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1999-05-19 第145回国会 衆議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十九日(水曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 上原 康助君 理事 玄葉光一郎君    理事 赤松 正雄君 理事 東  祥三君       瓦   力君    木村  勉君       河野 太郎君    阪上 善秀君       櫻内 義雄君    中谷  元君       深谷 隆司君    細田 博之君       八代 英太君    吉川 貴盛君       川内 博史君    藤田 幸久君       坂口  力君    山中あき子君       井上 一成君    藤井 裕久君       古堅 実吉君    松本 善明君       伊藤  茂君  出席国務大臣         外務大臣    高村 正彦君  出席政府委員         国際平和協力本         部事務局長事務         代理      嶋口 武彦君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    上田 秀明君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 東郷 和彦君  委員外出席者         外務委員会専門         員       宮本 吉範君 五月十四日  憲法の理念に基づく自主的な外交に関する請願(知久馬二三子君紹介)(第三二七三号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)  国際情勢に関する件(コソヴォ問題について)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  本日は、特にコソヴォ問題につきまして調査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細田博之君。
  3. 細田博之

    細田委員 おはようございます。  本日は、最近大きな国際問題となっておりますコソボ問題について三時間半以上の質疑ができるということで、大変意義のあることだと思います。私自身、自由民主党外交部会長を務めさせていただいておりまして、去る四月二十七日に、自由民主党では、コソボ難民支援対策本部が設置されました。森喜朗幹事長本部長でございますが、その事務局長を務めさせていただいておりまして、現在幅広く、コソボ難民対策あり方、今後の我が党としての取り組み方、あるいは法律改正等国会が対応すべきことが何であるか、政府がどう対応すべきかということを検討しておるわけでございます。  そのようなことについては後ほどいろいろ申し上げることといたしまして、最初の質問者でもございますので、同僚議員皆様方が後から御質問されやすいという意味も兼ねまして、総論的なこともお伺いいたしたいと思います。  まず、外務大臣から、コソボアルバニア系住民に対するユーゴスラビア正規軍及びセルビア治安部隊による抑圧、非常に激しい抑圧があるというふうに報道されておりますけれども、この実態についての御認識をお伺いいたします。
  4. 高村正彦

    高村国務大臣 コソボにおきましては、昨年二月末のアルバニア系武装組織セルビア治安部隊との武力衝突以来、ユーゴ軍及びセルビア治安部隊が圧倒的な軍事力もとアルバニア系住民に対する弾圧を行ったわけであります。その結果、昨年秋の時点で二十万人以上の難民避難民が発生し、周辺国にも流出する事態となりました。  さらに、ランブイエ、パリでの和平交渉など、国際社会が粘り強い外交努力を行っている間にも、ユーゴ軍はこれを最後までかたくなに拒否する一方、四万人以上の軍、治安部隊コソボ及びその周辺に投入し、アルバニア系住民に対する攻撃を強行したわけでございます。このような状況の中で、既に七十万人以上の難民周辺国に流出するに至っているわけであります。  コソボ内でのユーゴ治安部隊による抑圧実態については、国連人権高等弁務官の報告によれば、コソボ内において、アルバニア系住民に対する大規模な処刑、集団レイプ、児童に対する暴力や殺人、略奪、住居からの追い出し等の非人道的なさまざまな行為が行われているとされております。
  5. 細田博之

    細田委員 ただいま抑圧実態について生々しいお話を承ったわけでございます。これに関連して、外務大臣も海外にも御出張になられまして、関係方々ともお話をしておられるというふうにも伺っておりますので、その中身についてもできればちょっとお伺いしたいと思います。
  6. 高村正彦

    高村国務大臣 コソボにおきましては、依然としてアルバニア系住民に対する組織的な弾圧と大量の強制追放が行われており、現在では七十万以上の難民コソボから流出すると言われているわけでありますが、難民の危機的な状況はとりあえず回避されているものの、多くの難民生活条件は依然として悲惨な状況にあるわけでございます。  私は、マケドニア難民キャンプを視察したわけでありますが、一つテントの中に十数人、そのテントも狭い土地の中で密集しており、極めて悲惨な状況に置かれておりました。大きな広場にテントがたくさん立っておりまして、テント以外は日を遮るものがない。これから夏になると四十度以上にもなるんだ、こういうような話も聞いてまいりました。事件発生当初に比べれば家族同士お互いの消息がわからないということは少なくなっているようでありますが、いずれにしても、本当に心が痛くなるような状況でありました。  コソボ周辺地域にはこのような状況に置かれている人々が、マケドニアに二十万人、アルバニアに四十万人いるわけであります。これらの人々に対する支援は問題の政治解決とともに重要なものでございます。このような観点から、我が国は、コソボ問題支援のために二億ドルの支援を行うことを決定したわけでございます。
  7. 細田博之

    細田委員 ユーゴ政府そしてNATOに対しまして、特にNATO空爆問題、誤爆などもあったようでありますけれども、あるいは国連における議論というものもありますけれども、我が国政府としてはどのような立場を表明し、また実行しているのか、この点をお伺いしたいと思います。
  8. 高村正彦

    高村国務大臣 ユーゴ政府に対しましては、ランブイエ交渉当時より和平合意案受け入れによる政治解決を求めてまいりました。また、NATOによる空爆開始後は、国際社会の要求する五項目の受け入れ必要性を訴えたほか、外務省より数次にわたり在京ユーゴ大使に対しても申し入れたわけでございます。また、G8外相会合においては政治解決のための七原則が合意されたところ、我が国ミロシェビッチ大統領がこれを早急に受け入れることを求めております。  また、今回のNATO軍による軍事行動につきましては、国際社会の粘り強い外交努力にもかかわらず、ユーゴ側がこれをかたくなに拒否し、一方で、ユーゴ軍及びセルビア治安部隊による過度の武力行使が続くという状況もと、さらなる人道上の惨劇を食いとめるためやむを得ざる措置としてとられたものと理解しております。  もちろん、誤爆が許されるわけではありませんので、そういうことはくれぐれもないように何度も申し入れているところでございます。同時に、コソボ問題の政治解決のために、NATO主要国を含む国際社会が一致して外交努力を行っていくことの重要性を訴えてきております。
  9. 細田博之

    細田委員 在京の某大国NATO加盟の某大国、二カ国ほどでございますけれども、大使館の人が私のところにぜひ訪ねていきたいというので、どういうことかということで伺ったわけです。私が外交部会長自由民主党で務めておるということがございまして、いかにユーゴ政府のしていることが非人道的であるか、コソボ人たちに対してひどいことをしておるか、したがって、十分理解をしてほしいし、日本政府としても、自民党としてもそこのところは御理解願いたい、こういうふうなことを私の方にも言ってきております。  他方ユーゴスラビア大使館の方も大使が申し入れてきましたので、会わないというわけにもいかないので話をちょっと聞いたんですが、これはまた、いかにNATOがおかしいか、我々はひどいことは何もしていないというようなことを言います。これは、外交ですから、あるいは国々の政策ですから、それぞれに立場はあると思いますけれども、客観的に言えば、やはり今外務大臣がおっしゃったような大きな問題があるということは、私も感じ取ったわけでございます。  そこで、それに対する立場立場として、政府としては、既に二億ドルというかなり巨額な難民支援策を先ほど大臣がおっしゃいましたようにとったわけでございますが、その具体的な内容、そしてこれまでの実施状況、今後についての考え方、こういった点についてお伺いしたいと思います。
  10. 高村正彦

    高村国務大臣 四月二十七日に政府が発表した総額約二億ドルの支援具体的内容でありますが、第一に、難民に対する支援として四千万ドルを国連難民高等弁務官事務所UNHCR等国際機関に拠出いたしました。このほかに、物資協力として、既に表明していた一千張りのテント等に加えて、毛布一万枚及びスリーピングマット五千枚をUNHCRに供与いたしました。  第二に、大量の難民受け入れている周辺国に対する支援として、マケドニアアルバニアの両国に対し、今後二年間で六千万ドルの無償資金協力を実施いたします。また、資金協力のみならず、医療等の分野への支援として、本邦医療専門家派遣関連機材の供与及びその他の支援要員派遣を行います。  第三に、和平合意が達成された際には、コソボ復旧難民帰還等支援するために、今後約一億ドルを人間の安全保障基金等に拠出いたします。  第四に、この問題に官民一体となって取り組むために、本邦NGOによる支援活動を応援すべく資金協力を行います。また、有為の方々国連人道機関活動への参加の道を開くための支援を行います。  今のところ、そういうことを考えているわけでございます。
  11. 細田博之

    細田委員 これは事務方にちょっと伺いたいのですが、比較してみると、日本支援というのは各国支援から見ても非常に大きいというふうに聞いておりますが、その実態はわかりますか。
  12. 上田秀明

    上田政府委員 お答え申し上げます。  五月の十二日現在で取りまとめたところでございますけれども、これは日本国際機関UNHCRWFP等への拠金でございますが、例えばUNHCRにつきましては群を抜いておりまして二千三百万ドルでございまして、他に、例えばアメリカが八百五十万等々でございますので、群を抜いて大きな貢献を行っているところでございます。
  13. 細田博之

    細田委員 とりあえずの拠出額ということで今言われたわけですが、まだまだ我が国は二億ドルという全体の額がございますので、それは仄聞いたしますと各国が考えている額よりもはるかに大きいということで、我が国としては非常に積極的に取り組んでいることは大変好ましいことだと思っているわけでございます。  仄聞しますと、それぞれいろいろ話をしてまいりますと、コソボ難民にとって本当に必要な支援が何か、また非常に遠い、アジアからヨーロッパのあの地まで物を運んでいくということになると大変遠いわけでございます。人を運ぶのも遠いということがありまして、いろいろな障害もあるわけでございます。  例えば、お医者さんを派遣するという提案をしたところ、マケドニアあたり地域ではお医者さんが過剰である、もう十分おられるからそれは必要ありません。よく聞いてみると、物で送られると輸送費がかなりかかるから、それよりは現金でいただきたいというような話もあったやに聞いておりますけれども、今後どういう支援が最も必要だというふうに外務省としては聞いているか、あるいは関係省庁としては聞いているかという点について質問いたします。
  14. 上田秀明

    上田政府委員 お答えいたします。  緒方難民高等弁務官の方からいろいろと御連絡がございますが、先ほど大臣が御答弁いただきましたように、今、これから夏でございますので、テントの中の暮らしが非常に暑くなるというようなことで、テントにさらに白い覆いをかけようかというようなことをおっしゃっておられますが、それよりも問題は、これから冬になりますので、冬用の仮住宅と申しますかテントと申しますか、そういうようなことをどうやって確保していくかというような点。それから、子供たちが多うございますので、教育。それから、ストレスにどういうふうに対応していくかというような問題が大きな問題であるようでございます。  食糧そのものについては、温かいものということになりますと難しゅうございますが、今のところ、量としては足りているようでございました。
  15. 細田博之

    細田委員 私ども、先ほど申しましたように、自由民主党森幹事長本部長といたしましてさまざまな検討をしているわけですが、連休中に緒方さんのところに森幹事長がお訪ねしまして、とりあえずということではございましたけれども、党で集めるお金をもとに二千万円ほど義援金を手渡して、大変喜んでいただいたわけでございます。  また、自民党若手議員がたくさんおりまして、有志の滝議員新藤議員戸井田議員下地議員が四人で、若い議員たちでございますけれども、現地へ行ってさまざまな状況を把握してきたわけでございます。  それによると、彼らにとっては、やはり国外にいる難民でございますから、したがって、どうも衛生状態が十分でない。あるいは、彼らが聞いてきたところでは、赤ん坊のおむつが非常にいい。やや詳しく聞くと、おむつといっても、紙のおむつだと今度は廃棄の方、ごみの方が大変だから、すぐ洗える方がいい、水はあるからおむつがいいんだとか、あるいはトイレ日本では阪神淡路大震災のときに随分この建設をしたわけですが、簡便なトイレなどがいいんじゃないかとか、あるいは阪神淡路で使ったプレハブ住宅などを送れないかとか、いろいろな話をしてきたわけでございます。  ただ、いろいろ聞いてみると、プレハブ住宅などは、どうも難民受け入れる側も、そこに永住してもらって、井戸を掘ったり、水道や下水やそういうものをすべて整備するということは、必ずしもこれは歓迎していない。つまり、難民というのは、コソボ地域紛争が終わればそこに帰っていただくんだから、できるだけ温かく迎えつつも、できるだけ和平を早く実現して戻っていただきたい。だから、余り恒久化することは望ましくないので、住宅といってもそう簡単ではありませんよというような話も聞いてきているのですね。これは我が国としての支援あり方についてはなかなか難しい面があるなという気持ちがしておるわけでございます。  そこで、我が党としても募金活動を始めまして、ダイヤルQ2での募金とか各都道府県別募金、あるいは明後日には幹事長みずから銀座の方に出かけて一般市民募金を呼びかけるということで、一生懸命取り組ませていただいておるところでございますので、これは他の各党さんにおいてもいろいろお知恵を出していただきたいと思います。  また、具体的にはNGO方々にもたくさん行っていただいて、これまでのいろいろな難民対策の御経験も生かして活躍してほしいんですが、そのために、政府はさらに充実した政策をとっていただきたいですし、また政府がなかなか出せないようなところはなるべく我々も追加的な支援をしたい。自民党所属国会議員も一人当たり五千円ずつ寄附をしようじゃないかというようなこともやっております。  我が国会としても、この追加支援、相当必要のようでございますから、政府がこれからどういう形で追加支援あるいは支援の形態について検討されようとしているのかをお伺いしたいと思います。
  16. 高村正彦

    高村国務大臣 今度の危機でありますが、その規模及び難民流出のスピードにおいて未曾有の人道的惨劇であり、コソボ難民問題に迅速に対応することは国際社会の一員としての責務である、こう考えているわけであります。  かかる認識から、我が国政府は、難民支援周辺国への支援和平達成後の復旧難民帰還への支援から成る総額二億ドルの支援を行うことを決定したことは先ほど申し上げたとおりでありますが、これは国際社会において高く評価されております。また、コソボ難民支援において、我が国の顔が見える支援としては、我が国NGO現地活動支援邦人医療専門家等派遣を行っているほか、国連ボランティア、UNVとしての邦人ボランティア派遣支援を行うこととしております。  我が国としてのさらなる貢献策につきましては、現地状況は極めて流動的であり、今後の状況の展開に応じて柔軟に検討する方向でございます。
  17. 細田博之

    細田委員 そこで、今の国内法制の話を伺いたいのでございます。  御存じのように、一方では国際平和協力法があり、他方では国際緊急援助隊法というのがあるのでございますが、この運用のやり方についてはやや一長一短があるやにも聞いておるわけでございますけれども、この国際平和協力法に基づく我が国人的貢献というものが可能かどうか、この法律のいろいろな制約がありやなしやという点についてお伺いいたします。
  18. 嶋口武彦

    嶋口政府委員 お答え申し上げます。  先ほど外務大臣から御答弁いただきましたように、テント千張り、スリーピングマット等を現に実施しておりますけれども、それと並行いたしまして、人的な協力あり方についても鋭意検討してきてまいっております。  先生御案内のように、人的協力を行う場合には、平和協力法でいわゆる派遣の五原則がございます。この五原則停戦合意ができていること、受け入れ同意があること、その活動公正中立であること、それからこれらの条件が満たされない場合には撤収できるような体制になっていること、それから武器使用等についての制約ということがあります。さらに、いわゆる宮澤原則がございまして、憲法それから平和協力法に基づくこと、国の内外評価、支持が得られること、さらには派遣に当たっては効果的な運用、また安全対策が十分講じられることというふうなもろもろの条件がございます。  そういう中で、現地情勢、先般マケドニア方面にも、私どもも調査に参加いたしましていろいろ事情を聞いております。先ほど御指摘がありましたように、医療チーム派遣についてもそれぞれ検討したわけでありますけれども、今申し上げた総合的な判断の中では、今のところ具体的に実施できるものは見当たらない。今後とも情勢を見きわめながら積極的に検討してまいりたい、このように考えております。
  19. 細田博之

    細田委員 昨日は党の本部UNHCR東京駐在の代表からも伺いましたけれども、とりあえずは、現地は、マケドニアあたりはお医者さんはまだ要らないよと言っているかもしれないけれども、これからまだ長期化するかもしれないし、夏を迎えて病気とかその他の衛生の問題も発生するかもしれない、だからそう硬直的なものじゃないので、よく連絡をとり合いながらやろうというような話もしておりました。  そこで、マケドニア地区にしてもアルバニア地区にしてもその他の地区にしても、いわゆる紛争という意味では、域外の地域でもありますし、解釈上は、今のおっしゃった趣旨は、これは適用自体が不可能だということではないので、必要に応じてやろうと。ただ、これまでの五原則とか宮澤原則とかいうものが、もっと国際紛争そのものの当事者に対することを念頭に置いているために、周辺国における人的貢献までもやや不自由にするような運用になりかねない。そういうことがあってはならないと思いますけれども、適正な運用を今後とも考えていただきたいわけでございます。  そうなると、国際緊急援助隊法というのも、なかなか人的貢献では有意義な法律でありますので、こういった面も、何も災害に限らず、こういった事態には準用のような格好でできるような、これは国会法改正という問題もございますけれども、何か考えられないのかどうか、お答えを願いたいと思います。
  20. 高村正彦

    高村国務大臣 国際緊急援助隊法適用対象は、これまで国会の審議を通じ、地震等自然災害及びガス爆発等人為的災害であり、紛争による災害適用対象として想定していないところでございます。  したがいまして、セルビア軍及びセルビア治安部隊が圧倒的な軍事力もとアルバニア系住民に対する弾圧を行った結果発生しているコソボ難民ケースにつきましては、この国際緊急援助隊法適用は難しいもの、こういうふうに考えております。
  21. 細田博之

    細田委員 法律構成要件上そうだということは私も承知しておるんですが、できるだけNGO派遣とかその他の協力においては弾力的に、法律がこうなっているからどうだということにこだわらずにやっていく必要があると思います。これは国会の問題でもあるので、きょう御参会の各党各位皆様方にも、今後の御質問も通じながらいろいろ具体的に考えていただき、必要なものは国会としても最善の協力をしていくということが大事だと思いますので、その点申し添えさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  22. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、上原康助君。
  23. 上原康助

    上原委員 私も、コソボ紛争状況あるいはその解決見通し等についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  民主党としても、羽田幹事長本部長にして、いろいろコソボ紛争解決に向けての対内外政策を今検討し、まとめて、積極的にできる限りの支援策を進めていこう、こういう立場であることをまず冒頭申し上げておきたいと思います。  そこで、時間が大変限られておりますので、今もいろいろ自民党委員の方からお尋ねがあったわけですが、問題は、これはコソボ状況をどう認識するのか、あるいは、その紛争を一日も早く終結させて難民帰還であるとか平和的な環境というものをどう造成していくかということが私は最も大事なことだと思うんですね。  確かにミロシェビッチユーゴ政権のやっておることは人道上いろいろ問題はあるにしても、しからば国連安保理の決議もなしに、NATOが三月二十四日あるいは二十七日からもうかれこれ二カ月近くなっている空爆を断行するということが、これまた人道上というか国際法的に、国連中心主義という日本外交、防衛の一つの柱の面から考えて、ただ正当化していいのかどうかという疑問を持つ国民も私は多いと思うのですね。そういう点について、外務大臣としてあるいは日本政府としてどう御認識をしておられるのか。  そういうことは、既にG8外相会議でも高村外務大臣も御出席なさっていろいろ御苦労しておられることは評価をし、多としますが、今私が指摘をした国連安保理を飛び越えて軍事行動を展開するという、アメリカの昨年十二月のイラク攻撃にしても、どうも釈然としない面が多いのですね。こういうことについては、もう少し日本も、日米同盟という立場はあるにしても、もっと平和的解決策というものを国際的にアピールする、メッセージを送るという、ここが日本の顔が見えないという一つの、国際的評価がいまいち日本に向かないことになっているのではないかと私は思いますので、そういうことに対する外相の御見解があればお聞かせを願いたいと存じます。
  24. 高村正彦

    高村国務大臣 今、上原先生お話、かなり多岐にわたっているので、全部にお答えできるかどうかちょっとわかりませんが、コソボ問題につきましては、その政治解決を目指す国際社会の粘り強い外交努力にもかかわらず、ユーゴ側はこれをかたくなに拒否し、一方でユーゴ軍及びセルビア治安部隊によるアルバニア系住民に対する弾圧が続く、そういう中で、本年三月、NATOは、さらなる人道上の惨劇を食いとめるため、やむを得ざる措置として軍事行動をとるに至ったわけでございます。空爆開始後も、政治解決に向けた種々の外交努力が行われてきております。  この問題の政治解決のためには、ミロシェビッチ大統領国際社会の要求を受け入れることが必要であります。そのためには、ロシアも参加するG8統一ポジションを固め、その上で国連が主導的役割を果たし得る状況に持っていくことが必要であります。この観点から、先般、私も出席して行われたG8外相会合におきまして、政治解決のための七原則等について合意されたことは重要である、こういうふうに考えております。我が国としても、この問題の政治解決を強く望むものであり、国連安保理決議を目指し、今後ともG8の一員として貢献してまいる考えであります。  国連決議のないままの空爆をどう評価するかということでございますが、一部繰り返しになりますが、ユーゴにおけるNATO軍事行動は、国際社会による政治解決のための努力にもかかわらずユーゴ政府がこれをかたくなに拒否する中で、さらなる人道上の惨劇を食いとめるため、やむを得ざる措置としてとられていると理解をしているわけであります。  ただ、我が国は、今回のNATOの行動の当事者でないことに加えて、作戦面を含むNATO軍事行動に関する詳細な情報を有していないので、今回のNATOの行動につき我が国として法的評価を下すことはできないことを御理解いただきたいと考えております。  日本政府が何をやっているのかちっとも顔が見えないではないかということでございますが、昨年は、安保理のメンバーでありましたので、まだ空爆も行われていない中で、安保理のメンバーの一員として政治解決をすべく日本政府としてもかなり努力をしたつもりでございます。そして、残念ながら安保理のメンバーでなくなっているわけで、ただ、G8の一員ということで、G8の統一ポジションをつくるために、統一ポジションというのは一般原則でありますが、そういうことを日本政府としても努力して、何とか統一ポジションをつくることにはたどり着いたわけであります。  ただ、一般原則として統一ポジションであっても、その中身において、イギリス、アメリカからロシアまで割と幅広い考えで、実はきょうもボンで政務局長会議というのを、要するに事務方の高レベルの会議をやっております。例えば、シビル・アンド・セキュリティー・プレゼンシーズ、文民及び安全保障の国際的な存在というものは何なのか、そういったことについてG8の中で、一番立場が離れているのはイギリス、アメリカと、ロシア、こういうことでありますが、日本もそうでありますが、幾つかの国も努力して、最後は国連決議に持っていきたい、こう考えておりますが、そういう中で考え方を一致させるための努力をしているところでございます。
  25. 上原康助

    上原委員 誤解していただいては困るのですが、私は、日本政府が何もしていないとか日本政府の顔が全く見えないとは言っていないのです。もっと見えてもらいたいという要望を申し上げているわけです。  確かに二億ドルの資金援助というのは大きいでしょう。せんだって、我々民主党としてもコソボ情勢について欧亜局の方からヒアリングを受けました、このペーパーをいろいろ見せていただいたのですが。強調していることはわかるのですよね。しかし、これを一見して感ずることは、やはり日本というのはお金を出すということにウエートを置き過ぎる。それも大事なのだが、もっと平和的手段あるいは政治力を生かしてこういう国際紛争を経済大国というか経済力のある日本がどう解決していくかという姿勢について、我々が期待している方には行っていないということを指摘しているわけです。  きょう、いろいろ国連憲章とかNATO条約等をひもといて議論する時間もありません、つもりもないのですが、国連憲章も、第六章で、紛争の平和的解決というものを明確にしているわけですね、その方向性を。同時に、北大西洋条約も、第一条において、紛争の平和的解決ということを明確にうたっているのですよね。  本来ならば、いろいろ国内の人道上の問題というのは幅が広いし、理屈は立つわけで、かえって空爆を、短期間で済むという期待感でやったかもしらないが、二カ月近くたっても一向に解決策は見えない、見通しが立たない。むしろ長期化、泥沼化していくのではないかという懸念さえ持たれている。そういうことについて、もっと私は、やはり日本立場で積極的に対米、対英というか、NATOに対しても物を言っていいのではないかということを申し上げているわけであります。  そこで、具体的なことについてお尋ねしますが、確かにタイミングも悪いですね。ロシアの政変があったということ、あるいは、事もあろうにユーゴにある中国大使館誤爆だったとか、あるいは目的意識的にやられたのではないかという見方さえ中国国内にはあるという報道もなされております。こういうことが重なって一層複雑化してきているわけですが、中国大使館誤爆事件について、これは米中間のことですから、日本側がどうのこうのと言うのはあるいは外交上難しいかもしれませんが、確かに、クリントン米大統領は江沢民国家主席に電話で遺憾の意を表明した、謝罪をしたということになっている。だが、中国国内には、今も申し上げたように依然として反米感情が非常に根強くあるし、また相当行動が展開されたことも御承知のとおりですね。一方、米国内においても、過剰な中国の反応に対して反発する向きもある。  アジアの平和と安定ということを考えてみても、このコソボ紛争というのは決してNATO等の出来事でないという感さえいたすわけであります。そういう面からして、米中関係の国際的に及ぼす影響というのは非常に大きいと思うのですね。その意味でも、私はやはり、中国に対してもアメリカに対しても、友好国である日本として、この中国大使館誤爆問題について冷静に早目に米中間で何らかの決着をつけて、コソボ紛争に中国が積極的に協力できる方向性というものをとるべきだ、とるべきというか、そういう労を日本側はやってもいいんじゃないかという感を持つわけですが、この件について外務大臣の御所見があれば聞かせていただきたいと存じます。
  26. 高村正彦

    高村国務大臣 委員がおっしゃることに反対すべき理由は全くないのでまさにそうだと思うのですが、いつの機会にどういう形でやるかということについてはもう少し考えさせていただきたい。適当な機会に、日本としても米中関係が良好であるということは日本の利益にもなる、こういうふうに思っておりますので、そういうことはさせていただきたいと思いますが、現時点では直接米中で、今委員も御指摘なさったように、クリントン大統領みずからが電話をして謝罪をしたい、江沢民主席の方も、最初はなかなか電話へ出なかったんだけれども電話へ出てその話を聞く、そういう感じになってきておりますので、この問題の直接的なことはやはり米中で話してもらう。  そういう中で、この問題が米中関係全体に悪い影響を及ぼすようなことがくれぐれもないように、それはアメリカも中国もそのことは、お互いの存在が自分たちの利益にもなるし、関係が悪くなれば不利益になるということは重々承知した上でこの問題を含めて話し合っていると思いますが、日本としてもお手伝いすべきところが出てくれば一番効果的なところでそういうことをさせていただきたい、こういうふうに思っております。
  27. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつ御努力を願いたいと存じます。私はもうタイミングは出つつあると私なりに思います。  そこで、中国の立場というのは、この間、ドイツのシュレーダー首相が中国を訪問なさって、朱鎔基首相との会談の中でいろいろコソボ問題で議論をしておりますね。  一つは、コソボ問題は内政問題である。これは中国の立場国連の授権もないままの空爆国連憲章違反だ。三点目は、米国を主体とするNATOの野蛮な攻撃人道に名をかりた戦争だ。四番目に、誤爆との説明は中国人民を説得できない、納得できかねる。五番目が、空爆停止が政治協議の前提条件だ。コソボ危機解決のため積極的に貢献するというこの六点の立場を明示しているわけですね。恐らく、中国の基本的なこのコソボ紛争解決についての見解というか考え方というのは、こういう六点に絞られているかと思うのですね。  また米国との関係では、大使館誤爆については、電話で謝罪するというのも外交上あり得ることで、急を要することですからいいわけですが、アメリカはやはり最初に特使を派遣して謝罪をすべきだったと私は思うのですね、中国に。ただ、きょうあたりの報道、どの新聞でしたか見てみますと、むしろ、真相解明をしてそれを明らかにすることが先で、特使はその次だという見解を中国政府は表明したと、アメリカ大統領の特使派遣の打診について。  そういうこと含めて、今、中国の朱首相とドイツのシュレーダー首相との会談の中で述べられている六項目が中国の立場とするならば、日本側としてはこれをどう評価なさるのか。あるいは、この内容というものも考慮に入れて、対米、対中あるいは対NATO構成諸国との何らかの外交的な働きかけ等をやるおつもりがあるのかどうか、御見解をお聞かせください。
  28. 高村正彦

    高村国務大臣 中国は、この空爆国連憲章違反であって一国の主権を侵害するものである、そういう立場は当初からとり続けていたわけであります。ただ、そこは当然にNATO諸国とははっきり違うわけで、そして日本政府としては、先ほど申し上げたように、法的評価は差し控えるけれどもやむを得ざるものと理解をしているという立場、それはそれぞれの立場であるわけでありますから、それぞれの立場立場として、この問題を政治的に解決しなければいけないということはすべて一致しているわけでありますから。  中国はそういう立場で、空爆の停止がなければ安保理での交渉にも応じられない等々、こう言ってはおりますが、そういう中でもやはりいろいろな場面での話し合いというのはあり得るわけで、そういう中で、中国の立場は中国の立場として承知した上で、日本政府としても、最終的には国連安保理で何らかの決議をしてもらってそして政治解決に導きたい、こう思っているわけでありますから、その中国の立場を承知した上で、それなりの働きかけを一番効果的なときに、それも一回ということではなくていろいろな機会を通じてしていきたい、こういうふうに考えております。
  29. 上原康助

    上原委員 時間があと残り少なくなりました。  そこで、私は、これからの問題解決を有効かつ時宜的に、短期間というかできるだけ早く解決していくためには、G8の中にやはり中国を含めるべきだと思うんですね。中国が参加できる環境を日本が積極的におつくりになるとか働きかけるとか、あるいは日米間とか関係国と話してやっていくということ、これが問題解決の一番のポイントになると思うのです。国連の舞台に問題を上げていくにも、中国の参加というのは絶対不可欠のような感じがいたします。これについて、ぜひそういう舞台ができるように外務大臣の一層の御努力をお願いしたいということが一つ。  もう一つは、この五月十二日、コソボ紛争難民となったアルバニア系のユーゴスラビア人の家族が日本に来ておりますね、大阪に。これは九十日間の短期間滞在としての入国許可になっているようですが、これを難民として受け入れるお考えがあるのかどうか。この点について、二点目。  三点目。二億ドルの資金援助は多といたしますが、さらに、その他の人的あるいは物的支援について、今後、一層拡大というのか、要望等があれば日本側としてやっていくお考えがあるのかどうか。  この三点について、ひとつ御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  30. 上田秀明

    上田政府委員 まず最初に、コソボから避難してこられた方の点について申し上げますが、御指摘のとおり、親族からの呼び寄せの一時入国という形で今入っておられます。難民としての認定を受けるべく書類等はお持ち帰りになったようでございますが、まだ提出されていないようでございます。もし提出されました場合におきましては、法務省が中心となりますが、迅速に検討を行うということになります。  それから、今後のいろいろな支援の要請でございますけれども、先ほど御答弁いたしましたように、新しい状況でのいろいろなニーズが出てくれば、それに応じて柔軟に対応してまいりたいというふうに考えております。
  31. 上原康助

    上原委員 G8に中国を加えることについて。
  32. 高村正彦

    高村国務大臣 もう先生御存じのように、G8は、先進経済国同士の、いわゆる主として経済問題を本来取り扱うべき、そういう枠組みを今活用してコソボの問題に当たっている。こういうG8自体に中国が入るというのは、例えば国連安保理で何かをやるときに、どこか入ることが非常に大切だから入れろとかいうのと同様とまでは言えないまでも、なかなか難しい面があるというのが一つ。  もう一つは、中国自体がG8の中でやろうという関心を持っていない。やるとすれば国連である、だけれども空爆を停止しない限り話に応じないよというのが今の中国の立場である、こう承知しております。  だけれども、そんな理屈を言うよりも、役に立つのであれば何でもやりたいという考えを私は持っておりますが、現時点でそれが役に立つかなという疑問も同時に持っているわけでございます。
  33. 上原康助

    上原委員 時間ですから、終わります。
  34. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、藤田幸久君。
  35. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 引き続きまして、コソボについて質問させていただきたいと思います。  先ほどの上原委員質問に対する答弁でも、外務省の方ではNATO空爆に対する法的評価はしないというお立場でございますけれども、ただ、法的評価をしないまでも、今まで外務省のいろいろな説明を聞きましても、二つ、今回の空爆に対する理解、理解という言葉を英語で何と言ったかとこの前聞きましたらアンダースタンズということですが、ということは、日本語の理解よりもアンダースタンズの方がやはり強い意味だろうというふうに思っております。  そういう前提で考えますと、法的評価の背景を説明を聞きながら分析してみますと、一つ人道的な根拠ということ。これは、外務省のペーパーでも人道的という、あるいは人的惨劇とか人道的介入ということが、活字の級数が三倍、四倍ぐらいのペーパーになっているというぐらい人道的根拠ということを強調されておられる。これについては、前回も赤十字条約関係なんかを申し上げましたが、その人道的根拠ということを強く言う日本側の根拠、姿勢というものが欠けているということを前回申し上げたわけです。  一方で、法的根拠ということが昨今来言われているわけです。昨日の朝日新聞にも、チェコの大使をされた宮本さんという方が内政不干渉についておっしゃっておられます。今ペーパーが回っておられるようですが。  政治的に微妙な問題ですから、法的評価日本政府がしないまでも、今回のNATO空爆というものが内政不干渉に当たるのか当たらないのか。法律的な根拠ということについて政府の方でどうお考えになっておるのか。まず、その点をお伺いしたいと思います。
  36. 高村正彦

    高村国務大臣 今回のNATOの行動につきましては、これまでも累次申し上げているとおり、国際社会による政治解決のための外交努力にもかかわらず、ユーゴ政府がこれをかたくなに拒否する中で、さらなる人道上の惨劇を食いとめるため、やむを得ざる措置としてとられていると理解をしております。  我が国は、今回のNATOの行動の当事者でないことに加え、作戦面を含むNATO軍事行動に関する詳細な情報を有していないので、御質問の内政不干渉の原則との関係を含め、今回のNATO行動につき我が国として法的評価を下すことはできない、こういうことを申し上げているわけでございます。
  37. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 詳細な情報を有していないというのは、例えば、実際にいろいろなエスニッククレンジングがあったのかどうかというような情報を有していないこと自体、私は決して芳しいことではないと思います。そういうことに関しては情報を有していないということが、評価を差し控える理由になるかもしれませんが、NATOというのは実際にNATO条約があるわけでございますし、国連の憲章もあるわけですから、そういう法的な検証については情報がないわけでないわけで、そういう観点からいって内政不干渉であるのかないのか、お聞きしたいと思います。
  38. 高村正彦

    高村国務大臣 法的評価というのは全体的に行われるわけで、例えば何らかのことによって違法性が阻却されるような場合に、ある国の主権に介入した。最も明白なことでいえば、国連決議があって、ある国の主権範囲のことだけれども何かをした場合に、内政不干渉に当たるのか当たらないのかといっても、全体的評価としてそれは当たらないということになるのだろう、内政不介入に当たらない、こういうふうに評価するとすれば、全体の詳細な情報を持ち合わせていないと、ある部分だけ取り上げて、内政不干渉あるいは内政介入、そういったことに当たるのかどうかということの評価も一部だけではできない、こういうことを申し上げているところでございます。
  39. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 しかしながら、国連におきましても、他国の国内事項への不干渉の原則といったことを言っているわけでございまして、それを、今の大臣の答弁のようなお答えでありますと、世界的ないろいろな毎日のように起こっている事柄について、いつまでたっても日本政府評価をしないまま、一方で理解という実質支持に近いような決定をしているという、いわば、一方では根拠がない、十分情報を把握していないと言いながら、一方で実質的な支持なりをしていってしまうということが、これは延々と続いてしまうのではないかなという気がするわけでございます。  私はちょっと質問の角度を変えてみたいと思います。これはほかに質問することとも関係しておりますけれども、例えば、既にドイツの連立与党の緑の党、これはフィッシャー外務大臣という方がこの緑の党の幹部でございますけれども、既に期限つき空爆停止勧告決議ということを提案しております。もちろん、この一定期間に、一時停止をしている間に、ユーゴに対してコソボからの武力撤退を始めるようにというようなことを言っているわけですけれども、例えば、既にフィッシャー外務大臣が属する緑の党ではそういったことを言っておるわけであります。それから、イタリアにおきましても、ダレーマ首相の方でございますけれども、国際平和維持部隊派遣国連決議が中国とロシアの賛成で採択されれば空爆を停止してもいいのではないか、こういう具体的な提案をしております。  このドイツ及びイタリアにおきましてこういう動き、しかも実際に政府を担っている方々の中からこういう動きが出ているということについては、どう評価をされますでしょうか。
  40. 高村正彦

    高村国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、G8の政治解決のための一般原則というのは、アメリカ、イギリスからロシアまですべてが一致をしているわけであります。  そういう中で、少なくとも、G8それぞれの政府、それからNATO十九カ国もそうでありますが、何の政治的解決の見通しもないままに空爆を停止することはあり得ないということでも一致をしているわけでありますが、ただ、要するに、政治的解決の道筋をつけて、完全に履行されなくても一時停止するとか、その間でいろいろなやり方というのは、これはあり得る話なんだろうと思います。  私たちはG8の中の一員として、今まさにそういういろいろな政治的解決の道筋を探って、どういう方法がいいかということを本日も、事務方会議でありますが、政務局長会議の中でやっている、そういう状況にあるということを申し上げておきたいと思います。
  41. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 いや、ですから、完全に履行されるということですけれども、であるならば、そもそも、ユーゴ軍コソボからの撤退あるいはエスニッククレンジングが必ず終わるという前提でなければ空爆ができないという理論にもなってしまうわけでございまして、要は、外務大臣ですから交渉事をされておられると思うわけですけれども、多分交渉事というのは、ゼロ対一〇〇、つまり片方がゼロということはあり得ないんだろうと思いますし、それから、こういう交渉事というのは、そもそもどちらが先にという話になるんだろうと思うのです。  一方、きのうきょうあたりの報道によりますと、セルビア内におきましても、セルビアの民間の方々、一般の方々が四千人ぐらいデモをして、戦争を停止するように、棺おけじゃなくて息子を返してほしいというようなこともございましたけれども、ある意味では、G8の中の有力国であり、かつ、イタリアは日本と同じように紛争解決のために戦争を起こさないという憲法を持っているという意味では日本と非常に近しい考え方を持っているわけでございまして、いわばG8側の方でもそういう動きが出ているし、それから、セルビアの実際に被害をこうむっておられる方々の中にもそういう動きが出ているということは、ただ教条的に、全面的に結果が予測されなければという前提では、交渉がなかなか進まないんではないかと逆に思うわけでございます。  もう一度お聞きしますが、こういう中において、ドイツ、イタリア等でそういう動きが出ている、それから、一方セルビアの中にもそういう動きが出ているという、いわばこれはタイミングの機がかなり熟してきているんではないかと私は思いますが、その点についてもう一度評価をいただきたい。
  42. 高村正彦

    高村国務大臣 アメリカを含めてG8の中というのは極めて民主主義が発展している国ですから、いろいろな意見というのは国内であったわけで、まさに政権を担う緑の党の中ですらこういう意見が出てきていると委員はおっしゃいましたが、私が最初感じたことは、あの緑の党を代表して出ているフィッシャー外相でも、これは空爆を支持せざるを得ないような人道的惨劇があったんだというようなことを、フィッシャー外相の話、声涙下る話でありましたが、一番最初に聞いたときにそういうような感じがしたわけであります。  少しずつ政治解決の機が熟しつつあるということは、そんなに楽観していいのかどうか私はわかりませんけれども、委員と同じ見解を持ちたい、こういうふうに思っているわけであります。  ただ、余り教条的にとおっしゃいますが、この解決に向けての、日本政府ぐらい教条的でない柔軟な立場をとっているところはないと私は思っております。むしろ、余り柔軟過ぎるから、顔が見えないのではないかというおしかりを受けるのではないかということを気にしているぐらい、この問題については極めて柔軟で、G8の外相会議におきましても、その幾つかかなり強硬に主張していたところが、少なくとも一般原則で統一ポジションがとれるようにかなり努力をしたつもりでございます。
  43. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 柔軟というのは、やはりそもそも、判断の根拠を示して、いろいろな選択肢がある、その中でこういうこともあるんではないかというような話し合いを進めるのが柔軟な外交ではないかと思います。  私が、あるいはほかの委員もいろいろきょう問題にしておりますのは、やはりその根拠をはっきりさせて、選択肢を示した上で、かつ、私がドイツなりイタリアの例を申し上げましたのは、平和憲法を持っているイタリア、それから連立内閣の外務大臣を担っておるところの緑の党、そういうG8側でもそういう環境ができて、それからセルビアの中でもそういう環境ができて、それから、けさあるいはきのうの報道によりますと、アメリカにおいても空爆支持の支持率が下がってきている、そういういろいろな客観情勢、分析をした上で、その上でこういう選択肢があるというのが私は柔軟な外交ではないかと思います。  そういった意味では、今回の法的根拠、それから人道的根拠というのは、これから日本が、例えば軍事力というものは日本はほかの国に比べて持たないという前提での外交の選択肢をとっていく上で、この人道的根拠ということと法的根拠ということは非常に重要な意味を持つ。やがて日本周辺においていろいろな紛争が起きるというような場合に、逆に、これを日本がしっかりしておかないと、コソボのときに日本がはっきりそういったことを言っておいたことによって、やがてアジアにおける紛争等が起こり得た場合に、日本の実績として残ることではないかということで、この内政不干渉あるいは赤十字条約というようなことについても言っておるわけでございます。  また戻ってまいりますけれども、この前もお聞きしましたが、この赤十字条約におきましては、一九四九年にできた条約でございますけれども、政府というのは、国民に対して、この赤十字条約の中身について普及義務というものがありまして、実際にそういったことが起こり得る場合にどんな対応をすべきだということを普及するという義務があるわけですが、実際には、そういう普及義務というものは今まで実質的にはほとんど行ってきていないという状況があると思います。ただ、最近は改善の動きもあるようですが、これについて、ちょっと簡潔に、確認をしたいと思いますので、答弁をいただきたいと思います。
  44. 上田秀明

    上田政府委員 ジュネーブ条約の国内における公知に関しましては、防衛当局において、自衛隊員に対してしかるべき教育がなされていると承知しております。また、日本赤十字社が国際人道法に関する教育及びその普及について精力的な活動を行っているというふうに承知しております。  政府としても、今後、このような活動と協調する形で国際人道法の普及等について検討してまいりたいというふうに考えております。
  45. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 これは本当に、日本人道的根拠ということだけは今回はっきり言いながら、理解という言葉を使っておるわけですので、しっかりとこの普及ということと、それから、たびたび申し上げておりますけれども、その二つの議定書の批准ということについて積極的に取り組んでいただきたいということをまた申し上げたいと思いますが、大臣、もう一度これについてお答えをいただきたいと思います。
  46. 高村正彦

    高村国務大臣 大変申しわけありませんが、この前お答えしたとき以上に検討、私自身の見識が進んでおりません。ただ、委員の御指摘もありますので、私自身の検討を含めて省内でさらに、これは省内だけで片づく問題ではないと思いますが、とりあえず省内での検討を進めさせて、さらに政府内部でその検討を広げるようにしていきたい、こう思います。
  47. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  時間が大分迫ってきましたので、別の観点からこの政治解決に向けての動きについて御質問したいと思います。  それは、最近の報道によりますと、日本政府がセルビア難民支援を検討しているということが出ておりますが、私は、これは大変重要だし、いいことだろうと思っております。  といいますのは、いわゆるエスニッククレンジングに関しまして、セルビアだけが悪いという報道姿勢が日本で出ておりますけれども、実際に私も、ここ十年ぐらい現地に行っておるいろいろな方のお話を聞いてみまして、私自身も東欧あるいは中欧の方と交流がありますが、確かにセルビア人のいろいろな虐殺状況というのは非常に悪いわけですが、一方で、セルビア側も隣接国から相当被害を受けたということもあるわけです。それから、先ほどのお話にも出しましたが、四千人のセルビア人が戦争続行に反対している。セルビア人の被害も相当あるわけですね。ですから、今回の難民対策に関しましても難民及び避難民ということになっておるのはそういうところにあるわけです。  和平の環境づくりをするという意味で、いわゆるセルビアあるいはユーゴから外に出た人々、つまり難民だけではなく、セルビアの難民避難民支援というのは大変重要なことだろうと思っております。まずその検討状況についてお聞きしたいということと、こういうことをするということは、やはりセルビア人側も相当被害を受けておるという情報があるから、あるいは調査をしたからこういうことをやっておるのだろうと思うのです。したがって、ある意味では、先ほどの情報を把握していないということと矛盾する点もなきにしもあらずですが、それはさておき、とにかく、セルビア難民支援状況及びなぜこういうことをしようとしているのか、それから政治的解決にこれがどう役立つ意味があるとお考えなのか、その点についてお聞きしたいと思います。
  48. 高村正彦

    高村国務大臣 私、新聞の中は読んでいないのですが、見出しを読んでちょっと奇異に感じた、あれっと思ったのですが、実は、このコソボの問題と離れて、九二年ぐらいから旧ユーゴ、ボスニア・ヘルツェゴビナの問題なんか典型的な例ですが、そういう問題で、セルビア人その他の人たち難民というのはいろいろ出ているわけであります。私たちは、UNHCRを通じてその支援を行ってきておりますが、そういうことについて、セルビア人だからだめだとか、そんなことを言ったことは一つもないわけで、セルビア人を含む難民に対しての支援をずっと続けてきているわけであります。  このコソボの問題について、特定のコソボの問題についてセルビア人の難民がすごく出たというようなことではないのではないか。今まで旧ユーゴスラビアの話でそれぞれの民族から難民がたくさん出ておりますし、そういう中で、当然のことながら、その難民支援にはセルビア人も含めて日本政府はやってきている、こういうことでございます。
  49. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ということは、非常に複雑に民族等が錯綜した地域におきまして、全体の厭戦気分、あるいは復興に対する気持ち、あるいはできるだけ停戦に持っていきたいというような、いろいろな意味での環境づくりということを、特に特定の人種等々に限定をせずに行っていきたい、そういうお考えでしょうか。それがやはり政治的解決の環境づくりに役立つという前提でお考えかと思いますが、その点についてお聞きしたいと思います。
  50. 高村正彦

    高村国務大臣 どの民族に限らず、これは人道的な話でありますから、セルビア人には人道は必要ない、そんなことは全然考えていないわけで、今までずっとやってきているわけであります。結果としてそういう日本立場が役に立つということがあれば、それは大変うれしいことであります。
  51. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 結果的に役立てば大変うれしいと。それは難民、避難民対策に限ればそれで大変いい話ではないかと思いますが、難民、避難民対策というのは、私は、被害をこうむった方々を救済するという意味だけではなく、やはり将来の政治的解決、それから復興援助の話も既に始まっているようですけれども、いわば一体化しているものだろうと思うのです。やはり包括的なプロセス、つまり、難民支援対策がなければ政治解決というものも難しいし、政治解決の先には、停戦がなされればこういう復興援助も来るんだよ、こういうふうになるんだよというイメージが非常に重要ではないかと思います。  そういう意味からいたしますと、このセルビア人難民支援というのは、そういう将来の復興援助も見通した政治プロセスの一つであるというふうに位置づけをしていただきませんと、やはり不十分ではないか。先ほど来おっしゃっております政治的解決ということを強調すればするほど、そういう面が認識として非常に重要ではないかということを思っておりますので、それを申し上げておきたいと思います。  次に、もう残り少なくなってきましたので、質問をさせていただきたいと思います。  最初の質問から幾つか質問してまいりましたが、最後に、今回の事実認定、法的根拠その他を含めまして、今かなり政治的解決への機が熟しておる、そういう中から、私どもは、ユーゴ、NATOばかりではなく、中国やロシアに対しましても、やはり日本政府がより積極的な政治解決への働きかけをしていくべきではないかというふうに考えております。特に、中国やロシアに対しても、日本政府として政治解決に向けて働きかけるお考えがないかどうか、お聞きしたいと思います。
  52. 高村正彦

    高村国務大臣 一番効果的なときにチャンスをとらえて、それも一回だけでなくてやっていきたい、こう思っております。  今、ロシアの内政はいろいろな問題があるわけで、今月末に私はロシアに行きたい、こう思っているわけでありますが、ロシアの受け入れ態勢ができてくれれば、これは本来は日ロ間の二国間問題を話し合うために行くということでありましたが、当然コソボの問題も重要な議題として取り上げたい、こういうふうに思っております。
  53. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 その際に、あるいはそのほかのいろいろな外交チャンネルを通しまして、先ほど来申し上げてまいりましたが、イタリアの首相の案、それからドイツの緑の党の案、それからロシアと中国の動き等を含めまして、もちろん、コソボからのユーゴ軍の撤退あるいはコソボにおけるアルバニア人の迫害等の停止というある程度の動きが期待されるあるいは予測されるという場合には、イタリアあるいはドイツ、中国、ロシア等がいろいろな形で言っております一時停止あるいは暫定的停止あるいは同時停止のような、両方が同時に、例えば空爆も停止をするし、ユーゴの方もコソボからの撤退というものを開始する、そういう同時に近いような案というものについて日本政府各国に打診をし、あるいは働きかける、そういうお気持ちがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
  54. 高村正彦

    高村国務大臣 やみくもに空爆停止ということを、一方的に停止しろということを言うつもりは毛頭ありませんが、委員がおっしゃったように、一時的にすることによってある程度その問題に資するような形になるんであれば私は考え得ることだと。今、特定のポジションを決めて、それが資するかどうかもわからない状況でそれをそうすべきだということを現時点で主張するつもりはありませんけれども、ユーゴ側の反応を見て、一時停止して反応を見ることが、相手側のメンツも立てて、そして、現実にその間に一定のことをした方が得だぞと考えられるような状況ができている状況の中では私は十分に考え得ることだと。  ですから、日本政府が何らかのポジションを決めて働きかけるというのは、そこがチャンスだ、今はそういうときだな、こう思ったときはあり得べしということですが、現時点ではまだそういう状況ではない、こういうふうに思っております。
  55. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 大変前向きな答弁、ありがとうございました。  参考までに、私ども民主党、きょうは、玄葉部会長、私は副部会長を務めておりますが、コソボ情勢について私どもの考えているメモがございますので、簡単に御紹介をいたしまして、また参考にしていただければ幸いと思います。  今後の日本の対応についてでございますけれども、一としまして、日本としては、事態のエスカレーションではなく鎮静化に向けて、G8外相会議の合意を基本に、国連安保理決議または総会決議の採択など、国連の場における解決に向けて世界各国に強く働きかけるべきである。  二、日本は、政治的解決アルバニア人の安全確保を一刻も早く実現するために、ユーゴスラビアやNATO諸国はもとより、中ロ両国に対しても柔軟に対応するよう積極的な外交努力を展開すべきである。  三、コソボ地方から周辺諸国等に流出した難民避難民に対して日本政府は既に二億ドルの支援実施を発表しているが、難民対策等の人道上の支援については、今後の情勢を注視しながら、人材の派遣難民受け入れの表明など、単なる資金支援ではなく、日本の顔が見える実効性のある貢献策を講じていくべきである。  四、民主党は、コソボ難民・避難民支援対策本部を設置し、民主党の若手のボランティアの現地派遣、物資支援NGO支援などを行う。  こういう考え方を持っておりますので、参考にしていただければ幸いでございます。どうもありがとうございました。
  56. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、川内博史君。
  57. 川内博史

    ○川内委員 民主党の川内博史でございます。  今藤田議員から民主党の考え方が発表されて、民主党の質問が終わったかと思われたかもしれません。もう一人おりまして、残っておりますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  まず、今回のコソボ紛争に関して、私は、単純な疑問なんですけれども、NATO軍のユーゴスラビアに対する攻撃を、NATOとユーゴスラビアとの間の紛争を、政府空爆という言葉を使っておりますし、また日本のマスコミも、NATOがユーゴスラビアに対して空爆をしているというふうに言っているわけですけれども、空爆という言葉それ自体に、ユーゴが何か悪いことをやっていて、それを懲らしめるというニュアンスが、軍事的な制裁を受けているというようなニュアンスがあると思うんです。もちろん、民族浄化等については私も大変にけしからぬことだというふうに思っておりますが、日本NATOの加盟国であるわけでもないですし、もっと客観的に事態を分析する必要があるのではないかというふうに思います。  今回の紛争は、NATOとユーゴが武力でやり合っているというか、NATOとユーゴスラビアが戦争状態にあって、NATOがユーゴスラビアに対して空襲をしかけている、それをNATO空爆という言葉を使って説明をしているというふうに、国民の皆さんに向かって説明するにはそれが正しい説明の仕方ではないかなというふうに思うんです。  私はNATOとユーゴとの戦争であるというふうに思っているんですけれども、まず、大臣は今回の紛争についてどういうふうにお考えであるのかというところから聞かせていただきたいと思います。
  58. 高村正彦

    高村国務大臣 NATO空爆と呼んでいますから私たちも単純に空爆と言って、委員がおっしゃったようなそんな深い政治的意味があるなどということは考えてみたこともなかったわけでございます。  私ら、かすかに覚えているわけでありますが、子供のころ空襲警報が鳴りますと、戦争だ戦争だなんて言わないで、空襲だ空襲だと言ったように覚えております。
  59. 川内博史

    ○川内委員 大臣政府はこの空爆に関して、理解するとか、あるいは支持はしないけれども理解はするんだみたいな、私にしてみれば、理解も支持も同じじゃないか、それこそ同じじゃないかというふうに思うんですけれども、言葉の使い方に非常に神経質におなりになっていらっしゃると思うんです。言葉の使い方というのは神経質であってまた当然だというふうに思うんですけれども。  今回の、NATOはユーゴスラビアに対して空爆という、今までの政治的な交渉の結果が実らなかった、それで、民族浄化をあるいは人道的な惨劇を避けるためには空爆しか軍事的なオプションがないということであれば、NATO空爆という言い方を使われるのもそうなのかなというふうに思いますが、日本としたら、第三者的に、NATOの加盟国ではないわけですから、冷静に、まずNATOとユーゴスラビアが戦争状態に入った、それでNATOはユーゴスラビアに対して空襲をしかけている、その空襲のことをNATO空爆と言っているというふうに、順次、段階的に説明をすることが、国民の皆さん方に客観的に情勢を把握していただく説明の仕方ではないか。  NATO空爆をしかけているというと、何となくユーゴスラビアだけが一方的に悪くて、もちろん、私たちはNATOの一員ではなくても、NATOを構成している国々と仲よくしているわけですから、そちら側に立つ態度をとることもむべなるかなという気はするのですけれども、情勢を客観的に国民の皆さん方に説明するには、ただ空爆という言葉を使うだけでは、そこには何か、ある一種の価値観が入り込んでいるという気がするのです。  大臣は、NATOがそう言っているからそういう言葉を使っているという御答弁だったわけですけれども、私は、その空爆という言葉の中にある、ある種の価値判断というものをお感じになりませんかという御質問をさせていただいたわけですけれども、もう一度御答弁をいただけませんでしょうか。
  60. 高村正彦

    高村国務大臣 最初から今まで、今委員の御説明を聞いた上でも、なおかつそういう価値判断は特に感じないわけであります。  例えば、イラクがクウェートに侵入して、国連決議を得て多国籍軍がイラクに襲いかかったとき、湾岸戦争という言葉を使っていました。何か価値判断で戦争という言葉を避けようとするのであれば、そのとき戦争という言葉を使うこと自体おかしいので、今度の場合、そういう特別の価値判断を込めて空爆と言っているということでは私はないと。委員の御説明を聞いた上でも、そう思っております。
  61. 川内博史

    ○川内委員 そうすると、湾岸戦争のときと同じように、今回のNATOによるユーゴスラビアに対する空爆というのは、ある種の戦争状態であるというふうに政府としても判断をしているということでよろしゅうございますでしょうか。
  62. 高村正彦

    高村国務大臣 戦争の定義の問題でありますから、その定義をきっちり決めないで、戦争と判断しているとか判断していないとか言うことは、私は余り意味のないことだと。  これは、地上軍を進めるのか進めないのかという話が一方であって、その一部の、今は限ってエアストライクをやっている、空爆をやっている、こういうことで空爆という話で、それと同時に地上軍はどうするんだ、こういう話は別にあるわけですね。そういう中で、ただ一緒くたに戦争、戦争と言うというのは、ちょっと余計紛らわしくなる話ではないかなと。空爆と言ったからといって、空爆反対、こう言っている人もたくさんいますし、空爆と言ったから、その中に何か正当化された意味があって、相手が一方的に悪いという意味があるというふうな、そういう価値判断を含んだ言葉では別にないと私は思っているのですが、違うのでしょうか。
  63. 川内博史

    ○川内委員 そうすると、今回のNATO軍がユーゴスラビアに対して爆撃をしかけていることを、政府としては、何のために、何を目的として、どういう大義のもとにやっているというふうにお考えなのか、ちょっと今までの御答弁では判然としないところがあるのです。  空爆空爆なんだ、だけれども、湾岸戦争のときは、空爆をしかけることを湾岸戦争と呼びもした。したがって、では、ある種の戦争状態にあるという認識なんですかとお聞きすると、いや、それもまた戦争の定義があるだろうというと、どういう種類のコンフリクトだ、紛争だというふうに政府として判断をされているのかということを、改めてちょっと御説明をいただきたいというふうに思います。
  64. 高村正彦

    高村国務大臣 これは何度も繰り返し述べておりますように、人道的惨劇を避けるためにやむを得ない措置であったと理解をしていると、周辺事態の定義と同じぐらい何度も言わせていただいているわけでございます。
  65. 川内博史

    ○川内委員 人道的惨劇を避けるためにやむを得ない措置としてNATOによるユーゴスラビアに対する空襲が、爆撃が行われた。政府としては、それを理解はするということでありましょう。したがって、私は、その空襲をしている主体はNATOであって、日本NATOの加盟国の一員ではないわけですから、そしてまた、国連安保理の決議があるわけでもないし、それはどんな理由があるにせよ、なかったわけですから、日本としては第三者的に、NATO軍とユーゴスラビアが戦争状態に入ったというふうに表現をするのが適切な表現なのではないでしょうかということを申し上げているのですけれども、余りこだわり過ぎなんでしょうか。もう一度、済みません、お願いします。
  66. 高村正彦

    高村国務大臣 空爆という言葉、極めて適切な言葉だと。一般の国民、空爆を支持する人もあるいは中立的な人も反対の人も空爆という言葉で受け入れて、賛成、反対あるいは中立。日本政府は理解するでありますけれども、そういうふうな感じになっているので、特にその空爆という言葉の中に、委員がおっしゃるような価値判断が含まれた言葉だとは理解しておりません。
  67. 川内博史

    ○川内委員 大臣から、何でそんなことにおまえはこだわるのかとおしかりをいただくかもしれないのですけれども、実質的にはNATO軍とユーゴスラビアが戦闘状態にあって、その戦闘状態にある状況のことを戦争というふうに呼ぶ。戦争の方法の一形態として、空から爆撃をするという方法が一つあるわけで、軍事的なオプションの一つとして。だから、言葉の使い方というのはもっと厳密であっていいのではないかなというふうに、今の大臣の御答弁をお聞きしていても、国民の皆さん方にしっかりと説明をするためには、戦争という言葉の使い方をする方がより適切なのではないかな。NATOはそれを空爆という言葉を使って説明をしている、日本はそれを支持はできないけれども理解はするという説明の方がよりわかりやすいのかなという気がいたします。  言葉の定義のことをここで議論してもしようがないですから、今なぜこういう状況になったんでしょうかという質問に対しては、大臣は、人道的な惨劇をこれ以上防ぐためにこういうやむを得ざる措置がとられたのだという御答弁をいただいたわけでございますが、この人道的惨劇がほっておくとこれ以上広がってしまうというのは、一体何がそうさせているのか、だれがそうさせているのかという、この原因についてどのように政府としてお考えになっていらっしゃるのかというお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  68. 高村正彦

    高村国務大臣 経緯の話、少し正確にお話しした方がいいと思いますので、政府委員から話させます。
  69. 西村六善

    ○西村(六)政府委員 経緯はもちろん、もとより長い経緯がございます。  その経緯の一つ一つを申し上げることはなかなか難しいのでございますけれども、長い経緯の過程におきまして、現在、今委員が御指摘になられました視点との関係で申し上げますれば、ミロシェビッチ大統領の側におきまして、言いますところの、世間で表現されておりますところの民族浄化と称されるべき行為でございますけれども、これは、コソボの住民の中のアルバニア系の市民に対しまして立ち退きを強制的な手段、それから非常に非人道的な手段、ときには残虐な行為を含めまして、立ち退き、強制排除を行っている。それから、それに抵抗する者に対しまして殺りくを行っているというのが、現状といいましょうか、ここ数カ月の間起こりました経過でございまして、そういうことが、現在の国際社会の考え方を代表しますところのNATO空爆という形を必然的に引き起こしたという状況であろうと思います。
  70. 川内博史

    ○川内委員 今、政府委員の方から、ミロシェビッチ大統領によって大変な民族浄化が行われてこういう状況になったという御説明があったわけです。またこれも非常にごくごく単純な発想かもしれないのですけれども、私は、こういう空爆というようなことが行われるたびに、もちろん最近は攻撃の精度も上がっておりますから、軍事的な施設並びに軍事に供される施設をピンポイントで攻撃するということも、精度が上がっているために可能になってきているからそれなりに効果はあるのでしょう。しかし、それにしても誤爆が発生をして、民間の何の罪もない方たちが血を流して傷つき、お亡くなりになったりする、また社会的なインフラにも大変な被害が出るということになるわけで、攻撃する側もされる側も大変なコストがかかると思うのですね。  こういう悪いことをする人、悪いことというか許しがたいこと、それを指導している人を強制的に武力で排除すれば問題は解決するのではないかななんて考えたりもするのです。今回の場合は、ミロシェビッチ大統領というのですか、この人が大変な悪い人で、大体この人に指導されて、あおり立てられていろいろなことが起きているのでしょうから、ミロシェビッチ本人を武力で排除したらどうかというようなことを思ったりもするのですけれども、政府としてアメリカミロシェビッチをとりあえず排除したらどうかというようなことを進言されたらどうかなと思ったりするのですけれども、日本政府としての御見解をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  71. 高村正彦

    高村国務大臣 委員は、政治家として本当にそれがいいアイデアだと思って言っておられるのでしょうか、私たちを試すために言っておられるのか、ちょっとよくわかりませんが、それでも一応聞かれたことでありますからお答えいたしますが、そもそも、一国の大統領を武力で排除するということを我が国が提案することは、選択肢としてあり得ないものと考えております。  いずれにしても、NATO加盟国でない我が国が、NATO軍事行動につき云々する立場にはない、そういうことでございます。
  72. 川内博史

    ○川内委員 結局、今大臣から御答弁があったように、NATO軍事行動に対して我が国政府として云々できる立場ではない。恐らくアメリカなりNATO軍なりの軍事的なオプションの中には当然そういうオプションも含まれていたのではないかなというふうに私は想像をするのですけれども、しかし、それがどうやら諸般の情勢を考えると非常に難しいことだ、したがって、空爆という軍事的な施設を目標にした爆撃によって情勢の局面の転換を図っていこうというそのオプションを選択したということになるのではないかなというふうに思います。  今、大臣から、我々はNATOの加盟国ではないし、NATO軍事行動に関して云々できない。私が質問の冒頭で申し上げたとおり、客観的な立場にいるわけですから、その客観的な立場にいる日本政府として、この紛争について、だからこそもっと客観的に行動をされたらどうかというふうに思うわけでございます。  ちょっと時間が来てしまいましたので、質問を大幅にはしょりまして、今回の空爆の件で、NATO攻撃対象が軍事施設から民間の施設へと拡大している、国営の放送局や党本部なども爆撃を受けているようで、民間の施設との線引きがあいまいになって、民間人の犠牲者が、これは誤爆も含めてふえているようであります。我が国としては空爆を理解するということでありますが、軍事施設ではない民間施設に対する攻撃は、人道上はもちろん、国際法上問題はないのですかということがまず一点。  それから次に、難民支援に関してです。  UNHCRの発表ではコソボ難民は七十四万人いるということなんですが、我が国はいつも、金は出すけれども汗は流さないと自虐的に言ったりもして、これからは汗も流しましょうということを常にこういう場合に言い合うわけですけれども、なかなか遠いところでもありますし、今回汗を流すというのは大変に難しいことなのかもしれません。先ほど細田先生からも質問が出ましたけれども、国際平和協力法に基づいて、テント張りとか、あるいは給水活動とか、あるいはトイレの設営とか、自衛隊の皆さんをマケドニアあるいはアルバニア国際平和協力法に基づいて出すことはできないのかということが第二点目。  それから、非常に小さな問題ですけれども、これから人的な貢献も、難民支援のために人道上の貢献もしましょうというときに、日本として、例えば、マケドニアの首都スコピエに外務省連絡事務所というのがあって、そこに、現地の男性の方と結婚した女性が一人と名誉総領事が一人、名誉総領事というのはほかに仕事を持っていらっしゃる方ですから、外務省連絡員という形で女性の方が一人いるというような形では、NGO現地に入ったりしてもなかなかお世話がしにくいのではないか。人的な貢献をこれから汗を流してやっていきましょうということであれば、マケドニアのスコピエの連絡事務所の要員の増員というようなものもお考えになっていらっしゃるのかどうか。  以上、三点を最後にお尋ねして、私の質問を終わりますが、よろしくお願いいたします。
  73. 高村正彦

    高村国務大臣 民間施設への空爆の件でありますが、全くの一般論を申し上げれば、敵対行為に際しては、戦闘員と文民、軍事目標と民用物をそれぞれ峻別し、軍事行動はその対象を戦闘員と軍事目標に限定すべきであるというのが、国際法上の確立された考え方であります。ただ、この仕分けが大変難しいことでありまして、具体的にお答えすることは困難であることは御理解をいただきたい、こう思います。  それから、私は、金で援助することを全然自虐的に考える必要はないので、国民の汗を流して働いた血税で支援するつもりでありますから、胸を張ってやればいいと思いますが、それと同時に、やはりせっかく支援したら、相手の方に評価していただくということも大切でありますから、そういう意味で、顔の見える援助、具体的に汗を流すということも大変必要なことだ、具体的にいろいろ考えてまいりたい、こう思っております。  スコピエ連絡事務所の体制をより強化すべきではないかというのはまことにもっともだと思いますので、検討させていただきます。
  74. 川内博史

    ○川内委員 終わります。     〔委員長退席、森山委員長代理着席〕
  75. 森山眞弓

    ○森山委員長代理 山中あき子君。
  76. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 山中あき子でございます。  このたびのコソボのこういった一連の動きの中で、私は、日本政府としては理解はするという態度をひとつとっていること、それから難民支援に大変いろいろな形で努力をしている、そういう点では、いろいろありますけれども、妥当な態度、妥当な距離を置きながらというふうに、そういう意味では大変評価しております。しかし、ここまで空爆が長引きまして、これから一体どういう方向でこれを収束させていくか、そういう視点に立ちまして考えますと、日本はもう少しいろいろなことをこれからできるのではないかというふうに思っているわけでございます。  その辺のところを中心に御質問させていただきたいと思いますけれども、どういう日本の役割が果たせるかということの前提になりますのは、やはりこれがどういう経緯でここまで来たかということの認識一つあるというふうに思っています。  四月十八日付のニューヨーク・タイムズの中の「ザ・ロード・トゥー・ウォー」という中にも、オルブライト国務長官の調停に至った経緯、それからそれが失敗した状況、クリントン大統領がどのようにそれを認識していたかというようなことで、その中で見ますと、交渉という、空爆に至る前の努力というのが本当に十分であったのかどうか。例えば、一週間の間に両方からその同意を得る、そういったランブイエでのあり方、それをまた一週間延ばして、それからまた期間を置いてということの中で、本当に最善の努力ができたのかどうかというのは私は少し疑問に思っています。  つまり、こういう交渉事というのは非常に時間がかかるものですし、それから忍耐も要るものですけれども、少し予測が甘かった。つまり、空爆ということを見せれば、ミロシェビッチ空爆の前に合意に至るんじゃないかというふうに予測したのではないか。ところが、なかなかそういかないので引き延ばしていたけれども、しかし、空爆を始めても、一週間なり十日なり短期間のうちにこの空爆の威力によって降伏をするのではないかというような予測があって、しかも、それもまたそのとおりにならなくて、そして今の段階まで空爆が続いていて、その間にロシアが仲介をするのではないかという期待感もあったりということも考えてみますと、事前にCIAが、もしユーゴを空爆すれば大変な、この空爆ミロシェビッチが利用して、つまり口実に使って、コソボアルバニア系の人民を排除するという行動に出て、多量の難民が発生するのではないかということの警告があったにもかかわらず、空爆をするのであれば、難民対策をどうするかというのも最初から予測できたことであれば、本当は話し合って、そしてすぐ対応ができればよかったのではないか。  そういう意味で、ミロシェビッチの行為そのものに対する、最終的に空爆ということになるにしても、少しその間の、アメリカ主導のNATOのやり方、経過というものが甘いというのか、あるいは少し、非常に短期的な見方でここだけを見ているということで、この後この影響がどうあるかというような洞察力に欠けていたという側面があるのではないかと私は思うのです。その辺、今後どういうふうに国際情勢を形成していくかという中で大きな認識のポイントになると思いますが、高村外務大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  77. 高村正彦

    高村国務大臣 コソボでは、八九年、ミロシェビッチ・セルビア共和国議長が、一方的にコソボの自治権を縮小し、軍と警察力を増強して、直接統治を開始したことを契機として、アルバニア系住民とセルビア当局との間で緊張関係が続いていたわけでございます。  昨年の二月末、アルバニア系武装組織セルビア治安部隊との武力衝突以来、ユーゴ系セルビア治安部隊は、圧倒的な軍事力もとに、アルバニア系住民に対する武力攻撃を行いました。その結果、大量難民避難民が発生し、周辺国にも流出する事態となったわけでございます。  国際社会は、人道的な観点及びこの地域の平和と安定の維持という観点から、この問題の政治解決のために、国連等の場において種々の外交努力を行ってまいりました。本年二月から三月にかけて、ランブイエ及びパリにおいて、欧米諸国の仲介により、和平交渉が行われました。しかし、このような政治解決を目指した国際社会の粘り強い外交努力にもかかわらず、ユーゴ側はこれをかたくなに拒否し、一方で、四万人以上の軍、治安部隊を新たにコソボ及びその周辺に投入し、さらなる攻勢準備を整えました。このような状況もとで、本年三月、NATOは、さらなる人道上の惨劇や民族浄化と言われる非人道的な行為を食いとめるため、やむを得ざる措置として軍事行動をとるに至った次第であります。  これが経緯でありますが、委員がおっしゃるように、難民は既に昨年の秋でも二十万、国内避難民合わせてですが、出ている。民族浄化というようなことも行われていた。昨年の二月末に衝突があって以降、ずっと安保理においても、あるいはその他国際社会、いろいろ調停努力をして話し合いが行われていたので、最後の二、三週間だけが話し合いが行われたときではない。極めて粘り強い交渉、仲介努力が行われていた。それにもかかわらず、その間にも民族浄化というようなものが行われ、そして新たに軍、治安部隊四万人がそこに投入される、そしてさらに強い攻勢をかけるというような、そういう事態があったので、期限を切って、私から見ればかなり公平だと思える調停、例えばアルバニア系武装組織に対しては、あなたたち、独立と言っているけれども、独立はだめだよ、ユーゴの領土的一体性は維持しなければだめだよと。これは最後の最後までそれをのむのを渋ったわけであります。最後はコソボ解放軍はこれをのんだわけでありますが、セルビア側だけは一方的に拒否し続ける。こういう中で、やはり何らかの武力制裁ということをちらつかせないと、単なる言葉だけの調停努力ではだめだなという判断、現実にそういう中で非人道的な行為が物すごく行われているわけでありますから、そういうところに至ったのだろう、こう思います。  NATO側からすれば、ボスニア・ヘルツェゴビナの問題で、それはもう地上戦なんかもかなり行われた後の話でありましたが、最後に、大々的に空爆をやるぞという姿勢を示しながら調停努力をやったことによってデイトン合意ができた。そういった成功体験もあった中から、最後のあと一週間で、それでどうしても引かなかったからもう一週間延ばした、これは委員がおっしゃったとおりであります。  そういう中で、聞いてもらえると思ったが聞いてもらえなかった。これで空爆をやらなかったらミロシェビッチにばかにされて、もうフリーハンドで民族浄化をこれからやるよ、こういうような判断に至った。現実に、空爆をやってもやまなかったのですから、あるいは空爆をやったことを契機に、逆に、どうせやられるのならということで民族浄化みたいなのをエスカレートして、ユーゴ軍側がそういうことをやったということを考えれば、思ったとおりにいかなかったということは、それはそのとおりだろうと思いますが、それを失敗だ、けしからぬとあれだけの努力をしている人たちにむげに言うことがいいのかどうかという話はあります。  そういう経緯の中で、残念ながら、少なくとも現時点のところで非常にうまくいっているとはとても言えない、こういう状況であることは、それは事実だろうと思います。
  78. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 私は、失敗したから責任をとれというのではなくて、ニューヨーク・タイムズの記事の中に失敗したということが書いてあって、それを先ほど引用したので、私の立場としては、日本としてはいいスタンスをとっているだろう。ただ、今おっしゃいましたように、両方から拒否された提案をアルバニア側にのめそうなふうに一部手直しをしてそちらの同意を得たというやり方というのも、やはり後に禍根を残すというふうに私は思っていますので、この辺の理解というのは、きちんと客観的なところを日本も確認しておく必要があるだろうというふうに思っています。  その上で、この五月十四日に、ベオグラードを訪問中のメアリー・ロビンソン国連人権高等弁務官が十三日の記者会見で、NATO軍のユーゴ空爆で民間人に多数の犠牲者が出ていることに懸念を表明した。しかし、もちろん国際的非難を受けるユーゴの民族浄化というものも当然あった痕跡がある、そういう上で、国際司法裁判所がNATO空爆も視野に入れて責任問題を解明していくべきだという見解を述べています。  先ほど、前の質問者の方から、イタリアの状況、ドイツの状況というのも少し国内的にいろいろ動きがあるし、またフランスも十日、連立政府を形成する、これは共産党ですが、ジョスパン首相に空爆停止を求めるというような動きも少しずつ広がってきております。  ハーグの国際司法裁判所をもっと生かすというロビンソン国連人権高等弁務官の提案というのは非常に貴重なところだと私は思うのですが、その辺のところは機能するというふうに思われますでしょうか。
  79. 高村正彦

    高村国務大臣 私、そのことを余りよく知りませんでしたので、よく勉強してみたいと思いますが、直観的に言えば、余り機能しないのではないかな。国際司法裁判所というのは、両方の当事者が合意をして初めて裁判が行われるというものでありまして、両方の当事者がそこで裁判しましょうと言うということはちょっと考えにくいのではないかなという感じは直観的にはいたしますが、ロビンソン女史というのは大変尊敬する人なので、その人がそう言ったということであれば、それはちょっとよく勉強はしてみたい、こう思います。
  80. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 それができていれば、きっともっと前にそれが可能になっていたと思うのですが。  そういう意味で、今回のような、ユーゴの国民全体に責任があるのではなくて、ミロシェビッチという大統領のやり方というのが非人道的である。こういう場合に、国際的な司法の場で、欠席裁判という形になるかどうかという問題があると思いますけれども、何らかの方法で法的に裁く、そういうルールを確立する必要があるのではないかということをずっとコソボの問題を見ながら、イラクの問題にもかかわってくるわけですけれども、そういったあり方というのを考えるということ、これは個人的な考えですけれども、その辺の努力というのはこれから日本としてはやっていくというふうにお考えになりますでしょうか。
  81. 高村正彦

    高村国務大臣 非常に長いスパンで言えば、明らかに国際社会でこういう人類に対する罪みたいなことを犯す人をきっちり裁けるきっちりした組織ができていくということは、これは必要なことなのだろう、こう思います。思いますが、一方で、今紛争の中で、この紛争が終わったら、あなた、裁かれるんだよといった場合に、その人が、では、紛争を終えようと努力するだろうかという感じもいたしますので、今の状況の中で、こういう問題についていろいろやるということはなかなか難しい問題だなという感じはしております。
  82. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 今直接できることと、それからやはりここからスタートして、十年先、二十年先、中長期的に、一体、国際的な秩序をどうつくっていくか。それは、日本がたまたまヨーロッパにいませんし、こういうふうに距離もありますし、ある意味では客観的な立場を保てるということで、そういったところに——当事者はまだ余裕がないと思いますので、日本がこれから、今大臣がおっしゃったような中長期的な意味で、こういうことがどういう形で起こり得るかわからない、そういう人を裁くときに、どういうようなルールを確立するかということも、司法の面として、ひとつ、日本が率先して研究していただきたいというふうな気持ちで申し上げているのですが、いかがでしょうか。
  83. 高村正彦

    高村国務大臣 それぞれの主権国家においても、非常に長い歴史をかけてそういう司法制度をつくってきたわけで、国際社会の中でも、そういうものが少しずつ、だんだんできてきているわけであります。今はまだ強制的に両方に対して裁判をするというような国際司法裁判所の体系になっていないわけでありますが、やはり国際社会、世界が一つになるにつれてだんだん国際法、それぞれの国家の中における法に比べれば、国際法というのは形成段階のものが物すごく多いという、まだきっちりできていないというのが多いのだろうと思いますが、そういう中でもそういう努力をしていかなければいけない、それは委員がおっしゃることに全く同感でございます。
  84. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 先ほどもお話あったと思いますけれども、ワシントンでの十八日の世論調査では、今回の空爆を支持するという、クリントン大統領の決定に対して先月五日の時点で六八%であった支持するという答えが、九ポイント下落しまして五九%になったという数字が出ております。長引けば長引くほどだれもが苦しんでいく、そういう状況であって、決してどちらかが勝つとか負けるとかということを超えた意味でやはり早く収束させなければいけない、そういうふうに思うわけです。  四月七日、八日にボストンでありました世界の女性リーダーサミットというのに出席しましたときに、いろいろな意見がありました。もちろん、米国の力の外交、世界の警察意識というのに問題があるのではないかとか、あるいは余りに安易に軍事力が使われ過ぎるというのもありましたけれども、一番私が心に残っているのは、日本アメリカの本当の友達なのだったら、アメリカにやはり直接、こういうことが問題として世界で見られているのじゃないかというような、例えば国連との関係をどういうふうに考えるかというようなことについても日本なりに、空爆を例えば一時停止するという方法があるかどうかわからないけれども、もっと、アメリカの友達としても、アメリカに対してもほかの国に対しても、この問題を解決するために率直な意見を言ったらどうかという意見がありました。でも、具体的に何をすればいいかということが非常に大きな問題なんですが。  そういう中で、私は、もし日本がこれからできるとすればということを幾つか提案していきたいと思います。  まず、その前提としては、今回のコソボ空爆というのは法的な根拠というのが非常にあいまいであるという点が一つ挙げられると思います。それから、民族問題とか歴史とか文化とか、そういったものをどのように認識して決断を下すのかというのがもう一点挙げられると思います。そして、国連の役割というものと多国籍軍あるいは多国籍の同盟の国々、こういった集団的な安全保障の体制がこれからどういう役割を果たしていくかという点において、NATOのこれからのプレゼンスも含めて一つの転機にあるんだろう。ですから、国連あり方がこれでいいのかということも問題点として、今回のことから学べるであろうと。  そういうことを前提にいたしまして、今後の日本の対応の中でまず具体的に三つほど、提案といいますか提言というか、申し上げたいと思います。  まず一つは、これは日本政府がもう既にやり始めておりまして、難民支援について顔の見える貢献というふうにするために、資金や物資の提供だけではなくて人的な支援が不可欠であるというふうな理解の上だと思いますけれども、NGOの活用を抜きには考えられないという観点から、四月の二十七日にコソボ貢献策の中で、NGOに対する資金援助の実施等人的貢献策についても明らかになさった。これは私は大変高く評価したいと思うのですが、この貢献策というのは空爆開始からもう一カ月以上経過して発表されておりますので、そういう意味で、何か起こったときのNGOを活用する即応性という面では必ずしも十分であったかどうかということが一つあるわけでございます。  それで、御承知のようにNGOというのは、常備している資金というのは非常に乏しいということもございますので、いろいろな活動の意欲があったとしても、なかなか資金的なものもあって実際の活動が不可能であるということであれば、先ほどお話ありました難民避難民もすべて、人道的な援助の中にNGO活動は欠かせないわけでございますから、これはこれから日本国際社会に対して顔の見えるという形で非常に大きなアピールの度合いがあると思いますけれども、こういう面からいたしますと、何かに対応して緊急に資金を調達しNGO活動支援できるような、そういった迅速な資金支援制度の枠組みというものを、ODAの中に盛り込むか別途回転基金式に盛り込むかは別としても、使わなければ使わないでいいわけですけれども、そういった仕組み、簡単に許可をできる仕組みというようなものをもう少し考えていただけないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  85. 上田秀明

    上田政府委員 今般のコソボ難民支援に関しまして、御指摘のように、NGO活動支援するために、既存のNGO事業補助金の交付の条件でありますとか、あるいは草の根無償の限度でありますとか、あるいは申し込みの態様でございますとか、そういうところを十分弾力的に対応するということでいろいろと施策を打ち出しまして、この点、NGO方々からも評価いただいているというふうに考えております。  他方国連日本が拠出しております人間の安全保障基金を柔軟に使いまして、それをUNHCRの事業に使っていただいて、そこに日本NGOの方が実施主体、インプレメンティング・パートナーとして使っていただくというようなことも考えておりますので、今先生指摘のような包括的な基金を設けることが、アカウンタビリティーとの関係でいろいろ問題点もあろうかと思いますが、その点はまた検討させていただきますけれども、今申し上げましたようなことで、目下、NGOの皆さんの活動がしやすくなるように努力をしているところでございます。
  86. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 やり方はいろいろとあると思いますので、包括的に別に基金を設けなくてもよろしいのですが、手続をできるだけ簡略化していただくというのを、運用面だけではなくて、わかるルールにしていただくと、NGOの方も、どういうふうに何を書類にして持っていけばいいのかとか、どういう要件が必要かというのが、それこそアカウンタビリティーで、それが迅速性の大きな要因だと思いますので、運用面だけではなくて、ぜひその辺検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  87. 高村正彦

    高村国務大臣 我々が幾ら制度を整えても、NGOの人が一つも知らない、私たちはNGOが何をやっているか知らないで、制度が整いましたよじゃ全然だめなんで、委員がおっしゃるとおりだと思いますので、そういう説明責任は果たしていきたい、こういうふうに思っております。
  88. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 次に、四月二十日の衆議院の防衛指針の特別委員会におきまして、私は医療援助ということをこのコソボに関して申し上げたのを多分高村外務大臣は御記憶にあるかと思います。  つまり、防衛医科大学の学生たちも、言葉もできるような、国際貢献もできるような、また制度もというようなことを申し上げたのを覚えていらっしゃると思いますが、報道によりますと、コソボの自治州から近隣国に逃れた難民の心の病が相当深刻化しているということがございます。ですから、例えばテントですとか医療品ですとか、そういった物質的な援助ももちろんそうですけれども、やはり一日に六十人近い患者が診療に訪れるというような避難所の状況も報道されつつありますので、今すぐ、もちろん日本からもボランティアの医師団も行っていますけれども、それも一つは、短期的には、今できることがあればもっと送るという、四月の二十日から見ると随分難民がふえてきていますから、そういうこともございますし、長ければ長くなるほどいろいろな故障が出てくるということがありますから、もう一度検討していただくということが一つ。     〔森山委員長代理退席、委員長着席〕  もう一つは、やはりそういうときに、本当に国がきちんと派遣できる、そういった、国内的にもカウンセラーというのが、これはちょっと話が別になるかもしれませんけれども、今の子供たち状況を見ていますと、一つの学校に一人ぐらいの専門的なカウンセラーを置くというくらいの、人材の育成でもあり雇用の創出でもあると。それも必要ですけれども、国際的にも活躍できるそういう人材の育成というのを、これも中長期的になりますけれども、ひとつ、ここから学ぶ事項として御検討いただけないかなと思っておりますが、いかがでしょうか。
  89. 高村正彦

    高村国務大臣 調査団を派遣して、そのときの調査がこうだったからということにいつまでもこだわっているつもりはありません。状況は刻一刻変わっているわけでありますから、その状況をずっと把握しつつ、ニーズがあれば、それに日本が何ができるかということは考えていきたいと思います。  ただ、私ちょっとわからないのは、カウンセラーというのは、言葉はわからなくても機能するのかなという感じがちょっとするのですが、そういったことも勉強しながらやってまいりたい、こういうふうに思います。
  90. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 四月二十日にも申し上げたと思いますけれども、例えば防衛医科大学の語学教育をもう少し充実させてということで、当然その道具としての言葉というのが大事ですから、日本の専門職の人が国際的に活動できるというのは、それに付随する大きな道具としての言葉の訓練というのは当然入っておりますので、それを含めて、世界で活躍できる人材を育ててほしいというふうに思っているわけでございますから、今大臣おっしゃったとおりだと思います。  三点目は、これは確認ができているのかできていないのかわかりませんけれども、NATO軍のミサイルによるアルバニア避難民の、たまたまそこに誤爆で殺傷した事件の中で、空中で分散して広範囲に打撃を与えるクラスター爆弾が使用されたということが報道されておりますけれども、それは確認されていますでしょうか。
  91. 西村六善

    ○西村(六)政府委員 NATOのすべての空爆活動といいましょうか、軍事行動を掌握しているわけではございませんけれども、ごく最近におきまして、コリシャ村と称する村でございますけれども、そこにおきましてかなり多数の民間人が殺傷されたという事例がございます。そのケースにつきまして申し上げれば、NATO側はその場合においてクラスター爆弾は使用していないということを言明しているというふうに了解しております。
  92. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 確認されていれば結構でございますが、どうも中国の大使館の方からのお話を伺っても、例えば地下二十メートルの地下施設をターゲットにした新しい形の爆弾であるとか、いろいろ使われているのではないかというようなことが言われておりますので、今後ぜひその辺は調査していただいて、あるいは確認をしていただきまして、その空爆空爆といたしましても、無差別に人を傷つける、これは地雷も同じでございますけれども、そういったたぐいの武器ですとか、もしくは新しい武器の試用といいますか、そういうようなことがよもやないように、そういうことがあった場合は、日本としてはきちんと、そういうことを使うことの停止の提唱者という役割も果たせるかと思いますし、使っていなければそれでいいわけですから、その辺のところも今後検証の段階で日本がきちんと監視していっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  93. 高村正彦

    高村国務大臣 中国の大使館誤爆したときについても、日本政府はきっちりと、大使館地域についてはそういうことはしないようにと、あるいはその他もろもろの注意はしてきておりますが、この空爆、全体の位置づけの中の空爆というものは日本政府は理解しておりますが、いずれにしても、はっきりした誤爆だとか、あるいはその中ではっきりした、民間人を目的としたようなものは、それは一般的に言ったってあってはならないことでありますが、現時点で、そういうものをねらってやった、民間人をねらってやったというようなものは承知しておりませんし、そういうことが今後あれば、当然そういうことは許されるべきことではない、こう考えております。
  94. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 それでは、あとは、これからの日本外交姿勢について、コソボに関連して幾つか申し上げたいと思います。  空爆が始まってすぐのとき、ロシア大使館の方が三人見えまして、その用件は何かといいますと、もちろんスラブ民族ということもありますし、チェチェンを抱えているということもありますから、ロシアはこの空爆に反対であったというのは当然なんですが、その最初に、何とか収束させたいんだけれども、どういう形の、どこが仲介をとってやったらできるかという相談にいらしたので、私ども、議員室で地図を広げまして、それで、NATOに加盟して空爆に参加している国、EUのメンバーだけれども空爆に参加していない国、それからロシアとも話のできる国、ヨーロッパとも話のできる国というようなことで、フィンランドということになりまして、フィンランドにだれか人がいたら、フィンランドというのが一つの大きな役割を果たせるのではないかということを話して、それは本国に伝えるということをおっしゃっていました。  私は何を申し上げたいかというと、ロシアが今まで、そんなふうにいろいろな国から知恵を集めて何とかしようという努力を、していたのかもしれませんけれども、私の今までの記憶ですと、もうちょっと閉鎖的なところでいろいろなことを考えて決めていたのではないかという意味で、ロシアがそういったことで各国に、主な国に伝令を発して、そういういい意見を集めてこいという外務省からの訓令だったということがあります。  それを聞きましたときに、やはり日本もここから一つ学ぶ点があるだろうなと。それは、どうやって情報を集めるか。もう一つは、知恵をどうやって集めるかということも、これから日本外交の上でもっとやってもいいかなということが一つ。  現在、フィンランドの大統領が仲介の労をとっていますが、これにロシアとアメリカがついています。中国の誤爆の問題もありますので、そこにどういう形でかかわれるかは別ですけれども、日本というのがアメリカとも非常に縁が深くて、中国とも縁が深くて、そしてロシアとも物すごく外交の努力をしているという立場であれば、日本だけが独自に動くというのは非常に難しいと思いますけれども、このフィンランドの努力をいろいろ支援するという意味で、今ロシアとアメリカとフィンランドですから、中国を何とかそこの中に巻き込むといいますか、一緒に参加させていくという努力は、これは日本ができるのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  95. 高村正彦

    高村国務大臣 ロシアにしても中国にしても、この解決に大きなかぎを握っている国であることは間違いありませんし、日本としても密接な関係があるわけでありますから、政府はもちろんでありますが、いろいろなルートでいろいろな話をしているところでありますし、先ほど申し上げたように、今月末にもし私がロシアに行けるとすれば、二国間関係だけでなくて、この問題は非常に重要な議題になるであろう、こういうふうに思っております。
  96. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 日本一つのスタンスとして、やはり、今もしこの解決貢献できれば大変にいい段階になるというふうに思いますので、ぜひ最大の努力をしていただきたいと思います。  もう一つ、フィンランドが浮上しているというふうに書かれておりますけれども、フィンランドだけではなくて、今回は当事者に入ってしまっていてできないにしても、北欧の国々が、国際的な交渉力というような能力を持った人材を、外交官を含めて大変育てていて、御存じのように、ノルウェーのああいう仲介でイスラエルとアラブの会談も調った。  そういう意味で、これからやはり予防外交的なことを担える人材の育成、これもまた中長期的になりますけれども、これは、語学ももちろんできて、しかも両方に信頼されて、一緒にテーブルに着いて交渉を粘り強くやれる、そういう人材の育成というのは、今スタートしても、多分そういう人たちが動けるようになるのに十五年、二十年かかるだろう、早ければ十年というふうに思います。  それで、十年、十五年というのは先のような気持ちがいたしますけれども、それをしなければそのときになってもまだできないという意味で、アジアにおけるそういう予防外交の中心として、これは外務大臣も総理大臣も表明していらっしゃるとは思いますけれども、ARFの会議もございますし、いろいろな努力はなさっていますけれども、もう少し、そういった意味で、具体的に人材の育成というところに、これは外交の一部であるということと教育とをあわせてお考えいただけないかと思いますが、いかがでしょうか。
  97. 高村正彦

    高村国務大臣 委員のおっしゃるとおりだと思いますので、きっちりそういった点、既にやっておるつもりでありますけれども、さらに輪をかけて一生懸命やっていきたい、こう思います。
  98. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 イギリスのある企業では、コミュニケーション能力というのが採用の一つ条件になっているところもある。そういう意味で、交渉力とかあるいはコミュニケーションの能力というのが日本ではまだまだ評価が十分社会的にされていないという面もございますので、ぜひ国際的なところから始めていただきたいと思います。  最後に、これはコロンビア大学のヘンキン教授が、人権侵害は確かに余りにも一般的である。もし外国からの軍事力によって人権侵害を改善することが許されるのであれば、ほとんどすべての国が他国に対して武力を使うことができることになるであろう。人権は、正当化されなくてはならない。そして、そのほかの不当行為は改善されなければいけないけれども、その手段は、国際法で最も重要な原則、すなわち戦争の違法性、そして武力の禁止ということを破る方法ではなくて、もっと平和的な手段によるべきであるというのをコソボのことに関連した論文の中で言っております。  今回のNATOによるユーゴスラビアへの空爆というのは、国連安保理決議の明確な法的な根拠がなく、人道上の惨劇の防止ということで実施されたわけですけれども、これはある意味では新しい問題を提起している。すなわち、人道を理由とした行動は、場合によって国連憲章を初めとする国際法の原則である主権を上回る力を持つというふうな先例をつくったことになるのかどうかという問題点があるわけですから、人道を理由とした紛争への介入の必要性に対する、一つは、外務大臣としての御見解を伺いたいということと、二つ目は、この人道というものの定義が必ずしも明確でないということから、恣意的な解釈によって紛争への介入を導き出すこともあり得るというおそれがあって、これが国際法秩序の破壊にもつながる可能性がある、おそれがある。  そういうことを考えますと、冷戦後の混沌とした国際情勢を見る限りにおいて、民族や宗教の対立による紛争というのは今後も発生することが予想されるわけですから、今回の人道ということを理由にした軍事行動必要性について、どのようなことで国際社会でこれは合致するいうふうに認められるかという基本的なルールの確立をこれから国際社会がしていかなければいけないということで、日本外務大臣としての高村外務大臣のその点の見解を伺えればと思います。
  99. 高村正彦

    高村国務大臣 主権の問題と人道の問題が絡まる問題でありますから、何か、人道を理由にすれば何でも主権を侵していいなんというはずはないわけでありますので、仮に人道的介入ということが国際法上認められるとしても、それは厳しいルール、どんな状況もとでどういう条件でできるのかということがきっちり形成されなければいけない、将来の課題として当然そういうことのきっちりした基準が必要である、こういうふうに思っております。
  100. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 振り上げてしまったものはおろせないし、どちらも悩んでいると思います。NATO側もユーゴ側アルバニアも、みんな悩んでいる。この問題の解決は非常に難しいと思いますけれども、中長期的なものも含めて、日本国際社会でのスタンスの確立というものも含めまして、日本貢献の新しい分野にプラスに転化していければというふうに思いますので、大臣初め皆様の御努力を期待申し上げます。終わります。
  101. 中馬弘毅

    中馬委員長 東祥三君。
  102. 東祥三

    ○東(祥)委員 自由党の東でございます。  きょうは、コソボ問題ということで二十五分間、五つの質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点は、コソボ問題をどういうふうにとらえるのか。きょうの五つの質問というのはみんな大きな質問でございますが、第一問としては、どういうふうにとらえるのか。  世界のそれぞれの国々が、国際政治の視点からいろいろな目でこの問題を見ているんだろうと思います。北朝鮮の金正日氏はどういうふうに見ているのか、あるいはまた、イラクのフセイン大統領はどういうふうに見ているのか。そういう意味においては極めて重要な問題であり、なおかつ、新しい二十一世紀の国際政治における種々の問題点及び解決しなければならない、また創造していかなければならない、そういう問題をはらんでいるんだろうというふうに思っています。  私は、コソボ問題というのは極めて新しい問題なんだろうと。そこで問われているのは、単なる殺人ではない、人権と人道という二十世紀後半の国際社会の二大理念である。この人権をじゅうりんし、人道を無視する残虐行為というのは、グローバルな人類社会の規範に対する挑戦である、そしてまた、現在の地球社会の構成原理自体に対する挑戦なのではないのか、このように私自身はとらえております。  人権問題や人道問題の解決の困難さというのは、残虐行為が往々にして一国の国境の内側で起こっていて、それは外国が直接に被害を受けるわけではないので、国際社会が沈黙すれば、被害者は、独裁者の意のままに翻弄され、だれからも救われないことになるということを意味する、このように思います。  我々の日本の社会に生きていると、なかなかこういう問題を理解するのは難しいんですが、卑近な例ですけれども、例えば、隣の子供が日々父親の暴力にさらされているとしましょう。ただ、たたかれているだとか、あるいは泣き声が聞こえるというだけでは、隣の家の私が、あるいはまた町内会が他人の家庭の問題に口を出すということは行き過ぎなのかもしれません。しかし、もしその子供の顔が、そのおやじさんのたばこで顔にやけどさせられ、あるいはまた傷だらけになっている、目がつぶれる、あるいはまた耳がそがれていたらどうなのか、また足が折られていたらどうなのか、あるいは、ほうっておけば必ずこの子は栄養失調で死んじゃうだろう、そういうふうな確信ができるような場合はどうなのか。  これは当然、隣に住んでいる自分として、あるいはまた町内会として、そのおやじさんに物申すというのは当たり前であろう。物申したとしてもそれを聞かなかったらどうしたらいいのか、こういう問題なのではないのかというふうに思います。ある意味で、国際社会でも同じなんだろうというふうに思います、もちろん、次元が違うということをわかった上で申し上げているんですが。  独裁者が、少数民族の男性を皆殺しにし、女性を強姦させ、あるいはまた自分の民族の子供を強制的に産ませる、それをもって民族浄化という、これはユーゴ紛争のときから頻繁に出てきている言葉ですけれども、エスニッククレンジングだとかいうおどろおどろしい、民族浄化と称して政治目標にしている。そのような非人道的な残虐行為に対して国際社会の構成員全員が、人類全体の普遍的価値が脅かされているという前提に立って、たとえ自分自身が被害者ではなくても、その惨状を是正するべく当事者意識と責任感を共有せねばならない、このように私は考えます。それは地球市民としての自覚の問題であると思うのですが、この考え方について、高村外務大臣そしてまた日本政府はこのような自覚を有しておられるのかどうなのか、政府のまず見解をお聞きしたいと思います。それがまず第一問でございます。
  103. 高村正彦

    高村国務大臣 委員が家庭内暴力に隣人がどう介入するかという比喩を挙げてお話になって、比喩というのは必ず当たっている部分と、やはりそれが私の立場でそのとおりだと言うといろいろ問題が起こる場面もありますので、何とも言えませんが、日本政府人道上の惨劇をこれ以上拡大されないためにやむを得ざる措置としてとったものと理解しておりますと、何度も繰り返していますが、言葉がちょっと不正確であったかもしれませんが、そういう意味のことを言っているということを御理解いただければ、委員の言葉すべてが、それは正しいと言えるかどうかは別として、委員が考えておられるようなことと日本政府立場はある程度近いのではないかという感じはいたします。
  104. 東祥三

    ○東(祥)委員 次に、国際法との関連で質問します。  今いろいろとここでも議論されているわけですが、人道的介入に関する国際法についてお伺いしたいのです。完璧な国際法、あるいはまた、逆を言えば国際法は不備であるということはすべての人が知っているわけでございますが、国際法の世界においても、国境の内側であれば何をしてもよいという考え方、これはもう既に影を潜めてきているのではないのか、このように私は思います。  十九世紀の時代と違います。十九世紀の絶対主権の時代というのは、各国は互いの国境の内側の問題に全く干渉しないことが当然とされておりました。しかし、そのような時代は、むしろ人類の歴史の中では異常な時代であったと私は認識しております。国民国家の主権意識というのが奇怪に肥大化した時代であったというふうに私は時代認識を持っているわけでございますが、ある意味で、この人道的介入に関する問題、国際法という角度からしますとターニングポイントが二つあったのではないのかと思います。  ターニングポイントの一つは何かといえば、それはまさにナチス・ドイツによるユダヤ人の虐殺でありました。第二次世界大戦の際に六百万人のユダヤ人がナチス・ドイツによって虐殺された。その多くはドイツの国民であった。自国民であれば虐殺してよいというようなことがあろうはずがない、このように思います。そういう考え方に立って生まれたのが、まさに人道に対する罪という国際法上の考え方だったと思います。日本の戦争指導者は、東京裁判において人道に対する罪で裁かれることはなかったですけれども、ナチス・ドイツの指導者は、ニュルンベルク裁判において人道に対する罪をもって有罪とされております。人道に対する罪は、昨年、一九九八年七月にローマで採択された国際刑事裁判所規程の中にも明記されました。  もう一つのターニングポイントというのは、一九四五年の国連憲章と、そして一九四八年の世界人権宣言であると思います。人権の思想というのは、この二大文書の中に高らかにうたわれておりますし、二十世紀後半の国際政治の基調を決定したと私は思います。人権の思想は、各国憲法にあまねく共有されるようになったのみならず、一九六六年には社会人権規約と自由人権規約の二つの国際条約に結実した。  そうしますと、このような考え方を前提にすれば、人道上許すことのできない大規模惨劇がある独裁国家の中で起きているとき、外部からそれを排除するために必要最小限度の実力を行使することは、たとえそれが独裁国家の領土やあるいはまた政治的独立を侵すものであったとしても、必ずしもそれは国連憲章違反と考える必要はないのではなかろうか。領土保全も、また政治的独立も、民族が自決して自由と平和を享受するための国際法上の制度にすぎないわけでありますから。国境は、独裁者が国際法に背いて大規模な非人道的残虐行為を正当化するための境界線ではないと思います。国家元首といえども従うべき法があるのだと思います。  このように考えれば、人道的介入に伴う武力行使は、国連憲章第二条第四項に言う武力行使の禁止の例外として考えることもできるのではないのか、少なくとも違法と言い切ることには問題があるのではないのかと私は思っているのですが、この点について、いかがですか。
  105. 高村正彦

    高村国務大臣 何度も繰り返すようでありますが、日本政府立場は、やむを得ぬ措置として理解をしている、こういうことでございます。そして、それと同時に、法的評価は差し控えている。  その人道的介入というのがどのくらい認められるか。人道的介入を口実にして主権をどんどん侵してもいいという話ではないわけで、そういうどのくらいの状況にあるのか、それに対してどのくらいの条件で介入していいのかということについて、国際法上確立していないということでありますから、そういう確立されていないという一方で、どのくらいのことが本当に、民族浄化ということが言われてもしようがないようなことが行われているぞということは漠として知っておりますが、確実なところはわからないわけなんですね。三十歳から六十歳ぐらいの男性十万人ぐらいが殺されたらしいとか、そういう話もあるし、あるいは集団的レイプが行われているらしい。ある程度それは根拠はあるわけでありますが、それがだれの手によってどういうふうに行われたかということも必ずしもはっきりしない、こういう状況で、法的評価は差し控えている、こういうことでございます。
  106. 東祥三

    ○東(祥)委員 大臣のお立場はよくわかります。  ただ、今申し上げているとおり、極めて重要な問題であり、いつまでも法的評価を控えているというわけにいかなくなると思いますから、それは一つのちゃんとした時代の潮流、二十一世紀を志向していく上で、必ずこういう問題というのはいろいろなところで僕は起こってくると思いますから、それに対しての準備だけはぜひともしておいていただきたいというふうに要請しておきます。  そして、もう一方、その人道的介入にはもう一つの側面がある、このように私は思っております。  つまり、人道的介入を合法と認めるにはちょっと難しいのではないのか。それは、とりわけ安保理の機能、ひいては国連の集団安全保障の機能を大きく損なうおそれがあるということになってしまう。つまり、人道的介入に対して、ある一定の状況下においてそれは可能なんだ、こういうようなものを確立してしまうと、逆に言えば、安保理の機能を大きく損なうおそれを招来させてしまうのではないのか。それは国連憲章における武力行使禁止原則に大きな例外を設けることにほかならず、安保理をバイパスして、無視しちゃって、大国人道的介入を名目に独自に武力行使を行うことに道を開くことになってしまう。もしも人道的介入が乱用されれば、国連憲章の規定する集団安全保障制度の根幹が揺るがされることになってしまって、ひいては崩壊することにもなりかねない。  コソボ問題の本質というのは、実は、戦後五大国によって構築された国連安保理の機能自体が、ある意味で、この時点において大きく低下してきているということを意味しているのではないのか。  例えば、ロシアがミロシェビッチを政治的に抑える実力を依然として保有していたとするならば、安保理はコソボへの国連主導のPKOの展開を決議できただろう、このように推察します。あるいは、それ以前に、ロシアと米国の政治交渉によってコソボ惨劇自体が未然に防げたかもしれない。よく多くの方々がここで議論されておりますが、NATO空爆云々と言っていますが、NATO空爆の開始というのは国連安保理の機能不全の裏返しだ、このように私は見るわけです。国連の機能がちゃんとうまくいっているとするならば、別にNATO主導でやる必要はない。国連の機能がちゃんとうまくいかないから、それは、P5におけるメンバーのそれぞれの国際政治における思惑が働いている、その機能がちゃんといかないからだ。では、この現実に対してどういうふうにしたらいいのか、ここがまさに問われたわけであって、NATO空爆というのはまさに安保理の機能不全の裏返しである、このように私は見ます。  このような状況下で正面から人道的介入の合法性を認めることは、安保理に対して無能だ、そのようなことを宣言するに等しくなってしまいますから、あるいはまた安保理の権威に対して死刑宣告をするに等しい、このようにも考えられるわけです。私は、それはやはり行き過ぎなんだろうというふうに考えているわけです。国連が創設以来大きく変容したとはいえ、依然として国連は国際的協調行動の中心的役割を果たすべき機関であり、その機能をさらに充実させていくために私たちは頑張らなければならないというふうに思っているわけでございます。そういう意味においては、唯一の普遍的国際機関であるということも事実であります。  そういう意味からすれば、国連中心主義を掲げながら、次期安保理改組において常任理事国たらんとする政治目標を持っている日本としては、その機能を強化することにこそ日本の国益を見出していくべきでありまして、その信頼をゆがめるようなことをするべきではない、このようにも思うわけです。人道的介入を合法と断定することにも極めて大きな政治的リスクがあると考えます。  そうすると、このように考えてくると、人道的介入は、あくまでも事実上やむを得ざる行為として、決して合法とは言えないけれども事実上容認せざるを得ない事態としてとらえるしかない、現段階において。それを多分外務大臣は何回も何回もおっしゃっているのだろうと思いますが、いかがですか。
  107. 高村正彦

    高村国務大臣 合法ではない、違法だけれども事実上容認せざるを得ないという立場があり得るかどうかということであれば、それは難しいのだろうと思います。政府立場は、あくまで法的評価はできない、そしてそういう中でやむを得ぬ行為と理解している、こういうことでございます。
  108. 東祥三

    ○東(祥)委員 それほど極めて微妙な問題であり、難しい問題であるというふうに、きょうは矛をおさめておきます。  他方コソボ問題は欧州の問題であるとして、我が国は一切首を突っ込むべきではないという意見があります。私は、これは全く間違いであると思っています。これは独善的孤立主義及び一国平和主義の最たるものである、このように思います。もし北朝鮮が暴発すれば、日本国際社会支援を求めないとするならば一つの考え方だろう、このように思います。欧州諸国のすべてが、極東有事に臨んで自分たちは無関係であるとして背を向ければ、我々はどうなるのであろうか。自国周辺の有事に臨んで国際社会の支持と支援を当然に期待しながら、欧州の惨劇に目を背けるという態度は、人間としてひきょうであり、卑劣な態度であると私はここで明言しておきたいと思います。他人の痛みがわからない人間が、自分がけがをしたときにだけ大騒ぎをして他人の気を引こうとすることほど見苦しいことはない。我が国はむしろ、次期安保理改組の常任理事国として、国連憲章の根底にある人道と人権の理念に対する挑戦を深刻に受けとめて、憲法の理念を高らかに掲げながら、コソボ問題に積極的にかかわっていくべきだと考えますが、政府の御見解をお聞きしたいと思います。
  109. 高村正彦

    高村国務大臣 コソボの問題というのはバルカン全体の安定に大変影響いたしますし、そして、バルカン全体の安定というのはヨーロッパ全体の安定に大変な影響を及ぼすわけであります。我が国自体、ヨーロッパと大変経済的、政治的な関係があるわけでありますから、そういう意味で、直接的に日本にとっても利害関係もあるわけであります。  そしてさらに、委員がおっしゃるようにこれはグローバルな課題でありますから、日本として国際社会、個人の間でもそうでありますが、情けは人のためならずで、そういうことにきっちりやっていくことが日本のためになる。こういうことで、私たちは、クウェートにイラクが侵略したときからまさにそういうことを申し上げて、一生懸命グローバルな課題に日本貢献をしていきたい、こういうふうに思っているわけであります。
  110. 東祥三

    ○東(祥)委員 この関連で、最後に御質問させていただきますけれども、政府支援についてでございますが、常に財政的支援優先が政府支援である。これは、先ほど外務大臣もおっしゃられたとおり、それは胸を張って、お金があるのですから、それを僕はやるべきだ。お金を出せる国というのは限られているわけですから。問題は、それをどのように使うかという問題なんだろうというふうに思うのです。  難民受け入れや文官の派遣については、常に後出しで、要請を受けてから小規模協力を行う。そこに欠けているのは、今の外務大臣御自身の決意とは裏腹に、残念ながら全体のイメージとして、日本自身が地球社会の責任ある構成員の一人であるという自覚を持てば外務大臣みたいな発言になってくると思うのですけれども、なかなかそれを表に向かって言えるような状況になっていないのではないのか、まだまだ。  我々はもはや敗戦国民ではありません。また、旧敵国と呼ばれた国際社会の二級市民でもないと思います。自由主義社会第二位の経済大国であり、我が国のGNPはアジアのGNPの半分を占める。アジア諸国の戦争の記憶というのは、我が国が政治的リーダーシップをとることを容易に許さないかもしれませんけれども、アジアの国の国民の心の傷というのは、我が国が独善的な利己主義の殻に閉じこもったからといっていやされるものでもない、このようにも思います。  たとえ石を投げられようと、たとえばり雑言を浴びようとも、生まれ変わった国として、やはり日本は黙々と国際平和に積極的に貢献し続けることこそが、日本に対するイメージを変えていくことになるのではないのか、このように私は思っております。そういう意味で、日本は、積極平和主義を掲げて、人道やあるいはまた人権というグローバルな理想のために汗を流す、徳ある国に生まれ変わるときを迎えているのじゃないのか、このように思うわけです。  いろいろ政府は検討してくださっているかもわかりませんけれども、例えば難民支援するというふうにいった場合、もちろん、NGOにお金を出して、そしてやっていただくということも、それは極めて僕は重要なことだと思いますし、私も、かつて約七年間、世界の各国難民キャンプで仕事をしてまいりましたから、そういう意味においては、大きく日本難民支援をしているということはいいことなんですが、私はぜひ、提案させていただきたいのですけれども、日本が、日本の国、政府自体が経営するかどうかは別として、難民キャンプ日本が責任を持って、これはアルバニアでもいいと思うのですが、僕は経営したらいいのだろうというふうに思うのです。  その経営している主体が日本政府であるということを全面的に広告する必要はないと思うのですが、医療を中心としたプロジェクトを組んでもいいと思いますし、そこに日本NGOあるいはまた世界のNGOを全部招聘してあげて、そして一大難民キャンプをつくる。また、当然アルバニア政府ともそれは交渉しなくちゃいけない。ひょっとしてもうおやりになっているかもわかりませんが。そういうことをぜひともこの際、コソボから来られるアルバニア難民に対して、日本が主体的に経営していく。出す出さないは別として、そういうことをやられたらいいのではないのかということを提案させていただきます。  と同時に、マケドニアの方には、これはプリベンティブ・ディプロイメントというのが今展開されていると思います。それはPKO法の枠の中に入れられるかどうかは別として、まさに紛争が起こっていないわけですから、そこで紛争が起きないようにするための未然防止のそういうPKO隊、これを送る可能性についてもぜひ検討していただきたい。  さらにまた、このコソボ問題というのは日本の彼岸のことでありますけれども、まさに人類社会に対しての挑戦であり、人権、人道といったグローバルの問題でありますから、そういう問題に対して、日本がこの問題解決に向かって共通の責任感、共有している、そういう自覚に立てば、G8においてもいろいろな知恵が出てくるのではないのかというふうに思いますので、それを要請させていただいて、質疑時間が終了しましたので、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  111. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、松本善明君。
  112. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣に伺いますが、五月十三日の外務委員会で、外務大臣は、空爆停止決議が国連で否決をされたことを紹介されまして、そして、しかしそれだから国連憲章に空爆が合致したものだと私は申し上げるつもりはございませんけれどもと、こういうお話をされました。これは、NATO空爆が、全体としての法的評価をしないということは言っておられますけれども、国連憲章に合致しないものだということは認めたということだと思いますが、いかがでしょう。
  113. 高村正彦

    高村国務大臣 今回のNATO軍による軍事行動については、国際社会の粘り強い外交努力にもかかわらず、ユーゴ側がこれをかたくなに拒否し、一方でユーゴ軍及びセルビア治安部隊によるアルバニア系住民に対する武力攻撃が続くという状況もと、さらなる人道上の惨劇を食いとめるため、やむを得ざる措置としてとられたものと理解をしております。  今回のNATOの行動と国連憲章との整合性につきましては、第一義的には安保理が判断すべきものでありますが、この点に関連して、先般ロシアが提出した今回のNATO武力行使国連憲章違反とする等の内容を含む決議案は、安保理において、賛成三、反対十二の大差で否決されました。  いずれにいたしましても、我が国は今回のNATOの行動の当事者ではなく、また、作戦面を含むNATO軍事行動に関する詳細な情報を有していないので、国連憲章との整合性を含め、政府として法的判断を下すことはできないことを御理解いただきたいと思います。  先日の議員に対する私の答弁は、NATOの行動が必ずしも国連憲章に合致していないと述べたものではなくて、先般述べた、ロシアが提出した決議案が大差で否決されたことをもって直ちにNATOの行動が国連憲章に合致しているとの法的判断を下すことにはならないという趣旨を補足的に述べたものであり、ただいま申し上げた従来よりの我が国立場に変更はないわけであります。  さらにもう一つ言いますと、国連憲章の、明示的に示されていることから、明確にこれが国連憲章に合致しているということは残念ながら言えないわけでございます。
  114. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣の基本的な立場、答弁は全部理解をしているつもりでございます。ただ、それについてさらに一歩進めたといいますか、詳しくお聞きしたいということで今質問した。今の御答弁で、一応最後の方でよくわかりました。  しかし、国連憲章の明文に合致したものではない、これはもう明白で、どこにもないわけですから。ただ、違法かどうかという点について、前回の答弁でも、法的評価という点では、事実関係、民族浄化と言われるようなことがどこまで行われているのか、人道的介入ということが学説で認められてきているが、この国際法的な評価自体が形成途上のものだと。きょうも同僚委員がいろいろ質問されて、人道的介入についていろいろ答弁をされました。  言うならば、人道的介入という概念が形成途上にあるというような趣旨のことを、一まとめにして言えば、言っておられるのだと思いますが、これは国際法上許されるということを多少とも考えておられるのですか、まずそれをお聞きしたいと思います、あなたの言われている答弁は。
  115. 高村正彦

    高村国務大臣 多少とも考えているかというのはなかなか難しい話でありますが、日本政府としては、国際法違反と断定はできません、法的評価はできない、こういうことを申し上げているわけでありますが、私が今言ったことが、多少とも考えているということになるとすればそういうことになりますし、何とも法的評価ができないというのが正確な日本政府立場でございます。
  116. 松本善明

    ○松本(善)委員 では、こういうふうに聞きましょう。  先ほども一応お述べになったのですが、確認ですが、国連憲章上の根拠はありませんね、人道上の介入について。
  117. 高村正彦

    高村国務大臣 国連憲章で明示的にこういうことが許されるということは言っていない、こういうことを申し上げているところでございます。
  118. 松本善明

    ○松本(善)委員 それからもう一点。これも当然のことですが、したがって、人道上の理由で国連武力行使を認めたことは一回もありませんね。
  119. 高村正彦

    高村国務大臣 人道上の理由で認めたことはないかあるかというのは、私、過去の例を全部知っているわけではありませんので、私の知っている限りでは、ない、こういうふうに申し上げておきますが、先ほど申し上げましたように、これは国連憲章違反だというロシアの決議案は十二対三という大差で否決されている。少なくとも、安保理のメンバー十五のうち十二の国は、これは国連憲章違反だとは言わなかった、こういうことでございます。
  120. 松本善明

    ○松本(善)委員 この決議のことは何度も答弁で言われるわけですけれども、人道上許されないことがあった場合の解決の方法については、やはり国連憲章が枠組みをつくっているのだと思うのです。私どもはその枠組みの中で解決すべきではないか。  第六章の紛争の平和的解決、第七章の平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に対する行動、これは国連憲章で明記をされております。安保理事会は、武力の行使をするという場合には、憲章三十九条で、平和に対する脅威あるいは破壊と認定して、勧告あるいは経済制裁もある。それを、武力行使をすぐやるのではなくて、その枠組みの中で、国連でどう対処するかということを協議することが一番大事なのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  121. 高村正彦

    高村国務大臣 国連憲章の枠組みといいますか、国連の枠組みの中で、平和的に物事を解決することが一番大事だ、そうできたら一番よかったということでは、私もそのとおりだと思います。  ただ、昨年二月末のアルバニア系武装組織セルビア治安部隊との武力衝突以来、ユーゴ軍セルビア治安部隊は、圧倒的な軍事力もとアルバニア系住民に対する武力攻撃を行いました。その結果、大量の難民避難民が発生し、周辺国にも流出する事態となりました。  国際社会はこのような人道上の惨劇に深い憂慮を覚え、ユーゴ側武力行使をとめさせ、コソボ問題を政治解決に導くため、国連等の場において種々の外交努力を行ってきました。昨年の秋には欧米諸国の仲介努力の結果、ユーゴは一たん軍事作戦を停止し、部隊の多くを引き揚げることを約束しましたが、その約束にもかかわらず、停戦は長続きしませんでした。  その後も国際社会は、ランブイエ、パリでの和平交渉を開催するなど粘り強い外交努力を続けてきましたが、ユーゴ側はこれを最後までかたくなに拒否し、一方で四万人以上の軍、治安部隊を新たにコソボ及びその周辺に投入し、大規模攻撃準備を整えました。このような状況もとNATOは、さらなる人道上の惨劇を食いとめるため、やむを得ざる措置として軍事行動をとるに至った次第であります。その次第を、日本政府としてはやむを得ざる措置として理解をしている、こう申し上げたわけであります。  委員と同じように、私、国連の場で平和的に解決されることが一番いいということは全く同じ意見であります。ただ、そうしている間に、全くそういうことに聞く耳持たないで人道的惨劇が進行している。こういう状況の中で、国際社会が手をこまねいていていいのかどうかということも一つの考えなければいけない要素である、こういうふうに思っているわけでございます。
  122. 松本善明

    ○松本(善)委員 ユーゴスラビアの事態について、人道的な問題があるということについては私どももそう考えております。この間も申しました。ただ外務大臣も、何でもかんでもユーゴスラビアが悪いというふうに考えているわけでもない、双方に問題があるということについては、私どももそういうふうに考えております。  しかし、この空爆によって、人道的介入と言うけれども、事態が一層悪化した。これは、表現は違うかもしれませんが、外務大臣も先ほど来の答弁の中でお認めになっているように思いました。空爆後新たに六十万人の難民が生まれ、攻撃目標も、住宅、学校、病院、教会、市場、バス、鉄道、テレビ局、文化財的な歴史的建造物、民間施設などが攻撃対象とされて、小さな子供を含めて六千人を超える民間の死傷者が出ております。  その上、中国大使館への爆撃であります。誤爆の連続で、これは無差別爆撃と言われても弁解できないような状態になっているのではないか。まずはこの惨事をやめさせることが今必要ではないか。  私がお聞きしたいのは、外務大臣は、ミロシェビッチ大統領NATOの要求をのまなければ、こうした惨事は仕方がないのだと考えているのですか。
  123. 高村正彦

    高村国務大臣 私は、誤爆がいいと言ったことは一度もありませんし、仕方がないという言葉は非常に、イエスともノーとも言いにくい言葉であります。そんな惨事はない方がいいに決まっているわけでありますから。  ただ、ミロシェビッチ大統領が、NATOだけでなくて、日本やロシアも含めたいわゆるG8、あるいは国連の安保理、あるいは国際社会の声に耳を傾けて、国際社会の要求に応ずることによって民族浄化だとかそういうことをやめて、再びやらないというようなきっちりした体制が検証できれば、空爆は一〇〇%やむのです。空爆をやりたいと思ってやっているわけではないわけでありますから。  ただ一方で、一方的に空爆をやめたとしても、ミロシェビッチ大統領がそういう民族浄化というようなことをやめるという保証は全くない。保証が全くないだけではなくて、かえってフリーハンドを与えたようになって、いわゆる民族浄化が完全に成功してしまうというおそれすらある。こういう政治的解決の見通しがない中で一方的に空爆をやめることがいいことかどうかということは、私は必ずしもいいことだとは言えない、こういうことを申し上げているわけであります。  さらに言えば、ミロシェビッチ大統領国際社会の説得、圧力と言ってもいいかもしれませんが、それによって言うことを聞けば終わる。そういう状況の中で、逆にミロシェビッチ大統領が、いや、国際社会の中でも乱れが出てきたぞ、空爆反対という声が出てきたぞ、しばらく待っていれば空爆は終わる、これならこのまま民族浄化を続けていけば自分の意図は全部成るということで、それを続けることによって結果的に空爆を長引かせるというような皮肉な結果、私は、空爆反対と言っている人たちが、大部分の人たち人道立場に基づいて言っているということは疑わないわけでありますが、結果的にはそのことがミロシェビッチに勇気を与えて、今の状況を続けさせて空爆が長引くという皮肉な結果すらもたらす可能性もある、こういうことを申し上げているわけでございます。
  124. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣、平和的解決について、それは、確実な見通しというのがある場合でなければできないという性質のものではないと思うんですよ。平和的解決というのはしなければならない。国連原則なのですから。  私は、やはり今の時点で、日本政府は安保理で協議することを提起すべきだ。人道的介入という理由で、国連憲章上の明文がないということは外務大臣もお認めになった。私どもは、やはり国際法上許されないことだと。先ほど来の他の同僚議員の議論もありましたけれども、人道的介入ということで何でも武力行使ができるということになったら大変なことになる。それは国連機能の破壊になる。国連機能を大事にしていくということでやっていかなければならないのじゃないか。  大臣に聞きたいのですけれども、外務大臣は、安保理事会はNATOの思うようにならない、反対もあるので事が決まらない、だからNATOの独断は仕方がないと思っているのじゃないだろうか。大臣の真意はそういうことではないのでしょうか。
  125. 高村正彦

    高村国務大臣 安保理で決まらないから、安保理を抜かしてどこかでやっても仕方がない、そういう発想ではなくて、むしろ、現実に民族浄化と言われるようなことが行われている。それがどの程度すさまじいものであるかということは、日本政府としては確実な情報は持っていないわけでありますが、行われているという情報が頻繁に流れてきて、何かしら行われていることは間違いない。現実に、難民が昨年の秋でも二十万人も出ているわけでありまして、さらにそういうことに備えて四万人もの軍、治安部隊が新たに投入されるというような状況。そういう中で、いわゆるコソボ解放軍と言われる軍事要員だけでなくて、一般の人まで虐殺されるとか、あるいは集団レイプがあるとか、そういうようなことが伝えられて現実に進行している中で、国際社会が手をこまねいていていいのかどうか。  そういうことについて、直ちに法的判断は下せないし、あのときの一年にわたる国際社会の仲介努力の結果、そこを最後にユーゴ側が拒否した、そしてその間にもそういう惨劇が続いていた、こういう結果の中でやむを得なかった措置と理解している。これが日本政府立場だと何度も申し上げているわけでございます。
  126. 松本善明

    ○松本(善)委員 やむを得ないと理解するということを私どもは賛成しませんが、それを一歩進めて、その立場を変えて、やはり国連憲章の枠組みで解決すべきだということを主張すべきではないかというふうに私どもは思うわけです。  といいますのは、今外務大臣がおっしゃられましたが、いわゆる民族浄化と言われるようなことが起こっていると言われるけれども、実情はまだ正確にわからない、だから法的評価ができない、こうおっしゃられるわけです。私は、国連憲章では、そういう場合には安保理事会が調査をすることができるというのが三十四条で決められています。そしてそれは、国際連合加盟国はどういう紛争についても安保理事会や総会に注意を促すことができる。日本政府は堂々と、調査して、平和的解決の枠組み、国連の枠組みに乗せるべきだということを主張したらいいじゃないですか。何でしないのか。それで私は先ほどの質問をしたんです。  例えば、NATOが思うようにならない、あるいはロシアなどが反対するからまとまらない、だから仕方がないからやらないというのなら、これは先ほど来言われている国連機能の破壊ですよ。国連機能の崩壊を認めるということなんです。だから、一日も早く国連の枠組みでの解決のルールに乗せるべきだ。そうじゃありませんか。
  127. 高村正彦

    高村国務大臣 G8の中で日本国連の枠組みの中に乗せるべきだということを主張しておりまして、それはG8すべての国に理解をされているところでございます。  今、せっかくG8という中で、日本は安保理のメンバーでもありませんが、幸いなことにG8のメンバーでありますので、その中で、国連安保理の決議文について、最終的には安保理のメンバーが調整してつくるわけでありますが、必要な要素はどういうことですねというようなことを今きっちり話し合っているところでございます。  先日のG8外相会議で一般的原則というのを合意いたしましたが、G8の中には米、英というような立場の国とロシアという立場の国があって、国連安保理で何らかの結論を出すためにも、G8という中でいろいろな外交努力立場を一致させるということが非常に重要なことだと思っています。私たちは、そこで一致させる努力をするとともに、そういったものを持って安保理でやってくださいよということを常々申し上げて、そういう方向に行きつつある、こういうふうに思っております。
  128. 松本善明

    ○松本(善)委員 国連の枠組みの中に戻して平和的な解決をするということになりますと、やはりどうしても、国連の安保理事会の常任理事国も、中国、ロシア、これが空爆の中止がコソボ問題解決の前提だと言っている。やはり空爆を停止して枠組みの中に戻して、そしてやらなければならないというのは理の当然じゃありませんか。それ以外に、あなた、空爆を続けていって解決の見通しがありますか。  あなた自身が、前にも紹介しました、NHKの「日曜討論」でおっしゃっていた、地上軍の投入というのはほとんど不可能だと。アメリカの上院も圧倒的多数で否決をしています。空爆を続けて解決の見通しがないということは客観的ですよ。私は、こういうときにははっきりと国連の枠へ戻すということについて、日本は、憲法立場からも、それから国連憲章を守るという立場からも強力な発言を国際的にすべきではないですか。どう思いますか。
  129. 高村正彦

    高村国務大臣 空爆を続けていて安保理の中で解決するというのは不可能だというのは、私は必ずしもそうは思っておりません。  G8外相会議で七項目決めた中では、やはりロシアも無条件で直ちに空爆を停止しろなどということは言っていないわけでありますし、また私は、G8外相会議で決めた七項目というのは、これは解決に不可欠な一般原則だ、こういうふうに思っておりますし、安保理決議の中でもそういうことは入れられなきゃいけないと思っておりますが、さらに、米、英とロシアと立場が違って詰めなきゃいけない点もありますし、またG8に入っていない中国、中国は確かに今空爆停止が協議をする前提であると言っていることは承知しておりますが、私はやはり中国にも、空爆停止しないと協議にすら応じないという立場は、これは変えてもらわなきゃいけない、こういうふうに感じておりますし、何か中国がこう言ったらそれだけは絶対的要件であって、ほかのことは、アメリカには変えさせろという立場は私はとらないわけで、全体の中で協議はぜひしていただきたい。  そういう中で、今、空爆停止の時期がいつになるかというのは、私は、いろいろな選択肢が現実に、それぞれの中で話し合っていけばいろいろあり得る、こう思っているわけでございます。
  130. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、空爆停止、中国だからということじゃなくて、空爆を続けていって話をつけるというのは武力解決なんですよ。武力によって屈服させるということなんですよ。そういうことは平和解決ではありませんということを言っているんです。道理の上からいって、平和的解決ということを言うならば、政治的解決ということを言うならば、これは空爆を停止しなければならない。続けていって屈服させるのは軍事的解決ですよ。そこが根本の問題です。  私は、二十世紀の二つの大戦の教訓から、国連憲章の主権尊重とか内政不干渉とか国際紛争の平和的解決、武力の不行使という原則が生まれたんで、日本憲法も同じ精神、この精神に戻って解決をすることがどうしても必要だ。空爆を続行しなければ解決しないというのは、国連憲章七章の手続を踏んで国際紛争解決するという能力が国連にないということを言うんです。先ほど来同僚委員も、立場は違うけれども同じようなことを言われていましたけれども、国連に能力がないというようなことを言うことは絶対あってはならない。やはり国連を中心にしてその枠組みの中で解決をすべきだと思うんです。  実際に、国連安保理事会の決議一一六〇、一一九九、一二〇三ありますけれども、その方向で、戦闘行為の即時停止、無条件で国際的関与のもとでの対話の開始、具体的措置がとられない場合の平和と安全の維持、回復のための行動と追加的措置、そのための検証ミッションの派遣、こういうことが進んでいる中で空爆が始まったわけですよ。だから、やはり空爆国連の枠組みの中での解決を否定している。私は、その根本問題の認識もとても重要なことだと思います。  その点は外務大臣の今まで答弁していられることと違いますけれども、私は、やむを得ないということで理解をするのではなくて、やはり国連中心で解決をしていくということならば空爆は間違いですよ。  そして、やった結果が悪化させている。これは客観的に明白で、そして、アメリカの世論の中でも空爆をやめろというのはふえています。それから、私どもがこの問題で各国大使館に、各国に申し入れました。NATO加盟国の中でも、平和的解決空爆をやめなきゃいかぬ、私どもの意見に同じだ、似ている、こういう国がたくさんありました。アジアの国はほとんどすべて平和的解決です。私は、その平和の世論に基づいて今こそ日本が、平和的解決空爆をやめて国連のルールへ戻せ、こういうことを強力に主張すべきだと思うんです。外務大臣の見解を伺いたいと思います。
  131. 高村正彦

    高村国務大臣 日本政府とすれば、何らの政治的解決、見通しなくして、NATOに一方的に空爆を停止しろということは申しません。  ただ、先ほどから言っていますように、G8の中で平和解決のための国際社会国際社会と言っても英、米からロシアまでの統一ポジションをつくって、そしてそういう中で国連に戻して、国連の中で中国も入って解決してもらうように日本政府として努力をしてまいりますというのが日本政府立場でございます。
  132. 松本善明

    ○松本(善)委員 時間でありますので終わりますけれども、空爆を停止しなければ政治的解決条件は生まれないと私は思います。そして、それをやったら野放しになってもっとひどいことになる、これは答弁では言われますけれども、私はそうでないと。これは、客観的に事態を見れば、空爆を停止して合理的な条件で話し合えば解決できる条件が生まれているということを私は強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  133. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、伊藤茂君。
  134. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 コソボの問題につきまして多くの国民の皆さんが、この事態をどうとらえたらいいのか、早くどう打開したらいいのか、真剣な気持ちでおられるということだと思います。  私は、先ほど来さまざまの同僚議員の議論がございましたが、やはり大事なことは、こういうものの困難をどう乗り越えるのかというさまざまな努力をしながら、やはりベースにあるのは、アジアもそうですが、ポスト冷戦時代に発生をするさまざま深刻な地域紛争というものをどう解決したらいいのかというものの模索の過程の中での大きな試練ということではないだろうかというふうな気持ちがいたします。そういう気持ちを込めながら、さまざまのマスコミの社説とか主張などを読んでみましても、深い憂慮の念を込めながら、リーズナブルな早い打開ということを求めているわけであります。  そういう視点からして一つ関心を持っているんですが、先般、NATO創設五十周年記念首脳会議がワシントンで開催をされました。そのときに、前から提起されていた問題でございますけれども、NATOのいわゆる新戦略概念なるものが採択をされるということになったわけであります。詳細に全文を線を引っ張って読んでいるわけではないのですが、報道されたものにいろいろ目を通したり、また資料をいただいたりしながら読んでおりまして、私はこういう気持ちを持っております。  その新戦略概念の中で、第五条の事態以外もあり得るという規定をいたしております。これは域外行動ということを意味することは言うまでもございません。域外で発生をする、また我々の安全を侵す脅威に対しては行動をとる、もちろんですが、国際法に違反しない範囲でとか、さまざまな条件はもちろん置いてございます。その辺も読ませていただきました。また、域外活動、それらにつきまして国連安保理決議が必要というふうな明文の規定はございません。マスコミでこの論議の経過を見ておりますと、シラク首相さんなど、フランスなどといろいろ論争があったということも聞いているわけでございまして、その結果としてそのような表現が生まれているということだと思います。  私はそれを読みまして、やはり長い目で見て、あるいは基本的に望ましいのは、国連の機能がもっと強化をされて、また実効あるようにして、国連を中心にして国際的な合意が図られるという基本方向が大事ではないかと。それからもう一つは、軍事行動による紛争解決でない努力の追求ということをさまざまの局面を経ながらどう努力をしていくのか。国連の場でも、PKOその他、長い今までの今日の冷戦後の経過の中で、そういう役割あるいは予防戦争、紛争の事前の防止にはどうしたらいいのかという議論が真剣に起こっているということも私ども聞いているわけでありますが、そういう努力が必要ではないかというふうに思うわけであります。  そういうことを考えながら、特に新戦略概念というものについて、今言った域外あるいは安保理を必要としない行動という規定がございますけれども、これらについての考え方をどうお考えになりますか。大臣立場NATOでお決めになったことをいいとか悪いとか言いにくいというのは、それは考え方としてどうお考えになりますか、お伺いしたいと思います。
  135. 高村正彦

    高村国務大臣 委員も今最後におっしゃったように、我が国NATOの当事国ではない、有権的な説明を行う立場ではない。そういう上で、これまで収集した情報に基づけば、NATOの新戦略概念におきましては、国際の平和及び安全の維持に関しては国連安保理が主要な責任を持つことが明記されております。それから、集団防衛をNATOの基本的任務と位置づけつつ、欧州太平洋地域の平和と安定に寄与するため、紛争予防、危機対応を含む危機管理を新たにNATOの任務に規定しているわけでございます。  このように、NATOの新戦略概念は、冷戦終結に伴い直接的な大規模侵略の可能性が低くなる一方、地域紛争等の新たなリスクが増大したという認識もとNATOが欧州太平洋地域の平和と安定に貢献する必要があるとの見方を示したものと考えております。
  136. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 いずれにしても、ヨーロッパの場合にはワルシャワ条約機構軍という機構が消滅をいたしましたし、片やOSCEという共通の安全保障と申しますかそういう形が、アジアではありませんがヨーロッパでは形成をされている。そういう中でまたNATOの拡大という問題もある。そういうものがどういう方向をたどるのかということも私は非常に関心を持ちながら見詰めておりますし、また多くの国で社民党が政権をとっているということですから、友人でもございますからいろいろな意見交換もいろいろな意味でしてみたいというふうに思っておりますが、この新戦略概念につきましては、コソボ事態と重ねて報道、評論もされておりますし、今申し上げた点について懸念を私は感じたわけであります。  もう一つ懸念を感じましたのは、私の読みました範囲の中の文章では、欧州大西洋地域周辺という言葉がありまして、周辺という言葉ではっと思い出して連想したんですが、それからアメリカの方はどうしても、私の考えでは、世界のさまざまな部面で一方的行動と申しましょうか単独行動と申しましょうか、最初に軍事行動の旗を振ると申しましょうか、そういう傾きが強い。私は、我が国はやはりそれに対して一定の距離を置いて、国際社会の合意をどう形成するのかという態度をとるべきであろうというふうに思います。  今私が懸念として申し上げましたような周辺、域外あるいは安保理の決議を条件に必要としない、アジアでもそんなことがあってはならない、またあるべきではないというふうに思いますが、それ以上具体的なことは申しませんが、一般論としてどうお考えでしょうか。
  137. 高村正彦

    高村国務大臣 先ほど、欧州太平洋と私が言ったそうでありますが、大西洋の間違いでありますので訂正をさせていただきます。  この新戦略概念、後で、私のあれを補う意味で、政府委員にちょっと話させていただきたいと思いますが、日本政府として、これにどうだと、こういうことは言えないわけでありますが、私も、ちょっと聞いた話では、コソボの話はあくまで例外的なものであって、この新戦略概念とは関係ないんだというようなことを、シラク大統領が、これができた後に言っていたみたいな記憶がございます。
  138. 西村六善

    ○西村(六)政府委員 今先生がおっしゃられましたこの新戦略概念におきまして、周辺という言葉が使われているという御指摘でございますけれども、私どもの承知している限りにおきまして、周辺という言葉、それに該当する英語の言葉は見つからないのでございますが、先生がおっしゃられましたので、もう一度原文に当たって探させていただきたいと思います。  域外との関係で御議論をなさったわけでございますけれども、先生も御存じのとおり、ここで書いておりますことは、域外と申しましても、欧州及び大西洋地域ということであるわけでございまして、NATO諸国の非常に近傍の地域を意識しているということであろうというふうに私どもとしては解釈をしているところでございます。  それから、安保理事会の決議との関係をおっしゃられましたけれども、新戦略概念におきましては、NATO諸国は、これらの行動をとる場合に、国連安保理事会の権威ないしはOSCEという、別の組織でございますけれども、その責任のもとで行動することがあり得るということを述べているわけでございまして、法的な根拠として、NATOが好きなことを際限なくできるというような概念でもってこの新戦略概念をつくっているのではないのではないかというふうにうかがわれる次第でございます。
  139. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 若干見解は違いますが、幾つかの論評とか論文などでも、今日のコソボ事態は新戦略概念の一つの最初のアクションであるというふうな論文も読むものですから、そのような意味合いのことを申し上げたところでございます。  それから、大臣の人柄もありますからソフトに最初申し上げたのですが、国際的に見て、日本がきちんと言うべきこと、あるいは、ややいろいろあってもはっきり言うべきことは言う、それぐらいのことはあってもいいんだろう、ヨーロッパの首脳の場合なんかはしょっちゅうあることですからというふうに実は思っております。  それからもう一つ伺いたいのは、この空爆、これにつきましては、お話ございましたように、ミロシェビッチ大統領のとっている態度が許せない、国際的にも容認できないものは当然前提に置いての話でございますけれども、外務大臣いつも、やむを得ない措置として理解するという言葉遣いをなさっております。英語でどういうふうに報道されているのか知りませんが、やはりそれは、支持ではないけれども理解するということは、肯定的認識をするというのが大体普通の意味合いであろうというふうに思うわけでありまして、つまるところは容認、是認というトーンでとらえられているということだと思います。先ほども、その辺の認識の仕方は随分説明がございましたが、つまるところは容認、是認という気持ちになるのではないでしょうか。私はそれには反対ですけれども。
  140. 高村正彦

    高村国務大臣 どういう言葉に置きかえましてもいろいろ問題があると思いますが、理解するという言葉が一番日本政府立場をあらわすのにいい言葉だと思ってその言葉を使わせていただいております。  支持をしないわけでありますから、戦費を負担することはない、このこともはっきり申し上げているわけでありますが、日本政府立場はそういう意味ではかなりはっきりしているわけで、NATOの十九カ国はすべて支持をしているわけです。(伊藤(茂)委員「やっているんだから」と呼ぶ)いや、やっているんだからといって、空爆に参加していない国もありますけれども、すべて支持をしているわけで、日本政府は理解、こういうことでございます。
  141. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 どちらにしても、これは開始された時期と今とでの違いも非常に大きいと私は思います。  それは、難民が七十万に達したということが、空爆も大きな原因になっているというふうに言えるのかどうか私もはっきりはわかりませんが、やはり、そういう状況があることも事実だろうというふうに思います。  それから、誤爆の問題がございます。  中国側の表明がございましたが、間違えて撃った、それが、古い地図説明がいいのかどうかということも随分議論があるようであります。それから、大規模空爆をすれば当然やはり発生するということだろう。幾らピンポイントの技術が発達しているかどうかいっても、そういうものは必然的に発生するということではないかという指摘もございますし、何かベトナム化か泥沼化かという懸念もいろいろな方々が心配しているというのが状況でございます。したがいまして、一般的な空爆についての政府の理解の仕方と違った現実が日々深刻になっているという状況があるんではないか。  それだけに、G8の御努力は国際的にも好意的に評価されているわけですから、また、終わりの始まりという言葉遣いがいいかどうかは知りませんが、それをてこにして打開ができるように、それもまた新しい事件が起きましたから難しいんですが、ということを同僚議員の発言がございましたが、強く望んでおきたいというふうに思います。  それから、一つちょっと心配なことがありまして伺いたいんですが、クリントン大統領の外交演説、二月二十六日、サンフランシスコ、これは空爆の前ですからなんですが、まだランブイエとかパリとか努力が行われている過程だと思いますが、この中にこういう文章がございます。このコソボの問題ですね、ユーゴの事態。「今、有効な和平合意があれば、NATOコソボに部隊を展開して、紛争の両当事者が確信を持って武器を置くようにする態勢を整える必要がある。」ということがございます。  三カ月ぐらい前のことですから、G8のもちろん前ですから違いますが、私はやはり、NATO軍の地上、現地駐留ということを機械的に考えるということは非常に難しい。やはり、G8で合意した中身を、国連が中心になって、どのように最も適切な形あるいは適切な構造ができるのか、しかも、その中で、あの地域の将来展望の打開につながる形をどう考えられるのかということが今求められているということだと思いますが、二月のことなんですが、ちょっと大統領の外交演説にそんな文章があったものですから。どうお考えでしょうか。
  142. 高村正彦

    高村国務大臣 G8の外相会議でも一番問題になったところがセキュリティープレゼンス、安全保障のための国際的存在、プレゼンスをどういうものにするのかというのが一番問題になったところであります。  それについては、やはり国連の決議に基づくものであるというところまでは大体一致するわけでありますが、国連決議の中でしたものであっても、一部の国は、実態としてNATO中心だよ、こういうのと、それから、NATO空爆に参加したような国が入ったんじゃ、それはユーゴ側がうんと言わないだろうという国と、だから、その間はかなり広いんですが、いろいろな考え方がある、いろいろなあれがあると思うんですね。そういう中で、日本政府としても、G8の中でのどういうところに落としていくのかというようなことで努力すべき点はたくさんあるんだろう、こう思って、現にきょうもやっているはずでございます。
  143. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 日本が、そういう事態になった場合に、どのようないい貢献ができるのかというのにかかわりますので、注意深く私ども見ていきたいというふうに思います。  最後に一つ、沖縄サミットのことで伺いたいと思います。  具体的な中身のことは、時間がございませんので一言だけにいたしますが、沖縄でサミット首脳会議をどう成功させるのか、準備が開始をされる。ぜひ沖縄でいい成果と成功が期せられるように私も願っております。  実務的には、さまざまなことも、県も含めて大変だと思いますが、また外務省も大変だと思います。一年後、沖縄という場所で小渕総理が決断をされたということの意味合いはあると思うのですが、沖縄でどのように成功させるのかということを考えますと、やはり沖縄の現地が不満と紛争と騒然たる状況で成功はあり得ないので、やはりこの一年のうちに、沖縄のさまざまな深刻な諸問題の将来にどういう道筋か何かをつくるのかという努力が、実務的な準備と同時に政治的な努力が非常に大事なことだろうというふうに思います。  初めて正式にアメリカ大統領が沖縄を訪問されるということにもなるわけでありますから、そういうことについては全く報道がされておりませんので、その点を伺いたい。  なお、一つ注文なのですが、外務省、特に役所の対応については非常に不満を持っております。  つい先日、復帰二十七周年、恒例で、いわゆる革新側と申しましょうかの方々の集会が行われておりまして、きょうの午後、百名ほど代表団が上京するわけでありまして、いろいろなところに希望、考え方を申し上げたいということで頼まれましたので、今、アレンジをいたしております。  参議院議長もお会いになる。官房長官もお会いになる。防衛庁の方は政務次官がお会いになる。何か外務省の方は、課長クラスか審議官しか会えませんというような返事が先ほど参りまして、私は短い与党時代を思いましたが、やはり、政府というのは、政府の考え方にすぐ賛成される方でも、異論という意見をお持ちの方でも、いろいろな意見を聞きながら、よりよき方向になるようにするのが政治というものだろうというふうに私は思いまして、何たることだろうかという気持ちがしているわけであります。  これは外務省の対応のことですから、どうするのかは今答弁を求めるわけでありませんが、申し上げました沖縄サミットへの姿勢につきまして一言お伺いをして、終わりたいと思います。
  144. 高村正彦

    高村国務大臣 サミット首脳会合の開催地を決定するに当たりましては、沖縄には会議に必要な施設、環境が備わっていることに加え、沖縄の長い歴史の痛みと、稲嶺知事を初めとする県民の方々の熱い期待に小渕総理がこたえたものである、こういうふうに思っております。  沖縄でのサミット首脳会談は、二〇〇〇年という節目の年に当たり、二十一世紀に向けて、平和で豊かな国際社会を構築するための明確なビジョンを打ち出すとともに、せっかく沖縄という地方で初めて開くサミットでありますので、沖縄を世界に発信し、かつ、世界経済の活性化に役立つ機会にしたいと考えております。  政府としましては、米軍施設・区域の整理、統合、縮小の件でありますが、沖縄県の方々に長年にわたって大変な御負担をお願いしていることを踏まえて、普天間飛行場の移設問題等、SACO最終報告の実現に向けて、稲嶺知事を初めとする沖縄県の方々の御理解と御協力もと、引き続き最大限の努力をしていく所存でございます。  それから、私は、今のお話、知りませんでしたが、大抵、野党の先生方から御紹介があった場合でも、時間さえあれば私自身がお会いするようにしておりますし、きょう局長は参議院のガイドライン関連の公聴会で逆に沖縄に行っているということがあるというふうに私は認識して、そのことが関係しているのかどうかわかりませんが、役所の中ではよく言っておきたい、こう思います。
  145. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 終わります。
  146. 中馬弘毅

    中馬委員長 以上でコソヴォ問題についての質疑及び討議を終わります。      ————◇—————
  147. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣高村正彦君。     —————————————  拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  148. 高村正彦

    高村国務大臣 ただいま議題となりました拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、昭和五十九年十二月にニューヨークで開催された国際連合総会において採択されたものであります。  この条約は、公務員等による拷問を防止するため、各締約国がこれを刑法上の犯罪とするとともに裁判権を設定すること、そのような犯罪を引き渡し犯罪とすること等について規定するものであります。  我が国がこの条約を締結することは、国際的な枠組みにおいて人権の保障を促進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  149. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十五分散会