運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-08-03 第145回国会 衆議院 安全保障委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年八月三日(火曜日)     午前十時十三分開議   出席委員    委員長 二見 伸明君    理事 安倍 晋三君 理事 浅野 勝人君    理事 江口 一雄君 理事 仲村 正治君    理事 前原 誠司君 理事 横路 孝弘君    理事 佐藤 茂樹君 理事 西村 眞悟君       麻生 太郎君    伊藤 達也君       池田 行彦君    臼井日出男君       大野 功統君    嘉数 知賢君       河井 克行君    木村  勉君       栗原 裕康君    小泉純一郎君       小島 敏男君    佐藤  勉君       杉山 憲夫君    砂田 圭佑君       田村 憲久君    中山 利生君       船田  元君    山崎  拓君       吉川 貴盛君    伊藤 英成君       岡田 克也君    桑原  豊君       島   聡君    藤田 幸久君       河合 正智君    冨沢 篤紘君       冬柴 鐵三君    塩田  晋君       佐々木陸海君    東中 光雄君       辻元 清美君  出席国務大臣         外務大臣    高村 正彦君         国務大臣         (防衛庁長官) 野呂田芳成君  出席政府委員         内閣官房内閣安         全保障危機管         理室長     伊藤 康成君         防衛庁長官官房         長       守屋 武昌君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         防衛庁装備局長 及川 耕造君         防衛施設庁長官 大森 敬治君         防衛施設庁総務         部長      山中 昭栄君         防衛施設庁施設         部長      宝槻 吉昭君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省条約局長 東郷 和彦君         海上保安庁長官 荒井 正吾君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君  委員外出席者         安全保障委員会         専門員     田中 達郎君 委員の異動 七月二日  辞任         補欠選任   辻元 清美君     深田  肇君 同月七日  辞任         補欠選任   深田  肇君     辻元 清美君 八月三日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君     砂田 圭佑君   田村 憲久君     小島 敏男君   島   聡君     藤田 幸久君 同日  辞任         補欠選任   小島 敏男君     田村 憲久君   砂田 圭佑君     阪上 善秀君   藤田 幸久君     島   聡君 六月七日  沖縄・名護海上ヘリポート基地新設計画断念に関する請願(古川元久君紹介)(第四二一一号) は本委員会に付託された。 七月二十二日  百里飛行場民間共用化の実現に関する陳情書(第三四一号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件     午前十時十三分開議      ――――◇―――――
  2. 二見伸明

    二見委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。
  3. 仲村正治

    仲村委員 私は最初に、SACO決定に基づく普天間基地移設問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  その前に、来年の九州沖縄サミット首脳会議場沖縄県に決定された政府の御高配に、私は県民として大きな喜びと責任の重さをかみしめております。この機会に私たちは、沖縄の亜熱帯の海洋性気候、風土の中で築き上げられた歴史、文化、自然景観、そして、琉球王朝時代から万国津梁の鐘に刻まれた精神で平和を希求し続けてきた精神とホスピタリティーの県民性を遺憾なく発揮して、遠来の世界主要国首脳を初め、世界じゅうから集まる関係者守礼の邦、沖縄県民の名誉にかけて温かくお迎えし、二〇〇〇年沖縄サミットが二十一世紀に向けて世界の恒久平和の発信地及び出発点になるように、県民全体が今張り切っているところであります。  さて、本題の質問に入りますが、最近、東京でもあるいはアメリカなどでも、SACO決定された基地整理縮小、とりわけ普天間基地移設サミットまでにやるべきだなどと、非常に騒がしくなっている点を、私は、一体これはどういうことかと非常に懸念をしているところであります。私は、サミット普天間基地移設は全く別の問題であって、サミットSACO作業を絡ませて考えることは決してよくないと思っているところであります。  一体、政府SACOと絡ませて沖縄でのサミット開催決定をなされたのか、高村外務大臣に明確な御答弁を求めるものであります。
  4. 高村正彦

    高村国務大臣 普天間飛行場移設、返還問題につきましては、この飛行場が市街地にあって、一日も早く周辺住民の方々の不安を解消したい、こういう観点から、政府としては九州沖縄サミット開催決定する以前から全力で取り組んできたものでございます。そのような意味で、本問題は来年の九州沖縄サミット開催と直接関連するものではございません。政府といたしましては、この問題につきましては、地元頭越しに進めることはない旨、繰り返し申し上げてきているところでございます。  稲嶺沖縄県知事におかれましては、この問題の解決へ向けて、県庁内に普天間飛行場那覇港湾施設返還問題対策室を設置されるなど、前向きに取り組んでいただいているところである、こういうふうに承知をしております。  政府といたしましては、今後とも、沖縄県内でどのような議論がなされていくのか関心を持って見守りつつ、稲嶺知事を初めとする沖縄県や地元の御理解と御協力を得ながら、この問題の早期解決へ向けて最大限努力していきたい、こう考えているところでございます。  ですから、サミット開催の問題とこの移転の問題は、あくまで直接関連するものではございません。
  5. 仲村正治

    仲村委員 今おっしゃったとおり、稲嶺沖縄県知事は、昨年十一月の選挙で、SACOの着実な実施こそ当面の現実的基地整理縮小であるとの公約を掲げて、県民の圧倒的な支持を受けて当選し、あれから七カ月余になりますけれども、今までこじれにこじれた作業を一つずつ着実に実現するため、懸命な努力を傾注しておるところであります。  でも、基地移設するということは口で言うほど容易な仕事ではありません。この問題で政府は前大田県政時代に一度は失敗しておりますが、もう二度と失敗は許されません。拙速のそしりを受けることも絶対にあってはならないことだと私は思っております。  しかし、最近、普天間基地移設に関連して、政府圧力ともとれるようなことがあるのではないかという疑問の声が県内に起こっていることも事実であります。あえて私はこれこれと申し上げませんが、今外務大臣からお話がありましたように、政府は今まで事あるごとに、基地移設の手続や場所選定等については沖縄県の意向を尊重し、県の頭越しには行わないと言ってきたが、最近のこのような動きはまさに沖縄県の頭越しに事を運ぼうということではないか、こういう疑問を持たざるを得ないのであります。もう一度外務大臣防衛庁長官から、お考えを確認しておきたいと思います。
  6. 高村正彦

    高村国務大臣 先ほどお答えしたように、沖縄県の頭越しには行わない、このことははっきりしております。前々から、できるだけこの問題は沖縄県民のために早くやりたいという、そういう期待は前々から持っておりますが、大変難しい問題であるということも重々承知しておりますので、頭越しに行うということはありません。
  7. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 アメリカコーエン国防長官が来日されたときの発言として、地元意向を無視するような形で、サミットまでに解決したい旨の発言をしたという一部報道があったように思いますが、この問題については、今外務大臣から答弁されましたとおり、本来、サミット普天間基地移転問題とは全く関係のないものである、しかし、地元の苦痛、御負担というものを考えますと、一日も早くこれは代替地を決めて進めていく必要がある、そういうふうに私は考えております。  この間、コーエン国防長官からはこの問題の早期進展を期待する旨の発言はございましたけれども、本問題の解決のための期限を付して、サミットまでにどうとかというようなことではなかったと考えます。同日行われた日米防衛首脳会談後のコーエン国防長官記者会見においても、コーエン国防長官は今私が言ったのと同趣旨のことを記者会見で述べられていると承知しております。  お話がありますように、稲嶺知事の新たな組織で検討されている案が早く示されまして、この問題が一日も早く解決に向けて進展していくことを願っている次第です。
  8. 仲村正治

    仲村委員 普天間基地は町の真ん中にあって、非常に危険な状態、いつ何が起こってもおかしくないというような感じでありますので、この危険な普天間基地を返せということに対して、アメリカは、県内移設条件にするなら返してもいいよ、こういう条件になっているわけであります。したがって、私たちとしては、SACO決定というものはベストではない、こういうふうに思っておりますけれども、しかし、今の段階ベストを求めるようなことであれば基地整理縮小は進まない、現段階で一歩でも二歩でも前に基地整理縮小を進めるためには、SACOは次善の策として受け入れなくてはならない、こういう気持ち地元としても懸命な努力をしているわけでありますが、この危険な基地を移せ、ではこの危険なものをだれが引き受けるかということについては非常に難しい問題だ。したがいまして、移設先についても、この危険な状態を排除する、安全性を確保する、こういう大前提をもって移設先選定をしていかなければならない。時間がかかるのは当然ではないですか。  そういうことに何となく焦りが出てきて、地元に対していろいろな圧力をかけるような節が見受けられてしようがないわけでありますので、今外務大臣防衛庁長官がおっしゃったように、やはり沖縄県の頭越しにはしないという基本原則をしっかり守っていただいて、稲嶺知事を追い詰めるのではなくて、稲嶺知事作業がやりやすいような環境への協力をぜひお願い申し上げたい、このように思っているところであります。  コーエン国防長官とのお話の件については、防衛庁長官も今明確に、沖縄県の意向を尊重しなければならないのでサミットまでにということは期限を切れないということをおっしゃったのはよく承知しております。しかし、その前のアメリカでの報道を見ておりますと、私は沖縄県民として言っておかなければならないことは、アメリカ普天間基地サミットまでに解決しなければいかないとかどうのこうのと言っていることには、私は腹が立ってしようがないのであります。  沖縄は、アメリカ領土でも何でもないのですよ。人の土地にお世話になっておりながら何だという気持ちで、本当に腹が立つのは至極当然だと思います。まだ沖縄アメリカ占領下にあるとでも思っているのかなという気持ちすらするのであります。  私は、決して反米の立場でこのようなことを言っているのではありません。基地の被害や負担に苦しむ沖縄県民への配慮が余りにも足らなさ過ぎるのではないかという感じを強く持っているのであります。私は、アメリカ世界の平和、人権、民主の確立に果たしている役割は高く評価をしておりますので、その点やはりアメリカも、沖縄基地があるということに対して、その配慮を十分持ってもらわなければならないのではないかということをここで申し上げておきたいと思っております。  だから、来年のサミットにはクリントン大統領も温かくお迎えしたい気持ちには全く変わりはありません。私は常日ごろ高村外務大臣国会答弁外交姿勢に深い感銘と尊敬の念を強く抱いております。ぜひとも、稲嶺知事としっかり連絡をとり合って、SACO作業を着実に成功に導くように御協力をお願いしたいと思いますが、いま一度お答えいただきたいと思います。
  9. 高村正彦

    高村国務大臣 アメリカ側がこの普天間の問題が解決していなければサミットに行かない、こう言ったということはないと承知しております。  ただ、沖縄県民の皆様から見ると、あたかもこの問題と関連づけて普天間移設の問題に期限をつけたかのごとくとられかねない不用意な発言があるとすれば、そういうことは注意していただかなければいけない、こういうことで、私はフォーリー大使にお目にかかったときも、くれぐれもそういうようにとられるような発言はしないでいただきたいと繰り返して申してきたわけであります。  アメリカ側にしても、日本側からの要求でこの問題に、普天間移設ということにこたえたのだという気持ちがある中で、できるだけ早く解決したいという気持ちがあることは事実でありまして、そういう気持ち日本政府の中にも、私にもあるわけでありますが、非常に困難な問題、委員も御指摘になったような困難な問題でありますから、そういうふうにとられかねない発言というのはかえって問題を困難にするということもあるわけでありまして、私とすれば、稲嶺知事等のお考えをよく聞いた上で、どのようにすれば結果的に一番適切に、そしてできるだけ早くできるのか、そういうことを考えながら、まさに委員がおっしゃったように、沖縄の方からすれば、これはベストではないけれども今よりよくなる、こういうことでありますが、今よりよくなる状況をできるだけ早くつくりたい、そういう気持ちが一方にありながら、一方で大変難しい問題だ、その兼ね合いを考えながら、何度も言うようでありますが、稲嶺知事のお考えをよく聞いた上で日本政府としても対応していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  10. 仲村正治

    仲村委員 先ほども申し上げましたが、これは二度と失敗は許されません。私たちも一日も早くという、こういう気持ちで、私は、ちょいちょい稲嶺知事にもお会いして、ぜひ可能な限りスピードを上げてくださいというようなことでお話を申し上げているところでございますので、私たちとしても、しっかり稲嶺知事を支えて、この作業が円滑に、順調に運ばれるように頑張っていきたいと思っておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。  次に、嘉手納基地等で繰り返し墜落事故を起こしてきたAVハリアー機の問題についてでありますが、SACO最終報告では、嘉手納飛行場及び普天間飛行場に所属するKC130空中給油機十二機を岩国飛行場へ移駐させ、そのかわり岩国AV航空機、いわゆるハリアー機二十機のうち十四機をアメリカ本国アリゾナ州のユマ基地に移駐させることを日米間で合意しておるわけであります。  このAVハリアー機は、既にアメリカユマ基地に移駐して、日本には六機残っている計算ですけれども、そのうち一機は六月四日に嘉手納基地墜落事故を起こして炎上しておりますので、残りは五機ということになるわけでありますが、今私が申し上げたSACO日米間の合意はそのとおり間違いないのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  11. 竹内行夫

    竹内政府委員 SACO最終報告書におきまして、いわゆる「騒音軽減イニシアティブ」というところで先生指摘の点が触れられております。  それで、御指摘のとおり、十二機のKC130航空機岩国飛行場に移駐するということとの関連におきまして、岩国飛行場にございました二十機のAV航空機のうち十四機を米国の方に戻すということがされたわけでございまして、六機岩国に残っているわけでございますが、先生指摘事故関係で、現在は五機であるということでございます。
  12. 仲村正治

    仲村委員 そのハリアー機嘉手納基地での訓練中に六回も墜落炎上等事故を起こしております。さらに、最近では六月二十九日に南カリフォルニアでも墜落事故を起こしておりまして、米軍は、その翌日の六月三十日には、沖縄の五機を含めて事故調査結果が出るまで飛行停止をする、こういうふうに発表しておるのであります。  このことから考えても、AVハリアー機構造上の重大な欠陥機であることは間違いありません。このような欠陥機県民の頭の上を飛び交っていたかと思うと、考えただけでもぞっとするのであります。  このような欠陥ハリアー機沖縄での基地使用は絶対に認められません。政府は毅然たる姿勢でその機種の飛行停止と撤去を申し入れるべきであると考えておりますが、お答えをいただきたいと思います。
  13. 高村正彦

    高村国務大臣 ハリアー航空機に関しましては、先般の嘉手納飛行場での事故発生の後直ちに、米側に対し、事故発生について遺憾の意を表明し、事故原因調査及び結果に関する説明を申し入れるとともに、事故再発防止に万全を期すよう申し入れたわけでございます。  これまでの米側説明によりますと、米側としては、ハリアー航空機は本質的に欠陥を持った飛行機ではないとしているわけであります。本件事故については、事故調査の早い段階で、エンジン設計に関連するものではなかったことが判明したということでございます。  ハリアー航空機につきましては、六月二十八日、一たん飛行が再開されましたが、米側説明によりますと、その後、六月二十九日、米本国南カリフォルニアでありますが、で再び事故が発生したことから、六月三十日に再び飛行停止措置がとられ、我が国に展開しているハリアー航空機五機については、現在のところ飛行を停止しているわけであります。  先般、コーエン米国防長官が訪日した際にも、野中官房長官より、米軍航空機事故が続けて発生していることを指摘の上、事故再発防止及び事故原因徹底究明に努めるよう申し入れたところでございます。  政府といたしましては、このような点につき、今後とも米側に強く働きかけていく所存でございまして、また、米側におけるハリアー航空機安全性に関する検討状況にも十分注意を払っていきたい、こう考えているところでございます。
  14. 仲村正治

    仲村委員 米側報告では、エンジン欠陥があるわけじゃない、こういうようなことを言っておるようでありますけれども、今までに、嘉手納基地から飛び立とうとするときに事故を起こし、墜落炎上したり、あるいは帰還をする前に墜落炎上したり、こういうことが五回繰り返されている。  前回の六月四日のは、アメリカ報道では、ハトがエンジンに入った、こういうふうに言っておりますけれども、このように何回も何回も事故を繰り返して、構造上に問題がないということは、これは当たらない。六月二十九日に事故を起こして初めて、アメリカは、事故原因調査結果が明らかになるまで飛行停止をせよと。  こういうことが出たからには、これは構造上に重大な欠陥があるとしか私たちは見ておりませんので、これは強い姿勢で、米国に対して、この事故調査結果が出るまで絶対に飛行を停止すべきであるということを改めて申し入れをしていただきたい、こういうふうに思っておるところであります。  ところで、ここで確認をしておきたいのですが、岩国基地に所属するAVハリアー機は、二十機中十四機はアメリカ本国アリゾナ州のユマ基地に移駐をした。残りは六機。六機のうち一機は落ちた。現在五機。こういうことでありますけれども、この五機は岩国に所属していると見てよいか、お答えをいただきたい。
  15. 竹内行夫

    竹内政府委員 先生指摘我が国にございますハリアー航空機配置場所につきまして、いろいろ沖縄県におきましても議論がございました。で、私どもの方から米軍に対しまして照会をいたしました。それで、次のような回答を得ているところでございます。  すなわち、これらのハリアー航空機アリゾナ州のユマ基地を本拠といたしております。そして、このハリアー機は、ユマ基地から、いわゆる部隊展開計画の一環としまして、六カ月のローテーションで日本に展開しているところでございまして、日本における展開先及び中継整備施設岩国飛行場であるということでございまして、その間、米軍の機構上は第三一海兵機動展開隊に付随するというふうにされているところでございます。  先ほど先生からも御質問がございましたSACO最終報告の「騒音軽減イニシアティブ」との関係のところにおきましても、六機が岩国飛行場に残されているというふうにされていたところでございます。
  16. 仲村正治

    仲村委員 嘉手納基地米軍基地でありますので、一時的にどこからか飛行機が飛んできて、またどこかに飛んでいく、これは一々私たちがそんなことまでやめろということは言えません。ただ、SACO最終報告決定されたことが確実に守られているかどうかという点については非常に疑問に思うのであります。  今岩国に所属しているということでありますけれども、もうこの五機は嘉手納基地常駐状態にあるのです。これはもう約束違反だ、私は厳しくこれを指摘しておきたいと思います。このようなことがないように、約束どおり守ってもらうようにしていただきたい、このように思っているわけであります。  最後に尖閣諸島問題についてでありますが、尖閣諸島沖縄廃藩置県の後の土地調査で五つの島の、南小島が石垣市登野城二千三百九十番地、北小島が二千三百九十一番地、魚釣島が二千三百九十二番地、久場島が二千三百九十三番地、大正島が二千三百九十四番地、このようにして地番が付されて、我が国公図公簿上にも登録されて、明治十九年九月に、古賀辰四郎氏が、大正島以外の四島を三十年間無料貸与の許可を政府から受けておるわけであります。その後、昭和七年三月三十一日に、古賀辰四郎氏の息子の古賀善次氏が有料で払い下げを受ける。その後、所有権登記をし、現在は古賀氏が栗原氏に売買をして、栗原氏名義になっているわけであります。  これは、沖縄県の廃藩置県後、土地調査を行い、そして地番が付され、我が国は、この地域我が国領土として、何人にも侵されることなく、沖縄廃藩置県後、長い間実効支配を続けてきていると思っております。この点を確認したいと思います。
  17. 高村正彦

    高村国務大臣 尖閣諸島日本固有領土であることは歴史的にも国際法上も疑いないところであると思っております。そして、現に我が国は、これを実効支配しているわけであります。我が国は、具体的に申しますと、領域表示及び地籍表示、標柱をきっちり立てておりますし、また、学術調査測量等を実施しております。また、現実周辺水域領海警備等を行っているわけでございます。
  18. 仲村正治

    仲村委員 ただいま外務大臣から御答弁がありましたように、この地域、確固としてまた厳然たる我が国固有領土である尖閣諸島に対して、しばしば台湾や香港の住民などが不法侵入を図ろうとしたことがあります。これに対しては、我が国としては毅然たる姿勢でこれを排除してきたところであります。このような不法侵入者に対しては、国際法規やあるいは我が国の法令に基づいて取り締まりをやればいいのであって、このような行為に対抗して特別に領土の主張の行動を起こすようなことは全く必要のない話だと私は思っておるのであります。  しかし、ことしに入ってから、我が国領海内あるいは排他的経済水域内に中国の艦艇十隻が船団を組んで入ってきたり、あるいは海洋調査だといって頻繁に侵入を繰り返している。これは明らかに中国政府我が国に対する主権の侵害であり、挑発的行為だと受け取っておるのであります。これに対して政府はどのような措置をとられたのか、お答えをいただきたい。
  19. 高村正彦

    高村国務大臣 中国海洋調査船活動につきましては、我が国の事前の同意なく我が国排他的経済水域、大陸棚及び領海において海洋調査活動が行われる場合には、現場において中止要求または領海外への退去等を求めるほか、その都度外交ルートを通じてもこのような活動の即時中止と再発防止中国側に申し入れているところでございます。  先般小渕総理が訪中した際にも、日中首脳会談におきまして、総理より、最近の我が国近海における中国海洋調査船や軍艦の問題を提起しつつ、日中間の海を対立の場としてはならない旨述べたところでございます。また、私からも、中国海洋調査船や軍艦の問題を提起するとともに、中国との間で争いの対象となっている領海はない旨明確に伝えたところでございます。
  20. 仲村正治

    仲村委員 この問題については何も、我が国の固有の領土であることに間違いないわけでありますので、異常に日本側から反応する必要はないと思いますが、しかし、日本領海あるいは排他的経済水域に故意に侵入してそこでいろいろな活動をするということについては、今後とも毅然たる態度でこれを排除していかれることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  21. 二見伸明

    二見委員長 次に、藤田幸久君。
  22. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 民主党の藤田幸久でございます。  予算委員会それから決算行政監視委員会質問してまいりました防衛庁の技術研究本部の問題について、きょうも御質問させていただきたいと思います。  昨年問題になりましたいわゆる調達本部を川下に例えるならば、技術研究本部というのは川上に当たる組織でございまして、予算規模でも調達本部の二十三倍ぐらいの大変大きな組織でございます。そこにおきまして、さまざまな研究試作の不良品が存在をした、あるいはその試作の一割ぐらいの報告書が未提出であった、あるいは虚偽の報告書が出ていたということで、最近防衛庁長官の方でも処分の発表に至ったということは、大変残念に思っております。この間、長官あるいは装備局長の方で、非常に積極的にこの事実調査を、解明のために努力をしてこられたという姿勢を高く評価をしたいと思います。  しかしながら、残念ながら、この処分が決まった直後でございますけれども、例えば、横須賀に第五研究所というのがありますが、この研究所長が、停職五日間という処分を受けたわけですけれども、停職が解けて職場に復帰をした最初の訓辞のときに、今回のことは非常に不景気で時期が悪かった、たまたまこんなことが出てしまったといったことを停職後の最初の所員に対する訓辞で述べておるというようなことも聞いております。  これは質問項目には入れておりませんけれども、こういう処分がおりた後、停職後の処分対象者がそういう姿勢で、たまたまこんなことが出てしまったというようなことを訓辞で言っておるというようなことも聞いておるのですけれども、どうもその後も余り体質が変わってないような雰囲気も見受けられる。非常に残念に思いますけれども、長官、今そういう停職にあった人がそういう話を訓辞でしたというようなことは多分初めてお聞きになったことだろうと思いますが、そういう状況について、ちょっと一言、どういう認識を持っておられるか、長官の方からコメントいただければ幸いです。
  23. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 今委員から初めて伺ったところでありますが、もしそういったことが事実であるとすれば、改めてひとつ厳重に譴責をしたいと思っております。
  24. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 今回のことは、単に事柄が余りにずさんであるといったこと、あるいは私が質問してからいろいろな方からインターネットとか投書が来ておりますが、技術研究本部の内部の方あるいは出入りをしているメーカーの一般の方々からも、非常にひどい体質であるというようなことが寄せられております。  根本の問題は、やはり技術研究本部と企業との、癒着の関係といいますか、構造上、長い間築かれたんだろうと思いますが、そういったことが非常に問題ではないかというふうに思っております。  それで、毎年この第五研究所の歴代の元所長、つまり、退官をして全員がこの第五研究所とも関係のあるメーカーに天下りをしているわけですが、その関連企業に天下った歴代の所長と現在の所長を含む現在の幹部が研究会の名目で毎年集まっている。ことしの場合には、伊豆の長岡温泉で一泊旅行をしながら会合をしている。その場では次年度の業務計画等が詳細に報告されているというふうに聞いております。  今お配りをした「概況説明資料」というのは、ことしの二月二十四日に伊豆の長岡温泉でこの第五研究所の幹部が、今まで歴代所長を務めた数名の方々の前で配った「概況説明資料」の一部です。これを見ましても、予算から予算の査定の総括、それから技術的共通事項、それから各研究所内の第一部、第二部、海上試験室、川崎支所の現状、これは人員がどんな人たちがいてどんなことをやっているかといったことを詳しく説明をしているわけです。つまり、第五研究所と関係がある企業に天下った人たちにこういったものを配って説明をしている。  ことしは二月二十四日、長岡温泉ですけれども、これは水曜日です。それから、昨年は三月の十一日に新横浜のグレイスホテル。これは三月の十一日で、これも水曜日です。それから、その前の平成九年は三月七日、やはり新横浜グレイスホテル。つまり、ウイークデーに泊まりがけでこういったことをしておる。これはまさに技術研究本部と企業とが癒着をしている温床そのものではないかというふうに考えますが、長官、いかがでしょうか。
  25. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 この研究会は、元所長は第五研究所の事業に対して深い知見を持っている、あるいは研究業務への助言をいただけるなど、これらの者との意見交換は有益なものと考えまして、元所長との会合を持つこととしていると承知しております。特定の会社に利権を供与するものではないと考えます。また、会費等もお互いに自己負担をして払っていると聞いております。  次年度予算額の概要等がこの説明の中に含まれているということでありますが、説明の趣旨は第五研究所の事業としての政府予算を説明したものでありますけれども、OBとはいえ、会社の顧問の職にあることから、個別事業の経費等はやはり概要にとどめるなど、注意を払っていく必要があると考えております。  なお、この点については私どもも改めて調査をいたしますが、調査の結果によってはこれを差しとめなければいけない、こういうふうに考えております。
  26. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 その知見とか助言を求めることが有益だ、それから予算についてのお話がございましたが、二月とか三月というのは、後でも質問いたしますが、技術研究本部で長期計画の作成を終わった、あるいは終わる段階なんですね。それから、四月に人事異動がございますが、まさにその人事の予定を大体取りまとめるのが二月末というふうに私は聞いております。つまり、人事と予算を大体内定する時期に、やめて直接取引のある企業に天下った所長たちと会っているということは、単に知見とか助言を得て有益だでは済まされないと思うんですね。  私自身が聞いている範囲では、例えば今お配りしたのは数ページですけれども、相当細かく、ことしはどういう項目の研究をするか、それにどういう件名が入っているか、それから試作者はだれであるか、試作名は何であるか、それからどこのメーカーが担当できるか、それから研究の目的、それから研究の性能所見、それから計画時期等々をこの資料に基づいて現職の幹部の方々が説明をしているというふうに聞いております。  それから、今お配りをいたしました中の五ページ、とじてある五枚紙の一番最後の五ページですけれども、ここには組織・定員ということが書いてございます。これにはどういった人事構成になっているかということが出ていまして、さらにこの後の詳しい資料の中には、第一部が何名いて、第二部が何名いて、どんなことをやっているかということが詳しく出ているんです。その人たちがどういう研究をしているかというリストも入っています。そして、そういった研究その他について所内のだれが担当するかというようなことについても口頭で説明がされているというふうに聞いております。あるOBの方から、今度は、四月からこの部署はだれだれが担当になるよというような話を後で現職の所員が聞いたりというようなこともあったというような話も聞いております。  ということは、実際に、まさに計画そのものが、つまり四月からの計画が決まりつつあり、人事もほぼ決まりつつあるときに、やめたばかりの所長を呼んで、これだけの資料を使って説明をして、そして先ほどの話ですと、知見や助言を得るということは、人事や計画内容についても知見や助言を得るということがそのタイミングであろうと思うんです。ということは、そのやめたばかりの歴年のOBの方々にいわば御相談をして、そういった方々の意見をかなり生かしている。先ほど知見と助言が有益だという話がございましたが、そのタイミングなんですが、長官、いかが思われますか。
  27. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 私が受けている報告は、そういった経験者から知見を得たいということを目的として開いているということであります。今委員が言われたような事実があるかどうかは私どもも慎重にこれから調べてみたいと思います。そういういささかでも公務員としてもとるところがあれば、かようなことは今後開催しないように私から厳重に命令したいと思います。
  28. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 まさに計画ができつつあるときにここまでの資料を出していること自体、つまり長期計画というのは項目が重要でございますので、ある意味では項目を明かしているわけですので、ある意味では一番トップシークレットに近いものをやめていったばかりの方々に見せているわけですね。  ですから、ただ単に、場合によってはこれからやめさせるというだけではなくて、さかのぼって調査をしていただいて、どういったことが実際にその場で話し合われて、それが後の研究項目等の決定あるいは人事に影響されたのか、その辺まできちっと内局の方で直接調べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  29. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 国の予算は、例えば公共事業なら建設省でも農林省でもこの程度のものは新聞にも全部公表しているわけですから、あながちこのことだけで公務員の法規違反の行為であるというふうに私は考えてはおりませんが、しかし人事のことについてOBの皆さんにそういう会で相談をして決めるなんということは、私は考えることはできません。しかし、詳細に調査しなければ責任を持った答弁はできないので、よく調査させていただきたいと思っております。
  30. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 時間の関係で、また戻ってまいりますが、先に進みます。  前回決算行政監視委員会でも質問したこととの関連でございますけれども、この技術研究本部で将来対機雷戦技術の研究というものがございますが、これは平成九年度の概算要求時には、その年の、同じ年の二月につくられた技術研究本部の長期計画に記載されていなかったものが将来対機雷戦技術の研究として突如あらわれておるわけです。  長期計画というのは、先ほども申しましたが、日本の国防政策を左右する非常に重要な計画であります。例えば、TMDを入れるか入れないかという項目そのものが長期計画だろうと思います。長期計画というのは防衛庁の長官へも報告をするものだと理解をしております。実際に、技術研究本部の内規では、長期計画に基づいて概算要求向け資料を技術研究本部の本部長の決裁を経て作成するというふうに書かれております。  ということは、長期計画で、二月の段階では将来対機雷の研究とされていた項目を、夏の概算要求の際に将来対機雷戦技術の研究というふうな形ですりかえてしまったのは内規違反だろうと思うんですね。つまり、技術研究本部の内規である達の七の十二というのがございますが、これの違反だと思いますが、いかがでしょうか。
  31. 及川耕造

    ○及川政府委員 お答え申し上げます。  まず長期計画でございますが、先生は長官へも報告する資料と御指摘がございましたけれども、これは本部長への報告の計画でございまして、長官への報告事項ではございません。  それで、今お話でございました、平成九年度の概算要求時に前年度作成の技本の長期計画におきます記載と違うではないかということでございますけれども、技術研究本部におきます概算要求の基礎は、確かに長期計画に基づきまして本部長が作成をいたします。長期計画は、今申し上げましたように技本内部の計画でございますので、その出されてまいりました技本からの予算要求につきまして内局として審査をいたすわけでございますけれども、その庁としての概算要求作業の過程で項目名またはその内容が変更されるということは、十分考えられることでございます。したがいまして、名前等についても変更があることに特段の問題があるというふうには考えておりません。
  32. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 長期計画に確かに基づくということですが、単に言葉だけで基づくということではなくて、予算要求する項目は一年ぐらい前から本部の了解をとってあるはずだろうと思います。  それで、試作をする場合には、試作の前提として所内研究というのがあるわけですから、所内研究で一定の成果――幾つかのプロセスがあって、所内研究が幾つかありますが、それで成果が上がったものを試作するということになっていますから、そのプロセスを経ていませんね。つまり基づいていないわけですね。ですから、庁が変えたということを言っていますけれども、そこに至るプロセスが、これはやはり内規違反じゃないのですか。
  33. 及川耕造

    ○及川政府委員 これにつきましては、将来機雷ということでずっと続いてまいりました試作等を踏まえて、名前は確かに概算要求段階で対機雷戦というふうに変えておりますけれども、具体的な試作等の研究の経緯というものにつきましては平成の当初から行ってきたものでございまして、これは、国会でも先生からいろいろ御指摘をいただきました複合センサー等の成果を踏まえて行っているものでございまして、所内研究等を踏まえずとも次のステップに進んだもの、ただ、名前は概算要求段階で内局等の審査を経て変わった、こういうことでございます。
  34. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ただ、今までの成果を踏まえてということになっていますが、将来対機雷戦技術の研究というふうに変わった後は、過去の将来機雷の研究というところが切られていますよね。だから、すりかわっているわけです。それが一つ。  それから、もし、将来対機雷戦技術の研究というふうに変える必要があるならば、もともと、将来機雷の研究という中には、目的のところに、対機雷戦の研究ということを目的としてというふうに入っているわけですから、変える必要が全くないわけですね。
  35. 及川耕造

    ○及川政府委員 御指摘のとおり、将来機雷の研究ということでもよかったのかもしれません。  ただ、この当時、平成九年度であったと思いますけれども、この予算要求時の内局も含みます検討の過程におきましては、機雷等についても将来広いパースペクティブのもとに位置づけるべきであるということで、単に機雷の研究だけでなく、これを含む対機雷戦、いわゆる盾と矛の両面から検討をしていくような、長期的なテーマとしてとらえ直そうということで名前を変えたということでございます。  ただ、予算要求をいたしました中身につきましては、前年度以来の長期計画の将来機雷というものを受け継いで行っていることも事実でございます。
  36. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ですから、申し上げているように、もともと、将来機雷の研究の目的に、対機雷戦能力向上型艦艇に有効に対処するためと入っているわけです、既に。視野を広げるということですけれども、要するに、全く同じ趣旨の研究を逆方向から言っているだけでございまして、つくるものそのものは同じなわけですね。これは二つを比べてみればわかりますが、研究の必要の説明文も全く同じです、両方とも。それから、運用構想図もほぼ同じです。ですから、これは全く同じものを逆方向からしている。しかも、問題は、非常にコストが高くなっているということです。したがいまして、これは名前を変える理由が全くない。  しかも、先ほど言いましたように、長期計画にないもの、そしてプロセスがないものを概算要求の直前の段階で変えてしまっているということは、これは全く正当性がないと思うのです。したがって、その手続上も長期計画に基づいていないわけですね。  ですから、これは本部長の名前でと言いますけれども、これは本部長の責任問題になるのじゃないですか。どうですか。
  37. 及川耕造

    ○及川政府委員 長期計画で将来機雷ということで技本の方で取りまとめまして、そして、予算要求はそれを踏まえて内局の方に上がってくるという手続でございます。  その内局の審査あるいは本部との審査の過程の中で、従来の将来機雷の研究というのでもよかったのかもしれません。ただ、当時議論の中で、機雷の研究一本というよりは、将来の長いパースペクティブを考えたならば、対機雷戦を含むより広い概念で今後やっていこうというのが内局の予算要求としての意思決定になりました。したがいまして、名前が変わったわけでございまして、それはそれで許されるべきことではないかというふうに思っております。
  38. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 もう一枚資料をお配りしておりますが、「複合検知センサと複合センサIII型の機能」という防衛庁からの資料です。  要するに、左側の「複合センサIII型」というのが、実際につくるハードそのものだろうと思います。その右側に、今度新たに、真ん中辺ですが、「目標速度推定 艦種推定 最接近距離推定 位置推定」とかいうものを出してきていますが、この四つは既に技術研究本部の方で特許を持っている内容です。それから、仕様書を見ましても、こういった四つの推定について、データ融合技術というものは仕様に入っていないわけです。ですから、この四つに関していえば、ここに大きく書いてありますけれども、これはもう既に技術研究本部が持っているものですから、新たに「複合検知センサ」といって仰々しく書かなくてもいいし、予算の中にも反映されていないものだろうと思います。  実際に、私の方でもいろいろ専門の方に聞いて調べてみますと、これは予算でいいますと一台一億九千万円になっていますけれども、結局、データ融合技術等は、これは受注したのは石川製作所という会社ですけれども、石川製作所というのはデータ融合技術とか掃海、掃討の技術を持っていないわけですから、そもそもこういったものを、ハードはつくれてもソフトの面はつくれないメーカーで、しかも、汎用品もかなり使うことになっていますから、この図でいうとあたかも全く新しいもの、大きなものをつくっているかのように書かれていますけれども、実際は一億九千万円ではなくて八千万円ぐらいでできるのじゃないかという話を聞いていますけれども、その点はどうお考えですか。
  39. 及川耕造

    ○及川政府委員 先生おっしゃいますように、お配りいただきました資料の「目標速度推定」以下四項目でございますが、この中に、確かに所内研究の中で特許をとったものがございます。  ただ、それは、それ一つ一つをもって直ちに応用できるものではございませんでして、試作品に適用いたしまして、そして、それらを組み合わせたソフトウエアによって、この右側にございますように、最適の起爆位置でございますとか起爆のタイミングを集合的に計算し、そして集合的に検索をいたしまして、そして、最適の位置でございますとかタイミングをはかる、そして機雷を浮上させ爆発させる、こういう一種のシミュレーションのためのモデル等をつくっていかなければなりません。そのソフトウエア等は、単なる個々の特許等だけではできないわけでございまして、それらを組み合わせて大きなソフトウエアに組み立てていかなければいかぬという問題がございます。  先生おっしゃいますように、石川製作所はそういったいわゆる情報処理メーカーではございませんので、大きな缶体並びにセンサーの中の一部等につきましては担当いたしますし、それから機雷そのものは、これは専門家でございますので、全体のシステムについて責任は負いますが、そういった部分については通電メーカー等の専門のベンダーに頼む、こういう形で発注することになるものだというふうに思っております。
  40. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ですから、逆じゃないですか。つまり全体の、つまりデータ融合技術を持っていて――局長、対将来機雷戦技術の研究というのは掃海、掃討技術のためのものじゃないのですか、基本的には。
  41. 及川耕造

    ○及川政府委員 対機雷というところに重点を置きますと、確かに掃海、掃討というふうに読めますけれども、この研究は、そういったものを将来的にも含んだ形での、しかし、さはさりながら、機雷が将来どのようになるかということをまず見きわめた上で、次のステップとして対機雷戦にも有用な形にしようということで将来機雷から進んできたもの、こういうふうにお受け取りいただきたいと存じます。したがいまして、現段階で行っておりますのは、将来機雷をやってまいりましたものの最終段階の試作に当たる、こういうことでございます。これらの成果を踏まえて、将来的には確かに掃海、掃討の試作等に移っていくということになるのではないかというふうに思います。
  42. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ですから、目的はどっちなんですか。将来機雷の研究なんですか、将来対機雷戦技術の研究なんですか、どっちなんですか。
  43. 及川耕造

    ○及川政府委員 これまでの将来機雷の研究を集大成し、長期的に対機雷戦に対する成果を上げていきたい、こういうことでございます。
  44. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ですから、どちらですか。
  45. 及川耕造

    ○及川政府委員 ある意味では両方であろうと思います。
  46. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 両方ならば、そういうソフト、つまり全体の、単なるハードをつくるメーカーじゃなくて、全体、両方ということならば、両方ができるメーカーがたくさんありますね、掃海、掃討関係でもそうですし、ソフトの面でもそうですし。例えば石川製作所が浮上機雷というのをつくっていますけれども、内部はみんな電機メーカーがつくっているわけですね。つまり、石川製作所というのは外の箱しかつくれないメーカーですね。  そもそも、ここに比較が出ています複合センサーIII型をつくったときは、石川製作所は下請メーカーなんですよね。それが、項目を入れて、下請メーカーの箱しかつくれないメーカーが急に出てきて、全体の、先ほど来局長がおっしゃっている、ソフトであり、組み合わせであり、融合であり、掃海、掃討であり、両方が必要なことを、ハードしかつくれない規模の小さなメーカーが出てきて元請になっちゃっている。その下に、より大きなメーカーでソフトその他ができるメーカーが入るというのはおかしいじゃないですか。
  47. 及川耕造

    ○及川政府委員 まず、この試作品につきましては、メーンは機雷でございますので、機雷をどう動かすかというところの一種の技術開発になります。したがいまして、我が国で機雷について製作ができますのは石川製作所と日立造船でございます。ですから、この二社にまず指名入札をし、そしてその落札、最終的には石川製作所になったわけでございますけれども、その石川製作所が、先生おっしゃるように、ソフトウエア等について情報通信機器メーカー等に発注をするということはあり得るだろうと思いますけれども、今回の開発のメーンは将来の機雷、そしてそれを使って、確かに長期的には対機雷戦でございますけれども、差し当たりの試作の目的、仕様というものは将来の機雷でございますので、その専門メーカーである二社に入札を呼びかけた、こういうことでございます。
  48. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 その石川製作所がもともとつくった左側の「複合センサIII型」というのは、三台で七千百万円です。それで、先ほどおっしゃったように、真ん中のいろいろな「目標速度推定」等々は、技術研究本部の方が特許を持っている。それで、汎用品も使う。それが一台一億九千万円になってしまっている。  そもそも機雷というのは、数百個まいて使うものだろうと思うんですけれども、それが一個が一億九千万円もしたならば、これは汎用品としてまるで使えないんじゃないんですか。どう考えてもこれは、防衛庁の方いらっしゃいますけれども、恐らく一億九千万円もかかる機雷をつくっているというふうなところは世界じゅうでないんじゃないですか。しかも、そもそも同じ会社が同じものをつくっていた一台当たり七千百万円のものが、こういった余分なものをつけて、あたかも全く新しいものであるかのようでありながら、先ほど来おっしゃっておられるように、基本はほぼ同じなわけですね、ハードの部分は。それが一億九千万円になっちゃっている。おかしいじゃないですか。
  49. 及川耕造

    ○及川政府委員 先生お配りいただきました紙にも、確かに、新しい複合検知センサーにはかつてつくりました複合センサーIII型が組み合わされていることは事実でございます。ただ、これらも、小型化いたしますとか性能について変更いたしますとか、それからの研究成果を踏まえて改造いたしている点はまずございます。  それからそのほかに、まさにここにもございますように、電界検出、深度検出、傾斜検出といったセンサーをつけ加えますとともに、先ほど申し上げましたように、この今回の検知センサーの最大の目的は、これを一体として、これらから出てまいります、センサーから出てまいりますシグネチャーを複合いたしまして最適起爆位置、タイミングをはかるというそのシステム、ソフトウエアをつくるということでございますので、これはかなり内容的にも違ってくるわけでございます。したがいまして、それに伴いまして価格等もおのずと上がらざるを得ないというふうに判断いたしております。  ただ、本件は初めて製造する試作品でございますので、現在契約進行中でございますけれども、超過利益の返納に関する特約条項というのを付しておりまして、納入後厳正な原価監査を行いまして、相手方に超過利益が生じた場合には、当該超過利益を返納させることといたしております。
  50. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 局長、技術研究本部からどういう説明を聞いていられるか知りませんけれども、私が聞いている範囲においては、この複合検知センサーというのは有線ですね、ケーブルがつながっている。したがって、これはある意味では非常に単純なものだろう。つまり、複合センサー研究装置というのは、以前将来機雷の研究でつくっていたものであるならば、独立単体で、いわばロボットのような形で非常に精巧なものですけれども、今回のものは、むしろデータも管制装置等もない、いわばケーブルがない。これは仕様書を見れば出ているわけですけれども。これが一億九千万円というのは、どういう説明を聞いていらっしゃるか。後で調べられるとわかると思いますけれども。それで実際に現物ができてくるわけですから。ある意味では、ケーブルがついていないというのは図を見てもはっきりしていますけれども。というのは、今あたかも非常に複雑な、精巧なものであるかのようにおっしゃいましたけれども、逆じゃないんですか、実際につくるものは。
  51. 及川耕造

    ○及川政府委員 これについては、船上でも観測ができますように、水中に沈めましたセンサー等からケーブルを引きまして、そして中でももちろんデータを収集いたしますが、同時に船上でも観測できるような機器をつけております。したがいまして、先生おっしゃるようなケーブルがないものではなくて、ケーブルを艦上に引いているものでございます。
  52. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 時間があと少なくなりましたので、ちょっとさらにお調べをいただきたいと思います。  それで、もう一つ技術研究本部のことについて、昨年の七月十五日でございますけれども、北海道において高機動装輪車両走行試験というものが行われました際に、この車両が横転をして、乗っておられた技官の方が死亡してしまった。  この研究そのものは、もともと担当の技官の、この亡くなった方じゃありませんけれども、個人的な研究のために実施をされた。ところが、死亡事故が起きた後、その試験の実施計画が改ざんされて、正規の試験中の不慮の事故として処理をされていたというふうに理解をしておりますが、そのことについて、事実関係、そういった改ざん等がなかったのか、お答えを長官の方からいただきたいと思います。
  53. 及川耕造

    ○及川政府委員 御指摘のとおり、昨年の七月十五日に、陸自の北海道の千歳の定地試験場におきまして、技本の第四研究所によります実験用車両の走行試験中に、当該車両が横転する事故が発生いたしました。同乗者のうち一名の方が、頭部を強打して、十日後の七月二十五日に亡くなられたわけでございます。  本事故は、第四研究所が実施いたしました特別研究の走行試験中に発生したものでございまして、事故当日に行われた試験は、年度業務計画に基づき作成されました試験細部計画に記載されたものでございます。したがいまして、これらの公文書が改ざんされたという事実はございません。  本件につきましては、事故後直ちに警務隊並びに所轄の警察等が入りまして、所要の調査等も行っているところでございます。また、運転しておりました技官の一名につきましては、警務隊等の調査により書類送検をされましたところでございますけれども、不起訴処分になっているところでございます。  なお、技術研究本部から国内の大学院に研修中の者が参加していたかどうかという御指摘でございますけれども、この技官については、この試験に参加いたしておりました。参加いたしました理由は、同技官が大学院の研究テーマにおいてほぼ同様のものを行っているところでございまして、第四研究所の了解を得て本試験に参加していたものでございます。ただ、同技官は、本来の所属長でございます総務課長の了解等をとっておりませんでしたので、この事件に関しましてその後処分を行いましたけれども、そのとき、この試験にかかわりました監督者等を含めまして処分を行ったところでございます。
  54. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 警察の介入がなかったということですが、警務隊が担当したということで警察は調査をしていなかったんではないかというふうに聞いておりますが。  それから、処分といいますが、どういう処分であったのか、その内容について簡単に答えてください。
  55. 及川耕造

    ○及川政府委員 事故が起こりました直後に、地元警察とそれから警務隊が入りまして、それでどちらが調査するかということを相談いたしたというふうに聞いております。この事故につきましては、試験場の中で起きまして、また、関係者がすべて自衛隊関係者でございましたので、地検の御了解も得まして、そして警務隊が調査をするというふうに決まったわけでございます。  それから、処分でございますけれども、運転しておりました技官につきましては減給一カ月、それからその直属上司につきましては戒告、さらにその直属上司につきましては訓戒、そして、大学院に行っておりました職員につきましては注意処分でございます。
  56. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 さらに内局の方でも調べていただきたいと思います。  それから最後に、航空自衛隊の初等練習機の件について質問したいと思います。  いわゆる航空自衛隊の初等練習機T7とほぼ同じT5というのが昨年度発注が予定されていたわけですが、海上自衛隊の方が発注をしていないというのはなぜなのか。それから、ことしの概算要求に入れる計画はないのかどうか。まずそれをお答えいただきたいと思います。
  57. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 今お尋ねの、十年度におきます海上自衛隊の初等操縦練習機T5の予算の執行でございますが、これにつきましては、昨年十二月に富士重工に対する制裁措置といたしまして、同社との契約を一年間、真にやむを得ないものを除き行わない、こういうことを踏まえまして、その必要性及び緊要性について改めてぎりぎりの精査を行ったところでございます。この結果、T5の飛行時間を節約するための応急的な措置を講ずることによりまして、搭乗員の養成そのものには支障を生じさせることなく調達を見送ることが可能との見通しを得ましたことから、十年度の契約を取りやめることにいたしたところでございます。  なお、十二年度概算要求の内容につきましては、現在庁内で検討中でございまして、T5の要求の有無を含めまして、現段階ではお答えできる段階にはございません。
  58. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 最後に、それは真にやむを得ないものであったのかどうなのかというのが、疑問が残りますが。  逆に、航空自衛隊のT7の方ですけれども、再三長官の方で見直しということを選定作業についておっしゃっておられました。十二月に富士重工の契約停止の期限が切れますけれども、そもそもこの富士重工が、T7といいますか、航空自衛隊の初等練習機の再選定に際して参加資格を有しているのかどうなのか。それから、今度の概算要求、航空自衛隊の初等練習機についてはどういう形で臨まれるのか。その点について簡単にお答えいただきたいと思います。
  59. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 航空自衛隊の新初等練習機でございますけれども、平成十一年度の予算への計上を見送りました結果、一年経過することによりまして新たな提案がなされる可能性もあることから、再度機種選定を実施することが適当、こういうふうに判断しているところでございます。  この選定につきましては、公正性、透明性を確保しつつこれを実施することが必要不可欠でございまして、このため不断の努力が必要と考えているところでございますが、新初等練習機の選定のやり直しに当たっての具体的方法につきましては現在検討しているところでございます。  いずれにいたしましても、去る二月の二日の衆議院予算委員会、それから七月一日の衆議院の決算行政監視委員会におきまして先生の御質問に対しまして防衛庁長官からお答えを申し上げましたとおり、選定に当たって誤解を生ずることのないよう措置を講ずることを初めといたしまして、その公正性、透明性をより一層高めるための各般の工夫を講じてまいりたいと思っております。
  60. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ありがとうございました。
  61. 二見伸明

    二見委員長 次に、前原誠司君。
  62. 前原誠司

    ○前原委員 民主党の前原でございます。  通告をしておりました点につきまして、順に、防衛庁長官外務大臣、あるいは、きょうは海上保安庁長官にも来ていただいておりますので、御質問をさせていただきたいと思います。  まず、空中給油機導入に絡んで、専守防衛の議論もあわせて行ってまいりたいというふうに思っております。  この空中給油機導入の議論といいますのは、現中期防の前の前から議論がなされておりましたし、現中期防の策定段階、私もその中にかかわらせていただきましたけれども、この中期防の中で、「結論を得、対処する。」このように書いてあるわけでございます。私どもが当時防衛庁から説明を受けていた空中給油機導入の必要性というものは、訓練においての燃料の節約あるいは効率のアップ、また、着陸、離陸時の騒音の軽減という、いわゆる空中警戒待機、CAPの効用によるものである、こういうふうにお話を伺っておりました。  しかし、今概算要求が始まろうとしておりますけれども、政府内にもこれの導入についてなお慎重な意見があるということを新聞等で伺っておりますし、その理由の大きなポイントというのが、空中給油機を導入すれば戦闘機の航続距離が延びて、相手の国を攻撃するあるいはその脅威を与えることになって、専守防衛の考え方に反するんではないか、こういう議論があるというふうに伺っております。  そこで、まず防衛庁長官から御答弁をいただきたいと思うわけでございますけれども、これは従来からあった議論でございますし、今まで御答弁いただいたことの繰り返しでも結構でございます。  空中給油機を導入すれば確かに航続距離は延びますけれども、それをもって相手の国を攻撃できる能力を持つということにはならないというふうに私は思っております。例えば、世界の軍事技術などで地対空ミサイルなどを本当にくぐり抜けていけるような能力が日本にあるのかどうかとか、あるいは電子戦の能力、また、今、日本がしている要撃戦闘機などでも、基本は空対空でありますし、空対地のいわゆる地上攻撃能力というものが本当にあるのかどうなのかということをすべて含めて、私は非常に疑問を感ずるわけであります。  つまり、航続距離が伸びれば、今の日本の保持する防衛力あるいは世界の軍事技術を勘案すれば、他国の基地などをピンポイントで攻撃をして無事に帰還することは可能なのか。可能でないとすれば、現在保有する防衛力にどのような改善を処する必要があるのか、また、新たにどのような装備を保有しなければならないのかということをお伺いしたいと思います。  これは前もってお伝えしておきますけれども、日本の憲法上とか今までの防衛論議上の制約の話ではなくて、純軍事的な観点から、もし可能でないとすればどういう部分が欠けているのかということについて御答弁をいただきたいと思います。
  63. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 空中給油機空中給油機能の取り扱いにつきましては、現在の中期防におきまして、空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する検討を行い、結論を得て対処するということになっております。  これを受けまして、私どもは現在、防衛庁部内において検討を行っている段階でありますが、まだ結論を得ているわけではございません。したがって、この空中給油機が導入された場合の自衛隊の能力につきましては現時点で具体的なお答えをすることは必ずしも適当ではないと考えますが、いずれにしましても、今委員からも御指摘いただいたように、自衛隊は他国を攻撃することを目的とした装備体系を有しておりません。  例えば、他国の防空用レーダーの妨害や破壊に用いる電子戦用航空機や特殊なミサイル、あるいは他国の防空網を避けて昼夜を問わず低空で他国に侵入するため必要となる特殊な航法システムを装備している航空機、あるいは目標の施設を正確に破壊するために必要な空対地誘導弾や対地用誘導爆弾、こういうものの装備品がないことから、仮に空中給油機能を保有したとしても、他国の基地に有効な航空攻撃を行うことは可能になるわけではない、こういうふうに私どもは考えております。この点は委員が御指摘されたとおりであります。  他方、今申し上げました装備品は、諸外国における他国への航空攻撃の例から、自衛隊が保有していないものの代表的なものを挙げたわけでございますが、装備体系全体として見た場合に、他国の基地に有効な航空攻撃を行うために新たにどのような装備品が必要となるか、こういう点につきましては、そもそも我が国はかかる装備体系を保有することを念頭に置いておらないわけでありますからそのような検討を行っていない、こういうことで、正確なお答えをすることは大変困難でございます。  私どもが今、空中給油機の検討に当たって考えておりますことは、航続距離が長くなって他国を攻撃するというような考え方じゃなくて、例えば平素の訓練におきましてCAPの時間が長くなるということから考えますと、頻繁に基地に帰ってきて給油する必要がなくなりますから、問題となります騒音対策に大変寄与する、あるいは頻繁に帰ってきてエネルギーの消費をすることを防げる。そういうことから結果的には大変効率的な演習ができる、こういうようなことに非常に寄与するわけでありますから、そういう点も考えに入れて結論を出していきたい、こういうふうに考えているところであります。
  64. 前原誠司

    ○前原委員 今御答弁されたように、単に航続距離が伸びても、今の日本の防衛体系では相手を攻撃することにはならない。物理的に行くことはできても、そういうことにはならないということで、一部の空中給油機導入に対する否定的な意見というものが、いかに今の防衛技術といいますか軍事技術というものをわかっていない議論なのかということを長官がおっしゃったものだと私は思っております。  ただ、後で質問しようと思っていたのでありますが、先ほどの答弁の中でまだ考えていないということでございますけれども、現中期防というのは来年が最後ですね。となると、今まで三つの中期防の中で議論をしてきたことをまた次の中期防に延ばすということになれば、五年ぐらい先にまた延びるんじゃないですかね。  後で質問いたしますけれども、限られた防衛予算でいろいろなものをこれから更新していかなければいけないという優先順位があるとすれば、私は理解できますけれども、必要性をどのように考えておられて、防衛庁長官としてはやはりぜひとも導入しなければいけないと考えているのかどうか、その部分をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  65. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 私どもとしては、空中給油機等大型の輸送機につきましてはぜひ必要なものである、こういうふうに考えております。  委員が御案内のとおり、中期防に載ってからもう十五年たちました。最初は研究をすると言い、二回目の中期防では検討をすると言い、現在の中期防では検討し結論を得て対処する、こういうふうに十五年間、研究の成果を背景にしながらそういう報告になって、中期防に載っているわけであります。ですから、もうそろそろ結論を出すべきだと。  ですから、今この検討を急いでおりますが、概算要求にのせることができるか、あるいは十二月の本予算にのせることができるか。あるいは、もう一つの選択としては、中期防は平成十二年度まででありますから、十二年度中に予算上の措置を講ずるということでも対処するということになり得るわけですから、そういうさまざまな検討の余地がありますから、それを念頭に置きながら、今これから私どもとしては結論を出してまいりたい、こう思っている次第でございます。
  66. 前原誠司

    ○前原委員 後で御質問しようと思っていたのですが、大臣から輸送機の話も出ましたので、ちょっと順序を逆にして、この話も伺っておいて、もう一度専守防衛の話に戻りたいと思うわけであります。  空中給油機と並んで防衛庁長官として必要だと思っておられるものに輸送機があるということであります。なぜ輸送機が必要なのかということについて、もちろん防衛庁としては十分説明をされているおつもりでしょうが、安保問題にいろいろ携わらせてもらっている我々に対してでさえなかなか趣旨というものが伝わってこない。  輸送機の導入について、その必要性。それから、これもどういう時期を考えて、また、これについては国産にするのか外国製にするのか。これからの日本の防衛産業基盤ということを考えた場合にどういう選択をされるのかということも含めて、御答弁をいただきたいと思います。
  67. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 輸送機につきましては、現中期防におきまして、輸送機、C1でございますが、の後継機に関し、検討の上必要な措置を講ずる旨が規定されております。  このため、現在、防衛庁部内におきまして、新規開発あるいは外国機の導入等、あらゆる取得方法を念頭に置いて検討を行っているところでありますが、先ほど申したとおり、まだ結論を得ているわけではございません。  なお、昨年のホンジュラスにおける国際緊急援助活動を通じて得られた教訓、すなわち、小型機で何カ国もとまって大変日時を要した、こういう反省から、私から大型輸送機の導入の問題について早急に検討するよう事務方に指示しているところであります。  これらの検討に当たっては、このC1の後継機のみならず、空中給油機の輸送機能、空中給油機は当然輸送機能も拡大するわけでありますから、そういうもの等も考慮し、そういう課題も考えながら検討するようにということで目下真剣に詰めている次第でございます。
  68. 前原誠司

    ○前原委員 空中給油機それから輸送機の具体的な問題はこれぐらいにいたします。  前に戻りますけれども、この空中給油機議論から、そもそも論に戻りたいと思うんですね。  先ほど大臣は、御答弁の中で、日本は他国を攻撃するための態勢というものをそもそも持っていない、日本の防衛というものはそういう体制になっていないというようなお話がございました。しかし、専守防衛というのはわかったようでよくわからない部分がございますので、突っ込んだ議論をさせていただきたいというふうに思っております。  防衛ハンドブックに専守防衛の議論というのが二つあるわけでございますが、一つは、田中総理大臣が衆議院の本会議答弁をされている部分を読ませていただきますけれども、「専守防衛ないし専守防御というのは、防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、もっぱらわが国土及びその周辺において防衛を行なうということでございまして、これはわが国防衛の基本的な方針であり、この考え方を変えるということは全くありません。」こういう答弁を田中総理は当時されております。  それから、これは昭和五十六年の三月、参議院の予算委員会で、当時の大村防衛庁長官答弁をされているのは、「専守防衛とは相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その防衛力行使の態様も自衛のための必要最小限度にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限度のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものと考えております。これがわが国の防衛の基本的な方針となっているものでございます。」このように三つの点が書かれているんですね、専守防衛で。一つは、相手からの武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使すること、これがまず一点目です。それから、その防衛力の行使の態様も自衛のための必要最小限度にとどめる。これは当然自衛権発動の三要件に入っていることであります。三つ目は、保持する防衛力も自衛のための必要最小限度のものに限る。つまり、防衛力行使の態様も保持する防衛力についても必要最小限度のものに限る、これが専守防衛だ、こういうことになっているわけですね。これはこれで私は理解できるわけです。  そこで、これは私がしばしば取り上げている今までの政府の見解でありますけれども、敵基地攻撃と自衛権の範囲というものなんですね。  これは昭和三十四年の三月、衆議院の内閣委員会で、当時の伊能防衛庁長官答弁されていることを読ませていただきますと、  誘導弾等による攻撃を受けて、これを防御する手段がほかに全然ないというような場合、敵基地をたたくことも自衛権の範囲に入るということは、独立国として自衛権を持つ以上、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨ではあるまい。そういうような場合にはそのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに他に全然方法がないと認められる限り、誘導弾などの基地をたたくということは、法理的には自衛の範囲に含まれており、また可能であると私どもは考えております。 こういう答弁があるわけです。  つまり、誘導弾等の攻撃を受けた場合に、他に手段がない場合は必要最小限度の処置としてその基地をたたくことも自衛の範囲に含まれる、こういうことを、これは昭和三十四年に答弁をされているわけですね。  さて、では専守防衛ということと今の敵基地攻撃と自衛権の範囲というものをあわせて考えた場合、みずからやるということはこれは憲法上絶対あり得ないし、専守防衛という、先ほどの一番目のポイントというのは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する、これは私も当然のことだろうというふうに思っております。しかし、敵基地攻撃と自衛権の範囲という政府の見解からすれば、他国を報復のために攻撃する能力を持つことは専守防衛に反するのかどうなのかというところは私はポイントだと思うんですね。  今までの国会の討論、議論、いろいろ私も見させていただきました。F4を導入するときにいわゆる補助タンクをつけるのかどうなのかというところに始まって、F15やP3Cの導入の場合も同様な議論がもう延々と行われてきたというものは私も読ませていただきました。  何か、相手のところまで行くこと自体がだめだ、それは専守防衛に反するというような議論になっているように思うんですけれども、とすれば、この敵基地攻撃と自衛権の範囲というものの観点から少々議論としては錯綜しているんではないか、矛盾しているんではないかというふうに思うわけでありますが、防衛庁長官、この点について、他国を報復のために攻撃する能力を持つことは専守防衛に反するのかどうなのか、その点ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  69. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 今委員もおっしゃいましたとおり、専守防衛というのは相手からの武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限度にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限度のものに限られるなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、我が国の防衛の基本方針である、これはさっき委員が引用された田中総理の見解もそういう見解であろうかと思います。  一方、これも今委員から御指摘いただいた昭和三十一年の政府統一見解は、我が国に対して急迫不正の侵害が行われ、その手段として我が国土に対し誘導弾等により攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、敵の誘導弾等の基地をたたくことは、法理上の問題として自衛権の範囲に含まれ、可能であるというのが政府見解であります。  しかしながら、これはあくまでも自衛のために、敵基地、敵の誘導弾の基地をたたくというのは法理上の問題として自衛権の範囲に含まれるということでありまして、先生おっしゃるような、他国に報復するための攻撃について必ずしも述べているものではないと考えられます。  このように、昭和三十一年の政府統一見解に言われているような事例については、他に手段がない場合に、敵基地を直接攻撃するための必要最小限度の能力を保持することも法律上は許されると私どもも考えております。このような、憲法上その保持が許される自衛のための必要最小限度の能力を保有することは、専守防衛に反するものではない、こういうふうに考えております。
  70. 前原誠司

    ○前原委員 私の質問の仕方が少々悪かったと思うんですが、報復のためにということをつけたときにちょっと問題がこんがらがるということですので、ちょっとこれを取りますね。  つまり、要は、やられた、そしてまた第二次、第三次の攻撃というものがありそうで、座して自滅を待つべしという意味じゃないという場合に、さっきおっしゃった、私も申し上げた敵基地攻撃というものは法理上可能である、自衛権の範囲に含まれるということですから、そういう能力を持つことも自衛権の発動ということであれば専守防衛の範囲であるという答弁をされたということでよろしいんですね。もう一度御答弁いただきたい。
  71. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 憲法上その保持が許される自衛のための必要最小限度の能力を保有することは専守防衛に反するものではない、こういうふうに解しております。
  72. 前原誠司

    ○前原委員 済みません、よくわからないんですけれども、もう一度ちょっと整理して、私の頭も整理して質問をいたします。  専守防衛というのは、相手から攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する、そして武力行使の態様も、保持する防衛力も、自衛のために必要最小限度のものなんだということですね。そして、誘導弾等による攻撃を受けて、これを防御する手段はほかに全然ないという場合には、敵基地をたたくことも自衛の範囲に含まれるということでありますから、この自衛権の発動という中で、これは今は法理上ということになっておりますけれども、自衛権の範囲の中で、この敵地攻撃、敵地をたたく能力を持つことは、簡単で結構です、専守防衛に合致するのかしないのか、その点について御答弁いただきたいと思います。
  73. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 少しくどいようで恐縮でございますが、さっき御指摘のような、他国を報復するための攻撃については、私は無理だと思います。  ただ、正確を期するためにもう一回ちょっと言わせていただきますが、昭和三十一年の政府統一見解に設定したような事例につきましては、他に手段がない場合に敵基地を直接攻撃するための必要最小限度の能力を保持することは法理上も許されると考えております。  そして、このように、憲法上その保持が許される自衛のための必要最小限度の能力を保有することは専守防衛に反するものではない、こういうふうに考えております。
  74. 前原誠司

    ○前原委員 じゃ、その点は明らかになりましたので、さらに質問をいたします。  私も引用しましたし、防衛庁長官も今引用された、敵基地攻撃と自衛権の範囲のところは、ただし書きがついているんですね、これは御存じだと思います。「しかしこのような事態は今日においては現実の問題として起りがたいのでありまして、こういう仮定の事態を想定して、その危険があるからといって平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない。かようにこの二つの観念は別個の問題で、決して矛盾するものではない、」これがただし書きでついているわけです。この点は私、非常に理解のしがたい問題であります。  今御答弁をされた部分であれば、自衛権の発動ということであれば、敵基地攻撃、敵基地をたたく能力を持つことも、これは専守防衛の範囲の中である、こういう御答弁をされましたけれども、この昭和三十一年、それから伊能防衛庁長官答弁されているのは昭和三十四年でありまして、随分前ですね。「このような事態は今日においては現実の問題として起りがたいのでありまして、」ということで、このような兵器を持っているということは憲法の趣旨とするところではない。さっき防衛庁長官は、専守防衛に合致するとおっしゃったのに、ここでは、想定できないからそういうことを持つことは憲法の趣旨とするところではないということは、どうも理解ができないのでありますが、その点について御説明をいただきたいと思います。
  75. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 御指摘の昭和三十四年三月十九日の衆議院の内閣委員会における伊能防衛庁長官答弁は、自衛権としての敵基地攻撃と、そのために保有できる装備との関係についての質問に対して答弁したものでありまして、現実の誘導弾等による我が国に対する攻撃の可能性に関連しての答弁ではないということは、ひとつお断り申し上げておきたいと思います。  また、同長官の内容は、敵基地攻撃に関する昭和三十一年の政府統一見解に関し、まず、国連の援助もなく、日米安保条約もないというような、他に全く援助の手段がないような場合における憲法上の解釈の設例の話とした上で、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに他に全然方法がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくということは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であると考えているものを述べたものであります。  そして、今委員が御指摘のとおり、その後に、しかしこのような事態は現実の問題として起こりがたく、こういう仮定の事態を想定して、その危険があるからといって平素から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではないと述べたものであります。  この答弁は、現実の誘導弾等による我が国に対する攻撃の可能性について述べたものではなく、答弁にあるような設例において敵基地を攻撃することは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるが、同時に、当該設例のように、他に全く援助を受ける手だてがないような事態は現実の問題としては起こりがたいことから、他に全然手段がないという仮定の事態を想定して平素から我が国が他国に攻撃的な脅威を与えるような兵器を保有することは適当ではないと述べたものでありまして、その意味では、この答弁は現在でも当てはまるのじゃないか、こういうふうに私は考えております。
  76. 前原誠司

    ○前原委員 これ、あと十分で、今伺ったことを、私は頭が余りよくないのかもしれませんが、よく理解できなくて、もう一度議事録を読み直してから質問しないとわからないようなことなんですが、一、二点再度お伺いしますが、「こういう仮定の事態を想定して、」ということは、今おっしゃったということは、そういう誘導弾等の攻撃というものが今はないということをおっしゃっているんですか、それとも、そうではないんですか、その点について、まずお伺いしたいと思います。  といいますのも、外務大臣もおられますけれども、これだけ北朝鮮のミサイル発射について日米韓で協力して、ASEAN首脳会談の場でも一生懸命に外交努力を続けて抑止をしようとされている。それはミサイルの脅威があるということなんですね。それから、きのうでも、新聞報道では、中国が八千キロメートルのICBM、東風31号というものの実験をして、成功したと言われておりますね。  つまり、今は、これは、ミサイルの脅威というものが、あるいはミサイルの拡散というものが相当軍事的な脅威になっているという世界じゅうの認識があると私は思っているんですけれども、それを仮定の事態と言うのか、そうじゃないのか、その点だけ、まずお答えいただけますか。
  77. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 ちょっと、さっきも触れたところでありますが、伊能長官の答弁は、敵基地攻撃に関する昭和三十一年の政府統一見解に関し、まず、国連の援助もなく、日米安保条約もないというような、他に全く援助、手段がないような場合における憲法上の設例の話であるとしてこの見解を申し述べているわけでありまして、現実の問題としては、他に全然手段がないという仮定の事態を想定して平素から我が国が他国に脅威を与えるような兵器を保有することは適当じゃない、こういうふうに述べているわけで、その意味では、私は、現実的な答弁である、こういうふうに考えております。
  78. 前原誠司

    ○前原委員 ということは、今大臣のおっしゃったことを私なりに整理すると、要は、他に手段がないことはないんですよ、日米安保条約に基づいて、アメリカがそういうものを持っているんだから日本はそういうものを持たなくてもいい。もっと違う言い方をすれば、他に手段はあるからそうではないんですよ、こういうことですね。
  79. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 そう解してもいいと思います。
  80. 前原誠司

    ○前原委員 ということは、これも仮定の議論になりますけれども、この点ちょっと私自身の頭も整理をしたいと思いますけれども、では日米安保条約が仮になくなったとすれば、他に手段がなくなるわけですよね、国連はまだそういう能力を持っているわけじゃない。ということは、日米安保条約がなくなったときには、そういうものを持つことは、他に手段がないんだからオーケーだ、しかし今は日米安保を結んでいるから他に手段があるからだめだ。だめだというのはわかるんですけれども、憲法の趣旨とするところではない。  つまり、日米安保条約を結ぼうが結ぶまいが憲法というのは厳然としてあるわけで、結んでいるから、他に手段があるから憲法上だめなんだ、あるいは、結んでいなかったら他に手段がないから憲法上オーケーなんだというのは、私は議論としておかしいと思うんですけれども、いかがですか。
  81. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 日米安保条約があろうとなかろうと、日本人が憲法の趣旨に従っていかなきゃいかぬということは、これはもう一番大事なことでありますから、お話しのとおりであります。  なおまた、日米安保条約も我が国の平和と安全を守る上で大変大事なことでありますから、これも遵守して、保持していかなきゃいかぬ、こう考えております。
  82. 前原誠司

    ○前原委員 いや、質問の意味は、他に手段があるから憲法の趣旨とするところではない、そういう答弁に今なっているわけですよね、それはおかしいと私は申し上げているわけです。  憲法がある以上、日米安保を結んでいようが日米安保を結んでいなかろうが、その解釈というものは変わりないはずです。つまり、他に手段がないというときには、それは持たないよという政策的な判断でブレーキをかけるならわかりますけれども、これは憲法の趣旨とするところではないと書いてあるんです。これはおかしいんじゃないですかということを質問しているわけです。
  83. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 御案内のとおり、自衛の三原則は、現実に危機がある、そしてまたそれを防ぐために代替手段がない、その場合にあくまでも必要最小限度のもので防がなきゃいかぬという、その必要最小限度のものというところに私は意味があると思っております。
  84. 前原誠司

    ○前原委員 では、もう一度伺います。  ということは、同じ憲法の前提でありながら、日米安保を結んでいるときと日米安保を結んでいないときではおのずと装備体系は変わってくる、自衛の能力の考え方は変わってくる、そういうことでいいんですか。
  85. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 憲法上の解釈というか、憲法を守らなくてはいけないという点では、結んでいようと結んでいまいとそれは同じだと思います。
  86. 前原誠司

    ○前原委員 自衛権発動の三要素というのは、これはもう大臣も御存じだと思いますけれども、要は、急迫不正の侵害がある、そして他に手段がない、そして必要最小限度、こういうことですよね。ということは、この自衛権発動の三要素の中でも、他に手段がないという場合があるわけです。つまり、日米安保条約があってその部分というものをカバーされている場合は自衛権発動ということをやらなくていいかもしれない。  つまり、もう一度お伺いしたい。  防衛庁長官があれでしたら防衛局長でもどなたでも結構でありますけれども、私が伺いたいのは、憲法は変わらない、当たり前ですよね、憲法は変わらない中で、日米安保を結んでいるときと日米安保を結んでいないときというのは、おのずとその持てる装備というものに違いが出てくるということなんですか。
  87. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 同じ人がやりとりをやっていても議論が硬直しますので、ちょっと立場を変えて、防衛局長から答弁させます。
  88. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 先ほど来防衛庁長官から御答弁しておりますように、自衛権の範囲にとどまる限り、それを保有することは憲法に反することはないということでございます。ただ、具体的にいかなる装備を保有するのかという場合には、それはまさに日米安保というのも一つでございましょうし、それだけに限るのかどうかわかりませんけれども、もろもろの状況を踏まえて判断をする、その判断というのは、やはり憲法の考え方、そういったものを基盤にして物を考えていくということだと思います。
  89. 前原誠司

    ○前原委員 いや、質問の意図は、もう三遍目になりますので的確にお答えいただきたいんですが、今までの御答弁だったら、日米安保がなければいわゆる政府解釈の中で持てる装備というのは変わるんですかと言っているんです。それに対してどうなのか、イエスかノーかで結構です。
  90. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 ですから、日米安保という一点だけで物を考えるかどうかというのは必ずしも言い切れないと思いますけれども、そういったものも一つの要素になって判断が行われるということだと思います。
  91. 前原誠司

    ○前原委員 防衛局長、申しわけない、イエスかノーかで結構です。  私がお伺いしたいのは、今まで議論した内容の最後の部分なんですよね。大事な部分なのでもう一度御答弁いただきたいんですけれども、要は、他に手段のない場合というのが一つの大きなポイントになっているわけです、今までの議論の。だけれども、防衛庁長官の御答弁では、日米安保があって、それは手段があるじゃないか、だから日本がさらに持つということは憲法の趣旨じゃない、こういう御答弁の流れだと私は思うわけです。ということは、日米安保がなければその分は日本は持っていいよということで、こういう政府の見解も変わるんですねということをイエスかノーかでお答えくださいと言っているわけです。
  92. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 装備について、ちょっと整理して申し上げますと、例えば他国に壊滅的な打撃を与えるような、そういったものは持てない、これはもう憲法上持てない、こういう範疇がございます。それから、それ以外の部分というのは、いわゆる自衛のために必要な限度を超えているかどうかということでございまして、これは総体として判断をするという考え方に立っておるわけです。  先ほど来、日米安保があったときとないときで装備体系が変わるのか変わらないのか、こういうことをイエスかノーかで答えろということでございますが、確かに日米安保というのも重要な要素だとは思いますけれども、それだけでその時点での装備体系を考えるのかということではないんだろう、こう思います。確かにそういったものも含めて具体的に保有すべき装備体系を考えていく、こういうことになろうかと思います。
  93. 前原誠司

    ○前原委員 意を尽くせませんので、またの機会にさらにこの議論はしたいと思います。  最後に、外務大臣とそれから海上保安庁長官には、出ていただきたいと要請をしながら質問ができなかったことをおわびして、私の質問を終わります。
  94. 二見伸明

    二見委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ――――◇―――――     午後一時五分開議
  95. 二見伸明

    二見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤茂樹君。
  96. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 公明党・改革クラブの佐藤でございます。午後の一番の質問をさせていただきます。  十五分だけ時間をちょうだいいたしましたので、私の方からは、北朝鮮の弾道ミサイルの問題に限って何点か防衛庁長官並びに外務大臣にお聞きをしたいと思うんですが、北朝鮮の弾道ミサイルの問題というのは、その開発の問題、また配備の問題をどのように認識され、またどのように対応していくのかというのは、私は、日本安全保障上の喫緊の課題であり、また優先順位の極めて高い課題であろう。さらには、日本だけではなくて、アジア・太平洋、そして国際社会全体に対しても大変な不安定要因になっていると思いますので、それぞれ長官と大臣に何点か、一問一問、時間が限られておりますのでまとめてお聞きをいたしますので、簡潔にお答えをいただきたいと思うんです。  一つは、まず最初にお聞きしたいのはノドンの実戦配備状況でございまして、七月の二十七日の閣議で防衛白書九九年版が了承されたわけでございますが、今回の白書の一つの特徴として、従来になく、北朝鮮の動向に関する記述が大幅にふえているという点があるわけでございますが、特に五十ページから五十一ページの「弾道ミサイル開発」の箇所で次のように言われているのです。北朝鮮がノドンの開発を「既に完了しており、その配備を行っている可能性が高いものと判断される。」そう明記された上で、「ノドンの射程は約千三百キロメートルに達すると見られ、日本のほぼ全域がその射程内に入る可能性がある。」そういうように指摘をされております。  一年前の九八年版の内容というのは、きょうコピーだけを持ってきたのですが、ここまで明記されてなくて、「射程が約千キロメートルともいわれるノドン一号を開発してきているとみられるが、北朝鮮が極めて閉鎖的な体制をとっていることもあり、その開発の詳細は明らかでない。」その程度の内容だったのに対して、一年後、本年の九九年版の防衛白書は極めて踏み込んでおられる。「可能性が高いものと判断される。」というように、表現には気をつけておられるけれども、私は、政府また防衛庁が、防衛白書という公式の文書でノドンの実戦配備を具体的に認められたというのは恐らく初めてであろう、そのように思うわけです。特に、千三百キロの射程ということが書いてあって、日本全土がほぼこの射程内に入る、そのことが書いてあることがポイントだと思うんです。  今、世間でも、国内外で話題になっているのは、テポドンの再発射の問題だと思うんですけれども、テポドンというのは今まだ開発段階であって、日本上空を越えていく極めて長射程のものを想定されているようでございますので、私は、そのことから考えると、果たして日本の脅威ということを考えた場合には、日本に直接脅威を及ぼすのはテポドンよりもむしろ射程の短いノドンで逆に言うと十分足りるのではないのかな。ですから、このノドンに対して、どういう認識と対応をされていくのかというのが当委員会でも今後やはりきちっとまず第一義的に議論されていくべきであろう、そのように私は思っているわけでございますので、その辺で、実戦配備されたとまで踏み込んで言われているノドンに対して、どう対応されていくのかということを何点かお聞きしたいわけでございます。  まずそこで防衛庁長官にお尋ねをしたいのですけれども、まず一点目は、そこまで踏み込んで言われたこのノドンの情報についての根拠です。それと二点目に、実際、防衛庁で把握されているノドンの実戦配備の具体的な状況、例えばいつごろから実戦配備されているのかとか、どのあたりに何基ぐらい実戦配備されているのか、そういうことについて二点目にお聞きしたいのと、それと、ここまで踏み込まれて防衛白書では触れておられないのですけれども、実戦配備されたノドンへの、我々日本としての対応方針はどういうことを検討されているのか、以上三点についてまず防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
  97. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 ノドンミサイルにつきましては、昨年八月末に発射されたミサイルのテポドン一号の第一段目にこれが使用されていたと見られることや、あるいは、発射台つき車両などノドン本体に付随して使用される車両が既に多数調達されている等の情報、そういう種々の情報を総合すれば、北朝鮮がその開発を既に完了し、その配備を行っている可能性が高いものと判断しているところであります。  この点につきましては、本年一月の日韓防衛首脳会談において、私が当時の千容宅韓国国防部長官とお会いした際に、千国防部長官からも同様な認識である旨発言があり、見解が一致したところであります。また、コーエン米国国防長官と会談した際にも、全く同じ認識であるとの発言があったところであります。なお、北朝鮮政策担当調整官も同じ見解である。こういうことを総合的に判断して、ノドンについては、既に開発を完了し、その配備を行っている可能性が高い、こういうふうに申し上げているわけであります。  どのあたりにどの程度配備されているかという状況でございますが、そもそも北朝鮮は極めて閉鎖的な体制をとっていることや、極秘裏に進められている活動であることや、一般に発射台つき車両に搭載されて移動して運用されるものとされていることもありまして、正確に把握することが難しいことなどから、現在、どのあたりに何基配備しているかというようなことは、確たることは申し上げられないと思います。  いずれにしましても、北朝鮮のミサイルの開発、配備動向につきましては、私どもは引き続き細心の注意を払ってまいりたいと考えております。  また、我が国の対応方針はどうかということでございますが、日米韓が密接に連絡をとりながら、細心の注意を払って継続的に情報の収集、分析に努めているところでありますが、私どもは、現時点における情報を総合して、ミサイルの発射が差し迫っていると判断するまでには至っておりません。今後とも、米韓と連携しながら、北朝鮮のミサイル発射を抑止するためにまず最大限の努力をしていく考えであります。  防衛庁としては、日ごろから艦艇、航空機等によりまして常続的に情報収集活動を行っておりますが、今後、北朝鮮の弾道ミサイル発射に関して状況が緊迫してきた場合には、現在の態勢に加えまして、さらに艦艇や航空機を投入することにより、まず正確な情報収集活動を強化することを考えております。  いずれにしましても、防衛庁としては、北朝鮮問題への対応、特にミサイルが発射された場合の対応については、常日ごろ重要事態対応会議においても議論を重ねているところであり、適切な対応ができるよう努めてまいりたいと考えているところであります。
  98. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 一問一問やっていると時間が長くなるんですが、ノドンのことについては引き続きお聞きするとして、もう一つのテポドンの方について、さらに防衛庁長官に簡潔にお聞きしたいんです。  ことしの六月ごろに、昨年夏に発射されたテポドン一号の発射台の基地が拡充工事がされているという情報が入ってまいりまして、それ以来、ことしの夏にでも再び発射されるのではないのか、そういう観測であるとか報道が国内外に飛び交っているわけですね。  それで、後でお聞きしますけれども、外務大臣また防衛庁長官初め日本政府が、先ほど答弁にもありましたが、米韓両国と連携を密にして再発射阻止に全力を挙げておられることは我々も認識しておりますし、我々国会議員としても、ぜひそういう体制に対しては協力していきたいと思っておるんです。  そこで、まず、今実態がどうなっているのかということを確認させていただきたいんですが、防衛庁長官、自民党の全国研修会等でも若干講演されたようなんですけれども、弾道ミサイル再発射の、テポドン二号と言われているものかもわかりませんが、それの準備の状況、これがどうなのかということが一点。それと、射程等も含め、どういうミサイルであるというように防衛庁として実体を把握されているのかということが二点目。あと、予測される発射実験の時期、これが三点目。四点目に、この件で先月来日されたコーエン国防長官との日米防衛首脳会談での話し合われた内容、合意された内容の四点について、まず防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。
  99. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 この夏に行われるという報道があるが、その準備状況ということでありますが、先ほど来お答え申し上げておりますとおり、日米韓等関係諸国で密接に連携をとりながら、細心の注意を払って継続的に情報の収集、分析に努めているところでございますが、そして、防衛庁としても種々の情報を得ているところでありますが、今、その中身について詳細に申し上げるわけにはまいりません。  ただ、ロケットの燃焼実験をやっているとか、あるいはミサイル発射基地の工事を行っているなど、いろいろの報道がなされていることは承知しておりますが、私どもとしては、先ほども申し上げたとおり、現時点における情報を総合し、北朝鮮のミサイルの発射が差し迫っていると判断するまでには至っておらないところであります。  どの程度の射程の、どんなミサイルが、いつ発射されるかということについて分析しているかということでありますが、北朝鮮は、先ほど来申し上げておりますとおり、ノドンの開発は完了し、その配備を行っている可能性が高いと判断されるとともに、昨年の弾道ミサイル発射に見られるように、引き続きミサイルの長射程化を着実に進めているものと考えます。テポドン一号は千五百キロ程度の射程距離でありましたが、今度テポドン二号ということになりますと、私どもは、三千五百から六千キロの射程距離に及ぶのではないかというふうに考えております。  北朝鮮がこういったミサイルの長射程化を着実に進めているとして、そういうことであれば、こうしたミサイル開発を継続する場合には、その過程において発射試験等を行う可能性が大変高い、こういうふうに私どもは考えております。現時点において、お尋ねの点に全部お答えすることは困難でありますけれども、今後とも、北朝鮮のミサイル関連の活動については、細心の注意を払って情報の収集、分析に努めてまいりたいと思っております。  先般来日したコーエン長官との会談内容でありますが、このミサイル再発射につきましては、先般の防衛首脳会談におきまして、私から、この再発射は差し迫った状況ではないという判断を示したのに対し、コーエン長官もこれについて同意し、引き続き緊密な情報交換を行っていくことで合意した次第であります。  また、情報交換に関して、ミサイルの落下地点に関する情報は、今までは落下地点は、領域内に落ちた場合だけは米側から通報を受けることになっておりましたが、このたびの会談で二国間の情報交換の幅を広げまして、最終落下地点までこの通報をしてくれるということで合意したということであります。  さらに、ミサイルの再発射につきましては、日米韓三国間で一致した対応をとることが何よりも大事である、そこで、これからも緊密な連絡をとって対処していこうということを確認した次第でございます。
  100. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 きょう最後の質問を、外務大臣、済みません、お待たせをいたしました。  先週一週間、ASEANの方に外交日程で行っておられたのですけれども、もう時間もありませんので端的に言いますが、私は、外務大臣のリーダーシップでこの北朝鮮のミサイル問題に対して二つの進展があったのではないのかなというように認識をしておるわけでして、一つは、ARFの、ASEAN地域フォーラムの議長声明で、北朝鮮という名指しの表現は避けたものの、ミサイルの問題について、懸念が議長声明に明記された。要するに、北朝鮮のミサイルの問題をアジア・太平洋地域全体の共通の懸念として取り上げることができて、そこには中国もロシアも加わっていたということに一つ意味があったのかなというように思っているわけです。  もう一つは、その後の日米韓の外相会談で、北朝鮮にとり深刻な否定的結果をもたらすであろう、そういう再発射された場合のことに対して強く警告する共同声明を発表されたという点では、私は、足並みをそろえてそういう制裁措置までやる可能性があるのだということを言われた点は評価すべきだと思うのです。  一点目にお答えいただきたいのは、ASEANの会議に行かれての外交日程を踏まえて、どう総括されているのかということと、今後、その会談で得たものを踏まえて、北朝鮮に向けて、再発射阻止に向けて日本はどう働きかけていくのかということが一点、お聞きしたい。  二点目にお聞きしたいのは、新聞報道なんかによりますと、政府がいろいろ対処方針を決めておられると。一つは、ミサイルが発射台に搭載された段階で北朝鮮に抗議する、また二点目として、ミサイルに燃料が注入された段階で国民に公表する、そういう報道があるのですけれども、私は必要な情報というのは国民に対して、原則としてどんどん事前に、できるだけ早期に、不安をあおらないような形で公表していくべきであろうと思っているのですが、そういう国民への事前の情報の公表も含めて、北朝鮮がさらに今の段階より意思を明らかにして具体的にミサイル再発射に向けて動き出した、そういう場合の政府の対処方針ですね、対北朝鮮と、日本国民に対してどうされるおつもりなのかをお聞きしたいのが二点。  三点目に、これも高村外務大臣がシンガポールで外相会談の後に言われたこととして、制裁措置に関して、物、金、人の動きについて何らかの規制をすることもあり得る、そういうように述べられたのですね。既に今、昨年の夏を受けて継続中の制裁措置もありますけれども、それに加えて、具体的に追加制裁措置として、今何を考えておられるのか。例えば、具体的には、あり得るものとして、日本から北朝鮮への送金停止ということも一つありますし、さらには輸出規制ですね、まあ両方ともこれは外為法が関連してくると思うのですけれども。三点目に、昨年夏一度されましたが、KEDOへの日本からの資金拠出の凍結ですね、これが三点目としてありますし、さらには、定期船便の運航停止ということも四点目として考えられると思うのですけれども。そういう、物、金、人の動きについて何らかの規制をすることもあり得ると言われたその中身というのは、具体的にどういうことを考えておられるのか。  以上、多くなりましたけれども、三点について、外務大臣にお伺いしたいと思います。
  101. 高村正彦

    高村国務大臣 ARFの議長声明に核の問題の懸念が表明されたこと、それから、日米韓、足並みをそろえて強い警告を与えたこと、このことについて委員から高い評価をいただきまして、大変ありがたく思っております。私自身も高い評価をしているわけでございます。  それから、いつ、どのタイミングでというお話でありますが、最大の目的は、北朝鮮のミサイルの再発射を阻止するという、このことでありますから、そのことに最も効果あるようにすることが大切であるというふうに思っております。北朝鮮の発射の兆候が具体的に見えたときに、何らかの具体的なことも含めた警告を行う予定でございます。  現時点で申し上げられることは、人、物、金の規制を検討することもあり得るとシンガポールで述べたこと以上のことはちょっと差し控えさせていただきたい。このことは、その中のことも含めて、発射の具体的兆候が見えたときに具体的に北朝鮮側に警告することがあり得る。そして、そのことをどの時点で公表するかについては、まさにその時点で、北朝鮮側に発射をさせないためにどういうふうにするのが一番効果的であるかということを米韓とも相談しつつ決めたい、こう思っております。
  102. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 少し時間が延びまして申しわけありません。以上で質問を終わります。  ありがとうございました。
  103. 二見伸明

    二見委員長 次に、冨沢篤紘君。
  104. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 公明党・改革クラブの冨沢篤紘でございます。  通告に従って、二点御質問を申し上げるわけですが、八月末に、平成十二年度予算防衛庁関係費の概算要求の時期になるわけなんですが、基地騒音防音工事関係費についてどんな取り組み方をされるのか、まずお伺いをいたします。
  105. 大森敬治

    ○大森(敬)政府委員 お答え申し上げます。  十二年度概算要求につきましてはこれから庁内で検討するわけでございますけれども、御指摘の航空基地周辺の航空機騒音問題につきます対策につきましては、かねてから防衛施設庁としても重視しているところでございます。この面で、住宅防音の、まあ量的にはかなり住宅防音も行き渡っているところでございますけれども、質的な充実をいろいろ図っていかなければいけないのではないかというふうに思っておりますし、また、その騒音に悩まされておられます航空基地周辺の方々への周辺対策の充実についても配慮していきたいというふうに考えておりますけれども、まだ概算要求作業がこれからということでございますので、現在鋭意検討中というところでございます。     〔委員長退席、浅野委員長代理着席〕
  106. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 基地周辺の自治体にとっても住民にとっても大変関心の高い事項でございますので、十分御配慮をいただきますように御注文を申し上げます。  七月の二十三日に第二次厚木基地騒音訴訟の控訴審判決が出まして、三点に要約をされるわけでございます。一つは、国は原告百三十四人に一億七千十七万円を支払え、二つ目は、自衛隊の飛行差しとめ請求は不適法である、三つ目は、米軍機の飛行差しとめ請求は失当で棄却する、こういう内容でありますが、損害賠償請求は認めて、航空機飛行差しとめ請求は退ける判決、これが地裁の判決に続いて定着をしたところでございます。  七月三十一日の新聞報道によりますと、原告が上告を断念したという報道がございました。控訴審判決の当日に防衛施設庁の篠塚調停官が、関係機関と調整の上、対処してまいりたいという御発言がありましたが、国としては控訴審をどう受けとめてどう対処されるのか、お伺いいたします。
  107. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 このたびの判決におきましては、今委員から御指摘ありましたとおり、夜間飛行等の差しとめ請求及び騒音到達の禁止請求については、まず米軍機については却下について控訴したものをさらに棄却した、あるいは自衛隊機については訴えを却下したということであります。こういうことによりまして、飛行差しとめ及び危険への接近といいましょうか、飛行場があるのに、わかって住宅を後から建てた人に対する危険への接近の法理については、国側の主張が裁判所の理解を得たということになります。  それから、損害賠償につきましても、将来分の請求については却下されて、過去分の請求については一部認容されたという格好であります。  いずれにしましても、当庁としましては、これまで住宅防音などの各種周辺対策やNLPの硫黄島への移転による音源対策に努めてきたところでございますが、厚木飛行場周辺住民負担の軽減を図るために、今後ともなお一層努力してまいりたいと思っております。  お尋ねの、最高裁判所に上告するのかというお話でありますが、この点につきましては、関係機関と今調整中でございます。
  108. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 過去の損害賠償のみを認める司法判断が定着をしたようでございますが、今まで国は、基地は平和と安全のため高度の公共性がある、防音工事も実施しており、騒音被害は受忍限度内である、こう主張をしてまいりましたが、司法の判断でこれは認められなかった。被害補償が防音工事では不十分である、行政はもっと新しい対策をしなさいと裁判所が新しい対策を促している、私はこうとらえておるのですが、当然、防衛庁としては、司法のこの判断にこたえなければいけないはずであります。防音工事だけでは不十分だ、こういうことで損害賠償を認めたわけでございますので、何か新しい施策を当然お考えになっておられると思いますが、いかがですか。
  109. 大森敬治

    ○大森(敬)政府委員 ただいま委員指摘のように、今回の判決におきまして、現在の防音工事を主体とする周辺対策につきましては不十分であるというふうな判決になっているわけでございまして、この点につきましては、基地問題を直接担当いたしております防衛施設庁といたしましても、厳粛に受けとめなければならないというふうに感じているところでございます。  我々といたしましては、基地周辺の方々の騒音緩和ということで各種周辺対策を実施しているわけでございますけれども、それについての理解が十分得られなかったということは、ある意味で非常に残念であるといいますか、我々の努力不足の点があるということも認めざるを得ないというふうに思うわけであります。  ところで、現在、私ども防衛施設庁の基地対策は、御案内のように、周辺整備法に基づきまして実施しているわけでございまして、このような施策につきましては、障害を防止する等の用途に充てられるものでありまして、使途を限定することが不可欠の要件というふうになっております。  また、確かに判決におきましても、精神的な被害といいますか、苦痛が限度を超えているというふうな指摘でありますけれども、飛行場周辺の不安感を除くための、精神的な、情緒的な被害につきましては、財産的な被害と異なりまして、一般に、国の損失補償にはなじまないというような理解で私どもはいるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしまして、使途を限定しない交付金や、一般的に、精神的な損害に対する補償金というふうな制度を設けることは極めて困難だというふうに思っております。  しかしながら、現実に厚木飛行場の周辺の方々の負担は存在するわけでございますので、防衛施設庁といたしましても、現在の周辺整備法というものの基本を踏まえながら、周辺の方々の負担を軽くするための施策というものを何とか追求していかなければいけないということで、鋭意検討しているところでございまして、関係自治体の御意見や、また周辺住民の方々の具体的な御要望も拝聴しながら、さらに勉強をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  110. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 長官の御答弁は、判決は厳粛に受けとめる、努力不足も認める、しかし、現行法内では新しい対策を考えるのは困難で、周辺整備法の中で対応していく、こういうことに尽きるわけであります。  私はかねてから、厚木飛行場を初めとするNLPの行われている軍用飛行場に進入表面下騒音被害補償制度を新設しなさい、こういう要求を、政策を打ち出しておるのです。  今までの議論の中で、基地対策の補助金や交付金は、今もお話があったとおり、使途を限定することが必要条件である、この壁があるわけでございます。しかしながら、地方自治体では、航空機騒音に、使途を限定しないお金が町内会に出ていることも事実でありまして、石川県の小松基地では、航空機騒音被害特別調整交付金、年五千万円出ている。青森県三沢市では、航空機進入表面下町内会等交付金で、年二千万円、百八町内会に出ている。これは私の調査の範囲ですが、ちっとも使途は限定されていません。町内会、自治会に交付をされている。  地方自治体、市や県でやっている仕事がなぜ国でできないのか、この御説明をいただきたい。
  111. 大森敬治

    ○大森(敬)政府委員 私ども防衛施設庁の基地対策の基本的な考え方は周辺整備法に出てきているわけでございまして、防衛施設庁といたしましては、やはり基地の運用に伴います具体的な被害ないし騒音に対しまして、それに対する具体的な措置を行うというふうなことが基本的な枠組みになっておりまして、したがいまして、周辺整備法もそうでございますけれども、因果関係のもとに具体的な施設の整備その他施策を講じているわけでございまして、防衛施設庁といたしまして、現在の国の仕組みの中において地方公共団体への一般財源というような形で補助をするというふうなことにはなっていないわけでございます。
  112. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 地方自治体が進入表面下の町内に被害補償をしている。国はできない。そのできない理由は、基地対策の補助金、交付金は使途を限定することが必要条件である。この使途を限定することが必要条件、これは一体だれが決めたんですか。法律に決まっているんですか。使途が限定できなければ基地対策の補助金、交付金が出せないという根拠はどこにあるんですか。
  113. 大森敬治

    ○大森(敬)政府委員 先ほど来申し上げていることの繰り返しになるわけでございますけれども、私ども、整備法に基づきまして基地対策を実施しているということでございまして、具体的な被害というものに対する具体的な措置、そこの相当因果関係のもとに施策を講じるというふうなことでございまして、防衛施設庁といたしまして、地方公共団体への一般財源に繰り入れるような形での施策というふうなことは現在やっておらないわけでございます。
  114. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 使途を限定できなければ金を出さないというのは、大蔵省が予算査定のときに勝手に決めたことです。法律に決まっているわけじゃないんですよ。ですから、施設庁長官にお尋ねしてもこれ以上答弁は進みませんから防衛庁長官にお伺いしますが、予算査定の大蔵省の役人の物差しに政治家が振り回されていてよろしいんですか。  厚木基地というのは、米軍のNLP訓練の行われる特殊な、限定的な軍用施設であります。そのNLP訓練から発生する騒音が受忍限度を超えている。そして、国が裁判で負けて、被害補償をしなければいけない。しかも、裁判で訴えている方々は、補償金を受け取る人間は、国防も安保体制も認めない方が裁判に訴える。防音対策不十分でも国のために我慢している人は大勢いるんですよ。ここへ何も救済措置ができない。安保体制を認めていない人には金を出すけれども、国防を認めている人に一切救済措置がない。極めて限定的な航空施設にこのくらいの配慮は政治家の配慮で当然やるべきである。  大蔵省の役人の予算査定のそんな枠の中で防衛庁長官という政治家がとどまっていてよろしいんですか。私はおかしいと思う。
  115. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 貴重な国民の税金でありますから、つかみで何かに使ってくれというような予算の使途は私はできないものだと思います。やはり国費を支出する場合は、使途を特定しない予算の支出は不可能だと思います。  それと同時に、先ほどから施設庁長官が答弁しているとおり、周辺住民精神的、情緒的被害については、一般的に国の損失補償になじまないということに従来からなっておりまして、そういう意味で、この両方を踏まえた騒音補償制度を設けることは大変困難であるということは先ほど来答弁しているとおりであります。  しかしながら、厚木飛行場の周辺対策は重要であるということは私どもも十分認識しているところでありまして、同飛行場周辺の騒音問題について、地元の要望に見合う何らかの措置ができないだろうかというふうに考えておりまして、何とかそこを知恵を出すように今防衛施設庁に引き続き検討させているところであります。
  116. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 申し上げましたように、石川県小松市でも青森県の三沢市でも工夫をして航空機騒音への交付金制度をつくっている。地方自治体はやっているんですよ。国ができないわけがない。できないのは、予算査定の大蔵省の判断に従っているからできない。新しい制度を政治家がつくれば、つくりなさいと防衛庁長官が命令をすればできるはずですよ。これは役人じゃできないんです。どうですか、御決断いただけませんか。
  117. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 小松とか三沢とかやっておりますけれども、これは、地方公共団体の場合はそういう裁量権が働く余地がかなりあるのじゃないかと思います。私も定かに研究したわけじゃありませんが。ですから、国の場合において、伝統的に、そういった情緒的な補償をやるとか、あるいは使途を限定しない予算の支出をやるということは、これは非常に難しくて、許されないことであると私は考えております。  しかし、今委員お話ししたとおり、訴訟して勝てば一部過去の分については補償がなされる、こういう繰り返しでは大変困るわけで、裁判所が判定して、過去の損害に対する補償ができる、こういうことが判決があって、過去のそういった騒音等に対する損害ということがもし我々の方でも認定できるならば、それについて、裁判を起こさない、協力をいただいている方を救済する何かの措置が他にないか、こういうことが私どもの今検討の中心でありまして、そのことについて鋭意検討している、こういうことを申し上げているわけであります。
  118. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 釈迦に説法かもしれませんが、一府十二省の新しい設置法も、役人の権限規定を削除して、そして法律と条例だけで国家、地方自治体の運営をする、裁量行政をやめる、これが基本です。  基地対策の補助金、交付金が使途を限定しなければ出せない、これは予算査定の大蔵省の裁量行政ですよ。こんなことをいつまでも、こんな枠の中で行政運営をしていたのでは、安保体制をしっかり基地周辺で支えていく、その住民の期待にこたえられないわけです。何とかここのところを突破して、そして防衛の谷間で騒音に苦しんでいる住民に行政の光を当てていく、これは政治家の仕事ですよ。  ぜひひとつ、ここのところに一歩踏み込んで、新しい対策を出していただくよう、平和と安全のための高度の公共性があるけれども防音工事だけでは不十分と司法が判断を出しているんじゃないですか。これは防音工事だけでなく、新しい施策を行政に促している、私はこう受けとめておるんです。防衛庁長官、もう一回そこのところをお答えください。     〔浅野委員長代理退席、委員長着席〕
  119. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 何遍も同じ答弁になって恐縮ですが、委員指摘されることも十分にしんしゃくしながら検討してまいりたいと思っております。
  120. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 終わります。
  121. 二見伸明

    二見委員長 次に、西村眞悟君。
  122. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 尖閣諸島安全保障委員会としていつ行くかという時期ですので、やはり尖閣諸島について質問させていただきます。質問というよりも、確認と提案をさせていただきたいと存じます。  まず、外務大臣が午前中の御答弁で、尖閣諸島我が国の固有の領土であり、実効支配しているとおっしゃいました。主権国家の本質というのは、領土領海、領空、つまりテリトリーは国家にとって神聖であって、その不可侵性を守り続け、主張し続けるのが主権国家である。これは小さな島といえどもそうでありまして、石垣市から百七十五キロ離れた尖閣諸島についてもそうでございます。このことは、一つ領土の物理的な利益という以上に国家の尊厳にかかわることであろう、このように思っています。  本国から一万三千キロ離れたフォークランドに対するサッチャー首相の考え方をここでちょっと「サッチャー回顧録」から引用させていただきます。  「われわれが一万三千キロもかなたの南大西洋で戦ったのは、領土やフォークランドの住民たちもむろん大切だったが、それ以上に大切なことのためだった。われわれは国としての名誉、そして全世界にとっての基本的な原則、すなわち何よりも国際法が力の行使に勝たなくてはならないという原則を守ろうとしていたのだ。」  それから、ちょっと飛びまして、「一九五六年のスエズの大失敗以来、イギリスの外交政策は長期にわたって後退を続けていた。イギリス政府と外国政府の暗黙の想定は、世界におけるイギリスの役割は縮小する一方の運命にあるというものだった。イギリスは友からも敵からも、戦時はおろか平時でも、自国の利益を守る意思と能力のない国だと見なされていた。フォークランドにおける勝利はこれを変えた」。  主権国家の任務は、テリトリーを神聖なものとして保護する。なぜ神聖かといえば、それはサッチャー首相が回顧録で触れているように、国家の尊厳がそこにかかっているのだ。そして、我々は尖閣諸島、小なりといえども我が国固有領土として実効支配しなければならない。これについては、両大臣御異存ございませんでしょうか。そして、その神聖なテリトリーを守ることが外交、国防の重要な任務であるというこの点についての御確認を両大臣にいただきたいと思います。
  123. 高村正彦

    高村国務大臣 フォークランド諸島については、突然の御質問なので私は今詳しい話はわかりませんけれども、私が認識している限りで言えば、あのときはアルゼンチン側が軍事力をもって現状を変更しようとした、それに対して、遠くの島ではあるけれども、英国がみずからの主張する主権を守るために軍事力を行使した、こういう案件だったと思います。  ですから、今の尖閣でどこかの国が軍事力で現状を変更しようとしているという事態はないので、全く同列には論じることはできませんが、今、日本尖閣諸島において実効支配をしております。そして、固有の領土であります。こういった主権はきっちり日本国の意思として守らなければいけない、その限りにおいてはそのとおりだと思います。
  124. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 フォークランドの問題、サッチャーの対応のあり方については外務大臣の見解のとおりであろうと思います。  しかし、我々の場合は、尖閣列島は我が国固有領土でありまして、我が国は現にこれを有効に支配しているわけであり、したがって、自衛隊の任務の遂行についても我が国の他の領域と同様に考えていかなければいけないものである、こういうふうに考えております。
  125. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 さて、実効支配しておるところは、我が国の例えば伊豆七島もそうでございますけれども、あそこに上ってくる外国人があれば密入国者として逮捕しておるわけですね。実効支配しておるし、尖閣諸島を武力で奪取しようとする国はないとおっしゃいましたけれども、まさに中国は大規模なリハーサルを繰り返しております。この具体的な状況を申し上げて、この状況の中での実効支配とは何かということについて提案させていただきますので、御答弁をお願いいたします。  さて、中国は大規模なリハーサルを繰り返しておる。どういうリハーサルかといえば、大まかなところを挙げれば、一九七八年、百四十隻の武装民兵数百名を乗せた漁船が来た。尖閣諸島領海に入った。逮捕、拿捕ともにゼロである。一九九六年九月、十八名の活動家と四十四名の報道陣が乗船してこの海域に侵入した。逮捕はしていない。逮捕ゼロである。一九九六年十月七日、四十一隻が再び領海を侵犯した。四名が魚釣島に上陸した。逮捕した者、拿捕した者ゼロである。一九九七年四月十六日、中国海洋調査船「海洋十三号」が石垣、宮古周辺の領海を侵犯した。海保は、停船、臨検をしていない。一九九七年五月二十六日、三十隻でデモ隊が来た。うち三隻が日本領海侵入した。逮捕した者、拿捕した者ゼロである。一九九九年五月三十日、「奮闘四号」海洋調査船が領海を侵犯した。海保は、停船、臨検していない。一九九九年六月十日、中共の海洋調査船「勘四〇七号」が領海を侵犯した。海保は、停船、臨検をしていない。一九九九年五月十四日から十六日にかけて、フリゲート艦など十二隻の軍艦が、領海侵犯はしなかったものの尖閣諸島近くで不可解な行動をしたのである。  伊豆七島は実効支配しておる。したがって、伊豆七島では不法に上陸した者は密入国者として逮捕する。これは密入国ではないんです。密入国というのは、我が国の主権を認めてこっそり上がってくるんですが、この尖閣諸島領海を侵犯し、また上陸した者は「密」ではない。つまり、我が国の主権を否定して、そこは日本国の領土ではなくて、我々は中国領土であるから中国人として堂々と上がるんだといって上がった者を、逮捕も拿捕も一例もない、こういう事態でございます。実力を行使している。武装した漁船百四十隻が既に、トウショウヘイ副主席が日中平和友好条約を締結する直前に来て威嚇行動を行っております。  さて、この意図は那辺にあるかということを日本の国防白書平成十一年版から引用させていただきます。  つまり、中国の国防政策としては、中国は、「世界的規模の戦争は長期にわたり生起しないとの情勢認識に立って、領土領海をめぐる紛争などのより局地的な戦争への対処に重点を置くようになった。」これは白書六十五ページです。  次に、中共の軍事態勢について、白書六十七ページは、中共は、上陸演習を含む大規模な演習を実施しておる。そして中段以降、我が国固有領土である尖閣諸島やASEAN諸国などと領有権について争いのある南沙諸島、西沙諸島などを中国領と明記した領海法が九二年二月に施行されたことに続き、一昨年三月に国防の基本法として制定された国防法において、領土領海、領空の安全の防衛と並んで、海洋権益の擁護が明記されているところである、これが中国の軍事態勢ですね。  それから、次の六十八ページに、「なお、日本尖閣諸島をめぐっては、日本領海を含む周辺海域において、近年、中国海洋調査船により、海洋調査と見られる活動が行われているほか、中国の海軍艦艇の航行も確認されており、例えば、本年五月には、初めて十数隻の規模の中国の海軍艦艇が航行したことが確認されている。」  この我が国の防衛白書と大規模なリハーサルに対する日本の従来の対応を見てみた場合に、この政府の、防衛庁の作成した防衛白書自身が、中国は、尖閣諸島を南沙、西沙と同列の、我が国領土ではなくて中国領土だと規定して、そして南沙、西沙でやったと同じことを我が国の尖閣に対してなさんとしている、こういう中国の態勢にある。南沙、西沙は、アメリカがスービックから出ていったもので力の空白が生じておるので、直ちにそれを実効支配した、実力支配した。しかし、尖閣に関しては、日本がおるので南沙、西沙のようにはいかないけれども、執拗に、一歩一歩、そしてついに、今年五月には海軍艦艇が姿をあらわして、不可解な行動をとっておる。したがって、このまま実効支配しているという、尖閣を侵す国がないという前提でこのまま推移して、果たして冒頭に我々が確認いたしましたテリトリーという神聖なものを守るべき国防、外交の任務が果たせるのか否か、これが大問題でございます。  さて、尖閣を中国領土だと規定して、日本領土を否定して上陸した者も、領海侵犯をした者も、今までやられっ放しで、拿捕、逮捕した者がゼロであるというこの状態は、実効支配しているという一つの御答弁にかんがみ、あり得べき状態なのか、あり得べからざる状態なのか、これを外務大臣、御答弁いただいて、防衛庁長官も、私の先ほどの防衛白書に基づく認識、中国がまさにとらんとしている、この認識についてちょっと確認させていただきたいと存じます。
  126. 高村正彦

    高村国務大臣 それは海上保安庁等取り締まりの衝に当たる者が、諸般の状況を通して見てそのときそのときで対応したものと考えますが、それぞれ、今後、逮捕する場合もあり得ましょうし、いろいろなことが想定されるだろうと思います。  具体的な状況について私存じませんので、それ以上のコメントは差し控えたいと思います。
  127. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 本年五月、七月を中心にして、五月以降四回にわたって中国海洋調査船が我が国領海侵入しているわけであります。  海上における治安の維持につきましては、委員がよく御承知のとおり、第一義的には海上保安庁が担当することとなっておりまして、これらの艦船についても、海上保安庁の巡視船艇が追尾、監視を行うとともに、作業中止要求や退去要求を行ったと伺っております。また、海洋調査船による領海及び排他的経済水域における我が国の同意なき違法な海洋調査活動につきましては、外交当局によるしかるべき申し入れが行われ、問題解決のための外交努力が行われておるものと承知しております。  これらの情報を総合的に勘案しながら、防衛庁としては、もし第一義的に海上保安をつかさどっている海上保安庁がこれらの追尾、監視等を行うことが困難となった場合、不可能となった場合、あるいは著しく困難となった場合で運輸大臣から内閣等に要請があった場合に、自衛隊が何らかの対応を迫られることになる、こういうふうに考えております。
  128. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 今まで海保が対応して、先ほど申し上げたように、逮捕者、拿捕ゼロであるということは、防衛庁が「日本の防衛」でみずから情勢を分析して説明されているように、これは海上保安庁が漁業法違反であるとか密入国であるとかいう対象を取り締まる領域を既に越えて、防衛庁長官の領域に入っているということを防衛庁自身が認めておられるのです。  さて、海保は対処能力はありません。海保の船と護衛艦の装備とを比べていただいたらわかるとおり。また、海保が今までやっておるといって、だれも逮捕していない。これは、主権国家にあるまじきことなんだ。中国から見れば、我が国は尖閣周辺において主権を放棄していることになる。この状況の中で実効支配というものはいかなるものであろうか、これから提言させていただきますけれども、防衛庁長官に御所見を賜りたい。  まず、今民間団体が設置した灯台がありますけれども、あれは我が国政府は灯台と認めておりません。したがって、多分、水路誌にも海図にも灯台として表記されていないのでしょう。しかし、暗い海の中で水路誌、海図にない光があるということは非常に危険なことで、自船の位置を錯覚さすわけですね。  したがって、尖閣周辺の状況の中で我が国が実効支配をしておるということを示すためには、魚釣島に接岸設備を建設する、魚釣島にヘリポートを建設する、魚釣島を含む島に灯台を建設する、陸上自衛隊一個小隊を魚釣島に駐屯さす、そして交代勤務をさす。これによって、我が国が実効支配していると防衛庁がみずから認めるこの状態、そして我々が過去に尖閣を侵犯した中国人に対して何もしなかったがゆえにますますエスカレートしてくるかの国を節度ある範囲にとどめて、そして普通の国同士の問題として処理させるためには、これが必要であると私は思います。  領土の問題というのは非常に重要でございまして、なぜ日ロ平和条約が結べないのか。これは領土の問題。領土を抜きにして日中友好も何にもないのです。日中友好であるから、尖閣諸島我が国領土であると明確に国会議員が行けば、中国を刺激して日中友好を損なうからこれは控えねばならないというセンチメンタルな話ではないのです。  したがって、どうですか、魚釣島に接岸設備やヘリポート、灯台を建設し、陸上自衛隊一個小隊を駐屯させる、これに抗議するならば円借款を打ち切る。そして、領土は平和条約の前提問題ですから、日ロが領土の問題が処理できないので平和条約が結ばれないように、中国が南沙、西沙と同じように軍艦をもって周辺を遊よくするならば、そしてその意図は明確に尖閣が中国領土だからという意図でございますから、日中平和友好条約など放棄したらいいのです。  三つの実効支配のことを、具体的な提案をさせていただきましたが、防衛庁長官、「日本の防衛」という防衛白書を前提にしていかにすべきか、長官の領域に移っておりますのですから、ちょっと御答弁いただけますでしょうか。
  129. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 防衛白書には許される範囲のことを書きましたが、さっきから申し上げておりますとおり、海上警備の問題は保安庁が第一義的にやっているわけで、中国に対しまして、尖閣列島周辺に来た場合には、海上保安庁から行動の中止とか領海外への退去とか厳しく抗議していると聞いておりますし、また、直ちに外交ルートを通じてその要請をしていると私どもは聞いております。  今の時点で防衛庁が直ちに出動するようなことは、私は法律上非常に不可能だと考えております。
  130. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 これから議院の国政調査権についてちょっと触れたいと思います。  行政と立法は、同じテリトリーを守るという崇高な任務のために、国民から負託された任務を果たさねばなりません。我々立法は、今長官御答弁されたような領域において、いかなる立法が必要なのかということを具体的につくっていかねばならない。  さて、何も見たこともないところに、あそこに日本人の墓があるのか、工場跡はあるのか全くわからない、そういう中に我々立法府がおるわけにはいかない。したがって、国政調査権として我々は、この中国領海法を制定して中国のものだといって今言うたようにとりに来ているところをこの目で見てもいいのではないか。その上で対策を立法府として立てる。この国政調査権に対して、外交は水際まででございますから、立法、行政一致して、行政は協力してしかるべきではないか、このように思います。仮に安全保障委員会が行くことになれば、委員長を通じて、このような具体的ないろいろな作業をともにしていただくことになるのでございます。  国政調査権に対して、行政は、特に国家の最大の重要課題についての立法府の国政調査権発動に関しては、最大限の協力を惜しまないというのが筋ではないかと思いますが、防衛庁長官、いかがでございますか。
  131. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 委員のおっしゃるとおり、国政調査権は最大限に尊重されなければいけないと思います。  本委員会におきまして、委員会の意思がまとまりまして、国政調査権に基づいて尖閣列島を調査するというようなことが具体的に決まれば、私どももそれに対応して検討してみたい、こういうふうに考えております。
  132. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 最後に申し上げますけれども、中国は、領海法を制定して、尖閣は中国領土だと言っておるわけですね。国防法を制定して、領土領海、領空の安全防衛、海洋権益の擁護をするとやっておるわけですな。つまり、中国の国内法から見れば、尖閣は中国領土であって、そして、その領土を守ることが任務として国防法に記載されておる。  さて、駐日中国大使が、安全保障委員会尖閣諸島に重大な関心を持っているという報道がなされるや否や、外務省、内閣、また与党各党を訪問して、何を言ったか知りませんが、尖閣に関して何か意見を言って回っておる。我が国内において、我が国土を否定するロビー活動を許していいのか。  外務大臣、こういう大使は厳重な抗議をしなければならない。我々は、日中友好、それは大賛成である。したがって、日本人らしく抑制をきかせて今まで対応してきた。しかし、かの国はそうではない。我々の対応の姿勢を見て、ここまでやってもまだ大丈夫だと思っている。またやって何も逮捕することもしない。したがって、まだやってもいいと思っておる。そしてついに、日本領土において日本領土を否定するロビー活動を、外務省であれ、内閣であれ、立法府であれ、やりまくっておる。こういうふうな外交官が日本におっていいのだろうか、抗議ぐらいすればどうだと私は思うんですが、外務大臣、いかがでございますか。
  133. 高村正彦

    高村国務大臣 総理訪中前よりしばらくの間帰国していた陳健駐日中国大使でありますが、日本に戻ったあいさつと、先般の総理訪中に対する謝意を伝える等の目的で、野中官房長官及び柳井外務事務次官を訪問されたわけであります。  その際、二十九日付の本邦紙において、衆議院安保委員会尖閣諸島を視察する方針を固めた旨報じられていることに対し強い関心を有している旨述べるところがあり、これに対して、我が方から、政府として承知する事実関係について説明したと承知をしております。日本の外務当局としてごく当然のことをした、こう思っております。  ちなみに、竹島は日本固有領土であると日本は思っていますが、韓国は、韓国が実効支配している、こう思っているわけであります。その竹島の関係でいろいろあると、日本の駐韓大使は韓国政府に対していろいろ関心を申し述べに参ります。そういったときに、韓国側から、内容については違うという反論がありますが、そのこと自体がけしからぬとかそういうようなことはないわけでありまして、やはり、外交官同士が自分の国の主張に基づいて活動することを直ちに我が国の内政干渉だとかということは、必ずしも当たらないのではないかと思います。
  134. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 ありがとうございました。これでやめます。
  135. 二見伸明

    二見委員長 次に、佐々木陸海君。
  136. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。  七月の六日に、内閣安全保障危機管理室、それから防衛庁、外務省の連名で「周辺事態安全確保法第九条の解説(案)」という文書が発表されております。きょうはこれについて質問したいと思いますが、まず、これに「(案)」とついている理由について説明をお願いします。
  137. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 周辺事態安全確保法の九条につきましては、特別委員会での御審議の過程におきまして、マニュアルあるいは解説と、いろいろ言葉はございましたが、そういったものをつくるという御答弁を申し上げた経過がございます。その際に、ただ単に政府側で一方的につくるのではなくて、地方公共団体等の御意見もよく伺ってみたいということを私申し上げた記憶がございますが、そういう中で、今回七月六日に、御指摘の「解説(案)」というものを作成いたしまして、関係の地方公共団体等にお配りをしておる次第でございます。  これは、「(案)」とつけましたのは、そういう意味で、これからこの中身につきまして、地方公共団体等各般の御意見を伺いたい、そういう中で、さらに補足すべきところがあれば補足して、よりよいものにしてまいりたい、こういう趣旨でございます。
  138. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 既に地方公共団体の意見を聞くというようなことはやっておられると思うんですが、今、それを受けて補足することがあればということをおっしゃいましたが、今出ているこの「(案)」について、追加をする、あるいは削除をする、あるいは修正をする、すべての可能性があると見てよろしいんですか。
  139. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 まさに今意見を交換しているところでございまして、その結果がどうなるかということを今ここで申し上げるわけにはまいらないと存じますが、私ども、ここに書いたことが、間違いが書いてあるとは実は思っていないわけでございます。ただ、さはさりながら、その中で非常にわかりにくいとか、あるいはまた、私どもの立場からは気がつかなかった、地方公共団体側からこういうことについての解説も欲しいというようなことがあろうということを予想いたしまして、今意見交換をしておるところでございますので、そういったような方向で、今後修正すべきところがあれば修正してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  140. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 では、今出されている「(案)」について、地方公共団体の意見などを聞いた上で、補足はもちろんあり得るし、修正もあり得るということを伺ったということにしておきたいと思います。  では、この「解説(案)」の内容のうち、特に地方公共団体、地方自治体の協力問題についてお聞きをしたいと思います。  周辺事態に際して、九条一項に基づいて、政府が自治体の管理する港湾や空港の使用などを求める際に、政府は強制ではないと言ってきました。では、どういうときに自治体は拒否できるのか。「解説(案)」によりますと、「使用内容が施設の能力を超える場合等、正当な理由がある場合」には拒否することができると述べています。施設の「使用内容が施設の能力を超える場合等、」という表現があります。それから、「施設能力を超える」という言葉もあります。これが正当な理由の一つだということですが、「等」というからには、「施設能力を超える」という場合以外にも正当な理由があり得るということでよろしいのですね。イエスかノーかで結構です。
  141. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 ただいまの件につきましては、衆参両院のガイドライン特別委員会においても幾つか御議論があったところでございます。  ちなみに、本年四月十三日には防衛庁長官から、その「正当な理由」の中身について、そのほか幾つかを挙げておる次第でございます。
  142. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 地方自治体の長が、これはどちらにしても軍事的な問題への協力でありますから、地域住民の不安や危惧の声を考慮して、住民の生命と安全を守るという立場で米軍による空港や港湾の使用を拒否する場合、つまり住民の生命と安全を守るという立場で拒否するという場合、これは正当な理由になりますか。
  143. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 周辺事態安全確保法につきましては、もうガイドラインの特別委員会で何度も政府側からも御答弁申し上げておりますが、まさに我が国の平和と安全に重大な影響を及ぼしかねない事態あるいは及ぼし得る事態というものを想定しておるわけでございます。したがいまして、それによってとる措置というのは、まさに我が国自身の平和と安全のための措置でございます。そういう中で、今御指摘のような、米軍が使うことによって危険が生ずるという御指摘そのものが私どもにはなかなか理解しがたいところでございますが、この九条に基づきますお願いと申しますのは、あくまで現行の法令に従っての使用でございますので、したがいまして、そこで一般的な安全基準なりそういったものは何ら変更していないわけでございますから、そういうような危険というようなことは考えられないというふうに申し上げている次第でございます。
  144. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 危険は考えられないと。この文書の中にも、周辺住民に危害が及ぶことは想定されないというふうに確かに書いてあります。  しかし、周辺事態での米軍の行動というのは戦争そのものである場合が当然あり得るわけですから、むしろその方が多いわけですから、戦争に参加する米軍への協力であります。演習じゃなくて、まさに戦争に出かけていく兵士がこの空港や港湾を利用することがあり得るし、武器弾薬の輸送などもあり得る。  ですから、現実の問題として、ベトナム戦争の際もそうでしたけれども、いろいろなことが起こってきているわけでありまして、この文書の中では、米軍が法令を守るから危害は想定されないというふうに言っているのですが、しかし、これまでの現実に照らせば、想定されないなんていう簡単な断定、危険はないんだというような断定はできないのじゃないでしょうか。いかがですか。
  145. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 周辺事態におきまして行動する米軍と申しますのは、確かに我が国の領域を離れたところで行動しておるわけでございます。そして我が国に参って、港湾あるいは空港等の使用というものは、直接の戦闘行為あるいは武力行使と申しますか、そういうものとは関係のない行為をしておるわけでございまして、その意味において危険はないということを申し上げている次第でございます。
  146. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 しかし、その港湾や空港の管理を預かっている自治体の長にしてみれば、現実の問題に照らして何か危険が生ずる可能性は十分あり得る、それを理由にしてお断りするということがあっても、これは絶対おかしくないんじゃないかと私は思うのですが、そういうのは正当な理由とは認めないということですね。
  147. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたような事態でございますので、具体的な危険というものを地方公共団体の側で指摘するということができるとは私は思っておりません。
  148. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 少し乱暴な議論だと思います。  別の危険もあります。  大体、野呂田防衛庁長官自身が周辺事態法案の審議の中で、周辺事態でありますからどこからミサイルが飛んでくるかわからない、それは何も後方地域の中だけじゃなくて東京へ飛んでくるかもしらぬという状況がある、例えばこれは三月八日の参議院予算委員会で述べていたほどであります。  高村外務大臣も法案そのものの審議の中で、巻き込まれる危険性、火の粉が降りかかってくる危険性が全く排除されない、そういう危険性があるということをこの委員会で何度も申し上げましたと強調をしているわけであります。これは四月二十二日のガイドライン特別委員会です。  こういう意味での危険性も一般的には排除されていないと私は考えるのですが、それも理由にならないわけですね。
  149. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 ただいま、ちょっと私がその御指摘答弁の議事録を持っておりませんので、それにつきまして正確なことを申し上げられませんが、一般的に申し上げまして、例えば、あるAならAという市なり県なりの港湾なり飛行場なりというものをこの九条一項に基づいて使用をお願いする。そうしますと、そのAなる市なり県なりのその港湾あるいは空港等が具体的に危険であるということを市町村の側あるいは県のサイドから指摘されるということは大変困難ではないかというふうに思います。  一般的に日本のどこかに何かが飛んでくるというようなことでは、なかなか法令上の正当な理由というのには当たらないのだろうと思いますし、また、このガイドライン法そのものが、そのような日本全国に対します危険というものを避けることを主眼とした法律でございます。そのようなことに至らないようにしようという法律でございますので、その趣旨からも、ただいま申し上げたようなことになろうかと存じます。
  150. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 しかし、この周辺事態法、ガイドライン法そのものが第六条で、後方地域支援活動の中断ということも規定しているわけでしょう。だから、後方地域になる港湾なりなんなりが、そういう事態になって中断するということだってあり得るわけですから、全然そんなことはあり得ないのだと頭から決めてかかって、自治体がそういうことで言ってくるのはもう全部正当な理由にならないんだなんていう理由にならないのじゃないですか。いかがですか。
  151. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 周辺事態安全確保法におきます「後方地域」という規定の中に、「我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海」というふうに規定しておるわけでございます。  したがいまして、これは、今御指摘の中断云々の部分というのは公海の部分ということでございまして、我が国の領域そのものが戦闘に巻き込まれているということを想定している法律ではございません。
  152. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もちろん我が国自身がそういうことに巻き込まれれば、これはもう周辺事態ではなくなってしまっているわけですから……。  実際の問題として、それはしょっちゅうあることだとは私も思いませんけれども、しかし、ジュネーブ条約の第一議定書の五十二条によっても、こういう港湾などが、アメリカと戦っている当事者から、これは何度も繰り返したことですけれども、報復の対象になり得るという可能性まで含めて考えれば、全くそういうことがあり得ないのだというふうに決めてかかることはできないではないかと私ははっきり指摘しておきたいと思います。  それはそのくらいにしますが、では、そういう住民の不安や危惧、これは政府の方で幾ら想定されないといったって、住民の側には、武装した米兵が来たりあるいは艦船が来たり武器弾薬がどんどん輸送されたりということになれば当然そういう危惧はあるわけですが、そういう危惧あるいはその他の理由で地方の議会が港湾や空港の使用を断るべきだという決議をして、地方自治体の長なりがその決議を理由に港湾や空港の使用を拒否した場合、これは正当な理由になりますか。
  153. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 法律の解釈として申し上げる次第でございますが、第九条第一項で協力を求めると申しておりますのは、地方公共団体の長に対してでございます。そして、その長に対して期待されていることは、地方公共団体の長が持っております法令上の権限の適切な行使ということでございます。  したがいまして、今御指摘の、関係の地方議会の議決等の問題があるわけでございますが、その権限の行使につきまして何らかの議決を要するという法令があるのであれば、当然それに拘束されるわけでございます。  その例としまして、例えば地方自治法の中で、たしか施設の一定期間以上にわたる独占的な使用だったかと思いますが、ちょっと条文が今ここに出てまいりませんが、それにつきまして御答弁した例がございますが、しかし、それ以外のものにつきまして、地方公共団体の長が行います法令上の権限の行使というものは、それぞれの法令に従って行われるべきものでございます。
  154. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 法令上法令上と言いますけれども、地方議会の決議などでは、もちろん法令に沿うものも、かかわるものもあるでしょうけれども、それにはかかわらない政治的な理由での拒否決議というものも当然あり得るわけですが、そういうものは無視しなさいということですね。
  155. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、あくまで法律の解釈として申し上げている次第でございます。  法律でございますから、当然のことながらその法令に従って措置をしていただくということでございます。ただ、御指摘のような地方議会の政治的な決議ということは、地方議会の権能として否定されるものではないのだろうと私は思います。  政府といたしましても、当然いろいろな機会に、地方公共団体の長はもちろんでございますが、議会の関係者あるいは国民一般にも御理解をいただきまして、万が一にも周辺事態というものが発生した場合には、各位の御協力をいただくようにしてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  156. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、議会の何らかの決議を理由にして地方自治体の長が協力を断ってくるという場合、それは正当な理由の場合もあるし、そうでない場合もあるということに分かれるということになりますね。よろしいですか。
  157. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、地方公共団体の長が持っております法令上の権限の行使につきまして何らかの地方公共団体の議会の議決が必要であるという場合には、当然それは法令上の拘束力を持つということになろうかと思います。  しかし、それ以外の場合、いわゆる政治的な意思表示ということであれば、それは必ずしも法律論といたしましては法令上の拘束力を持つものではない、こういうことだろうと思います。
  158. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 法律上の問題とかなんとかとあなたは言われるのですが、しかし、実際に協力を受け入れるのか受け入れないのかという問題があるわけでしょう。その場合に、自治体の議会が決議をした、その決議を理由にして拒否する場合には、その法令に照らしてみればこれはもう正当な理由にならないというふうにあなたは頑張るということですね。
  159. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 何遍も恐縮でございますが、この法律の解釈としては、正当な理由というのは先ほど来申し上げているようなことになろうかと思います。  しかしながら、実際の運用という意味で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、周辺事態というのはまさに我が国自身の平和と安全にかかわる事態でございますから、そのようなことのないように御協力いただけるような体制をつくっていくのが政府の仕事だろうと思っております。
  160. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そんなことは最初からわかり切っている話なんで、そういう中でも地方自治体がこれに協力してはいけないという決議をした場合に、それを理由にしたものが正当な理由になるのかならないのかということを言っているわけですよ。どうなんですか。
  161. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 周辺事態安全確保法の解釈という意味で、法律の条文からいえば、政治的な意思表示にとどまるものは法令上の効果は生じないということでありますから、その意味において、法令の適切な運用という面でも改めて判断されるべきものだと思います。個々の事態において判断されるべきものだと思います。
  162. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 政治的な決議は法令上の根拠にはならないけれども、しかし、個々の場合にはそれに応じて判断されるということで伺っておきましょう。  それで、法令法令ということを盛んに言われましたが、ちょっと一言聞いておきますけれども、港湾法に基づく地方公共団体の港湾条例というものがございますが、この港湾法と条例に従って地方自治体の長は判断を下すということになりますけれども、この港湾条例は現にあるものとしてちゃんと尊重するということでよろしいですね。
  163. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 港湾法に定めるところに従いましてつくられました条例と申しますのは、当然、周辺事態安全確保法九条第一項に申しますところの法令の範囲に入るわけでございます。
  164. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 次に、施設が満杯で使えないということで断るのは一つの正当な拒否の理由だということなんですが、しかし、この文書、「解説(案)」を読みますと、既に満杯になっている場合でも、自治体の長の側が、既に契約しているというのか、港湾、空港の使用を認めている民間の船舶や民間の航空機、その会社等々と調整を行うことがあり得るというふうにしております。  そうすると、これは結局、この調整というのは、要するに自治体の長が、既に入港などを許可した船舶や航空機の会社などに対して、米軍や自衛隊が来ることになったから来ないでくれ、あるいはずらしてくれ、別のところへ行ってくれということを頼むということにほかならないと思いますが、そういう意味ですね。
  165. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 「解説(案)」の八ページにおきまして、「競合する民間船舶に対して既に使用を許可している場合には、港湾管理者は、これを強制的に排除することを求められるものではないが、民間船舶との調整を行うことはあり得る。」というように書いてあるわけでございます。  この「民間船舶との調整」ということでございますが、私どもの承知するところでは、民間同士の場合でも、一般的にある種の優先順位の調整というものは行われていると承知しております。そういう調整権と申しますか、そういうものを発動していただくのは構いませんということでございます。  もちろん、それを必ずやってくださいということをこの解説で申しているわけではございませんで、一般の例に倣いまして、九条一項の場合でも、地方公共団体の長、この場合港湾管理者になりますが、港湾管理者の御判断で調整をしていただくのは構わない、こういう趣旨でございます。
  166. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その同じページに、その調整がうまくいかなかった場合に、自治体の長の要望を踏まえて国が調整に乗り出して調整するということもあるということですが、それもあり得るわけですね。
  167. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 国がやりますのは九条一項ではございませんで、九条第二項の協力の依頼ということになるわけでございます。  今の港湾の例で申しますと、地方公共団体の長が当然調整をされると思いますが、その過程で、当該船会社なりに対しまして国の方からも調整をしてくださいというような御要望があるのであれば、この九条二項に基づいて、国としては当該船会社等にお願いをするということは考えられるところでございます。
  168. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今、自治体の長が当然調整をされるだろうというようなことをおっしゃいましたけれども、自治体の長が調整するというのはそれを期待するというだけの話でありまして、調整しろというようなことを強制したりなんかすることはあり得ない、あくまでも自治体の長が自主的に調整をするという意味ですか、それとももっと強く調整しろと働きかけるということですか。
  169. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 ちょっと私、今、当然という言葉を使ったかどうか、申しわけございません、記憶しておりませんが、御指摘のところはあくまで港湾管理者の自主判断でございます。それを強制すべき内容はございません。
  170. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それから、国が九条二項に基づいて、さらに調整が調わなかった場合に出ていってやるということがあるのですが、これは、空港・港湾管理者による「要望を踏まえ」という文章がありますが、要望がなければしゃしゃり出てやるようなことはしない、必ずその長の、管理者の要望ということを前提にして動くんだ、要望ということはその前提なんだということでよろしいのですね。
  171. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 九条一項、地方公共団体の長の権限との関係におきましては、今御指摘のように、地方公共団体、港湾管理者が調整をした場合に、あわせて国の方からもやっていただきたいということがあればやりますという趣旨でございますが、一方、九条第二項で、これは民間に対します強制でも何でもない契約の依頼でございますが、それについての制限はないわけでございますので、国が九条二項に基づいて独自にやるということを制限するものではございません。
  172. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、結局、自治体の長からの要望がなくても独自にもやるということですね。「要望を踏まえ」と書いてありますけれども。
  173. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 ちょっと性格を異にするのだろうと思いますが、いわゆる港湾管理者としての調整というものがある場合と、そうではなくて、全くそのようなものはありませんが、何らかの事情で国側から船会社あるいは航空会社等に所要の依頼をすることはあり得るということを申し上げたわけでございます。九条二項でお願いをする範囲というものが、法文上必ずしも一定の場合に限られているわけではございません。
  174. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もう一つ聞いておきます。  「解説(案)」では、「協力の内容によっては、これを公表することにより、例えば米軍のオペレーションが対外的に明らかになってしまうといったことも考え得る。このような場合については、必要な期間、公開を差し控えていただくよう、協力要請の段階で、併せて依頼を行うことを考えている。」という文章がございますが、自治体の長が国から公表しないでくれと要請された場合に、議会から求められても公表はできないし、当該自治体の情報公開条例等々で請求された場合にも公表できないということになるのじゃないかと思うのですが、公表したらどういうことになりますか。
  175. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 この件につきましては、既に、たしか四月十三日でございましたか、本院のガイドライン特別委員会でも同様の御質問があったと思います。  私どもがここで書きましたのは、基本的には、地方公共団体や民間の協力というものは、まず基本計画の中で種類、内容等が記載されますし、その基本計画は当然オープンにされるものでございます。しかしながら、そこで実際に何らかの作業をお願いする場合あるいはやっていただく場合に、例えば輸送というような問題について私は御説明したわけでございますが、その輸送経路等についての細かい情報を公開することによりまして治安上の問題等が生ずるおそれもあり得るわけでございまして、そういった場合には、その一定の期間だけは公開を控えていただいた方がよろしかろう、こういう趣旨でございます。  したがいまして、極めて限られた期間というものを想定しておりますので、議会あるいは情報公開等々で事後に公開される部分には何らの問題も生じないと思いますし、そのようなおそれがなくなれば、いつでもそれは公開できるものでございます。
  176. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今ちょっと例も挙げられましたが、その対外的に明らかになって困るという米軍のオペレーションというのをもう少し具体的に説明してください。
  177. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 ただいま申し上げましたように、例えば輸送関係の依頼があった場合、その輸送経路等につきまして詳細な情報というものが明らかになった場合には安全上の問題が生じ得るということを申し上げている次第でございます。
  178. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それだけですか。要するに、オペレーションというのは、言ってみれば、米軍のすべての行動がオペレーションの一環であるということにもなるわけでしょう。だから、これは本当に限定してもらわないと。今、輸送ということを言いましたけれども、それだけですか。
  179. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 ここでオペレーションという言葉を使っておりますが、ごく一般的な意味で使ったつもりでございます。決して作戦行動といったような意味で使ったつもりはございません。いずれにいたしましても、今私どもで想定しておりますのは先ほどのようなことでございます。  ただ、それだけに限られるかとおっしゃられますと、具体的な事態が起こっていない今日、一定の範囲でしかないというほど確たることは申し上げられないと存じます。
  180. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 米軍のオペレーションが対外的に明らかになってしまうといったことも考えられる、それでは困る、そういうかぶせ方だと、本当に何でもこれに該当するということにだってなりかねないですよ。だから、具体的に起こっていないからまだわからないというようなことを言われましても、この文章を用いて何でもかんでも秘密にしてしまうという危険性も十分にあり得るわけです。  きょう幾つかお聞きしましたけれども、時間が来たようです。  例えば、輸送の経路を明らかにすると安全上問題があるというようなことを言われましたけれども、まさに安全上問題があるということは、危害が起きることは想定されないという文章とも矛盾するのじゃないかというふうに私は思いますよ。だって、危害が起こることが何にも想定されないと言っているんだから、安全上の問題なんか、そんなものあり得るはずないじゃないかということにもなりかねないわけであります。  だから、自治体の長への協力要求というのは、実際上、強制と変わらないことになるのじゃないか。つまり、拒否する正当な理由というのも極めて限定的に狭く解されて、そして、例えば例として挙げている、施設が満杯という場合でも調整することが期待され、そして、自治体の長からの要望があろうとなかろうと、政府は独自に調整作業みたいなものをやって、何としても受け入れさせようということをやろうとしているわけですし、それから、今、狭く狭くというような感じで言っていますけれども、オペレーションが対外的に明らかになっては困るということで、秘密裏にいろいろなことをやるという危険性もある。だからそういう意味で、これ全体を見まして、やはりこのような自治体協力を発動することは許されないということを申し上げて、質問を終わります。
  181. 二見伸明

    二見委員長 次に、辻元清美君。
  182. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党、社民党の辻元清美です。  私は、きょうは、日米新ガイドライン、それから先ほど質問がありました自治体協力、その他日本の外交政策について、時間の許す限り質問してみたいと思いますが、二十五分間しかありませんので、どこまで行けるかどうかというところなんですが、まず、一番最初に、日米新ガイドラインのメカニズムについてさらに詳しくお聞きしたいと思います。  私は、この日米新ガイドラインに基づきまして周辺事態法というのが成立いたしましたけれども、この新ガイドラインそのもののメカニズムというところがまだ不透明な部分が多いと思います。その中で、特に包括的メカニズムと調整メカニズム、これがどういう形で機能して、どういう構成で、そしてここでどういうことが話し合われているのかということは非常に重要であるかと思いますので、その点についてまず質問をしたいと思います。  まず、包括的メカニズムについては、どういう人たちで構成されているかという図のようなものは防衛白書にも出ておりますが、この実際的な事務局はどこになるんですか。
  183. 柳澤協二

    ○柳澤政府委員 先生御承知のように、非常に幅広い、関係省庁も含めて検討作業を行うためのまさにそのメカニズムでありますので、単一のそのための事務局というものが、政府に置かれた何か特定の会議の事務局というような形であるということはございません。  ただ、これも御承知のところと思いますが、一番その基礎的な部分の作業と申しますか、それは、最も緊密に活動をすることになる米軍と自衛隊との間のBPCがその一番下になる作業を行っているということで御理解いただきたいと思います。
  184. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、この包括的メカニズムはBPC、これは統幕が中心になっているかと思うんですけれども、そこが中心になって動かしていくと。  今度はこの調整メカニズムの方ですけれども、これについてはまだ詳細が公表されていないように私は承知しておりますけれども、調整メカニズムは現在のところ検討中というか早期に構築するため具体的な調整の方法などを含め検討を進めているというようになっておりますし、それからもう一つ、日米共同調整所というようなものを置こうというような話も出ているようですけれども、現状を報告していただけますか。
  185. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 今先生が総括されたような状況にあるわけでございます。  調整メカニズムにつきましては、日本に対する武力攻撃及び周辺事態に際しておのおのが行う活動の間の調整を行う、こういう性格のものでございます。  それで、その調整メカニズムでございますけれども、これもいろいろな形がガイドラインに記載してございます。調整会議を開いてやるものであるとかあるいはその連絡窓口の指定をするとか、こういうものもございますし、そういう中に日米共同調整所というものもございます。こういういろいろな形のものが全体として調整メカニズム、こういうふうにとらえられるわけでございます。今、その調整メカニズムについては構築について検討中ということでございます。
  186. 辻元清美

    辻元委員 平素からの情報交換とかそれから協力内容の協議などはこの調整メカニズムの方が受け持つのではないかというように私は思うんですけれども、日米共同調整所を初め今検討中ということですが、どういうことを検討しているんですか。この調整メカニズムの機能そのものでしょうか。それとか、日本ではどこが窓口になって検討しているのか。そして、この先いつごろどういう形で決めるのか、それは公表するのかどうか、それについてどれぐらいの頻度で日米で検討されているのかなど、もう少し詳しくお聞かせください。
  187. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 先ほど申しましたように、調整メカニズム自体は、武力攻撃あるいは周辺事態に際しておのおのが行う活動を調整する、こういう調整の場ということでございます。  それから、今どういう検討状況かより具体的にということなのでございますが、これもいろいろな調整対象によって関係する役所は変わってくるわけでございますけれども、現在中心になってこれの検討を行っておりますのは、内閣の安保室、それから外務省、それから私ども防衛庁がやはり中心になりまして、どういうメカニズムの形があり得るかというものを考え、また関係省庁にも御相談をする、こういうふうな形でございます。また、そういうものを踏まえまして米側とも相談をする、こういう状況にございます。私どもとしては、これはできるだけ早く構築をしたい、こういうふうに思っております。
  188. 辻元清美

    辻元委員 といいますのは、この二つのメカニズムでどういうことを話し合い、だれがどういうことを決めていくのかというところが、私は新ガイドラインの実体をあらわすかなめだと思うんですね。ですから、これはずっと同じような書き方で防衛白書にも出てきていまして、この二つのメカニズムについての、現状だけではなくてこれから構築された場合の討議の内容などについては公表されるんでしょうか。いかがですか。
  189. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 包括的メカニズムにつきましても、構築が終了した段階でこの概要を公表したところでございます。調整メカニズムについても、それが構築された段階でその概要についてはしかるべく御報告をすることになろうかと思います。  なお、いずれのメカニズムにおきまして検討される事項の中身につきましては、例えば包括的メカニズムでございますれば、共同作戦計画だとかあるいは相互協力計画だとか、こういうものの検討でございますので、そういうものにつきましては、やはりそれを公表することについては私どもの対応の手のうちを示すということになりますので、それは公表するというのは難しい、こういうふうに思います。
  190. 辻元清美

    辻元委員 この二つのメカニズムについては、引き続き委員会でもお聞きしていきたいと思います。  さて、もう一点、先ほどから出ております新ガイドラインに基づく周辺事態法、これは本日の新聞に、八月二十五日から施行というような記事が出ておりまして、十三日の閣議で施行日を定めた政令案を決定するというような報道が出されておりますが、そのような運びをお考えなんですか。
  191. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 周辺事態安全確保法につきましては、この附則で、「この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」こうなってございます。これは、公布が五月二十八日に行われておりますので、三カ月と考えますと八月二十七日がそれに対応することになろうと思いますが、それまでの間で施行をできるようにということで準備を進めているところでございます。  一部そういった報道があるかもしれませんが、私どもとしてまだ最終的にそういう内容のものを固めているというわけではございません。いずれにいたしましても、この法律の附則の考え方に従って対応できるように、今準備を進めているという状況にございます。
  192. 辻元清美

    辻元委員 今、日程については明言されませんでしたけれども、私はこのとおり進んでいくのではないかと考えているんです。  さて、その中で、先ほどから質問に出ております九条関係の解説について、どうも、このようなものを地方自治体に対して配付するということになっているようなんですが、その内容について、先ほど他の委員の方も指摘されました点もありますが、幾つか質問したいんです。  この中で、法令及び基本計画に従うということで、特に法令については、関係行政機関の長が協力の求めを行うに当たり、現行法令、これは条例を含む、に従うことは当然であるということですから、国が協力要請をした場合に条例の変更を伴うようなものは一切ない、国の要請に従って地方自治体が条例変更をするということはあり得ないという解釈でよろしいですね。
  193. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 この九条につきましては、ガイドラインの特別委員会でも何度か御説明申し上げておりますが、何らその新たな義務とかそういったものを課すものではございませんので、したがいまして、あくまでこの依頼をなすときに有効な法令に従うということは当然でございます。そのために何らかの特別な条例改正というようなことを国側から九条一項に基づいて求めるということはございません。
  194. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、それぞれの地方自治体によってこの条例というものは定めることになっていますし、それから、先ほどから議会との関係が出ています。どうも先ほどからの伊藤さんのお話ですと、地方議会での政治的な議決、これそのものを否定するわけではないけれども、個別の場合は判断材料にするかもしれない、しかし、市長とか知事とか、首長の権限であるということを強調されているわけですね。  ところが、かつてガイドラインの審議をしているときから、今いらっしゃる例えば沖縄の首長の方の中にも、自治体として協力しないということを表明されている方も既にいらっしゃるわけですよ。こういう動きが今ある中で、この地方自治体に対する協力の解説というのをお出しになって、政令を出されるわけですけれども、既にそういう表明をされている方々に対しては何か接触されたり、こういう人たちのことを政府はどのような御認識で受けとめていらっしゃるんですか。
  195. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 先ほど来御説明申し上げ、またガイドラインの特別委員会でいろいろと御答弁申し上げてまいりましたのは、九条一項に基づく政府からの協力の求めに対して、これを断る正当な理由は何かということでの御議論であったわけでございます。今御指摘のような、確かに新聞等で一部の市長さん等からそのような御発言があると私どもも承っておりますが、それはあくまで法律の問題ではないんだろうと私は思っております。法令のその正当な理由云々という議論とは別の次元の話であろうというふうに思っております。  仮にこの周辺事態というものが不幸にして発生してしまった場合には、私どもとしては、まさに政府全体挙げてでございますし、関係の地方公共団体の御協力も得られるように政府としては努めていかなければならないというふうに思っておる次第でございます。
  196. 辻元清美

    辻元委員 今の御発言の中に、既に協力拒否のようなことを発言された地方自治体の長の方は次元が違う、それは要するに、法律上に定められている、一般的義務とよく言われていますけれども、それと次元が違うレベルでそういう発言をされているのではないかというようなことを今おっしゃったように私は受けとめているんですけれども、違うんですか。次元が違うというのはどういうことでしょうか。  と思うのは、私、今地方自治体に対して協力を求める、解説を出すということになったら、そういうことを表明している人に、人というか自治体の長に対してこそ政府は意見を聞くべきだと思うんです、どうしてそういうふうにおっしゃるのか、何がひっかかっているのかと。後で協力を求めるというより、今の時点でやらなければいけないことは、解説書を配ってするよりも、おかしいぞ、それから、既に協力依頼が来ても拒否したいと言っている人がいれば、そこに行って、あなた、どういうことですかということを議論したり意見を聞くというのが本当の意味での地方自治体の意見を聞いたということになるのではないかと思いますからそういうことを申し上げているんですけれども、次元が違うというのはいかがでしょうか。それから、今の私のような意見、これについていかがですか。
  197. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 私、今次元が違うと申し上げましたのは、私どもが、このきょうの委員会でもそうでございますし、ガイドラインの特別委員会等で正当な理由は何かという法令上のことを御説明申し上げてきたということを申し上げたわけであります。一方、それとは関係なくであろうと私は思いますが、市長さん等が自分はやらないというようなことをおっしゃっているとすれば、それは法令上の正当な理由云々の問題とは別のことでありましょうということを申し上げたわけでございます。  ただ、私自身も、具体的に当該の市長さんからどういう理由でやらないとおっしゃっているのかきちんと聞いたことはございませんので、その部分はあるいは推測かもしれません。もう一度よく聞いてみるべきであろうというふうには思います。  それから、解説書を配るよりも、まずそういう市長さんたちと話しすべきではないかという御指摘でございました。  この解説書案と申しますのは全市町村にお配りをしておりますので、とりあえずはそういうことを言っておられるという市にも渡っていることと思います。今後もちろんそういう機会を与えていただければ十分お話をさせていただきたいと思いますし、私どもの方からもそのような努力は今後してまいりたいと思っております。
  198. 辻元清美

    辻元委員 ということは、自治体の方から、これを見たけれども、うちはやれそうにないよという話があれば、それは十分そういう意見も聞きたいというふうに――先ほどはっきりおっしゃいましたよ。いろいろべらべらと答弁されていますので、私なんかそういう部分だけはぱっと聞くんですけれども。そのどの部分に重点を置いてというところがそれぞれ違うかもしれませんけれども、聞く意思はおありになるということですね。
  199. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 私どもは行政の立場でございますので、法律で定められましたことをそのとおり実行しないということの裁量権は私どもには与えられていないんだろうと思います。  したがいまして、今、仮に拒否云々というお話がございましたが、そういうところがどうしても使わなければならない何かがあったとすれば、それはお願いをすることはあり得るんだろうと思います。  ただ、その前の段階の話といたしましていろいろとそのお話し合いをすべきである、これは当然のことだと思いますし、また現に、再々申し上げていますように、我が国の平和と安全に重大な影響を与えるような事態が起こったときに万全の措置がとれないということは大変ゆゆしいことであるというふうに思っておりますので、平素からそのような協力関係というものを構築してまいる必要はあるというふうに思っております。
  200. 辻元清美

    辻元委員 前の段階お話しするのが筋だろう、平素からの協力関係と。なぜかといいますと、周辺事態というのを、何か起こってこの法律にのっとって政府が要請されるとしますね。それから、いや協力する、しない。では、平素からというのは、どういうことをそれぞれの自治体とやるというふうに理解すればいいんでしょうか。これを幾ら読んでも、それについてよくわからないですね。今平素からとおっしゃいました。そうすると、既に協力を拒否しようとしているような自治体も御存じだと思いますよ。ですから、平素からどういう協力関係を構築するんですか。今の御説明を聞いてもなかなかわからないです。いかがですか。
  201. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 まず、具体のその協力の内容と申しますものは、これは過去にも何度も御答弁申し上げましたように、今ここでこれとこれだということを申し上げられる性格のものではございません。事態が起こり、基本計画において示すものでございます。ですから、逆に申せば、地方公共団体側も、今からこれはできる、これはできないということはなかなか言いにくい性格のものであろうと思います。  したがいまして、私どもが今できますことは、この法律の趣旨、そしてその意義を御説明申し上げるということでありますし、また、これまた再々特別委員会でも申し上げてきたところでありますが、何ら特別な義務とか、そういうものを課すものではない、現在の法律の中で持っておられる権限の法令に従った適切な行使をお願いするということでございますので、そのことを御理解いただきたいという趣旨でございます。
  202. 辻元清美

    辻元委員 これをもう一年以上ずっと議論しているんですけれども、やはり私は、自治体などへの協力依頼、民間もそうですけれども、これは協力要請ですね、両方、依頼ともう一つ協力を求めることができるというのとあわせて、これはやはり無理があると思うんです。今の話を幾ら聞いても、拒否できるのかできないのか、もうほとんど強制的なことをしようとしているにもかかわらず、拒否できるとか、正当な理由があればとか、協力要請を日ごろから情報交換しているからと。どういうふうに日ごろから情報交換するんですか。だから、非常に無理があることをしていて、さらにこれは、幾ら解説を出しても、拒否できるんだったらはっきりそれぞれの自治体の意思によって決めてもらっていいというふうにしない限り、非常にあいまいだし、幾ら説明しても地方自治体の人は納得しないところが出てくると私は思います。これはまたやります。  さて、もう一つ、外務大臣にお越しいただいておりますが、前回私が委員会質問しました東京フォーラムの件、あのときは東京フォーラムが行われる前だったわけですけれども、今度、東京フォーラムが行われた後ということで、日本政府として国連に報告書を提出するのか、またジュネーブ軍縮会議などに報告書を提出するのかしないのか、これを受けてどうしていくのかということをちょっとお聞かせいただきたいんです。
  203. 高村正彦

    高村国務大臣 東京フォーラムの報告書でありますが、四日に、東京フォーラムの共同議長を務めた松永日本国際問題研究所副会長及び明石前広島平和研究所所長からアナン国連事務総長に対して手渡す予定でございます。そして、政府としては、国連に対し、本報告書を国連文書として加盟国に配付することを要請する予定でございます。ジュネーブ軍縮会議におきましても、日程は未定でありますが、政府としては早期に報告書を配付する予定でございます。
  204. 辻元清美

    辻元委員 四日にということですので、きょうは三日ですか、あしたですね。アメリカとロシア、戦略核千個に削減とか、新聞にも随分報道されております。ということで、日本政府は、核政策について、こういう形で外務省も民間の団体と一緒になって行われた東京フォーラムの成果ありというふうに評価されているのではないかと思うんです。  さて、そういう中で、実は私、この質問をきのうしようと思っていたら、これはきょう見たんですけれども、核政策についてこれだけいろいろやっていこうと意気込みがある一方で、きのうの読売新聞です、一九六三年四月、当時の大平正芳外務大臣とライシャワー駐日アメリカ大使の会談ということで、核搭載艦船が日本に寄港、通過するのは核の持ち込みに当てはまらないと認めていたことが一日までに米国立公文書館の保存文書で明らかになったというようなことが報道されているんですね。日本はやはり核についてはいろいろな取り組みをしていこうとしているわけですが、六三年、私が生まれてちょっとしたころなんですけれども、大分古い話ですが、こういう記事が出ています。  これは、日本の非核三原則であったり、一方でASEAN諸国の東アジアの非核地帯の条約ですね、あそこに中国やロシアも入っていこうかという動きもある中で、非核三原則、日本の根幹を崩すようなことではないか、一方で東京フォーラムなどを開いてやっていこうとしている足元を崩しかねないと思いますので、外務省としてはこの事実関係をどのようにお考えか、お聞かせいただけますか。
  205. 高村正彦

    高村国務大臣 この問題は、国会において何度も何度も繰り返し提起された問題であります。そして、大平総理自身がそういうことを否定されておりますし、そして、鈴木総理も、大平さんはそういうことを言っておられないとはっきりおっしゃっているところでありまして、そして、日本の方に全くそんな記録がありませんということを何度も国会で繰り返し申し上げているところでございます。
  206. 辻元清美

    辻元委員 何度も取り上げられている問題と言われていますけれども、そうすると、この保存文書というのは偽造であるということでしょうか。これは何度も取り上げられているとおっしゃっていますけれども、何度も出てきているわけで、それだから重要だと私は思うんです。実際に文書が出てきた、政府としては、これは間違った文書でだれかが勝手につくったものであるというような、何か東郷さんがさっき手を挙げていらっしゃいましたけれども、いかがですか。
  207. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣から申し上げたとおりでございますけれども、御指摘報道されておりますところのこの文書、これは米政府部内のやりとりであると承知しており、我が国政府としてその内容にコメントすることは適切ではないと考えます。核積載艦船の寄港及び領海通過は事前協議の対象としないということを大平外務大臣が確認したとの御指摘のような事実は承知していないことについては、従来より御説明しているとおりでございます。  大臣からも今申し上げましたように、大平外務大臣自身、当時の国会において、核兵器につきましては、政府が数年前から国会で御答弁申し上げているように理解しておりまして、持ち込みは認めないという不動の方針でおります旨答弁しておられますし、また、一九八一年当時、いわゆるライシャワー発言が国会で取り上げられた際、外務省内の記録等を調査した上で、既に当時の鈴木総理より、大平さんはそういうことを言っておらない、後任の外務大臣にも引き継いでいない、外務当局も一切承知していない、記録もないと答弁しており、政府として結論を出しているところでございます。
  208. 辻元清美

    辻元委員 そこまでおっしゃるなら、抗議でもしたらいかがですか、この問題は何回でも出てきているわけですから。この問題についてアメリカ側もしくは関係者に抗議などをしたことはあるんですか、それだけ聞いて終わります。されていないならば、また再燃してきているわけですから、何かアクションをとられたらいかがですか。それをとる意思があるかどうか、それだけお聞きして終わります。
  209. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 ただいまお答えしましたとおり、政府としての理解ははっきりしておりますので、アメリカ側に対して特段新しいアクションをとることは考えておりません。
  210. 辻元清美

    辻元委員 時間が来ましたからこれで終わりますけれども、引き続きまた質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  211. 二見伸明

    二見委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十七分散会