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1999-02-10 第145回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月十日(水曜日)     午前十時開議   出席委員    委員長 石破  茂君    理事 衛藤 晟一君 理事 柿澤 弘治君    理事 久野統一郎君 理事 実川 幸夫君    理事 玉置 一弥君 理事 細川 律夫君    理事 赤羽 一嘉君 理事 江崎 鐵磨君       小里 貞利君    亀井 善之君       熊谷 市雄君    菅  義偉君       園田 修光君    橘 康太郎君       宮島 大典君    望月 義夫君       森田  一君   吉田左エ門君       米田 建三君    渡辺 具能君       赤松 広隆君    今田 保典君       佐藤 敬夫君    高木 義明君       永井 英慈君    遠藤 乙彦君       倉田 栄喜君    岩浅 嘉仁君       寺前  巖君    平賀 高成君  出席国務大臣         運輸大臣    川崎 二郎君  出席政府委員         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         環境庁大気保全         局長      廣瀬  省君         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         運輸大臣官房長 梅崎  壽君         運輸大臣官房総         務審議官    高橋 朋敬君         運輸省運輸政策         局長      羽生 次郎君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         運輸省自動車交         通局長     荒井 正吾君         運輸省海上交通         局長      宮崎 達彦君         運輸省海上技術         安全局長    谷野龍一郎君         運輸省港湾局長 川嶋 康宏君         運輸省航空局長 岩村  敬君         海上保安庁長官 楠木 行雄君         自治省財政局長 二橋 正弘君  委員外出席者         外務省中南米局         長       阿部 知之君         運輸委員会専門         員       長尾 正和君 委員の異動 二月十日         辞任         補欠選任   田中 昭一君     熊谷 市雄君  吉田左エ門君     園田 修光君 同日         辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     田中 昭一君   園田 修光君    吉田左エ門君 本日の会議に付した案件  陸運海運及び航空に関する件等運輸行政基本施策)     午前十時開議      ————◇—————
  2. 石破茂

    石破委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅義偉君。
  3. 菅義偉

    ○菅(義)委員 自由民主党の菅であります。  早速質問をいたします。  まず、港湾についてでありますけれども、昨年の運輸省発行の「日本海運の現況」によれば、アジアの各国の港湾と比べて我が国港湾相対的地位低下、これが著しいということが発表されております。  具体的に言えば、コンテナ取扱量、九六年に世界第一位の香港が二十フィートのコンテナ換算で千三百二十八万個、二位がシンガポール千二百九十五万個、三位に高雄、そして五位に釜山であります。我が国は、横浜が十位で二百四十万個、神戸が十六位で二百六万個、国全体合わせても千五十四万個でありまして、香港シンガポールに及んでおりません。  また、この十年間にわたる伸び率についても、香港は四・八倍、シンガポールは五・九倍、まさに驚異的な伸び率であります。そしてまた、高雄釜山についてもすべて二倍以上伸びておりますけれども我が国においては横浜が一・八倍、神戸が、これは震災の影響があったと思いますけれども、一・一倍、すべてこれも二倍以下の伸び率であります。  そして、アジア欧米航路我が国への寄港率も、かつては九三%でありましたけれども、現在は六十数%、これも著しく低下をしております。  アジアにおける国際ハブポートとしての地位がこのように低下をしている現状について、まずその認識、どのようにとらえておられるのか、お尋ねをします。
  4. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今、菅委員の方から細かい数字をとらえての御指摘でございます。  私自身の認識としまして、アジア方々一つ国家戦略として大きな目標を持って取り組まれてきた、このことについてまず評価しておきたい。それでは、日本の国もその国に負けないようにどんどんやっていくのか、すべての分野我が国アジアで一番でなければならないのかということになると、私は少し違うんだろうという認識をいたしております。  日本全体の伸びが、今御指摘のように十年間で一・九倍という伸びでございます。これが四倍、五倍になったら確かによかったんだろうと思います。  しかしながら、一方で、中国とかアジア経済というものを背景にしながら、今御指摘いただいたような港が大きな投資をしながら今日までやってきた、我々もある程度負けないようにやっていかなければならぬ、これは認識としてあります。特に、これからどんどん大型船化してくる、向こうには入れるけれどもこっちには入れない、そんな差があるとしたらこれは解消していかなければならないだろうと思っております。  そしてまた、数字というものを見ながら、実際、例えば我が国の場合は、我が国国内に入ってくるのが八割、そして二割が中継であります。アジアの場合は、ほとんどの港が八割が中継であって二割が自分のところへ入ってくる、こういう違いがある。では、どのぐらいの比率ならいいんだと。日本も五割、六割、中継まで入れていくということになるのか。  日本の全体の物流というもの、特に国民生活というものに基点を置くならば、やはり私どもはおくれないようについていかなきゃならぬなという認識がありますけれども、しかしながら、それを上回るような投資をどんどんやって、日本はすべての分野で世界一だ、アジア一だということではないんだろうという認識を私は持っております。  ただ、いろいろな考え方の中で、今のままおいていくと、日本は一・九倍どころじゃなくて将来はマイナスになるぞ、こういう御指摘もいただいております。そういったことは念頭に置きながらしっかりやっていきたい、このように思っております。
  5. 菅義偉

    ○菅(義)委員 大臣にはよく御理解をいただいておるようであります。  それと、私、これは常に思っておるんですけれども、確かにアジアにおいて相対的に地位低下をしてきている、とはいえ、我が国海上輸送が国の貿易に占める中というのは九九・八%、金額にして八〇%ですから、まさにこれは国民生活基盤であると言っても過言ではないと思いますよね。そして、六万トンの船が一隻入港する、すると経済波及効果が八千八百万円ある、横浜港で調査したんですけれども、実はそうも言われております。私は、まさにこれは国家経済的な基盤でもあると。そして、皆さんはこの重要な港湾のために賢明に努力をして、国民生活を守っておるわけですね。  しかし、そういう中で、残念ですけれども国民皆さんには港湾重要性というのがなかなか理解をされていないのが私は現状ではないかなと思うんですね。ぜひ、港湾がいかに重要であるかという広報、宣伝活動をもっともっと私は力を入れて行うべきである、こう考えますけれども、これについてはいかがですか。
  6. 川崎二郎

    川崎国務大臣 菅委員が、運輸省港湾の問題もう少し頑張れ、こういう御激励をいただいておると思っております。  実は、私も昨年、小学生の子供さん百人ぐらい集めた場に出させていただいて、港のセールスをいたしたわけでありますけれども、我々が若いころから考えると、実は、海で泳いだ人いますか、プールで泳いだ人どうですかと手を挙げてもらったんですね、そうすると、やはりもうみんなプールなんですね。要するに、港という以前に海というものから少し全体が離れておる。そこをやはり、海の日もつくっていただきましたけれども、もう少し海洋国家として全体的なPRを進めていかなきゃならぬなと。  そういった意味では、もう少し運輸省しっかりやれという御指摘、一生懸命やりたいと思いますので、また御協力のほどをお願い申し上げたいと思います。
  7. 菅義偉

    ○菅(義)委員 ぜひ、御期待をいたしておりますので、お願いを申し上げます。  先ほど大臣が、アジアの国は国家戦略としていわゆる大水深バースを集中的に投資をしてきたと。日本でもそのおくれを取り戻すために、今おかげさまで、中枢国際港湾ですか、積極的に行っていただいていますけれども平成十二年度に完成をするこの大水深バースですけれども日本全体として十四なんですね。一方、香港は十六バースシンガポールは十三バースで、日本の一国の全体よりも多いところもありまして、大体その程度もう整備されております。  こうした東アジアの港と物流において勝っていかなきゃならないと私は思っておりますから、そしてまた、国家的な経済基盤であって費用効果も物すごく大きい、私はこう考えておりますので、ぜひ、こうした中枢国際港湾について、補助率を上げて、積極的に集中的に取り組んでいってほしいなと私は思っていますが、これについてはいかがですか。
  8. 川崎二郎

    川崎国務大臣 運輸省予算取りのときにいつも主張しているお話をいただいたわけでございますけれども港湾に対して、先ほど、まず国民的な理解を深めるということは大事だろうと。正直、この二、三年、厳しい御批判が続きました。そして、その御批判がすべて的外れではなくて、私どもがやはり直していかなきゃならぬものがあるだろう、その一つとして、やはりもっと集中的な投資をしなさいというところにまず第一があるのかなと。ここらはまず第一に心がけてまいりたいと思っております。  ただ一方で、地方経済からとりますと、菅委員指摘のとおり、かなり経済効果があるものです。要するに、公共工事としての経済効果ばかり取り上げる方々がいらっしゃいますけれども経済全体に対する港湾の位置づけというものは大変大きなものがありますので、地方の声というのはかなり強いことも事実でございます。どう絞りながら、また地方の声にも応分にこたえていくか、ここら辺が大きな課題でありまして、御指摘をいただいたことをしっかり頭に入れながらやりたい、このように思っております。
  9. 菅義偉

    ○菅(義)委員 当然大臣としては国全体のことを考えなきゃならないと思いますけれども費用効果が集中投資した方がはるかに多いという調査結果もたしか運輸省資料に出ておりましたけれども、そのこともぜひ頭に入れながら進めていただきたいなと思います。  こうしたハード面整備と同様に、またソフト面整備日本が非常に遅れている。特にシンガポールにおいては、通関手続一元化をされて十五分でできる、こう実は言われておりまして、今までと経費も約三割削減をされてきている。我が国においては、通関手続に五・六時間、そして入港から輸入手続が完了するまで三・六日、船舶入港して出港するまでの提出の書類が五十から七十書類必要だ、こう言われておるわけであります。  このことについても、当局皆さん実は大変努力をされておられまして、通関システムが、次期Sea—NACCS、ことしの秋に稼働する、これにあわせて物流情報システム船舶の入出港に関する部分が稼働する、こう伺っております。  しかしながら、税関検疫港湾管理者海上保安庁入国管理事務所、これを網羅する総合的な港湾情報システム一元化というのが、まだこれは見通しがついていないと思うんですよね。確かに縦割り行政の弊害の最たるものではないかなと私は思っておりますけれども運輸省の主導のもとに、総合物流施策大綱、これは二〇〇一年までにペーパーレス化ワンストップサービスを実現すべきである、こううたっております。これに向けてぜひ頑張ってほしいなというふうに私は思っておりますけれども、その課題と、これについてどのような状況であるかをお尋ねしたいと思います。
  10. 川崎二郎

    川崎国務大臣 進捗状況については後から局長の方からお答えをさせていただきますけれども小渕内閣が発足しまして、総理の方からバーチャルエージェンシー省庁間の枠を超えて課題に取り組め、特に今お話しいただいたような、各役所ごと書類、また書式も違う、こういう問題も含めましてやれという御指摘をいただきました。  私どももいろいろな問題に取り組んでおりますけれども、この問題は、今菅委員から御指摘いただいたように、逆に少し前に取り組みが始まっております。やはり大きな目標としましては、国際社会が全体同じようなシステムの中になっていく、そのためのリーダーシップを日本がとれないかというのが一つあろうと思います。それからもう一つは、そうはいっても、まず我が国整備というものをもう少ししっかりやれ、この二つだろうと思っております。  冒頭申し上げましたように、小渕内閣として、やはり省庁の壁を超えた課題にこれから取り組まなきゃならぬ、これを強く御指示いただいておりますし、また、今のような御意見もいただきました。我々の本当に重要な課題として取り組んでまいりたいと思います。  あとはちょっと局長の方から答弁させます。
  11. 川嶋康宏

    川嶋政府委員 先生御指摘の、港湾出港手続にかかわりますシステムといたしましては、港湾管理者とかあるいは港長、それから税関あるいは入国管理検疫等にかかわる手続が必要になってくるわけでございまして、御指摘のように膨大な資料を必要といたしますから、情報化簡素化というようなことが重要だというふうに考えております。  現在、大臣の方からお話がございましたように、港湾管理者とそれから港長を中心といたしました資料については、港湾EDIシステムということでシステム化を図ることで準備を進めております。それから、税関関係については、Sea—NACCSというシステムがございまして、ことしの十月にはその二つシステムでとりあえずスタートをさせて、情報化を図っていきたいというふうに考えております。  将来におきましては、税関当局ともいろいろ相談をさせていただいておりますが、できるだけ早く二つシステム一元化して、御指摘のような縦割り行政というようなことがないように努力をさせていただきたいというふうに思っております。
  12. 菅義偉

    ○菅(義)委員 さらに、我が国港湾を利用しやすいものにするために、三百六十五日二十四時間港を開いてほしい、このことが今国際ハブ港条件一つになりつつあるわけであります。  確かに、労使関係の問題を初めとしてこれは非常に難しい問題があることも事実であろうと思います。しかし私は、深夜、休日の港湾福利厚生通勤手段、さらには効率的な就労体制づくり、こうしたものについても運輸省として積極的に取り組んでいただいて、ぜひ、利用しやすい、そして効率的な、三百六十五日二十四時間オープン、こういう港づくりに励んでほしいと思いますけれども、これについてはいかがですか。
  13. 川崎二郎

    川崎国務大臣 一番最初に、国際間の競争に勝てるような日本港湾づくり、こういう御指摘がございました。もう一つは、今度は国内での競争。そして今度は、もう一つは、港の中での競争。そういう意味では、私ども三百六十五日二十四時間体制ができ上がる、好ましいと思っております。  しかしながら、民間のサービスでありますから、行政として押しつけるものではないだろう。したがって、やはり規制緩和というものを進めていく。そして新しい業者が進出をしていく。その中でサービス同士の闘いになって、競争していくことによって当然そういう方向が模索されていく。時代の変化の中で組合の皆さん方の御理解もいただけるようになっていくんだろう、こういうふうに思っております。  そういった意味では、まず運輸省としては港湾荷役、こういう問題についての規制緩和を進めてまいりたいと思っておりますし、また、その過程の中で運輸省としてこういう手伝いの仕方があるじゃないかということが出てまいれば積極的に努力してまいりたい、こう思っております。
  14. 菅義偉

    ○菅(義)委員 次に、地元の問題についてちょっと二つお尋ねをしてまいりたいと思います。  我が国港湾コストの高さ、これは東アジアと比べて約二倍である、こう言われておりますけれども、その一つ水先案内人の制度があります。  昨年の十二月に海上安全船員教育審議会中間答申横浜港の強制水先については三千トン以上、こういうことになっております。これは、日本海難防止協会水先問題検討会において行った横浜港でのシミュレーションの結果や、横浜港が入出港船舶数が多く、人口や産業の集積した首都圏の重要な港湾である、万一海難事故が発生した場合、首都圏経済市民生活への影響を配慮した結果である、こういう報告になっておりますけれども、私はこれについて実は非常に疑問を感じております。  以下、四点挙げさせていただきます。  神戸でも実はシミュレーションが行われて、神戸は一万トンになっています。神戸シミュレーションの結果は、横浜港と同じように、三千トン以上の船舶について水先技術的支援を受けるのが望ましい、実はこういうことだったと思います。しかし、神戸入港隻数や同じ大阪湾における大阪港との公平性という観点からこれは一万トンになった、私はこう理解しています。  二つ目は、横浜港よりはるかに集積が進んでいる東京港、ここについてはシミュレーションを行わないで一万トンで行っています。  三点目は、国が港湾審議会の中で十分に審議をした港湾計画に基づいて港というのはつくっていますよね。それでつくった港に、この港は三千トン、この港は一万トン、こういうことが果たしていいのかどうかということであります。  そして四点目は、まさに先ほど来大臣の御答弁にもありますように、規制緩和というのが港湾全体に今強く求められておると私は思います。これにもこれは反するわけであります。  したがって、中間答申では、平成十七年までに再度一万トンまで緩和を検討する、こうなっておりますけれども、同じ東京湾片一方は一万トンで片一方は三千トンというのは、これは横浜の港は危険だよということを言われているような感じでありますから、実は神戸の例もありますので、ぜひとも一日も早く一万トンに緩和をしてほしい、こう考えますけれども、これはいかがですか。
  15. 川崎二郎

    川崎国務大臣 規制緩和は進めなければならないと思っております。しかしながら、一方で安全と環境、こういう問題についてはやはりしっかり見きわめなければならない、これは当然であります。  ですから、今菅委員指摘のように、経済性からいえば、早く一万トンにしろ、こういう御指摘もあるだろう。しかし、一方で安全というものをしっかり見なきゃならない。その安全基準というものを考えるときに、私ども、まず国際比較というものが前提にあるんだろう。この議論をしてまいりますと、ちょっと、外国では水先についてはやはり強制になっておるというのが現実の姿のようでございます。しかしながら、我が国の置かれている立場、今競争立場もございます、そういった中でどうやっていくべきか、さまざまな議論が加えられました。後で、神戸港と横浜港の違い、港としての違いは答弁させますけれども、そういったものも全体も踏まえながら最終決断をさせていただいた次第でございます。  特に、私ども今回重要視しましたのは、管理者なり地元の市長さんがどうお考えか、横浜ももちろんでありますが、川崎、そういうところの皆さん方はどうお考えか、こんなことも実は聞かせていただいた中で判断をしたつもりでございます。  早くせいというお話でございますけれども、安全だけはしっかり見きわめながら一歩一歩進めてまいりたい、このように思っております。
  16. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 神戸港と横浜港の入港船舶隻数あるいは船種違い等について、事実関係を御説明させていただきます。  まず、全入港船舶隻数でありますが、これは平成八年の統計でございますが、神戸港が八万一千六百六十三隻、それに対しまして横浜港は十一万一千六百二十六隻、約四〇%近く、三〇%近く多うございます。  それから、特にその中で危険物荷役隻数につきましては、神戸港が五千四百十六隻に対しまして横浜港は三万八千二百六十六隻ということで、相当危険物積載船隻数については差がございます。  ちなみに海難件数につきましては、神戸港が百六十八件、それに対しまして横浜港は三百一件でございます。  以上、事実関係でございます。
  17. 菅義偉

    ○菅(義)委員 私も、港における安全というものは一番大切であるということはよく理解をしているつもりでありますけれども、先ほど挙げました点でいろいろ実は、時間の関係で私これ以上申し上げませんけれども、不満があります。ぜひ、大臣におかれまして、大所高所から御判断をいただきたいと思います。  次に、国道三百五十七号線でありますけれども横浜には大黒埠頭本牧埠頭という二つ埠頭があります。この二つ埠頭をいわゆるベイブリッジで結んでおりますが、その下に実は国道が通る計画があります。今回、この予算の中で、埠頭間を結ぶ建設予算化をされる、これは地元経済界挙げて大歓迎であります。本当にありがたいと思っております。  橋の部分は当然、建設省、取りつけから臨港部分については運輸省、そういうすみ分け。二〇〇一年の省庁再編を先取りするような形の予算であったのかなというふうに私は思っておりますが、予算概要によれば、予定事業期間というのは十一年から十五年、こうなっておりますけれども、これも一日も早く完成をさせてほしい、そういう大きな声がありますが、この完成予定についてはどのようにお考えなのか、お尋ねをします。
  18. 川嶋康宏

    川嶋政府委員 御質問国道三百五十七号線、横浜港の物流を円滑に進めるためにはぜひとも必要な臨港道路であるというふうに考えております。それで、お話しのように、十一年度から予算措置をしたいということで今考えさせていただいているところでございます。  完成の時期でございますが、建設省事業と私ども事業と並行して行うということになってまいりますので両省間で調整が必要になってまいりますけれども、おおむね五年を目途に完成をさせていきたいというふうに考えております。
  19. 菅義偉

    ○菅(義)委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。  そして、次に、地下鉄について質問をさせていただきます。  公営地下鉄の九年度の輸送人員二十六億三千七百万人、前年度に比べて百万人ふえております。都心部における交通渋滞等考えたときに、地下鉄建設への要望が非常に実は強いものがありますけれども、この経営が非常に実は厳しいということをぜひ大臣に御理解をいただきたい。  九の公共団体で行っておりますけれども経常損失、九年度千六百六十七億、累積欠損額が一兆八千三百九十八億円もあるんですね。そして、経常経費に占める支払い利息の割合は三一・一%、減価償却費が二四%、こういう実態でありますので、現在は補助率というのは三五%でありますね、この補助率をぜひ高めてほしい。さらに、車両費だとか建設利息というものは補助対象になっておりませんので、こうしたものについて補助事業枠というものをぜひ広めていただきたい、この点が一点であります。  もう一点は、これは自治省お尋ねをしますけれども、今この建設に当たって、多額の企業債を今日まで発行いたしております。九団体合計で四兆千二百七十六億円の企業債でありますけれども、現在、一定条件のもとで七・三%以上の公営企業金融公庫資金については借りかえが認められている、それ以外はだめなんですね、これは。現在はまさに低金利、二%台の状況でありますので、この条件を大幅に緩和をし、借りかえ措置を認めていただきたい。  このことを地下鉄に関して二点質問します。
  20. 川崎二郎

    川崎国務大臣 私になりましてからも、大阪そして東京で新しい地下鉄の許可をおろしたところでございます。  非常に大きな御要望がございます。ただ、一方で、私自身、また運輸省としても、国鉄のかつての二の舞みたいなことをしたらいかぬな、陳情が多い、政治的な要求が多い、だからつくるということであってはならないんだろうと思っております。あくまで利用者の数、採算性というものをしっかり踏まえながらやっていかなきゃならぬな、こう思っております。  そこで、今三五%という御指摘をいただきましたけれども地方合わせて七〇の援助をいたしております。これを一〇〇%まで、五〇、五〇まで高めるということになりますと、今申し上げた、まさに陳情政治の繰り返しになるんではなかろうかなと私は思っています。そういう意味では、三五がいいのか四〇がいいのか四五がいいのかよくわかりませんけれども、やはり経営をされる方が、採算性を見ながら、自分も出すからやろうよということでなければいかぬと私は思っております。  そういう意味では、どのぐらいの数字に置いたらいいか、今御議論いただいているところでありますけれども、残りの部分については、私ども、できるとしたら、例えば無利子融資をするとか低利融資するとか、そこで補っていくことは十分考えなければならぬな、ただし、採算性のないところをどうしてもやれという、上下分離になるとどうしてもそういう声が強くなりますので、そこだけはひとつ御理解を賜りたい、こう思います。  今の現状としては、そこが大きな課題かなと思っております。
  21. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 お話にございましたように、地下鉄事業は非常に巨額な投資を要しますので、金利負担というのが経営に与える影響が非常に大きいということは事実でございます。  そういうことから、地方団体の方から借りかえとか繰り上げ償還という要望が非常に強いものでございますが、一方で、公的資金、政府資金とか公営企業金融公庫の公的資金、これを、一般的に金利が高いからということで借りかえとか繰り上げ償還を認めていきますと、もともとこういう公的資金というのは長期で安定した資金ということがいわゆる大きな意味でございまして、そういう機能が損なわれてくるということがございます。  したがいまして、地方団体の方の非常に強い要望を受けて、私どもも国庫当局の方とかいろいろ毎年相談をしながらやってきておる問題でございまして、十一年度におきましても、こういう公営企業関係だけではなくて一般会計まで含めて、十一年度限りの措置としてかなり借りかえとか繰り上げ償還を広げるということをいたしましたけれども、基本的にそういう長期資金という性格がございますので、どうしても一定の要件でやはり線を引かざるを得ないというところがございます。起債制限比率が特に高いところとか、あるいは公営企業でございますと資本費の負担が平均より相当高いとかいったようなこと、それから金利もやはり高いものから順番にそういう借りかえ、繰り上げ償還ということを考えなくちゃいけないものですから、どうしてもやはり金利の高さのレベルで一定の線を引かざるを得ないということがございまして、私どもいろいろ努力いたしますが、どうしてもそういう一定の団体を要件でもって絞っていかざるを得ない、そういう性格のものであるということは御理解をいただきたいと思います。
  22. 菅義偉

    ○菅(義)委員 でも、七・三%、余りにも私は高過ぎるなというふうに思っておりますので、ぜひ柔軟に努力をいただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  23. 石破茂

    石破委員長 次に、宮島大典君。
  24. 宮島大典

    ○宮島委員 自由民主党の宮島大典でございます。残余の時間を使いまして、菅委員に引き続きまして、運輸行政一般についての諸課題につきましてお尋ねを申し上げたいと思います。  まず最初に、先ほども大臣からお話がございましたが、規制緩和に引き続く諸課題についてお尋ねを申し上げたいと思います。  運輸産業につきましては、改めて申し上げますまでもなく、我が国国民の日常生活を支えるために、旅客、貨物輸送の両面から公共的な使命というものを負った産業であるということでありまして、国民のゆとりある生活の実現というものを、あるいは国土の均衡ある発展というものをこれまで支えてきたということであるわけであります。  そうしたことにかんがみまして、経済的な特殊性や、あるいは公共的な性格等からさまざまな規制というものがあったわけでありますけれども、先ほども議論ございましたとおり、これからは、多様化する輸送ニーズというものの対応や、あるいは経済の活性化等の観点から、規制緩和というものを進めていかなければならないということは、論をまたないところであります。運輸省におかれましても、積極的にそのことについて取り組んでこられまして、また今次は、需給調整規制の原則廃止というものを打ち出しておられるわけでございます。  ということで、その件につきまして、これからも鋭意推進をしていただきたいということでありますけれども、また一方にありましては、運輸政策審議会におきまして、その総合部会の答申におきましては、生活交通の維持方策というものをやっていかなければならないということも強くうたってあるわけであります。  原則として需給調整規制が廃止ということになれば、例えば離島、過疎地域を初め交通需要が少ない地域については、これからいわゆる生活交通というものが、安定的なサービスというものが供給できなくなるんではないか、そういう事態というものも懸念されるわけでありますけれども、しかし、生活交通分野については、市場原理の導入によるメリット、デメリットというものを十分に考慮されながらも、やはり利用者というものを第一義に考えていただきまして、サービスの向上というものを進めていかなければならないわけでありますけれども、なかなか期待もできない部分というものもあろうかと思うわけであります。ということで、生活交通の維持方策というものは、ぜひとも強くやっていただきたいと思うわけでございます。  このことにつきましては、答申にもございますとおり、これからは国と地方の役割分担というものも当然あろうかと思うわけであります。地方地方において、しっかりとそのことを十分に踏まえて地域振興というものをやっていかなければならないということでありますけれども、国においても、ナショナルミニマムの確保の観点から、やはりその責任というものがあろうかと思うわけであります。  ということで、これから生活交通というものを維持するということにかかわりまして、規制緩和というものにかかわりながらどうやって推進をしていくか、そのことにつきましての大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。
  25. 川崎二郎

    川崎国務大臣 規制緩和でございますけれども、私、就任直後から、今の経済状況は極めて厳しい、規制緩和のスピードを少しおくらせたらどうだ、こういう意見はかなりいただきました。  そのときに私お話し申し上げたのは、一つは、経済は早くよくする、これは小渕内閣の最大使命である、ここが一つであろうと。  もう一点として、規制緩和による光と影の部分。最近、スカイマークとかエア・ドゥのことが随分取り上げられておりますけれども競争によって新しいサービスが提供され、価格自体も安くなってきておる、これはプラスの効果であろうと思います。当然、そういうプラス面だけではなく、マイナス面が出てまいります。特に、採算のいい路線を持っていた、そこへ新規業者が入ってくる、当然価格を下げなきゃならぬ、競争をしなきゃならぬ。そこでの収益性が落ちてまいりますから、企業の中における内部補助、もうからない路線もこっちのもうかった路線で何とか支えていく、こういうのがなかなかきかない時代に当然なってまいるだろう。  そうなったときに、バスにしましても、離島航路にしましても、離島航空路にしましても、生活路線の維持は大きな課題になってくるねと。当然運輸省として、なるべく規制緩和をして、安全というものを担保しながら規制緩和を進めて活性化を図っていくと同時に、じゃ、我々のやっていく仕事は何かと言われれば、今、宮島先生御指摘いただきました影の部分をしっかり支えられるようなシステムをつくり上げることであろうと思っております。  ただ、これも前の方に申し上げたわけでありますけれども、もう運輸省だけでやるとか、こういう時代ではないだろう。そういう意味では、地方自治体の皆さん方としっかり手を組みながら、また自治省とも十分話し合いをしながら、この生活路線というものを守れるような施策を組んでいかなきゃならない。  こういうものをきちっとやっていくのには、大体どのぐらいの予算がかかるんだということも私ども掌握をしていかなきゃならぬなというように思っております。その中で、はっきりしたことを申し上げながら、その予算額というものを維持していく、獲得していく、また自治省にもその予算額の獲得をお願いしていく、ここがこれから一番大きな課題であろうと思っております。幾らやるやると言っても、実際の予算というものを確保できなければできないわけでありますので、どうぞその点につきましても委員の御理解を賜りたく、お願い申し上げたいと思います。
  26. 宮島大典

    ○宮島委員 ありがとうございました。ただいまおっしゃいましたとおり、原則的にはやはり市場経済というものの動向をかんがみながら自由ということであろうかと思いますけれども、その影の部分、いわゆるマイナスの部分というものをいかに補完していくかというのがこれからの行政あるいは政治のあり方ではないかなというふうに、強く大臣からの御指摘のとおりだと思うわけでございまして、その点について、何とぞまた御配慮いただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  そのことを受けまして、運輸省におかれましては、運政審やあるいは運輸技術審議会等の答申を踏まえながら、需給調整の廃止に踏み込んでいかれるということでございまして、その分野におきましては、旅客鉄道事業やあるいは国内旅客船事業国内航空運送事業、各分野において法整備というものを今回国会に提出をされるというふうに仄聞をいたしておるところであります。ということで、これから少し個別の問題についてお聞かせをいただきたいと思うわけでございます。  海上交通部会の答申におきましても、同様に受給調整規制の廃止というものがうたわれておるわけでございます。もちろんその中には、一方で生活航路というものをいかに維持していくかという方策についてもいろいろな指摘がなされております。その中で、事業制度のあり方についてひとつお伺いをいたしたいと思います。  このように、需給調整を廃止していきますと、先ほど大臣お話もございましたとおり、いわゆるいいとこ取りのような部分、そういう新規参入というものも考えられるんではないかなと思うわけでありまして、いわゆるクリームスキミングということが行われることが可能性として出てくるわけであります。しかし、そのことにつきましては、業界自体については大きなやはり傷跡を残す部分も出てくるんじゃないかと思いますし、ひいては生活航路の維持自体に支障を来すおそれも出てくるわけでございます。  ということで、このクリームスキミングにつきましては、いかにこれから防止策をとっていくかということが肝要であろうかと思うわけでありますけれども、その施策についての御所見をお伺いをいたしたいと思います。
  27. 宮崎達彦

    ○宮崎(達)政府委員 今御指摘のクリームスキミングにつきましては、一般の通常の需要のあります航路におきましては、それが一つの自由競争ということになりまして、市場原理が機能することになるわけでございますが、特に離島のような需要の少ないところ、特にまた住民の最後の生活の足といったような場面におきましては大きな問題になりかねない。  例えば、幾つかの島を渡るような離島航路の場合に、その一部の区間だけを競争原理にさらす、新規参入を認めるでありますとか、もうかる時間帯だけの便をやってしまう、そこだけ競争するということになりますと、その他の需要の少ない離島のサービスができなくなる、需要の少ない時間帯のサービスができなくなるということになって、大変問題だと思っております。その点は、先ほど先生御指摘の海上交通部会の答申におきまして、よく検討するようにという指摘を受けております。  現在、我々、法案を準備中でございますけれども、この海上交通部会の答申で指摘を受けました、生活航路の範囲を明確化しながら、一方で、経営合理化へのインセンティブということと生活航路の維持、その両立をうまく図りながら、離島住民の生活に必要な生活交通が確保されるために適切な事業計画を有しているかどうか特別に審査する方向で検討するようにという答申を受けておりますので、それを体しますような法案を現在政府部内で検討中でございまして、政府部内で調整がとれ次第、今国会に御提出して、御審議願いたいと思っております。
  28. 宮島大典

    ○宮島委員 今お話ございましたとおり、これから、やる気があるところや、当然、事業者というものは新規参入をして業界の活性化を図ってもらわなければならないというふうに思うわけでありますけれども、その辺と、いわゆる利用者の交通の利便性というものをどうやって整合性をとっていくかということは大変難しく、またさらに大切な問題ではないかなというふうに思うわけでありまして、その点についても十分にお含みおきをいただきたいと思うわけであります。  そして、答申の中には運賃制度のことについても触れてあるわけでありますけれども、運賃決定については届け出制ということであるわけでありますが、利用者の利益を著しく阻害する運賃である場合に限って、行政が変更を指示することができることが適当であるというような指摘をされております。  ということで、新規業者が参入をしてくるということであれば、当然そこには価格競争というものが起こってくるということが予測をされます。しかしながら、悪い方に考えますと、そういうことでダンピング競争なんかというものが起こりまして、そのことが過熱をしてくるということも可能性としては当然出てくるわけであります。しかしながら、その点において、ややもすれば、それが行き過ぎまして共倒れということもあり得るのではないかなということも懸念がされるわけでありまして、その点についても考えておかなければならないのではないかなと思うわけであります。  しかしながら、今までは、例えば一航路一業者に指定をされておりましたので、その事業については公的な支援というものも十分に行われてきたのではないかなと思うわけであります。しかし、例えば、そういうふうな競争原理が働く中で、事業というものが大変先行きが不透明になってくるということになれば、そのときにおいてのいわゆる公的な支援というもののあり方がどういうふうになるのかということが非常に心配になるのではないかなと思うわけであります。  ということで、生活航路については、指摘もございますとおり、合理的な経営のもとで、なお採算をとることが困難である場合は、国あるいは自治体の方で航路の維持のための公的支援を行うことがやはり重要ではないかなと思うわけでありまして、その点についてのこれからの公的支援のあり方というものについての見解をお伺いをいたしたいと思います。
  29. 宮崎達彦

    ○宮崎(達)政府委員 現在、先生も御承知のとおり、離島航路整備法に基づきまして、離島航路補助、欠損の一部を地方公共団体とともに補助するという制度が確立されております。  競争して共倒れというようなことにもなりかねない場合はどうするのかというような御指摘でございますが、現在の制度におきましては、競合航路というようなものがある場合には補助の指定対象から外す、唯一航路の場合だけということに限られております。  基本的に、今後、需給調整規制を撤廃しまして制度を改正いたしました場合におきましても、基本的な離島航路補助制度というものは維持していくという方針でございます。これは運輸政策審議会の答申でも指摘していただいておりますので、我々も維持していきたいと思っております。  ただ、離島航路補助制度そのもの、中身は常に見直しておりますし、今後、需給調整撤廃に即しまして、現実に離島航路事業が各航路においてどんな形になっていくのかというのを見きわめる必要があると思っております。  いずれにしましても、適切な離島航路補助制度、離島住民の生活が守られるように制度を考えていきたい、検討を続けていきたいと思っております。
  30. 宮島大典

    ○宮島委員 ただいまは一つの可能性というものを申し上げさせていただきましたけれども、これからそういうふうな規制緩和の中でいろいろな波及効果というものが、新たに派生する問題というものも考えられるのではないかなと思うわけでありまして、その点についてもその状況の変化においてしっかりととらえていただいて、対策をとっていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  ともあれ、離島航路というのは、島民の交通利便性の確保のため、朝から晩まで、乗客数の多寡にかかわらず運航をしなければならないということでありまして、一部では、やはり旅客の定員というものは最大輸送量というものを想定をされながら運航をしていかなければならないということで、なかなか効率的に難しいということは、もう言うまでもないということであります。ということで、離島航路の確保、いわゆる生活航路の確保というものにつきまして何とぞ御理解をいただきまして、鋭意対策をとっていただきますように強くお願いを申し上げておきたいと思います。  続きまして、今度は国内航空部分についてお聞かせをいただきたいと思います。  離島航空路につきましても、御承知のとおり、いろいろな影響を受けまして大変な状況であるということは申すまでもないわけであります。  私の地元、長崎県におきましても、離島航空路におきまして幾つかの便が最近運休をいたしております。対馬—関西線、福江—関西線、そしてまた壱岐—福岡線というものが昨年の後半から今年に至るまで実は続いているわけであります。理由といたしましては、なかなか利用率が上がらないということがあるわけでありますけれども、中には機材が老朽化をいたしておるとか、あるいは、もちろん規制緩和影響により、赤字補てんというものが採算路線から受けられなくなったということで存続ができなくなったということも挙げられているわけであります。ということで、代替の交通機関というものを利用しなければならないわけでありますけれども、しかしながら、この離島航空路というものもぜひともこれからそのニーズによって維持をしていただかなければならない、その時間的なメリットというものを考えながらつくっていっていただかなければならないと思うわけであります。  長崎県におきましても、昨年の九月に、地元の方で離島航空路線存続協議会というものをつくりまして、鋭意そのことについて取り組んでまいっているところであります。しかしながら、何と申しましても、そういう地元というものの努力もさりながら、やはり国としての支援というものを期待をする部分というものが実は多くあるわけであります。ということで、いろいろな要望というものが出てまいっておったわけでありますけれども、殊に今回、税制の特例措置においてこれまでの固定資産税の軽減、これを制度拡充されたということによること、あるいは新しく航空機の燃料税というものが軽減されたということは、一つ大きな進展ではないかと思います。そしてまた、一方におきましては着陸料の軽減というもの、これも制度拡充が行われたということ、そしてまた、これまでの航空機の購入費の補助、機体更新等の関係補助にとどまらず、今回は運航費関係で実は補助が行われるようになったということにつきましては、本当にこれまでの関係各位の御努力につきまして了としたいと思うわけでございます。ということで、この部分については大変地元としても大きく期待をいたしておるところであります。  そこで、一点お尋ねをいたしたいのでありますけれども、この運航費関係補助平成十一年度の予算におきましては四億九千万という枠が組まれておるわけでありますけれども、この点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、地元の大変大きな期待というものもあるわけでありますけれども、これからこの補助というものをどうやって実施をしていくかということが非常に注目をされていると思うわけであります。この実施につきましては効率よく、またタイミングよく実施をしていただきたいという強い希望があるわけでありますけれども、その点についてのこれからの考えをお聞かせいただきたいと思います。
  31. 川崎二郎

    川崎国務大臣 離島航空路につきましても、まず第一の基本は、絶対に必要なものというのをしっかりさせる、そしてそれを維持するためにはどのぐらいのお金が必要なんだ、ここをやはり我々としてしっかり掌握する、これが大事だろうと思うんです。その中において、それではどういう手段で予算なり補助なり、また税で減額するなり、どういうスキームをつくり上げていくかということで議論してまいりました。  今御指摘いただいたように、もともと、着陸料の軽減とか航空機の購入費の補助、固定資産税の軽減、それから航空機燃料税の軽減、やってまいりましたことを今御指摘いただいたように拡充したりしてまいりました。しかし、それだけでは先ほど言いました数字が埋まりません。したがって、今回補助金という部分まで踏み込んだというのが今日でございます。  全体的な数字をしっかり把握しながら今の対策でやれるべきものをやり、しかしながらこれも全部埋まりません。したがって、先ほどからお話ししております地方自治体との協議、自治省との協議の中でそこを埋めていく、地方自治体にそこを埋めてもらったときに今度は自治省の方からいろいろな形でその自治体を支援してもらわなきゃならぬ、そんなスキームでしっかりやりたいと思っております。
  32. 宮島大典

    ○宮島委員 よろしくお願いを申し上げたいと思います。  先ほど来申し上げましたとおり、離島便につきましてはそれぞれ大変な赤字を抱えながらの運営をしているということでありまして、例えば、これから先の将来のことを考えるときに、新たな事業を導入をしたいということであっても、なかなかその初期投資や運営費に多額の経費がかかって回らない部分というものがあるんではないかということが予測をされます。先ほど大臣もお触れになりましたとおり、当然自治体としても取り組んでいかなければならないことでありますし、自治体としてこれからやはり新たな財政措置というものをとっていただきながら進めていかなければならないと思いますので、その点についても運輸省自治省、それぞれ協議をしていただきながら自治体の支援というものをしていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  それでは、もう時間も短くなりましたので、次の問題にさせていただきたいと思います。  最後に一つでありますけれども海上保安庁お尋ねをいたしたいと思います。  去る二月の五日、日韓漁業協議というものが決着をいたしまして、いよいよ新協定というものがスタートをいたしたわけであります。総理のそのときの会見にもございましたとおり、これからは両国が信頼をし合って、そして漁業関係者も海の資源というものを大切にしながら漁業が安定的に発展することが望まれるということであったわけでございます。  新協定がスタートいたしたということで、これから相互信頼というものを保つというためには、やはりルールの遵守というものが必要ではないかと思うわけであります。また、一方におきましては、これはもう長年の懸案であったわけでありますけれども、取り締まり体制をいかにこれから充実強化をしていくかというものも課題として残っております。また、両国間の協議におきましても、このことにつきましてはさらに協議を続けていくということになっておるようであります。  我が地元の長崎県でも、そういうことで、大変水産を中心とした県でありますので、その点について今まで幾つもの問題というものを抱えながら漁業というものを推進をしてきたわけであります。また、独自に長崎県では自主的な監視体制というものを圏域的に組織をつくりましてやっているということも、一つ自助努力としてあるわけであります。しかし、海上保安庁におかれましても、この取り締まり体制というものはしっかりと強化をしていただきたいということで、強く望まれるわけであります。  ということで、今後の考え方、そしてまた体制の強化についての御所見を承りたいと思います。
  33. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えいたします。  まず、今般、海上保安庁におきましては、一月の二十二日に新しい日韓漁業協定が発効いたしましたので、韓国漁船が多数操業することが予想されております日本海、九州周辺、東シナ海等の主要な漁場に重点を置きまして、巡視船艇、航空機を配備いたしまして、監視取り締まりに当たってきておるところでございます。  具体的には、一月二十三日、翌日でございますが、長崎県の対馬の周辺の排他的経済水域、いわゆるEEZでございますが、そこにおきまして四隻の韓国漁船の無許可の操業につきまして、これを排他的経済水域における漁業等の主権的権利の行使等に関する法律等の違反で検挙をしたところでございます。その後は、暫定水域等を除く排他的経済水域において違法操業を行う韓国漁船は確認しておりません。こういった状態でございます。  引き続き、無許可漁船の違法操業が行われないように、厳しく監視取り締まりを行っているところでございます。  なお、先生今御指摘ございました先般の日韓水産当局者間の合意を踏まえまして、我が国の許可を得て韓国漁船の操業が行われることとなる場合にも、海上保安庁といたしましては、許可条件の遵守状況の確認、無許可漁船の検挙等、監視取り締まりを引き続き水産庁等と連携しながら実施していくこととしておりまして、体制などにつきましてもしっかりやってまいりたいと考えております。
  34. 宮島大典

    ○宮島委員 この問題につきましては、本当に長いことの懸案でありますし、しかしながら、実情といたしましては大変難しい点も多いということも理解をいたしておるところであります。  いろいろな問題というものもあるわけでありますけれども、これから水産業というものを振興していく中ではどうしても外すことができない、欠かすことができない問題でありますし、取り組んでいかなければならない課題でありますので、その点についても、どうか大臣も御理解をいただきまして、強く御指導、御支援をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  35. 石破茂

    石破委員長 次に、玉置一弥君。
  36. 玉置一弥

    ○玉置委員 ことしの通常国会初めての質問でございまして、大臣の所信を読ませていただきました。今、私たちが一番心配いたしますのはやはり国の財政ということでございまして、去年は、十年度末の国債並びに地方債、借金等を含めて五百三十兆円、残高ですが。ことしは六百兆円と予測される。こんな状態でございまして、日本経済がいかに早く立ち直るかということももちろんでございますが、今までの政治のあり方、特に、陳情型政治といいますか、地方からのいろいろな要望を受け、あるいは業界からの要望を受け、結果的には大変肥大化した行政ということになったわけでありますが、同じような姿勢ではもちろんこれからやっていけないだろう。かといって、社会資本整備で必要な部分もあるわけでありますし、また新たないろいろな技術を導入して新しいシステムをつくっていかなければいけない、こういうことが片方では必要とされております。  そういうことを考えますと、本当に、これは昔よく竹下さんが使われたんですが、めり張りのきく行政といいますか、ある程度思い切って要不要をはっきりして、要らないものについては極力手をつけない、そして場合によっては廃止をする、そして、これから必要な部分についてその費用をいかに捻出していくかということが行政にとって大変重要なことではないかというふうに思うわけであります。  そういう観点から、今所信表明の中にうたわれております個々の中身について、いろいろと大臣にお伺いをしたいというふうに思います。  まず、一つの流れといたしましては、運輸省全体の中で総合交通体系ということで、交通の中の手段をある程度選択をしながら、それぞれの得意な役目といいますか、それを活用して、なるべく重複しないように交通網のネットワークを日本全国に張りめぐらそう、こういうことだと思いますが、いつも片方で聞きながら、例えば整備新幹線問題は地域の方にとっては必要だと思います、これがなければもう生きていけないみたいなことを言われている方もたくさんおられるわけであります。  しかし、では在来線の効率化で本当に済ませられないのか。あるいは、片方では高速道路を要求しながら、あるいは飛行場を要求しながら整備新幹線も要求をする、ではそこへ行く人たちが、例えば整備新幹線、飛行機、高速道路とついたときに、三倍以上の人が集まるのかということもあります。そういうふうに考えていきますと、どうも運輸省がねらっておられるような簡単な総合交通体系というふうにはならないだろう、こういうふうに思うんです。  そこで、まず基本的な考え方、これについて、従来のいわゆる総合交通体系という一つの流れがありますけれども、これをどう受けとめられて、これからの運輸省行政の中でどういうふうな進め方をされていくのか、これについて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  37. 川崎二郎

    川崎国務大臣 二つ課題があると思っております。一つ投資効率。投資をして、まさに経済的にも地域的にも効率性のいいものに絞っていく。先ほど港湾の御指摘もあったように、そうした考え方が一つあります。それからもう一つは、やはり国土の均衡とれた発展という課題も私はあるんだろうと思っております。これはやはり地方皆さん方の声、それから夢というものに対して、国としてこたえていく必要は当然あるんだろう。そこのバランスをどうやってとっていくかというところが、私は就任以来、課題であると思っております。  その中で、私自身が言ってまいりましたのは、やはり三大都市圏の交通網整備に少なくとも運輸省予算の六割は投じようということを申し上げてまいりました。今、五十数%でございましたけれども、三次補正と今回の予算で六割を超えておると思います。大体六割を超えるものを三大都市圏に投資をしながら、航空網の、拠点空港の整備とか通勤対策とか、こういうものをしっかりやっていこうと。しかしながら同時に、例えば新幹線の話ですと、私自身は、日本の国土にしっかり新幹線の背骨を通すということはやはり必要だと思っております。したがって、これも強い主張をいたしてきたところでございます。  そこのバランスをどうするんだと言われると、全体的に申し上げれば、私が今申し上げたように、三大都市圏に六割以上は投下する、この基本で今やってもらっております。
  38. 玉置一弥

    ○玉置委員 確かに、納税者の比率で、なるべく納税者のおられるところに投資をするというのはもちろんでございます。  それと、私も新幹線ですべて反対しているわけではなくて、いわゆる背骨、骨格になるところは当然やるべきだ、こういうふうに思います。それはこの前の与党と行政の間の申し合わせ事項の中で、損益、ある程度収支の見込みの立つところについてという話でございますが、先ほどの離島問題じゃございませんけれども、多少赤字でもそういう骨組みのところはやるべきだ、こういうふうに思っておりますので、ぜひそういう判断でやっていただきたいというふうに思います。  それで、いろいろな投資状況を見ておりまして、例えば投資の仕方でもちょっと心配しておりますのは、昔のお話でございますが、国鉄の時代、私は当時は運輸ではなかったんですが、事務的にはほとんど運輸のことをやっておりましたので、いろいろな委員会の資料とか当時の運輸の理事さんの質問内容を私がつくったりとか、いろいろありまして、私自身も質問しました。その当時の記憶からいきますと、例えば国鉄の売り上げが二兆五、六千億あるいは三兆円弱だと思いますが、その当時でも一兆円近くの投資をするという大変ばかげた話がありました。普通の企業では考えられないですね。  それで、財投への返還とかいろいろやっていきますと、何にもお金が残らない、赤字が累積される、これは当たり前のことで、一つは政治路線だといいますが、実際はそうじゃなくて、やはり人が多かったということですね。それから、人を使うためにいろいろ投資をするということで、二重三重に赤字を積み重ねていくというような要因になったわけですね。そういう投資があります。  例えば、きのう出ました鉄建公団の監査結果、これを見ても、要するに余剰人員がいる。これは国鉄の時代の名残だと思うんですね。そういうことで見ると、人がいるから仕事ができる、運輸省もそうですが。これから規制緩和、それから需給調整というものがなくなってくると、運輸省は仕事がなくなるわけですね。だから、今何人おられるかわかりませんけれども、少なくとも半分でできるのじゃないかというふうに私は思うんです。  要するに、物の見方として、今人がいるから、あるいは今までこうやってきたからというような時代じゃない。今、これからどう切り抜けていくかという大変差し迫ったところに我々も追い込まれてきているということでございまして、その辺でまずやはり、運輸省としても関連の、いわゆる運輸省管轄の中の、例えば今のJRとかあるいは港湾ですね。港湾も、ハブ空港、ハブ港湾等々を含めていくと、日本にこれだけ要るのかしらというような感じを受けるわけです。  先ほどからお話を聞いておりまして、確かに横浜はあの狭い港で大変なところでございますが、ましていわゆる工業、商業の結構中心で、東京湾よりも横浜港の方が我々は受け入れやすいのじゃないかと思うんですけれども、入らないから東京港へ入ってくるというような感じになっていますね。それと、やはり日本が狭いから、海外で乗りかえて小さい船に乗せてやってくるというようなこともあるようでございまして、そういうことからいくと、日本の受け入れがまだまだ不十分だろうというところもあります。  しかし逆に、何でこんなところまでやるんだろう、言うと弊害が出てくるから言いませんけれども、いっぱいあります。今お金が余っている時代じゃございませんから、やはりある程度集約して、こことここをやる、あとはやらないと。幾ら工事を今やりかけていても、途中でやめてもいいと思うんですね。これ以上お金をかけないというようなことの考え方も必要だと思います。整備新幹線も同じなんですね。しかかり中だからどんどんやっていくのじゃなくて、もうやめたっていいと思うんですよね、使わないんだから。そういう物の考え方で進めなければいけないと思うんですね。  ですから、許可をおろした、だけれども将来の損失は目に見えているというところについて、思い切ってやめられるかどうか、そういう判断大臣がやらないといけないんですが、これについてどういうふうにお考えなんでしょうか。
  39. 川崎二郎

    川崎国務大臣 これにつきましては、既に港湾とか空港について、計画にのっていたけれどもやらない、また県とも相談した上で、港湾についてはこれは、というような形で、かなり整理はしてきたつもりでありますけれども、まだまだ足りぬという御意見ならば、私どももしっかりやっていかなきゃならぬな、こういうふうにまず受けとめております。  それから、もう一つは、今回、社会資本整備ということでかなり予算額をいただきました。一つの目的は、やはり景気に資するということがあるだろうと思います。そういう意味では、私自身指示いたしておりますのは、いい仕事を早く終えよう、それによって経済効果を出していけるだろう。したがって、例えば中部国際空港でも、二〇〇五年までにきちっとつくろう、平野社長も陣頭に立ってやってもらっております。やはり一つ一つをきちっと仕上げていくということが大事なんだろうと思っております。  できるだけ集中的な投資ができるように今後も努力してまいりたいと思っております。
  40. 玉置一弥

    ○玉置委員 その投資の中で、整備新幹線問題と絡むんですが、例えば、整備新幹線ができました。ということになりますと、今在来線を使っておられるJR貨物がありますね。JR貨物で、いろいろ従来からお話を聞いておりますと、整備が進むと自分たちはどうなるんだろうという心配をしていますという話があります。  というのは、整備新幹線に旅客の方が集中をするということになりますと、在来線が第三セクターに移行するという可能性が非常に出てくる。そういうようなときに、従来は、例えば大手のJRの東日本とか西日本とかいうところがそういうところの路線整備をやっておられたということでありますけれども、第三セクターになると、それだけの力がなかなかない。それから、料率の決め方も、従来の要するにただ、ただではおかしいですけれども、安い値段で利用させていただいていたということで何とか採算がとれているということですが、今度はその負担が当然JR貨物にも来るだろう。  こういうふうに考えますと、整備新幹線が整備されるに従ってJR貨物の命が短くなる、こういうような話があるんですが、それはどういうふうにお考えでしょうか。
  41. 川崎二郎

    川崎国務大臣 国鉄改革を進めてまいって、本州三社は完全に経営の軌道に乗ったと考えてもいいんだろうと思います。残りの三島の問題は、例えば九州は、あと三年だな、三年後に何とか上場を目指したい、こういう形で努力されてきております。それから、力及ばずのところは私どもできるだけのことをしなきゃならぬだろうと思っております。  ただ、問題は御指摘のJR貨物でございます。これは実は年々悪くなってきている。ほかの三島の場合は、経営厳しゅうございますけれども努力の結果というのは少しずつ前向きに出てきています。しかし、JR貨物の場合は逆に、経済状況の変化もあるかもしれませんけれども、年々悪くなってきているものですから、抜本的な対策を考えなきゃならぬなと思っております。しかしながら、一方でモーダルシフト、特に環境に対する配慮ということになると、先ほどの新幹線と同じ話で、JR貨物というのをしっかりした形で残していかないと将来禍根を残すことになるな、こう思っております。  そういう意味で、今玉置委員から御指摘いただいた問題がございまして、地方自治体と今詰めながら、どうにかこの問題できるんではなかろうかなと、今は手ごたえを持っているところでございます。いずれにしても、これから地方自治体との詰めが残されております。
  42. 玉置一弥

    ○玉置委員 モーダルシフトという一つの構想があります。JR貨物の方も非常に期待されているんですが、見ておりますと、各地方の引き込み線はほとんどなくなってきた。それから、ずっと貨物を見ていますと、コンテナもたまにしか乗っていない。要するにまばらなんですね。長い車両の中、まばらに積んである。こういうような状態で、明らかに利用客が減ってきているなというのが目に見えてわかるんですが、じゃ、営業活動をやっているかというとそうでもないんですね。今度こうなりますから安くしますよとか、あるいは、行き帰りの便が交互に、営業として積極的に、簡単に言えば西から東へ行く荷物と東から西へ行く荷物ととればいいわけですから、それもやっていないんですよね。  そういうのを見ていると、例えば、JR貨物から東日本のどこに引き込み線つくってくれとか、あるいは貨物エリアをもっと拡大してくれとかいう話はなくて、どんどんとみんな、少なくとも、例えば貨物の湘南駅とか、ああいうところが縮小されていくというふうなことで、ともかく拡大されるところはどこもないんですね。では、拠点として集中しているかというと、決してそうでもないということなんで、逆にもっと、こことここは確実にエリアとして守るんだというようなことで積極的に打ち出していかないと、今のままでは構想だけで終わってしまうと思うんですよね。普通だったらもっと外へ働きかけをやるんですが、運輸省がやれというわけでもないですけれども、もっと真剣に考えるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  43. 川崎二郎

    川崎国務大臣 実は、私も品川駅のところを見てまいりました。大変広大な土地でございまして、もう少し何とかならぬかなという感じを玉置委員同様持ったものでございます。  ただ、基本的には民営化の方向の会社でございますので、経営の一つ一つに私ども口を挟むことができるかどうか、これはやはり慎まなきゃならぬ点も多いと思います。ただ、実態が、経営内容が悪うございますので、社長等ともしっかり話をして前向きな計画を組むように、そしてやはり、全社挙げてこの問題を解決していく気迫というものを持っていただかなきゃならぬのじゃなかろうかな、このように思っております。
  44. 玉置一弥

    ○玉置委員 トラック業界の方は個々に、西から行く荷物、東から行く荷物をお互いに交換し合うということで、できるだけ空便を走らせないということでやっておられますし、片方では、非常に一回のロットが少なくなっている。それは、やはり生産工場が要求を少なくし、在庫をできるだけ持たない、そういう動きが全国的にここ十五年ぐらいあるわけですから、要するに、そういうのと貨物の容量がなかなか合わないんだと思うんですね。  だから、その辺を考えると、もっと小型のコンテナをつくるとか、できるだけ簡単にする。あるいは、乗客と同じく、車両ごと入れないで、そこから出し入れができるというようなこともやはり考えていかなきゃいけないと思うんですね。僕らが見ていても積みおろしに結構時間がかかっていますから、なかなかあれでは利用客がふえないだろう。  コンテナも同じなんですね。先ほどずっと船の話を聞いておりましたけれども、通関時間とか、要するに、岸壁に着いて役所がタッチするようなところからは結構早くなっているんですけれども、船が着いてそういう扱いになるまでに何週間もかかっている。トータルで三十日ぐらいとか、非常に長い時間をかけている。だから、そのこと自体が、やはり競争力がない、値段が高い、全部お金がかかるんですね。係留の費用とか保税の費用とか、それから単なる倉庫費用とかいうのがみんなかかりますから、役所の部分だけ短くしても、周りを短くする、これは規制緩和だと思いますので、その辺をやはり力を入れていかないと安くならないだろう。  それから、リニアモーターカーでございますが、リニアモーターカーは、ことしの予算で見ますと七十億円の予算ですね。一応実験走行がされている。三十五億円が補助金ということでありますが、私がちょっと心配していますのは、ずっとこれは実験をやって、確かに、技術を向上させるというのは非常にいいことなんですけれども、じゃ、実用化といって、今の新幹線にかわるような工事がこのお金のない時代にできるのかどうか。それから、先ほどの話で、総合交通体系、基幹のところはこのリニアモーターにしましょうというふうになった場合に、じゃ、飛行機はどうするんだ、それから現在の新幹線はどうするんだ、また在来線はどうするんだ、こういう話が出てくるんですね。  西日本の方で七〇〇系のぞみというのが今度できますね。新幹線、何にも三百キロ出すことないじゃないかと私は思うんですが、西日本がいたら怒られますけれども、実際に、今二百七十キロ出るんですね、今ののぞみ五〇〇型というのが。五〇〇型、二百七十キロでも前がつかえているからそんなに出せないわけですね。では、七〇〇型にしたら、どこか減らして七〇〇型を飛ばしていくのかということになるわけですね。非常にむだなんですよね。わざわざそんな投資するより、値段を下げろと私は言いたいわけです。  そういうふうなことで、例えば利用客がふえて、かかる経費が安くなりますというならわかりますが、投資額だけがふえて人数は変わらないということになると値段が上がります。それから、リニアモーターカーのように投資額がふえて在来線が悪くなる、在来線というか、今の新幹線ですね、悪くなると新幹線が値上がりするんですよ。そういうことを新技術導入ということでやっていいのかどうかということになるんですね。この辺についてどう思いますか。
  45. 川崎二郎

    川崎国務大臣 技術革新というものをどうとらえるかということだろうと思うんです。民間でもありますね。ICなんかは随分やってしまって、結局みんなメーカーがもうからなくなった、こういうこともあります。しかしながら、私は、やはり追求していくべきものであろうと思っております。  特に、新幹線の場合で言えば、スピードを出せるということは、逆に言えばそれだけ能力があるということでありますから、目いっぱいのスピードで走るという安全性と、多少余裕がありながら、例えば三百キロ出せるけれども二百五十で走るというところに、やはり技術の安定性というものが私はあると思っております。そういう意味では、私どもとしては、やはり科学技術というものは運輸省という立場からも追い求めていきたいな。ただ、だからといって、もう財政的に厳しい中を計画のないままどんどん走れというわけにはいかぬのだろう。そういう意味では、技術革新という、科学技術という分野も常にスクラップ・アンド・ビルドしながらやっていきなさいよという御指摘だろうと思っております。それはよく考慮しながらやってまいりたい。  それから、リニアの問題につきましては御指摘どおりで、今、キロ二百億ぐらいかかるということになるんだと思います。例えば東京大阪間、これは引くと決めていませんけれども東京大阪間、もし引くとしたら、約五百キロですから十兆円という数字になるのかなと。そうなると、東海とかJR西とか東で引けますかというと、なかなかやれる話ではないだろう。まさに政治がそういうものを、先ほど新幹線で一つの骨太のものを通すべきだと申し上げましたけれども、リニアという骨太のものをこの際やるべきだという決断をするかどうか、こういう議論であろうと思っております。私としては、もう少し勉強させてもらいたいと思っています。
  46. 玉置一弥

    ○玉置委員 何か、リニアは大臣のところと私のところを通るらしいという話があって、本当に要るのかなと、ちょっと心配をしているんですよね。  というのは、整備新幹線も当時二兆五千億ぐらい、今四兆円ぐらいですかね、であればできるという話なんですが、実際に、じゃ、その四兆円を使ったときにだれが最後面倒を見るのか。国民全体なんですよね。そういうことで、国が持つというのは別に僕はいいと思うんですけれども、やはり最終的にはみんなそれぞれ納税者の負担ということになりますから、その辺を考えていきますと、本当に、例えば日本経済に資するとか、あるいは地域にかなり大きな貢献度があるとか、それから既存のところに迷惑をかけない。要するに、高いお金を使って片方でできました、新幹線が老朽化して、それにかわってやるならいいんですけれども、そうじゃなくて、新幹線はまたそのままどんどん投資をして、継続してやっていくということであれば、やはり採算上の大変大きな影響力は出てくるだろう、こういうふうに思いますので、その辺のタイミングを十分はかっていただいてやらなければと。  それから、新幹線のあるところよりないところに通した方がいいんじゃないかと私は思うんですけれども、そういう意味で、もっと違うところをお考えになったらとは思っております。  それでもう一つ、関西空港、これは関空だけじゃなくて成田もそうなんですが、第二期工事を今やりかけました。そこで、今までの利用の費用といいますか、この費用をちょっと見てみますと、トン当たりの費用が非常に、世界で有数に高いというふうに言われているわけですね。利用のトン当たり着陸料が二千四百円、これは成田の方でございます、新東京国際空港。それで、関西の方は、トン当たり二千三百円、これは国際線で、国内線は千九百円、そういう値段になっております。  そして、旅客、我々が出国するときに払う値段の方でございますが、大人一人、成田が二千四十円、関空の方が二千六百五十円ということでございます。これも、我々外国へ行って払うことを思えば、非常に高いということでございます。  これが、今ある空港をつくったときの値段と同じだけかけて二期工事をやる、こういうふうになっているんですね。それで、それじゃ便数は二倍になるのか、その辺の不安がありまして、とてもそうはならないだろう。ということは、この利用料がまた上がるんではないかという心配があります。この辺についてまず確認したいと思います。
  47. 岩村敬

    ○岩村政府委員 委員指摘のように、第二期工事、第一期にかけました額とほぼ同じ一兆五千六百億の費用を想定いたしておるところでございます。この投資によりまして、当然のことながら滑走路が一本ふえますから、収入面では着陸料の収入はふえてくるわけでございます。他方、投資をいたしますから、それから生じます金利なり償却なり、費用というものも当然ふえてくるわけでございます。そして、それを長期的に収支相償わせていくのが、これは関空会社という特殊会社で経営をしている以上、当然収支を償わせていかなきゃいかぬ。  そこで、第二期工事については、一つはコストの削減について工夫をいたしておるところでございます。一つは、段階的な整備をしようと。今委員指摘のとおり、需要が一遍にふえていくわけではございません。想定では、二〇〇七年の開港当初は十八万回、それからさらに二〇一一年、二十三万回という想定、滑走路ができたからといって急にふえるんじゃなくて、段階的にふえていくだろうということで、それに合わせまして投資の方も、例えばエプロンであるとか貨物地区の用地、こういうものはすぐに需要が出てまいりませんので、その地域の埋め立てを時期をずらす、すなわち二〇〇七年までには埋め立てを行わない。さらには、ターミナルビルにつきましても、急にお客様がふえるわけではございませんので、現在のターミナルなりを最大限活用して、新規のターミナルを新しい地区に建設するのを当初は見合わせる。そういったさまざまな工夫をしてまず段階的な投資をする、それによって二期の供用によって生ずる費用を削減する。  それからさらに、一期のときとは違いまして、特に投資の資金の回収が時間がかかります用地部分、これにつきましては、第一期のときは無利子資金が三〇%入っておりましたが、今回は五五%ということで、金利の負担を下げるという工夫。こういった段階的な施行、さらには、無利子資金を入れるということによってコストを下げるということを工夫しておるわけでございます。  当然のことながら、二期分ができて増便すれば収入はふえてくる、そこで、そういった時点で着陸料が適切な水準になるように我々見通しを立てて投資をしておるところでございます。  なお、具体的な着陸料がその時点でどうなるかということについては、これからの物価の動静がどうなるか、さらにはその際のお客様の動向がどうなっているか、さらには会社の経営状況がどうなっているか、そういったことがいろいろさまざまに絡んでくるわけでございますが、いずれにしても、そういったことを踏まえて航空会社と協議して、最終的な着陸料の額を決めることになるというふうに我々は考えておるところでございます。
  48. 玉置一弥

    ○玉置委員 日本に来られる外国の方が年間三百五十万人ぐらいですかね。外国へ行く人が千七百万ぐらいということで、当然、日本人の負担の方が大きいわけですが、外国の人をもっとふやしていかないといけないというのは従来からの姿勢だと思うので、外国のレベルと比較して高い分、利用客の分をやはり国がある程度思い切って負担をする、この辺の配慮と、それから今度は、空港会社、外国の例を見ていまして、民営化あるいはエージェンシー化しているところは上物だけなんですよね、そこでいわゆる出資してお金を出して買わせているのは。下の部分はやはり国営でやっているわけです。国営というか、昔から国が出した。そういうことでございますので、外国から比較してもどうしても料金の差というのはそこに出てくるわけでありますから、ぜひこれを配慮していただきたいというふうに思います。  それではちょっと話題が変わりまして、これは新ガイドラインという話を一言だけ確認のために聞きたいんですが、ガイドラインの法案はまだ出ておりませんけれども日本周辺の日米安保についての新ガイドラインのいわゆる新しい法律というのがあります。その中に、日本周辺地域の防衛、海上交通の保護のための共同作戦というのがありまして、関係省庁の長に対して依頼することができるというような文面があるんですが、これは、実際には国内有事の場合と周辺有事の場合とありまして、今周辺有事の話なんですね。そういうときのガイドラインということでございまして、実質的にはほとんど自衛隊がやるということだと思いますが、協力を依頼することができるということで地方自治体の方にはぼつぼつ何かそういう話が行っているか、行っていないかというのが予算委員会でいろいろ論じられておりますけれども関係省庁についてそういうお話が出てきているのかどうか、そこだけをちょっと確認をしたいというふうに思います。     〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
  49. 川崎二郎

    川崎国務大臣 新ガイドラインに対して運輸省としてどう考えるか、これは申し上げました、港湾の利用についてまた空港の利用について。  基本的に、港湾ですと地方自治体が管理者になっておりますし、空港の場合は国と両方に分かれております。その中において、日米地位協定によって当然米軍は使用できるということになっております。したがって、無理のない形でお使いになるという場合には基本的には拒否できないものと考えております。ただ、港湾がいっぱいなのにそこをどけてくれと、それで我々の船が入るんだと、長い間停泊している、こういうときには拒否権はあるんだろうなということは私どもの方から申し上げております。  ただ、個々の具体的な問題、地方自治体への、また民間業者、これについては全く話し合いは持っておりません。
  50. 玉置一弥

    ○玉置委員 これは、予算委員会なり安保なり外務委員会なりの課題でございますので、またそちらでお聞きしたいと思います。  ただ、私どもとしては、国全体の話ですから、各省庁が必ず連携をとりながらやっていかなければいけないということでございまして、個別にはいろいろな方に話はあったかという話を聞いているんですけれども、改めて公の場でということで確認をしたいということでございます。  それでは、高齢者、障害者の移送問題についてお聞きをいたしたいと思います。  実は、市民団体の中で、この高齢者、特に障害者の移送についてボランティア活動をやっている方がおられまして、そういう方々お話を聞きますと、日本はなかなか高齢者あるいは障害者の方に対する移送が非常にまだまだ不十分であるというお話がありました。  それで、そういう方々調査で、特にイギリス、スウェーデンあるいはアメリカ、そういうような国々は、都市交通等を含めて、ここ十五年ぐらいの間ということでございますが、かなりその障害者移送について進んできたというお話でございます。それで、どういうことをやっておられるかということは、もういろいろな面で調査はそちらもやっておられると思いますけれども、特にイギリスの場合は、ロンドン地域運輸法あるいは交通法という法律が一九八四年から五年にかけて制定をされ、高齢者、障害者の公共交通対策ということで、そこがスタートでして、始められたと。  この中身から申し上げますと、いわゆるコミュニティーバス、ダイヤル・ア・ライド、コミュニティートランスポート等々の手法があるわけでございまして、いわゆる一つのバリアフリーとか、それからスロープつきのタクシーとかバス、ローフロア、要するにステップがほとんどないという低いバス、そういうようなものを活用しながら、ドア・ツー・ドアというのもありますし、予約制のやつがあって、日本もありますね、日常は一般の乗客を送り迎えし、予約した人たちがまた活用するというふうに、要するに時間をむだにしないという活用方法ということであります。  それで、昔はやはり欧米の方が高齢化率が高かったわけですけれども、今はもう日本も非常に高い。今、高齢者と言われる方に該当するところが、総人口でいきますと大体二千万人日本におられる。障害者になりますと、障害者と言われる人たちが約三百万人おられる。この概数の希望といいますか、そういう調査も政府の方でやっておられまして、総務庁なりあるいは厚生省なりの調査によりますと、二千万人のうち六五%がともかく何らかの形で最低週三回ぐらい、二、三回あるいは毎日外出をされるということであります。障害者の方の調査は、ほぼ毎日外出をされるという方は三八%、週に二、三回という方が二一%ということで、これも六〇%ぐらいですね、外出をされるということであります。  そういうふうに見てまいりますと、これから私たちの国も、そういうバリアフリー化とか、あるいはいわゆる福祉バスとかタクシー、いろいろな形で既にあるわけですが、これだけの人数の方を移送するには非常に設備としてあるいは交通手段としても少ないんじゃないか、こういうふうに思うわけでありまして、まず、とりあえず現段階において運輸省としてどういうものをどういうふうにされているのかということをお聞きしたいというふうに思います。
  51. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 現状の御説明でございますが、委員今御説明されましたように、高齢者、障害者の移動は我が国でもより貴重なものになってきておると運輸省でも思っております。移動をお助けするということを、大事な行政課題だということでいろいろなことをやり始めておりますが、運輸省立場から、今御指摘にもありましたように、いろいろな輸送手段のバリアをなくす、少々の障害があるので移動が困難になるというケースも多いわけでございますので、バリアフリーを目指すということと輸送のお手伝いをする、福祉輸送サービスを支援するという二つ分野が中心になってきております。  バリアフリーの中では、駅とか車両の乗降、移動の容易化ということでございますので、車両の購入費補助、税の軽減、あるいは駅舎のバリアフリー化の補助ということが一つ分野でございます。また、福祉輸送サービスにつきましては、事業者の方がされる福祉輸送サービスを何かの形でいろいろ御支援する。例えば、昨年十月に財団法人全国福祉輸送サービス協会というものを設立されました。このような福祉輸送を施行される事業者の方が集まられて、今後の福祉輸送サービス考えていく、積極的になろうということを御支援する、そういった分野でございます。     〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
  52. 玉置一弥

    ○玉置委員 今、いろいろな駅でエレベーターとかエスカレーターがありますね。私の母親も足が非常に悪くて、まあ年をとるとみんなそうなんですが、ひざがおかしくなって手術したんですけれども、その昔、いろいろな方、田舎に行きますと座れない人がたくさんおられるんですね、痛いから。そういう人たちに一番何をしてもらいたいですかと言うと、下りのエスカレーターをつけてくれという話なんですよ。上りはまだ痛さを我慢できる、下りはとても我慢できないということで、最近駅でもかなり下りがつきましたけれども、まだ上りだけというのがたくさんあるんですね。あれは逆に障害者の方にとりましては、健常者のために上りがあって、障害者のために下りがあるぐらいの本当は心配りがあっていいと思うんですが、上りよりも下りなんですね。  その辺がまず間違っているんじゃないかというふうに思いますし、エレベーター等は大体四分の一ぐらいはついてきただろう、これは都市部の話ですが、それでもまだ七五%はついてない。エスカレーターもようやく半分がついた、こういうところなんですね。これも上りの方ですね。ということで、下りでいくともっとその半分以下だろうというふうに考えますと、まだ障害者を意識して十分なされているとは考えられないということでございまして、ぜひその中身を一回見直していただきたいというふうに思います。  それから、ほかにドア・ツー・ドアのいろいろなサービスを今やってもらっておりまして、ボランティア団体による運行がかなりふえてはきておりますけれども、ボランティア活動をやる上でのいろいろな障害というのがあるわけですね。  一つ申し上げますと、きのうちょっと事前にお伺いしましたら、団体の方たちは大体四百件ぐらいとおっしゃっていましたけれども運輸省さんは大体五百件ぐらい、そういうボランティア事業団体があるというお話であります。  その人たちはどういうことをやっているかというと、いわゆる車いすを乗せたりおろしたりできるそういう車をつくりまして、ボランティア活動をしている運転手さんが自分たちの関係する会員さんに対して、注文があって、どこどこへいついつ行きたいという話のときに、そこまで迎えに行って送って、また連れて帰る、こういう作業をされているということでございまして、そういう形でのいわゆるボランティア団体というものがあります。  それからもう一つは、福祉団体がそれぞれ家を回って集めてきて、また送って帰すというのをやっておられます。それから、タクシーあるいはバスに自治体がお金を出して、いわゆる福祉タクシー、福祉バスというふうな形でやっておられる、それに対しての割引というのがあるということで、その部分が自治体の負担ということになっている。こういう形で今行われております。  ところが、日本全国にどこでもあるかというと、そうじゃなくて、本当に限られた部分ということでございます。また、その大体三分の一から四分の一が東京都に集中をしているということでございまして、地方へ行くほどその率は低いということなんですね。  なぜかということをいろいろ聞いてみますと、まず一つは、ボランティアに頼ってやっているということで、資金がないということなんですね。ボランティア団体ですね。だから、社会福祉団体の方も、限られたお金の中でですから、たくさん車をそろえ、人をそろえということはできないということであります。  それともう一つは、今の法規制で、いろいろお伺いをしますと、道路運送法の中の旅客自動車運送事業規制、そういうところにやはり厳しくいくと抵触するということになりまして、そういうことを余り大っぴらに世間にPRすることができない。  ですから、先ほど言いましたように、二百九十数万人、約三百万人ですが、障害者ですね。その人たち、あるいは今二千万人というのはちょっと多過ぎますけれども、二千万人の人たちの中で、本当に足が悪くてとかあるいは目が悪くてなかなか思うように動けないという方たちの移送を考えていくとするならば、その人たちにPRをしないといけないですね。自分たちはこういうことをやっていますよ、だから利用してくださいということができないと、なかなかこれが広がらない。そういう意味で少ないということなんですね。これからそういう時代に対応できるようにするためには、やはり社会的に認知を得るということが必要じゃないか。そういう意味で、今ある規制の中で変えていかなければいけない、場合によっては法律を改正するか、あるいは認可の項目を追加するかというような形になるわけでありますが、そういうことをやらないといけないだろうということでございます。  それで、ボランティア団体の方、どういうことを考えられるかということでお話をいろいろやってきたんですが、今現在、個人タクシーの認可というのがありますね。一応それを参考にいろいろやりました。  そういうので見ますと、いわゆる有償運送の禁止というのがありまして、これは道路運送法の第八十条、ここに当たるわけでありますが、「自家用自動車は、有償で運送の用に供してはならない。ただし、災害のため緊急を要するとき、又は公共の福祉を確保するためやむを得ない場合であつて運輸大臣の許可を受けたときは、この限りでない。」こういう言葉があります。ここを十分精査していただいて、こういうボランティア活動の車を認定していただくような手続が得られないか。  要するに、こういう三百万人に該当する身障者、そして何百万人おられるか、高齢者で外出したい人、こういう人たちにできるだけ広く手を差し伸べて、社会参加といいますか、動きやすくしていただくということがやはりこれから必要になってくるのではないかという意味で、そのことを運輸省として、ぜひ新しい分野の中に進出をするというぐらいの意気込みで考えていただきたい、こういうふうに思います。  それからもう一つは税制の話がありまして、いわゆるNPO減税といいますか、慈善団体に寄附をする、あるいはボランティア団体に寄附をするという行為が免税の対象になるというようなことはやっていかなければいけない、こういうふうに思うわけですが、減税の方はともかくとして、認可なり法律改正なりで、ボランティアされる方の運転——有償といったって、タクシーとかそういう高い料金でやるならば今の福祉タクシーを利用すればいいわけですけれども、それができない人たちがたくさんおられるということで、安いボランティア活動によって移送するということに対して行政の方がそれなりの対応をしてもらいたいという要望が非常に強い。これに対してどういうふうに考えるか、まず、とりあえず大臣の方から。
  53. 川崎二郎

    川崎国務大臣 その前に、先ほど御指摘いただきましたエレベーター、エスカレーターの問題、私も障害者の方とお話しして、自分たちが考えている視点と必ずしも違うんだな、やはり方向を変えて見ることも必要だな、こう思いました。先ほどの御指摘も含めて、昨年の第三次補正で五十億ほど予算づけをさせていただきました。  企業にとって利益が上がるサービスというのはないものですから、そういった意味では、地方自治体なり国がもう少し前面に出ながらバリアフリーというものをつくっていかなきゃならないなと思っておりますので、委員の御指導、また、いろいろな意味での御協力をお願い申し上げたいというように思います。  それから、福祉タクシーについてもいろいろ御議論いただいておりますし、私もきのう、たまたま運輸省の前でデモンストレーションをやったものですから、見させていただいたり、ノンステップバスに乗ってみました。乗ってみるとまたちょっと違う感覚があるなと思いました。そんなものを少しずつ直していかなきゃならぬと思っております。  委員の御指摘の中で一番問題は、もし事故を起こしたときの担保をどうするかということだろうと思うんです。お金を取って乗せる以上は、やはり安全というものがお客様に確保されていなきゃならぬ。  そうすると、今の道路運送法によれば、かなりの補償が業者には義務づけられている。ボランティアの方がやられて、有償の対価をもらわれて、もし事故を起こしたときどうなりますか、この議論をどういうふうに詰めるかというところが一番問題であろうと思います。  御指摘いただいたお話は、最近特に私もいろいろなところからいただいているところでございますので、十分勉強してまいりたいと思っております。
  54. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 障害者、高齢者の輸送支援、とりわけボランティア団体の輸送支援に対する法上の位置づけという御質問でございます。  とりわけ道路運送法上の位置づけでございますが、道路運送法上は他人の需要に対する安全規制、価格規制というものを中心にしております。見ず知らずの人に命をゆだねる場合の安全性ということで、少々厳格に推移してきた傾向があろうかと思います。  今委員が御提示されました例は、仲間、会員などの輸送はどのように扱えばいいのか、とりわけ障害者、高齢者にとって便利で廉価なサービスになり得る会員輸送は、ボランティア団体の輸送はどうか。その際に、今大臣申されましたように、安全の程度をどのようにするかというのが法上の課題の本質的なところでございます。  現行の他人の需要に対する輸送に対しましては、二種免許でございますとか運行管理者を置くとか保険の付与とか、相当高い程度の安全性を要求しておりますので、コストも高くなりがちでございます。一方、例でおっしゃいました公共団体の輸送になりますと、公共団体はいろいろな意味で安心をされる主体だということで、事業主体になる法上の扱いをしておる経過がございます。  さて、今後のボランティア関連の輸送に対する法上の扱いというのは真剣に検討する課題だと思います。私ども把握している限りでもさまざまな輸送の態様がある。そのときの、事故に遭わないで安い、しかもそういう、ある状態の方を輸送するというのをどのように扱うかというのはなかなか難しい課題ではございますが、真剣に検討していく所存でございます。玉置委員の熱意に負けないような熱意で検討していきたいと思います。
  55. 玉置一弥

    ○玉置委員 確かに同じ質問を私も相手の方にしまして、要するに、不特定多数にというよりも、限定をしてやるにしても、運転者の質とか事故に対する対応とか乗りおりの介護、これについてどうするんだという話を十分詰めております。  これはいわゆる介護者、これから特に介護保険の関係で行ったり来たりがふえてくると思うんですね。そういう面で、介護のできる人をある程度置くとか、それから運転者の認定を、介護の訓練とかいろいろな緊急の場合の対応とかいうことを訓練して認定をする。認定された人が一応ボランティアとして登録をされて、その方が運転するとか、あるいは事故のときには、基金を創設して、その基金にみんなが参加をするとか、そういうような形でやればいいじゃないかという話を申し上げていまして、手法はいろいろあると思うんですね。そういう面でぜひ前向きにとらえてやっていただきたい、こういうふうに思います。  最後に、環境とそれに対応する低公害車、低燃費車のインセンティブという面についてお伺いをしたいと思います。  現在の、平成九年の京都会議における課題ということで、大気汚染の原因になっている各ガスについてそれぞれの規制値というのがあるわけでありますが、これについてどういうふうに実施をされてきたか。それ以降、要するに一昨年の秋というか十二月以降、どういうふうに対応されてきたのか。  それから、低公害車あるいは低燃費車についてインセンティブをどうつけるかということについて、時間がございませんので、まとめてお答えをいただきたいと思います。
  56. 川崎二郎

    川崎国務大臣 具体的な施策は局長の方から答弁させますけれども、基本的にあめとむちの問題なんだろうと思います。  目標年次が決まっているわけですから、その二、三年前になってばたばた徹夜で何とか間に合わせるというわけにはいかない。今から少しずつハードルを上げながら規制を強くしていかなければならぬ、こう思っております。  基本的には税制で、ことしも低燃費車それから低公害車、少し踏み込ませていただいたところでございます。ただ、これは地方税とのかげんがありまして、地方財政も極めて厳しいものですから、御期待に添えるような数字になったかどうかは私どもまた考えていかなければならぬ。特に、こういうインセンティブを与えて、低公害車なり低燃費車を国民皆さん方、本当に買っていただけるか。我々のPRも大事だろうし、メーカーの皆さん方にも努力してもらいたい。  それから、片一方で低燃費の目標をやはりメーカーに与えて、そしてそれをクリアできない場合は勧告をするとか、そういう形で昨年決めさせていただいたところでございますので、これは買っていただく方に規制を加えるというよりも、メーカーが主体になり低燃費というものに取り組む。それから低公害、NOxの問題については、まさに両面で今取り組ませていただいているところでございます。  いずれにせよ、御指摘のとおり京都会議で方向づけははっきりしているわけですから、休むことなく一歩ずつ進めなければならないなと。現実、我々がやっていることが一年たっても効果がなければ、また見直して来年新しいものを加えていく。だんだんだんだん勉強の度を上げてまいりたい、こう思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  57. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 一昨年の京都会議以降の低燃費、低公害、環境対策、特に自動車に対する環境対策の概要を簡単に御説明申し上げます。  京都会議は特に地球温暖化対策ということで、炭酸ガスの抑制、低燃費の達成ということが課題になりまして、自動車の、特に単体規制といいますか、自動車から排出される燃費規制を、昨年の六月のエネルギー使用の合理化に関する法律、いわゆる省エネ法の改正により、強化をするという方針が出ました。その後、通産省、運輸省の燃費目標基準値をガソリン乗用自動車、ディーゼル自動車について強化するということが答申を出されまして、本年四月から施行するということになっております。  ガソリン車につきましては二〇一〇年度が目標でございますが、一九九五年度比二一・四%の燃費向上率、ディーゼル車につきましては二〇〇五年度が目標でございますが、一九九五年度比で一三・一%の燃費向上ということでございます。  今のは規制の面でございますが、助成の方でございますが、低公害、低燃費車に対するインセンティブをつける、とりわけ自動車関係諸税の分野でやる。運輸大臣、先頭に立って、昨年の税制改正である程度の成果が得られたわけでございます。とりわけ低燃費車について初めて税制の特例措置が設けられたという面がございますし、低公害車につきましても拡充が図られてきております。今後ともそのような方向での要求を積極的にしていかなければいけないと考えております。
  58. 玉置一弥

    ○玉置委員 なかなか動きが見えなかったものでございますから、ちょっと気になりまして、去年の夏ごろからだんだん表へ出てきていろいろなことをやっておられるんでわかってはいるんですけれども、ほかの省庁も含めて非常に動きが鈍いような気がするんで、ぜひ積極的にまたお進めをいただきたい。ただ、車が余り循環しない不景気なものでございますから、そういう意味で、車の買いかえも進むように、またよろしくお願いしたいと思います。  終わります。
  59. 石破茂

    石破委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時開議
  60. 石破茂

    石破委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細川律夫君。
  61. 細川律夫

    ○細川委員 民主党の細川でございます。  昨日の川崎運輸大臣の所信表明に対しまして、質問をさせていただきます。  まず最初に、規制緩和の問題について伺います。  需給調整規制の廃止に伴います環境整備の方策につきましては、今運輸政策審議会で審議が進んでおりまして、各分野で答申が出ているところでございます。鉄道、航空等、今国会に法案が提出される分野につきましては、法案審議のところで議論をすることといたしまして、最近答申の素案が出されました乗り合いバスとタクシーの分野についてこれから伺いたいと思います。  私は、国による規制がさまざまな業界の自主性を損ねて適正な競争を阻害している面が強いということについては十分承知をしておりまして、一般的には規制緩和すべきだというふうに考えております。しかし、事公共交通の問題になりますと、なかなか一般論は適用できないというふうに考えます。川崎大臣の所信にもありましたように、安全性の確保、生活交通の維持、利用者の保護などの問題につきまして、これらの解決の見通しが明らかにならない限り、安易に需給調整規制を廃止はすべきではないというふうに考えております。  そこで、まず乗り合いバスについてお伺いをいたしますが、答申の骨子素案にもありますように、都市部それから地方部でも乗り合いバスの役割は大変重要でありまして、特に交通弱者の移動手段やそれから生活交通、これらを確保したり維持したりというようなところは自由競争ではカバーできない、そういう面をどういうふうにするかという問題がございます。この答申の素案では、生活交通の確保については、地域の行政に積極的な関与をうたいまして、そしてそのための地方公共団体中心の公的補助を提言して、財源確保の必要などを指摘しているところでございます。  内部補助が成り立つのは、理論的には都市部の超過利潤が存在するからでございます。しかし、規制緩和をいたしますと、その後の競争が激化をいたしまして、都市部におきます運賃が下がるということも十分予想がされます。その分を公的補助ということになりますれば、その財源は税金ということになります。現在、国もあるいは自治体も大変深刻な財政危機にあることは言うまでもないことでございまして、この不景気の中、新しい税源をつくり上げるということも大変危険でありますし、民意も納得をしないだろうというふうに思います。  このままいきますと、公的補助をうたったといたしましても、補助額が少なくなるのではないか、こういう結論になるのではないかというふうに思います。そうしますと、生活交通の確保自体も危ぶまれるのではないかというふうに私は思いますが、この点の見通しについて大臣はどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
  62. 川崎二郎

    川崎国務大臣 委員も御指摘いただきましたように、日本全体として、高コスト構造を解消するために規制緩和に取り組む、構造改革に取り組む、これはもうどの政党も同じ気持ちだろうと思っております。  私も、就任以来いろいろ御意見を賜ってまいりました。特に、今経済情勢が悪うございますから、少し規制緩和をおくらせるべきではないか、こういう御意見もいろいろいただいてまいりました。しかし、経済を何としても早く回復させるように努力する、それを前提に置きながら、規制緩和考えたとおり進めてまいりたい、このように思っております。  ただ、今委員が御指摘いただきましたように、法案を出す段階において私どもが、規制緩和の光の部分と影の部分、特に運輸省の仕事といたしまして、影の部分に対する対策をしっかりスキームをつくり上げて、そして財源を確保しなければならないと思っております。  生活交通の路線というものは、私ども守り抜くという思いで努力したい。ただし、今大きなバスが走っているんだ、ちょっと小さなバスになるよ、タクシーになるよ、こういう改良はお互いに努力をしてもらわなければならない。今既存のものをそのまま生活路線として維持するんだということではなくて、改良を加えながら、さあ、その生活路線を守るためにはどのぐらいのコストがかかるかね、運輸省としてどのぐらいの財源を確保できるか、自治省を通じながら、地方自治体と話し合いをしながら問題の解決を目指さなければならぬと思っておりますし、もう御指摘のとおりでございます。  法案を出すときには、その体制をきちっとつくり上げた上で御審議を賜りたい、このように思っております。
  63. 細川律夫

    ○細川委員 大変心強い回答が出ましたので、しっかりとその点をよろしくお願いいたします。  次に、タクシーについてお伺いをいたします。  タクシーにつきましても、答申の骨子素案によりますと、乗り合いバスと同様に需給調整規制を二〇〇一年、平成十三年までに廃止をいたしまして、そして運転手の資格要件の強化、事業者の資質の確保などの環境整備を行うということでございます。  素案の中でこの業界の現状認識を示しておりますけれども、それには、他産業に比べまして労働条件が大変厳しい、あるいは市場原理が完全に働かないということなど、正しい指摘がなされているというふうにも思いますが、しかし、そこから導かれます方針、これには乖離があるというふうに率直に感じるところでございます。  現在既に価格規制緩和をされておりまして、同時に、新しい免許、新免を含む増車が現在も行われております。例えば東京では、昨年度で三千台、今年度で九百台の増車枠が示されております。今、大変不況の中でこういう価格規制を外して増車をいたしますと、タクシー業界は御承知のように歩合制主体のものでありますから、運転手の賃金はますます低下をいたしまして、良質な運転手確保も難しくなるのは当然だというふうに思います。  運転手の年収は、九二年以降ずっと下がり続けておりまして、平均四百万円台で低迷をいたしております。また、タクシーの実車率は五〇%をはるかに下回って、一部では、町を歩けば、御承知のように客待ちのタクシーが路上にあふれて、それが交通渋滞の原因にもなっているほどでございます。  今需給調整規制緩和を既に始めておりますけれども、これの撤廃をするまでは増車について見合わせるべきじゃないかというふうにも私は思いますが、運輸省は一体今の状況を見てどういうふうな方針で臨まれるのか、その考えをお聞きいたします。
  64. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 タクシーの特に東京近辺における現況、またタクシー事業の特性について、細川委員述べられたのはそのとおりでございます。その中で、需給調整の弾力的運用ということで、平成九年の三月の規制緩和推進計画において、平成十三年度までの需給調整規制の廃止とあわせて、需給調整緩和するということが閣議決定されまして、平成九年度は基準車両数に一割を乗せる、十年度は二割を乗せるということで、緩和行政を行ってきたわけでございます。現在、不況の中での空車があふれる、運転手の賃金が低下するという実情は、当方も把握をしております。  平成十一年度以降の取り扱いでございますが、見合わせたらどうかという御提言でございます。その現状認識委員と同様のものを持っておりますが、さらに輸送の実績、需給の動向をこれからも把握していきたいと思いますが、今後、需給の弾力化については、ごく慎重に進めていくべきものと心得ております。
  65. 細川律夫

    ○細川委員 最後の方がどうもちょっと抽象的で、結論的なものがよくわかりませんでしたけれども、大変厳しい状況になっておりますので、ぜひひとつその点考慮して措置をとっていただきたいというふうに思います。  そこで、タクシーに関しての需給規制を廃止していけば増車が進行する、こういうことは、今回の緩和措置で既に結果は証明をされております。そこでお聞きをいたしますけれども、適正な需給バランスを維持するために何らかの方策を講じる必要があると思うんですけれども、その点についてはどうかという点が一点。それから、運賃について、安全確保を担保するためには下限運賃の設定も必要だというふうにも思いますが、この点についてはどうか。三点目といたしまして、運転手の資格要件を強化する、それに伴って労働条件を改善するという措置も私は必要ではないかというふうに思いますけれども、この三点についてどのように考えておるのか、お答えいただきたいと思います。
  66. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 ただいま、去る一月二十六日に需給調整規制廃止後の新たな制度のあり方についての答申骨子素案を公表して、意見を求めている過程でございますが、その中で、タクシーにおける事業の特性、とりわけ歩合制を背景にして増車意欲が極めて強い、その結果、不況にもかかわらず供給が過剰になって、運転手の労働条件に悪影響を及ぼすんじゃないかということが眼前の心配でございます。それに対してその答申素案の中でどのような措置を講じようとしているのか、今後行政としてどういう所見か、こういうお尋ねかとも思います。  三点につきまして、需給のバランスを維持するための方策、行政手法的にはなかなか難しい面もあるところでございますが、答申の中に盛られておりますのは、新規参入や増車により大幅な供給過剰が生じた場合に、事後的な緊急措置として参入規制を行ったりその後の回復措置を行うという措置、セーフガードと言われる措置が案として盛り込まれております。それに対して、そういうものは要らないんじゃないかという意見も委員会の中であるわけでございますが、その点が今後答申の実行に対して課題かと思います。  それから、運賃の下限については、下限が必要だという見方と、設定した運賃が不当であれば変更の指示が行える制度でいいのではないかというふうに意見が分かれております。  それから、運転者の労働条件等に関する事項については、ハンドル時間、乗務距離の制限の明確化、あるいは健康診断の充実、交通安全教育の充実等の安全の観点からの施策が盛り込まれております。  いずれも答申を受けて行政判断して実行することになるわけでございますが、タクシー事業の特性といたしまして冒頭申し上げましたような特性がありまして、なかなか一般的な考えのみでは措置できないというふうには見ておりますので、今後実情を適正に判断するよう努めるとともに、混乱の起きないように答申を実行していくという姿勢で臨みたいと考えております。(細川委員「運賃の下限は」と呼ぶ)  運賃の下限につきましては、下限が必要だという意見と、運賃の変更の指示が行えるようにすればいいのではないかというふうな両論がございます。それについてはちょっと法制的な検討も経なきゃいけないということでございますが、今後答申の結論の出方を見まして、現場で混乱が起こらないような姿勢で行政としては対処していきたいと思っております。
  67. 細川律夫

    ○細川委員 答申もいよいよ時期が迫っておりますので、先ほど私が申し上げたようなことについてぜひ考慮されたような答申が出るように、ひとつ御努力をいただきたいというふうに思います。  それから、次に規制緩和の関連でお伺いをいたします。  実は、昨年の末に自賠責の再保険制度をやめるべきではないか、こういう議論が与党内であったということを聞いております。  私は、この自賠責にはいろいろ問題はあろうかと思いますけれども、自賠責という制度そのものは、我が国が世界に誇るすばらしいいい制度だというふうに考えております。一昨年、加害者無責の問題などで本委員会でもいろいろと取り上げたところでございます。その結果、自動車保険料率算定会や、これはいわゆる自算会というところですけれども、あるいはまた運輸省努力によりまして審査会とか再審査会ができまして、いわゆる悪名高かった加害者無責というような数が大幅に減ったということについては、私自身も大変喜んでいたところでございます。  ところが、いい制度だと私は思っておりましたけれども、今回、政府の再保険をやめにいたしまして自賠責を民営化したらどうか、こういう議論が出てきた。これは私はまさに規制緩和に悪乗りをいたしました議論としか思えないわけでございます。  日本という国は、無保険車、いわゆる保険に入っていない車というのは大変少ないということ、あるいは保険料が安い、こういうことなど、それらも大変他の国にない非常にいいことでもありますし、何よりも被害者救済、こういう立場で公的な関与が必要だというふうに私は考えておりまして、改めてここでこの自賠責のいわゆる必要性というものを強調しておきたいというふうに思います。  最近、グローバルスタンダードという言葉が流行いたしておりまして、何かアメリカの制度がグローバルであるといったような誤解もあるようでありますけれども、事自動車保険の分野におきましては、交通事故の被害者救済、そういう視点に立って、何がよいのかということを議論すべきではないかというふうに思います。  そこで、お聞きをいたしますけれども、自賠責を民営化していく、こういうことについて一体政府はどういうふうにお考えになっているのか、また、自賠責の制度について、この件で懇談会をも設置をするというようなこともお伺いをいたしておりますけれども、その経緯などについてお伺いをいたします。
  68. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 いわゆる自賠責保険の民営化問題についての政府の考え方及び経緯についての御質問でございます。  経緯につきまして、昨年十月に、経済団体連合会、いわゆる経団連から、政府再保険の廃止の要望が出されました。また、一部の大手損害保険会社が自賠責の民営化ということを主張された経緯がございまして、昨年十二月の自民党行政改革推進本部においてさまざまな角度からの検討が行われましたが、昨年の結果では、「事故被害者の保護の条件等を今後検討し、その在り方を見直す。」という旨の政府に対する申し入れが行われたところでございます。  運輸省といたしまして、その申し入れに誠実に対応するという観点から、今月中にも、今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会を運輸大臣の懇談会として設立いたしまして、今後の自賠責保険制度全体についての検討を行うということを考えております。  政府の、運輸省の方からの考え方でございますが、自賠責保険は、今委員申されましたように、損害保険会社と行政関係よりも、むしろ被害者と加害者、その間に立つ損害保険会社の役割という制度の構築の問題かと思われます。その観点から、自賠責を民営化した場合には、保険金支払いの適正化が図られるかどうか、無保険車が増加しないかどうか、あるいはさらに、保険料が値上がりしないかどうかといった、被害者の利益に直結するような問題が含まれているように思いますので、十分かつ慎重な検討が要るのじゃないかと考えております。  ちなみに、現状、欧米の制度、欧米は違う制度だからという民営化論の主張でございますが、簡単に比較をいたしますと、保険料の水準は、アメリカが日本の四倍強、英国は二倍強、フランスは一・七倍ということでございますし、無保険車率は、我が国では〇・〇一%以下ということでございます。アメリカのカリフォルニア州では二七%の無保険車が走っておるということでございますので、必ずしも日本の制度は世界におくれをとっているものでなく、むしろある程度成果を誇れるものじゃないかと思っております。ただ、制度というのはいつも検討しなきゃいけないという対象であろうかと思いますので、これを機会に被害者救済の立場を重視して検討を進めていきたいと考えておるところでございます。
  69. 細川律夫

    ○細川委員 自賠責は、私はすばらしい制度だと思っておりますので、ぜひ、欠陥もあろうかと思いますので、その懇談会の中で欠点は是正をするように、そしていい点はむしろ堅持、伸ばしていくように、そういうことで、何といっても被害者の救済ということが基本であろうかと思いますので、そういう点の御検討をひとつ懇談会の中でよろしくお願いしたいというふうに思います。  それでは、次に移ります。  一月の二十日でございますけれども、岩手県のマグロはえ縄漁船新生丸が八丈島沖で遭難をするという事故が起こりました。この事故で問題となっておりますのは、二十日の午前七時二十一分、EPIRBという装置で救難警報が発せられましたけれども、この救難警報がいわゆる誤警報、誤った警報だ、こういうふうにみなされまして、本格的な捜査というものが八時間近くもおくれた、こういう点でございます。  不幸中の幸いでありますけれども、六人の乗組員のうち、救命ボートで五名は三十三時間の漂流の後に救助されましたけれども、これは海の水が温かい八丈島の方の沖でございましたからよかったんですが、これが北の方の寒いところ、寒冷地ならば、これはさらに悲惨な事態になったんではないかというふうに思います。  そこでお聞きをいたしますけれども、なぜこういうこと、本当に救難警報が発せられたのにこれが誤警報というふうにみなされた、これは本当に十分検討されなければいけないことでありまして、この事件の経過それから原因、一体どういうことでこういうことになったのか、海上保安庁の方から説明をいただきたいと思います。
  70. 川崎二郎

    川崎国務大臣 詳細については海上保安庁長官から答弁をさせていただきますけれども、いずれにせよ、海難救難に向かうのがおくれたことは事実でございます。大臣として、まことに遺憾であるという表明をさせていただいております。二度とこのようなことが起こらないように、今原因というものを追及させていただきたい。  海上保安庁は、私はよくやっていると思っております。ただ、今自賠責のことでもありましたけれども、やはり相手から一つの意見が出てきたときに、聞く耳を持たぬという形で押し返すのではなくて、指摘されるだけのことはあるのではないかというものをやはり改善につなげていくということが大事だろう。そういった意味で、今回事故調査委員会をつくらせていただきました。水産庁、郵政省、他の省にも加わっていただき、海上保安庁だけでなく、運輸省の官房長をトップとして、この問題の究明をさせていただいているところでございます。  また同時に、何といっても当て逃げの犯人が一番憎いわけでありますので、この問題につきましてもどうやら特定ができてまいりました。この問題も、外務省にも協力要請をしていかなきゃならぬ問題にもなってまいると思いますけれども努力をしてまいりたいというように思っております。  あとは長官より答弁させます。
  71. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えいたします。  この事件につきましては、その後調べますと大変複雑な経緯があったわけでございますが、それを言いますと時間がありませんので、簡潔にお答えをさせていただきます。  今回のこの海難事故につきましては、先生御指摘のとおり、一月の二十日の午前七時二十一分に、この船のEPIRB警報を、海上保安庁の本庁通信室の業務管理センター、これはMCCと申しておりますが、これを一回だけ受信したことから始まったものでございます。本件海難を担当いたしました横浜の第三管区海上保安本部は、直ちに関連情報の収集等を行うとともに、巡視船及び航空機の発動を指示いたしましたが、新生丸の定時連絡先であります高知県の室戸漁業無線局から、新生丸と通話中であり、船は無事であるという旨の情報を入手したことから、巡視船及び航空機の発動を解除したものでございます。その後、船主からの捜索要請がございまして、定時連絡に対する応答がなかったことから、本格捜索救助のため、改めて巡視船及び航空機の発動を指示したものでございます。  なお、救難につきましては、翌日二十一日の夕刻、御指摘のとおり、五人の方を救助いたしましたが、大変残念なことに、あと一名の方の行方がまだ現時点で不明になっておるということでございます。  また、捜査につきましては、昨日二月九日に、本件衝突海難の相手船を特定したところでございまして、パナマ船籍のKAEDE号というものであるというところでございます。引き続き、捜査に万全を尽くす所存でございます。  このような一連の事態となりました原因の究明につきましては、今大臣からお答えいたしましたように、一月二十五日に早速運輸省内の調査検討会の第一回が開催されまして、二月五日には、海上保安庁等の対応状況に係る調査結果と調査検討事項が取りまとめられたところでございます。今後、これに基づきまして、来月中に改善策が取りまとめられることになっております。  以上でございます。
  72. 細川律夫

    ○細川委員 これは、一月の二十日にこういう問題が起きて、もう既に二十日ぐらいたっているわけなんですけれども、ちょっと遅いんじゃないでしょうか。そんなに時間がかかるようなことでしょうか。来月にもなるというようなことでは、これはもっと早くこういうことは原因を究明して、一体どういうことが原因でこういうふうになったかということを国民皆さんにも知ってもらい、また関係者にも通知をして、二度とこういうことがないようなことを徹底しなければいけない。ちょっと私は遅いんではないかというような気がいたします。  それで、この問題で、大臣の所信のところにも触れられておるところがあるんですが、海難救助に関しましては、二月の一日から救助体制のようなものががらっと変わったわけなんです。GMDSS体制というのに完全に移行をいたしました。私は、昨年の五月の十五日、この運輸委員会におきまして、GMDSSへの移行に伴いまして、誤警報の問題あるいはこの装置の設置率の低さというようなことについて質問をいたしました。特に、DSCにつきましては、誤警報が多いためにスイッチそのものを切ってしまう、そういう例もあるんだということも指摘もいたしまして、この問題を取り上げたわけでございます。  今回はEPIRBによる信号でありますけれども、そういう意味では、EPIRBによります信号は、直接海上保安庁へ行くためにちょっとDSCとは性質が異なりますけれども、誤警報が多いということは、結局オオカミ少年のオオカミが来たという例えではありませんけれども、あれと同じように、いざというときに役に立たないんではないかということを、私はそのときも指摘をいたしましたし、今回もこういうことが、その指摘が私は当たったんではないかと、本当に残念に思っているところでございます。  このEPIRBでのいわゆる信号の発信については、誤警報が多いということでありますけれども、この誤警報が一体どれぐらいの割合になっているのか、あるいはまた遭難信号を受信して、誤警報がいっぱいあるんですけれども、じゃ、遭難信号を受信した場合に一体その救助体制というのはどういうふうにとるのか。この事件、一体、どういうように救助体制を当初とったのか、そこらあたりについて説明をしていただきたいと思います。     〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
  73. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 先ほどの説明、私、若干舌足らずでございまして、二月五日に、調査検討会におきましては、海上保安庁等が当日どういう対応をしたかというのをかなり詳しく調べまして、中間取りまとめ的な感じのものをそこでも出しておる。二月中にも次回やりまして、三月中にはそういった広範なものを調査検討事項としていろいろまとめていこう、こう考えておるわけでございます。  根幹にございます、先生御質問のEPIRBの誤警報の問題でございますけれども海上保安庁におきましては、平成九年が実は二百六十六件、それから平成十年は三百十四件のEPIRB警報の信号を受信しておりますけれども、このうち海難によらないものは、平成九年が二百四十六件で全体の約九二%、それから平成十年は二百八十七件で全体の約九一%でございます。  今回の新生丸の海難事故におきまして、海上保安庁では、EPIRBの警報の信号を受けて直ちに巡視船及び航空機の発動を指示したところでございますが、平素から、EPIRB警報の信号を受信いたしますと、安否の確認とか、あるいは航行または操業海域の特定等のために、直ちに船主、関係機関等からの情報収集を行うとともに、巡視船及び航空機を現場海域に向け出動させているところでございます。  ちょっとわかりやすい例で申し上げますと、当庁が本件海難の発生前の一週間の間にEPIRBをどう扱ったかということでございますが、遭難信号を九件受信しておりますけれども、うち四件は実際の海難でございまして、海難救助のための巡視船及び航空機を出動させております。その他の五件は誤発射でございましたが、その誤発射の五件のうち四件は直ちに出動前の情報収集で誤発射であることを確認いたしましたが、残り一件が、これが瀬戸内でございましてどこかわからない、こういう状況で、遭難位置、船名等が不確実の遭難信号でございましたが、現場付近に巡視船及び航空機を出動させて、夜中、深夜六時間にわたる捜索を行わせているということで、このような取り扱いをしておるところでございます。
  74. 細川律夫

    ○細川委員 この事件におきましては、一たん遭難警報を受信して、そしてこれが誤警報であった、こういうことで、それでもう救助の方は解除した。その後、船主の方ではいろいろと心配をされて、海上保安庁とかいろいろなところに、誤警報ではなくて本当のいわゆる遭難信号ではないかということを再三問い合わせをしているようですね。それに対して、もう誤警報は間違いないんだというふうなことで対応した。しかも、船主のところに始末書を書けというようなファクスまで送られてきた、そういうような報道もございます。  これは大変なことだろうと僕は思うんですね。実際に遭難をして、いわゆる遭難警報を発して、それを受信しているにもかかわらず、それが誤警報だということで捜査が大変おくれた、これは私は、大変ゆゆしき問題でありまして、二度とこういうことがないようにしていかなければいけないというふうに思っております。  そこで、私は去年のこの委員会での質問で、誤警報について、余りにも誤警報が多過ぎる、これは危険じゃないか、こういうことを言ったときに、当時の海上技術安全局長はこういうふうに答えております。「この誤発射の問題も逐次解決していくものと考えております。」こういうふうに答弁をされておりますけれども、しかし、一年たった現在でも、先ほど報告がありましたように、遭難警報が鳴っても、一昨年は九二%、去年は九一%ですか、これが誤警報だ、こういうことなわけですね。  そうすると、僕は、これは改善をされていないんではないかというふうに思いますし、今回の新生丸事件を考えてみましても、そもそも日常的に誤警報がずっとたくさんあるものだから、この警報は誤警報ではないか、まずそういうふうに疑いを先にかける。今回なんかはたまたま船主の方から連絡があって、それで誤警報だということが確信になっちゃって、そしてその連絡を受けた海上保安庁の方は、これはもう何の疑いもなく漁業無線局の情報をうのみにして、誤警報だということになって捜索の解除をしていった、こういうことなんじゃないかと私は思います。今回の事件は、誤警報が頻発する、つまりGMDSSの体制の不備がこの事件につながっているんではないかというふうに私は思いますけれども、この点いかがですか。
  75. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答えいたします。  昨年先生から御指摘をいただきまして以降、GMDSSの体制整備率の問題、それから誤警報対策、どんなことを講じてきたのか、まず実態関係について御説明をさせていただきます。  まず、GMDSSの移行率は、一年前では全体の約二五%でございましたが、この一年で急増いたしまして、平成十一年の二月現在、すなわち施行に至る時期にほぼ全数の船舶が移行する状況となっております。  それから誤警報対策、この間講じた点でありますが、まず国際的な対応措置といたしまして、昨年の五月にDSCやあるいはEPIRBの設備面での防止措置、それからDSCの中継手順の改善措置など、これまでIMOで七、八年にわたってずっと積み上げてまいりました誤警報対策措置を集大成いたしまして、それを各国にIMOの通報として回章し、これを各国が遵守していく、こういう流れで回章が発せられたところであります。  そして、この回章を受けまして我が国としては、国内措置としては関係者に対しましてこの誤警報の防止措置を周知徹底する必要性から、昨年十二月にDSC中継手順の徹底を促す通達を発出いたしましたほか、関係者で構成いたしますGMDSS導入促進連絡協議会の場を通じまして誤警報防止に関する周知徹底を図ってまいった次第であります。  また、我が国の港には外国船がたくさん入港いたします関係もありまして、入港する外国船におきましても、例えばPSC等の機会を通じまして誤警報防止手順について英文パンフレットをつくったりしながら周知徹底を図ってきたところであります。  その結果、誤警報の防止につきましては、大変恐縮でございますが、GMDSS全体の普及率、これは約四倍に伸びておりますが、例えば誤警報は、DSCは約一・五倍、それからEPIRBにつきましては約一・二倍程度、絶対数がふえております。したがって、対比におきましてはそれ相応の成果は上がってきたのではないかと思っておりますが、御指摘のように、絶対数においてはさらなる努力を要する実情にあるものと認識をいたしております。  今般の事故に関連いたしまして、GMDSS完全実施直前の大変不幸な事故でございましたけれども、私どもといたしましては、この事故を教訓といたしまして、先ほど大臣の方から御説明がございましたが、事故対策調査検討会において必要な検討を行い、この再発防止対策の流れの中で、また、国際的な枠組みとしてGMDSS制度が実施されておりますので、その枠組みを踏まえながら、ハード、ソフト、両面にわたります誤警報の防止措置の徹底についてこれから一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。  なお、ことし二月に施行いたします直前に、EPIRBにつきましては退船のときに原則としてぜひ携帯をして退船をしていただきたいということを、改めて今回の事故を契機にして通達を出させていただいた次第であります。  以上です。
  76. 細川律夫

    ○細川委員 私としては今回の事件そのものは、どう見てもこの背景には誤発射の問題があるというふうに思いますので、いろいろ御説明がありましたけれども、ぜひ二度とこういうことが起こらないようにひとつ努力をしていただきたいというふうに思います。  そこで、さらに質問を続けますが、今、最初に大臣の方からお話がございまして、この漁船に、新生丸に衝突をした相手方の船舶がはっきりした、わかったということでございます。その御努力には敬意を表する次第でございますが、じゃ、これから一体どういうふうにこの事件はなっていくのか。公海上での事故では外国の旗国の管轄になっておりますから、相手船に対しては強制的な捜査はできないんじゃないかというふうにも思います。  そこで、今回のこの事件について、相手方の船、KAEDEという船、この船主とかあるいは船長とかそういうものに対する刑事的な問題、こういうのはどういうふうになっているのか、あるいは、パナマ船籍でありますけれども、どうもパナマの方なんかは便宜的に船籍を置かせるというようなことで、果たしてこういう事故が起こったときにきちんと捜査をして、そして適切な処分というものがなされるのかどうか、そういう点もあり、大変心配でもございます。  そういうような、非常に不当な、おかしな処分しかされないような場合、一体日本の国としてこういうことにどういうふうに対処していくのか、これについてお答えをいただきたいというふうに思います。外務省。
  77. 阿部知之

    ○阿部説明員 本件に関しましては、海上保安庁から調査経過等々につき逐次連絡を受けておりまして、相手船はパナマ船籍の御指摘のKAEDEという船であるということを承っております。海上保安庁の方として、現在、事故の態様の詳細についてさらに調査すべき点を調べているという状況にあるということを伺っております。  それに基づきまして具体的な責任関係が明らかになった段階で、私どもとしては、必要に応じ外交ルートを通じて船籍国であるパナマその他関係国に対して通報を行うとともに、しかるべき措置を要請するということを考えておる状況でございます。
  78. 細川律夫

    ○細川委員 それで、不当な処分というか、適切な処分がなかった場合はどうされるんですか。
  79. 阿部知之

    ○阿部説明員 当、不当の国際法上の判断というのは非常に微妙なところもございます。具体的な形が出てからでないと、今余り先回りして申し上げるのもいかがかという感じはいたしますが、私どもとしては、外交上の手段を駆使してできる限りのことを申し入れていくということを考えております。
  80. 細川律夫

    ○細川委員 これは一般的に言えば当て逃げのようなものでありますから、大変悪質だというふうに思います。したがって、そういう船に対して一体どういうふうな措置がなされていくのか、この点については、日本の国としてもきちんとした見届けといいますか、これをしていかなければいけないんじゃないかというふうに思いますので、そういう意味での、関係機関ではその点をひとつきちっとしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  次に移りたいと思いますが、首都圏の鉄道整備についてお伺いをいたします。  一九八五年の七月、いわゆる運制審七号答申が出されまして、目標年次を二〇〇〇年とします首都圏における鉄道整備計画の骨格ができました。それから十四年たちまして、答申のほぼ四分の三が着手をされまして、全体としては着実な経過をたどっております。  その鉄道整備計画の中で最も大きい、最大の事業と言われております常磐新線ですが、これは当初二〇〇〇年に完成をするということでありますけれども、これが五年間延長をいたしまして二〇〇五年ということになりました。東京、埼玉などは順調に工事が進んでおりますけれども、千葉県の柏というところでは都市計画がいまだに決定されていないところでありまして、二〇〇五年の開業が危ういんではないかという声さえ聞こえております。また、総武流山電鉄と交差するわけでありますけれども、こことの協議が整わなくて裁判所の問題になった、簡易裁判所に流山電鉄の方から調停の申し立てがなされたというようなことも聞いております。  二十世紀最後の首都圏での国家的大プロジェクトと言われておりますこの常磐新線が、果たして二〇〇五年に開業できるのかどうなのか。もしできないとするならば、私は、秋葉原から、例えば南流山あるいは流山新市街地駅までの部分的な開業とかいうようなことも考える可能性も出てくる、考慮しなければいけないんじゃないかということも考えますけれども、その点どのように認識されておるのか、お答えいただきたいと思います。
  81. 小幡政人

    ○小幡政府委員 常磐新線は、お話しのように、首都圏におきます良好な住宅の供給、常磐線の混雑緩和、沿線地域の活性化を推進するためということで、非常に重要な役割を果たすことが期待されております。そういう意味で、東京都から茨城県にわたります沿線の地域の方々の期待も大きいわけでございます。  現在、全線で五十八・三キロメートルございますが、このうち、昨年の十二月までに、お話しのように、東京都と埼玉県の全線につきましては工事に着手し、事業を進められておる。それから、千葉県と茨城県の一部につきましてもそういう状況にございます。  ただ、お話しのように、千葉県の柏市地域、それから茨城県のつくば市地域につきましては、都市計画決定がいまだでございます。これの早期決定に向けて関係方々に全力で実は取り組んでいただいているところでございまして、目標としては年度内ということで頑張っていただいておるところでございます。  こういうふうに、二〇〇五年の全線開業に向けまして、関係省庁でございます建設省自治省あるいは地方公共団体方々、そういう方々の一丸となった努力を重ねているところでございまして、現時点におきましては、そういうことで、我々、部分開業ということは念頭になく、全線二〇〇五年の開業に向けて努力しているということでございます。     〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
  82. 細川律夫

    ○細川委員 この常磐新線の関係市町村あるいは住民の人たちは大変期待をいたしておりますので、目標年次にぜひ開通するように、ひとつ御努力のほどもよろしくお願いしたいと思います。  時間が参りましたのでこれで終了させていただきますけれども、そのほかにも、これからの首都圏の鉄道問題あるいは地球温暖化対策などにつきまして質問を予定いたしておりましたけれども、時間の都合で質問できませんけれども関係者の皆さんにおいでをいただいて質問ができないことを大変おわびを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  83. 石破茂

    石破委員長 次に、赤松広隆君。
  84. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 赤松広隆です。川崎運輸大臣に、昨日の運輸委員会における所信表明、これに関連をいたしまして御質問申し上げたいというふうに思います。  大臣は、二ページのところで、深刻化している廃棄物問題に対応するため、廃棄物海面処分場の整備を進めてまいりたい、このように所信表明でも申されておるわけでございまして、二十分しかありませんから、特に一点に絞ってお尋ねをしたいと思います。  御高承のとおり、私の地元名古屋市では、ごみ処理と自然環境保全という二つ環境問題を熟慮した結果、苦渋の決断として、この間、十七年間の長きにわたって進めてまいりましたごみの最終処分場を設置する西一区埋立事業を中止いたしました。西一区埋立事業というのは巷間言われておる藤前干潟のことでございまして、藤前干潟は埋め立てをしないと決断したわけでございます。  その結果、藤前干潟の保全は図られることとなったわけでありますけれども、反面、名古屋市のごみ行政は今危機的な状況に陥っているということであります。二月八日の名古屋市議会では、市長がごみ非常事態宣言を近いうちに出すということも答弁したということを聞いております。  危機的な状況というのは、地元じゃない方もお見えになるので少し御説明をしておきますと、現在、名古屋市で出た一般ごみについては、岐阜県の愛岐処分場というところに入れている。そこは、もともと平成四年でもう満杯ですよと言われておったのを、高密度の埋め立てをするだとかあるいはもう少し穴を掘ってたくさん埋めるだとかいうことをして、平成十三年の頭ぐらいまでは何とかもつだろう、すなわちあと二年ぐらいは何とかもつけれども、それ以降になったらもう捨てる場所はどこもありませんよということになったわけであります。ごみの減量化あるいは資源化を進めるなんということはもう当たり前のことでありますけれども、それをやったとしても、しかしどちらにしてもこの最終処分場については何とかしなければいけないという事態でございます。この問題については、マスコミでも、また多くの識者からも、この問題は一名古屋市だけの問題ではない、全国的な問題としてやはり考えるべきだということで、新聞その他にも多く取り上げられたところでもございます。  今回、名古屋市は、愛知県とともに、運輸省環境庁、厚生省の協力を得ながら、広域的な視点からの最終処分場の確保に取り組むこととして、今、精力的に別の場所という形での検討を進めておるところでもございます。  ごみ問題は全国的に深刻な問題であり、特に大都市部では、最終処分場の設置場所の選定についてはどの大都市においても非常に困難をきわめておるわけでございます。特に、今の法律でいうと、原則として、一般廃棄物、すなわち一般ごみについては、自分たちの出したごみは自分たちの地域内で処理をしなさいよというのは大原則でございまして、そういう意味でいうと、果たしてそういう場所が大都市内にあるのかという中で、どの都市も大変苦慮をしているというのが実態でございます。  今回の場合は、県が仲介役となって広域的に最終処分場を確保するということ、今までは当該の市だけが考えなさいと言っておったのが、愛知県も、これは看過できないということで、県も仲介役となって、もう少し広域的に最終処分場を確保できないかどうかやってみようということで、いろいろと御協力もいただいた。このことは、今までの考え方とすると、私の考えでいえば、廃棄物処理行政の新しい流れであり、将来進むべき一つの方向を指し示していることになるんじゃないか、すなわち、一市、一町村だけではもうこういうものはなかなか解決できない、もう少し広域的な行政の中でそういうことを考えていかなければいけない、そういう時期に来ているんではないかというふうに思います。しかしながら、大都市の周辺ということになっても、土地の高度利用が進み、過密化した状態であり、内陸部に最終処分場を求めるということは、大都市部周辺と範囲を広げたとしても、内陸にそういう土地を求めるというのは非常に難しい状況にあるのもまた大臣御存じのとおりでございます。  したがって、私は、東京都や関西のフェニックスのように、港湾部の埋め立てにより最終処分場を設置していくことが今望まれているんではないかというふうに思っておりますので、そういう私ども考えや意見を踏まえて、以下、順次質問をしてまいりたいというふうに思います。  まず第一は、この深刻なごみ行政を踏まえて考えた場合、運輸大臣としては、港湾の埋め立てでもって最終処分場を設置するということについてどのような見解をお持ちか、まずお尋ねをしたいと思います。
  85. 川崎二郎

    川崎国務大臣 赤松委員から今までの経過をいろいろお話しいただきまして、そのとおりだと思っております。  名古屋市が長い時間をかけて調査をし、検討を重ねてきた、それは多分、自分のところのごみは自分のところで始末をしなければならない、こういう原則に立ちながら、地方自治体としての苦労であったんだろうと思っております。しかしながら、いろいろな経過の中で、藤前干潟については撤回をせざるを得ない、こういう形になったときに、撤回だけすれば済むのかといえば済まない。もうそうすると、名古屋市長さんの裁量の範囲内を超えるという結論になってまいった。  そこで、私は、今回愛知県知事さんが果たされた役割というのが大きいんだろうと思っております。名古屋市長が、自分のごみの処理を自分の裁量の範囲内ではできない、したがって広域の処分をお願いしていかなければならない、そのときに愛知県知事さんが、それでは私が責任を持って協力しましょう、こういう姿勢をとられたということで、まさに苦渋の判断を市長がされた。その経過を私どもも知っておりますので、運輸省としてもできるだけの協力をしていかなければならぬな、こう思っております。  ただ、一番心配しておりますのは、知事さんが今度選挙でかわられましたので、どうぞ赤松委員からも、鈴木知事の一つ判断をどうぞ愛知県も引き継いでいただいて、お互いが苦労する中でよき解決法を見つけていきたい、こう思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  86. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 新しくなりました知事も、鈴木知事のある意味でいえば後継者、私の学校の後輩でもございますので、今の大臣の意見はよく伝えておきたいと思います。  時間がありませんので、端的に御質問申し上げますので、また大臣の方も端的にお答えをいただきたいと思います。  今、具体的な候補地として名古屋港内の埋立地をマスコミ等で取り上げておりますけれども、名古屋港の中、名古屋港内に最終処分場を設置することについて、大臣としてどのようにお考えですか。
  87. 川崎二郎

    川崎国務大臣 名古屋市、愛知県の話し合いの中で、港湾の中で処理しなければならないという結論に至りましたら、私どもは協力するという姿勢でおります。
  88. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 ありがとうございました。  具体的に、ポートアイランドという場所が今挙げられていますが、ここは、運輸省の直轄事業としてしゅんせつ土砂の埋め立てをしているところでありますけれども、まだその後、この島は一体どこに帰属をするのか、そういうことも決まっていない場所でもございます。  このポートアイランドを最終処分場にするということは、既にある計画から考えて可能かどうか、お答えください。
  89. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今検討中でございますので、確定的なことは申し上げられませんけれども、今申されたように、関係自治体、まず理解を得なければならない。それから、漁業者の問題が当然出てまいるだろうと思っております。それから今度は、私どもがしゅんせつの土砂を捨てるという計画が立っておりますので、この問題との整合性も詰めなければならないだろう。それから港湾計画全体ということで、今まさにいろいろな意味で詰めておるところで、私は、ポートアイランドだと決められると、それに対してうんとは言えないよ、しかし否定はしませんよと言っておるところでございます。
  90. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 今の大臣のお言葉を聞きますと、要は、関係自治体、関係団体、そしてその後の、現在まではしゅんせつ土砂しか入れない、しかしそれは一部どこかへ持っていくとか、もろもろの条件が整えば、ポートアイランドをそういうような形で使用するということも否定をしないという理解でよろしいですか。
  91. 川崎二郎

    川崎国務大臣 結構でございます。
  92. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 ただ、問題は、新聞報道などでは、ポートアイランドにもし最終処分場を設置するという場合には、一千二百億という場合もありますし、あるいは橋なんかを将来的にかければ、一千八百億だあるいはそれ以上だというような話もございますが、とにかく膨大な費用が必要になるだろう。当初あった西一区の埋立事業であれば三百億ぐらいというふうに聞いておりましたので、少なく見てもおよそ四倍の費用がかかるようになるだろう。  実際にごみを捨てに行くときには、橋ができるまでは船で、ぽんぽん船か何かで運んでいかなきゃいけないということになるわけで、そういういろいろな費用ももちろんかかってくるわけですけれども、この費用負担については国においてどのような支援策が考えられるのか。一切そんなものは考えないというのか、あるいは、それが実際に決まった段階ではいろいろ相談にまた乗るよということなのか。先のことですからまだ断定的にはいろいろ言えないと思いますけれども一つの姿勢だけでもやはり私は示すべきだと思います。
  93. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今回の問題は、マスコミ報道の方が早いものですから、我々の方が半歩後からついていくような話でまことに申しわけないわけでありますけれども、具体的にどのぐらいかかるとか、そこまでは、先ほど申し上げたように、上がっておりません。ただ、いろいろな検討が行われている。当然補助制度はある、補助金制度はあります。
  94. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 ありがとうございました。  補助制度もある、補助金もあるということで明言をされましたので、ぜひそんな方向になるように御努力方いただきたい。  今大臣も言われましたように、確かに港湾計画の変更なり、浸出水というのですか、そういう防止のためのいろいろな処理もしなきゃいけない、いろいろなことが出てくると思いますので、ぜひ、国、県、市、一体になったお取り組みをいただきたいと思います。  運輸大臣は、先月末の記者会見において、二カ月という期限を切っておられますね。二カ月の期限を区切って方向性を出すと言っておられるわけですけれども、この二カ月という期限を切られた意味、そしてまた、その二カ月たったときに、もちろんすべてをもうその二カ月後に確定するわけにいかないわけですから、どこまでの方向をこの二カ月後に出されるおつもりなのか、ちょっとそのあたりの決意を明らかにしていただきたいと思います。
  95. 川崎二郎

    川崎国務大臣 これは、名古屋市、愛知県、また港湾局含めて、彼らが相当知恵を出しながら、また先ほど申し上げましたように、関係者に頭を下げながら動かなければならぬ話だろうと思っております。  ある意味では苦労をかけるわけでありますけれども、仕事としてやる以上は、二カ月をめどにしっかり場所と方法について決定をするように、こういう指示をしてございます。
  96. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 大臣は選挙区が三重県ということもあり、現地の状況やあるいは今日までの名古屋市、地元の苦悩というようなことについても最も理解のある方が川崎大臣なのではないかというふうに私は認識をしておりますけれども、ぜひ今後も積極的に、また現実的に、そしてまた早急に対応していただきたいと思います。  きょう私が期待をしたこのポートアイランドに対する、あるいは名古屋の最終処分場に対する国の取り組みへの熱意や決意がほぼ伝わってきたと思いますので、最後に、今のようなことを踏まえて大臣としての決意をお伺いをし、質問を終わりたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  97. 川崎二郎

    川崎国務大臣 私自身も、ずっと続いてきた問題でございますので、新しい知事さんにお目にかからせていただいて、お互い腹を合わせながら、そして名古屋市が汗をかきながらやってまいりたい、このように思っております。
  98. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 以上で質問を終わります。
  99. 石破茂

    石破委員長 次に、倉田栄喜君。
  100. 倉田栄喜

    ○倉田委員 公明党の倉田でございます。  大臣の所信は昨日お聞きをしたわけであります。昨日お聞きをいたしまして、配られた資料に正確に大臣の所信の内容が再現をされておりますので、もう一度これを読み直しながら、この大臣が述べられた所信、そこに貫かれる問題意識というのはどういうものだろう、こう思ったこともあるものでございますので、私は、昨日大臣が述べられた所信を中心にお聞きをいたしたい、このように思います。  まず、これは言葉じりをとらえるような気も若干するわけでありますけれども大臣が述べられた最初に、「百四十五回国会に臨み、当面の運輸行政の諸問題に関し」所信を述べられた。それで、見ながら、「当面」というのは一体何なんだ、「当面」というのはどういうことを指すんだろう、こういうふうに私は思ったわけであります。  なぜかと申しますと、今、我が国がいろいろな意味で、地方分権等々、あるいは高齢化社会、さまざまな問題を含みながら社会の姿が大きく変わろうとしているはざま期にある。二十一世紀、我が日本の国の姿というのは、その社会のあり方も含めて、二十世紀を過ごしてきた社会のあり方と違ってくるんではなかろうか、そういう問題意識も持つわけであります。  そうすると、当然、私が思いましたのは、これからの運輸行政というものについては、二十一世紀にあるべき社会の姿ということも念頭に置きながら、なかなか二十一世紀の姿がどういう姿になるんですかということを正確には描けないところに非常に大きな問題があるんだけれども、少なくとも、二十一世紀はこういうふうに進んでいくんだろう、こういうことを思いながら、今までの運輸行政のあり方、二十一世紀の運輸行政のあり方ということは当然想定をしながらいろいろなことを考えていかなければいけない。  こう思ったときに、「当面の運輸行政の諸問題」、こう大臣はお述べになった。そうすると、この「当面の運輸行政の諸問題」、この「当面」というのは、今ある現実に見えている問題ということはすぐ出てくるわけですね、さまざまな運輸行政の問題がある。その当面の諸問題に対して所信を述べられた。しかし、この「当面」の諸問題というのは、今私が申し上げたように、二十一世紀初頭なのか半ばまでいくのかわからないけれども、やはりそこにあるべき運輸行政の問題もまた見通した対応でなければいけないだろう、こう思うわけであります。  そこで、先ほど言葉じりをとらえるみたいなことをちょっと申し上げましたけれども大臣が所信で述べられておる「当面の運輸行政の諸問題」、これは、もうすぐ迎える二十一世紀の運輸行政、そこにつながっていく諸問題なのか、あるいは、今そこにある現実に解決をしなければいけない諸問題であって、二十一世紀にこれから来るであろう問題というのはまた別の視点から考えますよ、こういうことなのか。この点についてまず、総論的な話ですけれども大臣の御所見をお伺いしたい、こういうふうに思います。
  101. 川崎二郎

    川崎国務大臣 小渕内閣として考えましたときは、やはり二年だろうと思います。ことし、来年。ことしは〇・五%の成長、来年は二%の成長、これを何としてもなし遂げる、そのために運輸省として何ができるか。これが小渕内閣の最大公約でありますので、私どももその内閣の一員でありますから、当面といえばまさに二年、景気対策のために何ができるかというところが一つだろうと思います。  しかしながら、それだけではないだろう。第一に何が一つかと言われれば、私は今のような回答になるだろう。やはり、国際化とか少子化、それから環境問題、この三つへの対応というのが特に具体性を必要としてくるのではなかろうか。特に、国際化と少子化をかんで考えていきますと、私は、今、外国人と言われている方々が二十一世紀は日本へかなり多くお住まいになる時代を迎えるのではなかろうかな、このように思っております。そういうものに対応するものをつくり上げなければならぬ。  それだけに、所信でも申し上げたように、拠点空港というのはやはりまず第一に、それも年限を切ってやっていかなければならぬな。二〇〇一年成田、二〇〇五年に中部国際空港、それから二〇〇八年には関空をつくりたい、こういう形で進ませていただいております。  それから、既に御答弁を申し上げたんですけれども、物事の考え方として、一つは地域の均衡とれた発展、それはまさに分権論と重なり合いながら均衡とれた発展というものがあるんだろう。片一方で、総理からも指示されております、例えば通勤対策等ですね。今、都市住民にさまざまな問題点がある。最大の納税者でありますから、ここに対して何をしていくべきかということは考えていかなければならぬ。  午前中の答弁でも申し上げましたけれども、私は、基本的には運輸省の公共事業の六割は三大都市圏に投下すべきであろう、こう思っております。そして同時に、地方分権を進めていく中で、分権論の中で、やはり四割のものはきちっとした地域というものをつくるために使いたいという一つの仕分けをしながら進ませていただきたい、こう思っております。
  102. 倉田栄喜

    ○倉田委員 小渕内閣、二年間を想定しながら、その中で解決をしていく当面の諸問題だ、そういうことを第一に今大臣にお答えをいただいたわけであります。  私が問題意識を持ちましたのは、第二の方もきちっと、第二で今大臣がお答えになった部分に含まれていない部分があるんだ、私はこう思っておるんです。そこも重視しながら諸問題の解決はしていかなければいけないし、また、社会資本の整備というのであれば、二十一世紀にあるべき姿ということを念頭に置きながら社会資本の整備をしていかなければ、それが二十一世紀になったら大して役に立たなかったなということになっては困るわけであります。  先ほどの都市圏六割あるいは国土の均衡ある発展の四割という話も、後でもう一度その基本的な考え方のところはお伺いしたい、こう思うわけですけれども、私がこういうふうに申し上げたのは、例えば交通運輸行政、いろいろな整備をする。それはどういうサービスを利用者の方々に提供するかという需要が基本的にもとになっているんだ、こう思うんですね。  そうすると、今現実にある需要に対応しなければいけないという問題と同時に、二十一世紀に来るべき需要というのはどういうものなのかということを想定しなければならない。そういう意味で、二十一世紀は多分交通運輸行政に対する国民の需要というのはこういうふうになっていくんだろうということを想定していかなければ投資がむだになりますよ。それは先ほど大臣が後の方でお述べになりました、都市圏六割、地方で四割、そういう考え方でいいのかどうかということも含めて必要なんだ、こう思うんですね。  ですから、二十一世紀の交通運輸行政に対する国民の需要、要望というのは現在の需要、要望の延長線上にあるのかどうか、果たして。現在の延長線上にあるんだとすれば、現在の需要というのを前提としてそこに投資をすればいい。しかし、もし二十一世紀に我々が住むべき社会の姿というものが現在の需要と違う角度からの需要があるとしたら、それに対応するような視点というのを今持っていかなければならない、こう思うわけですね。  そこで大臣、どうですか。二十一世紀にあるべき社会の姿というのを我々はきちっと描けないところに大きな問題点はありますけれども、二十一世紀も我が国の今ある交通運輸行政の延長線上の需要だ、そういうふうにお考えになりますか。
  103. 川崎二郎

    川崎国務大臣 その議論は、私よくこういう言葉を使っているのですけれども、青森というところから見ると多分仙台より東京の方が近いんだろうね。飛行機で一っ飛びで来る。しかしながら、将来的に分権ということを考えていると、東北が例えば仙台の核になるとしまして、やはり青森と仙台というのは近くなきゃいかぬね、通勤圏になるのかどうかよくわかりませんけれども、そのぐらいの一つのブロックにならなきゃならぬだろうと。  九州も同じ考え方にあります。九州というものが分権論が高くなればなるほど、あの中での一つのテリトリーというのですか、そういうものができ上がってくる。そういったときに、かなり飛行場の整備は進めてきたつもりでありますけれども、やはり九州を縦に通す新幹線というものをつくり上げていかないと次の時代というものに対応できないのかな、こんな思いで東北新幹線の問題、それから九州の新幹線の問題に取り組ませていただいております。  正直言って、今東京にお住まいの皆さん方大阪にお住まいの皆さん方からは、そんなものは要らぬだろうという厳しい御批判をいただいておりますけれども、そこはやはり切り分けだろう、こういうふうに思っております。
  104. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今、大臣は分権論の立場からもっと違うことがあり得るかもしれない、こうお話しになりました。確かにそれも私も一つの視点だと思います。いわゆる上り、下りも東京を基点として発想するような今までの交通輸送体系というのが、これから分権が進んだときにそれでいいのかどうかということも、今後の需要を考えたときに見なければならないところだと思っています。  そしてまた、それも重要ではありますけれども、社会の生活のあり方、例えば我が国の交通運輸体系というのは、基本的には通勤通学、このことを大きな柱として組み立てられている。それは、例えば東京都内の通勤通学時のラッシュアワーの混雑、これは当面の問題として解決しなければならない。これを解決したら本当に東京都民は喜びますよ、大喝采ですよということをみんな言うんだろうと思うんです。それはそのとおりだと思うんですけれども、二十一世紀、じゃそういう通勤通学の姿がそのままなのかどうか、仕事の形態も変わってくるんではないの、学習の形態も変わってくるんではないの。先ほど大臣は外国の方々がもっと日本に住むようになるかもしれないという国際化の話をされました。一方で、我々は情報化社会の中にあって、従前はまさに自分で現地に行って手に入れなければならなかった情報というのが非常に短時間に、すごいスピードで入るようになってきているわけですね。そうすると、どうなんだろう、二十一世紀の社会の姿に対応する交通輸送体系というのは。  どうもここをきちんと見据えないと、場合によれば、今むだだと言われているものが二十一世紀に有効だということもあり得るかもしれないし、今本当に必要だ、必要だと言われる形で巨額な投資をしたことが、実は二十一世紀になったら全然むだになりましたよということだって、もしかしたら、仮定の話で申しわけないですけれども、あり得るかもしれない。その根底を決めるには、やはり、じゃ、二十一世紀の社会の姿というのは、我々の仕事の仕方もあるいは勉強の仕方も情報のとり方も移動の仕方も、このままの延長線上で果たしていいんだろうかという問題意識が私は必要なんではないのかと思ったわけです。そうすると、交通輸送体系というのも、場合によればその角度から一応頭の中に想定をしておかなければいけない。  そういうことで、総論的にお聞きしたわけでありますけれども、二十一世紀の社会、これは二十一世紀の最初のころ、中のころ、後のころで随分違うのかもしれませんけれども大臣、どんな社会像をお持ちでしょうか。
  105. 川崎二郎

    川崎国務大臣 運輸大臣としての答弁なのか、何となく私個人的な見解になってしまうかもしれませんけれども、確かに二〇八〇年はこのままいけば人口が半分になるわけですから、随分違う社会になっているかもしれない。しかしながら、そういう社会というものは、見えてくれば逆に二十一世紀になってお互いが違う角度から努力をし始めるんだろう。  今、政治の最大課題一つとして少子化を何とか克服しなければならないということで取り組みが始まった。ある意味では取り組みが遅過ぎたのかもしれない。しかし、今取り組みが始まったわけですから、そうなると、今計算をして二〇八〇年が六千万だよというのは、私は早計なんだろうと思うんです。そこでお互いが知恵を出しながら一億ぐらいの人口を維持していくとか、また諸外国から、先ほど言いましたように、かなりの方々がお見えになる時代になるかもしれぬなあ。いろいろな仮定を置きながら議論をしていって、さあ、極端な意見に飛びつくわけにはいかないわけでありますから、そういった意味では、私ども、先ほど申し上げたように、大体国際化という中で、東名阪の拠点空港をきちっとしていきたいな、それから、先ほど申し上げたように、新幹線としてきちっと骨を通しておきたい、こういう思いでやらせていただいておるところであります。  それから、よく港湾も回りますと、かつていろいろ御批判をいただきましたけれども日本海側の港の方々が相当努力をされて、いい数字になってきています。これは明らかに、ヨーロッパ、アメリカ貿易の時代から、アジア、中国とかそういうところを意識し始めた貿易に変わってきた。したがって、港湾の量はふえてきているわけですね。  そういう意味では、いろいろなものを角度から見ながら、さあ、間違いない将来像というのをつくれるかとなると、これは無理でございますので、私ども、今思うところに合わせながら進んでおるんだ。ただし、一番肝心なのは、今御指摘いただいていますとおり、やりかけたけれども明らかに時代が変わったねというときに、とめる勇気があるかどうか、これが今公共事業に一番問われているところではないだろうかな、このように思っております。
  106. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今、大臣、最後の方でお答えいただきましたけれども、まさに中止の問題も含めて、あるいは今必要とされている問題も含めて、これは本当に二十一世紀に有効な投資なの、このことはぜひ考えていただきたい、こう思うんですね。  情報化と言われる、国際化と言われる、少子・高齢化と言われるこういう時代の中で、確かに交通輸送体系も変わってくるんだろう、変わらざるを得ない部分も出てくるんだろう、私はこう思っています。こういう問題が一つ。  それから、先ほど大臣の午前中の答弁の中で、重点化、効率化という問題と同時に、国土の均衡ある発展、こういう話がありました。東京を中心とする大都市圏の方々地方整備について、おれたちがいっぱい税金を払っているのにそんなにそっちの方に使うのはけしからぬということで文句も言われるんだ、こういう話もありました。確かに、税金を払っている方々については、どうしておれたちの税金がとんでもないところへ使われるんだ、こういう思いはあるのだと思います。  そこで、もう一方で、国土の均衡ある発展、その言葉がいいかどうかは別として、そういう視点からそこもやらなければいけないんですよという発想は出てくるんだと思いますが、私は、この議論の背景には、もっと根本的な考え方、今我が国の政治の中で、例えば自己責任原則が言われます。それにつながるかどうかわからないけれども、自分は自分、他人は他人、こういうきちっとした考え方、だから地域的に豊かで恵まれたところがさらに豊かで恵まれていけばいいという考え方も、場合によってはそこから出てくるかもしれない。  一方で、それでいいんですか、自分と他人は同一であるということはできないけれども、他人の苦しみ、痛みというものを一緒に苦しむ、そういう形になるとすれば、先ほど、国土の均衡ある発展ということで言われましたけれども、また違う考え方も出てくるんだろう、これは政治のさまざまな分野にその議論というのは今後出てくるんだろう、こういうふうに思っておりますので、ぜひ、そういう視点があるということもよろしくお願いをしたいと思います。  そこで、また二十一世紀の姿にこだわるわけでありますけれども大臣は、冒頭のところで、「二十一世紀が希望に満ちた時代となるよう、来るべき国土交通省への再編を見据えつつ、」と、これも大きな論点なんですね。国土交通省への再編、このことについて次にお聞きをしたいと思います。  まず、この省庁改革基本法の考え方の中で、いろいろな名前が、いろいろな省庁のところでいろいろな議論が出ているんですけれども、これは、国土交通省というのは、まあ一応仮称と書いてあるわけですけれども、これは決まりなんでしょうか、あるいはほかに違う議論もあるんでしょうか。
  107. 川崎二郎

    川崎国務大臣 これは、閣議で小渕総理に一任をいたしましたので、私どもはわかりません。
  108. 倉田栄喜

    ○倉田委員 どういう議論があるかぐらいは御紹介をしていただきたいという気はしますけれども、知らないと言われればどうしようもない。  せっかく新しい名前をつくるんですから、国土交通省ということに最終的に決まったとしても、本当にいい名前だなとみんなが思えるような名前にしてほしいし、なかなか機会がないからこの機会に言っておきますけれども、できる看板も、ぜひいい表札をつくってほしいと思うんですよ。今の建設省あるいは運輸省の表札というのは、どうも余りイメージ的に好きじゃない。建設省はどうもコンクリートみたいなイメージがするような気がしまして、運輸省のあれもどうも鉄のイメージみたいな気が若干しますので、ちょっと余談ですが、ぜひいい表札で、国民に信頼されるものをつくっていただきたい、こういうふうに思います。  そこで、想定される国土交通省は、建設省運輸省、国土庁、北海道開発庁を母体に設置されるということでありますが、この統合によって運輸行政というのは何か変わりますか。
  109. 川崎二郎

    川崎国務大臣 中央省庁再編は、やはり変えようという一つの大きな方針の中で考えられたわけですから、当然変わっていかなければならないと思っております。
  110. 倉田栄喜

    ○倉田委員 どのように変わるのか。行政改革の視点で考えれば、行政組織というのはどのように効率化され、あるいは組織、職員数、どのように具体的に削減をされるのか。  そして、先ほど大臣が、変わるということで省庁改革をやるわけだから当然変わっていくんだというふうにお答えになりましたけれども運輸省関係でいっても現行の二十一局が十四局になっていく、こういうふうに聞いておりますけれども行政改革の視点、その効率化の視点あるいは組織数、職員数、あるいは先ほど局の数だけ減った、要するに、改革については、名前が変わっただけで中身は同じよ、こういう議論があったりするわけです。それが、今大臣、変わるんだ、こうおっしゃるわけですから、具体的にどんな形でどんなふうに変わっていくのか、お示しを願いたいと思います。
  111. 川崎二郎

    川崎国務大臣 実は、私は、この議論が始まりましたときに、情報交通省というのを強く主張した一人でございます。それはそれなりの理屈があったと思いますけれども、それは今御披露する必要はないと思います。  一方で、国土交通省をつくろうという強い動きがございましたのは、確かに、公共事業が全部まとまってくる、それについて懸念もあったことは事実でありますけれども、しかしそれ以上に、やはり物流、交通体系を一元化してやっていこう、道路行政と私どもが持っております交通行政、これをうまく組み合わせていかなければならぬねという視点だろうと思っております。もちろん、私ども従来からその関係に注意をしながらやってきておるつもりでありますけれども、役所が分かれておることもまた一つの事実でございます。そういう意味では、まさに道路行政と交通関係というものが一体になりながら進むことに早く変えていかなければならないだろう。  例えば料金所のノンストップシステムにつきましても、これは今、運輸省、また道路公団、建設省、こういう形でやっておるわけでありますけれども一つの屋根の下でやるという時代になればかなり変わってくるんだろう、こういうふうに私は思っております。それは一つ考え方ですね。  それから、どのぐらい削減できるのかという問題については、まさにこれからであります。地方が、港湾局と建設省の出先とが一緒になっていく、これは御承知のとおりであります。  それから、局数の話につきましては、実は行革ですので、私は、理屈論だけではないんだろうと思っているんです。総理が、二十一あるけれども、もう今回十四にせいと。やはり目標を立てるときに、九〇%にしろ、八〇%にしろ、三割上へふやせ、こういう民間型の号令のかけ方というのもやはり大事なんだろうと。今回は総理から、十四に整理しろ、こういう話の中で行われた。これも、民間の仕事の手法から見ますと、実は一番あるやり方であります。トップダウンとして社長が一つ目標を示す、それに我々がついていく、そしてその中で自分たちが頭を使いながら変えていく。しかし、その変えたものが、一回その局ができちゃったら、それから十年後、二十年後もまた変わらないでずっといたよとなると、たった一回だけの行政改革がなされたという話になってしまうんですから、まさに一つの省になった中でまたさまざまな議論が行われて変化をしていくんだろう、私はこのように思っております。  そして、それが、今御懸念もいただいておるかもしれませんけれども、いい方向での改善に鋭意進めていかなければならないだろう、初めからすべての理想論を取り上げるというのは無理だろうと思っております。
  112. 倉田栄喜

    ○倉田委員 何が変わりますか、こういうお尋ねに、まあ、同じ屋根の下に一緒になれば何か変わるだろう、こういうお話でもあります。変わっていくんだという、それは大臣の御確信かもしれませんけれども、やはり私は、少し理想論で、大臣の方に一方的な要求だけして、ではおまえの方はどう考えるんだと言われるかもしれませんけれども大臣の方が今政権をおとりになっているわけですから。  国民の方から見れば、やはりどういうふうに変わりますよ、これから起こる運輸行政についてはこういうふうに対応していくんですよ、それはやはり示さないといけない、こう思うんですね。先ほど、確かに局の数も二十一から十四にいたしますよと。それは、目標を達成するために、いわゆるトップたる者の号令一下、そういうやり方もあるんだと。それもそのとおりかもしれませんけれども、問題は、そういう局の姿、あるいは、私は二十一世紀という言葉に何回もこだわりますけれども、それが果たして国民の需要というものに対して、国民のニーズというものに対して対応し得るような組織、体制になるんだろうか、なっていくんだろうか。それは、一回決まったらそれっきりじゃないから、どんどん変化していけばいいという考え方もあるんだろうと思うけれども、今考え方のスタートの時期だとすれば、やはり二十一世紀に来るべき社会像をにらみながら、その需要体系というのもにらみながら、どういうニーズがこれからは重要視されるだろうということをにらみながら、それに見合った、対応した組織をつくっていきましょうということもやはりなければならない、こう思うんですね。  今の、小渕総理の号令一下、あるいは今ある局をくっつけてあるいは幾つか削ってどうしようということだけではなくて、それは、そういう考え方をすると、ある意味では、やはり今ある現状ということを前提にしながら、ここのところはこれだけにしたんだからこっちもこれだけにしてほしいよ、ここは一つなくしたんだからここも一つなくしてよと、ある意味では現状を前提にしたバランス論みたいな形に、結果として、これは数値としての目標は達成されたかもしれないけれども目標は達成しましたよ、数字も出ましたよ、削減もされました、形はそう見えたとしても、実は、実体的には本当に国民ニーズに要望されるような組織体制になっていなかったということになればこれは問題ですね。  だから、ある意味でということは、あるというのもちょっとあいまいな言い方ですけれども、今ある現状組織を前提としてバランス的に積み上げる考え方もあり得るのかなという気もしないではありませんけれども、私は、せっかく、できればもう本当に大改革だと思うんですね、大改革になるようにやっていただかなければいけない。そうだとすれば、二十一世紀をきちっと見据えながら、本当に組織のあり方ということもゼロから組み立ててやはり想定をしていく、想定ができないから難しいとおっしゃるかもしれないけれども、ゼロから組み立てるくらいの覚悟で組織の再編成、あるいは局と局の、この局はどんな仕事をするのか、そしてこの局に携わる職員の方々はどういうビジョンと目標が与えられるのか、やはりそれが示されないといけない、こう思うんですが、大臣、いかがですか。
  113. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まさに今それは私のやる仕事なのか、そのときの国土交通省担当の大臣が抜本的におやりになるのかという課題だろうと思うんです。私どもは、今、運輸行政を進めながら同時にその改革へ向かっての下ならしをさせていただいている段階、こういうふうに受けとめさせていただいております。  それから、私、変わると申し上げたのは、副大臣制度も導入されます、そしてたった一人の大臣にかわります。そして多分、やはりそういう時代になれば、一内閣一大臣という時代になるんだろうと私は思います。三年、五年、その方が大臣をおやりになる、その後強烈なリーダーシップの中で変えていく方がいいんだろう、私はこう思っております。
  114. 倉田栄喜

    ○倉田委員 一内閣一大臣、現在はそうでもないから少なくともそれくらいはというふうな意味でおっしゃったのかもしれません。一方で、大臣が仮にかわったとしても運輸行政というのは継続的にあるんだから心配ないということはあるかもしれませんけれども、この変革期の中では、大臣も、いやこれは大変なんだから、まさに二十一世紀の運輸行政をにらむんだから、自分がスタートしたんだからもう一期まだ続いてやらなければいけないぐらいの覚悟でやはりやっていただかないと、どうなるかわからない、今、ある意味ではそういう大きな変革期にあるんだ、こう思うんですよ、社会の姿そのものも。  だから、小渕内閣の二年間を無事に務めましたから後のことはお任せということではなくて、やはりこれから後のことも見通した政策、そうだと思いますけれども、責任を持っていただいて対応していただきたい、こう思うわけです。  社会の姿が変わるというふうに申し上げました。変わるんだろう、そのニーズに対応するような交通輸送体系を見通しながら当初やっていただきたいということを申し上げたわけですけれども運輸行政のあり方についても、今回の基本改革では、いわゆる現行設置法で組織基準として定めている権限規定、これは置かないこととされていますね。そうすると、この権限規定を置かないということは非常に大きな意味があるんだと私は高く評価をする立場でありますけれども、こちらの面から考えても、権限規定を置かないことによって運輸行政は当然変わらざるを得ない。従来の、従来型の対応とまた違う、あるいはまさに、組織のあり方も、定量にしても、職員の方々が従事される仕事のあり方にしても、権限規定を置かないということで当然変わってくるんだ、こう思うんですけれども、この点については、大臣はどんな御認識ですか、どういうふうに変わっていくとお考えですか。
  115. 川崎二郎

    川崎国務大臣 これはまさに、今法律を詰める段階の一番大きな課題だろうと思っております。  例えば、朝からも話がございましたけれども、JR貨物の問題についていろいろ御指摘いただきました。私としても非常にいろいろな思いはございますけれども、ただ、それでは今度はどうなるの、もう民間会社じゃないの、株主としての権利はあるのかもしれませんけれども、それも直接運輸省ではありませんね、そういうものをどう指導していくんですかと言われたときに、どういう一つの背景の中で、業界が健全な自由競争の中でいいサービス国民に提供していけるか、ここが我々の務めですね。それを果たしていくときに、どういう法律構成になっていればできるのであって、どうもそれが、法律構成じゃなくて権限みたいになったものだから、どうも違うところまで手を出したんじゃないのと今御指摘いただいているわけですね。それを今詰めているところだろうと思っております。  実は、太田長官とまだこの問題について細かい議論はいたしたことがございませんので、今はまさに、次の時代に合わせた行政システムとしてどうあらなければならないか、根本論を今やっておるというふうに御理解いただいた方がいいだろうと思います。
  116. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今、大臣お答えの中で、国民にいいサービスを提供する、こうお答えになりました。そのいいサービス部分が、最初申し上げた議論のところなんですよ。国民が望むサービスを提供してほしい、お役所が考えサービスを提供してほしいのではなくて、国民が望むサービスを提供してほしい、もちろん費用の問題もありますけれども。そうすると、国民が望むサービスは何なんだろう、こういう議論をさせていただいたわけです。  同時に、その権限規定がなくなる、なくなるときに、では、国民がいろいろなサービスを望むけれども運輸行政として、実は権限規定がなくなりましたよ、どこまでできるんですか、従来いろいろな形で大体運輸省の所掌に関することは全部やれるようなことになっているんだけれども、もうそれがなくなるとすれば、やはり一本一本の法律があってそれに基づいてやるしかない。  基本的な考え方は、それは行政の裁量幅、裁量権というのは最小限化するんだ、こういうふうに言われているんですけれども、私もその方がいいと思うけれども大臣がその辺のところで何となく総務庁長官と今最後の打ち合わせをしているんですというふうにお答えになったのは、多分、いわゆる政策というのかな、政策的な判断運輸省としてこういうことは誘導していかなければいけない、行政裁量が小さくなったら、個々の政策判断、法律の中に基づく政策判断であったとしても、それは事後審査的なルールで機械的にやってしまうだけであって、余り細かく行政裁量ができなくなっちゃうんではないか。そういう個々的な政策判断というのはどこまでできるんですか、そういう問題意識があるのかなと聞きながら思ったわけでありますけれども行政裁量の最小化という問題と個々の政策判断という問題については、大臣はどんなふうにお考えですか。
  117. 川崎二郎

    川崎国務大臣 かなり難しい議論をしているんですけれども、実は、今、国民の望むサービスと申し上げました。今お話もいただきました。  一方で、倉田さんも言われているとおり、国民は今こう思っているけれども、三十年後はこうなるんだ。例えば環境問題がそうですね。できるだけ安い車の方がいいです。しかしながら、国全体としては、環境に優しい車、低燃費の車になるべく乗ってほしい。そのときに、その車は、今あなたが乗っている車より高い車かもしれない、場合によっては非常にスピードの遅い車になるかもしれないけれども、全体の幸せのためにどうぞついてきてくださいということを指し示す必要がやはり政治としてはあるんだろう。  政治としてはある。その政治が思ったことを行政を通じながら実行しなきゃならぬときに、今までは割合言われるとおり、法律に基づくよりも何となく雰囲気といいますか、裁量でやってきた部分があるんだろう。しかし、これからの時代はそうではないんだよと一つ議論の中で総務庁から示されましたので、私ども、それでは私どもの仕事のやり方としてどういう法律の書き方にしたら実効は担保できるのかねということになろうと思います。
  118. 倉田栄喜

    ○倉田委員 だから、今大臣いみじくも、どういう法律の書き方にしたら運輸行政が、それは行政の側からうまくやれるんだろうかみたいなニュアンスに聞こえるんですね。だから、そこ難しいんだと思うんですけれども、そうではなくて、やはりこの省庁改革、基本的な考え方によって変わるんだ、組織もそれから運輸行政のあり方も。どう変わるかはっきり見えていないところに問題があるんだけれども、やはり従来の延長線上にはないんだ、僕はこう思うんですよ。ですから、今から変わっていろいろなことを詰めていかなければいけないんだろうと思いますけれども、その詰めていくときに、今までのやり方をできるような法律の中身の書き方にしようとか、そういうことであってはいけないんじゃないのかなというふうな気がいたしました。  そこで、ちょっともう時間がなくて次の議論に移りますけれども環境問題については一番詳しく、もう少しお時間をいただきたいと思いますが、最初の方の議論に少し戻ってしまいますけれども大臣は、「まず第一に、」ということで、所信の中で「運輸関係社会資本を一層充実させていく必要がある」、これも当面の諸問題の中で、あるいは小渕内閣の二年間の中の話かどうかわからないけれども、先ほど私が申し上げた問題意識のとおりです。  この運輸関係資本を一層充実させていかなければならないという言葉なんだけれども、それは二十一世紀に対してむだになる投資であってはならない。やはり投資をした分だけきちっと回収できるような、二十一世紀のどこまでかという期限はあるけれども、やはり生き続ける投資でなければならない。  これは、現在の輸送体系が通勤通学を柱にしながら、いわゆる働く人、学ぶ人たちを中心にしながら、バリアフリーの問題をどう取り上げるかということもここから出てくるんだと思いますけれども、そういうふうな形で輸送体系がつけられてくる。しかし、ウエブイヤーとかモバイル世代と言われる時代の中で、どうなんだろう、二十一世紀の後半のころには通勤体制というのも変わってくるんではないの、通学のあり方というのも変わってくるんではないの、仕事の仕方も変わってくるんではないの。そして、先ほど大臣がお示しになりました、東京と北海道、青森あるいは九州、そういうふうに国土の均衡ある発展ということもにらみながら分散をしていけば、今ある需要をそのままにした社会資本の設備投資をぼんとやってしまった場合に、過剰な投資をしてしまったということになりはしないのかどうか、そういう問題意識を私は持っているわけです。大臣は、この点についてはどうですか。
  119. 川崎二郎

    川崎国務大臣 そこで当然選択というものが行われるわけで、東京におきましても、地下鉄の御要請はたくさんあります。一週間に一遍は御陳情にお見えになると言ってもいいだろうと思います。しかしながら、採算性とかそういう問題をとらえていったときに、どこまでできるかということで、今すべて積極的なお答えができないというような現状であります。それは、私ども判断をしておるつもりでございます。  一方で、例えば、今我々がやろうとしていることは、今度十三号線という地下鉄を認可させていただきました、渋谷から池袋へ抜けるという。それに合わせて、今度東急の全体の改造に取り組むということで、新線をつくるというよりも——東急東横線は、御存じかもしれませんけれども、代官山から地下に潜ります。潜って十三号線とつかえる。そうすると、今何が東京で問題ですかねというと、いろいろな線路が走っていますけれども、そこの結節がうまくない。したがって、地下であっても上であっても駅全体というものを総合的に見直しをして、乗り入れもし合える、もしくは乗りかえの駅と駅の間が、京王線と何々線がという形のつながりの問題にやはり一番大きく力を入れるべきではなかろうかなと思っております。  したがって、東京は通勤が込んでいるからどんどん新線をつくっていったらどうにかなるぞという発想には立っておりません。そういう意味では、倉田さんの言われるとおり、東京もこれからどんどん大きくなるからどんどんやりなさいという立場に私どもは立っておらぬということは御理解をいただきたいと思います。
  120. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私も電車で通いますので、冬の通勤時の混雑、私が通う線はそれほどでないとしても、ほかの線に乗ってみると、これは本当に大変なんですよ。これを解決できる政党というのはもう一遍に勝つだろうと言われているぐらいなんです。そういう現実の問題を目前にしながらも、なおやはり私どもは二十一世紀のことを考えなければならない。  つまり、今、都市圏、まさに集中型みたいなところで、人がいっぱい集まってくるわけだから需要も多い、そこにさらにどんどん投資をしていかなければならない、こういうことになるわけです。大臣の所信の中でも、その効率化、重点化、こういうふうにお述べになられました。これをそのまま見ていくと、やはり都市圏の方に需要が多いわけですから、重点化、効率化なんと言っていると、今物すごく強い要望のところに重点化され、配分されていくことになってしまうのではないか。大臣は少し積極的に、いやそれだけを考えているわけではありません、国土の均衡ある発展ということを含みながら、都市圏六割、地方の方にも、地方というのかそれ以外のところにも四割ぐらいは考えていますよ、こういうふうにお述べになりました。  同じ趣旨のことをお述べになっているかもしれませんけれども、要は都市であろうと地方であろうと、二十一世紀にあるべき交通輸送の体系、どこでどういうルートをつないでいけばいいんだろう、そこを踏まえてほしいということが一点でありますし、そして、今ある投資というのが決して二十一世紀にむだな投資であってはならない、こういうふうに思っていることを強く申し上げておきたいと思います。  少しずれますけれども、首都機能移転というのか遷都というのかわかりませんけれども、例えば遷都論一つ、それが実現されるということになったとしても東京の輸送体系というのは変わってくるかもしれないわけですね。ちょっと外れますけれども大臣は遷都論をどうお考えですか。
  121. 川崎二郎

    川崎国務大臣 国土庁長官はいたしておりませんので、なかなか難しゅうございます。私は、三重県の畿央高原の誘致のための議員連盟の幹事長をやっておりますから、積極論者とお考えいただいて結構でございます。  ただ、想定が六十万という人口でございますので、東京の人口が激変する、もしくは大きな動きになるという形では、今、国土庁全体としてはとらえていないんではなかろうかな、こう思っております。
  122. 倉田栄喜

    ○倉田委員 輸送体系の中で、先ほど高齢化という問題もありましたけれども、二十一世紀の社会の姿が変わるということ、つまり環境条件というか環境変化というのがあると思うんですね。  先ほど午前中だったか、各駅のエスカレーター、エレベーター、あるいは上りエレベーター、下りのエレベーター、そういう問題、身障者の方々お話等々ありました。これも、あるいは高齢者、身障者の方々に優しいバリアフリーの政策をどう見るかという観点も、実はもっと考えてみれば、あくまでも現在は通勤通学、そういう働く、動ける人たちを基本にした、そこを中心に据えた交通輸送体系の設備で、ただ、それだけではいけないから、バリアフリーということでいわゆる高齢者にも、いわゆる身体に障害ある方々にも優しい施設を少しずつでもやっていきましょうという、そこから発想していくのか、そもそも、いやそうじゃないんだ、そこは全く同じで、ある意味では高齢者を中心にしたと言ったらおかしいけれども、そこを視点に据えた設備のあり方。どこを、まあ真ん中という言い方もおかしいですね。どこを見てしていくのかということによってもやはり違ってくるんだと思うんです。  具体的な例で言えば、例えば運賃の割引制度にしても、現在は通勤割引、通学割引というのがありますね。それはやはり通勤制度、通学制度、そういうことを基本とした交通輸送体系が成り立っている。しかし、これから、大臣も所信の中でもお述べになっておりますけれども、観光ということをメーンにしながら地域の活性化へ、そういう体系を考えるならば、高齢者割引というのがいいのかどうかわからないけれども、やはりその人たちを主体にした、その人たちが本当に利用しやすいような、それは質問にありましたけれども、いわゆる福祉サービスという視点のみならず、まさにその人たちが利用者の主要部分だという発想でやらなければならない部分も出てくるんではないのかという気もしたわけであります。環境条件の変化として、二十一世紀の社会、そういうことも想定をしていただきながら、それぞれのいわゆる運輸交通関係の社会資本の整備について、どこにどういう予算をつけるかというときにその考えもぜひ含んでいただきたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、環境問題についてお聞きをしたいと思います。  大臣もお答えになりましたけれども、いわゆる地球温暖化問題における二酸化炭素の排出量、これは運輸部門でやはり二〇%を占める、こういうふうに聞いております。そして、そのうち自動車の排出割合は、それは正確かどうかわかりませんけれども、八八%を占める、こういうふうに言われているわけであります。大臣もお答えの中に、前の晩にばばっと解決できるような問題ではないと、こうお答えになったわけでありますけれども、この排出削減目標、これを具体的にどのような形で達成をされようとしているのか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  123. 川崎二郎

    川崎国務大臣 午前中も御答弁申し上げたわけですけれども、一挙に高い目標を持ってそれを一、二年で飛び越えるという話ではなくて、目標を持ちながら、とりあえずこのぐらいの低燃費車ができ上がった、これをなるべく多くの方々に乗っていただく、そして、その車が普及してきた段階でもう一段上の低燃費車というものをメーカーにつくってもらう、そしてそこにまた変わっていく、だんだんに階段を上がっていくのが一番いいんだろうと思っています。  それを何とかインセンティブをつける意味で、低燃費車、公明党さんからも御指摘が昨年暮れございました。私も実は同じことを言ったんです。取得税ゼロにできんかなとこうやったわけですけれども地方財源ということで、地方財政も午前中からの議論に出ていますように厳しゅうございますので、なかなかそうはいかぬという中で一つの折り合いになったと。私どもの主張としては、公明党さんと一緒のように、あれをゼロにすることはできんかな、そうなると、国民理解というものもかなり前に進んでくれるんじゃなかろうかなとこう思っておったわけですけれども、残念ながらそうはならなかったということで、これはあくまでお互いの調整の結果でございます。
  124. 倉田栄喜

    ○倉田委員 大臣は既にもう御理解をいただいておると思いますけれども、公明党では、マイカー減税という形でいわゆる環境に優しい車、それをもっとふやしていかなければいけないな、こういう主張でございます。ですから、環境に優しい低公害車については、今大臣もお述べいただきましたけれども、これは、自動車取得税については非課税、免税措置にしたらどうなの、あるいは、もう一つ優しい——排出ガス規制の適合車については、その取得税についても、先ほど大臣がおっしゃったように段階的にインセンティブをつけたらどうなのと。これはやはり私は本当に真剣に考えていただかなければならない問題だと思いますので、先ほど大臣地方財政との絡みでいろいろな難しい問題があるとはお述べになりましたけれども大臣御自身としては同じような気持ちだ、こういうことでございますので、これは私どもも強く主張させていただきますので、ぜひ実現できるように大臣の御努力を願いたいと思いますが、大臣、もう一度御答弁をお願いいたします。
  125. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今回の措置によってどのぐらい国民方々に関心を持っていただけるか、これでかなり進めばそれで了としますけれども、それが進まなかった場合に我々は一段と考えなきゃならぬな、こう思っておるところでございます。  また一方で、今運政審の方で少し税制の議論を進めさせていただいております。これは、燃費の悪い車は場合によっては高い税金をお支払いいただく、燃費のうんといい車は低い税率に変えていく、全体で今の税財源としては確保しながら、物によって差をつけるという議論もしてもいいんじゃないかということで今御議論をいただいているところでございます。
  126. 倉田栄喜

    ○倉田委員 いわゆる環境に優しい交通輸送体系をどうつくり上げていくのか、それで、地球温暖化問題について言えば、いわゆる排出ガスの総量をいかに少なくしていけるか、目標達成できるかどうか、こういう課題でございます。それを達成するために具体的にどういう方途があるんだろうか。それで今私は環境に優しい自動車の減税措置のことを申し上げたわけであります。  もう一つは、これも午前中議論がありましたけれども、いわゆるモーダルシフト、鉄道、海運、これを、私は二十一世紀の社会の姿も見なければいけないということを申し上げたわけでありますけれども、モーダルシフトということを運輸省言っておられるわけであります。  しかし、これも議論がありましたけれども、鉄道貨物一つ見ておっても、何か将来的に全然先行き、見通しが暗い、こういうふうに現状は見えるわけですね。現場の方々から言えば、逆モーダルシフトではないか、まさに貨物輸送一つとってもそれは切り捨てみたいな話ではないのか、こういう議論も起こるわけであります。一つの例を鉄道貨物輸送ということを例にとった場合、モーダルシフトとこう言われるのであれば、鉄道貨物輸送は二十一世紀こうあるべきですよということをきちっと運輸省の基本方針として位置づけられなければならないと思うんですけれども、この点、大臣はいかがでしょうか。
  127. 川崎二郎

    川崎国務大臣 モーダルシフトでございますけれども、正直、トラック輸送がなかなか強いことも事実でございます。ただ、重い物はほとんど船で運ぶというのは委員御承知だと思います。  今問題になりますのは、雑貨物、要するにトラックと一番競合する雑貨物でございますけれども、昭和五十年度で五五%が船か鉄道で運んでおりました。そして、一番これが下がりましたのは、昭和五八年、経済状況の一番いいときだろうと思いますけれども、三三%ぐらいまで下がっております。その後、モーダルシフト等いろいろな形でやってきた結果、今平成八年で四五%まで、要は、二〇%下がって一〇%上がってきたというのが今日であります。そこのところはぜひ御理解をいただきたいと。  したがって、この政策をより進めていかなきゃならない、同時に、午前中申し上げましたように、JR貨物の問題がございます。ただ、これは、運輸省がこうやれというわけには申し上げられません、株主であることは事実でありますけれども、民営化をしたことは事実であるから、やはり社長が先頭に立って頑張ってもらわなきゃならぬと。しかしながら我々も、側面的にいろいろな議論をしながらやっていかなきゃならぬ、このように思っております。
  128. 倉田栄喜

    ○倉田委員 要は、国の輸送政策として鉄道貨物輸送というのを例えば二十一世紀どういうふうに位置づけるんですかということを、私は、国の問題なのではないのかという気も、まあ鉄道でやるかほかのトラックでやるかは別ですよ、そこが政策なんだろうとこう思うんです。ですから、鉄道貨物というのはどういうふうに位置づけますよということは政策の一つだと思うし、これから議論して、こういうふうに位置づけるんです、これは言えることだと思うんですよね。それがモーダルシフトとしていわゆる環境に優しい輸送体系だということであるとすれば、位置づけられなければならない、こう思って御質問したわけであります。  一方で、環境に優しい輸送体系と同時に、国際競争力という問題もある。需給関係規制の原則廃止という問題もあります。もう時間がなくなりましたので、この議論はまた次の機会にさせていただきたいと思いますが、ただ、一方で一点だけ申し上げさせていただければ、生活過疎地域の交通体系あるいは生活路線の維持という問題は議論がありました。これをどういうふうにしていけばいいのか。一方で規制緩和して新規業者の参入という形でフォローできるのどうか、あるいは、今障害になっているという部分がほかにないのかどうか、これはぜひ真剣に考えていただきたいと思います。  それで、この規定の廃止によって一方でいわゆる中小業者の競争激化、混乱という問題が起こってくるだろうと思いますし、また一方で、三人か四人集まれば運送業始められるよと、もう昼も夜も寝ずに休まず働いて、すごい安いコストで我々はやりますよという業者、そういう人たちが出てくるかもしれない。これを頑張れば我々は大きく伸びるんだ、企業という形で出てくるかもしれないけれども、しかし一方、それを三年やったら、体も心もぼろぼろになってもうつぶれてしまいました、そういうことが圧倒的に多いんだろうと思うのですね。そうすると、輸送体系としてはそういう方々をいわば使い捨てるような形でコストが下がっていくかもしれないけれども、まさに使い捨てになってしまうということもあり得るのではないのか、こういうことも実はお尋ねしたいと思ったのですが、またぜひ運輸委員会で、一般的な質疑ができるようなお時間をいただいて、その機会にさせていただきたい、こう思います。  最後に、大臣の所信の中でも述べられておりますけれども、いわゆるコンピューターの二〇〇〇年問題ですね。これは、運輸省の中でもさまざま今検討がなされておりますし、調査がされているのだろうと思いますけれども、人によっては、ことしの年末年始ももしかしたら危ないぞ、あちこち動いて何が起こるかわからないから、もう家にじっとしておろう、こういう議論もあるんだと思うのですね。そうすると、やはり運輸省としても、この二〇〇〇年問題、どういう問題があって、これはこういうふうに対応しますよ、ことしの年末も、明けての年始もどんどん動いてくださいよ、大丈夫ですよということをやはりアピールしていただかなければならない。  運輸省として、二〇〇〇年問題、どういう問題が起こると想定しておられるのか。そして、それに対してどういう対応策を今講じようとしておられるのか。年末年始もそして二〇〇〇年も、交通輸送体系、この二〇〇〇年問題については大丈夫ですよ、こう言っていただけるのかどうか、その点についてお答えいただきたい、こう思うのです。
  129. 川崎二郎

    川崎国務大臣 問題が起きないようにしなければならない、そういった思いで取り組んでおります。  それから、アメリカから観光問題がありましたけれども、どこの国に行っても危ないようなアナウンスになったら大変なことでございます。アメリカでも、ひょっとしたら一部の国の中でその対応がおくれて混乱を起こすところがあるかもしれぬぞというアナウンスだったのですね。ところが、どこの国か今特定できますかと。各国は今懸命に努力をしている中で、あの国は危ないですよなんということは、運輸省が今言えるわけがない。アメリカも言えないと思います。  そういう意味では、もう少し動向を見きわめながらきちっとしたアナウンスをしなければならない。本当に危ない国があるのだったら、ああいう地帯は危ないですよ、カードはだめですよとか、こういうことは秋になればやらなければならなくなるかもしれませんけれども、今お話をするというのは正直言って早過ぎる、こういうふうに思っております。
  130. 倉田栄喜

    ○倉田委員 これはやはり利用者の皆様方の不安にもつながる話でございますので、ぜひ正確な情報開示、そして適切なアナウンスをお願いしたい、こういうふうに思います。  残した質問については、またほかの機会にやらせていただきます。終わります。
  131. 石破茂

    石破委員長 次に、赤羽一嘉君。
  132. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。  私は、平成十一年度運輸省関係予算の中の交通バリアフリー施設整備の推進、この件についてまず最初に質問させていただきたいと思います。  言うまでもなく、日本の社会は、二〇二五年には四人に一人が六十五歳以上の高齢者になるという、まさに超高齢社会になることは間違いのないことでございます。高齢者が多くなるということに加え、私が今思っているのは、例えば身体障害者、現状二百万人おると言われております。その身体障害者の六割を実は高齢者が占めているということで、言いかえれば、二〇二五年の社会というのは、高齢者の方と身体機能に障害を持っている方、こういう人たちが少数派ではなくなる、一人で身の回り、また自由に行動ができにくい人たちが社会のかなりの多くを占める、そういう社会になる、私はそう認識をしております。  こういった社会の到来に対して、私たち公明党がかねてから言っていることは、こういった人たち、高齢者や障害者の人たちを隔離した、何か施設に入れるというような発想ではなくて、本当に高齢者や障害者の人たちと健常者がともに生きていく、共生できる成熟した社会をつくっていくべきだというふうに、我々は党を挙げてそう考えております。具体的には、交通や都市環境の面でのあらゆる障害を除去し、障害の有無にとらわれないであくまですべての人の社会参加と人権を保障する、こういった広い概念で考えていかなければならない。  私たちが主張している、全員が主体者となって共生していくことができる、こういった地域づくりという考え方について、まず運輸大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  133. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今のような御指摘をずっといただいてまいりました。その中で、企業が社会的責任として果たすべき部分、しかしながら、それだけにまっていて全体的な普及というものがおくれる、こういうことになれば、やはり国が政策としてやらなければならない部分が出てくるのではないか、この切り分けだろうと思います。  それで、今日まで民間の鉄道業者もいろいろな意味で取り組んできてくれていることは事実であります。しかしながら、収益性につながる話ではありません。まさに社会的責任の部分であります。しかし一方で、経済状況も余りよくないという中で、私ども昨年の第三次補正の中で、皆さん方の御支援をいただいて五十億の補正予算をつけさせていただいたところでございます。大変多くの自治体からも共鳴をいただいて、今鋭意その作業を進めさせていただいているところであります。その他、何も鉄道施設だけではなく、交通全体にわたってバリアフリーの考え方を徹底していかなければならぬだろうと思っております。  同時に、私も運輸省の職員にお願いしたわけでございますけれども、我々がそれを進める以上は、職員の皆さん方理解してほしいと。障害者の皆さん方お話ししていますと、ちょっと手をかしてくれれば自分たちどこへでも行けるのに、なかなかそれが頼みにくい。よくわかっている人はいるけれども、率先してやってくれる人はまだまだ少ない。それでは運輸省の職員も率先してやってくれよ、こういうお願いを正月にしたばかりでございます。お互いの力を合わせてやっていかなければならぬ課題だろうと思っております。
  134. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今の大臣の御答弁、大変心強い限りだというふうに思っております。  今大臣指摘のように、交通機関とか駅施設、これは、そういう意味でバリアフリーという概念から見ると、まだまだ実情は理想からはほど遠い現状であるわけでございますし、こういった施設が人が自由に行動できる、これは健康な社会生活を送る上で本当に極めて重要なことであるし、こういった方面での整備というのは真っ先に行っていただかなければいけないというふうにも主張しておりました。我々のこの主張が反映した形で、今お話ありましたが第三次補正で、今回の鉄道駅のバリアフリー化の施設の整備とか、やすらぎバスステーションですか、こういった施策が予算の中に盛り込まれたというのは大変喜ばしいことだというふうに思っております。  この鉄道駅のバリアフリー化施設の整備の対象となる鉄道駅の条件というのは何か、まず確認をさせていただきたいと思います。
  135. 小幡政人

    ○小幡政府委員 平成十年度の三次補正予算においていたしました交通施設バリアフリー化設備整備補助制度でございますが、この対象は、鉄道駅におけるエレベーター、エスカレーター、スロープ、障害者対応型トイレなどの設備でございまして、エレベーター、エスカレーターにありましては、五メートル以上の段差があり、一日当たりの乗客数が五千人以上の駅などを対象としてございます。
  136. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それは基本的な前提であるというふうに思うのです。私はかねてから運輸省の方にもお話をしておりましたが、やはり高齢社会に対応するために今回の施策がとられるわけですから、その条件の中に、一日の乗降客数とか高低差というのはもちろん大事な条件だとは思いますが、例えば、駅勢圏人口というのですか、駅を利用する地域の人口における高齢者の割合ということとか、その駅の周辺に福祉施設があるかどうかとか、こういったことをぜひ配慮、考慮に入れていただいて、乗降客数が多い順にとか、そういったところが先にプライオリティーを置かれるのではなくて、まさに高齢社会に対応するためのという今回の施策を反映するような、今後いろいろな箇所づけとか行われるでしょうけれども、概念を導入することは大事だと思うんですが、いかがでしょうか。
  137. 川崎二郎

    川崎国務大臣 確かに、基準としてまず数字的なものを使わなければならないことは事実だろうと思います。しかし、プラスやはり特段の理由というのも加えていかなきゃならぬだろう。その中のテーマとして、駅周辺に福祉施設がある、こういうのも一つ条件として私ども考えてまいりたい、こう思っております。
  138. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 私、こういうことをずっと運輸省の人と話しているときに、これまでも言ってきた理由は、実は、あの阪神・淡路大震災の被災を受けたわけなんですが、その中心地域に兵庫区という旧市街地がございます。兵庫区というのは、実は、高齢化率が極めて高い、人口が約十万人なんですが、六十五歳以上が一万九千人というような区でございまして、もう二〇%に近い、二〇二〇年ごろの日本の社会の状況になっている。それに加えて、政府がとっていただいた災害公営住宅、被災者が入るような住宅、キャナルタウンという物すごい大きな住宅が兵庫駅の南口にでき上がりまして、当然そこには被災者がいっぱい入っているわけですから、高齢者の率がさらに高くなっているんですね。キャナルタウンの中には、高齢者のための介護支援センターもありますし、また、障害者のための在宅障害者福祉センターなんかも設置されているんです。  極めて特殊なケースかもしれませんけれども、こういった人たちの訴えというのは切実でして、実は、昨年の一月十七日に、地元の自治会、婦人会、老人会、そして福祉団体の連合会というのが地元にかなり多いものですから、そういう会がありまして、その中からこういう要請書も実は出ております。JR西日本にも地元自治体にも提出はしております。  こんなことを考えていくと、今回せっかくとった施策で、この被災地の極めて高齢化率の高い、JRの兵庫駅というのはまさに古くからの駅でして、この兵庫駅にぜひとも設置をしていただきたいというふうに思っております。そういう思いは多分JR西日本にもあると思いますが、そのような高齢化率の高いJRの中心駅に今回のようなバリアフリーの設備が設置されることについて運輸省としてどう考えるか。
  139. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今の御指摘でございますけれども地元から強い要請があるというのは私ども聞かせていただいております。一方で、やはり一番大事なのは、国も助成をいたしますが、やはりやるJRにその気があるか、それから自治体の援助が得られるか、この二点だろう。今のところでは、JR西日本からエレベーター二基をつけたいということで要請が出てきております。自治体の方も協力していただけるものと思っておりますので、これから鋭意詰めていきたいと思っております。
  140. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます、具体的な答弁をいただきまして。  続きまして、これは北神急行の件、先ほどちょっと通告が遅くなったんですが、よろしいですか。——実は、都市における交通機関の一層の利便性の向上と利用促進に引き続き取り組んでまいりますという大臣の所信表明がございまして、その関係で、実は、私、かねてより予算委員会の分科会とか決算委員会の分科会とかで、平成五年から初当選以来、実は北神急行電鉄の運賃問題についてずっと取り組んでまいりました。  北神急行電鉄というのは、大臣、多分御存じないと思いますが、新神戸から、六甲山脈の裏に谷上という駅がありまして、一区間だけの民間鉄道であります。実は、七・五キロで一区間で、八分間で到着するんですが、四百三十円という恐らく日本で一番高い運賃の鉄道だというふうに思っております。  その谷上から先の、神戸電鉄というまた別の鉄道がございまして、そこにはニュータウンで大変な人口が住まれていて、そこから新神戸を経由して三宮という繁華街に出てくるのには、実は片道一千円近くかかる、九百三十円かかるという、ちょっと平常な状態じゃないところでして、日曜日に家族四人で出てくると交通費だけで一万円近くになるということで、毎年ずっとこの委員会でも取り上げさせていただいておりまして、実はこの北神地域の鉄道問題に関する検討委員会というのを提案し、実際につくっていただきまして、当時の古賀誠運輸大臣のときに、どういう方向性でやっていくのか、きっちり一生懸命やっていくべきだというような御発言もいただき、鋭意議論を重ねておりました。  近々運賃の値下げ問題が解決する、解決というよりも運賃の値下げがとりあえず実現するという話が地元で非常に広まっておりまして、国会で質問してきた手前、この件についての現状の御報告を局長の方からいただきたいと思います。
  141. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  お話しのように、北神急行は北神地域等と神戸市の都心を直結する鉄道でございますけれども、利用者の大半は、お話しのように、神戸電鉄、それから北神急行、神戸市の地下鉄と、この二線または三線にまたがりまして乗車いただいているということでございまして、その中で特に北神急行、全区間トンネルということで、今の運賃水準が実は高うございます。加えまして、先ほどの乗り継ぎということもございまして、全般的に割高で、十分な利用が図られていないというような御指摘もあり、先ほどお話しのように、平成八年から検討させていただいているという部分でございます。  その中で、今般、地域の利用者の皆さんの御要望を受けまして、兵庫県と神戸市が、北神急行の運賃を引き下げるということを目的として、同社に補助金を交付する予算案を議会に提出する運びになったというふうに聞いております。これで、その予算が通りますと、北神急行の会社の方から我々の方に手続が参ると思いますが、そういう段取りになっておるというふうに聞いております。
  142. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます。  ちょっと、もう時間が来たものですから、港湾局の局長、出席していただきながら質問できないのは残念なんですが、また次回、国策として国際競争力を持つハブ港をつくっていく考えがあるのかどうか、厳しい財政状況の中で、私は、重点的にそういったものをつくっていくべきだというふうに考えておりますので、その点だけ大臣のお考えを聞かせていただき、私の質問を終わりにしたいと思います。
  143. 川崎二郎

    川崎国務大臣 午前中も、横浜のことを主体にしながら御質問をいただきました。  平成七年で、中核港湾に対する投資率、一五%ぐらいだったでしょうか、今回二〇%になってきております。地方の声もあります。しかしながら、やはり中核港湾に基本的に投資を集中していくことについては、我々心がけてまいりたい、こう思っております。
  144. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます。終わります。
  145. 石破茂

    石破委員長 次に、岩浅嘉仁君。
  146. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 自由党の岩浅嘉仁でございます。八人目でございますので、質問が重複することがあると思いますが、御容赦をいただきたいと思います。  まず最初に、先ほども倉田委員の方からお触れになられましたコンピューターの西暦二〇〇〇年問題でございます。  私も余り関心はなかったんですが、たまたま先週、この問題に大変詳しい学者でございます公文俊平国際大学教授のお話を伺う機会がございまして、これは考えようによっては大変な問題だな、予防と対策を怠れば大きな社会問題、それ以上の問題に発展するんではないか、そういう認識を深めたわけでございます。  いろいろなうわさが出ております。これはあくまでうわさなんですけれども、アメリカの連邦航空局は、一九九九年十二月三十一日から二〇〇〇年の一月一日にかけて航空機の離陸を許可しない。  それから、アメリカのコーポレーション二〇〇〇というグループがニューヨークとロンドンについて推定を行っておりまして、それを見てみますと、両都市におきまして電力供給は一月一日から十日まで五〇%になる。さらには運輸、航空、鉄道、バスですね、これは三十日間混乱するであろう。病院は四週間、救急医療のみである。教育もしかり。また株式市場、これは八日間閉鎖される。電話サービスは一月一日から十日間に五〇%に能力がダウンする。さらに郵便も十日間混乱する。銀行は八日間閉鎖される。こういうレポートも実は出ております。  そこで、先ほど御答弁があったと思いますが、この問題につきましては、去る一月十九日の小渕総理の施政方針演説でも、未来へのかけ橋の一節として、万全の対策をとっていきたい、さらにまた昨日の川崎運輸大臣大臣所信表明でも表現をされておるところでございます。政府も総理官邸が中心になってこの問題に取り組んでおられるようでございますけれども、諸外国と比べて日本が立ちおくれておるという指摘をされる識者もおりますし、それ以上に、国民の問題意識が必ずしも高くない。  最近、特に新聞紙上ではこの問題につきまして頻繁に記事が出るようになりました、昨日もある夕刊紙に載っておりましたけれども。またきょうの新聞記事では、来る四月にこの二〇〇〇年問題に関してAPECで協議会をシンガポールで開く、こういうことも報道されておりますし、また我が党として、きょう災害対策委員会にこの二〇〇〇年問題の小委員会をつくってはどうかという提言を我が党の理事の方がされたと伺っております。  そういう中で、内閣としてのコンピューター西暦二〇〇〇年問題、この中で、特に交通の分野は、金融あるいはエネルギー、情報通信と並ぶ社会基盤として特に重要であるということから、徹底した対応を求めなければならないという指摘もされております。内閣のコンピューター西暦二〇〇〇年問題に関する行動計画で求められた交通分野への対応はどんなようなものであったか、それが第一点。  さらに、運輸省内にも事務次官を中心に運輸省コンピューター二〇〇〇年問題対策本部というものを設置されておるようでございまして、お取り組みをいただいておると伺っておりますが、そのお取り組みの状況及び関係事業者への指導内容並びにそれぞれの対応状況、特に未対応の分野はどういう分野なのか、さらにまたシミュレーション、実証実験はどの程度までやっておるのか、お答えをいただきたいと思います。
  147. 羽生次郎

    ○羽生政府委員 お答えいたします。  確かに先生おっしゃるとおり、この二〇〇〇年問題、非常に大きな影響の出る可能性のある分野であることは事実でございます。  運輸省といたしましては、まず自前のシステムというものといたしまして、航空管制、海上保安、気象の業務のコンピューターがございます。これらにつきましては、ことしの六月までに、先生今御指摘の模擬テストを含めまして、すべて用意、準備を完了させたい、このように考えております。  それからまた事業者の方の関係でございますが、事業者の中には鉄道、航空のように非常にコンピューターを多く使用しているところ、運行管理のみならず施設の保守あるいは発券、予約等にコンピューターを活用しているところがございます。そして、これらのコンピューターが円滑に事務も保守も両方とも機能しない限り、お客さんの少なくとも快適な旅行はないわけでございますので、こういったものにつきましても、私どもといたしましては事業者の方に注意を喚起いたしまして、先ほど申し上げましたシミュレーションを含めまして、こういう大手のといいますか主要なところについてはぜひ六月末までに完了していただきたいし、そうでないところも秋までに終わっていただきたいと考えております。  それからさらに、シミュレーションをやってもどうしてもだめというような最終的な危機管理の問題がございまして、これの問題につきましてもちゃんと危機管理対策というのを行うように、こういう指導、要請、そのあいのこのようなところをやっているところでございます。  それで、どのようなところにやっているかと申しますと、先ほど申し上げました鉄道とか航空といったところ、航空ですと十一、鉄道ですと三十七社、このようなところにつきましては、半分以上のところが既に去年末現在でシミュレーションまで完成しております。私どもといたしましては、これからは、内閣の方針もございますので、かなり連絡を密にして報告を受けていきたいと考えております。  それではどこが不足しているかというところでございますが、中小の方、あるいは旅行業者等、非常にたくさんの数のあるところ、これはなかなか把握し得ない分野もございます。こういったものにつきましては、旅行業界の方にお願いいたしまして、それぞれの業界の中で、今まではアンケートという形でやっていたわけでございますが、ぜひ全数を調査して、これについて我々にレポートバックしていただきたい、このようなお願い及び要請をしているところでございます。  また、そういったことを、先ほど先生おっしゃいました事務次官を長とした対策本部で、各局の局長に指示をしているところでございます。
  148. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 主要なところは六月までに、またその他は秋までにという御答弁ですが、航空と鉄道ですね、これは御答弁いただきましたが、船舶が、海運ですね、特におくれておるという指摘もございます。  船舶には三百ほどのコンピューターチップがあると言われておるのですが、コンテナの積み込み、積みおろしも全部コンピューターでございます。そういう中で日本海運業界のこの問題への取り組みは世界平均以下であるというふうな指摘をなされておるのですが、海運についてはどうですか。
  149. 宮崎達彦

    ○宮崎(達)政府委員 お答えいたします。  昨年の十二月末で各関係事業者から報告を受けておりますけれども、その中では、模擬テストまで完了したというのが九%、修正などは完了してもう一度模擬テストというのが九%でございます。それから現在模擬テストの作業中というのが五五%。合計七三%は模擬テストの作業にもう取りかかっておるということでございます。まあ、おくれているかおくれてないかというのは余り議論してもしようがないとは思いますが、我々としても六月までに完了するように指導をしております。  特に、この元旦に、二〇〇〇年問題と直接関連はないのですけれども、コンピューターの内蔵された問題で、一九九九年問題ということで数件問題があったかもしれないというような事案がございましたし、先ほども運輸政策局長から述べましたように、中小企業というのが海上運送事業者には非常に多うございます。内航海運事業、それから今御指摘のありました港運荷役、それから旅客船事業もそうでございます。そういったところにやはり趣旨を徹底して点検していただく。  問題は、自己診断でもう私のところは関係ないやということで済まされるのが非常に危険でございますので、そういうことのないように、実は、昨年秋に一度通達を出しておりますけれども、昨日再度、その辺を十分に点検するように、六月末までに作業を完了するように、通達を出して関係事業者を指導しておるというところでございます。
  150. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 これは二月二日の新聞記事なんですけれども、アメリカの国務省が自国民に対して一九九九年後半から二〇〇〇年にかけて海外旅行を自粛するようにと警告を発した。それに対して日本我が国運輸省は、日本人が海外に出たとき、海外に出た邦人のことまでは頭になかったということで大きな見出しで載っておるのです。  海外旅行者に対する政府の対応のおくれということも指摘をされておるんですが、アメリカ政府は自国民に対してそういう警告を出しておりますが、今後、日本として、外国へ出る邦人に対して何らかの注意を喚起するお考えはあるのかどうか。
  151. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほどもちょっと御答弁申し上げたんですけれども、例えば日本人だと、正月というとハワイが一番多いと思うんです。ハワイが危ないですよというのは、ちょっとやり過ぎだろうと思います。国務省はどういう意図で言われたかわかりませんけれども、やはりきちっと各国の実態を掌握して、こういうところがもしかしたらトラブルが起きるかもしれない、これを国民に広くアナウンスしなきゃならぬ、この仕事を我々持っておると思うんです。  しかし、今はまだ二月でございますので、もちろん一年先の予約まで入るんだという議論もあるかもしれませんけれども、現実としては、やはり秋までに各国の対応をしっかり掌握しながら、本当にイギリスとかフランスとかこういう国でも問題があるのか。そうなると、日本もまさに問題があるという話になってきてしまうので、やはりきちっとやれる国と、我々もいろいろ求めてみるけれども何となくしっかりした応答がないねというところと分けながらアナウンスしませんと、来年の正月は、旅行にだれも行きませんよという話になりますと、これはまた観光業界大変な話でございますので、正確なニュースを流していくということに努めてまいりたいと思っております。今、やるのは余りにも早計だと私は思っております。
  152. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 これが杞憂に終わればもちろんいいことなんですが、やはり今大臣がおっしゃいました、特定の地域とか国を挙げて、これは大変な問題になります。所沢のダイオキシンのような問題になってくるわけですから、これは大変危険なことだと私も思います。ただ、先進国と開発途上国の間で濃淡がある、これがどう現象に出てくるかというのは予測がつかないわけです。ですから、今大臣の御答弁にございましたように、ある程度の情報の開示ですね、これはひとつ、できる範囲で国民に対してやっておく必要があるのではないか。  またそのための一環として、海外へ出る日本人旅行者に対するマニュアルとかガイダンス、そういうものを、特定の地域じゃなくて、こういう危険がある、起こり得るかもわからないというふうなマニュアルとかガイダンスを、政府として今からどうするかということを考えておく必要があるんではないかと私は思うんですが、いかがでございましょうか。
  153. 川崎二郎

    川崎国務大臣 例えば中東で紛争が起きます。そうすると、こういう国は危ないですよ、この隣の国はこういう危険度がありますよということで、実は旅行業者等にアナウンスをいたしております。基本的な概念としてはそういうことなんだろうと、今回も。そういう意味では、そうした情報を的確にどう流せるか、その体制づくりは委員指摘のとおり、今から運輸省内部は整えていかなければならないな、こう思っております。
  154. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 この問題は、一体どうなるのかと予測のつかない問題でございまして、なかなか答えが出にくい問題であろうと思いますが、最悪に備えるということであろうと思います。そのために今から予防線を張る、そして起こったときにどう対応しておくか、まさにこれは危機管理の問題、範疇に入ろうと思いますが、ぜひ慎重なお取り組みのほどをお願い申し上げたいと思います。  これも報道なんですけれども、カナダなんかは、この二〇〇〇年問題に合わせて陸軍の兵力三万二千人の出動をも想定しておる、そして民間人を逮捕する権限まで与える、そして軍艦を停泊させてそこに野戦病院から銀行機能とか全部そういうものを集約する、こういうことも公文先生から私、実はこの間伺ったわけでございます。取り組みの濃淡がありますけれども、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、バリアフリーの問題なんですが、平成八年度にノーマライゼーション七カ年戦略がスタートをいたしまして三年を経過しまして、いよいよ中盤に差しかかっております。このノーマライゼーションの理念の実現に向けて、政府、地方自治体も具体的施策の目標の推進を図っておるところでございますが、バリアフリーという言葉が大臣所信では初めて、同じような内容の所信の表現はあるんですが、バリアフリーという言葉が、運輸大臣の所信表明に出たのは川崎大臣が初めてだと伺っております。それだけに、この問題に対する大臣の強い姿勢を感じましたし、また私も大いなる期待をいたしたいところでございますが、昨年の末にも、景気対策特別枠の中で、駅のバリアフリー化のために五十一億円が認められております。  今後、予算とか税制その他におきまして、従前と異なる政策として、今までと違った観点から、あるいは取り組みの姿勢の違い、そういう従前と異なる政策としてこのバリアフリーについてどういうふうな政策を講じていきたいと考えておられるのか、伺っておきたいと思います。
  155. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほども出ましたけれども、基本的にはまず企業の社会的責任で交通機関等は整備をしてほしい、こういうお願いをずっとしてまいりました。しかしながら、現実問題として、経営が厳しいこともございます。また、何か助けてもらえるシステムがあればいいな、またある自治体によっては、それでは自治体が全部面倒を見ましょうといっておやりになっているところもございました。そうしたいろいろな経過の中で、この委員会でも御指摘いただいてまいりましたけれども、国としてやるべきことがそろそろあるんじゃなかろうかという中で、今回、補助金という制度に踏み切らせていただいたというのが今御指摘いただいた問題でございます。  従来から税制等でやっておりましたけれども補助金まで踏み込んだ。これが、つけさせていただいて、さあどういう反響になるかな。実は、地方自治体にも持ってもらわなきゃなりません。それから、採算性のないことをやるわけですから、地方自治体から声が上がっても、本当に交通機関が協力してくれるだろうか、こういう心配も一部しておりました。現状では非常にいい反響をいただいておりまして、予算の消化もまず間違いないだろう、こういう状況になってきて、そういうものが現実に建設されるということになりますと、当然、隣の市の駅がついていて私のところはということになってまいります。当然、そういった形でまた御希望が出てくるんだろうと理解をいたしております。  駅が一つのモデルになりますと、今度は町全体の中がそういうモデル化をしていくということになろうと思います。そういう意味では、できるだけ先生方の御支援をいただきながら、この問題、前向きに取り組んでまいりたい、今後の予算についてもできるだけ主張してまいりたい、こう思っております。
  156. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 民間会社の方も反応がいいということで、これは意外だったわけでございます。時代の趨勢というか流れかなということを、今大臣の答弁で私は感じたわけでございますが、具体的に、鉄道の駅におきます垂直移動対策としてのエレベーター、エスカレーター及びスロープ等の施設の現状、現在の整備率をどのように認識されておるのか、さらにまた、今後の整備計画はどのような基準でなされて、整備目標ですね、整備水準、目標について設定しておるのかどうか、具体的にもしお答えできれば。
  157. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  我々実は、鉄道駅におきますエレベーター、エスカレーター等についての整備の指針を用意してございます。この趣旨は、実はすべての駅にそういうものがあった方がいいということが前提でございますけれども、何せすべての駅に、特に既設の駅を含めまして整備するとなりますと、相当の資金が必要でございます。そういう意味で、優先的に整備する目標をつくった方がよかろうということで整備指針というものを用意しております。  この基準は、一日当たりの乗降客が五千人以上、そして段差が五メートル以上ということをとりあえずの指針にさせていただいております。  この対象になります駅を申し上げますと、JR六社で六百九十三になります。それから、大手民鉄十五社で七百四十九駅、営団地下鉄、公営等の地下鉄十社で五百三、全体で千九百四十五駅がこの指針の対象になるわけでございます。このうち、平成九年度末でエレベーターの設置されております駅が五百五十八駅、ですから全体の駅の二九%、それから、エスカレーターにつきましては千五十七駅、基準対象駅の五四%という状況でございます。  先ほど申し上げましたように、この千九百四十五につきまして、優先的に補助を入れながら整備を進めたいということでございます。
  158. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 今、整備指針によりますと一日の乗降客五千人以上、プラットホームと公共通路に五メートル以上の高低差があること、こういう御答弁であったんですが、そしてその条件を満たすのが全国で千九百幾ら、そういうことでございますね。  そうしたら、こうなりますと大半はもう大都市圏に集中してしまうんではないかと思うんですね。ちょっと地元の話を申し上げて申しわけないんですが、私は四国の徳島ですけれども、徳島県ではもう徳島駅一駅しかないわけです、この対象になるのは。全国の地方においてはこういうケースが大分出てくるんではないかと思うんですね。  予算との関係もありますけれども、都道府県に数カ所、一カ所と言わず数カ所モデル駅のようなものをつくっていく、そして、便利になるのはもちろんですが、社会的啓蒙もしていく、そういう発想も必要なんではないかと考えるんですが、どうですか。
  159. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣の方からもお答えさせていただいておりますけれども、先ほどの整備基準といいますか、の駅に当たらない場合であっても、具体的には、お客さんの数が少ない場合であっても、御利用される方々の中に、特に周辺に福祉施設が用意されてあるとか、先ほどの、そういう意味では高齢の方々の施設があるとか、そういう内容によって実は補助対象にし得るという制度にしてございまして、その五千人の基準に合わない駅でも、申請があれば、そういう趣旨の中で我々としては支援していきたいと思っておりますので、個別ケースごとにその状況を見させていただきたい、そういうことに考えております。
  160. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 私ども立場ではよく身体障害者の団体から陳情をお受けいたしますが、特にこの問題につきましては、もう議員の先生方みんなそうだと思いますが、要望の強い項目の一つ、最大の項目の一つであります。  それに関しまして、駅のホームの転落事故、これが九四年十二月から四年間で十一件ありまして、うち九人が死亡したと。また、都内の視覚障害者団体の調査では、視覚障害者の三人に二人が転落の経験があると。それで、死亡事故の発生した九件の現場は、これはいずれも点字ブロックはできておった、しかしながら事故が起こったと。こういうことで、転落を防ぐための安全策ですね、可動さくとかホームの職員をふやす、そういうふうな要望が強く寄せられておるんですが、こういう面まで踏み込んで今回考えておられるのかどうか、伺いたいと思います。
  161. 小幡政人

    ○小幡政府委員 御指摘のように、ホームからの転落事故等々を防止するということは非常に大事な我々の課題認識しております。それで我々の方も、点字ブロックであるとか、駅員の誘導であるとか、あるいは放送を通じてとか、いろいろな手段をもって実は対策に取り組んでおります。  その中で、ホームさくというようなものについて非常に有効な場合もございます。実は、ホームさくにつきましては、鉄道総研でいろいろ研究、調査をしていただいておりますけれども、非常にそれが役に立つ場合、有効な場合と、それから、特に既設駅に用意した場合には、逆な形で不便が生じてかえってその有効性が失われるというケース、いろいろケース・バイ・ケースでございます。  その意味で、一概にホームさくだけでという対策にはならないと思いますけれども、そのホームさくも含めまして、その駅ごとの有効な対策をとっていくというのが一番ベターなのかなということで我々個別の対策を指導しているということでございます。
  162. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 先ほど大臣から、ホームだけでなく町全体のバリアフリーのことについても私、伺おうと思ったんですが、先に御答弁をいただきましたのでありがたかったと思っております。運輸省が初めてバリアフリーという言葉を大臣所信に使われましたので、全体的な構想の中で、運輸省も主導権を持ってひとつこの問題にお取り組みをいただきたいと思います。  次に、航空の問題について伺いたいんです。国における民間航空会社の位置づけということをまず一つお伺いしたいんですけれども、アメリカですと、民間の航空輸送産業を、いわゆる経済はもちろん、雇用、そして、国防並びに緊急時の輸送力確保等の国家安全保障上、国の重要産業として明確に民間航空会社を位置づけておる。  そして、これにもいろいろ経緯がありまして、アメリカでは一九七〇年代前半に、経営難に陥った大手航空会社のために国内線の供給調整協定を積極的に認可をした。さらにまた、パンアメリカン等の国際航空会社のために、フライアメリカン、アメリカの公務員が外国へ出るときは必ず自国の航空機を使え、出張するときは自国の航空機を使え、そういう政策を導入して、最近は、徹底した規制緩和を推進する反面、メガキャリアを容認して、そして、フライアメリカン政策をきちっとアメリカの運輸省の政策の中に格上げして位置づけた、こういうことも伺っております。  日本において航空審議会等で国家における民間航空会社の位置づけ、若干議論をされたようでございますが、アメリカのように国として民間航空の国政上の位置づけ、議論までにはいまだに至っていないと。今般、九九年度予算案で邦人救援機の民間チャーター費用、二千数百万円でございましょうか、これが初めて計上されたと伺っております。これは一つの前進だろうと思いますが、日本の民間航空産業を国家としてどういうふうに位置づけておるのかということを、大まかな話でございますが、まず伺っておきたいと思います。
  163. 岩村敬

    ○岩村政府委員 日本航空企業を我が国国際輸送さらには国内輸送の中でどう位置づけているかということでございますが、今先生御指摘ございましたような国防の視点とか、そういった視点からの議論というのはこれまで我が国ではなされていないことは間違いございません。  ただ、今一つ指摘のあった、緊急時の際の在外邦人をどういう形で輸送するんだということ、先般インドネシアの動乱のときにも非常に大変なことが起こったわけでございますが、その際議論が始まりまして、昨年の暮れに、当方からの申し入れに従いまして、外務省として、今後は政府のチャーター機によって、政府が日本の企業なりをチャーターして、それによって救出をする、そのための予算、それからそういう仕組みを今回の予算に盛り込んでいただいたということで、一歩前進をしているところでございます。  御承知のように、これまでは航空会社に依頼をして臨時便という形で邦人の救出についてもお願いをしておったわけで、そういう点では一つ進歩が見られた。予算の額としてはまだ二千数百万ということでそう大きくございませんが、これまでの企業に対する考えとは一歩進んだ考えが出てきている、このように思っておるところでございます。  それから、先ほどの位置づけ議論、これも過去にいろいろされております。やはり、日本国内さらには国際の輸送に当たって、日本企業の果たす役割は非常に大きゅうございます。そういう意味で、そういうものをどういう形で、保護というのはちょっともうそういう時代ではないかと思いますが、そういう企業が十分に活動できる、そして国際的な競争力をどうやって得ていくか、そういった議論はしておるところでございまして、その一つとして、今国会にもお諮りしようとしておる航空企業に関する規制緩和競争の中から企業の合理化なりを進め、国際的にも十分活躍できる場をつくる。よく言われる、はしの上げおろしまでやっておった政府の規制を解いて、航空企業の活力を導き出す、そういう政策はこれから改めてこの議会で御議論をいただこうか、そういうふうに思っておるところでございます。
  164. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 邦人救援機の予算が初めてついたというのは、私は、先ほども申し上げましたが、一つの前進であったし、今も御答弁がありました。安全保障の関係もありますけれども、こういう問題もきちっと位置づけておく必要があるのではないかと思っております。  今規制緩和の話が出ましたが、これはまた航空法の改正で後日審議をされると思いますが、規制緩和航空法の改正について、数点だけちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  規制緩和によりまして、需要の大きい路線では競争が激化して、運賃が低下して、利用者にとってはプラスの効果が当然期待できる。スカイマークなんかもそうだと思いますけれども、一方で、競争が激しく、競争者が脱落をして独占運航になってしまうのではないかということも当然危惧されます。  アメリカでは、一九七八年に航空規制緩和が実施されたわけですが、その後二十年間にわたる経験では、新規参入企業はあったものの、最後は撤退が相次ぎ、今では大手数社による寡占体制による支配となっていると聞いております。また、ハブ・アンド・スポーク体制によって、旅行時間が増加したり、運賃が上がったりといった問題が生じておる、これらのアメリカの経験をどう我が国が踏まえていくかということも大きな参考になろうと思います。  まず、全体的なお考えを伺っておきたいと思います。
  165. 岩村敬

    ○岩村政府委員 航空企業の規制緩和については、アメリカが今御指摘のとおり長い経験を持っておるわけでございます。  それで、当然のことながら、規制緩和によって例えば運賃水準が下がった、さらには合理化、効率化ということでアメリカの航空企業の競争力が非常に高まったというプラス面、これがこれまでの規制緩和議論の中で大きく取り上げられておるわけです。反面、アメリカの中での分析の中に、マイナスの面、今御指摘のあった寡占化により普通運賃が上昇してしまうとか、ハブ・アンド・スポークが進んで結局直行便が減ってしまう、あるところを経由しないと従来行けたところへ直接行けなくなってしまう、またさらに、地方路線から撤退する企業が出る、そういったマイナスの面もあるという指摘がされておるところでございます。  我が国もこれからそういう規制緩和ということで議会の方にお諮りをするわけでございますが、その際に、ここでアメリカでの経験をやはり最大限生かして、プラス面を特に生かすように努力をしていきたいと思っております。  ただ、アメリカと違って、例えば空港の容量について制約がある、特に、我が国の中心的な空港である東京圏、大阪圏の空港の容量に非常に大きな制約がある、そういったところも踏まえながら、いいところを取り入れながらそういうマイナス面をいかにカバーしていくか、これが我々のこれからの政策課題だろうというふうに思っておるところでございます。
  166. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 地方路線並びに離島航路、こういうものにしわ寄せが来るのではないか。当然近い将来考えられるわけなんですけれども規制緩和の、いろいろ午前中から議論が出ておりますが、光と影の部分、影の部分になると思いますけれども、そういうもうからない路線、しかし自分にとっては大変大切な路線である、こういう路線の存続について、細かいことは聞きませんが、どういうふうな指導を行政としてやっていくのか、それが第一点。  さらにまた、離島航路については、約五億円ですか、運航費の補助金が予算案に計上されております。地方自治体の補助金が同額交付されるとしても約十億円でございますけれども、この額では十分な補助金とは言えないのではないか、当然こういう声が出てくると思います。その点について御所見をお伺いいたしたいと思います。
  167. 岩村敬

    ○岩村政府委員 第一点目の、不採算路線の撤退といいますか、ネットワークがだんだんゆがんだものになるのじゃないかという御指摘でございますが、この点については、これまでも規制緩和が進んできてそういう弊害が一部に指摘されてきておるわけでございます。さらに、今国会で航空規制緩和、いわゆる需給調整規制を撤廃するということで法律を御審議いただくわけでございますが、それにあわせて、このネットワークをどう維持していくかという非常に大きな課題になると思います。  そういう意味で、まず平成十一年度の政府予算案の中に、地方空港路線に対する支援策として、二種A空港、そして共用飛行場、これは国が持っております地方にある空港でございますが、ここの空港の着陸料を三分の二に引き下げるという措置、これを予算案に盛り込んで今御審議を願っておるところでございます。  また、これから御審議いただく航空法を準備いたしておりますが、その中で、ネットワークの形成上特に重要な東京とか大阪の空港、先ほどもちょっと触れましたが、こういった混雑する空港については、やはり収益という面からだけいきますと、どうしても、平たく言って、もうかる路線は残るが、もうからない路線、地方の路線がだんだんへずられてネットワークがゆがんだものになる、そういうおそれがあるわけですが、これについても、ミニマムの航空ネットワークの維持、形成に配慮した発着枠の配分、さらにはその発着枠の管理ということを行えるような仕組み、そんなものも御議論いただきたいというふうに考えております。  また、路線の廃止、すなわち参入について自由にするということは撤退も自由になるわけでございまして、路線の廃止についても自由になるわけです。それについても、直ちに廃止をするのではなくて、例えば六カ月間という期間を置いて、その間に地域との調整をして、その後のサービスに不便が来ないようにする、そういった仕組み、こんなものも今度の法案で御議論いただきたいということで準備を進めておるところでございます。  それから、第二点目の離島航空路線の維持でございますが、来年度から運航費の補助ということで予算案を今御提出しております。御指摘のとおり四億九千万の予算を要求しておりますが、これとあわせまして、今回、ジェット路線に係る着陸料、離島とつながっているジェット路線があるわけですが、そこの着陸料について、従来五分の三の軽減をしておりましたが、これを六分の一に軽減するとか、例えば固定資産税について、従来ジェット機については固定資産税が離島路線であっても軽減されておらなかったわけですが、これを軽減する、さらには航空機燃料税、これも今まで離島関係は軽減策がなかったわけですが、今回初めて四分の三に軽減する。そういった数々の仕組みを導入いたしておりまして、こういった施策と、先ほど御説明申し上げた四億九千万の運航費の補助とあわせて離島路線は維持されていくものだろうというふうに期待をしております。  もちろん、国だけの施策ではなくて、先生御指摘のように地方からもいろいろな支持をいただくべく、自治省を通じていろいろお願いを申し上げているところでございます。
  168. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 大変厳しい現状もあると思うんですが、やはり国土の均衡ある発展というのは航空路も当然入ってくるわけでございますから、国の全体的施策の中で離島の翼の確保、ぜひ精力的にお願いを申し上げたいと思います。  最後、二点だけ伺っておきます。  私もこれはびっくりしたんですが、日本に来る外人の観光客の数なんですね。反対に、日本から海外へ行っておる旅行者数、これは平成九年に千六百八十万人。そして外国から日本へ来る旅行者の数、これが、ちょっと古い数字ですが、一九九五年ですと三百三十四万人。翌年一九九六年、三百八十四万人、平成九年は四百二十万人、徐々にふえております。  それから、世界の中で外国から来るお客さんの数のトータル。一番新しい数字が一九九六年の比較なのですが、日本へ来る外人観光客三百八十四万人というのは、世界でチュニジアに次いで三十二番なんですね。チュニジアとはどこかなと私、地図で調べたのです。アフリカの北の方、旧フランス領ですけれども、このチュニジアが人口八百九十九万人です。それに次いで日本は三十二番。一番は、世界一観光客が多い国というのはフランスです。フランスは年間六千二百四十万人。フランスの人口が五千八百万人ですから、一国の人口よりも多い外人旅行者が一年間に入国しておる、こういうことになるわけですね。やはり、陸続きだからとか言われますけれども日本とまた環境が違うということもありますけれども、それにしても日本数字は余りにも低いのではないか、こう思わずには私、おられないわけです。  政府も、ウェルカムプラン21ですか、そういうものを作成して外国からの旅行者を受け入れるということで、二〇〇五年の時点に、四百二十万という数字を七百万人ぐらいに倍増したい、こういうことを考えておられるようですが、具体的に進行状況を、どういう取り組みをやっていくのかを伺っておきたいと思います。
  169. 羽生次郎

    ○羽生政府委員 お答えいたします。  確かに先生御指摘のように、日本に来る外国の旅客数というのは、最近若干円安のおかげでふえておりますが、先生のおっしゃったレベル、韓国よりちょっと上、あるいは韓国より下というようなところでございます。確かにこれでは一方的でございまして、我々も、地域の国際化を求める意味からもぜひ外国の方に来ていただきたいということで、先生御指摘のウェルカムプランというのを現在進行させている最中でございます。  そして、これの一番主な点は、地域を指定いたしまして、そこにテーマごとに、例えば富士山というテーマで三つの県が一緒になる、これを我々の外郭団体でございます国際観光振興会が徹底的に宣伝する、あるいは、その地域の協力を得て、外国人割引というようなことで、お土産物の一〇%割引とか、こういうものを出していただく、こういったものを中心に今までやってきたわけでございます。ことしの予算、特に補正予算の中でございますけれども、新たに、アメリカの西海岸をターゲットに日本について大きな広告宣伝をする。これも、従来仲の悪かったアメリカの航空会社の協力を得まして、日本航空会社とともにこの宣伝をしていく。その宣伝する階層も、従来ちょっと目をつけておりませんでしたシニアの人たち及び学校の学生たち、これらの人たちは、日本は非常に物価が高いという幻想があってなかなか来なかったわけでございますが、そういったものを打ち砕くような宣伝をしていただく、あわせて日本の魅力もPRする、こういったことを考えております。  さらにまた、国際観光振興会を利用いたしまして、種々の大きなデータベースを設けて外国人のアクセスを可能にする。  それからさらに、ことしの補正でいただいた予算でサインシステムをつくって外国人も見やすいようなものにするというような施策を現在講じているところでございます。  先生おっしゃるとおり、二〇〇五年までに、倍増よりは欠けておりますが、ぜひ七百万というのを達成したいと考えております。
  170. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 きょうの報道でしたかね、韓国の金大中大統領は、韓国国内の道路標識とかいろいろなものにハングル文字と同時に漢字も併用しよう、こういう大統領命令を閣議で出したときょうの報道に載っておりました。年間二百万人ですか、日本から韓国に旅行者がおるようでございますが、ワールドカップ等もありまして、スピーディーな対応を大統領が指示したんだと思うのですよね。これは日本も共同開催ですから、外国からの旅行者の勧誘といいますか、受け入れ態勢というもの、入ってくる、呼び水というものをぜひ整備をしておかなければいけないということを申し上げておきたいと思います。  最後に、申しわけないのですが、地元の問題で一点だけ。  徳島と和歌山の間には紀伊水道という海がございますけれども、その両岸ですね、徳島と和歌山を連携する紀伊水道地域連携計画というものが策定をされておりまして、これは特に阪神大震災が起こりましたときに、いわゆる中心的なルートじゃなしに、それを補完するルートとして、あるいは大阪港、神戸港の補完港湾としてということで、大変クローズアップされておる構想なんです。  対岸の和歌山の下津港は特定重要港湾に昭和四十年に指定されておるのですけれども、徳島の方の小松島港は特定重要港湾ではなしに重要港湾、四国には特定重要港湾はありません。そういう意味で、新しい紀伊水道の活性化といいますか新しい港湾のあり方を考えるときに、ぜひ小松島港を特定重要港湾に格上げしてほしい、こういう声が地元で大変強いわけでございますが、その可能性についてお伺いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  171. 川嶋康宏

    川嶋政府委員 小松島港を特定重要港湾に格上げすることの可能性ということでございますけれども、特定重要港湾につきましては、港湾法におきまして外国貿易の増進上特に重要な港湾というふうな形で位置づけられておりまして、神戸港、横浜港を初め現在二十一港が特定重要港湾に指定されているところでございます。  特定重要港湾と申しますのは、国際交通の要衝として、また外国貿易のための、いわゆる開港しているというような法的な条件が備わっていることとか、そのほか、相当量の外貿貨物量を取り扱っているというふうなことがその条件といいますか、要件になってまいるものでございます。現在、小松島港の取扱貨物量でありますとか国際コンテナ航路の航路数の問題でありますとか、そういった状況から見ますと、ちょっと現時点では残念ながら可能性が少し低いのではないかというふうに思っております。
  172. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 終わります。ありがとうございました。
  173. 石破茂

    石破委員長 次に、寺前巖君。
  174. 寺前巖

    ○寺前委員 大臣の所信表明を聞いておりましたら、こういうことを言っておられます。  整合性のとれた交通体系の形成、安全性の確保を基本とした安定的で質の高い交通運輸サービスの提供を目指すと。まず鉄道、港湾、空港等の運輸関係社会資本整備を積極的に進めていきたい、こういう問題が提起されている。その一方で今度は、整備に当たっては、昨今の厳しい財政状況のもと一層の重点化、効率化等に努めるともおっしゃっているわけです。これは非常に大事な問題です。  今や、我が国予算を見ておりましたら、ことしの予算は八十一兆余りです。国債費というのを見ていると十九兆八千三百十九億ですから、大体四分の一が借金返しなどに飛んでいっておる。あとの四分の三の中でいろいろな仕事をしなけりゃならないというのが今の国家予算現状になってきている。それで、その借金はというと、国と地方を合わせるともう六百兆近くになってきてしまっている。これはえらいこっちゃなとだれが考えても考えなかったらうその話だ。  国民の生活の方はどうかといったら、消費不況が起こっているんだから税金の入り方は少ない、これは当たり前のことです。五十兆しか入らぬのに八十兆組んだら、それだけでも三十兆のお金を新しく準備しなかったならば予算にならないんだから。これは私は、そういう点では消費税問題というのは、上げたというのは大変なことやったと、あるいは国民の医療費を上げるというようなことは大変なことやったと、これがいつまでも続いているということについて考えざるを得ないという問題になったわけです。  ところで、地方自治体はどうだというと、九〇年度六十七兆円だった借金が、今年末には百六十六兆からになっている。倍どころじゃない、もっとひどいことになってきている。市町村、都道府県三千二百七十九団体のうちの半数以上で、借金の返済が一般財源に占める借金返済の割合、公債費負担比率が警戒ラインと言われる一五%を超えている。これは地方もまた大変なことになる。そこで地方は、福祉、医療、教育の切り捨てや公共料金の値上げという問題に直面をせざるを得なくなっている。  こういう財政問題というのは、やはり基本的なこれからの運営の姿の中に、避けて通ることのできない、いつの時代でもといっても、今、今日ほどこの問題は深刻に考えなければならぬ事態にあると私は思う。  そこで、運輸省予算を見てみると、公共事業費は、他省庁への計上分を入れて考えてみると、前年度当初予算から五%も増加している、六千四百九十五億円。十五カ月予算で見ると八千百七十八億円、前年度当初予算から三二%も増加する、こういうようなことになっている。  空港整備のところをざっと見てみたら、航空ネットワーク形成の拠点となる大都市圏における拠点空港の整備を最重点課題として推進し、成田の平行滑走路や関西空港や中部空港などだっだっと物すごい金額の金が従来以上にずらっと並んでくるんだから、大臣がわざわざ、整備に当たって、昨今の厳しい財政状況を、一層の重点化、効率化等に努めるんだとおっしゃったけれども予算の事実から考えていったら、そう単純には、この計画というのはなっていないな、私はそう思わざるを得なかった。  全面的なこんなことばかりを言っておっても限られた時間ですからやれませんので、差し当たって、私はまず地方空港がどうなっているんだろうかということについて調べてみた。  ここ五、六年、第六次の空港整備計画、九一年から九五年度までのときに新設なり継続なりやりながらつくってきた新設空港を見ると、四つありました。福島空港、島根の石見空港、佐賀の佐賀空港、秋田の大館能代空港というのが四つ、ずっと名前が出てきた。そこで、それぞれの空港が、それじゃ、新しいものができた、予測どおりの姿となって進んだんであろうか。  昨年七月に開港した佐賀空港を見ると、当初予測は十一便であるのに、年間旅客者七十四万だという計画だったが、実際開いてみたら半分以下の五便が就航して、開港後半年で旅客は二十万だ。また、開港時というのは一番魅力を持ってばっと集中するときに、その集中に乗らないという事態になってきた。  あるいは七月に開港した秋田の大館能代空港では、当初五便という計画でやって、年間四十七万人を予測したけれども、開港のときには三便、東京便は中型四便の計画が小型一便だけになってしまう、半年で八万人の利用にとどまっているという姿になっている。  島根の石見空港を見たって、九五年度時点で三十六万人、二〇〇〇年時点には四十三万人になるという予測を立てていたけれども、さて開いてみたら、九七年度で十六万三千人だ、大きな狂いが生まれてきている。  福島空港、これを見ていったら、福島空港だけは数字がそろう、九五年時点で五十九万人、二〇〇〇年時点で八十万人という予測。実績はどうやといったら、九五年度五十八万人、九七年度六十七万人。ところが、予測はそろったけれども、やっていることは、五年八カ月たったら、二千メートル空港ではあきませんやというて、二千五百メートル空港を去年の秋から就航を始めた。前の空港は、相当な、二百八十六億円かけてつくった飛行場はもうつぶしてしまった。それで新しく別のところに二百七十億円の建設費でもって二千五百メートル滑走路をつくっておる。つくり始めたら、今また三千メートルの話がだっと出てくる。それに関連してまたいろいろな費用がかさむ。  私は、この四つの空港を見たときに、予測外れが三つとも起こっている。一つだけは予測に当たったけれども、つくってみたら、五年八カ月たったら違うところへ持っていかなけりゃならぬというような、これもずさんな計画やなと。  だから、今まで立ててきたそういう計画が、結果として当てが外れてきたときには、その分自治体に責任がかぶっていくことになるじゃないか。だから運輸省の方も、計画を立てた段階の問題に対して慎重に、こんなことでいいのだろうかという観点に立たなかったらいかぬのと違うのか。それとも、予測違い、言い分がありますのやと。何ぼ言い分があったって、その言い分が計画の段階に通っていないような言い分であったならば、これは値打ちがない言い分であって、私は、この四つを、ここ五、六年でできたところを取り上げてみたときに、ちょっと整備計画はずさんじゃないかという感じがするんですが、大臣、そういうお話をお聞きになったことはございますか。それとも担当者から聞きましょうか。
  175. 岩村敬

    ○岩村政府委員 今先生から四つの空港の利用状況の御指摘がございました。ただ、御注意いただきたいのは、今御指摘があったうちの大館能代空港と佐賀空港につきましては、昨年の夏、七月の後半に両空港とも開港いたしておりまして、一年間の実績ではないということをまず御留意いただきたいという点と、それからもう一点、当初計画していた便が飛ばないじゃないかということでございますが、これがまさに今空港整備で最大の課題になっております大都市圏の空港の容量の不足、そしてそれに対する整備の重点化とつながっておるわけでございまして、大館能代空港も、現在まだわずか半年ではございますが、ロードファクターといいますか、利用率でいきますと東京便は七七%ということで、ほぼ満席の状態が続いておるわけで、地元からも、ぜひ東京便の増便をという声が上がっておるわけでございます。  ただ、残念ながら、羽田空港は今工事を進めておりますが、現時点では一便たりとも増便をする余力がないということで、逆にその期待に沿えていない、そんな状況にあるわけでございます。  また、福島空港につきましては、予想を上回る、当初、東京便というのが想定されないのでお客様はそう多くないという予想を立てておったわけでございますが、大阪とか福岡、北海道の路線を中心にお客様が大変いらっしゃいまして、予想を超えてしまった、逆に大型機を入れて輸送しないと輸送できないような状況になった、これは、そういう意味では見通しを誤ったという点では同じかもしれませんが、空港に対する地域の期待、さらにはそれによる効果というものが、福島空港において、必ずしも東京便だけでなく、ほかの便についても旺盛な需要があるということが逆に実証をされたというふうに我々は理解をしておるところでございます。
  176. 寺前巖

    ○寺前委員 見込み違いについて、これは悪かったな、あのときにこうなる予測を立てるべきやったとか、そういうのが全然何の反省あらへんさかいに、気安う、気安う、福島空港やったら二百八十億からのお金をつくってやったやつがばあっとつぶすだけのことになる。たった五年半でつぶすようなことをやって、胸を張って語れるんか。やはり立派になるんやったらなれるように、できるようにやはり計画というのは立てなんだら、自分の家やったらどうしますのや。そんなものあなた、つぶしてまた家を建て直すなんて、その金どうすんのやということになりまっせ。それはだれが聞いたってそんなものはあなた理解できない。  それから、飛ばすこともできない、飛行機会社が選ぶんやからそれは飛ばせへんのや、あれはしまったな、あれだけの人しか来やへんやろうな、それがわからんようなことでは、私、計画うまいこといってまんのやというのを胸を張ってここで言えるなんというのはずうずうしいにもほどがある、そう思いまっせ、正直言って。やはり率直に物を見ないかぬ。  そこで、自治体がどんなことをやっておるかといったら、その後大変だ。佐賀を聞いてみた。建設事業費二百七十億円の半分が県の負担で、九三年に二千九百十二億円だった県の借金は九八年度末には五千百十七億円にふえていく。物すごいふえ方。それで、建設費以外にも需要促進のために多額の出費をして、着陸料を国内線は半額に、国際線は無料にする、団体旅行を企画した旅行会社、修学旅行で利用する学校に参加者一人当たり往復三千円、国際チャーターなら五千円を現金で補助する、特産品のプレゼント、七百台収容の駐車場は無料にする、九八年度予算では空港の利用の調査をするために十五億円からの予算を組む、まあ次々と予算を物すごい組んでいかなならぬ。こんなことをやっておったら県の仕事はどういうことになるんじゃろうか。ひとつ聞いてみた。  あなたのところはそんなに借金を持ちながらやっておったらどうなるんやと聞いたら、仕方がありませんので、在宅介護支援センター設置や休日救急医療センターの運営補助などはもうこの際に、三億二千二百万円ですが削らせていただかざるを得なくなりましたと言う。そりゃそうや、どっか削らなかったら、これだけの負担が出てきたら、計画違いというのはそういうものをもたらすのはだれだってわかる話です。そういうことになってくるんです。  それで、私、今までにできた空港全体がどういうことになっているんじゃろうか、全体をあなたのところにも聞いたけれども、ようわからなかったので直接聞いてみた。二種B、三種空港五十一空港のうち、離島を除く二十二空港に尋ねてみた。着陸料等収入が運営管理費を上回っているのは六つだけで、要するに、収入より維持管理費が多いのは十五あるわけ。九八年度予算では同額となっているのが一つ。それで、多くの空港で収入より維持管理が上回っている状況だ。さらに四月から着陸料が三分の一に引き下げられていくことになったら、さてさてこれまた大変な事態ですという話をみんなしよるわけです。  私は着陸料が下がるということを否定しているんじゃない。そうじゃなくして、全体として飛行場負担というのが地方自治体では非常に大変な事態になってきているんだということを知っておかなかったらあかんよと。大体、こういう地方空港の問題について、いよいよ経営が成り立つか成り立たぬか会社の都合でやっていくということになったら、さっき大臣お答えになっていましたが、自治体も協力してもろうて、もうそんなこと言わぬかて、自治体が協力しなかったら存在できない事態が現実に生まれているんだから、そういうことを考えてもらわなあかんなということを私つくづく思いました、ちょっと調べてみただけで。  大臣地方空港問題について何か所見ございますか。あったらお答えを。
  177. 川崎二郎

    川崎国務大臣 需要予測の話はともかくといたしまして、先ほど倉田委員ともいろいろ議論いたしました。今、採算性のあるところへ投資をすべきか、地方の夢というものに対して投資をしていくべきか、いろいろな議論があるんだろうと思っております。そういった中で、地方の声とそれから我々の一つの観点というものをあわせながら一つ一つ事業を実行してきたということになるだろうと思っております。  ただ、採算性等を考えながら、だめなものはだめだという決断もしていかなきゃならぬときもあるだろう、こう思っております。
  178. 寺前巖

    ○寺前委員 それで、やはり見通し問題というのは国がかかわっていく上で非常に大事な位置を占めると私は思うので、今まで立てられた計画についても見直しをしてみるということが非常に大事だと。  それで、今新しい七次空整で提起しておられて、いよいよ新しい空港として話題になっている空港といえば、静岡空港とか神戸空港とかびわこ空港とか、幾つか一覧表を見ておったら名前が出てきます。そのうちで、静岡空港について県知事さんがことしになってからついに、需要予測について見直しをやらなけりゃならぬなということを議会で発言しておられるようですね、新聞を見ると。僕はそうやと思うんだ。従来の予測でやっておっていいだろうかと心配になるのは僕は当たり前やと思う。今心配は、需要の予測もあれば、財政上の予測もあれば、環境上の予測もあれば、いろいろなことで改めて七次空整まで今日まで来たやつだから、これは総合的に見直しをやらなあかんなという気持ちにおなりにならぬのかなということを私は実は提起したい。本当は大臣にこのことについて問題を提起しておきたいと思っているんです。  そこで、神戸空港を見てごらんなさいな。あそこの神戸市の有権者、百十五万でしょう。そのうち三十万人を超える人々、四分の一以上の二六・八%にも及ぶ人々が、この神戸空港よりも、震災復興がまだ終わっていないのに、ちょっと待ってくれよと住民の声でもって住民投票をやったらどうやという問題提起をやられたのは御存じのとおり、そういう問題が提起されているんです。それから、びわこ空港だって十二万三千名の県民の人たちが出されている。有権者の一二・三%の人々が空港よりも暮らしをということで、やはり今何もこのことに焦点を合わさなくてもいいじゃないかと。やはり僕は、予測の問題は、いろいろな角度の予測の問題もあれば、財政上の問題を心配しなけりゃならないという今日に来ていればこそ、こういう問題が住民の間から出るようになっていると思うんです。  そこで私は、神戸空港の問題について次に聞きたいと思うんです。  それで、時間の都合がありますから、二つの問題点についてちょっと聞いてみたい。  その一つは、瀬戸内海に埋め立てをやる飛行場をつくるんですから、瀬戸内海の環境問題を一つ考えなけりゃならない。それで、瀬戸内海環境保全臨時措置法施行後昨年まで二十四年たっている。瀬戸内では一万ヘクタール以上の海が埋め立てられている。大阪府で二千ヘクタール、兵庫県では千二百五十ヘクタールの埋め立てが行われてきた。今後も、短期間に、神戸空港埋め立て二百七十ヘクタール、六甲アイランド南約二百八十六ヘクタール、大阪港新人工島で約二百ヘクタール、関空二期で五百四十五ヘクタールなど、巨大な埋立計画がメジロ押しになっている。  去年十二月に新聞を読んでいたら、環境庁の予算を使って通産省の中国工業技術研究所が実験をやっているというのを見た。四つの人工島、四つの埋め立てがない現在と比較して、神戸空港、関空拡張、六甲アイランド南、南大阪新人工島ができると大阪湾の中心がどうなるかを実験している。  それで、ずっとよく読んでみると、そこには二つの問題が感じられる。一つは、神戸空港をめぐるところの環境影響評価というのをおやりになっているけれども神戸空港のところだけをとってみたってあかんでという問題を私は感じた。なるほど、あそこのスピードはよくなって、流れがよくなって、あそこのところはよくなるか知らぬけれども、堺の方では従来よりももっと滞留するとか、あるいはまた淀川の汚染が流れてくるのが、大阪湾の深く、あそこに沈殿する、アオコが発生してくる、そういう分析をやっておるわけです。  なるほど、環境の評価をやる、新しい四つの人工島をつくってくるということになったらどんな事態が発生するのか総合的に見ないと、神戸空港云々だけでは済まない話に、瀬戸内の問題を考える場合には考えなければいかぬ。そういう角度で、空港建設の場合に、認可を与える場合に、総合的見地を持って与えることになっているのか、なっていないのか、なっていなければ直してもらわなければいかぬなということを感じたんだけれども、どこがお答えになりますか、環境庁ですか。では、お答えください。
  179. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  先生今御指摘の件につきましては、今、通産省工業技術院の上嶋部長の論文であろうかと思います。私ども、この点については認識しております。  ただ、そこで提起されております一つの海域における複数埋め立ての環境影響評価という考え方でございますけれども、これにつきましては、将来の重要な論点であるとは考えておりますけれども、現在の環境影響評価、これにつきましては、個々の埋め立ての事業ごとに適切に対応していくこと、これが原則であろうと考えております。(寺前委員「よう聞こえぬ」と呼ぶ)  では、もう一度申し上げます。現在の環境影響評価につきましては、個々の埋立事業ごとに適切に対応することが原則であると考えております。
  180. 寺前巖

    ○寺前委員 ということで、個々だけを言うておるさかいにあかんでというのが、このあなたのところが出した、通産省の関係者の論文の中に出ておるんだ。だから、その観点が確立されるような、そういう条件をひとつ明確にしていただきたい。これは環境全体を考えなければだめだ。神戸のところだけ言うておったってだめなんだ。大阪湾全体を考えてくれ、瀬戸内法ができたのは総合的なものであったはずだ。  だから、飛行場の場合だって、あの飛行場のところの周辺だけを言うておったらあかん、関空だけを言うておったらあかん、神戸空港だけを言うておったらあかん。総合的にどう拡散していくのか、どう沈殿していくのかという総合問題を考えるという提起がされた以上は、このことは必ず検討していただきたいということを私は提起しているわけなんです。検討してくれますか。問答無用ですか。今こうなっていますと言うだけじゃあかんで。
  181. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 神戸空港の問題につきましては、この環境影響、これは具体的には、公有水面埋立法に基づきまして運輸大臣から環境保全上の観点について意見を聞かれた際に、瀬戸内海の環境保全特別措置法に基づきまして定められております埋め立ての基本方針に沿って厳正に審査していきたい、これが基本的な対応でございます。  それで、先ほど申し上げましたように、その際、現在の環境影響評価の考え方は、個々の埋立事業ごとに適切に対応していくということが原則だということをもう一度重ねて申し上げておきます。
  182. 川嶋康宏

    川嶋政府委員 神戸空港の埋め立ての免許の手続に関連いたしまして、現在、一月の二十六日に地元の方から運輸大臣に認可申請が出ているという状況でございます。  それで、まだ今その書類について現在では審査をしているところでございますけれども、先生今御指摘のありましたような、六甲アイランドの埋め立て、あるいは大阪港の新島地区の問題、あるいは関空の二期等については、環境影響評価の検討項目の中で、そういったものを加味したいわゆる大阪湾の汚染問題といったものを検討しているというふうに承知をしております。
  183. 寺前巖

    ○寺前委員 検討してくれるんやったら、本当に真剣に考えてほしい。  それで、私、現場まで調査に行ってもらった、あの新聞に載ったものだから。なかなかの、でかいでかい施設をちゃんとつくってまでやっておるんや。だから、あなた、せっかく環境庁が金を出してまでやった意義、いかに大事にしようかという問題を考えたときに、こういうのは積極的に取り上げるようなことをやらなんだら値打ちないやないかと。国民が出した金でつくられているのに、形式論ばかり言うておったってあかんというように思いましたので、あえて言わせてもらう。  それからもう一つ神戸空港の問題で、関空があって、そこへわざわざ横っちょにつくるんでしょう。関空と神戸空港の間というのは十三マイルぐらいの短い間なんだから。関空は、世界の人をお呼びするために、いっぱい条約を国会でも通してきました。それで、だあっと呼び込みをやってきた。そうしたら、あの狭い海の上を淡路島からあそこへずっとおりてくる、あそこを通って上がっていく、今度は陸上ルートやとかなんとか言うて、ともかく引っ張りだこですなんというようなことを言うてやっておるわけだけれども、さて、そこの一角に別な飛行場をつくったら、こちらの計画との関係でうまいこといくのか、どんなことになるんだろうと。  関空二期が完成したら二十三万回の離発着が起こるけれども、南西の風向きのときには、特に関空への着陸機が淡路島上空を使い、マヤポイントを通り、着陸を行おうとしているときに、多いときは二分に一回近い割合で着陸機があることになる。神戸空港から出発する飛行機は、明石海峡までの間、マヤポイント手前まで高度三百メートル、マイコポイント手前まで六百メートルの高度という低いところを飛ばなかったならばという問題が出てくるのと違うか。  これはみんな、あなた、神戸関係者は心配している話、低いところで飛んでいくと。しかも、民間機同士がこんな飛び方、着陸をしてくる、こっちは西に向かって飛んでいく、こんなことをやっておってええのやろかという心配は、どうしても起こる心配ですよ。  こんなところは日本のほかにありますのか、民間機同士がこんな飛ばし方をするというようなところは。これは管制官も大変やろうし、乗っている人の方もお客さん同士だし、操縦士の方も大変な話やと思う。これはどういうふうに考えているのか。
  184. 岩村敬

    ○岩村政府委員 関西空港、そして伊丹空港、さらには神戸空港、その三つの空港の交通安全を守るための管制で問題があるのではないかということでございますが、ちょっと事例として、こんなところがあるのかといいますと、ニューヨーク、これは大体千八百万人ぐらいあの周辺におりまして、大体同じ範囲が関西圏でございます。京阪神でございます。  そこに実は、今十数マイルとおっしゃいましたけれども、二十キロから四十キロぐらい、すなわち十数マイルから二十数マイルの間に日本でもおなじみの大空港が三つございます、ニューヨークの場合。ラガーディア、ニューヨーク、JFKの三つの空港がございます。そして滑走路が九本ございます。それとほぼ似たような関係、三角形の関係で、関空と伊丹そして神戸ができるわけですが、それで、今計画しておる滑走路を合わせても、伊丹がありますから五本、最終的に関空の二期ができて五本ということでございます。  そういう意味で、容量的に余りにも狭いところにたくさんの空港をつくっているというのはちょっと視点が違うのかなと。やはりそれだけの需要があり、それだけをさばかなきゃいかぬ、それである以上、それに対して安全をどう守っていくか、それがポイントになると思います。  それで、これはニューヨーク地域も同じでございますが、管制を三空港一元化をしようということで、関西空港の事務所の中にございますセンターで、今申し上げた空港、さらには八尾空港等の小さな空港も含めて、その進入、出発について管制をするということで、これは日本で初めての試みであったわけですが、三空港についてのそれぞれの出発、進入が衝突しないようにという配慮をまずいたしているのが第一点でございます。  それから、実際にそれを、じゃ、管制がどうやったらできるのか、これは我々シミュレーションをやりまして、関空の二本目の滑走路をつくる際に、神戸空港さらには伊丹空港との関係がうまくさばけるのかどうか検討をいたしました。今先生三百メートルとおっしゃいましたが、実はフィートで申しますと三千フィートでございまして、メートルでいいますと千メートルでございますが、そういうところを通す。いわゆる高度差で両空港の飛行機を分けるのか、それとも横の方向で分けるのか、また時間的に分けるのか。これはいろいろ管制のやり方がございまして、我々としては三つの空港が安全を保ちながら離発着が行われるように、その適切な管制方法そして飛行のルートについて今鋭意検討しておりまして、それについてシミュレーションの結果、安全は保てるというふうに我々は理解をしておるところでございます。
  185. 寺前巖

    ○寺前委員 それは、やってやろうと思ったら何とでも理屈をつけてやるけれども、非常に難しい条件下にある飛行場になるということは、私、これはやはり否定できないと思う。  そうすると、難しいさかいに、ちょっと横っちょへ行かせて飛ばすということを考えようかというたって、関空との間は狭い間だから、それもなかなか、横っちょへ持っていくというのも単純な話じゃない。上下の関係にいこうと思ったら、淡路島につくところの高さの問題と、下へおりてくる関係と、こっちの関係だから、上下関係調整というのも、これまたびゅっと一気に八千メートル飛ぶ、その間、外国の飛行機に待ったをかけるというわけにもそう簡単にはいかぬし、上下の話を言うておったって、それも簡単な話じゃない。要するに、お客さんを積んだまま、外国の飛行機を待たすということになってくるから。だからこれは難しい飛行場建設になる、算術計算ではいかぬ要素を持っていると。  だから、それがあるから、大体この飛行場をつくるときに、予定事業として神戸空港を入れるときに、新規事業の三つの条件というて、近畿圏の空域の制約下での神戸空港の位置づけというのをわざわざあんたの方でも提起したんでしょう。それだけ複雑な問題だから、そう気安く任せてください式の話を言われたって、これは納得できる話じゃないんで、慎重にも慎重を重ねなければならない。  そこで、ついでに聞いておく。  関空の場合にはあの淡路島のところで、上っていくときだったら八千フィートか、それからおりてくるときだったら四千フィートですか、高さ制限の、兵庫県と運輸省との間に、ちゃんと条件を確認しています。その条件のもとで神戸空港の飛行機も飛ばすんですか。その条件はもう無視して新しい条件をつくりますのか。そこはどうなっていますのや。
  186. 岩村敬

    ○岩村政府委員 空港をつくる際に兵庫県といろいろ協議をしてまいりました。そして関西空港、神戸空港も同様でございますが、騒音の問題が生じない、特に人家の上を低高度で飛んで騒音被害を出さない、それが大原則で、それを前提にいろいろ議論をしております。  それから、先ほど先生、淡路の上を三千フィートということをおっしゃいましたが、そういうことを今議論をしておるわけでもございません。明石海峡もございますし、いろいろ場所もございますし、それから高度の問題、さらには先ほど申し上げたような時間的な管制、さらには横方向での管制、いろいろ考慮する点があるわけでございまして、我々としては、まず航空機が安全に飛べるということ、それから環境に悪い影響を与えない、その二つを柱に据えて、飛行経路さらには管制の方式を決めていくということになるところでございます。
  187. 寺前巖

    ○寺前委員 いやいや、あなた、そんな一般論じゃだめや。路線を見たら、関空のときの飛ぶ路線はちゃんと、出発機はこう、進入機はこうと、神戸市が住民に配っているパンフレットに書いてある。だから、この路線を飛ぶときには関空のときの約束、条件というのを同じく守りますという態度を、明確でなかったならば、変更しよるのか、こういう話になります。そんなこと知らぬようでは困る。市民に配られている、これは。知ってるのかと。だから私、ちゃんと関空のときの条件、守るなと。
  188. 岩村敬

    ○岩村政府委員 今、パンフレットというのはこの絵だろうと思うのでございますが、航空路がもう一本、明石海峡以外にもう一本という経路も引いてございます。ただ、これについて、当然のことながらこれをすべて飛ぶとか、それからこれによって安全が確保できる、これはまさに我が管制当局との関係で、例えば今、南風のときをおっしゃっていますが、例えば北風のときであれば十分高度もとれるわけでございます。そういったことも含めて、これについて具体的にどういうケースでどう飛ぶか、これはまさに我が管制当局が先ほど申し上げた安全の観点、それから環境問題、その二つを頭に入れて最終的な管制方式を決めることになるわけでございます。
  189. 寺前巖

    ○寺前委員 そんなもの、関空のときだって同じや。どっちの風が吹く、こっちが吹くときはこうやというのがあるんだから、この飛行場ができても関空をつくったときの条件は守りますのやと、たんと言い切れないというところは何かいなとだれだって思うやありませんか。奥歯に物の挟まったようなことを言っておったら、これは何かあるに決まっている、だれだってそう思って当たり前だから、だから、あえて私は聞いてみた。  私はそういうことを含めて、もう時間が来たからやめますけれども、立てた計画についてみんなが不安がり始めているというのは、不安というのは何も危険な面から、あるいは環境の面からだけじゃない。財政面も今新しい条件下に入ってきた。そういう条件下で、従来立てた計画についてはもう一度見直しをやってもらう必要がある。私はこれは大臣にもう一度見直しをやってほしいなと。  それと、日本国家財政全体から考えたときに、港湾とか道路とか空港とか、莫大な金が国と地方で五十兆、社会保障二十兆と言われる世界とは逆転しているこの姿を見たときに、この分野については財政面からも総合的に計画のあり方の見直しをしなけりゃならぬ、そういう態度をおとりになる必要があるんじゃないだろうか。これは大臣に、この件についての御見解を聞かせていただいて終わりとしたいと思います。
  190. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほど港湾局長から御答弁申し上げましたように、今埋め立ての免許許可申請がなされております。慎重に検討して対処してまいりたいと思っております。  一方で、私どもは、神戸市、自治体が中心になって慎重な検討、論議がされた、このように受けとめております。
  191. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたので終わります。
  192. 石破茂

    石破委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時一分散会