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1999-03-19 第145回国会 衆議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十九日(金曜日)     午後一時二十六分開議   出席委員    委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 上原 康助君 理事 玄葉光一郎君    理事 赤松 正雄君 理事 東  祥三君       岸本 光造君    河野 太郎君       阪上 善秀君    櫻内 義雄君       中谷  元君    深谷 隆司君       細田 博之君    村田 吉隆君       八代 英太君    吉川 貴盛君       上田 清司君    川内 博史君       中野 寛成君    藤田 幸久君       斉藤 鉄夫君    坂口  力君       山中あき子君    井上 一成君       藤井 裕久君    古堅 実吉君       松本 善明君    伊藤  茂君  出席国務大臣         外務大臣    高村 正彦君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      小松 一郎君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    上田 秀明君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 東郷 和彦君         農林水産省構造         改善局長    渡辺 好明君         食糧庁長官   堤  英隆君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      樽井 澄夫君         外務省中近東ア         フリカ局長   天江喜七郎君         大蔵省国際局次         長       中井  省君         外務委員会専門         員       宮本 吉範君 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   瓦   力君     村田 吉隆君   深谷 隆司君     岸本 光造君   川内 博史君     上田 清司君   坂口  力君     斉藤 鉄夫君 同日  辞任         補欠選任   岸本 光造君     深谷 隆司君   村田 吉隆君     瓦   力君   上田 清司君     川内 博史君   斉藤 鉄夫君     坂口  力君 三月十七日  国際通貨基金協定の第四次改正受諾について承認を求めるの件(条約第三号)  アフリカ開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件(条約第四号) 同月五日  米軍基地撤退等に関する請願土井たか子紹介)(第九五六号)  核兵器完全禁止核廃絶国際条約締結に関する請願横光克彦紹介)(第九五七号)  米軍基地縮小撤去武力によらない安全保障に関する請願畠山健治郎紹介)(第九九四号)  同(畠山健治郎紹介)(第一〇〇九号)  同(保坂展人君紹介)(第一〇一〇号)  同(横光克彦紹介)(第一〇一一号)  同(畠山健治郎紹介)(第一〇二二号)  同(濱田健一紹介)(第一〇二三号)  同(横光克彦紹介)(第一〇二四号)  同(土井たか子紹介)(第一〇三八号)  同(畠山健治郎紹介)(第一〇三九号)  同(畠山健治郎紹介)(第一〇五五号)  同(保坂展人君紹介)(第一〇五六号)  同(畠山健治郎紹介)(第一〇七七号)  同(保坂展人君紹介)(第一〇七八号)  WTO協定WTO衛生植物検疫協定の改定に関する請願藤田スミ紹介)(第一〇七六号) 同月十二日  憲法の理念に基づく自主的な外交に関する請願保坂展人君紹介)(第一一七〇号)  米軍基地縮小撤去武力によらない安全保障に関する請願(辻元清美君紹介)(第一一七一号)  同(保坂展人君紹介)(第一一七二号) 同月十八日  核兵器完全禁止核廃絶国際条約締結に関する請願石井啓一紹介)(第一三〇六号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  国際通貨基金協定の第四次改正受諾について承認を求めるの件(条約第三号)  アフリカ開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件(条約第四号)     午後一時二十六分開議      ————◇—————
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  国際通貨基金協定の第四次改正受諾について承認を求めるの件及びアフリカ開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  政府から順次提案理由説明を聴取いたします。外務大臣高村正彦君。     —————————————  国際通貨基金協定の第四次改正受諾について承認を求めるの件  アフリカ開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 高村正彦

    高村国務大臣 ただいま議題となりました国際通貨基金協定の第四次改正受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この改正は、平成九年九月に国際通貨基金総務会承認されたものであります。  この改正は、特別引き出し権配分額国際通貨基金加盟国間で衡平なものとするために特別引き出し権特別配分を行うことを目的とするものであります。  我が国がこの改正受諾してその早期発効に寄与することは、国際通貨基金における我が国国際協力を推進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この改正受諾について御承認を求める次第であります。  次に、アフリカ開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この改正は、平成十年五月にアフリカ開発銀行総務会承認されたものであります。  この改正は、アフリカ開発銀行加盟国出資比率総務会議決要件等を変更することを目的とするものであります。  我が国がこの改正受諾してその早期発効に寄与することは、アフリカ諸国に対する経済協力に一層貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この改正受諾について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  4. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。
  6. 河野太郎

    河野(太)委員 河野太郎でございます。大臣、よろしくお願いいたします。  まず、アフリカ開発銀行を設立する協定の件でございますが、現在、アフリカでいろいろな事態が生じております。例えば、エリトリアとエチオピアの間で今や内戦状態になっております。この両国紛争調停のテーブルに着かせるために、日本政府はこれまでどういった面でリーダーシップをとってきたのか、あるいは、どういった面でこれからリーダーシップをとろうとされているのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  7. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国は、昨年五月の両国間の武力衝突発生以来、両国に対して、紛争を平和的に解決するよう申し入れを繰り返し行ってまいりました。また、紛争の悪化が懸念された本年二月初めには、平和解決を求める総理親書とともに、青木アフリカ紛争問題担当大使両国に派遣し、両国外相に対し、直接、話し合いによる解決を強く求める働きかけを行いました。  残念ながら、両国間の戦闘が再開し、停戦はいまだ実現しておりません。  我が国といたしましても、本件紛争が、両国のみならず、すべてのアフリカ諸国開発にとって不可欠である平和に悪影響を及ぼすことを懸念しております。  今後とも、注意深く紛争の推移を見守り、国連及びアフリカ統一機構、OAUなど、国際社会調停活動と歩調を合わせながら、当該紛争平和的解決を求めていく所存でございます。
  8. 河野太郎

    河野(太)委員 現在、エチオピア政府日本国政府に対して、日本にもっとこの件でリーダーシップをとっていただきたいという要請が来ております。これは、政府に対する要請のみならず、我々立法府のメンバーにも、エチオピアの大使館その他を通じて、この問題に日本政府が取り組んでほしい、そういう要請が来ているわけでございます。どうも日本政府がやっているという認識と当事者が受けている認識が少し違うのではないかという気がしてなりません。これは私の個人的な感想ではございますが、どうも今の日本国政府アフリカに対する取り組み方というのは、余り国際社会の中でリーダーシップをとっていこうというようではないような気がしてなりません。  そういう状況の中で、今回のアフリカ開発銀行に対する日本出資額域外諸国の中で第二位の高額になっております。アフリカとの歴史的な関係あるいはアフリカとの地理的な距離、そうしたものを考えると、かつてアフリカ植民地を多く持っておりましたイギリスフランス両国がもっともっとこのアフリカ開発に関してコミットをしていかなければいけないんだろうと思うのですが、遠く離れた日本、歴史的に見てもイギリスフランスと比べアフリカとの関係の希薄な日本英仏両国のコミットメントを上回る出資をする必要がどこにあるのか、御説明をいただきたいと思います。
  9. 中井省

    中井説明員 お答えいたします。  御指摘のございましたとおり、今回の増資におきまして、我が国シェアは八・二%でございます。これに対しまして、ドイツは六・二%、フランスは五・六%、英国が二・五%となっておりまして、我が国の今回の増資における出資シェアは米国に次いで第二位となっている次第でございます。  これは、若干経緯をさかのぼることになろうかと思いますが、八三年にアフリカ開発銀行発足しました際に、域外国先進国間の負担割合、バードンシェアリングにつきましては各国GNP総額シェアを参考にして決めるということで、過去累次の増資においてそういう対応をとってまいりました。しかしながら、現在の状況を見ますと、すべてGNPに比例しているということにはなっておりませんで、例えば、イギリスGNP日本の約五分の一でございます、それからフランスGNP日本の三分の一でございますけれども、GNP比に対する出資額を見てみますと、イギリス日本に対して一・四倍である、それからフランスは約二・三倍というふうになっておりまして、ある意味ではそういう関係も若干加味されたようなことになっております。  ただ、こういう経緯でございますし、それから我が国といたしましても、世界第二の経済大国であるということの国際的な貢献という面もございますので、いろいろな御意見おありかと存じますけれども、こういうシェアでやむを得ないのかなと思っている次第でございます。
  10. 河野太郎

    河野(太)委員 GNP割合による日本出資については、後でまた別な面で御質問をさせていただきたいと思います。  それでは、きょう現在、日本政府全体として、このAfDB加盟アフリカ諸国に対する日本からのODA総額国別に把握しておりますでしょうか。平成九年実績、十年の実績見込み、そして来年度の予算額日本政府全体、トータルとして、たしか加盟国五十三カ国だったと思いますが、五十三カ国にそれぞれ幾らずつODAが出ているのか、これを外務委員会提出することができますでしょうか。
  11. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 アフリカ開発銀行加盟五十三カ国に対します我が国ODA年度別供与額につきまして資料提出することはもちろん可能でございます。  現在集計が済んでおります一番新しいところで、平成九年の国別実績ができております。総額は約一千百五十二億円でございます。平成十年度の実績につきましては集計中でございます。  いずれにしましても、集計済みのものにつきましては提出をさせていただきたいと思います。
  12. 河野太郎

    河野(太)委員 平成十一年度予算についてはいかがでございますか。
  13. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 我が国予算の作成におきまして、あらかじめこの国に対して二国間ODAを幾ら供与するという国別積み上げ方式我が国としてはとっておりません。実績としてあらわれてくるものを集計いたしまして、整理をいたしております。
  14. 河野太郎

    河野(太)委員 それでは、本日、外務委員会あてに、現在ある最新の数字を御提出いただきたいと思います。  AfDBには日本から理事その他を出向させていると思いますが、これまでに、AfDB設立以来、一体日本から何年間に理事が何人送られたのか、それぞれの理事就任時の年齢及びどこの役所の方で、入省後の年数はどうなっているのか、教えていただきたいと思います。
  15. 中井省

    中井説明員 お答えいたします。  八三年の発足時以来、現在に至りますまで、大蔵省からAfDB理事として計八名が派遣されております。すべて大蔵省職員でございます。  その職員理事就任時の年齢でございますが、三十歳が二名、三十一歳が五名、三十二歳が一名。  それから入省後の年数でございますが、九年経過した者が五名、十年経過した者が三名でございます。
  16. 河野太郎

    河野(太)委員 今教えていただきました就任時の年齢をほかの世界銀行あるいはアジア開発銀行その他に送られている理事年齢と比べると、どのようになりますでしょうか。
  17. 中井省

    中井説明員 お答えいたします。  世銀それからアジ銀等に過去送られました理事年齢等につきまして、私すべて記憶しているわけではございませんけれども、現在行っております世銀理事は五十ちょっと過ぎだと思います。それから、アジア開発銀行につきましてはたしか四十代半ばということで、大体このぐらいの年齢の者が行っているということでございます。
  18. 河野太郎

    河野(太)委員 世銀並びにアジ銀理事年齢と比べて、AfDBにこれまで送られている理事年齢が極端に若いように思われますが、これはいかなる理由からでございますか。
  19. 中井省

    中井説明員 お答えいたします。  ここのアフリカ開銀につきましては、非常に重要なポイントの一つとしまして、アフリカ各国の歴史上の問題等がございまして、英語だけではなく、フランス語の語学という点についても相当の能力がなければ務まらないというふうな事情がございます。  発足時等の状況を勘案いたしますと、どちらかといいますと、大蔵省におきまして、若手において、フランス語、英語両様話すことができるという人材が豊富であった、豊富というほどまでいるということじゃございませんが、層が厚かったというようなことがございます。  それから、こういうことを申し上げてどうかと思いますけれども、アフリカ当該国につきまして、かなりタフな環境条件、それから仕事におきましても相当厳しいものがございます。若手相当タフで優秀な人材を送っているということでございます。  なお、理事については、決して日本だけで選ぶということではございませんで、AfDB総務会において、選挙という手続を経ております。そういうところでも十分評価されているということでございます。
  20. 河野太郎

    河野(太)委員 余り納得いく御説明でございませんので、後で質問主意書で改めてお聞きさせていただきたいと思います。  すべて理事大蔵省から出ているということでございますが、どうも、各国際開発銀行を見ておりますと、理事のほとんど、ほとんどといいますか、すべてと言ってもいいのかもわかりません、理事大蔵省から出ているようでございます。  JSF日本・スペシャル・ファンドというのが世界銀行日本から出資されておりますが、これをめぐる内部汚職がございました。この汚職が発覚したのは全く偶然によるわけでございますが、おかしなことがあるということを偶然発見した人間による内部告発でございます。これがわかったのは昨年のことでございます。  ことしに入りまして、私は、大蔵省に、なぜこの問題が発覚したのかというお尋ねをしましたところ、ことしの時点大蔵省担当課長さんは把握されておりませんでした。内部告発を行われた方は、まず、JSFであるということで、日本理事に対してこの内部告発を行ったわけでございますが、アクションがないために別の部署に持っていった、そんな話も聞いております。  この世銀汚職の問題、内部告発があった後、日本理事がどのように対処したのか、時系列的に詳しく教えていただきたいと思います。
  21. 中井省

    中井説明員 お答えいたします。  御質問の、内部告発があった、それを理事が受け取ったというような報告は、実は我々の方には来ておりません。我々がこの問題を認識いたしましたのは、昨年の七月十五日に、世界銀行ウォルフェンソン総裁世銀職員による不正に関する内部調査進行中である旨を全職員向けに発表したことにより明らかになったものでございます。  これにつきまして、我が国からは、この中に日本特別基金にかかわる者も含まれていると報じられていましたことから、七月二十九日に、世銀日本代表理事よりウォルフェンソン総裁あてに、事実関係早期解明及び可能な限り早い段階での情報開示を求める書簡を発出いたしました。  世銀は、九月四日におきまして、内部調査を進める中で、二人の職員信託基金の執行に際し不正があったとの理由で解雇したとの発表を行いましたが、その時点では、詳細な情報については内部調査進行中であることを理由に明らかにしませんでした。  その後、我が国からは、十月一日及び十月十六日に、重ねて理事から、事実関係早期解明と可能な限り早い段階での情報開示等を求める書簡を発出しております。  十一月十七日に至りまして、世銀は、内部調査がほぼ終了したとしまして、日本政府が拠出する信託基金から個人的利益のために約十一万ドルを不正使用した職員がいたことを確定したこと、日本信託基金に生じた損失を弁済したこと等のプレスリリースを行いました。  この間我が国は、今回の事件を契機に、日本特別基金運営について幅広い見地から見直すこととしまして、世銀との協議を行いました。その結果、世銀内に特別監視ユニットを設立すること、各実施担当総裁による信託基金運営の監督を強化すること、情報公開の一層の充実を図ることといった措置をとることで世銀と合意いたしました。世銀は、これらの措置について、本年二月公表を行っております。  大蔵省といたしましては、これらの措置実施によりまして、日本特別基金の一層適正かつ厳正な管理運営に努めてまいりますとともに、引き続き、可能な限り情報開示を行うよう世銀に対し働きかけているところでございます。
  22. 河野太郎

    河野(太)委員 それでは、世銀内部調査の結果、その他資料一式外務委員会に御提出をいただきたいと思います。  さらに、このJSFの問題に関しましては、このJSFの決定に携わっている人間が極めて限られている。ほとんど日本人であり、ほとんどが大蔵省から出向した人間である。ここに問題の大きな一端があるのではないかと思います。JSFの使われ方を決定する際に、大蔵省以外の、日本人以外の人間が必ず決裁権限を持ったどこかのレベルに入ること、そして、この国際開発銀行日本政府を代表して送られる理事は、そろそろ大蔵省以外の人間を送る必要があるのではないかと思います。これは、単に国際金融の問題ではなく、日本政府がお金を出しているにもかかわらず、その金が正当に使われていないという外交政策の問題でもあると思います。  外務大臣に、このあたりについてのお考えをお伺いしたいと思います。
  23. 高村正彦

    高村国務大臣 まさに、委員指摘のとおりでございますから、そういう意味で、今後、遺漏なきを期するために、外務省一体となって、あるいは日本政府一体となってきちんとやってまいりたい、こういうふうに思っております。
  24. 河野太郎

    河野(太)委員 それでは、今申しましたように、日本人以外、大蔵省以外の人間JSF決裁にかかわること、そして、理事の派遣に当たりましては、大蔵省一つの省に偏るということがないように日本政府挙げて取り組んでいただきたいと思います。  さて、先ほど、AfDBに対する日本出資GNPに基づいて当初決められていたという御回答がございました。同じようなことが、実は国連分担金についてもそのようなことが行われております。  現在、日本国連に対する分担金支払い割合は、アメリカの二五%を除けば、ほかのどの国よりも断然多い二割近い金額を払っているわけでございますし、アメリカを除く常任理事国の支払っている分担金すべて足しても日本一カ国が払っている分担金に及ばない、こういう異常な事態が続いております。そろそろ、こうしたアンバランスを直す努力を日本政府としても始めていかなければいけないと思います。  まず、外務大臣にお伺いをいたしたいのは、日本は二〇〇二年に安保理の非常任理事国に立候補する権利があると伺っておりますが、二〇〇〇年にもう一度日本安保理の非常任理事国に立候補する意思があるのか。日本以外にアジア地区の枠から非常任理事国に立候補の意思のある国はどこか、まずお伺いをしたいと思います。
  25. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 二〇〇〇年の安保理常任理事国選挙我が国として立候補することは予定しておりません。現時点で、二〇〇〇年の非常任理事国選挙には、アジアグループからはシンガポールが立候補していると承知いたしております。
  26. 河野太郎

    河野(太)委員 二割の分担金を払っている日本が二〇〇〇年に立候補しない理由は何でございましょうか。
  27. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 日本といたしましても、なるべく非常任理事国として安保理に席を持っているということが意義のあることであるということは十分承知しているわけでございますけれども、例えば、年によってはアジアグループアフリカグループ議席の交代でアラブ諸国に割り当てるいわゆるアラブスイングシートの年があったり、それから、アジアのいろいろな国の間での話し合いということを通じて協力を求めてきている、そういう経緯もあったりいたしまして、全体的に、総合的に勘案いたしまして、今、二〇〇〇年の選挙に立候補する予定はないということになっております。
  28. 河野太郎

    河野(太)委員 アジアにも日本以外に多くの国があり、そうした国との友好関係、あるいはアジア一つにまとまって何か発言をするということも当然必要なことでございますから、日本が非常任理事国の枠を独占するわけにはいかないのだろうと思います。その点は非常に理解ができます。  そうしますと、日本としては、何とか安保理改革を実現し、常任理事国にならなければいけないということだろうと思いますが、どうも、日本と一緒に常任理事国入りを目指していたドイツ安保理常任理事国入りに関する基本姿勢が変わってまいりました。一体これはどういう背景があるのか、あるいは日独首脳会談ではどのような話がドイツ側からあったのか、少し詳しく教えていただきたいと思います。
  29. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 昨年十月にドイツの新政権発足したことを受けまして、我々といたしましても、この政権安保理常任理事国入りに関する立場について、今、深い関心を持って見ているところでございます。  結論をちょっと先に申し上げますと、新政権立場を見きわめるにはいま少し時間が必要かなと考えておるところでございます。  ドイツ常任理事国入りについての立場が変わったということが報道でも取り上げられているわけでございますが、新政権発足前に、連立政権を組む社会民主党と緑の党との間で策定された連立協定では、地域間の均衡を一層図る観点から安保理改革が行われ、基本的に優先されるべきものであるところの安保理における欧州議席が達成されない間において、独としては常任理事国となる機会を利用する、こういう記述がございます。我々の方でも、ドイツ政府に対して新政権立場というものを緊密に照会しているわけでございますが、事務レベルでは、常任理事国入りを目指すというドイツの基本政策に変更はないのである、こういう説明をしてまいります。  そして、御質問にございました一月の総理訪欧の機会に行われた日独首脳会談では、国連改革に関して日独が協調して取り組んでいくべきことが確認されましたが、そこでの具体的なやりとりの内容については、今申し上げた以上にここで敷衍することはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、ドイツは、安保理改革を含む国連改革を考える上で非常に重要な影響力を持つ国であるという実態は変わっておりませんので、その考え方については、緊密な協議を通じて今後も注意深くフォローして、我々なりの分析を行いたいと考えております。     〔委員長退席、森山委員長代理着席〕
  30. 河野太郎

    河野(太)委員 そろそろ日本政府としても何かしらのアクションを起こさなければいけない、日本としても断固たる決意を世界に示さなければいけないと思っております。  さて、国連には、義務的な分担金のほかに、任意で支払っている拠出金があると思いますが、日本国連に対する任意拠出金の額は、平成九年度実績平成十年度見込み、平成十一年度予算、どのように推移しておりますか、額を教えていただきたいと思います。
  31. 上田秀明

    上田政府委員 お答えいたします。  総会決議等によって設立されております国連の下部機構、それらに対します拠出金、平成九年度四百七十一億円、平成十年度四百五十八億円、平成十一年度予算では四百六十三億円というふうに予定しております。
  32. 河野太郎

    河野(太)委員 私は、日本が政策的に変化させられるこうした拠出金を少しそろそろ有効に活用して、世界に日本の決意を示さねばいけないんではないかという考えを持っているところでございます。  さて、先ほどから話題になっておりますアフリカ開発銀行域内加盟五十三カ国のうち、昨年、イタリアが動きを見せました、安保理改革の枠組み決議案をおくらせる、あるいは枠組み決議案の成立を妨げるような決議案がございますが、このイタリア提出の決議案を支持する、あるいは支持しているAfDB加盟国はどこであるかお答えをいただきたいと思います。
  33. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 イタリア等が国連総会に提出いたしました決議案に対して、アフリカから、チャド、コンゴ民主共和国、エジプト、赤道ギニア、ガンビア、リベリア、リビア、シエラレオネ、スワジランド、それからジンバブエ、この十カ国が共同提案国となっております。  この決議案については、日本を含む改革を推進しようとするグループの諸国が修正提案を出しまして、協議の結果、最終的には双方の案が撤回されて、新たな決議がコンセンサスで採択されることになりましたので、イタリア案の共同提案国となった以上の十カ国に加えて、イタリア決議案そのものに賛同する国がどれほどあったかということは結局実証されることのないままでしたので、そこはつまびらかにいたしません。
  34. 河野太郎

    河野(太)委員 少なくとも日本外交の大きな目的といいますか、日本外交目的を達成するための重要な手段の一つである国連安保理改革を妨げるような動きを見せているこうした十カ国に対しては、日本は何らかの強いメッセージを送る必要があろうかと思います。  こうした十カ国に対するODAの取り組みは、十一年度でどのように扱われるつもりか、外務省のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  35. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 大変明確な御指摘をいただいたわけでございますけれども、これらの国の態度は、要するに、安保理改革についてまだ合意が得られていない、それは、改革全体の具体的なあり方についていろいろな国の意見が収れんした、しないということによるものであって、日本常任理事国入りに対して反対したということでは多分ないという要素もあろうかと思います。  そして、確かに、イタリアなどが提出した決議案の中には安保理改革に対して消極的な要素というものがあったことは事実でございますけれども、この決議案が、こういった国々の離反を招かないように、安保理改革の手続面に絞って取り上げるという体裁をとっていたり、それから、こうした国々が反対しにくい非同盟のコミュニケの表現をそのまま取り入れていたということもあったのではないかというふうに考えます。  そういうことでございまして、いずれにいたしましても、安保理改革の推進という観点からODAをどういうふうな手段として用いるのか、そういう考え方をとるべきであろうかということについては、慎重にその適否を考える必要があろうかと存じます。
  36. 河野太郎

    河野(太)委員 ありがとうございます。  三号条約、四号条約につきましては、先ほどお願いをいたしました幾つかの国際開発銀行に対する日本からの人事その他の問題を政府がきちんとフォローしていただくということで、承認をしたいと思います。  ただし、国際開発銀行から私のもとに電子メールその他によって、これは一つ国際開発銀行だけではございません、複数の国際開発銀行日本理事の経費支出の中のミスレニアスという項目が異常に金額が大きいのではないかという御指摘を、これは恐らく内部の方ではないかと思いますが、ちょうだいをしております。これはまた改めて外務委員会でこの問題を取り上げて質問させていただきたいと思いますが、今回は、質疑時間が終了しましたので、この辺で終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  37. 森山眞弓

    ○森山委員長代理 次に、上田清司君。
  38. 上田清司

    上田(清)委員 民主党の上田でございます。  与党席が寂しいので元気がいま一つ出ませんが、インマルサット条約改正並びにIMFの改正、またアフリカ開発銀行を設立する協定改正等については、基本的には賛成の方向で、私どもも大いに頑張っていただきたいというふうに思っておりますので、この件についてはまたいろいろな形で審議もあるかと思いますので、私が少し関心を持っていることについて、外務大臣を中心に質疑をさせていただきたいと思っております。  昨年のインドネシアにおける我が国の米支援について、きっちりとした形がどうもできていないのではないかという疑念が私にはありますので、その点についてお伺いしたいと思います。  まずお伺いしますが、インドネシア米支援の一次五十万トン、追加二十万トン、現地に到着しておりますか。
  39. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 お答えいたします。  五十万トンにつきましては、既に到着しております。追加二十万トンにつきましては、物は港に到着しておりまして、ただいま荷揚げ中でございます。
  40. 上田清司

    上田(清)委員 第二次については一月中に到着だという説明を私は以前に聞いておりますので、また改めてその辺は確認させてもらいたいと思います。  それから、無償協力の五万トン分、円借款分の二十万トン分も、インドネシア政府として確保されましたか。
  41. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 無償で供与いたしました部分につきまして五万トン、インドネシアに到着をいたして、既に配布を了しております。失礼しました。今のは、国連の世界食糧計画分の四万トン分でございますが、これはインドネシアに到着し、そのうち約三万トンにつきましては既に配布を済ませております。それから、二国間でタイ米の約一万トンを供与する予定になっておりましたが、二月下旬にインドネシアに既に到着をいたしております。
  42. 上田清司

    上田(清)委員 正確に答えておられません。円借款分についてはどうなんですか、二十万トン分。
  43. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 円借款の利用によります二十五万トンにつきましては、インドネシアが既に手配をしているというふうに承知しております。正確に、すべてについてインドネシアの港に到着済みであるかどうかというところまではちょっと確認いたしておりませんが、既に購入の手配は済ませておるというふうに承知しております。
  44. 上田清司

    上田(清)委員 外務大臣にも申し上げたいんですが、一月六日に、インドネシアに送った米が放出されていないという報道がございました。当時、私も二月に別の会議でインドネシアに行く機会がございましたので、二月十三日の時点で九千七百トン、つまり七十万トンのうちの一万トンにも満たない部分しか放出されていなかったという現実がございます。そういう状況があったわけでございますし、二月七日の外務次官の定例記者会見の中で、放出状況について現地大使館を通じて追っかけたいという意向が次官の定例記者会見でも述べられたわけですから、もちろん一義的にはインドネシア政府の責任でありますけれども、外務省の事務次官が定例記者会見で言われた以上は、当然、現地の状況がどうなっているかということについては明確に把握していただきたいというふうに私は思っているんです。  まず、とにかくFAOから合同調査で出た五百十四万トン必要だということに関して、六百万トンぐらいインドネシア政府がさまざまな形で調達したと聞いておりますが、この正確な数字の把握というのはできているんですか。
  45. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 お答え申し上げます。  十二月末現在の数字でございますが、インドネシアに対し外国から搬入しました米は、五百九十四万トンでございます。内訳は、タイから百七十六万トン、ベトナム百八十七、中国百二十五、パキスタン五十二、台湾一万八千トン、ミャンマー六万トン、米国四千トン、我が国からは、その時点では四十六万トンでございます。  以上でございます。
  46. 上田清司

    上田(清)委員 わかりました。  それで、現時点でというか一番直近で、日本の貸付米、七十万トン分がどのくらい放出されているのか、数字を明らかにしてほしいと思います。
  47. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 お答えいたします。  結論から申し上げますと、約十万トンの放出、配布が終了いたしております。現在では、インドネシア政府も、配布状況、放出を大変一生懸命やっておりますので、大体一週間に二万トンの割合で配布をいたしておりますが、この趨勢も増加しております。
  48. 上田清司

    上田(清)委員 日本政府が、意外に放出されていないということを知ったのはいつですか。
  49. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 お答えします。  日本米の放出が始まりましたのが、十一月の前半、初旬でございます。私どもが予期したような形ではどうも事が進んでいないということを十二月中旬ぐらいには承知いたしておりました。
  50. 上田清司

    上田(清)委員 第二次の追加支援を決定したのはいつですか。
  51. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 お答え申し上げます。  追加政府米二十万トンの政府貸付米に係りますENは、十二月の十八日に締結いたしております。
  52. 上田清司

    上田(清)委員 そうすると、調印されたのは十二月の二十四日ですね。これは間違いありませんか。
  53. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 そのとおりでございます。
  54. 上田清司

    上田(清)委員 外務大臣、今、下旬に支援米が放出されていないという状況がわかった、にもかかわらず追加支援で二十万トンを送る手配をしたということであります。このときに少したがをはめるとか、何が原因で放出がされないのか、こういった点について当然明らかにされていくべきではないかというふうに私は思っておりますが、そのことが行われたのかどうか少し気になっておりますけれども、どういう形で調印され、そしてなぜ放出されないのかというのは、この時点で確認されませんでしたか。
  55. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 我が方といたしましても、放出状況の加速ということについては大変重要であるという思いがございましたので、その時点で、我が方の川上大使から先方の所管の大臣に対しまして、加速の要請、それからなぜおくれているのかという原因の究明等は行っております。
  56. 上田清司

    上田(清)委員 だから、どういう結果だったんですかということを聞いているんです。
  57. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 お答えします。  インドネシア政府説明によりますと、一つは、市場の需給関係につきまして、いろいろ変動がございますけれども、せっかく日本からいただいた支援米でありますから、最も効率的に使わせていただきたいということで、やはりその辺を見ながら、最も効率的に使える道を模索しておりましたということでございます。ただ、ちょうどその時期がインドネシアの米の収穫期に若干重なったということもございますので、少し様子を見ていたというのが一点でございます。  それから二点目は、やはり国内の輸送の問題も若干ございますものですから、そういう面での打ち合わせ、調整にも若干時間がかかっていたということでございます。  ただ、いずれにしましても、早期に放出するということは先方の約束でございまして、その面に向けて最大限の努力をしたいということもまた同時に言っておりました。
  58. 上田清司

    上田(清)委員 現実に諸外国から約六百万トン調達をされたわけでございますし、現在どの程度放出されているか、今の時点でわかりますか。六百万トンのうち、どのくらい放出されたか。
  59. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 お答えいたします。  その数字につきましては、手元にございませんので、至急調査の上御報告したいと思います。
  60. 上田清司

    上田(清)委員 事前にお聞きはしていたのですが、間に合えばということで確認をとっておったところですが、間に合わなかったみたいですが。  つまり、日本のお米が七十万トン出されて、二月十三日の時点まで一万トン弱、七十分の一しか放出されていない。諸外国から六百万トン集まっている、それも放出されているわけですけれども、なぜ日本のだけが放出されないのか、こういう問題が実は読売新聞なんかの報道でもあったわけですけれども、一つは、この七十万トン中十万トン分だけしか精米されていなかった、したがって、精米能力もないので放出されないのではないかという議論も出ております。しかし、精米能力はあるということを確認した上で送ったというふうなお話も事前に私は聞いております。  そこで、私も実は現場のジャカルタ市内の、八十八倉庫がある五万トン分の倉庫のところを見てまいりました。そこには、もちろん山積みをしておりまして——事務局の方、済みませんが大臣にちょっとこれをお見せください。現場の精米能力を聞いてみたのですね、五万トン分をどのくらい処理ができるかということを。そうすると、一日二百五十トンだと。これでフル稼働して二百日。しかし、御承知のとおり、インドネシアでは、土日どころか金曜日の午後から休みだということでございまして、したがって、どう考えても三百六十日、一年はかかる。その倉庫ではこの五万トンの精米を今もしております。運び出しは全然やっておりません。それを二月十三日に私は確認をしておりますが、ぬかのところに米食い虫もしっかりおりまして、相当量が確認できたような次第ですけれども。  この精米能力についての理解というのは、日本政府はどういうふうに理解されていたのか。
  61. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 お答え申し上げます。  主に玄米で支援米をインドネシア側の方に供与いたしましたが、当然この前提には十分インドネシア側との協議を踏まえまして、インドネシア政府の同意を得た上でこういう形でやっております。  一つは、大変緊急性があったということもございますが、同時に、インドネシア政府としても、自分の国で精米が可能であるという判断を私どもに示しまして、最終的にはそういう結論に達したわけでございます。  インドネシアの精米能力につきましては、先生も御案内のとおり、インドネシア人は古来から米を食べて生きておる国民でございまして、確かに日本のように大型工場というのはそれほど目立ちませんけれども、各村落にはそれぞれ十分な精米の能力を持っているというふうに私どもは報告を受けております。
  62. 上田清司

    上田(清)委員 しかし、今私が申し上げましたように、ジャカルタ市内のその倉庫群八十八、そして五万トン分、ここでの消化能力は一日二百五十トンですよ。一年かかりますよ。二月、三月の端境期が絶対的に必要だということで二十万トン追加をしたわけですから。しかし、現実にそういう倉庫があるということも事実で、そこでその五万トン分は消化すると、私は工場長から、まあ倉庫長というのでしょうか、確認をしてまいりましたよ。  本当に精米能力があるというふうに確認をされたのですか。インドネシア政府はそう言っておりますけれども、日本政府としての確認は済んだのですか。
  63. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 お答え申し上げます。  先ほど来御答弁申し上げましたように、玄米の形態でインドネシアに送るということにつきましては、当然ながらインドネシア政府の同意を得た形で行っております。  先生御指摘のように、精米の能力が本当に大丈夫かということにつきましては、政府といたしましても当然非常に大きな関心を持っておりましたので、大使館を通じまして先方の関係機関に幾度となく確認をいたしております。
  64. 上田清司

    上田(清)委員 確認した結果を聞いているのです。
  65. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 お答えいたします。  ああいう国でございますので、きっちりとした統計というのは、正直申し上げて実はなかなか難しゅうございますけれども、私どもが得ております能力につきまして御報告いたしますと、一時間当たり三千キログラム以上処理できる大型精米機が三千四百台、それから中型精米機、一時間当たり七百キログラムから三千キログラムの処理能力があるのが二万六千三百台、その他時間当たり七百キログラム前後でございますが、これが五万一千六百台、合計八万一千三百台という、これは多少ラフな数字でございますが、そういう報告を受けております。
  66. 上田清司

    上田(清)委員 審議官、先ほど御回答いただきましたように、日本政府からもきちっと大使館を通じて、ちゃんと放出しなさいということで、一週間ベースでこれから二万トン、そうすると一カ月に八万トンですね。しかし、一月十三日に向こうのラメラン産業貿易相兼食糧調達庁長官が服部公使に会って、ちゃんとやりますと言って、十五日に、一月から三月末までに十七州で毎月十七万トン地方政府に引き渡す計画を日本政府に通告しているわけですよ。これが通告したペーパーですね。ちゃんと出ていますよ、一カ月で十七万トンずつと。だから、今月の終わりには五十一万トン終わらなければいけないのですよ。だから、先ほど十万トンというのもおかしいし、今お話しされた二万トンずつという話もおかしい。きちっとこういう形で通告を受けていただいているのであれば、それに従って、どうなっているんだということをきちっと言って催促すればいいじゃないですか。  結局、国際協力、支援をされても、本当に必要な人たちに入らなければ意味がない、こういうことなんですね。国民の皆さんは、日本から米が来るらしい、しかし食ったという話は、私五十人ぐらいに会いましたけれども、一人もいなかったですね。確率悪いですね。そういうことなんですね。日本で言うところの全農、全中の幹部の皆さんにもお目にかかりましたけれども、その方々も、一粒も食っていない、日本の米はどこにあるのだろう、こういう話なんですよ。だから、ありきたりの答弁じゃなくて、きちっと踏まえた形で教えてください。
  67. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 お答えいたします。  先生の御指摘はまことにごもっともでございまして、これだけの大量の支援米でございますから、所期の目的にきちっと沿った形で使っていただく必要もございますし、そういうことで私どもはインドネシアに対して支援米を供与したということでございます。  先ほど御指摘ございました一月十三日、当時の服部臨時代理大使でございますが、主管官庁のラメラン商工大臣話し合いを行いまして、その際に大臣がそういった趣旨のことを私どもに言ったということは事実でございます。その後、一月十九日の段階、たまたまギナンジャール調整大臣日本にお見えでございましたので、大臣の方からも直接申し入れていただきまして、可及的速やかに実施したいということを先方から約束をいただいたわけでございます。  ただ、先ほど来御報告申し上げておりますように、確かに先方の言ったようなペースから比べますと若干ちょっとスピードがのろいということは事実でございまして、私どもも、そういった面をやはり踏まえまして、繰り返しインドネシア政府には要請といいますか、我が方の関心を申し入れているという状況でございます。  ただ、私が先ほど申し上げました十万トンの米はあくまでも三月前半の時点の数字でございまして、まだ全国集計は終わっていないようでございますから、それよりももちろん数字は上でございます。ただ、全般的に見ますと、御指摘のように必ずしも速いスピードで処理されているということではないわけでございまして、引き続き私どもの関心は伝えていきたいというふうに思っております。
  68. 上田清司

    上田(清)委員 前後で少し矛盾されたことを審議官は言われました。若干おくれていると言われまして、若干どころじゃなくて随分おくれているわけでありまして、なおかつ後の方で、私どもが期待したとおりはいっていないというような、かなり矛盾されたことを言っております。  そこで、一月十四日に、インドネシア政府と外務省の外郭団体であります日本国際協力システムとが、調達監理契約の変更で、現地での一種の追跡調査ができるような仕組みをやられたというふうに私は伺っておりますし、この契約書も見せていただいておりますが、どうなんですか、ここの機能はきちっとしているのですか。
  69. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 貸付米が本邦からインドネシアに輸送されまして、きちんと港に積みおろされ、倉庫に搬入され、それから最終的に消費者に配布される。この一連の過程をきちんと日本側としても把握をしておく必要があるということで、今回の七十万トンの政府貸付米の供与に当たりましては、株式会社海外貨物検査というところに委託をいたしましてモニタリングをやり、そのモニタリングの結果につきましては毎月報告を受けるような手配をいたしております。
  70. 上田清司

    上田(清)委員 受けるようにしていますということで、現に報告があるのですか。
  71. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 調査結果につきましては、毎月報告を受けることになっており、かつこのオペレーション全体が終了した段階で最終報告書の提出を受けることになっております。現に、文書によりまして、調査結果につきましては月末の報告を受けております。現在入手しておりますのは二月まででございます。
  72. 上田清司

    上田(清)委員 一月十四日に契約を立てて、一月末に一回、二月末に一回、こういう判断でよろしいのですか。
  73. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 そういう御理解で結構でございます。
  74. 上田清司

    上田(清)委員 後でぜひ現物を見せていただきたいと思います。  実は、現地の体制、日本国際協力システムがOMICという貨物検査会社にまた委託をしているわけですね。現地のスタッフは何名か御存じですか。
  75. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 海外貨物検査、OMICが現地にこの事業のために派遣しております人数は六名、六名の職員をインドネシアに派遣いたしておると承知しております。
  76. 上田清司

    上田(清)委員 それはおかしいですね。私は確認してきておりますが、現地には二名ですね。現地スタッフがいるのかもしれませんが、現地で雇い入れられた方があるいは四名いらっしゃるのかもしれませんけれども、日本人の派遣されている方は二名で、私は外国人のスタッフ一人とお目にかかりましたけれども、それはまあいいでしょう。二名か四名か六名かということをここで論議するつもりはありません。しかし、その六名で、仮に六名であったとしても、あの広いインドネシアの島々の、国々のあちこちの倉庫を見て歩くのでしょうか。どういう仕掛けができているのでしょう。OMICの下にまた下請会社があることも知っております。そういう報告書というのは、一体どんなものなんでしょう。
  77. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 先生御案内のとおり、この海外貨物検査は、この種の貨物検査につきましては、国際的なネットワークで結ばれておる実績のある機関であるというふうに承知いたしておりまして、そういうことで、日本の調達機関でありますJICSがこのOMICと契約をいたして、今のモニタリングをやっております。  具体的には、さらにOMICが、インドネシアの各地に事務所を持っております現地の検査機関、スコフィンドと呼ばれておりますけれども、そのスコフィンドの活用もしながら、大変にたくさんの島がありまして、大変に広範な事業でございますけれども、搬出に係ります調査でございますとか市場での価格調査等、本件にかかわります一連のモニタリングをやっております。
  78. 上田清司

    上田(清)委員 そのモニタリングの結果が、六百万トン入っていることはわかっているけれども現実に放出されている量はわからないという程度の調査じゃないのですか。
  79. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 OMICから私どもに来ております調査報告書によりましても、現在までに玄米換算で約十万トンが放出されているということは別途確認をいたしております。
  80. 上田清司

    上田(清)委員 ちょっと場違いな発言です、今のは。  だから、六百万トンについての内訳がわからないのでしょうと。日本の部分はわかるけれども、もちろん日本の部分を調べてもらっているわけですけれども、しかし、そういうものを通じながら、インドネシア政府にどのくらい集約されているかということもわからないと、本当にどの程度日本政府の部分が、なぜ一万トンなのか、七十万トンの中で。  いいですか、全体で六百万トンある。日本政府の部分は七十万トンでたった一万トンしか二月十三日の時点ではなかったのですよ、放出されている部分が。そうすると、日本だけが本当にそうなのか、それとも全体がそうなのかということも含めて、やはり調べなくちゃいけないというふうに私は思うのですよ。もちろん、日本の部分だけがそれは役目だ、OMICは。そういう観点でしょうけれども、外務省としてはそういうわけにはいかないでしょう。そのことを私は申し上げたのです。
  81. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 先ほど答弁ございましたけれども、インドネシア自身が各国、多数の国から米を輸入しておるわけでございまして、日本の関与の部分につきましては、七十万トンの貸付米、それから先ほど御指摘のございました無償による供与、この辺、すなわち日本が直接供与あるいは貸し付けを行っている米につきまして、その配布まで含めるモニタリングをきちんとやるということでございます。  そういう意味で、インドネシア自身が輸入をしておる全体について日本が把握をするというところまでは、ちょっと我々の行うべき範囲をやや超えておるのではないかというふうに考えまして、日本がきちんと知っておくべき、モニターをしておくべきところについて、モニターの仕事をOMICを通じてやっておる、こういうふうに御理解いただけたらと思います。
  82. 上田清司

    上田(清)委員 その部分はいいのですね。OMICの役目はそうだと。しかし、日本の外務省としては、それじゃいけないというふうに私は思っているのですね。  日本の部分だけがおくれているのか、それとも、各国からそれぞれ、先ほどお話がございましたタイ国やベトナムや台湾やミャンマーから搬出された米が実際配布されているのかどうか、放出されているのかどうかということも含めて考えていかなければ、この問題の解決はできないのじゃないでしょうか。大臣、この点どうでしょうか。
  83. 高村正彦

    高村国務大臣 委員おっしゃるように、全体像をつかんでいた方がベターであると思います。みずからがすべてを調べるかどうかはともかくとして、全体像を相手方政府に聞くなり、あるいは疑問があればさらにするなり、そういうことをする努力はしていかなければいけないだろうなと、今お話を聞きながらそういうふうに思っておりました。
  84. 上田清司

    上田(清)委員 大臣の大変的確な答弁に感じ入るところであります。  この問題は、私は少し疑いを持ってきているんですよ。例えば、FAOあるいはWFPの合同調査で、インドネシアはとにかく大変な食糧不足である。それで、緊急支援を日本政府として決定した。五十万トン出した、そして追加で二十万トン出した、さらに二十万トンは円借款、そして五万トンは無償供与、合わせて日本政府関係で九十五万トン。うち、二月の十三日までなぜ一万トンなんだと。このことについてもっと深刻に考えなくちゃいけないし、なぜそれができていないんだろうと。では、諸外国もそうなのか。そもそもこの調査というのは正しいのか。私は餓死者が出たという話は聞いていません、インドネシアで。何か、そういう極端な食糧不足の感じはいたしませんでした、二月の時点で。  そういう思いを持っていますから、私はぜひ委員長にお願いしたいんですが、FAOとWFPの合同調査報告書もぜひ理事会を通じまして書類としていただきたいと思います。本当に、何が書かれていたのか、そのことも私は非常に疑問を持っております。  と申しますのは、先ほどもちょっと触れましたが、インドネシアの農民連盟、日本では全中とか全農に当たるものだというふうに私は理解いたしましたが、あるいは私の認識違いかもしれませんが、組合員が九百万人おられて、ランクイット会長以下幹部の方々にお目にかかりました。大変日本の米支援については感謝をしている、国民も非常にそのことについて感謝をしているし、非常に関心を持っていると。しかし、一方ではこんな話まであるんですよ。お米を出さないで、六月の総選挙のときに日本米を放出すると国民が喜ぶ、日本の米はおいしい、高級だ、それまでためているんじゃないか、こんな話まで出ているんですよ。いかにも何かデマっぽい話でもありますが、そうすると与党の大勝利だ、こんな話までこの会長の口から出るぐらいですから、そういう意味で、なぜこういう状態になっているかということについての認識の甘さというのを非常に感じます。  日本の農家の方々も昔から、私も小さいころ、八十八の過程を経て米というのはでき上がっている、それほど貴重なんだということで、一粒一粒を大事にしろと言って教えていただきました、両親から。そういう大事な日本の米が現場では眠っている。しかも、高温多湿の国であります、どう考えても当然保存状態が、長い時間置くことで、いいというふうには理解できません。搬出のときに雨に多少ぬれたりする場合もあるでしょう、そうすればやはり傷む確率も高くなってくる、こんなふうに私は理解しておりますし、現実に写真を見ていただけばわかりますように米食い虫がふえておる、これも事実だと思います。もちろん玄米の部分は幾らかいいかもしれませんが、精米された部分はそのままミニマムアクセス米が山積みされています。  そういう状態を思うと、何でそうなのかという仕組みがわからない、常識的に。今でも私わかりません、なぜそうなっているのか。明快に御答弁できますか。政府として責任を持って、この問題について、なぜそうなっているのか。再三再四いろいろな形で申し上げられているはずですね、十二月の段階から、調印式の段階ぐらいから言われていたんじゃないですか。放出を早くしろ、こういうお話は出ましたか。次官が来られましたよね、調印式に。そのときに言われましたか、放出をしろと。     〔森山委員長代理退席、委員長着席〕
  85. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 お答え申し上げます。  先生も御指摘のように、米につきましては日本民族は特別の思い、こだわりがございます。それからインドネシアの国民も、先ほど御説明申し上げましたように、もう先刻御承知のとおり、米につきましては日本よりももっともっと古い伝統を持っておりまして、それなりの大変、こだわりといいますか貴重に扱ってきた国民でございます。  そういう中で、実は日本米は昨年の八月から船積みいたしまして、月々約十万トンのペースで船積みをいたしましたものですから、ことしの一月にすべてインドネシアに順次到着したということでございます。  当時、日本政府米支援をするというニュースが非常に大きくインドネシアで報道されまして、その結果、それまで米暴動等ございましたし、それから去年の夏でございますけれども、米の価格が非常に高騰した。日本政府米が援助されるというニュースを契機にして価格が極めて安定いたしました。それから各地での米暴動がぴたりとやみまして、むしろ、インドネシア政府要人はそのことをもってまず大変非常に強く感謝したという事実がございます。  それから、先ほど申し上げましたように、去年の十一月の初旬から分配、いよいよ計画にのっとって始めたわけでございますが、確かに当初少しもたついた部分はございますけれども、その後、先ほど来御報告申し上げておりますように、一週間に約二万トンのペース、これからもう少しペースを上げてくるんだと思いますけれども、配布を一生懸命やっているという現状でございます。  それから、一つだけつけ加えさせていただきますと、最近のインドネシア政府の分配の重点は、貧困層、いわゆる非常に貧しい層に重点的に日本米を配布いたしておりまして、これは大変安い価格でインドネシア政府が配布いたしております。したがいまして、この十万トンのほとんどの部分がそういった貧困層への配布でございますから、なおかつそういう面でインドネシア政府は今後ともその趨勢を続けるということでございますので、私どもの支援米の趣旨にかなった方向で頑張っているということだと思います。
  86. 上田清司

    上田(清)委員 必ずしも納得できません、本当に。順次着けば順次放出されていくのが筋だというふうに私は思っております。そのつもりで日本政府も送ったはずだというふうに私は理解しております。それが、いつまでも倉庫に積んであった、やかましく言い始めたら少し動き始めた。しかし、先ほど申しましたように、一月から三月までに毎月十七万トン放出計画書を日本政府に出したはずですが、それも実行されていない。  農民組合の会長さんも言っておられました。もっと日本がそういうことについて、せっかく出したのであれば、強い立場ですから、配布ルートについてもしっかり強く要求してもいいんじゃないかというようなことも言っておられました。  いずれにしても、この問題は、追跡体制というのでしょうか、先ほど、ここに来てしっかりOMICの方もやっておられるということでありますが、それまではそうじゃなかったというふうにこれは理解せざるを得ません。この点について、きちっとした反省をやはり踏まえなくちゃいけないと思いますが、審議官、どうですか。
  87. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 答弁申し上げます。  先生るる御指摘のとおり、私どもが当初予期しましたような形から比べますと、確かに多々御指摘のような問題点は生じましたので、その面は、先生の御指摘も踏まえまして、なおさら今後とも本件のスムーズな、円滑な処理のために励んでいきたいというふうに思っております。
  88. 上田清司

    上田(清)委員 ぜひ気をつけていただきたいと思います。  そこで、ちょっと視点を変えて、今回のインドネシア米支援のいわばコストパフォーマンスというのでしょうか、そういう視点から少し議論させてもらいたいと思いますが、資料を御配付いただきたいと思います。細かい数字は少し雑になっておるところがありますので、お許しをいただきたいと思います。  まず(1)でありますが、先ほどからお話をしておりますインドネシア米支援の総額、貸し付けが七十万トン、無償協力が五万トン、円借款が二十万トンで、計九十五万。それぞれの費用が日本円に換算されて出ておりますが、輸送費だけでも、国内関係で五十億、海外関係で百九億、合わせてこれで百五十九億ですね。合計で一千四百五十二億円になってしまうということであります。  これを送らないで、もし、お金でけりをつけるという形がいいかどうかは別にしても、いろいろ議論があります、物できちっと送ることに誠意がある、あるいは、日本政府の、また日本国民の思いが伝わるという部分もありますが、単純にコスト計算だけをここでさせていただいておりますのでお許しをいただきたいと思いますが、タイ米を買ったとします。これは上質米です。それで二百八十五億円で、これは随分、むだ遣いという言葉を書いて、これは誤解を与えますので削除しておいて結構でございますが、むだ遣いというふうに必ずしも私は思っているわけじゃありませんが、こういう考え方もあります。  もし、貸し付けの部分だけを見て、(2)であります、円借款の部分だとか無償協力の部分を外して、貸付総額だけを見ていきます。そうすると、これがやはり同じように、タイ米で換算すればということになってまいります。そうすると、一千百四十六億から二百十億を引くと九百三十六億、場合によっては浮かすことが可能だということになります。  それで、私が申し上げたいのは、もしこれがタイ米じゃなくてオーストラリア米であれば、多分一トンが二万円ぐらいだろう。そうすると、ちょうど輸送費ぐらいで済んでしまうということになります。  それで、実は(3)を見ていただきたいんですが、今申し上げたのは、単純に比較しておりましたので正確ではありません。貸付米ということでありますから、当然戻ってくるわけです。したがって、戻ってくるお米があるし、決して上げたわけではないんで、今の(1)と(2)の、むだ遣いという言葉を使っておりますが、そういうコストパフォーマンスは間違いであるという議論が出てくると思いますから、この(3)を出しました。  実は、九百八十七億貸し付けたから九百八十七億戻ってくるわけではありません。日本のお米が国際的に高い。したがって、インドネシアの相場から計算しなくちゃいけないということで、インドネシアからの返還米の価格がある。そうすると、その穴はどうするのか。当然、この財政負担の穴を埋めなきゃならないということで、予算化しているわけですね。これが三十年間分で七百六十三億。実質的な財政負担がここに生じているわけです。内外の輸送費が百五十九億ですから、合わせて九百二十二億。これが実は、日本政府が負担しなければならない、いわば人道的支援の名のもとにインドネシアに七十万トンを送り、あるいは円借款、無償協力を含めて九十五万トン送った結果、日本政府が負担しなければならないのが九百二十二億。  こういう金額を多くの国民の皆さんは知らないですね。昨年の四月二十四日のインドネシアの食糧支援計画の中で、こういう返還価格の差額だとか財政負担の話などは、抽象的には書いてありますが、数字は明らかにされておりません。当時、我々にはそういう資料はいただいておりませんでした。なぜこういう部分を明らかにしなかったのかということであります。もしこれをタイ米に換算すれば、また七百十二億円の丸損になるという刺激的な言葉をあえて書いております。  こういうコストパフォーマンスに関して、当時、そのことは明らかにされなかったので、一切議論ができなかった。この点について大臣は御存じだったでしょうか。
  89. 高村正彦

    高村国務大臣 委員が示されたような細かいというか、相当巨額でありますが、こういう数字については知りませんでしたが、こういう国際価格と日本の米の価格差は財政負担となってくるということは、それはよく承知をしておりました。  私の場合、選挙区は田舎でありますから、逆に、よく昔、選挙区を回ると生産者の方に必ず言われるのは、日本で米が余っているのに何でその米を援助に使わないんだ、こういうことを必ず言われました。私は、それはいかにももっともなようだけれどもといって、今委員が御指摘になったような説明をして、難しいんだ、こういうことを言っていたこともあったわけであります。  ただ、今度の場合、インドネシア政府からの要請が緊急かつ大量であったことを踏まえて、我が国に既に在庫しているゆとりのある米を活用することが今度の場合最も適当と判断したわけであります。  このことが我が国の在庫米の有効利用に資するものと考えますが、また同時に、この在庫米を活用することによって、米の国際市場価格の高騰を回避し、恒常的に米を輸入している経済的に余裕のない諸国への影響を抑える効果もある、こういうふうに判断したわけであります。日本の米を援助しないと、かなり大量の米を国際市場で買わなければいけないわけで、そういうことも考えられたわけでありますし、また一方で、日本の米がそのまま古米、古々米となっていく中での財政負担というのもあるんだろうと思います。  この国内価格と国際価格の差額等についての財政負担、これに対処するための新たな仕組みを創設したところでありますが、必要であれば、これは食糧庁に答弁していただきたい、こういうふうに思います。
  90. 上田清司

    上田(清)委員 結局、その問題に関して言えば、一昨日の本会議で松岡議員が、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案の議題の中でこんなことを言っておられます。ミニマムアクセス米の取り扱いに関し、政府は、国内産米の需給及び価格にできるだけ影響を及ぼさないよう、食糧援助も含め、その処理に努めてきております、ミニマムアクセス米の処理は食糧援助でと。こういう、日本国内の米余り現象に対してあえてインドネシアに送り込んでいる嫌いはないのか、こんなふうに疑わざるを得ないような趣旨の説明を賛成の討論の中でされました。ここも本音かなというふうに私は思います。  ここは外務委員会ですので、農水委員会ではありませんので、また農水委員会で、機会があればこの辺の問題も議論をしたいと思っておりますが、ウルグアイ・ラウンドの合意決着以来、当時、六兆の事業費、それから基盤整備事業で四十二兆、五十兆近いお金をかけて、いわば生産性を高める、あるいは近代性を高めるという事業をやっておりますが、結果的に、まだまだ五年たっても日本の米が、国際的に見て大変価格が高くて国際競争力がなくて、とても太刀打ちができないという現状に私は非常に不満を持っておりますから、この問題も実は取り上げたような次第であります。  主管の大臣ではありませんが、日本政府の一員として、この米問題というのはやはり奥が深い。援助一つにしても、コストパフォーマンスでいけば全然問題にならないこの部分を隠しているからこそきれいに見えますが、何で七百億も余分に負担して送らなくちゃいけないんだ、お金を出して現地で買ってもらった方が楽じゃないか、この日本の財政状況から考えてもそうではないかというふうに考える国民が私は多いのではないかと思います。それも、日本の生産性の低さ、価格の高さということが大きな原因になっていると思いますので、その点も踏まえて、最後に大臣、御感想で結構でございます、必ずしも質問の意図に、すっきりしないかもしれませんが、ぜひ一言何かいただければと思っております。
  91. 高村正彦

    高村国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、委員が持っているような視点は私の頭の中にもあるつもりであります。ただ、そういう中であっても、全体のバランスを考えて、今度はこのやり方が必要であった、こういうふうな判断をしているということを申し上げたい、こういうふうに思います。
  92. 上田清司

    上田(清)委員 終わります。
  93. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、赤松正雄君。
  94. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。私の方からは、きょうかかっております二つの協定の周辺の問題につきまして、御質問をさせていただきます。  まず、いささか旧聞に属することですけれども、一昨年、当時のアフリカ紛争問題担当大使の青木元ペルー大使がアフリカを歴訪された際に、いわゆる日本アフリカに対する援助のあり方ということについて一つの方針めいたことをおっしゃっているのを、いささか古い話で恐縮ですけれども、そういう方針が今もなお日本アフリカに対する援助の姿勢なのかどうかということを確認する意味で、まず冒頭お聞きしたいと思います。  当時のアフリカ紛争問題担当大使の青木さんはこうおっしゃっています。自助努力をしない国には援助はできない、それから紛争にかかわるような国には援助できない、それから累積債務の本体削減はしない、この三つをいわば日本の姿勢としておっしゃったという報道がなされておりますけれども、まず、そういうことはあったのか、そして今なおそういう姿勢なのかどうか、これについて。
  95. 高村正彦

    高村国務大臣 アフリカに限らず、開発途上国において開発が成功するためには、国づくりに向けての自助努力が不可欠であり、国際社会の援助はそのような自助努力を補完するものと考えております。我が国は、このような立場から、今後ともアフリカ諸国の民主化及び経済改革に向けた自助努力を積極的に支援していく考えであります。  ですから、基本的には青木大使がおっしゃったことでありますけれども、まあ、青木大使というのは私と違いまして言葉がすごくストレートな方でございますから。そういう中でもいろいろ考えながらしていきたい、こういうふうに思っております。
  96. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 大臣がおっしゃったように、青木さんという人は非常に物事を先鋭化させておっしゃるという感じがするので、ある意味でわかりやすいといえばわかりやすいのですが、際立って少し冷たい雰囲気が漂っているなという感じを受けました。  もちろん、一般的に言って、自助努力は大変大事なことですし、紛争にかかわっている国に対する援助というのも問題だろうと思います。この累積債務の本体削減はしないということ、もちろん自助努力にも絡んでくるのですが、については、現在、アフリカにおける重債務低所得国という呼び方をするのでしょうか、たくさんの債務を抱えて、なおかつ非常に所得の少ない、厳しい経済環境にある国々に対して、いわばこういう普通の対応、自助努力それから累積債務の本体削減はしないというふうな形でいいのかどうかというのは、やはりここで改めて吟味する必要があるのではないかというふうに今思います。  もう既に国会においても取り上げられたり、あるいはまた去年のバーミンガム・サミットにおけるところの報道を通じて一般的に知られていることでありますけれども、アフリカにおける重債務低所得国に対するいわば債務削減についての国際的な動きがあるということ、それに対して、際立って日本が消極的ではないのかという話がございます。もちろん、すべての国に横並びにというふうなことを単純に言うつもりはありませんけれども、日本あるいはドイツが、去年のバーミンガム・サミットの時点ではその姿勢がいささか後ろ向きであった、こういうふうな報道がありますけれども、それについてはどういうふうに考えておられるのでしょう。
  97. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 開発途上国、特に重債務を負っております貧困国とされておる諸国に対します債務の救済措置につきましては、基本的には我が国も、その他の債権国と同等もしくはそれに匹敵するような措置で臨んでおります。  ただ、我が国の場合には、直接的な債務の帳消しということはとっておりません。ほかの国は、帳消しをすっぱりとしている国もございます。そういうことで、恐らく、我が国が債務の削減一般の問題についてやや後ろ向きではないかという印象を与えている一因となっているかと思いますけれども、我が国は実質的に、パリ・クラブにおきましても、また二国間の債務削減の措置におきましても、事実上、債務の無償化ということもあわせてとっておりますので、そういうことで従来臨んできておりますし、今後ともそういうことで対応する、こういう姿勢でおります。
  98. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 従来の方針を変えないということを今局長はおっしゃったわけですけれども、先ほど挙げたドイツは、その後新しい体制になって、いわゆるジュビリー二〇〇〇ですか、新しいこの二〇〇〇年に向けてのキャンペーンに賛成の姿勢を示しているということで、日本だけがという形にいよいよなりつつあります。次回サミットでドイツがこのジュビリー二〇〇〇に対して賛成の立場ということを表明すると、まさに世界の中でこの取り組みに対しては日本だけが際立っておくれるという、さっき、実質的な部分ではやっている、こうおっしゃいましたけれども、いわば国際社会の中におけるイメージというのは非常に大事だと思いますけれども、そういうイメージを与えるということでよろしいのかどうか。もうそれでもいいんだ、従来どおりの方針でやるんだということでしょうか。
  99. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 ジュビリー二〇〇〇ということで、思い切った債務削減の措置を国際的に検討する動きが出てきております。本年のG7、G8のサミットでもこの問題が一つ取り上げられるであろうということでございまして、G7の間でも、今、事務的にいろいろな角度から検討いたしております。  債務削減につきましての各国の態度、これは、その国とアフリカ諸国等との歴史的な関係も含めて、いろいろな対応の仕方がございます。それから、どの範囲の債務を対象にしていくか、公的債務だけに限るのか、それ以外の例えば商業債権のようなものも対象にするかとか、大変に幅の広い問題でございますし、根の深い問題でもございます。  したがいまして、今、事務的にいろいろな角度から議論がなされておりますが、そういう中で、我が国としましても、アフリカを中心といたします重債務国の債務の問題については、基本的には深い理解を持っておると思いますし、そういうことで従来から対応してきております。  これから先のことにつきましては、そのほかの債権国、特にG7の諸国ともよく協議をして、我が国として、議論が全体の中で深まっていく中で、できるだけの、前向きの措置がとれることがあれば前向きの措置を検討する、そういう角度で現在議論に加わっている状況でございます。
  100. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今、G7の協議の中でいろいろ各国と協議して前向きで対応できるようなことがあるならばというお話でしたけれども、それはつまり、日本の行き方というものを説得しようということですか、それとも、そうではなくて、先ほど来私が言っているような、いわばこの問題に関する、他の国々と日本が歩み寄りをしようという、どちらの方で対応しようとしておられますか。
  101. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 我が国の対応としましては、大きく分けまして二つあるわけでございます。  一つは、パリ・クラブという債権国の会議でそのほかの債権国と歩調を合わせながら対応していくということでございまして、これにつきましては、従来、約四十カ国とされております重債務国に対します一定の方程式ができておりますので、この方程式をさらに債務国のために有利な、債務国の事情をより配慮したものに少し直していくかどうかということが一つの議論になっておるわけでございますが、これはこれで、先ほど申しましたような姿勢で、日本としても、他の国との協議を十分に経まして、できるだけの対応があればそれをやっていく。  それから、もう一つ我が国の対応は、債務救済の無償資金を供与しておりまして、過去の円借款の返済に対しまして、それに見合う額を無償資金協力ということで別途出しております。したがいまして、事実上、公的円借款の債務に対しましては無償化を進めておるという措置をとっております。この無償化の措置につきましても一定の方程式をつくって対応しておりますが、これにつきましても、方程式をさらに債務国のために、債務国の事情を配慮して、債務国から少しでも有利とされるようなもので、我が国としても財政事情その他を考慮いたしまして、対応できる部分があれば、これは改善を加えていくことを検討する余地が十分あろうかと思っております。  したがいまして、そういう二つの側面からこれからの対応を考えていく、こういうことになろうかと思っております。
  102. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今局長、方程式と言われたのですか。(大島(賢)政府委員「はい」と呼ぶ)方程式、余りよくわからない言葉ですが。  要するに、今おっしゃった二つ目の方、後半の部分、債務国が日本への債務を返済しようといういわば姿勢を示すというか、そういう対応があれば、それに見合う分だけの無償資金を出すという、こういうやり方は、日本以外の国でもあるのでしょうか、それとも日本だけですか。それからあわせて、特にアフリカにおける重債務国に対する日本の債権というのは総額幾らなのでしょうか。その二つ。
  103. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 債務の帳消しにかわります債務救済のための無償資金供与、こういうやり方をとっている国は、二国間援助の次元では恐らく日本が唯一だろうと思います。  他方、世界銀行、IMF、こういった国際機関におきましては、やはり債務そのものをキャンセルするというわけにはいきませんので、債務救済措置をとると同時に、それには財政負担が伴いますので、その財政負担に見合う基金、ファンドを別途つくりまして、そのファンドで債務救済措置に充てる、こういうことをやっているように理解しております。これは基本的には、我が国が二国間ベースでの債務救済措置としてとっておるやり方と類似しておるかと思います。  それから二番目の御質問につきまして、我が国の円借款の数字でございますけれども、いわゆるサブサハラ諸国に対します貸付総額は、九七年度末時点で七千百三十七億円ということになっておりまして、これは我が国の円借款の貸付総額全体の三・九六%ということでございます。このうち、貸付残高として残っておりますのが五千三百九十億円、全体の五・七七%、こういう状況になっております。
  104. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今局長おっしゃった、いわば二国間における債務の日本式のやり方、これは、日本式のやり方と今私は言いましたけれども、日本だけだと。こういう行き方というのは余り国際的に認知されていないというか余り定着をしていないというか市民権を得ていないという部分があろうかと思うのです。そういう点で、やはり普通の市民社会における感覚からいけばそれはそれでいいのだろうと思いますが、やはり現在の、二十一世紀を直前にした世界の状況の中で、アフリカ、しかもアフリカ・サブサハラという国々、サハラ砂漠以南の国々すべてというのではなくて、すべてに近いのでしょうが、かなり多くの国があって、非常に厳しい国がある。もう一方で、そうでもない国もあるわけですが、その辺しっかり見分けて、しっかり仕分けてというか立て分けて、やはり従来の枠にとらわれない新しい行き方というものを検討するときに来ているのではないかというふうに思います。  この問題、最後に大臣考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  105. 高村正彦

    高村国務大臣 日本は新開発戦略というのを打ち出して、それは被援助国の主体性と、そしてそれに対して援助国がまさにそれをお手伝いする、こういう形のものを打ち出して、それがまさに今や世界的にそういうことでやっていこうということになっているわけでありますが、一方で、債務免除の点について、自主性、自助努力ということを日本が強く言っている、それとの絡みで、返す方は返す方として、そして実際、債務免除と同じような効果のある債務救済無償ということでやってきたわけであります。やはり国際社会日本のやっていることに賛同して、みんなそう動いてくれればいいですが、必ずしもそうなるかどうかということは、それは日本日本の理念を持って言いながら、やはりある場合では国際社会と一緒にやっていかなければいけないということもあるわけですが、これから日本の理念を通すことも考えながら、やはり一方で柔軟に対応していきたい、こういうふうに思っております。
  106. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 ぜひそうしていただきたいと思います。七千億円を大きいと見るか小さいと見るか、それは多額のお金でありますけれども、今大臣おっしゃったように、日本の理念を本当に押し通すのだったら、相当の覚悟と気持ちでやらないといけないと思うのですね。そういう点で、しっかりと今おっしゃったような方向で対応していただきたいと思います。  それから昨年行われた、正式には東京行動計画を踏まえた我が国の新たなアフリカ支援プログラム、TICADですか、第二回目の会合があったわけですが、第一回目の九三年に行われたアフリカ会議での日本の対応というものがその後どういうふうに推移していったのかということについてかいつまんで教えていただきたいんです。  要するに、九三年の時点でTICADI、アフリカ開発会議Iの対アフリカ支援策は五つ柱がある、外務省からいただいたペーパー、簡単に書いてあるんです。その中で、私は、人づくり支援の問題と民主化支援の問題、この二つを取り上げて少し、その後の経緯、フォローアップの現状、それを受けて今回というか去年ですけれども、九八年につながっていったんだろうと思うんです。  一つは、人づくり支援という問題で、TICADIにおいては、毎年アフリカ青年百名の招聘、それから小学校建設計画、三つ目が三年間で三千名の技術研修員等の受け入れ、こういただいたペーパーにはあるんですが、この三つはそれぞれ五年間でどういうふうに推移していったんでしょう。
  107. 天江喜七郎

    ○天江説明員 お答えいたします。  第一回のアフリカ開発会議、TICADIと呼んでおりますが、そこで五つの柱を発表して、そのフォローアップに努めてきたわけでございます。  特に九三年度から九七年度までの五年間で、小学校の建設につきましては、九百校以上の小中学校を建設いたしまして、アフリカの子供たち百二十万人以上の児童に新たな教育機会を提供いたしました。また、委員が今言われました人づくり支援でございますが、九三年度から九七年度までにアフリカ人の研修員約一万四千名を受け入れてございます。また専門家派遣は、約四千名を同期間に派遣いたしまして、青年協力隊員約六千名の派遣を行っております。また、アフリカ青年を毎年百人本邦に招聘する計画を実施してまいりました。  以上でございます。
  108. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 民主化支援の方で、モザンビーク、マリ等における和平プロセス支援、こうありますが、これについて。
  109. 天江喜七郎

    ○天江説明員 モザンビークにおきましては、国連のモザンビーク活動に対しまして、平成五年の五月に我が国は司令部の要員及び自衛隊の輸送調整部隊を派遣いたしまして、物資の補給等の業務を実施いたしました。また、平成六年の十月にはモザンビークの大統領の選挙に際しまして選挙監視要員を派遣いたしまして、その業務を実施いたしたわけでございます。また、そのための広報とか教育の視聴覚の機材といった物資を提供いたしまして、この業務は平成七年一月までにすべて終了したわけでございます。  マリにつきましては、通常の経済協力のほかに、マリのコナレ大統領が国連等で提案いたしましたアフリカ紛争につきましての予防、すなわち小火器を制限すべきではないかというようなイニシアチブをとられたものに対しまして、我が国から堂ノ脇大使が国連の小火器小委員会というところの議長を引き受けまして、アフリカ紛争周辺国における小火器の移動、例えば密輸であるとかそういうものを制限する等の議論を行っております。これはTICADIIでも、昨年の東京会議でも議論された次第でございます。
  110. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今お聞きしたように、TICADIのものがフォローアップされた、それを受けてTICADIIという形に発展をしていったわけです。  ここで私はぜひ大臣に御意見をお伺いしたいんですが、言うまでもなく、国連安保理の中で取り上げられる紛争にまつわるケースはほとんどアフリカのケースが多いわけですけれども、日本が今日までPKOについては、カンボジアあるいはゴラン等を除くとあとはもうアフリカということにPKOに対する貢献を日本もしてきたわけであります。今最後に局長がマリのことについて報告をしていただきましたけれども、より一層これからのアフリカにとって大事なのは紛争を予防するということ、そういう観点というものが非常に大事になってくる。  このTICADIIにおけるところの紛争予防という観点でいえば、二つほどあるのかなという感じがします。一つは、OAU紛争予防管理解決メカニズム支援という項目が一つ挙げられる。それからもう一つは、南部アフリカの地雷除去支援。この二つがTICADIIにおけるところの、いわば紛争予防に関する日本の姿勢というものを示しているんだろうなという印象を受けるんです。  ただ、これを見てみると、それぞれ、OAU紛争予防管理解決メカニズム支援については、OAU平和基金に一九九六年度より拠出金、お金を出している。金を出している話ですね。それから、南部アフリカの地雷除去支援についても、向こう五年をめどに百億円程度の支援を行う、こういうお金における支援。もちろんお金の支援も大事なんですが、こういうことだけでいいのかどうかという感じを持ちます。  昨日、衆議院防衛指針問題特別委員会で、我が党の遠藤乙彦、また同じ会派の山中議員が総理に対して、抑止と対話の重要性、また予防外交の必要性ということを強調したわけですが、それに対して総理は、大いにその方向でというふうな話をされたわけです。  外務大臣、予防外交に対する大臣考え方と、今私が申し上げた、お金の部分でやっている、これでいいとされるのかどうか。金銭的な面と、もう一つはさらに、今カナダが取り組んでいるPBO、いわゆるピース・ビルディング・オペレーション、こういう側面、人的な側面、もちろんこれはPKO法にかかわってくる部分がありますけれども、よりもう少し広範囲な形でそういう予防外交というものが考えられるのかどうか。  そういうふうに私が言っちゃうよりも、むしろ予防外交というものに対する考え方と、それから、いわゆるPBO、カナダが特に力を入れているようですけれども、平和を構築していく活動というものに対して、予防外交の中においてどういう位置づけとしてとらえておられるか、あるいは、それに対してどう取り組むべきだと思っておられるのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  111. 高村正彦

    高村国務大臣 今委員が御指摘になった二つのことはまさに予防外交の一環で、お金を出すだけじゃないかということでありますが、お金を出すことも非常に大切だと思いますし、また、委員も言っておられたように、さらに人が行くことも大切だというのは、それは全くそのとおりでありますから、今後そういうことも考えていかなければならないと思っております。  TICADIIの中でその二つが予防外交ということではなくて、私は、全体、TICADIIそのものが要するに紛争の根源である貧困に切り込むための切り札という形でとらえておりまして、そして、まさに今委員がおっしゃった二つの具体的なものは、それはまたそれで紛争の予防と、いろいろ複合的にとらえていく必要があるんだろう、こういうふうに思います。  今御指摘のような平和構築活動、PBOのアイデアにつきましては、我が国はカナダを初めとする各国との間の各種会議等累次の機会において話し合っているところでございます。  我が国としては、冷戦後の国際社会においても後を絶たない紛争に対処するためには、紛争そのものへの対処のみならず、紛争を未然に防止すべく、紛争の根源にある貧困等の問題に対処すること、また紛争後の復興に協力すること等、幅広い視野を持って取り組んでいく必要があると考えておりまして、この分野におけるあるべき姿について、委員の御意見も参考にさせていただきながら検討してまいりたい、こういうふうに考えます。
  112. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 最後にお伺いしたいのですが、常々、いろいろな角度で、きのうもお話が出ていたようですが、日本においていわゆるPKOにまつわる機関、機関というか、一般的にはPKO訓練センターという呼び方をするようですが、例えばカナダにあるピアソンPKO訓練センター、あるいはスウェーデンにもそういうものがある。五年ほど前に大臣と一緒にスウェーデンに行きましたけれども、あのときはたしかPKOの訓練センターは見られなかったのですが、その後の流れの中でスウェーデンあるいはカナダのそういうPKO訓練センターを見られたのかどうかということをひとつ聞きたいということ。  それから、PKO訓練センターというと、印象的に、何か軍事的な訓練をするというふうな印象を受けてしまう部分があるのですが、そういうことではなくて、カナダのピアソンPKO訓練センター、私は行ったことはないのですが、いろいろ調べたり、見たり、聞いたりするところによると、かなりPKOにまつわるさまざまなものを集めてきている。  いわば日本においてもそういう資料センター、日本もPKOに多くの貢献をしてきているわけですから、何らかのとりあえず取っかかりとして、PKOに関与した日本のいろいろなものを集める場所とかそういうところから始めて、日本にPKOのそういうセンターをつくるということについてどう考えられるか。いや、今までいろいろな人がいろいろなことを言っているのですが、一向に前進しないというのはどこにネックがあるのか。その点について最後に聞かしていただきたいと思います。
  113. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国は、御指摘のピアソン訓練センターを含めて、世界各地で開催されるPKO訓練やセミナーに関係者を参加させ、また、英国、カナダ等、PKOに積極的な国々とセミナーを共催する等、訓練の充実、改善及びPKO実施に当たって必要な各種知識や技能の習得に努めているところでございます。  昨年三月には、我が国でPKOシンポジウムを開催し、また来週には、ピアソン・センターとカナダ外務国際貿易省、マレーシア外務省との共催で、我が国においてPKOセミナーを開催する等、PKOについて他の国々と積極的に議論を行ってきているところでございます。  今御指摘のPKO資料センター、そういったものをアジアの中の一つの拠点としてつくるべし、こういう御指摘につきましては、これらセンターの設置に特段の問題があるとは思われないわけでありますが、やった方がいいことというのはたくさんあるので、予算との関係等その他もろもろなことを政府部内において総合的観点から検討されるべきものと考えております。
  114. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 終わります。
  115. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、松本善明君。
  116. 松本善明

    ○松本(善)委員 今議題となっております二つの案件について質問をいたしますが、短い時間で二案件質問しますので、ちょっと答弁の要望もしておきたいと思います。  答弁は、主としてやはり外務大臣の政治的な見解を聞くというところに私の質問の焦点がございます。政府委員説明員の答弁を全部排除するというわけではありませんが、案件そのものは理解にそんなに難しいものではありません。議事録に残しておいた方が国民のためにいいという点はお聞きする点がありますけれども、そういう考えで聞いているということを頭に置いて、御協力をいただきたいと思います。  最初に、国際通貨基金協定の問題ですが、これは私ども、特別引き出し権、SDRの配分を変える問題を問題にしているわけではありません。IMFそのものについて問題を感じておるので、幾つか質問をしたいと思います。  昨年のアジア経済危機の際に、IMFが融資について極めて厳しい条件をつけて、それに対する怒りが噴出をいたしました。外務大臣は、IMFが各国に押しつけている条件をよく知っていると思いますけれども、その条件がどういうものであるか、またそれについて問題が全くないというふうに思っておられるか、お聞きをしたいと思います。
  117. 中井省

    中井説明員 IMFの条件の問題をちょっと御説明させていただきます。  IMFが加盟国に対しまして資金支援を行う際には、適切なマクロ経済運営及び構造改革を盛り込んだ経済調整プログラムというものを策定いたしまして、当該加盟国がそのプログラムを実施する、それについてまた実施をモニターいたしまして、引き出しについて、資金の使途についても、何次かに累次分かれますので、途中段階でもチェックをする、こういうシステムになっているわけでございます。  アジア通貨危機の際におきまして、タイそれからインドネシア、韓国におきましては、各国の直面している経済困難、経済情勢の違いがございますので、それぞれいわゆる経済調整プログラムの中身は変わっておりますけれども、概略申し上げますと、当初は慎重な財政金融政策の運営、それから金融セクターの改革等を柱としたプログラムが策定されております。この実施の過程におきまして、IMFは必要に応じてレビューを行いまして、一部慎重な財政運営から積極的な財政政策の転換等、実態に応じたプログラムの調整を施して現在に至っているということでございます。
  118. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣、この条件について問題ないと思っていますか。
  119. 高村正彦

    高村国務大臣 一つ一つについてきっちり承知しているわけではありませんが、それぞれの国の実情に応じて、実情に合ったものになっているかどうか常に検証していくことが必要である、こういうふうに考えております。
  120. 松本善明

    ○松本(善)委員 私はやはりこれは相当大きな問題があるのだと思っております。  タイに対しては、報道で見る範囲でも、付加価値税を七%から一〇%へ引き上げる、ノンバンク四十二社の営業停止、電力、水道など公共料金の引き上げ、金融機関の外資出資比率の引き上げ。インドネシアに対しては、大型事業の見直し、小麦など農産物の輸入の自由化、国民車計画の事実上の撤回。韓国に対しては、付加価値税免除枠の大幅削減、外国企業による金融機関の買収、合併の認可、輸入規制の大幅緩和、労働市場の改革。こういういわば国民生活の根本を揺るがすような条件をつけているわけですよ。このやり方に、やはり各国の国民は大きな反発をいたしました。韓国でも、インドネシアでも、国民的な抵抗運動として表面化をいたしました。  昨年の十二月三日付のニューヨーク・タイムズは、世界銀行のレポートが、タイ、インドネシア、韓国危機に対してアメリカ財務省とIMFが高金利政策を押しつけたのは、世界危機を深刻化させた決定的な大失敗だったと決めつけていると報道をいたしました。もっとも、このレポートではアメリカ政府とIMFに配慮して名指しは避けていると述べていますけれども、全体がそうだという報道です。  外務大臣、この世界銀行のレポートにどういうふうに書かれているかということを把握していらっしゃるでしょうか。
  121. 中井省

    中井説明員 かなり専門的な事柄にわたりますので、私の方からお答えさせていただきます。  先生お話しございました世界銀行が発表した報告書「世界経済の展望と開発途上国」、これは昨年の十二月二日に発表されております。  その中で、おっしゃられましたように、アジア通貨危機諸国の対策に対して高金利政策をとったことについての検討がなされていることは承知しております。ただ、なかなか中身が多岐にわたっておりまして、これが果たしてIMFなりまたアメリカの財務省の政策に対する批判なのかどうかということにつきましては、例えば、ウォルフェンソン世界銀行総裁は、世銀世界銀行報告書においてIMF批判を行ったとの一部報道は誤りだという声明を出しておりまして、そういう意味からいいますと、非常に中身が多岐にわたっているところでございます。  ただ、先生まさに今御指摘ございましたように、このアジアの三カ国、通貨危機が起こりました際に、IMF等が、市場のコンフィデンスといいますか信認を回復するために、財政の引き締めそれから金利について引き上げると。これはもちろん、為替の相場が相当低落いたしましたので、この原因は、短期資金の流出等いろいろございました。それの対策として、緊急的に財政の引き締めなりそれから金利を上げるという政策をある意味ではとるように当該国に勧めたわけでございますけれども、いわゆるこの処方せんと申しますのは、過去の中南米におきます債務問題、通貨危機については非常に有効な政策でございました。ところが、この東南アジア三カ国につきましては、当時の中南米諸国と違いまして、必ずしも財政がそれほど大きな赤字、放漫財政をしていたわけではない。中南米諸国は、かなり財政の方が外貨に頼って放漫的な運営をしておりましたので、この処方せん、効果がありましたけれども、そういう点がこの世界銀行の報告書で指摘をされているわけでございます。  ただ、IMFにおきましても、この点につきましては実施の過程で非常に弾力的に対応しておりまして、各国の現状に応じて、先ほども申し上げましたように、財政政策の緊縮度を緩めるとか、それから、為替が安定してくるに従って金利の低下を促進するというような政策をとって、我々としましては、全体的には各国の実情に応じていろいろ努力をされたと思っている次第でございます。
  122. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣からお答えにならなかったというのは、どこまで把握していらっしゃるかというふうに思うわけですけれども。報道されている範囲で見ましても、やはりこれらの三国、決して国民は歓迎していないのですね、むしろ世界銀行が危機を激化させたというふうに見ている。  そういう問題について、私は、やはり日本政府は主張しなければならないのではないか。七カ国蔵相・中央銀行総裁会議なども二月にはありましたけれども、そういうところで主張しているという気配もない。この点が一つの問題だと思います。  時間の関係でもう一つ申し上げますが、もう一つは、アメリカの態度の問題ですね。  アメリカ政府は、例えばインドネシアの問題では、アメリカ上院でサマーズ米財務副長官が、スハルト政権が米ドル連動相場制に固執し、IMFの要求する経済改革を実施しないならば、米国はIMFの追加融資を支持しないと述べたと報道されています。  スハルト政権のやっていることをもちろん私ども支持はしませんけれども、しかし、要求するものを実施しなければこうしない、こういうアメリカのIMF支配というのが表面に出たケースだと思います。  アメリカは、関与と拡大の戦略というのを持っておりまして、昨年十一月の米国防総省国際安全保障問題局の発表いたしました東アジア太平洋地域におけるアメリカ安全保障戦略では、アジアの金融危機を安全保障上の問題としてとらえると。  金融危機とか経済危機の問題は、どういう意味でも、軍事的に対処するような問題ではあり得るはずはないと私どもは思います。にもかかわらず、アメリカは、さっきの文書ですよ、アメリカ目的は、強力な関与、海外プレゼンス及び強力な同盟の政策を維持することによって、不安定性の根源の除去に寄与し、同時に、信頼と共通の安全保障の精神を強化する新しい機会を探求するということで、金融危機の問題を安全保障問題としてとらえて、関与と拡大の戦略、こう名づけているわけです。こういうことがあっていいだろうか。  私は、外務大臣が、このIMFの政策、先ほど私が申しました点とそれからアメリカのこの関与の態度についてどう考えているか、お聞きをしたいと思います。
  123. 高村正彦

    高村国務大臣 今委員が御指摘になった報告書におきましては、米国の繁栄は世界経済と密接に結びついているとの認識のもと、国際金融危機への対処のため諸外国や国際機関と協力していくこと、米国がアジア経済危機への対応において主要な役割を果たしていくことなどの記述が見られるわけであります。  米国は、IMFやアフリカ開発銀行に対しては、その経済力に応じた出資を行い、貢献しているところでございます。世界第一位の経済力を有する米国が、世界経済の安定と繁栄を重視して、このために諸外国や国際機関と協調しつつ主要な役割を果たし続けることは、世界全体にとって重要と考えております。
  124. 松本善明

    ○松本(善)委員 かなり考え方が違うと思いますが、この問題はこの程度にして、アフリカ開発銀行協定の問題を聞こうと思います。  この改定で重大なことは、総務会の議決に関して、一般的には加盟国の投票権数の三分の二以上の多数とされるけれども、特に重要であり、かつ自国の実質的な利害に関係する問題である旨を表明したものに関しては、総投票権数の七〇%以上の数による議決とされたという点であります。この改正によりますと、アメリカ日本など域外加盟国が、議決案件は特に重要あるいは自国の実質的な利害に関係すると表明すれば、七〇%以上の投票権数が必要ということになる。  しかも、投票権の数でいうと、域内諸国は、従来の三分の二、約六六%が六〇%に引き下げられて、一方域外諸国は、三分の一、約三三%から四〇%に引き上げられた。このことは、アフリカ諸国が一致して取り組む計画があっても、域外諸国が特に重要と表明し七〇%以上の多数の議決が必要だということになりますと、域内諸国は全体を合わせても六〇%しかないものですから、結局、域外諸国の支持を受けるために域外諸国の言い分を聞かなければならぬ、こういう仕組みになったというところが問題だと思います。これは、アフリカ開発銀行設立当時言われた、アフリカ側の立場に立った金融母体、地域性、独立性といった原則に反するのではないか。  もう時間の関係協定の中身のことはいいですが、これについてどう考えるか、外務大臣の見解を聞きたいと思います。
  125. 高村正彦

    高村国務大臣 本件改正でありますが、一九九〇年代に入り、域内加盟国による債務の履行遅滞の増加による財務状況の悪化に伴って銀行の運営を改革する必要性が認識される中で、加盟国出資比率総務会議決要件等を変更し、銀行の運営における域外加盟国の責任と発言権を高めることによって銀行の運営の改革を進めることを目的とするものでございます。銀行の運営を改革することは、当然ながら、その融資を受けるアフリカ諸国にとり利益になるものと考えております。  今度の改正によって域内加盟国の発言権が相対的に低下することは委員がおっしゃるとおりでございますけれども、改正後においても、なお域内加盟国は六〇%の出資比率、すなわち六〇%の投票権数を有しており、投票面での優位性に依然変わりはないわけであります。全体とすれば、まさに融資を受けるアフリカ諸国にとり利益になるものと考えております。
  126. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務省の説明文書にも、今外務大臣がおっしゃった責任と発言権を高めるということが書かれてありました。私は、金を出せばチェックするのは当然だという姿勢が問題なんじゃないだろうか、果たしてそれが真の援助であるんだろうか、いや、むしろ支配の強化ということになるんじゃないかということを指摘したいと思います。  金という点で言うならば、日本ODAの配分は、いわゆる後発開発途上国にもっと厚くする必要があるんじゃないか。国連が指定した約五十カ国のLLDC、後発開発途上国というのはアフリカ諸国が大部分を占めておりますけれども、DAC、開発援助委員会加盟国は二十一カ国ですが、二国間ODAの中でLLDC向けの割合を見ますと、例えば一九九四年の数字は、日本は一五・四%、割合でいうと二十一カ国のうちの十九位です。だから、援助国の中でうんと低いんです。私はこの割合を引き上げることを目標とすべきではないかと思いますが、外務大臣、いかがお考えでしょう。
  127. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国は、政府開発援助大綱におきまして「世界全体の貧困や経済の困難に目を向ける」との観点から「特に、後発開発途上諸国へ配慮する。」としているわけであります。この方針を踏まえまして、九七年に我が国ODAを供与した百六十カ国余りのうち、後発開発途上国四十八カ国に対する援助実績は、無償資金協力の約四二%、技術協力も含めた贈与全体の約二一%を占めているわけであります。  今後とも後発開発途上国には特段の配慮を払ってまいりたいと考えております。
  128. 松本善明

    ○松本(善)委員 もう一つ。やはりこの問題でもアメリカの役割の問題があります。  アメリカアフリカ政策についても、関与と拡大の国家戦略がアメリカの公式文書に出ております。例えば、一九九八年度のアメリカ国防報告では、アフリカに域内の紛争解決策を押しつけることはできないということは言いながら、域内の安定と平和の大義のために積極的役割を果たすことが求められているとか、ホワイトハウスの九七年国家安全保障戦略報告では、我々は、アフリカが提起するあらゆる挑戦に対応することも、あらゆる機会から利益をくみ取ることもできないだろうけれども、我々が影響を及ぼすものはないか、我々の利益に最も直接的に影響を及ぼすものはないか、何に我々の資源を有効に用いるべきかということを明確にしなければならないということで、関与と拡大の戦略を述べております。  金融援助ということを名目にしながら、アメリカの国益の立場からアフリカに対する影響力を拡大する、言いかえますと覇権主義を推し進めるということは、民族自決の尊重という国連憲章の大原則、これを基礎としてのアフリカ地域の自主自立の方向に反するんではないか。私どもは、このアフリカ開発援助の問題につきましても、そういうことを感ずるわけでございます。外務大臣は、この点についてはいかがお考えでしょう。
  129. 高村正彦

    高村国務大臣 特定の国の援助政策をいいとか悪いとか言う立場にないわけでありますが、タックスペイヤーのお金を使って援助する以上、そこに何らかの口を出すことはあり得ることだ。全く口を出さないで、ただタックスペイヤーのお金をばらまくということは、タックスペイヤーに対して無責任である、こういうふうに日本としても思っています。
  130. 松本善明

    ○松本(善)委員 時間が来ましたので終わりますが、やはりひもつき援助というか、そこのところの根本が違うんではないか。後発開発途上国に対して私心のない援助ということを原則とすべきではないかということを私は強く主張して、質問を終わります。
  131. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、伊藤茂君。
  132. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 ただいま議題となっております二つの条約条約三号、四号、賛成の立場であります。ただ、賛成ではございますけれども、要望がございます。注文つき賛成と申しましょうか、そのポイントを申し上げまして、大臣の御見解を伺いたいというふうに思います。  まず、第一のIMF関連の問題でございます。  この書いてある今回の改正自体は、関係国の相談の結果でございますから、そういうことだなというふうに思いますが、この一年余りIMFの問題は、特にアジア金融危機と関連いたしまして、随分大きな話題となりました。また、さまざまの改革も進められているというのが現状であろうというふうにも思います。何か、このしばらくの間は、インドネシアにいたしましても、韓国にいたしましても、タイにいたしましても、国際ヘッジマネーという膨大な怪物か妖怪が世界のマーケットを駆け回る、そしてIMFという形になって、いろいろ苦労と努力はしているんでしょうが、やや硬直なという面が特にインドネシアの場合には大分言われたというふうな経過をたどっております。  私は、こういう経過を考えますと、いずれにしろ、戦後五十年、今までにない大変な大きな変化が起きているということでございますから、世銀グループ、IMFにいたしましても、それぞれ何か今の時代に合う、また次の時代を展望した勉強とか改革とかいうものをしなければならない。たしか、予算委員会のときにも宮澤大蔵大臣が、ブレトンウッズのときに想像も想定もしなかった大変な大きな変化の時代というふうなことをおっしゃっておりましたが、私もそう思います。  そうなりますと、アジア金融不安に関係をいたしましたさまざまな経過があり、IMFの改革問題が指摘をされた。やはり、いろいろな意味での、その現象現象だけではない、問題意識を持ってどうするのかということが求められているということではないだろうかというふうな気持ちがいたします。これは外務省というよりも、むしろ大蔵省国際局の関連のことだと思いますが、その辺をどういう考え方で今対応なさっているかをまずお伺いいたしたい。
  133. 中井省

    中井説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、昨年の一連のアジア通貨危機、それからロシア、ブラジルに波及いたしました国際的な金融危機に対処するということで、従来の体制について根本的な見直しをしなきゃいかぬじゃないかということで、いろいろな国際会議のフォーラムで現在検討が進行中でございます。特に、昨年のバーミンガム・サミットにおきまして、サミットの首脳からG7の大蔵大臣に対しまして、ファイナンシャルアーキテクチャーの議論、これを議論して、ことしのケルン・サミットまでに報告せよ、こういう指示がおりておりまして、いろいろなフォーラムがございまして、多岐にわたるわけでございますけれども、大蔵省といたしましても、そういう場で我々の意見を申し上げ、改革が一歩でも進むよう努力しているわけでございます。  特に、IMFのサーベイランスの強化、それからプログラム及び手続の見直しというものが非常に重要であるという観点から、G7でございますとか、先日ボンで行われましたが、G33というのがございます。これは、G7プラス新興市場国二十六カ国の集まりでございまして、初めてこれのセミナーが行われました。  そういう場におきまして、例えば、御指摘もございましたけれども、従前と大きく変わっておりますのは、自由な資本移動が世界じゅうで起きているということでございます。この自由な資本移動への対応をどうやって強化していくか。モニタリングとかいろいろございます。それから、危機に応じて、場合によっては規制するというようなこともあるかもしれぬ、そういうような議論でございますとか、それから、そういう自由な資本移動が起こっている世界において、IMFの危機時におきます資金の対応力は十分であろうかというような議論もございました。そういうような議論につきまして、具体的な提案を行っているところでございます。  まだ途中段階で、これはどういう成果が出てくるか、ケルン・サミットまで待たなければならないと思いますけれども、これから、四月のIMFの暫定委員会というような場もございまして、何回かいろいろな会議が予定されております。そういう場で我々の主張を唱えていきたいと考えている次第でございます。
  134. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 IMFの問題も関連をして、この一年、一年半ほど、アジア全体、我が国もそうですが、大変な動乱の苦労というものを味わってきたわけであります。その後、思ったよりも早くと申しましょうか、いろいろな意味でハードルを乗り越える努力が各国とも真剣になされている。韓国の状況などを見ましても、大変な努力をして、思ったよりも、思ったよりもと言っては失礼かもしれませんが、懸命ないい努力をしているんだなというふうな感じがいたします。  いずれにしても、しかし、この間の経過を振り返って改善措置を講ずる。と同時に、次の大変な大きなグローバル変化が起きているわけですから、この間も、ジョージ・ソロスさんの書いた「グローバル資本主義の危機」なんて見まして思ったのですが、大変な、今までにないという非常に大きな変化が起きているという中ですから、やはり、これからの時代を展望しながらのさまざまの勉強と努力をする。日本の経済における、世界におけるポジションからしても、そういう先進的な努力をしなければならないところではないだろうかと思います。  そこで、外務大臣としての御見識、お気持ちをお伺いしたいんですが、しばらく前は、二十一世紀はアジアの時代とかいうようなことが随分言われました。世界で成長率の一番高い地域、そしてまた一番大きな可能性を持っている地域、そういう流れの中で、例えばASEMなどというものが具体化をするという時代まで来ているというふうなことになるわけでございますし、そういうことを考えますと、今このしばらくの間、非常に難しい困難にぶつかっちゃったということになるわけでありますけれども、やはり、潜在的なと申しましょうか、将来の可能性は私は変わらず大きなものがある、また、そういう可能性を開かなければならないということだと思います。  例えば、APECにいたしましても、発足をしてそう長い期間があるわけではありませんけれども、それでもやはり、昔は想像もできなかったようなさまざまの状況になって、発展が示されているというわけでありますし、それから、アジア域内の、域内におけるお互いの協力とか貿易量とか資金移動とかは非常に大きなものになっているというふうな変化も生まれているわけであります。  グローバルな目では、さっき申しましたように、ブレトンウッズから五十年、とても想像できない大変化。ユーロとかヘッジマネーとか、いろいろなものが生まれている。では、次の時代をどう構想するのか、グローバルな意味での新たな構図をどう描くのかという宿題が、課題が目の前にある。しかし、とても簡単にその解答かシナリオを書くということはなかなかできない、世界じゅうできないというのが状況であります。  そういうことを考えますと、やはり私は、我が国アジア諸国からも友好的でありまた尊敬される道というのは、そういうことについてのいい努力をしていくということが必要ではないだろうかというふうな気がします。ハイレベルのさまざまの専門家のシンポジウムをやるというふうなことも例えばあるでありましょうし、それから、そういうことについての何かやはり、政府だけではない民間その他も含めましたミーティングをどうするのかなどと、いろいろな意味でのやはり努力をしながらやっていくというのが重要な道ではないだろうか。  この間において、例えばアジアマネーファンドという構想などもなかなか難しいところにぶつかっちゃったという経過もたどっておりますし、それから、宮澤大蔵大臣が提唱された三百億ドルの資金援助計画などは好感を持って迎えられているというふうなことにもなっているわけでありますけれども、やはりそういう中で、何か意欲的に、一歩次の時代へという意欲を持ちながらやるということが大事ではないだろうか。  そうでないと、最近アジアとかあるいはヨーロッパとかを回ってきた人なんかの話も私は個人的に聞きましても、そういうおつき合いをしましても、みんなの見る目は何か。やはり、どうする日本、どうなるの日本というふうな印象で見られているという話を時々実は聞かされるわけでありますが、そういうのを越えなければならないというふうにも思うわけでございまして、広い意味で、経済、外交含めまして、そういう意欲が必要ではないかと思いますが、大臣の御見解を。
  135. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国の繁栄というのは、世界経済がしっかりと安定していることが前提でありますし、我が国アジア各国の通貨、経済の安定に積極的に貢献していくということが、みずからの責任でもあり、またみずからのためにもなる、こういうふうに考えております。  現在、アジア諸国は、経済再活性化、構造改革及び人材育成、社会的弱者救済、通貨安定といった課題を抱えているわけでありますが、おのおのそれらの課題に一生懸命取り組んでいるわけであります。  我が国としては、こうした取り組みを支援するため積極的にアジア支援に取り組んでおり、今までに八百億ドルの世界最大の支援策を表明し、着実に実施しているわけであります。  また、アジアのGDPの三分の二を生産する我が国経済の再生はアジア経済回復のために不可欠であるとの認識のもと、我が国経済再生に向けても全力で取り組んでいるわけでございます。
  136. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 最初に申し上げましたが、いずれにいたしましても、IMF、国際通貨基金協定改正につきましては賛成いたしますけれども、今のIMFの現状、将来については厳しい目を持ってやっていくというのが私の気持ちでございます。  もう一つアフリカ開発銀行関連のことについて質問を申し上げます。  先ほど同僚の赤松委員の方から質問がございました。私も趣旨は賛成でありまして、その延長のことをひとつ申し上げたいというふうに思います。  間もなくケルン・サミットが開催をされる。恐らくその中で、一つの大事な焦点として、先ほど話題のございました重債務貧困国対応ということが話題となるということではないかと思います。また、ドイツからもことしの一月新しい提案がございました。最近の報道をずっと見ますと、つい先日、十六日にも、クリントン大統領がアフリカ諸国の閣僚級会合で演説をしたという内容でその問題を重点に実は触れられております。また、そのほかの国も、ちょっと調べてみますと、イギリスフランス、カナダ、ノルウェー、いろいろなところから、この問題をどうするのか、真剣なさまざまの提言がなされているという状況でございます。  確かに、アフリカ開発銀行など、日本出資の比率は高い。それから、非常に遠い国ということがございます。しかし私は、一つはやはり、二百近い世界の中で数十の非常に大きな比率を占めている大陸でございますから、それらの国々の中で日本がどういう目で見られているのか、尊敬の念と友好の念を持って見られているのかどうかということは、我が国の将来にとっても非常に大事なことだと思います。  それから、政府のさまざまの開発援助の問題、それから民間のさまざまな金融経済措置などを含めまして、日本は、特に政府でいうならば、文字どおりの援助大国と言われておるわけでありますが、また、ODAに関する我が国の原則というものも内閣で長年指摘をされ、確認をされております。しかし、本当の援助というのは銭目の額ではなくて、質的に言ってどうなんだろうかということが非常に問われる一つの大事なテストケースではないだろうかというふうな思いがするわけであります。  私は、見てみますと、アフリカの大陸における深刻なそういう状態がある。それにつきましても、借金は返すのが当然だというのが世間の常識ではございますけれども、歴史を振り返ってみますと、冷戦時代に米ソ両陣営の援助競争があって、それから勢力拡大の熾烈な競争があって安易な貸し付けがなされ、重債務国になった。そういう歴史的な経緯なども歴然と実はあるわけでありまして、そういう歴史を踏まえた上で、国際社会として、どのように展望のある、希望のある出口を示すのかということにしなければならないという気持ちであります。  私が質問したいのは、「ドイツ連邦政府の新債務救済提案」一月十一日発表というものを読んでみました。読んでみますと、次のサミットの議長をなさる方々の、主催国の提案でございますから重きをなすと思いますが、私の手持ちの資料でも七項目ございますけれども、それを読んでみましても、これは前文に書いてある、IMF、世銀との協力のもとに新たなイニシアチブを前進させることの必要性とか、それから重債務貧困国の解決のためのプロセスを促進する、そのための暫定期間を短縮するという問題とか、あるいはそれらを解決するためのファンドをつくらなければならない。ドイツの場合には、本年、一九九九年のうちにこのファンドに資金拠出をするということが言われておりますし、これは世銀のイニシアチブの問題ですね。それから、IMFの関連での新たな拠出をしていく、これについてもドイツは応ずる用意があるとか、またパリ・クラブで決まってきたさまざまなことをテンポを上げるとか、幾つかのことが七項目について打ち出されております。  ざあっと読んでみましたら、我が国にとって政策上不可能なこと、筋違いなことではない、また大いに検討し得ることではないだろうかというふうな感じで読んだわけであります。それから、クリントン大統領の発言にいたしましても前向きでありますし、またイギリス政府からの対応、前向きにぜひやっていきたいというふうな態度表明がなされているということになるわけであります。  そうなりますと、こういう大きな問題で、サミットの場で特に主催国のシュレーダーさんが積極的な提案をなさるという中で、何か日本が一番影が薄いとか、後ろ向きであったとか、冷たいとかという印象は絶対やはり避けるべきであろうし、これは外務大臣も、そういうことはあってはならぬというふうにお考えになっていると思います。  そういう意味で、先ほど来御答弁を伺っておりますと感じられるのですが、もう一歩踏み込んだと申しましょうか、積極的な対応というものが、やはり我が国の世界の印象からしてもなされるべきではないだろうかというふうに思いますが、中身の細かいことは別にいたしまして、どうお考えでしょう。
  137. 高村正彦

    高村国務大臣 アフリカの最貧国の債務問題に対し、先ほども申し上げましたように、我が国開発と自立に配慮した形で包括的に取り組むこととしているわけであります。  具体的に言えば、パリ・クラブの枠組みにおいて債務繰り延べを行うとともに、特に後発途上国に対しては、実質的に債務帳消しと同等の効果をもたらす債務救済無償資金協力を供与することとしております。また、アフリカ諸国の債務管理能力を向上させるための技術協力による研修事業や、我が国の資金を利用しての国連開発計画等を通ずる人材の研修を行うこととしております。さらに、IMF及び世銀が設ける債務救済のための各基金への資金拠出を含む各種の協力も行っているわけであります。  こういった方針のもとで、アフリカの債務問題の解決に向けて、委員が御指摘になったような、諸外国と協調しつつ積極的に取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。
  138. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 私どものところの党の方にも、またほかの党の先生方の方にも、先ほどお話ございましたジュビリー二〇〇〇とかいろいろな国際的な市民運動、何か二億二千万の署名を集めてサミットに持ち込むとかいうふうな運動で、いろいろな御意見も伺っております。  ただ、こういう注目される問題について、やはりなるべく、なるべくじゃなくて、本当に日本が世界から注目をされる、また貢献をしていくということが今我が国にとっては大事なことだろうというふうに思いますし、最後に一言伺いたいのは、サミットですから、総理を初め外務大臣、大蔵大臣、参加をされるわけでありまして、そういう意味でのやはり我が国としての総合的な判断を持ってどう取り組むのかということが、総理の御判断も含めてやられるべき問題だろうというふうに思います。  当然ですが、この問題についても、外務省だけではなくて大蔵省などを含めまして、そういう総合的な検討がなされるべき、そんなのは当たり前、当然だと思いますが、そういう検討をなさいますか。
  139. 高村正彦

    高村国務大臣 重ねて申し上げますが、諸外国と協調しつつ、積極的に取り組んでまいります。
  140. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 時間ですから、終わります。
  141. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  142. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより両件に対する討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
  143. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております国際通貨基金改定協定アフリカ開発銀行設立改定協定に対する反対の討論を行います。  まず、国際通貨基金改定協定でありますが、反対の理由は、IMFの果たしている役割の問題であります。  発展途上国の経済運営や管理にまで介入するようになったIMFは、いわゆるアジア通貨危機、九七年の夏にタイに始まる国際的な通貨危機を、緊縮政策と短期間に実現不可能な構造改革の同時追求で乗り切ろうとし、かえってこれを激化させたことは世界銀行でさえ批判しているとおりであります。アメリカの経済覇権主義が国際経済を混乱させているからであります。  アフリカ開発銀行改定協定の反対理由は、議決の条件を厳しくするとともに、域内諸国と域外諸国の投票権の割合域外諸国に有利にすることによって、アフリカ諸国の自主性、独立性を脅かす点であります。  今回の改定で、日本アメリカなど域外諸国が、特に重要あるいは自国の実質的な利害に関係すると表明すれば、決定は七〇%以上の多数が必要となります。しかも、アフリカ諸国の投票権数が三分の二から六〇%に引き下げられ、域外諸国は三分の一から四〇%に引き上げられましたから、アフリカ諸国は初めから域外諸国の言い分に従わざるを得ない仕組みになっております。  もともとアフリカのための銀行でありながら、アフリカ諸国が切望する自主的計画の決定が妨げられ、これら諸国の手を縛るやり方は賛成できません。金融支援を行うのだからアフリカ諸国の自主的活動を制約してもいいのだという考えは、確立された民族自決権を脅かすものであります。  両協定に共通する反対理由は、いずれもアメリカの関与と拡大の戦略に基づくアフリカでの影響力拡大政策と深く結びついていることが、アメリカの国防報告や東アジア太平洋地域に対するアメリカ安全保障戦略等で明確であるからであります。  私は、これら経済覇権主義に反対することを明確にして、討論を終わります。(拍手)
  144. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  145. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより採決に入ります。  まず、国際通貨基金協定の第四次改正受諾について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  146. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、アフリカ開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  147. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 中馬弘毅

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  149. 中馬弘毅

    中馬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十一分散会