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1999-10-19 第145回国会 衆議院 科学技術委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十月十九日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 北側 一雄君    理事 栗原 博久君 理事 河本 三郎君    理事 中谷  元君 理事 山口 俊一君    理事 辻  一彦君 理事 吉田  治君    理事 西  博義君 理事 菅原喜重郎君       飯島 忠義君    稲葉 大和君       江渡 聡徳君    大石 秀政君       奥山 茂彦君    木村 隆秀君       田中 和徳君   三ツ林弥太郎君       目片  信君    望月 義夫君       大畠 章宏君    鍵田 節哉君       菅  直人君    近藤 昭一君       鳩山由紀夫君    松沢 成文君       近江巳記夫君    斉藤 鉄夫君       西田  猛君    吉井 英勝君       辻元 清美君    中村喜四郎君  出席国務大臣         国務大臣         (科学技術庁長         官)      中曽根弘文君  委員外出席者         原子力安全委員         会委員長    佐藤 一男君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         防衛庁装備局長 及川 耕造君         科学技術政務次         官       斉藤 鉄夫君         科学技術庁長官         官房長     大熊 健司君         科学技術庁原子         力局長     興  直孝君         科学技術庁原子         力安全局長   間宮  馨君         国土庁防災局長 生田 長人君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         農林水産省経済         局長      石原  葵君         農林水産省経済         局統計情報部長 西藤 久三君         農林水産省農産         園芸局長    樋口 久俊君         農林水産省食品         流通局長    福島啓史郎君         資源エネルギー         庁長官     河野 博文君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       藤冨 正晴君         労働省労働基準         局長      野寺 康幸君         消防庁長官   鈴木 正明君         参考人         (株式会社ジェ         ー・シー・オー         代表取締役社長         )       木谷 宏次君         参考人         (株式会社ジェ         ー・シー・オー         常務取締役東海         事業所長)   越島 建三君         科学技術委員会         専門員     宮武 太郎君 委員異動 十月五日  辞任         補欠選任   河村 建夫君     稲葉 大和君   斉藤 鉄夫君     東  順治君 同日  辞任         補欠選任   東  順治君     斉藤 鉄夫君 同月八日  辞任         補欠選任   鍵田 節哉君     大畠 章宏君   鳩山由紀夫君     松沢 成文君   斉藤 鉄夫君     西  博義君 同日  辞任         補欠選任   大畠 章宏君     鍵田 節哉君   松沢 成文君     鳩山由紀夫君   西  博義君     斉藤 鉄夫君 同月十九日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     大石 秀政君   奥山 茂彦君     目片  信君   村岡 兼造君     栗原 博久君   鍵田 節哉君     大畠 章宏君   近藤 昭一君     松沢 成文君   鳩山由紀夫君     菅  直人君   近江巳記夫君     西  博義君   中西 啓介君     西田  猛君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     江渡 聡徳君   栗原 博久君     村岡 兼造君   目片  信君     奥山 茂彦君   大畠 章宏君     鍵田 節哉君   菅  直人君     鳩山由紀夫君   松沢 成文君     近藤 昭一君   西田  猛君     中西 啓介君 同日  理事河村建夫君及び斉藤鉄夫君同月五日委員辞任につき、その補欠として栗原博久君及び西博義君が理事に当選した。 八月十三日  一、科学技術振興基本施策に関する件  二、原子力開発利用とその安全確保に関する件  三、宇宙開発に関する件  四、海洋開発に関する件  五、生命科学に関する件  六、新エネルギー研究開発に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  原子力開発利用とその安全確保に関する件(茨城東海核燃料施設事故問題)     午前十時三十分開議      ————◇—————
  2. 北側一雄

    北側委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北側一雄

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事に       栗原 博久君 及び 西  博義君 を指名いたします。      ————◇—————
  4. 北側一雄

    北側委員長 この際、中曽根国務大臣及び斉藤科学技術政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。中曽根国務大臣
  5. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 このたび、小渕第二次改造内閣の発足に伴い、科学技術庁長官を拝命いたしました中曽根弘文でございます。  委員長を初め委員皆様方におかれましては、日ごろより科学技術行政推進に当たり格段の御理解、御支援を賜り、まことにありがとうございます。  二十一世紀に向け、日本経済の新生を実現し、活力にあふれた社会を築くとともに、豊かな国民生活をもたらすためには、科学技術振興が最重要の政策課題の一つであると認識しており、科学技術行政責任者として、科学技術創造立国の実現を目指して全力を尽くす所存であります。  それと同時に、今回の東海ウラン加工施設事故につきましては、起こってはならない極めて重大な事故認識をしておりまして、地元住民を初めとして国民皆様に多大な御心配、御迷惑をおかけいたしましたことを大変厳しく受けとめております。  このため、私自身長官就任後直ちに東海村に赴き、直接現地状況の把握に努めたところであります。今後、事故原因徹底究明再発防止策確立等を現下の最重要課題として取り組み、原子力に対する国民信頼回復最大限努力をしてまいる所存であります。  今後、科学技術庁長官として、人類の平和と繁栄の基盤である科学技術振興全力を尽くす所存でありますので、委員長を初め委員皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますよう、心からお願いを申し上げます。  どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  6. 北側一雄

  7. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 科学技術総括政務次官を拝命いたしました斉藤鉄夫でございます。  このたびの茨城東海村のウラン加工施設事故につきましては、中曽根大臣が先ほどおっしゃいましたけれども、あってはならない事故と、私も厳しく受けとめているところでございます。  今後、中曽根大臣指揮もと事故原因徹底究明再発防止全力で取り組み、一日も早く原子力に対する国民皆様信頼を取り戻すべく最大限努力をしてまいる所存でございます。  二十一世紀日本が平和で豊かな国であり続けるため、また世界に貢献できる国であるために、科学技術は必要不可欠でございます。私も政治世界に入るまで科学技術世界にかかわってきた人間でございます。今後、科学技術発展に少しでも寄与できるよう、また、今回の東海村のような事故が二度と起こらないよう、全力で頑張っていく決意でございます。  委員長を初め委員皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますよう、心からお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  8. 北側一雄

    北側委員長 原子力開発利用とその安全確保に関する件、特に茨城東海核燃料施設事故問題について調査を進めます。  本日は、参考人として株式会社ジェー・シー・オー代表取締役社長木谷宏治君及び株式会社ジェー・シー・オー常務取締役東海事業所長越建三君に御出席をいただいております。  政府から、茨城東海核燃料施設事故について説明を聴取いたします。間宮原子力安全局長
  9. 間宮馨

    間宮説明員 御報告いたします。  九月三十日午前十時三十五分、株式会社ジェー・シー・オー東海事業所濃縮度一八・八%のウラン溶液沈殿槽に入れる作業をしていたところ、臨界事故が発生いたしました。  この事故により、従業員三名が被曝、現在、一名は放射線医学総合研究所に、一名は東大病院に、一名は東大医科学研究所に入院中でございます。現在までに、微量のものも含め、事故による被曝確認された者は、これら三名を含めて消防署員など六十九名、また、臨界収束のため冷却水抜き等への従事者二十四名が被曝をいたしております。  九月三十日午後になりましても、施設周辺放射線量が低減せず、科学技術庁は、当時有馬大臣本部長とし関係省庁構成員とする事故対策本部を設置いたしました。  さらに、政府は、事態の深刻さを考慮して、小渕総理本部長とし関係閣僚構成員とする政府対策本部を設置いたしました。  また、当時稲葉科学技術政務次官本部長とする現地対策本部も設置いたしました。  東海村、茨城県では、地域住民に対して、三百五十メートル圏内避難、十キロメートル圏内屋内退避措置を勧告いたしました。  十月一日午前、原子力安全委員会緊急技術助言組織助言を受け、臨界反応を停止させるため、核分裂をより起こりやすくする働きをする冷却水を抜く作業を実施いたしました。これが成功し、臨界反応は停止いたしました。  周辺環境状況につきましては、原子力安全委員会緊急技術助言組織による周辺環境モニタリング結果の確認を受けまして、政府対策本部の判断が示されました。その結果、茨城県等により、十月一日午後、十キロメートル圏内屋内退避が解除され、翌十月二日午後、三百五十メートル圏内避難が解除をされました。  地元状況が安定してきましたのを受けまして、科学技術庁は、十月三日から原子炉等規制法に基づく立入検査を実施しております。また、政府対策本部決定を受け、十月四日より他の加工事業者、再処理事業者等についても原子炉等規制法に基づく立入検査着手をいたしております。十月十二日に八事業所につきまして基本的な安全性確認、結果を公表しております。このうち四事業所につきましては、一層の安全確保のため改善を指示しております。  科学技術庁は十月五日に事故調査対策本部を、また原子力安全委員会は十月七日にウラン加工工場臨界事故調査委員会を設置し、事故原因徹底究明再発防止策確立を図ることといたしております。  また、科学技術庁は、通商産業省と合同で、原子力安全・防災対策室を設置し、原子力防災対策のための新法、原子炉等規制法改正等について検討に着手をいたしております。  臨界により生成したと考えられるガス状物質が放出され、広範囲の複数の地点において空間放射線量が上昇いたしました。また、核種分析の結果、一部の試料から、臨界生成物である短半減期の沃素及び希ガス崩壊生成物並びに臨界により発生した中性子により放射化されたと考えられるナトリウム24、マンガン56が検出されております。  施設から放出されたガス状物質による空間ガンマ線量率の上昇は、最大でも数マイクログレイ・パー・アワーであり、かつ短時間であったこと、また、事故に起因して検出された環境中の放射性物質レベルは十分に小さく、かつ短時間に減衰してしまう核種であったことから、これらは住民の健康及び環境影響を及ぼすものではないと考えられております。  今後は、事故に起因して検出された環境中の放射性物質による被曝線量評価を行うなど、住民の健康及び環境への影響を定量的に評価するため、第二段階モニタリングを進めることといたしております。  茨城県では、十月二日から四日にかけまして、ジェー・シー・オーからおおむね五百メートル以内の周辺住民等について健康調査を実施し、直接の放射線障害が疑われる者はいなかった等との結果を十月十二日に発表いたしております。  以上で報告を終わります。
  10. 北側一雄

    北側委員長 この際、さき理事間の協議に基づいて行われました茨城東海村における現地調査につきまして、その概要を私から御報告申し上げます。  去る九月三十日に発生しました株式会社ジェー・シー・オーウラン燃料加工施設における臨界事故につきまして、十月八日に茨城東海村において現地調査を行うとともに、あわせて茨城県及び東海村から要望を聴取いたしました。  当日の視察委員は、私のほか、山口俊一理事辻一彦理事飯島忠義委員田中和徳委員大畠章宏委員近藤昭一委員松沢成文委員近江巳記夫委員西博義委員吉井英勝委員辻元清美委員の十二名であります。  まず、日本原子力研究所東海研究所内に設置された政府現地対策本部におきまして、斉藤科学技術政務次官から、政府小渕内閣総理大臣もとに各省庁連絡の上対策全力で取り組んでいる状況について説明を受けた後、科学技術庁から現地対策本部設置経緯運営状況等について、また、日本原子力研究所から、臨界の継続を認識するに至った経緯臨界を収束させるためにとられた措置転換試験棟から放出される放射線を遮へいするために講じられた措置等について、それぞれ説明を聴取いたしました。  引き続き質疑を行い、事故現場周辺原子力施設での中性子線感知状況とその評価現地対策本部東海役場との連絡等初期対応妥当性等について取り上げました。  次に、株式会社ジェー・シー・オー東海事業所におきまして、木谷社長、越島事業所長から、事故発生時の作業内容事故状況等について説明を聴取した後、臨界についての社員教育作業員認識作業手順書決定経緯作業指示書記載内容妥当性救急隊員への説明内容等について質疑を行い、作業手順書及び作業指示書の提出を要請いたしました。  その後、事故が発生した転換試験棟の周囲を視察し、建屋周辺遮へい材設置状況等について確認いたしました。  最後に、東海役場におきまして、橋本茨城県知事から、原子力安全委員会を初めとする各方面との連絡状況、十キロメートル圏の住民屋内退避を勧告した経緯茨城県が受けた総合的な影響等について説明を受け、村上東海村長から、三百五十メートル圏の住民避難要請を出した経緯、放射能がもたらした住民への心理的な影響等について説明を受けた後、政府に対する地元要望を聴取いたしました。  要望内容は、原子力安全確保に関しましては、事故原因徹底究明安全審査基準抜本的見直し保安管理体制徹底事故故障発生時の情報伝達徹底原子力施設安全対策等の総点検原子力防災対策に係る特別措置法の制定、事故故障発生時の政府現地対策本部体制強化等であります。また、地域の諸課題に関しましては、原子力災害に関する専門的施設整備、広報・避難体制の充実、防災資機材整備風評被害への対応原子力損害賠償対策の迅速な実施等であります。  以上、御報告いたします。     —————————————
  11. 北側一雄

    北側委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。
  12. 田中和徳

    田中(和)委員 皆さん、おはようございます。 自由民主党の田中和徳です。  今般、極めて遺憾なことですが、脱法行為により、絶対あってはならないはずの我が国初臨界事故、しかも多数の被曝者が出たこと、多数の住民退避避難を余儀なくされたことに象徴されるように、前代未聞の深刻な事案が発生しました。  冒頭に、この不幸な人災事故被曝されたすべての方々に、また、東海村、茨城県の重大な影響を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、私自身衆議院科学技術委員会委員として、この事態に至ったことを心よりおわび申し上げ、その責任を痛感している次第であります。  この事故は、IAEAが定めた原子力施設などの国際評価尺度、いわゆるINES基準レベル4で、さき東海アスファルト固化処理施設事故レベル3を上回り、アメリカのスリーマイル島の事故レベル5を下回る規模になってしまいました。私も先日、当委員会現地調査に参加させていただき、知事や村長さんに幾つかのことをお尋ねし、事実の確認もさせていただきました。  ただ、今思えば、今回の事故の際の十キロ圏内への屋内退避命令は、総理大臣陣頭指揮もと政治主導で速やかな対応がなされたことは評価に十分値する、そのような確信をして戻ってまいりました。  ところで、中曽根弘文大臣、御就任おめでとうございます。いや、御苦労さまでございます。国民より大きく期待されている中曽根新大臣の初答弁がこのような質疑になったことを残念に思いますが、原子力はあすの日本の命運をかけたエネルギー政策のかなめでありますので、この重大な危機を、健康に御留意の上、獅子奮迅の御活躍で乗り切っていただきますよう、斉藤政務次官ともども原子力行政の立て直しに特段の御尽力をお願いしたいと存じております。  余談ですが、今回臨界事故を起こしたこの施設は、昭和五十八年に、当時の中曽根康弘総理大臣あて核燃料物質加工事業変更許可申請書が提出されております。中曽根新長官所管大臣として特別な因縁を感じておられるかと存じます。  私は、三年前の初当選以来ずっと本委員会に所属しておりまして、動燃事故使用済み燃料輸送容器のデータ改ざん問題、また、ことし三月には、早速適用になると思いますが、原子力損害賠償制度措置額の引き上げについて質問をしておりまして、本委員会での質問は今回で六回目になりますが、何と五人の異なるその時々の大臣答弁に立っておられます。総理大臣専権事項といいながら、先日の組閣に当たっても、大事故事後処理もめどが立たないうちに担当大臣が交代するとはとの批判も私の耳に届いております。  大臣任期が短期間だからといって職務上問題はないわけでありますけれども、あえて、大臣任期責任について新大臣のお考えをお伺いしておきます。  また、原子力利用推進安全確保についてどのように取り組んでいくおつもりか、決意のほどと、あわせて、今回の事故に対する大臣認識についても伺います。  そして、いわゆる違法マニュアル存在など、関係事業者管理体制検査審査が不十分のまま野放しにしてきた科学技術庁監督官庁としての重大な責任は明らかでありますけれども、その責任をどう考えておられるのか、特に国側関係者の厳正な処分はいつ、どうするのか、伺っておきます。  また、被害者への賠償についてでありますけれども、政府は、原子力損害賠償法に基づく機関、我が国初原子力損害賠償紛争審査会を二十二日に設置して万全を期すとのことであります。  しかし、この制度上、十億円を超える部分については企業が責任を持つわけでありますが、その不足が生じたときは、政府が国会の議決をもって最終責任を果たすことになっております。特産の干し芋や、ホテルのキャンセル一万七千件を初め各種の風評被害が広がる中、ジェー・シー・オー賠償請求がなされるなど、深刻な事態になっております。地元住民経済的損害の速やかなる補償を期待しております。この点、一刻も早く処理すべきと思いますが、対応を伺います。  そしてさらに、この大事件のまさしく張本人ともいうべき株式会社ジェー・シー・オー木谷宏治社長がお見えでございます。この重大な事故に対する経営責任はどう考えておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。お願いします。
  13. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今回の事故は、まさに日本初臨界事故でありまして、従業員が重篤な被曝を受けるとともに、また多くの方々被曝を受けられ、そして周辺住民皆さん避難屋内退避が行われました、本当に極めて重大な事故でございます。  これまでも原子炉等規制法に基づきまして安全確保に必要な措置を講ずる努力をしてきたところでありますけれども、結果的に今回の事故が起こったということを、私ども極めて厳粛に、また重大に認識をしておるところでありますし、また、科学技術庁長官として反省もしているところでございます。  現在、科学技術庁におきましては、事故施設安全確保事故原因徹底究明及び再発防止対策確立類似施設安全性の総点検等、庁を挙げて懸命に取り組んでいるところでございます。私みずからがこのような活動の先頭に立って、二度と今回のような事故が起こらないよう最善の努力をする所存でございますが、また先生方の御指導をお願いしたいと思います。  原子力利用推進や安全の確保にどのように取り組んでいくつもりかという御質問でございますけれども、今申し上げましたように本当に重大な事故でございます。また、安全確保大前提推進を図ってまいりました我が国原子力行政に対する地元を初めとする国民皆様方信頼を著しく損なったものと認識をいたしております。  資源の大変乏しい我が国社会経済安定的発展地球環境の保全を図るためには、原子力抜きエネルギー供給確保は不可能であると考えておりまして、安全の確保大前提にその開発利用を進めることが必要であります。このため、二度とこのような事故が起こらないよう万全の安全対策を講じ、失われた信頼を取り戻すために最大限努力をしてまいりたいと思っております。  今回の事故に対する大臣認識はいかがということでございますけれども、今申し上げましたように極めて重大な事故でございます。原子力行政を預かる者といたしまして、地元を初めとして国民皆様に多大な御心配と御迷惑をおかけいたしましたことを本当に申しわけなく思っており、極めて厳粛に受けとめております。  政府といたしましては、事故発生の知らせをジェー・シー・オーから受けました後、科学技術庁災害対策本部を直ちに設置するとともに、その後、科学技術庁長官を長とし、関係省庁局長課長等から成る政府事故対策本部を設けました。さらには、総理本部長とする関係閣僚等から成る政府対策本部が設置され、関係省庁が一丸となった対応を図ってきたところでございます。  現在、政府対策本部決定を踏まえ、関係省庁で、事故原因徹底究明、近隣の住民皆様方への対応応急対策、そして再発防止及び緊急時対処対策に取り組んでいるところでございます。  科学技術庁といたしましては、原子力安全委員会における事故原因究明全力を挙げて協力をいたしますとともに、安全規制に問題がなかったか、検査は十分であったか、従業員教育訓練は適切に実施されていたかなどの観点から十分に検討いたしまして、先ほど申し上げましたように、このような事故が二度と起こらないよう、法律改正も含めまして、再発防止確立に取り組んでまいりたいと考えております。  また、違法マニュアル存在等管理体制を野放しにしてきた科学技術庁監督責任についてでございますが、これまで、原子炉等規制法に基づきまして施設安全運転安全操業に必要な措置を講ずるなど努力を重ねてきたところでございます。しかしながら、このような事故が起こりましたことは規制当局といたしまして厳粛に受けとめており、今申し上げましたようにいろいろな面で反省もしております。これまでの対応について謙虚に反省すべきことだと私は重大に認識をしております。  現在、科学技術庁は、事故後の施設安全確保、それから事故原因調査再発防止策の検証、類似施設安全性の総点検等に庁を挙げて懸命に取り組んでおります。  さらに、事故調査委員会におきまして、現在、原因究明再発防止についての検討が進められているところであります。安全規制のあり方につきましても同委員会で厳しく御審議をいただけるものと考えておりまして、その結果も踏まえまして、委員御指摘の点につきましても私として判断をしてまいりたい、そういうふうに思っております。  また、先ほど申し上げましたけれども、今回の事故が起きまして、今後の対策について庁を挙げて懸命に取り組んでいるところでありますけれども、委員会での厳しい審査を踏まえまして、お尋ねの、国側関係者の厳正な処分ということでございましたけれども、適切に対処をしていきたいと考えております。  それから、風評被害等の経済的損害についてでございます。  今回の事故に関しましては、現地ジェー・シー・オーの相談窓口には約二千件に上る損害賠償等の相談や申し入れがなされていると聞いております。できる限り早く、これら損害をこうむられた方々の救済を行うことが必要であると認識をいたしております。  このため、当庁といたしましては、原子力損害賠償制度に基づく賠償が円滑、適切に行われるよう、本日、原子力損害賠償紛争審査会を設置する政令の閣議決定を先ほどいたしました。賠償について紛争が生じた場合、和解の仲介を行う公的機関を設置することといたしました。  さらに、当面する原子力損害の認定作業の迅速化、円滑化等に資するため、科学技術庁原子力損害賠償調査研究会を近く発足させまして、被害者ジェー・シー・オーとの話し合いの支援を行わせることとしております。  こうした体制によりまして、原子力損害賠償制度を適切に運用し、迅速、円滑な被害者救済を図る所存でございます。
  14. 木谷宏次

    木谷参考人 ジェー・シー・オーの社長の木谷でございます。このたび事故を起こしましたジェー・シー・オーの、会社の責任者でございます。  このたび、あってはならない大変重大な事故を引き起こし、国民皆様地域住民皆様に大変な御迷惑をおかけしました。また、社員にも大変な目に遭わせました。私どもの安全管理が不十分だったためでございまして、大変申しわけなく思っております。  また、原子力の利用推進に対して大変悪い影響を与えました。本当に申しわけなく思っております。  私ども、弱小な企業ではございますけれども、長年原子燃料サイクルの一角で、原子力の利用のお役に立ちたい、お役に立ってきたという自負と誇りを持ってやってまいりましたが、このようなことになりましてまことに無念でございますし、断腸の思いでございます。社長としては、当面私がなすべきことは、事故の原因究明、それから安全の回復確保、それから再発の防止、さらに被害への対応であるというふうに認識しておりまして、失われた信頼回復のためにあらゆる最善の努力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。  本当に申しわけございませんでした。
  15. 田中和徳

    田中(和)委員 ただいま大臣また社長よりのお話を承ったわけでありますが、どうしても私は、三年間にわたる、国会議員として初当選以来この委員会で仕事をさせていただきましたこともございまして、本当に残念というのか、自分自身に対しても腹が立つというのか、大変な抑え切れない感情が募ってくるわけであります。  申し上げたいことがたくさんあるわけでありますが、もうそろそろ時間が来ておりますので、私の思いを少し述べて終わらせていただければと思っております。  我が国原子力発電は、首都圏ではもう四五・八%まで来ておりますし、COP5も近々開かれることを考えれば、もっと日本でのシェアは拡大してくるのだろう。そう考えるときに、話が出ております二十基を新設するなんていうのは、今のままでは夢のまた夢、こんな気がいたしますし、始まったばかりのプルサーマル計画にも重大な影響が出るのではないか。高浜原発などはもう既におくれる、こんな話まで報道されております。  この際、やはりコストのことももちろん大切でありますけれども、何といっても安全性。今回も製品価格を三割引き下げる、こんなコストの削減の話から、この一連の手抜きマニュアル、さらにはそれをまた手抜きする業務、こんなことにつながったわけでありまして、この点、私は、本当に深く反省をすると同時に、大変な努力を重ねて信頼を回復しなければならない、このように思っております。  ただ、申し上げたいことは、科技庁とエネ庁で対応するわけでありますけれども、科技庁の方は百三十七名、それからエネ庁は百三十八名でお仕事をしておられるんです。それで、施設は、原発五十二基、処理工場、新設含め二カ所、核燃料加工工場七カ所、核燃料使用施設百六十五カ所、発電用以外の原子炉運転中が二十基、放射性同位元素を扱う事業所が約五千等々、すごい施設があるんですよ、数多く。  これだけのものをこのスタッフで管理ができないだろう。もう既に前有馬大臣もそうおっしゃっているんだし、僕はエネ庁の皆さんにも聞いて歩いたんだけれども、無理だろう、こう言っているんですね。この体制は早く整えていかないと、行革の論議の中に流されたら大変なことになりますので、もう一回仕切り直しをして頑張ってもらいたい、このようにお話ししておきたい。  そして、済みません、最後に一つ。  川崎市内に五つあるんですよ、実験用の原子炉などが。それで、僕の地元の川崎市内でも大変な話題になっているのです。二カ所は今も使っているんですが、その廃棄物の処理だとか、あるいは高濃度のもろもろの材料が使われている、その管理はどうなっているんだ、その防護方法はどうなっているんだ、ちゃんと科技庁は監督官庁として管理をしていただいているのか、こういうお話があるわけでありまして、ここだけひとつ答えをいただいて、終わらせていただきたいと思います。  以上でございます。
  16. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 我が国では、原子力発電所につきましては、今委員お話しのとおり、通産省が、いわゆる資源エネルギー庁でございますけれども、規制を行うとともに、研究炉や核燃料サイクル施設については科学技術庁安全規制を担当しております。さらに、これら行政庁の安全審査につきましては、原子力安全委員会が独自の立場からダブルチェックを行ってきたところでございます。また、このような安全規制の基盤となる安全研究を日本原子力研究所等が実施をしてまいりました。このような体制の中で、これまで我が国原子力安全は高い水準に保たれてきたものと認識をいたしております。  したがいまして、今回の事故は、通常では考えられないような違反行為が事故の直接の原因ではありましたけれども、大変残念な事態となりました。  今回の事故につきましては、先ほどから申し上げておりますように、原子力安全委員会事故調査委員会事故原因究明再発防止策等につきまして精力的な調査審議を進めておりまして、その結果を踏まえて、今後の安全規制等についても改善を図っていきたいと思っております。  今、施設数につきまして委員から御意見ありました。このような体制では大変だ、早く体制を整えろということでございますが、委員の御意見等も参考にしながら、今後よりよい体制づくりに努めていきたいと思っております。  なお、川崎市のお話がございました。御指摘のとおり、川崎市には、武蔵工業大学の試験研究炉を初め合計五基の原子炉施設が設置をされております。これらの原子炉施設におきましては、原子炉に装荷中の燃料があるほか、使用済み燃料及び放射性廃棄物が保管されておりまして、原子炉等規制法に基づき所要の安全規制を行っているところでございます。  具体的には、使用済み燃料は、必要に応じ専用容器に収納した上、臨界を考慮した設備施設において厳重に管理されているところでございます。また、放射性廃棄物につきましても、外部への漏えいの防止、放射線影響防止措置をとった保管場所に厳重に保管をされております。  御指摘の川崎市内の原子炉施設を含め、当庁所管の原子炉施設につきましては、原子炉等規制法に基づきその安全確保に万全を期するよう、今後も原子炉設置者を厳正に指導していく所存でございます。  また、これらの原子炉施設を含む当庁所管の原子炉施設に対して、運転管理マニュアル、核燃料物質取扱時の品質管理体制及び臨界管理の現状について調査、報告するよう指示をしたところでございます。  これに加えて、「もんじゅ」、「ふげん」につきましては、当庁職員を現地に派遣し、報告を踏まえて、運転管理、燃料管理等の状況について調査確認をしているところでございます。
  17. 田中和徳

    田中(和)委員 ありがとうございました。  終わります。
  18. 北側一雄

  19. 飯島忠義

    飯島委員 自由民主党の飯島忠義でございます。  田中委員の関連ということで、総括的な質問田中委員がしていただきましたので、より具体的な点についてお尋ねをしてまいりたいと考えております。  実は私どもの事務所の秘書の義理の妹さんから手紙をいただきまして、その手紙について、委員長、その具体的な中身の整理もできますので、配付について御了解をいただきたいと思います。
  20. 北側一雄

    北側委員長 はい、どうぞ。
  21. 飯島忠義

    飯島委員 今お手元に配付をさせていただいておりますけれども、ちょっと読ませていただきます。イラストも含めてですけれども、こういうはがきで、礼状という形で来たわけでございます。本当に至近の距離で避難地区、つまり三百五十メーターを超えた五百メーター近辺のところにある御自宅、そこからのイラスト、そしてまた中身についてちょっと読ませていただきます。   庭の木の向うに、JCOが見えます。   九月三十日の事故、お見舞ありがとうございました。とても元気づけていただきました。皆さまからのご親切、心から感謝申し上げます。当日は朝からさわやかな気分で、ラベンダー畑で草とり作業をしていました。正午のチャイムを聞いて、きりあげて、家の中に。まもなくして村の防災放送。JCOという会社名は、はじめて聞くもの。場所も不明です。しばらくしての再放送で旧社名と位置を知った時には、すでに事故発生から二時間以上も経過していて、驚きとショックです。畑で、何も知らずにいたのですから。テレビをつけて、はじめて状況がわかってきました。しかし、発生以後の情報(現場の)がないのは、不安でしたが、混乱した状況では、防災放送も手のほどこしようがなかったということなのでしょう。数日がたって、周囲もやや落ちついてきました。検査も健康診断も異常なしでした。安心してくださいとのことですが、あまりにもお粗末な会社の存在を許可してきた行政には、心おだやかにはなれません。とりあえずのご報告とお礼まで。  お見舞いに行ったそのお礼としてこの手紙をいただいたそうでございますけれども、実にその日の出来事、事故についての近隣住民の思いというものがこの細かい小さな紙面の中に書かれておると思っています。  さてそこで、田中委員からも被曝者に対する、また東海村を中心としての皆さんに対するお見舞いのごあいさつがありました。私自身は、まず、今回の事故の総括責任者、社長であります木谷社長にお見えいただいておりますので。  木谷社長は、平成十一年の六月ですか、就任したばかり。しかし、当然のように、前社長の高木さんですか、そして前々社長の加藤さん、会社としての経営方針の伝達というか、また新社長になっての抱負とか含めてあったと思うんですね。つきましては、木谷社長の経営方針あるいは経営理念、社員に対してどんな訓示も含めてされてきたのか、それから伺っておきたいと思います。
  22. 木谷宏次

    木谷参考人 社長の木谷でございます。  前社長との引き継ぎでございますが、後ほど申し述べます経営方針に関する大綱について、書面は特にございませんけれども、お話があったというふうに記憶しております。特に、企業の生き残りを図りたいということと、後ほど述べます新しいプロセスの導入によって中長期的に対処をしていく、その二点についてお話があったというふうに記憶しております。  それから、前々社長とはちょっとそういうお話はいたしておりませんので、ここではお話しすることがないわけでございます。  それから、私の経営方針でございますけれども、六月三十日に管理職に就任のあいさつをいたしました。そのときに経営方針について述べておりますので、これが私の経営方針、経営理念だというふうに御理解をいただきたいと思います。  そこで述べましたことは、原子力資源のない日本では非常に重要だ、それから温暖化対策上も大変重要だ、そういうことで、原子力は大変意義のある事業分野であるので、当社も引き続き原子力のこの分野を担い、原子力利用に貢献し続けたいということを述べております。  それから二番目に、事業環境が目下のところは大変厳しい、しかし、数年先には新しい原子炉も立ち上がってくるので、それまでを生き抜こうということでございます。  それから三番目は、事業戦略については従来の路線を踏襲したいということでございまして、当面の生き残りのためのいろいろな努力、それに加えて抜本的なコストダウンのために直接還元設備を建設していく、これが当面の重要なことである。  それからさらに、私ども、原子燃料までをフロントエンド、それから使用された後をバックエンドというふうに申しますけれども、現在やっているフロントエンドの仕事ばかりでなくバックエンドの事業分野も志向していきたい。それから、現在……
  23. 北側一雄

    北側委員長 参考人、簡潔にお願いいたします。
  24. 木谷宏次

    木谷参考人 それから、世界的、国内的な再編成を視野に入れていきたい。あと、労使関係、全社員の団結。それから最後に、環境問題、安全問題に意を払って公明正大に対処するということを述べておりまして、経営方針、理念はそういうことでございます。
  25. 飯島忠義

    飯島委員 実に、売り上げ全体三十一億ぐらいですか、それでほとんどが受注産業で、若干の賃貸等による収入もあるようでございますけれども、そういう面でいいますと、安全教育についての徹底等が全くのところ経営方針の最後、これは今回の事故の大きな原因だと私は思っています。  違法なマニュアル、つまり裏マニュアルに基づく製造作業が十年間にわたって行われてきた、こういう認識を私は持っておりますけれども、社長として、この年数的な問題も含めて、現在のところどのように理解をされているかお尋ねしておきます。
  26. 木谷宏次

    木谷参考人 安全管理の問題でございますが、まず、安全を重視するという経営方針は私は強く持っておりまして、七月一日に全社員に就任のあいさつをいたしましたが、そのときにも、我々は原子力関係という大変デリケートなものを扱っており、一度トラブルがあると大変なことになるので、今までも目を詰めていたとは思うけれどもさらに目を詰めてほしいということを申し述べております。  それから、このような事故を起こした後ではなんでございますけれども、これまで当社は安全成績は大変優秀でございまして、事故もなかったということでございます。そういうことで、安全管理には意を用いていたつもりではございますけれども、結果的にこういう事故を起こしましたので、不十分な点があったということで、大変申しわけないと思っておる次第でございます。
  27. 飯島忠義

    飯島委員 いやいや、社長さん、全く認識が違うね。  年数的な問題はいかがなんですか。裏マニュアルでやってきたという年数的な、七年とか十年と言われていますけれども、今、どういう理解ですか。
  28. 木谷宏次

    木谷参考人 いわゆる作業マニュアルにつきましては、事業所の工場の操業に関することでございまして、私としてもそれについての十分な認識がございませんので、事業所長からお答えさせていただきたいと思います。
  29. 越島建三

    ○越島参考人 ジェー・シー・オー東海事業所長の越島でございます。  このたび、現場の責任者といたしまして、あってはならない大事故を引き起こし、国民皆様あるいは地元皆様に大変御迷惑をかけておることを心からおわびいたします。  ただいまの御質問でございますが、違法なステンレス容器を使われた背景でございますけれども、今、関係書類が警察に押収されていることもありまして、正確なところはまだつかみ切っておりません。  人間の記憶等を頼りにいろいろ調査しているところでございますけれども、考えられることとしましては、事件を起こしました転換施設棟は、もともと最終製品の粉末をつくるというふうに設計された施設でございます。それで、特殊仕様の溶液をつくるという仕事をちょうだいしたときに、それに対応するのが既存の設備では非常に難しいところがあったということで、いろいろ工夫した中でその容器が出てきたものだと思われます。  その容器が社内的に認められた、あるいはその後ずっと社内でそういう作業が継続されてきたということにつきましては、当初のそういう容器を認めるかどうかの社内の審査システム、それからその後の現場の管理システムに非常に問題があったと思っております。
  30. 飯島忠義

    飯島委員 期間的なことをお尋ねしているんですよ。  実は、現所長の経営責任は当然ですけれども、例えば平成二年の六月から平成七年の六月が加藤社長、平成七年の六月から平成十一年の六月までが高木社長。当然、会社ですから、そういった製造なら製造についての指図、これは現場の所長としてされているわけですから、常務さんになったからといって、間がないから、しかし、そうじゃなくて、現場を今までも承知した上での所長の就任なわけですよね。  私は、当然、司法の場で業務上過失傷害も含めたそういったやりとりというのはきちっと精査されると思うんですけれども、どうも科学技術委員会での質疑の中ではその辺は明らかにしてくれない。これは残念というか、もう少し誠意を持って答えていただきたいと思うところでございます。それは司法の場に譲ることにしましょう。  そこで、教育訓練。全くのところ安全衛生上の教育訓練、これが中心ではなかったかな。それは十月の八日の視察でも、所長さんが、どちらかといえばそういった教育訓練が中心であった、こういうお話をいただいたんですけれども、その辺いかがですか。
  31. 越島建三

    ○越島参考人 お答えいたします。  私どもは、仕事としては再転換をやっておりまして、取り扱うものがウランであるということで、これに係る固有の安全性確保していくというのが最大の責務でございます。  今先生から御指摘がありましたように、最近は、労働安全衛生といいますか、社員がけがしないように、あるいは社員の心の問題とか、そういうところが中心であった。あるいは、現場で何かが起きたときに、例えば酸素マスクを担いで現場に行くとか、そういう実地訓練とかいうのが最近としてはウエートが高かったということは事実でございます。  私どもの事業所は、核燃料物質を扱うために、放射線管理、臨界管理等、国の許可をいただいた施設を保安規定に基づいてやっていくのが原則でございます。ただ、現場の設備を動かします作業者は、具体的に例えばバルブを動かすとかそういうことがはっきりわからないときちんと現場を動かせませんので、そういう手順書の中にそういう安全の考え方を盛り込んで、それを現場の教育のベースとしてまいりました。  今回については、設備の違法性につきましてはまだ解明し切っていないところがございますけれども、その手順書を外したところで事故が起こってしまいました。そういうところのヒューマンエラーといいますか、そういうところまで踏まえた形の臨界安全対策を十分考えていたかというところは大変不足していたところだと思っております。
  32. 飯島忠義

    飯島委員 私も、これは日本原子力研究所が発行している臨界安全ハンドブック第二版、ここまで専門的な教育はいかがかと思うんですけれども、幾らでも「原子力と安全」とかテキストになるものはあるんですよ。  今回のお三方、臨界についての知識を持っていなかったというのが新聞紙上でアナウンスされていますけれども、その辺はいかがなんですか。
  33. 越島建三

    ○越島参考人 お答えいたします。  私どもの社内では臨界管理基準というのがございまして、平成七年が最終改訂でございますけれども、改訂したものは各課単位で配られています。それは各現場にも配られています。ただ、その内容を十分周知するための教育が行われていたかというところは大変疑問でございます。  それで、今先生がおっしゃいましたところ、今度の三人の方にどのような教育をしていたかということでございますけれども、例えば沈殿を扱うときには安全質量で扱わなきゃいけない、そういう形での教育に関しては徹底していたと思います。ただ、そういうことを外したときにどういう事態が起こるかということを十分認識させ、そういうことを絶対やらないようにという教育については不足していたと思います。
  34. 飯島忠義

    飯島委員 所長、今回の製造作業指示書、安全担当者の方にその決裁が回っていなかったということですけれども、その辺は事実ですか。
  35. 越島建三

    ○越島参考人 お答えします。  今先生の御指摘は指示書ということで、工程に対する指示だと思いますが、この指示書はその工程での物の製造条件を示した指示書でございます。通常、そのときに、例えば溶かす質量が二・四キロの安全質量でやりなさいとかいう項目が入って、これはもう既定の事実として入っておりますので、その他の品質保証上のところは関係部門が見るということで、当該指示書には安全部門が入っておりませんでした。
  36. 飯島忠義

    飯島委員 二・四ですか。それで七バッチ分を一回に入れればどうかという、明らかにそれはもう臨界になるわけですから、なったわけでございますから、安全教育について全くのところ配慮なされていなかった、こういう指摘はしておきたいと思います。  そこで、労働省お見えだと思いますけれども、原子力関係者への安全教育、特別教育というんですけれども、いろいろなボイラーとか含めて、これは労働安全衛生規則ですか、第三十六条、これの見直しを考えなきゃいけないと思っていますけれども、いかがですか。
  37. 野寺康幸

    ○野寺説明員 原子力施設の労働者の安全対策でございますけれども、現在の安全衛生法によりまして、労働者を雇い入れたときに基本的に安全衛生教育をするという義務を事業主に負わせております。ただ、これは今の先生の御質問参考人答弁にもありましたように、一般的な教育ということになりますので、同じ五十九条の三項の方で危険有害業務という中に指定いたしますと、特別なカリキュラムを組んだ特別な教育をするということになるわけでございまして、現在、その方向について検討中でございます。
  38. 飯島忠義

    飯島委員 質問をたくさん用意していたんですけれども、答弁が若干長いこともあったりしまして、長官初め政務次官の方にお尋ねする時間がなくなったんですけれども、防災の対応といった点で反省点が大変多いと思うんですよ。どの点を改正していくか、これらを含めて長官の決意と、そしてまた、最後になりますけれども、こんな大きな事故を起こしてしまった科技庁の責任、先ほども田中委員から質問ありましたけれども、あわせて、今回の事故によって我が国原子力政策全体への影響、これは極めて大きいと理解をしております。今後、今回の事故を踏まえてどのように原子力政策を進めていくのか、所信を伺っておきたいと思います。
  39. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今回の事故を教訓といたしまして、原子力防災対策の抜本的な強化を図るために、原子力防災に関する新法について、通商産業省を初めとする関係省庁の協力のもと、今鋭意検討を進めているところでございます。  具体的には、初期動作などにおける国、自治体の連携の強化、原子力災害の特殊性に応じた国の緊急時対応体制の強化、それから、原子力事業者の防災対策上の責務の明確化といいました課題につきまして、そのあり方について鋭意検討を行っているところでございます。  いずれにいたしましても、これまでの自治体からの御意見、御要望等を十分に踏まえつつ、一層実効性のある原子力防災体制の構築に向けて、早急に法案の内容を固めてまいりたいと思っております。  また、今後の原子力政策についてでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、大変な事故が発生し、国民皆さん原子力に対する信頼を著しく失墜いたしました。  資源に乏しい我が国社会経済安定的発展地球環境の保全を図るためには原子力抜きエネルギー供給は不可能である、そういうふうに考えておりまして、安全の確保大前提に、その開発利用を進めることが必要でございます。このため、二度とこのような事故が起こらないよう万全の安全対策を講じまして、失われました信頼の回復に最大限努力をしていきたい、そういうふうに思っております。
  40. 飯島忠義

    飯島委員 答弁漏れで、科技庁の責任、先ほども答弁ありましたけれども、確認の意味でお願いします。
  41. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、これまでの立入検査等を通じまして、通常では考えられないような法律に違反する行為が事故の直接の原因だ、私はそういうふうに思っております。しかし、事故が起こってしまいました。私どもは、この事態を極めて厳粛に受けとめておりまして、また謙虚に反省すべきものと考えております。
  42. 飯島忠義

    飯島委員 以上で質問を終わります。
  43. 北側一雄

  44. 松沢成文

    松沢委員 民主党の松沢成文と申します。  私は、これまで科学技術委員会委員ではなかったのですけれども、このたび民主党で、ネクスト・キャビネットという、あすの政権を目指して内閣のようなチームをつくろうということで、その文部・科学技術担当のポストをいただきまして、そういう意味では、これから国会の委員会大臣とのカウンターパートになるというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  国会の運営が今度の臨時国会から大分変わってまいります。これまでの政府委員制度が廃止されて、政治家同士の議論、討論、ディベートという方向に持っていこうということで、きょうはある意味でその予行練習として、私も、細かい重箱の隅を突くような質問はやめにして、政治家同士の、そしてまた大臣や政務次官の見解あるいは政治家としての判断、こういうものを求める討議にしていきたいと思いますので、ぜひとも御答弁は両人からお願いをしたいというふうに思います。  まず、この事故認識について最初に質問しようと思いましたが、先ほどの田中委員質問の御答弁を私も聞いていました。大臣も、あってはならない事故日本で初めての臨界事故被曝者も出た、影響も大きかった、大変重要に受けとめていて、この真相究明と今後の事故対策、大変重要だという認識を示しておりました。私もそのとおりだと思います。  そこで、まず伺いたいのですが、中曽根大臣が現場に、小渕総理すなわち政府対策本部長と出向いて、視察というか現場検証というかをしたのはいつだったでしょうか。
  45. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 小渕内閣、この改造内閣発足の翌日でございますから、十月の六日でございます。
  46. 松沢成文

    松沢委員 十月の六日といいますと、事故が発生したのは九月の三十日であります、一週間たっているのですね。小渕総理政府対策本部長であります。対策本部長。これだけの臨界事故が起きて被害も広がっている、地域対策も迅速に行わなければいけない。それが、一週間後にその本部長現地に赴いている。これで果たして、この事故を重大と認識して、そしてそのリーダーとしてすぐに対策を打つ、そのために現場を把握しよう、こういう責任が果たせるのか。一週間後ですよ。大臣はどう思いますか。
  47. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 確かに、委員御指摘のとおり、総理現地に行かれたのは一週間後でございます。しかし、事故直後から政府におきましては、科学技術政務次官に現地に行っていただきまして、陣頭指揮をとってもらいました。また、安全委員会それから助言組織等々のそれぞれ組織が機能いたしましたし、また、それぞれの対策本部も情報の収集や事故対策に取り組んできたところでございまして、確かに、おっしゃるとおり、総理現地に行かれたのは一週間後でございますけれども、政府対応としては、私はやれるだけのことをやっていた、そういうふうに思っております。
  48. 松沢成文

    松沢委員 私たち民主党も、今回の事故は大変重要だ、大変真剣に政党としても取り組んで、その対策について政府にさまざま要請をしなければいけないということで、事故の翌日、九月三十日に事故が起きましたから、十月の一日のもう午前中に、鳩山代表を本部長に、江田五月元科学技術庁長官本部長代理に、そして現地で、大畠衆議院議員が現地対策本部をつくりましたから現地対策本部長、この三人を中心に事故の翌日に現地に赴きまして、もちろん事故現場には近寄れませんが、村役場を訪ねて村長の話を聞いたり、さまざまな情報収集を行って、そして実態を把握しようとしたのですね。  もし、この事件がそれだけ重要だ、大変な事故だと認識をしているのであれば、私は、政府としても翌日に確たる人がきちっと現場に赴いて、現場はどうなっているのだ、そこでリーダーシップを発揮して、陣頭指揮をとって、迅速な事後処理あるいは初動態勢のおくれを取り戻すにはどうしたらいいのか、これを指揮するのが政治家の役目ではないのでしょうか。  そういう意味で、一週間後に行った小渕総理政府本部長は、この事故をきちっと認識されていたのか。危機意識が余りにも薄い。これでは私は、政治家、日本の国のリーダーとしての資格はない、こう思いますが、大臣はいかがでしょうか。
  49. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 民主党の皆様方が、翌日でございますか、現地調査に行かれたということに対しては、深く敬意を表する次第でございます。  先ほども申し上げましたように、原因究明、それから事後処理全力で当たっておりました。そして、現地には政務次官が出向きまして陣頭指揮をとっておりました。私は、科学技術政務次官はそれだけの責任と権限を持ったものだ、そういうふうに思っておりまして、総理は確かに一週間後でありましたけれども、総理もこの事態を大変深く認識をされておられたと思いますし、また、政府としても全力対応に当たっていた、そういうふうに私は認識しております。
  50. 松沢成文

    松沢委員 今、大臣は、科学技術庁の政務次官、稲葉前政務次官、ここにお座りでありますけれども、政務次官が現場で対応していた、だからそれなりのことができたんだということですけれども、この政務次官も、今回の内閣改造、すなわち五日の日をもっておりなければいけなかったのですね。そして、科学技術庁が他の省庁に呼びかけてつくった事故対策本部、この事故対策本部本部長は有馬前長官でありました。  大変失礼な言い方ですが、小渕総理は六日の日しか行けなかったんじゃないですか。それより前に行こうと思っても、もし、では二日でも三日にでも行こうと思ったら、恐らく有馬長官がもう一人の事故対策本部長として随行していたでしょう。といいますのは、中曽根長官が、小渕本部長総理に随行しているように、そうやって二人で行ったんでしょう。そうしたらば、もし内閣改造前に行っていたら、あしたかあさってやめる本部長、あしたかあさってやめる長官、これを引き連れて行ったって現地の人はどう思うんでしょうか。政府は本当に現地のためにきちっとした対応をとってもらおうと思っているのか、冗談じゃない、内閣改造の方が優先でしょう、あしたかあさってやめる長官を連れてきて、何をと。私たちが意見を言ったって、あしたかあさってやめるんじゃない、こういうふうに見られてしまう。だから小渕総理は六日しか行けなかった。すなわち、内閣改造をやって新しい長官を本部長として連れていく、そうしなければ説明ができませんね。私はこう考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  51. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 総理の日々の御日程等について、私詳しくは今把握しておりません。いろいろな事情もあったことと思います。また、総理といたしましても、それぞれのつかさつかさで対応をとっているというふうに認識をされ、また、信頼をしていただいていた、そういうふうに私は思っております。  そういうことでございますので、確かに現地に行きましたのは遅うございますけれども、まず事故の原因の究明現地事後処理、これを最優先に行いまして、そして的確な、正確な情報をこちらに上げてもらう、そしてまた的確な指示をする、それがまず第一だと考えて、私ども今回御案内のような対応をとったわけでございます。
  52. 松沢成文

    松沢委員 現地から的確な情報を上げる、それが最優先だ、そうであるならば、私は、科学技術庁の長官と政務次官については、この事件がある程度の方向で処理ができるまで、収束をするまでは、有馬長官あるいは稲葉次官の体制でやらすべきだと思うのです。それが、内閣としてこの事件、事故をきちっと認識して最優先に取り組んでいるというあかしにもなるわけですね。内閣改造が優先していますから、もう現場の本部長まで、わずか事故が起きて五日というところでみんなかえてしまう。これじゃ現場の対応だってできないんじゃないですか。逆に、それができるというのであれば、政治家が本部長だというのは、単に腰かけているだけであって、実態はみんなほかの人がやっている、それを証明しちゃうことになるんじゃないですか。どうでしょうか。
  53. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 内閣改造がちょうど時期に当たりました。しかし、総理は、そのような日程がある中でも、事故のことについては政府本部長として陣頭指揮をとっていただいたもの、私はそういうふうに思っております。  それから、内閣改造の時期とちょうど重なったわけでありますが、これは総理の御判断でありまして、私といたしましては、私の使命といたしましては、事故後の原因の徹底究明再発防止策、これに全力で取り組むのが私の仕事と思っております。  さらに、科学技術庁長官、それからきょうは政務次官も出席しておりますけれども、私どももそれぞれの立場での責務は当然果たしていかなければならないと思っておりまして、ちょうど新旧の入れかわり時期に当たりましたけれども、政府としては、その人事異動によって何ら対応がおくれたり滞ったり後退するということはないもの、私はそういうふうに思っております。
  54. 松沢成文

    松沢委員 それでは、その初動態勢の質問に入る前に、今の大臣の御発言を得て、ちょっと確認したいのですが、大臣は、五日の内閣改造で新たに長官になった。斉藤政務次官もそうですね。その前に、事故発生から、三十日から四日までの間、非常な動きがあったわけです、初動態勢で。私はこれから指摘をさせていただきますが、さまざま私は政府対応のミスが重なったというふうに思っています。  ですから、大臣は、人事の異動はそういうことに影響しないのだというのであれば、事故発生から、有馬長官が担当されていたこの四日間、五日間、ここにおいても、この行政責任においても、五日以降長官になったわけですが、当然行政責任を負うというふうに言っていただけますね。
  55. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今申し上げましたとおり、科学技術庁長官としての責務は当然果たしていかなくてはならない、そういうふうに思っております。
  56. 松沢成文

    松沢委員 私は、今回の、九月の終わりから十月初めにかけて、大変失礼ですが、小渕総理は、東海村のこの臨界事故対応よりも内閣改造を優先させて、その都合でスケジュールを組んだというふうにしか思えない。そこをまず指摘をさせていただきたいというふうに思います。  それで、委員長、ここでお願いがございますが、小渕総理政府対策本部長であります。総理としてこの委員会に呼ぶというのはこれまでの慣例上難しいところがあると思いますが、政府対策本部長として、参考人としてこの委員会に招致をいただけないか、どうでしょうか。
  57. 北側一雄

    北側委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。
  58. 松沢成文

    松沢委員 それでは、今回の事件、原子力臨界事故ということでありまして、この臨界状態が結果としてかなり続いていたわけですね。それがさまざまなところで被害を及ぼして、大きな影響を与えているということであります。  こういう事故においては、初動の体制、初動の対応というのが最も重要、これが危機管理の最大の要諦になってくるというふうに思いますが、事故が発生したのが十時三十五分、そして第一報が村に届いたのが十一時半ごろですね。それから、科学技術庁にもファクスが入ってまいりまして、臨界の可能性がありというふうに書いてあった。  こうして科学技術庁がこの事故の第一報を知ってから、まず対策本部をつくったのが、これは有馬長官を中心とする事故対策本部をつくったのが午後三時。そして、政府対策本部、小渕総理本部長とする対策本部をつくったのが午後九時でした。政府対策本部は、事故発生から十時間近くたってようやく立ち上がったわけですね。  長官は、この対策本部立ち上がりまで十時間要した、その最大の原因、理由は何だとお考えでしょうか。
  59. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 科学技術庁といたしましては、先ほど松沢委員おっしゃいましたように、現地にすぐ安全局次長を派遣し、その情報も得ながら、三時に対策本部、有馬大臣を代表とする対策本部をつくったところでございます。  この時点で、これは私の個人的な見解が入るかもしれませんけれども、確かに、第一報で臨界事故の可能性ありというのがジェー・シー・オーから発せられました。臨界事故の可能性があるというときに考えられるのは、普通、臨界事故が起きますと、いわゆる即発臨界で、ある意味で一瞬でその臨界が終わってしまう、後は臨界反応は進んでいない、こう認識するのが技術者としてはあり得たことだろうと思います。これは常識的に考えてそうだろうと思います。臨界が一回で終わった場合と、それから、その即発臨界が終わってから緩やかな臨界が続いている場合、これは事故認識として大きく異なるんだろう、このように私は思います。  ガンマ線の測定結果、このガンマ線は我々は……(発言する者あり)いいえ、ちゃんと答えているんですけれども。  即発臨界が起きて、そこでいわゆる放射性物質ができる。その放射性物質から出てくるガンマ線がある。そのガンマ線が緩やかに減衰していた、だからこれは臨界は続いていないだろう、このような判断が当然あったかと思います。そういう意味で、その事故の大きさの重大性について、認識について少し……(発言する者あり)
  60. 北側一雄

    北側委員長 御静粛にお願いします。
  61. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 その重大性について、臨界が続いていたということに時間がかかったということが、いわゆる政府としての対策本部がおくれる一つの原因ではなかったかと思いますけれども、科学技術庁としては、すぐに対策本部を設けて、人を送り、万全の体制を整えたところでございます。
  62. 松沢成文

    松沢委員 臨界が続いている、臨界が一瞬で終わっているんじゃなくて続いているという認識になったのが、恐らく科学技術庁事故対策本部ができたのはそういう判断をしたからだと思うんですね。違うんですか。では、臨界が続いていると認識をした、それは何時ごろですか。
  63. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 たしか五時ごろ、いわゆる中性子計測のデータが入ってまいりました。中性子が計測されるということは、これは臨界が続いているということですので、その時点で臨界を確信したということでございます。
  64. 松沢成文

    松沢委員 すなわち、事故が起きてから、臨界が続いているというのが確信できたのが、中性子の測定をやった午後五時ごろ、六時間以上たっているわけですね。この六時間が最大のミスだったんですよ。ミスというか、これだけおくれてしまったということ。  といいますのは、最初にジェー・シー・オーからファクスが来た。それから、ジェー・シー・オーから科技庁に、放射線量を二回データを送ってきています。一回目が〇・六八ミリシーベルト、二回目が〇・八四ミリシーベルトですか、高い放射線量があったんですね。それで、その後、二時に原子力安全委員会が開かれていて、NHKのテレビでもやっていました。そこで住田委員長代理が、臨界が続いている可能性があるんじゃないか、調べるべきじゃないかというかなり強い意見を申し上げた。ところが、それを受けて科技庁の方では、きちっと判断できる情報がないからということで、この会議は合議制だから、それを見送ってしまった。ここも大きなミスだと私は思うんですよ。臨界の続いている可能性を早く把握できなかった、まずこれは一つ科学技術庁のミスだと私は思います。  そして、もし放射線量が高いのであれば、臨界が続いている可能性があるんですから、中性子線をすぐ調べるという判断をしなければいけないはずなんです。中性子線を調べろと科学技術庁の方から現場に指令を出しましたか。私の調べたところでは出していない。現場で中性子線を調べるということになったのは、原研の職員が県庁に連絡をし、県庁が、そうであれば調べてほしいということで核燃料サイクルに連絡をし、そして中性子線の測定が始まったんです。  ですから、科学技術庁は全くもって、臨界が続いているということを、認識もおくれたどころか、こちらから調べろという指令も出せなかった。この初動態勢のおくれというのはこの事故において私はかなり決定的なものを持っていると思うのですが、その認識はいかがでしょうか。
  65. 間宮馨

    間宮説明員 お答えを申し上げます。  いわゆる最初の事故臨界であったかどうかという点がまず一つございまして、これに関しましては、第一報から始めまして臨界の可能性ありということで、そういう認識は我々持っておりました。  しかしながら、先ほど政務次官からお答え申し上げましたように、普通の場合ですと一回で終わるというのがございました。かつ、ガンマ線のデータはかなり早くから来ておりまして、我々はずっとそれをモニターをいたしておりまして、若干減りぎみでございました。したがいまして、そのときの判断として、非常に苦しいんですが、もちろん臨界が続いている可能性は捨て切れないものの、ひょっとするとおさまるんではないかという感じも持っておりました。  その中で、我々は、しかしながらガンマ線のデータが非常に高いということは当然ながら認識をしておりましたから、直ちに、一時には我々の局の次長を現地に派遣をいたしております。それは、担当官二名をつけまして、そのうちの一名は村の方にずっと張りついておりました。  確かに、中性子線防護の話につきましてすべてうまくやったかというと、そこは反省はございますが、我々としては、まずガンマ線が高いという一事をもって、これは何かあるということで行動は起こしていた。その後の二時半にはまず科学技術庁内に本部をつくり、三時には、先生お言葉よく聞こえませんでしたが、災害対策基本法に基づく政府事故対策本部科学技術庁長官本部長とするということでございまして、それをつくりまして、官邸にも届けましたし、県にも連絡をいたしました。したがって、初動のところは動いていたわけでございます。  したがって、何もしなかったというところにつきましては、我々としては受け入れがたい。してはいたけれども、状況がいかにもよくわからなかったというところが実情でございまして、全力を挙げて状況把握に努めていたということでございます。
  66. 松沢成文

    松沢委員 今局長が、臨界は把握していた、そしてガンマ線も高かった、そしてそういう状況の中で政府事故対策本部も三時につくった、対応していたということでありますが、臨界が続いているかどうかをきちっと最終的に確認するにはやはり中性子線を調べるというのは原則ですよね、臨界の。それを怠っていた。怠っていたというか、そこに気づかなかった。そして、現場の判断でようやく話が始まって、それが午後五時になってしまった。  これは私はやはり科学技術庁の、行政の判断ミスというふうにとらえたいと思いますけれども、これは長官、いかがでしょうか。
  67. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今局長が御答弁申し上げましたとおり、非常に情報が乏しく施設状況等が大変不明な中で、臨界状態が継続している可能性が高いことにかんがみまして、的確な情報の収集それから助言のために二名の原子力安全委員会委員、また二名の専門家を現地に派遣して、その時点ではできるだけの対応をとっていたところでございます。  中性子線の測定についてのお話がありましたけれども、何分中性子線の数値についての情報がございませんでしたので、今次官並びに局長が申し上げましたような対応となった次第でございます。
  68. 松沢成文

    松沢委員 中性子線の情報がなかったからこういう対応になったと言うけれども、それを早く見抜いて、調べろと現地に言うのが科学技術庁なり原子力安全委員会の役割だと私は思うんです。それができなかったということは、私は明らかに初動のミス、責任の一端は科学技術庁にあると指摘せざるを得ません。  そして、専門官の派遣、確かに三名の方が一時ごろ出ていますね。それから、原子力安全委員会の方が夕方ですか、夜出ています。これは、臨界があって、その対応、それをとめるためにも早く行かせなきゃいけないということだったと思うんですが、聞くところによりますと、この原子力安全委員会委員の方、住田委員長代理も行かれたと思うんですが、何か現場までタクシーで向かったと。恐らく二時間以上かかるんじゃないでしょうか。こういうときの危機管理は、ヘリコプターを使って一瞬で行かなきゃだめですよ。それが危機管理なんですよ。そのために政府はヘリコプターをいろいろなところで持っているわけです。それで野中長官も、何をやっているんだ、早く情報を集めろ、ヘリでも何でも使え、こう言って指示もしているんですね。こういう危機管理の対応が全くできていない。いかがですか、長官。
  69. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 御指摘のとおり、危機管理については十分な体制ができていたとは私も思っておりません。今御指摘のような現地に派遣するに当たっての交通機関等につきましては、今後の検討課題としていきたいと思っております。
  70. 松沢成文

    松沢委員 それは大切だから今後検討するということですが、ただ、それができなかったというところは、行政あるいはその上に立つ政治家の判断ミスがあったというふうに私は指摘せざるを得ません。  もう一点聞きます。  今回の事件が起きて臨界状況が続いているようなこの事故の当日の中で、海外、アメリカやロシアから、日本大変なんじゃないのか、何か支援はできないかという申し出はあったでしょうか、IAEAも含めて。これはきちっと、政府の中で情報はあると思いますので、お答えいただきたいんです。
  71. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 米国からは、日本時間の十月一日の未明に、まさに水抜き作業の結果ほぼ収束の見通しが得られるに至った時点でございますけれども、航空調査、それから緊急時医療等あらゆる協力を行う用意がある旨の連絡がございました。さらに、その後、被曝緊急援助、事故復旧、大気モニタリング及び評価、そして事故調査及び評価の四分野で協力を申し出る旨連絡があったところでございます。  これに対し当方からは、事故発生直後の緊急事態はほぼ収束した状況にあり、今後は施設内の状況の把握、除染、さらには事故原因究明などの作業を行っていくことを伝達いたしまして、今後の状況については逐次情報を提供していく予定であり、その上で米国として実情把握をされたいとの考えには前向きに対応したい旨回答をしたところでございます。  また、これを受けて米国から実情把握のため専門家三名が現在来日中でございますが、昨日と本日の二日間にわたり、科学技術庁及び原子力関係者等による事故の事実関係についての説明等を行っているところでございます。  以上でございます。
  72. 松沢成文

    松沢委員 十月一日の未明ということですから、ちょうど、ジェー・シー・オーでは水抜きの作業臨界をおさめるために始めなきゃいけない、こういう時期だったんじゃないでしょうか。恐らくもっと具体的に、クリントン大統領かその行政の方かわかりませんが、中性子線が出ている、その中での作業は危険なのでロボットの提供とかそういう具体的なものもあったのかもしれません。  ただ、その後の調査、そういうものの支援もあったわけで、その当時のジェー・シー・オー状況放射線がまだ出ている、被曝者もどんどん広がりそうだ、周りに対する放射能、放射性物質の被害も広がる可能性があるというところで、このアメリカの支援要請を断れるほど私はジェー・シー・オー状況が落ちついてきたとは到底思えない時期なんです。  なぜそこで政府は、いやいや結構、また将来的には御指導いただくかもしれませんが今は結構ですと断ってしまったのか。ここの判断も私は問いたいというふうに思っていますが、長官、いかがでしょうか。
  73. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今申し上げましたとおり、協力を申し出る旨連絡はありましたけれども、繰り返しになりますけれども、その時点での状況は緊急事態がほぼ収束した状況にある、そういうふうに判断をいたしたところでありまして、そういうことから、今後の状況については情報を提供し、そしてまたさらに、米国の訪問についてはまた相談をしながら協議をしていきたい、そういうふうに回答したところでございます。
  74. 松沢成文

    松沢委員 事態が収束しているという状況じゃ全然ないんですよね。これからどんなになるか全く予想ができない、あるいは、冷却水を抜くために二次災害が起きて、現にたくさんの方が被曝していますけれども、そういう時刻なんですね。私は、この認識は絶対に間違っているというふうに思います。  もしかしたら、これはちょっとうがった見方ですが、政府はこの原子力の、ある意味で起きてはならない、世界的に見れば恥ずかしい事故であります、この事故をできるだけ大げさにしたくない、そういう意識が働いて、余りアメリカからなんて来て大げさになったら大変なことだ、世界じゅうに報道されてしまう、これは日本原子力にとってもまずい、こういう内向きな逃げの姿勢がこの判断をさせたんじゃないかと言わざるを得ないんです。いかがでしょうか。
  75. 興直孝

    ○興説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のその時間でございますけれども、まさにその時間は水抜き作業のほぼ終わりの局面でございました。したがいまして、先ほど大臣からございましたとおり、収束の段階に向かっているという状況でございました。そういうタイミングでございますので……。
  76. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 情報につきましてはできるだけ公開をする、そういう基本方針、また大原則のもとに今回の対応も図っておりまして、決して、海外にこのような事態の情報が行くということによって日本原子力行政に対する評価が落ちるとかそういうような観点から、米国の調査団を迎えることをその場で、今は結構ですと申し上げたようなことではございません。  委員御案内のとおり、その後もすべて公開しておりまして、こうすることによって、今後の原子力事故再発防止にも大きく貢献すると思いますし、また国民皆さん信頼回復にも役立つ、そういうふうに思っておりまして、情報については全面的に公開しているところでございます。
  77. 松沢成文

    松沢委員 これ以上やっても行ったり来たりになりますので。  それでは、アメリカから支援の申し出ですか、これは文書になっていますでしょうか。なっていたら、どういう項目で支援したいけれどもと言ってきたか、いつ何どき言ってきたかをこの委員会に資料として提出をいただきたいと委員長にお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
  78. 北側一雄

    北側委員長 はい、理事会で協議いたします。
  79. 松沢成文

    松沢委員 それでは次に、十月二日の日午後六時三十分、野中官房長官が会見をいたしました。新聞や雑誌では、これはいわゆる安全宣言というふうに言われていますが、その中から少し抜粋しますけれども、放射線量と土壌を念入りに調査し、原子力安全委員会で厳密に分析した結果、放射線レベルは通常の範囲に復帰しました、茨城県産の農産物や井戸水は、検査の結果、安全性に何ら問題はないというようなコメントで、いわゆる安全宣言をしたわけですね。もう安全ですよ、皆さん御安心くださいということだったと思います。しかし、この安全宣言も、厳密にそこまで調査してやったものか、私は余りにも疑問が残るんです。  例えば、政府部内にも、現場から半径三百五十メートル以内の土の中のガンマ線の数値がまだ高水準で残っている、これは心配だという意見もあった。そして事実、同日の午後、ジェー・シー・オーから二百メートル離れた土壌から、自然界には存在しないナトリウム24という放射性物質も検出されているんですね。そしてまた、この日の十五時三十分、午後の三時三十分から、現場ではあの転換試験棟の周りに土のう積みが始まっていたんです。要するに、まだ放射線が出ているから、それを防ぐために土のうを積んでいたんですね。こういう状況ですよ。こういう状況で、すべて厳密に検査して放射線レベルは通常の範囲に復帰した、農産物や井戸水もすべて安心だ、安全宣言だと。どうしても私には理解ができません。  そしてまた、事故から十一日までずっと転換試験棟の排気口からは沃素131という放射性物質が漏れていたわけですね。こういう状況で安全宣言というのはできるんでしょうか。私には理解できない。長官、どうでしょうか。
  80. 間宮馨

    間宮説明員 三百五十メートル圏内避難措置の解除のことであろうかと思いますが、その場合、非常に慎重ないわば議論がなされました。実際に私は見聞きをしておりますが、本部にまさに助言組織のメンバーが集まっているわけです。一部のメンバーは現地にいるわけですね。それで、いわば安全であるということを言うための条件を厳密に吟味するわけですね。いわゆるその三百五十メートル圏内のいろいろな指標が限度以内あるいは通常レベルということを確認しないと出せないということで、したがいまして、作業は一方通行じゃございません。こちらで条件を詰めます。その条件に合うデータを出せ、つまり測定しろという指示を出します。  例えば、窓ガラスを全部ふいてあるか、ふき取って値を確認する。土壌についても同じように、どこのデータをとれと。それを向こうにいる緊急助言組織の別のメンバーが受けて、現場を指示してデータをとらせる。そのためにはいろいろな機関から、電力会社も含めまして千人近い人が行って、じゅうたん爆撃のようなモニターをしたわけでございますね。その結果で問題がないということで初めて助言組織がいいと言い、それを政府がつないで村の方で解除した、こういうことでございまして、先ほどの沃素の話も、それは後になって排出口のところが二倍であったということはわかったわけですが、それまで近づけないということもございまして、あるいはモニターがなかったということも。その周辺に関しましては全く影響ないというレベルでございまして、そういう意味で、いいかげんにやったわけじゃございませんで、非常に厳密ないろいろな計算なり測定なりの結果で行われたものでございます。
  81. 松沢成文

    松沢委員 この安全宣言を出すのは原子力安全局長間宮さんの最終的な御判断、それと原子力安全委員会皆さんの討議による御判断、こういうことですよね。  それで、そこには、例えば当時の野中官房長官から、どうだ、早く安全宣言を出せないか、こういうような意見はありませんでしたか。
  82. 間宮馨

    間宮説明員 その点は全くございません。純粋に科学的に究明して出されたものであるということでございます。
  83. 松沢成文

    松沢委員 ちょっと時間がないので次に移りますけれども、これまでの、今回の事故での被曝者について伺いたいのですけれども、最初は四十九名の被曝者がいると。これは、施設内の被曝が三十九名、消防署員被曝が三名、そして外部の被曝が七名で、計四十九名という数字だったようであります。この数字が、先日二十名追加になりまして、六十九名にふえたんですね。それで、地域住民にとってはもちろん、施設内外にかかわらず、近隣の住民にとっては、自分も被曝しているんじゃないだろうか、被曝していたとしたらどういう状況になっちゃうんだろうかと、物すごい不安に駆られているというふうに思うのですよ。  そこで伺いたいのですが、被曝者を認定する基準みたいなもの、こういう数値が出たら、あるいはこういう状況だったらこの人は被曝者にカウントするというのが果たしてあるのかどうか、それがあったから二十名ふえたのかどうか、これが一点。  そしてもう一点は、施設内の被曝者も、測定器を持っていない人ははかれていないはずですね。そういう方、測定器を持っていない方が、ジェー・シー・オーの全社員が百二十三名のうち六十四名いた。それで、今になってみると、もう時間がたっちゃっていますから、外部の放射線というのはどんどんなくなっちゃっています。ですから、体内被曝しているかもしれませんが、それは数値に出てこないのですね。  それともう一つは、施設外の被曝であります。  この七名という方も近くで作業をしていた方と聞いていますが、施設外の住民被曝というのはどこまで科学技術庁は把握しているのですか。  週刊誌にこんな記事が載っていました。  ジェー・シー・オー施設から五百五十メーター離れたところに小学校がある。本米崎小学校。ただ、この小学校は、ジェー・シー・オーから非常に距離は近いんですが、東海村じゃありません。ジェー・シー・オー東海村の端っこにありますから。隣の那珂町なんですね。それで、ジェー・シー・オーは、東海村には事故の通報をしているんです、当然これは協定を結んでいますから。しかし、距離は近いけれども行政体が違う隣の那珂町には、協定をしていないために、通報をしていないんですね。ですから、那珂町に、ひょっとしたら臨界事故が起きたんじゃないか、外に出ると危ないよというような情報は流れていない。流れていないから、この小学校では、ジェー・シー・オーから五百五十メートルという近距離にあって、生徒たちは午後の二時かそれぐらいまで校庭で遊んでいた。そして、室内にいても窓をあけて授業をしていた、給食を食べていた、こういう状況だというんですね。  恐らく、今回の事故中性子線というのはかなり強いのが相当出ていると思うんですね。それによって被曝をした人が六十九人。これは最終数値と見ていいんですか。それとも、これからいろいろと調べていくと、施設内だけじゃなくて、ジェー・シー・オー従業員だけじゃなくて、施設の外にいて、例えば風下だった地域なんかは相当大きな影響を受けている。被曝者はどんどんどんどんふえるというふうに見なくちゃいけないんですか。科学技術庁は、そこをどう考えているのでしょうか。
  84. 間宮馨

    間宮説明員 お答えいたします。  ジェー・シー・オー臨界事故でこれまでに確認された被曝者数として、第一回の事故調査委員会で、ホールボディーカウンター検査被曝が検出された四十九名を報告しております。その後、回収されたフィルムバッジの現像解析の結果、二十名ふえたということでございます。  さらなる被曝の有無につきましては、今後、未回収及び未現像のフィルムバッジの測定結果と、事故当時にそれらのフィルムバッジを従事者が使用していたかどうかの状況調査、あるいは、先生おっしゃいましたように、中性子線の線量評価、これはこれから行いますが、そういうものの結果を待ちたいというふうに考えております。  それと、五百メートルの話でございますけれども、もちろん、五百メートル以内に居住していたという方千八百三十八名につきましては県の方で健康調査を行いまして、直接の放射線障害が疑われる者はないという結論を出しております。したがいまして、今後、先ほどのフィルムバッジの現像あるいは中性子線の評価というもので全貌が明らかになってくるのではないかというふうに考えております。(松沢委員「では、まだふえる可能性はありですね」と呼ぶ)今の場合、予断を持って申し上げられないということなんです。  それと、ちょっと先ほどの中性子線のことで一言だけですが、我々今回非常に重視いたしましたのは、やはり東京にいて地元をコントロールするのは非常に難しいということでございます。したがって、あらゆる能力を現地に集めるということをいたしました。  その一つといたしましては、もちろん、現地に運転管理専門官というのがおりまして、彼も当時あちらこちら動いているわけですね。その中で、原研の人あるいは村長さんと話をしている中で、やはり中性子線測定が必要であるという判断が出てまいりました。そちらの方は原研の防護本部の方に指示をいたしまして、そちらの方での測定が行われまして、非常に網羅的な調査になってしまいました。先ほどの早い方は一点で来たわけですが、こちらは網羅的なものになってしまいましたので、非常に遅く結果が出てきた。しかしアクションはそのときから起こっていたということでございます。  以上でございます。
  85. 松沢成文

    松沢委員 中性子線は、臨界が終わっちゃって大分時間がたつと、それを測定するのはもうほとんど難しくなってきますよね。それで、今後、転換試験棟の中を、放射線汚染がなくなって安全なレベルになれば調べられるわけですね。  そこで、この沈殿槽の中の溶液を調べていくと中性子がどれぐらいのエネルギーで放出したかというのがかなりわかるというふうにある雑誌に書いてありました。そうすると、それで周辺住民被曝量の想像が大分つくんじゃないか、こういうことなんです。  そうであれば、この数値というのをやはり情報公開して、それで地域住民皆さんにはっきりこのことは伝えて、この領域の人は被曝している可能性がありますということも伝わるし、あるいはこれ以上の方はデータの分析ではほぼ大丈夫ですということで、地域住民もそれなりの対応ができると思うのですね。  こういうことなんですけれども、この情報を今後、政府としてきちっと公開できるのでしょうか。
  86. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 近日中にそのサンプル調査沈殿槽の中のサンプル調査をします。そうしますと、どれだけそこで核分裂反応が起きたかが正確に把握できますので、空間に中性子線がどのように分布して放射していったかということについても計算できます。そういう情報はすべて公開をいたします。
  87. 松沢成文

    松沢委員 次に、安全審査の不備について伺います。  このジェー・シー・オー東海事業所がまだ日本核燃料コンバージョンという時代に、八三年十一月に、今回問題になった高濃度のウランを扱うための事業認可の変更申請をしています。これに対して、科技庁の審査後、原子力安全委員会の核燃料安全専門審査会が八四年四月に安全性確保し得るという判断をした。それで、この審査会では通常、核燃料施設全般を対象とした基本指針というのをもとに検討するらしいですけれども、そのときのような高い濃度のウランの指針がなかったために、一般のウラン加工施設の安全審査指針というのを参考にしたというふうにあります。  それで、一般のウラン加工施設の指針は、臨界は起きないという前提になっていて、万一臨界が起きた場合の対策に対しては、考慮をしないというふうに規定されている。また、基本指針の方では、臨界が発生するおそれのある施設について、万一の事故時に対する適切な対策が講じられていることというふうにはなっている。審査会は、一般のウラン施設向けの指針に引っ張られる形で、ジェー・シー・オーの申請、すなわち高い濃度のウランについても同じように、いいだろうという判断で安全審査を通したのではないか、こういう疑惑が持たれているわけですけれども、これは事実でしょうか。  科技庁と原子力委員会が、高濃度のウランに一般のウラン加工施設の指針を適用したことは、これは明らかに安全審査の失敗であって、この両者の行政責任は大変大きいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  88. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 松沢委員に少し誤解があるんではないかと思うんですけれども、核燃料施設安全審査基本指針、たしか昭和五十二年でしたか、できました。この核燃料施設安全審査基本指針、先ほど一般のとおっしゃったその指針は、いわゆる高濃度のウランも含めた形で全部カバーしております。臨界についての詳しい規定もございます。  そういう中で、いわゆる濃縮度五%以下のウラン加工施設については、臨界の可能性が非常に少ないということで、合理的な安全審査をしようということで、いわばその大きな枠組みの中で五%以下のものにだけ特別な安全審査指針、ウラン加工施設安全審査指針がございます。  今回の施設はその大きな方で、高濃縮ですから、緩い方ではなくて大枠の安全審査指針で審査をしたものでございます。行政庁の審査とそれから安全委員会審査がございました。例えば、安全委員会の指摘で、加水分解から沈殿までの一連の工程を一バッチで管理するようにというふうな指摘も受けてそれを盛り込んだところでございます。  したがいまして、安全審査、適用した基準については問題ございません。
  89. 松沢成文

    松沢委員 そうであれば、これは、万一の臨界事故に対する適切な対策が講じられていることとなっているんですね。ということは、臨界事故が起きたときに、例えば硼酸水みたいな、それを中和するものをちゃんと置いておくようにとか、あるいは、そういう作業をする工程のところには監視カメラをつけておくようにとか、こういうものがあったはずですよ。それをジェー・シー・オーは何にもやっていない。これは最初から僕はやっていないと思いますよ。  ですから、ジェー・シー・オーが安全審査に違反して、指示を受けていたのにやっていなかったのか、それとも科技庁あるいは安全委員会の方がそれを許可しちゃっている、どちらかですよね。これはジェー・シー・オーは何にも持っていませんでしたよ。硼酸水も持っていませんでした。万一のときの備えがないわけです。要するに、形状管理なんかがしっかりできていれば大丈夫だから、万一のときの備えは大丈夫でしょうということなんですね、ウラン施設に対する指針の方は。これができていないのはどっちに責任があるんでしょうか。
  90. 間宮馨

    間宮説明員 お答え申し上げます。  この審査におきましては、単一ユニット及び複数ユニットに対する単純な誤操作、例えば、一バッチと言います二・四キログラムを入れたらそれで終わりなんですが、あるときにうっかり忘れてしまった、もう一バッチ入れてしまった、倍入れてしまった、その場合でも臨界に至らないというようなものになっておりまして、それだけの裕度を見込んで管理が行われるようになっておりましたので、そういうことであれば臨界には至らないということで、臨界対応する措置は必要ないという判断が下されたものでございます。  したがいまして、今回の事故はいろいろ見方はございますが、基本的なルールというのがございます。申請者が申請して、それに対してそれでいいと。それは約束事でございます。そのルールに基づいて運転が行われていれば、若干のミスはあっても臨界には至らなかったわけでございますが、今回のように故意にルールを破るというような事態においては極めて、そこまで安全審査の前提があったかということに関しましては、現行の安全審査は必ずしもそうではなかったということでございます。
  91. 松沢成文

    松沢委員 では、責任は事業者にあった、ルール破りをやって勝手にやっていたジェー・シー・オーにある、私たちには責任はない、こういうことなんですね。わかりました。  もう一点いきます。施設検査の問題。  施設検査ウラン加工施設への調査というのは、法的な義務づけのない任意調査だということで、保安規定遵守状況調査というふうに呼ばれているらしいですけれども、こういう調査は法的義務がないけれどもできることになっているんですね。それで、科技庁が事故調査委員会に提出した資料によりますと、一九八五年から九二年までの間はほぼ年一回のペースで行われていた。ところが、一九九二年の十一月の七回目の調査以降は一度も行われていないということであります。  保安規定遵守状況調査というのは法的義務はありませんけれども、ウラン加工施設にとっては原発のような定期点検の義務がないわけで、そうであれば、国にとって、施設完成後というのは、この調査が安全を確認するための唯一のある意味では調査なんですね。それを、最初の五、六年はやっていたけれども、それ以降、七年間ですか、全くやっていない。これはどういうことなんでしょう。どういう理由で、最初はやっていたけれども、この七年間は全然やらなくなっちゃったんでしょうか。
  92. 間宮馨

    間宮説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、今回の臨界事故を起こしましたジェー・シー・オーに対しまして、平成四年度以降につきましては保安規定遵守状況調査を実施していないということは事実でございますが、その後も、原子炉等規制法に基づきまして施設検査、あるいは運転管理専門官、これは十年四月から配置されましたが、その運転管理専門官による巡視等を活用いたしまして、施設状況等の把握には努めてきたところでございます。  しかしながら、施設検査と申しますと、加工施設の設備、機器の変更に伴いまして、当該設備、機器が認可を受けた設計及び工事方法どおり製作されているかを確認するものでございまして、一方で、保安規定遵守状況調査は、原子炉等規制法に規定される調査ではなくて任意の調査であることということで、加工、再処理、核燃料物質の使用等の事業に係る設置及び変更許可、あるいは設計及び工事の方法の認可、施設検査あるいは使用前検査のように法令上必須の検査等の案件が多い場合に、なかなか種々の制約から毎年行えるということにはなっておりません。  実際、平成五年度以降に関しまして起きたことでございますが、民間事業者による濃縮、再処理等の事業の認可に伴いまして、関連の許認可及び検査に係る業務が急増いたしておりまして、法令上必須の検査であるこれらの施設に対する検査が優先されて、任意事項である保安規定遵守状況調査が実施しにくくなったという事情はございます。
  93. 松沢成文

    松沢委員 今全部説明していただきましたけれども、例えばこのほかにも、運転管理専門官が、昨年四月からこの制度ができて、月一回の巡視というのがあるんですが、これまで転換試験棟を二回巡視したけれども、運転休止中で作業ぶりを見る機会はなかった。信じられないことですけれどもね。あるいは原子炉等規制法に基づく立入検査施設検査、これも、施設検査の方は八四年、九五年、二回実施したけれども、施設の構造や設備の確認、耐震性のチェックだけで、運転状況確認していない。  科技庁は、一回安全審査を通ってそれを許可してしまうとほとんど、こういう法的権限があったり、あるいはないけれども安全確認のために必要な調査制度があるにもかかわらず、本当に検査もずさんになっているんですね。近年特にそうですね。これを指摘せざるを得ない、回数から見ても。こういうずさんな、甘いチェックが今回の事故につながったというふうにも言えると思いますが、大臣、いかがですか。
  94. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 検査調査体制につきましては今局長から御説明したとおりでありますけれども、いずれにいたしましても、大変重大な事故が発生をいたしました。今、原因究明等を行っているところでありますけれども、私どもといたしましては、この規制のあり方について謙虚に反省すべきだ、そういうふうに思っております、審査のあり方、検査のあり方。今後、原子力安全委員会における原因究明再発防止策の検討の結果も踏まえまして、二度とこのような事故がないような規制はどうあるべきか、そういうようなことにつきまして検討を進めていきたいと思っております。
  95. 松沢成文

    松沢委員 最後の質問にしますけれども、きょう、大臣や科技庁の皆さんとさまざま議論をさせていただきましたが、大臣も冒頭おっしゃっていましたように、この事故というのが日本で初めての臨界事故、それも被曝者がかなり出ている。また、三十万人近い地域住民の方が原子力臨界事故の恐怖におののいて、おびえてこの三週間過ごしているわけですね。大変な事故であります。  私は、今回の事故の原因は、一義的には確かにジェー・シー・オーという企業のずさんな作業マニュアル、運営体制、ここにあったとは思いますよ。しかし、間接的にですが、私はこちらの方が重要だと思っていますが、このジェー・シー・オーという事業所を認可したりあるいは検査をしたりする権限を持っている科学技術庁、それがうまく機能をしていなかったという行政責任は極めて大きいと思っています。そしてまた、政府対策本部長である小渕総理が現場に出向くのが事故から一週間後、こういう危機意識のなさ、政治のリーダーシップのなさ、これが、地域住民にとっては、日本原子力行政に対する不信感をますます大きくしていると思うんですね。  そういう意味では、大変重大な事故であって、私たち民主党も、今後きちっと、事件の真相究明と、特に科学技術庁あるいは政府対策本部の行政責任を問うていきたいというふうに思っています。  長官、最後に、今回の事故に対する行政責任、そして科学技術庁長官としての責任をどう感じられているか、御答弁いただきたいと思います。
  96. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員御指摘のいろいろな不備等につきましては、謙虚に受けとめまして、今後検討していきたいと思っております。  このような大きな事故が起きまして、本当に国民皆さんに御心配をおかけし、多くの方に御迷惑をおかけし、また被曝された方々もおられるわけでありますが、今は、とにかく事故の原因究明、それから今後の再発防止策全力で取り組むべき時期だ、そういうふうに思っております。すべては事故の原因究明からスタートするものと思っております。  安全規制のあり方等につきましても、これから原子力安全委員会事故調査委員会、また、この科学技術委員会等でもいろいろ御議論があろうかと思います。そういう検討の結果を踏まえまして、委員御指摘のような点につきまして今後判断してまいりたい、そういうふうに思っております。  重ねて申し上げますけれども、大変大きな事故が発生し、委員おっしゃいましたように、まず現場の作業での違法な行為が原因ではありますけれども、そのほかもろもろの点につきまして、法律的な不備がなかったか、いろいろな点を今後反省して、法律の整備等も図っていきたい、そういうふうに思っております。
  97. 松沢成文

    松沢委員 ありがとうございました。
  98. 北側一雄

    北側委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  99. 北側一雄

    北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大畠章宏君。
  100. 大畠章宏

    大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。  松沢委員に引き続いて、今回の東海村の臨界事故に関する質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、今回の事故で被害に遭われましたすべての皆さんに心からお見舞いを申し上げます。また、住民安全確保に、そして事故対策等に全力を尽くされた村上村長初め関係者皆さんにも心から感謝を申し上げたいと思います。  しかしながら、午前中の松沢委員大臣あるいは関係の方々のお話を伺っておりましたが、一部の方から政府の迅速な対応という話が出ましたけれども、私自身地元におりまして、事故が起こったのは九月三十日十時三十五分、六時間後の五時には政府現地対策本部の設置、さらには、事故発生後十時間半後の九時に官邸にて東海ウラン加工施設事故政府対策本部の会合が開かれたということで、その後、十二時間後の十時三十分ごろに屋内退避の勧告をしたということであります。私自身からすれば、地元の議員の一人でありますが、まことに遅い対応、現政府の危機管理の欠如が露呈したと受けとめざるを得ません。  今回の事故は、私も原子力に携わる仕事を長年してまいりましたが、原因を聞けば聞くほど、あるいは現象を聞けば聞くほど、まことに許しがたい事故であると指摘しなければなりません。事故に巻き込まれた三人の作業者の方々を含めて多くの被曝者方々、そして精神的にも実質的にも被害をこうむられました住民方々の立場に立って、以下質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、なぜあのような製造装置が認可されたか、これはもう午前中ちょっと質疑がありましたが、あるいは、この製造装置というものが認可されて存在していたのかということを伺いたいと思うのです。  まず最初に、この製造装置というものはだれが認可したことになっているのか。これは科学技術庁なのか原子力安全委員会なのか、それぞれの役割と責任というものについてお伺いをしたい。  それからもう一つは、私自身も考えるわけでありますが、二・四キロというものがリミットだといいながら、なぜ七倍もの量が入る構造になっていたのか。あるいは、ウランの濃縮濃度が一八・八%というウラン溶液を扱うには、臨界を想定した多重防御的な建物というものが必要ではなかったのかというような質問が私のところにも寄せられておりますが、これらに対して、科学技術庁長官の現在考えているところといいますか、この質問に対する答弁を求めたいと思います。
  101. 間宮馨

    間宮説明員 お答え申し上げます。  まず、今回の場合は、許可という行為でございますが、許可をしたのは科学技術庁でございます。  それと、なぜ七倍もの多量な液が入る構造となっていたのかということでございますが、一般に、貯槽が同一体積でありましても、内径が大きく沈殿面積が広い貯槽ほどその沈殿効率が高いということから、事業所としては形状管理とせずに質量管理を選択したものと承知しております。  この形状管理がなされていない沈殿槽につきましては、その質量管理が、溶解塔から沈殿槽までの一連の工程に一バッチ、つまり一回当たりの処理されるウランの取り扱い単位でございますが、これが二・四キログラムウランでございます。濃縮度一八・八%の場合でございますが、二・四キログラムしか入れないということ、これが許可の条件でございます。それと、沈殿槽に入れる前に二度計量すること、これも許可の条件でございます。こういう形で行われるということから、臨界となるおそれがないと認めて、臨界事故に対する考慮は要しないと判断して許可したものでございます。
  102. 大畠章宏

    大畠委員 私も法律的なものを、余り詳しくありませんが調べてまいりました。昭和六十二年の、加工施設の設計及び工事の方法の技術基準に関する総理府令というのがあるのですね。ここでは、先ほど午前中、松沢委員からも指摘がありましたけれども、「臨界質量以上のウラン」、これは「ウラン235の量のウランの総量に対する比率が百分の五を超えるものに限る」ということですから、いわゆる五%以上のものになりますが、「又はプルトニウムを取り扱う加工施設は、臨界警報設備の設置その他の臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられているものでなければならない。」という規定がございます。  これからしますと、一八・八%というものは、まさにこの総理府令に当てはめますと、臨界事故を想定した適切な措置が講じられなければならないということになるわけでありますが、このことについては、間宮さんがいいのか原子力安全委員会かわかりませんが、どういう形でこの装置というものを認可したのか、もう一度答弁していただきたい。
  103. 間宮馨

    間宮説明員 お答えいたします。  今の御質問は、いわば許可の次の段階に来る設計及び工事の認可に関するところでございまして、ここは確かに今おっしゃったようなことがございまして、今回の場合は、いわゆる警報装置、つまりガンマ線でございますが、それは設けられていたということでございます。
  104. 大畠章宏

    大畠委員 しかし、警報装置だけじゃないんですよ。「臨界警報設備の設置その他の臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられているものでなければならない。」と書いてあるわけですよ。これについては完全に違反しているのじゃないですか。一八・八%の濃縮度のものを使うというのは、総理府令第十号というものを適用しなきゃならないのじゃないですか。しかし、それも見落としていたということなんですか。私はそっちの方の話をしたいと思うのです。だれが認可したのか。
  105. 間宮馨

    間宮説明員 許可も科学技術庁でございますが、いわゆる設計、工事の認可も科学技術庁でございます。  今おっしゃいましたように、臨界事故の発生を想定した適切な措置というものに関しましては、警報装置というのが該当するというのが我々の考え方でございます。
  106. 大畠章宏

    大畠委員 これは押し問答になってしまうかもしれませんけれども、「臨界警報設備の設置その他の臨界事故の発生を想定した適切な措置」ですよ。「その他の臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられているものでなければならない。」と書いてあるじゃないですか。警報装置がついていればいいという話じゃないのですよ。警報装置その他の臨界事故の発生を想定したと。まさに一八・八%の濃縮度のものを扱うのであれば、私はこれは明らかに臨界事故を想定した措置が講じられなければならないとしか見えないのですが。
  107. 間宮馨

    間宮説明員 先ほど申し上げましたが、設計、工事の認可といいますのは許可の下の段階でございまして、まず設計の基本的な考え方というところで審査を受けて許可が出るわけでございますけれども、今回の場合につきましては、先ほど申し上げましたが、いわゆる多重防護と申しましょうか、例えば計量を二回行うとか、あるいは一部形状管理を入れた管理をするとか、あるいは、単純なミスで、一回入れたのを忘れてもう一回入れて二倍入れたとか、そういう形でも臨界に至らないという設計の考え方になっておりまして、それを前提にして、あと、要求される措置ということで先ほど申し上げたようなことになっているわけでございます。
  108. 大畠章宏

    大畠委員 単純なミスとかなんかじゃなくて、この総理府令によれば、いわゆる五%以上のウランを扱う加工施設については、臨界の警報装置その他臨界事故の発生を想定した適切な措置ですよ。だから、単純なミス等は防げるけれども今回のミスは防げなかったなんというのはこの法令でどこに書いてあるんですか。  単純なミス等について、そういうふうな想定じゃなくて、五%以上の濃縮度のものを扱う加工施設臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられているということが書いてあるじゃないですか。このいわゆる総理府令第十号には完全に違反している施設と思わざるを得ませんよ。これを認可したというのはだれが認可したのか、ちょっと答えてもらいたいのです。
  109. 間宮馨

    間宮説明員 繰り返しになって恐縮でございますが、そもそもの設計の基本的な考え方のところで、臨界に至らないという考え方が認められておりまして、それを前提に設計されていたということでございますので、先ほどの警報装置で十分であったということで認可されたわけでございます。
  110. 大畠章宏

    大畠委員 これは全然、まあ、こんにゃく問答みたいな話ですからやめますが、しかし、総理府令第十号というのはどういう意味を持つのか、委員長もちょっとこれはよく調べてくださいよ。  それで、ここには、今の局長のような話じゃなくて、明確に、臨界質量以上のウラン、五%以上ですね、またはプルトニウムを扱う加工施設は、臨界警報設備の設置その他の臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられていなければならないという話であって、装置自体に臨界事故を防ぐものがあればいいという話は全然書いていませんよ。  要するに、五%以下だったら、それはそんな話があるかもしれない。五%以上の場合には臨界事故を想定した措置が講じられることと書いてあるわけですよ。  ですから、これからすれば、認可を与えた原子力安全局長といいますか、これは科学技術庁責任じゃないですか。それをまず指摘して、委員長、これはぜひ理事会等でももうちょっと詳しく調べていただけますか。
  111. 北側一雄

    北側委員長 理事会で協議します。
  112. 大畠章宏

    大畠委員 それでは、次に、そういうことで原子力安全規制組織について、ちょっと私は質問をさせていただきたいと思います。  私も今茨城県の日立市に住んでおりますが、日本では五十一基の原子力発電所が今稼働中でありますし、先ほどお話もありましたように、COP3など、地球環境保全のための国際公約を守るためには、あと二十基程度の増設計画が進行中であります。さらに今回の、私たちが余り想定していなかったところでありますけれども、ウランの燃料関連施設の重大事故が発生したということを考えますと、現在の原子力安全委員会を中心とした規制組織では不十分であった、そういうことが、地元の方からも強く声が出ているわけなんです。今回の事故から私も、そういう声を聞いているわけですが、不十分と判断せざるを得ない状況だと思っています。  そこで、アメリカのNRC並みの厳格な査察権などを持つ、いわゆる権限を持つ独立機関を新たに設置するということが、例えば東海村でいいますと、十四の原子力関連施設を持つわけですが、村民が安心して暮らせるというための絶対条件に近いのじゃないかと私は思うのです。  先ほど大臣の方から、審査のあり方等を謙虚に反省して検討していきたいという午前中の答弁がありましたね。審査のあり方を謙虚に反省し検討していきたいというのは具体的にはどういう意味を持つのか、大臣から答えてください。
  113. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 我が国原子力安全規制体系は、まず第一に事業者が安全確保責任を持つことは当然であります。これを行政庁、すなわち科学技術庁や通産省が原子炉等規制法等の法令に基づき監督をして、さらに行政庁とは独自の立場から原子力安全委員会安全規制政策を立案するとともに、行政庁の安全審査をダブルチェックする仕組みになっております。  今委員御指摘のアメリカのNRCのような組織をつくったらどうかという御意見でございますが、このような、今申し上げましたような規制体制の充実強化を図りながら、原子力施設安全性確保に万全を期すよう最善の努力をしていきたい、そういうふうに思っております。  なお、原子力安全委員会は、二〇〇一年一月の中央省庁再編後、内閣府に移管をされまして、その機能を継続することとされております。今後とも審議会としての活動の柔軟性を生かしつつ、原子力安全の確保という課題により主導的な役割を果たし、国民の安心感の醸成に寄与し得るよう、活動の一層の充実を期待いたしております。その際、原子力安全委員会には特に独立した事務局が置かれることとなりますので、現在以上に客観的な立場から充実した活動ができるもの、そういうふうに思っております。
  114. 大畠章宏

    大畠委員 大臣大臣から答弁をいただきましたけれども、きょうはエネ庁長官もお見えになっていますが、この事故原子力政策に大きな影響を与えるというのは、午前中も話がありましたね。私自身原子力技術者の一人として非常にショックを受けているんですよ。  ですから、大臣、今のような話の、要するに、文章はどなたが書いたかわかりませんが、そんな理念ではだめなんですよ。そういう、より厳しくしていきますというような話ではだめなんですね。これは、過去に「もんじゅ」の事故それからいろいろ爆発事故等もありまして、連続していまして、国民の間にも非常に不安が広がっています。確かに、この事故原子力発電所の事故ではないんです。燃料の加工施設事故なんですが、そんなことは受け取る側はなかなかわからないんですね。  この事故は、科学技術庁長官の所掌ですから、科学技術庁責任として答弁されたと思いますが、今のような御認識では納得できませんよ。
  115. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 安全審査のやり方、検査体制等につきましては、午前中も各委員から御指摘がございました。  私どもも、現在の状態が必ずしも一〇〇%満足できるものでない、そういうふうに私は思っておりまして、委員先生方の御指摘を踏まえながら、今後、どうしたら万全の審査体制、検査体制ができるか検討していきたい、そういうふうに思っておるところでございます。
  116. 大畠章宏

    大畠委員 午前中の大臣答弁の中に、安全教育あるいは指導は十分だったか検証したいというお話がありましたね。要するに、今回の事故は全くそれが不十分だったということが事実としてあらわれたわけですよ。ですから、これから検証するんじゃなくて、この問題、事実をぜひ克明に、だれがどういう動きをしてどうなったのか全部克明に洗って、どうあるべきなのか、どうすべきなのかというのを今の答弁にとらわれずにやってもらわないと、日本エネルギー政策がおかしくなると思いますよ、私は。  これは、エネ庁長官も見えていますが、通産省の所掌にもなってくるし、科学技術庁と通産省という責任の間なんか取っちゃって、通産省と科技庁で総力を挙げて、あるいは、小渕さんが本部長でありますが、小渕さんが先頭になってやってもらわないと、日本エネルギー政策がおかしくなっちゃうわけですよ。ですから、今大臣からお話がありましたが、そのような認識ではなかなか乗り越え得ない事態であるということをぜひ大臣も御認識を新たにしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それから次に、住民方々の健康対策を、幾つか私も話を受けているので、その話に移ります。  まず一つは、事故による重度の被曝をされた従業員の治療に最善の努力を尽くすとともに、家族に対する十分な支援措置を行ってもらいたい。これは、私の知り合いの方、知人の方が今被曝をされて治療を受けているんですが、その家族の方も大変な精神的な苦痛を受けています。そういうことも含めて、政府としても全力を挙げていただきたいということが一つ。二つ目には、その他の被曝者の健康や健康不安に対する適切な措置を行うこと。それから三つ目には、周辺住民方々に対して、相談窓口を設置するなど、精神的な面も含めて十分な事後対処措置を行うこと。それから、なぜ茨城県内に放射線治療の医療機関がなかったのか。  午前中もちょっとそういうふうな話がありましたが、もろもろ、健康相談といいますか住民相談といいますか、どうも科技庁はこの相談業務に対して不熱心だったということが地元から聞こえてきているんです。余りそういうのをやったらなかなか収拾がつかなくなるというので。私は、そんな話をしている場合じゃないと思いますよ。私は、科学技術庁にもしもそういうふうな思惑があるのであれば正してもらいたい。そして、一日も早く安心して暮らせるような体制をつくるためにあらゆる努力をしてもらいたいというのが私の希望です。大臣
  117. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 ジェー・シー・オーの核燃料加工施設臨界事故における重度の被曝者である三名の作業員の方につきましては、事故当日に放射線医学総合研究所に搬送され、感染症対策、白血球増加薬剤の投与等の治療を行ったところでございます。  このうち、最も症状の重い三十五歳の男性につきましては、放射線の照射によるリンパ球数の激減など造血機能の障害が見られるため、十月二日、東京大学附属病院に移送し、二回にわたる末梢血幹細胞移植が行われたところでございます。その結果、三十五歳男性につきましては、十月十七日には、移植した血液幹細胞の生着が確認され、白血球数が急激に増加したと聞いております。  また、三十九歳の男性につきましても、同様に造血機能の障害が見られたため、十月四日、東京大学医科学研究所附属病院に移送し、十月九日に臍帯血移植が行われましたが、この男性につきましては、今のところ目に見える変化はあらわれていないと聞いております。  なお、私自身も、十月十二日に、東京大学附属病院、また医科学研究所、両方を訪問いたしまして、このお二人をお見舞いいたしました。御家族の方ともいろいろお話をさせていただき、先生方にも万全の治療をやっていただくようにお願いをしたところでございまして、一日も早い回復を祈っておるところでございます。  また、残る五十四歳の男性の方につきましては、現在は全体として容体は安定しているとのことでございます。  いずれの患者さんにつきましても予断を許さない状態が続いておりまして、今後の治療の行方を見守ってまいりたい、そういうふうに思っておりますし、またさらに、御家族の方々に対する十分な支援も行わなければいけない、そういうふうに思っております。  それから、周辺の住民皆様方の健康管理あるいは健康不安に対しての措置とのことでございますが、近隣の住民方々につきましては、まず事故直後に、日本原子力研究所や核燃料サイクル開発機構等の専門家の協力を得まして、サーベイメーター及びホールボディーカウンターによる放射線測定を行ったところでございます。  さらに、事故後、十月二日から四日にかけまして、茨城県が、事故施設周辺の方々の健康を確認する観点から、ジェー・シー・オーからおおむね五百メーター以内にお住まいの方または勤務している方で御希望のあった方に対しまして、厚生省の支援を受けて血液検査等を中心とする健康調査を実施いたしました。  本調査は、茨城県の設置いたしました調査結果検討委員会において、検査実施者数千八百三十八名のうち尿検査のみの実施者等を除く千八百十四名について、放射線影響を最も受けやすいと考えられる血液中のリンパ球数をもとに判定が行われました。その結果、リンパ球数が極めて少なく、直接の放射線障害が疑われる方はいない、それから、リンパ球数が少なく、念のため再検査を行い経過観察を必要とする方が八名、再検査の必要な八名につきましては、血液疾患の既往がある方もおられまして、事故発生時の場所につきましても施設の近傍に偏っているものではない、そういうような判断が示されております。  今後、再検査が必要な方につきましては、全員を指定した医療機関で再検査いたしまして、慎重に対応することといたしております。また、このような検査結果につきましては、十月十六日及び十七日に専門家による住民方々に対する説明会が開催されたところでありまして、検査に当たられました医師によりますと、今回の事故により放射線影響を受けた方がいるとは考えにくいとの説明でございます。  今後とも、茨城県、それから東海村とよく連携協力をいたしまして、周辺の住民方々の健康の不安に対して適切にこたえていけるよう努力をしてまいりたいと思っております。
  118. 大畠章宏

    大畠委員 午前中の松沢委員との話の中で、ジェー・シー・オーと科技庁との関係が出てきて、科技庁としては適切な措置をした、したがって、ジェー・シー・オーの方が基準、規則を守らなかったんだから私たちの責任はないという趣旨の話がありましたけれども、私はそれは大間違いだと思うんですよ。そういう認識だからこういう事故が起きたんですよ。  私は、ここで申し上げたいのは、では、監督官庁って何なんですか。監督官庁というのは、単なるルールをつくって、このとおりにやりなさいよと言って、そのルールが守られるか守られないかというのはその企業の中の責任という形なんですか。それは、通常のものだったらそんなこともあるいは許されるかもしれません。でも原子力は違うんですよ。監督官庁がしっかりと、このルールどおりに守られているか守られていないか査察するというか調査するというか、やるのが、それが監督官庁責任じゃないですか。それを、ジェー・シー・オーが勝手にルール違反したからそっちの責任ですなんて言って、科技庁の責任がないなんというのはおかしな話ですよ、それは。何が原子力安全局長ですか。そういう答弁をしているからこういう事故が起こるんですよ。  私は申し上げたいんですが、今回の事故、いろいろ事実関係をずっと調べましたけれども、最初のころ、四十年ぐらい前から原子力発電所建設が始まりました。多分その当時は、今日の五十一基の原子力発電所を想定したような管理体制というのは考えてなかったかもしれない。徐々にふえてきて、こういうことをやらなきゃいかぬというので、安全対策という意味では、組織上ちょっと後追いになっているんじゃないかと私は思うんです。そして、これから環境問題からいって二十基を増設しなければならないということであれば、今のままでいいわけがないんですよ、今でも不十分なんですから。  したがって、私は先ほども大臣にNRCのお話を申し上げましたけれども、少なくとも、原子力発電所がたくさんある茨城県とかあるいは敦賀とか、そういうところには原子力防災センターをやはりつくるべきじゃないかという声があるんですね。  ちょっと申し上げますと、原子力防災センターの主な機能としては、科学技術庁などの安全責任の出先機関的に、常にそういう連絡がとれるような機関をつくっておくこと。あるいは、放射線あるいは放射能に関する情報一元化システムと広報システムの整備。あるいは、放射線治療のできる医療機関の設置。原子力に関する教育機関、あるいはまた原子力防災に関する情報受発信システムを備えること。あるいは、現地のそういう関連施設を査察をして指導する。科技庁といいますか、こういう基準どおりに操業が行われているかどうか、これは事前にいついつ行きますよなんというんじゃなくて、これはもう事前にそういう告知をしないで立ち入りをしないと全然意味がありませんから。私は、そういう厳しい措置をやらない限り、先ほどからいろいろお話がありましたように、これ以上原子力の政策というのは進めるのは大変難しくなると思うんですよ。  したがって、大臣、私は先ほどから申し上げてまいりましたけれども、査察といいますか、検査体制といいますか、そんなものを本当に、例えば今五十一基ですが、七十基なら七十基体制にどうしたらいいか。スタートの時点から徐々に徐々にふやしてきた安全対策ではなくて、本当に日本の将来の原子力政策を考えた場合には、こういう安全体制といいますか、組織というものは必要なんだというものを青写真をかいて、徐々に増築しながらのものじゃなくて、青写真をかいた機構をつくるべきだと思うんですが、大臣どうでしょうか。
  119. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 安全体制それから検査体制等につきまして、現在の状態が必ずしも万全のものとは私も思っておりません。委員方々からもいろいろ御指摘をいただきました。  大畠委員のおっしゃいますように、これからも原子力の必要性というものは国民皆さんに理解をしていただき、重要なエネルギー源としてこれをさらに発展させていかなければならないわけでありまして、そのためには、安全第一という考えのもとに、安全体制を万全のものにしていくよう努力をしていきたいと思っております。
  120. 大畠章宏

    大畠委員 この際私は申し上げておきたいんですが、これは、科技庁とか通産省とかの垣根を全部取っ払って、きょうは原子力安全委員会委員長もおいででございますけれども、率直に、みんなでどうしたらいいかということを、建前はやめて本音で本当に話してもらいたいと思うんですよ。そして、こういう万全な体制で、二度とこんな事故が起こらないような査察機関とか、アメリカが一番厳しいんでしょうから、そういうのをぜひ見習って、日本らしい——ステンレスのバケツなんかで事故を起こしたなんというのは世界じゅうに飛び回って、技術立国日本のイメージも非常にダウンしていますよ。だから、そういうことが二度と起こらないような、そういう組織づくりを、これは科技庁長官なのか大臣なのかわかりませんが、大臣、閣議なんかでも積極的に発言して、大臣責任でこういうふうな新機構をつくるということをちょっと明言してくれませんか。
  121. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今後の体制につきましては、委員御案内のとおり、通産省と科学技術庁が中心になりまして、国土庁や消防庁や文部省の参加もいただきまして、今後の原子力防災体制それから安全体制等について今検討を行っているところでございます。  それらの検討を行う過程におきまして、今回の事故の反省から、改正すべき点を取り入れて、委員から先ほど御指摘が再三ありますように、今後さらに発展させなければならない原子力のためにも、十分な、万全な法律の整備をやっていきたい、そういうふうに思っております。  また、そのような、御指摘のような組織等につきましては、今御提言ありましたけれども、検討させていただきたい、そういうふうに思っております。
  122. 大畠章宏

    大畠委員 こういう時期に大臣になられたのは御自分でも大変だなと思っていらっしゃるかもしれませんが、やはりこういう事故を契機に万全な体制をとるというのが、無難に大臣をやるのではなくて、こういう問題こそ積極的に取り組んで、それを乗り越えていただく。そのために、若いし、体力もあるし、そういう中曽根大臣になったと思いますので、ぜひそれは、政治家としての命をかけても、それを乗り越えるように努力をしていただきたいことを申し上げたいと思います。  それから、ちょっと地元の話に戻りますが、地元の話、二つほどさせていただきたいと思うのですが、一つは、今回の事故について、科技庁とか、あるいは県とか村も、一生懸命住民に対する正確な情報を出そうと努力したのですが、なかなか現実問題うまくいきませんでした、正直言って。  一番力を発揮したのは、どうやらNHKの報道なんですね。あの解説委員の方、何とおっしゃるか忘れましたが、若い方が一生懸命、多分徹夜で情報分析して、住民の方にわかりやすいような表現でというので、図をかいたりなんかして努力されていました。あのテレビの効用というのは非常に大きいです。住民方々からも、非常にわかりやすかったという話が来ていました。とはいいながら、NHKですから、全部それを四六時中やっているわけにいきませんから、通常の番組も入りました。  途中途中、スポットで事故情報が流れたのですが、残念ながら茨城県にはいわゆる県域テレビというのがないのです。関東地区では唯一なんですが、財政的に厳しいということで、あるいは東京地区から電波が入るからといって、茨城テレビというのは設置していないのですが、私は、今回の事故を契機に、原子力立地県にはすべて、こういう緊急時、非常時のためのテレビ局といいますか、ほとんどほかにはついているかもしれませんけれども、茨城県にも、原子力立地県ならばきちっと県域テレビ局を設置するということを義務づけるべきだと私は思うのですが、これは大臣、どうですか。
  123. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 緊急時における周辺住民に対する情報提供につきましては、原子力安全委員会の防災指針におきましても、その重要性について指摘がなされております。特に緊急時においては、テレビ、ラジオなどのニュースメディアに対して協力を求めることが重要とされております。  また、茨城県の地域防災計画においても、緊急時の広報について、事故状況、県の対応状況など、多くの情報を提供する場合や住民に一般的な注意を促す場合にはテレビ、ラジオを主体とする旨、明記されております。  周辺住民方々への具体的な広報の方法については、地域の実情を踏まえて、自治体において最もふさわしい方法が検討されるべきと考えます。  科学技術庁といたしましても、自治体で行う広報について、緊急時安全対策交付金を活用して、必要に応じて支援していきたい、このように考えております。
  124. 大畠章宏

    大畠委員 政務次官の答弁も、ちょっとまた紋切り型ですね。ひとつ——なかなかいい答弁という話もありますが、斉藤さん、やはりあれですよ、もうちょっと地域の声を。斉藤さんらしい、政治家らしい姿勢を示して、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  もう一つ地元の話をしますが、実は私のところに、東海村の食堂の経営者の方、あるいはブドウをつくっている農園の方から話を伺いました。先ほどもその農園の方とじかに電話でも、今からこういうことを話しますがという意見交換をしたんですが、風評被害が非常にやはり大変なんですね。  地元の人の要求を申し上げますと、例えば、東海村の小さな食堂を経営されている方ですが、お客さんが半減してしまった、商売が成り立たない、何とか早く損害賠償金というものを支給してもらわないとお店がもうだめになっちゃうという話が一つ。  それから、農産物の問題ですね。東海村でブドウ園を営む方から、これは朝日新聞にも載りましたけれども、そういうところで実名を出すと自分のところの農園のものが不安全になるんじゃないかということで敬遠される方もいたけれども、私はそうじゃない、事実をきちっと、自分の考えを述べようというので、マスコミにも取材に応じましたと。しかし、現実問題、やはり東海村のブドウは大丈夫なのかということでお客さんが非常に減っている。一時はブドウつくりから撤退しようかと思ったけれども、長崎県の方から、私たちの県でも農業をやっています、大丈夫ですということで、わざわざ、ブドウを送ってくださいという購買の申し込みをいただいたり、いろいろ励ましの言葉もいただいているので、この東海村で農業をやっていきたいということなんです。五十歳の方ですけれども。  それで一つお願いがあるんですがということですが、農家にとって一番重要なのは土です、土壌の中の微生物なんですと。それが健全であるということを証明してほしいということを一生懸命やっているんですが、いや、それは個人の問題ですから個人でやってくださいというような形で、非常に困っているというんですよ。こういう問題を、先ほど松沢さんから話がありましたけれども、安全宣言もいいんですが、安全をどうやって信じられるかといったら、データを見るか、自分が信頼している人が大丈夫ですよと言うか、二つなんですね。私は、そのうちのデータをきちっと提示することが一番重要だと思うんです。  そこで、このような二つの事例でありますが、一つは、賠償金というのはどういう形で支払われるようになるのか。早く欲しい、お客さんが減ってきて、いわゆる毎日入るお金がだんだん少なくなっているという話に、どう賠償金を払うような体制をとっているのかというのが一つ。  それから、きょうは農水省もどなたか来ていましたですね。こういう問題について、科技庁と農水省で連携をとってやらないと、科技庁がどんなに安全宣言を出しても、農家の方は心配なんですよ。それから、農家の方は信じても、消費者の方が心配をしているわけですよ。そういう具体的なデータを示してほしいというものにはきちっとこたえていただきたいと私は思うんですが、これは大臣、小さな問題かもしれませんが、重要なんですね。この賠償金の問題はどうなっているのか、それから、農家の方からのそういう要請に対してはどこの責任対応をするというのか、その二つを教えてください。
  125. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 農家の皆さん方、また地元の商工会等の皆さんが、今回の事故によりまして大変な御迷惑をこうむり、また被害をこうむっているということはよく承知をしておりまして、大変にそういう意味で、私どもも、私も科技庁の責任者としてある意味での責任を感じておるところでございます。  放射能汚染等の被害が原子力事故により発生した場合に備えまして、原子力損害賠償制度整備されているわけであります。この制度では、被害者保護等の観点から、原子力事業者の過失の有無にかかわらず、事業者が原子力損害の賠償責任を負うことになっております。そのため、原子力事業者は、当座の賠償資金確保のために民間保険契約等を締結することが義務づけられておりまして、ジェー・シー・オーにつきましても十億円の保険契約等が締結をされておるところでございます。  今回の事故につきまして被害者から損害賠償請求が出され、法律に沿って原子力損害が確定された場合は、ジェー・シー・オーは基本的にすべての損害について賠償しなければならないことになっております。したがいまして、仮に損害額が十億円を超える場合は、ジェー・シー・オーは追加賠償資金を確保する必要があるわけであります。  なお、ジェー・シー・オーの支払い能力に限界がある等……(大畠委員「ちょっと待ってください、大臣。先ほど、午前中それは聞きました。いつぐらいに賠償金が支払われるのか、そういう時期を明確にしてください」と呼ぶ)  現在、地元方々からジェー・シー・オーに対して、そのような相談といいますか、お申し出が行われている、そういうふうに聞いておりまして、これらがまとまりましてから、ジェー・シー・オーが民間保険契約を締結している保険会社と交渉をすることになろうかと思います。時期的なものにつきましては、私は現在のところ承知しておりません。速やかにやるべきことと思っております。
  126. 大畠章宏

    大畠委員 今大臣から話を聞いて、やはり午前中のあれと同じなんですが、これはジェー・シー・オー責任かもしれません、しかし、ジェー・シー・オー一社では負い切れない被害が広がっているんですよ。したがって、科技庁がこういう住民の被害の調査をし、それをどうまとめるか。もちろんジェー・シー・オーと一緒にやらなければなりませんが、ジェー・シー・オー一社に全部今被害が集まっています、それを保険でやります、いつやるかわかりませんが私どもは見守りますなんて、そんな悠長な話では、科技庁というのは監督官庁として何をやっているんですか。そのことを聞いているんですよ、大臣
  127. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 ジェー・シー・オーも今回の事故責任を、当然のことでありますが、痛感をし、そして損害の賠償につきまして地元皆さん方からの申し出を今受け付けておると聞いております。  この状況につきましては、私も現場で見たわけではありませんけれども、ジェー・シー・オー対応は、住民皆さんの本当にお困りになっている状況を真摯に受けとめて聞いていただいていると思いますし、そういう状況でありますので、私どもが出かけていきまして一緒に、被害といいますか損害の状況を聴取するというような今予定はございません。聞きましたところ、住民皆さん方からのお申し出がほぼまとまりつつある段階だと伺っておりますので、見守っているところであります。決して、ジェー・シー・オーにすべて押しつけるとかそういうことではなくて、今きちっとやっていただいている、そういうふうに認識しているところでございます。
  128. 大畠章宏

    大畠委員 一言。  大臣、今話はわかりましたが、ジェー・シー・オーも、それは事故を起こした責任会社ですから、これはやらなければなりません。しかし、今回の事故ジェー・シー・オーの会社がはるかに負えないぐらいの広い範囲に広がっているんですよ。したがって、行政が、科技庁が監督官庁としてやはりそういう被害調査とか何かについてもジェー・シー・オーと一緒にやるという姿勢がなければ、とてもじゃないけれども住民の人は納得できませんよ。何のための科技庁やっているんだという話ですよ。だから、今のような話ではなくて、科技庁もジェー・シー・オーの会社と一緒に住民の被害の調査とかそういう話を聞きながら対応措置をやっていきますという答弁をしてくださいよ。
  129. 興直孝

    ○興説明員 お答え申し上げます。  ただいま大臣がお答え申し上げました上に、東海役場におきまして科学技術庁の事務所を開設してございます。こちらの事務所におきまして東海村並びに関係する地域方々からのいろいろな苦情を承っているところでございます。  また、ジェー・シー・オーの事務所の方には既に二千余りのいろいろな、苦情と申しましょうか、意見が出てきてございまして、近く、そういう単なる窓口から今後は賠償の関係の窓口に切りかえて、所要の対応がとられることになってございます。  また、先ほどの審査会との関係でございますけれども、科学技術庁は近く日本原子力産業会議の中にこのための調査研究会を発足させまして、関係する法律関係者並びに各省の方々、そのほか有識者にお入りいただきまして、今回この問題の具体的な対応をどうとったらいいかというふうな形で、この保険関係の、保険の問題は原子力保険プールというところが全体受けるわけでございますが、そこに対します技術的なアドバイスを実質的に行っていきたい、このように考えている次第でございます。
  130. 大畠章宏

    大畠委員 もう時間ですからこれでおしまいにしますが、今非常に明確に、丁寧に答えていただきました。そこをぜひやってください。よろしくお願いしたいと思います。  あと、事故時における指揮権の問題等々について、事故直後が一番重要で、国とか県の対策本部が立ち上がる前の事故直後の対策をどうするかという指揮権問題について質問をしようと思いましたが、時間でございますので、以上で終わります。
  131. 北側一雄

    北側委員長 吉田治君。
  132. 吉田治

    ○吉田(治)委員 民主党の吉田治でございます。  午前中から質疑がずっと続いておりまして、それをお聞きしておりまして、私、予定しておりました質問を一部変えさせていただいて、御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、やはり初期の問題。今、同僚議員の大畠議員も初期出動の問題について触れられましたし、また午前中の答弁の中で、原子力安全局長の方から、とにかく初期が大事で、そこへ、現場でというお話をなさいました。  まさにそういうことですけれども、私は、それ以前に、まず科技庁というふうなもののあり方、考え方、そして、それが原子力に対する認識というふうなものでどうあるのかということをお話を申し上げ、長官になられて十日ばかりですけれども、認識をしていただきたいなと思うのは、実は、監督官庁であるという中において、核燃料サイクル機構の方に運転管理専門官が二名科学技術庁より派遣をされている。どういう資格要件なのかは私は存じません。東海村の旧村役場に常駐をしている。  今回の事故においては、村長さんに対してこの専門官がさまざまなアドバイスをした。村長にとって、東京に電話をしてもだれも答えてくれない、明確な答えができない中で避難の命令を下した、その大きな役割を果たしたのがこの専門官だというふうに聞いておりますが、私は、そこは大事ですし、午前中大臣がお話しなさいましたこれからの災害対策という中で、運転管理専門官の持つ意義は非常に大きい。しかしながら、では、この事故を未然に防ぐということ、起こらないためにこの専門官は何をしてきたのか。  私が現地のさまざまな方からお話を聞きますと、大体一週間の専門官のお仕事、五日間のうちまず一日目は、加工施設、原燃工、ニユクリア、三菱その他の施設に行く、あと四日間、サイクル機構にいて、電話をして、これから検査に行くと、抜き打ち検査のごとくにやってくる。何をするのか。机をさわって、ほこりが多いと、まさに小じゅうとのようなことをしているというのが、私が現場から聞いている管理専門官の話。  昨年の八月から専門官がここへいるのであれば、先ほど午前中の答弁にもありました、運転しているところは見に行っていない、設備だけ見に行った、何でそんな、大阪弁でいうずぼらなことを専門官が行ったのか。現地の方がこう言われております。専門官さん、加工施設に行くときには事前に電話をして行って、まあお茶でも飲みに行っていたのと違うか、そういうふうに言われている。それが科学技術庁における原子力政策に対する最前線の取り組みではないかというふうな意見があるということ。これは、私は、ぜひとも科技庁全体として認識をしてもらいたい。  それは違うと言うかもしれない。違うと言っても、現実、現場でこういう話がある。これは、受け取った人がそう見るということはぜひとも御理解をしていただきたい。  そして二点目。  安全委員長おいでになっておられます。このことはぜひともお聞きをしたい。  これはテレビ報道でしか見ておりませんが、安全委員長代理、このお方が、臨界はまだ続いているというお話を安全委員会の中でした中で、いややはり、先ほどの答弁でいいますと、即発臨界で終わったよというふうな方向に安全委員会はなった。これは事実でしょうか。それとも、安全委員長代理は、テレビの画面に向かって、私は言ったと言いましたけれども、そういう発言はあったのか、なかったのか。また、それに対応して、安全委員会はその時点でどういう対応をしたのか、お答えをいただきたいと思います。
  133. 佐藤一男

    佐藤(一)説明員 お答え申し上げます。  まず、ちょうど委員のところにはお昼前後であったかと思いますが、事故の第一報というものが届いたわけであります。中身は、被曝三名病院に運んだ、臨界事故の疑いがあるという注記がございました。ただ、ああいう施設従事者に非常な被曝が生ずるようなものとしては、我々の考えでは臨界事故以外に考えようがないのであります。したがいまして、その後、二時から委員会科学技術庁から緊急の御報告があったわけでありますが、そのときにも、臨界事故というのは、もうそれに違いないという前提で議論が進められました。  続きまして、一口に臨界事故と申しましても、これは午前中に政務次官の方からも御説明がございましたけれども、さまざまな様相をその後呈するわけであります、そのときの状況によりまして。比較的数が多いのは、最初一発、何といいますか、インパルス……(吉田(治)委員「いや、それはわかりますから、あったのかなかったのか、事実を答えてください」と呼ぶ)それは、今申し上げましたようなことを踏まえて、恐らく再臨界、なっていないのかもしれぬというような議論もありました。しかしながら、三時ごろになりますと、ガンマ線の線量率のデータしかないのですが、それがなかなか減衰しないということから、その時点では、確証はもちろんないのですが、再臨界の懸念が極めて強いということでその後の対応をいたしました。
  134. 吉田治

    ○吉田(治)委員 安全委員長、お話を聞いていたら、安全委員会やっても何も決めてないということじゃないですか、それだったら。  私は、あなたが何ぼ給料もらっているか、そういう失礼な話は聞きたくない。しかしながら、今のお話を聞いていたら、安全委員長の代理がテレビに向かって、再臨界があるとおれは言ったと。安全委員会で言ったについても、今の時間の話では、十二時、そんな話を聞いた、十四時、十五時にひょっとしたら再臨界かもしれへんと。それなら、どこの時点でこの委員長代理は再臨界があったかもしれない、あったというふうに言ったんですか。
  135. 佐藤一男

    佐藤(一)説明員 私、そのテレビの番組は残念ながら見ておりませんが、再臨界の可能性というのは当初から考えておりました。
  136. 吉田治

    ○吉田(治)委員 だれが考えていたんですか。
  137. 佐藤一男

    佐藤(一)説明員 安全委員全員とお考えいただいて結構でございます。
  138. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それでしたら、私は、テレビ報道がすべて正しいどうこうは別にして、ぜひとも次回の委員会で、委員長代理もお呼びをして、この場で委員長委員長代理でちゃんと、そのときの安全委員会というふうなものが、何が行われ、どういうふうな話があったかということをしっかりとここで、この場でお話をしていただかないと、この件については一切わからない。委員長、これについて御計らいのほどお願い申し上げます。
  139. 北側一雄

    北側委員長 理事会で協議します。
  140. 吉田治

    ○吉田(治)委員 その中におきまして、今後の取り組みについて私はお聞きをしたい。  今同僚の大畠議員も言われました。いろいろ話をしている中で、やはり初期、初動というふうなものが今回の事故においての一番大きな教訓であった。そういう中において、科技庁、通産省においては対策室を整備された。この場合、いろいろな文書を読んでいった中で、防災、防災という言葉が出てくる。私は、国の法律を見ていきますと、ここにございます、基本法は災害対策基本法である。しかしながら、出てくる言葉はすべて原子力防災特別措置法(仮称)というふうになってくる。  大臣、これは、エネ庁の長官も来られていますが、今後、名称については、防災という名称でいくのか、はたまた、今回の事故を教訓にするならば、例えば原子力発電所、原子力にもさまざまな施設がある。現場の人たちにとってみれば、防災という何となくふわっとしたものよりも、はっきりと災害対策基本法の特別措置法だと、まあ原子力と頭がつくかもしれませんが、災害対策特別措置法という名称にすべきだ、今からそういうふうに決めておくべきだと思いますが、それぞれ両長官、どういうふうにこの名称についてはお考えになられますでしょうか。
  141. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 お話しの新しい法律につきましてはまだ検討中でございまして、その名前も、委員御案内のとおり仮称でございます。今後、法律の内容について検討が進み、法律として提出する段階になりましたら、慎重に考えていきたいと思っております。
  142. 河野博文

    ○河野説明員 ただいま科学技術庁長官が御答弁になられましたとおりでございます。私ども共同で検討させていただいております。
  143. 吉田治

    ○吉田(治)委員 エネ庁の長官おいでですのでちょっとお聞きしたいのですけれども、二〇〇一年、省庁再編になります。そうしますと、原子力行政というのは、ほぼ、そのときの経済産業省、つまり今エネ庁の長官が所属されている通産省が再編されたものに一元化をされていくというふうになりますが、この法律が臨時国会なり通常国会なりで通った後、二〇〇一年からどの省が所轄をされていくのかというのが一点。  それから、この法律をつくる過程で、これは特にエネ庁の皆さんにお聞きしたいのですけれども、非常に大きく国、それから立地自治体、そして事業者という形がかかわってまいります。特に事業者においてはさまざま負担がふえるのではないかというふうな意見もある中で、どう広く意見を聴取していくのか。  この二点について、エネ庁長官、お答えをいただきたい。
  144. 河野博文

    ○河野説明員 御指摘のとおり、二〇〇一年の行政改革に伴いまして、今回事故を生じました燃料関係の施設、これは私ども通商産業省が安全問題も含めて責任を持たせていただくということになっております。また同時に、その際、現在ここでも御出席でいらっしゃいますけれども、原子力安全委員会が一次行政庁の安全施策をさまざまな角度からチェックされる、この体制は基本的には維持され、むしろ強化されるということでございまして、内閣府に安全委員会が設置をされ、そこのスタッフも充実されるという体制になるというふうに理解をいたしております。  また、続いて御指摘のございました、防災といいますか対策について、事業者の対応、責務、この辺どうなるのかということでございますが、まさに現在共同チームで検討しておりますポイントの一つでございます。そうした体制をしいていくに当たって、事業者の皆さんがどういう受けとめ方をなさるか、これはこれから御意見を承ってまいりたいというふうに思っております。(吉田(治)委員「この法案の所轄省庁は」と呼ぶ)それはまだ、正直申しまして、防災対策の提出官庁をどこにするかということまで議論しているわけではございません。まず、いかなる対応策が基本的に必要であるかということを議論させていただいております。
  145. 吉田治

    ○吉田(治)委員 提出官庁ではなくて、二〇〇一年で省庁再編になりますよね、その場合にはどこの省庁に行く可能性が高いのですか。
  146. 河野博文

    ○河野説明員 お尋ねの点に明確にお答えできていないかもしれませんが、今回事故を起こしましたような核燃料施設に関する責任ということでございますれば、第一義的には通産省ということになります。それから、現在も同様でございますが、原子力発電所に関する責任は、現在、将来ともに私どもでございます。
  147. 吉田治

    ○吉田(治)委員 ということは、災害対策というふうな形になってきても、これは将来的にいうと、そのときの経済産業省になるということでいいのですね。
  148. 河野博文

    ○河野説明員 その辺は今回新法をつくりますに当たり議論されるべき点ではございますけれども、現在の災害対策基本法の考え方を基本的に御紹介申し上げますと、第一義的な責任官庁が事故対策本部をつくる、そして、それが一定のレベルに達した災害になるような場合には総理大臣を中心とする本部をつくる、そういう仕組みになっておりますので、それになぞらえますれば、その時点での通産省が責任を持ちます原子力発電所あるいはその他の燃料施設についての一義的な責任官庁は通産省ということになるだろうと思います。
  149. 吉田治

    ○吉田(治)委員 よくわかりました。  その中で、内容的なものという形というのですか、やはり初期ということを何度も先ほどから言われておりました。私も同僚議員の意見に賛成でございまして、まさに新しい災害対策の法律が出るのであれば、基本的には、立地をされている、生命財産を負託されていると言ってもいい首長さんというふうなものが、ぜひともその対応に当たらなければならないのではないか。  また、災害対策基本法においても、市町村長、都道府県知事にそれぞれの避難命令等々の権限も付与をされているというふうに読み込めます。その辺について——おかしいな、自治省を呼んだのに来てへんな。委員部、どうなっているの。自治省を呼んだの。何しているの、委員部は。座るだけ座っておいてくれと言ったんだ。時間足らへん、こんなことをしていたら。  では、それ以前に、私がお聞きしたかったのは、こういう自治体の首長に対する危機管理の教育であるとか、また、まさに安全委員長、これは特にされたいのかなと思うのですけれども、こういう原子力というふうなものに対する災害対策認識、知識というものを、私はこういう立地の自治体の首長さんには必ず持ってもらいたい。任期が変わるたびに、四年に一度でもいい、一年に一度でもいいからそういうことをしていただきたい。  安全委員長として、今現在そういうことがなされていると聞かれていますでしょうか。
  150. 佐藤一男

    佐藤(一)説明員 直接今お話しの点については私まだ承っておりませんでしたけれども、御趣旨は確かに私どもも共感するところがございます。こういう原子力についての正しい知識というものを要所要所におられる方にお伝えしていかなければならないということも、まことにそのとおりだと思います。  具体的に安全委員会が何をやるか、どこが何をやるかというのはこれはまた別な話でございますけれども、そういう必要があるという御指摘はごもっともというふうに感じております。
  151. 吉田治

    ○吉田(治)委員 ということは、したいということは、今なされていないということですね。  原子力安全局長もそうですね。
  152. 間宮馨

    間宮説明員 ちょっと趣旨があれですが、首長への教育ということで理解をすれば、いわゆる知事さんとか市長さんへの原子力の教育ということは今のところはなされていないと思います。
  153. 吉田治

    ○吉田(治)委員 私、聞いて驚いたのですね。それだけのものをしていないのですか。教育という言い方は非常によくないかもしれないけれども、原子力の知識について深めてもらう。  あの東海村の村長さんがテレビに向かってどう言ったか。一生懸命いろいろなことをしたけれども国は何も言ってくれない、おれはわからぬけれども避難命令を出したと。  科技庁は何をしていたのですか、今まで何十年間も。原子力安全局長、先ほど大畠さん言われたように、聞いて名前があきれますよ、そんなことを言っていたら。知事に対しても、立地の村長さんに対しても。では、そういう呼びかけをしたら向こうが断ったのですか、反対とか、そんなもの要らないって。そうじゃないでしょう。そういうこともなさずして、今回の事故に対して何ら責任はないなんということは絶対言えない。  そして、現実問題として、きょうの朝のニュース等で報道されておりますように、自衛隊の皆さんが第二次補正予算の中でこの原子力事故について予算要求をなさる。きょう、防衛庁の皆さんにもおいでいただいております。これは私は非常に重要なことだと思います。日本の危機管理において、特に私、地元、阪神大震災が起こったところにおいて、まず最初、日本で一番危機管理ができるのは自衛隊ではないか。それに対して、災害対策基本法においては、都道府県知事の要請がなければ行けない。しない知事というのは本当にとんでもないやつだと思うのですけれども。しかしながら、きょうおいででございます、装備について、どういうふうなものを装備としてこれから予定をしているのか。  そして、そのとき大事なのは、先ほど同僚議員も質問されようとしました、そのときの指揮命令系統はどうなるのか。今、大臣、先ほどの答弁の中で、対策室には通産、科技庁、国土、消防、文部しか入っていない。今後、防衛庁として対策室に入っていく予定はあるのか、また、そういう要請は来ているのか。  その二点。お金だけつけて、そのときになったらわからへんというのはとんでもない話ですから、どうお考えでしょうか。
  154. 佐藤謙

    佐藤(謙)説明員 まず、装備の面について私の方から御説明を申し上げたいと思います。  私ども自衛隊では、これまで、我が国に対して万一核兵器が使用された場合に備えて、放射能に汚染された地域において放射線の汚染度を測定する能力であるとか、偵察等の行動を行い得る能力だとか、あるいは汚染された人員、装備等を除染する能力を有しておりましたけれども、今回のような事態、こういった非常に強い放射線が放出されているような環境下での自衛隊の行動能力、こういう面ではそれに対する備えがございませんでした。  私どもといたしましては、先般の事故への対処を通じて得られました教訓を踏まえまして、現在、科学技術庁等の関係省庁と連携をしながら、改めてこういった自衛隊としての対応のあり方それから必要となる装備等の検討を行っております。  まだ検討中でございますのであれでございますが、もう少し具体的に申しますと、現在私ども考えておりますのは、まずは装備や対応についての調査研究、あるいは特に欠落しております中性子線の放射線検知器材の充実、あるいは放射線に対する防護器材の充実、こういったものの検討を行っているところでございます。  今後の原子力事故の対処に万全を期するという意味で、これらの事業のうち可能なものにつきましては、補正予算での対応も含めまして検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  155. 吉田治

    ○吉田(治)委員 科技庁長官、先ほどの対策室は、これから防衛庁に声をかけられる予定はありますか、それとも、防衛庁に関してはこれがある程度できてからというお考えですか、その辺いかがですか。
  156. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほど委員も述べられましたけれども、通産省それから科学技術庁、そして消防庁、それから国土庁、文部省という形で今チームを編成しております。  この防災といいますか、災害防止の法律をつくるに当たりましては、今それらからのメンバーで構成しておりますけれども、各界各方面また自治体等の意見も十分に聞きながら法律の整備をやっていくということでございまして、現在は、今申し上げました関係省庁を中心にやっているということでございます。
  157. 吉田治

    ○吉田(治)委員 防衛庁の防衛局長、運用局長、どちらでもいいですけれども、意見を聞かれただけで、防衛庁は指揮命令系統ができ上がったときに入っていく、それでいい、それとも、対策室の中へ入って具体的に法案づくりの中身までぜひとも参加したい、どう考えられるのですか。
  158. 柳澤協二

    ○柳澤説明員 当日の対応の面の経験から申しますと、現行の法令上、災害派遣の要請権者というのは都道府県知事等になっておりますが、当日も茨城県知事からの要請は受けたわけでありますが、実はそれ以前に、政府対策本部会議でも総理の御指示もありまして、できるだけ早く対応する必要があるということで、大臣の、防衛庁長官の指示をもちまして、これは災害派遣そのものということではないと思いますけれども、その事故現場に近い勝田の駐屯地まで化学防護車等を先発させるというようなことをやっております。  それで、一番大事なことは、確かに情報がタイムリーに伝わってくること、そしてその派遣の判断がタイムリーになされるということであると思っております。それを今度の法律の中でどのように考えていくかということ。現在、官邸の事故原因調査の方の会議、さらに防災の関係の会議、二本立ち上がっておるところにいずれも運用局長がメンバーとして入ってございますので、そういう場で十分な意思疎通をしながら新しい枠組みのあり方についても御相談させていただきたいと思っております。
  159. 吉田治

    ○吉田(治)委員 これは科技庁長官に、ぜひともこれが入っていただく方向でお考えをいただきたいと強く述べたいと思います。  それ以外に非常に気になりますのは、きょうジェー・シー・オー社長それから常務においでいただいておりますが、今、ジェー・シー・オー賠償云々の話がございます。たしか事故が起こって数日内に、ジェー・シー・オー自身の事業、これから会社としての存続のことについてちらっと触れられた記事等も出ておりました。賠償するのであれば会社組織というふうなものは残しておかなければならないし、しかしながら、科技庁の意向としては、これは意向なのかそういうふうに決まっているのかわかりませんが、こういう取り扱いの認可は取り消すというのであれば、また、新聞報道だけですけれども、住友金属鉱山、親会社ですね、社長の出身母体、ここももうそういう事業から手を引くといったときに、私は、その賠償がどうなるかというのは議論になると思いますけれども、もう一点は、今回、会社のさまざまな問題の中で、三十数名の人、マスコミ的に言うと、週刊誌的に言うと、決死隊というのですか、そういう形で行かした人たち、その人たちの雇用をどうするのか。  そして、科技庁長官、今回の問題はジェー・シー・オーだけの責任でないというのは痛感なされていると思います。やはり今までの科技庁、今まで長官でなかったから私は関係ないということは言われない方だと思いますけれども、その中で、ジェー・シー・オーのこの百何人と言われる人たちを路頭に迷わすのかどうかということを、一点、どうお考えなのかお聞きしたい。  そして二点目は、もう時間がありませんのでまとめてお聞きしますが、今この時点までにさまざまなお話があって、原子力政策については、災害対策というものにおいて非常に大きな転換期を迎える。では、原子燃料サイクル政策というふうなもの、これは表裏の関係ですけれども、これについての今後は長官としてどうお考えなのか。  そして三点目は、信頼回復信頼回復と長官は言われましたが、何も国内だけでなく、海外からの信頼も回復をしなければならない。その中においては、例えば、原子力発電にかかわる事業者が横断的なつながりをし、お互いをレビュー、チェックし、安全チェックをしていくというシステムをつくらなければならない。これは科技庁だけでなく、きょうエネ庁の長官もおいでですので、エネ庁からもこの横断的なつながりというふうなものについてのお考えをお聞きしたい。  この三点、くくった質問で申しわけありませんけれども、ジェー・シー・オーの社長として、今後の会社、雇用を含めて、一言で、できるだけ手短にお考えを、科技庁長官もあわせてお答えをいただきたいと思います。
  160. 木谷宏次

    木谷参考人 事業の存続につきましては、私どもは事後処理全力を挙げたいというふうに考えておりまして、監督官庁の御指導に従うつもりでございます。親会社としてはそういうことはまだ表明しておりません。  それから、雇用の問題でございますけれども、もしもそういうふうなことになった場合には、できるだけ親会社等で吸収していただけるのじゃないかというふうに希望しております。
  161. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 まず、ジェー・シー・オーに対します当庁の今後の対処というような御質問かと思いますけれども、今、御案内のとおり、原子力安全委員会もとでの事故調査委員会が原因等を究明中でございます。私どもはまずその原因究明が第一と考えておりまして、この原因の究明を待って、今後の対処方法については考えていくことになろうかと思います。  しかし、委員御指摘の雇用の問題につきましては、現場で働いている方々にとりましては大変深刻な問題であります。そういう意味におきましては、科学技術庁ということだけでなくて、政府関係省庁とも連携をとりながら、何らかの支援策といいますか、今はっきりはなかなか申し上げられませんが、原因究明がまず第一で、それに対する対処というものがそこで決まることになろうかと思いますけれども、私どもも、できるだけそういう雇用の問題についても今後配慮ができればしていきたい、そういうふうに思っております。  それから、順番が飛びますけれども、国際的な信頼回復のお話もございました。  国際的な関心がこの事故は大変高いものと思っておりまして、先ほど申し上げましたように、海外からの支援の要請等もございました。我が国原子力開発利用の透明性を高める見地から、私どもといたしましては、諸外国に対しましても、事故経緯等、詳細に、積極的に情報を提供しているところでございます。既にこれまで各国の国際機関に対する情報提供や、またインターネットによる情報提供、それから海外プレスに対しますブリーフィング、あるいは在日の大使館を対象とした説明などを行いまして、情報の公開に努めてきたところでございます。  なお、既に申し上げましたけれども、今月の十二日、十四日及び十八日には、OECD及びIAEAに対しましても、我が国の専門家を派遣いたしまして、事故経緯などについて説明を行ったところでございます。  また、先方から申し出のありましたIAEA及び米国からの申し入れにつきましては、調査につきましてはそれぞれ専門家三名を受け入れまして、科学技術庁及び原子力関係専門家等から事故の事実関係について説明等を行ったところでございます。  こうした情報提供の取り組みとともに、事故原因徹底究明と法律の整備を含む再発防止策確立全力を挙げることによりまして、我が国原子力に対する国際的な信頼の回復に努めてまいりたいと思っております。  また、原子燃料サイクルのことでございますけれども、今回の事故がございましたけれども、国にとりましてのこの事業、計画というものの重要性にかんがみまして、今後も皆様方の御意見をよく拝聴しながら進めていきたいと思っております。
  162. 河野博文

    ○河野説明員 まず、電気事業者の今回の事故に際しましての支援体制を御紹介することによりまして、現状を御説明させていただきたいと思います。  私ども、三十日の夕刻の段階で、現場にあります原子力発電所であります日本原電に全面的な協力をお願いいたしました。また、同日夜、電気事業連合会に、いかなる支援が要請されるかわからないので態勢をとってほしいということをお願いいたしまして、その後、全国の電気事業者から最高時で六百七十名の皆さん現地に赴かれまして、また、モニタリングカーも十一台、その他の関連資機材の提供といったことが協力されているわけでございます。  また、現在、電気事業連合会では、この事故を、燃料関係ではございますけれども、他山の石とするということで、対応委員会を組織しております。  また、いわゆるセーフティーカルチャーを共有しなければいけないということで、電気事業者のみならず燃料関係者皆さんにも声をかけて、こうしたセーフティーカルチャーの共有についての活動を開始するというふうに聞いておりまして、私どももこれを全面的に支援してまいりたいというふうに思っております。
  163. 吉田治

    ○吉田(治)委員 もう終わります。  横断的なつながりというのはぜひともやっていただきたいのと同時に、今回の質問をずっとさせていただいていて、総理またはできれば前長官、前政務次官、やはりそのときの話をお聞かせいただかないと、この事故というふうなものを今の長官、今の政務次官にお聞きするのは大変私は心苦しい。ぜひとも委員会へそれぞれおいでいただけるように御配慮のほどをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。  いかがですか、委員長
  164. 北側一雄

    北側委員長 理事会で協議いたします。  辻一彦君。
  165. 辻一彦

    ○辻(一)委員 まず、中曽根科技新長官に初めに一言質問したいと思います。  日本で初めてのレベル4という臨界事故、しかも本格的な原子力防災活動が動いた直後、新長官に就任をされまして、御苦労さんと同時に、御健闘をひとつお祈りしたいと思います。  昭和四十九年の五月に参議院の商工委員会で電源三法の審議があって、私は当時、六時間質問を要求して、剱木委員長から、普通は二時間だが君の場合は六時間を認めるということで質問に入りまして、三時間で委員会はストップして、二日間ストップした記憶があります。  そのときは森山科技庁長官でありますが、共管の通産大臣はあなたの父上の中曽根通産大臣、後の総理であります。そういう関係がありまして、親子二代にこの国会の場において原子力の安全問題、防災問題を質問できること、これは一つの議員冥利でもありますし、懐かしい思いがいたします。  そういうことを前提にして一、二質問したいと思います。  まず、昭和四十六年以来私も、参議院、衆議院を通して、原子力の安全問題や防災問題に随分と長い間取り組んできましたが、最初は日本原子力事故は、多くは原子力の発電所の中枢部、建屋内であるとか格納容器、原子炉に及ぶ問題が非常に多かったと思いますね。例えば、東電の福島原発の再循環ポンプの破損事故、あるいは関電の美浜二号のいわゆる蒸気発生器の破断事故というように原子炉、発電所の本体にあったんですが、最近になると、「もんじゅ」以来を見ますと、「もんじゅ」は第二次配管、周辺部であり、それからその次に起こったところのいわゆる東海村の再処理工場の爆発事件も、これはアスファルトという今まで余り重視されなかった分野で起こっている。それから続いて、低廃棄物のずさん管理、あるいは輸送容器のキャスクのデータ捏造、さらには日本原電の第一次配管の冷却水漏れ、そしてまた今、臨界事故と、最近の問題は原子炉本体の周辺あるいは原子力施設の周辺に問題がずっと起きている。しかも、それが長年本体の方で積み上げた、世界にもまさるとも劣らないと言われた日本原子力の築き上げた安全性と、そして評価努力を今根本から揺さぶっているというところにあるんではないか。  これをこのまま放任しておけば、私は、幾ら本体の方でしっかりやって、その水準は世界レベルと何ら遜色なしとしても、周辺部で起こるところの事故のために日本原子力行政は重大な危機に見舞われる可能性があると思いますが、この点を新長官はどういうふうに認識をして対応されようとしておるのか、冒頭にひとつお伺いいたしたい。
  166. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 辻委員には、長い間原子力また原子力行政について御指導いただいておりますことに深く感謝を申し上げます。  今御指摘のとおり、原子炉あるいは原子力関係の事故というのは、最近におきましては、周辺の問題等、あるいは容器の問題等が発生しておるわけでございます。私どもといたしましては、この安全性につきましては、施設の違いというものを踏まえた上で一応安全審査等を行っているところでございまして、核燃料の加工施設に係る安全規制原子力の発電所に比して軽減されている、そういうようなことはないと認識をしております。  原子力関係にかかわるすべての者が身を引き締めまして、そして安全第一でこれから当たっていくということが重要だ、そういうふうに認識をしております。
  167. 辻一彦

    ○辻(一)委員 後で、ジェー・シー・オー、それから科技庁、原子力安全委員会の今回の問題に対する責任のあり方について二、三伺いたいと思いますが、このままこういうことを繰り返していると全くがたがたになってしまう心配がある。総点検とはお題目で、「もんじゅ」以来もう何回も総点検をやったということを聞いた、しかし次から次とぼろりぼろりと周辺部から出てくる。これを何とか食いとめて、本当の意味の総点検をやらなければおよそ意味がないと思いますが、この点は科技庁にまた後でひとつ聞きたいと思います。  そこで、ジェー・シー・オーもせっかく御出席をいただいておりますから、一言伺いたいと思います。  私は、一連の事故経過をずっといろいろと見て、水の抜き取り、それからその後の作業等においてジェー・シー・オー皆さんが献身的な努力をされたことには敬意を表します。しかし、その前を見れば、もう全くずさんきわまりないと残念ながら言わざるを得ないですね。手順書という一番重要なものを勝手に書きかえる、書きかえた手順書もそのままやっていない、省略して、バケツで硝酸にウランを溶かして沈殿槽に流し込むという、ちょっと我々では考えられないことが行われておった。こんなことを見過ごした監督官庁責任も当然でありますが、まずはジェー・シー・オー皆さんがやったことを見ると、果たして臨界という重要な問題の認識、そういうことが幹部の皆さんに、それから社員の皆さんに教育され、理解をされているのか、訓練があったのかということを全く疑わざるを得ない状況と言わざるを得ないと思うんですね。  そこで、これはいろいろな点からその責任のあり方が問われるだろうと思いますが、ここまで来て、ジェー・シー・オー皆さんも、後にこういうことがほかのところで起こらないようにするためにどうしたらいいのか、良心的な最後の提言を一言聞かせていただきたいと思います。
  168. 越島建三

    ○越島参考人 お答えいたします。  今度の事故を起こした件で、私どもの安全管理体制あるいは教育体制に重大な不備があったということは、申し開きはございません。  それで、現在も原因の究明徹底的に進めておる最中でございますが、多数の書類が警察に押収されているという段階では、クリアにするのにもう少しお時間をいただきたいんですが、私どもはどうやってこういう事態を招いてきたか、特にどこに大きな原因があったのか、原因の究明の過程でそういう情報を全部きちっとお出しして今後の参考にしていただきたいというふうに存じています。  以上です。
  169. 辻一彦

    ○辻(一)委員 御答弁はとても十分なものではないのですが、この六時間を通してジェー・シー・オーに対する批判については十分あると思いますから、私はほかの問題に移りますので、この程度にとどめたいと思います。  そこで、さっきのとおりですが、科技庁の方。この安全審査の中には恐らくこういうことは全部うたい込まれていないので、だからそれを審査指針どおりやったから、ほかのことは余り関係ないんだ、こういうようなことかもわからぬですが、科学技術庁、行政庁が足りないところを補うというために、運転管理専門官や検査官を派遣してぐるぐる回しているんですね。その人たちが、記録によると一九九一年かにバケツ行為が行われて、それから七年もこういう違法行為がずっと継続しておるんですね。七年間の間にこんな危険なことを、予想されないようなことを、しかもフェンス一つ隔てたら隣に民家があるんですね。全く大変なことなんですね。  発電所ならば一メーター、二メーターのコンクリで原子炉は囲われて格納容器の中におさめているんだけれども、網が張ったフェンスがある、そこにもう民家がすぐ隣にある、これはもうまことに危険きわまりないことなんですが、こういうことが行われているということを七年間も見過ごしてきた科技庁は責任をどう感じておるのか、なぜそういうことが、どんな検査をやって、何をやっているのかということを言わざるを得ないのですが、これについても要点だけ聞かせていただきたい。
  170. 間宮馨

    間宮説明員 お答え申し上げます。  検査等もやってきたわけでございますが、平成十年四月からは運転管理専門官が巡視をしていたという事実がございまして、これでなぜわからなかったのかということでございますが、一般に、運転管理専門官が、今回のような許認可を受けていない手順で作業を行っている場所を現場で確認すれば、当然、直ちに改善を指示するということは可能であったと認識しております。  しかしながら、このジェー・シー・オーの当該工場は、許認可を受けていないステンレス製の容器を用いて作業を行っていた時間が、通常、転換試験棟において行っていた作業全体に要する時間のわずか十分の一であったということ、そもそも転換試験棟における作業そのものが不定期かつ断続的、年間約三カ月くらいしかなかったというようなことなどから、十年四月以降巡視はしていたわけでございますけれども、なかなかそのステンレス容器を用いた作業確認するということが困難であったというふうに考えております。  もちろん、これは言わずもがなでございますけれども、現場の作業員がこのような作業の違法性を認識して、運転管理専門官の来訪時に隠そうとした場合には、当然ながら、なかなか特定が難しいということがございます。  しかしながら、現実にこういう事故が発生したわけでございますので、こういうことを重く受けとめまして、事故調査委員会での議論などを踏まえまして、安全検査そのものについても見直してまいりたいと思っております。
  171. 辻一彦

    ○辻(一)委員 重症者が二名いらっしゃる。恐らく予断を許さない状況であろうと思いますが、欧米等で起こった臨界事故を多く見れば、随分と亡くなっている方があるんですね、こういう事故の場合に。だから、これは非常に重大な問題で、しかもレベル4。レベル4でなぜ防災活動が発動できるのか。5以上にならないと防災活動は実際動かないようにも聞いておるんですが、私は、そういう意味では非常に重い事故であったと思うんですね。  こういうことがもうちょっと何かの方法で点検ができて、様子がわかったら、やはり防げたはずなんですね。だから、監督官庁というのは、片方ではその審査をして認めると一緒に、これはジェー・シー・オー本社の責任はもちろんありますが、監督する方は、認めた以上は、これは心配ないと認めたんだから、それをきちっとやるように監督することが非常に重要な責任になる。そういう点で、私は、科技庁のこういう意味の責任は免れないし、こういうことが起こらないようにするには一体どうするのかということを真剣に考えてもらわなくてはならないと思いますが、長官、いかがですか。
  172. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員おっしゃるとおり、科学技術庁といたしましても、今回の事故責任は大変重く受けとめておりまして、御案内のとおり、事故の原因調査再発防止全力を挙げているところでありますけれども、今後どうしたら起こらないかということにつきましては、安全性の面、検査の面等、十分にこれから、今回の事故を反省しながら、新しい法律づくりに努めていきたいと思っております。  監督責任のお話がありましたけれども、総合的に極めて科学技術庁として重く受けとめなければならないと思っておりまして、私自身、大きな反省をしているところでございます。
  173. 辻一彦

    ○辻(一)委員 先ほど私が申し上げた五つか六つの事故がありましたね。そのたびに、今と似たような長官の発言をずっと歴代聞いてきたんですが、やはり状況は同じ状況にある。厳しくひとつ、具体的に取り組んでもらうことを特に要求しておきます。  そこで、安全委員会委員長もお見えですからちょっと伺いたいんですが、今そこに配付しました資料をちょっと見ていただきたいんですが、この図面で、黒線で、黒の破線で囲んであるのは全部形状制限、もうこれ以上入らないわけですから、だから臨界には達しないという形の形状制限が行われておる。  ところが、唯一盲点があるのは、真ん中に丸で囲んである沈殿槽ですね。ここは形状制限がなされていないところなんですね。それを見ると、一九五〇年から六〇年代において、欧米において、プルトニウムの溶液あるいはウランの溶液が例えば形状で制限されていないから、大きなタンクの方に逆戻りをしたりポンプが送り込んだりいろいろなことで、人間のミスもある、機械の動きもある、そういうことで思わぬ量がタンクの方に、非安全形状タンクの中に流れ込んで、それで臨界を起こした。その例が七例もプルトニウムとウランで一九五〇年、六〇年代にあるわけですね。  だから、欧米の方から見ると、もう一九五〇年代、六〇年代に経験したアメリカや欧州の臨界事故を今ごろ日本は繰り返しているのかという、ある意味では非常に日本安全性管理に大きな評価、期待をしておったのが、こんな面が、暗い面というか影が残っているのかということで、これは欧州においてもアメリカにおいても非常に驚いていることではないかと私は思うのです。  そこで、話が飛びましたが、この囲んでいるところの沈殿槽、その前に、左の方に積算流量計がありますから、ここで二・三倍ぐらいのところを恐らく抑えて、それで臨界に至らぬようにしておったと思うんですが、やられた方はのぞき窓からじょうごを入れてバケツで流し込んだのだから、これは法外なことをやっておったわけです。しかし、そういう人間のミスであるとかあるいは過ち、それは意図的な場合、意図的でない場合、人為的、作為的、作為的でない場合があるんですが、そういうことがあってもロックをして安全を期すというのが安全性の理念のはずなんだけれども、ほかの方では多重防護が随分言われているけれども、ここでは、一回ここでちょっと二・三倍でとめて後は大丈夫だと、人間のミスが全然ロックすることができない、抑えることができない。これは安全審査の欠陥なのか、どこかにこういう問題を見過ごした盲点があると私は思うんですが、委員長、いかがですか。
  174. 佐藤一男

    佐藤(一)説明員 今、辻先生まさに御指摘のとおり、この施設ではほかの、例えば貯塔ですとか溶解塔等はいわゆる形状管理がなされておりまして、この沈殿槽は形状管理でなくて質量管理というものがなされているわけでございます。  いずれにいたしましても、形状管理あるいは質量管理がきちんと行われれば、それは臨界に到達することはないわけでございますけれども、形状管理でなくて質量管理だから、だからもって不十分だという結論には必ずしもならないと思いますけれども、ただ、当時の審査においてなぜこの沈殿槽だけが質量管理になったのか、これは実は私自身もその議論の詳細については知りたいと思いますし、また、この点については事故調査委員会でも十分御調査いただけるものと考えております。  ただし、今辻先生まさに御指摘になりました、例えば積算流量計等はついておるものの、どうもいわゆる多重防護という見地から対策の層が少ないんじゃないか、多分そういう御趣旨と承りました。この点につきましても、事故調査委員会調査等も踏まえまして検討してまいりたいと思っております。  また、いささか先走るようでございますけれども、そういう調査を踏まえまして、とにかくこういう事故が起こってしまったわけですから、何かどこか足りないところがあったかもしれぬということで、そういうものが明らかになりました場合には、これはもう断固としてそういうものは改めていきたいというふうに思っております。  ただ、こういう機械、施設等のさまざまな対策が故意もしくは不法な行為によって破られるというのを実際問題どこまで防げるかというのは、これはかなり難しい問題でございます。何か対策を講じましても、人間、結構知恵があるものですから、必ずその裏をかくようなことを考え出さぬとも限らない。これはある意味では悪意を持っての行動でございます。ですから、それをどこまで抑えるかというのは、これが一つ難しい。これはある意味で倫理の問題であり、私どもが常日ごろ強調しておりますセーフティーカルチャーの問題であろうというふうに理解しております。
  175. 辻一彦

    ○辻(一)委員 安全委員会調査委員会が十分な検討を加えて、ひとつ徹底して解明することを望みます。  人間のミス、これはいろいろあるんですよ。あるいは意図的なものもあるでしょう。それがあっても、人間の手が加えられても加えられない、安全を確保するというのが非常に大事なところなんで、もうくどくは申し上げませんが、十分な検討をして、また委員会で報告をいただきたいと思います。  次に私は、原子力防災の問題を若干伺いたいと思います。  昭和六十三年の予算委員会で、衆議院でかなりな時間この原子力防災、スリーマイル島の後の対応を出した政府の指針に対して論議した覚えがあります。当時から科技庁は、原子力防災については、防災法の制定等はかなり消極的であった。予算委員会の論議、分科会等を通してやりますと、チェルノブイリの消防士は三十人も亡くなったんですから、直接の関係が第一線であり得るということで、消防庁、自治省の方が国会の論議ではむしろ熱心だったんですね。熱意があると感じられた。  あれから数年、ずっとたっておりますが、この春まで科技庁は、原子力防災は現行法を適用して、そして実効性あるいろいろな努力を積み上げれば、それで大体いきたいというような方向を示しておったんです。だから地方の、原子力防災措置法、いろいろあるでしょうが、そういう特別措置法をつくってくれという要請にもなかなかこたえることができなかったわけですね。  私どもは、その面はかなりいろいろと勉強もし、積み上げてきましたが、最近になって、この東海事故を機にして、総理原子力防災について触れられ、それから科技庁長官、また通産大臣も同様に、記者会見において原子力防災法の新法制定についてお触れになっておるんですが、一体政府原子力防災法に対する考え方は、まず認識として変わったのかどうか、そこをちょっと一点伺いたい。
  176. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 このたびの事故は、たびたび申し上げておりますように、我が国で本当に初めての臨界事故であり、大変に私どもはこの事故の重大性を強く認識をいたしております。  この事故を教訓といたしまして、原子力防災対策の抜本的な強化を図ることが必要だろう、そういうことで原子力防災に関する新法の制定を今考えているところでありまして、総理からも直接検討を命ぜられているところでございます。  通産省を初めとする関係省庁の御協力をいただきまして、十月六日に原子力安全・防災対策室を設けて鋭意検討作業を始めたところでございますが、具体的には、初期動作などにおける国、自治体の連携強化、それから、原子力災害の特殊性に応じた国の緊急時対応体制の強化、原子力事業者の防災対策上の責務の明確化といった課題につきまして、自治体からの御意見や御要望を十分に踏まえながら、実効性のある原子力防災体制の構築に向けて、法案の内容を現在検討しているところでございます。
  177. 辻一彦

    ○辻(一)委員 科技庁の方に、新聞等では、法案の骨子が固まっている、それがいろいろな形で報道されておりますが、そういうものがあれば出してもらいたいと言ったんですが、まだ検討中であるということで出ていない。それはその状況であろうと思うんですが、それならば、二、三お伺いしたいのは、まず第一に、予想される新法の性格というものをどういうふうに考えるのかということですね。  例えば、災害関係は災害基本法というものが基本にありますね。自然災害としては、大地震の場合には、この特殊性にかんがみた災害基本法をもとにして大地震特別措置法というのを上に乗せている。それから、火山の場合には、やはり同様、活火山特別措置法を乗せている。これは自然災害。もう一つ大きなのは、石油コンビナートの災害防止法ですね。これも災害基本法の上に、いわゆる石油コンビナートの災害防止の特徴点を取り上げて、そしてこれを拾い上げてこれを特別措置法としている。だから、もとは災害基本法が基本になっているのですね。  こういう行き方で我々は、私どもここ何年間かかなり皆さんと一緒に何人かで勉強してきましたが、災害基本法をもとにしてその上に特別措置法、いわゆる石油コンビナート災害防止法等に対応するものとして組み立てたらどうかという考え方で来たのですが、もう一つの考えとしては、いろいろ検討はしましたが、特別法として災害対策の中から原子力だけ全部抜き出して、これだけを一まとめにして特別立法をやるという道もあります。中身としてはそんなに変わりはないはずですが、原子力防災を特別法として扱うということも法的に不可能ではないでしょう。  大きく言うとこの二つが大筋としてあり得ると思うのですが、一体新法を考える場合にどのような性格の法案を考えておるのかお伺いしたい。
  178. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 辻委員が、原子力防災法につきましてはずっと長年提案をされまして、またその提案が超党派の議員連盟であります科学技術と政策の会で検討をされている、その御努力に対して心から敬意を表する次第でございます。  この新法がどういう性格のものかという御質問でございますが、そのことも含めて今検討をしているところでございますが、今のところの議論は、災害対策基本法というもので原子力災害に対して当てはまらないもの、これを新たにつけ加える、しかし地方自治体の対応というふうなものについては、災害対策基本法で決められたものも使っていかなくてはならない。ですから、ある意味では並立をした独立のもの、それが一部集合、一緒になっている、こういう大きな考え方ではないかと思いますが、いずれにしましても、そのあり方につきましても今検討しているところでございます。  辻先生の試案もその中に入れまして、大いに参考にさせていただいているところでございます。     〔委員長退席、中谷委員長代理着席〕
  179. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この場合に非常に大事なのは、やはり地方の声を十分に取り入れるということ。今までは、福井は非常に随分事故が続いて熱心だったのですが、事故が多いから熱心というのは言い過ぎでありますが、熱意を持っておったのですが、茨城県や東海村の対応を見ると、再処理工場爆発事件の後行ったときにも、ぜひ特別措置法をつくって防災専門官等を配置して初期対応をやってくれという強い声があったのですが、今回も行ってみても、国のところの法制定を求める声は、やはり橋本知事、それから村上東海村長さん等の意見を聞いても非常に強いものがあったと私たち委員会の視察で感じたわけであります。  そこで、ただ一つ問題は、その場合に地方の方は、より国が介入というか関与するのを求めているのですね。  例えば、この間三百五十メーターの範囲で避難の勧告を出した村長さんも、恐らく一人で、相談相手もあったと思いますが、随分悩んで、県に聞いても国に聞いてもなかなか連絡がつかないというか方針が出ない、そういう中で恐らく、公選された政治家としての政治生命をここにかけて決断されたと思う。こういう重い決断を市町村長の現場に任せていくというようなことでいいのか。あるいは、原子力防災という特殊性。台風ならば風が吹いて家が倒れ、木が倒れる、大体わかるから対応ができる。洪水ならば水かさが上がるから対応ができる。そういうものが何にも見えない、五感に感じない災害の場合に、その点を考えると、住民避難をするかどうかというような、あるいは退避をするか、そういう判断は一体どこがやるのか。市町村長に任せてそこでやってもらっていいのか。  あるいは、例えば、この間茨城の知事さんなんかの御意見を聞くと、専門家はもうほとんど中央に集中して集めているんだから、やはりこの問題については、地方分権というものがあるけれども、一応それはそれとして、国の判断等そういうものを求めたいというような声も少なからず聞いたのです。  話は交錯しますが、私たちが何人かで考えてきた原子力防災特別措置法(仮称)の要綱試案は、地方自治体が住民の生命、身体、財産を守る公選の長としての責任、大責務があるという確認の上に立って、できる限り国も関与してその分担をしていこうという考え方に立っておるのですが、しかし、今回の茨城臨界事故を見ると、やはり地方の苦労した知事さんあるいは村長さんというような、こういう得がたい経験を今度はしたわけですから、この人たちの経験と声を聞くことは非常に大事であると思っておりますが、それらについてどういう考えを今持っていらっしゃるか、ひとつ長官の方からお伺いしたいと思います。
  180. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 それも含めて今検討中でございますが、村上村長とお会いしたときにも私ども強く言われたことは、国策として原子力を進めていく以上、災害が起きたとき国が第一義的な責任をとってほしい、こういう強い御希望がございました。しかし、辻先生の試案にもありますように、現場に一番密着しているのは地方自治体でございます。国が第一義的に責任をとりながら、しかし一番現場のことをよく知っている地方自治体とどう情報をすり合わせ決断をしていくか、その検討を今しているところでございまして、もう少しお時間をいただきたいと思います。
  181. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ここが非常に大事なので、やはり今回の場合に、三十万人に屋内退避の命令を出した茨城県の知事さん、それから百五十人、三百五十メーター以内に避難勧告を行った東海村長さんの決断というか、そのときにはいろいろな状況を恐らく聞いて参考にしたとは思うのですが、なかなか大変だと思うのですね。それが、自治体がきちっとそういう責任を持って避難命令まで出す、最終的にはそうなりますが、その判断もするというなら、判断材料を正確にその自治体に上げなければ、これはもう暗やみの中で物を考えるようなもので、どうにもならないのですね。大事な情報はほとんど中央が掌握をして、それが直通で自治体の方におりてこない中で幾ら決断しろと言ったってこれは非常に無理なので、そこらの兼ね合いをどうするか。  私は、これはこれからの立法の非常に大事なところであり、我々も論議しながら、この実態を見ると、これでいいのか、やはりなお手直しをして、地方の声をもっと聞いていくということを考えなくちゃならないんじゃないか、そういう感じが今しております。お互いに勉強していかなければいかぬと思いますが、特に政府の方は、やはり覚悟を持って出す以上は、これは具体的な事実を全部資料として持っているわけですから、その点ひとつ十分な取り組みを願いたいと思っております。  では、そこでもう一つ問題は、現地に国、県、市町村の出先が全部集まってくるときに、一体その指揮命令系統、一元的な効果ある防災活動をやるのにどうするのか。これは、福井が平成九年の二月に油が大量に流れ込んで、そして国からも県からも市町村からも全部出先の本部を置いて、よくやってはもらいましたが、やはりそこらをどうするのかというのは大きな残された課題であったと思うのですが、やはり今度の場合も、この三者がどういう立場でいくのか。  政府原子力安全委員会が考えている構想の中、あるいはより実効性を上げるための打ち出した中には、国と市町村、県が一体になって現地に事務所を置くという構想がありますね。私は、我々の試案の中では、そういう出先の機関が置かれた場合には、法律によって、やはり場合によったら、この地方公共団体の長に指導助言まではこれは災害基本法で出ているのだけれども、それをもう一歩踏み出そうとするならば法的な裏づけが要るから、そのためには、この現地事故対策本部、これは段階によって名前が変わりますが、事故対策本部、それからその現地対策本部に一定の必要な範囲における権限を与えて、地方公共団体の長にも指示し得る権限をここでおろすかどうか、これは法律で裏づけなければならないのですが、そういうふうにして現地の一体化を図るべきであると思います。  ところが、原子力安全委員会の構想を見ると、事業者も一体にというのはあるのです。私は、防災活動を事業者も含めてやらなければならぬということはわかるのですが、原子力災害は主として、チェルノブイリのように外国からやってくれば別として、国内で起こるのは事業者自体が事故原因になる、責任者であるわけですから、その人たちを同じように抱えた事故対策本部現地対策本部が同じ構成、同じようなあれでやるのは非常に問題があるのではないか。  しかし、私たちも、電力業者とかの事業者は、現地において全部敷地の中に自衛の防災組織、例えば石油コンビナートにおいては全部自衛の防災組織を持って、責任者を決めて、随分いろいろなことをやっている。そういう責任者をきちっと決めて、その人は代表として現地事務所に参加をするということで、事業者も含めた対応ができるのではないかと思うのですが、国、県、市町村、それから事業者、この四者を含めて、一体どういうやり方が効果的だというようにお考えなのか、お伺いしたい。
  182. 興直孝

    ○興説明員 お答え申し上げます。  先ほど総括政務次官の方からお答え申し上げましたとおり、現在どういう形の法案がいいのか中で検討しているさなかでございますので、ただいま私が御説明申し上げようと思いますのは、今回この東海村におきます事故の関係で顕在化した問題点があるというふうなものから、ひとつ考えていかなければならないものというもので摘出していきたいと思いますけれども、今回事故が起こりました直後に、ジェー・シー・オー関係者は、その当該三名の方が当該の転換試験棟から脱出をするというふうなことに加えまして、その他の方々はほとんど退避をされたわけでございます。その結果、当該施設状況は全く把握できない状況でございましたし、また災害の防止措置が講ぜられない状況でございました。  本来、事業者におきましては、当該事業所内の災害の防止策を、十全な対応をとることが一義的に必要であろう、このように考えてございますので、その点についてのことは当然のことながら原子炉等規制法上責務があるかと思いますけれども、その十全な対応を期待したいものでございまして、他方、また事業所内の方々におかれましても、当然事業所の外に退避される可能性のある方もいらっしゃるかと思います。そういう方々の力を活用することは当然あってしかるべきだろうと考えてございます。  また、先ほど先生おっしゃられましたように、国、地方公共団体、なかんずく都道府県並びに市町村、こういう形の三者の連帯をとるオフサイトセンターの構想もこれまで数次にわたって議論がされているところでございますので、実効性のあるようなオフサイトセンターの構想を現実化していくことが重要だろう、このように考えてございまして、その中にあって、先ほど申し上げました事業所方々対応がどうであるか、また検討の要因になろうかと思います。
  183. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そこは非常に大事なところで、これから論議の必要があろうと思います。  最後に、もう一つだけですが、我々は、東海の前の村長さんから、最初に工場の爆発事件の後行ったときには、専門の者を置いて初期の対応をちゃんとやってくれぬとどうしても不安だというお話があり、それらをもとにして、運転管理専門官とあわせて現場に防災専門官を配置して初期対応ができるようにしよう、こういう考え方を試案の中には組んでおるのですが、ある面からいうと、意見として、運転管理専門官がいるんだから、それは一年じゅうの仕事はあるんだから、防災機能を分担させてやったらいいがねと。原子力安全委員会の考え方の中にも多分そういう考え方が出ていますね。  しかし、本格的な、本当の原子力事故というものが原子炉においてあるいは原子力施設において発生したときに、運転管理専門官は、原子炉の制御であるとか敷地内をどうするかというために情報を集め、あるいはその助言をし、走り回る時期だと思うのですね。とても、敷地の外に漏れた放射能を一体地方自治体と一緒になってどうするかというのに頭が回るはずがない、いざというときに。それは順番に、うんと差を置いて起こるのならいいけれども、一緒に起こって、こっち側は原子炉本体の制御に当たらなければいかぬ、こちらは、どうもこのままだと、SPEEDIを動かせばすぐわかるのですが、放射能が拡散する可能性がある、そうすれば救護の体制を急がなければいかぬ。そういうことを一緒になかなかやれないと私は思うのです。  そういう意味で、防災専門官を専属として配置すべきであるというのが私たちが考えてきた意見なんですが、それについてどういうふうにお考えか。最後に一つそれを伺っておきたい。
  184. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 防災専門官を運転管理専門官と同じように配置すべきではないかという御意見、大変貴重な御意見だと思います。それも検討に加えさせていただきます。  それから、ただ一点。先ほど吉田委員質問の中に、運転管理専門官の働きぶりについてちょっと御指摘ございましたが、彼の名誉のためにあえて発言させていただきますけれども、ふだん大変厳しく、核燃サイクルまた原研、またいろいろな加工施設検査をしているということでございます。非常に厳しいがゆえに嫌われているというふうなことも言われるぐらいでございまして、ちょっとここで一言お答えさせていただきます。
  185. 辻一彦

    ○辻(一)委員 では、時間が来ましたから、これで終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。頑張ってください。
  186. 中谷元

    ○中谷委員長代理 これをもちまして、辻委員質問を終わります。  西博義君。
  187. 西博義

    ○西委員 引き続き御質問申し上げます。公明党・改革クラブの西博義でございます。  長官、御就任おめでとうございます。早速東海村のこの事故で、大変な精力的な御活躍だと思いますが、しっかり頑張っていただきたいということをお願い申し上げます。  私は、今回の事故で、先ほど長官からも、極めて重大な事故である、あってはならない事故である、こういう趣旨のお話がありましたけれども、その中で、まず初めに、ジェー・シー・オーに対して何点か御質問を申し上げたいと思います。  十月の八日に衆議院の科学技術委員会で今回の事故を視察いたしました。先ほど委員長からも御報告がありました。その際に、本日御出席ジェー・シー・オーの所長さんの説明を伺いましたが、今回の事故に至った理由、非常に簡潔に御説明いただきました。  一つは、純酸化ウランの硝酸水溶液をバケツに七ロットつくった、これが一つの操作である、このバケツに、精製した硝酸ウラニルを濃度を均一にするためにまぜるという操作をして、それを再び幾つかのロットに仕分けるのが今回の主な作業でございました、こういうお話だったように思います。非常によくわかる話でございます。  今まで、いろいろなところにプロセスがずっと流れておりまして、新聞等で長いプロセスがずっと説明されているのですが、実は、今回のこのプロセス、ところどころで切れておりまして、本当は、今回やりたかったのはこの部分だけだということの説明でございました。このことの確認をまず一つお願いしたいと思います。  それから、ジェー・シー・オーの今回の転換試験棟は、五十八年の十一月の時点で核燃料物質加工事業変更許可申請書を出しまして、そして試験棟から加工施設に移管をしております。これに伴って、最高濃度二〇%未満のウランの処理能力、これを三トンの認可を得たということでございます。これは、いわば今回の加工が高速増殖炉「常陽」のための加工であったと聞いておりますが、この高速増殖炉専用の再転換施設であったのかどうか、ほかの使用がなかったのかどうか、この二点についてまずお伺いをしたいと思います。
  188. 越島建三

    ○越島参考人 お答えします。  最初の御質問でございますが、現地で御説明したとおり、「常陽」の今回の仕事については二つのプロセスがございまして、最初は、不純物を含んだ酸化物を精製してピュアな酸化物の粉末にする、この仕事は終わっておりまして、今回の事故に関する仕事は、その酸化物を溶解いたしまして非常にウラン濃度の高い硝酸ウラニル溶液をつくるという仕事をやっておりました。先ほど御指摘のとおり、今回は七バッチのウランを溶解いたしまして、それが貯塔に入るべきところが沈殿槽に入ってしまった、これが事故の直接の原因でございます。  それから、昭和五十八年に加工事業の変更許可申請をいたしましたが、目的は高速実験炉「常陽」の原料をつくるためでございます。ただ、それ以外のものが全くなかったかといいますと、例えば、海外で軽水炉燃料の試験をするということで、八%の濃縮ウランを十キロつくるとかいうことで、短尺燃料をつくって海外で照射するというような試験に用いられる粉末をつくったことはございます。量的には非常にわずかでございます。  以上です。
  189. 西博義

    ○西委員 年間の処理能力が三トンということでございますが、「もんじゅ」が今御存じのように停止をしております。「常陽」だけの状態でございますが、今おっしゃられたように、「常陽」の高速増殖炉用にということでしょうけれども、稼働している期間が大変短いということからすると、日本の再転換工場は二社で、そのうちの高濃度の処理を扱っているのがここのジェー・シー・オーさんの施設だけだというふうに私は認識をしておりますけれども、そういう意味では、会社としては先々のことも考えて、試験に試験を重ねてようやく認可を得て高速増殖炉用の再転換工場として出発をして、「もんじゅ」が正常どおり稼働していればもう少し経営的にも見通しが立ったのじゃないかなということを、私はウランの全体の循環の中でそういうふうに今の再転換工場の位置づけを考えているわけでございます。  日本でただ一カ所ここだけが再転換をしているという意味から、先ほどの社長さんの初めの経営方針にもありましたように、不況ですからどこでも厳しいんですけれども、そういう大きな流れの中で、いわばこの施設そのものが余り役に立たないという言い方は非常に失礼ですけれども、工場の経営的にはかえって迷惑施設と言うたら非常に言い過ぎでしょうか、たまにしか使われない、そういうふうな施設に成り下がっていたという事情はないかどうか、御確認をしたいと思います。社長さんで結構でございます。
  190. 木谷宏次

    木谷参考人 当社の事業の主力は軽水炉用の燃料の再転換でございますので、経営の基礎はそれによるわけでございまして、そちらは海外との競争で厳しい状況であったということでございます。ただ、この設備は「常陽」の専用設備でございますから、「常陽」が運転される限りやりたいというふうに考えておったところでございます。
  191. 西博義

    ○西委員 私が申し上げたいのは、年間の稼働とかそういうことから考えますと、一般の軽水炉用の生産は順調にいっているんですけれども、ここはついでといいますか、採算を度外視して「常陽」のためにつくってあげよう、こういうことが実態なのではないか。これだけの経営収支を見ると全く採算に合わないけれども、全体の原子力核燃料サイクルの中ではやむを得ぬというか、消極的なそういう位置づけにあったのではないかという感じがしてしようがないんですけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
  192. 木谷宏次

    木谷参考人 お答えいたします。  こういう特殊な、やや研究開発的なものでございますので、契約に際しては必要なコストをいただけるようなことでやっているというふうに承知しております。
  193. 西博義

    ○西委員 それで安心をいたしました。最低限そういう事態になっているということは、うまくいっているんだろうと思います。  では、話を変えます。九七年六月三十日に改訂して十月二十七日に発行されたジェー・シー・オー作業手順書、いわゆる裏マニュアルというふうに言われていると思うんですが、これを見せていただきますと、改訂の理由として、「現状の製造手順とマッチせず全面改訂。」こういう理由でもって改訂をしております。どこがどういうふうにマッチしなかったのか。それの前提として、私は、このマニュアル以前の正常なマニュアルというのをぜひとも見せていただきたい、またどうなっていたのかということを教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  194. 越島建三

    ○越島参考人 お答えいたします。  先生が御指摘のマニュアルは、初版が一九八九年に出ておりまして、九七年の改訂版はそれを改訂したものでございます。通常、私どもの社内の文書管理規定では、新しいマニュアルができたときには、要するに改訂された場合には旧のものはその変更理由を付して廃棄するというような規定に一応なっていまして、現時点では、八九年のマニュアル、初版が所内に見つからないのが現状でございます。
  195. 西博義

    ○西委員 廃棄するということはいいんですけれども、本当に焼却してしまうということは後々のためにも大変問題があると思うんですが、ぜひ、もう一度、この事件の全容を解明するためにも、もし可能性があるんだったらお探しをいただきたいというふうなことを要望しておきます。  改訂された操作マニュアルを見せていただきました。いわゆる裏マニュアルでございますが、形状制限した貯塔の下部ラインをまず切り離しをするとか、それから溶液循環用の仮のラインをつけて貯塔から循環をする、さらにそれに窒素を流しながら攪拌をして七つのロットを均一にまぜる、こういうことがこの操作の主な手順、攪拌の部分の手順ではないかと思うんですが、私、正直申し上げて、この手順そのものが臨時に、本当は何かはっきりしたラインがあればいいんだけれども、ここでやれるからうまく工夫をしながらやっているな、いわゆる実験室、研究室の延長のような形で、仮に間に合わせにこの操作をやっているのではないかな、こういう印象がぬぐえないわけです。そういう意味では無理やりに間に合わせながらその操作をやったとしか思えないなというふうに考えているんですが、この点についての御見解はいかがですか。
  196. 越島建三

    ○越島参考人 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、手順書には、循環系の配管を仮配管でつくる、正規の配管は貯塔から沈殿槽に液が張り込まれるというのでございますけれども、循環のために貯塔一塔を使って仮配管で循環をするということで、これも私どもの現場で工夫してやったことだと思いますが、確かにこういう変更があるとすれば、科技庁さんの認可をいただいて実施すべきところを、私どもの社内でそれを見逃してきたというところがございます。     〔中谷委員長代理退席、委員長着席〕
  197. 西博義

    ○西委員 そんな意味で、このジェー・シー・オー作業手順書そのものが裏ですから、そういう事態も当たり前といえば当たり前なんですけれども、確かに窮屈なことをやっているという印象を受けてしようがありません。  これが本当に認められたのか。これはちょっと急ですけれども、これそのものは科技庁は全く存在を知らないということでよろしいのですね、今までは。
  198. 間宮馨

    間宮説明員 お答えいたします。  十月四日の立入検査で初めて発見いたしました。
  199. 西博義

    ○西委員 この件では最後になるんですが、先ほど、一般の原子力発電所用の再転換が主な作業だということですけれども、こういうふうな形で、硝酸ウラニルの水溶液の形、液状で出荷するというような手順は非常にまれなケースではないかというふうに思うんですが、これは特殊な作業工程になるんでしょうか。
  200. 越島建三

    ○越島参考人 お答えいたします。  「常陽」の転換試験棟は、そもそもが粉末を最終製品とするような形で設備の設計を行っております。その後、「常陽」はプルトニウムの溶液と硝酸ウラニルの溶液を混合転換するという形になりまして、そのために三百七十グラムウラン・パー・リッターという非常に高濃度のウランをつくるということで、その御要請を受けまして、既存の設備の中でいかにしてそれをつくるか、大変苦慮いたしました。  その中で、いろいろやった中で出てきたのが結果的に今のやり方であって、これがちゃんと認可とかいただかないでやってきたというのは大変私どもの不備でございました。
  201. 西博義

    ○西委員 その段階で、この製造様式の変更プラス追加の、本当に小さな部分なんですが、追加をされているように思うんですが、その後の部分が会社にとっても大変難しいというか、今まで予定していなかったものですから、複雑になったのではないかという印象を私は受けました。  いずれにいたしましても、このたびの事故は、日本原子力行政のみならず、日本の安全に対する認識を根底から覆す深刻かつ大きな問題を提起していると私は思っております。きょう御出席委員長佐藤さんは先日新聞で、審査後の全く理解に苦しむような行動をどこまで予測できるかという問題だ、先ほどもちょっとそういう趣旨のお話がございましたが、そういうレベルのことまで考えざるを得ないということではないかと。私も同感でございます。うっかり間違えた、こうじゃなくて、もっと深刻なレベルで考えなければならないということですが、最も安全に注意すべきこの施設で行われたということは、私は憤りさえ感じております。  この事故の本質は一体どうだったのか。どうしてこういうことが、ここまで深刻な事態がこの会社に起こったのか。就任間もない社長さんに質問するのは若干酷ですけれども、何か考えられることがありましたら、一言コメントをお願いしたいと思います。
  202. 木谷宏次

    木谷参考人 お答えいたします。  長年あの地で事業をさせていただきまして、その間、特段の事故もなくやってまいりまして、地域の中でもいつの間にか、ああいう設備があそこにあるということも知らない人が出るぐらい、溶け込んでしまった。同時に、事業をやっている我々自身も、ひょっとしたらそういうことになれてしまって、企業体質として何か不十分な点ができてしまったのじゃないかというふうに反省をいたしております。
  203. 西博義

    ○西委員 ジェー・シー・オーに対する質問はこれで終わらせていただきます。  次に、科学技術庁への質問です。  私どもの党、公明党も翌日に早速派遣団を組織しまして東海村に行きました。村長さんにも会い、その当時の本当に緊迫した状況をお伺いしたわけですけれども、その後も、先週、公明党の神崎代表もこのように臨界事故に関して申し述べております。  一番目は、事故原因徹底的な解明と結果の公表をすべきだ、二番目は、すべての原子力施設の総点検と結果の公表、それから安全基準、監督監視体制の見直しをすべきだ、三番目、希望者への健康診断を無料で実施すべきだ、四番目、原子力損害賠償法の見直しを求める、こういう四点の提言を代表みずから先週発表をいたしました。この四点に対して、ぜひ積極的な御尽力をお願いしたいと思います。  特に総点検につきましては、先ほど辻委員からも話がありましたけれども、これまでもたびたび総点検を繰り返してきております。再処理工場の火災爆発事故、その前には「もんじゅ」の事故、そのたびごとに点検を繰り返しておりますが、依然としてこういう問題が後を絶たない。今回も緊急の総点検を行われていることは承知をしておりますけれども、核燃料施設だけの点検であり、すべての原子力施設についてやはり踏み込むべきだ、国民の不安、不信はここまで来ているのではないかというふうに私は認識をしておりますが、この総点検について、一言御見解をお伺いしたいと思います。
  204. 間宮馨

    間宮説明員 お答え申し上げます。  今回我々が行っております総点検は、臨界管理を中心にいたしまして、原子炉等規制法に基づき、許可または指定を受けている加工施設、再処理施設、使用施設のうちの一部ですが、二十事業所についてまず十月四日から実施してまいりました。このうち、ジェー・シー・オーと同様な加工施設の許可を受けている事業所を中心として、八事業所の総点検の結果を第一報として取りまとめて、十月十二日に公表してございます。  これら八事業所につきましては、臨界管理を中心として、施設設備、作業・運転方法並びに教育訓練の観点から総点検を実施した結果、基本的な安全性確保はなされているということを確認してございます。特に、作業手順書作業記録の照合をいたしておりまして、その結果、手順書どおり作業が実施されているということは確認をいたしております。  さらに一層の安全確保徹底を図る観点から、二社の四事業所に対しましては、教育頻度の向上等の改善点を指示したところでございます。  残りの十二事業所につきましても、総点検の結果について、早急に取りまとめを行い、公表することといたしております。  さらに、当庁所管の原子炉施設につきましても、「もんじゅ」「ふげん」の二施設において立入検査を行っておりますし、さらにすべての施設に対して手順書等についての報告を求めているところでございます。
  205. 興直孝

    ○興説明員 お答え申し上げます。  希望者への健康診断を無料で実施すること並びに原賠法の見直しのお話を御指摘になられたわけでございますけれども、希望者への健康診断につきましては、御案内のとおり、現地東海村あるいは茨城県下におきまして、事故直後には、日本原子力研究所、核燃料サイクル開発機構等の専門家の協力によりまして、サーベイメーター、ホールボディーカウンター等で放射線検査を行ったところでございます。また、事故後、十月の二日、四日にかけまして、茨城県が、事故施設周辺の方々の健康を確認する観点から、五百メートル以内にお住まいの方もしくは勤務されている方々に、希望のある方に対しまして、厚生省の支援を受け血液検査等の健康調査をなさったところでございます。私ども、この問題につきましても、厚生省ともどもその後のフォローの問題についても現在対応しているところでございます。  また、その後、東海村におきましては、東海村長の御要請を受ける形で、専門家の方々、放医研の医者による説明会であるとか、あるいは関係する方々の健康相談会を実施してきてございます。今後、大事なのは健康相談、健康管理の面だろうと思いますので、厚生省とも十分連携をとって対応していきたいと思います。  また、原賠法の見直しのお話でございますけれども、原賠法は、ちょうどさきの通常国会におきまして、その金額の高などにつきまして改正を図ったところでございます。今大事なのは原賠法をしかと適用することだろうと思ってございまして、審査会の設置をきょう諮ったところでございますが、その適正な執行を早急に図られるよう努力していきたいと思ってございます。
  206. 西博義

    ○西委員 日本はウラン資源が非常に少ないわけですが、エネルギー問題の一環として、このウラン資源の有効利用を図って、かつ将来のエネルギーの安定供給を目指す、こういう観点から、使用済み核燃料を再処理して、そして回収されたプルトニウムを利用していく、いわゆる核燃料サイクルを原子力政策の基本として今まで進んできました。「もんじゅ」の事故、これによって高速増殖炉が一つ大きなダメージを受けました。今回、再転換工場における臨界事故ということで、この核燃料サイクルの輪の中にまた大きな亀裂が入ったというふうに言わざるを得ないのではないかと思います。  もちろん、冷戦時代からずっと温めてきたこの核燃料サイクルは、いわば日本ですべてのサイクルを完結するというところから基本が発せられているように思いますが、それが現実問題として、もう既に外国からの輸入がたくさんあったり、または外国の企業でさえ参入しようかというようなニュースもある中で、この核燃料サイクルの計画そのものは、これは一体今回の事故によってどう影響されるのか、またどうなっていくのかということを御質問したいと思います。
  207. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員おっしゃいますように、資源の大変乏しい我が国におきましては、使用済み燃料を再処理して回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料リサイクルが原子力政策の基本でありまして、今後とも変わらずに着実に進めてまいりたいと思っております。  今回のジェー・シー・オー事故によりまして、我が国原子力政策に対する国民の不安が高まっておるわけでありますが、核燃料サイクル政策の円滑な推進を図る上で一層努力をしていくことが必要だ、そういうふうに思っております。  また、このような状況の中で、政府におきましては、事故原因徹底究明、また応急対策、そして近隣住民皆様への対応、さらに再発防止及び緊急時の対処対策を今検討しているところでありますが、このような対応を速やかかつ十分に尽くすことによりまして、今回の事故で失われました信頼を取り戻すことが使命と考えるところでございます。引き続き誠心誠意努力をしてまいりたいと考えております。
  208. 西博義

    ○西委員 最後の質問になりました。時間がございませんので一つだけ質問をさせていただきます。  今回の事故で、東海村の村長さんが屋内退避住民に呼びかけました。その際に、防災無線で呼びかけてくださったのですが、耳が不自由な方がいらっしゃって、事故の翌日までこの屋内の退避を知らなかったという報道が一部新聞でありました。  私は、去年の八月にも、福島県の社会福祉施設のからまつ荘が土石流で被災したときに、災害に対して弱い立場の人、体の不自由な人、お年寄りだとか障害者、こういう人たちは地域が一体となってやはり助けるための方策が必要なのではないか、こういうことを提案させていただいて、自治体の地域防災計画の中に災害弱者の避難体制、この整備をぜひともやってほしい、こう主張いたしました。  五月二十八日に行われた災害対策特別委員会でも自治省に提言をさせていただきましたところ、かなり前向きな答弁をいただきました。自治省では地域防災計画の点検を行うことを既に通知した、こう報告を受けておりますが、その通知を受けて、現在自治体の地域防災計画に災害弱者の避難体制についてどのような改善が見られたのか。都道府県もしくは、もしわかれば市町村の地域防災計画について状況をお聞かせいただいて、時間でございますから終わりたいと思います。
  209. 鈴木正明

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  消防庁としましては、各地方公共団体に対しまして、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて地域防災計画の点検、見直しを行う際には、災害弱者に対し情報伝達などの避難時の体制整備について配慮をするように指導してきております。  お話のございました昨年の福島県でのからまつ荘の土砂災害による被害を踏まえまして、ことしの五月、災害弱者施設に係る対策に関しまして地域防災計画の点検を再度行うように通知をいたしております。また、ことしの六月に広島市で、佐伯明星園におきまして死者一名ということで災害が起きましたので、この災害弱者に対する対策というものを点検するように地方団体に緊急にまた御連絡をいたしております。  そこで、都道府県、市町村の対応状況でございますが、既に多くの都道府県では地域防災計画に盛り込んでおります。例えば福島県におきましては、昨年のからまつ荘の事例なども踏まえまして、災害弱者に対する救援措置に係る民生委員・児童委員方々、また消防団、自主防災組織、ボランティア団体との連携を図る、また、災害弱者施設が被災した場合の施設相互間の受け入れ協定の検討を行う、また、避難所におけるバリアフリー化を図るなどを新たに盛り込んだ修正を行っているところでございます。  また、現在国と協議中でございます栃木県の計画の修正案におきましても、市町村等による巡回、相談、指導によりまして地域の災害弱者の把握あるいは台帳の作成ということ、また災害時における救護体制について迅速な対応ができるような体制整備をするといったような内容が盛り込まれているところでございます。  市町村につきましては、都道府県と協議して決めるということになりますが、都道府県の対応というものを踏まえて、市町村計画でも災害弱者対策を織り込むという取り組みが進められているものと承知しております。ほとんどの市町村において見直し作業に入っております。  そういう状況でございまして、消防庁といたしましても、引き続き災害弱者対策に十分配慮した地域防災計画をつくるように指導してまいりたいと考えております。
  210. 西博義

    ○西委員 どうもありがとうございました。
  211. 北側一雄

  212. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回の茨城東海村の事故は、技術的側面では、株式会社ジェー・シー・オーのずさんな運転により我が国で初めての臨界事故を起こしてしまったというのですが、社会的側面においては、多数の被曝者を出し、また多数の住民避難退避を余儀なくされたという、一般市民にまで影響が及んだ極めて重大な事故であり、まず、被災者の方々に心からのお見舞いを申し上げる次第であります。  実は、私はこの事故をパリで知りました。日本マリ共和国議員連盟の方々と、マリの国からの招待で訪問の途上でありましたので、一日の朝刊でこのことを知ったわけです。出迎えの大使館員に情報をもらいましても詳細がわかりませんでした。  そこで、私、フランス語は読めないんですが、英語も弱い方なんですが、このガーディアンという新聞が、「ハンドレッズ オブ サウザンズ オブ ジャパニーズ アト リスク フロム ラジエーション イン ワースト アクシデント シンス チェルノブイリ」と言うんですね。チェルノブイリ以来の最悪の事故で十万人の日本人がリスク、いわゆる放射線からのリスクにあると言いまして、このニュークリア・ブラストという言葉ですね、これはいわゆる原子核の爆発ですね。そしてこれに関連するトリガー、引き金の危機、ですから関連の危機にあると言うのですね。  これを見ますと、私が今までこの科学技術委員会原子力産業に対してはもう本当に誠心誠意協力し、これの健全な発展のために促進していたのが、今までは周辺事故だったのが、今回は原子核が爆発したとなると、どこか原子炉でも爆発したのかな、いやいや、これは大変なことが起きたぞと。もう既に三五、六%、東電においては四〇%の電力を今原子力発電で賄っておりますので。  それで、そのまた二日にはマリに行きましたから、内容がなかなか、向こうからの情報は二日ぐらいおくれてとってはおりましたが。  大体、今回のこの事故の発表にあっても、何で真実が、敏速な情報公開がなされないのか。こういうことがなされないと、こういう英文記事のような、これは委員長の許しを得て長官の方に提出しておきますが、国際的な日本不信を巻き起こす報道がなされるということには、全く、後からなってみて怒りを感じるくらいでございました。  そこで、第一回の質問は、この情報公開、私も何回も今まで事故が起きるたびにいわゆる対応を要求しているのですが、どうもこういう点、どこか日本のこの役人、またこういう公共事業に携わる方の精神的なモラル、責任意識、いや、私に言わせたら犯罪意識が足らぬなというふうに感じまして、そのことでこれから質問をさせていただきたいなと思っております。  本当に、今回の事故は、新幹線のトンネルにおけるコンクリート落下事故あるいは防衛庁の入札談合の事故、さらにまた、これは民間といっても広域性の高い電力会社が、石川県での原発用地取得にゼネコンを介在させ、当初提示の三倍以上の額を支払ったというこの記事内容などから見ましても、このままでは本当に、日本はもう亡国の兆しを、もう内部が腐敗してきているな、このように感じております。ゼネコンの記事はここにありますが。  そこで、こういうことに関連してまた質問を進めますが、一体、今回事故を起こした燃料製造の発注は、だれがどういった指揮によって行っているのか、まず原子力局長の方からお聞きいたします。
  213. 興直孝

    ○興説明員 お答え申し上げます。  今回のこの燃料製造にかかわりますものは、サイクル開発機構が、茨城県大洗町に設置しております高速増殖実験炉「常陽」用の燃料、加工の前のものでございまして、再転換加工用のものとして発注をいたしたものでございます。
  214. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 核燃料サイクル機構といいますと、これは特殊法人で、この発注であれば、国の事業と言っても過言ではないわけであります。ジェー・シー・オーに対しては、国の事業の施行に当たり違法行為を犯したことに対して、やはり厳しく罰則が科せられるべきだと私は思っております。  大体、この報告している、これも新聞内容なんですが、マニュアルを手抜きして製造する、さらにそのことで利益を追求したと言われても仕方ないような、そういうことは民間の商取引においても詐欺まがいの行為ですからね。ですから、今回の事故に限らず、こうした公共性の高い事業における事業者の違法行為が原因と思われる事故、事件が続いていることを非常に憂慮して、このような公共性の高い事業を受け持つ事業者が違法行為を行った場合の法体系はどうなっているのか、刑法の範囲も含めて、ひとつ法務省の方にお伺いします。
  215. 松尾邦弘

    ○松尾説明員 現在のお尋ねの事故につきましては、刑事事件としても捜査の対象になっておりますので、これから一般論として申し上げるということになるかと思いますが、公共性が非常に高くて危険性も非常に高い、こういうような事業を実施する事業者に対しましては、まず個々の行政法規によりましてさまざまな角度から行政的規制が行われているところであります。その規制に対して違反いたしますと、個々の行政法規にいろいろな形で刑事罰則が設けられている、これが基本的な罰則体系だということになります。  そのほかに、事業者らが業務上必要な注意を怠って人をけがさせたり、あるいは死亡させたという場合になりますと、一般的に刑法の二百十一条には業務上過失致死傷罪についての規定があります。一般的な規定といたしましてはこの刑法の規定が動くということになっております。  以上でございます。
  216. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回の事故に限らず、国の事業を受け持つ事業者は公共性の高い事業を行っているという責任感を持つべきであり、国としても事業者の意識を高めることが緊要であります。そのためには、やはり法のいわゆる裏づけも必要であります。  本来、民主主義とは、これは私の解釈で言ってもなんですが、個人の信頼の上に成り立つ原理原則で社会の安寧秩序を確立していこうとする制度でありますが、この個人の信頼を破るのはうそであり犯罪ですから、犯罪以外の基本人権であり、犯罪以外の自由なんですよ。ですから、米国でもちゃんと自由剥奪罪という法がある、ドイツなんかでは基本権の制限や国籍剥奪罪という法まで持っておるんですが、日本ではどうもこういう法整備がおくれておりますから、ひとつ法務省の方でも、時代に合わせて、こういう意識を高め、倫理意識を高めてもらわぬと、これは本当に日本は亡国の道を走るだけですから、よろしく法整備をお願いしたい、このように思っております。  次の質問に移りますが、今回の事故の背景には、ウラン燃料転換加工の仕事の発注減、あるいは国際価格との関連とかというようないろいろ外的遠因があるようにも新聞が報じていましたので質問するんですが、一体、日本のウラン燃料加工費は国際価格と比べてどうなっているんですか。  私、資料を出してくれということで要求しましたら、これは一九八七年、一九八九年に出して一九八七年ですから、こんな古いものじゃどうも比較にならぬなとは思っているんですが、そして、これはニュークリア・エナジー・エージェンシーというところの出典ですが、ここによると、ウラン燃料加工費がいわゆるキログラムウラン平均大体二百ドルですね。安いときは百七十五ドル、高いところで三百ドルで平均が二百ドルとなっているんですが、この点はどうなっているんですか。  これは、私も出席要求を核燃料サイクル開発機構の方に出しませんでしたので、科学技術庁の方に質問しても、ちょっと今回は無理かな。
  217. 興直孝

    ○興説明員 お答え申し上げます。  十分なお答えになるかどうか自信がございませんけれども、現在、サイクル開発機構と当該ジェー・シー・オーとのウラン転換加工契約につきまして、今回、当該事業がジェー・シー・オー側に与えた影響、いろいろな意味で厳しい運転状況になっておるのかどうか、そういうふうなこともありましたので、一応念のため調べたものでございますけれども、キログラムウラン当たり大体三十万円ぐらいの値段となってございます。これは転換加工のキログラムウラン当たりの値段でございます。  他方、また世界全体は、このあたりはある意味ではやはり企業秘密に属するようなものでございまして、なかなかウラン燃料加工費におきます数値が十分ではございませんけれども、OECD・NEAの評価された結果では、ウラン燃料加工ということで、一九八七年米ドル価格ベースでキログラムウラン当たり三百ドルという数字が示されてございます。
  218. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今聞きまして、三百ドル。長官、三百ドルというのは、これは三万円でしょう。三十万となると十倍でしょう。これは国内で生産すること、また安全性確保のためにも国内の技術開発が必要なんですが、しかしやはり国際価格との差も考慮に入れたコンセンサスがないと、こんな機構なんかみんなつぶして、別な民間に任せた方がいいんじゃないかというような気がするんですよ。
  219. 興直孝

    ○興説明員 一つ仮定条件がございますので、その点ちょっと御説明が不十分でございました。  ウラン燃料加工費におきますOECD・NEAの評価の方は、多分これは微濃縮のウランとかそういうものではないかと思います。他方、今回サイクル機構がジェー・シー・オーとの間で結んでございますウラン転換加工契約の方は一八・八%とか中濃縮のウランでございますので、その取り扱い、再転換の加工の問題、そのあたりがございます。恐縮でございますが、その点も御考慮くださいますようにお願い申し上げます。
  220. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 ジェー・シー・オーに発注するときだって、やはり価格はどこを基準とするかという、こういうことなんか今まで全然論議されていないものですから、これはこれからの課題にして、今回はこの質問はこのくらいで一応終わりたいと思っております。ただし、やはり今日本もどんどん規制緩和であり国際化の時代なんですから、もう国内ばかりの、こういう価格差が余り出るようだったら、やはりこれは反省していかなければならぬことではないかということだけを申し上げておきます。  次に、日本で初めての臨界事故ということにより、スーパー等で茨城県の農産物、水産物が納入を拒否されたとも聞いています。そこで、農家への影響の実態を明らかにしていただきたいことと、カイワレ大根のO157の嫌疑での大阪の堺市、あるいはダイオキシン嫌疑での埼玉県の所沢のホウレンソウ問題も、ちょっとしたこういうことで大被害を受けているんですね。ですから、こういうことに対して、いわゆる政府としても風評被害の防止のためにはやはり迅速な対応が必要ではないかと思っております。そこで、現在どのような対応措置を講じているか、講じていこうとするのか、お聞かせいただきたいと思います。
  221. 西藤久三

    ○西藤説明員 お答えいたします。  茨城県産の農林畜水産物につきましては、主要卸売市場における価格、入荷状況等を私どもウオッチいたしておりますけれども、事故後二、三日の間、具体的に申し上げますと十月一日なり二日なり四日の間、一部の品目で入荷量の減少なり価格の低落が見られましたけれども、五日以降は事故前の水準にほぼ戻っておりまして、平常どおりの取り扱いがなされているという状況に大きくはございます。ただ、一部加工食品につきましては、改善しつつあるもののいまだ荷動きが悪い状況にある。  こういう中で、私ども、九月三十日の事故発生後、茨城県農水産物の風評被害を防止する、あるいは円滑な流通を図る観点から、連日、主要スーパーにおける取り扱い状況、売れ行き状況等についても情報を提供すると同時に、その状況を把握してきている、そういう状況にございます。
  222. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 こういう農産物関係その他についても、損害補償につきましてはやはり政府としてもきちんとした支援策を考えていってもらいたいということをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。  今回の事故では一般公衆にも多数の被曝者が出ているし、周辺環境にも沃素が飛散したと伝えられております。原子力発電大国のフランスやベルギーなどでは、万一の事故に備え、健康被害が軽減されるヨード剤を自治体が住民に配付し、住民も何の疑いもなくこれを受け入れる、そういう記事もありました。  それで、周辺住民の不安に対し、周辺住民の今後の健康管理に対して対策はどのようなことをまず考えますか、原子力局長の方にお願いします。これは安全局長の方かな。
  223. 間宮馨

    間宮説明員 まず安全面、お答えいたします。  今回の事故によりまして、周辺公衆への影響は、転換施設からの直接の中性子線及びガンマ線によるものと放射性物質の放出によるものがございます。  直接の中性子線、ガンマ線によるものにつきましては、現在調査検討を進めておりまして、取りまとめを急いでおります。ただし、茨城県が行った周辺五百メートル以内の住民等に対する健康調査の結果からは、直接の放射線障害が疑われる者はいないと判断されたものと承知しております。  放射性物質の放出によるものにつきましては、その周辺環境モニタリングの実施状況が第二回の安全委員会事故調査委員会に報告されておりますが、それによりますと、施設から放出された希ガス等のガス状物質による空間ガンマ線量率の上昇は、最大でも一時間当たり数マイクログレイであり、かつ短時間であった。事故に起因して検出された環境中の放射性物質レベルは低く、かつ、ナトリウム24、マンガン56等短時間で減衰してしまう核種がほとんどであったことから、住民の健康や環境影響を及ぼすものではなかったと考えられております。  今後、直接の中性子線及びガンマ線による被曝線量の評価を急ぐとともに、茨城県とも協力し、環境モニタリングを継続して、住民皆様方の不安の解消に努めてまいりたいと思っております。
  224. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 時間がなくなってきましたので。  今回の事故は、緊急時における住民への通報がおくれたことが初動態勢の開始のおくれにつながり、また、国と地方の通報、連絡、連携体制等に不十分な点があったことが事態の拡大を招いたとも認識しております。  それで、この点について、中曽根長官に、今回の事故をどう反省し、原子力防災のあり方を見直していくのか、その所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  225. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今回の事故におきましては、政府といたしましては可能な限り迅速な対応を行うべく努力をしておるところでございますけれども、委員御指摘のとおり、連絡体制等につきまして反省すべき点もあり、さまざまな教訓を得ることになったと考えております。  今回の事故対応につきましては、既に詳細な検討を始めたところでありまして、問題点と改善策を抽出いたしまして、原子力防災に関する新法の検討も含めまして、原子力防災対策の充実強化に取り組んでいきたいと思っております。
  226. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 どうもありがとうございました。
  227. 北側一雄

  228. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  参考人皆さんには、朝からどうも御苦労さまでございます。  私は、最初に、今回の事故について、臨界事故の判断の時期とその根拠はどこに求めて進められてきたかというその問題から入っていきたいと思うのです。  最初に、ジェー・シー・オーの越島所長には、臨界事故だと判断したのは発生から十分後のことだった、こういうお話を以前にもあなたの会社へお訪ねしてお聞きもいたしておりますし、現地の方でも公式にもそういうお話をしておられますが、事故発生から十分後に臨界事故だと判断されたその根拠はどこにあったのか、これをまず最初に伺いたいと思います。
  229. 越島建三

    ○越島参考人 お答えいたします。  事故が起きまして、十時三十五分に警報が鳴りまして、私どもは日ごろの訓練に従いましてグラウンドに集合いたしました。グラウンドに集合したときに、安管室員がそういうときに必ず持ってくるサーベイメーターが、通常はゼロなんですけれども、そのときに振れておりました。私どもの社員をもう少し距離のあるところへ退避させまして、そこでもまだ針が振れておりまして、それが十分後でございます。  私、そこで考えましたのは、私どもの工場でウランを扱っている状況ではこういうことは考えられない、もし考え得るとすれば臨界しかないなというふうに思いました。まさか臨界が起きるとはそのときもまだ信じられなかったのですが、もうこれは臨界以外に考えられないというふうに思ったのがその時点でございます。
  230. 吉井英勝

    吉井委員 青い光を見たというニュースを、二時半ごろだったと思いますがファクスが入りましたので、私もこれは臨界事故だなと思って、それであなたの会社へ当日たしか午後六時半前ぐらいだったかと思いますがお訪ねをして、それで所長さんから説明を伺ったところでは、当時のガンマ線データしかなくて、午後五時のたしか中性子線が四ミリシーベルトという、それだけしかなかったと思いますが、そのデータが下がらないということもあって、臨界と未臨界の間を、そういう状態を変動しておるのではないかという見方をあなたからお聞きしました。  溶液状態の臨界反応のことですから、これは即発中性子か遅発性中性子か、そこは、当時の状況は私よくわかりませんけれども、今後解析されるんでしょうけれども、いずれにしても、溶液状態ですから、最初のバーストがあって、それから臨界状態が変動しながら続いて未臨界へという、その時間というのは長い場合もあれば短い場合もいろいろありますから、いずれにしても、その時点での所長さんの、臨界事故を起こして臨界状態が続いている、そういう御判断というのは私は当たっていたというふうに思っているわけです。  この点については、今も所長さんはそういう御見解だと理解していいですね。
  231. 越島建三

    ○越島参考人 お答えします。  御指摘のとおりでございますが、ちょっと補足させていただきたいんですが、臨界ではないかと判断した後、今おっしゃったように、臨界でバーストが起こって例えば中の溶液等が飛散すれば、それはだんだん収束していくということもございまして、私どもは中性子の測定器は持っていなかったわけでございますが、ガンマ線の測定器で周囲をサーベイいたしました。  それで、十一時の後半と十二時ぐらいに二回やりまして、線量が下がらないというところで、これはある反応が続いているという認識がありまして、先生がお見えになったときもその状況が続いておるということでお話ししたわけでございます。
  232. 吉井英勝

    吉井委員 この点では、原子力安全委員会の住田委員は、午後二時前に入った情報で、青い光を見たという、それで臨界事故だと判断されたということを伺っておりますが、佐藤原子力安全委員長が、あれが臨界事故だと判断をされたのは何時ごろのことで、判断された根拠は何でした。
  233. 佐藤一男

    佐藤(一)説明員 お答え申し上げます。  何をもって判断というかというその定義の問題も若干あるのでございますが、まず、事故の第一報が私どものところへ届きましたのは十二時前後でございましたが、そのときには、被曝事故であって病院に入れた、下の方に臨界事故の疑いありという文句があったわけであります。  そもそもああいう施設従事者が大量の被曝をするというのは、これは臨界しかちょっと考えようがない。でございますので、それにすぐ続きまして開かれました安全委員会の席上では、もう臨界事故発生ということをむしろ前提とした議論がなされていたわけでございます。
  234. 吉井英勝

    吉井委員 それでは次に、科学技術庁の方に伺っておきたいんですが、間宮原子力安全局長は、参議院でのせんだっての決算委員会での答弁の中で、九月三十日の夕方から夜にかけて臨界事故と判断したという答弁をされました。  それで、科学技術庁として臨界事故だと判断したのは大体何時のことであったのか、それから、科学技術庁として臨界事故と判断したその根拠は何であったのか、また、科学技術庁が、十一時十五分の第一報では、臨界の可能性ありという第一報が入っておったことはけさの配っていただきました資料にも載っておりますが、臨界とそのとき考えなかった根拠は何だったのか、これを科学技術庁の方に伺っておきたいと思います。
  235. 間宮馨

    間宮説明員 お答えを申し上げます。  今回の事故発生後、事業者から第一報が来たのが十一時十九分ごろでございますが、同報では、敷地境界におけるガンマ線の測定値とともに、臨界事故の可能性ありと記されておりました。また、十三時四十二分に受けました第五報では、被曝者一名の話として、約十六キログラムU、濃縮度一八・八%を沈澱槽に移入しているとき青い光が出たという報告を受けていたところでございます。  このようなことから、事件発生当初より臨界事故の可能性ということは十分認識していたところでございますが、確認をいたしたのは、十六時ごろに放射線医学総合研究所から、収容中の被曝者の吐瀉物からナトリウム24が検出されたという報告を受けまして、臨界事故であるという確認をしたということでございます。  それと、臨界事故ということは二つございまして、いわゆる第一回のバーストが臨界事故であったかどうかということと、臨界が続いているかどうかということでございますが、後者の方につきましては、もちろんガンマ線のデータがなかなか落ちないという中では疑いは持っておりましたが、若干逆に緩やかに落ちている傾向もございまして、こういう場合の臨界が多くの場合は一回で終わるということもございまして、そこらにつきましてはどちらであるかということは決めかねておりました。  我々が臨界が続いていたという確信を得たのは、夕方に中性子データが入ったごろでございます。
  236. 吉井英勝

    吉井委員 十月十四日付の神奈川新聞に有馬前長官が、「科学者として失敗だった」という、臨界事故で反省の言葉を語っておられます。  有馬さんは、正午ちょっと過ぎ、臨界の可能性ありと報告を受けた、臨界の可能性があると思ったのはもっと後になってから、中性子線は当然はかっているものと思っていた、中性子線をはかっているかなと聞かなかったのは科学者の長官として失敗だった、もっと早くはかっていれば臨界が起きていることがわかったはずだ、こういうふうに反省の弁を語っておられます。私は、これは非常に大事なところだと思っているんです。  といいますのは、科学技術庁長官にしても、科学技術庁にしても、原子力安全委員会にしても、なぜ臨界事故という判断がおくれたのか。それは中性子線の測定をやっていなかった。これは、ポータブルタイプのものが動燃にも原研にもあったわけですから、すぐ持っていっておればもっと早くわかったわけですが、やはりそこには、許可申請書を認可して以来臨界事故は全く想定していなかったし、臨界事故というのは起こり得ないものという、非常にいわば確信に近い思い込みがあったということがこの判断を非常におくらせたんじゃありませんか。
  237. 間宮馨

    間宮説明員 お答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたように、最初のバーストが臨界であった可能性が高いということは我々も考えておりました。  ただ、そこは思い込みと言われれば思い込みでございますが、多くの場合、バーストは一回で終わって臨界は続かないということが多いというのがございましたし、ガンマ線をずっと我々モニターしておりました。もちろん完全にゼロにはなりませんが、徐々に下がってくる傾向があったのは事実でございまして、そういうところで、我々、どちらであるか疑心暗鬼のままに夕方を迎えたということでございます。  もちろんそれで手をこまねいたということでは全くございませんで、ガンマ線が高いということから、当然何か大きいことが起きているということで、午後一時ごろには当局の次長に担当官二名をつけて現地に派遣はいたしておりまして、現地の方にいわば重点を移していろいろな対応をしたいということで動いていたわけでございます。
  238. 吉井英勝

    吉井委員 最初のバーストの後どうなるかというのは、これは皆さんも過去の事故事例はお持ちのはずで、数秒あるいは数十秒という短いものもあれば数十分もあるし、三十七時間という例もありますから、今回の約二十時間より長い例もあるわけですよ。それを勝手に、何ら判断する根拠もなく、臨界事故であり臨界状態が続いているという判断をしないでずるずるといってしまった。  本当にこれを判断しようと思ったら、有馬長官がみずから反省しておられるように、中性子計測器を直ちに持ち込んで、あるいは那珂研にもあって自動的に測定しておったわけですが、あらゆる手段を動員して早く判断をする、これが非常に必要であったのにやっていなかったというのは、私は、これは科学技術庁責任として本当に重い責任というものを考えてもらわなければいけない問題だと思うんですよ。  なぜかといいますと、これは長官、安全審査の段階で臨界事故が起こらないと想定して、想定外だから事故が発生してもすぐ判断できなかったわけですよ。その結果避難勧告を出すのがおくれてしまった。あるいは、東海村の村長さんは、三百五十メートル以内の方の避難を、これはジェー・シー・オーの方から要請されたんですね、早く逃げてほしいと。これで決断されたんですよ。しかし、国や県は、まだ大丈夫だということで、避難しなさいということを言ってないんですよ。  大体、こういう中性子線による被害を受けるときは、本当に一秒でも早く、一メートルでも遠く、これが原則なんですよ。それがこれだけ対策がおくれてしまったということは、あるいは水抜き等の対策を結果的におくらせることになったりとか、私は、初動の判断がおくれたということについてのこの科学技術庁責任というものは、事故をやった業者の皆さん責任は当然ありますよ。しかし、これは国策でやってきたわけですよ。原子力の問題というのは国策でやってきて、一番旗振ってきた国が全然判断できないでおくれてしまった。  これは大臣の方から、前任の大臣時代のことでということを思われるかもしれないが、しかしそうじゃなくて、これはだれであれ科学技術庁のトップとしての、やはりこの判断のおくれを来してしまった、安全だという思い込みからそれがおくれた、そしてそのことが初動の段階でさまざまな対策をとる上でおくれを来したということについては、私は、大臣、やはり国民皆さんに、反省なりあるいは責任のあなたの思いというものを語ってもらわなきゃならぬと思いますが、これは大臣どうですか。
  239. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今安全局長から、当時の私どもの対応についての説明がございました。前長官の御発言も今承りまして、委員のおっしゃるとおり、結果として事故が起きたわけでありますから、私ども、事故の原因究明とそれから事故後の我々のとった対策等々よく精査いたしまして、反省すべき点は反省しなければならないと思っておるところでございます。全体といたしまして、科学技術庁責任者として、このような事故が起きたことを本当に深く厳しく受けとめておるところでございます。
  240. 吉井英勝

    吉井委員 私は、やはりこの問題では、日本の原発なり原子力技術は大丈夫なんだ、これはもう完成したものだと、今回の事故についても、事故の後でもかなりおっしゃる方がいるんですよ、原発本体じゃなくて周辺技術のところの問題だったと。原発や原子力技術は完成されたものという、本当に抜きがたい安全神話にどっぷりつかってきた、これがやはり今問われていると思うんです。  私は原子力にかかわってきた人間として出発点で一番大事なこととして言わなきゃいけないと思っていますのは、原子力はやはり危ないものだ。だから、危ないからこそ、どう安全なものに抑え込んでいくのかとか、あるいはそのために必要な安全技術の開発をどうするのかということであって、安全なものだという、これまでの安全神話、日本の軽水炉は技術的に万全です、フェールセーフ、多重防護をやっているから大丈夫です、この安全神話の発想から、今まず、この点での政策、発想の転換というもの、これは危ないものだ、その立場に立って臨んでいく。この立場への転換というものは、これはトップがやらないと、トップの方が安全だということで走っている場合に、個々の官僚の皆さん方が、いや、私は違う立場ですというわけにはいかないわけですから、私はこの点は、やはりこの機会に発想、政策の転換、安全神話というものからの根本的な転換に移っていくということが大臣として決断をしなきゃいけないところだと思うのですが、これは大臣、どうですか。
  241. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員御指摘の点も踏まえまして、今後の原子力政策に取り組んでいきたいと思っております。
  242. 吉井英勝

    吉井委員 次に、私、臨界事故を想定していないというところから始まって、防災対策を想定していなかったという問題に触れたいと思うのですが、防災問題についてはまた改めて別な機会に取り上げたいと思います。  ただ、一言。私は久しい以前から聾唖者の方たちと交流がございますので、日本聴力障害新聞というのをずっと購読いたしておりますが、臨時増刊号というのが出されました。その中で、これは四面全部この事故に使っているわけですけれども、この問題について触れているわけですが、当日、健常者にとっても情報不足だったんですよ。東海村へ行きましても、村役場のワンフロアにマスコミの皆さんがいっぱいいらっしゃるけれども、みんなわからない。東京の科学技術庁での記者会見のニュースしか何もわからないという本当に情報不足でひどい事態だったんですが、そういう中で、聾者の人にはさらに情報不足でした。これは増刊号でも紹介され、私も伺っているのですが、ジェー・シー・オー事故時に緊急通報が聾者に直接伝えられなかった問題などを紹介しております。  防災無線での通報も、そばに健聴者、よく聞こえる方ですね、健聴者がそばにいないとわからない。ジェー・シー・オー事故のときに危険を知らずに外出していた人もいるわけです。それから、孤立した聾者の世帯では情報が入らないで不安を募らせていたということ。これは新聞でも紹介しておりますが、テレビに臨界という字幕が出ますね。ところが、臨界という字だけですから意味はわからない。なおのこと不安になってくる。  こういう不安な状態が続いたということで、私は、この点で科学技術庁として考えてもらわなきゃいかぬと思うのは、科学技術庁の広報予算というのは、毎年三百七十億から三百八十億円ぐらいかけて、これまでは主に、原発は安全ですと、原発安全神話の宣伝には金を使ってきたんですが、肝心の住民の安全を守るということについては、これは非常に努力が欠けておった。これは、今回のことを通じて、率直に私は指摘しなきゃいかぬと思うのです。  そこで、大臣避難をするにしても屋内退避にしても、聾者の方たちにも徹底するように、科学技術庁だとか、原発になれば通産省もそうですし、厚生省とか、さまざまな関係省庁と自治体とそれから放送局など、関係するところで直ちに協議して一刻も早くその体制をとるべきじゃないか。そして、科学技術庁臨界事故という判断が遅過ぎたことで情報がよく聾者の方たちに、早く伝えられなかったこととか、国策で進めながら住民を守るという基本的なこと、そこに責任を果たせなかったということについて、やはりこの点でも厳しい反省や、関係する方たちにおわびを言ったり、そして、何といっても体制を直ちにとるというこの決意というものをやはり持って臨んでもらう必要があると思うんですが、この点についても大臣に伺っておきたいと思います。
  243. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今回の事故におきまして、委員が御説明なさいましたような方々、特に障害者の方々におきまして、大変な御不便といいますか、情報が行き届かなかったという点については、深く反省をしなければならないと思っております。  これは原子力事故だけに限りません。いろいろな災害等においてもこれは言えることでありまして、今委員御指摘のような点、十分政府でも、今後の広報体制等、自治体等とも相談をしながら検討していかなければと思っております。
  244. 吉井英勝

    吉井委員 私は、次に、ジェー・シー・オーの幹部の方に来ていただいておりますから、参考人の方に最初に伺いたいんですが、ジェー・シー・オーの幹部の方も社員の方も、自分たちは危険なものを扱っているというその認識を持っていらっしゃったのかどうか、このことを伺いたいと思います。
  245. 木谷宏次

    木谷参考人 お答え申し上げます。  ウランという非常に特殊な、専門的な知識が要るものを扱っており、それが非常に危険なものだ、デリケートなものだということについての認識は、少なくとも幹部社員にはあった。それから、私、社長も、そのあたりを意識しまして、就任のときの社員へのあいさつでは特にそういうことを申し上げております。
  246. 吉井英勝

    吉井委員 幹部社員の皆さんには危険なものを扱っているという認識はあったということですが、これはやはり全社員に繰り返し繰り返し徹底されるということが必要であった。その点では、今の社長のお話を伺っておりまして、企業の中で本当に危険なものを扱っているんだという認識が実は全社員に徹底されていなかったということは、それは確かに一般的には幹部の方も認識しておられたんでしょうけれども、ここにはやはり非常に大きな弱点があったということを実感しました。  次に、科学技術庁の方に伺っておきたいんですが、当然、ウランを扱っているわけですから、通常であれば、こういう分野を勉強する学生が一番最初に勉強することの一つは臨界質量という言葉ですよ。臨界にならないということ、連鎖反応の問題ですから。ですから、中性子線の危険性というものについての認識ですね。当然、臨界質量に達して連鎖反応となればどんどん中性子線が出てくるわけですから、それを浴びないようにするというこの認識は当たり前の話なんですが、この中性子線の危険性についての認識科学技術庁の方はどのように考えておられますか。
  247. 間宮馨

    間宮説明員 お答え申し上げます。  中性子線は、先生御承知のとおり、さまざまな物体を透過しやすくて、生体に対する影響がガンマ線等と比較して大きいといった性質を有しているということは、当然承知しております。  他方、中性子線も含めまして放射線の人体に与える影響は、線量が大きくなるにつれて影響の程度が重くなるわけですが、一定値以下の低線量では影響がない確定的影響と、影響の発生確率は線量に比例するものの影響の程度は線量に関係しない確率的影響の二つに分けることができるということも、当然承知しております。  したがって、低線量の被曝では確定的影響が発生することはほとんどなくて、確率的影響のみが問題になるという認識でございます。
  248. 吉井英勝

    吉井委員 今おっしゃったように、影響については二つの問題があるわけですが、原研などの最近の中性子被曝線量と現場からの距離のデータなど、周辺で測定されているものが少しずつ今公開されつつある段階ですが、科学技術庁の方は、今回さまざまなデータが出てきて、いろいろな方たちが試算も行って、個々に、学者の皆さんが個人的に試算されたものもありますが、それからすると、十時間被曝とか二十時間被曝などを想定したときに、どれぐらいの距離を一応の保安距離として考える必要があるというふうに今お考えですか。
  249. 間宮馨

    間宮説明員 お答えいたします。  今回発生しました事象の中で、今我々がこれからなそうとしておりますのはまさに最初のバーストの影響でございまして、これを明らかにするためには、まず、今現在沈殿槽の中に残っております溶液のサンプルをとらなければいけません。それを分析いたしまして、一体どれくらいの量がいわば実際に寄与したかということを計算ではじき出さなきゃいけない。そのときに、もちろん単純な解析計算だけではございませんで、いろいろなところに残っている痕跡も当然その評価の一部になろうかと思いますが、その作業をいたしまして、実際今回起きたことの影響がどこにどの程度及んでいるかということを明らかにしてまいりたいと思っております。
  250. 吉井英勝

    吉井委員 最初のバーストの影響はこれからなんですが、その影響を別にしても、例えば現場から四百メートル以内のところで二十時間そこにおったという人の場合であれば、これは発表されたデータから見て年間許容線量を超えるものになっているということは大体見込まれるわけです。それに対して、バーストの段階は非常に大きなものが、短時間にしても被曝を受けておりますから、それがさらにどうなるかということは今後検討されるということにしても、私はここで原子力安全委員長にも伺っておきたいのですが、こういう臨界事故としては、大きなのは日本では確かに今回初めてですが、臨界事故のときの保安距離というもの、これは今後どのように考えていく必要があるのか、この点についての安全委員長のお考えを伺っておきたいと思います。
  251. 佐藤一男

    佐藤(一)説明員 これは、どれだけの中性子線が出ていっているか、つまりは事故の規模と申しますか、もちろんそれによるわけでございます。現在私どももまだ検討中でございますので、さらにまた、事故調査委員会の方でもこの点については多分御検討になるものと思っておりますので、まだ確定的なお答えは申し上げられませんけれども、核分裂数にいたしましておおむね十の十八乗ぐらいにまで考えておいて評価すべきものかなというふうに思っております。  ただ、こういう事故防止ないしは事故が発生したときの緩和対策というものは、おっしゃる保安距離でございますか、それが唯一の手段とは考えておりません。そのほかのさまざまな手段もあわせて考える必要もあろうかと思います。それらもさらに調査を進めまして、その上で総合的に最も適切と思われる結論を得たいというふうに考えてございます。
  252. 吉井英勝

    吉井委員 今の時点で、例えば四百メートルとか五百メートルとかあるいは一キロとか、この数字はまだ、もちろんこれは事故の規模によりますから簡単に出るわけじゃありませんが、少なくともこれだけはというものについてまだ現時点では数字は出ないということです。  ただ、住友金属鉱山のウラン製造工場以来、ジェー・シー・オーという分社化した会社になってから今日までの二十六年間、臨界事故対策なしで、中性子モニターもない。実は、せんだって、塩ビポリマーをつくっているある会社へ見に行ったとき、直線電子加速器の施設でさえ三メートル厚さのコンクリート遮へい壁を設けてガンマ線やベータ線の遮へいをやっているぐらいなのですよ。これが民家に隣接してウラン工場があったということは、本当にぞっとするような話ですよ。  これまでは、申請があれば、核燃料加工施設の安全審査が基本であって、しかし、臨界事故に関する多重防護を考えると、施設の多重防護が破れたときの最後の多重防護は何なのか。これは結局保安距離ということをやはり考えていかないとならないわけで、そういう点では、立地点の地理的安全審査、これは一応指針のIIIに言葉はあります。しかし、保安距離を幾らにするかなどの審査基準というのは今までなかったわけですよ。やはり、多重防護を施設の面で考えるんだが、その多重防護が破れたときの最後の保安距離を幾らとるか、この考え方というものは今後の審査の中できちっと見ていく必要があると思うのですが、この点を伺いたいのです。
  253. 佐藤一男

    佐藤(一)説明員 こういう核燃料施設における多重防護という考え方がどの程度まで実際に反映されていたかということも大変大切な問題でございます。それで、これらも含めまして、私ども、今までどういう考え方で例えば審査等が行われてきたのかということも徹底的に調べてみるつもりでございます。その上で、今回の事故を踏まえまして、ここが足りなかった、あそこが不十分だということが摘出されましたら、これはもう即刻と申しますか、徹底的にそういうものを直してまいりたいというのが現在の基本的な考え方でございます。  吉井先生御指摘の点も当然その考察の中に含まれるというふうに御理解いただければと思います。
  254. 吉井英勝

    吉井委員 地理的安全審査の基準を当然含めて考えるということですね。その点だけもう一遍確認しておきます。
  255. 佐藤一男

    佐藤(一)説明員 それも考察の中には入りますけれども、結果を申し上げているわけではございませんので、その点誤解のないようにお願いいたします。
  256. 吉井英勝

    吉井委員 これだけの経験を得たわけですから、余りあいまいなことに済まさない。多重防護は施設で現に破れたわけですから、そのときに最後のよりどころになるのは保安距離なのですから、いろいろ組み合わせて考えたとしても、しかし、やはり保安距離をとっておかないことには大変だということが今回の教訓の一つですから、考えることに含まれる一つという、そういうあいまいさを残さずに、きちっとやはりこれは——審査指針では三番目で一応うたっているわけですね。しかしそれは、まさにおっしゃるようにあいまいもことした表現なのですよ。それをやはり今後検討して、きちんと審査基準というものを検討していくべきだというふうに私は思うんです。この点だけもう一遍、一言でいいですから。簡単でいいです。
  257. 佐藤一男

    佐藤(一)説明員 あるいは私、言葉が足りなかったかもしれません。考えることの一つというのは、何も軽く取り扱うという意味では決してございません。そのほかにもたくさん考えることはある、しかしながらこれも当然考えます、そういうつもりで申し上げました。
  258. 吉井英勝

    吉井委員 日本原電の顧問の板倉さんという方が「立地指針の裏にある考え」という一文を「原子力eye」に寄せておられますが、なかなか大事なことを言っておられますね。潜在的危険から公衆を守ること、これが原子力平和利用にとって大事なことなんだ、安全防護施設をいかにつくっても、潜在的危険性をなくすことはできないんだ、その時点で工学的安全施設が完全なものであっても過信しちゃならぬ、そういう点では、周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないよう適切な措置を講じることが必要なんだ。  要するに、施設が壊れても、やはり最後のよりどころは保安距離しかないわけなんですよ、現実の問題としては。それはもちろん、防護のための土手をつくるとかさまざまな工夫はあるわけですけれども、それはしょせん、保安距離を若干短くするという点では意味はありますが、私はそういう点で、保安距離という考え方というものを今後やはりきちっと入れて考えていかなきゃならぬということを申し上げておきたいと思います。  次に、多重防護についていま少し触れたいと思うんですが、多重防護というのは、誤操作や故意の事故によっても事故を未然に防止する仕組み、こういうことだと思うんですよ。例えば四%濃縮のウランペレットですと、ある燃料会社で聞いてみますと、四十キログラムが臨界質量になります。これはその会社の製品によるものですから、会社によって違うでしょう。極端な話、これはいろいろな工程がありまして、実際に手でつかむこともできる工程がありますから、仮にそれを持ち出して反射体つきの水槽に入れれば、これは全くの極論ですが、臨界事故というのは起こり得るわけなんです。だから、そういうふうな誤操作や故意の事故等があっても、それでも絶対に臨界事故は起こさないという仕組み、これが多重防護という考え方だと私は思うんですが、これは、原子力安全局長さんもこの点は同じ立場ですね。
  259. 間宮馨

    間宮説明員 お答えいたします。  安全審査では、ウラン加工施設安全審査指針に基づきまして、溶解塔から沈殿槽までの工程に入れる取扱量を一バッチ……(吉井委員「いえいえ、私が言ったことが多重防護の考え方でいいんですねということを聞いているんです」と呼ぶ)我々の考えております考え方は、いわゆる、まず取扱量を制限するということ、後はその計量……(吉井委員「いや、だから、誤操作あるいは故意の事故があったときには取扱量も何ももう崩れちゃっているわけだから」と呼ぶ)うっかりミスで二重装荷をしても大丈夫である、そういうところに関しまして、多重防護がなされているということでございます。
  260. 吉井英勝

    吉井委員 どうも意味がおわかりじゃないようですが、なされているんじゃなくて、それに対してちゃんと、誤操作があろうが、あるいは故意の事故等があっても臨界事故等が起こらないように必要な対策をとる、これが多重防護ということなんだろうということを言っているんです。一言でいいです。
  261. 間宮馨

    間宮説明員 誤操作を想定してということはそのとおりでございますが、故意までは考えられないということでございます。
  262. 吉井英勝

    吉井委員 故意も含めて考えないと多重防護ということにならないんですよ。  この点では、やはり今回の臨界事故の教訓からすると、中性子線の測定機器を備えておくということ。これは有馬長官の発言もありますが、動燃の施設へ行ったときには動燃の方たちも言っておられましたし、原研の関係者の方とお会いすると、やはり原研の関係者の方も、三杯、四杯、五杯と入れていけば、当然のことながら中性子レベルは上がっていくわけで、これは異常だと直ちにわかるわけで、これがわからなければ話にならないわけですが、それで未然に防止するとか、仮に臨界反応になったとしても、中の状況が把握できるわけですから、臨界状態をどうして制御して反応を早く収束させるか、そういう対策を進めることができるわけですから。私は、こういう点では、こういう臨界事故発展するおそれありと、これはやはりそういう施設については、今後の教訓としては中性子モニターというものをきちんと考えていくということが大事だと思うんですが、この点についてはどうなんですか。
  263. 間宮馨

    間宮説明員 いずれにしましても、今回こういう事故が起きたということを踏まえまして、あらゆることを検討してまいりたいと思っております。
  264. 吉井英勝

    吉井委員 どうもかみ合いませんな。  原子力安全委員長の方に伺っておきたいと思います。あなた自身も原研でずっとやってこられた方だから、よくおわかりの方なんで。
  265. 佐藤一男

    佐藤(一)説明員 確かに、臨界の可能性のある施設のところに中性子のモニターを置いておくというのは、例えばこれは法令でどこまで要求するかというのは別といたしまして、常識的な措置かとは思います。
  266. 吉井英勝

    吉井委員 それで、私も、科学技術庁ジェー・シー・オー事故の後、最近全国で同種の施設の緊急調査をやっておられますが、その報告もいただきました。  それで、各施設中性子計測器があるかとか臨界制御の措置はあるかとか、どういう状況にあることがその調査でわかったのかということを見たのですが、結局、そういうことはやっておられないということがよくわかりました。だから、調べた後、中性子モニターを設置せよとか、臨界事故時にボロン注入の制御システムを設けるとか、そういうことを検討せよという、それを求めてはいらっしゃらないということが調査報告書でよくわかりました。  私が幾つかのそういう関連のところでお聞きすると、やはり事故の経験から、中性子モニターの設置を考えますというところはありますよ。それから、ボロン注入のやり方がいいのか、ボロンステンレスのようなもので仕切り板みたいにして、仕切ることによって臨界反応を抑制する、そのやり方がいいのかとか、いろいろな方法はあるが、ボロン注入などの制御についても検討していきたい、企業の方は、そういうお考えも言っているのですよ。  なぜ、肝心の科学技術庁の方は、これだけの経験を得ながら、せっかく緊急調査だと言いながら、それを生かすという立場での調査をし、物を言わないのですか。
  267. 間宮馨

    間宮説明員 お答えいたします。  我々といたしましても、今回こういうことが起こったということは非常に深く反省をいたしておりまして、この反省に基づきまして、これから新しいシステムを構築していかなければいけないというふうに考えております。  その際に、今現在、非常なハイスピードで安全委員会の中の事故調査委員会調査が進んでおります。我々としては、この調査の結果を踏まえて、迅速に行動していきたいと思っております。
  268. 吉井英勝

    吉井委員 迅速な行動は当然なんですけれども、緊急調査をやられて、今、常識的には中性子モニターがあった方がいいと委員長おっしゃっておられるのだけれども、それぐらいのことは、問題になっている施設で見て、ガンマ線モニターはあるが中性子モニターがないと、見ればわかるわけで、そうしたら、検討するのですかと聞くか、検討しなさいと言うか、法律上の基準とは離れてそれを迅速にやることが、教訓を生かすという本来のあるべき姿なんじゃないですか。  大臣、どうも事務方の方がもたついていますので、これはやはり大臣が決断されてそういうことを迅速にやらなきゃいかぬと私は思うんですよ。どうですか。
  269. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員が今述べておられる施設というのは、私ちょっとはっきりと聞き取れませんでしたけれども、事故後、私が長官になりましてから、当該施設のいろいろな対策は当然でありますが、そのほかの原子力関係の施設についての調査を至急やるようにと私から指示をいたしました。  委員御案内のとおり、まず二十の施設、それから全国に百五十七ある研究所や大学やあらゆるそのような関係施設等今調査をしておるところでございまして、まず調査をする、そしてどのような体制になっているかということを把握するということが私は第一歩だと思っておりますし、調査をするということによりまして、各事業所や研究所等におきましても、また意識が高まるものと思っております。  その上で、今委員が御指摘の多重防護等の考え方も含めて、それぞれの場所においての事故が起きないようにどうしたらいいかというようなこともこちらで検討していくべきではないかな、私はそういうふうに思っておりまして、今回の調査はその第一歩、そういうふうに位置づけております。  いずれにせよ、今までの発想を大幅に変えるようなことをしませんと再発を一〇〇%防ぐということは難しい。先ほど安全局長から故意は別であるという話がありましたけれども、確かに、原子力施設に限らず、石油化学のプラント、私も石油化学のプラント輸出等をやっていましたけれども、ああいうところで故意があれば、これはもう、周辺何十キロに及ぶ大火災や、パイプラインでつながっておりますから、大事故になるものですから、故意についてはいま一つ考え方はあろうかと思いますけれども、とにかく事故を起こさない最大の努力をするということだろうと思いまして、そういう意味で、今までの考え方を大幅に我々も変えていかなきゃならないと思っております。
  270. 吉井英勝

    吉井委員 私は、科学技術庁も言っておられる核燃料関係の施設、そこについて私も幾つか見まして、それで申し上げたわけです。これは、大臣の方もそういう立場で、ぜひ中性子モニターの設置とか臨界事故対策というものを考えて取り組んでもらいたいと思います。  最後に、一つ問題として、安全指針と安全委員会審査の問題についてなんですが、ジェー・シー・オー東海事業所が、七三年に住友金属鉱山として低濃縮ウラン加工の施設で申請し、八三年に変更許可申請を出し、五%を超える濃縮ウラン加工事業に入る。八四年四月に、安全審査では臨界事故は起こり得ないという申請どおりに臨界事故対策のないまま認可したというのがその間の経過でした。八七年には総理府令が発令されて、三条の二で、問題になるところなんですが、それ以降事業変更許可申請は五回出ているのですが、この三条の二で、五%を超えるものについて「臨界警報設備の設置その他の臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられているものでなければならない。」となっているのですが、一つは、安全委員会はそのとき何か意見を付した上で認可をしたのか。当然、今委員長は常識的とおっしゃったように、臨界警報設備といえば、この場合、私は中性子モニターが常識的だと思うのですが、それをつけなさいという意見を付して認可したのか、その意見を付していないのか、それが一つあります。  もう一つは、八三年の変更申請の後にできた法律はそれ以前の施設には適用しないという問題は従来ないわけじゃない。そういう解釈をされる方もあるわけですが、しかし、その場合には、適用しない理由とその工法を記載した申請書を提出して科学技術庁長官の認可を受けると総理府令二条にあるわけですから、その二条の適用もしないのかという問題がありますね。  私は、この点についてのお考えを伺うとともに、大臣に最後に伺っておきたいのは、ジェー・シー・オーも確かにさまざまな法律違反、規定違反がありました。しかしこれは、総理府令三条の二などに照らしても、臨界警報設備の設置その他臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられているものでなければ本来認めちゃならないわけですよ。臨界というものを想定する。これは安全神話に取りつかれておったらそれが違ってくるのかもしれませんが。だから、そういう点で、違反を承知で認可した安全委員会と、あなたはそのときの大臣じゃないけれども、大臣責任というものは非常に重いと私は思うわけです。  その点について、安全委員会のお考えと、そして大臣のこの点についての責任というものを伺っておきたいと思います。
  271. 佐藤一男

    佐藤(一)説明員 私どもの俗語でツケ、こう申しますが、審査の際に、後続の規制において特に注意すべき点を指摘するということが間々ございます。  本件につきましては、昭和五十九年四月の変更許可に当たりまして、その前に、特に臨界防止のための質量管理を徹底させるという趣旨での指摘を審査の途上で行っておりまして、それを受けて補正申請が出されているところでございます。そういうふうなことでございましたので、これについてはいわゆるツケというものは出されてございません。  それから、今御指摘の技術基準でございますが、これは設計及び工事方法の認可において詳細に援用されるものでございます。基本設計にかかわります安全審査ではそれが直接援用されるということは普通はございません。
  272. 間宮馨

    間宮説明員 お答え申し上げます。  先ほどお示しいただきました府令でございますが、臨界質量以上のウランまたはプルトニウムを取り扱う施設は、臨界警報設備の設置その他の臨界事故を想定した適切な措置が講じられているものでなければならないとされておりますが、今回の事故を起こしました施設においても、設計及び工事の方法の認可に際しまして求められる警報設備の設置として警報機能を有するエリアモニターが設置されておりまして、府令の基準を満たしていると考えております。今回も、実際に臨界事故において当該のエリアモニターが吹鳴をいたしております。
  273. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 これまで、原子炉等規制法に基づきまして施設安全運転安全操業に必要な措置を講ずるなど、科学技術庁といたしましても努力をしてきたところでございます。しかしながら、結果的に今回のような大変重大な事故が起きたということは、規制当局として大変厳粛に受けとめておりまして、これまでの対応について謙虚に反省をしておるところでございます。
  274. 吉井英勝

    吉井委員 終わります。
  275. 北側一雄

  276. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。  私は、まず今回の東海村のウラン再転換施設ジェー・シー・オー臨界事故の基本的な認識についてお伺いしたいと思うのです。  まず最初に、斉藤政務次官にお伺いしたいと思います。まず今回の臨界事故というものの認識ですけれども、ある専門家の方がこういうふうにおっしゃっています。臨界とは、ウラン原子の核分裂で出た中性子が別のウラン原子にぶつかって新たな核分裂を起こさせる連鎖反応が一定の割合で続く状態です。放射線や熱などエネルギーが出ます。連鎖反応を瞬時に拡大させるのが原爆、原子炉の中では中性子の量を調節して臨界状態を維持しています。つまり、今回の臨界事故はいわば原子炉がむき出しになった状態で約十九時間半も制御不能の核分裂が続いたと言えますと言っていますが、この認識でいいでしょうかね。
  277. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 私もそういう認識でおります。
  278. 辻元清美

    辻元委員 引き続きもう一点お伺いします。  その中で、まず最初の三人の作業員被曝量の問題についてこういう見解が出ております。浴びた放射線量は、それぞれ約一万七千、一万三千ミリシーベルト相当と推定されている、この放射線量は広島、長崎原爆の爆心地での被曝量と同じぐらいと言ってもいいと。これはいかがでしょうか。
  279. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 私の認識では、爆心地ではもっと大きいと。大体五百メートルから一キロメートルあたりで直爆を受けた方の被曝量、このように聞いております。大変大きな量でございます。
  280. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、五百メートルいうても大分近いですよね、爆心地と。かなり大きな量である。  そしてさらに、これは今後の対策にかかわってくる基本的な認識ですけれども、放射能災害が怖いのは、数年または数十年たってからがんなどの病気にかかる人がふえてくる、こういう点が非常に怖いという指摘もありますが、そのとおりでしょうか。
  281. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 先ほどお答えにもありましたけれども、放射線影響には二つございまして、ある一定値以上の放射線量を浴びると必ず出てくる確定的影響と、それから、浴びた量、その線量に比例して出てくる確率的影響。この確率的影響被曝線量には全く関係しないわけですけれども、そういう意味で、がん等につきましては、その確率的影響ということで放射線障害である、このように考えております。あり得るというふうに考えられているのが学術的な見解でもございます。
  282. 辻元清美

    辻元委員 といいますのは、今回はチェルノブイリなどの事故と規模等において違いがありますけれども、あの事故などをかんがみた場合、その当時の事故時の初期に亡くなった方々は三十一名だけということだったんですが、その後ウクライナなどでは、七年間に十二万五千人以上が死亡というようなことが関係するのではないかというような統計も出ています。そういう中で、今後の対策としては、長期にわたってしていかなければいけないという御認識だと思います。  さて、そういう基本的な御認識の中で、まず、先ほどから出ています臨界ということについての認識をさらに深めていきたいと思うんですが、私は、ここに「核燃料物質加工事業変更許可申請書」、これは一九八三年十一月二十二日のものですけれども、これが手元にあります。  さて、この中に、最後の方なんですけれども、「加工施設の操作上の過失、機械又は装置の故障、浸水、地震、火災等があった場合に発生すると想定される加工施設事故の種類、程度、影響等に関する説明書」というのがこの申請書の最後の部分についています。今回の事故は、見ますと、この「加工施設の操作上の過失」ということに当たるんでしょうか。いかがでしょうか。
  283. 間宮馨

    間宮説明員 そのように認識しております。
  284. 辻元清美

    辻元委員 それでは、さらにこの申請書の中に、最後の部分に「臨界による事故の程度、影響」という項目があります。この中に、「臨界事故については当施設では、「変更後における加工施設の安全設計に関する説明書」に示した様にいかなる場合でも安全であるよう十分な設計がなされているので臨界事故は起り得ない。」という記述があります。この「いかなる場合でも」という中に今おっしゃいました「操作上の過失」も入るということで許可をされたように思うんですが、それでいいんですか。
  285. 間宮馨

    間宮説明員 過失というものの概念でございますけれども、先ほど申し上げましたように、例えば一回一つの単位を入れます、二・四キロ。入れたことを忘れてもう一回入れるというようなたぐいの過失は当然想定されておりますが、意図的にある考えを持って非常に大量のものを入れるというようなものは過失ということではとらえられておりません。
  286. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、今回の場合も、教育の不徹底とかそれから現場での作業員認識という部分が大きくクローズアップされていますけれども、例えば先ほどから故意という言葉が出ていますが、故意の中には、悪意を持っての故意、これは、当然悪意を持っておりますので別の種類であると考えられますけれども、今までのこの原子力行政の流れからきますと、教育の不徹底等で起こる過失というのは私はこの中の「過失」に入ると思うんですね。  それは何が言いたいかというと、この申請書、これは許可されているわけですね、翌年に。一九八四年六月二十日。今の御答弁を聞いていますと、これは許可したけれども、今回は特例であるというような御答弁に聞こえるわけですが、私はそうではないと思うんです。今回のようなケースは、この前のアスファルト固化施設の爆発事故のときも、いや、今回みたいなケースは想定していなかった、特別であるということがこのところずっと繰り返し行われているわけです。ですから私は、まず最初に、この安全審査の結果、翌年に許可を与えているわけですから、この安全審査そのものに問題があったということをまず謙虚に認めるところからスタートしないと、今回の根本的な解決には至らないと思いますが、いかがですか。
  287. 間宮馨

    間宮説明員 お答え申し上げます。  現在の、現行の安全審査システムと申しますのは、いわば相手方から申請があって、その申請をある審査指針に照らしまして審査をして、合致していれば許可を与えるという仕組みになっております。したがいまして、これは、相手方から申請されたものが相手方の約束であるという考え方で成り立っているシステムでございまして、相手方がその約束を破るということになりますと、これは全くシステム自体が成り立たなくなるわけでございますので、もしそういうシステムでなければいけないということであれば、これは全く新しいシステムの考え方ということでございますので、我々、今回のようなことが起こったということでは、現行のシステムが完全ではなかった、これは率直にそう思っております。したがって、新しいシステムを生み出さなければいけないと思っております。  しかしながら、その新しいシステムというのがどのようなシステムであるべきかについては、これは、現在安全委員会事故調査委員会で行われております議論も踏まえながら、本当に真剣に考えていかなければいけないと思っております。
  288. 辻元清美

    辻元委員 先ほどのこの申請書は、安全であるように十分な設計がなされているので起こらない、こうなっているわけですね。これは先ほどからの形状制限の話だと思うんですけれども、ところが、今回起こっているわけですね。ですから私は、約束事を守る守らない、それも問題になるかと思いますけれども、この今までの申請のやり方の新しいルールというところにどういうことをつけ加えていくのか。そして、もうもしかしたらこれだけ来ますと無理かもしれない。これだけ事故が続いてきているんですよ。同じような答弁を私は何回も聞いています。というような局面まで来ているというぐらい重大であるというように認識していただきたいと私は思うんです。  ちょっと時間がありませんので次に行きたいんですけれども、この審査自体にも問題があると今認められたと思います、今までのやり方ではあかんと。そうすると次は、ここに「保安規定遵守状況調査について」というものがあります。審査されて、その後、科学技術庁監督官庁でいらっしゃいますので、この保安規定の遵守状況について調査されているということになっています。ここも科学技術庁としては非常に責任のある調査であると私は思います。  さて、その中で今回のこのジェー・シー・オーについては七年間にわたって調査を実施してこなかったと思うんですね。これはどうしてなんでしょうか。
  289. 間宮馨

    間宮説明員 お答え申し上げます。  まず、この保安規定遵守状況調査と申しますのは、加工・再処理事業者等施設における保安規定の遵守状況が災害防止上適切であるか否かを確認するということで、行政指導の一環として実施してきたものでございます。それで、この調査におきましては、核燃料物質管理、漏えい対策放射線管理用の機器及び記録等について調査することとしておりまして、改善すべき点等があれば改善を指導するということにしているものでございます。  平成四年度以降ちょっと、七年間でございましょうか、行われていないということは事実でございまして、この間の事情につきましてはこれまでも御答弁申し上げましたが、いわば、濃縮、再処理等法律上いろいろな検査が要求される施設が非常に増大してまいりまして、そうなりますと、こういう行政指導の一環という形でやっているものと法の要求するものとどちらを優先するかとなりますと、そちらの方が優先されたというようなところはあるかと思います。
  290. 辻元清美

    辻元委員 この遵守状況調査の項目に臨界安全管理というのが入っていますね、この中に項目として。普通、私などはこれを見ますと、これだけ二枚にわたってたくさんのチェック項目が出ていると、それぞれについて毎回きっちりチェックして、ちゃんとできているのかというふうにしていくと思いますよ、こういうものがあったら。  これは全くしていなかったということですか。項目がちゃんとありますよね。
  291. 間宮馨

    間宮説明員 調査におきましてあらゆるものが常に明らかになるかということになりますと、なかなかそうではないということでございますが、当時、平成四年度まで行われた調査の結果に関しまして問題があったということは聞いておりません。したがいまして、臨界管理につきましても、当時は見ていて問題はなかったというふうに報告は受けております。
  292. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、ジェー・シー・オーに対してはこの七年間この調査は行ってこなかったということになりますと、それも、調査項目も一々全部やっているわけではないという調査のやり方ですね。そうすると、それ以後、ジェー・シー・オーに対しては、科技庁とのかかわり、どういうかかわりがあったんでしょうか。
  293. 間宮馨

    間宮説明員 平成四年度以降におきましては、一つは、施設検査という法に基づくものをやったことがございます。そのほかには、平成十年の四月以降、運転管理専門官が配属されまして、月一回のペースでここら辺を回っております。  つまり、この工場にもそういう頻度で行っておりますが、この工場におきましては、いわゆる商業用のウランにかかわる工場があと二つございまして、こちらが圧倒的に規模が大きいということで、そちらがやはり優先されてきたということでは、昨年四月以降、三回当該の部分には行っております。  行っておりますが、ここの部分はいわゆる「常陽」の燃料が主でございまして、年間で動いている期間が四分の一くらいでございますし、実際に違法な作業をしている期間というのはその工程の中の十分の一ぐらいということでは、なかなかその瞬間に立ち会うということができなかった。もし立ち会っていれば、当然指摘をして、こういうことには至らなかったと思っております。
  294. 辻元清美

    辻元委員 この間、ジェー・シー・オー関係者、所長さんにお話を伺いました、東海村に寄せていただきまして。そのときに、この運転管理専門官は月に一回来て何をされているのですかというように私は所長さんに質問したかと思うのです。そのときに、大きな施設ですから一部のところを月に一回来て見る程度だというようにおっしゃいましたよね。先ほどから運転管理専門官の役割についても議論が出ておりますけれども、私は全然不十分だったと思うのですね。  その後、東海村の村長さんに意見を聞くために役場に参りました。それで、村長さんに、東海村にはこれだけ核関係施設がある、科学技術庁とどういう話し合いをして、今までどういうふうに説明を受けてきたのかと。村長さんのお答えは、ジェー・シー・オー施設もそのほかのことも、パンフレット等で説明を受けた施設と受けていない施設があると。かつ、この運転管理専門官、一カ月に一回巡回されているのでしたら、普通でしたら、村長さんに今月はこうでしたよと連絡をとっているのかなと思って私質問しましたら、年に一回あいさつを交わす程度だというのが東海村の村長さんのお話だったわけですね。  そうすると、安全審査も不十分、そして、保安規定遵守状況というのも今回の件に至っては七年前から行われていない、そして、その他のところについての遵守調査というのも、今手薄というか、いろいろな施設がたくさんできたから十分できないというようなニュアンスのお答えでした。そして、この運転管理専門官の方に至っては、東海村の村長が、今回も一番苦労されていますけれども、ほとんど接触がないというような状況なんですね。これでこの核関係施設に対してきっちりと指導監督してきたと言えるのでしょうか。いかがですか。大臣に聞きたいですね、大臣
  295. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私どもは、安全審査それから日ごろの検査体制につきましては先ほどからいろいろ御意見、御論議があるとおりでございまして、十分な体制であったかどうかということにつきまして十分な検証をし、そしてまた直すべきところは直していきたい、そういうふうに思っております。  先ほどからのお話の日々の検査体制等につきましては、委員のお話等伺いまして、必ずしも十分ではなかった、そういうように感じているところでございます。
  296. 辻元清美

    辻元委員 さて、それではその中で、いわゆる裏マニュアルというものの存在について先ほどからも話が出ておりましたが、裏マニュアルの存在を見抜けなかったということは、これはどういうふうに受けとめていらっしゃるんでしょうか。まずそこをお聞きしたいです。なぜ見抜けなかったのか。今のお話ですと、いやもうそんなところまで行っていられなかったとか、そういう言いわけにしか聞こえないのですけれども、どういうふうに受けとめていらっしゃるのですか。
  297. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 辻元委員は今大変本質的な議論をされていると思います。  今までのやり方でこういう事故が起きたわけですから、今までのやり方では不十分だったということは証明されたわけです。それで、その議論を突き詰めていきますと、一人の作業員に一人の検査員がつくというところまでいきます。それは明らかにやり過ぎでございまして、どこに線を引くかということが、結局、我々がここで議論をして新しく決めていかなければならない、全く新しいシステムをつくっていかなきゃいけないことだろうと思っています。  少なくとも、今までのやり方では裏マニュアルの存在を見抜けなかった、それは事実でございます。
  298. 辻元清美

    辻元委員 といいますのは、これは裏マニュアルみたいなものをつくらせてしまう監督官庁指導の体質というものがあると思うのです。あの裏マニュアルは、実情に合わせて手順を変えたり、要するに実情に合ったものをつくろうと。何も事故を起こそうと思って悪意でつくったわけではないということは皆さんお認めになっていると思うのですね。  ところが、この体質、これは斉藤政務次官にお聞きしたいのですけれども、ちょっと話が飛躍するようですけれども、例えば、昨年、使用済み燃料輸送容器データ改ざん、捏造事件というのがありました。これで、ここでさんざん議論したわけです。あのときも、一つの企業がデータを改ざんしていた、しかし、それはその会社にとっての実情に合わせたデータであったわけですよ。申請したものと違う。私などは、斉藤さんもあれはかなり厳しく突っ込まれました、これを許しておいていいのかと。  結局、そういうことがあった場合に、その容器は廃棄であるというぐらい厳しい科学技術庁の態度を示さない限り、ここまでひどくなくても、あちこちでそういうデータを改ざんする、実情に合わせていっても、なあなあになっている、まあ許してもらえるんじゃないかというような体質につながった結果、私は、この裏マニュアルが生まれてきたんだと思うのですよ。  この点について、そういう科学技術庁の今までの、データ関係に関するだけではなくて、体質について斉藤さんはいかがお考えでしょうか。
  299. 斉藤鉄夫

    斉藤説明員 今回のことにつきまして、科技庁の体質といいましょうか、現実問題として、実際の工程が、現場の作業をやりにくい、そういう工程であった、だから現場の知恵として別な裏マニュアルができてしまった、それを見抜けなかった科技庁の責任、これはあると思います。  しかし、科学技術庁としてある特異な体質があって今回の裏マニュアルの存在を見抜けなかったということではなくて、先ほど申し上げましたとおり、どこまで細かくチェックしていくのか、限られた資源の中でどこまでやっていくのか。我々はこれまで、今のマニュアルで、今の線引きで十分だと思っていたわけですが、その線引きでは十分でなかったということが今回証明されたわけですので、これを抜本的に変えていく作業をしていかなくてはならない、このように考えております。
  300. 辻元清美

    辻元委員 といいますのは、今約二十事業所の総点検というのが行われているようなんですけれども、この点検に至ってもこのような、例えば実情にデータを変えていくというようなことを果たして見抜けるのでしょうか。  というのは、ここに、これは核燃料サイクルの内部資料なんですけれどもあるんですよ。ここで例えば、ある溶液槽の話でどう書いてあるかというと、設置承認では給液槽の容量は三・六と記載されているが、実情の容量は約五・五であり、四・八で使用していると書いてあるのですね。これに対して備考の欄に、内部的な自己点検で数値を変更して使おうと書いてあるわけです。これは後でお見せしてもいいわけですけれども。  ですから、そういうことをやっても平気でいる体質というのは、私は監督官庁に非常に重大な責任があると思うわけですね。  それで、もう一つ申し上げたいのは、先ほどから、今関係の二十の事業所の総点検を行っていますとおっしゃいました。その一つの大阪府泉南郡の熊取町の原子燃料工業に私はきのう行ってきたんです。そして全部中も見せていただいて、所長の話も聞いてきました。ここは十月の五日から六日にかけまして科学技術庁調査に行っています。ところが、こちらの質問に対してとうとうといかに臨界事故はうちの会社は起こらないかという説明をされるわけですよ。もし起こったらどうするんですかと言ったら、それ以上答えられない。  そして、科学技術庁からのその後の改善点の指摘は、一部の作業手順書をわかりやすくというのと教育の頻度の向上という二点なんですけれども、私がきのう見た限りでも、例えば、全く起こらないとは言えない、その場合どうするとか、中性子線の測量の装置がどうなっているかと聞いても、ポータブルのものが一台あって、一番事故が起こりそうな可能性のあるところに置いてあるから事故があったら使えないとか、それから火災の問題についても普通の消火器で消すと言うんですよ、普通の消火器で。  これは私から見ても、普通の消火器で消す——アスファルト固化施設の爆発のときも、ちょっとした火が残っていて爆発につながっているじゃないですか。ところが、この二点の指導のみ。臨界が起こることを想定して今この点検は行われていないのじゃないですか。いかがですか。
  301. 間宮馨

    間宮説明員 お答え申し上げます。  今回の総点検は、まさに今回の事故が起こったということを契機に行われたものでございまして、いわゆる臨界管理という観点では非常に厳しくやっております。したがいまして、起こった場合どうというところは、そこまではまだ今回の場合は及んでいないと思いますが、臨界管理に関しましてはいわゆる基本的なところはすべて押さえております。
  302. 辻元清美

    辻元委員 今、社民党は、この二十の施設に行けるだけ自分たちでも行ってみよう、調査してこようということをやっていますので、私は、残念ながら今の御答弁ではきのう行って納得できませんでしたので、その点は指摘して、後で科技庁の方にお届けしたいと思います。  さて、そういう中でもう一点お聞きしたいのですけれども、このジェー・シー・オーの敷地内外の環境調査という点です。特に土壌に着目して、土壌の汚染調査はどのようにされたのか、その結果がどうであったのかということをお答えいただけますか。
  303. 間宮馨

    間宮説明員 お答えいたします。  敷地外の土壌につきましては、事故直後から継続的に行われている環境モニタリングにおきまして、敷地周辺、南隣接八十メートル地点から半径十キロメートルまでの範囲で土壌を採取し分析した結果、幾つかの試料から事故に起因すると考えられるナトリウム24、沃素131等の放射性核種が検出されましたが、いずれも濃度が極めて低く、短時間で減衰するものがほとんどでございまして、住民の健康や環境影響を及ぼすものではなかったということでございます。  他方、敷地内の土壌につきましても、転換試験棟の付近、敷地境界付近等の土壌を採取し分析した結果、一部の試料からナトリウム24、沃素131等が検出されましたが、いずれも濃度が低く、あるいは短時間で減衰するため問題となるものではなかった、そういうことでございます。
  304. 辻元清美

    辻元委員 私たちは、社民党の東海臨界事故緊急対策本部調査団ということで、十月の七日に土井たか子党首を団長に土壌のサンプルをとりに行きました。  それで、独自に、京都大学の協力を得て、とってきたサンプル、敷地内外の解析したデータがここにあります。これによると、事故現場そばでは、約一週間たっていますけれども、一キログラム当たり十七万ベクレルのナトリウム24を初め、沃素、カリウム、サマリウムなど非常に強力な放射能を持つ放射性物質が多数検出されたというようなデータなのです。これは政府のやっていらっしゃるものとちょっと照らし合わせたいと私は思うわけです。これは、私たち独自に調査を行っております。あとヨモギなどの調査も行って沃素が検出されたりしております。  ということで、事故現場近くの土壌については、これは後々影響が出ますので、さらに土壌の汚染マップをつくるぐらい細かく検査すること、そして場合によっては、ヨーロッパなどでは、いろいろな他の化学物質の汚染もそうですけれども、土壌を削って万一のために放射性廃棄物として処理するというぐらいの対応をとってもらわないと、私も現場に参りましたけれども、非常にこれは長期にわたって心配であると思います。特に、ナトリウム24のデータについては、公表されているものもあると思いますが、かなり詳しいデータをお出しいただきたいというように思います。それで、私たちの分析の結果と照らし合わせていく作業をさせていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  さて、それでは最後になりますけれども、安全審査、それからその後の保安基準の遵守状況調査、さらにはこの間から言われている運転管理専門官の役割、それから今総点検を二十事業所に行っている、どれも私は、今議論させていただいた限りでは不十分と言わざるを得ないというような意見です。  最後になりますけれども、これは大臣にお伺いしたいのですが、ここに私は幾つかの議事録を持っています。これはちょうど三年前、中川国務大臣の折の、「もんじゅ」の事故が起こったときの議事録なのです。このときどうお答えになっているかといいますと、  今回の事故の経験を踏まえ、科学技術庁自身が情報を的確かつ迅速に入手する体制を構築する必要があると判断し、現地に常駐する運転管理専門官制度を強化する等、当面取り組んでいくべき運転管理面の対応についての考え方もあわせて取りまとめました。特に、事故時における情報公開のあり方等について幅広く検討し、事業者のみならず科学技術庁みずからも調査確認した内容を、現地を含めて一層積極的に公表していくことといたします。さらに、設計、検査及び品質管理等に係る安全規制面においての改善策についても、原因究明の結果を踏まえて取り組んでいく所存であります。  今後、さらに調査を進め、万全の安全対策を講ずるとともに、節目節目には必ず積極的かつ速やかな情報の提供に努め、地元方々国民皆様の御理解と信頼が得られるよう最大限努力を重ねてまいりたい これが三年前。  二年前のアスファルト固化施設のときも同じです。「「もんじゅ」に続き、二度目の大きな事故を起こしましたことは、原子力行政に携わる私にとって、まことに申しわけなく、残念に思っている次第でございます。」これは近岡国務大臣でした。「私は、安全の確保に万全を期すとともに、地元方々国民皆様原子力に対する不安を解消し、信頼が」同じなんですね。  そして、データ改ざんのときも、読みませんけれども、データ改ざんは去年です、そして、この間、敦賀の二号炉の水漏れのときも同じようなトーンでずっと言っていらっしゃるわけですよ。  私は、もうこのようなことは、きょう中曽根長官は初就任でそういう同じようなトーンのことをおっしゃったと思いますが、ここで終わりにしたいと思うのですよ。  そのためには、二点お伺いしたいと思います。これで最後にします。事故は起こらないというのではなくて、あらゆる場面で事故が起こる可能性があるということを認めて進めるということと、踏み込んでいけば、原子力行政そのものも、やはりこれだけ信頼が失墜して、世論でも、おかしい、見直す方向での検討もしてほしいという調査も出ている中で、原子力行政そのものをも見直すくらいの勇気を持って進まないといけないと思いますが、いかがでしょうか。
  305. 北側一雄

    北側委員長 中曽根長官、簡明に御答弁、よろしくお願いいたします。
  306. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今委員から、私の前任者の方々委員会での御発言についての御発言がございました。  安全対策には万全を期していくという決意を述べたものでありますが、残念ながらまだ万全という体制になっていないというのは、今回の事故で証明をされてしまったわけであります。  私どもは、今委員がおっしゃいましたように、今回の事故をそれこそ最後としたい、そういう気持ちで事故徹底究明それから再発防止策等を今後検討していくわけでありますけれども、原子力行政につきましても、信頼が大きく失墜をいたしてしまいましたし、かといって、また一方で原子力はなくてはならないエネルギーでございますので、今回の事故を十分反省いたしまして、そして再発防止に努めていきたい、そういうふうに思っておりますので、また先生の御指導、よろしくお願いいたします。
  307. 辻元清美

    辻元委員 大臣の意見と違うところもありますが、きょうはこれで終わります。
  308. 北側一雄

    北側委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十二分散会