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1999-04-27 第145回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十七日(火曜日)     午前九時三十分開議   出席委員    委員長 石破  茂君    理事 衛藤 晟一君 理事 久野統一郎君    理事 実川 幸夫君 理事 武部  勤君    理事 玉置 一弥君 理事 細川 律夫君    理事 赤羽 一嘉君 理事 江崎 鐵磨君       小里 貞利君    亀井 善之君       菅  義偉君    田中 昭一君       橘 康太郎君    中谷  元君       宮島 大典君    望月 義夫君       森田  一君   吉田六左エ門君       米田 建三君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    赤松 広隆君       今田 保典君    佐藤 敬夫君       島   聡君    高木 義明君       永井 英慈君    遠藤 乙彦君       倉田 栄喜君    岩浅 嘉仁君       寺前  巖君    平賀 高成君  出席国務大臣         運輸大臣    川崎 二郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     山田 昭雄君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         運輸省自動車交         通局長     荒井 正吾君         運輸省海上交通         局長      宮崎 達彦君         運輸省航空局長 岩村  敬君         自治省財政局長 二橋 正弘君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   柴田  健君         運輸委員会専門         員       長尾 正和君 委員の異動 四月二十七日         辞任         補欠選任   小里 貞利君     中谷  元君   望月 義夫君     渡辺 博道君   赤松 広隆君     島   聡君 同日         辞任         補欠選任   中谷  元君     小里 貞利君   渡辺 博道君     望月 義夫君   島   聡君     赤松 広隆君 四月二十三日  JR紛争早期解決に関する請願(木島日出夫君紹介)(第二七八〇号) は本委員会に付託された。 四月二十七日  営団丸ノ内線の延伸に関する陳情書(第一五六号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出第四四号)  航空法の一部を改正する法律案内閣提出第四六号)  鉄道事業法の一部を改正する法律案内閣提出第四三号)  海上運送法の一部を改正する法律案内閣提出第四五号)     午前九時三十分開議      ――――◇―――――
  2. 石破茂

    石破委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路運送法の一部を改正する法律案及び航空法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米田建三君。
  3. 米田建三

    米田委員 おはようございます。自由民主党の米田でございます。  航空法の一部を改正する法律案から、まずはお尋ねを申し上げてまいりたいと思います。  今回の改正案では、航空運送事業参入規制路線ごと免許制から事業ごと許可制に改められる、あるいは運賃及び料金規制見直しが行われるなど、画期的な内容であろうかと思うわけでございます。新しい時代に突入してまいるということで大いに期待をしたいわけでございますが、しかし、あくまでも国民にとっての利便性向上、あるいは国内航空産業強化に確実につながるものでなければならないと思うわけでございまして、その観点から何点か質問をしたいと思います。  まず最初でありますが、参入規制見直し関連をいたしまして、本法律案の百一条に、航空運送事業許可基準が示されているわけであります。参入規制緩和をされる、こういうことでありますから、逆に私はこの許可基準というものの中身が大変重要になってくると思うわけでありまして、少なくとも、この法の文言を読む限りでは、極めて抽象的になっているわけであります。  新規参入を容易にするといえども、公共性の強い事業でありますから、私は厳しくかつまた詳細な基準が必要であろうかと思うわけでありますが、当局が最もこの基準の中で重要視する点は一体何なのか、さらにはまた、こういう形の新しい制度になる以上は、実際の運用に当たっては相当詳細なマニュアルというものが必要であろうかと思うわけでありますが、その点についてどうお考えなのか、お尋ねをいたします。
  4. 岩村敬

    岩村政府委員 御指摘の第一点でございますが、御指摘のとおり、百一条に一号から五号まで基準が書いてございます。我々、すべてが大事なわけでございますが、特に一号にございます、例えば事業計画輸送の安全を確保するために適切であるということ、これは非常に大きなチェックポイントであろうかと思っております。  抽象的であるという今御指摘がございましたけれども、このことについては、やはり、我々としては、事業計画に当たって、適切かつ公正な審査の実施のために、その許可基準に基づきまして具体的な審査マニュアルを整備することが必要だろうと思っておりまして、こういう審査マニュアルを整備していきたいというふうに考えておるところでございます。
  5. 米田建三

    米田委員 これから審査マニュアルを整備されるということでございますので、ひとつしっかりとしたものをおつくりをいただきたいというふうに思います。  次に、運賃及び料金規制見直しが行われることも本法律案の大きなポイントであります。それに関連しまして何点かお聞きをしたいわけでございますが、百五条で、運賃及び料金設定または変更が、認可から事前届け出制に改められることとなっております。ただし、同条の二項で、一定の事由に該当するとき、運輸大臣運賃または料金変更を命ずることができる、こうされているわけであります。  この運賃または料金変更を命ずるということは、行政官庁としては大変な一つ権限の行使になるわけでありますが、運賃料金規制緩和される、しかし、一方で、こういう一つの歯どめもある。であるならば、これにつきましても、やはりだれしもが納得をできる公正かつ厳正な基準というものが必要になろうかと思うわけでございますが、これまた法の文言だけでは極めて当たり前の話の羅列に見えるわけでありまして、この辺をしっかりわかりやすく、かつだれしもが関係者が納得できるものにしておかなければ、今回のこの改正趣旨にももとると思うわけであります。  したがいまして、この点につきましても、細かなきちっとしたマニュアルをおつくりになる予定があるのかどうかという点、さらにはまた、この変更命令を受けた者の抗弁の道というものがあるのかどうか、弁明の道というものはどうなっているのか、その点の御説明をいただきたいと思います。
  6. 岩村敬

    岩村政府委員 第一点でございますが、先生指摘運賃変更命令についての具体的な運用あり方につきましては、今後、有識者から成ります懇談会を開催しまして、我が国航空市場における競争進展状況なども勘案しながら検討し、策定をしていきたいというふうに思っておるところでございます。  それから、第二点目の異議申し立ての件でございますが、この変更命令を発動するに当たりましては運輸審議会に諮問をしなければならないことと法律でされております。そして、その変更命令の対象となる者は、この運輸審議会が開催します公聴会の場におきまして意見陳述機会がまず与えられるわけでございます。また、変更命令が実際に発動された後につきましては、行政不服審査法の手続に従い、もし不服がある場合であれば異議申し立て運輸大臣に対してすることができるように、そういう制度的担保がされておるところでございます。
  7. 米田建三

    米田委員 その点、了解をいたしました。  さて、次に、運賃及び料金設定ユーザーに提供されるサービス内容というのは極めて関連性が強いはずであります。平成十年四月九日の運輸政策審議会航空部会の答申では、航空会社間の一層の競争促進により多様な運賃サービスが提供されることとなる結果、利用者選択の幅はより広くなるが、利用者行政航空会社の間には情報格差があるので、利用者自己の判断により自由で的確な選択を行うためには情報公開が必要であるというふうに述べられております。私はこれは極めて重要だろうと思うんですね。しかし、この点について今回の改正では、少なくとも、法の文言の中では全く触れられておりません。  競争自由度が高まる、しかし、この値段ならば中身はこうですよという情報は、きちんと利用者に伝わってなければならないわけであります。例えば快適さのレベルもあるでしょうし、機内で提供されるもののいろいろな中身レベルもあるでしょうし、これらの情報公開がきちんとされてこそ、初めて利用者にとっても本当の意味での選択肢がふえるという結果になるわけであります。私はこの情報公開義務規定を設けるべきではなかったのかと思うわけでございますが、情報公開についてどういうふうにお考えなのか、お尋ねをします。
  8. 岩村敬

    岩村政府委員 今御指摘のとおり、今回の規制緩和によって多様な運賃サービスが提供される、そして利用者選択の幅が広がることを我々期待をしておるわけですが、やはり、その際に圧倒的にエアライン情報を持っている、他方利用者の方は少ないということで、利用者が自由かつ適切選択を行うためには、おっしゃるとおり、情報公開の充実さらには苦情処理等システムが必要であるというふうに認識をいたしておるところでございます。  今後、この情報公開の点それから苦情処理の点については、これまた有識者から成ります懇談会を開催しまして、具体的中身検討し、策定をしていきたい、方策を決めてまいりたいと考えております。そして、その際の根拠となるのが、この新しい法律にございます報告聴取エアラインから求めることができるようになっておりますので、こういった規定を使いながら、今申し上げた情報公開を進めてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  9. 米田建三

    米田委員 そこで、航空運送事業者がある、しかし一方では、新聞なんかを見ると、ばんばん旅行広告がありますね。えらい安いのがあって、思わず行きたいななんと思うようなものもいっぱいあるわけでありますが、あれは、要するに航空運送事業者ではなく旅行代理店PRという形になっている。  問題は、ユーザーの中の相当な部分が、実際には旅行代理店PRに対応をして、旅行に出かけるという形だろうと思うんですね。その際に、いわゆる旅行代理店PRあり方についてはどうなんですか、運輸省の管轄じゃないのか。
  10. 岩村敬

    岩村政府委員 旅行代理店なり旅行会社の適正な業務につきましては、運輸省の方で監督をいたしております、私が直接担当はいたしておりませんが。そこの中で、運送約款利用者への表示と運送約款適切性審査、そういうことを行っておるわけでございます。  航空券について申し上げれば、仮に個人旅客用のものであれパック旅行用のものであれ、その約款といいますか、運送の契約の内容につきましては、券面に運送約款の概要を記載させるという義務づけをさせて、航空輸送についての適用条件利用者にわかるようにしておるところでございます。
  11. 米田建三

    米田委員 私が申し上げたいのは、新しい時代に入ってまいるわけでありますから、従来の航空約款の枠組みを超えた、一体この料金に対してどういうサービスが提供されるのかということを、航空運送事業者のみならず、今申し上げたようないわゆる旅行代理店も含めまして、きちっとユーザー情報はすべて公開をされる、ただ単に値段の安さだけをひけらかすような形ではなく、この代価に対してこういうサービスが行われる、そういうシステムをきちんとおつくりをいただくよう関係者の間でひとつきちっと詰めていただきたい、こういう要望を申し上げておきます。  あと、苦情処理システムにつきましても、先ほど局長の答弁の中でお触れになりましたが、これもひとつ研究課題としてよろしくお願いしたいと思います。  次に、混雑空港の問題でございますが、自由競争ということになりますと、混雑空港におきまして発着枠配分というものが公正かつ透明なルールで行われる、しかも、そのルールをだれしもが納得するルールにするということが、今回の改正に伴う今後の一つの施策のあり方として私は極めて重要な課題であろうというふうに思うわけでございますが、これはこの間、いろいろな場面で議論をされてきた問題でございます。いよいよこの法改正が行われるという中で、このルール確立についてどう考えているか。また、やはりこのルール確立はそう時間をかけていられない問題であろうかと思いますが、スケジュール面も含めて御説明を願いたいと思います。
  12. 岩村敬

    岩村政府委員 東京国際空港それから大阪国際空港のように、航空交通容量制約のございますいわゆる混雑空港につきましては、一つは、航空機の運航の安全を確保するため、もう一つは、発着枠適切、合理的な使用を確保するために発着枠の各航空会社への配分調整を行っていくことが必要であろうと考えております。したがいまして、今回の航空法改正の中では、混雑空港に係ります運航計画に関しては運輸大臣認可に係らしめておるところでございます。  今御指摘発着枠配分ルールでございますが、これは、混雑飛行場に係る運航計画認可制運用基準に当たるものになります。そして、今我々が内容として考えておりますのは、一つは、発着枠一定の割合で定期的に回収をすること、それから二つ目は、新規航空会社配分すること、三番目は、全国的な航空ネットワークを維持形成するために政策枠を設け、そこへ配分すること、そしてさらに、先ほども申し上げた、回収をしたものを既存航空会社配分をすること、こういったものから成り立つものだろうというふうに考えております。  そして、具体的な発着枠配分につきましては、発着枠配分必要性が具体化した場合、すなわち新しく空港容量が広がった段階で、これまた有識者から成る検討組織を設置してオープンに議論をしていただいて結論を得ていきたい、そのように考えておるところでございます。
  13. 米田建三

    米田委員 有識者から成る検討組織をおつくりになるということですが、ぜひ迅速にルールをお示し願いたいというように要望しておきます。  次に、寡占化危惧というものがどうしてもぬぐえないわけであります。米国が一九七八年から一九八五年にかけて矢継ぎ早に規制緩和の措置をとった。そして、企業の数でありますが、一九七八年に三十六社、一九八四年にピークが百二十三社、以後八五年百社、九六年九十七社というように、逆に、ピークを過ぎたら減っていく、こんな流れ米国にはあったわけであります。  自由競争といっても、大手の場合は観光施設等関連企業もたくさん持っております。値段競争のみならず、プラス航空券販売に関して一つのそういう付加価値もつけたりして対抗された場合に、どうしてもなかなかベンチャーが育ちにくいのではないのか、そんな感も否めないわけでありますが、この寡占化危惧については当局はどんな見通しを持っておられますか。
  14. 岩村敬

    岩村政府委員 アメリカの規制緩和評価については、今先生指摘のようなマイナスの評価、すなわち寡占化が進んだじゃないかという評価もございますが、他面、参入機会の増大、競争促進により運賃水準が下がった、また合理化効率化による競争力向上、そういうプラス面評価されておるところでございます。  我が国の場合も、今回、需給調整規制を廃止することによりまして、市場原理自己責任の原則に基づいて自由な競争促進するということを考えておりますが、先ほどもお話がございました空港制約等我が国航空市場特殊性がございます。そういったことも考えながら、先ほどスロット配分ルールでも申し上げましたように、例えば新規会社に対してスロットを優先的に配分するなど、今後とも公正な競争確保できるように仕組みも用意をしたつもりでございますし、またそのように努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  15. 米田建三

    米田委員 新規参入をしやすくという趣旨で行われる改正が、結果的に寡占化を招来するというようなことにならないように、ひとつ御努力をお願いしたいと思います。  次に、航空関連でもう一点伺いたいわけでありますが、参入及び運賃規制緩和中心改正の中で、平たく言うと、ダンピング競争が始まる。このダンピング競争で疲弊するだけでは、実は産業活性化につながらないわけですね。言ってみれば、薄利は結構だけれども、薄利多売にならなければ、日本航空産業がしっかりしたものになっていくわけがないわけでありますが、問題は、その多売が可能な状況なのかどうか。こういう観点から、日本航空需要全体に対する容量、すなわち、端的に言うならば、空港発着能力という問題につながるわけでありますが、これは実際足りているのかどうか、こういうことから一つお尋ねをしたいわけでありますが、成田の問題でございます。  今月の三日に、一部の地権者が二本目の平行滑走路建設に反対をする、話し合いに応じないという方針を確認したというような報道がありましたが、これを当局はどう受けとめておるのか。つまり、今日の流れからすると、二〇〇一年三月までの工事完成目標というものは達成ができないのではないのか。一方で、首都圏への新規乗り入れを求める国は現在三十三カ国に上っております。成田で対応できないならば、成田と同時に、成田は要らぬという話じゃもちろんありませんが、成田も大事でありますが、別途の道も考え段階に来ているのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  16. 岩村敬

    岩村政府委員 成田空港につきましては、平成六年に成田空港問題円卓会議が終結したということで、同空港をめぐる対立構造が解消したと我々は考えております。  その後、話し合いによります用地取得を進めてきたところでございまして、現在、残る未買収用地は約五・七ヘクタール、空港用地全体の約〇・五%でございます。また、用地内に居住する地権者は残り二戸、面積にいたしまして約一・七ヘクタールというところまで来ておるわけでございます。  本年一月には、大臣から、両次官そして空港公団総裁に対しまして、話し合いによる二〇〇〇年度の平行滑走路完成に向け全力を挙げて取り組めという指示を受けたわけでございます。そして、運輸省空港公団の幹部が、ここの中心に位置しております東峰地区という地区でございますが、この地区地権者等に対しまして、話し合いを呼びかける大臣の書簡も直接持参するなど、話し合いによる解決にあらゆる努力を今傾注しておるところでございます。  他方、その相手方の方からは話し合い拒絶ということも言われておるわけでございますが、やはり平行滑走路等の二〇〇〇年度完成目標を達成するためには、工期から考えれば、遅くとも連休明けまでには地権者の方々の了解を得る必要があるというふうに考えておりまして、状況は非常に厳しいものがございますが、なお最善の努力を現在傾注いたしておるところでございます。  それから、この成田滑走路を整備するということとあわせて、そのほかに工夫がないのかということでございますが、御指摘の点、よく新聞紙上でも指摘されておりますが、例えば、羽田の夜間の利用はどうか、国際線に使ってみてはどうかというような話もあるわけでございますが、現実には、千葉県の都市部への騒音の影響の問題もございます。また現在、成田空港は、今申し上げたように、最後話し合い努力全力を尽くしておるところでございますので、そういったことも考えますと、今そういう成田にかわって羽田国際線利用等議論することは困難であるというふうに考えておるところでございます。
  17. 米田建三

    米田委員 いずれにしましても、アジア諸国が着々と巨大な、しかも、機能性の高いハブ空港建設を完了し、あるいはまた着手しつつある、こういう状況にありまして、かねてから、我が国国際航空ネットワークの中で拠点の地位を失いつつあるということが指摘されているわけであります。その中で、今論議申し上げているような状況があるわけでありまして、しかも、三十数カ国がウエーティングであるというようなことを放置することは、私は許されないことだろうと思うのですね。極めて国益に反する話である、こういうふうに思うわけであります。  ニューヨークなんか大きな空港が三つもあるわけですから、天下の大首都圏一つでなければならぬということはもちろんないわけでありますから、私はやはり、羽田にいろいろネックがあろうかと思いますが、解決する道を工夫していただいて、羽田の早朝、深夜の利用、さらには再拡張というようなことも視野に入れながら、成田完成努力をすると同時に、需要から見たらそのくらいの形のものがもう一つできても不思議じゃありませんので、そういう方向でひとつ真剣な検討を重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。  それと、時間がありませんので、もう一点。今度は、道路運送法の一部を改正する法律案関連して、一つお尋ねをしておきたいというふうに思います。  安全規制見直しとして、運行管理者権限明確化についてうたわれておりますが、現在も、これはほとんどは、運行管理者といえどもその会社従業員だろうと思うのです。では、今回の改正でどうなのかといいましたら、これもやはり恐らく会社従業員ということになるのだろうと思うのですね。そうなりますと、権限明確化はうたえども、やはりその組織の一員として、経営の方針影響が大きいと思うわけでありますが、本当にその権限明確化確立というものができるのかどうか、その点についてお考えをただしたいと思います。
  18. 荒井正吾

    荒井政府委員 お答えさせていただきます。  道路運送事業者におきまして、運行管理者が必要とされておりますが、運行管理者立場従業員であることによって安全の確保が図れないという懸念が生じないかという御質問でございますが、運行管理者の実際やっておりますことは、運転者の点呼でございますとか運行計画の作成、運行状況報告等で、安全な運行に直結する業務をしておるわけでございます。  従業員でありましても、その立場を明確にして、かつ、その助言あるいは指示社内権限あるものにするということで従来からもやってきたわけでございますが、さらに強化をする必要があるというふうに思われるところでございます。今回の改正では、運行管理者に対して必要な権限を付与しなければいけない、運行管理者助言を尊重しなければいけない、従業員その他は指導に従わなければいけないという義務を法定化したわけでございます。  したがいまして、従業員であるわけでございますが、そのような社内での独立した義務明確化する、それに従わない場合には事業者に対して権限の付与を命令するという運輸大臣権限もあわせて備えることによりまして、今後の安全確保は充実したものになると考えております。
  19. 米田建三

    米田委員 まだ時間が多少ありますので、もう一点ちょっと伺っておきます。  貸し切りバス事業者は、データを見ると、現在、赤字事業者が大変多いわけですね。そういう中で、実際に参入規制及び運賃料金規制見直しによって自由競争が加速化した場合にどういう状態になるのだろうか。寡占化のおそれはないのかどうか、あるいはまた、逆に、この業種の態様からして、小規模だけれどもどんどん新規参入がふえるのか、その辺の見通しの大筋について、最後にひとつお答えをお願いいたします。
  20. 荒井正吾

    荒井政府委員 貸し切りバス事業者は今千九百者ぐらいございますが、黒字が約四三%、赤字が五七%という状況でございます。  事業規模別の赤字の傾向でございますが、限られた資料でございますが、赤字の傾向に事業規模による差は顕著なものは認められません。ただ、赤字になっている原因がマーケットの低迷、輸送人員は変わりませんが、営業実収は下がっておるということでございます。  今後、参入がより自由になった上での営業の形態あるいは事業規模の変化等はなかなか予想しにくいものでございますが、今の事業流れからいきますと、数の多いのは十一両から三十両のあたりが大変多うございまして、貸し切りバスに適した事業規模あるいは顧客との関係というものがある程度あるものと思われます。  以上でございます。
  21. 米田建三

    米田委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  22. 石破茂

    石破委員長 次に、今田保典君。
  23. 今田保典

    ○今田委員 民主党の今田保典でございます。  現在、運輸事業規制緩和が進行中でありますけれども、国民の皆さんは、これに対して期待と不安の両方でこの動きを見守っているというふうに思うわけであります。その一つとして象徴的にあらわしているのが航空の規制緩和であると思うのであります。私はここにスポットを当てながら、乗り合いバス、貸し切りあるいはタクシーの問題等について質問をしてみたいと思います。  既に御承知のように、昨年九月からスカイマークが東京―福岡便で、十二月からはエア・ドゥが東京―札幌便で運航を開始しました。この新規参入の二社は、いわばドル箱と言われる、お客の多い路線で、しかもできるだけ希望する時間帯だけという運航であり、いわゆるクリームスキミングという形での参入であります。また運賃についても、福岡便は半額、札幌便は三割引きという低運賃での参入であります。つまり、クリームスキミングと低運賃が特徴ですが、現在、一日三往復から四往復を運航しており、営業成績は今のところ好調に推移しているという報道がなされておるわけであります。  さて、こうした新規参入の挑戦を受けた既存の航空三社は危機感いっぱいでありまして、そういう関係から、割引制度をフルに活用したということで、ほぼ同じ低運賃で対抗することになりました。この三月から、既存三社の六割以上の便が半額ないし三割引きという低運賃になり、激烈な競争となっておるわけでございます。  簡単に申し上げましたけれども、昨年九月のスカイマークの運航開始以来、わずか半年もたたないうちにこのような展開となったわけであります。このことは、利用者にとっては、低運賃であり、いろいろな面から大変喜ばしいことかもしれませんが、これが本当に安全を確保した上でこのまま長く続くものだろうか、これによる弊害はないのだろうか。さらに、公共性の高い航空のあるべき方向を考えた場合、交通政策のあり方として見た場合、私は、手放しで喜べないのではないかというふうに思っておるところでございます。このような考えのもとで質問に入りたいと思います。  まず最初は、このようなクリームスキミングと、半額、三割引き運賃というスカイマークとエア・ドゥの新規参入は、現在の航空法では認められないというふうに私は思うのでありますが、これを認めた法の根拠というものをお示しいただきたいというふうに思います。
  24. 岩村敬

    岩村政府委員 航空分野におきます新規航空会社参入につきましては、市場原理を通じた自由な競争促進によります競争力強化、一方では利用者利便の向上に資するということであるというふうに考えております。  お尋ねのスカイマーク及びエア・ドゥに対します航空運送法上の事業免許の件でございますが、航空法第百一条第一項の規定によりますれば、当該路線における需給バランス、それから事業計画の経営上、航空保安上の適切性、さらには申請者の事業遂行能力等の観点審査せよということになっておりまして、以上の点について慎重審査の上行ったものでありまして、航空法規定に違反するものとは考えておりません。
  25. 今田保典

    ○今田委員 今ほど御回答いただきましたけれども、その法の根拠についてでありますけれども、両者の半額ないし三割引きという運賃は、当初から普通運賃として設定されています。これは市販の時刻表などを見てもわかりますが、通年運賃として掲載されており、割引運賃とはなっておらないわけでありますね。  さきに申し上げましたが、私としては、既存の三社が対抗手段としたように、各種の割引をフルに活用すればこのような低運賃になるようだと理解したところであります。しかし、普通運賃としての半額、三割引き運賃は、現在の下方二五%とする幅運賃制度からすれば、この幅を大きく離脱しているのではないのかなというふうに思います。この低運賃を普通運賃とした上での参入の許可、現在の航空法に違反すると私は思っているのですが、これについてはいかがでしょうか。
  26. 岩村敬

    岩村政府委員 新規会社につきましては、先ほど指摘のように三便ないし四便飛んでおるわけでございますが、発着枠制約からその市場占有率にはおのずと限界があるわけでございます。そういうことで、既存会社との間で不当な競争を引き起こすこととなるおそれがないというふうに考えまして、普通運賃については、標準原価以下であれば下限の設定は必要ないと判断し、そういう運用をしたところでございます。
  27. 今田保典

    ○今田委員 その割引運賃については、参考までにお尋ねしたいわけなのですが、この半額ないし三割引き運賃というのは、現在の認可運賃制度における許容の範囲ということになるのでしょうか。それでは、幅運賃にあわせて各種の割引制度を最大限に利用した場合、最大で何割引きあるいは何%引きという運賃になるのでしょうか。この点、お示しいただきたいと思います。
  28. 岩村敬

    岩村政府委員 先ほど新規会社のことを申し上げましたけれども、既存会社につきましては、幅運賃制度の幅、すなわち、標準原価を上限として二五%の間で普通運賃が各会社から届け出があるわけでございますが、さらにその普通運賃から五割の範囲内で割引運賃設定し届け出等をすることが可能であるということをしておるわけでございまして、さらにこれを下回るような割引運賃につきましては、個別に審査の上、認可を受ける必要があるのが現在の制度でございます。
  29. 今田保典

    ○今田委員 運賃についてはいろいろな考え方があるんでしょうけれども、次に移りたいと思います。  航空の需給調整規制の廃止について運政審答申が発表されておりますけれども、その「運賃制度見直し」の中で、いわば略奪的な運賃設定を防止云々とその防止策がうたわれております。この略奪的運賃の定義についてどのような考え方をお持ちなのか、お聞きします。
  30. 岩村敬

    岩村政府委員 略奪的運賃とは、当該路線におきます支配的な企業がそのコストを著しく下回るような安い運賃設定しまして、例えば新規航空会社のような他の航空会社をその路線から排除するために設定する、そういう運賃であるというふうに考えておるところでございます。
  31. 今田保典

    ○今田委員 今ほど定義というのか考え方をお聞きしたんですが、そこでお尋ねします。  この三月から低運賃による競争が始まっているわけでありますけれども、こうした異常な競争が公共交通の分野で行われていることに対して、私は交通政策として大きな疑問を持っております。この競争は、言うまでもありませんが、低運賃とクリームスキミングを武器にした新規参入二社の挑戦が始まったわけであります。こうしたスカイマークとエア・ドゥの半額ないし三割引き運賃は運政審答申で言うところの、いわば略奪的運賃には該当しないのかどうか、そういった点について運輸省としてお答えをいただきたいと思います。
  32. 岩村敬

    岩村政府委員 スカイマーク及びエア・ドゥの運賃につきましては、その発着枠数の制約がございまして、すなわち市場の占有率に限界があるというふうに判断をしております。したがいまして、当該路線において支配的な企業には当たらないということで、略奪運賃には該当しないという判断をしたところでございます。
  33. 今田保典

    ○今田委員 今御回答の中で、いわば発着枠の限度があるということで云々というお話がありましたけれども、では、発着枠の限度がなければこういったことはできない、こういうことになるんですか。
  34. 岩村敬

    岩村政府委員 今回のスカイマーク、エア・ドゥの参入につきましては、発着枠制約がある中に新規企業ということで特別に枠を認めてきたわけでございます。そういう意味では、こういうものが新規企業として成熟していき、かつ量がふえてまいりますれば、逆にそういう特例は受けられなくなるというふうに考えるところでございます。
  35. 今田保典

    ○今田委員 そこで、違う観点からお聞きをしたいと思います。  この略奪的運賃については、これはとらえ方はいろいろあるでしょうけれども、公正取引委員会お尋ねしたいわけであります。  独禁法では不当な低価格販売のことを不当廉売というそうですが、このスカイマークとエア・ドゥによります特定部分だけの、そして、結果としては他社の排除が目的となるような半額ないし三割引き運賃は独禁法の不当廉売に該当しないのかどうか、そのことに対して独禁法としての見解をお聞きしたいわけです。
  36. 山田昭雄

    ○山田政府委員 不当廉売は独占禁止法の不公正な取引方法の一違反行為類型でございますけれども、認可制のもとにおきましても航空運賃設定が不当廉売に該当することはあり得ると思いますが、独占禁止法で禁止されております不当廉売というのは、一般的に、商品、サービスを正当な理由がないのに、供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することにより他の事業者事業活動を困難にさせるおそれがある、こういった場合に不当廉売であるということでございます。  御指摘の通常運賃の半額または三割引きの運賃設定しているという点につきまして、これは個別具体的に判断する必要があるわけでございますが、現在のスカイマーク等の運賃が独占禁止法上の不当廉売に該当するということは、そういった可能性は低いのではないか、このように考えております。
  37. 今田保典

    ○今田委員 そういうとらえ方をしていらっしゃるようでありますけれども、他の業者を云々、こういうお話ですが、もう既にそういう状況になっているんじゃないですか、この点については。どうですか。
  38. 山田昭雄

    ○山田政府委員 略奪的な価格設定ということは、独占禁止法でも私的独占あるいは不公正な取引方法に該当する場合もあるわけでございますが、これはやはり後者の市場における地位、例えば航空の場合ですと運航状況、便数あるいは営業の状況、こういったことも総合的に判断して考えていくということではなかろうかと思います。
  39. 今田保典

    ○今田委員 それでは次にお尋ねしますけれども、このような運賃競争をどこまで認めるのかということであります。先ほど、割引運賃の最大限をお尋ねしました。現在の限界は理解したとしましても、割引制度をいじればどうにでもなるわけであります。  そこで、現在は半額までですが、さらに七割引き、八割引きというような運賃競争を認めるのかどうかお尋ねをしたいと思います。
  40. 岩村敬

    岩村政府委員 航空運賃につきましては、競争促進によります運賃の低廉化、多様化を図る、そして利用者の利便の向上を実現するということで、できる限り市場原理にゆだねるという方針が今回の法改正一つのねらいでもあるわけでございます。  しかしながら、今回の法改正では、不当な、差別的な運賃、それから略奪的な運賃、こういったものを設定するような場合には、公正な競争確保する見地から、個別に状況を判断して運賃変更命令を発動することができるように新たに制度を仕組んだわけでございます。
  41. 今田保典

    ○今田委員 私は、やはりこの辺は非常に今後心配なんですよね。しっかりと今後を見据えたものを制度として確立していただきたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、そういった観点から、民間会社でありますので、商売が成り立たぬ、こういうことになりますので、当然赤字路線からの撤退というものが考えられます。この三月から激烈な運賃競争が展開されております。私としましても、既に日本の航空運賃は諸外国に比べても安くなっているというふうに理解していますが、これによる弊害が大きいにもかかわらず、このような運賃競争をさせる意義が理解できないのであります。既にこの弊害によって既存三社の赤字路線からの撤退が始まっております。また、いろいろなところから聞こえてきております。その撤退の現在の状況について、お知らせをいただきたいと思います。
  42. 岩村敬

    岩村政府委員 過去三年間のデータになりますが、国内定期路線で休廃止により運航便がなくなったものは二十二路線ございます。そして、その理由の多くは、代替交通機関の新設などによりまして、当該航空路線の利用者数さらには運賃収入が著しく低下したということで、休廃止をしておるものでございます。  ただ一方、この期間に新たに開設された路線もあるわけでございまして、従来、定期便の運航がなかった区間に新規に航空路線が設定されたものだけでも三十四路線あるということでございます。
  43. 今田保典

    ○今田委員 今二十二路線がある、こういうお話なんです。  私は山形なんですけれども、実は山形―羽田間も今、朝と夕方二路線を運航していただいておるわけでありますけれども、いわば羽田発着枠の関係もあるでしょう、それから、決してもうかる路線でもないというようなことから、廃線をしたい、あるいは減便をしたい、こういう申し入れが今来ております。しかし、山形―羽田間の乗車密度を見ますと、六四、五%あるかと思うんですね。利用者側あるいは一般的な考え方からすれば、六十数%という乗車密度のある路線を廃止する、あるいは減便するというのはいかがなものかというふうにさえ思えるんです。  そういったことが全国各地にこのことによって起きるとすれば、私は、規制緩和等々が、国土全体のことを考えれば決していい方向には向かわないのではないのかなというふうに思っているのですが、その点について運輸大臣、どう思いますか。
  44. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 規制緩和の光と影の部分について御質問ですけれども、今、内部補助制度といいますか、全体でもうかっているからいいじゃないかという時代から、やはり一つ一つの路線の見直しという時代を迎えていることは間違いないと思います。  一方で、東京―札幌間、東京の人、札幌の人に高い料金を払ってもらう。それによって地方の路線が維持されている。これはやはり、国民の今のニーズからは合わなくなってきておるんだろう。しかしながら、一方で企業の社会的責任という問題が当然ある。その辺の兼ね合いを、先ほど言いました混雑空港発着枠とか政策枠とかそこで調整をさせていただいて、ローカル線というものがしっかり維持されるような体制をつくらなければならぬ。そういう意味では、一つ議論として、もう運輸省はそういうものを全部外してしまって、一〇〇%規制緩和にしたらどうだ、こういう御意見も当然あります。一方で、今田委員のように、ローカルというものを、まさに影の部分をどうするんだということで、今回の法改正、ある意味では中途段階法改正かもしれませんけれども、出させていただいたところでございます。  一方で、御理解を賜りたいと思いますのは、第一番目に、日本の国内のほとんどの産業は、基本的には外国との勝負の中で大変苦労をされている。我が国の航空の国内ネットワークということになれば、外国の、もちろんアメリカにも我々入りませんけれども、アメリカの飛行機会社日本の中で航空産業には入ってこないという、ある意味では一番最初のセーフティーネットがそこで引かれている。それから、もう一つのセーフティーとして、今申し上げたように、発着枠とかそういうところで何とか路線が維持されるように我々も努力してまいりたい、このように考えております。
  45. 今田保典

    ○今田委員 どうもありがとうございました。  今ほど大臣の方からお話がありましたが、次に内部補助についてお尋ねをしたいと思います。いわば、こうした低運賃が認められるということは、その背景としての考え方の中で内部補助というものを全面的に否定しているからだと思うのであります。新規参入の二社はクリームスキミングですから別ですけれども、既存の三社はネットワークとして航空事業を営んでおるわけであります。内部補助の功罪ということは承知していますけれども、それを全面的に否定した場合、いわば路線網としてのネットワークが成り立たないわけでありまして、このような低運賃認可は、それがそのままネットワークの否定ということになるのではないか。  これについて運輸省は、内部補助を交通政策としてどのようにお考えなんでしょうか。またそれとあわせて、ネットワークの関係についてもどのようなお考えなのか、お示しをいただきたいと思います。
  46. 岩村敬

    岩村政府委員 ただいま運輸大臣からも基本的な考え方を御答弁申し上げたところでございますが、従来、交通事業においては、生活交通サービスの維持についての地域の要請もございまして、同一事業者内の異なる路線の間での内部補助によって、交通ネットワーク全体を維持運営するということが一般的に行われてきたわけでございます。  しかしながら、我が国経済社会の環境変化に対応しまして、活力ある経済と利用者の視点に立った社会を実現するためには、市場原理を最大限に活用した制度とする必要がある、そういうことから、今後は需給調整規制を廃止することにしたわけでございます。また、運賃設定事前届け出制にし、航空会社の創意工夫、そして市場における公正かつ自由な競争を通じて事業活動の効率化活性化を図り、また利用者に対しては運賃の多様化、低廉化という形で利用者利便の向上に資する、そういう考えでおるわけでございます。  ただ、先ほど大臣からも影の部分と申し上げられましたが、この結果としまして、地域住民の日常生活に不可欠な路線であっても、航空会社社内の内部補助の余地が少なくなりますので、その維持が困難となる、そういう可能性がございます。こういった路線については、別途、十一年度の予算が成立しておりますが、その中で、例えば離島航空路線の維持については運航費補助を新しく設けるとか航空機燃料税の軽減措置を図る、そういった支援措置を図っております。また、今回の法律改正の中でも、羽田等の混雑空港発着枠配分、管理に関して、全国的な航空ネットワークの維持形成、そういう視点からの管理をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  47. 今田保典

    ○今田委員 このような運賃競争考えますと、運賃制度あり方が大きな問題になってくるのではないかというふうに思います。  航空の運賃制度については、幅運賃制度と割引運賃制度によって原則自由化と言われる状態になっております。これをさらに緩和するという動きのようでありますけれども、しかし、こうした無原則な自由化は、本来の目的であります公正競争に逆行するのではないでしょうか。まず必要なことは、公正競争の理念あるいは原則を示すことではないのかなというふうに思っています。  しかし、一歩譲って、かなりの自由を認めるにしても、少なくとも、その下限を定めるいわば最低運賃制を導入すべきではないのかというふうに言われておるわけでありますけれども、このことについてどうお考えでしょうか。
  48. 岩村敬

    岩村政府委員 先ほど来申し上げていますように、今回の航空法改正一つのねらいが、航空運賃について、市場原理を通じて自由な競争促進によって利用者利便の向上が図られる、そういう視点に立っておるわけでございまして、制度につきましても、これまでの認可制から事前届け出制に移行することといたしておるところでございます。  ただ、その際のセーフティーネットと申しますか、例えば差別的な運賃を設けるとか略奪的な運賃を設ける、そういった場合については公正な競争確保できませんので、そういう見地から、個別の状況に応じまして変更命令を発動するという形で担保をしておるところでございます。
  49. 今田保典

    ○今田委員 次に、離島生活路線の問題についてお尋ねをしたいと思います。  この問題については、需給調整規制廃止後の重要な課題として、運政審においても多くの時間をかけて議論されたと聞いております。しかし、今回の航空法改正法案には、離島生活路線の維持に関する条文が全くなかったような感じがします。  需給調整規制の廃止後も、国は、国民の生活、交通におけるナショナルミニマムを確保するとしているわけでありますけれども、国の基本姿勢を示すためにも、同法改正案には離島の航空輸送に係る特例を定めて、今後の離島生活路線維持に関する法的根拠を示すことが最低限必要だと私は思っておりますが、これについてお考えをお聞きいたします。
  50. 岩村敬

    岩村政府委員 不採算であっても、その当該地域の住民の日常生活に不可欠な路線、こういったものについては引き続き維持する必要があるという点につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。  したがいまして、離島振興法等の趣旨を踏まえまして、また、議会との関係におきましては平成十一年度の予算、さらには関係税法の改正を御議論いただく中で、新たに以下の支援策について決定をいただいておるところでございます。  一つは、離島航空路線運航費補助制度を創設したこと、二番目に、離島航空路線に就航する航空機に係る航空機燃料税の軽減措置の創設と固定資産税の軽減措置の拡充、さらには離島航空路線に就航するジェット機に係る空港着陸料の軽減ということで、本法案にはそのことは記されておりませんが、これまでの離島振興法の趣旨、さらには今回の予算措置等を踏まえますれば、そういった趣旨は、それらと相まって今回の航空法改正は成り立っておるというふうに考えております。
  51. 今田保典

    ○今田委員 今ほど御回答いただいたわけでありますけれども、このことは非常に離島の皆さんは心配されておるのだろう、私はこういうふうに思いますので、今後も十分御配慮をよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  これまで幾つかの問題点について申し上げてきましたけれども、いずれにしても重要なことは、このようなクリームスキミングによる参入と、ほぼ自由ともとれる低運賃による競争が当たり前になれば、赤字の地方路線は言うに及ばず、そうでない普通のネットワークまでが崩壊するのではないかということであります。  赤字地方路線については別途の措置を講じるとしても、いわばグレーゾーンを含めた普通のネットワークは今後どのようになるのでしょうか。私としては、このネットワークというものは非常に大事な部分でありますので、絶対に今後も守らなければならないというふうに考えておるところでありますが、そのお考えと対策についてお尋ねをしたいと思います。
  52. 岩村敬

    岩村政府委員 先ほど大臣からの御答弁の中にもございましたが、ネットワークの形成上重要な東京の羽田、そして大阪の伊丹といった混雑空港については、ミニマムの航空ネットワークの維持形成に配慮した発着枠配分、さらに管理をするなどの措置をとりまして、全国的な航空ネットワークの維持形成に努めたいと思います。  また、平成十一年度の政府予算の中で、地方の空港、すなわち国が管理する二種A空港及び共用飛行場の空港着陸料の引き下げの措置も講じたところでございます。
  53. 今田保典

    ○今田委員 次に、乗り合い関係の規制緩和についてお尋ねをしたいと思います。  この四月九日に運輸政策審議会から、乗り合いバスとタクシーの答申がなされました。御案内のように、私はバス会社出身でございますので、この両事業の今後のあり方について非常に大きな関心を持っておりますので、この答申を慎重に読ませていただきました。しかし、率直に申し上げますと、疑問点や問題点が非常に多い。素直に納得できるような状況ではありません。こうした私の立場から、乗り合いバスとタクシーの今後のあり方中心にして問題点や疑問点を質問したい、このように思っております。  その前に、一点だけ大臣にお聞きしたいのですが、今回の規制緩和の中で、鉄道貨物の規制緩和については見送った。その理由に、JR貨物さんが非常に経営的に基盤が弱い、こういうこともあって、そういうものを含めて今回は規制緩和というものを見送ったということのお話をお聞きしたのですが、そのとおりなんですか。
  54. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 今、JR貨物一社のみでやっておる現状にあります。この状況をどう脱していこうかという議論はこれからもしていかなければならないだろう、少なくとも貨物というものが、やはり競争になった方がいいだろう。  しかし、基本的に今、トラックとの競争が現実問題としてあります。内航海運との競争もございます。そういった中で、たった一社しかないJR貨物、この現状を見て今すぐに踏み切るかどうかという議論の中で、少し様子を見させていただいておるということでございます。
  55. 今田保典

    ○今田委員 今ほど大臣の方からお話をお聞きすると、その部分については私なりに理解はするのですが、これから質問する乗り合いバス関係の企業者は、そのお話をお聞きして、それはおかしいのではないかというふうに言っている企業者が多いのですよね。  いわば、バス会社は手も足も全部切られて、今まで持っておった土地や建物を経営が苦しいということで手放して、それでやっと生きているような状況なんです。そういう状況の中で、なぜJR貨物のような配慮をしてくれなかったのかという疑問が、非常に企業者の中であるのですよね。この点を非常に疑問視している経営者も多いということを前提にしてこれから質問をさせていただきたい、このように思うわけでございます。  乗り合いバスにおける規制緩和の最大の問題点は路線網、つまり、ネットワークの問題であると思うわけであります。乗り合いバス路線は約四万系統ありますけれども、この約七割が赤字路線であります。しかし、赤字路線であっても、黒字路線の培養効果という重要な役割を果たしているのが多いわけであります。赤字だから、すべてが生活路線だというわけではございません。乗り合いバス路線は、それぞれの路線が単独で存在しているのではなく、極めて強い相互依存関係にあり、ネットワークとして存在しているのであります。  ところが、運政審答申を見ますと、このとらえ方が全くありません。ネットワークという言葉さえないのでありまして、このような本質から目をそらしたようなことでは、乗り合いバスの問題解決にはならないのではないか。まず、ネットワークのとらえ方が欠落しているのではないかというふうに私は思っているんですが、この点についてどうお考えでしょうか。
  56. 荒井正吾

    荒井政府委員 お答え申し上げます。  乗り合いバスのネットワークのとらえ方について大変基本的な問題の御質問でございます。  乗り合いバスの路線は、委員御存じのように、ある地域を一定の限られた事業者が営業し、維持するというような意味でのネットワークが存在してきたわけでございます。このような、これまで需給調整規制を前提とした地方バス路線のネットワークという維持方策でございますが、現状は、乗り合いバス全体で年間で千億を超える赤字でありますとか、特に、地方部の維持は困難であるとかという状況が現出しておるわけでございます。  運政審の中では、ネットワークの維持という言葉ではございませんが、その点、生活交通の維持という表現で乗り合いバスの路線網を維持する方策が建議されておるように思っております。その内容は、地域の関係者が本当に必要なバス路線はどういうものかという見きわめをする、あるいは、スクールバス、福祉バス、乗り合いタクシーの活用の余地がないかといったような選択をする、あるいは、事業者の効率的な経営措置を講じた上でなお必要となる公的助成については、国と地方公共団体とで適切な役割分担を図りながら対応するというような点が提言されておるところでございます。  従来のネットワーク維持と今後のネットワークのあり方に異なる点があろうかと考えております点は、従来の、一事業者が独占的にネットワークを形成する、言いかえれば、エリア主義でございますとか一国一城主義ということが少々変わってくる面があるのではないか。例えば、より良質なサービスを提供する新たな事業者参入してもいいではないか、多様な輸送手段によるネットワークの形成が可能ではないか、あるいは、航空のように、一路線複数の事業者サービスするということも可能ではないかというような方向でのネットワークの維持形成が志向されているというふうに考えております。  より地域の実情を反映した効率的なネットワークの形成という必要性は十分感じておりますが、そのとらえ方については少々変わってくる点があるものと認識しております。
  57. 今田保典

    ○今田委員 そこで、問題点となる数点のポイントについてお尋ねをしたいと思います。  最初は、内部補助の問題であります。これについては、生活交通のところでこれを全面的に否定するような形で書かれていますが、乗り合いバスの全体の問題として何も触れていません。乗り合いバスは現実にネットワークとして存在していますので、内部補助の問題は避けて通れない問題であります。また、これはクリームスキミングともかかわる重要な問題であるわけであります。内部補助について、乗り合いバス政策上においてどう考えておるのか、この点については企業側、またそこで働いている労働者の皆さんが、規制緩和になることによってどうなるんだということで非常に心配されています。きょう、きちっとお答えをいただきたいと思います。
  58. 荒井正吾

    荒井政府委員 内部補助の考え方は、先ほどの航空に対する御質問にありますように、運輸事業にとって大変重要な言葉でございます。乗り合いバスにとりましては、より密接な意味があるわけでございます。  従来、需給調整規制のもとで、新規参入や退出を制限することによりまして、地域のバス交通ネットワークをいわゆる内部補助により維持するということが行われてきたわけでございます。このような方策は、バス輸送需要が伸びておりました四十年代までには大変有効な活力あるものであったわけでございますが、四十年代以降、需要の減少が自家用自動車の普及等の影響を受けて続いております。特にまた、過疎部におきましては、人口の減少によってバス輸送サービス需要そのものがなくなりつつあるというようなことで、営利サービスとして、従来までの内部補助の仕組みによりましても、全体としての地域のバス交通網の維持が大変困難になってきておるというのは現実の問題としてございます。  このために、生活交通全体として、あるいは地域のバス輸送サービスを全体としてどのような維持をするかということを考えますと、従来ない新たなシステムが必要ではないかというふうに考えられてきておるわけでございます。その際、新たなシステムというものは、内部補助の全面的否定ということではなくて、赤字路線の維持方策についての新たなシステム確立、従来の全体の赤字を埋めるということではなく、内部補助の有無にかかわらず必要な路線を補助する、あるいは事業者赤字、黒字にかかわらず必要な路線を補助するといったような、補助制度の改革が必要なわけでございます。  その上で、都市部、あるいは需要の少ない地方部におきましても、より良質なサービスを歓迎するという、そのために需給調整規制を廃止するということが志向されたというふうに感じております。その結果、事業者がみずから必要と考えられる合理的な内部補助は残っていくものというふうに思っております。内部補助という存在自身は否定できない、あるいは全面的には否定するものではございませんが、そのネットワーク維持における存在の意義が変わってくるものと認識しているところでございます。
  59. 今田保典

    ○今田委員 内部補助について今ほどお聞きをしましたけれども、今のところ、この乗り合い関係の規制緩和については答申でございまして、スタートは十三年から、こういうお考えのようですけれども、ただ、この規制緩和を進めるに当たって、今ほどお尋ねをしました内部補助がどうなるのかという問題については、非常に事業主が心配されているんですね。  お答えいただいたように、新たなシステム確立するんだ、こういうことでありますけれども、新たなシステムとはどういうものなのかというのが見えないわけです。その見えない中で規制緩和がスタートするということになれば、事業主としては大変不安でしようがないということになると思うんですよ。この新たなシステムを今後確立した上で規制緩和に入るということにしなければ、なかなかバス関係の事業主は大変だろうなというふうに思うんです。この点はどうなんですか。いつごろ出るんですか。
  60. 荒井正吾

    荒井政府委員 規制緩和を導入するときの手順、段取りという点であろうかと思いますが、規制緩和法律はこれから、次の通常国会ということで予定しておるところでございますが、その間、補助制度見直しでございますとか、地域協議会を設立することを先行するとかという段取りについては非常に繊細な手順が要求されるものと考えております。  内部補助を壊す、あるいは新たなシステム確立ということを口で言うだけではなくて、その導入を形あるものに提示しながら規制緩和を導入していく、設定していくという観点は、そのように考えておるところでございます。
  61. 今田保典

    ○今田委員 ちょっとしつこいようで申しわけないんですが、新たなシステムはそういう考え方で、地域協議会というものを各県段階につくって、その中でいろいろと内部の補助を路線について検討する、こういうシステムになるというふうに、私はそういう方向でいきたいということでの理解をしているんです。  ただ、この地域協議会というものに対して各県の温度差が非常に強いんですよね。今も、そういったことではないんですが、路線のあり方について、現実に県段階でつくられておるんです。ところが、一生懸命やっている、熱心にやっている県と、ただ印だけつくっている県とあるわけですよ。その温度差のある部分について、もし、こういうものをつくっていただいて、その方向でシステム確立するんだということであれば、運輸省として今後どう指導されるのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  62. 荒井正吾

    荒井政府委員 今、委員指摘のありましたような、地域交通の維持に対する地方公共団体の温度差あるいは熱意の差ということは、確かにあるように私ども認識しております。  これをどのように調整していくか、ある一定レベルにそろえていくかというのは課題が残っていると思いますが、現在も、このような答申が出された後、地方の運輸局長を通じて地方公共団体に説明あるいは説得をしておりますし、具体的にいろいろないい事例を提示することによって、本省からも地方公共団体と調整指導を図っていきたい。この点は強く心に入れておるところでございます。
  63. 今田保典

    ○今田委員 これからスタートするだろうと思いますけれども、それを想定してどうのこうのと言うつもりはないのですが、こういったものはつくるとすれば本当にきっちりつくっていただいて、そのメンバーについてもある一定基準というものを頭に置きながら、運輸省として指導していただきたい、こういうふうに思うわけでございまして、ぜひその点をよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  次に、クリームスキミングについてお尋ねをしたいと思います。  運政審答申では、クリームスキミングは基本的に認めた上で、これによって発生する問題に対して行政一定の関与を行うとしております。問題があるのがわかっていながら、なおかつこれを認めるという極めてわかりにくい書き方がなされております。乗り合いバスの場合、その影響は航空よりも格段にひどく、それが直ちにネットワークの崩壊になることから、クリームスキミングは認めるべきではないのではないかというふうに私は考えております。  これに対するお考えと、もう一つは、行政一定の関与ということになっておりますけれども、その関与というお考えをお聞きしたいと思います。
  64. 荒井正吾

    荒井政府委員 クリームスキミングに対する行政一定の関与という、大変わかりにくい表現で、役人がケーキをつくるような言葉遣いで大変申しわけございませんが、業界の間では大変定着した言葉でございますので、答申でも使われておるところでございます。  クリームスキミングは、御存じのように、いいとこ取りは許しちゃいかぬということであろうかと思います。乗り合いバスにおきましては、例えば、朝晩の特定時間帯のみにサービスが集中した場合に、需要が比較的少ない昼間時間帯等のサービスが提供されなくなって、利用者利便に支障が生じるというようなケースが考えられているわけでございます。そのようなケースが想定されますので、行政一定の関与を行うことを検討すべきというふうにされたと認識しております。  その一定の関与の仕方というのは、なかなか具体的には難しいものであろうかとも思っておりますが、基本的にはいいとこ取りにならないように、不公正な参入ルールにならないように、一方、事業者間の競争を過度に制限することにならないようにということで、実は、今後の具体的なルール検討にゆだねられている面があるわけでございます。  その際、関与の形態といたしましては、ある基準のもとで参入を制限する、あるいは参入に条件をつける。例えば、朝夕の時間帯のみへの新規参入に対しましては、昼間の運行義務づけるといったような調整参入条件をつけるといったような形も考えられます。あるいは、参入後、いいサービスが提供されない場合には、事業計画変更命令を出すというふうな、行政の関与の形としてはそのようなものが考えられるわけでございますが、その発動の基準は、いろいろな多岐的なサービスが提供される可能性がございますので、今後の検討を十分慎重にしていきたいと考えておるところでございます。
  65. 今田保典

    ○今田委員 次に、路上競争についてちょっとお聞きしたいのです。  近接ダイヤ、いわゆるダイヤ設定の際に、追い抜き競争などのいわゆる路上競争という問題が出てまいります。これについても、クリームスキミングと同じようにわかりにくい書き方がなされております。  これは、ダイヤ設定事業者の自由にさせてしまえば、当然のこととして路上競争になります。したがって、事業者の自由にしなければ済むことですが、これが書かれているということは、基本的に自由にしたいということなのかどうか。自由にしたいが、規制も必要というわけでありますけれども、この混乱の背景には、運輸行政が本当は何をしようとしているのか、この理念といいますか、そういったものが定まっていないような感じを受けます。  この理念の問題はさておくとしまして、こうした路上競争について、自由に認めるべきではなく、ダイヤ規制を堅持すべきではないのかというふうに私は考えておるところであります。この路上競争について、有名な話として、イギリスなんですが、実験の失敗ということがあります。このような事例もありますので、こうした教訓を生かすべきではないのか。  これについても、行政一定の関与という言葉を使っております。どのような考え方があって関与という言葉を使ったのか、お聞きしたいと思います。
  66. 荒井正吾

    荒井政府委員 路上競争の問題でございますが、かつて、バスが大変競争していた時代には、そのようなことが現実にありましたし、他国におきましても、そういうようなことが行われている実態がございました。  ただ、そのような競争自身は利用者の利便を阻害する面がございますので、自由に競争する、お客を奪い合う、あるいはダイヤの変更を非常に頻繁に行うということは、余り望ましいことではないと思っております。  競争を過度に制限しないという一方、利用者に混乱が生じないようにすべきでございますので、路上競争においても一定行政の関与をするというふうに答申に盛り込まれたと認識しておりますが、その関与の内容あるいは手段ということにつきましては、バスの提供の競争の仕方がやはり少々複雑でございますので、今後、ケースをよく見きわめて、具体的かつ客観的な基準をつくるべきかと考えております。  いましばらく検討させていただきまして、また法律あるいはルール確立について御相談申し上げたいと考えておるところございます。
  67. 今田保典

    ○今田委員 今ほどのお話なんですが、これは、本当に、全く放置をしておけば大変な問題を発生する可能性のある問題でありますので、十分御検討いただきたい、このようにお願いを申し上げたいわけであります。  参入あり方の基本についてお尋ねをしたいわけです。安定的なサービスの提供とありますけれども、この安定供給という言葉に私は疑問を感じました。安定供給とは、ある期間、そのサービス全体に責任を持つことと理解していたからでございます。参入と退出を基本的に自由とした上で、しかも、クリームスキミングや路上競争も認めようとしているわけですから、安定供給が参入の基本的条件にはならないと思ったわけでございます。  ここで言う安定供給の意味とは、参入条件に期限を設けることなのか、それしか私は理解をできませんが、これについて御説明をお願い申し上げたいと思います。
  68. 荒井正吾

    荒井政府委員 需給調整規制廃止後に、参入、退出がより自由になりますと、安定供給に支障が出るのではないかという懸念があるという御意見でございます。  自由な経営を展開していただく一方、安定的な供給というのは、特に乗り合いバスは地域住民の日常生活の足でございますので、日がわりに事業の提供が変わる、サービス内容が変わるということは基本的に好ましくないと思っております。  そのために、安定供給をしていただく手法が問題になるわけでございますが、期限をつけるという手法が望ましいのか、あるいは従来からやっておりますように、参入時に、車庫、車両等の事業基盤を保有するとか資金計画等の一定審査を行うとかということを通じまして、安定供給の能力と意思がある、あるいはある投資をして脱退しにくくなるというようなことを審査しておるわけでございます。今後、そのような従来からの手法を、必要に応じてまた改善を加えながら、安定供給の確保を図りたいと考えておるところでございます。
  69. 今田保典

    ○今田委員 利用者側から言わせれば、やはり参入する以上は、例えば、極端な言い方をすると、一年半、うち一年間やってみたらこの商売は成り立たぬというようなことで撤退をするというようなことでは、利用者をばかにしたやり方になるわけであります。やはりある一定の期間をきっちりその供給をする、こういうことでなければ、私は参入というのは社会的な責任からいって無責任なやり方になるのではないかというふうに思うんですね。  その点の、一定の期間というようなことを何か運輸省としてお持ちなんでしょうか、ちょっとお聞きしたいんです。
  70. 荒井正吾

    荒井政府委員 サービスが安定的に提供される期間というのは、先ほど申し上げましたように、望ましい、あるいは必要であると考えておりますが、行政規制の対応として、期限をつける、安定供給の義務づけをするということができ得るものか、望ましいものかという点につきましては、いましばらく検討させていただきたいと考えております。
  71. 今田保典

    ○今田委員 私は、そこは非常に重要だと思うんですよ。  参入する側はいろいろなことでそういったことをやるにしても、された側の事業計画というのは大幅に狂っちゃうんですね。ある日突然、まあ、ある日突然と言うとちょっと言い方がおかしいんですが、参入してきました、一年後に、ある日突然、私どもやめます、こういうことになりますと、やはり既存の事業者は、前から地域の皆さんにこの企業をお育てをいただいたという一つの恩義があるわけですよ。社会的責任を持って今もやっておられるわけでありまして、そういう既存の会社の、企業事業計画というのを狂わすような新規参入というのは、私は社会的に許されるものではないというように、私なりに理解をしているんですよ。その点、本当に運輸省として今後腹を据えてやっていただかぬと、まずいのではないかというふうに思います。  何かお答えがあればお聞きをしたいと思います。
  72. 荒井正吾

    荒井政府委員 基本的な点は、いいかげんな事業者を容易に参入させてはいかぬという御指摘かと思います。その点については、十分審査の方法を検討していきたいと思います。  一方、良質なサービスはできるだけ地域に展開していっていただきたいという願いもございますので、その調和が課題かと考えております。今後また引き続き検討させていただきたいと思っております。
  73. 今田保典

    ○今田委員 ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、運賃制度あり方についてでございますけれども、不当な差別的取り扱いを防止するとしていること、また不当競争となるような運賃設定を防止するとしていることなど、上限だけを定めて運賃設定を自由にすることが目標だと理解いたします。そうでなければ、このような心配は必要がないわけであります。  運輸省は、乗り合いバスの運賃制度について、航空のようなほぼ自由な運賃制度が本当によいと思っておられるのか。乗り合いバスの実態から見て、上限と下限を定めた幅運賃が自由化の限界だと思うわけでありますけれども、これについてどのようにお考えなのか。また、乗り合いバスの運賃制度について基本的にどのようなお考えなのか。明確にお示しをいただきたいというふうに思います。
  74. 荒井正吾

    荒井政府委員 乗り合いバスの運賃は、御存じのように、従来一事業者に一賃率ということが原則になっておりまして、ある地域は基本的に同じ賃率で運営されておりまして、そういう反面、事業者の自主的な創意工夫が少々阻害された面があったかと思います。  最近では、百円の運賃を提供される事業者があるとか、あるいは土日をエコ運賃と称して非常に格安の運賃を提供される事業者があるとか、乗り合いバスにおきましても自由度が非常に高まる傾向があるものでございます。利用者が、需要が大変減っておりますので、運賃における創意工夫を通じて需要を喚起するということは大変重要なことであろうかと思いますので、そのような意味から、運賃設定がより自由にできるような制度を構築することが必要だと考えております。  しかし一方、乗り合いバスは地域住民の基本的かつ身近な足でございます、あるいは地域によってはまだ独占的な事業提供形態でありますので、今後の乗り合いバスの運賃制度あり方につきましては、答申でも提言されておりますように、運賃の上限及び差別的運賃設定規制を行うとともに、公正競争確保観点から、不当競争となるような運賃については、発動の要件を明確にした上で変更指示が行える制度とするということが必要と考えております。  具体的な制度の設計については、さらに検討して御判断を仰ぎたいと考えております。
  75. 今田保典

    ○今田委員 次に、今回の答申では触れてない問題でありますけれども、乗り合いバスには、公共輸送機関として、法律上の運送引き受け義務が課せられております。これはタクシーも同じでありますけれども、公共交通として基本的位置づけにかかわる重要な問題と理解をしております。  今回、免許から許可に変わり、参入も退出も基本的には自由となります。クリームスキミングも可能となりますと、これまでの運送引き受け義務を課した背景が大きく変わるというか崩れる、そういうことになるわけであります。乗り合いバスとタクシーについては今後も公共交通として運営すべきであり、そのため、法律上に運送引き受け義務を明記すべきだと思うわけでありますが、これについてどうですか。
  76. 荒井正吾

    荒井政府委員 公共交通である以上、運送引き受け義務は必要であると認識しております。乗り合いバス、タクシーについてはそのような事業であると認識しております。法制上の詰めは残っておりますが、利用者保護の観点から、運送引き受け義務の法定化について検討したいと考えております。
  77. 今田保典

    ○今田委員 そのようなことだと私も理解しておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、生活交通の問題ですが、新たな仕組みをつくること、地方公共団体が主体的に関与すること、さらに、現行補助制度見直しなどについては、それを基本的に支持するところであります。しかし、この生活交通の問題は、交通政策の最も重要な柱の一つであり、運輸行政はこれから逃れることはできないわけであります。運輸行政として、交通政策としての責任を全うすべきではないかと思うわけであります。そうした意味からだと思いますけれども、国は、ナショナルミニマムの観点からとし、広域的あるいは幹線的な輸送サービス類型の支援をするとしております。こうした広域とか幹線的とかの限定ではなく、すべてにおいて交通政策上の責任を負うべきであります。  この交通政策上の責任という問題についてどのようなお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  78. 荒井正吾

    荒井政府委員 生活交通の確保につきましては、運輸省は全体的な交通政策上の責任を負っているものと考えております。  ただ、乗り合いバスとかタクシーにおきましては、国と地方公共団体の役割分担、さらに、より効率的な役割分担ということを新たなシステムの中で考えていくべきかと思います。そのためには、その枠組みづくりを関係省庁と連携して構築する必要がある、さらには、乗り合いバスで、先ほど委員申されましたように、地方公共団体の温度差を克服するといったような課題が残されていると考えております。  しかし、基本的には、そのような具体的なやり方については変更はあるものの、基本的な責務を運輸省は負っておるというふうに認識しておるところでございます。
  79. 今田保典

    ○今田委員 今ほどの中にナショナルミニマムという言葉が出てきたわけでありますけれども、これは、シビルミニマムとあわせてよく交通政策で使われている言葉であります。しかし、これまで運輸行政では余り使われなかったというふうに私は記憶をしておるわけでありますが、ここで唐突に出てきたという感じがいたします。これこそが生活交通問題の根っこのところの問題であると思うわけであります。  もっと具体的に申し上げれば、生活交通に対する行政の役割と責任などについて、法制度的に明確にするということであります。私としましても、本委員会で、シビルミニマム確立必要性を以前提起をしてまいりました経緯があります。今のところ、この理念や政策体系はなく、ただ政策や政治概念として言葉だけが使われています。  このナショナルミニマム、あるいはシビルミニマムの確立について真剣に取り組むべきではないのか、こういうふうに思っておるわけでありますけれども、これについてはどうでしょうか。
  80. 荒井正吾

    荒井政府委員 国の役割の守備範囲を、ナショナルミニマムあるいはシビルミニマムといった少々わかりにくい言葉で展開されている点については、申しわけなく思っておりますが、そのような国の役割分担、地方の役割分担等を、生活交通の確保という観点から、あるいは利用者の利便の維持という観点から、どのように提供すればいいか、あるいは、法制度の中でどのように位置づけるべきかという点について、今後、真剣に、あるいは全力を挙げて、関係省庁と協議、調整を図りながら努力していきたいと考えておるところでございます。
  81. 今田保典

    ○今田委員 先ほどもちょっと触れたんですが、重複する部分があるかと思いますけれども、再度お尋ねをしたいわけです。新規参入者はネットワークをきっちり守るべきだというような社会的責任をどう考えておられるのかという観点からお尋ねをしたいわけですが、いろいろとこれまで尋ねてきましたけれども、この段階では、主要な点が今後の検討課題となっていることから、乗り合いバスの今後が展望できないというもどかしさがあります。  そこで、次にお尋ねしたいことは、繰り返しになりますけれども、乗り合いバスはネットワークだということでありまして、したがって、乗り合いバス事業への新規参入に当たっては、事業の継続、運行時間帯及び最低便数など、地域のバスネットワークに対して社会的責任をきっちり持たせることが必要であると思っています。  これと同じ問題で、海上運送法の中にもあったように、指定区間という制度をつくってあります。そのような、いわゆる海上運送のようなものを、やはり乗り合いバスにおいても考えてみるべきではないのかというふうに思っているわけでありますけれども、これらについてどうお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  82. 荒井正吾

    荒井政府委員 新規参入の条件といたしまして、新規参入者に対します社会的責任の条件という点でございます。その点について、具体的な基準がまだ確立していないということは御指摘のとおりでございますが、法案作成時、あるいは基準作成時に御相談申し上げたいと考えておるところでございます。  バス路線の実態につきましては、先ほど申されましたように、四万系統以上あるバス事業でございますし、その実態は、都市路線あり、都市間あり、空港連絡あり、あるいは地方のいろいろな輸送形態ありということで、社会的責任の持たせ方という点について、具体的な基準検討が今後必要かと考えております。  具体的な提言として、あるいは検討課題として、今、海上運送法における黒字路線と赤字路線の一体的許可、指定区間という考え方を御指摘されました。今後検討させていただきますが、ネットワークの形成のされ方、あるいは、海上運送のように港湾があって非常に確定的な路線であるのと、路上で展開する路線と、いろいろ具体的な形態は違うものかと思いますので、第一印象でございますが、恐縮でございますが、実際の運用はかなり困難ではないかなという印象は持つわけでございます。  今後、そういう仕組みも含めて検討を進めて、競争を阻害しない、安定的な供給を確保する、あるいは、新規事業者と既存事業者の公正な競争を維持するという観点から、参入条件について、具体的かつ客観的な条件を検討していきたいと考えております。
  83. 今田保典

    ○今田委員 今、乗り合い関係のいろいろな点についてお尋ねをしてまいりました。  先ほどちょっと申し上げたんですが、地方のバス関係は非常に今経営難で、大変な合理化などをやりながら企業の維持に努めているわけでございます。そこに新たな規制緩和のもとで新規参入されると、新規参入もある一定の社会的責任を負ってされるということであればよろしいのでございますが、航空会社のようなクリームスキミング的な参入が一般的に認められるとすれば、私は大変なことになるのではないかなというふうに思うのですね。そういうことを考えるならば、私は規制緩和については否定はするつもりはございませんけれども、本当に乗り合いバスに規制緩和というものが必要なのかどうかという、一般論として私は思っておるのですよ。この点は、いろいろなところで議論はされたのだろうと思いますけれども、特に地方のバス企業者は、本当に、この先どうなるのかな、どうすればいいのかなということで非常に今悩んでいると思うのですね。  これらを含めて運輸省として、こういった企業者に対しての指導というのは、ちょっとおかしいのですが、持っていかれるのか、最後にちょっとお聞きをしたい、こういうふうに思っています。よろしくお願いします。
  84. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 いろいろ御議論を賜りましたけれども、来年の法律として御提案申し上げる過程の中で、いろいろな議論が出てまいると思っております。特に、私どもの内閣として基本的なスタンスといたしましては、審議会で一つの答申が出たからそれで結論だという形では受けとめておりません。私ども、一つのたたき台をつくっていただいた、まさにこれから政治の場でいろいろ議論いただいて来年の御決定になるのであろう、また法律として御提案をさせていただくということになると思いますので、委員の意見は拝聴させていただいたところでございます。  ただ一方で、昭和五十年代ごろまで、国が大きな力を持ち、大きな権力を持ちながら地方というものを引っ張っていく、そして、企業をコントロールしながらやっていく、こういう時代からやはり次の時代に変わらざるを得ないところに立っておると思っております。  また、バスの議論を今賜りましたけれども、局長から答弁をいたしましたように、内部補助制度では、どうも今の生活路線というものを地方のバス会社にすべて委託していくというのは少し限界が来たのであろう。そういった意味では、地方のバス会社の経営という立場から考えても、そろそろ全体の仕組みを変化させていかなければならない時期に来ておるのではなかろうか。  そこで、先ほどからお話しのように、ナショナルミニマムとしての、規制緩和で影となる部分については国なり地方自治体がどうやっていくんだというところをはっきりさせながら、一方で地域によって創意工夫のサービスが提供される、そういった事態に変えていければ、このように思っております。どうぞ、そういった意味では、今田委員も同じ御認識だろうと思いますけれども、今のままの延長線では地方のバス会社もなかなか厳しいという現状の中で、次なる対策を打たなきゃならぬ。その中で、規制緩和を基本としながら、ナショナルミニマムというものをしっかり組み合わせながらやってまいりたいと思いますので、いろいろまた御指導賜りたいというように思います。
  85. 今田保典

    ○今田委員 今大臣の方からいろいろお話がありましたように、私も同感でございます。以前からこのことについてはナショナルミニマムといいますか、いわば総合交通網について国としてどう考えているのかというのが、今まで余りきちっと出されていなかったのではないかというふうに思うのですよ。それは、そうしなくとも、路線といいますか交通を利用される方々に対してそんなに不便を感じさせないままに今日まで来た。しかし、この時代、いろいろな問題があってこの問題が出たのだろうと思うのですが、現実としては先ほど私が申し上げましたように、地方のバス会社は本当にいろいろなことを今頭に置きながら苦しんでおるということをぜひ御理解をいただいて、いろいろなものについて早目に、早急に対策をしていただきたい。このことをお願いを申し上げて、バス関係を終わりたい、このように思います。  次に、タクシー関係についてお尋ねをしたいわけであります。タクシーの場合の最大の問題点は、台数の問題だと思っています。今、どこの町でも空車のタクシーがあふれています。不況の影響もありますが、タクシー関係者にお聞きしますと、不況は別にしても、少なくとも三分の一は多いということでございます。私としても、明らかにタクシーが多過ぎるという実感を持っております。このようなタクシーの供給過剰は、空車が町にあふれているわけですから、利用者にとっては歓迎されることかもしれませんが、しかし、それでは事業者運転者の提供側が成り立ちません。タクシーサービス利用者と提供側の相対的な関係で成り立っていることを忘れてはならないと思うわけでございます。  そこで、まず最初にお尋ねしたいのは、タクシーが供給過剰の実態にある、そして、この台数のあり方がタクシー問題の根幹であるということについてどのように認識をされているのか、お尋ねをしたいと思います。
  86. 荒井正吾

    荒井政府委員 お答え申し上げます。  タクシー事業は、供給力が減少しない一方、輸送需要が減退しておるという意味で、時系列的にも供給の過剰の状態が現出しているというふうに認識しております。その理由といたしましては、御存じのように、歩合制賃金によりまして事業者の増車意欲が極めて強い、あるいは、近年の景気低迷によって輸送需要が落ち込んでおる一方、自主的な減車が行われないということが理由であろうかと思います。  タクシーにつきましても、市場におきまして需要と供給のバランスが崩れることにより、さまざまな問題が生じるというふうには認識しておるところでございます。御指摘のタクシーの供給過剰の問題は、今申し上げましたタクシーの特性に起因する大変重要な問題だと思っております。しかし一方、タクシーにつきましてもこれまで需給調整規制によりまして、良質なサービスを提供したいというものまで参入をさせないということが続いてきたわけでございまして、その結果、良質なサービス提供が促進されなくて、事業全体の活力、活性化が阻害されたという面も指摘されておるところでございます。  このため、運輸省といたしましては、タクシーサービス活性化、発展を目指すという観点から需給調整規制を廃止するということに踏み切ったわけでございますが、良質なサービスの導入を促進する一方、市場の需給バランスの達成を図るということが必要なわけでございますが、その際、行政の介入をできるだけ小さくする、効率的な行政手法、手法に工夫が必要ではないかというふうに政府の部内で指摘されているという観点も無視できない点でございます。  それで、台数あるいは供給力の調整につきまして、運輸省といたしましては今後、事前審査や事後チェックの段階で効果的な措置を講じて悪質な事業者を排除する、あるいは供給過剰時に新規参入や増車を制限する緊急措置の導入などの措置を検討するということが提言されておるわけでございます。先ほど申しました目的を達成するために、その種の手法について今後幅広く検討していきたいと考えておるところでございます。
  87. 今田保典

    ○今田委員 今いろいろ考え方についてお答えいただいたわけでありますけれども、しかし、そうはいっても台数規制をなくすということは、幾らタクシーがふえ過ぎても、それには行政は関与できないということになるわけであります。このために緊急措置制度というのをお考えのようですが、基本的に参入を自由にした上で、そのような措置が実際に可能だと私は思われません。もし可能ならば、現在の供給過剰を今すぐにでも解決すべきであります。したがって、ふえ過ぎは市場の淘汰に任せる以外になくなるわけですが、これまで、諸外国においても、この市場淘汰によってうまくいった例はないというふうに私はお聞きしております。  タクシーの需給関係については、もし本当に市場の淘汰に任せると考えておられるならば、それは政策として全く無謀であります。タクシーに限っては、その事業特性から、台数の問題は避けられません。したがって、もし参入を自由にするにしても、少なくともその地域における最大台数制限というものが不可欠ではないのだろうかというふうに私は思っております。  この市場淘汰が本当に可能だというふうにお考えなのかどうか。また、最大台数制限というものを、私としては必要だというふうに思っておるのですが、これについてお伺いをしたいと思います。
  88. 荒井正吾

    荒井政府委員 タクシー事業の供給力の調整の手段といたしまして、最大台数制限、規制というものが有力ではないかという御指摘でございます。  タクシー事業の特性を踏まえますと、台数供給力が大変膨張する傾向にあることは申されたとおりでございます。一方、市場の淘汰という言葉をお使いになりましたが、任せて需給のバランスができるかという点については、市場の淘汰、市場の機能だけではなかなか難しい面があるのではないかというふうに感じておるところでもございます。  タクシー事業の特性を踏まえて、安全、安心、良質なサービスを提供する、需給バランスをできるだけ達成する、またさらに、行政の必要最小限の介入という三つの課題があるわけでございます。最大台数制限という直接的な規制の手法も一つ考え方であろうかというふうには現在思いますが、答申の提言、あるいは従来からの議論規制見直しの延長の中では、参入の条件、事後のチェックあるいは事後的緊急措置の検討といったような検討課題を提示されております。まずそのような観点を詰めさせていただきまして、タクシー事業に適したルール確立を図りつつ、さらに、その検証を踏まえて御相談あるいは御意見を賜りたいと現在の時点では考えておるところでございます。
  89. 今田保典

    ○今田委員 この台数制限については、やはり事業主は幾ら車をふやしても全然企業影響はないのですよね。ということは、いわばそこで働く労働者、いわゆるドライバーの賃金制度はほとんど歩合制ですから、月当たりの水揚げが八十万あったのが、台数をふやすことによって一台当たり六十万になったり五十万になったりするという場面があっても、事業主は全然その影響はないのですよ。ですから、私は、どんどんと台数をふやしていくという考え方に成り立つ事業主もいるのではないかというふうに見ていますね。  しかし、社会的な問題としてそういったことが本当に許されるのだろうかというふうに思えば、例えば私、こちらからよく新橋の駅にタクシーを利用して行くときがあるのですが、道路をふさいでいるのですね、タクシーがあふれている。一般の車が通れないという場面がちょくちょく見られます。そういったことが社会的な観点から許されていいのだろうかというふうに思えば、私はやはり、違う観点から、タクシーの台数制限というのはあってしかるべきではないのかというふうに思います。  もう一点申し上げますと、私は東北出身でございますけれども、岩手の盛岡なんかは、駅前から何キロと続いているのですよ、タクシーがあふれて。だから、せっかく二車線、三車線と道路を確保しているにもかかわらず、その車があるために一車線あるいは二車線しか利用できない、こういう状況が全国的に広がっているのですね。そのことが本当に社会的に許されることなのかというふうに思えば、私は、タクシーという商売上から見た制限ではなくて、社会的な観点から見て、本当にいいのだろうかというふうに思います。  もう一点。当然、これからは気候的にも暑くなるから、そういうことになることはないのでしょうけれども、真冬にはそういう状況が起きるのでしょうね。いわゆる、車にいるのには寒いということで暖房をかけるわけで、当然これはエンジンをかけなけりゃだめなわけでして、そうなりますと、燃費の問題から、環境の観点からも非常にいろいろな問題があるというふうに思います。これは、御案内のように、東京駅の八重洲口から丸の内側までタクシーが並んでいるのですよね。それが全部エンジンがかかっているのです。そういうのは、私は本当に環境的に見ると、どうなのかなと。  そういった観点からも、私は台数制限の問題についてはきっちり御検討いただいた方が、社会的に、あるいは環境的に、問題解決のために必要なのではないかというふうに思うのですが、この点について何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  90. 荒井正吾

    荒井政府委員 タクシーの事業をよりよいものにするために台数というものに最大限注目すべきであるという御指摘は、そのように同感させていただきます。そのときに、最大台数制限という形が法制的にとり得るものか、あるいは望ましいのかということにつきましては、いましばらく検討させていただきたい。少々困難な点もあるようには考えておりますが、台数という点を基盤にしていろいろなことを考えるべきではないかという点については、御指摘のように感じております。  さらに、タクシーにつきましては、大都市におきましては、流し運転で逆に空車率が五割を超えるわけでございますので、その点、環境あるいは燃料の消費、道路の占有ということに、いわゆる社会的な負のサービスというようなものが提供される可能性があるわけでございます。  この点につきましては、全体の制限という考え方もあろうかと思いますが、むしろ流しを減少させること、あるいはエンジンを停止させつつなおお客がとれるような、特に最近のITSという情報機器、GPSというような衛星の利用、あるいは携帯電話の利用等情報通信システムをさらにタクシーの分野に入れることによって、走行の節約とお客の利便の維持ということが両立できないかということを別途思考しておることでございますので、それにつきましても真剣な努力を続けさせていただきたいと申し上げたいと思います。
  91. 今田保典

    ○今田委員 いろいろな観点から問題があるわけであります。先ほど私はアイドリングをやっている場面が数多く見られるということを申し上げたのですが、私は経済的観点からも相当な日本としての、国としての損失があると思うのですよね。そういうものを、運輸省として何か調査されたときがあるのかどうか。あるいは、いわば停車中だけではなくて、お客さんを拾うために懸命にドライバーの方が努力をされていろいろなところを走り回っているわけですよね。そういう観点からの経済的な損失といったものも含めて、運輸省として何か調査されたときがあるのかどうか、ちょっとお聞きしたいのです。
  92. 荒井正吾

    荒井政府委員 今時点でちょっと思いつくところはございませんが、過去の調査があるかどうか、あるいは今後調査すべきかということをもう一度検討して、また後刻御報告申し上げたいと思います。
  93. 今田保典

    ○今田委員 いろいろ問題はあるにしても、とにかく、都内だけではなくて全国的にタクシーがあふれているということを考えれば、早くやはりこういった点については対策をしなければならないのではないかというふうに思います。  次に、需給調整規制が廃止になれば、これからのタクシー事業規制は、資格規制が柱になるわけであります。私は、特に重要と思っておりますのは、運転者事業者の属人的な面での資格規制であります。  運転者の資格については、タクシーサービス運転者の質によるところが大きいとして、質の確保が提起されています。この点については私は全く同感であります。しかし、運転者の質に直接かかわる属人的な面では、地理知識やあるいは利用者への応接などに関し、必要な処置を検討することが適当としているわけであります。タクシーの事業特性を考えた場合、その属人的な資格として、タクシー運転者資格制度を新たにつくるべきではないのか。これは、運転者に自覚と誇りというものを持たせて、ステータスとしても必要と考えるからでございます。  この運転者の資格制度というものをこれまで検討されたときがあるのかどうか、またどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  94. 荒井正吾

    荒井政府委員 タクシー事業におきましては、特に事業者運転者の能力がサービスの質を決定的に左右するという点、したがって、属人的な資格あるいは能力が大変重要だという点は、全くそのとおりであると思っております。  その際、特にタクシーの運転者の資格制度ということを設けて、その能力、質を確保すべきじゃないかという点でございますが、現状では、タクシー運転者は、安全上の観点から二種免許の保持の義務づけ、あるいは、流し営業が大半を占める大都市につきましては運転者登録制度を実施しておりまして、登録制度におきましては、一定の成果を上げておるところでございます。  資格制度に格上げと形を変える、全国的にそのような制度を導入するという点につきましては、行政の介入の形として、最近困難な点も法制上認められるふうに感じますが、あるいは、地方におきましては、そのようなことをしなくても運転者の質はある程度保たれるという実情にもあるかもしれません。  したがいまして、現状におきましては、運転者に対して一律の規制あるいは資格制度というのはさらに検討を要するというふうに考えておりますが、答申にも指摘されておりますように、流し営業の多い地域におきましては、悪質な運転者を排除するという観点から、運転者の登録制度を拡大するということを中心検討しろという提示がございますので、まず、この点の導入を図っていく方向で検討したいというふうに考えております。
  95. 今田保典

    ○今田委員 次に、事業者の属人的な資格を強化すべきでありますということで申し上げたいのですが、運政審答申では、事業者の資格規制として、参入の要件で、事故への対応能力あるいは損害賠償能力を挙げています。属人的な意味で見ますと、安全運行に関する知識というぐらいではないかと思っております。何かと問題のある業界でありますけれども、自己責任原則ということからも、事業者の属人的な資格を強化すべきであります。  例えばでありますが、事業者運行管理者の資格取得を義務づけるということが考えられます。従来の参入基準に、事業の遂行能力というのがあります。これについては、一昨年十二月の本委員会において、明確な基準がなく不透明で、行政の恣意的な基準だと私は非難した上で、今後も必要かとお尋ねしたところ、運政審で議論を進めていただくということ等、答弁がありました。これについての結論はどうなったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  96. 荒井正吾

    荒井政府委員 タクシー事業者の属人的な資格の強化必要性、さらに、その中でも事業遂行能力の基準という御質問でございます。  タクシーサービスにおきまして、運転手とともに事業者の能力というのは決定的であろうかと思います。その点、我が国におきましては、他国と違いまして、健全な法人事業者を育成するという観点指導行政努力を長年続けてきまして、法人事業者の質という点につきましては、他国に比べてある程度評価できるものがあるかと思います。しかし、今後、事業者参入条件が緩和されますと、事業者の属人的な能力ということについて、参入時の審査あるいは事後のチェックにおいて十分な措置を講じることが必要だと考えております。  また、事業遂行能力の、不透明で恣意的な基準にならないようにということで、運政審の審議でございますが、運政審の答申においては、基本的な考え方は示されておりますが、具体的な内容行政にゆだねられた経緯がございます。残念でございますが、その点については、行政の責任としてその内容の詰めをさせていただきたいと思っております。  なお、今回の貸し切りバスに係ります道路運送法改正におきましては、タクシーも含めて、過去に重大な法違反があったときには、当該法人事業者の役員であった者を新たに人的欠格事由の対象として加えるということをしておりまして、事業者の属人的な資格の強化という面では、一歩踏み進んだ面があることを申し上げたいと思います。
  97. 今田保典

    ○今田委員 時間もちょっと迫ってきましたので、あらかじめ通告しておった項目を二、三飛ばしまして、次に、タクシーの運賃競争についてお尋ねをしたいわけであります。  タクシーの運賃制度でありますけれども、私は、とりわけ懸念するのは、タクシーは、ほかの交通機関と異なりまして、利用者選択が不可能という事業特性にあります。運賃競争させる政策は、言葉としてどうなのかちょっとあれなんですが、邪道というふうに私は位置づけをしておるんですが、思っています。私は、今でもタクシーは同一地域同一運賃というのが最もふさわしいというふうに思っておる一人でありますけれども、ここで一歩譲るにしても、最低運賃制は絶対に不可欠だと考えております。それを考えますと、結果としては、タクシーには上限と下限を定めた幅運賃制という方向しかないのではないかというふうに思っておるわけであります。  運賃競争をさせてはいけないと思っていること、最低運賃制が必要なこと、さらに、どのような運賃競争考えておられるのか、このことについてお聞かせをいただきたいと思います。
  98. 荒井正吾

    荒井政府委員 タクシーの運賃につきましては、今御指摘がありましたように、価格を選んで選択が難しい、あるいは支払いが一対一で事後に行われるという点につきまして、他のサービスと違う面があることは御指摘のとおりでございます。  しかし一方、一地域一運賃が望ましいかどうかについてはここしばらく議論があったところでございまして、タクシーにおきましても多様な運賃が導入されるのではないか、その結果、タクシーサービス向上事業活性化に寄与するのではないかという観点から、自由化が行われてきたところでございます。現在まで、初乗り短縮運賃でございますとか複数の運賃、ゾーン運賃制、幅運賃制が導入されてきておるところでございます。  今後の規制緩和後の運賃制度につきましては、今申されましたように、事前の車両選択が困難あるいは地域によって独占、寡占になる可能性があることから、利用者保護の観点から上限の規制が必要と認識しております。また、運賃の値下げ競争が激化いたしまして、運転者、特にタクシーにおきましては運転者の労働条件の低下につながりまして、輸送の安全の確保を困難にする可能性がある、あるいは不当な競争を導入する運賃設定を行われる可能性があるということから、何らかの形での不当に安い運賃規制は必要だというふうに認識しております。  需給調整規制廃止後の運賃規制の具体的内容につきましては、どういうものが不当である、あるいは下限の運賃の水準はどうか、その他について、今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
  99. 今田保典

    ○今田委員 これまでタクシーの台数制限や運賃競争あり方についてお話をしましたけれども、こういう問題は、私は、それぞれの地域あるいは地方で解決できるのではないかというような観点から、新しい問題として提起をしたい、このように思っています。  いわゆるタクシーの地方分権についてお尋ねをしたいと思います。  タクシー問題はもともと地域の問題でありまして、諸外国ではローカルの問題としてはっきりしております。中央で具体的な運営が問題になることはまずありません。しかし、我が国では、東京の倫理を地方に持ち込むといった反発が絶えずあるように、中央集権的に運営されているというのが実態ではないかと思うわけであります。タクシー行政の運営については、中央は資格の制度の基本を定めることにとどめて、具体的な運営は地方自治体を中心として地域に任せるべきではないのかというふうに思います。そうすることによって、地域の実情に合わせた弾力性のある政策運営が可能になるわけでございます。  私は、冒頭に申し上げた最大台数制限や、あるいは、ちょっと時間がなくて質問できなかったわけですけれども、タクシーの近代化センターの運営、そういったものも地域が責任を持って行うことができるのではないかというふうに思うわけであります。タクシー行政権限の地方分権についてどのようなお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  100. 荒井正吾

    荒井政府委員 タクシー事業の責任の主体につきましては、御指摘のように、我が国におきましては国が専ら行ってきたところでございます。一方、外国では地方が中心になって行ってきたという違いがございます。歴史的な経緯もあろうかと思います。  しかし、その背景には、タクシーは特に、安全、安心なサービスの提供という観点からは、全国的な、統一的な最低限の規制として国がより積極的に関与すべきではないか、国民もそういう規制を望んでおられたのではないかというふうに考えております。一方、タクシーの営業につきましては、流し営業中心の大都市がある一方……(発言する者あり)車庫待ち営業中心の地方部、地域によって実情に違いがあるというふうに認識しておりまして、タクシーの規制につきましては、地方の実情に通じた地方運輸局長権限を委任して運用しておるという実情でございます。  今後、地方公共団体に権限を移譲するかどうかという点につきましては、受け入れる側の体制でございますとか行政の効率性でございますとか、検討課題はいましばらくあろうかと思いますが、そのような点を踏まえまして、新たな制度を具体的に検討する際、地域の実情に合った行政の責任という観点から検討を進めさせていただきたいと思っております。
  101. 今田保典

    ○今田委員 今ほどいろいろとお答えをいただいたわけでありますけれども、タクシー業界側から言わせれば、何か上から抑えられているというような感じを実際は持っているのですね。しかし、各地域でいろいろな問題が起きているわけでありまして、その地域と密接した問題解決には、やはりある一定の地方分権をしていただいて、そして、それぞれの地域で解決をしていただくというような場面が、これからは必要なのではないかなというふうに私なりに考えておるところでございますので、いろいろと今後御検討いただければありがたい、このように思います。  運輸事業規制緩和についていろいろお尋ねをしたわけでありますけれども、最後に申し上げたいのは、この問題の最大ポイントは、競争と社会的な公正の両立という難しい問題にあると思います。よほど真剣に考えて取り組まなければ、二兎を追う者は一兎をも得ずということになるのではないかというふうに思います。この両立は公正競争ルール確立ということではないのだろうかというふうに思っています。しかし、この公正競争ルールが全く見えてきません。このため、運輸事業関係者はこの先どうなるのかという不安感でいっぱいであります。それにもかかわらず、規制緩和が、規制緩和ありきというような感じでどんどん進行しているような感じがいたします。  運輸省は、運輸事業をこれからどうするのかについて、理念、それに基づく競争ルールというものを明確にする責任があります。私は、理念なき規制緩和は失敗のもとと以前から思っておるわけでありまして、競争と公正の両立、競争ルールということについて、運輸省としてきっちりお持ちだというふうに思いますけれども、そのお考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。
  102. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 運輸省の仕事として規制緩和を進めていく中で、まず基本は安全の確保でございます。安全なサービスを国民に提供する、そこだけは、私どもは、いろいろな議論がありますけれども譲れない、このように思っております。一方で、創意工夫によって国民にいいサービスが提供されるように、公正な競争ができるような体制をつくっていく、これが今日的な課題だというように考えております。  そういった中で、私どもが今御説明を申し上げてきましたのは、排他的といいますか、競争を通じていいものが生まれる、これは我々が信じているところであります。しかしながら、一方で、競争の中で相手を倒してでもやっていこう、極端に言えば、非常に安い価格を提供して相手を倒す、結果として自分が寡占なり独占を得る、それによって逆に高い料金設定していこう、こういうものについては何としても排除をしていかなければならないだろう、そこのセーフティーネットはしっかりやりますよということで申し上げております。  今田委員ともいろいろ議論したところでありますけれども、我々がそれを持つことについて、少し、いや、そこも規制緩和をしてしまえ、競争なんだからどんどんやれという御意見もありますけれども、私どもは、先ほどから申し上げているとおり、そこだけはきちっと持たせていただいて、安全の問題と、今、排他的な処置というものについては私どももしっかり押さえていきたい、この二つを公正な競争と安全ということで申し上げておきたいと思います。
  103. 今田保典

    ○今田委員 今ほど、どなたか後ろの方で、時間がないというのはぜいたくな話だ、こういうことをお話しなんですが、出たようでありますけれども、これにかかわる問題というのは非常に大きないろいろな問題があるわけでありまして、時間をかけてやはり議論していただく、また、そこに働いている労働者も大勢の方がおるわけでありまして、今後真剣にこの問題について取り組んでいただきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  104. 石破茂

    石破委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時一分休憩      ――――◇―――――     午後三時四十分開議
  105. 石破茂

    石破委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。赤羽一嘉君。
  106. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 公明党・改革クラブの赤羽一嘉でございます。  まず冒頭、ちょっとこれは、先ほど非公式のところでは少しお話も出ましたけれども、午前中、与党の議員の中から不規則発言がございました。理事会で決められただけの時間数をやっていて、別に時間を超過しているわけでもないのに、二時間も質問しながら時間が足りないとはとんでもないみたいな発言というのは、僕は、甚だ国会審議を軽視している、あってはならないことだというふうに思っておりますので、ぜひ冒頭委員長の方から取り計らいをしていただきたいと思います。
  107. 石破茂

    石破委員長 ただいまの赤羽議員の御発言の御趣旨につきましては、その趣旨を十分体しまして、理事会等におきまして周知徹底をいたしたいと存じます。
  108. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それでは、質問を始めます。  まず、航空法関連の、航空法改正についての質問をさせていただきたいと思います。この航空法第一条の項目で、これまでの現行法は「事業の秩序を確立し、」というところを、今後「事業の適正かつ合理的な運営を確保して」云々というふうな改定になっておりますけれども、この事業の秩序、まさに、恐らく、需給調整による路線ごとの免許という参入規制緩和するということであると思うのです。これまで路線ごとの需給調整による免許という参入規制が、事実上の路線の休止、廃止の抑制力となっていたという認識はあったのかどうかを、まず確認させていただけますか。
  109. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 御指摘のように、事業の秩序、そして業界の育成、この二つの文言で、運輸省サイドが、ある意味で監督行政といいますか、それをやってきた。ある意味では育成という効果はあったかもしれないけれども、次の時代を迎えて、民間の創意工夫でやっていけるような時代に変えていかなければならぬ、こういう発想のもとで転換を図ったわけであります。当然、そういう意味では、参入、退出につきましても、ある意味での、何となく、お上の方からという表現がいいかどうかわかりませんけれども、そんなものがあったかもしれないなと思っております。そういった意味で、そういうものはなくすと同時に、しかしながら、どこかでセーフティーネットを張らなければなりませんから、そういう意味では混雑空港等の問題で調整をしてまいりたいと考えております。
  110. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今大臣の御答弁にもありましたように、参入規制緩和する、退出の自由ももちろん出てくるということで、各委員大変心配していることだと思いますが、要するに、不採算路線からの撤退、それで、もうかる、需要が多い路線への集中という傾向が出てくるのではないか。それが出てくるということは、結局、航空の公共性を失うことにつながらないかという心配がまず一番最初に来ると思います。私の調べている範囲では、需要の下位四十路線というか、需要が少ないところの路線であればあるほど休廃止の傾向というのは出てくるのではないかと。調べたところですと、去年の秋から、十一月、十二月だけで休廃止路線が十三便に上るというふうなこともあるかと思いますが、この点については、そういう危惧、実態はどうなのかということと、今後そういった傾向性が広がっていくのではないかという危惧については、運輸省はどう考えておりますか。
  111. 岩村敬

    岩村政府委員 今先生指摘のように、参入を自由にする、他方、退出の方も自由になるということで、特に不採算路線を中心にその撤退が進んでいくのではないかという御懸念でございます。これに対する対応といたしまして、まず、どの程度のこれまで路線廃止なりがあったかという数字だけ申し上げたいと思います。これまで免許制をしいておりますが、過去三年間、休廃止によって航空便がなくなった路線は二十二ございます。ただ、一方で、新規に三十四の路線も設定されておるところでございます。
  112. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 三年間で二十二便廃止になった。それで、ちょっと私の調べたのが確認できればと思うのですが、昨年秋、十一月、十二月だけで十三便休廃止になった、または予定だということは、そういう傾向はあるのですか。
  113. 岩村敬

    岩村政府委員 申しわけございませんでした。今申し上げたのは路線の数でございまして、便数でまいりますと、ちょっと数えませんと、すぐに出てまいりませんが、おっしゃるように、路線は維持されていても、例えば、橋が開通したのでそこの便が一便減った、二便減った、そういうケースはございます。
  114. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 二十二路線が廃止になって、かつ三十幾つかの路線が新規になった。これは当然、不採算の路線が二十二路線廃止になり、需要が多いと思われるところの路線がふえたということなんですか。
  115. 岩村敬

    岩村政府委員 結局、利用者が少なくなる、それによって収入が減るということが原因でございますが、そのもととなる原因として、例えば、飛行機便にかわる新幹線が延伸されてスピードアップされたとか、最近の例でいうと、本四の橋がかかったことによって、そこに高速バスが走って、利便性において、それから料金の面においても航空が負けてしまう、そんなことが原因になっているというふうに理解をしておるところでございます。
  116. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それで、日常生活に不可欠な離島路線に対して、今後運航費等々の助成というか、補助をする方針があるのですか。
  117. 岩村敬

    岩村政府委員 不採算の路線でございましても、その当該地域の住民の日常生活に不可欠な路線につきましては引き続き維持を図る必要があるというふうに考えております。今回の平成十一年度の政府予算の中におきましても、従来から実施してまいりました離島航空機の購入に対します補助の措置に加えまして、一つは、離島航空路線の運航費の補助制度を新しく設けたこと、離島航空路線に就航する航空機に係ります航空機燃料税の軽減措置を新たに設けたこと、それから、固定資産税、この離島関係の航空機の固定資産税でございますが、これの軽減措置を拡充したこと、さらに、従来、空港着陸料の軽減の幅が少なかったものでございますが、離島航空路線に就航するジェット機の着陸料、これもプロペラ機並みに軽減を図るというような新たな措置を講じておるところでございます。  そして、具体的にお尋ねの、どういう路線をどういう形で補助していくかということでございますが、これにつきましては、地元において離島路線の維持活性化に係る検討を行うための協議会、これは地元の自治体なり、航空会社もオブザーバーという形で参加することとなるかと思いますが、こういった協議会の場での議論を十分に踏まえまして、たとえ赤字路線であっても、やはりそのうちから、日常拠点性のある場所、その場所とつないでいる路線、さらには、そういう路線であっても、船舶等他の代替交通機関によっては著しく不便だ、これも詳しくはこれから協議をしてまいりますが、おおむね船では二時間以上かかるような航路、そういった路線などを判断しながら、先ほど申し上げた協議会の中での議論を踏まえて維持していく路線を決めていく、そして、それに先ほど申し上げたような助成をしていくということにしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  118. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 この日常生活に不可欠なという特定の仕方というのは、その地元の協議会の判断にゆだねる、すべてゆだねるということでよろしいのですか。例えば、産物輸送とか観光地域の場合のそういった側面というのは、年間を通して不採算路線であるといったときの、この助成対象の路線になるのですか、ならないのですか。また、そういうガイドラインというのは運輸省として持っているのですか、どうでしょう。
  119. 岩村敬

    岩村政府委員 生活に関連のあることということで、基本的には県庁所在地、場合によっては経済圏が県庁所在地というより別のところへつながっている離島等ございますが、基本的には県庁所在地とその島が生活していく上に結ばれる必要がある、そういった路線を頭の中に入れているところでございます。
  120. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 そうしますと、離島があって県庁所在地がある。ところが、別の、例えば東京から飛んでくる観光路線とかが赤字不採算路線になるのであれば、そういった場合は運航費の補助対象の路線にならない、そういう判断が運輸省にあるということですか。
  121. 岩村敬

    岩村政府委員 先ほど新しい制度を含めて幾つか制度改正点を申し上げましたが、そのうち今度新たに設けました航空路線の運航費の補助の対象になる路線が、今申し上げた県庁所在地と日常生活に非常に密接に関係しておる路線が対象になっておるわけでございます。それ以外の、例えば新しく創設されました航空機燃料税の軽減措置、それからジェット機に係る着陸料の軽減措置、こういったものについては、先生の御指摘のような路線も含めまして、離島関係について助成といいますか支援の措置になっておるところでございます。
  122. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それでは、その支援の対象にならない、しかし、地元的にはバックアップしていかなければいかないといった場合には、今後はその地方自治体がすべての責任を負っていくという流れになるんでしょうか。
  123. 岩村敬

    岩村政府委員 運航費の補助という形での支援はございませんが、今申し上げましたように、税の面ではいろいろな支援、それから着陸料の面でも支援はございます。  また、こういう支援措置を適切に活用しながら、やはり今御指摘の関係地方公共団体との連携というのが大事になるわけでございまして、地方公共団体が独自にこういう路線を支援するというような措置を講じた場合に対しましては、地方財政措置が別途講じられるというふうに聞いておるところでございます。
  124. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 日常不可欠なという意味ではいろいろな幅がある話だと思いますので、ぜひ地元自治体との協議を重ねて、まさにソフトランディングしていけるような方向をとっていっていただきたいというふうに思っております。  続いて、運賃関係の件でちょっとお尋ねをしたいんです。九六年に実施された幅運賃制というんですか、その前後の通常期の普通運賃を比較すると、この幅運賃制が導入された後、一般的には当然運賃が安くなったという認識であるのかなと思っていたんですが、その幅運賃制が実施された前後の通常期の普通運賃を比較すると、安くなった路線もあるけれども、かなり多くの路線で運賃は実は高くなっている、こういう指摘もあるようですが、実態としてはどう認識をされているんでしょうか。
  125. 岩村敬

    岩村政府委員 個々の路線の普通運賃につきましては、今御指摘のございましたように、上がったものもあるわけでございますが、全体を押しなべて見た場合に、国内線の一旅客一キロ当たりの運賃収入、イールドと呼んでいますが、これで見た場合に、幅運賃制度の導入前、すなわち平成七年度におきましては、三社平均で一キロ一旅客当たり十九円四十銭でございました。それが平成十年度の上期では、十七円五十八銭に低下しておるということで、運賃全体を見た場合には低下をしておるところでございます。  ただ、幅運賃制度の導入によりまして、標準原価との関係でいきますと、それ以前は標準原価を下回っていた、そういった運賃設定していた路線があったわけですが、そういった路線については標準原価を反映して普通運賃が上昇した、そういうケースがあることは先生指摘のとおりでございます。
  126. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 いや、イールド単位というのはちょっとまた別の話として、まず、その普通運賃の比較だけを問いたいんです。  普通運賃の比較として、運賃が上がった路線もあったという御答弁でしたけれども、百七十路線余りのうち百十路線で運賃が上がっているんだという指摘もあるようですけれども、通常期の普通運賃の平均値上がり率六・五%というようなデータもあるようですが、これだけを見てみると、運賃は高くなっているんじゃないか、こういう話もありますが、どうなんですか。
  127. 岩村敬

    岩村政府委員 全体で二百三十路線ありますが、そのうちの五十路線が、普通運賃が下がりましたが、普通運賃については残りのものは上がっているというデータがございます。  ただ、この制度を導入した際に、割引運賃の多様化も同時に進んでいるわけでございまして、先ほど述べましたように、全体を押しなべた場合には一割近くの単価が下がっておるという状況にあるわけでございます。
  128. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 そのイールド単位当たりのというんですか、下がっているという話ですが、今言われた割引運賃の導入ということに関してですが、以前は往復割引というのがあった。これは全体で三〇%以上が往復割引の購入者で占められていた。ところが、今は往復割引というのはほとんどなくなってきて、事前購入割引に変わってきている。事前購入割引は、今全体の一四、五%だ。普通運賃は、以前は二〇%ぐらいだったのが、現状は三〇%ぐらいになった。ですから、普通運賃で購入している乗客の割合が以前に比べると一・五倍ぐらいになっている。普通運賃の比較でいくと、今おっしゃられたように、二百三十のうち百八十ぐらいの路線が値上がりになっているということです。  それで、イールドが下がっているのはダンピング的な要素がそこに入っているのではないかという指摘をされている人たちもいるようであって、今言ったような往復割引、事前購入割引のこととか普通運賃の購入者の割合などを見ていきますと、相対的に、全般的な利用者の実感として、本当に運賃は安くなっているのかなというのは非常に疑問を感じるデータしかないんですが、その辺はどうなんでしょうか。
  129. 岩村敬

    岩村政府委員 今御指摘のように事前購入割引、さらには特定便割引という形で、いろいろな割引制度が入っております。結果として運賃が非常に多様化しておることは間違いがございません。その結果として、先ほど申し上げたように、単位当たりの運賃、すなわち、お客様を一人運ぶに当たっての収入というものは下がっておるわけでございまして、その分だけ利用者の御負担は減っているわけですが、今申し上げたように、いろいろな運賃がございますので、例えば普通運賃しか利用されていない方からすると、規制緩和によって高くなったのじゃないかという印象を持たれている方がいらっしゃることは否めないと思います。
  130. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 わかりました。  普通運賃の乗車率が一・五倍になっていて普通運賃値段が上がっているということは、相対的に旅客者の感覚としては高くなったと思っている人がやはり多い、そういう傾向があるんだという御答弁だったと思います。  それで、イールドが下がっているということの中で、ダンピング云々という話がございますが、現在各航空会社、出ているダンピング、JALは三千億円以上もダンピング運賃があるというようなことを言われているようなところもありますが、そのダンピングについての認識、現状はどうなっているのか。どういう認識か。
  131. 岩村敬

    岩村政府委員 具体的に、企業が販売手数料といいますか代理店に対してキックバックをしているとか、そういううわさは我々は承知をしておりますが、それ以前に、先ほど申し上げたように、いろいろな運賃が出てきております。運賃が多様化しているということも、単位当たりの収入を引き下げている原因であろうかと思っております。  それから、午前中の質疑にもございましたが、やはり利用者に対して、運賃について、そういう不透明感を払拭するためにも、情報公開というものを今後この新しい法律のもとで進めていかなければならないんだろうというふうに考えておるところでございます。
  132. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 局長、割引運賃のことでちょっと確認しますけれども、一つは、いわゆる標準原価を上限として二五%までの下限枠、これが幅運賃制度だ、それとは別に、割引運賃は、五〇%までの割引運賃は届け出でオーケーだ、こういうことでよろしいのですね。
  133. 岩村敬

    岩村政府委員 おっしゃるとおりの仕組みになっております。
  134. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 そうすると、午前中の質問者の中でも出ていましたけれども、これは明らかに、普通運賃の五〇%以下のディスカウント運賃というのは相当町にはんらんしているのではないでしょうか。ですから、ダンピングというのは、現状、今の私が言った、局長確認していただいた運賃以下の運賃というのは、やはり基本的にはダンピングがあるというふうに考えざるを得ないのじゃないですか。
  135. 岩村敬

    岩村政府委員 制度上、一般的な代理店で買えば標準原価から二五%の間にまず普通運賃が決まり、そこから五〇%の範囲内でいろいろな割引運賃がある、それを利用者はお買い求めになるということでございますが、現実には、安売り屋さんとかいろいろあって、いろいろな運賃のものが出ていることは事実としてございます。
  136. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 事実として出ているというふうに認識していただいているのだったら、もうちょっとしっかり調査することが、ひいては安全性とか公共性を損なわないことにつながるのではないかというふうに思っております。  ちょっと角度を変えて、最近、航空三社以外に新規のエア・ドゥとかスカイマークが参入されている。例えば、東京―福岡、またちょっと値上がりするというような話もありましたが、東京―福岡で五〇%引きの一万三千七百円ですか、この運賃で始まったわけですけれども、これは普通運賃として許可されたのですね。
  137. 岩村敬

    岩村政府委員 スカイマーク、エア・ドゥにつきましては、普通運賃として設定をいたしておるところでございます。
  138. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 しかし、これは先ほどの御答弁と若干矛盾があるんじゃないのですか。  幅運賃というのは標準原価の二五%下までを認めてあって、それ以外は割引運賃として認められる、こういう制度がある。航空三社にはこういう適用がある。しかし、この新規参入の二社については、割引運賃としてではなくて、普通運賃としてそういう認可がされたというのは、どういう特殊背景があるのですか。
  139. 岩村敬

    岩村政府委員 一つには、新規の航空企業参入促進したいという観点があるわけですが、その観点から、新規航空会社につきましては、そもそも発着枠数の制限もございまして、市場占有率がおのずから限界がある、現在三便ないし四便でございますが、限界があるということでございまして、既存会社との間で不当な競争を引き起こすおそれがないと考えまして、普通運賃について標準原価以下であれば下限を設けない、そういう形で認可をしたところでございます。
  140. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それで、今回のこの法改正で、発着、混雑空港のことなんかは随分改善される。今後はどういうふうに考えていらっしゃいますか。  JALなんかも、例えば東京―福岡も半額にしたとか、そういうような、実際そういうことが望ましいのかどうかはいろいろな評価があると思うのですけれども、今後もこの新規参入のところについてはある意味では別枠として対応されていくのかどうか、その辺の見通しは。
  141. 岩村敬

    岩村政府委員 新規航空会社といいましても、既に二社出てまいりまして、これがどこまでが新規航空会社として扱われるか、これから議論するところでございますが、さらにまた、航空会社競争を求めて参入するという場合には、混雑空港について新規枠という形で一定の枠を認めることも検討したいというふうに考えておるところでございます。
  142. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 例えば、今回スカイマークが半額で出した。そこに追うようにJALが半額でやっている。スカイマークもいろいろなあれがあるでしょう、なかなかやっていけなくなって、今度また、一万六千円ですか、値上げをするという話になる。  こうしていくと、やはり資本力のある、日本航空とか、従来の大手の方が結局は勝ち残る。そして、新規参入者は逆に言うと最終的には淘汰されて、高需要のところの安い運賃設定を大手はそのまま引き続き、その反動として、他の需要が余り多くないところの普通運賃の価格がどんどん上がっていくという傾向はアメリカでもあるようでありますし、今回この法改正では上限価格制を採用していないわけですね。この辺の危険性というか、規制緩和をしたけれども、需要がある路線ではそれなりの競争原理が働いたけれども、最終的には、ローカル線、不採算路線というか、地方の路線については価格がかなりはね上がったというような話にはならないですか。
  143. 岩村敬

    岩村政府委員 これまでのようにそれぞれの路線の需給を見て参入規制していくならば、そういうことも考えられると思いますが、今後は他の路線についても参入は自由でございますので、仮に相当高目といいますか、もうかる路線となれば、他の事業者がそこに参入することを需給だけ見てとめるわけにはいかないわけでございます。参入は自由になるわけでございますから、そこで市場原理が働いて、また価格はリーズナブルなものに落ちついていくだろう、そのように考えておるところでございます。
  144. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それと、国内運賃が高い理由というのは、競争力が働かないということもあるかもしれませんが、それ以外に着陸料とか燃料税などの、公租公課というのですか、世界一高いと言われているような着陸料、この公租公課の方が、高くなっている運賃の主な原因になっているのではないか。一説によると、運賃の四分の一を公租公課が占めているというようなデータも出ているようでございます。  これは、路線によっても違いますでしょうし、国際線を持っているJALなんかはそんなに高くないと思いますが、JASとかANAとか国内線の占める率が高い航空会社の経費については、そのくらい、二〇%以上、二五%前後という話も出ていますが、この公租公課を下げて運賃を引き下げていくような方向に持っていく、そういうお考えというのはないのですか。
  145. 岩村敬

    岩村政府委員 最初に、航空運賃が諸外国に比べて高いというふうに一般的に言われておるわけでございますが、国内航空運賃につきましては、これまで進めてまいりました事業参入に係る規制緩和、さらには運賃制度の弾力化によりまして、相当程度低廉化、多様化が進んでいるのが現状でございます。したがいまして、普通運賃、それから一部の割引運賃については、諸外国並み、またはそれ以下の水準まで下がっているところでございます。  今後、航空会社において、さらに経営の効率化等を通じて、コストの削減努力によりさらなる運賃の低廉化というのが期待されておるわけでございます。  また、そのコストの中に占めております空港使用料等の公的負担でございますが、これは一つは、日本の国土が狭い、そういう土地の制約がある、したがって、地価が非常に高いとかいったこと、それから環境の問題もございます。そういった制約から空港建設コストが非常に高くなっております。そして、先ほど申し上げた公的負担というのはこういう空港建設に充てられているわけでございまして、その結果として世界的に高い水準にあることは先生指摘のとおりでございます。  一方、こういう公的負担を下げたらどうかという議論でございますが、空港使用料等の公的負担、これは空港整備の重要な財源になっております。したがいまして、今後も大都市圏拠点空港の整備が本格化すること、そんなことも考えますと、現時点で直ちに引き下げるということを言うのは難しいかと思っております。  ただ、十一年の四月から、すなわち十一年度の予算におきまして、国の管理する二種A空港等の国内線及び国際線の着陸料につきまして現行の三分の二へ軽減する措置を講じまして、これに従いまして航空運賃も引き下がったところでございます。
  146. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 世界一高い着陸料みたいな背景がありながら、割引運賃なんかはかなり世界水準に合うぐらい安くなってきたということは、当然、各航空会社もかなり強烈なコスト削減をやっているんだと思うんですけれども、そこで心配になるのは安全性が損なわれないかどうかということです。  例えば、以前いっとき話題になりましたが、客室乗務員の契約社員化というんですか、今全日空とか航空三社の三七%の方たちが契約社員になっているとか、あと、飛行と飛行の間の点検が一名になったとか、パイロットの交代なしでの十二時間乗務みたいな話が出ているとかということを聞くと、本当に市場原理の導入に伴って、過酷な競争の中で安全性というのがこういった側面で担保されているのかという心配も出てくると思うんですが、その点についての認識をお願いします。
  147. 岩村敬

    岩村政府委員 ただいまコスト面だけ申し上げましたけれども、他方日本の国内航空について言えば、諸外国に比べますと地点間の輸送力が非常に大きい、例えば東京―千歳であれば、もう世界一に並ぶ五十万人を超えるような大きな路線だということで、そういう規模のメリットも一方収入面ではあるわけでございます。そういう意味で、一概に着陸料が高いから他の部分で非常に厳しいコスト削減を行っておるとは直接にはつながらないかと思いますが、おっしゃるように、今国際的な競争の中にもございますので、各企業ともいろいろと経営の効率化を図っていることは事実でございます。  ただ、その際には安全というもの、これは各航空会社、最大の課題としておりまして、幾つか例を挙げられましたが、そういうものも当然諸外国での運用実例を踏まえながら適用しておるわけでございます。  また、今度の改正法におきましても、需給調整とかいう経済規制は緩めますが、こういう安全面については今後ともしっかりと国としても監督をしていく用意があるわけでございます。
  148. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 安全性を損なった規制緩和では何のための規制緩和かわかりませんし、ぜひ航空会社の実態をしっかり調査していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  また、今回の改正案で、運航または整備に関してアウトソーシング、業務の管理委託を認めている。これはどこまで認めるんですか。名前だけ自分たちが運航し、実際は全然違うところに行って、いわゆる丸投げという表現が正しいかどうかわかりませんが、そういうところまで認める可能性があるのかどうか、この辺はちょっとあいまいになっていると思いますので、はっきりしていただきたいと思います。
  149. 岩村敬

    岩村政府委員 今先生の御指摘のあるように、丸投げといいますか、法律上では名義貸しということで禁止をしておるわけでございますが、航空運送事業者が、その名義を他人に利用させて、その名義を使って他人がその他人の計算において航空運送事業を経営すること、これは禁止をしております。こういったものにまで今回の受委託を広げることはございません。逆に法律で禁止をしておるところでございます。  今回考えておりますのは、これは欧米でもそういう受委託が始まっておりますが、業務の管理の受委託の活用は外部資源の活用、これは世界的な大きな流れで、今申し上げたように、欧米でも既に起こっていますが、その際に、委託者の受託者に対する適切な監督は当然のことながらなされますが、他方、今回の法律整備によりまして、受託者についても直接許可という形で政府の監督を及ぼしていきたい、そのように考えておるところでございます。
  150. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 わかりました。百十三条に抵触する名義貸しは行われないということは確認されたと思います。  最後、もう時間もないので、大臣に一点だけ聞きたいんですが、例えば東京―福岡、新規参入があってかなり運賃が安くなってきた。これは利用者にとっては、ある意味では安全性が担保されていればメリットだと思うんですが、例えば佐賀空港が、昨年ですか、新しい空港ができましたね。しかし、東京―佐賀、大阪―佐賀というのは多分そんなにディスカウントされない。従来の普通運賃というか、従来より高くなった普通運賃設定されたままだ。そうなりますと、せっかくつくった佐賀空港で、佐賀空港に特定してしまうわけじゃありませんが、そういった空港で、実際はローカルの空港利用されずに、鉄道で福岡まで出てきて、福岡から飛行機を使った方が経済的にも有利だという状況になってくると、そういう傾向が出てくると思うんですね。  そういったことを考えると、空港をつくって、かなりむだな公共事業になるという危険性もはらんでくると思うんですが、その辺の部分と規制緩和の兼ね合いというのをどう考えているかお答えいただいて、終わりにしたいと思います。
  151. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 まさに御指摘のとおりだと思います。例えば、午前中の御質疑でもありましたけれども、山形に新幹線ができました。結果として新幹線の利便性の方が飛行機よりまさっておるということの中で飛行機自体が減ってきておる。いろいろ私ども、おしかりいただいておりますけれども、一つ競争原理であろうと思っております。  今の話は福岡と佐賀、福岡の方がかなり安いということになれば、少し遠くでも行くよという一つの当然の流れができるだろう。一方で、それじゃ佐賀県はどうするかというのが一つ議論であろうと思います。  県によってはさまざまな施策を展開しております。エア・ドゥにしましてもスカイマークにしても、特にエア・ドゥの場合は北海道をみんなでしっかり支えようという意識があって、実際エア・ドゥがかなり伸びてきておるというのが実態であります。そういう意味では、佐賀県自体が空港というものの必要性を感じて今日まで努力をされてきたわけですから、それを守り立てる努力、その中においてやはり競争というものが働いてくるのだろう、このように考えております。  一方で、先ほど赤羽委員から御指摘のように、少し長い目で見て離発着料を下げていったらどうか、これは投資との兼ね合いでありますけれども、今回下げさせていただいたのは、ある意味では、ある程度は飛行場の整備ができたね、余りこれから、国内向けについてはそう大きな投資をしていかない、その中で少し値段を下げていく、こういう決断をいたしたところでございます。
  152. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございました。  終わります。
  153. 石破茂

    石破委員長 次に、倉田栄喜君。
  154. 倉田栄喜

    ○倉田委員 前回のときも大臣に、いわゆる市場原理の導入に伴う問題をお尋ねいたしました。大臣のお言葉で言えば、市場原理の導入に伴う光と影の問題でございます。この航空法改正につきましても、今同僚議員からもお尋ねがありましたけれども、安全性の確保は非常に重要な問題、これは指摘するまでもないわけです。  先ほど具体的なお話もありましたけれども、市場原理を導入した場合、安全性の確保は、その分の規制は緩めませんよというお話でありますけれども、具体的にどういう形で担保をされていくのか。例えば運賃競争運航経費であるとか人件費であるとか整備経費の無理な削減につながっていく、これが事故の発生につながることはないのかどうか。また、いわゆる自社で運航し自社で整備をする、こういう従来の原則から管理、整備の委託と、いわゆるアウトソーシングという形で一つ流れができて、このこと自体が、安全管理システムという問題から見た場合、当局の方できちっと把握ができるような状況になり得るのかどうか、この管理システムそのものが不透明になっていかないのかどうか、この点は大臣、どうお考えでしょうか。
  155. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 実は私、就任して九カ月たつわけですけれども、この九カ月の間に、JALとANAの社長が私のところへ来て申しわけないと頭を下げられたというのも珍しいケースだろうと思っているんです。ちょうどスカイマーク、エア・ドゥが動き出し、そして今回、規制緩和法律を改めて出させていただいている、そういったときに、たまたま整備の問題で二社に問題が起こりました。その中で、私ども、規制緩和という一つ流れの中にあるけれども、安全という問題については譲りませんよということを明確に言わせていただいたところでございます。  やはり民間を信じるか信じないかというところがまず第一だろう。経営者というものが、安全をまず大事にしたい、この気持ちというのをやはり我々は信じたい。しかし同時に、ただ黙って信じるというわけにはいきませんから、そこのチェック機能は私どもも持ってきますよという中で、経営者の一つの判断の中で進められていく、そして、私どもは最低線を引いておくというところに、やはり今回の規制緩和の最大のねらいというものがあるだろう。国によって規制、コントロールする時代から、経営者自身が、何が一番大事かというものをまず原点に置きながら努力をしていく、従業員の皆さん方にも努力をしていただく、そして、関連会社にも御努力していただくという中で安全というものが担保されるものだろう、このように私は思っております。
  156. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今、安全という部分については譲るつもりはないというお答えであります。そういうことで許認可等の事前審査もきちっと行われるんだろうと思いますし、また、これは多分、お聞きしたことによれば、随時監視も行っていかれるんだろう、こう思います。許認可の事前審査もきちっとやる、随時の安全面についての監視も行いますよということは、安全ということに関しては国は全面的に責任を負って進めていくんだ、こういうことでいいんでしょうか。
  157. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 安全に対するチェック機能をきちっと各会社がおつくりになっていますかというところをチェックすることになるだろうと思います。私どもは一つ一つの飛行機が安全であるかチェックするという機能は持ちません。しかしながら、その会社の体制としてきちっとした、安全に対する、整備に対するマニュアルなりやり方なり、チェックできていますねと。この間は、マニュアルがありながらそのとおりやっていなかったという問題が生じた、場合によってはマニュアルがなかったという問題が生じた、そういうところで私どもは今チェックを入れさせていただいたということでございます。
  158. 倉田栄喜

    ○倉田委員 管理委託の部分、これは航空局長からもお答えいただいていいんですけれども、いわゆる安全管理等々を含めて不透明になりはしないか、この点はどうでしょうか。
  159. 岩村敬

    岩村政府委員 先生指摘のように、新規参入さらには事業拡大等の過程において、外部資源の活用、アウトソーシングが進展する傾向がございます。その際には、運航または整備に関する業務の管理の受委託におきます輸送の安全を確保するために、委託者だけではなくてその相手方である受託者の適切性についても国が直接チェックできるように、今回、新たにこの法案の中で許可制度を設けておるところでございます。
  160. 倉田栄喜

    ○倉田委員 先ほどから議論は続いておりますけれども、合理化に伴う運賃競争の非常に厳しい部分が安全性に影響することがないように、それはやはりきちんとやっていただかないといけない、こういうふうに思います。  それから、この間も、市場原理競争原理を導入することで、市場の失敗ということも申し上げました。ですから、一方で、ある目的を達成するためには、競争原理のみならず、協力をして一つの目的を達成するということも必要なのではないのか、こういうふうに申し上げたんだけれども、競争ということと協力ということはかなり難しいですね、普通に考えると。各航空会社同士が競争しながら、では、どういうふうに協力していけばいいのかということは、本当に市場原理に任せていただけでは、とてもじゃないけれども、なかなかうまくいかないんだろう、こう思います。  例えば、羽田―福岡間に参入したスカイマークの整備の問題ですね。これは報道によると、整備を委託している会社から、今二機はやっているんだそうですけれども、三機目はできないよとか、あるいは今やっていることも検討させてくれとか、そういう話が交わされているかどうか具体的に確認をしたわけではありませんけれども、そういう報道があったりします。ここもなかなか、競争しながら協力をしていくというのは難しい話なのかなということで、こういう話が出てくるのかなと思ったわけです。  機体整備等、一点とってみても、いわゆる新規参入会社が、ではどういうふうに、自分のところの施設もまだないのに、そういう安全性に伴ういろいろな要望等々をクリアしていくことができるのかどうか。そして一方で、従来の会社新規参入会社に対して、協力義務みたいなのがあるのかどうかわからないけれども、ではどういう対応ですればいいのか。さっきのスカイマークの三機目はどうなんだという具体的な問題を含めて、この辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  161. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 確かに、どこまで我々が口を出すかという話になると思うんです。前にもお話し申し上げたと思うんですけれども、NTTが民営化されて、そのときに新規の三社が出てきた。あのときに、当然市内網というのはNTTしか持っていませんから、それにつながらない限り、幾ら長距離電話が出てきても、一つも仕事はとれない。その中で、多少嫌がらせ的な話が出まして、社長同士はわかっているんだけれども、現場の方で嫌がらせと、そこに政治なり行政なりが関与したということもございました。  今回の新規の会社が出てくるに当たって、整備を既存会社が引き受けてくれるという前提の中で出てきた。しかしそれでは、どんどんふえていくのを、先ほどから議論が出ていますように、航空会社にとって安全というのは最も重要な部分ですから、その重要な部分をすべて他の会社に依存したまま、自分はどんどん営業活動を展開していくということがどこまで許されるかという話し合いなんだろうと思っております。  きょうあたりの報道を見ましても、今の話ではなくて次の話が出てくるとなると、なかなか今自分の整備体制では難しいなという話をされておるようでございます。いずれにせよ、これは両者の話し合いによって物事が進んでいくんだろう、多少値段が高くなるという話が出てくるかもしれない。また一方で、そうなれば新規の会社同士で業務提携をして、それでは我々は我々でやっていこう、もしくは外国の会社も入れて整備というものを考えていこう、こういうようなことが、いろいろなことが実は考えられるんだろうと思っております。  ただ、今は参入したばかりのところでありますから、参入したばかりのところで、ちょっと、今までやっていたけれどもという話は、できるだけ大人の話し合いを既存の会社は持ってほしいなという期待感は私は持っております。ただ余り、民間同士の話でありますので、私どもが強く介入すべきことではなかろうというように思っております。  いずれにせよ、両者間の話し合いというものを見守っていきたい、こう思っております。
  162. 倉田栄喜

    ○倉田委員 競争と同時に、全体の目的を達成するためには協力ということもまた必要ですね、こう思うわけです。同時に、しかしそれは一方で、民間の会社の中で、それぞれの競争ということを考えながらやられなければならないことだということも十分わかります。そうだとすれば、そこで出てくるのが、先ほどのアウトソーシングみたいな、例えば海外整備ということも出てくるでありましょうし、そういうことの可能性も探らなければならない。そういうふうに海外整備みたいなところまで出てくるとすれば、やはりこれは運輸当局として、きちっと随時監視しながら、安全性のチェックというのはやっていかなければならない話だと思うんですね。  そういう視点に立てば、確かにルールをきちっとつくってもらうことも大切だけれども、そのルールがきちっと守られているのか、ルールどおりの中身になって、そのとおりの運営がなされているのか、これはやはり運輸省の責任だろう、こう思いますので、大臣、そういうことでよろしいでしょうか。
  163. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 まさに外国のキャリアとの協力関係、アライアンスも国際分野では随分進むようになってまいりました。国内においても、協力できるところは協力して、いい競争が進んでほしいな、このように思っております。
  164. 倉田栄喜

    ○倉田委員 これも先ほど同僚議員から話が出ておりましたけれども、日本の航空運賃が高いという話ですね。公租公課の問題がありました。着陸料や停留料、空港使用料が高いということで、お答えの中で、我が国は地価も高いし、建設費も高いんだと。全体の交通輸送体系、ネットワーク、新しい空港もつくらなければいけないという問題があって、これはなかなかそう簡単にはいかないなというふうにお答えを聞きながら思ったんです。  しかし、一方で国際競争力という問題を考えれば、現在のままのいわゆる着陸料とか停留料でいいのかどうかということは非常に疑問に思うわけです。そうだとすれば、我が国の地価が高い、建設コストが高い、さらに次の空港整備の費用も考えていかなければならない、ここのところを考えなければいけないのではないのか。これはちょっと簡単な話ではないだろうということも、十分承知をしておるわけであります。  今、我が国空港整備特別会計、いわば、ある意味ではプール制みたいなもとで次の空港をどうするかということを考えられているんだと思うんですね。そうすると、いつになったら我が国空港整備体制が整うかという問題にも絡みますけれども、ここはやはりどこかで切り離すというのか、空港特別会計と従来の、今まで使っている着陸料とか停留料の値段というのは、ある程度来たらここはいいですよみたいな切り離しをどこかでしていかなければ、いつまでたっても、外国から見た場合、我が国の着陸料は高いですね、停留料は高いですね、なかなか簡単には日本に入ってこられませんねみたいなことも含めてあり得ると思うし、同時に、国内便においては、やはり、そこだけはどうしようもないから、ほかの部分で無理なダンピング競争みたいな話が起こってくる、こういう気がするわけですけれども、この点、どうでしょう。これは航空局長で結構です。
  165. 岩村敬

    岩村政府委員 空港使用料の件でございますが、空港整備特別会計の問題と、もう一つ、実は、国際線空港でございます成田と関空につきましては、独立した法人で、独立採算で収支をとっておるという点もございます。そういう意味で、空港整備特別会計をいじるだけでは、独立採算である関西空港、さらには成田空港についての着陸料を直ちに引き下げるという話にはつながらないわけでございます。  また、特別会計の方につきましては、これまで、全国のネットワークを整備するということで、まさに今先生指摘のようにプール制をしいて、その中で前倒しで整備を進めてきたわけでございます。  そういう中で、地方の空港につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、一定の水準まで来た、整備の費用も減ってきたということで、しからば、地方の空港でございます、国でいえば二種A空港、これについての着陸料を三分の一下げるという形で今年度から引き下げを実施したわけでございます。  また、羽田空港につきましては、容量を早く上げろということで、緊急に整備をせいということで、実は空港整備特別会計の方で一兆円を超える借金をして緊急の整備を進めているわけでございまして、今年度いっぱいで沖合展開事業を終えるというところまで来たわけでございます。  という意味からいたしますと、空港整備特別会計も、そういう羽田の過去の整備を急ぐために借り入れたもの、これの返済という問題もございますので、これまたなかなか財源を削ってしまうというわけには簡単にはいかない、知恵を出さないと簡単には、単に削れというふうにはならないということをぜひ御理解賜りたいというふうに思います。
  166. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今航空局長は、知恵を出さないとなかなか簡単にはいかない、こういう御答弁であります。大臣は、いわゆる国際的に見た場合、我が国の着陸料とか停留料は高いと一般的に言われているんだけれども、これはどうすればいい、どうお考えですか。
  167. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 公共事業費の考え方なんだろうと思っています。交通網の体系整備、例えば道路、これはバス、トラックが使うわけでありますけれども、基本的には受益者負担でございます。それから、逆に、一番純粋な公共事業でやらせていただいているのは港湾整備だろう。ここはある意味では公共事業だけでやらせていただいている。  最近、鉄道と航空というものはやはりもう少し整備を進めるべきではなかろうかという議論をいただいて、例えば新幹線の問題、航空につきましては、関空また中部国際空港、それから羽田の問題、そういう問題に対応するのに、補正予算で公共事業費、また十一年度予算でもかなりの金額を入れさせていただいている。  バランス問題だろうと思っております。新幹線だけ全部公共事業でやりましょうということでやってしまって、先ほどお話し申し上げたように、新幹線と航空は競争しているわけですから、片っ方は全部公共事業でやらせてもらって、片っ方は受益者負担でやらせていただけば、当然これはどちらかが有利になってしまう。そういう意味では、バランス感覚を持ちながらやっていかなきゃならないだろう。  しかし、運輸関係を担当いたしております私としては、新幹線にしてもこの航空の問題にしましても、もう少し交通網整備ということで、また先ほどの国際競争力という面から考えましても、一般公共事業費が使われてもいいんではなかろうかな、このように思っております。
  168. 倉田栄喜

    ○倉田委員 航空法に関して、最後に安全性についてもう一点。  空という部分に関して、これからどれくらいの新規事業者参入してくるかどうかはよくわかりませんけれども、これはあってはならないことですが、万々が一に事故みたいなことがあった場合に、その事業者の損害賠償能力というのはどういう形で担保されるのか、この点についてはどうでしょうか。
  169. 岩村敬

    岩村政府委員 先生おっしゃるように、万が一にも事故はあってはならないわけでございますが、事故が発生した場合の被害者救済の視点から、事業者には損害賠償能力が十分に備わっていることが必要だというふうに考えております。  このため、運輸省としては、事業者事業参入をする際に、当該事業者が被害者に対する損害賠償能力を有しているか否か、これについて審査をしておるところでございます。また、事業開始後において、その事業者の損害賠償能力に問題があるというようなことが判明した場合には、当該事業者に対しまして損害賠償に必要な金額を担保する保険契約を締結する、そういう事業改善命令を行うことが可能となっておるところでございます。
  170. 倉田栄喜

    ○倉田委員 それでは、残された時間ですけれども、道路運送法の一部を改正する法律案についてお尋ねをしたいと思います。  今回の法案は貸し切りバスということで、乗り合いバスとかタクシー等はまだ、次回多分準備をされるんだろう、こう思います。  ただ、乗り合いバス等については、既に今月、運輸自動車交通部会の答申が出されております。答申をこれから検討されながら、答申の方向で、いつごろになるのかわかりませんけれども、また新しい法案が出てくるのだと思いますけれども、関連すると思いますので、この機会に、前倒しの議論の方がいいと思いますので、ちょっと議論をさせていただきたいと思うのです。  いわゆる地方路線、生活路線の維持ということはずっとほかの部分でいっぱい言っています。一番身近なものとしては、やはり地方バスの生活路線の維持ですね。これは答申にも随分検討されていろいろ書いてはございますけれども、どういうふうに維持されていくのだろうかということは非常に重要な問題だと思うのです。従来は、いわば内部補助というのか、一つ事業体で、利益のあるところを利益の薄いところに回すという内部補助的な考え方で維持されてきた部分があると思うのですけれども、今回の競争原理の導入に伴って、撤退というか退出の自由というのが認められていく中で、新規参入もあるかもしれない、いろいろな形態の輸送ということがあり得る中で、内部補助というのは、もうとてもではないけれども、難しくなってくるんだろうな、こういうふうに思っております。  そうだとすれば、航空路線のところでも議論が出ておりましたけれども、生活路線の維持というのはいわば公的補助みたいな形でどうしても出てこざるを得ないのだと思うのですね。これは答申が出たばかりで、今検討が始められていくのだと思いますけれども、いわゆる内部補助が限界になったときに、バス路線、生活路線の維持というのは、維持の新しい枠組みというふうに答申の中にも出ておりましたけれども、これはどういうことをお考えになっておられるのか。あらあら大方のお話だけでも今お伺いできればと思います。
  171. 荒井正吾

    荒井政府委員 従来のバス路線の維持が、内部補助で行ってきたということが難しくなってきたことは御指摘のとおりでございます。  今後の需給調整規制を廃止した後の生活交通の確保についての考え方でございますが、答申を踏まえて具体的な措置をするべきでございますが、考え方といたしまして、まず本当に必要なバス交通がどのようなところにあるのか、どのようなバス路線が必要か見きわめを行ってもらう。次に、地域によりましては、路線バス以外に乗り合いタクシー、スクールバス、福祉バス等の輸送手段があるところがございますので、統合するなり活用を図るなりの効率的な輸送形態を探ってもらうということでございます。  さらに、事業者の経営効率、創意工夫の促進を図った上で、その上でなお必要である、しかし、赤字であるというような路線につきましては、必要な公的補助を行うべきであるということでございます。その際の公的補助は、地方公共団体が中心となって、国と協力して行っていくというふうな答申でございます。  その線に沿って措置を検討してまいりたいと思いますが、さらに必要な措置あるいはそういうことを協議する場として、都道府県が中心となりました、あるいは国、関係市町村が参加いたしました地域協議会を設置して協議を進めるということでございまして、大変有力な手段ではないかと考えております。
  172. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今お答えいただいたのですけれども、大臣、いわゆる生活路線の維持ということについては公的補助は必要だ。ただ、今お答えの中で、その補助のあり方については、これからは地方公共団体が中心になっていくのではなかろうか、地域協議会を通じて検討しなければならないんだというのが今の局長のお答えであります。  そうしますと、いわば財源になるんだと思うのですけれども、財源や役割ということも問題だと思うのですけれども、いわゆる生活路線の維持という側面から、国そして地方公共団体、生活路線ですので地方公共団体が中心であるという話になってくるんだと思いますけれども、どこまで国がやれるのか、あるいは地方公共団体が全面的にやらなければいけないのかどうか、これはやはり、路線そのものを維持できるかどうかということにもかかわって、非常に大きな問題だと思うのですね。  大臣は、国と地方公共団体の補助の役割のあり方あるいは関与のあり方、これは地方公共団体が中心になるべきである、こういう方向みたいなことでありますけれども、その辺はどうお考えですか。では、国はもう後ろに引くというふうな話になるのでしょうか。
  173. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 これはまさに来年法案を出すときの最大ポイントになるんだろうと思います。現実に生活路線と言われるものがどのくらいあるか、それを全体的に維持していくためにはどのくらいの経費がかかるのか、これを私どもはまずしっかりつかまなければいけないだろう。その中においてどういう役割分担になっていくかという議論であろう。  ただ、私ども、自治省という役所と話をしていましても、やはり地方分権の時代先ほど実はタクシーについて、そろそろもう許認可まで地方におろしたらどうだという御提言も一部いただいたわけでありますけれども、そういう意味では地方分権の中でこういう問題も地方自治体が受け皿になっていくべきではないだろうか、この議論は自治省内部の中にしっかりあると私は思っております。  ただ、一方で、国の責任というものを放棄するわけではない。したがって、先ほど協力というお話をいただきましたが、まさに私どもと自治省が協力し合いながらどのくらいの財源を確保して生活路線を維持していけるか、これが来年出させていただくときの最大ポイントになるし、しっかりやらなきゃならないと思っております。
  174. 倉田栄喜

    ○倉田委員 来年出されるということでありますけれども、これは十全に情報公開もしていただきながら、生活路線は維持をする、こういう視点に立って、地方も十分やれる、そういう内容でやっていただきたいと思うわけです。  同時に、生活路線の維持、地方が主体となっていくという場合、今、官と民の関係の議論もあるわけでありますけれども、いわゆる地方自治体が主体的に運営をしているバス、電車もあるのかもしれませんけれども、特にバス、これは特に民間と競合しているようなところ、民間でも同じ路線を走っていて、一方で地方公共団体が運営主体の路線も同じように走っている、こういうのはどのくらいあるんでしょうか。現状、どんなふうになっているのでしょうか。
  175. 荒井正吾

    荒井政府委員 公営バス事業者の民間バス事業者との競合の状況のお問い合わせでございます。  全国でいわゆる公営バス事業者は四十八社ございますが、都市を中心に走っております車両数三十以上の事業者は三十二社でございます。  その競合状態でございますが、都市によってさまざまでございまして一概には言えないということでございますが、東京都におきましては、都心部を東京都営がいたしまして、周辺部を民営が受け持っておる。あるいは、横浜などにおいても、ある地域を、ターミナルを中心にして民間がやる等の地域のすみ分けが行われておる状況でございます。都市ごとに少々の色分けがございますが、いわゆる競合の程度は、都心部は公営が持って周辺部がターミナルを中心に民間事業者が持つというような形態が一般的でございます。
  176. 倉田栄喜

    ○倉田委員 これは基本的な方向、方針大臣はどうお考えになるのか、お尋ねできればと思うのです。  今のお答えでは、都心部を公営でやって、周辺部を民営でやっている。中には同じところでも競合しているところがあるんだと思うのですね。そうすると、いわゆる公営でやらなければならない理由、民間がやれる、民間に任せてもいいのではないのかということは議論がずっとあるわけですから、なぜ競合しなければならないのか、競合部分の場合ですよ。  それから、さっきの話ですと、都市の方が利用者が多いのではないのかな、そうすると、こっちの方が運営は楽なのかなという気もしないでもない。一方で、いわゆる公共団体、公共性ということに着目して言うならば、まさに不採算路線、これはトータルとして問題になってくるわけですけれども、民間ではとてもやれない不採算路線だ、しかし、やはりその必要性があるから公的補助でやろう、公共団体であれば公租公課の負担もないわけだから、何とかやっていける部分もあるのではないのか、こういうことがあると思うのですね。  そうだとすれば、採算路線というのは基本的には民間にやっていただいていいのではないのか、そこで民間と一緒に競争する必要はないのではないのかという思いもしてならないし、公共団体としてはまさに不採算路線、公的補助のもとで、これは民間では不採算路線でとてもやっていけないけれども、ネットワークという体系から必要性がある、だから、国民の皆さんの税金を使わせていただくのですよ、こういう説明もできる。だから、いわゆる競争条件という問題からすれば、公租公課の負担もなくしていただいてやっと維持できるのですよ、こういう一つ説明になり得る、こう思うのですね。  そういうふうな視点に立つならば、これから、公共団体が運営する、あるいは主体性を持つ路線というのは、私は民間でやれるところは民間にやっていただいたがいい、どうしてもやれない部分を主体的にやったらいい、こういうふうにも思うわけでありますけれども、その点、基本的に大臣、どうお考えになりましょうか。公共団体でもさっきの内部留保じゃないけれども、もうかるところでもうけてほかのところに回すのだという考え方に立っているのでしょうかね。大臣、いかがでしょうか。
  177. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 基本的にはまず地方自治体の判断にゆだねたいと思っております。これはまさに自治の話であろう。  ただ、御指摘の、例えば都心部を官がやっていて、民はもうからぬ外をやっているという状態があるとすれば、当然、民は今度は規制緩和の結果としてもうかる部分に入ってくる。そして、民の方が効率がよければ、また市民の期待というものも高ければ、当然そちらへシフトして、競争の結果、官は要らないという時代が来るかもしれぬなと思っております。  また一方で、現実に競争している中において、片一方では公租公課がない、片一方は税金を払わなきゃならぬ。ハンディをしょったままの戦いになっているではないか、こういう御指摘もあるだろうと思うのです。そこは、それではもうからぬところだけは全部官がやりなさいとなると、これは郵便貯金や郵便の話でいろいろな議論が出ておりますとおり、やはり一体性の中で官が持っておるわけですから、もうからぬ部分だけをやれというのには、私も必ずしも賛同はしないと思っております。  ただ基本的に、民が出てきたときに、官が例えば補助金とか、公租公課がないということを一つの長所として、先ほどから議論しております、民よりうんと安い値段をぶつけてきて民が競争できなくしてしまう、そういうことはあってはならぬな、こういうふうに思っております。官といえども民といえども、競争を通じていいサービスが国民に提供されるということを期待してまいりたいと思っております。
  178. 倉田栄喜

    ○倉田委員 時間が来ましたので、終わります。
  179. 石破茂

    石破委員長 次に、岩浅嘉仁君。
  180. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 自由党の岩浅でございます。  五人目でございますので重複する部分があるかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  まず、貸し切りバス事業参入規制緩和について、数点お伺いをいたしたいと思います。  私は四国でございますけれども、昨年の四月に明石海峡大橋が開通しまして、徳島県でも入り込み客、観光客数が大幅に増加をしておりまして、地域のばらつきはありますが、阿波十郎兵衛屋敷なんかですと、前年度比二〇〇%以上の観光客が入っておりますし、また、数日後、五月一日には、しまなみ海道も開通するということで、過疎地の四国全体を考えましても観光需要等の地域活性化効果が期待されているところであります。  このような時期に、貸し切りバス需給調整規制の廃止により事業活性化、多様なサービスの展開がなされるならば、その相乗効果が期待されておると私は思っておりますが、反面、全国的に貸し切りバス需要が大きく落ち込んでいる現状での規制緩和には、十分な効果が期待できるのかと危惧する向きもあるわけでございます。  そこで、先日、四月九日、運輸政策審議会から乗り合いバス及びタクシーの活性化と発展を目指してという答申が出されたところでありますが、今回提出されている貸し切りバスについての規制緩和法案は、乗り合いバス、タクシーの規制緩和とも密接な関係があるわけでございます。乗り合いバスやタクシーとあわせて提案してもよかったのではないかと思われますが、今回、貸し切りバスだけを切り離して提出する特別な理由は何であったのか、伺っておきたいと思います。  さらに、貸し切りバスに関する昨年の答申では、バス、タクシー答申の審議過程で貸し切りバス答申との間での調整を図ることが必要となる可能性もあり、今回の答申に基づく措置については適切に対応すべきであるとされておりますが、バス、タクシー答申が出された段階での調整の必要、これをどういうふうに考えておられるのか、まずお伺いしておきたいと思います。
  181. 荒井正吾

    荒井政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点目でございますが、貸し切りバスの法案を先に提出した理由いかんということで、経緯でございます。  運輸省は、平成八年十一月に、交通事業全般についての需給調整規制を原則として目標期限を定めて廃止するということになったわけでございますが、その際、貸し切りバス事業におきましては平成十一年度までに措置するということになったわけで、一方、乗り合いバス事業、タクシー事業につきましては、需給調整規制の廃止に当たりまして大きな課題が残されておる。例えば生活交通の確保方策、輸送安全確保方策、利用者の保護方策について大きな問題があるという現状でございますので、乗り合いバス、タクシーについては平成十三年度までに措置すればいいということでございました。そのスケジュールに沿って今回、貸し切りバスについてまず法案を提出したという次第でございます。  一方、運輸政策審議会の貸し切りバスに関する答申におきまして、バス、タクシー全体との関連を念頭に置いて適切に対処すべきだと指摘されました事項でございますが、それは、特に輸送安全確保につきましては、バス、タクシー、乗り合いバス、貸し切りバス、共通する施策があるのじゃないかということでございました。輸送安全確保につきましては、トラックも含めて、現在、運輸技術審議会において自動車運送事業者安全確保の方策ということが審議中でございます。  今回の法改正におきましても、措置可能なものはできるだけ早く対応すべきだという点はあろうかと思いますが、その点につきましては、運行管理者権限明確化という点につきまして、これは貸し切りバスだけではなく、乗り合いバス、タクシーを含めた共通事項として措置を法案に盛り込ませていただいておるところでございます。  乗り合いバス、タクシーの安全措置につきまして、今後、貸し切りバスも含めた所要の措置について現在検討中でございますが、乗り合いバス、タクシーの法案提出の際には、貸し切りバスの安全措置の充実ということも含めて御議論、御討議、御判断を願いたいと考えておる次第でございます。
  182. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 今回の改正案では、貸し切りバス事業への参入に当たっては、需給調整規制が廃止されまして、輸送の安全や事業適切性確保等の観点から見た基準により参入を許可するものとされておりますが、需給調整以外の審査基準については現行法と比べてどうなるのか。また、事業計画審査においては、最低車両数規制、営業区域規制は引き続き残されておりますが、これらの規制を引き続き存続させる理由は何かということを伺っておきたいと思います。
  183. 荒井正吾

    荒井政府委員 お答え申し上げます。  貸し切りバスの今後の審査基準でございますが、貸し切りバス運行形態といたしまして、大変遠方に行かれる、あるいは早朝、深夜の発着、帰着ということがありますし、夜間運行などもございますので、安全につきましてはとりわけ重要な審査事項でございます。  現行の輸送安全確保に関する事項につきましては引き続き定めるということを想定しておりますが、さらに詳細な審査基準について、この法が成立後、具体的なルール確立したいということでございます。その際も、輸送安全確保が十分に担保されるようなことを念頭に置いて、当然でございますが、ルールを定めたいと思っております。  さらに、最低車両数規制、営業区域規制につきましては引き続き残されておるわけでございます。最低車両数につきましては、運行管理、整備管理、事故発生時の対応等が適切に行われる必要がございますので、その際には、事業規模を確保するという観点から最低車両数規制を行う必要があるとされておるものでございます。  また、現在の事業区域規制でございますが、輸送安全確保観点から、自動車の営業所への帰属性ということ、その際、運行管理の適切な実施を担保するということから、営業区域を各県単位ごとに置くというような考えで引き続き存続させることになっておるものでございます。
  184. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 貸し切りバスの契約形態を見ますと、利用者貸し切りバス事業者との直接契約によるものは少なく、旅行業者と貸し切りバス事業者との契約によるものが大半でございます。平成六年度の数字では、貸し切りバス事業の営業収入のうち旅行業者扱いによるものの比率は全国平均で七七・五%に達しておりまして、特に沖縄や九州では九〇%近い数字になっております。実態的には貸し切りバス事業者旅行業者の下請の立場にあることが多いと思われます。  今回の改正では、運賃料金設定変更については、これまでの認可制から事前届け出制変更されることになっておりますが、確かに、サービスの多様化という観点から考えますと、運賃料金についても規制緩和時代流れである、これは私も異論はないところでございます。  しかし、現在の認可制のもとでも、上下一五%の範囲内で決定する幅運賃制がとられてはいるものの、現実には下限の一五%は当たり前で、さらにそこからのダンピングが横行しており、認可運賃とは名ばかりというのが実情と伺っております。特に長引く不況により貸し切りバス需要が落ち込んでいることに加え、旅行会社のセット商品の値下げによる貸し切りバスコストの削減が事業者への値下げ圧力となっておる。  こうした状況考えますと、認可運賃から届け出運賃への変更貸し切りバス事業者立場をますます弱いものにするのではないかと懸念されておりますが、どうお考えになっておるか。少なくとも、事業者基準運賃を決める際の参考指標となるような適正原価を地域ごとに示すべきではないかと思いますが、この点、いかが考えておられますでしょうか。
  185. 荒井正吾

    荒井政府委員 貸し切りバス運賃のお問い合わせでございます。  貸し切りバスの契約形態、旅行業者との関係の契約が大変多い実情にあるのは今御指摘のとおりでございます。  その際、運賃設定でございますが、貸し切りバス需要が季節とか曜日の波動が大きかったり、需要が多様でありますので、基本的には事業者が弾力的な運賃設定する必要があろうかと思います。そのために、認可制というかたい運賃制度から事前届け出制に改めることが、利用者保護や公正な競争促進あるいは需要にマッチした運賃の弾力的設定ということが可能になるものと考えております。  ただし、需要の波動が著しいという反面、著しく高い運賃設定されたり、ダンピング運賃設定が行われるというような可能性もございますので、問題のある運賃設定に対しては運輸大臣変更命令を行うことができるということとしておるところでございます。  その際、日々変動するマーケットに適応した運賃を定める際の参考指標となるような指標を公表することはどうかというお考えでございますが、大変有力な、有効な考え方ではないかと拝聴した次第でございます。特に、事業者がマーケットの状況がわからない、情報が入手できないような事情にあることも結構ございますので、運賃設定の参考指標になるようなデータの収集と公表について、今後前向きに検討を行っていきたいと考える次第でございます。
  186. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 ぜひ参考指標というものを考えていただきたい。前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  次に、貸し切りバス事業者は、一部大手を除いてほとんどが中小企業でありまして、単に参入規制を廃止して認可運賃を廃止するだけでは、業界全体として競争原理のプラス効果が十分にあらわれるのか不安も残ります。経営の不健全化や安全規制等を遵守しない事業者の増加を招き、その結果、利用者安全確保に重大な問題も生じかねないのではないかと思います。  事業参入後の安全確保と適正な事業運営や利用者保護について、これまで以上に体制の強化が必要と考えますが、この点についてどうなっておるのか、伺いたいと思います。  また一方で、貸し切りバス業者にとって公平な競争が可能となり、その経営努力が報われるような環境整備が必要でございます。そのためには、まず旅行会社貸し切りバス事業者との関係是正が図られなければならないと思います。答申の中でも、「両者間の話合いの場を設けることにより、直接の利用者である旅客の立場に立って協議が進められることが必要」とうたわれておるところでございますけれども、具体的に話し合いの場としてはどのようなものを想定されておるのか、伺っておきたいと思います。
  187. 荒井正吾

    荒井政府委員 大きな問題を二つお問い合わせでございます。  第一点の規制緩和後の安全の確保、安全体制の充実ということでございますが、貸し切りバスは、ある面、遠方に、なれない道、地域を旅行する、あるいは往々にして予定変更があるといったこと、さらに、事故が起これば大事故になるという可能性がございますので、用心しなきゃいけない運送事業であろうかと思います。  先ほど申しましたように、運輸技術審議会で事業用自動車の安全対策を検討しているところでございます。例えば事故多発運転者のチェックと特別研修を行うとか、事故多発傾向のある事業者についての特別監査を実施するとか、あるいは事故全体の減少目標を何かの形で置く、地域の事故減少目標を置くとか、あるいは技術的なことでございますが、運行記録をとるためにデジタルタコグラフというような新しいものを義務づけるとか、運行最高速度の管理を徹底するとかいろいろなアイデアが現在審議会で出されております。有力な意見かと感じておる次第でございます。  さらに、どのような形で導入可能かどうか、今後検討いたしまして、また法改正の形でお諮り申し上げたいと考えておる次第でございます。  第二点目の、貸し切りバス事業者の経営努力が報われるような環境整備、特に旅行業者との関係是正というお問い合わせでございますが、貸し切りバスの適正な利用確保するためには、貸し切りバス事業者旅行業者の両者の話し合いの場を設けるということが従来から提言されておりますが、必要なことだと考えております。両者間の橋渡しを検討して、懇談会のような形で意見交換が行われるよう措置ができたらと考えておるところでございます。
  188. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 最近、いわゆる白バスが低運賃を売り物にして横行しております。昨年秋には宇都宮で、アルバイト運転手五人を雇い、大型バス一台とマイクロバス四台を使って一千万の荒稼ぎをしたという悪質な事例が発覚をしておりますし、また明石海峡大橋観光でも、ことしの一月に、十社が違法営業で兵庫県警の家宅捜索を受けております。こうした例は全国でも枚挙にいとまがないと思いますが、貸し切りバス業界でも経営を圧迫するものとして大きな死活問題となっております。  無論、利用者安全確保観点からも大きな問題であり、一たん大きな事故が起きますと、補償問題等で、利用者にとって取り返しのつかないことにもなりかねません。実際、ことしの一月には千葉県の白バスによる初もうでツアーが事故を起こしております。白バス営業の実態について、運輸省としてどのように把握しているのか、伺っておきたいと思います。  また、今回の規制緩和事業への参入が容易になるのでありますから、こうした違法営業はなくなっていくはずでなければならないわけでございますが、この点どう考えておられるのか、伺いたいと思います。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
  189. 荒井正吾

    荒井政府委員 いわゆる白バスの実態把握、対処の状況でございますが、例えば平成九年度に白バスの監査をいろいろいたしまして違反の摘発をした状況でございますが、処分の件数が百三十二件、うち車両停止四十一件、レンタカーの許可取り消し九件といったような実態でございます。その前提として、監査件数、約六百件の監査をしております。そのうち五百三十六件がレンタカー関係というような実態把握をした状況でございます。  ただ、現実の白バスによる貸し切りバス系類似行為は把握できない実態の運行もあろうかと思っております。このため、従来から、警察当局等関係機関と協力して取り締まりの強化に努めるとか、日本バス協会等関係団体に対して広報活動、巡回指導による監視を充実させるとかということに努めておる次第でございます。  なお、今回の規制緩和により、いわゆる貸し切りバス事業者事業への参入が容易になりますので、一般的には白バスの減少、営業バスとしての許可ということが行われるものと考えておりますが、いずれにしても、貸し切りバス運行実態からして、大変遠くへ行ったり、見知らぬ道を走ったりということでございますし、白バスについては安全の体制について不備な点がございますので、今後、自家用車両の営業類似行為については厳正な処分等の対処を行っていくべきだと考えております。
  190. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 このような白バスによる違法営業が続くならば、せっかくの法改正が意味を持たなくなるわけでございます。改正法施行後は現在よりも数段厳しい取り締まりを行っていく必要があると思いますが、警察当局考えも伺っておきたいと思います。
  191. 柴田健

    ○柴田説明員 いわゆる白バスによります違法な運送行為につきましては、輸送秩序を乱すのみならず、乗客の安全確保観点からも問題がございますことから、警察といたしましては、この種事案の防止のため、運輸当局等の関係行政機関と連携いたしまして道路運送法違反として取り締まりに努めているところでございまして、平成六年からの五カ年で三百五十二件を検挙しているところでございます。  なお、先ほど先生が御指摘なさいました明石海峡大橋に係る白バス事件でありますが、兵庫県警におきまして、本年一月からこれまでレンタカー会社など二十六社を捜索いたしまして、レンタカー会社社長など十五人を逮捕し、現在なお継続捜査中でございます。  今後におきましても、違法行為に対しましては厳正に対処してまいる所存でございます。
  192. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 次に、過疎地域における交通手段の確保という観点から、一つお伺いしておきたいと思います。  過疎地域における公共交通サービス確保は、特に高齢化社会の本格化に伴い、ますます重要な課題となってまいります。先般の答申では、地方分権の推進を前提に、地方公共団体が、地域の足の確保や町づくりの観点から、必要な方策を主体的に講じるとの方向性が示されております。次期の国会で本格的な審議がなされることになっておりますが、私の地元では、第二種生活路線で百六十二系統、第三種生活路線として二十四系統が国の運行補助対象となっておる一方で、過疎地では約百系統の廃止代替バスが県の補助により運行しており、地域住民の貴重な足の確保をしております。  今回、貸し切りバスへの参入が容易になったわけでありますから、貸し切りバスによる乗り合い運送の許可の弾力化を行い、地域住民の足を確保するための手段として、いわゆる二十一条バスをもっと活用していくのも一つ選択だと思いますが、これを含めまして、その他に運輸省として具体的な施策を考えておられるかどうかをお伺いいたしたいと思います。
  193. 荒井正吾

    荒井政府委員 過疎地域におきまして乗り合いバスが地域の足になっておるという話を聞きますと、大変うれしく思う次第でございます。その中でいろいろな工夫によって地域の足を確保するという試みが、微々たる努力かもしれませんが、行われてきたわけでございます。  今度の規制緩和ということを踏まえますと、さらに地域の足の確保の手段の多様化、効率化あるいは統合化ということが必要かと思われます。乗り合いバスを活用するとか、スクールバスを住民の足にも利用するとか福祉バス、病院バスの運行効率化するとかといったことを実行されている地域もございますので、そのようないい例を各地域に植えつける努力が必要かと思っております。  その植えつける場として地域協議会というものを設置して、現実的な輸送形態を選択、工夫をしてもらうということも考えておりますが、法規制の対応につきまして、先ほど道路運送法二十一条の許可による貸し切りバスの活用というのは現在行っているわけでございますが、今後の法規制の対応については法的な観点の詰めが必要かと思いますが、より現実的な法的な対応ができるように、その面でも工夫を凝らしていきたいというふうに考える次第でございます。
  194. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 貸し切りバスにつきましては終わりまして、航空法改正でございますが、まず大臣に大まかに伺っておきたいと思います。  今回の航空法改正による一連の規制緩和策を我が国の航空行政全体の中でどのように位置づけておられるのか、伺っておきたいと思います。
  195. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 航空の認識でございますけれども、まず需給調整、業界秩序、その中で育成段階というものがあったと思っております。これは、我々の認識として終わったであろう、したがって、次の段階としてやはりだんだん競争環境を整えていく。先ほどからスカイマークとかエア・ドゥの話が出ておりますように、料金が低廉化をし、サービスの質もふえてきたと言えると思います。そして、今日の、今御審議いただいております規制緩和の法案を出させていただいているところでございます。そういう意味では、より規制緩和をして、民間の会社競争によっていいサービスの提供が行われるということを期待しているわけでございます。  ただ、規制撤廃でありませんので、そこは緩和ということで、ある意味では途中段階かもしれません。まだまだ次に議論しなければならない問題も出てきておると思いますけれども、私どもやはり、規制緩和による光と影がある、影の部分が強く出てくるということはあってはならない、したがって、そこはやはりセーフティーネットはある程度かけておかなければならぬだろう、このように思っております。  そういう意味では、今回の影の対策として、先ほどから議論しておりますように、混雑飛行場スロットをどう配分していくか。一つは、競争に新しい会社が出てきてほしいわけですから、新規会社に優先的に配分をするということをやります。もう一方で、やはり全体的なネットワークを維持していただいている会社というものに政策的な枠というものを与えていって、そして路線というものが維持できる、全体の航空ネットワークが維持できるという体制をつくりたいと思っております。それから、競争の結果、いい結果が出ればいいわけでありますけれども、競争の中でかえって独占になってしまうということもあり得る。その中で略奪的運賃に対する変更命令というものを出させていただいて、それによって利益を得よう、要は、相手を押し出すことによって利益を得ようということについては、少し歯どめをかけさせていただいているところでございます。  やはりこれから大きな課題として、東京周辺、大阪周辺、いい競争が進むためには、その期待というものにこたえるだけの航空インフラというものができ上がっていかなければならない。そういう意味では、インフラ整備というものをしっかり私どもしていかなければならぬというふうに考えております。  それから三番目は、まさに、そうはいっても、やはり離島航路等影の部分が出てくるだろう。そこには財政面での支援をしっかりしていかなければならぬな、このような考え方で提出をさせていただいております。
  196. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 次に質問をしようと思っておったのですが、大臣から懇切にお答えをいただきまして、ありがとうございました。  スロットの割り当て等、大変厳しい問題があろうと思いますが、一つ、今回の法改正では整備の受委託の許可制度が創設されますが、現行法でもスカイマークやエア・ドゥがJAL、ANAなどに整備を委託していることとどう関連するのか。また、この改正によりさらに委託が容易になる等の改善が行われるのかどうか。さらに、整備委託について、JAL、ANAなど既存事業者の株主の立場からは、このような支援を行うことについて問題があるという指摘もありますが、運輸省としてはどうお考えになっておるのか。国際競争力強化のために航空会社が共同して整備受託会社をつくってはどうかというアイデアもありますが、これも含めて御見解を伺っておきたいと思います。
  197. 岩村敬

    岩村政府委員 三点御質問がございましたが、まず第一点目の、スカイマーク、エア・ドゥが現在、日本航空そして全日本空輸に対してその整備を委託しておるわけですが、これが今回の改正法の中にあります管理の受委託に当たるのかどうかという点でございます。答えから申し上げますと、当たらないという状況でございます。  すなわち、スカイマークやエア・ドゥが現在、行っております整備の委託は、その具体的な整備内容そして作業手順をスカイマーク、エア・ドゥがみずから決定しております。そして、日本航空、全日空はその指示どおり整備作業を実施しているということでございますので、今回の法改正で許可の対象といたしております整備業務の管理まで含めた受委託には当たらないわけでございます。  ただ、今回の法改正によって、運航やこれに伴う整備を、今申し上げた業務の管理まで含めて受委託する、そんな形態が出てくると想定されるわけですが、そういった場合には、安全性が確認されて許可が受けられれば可能となります。したがって、これまで以上に外部資源を活用することによりまして新規参入が容易になるというふうに考えておるところでございます。また既存の企業についても、その事業の展開の柔軟性が増すことになる、そういうふうに考えておるわけでございます。  それから第二点目の、既存の航空会社が新規の航空会社から整備を受けること、これが既存企業の株主の立場から問題があるんじゃないかということの御指摘でございますが、こういう御指摘があることは私も聞いておるところでございます。まさに、既存会社が整備受託をするかどうかにつきましては、基本的に民間企業間の契約に係る事項でございまして、他の商行為と同様に株主の立場も配慮されてしかるべきだというふうに考えるわけでございます。こうした点も含めて、既存業者そして新規業者の間で十分話し合う必要があるというふうに考えております。我々としては、本件については、公正な競争確保の見地から関心を持って見守っているところでございます。  それから第三点目の、国際競争力強化のために航空会社が共同して整備受委託会社をつくることについての御質問でございますが、この点については、既に、一部ではございますが、実施している例がございます。日本航空、全日空それと日本エアシステムの間で整備の共同化を、実は三社が同じように持っておりますボーイング777型機、トリプルセブン機でございますが、これについて、導入当初より仕様の統一をまず図っております。それから、エンジン、装備品に関する整備の分担、部品補給に関する貸与協力、故障対策に関する情報交換等の技術協力を行っておるわけでございます。  今後、航空事業への参入が容易化された場合には、競争促進により航空会社はさらに効率化、コスト削減を進めていくことになるかと思います。その際には、整備の規模の利益というものがあるかと思いますので、そういった視点から、整備の共同化の動きも進むものと予想されておりますが、国がきちっと守らせるべき安全の確保という点についてはきちっと適切な対応をしていく、そういう考えでおるわけでございます。
  198. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 運賃のことなんですけれども、競争原理により運賃が下がることは歓迎いたしますけれども、過激な安売り合戦になりまして航空会社の経営上深刻な問題を生じることがあるならば、かえって大きな問題、重大な支障になることもあります。アメリカの航空ビッグバン以来二十年の歴史に見られるように、一時的には新規参入が相次いだものの、競争に敗れた事業主が撤退して、結局は大手による寡占化が進み、逆に運賃の上昇につながるというケースもあり得ます。  四月二日の新聞報道によりますと、スカイマークやエア・ドゥの格安運賃に対し、大手三社が対抗的な大幅値下げをした。また、きのうきょうの新聞では、七月にスカイマークは値上げし、他の大手も追随する。これは大臣のおっしゃる影の連鎖になると思いますけれども、先般、この大手三社の対抗的な大幅値下げについて、公正取引委員会が独占禁止法に抵触するおそれがないかどうか調査を始めたと報道されておりますが、そういう事実があるのかどうか。  我が国でも規制緩和を推し進めるに当たり、アメリカの経験というのを十分生かしていかなければならないと思いますが、運輸省または公正取引委員会として今回の一連の動きをどう考えておるのか。  そして、改正法では運輸大臣運賃変更命令規定が設けられておりますが、具体的にどのようなケースで発令されるのか、伺っておきたいと思います。
  199. 山田昭雄

    ○山田政府委員 四月二日の新聞報道を私ども承知しているわけでございますが、独占禁止法の違反の疑いがあるということをもって調査を開始した事実はないわけでございまして、本件に対します私どもの考え方を少し説明させていただきたいと思います。  スカイマーク等の二社が低価格で参入したことに対しまして、既存の大手三社が割引運賃設定した、こういったことにつきましては、新規事業者参入により大手三社の搭乗率が低下する等の事態に対応するための競争対抗的な行動、先生御承知のとおり、ミーティングコンペティションとアメリカでは言われていますが、そういった面もあり、その点に関する限り、直ちに独占禁止法上問題があるというふうには考えておりません。  他方、大手三社の割引運賃設定などの行為によりまして新規参入事業者が市場から排除されるような効果が生ずる場合には、その意図、行為の態様いかんによりまして独占禁止法上問題となり得るものでありまして、今後とも、市場における関係企業の行動や競争の推移、こういったものを十分注視してまいりたい、このように考えております。また、運輸省ともよくその事実関係等につきまして、いろいろお話も伺ってまいってきておりますし、また今後ともまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  200. 岩村敬

    岩村政府委員 御指摘のとおり、スカイマークやエア・ドゥが既存の航空会社の普通運賃に比較いたしまして低い普通運賃を提供したということは、これまで進めてまいりました競争促進政策の一つの成果かなというふうに思っておるところでございます。利用者は、運賃が下がったことについて歓迎をしておるところでございます。  他方、こういったものに対して三社が引き下げをしたことをどう考えるんだということでございますが、これは競争の結果として行われておるわけでございます。ただ、その際に、単に運賃ということだけではなくて、やはりサービスとかそういったことも含めて、よりよい競争、そして、それによってより利用者の利便が向上する、そういうことを我々は期待をしている。すなわち、横並びで運賃を下げるだけではなくて、やはり独自の創意工夫と、利用者に喜ばれるような運賃それからサービス形態、そういったものを提示していくということが我々は望ましいというふうに考えておるところでございます。  それから、運賃について、極端に安い運賃等々が出てきた場合の問題点でございますが、例えば不当に差別的な運賃設定するとか略奪的な運賃設定する、こういった場合については、今回の法改正の中で、個別の状況によって変更命令を発動することができるようになっております。こういったことをして、今申し上げたような、例えば新規の事業者を排除してしまうような略奪的な運賃、そんなものが設定されないように監視をしていきたいというふうに思っております。  また、運賃が多様化しております。そういったことから、やはり利用者が多様化した運賃の中から自由に、またかつ適切選択ができるようにするためには、情報公開の充実が必要であるというふうに考えております。今度の法律改正ができましたら、その具体的な方策について、有識者から成ります懇談会を開催して、具体的な情報公開の仕組みを検討して、つくり上げてまいりたいというふうに考えております。
  201. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 最後に退出規制見直しについて伺いまして、御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。  ドル箱路線と言われる幹線路線の収益によって不採算の地方路線が維持されておるというのが現状でありますが、今後、競争激化により、こうした不採算の路線、つまり、地方路線からの航空の撤退が相次ぐことが危惧されております。私の地元でも、明石海峡大橋開通に伴う利用客の減少により、JASが伊丹―徳島路線を休止いたしております。今後、こうした動きに拍車がかかるのではないかと大変心配をいたしております。  特に離島路線の廃止は、先ほど大臣からも若干答弁をいただきましたが、離島にとっては死活問題でございます。従来は、実態上、地元等の関係者により協議が行われ、場合によっては適当な助成策が講じられた後で初めて休止や廃止が行われたわけでございますが、改正後は、このような手続もなく、六カ月前に届ければ航空会社の一方的な判断で廃止が可能となるのか、そういう心配があるのかないのかだけ伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  202. 岩村敬

    岩村政府委員 参入が自由になるということの裏返しとして退出も自由になるわけでございますが、特に離島路線のように、地域の足となって、必要な、欠くべからざる路線につきましては、一般的にはその退出の二カ月前に届け出をすれば退出ができるわけでございますが、こういった路線につきましては六カ月前に届け出をさせる。この期間内において、地元におきます離島路線の維持、活性化に関する検討を行うための協議会、こういうものが設けられて、その場でいろいろ議論をする。すなわち、退出した後の代替交通機関をどうしたらいいか、ほかのかわるべきエアラインは要るのかどうか、さらには補助といいますか、支援の仕組みがあれば残れるのかどうか、そういったいろいろな議論をする。  一般の退出と違いまして期間を置いておりますので、その間に路線の維持のための適切議論がされ、その路線を即座にやめてしまうとか地域が突然足を奪われるというようなことがないように努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  203. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 終わります。
  204. 武部勤

    ○武部委員長代理 次に、平賀高成君。
  205. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、道路運送法改正案について質問をいたします。  貸し切りバスは約八割が旅行事業者扱いになっておりまして、大手旅行事業者によります優越的地位を乱用した無理な運行計画の強要や、さらには運賃料金のダンピングなど、過当競争は激しくなる一方であります。  大阪で貸し切りバス事業者に具体的な話を聞きますと、大手旅行社のスキーツアーの場合、四十六万円の運賃が実に二十五万円で、認可運賃の半値までたたかれて、もうけはないと言っておりました。  スキーツアーでは、ホテルが十カ所に分散する事例もありまして、そういう場合はスキーの積みおろしや、さらには点呼まで全部運転手がやらなければならないわけです。本来こういう仕事というのは、大手旅行社が添乗員などを配置してやらせる仕事であるにもかかわらず、まさにバスの事業者や運転手にその仕事を押しつけているわけです。しかも、こういう仕事をさせながら、大手旅行社は、貸し切りバス運賃の一五%のマージンを取っているわけです。  それで、こうした大手旅行社と貸し切りバス事業者の関係を公正なものにしていかなければなりません。そのために、大手旅行社と貸し切りバス事業者、そして運輸省も入って、大手旅行社と貸し切りバス事業者が対等、平等に協議できる仕組みをつくるべきだと思いますが、運輸大臣、いかがでしょうか。
  206. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 貸し切りバスについては、旅行業者が仲介を行う、この利用形態が八割を占めております。そして、多くの場合、運賃や旅程等はまさに相互の交渉事項となっております。  このような中で、貸し切りバスの適正な利用確保するためには、貸し切りバス事業者旅行業者間の話し合いの場を設けることが必要である、今委員が御指摘いただいた件は、昨年六月の運輸政策審議会答申においても提言されております。両者間の橋渡しを私どもがすべく、努力をしてまいりたいと思っております。
  207. 平賀高成

    ○平賀委員 運輸省も入ってつくるということでありますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  それでは、次に安全問題について質問します。  貸し切りバス運行を見ますと、一般の観光が約五〇%です。学校行事や通学の輸送が約三〇%で、国民生活に密着した運行を行っているものでありまして、安全確保が最重点でなければならないことは言うまでもありません。  九二年から九六年までの五年間の新規参入は四百二十四社です。それが、参入規制緩和を行った九七年には、一気に三百五十五社の新規の参入がありました。今回、法改正によって需給調整の撤廃が行われますと、新規参入の可能性が大きくなります。その点で、運輸省の保安監査は、今以上に、体制的にも内容的にも強化をされることになるのですか、大臣
  208. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 先ほどから御答弁申し上げておりますけれども、各段階規制緩和を進めてまいりたい、各業界単位でも行いたい、しかし、一方で、安全の確保については譲りません、こう申し上げているところでございます。貸し切りバスについても、同様な考え方で進めてまいりたいと思います。  そのため、輸送の安全の確保を図るため運行管理者権限明確化する等、運行管理者制度の充実をまず図りたいと考えております。  また、保安監査についても、監査体制の強化を図るとともに、事故等を多発しているような事業者、これをチェックする特別監査を重点的に行いたい、この監査のあり方見直しも行いたいと考えております。  いずれにいたしましても、安全確保のために最大限の努力をしてまいりたいと考えております。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  209. 平賀高成

    ○平賀委員 私も、運輸省から、「貸切バス事業者の監査状況及び主な違反の内容別件数の推移」という資料をもらいました。それを見ますと、平成五年度は、監査の件数が九十四者、それに対して処分事業者の数が八十四者。ですから、処分された率が八九%です。平成六年度も、百六件の監査をやり、八十二件が処分をされる、こういう状況になっています。ずっと平成九年まで来まして、多いときで約九割が処分され、少ないときでも約七割が処分をされる、こういう状況に今なっています。  それで、保安監査の要員が、全国で合計で百五十七名ということになっています。ですから、検査をやればほとんど処分者が出る、こういう状況でありますから、こちらの体制の分野でもしっかりと整備をしていかなかったら、この安全問題というのは大きな懸念があると私は言わざるを得ないわけです。  これは大阪の事例でありますけれども、あるバス会社が、バスが五十台あって、五十人以上の運転者が本来必要なんですけれども、実際にはそうなっていないわけです。どういうことになるのかといいますと、運転手の不足をその都度アルバイトで補充をするわけです。アルバイトは一日一万三千円で、残業は一時間千円です。夜行ツアーのバスは、運転手が二名必要だということで特に不足をするために、北海道からトラックの運転手や観光バスの運転手など七十三人が働きに来ている、こういう実態でした。試採用期間ということで雇用をされている。金曜日の夜から月曜日の朝まで延べ四日の夜行ツアーを休みなく三回は繰り返して運転するのが普通だ、一回幾らという運転手もいて、ずっと続けて勤務をしている運転手もいるなど、むちゃくちゃな勤務になっているわけです。  それで、旅客自動車運送事業等運輸規則、この三十五条で、事業計画の遂行に十分な数の運転者の常時選任を求め、第三十六条で、日々雇い入れられる者、アルバイトの運転手は禁止をされている、こういうふうに法律ではなっています。私が調査した実態からも、大阪の貸し切りバス事業者について、調査を一度するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか、大臣
  210. 荒井正吾

    荒井政府委員 監査の体制と、さらに具体的に、大阪の例の対処の姿勢をお問い合わせでございます。  監査の実態は、限られた人数でございますが、いろいろな工夫を凝らして実行しておる実情にございます。今後、安全の強化という観点からは、いろいろな安全の仕組みを工夫するとともに、その中で監査の仕組みをいろいろ効率的にやる、あるいは常時監視をできるようなことをするということを考えつつございます。運輸技術審議会で事業用自動車の安全方策について審議されておりますが、その中で幾ばくかの進展があればと考えておるところでございます。  さらに、大阪の件につきましては、ちょっと具体的な事例をまだ持ち合わせておりませんので、もう少し情報を教えていただいて適切に対処したいと思っております。
  211. 平賀高成

    ○平賀委員 それ以外に、例えば四国とか北陸のバスが大阪に来て営業をやっているわけですね。ですから、これは営業区域違反の問題だということで、労働組合としても写真まで撮って、それで運輸省に申請をしているにもかかわらず、告発も何もしない、そういうことを労働組合も言っているんですね。こういう状態が横行しているわけですから、一度現地に行って調査をやるべきじゃないのか。この点について、大臣いかがですか。調査は必要ないと思いますか。
  212. 荒井正吾

    荒井政府委員 具体的な行政行為としての調査の実行につきましては、今具体的な情報を持ち合わせておりませんので、かくかくのところをどうこうするということはまだ今の段階でお答えしかねますが、常時しておりますのは、いろいろな告発案件が届きますので、それに従いまして、地方運輸局でございますが、監査に入ったり調査をしたりということを常時行っております。  その中で、大阪のケースで、もしありましたら、運輸局が事態を知っておるはずでございますので、運輸局に早速問い合わせて実態を調査したいと思っております。
  213. 平賀高成

    ○平賀委員 しっかり調査していただくことを改めて求めておきたいと思います。  こういう状況の中で需給調整を廃止して、それで一層競争が激化するわけですね。しかも経営は悪化するし、同時に労働者の長時間過密労働が常態化することになりますし、安全問題からいいましても、これは非常に重大な問題だということから、私はこの法案は反対だということを表明して、私の持ち時間の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  214. 石破茂

    石破委員長 次に、寺前巖君。
  215. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、航空法について質問をしたいと思います。  まず最初に大臣にお聞きしたいんですが、今度の航空法改正を見ますと、私はいろいろな危惧を感ずる点があるんですが、大きく言って二つの点で特段の危惧を感ずるんです。  大臣は、きょうの発言を聞いておりましても、競争状況の中でも引き続き最も重要な課題が安全の問題だと、所信のときでしたか、そのときも何かそういうことをおっしゃっていました。これは非常に私は大事な態度だと。ところが、今度出されてきた法案を見ておりますと、例えば整備士の制度の問題とか機長の路線資格の緩和、そういう資格問題などを見ると、一連の事故が発生している問題と比較したときに、こんなことをやっておって果たして安全輸送優先だということになるだろうか、これが私の一つ危惧なんです。  それからもう一つ危惧というのは、航空会社が自由に路線から撤退ができるという問題、あるいはまた、余り料金が高い場合には変更命令ができるとは言い条、自由に料金が決められていくということになってきたときに、離島航路という問題は、過疎化が進んでいく条件を与えてしまうことになるんじゃないだろうか。そういう点では、自治体の、離島における不安という問題が大きな問題として危惧される。  私は、今度の法改正というのはそういう危惧を多分にもたらすところの内容であるというふうに感じているんですが、私の一番危惧している二つの問題について、大臣はどういうふうにお考えになるでしょうか。
  216. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 まず、安全の問題でございますけれども、これは、再三申し上げておりますとおり、私も運輸行政の中で最大の課題一つであると思っております。  したがいまして、先ほどもお話し申し上げましたけれども、たまたま、就任以来、お二人の社長にも来ていただいて、厳しい注意をさせていただいたところでございます。何といっても経営者自体が強い自覚を持ちながら安全確保努力をしてもらわなければならない、そして、運輸省としてもその姿勢というものをまず明確にさせていただかなければならないということで申し上げているところでございます。  したがって、規制緩和の結果として安全性が損なわれる、そのようなことがあってはならないと思っておりますし、そのような施策を講じたつもりでございます。  それから第二点の、規制緩和の結果の光と影の部分、特に離島航路ということでありますけれども、代替というもの、例えば高速艇というものが用意されて、飛行機より利便性が高い、また同等の利便性がある、こういうものが措置された場合はともかくといたしまして、代替というものがない中で離島航路というものが閉鎖されていくということがないように、私ども、格段の努力をしてまいりたい。これは、先ほどから税制とか財政の問題で申し上げているところでございます。
  217. 寺前巖

    ○寺前委員 そこで、私は、まず離島航路の問題について聞きたいのですが、航空局長さんですか、七十ぐらい離島航路という路線があるようですが、この法律が通ったことによって将来どういう問題が発生してくるというふうにお思いになりますか。何路線ぐらいが、大変な事態だ、検討に入らなければならないということになるとお思いになりますか。いかがでしょう。
  218. 岩村敬

    岩村政府委員 ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、代替の交通機関がないままに廃止されたというケースは、現在のところ、ないように承知をしております。  今後どうなっていくかということでございますが、今回の規制緩和により参入、退出が自由になるということで、先ほどこれも大臣から御答弁申し上げましたように、例えば航空機燃料税の軽減措置をする、さらには着陸料についても軽減措置をする、そういったことでもなおできない、それから、航空機を新たに買う場合の購入費の補助をする、それでもなおやっていけない路線については、また新たにその運航費の一部を補助する。そういう二段階、三段階構えの行財政の措置によって離島路線は維持されていく、そういった仕組みをつくったわけでございまして、今回の規制緩和によって直ちに離島路線が廃止になっていくというふうには、我々は考えておらないところでございます。
  219. 寺前巖

    ○寺前委員 自治省、お見えでございますか。  自治省は、今お話を聞いておったら、直ちに廃止の方向、それは廃止の方向をすぐ出せるはずがないですね。自治省としては、現在でも、実態として、離島の市町などでは負担がずっとかかっていると思うのですね、それが、この法律が通ったことによって、どういう影響が与えられるだろうというふうに予想しておられるのか。今後の対応は、どうしなかったならば大変だというふうに御理解になっているのか。いやいや、心配要らぬよというのか。そこはどういうふうに判断しておられますか。
  220. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 離島にとりましては、足の確保は切実な問題でございまして、従来から離島航空路線の維持のために、関係地方団体におきましては、機材の購入費の補助でございますとか運航費の補助等のさまざまな形で支援措置を講じてきておるところでございまして、自治省といたしましては、そういうことに対しまして、特別交付税の算定において配慮を行ってきておるところでございます。  今回の需給調整規制の廃止によりまして、離島航空路といった生活路線の維持が問題になるということから、ただいま運輸省から御答弁のありましたような、さまざまな支援策をとられることになっておるわけでございますが、その際に、地方団体において過大な財政負担を生ずることのないよう配慮する必要があるというふうに考えているところでございます。  私どもといたしましては、運航費補助制度に協調して地方団体が補助を行う場合など、生活路線の維持につきまして地方団体が講じる施策について、地方財政措置を講ずることによりまして、関係地方団体の財政運営に支障が生じないように配慮してまいりたいというふうに考えております。
  221. 寺前巖

    ○寺前委員 配慮したいと言うだけでは、実際問題は、私は大変だと思うのです。  この間、長崎県の五島の小値賀町というのですか、三千九百人の人口のところですが、ちょっと調べてみましたら、長崎航空に対する赤字補てんというのを一千万円、空港の第三セクターに対する補助が一千万円、利用者に往復航空券購入費補助を出して、これが四百二十二万円とやっているわけですけれども、さあ、そこに飛んでいるところの長崎県の第三セクター、長崎航空の赤字は、その五割を県が、関係自治体が二割持っている。九七年は八千九百万円だったけれども、九八年度になると二億二千万円と、どっとこどっとこふえていくことになる。  これ、いよいよもって、この法律が通ってくると、ただごとでない事態になるという不安を持っておられる。適切に対処すると言うだけで、私は、そう簡単にはいかぬぞということを注意をしておかなければならぬと思うのです。  それから、もう一つあるのです。その運航助成の制度の使い方を見ると、生活路線ということでお使いになっている。  この間、長崎県の福江の市議会が意見書を出していましたよ。どういう意見書かというと、離島にとって本土との交通体系は、地域経済の振興、発展のみならず、住民福祉の向上、医療行政の推進など民生安定の上からも欠くことのできない最も重要な課題だ。特に大都市と五島を結ぶ直行航空路線の開設はその根幹にかかわる問題で、島民の長年の悲願であったから、まず、七万人と言われる五島出身の方々が在住をする関西地区との直行路線開設に向かって取り組んできた。それで、十数年やってきて、平成八年七月、待望の路線が開設されることになってきた。そして、それが平成九年度の年間利用率は約五六%、目標ライン六〇%まであと一歩というところに来たが、五月の利用状況は七〇%と上回ってきた。ところが、突然、運航会社から、経営健全化のため不採算路線を整理するという理由により、十月末をもって運航を取りやめたいとの通告がなされてきた。  生活路線のところだけではなくして、島全体が過疎化しつつある、そして、観光行政でもやらなければならぬか、こうやっていろいろ計画をしているところの路線について、さあ一体どうしてくれるんだという問題が、やはり議会を挙げて決議を上げてこられるというほど大変なことになる。  今の運航助成などというのは、こういう路線については対象にならないのでしょう。いかがですか。
  222. 岩村敬

    岩村政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、運航費の補助というのは、生活路線について、先ほど来申し上げているような財政措置、そして税制上の措置、そういったものをしてもなお間に合わない部分、それについて、生活路線というものに限って補助をするということでございますので、御指摘のような路線については補助の対象にならないところでございます。
  223. 寺前巖

    ○寺前委員 だから、適切に対処するとか言うたって、中身というのは、ただごとでない事態を自治体に与えることになるよということを言っているのだから、これはこのまま結構な法律でございますというわけにはいかぬ不安が的中しているというふうに私は言わざるを得ないと思う。  第二の問題に入らせていただきたいと思います。  安全性の問題について、このままで大丈夫かという問題なんです。  特に資格問題が出ていました。整備士の資格あるいはパイロットの、機長さんの、路線ごとの資格を取っているのを変えるんだ、そういう法改正の問題がある。私は、そんなことをやって大丈夫か、安全第一などと語ることができるだろうか、心配になってくる。  現に起こっている問題は何ですか。この前御指摘がありましたように、事業改善命令を全日空や日航に対しておやりになった。五百二十名も犠牲を出したあの日航大事故でも出さなかったところの事業改善命令。  この命令を契機にして、日本の定期航空に働く操縦士の九〇%、五千二百人を結集している日本乗員組合連絡会議が、三月三十日に、航空安全対策の真剣な強化を要請し、全乗員による安全総点検を宣言するとの声明が出ていました。私、読んでみたのです。これは、事態は重大だ。規制緩和政策を背景に、競争を有利に進めることを優先され、安全性確保という社会的使命はむしろ後退し続けている、こういうふうに書いてあるのです。  さらに、私は、去年の暮れにアンケートをおやりになった結果を見たら、九一%の人が整備に不安を持っているということを、この乗員組合の方々が、また、日航ですが、提起をしておられます。私は、現に起こっている不安な事態が存在しているときに、この整備の諸君たちの資格条件というのを低い段階に持っていって、その人と連絡し合ってパイロットの方が飛行機を運航されるというのはやはり不安だなと言わざるを得ないと思うのです。  去年、十一月二十日に、全日空に対して、安全上重大な問題があるとして事業改善命令をお出しになっている。それを読むと、航空局が認可した整備規程に反して、整備不十分にもかかわらず、航空機の安全の基準を満たさないまま飛んでしまった事例が十件も指摘された。また、安全基準はクリアしているが、手続上の規程違反が十一件。そのほか、整備記録の不備三十四件、乗員への不適切情報提供一件がそこの中に書かれている。大変なことが次々とそこには出てくるわけです。全日空に対して、法令、規程等の厳守及び安全意識の再徹底、整備体制の充実を命令し、全日空は再発防止策を報告してきている。  この中に出てくる、九八年八月十六日のボーイング747―400、成田発ニューヨークへ飛んだときの事情、これを中心にしたのが、マスコミが事細かくずっと、どこに問題があるかという追跡をやっておられるのをこの間読みました。  私は、これは大変だなと。出発段階から警告が出ている。その警告に対して、パイロットの方から整備のお方に、どうなんだ、こう聞いたら、それは大丈夫だというので飛んだ。飛んだといったら、いろいろの、また次々次々の警告が依然として消えない。結局、ニューヨークに着陸するところまで、ああだこうだ十二時間やっておったけれども、そのまま着陸をしなければならないという事態が生まれている。無事着陸することができたが、強い風や雨など、滑走路が悪条件だったら着陸は大変だったと語っておられるということまで書かれている。  ああいう姿を見たときに、待てよ、一体、整備とパイロットの関係はどうなるのだろうか。だれだって心配になる内容ではありませんか。素人だって思いますよ。ところが、この事実について政府の方が知ったというのはずっと後なのでしょう、こんなことが行われておって。  私は、まず第一に聞きたいのは、あんな状況のもとにおいて飛行させておってよかったのか。初歩的な質問ですけれども、航空局長はどう思いますか。
  224. 岩村敬

    岩村政府委員 御指摘の件は、昨年の八月十六日に、全日空の一〇便、御指摘のように、成田からニューヨーク行きの飛行機で、エンジンを始動後に、補助動力装置のバッテリーが放電しているということが、操縦席内にございますEICAS、エンジン表示・警報システムというのですが、このEICAS上に表示をされたわけでございます。  全日空が持っております、そして我が方が認めております整備規程の参考資料によれば、当該表示が出た場合には出発をしてはならないというふうに書かれておったわけでございます。しかしながら、この取り扱いについて、乗員が整備士に、これも御指摘のとおりですが、出発の可否を問い合わせたところ、整備士は、参考資料まで参照することなく、出発が可能であると判断をいたして、そのまま運航してしまったということでございます。  この点を大変重要視いたしまして、先ほど来申し上げましたように、立入検査をするとともに、大臣から異例の改善命令を下し、再発防止策として、EICASの表示に関する取り扱いを整備規程の運用許容基準の中にきちっと設定するとともに、整備士に対して、運用許容基準の適用に関する定期的な訓練を行うという改善をいたしたところでございます。
  225. 寺前巖

    ○寺前委員 これは、十二時間飛んでおるのですよ。その間も、いろいろな警告がずっと広がっていくわけでしょう。それに適切にこたえることができるような、ちゃんと資格を持った人が整備士としておられたのかどうか、これは不安になる。そうでしょう。しかし、過ちが起こるということはないことではない。飛行機が変わっていったら過ちも起こってくると。だから、ちゃんと機種ごとに、専門的な国家試験をちゃんと通った人を置いておくということになっているわけでしょう。  そういうことを何でもっと重視しないのか。マスコミの方が調査されると、昔は、飛行機にも乗っておられたし、こんな一人体制じゃなかった、二人体制になっておったと、だんだん変わってきておるのだ。だから、そこをもう一度再点検しなければならないのじゃないかという問題も指摘されているのです。  八年前に、同じような事件の芽があった。そのときは、幸い、整備士の許可に機長が納得せず飛ばなかった。当時の整備本部長は、整備担当者に注意を求める通知を出し、再発防止を徹底したはずだった。それなのに、今回の事件が発生したことは、飛行間点検整備の重要性が改めて指摘されているのだ。そういうことを考えたら、採算優先の思想がそこに入り込んでくると、おくれて出発したらあかんでという話になってくるじゃないか。  私は、安全第一を言うのだったら、整備士を一人でやらせておくやり方がいいのかという問題を考えなければならぬし、今度の法改正のように、飛行間点検の整備について、これまで持っていた航空整備士に比べて、部分的な知識、能力の航空運航整備士の資格を持った人でいいのか、これは疑問に思いますよ。こんな交代をやらせておいて、この事態の反省ありとだれが言うことができるのだろう、そういうことになるじゃありませんか。  マスコミの書いたものを読んでおっても、そう書いてあるのですよ。他社との競争の中で、時間どおりの出発が強調される余り、ふぐあいが発見されても飛行中止できない雰囲気があるということを指摘している。企業のもうけを優先させると、少しでも早く、少しでも少ない人数で整備を行いたい。その中で、整備士は大変な努力をしているが、実際に間違いが起こっている。これが全日空の今度起こった問題として見る必要がある。アンケートもそうなっている。  そこのところを真剣に考えたときに、整備士を前と違う事態に置いておいていいのか。新しい問題提起というのは不安だと言わざるを得ないじゃありませんか。少なくとも、逆に、二人体制の方に持っていっていただきたいということの方向こそ、考えなければならない問題じゃないのだろうか。  改めて、航空局長、もう一回聞きます。
  226. 岩村敬

    岩村政府委員 今御指摘のように、経済性を優先するために、異常を感じても内部で指摘しない、そういう雰囲気にあるということをおっしゃいましたが、まさにその点が、安全を第一とすべき航空企業の体制として非常に問題があるわけでございまして、その点も含めて、異例とも言える業務改善命令を発したわけでございます。  また、整備士の一名の問題でございますが、航空機及び装備品の信頼性は、技術の向上によりまして、信頼性は向上しております。また、故障の発生も非常に減っております。そういう意味で、従来ですと、整備士二名で所要の時間内で飛行前点検を実施するというのがなかなか無理であった、それが、そういうことで故障の発生も減っておりますので、整備士一名で所要の時間で点検ができる。そんなこともございまして、整備士一名で今やるような体制になっておるところでございます。  また、飛行前の点検において、マニュアルの解釈等に疑義が生じた場合、整備士が技術的判断の確認を求めることができるようにその支援体制も構築をしておりまして、本人が迷った場合は直ちに相談できる体制になっておるところでございます。  こういったことを考え合わせますと、飛行前の点検を一名化した、そのことが今回の整備規程違反の事例の原因につながったというふうには考え得ないところでございます。
  227. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、パイロットが、連絡をとった人が即座にぱっと反応を示してくれなかったら不安で飛んでいられないだろうと思う。ちょっと聞いてきます、そんなことで安心して飛行機のパイロットをやっていられないと私は思いますよ。僕は、これはやはりあなた方自身の体制もちょっと考えなきゃいかぬなというふうに感ずるのです。  大体あなたのところが、全日空がマスコミに指摘され、二カ月おくれで報告書を出すまで運輸省は違反の事実を知らなかったということ自身、一体どう思っているんだろうか。私は、これはえらいことだなと思った。これだけの大事故が起こっていながら、人でも死んで、墜落でもしない限りはわからぬのが当たり前ですと言わんばかりの話じゃないですか。私はこんなものはゆゆしき問題だなと思っておるのです。何でわからなかったのか、それが一つ。  それから、整備審査制度というのがつくられてきたけれども、それがどういうふうに有効に機能しているんだろうか。調べてみたら、四人しかおらぬという。そんな四人ぐらいで、これが新しい体制に入るんだろうか。私は、これもゆゆしき問題だと。本当に安全性第一だったら、その問題を考えなきゃいかぬじゃないか。たった四人でやっているんだということで、こんな事態が発生しておって知らなかったということの解決の道にはいかないだろうというふうに思うのです。これが第二番目。  第三番目に、ついでに聞きます。  機長の、路線ごとの認定が廃止される、これまた私は大変だなと思う。この間、パイロットの人に聞いたんだ。そうしたら、今でもヨーロッパ路線の一路線の資格を取れば、次のパリの資格を取るにはビデオで済むのだというふうになっているんだと。訓練や試験があっても、現状では不十分だ、やはり実際にその路線で飛んでみないと、外国へ行ったら五つぐらい路線があって、おりていったところが、それが日本の飛行場のような姿でないという事態が現場に行かなかったらわからないんだ、それがしょっちゅう変化が起こってきているんだ、路線ごとに責任を持って安全性を考えるならば、その訓練というのは徹底してやらなきゃいかぬのだと。そういうときに教育訓練のこの法制化が簡素化されるというのも、ゆゆしき問題だということを指摘しているのですよ。その問題についてあなたたちはどう思っているのか、これが三つ目。  まず三つ、先に聞きましょう。
  228. 岩村敬

    岩村政府委員 第一点の、機長が不安でたまらないという点でございますが、飛行機の安全な運航に関しては機長が全責任を負っておるわけでございますから、不安があれば直ちに運航を停止する、そういう権限を有しております。したがいまして、機長が不安でどうしようもないということではなくて、そこでとめる勇気を機長にも持っていただきたいというふうに思います。  一方、整備の方でいろいろ不手際がございました。それから、その事情について当方に報告がなかったということもございます。当方も随時の検査、定期の検査をやっておりますが、その間にひっかからなかったものでございまして、わからなかったわけでございます。これについても異例の改善命令ということで、それを受けまして、そういう情報の、社内情報の周知徹底を図る、さらには、当局に対しても速やかにその報告をするという改善方策を立てたわけでございまして、今後はそういう形で、情報が長い間伏せられるということはないように考えておるところでございます。  それから、安全審査官の体制のことでございますが、これは、こういう点にかんがみて、今、体制の整備を進めております。我々としても、必要に応じて体制の強化を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。  それから第三点の、機長の路線資格制度でございますが、飛行場の航空保安施設、それから飛行方式などが非常に標準化されています。また、航空路におきます無線標識が整備される。さらには、機上の航法装置の性能が向上しております。そういったことを踏まえまして、航空機の運航というのは以前に比べますと標準化されております。したがいまして、飛行場や路線ごとの特性の差異というものはほとんどなくなってきておるということで、国の認定に当たって、機長が個別の路線の経験をしないと資格を与えないということではなくて、機長として一般的な管理能力の有無に着目してその認定を行うということにしたものでございます。  ただ、事業者においては、機長が就航する路線や飛行場について必要な知識を有していること、これは当たり前のことでございまして、確認をすべきものでありますから、運航規程等においてその義務づけを行うことを検討しておるところでございます。  ちなみに、欧米諸国におきましても、国として機長の一般的な管理能力の認定はしておりますが、個別の路線経験を求めることはいたしておらないわけでございます。
  229. 寺前巖

    ○寺前委員 大体、学校の授業でもそうだ。ちゃんと一定マニュアルがあって、それで、こういうふうに何時間この教育にやろうかというので、ちゃんと法律的に、国家的な規制があってこそそれに従属していくので、好きなようにやりな、こう言うたら、いかに安上がりでいこうかという方向になるでしょう。だから、規制緩和というのは安全にとっては非常に危ないんです。私は、そのことが念頭になくして、時代が変わったんだから今はうまくいくんだというような甘いことを見ておったら、あかんと思う。  あなたのところの甘さというのはそれだけじゃない。日航に対し二月二十二日に、航空法に基づく整備規程違反及び整備体制が不備であるとして事業改善命令を出している、あれを見たら、三年四カ月間、整備ミスがほったらかしになっておったわけでしょう。それで、明らかになってからも飛行機を飛ばさせておる。例のどこかの下請、日航の下請の会社に対して、避難のあれですね。そんな、出ないのが長期にわたって放置されておって、知った途端に、今度はそのまま平気で飛ばさせて、改善させるんだ、そのこと自体大変な問題なんだ。しかも、機長は全然そのことは報告も受けてへん。機長は知らないわ、あなたのところは平気で飛ばさせているわ、こんな不安全なことあらへん。  私は、この問題に対する責任もちょっと明らかにしなかったら、こんな諸君たちの手に任せておいて、それでもうけ優先の体制の中に入れられたら、我々乗せてもらう側はもちろんのこと、航空士の連中にとっても、こんな不安な話はないと思う。  私は、この問題はもう一度明らかにしていただきたいし、さらにまた、こういう不安なことがあったら、日常的にそういうことを検討するところ、事故が起こってからじゃなくて、事故に至るであろうというような想定した問題に対する体制を、パイロットなども入れたそういう体制の進言をするところをつくらなかったらいけないというふうに私は思います。  時間が来ましたので、これは最後質問です。
  230. 岩村敬

    岩村政府委員 一点、機長の路線資格について若干誤解があるかと思うのですが、機長が空港に着陸したり失敗したり、さらには安全な飛行を続ける、その能力については引き続き厳しい国家試験をしておるわけで、その中では当然、機材に応じて全部資格も違いますし、また経験も必要としているわけでございます。  今回、路線というのは、例えば、パリに飛んだ資格だけではだめなんだ、ロンドンへ行くときにはもう一回そこを自分でおりてみろ、そういうことを求めておったのですが、これは、今ロンドンもパリの空港も同じような進入方式であり、また無線の方も整備されているということで、空港ごとにそこまでは違わないだろうということで、そこは、先ほど申し上げたような、各航空会社が機長に知識を与えれば足りる、経験まで国が求める必要はないということを申し上げておるわけでございます。  また、整備の方でございますが、日本航空のAEC、日航エアポートエンジニアリングで整備をしたものについてふぐあいがあった、正確に今、三年四カ月と申しましたが、約二年間でございましたが、その間に、そういう長期にわたって作業手順書に従わない作業をした、その結果、脱出用の施設が動かないおそれがあるということがあったわけでございます。  それで、なぜそれがわかったときにその飛行機をとめなかったかということでございますが、脱出スライドの製造事業者の方から、次回の工場搬入整備時に交換すべきであるという助言がございました。そういうこともございまして、また、交換期間も、わかってから十日で直ちに交換したということをあわせて考えますと、当方としては、運航の停止まではいたしませんでしたが、先ほど来申し上げているように、事の重大性にかんがみまして、大臣の改善命令ということをし、それに従って社内の意思伝達もよくする。今、機長にも伝わらなかったということをおっしゃいましたが、機内でのこういったことが、情報がよく伝わるようにすること、それから、当局の方にも情報が伝わるようにすること、そういった改善をいたしますというお約束をいただいたところでございます。
  231. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたのでやめますけれども、大臣、安全性の問題というのは、具体的に詰めていくと、私は本当に、真剣にもう一度見直してもらう必要があると思います。今の答弁を聞いておったって、そんないいかげんなことを言われて、たまったものじゃない。あなた、脱出の出口があんなことになっておって、機長は知らない、お客さんも知らない、私、ひょっとしたらそれに乗っておったかもしらぬ。あなたみたいに無責任なことを言われたら、たまったものじゃない。このことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  232. 石破茂

    石破委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  233. 石破茂

    石破委員長 この際、ただいま質疑を終局いたしました両案に、去る四月十六日既に質疑を終局いたしております鉄道事業法の一部を改正する法律案及び海上運送法の一部を改正する法律案を追加して議題といたします。  これより四法律案について討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。平賀高成君。
  234. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、日本共産党を代表して、需給調整廃止四法案、それぞれの法案について、順次反対討論を行います。  まず、鉄道事業法の一部を改正する法律案について反対する理由を述べます。  鉄道は、我が国の基幹的公共輸送機関として、全国的ネットワーク網を張りめぐらし、大量安定輸送、定時性の確保等など、大きな役割を果たしてきました。二十一世紀には環境、エネルギー等の地球的制約からいっても、鉄道を初めとする公共輸送機関復権の世紀と言われています。それにもかかわらず、鉄道事業者の一方的な判断で地方ローカル線や特定区間が廃止できる、いわゆる赤字路線切り捨て自由化法案であり、鉄道事業ゆえの高い公共性を投げ捨てる改悪法案であり、絶対に容認できるものではありません。  反対する主な理由は、第一に、安全規制緩和がなされ、しかも安全検査等は主に事後チェックと変えられたが、その実効ある体制が不十分であること。  第二は、上限運賃は従来よりも高コストで算定することになり、同時に、鉄道事業者はその範囲内で自由に運賃の引き上げができるようになることなどであります。  次に、道路運送法の一部を改正する法律案についての反対理由を述べます。  反対する第一の理由は、運賃料金の価格破壊が行われ、七〇%の事業者赤字経営に陥っている貸し切りバスの現状のもとで、需給調整を廃止し、運賃料金認可から届け出に緩和すれば一層の新規参入や増車が行われ、今以上に過当競争が激化し、経営悪化による安全の経費削減を招くなど、安全性や利用者サービスを低下させるおそれがあることであります。  第二は、貸し切りバスは、大手旅行業者による優越的地位を乱用した無理な運行計画の強要、運賃料金のダンピングなど過当競争に拍車をかけることになり、人件費の圧縮、長時間過密労働の押しつけなど運転者の労働条件切り下げに直結するからであります。  次に、海上運送法の一部を改正する法律案に対する反対理由を述べます。  反対する第一の理由は、一般旅客船事業参入規制の自由は、資本力を持つ大手が有益な航路に自由に参入を許し、事業者の八割を占める中小零細事業者の経営に重大な影響を与えることになることです。  第二に、離島航路事業は七六%が赤字経営であり、廃止規制緩和されれば、事業者が自由に廃止することができるし、航路以外に代替輸送機関がない多くの島民の通勤通学、食料等の輸送、医療、福祉など地域社会に重大な死活問題を起こすことになるからです。  第三に、長距離フェリーの運賃自由化は、貨物を積んだトラックを輸送することから、内航海運から荷物を奪うことが予想され、中小零細業者がほとんどである内航海運事業者にとっても重大な打撃となるからであります。  次に、航空法の一部を改正する法律案に対する反対理由を述べます。  反対する第一の理由は、規制緩和によって、航空事業を市場に任せ、一層の過当競争を生み出し、労働条件や整備コストへしわ寄せされることになるからであります。  第二は、航空会社がみずから運航、整備の責任を負わず、他社へ丸ごと委託することを認め、今の航空整備士よりも簡易な運航整備士の資格を設けて飛行点検整備を行わせたり、機長の路線ごとの資格認定を廃止するなど、コスト削減競争に拍車をかけ、航空安全に重大な影響をもたらすことになるからであります。  第三に、航空会社の判断で自由に路線廃止ができるようになり、不採算路線からの撤退を一層促進することになるからであります。  第四に、運賃設定変更認可制から届け出制への緩和は、運賃ダンピング競争に拍車をかけ、利用者間の不公平、不平等を拡大することになるからです。  最後に、本法案は需給調整廃止という運輸事業の根幹にかかわる歴史的な緩和であり、しかも、地域に密着した公共輸送機関である地方ローカル線、離島航路、離島路線等の切り捨てが住民の生活を大きく左右し、その存続に貢献してきた関係自治体にとって死活問題となるものです。したがって、住民や利用者等から率直な意見等を反映した慎重な審議が期待されていましたが、これをしないできょう採決となったことは、本法案にふさわしい審議でなかったことを厳しく指摘して、反対の討論を終わります。
  235. 石破茂

    石破委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  236. 石破茂

    石破委員長 これより各案について順次採決に入ります。  まず、鉄道事業法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  237. 石破茂

    石破委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、道路運送法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  238. 石破茂

    石破委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、海上運送法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  239. 石破茂

    石破委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、航空法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  240. 石破茂

    石破委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  241. 石破茂

    石破委員長 この際、各案に対し、久野統一郎君外三名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ及び自由党の四派共同提案によるそれぞれ附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。細川律夫君。
  242. 細川律夫

    ○細川委員 ただいま議題となりました四法律案に対しそれぞれ附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ及び自由党の四会派を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     鉄道事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の点に配慮し、所要の措置を講ずべきである。  一 鉄道事業者が鉄道事業を廃止する場合には、地元住民・利用者の声を反映し、沿線地域の交通利便を確保するため、地元協議会を設置するなど関係者の意見を十分に聴取し尊重すること。  二 鉄道事業を廃止し、代替輸送に転換する場合、利用者にとって過重な費用負担が生ずることのないよう配慮すること。  三 鉄道事業の廃止により、鉄道貨物輸送ネットワークの確保に阻害を来さないよう十分に配慮すること。  四 乗継円滑化措置を講ずるに当たっては、利用者利便の向上を図るため、運輸大臣の協議命令・裁定・勧告に関する規定については、その要件の明確化に努め、適切運用すること。     …………………………………     道路運送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の点に配慮し、所要の措置を講ずべきである。  一 一般貸切旅客自動車運送事業の許可に当たっては、最低車両規模の確保輸送の安全を確保するための適切事業計画及び事業遂行能力等についての審査を厳正に行うとともに、その基準を具体的に定めこれを公示する等、許可の運用について統一性、透明性を確保すること。  二 運転者の過労運転による事故防止を図るため、自動車運転者の労働時間改善基準遵守を前提とする運行計画策定と書面による運行指示を徹底する措置を講ずること。また、契約時においても基準遵守が前提となるよう関係者間の協議の場を設置するなど適切な措置を講ずること。     …………………………………     海上運送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の点に配慮し、所要の措置を講ずべきである。  一 安全で安定的な海上運送サービス確保するため、公正な市場環境を整備するよう適切な措置を講ずること。  二 離島航路など生活交通を確保するため、クリームスキミングの防止に努め、国及び地方公共団体における必要な行財政措置を講ずること。  三 海上運送における安全を確保するため、事業者の遵守事項を明確化計画的かつ着実な監査を実施するなど指導監督を強化するとともに、輸送安全確保に関する命令等について厳正かつ機動的に行うこと。  四 需給調整規制の廃止に伴う競争により船員の雇用不安を来さないよう、船員雇用施策の拡充を図ること。     …………………………………     航空法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の点に配慮し、所要の措置を講ずべきである。  一 離島住民の日常生活に必要不可欠な航空路線を確保するため、国及び地方公共団体における必要な財政措置を講ずること。  二 航空運送事業の許可に当たっては、輸送の安全を確保するため適切事業計画及び事業遂行能力等についての審査を厳正に行うとともに、その基準を具体的に定めこれを公表する等、許可の運用について明確性、透明性を確保すること。  三 航空旅客の利便増進を図るため、混雑空港解消に向けて、大都市圏の空港整備を積極的に進めるなど航空交通容量の拡大に格段の努力をすること。 以上であります。  本附帯決議案は、各法案審査の過程におきまして、委員各位からの御意見及び御指摘のありました問題点等を取りまとめ、政府において特に留意して措置すべきところを明らかにしたものであります。  何とぞ委員各位の御賛成を賜りますようお願いを申し上げます。(拍手)
  243. 石破茂

    石破委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  まず、鉄道事業法の一部を改正する法律案海上運送法の一部を改正する法律案及び航空法の一部を改正する法律案に対し、それぞれ附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  244. 石破茂

    石破委員長 起立多数。よって、各案に対しそれぞれ附帯決議を付することに決しました。  次に、道路運送法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  245. 石破茂

    石破委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。川崎運輸大臣
  246. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 ただいま各法案につきまして、慎重な御審議の結果御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。ただいま御決議のありましたそれぞれの附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、運輸省として十分な努力をしてまいる所存であります。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  247. 石破茂

    石破委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 石破茂

    石破委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  249. 石破茂

    石破委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十六分散会