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1999-05-28 第145回国会 衆議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月二十八日(金曜日)     午前九時三十分開議   出席委員    委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 上原 康助君 理事 玄葉光一郎君    理事 赤松 正雄君 理事 東  祥三君       瓦   力君    木村  勉君       岸本 光造君    河野 太郎君       阪上 善秀君    櫻内 義雄君       桜田 義孝君    中谷  元君       中野 正志君    深谷 隆司君       八代 英太君    吉川 貴盛君       川内 博史君    中野 寛成君       藤田 幸久君    坂口  力君       山中あき子君    藤井 裕久君       中林よし子君    古堅 実吉君       伊藤  茂君  出席国務大臣         外務大臣    高村 正彦君  出席政府委員         警察庁刑事局長 林  則清君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         法務大臣官房司         法法制調査部長 房村 精一君         法務省人権擁護         局長      横山 匡輝君         法務省入国管理         局長      竹中 繁雄君         外務大臣官房審         議官      小松 一郎君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    上田 秀明君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済局長         事務代理    横田  淳君         外務省条約局長 東郷 和彦君         大蔵大臣官房審         議官      福田  進君  委員外出席者         法務大臣官房審         議官      渡邉 一弘君         外務委員会専門         員       宮本 吉範君 委員の異動 五月二十八日  辞任         補欠選任   額賀福志郎君     桜田 義孝君   深谷 隆司君     岸本 光造君   細田 博之君     中野 正志君   松本 善明君     中林よし子君 同日  辞任         補欠選任   岸本 光造君     深谷 隆司君   桜田 義孝君     額賀福志郎君   中野 正志君     細田 博之君   中林よし子君     松本 善明君 五月二十六日  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国大韓民国との間の条約締結について承認を求めるの件(条約第八号)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第一一号)(参議院送付)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府カナダ政府との間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件(条約第一二号)(参議院送付)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件(条約第一三号)(参議院送付) 同月二十八日  軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第一四号) 同月二十一日  核兵器完全禁止核廃絶国際条約締結に関する請願(鯨岡兵輔君紹介)(第三五三八号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国大韓民国との間の条約締結について承認を求めるの件(条約第八号)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第一一号)(参議院送付)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府カナダ政府との間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件(条約第一二号)(参議院送付)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件(条約第一三号)(参議院送付)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国大韓民国との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府カナダ政府との間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国大韓民国との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府カナダ政府との間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件の各件について、政府から順次提案理由説明を聴取いたします。外務大臣高村正彦君。     —————————————  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国大韓民国との間の条約締結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府カナダ政府との間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 高村正彦

    高村国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国大韓民国との間の条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和四十五年に締結された韓国との間の現行租税条約にかわる新たな租税条約締結するため、平成八年以来交渉を行いました結果、平成十年十月八日に東京において、先方洪外交通商部長官との間でこの条約署名を行った次第であります。  この条約は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してきた租税条約と同様に、OECDモデル条約及び最近の我が国条約例に沿った規定をできる限り採用することにより、経済的、人的交流等に伴って発生する国際的な二重課税を可能な限り回避するとともに、二重課税が発生する場合には、これを排除することを目的として我が国韓国との間で課税権を調整するものであります。この条約現行条約と比較した場合における特色としては、双方居住者振り分け規定を追加し、一定投資所得について源泉地国における限度税率を引き下げたこと等が挙げられます。  この条約締結により、我が国韓国との間の二重課税回避制度がさらに整備され、両国間の資本及び人的資源等交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和四十五年に締結されたマレーシアとの間の現行租税協定にかわる新たな租税協定締結するため、平成八年以来交渉を行いました結果、平成十一年二月十九日にクアラルンプールにおいて、我が方野村特命全権大使先方ムスタパ第二大蔵大臣との間でこの協定署名を行った次第であります。  この協定は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してきた租税条約と同様に、OECDモデル条約及び最近の我が国条約例に沿った規定をできる限り採用することにより、経済的、人的交流等に伴って発生する国際的な二重課税を可能な限り回避するとともに、二重課税が発生する場合には、これを排除することを目的として我が国マレーシアとの間で課税権を調整するものであります。この協定現行協定と比較した場合における特色としては、協定対象税目我が国住民税を追加し、一定投資所得について源泉地国における限度税率を引き下げたこと等が挙げられます。  この協定締結により、我が国マレーシアとの間の二重課税回避制度がさらに整備され、両国間の資本及び人的資源等交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府カナダ政府との間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和六十二年に締結されたカナダとの間の現行租税条約改正する議定書締結するため、平成九年以来交渉を行いました結果、平成十一年二月十九日にオタワにおいて、我が方内田特命全権大使先方アックスワージー外務大臣との間でこの議定書署名を行った次第であります。  この議定書による改正の主な内容は、国際運輸業に従事するカナダの企業が、相互主義原則として、日本国における住民税及び事業税を免除される規定を追加すること、親子関係にある法人の間で支払われる配当源泉地国における限度税率を引き下げること等であります。  この議定書締結により、我が国カナダとの間に設けられた二重課税回避制度がさらに整備され、両国間の資本及び人的資源等交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  最後に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和五十八年に締結されたスウェーデンとの間の現行租税条約改正する議定書締結するため、平成十年以来交渉を行いました結果、平成十一年二月十九日にストックホルムにおいて、我が方多賀臨時代理大使先方レンベリイ大蔵次官との間でこの議定書署名を行った次第であります。  この議定書による改正の主な内容は、親子関係にある法人の間で支払われる配当源泉地国における限度税率を引き下げること、条約不正利用防止のための租税徴収共助に係る規定を新たに追加すること等であります。  この議定書締結により、我が国スウェーデンとの間に設けられた二重課税回避制度がさらに整備され、両国間の資本及び人的資源等交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  以上四件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
  4. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより議題となっております各件に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玄葉光一郎君。
  6. 玄葉光一郎

    玄葉委員 民主党玄葉光一郎です。  ただいま外務大臣から御説明のございました五条約について質問をさせていただきたいと思います。ただ、その前に幾つお尋ねをしておきたいと思います。  というのは、アメリカにおいて、当時の国防長官であろうと思いますが、一九七二年における書簡レアード国防長官からロジャーズ国務長官への書簡というものが公表されて、その中につづられた一九六三年四月の大平外務大臣口頭了解、つまり核兵器を積んだアメリカ艦船日本への寄港領海通過事前協議対象としないということの了解をしていたという内容でありますけれども、そのことについて、参議院ガイドライン特別委員会でも、民主党あるいは公明党の委員を中心に質疑が交わされたようでございます。そのこととの関連で、幾つ参考までにお尋ねをしておきたいというふうに思います。  まず、参考のためにと言ったら語弊があるかもしれませんけれども、一つは、我々はといいますか、日本政府核廃絶というものを主張しているわけでありますが、一方で、アメリカの核の傘に入っているわけであります。  よくこれは、インドパキスタンなどで核実験が行われたときに、あなたの国はアメリカの核の傘に入っているではないですかということを、我々も言われるわけでありますけれども、外務大臣は、米国の核の傘に入りながら核廃絶というものを主張していることの整合性について、どのように説明をされておられるか、お尋ねをしたいと思います。
  7. 高村正彦

    高村国務大臣 国際社会現実を踏まえれば、核兵器を保有しないこととしている我が国といたしましては、基本的には、米国との安全保障条約を堅持し、その抑止力のもとで自国の安全を確保していく必要があるわけでございます。  それと同時に、我が国は、唯一被爆国として、人類に多大な惨禍をもたらし得る核兵器が、二度と使用されることがあってはならないと考えております。  そのために、非核原則を堅持しつつ、NPT核兵器拡散条約義務を誠実に履行するとともに、究極的には核兵器のない世界を目指し、核兵器国に一層の核軍縮を求め、現実的かつ具体的な核軍縮措置を一歩一歩着実に積み重ねていくことが重要であると考えております。  核兵器のない世界を目指すこのような取り組みと、現時点で我が国がその安全を核抑止力に依存していることは、何ら矛盾するものではないと考えております。
  8. 玄葉光一郎

    玄葉委員 今お聞きして、素直に申し上げて、私自身米国の核の傘のもとで同時に核廃絶を訴えている一人でありますけれども、ただ、残念ながら、今の説明説得力を持つんだろうかという疑問も持たざるを得ないところがあります。  つまり、インドパキスタンからしたら、いや、我々も、あなた方が米国抑止力に頼るように、我々自身抑止力を持つために核を持つんですと言われたら、これは外務大臣はふだんどういうふうにお答えになられているのですか。参考のためにお聞かせいただきたいと思います。
  9. 高村正彦

    高村国務大臣 今申し上げたようなことに加えて、やはりNPT条約というのは、これは国際社会大勢になりつつあるわけでありまして、そういう大勢に従ってやってほしいということも申し上げているわけでございます。  いずれにしても、インドパキスタン、この両国が核を含む軍拡競争をするということは、南アジアの安定のためにも非常によくないことでありますし、それから、もちろん核不拡散という意味でも大変な問題でありますから、私たちは、国際社会とともに、そういうことをインドパキスタンに申し上げているわけで、何も日本が特殊な主張をしているということではございません。
  10. 玄葉光一郎

    玄葉委員 私は、関係者の方がいらっしゃったりお会いをするときは、だったら、インドパキスタンにも、可能かどうかわかりませんけれども、核の傘を提供しましょうか、それを受け入れますかというような言い方を私なんかはしているのです。ただ、やはりそういう何らかの説得力のある説明、今の説明説得力があるかどうかわかりませんけれども、説明をしていかないといかぬのだろうなということを改めて思います。  関連して、アメリカの核の傘に我々は入っているわけでありますけれども、同時に、非核原則、特に、持たず、つくらず、持ち込まずの、持ち込まず、持ち込ませずということも主張しているわけであります。  このことをいわば国是としていることの整合性関係については、外務大臣はどのように説明をされますか。
  11. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国は、唯一被爆国である我が国国民感情を踏まえ、非核原則を堅持しているわけでございます。  他方、冷戦構造の崩壊にもかかわらず、いまだ核兵器を含む多大な軍事力存在しており、現実国際社会は依然として多くの不安定要因を内包していることは、厳然たる事実であります。  そのような状況下において、我が国の平和と安全を確保するために、核兵器を保有しない我が国としては、民主主義的価値等を共有する米国との安全保障条約を堅持し、その抑止力のもとで自国の安全を確保する必要があります。  しかし、このことと、我が国がみずから核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませないこととは別個の問題であり、米国核抑止力に依存することと非核原則を堅持することは、矛盾するものではないと考えております。
  12. 玄葉光一郎

    玄葉委員 米国の核の傘に依存することと非核原則、特に我が国に核を、寄港通過も含めてでありますけれども、持ち込まないということは、別個の問題で矛盾しないということは、そうすると、核を持ち込まなくても、もっと言えば領海通過寄港も一切なくとも、抑止力というのは働くわけである、核の抑止力も含めて働くわけであるというふうにお考えになられるのですか。
  13. 高村正彦

    高村国務大臣 そのように考えております。
  14. 玄葉光一郎

    玄葉委員 これも確認でありますけれども、今の質問関連して、今回のレアードさんの書簡で問題になっているのは事前協議非核原則との関係でありますれども、事前協議というのは日米安保六条の交換公文によるものであります。  では、そもそも五条事態、つまり国内有事においても、この持ち込ませないというのは何が何でも死守するということなのか、改めて確認をしたいと思います。
  15. 高村正彦

    高村国務大臣 従来からも申し上げておりますように、我が国核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずという非核原則については、いかなる事態においてもこれを守り抜くという考えでございます。
  16. 玄葉光一郎

    玄葉委員 ということは、仮に、特定の国を想定するのはいかがかということもあるかもしれませんけれども、北朝鮮から核攻撃を受けた、その場合であっても、いかなる核も、米国の核の艦船通過寄港も一切認めない、それでも日本の国益というのは守られる、そんなふうにお考えになられているわけですね。確認したいと思います。
  17. 高村正彦

    高村国務大臣 今委員がおっしゃったように考えております。
  18. 玄葉光一郎

    玄葉委員 もう一つ確認したいと思いますけれども、アメリカNCND政策というのがございます。ニーザー・コンファーム・ノア・ディナイという、肯定否定もしないということなんでしょうか、核の存在地を明らかにしないという政策があるわけでありますけれども、この政策については外務大臣はどのようにお考えになっておられますか。
  19. 高村正彦

    高村国務大臣 米国が、一般的に特定艦船における核兵器存在肯定否定もしないという政策を有していることは、政府としても承知をしているわけでございます。これは核抑止力を有効に担保するために必要な戦略上の要請に基づくものと理解しております。  また、一九九一年のブッシュ大統領核兵器削減イニシアチブにより、現在、米国は、水上艦艇攻撃型潜水艦及び海上航空機核兵器を搭載しないことを一般的な政策としてとっているものと承知をしております。
  20. 玄葉光一郎

    玄葉委員 ブッシュ大統領の核の一方的撤去という話が後半部分でありましたけれども、外務大臣おっしゃったとおり、一般的にということなんだと思います。つまり、有事のときは、果たして、核をつけない、つける可能性が全くないのかといったら、そうではないんだろうというふうに思いますし、すべて廃棄したのかといえば、それもまた疑問が残るところなのかなというふうに思っております。  少し戻りますけれども、では、このアメリカNCND政策というのは、外務大臣としては、日本及びその周辺の平和と安全を維持する上で必要なことであるというふうにお考えになられますか。
  21. 高村正彦

    高村国務大臣 アメリカ政策でありますから、日本政府がそのアメリカが一般的にとっている政策についてとやかく言うべきことではない、こういうふうに思っております。
  22. 玄葉光一郎

    玄葉委員 それは極めて無責任な答弁だと思います。アメリカ政策だからそれについてとやかく言う必要はないと。同盟国なんではないでしょうか。それについてとやかく言ってはいけないということでは同盟国たり得ないと思います。もう一回答弁してください。
  23. 高村正彦

    高村国務大臣 同盟国だからといってその安全保障政策について内政干渉的なことを行っていいはずがないわけであります。  ただ、委員が、この点について事前協議制度との関連で何か矛盾するのではないか、そういうお考えを持って聞いておられるのであれば、私から申し上げたいことは、我が国への核持ち込みに際し事前協議を行うことは、日米安保条約及び関連取り決め上の米国義務でありまして、国際約束上の義務米国国内法政策に優先するものであることは、一般国際法上、当然のことであります。  アメリカのそういう政策によって日本との約束がほごにされちゃうということであれば、日本は当然、物を言いますけれども、そうじゃないんですから、アメリカの一般的な政策についてとやかく言う必要はない、こういうことを申し上げているわけであります。  米国事前協議に係るものを含め、安保条約及び関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に遵守すること、及び事前協議については日本政府の意思に反して行動することはない旨、繰り返し述べているわけでございます。
  24. 玄葉光一郎

    玄葉委員 いや、聞いてもいなかったんですが、外務大臣みずから答弁されたように、一般的な政策といったって、このNCND政策というのは我が国日米安保条約に極めて密接に絡む話ですよね。まさに外務大臣おっしゃったとおり、事前協議の問題があるわけでありますから、それについてコメントできないなんというのは、私はやはりおかしいというふうに思っています。
  25. 高村正彦

    高村国務大臣 今申し上げたように、事前協議と絡む話に、それと抵触するのではないかということであればコメントいたします。今コメントしたとおりです。だけれども、アメリカの一般的な政策として、肯定否定もしないと言っていることについて、それについてとやかくコメントするということではないと。ただし、それが我が国アメリカとの約束である事前協議に絡んで問題があるのではないかといえば、それは問題ないということを今申し上げたとおりで、そういうことでございます。
  26. 竹内行夫

    竹内政府委員 少しNCND政策そのものについての理解について補足をさせていただきたいと思いますが、先ほどまさしく大臣が最初の御質問に対してお答えになりましたとおり、我々といたしましては、このアメリカNCND政策というものが核抑止力を有効に担保するために必要なものであるということから行われている政策であるというふうに理解をいたしております。アメリカからもそういう説明が従来から一般的に行われているところでございます。この状況といいますのは、大臣が先ほど申し上げましたブッシュ・イニシアチブの後におきましてもまだ有効な綱領である、こういうふうに考えます。  さらに、米国の一般的な対外的な説明としては、そのNCND政策の一つの根拠といたしまして、例えばテロ対策とかいろいろな妨害対策というようなことも念頭に置いているというようなことも説明がなされているというふうな理解がございます。
  27. 玄葉光一郎

    玄葉委員 NCND政策よりも一般国際法が優先するという説明でありました。つまり、日本アメリカ事前協議制というのは、NCND政策のいわば例外ともいうべき事項になっているというふうに理解してよろしいわけですね。改めて確認をしたいと思います。
  28. 竹内行夫

    竹内政府委員 今、私が申し述べましたのは、米国NCND政策のそのよって立つ背景と申しますか考え方でございますが、事前協議との関係でのお尋ねでございますれば、これも先ほど大臣からお答えしたとおりでございまして、累次政府から答弁しているところでございますけれども、米国日米安保条約という日本との条約関連取り決めを含めましてそういう国際約束義務を誠実に履行している、事前協議の問題も含めまして誠実に履行しているということについては、我々としては、それをそのとおりである、そういう米国確認というものを信頼しておる、こういうことでございます。
  29. 玄葉光一郎

    玄葉委員 非常に残念なことでありますけれども、レアード書簡というのは、残念ながら、そうではないという疑念というのを持たせるのに十分だったのではないかなというふうに思っているわけであります。このことについては、何か参議院のガイドラインの特別委員会で何回か外務大臣あるいは北米局長から答弁をされておられるようでありまして、どうも一貫して変わらないようでありますが、一度だけで結構ですから御答弁いただけますか、レアード書簡について。
  30. 高村正彦

    高村国務大臣 御指摘のレアード国防長官ロジャーズ国務長官あて書簡は米側の内部文書であると承知しており、政府としてその内容についてコメントはいたしません。核積載艦船寄港及び領海通過事前協議対象としないということを大平外相が確認したとの事実は全く日本政府として承知しておりません。そういうことはありません。大平外相自身、当時の国会におきまして、核兵器につきましては、政府が数年前から国会で御答弁申し上げているように理解しておりまして、持ち込みは認めないという不動の方針でおります。これは大平外相自身が述べられていることでございます。  また、一九八一年当時、いわゆるライシャワー発言が論議を呼んだ際、国会において鈴木総理も、大平さんはそういうことを言っておらない、後任の外務大臣にも引き継いでいない、外務当局も一切承知していない、記録もない、こう答弁して、疑念については政府として一応の決着をつけた、こういうふうに思っているわけでございます。
  31. 玄葉光一郎

    玄葉委員 かつてのライシャワー発言もそうであったんだと思いますけれども、今回のレアード書簡によって、非常に残念でありますけれども、改めて事前協議非核原則の虚構性というのが浮き彫りになったというふうに思っています。議事録も読ませていただきました。答弁をしておられる方には悪いんですけれども、言い逃れというと言い過ぎかもしれませんけれども、何かそんな感じをどうしても持ってしまう。つまり、例えば事前協議制というものができてから米国の核搭載艦船がこれまで日本の領海を通過したこともなければ寄港したことは一度もないということを日本国民はどれほどの方々が信じているんだろうかというのを素直に思うのであります。  このことの重要性を政治家が考えていかなくてはいけない。このいわば現実と実態、実態と言っても政府は認めないわけでありますけれども、仮に、過去はともかくとしても、これからの問題としてこの乖離を埋めることを考えていかなくてはいけないのではないかというふうに考えておりますけれども、外務大臣はいかがお考えになられますか。
  32. 高村正彦

    高村国務大臣 政府とすれば、確固とした信念に基づいて、核を持ち込む場合には事前協議が必要で、米国は当然それを守る義務がある、同盟国である米国はそれを守っている、そういうふうに信頼をしておりますし、もし事前協議があれば、日本政府としてはそれを拒否する、そういう姿勢を貫いているわけでございます。
  33. 玄葉光一郎

    玄葉委員 かつて、ライシャワーさん、御存じのとおり親日家なわけでありますが、こういう言い方をされているようであります。我々はアメリカを信頼していると言って、今外務大臣もおっしゃいましたけれども、責任を米国に押しつけているだけだということをおっしゃっているんです。  私が心配しているのは、このまま行くとアメリカ日本国民の不満の矛先が向かうということであります。それが、将来の日米安保条約の発展を考えていったときに果たしていかがなものかということであります。いかがですか。
  34. 高村正彦

    高村国務大臣 私たちはアメリカを信頼していると申し上げていることがアメリカに不満が向かうということであれば、アメリカを信頼していないと言った方がいいんでしょうか。アメリカを私たちは信頼しています、そういうことを言うことが、言うことというよりも、アメリカを信頼している、アメリカ日本を信頼してもらっている、そういう相互の信頼関係がなければ同盟関係などというのは、それは維持できない問題だ、こういうふうに考えております。
  35. 玄葉光一郎

    玄葉委員 今、ガイドラインの審議なんかでも明らかなのは、与野党でかなり共通の土俵というものが安全保障論議においてもできてきて、現実的な視点で議論ができるようになってきたんだろうというふうに思っているわけであります。私は、ここで、この事前協議非核原則の、いわばフィクションというか虚構性と言っても政府は認めないということなのであろうと思いますけれども、このことについて、一度しっかり検討をしてみる必要があるのではないかというふうに思っているわけであります。健全な安全保障論議というものを発展させるためにもそのようなことが私は必要なのではないかというふうに思っております。  時間がなくなりますから、最後に一つだけ聞いておきたいと思いますけれども、かつてのライシャワー発言の際の論議の過程で、核の積載艦船寄港通過は認めるという、いわゆる非核二・五原則への修正を唱えた国会議員とか一部政党があったと聞いております。また、報道でありますけれども、田中内閣時の昭和四十九年、今後は日本領海通過寄港については日米安保条約に基づく事前協議対象から外して認めるということを真剣に検討したと、先ほど申し上げたようにそういう報道もあるようでありますけれども、政府は、これまでそのような検討をしたことはあるのでしょうかないのでしょうか。
  36. 高村正彦

    高村国務大臣 私が知る限り、そういう検討をしたことはありません。
  37. 玄葉光一郎

    玄葉委員 条約についての質問ができなくなりますからもうきょうはこの辺でやめますけれども、私は、この現実と建前の乖離というものを埋める作業を政府も真剣に考えていくべき時期がそろそろ来たというふうに考えております。  それでは次に、拷問禁止条約について質問させていただきたいと思います。時間がありませんので、幾つか通報させていただきましたけれども、その中で最も大事な点にだけ言及します。  拷問等禁止条約の二十二条に個人通報制度という制度がございます。つまり、個人通報制度は、拷問を受けた被害者が直接国際機関に苦情を提起し得るというものでありまして、私からすれば、拷問防止する上で極めて実効的な制度だというふうに思っておりますが、日本は個人通報制度を認める宣言を行わないということであります。このことについての説明を求めたいと思います。
  38. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国は、個人通報制度は本条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度であると考えております。本制度につきましては、憲法の保障する司法権の独立を含め、司法制度との関連で問題が生じるおそれがあり、慎重に検討すべきとの指摘もありました。その受け入れに当たっては、拷問の禁止に関する委員会による本制度の運用状況をさまざまな角度からさらに検討する必要があると現時点で考えております。したがって、本条約締結に当たっては、第二十二条に規定する宣言を行わない予定でございます。  本件については、今後とも関係省庁とともに検討に努めていく考えでございます。
  39. 玄葉光一郎

    玄葉委員 検討に努めていくということでございます。締結時には宣言は行わないけれども、検討に努めていく。場合によっては早い時期に宣言を行う可能性もあるというふうに考えてよろしいですか。
  40. 高村正彦

    高村国務大臣 注目すべき制度であり、慎重にすべきという意見が一方にある。そういう中で、繰り返させていただきますが、検討に努めていく。それ以上のことをお答えして予断を与えるのはちょっと問題であるかな、こういうふうに思っております。
  41. 玄葉光一郎

    玄葉委員 かなりの国々が宣言をしているようであります。四十カ国あって、ヨーロッパだけではなくて、オーストラリアとかカナダとかいろいろな地域の国々が宣言をしているようであります。私は、できるだけ速やかに個人通報制度の宣言を行った方がいいと考えるものでございます。意見として申し上げておきたいと思います。  関連してもう一つだけ、同じ趣旨でありますけれども、昨年十一月に、自由権規約第四十条に基づいて我が国が提出した第四回報告の検討に対する人権委員会の最終見解というものが出されました。その見解の中に同じようなことが書かれていて、つまり、我が国が自由権規約の第一選択議定書を批准することを強く求めている。この自由権規約の第一選択議定書というのは、人権侵害をされた被害者みずからが国際機関に苦情を提起し得るというものでございます。国連からは批准することを強く求められているわけでありますけれども、政府は何か逡巡しているようでございまして、その点についてはいかがですか。
  42. 上田秀明

    ○上田政府委員 ただいま御指摘の選択議定書の個人通報制度の問題につきましては、本拷問等禁止条約の個人通報制度の際に、ただいま大臣から御答弁いたしましたような関係で、やはり司法権の独立に影響を及ぼし得るというような懸念もあるということから、慎重に検討しているというところでございます。
  43. 玄葉光一郎

    玄葉委員 司法権の独立を侵すおそれというのは具体的にどういうことですか。よくわからない。
  44. 上田秀明

    ○上田政府委員 日本の司法制度の中におきましては、人権侵害が仮にあった場合の救済措置として、裁判制度によりまして救済が図られるということが確立しているわけでございますので、国際的な場におきまして、個人の通報制度によりまして国際委員会等による意見等が出された場合に、日本の司法の仕組みの中でそういった意見が影響を及ぼし得るというような懸念もあるというふうに承知をしております。(発言する者あり)
  45. 玄葉光一郎

    玄葉委員 場外からもお話がありましたけれども、私も全然わからないです。  つまり、これを読みましたら委員会——委員会というのは国際的な委員会でありますけれども、その委員会が判断を示す可能性があるというのは、国内的な救済が不当に遅延した場合だけだということであります。あるいはもう一つ、そのような遅延が事件の複雑性によるものではないことが要求されるということのようであります。そうであれば、結局、いわば国内的な個人を救済する制度が機能しない、そういう状況において国際的な機関が出てきますということですよね。それなのに、どうして司法権の独立を侵すおそれがあるのですか。よくわからない。
  46. 上田秀明

    ○上田政府委員 日本制度におきまして、御説明するまでもないと思いますけれども、司法権が、おのおのの裁判官が法と良心のみに従って具体的な事件につき判断を下すというふうになっております。ある個別の案件に関しまして国際的な委員会が見解を示す場合に、この案件またはこれと関連するような事案に関します裁判官の審理とか判断等に影響を及ぼすおそれがあるということであろうというふうに承知しております。
  47. 玄葉光一郎

    玄葉委員 さっきも申し上げましたけれども、不当に遅延したり、それが事件の複雑性に絡むものじゃない、まさに個人の人権救済機関としての国内の司法機関が機能していないという状況において、国連に個人の救済を申し立てることができないとすれば、その人はどうするんですか、どうしたらいいんですか。
  48. 上田秀明

    ○上田政府委員 たびたび同様のお答えになって恐縮でございますけれども、日本制度の中におきましては、司法の過程において、人権の案件につきましても処理が図られるということがシステムとしてでき上がっているということでございます。
  49. 玄葉光一郎

    玄葉委員 とにかく、注目すべきと外務大臣が先ほどおっしゃったわけであります。できるだけ速やかに個人通報制度の宣言を行った方がいいというふうに私は申し上げたわけでありますが、外務大臣は、予断を余り挟まないようにするためにそれ以上は言わないということでありますが、今の議論を聞いていてどう思われますか。
  50. 高村正彦

    高村国務大臣 一般的に、日本の裁判は遅過ぎるじゃないかとか我々はよく言います。だけれども、個別の事件について、それが遅過ぎるとか、一応行政の立場の人間は言わないようにしている。それは、司法権の独立の問題。それがまた、国際的な機関に、一つの裁判係属中に、これは国内の司法権の侵害ということに直接なるとかそういうことではないとは私は思いますが、現実の問題として、個別の事件に対して、国際的とはいえ公的機関が影響を与えるのは好ましくない、これは司法権の独立の問題であるという考え方が政府部内にある、こういうことでありまして、そういう意見もあわせ考えながら、今一生懸命検討しているところだ、こう申し上げているわけでございます。
  51. 玄葉光一郎

    玄葉委員 重ね重ね申し上げますけれども、この委員会が登場するのは、確かに、不当に遅延といっても価値判断が入るわけでありますけれども、不当に遅延した場合に出ますということであります。まさに人権侵害をされている人が、国内の裁判所が機能しない、司法が機能しないというときは確かにあり得るわけでありますから、そういう中で、救済される道を何も閉ざす必要はないというふうに私は思いますので、そういう意味で、政府は前向きにというより速やかに宣言を行うべきだというふうに私の意見を申し上げておきたいと思います。  あと五分でありますから、租税条約についても一、二聞いておきたいと思います。  毎回この租税条約を見て思うのは、国際租税世界というか国際租税政策というのは、基本的にそれぞれの国の、我が国であれば日本日本の国際収支のポジションというか、そういうものを常に念頭に置かなくてはいけないのではないかといつも思っているわけであります。  そういう意味で、一つだけお聞きしたいと思っているのは、使用料、つまり特許とか商標とか著作権、そういった使用料にかかる源泉課税について、いつも日本の外務省の説明だと、我々の租税条約はOECDモデルをベースにしていますということを何回も言うわけでありますけれども、こういう使用料にかかる源泉課税については、まさにそのOECDモデル条約に留保を付して、一〇%を限度税率とする租税条約締結しているわけであります。  これは、なぜそういう留保をつけたのかということなんです。つまり、きょう大蔵省から答弁をされるということでありますけれども、まさに我が国の歳入という観点から見れば、今の我が国の国際収支のポジションあるいは技術輸出国であるという現状にかんがみれば、このOECDモデルに留保を付しているのは基本的に損失なのではないかというふうに思うわけでありますけれども、その点について、いかがですか。
  52. 福田進

    福田政府委員 お答え申し上げます。  OECDモデルの使用料条項において、使用料の受益者の居住地国のみでの課税、つまり源泉地国免税を規定しているのは、先生御指摘のとおりでございます。  しかしながら、一般に、著作権、特許権等の使用料につきましては、相応の担税力があると考えられ、我が国を含め十数カ国のOECD加盟国は、国内法上二〇%程度の源泉課税を定めますとともに、租税条約においてこれを一〇%程度に軽減しつつ、源泉地国としての課税権を確保しているところでございます。  我が国について申し上げますと、平成八年分の非居住者等の源泉所得税の総額二千六百六十七億円のうち、使用料等の源泉徴収税額は千三百七十三億円と半分以上を占めているところでございまして、非居住者に対する使用料課税というのはかなり大きな額となっているところでございます。  ちなみに、平成九年国際収支統計のサービス収支におきます特許料等の使用料は、我が国の受取額八千八百三十九億円に対し、支払い額は一兆一千六百三十四億円となっておりまして、我が国の支払い超過となっているところでございます。  なお、余談ではございますが、我が国はこれまで四十四本の租税条約締結しているところでございますが、使用料につきましては、一〇%の限度税率による源泉課税を行うことを一貫したポリシーとしておりまして、これまでその例外として免税を認めた条約はございません。
  53. 玄葉光一郎

    玄葉委員 ちょっと今の件についてはいろいろ、正直疑問もあるわけでありますが、もう時間ですからやめます。  最後に、もう時間でありますが、日韓の租税の問題がありますから、天皇陛下の訪韓について、一言だけ外務大臣からお聞かせいただきたい。  つまり、早期の天皇陛下の訪韓についてどのように考えておられるのか、また、訪韓の時期については、どのような条件が整えば行かれる、どのような条件が整うことが必要であると考えておられるのか、最後にお尋ねをして、終わりたいと思います。
  54. 高村正彦

    高村国務大臣 昨年十月の金大中大統領の訪日によりまして、日韓の過去の問題について一つの区切りがつけられ、未来志向の日韓関係が着実に上昇軌道に乗っているとの認識が日韓両国民の間に広まりつつあるものと認識をしておりますが、今後とも、日韓双方で協力して、天皇陛下の御訪韓を実施できる環境づくりに努めていきたいと考えております。日韓両国の国内において、さまざまな考え、意見がまだある中で、日韓両国内における雰囲気の醸成が必要である、こういうふうに考えております。
  55. 玄葉光一郎

    玄葉委員 終わります。どうもありがとうございました。
  56. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、赤松正雄君。
  57. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。  私の方から、まず冒頭で、今も玄葉委員からありましたけれども、韓国との問題について、きょう上がっておる条約の基礎部分をなす問題として、日韓関係のことを最初にお聞きしたいと思います。  昨年の秋の金大中大統領の訪日、そして、この三月の小渕我が日本国首相の訪韓、こういった日韓両首脳の交流を通じて、今、画期的な日韓関係というものが従来の歴史の流れの中で大きな前進をしている、こういうふうな受けとめ方が一般であります。私も基本的にはそうであろうと思うんですが、そういう流れの中で、幾つかただしたいと思います。  まず、そういう画期的な大きな変化の中で、まさにこの三年間の懸案であった日米ガイドラインに関する三法案が、幾つかの修正を加えた上で成立をした、こういう事態が起きたわけでありますけれども、この日米ガイドライン関連法案の成立に対して、韓国の首脳というか当局のガイドライン成立に関する受けとめ方について、どういうふうに外務大臣は認識をしておられるかということを、まず冒頭にお聞きしたいと思います。
  58. 高村正彦

    高村国務大臣 韓国政府としては、この法律は、周辺事態が発生した際、地域の安定と平和のために行う米軍の活動を後方から支援するものであるとの点で、地域の安定に寄与するものである旨の論評を発表しているわけでありまして、韓国政府により、肯定的に受けとめられているものと理解をしております。  我が国としては、日韓安全保障対話等を通じて、両国間の安全保障分野における信頼感をさらに増進させていくとともに、韓国に対しては、種々の機会に我が国安全保障政策等に関する説明を行ってきていますが、今後とも、透明性を維持するように努力していく考えでございます。
  59. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 従来、日本韓国の間でこういう安全保障に関するテーマが出てきたときに、いわゆる防衛分野における日本の役割の増大というものを懸念する向きが、いろいろな場面であったと思います。  要するに、今、肯定的に受けとめていると認識をしている、こうおっしゃいましたが、改めて、防衛分野での日本の役割が従前に比較して大きくなるということと、それから、この日米ガイドラインに基づく周辺事態安全確保という格好で日本が取り組むということについては、むしろ当然であって、より言えば、遅きに失したというふうな感じで受けとめているのか、この二つのどちらにより比重が高いというふうに外務大臣は思っておられますか。要するに、日本周辺、いわゆる北東アジアにおける位置づけの増大という部分と、いや、それは当然であって、むしろ早くこういうのができた方が、あった方がよかったのだというふうに思っているのか。どちらですか。
  60. 高村正彦

    高村国務大臣 繰り返しになりますけれども、地域の安定と平和のために行う米軍の活動を後方から支援するものであるとの点で、地域の安定に寄与するものである旨の論評を発表している。ですから、全体として肯定的に評価していることは、これは間違いないと思いますが、それ以上いろいろ申し上げますと手前みそになりますので、韓国政府が論評していることをそのまま御紹介申し上げるのがいいのではないか、こう思っております。
  61. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今の大臣のお話の中で、後方からの支援ということにいわば額面どおり限定して受けとめればそういうことなんだろう。先ほどの私の問題提起からすれば、むしろ後ろの方なんだろうと勝手に理解をしておきます。  そういう日米ガイドラインに関する動きとまさに軌を一にする格好で、北朝鮮からのミサイル発射、あるいは朝鮮半島周辺における潜水艦の出没、侵入、こういったケース。あるいはまた日本に対する北朝鮮と思われる工作船の侵入、こういったケースがこの数カ月の間に起きているわけです。  そういったことを受けて、今、日本韓国の防衛当局の間において連携を密にする幾つかの動きがあるやに承知をしておるわけですけれども、どういうふうな日韓関係というか、北東アジアにおける、日本周辺における北朝鮮を中心とした動きに対して、日韓の防衛交流というか安全保障に関する対話、協力、こういった次元において、現時点における状況についてお話し願いたいと思います。
  62. 佐藤謙

    ○佐藤(謙)政府委員 日本韓国との間の防衛交流というものは、先生御高承のとおり、近年急速に進んでおります。両首脳間の交流、いろいろなレベルでの交流、こういったものも進んでおります。  また最近の事例といたしましては、本年の一月に私どもの野呂田防衛庁長官が訪韓いたしました際に、国防部長官との首脳会談におきまして、昨年十二月の北朝鮮による半潜水艇侵入事案のような緊急事態が発生した場合に、日韓の防衛当局間で相互に連絡がとれる体制の確保が重要である、かかる緊急時の連絡体制について具体的、技術的な研究を日韓共同で行うということで意見が一致をいたしました。その後の検討を踏まえまして、具体的には、防衛庁の防衛審議官韓国の国防部の政策企画局長の間、あるいは海幕の防衛部長と韓国の海軍作戦司令部の間、空幕の防衛部長と韓国の空軍作戦司令部間の三つのチャネルの連絡体制が構築されることになりまして、必要な事務的な準備を経まして、五月六日から運用ができる体制になっているところでございます。  それからさらに、韓国との関係では、この八月に捜索救難活動につきまして共同訓練を行おうというようなことで、日韓の防衛交流というのは、近年こういった格好で非常に進んできているというふうに申し上げられると思います。
  63. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 これは、今防衛局長おっしゃったのは、先ほど私が申し上げた、この数カ月における事態を受けて初めてそういうチャネルをつくったということでしょうか。それが一つ。  それから、八月に韓国との間で救助訓練というのは、周辺事態法で想定している捜索救助活動に基づく、実際どう運用していくかという部分の訓練でしょうか。その二点について改めてお聞きしたいと思います。
  64. 佐藤謙

    ○佐藤(謙)政府委員 このたび構築しました新たな連絡体制といいましょうか、これにつきましては、昨年十二月の事案、このときの経験を踏まえまして、そういったものの必要性が痛感されたということで両国の意見が一致して開設されることになったということでございます。  一方、捜索救助に関します共同訓練でございますが、これはガイドライン法あるいはガイドラインとは直接の関係はございません。ある国との間で防衛交流を進める上で、一緒の共同訓練をすることによってより理解が進み、信頼関係が高まるということがございますので、私どもも今回韓国との間で、そういう観点から実施をするということでございます。  なお付言させていただきますと、例えば昨年も、七月にロシアとの間で捜索救助関係の共同訓練をやっている、こういうふうな状況にございます。
  65. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今度は日韓の経済関係であります。  日本韓国の自由貿易協定設立構想、これが昨年十一月に日韓の閣僚懇談会で提案がされた。その前段階として、投資環境を整備するための投資協定締結の予備交渉に入るとか、あるいは日韓双方で研究機関の共同研究をするというふうなことが決まったということでありますけれども、その後の進捗状況あるいは今後のスケジュール、こういった点についてお聞きをしたいと思います。
  66. 高村正彦

    高村国務大臣 日韓自由貿易協定構想については、現在、政府レベルで具体的に何らかの話し合いを行っているわけではありませんが、民間レベルで研究が行われている、こういうふうに承知をしております。
  67. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 いわば民間レベルでの今のテーマについて、状況がどういうふうに今進展しているかということについての大臣の掌握はいかがですか。
  68. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 民間レベルで二十一世紀日韓経済関係研究会、これは日韓合同というよりは、お互いカウンターパート機関同士で並行的に研究をやっております。これからの日韓経済関係全般、そういう中で、自由貿易構想というものをどういうふうに位置づけるかということも含めて検討をやっておりまして、本年六月に中間報告が出る、そういうことも私どもは参考にさせていただきたい。  今年中に最終的な報告をつくる方向で現在作業が進められている、こういうふうに承知しております。
  69. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 日韓間は、先ほど来の防衛の側面も、あるいはまた今の自由貿易に向けてのさまざまな試み、いずれにしても今大きな前進を示しつつある、こう思います。従来の、日本韓国の間にあった歴史観をめぐる双方のいわば食い違いというか、日韓の間の大きな問題点というのは、去年の金大中大統領の訪日によって大きな新しい局面を迎えた、こういうことだろうと思うのです。  私は、そういう、現時点におけるベースの部分の日韓関係の好転というのは、やはり一にかかって金大中大統領という人の個人的な人格、あるいはまた今日までの彼の人生の中で経て来たさまざまな経験、韓国における体験、日韓関係における彼の位置づけ、そういう部分にあずかって大きな部分があるんじゃないのか。言葉をかえれば、金大中大統領じゃないリーダーが出てきた場合に、そういったことが果たして今日のように大きく進展したのかどうかというのはちょっと疑問の部分があるのではないかというふうな受けとめ方をしております。  そうすると、やがて来るであろう金大中大統領の交代、新しいリーダーの出現によって、今のそういう日韓関係というものが逆転するというか、その辺の言い回しは別にいたしまして、今より違う方向に行く、多少そごを来す、こういった懸念があるんじゃないのかというふうに思っておりますが、その辺、外務大臣の受けとめ方はいかがでしょうか。
  70. 高村正彦

    高村国務大臣 委員御指摘のとおり、日韓関係は、昨年十月の金大中大統領の訪日及び本年三月の小渕総理の訪韓において、両国首脳は、過去を克服して、二十一世紀に向けた新たな日韓パートナーシップを構築していくことで合意して以来、極めて良好に推移しているわけであります。  委員が御指摘になったように、まさに金大中大統領の人柄というかリーダーシップによってこういうことになったということは、私もそうだと思います。ただ、金大中大統領が私におっしゃったことは、相手が小渕総理だったからここまでできた、こういうことを言っておられたこともつけ加えておきたいと思います。  二月に韓国を訪問して金大中大統領とお会いしたときも、謝罪は一度で十分である、日韓の過去は自分の訪日で清算された、こう述べておられました。  日韓関係、現在上昇軌道にありますが、そうした日韓友好協力関係の潮流は着実に両国国民の間に浸透していると感じております。政府としては、引き続き未来志向の日韓関係を前進させるため、両国国民のレベルでの交流を深め、より強固な日韓両国の信頼の基盤を構築していきたいと考えております。  こういうことで、将来どういうことがあっても、委員がおっしゃるような逆転するというようなことがないように努めてまいりたい、こう思っております。
  71. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今大臣がおっしゃいましたように、金大統領が謝罪は一度でいいと。これは、私、思いまするに、従来の日本外交というのは、さっき小渕首相だからこそというのをつけ加えたいとおっしゃいましたが、そうすると逆に、以前の総理はという話になるんですが。以前の自民党対韓外交というのは、私の尊敬する東京外語の学長の中嶋嶺雄先生に言わせると、対韓謝罪外交、対中土下座外交という言葉を彼は使っておりますけれども、日本のこれまでの外交姿勢というのは、文字どおり、金大統領が言われたように、謝罪は一回でいいということに尽きるんだろうと思うんです。  では、国内的に、国民のレベルでそういう韓国に対する国民の意識、歴史観というものが、さっき外務大臣がおっしゃったような感じで日韓相互に国民レベルで深く本当に相互の理解が進んでいるかというと、首脳レベルの謝罪あるいは一回でいいとか、そういうやりとりとは別に、国民レベルで私はまだまだ進んでいないところがあるというふうに受けとめております。  去年の秋の大統領との間で、韓国の方がいわゆる日本文化の受け入れというものを従前よりも大きく受け入れる方向に決めた。これは私は、細かく、どういうふうな形でその後韓国における日本文化の受け入れというものが進展しているのかというのは承知をしておりませんけれども、恐らく、徐々にでありましょうけれども進んでいっているし、いくだろうと思うんです。  一方、では日本の国内の方は、国民レベルでいったら対韓理解という部分は、私は普通の国民であるかどうかは、国会議員という立場ですから多少一般の人との日常生活における対韓意識というのは違うかもしれませんけれども、正直、余りそういう進展というか、過去と現在を比べたときに大きく対韓意識というものが変わってきているような国内における動きというものを感じられないというふうに私は思っているんですが、その辺、外務大臣、どうでしょうか。つまり、首脳レベルとそれから国民レベルの日韓関係
  72. 高村正彦

    高村国務大臣 私は、韓国の国民の間でも、あるいは日本の国民の間でも過去とは大分変わってきたなという感じがしております。  金大中大統領が、過去を清算して未来志向でやるんだ、こういうことをおっしゃって、そして小渕総理もきっちりとした形で過去に対して謝罪をされた。こういうことについて両国の国民は相当の評価をしている、こういうふうに思いますし、委員がまだまだ足りないとおっしゃれば、それはもうこれでいいんだということでは絶対ないわけでありまして、やはり相互の国民の間でさらに浸透させるように私たちも努力をしていかなければいけない、こういうふうに思っております。
  73. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 そこで、私自身が思うんですが、韓国側のそういう日本文化の受け入れということとパラレルかどうかわかりませんが、日本の場合、日本に定住する在日韓国人の地方参政権問題、そういう問題について非常に大事なかぎを握っている、在日韓国人の地方政治に対する参政権問題というものが、先ほど言ったことでいえば、一つのかぎを握っている。  私ども公明党はその辺について今精力的に法律化するべく取り組んでおるわけですけれども、その辺について、外務大臣の個人的な見解で結構ですので、お聞かせ願いたいと思います。
  74. 高村正彦

    高村国務大臣 これは非常に重要な問題だと思っております。いろいろな角度から検討しなければいけない話でありまして、政府部内でもそれこそいろいろな角度から真剣に検討されている、こう承知しておりますし、政府部内だけでなくて、公明党さんのお立場はある程度承知しておりますが、それぞれの政党の中でも幅広く検討されているというふうに承知をしております。
  75. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私は、先ほど来の流れの中で申し上げましたように、非常に重要なかぎを握っているものであるので積極的に検討を進めていただきたい、そんなふうに思います。  拷問等禁止条約についてでありますが、先ほど玄葉委員からもお話ありましたし、私も先般本会議で総理並びに外務大臣質問をさせていただきました。そこで、あのときの答弁、先ほど玄葉さんとのやりとりも聞いておりまして、やはり幾つか判然としないことがございます。  時間も余りありませんのではしょってということになるかと思いますが、まず、この条約締結に十五年かかった、これはさまざまな理由があるんだろうかなと思いますが、先般の総理の答弁は、鋭意検討してまいりましたが、今般検討が終了し、国会に承認をお願いすることになった次第、こういうお答えでした。さっき、外務大臣のお答え、玄葉さんとのやりとりを聞いていると、個人通報制度にしても、あるいはまた私が本会議で言いました拘禁施設の訪問制度新設の問題にしても、結構検討が残っているのが多いですよね。幾つも検討を抱えながら、さっき大臣おっしゃっていましたが、さらに検討を加えていると。検討を加えることをいっぱい残しながら、十五年かかってようやく拷問条約締結に至ったというこの辺のことについて、何を検討したためにこんなにおくれたのかということですが、その辺、何か御説明できることはありますか。
  76. 高村正彦

    高村国務大臣 過去の経緯の話でありますから、政府委員から正確に答弁させた方がいいかと思います。
  77. 上田秀明

    ○上田政府委員 この条約そのものも含めまして、人権関係条約につきまして順次いろいろな検討を行いまして、女子差別撤廃条約でありますとか児童の権利条約でありますとか人種差別撤廃条約でありますとか、順次締結をしてきたわけでございます。  拷問等禁止条約締結をお願いする際にももちろん、条約の意義、目的内容それから国内法整備との整合性というようなことを十分に勘案する必要があったということでございます。
  78. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 ほかに、優先順位からいえば遅かったということなのかなと思います。  そこで、さっきの個人通報制度の件ですけれども、私も質問をしましたし、また先ほど来の話も聞いていてよくわからない部分があるのですが、ちょっと角度を変えまして、司法権の独立という観点で問題を生じるおそれがあるというふうなことに帰着する答弁なわけですけれども、運用状況についてこうおっしゃっているんです。拷問の禁止に関する委員会による本制度の運用状況をさまざまな角度からさらに検討する必要がある、こうおっしゃっているんですが、既にこの拷問条約締結されて批准をしている国の中における運用状況に、司法の独立を侵すという日本が懸念していることを引き起こす、そういう考えを持つに至る事態というものがあるからそういうふうにおっしゃっているんだろうというふうに受けとめましたけれども、他国における運用状況にどういうケースがあったんでしょうか。
  79. 上田秀明

    ○上田政府委員 この条約の個人通報制度のもとで、これを適用している国からの百件以上の通報が行われているということは承知しております。それに対しまして、この拷問の禁止に関する委員会が通報を検討しておりますけれども、非公式の会合がずっと開催されておるわけでございます。  私どもといたしましては、今後、この委員会の報告書をできる限り収集して、その際に、各国の司法制度との関係等につきどういうことがあるのかということも検討を続けてまいりたいと思います。
  80. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 法務省に来ていただいているので、今の件に関して、単純に考えて、さっきの議論もそうですけれども、司法の独立というのは当然、日本の国内における司法の独立ということはわかるわけですけれども、司法が判断する上における、何というんでしょう、拷問の禁止に関する委員会の判断、その参考との兼ね合いというものに、日本が判断をする、そして国際委員会の判断を参考にするというその兼ね合いに打開の余地があるのかどうか、その辺、法務省の見解を聞かせていただきたいと思います。  そして、法務大臣が私の質問に対して、要するに慎重な検討を要する問題である、こう答えられましたけれども、これはいわゆる政治用語で、慎重な検討を云々というのはやらないということの言いかえなのかどうか。そうじゃなくて、さっき大臣がおっしゃったように、予断を言わない方がいいということと慎重な検討をするということとの関係性も後で聞きたいと思うんですけれども、法務省の方にはその辺の、実際に無理だということを言っているのか、それとも無理じゃないと言っているのか。どっちでしょうか。
  81. 房村精一

    ○房村政府委員 お答え申し上げます。  司法の独立ということは、裁判官がその良心に従い、憲法と法のみに拘束されて判断をするということでございます。そういうことから、個別の裁判における心証形成というのは、関係法令にのっとって、提出された資料に基づきまして、裁判官が自由な判断でその心証形成を行う。これによりまして、司法の独立、裁判の独立が担保されているわけでございます。  個人通報制度を受け入れるということになりますと、具体的な個別の事案につきまして、国連の条約に基づき設置された拷問禁止委員会が見解を示されるということになります。そうなりますと、その具体的な当該事案あるいはこれと関連する事案に関する裁判官の自由な審理、判断に影響を及ぼすおそれがあり得るということでございます。そういうことから、この個人通報制度の運用等につきまして慎重な検討を加えた上で判断をしなければならない、そういうことで、現在もその検討を続けているところでございます。
  82. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 時間が来ましたので、大臣、最後に答えていただきたいんですが、旧ユーゴ戦犯法廷がミロシェビッチ大統領を残虐行為の疑いで起訴をしたという報道がなされております。これは一般的に同大統領の反発が必至で、せっかく外交交渉が非常に軌道に乗ろうとしている、ロシアの仲介等を受けて一歩大きな前進をしようとしているのではないかということに水をかけるのじゃないかという考え方が一つ。あるいはもう一つは、政治的にNATOの団結をもたらすもので、今膠着状態の事態を前進させるものだという受けとめ方もあったり、あるいはアメリカ大統領はこれを歓迎するような表明もされておりますが、外務大臣の受けとめ方について聞きたいということが一つ。  あと、私、この拷問等禁止条約等の質疑を自分で政府当局にして、今もしたその受けとめ方としては、要するに、いわば拷問等禁止条約があって、一方で一つの、ユーゴのような、まさに拷問なんというのを超えたような虐殺行為が行われている、こういう条約をつくって実効性はあるのかということを政府考えているんじゃないか、そういうことをつくっても余り意味がないというふうに思っていて、今日までこういう条約に対する、さっき優先権云々の話がありましたけれども、そういうことさえ感じるような気がします。つまり、実効性の問題ですが、その辺の受けとめ方、私の勘ぐりでしょうか。  その辺、今の二つについて外務大臣に最後にお聞きしたいと思います。
  83. 高村正彦

    高村国務大臣 旧ユーゴの国際刑事裁判所でありますが、一九九一年以降、旧ユーゴ領内における紛争の激化に伴い、ジェノサイドや民族浄化等の重大な国際人道法に対する違反が発生、これに対処するため、安保理が九三年二月にこれら国際人道法違反に対して責任を有する者の訴追のため国際裁判所を設立すべきことを決議して、設置されたものでありますが、この裁判所は、独立の司法機関としての性格を有して、安保理からは独立して機能することとされており、その決定は尊重されねばならないこととなっております。  昨日、この裁判所のアーバー検察局長がミロシェビッチ大統領等の起訴を発表しましたが、その起訴の内容は、一九九九年初頭からコソボで犯された人道に対する罪及び戦争の法規または慣例に反する罪であるとされております。  我が国としては、この裁判所による今回の決定は、安保理決議に基づいて司法的な観点からなされたものと理解しているとともに、この裁判所の独立性を尊重するものでございます。  旧ユーゴ国際刑事裁判所の今回の決定は、司法的観点からなされたものと受けとめますけれども、他方で、国際社会はG8合意を基礎にして政治解決を探求している状況でありまして、今後この努力が一層強化されねばならないと考えるし、日本もその努力をしていきたい、こう考えております。  それから、条約がたくさんある中で優先順位をつける場合に、やはり、それは実効性がどのくらいあるかということも一つの判断にはなり得る、こう思っておりますが、それが決定的になって、こんなのやらなくてもいいんだということではなかった、こういうふうに思っております。
  84. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 終わります。
  85. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、古堅実吉君。
  86. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本共産党の古堅です。  最初に、租税条約について伺いたいと思います。  共通の問題になりますが、日本の企業が海外に進出して活動する、その場合に、進出先の労働者の賃金が日本国内に比べて低いとかあるいは土地代が安いとか、経済活動に不可欠な条件が日本国内よりも安く調達することができる、そういう条件下にありますから、一般的に言えば、日本国内で活動するよりも相対的に高い利潤を確保する、そういう可能性があるというふうに言えるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  87. 高村正彦

    高村国務大臣 日本企業の他国への進出というのは、基本的に個々の企業の海外事業戦略に基づくものでありますが、具体的には、人件費、部品コスト等の生産コストの削減や、あるいは現地国及び域内における市場の確保、拡大、また需要多様化のための市場隣接地生産、さらには円レートの変動に左右されない生産体制の確立等のさまざまな理由があるというふうに承知をしております。
  88. 古堅実吉

    ○古堅委員 例えば、日本韓国の問題に例をとって申し上げますけれども、賃金の比較をとって申し上げてみますと、労働省の海外労働白書によりますと、一九九六年の製造業労働者の賃金額は、日本が月額三十六万六千百三円で、韓国が月額十七万六千五百六十八円となっております。韓国の場合は、日本の半分足らずという状況であります。  その賃金差を前提に考えてみますと、例えば、日本で三百人を使用するよりも韓国で三百人を使用する方が、月額でおよそ五千六百七十万円も安く上がります。年間にすれば、およそ六億八千四十万円安く上がるというようなことになります。このように、賃金だけでいっても、進出企業は日本国内で活動するよりも大きな利益を上げることが期待されているものであります。  ところで、政府締結している租税条約は、外国税額控除を採用していまして、国内の優遇税制をこうした海外で活動する企業に適用することにしているが、賃金だけ見ましても進出企業は大きな利益となるわけで、その上に国内税制をそのまま適用するということは、さらに大きな優遇税制を保障するということになります。それは、韓国に進出する企業について言えば、日本で活動するよりも一層有利にするということになるんじゃないかと思うんです。  先ほど、最初の質問に対してその点を、一般的な全体についてのことでしたが、明確に言われなかったんですが、具体的に韓国の事例を数字をもって述べました。そのことについてお答え願いたいと思います。
  89. 福田進

    福田政府委員 今、外国税額控除制度のお話が出ましたので、私の方からお答えさせていただきますが、外国税額控除制度と申しますのは、国際的な二重課税を排除するために、相手国で納付した税額を自国の税額から控除する仕組みでございまして、これは、御案内のように、広く国際的に認められた措置でございます。  これは、内外の投資に対する二重課税を防ぎまして税の中立性を確保するものでございまして、特段の優遇措置とは考えていないところでございます。  我が国でも、国内税法で規定いたしますとともに、我が国締結いたしましたすべての条約確認しているものでございます。
  90. 古堅実吉

    ○古堅委員 一向に質問に答えてくれないんですよね。私が、第一の質問も第二の質問お尋ねしているのは、外国に進出する企業は、そういう条件のもとでなされるので、日本で企業活動するよりも高い利益にあずかれる、そういう可能性があるんじゃないかという立場を踏まえて言っているんです。もう一度答えてください。  それを、韓国の事例について、賃金だけをとりましたが、土地代とかその他の条件があるでしょう、賃金をとらえただけでもそういうことになりますよ、そういうことではないですかと尋ねているんです。
  91. 小松一郎

    ○小松政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大蔵省の方からもお答え申し上げたとおりでございますが、租税条約と申しますのは、委員もよく御承知のとおりでございまして、国際的な二重課税防止回避することによりまして、経済交流、人的交流、文化的交流、こういうものを盛んにしようという目的が基本にあるわけでございます。  冒頭委員から御質問のございましたそれぞれの企業の海外進出の目的といいますか、どういうねらいでやるのかということについて大臣からお答えを申し上げたとおり、それぞれいろいろな理由があって、御指摘のような人件費だけの理由によるのではないという御答弁を申し上げたわけでございますけれども、そういうことによりまして、やはり、相手の国も日本の企業の進出というものを投資という観点から歓迎するというところがあるわけでございまして、お互いの経済交流を盛んにするためには国際的な二重課税防止する必要がある、それがまた有益である、こういうことでございまして、ただいま大蔵省から御答弁ございましたように、日本の海外進出企業を特段に優遇するということは当たらないのではないかと考える次第でございます。
  92. 古堅実吉

    ○古堅委員 一般的に言って、我が国の企業が他外国に進出していく、日本において企業活動をするよりもより高い利潤が得られる、それが期待されるというふうなことなしに他外国に進出していくという企業があり得ると思いますか。
  93. 小松一郎

    ○小松政府委員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、各企業が海外進出を行うという場合には、やはり、もちろん経営という観点から戦略的な判断を行うと思いますので、損をするために進出するということは一般的には考えられないことであろうと考えるわけでございます。  ただ、先ほどから繰り返して申し上げておりますのは、海外で我が国企業が活動をいたしました場合に、その進出している国において課税権対象になる。他方、我が国の税制上、我が国の居住者である企業に対しては、その全世界所得に対して課税が行われるということになりますので、そこで国際的な二重課税が行われる。こういう国際的な二重課税をなるべく軽減しよう、それによって経済的な交流を促進しようというのが基本的な租税条約考え方であるというふうに考えております。
  94. 古堅実吉

    ○古堅委員 前へ進みますが、日韓租税条約では、韓国配当に対する税率の上限が、現行一二%を二〇〇三年までは一〇%、それ以降は五%に引き下げるとしております。それに対して韓国では相当の抵抗があったのではないですか。  OECDモデル条約に沿って五%化を進めているということでありますけれども、韓国についていえば、現行の一二%が一〇%になり、さらに五%になるということは、配当に対する課税分がそれだけ減るということになります。逆に言えば、日本政府の税収がふえるということになりますけれども、これはやはり各国の課税事情があることでありますし、そのことを尊重されるべき問題ではないかというふうにも考えます。いかがですか。
  95. 小松一郎

    ○小松政府委員 OECDモデル条約におきまして、相手国の居住者である企業から我が国の居住者が配当を受け取る場合の限度税率というのが定めてあるわけでございまして、親子関係にない関係にある普通の法人と申しますか、それから受け取る場合が一五%。それから、我が国韓国の場合を想定いたしますと、我が国の企業が韓国に子会社を設立いたしまして、その子会社から配当を受け取るという場合には五%というのがOECDモデルで、差を設けているわけでございます。  なぜそこで、親子関係にある企業間の配当に対しては限度税率を引き下げているかということでございますが、これは基本的には、通常の場合には、ポートフォリオ投資と言われている、利殖の目的を持ちまして株式等を単に購入するということに対して、子会社進出というのは、やはり直接投資ということで、相手の国において雇用も創出し、経済活動を活性化させる。そういうような観点から、受け入れ国側もそういう子会社進出を歓迎するという面があるわけでございます。  今の委員の御指摘でございますけれども、確かに、今度、限度税率を引き下げることによりまして、税収の面で一二%が一〇%、一〇%が五%になると税収が減るという面はあるかもしれません。しかし、それと同時に、今申し上げましたような子会社進出という形で直接投資が促進され、雇用も創出される、そういう両方の面があるわけでございまして、そういった点を双方が交渉の観点でいろいろ勘案した結果、今のこの条約のような形になって合意をした、こういうことでございます。
  96. 古堅実吉

    ○古堅委員 この五%もまた、進出企業の利益を保障するための措置になったのではないかというふうに思われます。  日本企業が韓国で一二%を納税した場合に、日本でその分を控除される仕組みになっています。この場合、大きな黒字企業であれば一二%の控除が全部可能です。しかし、黒字が小さい企業では、そのすべての控除というわけにはいきません。そこで、五%にすることで、黒字の小さい企業の場合でもすべての控除ができるようにしようというのがこのねらいになっておるのですね。  この措置は、親子関係にある企業に利益をもたらす、そういう仕組みになるのでしょう。
  97. 小松一郎

    ○小松政府委員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、そもそも、配当につきまして限度税率を設けておりますということは、今委員の御指摘になりましたように、外国税額控除で控除し切れないということをなるべく避けようという観点から、配当について限度税率を設定しているわけでございまして、その限度税率の中でも、親子関係にある法人間での配当についてさらになぜ低い税率にしているかということについては、先ほど申し上げたような、一般のポートフォリオ投資と呼ばれるようなものに比べまして、直接投資という観点から、相手国にとっても、受け入れ国側にもメリットがあるということで、五%というのがいわば国際相場としてOECDモデル条約考え方になっているということでございます。
  98. 古堅実吉

    ○古堅委員 次に、みなし税額控除の一定期間の存続を図る問題についてお尋ねします。  このみなし税額控除は、発展途上国が租税条約の優遇措置によって減免した税額を当該外国で払ったとみなして、その分を自国で控除する、そういうものであります。  日韓租税条約では二〇〇三年の廃止となっておりますけれども、それまでは存続することになっています。また、マレーシアとの条約では、協定発効後七年は存続するということにされています。  政府は、優遇措置が外国の投資を呼び込む力となるというふうにいろいろな立場から説明し、強調しています。ぼろもうけができない国には投資しないというふうな考え方自体がおかしいというふうに思わざるを得ません。投資が発展途上国の経済発展に役立つと政府が言うのであれば、優遇措置に屋上屋を架すようなこのみなし税額控除はすぐにでも廃止すべきが妥当ではないかというふうに思います。  日本政府考え方一つでできることではないかと思うのですが、いかがですか。
  99. 高村正彦

    高村国務大臣 民間企業が外国投資を行う際には、投資受け入れ国側の税制も含め、種々の観点から経営上の判断を行っているものと承知をしております。  委員が、利益を生まないところに投資をしないというような考え方はおかしいと。こういうのは、やはり市場経済の考え方を理解しておられないのではないかな、こういう感じを持ってお聞きをいたしました。  みなし外国税額控除は、開発途上国が、自国の経済開発促進のため、外国からの投資の誘致の手段としてとっている税制上の優遇措置を、我が国における課税で一方的に減殺しないようにするとの観点から認めているものであり、これが開発途上国における税制上の優遇措置に屋上屋を架すものであるとの指摘は当たりません。  いずれにいたしましても、政府としては、税の公平といった課税の基本原則や有害な租税競争の牽制といった観点も踏まえて、みなし外国税額控除を認める相手国や同制度対象となる相手国の優遇措置を合理的な範囲に限定し、また、租税条約におけるみなし外国税額控除の規定自体を時限的なものとするなど、今後とも、この制度の一層の見直し、縮減の努力を継続する必要があるとは考えております。
  100. 古堅実吉

    ○古堅委員 もう時間が残り少なくなったので、拷問等禁止条約について二、三お尋ねします。  一九七五年十二月、国連総会で拷問禁止宣言が採択されたそのときに、その第二条に、拷問が、一方ではジェノサイドやアパルトヘイトと同列に置かれるべき、人間の尊厳を侵す最もおぞましい国際犯罪行為の一つとされていました。しかし、本条約では、拷問を犯罪と規定していますが、ジェノサイドやアパルト、その両条約のように国際犯罪とまでは定義されなかったのであります。国際犯罪とされれば、行為地の国内裁判所または国際刑事裁判によって審理し、処罰することが可能であります。本条約では、拷問を犯罪とする規定にとどまっているのはどうしてか。拷問を集団殺害罪やアパルトヘイト罪のように国際犯罪と認めるべきではなかったか、そういう立場からの質問です。
  101. 上田秀明

    ○上田政府委員 御指摘のとおり、ジェノサイド条約におきましては、集団殺害が国際法上の犯罪であるというふうに、また、アパルトヘイト条約におきましては、アパルトヘイトが国際法の諸原則に反する、そういうふうにそれぞれ規定されております。  本件拷問等禁止条約におきましては、文言上それと同様の規定はございませんけれども、締約国に対して、拷問に当たる行為を行った者が最終的にはいずれかの締約国で処罰され得る国際的な体制を整備しようというものでございますので、御指摘の一九七五年の国連における宣言のその内容を踏まえているというふうに理解しております。  ちなみに、それより後にできた、昨年七月に採択されました国際刑事裁判所規程、これはまだ未発効なのでございますけれども、この規程におきましては、人道に対する罪としての拷問、それから戦争犯罪としての拷問がそれぞれ裁判所の対象犯罪というふうになっておりますので、将来、この裁判所の規程が発効すれば、対象犯罪に当たるような拷問を行った者はこの裁判所において訴追、処罰されるということもあり得るというふうに考えております。
  102. 古堅実吉

    ○古堅委員 本条約では、拷問についてのみ多くの条約義務規定されましたが、拷問に至らない非人道的行為、第十六条に規定されているものについては、犯罪とも規定されず、若干の義務規定が準用されたにすぎないこととされました。  拷問については、第二条から第十五条までの広い範囲の規定が適用されるのに対して、非人道的行為については、第十条から第十三条までの限られた規定しか適用されないようになっております。非人道的行為については不十分ではなかったかというふうに考えていますが、なぜそうなったんでしょうか。
  103. 上田秀明

    ○上田政府委員 どのような行為が拷問に当たるかということにつきましては、従来から国際社会におきまして一定の共通認識が存在しておりましたので、この条約の作成の際の議論におきましても拷問の定義は詳細な定義を設けることができまして、そして、締約国に対して、拷問に当たる行為を刑法上の犯罪とする等のことを義務づけることが可能となったわけでございます。  他方、非人道的な取り扱い等につきましては、どのような行為がそれに該当するか等につきまして、この条約の策定過程におきます議論におきまして各国に共通する認識が存在しなかったわけでございます。いろいろ議論が分かれたわけでございます。そこで、この条約におきましては、定義規定が設けられませんで、結果として、各締約国に対しまして、非人道的な取り扱い等を刑法上の犯罪とするというところまで義務づけることはできなかったわけでございます。  しかしながら、非人道的な取り扱いの防止を含めまして、この条約義務の履行に関する報告を委員会に出させて、その委員会が報告を検討して意見を出すというようなプロセスもでき上がっております。国際社会において、この非人道的な取り扱いの具体的な内容が徐々に共通認識が形成されていくのではないかというふうに考えております。
  104. 古堅実吉

    ○古堅委員 我が国政府は、本条約第二十一条の国家通報制度に基づいて、この条約締結に際して宣言を行う予定だとされておりますが、第二十二条の場合には、選択宣言国とならないという予定のようです。それについて、先ほど他委員から同様の立場で、なぜかという御質問に対するお答えがありましたが、余りよく理解できなかった思いがします。  時間がなくてやりとりができませんけれども、現在の締約国は何カ国で、そのうち、第二十二条の選択宣言国でない国は何カ国か。本条約の趣旨の徹底という立場からは、早急に選択宣言国となるように努力すべきではないかというような立場でちょっとお尋ねをします。
  105. 上田秀明

    ○上田政府委員 本年の四月末現在で、この拷問等禁止条約そのものの締約国は百十四カ国でございますが、第二十二条のいわゆる個人通報制度に関します宣言を行って受けると言っている国が四十カ国でございます。
  106. 古堅実吉

    ○古堅委員 最後に一点、もう時間が過ぎましたが。  我が国として、この選択宣言国となるという方向への努力という面ではどうですか、大臣にです。
  107. 高村正彦

    高村国務大臣 政府部内にいろいろな意見がありますので、真剣かつ慎重に検討してまいりたいと思っています。
  108. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わりますが、先ほど、司法権への影響が起こり得るような、そういう立場からの懸念があって、そのような措置に至るというようなことが言われておりますが、この第二十二条の場合に、いろいろな条件があって、第二十二条五項の(a)、(b)では、国内において救済措置が尽くされたということも確認したものでなければ宣言国であっても通報は受け取らぬというふうな、そういうことまでありますから、司法権の問題について、宣言国となりにくいというほどの様相を持つものにならないんじゃないかと思うんですけれども、大臣、そこらあたりもいろいろ検討した上で、先はまだ定かじゃないということなんですか。
  109. 高村正彦

    高村国務大臣 先ほど政府委員からも答弁しましたように、委員会の実際の運用がどうなっているか等についても検討をした上で、調査をした上で、いろいろな角度から検討してまいりたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
  110. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わります。
  111. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、伊藤茂君。
  112. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 冒頭に、外務大臣に二つ御要望申し上げまして、感想を伺いたいと思います。  一つは、ガイドライン法案が成立をいたしました。私ども反対しましたが、成立をするということになりまして、その後どうするのかというわけでありますが、参議院の審議が終わりました後の一両日の主要なマスコミを読んでみましたら、それぞれ、「不信ぬぐう外交必要」とか「外交尽くし新法の出番つくるな」とか、新聞にカラーはございますけれども、読んでおりますと、有事を起こさない外交の展開が非常に大事だと。日ごろ論調の違う読売新聞も朝日新聞も同様の記事が載っておりまして、思ったんですが、やはり非常に内外から注目をされた法案ですから、それらが終わりました後どのような姿勢で日本が努力をしていくのかと注目をされるところだと思いますが、それが第一点。  それからもう一つは、今回、拷問禁止条約関連いたしまして、我が国が未批准の国際条約につきまして調べてみましたら、国会図書館でこれを出しておりまして、随分たくさんの条約、まだ批准していない条約がいっぱい並んでおります。見てみまして、我が国の立場からして、これは余り直接の関係が強いことでもないかなというのはありますし、それから、人権関係とかILO関係とか、こういうことはやはり早くやった方がいいんじゃないかな、一々全部詳しい説明を伺っておりませんが、そんな感じで、たくさんあるなと思って実は読んだわけでございます。  ILO関係なんかでもたくさん出て、それに対応するのは大変だという事務方のお話も伺いましたが、そういう事情はあるにせよ、やはりいいことはできるだけ早くやれるように、必要ではないだろうかという感じがいたしましたが、いかがでしょうか。
  113. 高村正彦

    高村国務大臣 政府といたしましては、小渕総理が明らかにしてきているとおり、抑止力の向上とともに、周辺諸国との対話を軸とする外交の展開、安全保障政策の実施を重視しているところでございます。先般成立した日米防衛協力のための指針関連法等は、このうちの抑止力の向上に資するものであります。同時に、不測の事態の発生を未然に防ぐ外交努力が極めて重要でありまして、かかる観点から、政府としては、対話を通じた予防外交、信頼醸成の推進を重視しているわけであります。  具体的に申し上げれば、域内各国との安保対話、防衛交流の活発化、国連はもとより、ASEAN地域フォーラムにおける取り組みへの積極的な努力、北朝鮮との関係改善に向けた着実な働きかけ等、諸点がかぎとなると考えておりまして、これらの点について積極的な努力を傾注していきたいと考えているわけでございます。  それから、未批准の多数国間の条約が数多くあるではないか、こういうことでございますが、我が国といたしましては、条約締結するに当たりましては、誠実にこれを履行するとの観点から、事前に国内法制の条約との整合性を図るという立場をとってきておりまして、政府としては、条約目的、意義、内容国内法制との整合性等を十分勘案の上、早期締結が適当と考えられるものについてはできるだけ早期に締結することができるよう今後とも努力をしていきたい、今後はより一層努力していきたい、こう考えております。
  114. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 外務大臣も総理も、抑止と対話ということを繰り返されております。問題はそのバランス、それからやはりどうタイムリーに対応するのかということが外交のポイントだろうというふうに思います。いろいろな意味で、対話の方の努力が先行されるように私は要望しておきたいと思います。  次に、もう一つ大臣から気持ちを伺っておきたいんですが、この拷問禁止条約につきましての本会議の同僚議員の質問などを聞いておりますと、なぜおくれたのか、それから翻訳の問題ですね、タイトルのネーミング、「against」というのがなぜ「関する」になるのかとか、それから十一条の翻訳の問題、「shall keep under systematic review」というのは、「組織的な再検討を続けなければならない」と翻訳するのが当然のはずなのに、なぜ「体系的な検討を維持する」になるのか、何か後ろ向きではないかというふうな印象の議論もございましたし、また、そういう意見も私どもも耳にいたします。ただ、私はここで言語学をやる時間もありません、やるつもりもございませんが、全体の印象として、ヒューマンライツ、人権はこれからの時代に非常に大事なキーワードでございますから、これらについて日本はやはり積極的にまた誠実に努力をしていくという姿勢が出るように、またそういう構えでやるということだと思いますが、それは間違いないでしょうか。  なぜおくれたとかネーミングとか翻訳とか、いろいろな議論がございましたね。それで大臣はお答えになりました。何かそういうことを通じて、こういう人権あるいは拷問もそうですが、やはり、こういうものについて我が国の方が何か消極的なんだと印象を与えるようなことになったら、私は非常にマイナスだと思います。そうではないと思いますが、その決意のほどを聞いておきたい。
  115. 高村正彦

    高村国務大臣 私が政務次官のときでありましたが、国連人権高等弁務官のロビンソン女史が日本に来られたときに一緒に食事をいたしました。そのとき、この拷問禁止条約の話題が出て、私は、日本の法制といいますか、憲法以下、拷問はきっちり禁止されていて、日本の中で拷問があったということは皆無とは言わないけれどもほとんどないんである、こういうことを説明いたしました。そうしたら、ロビンソン女史が言っておられたのは、自分はそういうことをよく知っている、日本にそういう問題があるとは思わない、ただ、日本が国際的に拷問禁止ということについて積極的に働きかけてもらう上で、やはりこういうものをきっちりしておいてもらうことが必要なんだ、こういうことを言われました。私、それはまことにもっともだと思いましたので、政務次官でありましたが、そのことをまさに担当者に話して、これ急げということを指示したわけです。  それから大臣になってさらに指示を重ねて、いろいろ、十五年もかかったじゃないか、こう言われておりますが、やっとここに至った、こういうことで、私は前向きに一生懸命やりたい、こういうふうに思っております。
  116. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 今の大臣の気持ちを伺いますと、十一条の言葉の表現など、むしろ前向きに、もっといい表現で、下手な誤解が起きないようになるんじゃないかなという思いがいたしますが、これは時間がありませんから。  大臣にもう一つ伺いたいんですが、この条約の批准状況、各国一覧表を見てみました。やはりアジア地域での条約批准の推進が一層必要だなというのが率直な感想でございます。さまざまの国がございますし、さまざまの発展段階がございますけれども、そういう面におきましても、日本がいい役割、威張って言うとか押しつけるとか、もちろんそんな意味ではなくて、いい役割をいろいろな意味で果たしていくということがやはり大事なんではないだろうか。また、政府間あるいは政治、議員のレベル、あるいはNGO、有識者のレベル、いろいろなものを通じましてこういうものがもっとアジア地域で促進される役割を果たすべきではないだろうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  117. 高村正彦

    高村国務大臣 この条約は、拷問禁止のための国際的な体制を構築することによりまして拷問世界的に防止しようというものであって、我が国としては、できる限り多くの国が本条約締結することが肝要である、こう考えております。  我が国といたしましては、これまでも、国連等の場において人権問題の重要性を訴えてきているほか、人権シンポジウムの開催、二国間人権協議等を行ってきたところでありますが、今後は、これらの場を含む種々の機会をとらえて、一部のアジア諸国を含め、本条約締結していない各国に締結を促していきたいと考えております。また、NGO等とも密接な連絡をとり合っていきたい、こういうふうに思っております。
  118. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 幾つか具体的な問題を質問させていただきます。  先ほど来、個人通報制度、二十二条についての議論がございました。私も二十二条の文章を読みまして、先ほど来の御説明はどうも腑に落ちないのであります。二十二条の1、2、3、4、5とございまして、5の(b)というものを読みますと、この制度を利用するにつきましては、「当該個人が、利用し得るすべての国内的な救済措置を尽くしたこと。」が前提になっているというわけでありまして、司法の努力などを含んで、各国がさまざまな国内制度における努力をして、その上にレスキューを求めるというふうな趣旨ではないかなというふうに思うわけであります。  司法の独立との関連とか懸念とかというお話だと思いますが、そういうことになりますと、先ほど、この受諾をしている国が四十数カ国というお話がございましたが、そういう意味ではどこの国でも同じ理屈なんだろうと思うのですね。ですから、日本でそうだという理由にはならないんじゃないだろうか。条約のこの条文の二十二条五項の(b)など読んでみましてそんな感じがするのですが、どうも今までの答弁では理解ができない。前向きに受諾への努力がなされることが必要ではないだろうか、そういう感じがいたしますが、いかがでしょう。
  119. 高村正彦

    高村国務大臣 この点については、保留している国の方がより多いというふうに承知をしております。  それと、そこに書かれていることだけ見ますと、確かに、完全に国内での裁判が終わってからするというようなことで、大丈夫ではないかというのは、それはもっともですが、実際の運用上どうなっているかということについて、国内で、政府内で極めて心配する向きもありますし、そういうことについてきっちり調査した上で、真剣かつ慎重に検討していきたい、こういうふうに思っております。
  120. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 真剣、慎重から、真剣だけでいいようにお願いしたいというふうに思います。  十条関連で一つ伺います。  尋問などに関するさまざまな訓練、規則、指示など、大臣からも拷問はありませんというふうなお話がございましたが、こういうことについてさまざまな、やはり一層の努力が必要なのではないだろうかというふうに思います。  二、三年前になりますが、日弁連から出された資料も読んでみたのですが、捜査と拘禁の分離が必要であるということでのさまざまな事件の報道が書いてございます。こういうことを絶滅することが、やはり日本の社会としても制度としても大事なんだろうと思いますが、詳しいことを伺う時間がございませんから、それは別途伺うことにしまして、一つだけ伺いますが、国連で警察官の人権教育のためにマニュアルを作成しているというふうに承知をしておりますが、こういうものを日本でも研究をしているのか、あるいは活用しているのか、それらも日本におけるさまざまの関係者の教育に活用されているのかどうか。いかがでしょう。
  121. 林則清

    ○林(則)政府委員 取り調べが主なお尋ねであろうかと思いますが、取り調べ等につきましては、非常に適正に行われるよう、犯罪捜査規範百六十八条等において取り調べに当たっての留意事項を規定いたしておりますし、あるいは被留置者の起床時刻とか就寝時刻、食事の時刻、こういうものも警察署の日課時限としてきっちり規定をしております。  その他、警察が捜査を行うに当たって、いろいろな段階において適正に取り調べ等の行為が行われるよう、各段階において、また各過程において、教育訓練をしておるところでございます。
  122. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 国連のマニュアルが活用されているかどうかというふうに伺ったのですが、やはり国際的な水準におきまして、日本の各分野で先進的な努力をされるというふうにさらにお願いしたいと思います。  限られた時間でございますから、あと一、二だけ伺います。  昨年の十一月に、国連人権委員会におきまして、日本からの第四回報告につきましての議論があり、また、それについての最終見解が採択をされました。読んでみましたが、三十五項目、随分たくさんのことが書いてございます。  まだまだ日本でも注文されることが多いのかなというのが率直な印象なんですが、その中で一、二だけ申し上げますけれども、例えば、その報告書の中の第九、第十パラグラフに関連をいたしますが、独立した仕組みが必要ではないか。例えば会計検査院のようなことになるんでしょうか、独立した仕組み、今の人権擁護委員制度だけではないものが必要ではないかという指摘がございます。私は、結構なことじゃないかというふうに思いますが、これらをどうお考えか。  それから、二つ目には、代用監獄の問題と起訴前勾留。  二十三、二十二パラグラフに書いてございまして、聞きましたら、代用監獄という日本語は国際語になっているとかと言う人がいましたが、私も、この十年、二十年、随分弁護士の方から聞かされる言葉でございまして、何でいつまでもこんなことがあるのか。しかも、国際的にも言われるようなことをなぜやるのか。それは制度の理解が悪いのか、運用が悪いのかと感ずるわけでございまして、やはりこういうことがなくなるような、国際的にも指摘されることがなくなるような状況を早くつくるということを、精力的な努力をなされるべきであるというふうに思いますが、この二点。  つけ加えまして、もう一つ、NGOとの関連、三十四パラグラフに書いてございますが、いろいろな意味で大事なことだろうというふうに思います。  これらについて、三点、いかがでしょうか。
  123. 横山匡輝

    ○横山政府委員 お答えいたします。  私の方からは、人権救済制度関係について申し述べたいと思います。  法務省には、現在、人権擁護施策推進法に基づきまして人権擁護推進審議会が設置されておりまして、この審議会で、法務大臣からの諮問に基づき、人権救済制度のあり方について、今後、調査審議がされることとなっております。  委員御指摘のとおり、規約人権委員会からは、人権侵害の申し立てに対する調査のための独立した制度的仕組みをつくるべきとの指摘を受けておりますが、人権救済を行う機関につきましては一定の独立性が必要との考え方もあるところでありますので、法務省としましても、この審議会での調査審議の結果も踏まえて、慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
  124. 渡邉一弘

    ○渡邉説明員 私の方からは、代用監獄の問題について御答弁させていただきたいと思います。  人権規約委員会の第四回報告におきましては、代用監獄が警察と分離された当局の管理下にないことについての懸念を有するということが指摘されているわけでございますけれども、被疑者の勾留につきましては、厳格な司法審査を必要としておりますし、十分な司法的コントロールがなされております。さらには、被勾留者の保護のための担保措置も十分に講ぜられております。したがいまして、そのような懸念には当たらないと考えております。  もとより、代用監獄に勾留中の被疑者の取り調べ等につきましては、任意性が疑われ、あるいは不当に人権、防御権を侵害したとの非難を受けることのないように十分な注意をなすべきことは当然でございます。関係機関においても、引き続き努力していきたいと考えております。
  125. 高村正彦

    高村国務大臣 NGOとの関係でございますが、政府としても、人権分野におけるNGOの活動の重要性を十分認識しており、B規約第四回政府報告作成の際を含め、従来から関連NGOとの意見交換を随時行い、これらNGOの意見を参考として施策の策定に当たっているところであります。本規約の効果的な実施のため、今後とも引き続きさまざまな機会をとらえてNGOとの意見交換を行っていきたいと考えております。
  126. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 時間ですから終わらせていただきますが、何か、国連人権委員会のレポートを見ますと、最後に書いてありますが、日本の第五回報告の提出は二〇〇二年十月と書いてあるようでございます。その間、さまざまな関係者が各省庁にまたがって御苦労なさるという事情も伺っておりますが、今回指摘をされたようなことがいつまでも同じように繰り返されているということでない、いい努力がこの短い期間にされますように要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  127. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  128. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約締結について承認を求めるの件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  129. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     —————————————
  130. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国大韓民国との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府カナダ政府との間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件に対する討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。古堅実吉君。
  131. 古堅実吉

    ○古堅委員 私は、日本共産党を代表して、韓国との租税条約マレーシアとの租税協定カナダ及びスウェーデンとの租税条約改正議定書に対する反対討論を行います。  第一に、現地の安い労働力などを使って日本国内で活動する以上に大きな利益を上げる海外進出企業に対して、国内で保障する大企業優遇税制の範囲内での課税にとどめる必要はないと考えるからであります。  第二に、二重課税の排除の措置は国際投資の障壁をなくすることであり、産業空洞化を深化させている資本の海外進出に対する税制面からの民主的規制を実施できなくすることになると考えるからであります。  第三に、配当に対する税率の上限の引き下げは、税額控除の範囲を広げるものであって、大企業優遇税制を強化するものと考えるからであります。  第四に、韓国及びマレーシアとの条約では、みなし税額控除を一定期間存続させていることは、優遇税制以上の特別利益を保障するもので、賛成はできません。  以上が反対の理由であります。
  132. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて各件に対する討論は終局いたしました。     —————————————
  133. 中馬弘毅

    中馬委員長 採決に入ります。  まず、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国大韓民国との間の条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  134. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  135. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府カナダ政府との間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  136. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国スウェーデンとの間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  137. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 中馬弘毅

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  139. 中馬弘毅

    中馬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十五分散会