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1998-12-18 第144回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十二月十八日(金曜日)    午前十時五十五分開会     —————————————    委員異動  十二月十七日     辞任         補欠選任      長峯  基君     中原  爽君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野間  赳君     理 事                 岩永 浩美君                 三浦 一水君                 和田 洋子君                 須藤美也子君                 村沢  牧君     委 員                 国井 正幸君                 佐藤 昭郎君                 中川 義雄君                 中原  爽君                 森下 博之君                 小川 敏夫君                 久保  亘君                 郡司  彰君                 風間  昶君                 木庭健太郎君                 大沢 辰美君                 谷本  巍君                 阿曽田 清君                 石井 一二君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 威男君    説明員        外務省経済局長  大島正太郎君        農林水産省経済        局長       竹中 美晴君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        食糧庁長官    堤  英隆君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産に関する調査  (米の関税化に関する件)     —————————————
  2. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、長峯基君が委員を辞任され、その補欠として中原爽君が選任されました。     —————————————
  3. 野間赳

    委員長野間赳君) 農林水産に関する調査のうち、米の関税化に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 三浦一水

    三浦一水君 自民党の三浦でございます。  今回、この重要な米の関税化をいかにするかという問題で、参議院が主導をとりまして委員会を率先して開くべきという姿勢を持ち続けたと、また御協力の中でこうやって開催ができるということはともども大いに評価ができることではないかと思っております。  この関税化問題そのものにつきましては、十一月の中旬になるかと思いますが、突然、新聞でこのことが検討されているやの報道が出たわけでございまして、一月もたたない中で、昨日、政府与党農業団体三者による合意も行われた。そして、今夕には関係閣僚会議関税化への切りかえが決定されるや、そのような話まで聞いておるわけでございます。まことにこのことは唐突かつ性急なことではないかと私も強く感じるわけでございます。  農業団体が入った三者合意といいながらも、大半の農業者は現場においてどのようなとらえ方か、実はこのことが最も大事なのではないか。ややもすると、生産者団体農業者自体の乖離という点も状況としては多々見られるわけであります。そのようなことで、農業者においてはなぜ今なのかという疑念がいまだぬぐい去られていない現況ではないかと考えております。  私は、一昨日、熊本もこのことに反対をすると、性急に決めることには反対をするといったような状況の中で、農業者団体との懇談会、約二百名の会に出てまいりました。そこでは最終的に難なく了解を得られたという結末ではありました。  しかし、私自身農村に住みながら、農業にもいそしみながら考える中で、今回の措置については十分な理解が得られているとはとても思えない。むしろ、ウルグアイ合意事項に基づきまして、大変な失意の中に現況まで農家はあるわけでございまして、加えて、この問題によって将来の農業に、あるいは米生産に大変な不安が広がりつつある現況ではないかと考えております。このことが、UR合意に続きまして、さらなる農業に対するあきらめと、そして農政不信そのものにつながっていかなければと思うのは私ばかりではないと考えております。  そこで、農家が聞きたいのは、なぜ今なのか。去年もしこの受け入れを行うならば六・八%で理論上はとめられただろう、最終年度でも。さらに、一昨年それを決断するならば六・四%でとめられた。まことに協定上明確な規定がある中でのことであります。そのことについての疑念というものは非常に深いものがあると感じております。  まず、その点について政府としてどのようなお考え現況を迎えられているのか、率直にこの点を御説明いただきたいと思うわけであります。
  5. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、三浦先生から冒頭ありましたように、こういう機会をつくっていただきましてまことにありがとうございます。  今、三浦先生からの御批判、なぜ今なんだ、しかもなぜ性急にという御批判が強いことは我々も承知をしているところでございます。しかし、今、先生からも御指摘がありましたように、協定上、過程の最中に自主的にやるべきことができると明記されておるわけでございます。  一方、じゃ二年前、三年前にというような御指摘もあるわけで、協定上はやろうと思えばできたことは事実でございます。ただ、五年前の交渉において国会各党あるいは特に生産者皆さんが、例外なき関税化という方向に対して関税化は絶対だめだという状況があったわけでございまして、何としても関税化だけは阻止をしたいというのが、交渉最終局面において特例措置を設けるということでああいう措置を受け入れたわけでございます。これはもう先生承知のとおりだと思います。  その後、いろいろな情勢が変わってまいりまして、一つには米のいろいろな新しい政策が出てまいりましたし、米の国内における流通システムを初めとするいろんな状況が変わってきた。また、法的な整備も、それぞれ新食糧法、あるいはこれから来国会で御審議をお願いすることになっております新基本法、さらには先日決定をいただきました「農政改革大綱」等々の法的な整備、さらには米の実需の実態、豊作が続きまして国産米が非常にたまっておる状況、さらには義務輸入でありますミニマムアクセス米が年々ふえていくわけでありますけれども、それに対する需要が本当にごく一部に限られているという状況が現実にあるわけでございます。したがいまして、改めて今選択する方法として何がベストなんだろうかということで、よく言われる四つの選択というものがあるわけでございますけれども、二〇〇〇年の交渉を待つ、あるいはその中で関税化に移行するか、代償措置を払ってさらなるMA米増加等を含めた新たな措置をとりながら今の特例措置継続する、あるいは一九九九年、二〇〇〇年に附属書五に基づく措置によって関税化をしていく、何がいいんだろうかということをことしの秋以降、御議論をいただいているわけでございます。  そういう総合的な観点から、一番早い選択ということになりますと九九年四月一日、そうしますと、その三カ月前にWTOに通報しなければいけないという協定上のルールがあるわけでございますので、一番早い選択をとるとするならば年内には結論を出さなければならないということで作業を急いだことは事実であります。  生産者団体も、またいろいろな各方面においても大変熱心に御議論をいただきました。その期間が長かったか短かったかは別にいたしまして、大変集中的に議論をやっていただいたことは私は事実として感謝を申し上げたいと思います。  そういう状況の中で、一年でも早く関税化をした方が次期交渉、あるいはまた現状のミニマムアクセス米増加、そしてそれが在庫として積もっているという状況考えたときに、生産者団体等々の御判断も踏まえまして、こういう方向でやらせていただきたいということになったわけでございます。具体的に申し上げますと、来年四月一日からの関税化ということに決定をさせていただきたいということに現時点において至ったということでございます。
  6. 三浦一水

    三浦一水君 今、中川大臣、いろんな理由を総括的にと、それもそうだなと聞きながら思うわけでございますけれども、余り理由が多いがために農家はわかりにくいという点も否めないのかなと思っております。  その中で、私は絶対欠くことができなかったという理由一つは、農業基本法を今論議する中で、国内生産基本とするという結論が去年は出ていなかった。これは去年とことしを比較した場合の一つの大きな条件の違いじゃないかとは思っております。その点、御所感をいただきたいと思います。  しかし、それにしても、基本問題調査会は九月には最終答申を出してきた。それには明確に国内農業生産基本とするということを冒頭に記されたという状況があったわけであり、その後の基本法論議でも我々も時間をかけてやってきた。それと並行してでもやれなかったのか。これは手続上の問題でありますが、非常にこの点も強く疑念が残っております。そのことで何かコメントがあれば。
  7. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のとおり、日本食料国内生産、それから備蓄、そして輸入と、三つから成り立つというわけでありますが、その中でも国内生産基本としつつという、これが大前提にあるわけであるということを基本法の中に位置づけていきたいということで御論議をいただいたわけでございます。  そういう状況考えますと、需要もほとんどない、そして義務的に入ってくる量が毎年〇・八%ずつふえていくという状況を少しでも軽減していくことが、基本法趣旨からいっても私は国民的な御理解をいただけるのではないか。  一方では、先生の御指摘では、基本法議論関税化議論とが同時並行的にできないのかという御指摘でありますが、これは両方とも非常に大きな決断、また大きな作業であると思いまして、しかも基本法ができることによってさらに今の国内生産基本としてという一文が加わったことによって、ミニマムアクセス米を少しでも減らすという方向性への一つの大きな前進になったという意味も私は大変強かったであろうというふうに考えております。
  8. 三浦一水

    三浦一水君 私自身は、一カ月とはいいながら与党論議にも参加をしてまいりながら、これに今ここで反対を示すものでもないわけで、今できる判断としてはやむを得ずという考えは持っております。しかしながら、事はここで終わらないよということは十分御認識をいただきたいと思います。  そういうことで、農家あきらめに近い感情が今まさにさらに広がりつつある。そのことが離農等につながっていった場合にどうなるのかということであり、これは行政に対する不信あるいは政治家に対する不信、それだけで事は済まないわけであります。私は、自分のことで考えても、このことでこれから先何十回自分として説明をしなければならないか、それはもう容易に想像がつくところであります。  これらのことを考えて、今後の農家に対する説明、あるいはこれは農家だけでは足りない、国民に対する説明が必要だと、何か対応考えていらっしゃるならお答えをいただきたいと思います。
  9. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も、本当に農家お一人お一人までが協定内容、そしてまた何が与えられた条件の中で一番いい選択肢なのかということについて全員の方が御納得をいただいているとは思っておりません。しかし、その代表である生産者団体皆さんとの議論をいろいろとお聞きをし、また各党の御議論をもいろいろと仄聞なりお聞きをした結果としてこういう選択をとったわけでございますけれども、これを周知徹底していくということは当然一番大事な作業だろうと思います。  今、先生指摘になりましたように、これからが大事なわけでございまして、これからというのは、一つ次期交渉に向かって日本がより強いポジションで交渉に臨めるために今回の選択というものが意味を持っているということが一つでございます。そして、これはどういう交渉であろうと、国内生産者が御努力され、そして意欲を持って日本食料供給の主役としてこれからもますます頑張っていただけるような国内体制をつくっていく、そして交渉においてもそれを主張していくということがこれからの一番大事な我々の作業だと思っております。  そういう意味で、交渉をするに当たっては、生産者あるいは政治皆様方だけではなくて、消費者も含めた国民的な理解コンセンサス共通認識のもとで次期交渉あるいは今回の選択について御理解をいただく必要があると思っております。  したがいまして、我が省といたしましても、関係自治体あるいはすべての単協単位まで御理解をいただくべく御説明をし、さらには消費者あるいは国民のいろんな立場の方々に全力を挙げて今回の措置、そしてその最終的な意味は何なのかという、国益を守るための措置であり、次期交渉に向かって国益を主張しやすいようにしていくための措置だということを周知徹底、御理解をいただくように最大の努力をしていきたいと思っております。
  10. 三浦一水

    三浦一水君 よろしくお願いを申し上げたいと思います。  ちょっと急ぎたいと思います。  二次税率について確認を申し上げたいと思います。  八六年から八八年の内外価格差に基づき、キログラム当たり四百二円といういわゆる従量税率を今回示されて、それによりまして、このウルグアイ期間中の削減を踏まえて、平成十一年度は三百五十一円余り、十二年度は三百四十一円というような案が提示されているようでございます。  これに先立ちまして、十二月五日の新聞であったと思いますけれども米国政府筋が、この日本関税化への切りかえにつきまして、早速我が国義務も求められていない事前協議を申し入れてきたり、あるいは一方でバシェフスキーさんですか、USTRの代表は、全中によります試算、一〇〇〇%といったような数字も書いてあったようでございますけれども、これを早速批判し、牽制してくるといったような状況もあるようでございます。  これらについて政府はどのような姿勢で臨んでいかれるか、また認識も含めてお願いを申し上げたいと思います。
  11. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 米の関税措置への切りかえに当たりましては、その際のミニマムアクセス数量増加幅削減とか関税相当量の算定の指針につきましては農業協定附属書五、それからその付録に詳細に規定されております。また、その付録の七におきまして、関税相当量水準について調整が行われる場合には、適当な解決策について交渉するため、十分な協議機会を与えるという旨の規定があるわけでございますが、そもそも今回我が国が算定いたしました関税相当量はそういった調整は加えておりませんので、特定の国と協議を行わなければならないというものでは本来ないというふうに考えております。  ただ、日米両国間の円滑な友好関係見地から、あるいはまた誤解に基づく無用の混乱も生じないという見地から、必要な場合には我が国状況なり協定内容適用等につきましては十分に説明をした上で米国理解を求めていきたいと考えております。
  12. 三浦一水

    三浦一水君 今の答弁の「ただ」から以降が私は必要なのか、この協定にはそんな内容はないじゃないかと考えております。  関税化について利害国等を初めとした各国調整は私は一切必要なしとこの場で言い切れるんじゃないかと思うんだけれども、いかがですか。
  13. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 本来はそういう筋のものであると私ども考えているわけでございますが、ただ情報が不足していることによりまして誤解を生んで、そのことによって無用の混乱が生ずるということは私どもといたしましても本意ではございませんので、できるだけ的確な情報提供には努めていきたいと考えております。
  14. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、局長が申し上げたことにつけ加えますと、手続はもう先生承知ですから省きますが、アメリカも非常に強い関心を持っておる、そしてまた日米信頼関係というものも、農政上も議論、けんかをやったりいろいろありますけれども、全体的には良好な関係を維持していくために、今回の決定についてWTOに通報すると同時に、アメリカに対してこういう状況であるということを、信義上といいましょうか、信頼関係の上に立って連絡をし、事情説明するということであって、決して協議だとかあるいは向こうの要求に対してこっちが応ずるということは協定上ないわけでございますし、我々もその方針でいきたいと思っております。
  15. 三浦一水

    三浦一水君 大臣に、加えてお答えをいただきましたことで了といたしたいと思います。  次に、若干内容確認をさせていただきたいと思います。  二〇〇一年以降、次期交渉終結までは二〇〇〇年時のMA率、私ども理解では七・二%、これが次期交渉終結時点までは維持されるのかどうか、明確にお答えをいただきたい。数量にして七十七万トンだと聞いております。
  16. 堤英隆

    説明員堤英隆君) 二〇〇一年以降につきましてはそのときの次期交渉ということになると思います。したがいまして、その時点におきますミニマムアクセス米数量あるいはTEの水準ということについてはそのまま維持されるというふうに私ども理解をいたしております。
  17. 三浦一水

    三浦一水君 加えて、陰の関税率と言われましたか、UR期間中は一五%削減するということで今回も試算がされているようでございますが、これは継続期間中は下げ続けるんですか、あるいは維持をされるんですか。
  18. 堤英隆

    説明員堤英隆君) これは現行農業協定上明確でございまして、まさにおっしゃいましたように陰の関税率といいますか、そういうことで六年間一五%ということで下がってまいります。
  19. 三浦一水

    三浦一水君 それは次期交渉継続中も下がっていくということですか。
  20. 堤英隆

    説明員堤英隆君) 現行協定が二〇〇〇年までというふうになっておりますので、この六年間につきましては今申し上げた状況で下がっていくということははっきりしているところでございます。
  21. 三浦一水

    三浦一水君 加えて、そうすると七十七万トンという数量が続いていく、交渉中は、そういうことですね。七十七万トンという数量ミニマムアクセスとして我が国輸入継続期間中は続けなければならないということですね、続くということですね。
  22. 堤英隆

    説明員堤英隆君) そうです。
  23. 三浦一水

    三浦一水君 これは見通しの問題になってくるかと思うんですが、国内生産生産調整強化ということで影響が出てこないか。そうしますと、平成五年十二月の閣議了解趣旨が守れるかということになるんですが、その点について。
  24. 堤英隆

    説明員堤英隆君) 今御指摘のように、平成十二年度以降につきましては、正確に申し上げますと七十六万七千玄米トンという形で私どもとしては維持されるといいますか、継続されるという理解をいたしております。  そのことと、国内需給との関係の御指摘だと思いますけれども、私どもは、今おっしゃいました平成五年の閣議了解ミニマムアクセスの導入に伴う転作強化はしないと、この趣旨に沿いまして、ミニマムアクセス米の増大と国産米需給を極力切り離した形で国内米需給影響を与えないような対応をしてきたわけでございますが、そういう状況の中で、私どもとしては、関税化への切りかえということを行いました場合におきましても、この平成五年の閣議了解趣旨は維持される必要があるというふうに理解をいたしております。
  25. 三浦一水

    三浦一水君 しっかりとお願いを申し上げたいと思います。  次に、次期交渉に向けて若干お尋ねをしたいと思います。  私は与党の一員でもございます。外交上の次期交渉について外交上の手足を縛るような発言はもちろん避けたいと思っております。しかしながら、この次期交渉の行方というものはまさに農業農村の生死を分けることになりはしないか、そのような認識を持っております。御自由にともいかない事情であります。農家も今回のこの状況を、関税化に踏み切ることを渋々ながら了承していく、了承せざるを得ないという状況の中でも、実は次期交渉においてどれだけ有利な条件に書きかえられるかということに対する期待があり、それが前提ともなっているということを政府側はぜひよろしく御認識を賜りたいと思うわけであります。  もとより、世界各国農業条件というものは非常にばらつきがある、御存じのとおりであります。釈迦に説法かもしれませんが、条件の恵まれた国々を基準に右へ倣え方式のことをやられたのでは、我々みたいに狭隘な国土で、さらに非常に低い自給率を強いられながら農業考え食料自給考えている国はたまったものじゃない、何が平等だ、私は声を大にして言いたい。重ねて、こんな特例措置とはいいながら、実際はこれはペナルティーじゃないかという措置を与えられながら今後も継続していくなんというのは、私は全くこれはどんなに世界歴史をひもといても不平等以外の何物でもないという認識を持っております。  その当時の外交の取り組みについても今云々言うつもりはございませんが、次期交渉に向けてどのような、我々、政府あるいは議会あるいは国民一体感の中で共通の目標を持ち続けるか、基本姿勢を持つか、まことに重要なことであると考えておりますが、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  26. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 外交政府専管事項だから縛ることはないとおっしゃいましたが、外交そのもの作業はそうかもしれませんが、その前提として国が外交を行う上で必要不可欠なのは国民的コンセンサスだろうと思っております。そういう意味で、国民的コンセンサスをつくっていく努力を我々もしていかなければなりませんし、そのためには、きょうの委員会を初め、いろいろな機会にまた今後も御議論、御指導をいただいた上で国民的コンセンサスをつくっていかなければならないと思っております。  具体的に我々が今考えておりますのは、何といっても今御指摘のように、日本はこういう厳しい食料国内生産の比率の中で少しでも平時あるいは不測時に対応できるような安定的な食料供給をしていかなければならない、そして単に食料を安定的に供給するだけではなくて、国土の多面的な機能、国土保全といった観点からも我が国立場を強く主張していかなければならない。さらには、今御指摘のように、輸出国輸入国、そしてそれぞれの国の自然条件歴史が違うわけでございますから、譲れない部分は譲れないわけでございますので、そういう観点から国民的コンセンサスを得て、その方針次期交渉に臨んでいきたいというふうに考えております。
  27. 三浦一水

    三浦一水君 特に、私はその中で関心を寄せておりますのは、次期交渉に当たって米のミニマムアクセスの扱いをどうしていくか、そして我が国も含めた国内農業への影響を食いとめられるような知恵を出せるかということは非常に重要なことだと考えております。  それから、私は最後に、国内産農業基本とするというこの農業基本法次期国会に提出されようとしているわけでありまして、今後さらに、三位一体という言葉が使われておりますが、果たして政府農業者団体あるいは与党だけでその問題が済むものか、三位一体という言葉はちょっと考えものだなと、与党にいながらそういうことも考えております。  実は、今、大臣もおっしゃったように、国民的なコンセンサスの中で初めて我々は外交的に力を持てるわけであります。前回の外交交渉がなぜあのように失敗したか、それは国内が足元を見透かされたという反省に我々は共同に立つべきだと考えております。このことをぜひ御認識いただきながら、この努力、いわゆる二〇〇〇年の次期交渉に向けた、国論を一つにしていく、この我が国努力次期交渉で成果を得る唯一の道だと考えております。  最後に、その点について御決意も含めてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  28. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 前半部分についてお答え申し上げます。  ミニマムアクセスの実施状況も踏まえて、次期交渉においてどう対応するかというお話でございましたが、農業協定上も次期交渉におきます考慮要素といたしまして、この六年間の実施期間における経験を踏まえて次の交渉をやるというようなことも明記されております。我が国としてのこの六年間のミニマムアクセスなんかも含めたすべての協定の実施状況については、これを十分踏まえて次期交渉我が国立場として主張していくことが必要であろうと考えております。
  29. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 三位一体という言葉を最近よく使うわけでありますけれども、要は、きのうの三者合意が団体と自民党と私という合意でございました。  実は、これは政府合意にはまだなっていないわけでございますが、これからそれが決定された後は今まで以上に各界各層の御意見を聞いて、特に生産者だけではなくて消費者皆さん、もちろん国会のそれぞれの先生方お一人お一人の御意見も聞きながらやっていくことが、まさに共通認識のもとで外交交渉に臨むという意味で国論形成をしていかなければならない最前提だと私は考えておりますので、それに向けて、先ほどとダブりますかもしれませんけれども、各単協ベースあるいは自治体、そして消費者を初め各方面に現状、そして今後に向けての国論形成に最大の努力をしていきたいと思っております。
  30. 三浦一水

    三浦一水君 終わります。
  31. 和田洋子

    ○和田洋子君 民主党・新緑風会の和田洋子でございます。  私は、この米の関税化の問題は本当に私たち立法機関を無視した、とても拙速な政府のやり方に怒りを込めて質問をいたします。  次期のWTO協定に臨む政府方針について、この委員会、また予算委員会でもしばしば論議をされました。その際、いつも政府の答弁は、二〇〇〇年に開始される交渉の中で適切に対応してまいりたいというものでありました。  具体的に申し上げますと、十一月六日の十一年産米の政府買い入れ価格を議論した中で、石井先生の質問に亀谷農水政務次官がお答えになったんですが、現在の特例措置は二〇〇〇年までということでありまして、それ以後のことにつきましては来年の末あたりから実際の話し合いが進んでいくのかなと思いますが、現在のところは、長期的な視点から米の安定供給を図るという立場からどのような方向がいいか、これからしっかりと取り組んでいかなければいけない、ミニマムアクセス方向を続けるか、関税化に踏み切るかということは、大変申しわけないんですが、ここでははっきり申し上げられませんというお答えをされました。いつも政府の答弁はこうなのであります。  そんな中で、既に十一月から腹を固めていたというような各紙の報道があります。十一月二十六日には、全中に組織討議を要請して年内に結論を得るというスケジュールを組んでいたという話もあります。  私たちは、十八日、きょうこの委員会を開くとなればすぐにこういう大きな御説明の文書をいただきました。きのう我が党で農水部会をしているときに、今三者で協議をしている、あっ、今終わりました、終わったらすぐにこれが合意の文書ですと。手品でもなかなかこんなことはできないんじゃないかなというような用意周到の取り組みでありますが、これに対して農水大臣、どうして急にこんなことが浮上してくるのか、お答えをいただきたいと思います。
  32. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 与党だけではなくて、たしか民主党さんも大変熱心に党内で御議論をされていたということの内容も含めて報告を受けておるところでございます。  そういう中で、先ほど申しましたように、四つの選択肢の中で、前の時点の話ではなくて、仮に来年四月一日に関税化することが一番いい選択肢だということになるとするならば、十二月中に国内的な結論を出しておかなければならないということで、十二月いっぱいというのが一つのタイムリミットであったわけであります。逆に言いますと、来年四月一日をとる必要はないんだという判断であれば議論はもっと長くすることもできたわけではございますが、四つの中でどれがいいんだろうというぎりぎりの判断の中で、結局四月一日にする方が今後の交渉、また、先ほど申しましたので繰り返しませんけれども、そういう判断に至ったわけでございます。  その至ったのがきのうの、自民党も何回も御議論をされていたようでありますけれども農業団体の方もいろいろな手続を踏んだ上で、最後は全中の会長さんの御判断に一任するという過程、そして各党それぞれがいろいろな御議論がある中で昨日三者で合意をし、発表したわけでございますけれども、それとほぼ時を同じくして、今までと同じように民主党さんの御議論の中に、その資料というもの、そしてまた三者で合意した内容というものをお知らせしたということでございます。
  33. 和田洋子

    ○和田洋子君 関税化選択するということは、二〇〇一年を起点として絶えざる関税引き下げ圧力の矢面に日本は立たされるということを意味するとともに、際限なくそれへ譲許を重ねていかなければいけないということであります。  次期WTO交渉において、非貿易的関心事項として農業の多面的機能と食料安全保障の問題を協議するように求めていく方針であるということでありますけれども、貿易と切り離してこれらの問題を論議することに何の意味があるのでしょうか。論理は逆であって、農業の多面的機能や食料安全保障を確保するために各国努力についてコンセンサスを確立するということ、それと整合性を考えた農産物貿易のルール、原則を再構築するということでなければならないというふうに思います。  関税化であるとすれば、きようの新聞なんかは、今はこうかもしれないけれども、将来はこういうふうに有利だよということはだれも言っていない。みんな本当に危惧をしています。  次期WTO交渉に向けて、農林大臣はどういうスタンスでこの国を、農民を守っていかれるというお立場なのか、お知らせいただきたいと思います。
  34. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の決定は二つの側面があると思います。しかし、突き詰めて言えば、日本食料国土、そしていろいろな機能を守っていくという先生今御指摘のような目標に向かっての二つのことだろうと思います。  一つは、先ほどから申し上げておりますように、現在、義務輸入がどんどんふえているけれども消費者ニーズに必ずしもこたえていない、在庫がどんどんたまっている。それをますますふやしていくということは国民経済的に見ても決してよろしくないのではないか。そして、在庫そのものもたまって、生産者皆さんが本当に御苦労されながら減反をされている状況であるわけであります。したがいまして、四月一日からやることによって、二年間でその増加率を半分ずつに減らすことができることによって、その部分が幾らかでも解消できるのではないかと。  それからもう一つは、二〇〇〇年以降の次期交渉をするに当たって、少しでも有利な条件にしておくことがやはり次期交渉において一番大切な現段階における準備作業ではないか。特例措置を維持したまま、しかも特例措置をとっている国は世界の中で四カ国でありますけれども、韓国、フィリピン等は十年間これが守られておるわけでございまして、日本は六年間でございますから、二〇〇〇年でもってその特例措置をどうするのかという議論に入るわけでありますが、関税化をすることによって特例措置から通常の措置に変わっていくわけでございますから、これは世界共通の土俵の上で特別扱い、そして特別扱いをすることによるペナルティー的なものから解放されて、みんなと同じ場で我が国の主張をすることができるわけでございまして、より交渉の場での力を強くすることができるというメリットもあるわけでございます。  そういう二つの大きなポイントというものをぜひ御理解いただいて、今回の決定に対しての今後の御指導をお願いしたいと思います。
  35. 和田洋子

    ○和田洋子君 このままですと、米の関税化に至った経過はすべてやみの中から起こってやみの中で決められてというか、本当に農業者を初め国民のだれもがわからないうちに決められてしまうという懸念があるわけです。  第一に、農林省はすばらしいお働きをされたというふうに思いますが、この関税化を含めた次期WTO対応の検討を開始した経過について農林省はどのような役割を担われたか、ちょっとお尋ねしたいんです。
  36. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) だれも知らないやみの中でという御指摘でございますが、そもそも新しい、一九九五年四月一日ですか、に調印されたいわゆるマラケシュ合意に基づくWTO協定の中に、二十条の協定もあれば農業協定附属書五、そしてその付録という形で、今回の措置はあくまでも公の協定に書いてあるわけでありまして、それをどう選択していくかということはまさに日本判断であるわけであります。  そういう意味で、先ほど三浦議員にもお答え申し上げましたが、最初からやればよかったんじゃないか、あるいは二〇〇〇年までいった方がいいんじゃないか、いろんな選択肢があったわけでありますが、それが時の経過とともに過ぎてきたと。なぜ時の経過のままに過ぎてきたかというと、そういう選択肢があることは少なくとも農林水産省は知っていたわけでありますし、そういう中で、ああいう関税化の阻止はできたけれどもミニマムアクセスを受け入れざるを得ないということは私も当時個人的に大変不満であったわけでございますし、生産者皆さんも大変御不満であったわけであります。  その後、先ほどの繰り返しになりますけれども、法整備、あるいはまた国内の豊作が続くことによる生産者に対するいろいろなプレッシャー、そしてまたミニマムアクセス米そのものが国内需要が非常に少ないという状況、それから各種の基本的な法整備等々を踏まえて、まさしくこの議論というものを国民的にできるだけ広く議論をしていただいて、現時点において何が一番いい選択なのかということをひとつ御議論をいただくと。  実は、これは農林省が主導したとおっしゃられますけれども、もちろんいろんな資料等の説明なんかはいたしましたけれども生産者団体自身が去年の十月の大会の決議の中で、これから検討していきましょうということをもう既に去年の十月に決定しておるわけでございますし、自民党の中でも、ことしの夏以降、スタディーチームでいろいろと御議論をされておりますし、また各党でもそれぞれ御議論をされていたのではないかというふうに思うわけでございます。  そういう意味で、我が省としては、特に私は最後までそういう皆さんの真剣な御議論を見きわめた上で私の判断をさせていただきたいということで、むしろ途中までは一歩下がった形で各界あるいは各政党の御議論を見守らせていただいた、そしてきのうの決定に至ったということでございます。
  37. 和田洋子

    ○和田洋子君 そうであるならば、例えば去年、「新たな米政策大綱」ができたわけですが、米の全体需給の大幅な減、政府、民間の米の持ち越し在庫がふえた、そういうことで、米大綱ができた時点でもうとっくに知っていたならどうしてその時点から、その時点からというか、もっと前からやらないで急にという感じが本当に私たちには残りますが、それに対してはどういうふうに思われますか。
  38. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 「新たな米政策大綱」とか、その前の新食糧法とかいろいろとありましたけれども、それはそれで国内生産体制をより強化していく、米生産者皆さんの意欲を本当に少しでも高めていただけるようないろんな制度をつくっていこうということでいろいろな対策をとってまいりました。確かにそれもこの議論をしやすくするための一つの材料であったかもしれませんけれども基本法そのものあるいは「農政改革大綱」そのもの、あるいはまた現実にあと二年間しかないという差し迫った状況等々を、その後一年の間にもいろんなことがあったわけでございまして、備蓄もさらにふえていく、いろいろと御苦労されておる生産者皆さん生産調整の問題とか、そういう状況の中で、今回、早かったといえば、何で早く前倒しにしたのかという御議論もあれば、遅かったんじゃないかという御議論も実は両方あるところでございますが、そういういろいろな情勢のもとで、団体、そして各党皆様方がそれぞれ真剣な御議論をしていただき、今回の私の判断ということに至ったわけであります。
  39. 和田洋子

    ○和田洋子君 真剣な御議論をしていただきということでありますが、本当にきょうの二時間ぐらいの議論ではなかなか真剣な議論にはならないというふうに私は思います。  そして、きょうの新聞なんかにも、国民合意の再構築が課題というふうに出ておりますが、国民合意とすれば、消費者側はどうなのか、個々の農家考えはどうなのか。単協なんかは、もう本当に余り拙速で自分たちも議論ができない、ただ組合長が言うのでそうするしかないかというふうに決めたところがいっぱいあると。この間の朝日新聞なんかにも、そういうふうに青森県とか山口県の例なんかをとって言っておりますが、本当に国民合意がこれで得られると思われますか。
  40. 堤英隆

    説明員堤英隆君) ここに至ります経緯につきまして、また農水省あるいは団体等々含めましてさまざまな議論を重ねてきたことにつきましては、大臣から今申し上げたとおりでございます。  そういう中で、やはり一番生活と経営に直結いたします農家の方々の理解ということは私どもも大変大事だというふうに理解をいたしております。時間的な制約というのは若干あったかとは思いますけれども、そういう中におきましても、農協系統の中においてさまざまな組織討議をそれぞれの単協段階までおろして、それぞれの組合員の方々の意見を吸い上げながら、それを全体として集約されてきたという事実は私はあるというふうに思います。  そういう中で、それが十分であったかどうかさまざまな御批判はあるかと思いますけれども、限られた時間の中でそういう御努力を系統としてもされ、また農家の方々もそれぞれの立場からそれに意見を申し上げながらその中に参画をされてきたというふうに一応理解をいたしております。  ただ、これからさらに農家の方々のしっかりした理解と、それから不安をできるだけ減らしていただくということは重要でございますので、私どももまた系統とも連絡をとりながら、農家の方々の御理解を得べく最大限努力をしたいというふうに思っております。  それから、お米でございますのでこれは主食でございますし、国民皆様方関心も非常に高いわけでございますので、消費者の方々、国民皆様方の米の扱いに関します関心は非常に高い、私どももそう思います。  そういう意味で、これも限られた時間ではございましたけれども消費者団体等の皆さんのところに足を運びまして、いろいろと事情を御説明もし、御意見をいただいてまいりました。これからもそういった努力をさらに重ねていきたいというふうに考えております。
  41. 和田洋子

    ○和田洋子君 消費者団体とのコンセンサスは得られましたか。
  42. 堤英隆

    説明員堤英隆君) 私ども、地方公共団体、それから消費者団体の方々との話し合いを重ねておりますけれども、さまざまな御意見がございます。こういった形につきましての方向として評価をされる方、それから御不安を示される方、いろいろな御意見がございまして、そういうものをこれからもしっかりと受けとめていかなきゃならないというふうに思っております。
  43. 和田洋子

    ○和田洋子君 さまざまな御意見の中に、了解を得られた方と容認をされた方の言葉だけを取り上げておられるような気がしてちょっと片手落ちなんですが、単協にもおろされたということですが、私ちょっと地元の単協に聞いてみたら、もう議論の余地も何もなくて、しようがなくて向こうから来た文書を各理事に回して、これを見て何か意見があったら言うようにということだったのでだれも意見を出せなかった、理解もできなかった、そういう意見の方が多かったというふうに聞いております。  時間がなかったということだったら、何でもっと早くに言わなかったかということなんですが、もし早くに言っていたとすれば、国民がハチの巣をつついたようになるので、これは急に出すしかないなというふうな話をされたとかいう話も漏れ承っております。本当にこんな大事なことを拙速に一カ月もない中でやるということについて、もう本当に私は申し上げようもないほど怒っているというか、そういうつもりでどうぞ聞いていただきたいと思います。  もし関税化へ移行するとすれば、それは国家貿易を維持しながらですか、それとも民間貿易に移行するのですか。
  44. 堤英隆

    説明員堤英隆君) 現在、ミニマムアクセス米につきましては、国貿という形の中で対応いたしております。国貿をしいておりますので、先ほど御説明申し上げましたように、国内需給に極力影響を与えない形での対応ができているというふうに思っております。  そういう意味で、国貿の必要性というのは高いというふうに思っておりまして、私どもも今後、国貿につきましては維持していきたいというふうに考えております。
  45. 和田洋子

    ○和田洋子君 きょうの新聞に、アメリカは一〇〇〇%は余りにも法外とフォーリー駐日大使がおっしゃったということが新聞に出ていますが、そんなことを考えていけば、これからますますだんだん税率は下がってきて、農家皆さんが本当に荒波にほうり出されるのかなという思いがします。この高関税率がそのまま維持できるというふうにお考えですか。
  46. 堤英隆

    説明員堤英隆君) 今回の関税相当量の設定につきましては、国内価格、国際価格とも農業協定に定義されております趣旨に沿いまして、非常に透明性のある形で外国に対しましてもしっかりと説明できるものを採用するという形で対応させていただいております。  今後の二〇〇一年以降のことにつきましては二〇〇〇年からの次期交渉で決められることでございますので、今この段階で申し上げられるわけじゃございません。しかし、少なくとも言えますことは、次の交渉期間がどのぐらいかかるかわかりませんが、次の交渉期間中につきましては、今回設定されました二次税率の水準は維持されるというふうに理解をいたしております。  さらに、次期農業交渉におきましては、先ほど農林水産大臣からるる御説明いたしておりますように、農業の持っております多面的な機能あるいは食料安全保障の必要性あるいは国内生産を中心とすべきだ、そういったことにつきまして、我が国といたしましてそういった主張を強力に訴えて理解を求めていく努力は最大限にいたしたいというふうに考えております。
  47. 和田洋子

    ○和田洋子君 今、フランスで農業基本法が審議をされているというふうに聞いていますが、その提案理由の中で、「欧州農業は、世界のより競争力のある競争者と同じ価格で第一次産品を世界市場で売ることを唯一の目的として定めるのであれば、破滅へ向かうことになる」というふうに、これはフランスのシラク大統領がおっしゃっております。  こんなふうに、日本の農林大臣も農民の立場を守って、世界の荒波にさらされるなら日本の国の農業をもっとしっかりと守っていかなければいけない。そんな中で所得政策をきちんとしていただきたい。そして、経営安定化対策があるんじゃないかということをよく言われますけれども、経営安定化対策と所得政策は私は全然違うというふうに思いますので、そのことを強く申し上げながら、質問を終わらせていただきます。
  48. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間です。  まず、本当に今回の関税化受け入れの決定というのはまさに外圧を利用して性急に決定を見たものであって、十分な議論が全然できていない。まさに、今、和田委員もおっしゃったように、政治的な、ある意味では国民に十分な情報を開示しないままぱぱっと決めてしまう、こういうやり方が、まさに農業政策そのものがこれまでにも哲学や理念がなかったということが今回もまた明らかになった、本当に許しがたいというふうに全生産者は思っているんじゃないかというふうに私は思います。  同時に、この時期に当たって、先ほどから議論がありますように、国内対策をやってはいると言っていても、実質的にそれが本当に生産者の方に向かって行われた対策になっているのかということがこの場でもやっぱり議論をしなければならないというふうに思うわけです。  そういう意味で、きのうのある新聞の夕刊に、「コメ減反二〇〇〇年度に廃止 農水省方針」と、こういう見出しの記事が出て、即座に農水省は否定しているわけでありますけれども、米中心の農業政策を見直すことが不可欠だと言っておいて、なおかつそんな事実はないと、まさにこれは理念なき猫の目農政の典型ではないかと私は思うんです。  このことについて、質問通告外でありますけれども、米政策をどう考えているかということをきちっと承りたいのであります。
  49. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、米政策につきましては、一言で申し上げますならば、きちっとした国境措置をとりながら国産の米生産を今まで以上に安定的にしていかなければならない。ミニマムアクセス米が一部入っておりますけれども自給率一〇二%というのが現在我々が公にしている数字でございますが、そういう方針を今後とも守り、さらに発展強化をさせていくことによって、今、先生指摘のように、生産者あるいはまた関係者の皆さん、さらには消費者の六割、七割の方が将来の米を初めとする国産食料に対して不安を感じておるわけでございますから、消費者を含めた国民的な国産の生産の安定強化のための施策を今後も強力に推し進めていきたいと考えております。  なお、昨日の夕刊並びにきょうの朝刊に出ております記事については、全く我が省としてそんな検討も、まして検討会自体も一度も開かれてございません。したがいまして、農林省としても、私自身も先ほどの記者会見で正確に伝えるように強く抗議をしたところでございます。  先生指摘のように、今回の「農政改革大綱」の中でも、大きな柱として、米について、「生産努力目標の達成を目指した生産の展開」という中に、「生産調整の着実な実施」ということが大きなポイントとして入っておるわけでありまして、片方ではそんなことを言いながら、片方では減反をやめるなんということは、これはとても整合性が説明できるものではございません。したがって、その記事は全く事実無根だということではっきりと抗議をしたところでございます。
  50. 風間昶

    ○風間昶君 そうしますと、今回、総務庁の行政監察の中で、去年の十一月に「新たな米政策大綱」の中で出していた三点の中、生産調整、この部分はまあまあ達成されている、備蓄運営ルールについてはきちっと確立しなければならないというのにもかかわらず、平成十年産で三百四十四万トンもオーバーになっているということでありますけれども、この備蓄米の在庫水準の適正化を図るような勧告が現実になされていて、具体的に、じゃ、どう取り組むのかということについて伺いたいと思います。
  51. 堤英隆

    説明員堤英隆君) 今御指摘の行政監察の勧告におきましては、適正備蓄水準を超えている政府国産米の在庫水準を速やかに適正化するということで、「新たな米政策大綱」に定める備蓄運営ルールなどの基本考え方の定着を求めるということをおっしゃっております。  私どもは、これは昨年からこの米政策大綱につきまして、今、先生がおっしゃいましたように、三本の柱で対応をしてきております。そういう中で、備蓄運営ルールということについてはその中の大事な柱でございます。ことしにつきましては、それに沿いまして自主流通米と政府米の適正な運用ということを図りまして、自主流通米は大幅に下がるという状況でございましたので、政府米の売却を少し抑えまして自主流通米の売却を優先させるという対応をしてまいりました。そういうことによりまして、この米政策大綱のねらいでございます自主流通米の価格が回復をいたしました。  そういう意味では、この米政策大綱に沿った対応をそれぞれの方々に御努力いただいて対応してきていると思いますが、この勧告の趣旨も踏まえ、また米政策大綱の趣旨を踏まえまして、さらに本年度につきましてもそういった形で努力を今継続しているところでございます。  いずれにしましても、平成十二年十月の在庫を適正備蓄水準の百五十万トンプラス五十万トンの幅の中におさめるということで、現在鋭意努力をしているところでございます。
  52. 風間昶

    ○風間昶君 関連して国内対策の部分ですけれども、土地改良事業で農家負担分を出したのはいいんだけれども、その後すぐ減反させられて借金だけ残っている、これは現実にかなり全国的にそういう状況が発生しているのは事実であります。  土地改良事業でかなりむだが指摘されているということも国民的にも認知されている。結局、農家の方々がしりぬぐいしている、こういう構造を改善しない限り、農水省の構造改善局というのはハードの部分での構造改善だけであって、こういうふうな構造改善をしなければ意味がないんですよ。そこの部分についてはどうですか。
  53. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) 土地改良事業を実施するに当たりましては、当然のことながら、土地改良法にのっとりまして農家の方々の御意見を十分聞いた上で実施をするというのが基本でございますし、これまでもそうした方向で進めてきたところでございます。  実際上、今、先生からそういった御指摘がございましたけれども、実施に当たりましては、まずコストを縮減することに努めるということで、具体的にはこの三年の間に一〇%程度コストを縮減することを目標として取り組んでおりますし、また農家負担につきましても、無利子資金をそこに導入することによりまして実質的に農家の負担の軽減を図っているところでございます。  また、生産調整という問題が同時にございますけれども、これらも当然考慮に入れまして、費用対効果の分析を行って事業を実施するというふうなことでこの事業の円滑な実施に努めているところでございます。  なお、過去の農家負担、いわゆる償還金の問題につきましては、これらを軽減するために繰り延べをするとか、あるいは一定のパーセント以上の利子相当部分につきまして助成を行うというふうな形で軽減努力を重ねているところでございます。
  54. 風間昶

    ○風間昶君 僕は、毎回毎回コストを中心にした考え方で、ある意味ではお涙金ちょうだい式の、そういう構造を改善すべき役割が構造改善局にあるのではないかと聞いているんですよ。もうちょっと心の入った、本当に農の心を知った構造改善をすべきだというふうに主張しているんですよ。
  55. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) 冒頭申し上げましたとおり、土地改良事業というのはそのほかの公共事業と性格を異にしておりまして、農家の発意、申請、そして同意というプロセスで行われておりますので、その間、よくよく農家の方々とお話し合いをいたしまして、どういった整備水準がいいのか、どういったところまで土地改良事業をやればいいのか、あるいはどのようなコストでやればいいのか、そういうことにつきましてよくよくお話し合いをした上で、できるだけ公費についても縮減をする、負担についても考慮するというプロセスを重視していきたいと思っております。  現在、ことしから再評価システムというのも導入をいたしまして、全体設計、あるいは採択後一定の期間が過ぎましたものにつきましては、その事業のこれからの持っていき方について第三者の委員会を通じた検討、再評価も行ってどうするかということを具体的に決めているところでございます。そういった努力をこれからも重ねていきたいと考えております。
  56. 風間昶

    ○風間昶君 現実に、ことし一年、局長さん、うそを言わないでほしいんだけれども、現場の農家の方々とそういう話をされたことは御自身ありますか。
  57. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) 私自身もそういうことについて常にオープンにしていきたいと考えておりますし、これまでもそう行動してまいりましたので、とりわけ北海道の農家の方々が私のところに来られましたときには、形だけではなくて常に中へ入っていただきまして、負担がどうなっているか、これからどういうことが必要なのかということについて胸襟を開いた議論をさせていただいているところでございます。
  58. 風間昶

    ○風間昶君 私が言っているのは、農水省構造改善局長室に来た人だけの受け入れの話じゃなくて、あなた自身が現場に行って農家の方と直接話したことがありますかと聞いているんです。
  59. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) 実は、私は七月に着任して以来現場に出るチャンスがなかったものですから、ことしはそういうことはございませんでしたけれども、これまで幾度も現場には伺ってそういうお話を常々聞くような努力をしてまいったところでございます。
  60. 風間昶

    ○風間昶君 農水大臣、新農法策定に当たって、恐らく今度もまた大きな議論になると思いますけれども食料自給率と株式会社の農地取得について、大臣の率直な考えをお伺いしたい。
  61. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 前回の当委員会でもいろいろ御質問が出ましたが、自給率につきましては、世界でも最も低い国の一つであるという状況の中で自給率を、結論から言えば、できるだけ実現可能な範囲で努力目標として設定をして、そしてそれが実現していくようにしていかなければならないと考えております。  その場合に、生産だけではなくて、消費者あっての生産者であり、生産者あっての消費者だという観点から作目別に自給率を上げるためのいろいろな方策を考えております。品質あるいはまたコスト面もいろいろ課題があるわけでございまして、そういうものをクリアして、到達可能な自給率にしていきたいと思っております。また、さらには食べ残し、廃棄の削減、あるいは日本型食生活というものを改めて見直していただいて、支出等を少し減らしていただくというようなことも自給率の向上にもつながっていくと思っております。生産者消費者だけではなく、自治体あるいは地域の農業団体等、これも国民的なコンセンサスの中で自給率アップに向けて努力をしていくことが必要であろうというふうに思っております。  株式会社につきましては、大綱におきましても、株式会社一般は認めない、担い手の経営形態の選択肢を拡大させるという観点から、地域に根差した農業者の共同体である農業生産法人の一形態、新しい形態としての位置づけということに限って認めることとしたところでございます。  投機的な参加であるとか、あるいは商売にならないからやめてしまって農地を荒れ地にするとか、あるいは地域社会とのつながり等々のいろいろな懸念があるわけでございまして、そういうことがないように実効性のある措置をとりながら今検討をしておるところでございまして、そういう形で生産者がよりよい経営ができるという観点から、農地に根差した限定的な形の株式会社形態というものを取り入れていくべく、来年の夏ぐらいをめどに結論を出していきたいというふうに考えております。
  62. 風間昶

    ○風間昶君 もう時間が余りないですから、最後に。  今回、一キロ三百五十円の関税であれば一俵ですと二万一千円になるわけですけれども、税率を決めるのは我が国の主権に属する事項だと思いますけれども、いつまでこの税率を維持するつもりかが一点。  もう一点。WTO次期交渉で、政府、自民党、それから農業団体三者は一体となって共同戦略を策定し、交渉に当たって具体的行動をとることというのが第一項目で三者合意の項目が入っているけれども、この具体的行動は大臣としてはどうするのか。この二点をお答えいただいて、終わります。
  63. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、一点目でございますが、今回透明性のある方式に基づいて決めたのが、来年四月以降キロ当たり三百五十一円十七銭という従量税を張ることができるということでございますが、それがまた二・五%削減されて二〇〇〇年には三百四十一円になるということでありますが、これは根拠に基づいた、上乗せしたものでもない、削ったものでもない、そのままの数字であるわけであります。これは二〇〇〇年の次期交渉までの数字でありますが、次期交渉がいつまとまるかという、その期間まではこの水準が維持できるというふうに私は理解をしております。  なお、次期交渉においては日本立場というものを大いに主張し、またいろんなことを言ってくる国もあると思いますけれども我が国としての立場を強く主張していきたいと思っております。  三者一体となってということでございますけれども、今回の私の判断においては、三者の判断ということで三者合意というものをきのう決定したわけでございますけれども、これから政府決定、そして具体的に次期交渉に向かって作業していく上におきましては、日本のかねてから主張しております国境措置あるいは国内助成のあり方、あるいは多面的機能あるいは食料安全保障といった観点、これらは国際会議においても確認をされておることもございますが、そういう主張、さらには輸出国輸入国とのバランスをとった協定への見直し、あるいは輸出国の輸出補助金や輸出規制の取り扱い等、我が国としてとるべき、守るべきもの、自然条件歴史的経緯、日本の文化、こういうものをしっかりと守りながら、輸出国の主張することに対しておかしいということであれば強く主張していきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、三者一体も三者一体でございますが、国民合意ということがぜひとも必要でございますので、また先生の引き続きの御指導をよろしくお願いいたします。
  64. 須藤美也子

    須藤美也子君 まず最初に、政府与党が抜き打ち的に関税化の前倒しを決めた、このことについて強く抗議をしておきたいと思います。  そもそも政府・自民党は、ウルグアイ・ラウンド交渉関税化を拒否してきました。その後、自民党は一度も関税化の公約を掲げたことはありませんでした。それなのに、なぜか一カ月足らずで、農民に十分な討議する時間も与えず、国会合意もないまま強行したことは国民軽視であり、国民を無視した国会軽視であり、この責任は重大だと思います。しかも、このことは農家農村だけでなく、消費者も含めて政治不信を招くものだと思います。  そこで、大臣政治家としてこの問題についてどう責任を考えているのか。このことをまず一つお尋ねをいたします。    〔委員長退席、理事岩永浩美君着席〕  もう一つは、さきのウルグアイ・ラウンド交渉関税化を拒否した、その理由食料安全保障と農業の持つ多面的機能と関税化とは相入れない、こういうことを繰り返し繰り返し言ってきたはずです。それなのに、この食料安全保障と農業の持つ多面的機能は今世界的にも必要性が大きく広がっている中でなぜ関税化に踏み切ったのか。この点をお尋ねしたいと思います。
  65. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 前回の交渉においては、例外なき関税化という調整案に対して、我が国関係者一致協力して関税化は認められないということで最終調整案の中で関税化特例措置というものができ、そしてその中でミニマムアクセスを設定することによって関税化はしなかったわけであります。それは当時の関係者の総意であると同時に、MAにつきましては、私自身を含めて、生産者皆さんも含めて不満が強かったわけでございます。今こういう形で、来年四月一日からの関税化をするということの理由というものを一言で申せと言われれば、現時点においてとり得る選択として、国益にとって一番ふさわしい最善の選択であるというふうに私が確信をしたからでございます。    〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕  それから、関税化をすることと多面的機能の関係でございますが、当時も日本はそういうことを主張し、一部、協定の中でもそのような政策が入っておるものもございますけれども、その後も引き続きいろんなWTOの閣僚会議、FAOの閣僚会議でありますとか、あるいはいろいろなマルチの会議、バイの会議農業の果たす多面的役割、国土保全機能、環境保全機能等々を主張し続け、そしてその理解が徐々に広まってきておるわけでございます。そういう状況の中で、関税化と多面的機能の農業の役割の重要性があるということとは私は必ずしも一致しない、関税化をとりながらもそういうことを主張し、そして守っていくことができるというふうに考えております。
  66. 須藤美也子

    須藤美也子君 関税化食料安全保障の問題とさらには農業の持つ多面的機能とはそんなに関係ないとおっしゃいますけれども、これは大いに関係があります。しかも、今関税化をしてもミニマムアクセス米がなくなるわけではありません。二〇〇〇年には現在の六十八万トンから約七十七万トンにふえるわけです。ふえ方が少し少ない、こういうだけです。しかも、WTO協定関税率の引き下げを主要な目的にしています。一たん関税化したら後は引き下げだけです。政府は通告すれば高い関税率を設定できるとして来年度三百五十一円、平成十二年は三百四十一円、こう発表されました。しかし、これがいつまで続く保証があるのか。  さらに、次期交渉ではこうした関税率の引き下げが迫られることになるのではないですか。これでは輸入がふえないという保証があるのかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  67. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 関税を高く設定してもその後どうなるんだという趣旨の御質問でございますが、二〇〇一年以降関税水準をどういうふうに扱うかという問題につきましては次の交渉の中で扱われるものでありまして、現時点で何らかの見通しを申し上げることは困難なわけでございます。  いずれにしましても、次の交渉期間、恐らく数年間は続くと思うわけでございますが、その期間中は今回設定することにされました二次税率の水準は維持されるというふうに理解しておりますし、同時に我が国としましては、先ほど来も大臣からも申し上げておりますように、次の交渉におきましては、農業の多面的機能の発揮とか食料安全保障の重要性、あるいはまた我が国にとって主食である米の一定量の国内生産の維持の重要性といったことを強く主張していきまして、稲作を中心とした我が国農業農村の発展を図ることが可能となるような合意を図ることが重要であるし、そういう方向で最大限努力をしていきたいというふうに考えております。
  68. 須藤美也子

    須藤美也子君 私の質問に全く答弁になっていないと思います。そういう点では何にも見通しが立っていない、こういう答弁じゃないですか。  しかも、アメリカは常に関税化の引き下げをねらっているということは先ほど民主党の方もおっしゃいました。十五日の駐米大使の記者会見でも、米通商代表部が、関税化するなら輸出を難しくするような関税率を採用すべきではない、こう申し入れてきたことも明らかであります。新聞で報道されております。大臣アメリカ日本関税率に優しい、寛容な国ですか。  大臣平成六年の予算委員会で質問いたしております。この質問は、「アメリカが牛肉の関税を三六%ダウンさせろ、つまり三二%にするように強く要求をしてきたわけです。」「理不尽な要求としか言いようがないわけであります。」と、こういう質問をしております。しかも、アメリカの都合で無理な要求を出してくることをやりかねない、輸出国代表であるアメリカはそういう国なんだと、こういうことを大臣、あなたはこの当時の予算委員会で質問しているわけです。今、大臣だから立場が違うといっても自民党なわけですから、これはそうはいかないと思います。  ですから、そういう点では相手国、輸出国輸入国があるわけですから、高関税率で長く続くなんという保証はないわけですから、自民党の桜井貿対委員長も、後戻りができないから懸念する、こういうことを日本農業新聞のインタビューで答えているわけです。  こういう点で、私は、アメリカが虎視たんたんとして日本関税率をどんどん引き下げて輸出できやすいように準備をしている、その土俵にのることはないと思うんです。日本食料主権を守る立場に立って堂々と対等、平等に交渉すると。そのためには、食料安全保障とか農業の持つ多面的機能、皆言います、お題目に皆掲げます。しかし、その内容をわかっているんですか。今の日本農業の実態を見ればはっきりしているではありませんか。食料自給率は下がる、水田面積の三分の一は減反、耕作放棄地はぼうぼうになっている、そういう状況の中でこういう拙速な関税化はやめるべきだと思いますが、いかがですか。
  69. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、アメリカアメリカ立場があり、日本には日本立場があって、二〇〇〇年以降の交渉ではそれぞれのいろんな国同士でお互いに、我が国はこういうことをやりたい、あるいはこれは守る、あなたの国はこういうふうにしてもらいたいというようなことをやり合うわけであります。ですから、現時点で、フォーリー大使さんがおっしゃったということは新聞報道では知っておりますけれども、これについては我が国協議に応ずる義務もまたアメリカ了解をとる義務も全くないわけであります。  二〇〇〇年以降の次期交渉において、それは交渉ですから向こうもいろいろ言ってくるでしょう。我が国も当然言うわけであります。そのときに、我が国としては、今、先生がおっしゃられたような食料安保とか多面的な機能、そして日本農業そのものを守り、食料を守っていくということを最優先にして交渉に臨んでいくわけでありますから、今の御質問を聞いていると、アメリカがめちゃくちゃなことを言い、何か日本が言うことを聞かざるを得ないことが当然のような御質問に承るわけでありますけれども、決してそうではありません。現に、APECにおいて各党皆さんの御支援もいただきながらアメリカの強い要求をはねつけたこともつい最近のこととしてあるわけであります。  一方、国内においては生産者皆さん、大変厳しい状況にあることは重々承知をしております。だからこそ、我々としては新しい基本法あるいはまたいろいろな「農政改革大綱」等々を通じて自給率をアップするでありますとか、あるいは国民的な国産主体の食料生産をやっていこうとか、いろんな国内的な努力をしながら国境措置をきちっと守って次期交渉に臨んでいきたいと考えております。
  70. 須藤美也子

    須藤美也子君 日本農業を守ると言いますけれども、私は、農水省は決して日本農業の再生、そういうものを考えていない、こういうふうに言わざるを得ません。なぜなら、この四年間で二百二十二万トンのミニマムアクセス米が入ってきました。その結果、先ほど申し上げましたように、減反の拡大であります。米価は暴落いたしました。農民はもう生産意欲さえなくしています。  そういう中で、関税化が本当に日本農業を守る最善の道なのか、こういう点で考えた場合に、決して最善の道ではない。将来、WTO協定の枠内で特例措置をとるか関税化をとるか、こういう選択をするのではなくて、やはり日本食料をどう守り、高めていくのか、そして農家の経営を安定させていくためにどうするのか、こういうことが今問われていると私は思うんです。  そういう点では、義務輸入米もやめ、関税化もやめて、国民食料主権を守る立場で、米と主要な農産物はこの貿易ルールから外す、こういう立場で私は堂々と主張すべきだと、こういうふうに考えております。  ですから、農民団体もいろいろそういう要望を出して、昨年から一千六十万人の要求書を出しているわけです。食料安全保障と地球環境保全のために、各国の持続的な農業生産を総合的に尊重する新たな農産物貿易ルールの実現を図ると、こういう要望を出しているわけですから、私は、今回、二十一世紀の世界の流れは、食料安全保障と農業の持つ多面的機能の立場に立って、それぞれ各国が二十一世紀は本当に農業生産を拡大していこう、こういう立場に立っているわけですから、関税化の通告はやめるように、私は、最後にこういう通告を中止することを強く申し上げて、終わります。
  71. 村沢牧

    ○村沢牧君 米の政策転換は生産者だけでなくて、国民にとっても重要な問題であることは御承知のとおりであります。したがって、政府、自民党、JAグループ三者が決定すればいいという問題じゃない。与党だけではなくて、幅広い国民の意見に耳を傾けて、また当委員会を初めとする国会の行政論議ですね、これも尊重し、そして政府の正式決定に、あるいは今後の交渉に、国内対策に反映しなければならないと思うけれども大臣はそういう取り組みをしてきたのか。また、今後どうするんですか。
  72. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 個人的にも私の農業についての本当に尊敬する大先輩であります村沢先生でございますが、今回の決定に当たっては、確かに先ほどから御指摘ありますように、時間的な問題の御批判があります。しかし、限られた時間ではありますけれども、極めて濃密な、真剣な議論をやっていただいた、その結果がきのうの私の判断ということになるわけでございます。  今までもできるだけ各方面の御意見をお聞きしながらいろいろと判断をさせていただいたわけでございますが、今後ますます国民立場、各方面、各党あるいは消費者等々の御意見も、自治体も含めましてお聞きをすることによって、先ほどから申し上げております今後の次期交渉に向けての国論の統一といいましょうか、コンセンサスのもとでこの外交交渉に臨むようにしていきたい、していかなければならないと思っておりますので、御指導をよろしくお願いいたします。
  73. 村沢牧

    ○村沢牧君 時間がありませんから、答弁も簡潔にお願いしたいんですが、きのう三者の方針決定した直後、その三者合意というのを見せてもらった、届けてくれましたが、これはどういう性格のものですか。何か三者で署名でもしてあるんですか。それとも閣議了解の資料にする、政府の資料にするんですか。これについて聞きたいんです。これは、政府農業団体にこういうことをやりましょうと約束したのかちょっとわからないんですね。どういうふうにするんですか、これは。
  74. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 三者合意というものは、生産者団体あるいは与党が、各党さんもそうでしょうけれども与党が真剣な議論を集中的にやって、そして農業団体が最終判断を会長さんに一任をする。また、党の方も議論を重ねた結果、執行部に一任をするという中で、私自身もその判断に加えさせていただいて合意をした内容でございます。  合意をした内容というのは、来年四月から……
  75. 村沢牧

    ○村沢牧君 内容はここに書いてあるからいいよ。内容は書いてあるからわかるけれども、どうするの。閣議で……
  76. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) その四項目書いてあることについては、これは関税化するに当たって日本農業を守っていくということで必要な施策であろうということで、農林水産省といたしましてもそれを踏まえてこれから頑張っていかなければならないという認識を持っております。  その文章そのものは私と党と団体とで合意をした文章でございまして、正式に今回WTOに通報するあの関税化手続については、今夕、関係閣僚会議決定をさせていただいて初めて対外的に正式なものになるという位置づけの文書でございます。
  77. 村沢牧

    ○村沢牧君 それはわかるけれども、これは一体、政府との合意にするんですか、どうなんですか。農水省がただこれを書いたきりで、こういうふうにやりますという、何ですか、これ、こんなことは書かなくたって当然やるべきことだよ。どうなんですか、これは。これで団体はよろしいというの、団体はこのことで。簡単に答弁してください。
  78. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 三者で合意をして、したがいまして関係閣僚会議決定をされれば、これは政府としての約束といいましょうか、確認事項となるわけであります。
  79. 村沢牧

    ○村沢牧君 それじゃ、関係閣僚会議でもこれは出して確認するわけですね。
  80. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 関係閣僚会議では、あくまでもガット上の手続を通報する内容というものでございまして、その四項目の文章というのは三者間で合意をしたことであり、農林省としてはそれを重く受けとめて今後やらせていただきたいということでございます。
  81. 村沢牧

    ○村沢牧君 大臣はよく三者合意だとか、団体が検討の結論が出ればやるなんということを今まで答弁しておったんですが、農林水産省が関税化について四つの選択肢を示したと。そして、農水省はこれしかないということを思って出したんですね。このことが国益を守るために一番いいシナリオだとするならばお互いに責任をなすりつけるんじゃない。  しかし、将来のWTO交渉にとって、日本農業の展望を考えて、大臣も農水省も責任を持ちます、したがって皆さんも一緒にやりましょうと情熱を持って、決意を持って具体的な方法を示して訴えなければ、そして指導性を発揮しなければならないけれども、今までの大臣考えや答弁は全く人任せみたいなことを言っている。それはだめなんですよ。農林省は責任を持つと、そのことをはっきり言ってください。
  82. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おっしゃるとおりで、今までの議論の形成過程においては、私は見守らせていただいて、最終判断をさせていただくということでございますが、来年四月一日からの関税化に伴う国内措置、あるいは既にやろうとしておる国内措置については私の責任において万全を尽くしてやっていきたいと思っております。
  83. 村沢牧

    ○村沢牧君 だから、今までの団体に対する討議の仕方も全く唐突であって、関税率水準を示さない、こんな態度じゃだめなんですね。こういうふうにやりましょう、こういうふうになりますということを、今後のこともありますから、そういうはっきりしたことをやらなきゃ農民の信頼を失ってしまうと私は思うんです。  そこで、お話にもあったんだけれども、ついにあした正式に決まる二次関税率ですね、平成十二年度以降は三百四十一円を維持する、それからミニマムアクセスの七十六万トンだとか、これが平成十二年以降ずっと維持できるのかどうか、さっきも質問があったところですが、努力するだけじゃだめですよ。交渉だからやってみなきゃわからぬ、そんな態度じゃだめなんですよ。今後の二次交渉においてもこれは絶対に維持していくというその決意を示してください。
  84. 堤英隆

    説明員堤英隆君) 私どもとしましては、非常に明快な形で計算をしてTE水準を張るという作業をしております。そういう意味で、平成十二年度以降につきましても、次期交渉が始まっている間は、先ほどから申し上げているとおり、この水準が維持されると理解をいたしております。  次期交渉につきましては、大臣からも何度もお答え申し上げておりますように、私どもの国としての主張を精いっぱい申し上げ、理解を得べく努力をするということでございます。
  85. 村沢牧

    ○村沢牧君 次期交渉が始まるまではこういうことだろうと、そんなことはわかっていますよ。  次期交渉が始まってもそういう決意を持っていかなきゃいけないと思うが、大臣、どうですか。
  86. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 次期交渉が始まっても当然そういう決意でやっていきたいと思っております。
  87. 村沢牧

    ○村沢牧君 五年前を顧みますると、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉は開始以来七年間かかって一九九三年に妥結した。これが今日のWTO協定になっているわけです。  当時の細川内閣はガット調整案を受け入れて米の部分開放を容認したでしょう。このことは我が党の方針にも、私の信念にも反し、まことに遺憾であり、私は立場上の責任をとらせてもらったが、そんなことで済まされる問題じゃない。その交渉経過は国会の決議も無視し、政府の公約に違反するだけでなくて、いろいろ各党政府国民のボタンのかけ違いが非常に多かった。そしてまた、交渉は密室交渉と言われましたが、こうした経過を反省いたしまして、外交交渉といえども秘密にすることばかりではなくて、情報公開に努力する、関係者の理解と協力を得ること、それから関係者の意思統一をして交渉に臨まなければなりません。  きょうは外務省も見えておりますので、外務省の見解、それから大臣の見解を求めます。
  88. 大島正太郎

    説明員大島正太郎君) お答え申し上げます。  交渉につきましては、外務省も従来から各種の国際会議、二国間協議などで農業の多面的機能とか食料安全保障の重要性、輸出国輸入国のバランスということを重々主張してまいっております。  次期交渉においても国民の御理解が得られるよう、そして得られた上で我が国考え方が十分反映された内容合意ができるよう、引き続き努力をしていきたいと思っております。既にそういった観点からどういった交渉が、交渉の準備の過程でですけれども、例えばインターネットというのが最近ございますので、外務省のホームページで皆様方からの御意見も承れるような形にして、できるだけ広く国民の御理解を得ながら交渉を進めるようにしたいと思っております。
  89. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 外交交渉そのものは政府がやるわけでありますが、前回の交渉過程におきましても多くの議員あるいは団体関係者の皆さんも現地に赴いていただいたわけでありますが、いかんせん国民的には消費者というか、農業以外の方々との整合性がとれなかったということは事実だろうと思います。  そういう意味で、今回もその反省を踏まえまして、今後本当に末端に至るまで、生産者だけではなくて消費者あるいはまたいろいろな立場の方々、全国の自治体等々と共通認識を持って、何が今度の農業交渉で守るべきもの、そして相手に対して要求すべきものかということのコンセンサスをつくり上げて、その上で交渉に向かっていきたいと考えております。
  90. 村沢牧

    ○村沢牧君 私は、そういう反省の中から、これからの食料の安全保障だとか農業の持つ多面的な機能を重視して、自国の食料は自国で生産をするんだという新しい農産物貿易ルールを確立しなければならないと長年にわたって要求したわけですが、この農業基本法の制定と新しい農産物貿易ルールをどういうふうにするのか、ぜひ中川大臣の決意をお聞きしたい。
  91. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の新しい基本法議論あるいはまた「農政改革大綱」の中でも、国内の生産を基本として自給率アップをするというような、いろいろな国内生産強化につながるような大きな柱が幾つもあるわけでございます。  したがいまして、それが協定上のルールと違反しないように交渉の場で我が国立場を強く主張し、協定でそれが問題がないように努力をしていきたいと考えております。
  92. 村沢牧

    ○村沢牧君 農水省の考え方は、次期交渉は今までの延長でいくんだという考え方なんですね。そうじゃなくて、農業基本法もつくるんだから、新しい農産物貿易ルールを我が国が要請していく。そのぐらいの決意でなくちゃだめなんですよ。今までの延長線でやろうと思って、どうやったら得になるか、そんなことばかり考えているからだめだと思いますよ。どうですか、もう一回答弁してください。
  93. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 次期交渉は現協定の改革過程の第二ラウンドというか延長線上であるという位置づけになっておりますが、先生指摘のように、また我が国がここ数年主張しておりますように、我が国の主張というものが認められるように交渉に臨んでいきたいと考えております。
  94. 村沢牧

    ○村沢牧君 最後に一問。  交渉に臨むことは当然だけれども、新しいルールをつくっていくということを日本が提案しなきゃだめなんですよ。そのことを要求しておきますから、農業基本法論議までにしっかりした方針を出してください。  最後に外務省、通報すればいいという規定になっているけれども、それだけで本当に済むのかどうか。圧力もあるでしょう。しかし、それをはね返して我が国の主張を現実のものにするために努力してもらいたい。その決意を述べてください。
  95. 大島正太郎

    説明員大島正太郎君) お答え申し上げます。  御承知のとおり、協定上、今回は通報して三カ月間、異議申し立て期間というのがございます。したがって、論理的には諸外国からは何らかの形の異議があることは排除されないのでございますけれども、当然、私どもの今回出される決定協定上の権利としての、あるいは協定上定められた仕組みによって定めているものでございますので、十分これを説明し、理解し、異議なんかがないように、撤回してもらえるようにしていくつもりでございます。
  96. 阿曽田清

    阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。  十分しか私には時間がありませんので、質問に対してはイエスかノーかで答えていただきたいと思います。  五年前のUR合意の当時に、私は国内法の方が国際約束よりも優先するというふうに思っておりました。ところが、例外措置というようなことで国際約束の方が優先してしまったということでありますが、そのように国内法が優先することではなくて、国際約束の方が優先していたんだということを改めて確認しておきたいと思います。
  97. 大島正太郎

    説明員大島正太郎君) 国際約束の方が優先いたします。
  98. 阿曽田清

    阿曽田清君 それじゃ、今度関税化されるということであれば、来年の三月いっぱいに、国内の、食糧法の改正は当然それまでになさなきゃならないということですね。
  99. 堤英隆

    説明員堤英隆君) そのとおりでございます。
  100. 阿曽田清

    阿曽田清君 それでは、そういう特に関税化があった後、四月一日に向かって、食糧法内容の検討はその間に十分いたしたいと思います。  私は二〇〇〇年にWTOの貿易交渉が持たれるというふうに一カ月前までは思っておりました。その中で、ミニマムアクセス米八%を二〇〇一年からもそのままコンクリートした形でいけるのじゃないかなという思いもありましたが、プラスアルファの方が強くて、とてもじゃないけれどもゼロではいけない、いくことは難しいというふうに判断されましたか。
  101. 堤英隆

    説明員堤英隆君) 農業協定上、実施期間終了後も、今おっしゃられました、引き続き関税化特例措置継続するということのためには、追加的かつ受け入れ可能な譲許を提供して、かつ二〇〇〇年の一年間に関係国との間で合意に達する必要があるというふうにされております。  そういう意味で、この追加的かつ受け入れ可能な譲許ということでございますけれども、この三年間、ミニマムアクセス米の運用について食糧庁、農水省として進めてきたところでございますけれども、タイあるいはアメリカ、中国、そういった国々の輸出に対する要望というのは非常に強うございまして、そういう意味で、この追加的かつ受け入れ可能な譲許という中でミニマムアクセス米のさらなる増加を求められるということは非常に蓋然性として高いというふうに思っております。
  102. 阿曽田清

    阿曽田清君 八%のままでコンクリートしていくことは難しいというふうに判断されたようです。  それで、先ほどから話がありますように、関税化移行をしておいた方が二〇〇〇年には強い立場交渉できるということを絶えずおっしゃっておられますが、私は、そのことが、村沢先生がおっしゃられましたように、新しい貿易ルールの構築ができる可能性が高い、あるいはそういう方向へ向かって取り組むことができるから関税化移行を早期にやっておいた方がいいというふうに解釈もするんですが、大臣、いかがでしょうか。
  103. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほど村沢先生のときにお答えすべきだったと思いますが、例えば輸出国輸入国とのアンバランスを共通のルールにしようとか、そういう意味でルールということであれば当然新たなルールということも含まれるわけでございます。  そういうことを含めてイエスでございます。
  104. 阿曽田清

    阿曽田清君 今までは関税化が三百五十一円、そういう線で、二〇〇一年からはもっと下げられるんじゃなかろうかという大変な危惧をしているわけです。ですから、新しい貿易ルールのもとで、そして公平な取り決めといいますか、そういう形が構築されるともっと安心した農家の方々の稲作経営というものが望めると思うんです。  過去、牛肉の話もありましたが、牛肉・オレンジの自由化のあった折に、牛肉の場合、当時、平成三年ですけれども関税率七〇%でスタートしました。七年後には四二・三%、約四〇%割合の引き下げがあったんです。それによって、既に現在は海外の輸入肉の方が六七・八%のシェアを占めているんです。  また、我が県の熊本のイグサにおいては、平成二年に一〇%の中国からの輸入量であったんです、国内のシェアが。七年たった平成九年に三六・五%になりました。これは関税率はそのままなんですが、何でそうなったかというと、国産のイグサの苗を中国に持っていって、中国で日本輸出向けのイグサをつくって輸入が強く行われてきたということから、昨年もこの委員会でいろいろ質問しましたように、二十数名というイグサ農家の方々が亡くなっている、自殺しているという事態で、大変な価格暴落を中国産の安いイグサに引っ張られて、もちろん住宅事情等もありましたが、そういう影響で大変な事態を起こしている。  ですから、米におきましても、関税率が下がる、三百五十円だったのが百円下がりましたらもろに来ますよ。同時に、日本のコシヒカリがタイなりオーストラリアでどんどん植えられて逆輸入になってくるというふうなことになったときに、SBSで輸入されるようなことになってきたときに、私は、とてもじゃないけれども今の日本の米作農家というのは成り立っていかない、そういう心配をいたしておるわけでありますので、一定の国内の米の生産が維持できるというちゃんとした対策というものを明示しなければ、私は関税化方向基本的に認めるわけにはいかない、このように思っておるんですが、それを明らかに、国境措置も踏まえ、国内対策は現状維持をきちんとしていける対策、どうお考えでございましょうか。
  105. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) そのとおりでございまして、次期交渉においても国境措置をきちっとして国内生産を守っていく、そして国内においてはいろいろ厳しい状況もありますけれども、さらに国内生産食料基本となるという目的が達せられるように体質強化に向けて全力を挙げていきたいと思っております。
  106. 阿曽田清

    阿曽田清君 この関税化を仮にあした決定される、そして通告を二十一日にされる、来年の三月三十一日までに食糧法の改正をする。この間に、生産者の方々に対してわかりやすく、そして生産者の方々が意欲をさらに保っていけるように、そういうビジョンを打ち出していただきたい。こういうのを先に走っておって、その対策を泥縄式で追っかけてやっていったんじゃまさに農政というものに対する信頼がなくなってまいりますので、泥縄式ではなく、先に先に打ち出しながら、そしてそういう国際的な問題に絶えず答えができるようにしていただきたいと思います。  もう時間もありませんが、二十年前、私の住む村の水田は全部水を張って、そして一堂に会して田植えの風景があっておりました。水を水田に張るということが環境におきましても他の作目を維持していくにも大事なことなんです。ところが、今はもうばらばらですね。休耕地が出ておりますし、水田の風景というのはさま変わりをいたしました。二十年後、まさに水が必要ないという事態にならないように、私は本当に心配をいたしております。  たまに農村の光景が変わっておるときの夢を見るわけでありますが、正夢にならないように、最後まで水田には水がちゃんと張って作物が植えられている、それは食用米であれ、この前から言っています飼料米であれ、水を張って稲作ができる、そういうものもきちんと来年の三月三十一日までには打ち出していただきたいと要望をいたします。  どうかひとつ、この関税化の道はあくまでも農業者にとって新ルールが構築される一つのステップであるというふうに私は信じて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  107. 野間赳

    委員長野間赳君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  108. 野間赳

    委員長野間赳君) この際、委員長から申し上げます。  本日の理事会におきまして村沢牧君から決議案の提案がなされ、協議を行いましたが、各派の意見の一致を見るに至りませんでした。したがって、委員長といたしましては、本日の委員会においては決議を行わないことといたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十九分散会