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1999-05-26 第145回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月二十六日(水曜日)     午後五時十五分開議   出席委員    委員長 石破  茂君    理事 衛藤 晟一君 理事 久野統一郎君    理事 実川 幸夫君 理事 武部  勤君    理事 玉置 一弥君 理事 細川 律夫君    理事 赤羽 一嘉君 理事 江崎 鐵磨君       亀井 善之君    岸田 文雄君       菅  義偉君    田中 昭一君       橘 康太郎君    宮腰 光寛君       宮島 大典君    森田  一君      吉田六左エ門君    米田 建三君       渡辺 具能君    赤松 広隆君       今田 保典君    佐藤 敬夫君       高木 義明君    永井 英慈君       倉田 栄喜君    岩浅 嘉仁君       寺前  巖君    平賀 高成君  出席国務大臣         運輸大臣    川崎 二郎君  出席政府委員         運輸省運輸政策         局長      羽生 次郎君         運輸省海上交通         局長      宮崎 達彦君         運輸省海上技術         安全局長    谷野龍一郎君         運輸省港湾局長 川嶋 康宏君  委員外出席者         運輸委員会専門         員       長尾 正和君 委員の異動 五月二十六日         辞任         補欠選任   小里 貞利君     岸田 文雄君   望月 義夫君     宮腰 光寛君 同日         辞任         補欠選任   岸田 文雄君     小里 貞利君   宮腰 光寛君     望月 義夫君 本日の会議に付した案件  船舶法の一部を改正する法律案内閣提出第六二号)(参議院送付)     午後五時十五分開議      ————◇—————
  2. 石破茂

    石破委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付船舶法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一弥君。
  3. 玉置一弥

    玉置委員 大変御苦労さまでございます。朝からの引き続きでございますので、よろしくお願いします。  本日の審議案件でございます船舶法の一部を改正する法律案、この法律は、大変古い法律改正しようということでございます。調べてみますと、明治三十二年に船舶法制定をされた、以来、取締役全員日本国民であるということで所有する船舶日本国籍としている、こういうことでございますが、私どものずっと今まで海運日本というイメージとか、それから、日本貿易国だということで、日本の船だけでは当然貿易の量を扱うことは非常に難しいだろうということもあるので、もう既に外国の船がかなり入っております。かなりというか外国の方が多いわけでありますが、日本国籍の船がだんだん減ってきている中で、なぜ今ごろというような、むしろ遅きに失しているような感じを受けたわけであります。  今回の、日本国籍の、いわゆる日本船舶として位置づけされる船が、なぜ今ごろになって外国の方に一部取締役としての開放をされるようになったか、まずその一番の原因をお聞きしたいと思います。
  4. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、現行の船舶法明治三十二年という大変古い制度でございます。これも御承知かと思いますが、当時のドイツ参考にさせていただきまして、その当時の政策上の必要性を配慮しながら制定をさせていただいたところでございます。  現在まで長年にわたりそのままの状態にしておいたのはなぜかという点でございますが、船舶法は、御承知のように、国籍要件を定めるという大変重要な制度でございます。したがいまして、基本的には、社会経済的な情勢に特段の変化のない限りは、重要な国籍要件の変更をすることについては慎重であるべきであるという判断から現在まで立ち至ったわけでございます。  ただ、ここ数年、外航船舶をめぐる国際競争が激化してきております。また、直接的なニーズとして、船主協会さん等からも国籍要件緩和についての要望が出されてまいりましたので、今般、改正を御提案申し上げ、お願いをしようとした次第でございます。
  5. 玉置一弥

    玉置委員 海運の量としては、相当前からかなりの量を日本貿易という形で輸出入で使用しているわけであります。そういう状況からいうと、やはり日本船籍の船が減り始めた一九八〇年ぐらいですか約二十年ぐらい前、あるいはプラザ合意以降、八五年以降ですか、この辺が一つの転機だったと思うんですね。そのころになぜ今の国籍条項緩和するようなことが行われなかったのか。それ以降日本国籍の船がどんどん減っていくんですけれども、それに対していろいろな手が打たれてきたと思いますが、政策上、運輸省として一つ方針がなぜ今ごろになって出てきたのか、それをお聞きしたいんです。  それから、日本国籍の船が減ってくるということに対してどういうことをやられてきたのか、その辺もちょっとお伺いしたいと思います。  まず、全体の方針として、大臣の方で、なぜ昔やらなくて今ごろなのか。状況は何も決して、グローバル化というのは海運に関しては昔からあったわけですし、今さらながらというのがあるんですね。そして、会社の乗っ取りとか交流というのはもっと前からあるわけです。その辺を考えていきますと、今さらながらというのがある。  それから、昨年ですか一昨年ですか、商船三井の方で外国人取締役待遇ということで受け入れていますよね。そういうことはもう事例としてあるわけです。そういうことを考えると、この必要性というのはもっと前からあったんじゃないかというふうに思うんですが、一つ方針を出されて、これから日本の船並びに外航海運企業、この辺については国外に開放するのかどうか、その辺も含めてお伺いしたいと思います。
  6. 川崎二郎

    川崎国務大臣 一カ月ほど前でしょうか、私のところへ日産の社長さんとルノーの会長さんがお見えになりました。ああ、こういう時代になったのかなと改めて私も認識をさせていただいたところでございます。  御指摘のように、支障がないんだから前から直しておいたらよかったじゃないか、これも言われるとおりだろうと思います。ただ、一方で、我々、このような法律を扱っている中で現実ニーズというものが出てくる、これも一つ動きだろうと思っております。  そういった意味では、国際化動きが早くなってきておる、また、通信とかそういう社会でも、規制緩和が続いて外国人取締役というのが入ってくる時代になってきた、自分たち業界を振り返ってみたときに、昔からこういう法律はあったけれども企業皆さん方もどう考えているか、こういういろいろな議論の中で、そろそろ変えるべきではなかろうかということで今回お出しをさせていただいたというのが本音だろうと思います。企業ニーズがなければ出してあったかどうかというのはまた一つ議論であろうと思いますけれども、全体的な国の動き、そして、現実企業としてそういう動きがある、こういうことで御理解を賜りたいと思います。
  7. 玉置一弥

    玉置委員 外国船会社を見ても、結構船籍自国を離れて違う国に行っているという傾向がずっとあるわけですね。しかし、実際には、用船としては自国のために使っているということが非常に多いわけであります。  そういうことで考えていきますと、実質的な支配日本船会社がやっているのかな、そういうふうに考えるわけでありますが、しかし、今回のことはそれとはまた違った傾向なんですね。要するに外国のいわゆる資本参加を受け入れる、こういうことであります。取締役の権限という意味では、代表権を一応持たさないということになっておりますが、しかし、代表権を持たさないからといって、日本企業独自性というものがどこまで守れるかということで考えていきますと、甚だ疑問に感じるところがあります。  そこで、今回いただいた資料の中にも、例えば電波法とか航空法とかいろいろな法律がございまして、その航空法の中には、議決権の三分の一以上を外国人が占めないことというふうにはっきりと明示をされております。それから貨物運送取扱事業法、これも議決権の三分の一以上を外国人が占めないこと、電波法も同じでございまして、議決権の三分の一以上を外国人が占めないこと、こういうことになっている。わざわざこういうふうに規定をされるということで、逆に言えばその必要性があるんじゃないか。  外国の方で見てみますと、国籍要件という中で、アメリカの方は社長及び取締役会会長米国籍であることというだけで、あとは、定足数二分の一以上がアメリカ人であること、こういうことですね。ドイツも同じく過半数ということですが、イギリスの方になりますと、株式過半数英国籍者が所有していることというふうに、これもやはり限定をされておるということでございます。ところが、日本の場合は、今までも株式については制限がなかった。そして、今回は取締役まで一応受け入れるということになっております。  こういう状況の中で日本企業、船が、ともに今までの日本国籍としてのいわゆる独自性といいますか、従来からのスタンスを守り切れるかどうか大変危惧するところでありますが、その辺について、ほかの法律では明記されている、それぞれ研究されたと思うんですが、今回は船舶についてはなぜ議決権について明記されていないのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  8. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答えを申し上げます。  まず最初に、船舶法でなぜ議決権について、つまり資本規制をしていないのかということについてお答えをさせていただきます。  先ほどちょっと御説明申し上げましたように、船舶法というのは、制定当時のドイツにおける船舶国籍要件というのを参考として、日本法人のうち役員の全員日本国民であるものが所有する船舶に限って日本国籍を与えることとした、こういうふうに申し上げましたが、資本規制につきましては、当時の日本国内には十分な資本の蓄積がございませんで、外国資本の導入なくしては我が国海運業発展は困難であろうという判断から資本規制を当初から行わないこととしておりまして、それ以来一貫して資本規制を行っていないというのが現状でございます。  それで、今回の改正に際しまして新たに資本規制を課すことに関しまして検討いたしましたが、三つほど事情がございます。一つは、海運事業分野に対してはこれまで外為法に基づく外資規制を行ってきておりましたけれども規制を漸次緩和してきてまいりましたところでございまして、規制を新たに導入するということは、これまでの施策とか、政府全体としての外国人投資の促進の方針と少し方向が異なるのではないかという点が一点。  それから、現在、日本船舶を所有しております会社には外資比率の高いものが既に存在をいたしておりまして、現時点において資本規制を新たに導入した場合には、これらの会社日本船舶を所有することができなくなってしまうという事象が起こってしまうということが第二点。  さらに、ほとんどの海運先進国においては資本規制を行っていないということ。これは、先ほど先生からちょっと御指摘がございましたが、先生指摘のとおり、イギリスだけは株式過半数英国籍者が所有しているということでやや緩やかな資本規制はいたしておりますが、その他、アメリカドイツ、フランスについては資本規制をしていない、こういう事情から、今回の改正に際し、新たに資本規制を行わないことにしたというのが船舶法事情でございます。  それから、第二点目の御質問でございます他の国内法、例えば航空法でございますとか貨物運送取扱事業法について資本規制をいたしておりますが、その理由について簡略にお答えさせていただきます。まず航空におきましては、各国領空主権に基づきまして航空自主権が確立されておりまして、航空運送事業は自国民に留保され、相手国地点への乗り入れについても二国間航空協定に基づく航空権益の交換により認められていると伺っております。  このため、各国間の二国間航空協定においては、交換された航空権益を行使する航空企業につきまして、当該国国民による実質的所有及び実効的支配が確保されなければならないことを規定しておりまして、当該規定に基づいて、各国においては、自国航空会社の自国民による実質的所有及び実効的支配を担保するため、外国人等がその議決権に占める割合一定割合以下であることを航空機の登録要件とし、あわせて定期航空運送事業免許要件としているのが実態でございます。  貨物運送取扱事業法につきましてもほぼ同様の考え方で、同様の規制といたしていると聞いております。  船舶法との違いでありますけれども、考えますところ、航空船舶、これは実質的支配程度において、それぞれ国際的な航空業界あるいは国際的な海運業界の常識的な対応、具体的に言いますと、例えば航空については、今申し上げましたように、二国間協定等かなり航空権益について縛りがかかっております。他方、海運業界については、海運自由の原則をベースにして海運事業が営まれているという実態に照らし合わせ、つまるところ、支配権の強さについてその程度の差があってもいいのかな、こういうことだと思います。
  9. 玉置一弥

    玉置委員 もう一回、全体の輸送量の中の日本国籍の船の比率を確認したいんです。  輸送量そのものは大体微増というふうな形で毎年ふえてきているということでございますが、輸出に関する中で日本国籍の使用されている比率、そして、輸入に関しての使用に対しての比率というものが大分減っているという話を聞いているんですけれども、もし把握されていれば、大体どういう比率で、総需要の中の何%ぐらいだというのがわかれば、お教えをいただきたいと思います。
  10. 宮崎達彦

    宮崎(達)政府委員 まず、日本船会社の、いわばどの程度輸出入外国船と競争しながら積み取っているかという比率でございますが、外国からの用船、借りた船も含めまして日本商船隊と我々通称呼んでおります。それで見ますと、平成元年と比べますと、輸出に関しまして平成元年四六・八%の積み取り比率平成九年で三九・四%、輸入に関しまして平成元年六七・三%が平成九年には七〇・二%。御指摘を受けました、そのうち日本籍船の積み取り比率でございますと、輸出に関しまして平成元年八・四%でありましたものが平成九年一・九%、それから、輸入に関しまして平成元年三二・七%が平成九年一六・六%という数字になっております。
  11. 玉置一弥

    玉置委員 日本籍船が半減しているというような先ほどからの話ですね、半減しているというのはピークに比較しますと。片方では全体量がふえてきているということで、輸送安全保障という面から見て、どのぐらいの比率日本でコントロールできれば、いわゆる有事のときの体制としてそこそこカバーできるのか、あるいは周辺有事でも結構ですが。  参考に、もしそういう論議をされていれば、全体の需要の中のどのぐらいで、例えばライフラインというか、あるいはそういうところを含めてみて、一つの構想があるのかないのか、それから、どういう比率で、何%ぐらい、何隻ぐらいを一つの目標にしてそれを確保しようとしているのかしていないのかということをまずお聞きしたいと思います。
  12. 川崎二郎

    川崎国務大臣 詳細な数字局長の方から答弁させていただきたいと思いますけれども、実は、まず第一に、アメリカの場合は、今玉置委員が言われましたように、有事等の場合は国において使用する、こういう基本的な考え方があるように思います。我が国の場合は、先日ガイドラインの審議が終わりましたように、基本的には民間の意思というものが一番基本である、それから、危険なところには、不測の事態が起きるところには行かせない、こういう前提がございますので、日本の安全とか防衛、そういう側面から我が国商船隊の中で特に日本籍船というものを確保する、こういう観点は持っておりません。  ただ、我が国が持っておりますのは、何といっても、日本が積み重ねてきた海運技術というものをやはり伝えていかなければならない、そして、優秀な船員というものを伝えていかなければならない、それが最終的には我が国海運力の保持、そして将来の発展につながる、こういう思いからいろいろな施策をとらせていただいておるところでございます。  一方、商船隊、各会社からしますと、コストダウンという要求が極めて厳しいことも事実でございます。ある意味では、製造業からすれば、何%は国内でつくるんだ、そして、あと何十%をヨーロッパ、アメリカ、またアジア等でつくるのか、こういう議論と同じ議論になろうかと思いますけれども、まだ、正直言って、確たるものは持っていない。現状を何とか維持しながら、同時に、便宜置籍船にこれ以上偏ることは何とか避けたいということで努力をしているところでございます。  数字的なものがありましたら、局長の方から答弁させます。
  13. 宮崎達彦

    宮崎(達)政府委員 どの程度の信頼できる、日本国家として頼れる船舶なり船員があればいいのかという御質問でございます。我々そういったことの模索を長年続けておるわけでございます。  ただ、一律的にどの程度というのはなかなか難しゅうございます。と申しますのは、どういう非常事態と申しましょうか、想定するか。ペルシャ湾で何か起こったときであるとか、穀物が異常気象によってどうなったときとか、どこかで戦争が起こったときとか、いろいろなパターンがございますので、一律的に議論するのは難しゅうございます。  平成八年、七年か八年ごろに、運輸大臣諮問機関といたしまして海運造船合理化審議会というものがございますが、その中の審議の過程で勉強したことがございます。その想定といたしましては、何か事があったときに、今と同じ生活水準国民の方に享受していただくということですと、なかなか難しゅうございますが、仮に、生活保護水準と同じような生活レベル国民がみんなダウンして耐え忍ぶというような想定をいたして、いわば産業連関表を回しながらどういう物資が必要かということと、あと平均的な輸送距離でありますとか平均的な船型、タンカーとコンテナ船というのでは全然違いますので、そういったことも勘案しながら、非常に大ざっぱではございますけれども想定によって違いますけれども、三百隻程度、信頼できる、いざというときに役に立つ船舶なり動かせる船員がおればいいのかなという一つ試算でございます。  したがいまして、政府方針として、今運輸省方針として持っておるということになりますと、なかなか難しい問題が多々ございますけれども、そういったことでございます。  では、それが日本籍船であるべきなのか、それとも資本関係支配しておるいわゆる便宜置籍船でどの程度持つのかというバランスの問題もございます。例えば、日本籍船が日の丸を立てているということで逆に攻撃されちゃうとか、意地悪をされてしまうとかいう話もございます。逆に外国籍の旗を立てていた方がいいのかもしれないというようないろいろな考慮もございまして、いずれにしましても、日本籍船かどうかということはさておきまして、三百隻程度という一つ試算がございます。     〔委員長退席久野委員長代理着席
  14. 玉置一弥

    玉置委員 日本籍船が一九八〇年には、これは全部含めてですか、一万隻ぐらいあったということなんですが、九六年では大分減ってきている。これはトン数、隻数ですか、九千三百九十、これは漁船も含めてだと思うのですね。外航でいくと、四千がたしか二千ぐらいになっていると思うのです。  ということで、どういう努力をされて、日本籍船というのは、確かに通常考えれば、日本海運事業ということで経済活動をされながら、最後日本に利益が結びつくということが一番いいと思うのですが、それがだんだん用船という形で外国のチャーターをしてそれを使うということになっていますけれども、その辺で、一つ方向として、まず日本籍船が減っていいのかどうかということですね。これについて運輸省はどういうふうにお考えになっているのか。  それから、例えば二分の一になってしまったということでありますが、これに対してどういうことをされてきたか、また、今後どうされるつもりかということをちょっとお聞きしたいと思います。
  15. 宮崎達彦

    宮崎(達)政府委員 まず数字の件でございますが、船舶隻数数字のとり方がいろいろ異なりますが、私どもが有しておりますのは、一九八五年時点で、いわゆる外航に使われます日本籍船というのは千隻強ございました。一九九八年におきまして百七十隻弱という状態になっております。  いずれにしましても、プラザ合意以降円高傾向もあり、国際競争の激化ということもあり、日本籍船が相当減ってきておるわけでございます。我々、手をこまねいてきたということではございませんが、従来から、戦後の経済復興にも日本海運が重要であるということで、一つ船舶特別償却制度による再投資資金留保税制、それから開発銀行によります長期低利融資などを継続的に続けてまいりました。また利子補給という制度、かつては補助金制度もございました、今現在はとっておりませんけれども。それでもなお日本籍船が減少し続ける。我々、やはり減少し過ぎではないかと。  先ほど大臣が答弁いたしましたように、将来の日本の安全ということを考えますと、一定のコアになるような日本籍船及び船員のノウハウというものの伝承が必要ではないかというふうに考えております。そこで、国会の諸先生方にも御支援願いまして、平成八年に国際船舶制度というものが必要であろうということで、そういう制度を創設させていただきました。  具体的には、登録免許税なり固定資産税、従来も外航船舶それなりに優遇はされておりましたけれども、さらに一定船舶については軽減するといったような措置、それから、船員についての、若年船員を早期に養成しようというような助成プロジェクトというようなことで図ってまいりました。さらに、船員コストが非常に大きなコスト競争力の問題であるということで、日本籍船についても、船長機関長二名が日本人船員でありましたら、もちろん一定要件がございますが、外国籍船員を乗せてもいいような制度改正国会でしていただきまして、この五月に法律上発足いたしたというところでございまして、今後、そういったことで海運会社に活用していただきまして、日本籍船をふやしていっていただくということを期待しております。
  16. 玉置一弥

    玉置委員 今の、努力をされているのは漏れ伝え聞いているのですけれども、それでもどんどん減っていくということですね。最後はどこまでいくのかというのがちょっと心配なのです。  それともう一つは、今もお話がございましたように、船長さんとか機関長さんあるいは航海士など、ぽっと行ってすっとなれるものではないのですね。だから、例えば、将来性がある産業といいますか職場という面で考えてみて、将来性がなければ今から速成でいろいろ訓練しても人が集まらないということもあるかと思いますし、やはりそれなりに将来の生活ビジョンが描けるというような形になっていなければいけないと思うのですね。ところが、これだけ先細りになってくると、その面で非常に不安感があるのではないか、こういうふうに思うわけでありまして、どこまでいくかというのをどういうふうに予測されているのか。あるいは、例えば船舶とか必要人員とかというような形で、一つの歯どめで最低これだけは守ろうというのがあるのかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいと思うのです。
  17. 宮崎達彦

    宮崎(達)政府委員 何隻あれば日本の安全にとって大丈夫なのかという先生の先ほどの御質問と共通でございますけれども、我々もそういった数字を明確に持ち合わせておりません。  ただ、このまま放置すれば、さらに日本船舶日本人船員というのは減っていかざるを得ないだろうということは問題だなというふうに思っております。何とか歯どめをかけたいというふうに思っておりまして、今我々として一番大きな期待を寄せている制度は、先ほど御説明いたしました、外国籍船員さんも一定要件日本船に乗れるという制度が活用されるといったようなことによって歯どめをかけられるのかな、またかけねばならないなというふうに考えております。
  18. 玉置一弥

    玉置委員 ある程度外国人を使わざるを得ないというような形になってきているわけであります。  実はこの間、賃金コスト比較みたいなのがありまして、ちょっと見させていただいたのです。産業別で見ると、いわゆる高級船員の方はかなりの給料をいただいているわけですが、外国との比較でやりますと、比較的多いフィリピンの船員の方との比較でいきますと、賃金格差というのは三倍ぐらいの開きがあるというような感じで数字が出ているのですね。船長さんになると、大体三倍というような開きだと。これは、実際の産業間でいくと、もっと格差があるわけですけれども日本で横並びでいくと、日本の賃金比較でいくと若干高目という数字にはなっていますけれども、しかし、それでも後を継ぐ人がいないという職場だということで考えていきますと、将来もっと条件が悪くなるだろう。  そして、先ほどの船員コスト、年間のいわゆる船費といいますかの比較で、組み合わせによって、東南アジアの船員さんが入りますと、かなり値段が下がるというような状況なのですね。どうしてもコストを引き下げて、いわゆるフレートを安くする、運賃を安くするということを努力されていると思いますが、近代化船を使用しても、まだ外国人を乗せた方が安いんだというような結果が出ているみたいなのです。一応参考に資料を、これは大分古い資料ですけれども平成八年にいただいている資料で見ると、かなり人を減らして、近代化船で本来二十四名ぐらいのところを十三名ぐらいにしてちょうどとんとんぐらいという、半分近くで採算がとれるぐらいというような計算の結果が出ているんです。そういうふうに考えていきますと、やはり、日本と諸外国との賃金格差そのものが将来ある程度拮抗してこないと、外国船籍に移行する、この形態がずっと継続していくであろうということでありまして、何らかの形は、補てんをする、コスト差を穴埋めするということがこれからも必要かというふうに思うんです。  先ほどは、こうやりましたという話がいろいろありましたけれども一つ国際船舶制度という制度で、外国との船費の比較をやりながら、その差について国がどういう形で保護していくか、こういうことでやられてきたんですけれども、その中でも、やはり一番大きいのは、例えば登録免許税というのがありますね、これが、大体主な数字でいいますと、一隻当たり、三千トン級ぐらいだったと思いますが、日本は千二百万ぐらいの登録免許税がかかるということであります。パナマとかほかの国に行きますと、二十五万から三十万ぐらいかという、そのぐらいの開きがあるということでございまして、それで、まず敬遠されるんだ、こういう話があるんですね。これに対してどういう動きをされてきたか、それから、今後どう考えておられるのか、これをまずお聞きしたいと思います。
  19. 宮崎達彦

    宮崎(達)政府委員 国際船舶制度をお認めいただきましてスタートさせましたのは、まさに登録免許税、それから船舶にかかります固定資産税の軽減措置でございます。  今御指摘のお話でございますが、何万ドルという数字を持っておりますが、通常の、我々の手元にありますのは、四万八千トンのコンテナ船、船価六十億円というものを想定いたしましたところ、登録免許税では約二十九万ドルでございます。便宜置籍船は〇・六万ドル、パナマといたしますと。これにつきまして、国際船舶制度による軽減措置によりまして、日本籍船は七万ドル強という程度まで、これでもパナマの免許税よりは十倍ぐらい高いわけでございます。  ただ、いわばパナマなりリベリアというような国は、まさにそういったところを安くしながら、登録免許税なり固定資産税の安いところで世界各国から船を集めて外貨を稼ぐというような国でございまして、これと同一レベルまでやるんだということにつきましては、日本国の中での税制体系というものもございますので、なかなか難しいかと思いますが、今後、さらに軽減の可能性を求めて我々努力したいとは思っておりますけれども、現在のところ、こういう制度でなっております。
  20. 玉置一弥

    玉置委員 もう大変な差でございまして、他産業から比べてみてというのはあるんですけれども、こんなに高いものはなかなかないわけです。むしろ特異な部分で、要するに、取得の資産に対する対価という形でではなくて、例えば何トン級一船当たり幾らというような形で決めていかないと、対応できないんじゃないかと思うんですね。  ですから、単なる船価に対して幾らということではなくて、ランク分けして、A、B、C、D、五段階とかというような決め方でやった方がいいんじゃないか、こういうふうに思うんですが、その辺はいかがですか。
  21. 宮崎達彦

    宮崎(達)政府委員 いずれにいたしましても、我々、相当の軽減措置を税制当局と従来、国際船舶制度の確立の中で目指してきておりまして、仕組みは違うこと、それはそれでまた先生の御指摘を受けて勉強はさせていただきますけれども、全く便宜置籍船並みに、全くと申しますか、まで下げてしまうとかいうのは、やはり、日本の税制の中でのことでございますので、なかなか困難ではないかなというふうに思っております。
  22. 玉置一弥

    玉置委員 先ほど、船員さんの割合においてコスト比較というのは一応あるんですけれども、実際にプライスリーダーとして日本船籍の船が活躍していればいいんですが、実際はそうじゃないと思うんですね。実際には、もう相手に追いつくのが四苦八苦だというふうに思いますが、運賃の価格として、日本の船がどういう位置づけにあるかというのを把握されていますでしょうか。
  23. 宮崎達彦

    宮崎(達)政府委員 ちょっと御趣旨を取り違えているかもわかりませんが、日本籍船での運賃、船会社という企業対荷主という形で運賃が決まってまいりますので、船会社の方は、これは日本籍船だから何か高い運賃を請求するということではなくて、やはり、企業全体、もちろんそれなりの全体のコスト、便宜置籍船も含めて、それで値段交渉をするということが基本であろうかと思います。  ただ、資源船などにつきましては、荷主さんの御要望があれば日本籍船で、特にLNG船といったような非常に高度な技術を要する、マイナス百六十二度で運ばなくてはならないというような船につきましては、日本籍船日本人船員さんがたくさん、管理してくれるために安全運航に万全を期したような形でという荷主さんの御要望に応じて日本籍船を特に使うといったような場合には、それなりのコスト負担分を運賃としていただくというようなことはあると聞いております。
  24. 玉置一弥

    玉置委員 すべて日本が優位かどうかということから始まるわけですから、日本が、やはり自分のところで持っている船があるから、外国の要請に対してもある程度影響力を持てるということもあるかと思うんですね。  逆に言えば、日本の船が高いから外国にシフトしていったということも考えられるということで、そういうのはどっちかな、そういう意味でお聞きしたわけで、荷主からいきますと、何を使ってもいいから、これはもう船会社との契約なんですね、どこを使おうとそれはいい。要するに、CIF価格かFOBかどっちかで契約したときに、フレートが幾らかというのは大体おのずから出てくるわけですから、その辺は外国を使おうとどこを使おうといいんですけれども、しかし、日本が後追いで価格設定をして、いつも、要するに赤字部分を無理して何度かどこかへ積み残して最後にパンクするということがあるのかどうか、そういう心配もあるわけです。  だから、プライスリーダーになっていれば大体安定はするんですが、そうでないときに日本海運がどこまでもつかという心配をしまして、ちょっとお聞きしたということなんです。そういう観点で、もう一回どうですか。
  25. 宮崎達彦

    宮崎(達)政府委員 御趣旨を若干取り違えまして、失礼いたしました。  海運企業という目でとらえますと、先ほど来話が出ておりますように、日本籍船も一部持っておりますが、便宜置籍船という形のコスト競争力の強いものも日本海運企業も相当程度有しておる。外国のヨーロッパやアメリカ船会社海運会社も同様でございまして、その中で、日本海運企業としては、非常に強いパワーと申しますか、影響力のある地位を現在占めておるということでございます。まさに、そうしないと、荷物は獲得できませんし、日本籍船、今あるものについての、それが赤字になっているかどうかは別にいたしまして、それを賄って、企業として成り立っていくということができておりません。日本海運企業そのものは、便宜置籍船などの活用によりまして、国際競争力の強い企業体力を現在のところ持っておるということは言えます。
  26. 玉置一弥

    玉置委員 今のは外航の話ですけれども、内航海運の方で、船舶法第三条ということで、内航輸送について、日本船舶に限定をするという法律がありますということになっているのですが、これは国際的な慣行という形でもあるわけですね。  ところが、EU圏内の方を見てみますと、EUの大きな枠ができましたということで、EUの中では相互乗り入れみたいな形で、要するに、EUの圏内であればいいというような形で、若干この方向が崩れつつあるということでございます。そうなってくると、将来、我が国の方も方向転換のようなことがあるのかどうかという心配も出てくる。  それからもう一つは、例えば基隆とか高雄あるいは香港、釜山、そういうふうなところがハブ港湾という形でかなり大きくなって、そこで積み荷を小さい船に載せかえて、日本のいろいろな港を目指して、分かれながらやってくる。これは、日本の港湾の使用料が高いということと、大きな船で行って時間をかけると経費的に大変だから、安いところで処理をして、後はおろして、違うものを積んですっと立ち去るというふうに、できるだけ経費節減のための手段という形で、こういうことがやはり内航にかなり影響してきているわけですね。  そういう方向を見ていきますと、外航日本国籍がだんだん離れていって船が減ってきておりますけれども、内航海運の方は将来またそういう影響を受けるのじゃないかという心配をされていることが大分出てきているので、その方向についてまずお伺いをしたいと思います。
  27. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず、先ほど局長から答弁をさせていただきましたけれども日本海運業は世界の中で懸命な努力をして、まだまだ高い地位にある、こういう認識でいいのだろうと思います。特にことしの決算は円高の影響もありまして、多分三社とも割合いい決算が出てくるのではなかろうかという期待をいたしております。  一方で、そうなると、企業の社会的責任という問題が当然出てくるだろう。何でも国が面倒を見てくれてやっていく、国家の発展のためには国がすべて、税制、またお金を出す、それで国家は発展するということではないだろう。個人個人の努力、また企業の社会的責任を果たしていく、その中でどうしていくか。  アメリカのように、どんどん海外へ工場が出てしまう、こういう議論の中で、確かに家電業界はなくなりましたけれども、大変競争力のある自動車業界はつくり上げた。これは事実だろうし、航空業界ということになると、まさに日本は手も出ないということになる。  そういった意味では、国の方も十分考えていかなければならない。しかし、企業日本国家ということを、もちろんワールドエンタープライズになられておるのだろうと思いますけれども、やはり出どころである日本というものの中において、企業の社会的責任、雇用の問題、そして技術力を国家の中で維持していくという問題で、私どももどこまで支援をさせていただきながらやっていったらいいか。海運業全体もお考えいただきますし——円高じゃございません、円安効果でございます。失礼いたしました。円安効果で利益が出るだろうということで、いずれにせよ、どういうバランスで私どもはやっていくか。  先ほど玉置委員から御指摘いただいたように、まだまだこのまま数が減っていくということになるならば、踏み込んで我々ももう少し議論をしていかなければならないなと。今その時点だという形で玉置委員はお考えであろうと思いますが、私どもはもう少し勉強させていただきたい、こういうふうに考えております。  それから、国内運送の問題でございますけれども航空業界をとると、ある意味ではこれが担保になっているんだろうと、JAL、ANAにいたしましても、国際線においては大変な乱売競争になってきている。しかしながら、国内、確かにエア・ドゥ、スカイマークが入ってきて安くなってきていることは事実でありますけれども国内はやはり日本航空会社できちっとやるよと。これは、アメリカもそうしておりますので、我々もそうだ。  それで、内航海運においても、ある意味ではそういう形で、我が国国内というものは当然国内の業者がやっていく。それが、ある意味では海運業全体の一つの担保になっておったんだろうと思いますけれども、ヨーロッパ全体の流れが出てきて今後どうなるんだという御質問であります。ここはまだ私ども、しっかりとした把握をしておると言いがたいと思いますが、先ほどちょっとアメリカのことに触れましたけれどもアメリカがとられておる施策、実は外航海運にも、先ほど言った理屈で、防衛上の理屈で、かなりの援助をしておるのが実態でございます。そういった意味では、やはりどこの国も、我が国の中の海運というものはしっかり守りたい。ましてや内航というものになれば、まだまだ我々がとっておる施策というものは御理解をいただけるもの、こういうふうに今は思っているところでございます。  今後変化しないかと言ったら、断じて変化しませんとは申し上げられませんけれども、今日はアメリカ等の動向を見ながら、私ども、そのような思いをいたしているところでございます。
  28. 玉置一弥

    玉置委員 いわゆるカボタージュというものですけれども、この辺は今回の法律改正の中で、例えば外航専用の企業と内航といろいろありまして、その内航の方の企業議決権規定がないときに、要するに取引上とか、いろいろな、株で支配するとかいう形で、外国が参入してくる影響が出るんじゃないか、そういう心配もしているわけですね。  大手の場合には株数が大きいというのもありますけれども、そうでない中小で、株式を取得されて影響力を出されたというふうな形でどんどん入り込まれてくると、内航から崩れてくるのではないかという心配がありまして、要するに経営権を実質的に外国がいつの間にか持っている、そういう可能性もあるのではないか。  それを条件に、逆に言えば、内航の規制を緩めろとかいう可能性だってあるというふうに、今、例えば外国から配船してくるわけですね、小さい船でも内航と同じようなことをやっている。それを大っぴらにしようというような形に出ていくんじゃないかというふうなこともちょっと心配しております。そういう方向が今回の法改正の中で、中に今度人がいるわけですから、より動きやすくなっているというような状況になりますので、ちょっと心配しているということでございまして、もう一回確認をして、ちょっと早いですけれども、早く終わるのは珍しいのですが、終わりたいと思います。
  29. 川崎二郎

    川崎国務大臣 内航につきましては、内航で働く船員の問題も含めまして、私ども、今の基本的な原則というものは貫いていきたいと思っております。  確かに、資本全体については規制をいたしておりませんけれども、基本的に働く人たちというものは日本人がやるという原則を貫いていきたいというふうに思っております。
  30. 玉置一弥

    玉置委員 終わります。ありがとうございました。
  31. 久野統一郎

    ○久野委員長代理 次に、倉田栄喜君。
  32. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今回の改正は、いわゆる国際競争の激化、こういう視点もとらえてのことだと思います。  まず最初に、外航海運における国際競争力、これは、我が国状況は、国際競争力の視点を考えた場合に、現状どのようになっているのか。簡潔で結構でございますので、御説明をいただきたい。
  33. 宮崎達彦

    宮崎(達)政府委員 競争力、輸送コストということで端的に言えるかと思いますけれども、その内訳といたしまして、燃料費など、いずれの国の船舶ということにかかわりませず同じ額が必要となるいわば運航費の面と、租税、船員費といったそれぞれの国によって異なる費用といったものに大別される、いわゆる船費ということに大別されるかと思います。  その中で、船費に大きな影響を与える船員費について、人件費の低廉な東南アジア船員全員を乗せることのできますリベリア、パナマ等のいわゆる便宜置籍国の船舶、それから、日本全員配乗を前提といたします日本籍船、こういったものを比較いたしますと、日本籍船の場合、人件費コストもございますので、最大限省力化するという前提で計算いたした場合でも、そのコスト差は約三倍ぐらいになってしまうという問題がございます。また、先ほど来御指摘もございましたが、税制につきましても、便宜置籍国は有利な制度を持っております。  我が国外航海運企業日本船を使って国際競争力を維持していくためには、外国人船員の適切な活用とか船員費の削減、租税負担の軽減といったような、輸送コストを可能な限り国際的水準に近づけていく必要があるというふうに考えております。
  34. 倉田栄喜

    ○倉田委員 先ほど来のお答えの中にもありましたけれども我が国海運事業が総体としてまだ維持はされている、こういう答えもありました。  しかし、一方で、今の人件費等の問題も見られる中で、国際競争力の激化という中で、我が国外航海運、それは、仕事量がどれだけ減っているかという問題、どれだけあるかという問題とともに、いわゆる海運事業のシェアの伸びに対して、我が国がほかの国々に対して追いついていっているのかどうか、シェアの伸びという観点からすれば落ちているのではないのか。こういう視点もあるのだと思うのですね。  大臣は、競争力向上、この視点からとらえたときに、今、少し局長の方からもお答えをいただいたわけでありますけれども大臣自身は具体的な方策あるいは具体的な方向をどのようにお考えになっておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  35. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほど答弁させていただきましたけれども海運業として今世界に伍して頑張っておるということは間違いないと思います。  ただ、条件が、数字的なものを見ておりますと変わってきておりますのは、ヨーロッパ、アメリカ日本の荷物はふえていない。ふえていくのは、やはりアジアを中心とした荷物はどんどんふえていっている。したがって、アジアの荷物がふえていくということを背景にしながら、立派な港が整備され、そして、他国のシェアという意味では追い上げが大変厳しくなってきている。ある意味では我々のシェアは下がっていっている。基本的にはこういう認識でいいのだろうと思います。  その中において、私どもはどうしていくかというのが次の課題になるわけでありますけれども一つは、海運をされておる方々からすれば、便宜置籍船で、税金も安い、人件費も安い、そういうものをなるべく使いながらやっていった方が、コストとしては安くなって競争力が強くなる。しかし、それを短期的な目で、そればかり詰めていけば、先ほども申し上げましたけれども我が国海運業としての全体の力、信用、そして、やはり何としても人材面というものが欠けることになってしまう。したがって、そこで今まで、特別償却制度や長期の低利融資、そこへ加えて国際船舶制度、こういうものを入れながら、いろいろな形でやりながら我々も動いてまいりました。  そこで、問題は、便宜置籍船にある程度動いていくのは仕方ないけれども日本籍船というものをどうお互いに確保していくかねという理解の問題なんだろうと思います。ある意味では、少し高いけれども使ってくれということを、我々も言っていかなければならない。では、使う以上は我々も少し援助しよう。この、お互い企業と我々の信頼関係の中で手を打っていくということにつながるのではなかろうかなと思っております。  先ほど他の委員からも御質問がありましたように、いろいろな意味で我々、勉強しながら、新しく入った制度の成果というものを見ながら考えていきたい、このように思っております。
  36. 倉田栄喜

    ○倉田委員 便宜置籍船のお話が今ありました。これは、要するに、登録免許料であるとか固定資産税、それが我が国と違う安いところに求められていく、そういう視点だと思うのですけれども、ただ、そういう登録免許料だとか固定資産税だとかそういうことのみならず、我が国の、例えば港湾行政という部分についても問題意識、問題点はないのかどうか、そういうことを考えるわけです。  これも競争力の観点からお尋ねをさせていただくわけでありますけれども、アジア地域ということで少し絞って、最近アジア地域の各船舶のいわゆるシェアの向上が目覚ましいということを聞くものですから、お尋ねをしたいわけであります。アジア地域における特に雑貨輸出、その取扱量は近時どのように変化をしているのか。アジア各国のシェア、その伸び率、それと我が国を比べたらどうなんだということについては、当局は数字をお持ちでしょうか。     〔久野委員長代理退席、委員長着席〕
  37. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 アジア地域の中での雑貨の取り扱いということでございますので、コンテナに運ばれるコンテナ貨物量ということでお答えをさせていただきたいと思います。  コンテナ貨物の取扱量の十年間の変化を申し上げますと、一九八七年に、二十フィートのコンテナで換算をいたしまして、アジア地域では二千百八十八万個であったものが、一九九七年には六千九百五万個に増加しております。伸び率で申し上げますと、約三・二倍になっているということでございます。  これを各国別に見ますと、伸び率が一番高いのは中国でございまして、約十四・二倍ぐらいに増加をしております。以下、マレーシアが六・一倍、シンガポールが五・四倍ということで、日本、台湾というのは大体一・八倍ぐらいということでございますので、伸び率で申し上げますと、相対的には低くなっているということでございます。  また、我が国がアジアの中で占めるシェアでございますけれども、一九八七年には全体の中で二八・四%を占めておりましたものが、一九九七年には、アジア諸国の台頭によりまして、一五・八%に低下しているというふうな現状でございます。
  38. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今お答えいただいた問題意識と同じなのかどうか、お答えを聞く限りにおいてはちょっと私は理解できなかったのです。  「怒れ!日本人」という本がある。それは御存じだと思うのですけれども、その本で、一九九四年で見ると、こういう指摘が書いてあります。全世界のコンテナ取扱量の伸びは、一九九四年ですよ、これは、どういう数字でどういう比較なのかちょっとわからないので、私も正確には申し上げられないとも思うのですけれども、前年比一一・一%であるのに対して、日本の伸び率自体はわずか一・七%にすぎない、香港の伸び率は二〇・六%、香港を含む極東、これは日本を除いた場合では一六・三%である。こういう記述があって、これを読んだときには、やはり国際競争の中で我が国の伸び率といったときに、極東アジアで考えたときに、これは大変な状況にあるのだ、こういうふうに思ったわけです。  今、局長お答えいただいた話と、一九九四年、私がこの本を引きながら申し上げた、これが事実かどうかはちょっと確認はしていませんけれども数字とは、これは同じ認識をしておられるのですか。
  39. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 今、私の方でお答えをいたしましたのは、十年間の伸びが一・八倍ということでございますので、年率に直しますと、ちょっと乗数の計算になりますからはっきりとは申し上げられませんが、大体、六、七%ぐらいの伸びではないかと思っております。  先生指摘の、一九九四年について、一〇%とかそれ以上の伸びというのは、そのときの伸び率であったのだろうと思います。ですから、年率のときに、それぞれの年によって、先ほど、十四倍になっている中国の伸び率と日本の伸び率というのは、今御指摘になったような数字、確認はしておりませんけれども、多分、年率に直せばそれぐらいの伸び率の差が出てくるんだろうというふうに思います。
  40. 倉田栄喜

    ○倉田委員 つまり、先ほどいわゆる運送費ということで人件費のお話がありましたけれども、内航海運運賃というのが高くて、これも先ほど指摘があったところでありますが、欧米からの貨物というのが釜山だとか香港、シンガポールを経由して、そこで、大型コンテナというか、一応そこに行って、そこを拠点港として、さらに小型に分けられて我が国に入ってくる、そういう指摘があるわけですね。つまり、我が国の拠点港として、神戸や横浜という日本の拠点港が敬遠されているのではないのか、こういう指摘なわけですけれども運輸省としては、どうもそういう傾向があるねと、我が国の拠点港が敬遠されているのではないのか、こういう問題意識はお持ちなんでしょうか。あるいは、そういう事実関係というのはどういうふうにとらえられているのですか。
  41. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 今、世界の輸送の形態と申しますか、それの技術革新のようなものが非常に速く進んでおりまして、十年ごとに船が一回りずつ大きくなっているというふうな状況がございます。現在、世界のメーン航路に投入されております船は、六千個とかそれ以上を積むような大型の船でございまして、十年前につくられた、パナマ運河を通れる限界の大きさの船をまた一回り大きくなっているような船がございます。  そういったものが着岸できる施設がアジアの各港の中でどれぐらいあるかということで申し上げますと、残念ながら、今、日本には四バースでしょうか、ぐらいしかないわけでございまして、そういった意味での相対的な国際競争力の問題というものはあるというふうに認識をしております。
  42. 倉田栄喜

    ○倉田委員 バース、起重機というのかな、移動起重機とかなんとか、そういう問題の答えだったのかなと思いますけれども、この整備の問題がどれくらいあるのか。これはおくれてないのではないのかという指摘もあったりするわけでありますけれども、要するに、我が国の港湾行政の視点の問題にもなるのではないか、こう思うのですね。  要するに、横浜であり、神戸であり、いわゆるハブ港としての機能をこれからの二十一世紀の日本行政にどう維持していくのか、ハブ港としてそこを重点的に整備していく方向であるのかどうか、あるいは、やはりそれは、人件費とかほかのいろいろな問題から考えて、アジアの、先ほど申し上げました釜山とかシンガポール、そういうところにはかなわない話なのかどうか、そこに対策があるのかどうか、こういう問題意識でお伺いをさせていただいているわけです。それは、基本的にはやはり運賃の問題もあるのだと思うのですね。港湾に係る諸料金が高い。それは、いろいろ今までの問題が残っているのだろうと思います。  大臣、ちょっと私が事前に申し上げましたところと少しずれるかもしれませんけれども大臣御自身は、港湾におけるハブ港、これをどういうふうに整備していこうとお考えになっておるのか。そしてそのためには、いわゆる料金が高いというふうに、それは人件費だけの問題とか登録免許料、固定資産税の問題のみならず、一般的に高いと言われていることに対して、どうお考えになっておられるのか。これをクリアしないと、いわゆるハブ港として、欧米からの貨物が一回釜山だとかシンガポール、香港、そういうところを経由して日本にやってくる、そうではなくて、直接日本にやってくるようなあり方、そういうものを模索されておられるのかどうか、その点は大臣はどのようにお考えですか。
  43. 川崎二郎

    川崎国務大臣 最初に、先ほどアジアの話が出てまいりましたが、大体おわかりいただいたと思いますけれども、主要三十国で見た伸び率の高い国、これは、全世界で一九八七年から一九九七年、コンテナが約二・四倍の量になっているわけです。その中で、伸び率の高い国、世界で一番高いのは中国十四・二倍、マレーシア六・一倍、それからメキシコが六・一倍、逆に低いのは、サウジアラビアが一・六倍、フランスが一・五倍、日本が一・八倍、こういう数字になっております。  そういった意味では、基本的には、その国の力というものがついてくる、またその国の輸出力、輸入力がふえてくる、それによってコンテナというものがふえてきておる。したがって、我が国の力が弱くなったから我が国のコンテナが少なくなったんだ、一・八倍しか伸びがないんだというよりは、アジアの国の力が非常についてきている、これは実態論として事実だろう。当然、荷があるから、直接外国からそこに入られる。先ほど申し上げたように、少なくともアメリカとかヨーロッパから出る荷は少ないわけですから、ヨーロッパ、アメリカの倍率は高くなっていません。アジアから出るものが相当ふえてきているということが現実数字なんだろうと思うのです。  もう一つ考え方として、日本のコンテナターミナルが高いからアジア諸国へ逃げてしまうのではなかろうか。これは当然、先ほどの人件費と同じように、港湾の整備といっても、同じようなものがついております。公共事業としてすべてのことがやってあれば、当然これは、使う方はただでございますから、競争力として、アジアの国と変わらない競争力がある、また、それだけ大きなものをつくればアジアと変わらぬという話になるのですけれども、今日までは、基本的には利用者の負担でコンテナターミナルというものはつくられてきた。したがって、高いということも事実だろう。  その中で、今、公共事業でその部分まで入り込んで、まさに今まで利用者負担だった部分まで少し公共事業で入り込んでやっていかなければならないだろうという思いを持っておることは事実でございます。そういった意味では、確かに我が国の港湾の利用料、現実の利用料というものは高いものがあるという御指摘一つの事実だろうと思っています。  それではどうするんだという中で、今、中枢、中核港湾十九港の事業費が二千四百九十一億円、全国に占めるシェアが三九%でございます。かつて委員と公共事業全体のことでいろいろお話ししたことがあると思いますけれども、三大都市圏約六割、四割地方という話をしたと思いますが、今度は、逆に言えば、港湾の場合は、中核港湾、中枢港湾に四割の集中投資を今させていただいておる。この数字についていろいろな議論があるのだろう。これを五割、六割に上げろという議論もあるかもしれぬし、行き過ぎだという議論もあるかもしれませんけれども、今、私ども方針として、四割という数字を出させていただいております。
  44. 倉田栄喜

    ○倉田委員 中央と地方の公共投資の割合のあり方というのは、この間大臣議論をさせていただきました。私自身はその基本的な考え方には変わりありません。  一方で、港湾行政における、いわゆるハブ港というのですか、その機能の重視、やはりこことここは育てていくんだということを考えるとすれば、そこは、今大臣はいわゆる利用者負担ということでやってきたんだと。これ以上ほかのシンガポールなりマレーシアなり中国なり、競争力を高めるためには、そこの利用者負担ということのみならず、公共工事という視点で、いわゆる税金で使わなければいけない面があるのではないのかなというその前段でのお話がありました。  この点は大いに議論があろうかと思いますけれども、しかし、我が国の港湾使用料の高い一つの原因は、いわゆる財投と言われるいわば借金、それで公共工事をやっていく、そして、その金利も返していかなければならない、そこにも一つ原因があるのではなかろうかという指摘もあるわけです。  つまり、現在の財投方式で、公共工事といっても、いわゆる港湾の施設整備を続けていく限りにおいては結局安くならないんじゃないのと。簡単に言えば、それは、金利のかからない金でというか返さなくてもいい金で、もし国際競争力という観点から考えるならば、つくった方がいいんじゃないの、こういう方向を向いての指摘なんだろうと思うんですけれども大臣は、こういう議論をどうお考えになりますか。
  45. 川崎二郎

    川崎国務大臣 同じことを話し合いしているなと思います。港湾の基本的なものは公共事業でやっています、コンテナターミナル等の利用者負担の部分がございますと。これは飛行場なんかでも同じような話で、滑走路というものは基本的には公共事業でやらせていただいている、しかしながら、ターミナル等は利用者負担ということでやらせていただいている、こういうものはありますね。  その中で、埠頭公社等が財投を借りてやっているから金利が高いんじゃないかという御指摘、だから、そこを民間調達に変えろというのは一つ議論だろうと思います。それからもう一つは、先ほど言いましたように、公社等にやらせないで、我々が公共事業で、真水でどこまで工事を進めてやれるのかという議論で、そういう意味では、全体の予算として中核港湾にどのぐらいの金を使うんだ、こういう議論にやはりならざるを得ないんだろうと思っております。
  46. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ですから、そこのところの議論は、我が国全体の港湾の整備の問題とともに、いわゆるハブ、拠点的な港湾というのをどう整備するか、そして、一番最初の問題にある国際競争力の激化という中で、我が国の港湾事業というのをどう維持するか。  これは、基本的な姿勢がまずあるんだと思うんですね。どこかに基本的な方向を打ち出すことになればそれは大変な議論が起こるかもしれないけれども、しかし、やはりここは、あいまいにしたままではなかなか進めないところがあるのかなと私自身は思っております。大きな議論が必要だと思いますけれども、このままいってしまうと、いわゆる我が国のハブ港としての機能というのは、どんどんなくなってしまうのではないのかなというおそれも抱いております。ですから、ここは、きょうはこういう問題意識だけを大臣に私は出させていただきますので、これは当委員会でもさまざまなところで大いに論議をしていただきたい、こう思っております。  同時に、我が国のいわゆる運送が高いのは、そういう基本的な問題と、ほかにもいろいろな問題があるんだろう、こう思いますし、伸び率の比較は国力の伸びの比較の問題だということもあるんだろうと思いますけれども、それだけではなくて、やはり我が国の港湾行政の中で抜本的に改善をしなければならない点もいっぱいあるんだろうという気がいたしております。  例えば、前の同僚議員の御答弁の中で輸入量と輸出量の扱いという問題があって、輸出よりも輸入量がふえている、こういう指摘、たしか数字を挙げてのお答えだったと思うんです。例えば、輸出コンテナと輸入コンテナでは港に滞留する時間が基本的に異なるわけですね。そうすると、ハブ港も含めて、我が国のハブ港なんでしょうけれども、基本的には、我が国の港というのは輸入コンテナの増加に対応していないのではないのか、こういう指摘があるわけでありますけれども、この点はどういうふうに問題把握をされておられますか。
  47. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 先生指摘のとおり、輸入コンテナについては、輸出コンテナに比べましてかなり長時間港頭地区に滞留するということで、ヤードが大変広く必要になってまいります。従来のヤードというのは、奥行きが三百五十メートルぐらいのものを標準としておりましたわけでございますが、一番大型バースについては五百メートル程度の奥行きがあるようなバースを現在は建設中でございます。そういった形で、コンテナが滞留いたしましても十分対応できるようなヤードを用意するということは一つでございます。  それから、輸入の貨物につきましては、その港頭地区の中で開梱をいたしまして、簡単な流通加工でありますとか、あるいは荷さばき地を特定してまた分包をするというふうなことの作業にも必要になりますし、また、輸入品の販売促進を兼ねるような、いわゆるFAZの施設でございますけれども、そういったものの施設も必要になってまいりますので、そういったものにも対応できる施設をあわせて整備させていただいておりまして、国際競争力という意味で、日本の港の施設も、私どもは、決して劣らないような形で整備させていただきたいというふうに思っております。
  48. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私が、この問題、全体的な一つの視点だと思うんですけれども、あえてお尋ねをさせていただいたのは、阪神・淡路大震災で神戸が非常に大きな被害を受けた。この復興というのか復旧というのかよくわからないんですけれども、この復興の際に、今後二十一世紀、我が国状況を考えたときに、輸入コンテナの増加、増大、ここを視点に据えながら復興計画というのがなされたのかどうか、この議論があったときに、どうも、輸入コンテナの増加という視点から復興計画がなされたのではないのではないのか、こういう指摘がありますけれども、この点、いかがですか。
  49. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 神戸はやはり日本を代表する港でございますので、それにふさわしい復興ということで復興をさせていただいたつもりでございます。  それから、新しいバースにつきまして、先ほど申し上げました、輸入対応にも十分可能な水深十五メーター、奥行き五百メートルのバースにつきましても、昨年の十月時点で四バースが供用できるという状況になってございますし、御説明申し上げましたFAZ施設につきましても、ことしの三月に国際流通センターが開設されております。そういった意味でも、十分対応できるような視点を持ちまして復興をさせていただいたというふうに思っております。
  50. 倉田栄喜

    ○倉田委員 我が国のハブ港、これは空の方も同じでありますけれども、これをきちんとするということであれば基本的な考え方も明確にならなければいけないし、そのためには、相当やるべきことはやらなければならない。  同時に、今までの港湾行政のあり方、今回、我々、運輸委員会の中で、需給調整規制の撤廃なんて非常に大胆な改革を議論させていただいておるわけでありますけれども、その視点から見ても、やはり相当改革をなされなければならないところがあるのではないのか、こう思いますので、その点の御指摘はさせていただきたい、こう思います。  次に、今回の法改正一つ規制の撤廃でありますけれども、何回も大臣議論をさせていただいておりますが、規制緩和という方向の中で安全という面は大丈夫なのという議論であります。  私が持っている資料は、外航船と言うんですか、外国船舶のいわゆる安全面における実態ということで、これは、社団法人日本船長協会の会長の方が、「海運」という資料だと思いますけれども、そこに書かれていることであります。これはパイロットの方々にいろいろ調査を依頼されて、いわゆる外航船の実態というのをアンケートをとってみて、非常に心もとないな、危ないなという指摘がされているわけであります。  例えば、外航船舶のいわゆる装置とか器具、そういう安全性というのは、我が国の港湾の中に入ってこられたときに、この船はきちんとした安全性を担保されている船なのかどうかということは、どういうふうにして担保をされているんでしょうか。
  51. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答えを申し上げます。  外航船舶の安全性につきましては、国際海事機関、IMOと呼んでおりますが、そこで、技術基準及びその技術基準を確認するための検査制度について条約で規定をいたしております。各国は、その条約を受けて、それぞれその制度国内法化するということにいたしております。したがいまして、原則的には旗国主義で技術基準を担保し、旗国が検査をしてこれを確認するという考え方でございます。そういった考え方でございますので、我が国の港に入ってまいりました他の国の外航船舶についてどのようにチェックをしているのかという御趣旨と理解をいたしましてお答えを申し上げます。  旗国主義に基づいておりますので、基本的には旗国がきっちり義務を担保しているかどうかを、入港国である日本日本の港において確認をするという行為を行っております。これはポートステートコントロールと呼んでおりまして、旗国主義を補完する制度として、御説明申し上げました条約で国際的に決められたものでございます。したがって、我が国はその条約の内容に沿って外国船のチェックをしているということでございます。
  52. 倉田栄喜

    ○倉田委員 このパイロットの方々の調査によると、いわゆる安全性というものについて、五千トン未満の船が特にひどい、特に東南アジアだとかロシアだとか、そういうところの安全性というのは非常にひどいんじゃないか。我が国の船が売られていって、それが非常に整備不良のまま帰ってくる、こういうこともあるみたいでありますけれども、今のお答えみたいに、旗国主義、条約の中でしか対応できない問題なのかどうか。  例えば、海図、ISMコードに係る証書の保有状況とか有効なPI保険の加入の有無などを通報項目としてきちんと入れて事前に通報を受ける、そういう制度を設けることができるのかどうか、条約との関係もあるんだろうと思いますけれども。同時に、そういう余りひどい船に対して、どう調べるか問題はありますけれども、いわゆる制裁金、そういうものを課すことはできないものかどうか、この点はいかがですか。
  53. 川崎二郎

    川崎国務大臣 一つは、自由貿易で最も恩恵をこうむっている我が国海運問題について他国より大変厳しい制度を持つということはどうなのかなというのが、一つ議論として当然あると思っております。  それからもう一つ、ポートステートコントロール、最近実はかなりいろいろな事例がございます。具体的には申し上げませんけれども、結構、我が国からタイヤを運んでいったり古い自動車を運んだり、それが大変お粗末な船で入ってくるというようなことがございます。  それで、我々は、ポートステートコントロールをかけたときには極めて厳しくしております。そして、それを本当は直して出ていくべきなんです、しかしながら経済的な事由で直せない、これは完全にマーク船に入ります。今度我が国に入るときは直っていなければもう出しませんよ、一たん港へ入ったら、直さないでまた入ってきたら出しませんよというところまで言わせていただきながら、場合によっては、ちゃんと国へ戻っていくか海上保安庁でも監視しながら、きちっとやらせていただいている。  今言われたように、入ってきたものをチェックして、二度とこういうことをやりませんねということでお帰りいただく、今度またそのまま帰ってきたらそれは厳罰になります、ここまでは我々はやっておりますけれども、それを事前にやってしまえという御意見だろうと思いますけれども、先ほど申し上げたところから、今我が国がそこまで踏み込むというのは、少し無理ではなかろうかなという判断をいたしております。
  54. 倉田栄喜

    ○倉田委員 大臣最後に一点だけ、いわゆる規制緩和が進む中で、水先案内制度、パイロットの制度ですね、これが今検討されているというふうに聞いておりますけれども、これはどのように基本的にお考えですか。
  55. 川崎二郎

    川崎国務大臣 初めに議論がありました、たしか神戸港のときに議論があり、最近は横浜の問題で議論がございました。  一つは、やはり安全の問題だろう、したがって、いろいろな方々から、安全というものを犠牲にしてはいかぬぞという御意見がございます。一方で、港の整備もだんだん進んできている、技術も上がってきている、いつまでも昔のような規制のままには置いておくべきではないんでないか、こういう御議論、これは委員会で何回も御議論がありましたので、実は、両者の意見に耳を傾けながら、私ども、少しずつ緩める方向になるのかな、このように考えておる。ただし、技術の担保というものはとれていなければならぬ、こういうふうに思っています。
  56. 倉田栄喜

    ○倉田委員 終わります。
  57. 石破茂

    石破委員長 次に、平賀高成君。
  58. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成です。  我が国外航海運の歴史は、国際競争力の強化とコスト削減を目的にして、日本人船員日本籍船の大幅な減少の歴史でありました。こうした国際競争力の強化やコスト至上主義は、政府海運政策としても進められてきたわけです。  今度の改正案は、今でも制限がない資本面だけでなく、さらに、経営面でも強化するために、外国人の役員を三分の一まで認めるというもので、日本船舶要件緩和するものであります。この改正によって、我が国海運企業はより一層のコスト削減を行い、国際競争力を強めるために、外国企業との提携を強めることになるのではありませんか。
  59. 宮崎達彦

    宮崎(達)政府委員 今先生指摘のように、外航海運をめぐる国際競争は極めて激しいものがございます。その中で、日本外航海運企業国際競争に打ちかちながら、外航海運事業日本船員を雇いながら頑張っているという状況でございます。外国船会社に負けては、そういうものも危うくなるというふうに考えております。  今回の船舶法規制緩和につきましては、そういった国際競争が激しくなっておるということで、国際的に有能な人材、日本人以外に経営管理者を求めるという一つ企業動きに対応するための規制緩和でございまして、こういった中で日本外航海運企業国際競争力の基盤が一つ強まるというふうに考えております。
  60. 平賀高成

    ○平賀委員 今回の改正の契機となったのは、商船三井が日系米国人を役員にするために、同日系米国人は、コンテナ定期航路における巨大コンソーシアムを構成しているAPL、アメリカン・プレジデント・ラインズの前会長兼経営最高責任者でありまして、相当な経営手腕を持った人物であると新聞等でも報道されているわけです。  我が国海運企業もこれまでコスト削減という経営戦略を推し進めてまいりまして、これを政府が支援をしてきました。今回の船舶法改正による国籍条項の見直しで、我が国海運企業のコスト削減が新たな段階になろうとしています。  そこで、いわゆる外航客船マルシップについて伺います。この外航客船マルシップというのは、日本海運会社が所有する日本籍客船を外国用船主に裸貸しをして、これを外国用船主が配乗権をもって外国人船員を配乗させたものを日本海運会社がチャーターをする、こういう仕組みになっています。  この外航客船マルシップは、現在のところ、対象となっている船舶が何隻あって、そして、日本人船員数と外国人船員数がどうなっていて、どのような運航形態をとっているのか、この三点について質問します。
  61. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答えをさせていただきます。  ただいま先生指摘外航客船マルシップの実態でございますが、この四月末現在で、トータル七隻ございます。そしてこの七隻に乗り組んでおります船員数は、合計で日本人が約五百名、同じく外国人も約五百名ということでございます。  ただ、日本人、外国人のそれぞれの役向きにつきましては、外国人は、直接船舶の運航に携わる要員には採用されておりませんで、ウエートレスその他、船内サービスにかかわる業務を担務いたしているというふうに理解をいたしております。
  62. 平賀高成

    ○平賀委員 それから、運航形態についてお願いします。
  63. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 運航形態という御趣旨、ちょっと理解できないところがございますが、七隻につきましては、それぞれ、外航旅客船事業と、それから一部内航旅客船事業と両方をやっております。こういうことでよろしゅうございますか。
  64. 平賀高成

    ○平賀委員 それでは、外航と内航の、いわばどういう条件で内航と外航をやるのかという、その辺はどうですか。
  65. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 内航、外航とも、結果的には同じ条件で運航しております。したがいまして、外航のときも一部、例えば、日本外航旅客船ですから、日本国内輸送を通じてお客様を拾っていくわけですが、そのときの運航形態も、外国人船員につきましては専らサービス業のみに従事しているということで、運航には従事をいたしておりません。これは外航航路をやっているときも全く同じでございます。運航形態は変えておりません。
  66. 平賀高成

    ○平賀委員 ところで、日本籍船国内クルーズを含む旅客運送の場合について、これは専門的な技能を持った人以外はすべて日本人船員によって運航しなければならない、こういうふうになっていると思いますが、これでいいですか。
  67. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 先生の御理解のとおりだと思います。
  68. 平賀高成

    ○平賀委員 ところが、「海外貸渡し方式による混乗客船の事務取扱いについて」という、これは平成三年の八月一日付で出ているんですが、これを見ますと、この通達によって、このような外航客船マルシップによる国内クルーズを業務として行うことを認めています。これは、運輸省みずからが、国内旅客船には外国人船員を配乗できないという制度を崩しているんじゃないかと思うんですが、大臣いかがですか。
  69. 川崎二郎

    川崎国務大臣 委員も御存じだと思いますけれども平成三年六月に、マルシップ、客船混乗問題検討会ということで、労使が入った場で検討していただいて、報告をいただいております。その結果、外航客船マルシップの国内就航については、短期間の内航輸送に従事する場合に限ること、具体的にどのぐらい乗るかということについては、関係労使の協議を必要とすること等一定の制限のもとに認める、このようにいたしたところでございます。
  70. 平賀高成

    ○平賀委員 結果として、短期間だといいながらも、そういう原則をやはり崩していると私は思わざるを得ないんです。  それで、外航客船マルシップによる国内クルーズを業務として認めるということは、国内旅客輸送の一部に外国人船員が導入されることを運輸省自身も認めていることを示しているものだと私は思います。今のところ、外国人船員は、先ほどもお話がありましたように、サービス部門に限るということで配置をされているわけですが、事業者の方は、これを運航部門にまで配置をできるように求めているわけです。  そこで、内航海運業法が改正されまして、船腹調整が廃止をされて、今度は内航海運にも新規の参入が自由になることになるわけです。そうすると、内航海運日本船籍でありますマルシップも新規参入が可能になるんじゃないかというふうに心配をするわけなんですが、この点はどうなんですか。
  71. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答えをさせていただきます。  先生の御趣旨は、先ほど大臣の方から御説明させていただきました、関係者間で混乗問題について検討した会で決められた一つの規律をなし崩しにしていくんではないかという御趣旨かと理解をしております。  大臣の方で御答弁させていただきましたとおり、大変重要な問題でありまして、その混乗問題検討会において整理をしていただいた枠組みに沿って、基本的には労使協定に基づいてそれを実行、担保しているということでございます。したがいまして、労使の間で現行の枠組みについて、これを変えてほしい、あるいは検討し直してほしいという議論が出たときには、もう一度その平成三年の状況に戻って検討し直すというのが基本的な対応ではないかと思っております。  したがって、なし崩しに対応するということは、これは我々、直接規制をしているわけではございませんが、ないと理解をいたしております。
  72. 平賀高成

    ○平賀委員 労使の協定でやられているということが言われましたけれども、しかし、実際にそういうふうな状況になってきますと、日本籍船でありますマルシップが内航海運への新規参入が可能になっていくとすれば、内航海運船員外国人船員化が一気に進むことになると私は思います。  今回の改正で、経営面から、内航海運にも外国人船員が導入されることにならないのかということを私は危惧するわけなんです。国際的な原則である、自国内の輸送自国船で輸送するというカボタージュの原則が崩されていく突破口になっていくんじゃないのかということを私は心配するんですが、この点については、大臣どうですか。
  73. 川崎二郎

    川崎国務大臣 マルシップというと、委員の中に、聞いている中で御存じない方もいらっしゃると思いますけれども外航客船で日本の旗を立てて走っておる客船ということで、それが日本の国を回りながらお客さんを拾って外航へ出ていく、そのときに、国内を回るのに全くだめだ、これが内航の仕事だという理解になるかどうか。そこでいろいろな議論がされた中で、労使間で、ここまではいいだろうということで結論がついたと私は思っている。しかしながら、これをなし崩しにはいたしませんよということは、私どもも思っておりますし、労使間でもそれは、約束は守られるというふうに私どもは思っております。  それから、第二の問題も、先ほどさんざん議論をいたしましたけれどもアメリカ等でも、海運というものに保護政策をしいている。そして、特に内航という問題につきましては、やはり基本的には国内の業者がやっていく、これは航空の分野についても同じでございます。したがって、私どもは、今回の法改正と今御議論をいただいていることは全く別のものであるというふうに思っております。  それから、第三番目の、内航に外国人船員を導入するということ、内航船への外国人船員の受け入れについては、単純労働者は原則として受け入れないとする政府全体の施策がございます。したがって、それに準じて認めないとする政策をとっております。  今後につきましても、内航日本人船員の雇用に関する影響、船内コミュニケーション等安全確保上の問題、それから他の労働分野への影響というものを考えていきますと、この制度は守られるべきものであろう、私どもはこのように思っております。
  74. 平賀高成

    ○平賀委員 この問題でそういう規制緩和がずっとやられていくと、内航海運への参入の問題とかカボタージュそのものが崩されていくんじゃないかということを私は心配するわけですが、もしそういう心配がないというのでしたら、歯どめはあるんですか。絶対そういうようなことにはならないと、その点を。
  75. 川崎二郎

    川崎国務大臣 実は、今回お出ししている法律は、ある意味では、何だ、ずっと変えてなかったのか、運輸省は何をやっておるんだという御批判をいただいておる法律でございます。  私どもは、大臣の立場としてお話をさせていただいた、これが一つの歯どめといえば歯どめだろう、国会で言明をいたしていることでありますから。もう一つは、やはり最終的には国会、国会議員の方々で御判断をいただく問題でありますので、法改正というものには至っていかないだろう、こういうふうに思っております。
  76. 平賀高成

    ○平賀委員 そういうふうな議論をずっとしていきますと、海運業界の方としては、これはやはりもっと規制を緩めてほしい、内航海運にももっと参入させてもらいたいという要望があるわけです。ですから、もしそういったことが実際にやられていくとするんだったら、やはり、業界としてもそういうふうな要求が一層大きく出てくると私は思います。  そこで、九六年の十二月三日付で経済審議会の建議というのが出ていまして、これは、コスト削減のために内航海運規制撤廃の検討が必要であるとして、こう述べています。我が国を含め世界の主要国において、他国籍の輸送手段による国内輸送を認めないことが、これはカボタージュと呼ばれる考え方で、それが当然とされてきましたが、運輸部門においても相互に外国企業の参入を認める方向に向かうよう世界に働きかけ、内航海運市場の競争を活性化していく、こういうことがこの建議で言われているわけですね。  それで、こういうことになりますと、これは、政府としてカボタージュを守るということではなくて、相互に外国企業の参入を認める方向に積極的に世界にも働きかけていくという姿勢を明らかにしたものじゃないんですか。
  77. 宮崎達彦

    宮崎(達)政府委員 産業界、荷主界を中心といたしまして、そういった御要望が時に出るといったようなことは我々も承知しております。ただ、先ほど来大臣も御答弁申し上げておりますとおり、一つは、このカボタージュの問題につきましては、国家の安全、国民経済物資の安定輸送といったような観点から、現状規制を守るというふうに我々は考えております。  ただ、あくまで法制度の問題でございまして、未来永劫というのか、ということではございません。最終的には、国会先生方の御意思によって、経済情勢などに対応しながら、この制度をどのように扱っていくのかという問題であろうかと思っております。
  78. 平賀高成

    ○平賀委員 やはり今回の法改正というのは、そういういろいろな規制緩和の問題について大きな影響を与えるものだということを私は心配しているわけです。しかし、そうではない、そういうふうな心配は要らないということでしたので、ぜひ大臣に、最後にそのことを言明していただきたいと思います。
  79. 川崎二郎

    川崎国務大臣 きょうは、各委員から御質問いただいた中で、御懸念もいただきました。しかしながら、私どもは、カボタージュという制度は守っていく、そして、内航海運で働く方々は日本人に働いていただきたい、こういうことでずっと申し上げておりますので、変わりございません。
  80. 平賀高成

    ○平賀委員 最後になりますけれども政府は今までコスト削減だとか国際競争力の強化をより一層進める、こういう政策で来たわけですね。そういうことが、コスト至上主義とカボタージュの両立というのは相反するものだ、これを私は言わざるを得ないのです。  我が国外航海運政策というのは、コスト削減と国際競争力の強化を図るということで、船社などの集約化、便宜置籍船の一層の推進、海外貸し渡し制度の拡大だとか、それから、去年私たちもやりましたけれども日本人船員は、船長機関長以外は外国人でもいい、そういうものを日本籍船とするという改定などもやってきたわけですが、こういうことをやった結果が、日本籍船日本人船員の大幅な後退につながっているわけです。  ですから、こういうやり方をやはりそのまま続けるということでしたら、日本人の船員の雇用の問題と日本のカボタージュに重大な影響が及ぶのではないかということを私は指摘して、質問を終わります。
  81. 石破茂

    石破委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  82. 石破茂

    石破委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。寺前巖君。
  83. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、日本共産党を代表して、船舶法の一部改正案に反対の討論を行います。  今日、海運業界は、国際的な集約・グループ化の進展の中で、日本外航海運企業外国企業との提携を強めています。また、コスト削減、競争力強化を旗印に外国人船員を導入することが問題となっています。  このとき、今回の法改正は、第一に、日本海運の空洞化を促進させ、日本籍船の減少と日本人船員海運労働者の雇用を奪うことに拍車をかけることになります。  日本籍船日本商船隊全体に占める比率は、十年前には三〇%を占めていたものが、今やわずか八・五%にすぎません。日本人船員も、十年前の約一万八千人から約七千人と一万人も激減しています。しかも、日本の大手海運は、営業拠点、本社機能を現地法人に移管し現地人を採用する等、日本海運の空洞化政策は危機的状況にあると言わねばなりません。  第二に、日本外航海運の集約・グループ化が繰り返し行われてきました。十二社体制から中核六社に集約され、現在はわずか三社となっています。その上、国際的な集約、吸収合併が促進されていくのなら、海運市場での寡占・独占化が一層進むことになり、海運秩序を乱すことは明白であります。加えて、日本籍船の存在すら心配になります。  最後に、今度の改正取締役外国人が就任し、これを機に内航海運にまで外国人船員が乗船可能にすることは絶対にあってはならないことを指摘して、討論を終わります。
  84. 石破茂

    石破委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  85. 石破茂

    石破委員長 これより採決に入ります。  船舶法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  86. 石破茂

    石破委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 石破茂

    石破委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  88. 石破茂

    石破委員長 次回は、来る二十八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時九分散会