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1999-06-03 第145回国会 衆議院 安全保障委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月三日(木曜日)     午前十時五分開議   出席委員    委員長 二見 伸明君    理事 安倍 晋三君 理事 浅野 勝人君    理事 江口 一雄君 理事 仲村 正治君    理事 横路 孝弘君 理事 佐藤 茂樹君    理事 西村 眞悟君       麻生 太郎君    伊藤 達也君       池田 行彦君    臼井日出男君       大野 功統君    河井 克行君       木村  勉君    岸本 光造君       熊谷 市雄君    栗原 裕康君       小泉純一郎君    佐藤  勉君       杉山 憲夫君    田村 憲久君       中山 利生君    桧田  仁君       船田  元君    宮腰 光寛君       吉川 貴盛君    岡田 克也君       鍵田 節哉君    神田  厚君       桑原  豊君    島   聡君       辻  一彦君    河合 正智君       冨沢 篤紘君    冬柴 鐵三君       塩田  晋君    佐々木陸海君       東中 光雄君    辻元 清美君  出席国務大臣         国務大臣         (防衛庁長官) 野呂田芳成君  出席政府委員         防衛庁長官官房         長       守屋 武昌君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         防衛庁人事教育         局長      坂野  興君         防衛庁装備局長 及川 耕造君         防衛施設庁長官 大森 敬治君         防衛施設庁施設         部長      宝槻 吉昭君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君  委員外出席者         安全保障委員会         専門員     田中 達郎君 委員の異動 六月三日  辞任         補欠選任   嘉数 知賢君     熊谷 市雄君   阪上 善秀君     桧田  仁君   杉山 憲夫君     宮腰 光寛君   山崎  拓君     岸本 光造君   伊藤 英成君     鍵田 節哉君   桑原  豊君     辻  一彦君 同日  辞任         補欠選任   岸本 光造君     山崎  拓君   熊谷 市雄君     嘉数 知賢君   桧田  仁君     阪上 善秀君   宮腰 光寛君     杉山 憲夫君   鍵田 節哉君     伊藤 英成君   辻  一彦君     桑原  豊君 六月二日  自衛隊法等の一部を改正する法律案内閣提出第八七号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  自衛隊法等の一部を改正する法律案内閣提出第八七号)     午前十時五分開議      ————◇—————
  2. 二見伸明

    二見委員長 これより会議を開きます。  内閣提出自衛隊法等の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。野呂田防衛庁長官。     —————————————  自衛隊法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 ただいま議題となりました自衛隊法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  この法律案は、自衛隊法防衛庁職員給与等に関する法律国家公務員寒冷地手当に関する法律及び国家公務員育児休業等に関する法律の一部改正内容としております。これは、一般職国家公務員の例に準じて、高齢社会に対応する等のため、隊員定年退職者等の再任用制度を改め、あわせて再任用された隊員給与等に関する規定整備し、並びに懲戒制度の一層の適正化を図るため、退職した隊員が再び隊員として採用された場合において一定要件に該当するものであるときは、退職前の在職期間中の懲戒事由に対して処分を行うことができることとするほか、公務公正性及び透明性の一層の確保並びに隊員の適正な再就職実施を図るため、離職後二年間に営利目的とする会社等地位につくことについて防衛庁長官承認が必要とされる要件を改めるとともに、防衛庁長官が行った承認について国会に対し報告しなければならないこと等とするものであります。  以上が、この法律案提案理由であります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明いたします。  まず、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  第一に、定年退職をした隊員等の再任用制度について、六十五歳までの在職を可能とするとともに、自衛官以外の隊員への再任用について短時間勤務制度を設けるものであります。  第二に、退職した隊員が再び隊員として採用された場合において、当該退職及び採用一定要件に該当するものであるときは、退職前の在職期間中の懲戒事由に対して処分を行うことができることとするものであります。  第三に、離職後二年間につくことについて防衛庁長官承認を受けることが必要とされる営利目的とする会社等地位を、離職前五年間に在職していた防衛庁本庁または防衛施設庁と密接な関係にあるものに改め、防衛庁長官が行った承認処分に関し、国会に対し報告しなければならないこととするものであります。  次に、防衛庁職員給与等に関する法律の一部改正について御説明いたします。  これは、新たに導入される定年退職者等の再任用制度により採用された者の俸給月額その他給与について、所要規定整備を行うものであります。  最後に、国家公務員寒冷地手当に関する法律及び国家公務員育児休業等に関する法律の一部改正について御説明いたします。  これは、新たに導入される定年退職者等の再任用制度により採用された者について、一般職国家公務員の例に準じて、寒冷地手当を支給しないこと及び短時間勤務の者の部分休業を可能とすることその他所要規定整備を行うものであります。  以上が、自衛隊法等の一部を改正する法律案提案理由及びその内容概要でございます。  何とぞ、慎重審議の上、速やかに御賛同賜ることをお願いいたします。
  4. 二見伸明

    二見委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 二見伸明

    二見委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村眞悟君。
  6. 西村眞悟

    西村(眞)委員 おはようございます。  まず冒頭、尖閣諸島周辺海域に、この四月から、新たな事態として、中国海軍艦艇が姿を見せ始めた、いわば我が国の庭に他国の軍艦が入ってきているという状態でございます。ここが我が国の庭であるということは、我が国が示さねばなりません。  中国は既に領海法を制定して、尖閣諸島中国領土であるという国内的宣言をしておりまして、我が国に対しても絶え間なく尖閣諸島中国固有領土であるという旨の発信をしております。このたび軍艦を出してまいりました。我が国が、尖閣我が国の庭である、我が国領土であるということを対外的にいかに示すかの順番が回ってまいりました。  相手が軍艦を出してきた以上、防衛庁長官として、尖閣周辺に我が海上自衛隊も姿を見せる、そして、演習であれ、そしてまた調査活動であれ、また事態に応じて八十二条の海上警備行動の発動であれ、いずれにしても我が国海上自衛隊艦艇の姿を尖閣周辺で見せねばならないと思います。  ちなみに、沖縄本島のことだけを考えておれば沖縄のことはわからないのでございまして、先島のあの八重山の漁民は、我々は国境の島の人間である、国境を守るのは軍隊でしょう、なぜ私のところの海に海上自衛隊の姿がないのか、それとも日本国政府は我々を日本国民とは思っていないのかという声を、私はじかに八重山諸島の漁民の方々から聞いております。  長官、私が申し上げた、我が国海軍艦艇の姿を尖閣周辺で見せるべきである、理由はいかなる理由をつけてもいい、我が国の庭であるから、我が国の自由な根拠づけにおいて、長官が自由に判断できることであろうと思いますが、この件について、姿を見せていただきたいという私の要望についての長官見解をお尋ねしたいと存じます。
  7. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 御指摘中国艦船動向につきましては、私どももその動向につきまして鋭意把握に努めているところでございます。また、哨戒機P3Cが警戒監視の際にこれを視認した場合には、所要情報海上保安庁に詳細に通報しているところでございます。  尖閣諸島付近我が国領海を含む海域につきましては、近年、中国海洋調査船により海洋調査と見られる活動が行われているほか、海軍艦艇の航行も確認されており、防衛庁としては、引き続きこの海域における警戒監視に努め、必要に応じて事実関係海上保安庁等関係機関に通報しているところであります。  御案内のとおり、海上における治安の維持につきましては、第一義的には海上保安庁が担当することとなっており、これら艦船については既に海上保安庁巡視船艇追尾監視を行うとともに、作業の中止要求退去命令を行っております。  また、海洋調査船による領海及び排他的経済水域における我が国の同意なき違法な海洋活動につきましては、外交当局によりしかるべき申し入れが行われ、問題解決のための外交努力が行われております。  今申し上げたとおり、これら艦船については既に海上保安庁巡視艇追尾監視を行うとともに中止要求退去要求を行っており、また、違法な海洋調査活動については外交当局によりしかるべき申し入れが行われ、問題解決のための外交努力が行われておるわけでございますので、そういう状況のもとで私ども訓練名目等自衛艦自衛行動をとらせることは、現段階では適当ではないのじゃないか、私はそう考えております。
  8. 西村眞悟

    西村(眞)委員 漢書の言葉に「断ずるに当たって断ぜざればかえってその乱を受く」という言葉がございます。ささいなことでもその都度その都度決断しなければ将来必ず大きな乱を招くという言葉でございまして、尖閣周辺のこの十年の経緯を見ますれば、かのエスカレートはまさにこの「断ずるに当たって断ぜざればかえってその乱を受く」という言葉どおり我が国の姿勢がエスカレートを招いていると思わざるを得ません。これからの推移を見守られた上、防衛庁長官としてその権限において適切な措置を決断していただかねばならない時期が来る、必ず来ると思っておりますので、よろしくお願いいたします。  さて、法案の件に関して六点ほどお尋ねいたしますが、このたびの法改正は、時間系列を追っていけば、昨年の調達実施本部をめぐる不祥事があってこの法案が出たという流れに見えます。しかしながら、調達実施本部元本部長及び副本部長関係する不祥事であって、この不祥事自衛官特に部隊勤務自衛官とは何ら関係ないものと私は認識しておりますが、にもかかわらず、今回の改正案はこの自衛官の再就職規制までも見直し対象とされておりますが、そこまでする必要があったのか否かについて、長官の御見解をお伺いいたします。
  9. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 今回の再就職手続見直しは、先般の防衛調達に関する不祥事を契機としながらも、国家公務員をめぐる再就職制度の改革などの趨勢を踏まえて行ったものでございます。  また、その際、自衛官事務官等のそれぞれについて、その職務任用形態特殊性を踏まえた適正な再就職手続を経させることにより、不正が生ずる余地がないようチェックすることで行政の責任を果たすこととしたいと考えたところであります。このような手続を経まして再就職させることで、これまでありました多くの隊員の再就職に対するいわれなき批判等を払拭することを基本的な考え方にしたものであります。  防衛庁としては、このような考え方に立って、自衛官事務官等の双方について再就職のあり方を検討し、今般の改正案国会に提出したところであることを御理解、御協力を賜りたいと存じます。
  10. 西村眞悟

    西村(眞)委員 今、自衛官事務官それぞれ職務任用形態も違うとおっしゃられたのですが、再就職手続に関して、自衛官事務官の違い、特に自衛官特殊性を具体的にどのように考え、また反映させておられるか、お伺いしたいと存じます。
  11. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 今回の改正は、ただいまも申し上げたところでありますが、公務公正性確保するとともに、隊員に対するいわゆるいわれなき批判等の払拭をより徹底するために、隊員がいわゆる防衛産業等に再就職する場合には、一般公務員と同様に審査対象とすることとしたものでありますが、委員指摘のとおり、自衛官については若年定年制あるいは任期制採用しているなど、事務官等に比してその任用形態に大きく異なる面があり、この点は改正案においても配意したところでございます。  具体的に申し上げますと、若年定年制自衛官については、自衛隊精強性を維持するために早期の退職を余儀なくされます。また、再就職必要性が高いことや離職前の職務に伴う権限が限られたものが多い等の特性を有する一方で、防衛産業等への再就職であることのみをもって、いわれなき批判等も残念ながら存在したところであります。そこで、これらの企業に再就職する場合に、一定手続を経ることで、かかる批判等を払拭することが望ましいと私どもは判断したところでございます。  また、任期制自衛官につきましては、在職中はほとんどの者が企業との関係を持たない一般部隊勤務していることに加えまして、在職期間が短いことや、離職前における本人及び上官の地位及び職務等から見ても、企業への影響力を不正に使用して再就職する事態は想定しがたいことから、再就職についての承認対象外とした次第でございます。
  12. 西村眞悟

    西村(眞)委員 先般、この法案を作成、起案されるに当たり、防衛庁米英仏等の諸外国軍人の再就職規制調査されたと。また、私もその調査内容を拝読いたしましたが、この今出されている法案は、調査された諸外国の再就職手続よりも、かなり内容は異なっておるし、対象が広くなっております。  先般実施された諸外国調査は、本法案にそのよきところがどのように反映されておるのであろうかということについて、長官の御答弁をお願いいたします。
  13. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 先般実施しました外国実態調査によってみますと、イギリスフランスの再就職事前手続は、不正の防止のみならず、国防に対する国民信頼確保及び個々人の再就職へのいわれなき批判等からの保護を基本的考え方として定められておると考えます。こうした調査の結果による考え方は、改正法案の、長官承認を必要とする対象の拡大とか、あるいは国会への報告制度の設置などに反映されていると考えているところであります。  また、イギリスフランスでは、実質的に大きな契約に関与しない任期制の兵士を審査対象にすることには消極的であり、むしろ再就職支援策等充実努力しているものと考えます。改正法案におきましても、任期制自衛官承認対象外としたところでございます。
  14. 西村眞悟

    西村(眞)委員 国防にとって隊員士気は非常に重要な人的な土台であると私は思っておるんですが、このたび再就職規制が強化される。自分たちが特殊な、例えば部隊での勤務を経て再就職しなければならない、そのときに、規制が強化されるのでは再就職ができなくなるのではないか、自分として名誉ある職務として国防に若き時期をささげた我々が、再就職ができなくなればどうして食っていけるのであろうか、こういうふうな将来に対する不安がなきにしもあらずだと思う。特に素朴な人に限ってやはり素朴にそう思ってしまうということがある。  私もその点は非常に心配しておりまして、隊員のこの再就職規制をきっかけとした士気低下が非常に問題だと思うんですが、この点については長官にぜひ御配慮いただきたいし、また、現在、長官はどのようにお考えであるかについての見解をお伺いしたいと存じます。
  15. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 我が国防衛にとりまして隊員士気が重要であることは、委員指摘のとおりでございます。ただいまは隊員の再就職の問題につきまして深い御配慮を賜りましたことを、心から感謝申し上げたいと思いますが、このたびの改正によりまして、任期制自衛官につきましては、再就職に関し、長官承認対象外とされ、必要ならば再就職援護制度による支援を受けつつも、心置きなく再就職先を探すことができる、こういうふうに考えているところであります。  また、若年定年制自衛官につきましては、その多くは防衛産業以外の企業に再就職しており、手続対象となる隊員は一部にすぎないと考えておりますが、承認対象となる者につきましても、防衛庁と密接な関係にある企業に再就職する場合には、適正な審査を経て長官承認を受けることとすることで、いわゆるいわれなき批判疑いを受けることなく、堂々と胸を張って再就職することができることになり、その第二の人生を考える上でも私どもは望ましいと考えたところでございます。  防衛庁としましては、これらの点の隊員への周知に努めますとともに、若年定年制任期制自衛官の再就職支援するための諸施策について、今後、さらなる充実を図っていくこととしており、今回の再就職制度見直しが、一般隊員士気低下させることはないと信じている次第でございます。
  16. 西村眞悟

    西村(眞)委員 この再就職規制運用において、長官は、いわれなき疑惑を持たれないようにするんだとたびたび御答弁されております。これを積極的に申し上げるならば、再就職する自衛官が、国防任務に半生を尽くした者として堂々と再就職していける、このように運用するというふうな御答弁趣旨だと私は存じます。  さて、再就職の問題に関しては、かの自衛官が勝手に探してきて、それでそれを審査するんだという視点よりも、毎年一万人近くが退職していく自衛官の再就職支援するための諸施策、今ちょっとお触れになりましたが、それをさらに充実していくことが、やはり士気低下を防ぎ、そして国防という任務国家として全うできる道である、かなり重要な要素であると存じます。その意味で、再就職支援について具体的にどのように推し進めていかれる所存か、御見解をお伺いしたいと存じます。
  17. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 特に若年退職自衛官の場合は、多くの場合は退職後の生活基盤確保などのため、再就職を必要としている状況であります。従来から、これらの自衛官が再就職を円滑になし得るように、技能訓練とか通信教育等、各種の援護策実施してまいった次第でございます。そのほか、若年定年退職者給付金制度を設けているところでもございます。  今後とも、こういった若年退職自衛官退職後の生活を憂えることなく安んじて職務に精励ができますよう、このような施策を引き続き実施するとともに、自衛隊の再就職支援のために雇用情報ネットワーク化等就職援護施策の積極的な推進や、地方公共団体等公的部門における退職自衛官採用推進などの諸施策実施に真剣に努めてまいりたいと考えております。
  18. 西村眞悟

    西村(眞)委員 その自衛官が在任中、任務について習得した技術知識、これらはもちろん軍事に関するものでございます。武器という言葉はアームズといいまして、人間の手の延長でございます。この武器自分の手の延長のように、自分の腕のように使いこなす経験を持ったのは、我が国では自衛官及び警察官しかいないのでございます。そして、彼らが再就職していくときに、防衛産業という、まさにその武器を、防衛のための武器をつくるという産業就職していくというのは、これは自然のことだろうと存じます。また、そうでなければ、防衛産業側から見れば、自分のつくった製品が、そしてそれを使いこなせた人が、そのものに関与しなければ、いいものが生まれるはずがないわけでございます。したがって、自衛官の再就職の先の防衛産業というものを育成する視点から見ても、また自衛官の携わった任務から見ても、当然、防衛産業就職が多くなるのは自然の成り行きだと存じます。そしてまた、それは、国家安全保障観点から見ても、防衛産業育成という観点、また自衛官の再就職という観点から見て非常に重要なことだと存じます。  しかるに、我が国は戦後、防衛産業というものと自衛官結びつき批判する声もまたあるわけでございますから、再就職支援し、防衛産業を育成する、そして自衛官の習得した技術を生かすという視点から、防衛産業に関する、そしてそこに再就職するということに関しての国民理解が進んでいない状況であるならば、それを防衛庁として変えようとする努力も重要でございますので、これらの点について、私は、啓蒙活動が非常に重要であると思いますので、防衛庁長官の御見解をお伺いしたいと存じます。
  19. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 御指摘のように、退職自衛官防衛に関する専門的な知識等を生かしましていわゆる防衛産業等に再就職することは、健全な防衛産業を育成し、防衛生産技術基盤を維持するとともに、隊員士気を高揚する上で極めて重要であると考えます。  しかしながら、退職自衛官防衛産業等に再就職したということだけをもっても、いろいろな批判疑いを受ける場合がございます。それは残念なことでございます。そのために、退職自衛官防衛産業に再就職するに際しては、適切な手続を経させることによりこのような批判を払拭することができると考えて、私どもは今回この制度を御提案申し上げておる次第であります。  この法案による対処とは別に、かかる誤解に基づく批判等がそもそも発生しないようにすることが必要であることは、もう御指摘のとおりであります。防衛庁としても、防衛庁自衛隊に対する国民理解を高めるための一層の努力を今後真剣に進めてまいりたいと考えております。
  20. 西村眞悟

    西村(眞)委員 質問も御通告をしておりませんので、時間がありますので、一点だけ申し上げます。御答弁は必要なく、その席でうなずかれるだけで結構でございます。  今までこの再就職のことについて、私は、自衛隊員士気を阻喪してはならない、また、再就職に際しては、堂々と再就職していけるように防衛庁長官もこの法を運用するという御答弁をなされました。  さて、我が党の中村鋭一議員論語言葉に触れられたと思いますが、論語子路編にいわく、「政をなすはまず何をなすべきかと。子、答えていわく、まずその名を正すべきかと。名を正せば秩序定まる」という言葉がございます。我が国が、今の自衛隊員誇りについてのこの質疑の中で、私は、最も必要なものは、まず名を正すべきかと思います。防衛庁長官が、旅行会社のエージェンシーの長であってはならない、国防大臣であらねばならない。そして、自衛官最高位は、統幕議長として認証官でなければならない。この名を正すことによって初めて国民啓蒙防衛庁長官が今一番重要だと言われた国民啓蒙自衛隊員軍人としての誇り、これを日本で確定させることができる。これは予算は要りません。名を正すこと、このことが非常に重要であって、これは防衛庁長官問題意識を共有していると私は確信して、うなずいていただいた上で、御答弁は要求しませんから、どうかうなずいていただいて、よろしくお願いします。  これで終わります。
  21. 二見伸明

    二見委員長 次に、島聡君。
  22. 島聡

    島委員 民主党の島聡でございます。私どもはきちんと答弁をお願いします、うなずくだけじゃなくて。  自衛隊法等の一部を改正する法律案につきまして質問を申し上げます。特に、前回の証拠隠滅疑惑最終報告の中でも、戦後の防衛行政の総決算を行い、開かれた政策官庁への脱皮と国民信頼構築に全力を尽くして行わなければならないと。今、防衛庁長官いわれなき批判ということをたびたび繰り返された。いわれなき批判なのか、本当は実はいわれがあるのかということはきちんとしていかないと、とても国民信頼構築というのは、もう一度取り戻すということができないのではないか、そういう観点から幾つかの質問をさせていただきます。  まず最初でありますが、今回いわゆる再就職等の問題で、要するにかなり厳しくしたわけですが、改めて防衛庁長官にお聞きしますが、以前まではいわゆる防衛庁自衛隊員、つまりこれは自衛官一般職員もでありますが、一般公務員と比較して割と規制が緩かったわけでありますが、どうしてそれを緩くしていたかと長官はお考えになりますか。改めてお聞きします。
  23. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 このたびのこの法律改正は、先般の防衛調達に関する不祥事を契機としながらも、国家公務員をめぐる再就職制度の改革などの趨勢を踏まえて、これまで一般公務員に比べて厳格さを欠くのではないかとの御指摘もいただいておりました自衛隊員の再就職手続について見直したものでございます。  その基本的な考え方は、公務公正性確保すると同時に、今まで私が言いました隊員に対するいろいろな批判等の払拭をより徹底する観点から、これまで、許認可権等の権限を基本的に有さず、企業との間には装備品の調達に伴う契約関係のみが存在する自衛隊員については、個々の隊員離職前の職務企業との関係に着目して、そこに密接な関係がある場合等に審査対象としておった、こういう現行制度を改めまして、隊員がいわゆる防衛産業等に再就職する場合には、離職前の職務企業との密接な関係の有無にかかわらず、一般公務員と同様の考え方審査対象にすることが適切であると考えまして、これまでの制度を改めた次第でございます。  自衛官につきましては、若年定年制あるいは任期制採用しているなど、事務官等に比べましてその任用形態に異なる面もございます。そういう点についても、自衛隊員の再就職の在り方に関する報告、これは部外有識者による御指摘でございますが、そういう面にも指摘されているわけでございまして、この改正案では、そういった面についても配意した次第でございます。
  24. 島聡

    島委員 いわゆる防衛庁に許認可の行政権限がないから、あるいは若年で定年されるから、だから今まである意味で緩やかであった、今回直されるという話でありますが、特に、今回問題になってきました、いわゆる一般職といいますか、契約等に関係があるところだということだと思います。  それで、これは自衛隊員の再就職の在り方に関する検討会の中間報告を私は読ませていただいたわけですが、そのときには、「五 検討の基本的方向」というのがあって、「その際、若年定年制及び任期制自衛官については、再就職必要性等の特殊な事情に鑑みつつ、再就職規制趣旨やこれまでの規制の下における実態を踏まえ検討を行う。」そして、「事務官等については、特別職の公務員である一方で、基本的には一般職公務員と類似している面も多いことを踏まえて、一般職公務員規制考え方を同様にすることを前提としつつ、検討を行う。」とありました。これは要するに、ある意味で一般職とそれから自衛官というのは区別すべきではないかという中間報告であったと思います。  私は、これを見たときに、これは非常に妥当ではないかと思っておりました。いわゆる天下りの問題と再就職の問題とは違うと私は思っておりましたら、最終報告では、その辺の区別がつかず、若年定年制自衛官についても、基本的な考え方に従い取り扱うことが適当である、つまり一緒にすればいいと私はこれを読んでいるんですが、今回の法律でも余りきちんとした区別がないようになっている。  中間報告から最終報告、そしてまたこの法律に当たって、その辺の経緯、どうしてこうなっていったのか、そしてまた、どうしてそれの方が望ましいのかということを長官から御説明いただきたいと思います。
  25. 坂野興

    ○坂野政府委員 検討会の中ではいろいろと、前提条件にとらわれずに自由に検討して議論していただきました。そして、中間報告から最終報告にまで至ったわけでございます。  それで、その規制の仕組みにつきまして、自衛隊員のうち事務官等につきましては、一般職と特に取り扱いを異にする、そういう必然的な理由もないであろうというふうに考えまして、基本的に一般職と同じような規制にいたしました。  自衛官等につきましては、従来から防衛庁が特に行政権限とか許認可権限を持っていない、契約関係だけである、また、若年定年制そして任期制、そういうような特殊な任用形態をとっておりまして、再就職を前提とするということになっております。  そういう意味で、自衛官等につきましても、どうするかということについていろいろ議論いたしましたが、結局、再就職についていろいろと御議論もございます。国会等でもございましたし、マスコミ等でもございました。そういったいろいろな御批判等を払拭するには、きちんとした適正な手続を経て再就職をする、そういうことで、不適切な再就職については承認を与えない、そういうことになりますので、承認を与えることによって堂々と再就職をしていただくということの方がむしろ望ましいのではないか。  また、その中でも任期制隊員につきましては、もともと、本人の年齢あるいは職務権限等からしまして、再就職の問題でいろいろと不正に影響力を行使するということはあり得ないので、任期制隊員については除外をいたしましたし、また若年制の隊員につきましても、本来、防衛庁自衛隊で培われた技術というのは部外にはなかなか見当たらないわけでございますので、そういった特殊な経験、知識を買われて、不正な影響力を行使しないで再就職をするということにつきましては、その実態に合わせて柔軟に承認もしていこう、そういうふうなことで、自衛官任用形態についての特殊性も配慮するように最終的に行ったわけでございます。
  26. 島聡

    島委員 今、経済状況を見ますと、非常に雇用状況が大変なわけであります、現実的な問題としまして。特に男性失業率は五%を超えまして、小渕総理が就任されて以来、七十二万人の失業がふえているという経済状況であります。竹下元首相の島根県が七十七万人の人口ですから、小渕総理はそれと同じだけ失業者をふやされた方であります。  そういう状況の中で、先ほど再就職と天下りは違うと申し上げたわけでありますが、何かもともといわゆる再就職は必要である、自衛官士気を維持するためにこれは私は必要であると思う、それによって、それと一緒になって自衛隊員と一くくりになっていったことが非常に問題であると思って今回法改正がされたと思うわけでありますので、今柔軟にと言われましたが、その辺は本当に、再就職に関してはきちんと対処していっていただきたいと思う次第でございます。  いわれなき批判というものが本当にいわれなき批判かどうかについてのお尋ねでありますが、今回公益法人への天下りは禁止されていない、天下りという言葉がいいかどうかわかりませんが、再就職は禁止されていないというふうに考えてよろしいですか。
  27. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 国家公務員についての再就職手続は、委員御承知のとおり、国家公務員営利企業への再就職審査にかからせる制度でございまして、当該企業への再就職を有利にするため在職中の地位や職権を利用して特定の営利企業に便宜を与えるといった弊害を防止し公務の公正を確保する観点から、この公務員についての再就職手続が設けられているものであります。今回の改正案についても、このような基本的な考え方に立って、営利目的とする企業ではない公益法人については、一般公務員と同様に、そこへの再就職手続対象外としたところであります。  なおまた、公益法人の健全かつ継続的な管理運営のため、その理事のうち所管する官庁の出身者が占める割合については、公益法人の設立許可及び指導監督基準においては、これは閣議決定されておりますが、理事総数の三分の一以下とするよう定められており、基準において定められた期限である本年九月末までに基準に適合するよう、私どもとしても指導しているところでございます。
  28. 島聡

    島委員 とかくそういうところは抜け道に使われるんじゃないかということをみんな国民の方も見ているわけですよ。いわれなき批判ということがないように、きちんと運用していっていただきたいと思うわけであります。  今回、いわゆる長官承認が必要となるとされます。その長官承認というのは、一体どのような基準でどのようにやっていかれるのか、お聞きしたいと思います。
  29. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 今回の改正案につきましては、自衛隊員が、離職後二年以内において、離職前五年間に在職していた防衛庁本庁または防衛施設庁と密接な関係がある営利企業体の地位につく場合には、長官またはその委任を受けた者の承認を受けなければならない、こういうふうにしたところであります。長官は、隊員から再就職承認を求められた場合には、部外有識者等から成る自衛隊離職就職審査会というものが設けられておりますが、そこに付議をいたしまして、その議決に基づいて承認を行うか、あるいは行わないこととなる。長官承認というのは今申し上げたようなことを意味するものでございます。
  30. 島聡

    島委員 技術的なことをお聞きしたいのですが、それは法令に入っているのか、あるいは自衛隊法施行規則か何かでやるのか、どちらでやりますか。
  31. 坂野興

    ○坂野政府委員 法令によって離職就職審査会の議を経て長官承認するしないというふうになっております。
  32. 島聡

    島委員 では、その長官承認基準というのは、長官自身が御判断される、そういうことですか。
  33. 坂野興

    ○坂野政府委員 離職就職審査会の議を経て、長官の御判断で承認をされるという仕組みになっております。
  34. 島聡

    島委員 ということは、審査会が出されたものに対して、長官自身の御判断でそれをイエスと言うかノーと言うか決めるということで考えてよろしいわけですか。
  35. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 公平性を厳密に維持するために、部外有識者から成る自衛隊離職就職審査会に付議をし、その議決に基づくわけでありますが、最終的な判断は防衛庁長官の判断によるものと考えております。
  36. 島聡

    島委員 防衛庁長官の御判断によるということだと思いますが、そうすると、防衛庁長官御自身のお考えによって、ある意味で自分の方針性、政治家として長官としての方針性が相当出せるという仕組みであると考えてよろしいですか。
  37. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 この有識者懇談会では、私どもと有識者との間に何回かの回を重ねて、個別に検討した結果でございますから、私の判断といいましても、両者の間に乖離するものはないというふうに確信しております。
  38. 島聡

    島委員 よくそういう言葉がこの中であるんですね。一生懸命議論している間でありますから、アメリカと日本との情勢判断も乖離するものではないとか、そういう話があるわけであります。  これは、今の御答弁で、乖離するものではないと確信はしておられるけれども、基本的に防衛庁長官の御方針、政治家としての御方針で決められる、それで、最終的な責任は長官が持つというふうに考えていいわけですね。
  39. 坂野興

    ○坂野政府委員 さようでございます。  また、承認をした場合には国会にきちっと報告することになりますので、そう恣意的な承認をするしないということができることは、現実の問題として難しい、公正に運用されることになるというふうに信じております。
  40. 島聡

    島委員 私は、それは非常にいいことだと思っています。  公正に運用するのは当然でありますし、あるいはまた、政治家である防衛庁長官が、陸海空の各自衛隊の、最高指揮官は内閣総理大臣でありますが、直接責任を持つ防衛庁長官がそういうことをきちんとやられるということは非常にいいことだと思いますので、また逆に、それだけの見識と、かつ胆力とを持って実行していっていただきたいと思う次第であります。  今、国会の方で、政府委員の廃止とか副大臣制度の導入ということが議論されています。私も、院の派遣をしていただきまして、五月の初旬にイギリスへ視察に行ってまいりました。向こうで国防副大臣にもお会いしたわけでありますが、ちょうどコソボの問題の真っ最中でありました。副大臣とはいえ非常に若い方でありましたが、明快に私ども質問に対して答えておられました。  最終的に、やはり防衛庁長官の政治家としての判断、そしてまた権限というものを明確にして、そしてきちんと人事、あるいは再就職ででもやっていくという制度というのは非常にいいと思うわけでありますが、これから防衛庁長官の適切な判断で命令を出し、与えられた任務を遂行する体制が今後きちんとつくられていくべきだという観点から、質問をさせていただくわけであります。  ちょっとお尋ねしますが、長官はCCPに行かれたことはございますか。
  41. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 何度もございます。
  42. 島聡

    島委員 この中央指揮所において、いろいろなことがあった場合に長官自身がやられるわけでありますが、例えば、そこでいろいろな指揮をやられるという段階でいろいろな質問をさせていただきます。  いろいろな形で何かの出動が行われたという場合に、長官を補佐する形で統合幕僚会議が開かれて、いろいろな議事がされてサポートされると承知しておりますが、この統合幕僚会議の議事の運営は、防衛庁設置法二十七条の四において、長官が定めるとされています。  長官は、どのような議事運営がされるというふうに認識しておられますか。
  43. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 統合幕僚会議においては、二以上の自衛隊が行動する場合であって、各自衛隊の有する能力、知見を有機的に結合し、効果的に運用するために統合運用が必要となる場合等に長官を補佐することとされております。  このような補佐につきましては、従来は防衛出動及び治安出動に限定されていましたが、多様化する自衛隊任務に対応するため、ことしの三月、改正された自衛隊法の施行によりまして、出動時以外の場合であっても、統合運用が必要な行動等として長官が定める場合には、補佐の対象とされたところであります。  具体的には、出動時以外において統合運用が必要な場合を定める訓令により、陸上自衛隊海上自衛隊または航空自衛隊のいずれか二以上のものが災害派遣や在外邦人等の輸送等を命じられる場合等であって、調整を行う必要があると長官が認める場合、これが長官が定める場合でありまして、その補佐の対象とされたところでございます。  周辺事態安全確保法に基づく後方地域支援等への統合幕僚会議の関与のあり方につきましては、この同法の施行に合わせて必要な体制をとるべく、今、鋭意検討を行っているところでございます。周辺事態に際し統合運用が必要な場合にも、迅速かつ効果的な議事運営がなされ、特に、軍事技術的な観点から統合幕僚会議防衛庁長官を適切に補佐してくれることを期待しているわけであります。
  44. 島聡

    島委員 軍事技術的な観点から十分に補佐をしてくださると期待をしておられるというふうに言われましたが、それは期待じゃなくて、CCPに行かれて、大丈夫だと思われましたか。
  45. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 完璧というわけにはいきませんが、これから努力をして、完璧なものに近づける必要があると思っております。
  46. 島聡

    島委員 完璧じゃないというのは非常に重要な話でありまして、ぜひきちんとしてもらいたいと思います。例えば、非常にコンピューター化されて、御存じのように情報化されております。例えばコンピューターに対していろいろな形で侵入したりすることもできる時代でございますので、そういうことに関してもきちんと対応していっていただければなと、きょうは質問通告していませんので、それはぜひ議論をいただきたいと思います。  次ですが、統合幕僚会議議事運営規則四条では、会議の議事は、議長並びに陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長の全員の合意によるとありますが、これは、合意ができなかった場合にはどういうようにされるわけですか。
  47. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 御指摘の幕僚会議の議事運営につきましては、統合幕僚会議議事運営規則によって定められておりまして、会議の議事は、陸海空の三幕僚長及び統合幕僚会議議長全員の合意を原則としておることは、御指摘のとおりでございます。  他方、同じ規則においては、意見が相違した場合には、統合幕僚会議議長が「意見の相違点及びその理由を明らかにして、当該案件の会議の結果を長官に報告しなければならない。」こういうふうに規定した上で、さらに、議長は「自己の意見に基づき長官に助言することができる。」とされているところであります。  したがいまして、仮に意見が異なったまま報告があった場合には、自衛官の最上位たる統合幕僚会議議長の助言を踏まえまして、各種の軍事的、政策的事項を総合的に勘案した上で、最終的には防衛庁長官防衛庁としての最終判断を行うこととなるわけでございます。
  48. 島聡

    島委員 いわゆるシビリアンコントロールというのは、言うまでもなく、軍政の部分というのはきちんと管理していく、軍令の部分においてはいわゆる専門家の、特にこれから高度技術化したものは専門家の意見を尊重する話だと思うんです。  今、お話を聞いて、確かに、議長は助言をして、最終的には長官が御判断されるという話でありますが、これだけいろいろな意味で高度技術化した戦争の形態の中において、統合幕僚会議がある意味で調整せず、意見が異なる場合は両論併記的に出して、ただ議長はこれはこの方がいいよというような助言だけして、長官が判断される。  これは要するに長官が定めるわけでありますので、お聞きしますが、これで不備はないと長官はお考えですか。
  49. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 防衛庁におきましては、今委員も触れられましたが、シビリアンコントロールの観点も踏まえまして、政策的な観点からは内部部局等が、軍事的、専門的な観点からは統合幕僚会議や陸海空各幕僚監部が、それぞれの立場で長官を補佐するという役割を分担してとっているところでございます。したがいまして、軍事技術に関する事項についても同様に、政策的な観点からは内部部局が、軍事専門的な観点からは統合幕僚会議、各幕僚監部が、それぞれの立場で長官を補佐することとなるわけであります。このように、防衛庁における長官の補佐体制については、軍事技術に関する事項を含め、遺漏なきよう整備されているものと考えます。  その一方で、御指摘のように、軍事技術の高度化により、専門的な知識に基づく判断が従来以上に増していることは、先ほど来委員が御指摘のとおりであります。そういう観点から、内部部局、統合幕僚会議、各幕僚監部等においては、おのおのの任務を適切に遂行できるよう、常日ごろから相互に緊密な連携をとることはもとより、研究等にも励んでいるところでございます。  また、今、大変大きな問題がいろいろ続発してきますので、統幕会議とは別に、防衛庁の幹部を集めて重要事態対応会議というのを毎週一回開いておりまして、あらゆる事態にどういうふうに対応していくかということを政策面からあるいは軍事専門的な観点から毎週そういう討議を行って、事態に遺漏なきよう対応していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  50. 島聡

    島委員 私は、特に、陸海空自衛隊統合運用がなされて、総理大臣、防衛庁長官によるコントロールが強化され、そしてまた統合幕僚会議が効率的に運用をされて結果を果たすように、これは機能を法的にも質的にもきちんと抜本的に強化すべきであろうというふうに考えております。申し上げたように防衛庁長官が定めるわけでありますので、ぜひとも、ここは防衛庁長官の御見識で、本当にこれでうまく動くのかどうか、お考えを賜っていきたいと思います。  同じく、これも防衛庁長官の考えで決めるようなことについてお尋ねしていきますが、例えば、防衛出動時の自衛官の待遇についての規定は、防衛庁職員給与等に関する法律第三十条で「別に法律で定める。」となっています。この法律が一番最初にできたのは、保安庁法のときですが、昭和二十七年の八月一日。その後、昭和二十九年七月一日施行「出動の場合の特別措置 第三十条 出動を命ぜられた職員に対する出動手当の支給、災害補償その他給与に関し必要な特別の措置については、別に法律で定める。」防衛白書にも「法律は、未だ制定されていない。」となっているわけでありますが、これは事実でありますか。そしてまた、どうして制定されていないのですか。
  51. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 大変痛い御指摘でございますが、御指摘のとおり、いわゆる有事給与につきましては、防衛庁職員給与等に関する法律第三十条において、別に法律で定めることとされておるわけであります。  ところが、この法律が未制定であることは御指摘のとおりであります。なぜならば、防衛庁等における有事法制の研究の一環としてこれは研究を進められてきているところであります。有事法制の問題につきましては、現在の研究が問題点の整理を目的としているものであって立法の準備ではないという前提が二十二年前に決まっておりまして、そういう事情を勘案しながら、引き続き必要な検討を続けているところでございます。  防衛庁としては、給与問題を含むこの法律を初め、有事法制というものが、研究だけではなくて、もう二十二年もやっているわけですから、法制化されることが望ましいということを従来から申し上げているところであります。  私どもとしては、今この法律に盛り込むべき内容としては、支給すべき手当の種類とか、支給基準とか、支給対象者とか、災害補償の種類とか、いろいろありますが、具体的には、出動の規模や態様等がいろいろ考えられ、これらの場合における勤務内容公務災害の態様についてもいろいろな場合が考えられるため、さらに引き続きこの検討を行っているところでございます。
  52. 島聡

    島委員 私、昭和三十三年生まれでございますので、その前からの法律でございますので、よろしくお願いをいたします。  同じように、賞じゅつ金の制度についてお尋ねをします。  自衛官公務中にある意味で非常に不幸な事態に陥った場合、賞じゅつ金の制度があるとは認識しております。賞じゆつ金に関する訓令というのがありまして、その中の第二条第五項に、いろいろな例が出ていまして、前各項に定める場合のほかは特に防衛庁長官が定める場合において賞じゅつ金を授与することができると決めてあります。  「防衛庁長官が定める場合において」でありますから防衛庁長官にお聞きするわけでありますが、例えば、周辺事態等の出動の場合にそういうことになった場合には、防衛庁長官としてはどのようにお考えになりますか。
  53. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 自衛隊員が周辺事態等に対応して我が国実施する措置に係る業務に安んじて従事し、あるいは名誉と誇りを得ることができるようにすることは、私は肝要なことだと考えております。あってはならないことではございますけれども隊員がこのような業務を実施する上で不幸にして殉職等をした場合には、賞じゅつ金制度対象とすることが適当であると私は考えております。  このようなことから、現在、賞じゅつ金に関する規定整備を含めまして、支給の仕組み等について検討を進めているところでございます。
  54. 島聡

    島委員 いわゆる軍事問題、いわゆる防衛問題における最高責任者である防衛庁長官権限というのは、こう見ましても相当あるわけでありますから、きちんと把握していただいて、国民信頼されるいわゆる防衛体制をつくっていっていただきたいと思う次第であります。  次に移りますが、先日、朝日新聞に、核搭載船寄港に関する大平氏の口頭了解があったという報道がありました。  参議院でも質問がありまして、多分質問をしても同じ、私ども何度も事前協議について聞いていますと、答弁を徐々に覚えてきております。今回の場合もまた多分、米側の内部文書であると承知いたしており政府としてその内容にコメントは差し控えるという答えが返ってくると思いますので、改めてこの問題についてはお聞きしませんが、いわゆるアメリカの公文書というのは、このようにどんどん公開されるわけです。私もこの本文も取り寄せました。  まず、アメリカの現在の情報公開制度、このようにどんどん公開されていくということについて、どういう状況になっているのかについてお尋ねしたいと思います。
  55. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 米国の情報公開制度でございますけれども一般的に申しますと、いわゆる情報自由法というのがございまして、それに基づいた公開ということが行われております。そして、特に外交、防衛など国家安全保障に関する情報につきましては、大統領命令というのがございまして、「秘密区分を受けた国家安全保障に関する情報に係る大統領命令第一二九五八号」に基づいております。また、国務省におきましては、国務省の基本権限法に基づきまして、米国外交文書として刊行、閲覧されているところでございます。  国家安全保障に関します情報の公開につきましては、今申しました大統領命令に基づきまして、現在のところは原則として三十年を経過した記録につきまして、また、大統領命令が改正になっておりまして、二〇〇〇年一月以降は二十五年ルールということに移行するそうでございますが、いずれにしましても、現在はその三十年ルールに基づきまして、国立公文書館に移管した上で公開しております。  また、個別の開示請求というのがございました場合に、審査を行いまして、秘密指定を解除するということもあるというのが現状でございます。
  56. 島聡

    島委員 基本的に、国防省のすべての記録は原則として三十年経過した時点では自動的に秘密指定解除がされる。  ただ、一定要件を満たす記録については秘密指定を継続することができるということなのだそうでありますが、この一定要件というのは一体どういう要件なのですか。
  57. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 まさに今島先生御指摘のようなことでございますけれども、すべての記録が公開されるということではございませんで、先ほど申し上げました大統領命令第一二九五八号では、公開の例外というのが定められております。  大まかに言いますれば、国防に関する重要な情報とか情報源の秘匿に関するもの等がございますけれども、具体的には、例えば、第一に、秘密の情報源の身元、諜報の情報源の身元、諜報手段の適用に関する情報。さらに、二番目には、大量破壊兵器開発とか使用を助長するような情報。三番目には、暗号システム、活動に関する情報。四番目には、兵器システムを損なうような技術情報。五番目に、現在でも有効な軍事戦争計画を明らかにするような情報。六番目に、外国政府との関係及び現在進行中の外交活動を明白に損なうような情報。さらには、テロの関係でございますけれども、要人の警護業務に明白に支障を来すような情報。八番目に、現在の国家安全保障、緊急軍備計画を明白に損なうような情報。九番目に、公開が、法律、条約、国際取り決めに反するような場合の情報等ということが掲げられておりまして、このような記録については公開されないということとされているところでございます。
  58. 島聡

    島委員 その要件というのは大統領令で決まっているのですか。ということは、大統領の意思でその要件を変えることができると認識していいですか。
  59. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 この大統領命令は、一般的な指針と申しますか、一般的な法律でございますので、個々の公開文書の審査とか取り扱いにつきまして、この基準に従って判断がされるということでございます。
  60. 島聡

    島委員 いわゆる事前協議は、事前協議の申し入れがない限り核は持ち込まれていない、事前協議があれば非核三原則に照らして拒否するという方針であるということはよく存じておりますが、アメリカがこのように情報公開、今のところは大統領令で公開していないわけであります。ひょっとしたらそういうものがあったのではないかということが徐々に公開をされてきているわけであります。そうすると、ある時点で、本当にそのときの真実がどうだったのかということがわかるときが来るかもしれないし、また、逆にそれを、仮にで申し上げます、それが何らかの、政府が今までとってきた政策と矛盾を来すようなことを向こうが秘密として持っていたことを公開するかしないかということができるようになった場合、ある意味でバーゲニングパワーというのが相手国にあるのではないかというふうに、また、それを強化するのではないかと私は思うわけであります。  事前協議の問題というのは恐らく、あるいは非核三原則に関する問題というのは、外務委員会で私の同僚議員である玄葉議員も主張はしたかもしれませんけれども、そろそろきちんと考えていかないと、いろいろな意味で、外交上、日本の国益ということに本当にいいのかどうかということを考える時期が来ると私は思っておりますので、今後またこの問題につきましてはいろいろと考えていきたいと思います。  あと五分しかございませんのでちょっとお尋ねをしますが、韓国、北朝鮮の問題についてお尋ねをいたします。  先日、ペリー米政策調整官が北朝鮮を訪れました。金総書記と会う予定であったのが、結果として会えなかった。これは何らかのメッセージが含まれていると思うわけであります。この現在の北朝鮮の状況をどう考えて、どういうメッセージを北朝鮮が発しようとしているのかということについて分析しているかをお尋ねしたいと思います。
  61. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 ペリー政策調整官は、北朝鮮から帰ってまいりまして、ソウルで記者会見をしましたが、そのときに、自分たちは北朝鮮側に、金正日総書記との会談が有益である旨、示唆はしていた、しかし、会談が実現するとは当初から思っていなかったということを述べておられますので、もともと予定されていたものがキャンセルされたという事実関係ではないと考えております。  今先生の御質問が、なぜ金正日総書記が今回出てこなかったか、その辺をどう分析しているかという御質問であれば、これは北朝鮮側の判断なわけでございますが、出ない方がいいという判断があったということだと思います。  常識的に考えますと、恐らく北朝鮮側から見れば、ペリー調整官がどういう提案、どういう話を持ってくるかということが余り明確にわからない段階でトップが出て、何らかのコミットをするとか、また逆の反応をするというようなことをする段階ではないという判断であったのかな、常識的な分析ではございますが、そのように考えております。
  62. 島聡

    島委員 極めて常識的な分析をしていただきまして、ありがとうございました。  もう一つだけお尋ねをしておきます。  いわゆるガイドライン法案が成立して、日本中国説明するために、外務省の方、防衛庁の方が中国に行かれたと聞いております。私どもの代表であります菅直人代表も五月に中国に参りました。そして、聞くところによりますと、七月には小渕首相も行かれる予定やに聞いております。  一体、今中国が、日本のこのガイドライン法制定後の状況についてどう考えて、どのように感じたかについて説明をお願いいたします。
  63. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 新たな防衛協力のための指針とその関連法案につきましては、従来から、中国を含めまして、関心を有する諸国に対しましていろいろなレベルで説明をしてまいりました。透明性確保するというのが、ガイドラインの中間報告を発表したときから政府の一貫した姿勢でございまして、中間報告の段階それからガイドラインを完了しました際、さらには法律案を作成しましたときも、中国を初めとする諸国に対しては、透明性ということに努めてきたところでございます。  その後、具体的に申しますと、周辺事態安全確保法が成立、承認されました五月二十四日に、中国に対しまして、小渕総理御自身より、そのとき来日しておりました呉官正中国共産党中央政治局委員一行に対しまして説明をいたしました。そして、日本は専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国には決してならない、日中共同声明において表明された我が国の立場には一切変更はない旨を発言されたところでございます。さらに、先ほどまさしく先生から御指摘をいただきましたが、五月二十八日には外務省及び防衛庁の担当者を中国と韓国に派遣をいたしまして、中国におきましては、外交部及び国防部の関係者に対しまして詳細な説明を実務レベルで行いました。内容を今ここで繰り返すことはちょっと差し控えさせていただきますが、従来から申し述べておりますとおりの、指針、関連法が、例えば特定の脅威を前提としたり、特定の国に向けられたものではないといったようなことであるとか、安保条約の目的の枠内であるといったようなことを詳細に説明したところでございます。  このときに先方からは、我が方から特別に説明の労をとったということに対しての感謝の意と評価をするという旨の発言がございました後、やはり中国としての立場とか懸念というものが改めて表明されております。日中友好の大局的観点から、対話を通じて意見の相違を縮めていく努力が必要であるというようなコメントがございました。  我が国といたしましては、先ほど島先生から総理の訪中との関係での御指摘がございましたけれども、現時点におきまして、総理が訪中するということになった場合には、その対応について決定しているわけではまだございませんけれども、そうした機会も含めまして、今後とも必要に応じて我が方の考え方中国側に説明し、また重ねて透明性確保するということに意を用いていきたいと考えているところでございます。
  64. 島聡

    島委員 中国がある意味で台湾等の問題について相当の自制をすることを宣言し、かつ北朝鮮の問題についていろいろな役割を果たすことをしてくだされば、恐らく日本を取り巻く安全保障環境というのは劇的によくなると私は思います。極めて大きな課題を背負って、小渕総理、行かれることになると思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  質問を終わります。
  65. 二見伸明

    二見委員長 次に、冨沢篤紘君。
  66. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 公明党・改革クラブの冨沢篤紘でございます。通告どおり質問を申し上げます。  まず、周辺事態と日中関係についてお伺いをいたしますが、私はかねてから、台湾は中国の内政問題である、周辺事態から明確に外さなければいけない、こう主張をしてまいりました。しかし、政府はこの点をあいまいにしたままで法律が成立をしたところでございます。この点について中国の反発が大変大きい。すぐ隣の国でありますので、ほうっておくのは無責任きわまりない。今後どんな対処をされるのか、まずお伺いをいたします。
  67. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 中国が、先生の御指摘の問題につきまして懸念、関心を表明しているということは、従来より我々としても十分に認識をいたしているところでございます。したがいまして、これはガイドラインの作成のときから、中国に対しての説明と申しますか、中国理解を得るということについては意を用いた努力をしてきた所存でございます。  具体的には、先月の二十四日に、小渕総理大臣からそのときに来日をしておりました呉官正中国共産党中央政治局委員一行に対しまして、日本として、専守防衛に徹する、軍事大国には決してならないという日本の基本的な姿勢を説明したところでございます。さらに、法案の成立後、時を経ずしまして、外務省と防衛庁の審議官レベルでございますが、中国に人を派遣いたしました。そして、先方の外交部と国防部の関係者に対して詳細な説明をいたしました。  その中には、先ほど先生が御指摘されました台湾の問題につきましても、台湾をめぐる問題につきましては、我が国としては、日中共同声明において表明された基本的立場を堅持するとした上で、台湾をめぐる問題が当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望している、日中平和友好条約及び日中共同宣言において表明された立場に変更はないということを繰り返し説明申し上げたところでございます。  中国側からはやはり中国の立場としての懸念というものの表明がございましたが、我が方が説明努力をしているということについては先方もこれを高く評価しているところでございましたし、また日中友好の大局的観点から、これからも話し合いを通じて理解を深めていきたい。それから、中国側としては、日本言葉で言っていることを行動で守ってほしい、示してほしいということを強調されていたところでございます。したがいまして、日本としましても、まさに行動で我々の平和的意図と申しますか、真意を示していくということが一つ必要であろうかと思います。  さらに、これからもいろいろな機会、ハイレベルの接触の機会も含めまして、重ねて中国との対話、相互理解のために努めていく、この指針と関連法案につきましての日本側の真意と、中国、台湾問題に関する日本側の立場ということについて、繰り返し重ねて先方の理解を得るように努力をいたしておく、こういう強い所存でございます。
  68. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 中国政府は基本的に日本政府に不信を持っております。  私たちは、先月、日中友好議員連盟、林義郎代議士を団長に各党代表者一名ずつ、八名で訪中をいたしました。先月十六日から二十三日まで、李鵬全人代常務委員、トウカセン外務大臣、徐敦信全人代外事委員会副主任、いろいろ大勢の方にお目にかかったのですが、殊に徐敦信さんは、一週間、北京、昆明、上海、全行程を御案内をいただく厚遇にあずかりまして、みんな感激をしたところなのですが、中国がなぜ周辺事態に反発をするのか、その理由を明確に教えてくれました。  御承知のように、徐敦信さんは、昨年まで中国の駐日大使を務めておられまして、日本語も極めて堪能な方でございます。徐敦信さんの話によりますと、橋本・クリントン会談、ちょうど二年前、この会談で日米新ガイドラインが合意をされて、ここで周辺事態という新しい概念が発明をされました。米軍の後方地域支援日本自衛隊が担当をする、受け持つ、こういうことですが、周辺事態、新しい言葉でありまして、一体どの範囲になるのか、台湾問題を抱えた中国としては最大の関心事になったわけでございまして、当時駐日大使として、徐敦信さんは、内閣官房長官の梶山静六代議士と公式、非公式を通じて周辺事態の定義、範囲を直接お伺いをしたということでございます。  徐敦信さんの言われることには、私への返事では周辺事態は極東であり台湾を含むというのが非公式の席上の梶山官房長官の明快な見解であった。徐さんは駐日大使でありますから、当然そのとおり本国に伝えましたと。したがって、周辺事態は極東であり台湾を含む、ここが中国政府の基本認識になっている。こういう説明でございました。  今、政府は周辺事態をあいまいにしたままで法案の成立を図ったところでありますが、中国の対日不信、反発は根拠のないものではないのでありまして、徐敦信発言を政府はどうお受けとめになりますか。
  69. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 ある事態が周辺事態に該当するかどうかは、あくまでも事態に応じ、その規模、態様等を総合的に勘案して判断するものであり、特定の地域における事態を仮定して、それが周辺事態に該当するか否かをあらかじめ判断することはできないことであります。このことは政府が従来から御説明申し上げているとおりでありまして、梶山元官房長官が発言されたということも、私どもは、ただいま申し上げたような趣旨から、具体的に御答弁することは差し控えたいと思います。  なお、台湾に関する我が国の基本的な立場は、先ほど外務省から説明がありましたが、日中共同声明において表明されているとおりでありまして、すなわち、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認した上で、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重するものであり、我が国としては、中国政府は、台湾をめぐる問題は中国人同士の問題として平和的解決を目指していると承知しております。このような基本的な立場を堅持した上で、我が国としては、台湾をめぐる問題が中国当事者間の話し合いにより平和裏に解決されることを強く希望しておる次第であります。そういう願いが強いものですから、ただいまも話題になりましたが、防衛庁、外務省からそれぞれ担当者を派遣して、早速中国に対し理解を求める説明をしたところでございます。
  70. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 今、防衛庁長官の御説明、そのあいまいさが反発、不信の原因になっているのでありまして、李鵬さんの発言では、まさに周辺事態、もうみんなが来て、説明は要らない、日本政府は行動で示せ、こういう御発言もあったところでございます。  七二年、七八年、共同声明、平和友好条約、ここに表明された立場に何ら変更はない、こういう御答弁でありますが、共同声明、平和友好条約の立場に何ら変更がないということは、台湾が外れるという意味ではないんですか。ここには明確に、今御答弁にあったように、台湾は中国の不可分の一部、これをお互いに尊重する、こういう表現になっております。この立場に何ら変更がないということは、台湾が入らない、こういうことになりませんか。
  71. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 これはもう先生御案内のとおりでございますが、日中共同声明の立場を堅持すると申します場合、台湾につきましては、先ほど防衛庁長官から御説明がございました「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」というのが日中共同声明の第三項でございます。まさにこの共同声明については日中平和友好条約でも再確認をされておりますところでございまして、日本としてこれを堅持しているというところでございます。  他方、先ほど来御議論の周辺事態と申します概念は、あくまでも我が国の平和と安全ということに着目をいたしまして、どこで起こった事態であれば周辺事態であるということではなく、その事態日本の平和と安全に重要な影響を及ぼすか否かということにあくまで着目して判断をいたすということでございますので、あらかじめ特定の地域についてこれを云々することはできないというのは、これは重ねて政府から説明を申し上げてきたところでございまして、この説明について、立場について変更するところはないわけでございます。
  72. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 外務大臣いらっしゃいませんが、何度伺っても政府の説明は、外国人にとっても日本国民にとっても、極めてわかりにくい。外交安全保障というのは明確であることが必要なので、この点を指摘しながら、質問を進めます。  ガイドライン法成立に伴い、自治体や民間に協力を求めることができるようになりました。この点について、神奈川県の岡崎洋県知事から注文が届いておりまして、国が自治体や民間に求める協力内容が明確でない、国と自治体で話をする場が必要ではないか、こういう注文が届いてまいりました。協力といっても、意味合いがどういう性格か、協力の内容によっては県民生活に直接かかわりが出てくる、具体的に十一項目が例示をされておりますが、この項目別をどう取り扱うのか、事によったら県民生活を優先しなければならない項目も出てこよう、したがって、自治体と国が協議する場、機関を設ける必要がある、こういう御発言内容でございますが、この点について、防衛庁長官、お考えをお示しください。
  73. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 この九条関係はこの立法の過程からずっと内閣の方で所管しておりまして、公共団体の責任者とそういう協議の場をつくる必要があるかどうかということは内閣の判断が優先すると思いますが、委員からそういう質問が出たということは、私からも責任者の方に申し上げておきたいと思います。  いずれにしましても、内容がはっきりしないという御指摘がありますので、これをもう少し具体的にマニュアル化することを内閣の方でも考えているところでありますから、この施行までに何とかそういうものを具体化しなければいけないのじゃないかと私も考えております。
  74. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 本来、法案が成立する前にこういう協議機関はあってしかるべきものと私は認識をするものでありますが、もうでき上がっておりますので、自治体の首長は大変心配をしている項目でもございますので、どうぞひとつ早急に対応していただくよう要望を申し上げておきます。  質問を進めます。米軍の軍事基地の進入表面下騒音補償制度新設についてお伺いをいたします。  前額賀長官の時代、NLP訓練の行われるアメリカ軍の軍事飛行場の受忍限度を超えた騒音に対して新しい制度、騒音被害補償制度をつくる必要がある、こういう質問を申し上げましたところ、どういう方法でそれができるか検討してみたい、こういう御答弁でありましたが、その後防衛庁内でどんな検討がされているのか、まずお伺いします。
  75. 大森敬治

    ○大森(敬)政府委員 お答え申し上げます。  厚木の基地をめぐります騒音問題につきましては重大な関心を持っておりまして、先般の御議論も踏まえまして、野呂田大臣からも検討を指示されているところでございます。  防衛施設庁が行っております飛行場周辺の基地対策につきましては、周辺環境整備法に基づきまして、航空機の離着陸等によります騒音対策といたしまして地方自治団体が学校、病院等への防音工事など必要な措置を講じる場合の、地方公共団体等に対しましての補助金や周辺整備調整交付金を交付しているところでございます。  こうした基地対策のための補助金や交付金は、障害を防止するということの用途に当てることでございまして、使途を限定することが必要不可欠な要件となっておりまして、前回も御説明申し上げましたところでございますけれども、使途を限定しない交付金という制度を設けることは困難であるというふうな認識を持っているところでございます。  しかしながら、厚木飛行場の周辺対策が重要であるということは防衛施設庁としても十分認識しているところでございます。騒音問題につきまして、またその地元の方々の御要望を十分拝聴させていただきながら、さらに検討していく必要があるというふうなことで、現在まだ検討中というふうなところでございます。
  76. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 NLP騒音に対して基本的な認識に欠ける感じがしておるのですが、まず第一に、米軍NLPの行われる特殊な限定的な施設であること。これは厚木基地、横田基地、岩国基地、三カ所ぐらいでしか行われておりません、米軍のNLP訓練というのは。したがって、特殊な限定的な施設であること、これが一つ。  二つ目は、NLP訓練で発生する騒音が受忍限度を超えているということ。  三つ目は、住民の騒音被害訴訟で、国が負けて二十七億三千万円の補償を裁判所から命じられている。原告三千四百人、二十七億三千四百万円の被害補償を命じられている。  四つ目は、日米安保体制に理解のある住民はこの裁判に参加していない。受忍限度を超えた騒音も、国防のため、日本のためだといって我慢をしている方がいらっしゃる。防衛当局はこれをほったらかしにしているのが今日までの姿でございます。  そこで、防衛関係費の中で、結構いろいろな補償が出ているのですよ。今回、地方分権推進一括法案の中にも、防衛庁関係の中で、漁業操業制限法あるいは特別損失補償法、この二法が上がっておりますが、それぞれ防衛のために必要な措置や補償が決められている。法の趣旨と補償金額をここでひとつお示しになってください。
  77. 大森敬治

    ○大森(敬)政府委員 御指摘の漁業制限補償法に基づきます漁業補償でございますけれども、これは、漁業制限補償法第一条によりまして設定されました制限水域におきまして、従来から適法に漁業を営んでいる者に対しまして、漁船の操業の制限または禁止によりまして漁業経営上具体的に損失をこうむった場合に、通常生ずべき損失を補償している制度でございます。支払い実績でございますけれども、平成十年度におきましては、二十三水域がございまして、十二億五千八百万という支払い実績になっております。  それから、もう一つお尋ねの特別損失補償法に基づきます補償でございますけれども、これも、特別損失補償法第一条の規定に基づきまして、従来から農業、林業、漁業等を営んでいた者が駐留軍の航空機の頻繁な離発着等の行為によりましてその事業経営上損失をこうむった場合に、国が通常生ずべき損失を補償している制度でございまして、この支払い実績でございますけれども、平成十年度は、九施設ございまして、七千二百万の支払い実績というふうになっております。
  78. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 漁業操業制限法、平成十年度の支払い実績の数字を、水域の数、支払い金額、もう一度御答弁願います。
  79. 大森敬治

    ○大森(敬)政府委員 漁業操業制限法に基づきます支払い実績で、十年度の水域数でございますけれども、二十三水域でございまして、金額は十二億五千八百万円でございます。
  80. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 防衛施設の安定運用あるいは訓練海域運用のために大変な金が出ている。漁民には、二十三水域、十二億五千万円、そして農家には、九施設、七千二百万円の補償金が出ているんですよ。これは国防のため、国防施設の安定運用のために出ている。大変結構な施策であります。  また、これは先般の話なんですが、厚木基地の隣接地に産廃業者が営業をしておって、ここから出される排煙が米軍住宅にかかる。煙突の改善費用に閣議決定してまで金を出す。これも大変結構なんですよ、基地の安定運用に。  煙の被害に金を出す、漁業補償も出す、さらに農家にも耕作補償を出す。なぜ騒音被害に金が出ないのか、私は不思議でならない。しかも補償されないのは、基地の存在に理解を示して、日米防衛体制を肯定している、裁判もしないでじっと耐えている、この人たちに当然なすべき救済措置を、こうして訴えられても手をつけようとしない。これはどういうことですか、御答弁を願います。
  81. 大森敬治

    ○大森(敬)政府委員 厚木飛行場の航空機騒音訴訟の結論は委員おっしゃるとおりでございまして、私どもも、防衛施設庁といたしましても深刻に受けとめているところでございます。  しかし、現在の補償制度、先ほどの漁業補償、特損法も、事業を営んでいる者の、またその経済的な損害というふうなものに対してでございますので、現制度で基地周辺の方が、裁判も指摘しているところでございますけれども、住民の方の焦燥感、不安感といった精神的な障害につきましての補償制度ではないということで、私どもも、精神的な被害の問題にどういうふうに対応していったらいいかということで非常に苦慮しているところでございます。  先ほども申し上げましたように、現在の周辺対策は、具体的な相当因果関係があり、また使途を明定するというふうなことが条件になっております。この面で私ども、さらに住民の方々の精神的な不安を軽減するのに、現制度でもさらに何か工夫の余地があるのかどうかというふうなことを中心に現在検討しているわけでございますけれども、まだ結論といいますか、その具体的な成案を得ないところでまことに申しわけない状況でございますけれども、地元の方々の御要望はさらに聞かせていただきつつ、何か工夫ができないのか、さらに勉強を続けていきたいというふうに思っているところでございます。
  82. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 最後に、防衛庁長官にお伺いをいたします。  防衛庁の御努力で、確かにNLP、硫黄島に新しいもう一本の滑走路をつくっていただいて、全体の練習量の九割方が移っていることも事実です。このために騒音が大幅に軽減されている、これもまた事実でございます。しかし、全部が移らないということも事実なのです。地元からは、航空母艦が横須賀に入る前に全部硫黄島におろして、訓練は硫黄島で全部やってもらいたい、こういう直結方式という提案もしている。  しかし、米軍からは、直結方式それ自体が無理なのだ、どうしても厚木基地に艦載機をおろす必要がある。NLPは残るのですよ。しかも、直結方式を防衛庁採用しようとしない。私の選挙区にNLP訓練は残るのですよ。残っても、さらにその施設は三カ所、横田と岩国、ふえても三沢だ。極めて限定的な施設。新しい法律をつくって救済措置ができるはずですが、これは政治の決断でできる。役人にはできない。防衛庁長官、どうですか。御決断をされて、新しい法律をつくって救済をせい、この御決断はできませんか。
  83. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 厚木飛行場につきましては、先ほど来施設庁長官答弁しているとおり、住宅防音工事等の促進をかなり必要かつ十分に行ってきたところであります。また、今委員から御指摘のとおり、厚木飛行場におけるNLPの訓練の約九割が硫黄島で行われて、かなりの騒音軽減がなされたものと私どもは承知しております。  地元からの御提案のあります直結方式につきましては、米側にも何度か照会し、交渉したところでありますが、米側としては、多数の艦載機を空母の入港期間中、硫黄島に置くということになれば、多くのパイロットや地上要員を同島に配置することが必要となり、また、この硫黄島は厚木飛行場から千二百キロメーターの遠距離にあるため、空母航空団の作戦上及び訓練上の即応態勢を著しく低下させる。また、パイロット等と家族の別居期間をさらに長期化させ、士気に影響を与えるなどの理由により、なかなか納得しないというのが実態であります。  我々としましては、いわゆる直結方式に対する米側の判断は、米軍の運用上の諸問題を総合的に勘案した結果のものと判断するので、これ以上米側に要請することは困難なものと考えておりますけれども、今後ともあきらめないで交渉努力をしてみたい、こういうふうに考えております。  最後に、委員が先ほどから申されております騒音補償制度をつくるべきではないかというお考えでありますが、私どももこれまで関係省庁と何度も交渉したわけでありますが、基地対策のための補助金や交付金は、障害を防止する等の用途に充てるものであって、使途を限定することが必要不可欠の要件だ、したがって、騒音補償制度という国の金を使途を限定しない交付金のような制度を設けることは困難であるということで、今私どもが壁に突き当たっているわけであります。  いずれにしましても、厚木飛行場の周辺対策は重要であるということは私どもも十分認識しておりまして、この飛行場の騒音問題について、地元の要望に見合う何らかの措置が必要ではないかと考えておりまして、引き続き勉強してまいりたい、こう思っているところであります。
  84. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 時間ですので、終了いたします。ありがとうございました。
  85. 二見伸明

    二見委員長 次に、東中光雄君。
  86. 東中光雄

    ○東中委員 今回の自衛隊法改正自衛隊員の再就職承認手続改正は、先般の防衛調達に関する不祥事件を契機として見直し、検討をした、そしてその結果行うものだ、こういうふうにされておりますが、防衛庁背任事件において、再就職をめぐりどのような問題があったのか、このことをまずお伺いしたいと思います。
  87. 及川耕造

    ○及川政府委員 先生御指摘のとおり、背任事件に関連をいたしまして逮捕されました元調達実施本部本部長並びに副本部長が、水増し請求を行った案件に対しまして、その返還を求めるに当たり、適正ではない計算を行う一方、他方で当庁OBの方の就職について依頼をした、こういう経緯があったというのが明らかにされているところでございまして、そういった点も踏まえて今回の再就職問題についての御議論をしてきた、こういうことだと存じます。
  88. 東中光雄

    ○東中委員 えらいいとも簡単におっしゃいましたが、それでは私たち、再就職についてどういう動きがやられてきたのかということについて、冒頭陳述、随分長いものが出ておりますが、これで調べてみました。そうしたら、こういうことが書かれております。  被告人諸冨は、かねて防衛庁長官官房長から防衛庁事務官、いわゆるキャリア事務官退職者の再就職先確保を依頼されている。それで、退職者の再就職用の役員枠を受注企業に設けさせよう、そういうふうに画策をした。被告人上野は、キャリア事務官等退職者の再就職先確保できれば、その功績を高く評価され、自己の昇進や再就職の上でも有利になることなどから、これに賛同をしたという記述があります。これは冒陳の六十三ページから六十四ページ。  そして、被告人諸冨は、平成六年四月五日ごろ、被告人上野に対し、官房長から頼まれているが、元参事官を東通の監査役に入れたい、上野君から永利常務、NEC常務取締役、当時ですね、に話をしておいてくれという、指示というのですか、をやった。これは八十四ページから八十五ページに書いてあります。  そして、被告人上野は、NEC本社に戻った被告人永利に電話をかけ、こっちとしても相当無理をしているんだから、東通にうちのOBを役員クラスで受け入れてもらいたいという要求をした。これが九十三ページに書いてあります。  だから、再就職について官房長から調本の本部に、再就職できるように受注会社に役員の枠をつくるようにしてくれという要求がある。それをそのまま本部長が副本部長である上野氏に伝える。上野氏は、これをちゃんとやれば自分の昇進に道を開くことになるんだということで、そういうふうにやることに賛同した。そして具体的には、あの参事官の問題が実際に実行された。  こうなりますと、再就職用のポスト、取引先の会社の役員枠をつくる、こういう動きになっているのですね。官房長はこの事件の被告ではありません。こういう仕組みが、再就職についてそういうことになっておったということが、この事件の中で出てきた、そういうことを冒陳で、証拠によって証明すべき事実ということで、検察庁が公にしているわけですね。  そういう事実は認められるかどうか、それについてどう考えておられますか。
  89. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 御指摘の背任事件に関して、なぜ当時の調本幹部が法や訓令に従い過払い額を算定しなかったかなどの理由につきましては、公判の冒頭陳述において、自己の責任を回避してその保身を図るとともに、東通に防衛庁のキャリア事務官等退職者の再就職用に役員等の枠を設けさせるなどの目的を持って法や訓令に従うべき任務に背いたと指摘されておりますけれども、その事実関係については、防衛庁としましては現在進行中の公判により明らかにされるものと考えておりまして、その進展を注意深く見守りつつ、防衛庁として適切に対応してまいりたい、こう考えているところでございます。
  90. 東中光雄

    ○東中委員 何を言っているのですか。冒頭陳述にこういうように書いてある。それは、検察当局としては、事実によって証明することができるものについて、刑事訴訟法二百九十六条でそういうことをしなきゃならないということになっておったから、そうしているのですよ。  だから、公判において明らかになるかどうかというそんな問題ではなくて、ここで私が今聞いている趣旨は、官房長が、出先の調達本部の、いわば会社と関係のある人に対して、再就職のために会社側の中に枠をとるように交渉するようにということを言うたということが書かれているけれども、そのことは、防衛庁が見て、それは許されることか許されないことか、やっちゃいかぬことなのか、やってもいいことなのか、その辺についてどう思うているかということが一つです。それに従ってやれば昇進に影響があるというふうに、ちゃんとやれば昇進にそういう評価を受けるというふうに副本部長の上野氏は思って行動を起こしたということが、これは証拠によってということで検察庁は書いているわけだ。  そういうことがあっていいのか、そういうことが防衛庁の中では当たり前になっておったのかあるいは特異なのか、やっちゃいかぬことなのか、それを聞いておるわけです。どうですか。
  91. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 冒頭陳述において、これは逮捕された二人が検察庁に対して申し述べたことでありますから、私どもとしては、そういう事実があったのではないかというふうに今思っておりますが、順次これから真相が解明されていくものと思っている次第でございます。  また、そういうことが日常化していたのか、また、そういうことをやれば栄進に影響があると考えるかということにつきましては、これは、あの諸冨、上野という者は、私は防衛庁における格別の存在であったのじゃないかと。このようなことが日常行われていたとは私どもは考えておりませんし、そのようなことをやれば失脚させるのが私ども管理者の責任でありまして、栄進させるなんということはあってはならないことである、こう思っております。  そういうようなことがはっきりとわかってきたものでございますから、私どもは今回、すべて再就職については長官承認にかからしめて、国会にもそのことを報告するように改めたいというのが、今回御審議をお願いしている法律であります。
  92. 東中光雄

    ○東中委員 官房長が調達の現場の者に対して、相手方の会社の中に再就職の役員枠をとれるようにひとつ話をしてくれというのは、何も背任行為をやれと言っているわけじゃないんやね。再就職の枠をふやすようにひとつやってくれということを言うたということは、これは一般的な問題としてだ。また、特定の参事官についての問題というふうに、二つ出てきているわけですね。  そういうことは、官房長が再就職について何の関心もないということじゃないと思いますけれども、そういう行為をやることはいいことなのか、そういうことはやっちゃいかぬことなのかということについて、防衛庁見解をお聞きしているわけです。
  93. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 それは絶対にあってはならないことだと思っております。
  94. 東中光雄

    ○東中委員 そうしますと、官房長は、やったということがこの冒陳で出ているわけですから、そのときの官房長はどなたか知りませんけれども、これは絶対にやっちゃいかぬことを諸冨氏に言い、諸冨氏は上野氏に言うて、それを今度はおまけに背任までやって実行したということになっておるのですから、その官房長はだれだったのか。それから、それについての責任はどうなったのかということ、これはどうなんでしょうか。
  95. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 ただいま大臣から御答弁がございましたように、防衛庁として、先生御指摘のような事実が絶対にあってはならないと承知しているところでございます。  それで、一般に、退職される方の再就職につきましては、私どもは、基本的にその個々人が現職時代に培った能力、経験等を買われて、それぞれの道に進んでいかれる。それで、再就職の問題というのは役所としても大変重要なものでございますから、役所の側において、職員の再就職を受け入れていただける企業等につきまして平素から情報収集に努めているほか、企業から適任者についての問い合わせがあった場合等について、役所の側が適宜情報提供、紹介、推薦等、私ども適切に対応しているところでございますが、その際、先生御指摘のようなことがあったとは断じて承知していないところでございます。
  96. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、平成六年四月五日ころ、被告人上野に対して、官房長から頼まれているが、元参事官を東通の監査役に入れたい、こういうふうに言うてきて、上野君から永利常務に話をしておいてくれというふうに諸冨本部長は言うた。  この官房長はだれなのか。官房長はそういうことはやっていない、検察ではそうなって、冒陳ということで発表されているわけです。そういうことはあり得べきことじゃない、やっちゃいかぬことであると言うのなら、その当時の官房長について調べたのか、調べてないのか。調べたとしたら、だれにどういう調べをして、どういう処置をしたのですか。
  97. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 そういうふうな報道とか事実が明らかになりましたので、私ども、当時の担当の官房長に事実を照会いたしたところでございます。当時の官房長からは、そのような事実について明確な記憶がない、承知していない、こういうふうなその当時の調査結果をいただいているところでございまして、私どもは、公判廷において事実関係が明らかになるということを見守っているところでございます。
  98. 東中光雄

    ○東中委員 照会したと言われました。いつですか。
  99. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 何月何日ということは覚えておりませんけれども、去年の秋という報告を受けております。
  100. 東中光雄

    ○東中委員 今、私が読み上げたのは、ことしの三月五日の冒頭陳述なのです。それまでに検察庁が公式にそういうことを発表したことはない。いわんや去年なんて、そんなことがありますかいな。こういう事実があったからあなたは聞いたと言うけれども、それは去年だと。冒陳はことしの三月五日ですよ。そして、見守っていると言う。見守っているはずの検察庁で、こういう公式の文書が出ておる。それについて、それから何もしていない、去年照会しただけだと。こういう姿勢ではだめだということを、はっきり言うておきたいと思います。  そんなことで、事件にかんがみて、それで検討したのだと言うて——その不祥事件の内容で、官房長がこういうことをやった、絶対やってはいかぬというようなことをやったという冒陳が三月五日に出て、私はそれを読んだ。それで、照会したと言う。いつ照会したのかというと、去年の秋だと。こんなことじゃだめです。長官、これは姿勢の問題ですよ。  私はあったともないとも——検察庁は証拠によって証明すべき事実として冒陳を言うているのだ、できることだと。できないことをやったらいかぬぞというのは、二百九十六条ですか、そう書いていますよ。予断、偏見を与えるような冒陳をやったらいかぬとまで書いてある。そこで、検察庁は、こういう文書で出しているのだから、それはやはりちゃんとするということでないといかぬと思うのですが、長官、どうですか。
  101. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 まことに御指摘のとおりでありまして、私、長官に就任してから、もう一切そういうことは隠したりするな、不幸にして事故が起こったら司法当局にはむしろ積極的に協力をしなさい、こういうことを言って改革を進めてきたわけであります。  今のようなことは、私が考えまするに、官房長は、その冒頭陳述を見て話を聞いたというのじゃなくて、当時の官房長にこの事案が発生したときに照会したものと取り違えたのじゃないかと思いますけれども、その際でも、私どもが聞きましても、本人は、自分のそういう瑕疵があることを、どんなに強く要請しても本当のことは言うてくれないというのが役所の調査の限界じゃないかと私は思うのです。ですから、今、冒頭陳述で、本人がそう言われて、検察がそれを申し上げているということでございましょうから、本当の真相というのは、やはり裁判が進んでいかなければ私どもとしては解明できないところがあるということも事実であります。  以後こういう不祥事が起こらないようにするためにも、私どもはさらに綱紀を粛正し、防衛庁職員の意識改革を行って、二度とこういう不始末が起こらないように対処してまいりたい、こう思っているところであります。  それにつけましても、今まで、国会への再就職の届け出とか、あるいは防衛庁長官承認というものが欠けていることが大変欠陥であるという数々の御指摘をいただいておりましたので、これを改めるべく今度の法律を提出させていただいておりますので、こういう犯罪をこれからも未然に防ぐために、この法案の成立についてどうか御理解をいただきたい、こう思っている次第でございます。
  102. 東中光雄

    ○東中委員 私は犯罪の問題を言っているんじゃないですよ。冒頭陳述にあらわれた当時の官房長が、具体的に、元参事官を東通の監査役に入れてくれ、その交渉をしてくれということを調達実施本部に言うたということ、これはどういう証拠に基づいてそういうふうに認定しているのか、検察庁がやったのか、わかりません、私は知りません。しかし、そういう言うたという事実があるということを冒陳には書いておるんだから。  そうすると、官房長がそういうことをやったらいかぬのやと、絶対あってはならぬと先ほどおっしゃった。しかし、具体的にそういうことが書いてあるのだから、それはどうなっているのかと官房長で調べて、それで、調べた上で、そんなことがないなら、ないということを天下に明らかにせにゃいかぬじゃないですか。そのままにしておいて、三月五日に出た冒陳にそう書いてあるのに、去年調べたというようなとぼけたことを当の官房長が答えている。何ということだ。だから、それを調べたらいいのですよ。調べなさい。
  103. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 確かに、今の官房長が、調べたけれども、そういうことは言っていないと言ったという先ほどの答弁を申し上げたのですが、冒頭陳述でこういうことが明らかになってくれば、私どもとしてもできる限りもう一回そこを調べてみたい、こう思っております。
  104. 東中光雄

    ○東中委員 だから、そういうことは絶対あってはならぬのだ。  再就職に、正しく努力する、あるいは情報提供するということはやってもいいと思うのですよ。しかし、こういう格好でやっておるということが公判で検察に指摘されておって、それで、それを知らぬ顔しておるというようなことじゃだめです、きちっとしなさいということをまず申し上げておきます。  もう時間がなくなってしまいましたので、もう一点だけ聞きたい。  防衛庁長官による再就職承認について、具体的基準を設定するということになりました。そういう中で、在り方報告によりますと、承認については、企業の売上額に占める防衛庁との契約額の割合、いわゆる依存度が高いと、それはもう承認しない、そういう基準が出されているわけです。  アのほかにイ、ウ、エといろいろありますけれども、このア項で言っておる依存度について、この基準でいきますと、例えば、三菱重工、NEC、日産自動車、東芝など、防衛庁の契約の上位企業は契約額が非常に多いけれども、会社全体の売り上げに占める依存度は非常に低いので全部承認される、そういう基準になってしまっているのですが、そうですね。  もう時間がありませんから、続けて聞いていきます。  むしろ、そういう依存度だけじゃなくて、額ですね。これは三菱重工にしてもNECにしましても、額が年間何千億、何百億ということになるわけですから、依存度は低くても、物すごく大きな額であります。防衛庁は年間二兆円からのそういう調達契約をやるわけですからね。ほかの役所はそんなことはないのですから。だから、依存度だけでいい一般の場合と違って、防衛庁というのは特殊なんですね。しかも、随意契約と。  そういう条件だから、額で承認の一つの枠を引くということをしなきゃだめだ。小さいところの依存度の多いところだけ禁止して、大きいところは全部やっておる。大きいところを通じて、大きいところの支配下の会社へどんどんいわゆる天下りするというようなことになったのでは、これはもうしり抜けになりますから。その点、もう時間がありませんので、一点だけ聞いておきたいと思います。
  105. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 長官による再就職の具体的な承認基準につきましては、自衛隊員の再就職の在り方に関する報告における提言を踏まえまして、一般職の例を参考に、本人が携わっていた契約額やいわゆる依存度等が一定の水準を満たさない場合には承認しない等の基準を設けることについて検討しているところであり、これをもって企業への影響力を不正に利用した再就職を防止する考えでございますが、ただいまの委員の御提言も勘案しながら今後さらに検討したい、こう思っております。
  106. 東中光雄

    ○東中委員 今後検討するとおっしゃったのですけれども、依存度によってやるということになっていますが、これは一般の場合なんで、防衛庁は特殊だ、二兆円もある。それから、契約企業に何千億というのがあるんですからね。そういう額はやはりちゃんと入れる。まあ、検討するとおっしゃったんですけれども、それはぜひ入れるようにしないと、やはり大きなところへどんどん行っているじゃないかということになって、公平性が確保できぬというふうに思いますので、そのことを強く要請しておきます。  終わります。
  107. 二見伸明

    二見委員長 辻元清美君。
  108. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党、社民党の辻元清美です。  まず最初に、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。  今回の法改正によりまして、懲戒制度整備という点があります。  さてそれでは、この懲戒制度整備に至りました理由と背景、さまざまな、役所に対するというか、市民の目も厳しくなってきている中で、どういう背景によって今回整備に至ったか、まず御説明いただきたいと思います。
  109. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 一般職におきましては、最近の公務員不祥事に関連し、非違行為をした職員が人事交流のため退職、出向し、復職した場合において、このような職員を形式上の任用関係の断絶を理由に懲戒処分ができないとすることは、公務における秩序維持という懲戒制度趣旨から適当ではなく、また、非違行為をした後継続して職員である者との均衡を欠くという問題があるため、こういった場合について懲戒処分をすることができるように国家公務員法の一部改正法案国会に提出されているものと承知しております。  防衛庁としましても、隊員の規律を厳正に維持することは、自衛隊精強性確保し、かつ国民信頼を得る上で極めて重要であると考えることから、自衛隊法所要改正を行い、一般職国家公務員に準じた懲戒制度整備をすることとしたところでございます。  自衛隊の使命である我が国防衛は、平素から国民信頼と支持なくしては達成し得ないものであるから、今後とも服務規律の厳正な保持を図り、職員一人一人の意識改革を図りながら、国民自衛隊に対する不信の念を抱かせることがないように真剣に努めてまいりたい、こういう思いでございます。
  110. 辻元清美

    辻元委員 今回の改正一般職国家公務員の例に準じてということで、この間人事院の方でも、公務員の倫理の確立という観点から、不祥事に対して厳正に対処するために、全体的に懲戒制度見直していこうという、その中の一環であると、今の御答弁を伺っておりまして、思いました。  確かにそうなんですね。今までこういう制度がなかった方がおかしかったのではないかと私は思います。  例えば、ちょっと振り返ってみますと、このところ、先ほどから防衛庁の一連の不祥事の話も出ておりますけれども、それ以外にここ数年、私たちは国会の中でも、厚生省の特別養護老人ホームをめぐる汚職事件なども数年前にありましたし、このときも職員処分を行ったのですけれども、昨年も大蔵省が接待汚職に関連して職員処分を行った際に、地方自治体や関連団体へ出向していたために懲戒処分が法的にできなかったという事例が出てきて、その反省にのっとって全体を見直していく、その中でこの自衛隊員についてもという理解を私はしています。ただ、今まで懲戒処分ができない者がいたというと、普通の市民から見たらびっくりするような話ですので、今回の法改正によってそこが一歩前進というふうに思います。  ただ、これをやはり厳正にやっていただかないと、法改正したのに実態が伴わないというふうでは困りますので、今、長官から経過と御決意を伺いましたので、しっかりやっていただきたいというふうに思っております。  さて、二点目ですが、再就職について。  同じように、再就職についてはどういう理由と背景で今回見直しが行われるようになったのか、まず最初に長官にお伺いしたいと思います。
  111. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 先般の防衛調達に関する不祥事を契機にしまして、自衛隊員の再就職についても、顧問などの非役員の地位につく場合には長官承認を必要としないことになっておりましたし、また、再就職のための具体的な承認基準が示されておりませんでした。そういうさまざまな問題が提起されたところでありますので、防衛庁としましては、こういう点を反省し、また、国会での御議論や、部外有識者から成る自衛隊員の再就職の在り方に関する検討会の提言も踏まえまして、これまで一般職公務員に比して厳格さを欠くのではないかとの御指摘もあった自衛隊員の再就職手続について見直すこととし、所要改正案国会に提出したところであります。  今後は具体的な承認基準の作成を含めまして、可及的速やかにこういった事案に対応し、国民各位の信頼を早急に回復してまいりたい、こう存じております。
  112. 辻元清美

    辻元委員 この再就職については、今長官のお言葉の中にもありましたが、確かに批判が強かったです。特に防衛庁絡み、去年はこのニュースで一色になるほどの事態を招きました。その中での整備ですので、不備があっては困るというように思います。形だけつくって実態が伴わないようでは困りますので、幾つかの細かい点について質問させていただきます。  まず、改正いたしまして、離職前五年間に在職していた防衛庁本庁または防衛施設庁と密接な関係にある企業、よく言われます登録営利企業体のすべての地位への再就職対象になるというふうに承知しておりますけれども、この登録営利企業体というのは、現状ではどれぐらいの数があるのでしょうか。
  113. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 防衛庁においては、防衛庁との契約に参加する資格を有するものの名簿、有資格者名簿に登録していることをもって調査審査対象企業の範囲としてきているところでございますが、今回の制度改正に当たっても、この点については従来と同様の考え方とすることが望ましいのではないかと考えておりますけれども、お尋ねの有資格者名簿に登録している企業等の数は、各機関から聞き取りにより把握しているところによれば、平成九年度当初において、中央調達の登録企業等二千二百社を含め延べ約七万二千社になると承知しております。
  114. 辻元清美

    辻元委員 七万二千社という非常に多い数、私が自分でどれぐらいかなと予想していたよりも多い数でした。それらの関係企業体に対して、先ほどから議論にも出ておりますが、今後は一定の基準を設けてということになっていますけれども、この一定な基準について、次には御質問したいと思います。  この一定の基準の基礎になりましたのは、先ほど長官の御発言にもありましたが、自衛隊員の再就職の在り方に関する検討会、これは昨年の十月、有識者も含めまして設置され、検討を続け、ことしの三月に検討結果をまとめられた最終報告が出ていると思いますが、これを参考にしながら基準をお決めになったと思います。もう一度、その点について、基準を説明してください。
  115. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 基準を決めるまでの経緯は、今委員から御指摘いただいたとおりであります。  基準の一般的な考え方としましては、一般職の例を参考にいたしまして、例えば、本人が所属している機関と企業との間の年間契約総額が当該企業の年間総売上額に占める割合、これを企業防衛庁への依存度と言っているんですが、それが一定の水準以下でなければいけないということ。それから、本人が携わった契約額が企業の年間総売上額に占める割合または契約額そのものが一定の水準以下でなければならないということ。それから、再就職先での地位防衛庁との契約の折衝等を行う地位になかったということ等の基準を満たし、かつ公務公正性確保に支障が生じない場合について再就職承認することが適当とするというふうに考えておるわけであります。  さらに細かいことがありますが、時間がないようでございますので、この程度でよろしゅうございましょうか。
  116. 辻元清美

    辻元委員 今基準を示していただきまして、先ほど七万二千という企業体が対象というお話になりましたが、先ほどの共産党委員からの指摘もありましたが、グループ企業になっている場合とか、それから、非常に大きな企業体の場合は、そこに占める割合が少なくとも、額にしてみたり、それから、持つ契約内容の重要度といいますか、これは防衛庁との関係でいいましたら、特殊なものを製造したりするものですから、競争が弱いとか、ずっと同じ企業に頼んでいくとか、そのような特殊性がありますので、やはり、今長官がおっしゃいました一番目の、企業の総売上額に占める防衛庁との契約額の割合、これが一定水準というのは一概には決められないと私は思いますので、これは指摘を強くさせていただきますので、今後の検討にしていただきたいというように思います。  それで、あと二点指摘をさせてください。  きょうのこの審議を聞いておりまして、次に、特殊法人を含む公益法人への再就職については今回対象から離れているという点は、他の委員からの指摘もありました。これは私は、ほかの委員会でも、公益法人、特に特殊法人への再就職関係ということについても議論をしていくべきだというような意見が多々出ております。ですから、その点についても今後、今回第一歩ですので、検討をしっかりしてほしいなと思っています。  そして、最後にもう一つ、再就職については、若年定年退職者等については弾力的に承認する方向であるということなんですが、弾力的の中身、これを最後に長官に、どういう意味なのか、御説明いただきたいと思います。
  117. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 御指摘ありました承認基準の問題への配慮、あるいは公益法人への天下り禁止の問題等につきましては、今委員からお話がありました点もよく考えながらやってまいりたいと思っております。  最後の、弾力的な承認というのは、若年定年制自衛官については、六十歳定年制をとっている一般公務員よりも制度的に早期の退職を余儀なくされており、その多くは退職後の生活基盤確保などのために再就職必要性が高いこと、また、大部分の者が我が国防衛のため厳しい教育訓練に励んでおり、企業との関係を有さないこと、また、在職中に培った防衛に関する専門知識、経験等を生かし、防衛庁と契約関係を有する企業等に再就職する者も存在することなどの特性を持っております。  こういった点を踏まえまして、防衛庁としては、若年定年制自衛官が、例えば専門的知識、能力等を生かして再就職する場合、すなわち、逆に言えば影響力を不正に行使した再就職に当たらないと判断される場合には、他の隊員とは異なる承認の仕組みを設けることを検討してまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。  また、かかる仕組みを設けるに当たっては、その承認の基準、規則等について明確にその対応を書きたいと思っておりますし、このような仕組みを設けることによって公務公正性確保を阻害するようなことはないようにしたい、こういうふうに考えているところであります。
  118. 辻元清美

    辻元委員 それでは最後に、先ほどからお話が出ています中で、この間出されました再就職のあり方についての最終報告でも、最後の部分に透明性確保というのが強調されています。その中で、新たに設定する承認基準についても公にすることが適当であるという点で締めくくられておりますので、この弾力的という部分についてもしっかりと基準をやはり公表していくべきであると私は考えています。  といいますのは、確かに国防に携わっているという特殊事情はあるわけなんですけれども、一方で、今企業のリストラとかで職を失って、再就職心配、困っている人は、私たちは議員としてそういう対応も考えていくわけですが、前よりずっとふえていて、すべての人に適応するということになっておりますので、税金で働いてきた者は特に基準を明確にしていかないと理解が得られにくいと思いますので、最後にその点を主張させていただきまして、質問を終わります。
  119. 二見伸明

    二見委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  120. 二見伸明

    二見委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出自衛隊法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  121. 二見伸明

    二見委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  122. 二見伸明

    二見委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、浅野勝人君外三名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ及び自由党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。浅野勝人君。
  123. 浅野勝人

    ○浅野委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨説明といたします。     自衛隊法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、適切な審査を経た上で自衛官の再就職を促進することが我が国防衛力の健全な人的基盤の確保に資する等との基本的認識に立ち、次の事項について、検討の上善処すべきである。  一 自衛官への再任用制度については、当該再任用実施状況を踏まえ、自衛隊精強性に支障が生じない範囲で充実に努めること。  二 再就職承認についての具体的基準を定めるに当たっては、公務公正性確保に遺漏なきを期すとともに、若年での定年退職を余儀なくされる自衛官の再就職必要性任務の特性等を十分に踏まえること。  三 調達実施本部等による一連の不祥事を踏まえ、退職自衛隊員の民間企業等への再就職審査に当たっては、公務公正性確保し、国民から疑惑をもたれることのないよう厳格な審査実施すること。  四 退職自衛官誇りをもってその専門的知識・能力・経験等を社会全体で活用できるよう、国、地方公共団体等における退職自衛官任用を一層進めるとともに、退職自衛官の民間部門における雇用の意義に関する啓蒙活動に努める等自衛官の再就職支援のための施策の一層の充実を図ること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  124. 二見伸明

    二見委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. 二見伸明

    二見委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。野呂田防衛庁長官
  126. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を十分に踏まえまして、配慮してまいりたいと存じます。     —————————————
  127. 二見伸明

    二見委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 二見伸明

    二見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  129. 二見伸明

    二見委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十二分散会