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1999-07-01 第145回国会 衆議院 科学技術委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月一日(木曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 北側 一雄君    理事 河村 建夫君 理事 河本 三郎君    理事 中谷  元君 理事 山口 俊一君    理事 辻  一彦君 理事 吉田  治君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 菅原喜重郎君       飯島 忠義君    江渡 聡徳君       奥山 茂彦君    木村 隆秀君       田中 和徳君   三ツ林弥太郎君       村岡 兼造君    望月 義夫君       渡辺 博道君    鍵田 節哉君       近藤 昭一君    島津 尚純君       中川 正春君    鳩山由紀夫君       近江巳記夫君    中西 啓介君       吉井 英勝君    辻元 清美君       中村喜四郎君  出席国務大臣         国務大臣         (科学技術庁長         官)      有馬 朗人君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     興  直孝君         科学技術庁原子         力局長     青江  茂君         科学技術庁原子         力安全局長   間宮  馨君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君  委員外出席者         原子力委員会委         員       藤家 洋一君         原子力安全委員         会委員長    佐藤 一男君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       佐々木宜彦君         参考人         (核燃料サイク         ル開発機構理事         長)      都甲 泰正君         参考人         (核燃料サイク         ル開発機構理事         )       平澤眞一郎君         参考人         (核燃料サイク         ル開発機構理事         )       相澤 清人君         科学技術委員会         専門員     宮武 太郎君 委員の異動 七月一日  辞任         補欠選任   望月 義夫君     渡辺 博道君   鍵田 節哉君     島津 尚純君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 博道君     望月 義夫君   島津 尚純君     中川 正春君 同日  辞任         補欠選任   中川 正春君     鍵田 節哉君 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  原子力開発利用とその安全確保に関する件(今後のもんじゅ中心とした高速増殖炉研究開発政策の在り方)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 北側一雄

    北側委員長 これより会議を開きます。  原子力開発利用とその安全確保に関する件、特に今後の「もんじゅ」を中心とした高速増殖炉研究開発政策のあり方について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として核燃料サイクル開発機構理事長都甲泰正君、同理事平澤眞一郎君及び同理事相澤清人君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北側一雄

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 北側一雄

    北側委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江渡聡徳君。
  5. 江渡聡徳

    江渡委員 自由民主党の江渡でございます。  時間も十五分ということなので、早速御質問させていただきたいと思うわけです。  皆さん方も御承知のとおり、私の地元青森県六ケ所村におきまして現在ウランの再処理工場の建設が進められているわけでありますけれども、この再処理工場というものが核燃料サイクルの本当のかなめであるというふうに私は思っております。そして、この再処理工場で取り出されますプルトニウムを高速増殖炉によって再利用していく、このことが資源の本当に乏しい我が国にとりましては大変重要なことでありますし、また必須の課題であろう、このように考えております。  日本におきましては、かつて第一次、第二次と二度のオイルショックを経験しているわけですけれども、しかし、その経験したことが今国民の間において忘れ去られようとしております。私は、やはりこのことはもう一度考え直して、二度とこのようなことを起こしてはならない、そしてエネルギー安定供給というのをしっかりしていかなければいけない、かように思っておるわけでございます。そして、高速増殖炉もんじゅ」というものを考えた場合には、やはりエネルギーの乏しい日本におきましては国策上大変に重要な施設であるわけでございます。  しかし、平成七年の十二月、あのナトリウム漏えい事故がございました。それ以来運転を停止し、もう既に三年が経過しようとしております。このことは、将来の日本エネルギーにとりまして政策上大変ゆゆしき問題だと私は思っておるわけでございます。ですからこそ、安全性をしっかりと確認し、もし問題のないようならば早急に運転再開し、研究開発というものをしっかりと実施していくということが肝心なことだろうと私は考えております。  そこで、質問させていただきたいと思うわけでございますけれども、これまでの政策的な検討及び安全性につきましての検討状況、そしてまたナトリウム漏えい事故対策等状況につきまして、現在の「もんじゅ」の状況を科技庁にお伺いしたいと思うわけでございます。よろしくお願いします。
  6. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  「もんじゅ」につきましてでございますけれども、平成七年の十二月でございますけれどもナトリウム漏えい事故を起こしまして、それ以降の状況でございますが、まず政策的な側面ということにつきましては、原子力委員会のもとに高速増殖炉懇談会というものが設けられまして、非常に多様な委員先生方にもお集まりいただきまして、非常に精力的な議論というものを続けていただきました。その結果といたしまして、平成九年の十二月にその懇談会報告書というものが取りまとめられてございます。その中におきまして、従来の開発進め方等かなり大きく変えました政策的な方向というものが明らかにされてございます。これが第一点でございます。  それから、安全面ということにつきましては、原子力安全委員会におきましての、事故原因でございますとか防止策、こういった側面におきましての審議というものを終了いたしまして、昨年の四月に報告書取りまとめがなされてございます。また、科学技術庁の安全総点検チームによりましての報告書というものも昨年の三月の段階取りまとめがなされてございます。  こういうものを受けまして、ナトリウムを抜き取る時間の短縮でございますとか、監視システムというものをさらに充実していく、それから建物につきまして、もしナトリウム漏えいが起きましたときに、窒素ガスを注入するというふうな形でもちまして対応をとっていく、こういった諸般の対策が示されてございまして、その改造を行うに当たりましての安全性確認するための審査を受けるための準備というものが今整っている段階、こういう状況にあるわけでございます。  したがいまして、今後とも、安全の確保というのが大前提でございますので、それを確保した上で、できる限り早期運転再開というものを目指して、地元方々の御理解、御協力というものを得るための努力というものを続けてまいりたい。そのための努力というものを今必死で続けておる、こういう段階にございます。
  7. 江渡聡徳

    江渡委員 大分、政策面検討、特にその中におきましても安全面検討というのも着実に進められているというお答えでしたけれども、それらのことを考えていきますと「もんじゅ」の安全審査準備ももう既に整っているような感じがしておるところでございます。  しかし、一連事故を通して核燃料サイクル開発機構体制というものが新しくつくられたわけでございますけれども、「もんじゅ」の運転再開しあるいは研究開発実施していくに当たって、本当に安全の部分ということが万全な体制になっていると言えるのかということがどうしても気がかりでございます。  特に、今までの一連事故とか不祥事というものをこの委員会の中におきましてもかなり議論されてきたわけでございますけれども、その辺のところを見てまいりますと、旧動燃技術者意識、考え方と我々一般国民の安全に対する意識の間には明らかに乖離があったというふうに私は思っておるわけでございます。  それゆえに、サイクル機構意識改革というのは本当に十分になされているのかどうなのか、そこの点についてお伺いしたいと思うわけでございます。
  8. 都甲泰正

    都甲参考人 お答えいたします。  サイクル機構職員に求められておりますのは、事故不祥事により失われましたサイクル機構に対する社会的信頼を取り戻すことであると認識いたしております。このため、安全確保を最優先といたしまして、地元及び国民皆様方理解信頼を得ながら、核燃料サイクル開発の各事業全力を挙げて推進してまいりたいと考えております。  そのためには、職員意識改革が極めて重要でございまして、サイクル機構におきましても引き続き意識改革活動に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  サイクル機構として、職員の心構えやとるべき行動を示す行動憲章行動規範というものを定めております。これらに従いまして、職員一人一人がみずからの行動計画をつくりまして実践しておりますのが現状でございます。意識改革に関する各種教育研修も行っておりますが、延べ約九千人の役職員が参加いたしました。  意識改革というのはなかなか目に見えるものではございませんし、また一朝一夕にできるものではないと考えておりますが、現在、役職員全員が、意識改革が重要であるという問題認識、これは十分に肌で感じておりまして、今後、一日一日の努力を積み重ねることによって着実に業務を進めてまいりたい、このように考えております。
  9. 江渡聡徳

    江渡委員 ぜひとも徹底した意識改革というものをお願いしたいわけでございます。また、そのことがしっかりとなされませんと、再度同じ過ちを繰り返すようなことが起きるというふうに私は思っているわけでございますけれども、特にこのような意識改革を断行することによって意識乖離というものをなくすということが私は大切だと思っております。  そしてまた、そのためには、何よりも一番大事な部分というのは、やはり情報公開していくということが重要だと思っておるわけでございます。特に原子力のことに関しましては、情報公開をできるだけ進めていく、そのことによって国民理解をもっともっと深めていくということが私は大切だと思うわけでございます。ですからこそ、情報公開を徹底的に行った上で、しかも各地域地元理解協力を得ていくということが私は大切だというふうに思っております。ですからこそ、地元理解を得るために、今までどのようなことを行ってきて、そしてこれからどのように取り組んでいこうとされているか、そこら辺のところもお伺いさせていただきたいと思います。
  10. 都甲泰正

    都甲参考人 お答えいたします。  サイクル機構といたしましては、国民へのアカウンタビリティー、説明責任を果たすという観点から、積極的な情報公開広報活動に取り組んでおります。  具体的に申しますと、まず情報公開指針を定めまして、それに従いまして情報公開に努めております。また、情報公開のための情報公開委員会、これは外部先生方にお願いしておりますが、そこで、特に非公開情報につきましては、その根拠を十分に御審議していただいております。  なお、この情報公開委員会公開の場で行っております。  さらに、インターネットによる情報発信も行っておりまして、月に平均二万件から三万件の発信をしておりまして、累計約百万件に達しております。  さらに、各種対話集会も積極的に開いておりまして、約五十五回行っております。  次に、施設公開でございますが、「もんじゅ」、「ふげん」、アスファルト固化施設等、現在約三万二千人の見学者方々に見ていただいておりまして、その活動を積極的に行っております。  さらに、事業計画や財務諸表といった経営情報の開示、また、環境モニタリングデータインターネットによるリアルタイムでの発信などの努力も行っております。  次に、地元理解への取り組みについてでございますが、「もんじゅ」につきましては、技術的な信頼と同時に社会的な信用を回復すること、これが大変大事でありますので、このため、まず「もんじゅ」の安全性の再確認につきましては、平成八年十月より一年半の期間をかけまして安全総点検実施いたしまして、技術的な安全性確認を行っております。  その結果、設備改善策工事が必要であるわけでありますが、その中には設備改善妥当性について国の安全審査を必要とする部分がございます。そのために、設置許可変更申請手続が必要で、地元福井県等との安全協定で、まず地元の御理解をいただく、事前了解をいただくということが必要になってまいります。  現在、その取得に向けて全力を傾注しておるところでございまして、このため、より多くの県民の皆様の御理解を得るということが最大の課題と受けとめておるところでございます。  現在、県内全域での説明会の開催、あるいは「もんじゅ見学会実施、さらには地元方々から成るモニター制度充実等、できる限りの努力を積極的に進めておるところでございます。  サイクル機構業務を進める上で、地元皆様の視点、立場に立って進めていくということが重要でございますので、これらの活動は、今後についても、「もんじゅ」の運転再開後におきましても当然継続してまいる所存でございます。
  11. 江渡聡徳

    江渡委員 できるだけたくさんの説明会その他をやって、情報公開をしていただきたいと思うわけでございますし、特にそのときにお願いがございます。やはり、お年寄りや子供たちにおいてもわかりやすいような形の情報公開を何としてもお願いしたいというふうに思うわけでございます。  時間の関係もございます。最後に大臣の方にお伺いしたいわけでございますけれども、私自身、「もんじゅ」のこれからの開発その他につきましては、できるだけ安全性確認というものを徹底しまして、そして、安全審査を行いまして、また地元理解というものを得ながら、できるだけ早期運転再開というものを目指すべきだというふうに考えておりますけれども、今後の運転再開に向けての取り組みというものもお聞かせいただきたいと思います。  また、私の方の地元青森県におきまして、特に一番の関心事というのは、使用済み燃料中間貯蔵あるいは最終処分場、これらのことがかなり関心事であります。その辺のところも含めまして、大臣の御決意というものもお聞かせいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  12. 有馬朗人

    有馬国務大臣 「もんじゅ」の今後の進め方と、それから使用済み燃料をどうするかという二点についてのお尋ねでございます。手短にお答え申し上げます。  「もんじゅ」については絶対やるべきだと私は思っているわけであります。  先日、「もんじゅ」の現場を見てまいりました。その際に若手の、といっても四十から五十の人々ですが、研究者議論をいたしました。その結果、私が本当にうれしかったことは、研究者技術者大変責任感を持っていること、それから使命感を持っている、それにも増して情熱を持っているということを感じました。こういうことから、技術者は大丈夫だというふうに思っております。  先ほど先生指摘のように、資源の少ない日本において、どうやってエネルギー確保していくかは大問題だと思っております。そういう意味から、あらゆる手段をとるべきである、太陽も風力も使う、それとこの原子力というものを進めていくということが必要だと思っています。  そういう点から「もんじゅ」というものをどう考えていくかというと、やはり「もんじゅ」をなるべく早くというか、なるべくどころかいち早く再開をいたしまして、実験を続けるべきだと思っております。そして、この「もんじゅ」の研究開発を通じて、次の段階でどういう方向に行くかということをさらに確かめてまいりたいと思っています。  もう一つ指摘申し上げたいことは、「もんじゅ」を完成させ、それをもって安全運転をすれば、世界に確固たる日本技術というものが示せるわけですね。そういう意味で、日本科学技術がこういう力を持っているんだということをやはり示したいと思っております。  「もんじゅ」の再開に当たりましては、先ほど御指摘のございました事故の教訓を十分に踏まえて、ナトリウム漏えいについて対策を厳重に講じていく、そして国の安全審査を通じて「もんじゅ」の安全性確認した上で、所要改造工事実施するなど、順次手続を進めていくことが必要であると考えております。その際に、先生指摘のように、なるべくわかりやすく、どなたでもわかるように方針等々について情報公開を行っていくべきだと思っております。  それから、使用済み燃料中間貯蔵及び高レベル放射性廃棄物の問題でございますが、やはり資源の少ない日本といたしましては、核燃料リサイクルを根本的な原子力政策といたしまして、再処理能力を上回る使用済み燃料は、エネルギー資源の備蓄として、再処理するまでの間、適当に貯蔵していくことが必要でございまして、この点については、先般、慎重御審議の上、原子炉等規制法改正法案をお認めいただいたところでございます。  また、原発地域要望等を踏まえまして、二〇一〇年までに中間貯蔵具体化を進める必要があるのでありますが、その立地に当たっては、地域住民及び国民理解協力が不可欠でございますので、その必要性安全性等について理解を得るため、最善の努力を行いたいと思っております。  一方、高レベル放射性廃棄物処分につきましては、一番難しいところでございますけれども、原子力委員会で示されました方針に基づきまして、二〇〇〇年目途の実施主体設立等処分事業具体化に関しては総合エネルギー調査会原子力部会において、安全規制に関しては原子力安全委員会において、それぞれ検討が進められております。また、研究開発に関しましては、核燃料サイクル開発機構中心とした関係機関において鋭意取り組みが進められているところでございます。  今後とも国民皆様方の幅広い御理解を得る努力をさせていただきたいと思っております。そしてまた、中間貯蔵及び高レベル放射性廃棄物処分対策の円滑な推進が図られるよう、関係機関が一体となって着実に取り組んでまいりたいと思っております。
  13. 江渡聡徳

    江渡委員 大変ありがとうございます。これからもますます日本エネルギー政策、そして原子力政策推進のために有馬大臣の御活躍を御祈念申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  14. 北側一雄

  15. 菅原喜重郎

    菅原委員 私からも質問をさせていただきます。  核燃料サイクル開発機構は、動燃時代平成七年十二月に「もんじゅナトリウム漏えい事故を起こし、平成九年三月にアスファルト固化処理施設火災爆発事故を起こしたわけですが、この一連事故によって国民不安感が増すこととなりました。しかし、「もんじゅ」の二次冷却系ナトリウム漏えいは放射能を伴うものではなく、私としては高速増殖炉の根幹にかかわるものとは認識していないわけです。したがって、問題なのは、事故そのものより、その後の情報隠し虚偽報告によって、原子力に対する国民不信感を高めてしまったことにあると考えています。さらに、その後の民間業者による輸送容器データ捏造事件によって、この問題は決定的なものとなったと言えます。原子力関係者にとっては、まずこの点の反省がなくては原子力の円滑な推進はおぼつかないと考えます。原子力推進に当たっては、何があってもガラス張りを貫き、徹底的な情報公開のもとに進めることが不可欠であると思います。  また、再三質問もしておりますが、高レベル放射性廃棄物処分についても、情報公開し、事業設置地区からの、地方自治体からのむしろ誘致運動を受けるような、そういう取り組みで進めてほしいということも言っているわけであります。  そこで、国及びサイクル機構における情報公開への取り組みについて、まず原子力局長の方にお伺いしますが、国における情報公開への取り組みはどうなっておりますか。
  16. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  原子力研究開発利用というものを進めるに当たりましては、国民理解信頼というもの、これは不可欠であろうというふうに思ってございまして、そのためには、いわゆる核物質防護等に係りましての一部の情報を除きまして、情報と申しますものはすべて原則公開ということをもちまして臨むべきであろう、また公開される情報というものの迅速かつわかりやすい形での提供を通じまして、その透明性というものを高めていくという努力というのが必要であろう、こういうふうな認識に立ってございます。  こういう観点からいたしまして、既に平成八年度からは、まず原子力委員会及び原子力安全委員会におきましての専門部会等会議、これを全部原則公開にいたしてございます。それから、専門部会等報告書取りまとめるわけでございますけれども、その際には、インターネット等を通じましてパブリックコメントをきちんと求めていくというふうな手順というのも必ず入れるような形にいたしてございます。こういう形を通じまして政策決定過程透明性を高めるという努力をいたしてございます。  また、一般方々に対しましての情報というものを、できる限り接していただく、アクセスしていただくというために、新たに原子力公開資料センターというものを設けまして、そこへ所要資料というものをきちんと閲覧できる状態に置くといったふうな取り組みもいたしておるというところでございます。  今後ともこのような努力というものをさらに徹底していくとともに、原子力関係者一同情報公開重要性というものを改めて肝に銘じ、原子力行政に対する国民信頼を確立するために最大限の努力を傾注していくべきもの、今後ともその努力というものを継続していくべきもの、かように考えてございます。
  17. 菅原喜重郎

    菅原委員 この点に関して、サイクル機構の方ではどうですか。
  18. 都甲泰正

    都甲参考人 お答え申し上げます。  サイクル機構といたしましても、今後、業務を行ってまいります上で、地元の御理解信頼を得て進めていくということが大変大事でございまして、そのために、私どもの業務運営の根本といたしまして、その一つの柱といたしまして、徹底した情報公開というのを掲げてございます。  具体的に申しますと、情報公開指針を定めまして、できる限りの情報公開する、原則全面公開ということでやってきております。それと並行いたしまして、情報公開委員会、これは外部先生にお願いして公開でやっておりますが、その場におきまして、特に非公開情報につきましてはそのよりどころを十分御審議していただく。そこで、情報公開委員会で御理解いただいた分についてのみ非公開としておるというのが現状でございます。  それから、先ほどもちょっと申しましたが、インターネットによる情報発信に努めておりますし、また地元住民方々との対話集会、これも積極的に開催いたしております。  さらに、なるべく多くの方に施設を直接見ていただくというのが地元の御理解をいただくために大変重要でございますので、「もんじゅ」、「ふげん」、アスファルト固化施設等、今まで三万二千人の方の見学者においでいただいております。  さらに、業務内容、経営情報公開でございますとか、環境モニタリングデータのリアルタイムの発信等も努力いたしております。  今後とも、私どもといたしましては、情報公開並びに広報活動に努めまして、国民に対するアカウンタビリティー、説明責任を果たすことに努めてまいりたい、このように考えております。
  19. 菅原喜重郎

    菅原委員 次に、高速増殖炉研究開発については、世界的に見ますと、イギリス、ドイツにおいて中断され、アメリカでは核拡散の観点から民間のプルトニウム利用を禁止するなど、フランス、ロシアを除いて停滞状況にありますが、そのような状況のときこそ、私は、技術先進国である日本が先頭を切って高速増殖炉などの先端技術研究開発を進め、国際貢献にもつなげていくことが重要と考えている次第であります。私としては、高速増殖炉懇談会の結論を踏まえた原子力委員会方針に沿って、「もんじゅ」の研究開発を大いに進めるべきであり、そのためにも「もんじゅ」の早期運転再開を図るべきと思います。  そこで、この「もんじゅ」の早期運転再開の実現に向け、どのような取り組みが必要となっているのか、原子力局長にお伺いいたします。
  20. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  今後でございますけれども、その事故の教訓を踏まえたナトリウム漏えい対策につきまして、国の安全審査を通じて「もんじゅ」の安全性というものを確認していく、そしてそれを踏まえまして、所要改造工事実施するといったふうな手順というものが今後は必要になってこようかというふうに思うわけでございます。  そういったふうなところにその活動を展開していくに当たりましては、何はともあれ、地元方々の御理解と御協力というものが大変重要であるというふうに考えてございまして、その一環といたしまして、サイクル機構におきましては、いわゆる地元説明会というものを実施していく、それから見学会というものを行っていく、そういったふうな諸努力というものをずっと継続しておる状況にあるわけでございます。  一方、国におきましても、昨年の九月でございますけれども、福井市と敦賀市におきまして地元説明会というものを国としましても開催をする。それで、本年の五月には、三時間半にわたりましてのテレビ討論会というものを、これは批判的なお考えをお持ちの方々にも入っていただきまして、生放送でもちましてのテレビ討論会というものを開催する。こういった努力を通じまして、地元方々の御理解と御協力を得るための努力というものを継続しているというふうな状況にあるわけでございます。  今後は、そういう努力というものの結果といたしまして、地元の御理解、御協力を得ることができますれば、安全審査にきちんと入り、確認をいただいて、所要改造工事というものに取りかかっていくというふうなことが展望し得るわけでございます。  以上でございます。
  21. 菅原喜重郎

    菅原委員 大臣にお伺いしますが、先ほど私が質問しましたように、今回の「もんじゅ」の事故というのは、原子力運転利用の技術的方法や何かの根幹的な問題にかかわる事故ではなかったわけでございます。高速増殖炉もんじゅ」の二次系の配管に設置されていた一本の温度計のさやが折損し、約〇・七トンのナトリウムが温度計内を通って配管外へ漏えいしたというわけですが、わざわざ配管に穴をあけていわゆる事故を起こしたというようなものですね。  しかし、こういう事故が起きると、もう福井県においては、約二十二万人分の福井県民の「もんじゅ運転再開に対する反対署名だなんということも起きているわけでございます。こういう反対署名が起きますと、地元の知事あるいは市長も、いわゆる国民的合意を得ることがまず必要だというふうに、県民の合意じゃなくして、あるいは市民の合意、理解じゃなくして、いわゆる国民理解を得るためだということで発言しているわけです。  大体、今回核燃料サイクル開発機構の設立の目的も、第一条に、「核燃料サイクル開発機構は、原子力基本法に基づき、平和の目的に限り、」「もつて原子力開発及び利用の促進に寄与することを目的として設立されるものとする。」とうたっているわけです。こういう平和利用の事業としての国策であるなら、これは国益、国民の福祉の増進につながることが、どうもこういう反対署名なんかが起きますと、選挙配慮的な発言にも見られるようなことで、協力体制が十分なっていないというのは何かおかしいのじゃないか。おかしいというのは、法的整備をもうちょっと考えるべきじゃないかというふうに私は思っております。  しかし、こういう論議は後にいたしまして、大臣にとっては、「もんじゅ」の運転再開に向けて、地元県知事や市長にも会われるなど、精力的に行動されております。今後も、地元理解を得るためには、大臣の陣頭指揮がぜひとも必要と思いますので、大臣の決意のほどをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  22. 有馬朗人

    有馬国務大臣 高速増殖炉の研究ということは、資源の少ない我が国にとりまして、また、我が国だけではなく、世界の環境やエネルギー問題にとっても大変重要なものだと思っております。  私といたしましては、我が国の原子力、将来の問題だけではなく、今申し上げたように、人類にとって将来のエネルギーをどうするかということに大きな影響を与える開発研究だと思っております。そういう意味から、「もんじゅ」による研究開発を絶対進めていかなければならない。そのためには、先生指摘のように、地元方々、そして、広く国民のすべての方々に御理解を賜らなければならないと思っています。  このことに関しましては、歴代の長官、私の先輩の諸長官も大変御苦労になってこられましたし、努力をしてこられました。私といたしましても、そういう先人のおやりになったことを受けまして、安全確保を大前提に、「もんじゅ」をできるだけ早期運転再開に持っていきたいと思っています。  そういう意味で、先頭に立ちまして、科学技術庁職員を非常に元気づけるということが必要でありますから、元気づけ、そしてまた、きちっと管理をしていき、サイクル機構にも全力を尽くすよう指導しながら、まずは地元方々の御理解と御協力を得るべく最大限の努力を続けさせていただきたいと思っております。
  23. 菅原喜重郎

    菅原委員 どうもありがとうございました。
  24. 北側一雄

    北側委員長 辻一彦君。
  25. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、きょうは、「もんじゅ」と、それを中心にして若干プルサーマルの問題と、原子力安全委員会の拡充強化の三点で意見を述べながら質問したいと思います。  まず第一に「もんじゅ」の問題ですが、私も各種報告書や、裁判も行われておりますから、一応目を通してみまして、四点を感じました。  一つは、高温ラプチャーのいわゆる安全審査の過程で足りない点があるのではないかということ。それからもう一つは、大規模のナトリウム漏えい対策はいろいろ考えておられたが、中小、小規模のナトリウム漏えいに対する対策が全く欠けておったということ。それから、いろいろな実験をやっておりますが、その中で、小規模の漏えいが大規模と違う具体的な実験例があるにかかわらず、それが見過ごされていたということ。それから、今後の問題としては、今一番中心である界面腐食、新しい知見によるところのこの「もんじゅ」の腐食問題が、肝心の動燃、今の核燃と、科学技術庁、行政庁と、それから安全委員会の見解が食い違いがあるということ。これは、このままにしてはおけない重大な問題ではないか。こういう四点で若干質問したいと思います。  そこに今資料をちょっと配付していただきましたが、動燃、今の核燃は、一九八一年九月二十八日、言うなら昭和五十六年に一連の実験の一環として、ラン十六、ナンバー十六という「もんじゅ」の定格出力を模擬した伝熱管の破損事故の模擬実験をやって、そこから二十五本の高温ラプチャー、ナトリウムと水の反応によって加熱状況の中で破断をしたという非常に重要な実験を行っております。  「もんじゅ」にイギリスのような高温ラプチャー、高温による破断が細管で起こるかどうかということは極めて重要な問題であり、実験でありますが、まず、行政庁、第一次審査の機関である科学技術庁、それから安全委員会は、それぞれ、このような動燃が行った重要なる実験について、いつその情報を入手したか、知ったか、この点を簡潔に伺いたい。まず行政庁の方から。
  26. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答え申し上げます。  ラン十六の結果につきましては、PFR事故に関連して、「もんじゅ」での高温ラプチャーの発生の可能性について審査担当課で検討する過程で、平成六年十一月に動燃の担当研究者がまとめた資料により説明を受けておりました。  その結論は、「もんじゅ」では高温ラプチャーは発生しないという評価でございましたので、原子力安全委員会への報告はなされておりません。
  27. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ちょっとそれについて安全委員会にも聞きます。
  28. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  今、間宮局長からもお話がございましたように、当時は安全委員会はこの報告を受けてございませんでした。報告を受けましたのは昨年の四月、いわゆる「もんじゅ」の安全性点検の結果の御報告がありましたときに、その中に含まれておりました。
  29. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ちょっと事実関係だけ簡単に確かめたいんですが、今まで行政庁は、特に原子力安全委員会は、総点検の過程の中で初めて、十三年ぶりにそういう報告を受けたということ、それから、詳細は去年の、十年の六月十五日に裁判の提出資料の中でこれが明らかにされたというように聞いておりましたが、今行政庁の報告では、平成六年に既にそういう情報を入手していたということであります。これはどの程度の情報を入手していたのか、簡単に聞きたい。
  30. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答え申し上げます。  高温ラプチャー評価の流れといたしまして、ナトリウム側の条件として、実験結果に保守性を持たせた値を設定するということで、水・ナトリウム反応による温度、水・ナトリウム反応環境での流体から細管への熱伝導率、水・ナトリウム反応による細管表面の腐食率、そういうものを設定しております。  水側の条件として、細管内の圧力、水の温度、水の流量、事故対応用の設備作動開始時間をもとに計算コードにより次の値を求めるということで、水の温度、細管内圧、細管から細管内空間への熱伝達率、こういうものから事故発生後の細管の温度、細管にかかる圧力を計算するということで、こういう結果として、細管材料の強度データと比較いたしまして、細管の健全性が保てるかを判定するというような解析を行っております。
  31. 辻一彦

    ○辻(一)委員 日時はそれで伺いました。  そこで、そこに配付しました資料のとおり、当時の動燃はラン十六号から十九号に至るまでの一連の実験をやっておりますが、十九号をもって一応終わったのか。そしてそれについて、十九のこの実験によって高温ラプチャーは起こらないから安全である、そういう判定、判断をしたのか。詳しい説明は時間の点からいいですから、ポイントだけ伺いたい。
  32. 相澤清人

    相澤参考人 お答え申し上げます。  ラン十九に関しましては、最終的に安全審査の時期の後の時点で行われた実験でございます。「もんじゅ」の実機の条件というものを完全に模擬した試験というのを安全審査前にやっておりまして、ランの一から七までというのが中心でございますが、それ以外にも十四までのデータがございます。それらによって、今御質問のあった高温ラプチャーについて「もんじゅ」では起こらないという判断をしたところでございます。  それから、先ほどお尋ねのありましたラン十六に関しましては、いわゆる代表的な全出力運転の状態ではございませんで、部分負荷の運転のものでございます。したがって、ナトリウムの温度もずっと低い。したがって、こういう条件のもとというのはいわゆる実機を一番模擬した条件ではないと思っております。  一番の違いは、実際の蒸気発生器の伝熱管の中には給水という形で水が入ってございます。これが冷却するわけでございますが、ラン十六の場合には全部ガス管でありまして、ほぼ断熱状態であった、その断熱であるというがゆえに多数が壊れたと当時判断をしております。
  33. 辻一彦

    ○辻(一)委員 一覧表によると、質問をする点について今説明がありましたから要約しますが、とにかくラン十七号の実験は水を流す場合にどうなのかという実験、それから十八号は初期にナトリウムの温度を高くした場合にどうかということ、そして十九をもって、我々が聞いてきた説明では、実機、実態に近い条件をもってやった。これは非常に批判がある。実験条件を切り下げたんではないかという批判がありますが、説明によれば、実態に近い条件で実験をした。そこで、十九をもって一応この一連の試験、実験が終わって、そこから、まず高温ラプチャーは起こらないというような判断をしたということと理解します。  ところが、十九の一連の終結をもってそういう判断をしたというなら、それが正しいかどうかは別として、それは妥当だと思うんですが、「もんじゅ」の安全審査が終了して設置許可を出したのは昭和五十八年、八三年五月二十七日に出ておりますね。これは、一連の試験がずっと条件を変えて、要するに高温ラプチャーが起こるか起こらないか、起こるにはどんな条件があるか、起こらないにはどういう条件があるかということを、条件を変えながら一連の実験をやって十九まで。十九というのはこれは昭和六十年に終わっておるんですね。  そうすると、まさに安全審査を終結して設置許可を出したのが五十八年五月とするならば、実験の半ばにそういう判断を下して安全審査の結論を出している。私は、これは十九が終わって、その上に立って判断したというならいいけれども、一連の経過の途中にそういう判断のもとに安全審査が行われ、設置許可が出ているということは理解しがたいが、この点についてどう考えるのか。長い説明は要らぬから、ポイントだけ聞かせてください。
  34. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答え申し上げます。  サイクル機構は、「もんじゅ」の設置許可申請書の作成に際しましては、種々の実験を既に行っておりました。そして国は、「もんじゅ」の安全審査において、この設置許可申請書に基づきまして「もんじゅ」の安全性確保され得るということを確認したわけでございます。  ナトリウム漏えい事故後に公開されました、サイクル機構実施した水・ナトリウム反応に係る実験結果は、「もんじゅ」の安全審査の結論に影響を及ぼすようなものではなかったわけでございまして、設置許可は妥当なものと考えております。
  35. 辻一彦

    ○辻(一)委員 影響を及ぼすような結果ではなかったというけれども、行政庁がその情報を手に入れたのは平成六年でしょう。十年以上たってそういう情報を手に入れて、その前にさかのぼって、何も実際知らない、報告も何も受けていないそういう中で、影響を及ぼすものでなかったという判断をするのはそもそも問題があるんですね。十九までの実験が全部終わってそこで判断はすべきであって、途中に、報告を受けていないのになぜそんな判断ができるのか。それらについて、私はまず、動燃はなぜそれを報告しなかったのか、そのことを聞きたい。
  36. 相澤清人

    相澤参考人 今御説明申し上げましたように、この一連の実験の中で、ランの十六、十七というのは安全審査の過程においてデータを得まして、その結果をもとにしてその内容を御説明しております。  十六で多数本壊れたのは、ガスで断熱だったからだ。一方、十七では壊れておりません。これは給水管というふうに中に水を入れた管を持ち込んだんですが、たった四本でございますが、それは全然壊れておらない。  要するに、中に水が入っているか入っていないかということで説明がつくと、そういう技術的な結論を下したわけでございます。それをもって説明を申し上げた。  なお、念のために最終的な確認をする意味で十九が行われたということでございまして、その結果として、我々の予測が正しかったという判断をしたところでございます。
  37. 辻一彦

    ○辻(一)委員 佐藤安全委員長は、そういう報告を詳しく知ったのは去年の半ばだ、こう言っているんですね。  安全審査をしたのは昭和五十八年だから、去年は昭和に直せば七十三年か、十三年ほど前ですよ。十三年も前に判断をしておって、安全委員会の方は去年、十数年後にそういう情報を知った。非常に矛盾がある。  安全委員会は、もし当時このような重要な実験について報告を受けたとしたら、どうしましたか。
  38. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 まず、こういう研究開発の作業というのは、それは審査の途中であれ、あるいは審査の後であれ、必要なものは継続して行っていかなければならないというのは、これは御理解いただけることかと思います。  それで、それによって安全上非常に重要な知見が得られたという場合には、これは、しかるべきところに報告もし、また、しかるべき手続によって、例えば設備の変更をするといったようなことが当然行われるべきでありまして、これは設置者の責任でございます。  当時これが知られていたらという、これはちょっと仮定でございますので、こうなりますと余りはっきりしたことを申し上げるわけにはまいりませんけれども、そもそもこの審査と申しますのは、その審査当時の最新の技術的知見に基づいて行うというのが大原則でございますから、そういう新しい情報があれば、当然これは念頭に置いて審査を行うということになろうかと思います。それはほとんどまず確実かと思います。  ただ、その結果、審査の結論がどうなったかまでは、そのときにどういう説明がなされ、どういう受け答えがあったかということに依存いたしますので、そこまではちょっと確実なことは申し上げられません。
  39. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この高温ラプチャーの起こるか起こらぬかというのは、今、「もんじゅ」の安全問題を論議するときに、一つは、蒸気発生器のさや管が破断するかどうかということは、これは一つの最大の大事な問題ですね。  もう一つは、後で触れますが、床ライナーの、ナトリウムとコンクリートは接触をさせないようにするのは、フランスあたりも総力を挙げてそのために対策を講じている。だから、そのために間を隔てるための鉄板、そこにどういう腐食が起こって穴があくかどうかというようなことは非常に重要な問題ですよ。だから、この二つが非常に重要なんだけれども、高温ラプチャーの方は、これが起こるか起こらないかは非常に重要な問題。  そういうような重要な段階を、一連の実験が終結するには幾つかの段階をずっと踏んでおるんですね。その途中で、しかもそういう大事な問題が報告もされずにおった。報告されれば、これは当然検討すべき課題であったということでありますが、そのことを飛ばして出した安全審査には、一つの欠陥、問題があるんではないか。これはいろいろ意見が違った立場の専門の学者から出ておりますが、それについて見解を委員長からお伺いしたい。
  40. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 これは、もちろん審査等をいたしますときに、できるだけ最新の知見を集めて審査を行う。そういう意味で、安全委員会のもとで非常に多数の現役の専門家の方々の御協力を得ているというのも、一つにはそういう目的があってのことでございます。  ただ、こういう技術情報というのは、これは一つの分野に限りましても非常に膨大なものでございます。公開されているだけでも極めて膨大なものでございます。さらに、今度はそれが公開されていない情報ということになりますと、通常の手段でその情報を入手するというのは極めて困難でございます。
  41. 辻一彦

    ○辻(一)委員 安全委員会としては、出されなければ、公開されなければわからない、それは事実でしょうね。しかし、そういう重要な実験が行われているにもかかわらず報告もなされなくて、そしてその審査をやった。それは問題が非常にあると私は思うんですが、その点について、動燃に対してどういう対応をしていたんですか。
  42. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 これは直接実験についてではございませんが、「もんじゅ事故のときの私どもの報告書にも、情報の取り扱いということについてはかなりきつい注文をつけたつもりでございます。こういう安全に関連するような情報というものはできるだけ開いてほしい、オープンにしてほしいものであるというふうに私どもは強く望んでいるところであります。
  43. 辻一彦

    ○辻(一)委員 御不満があるようだけれども、立場上なかなか明確に言えぬようでありますが、私は、これは重大な問題であると。  と同時に、後の界面腐食の問題にも同様の問題がやはり出ていると思うので、順次それを尋ねていきたいと思います。  界面腐食の問題に入る前にちょっと聞いておきたいんですが、大体、フランスのスーパーフェニックスに起こった事故、これも大規模ナトリウム漏えいではないんですが、しかし、中小のナトリウム漏えいに対してフランスは、数年かけて、公聴会も開き、対応もやり、具体的な対策も立てて、それを公表しておるのですね。我が国は、これは前に論議をしたから多くは申し上げませんが、三年半、そういう公聴会の記録と対策というものを、詳細な分厚い報告書をフランスが出しているのを、科学技術庁動燃も倉庫におさめていたけれども、具体的には対応をやっていないですね。  これは、大規模漏えいに対しての対応を考えている、だから、大は小を兼ねるといいますか、小規模漏えいは大規模漏えい対策の中に入るのだから心配がない、こういう考え方が私はあったように思うんです。そのために小規模漏えいに対する対策は全く手おくれになっておる、こういうふうに思いますが、これについて簡単に見解だけ、委員長に伺いたい。
  44. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 特に、二次系のナトリウム漏えい、そのナトリウムは直接放射能も持っておりません、普通のナトリウムでございますが、そういう漏えいを考えますときに、我々が一番注意して見るのは、これによって炉心の安全性確保できるかということでございます。  そのために、「もんじゅ」の設計におきましては、二次冷却系というのは三つのループがございまして、例えば、小漏えいであれ大漏えいであれ、一つ漏えいを起こして動かなくなったときに、残りの二つのループで炉心の冷却を完全に確保するという考え方だったわけであります。つまり、これは、漏れたことによって漏れていなかったループの方に影響が及んではならない、これは系統分離という言葉を使っておりますが、それが大前提となる。そのためには、例えば建屋が壊れてしまうというようなことが起こりますと、とても系統分離は保障しかねるということで、建屋その他の構築物等がその漏えいの影響によって健全性が損なわれるかどうかというのをまず第一に見たわけでございます。  そういう見地では、確かに、大漏えいを想定しておけばもっと小さな漏えいは、私どもの言葉でいうと、包絡という言葉をよく使うのでありますが、包絡されるということでございまして、その見解は現在も変わってございません。
  45. 辻一彦

    ○辻(一)委員 国会でこれはかなりの時間論議しましたから、多くはきょうは申し上げませんが、もしフランス並みの小規模漏えいに対する対策を直ちにとって、今核燃サイクルが対応策に並べているのは、もう三年も四年も前にフランスが出した中身を今さらのように並べかえているものが私は多いと思うんですね。それをちゃんとやっておったら、政府答弁でも「もんじゅ」の事故の被害は何分の一かになった可能性がある、こういうふうに答弁しているんですから、中小規模対策は、大は小を兼ねる、大規模の中に含まれるということで、ほとんど欠けておったと言わざるを得ないんです。しかし、それはきょうの論議の主点ではないですから、ここでとめておきます。  そこで、ナトリウムの大規模漏えいと小規模漏えいが違った状況になるという、この実験が具体的に幾つか出ている。ずっと見てみると、例えば、三菱の高砂研究所等を中心にして行った一連の研究では、要するにナトリウムが漏れてコンクリートと接触してはいかぬから鉄板を張ってこれを防ぐわけですが、その床ライナー、鉄板がどういう状況になるかということは、これはもう安全上の最大の課題だと思うのですね。  私が去年の一月にフランスに施設安全局を訪ねて論議をしたときに、彼らは、鉄板に穴があいたということ、それは実験の状況によって違うけれども、とにかく穴があいたということは驚くべき事実だということを二回も繰り返している。それほどこの問題は「もんじゅ」の安全にとっては重要な問題だと思うのですね。  設定された最高の温度は大体五百三十度、こう設定していますね、床ライナーの温度は。ところが、さっき言った高砂の実験等では、八回にわたって八百八十度近い、前後が、小規模漏えいの場合に実験で出ているのですね。設定された温度は五百三十度、こう設定しているのに、実験の結果は八百八十度。そういう温度が何回も出るとすれば、このような事実こそ、さっきと同じように安全委員会に報告して、新しい実験の進展状況ということを報告して論議するべきだったと私は思うのですが、これはもう全く欠けている。十年もたってからそのことが、ワーキングチームを安全委員会がつくって、そこで調査に入って報告されたということですよ。その間全く空白というか非常に足りない点があったと私は思うのですが、これについて委員長、どう思いますか。
  46. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 先ほどお述べになりました三菱の実験、あるいは当時の動燃事業団みずからが行いました実験におきまして、これは実験でございますが、ライナーというより受け皿でございますが、受け皿の温度がかなりの高温に達した事例があるということは、私どもはこの「もんじゅ」の事故調査の過程で知りました。この情報もそれまで開示されていなかったと理解しております。したがって、これは非常にそういう情報を入手するのが難しいということをまず申し上げておかなければなりません。  それから、審査の場におきましては、先ほど申しました大規模漏えいで系統分離については包絡できるということでございますから、それより小さな漏えいについては結構だということで、そこで審議は打ち切りますが、しかしながら、実際の場においていろいろな大きさの漏えいというのは起こり得るわけでありますから、それについて、起こったらどうするという対策はあらかじめきちんと講じておいてもらわないと困る。この点も報告書において指摘しているところと理解しております。  いずれにいたしましても、私ども、実験でそういう高温が観測されたということを当時は知ることができませんでした。これまた仮定の話でございますから確かなことは申し上げられませんけれども、もし審査の過程でその温度が報告されていたら、その設計温度とこの観測された温度との関係はいかなるものかという質問は当然のこととして出たものと思います。
  47. 辻一彦

    ○辻(一)委員 非常に大事な問題だと思うのですね。少なくも、床ライナー、この鉄板の安定性が「もんじゅ」の安全性確保する重要な決め手である。  それに非常に条件が変わってきたのですね。最高温度は五百三十度。配管室では四百六十度、過熱器室で五百二十度で、五百三十度、こうしたんだと思うのですが、何回かの実験によって八百八十度近い数字が出ているのですね。これは当然、設定温度を再検討する、あるいは床ライナーの健全性について見直しをするとか、こういうことを、もし安全委員会が当時こういう情報を入手したら直ちに検討を命ずるであろうと私は思うのです。それは仮定の問題であるとはいえ、その当時安全委員会として、そういう情報を入手したとしたら検討を命ずるのは当然と思いますが、やったと思いますか、どうですか。
  48. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 それについてどういう議論をどこまでやったと思うかというのは、非常に確かなことは申し上げられません。しかしながら、当然、先ほど私が申しましたような質問は出たであろうと思われます。
  49. 辻一彦

    ○辻(一)委員 なかなか微妙な御答弁ですね。そこはお話がしにくいのであろうと思いますが。  もう一つ、私はこの中で指摘をしたいのは、安全委員会報告書の中で、中小漏えいに対する安全審査を、情報もなかったからやらなかったと。しかし、やったとしても、ライナーの機能は一応維持できただろう、こういう判断をして、結果、やってみても心配ないという数字が出ただろう、こういう判定をしていますね。  ところが、ずっと報告書を読んでみると、高温によって、腐食じゃなしに、腐食の問題は一応別にして、鉄板ですから、反り返るというか損傷が出てくる。九百度まではそういうものは出ないであろう、こう言っておるのですね。だから、九百度を超えれば、そういう損傷、鉄板が反り返ったりする、壁にひっかかる、そういうことがあり得るということを裏で言えば言っていると思うのですよ。  となると、この中小漏えいで八百八十度という温度が片方で出ておるのですよ。確かに九百度にはまだ二十度足りない。だけれども、九百度までならば心配ないが、九百度から超えれば、逆に言うと鉄板の機械的損傷もあり得るということを言っているのだから。八百八十度まで実験のデータが出てきておるのですよ。安全性というのは、余裕度を考えれば、九百度ならば危ないというようなときに、八百八十度なら二十度足りぬから大丈夫だ、そんなものじゃない。安全の余裕度からいえば相当な余裕をとらなければいかぬ。  そういうふうに見れば、私は、もしそのときに解析をこの中小漏えいに対してきちっとやっておったら、界面腐食の今日の新しい状況は別にして、機械的な温度の関係で、もうこれはいかぬという判断をしたはずであります。どうなんですか、それは。
  50. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 これは、当時の考え方というのは、界面反応のことは知らないわけでございますから、考えるのは、まず、鉄板が溶けてしまうか。これは溶けることはないということで、そうすると、あとは、熱膨張であちこちにぶつかったり干渉したりして、それで変なことが起こらぬかというのがその次の視点になるわけでございまして、当時の設計では、壁との干渉を防ぐという意味での設計温度というものが示されていたわけでございます。壁との干渉がまず起こるというのは全面加熱のときでございますから、これは大漏えいでございます。部分的な漏えいでは全体としては動きませんので。  それで、今度は、では膨張して壁に当たったらどうなるか。壁に当たったからといって直ちに損傷ということにはならないのでございます。それ以上先へ延びられませんから、鉄板が少しゆがみます。ひずみは生じますけれども、これでは直ちに損傷ということには必ずしもならないということでございます。  それから、中小漏えいと申しますか、漏えいが小規模ですと局部的に非常に高い温度まで上がることになりますが、これも現在解析して確認してございますが、普通の工学的な感覚でいいますと、そういう高い温度になりますと鉄板が大分やわらかくなりますから、それで割れたりということはまず普通は起こらないわけであります。  そういうようなこともある程度踏まえまして、化学反応を当時知らなかったんだから、中小漏えいまで仮に審査したとしても、審査の最終的な結論は変わらなかったろうとワーキンググループは判断したわけでございます。  ただし、先ほど申しましたように、そういう高い温度が実験では観測されているということが報告されていれば、その設計温度でいいんですかという質問は当然出たろうと思います。     〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕
  51. 辻一彦

    ○辻(一)委員 安全委員会報告書の第二号を見ると、局所的にと断っておりますが、九百—九百五十度まではリブが剥離することはあるが、床ライナーの損傷は生じないことが示されていると言っておりますが、逆に言えば、九百度を超えればやはりそういう懸念があるということを私は意味していると思うんであります。
  52. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 それは確かに先生おっしゃるとおりで、その解析で壊れないということを論証したのはその温度まででございます。ただし、その温度を超えたら直ちに壊れるということには必ずしもなりません。壊れるところまでは解析してございませんので。
  53. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私の言っているのは、九百度までは心配要らない、こう言っていることは、九百度を超えれば懸念があるということなんだから、そこにまさに接触している。八百八十度というのは二十度の差でしょう。安全というのは、余裕で、相当な幅をとらなきゃならぬ。その点からいえば、もし解析しても問題があったであろう、そういうことも当時の安全委員会が入手したとしたら指摘するであろうということを私は申し上げておきます。  そこで、こういう問題を見ると、ワーキングチームが平成七年に編成されて、そこで情報入手をして様子がわかったというわけでありますが、私は、十年前にそういう報告がきちっとなされておれば相当な検討がその際に行われたであろうということを指摘しておきたいと思うんです。だから、その点について、そういう情報を提供しなかった動燃、核燃サイクルに、またそれを見抜けなかった行政庁に何らかの責任はないのかどうか、この点はどう思いますか。
  54. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 まず、安全委員会の方からお答えをさせていただきます。  もちろん私ども、責任を回避するような意図は毛頭ございません。しかしながら、やはりこういう安全にかかわるような情報というのは可能な限り開示をしてもらいたいという希望は非常に強く持っている。そうしないと、なかなか私どもの安全を一〇〇%果たすというのが難しくなりますよということでございます。
  55. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私がさっき申し上げた一つは、高温ラプチャーのときも実験の重要な過程で安全審査が終結している。もしそのときに状況が把握されたら、さらにもっと論議はなされたはずだと思うんです。今回のこの腐食の問題についても、床ライナーの問題についても同様のことが言える。そういう意味で、今は随分核燃サイクル、動燃は変わったでしょうが、当時の独善性や情報が全く閉鎖されておった欠陥が明確にされているというふうに私は思うんです。  時間の点から、次に、今後の問題として考えたいのは、さっき言ったように、一番最新の問題は、界面腐食という新しい——我々にすれば、当時もっといろいろ調べた、イギリスの原子力情報も見てみました、ヒューバーの論文も目は通してみたけれども、なかなか断定はしにくいけれども、入手して、考え方によってはもっとそういう論議をする機会があったと思いますが、それは別にしましょう。  そこで、安全委員会も、「もんじゅ」の事故、それから実験I、実験IIを通して、界面腐食という新しい状況が生まれ、それが今検討されている。それはそうでしょう、鉄は千五百度なければ溶けないのが、六百度を超えるか七百度幾らという温度で一部、千度までに溶けたという事実は、全く新しい状況確認されたということであろうと思うんです。そこで、実験IIの再実験をやってこの問題をさらに確認する必要があると私は思うんです。  特に申し上げたいのは、「もんじゅ」の事故と実験I、IIをめぐって界面腐食のメカニズム、機構について、核燃サイクルとそして行政庁である科学技術庁、それから原子力安全委員会が設けたワーキングチーム、さらに専門家をよりすぐったサブグループ、そこでの界面腐食に対する見解が食い違っておるんです。  端的に言えば、動燃、核燃サイクルや科学技術庁、第一次審査機関に当たるところの行政庁は、「もんじゅ事故と実験Iはナトリウム・鉄複合酸化型腐食、実験IIは溶融塩型腐食である、こういうふうに判定しておるんです。それから、原子力安全委員会のワーキングチーム、またそのサブチームは、約六百度C以上の高温ではいずれも共通して溶融塩が関与した腐食機構が作用したと見られると。  これは、日本におけるところの原子力安全性にかかわる第一次審査機関である行政庁、しかも何千名かの専門家の集団である動燃、核燃サイクル、その見解と原子力安全委員会の見解に食い違いがあるということは、国民にとっては原子力安全性に対する信頼を著しく揺るがすものであるし、この統一が図られなければ、私は、原子力安全性に対する国民の信用は回復しない、確立されない、安心ができない、こう思うんです。  そういう点で、これを具体的に解明するには実験IIの再々実験によって確かめる必要がある。それをやらずに今「もんじゅ」の運転早期に動かそうということだけではいかないと思うんです。  そういうことをきちっとやって国民の安心や信頼が確立されて、「もんじゅ運転再開の問題は論じられるべきであると思いますが、これについてどう思いますか。
  56. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 確かに、界面反応による腐食の非常に基本的なメカニズムにつきまして、当時の動燃それから科学技術庁の見解と安全委員会のワーキンググループの見解は、そのメカニズムについて差がございます。見解の差がございます。  ただし、ワーキンググループの方も、いずれの推論が正しいかはまだわからぬ、現在の我々の知見のレベルではわからないんだということを言っているわけであります。  ワーキンググループが言いたいことは、よって、一つの推論に固執したような対策を立てると間違うおそれがある、いろいろな推論がある、少なくとも二つ推論があったわけですから、いずれの推論であっても大丈夫だというような対策を立てる必要があるというのがその言いたいことだったわけであります。  いずれの推論が正しいのかということについては、これは、科学技術的な見地からすれば当然のことながら追求していかなければならないことでございますし、これにつきましては、それだけということではございませんが、この界面反応等につきましても、実は安全研究年次計画を一部補足いたしまして、そういう項目をつけ加えてこれから研究をやっていくことにしているわけでございます。  ただし、ではそういうメカニズムが何かということを追求していくのにはどういう実験が、あるいはどういう解析が一番適しているかということは、これは慎重に吟味しなければなりません。  燃焼実験IIといったようなああいう実験は、私どもの言葉で言いますとシステム効果実験、全体としてどういうことが起こるかということを見る実験でございます。今度は、メカニズムはどうかということになりますと、これは個別効果実験と普通言われます、そのメカニズムに焦点を合わせた実験というものを重ねていく必要がございます。  ただ、いずれにいたしましても、先生指摘のように、二つ推論があるわけですから、どっちかということを確かめるような研究というのが今後ともちゃんと継続してまいらなければならないと思います。  ただし、これはちょっと誤解のないようにつけ加えさせていただきますと、現在、サイクル機構及び科学技術庁がこういう対策ではどうかというような案を持っているわけでございまして、これについてはワーキンググループも審議をしているわけでございます。この対策は、いずれの推論に対しても有効であります。
  57. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その対策は非常に対症療法的なもので、基本的な対策にはまだ足りないと思うんですね。やはり、両者の推論というか理論に相違がある、見方が違う、それを解明するには何かといえば、それは実験ですよ。科学の中では、そういう理論の違いを実験によって統一して、さらに新しい理論を生み出していくはずなんだから、実験をやらないかぬ。  ならば、「もんじゅ」の実験II以後はもう実験はないというのではなくて、新たな再実験を、ちょうどランでずっと一連の繰り返しで確認したように、この界面腐食の問題について実験を積み重ねる必要がある。そういうことがなければ、これはもう、動燃技術集団とそして第一行政庁の科学技術庁、それからそれを再審査すべき安全委員会の見解が違う、そんなことを国民が聞いたら、それなら、ではどっちなんだということになりますよね。そこに原子力安全性は生まれてこない、不安と不信が生まれてきますよ。だから、そういう実験をきちっとやるということが先決である、やるべきである。  私は、その専門じゃないからどんな実験がどう必要なのかわからないが、再々実験をやる必要はあると思うのですが、そういうことを原子力行政の責任者である長官は指示してやらすべきだと思うんですが、いかがですか。
  58. 有馬朗人

    有馬国務大臣 さまざまな実験をきちっとやっておくことは極めて大切だと思っております。いかなるものを行うかというふうなことは、サイクル機構等々現場とよく考えながら、現場でも判断をしながらやっていくべきだと思っております。
  59. 辻一彦

    ○辻(一)委員 再実験をやるのかやらぬのか、いかがですか。
  60. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答え申し上げます。  空気中に漏えいしたナトリウムが酸素と反応してナトリウム酸化物となるわけでございますが、空気中に水分が多く存在する場合には水酸化ナトリウムも同時に形成されるということで、ナトリウムの燃焼実験の結果の分析調査によりまして、水酸化ナトリウムナトリウム酸化物、ナトリウムと鉄の複合酸化物が溶融塩という形態になり、その結果鋼材が腐食するというこの基本的な仕組みというのは判明しているわけでございます。  二次系ナトリウム漏えいするときに、ライナーの腐食防止は多量の水酸化ナトリウムを発生させないようにするということで対応できるということでございまして、その対策は可能であると判断されておりますので、界面反応に関する再実験は安全上必ずしも必要とされるものではないと考えております。  なお、ナトリウムの特性に関しまして、知見を深める目的で種々の研究を行うことは当然望ましいと考えております。
  61. 辻一彦

    ○辻(一)委員 実験は必要でないと言うけれども、日本原子力安全にかかわる権威の二つの機関が違った見解を出しているのを埋めるには、実験によって確かめる以外に、解明する以外にない。そんなものは必要でないなんて言っておったら、原子力安全に対する国民信頼それから信用、安心が確立されるはずがない、そのことを私は強く指摘をしておきたいと思う。  大臣、だから私は、こういう状況の中で、十分検討されて、再実験が必要であるという判断を持って実験をさすべきであると思いますが、いかがですか、もう一度聞きます。
  62. 有馬朗人

    有馬国務大臣 これはやはり科学技術開発研究でございますので、必要なものがあるということがはっきりすればそれはやりたいと思っています。
  63. 辻一彦

    ○辻(一)委員 よくわかったようでわからない感じがしますが、とにかく、この問題をきちっと国民に説明ができない限り、急ぎ「もんじゅ」を動かしてみても、信頼が確立されないし、不信を買うだけだと私は思いますが、この点を強くこの問題では指摘をしておきます。  時間が少なくなりましたが、簡単にプルサーマルの問題に一つ触れて、後は原子力安全委員会の強化の問題をただしたいと私は思います。  プルサーマルは、いろいろやられております。私も、昭和六十三年であったか、フランスのサンローランというのを、原子力の出力上下の試験と、そして今言ったプルサーマル、MOX試験をやっているごく初期の段階に見に行って、説明を聞いたことがあります。そういう中で感じたことは、彼らはフランスとしてちゃんと段階を追った実証試験をやりながらやってきておるのですね。  今、私は時間がないから詳しくはやりませんが、資料の提出を求めて見ると、十数年前に関電と日本原電でやったところの燃焼実験がありますよね。二体と四体、六体の少数体の燃焼実験があるのです。その燃焼度はいずれも、二万三千メガワット・デー・パー・トンというのですか、何だか舌をかみそうですが、そういう二万三千台の燃焼度の実験データですね。  ところが、最近資料の提出を求めて見てみると、四万三千とか五万三千の燃焼度というのは出ておりますが、いずれもフランスとか外国の実験データだけなんですね。それは、日本は十数年前に二万三千程度の燃焼度の実験しかやっていなければ、四万や五万の数字が出てくるはずがない。フランスとか、恐らくドイツも、五百体、相当な数をやっていますから、いろいろな数字はあると思います。  しかし、これだけ、アメリカが百の原子力発電所を持ち、フランスが五十八、我が日本は五十二まで持っている。まさに、アメリカ、フランス、日本と横並びの、原子力発電においては、平和利用では大国になっている。その国が、よその、フランスの実験データを電力会社も政府も出して、外国でこういうふうにやっていますから心配ありませんというようなことでは済まされない。  私は、日本の原子炉を使って、そして実証実験を確実に初期から積み上げて初めて国民信頼というものがあり得るのであって、外国の例だけ持ってきて、これだけやっていますから心配ないというようなことは、これだけの原子力大国の日本の中であってはならないことだと思いますが、どう思いますか。
  64. 佐々木宜彦

    ○佐々木説明員 御説明いたします。  平成六年の原子力開発利用長期計画におきまして、MOX燃料を現在の軽水炉に装荷することについては特段の技術的問題はないと言えるとされております。  このことは、一つは、現在発電中の原子炉内におきましても、プルトニウムの核分裂によりまして発生するエネルギーが全体の約三分の一を担っております。プルトニウムによります核反応の評価は既に確立されたものとなっておること。二つには、海外におきます、今御指摘のMOX燃料利用が本格化しておりまして、平成六年当時では既に千体を超える実績がございました。我が国も、今お話のありました少数体の実証計画において、炉心の特性あるいは燃料の振る舞いなど良好な結果が得られたこと。こうしたことから、国内外におきますこうした技術的知見、実績などによりまして、実用規模の実証試験を行わなくてもMOX燃料の本格的利用が可能であると判断されたものと私どもは考えております。
  65. 辻一彦

    ○辻(一)委員 安全審査委員会の報告なら、それでいいですよね。これでもう大体心配はないと。だけれども、国民は、日本の原子炉をもって具体的な実証試験をやって、心配はないということを確認したいと思っておるのですよ。そういうことには、こんな説明では何にも答えにはならない。だから私は、時間の点からもうこの論議はこれ以上やりませんが、国民やまた立地の住民の安心、信頼のために、日本の原子炉を使った実証試験を積み重ねて、しかる後に導入を考えるべきであるということを強く強調しておきます。  最後に、原子力安全委員会の問題でありますが、さっきもちょっと申し上げましたが、アメリカ、フランス、日本というのは、原子力発電所を、百、五十台というように、しかも、その三ついずれも膨大な研究施設等も持っております。私もこの一月に、アメリカのロスアラモスの国研、それからネバダのユッカマウンテンの処理場、あるいはハンフォードの試験場等を見てきましたが、日本とは違うスケールですね。確かに大きい。  しかし、それにしても、やはり日本も、アメリカやフランスに次ぐ、準ずる、今研究施設もあり、原子力大国になっていると思うんですね。しかるに安全規制の分野を見ると、アメリカは、昭和五十年代の初期に、いわゆるエネルギー省が政策推進する、原子力規制委員会は分離をして、三千人のスタッフをもって規制専任の機関をつくったんですね。行政委員会として極めて強力な機関を持っている。私も、四十九年に行ってその実態を調べ、六十三年にも行って、当時のNRCを訪ねていろいろ勉強してみましたが、強大な機構になっているんですね。だから、NRCというと、アメリカでは安全についてあそこが言うなら間違いないかなという信頼があるんですね。  日本は、私は、安全委員会努力をしてもらっておることはよくわかりますが、スタッフとして、機構としては極めて弱体である、これだけの原子力安全規制を支えるには弱体ではないかと思うんです。委員の皆さんが、あるいは事務局がよくやっているということは十分私もわかりますが、機構としては弱体であると思うんです。これについて、原子力行政の責任者である原子力委員長、科技庁長官と、それから安全行政の責任者の安全委員長の見解を伺いたい。
  66. 有馬朗人

    有馬国務大臣 我が国の原子力安全規制の体系は、よく御案内のとおり、まず第一に事業者が安全確保に責任を持つということになっております。これを、行政庁である科学技術庁及び通産省が、原子炉等規制法等の法令に基づき厳正に監督して、さらに、行政府とは独自の立場から、原子力安全委員会安全規制政策を立案し、安全審査を二重にチェックしていくという仕組みになっております。これは御案内のとおりでございます。  我が国は、この仕組みの中で、この二十年間原子力安全確保の実を着実に上げてきていると思います。個々の規制部局の充実を図りつつ、基本的にこの仕組みで安全性確保はなされ得ると判断をいたしております。
  67. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 安全委員会のこれまでの仕事に御理解を賜りまして、大変ありがたく思っているところでございます。  これは、国によって制度や慣行が違いますから、単純に人数の比較というわけにはまいらないとは思いますけれども、現在、原子力安全委員会は、実は、科学技術庁原子力安全局、時にはほかの局にまで局長以下御協力をいただいておりまして、そのスタッフと申しますか、実際の事務局業務をやっていただいております人数はかなりの数に現状なっているわけでございます。  今度、私どもの委員会、これは原子力委員会と同様に内閣府に移るということは、もう既に国会で議決していただいておりますし、現在たしか御審議中だと思いますが、その法案によれば、独立事務局を安全委員会が持つ、そういう法案になっていると理解しております。これは、私どもといたしましても大変ありがたいことだと思っております。  ただ、独立しただけで実際の規模がそれに伴わなくては、今までどおりの仕事の継続も危ぶまれてしまうということでございます。では何名がいいのかというのはさまざま御意見あろうかと思います。これは全く私の個人的な希望ということで聞いていただきたいと思うのでありますが、六十から七十ぐらい欲しいな、ぜひそういうふうにしていただきたいなという希望を持っておるところでございます。
  68. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、持論としては、現在の原子力安全委員会は八条委員会、諮問委員会ですね。しかし、原子力安全委員会の結論は総理大臣が尊重せにゃならぬというようになっていますから、他の諮問委員会に比べれば、これはかなり権威づけられているといいますか、権威があると思うんですね。しかし、三条の行政委員会に比べれば、またこれは当然、委員会の性格上、諮問委員会と行政委員会は違うわけです。  だから、今言われたように、国情が違うから、全部アメリカやフランスのやり方がいいとは言えない。それはそれぞれあります。しかし、本来ならば、私は、第八条委員会を三条委員会に昇格させて、もっと強力な安全委員会と、そのもとに、公安委員会のもとの警察庁のような行政委員会を、事務当局を設けて強力な安全規制を、やはりここまで来ればやるべきであると思うんです。しかし、これは今なかなかできる状況ではなさそうでありますから、将来の課題といいますか、将来に向けての我々の努力目標としたい。  そこで、現実的に今考えられることは、内閣府に原子力安全委員会を移行するわけですね。そのときに、私も去年は行革の委員会に出て論議をしました。ことしもこの間、中央省庁の委員会にも出て論議をしましたが、今回は論議の時間が十分ではなかったと思うんですね。そこで、独立の委員会として内閣府に移すならば、単に機能を維持するというんじゃだめで、十分な機能を発揮できるような体制をつくらなければならないと思うんですね。  そうなると、日本原子力安全委員会の特徴の一つは、二百名の学者や研究所の研究員に協力を要請して、この皆さんの協力体制があるということ、これは私は一つの大きな特徴であろうと思うんですね。しかし、忙しい学者や研究者先生方にただやってくださいと言っておったんでは、これは準備もできなければ手腕も発揮できない。強力なスタッフがいて、その二百人の能力を十分生かしていただけるようにするには準備が要りますよ、日ごろの、毎日の。  そういうためには、これが六十名、七十名で足りるのかどうか。もっと、百人ぐらい必要じゃないかと思いますが、専門的にいろいろ検討されて、最小限これぐらいの数が、これからの機能を維持し拡充していくために、日本原子力安全行政のために必要であるというのであれば、科技庁長官日本原子力の最高の責任者ですから、この数を、スタッフを確保するために全力を挙げてもらわなくてはならないと思うんですが、長官の決意や考えはいかがでしょうか。     〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  69. 有馬朗人

    有馬国務大臣 実は、行政改革会議で、原子力委員会及び原子力安全委員会をどこにつけるかということが非常に問題になりました。私は、やはり国として重要なものであるから内閣府につけるべきだという考えを持っておりまして、今回そういうふうな格好になっております。ですから、原子力安全委員会を充実させることは極めて重要だと考えております。
  70. 辻一彦

    ○辻(一)委員 原子力安全委員長にこれ以上この話を聞いてもなかなか難しいですが、決意のほどをひとつ述べていただきたい。
  71. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 私どもの任務に深い御理解を賜りまして、また厚く御礼を申し上げるところでございます。  先ほど、私の個人的な希望ということで申し上げたわけでありますが、これは行革の結果どういう体制になろうとも、私どもとしては可能な限りの努力をして国民皆様の御期待にこたえ、また国民皆様に対する責任を果たしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  72. 辻一彦

    ○辻(一)委員 金融再編というのが行われていますね。金融機関があれだけの多くの不祥事件が出て、それが国会でも随分論議をされて、金融の大改革が行われて、確かに行革をやるのですから、要らないところというか多目にあるところは削る。しかし、必要なところには、削るだけが仕事ではない、やはり大事なところには機構を配分して充実するということも本当の意味の行革として私は大事だと思うのですね。  そういう意味で、ここに核燃料サイクル理事長以下いらっしゃいますが、打ち続く一連動燃事故は極めて遺憾であったと思うのですよ。しかし、それだけの国会論議もなされ、改革もなされてきたわけですね。だから、それらを踏まえて、私は、原子力安全行政においても、ぜひひとつ金融改革に匹敵するような拡充をされる中身を打ち出すことが必要であると。そういう点で政府の努力を強く求めると同時に、私は、各政党においても、超党派の問題であろうと思いますので、それぞれ各政党の皆さんが取り組んでいただくように心からお願い、要請をいたしたいと思っております。  あと二、三分になりました。この問題はこれで終わりますが、一言ちょっと伺っておきたいのです。  我々は、プルサーマルやプルトニウムをどうするかという論議をずっとやってまいりました。そういう中で、商業用の発電所から出てくるところのプルトニウムをどうするかという問題と、もう一つは、この間も私はロスアラモス研へ行ったのですが、オッペンハイマーのもとに、核弾頭、原爆をつくったあそこで、今、核削減条約の結果廃棄される核弾頭の解体試験に力を入れておるのですね。そういう意味では、核兵器のことも当然やっておるのでしょうが、核弾頭の解体の試験に非常に大きな重点を置くようになった。それだけいろいろな変化があると思うのです。  言うならば、核弾頭から削減条約で出てくるプルトニウムは、相当大量のプルトニウムがアメリカもロシアも出る。私も、来週からウィーンとIAEAへ行って、チェルノブイリをもう一度見て、ロシアへ寄って、ロシアの核弾頭解体後のプルトニウムをどうするのかということを少し論議をしてみたいと思って、そういう計画をしておりますが、核弾頭から出てくるプルトニウムをどうするかという新しい問題がここ数年出てきている。これについて、使用済み燃料を処理して出てくる商業用のプルトニウムと同様に、これは世界のプルトニウムをどうするかという点で極めて大事な問題であると思います。  そういう点で、これについての見解を求めるというのもなかなか難しいことだと思いますから、この二つのプルトニウムをどうするか、幸いなことに日本は核弾頭はありませんが、今世界はそういうプルトニウムの問題に直面しているということについて申し上げて、これについての感想等があったらちょっと政府側から一言聞きたいのです。
  73. 有馬朗人

    有馬国務大臣 既にこの点に関しましては、現在、日本といたしましても大いに協力をしようということを考えております。  すなわち、今般、サイクル機構は、ロシアの解体プルトニウムの処分に係る研究開発実施のために、ロシアの研究所と共同研究契約を締結したところでございます。こういう研究を通じて、先生の御指摘の点について我々も大いに検討いたしたいと思っております。
  74. 辻一彦

    ○辻(一)委員 では、これで終わりますから、残した問題はまだありますが、また後日に譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  75. 北側一雄

    北側委員長 吉田治君。
  76. 吉田治

    ○吉田(治)委員 ようやくこの「もんじゅ」の問題は、佐藤敬夫当時の科学技術委員長の時代に、院で、国会として、また委員会として締めをするというのが例の固化事件が起こって飛んでしまいまして、本日この場になった。立地県の福井県、また当該地方自治体、それぞれさまざまな御心痛があったということで、きょうを機に、国会としても、また我が科学技術委員会としても一つの区切りになればなというふうに強く思っております。  その中におきましても、核燃料サイクルについての政府の取り組みというふうなものは基本的にどうなのかということを、平成九年二月四日の閣議了解事項は私が調べた限りでは推進についての最終ではなかったかな。その中では、高速増殖炉開発は、「もんじゅ」の扱いを含め、開発のあり方を検討するというところで終わっているのですけれども、その後の政府の姿勢はどうなったのか。  また、最後の閣議了解で示されている検討ということについて、原子力委員会において、高速増殖炉懇談会というふうなもので幅広い検討を経て、同年、平成九年十二月五日に今後の高速増殖炉開発のあり方についての決定がなされております。この決定内容というふうなものは政府としてどう受けとめて、今後どう扱おうとしているのか。  まさに核燃料サイクルというふうなものの、サイクルですから、循環ですから、政府の取り組みの基本というものを私はまずお聞かせをいただきたいと思います。
  77. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘のとおり、閣議了解の以降、FBR懇談会と通称呼んでございますけれども、原子力委員会のもとに設けられました高速増殖炉につきましての懇談会、ここでもちまして大変精力的な、多角的な議論というのが行われ、平成九年十二月の段階報告書取りまとめられてございます。  その内容につきましては、時間もございますので割愛をさせていただきたいと存じますが、そのFBR懇談会報告書につきましては、原子力委員会に上げられまして、原子力委員会のもとでも再度審議をされ、原子力委員会としまして、その結論は妥当であるという評価を下しておるところでございまして、以降、その考え方に沿いまして、FBR開発及び「もんじゅ」の扱いというものを取り進めているところでございます。
  78. 吉田治

    ○吉田(治)委員 ということは、それぞれ決定を、閣議で検討をということでFBR懇談会検討し、それを原子力委員会とやって、それを忠実に今履行をしている、そういうふうに理解をさせていただいてよろしゅうございますね。
  79. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  さようでございます。
  80. 吉田治

    ○吉田(治)委員 では、その中において、高速増殖炉というふうなものの必要性というもの、これは後ほど、エネ庁の長官もおいでいただいておりますが、我が国のエネルギー政策、なかんずくエネルギーセキュリティーというふうなものの中において非常に重要と思うのですけれども、高速増殖炉というのは、我が国の地理的な条件、資源の残存状況などを踏まえて、将来エネルギー源を十分な量だけ確保するということに期待をされて研究開発が進んできたというふうに私は思っております。  特に、二度の石油危機を経て、エネルギー資源というものが極めて戦略的な商品になり得るということ。これはまた国際情勢に大きく左右されるということ。言うならば、極めてこれは当たり前のことなのですが、これがこのときに改めて認識をされ、それがその後の我が国のエネルギー政策原子力政策の極めて確固としたバックボーンになっている、そういうふうに考えられているわけです。高速増殖炉を含む核燃料サイクル路線もそういうことの延長上であるというふうに考えられますけれども、重ねてお聞きしますけれども、この基本的な考え方は変わっていないというふうに理解していいのか。  また、高速増殖炉の将来の必要性というもの、これは、後ほど「もんじゅ」のことについてお聞かせいただきますけれども、では、果たして何十年先に出てくるのか。それまでずっと税金を使い続けて、結果として何十年先のことかわからへんことに使っているのか。何度もこの委員会質問でも申し上げておりますように、何年先にこうなる、何年先にこうだよというふうなことがない限り、財政状況厳しい中、エネルギーというふうなものの重要性ということはありますけれども、出しづらいんじゃないかなと思うんです。  この辺、年限というふうなものは今どういうふうに考えられていますか。
  81. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  FBRの位置づけと申しましょうか、必要性ということにつきましての基本的なベースになりますところにつきましては、今先生指摘のところ、まさにそういうところにあるというふうに思うわけでございます。  そのあたりをもう一度私どもなりに敷衍をさせていただきますと、まさに、資源に乏しい我が国といたしましては、将来にわたりましてエネルギーというものを安定的に確保していくということ、それから、放射性廃棄物の環境への負荷の低減というふうな二つの側面から、使用済み燃料というものは再処理をいたしまして、プルトニウムというもの、燃え残りウランというものを回収いたしましてそれを再び利用していくということ、これ自体を原子力政策の基本にしておるということにある、その延長線上にFBRというものがあるというふうに認識を持ってございます。  FBR開発の年限、先行き、将来ということでございます。  従前、FBR懇談会でもって議論をいたします前の段階におきましては、FBRにつきましては二〇三〇年ごろの実用化を目指すんだというふうな目標のもとに開発を進めてきておったわけでございますけれども、FBR懇談会での議論の結果といたしまして、その点につきましての見通しというものを現時点におきましては持ち得ていないということであるわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけ早期の実用化というものを目指し、その上に立ちましての研究開発というものを着実に進めていく、そういう段階にあるものというふうに理解をいたしてございます。
  82. 吉田治

    ○吉田(治)委員 局長のお話を聞いていましたら、矛盾じゃないですけれども、相反するというか、エネルギーの安定というのは重要だということは今言われました、しかしながら、そのめどは二〇三〇年と言いながら、実は、もうこのごろそうじゃないんだと。わからないというふうな形になりますと、これから三十年、私の年齢で六十七歳になってもわからない。反対言うと、極端なことを言ったら、何年先にできるというのは今わからないけれども、何年先ぐらいにめどがつくのかということが一点。それから、その先何年ぐらいかかるのか、本当にそのときエネルギーが安定的にサイクルという形で回れるのか。  さきの科学技術委員会でも、中間貯蔵という問題をさせていただきました。まさにそれまでのつなぎだと。あのとき随分議論をしました。では、この辺について、めどというものは本当にどれぐらいなのかというのはいかがなんですか。
  83. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  めどといいますものは、この場合、まさにエネルギー供給体系の中におきましてFBRというものがどういう役割を果たしていくかということの問題でございますので、そのときのファクターといたしましては、経済性ということが非常に大きな要素として絡んでくるであろうというふうに思っておるわけでございます。  その点をかんがみますと、今の時点におきまして、経済的に各般のエネルギー供給源と拮抗する形でもって実用の中に入ってくるその時期ということにつきましては、大変残念ながら、私その先行きのめどというものを申し上げられ得ないわけでございます。  一方、今研究開発というものを進めておると同時に、つい最近でございますけれども、サイクル機構におきまして新しくスタートをさせました研究課題がございます。これは実用化戦略につきましての調査研究なのでございますけれども、そのあたりをもう少し、もう一回、いろいろな角度から一に返って議論をしてみよう、研究してみようという研究をスタートさせたところでございます。そのあたりの研究というものの成果が出ますれば、ある程度の将来的な見通しというものを得ることができるのではないかというふうに思ってございます。
  84. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今局長のお話の中で、経済合理性という言葉を言われました。これから先やっていって、コストというふうなもの、これは二つあると思うんですね。エネルギーセキュリティーという観点からいうと、エネルギーの市場価格というふうなもの。急激に上がったら、これはコスト的に幾らかけてもやらなければならない。しかしながら、長期安定的な需給が、要するに今緩んでいる状況でずっと続いていった場合には、結果的にはコストの高いものへ私たちの税金をつぎ込んでいるのではないかというようなことがあると思うんです。  この辺は、まず一点目は、そういうふうなコスト意識というようなものを絶えずどういう観点で、例えば電力各社だとか、そういうふうなところからどういうふうに意見を吸い上げたり意見を交換しているのかというふうなのが一点。そして、その見きわめ、やはりコスト的にだめだからやめようというふうな見きわめというのは、する場合にはどこかでしなければいけないし、いや、やはりどんといけるということもあると私は思うんですけれども、この二点はどうなんですか。
  85. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  現実のエネルギー供給源としてFBRというものは考えていくということはもう明白な事実でございますので、コストという問題を抜きにした研究というのはあり得ないだろうというふうに思ってございます。  実は、これは若干私どもの反省でもあるのでございますけれども、従前、いわゆる旧動燃の研究というのはどうもコスト意識が欠けるではないかというふうな御批判があったというのは認識をしてございます。そこのところは、私どもの一つの反省点として認識をいたしてございます。  ただ今回、今先ほども触れました、いわゆる実用化というものを展望しての新たな研究、スタートさせた研究と申しますものは、メーカーの方にもそこへ入っていただきましょう、電力サイドの方にも入っていただきましょう、大学研究者もそこへ入っていただきましょうということで、大洗に、非常にソフトな、緩やかな連合体のような形のものをつくりまして、いろいろなフィールドの方にも入っていただきましての研究というものを進める。その際には、経済性ということを非常に重視した、念頭に置いた研究というものをやってみたいというふうには思っているところでございます。
  86. 吉田治

    ○吉田(治)委員 その辺は今後の課題として、今回は「もんじゅ」ということで集中審議ですので、大臣も、この間御質問をさせていただいた後に「もんじゅ」を見られたということで、私は、現場の士気的に言うと非常に大きく上がったのではないかと。  現在停止中であって、しかしながら、プラントというふうなものの維持のためには、必要機器とか電気設備等というのは動いている。そうしますと、これらのための設備点検、消耗品、部品の交換等、作業をしている。世間的に言うと、停止しているから何もいないのかなというんじゃなくて、やはりそこでは働いている方がおられる。そして、研究を進めたいと思われている方もたくさんおいでだ。そこへ大臣が行かれたというのは、私は、はっきり言って、野党でありながらも、こういうことはもっと早く各大臣がしていただければよかったのかなと思っております。  この場合、プラントの安全というものは、正規の運転中もさることながら、こうした特別な過渡的な維持管理が非常に難しくて重要であるというふうに「もんじゅ」は言われております。しかしながら、「もんじゅ」はとまっているから金も人も要らないというふうな、余りにもちょっといかがかということも聞こえてきます。  運転再開までの「もんじゅ」を安全に維持管理していくということの行政の考え方。それから、「もんじゅ」の運転停止が長く続き、かつ、「もんじゅ」以降のFBRの路線が、今局長お答えになりましたけれども、どうもいま一つ不明確というふうな状況になりますと、人的な技術の継承、設備の安全維持への影響というものが危惧されております。こうした観点から、「もんじゅ」で働く技術者体制については、長期的な要員計画を立て、「もんじゅ」の運営を図るということが非常に重要だと考えておりますけれども、行政の考えというのはいかがなのか、この二点。  そして三点目は、やはり「もんじゅ」を動かすについては、安全というものは非常に確保しなければいけない。ちらっといただいた、何年計画で「もんじゅ」の運転再開と。安全の部分確保しなければいけないけれども、その間にある、工場の建設というんですか改築というんですか、ここについては、お金を倍かけても、時間をもっともっと短縮すべきものはすべきだ、そういうふうに私は思うんです。  この辺についてのお考え。やはり、先ほど言いましたように、コストだ何だといってこれから問題になるけれども、今あるものを生かしていくということで言うと、私は今申し上げたこの三点が非常に重要だと思うんですけれども、いかがですか、大臣
  87. 有馬朗人

    有馬国務大臣 大変いい御指摘でございまして、まず第一に、「もんじゅ」が今とまっておりますが、しかしながら、研究者及び技術者は大変使命感に燃えているということは御報告申し上げたとおりでございます。それから、人的に、訓練の問題がございますので、休んでいる間でも随分訓練をやっているということをこの前認識いたしてまいりました。  それから二番目に、休んでいる間に何をやっているかということでございますけれども、例えばどういうふうに修理していくか、そういうことについて極めて詳細な調査をし研究をして、今具体的な対策を練っているところでございます。そういう意味で、費用がどのくらいかかるか、それから、先生指摘のように期間がどのくらいかかるか、私ども大いに関心のあるところでございまして、最大限短くする努力を今しているところでございます。  しかし、そのためには、まず完全に安全性確保できることが必要でございます。その絡みで、今回、まだ公式には発表されておりませんけれども、具体的な修理策において、ナトリウムが絶対漏れないような非常に安全なやり方をするということを考えておりますし、ナトリウムと外界との間に大いに窒素を入れるというふうなことも考えておりまして、私も一人の科学者といたしまして、こういうふうな対策は極めて有効であると考えております。
  88. 吉田治

    ○吉田(治)委員 そういうふうなところで、局長で結構ですが、これからの安全維持、管理についての行政の考えと、それから要員計画、その辺についてはどうなんですか。
  89. 間宮馨

    ○間宮政府委員 まず、安全面についてお答えいたします。  ナトリウム漏えい事故及びその後のナトリウム燃焼実験から、安全性に関する種々の教訓を得たところでございます。  「もんじゅ事故では、ナトリウム漏えい時の漏えい規模の判断を的確に行えなかったということから、ナトリウム燃焼が拡大をいたしております。したがいまして、ナトリウムが空気雰囲気の部屋へ漏えいするトラブルを早期に検知し、漏えい抑制の操作、例えばナトリウムドレーン等を行いまして、空気中でのナトリウムの燃焼の拡大を防止するための対策を講じることが必要であると考えられております。  また、ナトリウム燃焼実験で、漏えいしたナトリウムとコンクリート壁からの水分とが反応したことが作用して床ライナーに穴が生じたということもございますので、ナトリウム漏えい時にコンクリート壁から水分が供給されないよう、例えば断熱材を設置するような対策を講じることが必要であると考えられております。  あと、運転員の判断をより的確なものにするために、運転手順書の改定等、各種マニュアル類の整備をする必要があると考えております。  原子炉施設を建設、運転する第一義的責任は設置者にございますが、国は、設置を許可した立場から、施設安全性確保できるよう建設、運転されていることを確認する責任がございます。今後、「もんじゅ」の改善に関する申請がなされますれば、国は厳格に審査を行いまして、その内容について国民にわかりやすい説明ができるように取り組む必要があると考えております。  あと、安全を確保する上で十分な設備が備えられていても、誤操作や誤判断等、人的ミスでトラブルが発生する場合が多いということでございますので、日ごろの保守活動運転操作等、施設の管理状態を国として確認し、適切な指導を行うことが必要と考えております。
  90. 青江茂

    青江政府委員 要員の方の状況につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  いわゆる二百名体制と申しましょうか、「もんじゅ」をきちんと運転していくための体制としましては、約二百名の人員というものが必要とされておるところでございますが、今時点におきまして、その人員体制というのはずっと維持をしてきてございます。  実は、私どもにとりまして、その二百名の方々のモラルを含めましての能力の維持ということが、とまりましてもう三年半以上になるわけでございまして、その問題というのは大変大きな課題であるというふうに思っているわけでございますけれども、先ほど大臣も触れましたナトリウムの取り扱いの訓練センターとかそういったふうなものも新たにできまして、そういったところに順次送り込みましてその能力の向上を図るとか、それから「ふげん」が横にございますので、「ふげん」との間の人事ローテーションと申しましょうか、そういったものを通じ能力の維持というものを図る。  それと同時に、やはり彼らはFBRというものを扱ってこそまさに彼らの能力というものが維持できるわけでございまして、そういう意味におきまして、一刻も早い再開と申しましょうか、そういうことでもってこそ彼らの能力水準の維持というものが具体的には図り得るのではないかということで、私どももさらに努力を継続していきたい、かように思ってございます。
  91. 吉田治

    ○吉田(治)委員 安全性という部分で、安全性のレベルというふうなものが大事になってくると思うんですね。だから、その辺で、安全のためには私はお金を入れるのはいとうことはないですけれども、財政的制約だとか、それとコストとの関係というようなことからいうと、やはり限りなくゼロに近いのは当たり前だけれども、どこかのところでということがあると思うんです。  間宮さん、今回の「もんじゅ」についての安全性のレベルというふうなもの、大体これがどのレベルとか、一から五まで書いてあれば、数量化できていたらいいんですけれども、レベル的なものというぼわっとした意見を書くことになるかもしれないけれども、時間の関係上一言で結構です、こんなレベルまでは目指したいというふうなものがあれば、私は専門家じゃないので、専門家の方が聞いたらそこまで目指すのかというふうに思われるレベルというのはどんなものなのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  92. 間宮馨

    ○間宮政府委員 非常に難しい御質問でございまして、どう答えていいかでございますが、事故のレベルから申し上げますと、いずれにしましても、「もんじゅ」の漏えい事故に関しましてレベル1ということでございますので、安全全体から申し上げますとそういう感じであろうかと思っております。  いずれにしましても、ナトリウムという非常に難しいものを扱うという施設でございますので、そのナトリウムが外に漏れて問題を起こす、あるいは中の炉心に悪影響を及ぼすということが絶対にないようにというそこだけは担保してまいりたいというふうに考えております。
  93. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それだけ踏まえさせていただいて、先ほどちらっと申させていただいたエネルギーセキュリティーというふうな問題。特に高速増殖炉という形でいうと、フランスは昨年の十二月三十一日で、スーパーフェニックスの解体作業の第一段階である炉心燃料取り出しと冷却材であるナトリウムの抜き取りの着手に関する政令を報告したというふうに言われています。いよいよ撤退が現実になってきたということですけれども、フランスの議員筋などによりますと、スーパーフェニックス廃止についてもこれ以上の譲歩はあり得ない。フランスという国は我が国同様、非常にエネルギーセキュリティーに重点を置いているというエネルギー政策をとってきまして、自由化、欧州電力市場の統合の流れというふうなものがあっても、エネルギーセキュリティーの位置づけが若干弱まったというふうなことがあっても、そういうフランス議員筋というんですか議員の方々の発言からしますと、増殖炉の廃炉が結果として政治的妥協により生まれたものである、それ以外のものではない。  この廃止によって、九一年に成立した長寿命廃棄物法で定められた短寿命核種への転換研究ができなくなるため、フェニックスが運転再開をされた。こうして研究開発の火は引き続きされるというふうな中で、やはりどう考えても、このエネルギーセキュリティーというふうな問題、先ほどちらっと申しました、きょうはエネ庁の長官来ておりますけれども、私このごろ、エネルギーセキュリティーという問題を考えますと、生まれた年によって随分違うのかなと。  これはいつもお話ししているんですけれども、第一次石油ショックのとき私は小学校五年生でございました。ある日突然夜のネオンが消えていく、テレビは十二時に終わってしまう、「11PM」などは一番おもしろいところがなくなってしまうというふうなのをずっと経験しております。それで、家の中には突然トイレットペーパーが山ほどできて、市場へ行くと食用油まで油がなくなるからといって便乗値上げをしているというふうな原体験がある。  私は三十七でございます。今、残念ながら、エネ庁長官エネルギー政策の担当者が、私よりも年が若い人たち、若い方々が課長補佐とか係長として現場でやられているというのは非常に大事なんですけれども、その原体験がない中で、マーケットメカニズムという言葉によって、エネルギーセキュリティーというふうなものの感覚がどうもずれているんじゃないかな。コストさえ安ければいい、何が安ければいいという発想が、私はどうも、これはエネ庁の若手の方々と言われる方とお話をしているとずれているのかなというふうな感じを非常に受けております。その方々自身も、先輩たちからいろいろ話は聞いているんだけれども、自分がそう体験していないからはっきり言ってわからないと。私たちが第二次世界大戦のことをテレビの画面だとか本を読んで知るようなものですから。その辺、国のエネルギーセキュリティーというふうなものを、エネ庁としてどう考えているのか。  そして、その中において、FBRの開発について、それは省庁が違いますから関係おまへんということはないと思うのです。これから経済産業省としてこの問題も原子力発電というものの一環として取り上げられるという中においては、今後、経済産業省としてそれを推進する立場に立っていくのか、いやいやそれは違う世界やというふうに言うのか。この辺の二点について、エネ庁の長官、わざわざおいでいただいて恐縮ではございますけれども、お考えのほどをお聞かせいただきたいと思います。
  94. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 エネルギーセキュリティーというお言葉がございました。エネルギー政策につきましては、我が国においては、特に国の安全保障の一環としての色彩を非常に色濃く持っております。若い人たちの原体験のあるなしは別としても、理念として、先生からも指摘がございましたが、特に資源が乏しい、島国であるために電気供給を周辺から受けられない。なかんずく、今後の問題として、アジアが非常に需要を伸ばしてまいります。そうした中でのアジアの一員としての日本の位置づけを考えますと、エネルギー政策が安全保障としての性格を非常に色濃く持っているという理解でございます。  ちなみに、二つだけ数字を申し上げますと、アジアのエネルギー需要は二〇一〇年までに六〇%ふえるというふうに予測されております。この間の世界の需要増は四〇%でございます。  それから二つ目の数字は、アジアの石油にかかわります中東依存度は、二〇一〇年には七〇%を超すと予想されております。他方で、アメリカ圏、ヨーロッパ圏は、いずれも中東依存度を極端に下げてまいりまして、二〇一〇年の段階では、中東に依存をする世界の国、地域はアジアが極端に大きいものになる、かような中でございます。そうしたアジアの中で、日本は四分の一のシェアを持っております。したがいまして、日本としての消費量を減らし、加えて非化石燃料のシェアを大きくして競合を減らすというのがエネルギー政策の基本であろうかと思います。そうした中で原子力発電を推進してきてまいったわけでございますし、また、この原子力政策の要諦は核燃サイクルにあるということを、御指摘のありました閣議了解あるいは原子力委員会決定でも累次確認をしてきておるところでございます。  こうした中での核燃サイクルの中核はFBRでございまして、そうした意味で、今後着実に研究開発が進められるべきもの、我々としても最大限の関心と配慮と、できることであるならば支援をしてまいりたい、かように考えております。
  95. 吉田治

    ○吉田(治)委員 長官、この場合、認識としては、例えば単なる新エネルギーだとか、こんなことを言うと失礼ですけれども、風力、地熱というふうなものと同列な選択肢の一つではないと。そこはひとつお答えいただきたいのですね。  それから、軽水炉プラントの歴史を見るように、新しい技術を用いたプラントの実用化には長期にわたる運転経験の蓄積と技術改良の積み重ねが必要であるということも、御理解いただけるのでしたらそうだというふうに言っていただきたいと思いますし、そうした観点から、FBR、また、今回とりわけ「もんじゅ」というものも通産省としては着実に立ち上げていくというふうに考えているのかどうか。ちょっとイエス、ノー的な質問になると思いますけれども、お答えをいただければと思います。
  96. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 最初の御質問につきましては、新エネその他いろいろあるけれども、やはり原子力の役割や大ということでございます。  二つ目の御質問の、各種の蓄積が大切、蓄積の先に新しい軽水炉の時代をさらに確実にするという御指摘、そのとおりでございます。また、FBRについて今後着実な進展を期待する、その点も全く御指摘のとおりでございます。
  97. 吉田治

    ○吉田(治)委員 その中において、きょうは両方、長官とそれから大臣、この間福井にも行っていただきましたので、原子力行政における国と地方自治体の役割というふうなもの、これは非常に重要じゃないかな。原子力プロジェクトも、原子力事業推進に関しては、例えばこの「もんじゅ」というのは、国と地方自治体の役割というのはどうなっているのか。「もんじゅ」の運転再開に関していいますと、国は、地域住民、自治体の合意をもとに判断する、一方、自治体の方では、いやいやそうじゃない、国で今後の計画を明確にした上でと、双方がお互いにげたを預けた構図という形になっていますけれども、国が自治体の意向を尊重するということは重要でありますけれども、プルトニウム利用政策のような、エネルギー、食糧など国策に関する問題は明確な国の姿勢なくしては推進できない。  昔、商工委員会でも当時の資源エネルギー庁長官にも御質問したのですけれども、やはりこういう「もんじゅ」のこと、そして原子力発電というふうなもの、これは、大臣もしくは担当局長、いろいろ巻町の原発の投票にもありますように、やはり国がもっと出るべきではないかな。その辺を、「もんじゅ」の問題は国、地方自治体、そして原子力発電については国がどうも電力会社に余りにもお任せをし過ぎじゃないかな。その結果として、例えば電力会社が出した決算書について、税金について、見解の相違という形で、それは地域対策費として認められないとか認められるとか。またもう一方言うと、何か頼みに行くと、プルサーマルの件でも頼みに行ったら、地方自治体、よしわかった、そのかわりに法定外普通税を上げろと、上げろという言い方はよくないですね、こういうふうに上げていくのにお願いをしますと。  どうもこの辺というのはもうちょっとはっきりしていただかないと、この財政の厳しい折、例えば私たちのように電力を消費する地域の出身議員にとってみれば、電源三法だとかさまざまなものでお金の交付はなされている、その地域へ行くと立派な体育館に立派なプールに立派な学校の校舎がある、役場も大したものだと。私は行ったことありませんけれども。そういうふうな、どうも国がはっきりしないから、今度は住民同士が、あそこは原発やいうたかて金もろうているんでええで、そやったら、どうや、うちらでもというふうな、非常にそういう誤解というのですかそごというものが残念ながら生じるのではないかなと。  財政が厳しくなっていけばいくほど、そういう意味でいったら、財源の取り合いと言ったら語弊がありますが、例えば私ども大阪の人間は、地元から言われているのは、私たちがいっぱい払った税金、大阪市民だったら、一万円国へ納めたらどうも二千円弱しか戻ってきてへんみたいや、どうもそれが、あそこへ行ってここへ行ってと。まあ、それは電源三法だとかそれとは別の議論かもしれませんけれども、ますますそういう、一昔前の言葉で言ったら世知辛い時代というふうな中で、やはり国と地方自治体の役割というのはしっかり分ける、その中においてすべき対策はしっかり練る。  例えば地域振興策。前回の中間貯蔵のことでも大臣に何度も御質問させていただきました。国がどういうふうに地域に振興策を出すのか。じゃ片一方、都市からすると、へえ、あそこだけ金もろうてええなというふうな、どうもそういう感じになってしまう。やはりこの辺の役割をはっきり分けなければ、無用な誤解をそれぞれ生じてしまうのではないかと私は思いますけれども、この辺の役割というものはいかが考えられているのですか。それぞれのお立場でお答えをいただければと思います。
  98. 青江茂

    青江政府委員 これも大変難しい御質問なんでございますけれども、いわゆる原子力行政におきましての国の役割と申しますのは、おおよそ次の二点ではなかろうかと思うわけでございます。  一つは、原子力に関しましての科学技術の振興でございますとかエネルギー安定供給、こういった角度から所要政策というものを企画立案いたしましてその推進を図る。その具体的な推進を図る場合に所要の環境整備というものが必要となってくる、そこのところの対策を講ずるというのもそれに含まれようかと思うわけでございます。  もう一つ側面は、安全の確保という問題。これは、具体的には電気事業法でございますとか原子炉等規制法という法律の施行という形を通じまして、法の規制という形をもちまして安全等の確保を図る、これが国の基本的な役割であろう。  一方、地方自治体の原子力につきましての役割と申しますのは、その地域住民の健康とか安全を守り福祉の向上を図る、そして地域の発展を図る。こういったことを、例えば知事さんなり市長さんなり各首長さんは全面的に背負っておられるのだろうと思うのでございますが、そのような任務からいたしまして、原子力施設の立地ということに対しまして、今の立場からの地域住民を代表しての意見というものを述べるというふうなお立場にあるのであろう。  また一方、安全の問題に関しましては、御案内のとおり、安全協定というものが締結されて、その協定に基づきましての安全の確認というものを具体的になさっていらっしゃるというのがそれぞれの基本的な役割ということであろうと思うわけでございます。今後半でおっしゃられましたいわゆる地域の振興というのは、現実に電源三法等を通じましてなされているわけでございますが、今先ほど触れましたいわゆる地域の発展、地域住民の安全の確保、こういったものを確保するために、いわゆる原子力施設と共生という観点から必要とされます対策というものの一環としまして、資金というものを用意し、地方公共団体等に交付をするという形を通じまして、地元との間の具体的な共生が図られているという関係に立っているのではないかというふうに理解をいたしております。
  99. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 エネルギー政策につきましては、やはり国の安全保障の一環としての色彩を非常に色濃く持っておりますので、原子力発電のありよう、割合、そうしたことを含めたエネルギー政策全般のことは国の観点から議論をするべきものだと思っております。したがって、国の役割として、この政策の趣旨、意義、方向あるいはこれを進める上での安全の確保ということについて、国の役割を考えてございます。  他方で、原子力立地につきましては、どうしても立地地域の御理解と御協力を得ながら進めるということが必要不可欠でございまして、こうしたことから、制度的にも、また運用上も、地方自治体との極めて緊密な連携のもとに事を進めてございます。  こうした地域理解と御協力検討する上で、やはり地元の市町村の最大の望みは地域の振興、地域の発展ということでございまして、先ほど局長の方から共生という言葉がございましたが、そういう共生という言葉で表現をされる、原子力とともに地域の発展を図るという御希望が非常に大きいことを勘案しながら、我々として周辺の御協力を申し上げている、こういうような位置づけでございます。
  100. 吉田治

    ○吉田(治)委員 その辺の役割というのは、やはりよくお考えいただきたいですね。もうちょっと前面に私は国が出てもらいたいなという感じを受けておるわけであります。今後の原子力行政についてはまた別の機会でということでお願いをしたいと思うのですけれども。  では、肝心の「もんじゅ」というふうなこと。  昨年の本委員会において、動燃事業団というふうなものが核燃料サイクル機構という形に変わった。私は、その後それがどうなったのかというふうなことを、非常に気になっておりましたし、心配もしておりました。きょうは理事長さん初め皆さん方おいででございますので、あのときの議論の中で、「もんじゅ」の事故不祥事に関する反省点、これはアスファルト固化施設火災爆発事故等も含まれるのですけれども、旧動燃事業団と監督官庁、つまり科学技術庁との関係というふうなものが随分指摘をされておりました。この点に対する改善というふうなものはいかに図られてきたのか。これは、監督される方の核燃料サイクル機構の理事長の方からお答えをいただきたいと思います。
  101. 都甲泰正

    都甲参考人 お答え申し上げます。  動燃改革委員会におきまして、旧動燃の経営の問題点といたしまして、安全確保や危機管理の不備、それから二番目に体質の閉鎖性、それから三番目に事業の肥大化、この三点が指摘されたところでございます。  サイクル機構の発足に当たりまして、これら問題点の改善のために、サイクル機構の運営方針といたしまして、まず、安全確保業務運営の最優先事項といたしまして、自主保安に努めるとともに、安全確保に対する最適な資源配分を行うということをいたしました。それから二番目に、情報公開指針の制定あるいは地域社会との共生、並びに外部有識者から構成される運営審議会の設置ですとか、あるいは外部委員から成る課題評価委員会の設置など、経営の透明性に努めてまいりました。それからさらに、サイクル機構の裁量権と責任のもとに私どもの中長期事業計画を本年三月に策定するなど、適正かつ効率的な業務運営を目指した事業改革も行ってきております。  今後とも職員意識改革を継続し、これらの改革を実りあるものとしてまいりたい、このように考えております。
  102. 吉田治

    ○吉田(治)委員 理事長、その場合監督官庁との関係というのはどういうふうになっておりますか。
  103. 都甲泰正

    都甲参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、中長期事業計画を作成するに当たりまして、私どもの裁量権と責任のもとに決めさせていただきました。
  104. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今まさに理事長は裁量権という言葉を言われました。事故不祥事を連発した旧動燃というものは、その体質というふうなものが問題になって、経営の不在があったのではないかと随分議論をされまして、特に、今理事長も言われました裁量権がなかった。つまり、自主的、効率的な事業展開を担保するということができなかった。  今理事長のお話では、サイクル機構では十分な裁量権を確保されるようになった。本当に十分な裁量権というのは付与をされているのですか。そういうふうに考えておられるかというのは大変失礼な質問ですね、どういうふうにお考えになられているのか。まあ、監督官庁を前にしてそんなのありまへんとは言われへんと思いますけれども、所轄官庁との関係において、当時動燃というのは上ばかり見て仕事をしていたという体質があったと言われていますけれども、この体質というふうなものは、この何カ月間によって急速に変わることはないでしょうけれども、あれだけの事故を起こして、これだけ国会で審議をして、変わっていったというか、変わらざるを得ないと思うのですけれども、その辺を含めて、いかがなんでしょう。
  105. 都甲泰正

    都甲参考人 お答え申し上げます。  旧動燃時代の体質がいろいろ批判されておりますが、私は、その根本にありますのは、旧動燃時代には、国から与えられました国策としての原子力開発の仕事をやってまいりまして、そのために職員が非常に大きな自負、自尊心あるいは誇りを持っていたと思います。その裏といたしまして閉鎖的な体質が生まれてきた、このように解釈いたしております。それを改めるために、サイクル機構になりまして、意識改革が何よりも重要であるということで努力してまいりました。  それで、業務進め方におきましても、先ほど申しましたように、私どもの裁量権と責任のもとに中長期事業計画を決めまして、それに従いまして、これから透明性確保を図りますために外部の評価等は十分にいただきながら業務を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  106. 吉田治

    ○吉田(治)委員 中長期事業に当たられた担当部署というのは、事業団の中で何部がその担当に当たられましたか。
  107. 都甲泰正

    都甲参考人 お答えいたします。  本社の経営企画本部でございます。
  108. 吉田治

    ○吉田(治)委員 ということは、担当部長は事業計画部長になるわけですね。
  109. 都甲泰正

    都甲参考人 事業計画部担当の相澤理事でございます。
  110. 吉田治

    ○吉田(治)委員 いや、部長はだれになるのですか。
  111. 都甲泰正

    都甲参考人 部長は上原部長でございます。
  112. 吉田治

    ○吉田(治)委員 ここで私は、大臣はよく知られているかどうかわからないのですけれども、当時、科技庁から当時の旧動燃に出向者が非常に多いんじゃないかというお話をさせていただきました。  今どうなんですかとお聞きしましたら、これは原子力局から六月七日付でいただいた資料です。役員は十一人中二名だ、部長は二十九名中二名だ、次長は五十七名中二名、課長は二百人中二名、その他二千四百四十一名中四名、合計二千七百三十八人中十二人だ。いかに私どもは少ないかと。エネ庁の長官がおいでで大変失礼なんですけれども、某省の所轄特殊法人の役員の数を持ってきて、これは言ったら大変エネ庁の長官に失礼になりますので、何機構か、何事業団かというのは申し上げませんけれども、いや、ある省の役員は十三名中九名だ、部長は三十三名中十七名だ、ほら、ほかの省庁はいっぱい多いでしょうというふうに持ってこられたんですけれども、中身を見て、今、私、理事長の話を聞いて、何ら体質は変わっていないと。  今、担当部長は事業計画部長の上原さんだと言われましたね、理事相澤さんだと。中長期計画をつくったと。出向者じゃないですか、科技庁からの。こう書いてあるんです、私の資料では。役員の理事、笹谷さんは何を所管しているの。人事、経理、経営企画、広報、核物質管理。部長職、事業計画部長上原さん。経営企画、事業企画、経理。経理部次長、経理課長代理、経理課長代理。まさに人事と資金、主要なポストはみんな科技庁の出向者に押さえられている。  よくもいけしゃあしゃあという言葉があります。科技庁から核燃料サイクル機構への出向者の数はこれだけですよと。中身を見たら、主要なところは前と変わらないじゃないですか、動燃のときと。あのときも私同じことを申し上げましたよ。じゃ、サイクル機構になってどう変わるのと。一年たって、二年たっても体質は変わっていないということを言われても仕方がないじゃないですか。  そういう中で、もう一度頑張れということ、これは私たちは何ら否定するべきものではありません。大臣が行かれて、倍の金をかけて、工期短縮してでも早うやろうというのはよくわかります。  しかしながら、こういう体質、こういうふうなあり方というものが、国会で、科学技術委員会で地方公聴会まで開いてやった議論の結果がこれであるならば、サイクル機構を言うことは非常に失礼になる。科技庁においても、何らサイクル機構に対する思い、考え——先ほど理事長は、動燃事業団のときには国策という形で自負心があって、そしてその結果として閉鎖的になったという言葉を言われた。あのとき私は質問で申し上げた、上を向いて仕事をしているんじゃないか、主要なところを握られていると。  去年の十月ですか、サイクル機構になった。今この結果がこれである。例えば二〇〇〇年レポート、これは処分の問題ですね、こういうふうなもの。そしてワシントン事務所。これは、大体科技庁の方は海外へ出られないので、そういう形で行かれているのかもしれない。そして監事という形。そして、私が後ほど質問する情報公開という形。今理事長が言われました。情報公開で重要なのは、広報だと思うんですね。広報は、広報部長も次長も出向者である。  私は、こういう現実というようなものを変えようとしたときに、果たしてこのまま、こういう体質を引きずったものの中で「もんじゅ」を再開するということに対しては、反対はしませんよ、反対はしませんけれども、やはりもうちょっと考えてもらわなあかんのと違いますか、大臣。  大臣、これを聞かれて、大臣の御感想というものを、御意見を私はお聞かせいただきたいと思います。
  113. 有馬朗人

    有馬国務大臣 出向者という格好ではなくて、もう既にサイクル機構の中の人材と考えますけれども、やはり、どういうことが裏側にある、経歴の中にあるにしても、最も適当な人材を使うべきだと思っております。  したがいまして、ただいまの御指摘の点については、こういう人事が、いわゆる天下りではない、人材として適切であるかどうかということが問題でございますが、現在のところ、私はこの方たちによく会っていろいろ議論しますけれども、そういう意味では、極めて適切な人材であると考えております。
  114. 吉田治

    ○吉田(治)委員 大臣は本当に大変立派な、私は尊敬する、こういう方ばかりが日本の議員だったら日本ももうちょっとはよくなるのかなと私は思うんですけれども、それにしても、大臣、適切という言葉を言われました、しかし、適切であったら、なぜ科技庁から出す必要があるのか。では、反対に言うと、適切な人は核燃料サイクル機構にはいないのか、足らないのか。二千七百人も職員がいて、そういう主要なところは、今大臣のお言葉をいただいて大変恐縮かもしれませんけれども、適切な人を科技庁から出さないとサイクル機構は回らないのか。どうなんですか、理事長。
  115. 都甲泰正

    都甲参考人 お答えいたします。  その前に、大変申しわけありませんが、一つ、先ほどの相澤理事、経営企画本部の事業計画部担当でございますが、これは昔から動燃職員でございましたので、申し添えさせていただきます。  それから、ポストについてでございますが、サイクル機構の中には、今御指摘いただきました事業計画部のほかにも、企画部でございますとか、人事部、総務、業務等大切なポストがたくさんございますが、私どもはそれぞれ適切な人材を起用して業務運営を行っていると理解いたしております。
  116. 吉田治

    ○吉田(治)委員 その辺のことになってきたら、まさに何とか論争、宗教的な論争かもしれないけれども、それで言うならば、理事長が裁量権を、裁量権をと言う裁量権というのは、本当は、実態はみずから主体的に決められないというふうな状況と言われても仕方がないんじゃないですか。  こういう特殊法人の例としては、例えば、理事をヘッドとしたピラミッド構造とよく言われています。そうしますと、人事、経理、経営企画、広報、核物質管理という、まさにこのサイクル機構の中核を握る人が役所から来ているというわけですよね、これは。それで裁量権だと。これは今後の課題としてどうなっていくのか。  私は一年前質問を何度もして、言ったことが全然変わっていない。まさに、あのときの審議は何だったのか。あのときある質問の中でこういうのがありました。単なる衣がえじゃないか、名前を変えただけ。そして、本部の所在地も、東京じゃまずいから向こうの方へ行ってわからぬようにしようというふうな議論もあったようなかすかな記憶もございます。そう言われても仕方がない。  それがまた、皆さんと協力してこの委員会で頑張って、「もんじゅ再開のためにどうしたらいいのかというふうな、肝心のそこが、科技庁にしても特殊法人であるサイクル機構についてもできていないというのは、私は再考していただきたい。大臣、これは強く申し添えさせていただきたい。  と同時に、もう一つ。今理事長のお話の中で、運営審議会というのがある。私の手元にいただいている資料によると、過去三回開催をされた。中身についてはいろいろ議論がある。  私は一点目まず聞きたいのは、この運営審議会に出てきた議論、また、例えば審議結果というふうなものは、単なるサイクル機構だけじゃなくて、日本のFBRを初めとするさまざまなエネルギー政策に対する大きな考えるべき項目がたくさんあるんではないか。中身を見てもおりません。公開もされているのかどうか知りません。されていないというふうに私は聞いております、あるところからは。しかしながら、結果として、それはサイクル機構のみならず、所管官庁等にどう反映していくのか。  これは担当局並びに理事長にお聞かせいただきたいのと同時に、私は選ばれた審議会のメンバーのリストを読ませていただいていて、なるほど運営審議会にたくさん立派な方がお入りになられていますけれども、反対に言ったら、忙しい人ばかりですよね。過去三回、これらの方々十五名全員出席されて審議会が持たれたのかどうか。特に、私、曽野綾子さんて大好きなんですね、女性としてじゃなくて活動として。日本財団の会長としてお忙しい。さきの司法制度改革審議会の同意人事案件において、残念ながら民主党は反対をさせていただきました。なぜか。あのお方は現に審議会のメンバー四つ入られている。そして、人権擁護委員をやられているのを、ちょっと忙しいからでけへん、日本財団の会長もやられていますから。そうされたお方をこの委員会のメンバーに入れられておる。  私は入れられたことについてとやかく言うつもりはない。しかしながら、そういう忙しい人とわかっていて入れるんであれば、まさに、委員会は開かれるけれども本人はいない、委員会の形骸化。結果的には、サイクル機構並びに監督官庁である科技庁が出したペーパーを、まあそれでええか、こういうのも問題があるなと。真摯な議論が果たしてどこまでできるのかなというふうな危惧の念も持っております。  もう一点は、これは明石さんが入られています。三月二十四日というのはまさに選挙戦の最中だったと思うのですけれども。  ですから、この十五人の方、今後は七月二十七日に東海事業所で行われる、東海まで来ていただく、全員そろうのかな。今後どういうふうにそういうふうなことを、運営も含めて、結果についてどうなのか、これから運営についてどうなのか。ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  117. 都甲泰正

    都甲参考人 お答えいたします。  最初にまず、運営審議会、これが私どもの所期の目的を果たしているか、こういう点について御説明申し上げたいと思います。  運営審議会は、経営の透明性と社会性の確保という位置づけで経営に対する外部評価をいただくために、理事長の諮問機関として設置されておりまして、今御指摘のように、広く各界の有識者十五名の方々で構成されております。昨年十一月以来これまでに三回の審議会が開催されまして、サイクル機構の運営方針及び中長期事業計画などにつきまして御審議いただきました。  審議会は公開といたしておりまして、配付資料審議の模様等は別途インターネットなどを通じて公表いたしております。また、審議会の席上いただきました御意見の対応状況につきましては、その次の審議会におきましてそれぞれ御報告するとともに、それらを参考にして業務運営推進してきております。このように、運営審議会は十分にその所期の目的を果たしておると私ども考えております。  それから、運営審議会の運営につきましての御質問でございますが、今まで三回、それから四回目には東海までお越しいただきまして、私どもの東海事業所も御視察いただいて、これからの御審議の参考にしていただきたいと考えております。  それで、確かにお忙しい先生方ばかりお願いしてあるのでございますが、先生方の御都合もできるだけお聞きして開催しておりますので、今までのところ、ほとんど一、二名ずつの御欠席でございました。具体的な曽野先生の例で申しますと、三回のうち二回に御出席をいただいておるのが現状でございます。
  118. 吉田治

    ○吉田(治)委員 原子力局長、この運営審議会の結果について、今申し上げたようにサイクル機構だけで使うのか、広く原子力行政というものに対応するのかというのが一点。  それから二点目は、これはあと二点、もう時間がありませんのでまとめてという形で大変大臣に失礼ですけれども、大臣のお考えもいただきたいなと思うのは、そういう運営審議会の結果と、それから、情報公開と私質問項目を出しましたけれども、これは実は、広く広報というのをもっと大事に頑張ろうということをお願いするのと同時に、こういうふうに蓄積されているFBR、また核燃料サイクルというふうなもの、こういうさまざまな情報、先ほどエネ庁の長官が、アジアの経済、エネルギー事情、エネルギーセキュリティーということをいろいろ申されました。そうしますと、我が国だけでその情報というふうなのを持つのがいいのか。先進国、例えばフランスですとか各国との連携はあると思いますけれども、今後はそういうふうなものをアジアにも、これはちょっと非常に、核兵器だとかその辺の問題と微妙なバランスになってくるので難しい問題かもしれませんけれども、先ほどのエネ庁の長官の話によると、二〇一〇年までに六〇%伸びる、中東への依存度はほかよりも多いというふうなところに、海外へ公開をしていく、これはある意味での日本の国際貢献の一環でもあるんではないかなと私は思うのですけれども、この辺は今後どういうふうにされていくのか。  そして、文部大臣も兼ねております有馬長官にお聞かせいただきたいのは、これは毎回言われているのですけれども、原子力というふうなものに対する人気度というのですか、人材確保。これは、先ほど原子力局長のお話も言われていましたように、単にここ一年で終わるんじゃなくて、何十年も先の話になってくる。どういう人を確保していくか、育成していくかというのが重要になってくる。この辺、三点ですけれども、まとめてお答えをいただければと思います。
  119. 青江茂

    青江政府委員 事務的な方につきまして、先にちょっと整理をさせていただきたいと思います。  運営審議会の方につきましては、これは、機構のものでございまして、私どもが担当してございます原子力行政と申しましょうか、そういったふうな議論をする際に活用されるものではございません。したがいまして、私どもが諮問するとか、そういったことはございません。  それから、蓄積されてございます機構の方の情報、これにつきましてのアジアを中心にしましての海外との連携といいますか公開と申しましょうか、そういったことにつきましては重要な課題であるというふうに思ってございますが、持ってございます情報というのが、今ちょっと触れられましたいわゆる機微情報と申しましょうか、例えばプルトニウムを扱う情報というものとそれから諸外国、近隣諸国との関係、こういったものを注意をしつつ扱っていくべきものということであろうというふうに思ってございます。
  120. 有馬朗人

    有馬国務大臣 手短にお答え申し上げます。  今局長からお返事いたしましたように、いろいろな情報、特に「もんじゅ」の情報などは、日本だけでなく世界に発信すべきだと思っております。  それから、人材確保の点、これは私も非常に心配をしていることであります。現在、いろいろ原子力についての技術者の教育は科学技術庁としていたしておりますけれども、もっと若い層、特に大学生をもっと引きつける必要がある。この点におきましては、「もんじゅ」が再開すること、それから非常に新しい使用済み核燃料に対するさまざまな研究が行われること、あるいは核融合の研究であるとか、こういう新しい未来を切り開くようなものが出てきませんと若者は関心を持たないわけであります。やはり、そういう新しい科学技術が発展するということが極めて重要だと思っております。  さまざまな点で原子力をめぐる問題がございますけれども、教育の上でも大きな問題でございまして、そのために明るい夢を持たすような計画が動いていかなければならないと思っております。そういう点で、「もんじゅ」をさらによいものにするべく、なるべく早く再開をしたいと思っております。
  121. 吉田治

    ○吉田(治)委員 時間ですので、終わります。「もんじゅ再開のためにしっかり頑張ってください。  ありがとうございます。
  122. 北側一雄

    北側委員長 近藤昭一君。
  123. 近藤昭一

    ○近藤委員 民主党の近藤昭一でございます。  本日の、原子力開発利用とその安全確保に関する件ということで質問させていただきたいと思いますが、これは、案件のサブタイトルとして、特に今後の「もんじゅ」を中心とした高速増殖炉研究開発政策のあり方についてというふうにあります。ですから、今後この高速増殖炉研究開発政策をどういうふうにしていくべきなのかなというふうに私も考えるわけであります。  そういう中で、この科学技術委員会でも議論が繰り返された中で、私も、資源が大変に少ない日本の中で、そしてまた科学技術立国を目指していく日本の国のあり方という中で、こうした原子力開発一つ方向性としては間違ってはいないのではないかというお話をさせていただいていたわけであります。ただ、それと同時に、国民の皆さんの大きな御理解、そしてまた、安心してという言い方がいいのかわかりませんけれども、一つには、やはり安心感を持って、科学技術、こういった開発を進めていってほしいという大変な期待があるのだと思うのです。  そういう中で、私は、高速増殖炉研究開発政策も含めた原子力研究開発利用長期計画、ちょうどことしはその計画の見直しの年でもありますし、この計画というものが大変に重要だと思うのです。この重要な計画でありますが、ただ、その計画が、「もんじゅ」の事故を通して一つ不信感のもとになっているのではないか、私はかように思うわけであります。     〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕  つまり、長期計画というものがなされてきた。その中で、その都度、もちろん長期計画とはいえ時代の変わることとともに見直しがされているわけでありますけれども、そういった見直しの過程に、特に高速増殖炉あるいはプルサーマル、こういったものの見通しというものが、長期とは言われながらも何年かごとに見直しがされている。  しかしながら、そういった一つの目標を立てることによって、逆に高速増殖炉開発というものの足かせになってきたのではないか。ですから、開発される方にとってみれば、長期の計画とはいえ一つのめどがある。そのめどの中でどうしてもやらなくちゃいけないのではないかという焦りみたいなものが、この一連事故の中で出てきた、あるいは事故隠しという大変に残念なことが起きたわけでありますが、そういった事故隠しの中でも心理的にどこかで働いたのではないかというふうに私は思うわけであります。  そういった意味で、まさしく長期計画というものはしっかりと見直していただかなくてはならないわけでありまして、特に「もんじゅ」の再開ということがここで議題に上がってくるわけでありますから、その長期計画というものをどういうふうにしていくか、これは大変に大きな問題だと思うんです。  ちょっと繰り返しますけれども、この長期計画については、同時にプルサーマル計画も大変に大きな問題になってくると私は思うんです。ですから、長期計画の中では、特にプルサーマルの問題、そして、特にというか、これはほとんどになるのかもしれませんが、高速増殖炉をどうしていくか。あるいは、今回は「もんじゅ」が大きな論点になるわけですが、プルサーマルだって多分長期計画の中ではやはりバランスを持つ。つまり、高速増殖炉、プルサーマルあるいは再処理工場、それぞれがバランスを持つわけでありますから、そのバランスの中でもちろん「もんじゅ」もあるわけですね。  ところが、「もんじゅ」を考えるに当たって、プルサーマルでさえ実は、長期計画の中で見通しが立っていることに対して、予定でいくと二〇〇〇年ごろに十基程度ということで計画がなっているわけでありますけれども、このプルサーマルについても大変に慎重論も「もんじゅ」の事故に関連してあったわけでありますし、そしてまた六ケ所村の再処理工場にしましても、ついせんだって二〇〇三年の操業開始予定が二〇〇五年になったりと、高速増殖炉だけに限らず、プルサーマルそして再処理、大変失礼でありますが、すべてに対して少々不信感が出ているということだと思うんですよね。  ですから、そういうことを考えますと、まさしく高速増殖炉を見直すに当たっては、全体の長期計画というものが持つ大きな意味が出てくると思います。  そして、もうちょっとお話をさせていただきますと、「もんじゅ」の事故が起きました当時のことをちょっと振り返りましたところ、科学技術庁の長官は浦野烋興先生だったと思うんですが、浦野先生も当時は、大変な事故だということで、この問題については「もんじゅ」の開発スケジュールの見直しも視野に入れて、「もんじゅ」の開発スケジュールもやはり見直すべきものかもしれないと。あるいは、当時、原子力委員会でも、九六年の一月だったかと思いますが、プルトニウム計画、これはプルサーマルに関してですが、計画の変更も視野に入れなくちゃいけない、まさしくそういうものが、大変に重大な事故だ、そして事故隠しということの体質、本当にその裏にある体質についても心配だということで、大変な見直しというものが視野になったわけであります。  そういったまさしく長期計画の見直しの時期、そして「もんじゅ」の再開が重なっているということでありまして、この長期計画について、申しわけないですが、しっかりとつくってもらわなくちゃいけないわけでありますが、この長期計画というものは、どなたがどうやってつくっていかれるのかということをちょっとお聞きしたいと思います。
  124. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  長期計画は原子力委員会が決定をいたします。原子力委員会の任務でございます原子力開発利用というものに関しましての政策ということ、これにつきましての審議、決定をする責務を負っておるわけでございます。その責務にのっとりまして、原子力委員会が決定をいたします。  それから、前半部分先生がお触れになりました、言ってみれば、いろいろなことのスケジュールのおくれと申しましょうか、そういったふうなことがいわゆる一種の原子力に対する不信というものをかえって助長しておるのではないかという御指摘がございましたが、確かにその側面というのがあろうというふうに思ってございます。  原子力委員会が今回原子力長計というものを改定する、見直す、これに先立ちましていろいろな議論委員会の中でもなされまして、そのうちの一つがその問題でございまして、そういう議論の過程の中から、新たな長計におきましては、政策論として、普遍的なものと、それから逐次状況に応じて弾力的に考えるべきもの、場合によっては選択肢を用意して、その選択肢の中から選択をしながら進めていく、そういうふうなもの、これは政策論として二種類あるはずだと。前者のものはきちっとさせて、揺るがないような形で前進をさせる、後者のものについては時宜に応じ、状況に応じ盛っていく、こういうふうな整理というのが新たな長計においては考えられるべきではないかというふうな議論も今なされてございまして、その辺につきましては、新しい長計策定会議の中におきましてさらに議論を深めていただきたい、かように思ってございます。
  125. 近藤昭一

    ○近藤委員 原子力委員会がそういうことをやられるということでありますが、一つお聞きしたいのは、原子力委員会の中で具体的にどうやって見直しをされていくのか。  それと、まさしく今お話があったように、今回の長期計画の見直しの中では、政策論として、普遍の部分、そして変わり得る部分というところがあると思うんですけれども、そういった普遍の部分というのは特に気をつける必要があると思うんですが、原子力委員会の中で具体的にはどういうふうに長期計画をつくっていかれるのか、ちょっと教えてください。
  126. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  つくります手順の方につきましての御説明をまずさせていただきたいと存じます。  原子力委員会が、そのもとに長期計画策定会議というものを先般設けました。ここに三十三名の専門委員先生方にお集まりをいただくということになってございます。これは、原子力委員会が、先ほど申し上げました自分たちの任務を果たす上で、専門的な知見、一般的な高い見識、もろもろの角度からの知見というものの結集を図ると申しましょうか、そういう観点からお集まりをいただいている、委嘱をするというものでございまして、その策定会議でもちまして御議論をいただく、そして、その御議論を経ることによりまして長期計画の案というものが固まってくるということであろうと思うわけでございます。  その案は、最終的には原子力委員会に上げられる、そして原子力委員会で再度議論を経て、原子力委員会として決定をする、こういう運びになろうかというふうに思います。
  127. 近藤昭一

    ○近藤委員 そうしますと、原子力委員会の中でといいますか、原子力委員会が長期計画策定会議というもののメンバーを指名して、そこで議論をするということですよね。  そうすると、先ほど申し上げたことになるわけですけれども、この長期計画というのは、局長おっしゃったように、大変に変える部分、普遍の部分とか、そういうことも議論するわけですが、これはちょっと当たり前のことかもしれませんが、計画の持つ意義といいますか、やはり見直すわけですから、何のために見直すかということが大変大切だと思うんですよ。何のために見直して、見直した結果、その計画がどのような意味を持つのかなというふうに思うわけですが、その辺、いかがでしょうか。
  128. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  長期計画の持っている意味と申しますのは、私ども次のように理解しておるのでございます。  いわゆる各般の原子力研究開発利用というものを要するにトータルとしまして総合的、計画的に遂行していく、それが一つ政策の命題としてあろう、そのときの牽引役とでもいいましょうか、そういう役割を果たすもの。関係者の皆さん方はそれを一つのガイドラインとしまして諸活動というものに具体的に携われる。  それからもう一つの新しい役割ではないかというふうに思ってございますのは、国民とか国際社会に対する、我が国として、ないし政策としてはこうなんだというメッセージという意味、こういう役割というのが近時新しく大きな意味を持ってきているものではないかというふうに思ってございます。  それで、今度、長計というものを見直すその意義と申しますのは、やはり後者において触れました点、いわゆる国民方々へのメッセージ、国際社会へのメッセージとも関連するのでございますけれども、やはり先生が先ほど来触れていらっしゃいます一連事故、こういったふうな経緯を踏まえまして、原子力信頼というものを取り戻す、そういうものが大変大きな課題、そういう中におきまして新しい長計というものを打ち出していくとでも申しましょうか、その問題意識というのは大変強い意識としてはあるのであろうというふうに思ってございます。
  129. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございます。  まさしくガイドライン的な意味があって、推進役。この計画にとって推進役というのは、つまりこの計画に沿って、この計画が引っ張ってそういった開発をしていくということだと思いますし、我が国のメッセージということでありますと、ちょっと思い当たるのは、やはり諸外国が高速増殖炉開発から撤退していく中で、我が国はそれでもというか、経済的負担も大きいけれども頑張っていくんだみたいなメッセージかなと思いますし、局長おっしゃったように、このメッセージを通して国民の皆さんの信頼回復を図っていくということなんだろうなと思うんですよね。  そうしますと、では見直すに当たって、やはり見直すということは、これまでに起こったことを反省しながら、ではこれからはどうしていくんだということだと思うんですけれども、私はちょっとここで不可解だなと思うのは、長期計画策定会議というのは、いつからその策定を始められたのか、始められるのか、ちょっと教えていただきたいんですけれども。
  130. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  長期計画策定会議、第一回が開催されましたのは六月二日でございます。その会議におきましての審議がスタートいたしましたのは六月二日でございます。以降大体一年半程度をかけて議論を進めていただくという予定になってございます。
  131. 近藤昭一

    ○近藤委員 そうしますと、つい先日というか一カ月もたたないわけでありますけれども、その六月二日から始まったわけですよね。先ほど局長おっしゃったように、この計画が、今後どういうふうに日本原子力開発をしていくかというのの推進役になったりガイドラインになったりするということでありますし、そして、先ほど申し上げましたように、残念ながらこの間の一連事故、そしてまた事故隠しに対する国民の皆さんの不信が高まっているというわけですよね。  そうしますと、見直すというのは、先ほども私申し上げたように、これまで起こったことを反省するということだと思うんですが、せっかく計画を、ここで策定会議を設けてまで、そこまでして、かなり重いものだと思うんですけれども、重いものどころか、推進役なんですから中心になると思うんですけれども、それでやるわけなんですが、そして六月二日から始まって一年半というものがかかるわけですけれども、これは「もんじゅ」の再開なんかも、「もんじゅ」の再開というか高速増殖炉の位置づけ、あるいは先ほど申し上げましたように、大変重要になってくるプルサーマルとか再処理、残念ながらすべてちょっといろいろ課題が多いわけですよね。もう高速増殖炉だけじゃないわけですよ。  そうすると、ここは国民の皆さんのきちっとした理解を得るためには、高速増殖炉はもちろんのこと、プルサーマル、そして再処理工場、こういったことも含めた見直しをして、その結果やはり高速増殖炉もんじゅ」の再開もあるんではないかなと私は思うわけですけれども、六月二日から始まったところなのに、本来ならばそこにおいて「もんじゅ」の位置づけというものもなされるべきだと思うにもかかわらず、なぜ急いでこの「もんじゅ」の再開をされるのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  132. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  「もんじゅ」の再開自体につきましては、これは「もんじゅ事故以降におきまして、先ほど出ておりましたFBR懇談会原子力委員会のもとに設けましたFBR懇談会でもちまして政策論等々の問題を整理いたしまして、そのラインに沿って当面進めるべきものであるというふうに認識をしてございます。したがいまして、いわゆる「もんじゅ」の運転再開という問題もそのラインに沿って進めるべきものではなかろうかというふうに思うわけでございます。  それから、長期計画の議論と申しますものも、多角的な観点、今先生がおっしゃられましたプルサーマルからいろいろな問題、全部含めて御議論をいただくということであるわけでございますが、これまでの専門部会での議論でございますとか、そういったものも踏まえつつ議論というのがなされるというふうなことで、大きな基本的な方向づけといいますものにつきましての御議論の枠組みの中で、今「もんじゅ」を急いで進めるといいましょうか、そういうつもりではないのでございますけれども、基本的なラインに沿って着実に「もんじゅ」というものは進めるべき状況にあるのではないかというふうに思うわけでございます。
  133. 近藤昭一

    ○近藤委員 今局長がおっしゃられましたFBR懇談会、その中での審議の結果に基づいてこれは進められるということをおっしゃったわけですけれども、ただ、私申し上げましたように、事故が起きた当時、大変な事故だということで、科技庁長官も含め、原子力安全委員会なんかも、まさしくそういった長期的な計画の見直しが必要だと。つまり、「もんじゅ」の事故というものが長計の見直しの大変なきっかけ、きっかけというか原因だというふうに思うんですよね。ところが、その長計の見直しの原因であるにもかかわらず、長期の計画の見直しは今六月二日から始めましたよ、ところが「もんじゅ」については、FBR懇談会がありますから、そこで答えを出すんですよ、そこに持っていくんですよというのは、これはちょっとおかしいんじゃないかと私は思います。  もう一つ、いみじくも今局長がおっしゃったように、これは急いでやるわけではないということであれば、六月二日から一年半、この一年半は長いと思われるかどうか、それぞれの判断にもよると思うんですけれども、でも、この事故の重みを考えますと、この一年半ぐらいというものは待ってもそんな長い時間ではないと思います。  ちょっと繰り返しますけれども、何せこの長期計画の中で、全体でいえば、「もんじゅ」の問題だけじゃなくて、使用済み核燃料、先般ありました中間貯蔵施設はどうするのか、計画はあるけれども、実際的に立地の問題でかなり困難なことが出てくると思いますし、再処理工場にしても、第二再処理工場をどうするのか、いろいろなものが余りにもちょっと見通しが立たないことが多過ぎると思うんですよね。こういう見通しが立たないことが多い中でも、長期計画をもって、先ほど局長おっしゃいました、国民の皆さんへのメッセージだと。メッセージを発しておきながら、片やこっちでは違うメッセージ。違うメッセージと言ったら極端かもしれませんが。  ただ、どうですか。もし、そのFBR懇談会というものの重み、重みというか、その位置づけは私よくわかりませんけれども、FBRの問題はFBR懇談会が何でも決めるんだ、これが一番大きな問題となれば、逆に言うと、FBR懇談会の結論というものが長期計画を縛っていくわけでしょう。「もんじゅ」のこれからの位置は実はFBR懇談会でもう出ています、長期計画の中ではこういうふうに位置づけてもらわなくちゃいけません、そういうふうになってしまうのではないでしょうかね。
  134. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  FBR懇談会の結論が平成九年の十二月に出たわけでございますが、今私が申し上げましたのは、特に無理をして急ぐというつもりは毛頭ない。諸般の、プルサーマルにいたしましてもFBRの研究開発にいたしましても、それから再処理にいたしましても、現在いわゆるプログラムというのがあるわけでございます。原子力長計という今生きているものもございますし、それを内容的にリバイズされた部分もございます。そういうものがきちんと生きておるわけでございますので、審議は一方スタートいたしたわけでございますが、今進めるべきものは、その今生きている状態のいわゆる大きな骨格、長期計画でございますが、原子力委員会の基本的な考え方、これに沿って着実に、何も無理をして急ぐというつもりは全くございません、今決められておるラインに沿って着実にやった上で、それで審議審議として、忌憚のないいろいろな角度からの御議論をいただけましたらよろしいのではないかというふうに思っているわけでございまして、何も審議というもの自体を、これでもってやっていただかなければなりませんと言って拘束するつもりも毛頭ないわけでございます。
  135. 近藤昭一

    ○近藤委員 拘束するつもりはないとおっしゃっても、やはりこの「もんじゅ」の再開というのは非常に重要な意義を持つわけですし、結論として「もんじゅ」を再開するということになってしまえば、長期計画を見直したときにでも、そう簡単にというか、ストップさせるつもりがあるのかどうかということになってくると思うんです。  私はやはり、先ほども申し上げましたが、六月二日に長計策定会議が始まったんですから、それを待ってもいいと思うわけですよ。ここで、まさしく無理をして急がれるつもりはないとおっしゃったように、無理して急ぐ必要はないんじゃないかと思うんですね。  特に、ちょっといただきました資料を見ますと、長期計画の策定についてということでありますが、その中に「審議進め方」ということがあって、「長期計画案を取りまとめるに当たり、その内容について、幅広く国民の意見を聴取するための措置を講ずるものとする。」この長期計画の中では、「もんじゅ」の事故は大きな事故だった、これについて国民の皆さんの不信も多くなっている、高まっている、じゃ、やはり国民の皆さんの意見をまさしく聞かなくちゃいけないということだと思うんです。  それで、「もんじゅ」の地元のある新聞の調査ですか、県会議員さんだったかと思いますが、議員の人たちに対する調査を行ったところ、「もんじゅ」の再開については大変に否定的な意見が多かったようでありますね。それぞれいろいろな意見があるわけですからあれですが、「もんじゅ」の再開については大変な否定的な心配の声が上がっているわけですね。  そうすると、私も余り推測をしてはいけないとは思うんですが、国民の皆さんの意見を聴取すると、「もんじゅ」の再開については非常に心配する、まあ言い方によっては否定的というか慎重な声がわっと上がってくるんじゃないかと思うんですね。そういったところを、大変失礼ですけれども、とりあえずは、現在の長期計画では「もんじゅ」のことが位置づけられているんで、ちょっと早目に今のうちにやってしまおうというふうにしかこれは思えないし、こういう進め方をすると、国民の皆さんの信頼感は回復できないんじゃないかと思うんですけれども。
  136. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  FBR懇談会議論をいただきましたのは、「もんじゅ」の事故以降でございます。そういった大きなトラブルというもの、それからいわゆる不祥事というものを含めまして、国民にいろいろな影響を与えた、そういうものも全部要因として含めて御議論をいただき、そして、その中には当然のことながら非常に批判的な方も入っていただきましたし、そのプロセスの中におきまして御意見もお聞きいたしました。そして、最後には国民方々パブリックコメントを求めるという手順も尽くしました。  そういう形で、平成九年の十二月の段階で、いわゆるそれまでの長期計画で考えておりましたことを新たな情勢に即しまして、かなり大きな変革、変更というものを示したのが、FBR懇談会報告書でございます。これは、まさに今先生が御指摘になられましたポイントというもの、「もんじゅ事故ということから起因してのいろいろな問題、これを踏まえてFBR懇談会での意見の集約が図られたという経緯にあるものでございます。  したがいまして、私どもとしては、いわゆる「もんじゅ」の事故以前にあるものをそのまま固執した形で、それに沿ってやろうとしているわけじゃないわけでございます。したがいまして、新しい情勢に即しての方向づけがなされたそれに沿って、特にしゃかりきになって急ぐわけでもございませんし、おくらせる必要もない、そこは淡々とやり得べきことを前進せしめるのが一番適切な方途ではないかというふうに思っておるところでございます。
  137. 近藤昭一

    ○近藤委員 私はやはり、ちょっと局長とこれは平行線になってしまうのかもしれませんけれども、とにかく策定会議をやるんならそれを待つべきだと思うわけであります。  後ほどできればちょっと大臣のお考えも。策定会議がせっかく六月二日から始まったんだから、それについて待ってもいいんじゃないかと私は思うわけで、そのことについて大臣どういうふうに思われるか。  もう一つ、実はこの長計策定会議も、せっかくやるんですけれども、私は、長計策定会議が六月二日から始まった、じゃ、これがどういう方によって審議が進められていくのかなと思ったわけです。そうしますと、長期計画策定会議構成員を見ましたところ、大学の先生とかそういったいわゆる有識者の方がたくさん並んでいる中で民間の会社の方が数人並んでいて、その中でちょっと、おやと思ったのが三菱マテリアルの社長の秋元勇巳さんであります。  三菱マテリアルは、先般、研究所でいわゆる放射能関係の大変にずさんな管理というものが出て、これは科技庁さんも調査結果を出されているわけですけれども、三菱マテリアルで、不祥事と言ったらいけないのかもしれませんけれども、そういったことが起こったやさきに、これにもいろいろ事情というか、詳しく検証する必要があると思うんですが、そういった研究所を持つ会社の社長さんがこういう策定会議に入っている。おやと思ったわけであります。  そういったことでいうと、これは先ほど同僚議員の中からも、少々疑問を感じるような人事があるというような話もありましたし、私、もう一つ言いますと、これは考え方にもよるのかもしれませんが、今の核燃料サイクル開発機構理事長の都甲泰正さんも、以前は原子力安全委員長、つまり原子力開発について規制をするようなところにいらっしゃった。片や推進する、それに対してストップというかブレーキというか、規制をかけて慎重にやっていくというところの方が今度はリサイクルに進んでいくというのは、私、これは個人個人にもよると思うんですけれども、ちょっと疑念を感じるようなわけであります。  そこで、こういったまさしく不信の中で原子力計画の見直しがあるという中でありますので、そのことについて、先ほどちょっと申し上げました、せっかく六月二日から策定会議が始まった、それをなぜ待てないのかということと、そして、そういった三菱マテリアルの社長さんが入っていること等の人事についてどういうふうにお考えになるか、ちょっと大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  138. 有馬朗人

    有馬国務大臣 手短にお答え申し上げます。  「もんじゅ」を再開するかどうかということについては、先ほど局長よりお返事申し上げましたように、事故の後、もう既に随分慎重に検討して、FBRについての方針を立てたわけでございますが、もう一つ私がむしろ心配をしておりますことは、待てば待つほど再開が非常にしにくくなる、特に研究者技術者の気持ちが非常に落ちてしまうわけですね。こういうことを考えて、それからまた世界的な面で見て、このような研究から生み出される成果をいち早く世界にお知らせする必要がある、日本だけでなく世界にも知らす必要がある。その上で、果たしてFBRというふうなものがどのころ完全に完成するだろうか、あるいは経済性はどうだろうか、こういうことを検討するためには、いち早く再開をすべきだと思っております。  長期計画策定会議は、それ以外のさまざまなミッションが与えられているわけでありまして、そういう広い範囲から今後検討していく必要があると思っております。  もちろん「もんじゅ」に関してもそこで御議論いただくことがあろうかと思いますけれども、今申し上げたような理由で、私としては再開をできる限り早くさせていただきたいと思っています。  それから、人事のことでございますが、三菱マテリアルということで御指摘でございます。  確かに不適切な面がなかったわけではありませんけれども、放射能が外に向かって漏れていたとかそういうことは全くございませんので、土壌汚染につきましては、周囲、環境に及ぼす影響は全く見られない、こういうふうなことであったわけであります。  また、三菱マテリアルの秋元さんという人は、非常に長い間原子力の研究に携わっておられた方で、非常にすぐれた識見を持っておられると私は思っております。  それから、サイクル機構理事長の人事でございますけれども、むしろ安全を随分やってこられた方であるから適切であると私は考えている次第でございます。
  139. 近藤昭一

    ○近藤委員 質問時間が終わりましたので、これで終わりますけれども、やはりちょっと今の、いち早く再開すべきではないかなという大前提とか、安全をやっていらっしゃった方だからいいんだということではなくて、せっかく安全をやっていらっしゃった方ですからもうちょっと規制の方で頑張っていただく。安全をやっていらっしゃった方を推進の立場に持ってくるというのは、ちょっとその方にとっては酷ではないかなというふうに私は思うわけであります。どうぞ慎重にしっかりとその辺を御対応いただきたいと思います。  ありがとうございました。
  140. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後一時十五分開議
  141. 北側一雄

    北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斉藤鉄夫君。
  142. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 公明党・改革クラブの斉藤鉄夫でございます。よろしくお願いいたします。  きょう、私は二つのテーマで質問をさせていただきたいと思います。一つは、先日新聞に、サイクル機構と電力が「もんじゅ」代替高速増殖炉研究を始めるという、非常に僕にとってはショッキングな記事が出ました。これは一体どういうことなのかということが質問一つ。  それからもう一つは、「もんじゅ」、高速増殖炉を進めていく理由として、原子力局長も、また大臣も、燃料の有効利用と、非常に長期間で見た場合最も環境負荷が少ないのがこのプルトニウムリサイクルなんだ、こうおっしゃいましたが、私はどう考えてもプルトニウムリサイクルすると環境負荷がふえるとしか考えられませんので、その点について議論をさせていただきたい。きょうはこの二点が私の質問のテーマでございます。  それでは最初のテーマですが、六月二十九日ですからつい先日です。日本経済新聞と朝日新聞に、「もんじゅ」代替高速増殖炉研究を核燃機構と電力九社が始める、こういう記事が出ました。記事の趣旨は、サイクル機構と電力が共同で行うというところが一つのポイント、それから、高速増殖炉技術的な諸元、冷却材を何にするとか燃料を何にするとか型式を何にするとか、そういう技術的諸元を、ゼロに返って、ゼロからもう一度抜本的に検討し直す、こういう研究を始めるとございました。  私はこの場でもそういうことは聞いたことがなかったんですが、どういう目的でどのような研究を行うのか、まずサイクル機構にお伺いします。
  143. 都甲泰正

    都甲参考人 お答え申し上げます。  この調査研究では、FBRサイクル、高速増殖炉とそれに関連する核燃料サイクル、この実用化に向けまして、軽水炉と経済的に肩を並べられるような炉型を開発する。そして、資源問題や環境問題にも柔軟に対応できるFBRサイクルの魅力ある候補概念を構築したいと思っております。  この趣旨は、今委員の御指摘いただきました「もんじゅ」代替ということではございませんで、もとに立ち返りまして、つまり「もんじゅ」という既成概念にとらわれずに広く調査を行って、魅力ある候補概念を構築したい、こういう趣旨でございます。  研究開発の内容は、大きく分けまして三つございます。その一つは、高速増殖炉、燃料製造、再処理のそれぞれの分野におきましてこれまで培ってまいりました研究開発成果を最大限に活用しつつ、革新的な技術を取り入れた魅力あるシステム概念を構築することを目的といたしますシステム技術開発でございます。  それから二つ目は、そのシステム概念の成立性にかかわる要素技術研究開発を目的とする実用化要素技術開発でございます。  それから三つ目が、以上の作業を統合しながらFBRサイクル全体としての技術の整合性を図ることを目的とするシステム技術の統合・評価でございます。以上三つでございます。  ところで、研究開発体制でございますが、電力メーカー等の研究者技術者が大洗工学センターに結集いたしまして、オール・ジャパンの体制で研究に取り組んでまいりたいと計画いたしております。
  144. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 高速増殖炉に限らず、原子炉、原子力一つの型式の開発は、基礎研究があって、それから実験炉というのがあって、そのあたりから大体の型式を決めて、それで原型炉をつくり実証炉をつくり、そして商業炉になる、こういうふうにお聞きしているわけですけれども、高速増殖炉は、基礎研究の段階から実験炉として「常陽」をつくりました。その研究成果をもとに原型炉「もんじゅ」まで来ている。ここまでいっているにもかかわらず、またずっともとに戻ってもう一度研究しましょうというのはどういうことなんでしょうか。
  145. 都甲泰正

    都甲参考人 お答えいたします。  私どもサイクル機構になりまして与えられました非常に大きな命題が、経済的に在来の軽水炉と競合できるということを私どもの業務一つといたしておりますので、そのために、従来の「常陽」、「もんじゅ」で続けてまいりましたナトリウム冷却型の高速炉という概念に最初からとらわれることなく、少し幅を広げて検討を行いたいと。ただ、これは基礎からすべて研究をやり直すというわけではありませんで、最初の数年間をかけまして実用化調査研究というのを行いまして、先ほど申しました、その中から魅力あるプラント概念を選び出しまして、それで将来の開発に続けていこう、こういうことでございます。
  146. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 そうすると、「もんじゅ」まで進んできた我が国の高速増殖炉研究開発とは矛盾しないという理解でよろしいでしょうか。
  147. 都甲泰正

    都甲参考人 今仰せのとおりでございます。
  148. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 この新聞によりますと、サイクル機構が初年度は二十億円出すということですけれども、そのほかに、この研究に参加する電力九社プラス電源開発日本原子力発電、十一社、この民間企業はどのような費用負担をするんでしょうか。
  149. 相澤清人

    相澤参考人 お答え申し上げます。  今、仕事のカテゴリーを三つに分けて説明がなされましたが、その中の要素技術あるいは各分野ごとのシステム研究、こういう分野では、今現在、電力さんの方と調整をしまして、それぞれ、この分野のこういうところを主たる費用負担にしようというような御相談を申し上げているところでございます。額は確定しておりませんけれども、応分の負担をしていただけるものと思っております。
  150. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 一部のうわさに、ATR、新型転換炉についても電力がやる気がないということで研究開発が中断いたしまして、それと同じように、本当は電力さんも高速増殖炉はコストが高いものになるのでやる気がないんじゃないかというふうなうわさが流れておりましたが、そうじゃない、電力もやる気がある、こういうことで、ある意味では画期的だと思うんですけれども、科学技術庁としては、サイクル機構のこの取り組みについてどのような評価をされているんでしょうか。
  151. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  研究の内容、趣旨というものにつきましては今都甲理事長の方から御説明したとおりでございます。そして、かつ、いわゆる「もんじゅ」との関係につきましても御説明したとおりなんでございますが、あえて少し補足をさせていただきますれば、そういう研究をやるに際しましても、「もんじゅ」でもってとるデータというものが不可欠であるということが一点言えるかというふうに思うわけでございます。  そういう意味におきまして、今回の実用化戦略研究というものは大変重視し、評価をいたしておるものでございますが、それと同時に、まさに先生おっしゃられました、電力、メーカーもジョインした形でその研究を進めていくというところにも非常に高い評価を置いている次第でございます。
  152. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 午前中の質疑で、サイクル機構の自己裁量による自発的な方向性の創出、自主研究、そういうものが余り発揮されていないんじゃないかというような議論もありましたけれども、それじゃこの研究は、実はこの科学技術委員会ではこれまでこういう形での研究は余り議論になったことがなかったんですが、サイクル機構の裁量権による自発的な研究、こういうことなんでしょうか。
  153. 青江茂

    青江政府委員 御指摘のとおりでございます。  サイクル機構におきまして、中長期業務計画というものを発足以来詰めていらっしゃいました。その過程におきましてこの概念というのがずっと固まり、その結実したものというふうに受けとめてございます。
  154. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 新聞によりますと、これは新聞情報ですからどこまで事実かどうかわかりませんけれども、技術的な諸元でゼロまで立ち返る、例えば冷却材についてもナトリウム以外のものを考えてみる、それからセラミックタイプのMOX燃料以外の燃料、例えば金属燃料等も考える、それから何と再処理についても、湿式ではなくて乾式の再処理も考えた形での高速増殖炉を考える、こういうことでございます。  先ほど、「もんじゅ」とは全く矛盾しないということでございまして、私もよく理解できるんですが、新聞に「もんじゅ代替」とこう大きく表題に出ているぐらいでございまして、一般的には、ではなぜ「もんじゅ」をつくったのか、原型炉までいった「もんじゅ」をなぜつくったのか、なぜ今さらゼロから見直さなきゃいけないのかということも言われると思うんです。物すごくうがった人は、これは電力がFBRから撤退する高等戦術ではないかと。つまり、「もんじゅ」がある、しかし根本的に見直す、「もんじゅ」はやはりだめだというふうなことで、いつの間にかうやむやのうちに高速増殖炉開発で電力が撤退をしていく、こういう一つの高等戦略じゃないかというふうな、私は全くそれはうがった見方だと思いますが、こういうこともあるわけでございまして、「もんじゅ」は不要になったのかという素朴な質問に対して、そうではないというところをわかりやすく説明していただきたいと思います。
  155. 相澤清人

    相澤参考人 お答え申し上げます。  私が長年にわたって原子炉の勉強をしている中で、今実用化されております軽水炉における先例というのをいろいろと勉強いたしましたが、その最初の、初号機を導入してから随分トラブルを経験いたし、その経験を踏まえた改造、改善ということで今日の定着化が図れたと理解しております。その間二十年以上の年数を要したわけでございます。発電プラントというのは、かように高い信頼性や安定性というのが求められるものでございます。  ナトリウム冷却の高速炉に関しましても同じでございまして、軽水炉と同じように高い信頼性というものを示さない限り、これは実用的な中に入っていけない。こういう意味で、「もんじゅ」はその貴重な経験を積むために是が非でも使わなければならない道具立てであると思っております。  それから、午前中の議論の中でございましたように、原子力委員会が妥当と認めたFBR懇談会の結論の中で、高速増殖炉関連の技術については、有力な選択肢としてできるだけ早い段階に見通しを明らかにしなさい、こういう要求がございます。  実用化されるべきプラント像というのはどういうものかというのは、国内においてもいろいろな御意見がございます。それに対して、私どもとしては、例えば水を使ったらどうか、ガスを使ったらどうか、鉛を使ったらどうかということに対してもお答えをするという義務があると思っております。  ということとナトリウム冷却がだめになったというふうに思っていることとは別でございまして、決してそのようなことは思っておりません。現時点でも、非常にすぐれた伝熱特性というものを持っているナトリウムは将来において非常に有望な候補であるという考えがございますが、いずれにしても、定量的にお示しする、そういうことを含めた比較検討でございます。
  156. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 よくわかりました。高速増殖炉の全体の研究の中で「もんじゅ」がどう位置づけられ、今回の共同研究がどう位置づけられ、全体像がわかるような形で国民の前に提示をしていただきたいと思います。  大臣に御質問させていただきますが、この新聞にもありますように、「もんじゅ」が今とまっている、そのとまっているという状況の中でこういう記事が出ますと、ああ「もんじゅ」というのはやはりだめで、もう運転再開の見込みはないのかなというふうなイメージもわいてくるわけでございます。私自身の、これは個人の考えでございますが、地元の方の理解をできるだけ早くいただいて、運転再開して高速増殖炉の基礎データ、基礎研究を続けていくべきだと思っております。それは、人類全体が共有する一つの財産になり得るものでございますので、国際貢献という意味でも、もう今日本しかやっておりませんから、これをぜひ続けていくべきだ。  そういう意味で、「もんじゅ」がとまったままでいるのはいかにも宝の持ちぐされという感じがいたします。安全性について十分な理解地元の方、また自治体の方にいただいた上で、早急に実験データ、実験を再開することが私は重要だと思います。  しかし、依然、地元の方というか国民の間にATRのときのことがよく胸に残っておりまして、「もんじゅ」もああなるのではないかと。ATRについては、まさに地元の了解も得て、漁業交渉まで済んだ、そういう状態の中で、一部の電力業界の意向が強く働いて突然中止になった、国会での議論もなく、また地元での議論もなく、そういうことがありました。また、そのATRの原型炉「ふげん」についても、地元の方から聞きましたけれども、地元の了解もほとんどなく突然廃止が決まった。こういう意味で、「もんじゅ」も突然やめるのではないかという懸念が産業界にも、また地元にもございます。  そういうことを踏まえて、このFBRとATR、違うのか違わないのか。FBRについてはATRのようなことはないということであるのであれば、それはどういうところに理由があるのか。その点について大臣にお伺いします。
  157. 有馬朗人

    有馬国務大臣 お答えを申し上げます前に、ちょっと三十秒ぐらいいただきまして、午前中の吉田先生の御質問に対してやや不明確と思うところがございましたので、説明させていただきたいと思います。  午前中に、「もんじゅ」の具体的な修理策において、ナトリウムが絶対に漏れないような非常に安全なやり方をすることを考えていると申し上げたのですが、この意味を少し詳しくさせていただきたいと思います。これは、事故時においてナトリウムを冷却系からいち早く抜くための工事を行うことや、総合漏えい監視システム設備をきちっと置く、そういう意味でございまして、このことによって周辺環境へ影響を与えないようにするという趣旨で申し上げたわけでございますので、ここで補足させていただいておきたいと思います。  それから、「もんじゅ」の再開の意義について先生指摘でございますが、私は全く同感でございまして、今日までここまで大きなお金を使い、もうほとんどでき上がっている「もんじゅ」でございますので、これから多少修理の費用は要ると思いますけれども、これは早く直して、そして意味のあるデータを出して世界に貢献をすべきだと思っております。  エネルギー問題というのは、たびたびここでも御議論にありますように、人類にとってその存在の基盤をなす重要な課題でございます。エネルギー資源の乏しい我が国といたしまして、長期的な見地から、発電しながら消費された以上の核燃料を生成しウラン資源の利用効率を飛躍的に向上させるとともに、廃棄物の環境負荷低減に寄与する高速増殖炉研究開発ということは、人類にとって極めて重要だと思っておりまして、着実に進めるべきでありますし、今日までも着実に進められてきたところでございます。  平成九年十二月にまとめられました原子力委員会高速増殖炉懇談会報告書におきましても、このような認識のもとで、高速増殖炉について、将来の非化石エネルギー源の一つの有力な選択肢として、実用化の可能性を追求するために研究開発を進めることが妥当とされております。また、「もんじゅ」につきましては、この研究開発のための重要な場であると位置づけられております。  今後とも、同報告書を踏まえた原子力委員会方針に沿いまして、「もんじゅ」をできる限り早急に運転開始し、運転データ等の蓄積を図るなどによりまして高速増殖炉研究開発を着実に進めてまいりたいと思います。そしてまた、これが、たびたび申し上げますように、世界で非常にすぐれた日本技術が活躍するところだと思いますので、そういう点でも大いに進めさせていただきたいと思っております。
  158. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 四年前のナトリウム事故などということがないように、万全の体制で、研究を進めていくことができる体制が早くできるように私も祈っております。  それから、二番目のテーマに入らせていただきます。  先日もこの委員会高速増殖炉について議論をいたしました。そのときに原子力局長また大臣もおっしゃっておりましたけれども、高速増殖炉研究開発するその理由は、高速増殖炉がもし実用化されたならば、一つ、ウラン燃料を有効に利用することができる、二つ目、非常に長期的なレンジで見た場合に環境への負荷が少ない、この二つの理由によって、高速増殖炉資源小国の日本にとって実用化されればすばらしいものである、こういう御説明がございました。  一番目のウラン資源を有効に利用することができる、これはよく理解できます。プルサーマルだけでも数割有効に利用できると言われておりますし、高速増殖炉が回り出せば六十倍とか五十倍とか、いわゆる数十倍ウラン燃料を有効に使うことができる、これはよく理解できます。  ただ、二番目の環境負荷が少なくなるというのがどうしても理解できないんです。アメリカ等では、もうリサイクルしない、つまりプルトニウムリサイクルをしないという方針です。ですから、軽水炉で燃やした使用済み核燃料はそのまま最終処分という形。処分ということだけを考えれば非常にすっきりしている。ところが、FBRなりプルトニウムをリサイクルするということですと、使用済み核燃料に硝酸をぶっかけたり硫酸をぶっかけたり、ぎざぎざに刻んでまたその中からいろいろな核種を分けてというふうな、物すごい人間がかかわる作業が入ってくるわけで、被曝もあります。それから当然たくさんの放射性廃棄物がその時点で出てまいります。物すごい人の手が入って、最終的に廃棄物も多分大きくなるんじゃないでしょうか。どう考えてもプルトニウムリサイクルする方が環境負荷は大きい、私にはこう思えるわけでございます。  ですから、私の高速増殖炉を進めるべきかどうかという判断は、環境負荷という点を考えれば軽水炉の方がいい、しかし、ウランの有効利用ということを考えればプルトニウムリサイクルの方がいい、その二つをてんびんにかけて判断するということなんじゃないかなと思うのですが、いや両方とも、環境負荷の面でもプルトニウムリサイクルの方がいいんだ、こうおっしゃる。  そこで、きょうは、そのことについてちょっと議論をさせてもらおうと思うのですけれども、藤家原子力委員会委員長代理は大変この道の大家でございまして、ぜひ議論に加わっていただきたいと思うのですが、そういう意味では、委員長代理にまずお伺いしますが、まず、環境へ与える負荷、環境負荷というのはそもそも何なのかについてお伺いします。
  159. 藤家洋一

    藤家説明員 お答え申します。  環境負荷をどう考えるかという点でございますが、基本的な環境負荷の考え方は、放射性廃棄物が持っている放射能、あるいはこれは毒性と呼んでも構わないかと思いますが、その大きさと、それからそういった毒性がどれだけ長い時間継続するか、この二つの観点から見ることができるかと思いますが、いろいろなことを考える出発点として、まず放射性廃棄物の量をいかに減らすか、私はこれは放射性物質の量と置きかえて構わないと思っておりますので、したがって、斉藤先生がおっしゃっておりましたように、サイクルをするのかしないのか、この違いをまず明確にしておく必要があろうかと思います。  このキーポイントになりますのは、最初の出発点は、直接処分の場合は使用済み燃料の中に入っておりますプルトニウムを全部捨ててしまう、それから、リサイクルするときは原則としてこれは捨てないんだ。このプルトニウムの環境負荷のリスクというのは相当大きいわけでありますし、かつ、核拡散の問題からいってもいろいろな問題を抱えているところでございますので、議論の最初の出発点といたしましては、このプルトニウムを出すか出さないかで環境負荷の低減のポイントが違ってくる、出さない方が随分楽である。  プルトニウムはなぜ大変かと申しますと、御承知のように半減期が二万年もありますので、この二万年を考えなきゃいけないということはリサイクルをした場合と基本的に違うところでありますので、環境をどこまで考えるかということも考慮に入れますと、やはりリサイクル路線をとる方が環境負荷低減の出発点が随分楽になるというように申し上げられるかと思います。
  160. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 今のお答えですと、プルトニウムを取るか取らないか、プルトニウムというのは非常に環境負荷が大きいものだ、その理由は半減期が長いからだ、こうおっしゃいましたが、再処理してプルトニウムを取った後の高レベルガラス固化体、高レベル廃棄物がガラス固化体になるわけですが、この中にも実は万年オーダーの長寿命の核種はたくさんございます。いわゆる超ウラン元素と言われるものや、フィッションプロダクトの中にも長寿命のものがございます。  ですから、長寿命のプルトニウムを取り去ったからその方が環境負荷が少ないんだというのは、ちょっと説得力がないように思うのですが、いかがでしょうか。
  161. 藤家洋一

    藤家説明員 おっしゃいますように、プルトニウム以外の超ウラン元素とそれから長半減期の核分裂生成物をどうするかという問題は当然あるわけでございますが、これにつきましては、最近、世界で、この問題に関して、環境負荷低減の観点からどうしようかという基礎研究が始まっております。これは、先ほど申しましたプルトニウムを取ることに加えて、よりよいものを求めるという観点から大切だと思っておりますし、日本でも、原研、サイクル機構あるいは電力中央研究所等でそういった研究が始まっております。
  162. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ちょっとそこのところは僕はまだ納得していないのですが、また後の議論に持っていくといたします。  基本的に、環境へ与える負荷とはこの場合放射能量である、時間的要素を含めた放射能量であるというお答えだったかと思うのですけれども、私は、放射能量だけではなくて、先ほど申し上げましたように、放射性廃棄物の量、量というのはかさですね、質量ですね、放射性物質を含んだ放射性廃棄物の量そのものも環境へ与える負荷の大きな要素となり得ると思うのです。  これは、比較してみますと、明らかにアメリカ型のワンススルーの方が少ない。二度同じことを繰り返しますが、使用済み核燃料を取り出して、何本か一緒にしてパッケージにして最終処分してしまえばいいわけですから、非常に単純、量はそれだけ。  ところが、リサイクルですと、いわゆる再処理でいろいろなものが出てきます。高レベルガラス固化体、それから中レベル、低レベルのいろいろな廃棄物、ドラム缶に詰めたりいろいろな形をすると思います、そういうもの。それから、改めてこれをMOX燃料加工するわけですけれども、その時点でもまた廃棄物がたくさん出てきます。そういう中のものは、中、低レベルだけではなくて、いわゆる超ウラン元素などで非常に寿命の長い、高レベルガラス固化体と一緒に地層処分しなくてはいけないようなものまでその過程でまた出てくるわけです。  こういうことを考えますと、量的にはかなりリサイクルする方がふえると思いますけれども、リサイクルした方がふえる廃棄物の量、どの程度ふえると認識されているか、お伺いします。
  163. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  一つの私どもの試算と申しましょうか、行ったものがございますので、その点につきましての御紹介をさせていただきたいと思うのでございますが、三万五千トンの使用済み燃料、これをそのまま直接処分をするケースとそれを再処理しリサイクルするケースで、放射性廃棄物のボリュームがどのようになるのかという試算でございます。  三万五千トンUの使用済み燃料をそのまま廃棄いたそうといたしますと、P型とB型で若干異なりますが、P型でございますとボリュームで一万四千立方メートル、B型でございますと一万六千立方メートル。  再処理をするというケースにおきましては、まず四万本のガラス固化体が発生いたします。これが八千立方メートルでございます。それから、今先生がおっしゃられました再処理の工程及びリサイクルをしてMOX燃料を製造いたしますのでその工程、その二つの工程から生じてまいりますTRU核種を含みましての放射性廃棄物、これの総量が、全部含めてでございますが五万六千立方メートル。したがいまして、ガラス固化体とこの五万六千立方メートルを足し合わせますと六万四千立方メートルでございます。  したがいまして、ボリュームの量ということで比較をしてみますと、再処理をするという選択肢の方が大体四倍ないし五倍ボリュームの量が多くなるという試算でございます。
  164. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 再処理する方が放射性廃棄物は四倍ないし五倍多くなる。今のは使用済み燃料三万五千トン当たりということですから、原子炉で同じ量のエネルギーを発生させたときに、ワンススルーだと一万立米ちょっとの廃棄物量、それから再処理した場合は六万四千立米の廃棄物量、再処理した方が数倍多いということでございますね。ですから、単位燃料じゃなくて、単位エネルギー当たり廃棄物は再処理した方がはるかに多い、こういうことでございます。ですから、それだけ聞くと、どう考えても再処理した方が環境負荷が大きいと思うわけです。  それでは、ちょっとその前に、この廃棄物は、確かに、プルトニウムを含んだものそのものを埋めるというのはいろいろ厄介なことがあると思いますので、面積的、体積的にはどのぐらいのものになるのか、その見当をお願いします。
  165. 青江茂

    青江政府委員 御説明申し上げます。  先ほど一万立方メートルというふうに先生ちょっとおっしゃいましたが、三万五千トンUの使用済み燃料、これのボリュームにつきましては、P型で一万四千立方メートル、B型で一万六千立方メートルでございます。それで大体四、五倍ということになるわけでございます。  それで、ボリュームだけを見てみますと、確かに四、五倍、再処理した方が多くなるということでございますが、さすれば、今御質問のございました、それを処分するためのいわゆる処分場の面積というものに引き直すという試算を行ってみたわけでございます。それによりますと、使用済み燃料をそのまま直接処分する、今のボリュームを直接処分をするというケースにおきまして必要とされます面積は三・九五平方キロメートル、四平方キロメートル弱というものでございます。  それに対しまして、六万四千立方メートルの、これはガラス固化体及びTRU核種を含んだ放射性廃棄物というものを処分するための処分場の面積ということでございますが、それは一・七七平方キロメートルでございまして、再処理をするという選択肢の方が半分以下という試算でございます。  それはなぜそのようになったのかということでございますけれども、一言で申しまして、使用済み燃料、これは発熱体でございます。地層処分をいたします場合には、その所要対策を講じながら地層処分をするわけでございますが、特に、ベントナイトの緩衝材、これを使うわけでございますが、それが熱に弱いということがございまして、その熱に対しましての対策を施そうといたしますと一定の間隔が必要とされます。  それに対しまして、ガラス固化体は一定の期間冷やすということと同時に、TRU核種を含みます放射性廃棄物につきましては、それぞれ発熱量が非常に小さいということでもちまして、今申し上げましたような配慮を施す必要がないということでもって間隔を詰めて埋めることができるということで、先ほど申し上げました半分以下の面積で済むという試算になってございます。  したがいまして、環境負荷ということを考えました場合に、確かに、地球環境に対しましてどの程度の面積をとるのかというのも一つのインデックスではないかというふうに思ってございます。
  166. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 どうもそこがよく理解できないのですが、再処理した場合は、体積的には六万四千立米、面積に直すと一・七七平方キロ。ワンススルーだと、一万四千ないし一万六千。体積的には四分の一、五分の一、なのに面積に直すと三・九五平方キロメートル、つまり倍。その理由は発熱だ、こうおっしゃった。  しかし、高レベル廃棄物、ガラス固化体、これも発熱でございます。だから、確かにプルトニウム分だけ発熱が少ないというのはよくわかりますけれども、そんな大きな要素にはならないだろうと思うのですが、藤家先生、いかがでしょうか。
  167. 藤家洋一

    藤家説明員 今の廃棄物量に対する考え方でございますけれども、今原子力局長は減容技術中心にお話ししておる。それから、こういったものを実際に地層処分をすることを前提にしておりますので、地層処分の仕方でどれだけの空間をとっていけばいいかということで、高レベル廃棄物のような深地層処分をするものもありますし、低レベルの廃棄物ですと、今六ケ所村で、御承知のようにアスファルト固化体のような形で処分することも可能でありまして、そういった処分方法を考えた上での面積的な話を今したと思っております。  ただ、この問題につきましては、今既にいろいろなところでこの廃棄物発生量の低減化努力が続けられているところであります。例えば、苛性ソーダや炭酸ナトリウムといったものをヒドラジンにかえることによって低レベル廃棄物が非常に減少するとか、あるいは技術開発によって、直接処分に比べて減容が可能であるとかいった技術が進んでおります。  これはどういうことかといいますと、先ほど斉藤委員がおっしゃいましたように、原子力開発の初期の段階はやはり資源論的観点が非常に強かったわけです。それがだんだんと、廃棄物を出すことが原則の時代から出さない方向へ話が移ってまいりましたので、今出さない方向へ向けての努力が相当進んでまいっておりますから、現実の状態ができましたときには、こういった減容化の技術が相当進められた形で実際に使用されるのではないかと考えております。
  168. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ワンススルーの使用済み核燃料も発熱体、高レベル放射性ガラス固化体も発熱体、発熱総量は多分プルトニウム分だけ違う。プルトニウム分が違うだけで処分する面積が倍も異なってくるとはちょっと考えられないと思うのですが、それに対してのお答えを。
  169. 青江茂

    青江政府委員 先ほど申し上げましたいわゆる平米数、平方キロメートルというのは幾ら必要であるかということにつきまして、もう少し補足的に御説明をさせていただきたいと思うのでございます。  先ほど、再処理という選択肢をとった場合のトータルのボリュームが六万四千立方メートルというふうに御説明申し上げました。その内数としまして、ガラス固化体分が八千立方メートル、その残りがTRU核種を含めましての放射性廃棄物でございますが、この五万六千立方メートルの内訳というものなんでございますけれども、トン当たり一ギガベクレルのところで切りまして、それ以下のものにつきましてはいわゆる浅地層処分が可能であろうという考え方に立ってございます。それ以上のものにつきましては深地層処分という対応策をとらなければならないというふうに考えてございます。  そこで区切りましたときの浅地層処分が可能な量が三万八千でございます。それから、深地層処分が必要とされるものが一万八千でございます。両者ともにこれはかなり稠密な処分方法というものが可能なものでございます。発熱体がほとんどあれがございませんので、いわゆる相当詰めた形で処分ができるということがございます。ここが相当稼いでいるわけでございます。  それで、発熱体でございますガラス固化体と、それからスペントフュエルのまま、それは確かにプルトニウムだけの差ということになるわけでございますが、それがどれくらいのきき方をするのかということにつきましては、ちょっと今手元にございませんが、使用いたしましたモデルは、スペントフュエルの直接処分の場合は、これは私ども日本はやっておりませんので、スウェーデンの試算をそのまま使いまして計算をいたしてございます。ガラス固化体の方につきましては、これは私どもの今までの知見というものをベースにしまして面積というものを出してございます。そういう結果でございます。
  170. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 その点については、ちょっとまた後でいろいろ教えていただきたいと思いますが、わかりました。  では、これまでの議論をまとめますと、再処理をしたら、体積は四、五倍かかるけれども、それを処分する面積は半分で済む、要するにこういうことでございます。  面積で環境負荷を考えれば、確かに再処理の方が地球環境に与える影響は少ないということは言えるかと思いますが、やはりボリュームというのも十分考えなきゃ、環境負荷の一つの大きな要素ではないかと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  171. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  確かにボリュームというものも一つの要素ではあろうかと思うのでございますが、ただ、ボリューム、出てきたものはやはり処分をしなければならないわけでございますので、処分をしてこそということでございます。処分というのは必然なわけでございますから、したがって、どのように処分し得るのか、その結果が環境に対してどういう負荷というものを与えているのかということで見るべきであろう。出てくるボリューム、その途中過程におけるトータルのボリューム自体といいますものよりも、どう最後に始末をつけるのか、それがどのような影響を与えるかということで見るべきではなかろうかというふうに思ってございます。
  172. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 それでは、もう一つ別の観点から。  実は、先日六ケ所村の見学をさせていただきました。再処理工場の建設現場を見てびっくり仰天をしたんですが、バブルのころの東京でもあれだけのタワークレーンは立っていなかっただろう、東京じゅう集めてもあれだけのタワークレーンは立っていないだろうと思うほどタワークレーンの林立でございまして、物すごい建設工事でございました。そこで使われるコンクリートの量、また鉄の量、これもすごいものがあるだろう。ワンススルーでいけば、ああいうものを立てなくていいわけです。あのコンクリートも使わなくていい。鉄筋も使わなくていい。鉄骨も使わなくていい。あのコンクリートや鉄、材料を生み出すために使われるエネルギー、またそれが地球環境に与える影響、こういうことを考えますと、再処理工場そのものも、再処理というプロセスを選んだときの、ワンススルーにはない地球環境に与える一つの大きなファクターだなというのを本当に実感しました。  それから、再処理工場が建つ。そこで、リプロセシングが始まる。そうすると、たくさんの人がそれに携わっていくわけです。そうしますと、たくさんの人が、これは十分管理された安全の中でではありますけれども、ワンススルーをとっていれば絶対にあり得ない被曝というものもそのときに生じてくるわけでございます。このたくさんの人が、リプロセシングに携わったたくさんの従業員が浴びた放射線、これも環境負荷の一つの要因だと思います。  一般にはそういうことのイメージで、ワンススルーで直接埋めた方が再処理するよりも環境負荷が少ないのじゃないかというふうなイメージもあるわけでございまして、この点についてはいかがでしょうか。
  173. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  確かに、今先生おっしゃられました側面というのは、一つの要素としてはあるというふうに認識をいたしてございます。  一つは、まず再処理工場におきましての放射線業務従事者の被曝量、その部分だけ、それだけプラスになる、オンされるということは確かに事実でございます。その点につきましては、これはもう釈迦に説法で恐縮でございますが、いわゆる十分な防護策が講ぜられまして、可能な限り低く抑える、合理的に達成できる限り低く抑えるということで十分管理がなされるということでもちまして、環境負荷を有意に増加させる要素と考えるべきなのかどうなのか、これも私ども十分な評価はいたしていないのでございますが、そういう気がいたすということが第一点でございます。  それから、確かにコンクリートの塊をつくり上げる、鉄骨でつくり上げるということそのものの環境負荷ということなのでございますけれども、これにつきましては、これは直接的なお答えにならないのでございますけれども、電中研が各種電源につきましての二酸化炭素の排出量というものを比較いたしてございます。これが一つ手がかりになるのかなというふうに思うのでございますけれども、キロワットアワー当たり、ワンススルーでございますと二・三グラム、それからリサイクルでございますと二・五グラム。これで少しふえてございます。  ただし、キロワットアワー当たり〇・二グラムふえるということの意味は、例えば石炭火力でございますとキロワットアワー当たり二百七十グラム出るわけでございまして、それとの関係から申しまして有意な意味を持ち得るのかどうなのか、これももう少し考えてみたいというふうに思ってございます。  以上でございます。
  174. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 大体わかりました。  時間が来てしまいました。実はもう一段、プルトニウムリサイクルをとった方が環境負荷が小さい、では、プルトニウムリサイクルをとったときに、プルサーマル路線、高速増殖炉と軽水炉の共存、軽水炉だけ、こういう三つの選択肢があるわけですが、そういう場合の環境負荷について、大臣議論をしたい、また藤家先生議論をしたいと思っていたんですが、時間が来たのでこれで終わりますが、引き続き、この議論をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  175. 北側一雄

  176. 近江巳記夫

    ○近江委員 平成七年の十二月、「もんじゅ」の事故がございました。その後、平成九年の原子力委員会におきまして、この位置づけといいますか、事故が起こる前までは御承知のように核リサイクルの中の中核ということでございまして、事故以降、この原子力委員会の決定におきましては、非化石燃料の利用の中では選択肢の一つ、こういう位置づけがされて今日まで来ておるわけでございます。  そういう中で、今度、新長期計画の策定ということで、五月に会合されて、六月の二日に第一回策定会議が開かれています。あすですか、また第二回目の長期計画の策定会議が開かれるということも聞いておるわけでございますが、その中におきまして、やはりプルトニウム政策ということが非常に大事な問題になるわけです。やはり世界が注目いたしておりますし、言うならば、プルトニウム利用のリーダーというのが日本の立場でございますし、少なくとも、そこには理解の得られるそういうものが打ち出されなければいけないと思うわけでございます。  そういう中で、今後、二〇〇〇年中にその計画決定、その作業に入っていかれるわけでございますけれども、プルトニウム政策に対して政府の現時点におけるお考えを伺いたいと思います。
  177. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  資源に乏しい我が国におきまして、将来にわたりましてのエネルギーセキュリティーの確保、放射性廃棄物の適切な処理処分という観点から、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を核燃料として有効に利用する核燃料リサイクルというものを原子力政策の基本として持つべきであろうということでもちまして、諸般の再処理等々の施策というものを進めておるという状況にあるわけでございます。  その際、先生指摘になられました利用の方ということにつきましては、まず利用につきましての大原則は、余剰プルトニウムを持たないという原則論に立ちまして、その利用というものについての計画というものを進めてきておる。具体的には、当面の間、プルサーマルという形でもってプルトニウムというものを利用していく。そして、少量ではございますけれども、研究開発というものに着実に使っていくということ。将来におきまして、六ケ所におきましての再処理工場が稼働した状況下におきましても、その構造というもので当分利用を進めていくというふうに考えてございます。
  178. 有馬朗人

    有馬国務大臣 今局長が御説明申し上げたとおりでございまして、やはり日本という非常に資源の乏しい国としては何としてもエネルギー確保しておかなければなりませんので、そういう意味で、プルトニウムを積極的に利用していくべきだと思っております。  ただ、余剰のプルトニウムを持つことは許されませんので、MOXで燃やすとかそういうことも含めまして、プルトニウムを最も有効に利用する方向に進んでいきたいと思っております。
  179. 近江巳記夫

    ○近江委員 プルトニウムの需給見通し、これは難しい面もあるわけでございますけれども、やはり一番この辺が国民や世界も注目しているところですね。細かい数字はなんでございますけれども、プルトニウムの需給見通し、これにつきましては現時点におきましてはどういう見通しを立てておりますか。
  180. 青江茂

    青江政府委員 御説明申し上げます。  まず、大きな問題としましては、海外に再処理委託をいたしてございます。そこから出てまいりますプルトニウムが逐次日本に持ち帰られるわけでございますけれども、このプルトニウムが約三十トンでございます。これの利用、使用ということにつきましては、英仏の工場から出てまいりましたプルトニウムは、ヨーロッパにおきましてのMOX製造工場に持ってまいりまして、そこでMOX燃料に加工いたしまして、日本に持ち帰りまして軽水炉でもって使うという計画になってございます。  それから、将来でございますけれども、六ケ所の再処理工場、これは二〇〇五年七月の操業開始の予定でございますが、年間処理能力が八百トンということでもございますので、年間のプルトニウムの生産量は五トン弱でございます。この使用につきましては、大宗を同じくプルサーマルに使っていくということ。それから少量、約一トン弱でございますけれども、「ふげん」、「もんじゅ」、「常陽」等の研究開発用に使っていくという計画になってございます。  一方、プルサーマル自体の計画につきましては、一九九九年、二〇〇〇年にそれぞれ二基、二〇〇〇年代初頭に累計九基、二〇一〇年までに累計十六ないし十八という形でもってプルサーマルを進めるという計画になってございます。
  181. 近江巳記夫

    ○近江委員 こうしたプルトの需給の関係ということにつきましては、機会あるたびにやはり発信することが大事じゃないか、このように思います。現時点におきまして御報告いただきましたので、それはそれで結構だと思います。  次に私がお聞きしたいのは、高速増殖炉の世界における開発なんです。  私もフランスのスーパーフェニックスも見てまいりましたけれども、そういう中で、今、ロシアとそれからフランスの原型炉の方は、これは研究用に動いておるわけでございますし、世界各国いろいろな状況があろうかと思うんですけれども、現時点におきまして世界の情勢がどうなっておるか。これは「もんじゅ」の事故以来、今後どうするのかと非常にやはり皆心配もしておりますし、そういう中で世界の状況がどうかということも非常に参考になるわけでございますから、ひとつ伺いたいと思います。
  182. 青江茂

    青江政府委員 御説明申し上げます。  まず米国でございますが、世界で一番早くFBRの研究開発というものに着手し、今時点におきましても多分一番ポテンシャルを持っている国というふうに言えるかと思うのでございますけれども、米国におきましては、FBRの研究につきましては中止をしてございます。  それから英国でございますが、英国も非常に早くから研究開発を進めてきてございますが、原型炉の二十年の運転経験を持っておりますけれども、英国におきましても炉停止をするという状態に至ってございます。  それからドイツでございますが、ドイツは実験炉の経験を二十年にわたって持ってございます。原型炉につきましては、建設をいたして運転を始めようかという段階におきまして燃料装荷の許可がおりず、計画の中止に至ってございます。したがいまして、研究開発はとまってございます。  一方フランスでございますけれども、フランスにつきましては、原型炉を済ませまして実証炉の段階まで進んだわけでございますけれども、その炉がスーパーフェニックスでございますが、これにつきましては、経済性の要因によりまして放棄の方針が決められてございます。その一つ前の段階でございます原型炉のフェニックスにつきましては、今時点は定期検査のために停止中でございますが、研究のために運転されてございます。  それからロシアでございますが、ロシアは実験炉二つ及び原型炉、BN600という炉でございますけれども、三つが運転中でございます。さらにロシアは、もう一歩先の実証炉、BN800と呼ばれております炉の建設という構想を持ってございますが、資金不足によりましてその建設計画は今中断をいたしておる段階にございます。  以上でございます。
  183. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、ロシアそれからフランス、これは原型炉が動いておるわけですけれども、動いておりますというだけじゃなくして、成績といいますか、その辺のところはどうなんですか。おわかりになっている範囲で結構です。
  184. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  まずフランスの原型炉フェニックスの状況でございますけれども、これは消滅処理、いわゆる高速中性子を用いましてマイナーアクチニド等をつぶしていくための研究、こういったものを中心に活発に研究活動が展開されているというふうに申し上げられるかと思います。  それからロシアの方でございますけれども、実は、今運転中でございます原型炉BN600、これは高速中性子を使うわけでございますけれども、炉心自体がウラン炉心でございますのでウラン燃料を使っておるわけでございまして、MOX燃料を使って、プルトニウム燃料を使ってBN600を動かすかということにつきまして、今、日ロで研究が進んでおるという段階にございます。
  185. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうした中で、「もんじゅ」の事故以来はや三年ちょっとたちますね。どうするのかということなんです。そのことにつきまして、政府また事業団も再開に向けて大変努力をしていただいておるわけでございます。長官も先般は福井へお見えになったということもお聞きいたしております。  そこで、我が国の基本方針といいますか、この辺のところはやはりしっかり発信をしていくということ。また、国民の皆さんの、なるほどというような理解、納得、そういうことも非常に大事じゃないかと思うんですね。そういう点で、政府の「もんじゅ」に対する基本姿勢といいますか、それをひとつお伺いしたいと思います。
  186. 有馬朗人

    有馬国務大臣 「もんじゅ」につきましては、平成七年のナトリウム漏えい事故以来これまでに、政策面においては、国民の意見を反映した上で、平成九年十二月に原子力委員会高速増殖炉懇談会報告をまとめ、「もんじゅ」の位置づけを明確にいたしました。  また安全面におきましては、原子力安全委員会において昨年四月にナトリウム漏えい事故の原因究明及び再発防止策審議を終了いたしまして報告書取りまとめ、また、科学技術庁の安全総点検チームも昨年三月に安全総点検結果の報告書をまとめたところでございます。  科学技術庁といたしましては、「もんじゅ」の運転再開のためには国民地元方々の御理解、御協力を得ることが必要不可欠と認識しておりまして、「もんじゅ」に関する情報の積極的な公開、やはり重要なことは、わかりやすいことが必要でございますので、わかりやすい情報を提供する。国民関係者との一層の対話の促進を図るとともに、科学技術庁の敦賀原子力事務所等を通じまして、草の根的な地元理解増進活動を行っているところでございます。  具体的には、昨年九月に、敦賀市及び福井市において「もんじゅ」に関する地元説明討論会を開催し、本年五月にはテレビ討論会を実施いたしました。また、地元関係者の理解を得るための説明等を積極的に行っているところでございます。  「もんじゅ」につきましては、今後とも、安全の確保を大前提にいたしまして、できるだけ早期運転再開を目指し、地元の御理解と御協力を得るため、最大限の努力を続けてまいりたいと思っております。  せっかくこれだけすぐれた研究施設ができ上がりつつあるのでありますので、何とかこれを動かしまして、さまざまなデータをとり、果たしてこのブリーダー型のものがいいかどうか、こういうふうなことに関してもさらなる研究を進めてまいりたいと思っております。
  187. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官は福井県知事、敦賀市長、美浜町長にもお会いになったわけですね。結局、安全審査といいますか、事前の、国としてやる場合の地元の了解といいますか、この取りつけ、これはやはり一番大事ですね。  いろいろな努力をされているとは思うのですけれども、今までの努力の延長で皆さんの了解を得ることができるかという、もう一度振り返ってみて、その辺についてはいかがですか。これはサイクル機構と政府の方からお伺いしたいと思います。
  188. 都甲泰正

    都甲参考人 お答え申し上げます。  サイクル機構といたしまして、ナトリウム漏えい対策に係る改善策について、国の安全審査を受けるために必要な準備を進めておりまして、技術的にはほぼ終了していると考えております。  国の安全審査を受けるには、福井県及び敦賀市より安全協定に基づく事前了解をいただかなければなりません。現在、地元への事前了解願の提出、安全審査開始のための環境整備の一環といたしまして、「もんじゅ」の安全総点検の結果、設備改善の内容などについての説明会や「もんじゅ見学会を行いまして、鋭意御説明し、地元皆様理解を得る活動を進めてきているところでございまして、今後ともより一層活動を強化していきたいと考えております。  また、今年五月には敦賀市におきまして、第一回敦賀国際エネルギーフォーラムというのを開催いたしました。地元からも大変多くの御参加をいただきました。この中で、エネルギー事情あるいは「もんじゅ」の必要性などにつきましての発表や討論が展開されまして、地元高校生の参加ですとか主婦層との意見交換など、有意義な討論の場をつくることができたと考えております。  これらの活動につきましては、運転再開後も継続的に続けていく必要があると考えておるところでございます。
  189. 青江茂

    青江政府委員 サイクル機構の方で、今御紹介がございましたような非常に御熱心な地元への理解を求めるための活動というのが展開されているわけでございますが、一方、それと連携いたしまして、私ども自身も、再三にわたりまして福井の方に足を運びまして、関係者の方々へのお話とか、いろいろな努力を重ねてございます。  一つの例が、先日でございますけれども、三時間半にわたりましてのテレビの生放送によりまして、反対派の人にも入っていただきまして、非常に活発な議論も生放送で提供いたしました。  そういうふうな、私どもも直接出かけていって、諸般の努力というものをさらに継続していきたい、かように考えてございます。
  190. 近江巳記夫

    ○近江委員 地元の動向ですけれども、これは、平成十年六月十二日、知事の県議会答弁です。ここでは、「もんじゅ」については、高速増殖炉懇談会の報告も踏まえ、高速増殖炉のあり方について、原子力長期計画における位置づけを明確にして、その上で国民的合意を得ることがまず必要である、このように知事は言っております。  それから、安全総点検での結果や改善事項、さらに研究開発段階原子力施設安全審査のあり方も踏まえて、国の責任において「もんじゅ」全体の安全性を再確認することが必要だ、このような状況のもとでは「もんじゅ」の安全審査運転再開について議論する環境は整っていないと考える、こういう非常に厳しい議会答弁であります。  それから、敦賀市の市長は、平成十年六月十二日、「もんじゅ」の改善については、市民の安全と安心の確保のため運転再開とは切り離し、基本的にはできるところから実施すべきである、安全性点検の結果等については慎重に見きわめていくが、最終的には国の責任において確認されるべきものであり、同時に、国民理解を得るための努力については国がこれをすべきだ、こういう発言ですね。  それから、反対署名とかいろいろな動きもあるわけでございますけれども、こういう知事の答弁を踏まえて、大臣もお会いになられたわけでございますから、もう少し踏み込んで、知事なり市長のそうしたお話に対して、今後どうされるか、お伺いしたいと思います。
  191. 有馬朗人

    有馬国務大臣 先日も福井に参りまして、知事並びに市長にお目にかかってまいりました。その際にも、「もんじゅ」の持っている意味というものを御説明した次第であります。  幾つか意味がございますけれども、一つに、やはり人類が直面するであろう二〇五〇年あたりにおけるエネルギーの危機あるいは食糧危機、こういうふうなものを克服していくためにいろいろに努力をしていかなきゃならない、一つの問題でありますエネルギー危機を救う上で、この増殖炉というのは大きな役割を演ずる可能性があるというふうなことを申し上げて、お話をしてまいりました。  それから、もう一つは、たびたび申し上げますように、日本技術というものがすぐれているんだ、こういうふうなことを示すことのできる極めていいチャンスであると思っておりまして、もう「もんじゅ」というのはほとんど完成しかかっております。これ以上、非常に大きなお金はもう要らない。修理のための、決して小さいお金ではございませんが、修理のお金を入れることによってこれが予定どおり動き出す、そのことによってさまざまな研究がさらに進んでいくのである、こういうふうなことを知事及び市長さん、その他の方にお話をしてきた次第でございます。  ついでにここで申し上げておきますと、「もんじゅ」の現場で私が非常に心配しておりましたことは、三年にもわたって運転がとまっておりますので、研究者技術者の人々が意思を喪失していないだろうかということでございましたけれども、懇談をいたしましたところ、高速増殖炉必要性、「もんじゅ」の重要性、将来性等をしっかり認識しておりまして、人類の将来のための科学技術を支えていくのだという熱意を持っていることを確認いたしました。そういう点で、私は大変うれしく思った次第でございます。  こういうふうなことからも、さらに現地の方々地元方々とよくお話をいたしまして、御理解を賜り、御協力を賜るべく、最大限の努力を今後させていただきたいと思っております。
  192. 近江巳記夫

    ○近江委員 そして、県知事は、いわゆる原子力長期計画における位置づけということ、これを何回もおっしゃっているのですね。  それは、あす、第二回目の策定会議に入るわけですけれども、いずれにしても、結論は二〇〇〇年の末、最終報告となるわけですけれども、やはりポイントの部分というところにつきましては、発信といいますか、これのあり方ということは考える必要があるんじゃないでしょうか、こういうことは裏腹に重なっていくわけですから。それについてはいかがですか。
  193. 有馬朗人

    有馬国務大臣 大変いい御指摘でございまして、これは大いに考えさせていただきます。
  194. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは、そのことをよくお考えになっていただきたいと思います。  それから、この「もんじゅ」の事故、これにつきましては、あの事故が起きてから、当委員会におきましても何回も取り上げられておるわけでございますけれども、あと一、二点、ちょっともう一度押しておきたいと思うんですけれども、あの事故が起きたときの対処の仕方、それからまた危機管理のあり方、こういうことがもう大変な国民の不安、不信というものを増幅させたわけですね。この辺につきまして、その後、どういう取り組みをされてきましたですか。特にこれはポイントだと思いますし。
  195. 平澤眞一郎

    ○平澤参考人 お答えいたします。  私は、「もんじゅ」のサイトの所長をやっておりまして、本日、現場からやってまいりました。  それで、先生お尋ねの、その後、どういうふうに危機管理とか、あるいはいろいろ事故対応を改善してきたかということでございますけれども、我々、その地元皆様信頼を得るということが一番肝要なことというふうに考えておりまして、その後も小さいトラブル、確かに起こってございます。しかし、そのときに、きちんとその情報を遅滞なく皆さんに御報告し、明らかにするということが一番大切かと思っておりまして、そのための危機管理体制かなり充実してまいっております。  具体的に申しますと、例えば、もう二十四時間、職員が常時、夜間も含めまして、泊まり込みの体制で連絡体制確保するとか、あるいは通報連絡のいろいろなルール、マニュアルも、その事故に即して、事故の反省を踏まえて、例えば新たな機材の整備も含めて充実させるというようなことをやってきてございます。  そのほかに、やはり情報公開というのが非常に大切でございますので、特にその地元の地区に対して、事故を含めて、あるいはトラブルが起こったときを含めてきちんと説明会を行うとか、あるいは県内全般にわたって、事故そのものの原因究明等もそうですけれども、我々のとってきておりますいろいろなアクティビティーについても御説明して回る、そのような活動を現在継続しております。  以上でございます。
  196. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  いわゆるサイクル機構科学技術庁のあり方自身につきましては午前中も御指摘を受けたわけでございますが、私ども、あの時期におきまして、はしの上げおろしまでということはやらないんだ、いわゆる経営者層に対しまして一定の裁量と責任のもとにやっていただくんだというふうな基本的なスタンスというものを、あの十月一日の段階におきまして考え方を整理したわけでございます。  そういう枠組みの中におきまして、今御紹介ございましたような諸般の活動努力というものが継続をされておるというわけでございますが、私どもとしましても、そういうふうな活動というものを側面から支援し得るところがございますれば大いに支援していきたい、見守っておるという状況にございます。
  197. 近江巳記夫

    ○近江委員 「もんじゅ」の事故がありまして、この「もんじゅ」「ふげん」の安全管理事務所、これが設置されたということ、それからまたサイクル機構も敦賀本部を設置されたというようなこと、こういう点は私も評価しておるんですけれども、実際にそこの専門管理官ですかを初めとして、やはりその辺の人が一番窓口になるわけですね、これは。その辺の組織面の強化対策については、その後どういう手を打たれていますか、中身の充実について。
  198. 青江茂

    青江政府委員 今御指摘の点の運転管理専門官等の地元のいわゆる体制整備でございますが、責任部局が原子力安全局ということに相なろうかと思うんでございますけれども、今、私の知る限りにおきまして状況を御説明申し上げたいと思うんでございますが、その体制、人員の面での充実を含めまして、マニュアル等につきまして充実が図られたというふうに理解をいたしてございます。
  199. 近江巳記夫

    ○近江委員 とにかくこれは何とか地元の了解を得て、安全審査事前了解大臣初め関係者としては本当に必死の思いだと思いますけれども、これはちょうどいい機会ですから、この安全審査事項につきまして簡潔にひとつ。  この項目だけ見ると、こういう項目で審査を受け付けてもらうことについてどうなのかなというような声も一部あるんでございますね。ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  200. 青江茂

    青江政府委員 今度の改造に係ります安全審査事項、主要点は三点ございます。  一点は、事故時にナトリウムを冷却系から抜き取る、いわゆるドレーンでございますが、その時間を短縮する。すなわち、何かありましたときにはどっと抜き取る。前回、いわゆる穴があきまして漏れた、それが、抜き取る時間が長かったものでございますから、かなり長期にわたってたらたらと漏れていったわけでございますので、それをどんと抜き取るというための改造が一点ございます。  それから、第二点目は、総合漏えい監視システムの設置でございまして、漏えいが起こりましたときに非常に俊敏にそこのところを感知ができる。前回におきましては、火災報知器それからナトリウム漏えいというものを感知するいわゆる検知装置、こういったものが若干うまいこと機能しなかったという点もございまして、そこのところをきちんとさせるというものが第二点でございます。  それから、建物の区画化、窒素ガスの注入ということでございます。もし、万々が一ナトリウム漏えいというのが起こるという場合に、窒素ガスを注入いたしまして、その反応を抑制するという方法が考えられるわけでございますが、いわゆる建物が大きく広がってございますと、注入いたしましても時間がかかりますので、建物をかなり細分化をいたしまして、その漏えい箇所に緊急に窒素ガスを注入するというための対応という改造を行う、これが第三点でございます。  以上が主要な三点でございます。
  201. 近江巳記夫

    ○近江委員 完全に地元の人というのは了解されていると思いますけれども、一般国民から見ますと、やはりその審査に入ればすぐその改造工事に入るんじゃないかというような、まだはっきりその合意もできていないのにというような危惧もあろうかと思うんですね。その改善事項というものは今お話あったように三項目なんですね。こういうことについての安全審査をするわけですから、一足飛びに改造工事に入るわけじゃないわけですからね。やはりその辺のところなんかも現地の方々に十分お話になることは大事じゃないかと思うんですけれども、その辺についてはどういうお話をされておるんですか。地元の人の理解状況といいますか、微妙なところですけれども、ちょっとお聞きしたいと思います。
  202. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  確かに地元の方の受けとめというのがかなり微妙と申しましょうか、一つの考え方といたしまして、安全審査ということを受けて、そして安全規制当局に十分御審査をいただいて、それで安全だということがわかるではないですかと。それで、再開というのはその次のステップの問題ではないでしょうかという一つの考えがあるわけでございますが、それに対しまして、いろいろな経緯が地元ではあるわけでございまして、それをそのまま素直に受けとめていただけるという状況には今のところないと申しましょうか、安全規制というところに踏み出せば、そこから先へまた一足飛びにというふうな、一種の不信というものに根差したお考えというものも、これも間違いなく多分あるんだろうというふうに思うわけでございます。  その辺は、それこそ三年半にわたります長い経緯の中からのさまざまな方々のお気持ちでございますので、私ども、いわゆる今の三項目でこういうふうにするんだといったことを含めまして、きめ細かい御説明をさらに継続していく所存でございます。
  203. 近江巳記夫

    ○近江委員 原子力に対する不安、不信、さまざまなものがやはり伏線として渦巻いているわけですね。ですから、やはり皆さんに理解を得るためのひとつ十分な説明、今まではそれはやってきておられますけれども、私がお聞きしたのは、今までのことをもう一遍点検してどうなのかということをお聞きしたのです。そういう報告みたいなのをされただけでしょう。私は、これからどうしていくかというような、やはりその辺のところ、姿勢をお伺いしたかったわけです。
  204. 有馬朗人

    有馬国務大臣 これは「もんじゅ」だけではございませんで、原子力全体に通じて言えることでございます。そういう点において、さまざまな機会を通じ、これからもさらに、今の、安全性とは何か、どういうことを見るのかとか、原子力の意義をまた詳しくお話をしてまいりたいと思っております。
  205. 近江巳記夫

    ○近江委員 では今度、プルサーマルの進捗状況についてお伺いしたいと思います。  時間が余りございませんので、現在、現時点において大体どうなっておるか。これは関電の高浜、それから東電の福島等、了解を得ておるようでございますけれども、そうなった場合、利用の時期であるとか、いつごろ搬入されるのかというようなことのスケジュールもわかっておればお聞きしたいと思います。
  206. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 プルサーマルの計画につきましては、二〇一〇年までに十六ないし十八基において実施するという計画が、平成九年の二月二十一日に電気事業者から発表されてございます。  このうち、関西電力二基、東京電力二基、合計四基につきましては、二〇〇〇年までに実施をするということとされてございます。この四基につきましては、現在までのところ、関係県、市町村の御理解、御協力を得て計画が粛々と進んでいると理解をいたしてございます。  具体的に申し上げますと、関西電力高浜原子力発電所三、四号機につきましては、安全審査の申請に関する地元の了承が得られまして、十二月に原子炉設置変更の許可を行いました。また、加えて六月十七日に、実施に係る最終的な地元事前了解を得ております。また、東京電力の福島第一原子力発電所の三号機につきましては、昨年十一月に事前了解を得、通産省の安全審査を終え、六月二十八日原子力安全委員会、六月二十九日原子力委員会からそれぞれ答申が出されてございまして、最終的な段階でございます。東京電力柏崎刈羽原子力発電所三号機につきましては、地元の了解が得られた後、四月一日に原子炉設置変更許可の申請がなされまして、現在通産省において安全審査を行ってございます。  二〇〇〇年以降に予定されております十二ないし十四基の原子炉につきましては、実施を予定しております各電気事業者が今後具体的な計画を順次決め、発表していくものと承知しております。
  207. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、もう時間がございませんのでこれで終わりたいと思いますが、いずれにしても、そうした燃料の搬入等々を伴ういろいろなまた事柄も考えられるわけでございます。そういう点、常に、何かあるとその辺のトラブルというものがやはり大きく増幅されていくわけでございますし、やはり国民理解、納得を十分得る、そういう日ごろの努力ということが非常に大事なことになると思います。プルサーマルもさらに今後計画に沿って拡大されていくわけでございますから、その点、最後に御答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  208. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 プルサーマルにつきましては、御指摘のような地元の皆さんの理解協力、それからまた、今後具体的なMOX燃料の搬入の段階を迎えますので、そうした段階でも全体的な情報を開示し、御理解を得ながら粛々と進めてまいりたいと思います。
  209. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  210. 北側一雄

    北側委員長 吉井英勝君。
  211. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  私は、きょうは最初に、「もんじゅ事故から学ぶべきものは何なのかということを大臣と御一緒に少し考えてみたいと思うわけです。  高速増殖炉で一番やはり問題になってくるのは、プルトニウムとナトリウム技術の問題であること、これは共通の認識だというふうに思っておりますが、実はせんだって、電力中研の服部さんという方が指摘しておられるのを見ていまして、これはなかなか当を得ているなと思ったのです。  ちょっと御紹介しますと、ナトリウム機器の各要素の故障率は時間当たり十のマイナス三乗から十のマイナス五乗、これに対して、水というのは数千年の歴史的経験を積んでいますから、十のマイナス五乗から十のマイナス六乗。水よりやはり二けた高いわけです、ナトリウムの場合の故障率というのは。ですから、ナトリウム系の機器コンポーネントなど、要素数が何万個もあるシステムをつくってトラブルなく運転しようとすること自体が無謀だという指摘も服部さんはしておられて、彼は何を言いたいかといったら、もっと単純なもの、そういう点で非常に研究すべき課題があるということを指摘しておられるわけです。  プルトニウムという点で考えても、高レベル放射性物質であり、毒性の強いものを燃料として使用するわけですから、そうすると、臨界質量を超える燃料集合体にしておくのか、あるいは、運転しないときは、極端な話、制御棒なしででもこれは未臨界状態にしておく、それはプルトニウム炉の持つ本質的危険性をどのように回避するか、こういう問題になってくるかというふうに思うわけです。  ですから、この点では、ナトリウム技術の問題とあわせて、プルトニウム燃料のあり方なども含めて、「もんじゅ事故を契機として、本当は「もんじゅ」型の高速増殖炉でいいのかどうか、そういう検討というものを、やはり事故をやってとまっているわけですから、本来しっかり検討がなされるべきものだと思うのですが、大臣、こうしたことについてはどれぐらい検討してこられたのでしょうか。
  212. 有馬朗人

    有馬国務大臣 ただいまのことについては、先ほどお話がありましたように、サイクル機構でいろいろ考えておりますので、お答えをいたします。
  213. 都甲泰正

    都甲参考人 お答え申し上げます。  「もんじゅ事故の後、ナトリウム冷却型の高速炉の問題という観点でもちろん検討いたしましたが、先ほど御指摘の、ナトリウム冷却型のプラントが信頼度が非常に低くて、多数の部品を使っている現在の設計では信頼度高く運転できないのではないかという服部先生の御意見だということでございますが、私ども、まだその点につきましては最終的な結論を得ておりませんが、ただ、一つ申し上げたいのは、今まで既に「常陽」が十何年、大きなトラブルなく運転してきた実績がございますので、私は、直ちに今の服部先生の御意見には賛成しかねるところがございます。  それから、あと、プルトニウム燃料を使った炉心、制御性の問題でございますが、これは軽水炉等と同じでございまして、現在の大型の原子力発電プラントの設計というのは、当然、最小臨界量をはるかに超える量の燃料を炉心に蓄えておりまして、制御棒によって取り出すエネルギーの割合を調整する、制御するということで安定運転安全運転を続けて行っていくわけでございまして、ナトリウム冷却型の高速増殖炉でも全く原理はそのとおりであろうと考えております。     〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕
  214. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、「常陽」の実績をおっしゃるのだが、「もんじゅ」の事故の実績もあるわけです。ナトリウムについては、時間当たりの事故率が水などに比べて高いという、これは服部さんの指摘。それを含めて、今おっしゃったように、よく検討しなきゃいけない部分はあると私も思っているのです。すべてがそのとおりということじゃないが、逆に言えば、そういうことも含めて、本当はもっと基本的なところでよく検討するべきところがあるんじゃないか。実は、そういう検討が十分なされないままに「もんじゅ再開ということだけが先に出てしまっているということは問題じゃないか。私は、今こそその点は検討をまずなすべきことだというふうに思います。これについては後ほどまた大臣から伺います。  三年前に、九六年十一月から旧動燃の中で、小型高速炉について、小型炉技術検討ワーキンググループをつくって検討してきたんじゃありませんか。その内容、小型炉というものの基本理念について御説明をいただいておきたいと思います。
  215. 相澤清人

    相澤参考人 お答え申し上げます。  午前の質疑の中でもお話を申し上げましたけれども、今年度から実用化戦略の調査研究ということで、幅広いサーベイをやってまいります。それと同じような趣旨で、過去、二、三年前でございますけれども、今御紹介があったような作業チームが小型炉の検討をしたことがございます。それもレポートという形にまとめて整理をしたところでございます。  その設計の一つの眼目というのは、小型化するということによってデメリットもあります、スケールメリットがとれないという経済的な負担は出ます、一方、シンプルにするという意味ではいろいろなメリットもある、そういうものをサーベイしてみよう、調査検討しようという趣旨で行ったものでございます。
  216. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、昨年四月一日のこの科学の委員会で、動燃事業団法の審議の中でも、超小型安全炉の研究のこと、どの炉の型式が本当にいいのか改めて問題になっている、安全技術の水準の枠の中で実現できていくものなのかどうかなどについて深い検討が必要だということを指摘しました。  私の質問の後、昨年四月に旧動燃の方で、今もお話ありました小型炉の標準化に関する研究報告書を出しているわけですね。小型炉の考え方というのは、これは制御棒がなくても、もともと未臨界の状態に置いておけるというものですから、緊急時は反射板をぽんと落とせば運転停止に至る、炉の温度上昇による反応度係数はマイナスである、これは一面利点である、冷却材喪失しても反応停止へ、増殖しない小型高速炉であれば、FBRの使用済み燃料の再処理工程を不要とする、そういう可能性なども持ってくるわけですね。つまり、プルトニウムリサイクルから脱却する道、同時に、事故に対応できるより安全な原子炉の基礎研究という分野というのは、私はやはり非常に大事な分野だというふうに考えているのです。大事な意味を持っている。  そういうさまざまな基礎研究や安全技術研究開発が必要であるのに、高速炉「もんじゅ」に固執して再開しようというのは、この点では、大臣、「もんじゅ事故の教訓を本当に深いところで得ているのだろうか。  今、事故をやってとまっているのですから、本当は、随分突っ走ってやってきたんだけれども、今腰を据えて、そういう増殖しない小型の高速炉の問題、さっきは採算性の問題のお話ありましたけれども、大きくすればスケールメリットがある、これはかつての考え方であって、実は最近は、巨大化することは、逆にいろいろな要素が入ってくるとスケールメリットとは当たらない、こういう分析などもかなり出てきているときですから、私は、まずそういう検討なしに「もんじゅ再開だけに突っ走るというやり方から、今もう少し根本に立ち戻った深い検討というものを政治の舞台で考えなきゃいけないんじゃないかと思うわけです。この点については、大臣に伺いたいと思います。
  217. 有馬朗人

    有馬国務大臣 二つの点についてお答えいたしたいと思います。  一つは、今まで研究をずっと持続してきていた巨大科学の行き方の方です。これは「もんじゅ」が相当完成に近づいている。しかも、この前の事故というのは、放射能が漏れたというようなことではなく、御指摘ナトリウムの問題でございましたね、漏えいの問題である。この辺の事故が起こらないようにすることによって、今まで続けてきた、非常に大きなお金を使ってきたものに対して、多少修理費が要りますけれども、これを完成させていくということはやはり重要なことであると思っております。これが一点。  それから、小型原子炉に関しましては私も大変関心のあるところでございます。それからまた、御指摘のように、ナトリウム、プルトニウム、そういうもの以外のものがあり得るかということに関しても、これは大いに関心のあることでございます。こういう点で、省庁の再編というのは極めて意味があると思っております。  すなわち、今先生指摘の新しいやり方というのは、どちらかというとボトムアップ型の研究に極めて結びつきやすいものである。そういう意味で、各大学における原子力関係研究者が大いに検討に参画してくれることを望んでいるわけであります。こういう点で、文部科学省ができて、大学とそれから科学技術系の研究とがより一層結びついて協力できるようになるということはいいことであると考えておりますし、そのよい点を生かしていくべきだと考えております。
  218. 吉井英勝

    ○吉井委員 御承知のように、先ほども答弁にありましたが、スーパーフェニックスにしてもアクチナイドの消滅処理の方に使っている。ですから、高速増殖炉そのものの研究というより、性格は変わっているわけです。諸外国は随分状況が変わっていることはもう既にこれまでから論じられておりますが、その中で、今の小型高速炉の問題にしても、それからトリウム溶融塩炉の基礎研究その他の提案にしても、日本研究者の中でそれが行われて、実は海外の方で日本の小型高速炉の考え方に取り組もうじゃないかという動きがあるようですが、海外のこの分野の動向はどういうふうになっていますか。
  219. 青江茂

    青江政府委員 今先生が最後におっしゃいましたいわゆる小型炉、日本一つのコンセプトと申しましょうか、小型炉につきましての海外の関心ということにつきましては、ちょっと私、存じておりませんので、もしあれでございますれば、サイクル機構の専門家の補足を後ほどしてもらいたいと思うのでございますが、一般的に、海外の、英国等々の状況につきましては、全般的な状況につきまして説明する必要がございますれば、それにつきましては御説明をさせていただきたいと思いますが……。
  220. 相澤清人

    相澤参考人 お答えいたします。  小型炉というそのコンセプトに関しましては、主に米国では、軽水炉も含めて、伝統的にその流れがございます。したがいまして、現在、ニュークリア・エナジー・リサーチ・イニシアチブという、二十一世紀に米国の原子力技術が世界をリードできるようにという、そういう肝いりでDOEがやる中で、小型炉のコンセプトについてのお勉強、まだお勉強というレベルでございますけれども、そういうものが続いているというふうに理解しております。  それから、ヨーロッパに関しましては、基本的に大型の、やはりスケールメリットをねらうべきだという考え方が主流だと思います。これは、現状もそうだと思います。しかしながら、検討という中では、おっしゃるような小型炉は一体どうなんだろう、そういうようなサーベイはしております。  私どももそういう観点から幅広い比較検討をやってまいるというつもりでございます。
  221. 吉井英勝

    ○吉井委員 今もお話ありましたが、例えば、アメリカのローレンス・リバモア、ロスアラモス、アルゴンヌなどの国立研究所や大学、メーカーなどで検討を始めていること、それは、スーパー、セーフ、スモール・アンド・シンプルという四S炉について検討を始めているという動きがあるとか。  実は、日本は、スケールメリットを追求して、失敗したが、とにかく「もんじゅ」でというふうにしがみついているといいますか、そういうところなんですが、本当にその方向だけでいいのか。もっと基本のところで。ナトリウム技術、プルトニウムの技術について、その「もんじゅ」がうまくいったところで早くて二〇三〇年という話なんですが、それだけで今本当にいいのか。やはり基礎研究であるとか安全技術研究開発、そこのところへ。  小型高速炉や超小型炉とか、これは全く新しい話ではなくて、また、最近の数年急に生まれたというものではなくて、今もお話ありましたように、いろいろな考え方というのは随分前からあったわけです。しかし、そういうところにはもう目もくれないでやっていくというやり方から、これは大臣、せっかくやってきたのだからというあなたの思いは思いとして、やはりスーパーフェニックスや「もんじゅ」というこの流れにこだわらないで基本に立ち戻るということ。  巨大科学という点もそうなんですが、しかし特に原子力技術の分野は、とにかく、最終処理、終末処理も含めて技術体系全体を現役世代の間に安全にコントロールできるという、そういう技術開発も含めてやらなければいけない課題なんですから、やはりそのことを視野に入れて、基礎研究、安全技術研究開発、そこに本当に主軸を移すべきときではないかと私は思いますが、もう一度大臣に聞いておきたいと思います。
  222. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび同じことをお答え申し上げて恐縮ですが、両面なければならないと思っております。  巨大科学というものが一方であると同時に、それの基礎を、御説のように基礎研究もやらなければいけない。これは明らかにやっていかなければいけないことでありまして、大きな加速器でもいろいろな工夫が、つくられながら一方でやられていって発展していっているわけであります。そういう意味で、原子炉につきましても、単にスケールメリットだけを追うのではないということは御説のとおりであります。  しかしながら、継続性ということもやはり大きな問題である。今まで非常に大きなお金を注いできておりますから、国民に対して、これがともかく完成して一つの成果を上げたということをお示しすることが我々の責務だと思っております。この点が一つ。  しかしながら、おっしゃるとおりに、それ以外の可能性について研究するということは極めて重要でございまして、特にそういうことは大学を中心にした人々の研究に向いているということを、先ほど申し上げましたけれども、もう一度強調させていただきたいと思います。
  223. 青江茂

    青江政府委員 ちょっと補足だけさせていただきたいと存じます。  今吉井先生がおっしゃられました種々のコンセプトと申しますのは、先ほど来御紹介を申し上げてございます実用化戦略研究、これの視界の中に課題としてすべて入っているのだというふうに私は思っておるのでございます。したがいまして、「もんじゅ」一辺倒で、それに固執して、ひたすらそれにしがみついてやっているということでは、私どもも一つの考え方として決してそうではないという認識に立ってございます。
  224. 吉井英勝

    ○吉井委員 昨年の動燃事業団法の議論のときからは大分お考えが変わっていらっしゃったということだけはよくわかりました。  それで、継続という点でも、実は「常陽」の技術と「もんじゅ」の技術は途中でぶった切られているのですよ。「常陽」の技術は、そのまま蓄積されたものは生かされていないとか、そういうことがありますから、単に継続ということだけでそれは議論できないものがあるということを、これは再処理の方もそうですが、原研でやっていたものから随分変わってしまっているわけですから、私はそう簡単に言える話ではないということを申し上げておきたいと思います。  次に、ナトリウム事故などの発生を考えると、事故による被害予測をきっちりやる必要がある。このもう一つ大事な課題について伺いたいと思います。  「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」というのを科学技術庁日本原子力産業会議に委託してつくったのが四十年前のことでした。日本共産党は、科学者の方たちの協力を得て、二十年前の七九年六月号の雑誌「前衛」というので、一部の図表を別にすれば全文公表しました。科学技術庁が今度国会図書館の方で、日本共産党の西山登紀子参議院議員の提起を受けて全文公表された。これは非常に遅過ぎたと思うのですが、当然のことだと思っています。ただ、問題は、なぜこれまで公表しなかったのか、四十年間なぜお蔵入りさせてしまったのか、それを伺いたいと思うのです。
  225. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  四十年前、実は参議院の原子力損害賠償法の審議の過程の中におきましても御指摘がございまして、なぜそれがいわゆる非公開というふうな措置がされたのかということにつきまして、私どもも、その御指摘を受けまして、種々の資料、いわゆる地下の倉庫にまで参りましてずっと調べてみたのでございますけれども、そういう判断に至りました経緯、理由といったことにつきましては、大変申しわけございませんけれども、見出すことができません。そういう状況にございまして、今ここでもちまして、なぜということにつきまして明確にお答えできないということでございます。
  226. 吉井英勝

    ○吉井委員 それはもう本当に四十年前の貴重な、ここにもありますけれども、これだけの資料ですよね。非常にたくさんの科学者の方たちを動員しての研究成果物を四十年間眠らせておった。何で公表しなかったのか理由もわからない。これは全く理由にならないし、それは無責任な話だと思います。大体、国民の税を使うことを何と心得ておるのか。私は国民の皆さんから本当に厳しいおしかりを受ける話だと思います。  原発事故の被害予測を防災対策に生かして考えるという点で、私はこの試算自体非常に貴重なものだというふうに読みまして思いました。  研究に当たった田島英三先生、放射線審議会緊急被曝特別部会長を務められた田島教授は、衆議院の科学技術委員会で、「日本として初めての試み、これをやることにより、大きな事故が起きたときにどういう点が問題になるか、かなり明らかになった」、この報告書の価値は「事故の解析というものに対する一つの筋道を与えていくという点で大へんいい試算であった」と思うと。これは参考人として陳述しておられますが、この試算自体は非常に貴重なものだと私も思いました。田島先生指摘、そのとおりだと思いましたが、この報告書、この試算自体を貴重なものと認識しておられるのかどうか、これを伺いたいと思います。
  227. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  実は、もう先生御案内のとおりだと思うのでございますが、この調査委託は、原子力損害賠償制度というものを日本としてどう構築するかということを検討いたしておる時代になしたものでございます。その調査検討の一環としまして、日本原子力産業会議に対しまして調査委託をなしたものでございます。  その後、調査レポートというものがもたらされましたが、原子力損害賠償制度というものを構築するその結論といたしまして、実は、無限責任という仕組み、当時、有限責任にしようか無限責任にしようかというふうな議論があったようでございますけれども、結論としまして無限責任制度をとるという結論に至った。そのプロセスの中におきまして、被害額、被害想定を行うことというのは意味を失い、今先生が御指摘になられましたその中身自体につきましての評価というのも具体的にはなされなかったのではないかというふうに考えてございます。
  228. 吉井英勝

    ○吉井委員 私、余りその損害額の話の方は首を突っ込むつもりはないのです。  今の時点で、この四十年前の学者の皆さん方の研究が、今、日本の原発事故の被害予測などを見積もって防災対策を進めていく、そのことを考えるときに、この試算自体は今日なお、なおと言ったらこれも変ですね、今日依然としてというか何と申しますか、試算自体が非常に貴重なものだ、私はそういう認識を持っているんですが、科学技術庁の方は、これは貴重な研究だという見方はしないのですか。
  229. 青江茂

    青江政府委員 ちょっとセクションにかかわって大変申しわけないのでございますけれども、今申し上げましたように、原子力損害賠償制度という賠償の仕組みをつくるという観点から、意味をなくしたと申しましょうか、そういうふうな取り扱いになってきておるのが今日の状況であるというふうに思ってございます。     〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  230. 吉井英勝

    ○吉井委員 公表されたわけですが、お読みになりましたか。読まないで、意味ない、貴重なものという認識を持たないというのだったら、それは何も御存じないわけだからそんな認識もないのだなということになりますが、読んだ上でなお、今日原発防災などに生かしていくという点で貴重な内容だとは思わないのですか。
  231. 青江茂

    青江政府委員 私は、いわゆる前の十八ページと申しましょうか、詳細でない部分でございます、いわゆる総論とでも申しましょうか、その部分につきましては目を通しました。  今私が申し上げてございますのは、私の責任の問題といたしまして、原子力損害賠償制度というものを考えるに当たりましては意味を持っているものではないだろうという判断はなしておるというところでございます。
  232. 間宮馨

    ○間宮政府委員 今、防災絡みということでお尋ねございましたが、原子力安全委員会の防災専門部会におきましては、原子力防災対策の実効性向上について、去る四月二十八日に報告書取りまとめたところでございますが、この中においては、我が国の原子力施設技術的な安全性観点からは災害が起きないように設計されており、具体的に事故から災害に至る想定を一般的な形で示すことは困難であるとされております。  他方、同報告書では、地域防災計画の策定、防災訓練のシナリオ作成等のために、各原子力施設ごとに災害の及ぶ範囲等につきまして何らかの災害想定が必要であり、このような個別の災害想定を地方自治体が必要としたときは、地方自治体、国、事業者が連携して、地域施設の特性を踏まえ、何らかの仮定を置いて検討することを提案しております。  科学技術庁といたしましては、これを踏まえまして、今後さらに原子力防災対策の一層の充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。
  233. 吉井英勝

    ○吉井委員 では、間宮局長自身は、この試算自体、原発事故の被害予測を行い、それに対応する防災対策というものを考えていくという原発防災を考える上で、これは貴重なものだとお考えですか、それとも意味ないとお考えですか。
  234. 間宮馨

    ○間宮政府委員 いずれにしましても、今申し上げたとおり、一般的な形で災害想定するということについては非常に困難であろうと思っておりまして、たまたまTMI事故が起きまして、あの例も先ほど申し上げました中でいろいろ議論したわけでございますが、そういう一つの例は例えば参考にするとか、あるいは茨城県のように、仮想事故の十倍の放出量を想定して物を考えるとか、そういう実効的な面につきましてはいろいろ我々も考えてまいりたいと思っております。
  235. 吉井英勝

    ○吉井委員 それでは、少し先に進んで話を聞いておきたいと思いますが、問題は、この報告書で使われた被害想定の計算式が有効かどうかということが出てくると思います。  この試算では、英国気象庁の使うパスキルの式と坂上の式とも比較して、三つの計算式による結果が傾向的には一致していて、サットンの式は、主に使っているわけですが、有効なものである、こういう考え方に立っているわけです。今、放射性物質の拡散などについてさまざまな数式等がもちろんあるわけですが、この試算で行われている気象庁のパスキルの式とか坂上の式とかサットンの式とか、これはこれとして有効なものとお考えなのか。そこはどうなんですか。
  236. 間宮馨

    ○間宮政府委員 サットンの式と申しますのは、風速や風向が一定であるといった限られた条件下で、放射性物質の空気中濃度を近似的に求めるための大気拡散方程式の一つでございますが、この式と類似の大気拡散式が、原子力発電所に関する安全審査の際に用いられる指針の一つでございます「発電用原子炉施設の安全解析に関する気象指針」の中に用いられてございます。  両式とも、ガウス、正規分布と呼ばれる拡散式であるところが共通しておりまして、各種条件は同一でございますが、サットン式に比べまして、指針中の式は、気象条件の変化に対応してより詳細な係数を決めることができること、拡散中の放射性物質の崩壊を考慮していること等が異なり、より厳密な結果が得られるようになってございます。
  237. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、今もお認めになったわけですが、現在でも、原子炉事故が発生して放射性物質が環境に放出されたときの拡散状況の予測というのは、「発電用原子炉施設の安全解析に関する気象指針」で用いている基本拡散式ですが、それは、風向、風速を一定として平たん地の場合という条件で、四十年前の報告書の試算にあるサットンの式を中心に、前提条件は一緒なんですが若干の補正を加えたというもので、四十年前の試算の分析手法これ自体は、今日の分析手法と基本的なところは同じでしょう。
  238. 間宮馨

    ○間宮政府委員 今先生がおっしゃいました限りのところではそうでございます。
  239. 吉井英勝

    ○吉井委員 これは当たり前の話でして、大臣は御専門だからよくおわかりのように、拡散方程式は当然一緒なんですよ。風洞実験による実験値をもとにした近似式を立てるか、TMIやチェルノブイリなどのデータから比較的よく合う、そういう経験式的なものを考えるか、あるいは国際機関が使用するような拡散式を使うか、日本では最近放射能の拡散予測にSPEEDIを使っているようですが、いずれにしても、それらはもとが一緒なんですから、サットンの式と比較的よく一致しているものであり、計算式は幾つもあるんですけれども、それぞれに一定の条件のもとで計算するものであって、計算結果というのは当然、完全な一致は出てこなくても、傾向的に一致していて、値そのものが一定の範囲内におさまっているならば、その数式等は有効性を持つというのは当たり前の話だと思うんです。ですから、四十年前のこの報告書に出てきている分析手法、これは今も有効であり、今も使っているんですよ。  次に、さらに伺っておきたいんですが、この報告書における放射能放出量について、熱出力五十万キロワット、電気出力に直すと十六万キロワットの原子炉で、分裂生成物蓄積量が百八十五億ベクレル、五億キュリーですね、放出量は十万キュリーとしているわけですが、これは今日の同規模の原発の事故を想定するときの、これは申請図書に出てくる分で、その予測値と比べてみてどうなのか。この辺のことは、これはエネ庁から伺っておいた方がいいんでしょうか。どうですか。
  240. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 原子力発電所の立地評価におきまして、原子炉立地審査指針に基づき、離隔、離れている距離の妥当性確認するという技術的見地から、起こるとは考えられない事故の発生を仮想いたしまして評価を行っております。  設置許可申請書におきましては、仮想事故、先ほどの仮想事故でございますが、希ガス及びヨードの放出量を評価してございます。  原子炉冷却材喪失というものについての例を挙げますと、出力四十六万キロワットの福島第一原子炉では、希ガスが一・二掛ける十の十六乗ベクレル、ヨードが三・九掛ける十の十四乗ベクレル。それから、百十万キロワットの東通発電所では、希ガスが二・四掛ける十の十六乗ベクレル、ヨードが八・八掛ける十の十三乗ベクレル。いま一つ例を挙げますと、出力百三十五・六万キロワットの柏崎刈羽六、七号機では、希ガスが一・七掛ける十の十六乗ベクレル、ヨードは六・三掛ける十の十三乗ベクレルでございます。  あと、その他の数字、これはすべて公表いたしてございますので、お必要がございましたら、取りまとめて御報告を申し上げます。
  241. 吉井英勝

    ○吉井委員 今エネ庁の方からお答えいただきましたように、想定しているものは、まず四十年前の報告書で想定した放出量というのは、要するに十のマイナス五乗キュリーなんですよ。今のを、ベクレルで言っておられたからキュリーの方に直して出しますと、大体十の四乗台から十の七乗台のところなんです。ですから、これで見ても、炉外へ放出される、最悪時にはこれは環境への放出量になるわけですが、これは四十年前の試算した、発表した数値と、この点では今日も変わらないのです。  大体、あのときの熱出力五十万キロワット、電気出力でいうと十六万キロワットの原子炉というのは、今日のものでいえば大体電気出力で二、三十万キロワット、あるいはそれを少し下回るぐらいのものとほぼ同じですから、四十年前の試算した根拠というのは今も非常に妥当性を持っているわけです。  そうすると、私は、単なる損害の議論じゃなくて、原発防災ということを考えるときに、その四十年前の損害の議論はちょっと置いておいて、どう原発防災に立ち向かうかということを考えたときに、本当にこれは有効な手法としてきっちり受けとめて考えていくべきものだというふうに思うわけです。  それで、質問に入る前に、少し関係してほかのことを聞いておきたいのですが、この報告書の十三ページのところに損害評価という表が出ておりますが、もちろん科学技術庁からいただいておりますから皆さんの方は見ていらっしゃる資料ですが、A級というのは長期間立ち退き。それから、C級は、都会は短期間立ち退き、農村は長期間立ち退きを要する。D級は農業制限としており、また、人体に対する影響としては、第一級、当価全身被曝線量七百ラド以上になれば全員二週間以内に死亡、第三級では二百から百ラドで九十日で治癒などとしているわけですが、この試算が科学技術庁報告書として出された後、これは当時の知見として、科学技術庁は、これは妥当性を欠くと評価をしておられたのか。そういう評価を下したという報告は聞いていないのですが、逆に、この内容は今日も妥当性のあるものだと見ていらっしゃるのか。この辺を次に聞いておきたいと思います。
  242. 間宮馨

    ○間宮政府委員 エックス線とかガンマ線等の低LET線に急性全身均等被曝した人の放射線死亡に関する線量の範囲に関しましては、ICRPの一九九〇年勧告によりますと、全身吸収線量で、三ないし五グレイの線量を被曝した場合、骨髄の損傷により三十ないし六十日で死亡する、五ないし十五グレイの線量を被曝した場合、胃腸管及び肺の損傷により十ないし二十日で死亡する。十五グレイを超える線量を被曝した場合、神経系の損傷により五日以内に死亡するとされてございます。
  243. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、今のお答えで既にはっきりしたと思うのですけれども、このICRPの勧告で示されている真ん中の値、五ないし十五グレイ、これは五百から千五百ラドのことですから、被曝から死亡までの期間は十日から二十日ということになっているのですね。これはつまり、四十年前の報告書に言う七百ラドで二週間、これとちゃんと一致しているわけですよね。ですから、この点では、今日の知見によっても、この試算は正当なものであったと言えると思うのですが、この点は安全局長、どうですか。
  244. 間宮馨

    ○間宮政府委員 線量レベルの高いところでは、当時の報告書の内容と、今さっき私申し上げましたところは大差ないと考えております。
  245. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、この報告書の付録D、放出放射能の人体及び土地使用に及ぼす影響、付録Eの、放出放射能の農漁業への影響、この分析手法と結果について、何かこの内容を変更するような研究をその後行われたのか、あるいはそういう研究成果物は出されているのかどうか、これを伺いたいと思うのです。
  246. 間宮馨

    ○間宮政府委員 今現在、手元ですぐにはわかりません。
  247. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、少なくとも、いろいろお聞きしたのですが、この分析手法と結果について、内容を変更するような研究をその後行われたという事例はありませんし、そういう研究成果物もないようです。あれば後ほどお示しをいただきたい、部屋へ持ってきていただきたいと思います。  そこで大臣、私は、この議論をずっと今聞いていただいたのですが、四十年前のあの報告書というものは、これはまさに田島先生指摘されたように、この報告書の価値は、事故の解析というものに対する一つの筋道を与えていくという点で大変いい試算であった、そして、これをやることにより、大きな事故が起きたときにどういう点が問題になるか、かなり明らかになったと。実際その内容を見れば、事故があったときの拡散についての手法も、それから、幾ら実際に放出されるかということについて、原発立地に当たって申請図書で示されている数値も、それから、ICRPの勧告で示されている人体被害などへの影響という点でも、これは今日の知見で見ても正当なものであるということは、もっと細かい議論をしたいのですけれども、時間がないものだからそこまで行きませんが。  そこで大臣、私は、「もんじゅ」であれ他の原発であれ、原発防災アセスメントというものがやはり必要だと思うのです。何万キロワットの原発を何時間運転したときに蓄積される放射能の蓄積量、最悪の事故となったときの環境への放出量、拡散の式を使った放射能による被曝予測、そして放射能防御対策をそのときどうするか、避難対策をどうするかとか、やはり評価というものを一基ごとに科学的にもやっていくということが大事だし、それができる道筋が、田島先生は、筋道をつけたとおっしゃるわけですが、その点では、この試算の分析手法や考え方などを使ってアセスメントというものをやはり取り組んでいく。  原子力安全という点では、これは関係するところとももちろん協力してやるにしても、一番科学技術の面で知識も能力もお持ちのところですから、これは大臣先頭に、やはり原発防災アセスメントというものを、こういう報告なども含めてきちっと確立していく、組み立てていく、そのことが必要だと思うのですが、この点については大臣のお考えを聞きたいと思います。
  248. 有馬朗人

    有馬国務大臣 四十年の前でも、きちっとした科学的な技法でやられておりますから、その点、私も率直なところ、全部目を通したわけじゃありませんが、一部分を見てみまして、かなり正確にいろいろ検討していると思います。ただ、多少データその他古くなっているところもあると認識しておるわけであります。この点が一点。  それからその次には、やはりいつでも、事故が起こったときにどういう対処をすべきかということは、我々は十分準備をしておかなきゃならない。例えば、レスキュー隊というふうなものを置こうというふうな話がありますけれども、そういう場合にどう対処すべきか、これもきちっと科学的、技術的に押さえておかなきゃならない。こういうことに関しては今後もさらに努力をいたしたいと思っております。そういう際に、こういう資料、研究というのは大いに役立ちますし、また、ラスムッセン報告などということも大変役に立つと思っております。
  249. 吉井英勝

    ○吉井委員 私、こういう研究を通じて、これまでの八キロから十キロという、あれが本当に合理的根拠を持つのかとか、それから、実際に現場へ行きますと、四キロや五キロのところに除染施設があって、汚染された人間がそこへ行って一遍体をきれいにしてからさらに十キロ先へ逃げなさいと、全くナンセンスなことがあったりとか、今そういう体系立ったものになっておりませんから、こういう報告を、大臣もおっしゃったように、もちろん日々新しい成果も生まれてくるものですから、そういうものももちろん生かしながら、しかし、原発防災という点で、科学技術の総力を挙げた取り組みを求めておきたいというふうに思います。  さて、最後の問題といたしまして、原電東海第二原発の安全系機器の故障について伺っておきたいと思います。  運転中の原発の事故の発生という場合に、危機対応で一番大事な役割を果たす装置は制御棒とECCSです。異常事態が発生するとスクラムをかけ、直ちに全制御棒が炉心に挿入され、中性子を吸収して原子炉の核分裂反応を中止させ、運転停止に導くという大事なものです。一方、冷却水が失われたり、反応が異常に進んで、核燃料が沸騰した水蒸気に包まれるような状態とか、燃料の温度が上がり過ぎて溶け出すような炉心溶融の事故になると原子炉そのものの破壊に至りますから、ECCSが作動して緊急に冷却水が注入される。だから、二つとも大事な役割ですね、安全系で。  ところが、最も重要な安全系の二つの装置が両方とも同時に故障していたというのが、原電東海第二原発の今回の定期点検中に見つかったものだと思うんです。これは、定期点検中のことで本当に不幸中の幸いであったと思うんです。  今回見つかった故障の持つ意味は、それほど深刻なものであったという認識を持っていらっしゃるのか、それとも割と軽くお考えなのか、この辺を入り口のところとして伺いたいと思います。
  250. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 極めて遺憾なことと思っております。  遺憾と申し上げる理由は、御指摘のありましたこの二つのうちの一つ、弁棒が破損をしておったわけでございますけれども、この弁棒の破損が、定期検査中の検査のやり方、いささか機器を操作するミスに起因しているところがあるというところがございまして、その点で、いささかの遺憾という気持ちを持っておるところでございます。  それから、いま一つの制御棒につきましては、基本的には、これを加工するときの冷却油、洗浄水中の不純物によってこのピン穴部の腐食が進展をしたということが結論として見られております。今後、この制御棒製作時の不純物管理というものをきちっとメーカーのサイドでしてもらう必要がある。かような意味で、定期検査中に見つかったものでございますけれども、この全体的な現象について遺憾である、かように思っております。
  251. 吉井英勝

    ○吉井委員 私、今のゲートバルブの弁棒の方の問題ですけれども、かつてコンビナート災害の問題に取り組んでいたときに、これは一九七三年の十月二十八日のことですが、信越化学の直江津工場で塩ビモノマー製造装置の爆発火災事故というのがありました。この原因は、バルブの弁座に腐食が生じて塩ビモノマーが漏れ出して爆発し、四十六時間の火災に至ったということもあるんですが、同時に、腐食してうまく閉まらないということで、バルブの締め増しをやってつぶしてしまったわけですね。  今操作のミスを挙げておられたけれども、実は、この弁棒の問題というのはそう単純じゃないんですね。力のかかり方が、繰り返し繰り返しその荷重が加えられたり、引き抜きの方の逆の荷重がかかったりとか、実際にその報告書の中でも繰り返しによる疲労のことも出ておりますが、主にそれは操作ミスだということにしてしまっているんですが、しかし、見てみると、ゲートバルブの弁棒というのは、七八年の運転開始以来、二十年間に三百回の開閉を行っただけで折損しているんです。ですから、操作ミスだけで簡単に済まされない問題がある。  これまで全国で、弁棒折損で問題になるのは、五回ぐらい原発で発生しておりますが、二十年経過して、三百回開閉のゲートバルブのある原発というのを調べてみると、全国で十八基あります。七八年以前に運転開始したものですが、原電東海第二で、安全系ゲートバルブが四十九台、うち同一メーカーが十四台であったということで、直ちにこれは調査に行って、全部チェックしてもらいました。  問題は、全国に同じものがそれだけあるわけですし、それから制御棒のガイドローラーの問題にしても、東海では、百八十五本の制御棒の中で十三本、七%の制御棒が働かないということになると、実際は問題になるのがあったわけですが、深刻な問題になっていたわけです。  ですから、全国の原発の同様部分の徹底点検、少なくとも安全系にかかわるものについて、安全系の二系列が同時ということになると本当に大変な問題ですから、これは徹底した点検をまず指示してやり抜いてもらいたいと思いますが、これは大臣からでも担当の方からでも結構です。
  252. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 今回の弁棒の破断は、定期検査におきます点検作業時の弁操作のミスの結果生じたものでございまして、弁棒の健全性や弁の機能自体に問題があったためではありません。ただし、この破断した弁棒については、弁棒の取りかえを行いますとともに、点検時の駆動装置の点検のやり方について、開操作手順を、厳重な見直しを行っているところでございます。  また、このガイドローラー近傍での腐食の問題でございますが、十三本の制御棒のハンドル部ガイドローラー以外、その他のものについてもすべて順次取りかえを行う、今後、こうしたものについての検査を厳重に行うように指示をしたところでございます。
  253. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  254. 北側一雄

    北側委員長 辻元清美君。
  255. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党、社民党の辻元清美です。  さて、本日委員会が開かれておりますけれども、まず一番最初に、本日の委員会の位置づけを確認させていただいて審議を進めていきたいと思うんです。  といいますのは、この「もんじゅ」の問題について国会で議論するということを聞きまして、地元の皆さん、そのほかの方々から、なぜ今、国会で審議するのか、何らか動きがこの後つくられるのではないかというような不安の声も上がっているわけですね。私たちは決してそういう意図でこの委員会を開いているわけでは全くないわけなんですけれども、それぐらい地元の皆さんはセンシティブになっているということをまず皆で確認したいと思います。  そして、ちょうど二年前に「もんじゅ事故についての報告書が出た折に、審議しようと言っていたやさきに東海村でのアスファルト固化施設の爆発事故が起こりまして、私もそのときはもう国会議員になっていたんですけれども、その事故処理についての審議で、この「もんじゅ」については十分、ほとんど審議されなかった、各委員一般質疑では取り上げていますけれども、されてこなかったという経緯をもちまして、この委員会理事会の方で、これは一度「もんじゅ」についてやっておこうということを確認されて、きょう開かれているものであるということをまず確認しておきたいと思います。  さて、それではまず最初に、私は「もんじゅ」の位置づけと目的について御質問させていただきたいと思うんですが、ちょうど一九八〇年の十二月に、当時は動燃という名前でした、旧動燃が提出した「高速増殖炉もんじゅ発電所原子炉設置許可申請書」、そこに、私、今手元にありますが、添付書類がありまして、この添付書類には「原子炉の使用の目的に関する説明書」というものがあります。この「もんじゅ」の目的の点について、現状ではどのような御認識かという点について、まず一つ一つお伺いしていきたいと思うんです。  さて、ちょっとそこの部分を読み上げさせていただきます。「本高速増殖炉もんじゅ発電所は、高速増殖炉を我が国において一九九〇年代に実用化するため、実証炉、実用炉にいたる原型炉を自主開発することにより、その設計、製作、建設、運転の経験を通じて、高速増殖発電炉の所期の性能、安全性信頼性、運転性の見通しを実証するとともに、経済性が将来の実用炉の段階で在来の発電炉に対抗できる目安を得ることを目的として建設する。」というふうになっていて、きっとこれをお聞きになりまして、関係者の皆さんは、懐かしいなと思われる方も多いのではないかと思うんですね。この目的は一体現状でどのような認識と私たちは受けとめればいいのかという点について、順次御質問していきたいと思うんです。  さて、まず「一九九〇年代に実用化するため、」というこの時期については、ことしは一九九九年ですので、この九〇年代というのはもうほとんど不可能ということは共通の認識であるかと思います。さて、そういう中で、先ほどからの御答弁を伺っておりますと、何だか「もんじゅ」にしがみつくものではないというようなわかりやすい発言が政府の御答弁の中にも出てきましたり、高速増殖炉懇談会報告書でも「柔軟に対応していく」というふうに、私は、これは方針がさらに現実的に変わったというように受けとめているわけなんですけれども、その認識でよろしいでしょうか。
  256. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  従前、いわゆる長期計画でもちましては、二〇三〇年代に実用化というものを図るんだ、そこへ向けて、言ってみれば一直線に、原型炉から実証炉、こういうステップを踏みながらその二〇三〇年代の実用化へ持っていくんだ、こういうふうな開発進め方というものをとっておったわけでございます。  それに対しまして、FBR懇談会での種々の議論を経た結果といたしまして、FBRと申しますものは、これは非化石エネルギー源の有力な選択肢のうちの一つなんだというふうな考え方のもとに、当面は実用化を目指しての研究というものを着実に進めていくんだということで、先ほど申し上げましたような開発進め方というものを大きく変えたんではないかというふうに私は理解をいたしてございます。そういう開発進め方を変えた中におきましての、進め方の方法論としましての柔軟な路線というものをとっていくという考え方をそこに持ってきたというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  257. 辻元清美

    辻元委員 今の御答弁の中で、私、もう少しお聞きしたいのは、開発進め方の変更であるという点がありましたが、もう少し詳しく教えていただけますか。
  258. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  繰り返しになりまして大変恐縮なんでございますが、要するに二〇三〇年代に実用化というものを目指す、ここへ実用化の目標時期というものを置いて、そこから逆算的に、今「もんじゅ」の段階というのは原型炉だ、こう位置づけておるわけでございますから、原型炉を経て実証炉、それから実用化を展望していく、これをリニアに考え、二〇三〇年代の実用化へ向けて、すべての研究開発活動というのを収れんさせながらそれを具現化させていくというのが従来の開発進め方であったというふうに思うわけでございます。それに対しまして、今時点におきましては、その二〇三〇年代に実用化を目指すというゴールターゲットそのもの、これにつきましてはいわば取り下げたという状況にあるわけでございます。  ということで、今は、「もんじゅ」というものは研究開発のツールとしまして重要、これも用いつつ、実用化というのは、これはFBRの持っておる大きなポテンシャルと申しましょうか、もし開発をなすことができますれば大変大きなベネフィットを得ることができる、この認識は全く変わらないと思うんでございます。それだけの大きなベネフィットを得るものであるから実用化を目指して研究開発は進めていくんだということそのもの、これは変わらない。したがって、開発進め方としまして、先ほど申し上げましたような、いわば二〇三〇年代実用化というものを目指して一直線に進めていくというやり方から、言ってみればボトムアップ型とでも申しましょうか、研究を着実に進めながら実用化というものをその延長線上に展望していくというやり方に改めたというふうに理解をいたしてございます。
  259. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、今のお話を伺っていますと、当初の八〇年に出されましたこの使用目的、これともちょっとニュアンスが変わってきているかなというように私は受け取りました。  さて、ちょっと話を進めますが、今の御答弁の中にも原型炉であるという話が出ました。そうしますと、原型炉、実証炉、実用炉、こうありますけれども、実験炉というのもあります。この定義で、まず、実験炉と原型炉の違いを説明していただけますでしょうか。
  260. 青江茂

    青江政府委員 実験炉と申しますのは、まさにいわばいろいろな研究を行うためのツールと申しましょうか、ということであろうと思うわけでございます。原型炉と申しますのは、ある程度の研究の成果というものを踏まえて、発電プラントとしての性能を確認し、大型化の可能性というものを技術的に評価するためのものというふうな言い方ができるのではないかというふうに思います。
  261. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、将来に向けて評価をするところが違う、研究開発にのっとって、実用化に向けての評価と言ってもいいかもしれないんですけれども。  ところが、今の「もんじゅ」の状況を見ていますと、原型炉でいこうとしてスタートしたわけなんですけれども、そこが直ちにストップをせざるを得ない状況になってしまったと私は思うんですけれども、「もんじゅ」は今でも原型炉なんでしょうか。
  262. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  今申し上げましたような原型炉としての目的と申しますのは、今時点におきましても意味のあるものだという理解をしてございます。ただ、先ほど先生がお読みになりました部分に、原型炉、実証炉、それから実用化へ、このステップという観点からいたしますれば、実証炉ということ自体につきましては、従前は、今のステップを踏みながら二〇三〇年代実用化を目指すという時代におきましては、実証炉というものは非常に確たるものとして予定をされておったわけでございます。そこのところにつきましては、今時点におきましては確たるものとして予定し得ていない、そこが変化のところであろうと思うわけでございます。  したがいまして、原型炉をやって実証炉へつなげていく、その意味におきましての原型炉、そのつなぎと申しますか、一定の脈絡を持ったものとしての原型炉ということではないだろうと思うわけでございますが、先ほど私が御説明申し上げました大型化の可能性を技術的に評価するためのもの、そういう意味におきましての原型炉としての意味は今なおきちんとした意味を持っているものというふうに理解をいたしてございます。
  263. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、原型炉、その次実証炉、実用炉となっていくわけなんですけれども、「もんじゅ」はどういう形の実用炉を念頭に置いた原型炉と位置づけていらっしゃるのか。例えばループ式とかトップエントリー式とかあると思うんですけれども、今はどういうものを念頭に置いていらっしゃるんでしょうか。
  264. 青江茂

    青江政府委員 先ほどと繰り返して恐縮でございますが、今時点におきまして、政策論といたしまして実証炉というものを確たる存在として予定をしておらないわけでございます。  ただ、事実上の問題といたしまして、電気事業者の間でもちまして設計研究が進んでおる。その設計のコンセプトというのはもちろんあるわけでございますけれども、私どもの今時点におきましての考え方と申しますのは、次のように申し上げられるかと思うわけでございます。  実証炉と申しますのは、例えば「もんじゅ」を運転再開していろいろなデータをとるとか、それから、先ほど来議論になってございます実用化の戦略研究というものを、非常に幅を広げた形でいろいろなコンセプトを追求しながらその実用化像というものを探っていくとか、それから基礎研究を行うとか、いろいろな多面的な努力というものの上に、その延長線上に実証炉のコンセプトというのが具体的には浮かび上がってくるということになるのではないかというふうに理解をいたしてございます。
  265. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、先ほどの、いろいろな型があるということですね。  ちょっとこれは別の観点から質問させていただきたいんです。そうしますと、実用炉の型が決まるのは実証炉によって決まるわけですか。原型炉の段階では関係ないということですか。
  266. 相澤清人

    相澤参考人 お答え申し上げます。  実用化戦略研究の目的を先ほど理事長の方から申し述べました。その中で申し上げたことを要約いたしますと、私どもとして、これまで「もんじゅ」までの段階で積み重ねてきた技術成果、これは今後の実用化の戦略を練るに当たっての非常に貴重なリソースである、このように判断しておりますが、同時に、ほかの可能性も含めて幅広く検討するという時期に今ある。そして、その相互比較の中で今後どう進めるべきかということを国民各層が広く検討していただけるようにしていただきたいと思っておるわけです。
  267. 辻元清美

    辻元委員 質問の内容とちょっと今の御答弁は違うと思うんです。  もう一回申し上げますと、技術的なことをちょっとお伺いしたんですけれども、今私は、「もんじゅ」は原型炉であるかどうかという議論をさせていただいていまして、それで、それに関係することとしまして、最終的な実用炉でどういう型の実用炉を選ぶかというのは、原型炉の段階では決まっていなくて実証炉の段階で決められるものなのか、それとも原型炉の段階から決まっているのかはどちらでしょうかということをお聞きしたんです。
  268. 青江茂

    青江政府委員 原型炉の段階で確定し得るものということでは必ずしもないということだと思います。
  269. 辻元清美

    辻元委員 といいますのは、原型炉として出発しようとしたわけなんですけれども、これは、今の現状は実験炉になっちゃっているんじゃないかというふうに思わざるを得ない点があるのではないかと私は思うんですね。  これはほかの方の御意見にもありまして、先ほど局長の御答弁の中にも、先日、五月三十日の夜中の一時から四時半までの福井放送のテレビ討論会の中で、阪大の宮崎教授が、この方は「もんじゅ事故調査に当たった方だと思いますが、彼の発言の中にも、「もんじゅ」は原型炉よりも発電実験炉や研究開発段階高速増殖炉、要するに実験炉と位置づけるべきではないかという御発言を調査に当たった方が直接されているわけで、この御意見についてはどのようにお考えなんでしょうか。
  270. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  原型炉と申しますのがその成果をもってして実証炉へつなげるという意味におきましては、それは「もんじゅ」も原型炉だと思うのでございます。しかしながら、かつては違っておったわけでございますが、現時点におきましては実証炉計画というものは予定しておらないわけでございます。したがって、「もんじゅ」から、具体的に確たるものとして予定しておりました実証炉へつなげていくという脈絡というものは非常にはっきりした形で、その意味におきましての原型炉としての意味というものは、これは今日なくなったというふうに申し上げざるを得ないだろうと思うわけでございます。  しかしながら、「もんじゅ」の規模からいたしましても、その持っている性能、とり得るデータというものからいたしまして、先ほど申し上げました、原型炉として、発電プラントとしての性能を確認し、大型化の可能性を技術的に評価するためのもの、これは技術論としましての、一種、原型炉というそのフェーズにおきましての役割、これは果たし得るものでございますので、その意味におきましての原型炉としての役割というものは今なお失われてはいないということを申し上げているわけでございます。
  271. 辻元清美

    辻元委員 今の御答弁を伺いまして、原型炉から実証炉への確たるプロセス、ここのところがちょっと不透明になっている。そして、原型炉ということを果たし得るという御発言があったんですが、今の実態から見てこれはちょっと原型炉と言うには無理があるというふうに私は今の御答弁を伺いまして理解したところなんです。  ちょっと、これ以外のこともお聞きしたいと思うんですが、さて、懐かしい八〇年の申請書の目的、さらに進みますと、「性能、安全性信頼性、運転性の見通しを実証する」という意味においてこれは原型炉であるということにもとられるわけですけれども、ここも破綻してしまったのではないかと私は思うんですが、御見解はいかがでしょうか。
  272. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  今の、「所期の性能、安全性信頼性、運転性の見通しを実証する」という部分でございますけれども、これからそれを、運転再開をお認めいただけますればきちんとデータをとるわけでございますので、そのデータをとることによってここのところの、今申し上げてございますその見通しを実証するというところを、所期の目標というものを達成をいたしたいというふうに思っているところでございます。
  273. 辻元清美

    辻元委員 これからやるとおっしゃったんですけれども、今の現状をお聞きしているわけです。これは八〇年に出された、こういう目的で「もんじゅ」に取り組むということで。今九九年で、この目的に対して、この十九年間の取り組み、これをお聞きしているわけです。これからのことは、まだこれからやれるかどうかということは、それはまた全く決まってない、白紙の話だと思いますので、今までの十九年間についての見解をお聞きしているわけです。
  274. 青江茂

    青江政府委員 まさに「もんじゅ」の目的でこういうことだということは、「もんじゅ」を運転をしまして、それによってデータをとることによってこれを手に入れる、これが目的であろうと思うわけでございます。  それが、大変残念なことながら出力四〇%のところでもってダウンをして、それで今日の状況を迎えておるという意味におきまして、この目的といいましょうかこの作業ができ得ていないというのが今日の状況ということであろうかと思うわけでございます。
  275. 辻元清美

    辻元委員 なぜでき得ていないかというところが非常に重要だと思うわけです。順調に運転していたらできます、しかし順調に運転できてない、できなかったというのは、結局もうそれに至る以前の話ですよね。その点について、大臣が今手を挙げていらっしゃるので、じゃ、大臣お願いします。
  276. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私は原型炉だと思っております。  なぜならば、実験炉というのは、要するに発電できるかどうかまだわからない。それに対して、原型炉はもうかなり発電をしてきている、しかも四〇%まで行ったということは、この目的の中でかなり部分はもう実現したと思うんです。ただ、不幸にしてソジウムの漏えい事件があった。あそこのところの技術がいささか弱かったということはあります。そこが直されれば、これは当然、目的であった性能、安全性信頼性、運転性の見通しが必ず立つわけです。  ともかく、残念なことに、四〇%まで行って、もう火が入ったにもかかわらず、事故というのは、故障というのは思いがけないところで起こるものでありまして、ソジウムが漏った、しかしあそこでソジウムが漏ったことによっての安全性ということは、放射能が出たというふうなことは全くない。要するに、ナトリウムというものが漏えいしたということによって起こったことでありまして、その後のやり方が悪かったためにすぐに直すことができなかったということが大変不幸なことでありました。あれをすぐに直すことができればもう既に現在運転が行われていたと思います。  そういう点で、私は大変残念なことであったと思いますし、発電が既に四〇%にせよ起きたというところにやはり原型炉としての意味があったと思っています。
  277. 辻元清美

    辻元委員 私は、かなり部分が実現したとは考えられないんですね。  この「安全性信頼性、運転性の見通しを実証する」というところなんですけれども、すぐとまっちゃったわけですね。  それと、ナトリウムの問題は、私はこれは全く軽視できないと思うわけです。イギリスの事故の場合も、一本の管が連鎖反応で三十九本に至るまで連鎖反応を起こしたというような事故に至っている場合もあるわけで、これは本当に幸いにして一本でとまったというように見ないと、この事故大臣がまさか軽視されているとは全く私は思いませんけれども、ナトリウムの宿命みたいなものは皆さんの方がよく御存じだと思うんですけれども、これは非常に致命傷になりかねないという認識をお持ちいただかないと、この「もんじゅ」の問題は前に進まないと思います。  ですから、私は、見解の相違というのは多々あるかと思いますけれども、目的はこの後二つあるわけですが、この目的の一つ目の、性能、安全性信頼性、運転性の見通しの実証という、十九年かけた今日に至っても動いていない、ここをやはり重く受けとめるべきであるということを一つ目として申し上げたいと思います。  その次の目的が、「経済性が将来の実用炉の段階で在来の発電炉に対抗できる目安を得ること」ということになっております。  しかしこれも、とまっていますので、目安を得るどころじゃなくなっていると言える状況ではないかというふうに厳しく見れば見れるかと思いますけれども、まず、この「もんじゅ」の経済性について、維持管理費は年間今は幾らかかっているのか、御報告いただきたいと思います。
  278. 青江茂

    青江政府委員 約九十億円でございます。
  279. 辻元清美

    辻元委員 報道などでは年間六十億以上なんという報道もありましたが、九十億円というのはそれを上回る額だと思います。  さて、その中で、「もんじゅ」を動かした場合、これは私は二百億円程度というふうに承知しているんですが、そのようでよろしいでしょうか。
  280. 平澤眞一郎

    ○平澤参考人 お答えいたします。  「もんじゅ」を動かした後の費用でございますけれども、段階的に費用は変化してまいるというふうに考えております。  と申しますのは、「もんじゅ」を動かした後、例えば燃料とか制御棒、いろいろなものについて長寿命化というのをこれから予定しております。したがいまして、最初は多少高いお金がかかりますけれども、漸減していくかと思いますけれども、オーダー的には、先生がおっしゃったようなオーダーかというふうに存じております。
  281. 辻元清美

    辻元委員 その中で、ナトリウムの問題なんですけれども、これは核燃料サイクルの方にお伺いするのがいいのかもしれませんけれども、ナトリウムを抜いて維持するということはお考えにならなかったんでしょうか。これは炉心を取るか取らないかという問題が出てくるわけですが、結局そっちの方がコスト的には安いと私は思うんですが、いかがですか。
  282. 平澤眞一郎

    ○平澤参考人 おっしゃるとおり、ナトリウムを抜くためには炉心を抜かなければいけません。炉心を抜くためには、まず、この「もんじゅ」の炉心は、一本の燃料を取りますと、そのかわりにダミーの燃料を入れていくというような手順で燃料を取り出していくわけでございますけれども、その後、ナトリウムを全部抜き取るという手順になろうかと思います。  その場合、ナトリウムを全部抜きますので、当然のことながら、そこはアルゴンガスみたいなもので充てんするわけでございますけれども、ナトリウムを全部抜くと申しましても、若干のナトリウムの残渣というのは残ります。そういったものは、当然温度が下がりますから固形化いたします。それで、場合によっては、アルゴンガスの中の不純物によっていろいろな、酸化する可能性もございます。  今度ナトリウムを充てんしてもう一度それを使うときに、炉心というのは一番機微の部分でございますので、できるならば、そういう不純物が発生されるような工程はしたくないというのは、これは技術的に一つございます。  それから、経済性の面でございますけれども、一つは、先ほどの炉心を抜くに当たってダミー燃料をつくるというのが、これがばかにならないお金がかかります。それから、ナトリウムを全部抜くために、現在タンクなど持っておらないわけです。そうしますと、仮設のタンク等、抜くための新たな設備が必要になる。  かようなプラス分、マイナス分のやりとりを計算しますと、ナトリウムを抜く、炉心を取るという行為は、経済的にはかなりマイナスになるというふうに考えております。
  283. 辻元清美

    辻元委員 もう一点確認させていただきたいんですが、今、酸化という御発言がありましたけれども、これは私もちょっと心配していたんですね。  長期の運転停止ということで、ナトリウムの酸化問題が起こっていないか、検査されているのかどうかと、もう一つが、炉全体の残存ナトリウムの量を調べていらっしゃるのかどうか。これをちょっと簡単に、しているかしていないかだけお願いします。
  284. 平澤眞一郎

    ○平澤参考人 現在、御承知のようにナトリウムはループ運転しておりますので、当然のことながら、ナトリウムの純度管理、あるいは、カバーガスで覆っておりますので、そのカバーガスについても純度管理はきちんと運転状態と同じようにやってございます。
  285. 辻元清美

    辻元委員 私は今、この目的の二つ目の経済性、要するに「在来の発電炉に対抗できる目安を得る」というのがこれは目的でした。  さて、そういう中で、今手元に、ことし五月に総務庁行政監察局が出した「もんじゅ」に関する評価のようなものが出ております。  これは、規模の違いはあるものの、現状で原型炉「もんじゅ」の出力単位当たりの建設コストは単純比較で軽水炉の六倍。一方、運転経費は二百億円、これは四年前の臨界達成初年度の額になっていますけれども。そして、海外の高速増殖炉開発は、経済性等の理由により停滞状況高速増殖炉の実用化のためには今後とも長期の開発期間と多額の公的資金の投入が必要であるなどというようなことも出ているわけですね。ですから、最後の締めくくりは「研究開発に要する費用とその成果を明らかにし、その妥当性を論議していくことが必要」であるということで、これは私は重く受けとめるべきだというふうに考えています。  最後になりますけれども、若干意見を述べさせていただいて終わりたいと思います。  フランスのフェニックスも、昨年のたしか十一月九日に、二次系ナトリウムが中間熱交換器から原子炉内へ約六トン流出した事故があったというふうに聞いていまして、フランスでも安全性議論がさらに過熱しているという話も聞きました。  また、いろいろな方々が最近FBRについては意見を述べていらっしゃいますね、さまざまな選択肢を示すべきであるという、これはもう御承知のとおりだと思います。  その中でも、大臣ももしかしたらよく御存じの方かもしれませんけれども、東大の山地教授などは、FBRはせいぜい二〇五〇年ごろに必要になるかどうかといったところで、現在しゃにむに開発を進めるというよりも基礎研究へというような御意見を述べていらっしゃっる。  それから、生田日本エネルギー経済研究所理事長が、ウランのマーケットに大きな影響は見られないにもかかわらずFBRをやるとなると、再処理の問題と絡めて、プルトニウムをどうやって消費するかという点に焦点が移ってくるのではないかという中で、資源の再利用を目指してきた従来の考え方とは違っていることを考慮しないとこれから問題視されていくのではないかとか、原点に戻れとか、多々意見があります。  また、これは、福井県民の二十一万人を超える運転再開反対の署名が知事に提出されているとも聞いています。このような地元理解をどのように考えるのか。知事も、核燃料サイクルでの高速増殖炉の位置づけをはっきりするように、すなわち長期計画を見直すようにというような御意見も発表されたりしております。  こういう中で、先ほどから再開という言葉が出てきております。それぞれ意見は分かれるところですけれども、まだ再開という言葉を出して議論する段階には至っていないのじゃないかという認識を最後に申し上げまして、私の場合は、勇気を持って方針転換がいいのではないかということをつけ加えさせていただきまして、時間が参りましたので、これで終わります。  以上です。
  286. 北側一雄

    北側委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十分散会