び中央政府の意向、協力努力というものが重要ではないかなと思いますので、お聞きしたいと思います。
  10. 高村正彦

    高村国務大臣 アジアサミット開催とか、あるいはいろいろな貴重な提言をいただいたわけでありますが、サミットがG8以外の主要国に十分配慮することは当然でありますし、アジア視点を十分に反映していくという観点から、これまで我が国は、沖縄サミットでないときでも、サミット前後にアジア諸国との対話をずっと実施してきたということはあるわけであります。  それで、九州沖縄サミットでは、アジアにおけるサミットであるという視点に立ちつつ、二〇〇〇年という区切りの年に行われるという事実も踏まえて、新しい世紀に向けた明確なビジョンを打ち出す機会にしたい、こう考えております。したがいまして、今後とも、このようなアジア諸国との対話を含め、いかなる形でアジア視点を反映していくかについて鋭意検討してまいりたいと思います。その検討の際に、いろいろ委員の御提言参考にさせていただきたい、こう思います。  九州沖縄サミットの前の国際会議開催につきましては、今のところ具体的にまだ固まっているものは正直言ってありません。ありませんが、今後のサミット準備過程において、委員の御提言参考にしながら検討を進めてまいりたい、こういうふうに思います。
  11. 森山眞弓

    森山委員 もう一つ、聞いた話の中で非常に私が注目し重要だなと思いますことは、プレス対策であります。  ケルンでは、プレスに対するサービスが非常に徹底的に行われていたという話でございます。各国代表団ブリーフィングルームが独立してそれぞれにちゃんと設けられていたというようなことはいわば当然かもしれませんけれども、国内、国際電話ファクス無料で幾らでも使えた、メディアセンターではプレス人たちの食事や飲み物も無料であった、クーポンを渡して町の中のレストランなんかでも自由に食べられたというようなことがあったそうですし、そのメディアセンターの中には、銀行や医療施設旅行代理店写真現像サービス、カメラの修理など、至れり尽くせりだったという話を参加した方から聞きました。  ドイツもなかなかやったなという感じで聞いたわけでございますけれども、その中で、例えば電話ファクスなどの無料化につきましては、日本はほかの参加国と甚だしく距離が離れていますから、ヨーロッパの真ん中にあるドイツとはちょっと違うとは思います。難しいかなとは思うのですけれども、既にことしのサミットでそのような経験をしたプレスの人が来年は沖縄に来るということを考えますと、そのようなことを踏まえて、できないならできないなりに説明をする、あるいはそのほかの日本らしいサービスをするというような工夫をよく考えておいた方がいいのではないかなと思います。  もちろん、ドイツと全く同じにしなければならないという理屈はないわけですし、まねをする必要はないわけなんですけれども、何百人、何千人と来るプレス人たち、その人たちがどのような印象を持ち、どのような報道をするかということが、世界の人の目に触れて、そしてそれが世界から見た沖縄サミットの評価になるということを考えますと、大変重要なポイントではないかなと思います。  特に、日本は、東京はかなりの外国人が知っていますけれども、東京以外の町については余り知らない人が多いし、まして沖縄のことについて詳しいという人は少ないと思います。この機会に、むしろこの機会を利用して、世界日本の奥の深さ、幅の広さというようなことを知らしめるチャンスと考えて、プレス対策に十分な配慮を望みたいというふうに思います。  事前に、沖縄について、こういうところである、こういう歴史、こういう伝統のあるこういう場所であるということを十分情報提供するということも必要かなと思いますが、そのような点についてどんなふうな御方針か、お聞かせいただければと思います。
  12. 高村正彦

    高村国務大臣 九州沖縄サミット準備につきましては、アジア視点日本多様性、そして沖縄文化の豊かさといった要素世界にアピールすべく、現在いろいろのプレス関連体制の整備について鋭意検討して準備を進めているところでございます。  今ケルンの例を引きながらまさにいろいろ御提言があったわけでありますが、プレス関係者にいかなるサービスを提供するかにつきましては、邦人プレスを含め、各国プレスの事情に応じて、できる限りの配慮を行っていきたいと考えております。  私は、五月の下旬に沖縄に行ってきたわけでありますが、いろいろな施設等を見てまいりましたが、いかにも手薄なのが、プレスセンターが貧弱である。これで沖縄世界に発信するというようなことができるのかなという感じを持ちまして、記者会見でもそういうことを、これから政府も全面的にてこ入れをして、世界に発信できるような形にしていきたいということを言ったわけでありますが、きょうさらに具体的にいろいろ御提言いただいたことを大変ありがたく思っております。  これから、委員もおっしゃったように、ケルンと全く同じというわけにはいかないかもしれませんが、全体的に、総合的にケルンに負けないように、いろいろ配慮していきたいと考えております。
  13. 森山眞弓

    森山委員 次に、警備のことについてお伺いしたいと思います。  警備については、既に準備活動に入っておられるという報道もありまして、大変御苦労なことだと多としているわけでございます。  警備こそは間違いがあってはならないという分野だと思いますので、それは全く当然のことなんですけれども、私がちょっと申し上げたいのは、警備の完璧を期する余りに、物々し過ぎて恐ろしいというような印象を与えるのは好ましくない。いわゆる過剰警備となって、地元市民からは隔絶された囲いの中で全く関係のないことを勝手にやっているというふうな印象を与えるのは最も好ましくないというふうに思いますので、そこら辺の兼ね合いが非常に難しいのではないかと思います。  これまたケルンの話ですが、聞いたところによりますと、大変綿密な計画を立てた模様で、鉄壁の警備を日々少しずつ進めながら、外向きにはあくまでもソフトな、非常にスマートな警備ぶりであったというふうに聞いております。  市民観光客にも不快感を与えないようにということに最大の配慮をされていたようでございまして、例えば交通規制をしている警察官、三、四人の組でやっているわけですが、そのグループの中に必ず一人は英語をしゃべる人がいるというような配置を心がけていたようですし、その町の市民観光客に触れる警察官人たちは非常に愛想がよくて、怖いという印象をほとんど与えないように大変きめの細かな訓練がされていたというようなことでございます。  また、市民観光客と集まってこられた首脳方々との交流の場というのが自然な形でつくられて、大統領とか総理とかいう方々は、市民交流しているところを、それが大事であると同時に、それをまた世界に発信したいと思っておられる方が多いわけですが、そういう場を自然な形でつくって、なすべき警備はきちんとしているのですけれども、首脳に対してもそのようなサービスを、またもちろんこれはプレス対策にもなるわけですが、プレスにもそのような場面を撮影したり取材させたりする便宜も図るというような、非常にそういう意味で行き届いた、洗練された警備ぶりであったというふうに聞いているわけでございます。  これからいろいろ計画されて、どのようにするか方針も立てられるんだと思いますけれども、警備について御方針はいかがか、承りたいと思います。
  14. 高村正彦

    高村国務大臣 九州沖縄サミット首脳会合開催に際しましては、県民生活観光客への影響も十分考慮していくべき要素であると考えております。  警備面等におきましても、サミットが成功裏に開催できるように、沖縄県及び県民方々の御協力を得つつ、県民生活観光客に対する影響を可能な限り軽減すべく配慮が払われるものと考えております。  警備外務省が直接やるわけじゃありませんけれども、安全性をないがしろにするわけにはいきませんけれども、その安全性を一方で追求しつつ、できるだけ県民生活観光客への影響を十分考慮して行うように、いろいろな方面にお願いしていきたい、こう思っております。
  15. 森山眞弓

    森山委員 いずれにせよ、もうあと一年ですべて準備を整えなければならないというわけで、当事者はさぞ大変でいらっしゃろうと心から同情しているわけでございますし、本当に御苦労を多としたいと思っておりますが、また逆に、むきになって百点満点をとろうと余り思い過ぎるのもどうかなという気がいたします。そういう必要はむしろないのではないか。いろいろなやるべきことが山のようにあるでしょうけれども、その中で、最小限絶対にこれは必要というものと、さらに効果を上げるためにはできればこうした方がいいというものと、もう少しいろいろなランクがあるかもしれません。ないよりはあった方がいいという程度のもの、いろいろあると思いますが、そのような区分をして、そしてめり張りをつけて、アジアで行われるという七年に一遍のサミット機会を生かして、日本らしい、そして沖縄なればこそというサミットが、順調に和やかにまた成果を上げて行われるように心から御成功を祈りたいと思います。ありがとうございました。
  16. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、藤田幸久君。
  17. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 七月の上旬でございますが、ユーゴスラビアベオグラードマケドニア、それからコソボの内部にも行ってまいりまして、ちょっと順番はずれますが、まずユーゴ情勢コソボについて質問させていただきたいと思います。  岡田克也議員と私と二名でこの三つ地域を訪問いたしまして、私ども民主党といたしまして、マケドニアにボランティアの駐在事務所を設置いたしまして、広い意味でのユーゴでございますけれども、それからコソボ難民避難民に対する支援の事業を始めた次第でございます。そんな関係で、外務省の方にもお世話になって、三つ地域を訪問したわけでございます。  まず、ベオグラードに参りました際に、現地のユーゴ外務大臣のヨバノビッチという方にお目にかかりましたが、そのときに一番私どもショックを受けましたのが、NATOによるユーゴスラビアにおける犯罪白書といったような大変厚い本をいただきました。外務大臣、こういうのをごらんになったことはございますでしょうか。
  18. 高村正彦

    高村国務大臣 不勉強で見たことはありません。
  19. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 であれば、ぜひごらんいただきたいと思うのですが、実は、空爆において被害に遭った方々の例えば首が飛んだ写真がそのまま出ております。それから、焼けただれた死体の顔とか、それから衣服がはがれてもう死体になって、広島の原爆の被害に遭われたような焼け焦がれた死体とか、そっくりそのまま出ております。子供の死体の顔の写真まで出ております。たくさんの写真が出ておりまして、中国大使館を初めといたしますいろいろな建物の破壊状況も出ております。  一国の外務大臣が、私どものような外国の議員に対してこんなものを直接渡して、これだけ空爆による被害がひどいんだ、いかに我々が被害者であるか。それから、誤爆ということを言いたいんだろうと思いますが、避難をしている最中の一般の住民のところに空爆が行われた、そういう被害の状況もたくさん出ております。先日、在日のユーゴ大使にお会いしましたら、これを二百部ほど近々に取り寄せて、日本国内においても配りたいというような話をしておりました。それは、もちろん政治的な意図のある写真等であると思います。  ただ、こういう空爆の状況を直接外務大臣からお聞きをし、それから現地のさまざまな日本人の方あるいは外国人の方にお伺いいたしましても、いわゆる空爆によって今回のいろいろな長年の歴史的な問題、民族間の問題も含めまして解決しようということを行おうとした手段に対する問題点、それから国際法上の問題、つまり、国連憲章に基づく国連決議がないというようなことについて、ここまで相当被害が多かったということについて、これはユーゴ以外の隣接国でもそういったお話を伺ったわけでございますけれども、そういう空爆そのものの今回の出来事に対する評価について、大臣、どういうふうにお考えになっているか、まずお聞きをしたいと思います。
  20. 高村正彦

    高村国務大臣 ユーゴにおけるNATOの軍事行動は、国際社会による政治解決のための粘り強い外交努力にもかかわらず、ユーゴ政府がこれをかたくなに拒否し、他方でコソボにおいてユーゴ軍及び治安部隊によるアルバニア系住民に対する攻撃が続く中で、さらなる人道上の惨劇を食いとめるため、やむを得ざる措置としてとられたものであったと理解しているわけでございます。  空爆は七十九日間に及びましたが、その間、G8が結束し粘り強い外交努力を続けた結果、ようやく和平にこぎつけることができました。現在、コソボにおいては、NATOを中心とする国際安全保障部隊が展開し、また、国連コソボ・ミッションが民生面での和平履行のための活動を開始しております。  周辺国に流出していた約八十万人の難民のうち、既に七十万人近くが帰還をしております。我が国としては、このような和平履行において、復興及び難民帰還に対する財政支援、国連コソボ・ミッションに対する人的貢献を行っていく考えでございます。  空爆に対する評価は、重ねて申し上げますが、やむを得ざる措置としてとられたものであったと理解しているということでございます。
  21. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 一方、私どもコソボの中にも丸一日入ってまいりました。コソボに入ることについては外務省の方から、非常に危険な地域なのでむしろ遠慮した方がいいのではないかというようなお話もございましたけれども、実際に日本の約四つのNGOの方々、若い女性も含めまして駐在をしております。そういう方々協力を得まして、私どもコソボの中に入ってまいりました。三つの都市を訪問してまいりました。  先ほど申しましたように、ベオグラードでこれだけ非常にどぎつい写真を見せられた一方で、ちょうどコソボのペチという、一番セルビア側とアルバニア側で戦いが激しかった地域に参りまして、ちょうど私どもが参りました日に、新たに見つかったいわゆる民族浄化の虐殺現場に出くわすことができまして、約五十名の方々がそこで二月に殺害をされたと言われております。そこに埋められた白骨の死体と同時に、地上にも白骨死体そのものが散乱しておりまして、ちょうどイタリアの司令官とともにその白骨死体等を見ることができたわけです。両方の国、マケドニアも含めまして行ってまいりまして、セルビア人、アルバニア人を問わず、やはり一般人は被害者であるということは、これは同一であるという意を非常に強くしたわけでございます。  それから、ベオグラードで会ったセルビア人の難民がおりまして、クロアチアの戦争でコソボに追われ、今度はコソボの戦争でコソボからベオグラードに逃げてきた。二回難民になっているわけですが、聞くところによると、十年間のユーゴ全体における戦闘等で三回、四回と逃げたセルビア人の難民もいるというふうに聞いております。  アナン国連事務総長の方も、セルビア人自身も指導者による犠牲者であって、二度も罰せられるべきでないというような発言新聞等で読んでおりますけれども、そういった意味で、日本の方は人道援助としてセルビアの難民についても支援を明らかにしているということは私は評価をしたいと思いますが、その延長上といいますか、人道援助のみならず、やはりユーゴそのものに対するいろいろな援助を並行してやっていくことが、バルカン地域全体の復興に関して必要ではないか。つまり、一方でこれだけ被害者だとユーゴ側が言っている、一方でやはりコソボに行ってみますと、ユーゴといいますかセルビアにやられた民族浄化の現場がどんどん出てきている。両方であおっているというような感じがあるわけです。  したがいまして、やはり、まず人道援助に関しては両方すると同時に、ユーゴもしっかりこの復興のプロセスにインゲージしていくことが必要ではないかと思いますが、そういう点について、大臣、今後の復興についてどういうふうにお考えか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  22. 高村正彦

    高村国務大臣 今委員も御指摘になったように、日本政府とすれば、人種の差を問わず、難民に対する支援というのは従来からもやってきておりますし、これからもやっていきたい、こういうふうに考えているわけであります。どういう民族であっても、人道上の援助はするということであります。  それで、復興援助でありますが、ユーゴの中でも、例えばモンテネグロみたいなところにつきましては支援をしたい、こういうことを考えておりますが、いわゆるセルビア共和国につきましては、セルビア共和国の民主化の進展を見ながら対応考えていきたい、こういうふうに思っております。
  23. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 民主化の進展ということに関しましては、私どももドラシュコビッチという野党第一党セルビア復興運動の代表にもお目にかかりましたが、セルビア復興運動のドラシュコビッチそれから民主党のジンジッチ、野党の方がどうもまとまりがないということで、残念な気もするわけです。ところが、最近、ドラシュコビッチ党首の発言の中で、場合によっては、ミロシェビッチ大統領の免責を認めるかわりに退陣を認めさせるというような妥協案も出ているようでございます。  ある意味では、このミロシェビッチの退陣ということが戦後の復興に当たって、とにかくミロシェビッチを退陣させて復興させるということ、そして安定をもたらすということ、そうでなければ、やはり、先ほどの写真の話じゃありませんけれども、憎しみと憎しみが今後も長年続いていってしまう。これは相当大変なことが続きそうな感じもしたわけですけれども、ある意味では現実的な方策ではないかという気もいたします。  そのミロシェビッチの免責と退陣という妥協案ですけれども、そういった案については大臣はどうお考えになりますでしょうか。
  24. 高村正彦

    高村国務大臣 国連決議を受けてつくられた刑事法廷に起訴されている。その国連決議自体は政治的なものでありますが、既に独立した機関で司法の問題になっているということで、いろいろ難しい面がある。その司法の問題について、我々は尊重しないわけにはいかないということが一つある。  ただ、我々、未来志向でいろいろなことが考えられるかな、こういうふうな感じはしておりますが、政治的にこっちの方がいいからということで司法の問題についてどこまで踏み込めるかなという問題は指摘しておかざるを得ない、こういうふうに思っております。
  25. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ということは、少なくてもミロシェビッチのいわゆる弾劾というものが、戦後のユーゴに対する、あるいはユーゴを含めた地域の復興に対する支援の条件には必ずしもならないというふうに受けとめてよろしいでしょうか。一言お答えいただきたいと思います。
  26. 高村正彦

    高村国務大臣 日本日本で独自で判断をいたしますが、やはり国際社会がどう考えるかということも一つの大きな検討材料になるわけです。  そして、ユーゴ全体の復興を考える場合に、ユーゴ全体といいますか、例えばコソボの復興の場合でも、全くセルビア共和国の復興を考えないで本当にできるのかなという感じは持たないわけではないわけでありまして、そういうことについては、ドイツのフィッシャー外相ともいろいろ意見交換をいたしました。ドイツのフィッシャー外相がそのとき言っていたのは、少なくとも現時点において、ヨーロッパの政府ユーゴ、セルビア共和国の復興支援をしたいと言っても、それを認める議会は一つもありませんよというのが、少なくとも私がフィッシャー外相と話したときの感じでありました。  いろいろなことがありますので、そういった国際社会の見方も見ながら、日本日本として、どういう支援をしていくのがいいのかな、現時点では人道支援ということに限ってセルビア共和国に対してもしようというわけでありますが、これから、いろいろ事態の進展を見ながら考えていきたい、こう思っております。
  27. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 それでは、その関連もありまして、私、今まで何回か質問しております、いわゆる赤十字条約について質問したいと思います。  と申しますのは、今度の八月十二日が、一九四九年に採択されたジュネーブ四条約の五十周年になります。それから、つい先日も、昨年タジキスタンで殺害をされた国連政務官の秋野さんの一周忌がございました。つまり、国連PKOの犠牲を含む、いわばジュネーブ条約で禁止されている文民に対する行為に日本人が巻き込まれるケースがふえているということがあるわけです。  それから、今なぜユーゴコソボ質問を先に順番を繰り上げて申し上げたかといいますと、まさに先ほど外務大臣がおっしゃった司法の問題というのがあるわけです。そういう司法の問題を裏づける意味でも、このジュネーブ条約というのは非常に重要である。  何回も申し上げてきておりますが、一九七七年にできました追加議定書、第一議定書は百八十八カ国が加入をして、第二議定書は百四十四カ国が加入をし、私も外務委員会で何回か質問するたびに、例えばアメリカも入っていないというような話もございましたが、アメリカは第二議定書に加入をするという意思を表明している。それから、イギリスも加入をした。  まず、前回、五月に大臣に質問したところ、大臣の方で、私自身の見識が進んでいない、勉強してみたい、いろいろな省庁の考えもあるけれども、まず外務省の中で検討を進めたいというお話がございました。その後、外務省の方で、もう二十二年目になりますし、それから、最近の外務委員会でのやりとりもありますけれども、それから、アメリカ、イギリス等を含めた動きがあるわけですが、日本の、外務省の中でどういう進展があるのか、大臣、お聞かせいただきたいと思います。
  28. 上田秀明

    ○上田政府委員 お答えいたします。  これもかつての委員会で御答弁申し上げたところでございますけれども、有識者の方々からこの問題に関する意見をお願いして、お答え申し上げた当時では全員の方からまだいただいていないというようなことを申し上げましたが、現時点で全員の方から御意見もいただきましたので、そういうものも踏まえまして、ただいま省内でいろいろな角度からさらに検討を進めておるところでございます。  また、御案内のように、日本赤十字社の方におかれましても普及活動とともに研究もしておられますので、ことしの春に日赤の方でつくられました国内委員会に、外務省の方からも課長レベルでございますけれども参加をさせていただいて、そこでの研究もまた外務省の方で参考にさせていただくというようなことで検討を進めているところでございます。
  29. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ただ、赤十字条約において国内における普及義務という義務があるわけで、義務は赤十字に課されているのじゃなくて、日本政府に課されているのじゃないですか。
  30. 上田秀明

    ○上田政府委員 御指摘のとおり、ジュネーブ条約におきまして、自国民、住民に知らせるようなことを行うということがうたわれております。政府自身では、防衛庁の方で自衛隊員に対する教育が行われております。それから、今、日本のその他の一般的な啓発活動は日本赤十字社が主として行っておられますけれども、私どももそれに後援とか協賛とかいうような形で御協力しながら加わっているというのが現状でございます。
  31. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ですから、国が義務を負っているわけで、赤十字にやらせて、それの後援とか協賛では国が義務を果たしていることにならないわけです。  それから、前回も自衛隊に対する教育ということがありましたが、赤十字条約の一番大きな目的は文民の保護です。タジキスタンの秋野さんのお話を申し上げたのも、PKOでの被害を申し上げたのも、文民です。自衛隊員、赤十字社の社員ではない。したがって、文民に対する教育普及活動をしていなければ、まして外務省後援、協賛じゃなくて、外務省が主催でしていなければ意味がない。そういう義務をこのジュネーブ条約は持っているということを言っているわけです。ということは、義務を履行していないことになりませんか。
  32. 上田秀明

    ○上田政府委員 御指摘のような側面もあるかと思いますけれども、この問題自体、かねてからいろいろな角度から国会でも議論になっておりますし、日本においては、ジュネーブ条約に加入以来、平時においては必要なしということで、いろいろな国内的な措置について検討がされておりますけれども、必ずしも十分整備がされていないというような状況にもございますので、なかなか難しい側面もございますけれども、私どもとしては、いろいろな形で、広報といいますか啓発活動も行っていかなければならないというふうに考えております。
  33. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 平時には必要ないと言いますが、そうしますと、例えば、タジキスタンで秋野さんが殺害をされたというのは平時と考えるのか、平時でないと考えるのかというのが一つ。  それから、先ほどコソボのお話をしましたが、コソボ日本のNGOが数団体行っております。外務省の方で非常に危ないという話で、遠慮するようにという話もありましたが、私ども行ってまいりましたけれども、一方で、コソボに対して文民警察官は派遣しないという方針を決めている。ということは、非常に危ない、したがって文民警察は派遣しない、だけれども一方でNGOが行っている。もしNGOの人に何かあって、これは想像してはいけないのかもしれませんけれども、例えば秋野さんのような形が起こった場合に、日本は、この義務化をされている赤十字条約に対する、つまり普及義務も怠っておったと。ということは、日本政府としてしかるべき対応をしていなかったことになりませんか。これは五十年前からのジュネーブ条約であり、議定書は二十二年前からのことなのです。その普及活動は主に赤十字がやっている、それでは条約上の義務を日本政府として果たしていないということになるのじゃないですか。
  34. 上田秀明

    ○上田政府委員 このジュネーブ人道条約は日本も加入しているわけでございますし、ほとんどの国が加入をしておるということで、いわば万国に共通のルールといいますか、そういうことになっていると思います。  したがいまして、追加議定書の方について日本は加入をしていないわけでございますけれども、本条約と申しますか、ジュネーブ条約そのものには加入をして、世界的なそういったルールの中にあるわけでございますので、仮に日本の方がどこか日本以外の地点でそういうような目に遭われたといたしましても、その当該国あるいは当該地域でのジュネーブ条約のカバレッジという点については余り問題がないのではないかと考えております。
  35. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ですから、普及義務を果たしていないわけですよね、日本政府として。どうですか。
  36. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のジュネーブ条約上の義務ということで先生がおっしゃっておられますのは、この条約の第百四十四条におきまして、「締約国は、この条約の原則を自国のすべての住民に知らせるため、平時であると戦時であるとを問わず、自国においてこの条約の本文をできる限り普及させること、特に、軍事教育及びできれば非軍事教育の課目中にこの条約の研究を含ませることを約束する。」というこの規定に関しての御質問というふうに理解しております。  そこで、国がこの第百四十四条に基づきましてどこまで行為することが義務づけられているかということにつきましては、少なくとも、「特に、軍事教育及びできれば非軍事教育の課目中にこの条約の研究を含ませること」はやらねばならない、これははっきり書かれているということでございまして、我が国防衛庁においてもこのように対処されているというふうに承知しております。  他方、前段の方におきます、「この条約の原則を自国のすべての住民に知らせるため、」「自国においてこの条約の本文をできる限り普及させること、」この実施をどこまでやるかということにつきましては、この条約の実施の過程におきまして、各国においてそのやり方は個々ゆだねられているというふうに承知しております。したがいまして、例えば赤十字社の方においてそのようなことが十分行われている場合、日本国全体としてこの条約の趣旨が実施されていることもあり得るというふうに考えられます。  もちろん、このことは、日本政府としてやらねばならない部分がある場合に、きちっとやるという義務を排除するという趣旨では全くございませんが、全体としては今申し上げたように解すべきではないかと考えます。
  37. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 平時、有事にかかわらずという今の発言と、先ほどの平時においては必要ないという上田部長の答弁と、矛盾があるという点が一つ。それから二つ目は、じゃ、今の東郷局長の御答弁ですと、とにかく具体的なことが起こった場合に、主に赤十字がやっていたのでそれでカバーができたんだということでは、答えにならないと思うのですね。  大臣、お聞きになっておられたように、見識が進んでいないという前回の御答弁でございましたけれども、今の答弁では日本政府が義務を果たしているということは非常に説得力にならないと思いますので、いつまでも引き延ばしをせずに、八月十二日がジュネーブ条約の五十周年ということもございますので、秋野さんが亡くなったときには小渕総理が北海道まで飛んでいかれたというようなこと、そこまで一方でやっておられながら基本的なことが不備であるわけですから、ぜひ対処をしていただきたいと思います。  時間がございませんので、一つ北朝鮮のことについてお伺いをしたいと思います。  十七日だろうと思いますが、外務大臣が山口市における記者会見で、もしテポドンが打ち上げされれば打ち上げをすることが損だということを具体的に示すとおっしゃっておられますけれども、具体的に示すということは、どんなことを具体的にお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
  38. 高村正彦

    高村国務大臣 私、山口市で記者会見をやったという事実はありませんが、恐らく講演で話したことだろう、こう思います。  東京でも記者会見あるいは衆参の委員会でたびたび述べさせていただいているわけでありますが、現時点で我々がとる具体的措置を明らかにすることは差し控えたい、ただし、現実に発射が差し迫ったというようなことが察知できれば、私たちは察知できると思っていますが、その時点で具体的な点も含めて強い警告を北朝鮮に与えたい、それは、日本だけでなくて、アメリカ、韓国もそのようにするであろうというふうに私は思っている、こういうことを、山口だけでなくていろいろなところで、ほとんど同じ表現で申し上げているところでございます。
  39. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 一言。ということは、日米同盟の同盟国である日本に対するそういう発射があった場合には、やはり同盟国であるアメリカに対して撃たれたというような同じ扱いの認識に基づいた一種の軍事的なメッセージを発信するということも、その具体的な対応策に入りますでしょうか。
  40. 高村正彦

    高村国務大臣 アメリカがどういう警告をするかということは、少なくとも現時点で日本対応措置についても具体的なことを申し上げないと言っている私が、アメリカはこういうことをするでしょうなどということを申し上げる立場に到底ない……(藤田(幸)委員「いや、同盟国としての日本」と呼ぶ)このことは、必ずしも日米同盟ということとそう密接な関係があるとも思いません。当然、同盟国ということは一つ要素でありますが、例えば韓国、必ずしも同盟国というわけではない、友好国ではありますが、そういった国も、日米韓ということが中心になって、それぞれの国が警告を発する、こういうことだと思っております。  必ずしも、日本列島の上を飛び越えたから日本だけが何か被害を受けたという話ではなくて、ミサイルの開発、発射、このことは北東アジア全体あるいはグローバルな意味での安全保障に対する大きな問題だ、そういう観点から、アメリカはアメリカで、韓国韓国で、日本日本で、相互に協力をしながら警告を与えていく、こういうことでございます。
  41. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ありがとうございました。
  42. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、川内博史君。
  43. 川内博史

    ○川内委員 民主党の川内でございます。  本日もまたお時間をいただきまして、大臣に質問をさせていただける幸せをかみしめながら質問をさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いを申し上げます。  本日、国際情勢に関する件、どんなテーマでもいいですよということでございましたので、私がかねてより取り組んでおりますカリブ海に浮かぶドミニカ共和国に対する日本人の移民の皆さん方の抱えていらっしゃる問題について、この問題に関しては、大臣もみずから移民の方々にお会いになられ、またかねてより大変な御努力をいただいておるわけでございまして、大臣もよくよく御承知おきであるということは私もよくよく存じ上げておりますので、この問題に関してお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  まず、せんだっての委員会で、ドミニカ政府が移民の方たちに過去に約束した土地の不足分を提供したいということでモンテ・プラータ州というところにあるラ・ルイーサという地区の土地を譲渡したいという、この土地に関する調査報告書をいただきました。そしてまた、それに続いて、私が持っている資料の中で不足をしていたいわゆるドミニカ政府から日本政府に対してあてられた外交文書、メルカード書簡と呼ばれておりますが、このメルカード書簡の三二二六号、一九五六年三月二十七日付のドミニカ農業大臣ルイス・メルカードから吉田賢吉日本国公使にあてた書簡でございますが、これを公開してくださいとお願いをしておりました。この文書の公開もしていただきました。最近の外務省さんの情報公開に関する前向きな姿勢に感謝と敬意を、まずヨイショという感じで申し上げたいというふうに思うわけでございます。  ここで具体的な質問に入るわけでございますが、私なりにずっと、昭和三十年から三十一年、三十二年にまたがる外交文書、これは当時ドミニカ政府日本政府が入植条件のやりとりをしているわけでございますが、そういう外交文書や、また日本国内における当時のドミニカ共和国に対する移民の募集の記事、あるいはその募集の記事等についている外務省のお役人さんたちのコメント、あるいは当時のドミニカ共和国に対する現地調査の結果等の資料をずっと拝見させていただいて、総合いたしますと、私がかねてから申し上げているように、ドミニカ政府、特に当時のトルヒーリョ大統領という方と日本政府との間で進められたこの移民プロジェクトには、どうしてもやはり日本政府として若干の勇み足があったのではないかというのが率直な印象でございます。  この問題に関しては先日も、きょうは何か山口県デーなのかもしれないですけれども、やはり山口の放送局がテレビでこのドミニカ日本人移民の問題を取り上げておりまして、大臣はごらんになったかどうかわかりませんけれども、私はビデオに撮って持っておりますので、もしごらんになりたいということであれば後でお届けをしたいというふうに思います。  このテレビ番組で、日本人移民の方たちの中で、今日でも、このぐらいの、体を折り曲げて入るぐらいの金だらいで、それがおふろだというような感じで、土間に金だらいを置いて体を洗うというような生活が続いているという状況も報告をされておりまして、大臣も御答弁の中で、お気の毒なことだというふうに御答弁をしていただいたことがあるわけでございますが、本当にお気の毒な生活が続いているんだな、そういうテレビ番組が、山口放送がつくったテレビ番組でございました。  外務大臣には、これまでもこの問題に関してさまざまな観点からお伺いをしております。総合的に、ドミニカ問題について、大臣の御見解というものあるいは認識というものを改めてまた、しつこいようですがお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
  44. 高村正彦

    高村国務大臣 政府といたしましては、外務省設置法第四条十五号に基づく海外移住のあっせんの一環として、移住者がドミニカ共和国へ移住する際の募集要項に記載する情報について、当時ドミニカ共和国から提供された情報や調査により得た情報に基づいてこれを提供したわけであります。  しかし、移住当初において想定していなかったような問題が生じたことは、これは遺憾ながら事実でありまして、結果として移住者の方々は大変苦労されたという認識は強く持っております。  日本政府といたしましては、このような状況を踏まえて、昭和三十六年閣議決定を行い、移住者の希望に即して帰国等への援護措置を講ずることで一応区切りをつけたと考えているわけであります。  ただ、残念ながら、まさに一応にしかならなかったというわけで、このような措置をとった後も、ドミニカ共和国に残られた移住者の方々に私は直接お会いをし、お話を聞きましたが、大変御苦労されてお気の毒だということは、今委員もおっしゃったようないろいろな状況があるわけであります。外務省としてできるだけの措置をとるよう、当時私はまだ政務次官でありましたが、私なりに指示をさせていただきました。  今後も、移住者の方々の具体的要望を踏まえながら、できる限りの支援を続けていきたいと考えております。  ドミニカ共和国政府は、昨年、フェルナンデス大統領の英断によって、日本移住者の移住の経緯及び日本とドミニカ共和国との間の友好関係を踏まえて、日本移住者に対する誠意のあかしとして土地の無償譲渡措置を決定したわけでありまして、日本政府としては、今後できる限りの支援を行っていく、ドミニカ政府の誠意がきっちりした形で実現するように、そして、その上で移住者の方たちが安心した暮らしができるように、できる限りの支援を行っていくつもりでございます。
  45. 川内博史

    ○川内委員 今大臣から大変力強く、そしてまた移民の方たちには、できる限りの支援を行っていくという大臣の御答弁を聞いたら、本当に喜んでいただけるだろうというふうに思うわけでございます。  大臣から御答弁があったように、当初の移住のあっせんということに関して、ドミニカ共和国から得た情報を提供した、しかし、その後の状況の変化、あるいはドミニカ共和国が約束をした条件というものと、現地に行かれた移民の皆さん方が実際に提供を受けたサービスというか、土地あるいは優遇措置等との間にそごがあり、今日、こういう長い長い四十年にわたる問題になっているというわけでございます。  外務省としてもあるいは大臣としても、外務省としては、移住のあっせんをしたんだが、こんな結果になってしまったことは本当にお気の毒だ、何とかしたいというお気持ちの中で外交努力をしていただき、ドミニカ共和国から土地の提供をしたいという申し出を受けるに至ったわけでございます。  そこで、ドミニカ共和国側が提供する、無償譲渡するという申し出のあったラ・ルイーサの土地に関してでございますけれども、先日、先ほども申し上げましたけれども、大臣からこの土地の調査報告書をいただいたわけでございます。この報告書に関して、大臣の御見解、このラ・ルイーサの土地というのは、私も読ませていただきましたけれども、外務委員会委員の皆様方はまだ恐らく目を通していただいていないと思いますので、こんな土地だぞというようなことを大臣の方から御見解をいただければというふうに思います。
  46. 高村正彦

    高村国務大臣 この調査報告書でありますが、米州開銀等も委託を行っている、ドミニカ国内で権威ある機関JAD社に委託して調査したものであり、既に移住者の方々にも送付してあるわけでありますが、ぜひ移住者の方たちもよく読んで吟味していただきたいと希望しております。  移住者の方々の間に種々御懸念の声があるということは私も承知をしております。今後、農地庁の説明会等を通じて、土地にかかわる客観的状況についての御理解が深まることを望んでおります。  ドミニカ政府は、四月三十日付口上書で、次の諸点を日本政府に正式に通報してきているわけであります。  まず第一に、ドミニカ政府がラ・ルイーサ地区の一万二千六百十八タレアの土地を無償で日系移住者七十二世帯に譲渡する。二番目が、日系移住者から受領意思が表明され次第、速やかに仮地権を交付し、仮地権の交付後六カ月以内に完全な地権を交付する。三番目が、仮地権交付後一年間は、不法侵入の防止等、ドミニカ政府が土地の管理にかかわる責任を持つ。それから四番目が、譲渡した土地の所有権及び売却処分する権利を保護する。  調査報告書の中に幾つかの勧告がなされておりますが、移住者の方々の希望及びドミニカ政府からの要請も踏まえて、この地域経済社会インフラ整備のための協力など、日本政府としてできる限り努力をする用意がある、こういうことでございますので、ぜひ移住者の方に御理解いただきたいと思いますし、今まで移住者の方々のために親身になってこられた委員にもぜひ御理解いただくように御協力をお願いしたいと思います。
  47. 川内博史

    ○川内委員 大臣から今、ドミニカ政府から要請があれば、この地区に対して協力政府としてもやっていきたいというありがたい決意をいただいたわけでございますけれども、大臣の御答弁の中にもありましたように、移住者の方々の中にも種々の御懸念があることは承知をしているがという御答弁がございましたが、そういう移住者の中の種々の懸念等含めて、この調査報告書の中の克服すべき課題、問題点等があれば、ぜひ、事務方の方からで結構ですから、もう少し詳しく御説明をいただければというふうに思います。
  48. 今井正

    ○今井説明員 お答え申し上げます。  このJAD社の報告書は、多岐にわたるいろいろな項目について調査の結果を記載しておりますが、例えば、当該地区、この地区は雨量が多いこと、それから地下水がかんがい用水として非常によい水質を持っていること、首都サントドミンゴ市に非常に近いこともあって、近い将来市街化が進み、地価が大きく値上がりすることも考えられること、それから、地域住民が日本人の定着を歓迎すると思われること等を記載しておりますけれども、同時に、先生のおっしゃるとおり、克服すべき課題についても記載しておりまして、幾つかの勧告を行っております。その中には、排水溝の改修とか有機物質を使用した土壌の改善とか、小規模栽培を行っている六件の不法占拠者の立ち退きの問題とか、総合的病害虫防止プログラムの実施とか、それから、当該土地の周囲に囲いを設置するとか、その他またいろいろな課題を列挙しまして、勧告をしております。
  49. 川内博史

    ○川内委員 そういういろいろな課題を今簡単に今井部長の方から御報告をいただいたわけでございますが、そういういろいろな問題点があるからなのか、あるいはもっとほかに理由があるのか。大臣も当然もう御報告を受けていらっしゃると思うのですけれども、このラ・ルイーサの土地をせっかくドミニカ政府が無償で譲渡しますよとお申し出をいただいているにもかかわらず、ドミニカにいらっしゃる日本人移民の方々、六十三家族中五十五家族の方々が、ラ・ルイーサ地区の土地は受け取れないという旨の署名捺印をしているという、私のところにもその知らせが来たわけでございます。なぜせっかくの、政府も一生懸命努力をしていらっしゃるし、私もそれに対して、大臣から先ほどおまえも協力しろというお言葉があったわけですが、私ももちろん協力したいと思っておりますし、協力しているつもりでいるのですが、どうも現地の方々が、反目(はんめ)に出てしまうというか、この土地についても、その土地は受け取れないんだという方々が、大多数の家族がその署名捺印をしてしまうというような状況、この状況について大臣はどうお考えになるかということを最後にちょっと御答弁をいただければというふうに思います。
  50. 高村正彦

    高村国務大臣 本件土地の無償譲渡措置につきましては、ドミニカ共和国政府の移住者に対する誠意あふれる措置であると私は思っているわけであります。また、移住者の中には土地の性状について疑問を持っておられる方がおられ、また、果たして地権が取得できるのかどうか、土地受領後、土地なし農民が侵入してくるのではないか、そういった懸念を持っている移住者がおられることは承知をしております。これらの点について、既に御説明したとおり、第三者機関に委託して土地調査報告書を作成してもらい、関係移住者の方々にお配りしております。また、地権の問題等につきドミニカ政府がとるべき措置を明記した口上書を先ほど御紹介したように同政府から受領しているわけであります。  いずれにいたしましても、先ほど申しましたとおり、昭和三十六年当時残られることとされた移住者の方々に対しても、直接お話を聞いて、大変御苦労された、お気の毒だとは思っておりますし、外務省としてもできるだけの措置をとるよう私から指示したところでありますし、そういう中で、我が外務省としてもいろいろ努力をしているわけであります。今後も、移住者の方々の具体的要望を踏まえながら、できる限りの支援を続けたいと考えております。  非常に長い間、非常に苦しい状況の中で、日本政府に対して、あるいはドミニカ政府に対して、両方含めて非常に大きな不信感を持っておられる。ドミニカ政府あるいは日本政府がいろいろ努力してドミニカ政府にとっていただいた措置というのは、今とり得る最大のことだと。私は客観的に見ればそうだと思いますが、今まで長い間いろいろなことがあった中で、その不信感を持っておられる方にはなかなかすぐに理解していただけない。外務省としても、これを理解していただけるように今後とも努力をしていきたい、こう思っております。重ねて委員の御協力もお願いいたします。
  51. 川内博史

    ○川内委員 大臣、本当にこの問題に関してかねてより御努力をいただきまして、ありがとうございます。お礼を申し上げたいと思います。まさしく、またことしの夏も、大臣、ドミニカからこの移民の方たちが日本に何人か多分いらっしゃると思いますので、またそのときには大臣として温かい言葉をおかけいただければ、それで彼らの気持ちも晴れるのではないかなというふうに思いますので、そのときはよろしくお願いをしたいと思います。  きのう国旗・国歌法案が国会を通過いたしまして、日本国というか、国を愛する、あるいは国を思うとは具体的にはどんなことなんだろうと私もきのう採決の堂々めぐりを見ながらつらつら考えていたのです。日本に生活していると、日本国とかあるいは日本政府とか日本政治とか行政とか、それほど、そう強く意識することはもしかしたらないのかもしれないですけれども、遠くにいればいるほど、遠くで苦労をすればするほど、日本国に対する愛着あるいは政府に対する思いというものが募る。いとしい恋人に会えないつらさみたいなものが募っていくんだろうというふうに思うわけでございまして、そういう彼らの心情を、今の大臣の御答弁をお聞きしていると、よくよく理解をしていただいているんだなということを感じて私も大変心強く思いましたので、また、ことしの夏、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  あと、私の質疑が残り少なくなりましたので、次の話題に移らせていただきます。  先ほどの民主党の同僚議員である藤田議員も民主党の視察団としてコソボへ行ったわけでございますが、私も実は、私は民主党の視察団に入れていただけるほど優秀じゃなくて、一人で勝手に行って、後で怒られたりしたんですけれども、ちょうど六月九日の停戦合意が成立した日にベオグラードにおりまして、ユーゴマケドニアそれからコソボと、コソボに入ったのは六月十二日でしたか、ドイツ人の記者さんが二人射殺をされたとかいうニュースが流れているちょうどその日で、本当に怖い思いを、物理的に怖くはなく、精神的に、地雷がどこに埋まっているんだろうとか、狙撃されたらどうしようとか、そんなことを思いながらコソボを見て回ったんです。  もう時間もないですから、全体の印象ですけれども、それで大臣の答弁をいただきたいんです。  先ほど藤田議員も申し上げたように、民族と民族との争いというのは、どっちがいいとか悪いとか白黒つけるのは全然、私ははっきり言って間違いだと思っていて、どっちもどっちだ。どっちもどっちだけれども、結局被害を受けるのは一般の市民の皆さん方であることは間違いないわけです。  私がお会いしたユーゴスラビアのモレナさんという難民担当の女性の大臣ですけれども、セルビア人ですが、このモレナさんの御主人はアルバニア人です。セルビア人とアルバニア人で結婚をしていらっしゃるという例もベオグラードにおいては少なくともたくさんある。だから、仲よくできないわけはないんだけれども、なぜか地域によってはいがみ合い、憎しみ合い、それが殺し合いにまで発展するという何か人間の複雑さというのを感じるわけでございます。  そこで、日本ができること、罪のない難民の皆さんに対する人道支援というものはもちろんだというふうに思うわけでございますが、私は人道支援だけで民族紛争がおさまるとはとてもと現地に行った感想で思っておりまして、やはりバルカン半島全体の政治的な安定を果たしていくためには、政治的安定というのはすべからく経済的な安定ということの裏返しだというふうに思うわけでございまして、先ほど同僚の藤田議員も申し上げたように、人道支援だけではなく、ユーゴ経済復興のための支援というものも当然すべきだというふうに思うんですね。  それはユーゴの民主化が前提だという西欧の偉い政治家の方々がおっしゃることもよくわかるんですけれども、しかしミロシェビッチさんにしても選挙で選ばれた大統領でありますし、民主的な大統領であるというふうに私は思いますね。  ユーゴスラビアの、あるいはセルビアの皆さん方がだれを大統領に選ぶか、だれを首相に選ぶかというのは、彼らが選挙によって選べばいいことでしょうし、次々に選挙はやってくるわけですから、それは一人一人のユーゴスラビア並びにセルビアの皆さん方にお任せをするとして、それはさておいて、経済復興支援に日本が率先して役割を果たすということが私は必要なのじゃないかというふうに思うんですけれども、先ほども御答弁をされたわけですが、もう一度大臣の御答弁をいただければというふうに思います。
  52. 高村正彦

    高村国務大臣 コソボ及びモンテネグロを除くユーゴに対する支援についてでありますが、これはG8等において議論されてきているわけであります。これまでのおおむね一致した意見は、ユーゴに対しては人道支援は行うが、それを超える復興支援については今後のユーゴの民主化に応じて検討をするというものでございます。ユーゴの民主化の状況を見つつ、検討をしていく考えでございます。
  53. 川内博史

    ○川内委員 終わります。ありがとうございました。
  54. 中馬弘毅

    中馬委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時六分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十七分開議
  55. 中馬弘毅

    中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山中あき子君。
  56. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 山中あき子でございます。  きょうは、アジアの状況について気になることが幾つかありますので、一般質疑でございますので、それについてさせていただこうと思います。  まず、本日から、第四回の核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラムが開催されるということで、これは私ども外務委員会のときに、インド、パキスタンの核実験の後、どういうことを日本としてやるべきかといういろいろな発言が、六月一日の委員会で、一人十分ずつというようなことであった中の、そういうことの中の一つの大きなあらわれかなというふうに大変期待しているわけでございます。  その経過の中で、例えば幾つかの決議案に盛り込まれそうなものが発表されておりますけれども、例えば、米ロによる新たな包括的な軍縮交渉を促すために、その中で、戦略核の弾頭を千発まで削減する、こういうことで、中国とかフランスとかあるいは英国、そういったところをそのプロセスに参画させるというような点ですとか、また、中国に対して、核兵器の配備を増強しないという意味で、透明性を高めてもらうというような要請、あるいは、朝鮮半島に関しまして、北朝鮮の核ミサイル、そういったものの関連の活動を停止するように求めるとか、また、もう一つの私どもの懸念材料でありますロシアにおける核分裂性物質の管理の強化、そういったものが盛り込まれておりますし、ジュネーブ軍縮会議の再活性化というようなことも盛られておりますこの十五項目が、本当にいい形で合意ができるのかどうか、その見通しをまず担当者の方にお伺いしたいと思います。
  57. 阿部信泰

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  きょうから、東京フォーラム、核軍縮と核不拡散に関するフォーラムが始まっておりまして、そこで討議される内容につきまして、今先生がおっしゃいましたような幾つかの項目が議論されております。  ただ、ちょうどまさに議論が始まったところでございまして、これからまたいろいろな議論が出て、日曜日に結論がまとめられますので、それまでの段階でできるだけ、参加者とも、世界の核軍縮・不拡散を一段と強化したいという念願ですので、そのような方向で、内容のある意欲的な報告がまとまるということを期待しております。
  58. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 先ほど申し上げたようなことは、大変期待されるけれども、また逆に言えば、現実に当事者も出席しているということであれば合意が難しいのではないかということも考えられるわけですが、ぜひ、日本のイニシアチブで、こういった方向で、方向性が違う形にならないでまとめていただきたいというふうに期待を申し上げております。  そして、それがもしまとまった場合は、これをどういう形で活用する予定になっていますでしょうか。
  59. 高村正彦

    高村国務大臣 東京フォーラムの報告書でありますが、世界政治指導者、政府関係者及び軍縮関係者等に対し、核不拡散・核軍縮の提言を行うものでありますから、国際的に広く、政府報道機関、大学、研究機関、NGO等に対して提示をしていきたいと考えております。
  60. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 今の大臣の御答弁で、かなり努力をなさる、知ってもらう努力をなさる方向であるということをお聞きして、少しほっといたしましたけれども、いつも日本は、大変いいことをしても、それを十分に知ってもらうという努力がなかなか実らなくて知られていないということがあるわけですので、ぜひそういう形で、しかも、ことしの秋の国連においても、そういった方面でもこれを活用して、ぜひ訴えていただきたいと思うのです。  そういう方面に知らせてそのままですと、それがどういうふうに理解されたのか、その後がわからないわけで、私は、ぜひ一年後に、その渡したところからのいろいろな反応があるのか、あるいは、提案した会議や何かでそれに対してどういうリアクションがあったか、その一年後に関する評価というようなものを、ある意味ではその評価をまとめて、そしてこの委員会にでも報告していただく。この一連のインド、パキスタンの核実験、それに従って日本政府が中心にこういう提言をまとめて、報告書を出して、それをいろいろなところにお知らせして、それに対してどういうような現実的なリアクション、あるいはどういう動きが起こってきたかというような、いわゆる評価というようなものをしてはいかがか、それを外務委員会なりに報告していただけるというようなことをした方がよろしいのではないかというふうに思うのですが、その辺はいかがでいらっしゃいましょうか。
  61. 高村正彦

    高村国務大臣 せっかくすばらしい提言、多分出してもらえるのだろうと思いますので、それをきっちりフォローアップしていきたいと思っていますし、そして、フォローアップした結果は、委員会でも御報告申し上げることはやぶさかでございません。しかるべきときに聞いていただければ、あるいはこちらから積極的に報告することもあり得ると思っています。
  62. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 来年外務委員会におりましたら必ず質問させていただきますけれども、そうではなくてもぜひ御報告いただきたいと思います。  先日、アメリカのもとの上院議員のクランストンさんとお会いしたときに、彼は、ステート・オブ・ザ・ワールド・フォーラムという、核廃絶とか安保の枠組みの構築というようなNGOの国際的な会議を中心的にオーガナイズしている方ですが、私にこのぐらいの小さなプレートをお見せになりまして、これが自分のこの活動の原点だとおっしゃったのです。戦争直後、広島にいらっしゃいまして、そこで入手したというものでしたが、石に彫ってありまして、それには、フォーギブ・アンド・フォーゲットと書いてあったのですね。だから、核のそういういろいろないきさつを許して、そして忘れましょうという広島の人たちの心を読んだときに、自分は、これは忘れられない、このことについて、議員をやめてからもずっとやり続けるのだという決心をしたということでございますので、私は、日本がこういう報告書を発信していくのは大変意義があると思いますので、大臣の今の御答弁、重く受けとめさせていただきます。  それでは、時間が限られておりますのでとんとんと次に進ませていただこうと思いますが、東ティモールのことについて少し質問させていただきたいと思います。  八月下旬にも投票が行われるということになっております。現在の状況ですと、国連東ティモールの支援団というのが有権者の登録を始めたようでございますけれども、必ずしも、残留派と独立派というのが平安なうちにそういう作業を粛々と進めているという状況ではないというふうに報道もされておりますけれども、この投票日が再度延期されるというような可能性もおありなのでしょうか。その辺の見通しはどういうふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  63. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国国際平和協力法に基づき国際連合平和維持活動などに参加するに当たりましては、従来より、いわゆる五原則を満たしているかどうかに加えて、憲法、国際平和協力法の範囲内で行われるべきこと、国内の支持を受けるものであり、また国際社会からも評価されるものであること、現地の事情に合わせて要員の派遣が効果的かつ安全に行われるため万全の支援体制を整え得ること、我が国が適切に対応することが可能な分野であることなどの観点から、現地調査の結果及び国連の意向なども十分踏まえて総合的に判断してきているところでございます。  今般の文民警察官の派遣に当たりましても、ただいま述べました諸点を勘案して、国連側とも協議した結果、要員三名を派遣することとしたものでございます。
  64. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 日本は、ポルトガル、アメリカと同様に約一千万ドル以上の資金を六月一日に拠出しているわけでございますよね。それなのに、東ティモールの、まあこれは一つのグループと言ってしまえばそれまででございますけれども、独立運動指導者のホルタ氏が、日本の貢献というのがもっと大きいのではないかというふうに、その積極的な役割を期待していたのに、非常に失望しているというようなコメントを出していますが、ただいま大臣がおっしゃいましたように要員が三名ということが、もしかして非常にその失望の原因にもなっているのではないかというふうに思うのです。  総勢二百七十名の文民警察官が行って、一番、オーストラリアは五十名とかそういう数字を出しているときに、日本は、拠出金は物すごく出しています、そして今回、ガイドラインも通って、周辺諸国に対して、また平和維持ということで、日本が非常に貢献できるという一つ機会というふうにとらえますと、なぜわずか三名なのかなと非常に疑問に思う。例えば三十名とか、一けた違ってもいいのではないかという気持ちもあります。  以前、高田さんが亡くなられたという経緯もございますけれども、三名しか派遣できる要員がいないのでしょうか。それとも、ここのところはどうして三名ということが決まったのでしょうか。少しその経緯を説明していただければと思います。
  65. 嶋口武彦

    嶋口政府委員 先ほど外務大臣から御答弁ありましたように、私ども、国際貢献ということで、人的な貢献を積極的にやりたいというふうに考えておりますけれども、先生御案内のように、派遣するためにはやはり派遣の五原則をきちんと守っているということ、それから、派遣に当たっては、さらにいわゆる宮澤四原則がございまして、これは外務大臣から御答弁がございましたけれども、その辺を詳細にきちんと検討いたします。そして、国連とも密接に協議をしながら総合的に判断していくということでございまして、そういうことで三名ということになったわけでありまして、少ないとか多いとか、そういう御指摘が一部にあることは承知しておりますけれども、かなり厳密に丁寧に、これまでの経験も踏まえながら決定したものだというふうに御理解いただきたいと思います。
  66. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 派遣するか派遣しないかというのは今おっしゃったような原則にのっとると思うのですけれども、派遣人員が三名か五名か十名か、そういったところは、その原則にのっとった上で、当然、三名であろうと何名であろうと派遣するわけですから、人数的に非常に少ないということがせっかく日本一つの――文民の部分でのPKOの貢献ということに合致しているのであれば、こちらからもっと出すということは可能なんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  67. 嶋口武彦

    嶋口政府委員 まさに先生今御指摘のようなことは私どもよく承知しておりますけれども、これまでの経験、それから我々の人的な能力の問題とか、各国の状況については必ずしも承知しておりませんけれども、具体的にどのような仕事になるとか、そういうことを慎重に判断した結果だというふうに申し上げたいと思います。
  68. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 能力というのはいろいろな意味があると思うのです。私は、これから日本においてはPKOの訓練センターの、スウェーデンにもあります、カナダにもピアソンのようなものがありますけれども、その中で、特に、ミリタリーの側面のある部分というのは一つあると思いますけれども、文民の警察官がそういうトレーニングを十分に受ける機会日本にあるのかどうか。そのことを考えますと、もしかしたらそういった新しい意味での、活躍できる人材の育成という意味で、もう少しトレーニングセンターのようなものを日本で展開していくとか、それからスウェーデンや何かに派遣している人数にしても、もっと人数をふやしていって、いろいろなところに対応できる人材面の豊かさというものを、この方面でも育成していくことができるし、するべきじゃないかというふうに思うのですが、大臣、その辺は今後の見通しとして、あるいは気持ちとして、いかがお考えでいらっしゃいましょうか。
  69. 高村正彦

    高村国務大臣 東ティモールに文民警察官を派遣するに当たって、安全性等の観点から最初の判断が、東ティモールにおける警察の本部にだけ派遣するのか、それとも出先にも派遣するのかということの判断で、三名程度か、あるいは出先にまで派遣するとなると、四名、五名じゃなくて一遍にわっとふえるわけであります。そこの判断で、我が国としては今まで申し上げている総合的判断の上で本部にだけ派遣する、そうすると三名ぐらいだ、こういう判断をしたものと私は思っております。
  70. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 そうしますと、例えば今おっしゃった御説明ですと、地方にも派遣していくというようなことであれば、人材としてはちゃんとトレーニングを受けた人材は十分いるのでしょうか。
  71. 高村正彦

    高村国務大臣 要するに、治安を維持するための警察活動の指導でありますから、そういうことと、もう一つは語学力ということだと思いますが、日本の国の中にそれなりの人材はいるのではないか。国家公安委員長にお聞きした方がいいかどうかわかりませんが、私は、人材が必ずしもいなかったということではなくて、総合的判断の中でこのたびは本部にだけ指導する人を送る、そういう判断のもとで三名になった、こういうふうに思っております。
  72. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 先ほどの御答弁の中で能力という言葉をお使いになったので、私は能力というのはそういうことも含むのかなというふうに思ったのですが、せっかくこういう機会もありますので、前に、埋設地雷の除去作業などが本体業務が凍結されているということでできないという状況もありますから、改めてPKO全体の枠組みをもう一度見直して、何が必要でどういう措置がとられなければいけないか。それから同時に、やはり人材の育成、今大臣がおっしゃいましたように語学能力も含めて、文民であろうとどうあろうと、その二つの種類の人材の育成。そういったことを総合的にもう一度見直して、本当に有効に世界の平和のために、いろいろリスクはあるにしてもその辺の保障もきちんとした上で、もう一度枠組みを見直して、そしてもっと運用を可能にしていくという方向が必要なのではないかと私は思うのですけれども、それは防衛庁も内閣も外務省もかかわっていらっしゃると思いますけれども、そういう必要がないのでしょうか。
  73. 加藤良三

    ○加藤政府委員 PKOの活動について、日本が可能な限り積極的な貢献を行っていく、参加を実現していくということは、基本的に非常に重要なことだと思っております。そういう大枠の中で今回の東ティモールの問題なども考えられているということも、大臣、政府委員等から御説明があったとおりだと思っております。  ちょっとわき道にそれるようですけれども、東ティモールの件について申し上げれば、文民警察三名ということでありましても、そのサポートの人間あるいはそのほかにUNAMETの政務官も二名出ておりますし、それからこれは政府ではございませんけれども、NGOの関係者が数名ということでございますから、それなりの数になるわけでございます。また、全体の貢献ということから申しますと、委員が御指摘のとおり資金的拠出、それから二千台のラジオとか、そういったものも含めて考えられるべきものだと思うわけでございます。  PKO全体が国連の活動として今後どういう動向をたどるかということも一方において非常に関心のある問題でございますけれども、そういうこととの見合いにおいて、これからも参加のあり方、貢献のあり方というのは当然前向きに考えていきたいと思っております。
  74. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 そういう問題提起をさせていただきました。またこれから、そういう包括的にPKOをどうしていくかということを、日本の貢献がどうあるべきかということをいろいろな機会議論を続けさせていただきたいと思います。  きょうは特急のようでございますが、次に、北朝鮮の問題にちょっと移らせていただきたいと思います。  米韓のトップの間で、北朝鮮がもし、もう一度ミサイル発射するようなことがあったら断固たる立場をとるということを表明しているわけです。それと同時に、包括的なアプローチは変えないということで、これはまた別の見方をすれば、例えば日本はもしこの次二度目の発射があればKEDOの資金的な支援は難しいだろうというようなことをずっと言い続けているわけですけれども、そういうことに関しても、断固たる態度はとるけれども、そういったものについてはなるべくそのままにしてほしいというようなニュアンスにも読み取れるのです。  こういうような状況の中で、米韓と日本は共同歩調をとっていこうということにずっとなってきているわけですけれども、その中で、今申し上げていますのは、断固たる態度をやはりとるべきであるという、特に日本の場合にはそれが必要なわけですけれども、それと同時に米韓との共同歩調ということで、なかなかバランスが難しい。これは、もしということで、ないでくれれば一番いいわけですけれども、万が一再びミサイル発射されたような場合には、日本はどういうスタンスをとる準備があるのでしょうか。
  75. 高村正彦

    高村国務大臣 万一発射された場合という前に、その万一がないようにできるだけ努力をしたい、こう思っているわけであります。  そして、今、そのときにどういう具体的な措置をとるということは差し控えたいと思いますが、いよいよ発射されるという兆候がつかめた場合は、恐らくつかめるだろう、ある場合はつかめるだろう、こう思っていますが、そのときには日米韓それぞれにおいて、具体的な措置を含めて警告する予定であります。それぞれの国がそれぞれに具体的な措置を含めて警告をする。  そして、具体的な措置を含めて警告したにもかかわらず現実に発射されれば、当然警告した具体的措置はとることになる。そして、必ずしも具体的でなく漠然とした警告の部分もそれぞれ三国においてあり得るわけでありますが、そういう部分についても、さらに具体的にとるべきことがあるかどうか検討するということになり得るだろう。  いずれにしても、普通のそろばんで考えれば、発射しない方が得だねと思えるようなことを警告したい、こう思っておりますが、北朝鮮がどういうそろばんを持っているかどうかわかりませんが、何とか発射が阻止されるような措置をとりたい、警告したい、こう思っております。
  76. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 具体的にどういうような制裁をするとか警告をするとかということにつきましては、それを最初に今こういう委員会で出してしまうことがいいかどうかというやはり政治的な配慮がございますから、その具体的なことはおっしゃる必要があるかどうかということも含めて私はお聞きしませんけれども、昨年のときのように、起こってからどういう措置をとるかという、措置までの間に時間がかかるということがないように、同じような発射の仕方をするとは限らないわけで、人工衛星を積んで通告をしてから発射させるというやり方もあるかもしれませんし、さまざまなやり方の中でそれぞれどう対応していくかということについては十分事前検討いただきたいと思います。  米韓との事前の打ち合わせもぜひ密にして、そして、何か起こらないようにというのが最大のポイントですから、もちろんその御努力については全面的に私どもも支援しますけれども、万が一のときには速やかに日本立場というものが表明できるように、ぜひそういった中での準備をしていただきたいと思います。  その点に関しては、この前、イージス鑑がどこへ行ったというようなことがありましたけれども、防衛庁の方もいろいろな場合に備えての検討はしていらっしゃるわけですよね。
  77. 柳澤協二

    ○柳澤政府委員 今先生がおっしゃったとおりでございまして、なかなか具体的に最後まで申し上げるのは御容赦いただきたいと思いますけれども、私ども、日ごろから我が国の周辺の警戒監視という形で、艦艇、航空機を使ってさまざまな警戒あるいは情報収集活動は当然行っておりまして、また、ミサイル発射に関連しまして、さらに状況が緊迫してくるようなことがございますれば、それに加えてさらに船や飛行機を投入するといったようなことで、あらゆる手段を講じて兆候その他の必要な情報がとれるようにしたいと思っております。  また、発射後、これはどんな形になるかというのは非常に申し上げづらい面も多うございますけれども、いずれにしましても、私どもとしてなし得る限りの対応、あらゆるケースを考えて日ごろから中でも議論をし、必要な準備もしておるわけであります。
  78. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 新聞などの報道で送金の停止とか、そういう具体的なことが報道されたりしております。そういうことも含めまして、九八年度の統計ですと、日本との貿易で、日本が輸入は二百八十七億に上っておりますし、輸出は二百二十七億というような、大変な金額が実際に日朝間の貿易額として出てきているわけでございますし、送金ということを見ましても、これは定かではないですけれども大変な額に上っている。ですから、どういう対応をするか、どういう形のことが起こるかによって、そういうことも視野に入れてぜひ御検討をしていただきたいと思います。そして、適切な措置をすぐとっていただきたいというふうに、これは要請いたしまして、次へ移らせていただきたいと思います。  次に、またこれも非常に日本に近いところですけれども、尖閣諸島の周辺のことなのでございますけれども、このあたりで、排他的経済水域というEEZ内において、中国の海洋調査船というようなものの活動が非常に最近、ことしに入ってから約二十件というような報告もあります。そのうち一部はもう日本の領域内において行われているのではないかというようなことも言われておりまして、中国の軍艦が日本が主張するEEZ内で訓練活動なども実施しているというような情報があるのですが、これはそのとおりなのでしょうか。
  79. 高村正彦

    高村国務大臣 中国海洋調査船の動向につきましては、尖閣諸島周辺海域におきましても、他の海域におけると同様に、海上保安庁より、同一水域を反復航走するものやケーブルを曳航しながら航行するものがあるという連絡を受けているところでございます。しかしながら、外見からだけではどのような調査を行っているのかを特定することは困難であります。外交ルートを通じたやりとりの中でも、どのような調査を行っているかについては明らかにされていないわけであります。
  80. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 中国のトウカセン外務大臣が、問い合わせに対して、EEZや領域の境界線ははっきりしておらず、中国からすると問題はない旨の回答をした、しかし日中協議については必要な協議を行うことは大切であるというようなコメントを出されているというふうに報道されております。  それで、高村外務大臣に直接お伺いした方がいいと思いますけれども、この外務省から出ているペーパーでは、「日本側としては中国との間で争いの対象となっている領海はない」というようなことをおっしゃったということなのですが、この辺のやりとりというのは事実でしょうか。
  81. 高村正彦

    高村国務大臣 細かい言葉一つ一つはともかくとして、おおむねそのとおりでございます。
  82. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 今お読みしたのは、外務省の「首脳・外相会談(高村外務大臣)」というものの中に出てきた文言を読ませていただいたのですが、そういう経過を見ますと、このEEZの画定の見通しというのが一つ立っているのかどうかということも含めて、ぜひ日中協議ということを早期に加速させて、どういう水域かということをきちっとここで日本側から主導してでも議論をするべきじゃないかというところが一点。  もう一つは、何をしているかわからないけれども、中国の調査船らしきものが出たり入ったりというかそのあたりにいるということであれば、日本として一言くぎを刺しておくことは必要なのではないかという気がするのです。  それが、日本側で主張しているところに入っているということは、これは今協議の対象となっているところだから少なくともそこには入らないように努力してほしいとか、もしくは、入る場合にはどういったものかというのをきちんと知らせてほしいとか、そういったことで、今のところは問題になっていないし、トラブルもないでしょうし、中国も賢い国ですから、表立ってぶつかるようなことはないとは思いますけれども、やはりだんだん入ってくる数がふえてくる、何をしているかわからない、確認できないという状況は、非常に私は日本の主権にとっては将来的に、一言というかひとつくぎを刺しながら具体的に画定作業を進めないとなし崩しになっていくという危険性をふと感じるのですが、その辺のところは、高村外務大臣としては詰めていくというお考えをお持ちでしょうか。
  83. 高村正彦

    高村国務大臣 日本側立場からすれば、日本のEEZ、排他的経済水域の中で中国側が調査をしている、そういうことでありますから、当然そういう場合に日本側の同意が必要なので、同意を得ないでしているということを指摘したわけであります。中国側からすれば、排他的経済水域とか大陸棚、そういった線がまだきっちり引かれているわけではない、中国側からすれば問題がない、こういうことを言いました。  それはそれなりに、両方で話し合いがついて線が引かれたわけではないわけでありますが、話し合いがつく状況の中では、常識的に言って、日本の排他的経済水域に入らざるを得ないようなところでやっているわけでありますから、ともかくいずれにしても、海洋法協議をしようではないか、海洋法に基づく協議をするということの必要性についてはトウカセン外相も認めたところでありますので、これをできるだけきっちり具体化をしてやっていきたい、こういうふうに思っております。
  84. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 せっかくそういうふうにトウカセン外務大臣がおっしゃったんですから、間を置かず、では第一回目はどういうレベルでいつやるかという具体的なアクションを起こすということが日本にとっては大事だろうというふうに思いますので、ぜひ早急にそういう形で、まず第一回目座って、話し始めて、後の経過はいろいろあると思いますけれども、そういうタイミングを逃さずやっていただきたいと思います。  それから、やはり同じように領域問題で、この二、三日の報道の中に、フィリピンと中国が南沙諸島の海域でたまたま衝突事故などもあったようでございますけれども、外務大臣ARFなどにこれから参加なさるわけです。そこに議題として上げるか上げないかということも非常に、マレーシアが反対をするとかフィリピンはのせたいとか中国が反対するとかいろいろなことがあって、これは日本にとってはシーレーンにもかかわることなんですが、直接の当事国ではない南沙諸島の問題というのが何となくまたもう一つアジアの不安定要素として浮かび上がってきているわけですけれども、こういうことについての話が多分ARFで公式、非公式出るかもしれない、そのときの日本のスタンスはどういうスタンスで外務大臣臨まれるんでしょうか。
  85. 高村正彦

    高村国務大臣 南シナ海における領有権問題でありますが、アジア太平洋地域の平和と安定に影響を及ぼし得るものであり、また海上輸送路、シーレーンの安全確保にもかかわることから、我が国としても関心を有しているわけであります。  本件につきましては、関係当事者の努力の積み重ねによって緊張が緩和され、できるだけ早期に問題が平和的に解決されることが重要であります。我が国としても、いろいろな場所でそういうような関係当事者の努力を促進していきたいと考えているわけであります。  特に、今御指摘の、二十五から二十六日に閣僚会合開催されるARFは、アジア太平洋地域政治安全保障に関する対話協力の場であり、この場で本件を取り上げていくことが関係国間の信頼醸成を高めるためにも有益であると考えております。このたびの閣僚会合で本件が取り上げられれば、これは取り上げられると思いますが、我が国としても積極的に議論に加わり、平和的解決に向けた関係当事国の努力及び緊張を高める行動の自制を呼びかけたいと考えております。
  86. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 今までのように、当事者同士での話し合いに期待するというところから一歩出て、あるいは二歩も三歩も出て、そういった話し合いができる場をつくり出す、そういう雰囲気をつくり出すということのために、ぜひ今回外務大臣、実際においでになるわけですから、そういう形で動いていただきたいと思います。  もう一つ、これは民間レベルでの南シナ海に関するワークショップというのが、当事者六カ国とそれからそのほかにインドネシア、カナダなどが入ったものが行われているわけですけれども、九五年の十月に日本から専門家が参加した、けれども、中国の反対を受けてその後参加していないというようなことがあるわけですので、こちらの民間レベルの方にも、日本がオブザーバーという形ででも参加するということをぜひ政府としても推進して、いろいろ重層した形でこの議論を進めていくように努力していただきたいというふうに思います。  それとあわせて、予防外交というものが議題に上がりそうになりながら、上がっているのですけれども、もう一つまた閣僚会議などでも本当の議論にまでステップアップしていないという現状もありますので、ぜひ外務大臣は、たまたま来週は、これは外務委員会としても、中馬委員長の御尽力もあって改革が少し進むということで、外務大臣が外で活躍なさっている間に私どもは私どもでここで議論ができるというステップに至ったわけですから、そういうことも踏まえて、ぜひその辺のところ、外務大臣が思い切って御自分の意見それから日本のアイデンティティーを披瀝していただきたいと思います。  最後にもう一点。同じこの会議の中で、多分小火器の問題というのが大変大きな問題として取り上げられてくると思います。  この小火器の輸出それから輸入、貿易に関する問題に関しましては、国連が呼びかけて、日本は随分協力をしてきて積極的に貢献しているというふうに私は大変高く評価させていただきますけれども、やはりNGOを見ましても、世界の四十カ国で約二百のNGOがこの活動をしているわけですが、地雷禁止のときのように、それが一つにオーガナイズされて力となって、条約とか提携とかというところまでまだいかない状況ですので、私は、これからやはり日本政府は、NGOと上手に連携していくという意味でも、日本の中で小火器の問題にかかわっているNGOを激励しながら、日本が率先してそういった国際的な取り決めを結んでいくために、少し具体的にプロジェクトをスタートさせていただきたいというふうに思います。今回のASEANそれからARFに御出席なさる高村大臣に、そういうことを私は御期待申し上げたいと思います。  最後に、それについてコメントをいただいて、質問を終わらせていただきます。
  87. 高村正彦

    高村国務大臣 御激励いただきまして、まことにありがとうございます。  また、単に言葉で激励するだけでなくて、委員会のやり方も変えて、私ができるだけ外に出られるようにと具体的な御配慮もいろいろいただいていること、大変ありがたく思う次第でございます。期待にこたえるべく頑張ってまいります。
  88. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  89. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、古堅実吉君。
  90. 古堅実吉

    ○古堅委員 私は最初に、米海兵隊ハリアー攻撃機の墜落事故問題に関連して質問したいと思います。  沖縄・嘉手納基地に事実上常駐化しているAV8Bハリアーのうちの一機が、六月四日に墜落炎上するという事故を起こしました。また、その十日後の六月十四日には、米国アリゾナ州ユマ基地でも墜落事故が発生したのであります。しかるに嘉手納基地は、その事故原因の解明もされないままに六月二十八日に飛行再開を強行しました。ところが、その直後の六月二十九日にアメリカ本国、南カリフォルニアでまたまた墜落事故が発生し、その翌日から今度は無期限の飛行停止の措置となったと報道されているのであります。  政府は、嘉手納基地が六月二十八日に飛行を再開する際に事故の原因や対策についてアメリカから説明を受けているというふうに思いますが、それについて説明願いたい。
  91. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 先生御指摘の、まず、六月四日に嘉手納飛行場においてハリアー航空機の事故が起こったわけでございますが、その際に、我が方から米側に対して、原因究明それから再発防止の措置ということについて強く申し入れをしたところでございます。その後も、政府といたしましては、早急に結果を説明するよう米側に対して累次の機会に申し入れを行っております。  これに対しまして、米側からは、日本側の申し入れを重く受けとめて、事故原因に関する調査報告が整い次第日本側に提出するよう努めたいという回答を得ているところでございます。  先生御承知のとおり、事故の調査というものは、これまでの例から見ましても、相当の日時を要するわけでございます。これは、我が方といたしましては、やはり可能な限り早い時期の調査報告を日本側として受けたいということを過去においても申し入れをしたところでございます。その結果、九七年の十二月二日の合同委員会で合意されました米軍軍用機の事故調査報告の手続というのがございます、それに従いまして、原則として六カ月以内に事故調査報告書を日本側に提供するということとされているわけでございます。これは恐らく、通例から申しまして、大部な報告書ということになるであろうと思います。  他方におきまして、米側におきましては、国防省の通常の手続によりますれば、事故、この嘉手納の事故のような場合でございますけれども、そういうことが起こった場合に、調査自体は事故原因究明のためのあらゆる側面にわたって実施するものでございますけれども、事故原因に関しまして、ノースカロライナの方にこの事故機のエンジンを運びまして、それで七昼夜交代で事故原因の調査を行った、その結果、問題はエンジン設計に関連するものではなかったということが判明いたしまして、これまでのところ、システム上の問題も見つかっていないということでございます。  そういう状況におきまして、先般六月二十八日でございますが、一たん飛行が再開されたというものと承知いたしております。
  92. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本政府は、嘉手納基地の六月二十八日の原因も究明されないままの再開強行をよしとしたのですか、容認したのですか。  今回の再度の無期限の飛行停止措置では、当然、沖縄に駐留するハリアーにも適用されることとなっております。飛行再開を強行して、直後に再度飛行停止の事態となったことについてどう受けとめておられるか、これは大臣からお聞きしたい。
  93. 高村正彦

    高村国務大臣 政府委員からお答えしたように、ハリアー機そのもののエンジン等による共通の欠陥があって事故が起こっているものではないということまではわかった段階で、それぞれの事故が完全に解明されないまでも一般的な危険はないということで再開はされましたが、さらに事故があったことによって、また無期限に停止をするという措置がとられたわけであります。無期限に措置をとられたということについては、米側が安全性に対して注意を払っていることだな、こういうふうに考えております。
  94. 古堅実吉

    ○古堅委員 アメリカがどう考えておるんだなというふうなことではなしに、日本政府国民の安全の立場から主体的にどう考えるんだということが聞きたいのですよ。  もともと、ハリアーは事故割合が異常に高く、墜落事故は必然と言われるものであります。アメリカは、このハリアーの事故割合が異常に高いために、原因の調査と事故の減少を目的として、一九九七年十一月七日に、米海兵隊ハリアー調査委員会なるものを設置しています。海兵隊航空副参謀長とNASA副長官が共同議長という大変格の高いこの調査委員会は、一年間の調査の上で、九八年十月十九日に第一回年次報告を発表しています。多面的な分野で改善を求めた五十以上の勧告を実施した上で、今年中にもう一度ハリアー調査委員会を招集すると述べています。その内容を見れば、ハリアーが実際には欠陥機というべき攻撃機だということがわかります。  政府は、このハリアー調査委員会が設置されていたこと、第一回年次報告が出ていたことを御存じでしたか。
  95. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 先生御指摘のハリアー調査委員会の第一回のアニュアルリポートでございますが、それが一九九八年の十月に出ているということは承知いたしております。
  96. 古堅実吉

    ○古堅委員 これが、報告書の資料そのものであります。  第一回年次報告の実施概要は、米軍保有の六十八機種の中でも最も事故割合が高いと指摘しています。報告書は九八年十月作成されたものですから、事故割合を十万飛行時間当たり十二・一件としておりますが、海兵隊の最新統計資料では、一九九九年は十五・八八件となっています。ちなみに、海兵隊のFA18は三・〇七件であります。  報告書は、原因解明を目指しているわけですが、そこで、委員会は事故の聞き取りの中で、パイロットの誤り、整備間違い、部品の欠陥などがAクラスの事故要因に最大の寄与をしたことを突きとめたとか、事故原因としては決定的な兆候が見られなかったとしながらも、技術と支援で欠陥が見られたなどと述べています。大事なことは、他の戦術航空機と比較して、一つには単一のエンジンを持つ攻撃機であること、飛行することが難しい航空機であること、整備することが難しい航空機であることなどを指摘していることだと思います。  日本国民の安全に責任を持つ政府として、ハリアーに懸念を持つのが当然だと思いますが、外相はどう認識していらっしゃいますか。
  97. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 先生御指摘の九八年十月のハリアー調査委員会が公表した報告書でございますが、先生まさしく御指摘されましたとおり、ハリアー航空機が他の戦術航空機に比しまして相対的に高い事故率を示しているということに関しまして、要因を分析いたしております。そういたしまして、その報告書に勧告がございまして、これが実行されれば、およそ事故率を五〇%程度削減できるであろうというようなことがされておりまして、これらの勧告は逐次実施に移されつつあるというふうに承知をいたしております。  これは、ハリアー航空機の事故率を削減するための米軍による安全性確保のための対策の一環でございますが、米側の説明を我々が受けたところによりますと、海兵隊といたしましては、ハリアー航空機が本質的に欠陥を持った航空機であるというふうには考えておりません。実施されれば事故率を五〇%ほど削減できるという今回の報告書の勧告は、あくまでも第一段階の措置でございまして、最終的な措置ではないというふうにしております。  したがいまして、米海兵隊といたしましては今後とも事故率を削減するための措置をとっていくということでございまして、我々といたしましても、そういった今後の措置にも注目をいたしておるというところでございます。
  98. 古堅実吉

    ○古堅委員 国民の安全を預かる政府立場からという質問に対して、あたかもそういう懸念がないかのごとき答弁、本当に許せないと思いますね。  私がこの第一回報告を見て看過できないと思ったのは、事故を減少させるための七つの分野の改善要求とそれを具体化した五十以上の勧告をすべて実施したとしても、異常な現在の事故割合を五〇%減少させるだけと報告していることであります。報告は、もしこれら七つの必要項目を満たせば、ハリアーIIの事故割合を五〇%削減することが相当程度期待できると述べております。ハリアーの事故割合は、十万飛行時間当たり、九七年は十・四七件、九八年十二・四一件、それが九九年は十五・八八件と年を追うごとに高くなっています。これを五〇%削減しても、六件から八件弱という高い割合になります。FA18戦闘機十万飛行時間当たりの三件という数字に比べれば、まだまだ異常に高い、そういう状況が続くというものであります。  ハリアー調査委員会の改善措置をすべてやり遂げてもこうした高い事故割合ということを大臣は重大視して、政府としてハリアーの飛行を認めない、そういうことについての検討をすべきときではないか、こう考えますが、大臣いかがですか。
  99. 高村正彦

    高村国務大臣 米側の調査によれば、ハリアー機は本質的な欠陥を持った飛行機ではない、こういうふうにされているわけで、ただ、我が方としては、米側に対して事故の再発防止をするようにさらに強く働きかけていきたい、こう思っておりますが、現時点では、先ほど委員も御指摘になったように、無期限の飛行停止ということになっているということを付言させていただきたいと思います。
  100. 古堅実吉

    ○古堅委員 改めて、あえて再度お尋ねしますが、大臣、こういう事故が相次いで起き、海兵隊そのものが重大視して調査委員会をつくり、対策も進める。その中でも、一月の中に三件も墜落事故を起こすなど、無期限に飛行停止がされる。そういう状況に対して、そのハリアーを受け入れ、それが訓練される、そういうこととの関係日本国民の安全という立場から、いささかなりとも懸念というものはあってしかるべきだ。そういう懸念もないんですか。
  101. 高村正彦

    高村国務大臣 ハリアーに限らず、戦闘機の訓練というのは何らかの意味で危険を伴うものでありまして、私たちは、常にそういう懸念は持ちつつ、再発、事故を起こさないように、その都度いろいろな場面において米側に申し入れているところでございます。
  102. 古堅実吉

    ○古堅委員 嘉手納基地に事実上常駐しているハリアーは、六月四日に墜落したハリアーを含めて全機が、第一回年次報告が絶対安全だと述べた402―RR―408Aエンジンを装備した機種であります。それが墜落したのであります。その原因が解明されないのに飛行再開を許す、しかも、今あえて再度にわたる質問をしても、これは大変だな、国民のそういう立場からその問題について対処をしようとされる、こういう姿勢が映ってこない、見えないと言ってもいいかというふうに思います。ここに私は日本政府に問われている重大な問題があるように思います。  飛行再開中止をこれまで求めてこなかった、そういうことを振り返って、この時点でアメリカでさえも無期限に飛行を停止している、そういうことを踏まえてどう考えておられるのか。ハリアーは、その訓練をやめさせ日本から撤去を求める、そういうことも含めて、本当に根本的に検討が求められている。アメリカがそういうことをやりたくても、日本の側から異議を申し立てる、それが国民の安全の問題を抱える政府としての立場ではないか、そのように思います。撤去を含めた再検討についてなされる考えがあってしかるべきだ。大臣からお答えください。
  103. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 まず、事実関係について申し上げておきたいと思いますのは、このハリアーの事故が六月四日に起こりましたときにも、直ちに我が日本政府から、米国大使館それから在日米軍に対しまして、強い遺憾の意を表しますとともに、日本国民心配懸念というものを伝えまして、それで、こういう事故が起こらないようにということを強く申し入れをしたところでございます。  したがいまして、政府としてそういうことを何もしていないということは事実ではございません。大臣からも米側に対してそういう注意喚起をしていただきましたということは、一つ申し添えさせていただきたいと思います。
  104. 古堅実吉

    ○古堅委員 ハリアーが常駐されているのは沖縄・嘉手納基地です。その訓練が展開されれば、事故との関係では、命、安全、その危険性にさらされる。お隣同士そういう状態に置かれている。嘉手納周辺の住民を含めて沖縄県民は、深刻な思いでこの問題を見ておるんですよ。そういう国民沖縄県民立場から、この問題についてしかるべき納得のいく態度をとってもらうよう再度要求して、前に進みます。  次は、嘉手納基地PCB汚染問題について、ちょっと時間もありませんので、大急ぎでお尋ねしておきたいと思いますが、嘉手納基地のため池にPCB入り変圧器油が投棄された問題で、米側調査結果が七月十五日に公表されています。それは、報道された地点に廃油のため池が存在したことが確認されたとするとともに、ため池跡の土壌等のサンプルからPCBが検出されたことを認めるものとなっています。重大な問題の一部が明らかになったということだと思います。  このため池はPCB入り変圧器油を投棄するためにつくられたとかつて基地労働者などがこのような形で証言をしてきたことがありますが、そのようにつくられたものではないか。その規模、深さ等もあわせてアメリカからも説明を受けていると思いますが、簡単に説明してください。
  105. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 問題のため池でございますが、このPCBの問題が生じましたときには、既にそのため池の上には建物が建っていたりいたしまして、ため池は現在は存在しないわけでございます。  それで、米側調査団といたしましては、地元の新聞に報道されました地点に廃油のためのため池が存在するかどうかということに関しまして、いろいろな方法で調査をしたということでございます。例えば、インタビューと申しますか、当時の関係者から事情を聴取するということを行いました。さらには、過去の写真を年代ごとに比較いたしまして、そのため池の存在を確かめるという作業をしたということでございます。  その結果といたしまして、そのようなため池が存在したということが確認されたということでございますが、このため池が、そもそも米軍が廃油等を投棄するために掘ったものか否かということに関しましては、この調査報告書では明らかにはされておりません。といいますか、不明のままであるということでございます。  そういたしまして、米側調査団は、嘉手納飛行場におきまして、過去の記録写真の調査を行いました。その結果によりますれば、一つは、一九七二年以前の写真におきましては、沖縄の地元紙に報道されたような地点にそのため池の姿というものは写っていないけれども、一九七七年に撮影された空中写真によりますと、ため池とおぼしき地点が黒い点となって写っているということでございます。  さらには、その後、一九八五年に撮影されました空中写真を確認いたしますと、七七年に見られました黒い点というのはもはや写っておらず、同地点は、砂や砂利等の建設資材置き場として用いられていたことが示されているという記述がございます。これは、先ほど申しました、そのため池のあたりに建物が建てられるということの関係で、その建設資材置き場になっていたということであろうかと思います。  それから、報告書でございますが、報告書によりますと、地元の新聞に掲載されました写真と嘉手納飛行場の地図を使用して地点を探り出す調査を行いまして、おおよそのその地点の中心地というものを特定するための測量を実施したそうでございます。そういたしまして、報道で過去にPCBを含む変圧器油が投棄されたとされているそのため池の直径は約七十フィートと見られるという記述がございます。ただし、その深さに関しましては、これは明らかにされておりません。写真等では判明されない、そういうことであろうかと私は推測をいたします。
  106. 古堅実吉

    ○古堅委員 今、質問をされたことにずばりお答えいただきたいと思います。どんどん時間を食って、なくなるのです。  政府は独自に補完調査をするということですが、それについて米側は了承済みですか。
  107. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 私どもといたしましては、念には念を入れまして、さらにその周辺住民の方々の不安を解消するためにも、日本側により補完調査を実施いたしたいというふうに考えておりまして、この点は米側と調整を要するところでございますが、原則的には米側ともそういう方向で話をしておるという状況にございます。
  108. 古堅実吉

    ○古堅委員 もう立っていてほしいのですけれども。  その調査の実施に当たっては、沖縄県の側も参加させるべきだというふうに思いますが、そういう措置がとれますか。
  109. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 調査の主体に関しましては、我々といたしましては、日本政府の調査団ということで、地方の調査団の参加ということにつきましては、現在のところは検討の対象といたしておりませんが、いずれにいたしましても、今後と申しますか、早急にその補完的調査の実施については検討いたしまして、米側と調節していきたいというふうに考えておるところでございます。
  110. 古堅実吉

    ○古堅委員 政府が独自に調査をされるということは、米側の調査報告には満足できないものがあり、安全確認のためには独自調査も必要だと認めたからでありましょう、念には念を入れてというようなことでありますから。その調査はいつごろになるのか、また、どんな疑問点について調査をされるのか、簡単にお答えください。
  111. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 米側が公表いたしました環境調査結果に関する報告書によりますと、御案内のとおり結論から申しますと、厳格な健康リスク評価を行った結果、人間の健康上の危険とはならないとの結論が得られたものということになっております。  政府といたしましては、このような米側調査の結果を、一定の科学的合理性に基づいたものとして評価するというふうに考えておりまして、不十分なものであったとは考えておりません。  ただし、先ほど申しましたように、念には念を入れまして、さらに周辺住民の方々の不安を解消するためにも、日本政府としての調査を日本政府のやり方によって行うということが意義のあるものであろうというふうにあえて考えまして、米側に申し入れを行っている、こういうことでございます。
  112. 古堅実吉

    ○古堅委員 何か、疑問点もないかのごとき答弁でありますが、聞いておって許せない思いがしますね。  ため池跡地の表面土壌や三フィートの深さの土壌等をサンプルに調べたということになっています。それというのは、そのため池を埋め立てた土を採取して調査した、平たく言えばそういうたぐいのものになっていませんか。  重要なことは、ため池の底となっている、そういう部分から、PCBが浸透したと思われるさらに深部までの土壌等の調査だと考えるが、それらについては調査されていないのじゃないですか。
  113. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 私の専門外でございますが、一般にPCBは水に溶けにくく、土壌に吸収されやすい、吸着しやすい特性があるとされておるところでございます。  それで、米側調査が地表から三フィート、約一メートルでございますけれども、それまでの深さにおいて行われたというのは、それより下部、それより下の方には堅固なサンゴ層が存在するということが確認されたからでございます。  したがいまして、米側の考えといたしましては、問題のため池の深さは、最深、最も深くてもサンゴ層までであるという考えにのっとったものであるというふうに承知をいたしております。
  114. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本政府の態度を聞きたい。  米側調査よりもさらに深部の土壌についても調査の必要を認めておるのか。さらに、地下水脈へのPCBの浸透の可能性についても調査対象とすべきだと考えますが、そういうことも考えるかどうか。簡単にお答えください。
  115. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 補完調査の実施の仕方につきましては今後米側と調整をしていく必要がございますが、いずれにいたしましても、先ほど申しましたようなPCBの特性とか、それから特に日本側の調査が周辺住民の方々の不安にこたえるという観点からの補完調査であるという点も踏まえまして、周辺住民の方々の不安にこたえるという点に着目した調査方法を検討してまいりたいというのが基本的な姿勢でございます。
  116. 古堅実吉

    ○古堅委員 もっと深いところのサンプル、あるいは水脈をということが現地でも大きな関心でありますし、そういうことも含めて、調査の場合には漏らさずにそういう対策を立ててほしい。  最後に、このPCB汚染問題について、沖縄県が二度にわたって立入調査を求めたのですが、米軍から拒否されて実現されませんでした。県議会もその申し入れをしたのですが、相変わらず同じような拒否に遭っています。  九六年十二月二日の基地への立ち入り許可手続というものがあります。それは見直しが必要だというふうに考えます。大臣、御検討いただけますか。
  117. 高村正彦

    高村国務大臣 米軍は、日米地位協定第三条に基づいて、施設・区域への出入りを管理するため必要なすべての措置をとることができることとなっているわけでありますが、関係地方自治体が環境調査のため施設・区域に立ち入りを行う場合には、施設・区域の管理を行う米軍との調整を経て行うことが原則となっております。  具体的には、地方自治体は、SACO最終報告に言及されている施設・区域の立ち入り許可手続に関する合同委員会合意に従って、個々の立ち入りについて米側の個別の同意を得て実施することとなります。米軍は、地域社会との友好関係を維持する必要性を認識し、立ち入りが軍の運用や施設・区域の運営を妨げること等のない限りにおいて、立ち入り申請に対してすべての妥当な考慮を払うということになっているわけでございます。  実際に米軍は、環境に関連して具体的な問題が生じた場合に、周辺住民の不安を解消し、米軍による環境保全措置や事後処理に関する地元の理解を促進するとの観点から、関係地方自治体の立ち入りに関する要請に対ししかるべく配慮してきているものと承知をしております。しかしながら、場合によっては、施設・区域の管理運営上の理由等から個々の立ち入りが認められないことはあり得るものと考えております。  政府といたしましては、地方自治体等による施設・区域への立ち入りについては、日米地位協定及び既存の合同委員会合意を踏まえて対応していく考えでありまして、現時点において本件合意を見直す考えはありません。
  118. 古堅実吉

    ○古堅委員 もう終わります。  PCBの問題、ハリアーの問題、今の見直しの問題を含めて、これから引き続き質問もし、追及もしていきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。
  119. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、伊藤茂君。
  120. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 質疑も予定時間を超えておりますし、短い時間ですが、若干の質問をさせていただきます。  まず一つは、北朝鮮ミサイル発射と申しましょうか、再発射の動きと対応の問題でございます。  実は、私どもも深い懸念を持ちながらこの動きを見ているわけでありまして、本来でしたらこの春から、新緑の季節には村山前総理など超党派で行っていただいて何か糸口をつかみたい、行けないかなという気持ちを念じておりましたが、うまくまいりません。そして緊張した雰囲気が高まっているというふうなことになっているわけでございまして、なるべくやはりこの問題を北朝鮮側にもきちんと自制してもらって、局面を打開したいものだというふうに思っているわけであります。  ちょっとそういう中で、そういう気持ちを持ちながら、心配な点があるものですから伺いたいのですが、昨年夏のテポドン発射のときにはさまざまな反響がございました。たしか、ホワイトハウスか国務省かなどのコメントでは、人工衛星を発射したが失敗したようでありますというふうなトーンだったと思います。また、韓国の方も日本と比べればやや抑制されたトーンだったと思います。我が国の場合には、突然やはり日本列島を通り越してということがあったものですから非常に感情的にも高まった雰囲気がございました。そして、そのときの日米韓あるいは中国との意見交換を含めまして、どうするのかということがさまざま議論になったわけであります。  その後の様子をうかがっておりますと、また先ほど来の大臣の御答弁を伺っておりますと、あれから後、特に最近、総理外務大臣も含めて、米国との間でも韓国との間でも、また日米韓三国の間でも中国との間でも、さらにはモンゴルとの話とか、いろいろな意味でやはりそういう共同の意思統一が進んできているのではないだろうかというふうにも思いますし、またアメリカ側の方でも、去年と比べて長距離のミサイル開発のテンポが速いことに何か懸念が高まっているというふうな話も実は聞くわけでございます。  昨年夏の段階と比べまして、もしあったらという前提ではないですよ、ないように願いながら、そういう状況の認識というものは、昨年の夏は若干トーンの違いがいろいろとあったように記憶をいたしておりますが、それとは違った段階の努力とか状況がどう進んでいるのでしょうか。御説明をお願いしたいと思います。
  121. 高村正彦

    高村国務大臣 昨年八月の弾道ミサイル発射以来、北朝鮮ミサイル関連の動向につきましては、米国を初めとする関係諸国と密接に連絡をとりつつ、細心の注意を払って継続的に情報の収集及び分析に努めているところでございます。  現時点の情報を総合すれば、我が国政府として、北朝鮮によるミサイルの再発射が差し迫っているとは判断しておりませんが、我が国政府認識は、米国及び韓国政府も共有していると考えております。  事前通報だとか、人工衛星搭載の有無を含め、いかなる態様の発射であるにせよ、北朝鮮ミサイル発射我が国の安全や北東アジア地域の平和と安定にとって極めて懸念すべき事態であることは何ら変わりはなく、日米韓三カ国とも発射の抑止は極めて重要と考えているということでございます。  昨年の八月三十一日の発射は、まさに日本列島を飛び越えていったわけで、日本国民が一番反発したというのが強かったということは事実でありますが、この問題が、ミサイルの先端に人工衛星を積んでいようがいまいが、北東アジア全体あるいはグローバルな意味安全保障に大変悪い影響を及ぼすということは、当初から日米韓一致した見解を持っていたものと思っております。
  122. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 大臣が御答弁の最後におっしゃったところの問題なんですね。余り具体的なこととか、こうなった場合とか、ケーススタディーなことは差し控えさせていただきたいと思います、非常にデリケートな問題ですから。  それは別にいたしまして、大臣が最後におっしゃった人工衛星の打ち上げという形の場合なんです。  北朝鮮側が公式にさまざま発表しているもの、報道しているもの、ニュースを出しているもの、私も知る範囲で、届くものはずっと読んでおりますけれども、全体として、人工衛星を打ち上げた、それは世界じゅうさまざまな国がみんなやっていることだ、何を文句言うか、非難されるものではないというふうなトーンで大体言われているということでありまして、軍事目的のための、あるいは輸出するための軍事用のミサイルの試験であるとかというようなことは大体一言も言ってはいない。人工衛星を打ち上げる、平和的な目的の打ち上げである、世界じゅうどこの国でもやっていることであって、それに対して非難されるのは国家主権に対する妨害であるというトーンの発言が大体一貫しているのですね。  例えば、報道では七月二十七日だの八月十五日だのいろいろなあれもありますけれども、そんなことは別にいたしまして、平和的な目的で我々は人工衛星を打ち上げたのであるとか、それから、一週間後に打ち上げることを事前に予告するとかとなった場合に、そういうものに対する共同の受けとめですね。私は、こういう際ですから、我が国の友好的な関係の国々がお互いに極力意思統一をしながら、また共同歩調で対応するということがいろいろな意味で必要なことであろう、それはハードとかソフトとかという意味を超えて非常に大事だろうと思います。  今言ったようなトーンが非常に強いというふうに私は認識をいたしておりますが、そういうことを含めた、今度も外務大臣も御相談なさるというふうにも報道で伺っておりますが、そういう突っ込んだ相談をしながら、極力共同の歩調をとるということになっているのでしょうか。
  123. 高村正彦

    高村国務大臣 北朝鮮が、これは人工衛星である、そういうことを言っているということは私はよく承知しております。  ただ、日米韓あるいは広く国際社会が安全保障の問題として、北朝鮮が、先端に人工衛星を搭載していようがいまいが、これはミサイルの開発であり、ミサイル発射したということには変わりがなくて、それは好ましくない、こういうことは一致しているということでございます。  昨年、アメリカが人工衛星を搭載していたと思われるということを発表した直後にも日米韓で外相会議を開いたわけでありますが、その中でも北朝鮮ミサイル発射という言葉で統一して、それは、先端に人工衛星が搭載されていてもいなくてもミサイルであるということは変わりがないわけでありまして、別にアメリカが、これは人工衛星が失敗した可能性が強いと言っていても、ミサイルだということについて異議を唱えたなどということは一度もないわけで、本質的な問題としては、これは北東アジア安全保障の問題として大変なことである、場合によってはアメリカ等にとっても安全保障の問題として大変なことであるということは考えを共有しているわけであります。一貫して共有している、こういうふうに思っております。
  124. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 今の御答弁の延長線の議論はもうやりません。  一つだけ、これは私の期待であり希望なんですが、ことしの正月以来、国会で総理外務大臣も、北朝鮮政策につきましては、何らかの建設的な対応があれば我々も前向きに対応する、抑止と対話という論理のお話をずっと一貫してしてこられました。そうはいいながら、目の前にさまざまな難しい問題がある。これをどう打開できるのかということになっているわけであります。  私は、考えてみますと、その姿勢と発想はそれなりに合理的な発想だと思います、リーズナブルなものだと思います。そういうものをもう一歩具体論で、日本型包括政策というのか、何と表現したらいいかわかりませんが、考える、そういうことが必要なんじゃないだろうかなという気がするわけであります。  一般論ではなくて、例えば、我々注目しておりますが、ペリーさんが訪朝なさいました。大統領から特別に派遣をされた方ですから、向こうの方も相当大事に扱って、相当突っ込んだ話をされたのだろうというふうに想像いたしております。また、ペリーさんの方から相当具体的な、包括的な中身というものを向こうへよく説明したというふうにも報道で伺っております。中身は詳しくはまだわかりません、議会の報告その他はまだですからわかりません。  それに対して、北朝鮮の側に、アメリカに、ワシントンに招待しますから来てくださいということもあったのですが、それはまだされていないというふうな段階なのでよくわかりませんけれども、しかし、何か相当突っ込んだいわゆる包括的な方向、厳しいことも将来のこともいろいろあるのでしょうが、アメリカとして相当大人のそういう提起をなさっているというふうにも実は想定しているわけであります。  私は、そういうものを考えますと、抑止と対話とか、それから、前向きの動きがあれば我々も前向きにという言葉は結構なんですが、もう一歩具体論で、私は、全体論で言うならば、前から何遍も申し上げている持論なんですが、並行的な幾つかの努力と申しましょうか、例えば、朝鮮半島の南北対話が進む、それから四者会談など国際協議が進む、米朝も進む、それと同じテンポで、そうおくれず、日朝間のことも積み上げていくという枠組みを前提にしながらやっていく。  いろいろな問題があると思います。向こうが今一番欲しいさまざまな援助の問題もあると思います。我々にできる協力もあると思います。こういう点はきちんと自制して、国際社会に生きるようにしてもらいたいという対応の注文ももちろんございます。さらには、前に南北合意もあったわけですから、朝鮮半島、さらに含めたこの地域での非核というような問題もございます。そういうことはさまざま前向きに構想し得ることなので、私は、抑止と対話など、一般的な今日の国際社会での考え方はございますけれども、そういうものからさらに進んだ、また日本という立場を踏まえた、より現実的であり、またリーズナブルである、そういう包括的な提起とかいうふうなものがなされるべきじゃないだろうかという気がするわけであります。そうでないと、何か後追いである、いや、日本独自の戦略がわからないじゃないかとか、批評なんかも生まれてくるということなんですが、いかがでしょうか。
  125. 高村正彦

    高村国務大臣 政府は、北朝鮮に対し、ミサイル問題などの国際的な懸念や拉致問題を初めとする日朝間の懸案に建設的な対応を示すのであれば、対話を通じ関係改善を図る用意があるということをさまざまな形で呼びかけてきているわけでございます。  このような我が方の要請と食糧のような先方のニーズ等を包括的に組み合わせて提案すべきとの御趣旨と考えますけれども、問題は、北朝鮮側が我が方の懸念に全くこたえていないことにある、こういうふうに思っております。  どこの国にもいろいろメンツというのがあると思いますが、北朝鮮というのはそのメンツを大変重んずる国であるということを、北朝鮮をよく知っている方から私たちいろいろ示唆を受けるわけでございますが、そうであればあるほど、これをやったらこれをしてあげるよ、こういうことが表に出て、そのことで迫っていくことがいいのかなという感じもあります。  いろいろな場面で、話し合いの中にはいろいろなことが出てくるということはあり得ることだ、こう思っています。
  126. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 いずれにしても、こういう問題は現実問題ですから、外交論として、また国の政策として筋もきちんとする必要があると思います。しかし、現実ですから、いろいろな意味での相当なしたたかさも必要だと思います。また、大分むだな投資をしたなということがあってもやらなくちゃならぬこともあるというのが現実ではないだろうかというふうに思います、こんなことを外務省の皆さんに申し上げるのは釈迦に説法なんですが。  米朝がさまざま相当突っ込んでやっている、これは聞くわけでありますね。また、ペリーさんがどこまで話したかななんてことも我々は想像したりなんかするんです。それから、南北でも相当やっていたりいなかったり、これをやるわけですね。ですから、それに匹敵するといいましょうか、そういうレベルでの外交努力か外交手腕を発揮されるように実は期待をしているという気持ちでございます。  もう一問だけ、沖縄九州サミットに関連をして、お伺いしたいと思います。  私は、総理沖縄に決定された、どういうお気持ちでああいうみんなびっくりするような決断をされたのかということは想像するわけでございます。それから後、ケルンサミットが終わって来年七月ということを考えますと、いろいろな意味で大事なときだな、非常に大きな特徴と申しましょうか意義づけと申しましょうか、あるべきなんだろうと思います。  先ほど来、同僚議員の御質問にもございました二〇〇〇年、世紀を超えるその節目のときにということもございまして、あるいは、西側サミットからゲストとしてロシアの参加とか、何か、グローバルサミットに変わっていくという可能性を持った一つの時代に二十世紀から二十一世紀へ移っていくのかなという評論をなさる方もいらっしゃいます。と同時にやはり、北東アジア沖縄で開かれる。世界でも残念ながら冷戦的要素が残っている現実、そういう場面でございまして、そういうものをどう超えるのかということも大きな課題でございますし、どこか新聞の社説にも一、二ございましたが、やはり、沖縄からどのようなメッセージを出すのかということが非常に大事じゃないかということもいろいろと指摘をされているわけでございます。  そういうことを考えますと、きょうの最初の質問森山さんは大分具体的にいろいろなことを提案されておりまして、僕も趣旨は賛成なんです。特に、中国のすぐそばである、それから中台問題、今もちょっと別の問題になっておりますが、やはり中国などへの配慮というものをどうしたらいいのか。それから、慶応の島田教授ですか、事前アジアサミットをと新聞に出ておりましたが、物々しいアジアサミットという形ができるのか、別の形で、先ほど冒頭ありましたようなさまざまな努力が必要なのか。ですから、沖縄へのさまざまな実務的その他の準備も精力的にやっているということだと思います。  それから、普天間問題など、これらにつきましてももう三年、SACOのその節目ですから、来年の七月までにはということは、アメリカ側は気持ちが強いだろうと思います。やはり、いい方向への全面解決、私どもが考え意味での全面的な打開の方向でなくとも、一歩でも半歩でもいい方向に打開されるということがよりいいなという気持ちもいたします。  それはそれとして、何かやはり、アジア的な視野あるいは二〇〇〇年、沖縄九州という意味合いなどを含めまして、大変な決断でお決めになったわけですから、早い機会にそれに向けてのさまざまな御努力、また、そういうことにつきましても、主催国日本なりのやはり一つの抱負と申しましょうか外交ビジョンによって対応されるということが大事な一つの時期であり、また、我が国のやはりプライド、誇りにも関係するということではないだろうかという気がいたします。  中国をゲストとしてお迎えをするという可能性があるのかどうかとかいうことなど含めまして、話題となっておりますので、沖縄サミットに向けたそういう視点というものを重ねてお伺いさせていただきます。
  127. 高村正彦

    高村国務大臣 二〇〇〇年という節目の年にアジアサミットが行われる、それも沖縄で行われるということで、午前中も森山先生からいろいろお話しいただきましたし、今委員からもいろいろお話しいただいた、その他の委員の人からいろいろ御示唆をいただいているわけでありますが、そういうことも頭に入れながら、どうアジアらしさを出していくのか、沖縄らしさを出していくのかといったことも考えさせていただきたい、こう思います。  中国に関しましては、今までのサミットのときもアジア諸国から事前にいろいろお話を聞いて、ある意味では、アジアを代表しているつもりで日本サミットに臨んできた、そういう面もあるわけであります。中国サミットに参加するという関心を示したということは今までないわけで、こちら側から、いかがですか、いかがですかと、ほかの参加者の意向も確かめないまま言うことがいいかどうかという話もありますし、逆に、ありがた迷惑、ありがたじゃない、ただの迷惑ということにもなるかもしれませんし、いろいろ考えながら、中国も含めてアジア諸国のいろいろな意見を聞いてみたい。  それから、アジアサミット事前にどうかという話についても、そういうのもいろいろな意味から広く検討してみたい、こういうふうに思っております。
  128. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  129. 中馬弘毅

    中馬委員長 以上で質疑を終わります。     ―――――――――――――
  130. 中馬弘毅

    中馬委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  国際情勢に関する件について調査のため、来る三十日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 中馬弘毅

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る三十日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十七分散会