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1999-07-02 第145回国会 衆議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月二日(金曜日)     午前九時三十七分開議   出席委員    委員長 中馬 弘毅君    理事 牧野 隆守君 理事 森山 眞弓君    理事 上原 康助君 理事 玄葉光一郎君    理事 赤松 正雄君 理事 東  祥三君       瓦   力君    木村  勉君       河野 太郎君    櫻内 義雄君       中谷  元君    桧田  仁君       深谷 隆司君    細田 博之君       八代 英太君    吉川 貴盛君       中野 寛成君    藤田 幸久君       山中あき子君    井上 一成君       藤井 裕久君    松本 善明君       伊藤  茂君  出席国務大臣         外務大臣    高村 正彦君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      宝槻 吉昭君         外務大臣官房長 浦部 和好君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 東郷 和彦君  委員外出席者         外務大臣官房外         務報道官    沼田 貞昭君         外務委員会専門         員       黒川 祐次君 委員の異動 七月二日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君     桧田  仁君 同日  辞任         補欠選任   桧田  仁君     阪上 善秀君 六月七日  在沖縄米軍基地縮小・撤去に関する請願古川元久紹介)(第四一一五号)  WTO協定改正の提起に関する請願平賀高成紹介)(第四二七九号)  同(不破哲三紹介)(第四二八〇号)  同(藤木洋子紹介)(第四二八一号)  同(藤田スミ紹介)(第四二八二号)  同(古堅実吉紹介)(第四二八三号)  同(松本善明紹介)(第四二八四号)  同(矢島恒夫紹介)(第四二八五号)  同(山原健二郎紹介)(第四二八六号)  同(吉井英勝紹介)(第四二八七号) 同月十一日  核兵器完全禁止核廃絶国際条約の締結に関する請願石田幸四郎紹介)(第六二八五号)  WTO協定WTO衛生植物検疫協定の改定に関する請願藤田スミ紹介)(第六四七四号) は本委員会に付託された。 六月十一日  ユーゴスラビア問題の平和的解決に関する陳情書外二件(第二五五号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件     午前九時三十七分開議      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 八代先生がちょっと御日程の都合で、質問の順番が早くなりました。  まず、国際情勢、特に日中、日朝のことについて、外務大臣に一問、二問お尋ねをさせていただきたいと存じます。  またまたといいますか、今大変関心が持たれておることに、テポドン2ミサイル発射を近々というか、北朝鮮発射準備をしておるという報道がしきりになされておりまして、アメリカ側関係者もそれを確認したとかいう報道が、きのう、きょうもなされております。この点について、日本政府はどういうふうに情報その他、その発射をさせないための外交努力をなさっておるかというのが一点であります。  もう一つは、この八日から小渕首相訪中なさる、高村外務大臣も御同行なさると聞いております。中国に対して、この北朝鮮のテポドン問題あるいは日朝関係懸案事項解決のために積極的に働きかけていくのも今度の訪中の大きな目的の一つだと聞いておりますが、ここいらのことについて、政府としての現段階における御努力あるいは見通し、特に米国と、あるいは韓国の方とどういう協議をなされながら対処していかれようとしているのか、お聞かせを願いたいと存じます。
  4. 高村正彦

    高村国務大臣 昨年の八月、弾道ミサイル北朝鮮発射して以来、北朝鮮ミサイル関連の動向につきましては、密接に連絡をとりつつ細心の注意を払って、継続的に情報の収集、分析に努めているところでございます。現時点における情報を総合し、北朝鮮ミサイル発射が差し迫っているとは判断はしていないわけであります。北朝鮮ミサイル発射には重大な関心を持っているところでありまして、今後とも北朝鮮ミサイル関連活動を注視してまいりたい、こう思っております。  従来から、日米韓三カ国で北朝鮮に、ミサイル発射することは国際的にも北朝鮮立場を悪くして、決して北朝鮮利益がない、かえって不利益をもたらすというようなことは、いろいろなルートで伝えてきているところでございますが、もし、北朝鮮がまさに発射しようとしている、そういうような具体的な兆候がつかめた場合には、私たちはそういう兆候というのはきっちりつかめる、こういうふうに考えておりますが、そういう兆候がつかめた場合には、日米韓連携してもう少し具体的に、こういう不利益がありますよということを具体的な形も添えて警告したい、こういうふうに考えているところでございます。これは日本政府だけが考えているわけではなくて、米韓ともそういう話し合いをしているところでございます。  それから、中国の話でありますが、昨年、江沢民国家主席が訪日された際にも、朝鮮半島の問題について、両国でその平和と安定のために緊密に協力していくということを両首脳間で合意しているわけでありますので、小渕総理訪中されたときに当然この北朝鮮ミサイルの話も話し合われるだろう、こういうふうに思っております。
  5. 上原康助

    上原委員 これは日本側として、仮にミサイルが再び発射される、あるいは実行に移されるという場合には、新たな外交問題あるいは安全保障上の問題になると思うのですね。さりとて、これを軍事的に阻止するとか、あるいは対抗手段というのはとれないと思うし、またそれは慎重であるべきだと思います、アメリカにしても。今、差し迫ってそういう準備が整っているという状況ではないという御判断のようですが、積極的に、そういう事態が起こらないように、特に日本側の主体的な努力というものを強く要望しておきたいと存じます。  それともう一点、日中関係で、訪中なさる課題はいろいろあると思うのですが、特に関心が持たれていることについては、中国WTO加盟問題があると思うのですね。日中間では、高級事務レベルではかなり意見が調整されつつあるように聞いておるのですが、総理訪中段階までにそのことが決着つくのかどうか、この点についての見通しはいかがでしょう。
  6. 高村正彦

    高村国務大臣 中国WTO加盟のための日中二国間交渉でございますが、七月一日、二日と北京で継続されております。今週の交渉進展を踏まえて、来週の前半に原口外務審議官を団長とする交渉団訪中して、ハイレベルで引き続き交渉を行うことを考えているわけであります。総理訪中すれば、これはまさに二国間交渉進展させる好機であり、この際のバイ協議妥結へ向けて双方努力をしているところでございます。  ただ、初めに妥結ありきということではなくて、解決しなければならない幾つかの問題がまだ残っているわけでありまして、分野によっては中国側反応は極めて厳しいわけであります。交渉中でもあり、中身の詳細は申し上げられないわけでありますが、特に流通、電気通信、建設の分野での溝を埋めるには、さらに相当努力双方努力が必要だと思っております。  これは交渉でありますから、交渉妥結には我が国利益がきちんと確保されることが重要でありまして、大局的見地からの中国側の前向きな対応を引き続き求めていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  7. 上原康助

    上原委員 このWTO問題は、いろいろ議論すればもっとお尋ねしたいし、特に日中関係また米中関係にとっても大変重要な課題であると同時に、意見調整相当難しい分野もあるように思われます。日本としては、米中関係が今幾分膠着状態、硬直している関係もあるやに思いますので、日本側が、中国側意向というものも体しつつ、解決できるような道筋を立てるように努力を願いたいと存じます。  もう一点、さきのテポドン問題、ミサイル問題とも関連していると思うのですが、日朝関係お尋ねしておきたいことは、米国ペリー国防長官、いわゆる北朝鮮政策調整官政策見直し報告ですが、これが当初予定されたことより相当おくれておるやに思います。もちろん相手があり、またいろいろ複雑で困難な課題包括的アプローチということで取り入れられようとしているようでありますから、より困難かもしれませんが、なぜこんなにペリー政策調整官報告書大統領への報告というか公表が予定されたことよりおくれているのか。この点について米国政府というかペリー政策調整官から何か日本側へのメッセージはあるのかどうか、これが一点。  もう一つは、この包括的アプローチという中には、いわゆる拉致疑惑の問題であるとか、先ほど御指摘いたしました弾道ミサイル開発の中止等々、日本側意向というものも盛り込まれたのが包括アプローチ政策というか構想なのか、その二点についてお聞かせを願いたいと存じます。
  8. 高村正彦

    高村国務大臣 アメリカ側のいろいろな話を総合すると、ペリー調整官がピョンヤンに行って、そしていろいろ話してきて、そして北朝鮮側のそのことに対する反応をもう少し見きわめたいということが報告がまだ出ていない一番の理由だというふうに私たち理解をしております。  それから、ペリー調整官、昨年でありますが、日本に最初に調整官として来られたときに、私の方から、日本政府としてまだきっちり方針を決めているわけではないけれども、もし北朝鮮ミサイル発射が再びあるということになると、KEDOの協力が非常に日本国民感情からいって難しくなるという点がある、ですから、本来、北朝鮮核兵器開発を阻止するということとミサイルの問題は別々のことであるかもしれないけれども、その二つを一つのパッケージにするということが必要ではないかと自分は個人的には思っているということを申し上げました。  そのときに、ペリー調整官の方から、それはおもしろいアイデアだ、こういうようなお話がありまして、そのことだけでそうなったとは思いませんが、そういうことも含めた包括的アプローチということができて、日本考え方を取り入れてもらったということがあると思います。  それと同時に、私の方から拉致問題等も取り上げて、そしてそれは、ペリー調整官の包括的かつ統合されたアプローチという中でも、安全保障の問題と人道的問題ということの人道的問題ということで拉致の問題も取り上げていただいているし、最終的な報告書の中でもいただけるものだ、こういうふうに思っております。
  9. 上原康助

    上原委員 北朝鮮との関係というのはなかなか、南北間もいろいろな事件が起きてますます緊張状態にありますし、今大臣の御答弁を聞いても容易でないような気がいたします。しかし、これは粘り強く対話を推進しながら平和的方向解決する以外にないと存じますので、一層の御努力を要望しておきます。  次に、沖縄米軍基地問題についてお尋ねいたします。  これとの関連で、クリントン米大統領が、六月の二十五日の記者会見で、いわゆる基地問題が未解決状態沖縄に行きたくない、サミット出席のため。沖縄に到着するまでに残るすべての問題が解決できるよう希望すると述べたというワシントン共同発報道がなされている。  御承知のように、沖縄側、あるいはこれは日本国民と言っても、国民全体でも関心のある方はそうだと思うんですが、大変ショッキングというか、なぜこういう御発言をなさるのか真意がわかりかねるというのが本音ですね、もう私たちから見て、本当の気持ちです。  その一週間前のケルン・サミットの時点では、小渕総理との会談においては、沖縄に行くことを楽しみにしている、沖縄サミット開催するというのは非常にいいことで、いい決定をしてもらったというふうにコメントしているにもかかわらず、この段階最高指導者がこのような発言をなさるということは、SACO問題、いわゆるその目玉ともいう重要な普天間飛行場移設問題、あるいは那覇軍港等々のことをより困難にし、県民挙げてサミット成功のために今受け入れ態勢準備稲嶺知事中心、先頭にやろうとするやさきに、外交上も、これからの沖縄の基地問題の解決振興策等を含めて、私はいかがなものかと疑問を持たざるを得ません。  この前後のことにつきましては、外務大臣も、いろいろ米側との接触、折衝、会談の中で、それなりの米側の態度というか考えというものをお聞きになったんだと思うんですが、改めてこのことについて外務大臣としてどういうふうに御認識しておられるのか。また政府としては、これだけ話題というか問題視されていることについて、それを外交的に米側と、よく沖縄側意向というものも伝えて、サミット成功、基地問題の整理縮小等々を進めていかなければならないと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。
  10. 高村正彦

    高村国務大臣 二十五日に米国にて行われた記者会見におけるクリントン大統領発言でありますが、これは本問題の早期進展への期待を表明したものと受けとめております。普天間飛行場移設返還問題解決のための、一部に言われていますような期限を付したものというふうな受けとめ方はしておりません。そうではないということであります。  普天間飛行場移設返還問題につきましては、この飛行場が市街地にあり、一日も早く周辺住民方々の不安を解消したい、こういう観点から、政府としては、九州沖縄サミット開催を決定する以前から全力で取り組んできたものでございます。そのような意味で、本問題は、来年の九州沖縄サミット開催と直接関連するものではないわけであります。  政府としては、今後とも、稲嶺知事を初め沖縄県の地元の御理解と御協力を得つつ、本問題の早期解決に向けて最大限努力していく考えであります。  沖縄サミット、これは成功させなきゃいけないということは、これは一つのことでありまして、それからまた、SACO最終合意をきっちり進めていきたい、実行したいということもまた一つのことでありまして、これは両方やらなければいけない。それがお互いに関連し合うものではない。だから、サミットの時期を期限とするというようなこともこれは間違いでありますし、また同時に、両方きっちり進めていかなければいけないことでありますから、逆にサミットまでは何も手をつけないというようなことも、もし一部の人にそういう考えがあるとしたら、それは政府としては困る。ともかくサミット成功させなければいけない、そしてSACO最終合意も粛々と、サミット前であろうと後であろうと進めていかなければいけない問題である、私はそういうふうに考えているわけでございます。
  11. 上原康助

    上原委員 一種の期待感を持つということは、日米首脳会談で決めた合意事項でありますからわかるわけですが、時間もありませんからそう突っ込んだお尋ねやら議論はできませんが、ただ、懸念されるのは、サミットSACO合意関連しない、普天間とリンクさせぬということはずっと、今も大臣お述べになりましたし、総理初め官房長官あるいは防衛庁長官、みんなが言っておられるようにね。  しかし、これは、関係させたくない、リンクさせたくないということと、全く関連ないということとは、私は政治的問題の認識のあり方からしていろいろあると思うのですが、それはいずれおいおいまた議論をするとして、アメリカ側は、フォーリー駐日米大使稲嶺知事との会談内容とか、一々いつとは申しません、あるいはキャンベル副次官補のワシントンにおける発言とか、鈴木官房長官との会談とか、先だって米大使館のジェームズ・フォスター政務担当の公使が私の事務所にも来て、いろいろ意見交換をいたしました。やはり異口同音に、この秋ごろ、年内に普天間問題のめどをつけないといかないというのが、私は米側の強い意向のように受けとめておるわけですね。  ですから、そのことは、結果としてサミット問題と関連づけているなという印象を与えるし、同時に、沖縄県、県政に対するプレッシャーに受けとめられるのは、これはごく自然の、また常識と言ってもいいかと思うのですね。  要は、私は米大統領初め米国側に、なぜ二カ年有半たってもSACO最終合意が、特に普天間那覇軍港等々の移設先が決まらず、動かないかというこの背景と問題の本質というものを、困難さというものをぜひ理解させる必要があると思うのです、日本政府としては。むしろ米大統領は、合意はしたけれどもなぜこんなに動かないのか、その実情をサミットで見るというぐらいの柔軟性がないとこの問題は解決しないんじゃないかと思うのですね。  大臣おっしゃるように、それまで手をつけずにいいということはだれも言っていないわけで、そこいらのことについてもっと米側認識させるような努力をやっていただきたいと思うのですが、政府の決意をお聞かせ願いたいと存じます。
  12. 高村正彦

    高村国務大臣 現実になかなか思うように進んでいないわけでありますから、その現実を見て、非常に困難な問題であるということ自体は、アメリカ側もよく認識をしているだろうと思います。  それで、非常に困難な問題ではありますが、それにもかかわらず、日本政府にしても、やはりできるだけSACO合意に従って早く進めたい、早く進めることについては、稲嶺県知事を初め沖縄県側の御意見をよく聞いた上で進めたい、頭越しにはやらない、こういう中で努力をしている、そういうことは米側にもよく伝えてあるわけでございます。
  13. 上原康助

    上原委員 これは、これからいろいろ動きがあると思いますからまたの機会にいたしますが、余り拙速になったり、沖縄側政府がいろいろな面で誠意を持ってこれまで振興策その他基地問題をやってきたのに、その反応が鈍いとか、そういう認識をすると、私は、この基地問題等々はそう簡単にいかないと思うのですね。どうも日米首脳間の、政府首脳方々の御認識はいまいち非常に距離があるような感じがしますので、政府のしっかりしたメッセージ米側に伝えるように強く要望しておきます、沖縄側立場メッセージを。  時間がありませんから、次に、ハリアー飛行再開問題について。  これは、六月四日の事故機原因が発表されない、あるいはまた、沖縄県や嘉手納町、沖縄市、北谷町、関係町村報告もされずに訓練が再開されたことに大変不満と疑問と、政府は、事故原因についての究明をやるということと、事故が起きた場合あるいは再開する場合の連絡関係をよくするということと矛盾するし、実行していない、この点について大変沖縄側不満が強いということ。また、ある意味では、沖縄ハリアーを常駐せしめるということはSACO合意にも反している、こう見ざるを得ません。この点について、政府見解を求めておきたい、これが一つ。  もう一点は、時間がありませんからついでに申し上げます。  先だって返された読谷嘉手納弾薬庫返還跡地の環境汚染問題、これは、いろいろ調査をしてみると、そんなにひどい汚染ではないというのが政府見解のようです。だが、地主読谷村もこのことについては大変不満を持っていらっしゃるわけで、しかも汚染状況というのが判明したにもかかわらず、防衛庁防衛施設庁は県に対する報告関係町村に対する報告もやらなかった、そのことがますます不信感を増幅しているという、このことは私は改めるべきだと思うので、こういうことについて、どう改善策というか対処策をお考えなのか、二点についてお聞かせを願いたいと存じます。
  14. 高村正彦

    高村国務大臣 先般、嘉手納飛行場において発生したハリアー航空機事故原因でありますが、我が方からの申し入れを受け、米側において現在鋭意調査中であると承知しております。政府としては、早急に結果を説明するよう、米側に対し、累次の機会申し入れているわけであります。  これに対し米側からは、日本側申し入れを重く受けとめ、本件事故原因に関する調査報告が整い次第、日本側に提出するよう努めたい旨の回答を得ているところでございます。  本件事故発生後、米側は直ちに、三日間のハリアー航空機による訓練停止を実施し、その間、飛行手続安全手続等のレビューが行われた、こういうふうに承知しております。  政府といたしましても、今後とも、本件事故原因を早急に明らかにするとともに、事故再発防止全力を期すよう米側に強く働きかけていく所存でございます。  それから、今委員もおっしゃいましたが、最近、沖縄地元紙等において、米軍ハリアー航空機嘉手納飛行場に常駐しているのではないかという報道がなされておりますが、こういう背景を踏まえて、政府として、米側に対し、このような地元の声を伝えるとともに、我が国展開している六機のハリアー航空機に関する事実関係を改めて照会いたしました。  これを受け、米側より我が方に対し、今般、以下のとおりの説明がありました。そして、在日米軍は、本日中にも、今私が申し上げる内容プレスリリースを発出する、こう承知をしております。  一九九六年五月に、在日米軍岩国飛行場配備ハリアー航空機二十機を六機に削減する旨の発表を行って以降、米国政府政策に変更はない。この措置は、SACOの提言によるもので、沖縄に駐留する米軍地元への影響及び岩国飛行場における騒音を軽減するためにとられたものである。  六機のハリアー航空機は、アリゾナ州のユマ基地を本拠とする第三一一海兵攻撃飛行隊分遣隊である。これらは、部隊展開計画の一環として、六カ月のローテーションベース日本展開している。日本における展開先及び中継整備施設岩国飛行場であり、日本にいる間は第三一海兵機動展開隊に付随する。  典型的な六カ月の展開中、ハリアー航空機は、相当期間を海上で過ごし、ベローウッド両用船即応群から活動を行う。その他の期間において、ハリアー航空機は、活動訓練及び緊急事態支援のため、日本本土沖縄その他の飛行場から活動することがある。ハリアー航空機は、嘉手納飛行場において活動することがあるが、同飛行場配備ないし常駐するものではない。  こういうことをきょう、在日米軍プレスリリースで発出する、こういうふうに承知をしております。  読谷汚染の件については、政府委員から答弁させます。
  15. 宝槻吉昭

    宝槻政府委員 簡潔にお答えさせていただきます。  先般の嘉手納弾薬庫地区返還にかかわる環境調査を実施したわけでございます。これは、最終的には六月二十三日にその調査の結果が出てまいりました。  もともと、翌二十四日に現地土地所有者等に対して引き渡し会それから説明会を予定しておったものですから、二十四日に詳細な資料をもって御説明いたしました。また、同日、県それから読谷村に対しても局の方から出向いて説明いたしまして、御了解を得ております。  当日の所有者等現地説明会に際して、確かに、先生おっしゃったような個々地主からの要望、懸念といったものもございました。そういった点については、今後、引き渡し後の個々原状回復措置の中で局としては誠意を持って対応していきたいというふうに説明いたしまして、それで一応その説明会の場においても御了解いただいているというふうに私どもは報告を受けておりますので、よろしく御理解願いたいと思います。
  16. 上原康助

    上原委員 もう時間ですから終わりますが、ハリアーの問題にしましても、今の読谷返還跡地土壌汚染の件にしましても、どうも情報開示が素直でないし、誠意を持ってやっていないという印象を強く与える。これはもう皆さんこれまで前科があるから、失礼な言い方だが。その不信感をますます増幅させるようなことは政府は厳として、私はそういう姿勢は改めていただきたい。  先ほどのハリアーの問題についてもいろいろ疑問がありますが、きょう大臣がお答えになったことの内容を精査して、また後日お尋ねをさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  17. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、八代英太君。
  18. 八代英太

    八代委員 上原先生、玄葉先生、御配慮いただきまして、ありがとうございます。御苦労さまでございました。  自由民主党の八代英太でございます。  冷戦終結後におけるボーダーレス化の進展や、宗教、価値観の違いから生じる民族紛争の激化というのが、大変、国境を越えた形で今行われておりまして、そういうものを私たちも見ながら、ふっとまた我が日本の遠い昔を連想いたしますと、昔、この日本列島にも、いろいろな人たちがそれぞれの中で対立をし合いながら、そして、みんな一緒に和にならなきゃいけない、大きく和になろうということで大和と、大きく和になるという前提に立った、いわば日本の本格的な歴史が始まったというふうに思います。  そういう意味では、何か、そのころの時代と今は全く違うわけでありますが、そのころの日本の遠い、遠い、遠い昔のそういう状況が、このボーダーレス化によって、宗教、民族の対立等々によって、今、世界のいろいろなところで紛争が起きてしまっているのではないか。そのためにも日本は、大きな和の、いよいよ地球、グローバルという視点に立った外交展開していただきたいという思いを持ちまして、きょうは、国際交流全般につきましていろいろと、大臣の御所感なども伺っていきたいと思っております。  そこで、また、各国でいろいろ情報化の時代で民主化が進展しつつある昨今でもございますし、外交面におきましても、政府首脳同士の合意だけではなく、国民レベルにおける本当の意味での相互理解がこれからますます必要でありましょうし、それがまた友好関係構築につながっていくのではないかというふうに思ってきております。そのために、国民レベルにおける国際的な人の交流や文化交流を積み重ねていく努力というのが、将来の我が国外交にとってはかなめになる、非常に重要な意味を持つものと私は考えておるわけでございます。  我が国におきましても、従来、政府や自治体、または民間団体によって地道な努力が継続されてはおりますけれども、では、それの施策というものが、スタッフの数、あるいは予算の面、層の厚さ、いろいろなことを先進各国と比較してみますと、まだまだ十分とは言えないのではないかという思いがするんです。  今、日本が平和であればあるほど、平和のこのときこそ、まず、転ばぬ先のつえのもろもろの国際交流の準備をしておく大切なときだと。今のこの平和のうちにしっかりやって、しかも二十世紀から二十一世紀という大きな変わり目でもあるだけに、まさに二十一世紀の日本の国際交流、なかんずく外交のあるべき姿というものを今こそしっかり絵をかいておくべきだ。  こういう思いに立ちますと、国際交流推進の重要性に対する政府認識と、また、我が国の国際交流活動における今後の課題について、外務大臣はどのように絵をおかきになっているのか、あるいはお考えをお持ちなのか、冒頭ひとつお伺いをしておきたいと思っております。
  19. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国と諸外国との相互理解増進、あるいは国際友好親善を促進する上で、国際交流が果たす役割は極めて大きいと私も考えております。  国際交流の中には、人物交流あるいは芸術交流等が含まれるわけでありますが、その成果は、例えば、海外における日本語学習者の増加、あるいは大型文化行事の成功という形で具体的にあらわれてきているというふうに考えております。例えば、日本語教育の話でありますが、一九九三年に約百六十二万人であった世界各国の日本語学習者が、一九九八年には約二百九万人に増加した、こういう報告を受けております。  今後の課題といたしましては、各国の実情に応じたよりきめ細かい国際交流の実施に努めるほか、人物交流、特に青少年、留学生交流をさらに推進し、地方自治体やNGO、NPOを含む民間団体との連携協力を一層強化して、国民レベルでの交流を促進していくことが肝要だと考えております。
  20. 八代英太

    八代委員 政府間、民間、NGO、もろもろのそうした交流が大変大切でありましょうし、まさに人的交流がそのかなめになっていくだろうと思うんです。  しかし、諸外国の皆さんがいろいろ日本との連携をとっていくけれども、ここは農林水産省かな、これは通産省かな、これは厚生省なのかな、これはどこの省なのかなとぐるぐる回って、結果的に外務省に行くと、いや、それはやはり農水省だよというようなことで、何となく窓口が、外務省なら外務省という中にしっかり日の丸を立てて、そこがまず窓口である、そこにまず人が訪ねてくる、そこから、あなたはここへ行きなさい、あなたはここへ行きなさい、これはこういうことですというイニシアチブをやはりこれから外務省がとっていきませんと、どうも、いろいろな交流は盛んに行われているように見えているんだけれども、これが点、点、点となって、そこの線がつながっていないというところが、私は否めない現実だろうと思うんですね。  私は、これに非常によく似ているのが今のカンボジアだと思っているんです。  この間カンボジアに行ってきました。カンボジアに行きますと、スウェーデン型のNGOがあり、イギリス型があり、カナダ型があり、日本型があり、あるいはまたアメリカ型があり、いろいろなNGOが至るところに無数にできていて、例えば福祉関係、障害者問題一つとってみましても、ここが全く個々の形で点になっている。しかし、これには横の線がないのですね。横の線がないときに、では、このNGOが引き揚げてしまったときに、カンボジアのそうした問題はどうなるのだろうということをこの間私は述べてきたのです。  そうしたときに、やはりそこにネットワーク化をして、同じカンボジアのそういう状況を見ながら、ふっと日本も、与える側の立場になっていて、では本当にカンボジアのこういう状況を憂える状況だろうかというと、日本の窓口も非常にばらばらになっている。その辺の、民間団体との連携とか協力体制ということは当然なんですけれども、これもやはり外務省がしっかりイニシアチブをとらなければならないというような、各省のばらばらの交流という形から変えていく姿勢というのが必要じゃないかと思うのですが、その辺は大臣はどんなふうにお考えになるでしょうか。
  21. 高村正彦

    高村国務大臣 いわゆる縦割り行政の弊害というのは、委員が御指摘のように、この国際交流の面でも同じような弊害が当然あるのだろうと思います。ある以上はこれは解消していかなければいけない、消していかなければいけない。  国際交流の中でもそれぞれの専門分野のそれぞれの省庁が担当しているということ、それ自体が悪いということではないのだろうと思うのですが、調整という役割はやはり、国際交流という面では外務省が積極的にイニシアチブを発揮して、委員がおっしゃるようなそういった方向でさらに努力をしていきたいと思いますので、今後とも御指導、御激励をいただきたいと思います。
  22. 八代英太

    八代委員 昨年十月、金大中韓国大統領の訪日及び十一月には江沢民中国国家主席が訪日されまして、我が国と両国の、これも交流の問題が大きな相互理解促進の観点から必要だということと、次世代を担う留学生あるいはまた青少年の交流という重要性が論じられ、強調されたというように思っております。  こうした動きというのは、まさに時代の要請に沿うものでもありましょうし、先ほど大臣がおっしゃったような人的交流の、まさに次世代を担う人々の積極交流ということが大変重要だというふうに思っているわけですが、こうした新たな計画が作成される一方で、いわゆる我が国への留学生、これが、一応十万人受け入れ体制という計画があるのだけれども、何か五万人ぐらいだと。どうもなかなか十万人体制はできていないというようなことを若干伺って、足踏み状態かなという思いがするのです。  では一方、各国が日本に対するいろいろなあこがれ、そういうものは持っていたけれども、日本の受け入れ体制がなかなかしっかりしていないものだから、目はアメリカに向いてしまう、イギリスに向いてしまう、あるいはフランスに向いてしまうということで、これらの受入国はもう優に十万人は軽く人的なものは受け入れる体制というものができていて、それを実践している。  そういうギャップを私たちはちらっとニュースで見たのですが、我が国が留学生受け入れや青少年の交流を外交政策の重要なものであると認識しているということになりますと、新たな世紀を迎えようとしている今、これまでもさまざまな問題点が指摘されている我が国における留学生の受け入れ政策というのを、やはり各国の留学生政策やその動向を的確に把握した上で、どういうところが日本はだめなのか、どこがネックなのかというようなことを抜本的に見直す時期だというふうにも思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  23. 高村正彦

    高村国務大臣 留学生交流は、我が国と諸外国との相互理解と友好親善を促進し、途上国を初め各国の将来を担う人材の育成に協力するものであり、我が国の国際貢献の重要な柱であるという認識をしているところでございます。  我が国に在籍する留学生数は、平成十年五月一日現在五万一千二百九十八人、平成九年に比して二百五十一人増加したわけでありますが、留学生数が増加したのは平成七年以来三年ぶりのことであるわけであります。  平成十一年度予算では、ODA留学生関係予算、対前年度比五・四%増の約四百四十六億円を計上しており、ODA予算全体が〇・二%増の中で特段の配慮を払っているわけではあります。特に途上国政府による我が国への留学生派遣事業を支援する留学生支援無償を新設し、予算を計上しているわけであります。厳しい財政状況ではありますが、今後とも各国の留学生政策の動向を把握しつつ、留学生交流施策の充実に向けて最大限の努力をしてまいります。  ネックがどこにあるか、こういうことでございますが、いろいろあるのだろうと思います。例えば、日本の生活費が高いとか、卒業してもなかなか将来の国に帰っての出世がおぼつかないとか、あるいは日本語が難しいとか、学位を取るのが日本の大学では難しいとか、いろいろあると思いますが、そういった点、一つ一つどう解消していくのか、中では、解消できないものについてはどうほかのことで補っていくのか、そういったことを一つ一つ検討して、これからも留学生十万人という目標を超えるようにやっていきたい、こう思っております。
  24. 八代英太

    八代委員 そういう中で、日本は今非常に、景気が悪いのはわかっているのですけれども、平和である。しかし、エネルギーなんかは、中東への依存度もかつての七〇%時代からもう九〇%というような時代になって、エネルギーすべてはもう一〇〇%依存しなければならない。しかし、その中東はなかなか日本からは遠い。  そういうエネルギーが今潤沢に日本にあるということで何となく平和を享受しているけれども、実は、日本のシーレーン一つを含めても、そのシーレーンに属する国々と、やはり二十一世紀の若者たち日本の若者たちがしっかり手をつないでパートナーシップを持っていかないと、これが一たび崩れたら日本はもう大変なパニックを招致するだろうと思うのですね。一九七三年の石油ショックのあのパニック状況は、これはもう再現なんということになっては、あれ一つをとっても大変だけれども、今はエネルギーの中東依存度というのはもう一〇〇%に近い状況になってきている。しかし、その中東におけるいろいろな問題というのにはなかなか日本との距離感が私はまだまだあるように思うし、若者たちの距離感が非常にあるような気がいたします。  そういう意味でも、例えばそういう将来の日本安全保障あるいはエネルギー保障、食糧、こういう一つの国家の生きる上に重要な部分というものを視点に置きながら、やはり学生の交流とかあるいは留学生の受け入れというのも、百八十数カ国すべて平均的に、濃淡をつけずにというのも戦略かもしれないけれども、私は、日本の将来という思いをとると、やはりこのラインの中における留学生の招致というのは、日本理解してもらうためにも、安全保障という視点に立っても、大変重要だというふうに思っております。  そこで、七月には総理も、それから外務大臣も御一緒でしょうか、訪中されるということでありますが、昨年十一月に訪日した江沢民主席と小渕総理は、平和と発展のための友好協力パートナーシップ構築に関する日中共同宣言を発表しまして、この中で、日中双方、毎年いずれか一方の国の指導者が相手国を訪問することを確認されておるわけであります。これを受けて、小渕総理は、今月の八日からでしたか何日だかちょっと記憶はあれですが、中国を訪問する予定となっております。江主席の訪問は中国の国家元首として初めての公式訪問でもありましたし、日中平和条約締結二十周年という記念すべき年に実現したものでもございます。  首脳会談を踏まえて取りまとめられた日中共同宣言を拝見しますと、両国民が手を携えて、この宣言に示された精神を発揮していけば、両国民の世々代々にわたる友好に資するのみならず、アジア太平洋地域及び世界の平和と発展に対して必ずや重要な貢献を行うであろうことをかたく信じる、こう締めくくってあるわけですね。  しかしながら、これに反するように、江主席は過去にこだわる態度を崩さず、若干後味の悪さを残した訪日となってしまった感もあるかもしれませんが、この七月に予定されている総理訪中というのは今世紀最後の総理の公式訪中になると思っておりますので、二十一世紀への橋渡しとなるこの訪中において、人的交流も含めた今度の訪中における外務大臣等の考え、また政府はどのような日中関係の構築を目指すのか、その一つ考え方を伺えれば伺っておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  25. 高村正彦

    高村国務大臣 いつから行くかということは、実はまだ決まっていないのです、国会の承認を得られておりませんので。委員の記憶が悪いわけじゃありません。  総理訪中が実現すれば、昨年の江沢民主席の訪日を通じ、日中関係が新たな段階に入ったことを踏まえ、御指摘のとおり、日中友好協力の新世紀へのかけ橋となるような訪問になると考えております。  江沢民主席訪日時に発出した三十三項目にわたる各種の協力について、その実施状況を検討し、今後の方向性を議論すること等を通じて、昨年合意した日中間の平和と発展のための友好協力パートナーシップを一層確固たるものにしたいと考えております。また、二国間の協力に限らず、来世紀における世界の平和と発展に向け、国際的な議題における協力についても意見交換が行われるものと考えております。
  26. 八代英太

    八代委員 ぜひしっかり言うべきは今度こそは言っていただいて、何かきょうのニュースでは、組織犯罪について、特に蛇頭を含めた不法入国の問題、あるいは銃器を密輸入しているとか、あるいはまた麻薬の問題、こういうこともテーマになるなどという、これも先走った報道かもしれませんが、そういうことも踏まえて、日中相互の、お互いの二十一世紀のパートナーシップというものが大きなテーマになるということが報道されておりました。  きょうは、与えられた時間も以上のような状況になってしまいましたので、いずれにしましても、大和外交というかな、大きな和になるこの大和外交、私は福祉外交というのを得意にしていまして、福祉の分野における外交を通じてこのアジア、そして世界という視点をとらえているのですが、ぜひそういう意味でも、これからまさに大切な時代の外交政策だと思いますので、高村外務大臣も、健康に留意されながら、精力的にひとつまた展開していただきたいことをお願いいたしまして、若干早目でございますが、委員長、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  27. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、玄葉光一郎君。
  28. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。  お時間が余りありませんけれども、きょうは、APECの問題と、核廃絶、核軍縮、核不拡散の問題について、少し外務大臣議論させていただきたい、お考えをお伺いしたいと思っております。  APECについてお尋ねをしたいと思ったのは、先般サミットがございました。私にとっては、改めてサミットというのは一体何だろうということを考えさせられる機会でありました。ASEMというマルチの会合がございます。なかなか機能していないというふうにも聞いております。最近、APECの問題が出てきております。特に、APECについては日本がリーダーシップをとられたということもあるものですから、外務大臣に率直なお考えを聞いておきたいというふうに考えたわけでございます。  過去十回APECの会合が開かれているというふうに聞いてございます。開かれた地域協力によって経済発展を図る、そのために多角的な自由貿易体制の促進をその主な目的とするというふうに聞いてございますけれども、過去十回のAPEC、これは日本にとって、さらに言えばアジア太平洋にとって役に立ったのか、役に立たなかったのか。その成果と、総括と申しますか、その辺のところをまずお伺いしたいと思います。
  29. 高村正彦

    高村国務大臣 APECは、八九年に設立されて以来、東アジアの新興市場経済を含むアジアの太平洋地域の主要経済が一つのまとまりとして域内の貿易投資の自由化、また貿易投資の円滑化、それから経済技術協力を中核とする幅広い分野での共通の課題に取り組むことによって、一つの地域としての共通意識を培うアジア太平洋地域の繁栄の推進機関として成果を上げてきた、それなりの成果を上げてきた、こう考えております。  APECの今後のあり方についてでありますが、十年目の節目を迎えて種々の場で議論が行われております。近年特に焦点となった貿易投資の自由化の側面のみならず、他の二つの柱である貿易投資の円滑化、あるいは経済技術協力とのバランスを考えながら、アジア太平洋地域がグローバリゼーションの利益を一層確実に享受しつつ、他方で、この過程が提起する新たな課題に対して、例えば市場の強化、人材育成等を通じて取り組み、地域の持続可能な発展のための努力を継続していくべきである、こう考えております。  成果を上げてきたかということについては、期待水準といいますか、要求水準をどのくらいに持つかということで大分違ってくると思いますが、G8との違いは、G8というのはある程度発展レベルが似通った先進工業国でつくられている、こういうことでありますが、APECは必ずしもそうでもない。そういう中でありますから、必ずしも貿易投資の自由化というだけでなくて、経済技術協力とか、そういったことも大きな柱になっているわけでありまして、そういうことをバランスよくやっていく。そして、そういう中で貿易投資の自由化とか円滑化ということについての、そういう全体の雰囲気を醸し出していく。  ここで、何かごりごり交渉をしてきっちり、交渉力の強い者がだれかに押しつけて具体的な成果を上げていく、必ずしもそういう場ではなくて、発展段階が違う、あるいは文化等も違う、そういったそれぞれの国が幅広く加盟して、そういう中で、それぞれの国の個別的な行動計画等についても、みんなが友人としてのそういうレビューを行うとか、そういったことで全体の持続的発展に向けてのいい雰囲気を醸し出していくということにおきましては相当の成果が上がっている、こういうふうに考えております。
  30. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 とても率直なお考えをお聞きしたと思っています。おっしゃるとおり、期待水準で成果、評価の違いというのは出てくるのだろうというふうに思います。ただ、日本がいわば言い出しべでつくり上げた機構である。それは、できればこのAPECという機構を今後のアジア太平洋の経済発展にさらに活用したい、そう考えることは多分同じだろうというふうに思っています。私は期待水準がある意味では高かったのかもしれません。  小渕外務大臣のときだったと思いますけれども、例えば、アジアの経済危機のときにインドネシアなどにIMFが乗り出した。IMFのコンディショナリーは、中南米の危機のときと同じようなものでございました。それについて、私は、果たしてそれでいいのかということをかなり早い段階からあの当時申し上げていた一人であります。IMF改革というのがその後出てきているようでありますけれども、私はあのときに、IMFに日本としては理事を出しているし、まさにAPECみたいなものが乗り出すことができないのかということをたしか言った記憶があるわけであります。  先般のアジアの経済危機があったものですから、期待水準の高かった人たちからは、APECとは何だろう、これはネガティブな意味で、懐疑論がある、あるいは心配をする向きもあるようであります。私は、この十年という節目に、APECの活用の仕方というのを改めて考えてみる必要があるのだろうというふうに思っている一人であります。  アジアの経済危機でわかったことというのは、あるいは感じたことというのはたくさんありますけれども、そのうちの一つは、やはり政治と経済は切り離せないな、政治の安定と経済の安定というのはなかなか切り離せないぞということであります。  もう一つ申し上げれば、例えばタイの金融危機の推移なんかを見ておりますと、短期資金の急速な引き揚げであのような危機に陥ったということを考えると、改めてフリーという概念について検証しなきゃいけないのだろう。もっと言えば、別の言い方をすれば、スピードの調整のようなものが必要なんだろうということをあのときのアジア経済危機、今、大分宮澤プランなども功を奏したと評価しますけれども、大分回復してきていますけれども、しかし、あのとき感じたのは特にその二点でありました。  私は、この二つをすべてAPECに担わせるというのは酷だというふうに思いますけれども、政治という問題もAPECで今後出していってもよいのではないかというふうに思っていますし、もう一つ、スピード調整機能というのをAPECに持たすことはできないのだろうかということであります。一カ国とか二カ国、三カ国ではWTOに対してなかなか物は言いにくいわけでありますけれども、早過ぎるぞということなんかをAPECとしてWTOに言っていく、そんな機能を持たすことはできないのだろうかというようなことをつらつらと考えることがあるわけでありますけれども、外務大臣、御意見ございましたらお伺いをしたいと思います。
  31. 高村正彦

    高村国務大臣 幾つかの問題点を含んだ御質問だったと思いますが、APECがアジア経済危機で有効な手を打てたのかというようなこともあったと思いますが、そのような問題意識というのはかなり共有されているものだと思っております。政府としても、そういった問題意識を踏まえまして、今月二十二日、二十三日、APECアジア経済に関するシンポジウムを東京で開催して、九月の閣僚首脳プロセスに提言を提出する予定でございます。  また、APEC蔵相プロセスと他のAPEC会合との連携が強化されることになりました。APECとして、財政金融分野への取り組みについて今後改善されることが期待をされております。五月のAPEC蔵相会議では、国際金融アーキテクチャーの議論に新興市場経済を関与させるべきという声明が出ておりますし、途上エコノミーの声を吸い上げるという点ではAPECの存在意義があるものと理解をしております。  それから、政治の関与ということでありますが、これはなかなか難しい問題で、APECに関係している民間の方たちから随分そういう意見が出ているわけでありますが、必ずしもAPEC加盟国からそういう声が出ていない。というのは、現実の問題として台湾が加盟している。それは、経済の問題をやるときに当然加盟してもらわなきゃしようがないわけですが、そこで政治が行われるということは、当然のことながら中国は嫌がる。そういう問題をどう解決するんですかということで、今少なくとも各国の政府段階で、政治の問題も積極的にやっていこうよという声は出ていないというのが現実でございます。  それからIMFの改革。これは、インドネシアのときなどIMFの示した改革案がそのまま現実性を持っていたのかどうかということについては、当時から考え方がいろいろありまして、それは必ずしもAPECの場ということではありませんけれども、日本政府としては、それは現実の問題としていろいろあるよということはIMFに随分伝えたつもりでございます。伝えるようなことになったのは、APECという場でいろいろのつき合いがある中で伝える条件がきっちりできていたということはあるだろうと思います。必ずしもAPECの場でそういうことをしたということではないかもしれませんが。  そういう意味で、APECというのは具体的なことを一つ一つ交渉してやっていくという場ではないと私は思っていますが、全体的なこの地域の持続的発展という面で、そういった基盤、同じような考え方をだんだんに形成していくということには大いに役に立っているのではないか、こういう感じ方を持っております。
  32. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 インドネシアの危機のときに日本は言ったんだということでありますけれども、大分遅かったと私の認識にはございます。つまり、あのときIMFに理事を出していたけれども、どうも当初はそのコンディショナリーに注文をつけた業績というか足跡がないようでありまして、大分日本の国内で議論が起きてから言っていったのかなというふうに思います。それはそれとして、今回の問いではありませんので申し上げませんけれども。  おっしゃるとおり、APECの二十一の国と地域をぎりぎり拘束して関税交渉のような交渉をやっていく、そういうような場ではないんだという高村外務大臣のお考えでございます。  それはそれで、私もぎりぎり交渉する場ではないのかなというふうに思いますけれども、私は、もしAPEC、まさに日本が言い出しべで始まった機構なので私も特に真剣に考えているのですけれども、言い出しべで、外交のいわば得点にもなったAPECがいろいろな人から心配されて、懐疑論を持たれている。もしこれを活用していくとしたら、先ほど申し上げましたように、いわば地域密着型のAPEC、機構みたいなものとして、スピードの調整なんかを単独では言えないからAPECとして言ってあげるとか、何かそういうことでも考えていかないといけないのかなというふうに思うわけでございます。  もう一つついでに、こういうときなので考えたことを申し上げて、もうざっくばらんで結構ですから御意見をお伺いしたいのは、私も質問をするのでいろいろ聞いたならば、事務局というのがすごく貧弱だと言うのです。外務省の方はそういう言い方はしませんよ。つまり、最低限の機能は発揮されているしということをおっしゃるわけでありますけれども、結局、各国から一名か二名派遣されていて、いわば予算の管理というのが基本的な任務だということであります。  私は、これは一つの欠陥じゃないかなと。その人に能力がないということではなくて、事務局機能というのをもう一度再認識すべきではないかと。専門家などを数名配置して、さらにその専門家を周りに配置してネットワークを組むとか、例えばああいうアジア金融危機のときなんかにAPECとしてどうするかというときには、その事務局がしっかりしていれば、もしかしたら機動的な対応ができたかもしれない、私などはそんなことも考えるわけでありますけれども、外務大臣のお考えあるいは感想でも結構でありますが、お聞かせをいただきたいと思います。
  33. 高村正彦

    高村国務大臣 委員のお考え一つの見識だろう、こう思っております。私もそういう考え方はあり得ると思っておりますが、現実を申しますと、今の各エコノミー、各国、各地域、いずれも、とてもその事務局をふやす、そのためにお金を出す、そういうような感じではないという現実があるということは御理解いただきたいと思います。  これは、国際機関ほとんどについてそうでありますが、例えばOECDなんかももっと減らせという圧力が各国からかかっている中で、APECについて本当に、おっしゃるように二十名ちょっとでやっていますので、これで十分かといえばなかなか、ふやせばもっといいことができるなということは、それはそうなんだろうと思います。ただ、現実の問題として、今各国はとてもさらにお金を出してふやすという環境にないということは事実として申し上げておきたいと思っています。
  34. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 こういうマルチのフォーラムというか機構を考えるときに、案外見過ごすことのできない点は、私は数だと思っているのです、数。  それで、くだらないことかもしれませんけれども、でも実は案外大事だというふうに思っていて、国会議員なんかも、ある大事な政策のたたき台をつくるというときに、大体十人以上集まったら議論にならない。五人とか六人とか七人とか八人だったらしっかりとした意見交換ができるんだけれども、十人以上になると、大体意見の表明に終わってしまうという感じを私としては持っています。あるいは、昔さきがけにいたのですけれども、さきがけのときも、まさに十人のメンバーのときは、私ごとにもなりますけれども、非常に議論がしやすかったけれども、二十人ぐらいになると一気にしにくくなるのですね。メンバーの質の問題じゃなくて、数の問題というのが私はあると思っているのです。  ASEMなんかがうまくいかない理由は、そこに一つあるんじゃないかと思っていますが、APECも二十一の国と地域、エコノミーだということです。ウエーティングしている国や地域があるということですから、減らせというわけにいかないので、やはり私は、ここは事務局か何かをしっかりさせないと、機能するというのはなかなか大変だろうなというふうに、これまでの歩みなんかをずっと見ていて、サーベイしてそう感じました。もし御意見があったら、あるいは感想があったらお聞かせいただきたいと思います。  問題は、事務局、日本が言い出しべで始まったので、再構築していくということであれば、そんなこともあわせて政府としておっしゃるということもよいのではないか、そんなふうにも思いますが、改めて、ございますればで結構ですが、お願いします。
  35. 高村正彦

    高村国務大臣 特に積極的に申し上げることはないのですが、委員長が御指名でありますから……(玄葉委員「じゃ、いいですよ」と呼ぶ)いいですか。ありがとうございます。
  36. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 もう時間がありませんし、結構です。これは私自身の頭の整理もあって申し上げてきたので、結構です。  ただ、せっかく日本が、何回も何回も申し上げて恐縮ですが、言い出しべで始まったことなので、ここはかなり知恵とアイデアを出し合って活用していくということを考えるべきだろうというふうに思っています。  あと、核廃絶、核軍縮、核不拡散の問題でしっかり議論したいと思っておりますが、もう時間ありませんので、出だしのところだけ質問させていただいて、次回に繰り延べたいと思います。  前も非核三原則の議論をしたときに、私自身も抑止というものについて、その機能を基本的に認めるという立場に立って議論をさせていただいたわけでありますけれども、その上で議論しても当たり前の話ですが、核戦争を回避するあらゆる手段というのを駆使しなければいけないだろうというふうに思います。その一つとして最近私が注目をしているのはノー・ファースト・ユース、核の先制不使用という問題でございます。  この核の先制不使用、ノー・ファースト・ユース、これは、核兵器保有国が核兵器保有国に対してノー・ファースト・ユースだという場合と、核兵器保有国が非核保有国に対してノー・ファースト・ユースだという場合と二つあると思いますけれども、その両方ともひっくるめて答えていただいていいわけでありますが、日本政府としては、このノー・ファースト・ユース、核の先制不使用という問題に対してはどういう見解をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
  37. 高村正彦

    高村国務大臣 核先制不使用の問題につきましては、現在では核兵器国間での見解の一致が見られていないというふうに承知をしております。いまだに核などの大量破壊兵器を含む多大な軍事力が存在している現実の国際社会では、我が国としては米国との安全保障条約を堅持し、その抑止力のもとで自国の安全を確保するとともに、核兵器を含む軍備削減、国際的核不拡散体制の堅持、強化等の努力を重ねて、核兵器の使用を必要としないような平和な国際社会をつくっていくことが重要だ、こう考えております。  我が国としては、核の先制不使用につきましては、核兵器国間の信頼醸成及びそのことを通じた核兵器削減につながる可能性があるという点では積極的に評価すべきであるという考え方があることは承知しておりますが、いまだに核などの大量破壊兵器を含む多大な軍事力が存在している現実の国際社会では、何ら検証の方途のない先制不使用の考え方、検証の方途のないというのは、実際に核を使えば検証できるわけですが、本当に守ろうとする意図があるかどうかということがお互いに検証できない、そういう状況の中で、何ら検証の方途のない先制不使用の考え方に依存して、我が国安全保障に十全を期すことは困難であると考えております。  いずれにしましても、我が国としては、米国との安全保障条約を堅持し、その抑止力のもとで自国の安全を確保するとともに、核兵器を含む軍備削減、国際的核不拡散体制の堅持、強化等の努力を重ねて、核兵器の使用を必要としないような平和な国際社会をつくっていくことが重要と考えております。
  38. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 政府の基本的見解についてはわかりましたので、それを踏まえて、次回具体的に、私は核の先制不使用、ノー・ファースト・ユースというのを日本政府が各国に対して求めてもよいのではないかという立場に立って議論をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
  39. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、赤松正雄君。
  40. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。  私は、さきに終わりましたサミットあるいはその中で出ましたお話に関連して、幾つか質問をしたいと思います。  既に総理大臣のケルン・サミット報告を受けての本会議における質疑が終わったわけですけれども、若干外務大臣からケルン・サミットについての総括といいますか、外務大臣として、今回のサミットについて日本立場からしてどういうふうに評価をしておられるのかということについて、総括的な感想、評価、悪いということはなかなか言いづらいのでしょうけれども、その辺、総括を最初にお願いしたいと思います。
  41. 高村正彦

    高村国務大臣 今回のケルン・サミットにおきましては、各国首脳が、グローバリゼーションの進展がもたらす大きなチャンスを有効にとらえ、そのチャレンジに適切に対応していくことが必要であるとの認識で一致するとともに、地域紛争や不拡散の問題等に効果的に対処するため国際的枠組みはいかにあるべきか等、現在世界が直面している重要なテーマについて活発な議論を行うことができた、こういうふうに考えております。
  42. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 各国が今直面している世界の重要な、さまざまなテーマについて議論をしたとおっしゃいましたけれども、私たちから見ますと、今回のケルン・サミット、ある意味でしようがないといえばしようがないのかもしれませんが、コソボの問題にかなり集中したというふうな雰囲気があって、日本という観点から見れば、北朝鮮を中心とする北東アジアのようなテーマについて割かれた時間が非常に少なかったんじゃないのか、そういうふうな印象を受けるのですが、その点はどうでしょうか。
  43. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国は、アジアからの唯一のサミット参加国として、今次サミットにおいても、国際金融システム改革、貿易等の分野でアジアを初めとする途上国の立場への配慮を求めるとともに、北東アジアの安定が国際社会にとっての課題であること及び中国の政治経済分野での国際社会への関与が重要であることを指摘し、一連の発出文書に反映されたわけでございます。  私自身もサミットに先立つG8外相会合に出席し、幅広い議論を行ってまいりましたが、その結果、外相総括文書においては、インドネシア・東チモール、朝鮮半島、ミャンマー等アジア情勢につき言及がなされたことは御承知のとおりであります。  コソボの問題でほとんど占められたのではないかということは、それは、現実にあれだけのことが起こっているわけで、起こるかもしれないというところと現実に起こっているところでそれだけ、今何をしなければいけないかということについては、その重点がそうなるのはやむを得ない。逆に言えば、朝鮮半島の問題が来年の沖縄でほとんどを占めるような、そういう国際情勢にはなってほしくないな、こう感じております。
  44. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今、最後の部分が聞こえなかったのですが、そういう国際情勢に……。
  45. 高村正彦

    高村国務大臣 朝鮮半島で何かが勃発すれば、来年の沖縄サミットではそのことが物すごい重点にならざるを得ないわけですが、そういう何かが勃発するようなことがあってもらいたくないな、こういうことを申し上げたわけであります。
  46. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 それはないようにやってほしいですね。ただし、なくてもあっても、やはりG8の場面において、ある意味で恒常的にアジアが占める位置は大きいわけですから、そういう点についてやはりしっかりとした議論はされるべきだという観点から言ったわけでございます。  それで、北朝鮮のことについて先ほど上原委員からもございましたけれども、KEDO関連の法案が参議院で成立したわけです。  去年の八月三十一日の例のテポドン発射以来、あと二カ月で一年がたつわけですが、あの時点でピョンヤン―名古屋間の貨物チャーター九便の運航許可を取り消し、その後の運航についても不許可とする状態が続いているというふうに認識をしておるわけです。いわゆる北朝鮮に対する日本の意思、あの事件以降、強い意思というものが表明をされてずっと続いてきておるのですが、そのことについての効果というか、その以前にやっていたことの許可を取り消したということについての感触というか、北朝鮮の方のこの問題に対する感じ方というのは日本はどういうふうに見ておられるのでしょうか。
  47. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 昨年の八月三十一日のテポドンの発射を受けて九月一日に官房長官発表で示された一連の措置というものの効果について、これを北朝鮮がどういうふうに感じているかという角度から政府としてとらえることはなかなか難しい状況にございます。  しかし、我々としては、北朝鮮のこの次のミサイル発射がないようにする、そのように状況に持っていく、そのために米国、韓国その他いろいろな国との連携も密にするという方針で対処しているわけでございまして、その観点から考えてみますと、これまでのところまだミサイル発射というのは行われていないという状況はあるのだろうと思います。しかし、これから先のことについての見通しは、今確たるものとして申し上げる状況にはございません。  ただ、いずれにいたしましても、北朝鮮についての方針というのは、大臣がいろいろな委員会の場で既に申し上げておりますとおり、対話と抑止という両面で進めていくということになっているわけでございますが、さらにまた基盤的なものといたしまして、米国、韓国等との、ペリーアプローチの北による受け入れ方というようなものも含めた観点から広く対応をするということになると思います。  今のところ、その措置を変えるという方針はございません。
  48. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今のところその方針を変えないということですが、日米ガイドライン法が成立をして、その前後から抑止と対話ということを強く政府が強調されているわけです。今のピョンヤン―名古屋間の貨物チャーター便、これは一つのいわば日本としての強い意思というものを出したということなのでしょうが、それ以外、やはり日本北朝鮮日朝間に横たわる懸案、いわば対話をこれから進めていかなければならない、その対話の俎上にのせるべきテーマ、重要な懸案としての対話の中に上がってくるべきテーマというのはどういうふうな感じで、幾つか挙げていただきたいんです。対話の俎上にのせるべきテーマ、日朝間の懸案。
  49. 高村正彦

    高村国務大臣 私たちが今、日朝間の諸懸案と言っているのは、要するに国交正常化交渉等を進めていく上に当たってネックになるようなことについてそういう言い方をしているわけでありますが、そういうことについては、例えば拉致の問題だとか不審船の問題だとか、あるいはミサイルの問題だとか、あるいはKEDOの問題で、一応大きなところでは、協定があるんですが、それにもかかわらず核施設疑惑みたいなものがあればそれも当然のるでしょうし、そういうことでございます。
  50. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 その対話の俎上にのせるべきテーマとして、今、拉致の問題、それからテポドンの問題ですか、それからあと一つは何かおっしゃいましたけれども、具体的に、対話という場面はどこで、いつ、どういうふうにつくられるんでしょうか。
  51. 高村正彦

    高村国務大臣 私たちが申し上げているのは、北朝鮮側が国際社会の懸念やあるいは日朝間に横たわるそういった問題に建設的な対応をとるのであれば対話を通じて関係正常化を図る用意がある、こういうことを申し上げているわけで、それは入り口ですべてが解決しなければというわけではありませんが、そういうことが対話をすることによっていい方向に行くというような感じ方が示されるということもそれは建設的な対応の一つでありますし、そういうことを申し上げている。それは、小渕総理も私も国会で言うとともに、またいろいろなルートでそういう日本側の意思を北朝鮮側に伝えているところでございますが、そういうことについて現時点でなかなか前向きな反応が得られていない、こういうことでございます。
  52. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 要するに、いろいろなルートを通じてやっているけれども、現時点で対話が実際に進む兆候はないというふうに今おっしゃったととらえます。  今の問題について、実は今回質問するに当たりまして、つい最近出たんですよね、外交青書、私のところに届けられたのでつい最近に出たんだろうと思うんですが、違うんですか。冒頭に外務大臣のごあいさつが出ていて、「外交青書の刊行にあたって」「平成十一年四月」ということで「外務大臣 高村正彦」というお名前が書いてありますので、恐らく最近だろうと思うんです。実はその中に、直接関係しないんですが、あえてここの場で、私はこういう重箱の隅を突くようなことを言いたくないんですが、ちょっと気になることがあったので、この際申し上げておきます。  外務大臣、よく読んでおられますでしょうか、この外交青書は。北朝鮮関連のところの資料を実は読んでみたんですね。そうすると、わずか四ページの間に大変ミスが多いですよ。これは私の読み間違いかなと思って何回も見たんですが、多分これは私の見間違いじゃないと思って、非常に、何というか、おもしろいというかおもしろくないというか、何か変なミスが多いです。今、外交青書をお持ちですか。済みません、こういう質問をすると言っていなかったので、急遽いろいろ見たときに、さっき時間があったので一生懸命見ていたら、あれっと思うところが幾つもあった。後で調べておいてください。  例えば三百七十三ページの、「日本外務大臣大韓民国外交通商部長官及びアメリカ合衆国国務長官による北朝鮮問題に関する共同発表」九八年九月二十四日、ニューヨークにおいてという文章の一番最後に、「三閣僚は、対比挑戦対策についての緊密な協議の重要性を再確認した。」こうあるんですが、これ、違いますよね。要するにフィリピンに対する挑戦する対策かなと思って、何でこんなことが突然出てきたんだろうと思って随分悩みました。  あと、三百七十五ページに「KEDOの理担ぎ」、これもこういう言葉があるのかもしれませんが、ちょっと私、少なくとも、こういうテクニカルタームなのかどうかよくわかりません。それから、その下に、「北朝鮮ミサイル発射に関する国際海事機関(IMO)海上安全委員会回章(仮訳)」に、これはいささかあれですけれども、「海上安全委員会」云々とあって、「かつ、重要な漁業でもある日本沿岸の水域に落下した事件に関する報告を受けた。」これは私は漁場の間違いだろうと思うんです。それとか、あと三百七十一ページにもおかしいところがあるんです。  まさに重箱の隅を突くようで、ひそかにそっと言えばよかったんでしょうけれども、済みません、こんなところで言っちゃって申しわけないという気がしますが。私なんかのような人間にしますと、わずか四ページの間に四つも五つもあるということは、全体の信憑性が非常に疑われる、ほかにも間違いがあるんじゃないかという気がしてしまうんですね。私は、外務委員会に所属したのは割かし最近なもので、外交青書をしっかり見るという習慣がなかったんですが、ちょっとばかりがっかりしました。ぜひその点、しっかりとチェックをしていただきたいというふうに思います。外務大臣も、冒頭にお写真があって、刊行に当たっての総括責任者であるんですから、しっかり見ていただきたいと思います。何か御意見ございますか。
  53. 高村正彦

    高村国務大臣 誤植があるということがいいか悪いかといえば悪いに決まっているわけでありますから、ないようにきっちり校正させるようにいたします。
  54. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今、誤植、こういうふうに片づけられることについては、いささかそうでもないんじゃないかという気がするんですが、まあいいでしょう、そういうふうにしておきます。  国連改革について、総理サミットにおいて国連改革の必要性について言及をされました。国連改革の重要性というのはいろいろな場面でいろいろな方が指摘をされているわけですけれども、改めて、総理がケルン・サミットの場においてそういうふうなことを言及されたということについて、今、政府、外務省が国連における改革について強い関心を持っていることについてお話を聞かせていただきたい。これもこの外交青書にきっちり書いてあるので、それを見ました。これは去年のことをまとめておられるので、それから約半年がたっているわけですから、その後のさまざまな変化もあろうかと思いますけれども、現時点における総理がおっしゃった国連改革の必要性、その主たる問題の認識についてお聞かせ願いたいと思います。
  55. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国としては、国連改革につきましては、安保理改革、開発分野の改革、財政改革の三つが柱であると考えております。  そのうち安保理改革については、その早期実現は国連加盟国の総意と言ってよく、また、我が国の常任理事国入りは、多くの国、大多数の国が支持しているわけであります。しかしながら、拡大後の安保理の規模、いわゆる数の問題でありますが、あるいは拒否権の扱い、新常任理事国の選出方法等の点についていまだ意見が収れんしておらず、議論が続けられているわけであります。  開発分野の改革については、いかに効率的に開発に取り組むかが課題となっております。具体的には、国連諸機関の活動の調整をいかに効率的に行うかにつき議論が行われているわけであります。  財政改革については、国連財政の健全化、公平な負担の確保等が課題となっております。こうした観点から、効率的な予算の策定、滞納金の支払い、公平な分担率の算定等について議論が行われているわけであります。  例えば、常任理事国についても、国連ができたときの状況に基づいて五つの常任理事国というのができているわけで、今の国際社会におけるそれぞれの国において決めるとしたらどういうのが正しいのか。今の状況を反映するような形に常任理事国もしていくべきだ、こう考えておりますし、あるいは財政の問題ですれば、例えば常任理事国のうちアメリカを除く四つの常任理事国を合わせたよりも日本の分担金が多い、こういうような状況で、これは各国のGDPから計算するとそうなるかもしれませんが、責任に応じた分担ということも当然考慮しなければいけない。こういったようなことを国際的に訴えてきているわけでございます。
  56. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私、二年ほど前ですか国連に行って、安保理の会場とかあるいは総会の場所とか、日本の国会なんかと違って非常に自由にいろいろなところを見せてくれて、本会議場、いわゆる総会議場の議長の座る席にまで座ったりしていろいろ見たのです。率直な印象として、建物だけで判断できないのですが、世界の中心の機構、ある意味で国連というものを非常に私は過大に考えていたのかもしれませんが、場所についても非常に、何というのでしょう、小さい。小さいとか大きいというのじゃなくて、いわば粗末だなという印象を受けたのですが、そういう場所の問題だけではなくて、今、やはりいろいろな意味で、二十世紀後半、最終盤に当たって国連が問われていると思うのです。  さっき言われた外務大臣の現状の認識、そういうことをもう少し突っ込んで聞いてみたいのです。  日本が国連を重視するほどにはほかの常任理事国の国家、いわゆる低開発国、発展途上国の国々の意見はまた違うのでしょうけれども、常任理事国、特にアメリカを初めとする日本以外の国々のとらえ方がかなり違ってきているのじゃないかというふうな印象を受けるのです。  そこで、アメリカがいわばかなめになってくるわけですけれども、いわゆる分担金滞納というものについて非常に大きなウエートでもって滞納しているという事実。それから、旧ソ連が崩壊してロシアになった。ソ連のかつての国柄と大分変わってきている。今、ロシアとしてG7にプラスワンという格好で参加してきて、すべてが一緒というわけではありませんけれども、かなりの部分、価値観共有という部分が出てきている。そういう中で、中国をどう、北朝鮮とは全くまた違った意味合いでより国際社会に深くかかわりを持ってもらうかということについて、大事な場面に今来ていると思うのですが、中国の対国連認識というもの、アメリカの国連認識中国の国連認識、この二つを日本がどういうふうに掌握しておられるのかについて、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  57. 高村正彦

    高村国務大臣 アメリカにしても中国にしてもそうだと思いますが、例えば、国連の安保理というのが国際社会の中で公式に世界の平和と安定のために主要な役割を果たす機関である、そういうことの認識というのは、アメリカでも中国でも両方ともあるのだろう、こういうふうに考えております。だからこそ、アメリカにしても、日本と全く同じというわけではない意見を安保理の改革についても持っているわけで、どうでもいいと思っていたらもっと柔軟に対応するだろう、こういうような感じを持っております。中国にしても、やはり国連の重要性、特に安保理の重要性というものは、それはきっちり認識をしているだろう、こういうふうに思います。  中国の国連改革に対する認識でありますが、昨年十一月の日中共同宣言において、国連が「その活動及び政策決定プロセスにおいて全加盟国の共通の願望と全体の意思をよりよく体現するために、安全保障理事会を含めた改革を行うことに賛成する。」旨確認されたとおり、中国も改革については、時間をかけて十分議論するべきであるとの立場をとっているものの、中国は時間をかける、そういう立場をとっているものの、国連改革が必要であるとの認識については、日本と同じ意見であるわけであります。  改革の早期実現に向けて、今後とも中国と緊密に協議協力していきたい、こう考えているわけでありますが、もちろんアメリカとも協力して、例えば安保理のメンバーの数の問題などについて日本と若干の違いがありますので、そういった点も協議をしていきたい、こう思っております。
  58. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 その辺の安保理の改革について現在の時点で、この外交青書にも詳しく書いてありまして、読んだのですが、また先ほど外務大臣もおっしゃいましたけれども、見通しとして何か具体的に、二十一世紀劈頭には一つの結論を見るとか、何かその辺の現時点における見通し、感触、その辺の具体的に何とかなりそうだというふうなものは持っておられるのでしょうか。
  59. 高村正彦

    高村国務大臣 二十一世紀初頭には何とかなりそうだという明るい見通しを自信を持って申し上げるような状況には必ずしもなっていないと思っていますが、私たちは可能性があると思っておりますから、さらに努力をしていきたい、こういうふうに思っております。  例えばドイツなんかも、新政権になって、必ずしも自国が常任理事国になることにそれほどこだわらないというような姿勢も一時見せていたわけでありますが、コソボの問題などの経緯を通して、ぜひ日本とドイツが常任理事国になることは大切だと向こうの方から私に言ってきたというようなこともありますので、少しずつですが、態勢をきっちり組んで、安保理改革に向けて努力をしていきたい、こう思っております。
  60. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 国連の安保理改革、あるいはまた財政的側面、また開発分野、それぞれに重要な改革に向けての課題があると思うので、積極的な対応を望みたい、そんなふうに思います。  サミットの声明文の中で幾つか、国連の危機予防能力の向上ということについて具体的な点を、四つか五つか六つか、正確な数は忘れましたけれども、挙げられていたのが非常に印象的だったもので、この国連の危機予防能力というものの現状をどういうふうに認識されているのかなということについてお聞きをしたいと思います。  先ほど、国連にお邪魔して、非常にいわばちゃちなものだなというふうな印象を受けてしまったということを言いましたけれども、やはり地球的規模のテーマを抱える、それを解決する本部、建物もさることながら、実際的な機能を働かせる機構部分でもきちっとなっているんだろうかというふうなことを少し最近考えるわけです。このサミットで具体的に、各国が国連の危機予防能力を高めていこうということである意味意見が一致した声明文が出ているわけですけれども、現状をどういうふうに認識しておられるのかということについてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  61. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 委員御指摘のとおり、ケルンのサミットで発出されたコミュニケの中で地球規模問題についての言及がございまして、その中で、紛争の予防管理のために、早期警戒、その包括的アプローチということと並んで、またここに国連の機能強化ということも入ってきているわけでございます。したがいまして、G8のレベルにおきましても、それからその他の国際社会の多くの部分におきましても、紛争予防との関連で国連の機能を強化しなければいけないという認識が高まってきているということは事実であろうと思います。  しかし、これまで実際に、例えばPKOの世界でございましても、紛争のおそれがある場所にあらかじめPKOが展開されたというケースはマケドニアの一件ということでございます。  ちなみに、日本は、この問題について、特に紛争未然防止の切り口からかねてから強い関心を抱いております。九八年、昨年の一月十三日から十五日にかけまして紛争未然防止セミナーを東京で開催いたしました。ここには、OASの代表、OAUの代表、OSCEの代表、イギリスの元外務大臣でボスニア・ヘルツェゴビナの問題を担当されたデービッド・オーエン氏なども参加いたしまして、さらにそれに国連関係者も多数参加いたしまして、相当意見交換が行われましたけれども、やはり国連の安保理とそれからアフリカ等いろいろな場所における地域的機関の連携、この強化の必要性ということも含めて、未然防止という面に向けて国連機能強化との絡みにおいてもいろいろな議論がなされたという経緯がございます。  今、この議論はだんだん世界の関心を強く集めてきているということでございまして、この十二月にはそのための、紛争未然防止のための外相会合がケルンで開かれるということにもなっているわけでございます。
  62. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 紛争を事前に予防するというテーマは非常に重要なテーマではあるんですけれども、では、具体的にどうするかというとなかなか難しいんだろうと思うんです。  いわゆるハードパワー的側面とソフトパワー的側面というか、実際に、さっきも例を挙げられましたけれども、PKO的な側面を持たせて、事前にそういう可能性のあるところに人を配置するとか、そういったことが一つ一方にあって、もう一方では、いわゆるソフト面において、情報だとか現状の事態をどう認識していくのかという分析をするとか、そういうふうな部分がもう一方で必要だろうと思うんです。もちろん、それも、何か全世界の状況が数字化されて、どういう状況にあるのかというようなことが一遍に何かの数字とかあるいはビジュアルな形でぱっと出てくるなんということは恐らくないわけでしょうから、なかなか言うはやすく行うは難しいのがこの危機予防能力ということだろうと思うんです。  例えば、私が見たものによると、デクエヤル事務総長時代には分析情報収集室というのがあったというんですが、今はない。これは、分析情報収集室というからにはさまざまな、各国・各地域における事態を集めてきてその情報を分析するという、一番前段階というか、事前の情報を収集してそれを分析する、そういう場面だろうと思うんですが、これがないということ。これはどうしてないのか、どういう不都合があってなくなったのかということが一つ。  今、G8で皆さんの、外務大臣も含めて大勢の外交関係者がああいうふうな予防能力の向上というものを結論を出されたという中で、そういう情報分析収集室的なものが新たにできるというか、つくりたいというふうな考えがあるのかどうか。いろいろな学者の研究というか提案の中に、既に、国連の事務局の中に予防外交センターのようなものをつくったらどうか、そこに必要な情報収集、分析に当たる人員配置をしたり、早期警戒や紛争予防のためのさまざまな能力を持った機関をそこに集めたらどうかという提案がありますが、私もそれは非常にいい提案だと思うんです。今申し上げた、過去における情報分析収集室のいわば盛衰というんでしょうか、なくなったという状況、そしてこれからの展望、この二点についてお願いしたいと思います。外務大臣、どうでしょう。じゃ、局長で。
  63. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 最初の、デクエヤル事務総長時代にあった分析情報収集室がなくなったその経緯でございますけれども、八二年にこれが設置されましたけれども、やはり国連の財政難ということの中で維持困難となって、九二年の三月に、政治局及び、今はございませんけれども、当時ありました人道局、これに統合されました。  他方、その後も、先ほど若干申し上げましたように、国連において、紛争の予防を目的とした早期警戒メカニズムの必要性ということ自体については認識がございまして、さらにむしろ強まっているかもしれません。地域情勢について、その関係部局間で相当頻繁な情報交換、分析が行われているという事実はあるようでございます。  予防外交センターの設置ということにつきましては、先ほど申し上げましたように、G8も含めて、予防外交と申しますか予防、紛争の未然防止について非常に関心が高まっており、G8外相会合で議長国のドイツから、紛争の予防、解決に関するG8外相特別会合開催について提案があって、高村外務大臣の方からもそれへ協力を最大限行っていくという表明が事実としてあったわけでございます。  そうした流れの中で、機構的に、例えば国連との関係で予防外交センター的なものをどうするかといったような点について、今委員の御意見もございましたので、そういう御意見も参考にしながら検討を行ってまいりたいというふうに存じております。
  64. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 それで、実は、外交青書の話ばかりですけれども、外交青書の中を読んでいて、要するに、去年の十二月にベトナムで小渕総理大臣が非常に重要なお話をされているんですね。その中に、今のお話と関連するので、ちょっと聞いておきたいんですが、いわゆる国連関連の国際機関が実施する事業に資金面での協力を行うために、人間の安全保障基金を国連に設置して五億円拠出する用意があるという有名なお話をベトナムでされているわけです。  私、これを拝見していろいろ考えたんですが、人間の安全保障という考え方の中には、環境破壊、テロ、人権侵害、国際組織犯罪、薬物、難民あるいは対人地雷、貧困、エイズ等の感染症、今、現代世界が抱えるさまざまなテーマがあって、いわゆる国家の安全保障じゃなくて、国境を越えたボーダーレスな、そういう国境を越えたさまざまな、今人間の生活が脅かされているテーマに対してどう安全保障していくのかということを小渕総理また高村外務大臣が強い関心を持っておられると思うんです。先ほどの例えば予防外交センターなんというものも、あるいはその前のデクエヤルさんの時代の情報分析収集室といったものも、ある意味で、人間の安全保障という問題が起きてくる前段階の、さまざまな問題が発生してくるいわば根元で断つ役割をそういう予防外交センター的なるものは担うと思うんですね。  そういう点で、私は今何を言おうとしているかというと、ベトナムにおける、国連関連の国際機関が実施する事業に五億円を出す用意があるというのはいいんですけれども、きょう思うことは、物の考え方というか、お金を出すというのは安易過ぎるんじゃないのかなという印象を受けるのですね。いっぱいあればいいのでしょうけれども、なかなかないお金を国連関連の国際機関の実施する事業に五億円。  これは国連そのものにも日本はたくさんお金を出しているわけですけれども、例えばさっき局長は、お金がない、資金的な面で分析情報収集室がうまくいかなかったという話をされました。お金もいろいろなことに使われるわけですから、この五億円はまた五億円の役割を持って出したのだと多分外務大臣はおっしゃるだろうと思うのですけれども、例えばこういうお金、今どういうふうに使われているのか知りませんけれども、そういう予防外交、今回G8で言ったそういう予防能力を高めるということに使うということは、それは目的外のことなんでしょうか。その辺のことについて。
  65. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 日本政策といたしましては、今委員が御指摘になられましたような点について、包括的アプローチというものをかねてから提唱してきているわけでございます。  紛争については、紛争が起こってしまったときにどうするかという問題の前に、紛争をどう予防するか、それから紛争のそもそも根っこになっている社会的な諸問題にどう取り組むか、こういったものを一連のものとしてとらえて対処するということが重要だというふうに主張してきているわけでございます。  ただいまの人間の安全保障基金の関係で申しますと、その対象分野自体は、貧困とか環境破壊とか、薬物、国際組織犯罪、難民、エイズ等の感染症の問題、対人地雷、小火器、こういった分野になるわけでございまして、直接的に紛争未然防止という言葉がここに出てきているわけではございませんけれども、今申し上げました包括的なアプローチということの中では、やはりこれも手を打たなければならないところである。  そして、国連の中にどういう組織を設けるか、そのための予算措置をどうするかということは日本一国でやはり決められる話でもございませんので、そういういろいろな事情を勘案して、今のような措置をとってきている、こういうことだと思います。
  66. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 最後に、外務大臣に一言聞きたいのです。  今のようなやりとりを踏まえて、要するに私が言いたいのは、この五億円の拠出、これはそれなりの大きな役割を持って出されるという表明をされたのでしょうが、国連全体がしっかりとした機能を発揮するということにぜひ役立てるようにしてもらいたいという思想を強く出してもらいたいということについて、最後にお考えを聞かせていただいて終わりたいと思います。
  67. 高村正彦

    高村国務大臣 まさに、人間の安全保障基金でありますから、委員がおっしゃったようなことも踏まえて、具体的にどういうことに使っていったら一番有効なのか検討しながらやってまいりたい、こう思っております。
  68. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 終わります。
  69. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、伊藤茂君。
  70. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 国旗・国歌の問題で伺います。外国の方々我が国の国歌君が代、日の丸をどのように説明をされているのか、あるいは在外公館などでどう対応されているのかという問題であります。  今国会で今議論がされておりますが、私は非常に大事なことだと思います。我が国のナショナルシンボルをどう考えるのか。ナショナルシンボルを通じて国民が国に対する愛情と誇りを持つということは当然でありまして、そうなりますと、どのようなナショナルアイデンティティーを持つのかということが問われる。そういうことをやはりみんなが深めて議論し合うということは、私は非常に大事なことだと思います。  そういう気持ちを前提にいたしまして、どのように外国の皆さんへの説明などが、あるいは翻訳などがなされるのかという問題でございます。直訳をすればエンペラーズカントリーになるのでしょうか、キングではありませんし、それから、気持ちとしては、国歌という場合に、ユアカントリーというのはおかしいですから、アワカントリーという気持ちを込めたものが歌われるということが望ましいと思います。そういうことにつきまして、外国の皆さんに、やはり今日の憲法の立場なり、あるいは次の時代を目指す日本の気持ちが理解されるような、私も中学生か高校生のときに、世界のあちこちの大きな国の国歌は何かと勉強したり、曲を覚えたりしたのですが、それぞれのナショナルイメージになるわけでありまして、君が代ということについてどのような御説明をなさっているのでしょうか。
  71. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 在外公館の日ごろの活動の中で、日本の国歌というものはどうなっているかというようなことは、照会があることはたびたびございます。これに対応する必要が生じたときに、君が代について、これが長年の慣行によって国民の間に国歌として広く定着しているということを説明してきております。また、このような説明をするに当たって、政府としての公式見解を表明するものではございませんけれども、君が代についての歴史とか事実関係説明する外部団体の作成資料を利用してきております。  今委員の御質問の中に、君が代というか、このタイトルについてどういう翻訳をしているかという御趣旨もあったかと思われますが、今私が申し上げました外部団体の作成資料の中で、君が代の翻訳については、ザ・レイン・オブ・アワ・エンペラーという表現を使っております。それから、歌詞につきましては、外国人の日本研究者として最も著名でかつ権威のあるB・H・チェンバレンという学者がおりましたけれども、この人による訳が原文に最も即した訳として広く内外に流布しているものでございますので、この英訳文を紹介した資料を、外部よりの問い合わせを受けた場合等の参考として在外公館に配付してきております。
  72. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 衆議院の本会議でも総理官房長官の方から、二十一世紀を目の前にした節目に当たり、そういう御説明がございました。私も、我が国だけではありませんが、時代の大きな節目だと思います。一つの時代が終わり、何か次の新しい時代に行こうとしている。しかし、判然とその姿が日本でも世界でも見えない。いろいろな意味での苦労と悩みの時代、段階ということだと思います。  しかし、いずれにしろ、二十一世紀への節目に当たり、よくよく考えてという言葉を総理も繰り返されましたが、今の翻訳の言葉もいろいろと工夫してお考えになったのですね。単純な直訳ではない、お考えになったことだろうと思います。何かやはりそういうことについて、我が国の次の時代のイメージという意味でのさまざまな努力というものはあるべきではないのだろうかというふうに思いますが、気持ちですね。大臣、どのようにお考えになっておりますか。  それからもう一つ、ナショナルシンボルという意味で今考えると考えさせられるのですが、在外公館の玄関は菊の御紋章になっております。菊の御紋章は、普通、天皇家の御紋章ですね。私ども象徴天皇ですから大事にしたいと思いますが、パスポートもたしかそうですね。そうすると、ナショナルシンボルというものは、私は、我が党の方は法制化反対なんです、もっとじっくり考えることが大事だという気持ちなんです。そうなりますと、ナショナルシンボルは、国旗がシンボルなことは当然でございますけれども、何か、象徴天皇ですから、天皇を尊敬しないわけではもちろんないのですが、それがナショナルシンボルとして広く扱われている姿というのは一体何だろうかということですね。  また、私は、いきなりどっちにしろとかということではなくて、やはり、そういうことについて、国民のマジョリティー、国民全部とは言いませんが、少なくとも国民の大体の人がああそうだと、その印とそのメロディーに誇りと国と社会への愛情を感ずるというものが形成されるということが非常に大事な時代ではないだろうかというふうに思いますが、その二つの点、御所見を伺いたい。
  73. 高村正彦

    高村国務大臣 ちょっと質問の意味がわからないところもあったのですが、君が代の意味はどういうことかということと、菊の御紋章が在外公館についているのはどういうことか、そういうことでよろしいのですか。  おっしゃるように、在外公館には菊の御紋章が大体玄関に掲げてあるわけでございます。我が国には、これも委員御指摘のとおり、法律で定まった国章はありません。それから、皇室の御紋章がまさに菊の御紋章であるということで、これは国章ではないということは承知をしております。  このような現状におきまして、外務省が在外公館の門頭に菊の紋章を使用しているのは、在外公館の門頭に自国を示す何らかの紋章を用いることが国際慣行となっている、我が国は従来から菊の御紋章を使用してきたため、これが国際的にも広く知られているという事情があるわけであります。菊の御紋章の使用を一般に規制する法令はないというふうに承知をしておりますが、今申し上げたような理由で、我が国は、国際的にも広く知られている菊の御紋章を使用してきているということでございます。  それから、君が代のアワ・エンペラーのアワは我々、すなわち主権の存する日本国民全体を指しており、レインは、既に述べたとおり、本来君主の在位している特定の時代といった時間的概念でありますが、ザ・レイン・オブ・アワ・エンペラー全体としては、日本国民の総意に基づき、天皇を国及び国民統合の象徴とする我が国の姿といった意味にとらえることができるというふうに考えております。  今どなたかが、自民党の紋章をしたらどうだ、自民党のあるいは民主党のとか、こう言っておられましたけれども、やはりそれよりは、菊の御紋章を掲げる方がはるかに国民理解は得られるだろう、こう思っております。
  74. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 御紋章のことを申し上げましたが、どっちがいいか悪いかということをいきなり断定しようというまでには私の気持ちは煮詰まっておりません。ただ、何らかの経過と考えがあって続いているということだろうと思います。  私みたいに戦中派の最後の方からいたしますと、大体、菊の御紋章というのは、子供のときには戦艦「大和」などの船にくっついているという印象から始まってさまざまの連想がございます。政府の御説明でも二十一世紀を目前にしてよくよく考えてということですから、やはりいろいろな意味議論があり問題提起もあり、そして、余りせっかちでなく、こういうことについての次の世代まで含めた国民のコンセンサスが形成されるということが、本当の意味でのナショナルシンボルあるいはその背景となるナショナルアイデンティティーをみんなが考える、大事なことではないだろうかという気持ちもいたします。  こういう話というのは、国会の議論でも国内的な議論にどうしてもなるわけでありますけれども、やはり世界の中で大きなポジションを占める日本でありますし、また、ナショナルシンボルとかナショナルアイデンティティーというものは世界の中で多く理解をされるということが必要ではないだろうかというふうに思いまして、短い時間の質問でこんなことの決着をつけようとまでは無理なことでございますけれども、やはりそういう視点でじっくりと、また次の時代のナショナルシンボルをどう考えるのかという議論国民的に起きることが望ましいというふうに思います。  何となく菊の御紋章は、パスポートにもございますし、自民党の党章、旗にもあるという発言がございましたが、私は、よく考えるということを提起していきたいというふうに思います。  それから、先ほどの君が代ということの翻訳の言葉も、直訳すればエンペラーズカントリーになるのでしょうが、お考えになった一つの表現ということでしょうが、それが本当に我が国のイメージ、二十一世紀時代の日本のイメージなんだろうかということも感ずることだけ申し上げさせていただきます。  もう時間がございませんから、もう一つだけ伺いますが、同僚議員から、沖縄の問題、普天間移転の問題がございました。私どもも与党の一員でございました当時にSACO合意がございまして、また、これが早く実現されるように私も願っております。  ただ、政府の御説明、あるいはクリントン大統領などアメリカ側発言、また外務大臣の先ほどの御答弁などを伺っておりますと、SACOSACOサミットサミット、それぞれというふうな印象で受け取れまして、では一体どういうめど、めどなしなのか、何らかのめどを持ってやるのか。沖縄の別のケースでもございましたが、話題はあったが延々と何年も延びているということもございますが、めどなし状態でいくのか、どこかでめどをつけて決断をするのかということが全然ないのでは、それぞれだけではやはりちょっと理解がいかないわけでございます。  私も、沖縄サミット沖縄サミットが開かれる、小渕総理などの決断で決まったという大変大きな出来事ですから、やはり沖縄の将来も含め、アジアの今日の一つの象徴の場所でございますから、首脳がその場所に集まる機会にその現実をごらんいただき、そして、そこからどういう展望を持つのかということが非常に大事なことではないか。また、そういうメッセージを主催国として、また主催される総理として提供するような準備をなさるということが見識ある努力ではないだろうかというふうに思うわけであります。  さらに、この問題につきましては、私どもも早く一遍ぜひ岩国の最近拡張している状況を見たい。海兵隊の移転の一つの場所というふうに世上扱われているところもございます。先般、NIRAの何か勉強会の提言で、苫東というのですか、苫小牧などの提案もあり、それから、沖縄県民、知事はかわりましても県内移転あるいは国内移転ではない形での海兵隊の移転というものがあるべきではないかということもいろいろと意見が出されているということもございます。それらを含めた御見解というものをどうお考えになるのか。  何かサミットサミットSACOSACO、それぞれ成功努力しますだけでは、沖縄開催をされるということを決断した政府への期待、ちょっと物足りないんじゃないだろうかという気がするのですが、いかがでしょう。
  75. 高村正彦

    高村国務大臣 サミットサミットSACOSACO、こう申し上げたのは、一部の人ではあると思いますが、サミットを持ってきて、それと引きかえにSACOを押しつけようとしている、こういうことを言う方がおられますので、そうではありませんよという趣旨のことを申し上げているのだというふうに御理解をいただきたいと思います。  六月二十五日に米国で行われた記者会見におけるクリントン大統領発言でありますが、本問題の早期進展への期待を表明したものであって、普天間飛行場移設返還問題解決のための期限を付したものとは考えていないわけであります。  普天間飛行場移設返還問題につきましては、この飛行場が市街地にあり、一日も早く周辺住民方々の不安を解消したいとの観点から、政府としては、九州沖縄サミット開催を決定する以前から全力で取り組んできたものでございます。そのような意味で、本問題は来年の九州沖縄サミット開催と直接関連するものではないわけであります。政府としては、今後とも、稲嶺知事を初め沖縄県や地元の御理解と御協力を得つつ、本問題の早期解決に向けて最大限努力していく考えでございます。  九州沖縄サミットにつきましては、グローバリゼーションへの対応が二十一世紀の国際社会においてますます重要になると思われることや、二〇〇〇年という区切りの年に行われるサミットであるという事実を踏まえ、また、アジアにおけるサミットであるという視点に立って、新しい世紀に向けた明確なビジョンを打ち出す機会にしたい、こういうふうに考えております。
  76. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 沖縄九州サミットそれから沖縄首脳会議というものを考えますと、何かやはり、沖縄から発信する努力をどうするのかということが本当に非常に大事なことだろうと思います。また、それが入れば、それを見識ある勇断を持って提起すれば、いろいろな意味での反応が起こり得ることだろうと思います。それがなければ、正直申しまして画竜点睛を欠く、なぜ沖縄でやったのかなということになるのではないだろうかというふうな気もするわけであります。  もう質問を終わりにいたしますが、この間、アジアでコソボのようなことは起こさない、また起こってはならぬというようなことを総理も言われました。私もそう思います。そのためにはやはり、今のサミットの問題を含めましたこれからのそれに対する保証、担保、具体性のある一つの戦略と申しましょうか、危険性はあちこちにある、不安定性はあるわけですから、そういうものがなければならぬというふうに思うわけでございまして、また機会を見て御質問をしたり、また私どもみんなで議論しなければならないと考えております。  以上で質問を終わります。
  77. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、松本善明君。
  78. 松本善明

    松本(善)委員 きょうは、F16の墜落事故問題の低空飛行の問題をお聞きします。  ことしの一月二十一日に岩手県の山中で起きました在日米軍F16墜落事故についてでありますが、この事故については、五月二十七日にアメリカの国防総省の事故調査委員会報告書を出しました。結構膨大なものであります。外務大臣もお読みいただいているかどうかわかりませんけれども。この報告書の中で、事故原因は、急旋回する場合の重力の影響を少なくするためのGスーツというものがありますが、飛行中にそのファスナーのぐあいを見ているうちに戦闘機が墜落したという、パイロットによる不注意であったという結論にしているのです。  これを見ておりますと、断片的ではありますが、事故機が当日行っていた作戦任務についても若干の記述があります。これは日本の領土の中で起きた事故で、空の安全とか住民生活の安全にかかわる問題だ。この事故報告書が発表されたということも、やはり主権者であります国民事故の実情についてよくわかるようにしようという趣旨で私も、その報告書の中身について質問するのはそういう趣旨であります。  外務大臣が直接御答弁されなくてもいいのですが、最初に、この問題は、やはり国会を通じて国民がわかるようにする必要があるんだ、そのために聞いているので、答弁者もそういう趣旨でちゃんと丁寧に答えるべきだと思うのですが、答弁の姿勢について外務大臣に一言伺いたいと思います。
  79. 高村正彦

    高村国務大臣 この問題だけでなくて、国会で委員から質問されたことについては常に誠実に対応すべきである、これは閣僚であろうと政府委員であろうと同様であろう、こういうふうに思っております。
  80. 松本善明

    松本(善)委員 それでは聞きますが、今回の調査報告書では、対地攻撃だとか敵にぶつかる会敵点での空中戦というような内容が見られます。それで、これはいわゆる低空をすうっと飛んでいくというだけの訓練でない、いわば戦闘訓練ですね。これは、今までやっている低空飛行とは違っている点があるのじゃないだろうか。この点を伺いたいと思います。  国会は大体日本語でやるということになっていますが、こういう性質上、ある程度英語でやらざるを得ない点がありますが、やはりそれはどういう意味かということを言って、議事録を読んだ人がよくわかるようにしたいと思う。私もその心がけでやりますので、ひとつそういう答弁でお願いします。
  81. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 この報告書に盛られておりますところから判断いたしましても、今先生がおっしゃいましたような訓練内容についての説明がございます。すなわち、この事故機事故当時、一つは実弾射撃を伴わない態様の模擬対地攻撃訓練を実施いたしまして、これに引き続いて同僚の航空機とともに洋上における訓練空域において空対空戦闘訓練を実施する予定であった、こういうふうに承知をいたしております。  これらの模擬対地攻撃訓練や空対空の戦闘訓練と申しますのは、米軍においてパイロットの技術や運用能力を維持するために必要不可欠なものとして通常行われている飛行訓練であって、これが特別な訓練であったというふうには認識いたしておりません。  ただ、先生が先ほど言われました、ただ飛行しているだけという訓練とは異なる、模擬対地攻撃訓練というのと空対空戦闘訓練というのを予定していたことは事実でございます。
  82. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、あなたの今の答弁で聞きますが、こういう戦闘訓練は、通常、日本国の上空でやられている当たり前のことなんだという考えですか。
  83. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 当たり前だという表現がいいかどうか、ちょっと私あれでございますが、いずれにいたしましても、パイロットにとりましては、このような対地攻撃訓練を模擬的なものとして行うということであるとか空対空の戦闘訓練を行うということは、空軍にとりましては通常の訓練に当たる、先方の方ではルーチントレーニングと申しておりますけれども、通常の訓練に当たるというふうに理解いたしております。
  84. 松本善明

    松本(善)委員 それでは、対地攻撃訓練についてお聞きしますが、どういう内容なのか。海岸線に沿ってターゲットポイントを設定する、コースタルターゲットというようなことを言っていますね。それから、ダイブトスアタック、急降下攻撃があるということも書いています。それから、別のところでは十五度の角度で攻撃するということもあります。  対地攻撃訓練というのが通常の訓練だというのは、対地攻撃訓練というのはどういうことなのでしょうか。ミサイルを撃つのもあれば、機銃を撃つのもあれば、それから爆弾を落とすのもありますが、対地攻撃訓練というのはどういうことでしょうか。
  85. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 対地攻撃訓練につきましては、米国側報告書ではサーフィスアタックという言葉が使われておりますけれども、説明といたしましては、航空機から地上の目標に対しまして攻撃することを想定した訓練ということでございます。その場合に、まさに先生も御指摘されましたけれども、機銃であるとか爆弾であるとかミサイルであるとかいうような各種の兵器を使うことを想定するということでございます。  ただし、その場合に、実弾を使用して訓練を行う場合と実弾を使用しない模擬訓練というのが当然ございまして、今回の場合には実弾を積んでもおりませんでしたし、現に実弾を使用しない訓練を行うことを予定しておりまして、したがいまして、模擬対地攻撃訓練ということで定義づけられているところでございます。
  86. 松本善明

    松本(善)委員 この対地攻撃訓練が行われている場所、この報告書で、これはどこなのでしょうか。どういうふうに見ていらっしゃいますか。
  87. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 模擬対地攻撃訓練でございますけれども、こういう場合の訓練の通常の例といたしまして、訓練のための仮想の攻撃目標というのを設定するということでございます。これをターゲットポイントと言ったりしておるようでございますけれども、地上の目標を想定いたしまして、それに対して模擬的な攻撃訓練を行うということによってパイロットの技術や運用能力を維持するための必要な訓練とするというふうに承知しております。
  88. 松本善明

    松本(善)委員 私は、この事故の具体的な場所について聞いているわけなのです。  作戦機が対地攻撃訓練を終えると、連続した形で空対空のインターセプトポイント、迎撃点といいますか会敵点といいますかで敵機役の戦闘機と遭遇するという内容になっていると思うのですね。事故機はレッドエアと言われる敵機役で、事故は作戦がこのポイントに向かう途中で敵機役の戦闘機が起こすわけで、この報告書にありますインターセプトとかインターセプトポイントということから、F16が空中での空対空の戦闘訓練を実施している。その場所がどこなのだろうか、どこと考えていますかということを聞いています。
  89. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 まず、模擬的な対地攻撃の仮想の目標でございますけれども、これはこの事故報告書にも書いてございますけれども、目標として設定されていたのは三沢基地の南方約九十マイル、釜石市近くの海岸線上の一地点であるというふうに記載がされております。当該の航空機は、その目標に対しまして模擬的爆撃訓練を行った後、これも先生が先ほど言われましたとおり、方向を転換いたしまして、次の訓練に移るために移動をいたしたわけでございます。  そこでインターセプトポイントということになるわけでございますが、インターセプトポイントという概念につきましては、これは私ども米側にも照会をいたしましたけれども、これはパイロットが特定の訓練を開始する際に空域内に設定されるポイント、点のことであって、通常は訓練前のブリーフィングの際に、あるいは訓練中のある別の時点に設定されるものであるということでございます。  さらに、先生お尋ねの、具体的にそれではどこで次の空対空の訓練をやることになっていたかということでございますけれども、これは私ども米側にも照会をいたしましたし、報告書も精査をいたしましたところ、この事故発生時に設定されていたインターセプトポイントがどこであるかということについては、米軍の運用上の問題でございますけれども、我々が米側から説明を受けたところによりますと、それは、この訓練は洋上における訓練空域において行われる予定であったということでございます。ところが、その前に事故が起こりましたので、当然、洋上における訓練は中止されたということでございます。
  90. 松本善明

    松本(善)委員 ちょっとそれを改めて聞くかもしれませんが、事故機のパイロットの証言の中にアーティラリーレンジというのが書かれております。文脈から見ますと、作戦上空中に設定されたものだというふうに見られると思います。これはどういう性格の空域なのか、アーティラリーレンジというのはどういうものなのか、御説明をいただきたい。
  91. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 先生お尋ねのアーティラリーレンジというのは、私ども報告書を見ましたところでは、パイロットでございましたフェントン少佐の証言の中に出てくるところでございます。これが果たして具体的に何を指すかということにつきましては、私どもも調査をいたしました。  その上で申し上げますと、御指摘のアーティラリーレンジというのは、軍事上の用語でございまして、通常は陸軍等の砲兵部隊の実弾訓練射場のことを指すわけでございます。具体的に今回の事例におきましては、岩手県の岩手山中演習場というのがございまして、ちょうどそのことを指しているというふうに我々としては理解をしているところでございます。
  92. 松本善明

    松本(善)委員 岩手山との関係で今お話がありましたが、報告書のAA―三ページの地図で丸印のついているところを見ますと、どうも岩手県の岩洞湖付近のようだ。  対地攻撃訓練の地点やインターセプトポイントがこの付近にあるのではないか。今岩手山頂上空ということを言われましたけれども、この辺の対地攻撃訓練は何か洋上ということを言われましたですね。インターセプトポイントとそれからアーティラリーレンジとの関係はどういうふうになっていたのか、わかっていれば話してください。
  93. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 アーティラリーレンジというものが岩手山中演習場を指すということについては米側にも確認をいたしておるところでございますが、それとインターセプトポイントということについて特別の確認ということはいたしておりません。  と申しますのは、米側から回答がございましたインターセプトポイントというのは、パイロットが訓練を開始する際に、そこでまさに相手の航空機と会うわけでございますが、それで訓練を行うわけでございますが、その訓練が洋上の訓練空域で行われるということを予定していたということでございます。
  94. 松本善明

    松本(善)委員 それじゃ、洋上のインターセプトポイントというのはどの辺なんですか。
  95. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 我々の理解といたしましては、次の訓練、後からやってきます航空機との訓練を洋上で行う、訓練空域で行うということでございますので、当然、そのインターセプトといいますか、そこで相手の飛行機と会うという場所もその洋上の訓練空域だというふうに理解をいたしております。
  96. 松本善明

    松本(善)委員 そのインターセプトポイントは洋上のどこかということはわからないのですか。
  97. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 洋上の訓練空域と申しますのは、三陸沖に航空機の訓練空域というのが定められているわけでございます。そこで、定められた、指定された訓練空域で行うということであったというふうに承知をいたしております。
  98. 松本善明

    松本(善)委員 それでは、この訓練でコースタルターゲットポイントを設定しているということが書かれております。これは、戦車攻撃とかレーダー基地攻撃といった目標設定を意味しているのではないかと思うのです。これはどうでしょう、コースタルターゲットポイント。
  99. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 コースタルターゲットと申しますけれども、これは、端的に申しますと海岸にある目標ということでございます。訓練の実施のために海岸線上に仮想の目標というのが設定をされまして、それは空中から容易に識別できるような海岸線上の目標物、目標地点であるということでございます。それに対しまして模擬的な攻撃を行うということが訓練でございます。  それを称してコースタルターゲットという表現が使われておりますけれども、特別の軍事上の用語というよりは、コーストにある、すなわち海岸にあるターゲット、仮想の目標である、そういう理解でございます。
  100. 松本善明

    松本(善)委員 ここにありますV2ページですか、ミッション、任務についてのところでは、三沢基地の南およそ九十マイルのコースタルターゲット上で計画されている模擬の対地攻撃を伴う二機による連続訓練作戦任務として予定されている。その同じコースタルターゲットに進入してきた上昇訓練の作戦任務をしている別のレッドエア、要するに敵役の飛行機ですね。両方ともコースタルターゲットに入ってくるのですよ。  ただ、地図上のどこか目標というのじゃなくて、この文章からしますと、やはりコースタルターゲットというのは、一つの軍事上の地域を設定して、そこへいわゆる訓練機とそれから敵機役の飛行機が遭遇するようになっているのじゃないかなというような感じがするのですが、違いますか。
  101. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 御質問のような非常に具体的な点になりますと、私どもも、これは米軍のやっている訓練でございますし、そこのところまで定かに承知しているわけではございません。  ただ、私が調査をし、米側からも照会したところを総合して私なりに考えますと、ターゲットというものは攻撃の仮想の目標でございます。この報告書を見ましても、最初の事故が起こった二機編隊というのが最初に対地攻撃の模擬訓練をやりまして、その後、空対空の訓練をやるということになっていたわけでございまして、その後から来る編隊もそのコースタルターゲットを目指していたということは十分あり得ることでございます。  私が申しておりますのは、コースタルターゲットと申しますのは、まさにそういう仮想の訓練用の目標ということに尽きるという点でございます。
  102. 松本善明

    松本(善)委員 釜石市付近にある造船所地帯のターゲットの写真を持っていたということも書かれているのですが、ここが目標になっていたということはないでしょうか。
  103. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 フェントン少佐、この当該のパイロットでございますけれども、彼の証言の中にたしか、釜石市の近くのドックでございますか、というものの写真を資料として見たという記述がございます。  他方、報告書そのものの記述といたしましては、三沢基地の南方約九十マイル、釜石市近くの海岸線上の一地点ということで記載されているところでございます。  いずれにいたしましても、こういう訓練を行います場合に、パイロットにしろ、航空機から目につきやすいところを仮想の攻撃目標として、まさに仮定して設定をするわけでございます。別に爆弾を積んでいるわけでもございませんし、まさに模擬的に訓練を行うということで、その目標物ということがコースタルターゲットということであろうというふうに理解しております。
  104. 松本善明

    松本(善)委員 これについての外務大臣考えを聞きたいのですが、時間もあれしたので、まとめて後でお聞きします。  外務大臣にお聞きをしたいのは、今のことについてのことと、もう一つは、前に答弁をされたこととの関係で、低空飛行訓練の問題です。  我が党は、アメリカ国防総省の地図局が作成したアメリカ国内の地図に、計器飛行、有視界飛行、低速低空飛行の各ルートが記載されているので、せめて日本でも低空飛行訓練ルートを公開するよう求めてまいりました。この地図はこういうものであります。外務大臣、ごらんになっているかどうかわかりませんが。  ところが、外務大臣は、三月十五日の参議院の外交・防衛委員会で、アメリカ本国では低空飛行訓練ルートを公表しているとの指摘に対して、百五十メートルより低いところでやるときに飛行ルートを公開しているというのが今のアメリカのところで、百五十メートルより高いところ、日本で許されているようなところについての飛行ルートというのは別に公開されていない、百五十メートルより低いところを公開しているのであって、高いところは公開していないんだ、日本ではそれは許されているんだから、こういうものをつくる必要はないんだ、こういうお話をされたわけです。  ところが、これは明白にそうではないのですよ、事実。三十メートルも書いてありますし、四百五十メートルも書いてありますし、六百メートルも書いてある。やはり外務大臣の御答弁が違っているのではないかと思います。  これは、外務省の職員には、この地図と、なぜそうなるのかということも詳細に説明して、恐らく外務大臣お聞きになっていらっしゃると思いますが、やはり正確に国民が問題を理解するというためには、私は、この答弁は間違っていたのじゃないか、やはりそこのところはきちっと正すべきではないかと思いますが、外務大臣、どのようにお考えでいらっしゃいますか。
  105. 高村正彦

    高村国務大臣 御指摘の私の答弁でありますが、飛行ルートの公表問題をとらえて、米本国に比して我が国における米軍機の飛行訓練の実態が我が国により不利な形になっているのではないかとの観点からと思われる御質問に対してお答えしたものでございます。  米国では、国家映像地図庁により市販されている航空図に軍の飛行ルートが記載されているというふうに承知をしております。この航空図では、各ルートごとに軍用機が航行をする際の下限となる最低高度及び上限となる最高高度が記載されていますが、最低高度では、我が国における米軍機の飛行訓練の実態とは相当程度異なり、多くのルートで五百フィート、百五十メートルを下回る高度が記載されており、極端な場合は、最低高度が地表、サーフィスと記載されているルートもあるわけであります。最高高度については、ルートによりさまざまでありますが、千五百フィート、四百五十メートルでありますが、二千フィート、六百メートルといった高度が記載されている場合がありますが、これは最低高度とともに記載されているものであります。  米軍機が百五十メートル以上の高度で有視界飛行をする場合には、これら航空図に記載されたルートに限定されるわけではなくて、それ以外の区域においても飛行訓練が可能であるというふうに承知をしております。  先般の国会で、私が、「百五十メートルより高いところ、日本で許されているようなところについての飛行ルートというのは別に公開されていない、どこでもいいんだというふうになっているというふうに承知しております。」こう言いましたが、必ずしも正確ではなかった面があると思います。百五十メートルより高いところですべてが公開され、そこしか飛んではいけないというふうにはなっていないという趣旨を私は述べたつもりでございます。まさに五百フィート以上の高度での米軍機の飛行実態を申し述べたものでございます。私の本意が伝わっていないとすれば遺憾でありますが、私の述べた本意は今述べたとおりでございます。
  106. 松本善明

    松本(善)委員 そのルート以外は一切飛んではいけない、そんなことは言っているわけじゃないし、そういう趣旨を述べられたことは承知しています。  だけれども、議事録を見たところは、この箇所は代表的なので引用しましたが、ほかのところでも百五十メートル以下のところを公開しているので、高いところについては別に何もしていないんだという趣旨が明白に出ていると思います。だからこそ、全部公開をアメリカのようにやる必要はない。私は、アメリカのように全部公開したらいいじゃないかと。百五十メートル以下は飛ばないんだから、こういうことをやる必要がないというのが私は外務省の論拠だったと思います。  だけれども、ちゃんと明白に事実上、私は今、事実上というか、内容的には百五十メートル以上のところも書かれた地図だということはお認めになったと思うんですけれども、アメリカのようにやったらいいじゃないか。今後、訓練空域を公開すべきではないかということが一点。  それから、先ほど保留をしておきました事故報告書との関係で、やはりこういう訓練、単なる低空を飛ぶだけではなくて、実弾こそ持っていないと言うんだけれども、こういう激しい戦闘訓練を国内でやられたのでは、これは危険きわまりないと思うんです。やはりこういうことはやめさせるべきではないか。こういうような限定なしに、百五十メートル以上ならどこでもいいんだということで、こういう攻撃訓練やその他がやられたのでは、国民の安全は本当に保たれないと思うんです。  私は、この低空飛行の問題では、超党派で、これは中国地方の例ですけれども、自民党の県会議員さんや公明党の県会議員さんなども、これはちゃんとやるべきだということを言っておられることを知っております。この低空飛行訓練による被害というのは党派を超えているんですね。日本国民の安全という観点で、これは何とかしてほしいというのがみんなの要求です。  こういう戦闘訓練をやめさせる気がないのか。これにあるように、アメリカと同じようにこういうものを公表するようにする考えはないのか。二点を伺います。
  107. 高村正彦

    高村国務大臣 百五十メーター以上ならどこでもいいというわけじゃなくて、市街地は三百メートル以上というふうにしております。  一般的に、米軍訓練を通じてパイロットの技能の維持向上を図ることは、即応態勢という軍隊の機能を維持する上で不可欠の要素であり、日米安保条約の目的達成のために極めて重要であります。日米安保条約が、我が国の安全及び極東の平和及び安全の維持に寄与するため、米軍我が国への駐留を認めていることは、米軍がこの目的の達成のため、飛行訓練を含め、軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としております。  御指摘の模擬対地攻撃訓練及び空対空戦闘訓練は、一般的に軍隊にとっての即応態勢の機能を維持する上で通常行われている訓練である、こう承知をしております。他方、米軍は全く自由に飛行訓練等を行ってよいわけではなくて、我が国の公共の安全に妥当な配慮を払って活動すべきものであることは言うまでもありません。政府としても、従来より、日米合同委員会等の場を通じて、米軍に対し、安全確保に万全を期すよう申し入れを行ってきており、米側も、この点について、あらゆる機会に、留意している旨、表明しているところでございます。  飛行ルート公開の問題については、これは米軍の運用上の問題でありますから、日本政府としてそうしろと言うことはなかなか難しい話でありますし、それと先ほども申し上げましたように、アメリカでは、飛行ルートというものはあるにしても、そのほかのところでも百五十メートル以上であれば自由にやっているという実態があるということを申し添えさせていただいて、そのこととの関係で、日本の方が一般的に住民に対して酷なことになっているというわけではない、こういうことは言えるんだろうと思います。
  108. 松本善明

    松本(善)委員 時間ですから終わりますが、しかし明白にアメリカはこれを公表しているんですよ。日本は公表していないんです。  それから、申しましたように、安保条約を認める立場の方であっても低空飛行を何とかしてほしい、これはもう本当に超党派的な現地の要求になっているんですよ。私は、そういう点について、その要望を外務省は当然アメリカ交渉してこの被害をなくすようにすべきなんだ、そういう国民の心配をなくすようにすべきなんだということを強く要求して、質問を終わります。
  109. 中馬弘毅

    中馬委員長 以上で質疑を終わります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十九分散会