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1999-03-03 第145回国会 衆議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月三日(水曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 上原 康助君    理事 玄葉光一郎君 理事 赤松 正雄君    理事 東  祥三君       大村 秀章君    柿澤 弘治君       瓦   力君    河野 太郎君       阪上 善秀君    櫻内 義雄君       中谷  元君    額賀福志郎君       深谷 隆司君    細田 博之君       吉川 貴盛君    川内 博史君       中野 寛成君    藤田 幸久君       坂口  力君    山中あき子君       井上 一成君    藤井 裕久君       古堅 実吉君    松本 善明君       伊藤  茂君  出席国務大臣         外務大臣    高村 正彦君  出席政府委員         外務大臣官房長 浦部 和好君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 東郷 和彦君         自治省行政局選         挙部長     片木  淳君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      田中 信明君         外務委員会専門         員       宮本 吉範君 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   八代 英太君     大村 秀章君 同日  辞任         補欠選任   大村 秀章君     八代 英太君 二月十二日  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二〇号) は本委員会に付託された。 二月十六日  日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定改正する協定締結について承認を求めるの件(第百四十二回国会条約第二〇号) は日米防衛協力のための指針に関する特別委員会に付託替えされた。 同月十九日  核兵器完全禁止核廃絶国際条約締結に関する請願不破哲三紹介)(第六二一号)  WTO協定WTO衛生植物検疫協定改定に関する請願松本善明紹介)(第六二二号)  在沖縄米軍基地縮小撤去に関する請願濱田健一紹介)(第七二三号)  核兵器廃絶条約締結に関する請願中川秀直紹介)(第七二四号) 同月二十五日  核兵器廃絶条約締結に関する請願粟屋敏信紹介)(第七七三号)  同(亀井静香紹介)(第七七四号)  同(岸田文雄紹介)(第七七五号)  同(斉藤鉄夫紹介)(第七八九号)  同(中林よし子紹介)(第八九一号)  在沖縄米軍基地縮小撤去に関する請願古堅実吉紹介)(第七八八号)  同(知久馬二三子紹介)(第九一七号) は本委員会に付託された。 二月十六日  日米物品役務相互提供協定改定反対に関する請願古堅実吉紹介)(第一号)  同(中島武敏紹介)(第二八号)  同(中林よし子紹介)(第二九号)  同(春名直章紹介)(第三〇号)  同(東中光雄紹介)(第三一号)  同(平賀高成紹介)(第三二号)  同(不破哲三紹介)(第三三号)  同(藤木洋子紹介)(第三四号)  同(藤田スミ紹介)(第三五号)  同(古堅実吉紹介)(第三六号)  同(松本善明紹介)(第三七号)  同(矢島恒夫紹介)(第三八号)  同(山原健二郎紹介)(第三九号)  同(吉井英勝紹介)(第四〇号)  同(木島日出夫紹介)(第三六六号)  同(寺前巖紹介)(第三六七号)  同(志位和夫紹介)(第四八三号) は日米防衛協力のための指針に関する特別委員会に付託替えされた。 二月十六日  核兵器廃絶国際条約締結促進に関する陳情書外四件(第九号)  国際人権自由権規約第一選択議定書拷問禁止条約などの早期批准に関する陳情書(第一○号)  日韓漁業協定締結に関する陳情書(第一一号)  米軍機低空飛行訓練即時中止に関する陳情書外二件(第一二号)  WTO農業協定改定に関する陳情書外五件(第五五号)  サミットの沖縄県開催に関する陳情書外五件(第五六号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二〇号)     午前九時開議      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  内閣提出在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  外務大臣より提案理由説明を聴取いたします。外務大臣高村正彦君。     ―――――――――――――  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 高村正彦

    高村国務大臣 ただいま議題となりました在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案について説明をいたします。  改正の第一は、ドイツ首都機能移転に伴い、在ドイツ日本国大使館ボンからベルリン移転するとともに、在ベルリン及び在ボンの各日本国総領事館を廃止することであります。  改正の第二は、地名変更に伴い、在アガナ日本国総領事館名称等を変更することであります。  なお、在ドイツ日本国大使館移転についてはドイツ外務省移転に合わせて行う必要があり、また、在アガナ日本国総領事館名称変更についても地名変更は既に行われていることから、できるだけ速やかな法改正が必要であります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、よろしく御審議をお願いいたします。
  4. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阪上善秀君。
  6. 阪上善秀

    阪上委員 先ほど大臣から趣旨説明がありましたように、ボンからベルリンへの首都移転に伴い、議会及び十の省庁ベルリン移転し、七つの省庁ボンに残留するということになっております。  我が国として、こうしたボンに残留する政府機関との適切な関係維持を図るとの観点から、在ドイツ日本国大使館の一部を構成する出張在官事務所ボンに設置することとしております。  我が国がこのような方針をとるに至った背景には、ボンに残留する省庁との関係について領事機関による対応を認めないというドイツ政府方針があるわけでありますが、ドイツ政府がこのような方針をとる理由について我が国政府はどのように承知されておるのか、お伺いをいたします。
  7. 高村正彦

    高村国務大臣 ドイツ政府は、ボンに在留する連邦政府省庁との関係について領事機関による対応は認めないとの方針をとっております。  これは、大使館総領事館では法的地位がおのずと異なるためであり、ドイツ駐在の領事館は派遣国を代表して連邦政府交渉することはできないとの考え方に基づくものであると承知をしております。
  8. 阪上善秀

    阪上委員 事前通告はしておりませんが、嘉手納飛行場における米軍パラシュート訓練について、外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。  沖縄在日米軍による嘉手納飛行場でのパラシュート降下訓練開始高村外務大臣よりフォーリー駐日大使に対し中止を申し入れた由と聞いておりますが、その経過、事実関係についてお伺いをいたします。
  9. 高村正彦

    高村国務大臣 昨日夕刻でありますが、フォーリー大使に電話をいたしまして、今般のパラシュート降下訓練中止してほしいということを申し上げました。  フォーリー大使からの答えは、即応態勢を維持するためにどうしても必要だということでありましたし、訓練所要を満たしていない兵士が多数いるのでどうしても行わざるを得ないのだということを述べられた上で、外務大臣からの要請であるので、軍とも連絡をとりながら再度話し合いをしたい、向こうからそういう話があったところでございます。
  10. 阪上善秀

    阪上委員 大臣の御健闘をお祈りいたします。  それでは、通告に基づきまして質問を続けさせていただきます。  北方領土問題に対する日ロ両国認識の差の有無についてお伺いをいたします。  先月二十一日から二十二日までロシアイワノフ外相が来日され、小渕総理及び高村外務大臣会談をされました。しかし、一連会談では、一、マスリューコフ第一副首相が三月に来日し、高村外務大臣が四月ごろに訪ロすること、二、我が国政府が択捉、色丹両島ディーゼル発電施設を設置するほか、国後島に集会所宿泊施設を設置すること、三、北方四島住民に対する医療支援を実施すること、四、両国交流を拡充するため日ロ青年交流センター日本に設置し、千人規模の青年交流を実施することなどについて合意をいたしましたが、肝心の北方領土問題については、双方がそれぞれ従来の立場を主張したことにより平行線をたどり、二〇〇〇年までの平和条約締結についてさらに交渉を続けることを確認した程度であったと報じられております。  領土問題について平行線をたどったことは、本問題に対する日ロ両国認識に大きな隔たりがある証拠であるように思われます。この点について、高村外務大臣認識をお伺いいたしたいと思います。
  11. 高村正彦

    高村国務大臣 先月二十一日、私は、イワノフ外相との間で、平和条約締結問題日ロ合同委員会共同議長間会合を行いました。  この協議においては、クラスノヤルスク以来の日ロ間の一連合意及び宣言に従って精力的な作業を継続していくことを確認するとともに、日ロ双方の案を踏まえて、外務大臣レベルで率直な話し合いを行ったところでございます。その結果、四月一日、二日には、東京国境画定委員会共同経済活動委員会を開催し、引き続き交渉を進めていくということで一致したところであります。  もとより問題が易しくないものであるということは多言を要さないわけでありますが、政府としては、北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約締結して両国間の関係を完全に正常化するとの基本方針を堅持しつつ、交渉推進全力を尽くしていく考えでございます。
  12. 阪上善秀

    阪上委員 ロシア側提案東京宣言整合性についてお伺いをいたします。  昨年秋に小渕総理訪ロした際に提示されたロシア側提案は、北方領土帰属は二〇〇〇年までに締結される平和条約ではなく別条約で定めるというものでありました。  しかし、領土問題を解決する前に平和条約締結することは、領土問題を歴史的、法的事実に立脚し、両国の間で合意の上策定された諸文書及び法と正義の原則基本として解決することにより平和条約早期締結するとした東京宣言趣旨に反するのではないかと思われます。この点について、高村外務大臣見解をお伺いいたしたいと思います。
  13. 高村正彦

    高村国務大臣 領土問題に関する川奈提案及びロシア側対案については、外交交渉内容にかかわる問題であって、その内容にわたって言及することは差し控えさせていただきたいと思います。  でありますから、ロシア側提案が今までのことと矛盾するかどうかということについても言えないわけでありますが、クラスノヤルスク以降の首脳間会合においては、東京宣言に基づき、すなわち四島の帰属の問題を解決して二〇〇〇年までに平和条約締結するよう全力を尽くすとの合意が繰り返し確認されているわけであります。  今は、日ロ双方がこの合意に厳格に従って、文字どおり全力を尽くしていくべき時期だと思います。もとより我が方としては、その方針にのっとり、交渉推進に努めるつもりでございます。
  14. 阪上善秀

    阪上委員 クラスノヤルスク合意を厳守する意思の有無について、再度お伺いいたします。  北方領土問題解決への動きは、両国首相信頼関係の上に構築されてきた感があると思います。特にロシア側は、エリツィン大統領領土問題解決に大いなる関心を示し、みずから積極的に領土問題解決に向けて取り組んできたと承知をいたしております。  しかし、ロシア側のかなめであるエリツィン大統領政治力について、一昨年十一月にクラスノヤルスクで行われた日ロ非公式首脳会談の時点と現在とを比較すると、大統領健康状態ロシア経済の悪化などの要因によって明らかに低下しており、エリツィン大統領政治決断は余り望めない状況にあると思われます。ましてロシアは、ことし十二月にロシア議会下院選挙が行われる予定であるほか、来年七月には大統領選挙予定されるなど、政治の季節に入ります。  ロシア側は世論の反対の強い北方領土の返還に踏み切ることがますます困難な状況になってくると思われ、我が国は、事務レベル交渉や四月ごろに予定されております高村外務大臣訪ロ、夏ごろにも予定されておりますエリツィン大統領訪日などの際には、厳しい交渉を強いられることが予想されておるのであります。  そのような場合でも、二〇〇〇年までに平和条約締結するとのクラスノヤルスク合意はあくまで守り通していくつもりであるのか、政府見解をお伺いいたします。
  15. 高村正彦

    高村国務大臣 日ロ間の平和条約交渉につきましては、昨年十一月の小渕総理訪ロの際に署名されたモスクワ宣言において、東京宣言クラスノヤルスク合意及び川奈合意に基づいてこれを加速していくということで両国首脳が一致し、平和条約を二〇〇〇年までに締結するよう全力を尽くすとの決意が再確認されたわけであります。先月二十一日には、私がイワノフ外相との間で平和条約締結問題日ロ合同委員会共同議長間会合を行い、日ロ双方の案を踏まえて、外務大臣レベルで率直な話し合いを行いました。  御指摘のとおり、今後の日ロ間の政治対話として、私の訪ロエリツィン大統領訪日等、さまざまなレベル対話予定されております。問題が難しいものであることは多言を要しませんが、もとより政府としては、クラスノヤルスク合意を遵守し、東京宣言に基づき、北方四島の帰属の問題を解決し、二〇〇〇年までに平和条約締結するよう、引き続き全力を尽くしていく考えでございます。
  16. 阪上善秀

    阪上委員 今後の対ロ経済支援あり方についてお伺いをいたします。  領土問題解決について、エリツィン大統領政治決断が望みにくい状況であることを考えると、今後は、エリツィン頼みから脱却し、国家レベル信頼関係の上に立った交渉を進めていくことが肝要であると思います。そのためには、両国信頼関係を早急に盤石なものにすることが極めて重要になってくるのであります。この点、現在でも少しずつ行われております経済支援両国間の信頼関係構築に貢献し得るものであり、今後も、平和条約締結に向けた環境整備のため、地道な努力を続けていくことが必要であると認識をいたしております。  しかし、クラスノヤルスク合意以来、総額十五億ドルの輸銀アンタイドローンを初めとする、さまざまな我が国からの対ロ経済支援が発表されているにもかかわらず、領土問題については実質的な進展がなく、我が国経済支援ばかりが先行している印象は否めないものであります。  今後の対ロ経済支援あり方について、領土問題の進展が多少おくれていても経済支援を拡大していくのか、それとも領土問題の進展と同時並行的に経済支援を実施していくのか、政府見解をお伺いいたしたいと思います。
  17. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国としては、互恵の原則のもとでロシアとの経済交流を進めていくことは、我が国国益に合致すると考えております。また、ロシア政治経済外交といったさまざまな分野において改革を推進することは、我が国のみならず世界全体の平和と安定に多大な利益をもたらすものと考えており、このため、こうしたロシア政府改革努力を一貫して支持してきているところでございます。  政府としては、経済分野も含めて、あらゆる分野両国関係を一層強化しながら四島の帰属の問題を解決し、二〇〇〇年までに平和条約締結するよう全力を尽くしていくとの立場であり、このような立場については今後とも堅持していく方針であります。  私がイワノフ外相に申し上げたのは、領土問題の解決とそのための環境整備というのは車の両輪でありますから、我が方として環境整備について一生懸命努力しているんだから、領土問題の解決の方の輪をロシア側で一生懸命回すように努力してくれ、こういうことを申し上げたところでございます。
  18. 阪上善秀

    阪上委員 次に、北方四島旧島民による自由訪問早期実現見通しについてお伺いをいたします。  日ロ両国信頼関係を築く上では、我が国は、対ロ経済支援だけでなく、日ロ間の活発な政治対話両国民の相互理解を図るための努力を怠ってはならないと思います。特に、我が国としては、昨年十一月の小渕総理訪ロ時に合意した、北方四島の旧島民とその家族自由訪問早期に具体化していくことが重要であると言えると思います。  自由訪問実現には法律制定ロシア国内各種手続が必要であり、早期実現するかどうかは、領土問題に対するロシア側の意欲をはかる試金石となるばかりでなく、戦後五十年以上が過ぎ、高齢化が着実に進んでいる旧島民の人々の願いを実現する上でも、早急に解決することが必要であると思っております。  自由訪問早期実現見通しについて、政府見解をお伺いいたします。
  19. 高村正彦

    高村国務大臣 旧島民の旧居住地への自由訪問については、昨年十一月の日ロ首脳会談において、小渕総理より、人道的観点から、旧島民及びその家族たる日本国民が四島を自由に訪問できるよう措置をとってほしい旨働きかけたのに対し、エリツィン大統領より同意を得ることができたものであります。  この自由訪問の具体的な仕組み等の詳細につきましては、上述の日ロ首脳会談の結果を踏まえ、現在ロシア側と鋭意調整しているところでございます。  先般の日ロ外相会談におきましては、イワノフ外相より、さらに検討を必要とするが、この訪問実現するため全力を尽くしていくつもりであるという発言がありました。これを踏まえて、両外相間で、モスクワ宣言の精神と文言にのっとり、本件を早期実現するための作業を加速化していくことで一致したところでございます。
  20. 阪上善秀

    阪上委員 時間が来ましたので、終わります。
  21. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、川内博史君。
  22. 川内博史

    川内委員 民主党の川内博史と申します。  まず、私は、外務委員会常任委員会のメンバーとして加えていただいて初めての質問で、前々からお伺いをしたいなと思っていたことがあるものですから、それを伺わせていただきます。  アメリカとかフランスなどで、いわゆる大物政治家というのでしょうか、政治世界活躍をしていた方が主要国大使に任命をされるというようなことが往々にしてあるわけでございます。例えば、アメリカであれば、副大統領であったモンデールさんが駐日大使を務めていらっしゃいましたし、また、現在のフォーリーさんも下院議長であったわけですから、アメリカ合衆国政界の重要な人物であったと言えると思うのです。  私どもの日本の場合でも、外務省の役所の方がそのまま出世して大使になるというのではなくて、差しさわりがあったら申しわけないですが、例えば中曽根さんなんかは大変にアメリカとはパイプが太いというふうに聞いてもおりますし、中曽根総理アメリカ大使にしたら日本国益にも大変にかなうのではないかななんということを常々考えたりしていたのですが、政府としてそのようなことはお考えにはならないのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  23. 高村正彦

    高村国務大臣 米国などの一部の例外を除きますと、主要国において、その大使のほとんどが職業外交官から起用されているわけであります。これは、大使という職の任務を遂行する上で、外交官としての経験や知識の蓄積が重要なものの一つとして認識されていることによるもの、こう理解をしているわけであります。  そのような観点を前提とした上で、外務省としては、大使への外部の人材の起用については、適材適所の観点からこれを行ってきており、今後とも引き続き積極的に検討していきたいと考えております。  主要国における大使出身割合の表があるのですが、ちょっと言ってみますと、確かにアメリカは圧倒的に民間政界からの起用が多いのですが、あとカナダぐらいですかね、日本より多いのは。イギリスやフランスドイツ、イタリアに比べると、日本の方が他省庁出身者もあるいは民間政界出身者も、民間出身者日本の場合二名いますが、ドイツが二名ぐらいで、アメリカは五十人と圧倒的に多いのです。むしろアメリカが特殊な例であるということだと思っていますが、一つの御意見だと思いますので、これからもいろいろ考えていきたいと思います。
  24. 川内博史

    川内委員 ハードボイルドな高村大臣に、一つ意見だと思うと簡単に片づけられてしまうと、私も勇気を振り絞って質問したことがちょっと寂しい思いになってしまうのですが。  アメリカ例外だと言わずに、そのアメリカが今大変に世界の中でも元気があって活動しているわけですから、いいところはどんどん見習った方がいいと思いますし、功成り名を遂げた方がまた別な世界活躍の場を得るという意味でも、政界に限らず、今大臣がおっしゃったように、民間の財界の出身の方でももちろんいいわけですけれども、外務省プロパーだけではなく、やはり大使というのは非常に政治的な動きをしなければならない場合が往々にしてあろうかと思いますので、ぜひ前向きに御検討をいただいて、大臣のときにあっと世間を言わすような人事をしていただければ、日本ももうちょっと外国から信頼を受けられるような、もっともっと信頼を受けられるような国になっていくのではないかなというふうに思っています。  次に、今回の改正案について伺わせていただきます。  今回ドイツ大使館を移すということなのですが、非常に素朴な疑問なのですけれども、新しく大使館を移すベルリンの新大使館、それから大使の新公邸はどうするのかなとか、あるいは購入する予定なのか、また今までのボン大使館並びに大使公邸はどういうふうに今後使用していかれるのか。  大使館なりあるいは大使公邸なりというのは大変に広くて立派な、あるいは大きな建物でありましょうし、また職員の方もたくさんお勤めでしょうから、大使館を移すといってもそんな簡単にはいかないことでしょうから、現地職員の方々をどうされるのかというようなことまで含めて、今回の移動に伴う一連の具体的な動きについてお聞かせをいただければというふうに思います。
  25. 高村正彦

    高村国務大臣 ベルリン大使館事務所及び大使公邸については、旧ベルリン日独センター建物増改築の上新たな事務所及び公邸とする予定であり、施設購入予定はありません。この旧ベルリン日独センターというのは、戦前日本大使館だったところでありまして、私も日独センターになる前に三度ぐらいそこを視察したことがあるわけでありますが、非常にいいところにあるわけであります。  ボンにある大使館事務所大使公邸については、今後、売却することとなりますが、その具体的な時期及び手続については引き続き検討をしてまいります。現在ボンにおいて働いている現地職員については、一部の職員は引き続き在ボン出張在官事務所職員として勤務し、その他の職員原則としてベルリンの新大使館において勤務すべく移転する方向で検討しているところでございます。
  26. 川内博史

    川内委員 大使館といえばだれでもペルーで起こったあの大使館占拠事件人質事件を思い出すわけでありますが、新しいベルリン大使館でも警備には十分な注意が払われることになるであろうというふうに思うのです。そこで、世界じゅうのいろいろな国々に私ども日本国大使館が置かれているわけでありますが、その警備の状況についてお尋ねをさせていただきたいのですが、一般的に、日本国大使館ではどなたがどのような警備をしていらっしゃるのか。  ペルーの問題のときでも、現地の治安の情勢等の情報収集とか若干の問題がなきにしもあらずであったのではないかというふうに思うのですが、日本国大使館において警備のプロあるいは専門家の活用が十分になされているのかどうかという点まで含めて御答弁をいただければと思います。
  27. 高村正彦

    高村国務大臣 在外公館におきましては、館長以下全館体制で情報収集等に当たるとともに、警備体制の企画立案、整備、任国治安当局との連絡調整等の警備業務は、館長が指定した総括警備担当官のもと警備官が担当しているわけであります。特に危険度の高い状況下にある在外公館警備官に対しては、個々に検討の上、その生命、身体等の安全を確保するため、接受国の法令を尊重しつつ、護身用の武器の携行を認めることとしております。  なお、在外公館の警備体制につきましては、本省が示したマニュアルに基づき、在外公館と本省在外公館警備室及び関係各課が協議しつつ検討をしております。  警備官というのは世界じゅうに百八十三名いるわけでありますが、警察庁から派遣していただいている方が百三名、防衛庁から派遣していただいている方が三十二名、入管等から二十名、民間から二十四名、それから外務省の警備の方が四名、こういうことになっております。
  28. 川内博史

    川内委員 アメリカ在外公館というのは、海兵隊員、マリンが警備を担当していると聞いたことはあるのですが、海兵隊というのはアメリカの部隊の中でも最も訓練されたプロ中のプロの方たちで、我が国在外公館の警備スタッフも今相手国の法令にのっとって武器を携行する場合もあるというふうにお聞きをいたしましたけれども、相手がペルーのトゥパク・アマルみたいな、機関銃だの手投げ弾だの持っている方たちに対して最小限の武器、あるいは訓練をしっかりと受けた方たちが、警備官一人で対応するというのも何かちょっと心もとないような気もするのです。日本在外公館ですから余りそんな派手なことはできないということもよくよく理解をいたしますが、ぜひ、日本国大使館にお勤めの方並びにその国にいる日本人の方たちが安心して生活ができますように、そういった面にももっともっと注意を払っていただければありがたいなというふうに思っています。  次に、つい最近衆議院で可決をいたしました情報公開法に関してですが、まだ参議院の審議は残っているわけですが、小渕総理国民とともに歩む外交ということでスローガンを掲げられて、外務省さんとしても、情報公開に関しては積極的に多分お取り組みになられる御所存であろうというふうに思います。  まず、この情報公開法、恐らく参議院でも審議の後成立をするのであろうというふうに思われますが、今後の外務省さんの情報公開に関する取り組みに関して、その御決意の一端を伺わせていただければと思います。
  29. 高村正彦

    高村国務大臣 外務省は、昭和五十一年から外交記録公開制度を設け、自発的な情報公開努力を払っており、情報公開の分野では既に長年の経験を積んでいるわけであります。今回の情報公開制度の法制化に当たっては、外務省としては、このような外交記録公開において既に蓄積された経験やノウハウを生かしつつ、新たな制度に備えるための体制強化を図り、情報公開努力を行っていく考えであります。  今までもやってきたのですが、何せ法律のない中でやってきていると、予算もとりにくい、体制もできない。そういう中で、人手が足りない、公開していい情報と公開していけない情報の仕分けをするのにも人手が足りなくて、後手後手に回って遅くなっていたということは否めない事実でありますので、これから、こういう法律ができたことを機会に体制をしっかりつくって、情報公開を積極的に行っていきたい、こういうふうに考えております。
  30. 川内博史

    川内委員 情報公開を積極的に行っていきたいという大臣の前向きな御答弁をいただいて、大変ありがたく思っております。  今大臣からも御答弁あったように、一九七六年からですか外交文書の公開というものがスタートして、原則三十年を経過した文書については、国の安全を害する、あるいは相手国との信頼関係を損なう、個人のプライバシーを侵害するなどの場合は非公開、それを判断するのがだれかという問題はあったわけですけれども、原則としてそういう形で、外務省さんは先駆けて情報公開について前向きに取り組んでいらっしゃった。  今回、情報公開法が衆議院では成立をして、その第五条第三号に、不開示とする情報の一つに、公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国もしくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ、または他国もしくは国際機関との交渉上不利益をこうむるおそれがある情報というのが不開示情報になるというふうに規定が設けられています。  安全保障上の理由で情報が開示できないというのはなるほどなという気もするのですが、信頼関係が損なわれるとかあるいは交渉上不利益をこうむるという理由で情報を開示できないということになると、何を基準に信頼関係が損なわれるということになるのか、何が基準で交渉上不利益になるということになるのか、ちょっと判断する方の非常に恣意的な判断に任されてしまうのではないかという危惧もあるわけですけれども、例えば具体的に、こういう情報は非開示、こういう情報は開示するというようなガイドラインみたいなものがあるのか、また今検討されているのかということをお尋ねさせていただきたいと思います。
  31. 高村正彦

    高村国務大臣 外交にかかわる情報のうち、情報公開法案においては不開示情報として規定されている、今御指摘あった他国もしくは国際機関との交渉上不利益をこうむるおそれや他国もしくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれがある情報が具体的に何を指すかということについては、いろいろなケースが想定されるわけでありますから、あらかじめ具体的にああだこうだというのは大変難しいということはぜひ御理解をいただきたいと思うのです。  そういう前提であえて申し上げれば、他国もしくは国際機関との交渉上不利益をこうむるおそれがある情報について言えば、例えば、ある外交交渉のために準備した我が国交渉方針などはそれに当たるのだろうと思います。こっちの外交方針が全部相手に筒抜けになっていたら、これは交渉が大変難しくなる。  また、他国もしくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれがある情報としては、情報を他国からもらうことがあるわけですね、その情報源が、これは公にしないでくれよと言ってくれた情報を公にしちゃうと、次からもうその国は出さなくなる。そういったことがあるわけで、例えばといえば、そういうことがありますということは言えるわけでありますが、情報公開ということからいえば、ガイドラインというのができればいいなという考えもあるけれども、本当にそういう一律にガイドラインを公にできるのかなということもありますが、内部でいろいろ検討してまいりたい、こういうふうに思います。
  32. 川内博史

    川内委員 ぜひ、原則として年数がある程度、一定期間経過したものはすべて公開するといったようなことにしていただけると、二十年、三十年たったものについては、それほど影響のある文書というのはよっぽど重要な案件の文書以外は、かえって国民の関心とか国民とともに歩む外交という意味では、外交に関する国民の皆様方の関心を呼び起こすという意味でも、ある程度の年数がたったものはもうどんどん公開して、だれでも見られますよというようなぐあいにしておく方が、例外規定を設けない方がかえっていいのではないかなというふうに私などは思います。私はまだ外交に関しては素人ですから、素人の考えとしてお聞きとどめをいただければと思います。  そこで、外交文書の公開、具体的にお伺いをしたいのですけれども、実は私、前回の臨時国会でドミニカ共和国のことをお尋ねさせていただいて、私自身は大変に重要な文書であるというふうに思っているのです。  一九五六年、昭和三十一年三月二十七日付のドミニカ政府ルイス・メルカード農務大臣から吉田公使にあてた書簡、文書ナンバー三二六六を見せていただけますかと前回臨時国会でお伺いをしたら、それは見せられないという話だったんですが、一九五六年からもう既に四十三年が経過をしておりますし、日本とドミニカとの関係というのも大変に現在は良好に推移をしているというふうに聞いております。これ以外の文書というのはすべて私も自分で手に入れているのですけれども、実は、ドミニカのこの公文書を保管している建物が火災で焼けちゃって、この三二六六というのがどこか行っちゃったらしいのですね。それで、この三二六六だけがどうしても、ドミニカの政府の方が、ないないと、火災で焼けちゃったのでということなので、多分外務省さんは保管をしていらっしゃると思うので、これをぜひ見せていただきたいなというふうに思うのですが、公開をしていただけますでしょうか。
  33. 高村正彦

    高村国務大臣 外交文書の記録公開は、三十年以上経過した文書を原則公開していく方針手続が行われているわけですが、先ほど言ったような理由で現時点ではおくれにおくれているということはあるわけであります。  ドミニカ移住あっせんに関する文書についても、通常の手続に従い公開すべく現在審査中でありまして、審査が終了次第、公開する予定であります。そして、この文書、まさに委員から御指摘になっているわけですから、審査を急がせます。
  34. 川内博史

    川内委員 ありがとうございます。審査を急いでいただけるという御答弁をいただきましたけれども、大体いつごろまでとか、具体的にちょっと教えていただけると私も大変うれしゅうございますが。
  35. 高村正彦

    高村国務大臣 いつごろまでというのはちょっとわかりません。わかりませんが、私がこの場所で急がせますと言ったということは、そう軽くないことだと考えていただいて結構であります。
  36. 川内博史

    川内委員 ありがとうございます。大臣、お気にさわったら本当に申しわけなかったのですけれども。  この三二六六という文書がなぜ大事なのかということをもう一度説明させていただきますと、三二六六の文書で、ドミニカ政府から日本政府に対して移住の条件提示が行われた。それに対する日本からの返事が同じく一九五六年の四月二十四日に出ているのですね。文書ナンバー三二六六をいただきました、おおむね日本国政府としてもナンバー三二六六のドミニカ政府提示の条件で移民を送り出したいと思いますというような手紙が四月二十四日付で出ている。その四月二十四日付の日本からの手紙に対して、今度は五月十二日付で、またドミニカ政府から吉田公使にあてて、日本国からの移民の条件についておおむね両国政府合意できましたねという確認を五月十二日付でしているのですね。  だから、三、四、五と手紙が、ドミニカから日本に来て、日本からドミニカに行って、ドミニカから日本に来てということで、交渉の条件がほぼ煮詰まったわけです。ところが、移民の募集は、まだこの手紙のやりとりをしている間にもう既に行われていたということがありまして、私もスペイン語ができるわけではないのですけれども、スペイン語の辞書などを引きますと、例えば、渡す、農地を渡すという意味のエントレガンドという単語が使われているのですけれども、このエントレガンドを、移民の募集要項の中では無償譲渡するというような訳にしている。  ところが、このエントレガンドというのは、スペインの方にお伺いをすると、ただ単に提供するといったような意味で、その所有権が発生をするというような意味合いは、また別な、Pから始まる言葉だったと思います、私も全然スペイン語はわからないもので、ちょっと忘れてしまったのです。また別の言葉があるというふうにもお聞きしまして、その交渉をしているさなか、あるいは訳がどうだったのかというさなかに移民の募集を進めているという事実だけは、これは間違いのない事実だと思うので、そのことを明らかにする上でも、この三二六六というのは、今大臣から大変重い重い御答弁をいただきましたので、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思うわけでございます。  また、もう一つ外務省設置法という法律の中に、外務省の任務として、具体的に、移民のあっせんをするということが出ているのですね、移住のあっせんという言葉で。この移住のあっせんというのは、具体的には、外務省設置法の「外務省の所掌事務」、第四条の十四号、十五号、「海外移住に関する事務処理のための企画立案に関すること。」「海外移住に関するあつせん、保護、促進その他必要な措置に関すること。」十六号、「海外移住に関する関係行政機関の事務の連絡調整に関すること。」というふうに、海外移住のあっせんというものが外務省の具体的な事務として設置法の中に出ている。  したがって、従来のこのドミニカ問題における外務省さんの御答弁で、あっせんをしただけであって、我々が提供した情報を最終的に判断したのはドミニカに渡られた一人一人の移民の皆様方の判断であって、外務省は情報を提供しただけだという言い方を今までの国会答弁の中ではされてきているようなんですけれども、ちょっとそれは違うんじゃないかなというふうに私は思っていまして、設置法の中でしっかりとあっせんをするというそのことが出ているわけですから、そのあっせんに関して忠実に、誠実に、その情報が確かなものであるかということに責任をしっかりと外務省さんというのは持っていなければならないと思うのです。  まず、外務省として移住をあっせんした責任についてどう考えるかということをお伺いしたいというふうに思います。
  37. 高村正彦

    高村国務大臣 政府といたしましては、外務省設置法第四条十五号に基づく海外移住のあっせんの一環として、移住者がドミニカ共和国へ移住する際の募集要項に記載する情報について、当時ドミニカ共和国から提供された情報や調査により得た情報に基づき誠実にこれを提供するように努めた、こう思っているわけであります。  その後、個々の移住について問題が生じた際には、これを改善するため、現地大使館を通じ、ドミニカ共和国政府に対し、かんがい設備の整備、土地増配、換地の提供等の措置を交渉し、ドミニカ共和国政府側からはこれらの改善措置につき一定の前向きな反応を得ておりました。しかしながら、必ずしも移住当初においては想定していなかったような問題も生じ、結果として移住者の方々は大変苦労された、こういう認識をしております。  日本政府としては、このような状況を踏まえ、昭和三十六年、閣議決定を行い、移住者の希望に即して帰国等への援護措置を講ずることで一つの区切りをつけたと考えているわけであります。それで、なお昭和三十六年当時、残られることとされた移住者の方々に対しても、政府としては現地での定着と安定のために種々の措置をとってまいってきている次第であります。  責任というのはなかなか難しい言葉でありまして、いろいろな責任があるわけで、外務省があっせんしたということ、その事実を申し上げているので、そこに何らの責任がなかったとか、あるいは逆に法的責任があったとか、そういういろいろな難しい話があるので、事実としての立場はあっせんであったということを申し上げているわけで、あっせんは誠実にやらなければいけないというのも当然のことだと思いますし、そういう中で、私たちは誠実にやったつもりではありますが、いろいろ問題が起きているということも十分承知しているところでございます。
  38. 川内博史

    川内委員 例えば、不動産を商う方たちは、自分が商う不動産の土地にしても建物にしても、その内容に関して顧客に対して正確に情報を伝えなければならないというふうに法律で定められておりますね。例えば、自分が提供した情報に間違いがあったならば、その不動産屋さんが罰せられるわけでありまして、不動産屋さんもあっせんですから、AからBに不動産を移すときに、買い方のBさんに不動産屋さんが情報を伝える場合に、Aさんから与えられた情報が実際のものとは違っていたものをBさんに伝えたら、この不動産屋さんが、あなたが悪いんですよということに世間で一般的にはなるわけでありまして、あっせんというのは大体そういう意味なのではないかな。  私もスペイン語の辞書は買ったんですが、あっせんについてちょっと広辞苑を調べてこなかったので詳しいことを申し上げられないのですけれども、何かそんな感じがして、今大臣がおっしゃるように、大変複雑な問題があるのでちょっと一言では答えられないということも私もよく理解をいたしますけれども、このドミニカの問題については、それこそまだ、昭和三十六年で政府としては一つの区切りをつけたつもりであるということでありますが、この四十年間、まだドミニカにいらっしゃる方々、また日本に引き揚げてきて御苦労されていらっしゃる方々、たくさんいらっしゃいますので、引き続きのもちろん御努力を賜れるというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  その一環として、内藤部長が一月にドミニカまでわざわざ御訪問をいただいてドミニカ政府日本人移民に関するお話し合いをされてきたというふうに聞いておりますが、余り時間もございませんので、ドミニカ政府から今回提供の申し出のあったラ・ルイーサ地区の土地の問題に関して御報告をいただきたいというふうに思います。
  39. 高村正彦

    高村国務大臣 現地政府日本人移住者に譲渡しようとしている土地の地権に関しては、内藤部長が現地を訪問した際に、ドミニカ農地庁の次官から問題はないという言質を得ているわけであります。本件土地無償譲渡については、ドミニカ共和国政府の移住者に対する誠意あふれる措置であると理解をしております。政府としては、今後とも、ドミニカ共和国政府による地権の譲渡が確保されるよう、ドミニカ政府と緊密な連絡をとってまいる考えでございます。
  40. 川内博史

    川内委員 ちょうど内藤部長がドミニカへ行っていらっしゃる間、ドミニカの方からは農地庁の長官が日本にいらっしゃっていまして、私もお会いをしてお話をいろいろとさせていただいたんですが、農地庁の長官も地権に関してはすべて根回しは終わっているので心配はないというようなことをおっしゃっていただいたんです。この土地に関して移民の方たちの間でもいろいろなお考えがあるようでございまして、一体この土地がどんな土地なのかということが具体的には問題になってこようかというふうに思うわけでございます。  実際にその土地が役に立つかどうかということを私もこの土地を見に行かせていただいたんですが、サトウキビが放置されておりまして、果たしてどうなのかなというふうにぱっと見は思ったわけですけれども、外務省さんはこの土地に関して開発の調査をしているということでございますが、具体的にはどんな調査が行われているのか。また、その調査に基づいて、外務省としてその土地を、ただ移民の皆さん方にドミニカ政府から譲渡されるので受け取りなさい、いい土地だから受け取りなさいと言うだけなのか。それとも、全然かんがいの施設も何もないところですから、かんがいの施設なりあるいは一連の農業をするための施設の整備なりについては日本政府として前向きに考えていきますよということまで考えていらっしゃるのか。最後に、そのあたりの御答弁をいただきたいというふうに思います。
  41. 高村正彦

    高村国務大臣 現地政府日本人移住者に譲渡する土地の調査でありますが、日本政府が現地のローカルコンサルタントに委託して行っているわけであります。この調査においては、土質、土壌、水利等の農業基礎条件を調べ、いかなる作物を栽培するのが適しているかだけではなくて、農牧畜業以外にもどのような有効な利用法があるのか等についても報告してもらうことにしております。本件調査は現在実施中でありまして、三月下旬ごろまでには報告書が提出される見込みであります。  ODAによる開発支援につきましては、例えば移住者を含む地域の経済社会インフラ整備のための協力などが考えられますが、基本的には、この調査結果等も踏まえ、先方政府の要請に基づいて検討することになるわけであります。日本政府としても先方政府と密接な連絡をとってまいります。
  42. 川内博史

    川内委員 ありがとうございます。  終わります。
  43. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、山中あき子君。
  44. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 山中あき子でございます。  まず最初に、在外公館名称位置給与改正案という現在上程されております法案についてお伺いいたします。  在ボン日本総領事館に関する規定が本法律から削除されるということになったわけでございますが、在ボン日本総領事館のように、法律上は存在するが実際の設置に至っていない在外公館として、パリの総領事館、バンコクの総領事館、これはともに昭和四十二年の六月五日に給与法によって設置が採択されているわけでございますけれども、その給与法に規定されてから既に三十年余りがたっているわけなのですが、これらの二つの公館の設置の見通しはどういうふうになっておりますでしょうか。
  45. 浦部和好

    ○浦部政府委員 委員御指摘のとおりの状況でございまして、我々としては、先方政府と設置を認めていただけるよう鋭意その交渉を進めているところでございます。  なお、念のためにつけ加えますと、実は、その設置に当たりましては、事前に内々の話というのはこういうとき常にあるわけでございまして、そういうお話をやった段階では認めていただいたわけですが、実際に、設置に当たりまして先方政府からそういう、今委員のお話のあったような指摘があって、我々としてはさらに先方政府に働きかけを引き続き行っておる、こういうことでございます。
  46. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 三十年という時間が経過して、そして、まだその設置の可能性が見込めない場合、こういうようなときに、いつまでもこの法律をそのままにしておいて継続的に折衝し続けるというようなことは、もし折衝し続けていったとしても、その時間、労力も含めて果たして必要なことなのかどうかという点も含めまして、私は今回この法律改定を見まして、例えば二十年あるいは三十年というふうな一つの目安を決めて、その間に実現しないものはきちんと廃案にするという処理をしていくというようなルールをつくられたらいいと思うのですが、大臣、いかがですか。
  47. 浦部和好

    ○浦部政府委員 委員の御指摘も確かに一つの点かとは思いますが、実は、タイあるいはパリというところについての領事事務の大切さということは、我々としても常に深刻にといいますか、大変重く受けとめているわけでございまして、そういうところでは、大使館の中でございますが、総領事館というものがありますとそれだけ領事事務が円滑に事が進むということでございますので、できれば相手国政府理解を得たいというのが率直なところでございます。
  48. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 一たん決めたものをなかなか廃案にできないかもしれませんが、しかし、三十年の間に政権がかわり、考え方も変わり、時代も変わり、その間、この事務そのものはどういう形かでやってきているわけですから、そういうことも含めて、もう一度考え直していく時期ではないかというふうに私は提案させていただきます。  それから、同じこの法案の中で、在勤の諸手当の額の決定というのは、在外公館の長からの毎年の定期的に提出される物価指数、為替相場の変動状況についての調査報告書に基づいて外務人事審議会において検討された後、改定の必要がある場合には外務大臣に対して勧告を行うことができるというふうに本法に規定されております。  私、その外務人事審議会の勧告というのが、これが在勤手当に対するいわば人事院の勧告的なものに相当するのではないかというふうに考えているわけでございますが、公表されている勧告の内容を過去三年間読んでみますと、非常に抽象的で、そして、基準額とか、どの地域でどういうふうな改定をすべきである、在外公館の所在する例えば具体的な国名とか地域とか、それから、どの程度の改定が必要かというような根拠というのが全くわかりません。  つまり、申し上げたいことは、在勤諸手当の改定に関する外務人事審議会の勧告の、平成八年十月、平成九年十月、平成十年十月、いろいろ書いてありますが、「記」以下の、つまり、こういう勧告をいたします以下の文面は、三年間すべて同じでございます。  その中で、同じ勧告を受けて、昨年は改定してことしは改定しない。どこをどういうふうに改定するのかというのは、だれが決めているのでしょうか。
  49. 浦部和好

    ○浦部政府委員 平成十年度におきまして、在勤基本手当の基準額を確かに改定をいたしました。  これは、実は法律によりまして、在勤基本手当が、従来の基準額から二五%を大幅に出るような公館が出てきた場合には、基本的にはそういうことをやりなさいということになっておりますので、平成十年度においては、在勤基本手当の法律上の基準額というものの改定を行いました。また別途、その法律によりますと、二五%以内の異動については政令でやるべしということになっておりますので、今年度は法律上の基準額については改定をしていない、こういうことでございます。
  50. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 私がお聞きいたしましたのは、それは昨年私もここで議論したので覚えておりますけれども、今のお答えのそういった規定ではなくて、この勧告が全く同じなのに、改定する年と改定しない年と、どこが二五%超えるか超えないか、それはこの勧告とは無関係に行われるのでしょうか。
  51. 浦部和好

    ○浦部政府委員 まさにこの勧告の中で、物価水準なり為替の変動なりあるいは現地の状況等を勘案すべしということが勧告をされているわけでございまして、そういう勧告に従って、個々の実態を在外公館を通じて調べ、その結果として、今申し上げたような状況であるとすれば基準額を改定する必要がある、そういう状況でなければ政令の中で処理ができる、こういうことでございます。
  52. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 五人の大変名立たる方がこの審議会のメンバーになっていらっしゃいますけれども、この勧告案というのは、三年間全く同じ文言でございます。同じ文言であったら、この意味がどこにあるのかということは問われるわけでございますので、これは、この外務審議会での勧告というシステムが形骸化しているのではないかというふうに私は思えてならないわけです。  ですから、手当といっても、金額的には俸給に匹敵もしくは上回る在勤手当の改定の根拠が、こういう公になっている勧告の中で、こういうふうな物価指数で、この地域においては非常に厳しいので考えるべきであるというような根拠が示されないというのは、今の緊縮の国政の状況から見ても非常にわかりにくいというふうに思うわけでございます。  ですから、そういう意味で、このような大ざっぱな、毎年同じ文言のもので、どこか二五%になるかならないかというのをそれぞれのところが見るのではなくて、その根拠が外部からわかる状態にする、そういう審議会あり方なりあるいは内部の組織なりのあり方というものをぜひ検討していただきたいというふうに思うのですが、これに関しては、高村外務大臣の御見解伺いたいと思います。
  53. 高村正彦

    高村国務大臣 よく勉強してみたいと思います。
  54. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 ぜひ勧告に目を通していただいて、お考えいただきたいと思います。  私、一九八〇年代の、ちょうど日本がバブルになったころに、アメリカの在日のいろいろな公館で、財政事情が厳しくて、私どもパーティーに呼ばれても、ほとんど食事も簡単なものしか出なくて、そしていかにアメリカが今大変な経済状態でいるかと。しかし、その中で触れる私たちは、ああ、在外の公館の、先に出ている一人一人の人たちが非常に倹約しているんだなというふうに感じたわけでございますから、そういう認識が、今のシステムの問題と同時に、在外であるから、日本は今までと同じように、やはり対外的な外交の場だからきちんとした手当などを確保しなければいけないという発想から、もう一つ日本経済が非常に厳しいときには、お金がないのですということをきちんと海外の人たちにわかってもらって、日本がそれぞれ、官庁も含めていかに緊縮、倹約の精神を発揮しているかということも、一つの国際的なメッセージというふうに思いますので、ぜひシステムと同時にそういう考え方も検証していただきたいというふうに思います。  ところで、ここでちょっと委員長に私は提案というかお願いがあるのです。  今回の法律のように、今までの方の御質問をお聞きしていましても、例えばドイツの事情によって、首都がボンからベルリンへ戻ったとか、あるいは名称の呼び名が変わったとかというようなことは、賛成か反対かというのは、例えば一つイシューがあって、軍事政権を承認することになるかならないか、ミャンマーと呼ぶかビルマと呼ぶか、そういうことがかかった場合は別でございますけれども、これはイシューの問題ではないわけですから、こういうようなことは、例えば小委員会をつくって、小委員会検討した上で問題がなければ本委員会に小委員長から提案をして、そしてそこで採決をするというような、外務委員会の合理的なあり方に対して少し改革をするということを検討していただきたいと思うのです。  なぜかと申しますと、この何分かの質問のために、外務省の方も含めてですけれども、全部の党のところを回って質問する人に同じ説明をして、そしてまたこちらもどういう質問をしましょうかということですけれども、イシューになるときは別ですけれども、そうではない、毎年毎年行われるようなものに関しては、少し合理的に討議をする場を別に設けて、この委員会自体はやはり外交方針をどういうふうにするかとか、非常に問題があるときにどうするかというものにもっと時間を割けるというようなことを検討していただけないかという委員長への一応御提案を申し上げさせていただきたいと思います。
  55. 中馬弘毅

    中馬委員長 委員会の運営にかかわる問題でございますので、理事会で検討させていただきます。
  56. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 続きまして、少し違う話題に移らせていただきます。  一九九四年の四月の新聞ですが、在外選挙実施についてということで、一九九四年の南アフリカの初選挙の模様が日本でも報道されました。その中に「東京でも投票」という項目がございまして、南ア大使館で南アフリカの制憲議会と州議会の選挙の投票が日本でも行われた、日本では南ア国籍の有権者百一人が東京・平河町の南アフリカ大使館で歴史的な一票を投じたというふうに報道されたことがあります。  このとき私はアメリカにおりまして、私のいたところの総領事館の方々が、南アの人々が喜々として投票するのを見て非常にうらやましいと。と同時に、先進国である日本の我々が投票できない状況というのは情けないと嘆いておられたのを大変強く覚えております。  ですから、二〇〇〇年の五月以降の在外の選挙に関する実際の説明会が開始されて、いよいよそちらに向けて動き出すということは大変私としてもうれしいことだというふうに思っておりますけれども、この在外選挙に関する説明会の際に、いろいろなところで寄せられた要望として、外務省の領事移住政策課の方でまとめられたものの中には、例えばファクスやEメールで送れるようにしてほしいとか、政党の政策内容を教えてほしい、郵便投票で市町村から投票用紙を送付する際には書留扱いにしてほしいとか、身体障害者については代理申請を認めてほしいとか、遠隔地に居住する有権者のための便宜、登録の申請を受け付けるための遠隔地への職員の出向などというのが出ているということを聞いておりますが、これに対してはどういうふうに対処なさっていらっしゃいますか。
  57. 片木淳

    ○片木政府委員 御指摘のとおり、ことしの五月一日から選挙人名簿の登録、それから、来年の五月一日以降の選挙からいよいよ実施という段取りになっております。(山中(あ)委員「済みません。要望に対してどういう対処をなさるつもりかだけ簡単にお願いいたします」と呼ぶ)失礼しました。  それで、現在、世界各国に選挙部の職員が出向きまして説明会をいたしております。そこでいろいろな御意見もお伺いしておりますので、それを取りまとめて私どもで検討して、できるものは対応してまいりたいというふうに考え作業をしているところでございます。
  58. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 当分の間、投票は衆議院、参議院の比例区に限るということで、計四票のうち二票だけしか行使できないのではないかという不満が随分あったと新聞には報じられておりますが、このまとめには全然出てきていないんですが、その辺はどうなんでしょうか。
  59. 片木淳

    ○片木政府委員 ただいまちょっと資料がないので、確たるお答えはできませんが、私も今のところ余り強い声は聞いておりません。
  60. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 これは、強い声になったら実現するのか、どのぐらいの時期に完全に投票できるようにするのかというのがこれからの問題になると思いますけれども、例えば、ニュージーランドのようにファクスの投票が可能であるとか、比例名簿であるノルウェーの場合には事前の投票をするとか、イタリアの場合には、帰国投票の場合にその帰国の費用の公費を一部負担というようなことも担保している国もありますし、米国のように郵送のみとしているところもあるわけです。  日本の場合には、公示日から投票日まで衆議院では十二日間、参議院では十七日間という非常に短い期間でありますし、また衆議院には解散権というのがありますから、実際に海外にいる方たちの投票をどういうふうに円滑に進めるかというのは非常に大変な作業だと思うので、その御努力には敬意を表しますけれども、しかし私自身は、例えば私のふるさとは北海道なんですが、衆議院におきましては、比例のブロックというのは北海道が一つなんです。参議院におきましては、全国の比例以外の選挙区というのは北海道一つなんです。同じ北海道の選挙区でありながら、衆議院の場合には、これは比例だから投票ができます。参議院の場合には、同じ地域のエリアでありながら、これは選挙区だから投票ができません。これはどういうふうに説明ができるのかということを非常に不思議に思うわけです。  そして、選挙制度が改正されるかどうかというのは、これはまたいろいろな問題を含んでおりますけれども、私は、選挙権というのは、この間もある高校に招かれて話したときに、必ず選挙権を行使しなさいよというスピーチをしてきたんですけれども、日本国民の最も基本的な権利でありますから、たとえ選挙制度が変わっても通用するような権利の行使の保障というのは、在外にいる人に対しての国の責務であるというふうに私は考えるのです。  そういうふうに考えていきますと、当分の間これでやってみて、その様子を見てどういう形で全部の投票ができるようにするかというような、そういう時点の問題ではないし、大きく不満が上がるか上がらないかという問題ではないのではないかというふうに思います。  その辺のところで、私は、速やかにやはりどういう選挙でも、特に国政選挙の場合には投票できるというようにする、その見通しについて一言お伺いしたいと思います。
  61. 片木淳

    ○片木政府委員 在外選挙につきましては、御案内のとおり、国外に居住する選挙人に対しまして、候補者に関する情報を伝達することが困難であること等を勘案いたしまして、当分の間は比例代表選挙に限って行うこととしたものでございます。  現段階で具体的に申し上げられないわけでございますが、衆参両院におきまして、衆議院小選挙区選挙及び参議院選挙区選挙につきましては、在外選挙の実施状況を踏まえまして、可及的速やかに在外選挙の対象とする措置を講ずるものとする旨の附帯決議が付されておりますので、これを踏まえまして、今後、海外への情報伝達の進展状況あるいは在外公館の体制、これらを見ながら、衆議院小選挙区選挙及び参議院選挙区選挙の実施につきましても検討してまいりたいと考えております。
  62. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 附帯条項がついておりまして、可及的速やかにということでございますが、半分の権利しか行使ができないということは、国は半分の責任しか果たしていない、権利を行使するためのその手だてをとるということを果たしていないというふうにお考えいただきたいと思います。  それでは、あと五分ほどですけれども、次の話題に移らせていただきます。  ちょうど二十四日ですか、男女共同参画推進予算として二億一千五百万円が計上されまして、そして、六つの新規の事業があります。そのうちの一つは女性に対する暴力に関する施策、そしてその研究協議会の発足。もう一つはその実態調査ということがございました。  けさ七時のNHKのニュースの中で、ドメスティック・バイオレンスの防止プロジェクトという全国で初めての会合が東京であったということが報道されました。これは先週末だそうですが、鈴木隆文さんという男性の方が、男性に向けて、加害者側の意識を改革する必要、そして自己抑制の力を身につけることを呼びかけるということで発足したものだそうです。  そのNHKの報道によりますと、日本においては、これは既婚または同棲というものも含めて、精神的暴力を受けた女性は二人に一人、身体的暴力を受けた女性は三人に一人ということが出ております。ですから、日本の社会のこういった状況というのがいよいよ表立って問題になってきたわけでございます。  残念なことに、在バンクーバーの総領事の暴行事件というのは、私は、日本における人権、特に暴力、性的虐待などの問題に対する認識のおくれというのが海外において露見したと思って非常に情けないと思ったわけですが、この件は参議院において取り上げられておりましたので、私は取り上げるつもりはございませんでした。しかし、どうも外務省対応、そして何よりもカナダの有力紙でありますグローブ・アンド・メールの記事を読みましたときに、これは取り上げざるを得ないというふうに思いまして、急ぎ準備したわけでございます。  この事件が起きた二月十六日から十七日にかけてということですが、とにかく解任し帰国させるという方針外務省が決めたのは二十五日でございます。一週間もたっているわけでございます。その間に、二月十九日に外務報道官が会見をちゃんといたしておりまして、カナダの言い方では、配偶者に対する虐待か、配偶者に対する暴力行為、日本では言い方が違うのかどうかわかりませんが、そのようなことをおっしゃっています。そして、マスコミの質問に対しましても、まあ、マスコミの質問自体が問題でございます。家庭内の口論だけであれば、表に漏れなければ問題にならないという気がしないでもないが、だれが警察に通報したのか、こういう発想のマスコミの質問に対して、報道官のお答えは、カナダの法則、日本の法則、それぞれいろいろあるでしょう、ですから、自分たちではどういう形でそこに、警察まで至ったかはわからないけれども、出頭したときの、その逮捕状の執行が行われたということであると理解しているというような非常にあいまいなお答えでした。  御存じのように、カナダというのは、国連開発計画で常に人間開発指数でトップにあります。八位の日本とこれだけ違うわけでございますが、人権及び自由の憲章というチャーターを一九八二年にも採択しておりますから、この国は、医者が通報しなければ医者が義務を怠るということになるわけで、当然、医者がその義務を果たしたというだけにすぎないわけでございます。このときに既に領事関係に関するウィーン条約に関しても言及されておりますから、それで、その結果としては、領事の特権免除が任務の遂行に必要な範囲に限られているということももう既に記者会見をしている。なぜこの十九日の時点でとりあえずの解任と帰国ということをお決めにならなかったのか。  こういうことをしないために、二十二日のグローブ・アンド・メール紙においてかなりの、もう実名入りの相当の記事が出ておりますけれども、その中で一番私が、これは文化の問題でもないし夫婦間の問題でもないと思いましたのは、オタワの、カナダの外務省のアンドレ・ルメイ報道官が、バンクーバー警察がカナダ外務省と相談して、そして総領事として、外交官特権は非常に制限された形でしか使えないということと、カナダでは許されない行為にかかわっているならば告訴されるであろうということをきちっと言っているわけです。そのとき、まだ日本は何もリアクションを正式にしておりません。  そして、二十五日に至っても、これは同首脳と書いてありますが、外務省のどういう首脳の方かわかりませんが、総領事は文化の問題などとは言っていない、夫婦の問題だと言っただけだとか、現地の事情に通じていなければならないのに、これはたまたまカナダだったからこんなことになったというふうにとれるようなコメントを発表している。これは、私は大変大きな問題だと思います。  特にお願いしておきたいのは、この総領事夫人は被害者であるということです。彼女に対してのケア、配慮が一体どうなっているのか。故国から離れたところで、一番信頼しているはずの夫に暴行を受け、しかも病院に行かなければいけない。もうけがの状況は全部グローブ・アンド・メールの新聞に出ておりますけれども、そういう暴行を受け病院に行ったら、警察が来て事情聴取を受け、新聞に報道され、夫は解任され、そして自分もいずれ帰国しなければいけない。こういう状況に置かれた女性の立場というのに対して、きちんとした配慮をしていただきたい。よもや、夫に恥をかかせたとか、または外務省に迷惑をかけたというような発想はないと思いますけれども、そこのところをきちっとしていただきたいということと、この女性の問題というのは人権の問題という認識を持って、そしてぜひこの点では、UNDPで言うグローバルスタンダードに日本が近づけるように、特に国際的な一番フロントにいる外務省として努力をしていただきたい。この事件をきっかけに、もう一つ女性に対する、女性の立場というものに対する外務省あり方がビジブルな形でいい形に変わっていってくださるということを望んでおります。  外務大臣、一言だけコメントをいただいて、私、質問を終わらせていただきます。
  63. 高村正彦

    高村国務大臣 総領事が文化の違いということを言ったことはないということは、これははっきりしていることだと思いますし、私は、日本に家庭で女房を殴るというような文化はないというふうに思っております。世界各国に比べてそういうことが多いとも思っておりません。ただ、やはりそういうことがあった場合に、公が関与するということがカナダ等についておくれているということはあるかなという感じはあります。  外務省としても、今委員が指摘されたようなことを考えながら対応してまいります。
  64. 山中あき子

    ○山中(あ)委員 終わります。
  65. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、古堅実吉君。
  66. 古堅実吉

    古堅委員 最初に、在外投票制度と在外公館の役割に関して伺いたいと思います。  在外投票制度が来年五月以降実施されることになっています。在外での選挙権行使にとって大事なことの一つは、在外邦人に各政党の主張や政策を正確に知らせることであると考えます。この点で、在外公館あるいは政府が次のような措置を検討できないか、所見を伺いたいと思います。  一つには、選挙公報の配布についてであります。戸別配布の確保及び在外公館に備えておいて選挙人がいつでも手にできるようにする措置をとる。二つ目は、日本人会の会報への選挙公報の掲載ができるようにする。三つ目は、現地のマスメディアの活用で、現地の衛星放送テレビでの政見放送の放映、また、現地新聞への選挙公報の掲載措置をとる。四つ目は、在外公館あるいは政府のインターネットで各政党の政策、主張を流し、在外邦人が活用できるようにする。  以上述べたようなことを検討される用意があるかどうか、伺わせていただきます。
  67. 高村正彦

    高村国務大臣 外務省関係することでありますが、必ずしも所管でないということを前提にして、私から申し述べますと、各政党の政策等について記載された選挙公報については、国内では、衆議院議員の選挙の場合には選挙の期日の公示または告示の日に、また、参議院議員の選挙の場合には選挙の期日の公示または告示の日から二日の間に掲載文の申請を受け付けて、選挙の期日の二日前までに各世帯に配布することとなっております。在外選挙では、在外公館投票の投票期間の締め切り日は最も遅い場合でも選挙期日の五日前であり、それまでに海外に配布するのは現実的には無理があるのではないかということで、選挙公報は配布しないこととしているというふうに承知をしております。  同様の理由から、選挙公報を会報や現地新聞に掲載することは技術的に無理があるのではないかと考えております。  それから、衛星放送で政見放送を行うことは、少なくとも現行の選挙法上実施することは困難であると承知をしております。将来の立法論としての課題はあるのかなというふうに思っております。  選挙公報におけるインターネットの利用については、これも技術的な側面から今後の課題として検討することが必要であろうか、こういうふうな感じを持っております。
  68. 古堅実吉

    古堅委員 せっかくこういう制度が長い間の要望を経てできることになったわけですから、しかし、その場合でも、投票する選挙人がどのように候補者の政策を知って投票するか、その手だてはやはり公的な立場からそれなりに講じなければならないことは申すまでもないと思う。いろいろ困難はありましょうけれども、さきに述べたようなことなどについても、引き続き前向きに検討していただくよう強く要望を申し上げておきたいと思います。  次に、沖縄米軍那覇軍港の移設問題についてお伺いします。  現在の那覇軍港、すなわち那覇港湾施設は、日米地位協定の何条何項に基づいて提供されている施設か、その条項を示してください。
  69. 高村正彦

    高村国務大臣 現在の那覇港湾施設は、日米地位協定第二条一項(a)に基づき米軍提供されている施設・区域であります。
  70. 古堅実吉

    古堅委員 那覇軍港には、施設を取り囲むような形で米軍の常時使用の約五十メートルの制限水域が提供されることになっております。そのとおりですか。
  71. 田中信明

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  現在、那覇軍港におきましては、大臣申し上げましたように、地位協定の二1(a)に基づいて提供されているわけですが、その中に、先生御指摘の五十メートルの制限水域というもの、これは牧港のところについているわけでして、これはまた別途のものであると了解しております。  他方、先生の御指摘の件が、平成七年五月十一日におきます合同委員会において言ってみれば検討した結果であるということでありますれば、それは、合同委員会の結果勧告された件の中には、新しい港湾施設には隣接する約五十メートルの制限水域を含んで移設港湾を考えなきゃいけないということが勧告されている次第であります。
  72. 古堅実吉

    古堅委員 今お尋ねしたのは、移設される新しい軍港についてのものじゃなしに、現在の那覇軍港、そのように日米合意になっているけれどもそのとおりかということをお尋ねしたわけです。それは文章上も明確なんで、その点は改めて確認しませんが。  この那覇軍港の約五十メートルの水域というのは常時使用ということになっています。その常時使用という使用形態というのは、民間が許可なしには立ち入ることができない、こういうものだろうと思うんですが、そのとおりですか。
  73. 田中信明

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  現在の五十メートルの制限水域でございますが、これは地位協定の二条一項(a)に基づいて提供されておりまして、これは、言ってみれば米軍が管理するというような仕組みになっているわけですね。そういう条件のもとで制限水域が提供されているということでございます。
  74. 古堅実吉

    古堅委員 質問に一度に答えてください。時間とらせないでください。許可なしには立ち入ることができない、そういうものですか。もう一度答えてください、大急ぎで。
  75. 高村正彦

    高村国務大臣 今政府委員がお答えしたように、まさに米軍の管理のもとにあるものでありますから、それ以外の者は許可なしに入れないということだと思います。
  76. 古堅実吉

    古堅委員 それでお伺いしますが、浦添埠頭地区内に建設される新しい港湾施設には、隣接する約五十メートルの制限水域が設定されることになっております。那覇軍港の今説明がありました制限水域とほぼ同様の性格のものとして提供される水域というふうに理解してよろしいですか。これは、先ほどありました九五年日米合意に言うこの五十メートルのことをお尋ねしている。
  77. 高村正彦

    高村国務大臣 那覇港湾施設の移設につきましては、現在の施設が今申し上げたような形態で提供されていることを踏まえつつ移設先での提供あり方も考慮されるべきものと考えますけれども、いずれにしても、本件については、日米間において検討が行われた結果、代替施設の整備等を条件に全部返還することが合意されているところでありますが、当該合意以外の細部について日米間でまだきっちりした合意がないわけでありますから、今後日米間で調整していくということになるわけであります。
  78. 古堅実吉

    古堅委員 昨年十月、日本共産党の松本善明委員が、この外務委員会で那覇軍港問題について質問いたしました。そのときにも、今の那覇軍港に定められている制限水域とほぼ同じような意味で設定することになりますという趣旨のことを答えられました。去る二月十八日の予算委員会分科会で質問しまして、防衛庁の方も、もちろん政府は、今那覇軍港に設定されている制限水域と大体同じ意味を持つものだというふうに答えています。  外務大臣の今の御説明は、それとは異なるということを言おうとされるんですか。それとも、今まで外務委員会と予算委員会分科会で答えられたような、大体そういう趣旨のことですというふうに受け取っていいんですか。
  79. 高村正彦

    高村国務大臣 今、冒頭申し上げたように、現在の施設がこうした形態で提供されていることを踏まえつつ移転先の提供あり方も考慮されるべきものと考える、そういうことから今までの答弁をされているものだ、こういうふうに理解をいたします。
  80. 古堅実吉

    古堅委員 九六年四月のSACO中間報告での那覇軍港移設問題では「那覇港湾施設の返還を加速化する。」として、「浦添に新たな港湾施設を建設し、那覇港湾施設の返還を可能にする。」となっています。そこで言われている新たな港湾施設を建設するということは、九五年五月の日米合意に基づいて、三十五・三ヘクタールの面積を持つ、牧港補給地区への進入道路も提供される、そして今お尋ねしました、五十メートルの制限水域も設定される施設として建設され、那覇軍港の代替施設として提供されるということになりますか。確認のために伺います。
  81. 田中信明

    ○田中説明員 先生御指摘の那覇軍港の移転、それとその件が盛られているSACOにつきましては、現在の施設を浦添沖に移転する、その場合にはどういうふうになるかということを言ったまでの話でございまして、それが詳しくは平成七年五月十一日の日米合同委員会合意という形になっているわけで、そこに先生御指摘の制限水域それから進入道路その他の事項が盛られていて、そういうものが、浦添沖の港湾開発が成就する場合には必要となってくるだろうというふうに述べられているわけでございます。  現在、沖縄で行われておりますのは、浦添沖におきましてどういうような全般的な港湾開発があり得るだろうかという視点からその可能性を洗っているわけでございまして、日米合同委員会合意といいますのは、まずその沖縄側の計画のありようというものを見た上で、その後にいろいろな調整というものが可能となっていくものであるというふうに承知しておりますので、そういう意味では、言ってみれば今行われている沖縄の準備、作業、その一環であるというふうに申し上げることができるかと思います。
  82. 古堅実吉

    古堅委員 もうそんな答弁はやめてください。大臣がお答えいただいた方が一番わかりやすい。  今申し上げたような内容を盛った新しい港湾施設として建設されて、那覇軍港の代替施設として提供されるということを意味するんだなと確認のつもりでお尋ねしています。この中身というのは九五年五月の日米合意内容ですから、今申し上げているのは。ほかのことを言っているんじゃないんです。
  83. 高村正彦

    高村国務大臣 今委員がおっしゃったように私も理解をしております。
  84. 古堅実吉

    古堅委員 それでお尋ねしますが、二月十八日の予算分科会における那覇軍港の移設問題での私の質問に対して、政府は、米軍の機能を維持することが前提とか、運用上の所要を満たすことを踏まえてなどと答弁しておられます。浦添に移設される新しい軍港は日米地位協定第二条第一項(a)に基づいて提供されるということになりますか。
  85. 田中信明

    ○田中説明員 那覇港湾施設の移設につきましては、現在の施設が二1(a)に基づいて提供されているということを踏まえて移転先での提供あり方も考慮されるべきものであるというふうに考えておりますが、いずれにせよ、現在の段階では、先ほど先生が申し述べられましたような合意以外の細部について合意しているという事実はございませんでして、今後日米間で調整していくということになっております。
  86. 古堅実吉

    古堅委員 それで、改めてさらに念を押してお聞きしておきたいと思います。  これまでの那覇軍港の移設にかかわる一連の日米合意がございます。その合意を変更することなしに、浦添に移設される新しい港湾施設米軍専用の軍港ではなくなると言うことができますか。これは大臣からお答えいただいた方がいいと思います。
  87. 高村正彦

    高村国務大臣 今、日本政府とすると、稲嶺知事が設立された普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室における議論等も見守るとともに、緊密に協議してその実現に向けて努力していきたいと考えていますが、今おっしゃったのはなかなか答弁が難しいところでございまして、開発しなければいけない部分というのはかなり新しく広くあるので、その一部について、米軍が使う部分についてどうするかという問題と、全体についてどうするかという問題も含めて、稲嶺知事のお考えも聞きながら日本政府としても対応し、そして米国側とも協議をしていきたい、こういうふうに考えているということでございます。
  88. 古堅実吉

    古堅委員 大臣質問に、まともに率直に今まで答えてこられたのが、今の御答弁は御答弁になっていません。  一連の日米合意、それを変更することなしに、今まではこうあったんだがそれを変更してどうしましょうなというふうなことをすることなしに、移設される新しい港湾施設米軍専用の軍港ではなくなる、そう言うことができますかということなんです。これは簡単なものです。難しい問題ではありません。
  89. 高村正彦

    高村国務大臣 今もちょっと申し上げたんですが、ある一定区間についてどうかということと、その全体について民間が入り得るかどうかという問題がありますので、なかなか答えにくい話なんですが、ある一定の地域については米軍専用でなくなるということはなかなか難しい話かな、こういうふうに考えております。
  90. 古堅実吉

    古堅委員 それじゃ、他の面からもう一度念押しをやります。  今までの日米合意、それを変更することなしに、移設される新しい港湾施設、それは今おっしゃった。そうではなしに、米軍民間管理港湾を一時的に使用するという使用形態になってしまう、これまでの日米合意を変更することなしに、民間港湾を一時的に使用するという使用形態になりますというふうなことができますか。
  91. 田中信明

    ○田中説明員 お答えを申し上げます。  移設先の今後の開発ぶりでございますが、これは全く決まっておりませんでして、まず沖縄考えを聞こうということになっておるわけですから、そういうものがわからないわけですから、それが合同委員会合意あるいは日米の合意に反するかどうかという問題は、私どもはまだ出てこないんではないか、その先の問題ではないかというふうに考えております。
  92. 古堅実吉

    古堅委員 あなたのそういうような答弁というのは全く必要ではない、邪魔な答弁になるだけです。  それで、もう時間も過ぎましたので、大臣に念を押してお尋ねしましょう。  政府は従来から、那覇軍港の移設の必要性について、安保条約の目的達成のために機能を維持する必要があると言われたり、有事の際に必要であるなどと説明されるという態度などをとってこられました。これは、移設される浦添の新たな港湾施設米軍の排他的使用が保障されるべきだというふうな考えではないかというふうに思います。いかがですか。
  93. 高村正彦

    高村国務大臣 基本的に、日米安全保障条約が有効に機能するように、そしてそのために米軍がきっちり機能しなければいけないという従来の政府答弁と私は全く同じ考えでありますが、移転先が全体としてどういうふうに開発されるかということと絡まないでその部分だけ答弁するということはなかなか難しいことだ、こういうふうに思っています。
  94. 古堅実吉

    古堅委員 時間が参りましたので、終わります。
  95. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、伊藤茂君。
  96. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 ボンからベルリンへの引っ越しというのか、移転の計画を見ていますと、ドイツの方でも、首都移転ということで、議会政府機関全部一挙に移転するというようなことではないようであります。それらに対して我が国としてどう対応するのか、大使館機能が全部一挙に移るのか。それから、外務省だけではないさまざまな交流の仕事があるわけでありまして、ボンからベルリンに移るという大きな変化が一挙ではなくて、例えば十ぐらいは移動するとか七省庁ぐらいは残るとかいろいろあるようでありますが、それらについて、なぜそうなっているのかという認識、それからそれに対して我が国大使館対応、それからさまざまな政府機関対応をどうするのか。それから、こういうことが長期にわたってボン機能とベルリン機能みたいなことになるのかどうなっていくのかわかりませんが、その辺をどう認識されているのか。  いずれにしても、法案には賛成ですから、円滑に行われ、また両国間のさまざまな交流なり仕事も円滑にいくという立場を望みながら、伺いたい。
  97. 高村正彦

    高村国務大臣 ドイツ首都機能移転につきましては、ドイツ議会において種々議論が行われた結果、九四年五月にドイツ統一の完成に係る法律が制定されました。その中で、連邦議会及び政府の一部がボンからベルリン移転する結果、ボン地域が受ける不利益に対する代償を確保するとともに、ベルリンボンとの間に継続的かつ公平な役割分担を確保する旨が規定されたと承知をしております。  このような状況を受けて、ベルリンへの首都機能移転後もボンには七つの連邦省庁が残留することとなっており、我が国としては、ボンに在ドイツ大使館の一部を構成する在ボン出張在官事務所を設置し、これらの省庁との適切な関係維持を図る考えでございます。
  98. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 という事情のようでありますが、いずれにしろ大きな引っ越しの計画でありますから、両国間の関係あるいは在外公館の仕事、円滑にいくように努力をしていただきたいというふうに思います。  それから、今いろいろな意味で大きな話題になっておりますが、いわゆる二〇〇〇年問題、コンピューター誤作動を防止する問題ですね。  この間、正月でしたが、世界銀行のこれについての途上国の取り組み状況の調査結果がございました。具体的に着手している国は一五%にすぎない、懸念が深刻であるというふうなことが書いてありました。これらに対して先進国としてもさまざまな協力とかがなされるという必要性があるだろう、また国際機関からもそれに対する協力の必要性もあるだろうというふうな気がするわけでありますが、それらの問題について、政府としてはどうお考えになっておられるか。  また、このいわゆる二〇〇〇年問題と在外公館活動での不安がないようにどのようになさっているのか。いかがでしょうか。
  99. 高村正彦

    高村国務大臣 コンピューター二〇〇〇年問題に関しましては、途上国においてその重要性、緊急性に関する啓発及び注意喚起活動が重要と考えておりまして、このために、具体的な要請があれば、専門家派遣等により積極的に対応することも検討したいと考えております。  また、多国間の枠組みを通じた支援に関しましては、既に世銀がY2Kイニシアチブを発足させ、途上国に対して二〇〇〇年問題対応のための計画づくり等の技術協力等を実施しており、我が国も、世銀が途上国に対して行う二〇〇〇年問題対策の融資案件等の支援を検討していく意向であります。  それで、在外公館のコンピューター二〇〇〇年問題への対策でありますが、昨年十月、全在外公館において該当するシステムの総点検を行い、対応状況を把握した上で、現在対応作業を進めているところでございます。特に、国民生活にかかわりのある旅券及び査証発給に関連するシステムについては、本年七月までに対応を完了する予定であります。また、本省と在外公館を結ぶ外務省通信システムについては、既に対応済みであります。
  100. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 次に伺いたいのですが、最近、自由党の小沢党首が訪中をされまして、いろいろな議論があったと報道で関心を持って読んでおります。  これは外務委員会ですから、小沢党首の意見を聞くとか小沢党首と論争するつもりはもちろんありませんので、政府対応伺いたいわけでございますけれども、やはり非常にこれは近隣諸国にも関心の高い、しかも影響の大きい問題として、いわゆるガイドラインにおける周辺有事あるいはその極東の範囲とか台湾問題とかいうふうなことになって、日中間でもこれは非常に重要な焦点になる問題であります。与党内でそれらについて、何か総理ともお会いになったようですが、どういうことだったのか。与党内の意思統一が、不一致解消がなされたのかどうかは明らかではございません。  ただ、これらにつきまして、私どもも連立与党でいるうちにはいろいろな議論をわんさか盛大にやりましたけれども、連立の政府としてどう対応するのか、やはりこれがきちんとしていないとまずいということで、今回の経過などを懸念の気持ちも含めながら見ておりまして、政府としてのこの問題への対応というものはどういうことか、改めて外務大臣伺いたい。
  101. 高村正彦

    高村国務大臣 日米防衛協力のための指針関連法案等につきましては、これまでも累次の機会に、首脳レベル大臣レベル及び外務事務当局から繰り返し、日本国内に対しても、あるいは中国等近隣諸国に対しても説明をしてきたところでございます。  それは、日米安保体制は全く防御的な性格のものであり、特定の脅威を前提としたり特定の国に向けられたものではないこと。周辺事態は、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定できないという意味で、地理的な概念ではなく、事態の性質に着目した概念であること。我が国としては、日中共同声明において表明された台湾問題に関する基本立場を堅持した上で、台湾をめぐる問題は当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを希望していること。また、こうした日本政府考え方について、一月十八日の記者会見において野中官房長官からも明らかにしておりますが、中国側は、この野中官房長官の発言が日本政府の正式な立場を代表していることを理解するとしております。政府としては、このような我が方の考え方につき、今後も必要に応じて説明を行っていく考えであります。  指針の実効性を確保するための法整備は日本側が責任を持って行うものでありまして、米側は本件法整備につき中国側に説明する立場にはありませんが、指針自体は日米が共同して策定したものであることから、米側からも、累次の機会に、中国側に対し指針につき説明を行っていると承知をしております。  私は、一月に小沢党首と一分ぐらい立ち話をいたしました。そのとき最後に小沢党首が言ったのは、これはおれの考えで、政府政府で従来どおりやればいい、こういうことを言っておられましたので、政府政府として従来どおり説明をしているところでございます。
  102. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 今の一分間の立ち話、政府政府というお話を伺いましたが、それは当然のことだろうと思います。  そこで、外務大臣の御答弁がございましたが、中国側も日本立場理解するという御紹介がございました。日本側の説明理解するというふうな言葉が今ございましたが、私が伺った理解では、日本側がそう言っていることはわかった、しかしそれを了承するというわけではないというのが現段階の中国側の態度ではないだろうかというふうな理解を私はいたしております。  そうなりますと、こういう問題につきまして、特に大きな国ですから、近隣諸国との懸念が生まれないように、また理解が出るような、これは当然我が日本外交のとるべき努力だろうというふうに思います。  大臣おっしゃいましたように、今までも何回か、この問題については説明をするとか、機会があったようでございますけれども、この問題について突っ込んだ意見交換とかそういうものを外交レベルなり、あるいは政党政治レベルにあっても当然ですね、政府レベル外交レベル、そういう計画はございますか。
  103. 高村正彦

    高村国務大臣 今までもいろいろなレベルでかなりやってきましたし、これからも必要に応じて説明を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  104. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 そこで大臣、私は思うんですが、この問題につきましては、六〇年安保国会のときの議論、極東の範囲とか中国、台湾とかございまして、岸内閣の統一見解、極東の範囲とかございました。それから、七二年の日中共同声明、七八年の日中国交回復、この過程の中で、例えば当時の大平外相、それから七八年のときには園田外務大臣、これにつきましては、いろいろと相当突っ込んだ、また真剣なさまざまの意見の開陳もあったということを、大平さんや園田外務大臣や、お人柄も含めまして、議事録を最近読み直しまして感ずるわけであります。何かこういう問題についての日中間の理解が出るようなことを努力しなくちゃならぬ、何かそういう気持ちが出るような感じを、当時の園田外務大臣の国会での答弁とか説明を読みましても、うかがわれるわけであります。  それから、今回の時代になります。江沢民さんの訪日、首脳会談というのがございましたが、いろいろな意味で、次に向けてさらに日中関係をどう進めていくのか、相互理解を進めてお互いに懸念や不安や対立が起きないようにどうするのか、非常に大事なときであろうというふうな気がするわけであります。  私は、そういう六〇年、七二年、七八年、今、これからという流れを考えますと、私の考えでは、周辺の範囲とかこれから特別委員会で議論が本格的に交わされるわけでございますけれども、本来は、六〇年のときの極東の範囲は変えない、それから七二年、七八年の経過からしても、台湾の範囲というものは除外されるというのが筋ではないだろうかというふうな気がするわけでございます。いずれまた、時間をとった十分な議論はこれからしなければなりませんが、どうお考えになられますか。
  105. 高村正彦

    高村国務大臣 日米関係日本外交の基軸でありますが、日中関係も大変大切なものでありますから、日本政府とすれば、誤解なきように日本立場を十分に説明してまいりたい、こういうふうに考えております。
  106. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 これからさらにこの問題は議論してまいりたいというふうに思います。  もう一つ話題を大臣伺いたいんですが、高知県の問題、神戸方式とか、非核、港湾の動きがございまして、非常に世論の関心を集めているところでございます。また、きのう新聞を読んでおりましたら、中曽根総理の時代には結構なことだというふうな答弁があったという話も伺うわけでありまして、中曽根首相は結構だと言って、高村外務大臣は大変強く怒っておられるというのは、一体どういうことなんだろうかというふうに思っている方々もいらっしゃるということではないだろうかというふうに思うわけであります。  私は、非核三原則政府基本方針であり、そしてまた国是ともいうべき国民の支持のある内容ですから、こういうことを実行、執行する、そういうことが確実に担保されるという意味で、自治体も、国民的にも、さまざまな運動も、みんな努力をするということは我が国のそういう基本方針にとってはいいことではないだろうかという気がするわけでございまして、そうでないと、強く反対をするということは、自治体がそういう対応をとることに反対をなされたことは、何かやはりグレーゾーンか別なことがあるんじゃないだろうかというふうなことになるんではないかと思いますが、いかがでしょう。
  107. 高村正彦

    高村国務大臣 中曽根総理のお話がありましたが、非核三原則は大切だという意味の地方議会の決議は、それはそれとしてよく理解できると言っていると同時に、国は国、地方自治体は固有の自治権に基づいて地方自治体の行為を行う、そういう次元が違うものであるというふうに御理解願いたいと思います。それはやっぱりはっきり分けて考えられるべき。しかしやはり非核三原則のこの国策という外交法上の大方針というものは、国家として基本にあるわけであります。そして、国防とか外交とかいう問題は、これは中央政府の専管的な所管事項である。  これは中曽根さんがすべて答えられていることでありますから、何か中曽根総理が今の高知方式みたいなものを容認しているというような御理解のもとに発言されたとすれば、それは私は違うんだろう、こう思います。  我が国は、非核三原則を国の基本政策として堅持しており、国が外国軍艦に対して寄港の同意を与えるか否かについて決定する際には、このような基本政策を堅持するとの立場を踏まえて対処しているわけであります。したがって、政府対応によって非核三原則を堅持するとの我が国立場は確保されているので、外務省から、個々の外国軍艦が核兵器を積載していないというような、証明するような文書を発出することはそもそも必要ではなく、そのような文書を発出することは考えていないということであります。  また、米軍艦船については、日米安保条約及びその関連取り決めに基づき、我が国の港への出入が認められておりますが、日米安保条約上、いかなる核の持ち込みも事前協議の対象であり、核の持ち込みについての事前協議が行われた場合は、政府として常にこれを拒否する考えであります。  ですから、地方自治体が非核証明書の発給を求めて、そしてそれによって地方自治体がその出入を許可するか許可しないか決めるということは、明らかに自治体の権限を越えているということを政府としては繰り返し申し上げているところでございます。
  108. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 中曽根さんの答弁の御紹介がございましたが、私も参議院でのこの論議の議事録を昨日全部読んでみました。今御紹介なさったところは、ちょっと高村さんにとって御都合のいい部分の紹介じゃないかなという感じが、全文読みましたから、読んだ上でそう思いますが、まあ細かいことはまた次にというか、今はやめておきたいと思います。  私は、基本的な問題で二つだけここでは申し上げておきたいと思います。  一つは、今全国で、私の承知しているところでも、三千余りの自治体の中で千三百以上、何か、ある統計では、二千近いとかというのもございますけれども、が非核平和都市宣言。いろいろな町へ行きましても、市役所やあるいは町役場にそういう看板がぶら下がっているとかというのはよく見られる風景、駅前へ行っても何かそういう塔が建っているというのはよく見られる風景であります。  ある意味で私は、そういう方向を目指す自治体であろうという意味での宣言とか決定とか意思というのは、自治体全体の日本ではマジョリティーだろう、やはりそれは日本という国のビヘービアだろうというふうに思います。それと非常に何か政府が対立する、これは非常によくないだろうと思いますね。  それからもう一つは、国の権限、こうおっしゃいましたが、港湾は、港湾法に規定されておりますように、これは自治体が港湾管理者。港湾法によりまして、危険物がないようにとか、安全であるようにとか、港湾法に全部書いてありますね。その立場をどう尊重するのかということは、これは憲法、地方自治法あるいはさまざまな法の基本的な立場になるわけでありまして、そういう地方自治に基づく権利とか立場とかというものと何かえらく違ったような印象を今与えているというのが、多くの人たちが受け取っていることではないだろうかというふうに思います。  いずれまた詰めた議論をしなければなりませんけれども、何かやはり基本的なそういうものがここにはあるんだというふうに私は思いますが、あと大臣の感想だけ伺っておきたい。
  109. 高村正彦

    高村国務大臣 地方自治体が非核都市宣言をすることがけしからぬなどと政府が言ったことは一度もありません。大いに結構なことだと私は考えております。  ただ、地方自治体が国の外交権を侵すような形で、この船が核を積んでいるか積んでいないか、そういったことを、それは外務省からの証明によってかどうか知りませんが、判断をして、それによって港湾に入ることを認めるか認めないか、そういうことを判断するのは、国の外交権に抵触して、そしてそれは地方自治体あるいは港湾管理者としての権限を越えるものですよという当たり前の法理を申し上げているつもりでございます。
  110. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 了解できませんが、時間ですから、質問を終わります。
  111. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  112. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  113. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 中馬弘毅

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  115. 中馬弘毅

    中馬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時十六分散会