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1998-12-08 第144回国会 衆議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十二月八日(火曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 中山 正暉君    理事 伊藤 公介君 理事 臼井日出男君    理事 北村 直人君 理事 久間 章生君    理事 自見庄三郎君 理事 海江田万里君    理事 前田 武志君 理事 北側 一雄君    理事 加藤 六月君       今村 雅弘君    岩永 峯一君       植竹 繁雄君    江口 一雄君       小澤  潔君    小野寺五典君       越智 通雄君    加藤 卓二君       亀井 善之君    河村 建夫君       岸田 文雄君    岸本 光造君       斉藤斗志二君    阪上 善秀君       桜田 義孝君    島村 宜伸君       津島 雄二君    葉梨 信行君       萩野 浩基君    村田 吉隆君       村山 達雄君    望月 義夫君       森山 眞弓君    谷津 義男君       横内 正明君    吉川 貴盛君       米田 建三君    岩國 哲人君       上原 康助君    生方 幸夫君       小沢 鋭仁君    岡田 克也君       小林  守君    坂上 富男君       原口 一博君    池坊 保子君       上田  勇君    草川 昭三君       斉藤 鉄夫君    白保 台一君       西川 知雄君    丸谷 佳織君       鈴木 淑夫君    中井  洽君       西村 眞悟君    三沢  淳君       鰐淵 俊之君    木島日出夫君       春名 直章君    矢島 恒夫君       秋葉 忠利君    北沢 清功君       横光 克彦君  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         法 務 大 臣 中村正三郎君         外 務 大 臣 高村 正彦君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣 有馬 朗人君         厚 生 大 臣 宮下 創平君         農林水産大臣  中川 昭一君         通商産業大臣  与謝野 馨君         運 輸 大 臣 川崎 二郎君         郵 政 大 臣 野田 聖子君         労 働 大 臣 甘利  明君         建 設 大 臣 関谷 勝嗣君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     西田  司君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 野中 広務君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 太田 誠一君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)         (国土庁長官) 井上 吉夫君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 野呂田芳成君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      堺屋 太一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      竹山  裕君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 真鍋 賢二君         国 務 大 臣 柳沢 伯夫君  出席政府委員         内閣審議官         兼中央省庁等改         革推進本部事務         局次長     松田 隆利君         内閣審議官   安達 俊雄君         内閣官房内閣情         報調査室長   杉田 和博君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         宮内庁次長   森  幸男君         総務庁人事局長 中川 良一君         総務庁行政管理         局長      瀧上 信光君         防衛庁長官官房         長       守屋 武昌君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         防衛庁人事教育         局長      坂野  興君         防衛庁装備局長 及川 耕造君         防衛施設庁長官 大森 敬治君         防衛施設庁施設         部長      宝槻 吉昭君         経済企画庁調整         局長      河出 英治君         経済企画庁総合         計画局長    中名生 隆君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         科学技術庁長官         官房長     興  直孝君         科学技術庁科学         技術振興局長  田中 徳夫君         科学技術庁研究         開発局長    池田  要君         環境庁自然保護         局長      丸山 晴男君         沖縄開発庁総務         局長      玉城 一夫君         沖縄開発庁振興         局長      襲田 正徳君         国土庁大都市圏         整備局長         兼国会等移転審         議会事務局次長 板倉 英則君         国土庁防災局長 林  桂一君         金融監督庁長官 日野 正晴君         金融監督庁検査         部長      五味 廣文君         法務大臣官房長 但木 敬一君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省条約局長 東郷 和彦君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 涌井 洋治君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省理財局長 中川 雅治君         大蔵省金融企画         局長      伏屋 和彦君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         文部省学術国際         局長      工藤 智規君         文部省体育局長 遠藤 昭雄君         厚生大臣官房総         務審議官    真野  章君         厚生省老人保健         福祉局長    近藤純五郎君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         厚生省保険局長 羽毛田信吾君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         社会保険庁次長 宮島  彰君         農林水産大臣官         房長      高木  賢君         農林水産省経済         局長      竹中 美晴君         林野庁長官   山本  徹君         通商産業省産業         政策局長    江崎  格君         中小企業庁長官 鴇田 勝彦君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         労働大臣官房長 野寺 康幸君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長 鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君  委員外出席者         参  考  人         (株式会社日本         長期信用銀行代         表取締役頭取) 安齋  隆君         参  考  人         (日本銀行調査         統計局長)   村山 昇作君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 委員の異動 十二月八日  辞任         補欠選任   江口 一雄君     望月 義夫君   江藤 隆美君     小野寺五典君   大原 一三君     吉川 貴盛君   亀井 善之君     岸本 光造君   河村 建夫君     阪上 善秀君   島村 宜伸君     米田 建三君   津島 雄二君     桜田 義孝君   村山 達雄君     岩永 峯一君   草川 昭三君     丸谷 佳織君   鈴木 淑夫君     三沢  淳君   西村 眞悟君     鰐淵 俊之君   志位 和夫君     春名 直章君   不破 哲三君     矢島 恒夫君   秋葉 忠利君     横光 克彦君 同日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     村山 達雄君   小野寺五典君     江藤 隆美君   岸本 光造君     亀井 善之君   阪上 善秀君     河村 建夫君   桜田 義孝君     津島 雄二君   望月 義夫君     江口 一雄君   吉川 貴盛君     今村 雅弘君   米田 建三君     島村 宜伸君   丸谷 佳織君     白保 台一君   三沢  淳君     鈴木 淑夫君   鰐淵 俊之君     西村 眞悟君   春名 直章君     志位 和夫君   矢島 恒夫君     不破 哲三君   横光 克彦君     秋葉 忠利君 同日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     大原 一三君   白保 台一君     池坊 保子君 同日  辞任         補欠選任   池坊 保子君     草川 昭三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十年度一般会計補正予算(第3号)  平成十年度特別会計補正予算(特第2号)  平成十年度政府関係機関補正予算(機第2号)      ————◇—————
  2. 中山正暉

    中山委員長 これより会議を開きます。  平成十年度一般会計補正予算(第3号)、平成十年度特別会計補正予算(特第2号)、平成十年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
  3. 坂上富男

    坂上委員 坂上富男でございますが、まず第一に、自民党総裁たる小渕総理に、中島洋次郎議員の犯された犯罪についての所見についてお伺いをいたしたいと思っております。  見ておりますと、事件発生以来今日までの小渕総理の、この事件重大性について著しく認識が欠けておられるのでないかということを私は思っております。人の不幸はそっとしておるのが惻隠の情などと思っておられるのでないでしょうか。総理総裁として、本件事件重大性認識して、厳正なる対処をしていただきたいと思っておるわけでございます。  私は全く反対立場に立つ者でありますが、国会議員の一員として、極めて重大に、深刻に、私としても苦慮しているのであります。反対党がエラーを犯したといって済ませられる問題でもないのであります。  以下、これらの点について問題を指摘したいと思っておるわけでございます。  中島洋次郎議員事件は、政党助成金不正使用虚偽報告選挙買収であり、受託収賄容疑も明らかになっておるのであります。  特に、政党助成金として自由民主党交付された国民税金、この国民税金を使いまして選挙買収資金として不正使用をし、その買収犯罪を隠ぺいするために虚偽報告をなすという二重、三重の犯行を犯しているのであります。極めて悪質、重大な犯罪なのであります。自民党比例代表として議員に当選したのであります。この犯罪は、憲政史上始まって以来の不正事件であります。  この不祥事件は、自由民主党群馬第三選挙支部長としてなされた事件でありまして、自由民主党としても重大なる責任があるのであります。中島議員自由民主党を離脱したといえども、自民党は党の責任としてこれを免れるわけにはいかないのであります。自民党総裁としての小渕総理は、国民にまずどのようにしておわびをし、その責任を明確にされようとしているのか、以下についてお聞きをいたします。  まず第一に、国民に対しまして、この犯罪に対して自民党総裁としてどのようにおわびをされますか。第二に、議員辞職自民党としても強く求めるべきであります。第三に、政党助成金をみずからの犯罪に使用したのでありまするから、この不正に使用した政党助成金国民返還されなければなりません。返還していただきたいと思っております。  自民党責任をとって、これらの政党助成金交付を、相当期間、これから反省、謹慎するという意味において、受領を辞退すべきだと思っておるのであります。仮にこの返還がなされないといたしましたならば、私は、返還を求める裁判を起こすことは可能であろうと思っておるわけでございます。  殊に群馬県の自民党の顧問でもあられる総理総裁とされましても、群馬自民党第三支部に訴えを提起して返還を求めるべきであります。助成金を、補助金を不正に使用したものについては返還命令がなされております。また、それに対する裁判もなされておることは公知の事実でございまして、国民税金助成金として自民党交付を受け、それを、自民党交付を受けた支部長がみずからの犯罪選挙買収に使うなんて、もうとんでもないことでございまして、こういう観点から見まして、総理はどのような決意をしておりましょうか。私は、総理において、総裁において、事実の認識がいささか欠如しているんじゃないかという指摘をしておるゆえんはこういう点にあるのでありますが、まず御回答、御答弁をいただきたいと思います。
  4. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 政党助成金不正使用問題等におきまして、同僚議員でありました中島議員が逮捕、起訴されましたことは、国民信頼を傷つけるものであり、まことに遺憾と存じます。  私は、この旨、さきの所信表明演説におきましても、国民の皆様の前にこれを明らかにしたところでありますが、こうした事件が再び起こりませんよう、政治家個人が厳しく身を律していかなければならないと強く思いをいたす次第でございます。  もとより政党助成法第四条におきまして、この交付金国民から徴収された税金その他貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、その責任を自覚し、その組織及び運営については民主的かつ公正なものとするとともに、国民信頼にもとることのないよう、適切に使用しなければならない、こう考えております。  そこで、お尋ねは、自由民主党総裁としてどう考えるかということでございますが、この場におきましては総理としてこの場に立っておりますので、以上申し上げたことではございますが、私自身も党の総裁という立場でもございます、党として政党助成金を、国民の貴重な財源政党活動に対してその役割を果たさせていただいておるわけでございますので、その重要性にかんがみて、党におきましても、それぞれ議員に改めてその趣旨を徹底し、こうしたことの起こりませんように努力いたしてまいりたい、このように考えております。
  5. 坂上富男

    坂上委員 自民党先生方にいろいろお話をして、こういうことが二度と起こらぬようにいたしたいと思いますでは、これはちょっと心細いと思っているのです。  事の重大性総理として、総裁としてどう認識されているのか。本当に、私たちが、例えば特養のために補助金を不正に受領いたしましても、これは返還させられているわけであります。助成金は、確かに正当に受け取ったものではありますが、不正に使用してもよろしいといって渡したわけではないのでございます。こういうものはきちっと返還をされなければなりませんし、自民党としても反省しるしをきちっと出さなければだめであります。だから、私は四点、今御指摘をしたわけでございます。  ぜひこれは、御答弁がなかなか容易じゃないだろうと思うのでございますが、党とされましても、ただ、こういうことを二度と起こさぬようにする、当たり前のことです、こんなこと言わなくたって先生方みんな知っています。ただ、こういうことをやったことに対して、反省しるしとしてどうするか、総裁としてどれだけの御努力をなさるか、このことを聞いているのです。  でありまして、今の御答弁では大変不満であります。私は、どうもこれではとてもじゃないが御承認もできませんので、我が党の方においては中島議員辞職勧告決議を提出するそうでありますから、ここに改めて宣言をしておきたいと思います。(発言する者あり)いいんだよ、そういうことはもうはっきりしているんだから。  さて、防衛庁、ちょっとお聞きをいたします。  きのう御答弁がございました。その御答弁をもとにいたしまして文書で私は防衛庁質問をいたしまして、防衛庁としては精いっぱいの文書答弁をいただきました。その文書答弁について、まず確認をさせていただきたいと思っているわけであります。  まず、今回、きのう問題になりました、いわゆる陸海空幕僚部において証拠が移動されたということ、証拠が隠されたという点について。  まず、AH1Sというんでしょうか、ヘリコプター、対戦車ヘリ、これは陸のものでございます。それから次期対戦車ヘリ。それからUS1A改救難飛行艇中島議員が今贈収賄の対象になっておる職務権限の問題でございます。それから空の方の、U4でございましょうか、多用途飛行機の問題。それからT7、これは練習機。この資料については隠されたんではありませんか。  報道によりますと、U4、T7は、資料移転されたということは確認されないとおっしゃっておりますが、そのほかの資料についてはどのようになったのかを確認したいと思います。私が指摘をしたものについても、移動したとは確認できないとおっしゃっておりますが、そうでしょうか。  その次、OB天下りリストを隠した理由として、退職予定者の再就職についての援護業務関係資料個人のプライバシーにかかわるものとして、これがとられたならば大変だということで移転をした。  三番目、資料隠しに関与した自衛官の階級。一佐以下の自衛官及び事務官人数を明らかにしてくれと言ったけれども、人数は明らかになりません。  四、CCP中央指揮所でございますが、だれが資料を持ち込んだのかということに対しましては、中央指揮所に勤務する空幕自衛官、こう言っておるわけであります。  五番目に、CCP以外にどこに資料を隠したかという点について。資料移転先といたしまして、陸幕については、檜町駐屯地内の他の庁舎、それから補給統制本部(十条)、通信団(市ヶ谷)。海幕の方は、海幕他の課及び職員の自宅。空幕の方は、空幕内倉庫中央指揮所幹部学校(目黒)、ここに資料を隠したと言われておるわけであります。  これだけの面積を計算してみますると、膨大な面積のところに移動しておるわけでございまして、どうも一説によりますと貨物自動車で二台分ぐらいあったと言われておりますが、この点はいかがでございますか。  それから今度は、三軍の幕僚長が関与したのではないかという点については、関与しておりませんという回答でございました。私は、これだけのことをするのに幕僚長が何が行われているかわからぬというような管理状態というのに非常に不安を感じます。  ならば、各幕僚長責任問題。これを知っておったのか知らなかったのか、知らなかったことに重大な過失があるのかどうか、これについても明確にしていただかなければなりませんが、現在は事実関係の解明を実施中だという御回答でございますから、しばらく待ちましょう。  さて、今回の事案最終報告に入っていなかった理由についてでございますが、十一月十九日公表した「四社事案関連文書管理実態に関する報告」は、調達本部幹部背任事件に係る資料隠しの有無を明確にするために、検察当局強制捜査の主な対象となった調本及び内部部局調査対象としたものであって、陸海空幕僚監部における事実関係調査は行っていなかった、だから報告書に書かなかったというのでございますが、これもまた極めて重要なことでございます。  まず、この資料移転は、調本が行ったところの、九月の初めの検察庁捜査をする前後に、調本一緒陸海空幕僚の方も資料移転がなされたわけであります。これは、背任罪とここは直接関係ないことはだれでもわかるのでありますが、だけれども、何でこれを隠さなければならなかったのか、これが私はわかりません。  特に、OB天下り検察庁資料として押さえられても、検察庁一般に公開することはないのでございます。こんなものを押さえられても何でもないのでございます。もっと、この天下り資料を隠しただけでなくして、私がさっき指摘した資料、こういうようなものが、万一とられたらこれは大変だ、こういうようなことがあって一緒に隠したのでありませんか。  特に、なぜ私はそれを言うかといいますと、中島議員に関するいわゆる職務権限やあるいは受託収賄のいろいろのことにかかわる資料も私が指摘をいたしました。それから、まだいろいろの問題がこの資料の中にあるわけでございまして、防衛庁といたしましては、これを押さえられることによって犯罪発覚端緒になることを恐れたんじゃないですか。OB天下りだけが心配なんというのは全く理屈になりません。もう防衛庁全体で、陸海空のほかに調達庁、内局、そのほか研究所、一斉に証拠隠しが行われたんじゃないですか。万々一検察庁から差し押さえが起きたら、これが犯罪捜査端緒になることを恐れてこれをやったんじゃございませんか。私はどうも、今回の事件を見て、極めてその感を深くするのであります。  今私が指摘しただけでも十カ所なんですね。十カ所なんでございまして、こんなような資料を移動するなんというのは本当に私たちにとってはびっくりでございます。私は、もう最終報告書で終わったなと思って質問に立とうと思ったのでございますが、準備をしておる翌日報道されまして、びっくり仰天いたしました。  きのうの記者会見では、技術研究所本部防衛施設庁その他もいろいろと調査をしたい、こう長官はおっしゃいました。それはぜひやってもらわぬといかぬのでございますが、大体私たちが見てみますると、これはもう、防衛庁そのものが一体となってあらゆる部門においてこのような資料隠しが行われたと言っても断言できるんじゃなかろうかと私は思っているわけでございます。  長官、新しく就任されました。新しい決意のもとに業務の執行に当たっておられると思うのでございますが、想像を絶するようなこのような証拠隠滅に類する資料移転行為防衛庁内部で、しかも一番大事な中央指揮所において、これは危機のあったとき、ここにおいて国民を守るために指揮指導するという施設だそうでございますが、こんなところへ資料を隠匿するなんというのは、これはとんでもないことでございます。こういう点に対する長官の御答弁をまずいただきましょうか。
  6. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 まず最初の問題でございますが、きのうも申し上げましたとおり、これまでの調査で判明したのは、九月三日の強制捜査の前後に執務室外に資料移転した事実が判明したわけでございますが、それは、十一年度の概算要求説明資料あるいは十年度予算執行資料等の予算関連業務資料のコピーでございます。それから、退職予定者の再就職についての援護業務関係資料、それから、会社の規模とかあるいは防衛庁との契約、あるいはOBの就職状況などを記載した企業概要といった調達関係資料等でございますが、これらの資料の詳細については、現在、大車輪で確認中でございます。  なお、坂上先生から御質問のありましたU4、T7等を初め一連の機種選定にかかわる資料については、これが移転されたという事実はこれまでのところは確認されておりません。  それから、何でOB天下りリストを隠したか、こういうことでございますが、私ども、この二日間で三千人近い人にアンケート調査をやり、問題のありそうな人につきましてはすべて一人一人各幕僚におきまして面接調査をしたわけでございますが、移転理由については、当事者の言によれば、これらの資料には個人の健康状態とか家族状況あるいは個人のプライバシーに係るものが含まれているため、押収されることにより外部に出ることが適当でないと判断したというふうに答えております。  資料隠しに関与した自衛官の階級等でございますが、詳細については現在なお確認中でございますが、これまでの調査によりますと、資料移転に関与した職員は、一佐以下の自衛官及び事務官等でございます。その人数につきましては、現在さらに精査中でございます。  それから、中央指揮所CCPにだれが持ち込んだか、あるいは、それ以外にどこに資料を隠したかということにつきましては、先ほど坂上委員が申されたとおりでありまして、これまでの調査によれば、中央指揮所には、いわゆる四社事案関連で強制捜査が行われた後、九月四日ごろ、中央指揮所で勤務しております航空自衛官によりまして、会社の規模、防衛庁との契約、OBの就職状況などを記録した航空幕僚監部所有の企業概要表などの調達関係資料が持ち込まれた、こういうことであります。  また、中央指揮所以外の場所に資料を移した事例としては、陸上幕僚監部の職員により、檜町駐屯地内の陸幕とは別の建物、それから補給統制本部、これは十条でございます。それから通信団、これは市ケ谷であります。海上幕僚監部の職員により、海幕の中の他課及び職員の自宅へ、航空幕僚監部の職員により、空幕の建物内の倉庫及び幹部学校、これは目黒でございますが、それぞれ資料移転した事例がわかりました。今、隠した資料については、九月十日ごろから下旬の間に、いずれも再び原課に戻されております。  それから、各幕僚長の関与の有無でございますが、これまでの調査によりますと、各幕僚監部における資料移転について幕僚長が関与した事実はございません。  それから、各幕僚長責任問題についてでございますが、陸海空幕僚監部においては、これまでの調査で、九月三日の強制捜査の前後に執務室以外に資料移転した事実が判明したわけですから、各幕僚長には、引き続きかかる事実関係の徹底した究明に当たるよう厳命しているところであります。  関係者の責任問題につきましては、調査が終了し、その全容が判明した時点で検討したいと思っております。  今回のこの事案が十一月十九日に公表した四社事案管理実態に関する報告に入っていなかったわけでございますが、それは、きのうも申し上げましたとおり、この十一月十九日公表した四社関連文書管理実態に関する報告は、あくまで調本幹部背任事件に係る資料隠しの有無を明確にするため、検察当局強制捜査の主な対象になっておった調本及び内局を調査対象として実施したものであります。そのために、各幕僚監部につきましては事実関係調査は行っておりませんでした。これらにおける資料移転等については、したがって把握していなかったということであります。  今回、同報告では調査対象にしなかった各幕で新たにこういう実態が出てきたわけでありますから、私は、一部報道が出たその真夜中から現在まで、徹夜に近い状態でその内容を精査しているわけですが、この機会に、またこういう問題がほかから出ると困りますので、技術本部や施設庁を含め、全防衛庁の部局にわたって精査をして最終報告をしたい、こう思っておる次第であります。  先ほど、そういうことをやったのは、先生が冒頭で質問されたUS1A改とかU4とかT7のような資料が入っておって、それで隠したのじゃないかという御指摘がございましたが、私どもの調査では、強制捜査が入りますとあらゆる資料が持っていかれる、予算編成の最中であって、もしそれを持っていかれては非常に仕事がとんざするということで、わざわざコピーをとってコピーそのものを隠したということや、あるいは、再就職先のデータや個人のプライバシーに触れる問題があって出ることが余り好ましいと思わなかったという、まことに慌てふためいた事態による事例が多いわけでありまして、今申し上げたような、先生が御指摘のいろいろ機種選定等に絡まる問題については、そういう事実はなかった、これまでの調査ではそういう資料は確認されなかった、こういうことであります。  なお、今申し上げたとおり、全庁にわたってもう一回精査をしたい、こう思っておる次第でございます。
  7. 坂上富男

    坂上委員 長官、一番大事なことは、この資料の移動、だれが指揮をしたかということを聞いているんです。あの調本のは報告書に書いてあります。いわゆる事務次官、あるいは石附調本副、そういう人たちが指導して移動させた。これはだれが指揮したの。これだけの資料を、まさにあらゆる場所だ、関係する場所に移動するには、最高の責任者が、やはり指揮をする人がいなければならない。こういうことに対する専門的な人は、どちらかというと石附さん、この人がやはり一緒に指揮をして、調本一緒資料の移動がなされたんじゃなかろうか、私はこう思っておるわけでございます。  いいですか、天下り資料がとられたらプライバシーだと言うけれども、それは国会に出せばプライバシーが侵害されるかもしれませんけれども、検察庁ならそんなことは、資料をまず必要としないでしょう。もっと必要の資料をとられることを恐れたから、こういうことになったんじゃないですか。こんな程度の素人だましの答弁してもらっては困るんです。  検察庁、法務省はおられますか。どうですか、これは。どうも防衛庁犯罪端緒になることを恐れて隠したと思われるんでございますが、どんなふうな御認識ですか。
  8. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 今検察庁におきまして、先生お尋ねの防衛庁に関する一連の事件捜査をしているところでございます。今お尋ねの証拠関係も含めまして、検察庁が現在何を捜査しているか、あるいは将来どういう事項につき捜査するのかということは、現に捜査中の事項にかかわることでございますので、私から答弁いたしかねるところでございます。
  9. 坂上富男

    坂上委員 もう一つ答弁、では、ついでにお願いしましょうか。  現在、富士重工会長らが逮捕されておる贈賄事件で、請託の対象となったUS1A改という救難飛行艇の試作製造は、富士重工のほか、新明和工業、川崎重工業、日本飛行機が分担しているとのことでありますが、東京地検は、富士重工以外にもこのような防衛庁関係の贈賄している会社はないかというようなことは視野に置いて捜査なさっているんでございますか、どうです。
  10. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 現在、東京地方検察庁におきまして、中島議員に対する贈賄の事実で富士重工業株式会社の会長と元専務を逮捕して、取り調べをしている最中でございます。  先生のお尋ねのそのほかの機種について捜査もしているのかということでございますが、現在捜査中の事項にかかわりますことでございますし、検察庁がどういう方向で捜査を進めているかということも捜査の内容そのものでございますので、私からお答えいたしかねるところでございます。  なお、検察庁としては、刑事事件に相当するということがありますれば、証拠と法律に照らして適正に対処するものと思っております。
  11. 坂上富男

    坂上委員 それでは、もう一つ、中島議員の請託の内容は何ですか、それから請託を受けた事柄は現実に実行したのか、この確認はどうなっていますか。それから、富士重工の会長らの贈賄の被疑事実によりますと、中島議員には贈賄罪とは必要的共犯の関係にある受託収賄罪が成立すると考えているんでございますが、なぜ贈賄の被疑者と同時に逮捕状の執行をしないのでございますか。  中島議員につきましては、今国会後に受託収賄容疑で逮捕する見込みとの報道もあります。中島議員については、十二月十日に公職選挙法違反で起訴された場合、その後、保釈が認められて釈放され、受託収賄の事実について証拠隠滅工作を行う可能性もないとは言えないのでありますが、そういうことになりますと、国会会期中であっても再逮捕する必要があると考えておるわけでございます。こういう場合、逮捕許諾手続をとる必要もあると考えておるのでございますが、検察はこれらについてどのように対処しようとしているのか、御答弁いただきたいと思います。
  12. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 ただいま何点かお尋ねをいただきましたので、順次お答えいたします。  まず、請託の問題でございますが、現在贈賄側の二人を逮捕しておりますので、その中で述べられている点を要約して申し上げます。  「被疑事実の要旨」の中のその部分でございますが、被疑者らは、共謀の上、平成八年十月三十一日、「防衛政務次官室において、防衛政務次官として、海上自衛隊の装備に関すること、航空機など装備品等の調達・研究開発等に関すること等の防衛庁の事務を統括するなどの権限を有する防衛庁長官を助け、政策及び企画に参画し、政務を処理するなどの職務を担当していた中島洋次郎に対し、かねて同人が被疑者から、装備品等である海上自衛隊の救難飛行艇」、これはUS1A改というものでございますが、その「試作製造分担の決定等に際し、同会社に有利な取り計らいを得たい旨の請託を受けたことの報酬として、現金五百万円を供与し、」もってわいろを供与したということでございます。  なお、請託の内容は、今申し上げた中に含まれております。  それから、なぜ贈賄側の被疑者と同時に逮捕しないのかという点でございますが、確かに、先生御指摘のとおり、贈賄罪と収賄罪というのは必要的共犯の関係に立ちます。御指摘のとおりですが、捜査機関がいかなる時期に関係者を逮捕するかということにつきましては、その時々の捜査状況に応じてその必要性を判断するべき事項であるということを一般論として申し上げることで御勘弁いただきたいと思います。  それから、中島議員につきまして、いずれ逮捕の見込みであるというような報道がなされていることは検察庁も承知しているところでございますが、この点につきましても、いつ、どういうふうに捜査が進展するのかということで、具体的内容にかかわりますので、これもお答えいたしかねるところでございます。  それから、中島議員の逮捕の有無、あるいは国会会期中に許諾請求等を考えているのかということに御質問はなるのかと思いますが、中島議員受託収賄の事実で逮捕するか否か、その時期等につきましては、やはり具体的な捜査の内容にかかわることでありますので、私から申し上げるべき事項ではないと考えております。  ただ、あくまで一般論として申し上げますと、国会会期前に逮捕した国会議員を会期中に再逮捕する必要が生じたような場合の許諾手続の要否につきましては、国会議員の職務の重要性や憲法等の趣旨等を十分尊重して慎重に解釈し、対応すべきものであると考えております。  以上でございます。
  13. 坂上富男

    坂上委員 防衛庁長官、さっき言った問題点の、移動したこと、だれが指揮したのか、わかっているんじゃないですか。御答弁いただきたいと思います。
  14. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 これまでの調査では、佐官クラスの若干名と班長クラスの若干名ということが判明しておりまして、それ以上上の者はかかわっていないということが判明しております。
  15. 坂上富男

    坂上委員 文書管理規定というものがあるわけでございます。これはもう、最も上の人が責任を負っているわけでございまして、そういうように上の者が責任をとらないで、下の連中がやったんでございますなんていって済ませられるはずはないのであります。  今ここで押し問答してもいかがでございますので、ぜひひとつ、防衛庁としては、さっき指摘しました文書、これは委員会の方に御提出いただけませんか。もしも御提出いただけなかったら、ひとつ委員長委員会の証言法に基づきまして、取り寄せを要請していただきたいと思っております。
  16. 中山正暉

    中山委員長 理事会で検討いたします。
  17. 坂上富男

    坂上委員 あわせまして、私は、陸海空幕僚長関係していない、こういう御答弁でございますから、これは明確にする必要があると思いますので、陸上幕僚長の藤縄祐爾さん、海上幕僚長の山本安正さん、航空幕僚長の平岡裕治さん、この三名を予算委員会で証人喚問の上、ひとつ調査をされるよう要請をいたしたいと思います。
  18. 中山正暉

    中山委員長 理事会で後刻検討いたしたいと思います。
  19. 坂上富男

    坂上委員 話は全く変わります。  先般、江沢民中国国家主席の訪日に際しまして、トキ一対が贈られることになったのでありますが、トキにつきましては、私自身も先般中国を訪問した際に中国の外交部長に話を聞いたところ、先方からは、しばらくお待ちください、先生には喜んでいただけるお知らせをすることができると思います、こういうお答えをいただいておったのでございまして、私も大変注目しておりました。  トキは、私たちの新潟県佐渡に一羽だけ生存しておるわけでございますが、なかなか年もとっておるのだそうでございます。そうしたところへ、今回江沢民主席が訪日されまして、天皇陛下との御会見の際に、トキを贈るとの表明がなされました。  これは、大変難しいことを言いますと、天皇陛下個人の財産になるのか、あるいは皇室財産になるのか、あるいは国民のものになるのか、これはなかなか難しい問題でございまして、環境庁長官が訪中されたときは、何かトキを貸していただけるということで期待を持たれてそのお話を聞いておった、まさか天皇陛下のところに写真でもって贈呈されるなどということは、ちょっと想像しなかったのじゃなかろうかと思うのでございまして、私も実は意外に思いました。  しかし、それはそれで結構なことだと思っておるわけでございますが、こういう問題をどういうふうに対応したらいいのか、政府としてはどうお考えになっておるのでございましょうか。  そこで、トキが実際に贈られてくるのはいつでございましょうか。何かトキの繁殖期は二月から六月までの間でございますから、このときは移動できないのだそうでございますが、何か連絡でもあるのでございましょうか。  どうぞ、宮内庁は、天皇陛下に贈られたものでございまするから、これをどう対応するのか。環境庁長官はその談話として、宮内庁とも相談もしてみたいし宮内庁の指示にも従いたい、こういうようなお話も談話の中に出ているようでございます。  このトキ一対はいずれ中国から贈られると思うのでございますが、今後どういうふうになるのか大変重要なことでございまして、日本に一羽、そして中国に百とか百三十しかもう世界にはいないと言われておる大事な国際鳥でございまして、私は本当に大事にしなければならぬと思っておるわけでございますが、御見解を。
  20. 森幸男

    ○森政府委員 先日、江沢民中国国家主席の訪日に際しましてトキ一対が贈られるということになったわけでございますが、これは天皇陛下との御会見の際に、同主席が天皇陛下に対しトキをお贈りしたいというお話があったものでございます。  今回贈られることになりましたトキにつきましては、新たな日中友好のシンボルとなることを期待されて中国から贈られることになったものでございます。  それから、国際的にも希少な生物であるということにかんがみまして、これを大切に飼育し早期の繁殖を図っていくということが必要であり、また国民各層からも期待されていることであると思います。  また、飼育に当たりましては、高度に専門的な知識と技術を要するものであることなどを踏まえますと、今後のトキの取り扱いにつきましては、これまで我が国においてトキ保護のための事業を担当し、専門的な知識や技術などを有する環境庁と十分に相談をして、適切に対処していくことが必要である、こう考えております。  こうしたことから、今後、外務省、環境庁、宮内庁、この三省庁間で連携を密にいたしまして、遺漏のないように適切な対応をしてまいりたい、かように考えております。
  21. 真鍋賢二

    ○真鍋国務大臣 先生等の御尽力もちょうだいいたしたわけでありますけれども、私も、ちょうど日中平和友好条約二十周年に参りまして、日本にぜひトキを贈呈したいという中国側の意向を聞かせていただいたわけであります。今回の一対のトキの贈呈に対しましては、心から歓迎と感謝をいたしておるところであります。  さて、この贈呈の時期でございますけれども、先生からお話がございましたように、二月—六月の繁殖期を避けてということでございますので、いずれかその前後になってくると思っておるところでありますけれども、いずれにいたしましても、専門家の意見をよく聞いて、今度は万全を期していかなきゃならないと思っておるわけであります。  ニッポニア・ニッポンという学名で世界に知られておるトキでございます。そのトキを大切に保護、増殖していかなきゃならないわけでありまして、その目的に向かって頑張っていくと同時に、日中友好の一つのシンボルとしてこのトキを扱ってまいりたいと思っておるわけでありまして、今後ともよろしくお願いいたす次第であります。
  22. 坂上富男

    坂上委員 ぜひひとつ成功するようにお願いをいたしたいと思います。  長銀頭取、御苦労さんでございます。また、委員長、ありがとうございました。  二、三点質問させていただきます。  まず、長銀で社内調査委員会ができたそうでございますが、長銀内で委員会のバックアップ体制をどういうふうにされるのですか。それで、具体的にはどういう結論を出そうとされておるのか。そして、調査委員会側からいわゆるリクエストがあるんでございましょうか。今、どんなような状況になっておるんでございますか。  それから、新しく就任されたわけでございますが、長銀については、バブル期の不動産金融に他行に比して突出した問題点があったかどうか。例えば、バブル融資への参入がおくれたと言われておりますが、長銀という形態から不利などの要素が手伝って、そしておくれたものでございまするから、慌てて非常識な融資に走ったとも言われておるわけでございます。  そんなことから、関連ノンバンク、日本リース、日本ランディック、エヌイーディーの管理、把握が全くできていなかったという見方もあるんでございますが、この点はどうでしょうか。  しかも、この関連会社に対する融資の基準が余りにも甘いという印象が否めないと思っておるんでございますが、まず、この二つの点について御答弁を。
  23. 安斎隆

    ○安齋参考人 安齋でございます。よろしくお願いします。  先ほどの御質問ですけれども、内部調査委員会を間もなく発足させたいと考えております。日本弁護士連合会の御協力も得まして、七人弁護士を推薦していただきました。さらに、各先生方の常置代理人をそれぞれ七名選んでいただく予定にしております。  それから内部ですけれども、十数名、事務局として、過去にこういう仕事にかかわっていなかった者をバックアップ体制としてしく予定にしております。  それから、どのような結論ということですけれども、私どもそういうことを前もって考えているわけではございません。融資に絡む案件について、恐らく膨大な件数でございますので、大きな、問題になった融資から一定の基準を上回ったものを中心としてお調べいただくことになるだろうと思います。  私としては、できるだけ早く私どもに報告をちょうだいしたいな、できれば来年三月ぐらいまでには結論を出していただきたいな、そういうことを要請するつもりでございます。  それから、その委員の方々からリクエストがあるか。まだ発足させておりませんので、ございません。  それから、二点目の御質問でございますけれども、一般的にはやはり先生のおっしゃるとおりだと思います。しかし、私、ここで結論づけてはいけません。何分にも内部調査委員会でその辺の実情は十分調査し、報告していただけるものと思っております。
  24. 坂上富男

    坂上委員 不良債権問題の評価でございますが、バブル後の不良債権回収の手法について問題がなかったのかどうか。関連ノンバンクの不良債権処理の一環で、担保不動産の事業化を試みたようでございます。これは機能したと考えたらいいんですか、これは失敗だったんですか。事業化の代表は、日比谷総合開発グループ、これらの会社の問題点を指摘する報道があります。こういうふうに事業化することによって失敗をした。  また、これに関連して、担保価値が大幅に目減りしているにもかかわらず、日比谷グループが債権を簿価で購入したとの報道もあります。こういうような取引は実際にあったのでございますか。今わかる範囲において御答弁を。
  25. 安斎隆

    ○安齋参考人 実は、今内部の、先ほどの内部調査委員会とは別に、我々新経営陣として、なぜ長期信用銀行はこういう特別公的管理にされるに至ったのかということの論点を整理中でございます。いずれ皆さんのところにも、国民の皆さんにもそれを御提出するという予定にしております。しかし、その個別の問題につきましては、私は、内部調査委員会の報告を待ちたい、こういうふうに考えております。
  26. 坂上富男

    坂上委員 頭取には最後でございますが、私たちは、長銀を告発する国会議員の会をつくっておりまして、一つは刑事事件で告発をいたしました。一つは、頭取以下二十三名の代表取締役に対しまして、退職金を返還していただかなければ、これはもう国民は納得しないでしょう、こういうことで、大変失礼だとは思ったのでございますが、私たちの名前において、返還の有無について、返還の方法について、お手紙を差し上げました。  御返事が全部から参りました。そして、これについての返事は、いずれも、大体いずれもと言っていいと思うのでございますが、長銀の新執行部といいましょうか、ここときちっと打ち合わせをして、協議をして対応したい、こういうお話でございますが、頭取は特にこの点について当たっておられますか。特に、大変失礼でございますが、三人の頭取、A、B、Cで名前を申し上げていいのでございますが、三人の頭取について大体どのような対応をしておるのか、きちっとお答えください。
  27. 安斎隆

    ○安齋参考人 長銀がこういう特別公的管理に立ち至った経緯を考えますと、また、国民の負担もこれから明確になってきますし、それから取引先にも相当な影響を及ぼしますし、それから残った職員にも大きな心理的な負担を及ぼしました。こういう経緯を考えますと、前の経営陣が八月二十一日に、経営合理化策の一つとして、旧経営陣に対して退職金の自主的返還を要請する、こういう項目を掲げました。私も同じ気持ちで、前経営陣が出し示したこの方針をそのまま引き継いでおります。  しかも、私は就任してから、先生おっしゃった、その三人の元頭取の人たちにもお会いしました。それから、その他の役員も含めまして、私自身が要請状を送付いたしました。何分にも、先生もおっしゃいましたように、本当に法律的な問題はこれから内部調査委員会でやりますけれども、それとは別途に、社会的、道義的責任を感じて自主的に返還されるということには意義があると思っております。  それで、御質問の三名とのお話ですけれども、基本的には私の考えについて御理解いただきまして、それから、どういうタイミングというかどういう方法でということは、具体的に相談が始まっている段階でございます。
  28. 坂上富男

    坂上委員 いつごろの見通しですか。
  29. 安斎隆

    ○安齋参考人 今のところ、いつになると明確な日にちまでお示しできる段階に至っておりません。私としては、できるだけ早くということを心から期待しているところでございます。何分にも自主的返還でございますので、皆さんの出方を待っているところでございます。
  30. 坂上富男

    坂上委員 場合によっては損害賠償問題も起きてくるんだろうと私は思うんでございますが、それが起きる前に御返還をいただくことが一番国民が納得できるんじゃなかろうかと思っております。  しかも、頭取は、説によりますと、いただいた退職金、例えば九億円、このほとんどを自分の自宅のような不動産に使った、したがって現ナマはないと。そうだといたしますと、できるならば現物でもっておとりいただけないかというようなお話も聞いておるわけでございますが、こんなような交渉になっているんですか、もう一言。
  31. 安斎隆

    ○安齋参考人 お答えしますと、そういうことで、皆さんが現金で持っているわけではございません。株、長銀の株に投下した人は全部なくなっております。不動産は価値が目減りしている、そういう状況ですけれども、私どもは、皆さんがどういう判断を下すかを待っているところでございます。
  32. 坂上富男

    坂上委員 方向だけはきちっと決めていただきたいと思っております。この問題が提起されましてから半年以上たっているわけでございますから、いつまでもだらだらして、何か国会が静かになればもう終わりだと思われたんでは困ります。私たちも追及の手は緩めませんけれども、ひとつ頭取を先頭にして頑張っていただきますことも期待をいたしたいと思います。  時間がありませんので、ちょっと中村法務大臣に苦言だけ呈させていただきまして、私は、御答弁要りませんので、ちょっと申し上げさせていただきます。  一部の新聞によりますと、中村法務大臣は、御自身が石垣島のホテルの事業上のオーナーでありながら、大蔵政務次官当時、在職中の昨年末以降、石垣島で日本生命が進めておりましたリゾート開発行為の一部が無許可開発ということを聞かれまして、建設省の局長にどうなっているのかと問い合わせたり、石垣にオープン予定であった全日空系列の全日空ホテル&リゾートに関し、航空会社系列のホテルが宿泊客に航空券を優先的に売っているのは問題だという趣旨の文書を全国旅館環境衛生同業組合連合会の関係者に送り、さらに、本年二月、同連合会から要請を受けた自民党観光産業振興議員連盟の一人として、航空会社や鉄道会社に切符の優先販売をさせないというような内容の要望書を運輸省に提出するのに同行などされたと報道されております。  そして、日生の違反については、大臣が事実上のオーナーであるホテルの元警備員が沖縄県警に告発をし、この方に弁護士を紹介するなど、同事件の告発にも大臣自身が大蔵政務次官在職中に深くかかわっているということであります。  ところで、一連の新聞報道によりますと、中村大臣は、本年七月法務大臣に就任以降においても、法務省刑事局に対し、同告発事件の積極的捜査の指示と受け取られかねない発言をしたり、この点は大臣は否定をされておることは新聞でも報道されております。本年九月ごろ、記者会見の機会に記者に対して、開発現場に行ったら考えられないくらいの物すごい工事をやっておった、告発者はうちの警備員で私は弁護士を紹介したなどと公言したり、さらには、一連の発言に対する記者からの取材に対して、指示をやるなら検事総長を呼んで指示するなどと法務大臣の検事総長に対する指揮権に触れる発言をしたり、日生の開発は悪質で監督官庁の大蔵省も頭を悩めている、送検された以上必ず起訴される、悪いのは日生であり私ではないなどと、同告発事件の評価や処分に触れる発言をしたということであります。  法務行政の最高責任者の立場にあり、また検察を所管する大臣として具体的事件に関する検事総長への指揮権をも有する方が、このように、自己と利害関係のある具体的事件について、同事件の評価やその処分に触れる発言をしたり、これに関連して、いかにも自身が検事総長への指揮権を発動すると誤解されかねないような言動を行うということは、法務行政ないしは検察の捜査の公正さに対する国民信頼を揺るがしかねないものであります。まことに不見識きわまりないということを私は指摘いたします。  法務大臣に就任された以上、自身が告発にかかわった事件のことはとりあえず頭の中から忘れられて、あるいはあえて発言を自粛するのが法務大臣としての当然の務めであります。これをわきまえていただきませんと、大臣の一連の発言というのはまことに遺憾だと私は言わなければならぬのであります。  大臣は、少年法改正問題に関連をいたしましても、法制審議会を軽視するとも受け取れる発言もされておりますが、この議論もそれはそれなりの価値があるのでありますが、こういうような状況にありますと、この議論も極めて説得力を欠くということを言わざるを得ないような状態でございます。  私は、もちろん、大臣は運輸省には同行していない、あるいは刑事局長資料を渡していない、そういうことを言っていない、こういうことは新聞で発表になっておることを知っておるわけでございますが、しかしまた一面、新聞にこれだけ堂々と書かれておるということも大変な問題でございまして、言った言わぬということを水かけ論をするよりも、法務大臣でございまするので、火のないところに煙も立たずということもありますし、いろいろなこともありまするので、どうぞ慎重な御行動を要請をして、私は質問を終わります。  以上です。どうも済みません。
  33. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 法務省の中で何が話されたとかいうことは本来外部に申し上げることではありませんけれども、私に関することでありますから申し上げますが、私が検事総長を指揮したとか刑事局長を指揮したということはございません。  そして私が申し上げたのは、就任したときに、検察庁といえどもこれは行政の一部だ、行政の一部だから、連帯して国会に責任を持つアカウンタビリティーを持たなければいけない、そして、木村篤太郎司法大臣が検察庁法をつくったときも、検察庁は当然に大臣の指揮下にあるということを言っておられるのだ、そういうことで検察庁は、我々、国会から選ばれた小渕総理が指名された大臣の指揮下にあることを厳密に心に置いて仕事をせよと言ったのです。それだけであります。  それから、全日空ホテルがどうのこうのという方は全く私は言っておりません。しかも、その文書を出したのは自由民主党の観光産業議員連盟会長名で、官営のホテルとそれから運輸関係のホテルがいろいろなことで中小企業を圧迫しているということを出したわけで、その文書は三塚会長名であり、私はその文書を配ったときに同行もしておりません。  一連の報道は事実に反しますので、一言申し上げておきます。
  34. 中山正暉

    中山委員長 参考人はよろしいですか。参考人はお帰りいただいて結構ですね。
  35. 坂上富男

    坂上委員 はい、どうもありがとうございました。
  36. 中山正暉

    中山委員長 参考人、御苦労さまでした。  これにて坂上君の質疑は終了いたしました。  次に、生方幸夫君。
  37. 生方幸夫

    ○生方委員 民主党の生方幸夫でございます。  前回、予算委員会のときに質問の継続ということでお願いを申し上げました件からまず質問をさせていただきます。  前回、八月十九日の予算委員会の質問で、私は、財革法の凍結法案が出る前に、財革法を凍結するということを前提にして予算の概算要求づくりをするのはおかしいのではないかというような質問をさせていただきました。  これに対して、法制局長官は、財革法は政府が予算を編成するに当たって守るべき規範を規定している、ここで言う編成とは、一月に閣議決定される予算であって、概算要求の段階からを指すのではない、したがって、財革法に違反しているものではないという答弁をなさいました。また、宮澤大蔵大臣も、例えば赤字国債の発行等、後から決議することを前提として予算に組み込むことをするということもあるので、財革法凍結を前提にして予算を組んでも違反ではないという答弁をなさっております。  しかし、去年の財革特の委員会の中で、同僚議員である西川知雄議員質問をしたことに対して、法制局長官がこういうふうにお答えになっております。「この法律案は、政府が予算を編成するに当たって守るべき規範を規定しているものでございます。」これは今申し上げたとおりでございます。「したがいまして、この法律案が成立いたしますとどういう効果が生ずるかということになります。」ここからが重要なんですが、「予算編成に当たって政府のよるべき基準、方針が、平成十年度以降、三年ないし六年という中長期にわたって国会の意思として明示されることになる。」三年ないし六年です。「その結果として内閣は、その間、みずからの判断のみによって自由に、法定された方針等を変更して予算を編成し、提出することはできないという拘束を受けることは明らかでございます。」  このように、三年から六年間、中長期にわたって国会の意思としてこの財革法は明示される、その間、みずからの判断のみによって自由に、法定された方針等を変更して予算を編成し、提出することはできないというふうに申しておるわけです。したがいまして、財革法の凍結を前提とした概算予算案の編成ということは明らかに財革法に違反していると思うのですが、総理、いかがでございましょうか。
  38. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 補正予算との関係で財政構造改革法にかかわりますのは、特例公債発行額を年々縮減するとの規定、すなわち第四条でありますが、この点に関しましては、さきの通常国会における改正によりまして、直近の二四半期連続で実質GDPの成長率前期比年率が一%未満となっている等の経済活動の著しい停滞等に対応できるよう弾力条項が導入されたところでございまして、現下の我が国経済が、実質GDP成長率が二四半期連続でマイナスとなるなど、弾力条項に該当する極めて厳しい状況にありまして、第三次補正予算の編成上、財政構造改革法上の問題は生じない、このように認識をいたしております。
  39. 生方幸夫

    ○生方委員 五月に修正された部分は、厚生予算等ごく一部の問題でございまして、キャップが全部外れているわけではございませんよね。したがいまして、概算予算編成の場合は、全部財革法を取り払って行っているのであって、一部残っているというわけじゃないんじゃないですか。財革法凍結を前提にしているんじゃないですか。
  40. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 政府が国会に御提案いたしました予算案の内容が財革法の定める規定に違反しているという状況でございますれば、政府は当然国会に、その財革法の凍結、廃止または改正をお願いすべきものであります。
  41. 生方幸夫

    ○生方委員 ということは、今回の概算予算要求というのは、財革法をこの間一部変更しましたね、それにのっとって編成をされているということですか。それを超えるものではないということですか。
  42. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 政府は今回、国会に財革法の凍結をお願いいたしておりますので、したがいまして、政府の編成いたします予算はそれと軌を一にするものである、こういうふうに理解しております。
  43. 生方幸夫

    ○生方委員 今大臣のおっしゃったのは、財革法に違反はしていない、凍結を前提としているものではないという御答弁だったと思うのですが、そうではないんですか。もう一度ちょっと確認をしたいのですが。
  44. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 財革法にはいろいろな部分がございまして、ある年度におけるGDPの範囲内に国の債務をとどめなければならないとか、あるいは、特例公債は前年より少なくなければならないとかいう部分、あるいはまた、各省の長期計画としてキャップをかけております部分、いろいろございます。総合いたしまして、政府の予算というものは財革法の定めるところに違反することはできないわけでございますから、したがいまして、もしそういう予算を編成するのであれば、財革法の修正または廃棄を同時に国会にお願いしなければ、一貫をした立場にならない、こういうことであります。
  45. 生方幸夫

    ○生方委員 そういたしますと、今編成をしている概算予算要求というのは、ことしの一部修正した財革法にのっとった予算編成ということになるというふうに理解してよろしいのですか。
  46. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そう申しておるのではありません。  今政府が御提案をいたしております予算案は、政府が財革法の凍結をお願いしているその態度と軌を一にしているものである。
  47. 生方幸夫

    ○生方委員 やはり財革法の凍結を前提とした予算編成を行っているということでよろしいわけですね。  そうなりますと、ここにございます「三年ないし六年という中長期にわたって国会の意思として明示されることになる。その結果として内閣は、その間、みずからの判断のみによって自由に、法定された方針等を変更して予算を編成し、提出することはできないという拘束を受けることは明らかでございます。」という、この文章に違反するのではないですか。
  48. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そういう答弁でよろしいと思います。したがって、その部分につきましても財革法の凍結をお願いしているわけです。
  49. 生方幸夫

    ○生方委員 その部分につきましてもというのは、これは財革法の凍結を前提にしてはいけないと言っているのですよ。財革法を凍結して、凍結法案が成立してから概算予算編成をするのならばこれはいいですけれども、まだ現在は、財革法凍結法案は今審議中でございますから、審議中なのに凍結を前提にして予算案を組むことは、この法制局長官の答弁と矛盾するのではないですかというふうに言っているのです。
  50. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは矛盾していないと思います。  政府の予算編成の過程は政府の内部手続でございますが、予算案が国会に提出されたときには、それは財革法に違反する予算案をつくるわけにはいかないのでございますから、財革法そのものを、したがって、それに従って凍結なり修正するなり、そういうことを国会に同時にお願いをしておかなければ矛盾をする、これが答弁の趣旨であります。
  51. 生方幸夫

    ○生方委員 どうしても私は納得がいかないのですけれども。  内閣の自由な判断によって変更することはできないというふうにここで言っているわけですから、凍結を前提にして内閣が自由に概算予算編成をするということ自体が今この文言に違反しているのではないかと私は考えておるのです。どう読んでもそうとしか考えられない。「内閣は、その間、みずからの判断のみによって自由に、法定された方針等を変更して予算を編成し、提出することはできないという拘束を受ける」というふうに大森法制局長官はおっしゃっているわけですから、拘束を受けているわけですから、内閣が勝手にみずからの判断によって財革法凍結を前提にして概算予算要求をするということは、明らかにこの文言に違反しているのではないですか。
  52. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そうではないと申し上げているので、内閣がもしそういう予算編成をするときは、同時に財革法のその部分に該当する規定については修正ないし廃止をお願いしておかなければ、コンシステント、整合していないわけでございますから、そういうことを申し上げておるのです。
  53. 生方幸夫

    ○生方委員 どうも私は納得がいかないのですが、委員長、この文言で納得がいくのでございましょうか。私はどうしても納得がいかないのです。  普通の日本語として読んで、「拘束を受ける」というふうに言っているのでございますから、もうちょっと前の段階で、前の臨時国会の段階で凍結法案を出しているならまだしも、今度の段階ですからね。概算予算要求というのは八月三十一日に始まっているわけですから、その前に提出してなければいけないのではないですか。法制局長官、いかがですか。では総理、いかがですか。
  54. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 確かに、生方委員と前の国会におきまして、本問題についての御論議がされておられたことの経過は承知いたしております。そのときの法制局の答弁にも言及されておりますので、法制局長官からの答弁をお許しいただきたいと思います。
  55. 大森政輔

    大森(政)政府委員 ただいま委員から、平成九年十月の二十一日における私の答弁と、前国会における答弁との関係についてのお尋ねがございました。  確かに、平成九年十月の二十一日、西川知雄委員に対しまして、冒頭省略して、「その間、みずからの判断のみによって自由に、法定された方針等を変更して予算を編成し、提出することはできないという拘束を受けることは明らかでございます。」という答弁をしたことはそのとおりでございます。  この「編成し、提出することはできない」という言葉の読み方でございます。そのことに関しましては、前国会におきまして、予算の作成に当たっては、政府は財革法の規定に規律されるが、予算の編成作業全般が拘束されるものではなく、内閣が国会に提出する予算の内容そのものについて拘束されるのでありますと。そして、概算要求基準の閣議決定、概算要求、大蔵省の査定、概算閣議を経て予算の作成、提出閣議と、予算の編成、提出に至る作業というのは今申し上げましたような過程をたどるわけでございますが、概算閣議までの内部手続については、財革法の凍結を前提として作業を進めても何ら財革法の規定に違反するという評価を受けるものではないということを前国会においてはっきりと申し上げたところでございまして、この平成九年十月の二十一日におきます、「予算を編成し、提出することはできないという拘束」といいますのは、ただいま再確認いたしましたような趣旨であるというふうに御理解いただきたいと思います。何ら矛盾していないはずでございます。
  56. 生方幸夫

    ○生方委員 「平成十年度以降、三年ないし六年という中長期にわたって」というふうになっていますから、今、法制局長官が言ったことは、私は明らかにおかしいと思います。  「中長期にわたって」と言っているんですから、財革法が成立した時点からもう既にこの効力を発しているわけですから、内閣はそれに縛られているわけですから、凍結をまずしてからでない限り、予算編成を、財革法凍結を前提にして提出することはできないというふうに私は考えますが、ここで押し問答してもしようがないんでこの論議はここでやめますが、少なくとも政府としてきちんと財革法の凍結法案を出してから概算予算編成というものをするべきであったということを私は申し上げておきます。  次の問題に移ります。財政再建というのは依然として、財革法が凍結されたとはいえ重要な問題であることにもちろん変わりはございません。ことしも、今回のを含めて三回にわたる補正予算案によって、今年度の国債の新規発行額は三十四兆円にもう既に達しております。歳入に占める国債依存度は三八・六%にもなっております。三八・六%という数字は、聞くところによりますと、戦後最高ということでございます。  幾ら景気が非常に厳しい状況にあるとはいえ、このような大盤振る舞いをこれから先ももちろん続けていくわけにはいかないわけでございます。さっきの財革法のときの質問で私は大蔵大臣に対して何度も質問をいたしまして、大蔵大臣は、財革法を凍結するとはいえ、財革法の精神というものは残すんだということをたびたび言明しておられました。  そこで、総理大臣にお伺いしたいんですが、やはり財革法そのものの精神、それから財政をきちんと立て直さなければいけないということは事実でございますから、財革法を凍結するに当たって、どのようにすれば財革法を解除できるのかという条件を少なくとも総理の口から聞いておかないと、歯どめがなくなってしまって、またもとのもくあみに戻ってしまうのではないか。少なくとも、どういう条件がクリアされれば凍結は解除するんだ、あるいは何年後をめどに凍結は解除するんだという数値を総理からお聞かせいただきたいんですが、いかがでございましょうか。
  57. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 財政構造改革法につきましては、財政構造改革を推進するという基本的な考え方はこれを守りつつ、まずは景気回復に全力を尽くすためにその施行を停止することといたしたところであることは御理解いただけると思います。  こうした停止の趣旨を踏まえれば、我が国経済が回復軌道に入った段階におきまして、経済状況や国及び地方公共団体の財政状況等を総合的に勘案し、財政構造改革法を再施行することにより財政構造改革を推進することが適当であると判断される場合において、財政構造改革法の停止を解除することとなるわけであります。  なお、停止解除後の財政構造改革法の具体的なあり方につきましては、停止解除までに経済、財政状況の変化、種々の制度改革の実施状況等を踏まえて議論を行うことが必要でございまして、委員指摘のように、何年で、どういう状況かと言われますと、今申し上げたような基本的考え方で対処いたしまして、何はともあれ景気の回復のために我々としては最善を尽くしてまいり、そしてこの財政構造改革法が再び施行できるような状況を一日も早くつくり上げるというところが一番重要な点ではないかと認識しております。
  58. 生方幸夫

    ○生方委員 財革法の精神というのは、この間も申し上げたんですが、キャップをかけたりして具体的に数値を明らかにしながら、それに対して目標を達成していこうということでございますから、凍結をしたとしてもやはり目標は、例えば経済成長が一%を二年間続けたらとか、二%を二年間続けたらとかいう条件を示して、そこに向かって努力をするということがやはり財革法の精神だと思うんですね。  今の総理の発言では、あくまでも状況によってということになると、何にもそのめどが示されないまま凍結が続けられるということになるのであって、やはり総理の口から、これこれこういう目標を達成した暁にはきちんと財政改革に取り組むんだということを内外にわたって私は示す必要があると思うんですけれども、その辺のめどということについても総理は頭の中にお考えになっている数値というものはございませんのですか。
  59. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今ほども御答弁申し上げましたように、何年何月までというような時限を切ることは甚だ難しいのでは……。
  60. 生方幸夫

    ○生方委員 時限というより、めどですね。例えば、成長率がどうであればどうのというようなことで。
  61. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 財革法が再び施行できるような条件につきましては、今後十分検討して、その数値につきましても、できるものであるかどうかを含めて検討してまいりたいと思います。
  62. 生方幸夫

    ○生方委員 凍結法案でございますから、当然凍結をした部分と凍結をしないでなくす部分というのが出てくると思うのですけれども、凍結を解除したときにこれとこれとこれだけは残すという部分は、総理がお考えになるには、どこの部分でございますか。
  63. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 例えばキャップをかけますときに平成何年から何年までなんというかけ方をしているものがございますけれども、これなんかはもう解凍したときには済んでおりますから、これなどはもう全く意味がなくなるわけでございますね。  それから他方で、想像しますと、あるときにはやはり国の債務というものはGDPの一定の範囲内におさまらなきゃならぬ、それが大事なことであるといったような物の考え方、それは多分どういうときにも有効で生きるのではないか。一つ一つについて具体的には申し上げられませんけれども、分類いたしますときっとそんなことになるかと思います。
  64. 生方幸夫

    ○生方委員 私は、何年か後に例えば財革法を再度、凍結を解除してつくるとしても、やはり最初からまたやり直さなきゃいけないのと同じことになると思うのですね。したがって、これは凍結というより、やはり私は廃止をした方がいいというふうに考えております。前の財革法の論議のときも、我々は、これは財政構造改革法というふうに構造改革というふうになっておりますが、構造改革の部分が抜け落ちていて単なる歳出カット法案にすぎないという批判をさせていただきました。  したがって、ここでまた凍結ということになるのであれば、しっかりと廃止をして、何年か後に、法律が残っていようが残っていまいが精神はみんな継承していると思いますので、凍結じゃなくて廃止をして、再度、その時点で財政構造改革、そうしたものをしっかりとつくっていく方がより国民にとってはわかりやすいと思うのですが、総理、いかがでございましょうか。
  65. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 生方委員のかねて来の御主張も、段々の国会におきまして拝聴いたしておりましたが、現下、いろいろの苦心を重ねて財革法そのものは成立をしておるわけでございまして、これを廃止ということに相なりますと、やはりこれもまた財政改革に対する取り組みに対しての姿勢も問われかねないということでございますので、そういう意味で、政府といたしましては、現行法凍結ということによって予算の編成、執行をいたしていきたい、このように考えております。
  66. 生方幸夫

    ○生方委員 今回の緊急経済対策でございますが、本日、私、出かける前にNHKのニュースを見ておりまして、国民の世論調査が出ておりました。今度の緊急経済対策について期待できるというふうに答えた国民の方は一三%にすぎません。期待できないという方が七二%。実に国民の十人のうち七割の方が今回の緊急経済対策は期待できないとしている。その理由として、一番目に挙げられているのが、これまでの焼き直しにすぎないという方が四一%、そして個人消費をふやす対策が盛り込まれていないというお答えが三一%。すなわち、国民の皆様方は、今回の緊急経済対策によっても景気はよくならないだろうというふうにお考えになっているようでございます。  その背景として、私は、閣内で景気に対する見通しの見方が違っているのがあるんじゃないかというふうに思います。堺屋長官は景気回復の胎動が見られるというふうにおっしゃっておりますし、小渕総理は兆しの兆しが見えてきたのではないかというふうにおっしゃっている。これに対して宮澤大蔵大臣は、別段変わっていないんじゃないかというお答えをなさっている。明らかにこれは温度差があるわけですね。  経済界でも、景気が回復しているという見方もございますし、いやいやとんでもないという話もございまして、そのような形で閣内がきっちりと景気に対する認識がないから、その認識がばらばらのもとで緊急経済対策を立てるから、国民も結局、この景気対策じゃ景気はよくならないんじゃないかというふうに考えてしまうのではないか。  したがって、小渕総理、少なくとも閣内では、景気に対して今現在どういう認識を持っているということは統一をしていただきたいのですが、いかがでございましょうか。
  67. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 我が国の経済の現状を見ますと、個人消費はなお厳しい状況にございますし、設備投資は大幅に減っております。住宅も、分譲マンションを中心に減少が著しいものがあります。したがって、まだまだ厳しい状況にあるということは認識しております。  しかしながら、子細に見ますと、冬のボーナスの前年比の減少の見通し、あるいは中小企業を加えた設備投資の状況など、厳しい問題、一層厳しくなっている面もございますが、他方では、公共投資の過去最高の前倒しペースによって非常に大きな効果があらわれつつある、在庫調整も進んでいる、あるいはパソコン等の家電の販売が好調になっている等、景気の幾分か改善するような動きもございます。そういったことをとらえて、私は、景気の変化の胎動が見られる、こう申し上げたことでございます。  このことは、けさ開かれました月例経済報告等に関する関係閣僚会議におきまして、私の方から、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にあるが、一層の悪化を示す動きと幾分かの改善を示す動きとが入りまじり、変化の胎動が感じられると報告をいたしまして、総理初め全閣僚の御了解をいただきました。  その辺が、今申しましたあたりが内閣の統一見解になっていると御了解いただければ幸いかと思います。
  68. 生方幸夫

    ○生方委員 宮澤大蔵大臣も、今の堺屋経済企画庁長官の見通しでよろしいのでございますか。
  69. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 よろしいと思います。  ただ、私の申し上げたいのは、総理大臣以下閣僚がみんな景気はよくなると言ったら国民にすぐに信頼されるか、私、そんな簡単なものじゃないと思いますね。国民はもっとよく知っておられるわけですから。ですから、やはり私どもとしては、一人一人が自分の思っていることを自分なりに考えて言うということが多分大事なんで、私、堺屋さんのおっしゃっていることは、大体そうだと思うんです。  ただ、もっと言えば、いろいろ経済の現象がございますが、そう思って見ればそうかなと。しかし、そう思って見ないとちょっとどうかなといったようなところはいろいろございますので、それは閣僚が口を一つにするよりは一つ一つのことをやはりちゃんと直していく方が、国民はよく見ておられるんじゃないかと思います。  決して私は異を立てるつもりで言っているのではございませんし、多分に心理的なものでございますから、確かにちょっとよくなっているところがあるなと私も思っていないわけじゃないんですけれども、まあ、もうちょっとそこは慎重に見ていた方がいいかなと思っているんです。
  70. 生方幸夫

    ○生方委員 国民の皆さん方がよく知っているというのはよくわかりますけれども、でも、やはり大蔵大臣がおっしゃっていることと経済企画庁長官がおっしゃっていることが余り違うと、混乱するのは事実でございますので、その辺は総理がまとめていただければというふうに思います。  最後に、一問だけ質問させていただきます。  今、長銀の新しい頭取も参りましたが、長銀の問題は、結局、金融再生法の三十六条によって破綻処理というふうに決まったわけでございます。  既に、私たちはたびたび長銀は財政破綻しているのではないかというふうにここで質問させていただき、そのたびに大蔵大臣以下破綻はしていないと。債務超過に陥っているんじゃないかというふうにたびたび私たち質問して、そのたびに債務超過には陥っていないと御答弁をしていたのが、結局は債務超過に陥っていたわけで、どうして、何を根拠に、その当時、債務超過に陥っていないという答弁をなさったのか、お聞かせください。
  71. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 正確には私の所管に属さないことですけれども、あのとき何でああいう答弁をしたかということでございますので……(生方委員「何を根拠に」と呼ぶ)はい。それは、監督庁長官が検査を継続しておられまして、少なくとも三月現在において債務超過と考える理由はない、こういう趣旨の答弁をしておられましたので、私はそれに倣ったわけでございます。  結果といたしまして、これは私が申し上げないで長官が言われた方がいいのかもしれませんが、後になって、三十六条か三十七条かという問題のときに、株式の評価等を考えるとその時点においては債務超過になる、その時点と申しますのは、六月までごらんになったようでございますから、そういう御判断のようでございまして、そのことを私は何も申し上げませんけれども、私が答弁を申し上げておりました時点におきましては、監督庁長官の御判断をベースにお答えをしておったのであります。
  72. 生方幸夫

    ○生方委員 実際問題、債務超過に陥っていないということを前提に、優先株千三百億円、それから永久劣後ローン四百六十六億円、計千七百六十六億円もの国税が投じられて、結果として破綻したわけですから、これらはほとんどゼロになってしまったわけですね。  総理大臣、その国民税金千七百六十六億円、どこがどういう情報が間違えていたのかは別として、結果として国民税金をいわばどぶに捨ててしまった責任は一体だれがとるのでしょうか。
  73. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 当時もそういう仮定のお話がございまして、三月時点におきまして、いわゆる佐々波委員会がいろいろなことを総合的に判断をされて、債務超過ではないと長銀についてなされた判断はやはり正しかったとこの方々は言っていらっしゃいますし、私は今でもそう思っております。  と申しますのは、その後長銀について生じた事態は、その後におけるいろいろな風説あるいは雑誌における記事等々から日増しに状況が悪くなってああいうことになったわけであって、三月時点において長銀がそういう状況であったというふうには、私はその後に起こったことから判断しても考えておりません。起こったことはまことに残念なことであったが、三月時点における長銀が債務超過であったという判断ではなかったと佐々波委員会が御判断になったことは正しかったと私は今でも思っています。  そこで、そういう状況のもとに公的資金の導入がなされた。それは、そのとき御説明がありましたように、やはり我が国の金融秩序というものが非常にピンチになっておって、ジャパン・レートが一に近くなった。〇・七なんという状況でございますから、それを直すために公的な資金の導入を各行にされて、ジャパン・レートは〇・二とか三ぐらいまで実際下がったわけです。  そういうことがございますから、あのときの判断そのものは正しかった。結果として、しかし、長銀についてああいう問題が起こりました。したがって、優先株は恐らく今預金保険機構が持っておられるのだと思いますし、劣後ローンもこれからの長銀の行き方によって決まってくると思いますが、あのときの公金投入ということそのものは判断として誤っていなかったし、それだけの所期の効果を日本経済全体についてはやはり上げておったと私は考えております。
  74. 生方幸夫

    ○生方委員 実際問題として、千七百六十六億円のうち何ぼかは返ってくるかもしれないのですが、多大の損害を与えたことは事実でございますので、その政治責任はいずれ明らかにだれかがとらなければいけないということを申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  75. 中山正暉

    中山委員長 これにて生方君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  76. 上原康助

    ○上原委員 久しぶりに質問させていただきますが、時間が非常に限られておりますので、本来ですと、自民党と自由党の政策合意、いわゆる連立政権問題について少しお尋ねしたいのですが、これをやって総理官房長官が不機嫌になって、沖縄問題について余りいい御返事をしないと困りますから、まず沖縄問題から入らせていただきます。  本会議や本委員会における総理関係大臣とのやりとりを聞いて、稲嶺新知事が誕生したということで、相当ほっとしておられるように思います。それは、政治の世界ですから、いろいろの受けとめ方があると思うのですが、そう簡単ではないと思うのですね、これからの振興策あるいは基地問題について。  そこで、本当に、沖縄の米軍基地の整理縮小あるいは振興策、県民の要望や期待にこたえてこれから具体的にどう小渕内閣としてやっていかれようとするのか、簡潔にまず総理からお答え願いたいと存じます。
  77. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 このたび沖縄県におきまして、県民の御判断によりまして新知事が誕生されました。私ども、選挙戦の候補者の政策その他をお聞きいたしておりますと、特に政府との連携を密にしながら、今後、極めて困難な沖縄の状況について、これを克服するために努力していきたいという強い御意思を持っておられるというふうに認識をいたしております。  今後とも、沖縄協議会を再開するなど、沖縄県の御要望につきましても、十分これを受けとめながら対処いたしていきたいと思いますし、また、沖縄県にとって最大の基地問題という問題につきましても、具体的な知事さんのお考え等も承りながら真剣に対応していくつもりでございます。よって、沖縄県が大変厳しい雇用状況の中にありまして、なかなか経済が停滞をしておりますが、これを回復できるように、政府といたしましては最善の協力をいたしていきたい、このように考えております。
  78. 上原康助

    ○上原委員 確かに、明後日ですか、稲嶺さんが御就任なさるのは。新しい知事がどういう提案をなさるか、また、政府と十一日にも予定されているという沖縄政策協議会での話し合いなども見なければ方向性はあるいは出てこないかもしれません。  ただ、私は、総理初め各閣僚の皆さんあるいは政府全体に申し上げておきたいことは、普天間の全面返還を日米間で合意したのは平成八年の四月十二日ですよね。既に二年有半経過をいたしております。SACOの最終報告が出たのは平成八年の十二月二日。これも二年経過いたしております、満二年。この間ほとんど基地問題は動かない。北部訓練場内にある安波訓練場の一部がようやく今動き出している程度のことです。普天間飛行場返還問題、その他の那覇軍港、重要案件、すべて動かない状況にあります。  したがって、皆さんが、橋本前内閣が予定をした、平成十九年でしたか、それまでのSACOの合意というのは、もう実現は全く不可能の状況に来ている。これは時間的にどうしてもできないでしょう、タイムスパンを考えても。このことについてはどうなさいますか。  これは、私は、前政権からいろいろ御苦労なさったことは評価をし敬意を表します、率直に申し上げて。だが、二年有半も普天間問題を初め基地問題を具体的に動かせなかったという極めて重大な責任は私は内閣にあると思いますよ。これは、沖縄側がどうのこうのじゃない、日米間の外交案件なんです、最重要課題なんですよ。  この点についてはどういう御認識、どういう御自覚を持っていらっしゃるか、改めて聞かせていただきたい。
  79. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 普天間基地の返還ということは、橋本前総理とクリントン大統領との決断によりましてそのような方向性が打ち出されましたが、今上原委員指摘のように、今日に至ります間、この問題の決着を見ておらないことはまことに残念でございます。  加えまして、SACOの最終報告の点につきましても御指摘がございました。  政府としては、お約束をいたしました諸点につきましては、全力でこれが解決のために努力をいたしてきたとは認識をいたしておりますが、こうした問題につきましては何よりも地元の皆さんの理解と協力なくしてはなかなか実行し得ないこと、これまた事実でございます。  そういった点で、まことに残念なことでありましたが、やや政府とそして地元行政責任者でありました大田知事さんとの間の対話が十分に行われなかったという点が存在いたしたことも事実でありまして、こうしたことによりましてその計画が、若干というよりむしろなかなか遅々として進まなかったことにもよることでございます。  また、私といたしましては、政府もかわりました、また同時に新知事も誕生したということでございますので、政府としては引き続き前政権以来の基本的方針を堅持して、そして再び、SACOのお約束をいたした点につきまして、今後その実現のためにできる限りスピードアップすることのできるように、新知事さんにも御協力をお願いしながらお約束を達成いたしていきたい、強い決意を持って臨んでまいりたいと思います。
  80. 上原康助

    ○上原委員 総理、お言葉を返すようだが、基本的方針を堅持してはできなかったわけなんですよ。できるんですか、本当に。稲嶺さんも海上基地はノーなんですよ。  では、具体的にお尋ねしますが、稲嶺さんが掲げておられる、北部に軍民共用の空港というのは可能性があるんですか。そのことについて米側はどういう反応を示しているのか。それと、もう一つの重要案件となっております那覇軍港の移設については、米側との話はどうなっているのか。この二点、具体的にお示しください。
  81. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 普天間基地の問題につきましては、政府としては、御案内のように海上ヘリポート案が最善のものとして提示をいたしておりますが、他方、今申し上げましたように、地元の頭越しにはこれを進めないことも申し上げておるわけでございます。稲嶺新知事におかれましては、この問題についていろいろ、選挙戦あるいは選挙中にもお話をされているやに聞いておりますが、まだ直接お考えを承っておりません。したがいまして、今申し上げましたように、知事として就任をされ、そして改めて新知事のお考えも承りながら、これからどう対処するかということにつきましては検討いたしてまいりたいと思っております。  それから、那覇軍港の問題につきましては、これは地元から従来から強く要望されておりまして、普天間飛行場とともに重要な案件の一つであるということは認識をいたして、政府といたしましても、その実現に最大限の努力をいたしてまいりたいと考えておりますが、移設先でございます浦添市等の御理解が残念ながら実はいまだ得られておりません。さきの知事選で当選された稲嶺氏は、移設を前向きに検討するとのお考えと承知をいたしておりまして、政府としては、今後、沖縄県など関係各位とも緊密に協議し、その早期実現に向けて努力してまいりたいと考えております。
  82. 上原康助

    ○上原委員 すべて新知事との話し合いによってというふうに恐らくお答えは来るであろうと予測はしていましたが、余りにも御認識がまだ甘いんじゃないかなという気がしてなりません。  そこで官房長官、沖縄担当大臣として関連してお尋ねしますが、私は、官房長官の、稲嶺さんが御当選なさって後の地元紙とのインタビューとかあるいは本土マスコミとの対応についていろいろ読ませていただきました。  大変心を打たれるというか、野中さんらしいと思ったのは、基地の重圧に耐えかねている沖縄県民の気持ちは、稲嶺さん、大田さんを支持した人々のいずれも同じだと思っている、普天間の代替へリポートについても両候補とも反対している中で稲嶺氏が当選したのは、それ以上に深刻な沖縄経済不況、高い失業率等があったからだと思うと。沖縄県民の米軍基地問題に対する心境というのは一定の理解をしておられるやにこれから受けとめられます。  だが、私が今指摘をしたように、普天間にしても、那覇軍港などは二十四、五年になる、日米間の合意を見てから。これは宮澤元総理もよくおわかりだと思う、外務大臣もしておられる。だが遅々として進まない。基本的方針を堅持する形では私は進展しないと思うんですよね。やはりトップで合意をした外交案件であるにしても、SACOが動かないというならば、ここで思い切って日米間の首脳会談をもう一度やるぐらいのSACOの見直しということを含めてやらないと、沖縄の基地問題というのは私は進展しないと見ている、振興策を含めて。この点を含めて、どういうお考えをお持ちか、お聞かせを願いたいと思う。
  83. 野中広務

    ○野中国務大臣 お答えいたします。  沖縄担当を命ぜられまして、これから新しい知事さんの就任を待って、総理からお話がありましたように、SACOの合意の問題あるいはこれに基づくもろもろの基地問題等も含め、沖縄の振興策を優先しながら取り組んでまいる熱意を私どももさらに強くしておるわけでございます。  ただ、今委員指摘の米側とのトップ会談というのは、私が外交の責任者でありませんので、私が云々申し上げるべき立場にないわけでございます。それぞれ、基地の重圧に耐えかねておられる沖縄県民の気持ちを大切にしながら、県道一〇四を初めとして可能な限り、沖縄の皆さんからごらんになると十分でないと思いますけれども、今日まで橋本前内閣以来努力を続けてこられたわけでございます。  今後も私どもは、総理が申し上げられましたように、沖縄の皆さんの痛みを大切にしながら、まず沖縄の経済復興、さらには失業率の改善、そして、そういう中から基地の整理縮小に一層の努力を傾けてまいりたいと存ずる次第であります。
  84. 上原康助

    ○上原委員 余り内容がはっきりしないで残念ですが、やむを得ません。  そこで、確認しておきたいことは、では、先ほど総理は、普天間の移設問題、基地問題については稲嶺新知事とよく話し合ってやる、地元の頭越しにはやらない、こういう御答弁でした。このことは確認できますね。稲嶺県政のもとでも、普天間飛行場移転の問題にしても那覇軍港移転の問題にしても県や地元の頭越しにはやらないというこの姿勢は、橋本内閣以来小渕内閣としても堅持をする、こういうふうに理解してよろしいかどうか。これはどなたがお答えしますか。
  85. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 そのとおりでございまして、頭越しでやらないということを言うこと自体いかがかと思いまして、我々は、常々県民の皆さんの御意思、そして理解と協力なくしてはこうした問題の解決はあり得ないという基本的姿勢を持って沖縄県の問題については対処いたしてまいったつもりでありますし、今後ともそのような決意でいたしてまいります。
  86. 上原康助

    ○上原委員 それは、よく協議をするということとはいろいろ違いますので、ぜひ沖縄県の、本当の県民全体の意向というものを聞いてやっていただきたい。  これは前にも私が使ったパネルなんですが、ぜひこれはごらんになっていただきたいと思うのですね。  沖縄基地の整理縮小というのは、復帰時点は米軍専用基地は五九%なんですね。そのときは本土の基地は四一%あった。本土はどんどん縮小されて現在二五%、沖縄が七五%。皆さんが言うSACOの最終報告、これは二〇〇七年だが、恐らく二〇一〇年になっても今のことはできないでしょう。それでもまだ米軍専用基地の七〇%が沖縄に残るのですよ、皆さん。  この実態をやはり内閣も政府も、国会議員全体が知ってもらわぬと、沖縄の痛みはわからないのだよ、本当は。このことをあえて申し上げておきたいと思います。  そこで、次に振興策。今いろいろマスコミ等で報道されておりますが、具体的にどうなさるのですか。沖縄調整費として百億円以上計上なさるのか、自動車道通行料金の半減策というような措置をとられるのか、あるいは具体的に経済新法、あるいは橋本総理が提起した二十一世紀振興プランは策定なさるのか、こういうことについて政府は具体的にどうお考えなのか、お答えをいただきたいと存じます。
  87. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 政府といたしましては、沖縄県が直面いたしております深刻な経済、失業の状況のもとで、政府と連携した経済対策の重要性を訴えてこられました稲嶺氏が当選されたことを重く受けとめまして、こうした状況を直視した上で、効果的な沖縄振興策を速やかに実施する必要があると考えております。  こうした中で、所要の予算の確保の方策につきましても現在検討を行っておるところでございます。
  88. 上原康助

    ○上原委員 開発庁長官、今私が具体的に指摘をした特別予算の問題とか自動車道、これは官房長官かな、どなたかな、どうなっている、具体的に。マスコミにはどんどん報道して、こういう公式の場ではお答えできないのですか。
  89. 井上吉夫

    ○井上国務大臣 お答え申し上げます。  沖縄の振興開発を主たる任務といたしております開発庁長官であります。  百億の話等を私も報道を見て知りました。しかし、これはまだ具体的に議論もしていませんし、使い方かれこれというよりも実はテレビを見て知った程度であります。  十一日には政策協議会が開かれて、新しく十日に知事に就任される稲嶺さんも出てこられて、一緒になって政策協議会を開く。これを第一の皮切りといたしまして、沖縄のために何をやればいいのかということをしっかり議論をしながら、失業率も高い、経済対策が何よりも大事だという、そのことにこたえるように努力をしたいと思っています。
  90. 上原康助

    ○上原委員 恐らく稲嶺新知事の華々しい出番をそういう内容をプレゼントして打ち上げて、ここでは控えようということですからこれ以上は言いませんが、既に報道されていることなんで、そういうことがオジャンになるとかえって不信を買いますから、そこはきちっとやっていただきたいと思います。  そこで最後に、あと少ししか時間が残っておりませんが、自由党と自民党の政策合意の中で確かめておきたい点があります。  これは、タイトル、表題は、「いま直ちに実行する政策」となっているのです。直ちに実行するわけですから、総理がこれまでおっしゃったように、これから両党間で協議をして云々じゃないはずなんです。私はやりとりを聞いておって大変残念に思いました。  そこで、総理の安全保障に対する、これは憲法解釈といった方がむしろよかったかもしれませんが、私がちょっといろいろここでのやりとりなり新聞報道などを見てメモってみたのですが、要するに、今までは国連平和維持活動への参加と言っておった。しかし、この間の本会議からは、国連平和活動への参加というふうになっている。憲法の枠内での議論というのを、憲法の理念に基づき議論をする。確かに、集団的自衛権の行使というものは今でもこれはノーだ、できない。だが、集団的安全保障への参加、意図しているところは多国籍軍とかいろいろあると思うのですが、こういうようなことをお考えになっているのかどうか、これが一つ。これはこれからの議論に相当展開していきますので、これについてぜひお答えいただきたい、これが一つ。まだ一分ありますので、簡潔にお答えください。  それと、「国民の命を守るために(安全保障)」ということで、政策協議の二項にありますけれども、この中で、「前項の原則に基づいて法制度を整備する。」とある。どういう法制度を整備することをお考えなのか。今私が示したこの考え方は、特にこの集団的安全保障への参加というのは、これは非常に問題があるので、だから私はクエスチョンマークをしてあるのですが、こういうことについてどうお考えなのか。また、法的整備というのは、自由党との間でどういうことをやろうと約束したのか。  この二点については、ぜひこれからの議論のために御見解をお示しいただきたいと存じます。
  91. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 いずれにしても、結論的に申し上げれば、今後、自由党との間におきましてそうした協議に真摯に取り組んでまいりたいということでございまして、お許しいただければ、日本国憲法の理念と枠内、こういうことで言葉を使い分けておるではないかということでございますが、日本国憲法の理念と日本国憲法の枠内ということにつきましては、その観点が異なるものでございまして、あくまでも、日本国憲法の理念に基づいた議論の結果は当然憲法の枠内のものとなると認識をいたしております。
  92. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  93. 中山正暉

    中山委員長 これにて上原君の質疑は終了いたしました。  次に、原口一博君。
  94. 原口一博

    ○原口委員 民主党の原口一博でございます。  総理並びに関係大臣に幾つかの点についてお尋ねをしたいと思います。  まず、委員長のお許しをいただいて、資料をお配りさせていただきたいと思います。
  95. 中山正暉

    中山委員長 どうぞ。
  96. 原口一博

    ○原口委員 近年、無抵抗な者に対する加虐あるいは犯罪、継続的な加虐、こういったものについて大変多くの人たちが胸を痛めています。  今お手元にお配りしたのは、この十年間で命を失った子供たちの顔であります。少子・高齢化社会が進む中で、私もあと一カ月後ぐらいには第三子が生まれます、小渕総理にやっとそこだけは追いつくかなと思いますが、子育ての親からすると、本当に無抵抗な子供たちがこんなにも無残に命を失い、そしてある場合には親からも加虐を受けている。こういったものに対して、行政あるいは私たち立法府はきちっとした意思を示していく必要があるのではないか。  ナンバー二の資料を一枚めくっていただきたいと思います。この資料はフランスの刑法でございます。  フランスの刑法の中には、無抵抗な人間に対して継続的に行う加虐あるいは虐待、野蛮行為については、厳しく国の法律、国家意思として取り締まるんだということが高々と掲げてあります。第二百二十二—三条、十五歳未満の未成年者、あるいは年齢、疾病、身体障害、精神的な疾患、欠陥あるいは妊娠によって脆弱な状態にあることが明白である者、そういう人に対してはきっちりと守らなければいけないということがここにうたわれておるわけでございます。  総理にお伺いいたしますが、私たちは今社会の規範が大きく変化している時代に生きています。ぜひ、子供たちの命を守る、あるいは子供たちの人権を守るということから、強い決意を持って子供たちに対する犯罪あるいは加虐行為について防止をしていく、その決意総理からまずお伺いしたいというふうに思います。
  97. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 少子時代を迎えるということではありませんで、子供の人格といいますか、子供さんが立派に育っていくということは、国にとりましては最も大切なことだろうと思います。そういう中で、原口委員指摘のように、幼児、そうした者に対する虐待の問題が我が国におきましても惹起されてきておる。あるいは、従前からあったかもしれませんけれども、そうしたことが世の目に触れて問題視しなければならない時代になったということを考えると、まことに重要なことだと認識しております。  我々も、CNNとか外国の報道を聞いておりますと、時々この幼児虐待の話がかなり大きなテーマになりまして報道されておるのを見まして、今委員からフランスにおける法的整備のことが御紹介ありまして、私も今知ったところでございますが、外国におけるそうした問題が社会の大きな問題になり、かつ我が国におきましてもそのような事態が起こっておるということはまことに注目すべきことでありまして、政府といたしましては、こうしたことが起こることのないようにいろいろな角度から対処していかなきゃならぬ、このように認識をいたしております。
  98. 原口一博

    ○原口委員 嬰児やあるいは幼児、毎年百人近い子供たちの命が失われています。これは数は減っていない。また、子供の虐待の実態は、平成二年度一千百人であった。これは児童相談所に持ち込まれたケースでございますが、それがもう七年度には二千七百二十二になっている。これはますますふえている。今総理がお話しになったように、国を挙げて子供たちを守っていかなければならないというふうに思います。  さて、パネルをきょうは用意してきました。昨日、「不況の環を断つ」ということで、経済企画庁長官から大変立派な絵が示されました。私は、「不況の環を断つ」というよりもやはり「不況の元を断つ」、一体不況のもとは何だったのだ、そこがここで議論をされなければならないというふうに思います。  去年の財政構造改革法のときに、小渕総理は外務大臣でありました。私は、橋本前総理がおやめになって、それで責任をとられたから、それでおしまいだというのはとても橋本総理にお気の毒ではないか。去年の十月に、私は橋本総理に、海外の状況をごらんいただきたい、アジアで始まった、あれは四月の末にタイのバーツの下落が始まって、そして、六月三日の閣議決定のときはわからなかったかもわからないが、七月、八月については顕在化していました。ですから、今財政構造改革をやってしまうと大変なことになってしまう、九兆円の負担増に伴い、それにデフレ予算を組んでしまうと、日本経済にもう決定的なダメージを与えてしまうというお話をいたしました。そのとおりになってしまった。  私は、ここの「政策不況」、ここに本を持ってきていますが、何も自分の本を宣伝するつもりはありませんが、ここにいらっしゃる自由党の鈴木先生の御指導をいただきながら、私たちは、日本経済が実際にどれぐらいの力を持っているのか、その力をそがないようにするためには何が必要かということを議論したわけであります。  そのときの外務大臣が総理にきっちりとした情報を上げておられれば、橋本総理はまっしぐらにあのデフレ予算を遂行することはなかったのではないか。私は、総理のお口から、このことについてどう思っておられるのか。  また、あわせてお尋ねをしたいのは、本会議で藤井議員の方からこういう御質問がありました。「政府が平成九年度に国民に九兆円もの負担を求める政策をとったため、日本経済はマイナス成長となりました。景気の悪化に伴う金融機関の財務内容の悪化、それに伴う貸し渋りと資金回収の激化、これによる景気のさらなる悪化と、日本経済はとどまることのないマイナスのサイクルに陥っております。」自由党の藤井議員も、ここが、政策不況が今の景気の悪化のもとなんだということをおっしゃっています。自自連立を組むという報道がありますが、その中でこの認識を共有されるのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  99. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 橋本政権時代に、私も閣員として内閣の主要な地位を占めておりましたことにつき、内閣の行ってまいりましたことの責任は同じ気持ちで責任を感じております。  しかし、私自身も新しい内閣を組閣することに相なりましたので、こうしたもろもろの状況の変化の中で、日本経済が陥ってまいりましたこうした不況の状況を乗り越えるために何をなすべきかということでいま一度真剣に考えました結果、現下行っておりますような諸政策を講じてまいっておるわけでございまして、その過程におきまして本院でもいろいろと御議論のあったことも十分承知をいたしております。そうした御議論を踏まえながら、私といたしましては各種の政策を遂行いたしておる、また、ぜひこれを具現化し実現することによりまして、この現下の状況を脱却していかなきゃならない。今、強い決意でおるわけでございますので、ぜひこの点につきましては御理解いただきたいと思います。
  100. 原口一博

    ○原口委員 決意については私も理解をいたします。  しかし、後段御質問させていただきました、今の経済不況あるいは国民生活の圧迫や実体経済の悪化をもたらしているそのもとについて、それが何なのかということが政権の中で共有されなければ、また同じ過ちが起こってしまうのではないでしょうか。  先ほど私が読み上げました藤井議員質問と同じ認識総理はお持ちになるのでしょうか。そのことについてはお答えがなかったので、委員長、よろしくお願いいたします。
  101. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 現下、藤井議員といたしましてもどのようなお考えにありますか、この点につきましては、ともに政権を担当するということになってまいりますので、両党間におきまして、貴重な御意見として承りながら、これをいかに考えていくかということにつきましては、両党間で十分慎重に、かつその御意思も含めて勉強させていただきたい、このように思っております。
  102. 原口一博

    ○原口委員 両党間でお話をされるということでありますが、ここはもう最低のところだというふうに思います。  あの橋本内閣が退陣をされてそこで不況が終わったんだったら、橋本総理責任をとられて退陣をされて、そのすべては橋本総理がかぶるということでいいかもわからない。しかし、その後も、きょう朝発表された経企庁の月例報告、この中を見ると、ほとんどがマイナス。そして、今大変な苦しみの中にいる日本の国民の皆さんからすると、今の答弁ではなかなか納得がいかないのではないかというふうに思います。  この間、どれぐらい財政赤字がふえたのか。その次のページを、ナンバー四を大蔵省からいただいています。「国債残高及び国民一人当たり負担額の増大について」ということで資料をいただいたのですが、九年度の当初は、国民一人当たりにすると負担額は約二百二万円だった。それがこの十年度の第三次補正後は二百三十七万円になっている。実に国民一人当たり三十五万円の負担をこの間お願いをする。  これは、去年の財革法でも総理がお話しになっていましたとおり、だれかが払わなければいけないお金であります。政権がかわったからといって、責任をだれがとるのか、そこをあいまいにしてはならないというふうに思います。  私は、大蔵省に次の要求をいたしました。それは、去年の財革法のときに出してこられたのが、この絵でございます。「要調整額の推移」、中期の財政見通しでございました。ですから、この中期の財政見通しが今どうなったんですかということを大蔵省に伺いました。去年のときも出しました。そして、六月にも大蔵省から出ました。しかし、今度は出せません。どうして出せないのか、その理由をお尋ねしたいというふうに思います。総理、どうして、事務方でも結構です、それは。
  103. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、毎年度、当初予算の編成後におきまして、その当初予算を出発点としまして、以後数年間にわたる財政の中期的な見通しについて試算を行っているところでございます。本年五月におきまして第一次補正、それにあわせて、同時に財革法につきましても弾力条項のための修正をお願いしたところでございますが、その際に試算を改定して出したところでございます。  これはどうしてかと申し上げますと、五月ということで、年度の初めということでございましたので、平成十年度の当初予算を出発点として、第一次補正に伴う公債の増発、あるいは政策減税も行われたものですから、十一年度以降の影響分を修正してお出ししたところでございます。  現段階で出せないかというお話でございますが、現在、まさに十一年度予算編成を行っているところでございます。歳出それから税制につきましても大幅な税制改革が行われるということでございますので、十一年度予算の編成が終わった後に、それを出発点として財政の中期見通しを作成して、来年の通常国会に提出したいということで考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  104. 原口一博

    ○原口委員 やはり理解できないのですね。  何回もこの汚いグラフを使うのですけれども、これは去年の十一月に皆さんがお出しになった資料ですよ。  では、今どうなっているのか。今、財革法を凍結して、そしてこの歳入歳出ギャップがどれぐらいあって、そして自分たちは、この二十四兆円にも及ぶ景気対策がどんな効果を及ぼすのか、それを審議する。果たしてこのとおりになったのか、平成十年で七十七兆という出発点になっているのかどうか。  こうなっていないのですよ。今どうなっているかというと、歳入は約十兆減っている、そして歳出はもう八十八兆までいっている。ですから、その当時政府がお話しになったのは、大体二〇〇三年でも五兆円ぐらいの歳入歳出ギャップですねという話でした。しかし、ことしは、このグラフでいくと歳入はもうこの下に来ている、歳出はもうこの一番上に来ている。それぐらいのべらぼうな財政赤字を抱えている。  こういうことを続けていいのか。そして、来年がどういうふうになるのか、その見通しもなくて、どうやってここで議論ができるのですか。この二十四兆円が本当に妥当なのか、国の財政をしっかり健全化しながら内需主導の経済回復をするために妥当なのかどうか、そういう材料がないじゃないですか。なぜ出せないのですか。ぜひ出していただきたい。やれると思うのです。大蔵大臣、いかがですか。
  105. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 実は、その資料でございますが、長いこと予算委員会に提出を申し上げておりまして、本当に長いこと提出しておりますが、経済の変動が非常に激しいものでございますから、一種の仮置きの数字といいますか、計画の数字と実態とが大変に離れてきてしまっておって、御審議をいただくのにも余り便利な資料ではない、私なんかは実はそういう感じを持っておりますが、しかし、毎年御提出をしております。  今委員のようにおっしゃいますと、それは今でも御提出できないわけではないのでして、主計局長が申し上げておりますことは、今ここで来年度の予算編成をいたしますので、その数字を入れてお目にかけた方が現実の値に近いものをお目にかけられると申し上げておるわけなんです。  ですが、それはそれで、今の状況の数字は当然あるではないかとおっしゃれば、それはもうございます。その作業がどのぐらい今日的意味を持つものかは別といたしまして、原口委員のように基本から問題を取り上げようとされれば、それは今の資料がどうなっているのかということは、これはつくってつくれないことはない。  ただまあ、局長が申し上げておりますのは、どうせ来年度予算をすぐいたしますから、その後のアップデートな数字を差し上げた方が御便利なのではないか、有意義なのではないかというふうに申し上げておるわけでございます。
  106. 原口一博

    ○原口委員 大蔵大臣から、基礎的な資料は今でもできるということでございますから、なぜこれを言うかというと、来年度の予算の出発点が、果たして八十八兆から出発するのか、それともことしの七十七兆から出発するのか、それによって随分違います。また、税収の弾性値をどれぐらい置くのか。こういうことぐらい私たちが議論していないで、ただただ景気が悪いから財政を膨らませればいい、これでは議論にならないから申し上げておるわけでございまして、委員長におかれましては、今の大蔵大臣の御答弁を踏まえて、資料を速やかに提出していただきたい。  そしてそれは、今まさに第三次補正、これは大変大事な補正をやっている、しかも財革法は凍結をした方がいいと、私たち民主党も、私たちの党の案に沿って、しばらく凍結して、そして二年後にもう一回見直した方がいいということを言っておるわけでございまして、その材料を示してくださいというお願いでございます。  また、私は経企庁長官にもお尋ねをしたいのは、さっきの環の話でございますが、やはり総需要政策だけではもう限界があるのではないか。公共事業やさまざまな事業が経済を押し上げる、そして地域を発展させる、このことは私たちも大変大きな意味を持つというふうに思いますが、総需要政策だけをやっていて、そして日本の企業の開廃率というのはアメリカの大体四分の一ぐらいでございます。  ですから、今中小企業やさまざまな企業を見てみると、なかなか設備投資のスクラップ・アンド・ビルドができないでじっとこの不況の中に耐えている、そういう状況ではないか。総需要政策だけをやって、そして皆さんに需要を喚起してください、喚起してください、これも景気を下支えする意味では大変大事な政策でありますが、しかし、それだけではやはりだめなんではないか。実際に日本経済の供給側の足腰を強くすることが必要ではないかというふうに思いますが、経済企画庁長官の基本認識をお伺いしたいというふうに思います。
  107. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員指摘のこと、全く同感する部分もたくさんございます。この平成不況のもとが、やはり金融問題から発生してこのバブル崩壊以来の問題があった、そこにタイミングの悪い政策があったということは事実でございまして、この絵にかいてあるほど政策不況が大きかったかどうかはともかくといたしまして、そういう部分があったことは私も事実だと、そういう意味では、失政だと申し上げたこと、そのとおりでございます。  それで、回復策でございますが、総需要政策だけではございません。私たちが今回の第三次補正で出しておりますものの中にも、未来型の二十一世紀を先導する新しいプロジェクト、これは小渕総理の御指導のもとに四つのプロジェクトを立てております。また、新規産業の育成のために特に今度基金をつくりまして、その法律も出させていただいております。  御指摘のように、日本は新しい企業の起こるのが非常に少のうございます。むしろ、自営業が減少している。農業以外の自営業が減少しているほとんど唯一の先進国でございますので、その点にも留意をいたしまして、今回の予算、そして平成十一年度の予算でもそういったサプライサイドの政策にも力点を置く方針でございます。
  108. 原口一博

    ○原口委員 そこで、私は、やはり日本の国の力を過去余りにも低く言われ過ぎたのではないか。五百六十兆の借金が一方である、それに対して資産は幾らあるか、大蔵省から資料をいただきましたら八百七十兆の資産がある、こういう国はほかにはない。また、年金の改正の話をずっとやってきましたが、五年五カ月分も年金のお金を持っている国、こんな国はほかにないわけであります。私は、政府として、あるいは私たち国会議員もそうでありますが、日本の国民に対してしっかりと自信を持って、国力を正確に判断する、そういう材料を示していく、これが大事なんではないか。  特に、国、地方が持っている財産のうちに私が大変重要視しているのは、知的な財産の部分であります。大蔵省の財務局から、知的な財産が幾らありますかという質問をいたしましたら、幾らあるというふうに言われたか。その額を聞いてびっくりしました。七十六億ですというオーダーであります。これだけ国立大学を持ち、そしてたくさんの研究機関を持っている我が国が、どうしてそういうオーダーなのか。知的財産が学校で眠ってしまっている、研究機関で眠ってしまっている。これを活用すること、これが一つの大きな道だろう。  もう一つは、不安という中に、食に対する不安がございます。我が党の小平委員が農水委員会で質問をいたしましたが、実際に政府の言うことをしっかりと聞いて規模を拡大してきた農家の皆さんは、今自分たちの蓄えを削りながら生活をされている現状であります。UR対策、さまざまな対策が打たれてきましたが、しかし、それが本当に有効に機能をしているのか。あるいは、新農業基本法の話がありますが、その中で国はどれぐらいの食糧自給率を確保しようとしているのか。そして、関税化の問題についても、自分たちとは遠いところで決まってしまう。こういうことが農業、農村にも広がっています。  知的な財産とともに、自分たちの生活を支える、こういったことをしっかり総理が決断をされて、そして明確なメッセージを出される、これが大事ではないかというふうに思いますが、総理の御答弁を伺いたいというふうに思います。
  109. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まず第一点の知的財産、私も委員指摘のように日本の持てる力というものは相当のものがあると認識をいたしておりまして、例えば特許関係におきましても、未利用特許情報のデータベースを今政府として整備しておりますが、現在一万五千件に上る情報を広く一般に公開いたしております。  また、本年成立した大学等技術移転促進法によりまして、大学の研究成果を特許化し企業にライセンスをする機関の整備を支援しておりまして、去る十二月四日に最初の四機関の計画を承認したところでありますが、さらに科学技術振興事業団におきましても、これまで約千件に上る国等の研究成果について、その開発を企業等に委託するなど実施を促進いたしておるところでございます。  かねて私も非常に関心を持っておりまして、虎ノ門の特許庁にもこの前行きまして、日本の知的財産の問題につきましてもいろいろと勉強させていただきましたが、これを効率的、効果的に国のため、ひいては世界のために大いに有効活用していかなければならない。私は、必ず、こうした知的財産というものは日本における大きな財産の有力なものであるという認識に立って、これが蓄積のために、さらに努力をしていかなければならぬという考え方に達しております。  また、農業の問題につきまして触れられました。  この問題について、自給率の問題も触れられましたが、全体的には、御指摘のように、担い手の減少とか高齢化とか食糧供給力の低下、国際化の進展に伴なう輸入農産物との競合等の厳しい状況にあります。政府といたしましては、先般答申をいただきました食料・農業・農村基本問題調査会、これを踏まえまして、現在新たな基本法の制定を含む農政の抜本的改革の検討を進めているところでございまして、この中で、農家の方々の不安を払拭し、営農に当たりまして将来展望が開けるよう明確な農政を指示していく考え方でございますが、食糧につきましては、食糧安保という言葉がありますように、我が国におきまして、万が一のことも考慮いたしますれば、十分な食糧を確保していくということを考えないといけない。そのためには、食糧生産にいそしんでおられる方々の生活を安定させなければならぬということだろうと思います。御指摘の点、もっともだろうと思いますので、さらに政府といたしましても努力を重ねてまいりたいと思っております。
  110. 原口一博

    ○原口委員 前向きの御答弁をいただいたというふうに思いますが、しかし、自給率についてはやはりどこかに書き込まなければいかぬと思うんです。  これだけの国が——この間、大変な洪水のあった隣国を写した写真がございました。その写真には、本当に山の山まで田んぼがつくられていて、そして国民の飢えている様子、そういう絵がございました。それはよそごとではないんだ。  そして今、営農の意欲がなえてしまうと、それは一体だれがやるんだ、株式会社がやるんですか、あるいは営農法人がやるんですか、それが経営的に立ち行かなくなったときにはだれが自給するんですか、その問いにはだれも答えられない今の現状ではないかというふうに思います。  もう一度、お尋ねをしますが、自給率をどこかで明記する、そういうおつもりはございませんか。
  111. 中川昭一

    中川国務大臣 自給率については非常に大事なポイントでございまして、今総理から概括的なお話がありましたが、自給率についてお答えをさせていただきます。  平常時それから不測時に対応できる安定的な食糧供給という観点から、自給率の目標を設定してまいりたいと考えております。具体的には、生産面で品目ごとに諸課題を明確にした上で、課題が解決した場合に到達可能な自給率を策定していくという努力目標を掲げていきたいと思います。  どのぐらいの自給率になるかということは、かなりいろいろなシミュレーション、またいろいろな議論が必要だと思いますし、地方の条件あるいは団体の協力等も必要だろうと考えております。そういう前提に立ちまして、新たな基本法のもとで、自給率の目標について検討を現在深めております。自給率を掲げていくという方向で今議論をしておるところでございます。  ただ、基本法の中でそれをきちっと目標数値を策定していくということは、この自給率の数字そのものが諸情勢によって変化をするということもございますので、基本法の中に策定するということは適当ではないと考えております。しかし、基本法に基づく食料・農業基本計画というものが一体として策定をされますので、この基本計画の中で品目ごとの、また全体の自給率というものを明確にしていく方向で現在検討しているところでございます。
  112. 原口一博

    ○原口委員 最後に、自自の連立協議についてお尋ねをしたいと思います。  きのうも法制局の皆さんといろいろ考えましたけれども、これが一体どういう法的な拘束力を持つのか。そして、先ほど上原委員が御質問になりましたけれども、すぐやる政策については、これは内閣総理大臣として署名をされていますから、本来であれば閣議決定をしてやらなければいけない、そういう問題であると思いますが、総理にその点の御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  113. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 小沢党首との合意の内容を子細に見ますると、総理としての権限にかかわるもの、すなわち連立政権を発足させる等と、自由民主党総裁としての権能にかかわるもの、選挙協力等に分けられますが、政党政治の立場に立脚する議院内閣制のもとで、私自身総理大臣かつ自由民主党総裁の責めにあるのでありまして、これは全体としてこの二つの肩書を用いたものでございます。このことで閣議決定をして決定したということではありませんで、党首間における合意としてまとめたものでありますので、その内容につきましては今後両党間で話し合ってまいるということでございまして、我々としては、両党間の協力でより一層強固な政権を樹立していきたい、こういう念願のもとにいたしておるところでございます。
  114. 原口一博

    ○原口委員 終わります。
  115. 中山正暉

    中山委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。  午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十二分休憩      ————◇—————     午後零時三十一分開議
  116. 中山正暉

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西川知雄君。
  117. 西川知雄

    ○西川(知)委員 西川知雄でございます。  きょうは、きのうの予算委員会で、恒久的減税という概念と二兆円の特別減税、これがどういうふうな関係になるかということで、太田議員の方からも質問がありました。その点について、ことしの四月からの議事録、記者会見、そういうものを全部調べてまいりましたので、その辺についてお聞きしたいのですが、その前に、一つ私とても気になることがあるので、小渕総理と宮澤大蔵大臣にお尋ねしておきたいことがございます。  それは、いわゆる自自連立の件でございます。この件について、十一月の三十日、いろいろな党の代表の方からどうしてこういうことをやるんだという御質問がありました。そのときに、内閣総理大臣は次のように答えられております。「さきの臨時国会の最大の課題でありました金融関連法案の審議を振り返ってみますと、各党に個別の課題ごとに御協力をお願いし、真剣なお取り組みをいただいてきたところではございますが、実際問題といたしまして、必要な政策をタイムリーに実行するという点でなかなか難しい局面があったと実感しております。」  そして、現下の難局を切り開き、責任ある政治を実行していくためには、より安定的な形での政権運営、これが望ましいと考える、こういうふうな御説明をされていたわけです。  私、これを読んで、個人的にも総理は何を言っていらっしゃるのだろうというふうに、ちょっと憤りを感じたのです。というのは、あたかも、我々が金融関連法案の審議をやりました、それが必要な政策をタイムリーに実行するという点で難しかった、こういうふうにおっしゃっているのですね。それが連立、これに結びついているんだ、こんなふうなニュアンスでおっしゃっているのです。これはいろいろな会派の代表の方に対しておっしゃっているのです。  ところが、お忘れではないと思うのですけれども、金融再生法案の与野党協議についての評価についての御答弁があります。それは、一つには平成十年九月十一日に、これは宮澤大蔵大臣が言っておられます。「この金融再生トータルプランにつきましては、非常なイデオロギー的な要素はそうあるわけではございませんし、また今までやったことがございませんから、政府が考えたことがすべてベストであるとも思わない、したがいまして、野党の御提案もぜひ聞かせていただいて、そしていいものをつくってまいりたい、こういうことは申し上げております。」そして、「そういういろいろな案を御討議の中できっといいものができ上がってくることを、私は与野党の御協議に期待を申し上げているわけでございます。」  さらに、平成十年十月二日、宮澤大蔵大臣は次のようにおっしゃっております。「我々としても経験のない法的な枠組みを考えるわけでございますから、政府が御提案しておるものがベストだというふうには決して申しません。各党におかれて御審議の結果、ベターなものができれば喜んでそれを行政に使わせていただきたいということを何度も申し上げました。」それで、宮澤大蔵大臣は次のように加えております。「総理もそういう御発言をしておられました。」こういうふうに言っていらっしゃるんですね。  そうすると、与野党協議をやっていた、これは大変いいことだ、いろいろな衆知を集めてそしていい法案をつくっていく、これはとてもいいことだ、こういうふうにおっしゃっているんです。  ところが、この間の十一月三十日の総理の代表質問に対する本会議答弁では、そういうことがあったから、これは現下の難局を切り開き、責任ある政治を実行していくためにはよくないんだ、連立をしないとだめなんだ、こうおっしゃっているんですね。  ほかの理由があれば別ですけれども、そういう政策を国民の代表である与党と野党の議員がこれをみんなで合わせて、そしてちゃんとした法案をつくっていく、こういうことがさも責任ある政治を実行していくためにはよくないんだ、タイムリーにできないんだというふうに評価されている。  この違いはどういうふうに御説明なさいますか、総理
  118. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まず、自由党との連立につきましては、基本的には、現下の日本のこの危機的状況に対しまして、大所高所から力を合わせてその難局を乗り切るために合意をいたしたわけでございまして、そのことがすべての基本でございます。  ただ、今委員指摘のように、国会で私申し述べましたのは、過ぐる国会を顧みましても、いろいろの経緯は経緯といたしましても、十分な野党間の話し合いをすることについて、何らこれは異議を申し上げることでなくして、十分話し合いがあればこそ、過ぐる国会は極めて重要な法律案の金融二法を通過させることができたということはそのとおりで、これは評価をいたしておるわけでございます。  しかし、経緯は経緯といたしましても、この問題に限らず、あらゆる点におきまして、国会における勢力といたしましても、十分力を合わせ、協力関係にあり、あらかじめ法案の成立に当たりましても、十分政党間の話し合いができた上で法律案を提案するということでありますれば、それなりの連立の効果というものもあり得るのではないか、こういうことでございまして、委員指摘のように、すべて多党間のいわゆるパーシャル連合といいますか部分連合といいますか、法律案ごとにおける国会のいろいろの御審議、これも多としなければなりませんけれども、できれば各政党間の協力関係、すなわち、内閣をともにするという形の方がよりかたい形で政治を遂行できるのではないか、こういうことでございまして、私は、委員の御指摘されていること、宮澤大蔵大臣の御発言、私もそのようなことをあるいは本会議でも前の国会で述べたかもしれませんが、こうしたことと、今日、自由党と自民党とそうした同じ考え方に立って進んでいくということに何らの矛盾撞着はなかろう、そのように考えております。
  119. 西川知雄

    ○西川(知)委員 もう一言だけ申し上げておきたいんですが、この間の日曜日の「サンデープロジェクト」の番組に亀井前大臣が出演されておりました。これをごらんになった方もたくさんいらっしゃると思うんですが、ここで金融の与野党間の協議について触れられておりました。そこで私は、こういうことを今どき発言する人がいるのかなと非常に驚いたわけですが、いわゆる我々政治家、与野党協議に参加した人は金融問題については素人である、にわか勉強をして、そしてあたかも専門家のような顔をして、そしてそういう政策をつくっていくなんというのはとんでもないというような話をされておりました。  小渕総理、それはどういうふうに思われますか。私は参加していたんですけれども、私は国際金融の仕事で二十年間弁護士をやっておりまして、少なくともほかの人よりは大分詳しいと思っておるんですけれども、政治家というのはそういうものであるというふうに評価されて、私は非常に遺憾に思いましたが、総理、それはどう思われますか。
  120. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 亀井議員の発言そのものをすべて承知をいたしておりませんので、これに関してコメントすることは差し控えますが、私も、過ぐる国会の中で、金融二法を通じまして、与野党の議員の皆さんが非常に熱心に御勉強されて、しかも、その話し合いを、議場のみならず、それぞれ深夜にわたるまで検討されておられた結果、あるいはまた、議員立法として提案されておりますので、当然のことながら院においての質問を受ける立場で、答弁されて、西川議員もそのとおりでございましたが、拝見しておりまして、それぞれの勉強されておられることに対しましては、議員として十分な検討をされたことにつきましては、私も承知をいたしておるところでございます。
  121. 西川知雄

    ○西川(知)委員 それでは、ちょっときのうの太田議員質問に関する点について、若干お尋ねをしたいと思います。  たしかきのうは、かいつまんで言えば、橋本前総理が、ことし四兆円の特別減税をする、来年も二兆円の特別減税を継続してまいります、こういうふうに言われた経過がある、その二兆円の特別減税の話はどこに行ってしまったのか。これは、今度のいわゆる小渕総理がおっしゃる、また宮澤大蔵大臣がおっしゃる、恒久的な所得税、住民税の要するに改革というか減税に含まれるんではないか、こういう御答弁がきのうあったかのように思います。  そこで、私もそうかなと一瞬思ったんですが、物事はやはりきっちりと確かめておかないといけないというので確かめました。そうすると、まず、この話はちょっと違うんじゃないかという結論が出てきました。  どういうことかと申しますと、まず、平成十年四月十三日、予算委員会が行われました。そこで、当時、私が記憶しておりますところ、予算委員会の自民党側の筆頭理事であった現在の深谷総務会長、これに関して御質問をされております。  どういう質問かといいますと、「今回の特別減税というものは、トータルで考えてみると、かなり大きなものであります。二兆円の特別減税というのは、夫婦と子供二人の標準世帯で六万五千円の戻し減税になります。既に二兆円が出ております。その上に二兆円重ねて、来年も二兆円というと、合計六兆円でございますから、一世帯当たり十九万五千円の戻し減税ということになる。かなり大きな額でございますから、今度は、単なるマインドだけではなしに、これが実質的に消費にきちっと回っていけば、景気回復の大きな足がかりになると私は思っているのであります。」というふうに質問をされている。  そして、これが大変重要なことであるという……(発言する者あり)今、声がありましたように、テレビつきで国民に向かっておっしゃっているわけです。「そこで、総理にこの際申し上げたいと思うのですが、国民の皆さんの御協力が一番大事です。もし国民に対するメッセージがおありでしたら、この機会におっしゃっていただきたいと思います。」  十九万五千円減税いたします、戻し減税をいたします、これはとても重要ですから、国民の前で、テレビの前で、メッセージとして言ってくださいと言って、橋本内閣総理大臣は、小渕総理大臣が閣僚席にいらっしゃるところでこういうふうに答えられました。「政府は、やるべきことをきちんとこれからも続けていきます。 しかし、今、実体経済にも厳しさが増しているわけでありますけれども、何よりも心の上で非常に不安を持たれているということを、私自身も身の回りを見ておりましても感じます。それだけに、どうぞ、安心をして夢を追えるようにしていきますので、御協力を心からお願い申し上げたい。心からそう願います。」  これは、心配するな、来年も含めて十九万五千円の戻し減税をするから、期待して、心から安心して待っていてくれ、こういうふうに言っておられるんです。しかもその答弁は、予算委員会の筆頭理事であった深谷自民党現総務会長の質問に対して答えられているんです。そうすると、これは、合計で十九万五千円の特別減税は、今のいろいろな所得税、住民税の減税、これに加えてやるということを明らかにおっしゃっているわけです。  しかも、それだけではないんです。まず、平成十年の四月十日、実は四月九日に総理記者会見をされました。しかしながら、それでは不十分であったというふうに思われたのかもしれません。そこで本会議の冒頭報告がございました。これをちょっと引用しますと、「まず第一に、私は、四兆円を上回る大幅減税を行いたいと考えております。」ここで拍手がある。「所得税、住民税について、今年既に二兆円の減税を実施中ですが、さらに今年中に二兆円の減税を上積みし、来年も二兆円の特別減税を継続します。このほか、政策減税についても検討していきたいと考えております。」この次ですけれども、「また、」とおっしゃった。「また、個人の負担する所得税や住民税のあり方について、公正で透明な税制を目指し、幅広い観点から、深みのある見直しを行いたいと考えております。」これが本会議場での説明です。  ということは、特別減税二兆円はやります、そして、今年度、来年も含めて六兆円をやります、プラス、「また、」ですからね、プラス所得税、住民税のいろいろな抜本的な改革をして恒久的な減税をやります、こういうふうに国民の前で、本会議場、そしてテレビでおっしゃっているのです。これはきのう宮澤大蔵大臣がおっしゃったことと私は違うんじゃないかと思うのですが、宮澤大蔵大臣、小渕総理、それぞれお答え願いたいと思います。
  122. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 きのうのお尋ねがございまして、私も当時の記録をとりまして、読みました。  橋本さんが言われましたのは、最初は四月九日、記者会見においてでございます。今年既に二兆円の減税を実施中ですけれども、さらに今年中に二兆円の減税を上積みをし、来年も二兆円の特別減税を継続します、こういうことを言っておられます。  それで、今、西川委員が言われました深谷質問に対する橋本総理のお答え、これはうかつで存じませんで、それを今初めて伺いましたが、同じことをきっと述べるつもりで言っておられたのではないか。  すなわち、当時、橋本さんの減税というものは一遍限りのものであって、将来を言っておられないので国民に貯蓄心が起こらないという批判があったのについて、橋本総理としては、一遍限りじゃない、来年もちゃんとやるんだよということを言う必要があるというふうに考えられたものと思います。それは、当時そういう雰囲気でございました。したがいまして、この記者会見でもそう言われましたし、深谷質問に対しても恐らくそういう気持ちで言われたものと思います。  その上で、どういう意味であるかは別として、いずれにしても、所得税、法人税等々には問題もございますので、もっと深みのあるところで先々のことも考えなければならないが、とにかくこの特別減税というものは来年もやりますから御心配なきように、こう言われたというふうに私はやはり思っております。  それで、ちょっとこれはいろいろ内輪のことになりまして申しわけありませんが、天下の公党のことでございますから。その後選挙がありまして、私ども、参議院選挙で大敗をいたします。そして、私どもの党内で、やはり政策運営について、いろいろリーダーシップについての議論がございまして、いろいろな論争がございまして、小渕首相候補は小渕首相候補の政策を掲げて言われました。  そのときに小渕候補が言われたことは、この減税がいっときだけであるということについての批判にやはりこたえなければならないということから、所得税、法人税について候補としての主張を述べられて、そしてリーダーシップの交代がございまして、小渕内閣が誕生した。そして、小渕首相がそういうことを言われましたのを受けて、私ども、所得税についてのいっとき限りでない永続的な減税が必要と考えまして、八月に四兆円ということを申したわけでございます。  これは、私どもの気持ちで申しますと、橋本さんがいっとき限りではいけないということにこたえられようとして言われました、それについてはこたえなければならない、しかも、その金額は、今度は二兆円というわけにはいかないので、やはり四兆円という、最高税率を引き下げるところまで考えなければいけないだろうという小渕候補、やがて小渕首相ですが、そういうお考えを八月の税制改正の基本として定めた。  それが今日に及んでおるわけでございますので、私どもの気持ちとしては、西川委員がどう御解釈なさいますかはともかく、この橋本さんの言われた来年の二兆円というものはカバーをして、しかも、それがいっときでないものとして御提案をする必要がある、そういう小渕首相の考えを来るべき国会において御審議をいただきたい、こう思っているというふうに私は考えておるわけでございます。
  123. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今宮澤大蔵大臣が懇々と御説明を申し上げさせていただいたことに尽きると思っておりますが、実は、特別減税というものにつきまして、私自身も若干考うるべきところがあるのではないか。  というのは、歴年、予算編成に当たりまして、減税といいますと、大体課税最低限の引き上げというような形で予算が、それの与野党の話し合いで決まって成立をさせていることを私は何十年も実は見てまいりました。したがって、課税最低限が引き上げられるということによりまして、御案内のとおりに、世界的なベースからいいますと日本が極めて高いところにある。  一方、日本の経済が右肩上がりで出てまいりました場合には、法人課税というものが自然増収によりまして高くなってきて、したがって、本来なればそれを引き下げなければならない国際的な税制のあり方の中で、日本だけが法人課税あるいは所得課税というものをずっと、所得並びに法人所得が向上してくる過程で、この税制を改めなければならないという考え方がなかなか出てこなかったというところに問題があった。  したがって、私としては、私が総裁になるに当たりましては、やはりこの両税制につきまして、グローバルな一つのスタンダードに近いものに持っていくことがこれからの世界の中で我が国の税制としてあるべき姿だ、こう考えておったわけですが、参議院選挙のときにいわゆる恒久減税論がいろいろ出てまいりまして、恒久減税とは何ぞやという話になりまして、当時の考え方の中で、かなりのところは、いわゆる特別減税を恒久化することが恒久減税であるがごときメディアの報道も私は承知をいたしておるわけでございます。  そこで、前国会でも、いわゆる恒久減税か恒久的減税かという論議もさせていただきましたが、私どもは、将来にわたって世界的な一つの流れの中で、日本としても恒久的な減税を考えていく必要がある、こう考えて、実は総裁選挙のときに申し上げたわけでございます。したがって、そのときに、橋本総理が参議院選挙前に申された来年度における特別減税というものについて、いささか私は、特別減税そのもののあり方を参議院選挙反省の上に立って考えると、問題があるのではないかということも実は考えておりました。  その後は、しかし、この二兆円ということを国民にお約束した以上は、二兆円の減税ということに対する期待感もあろうかと思いますが、したがって、こうしたことを包含いたしまして、まあ包摂といいますか、そういう形で来年度の税制改正としてこの問題を考えていくことが望ましい、こう考えて、実は四兆円超の減税という形を望ましいと考え、私の内閣としてはさように対処させていただいておる、こういうことでございます。
  124. 西川知雄

    ○西川(知)委員 長く述べられましたけれども、端的に言えば、参議院選挙では負けた、したがって政策転換をした、こういうことをおっしゃっているわけです。そうですね。  そこで、それはそれで一つの考え方かもしれませんが、それで迷惑をこうむるのは国民なわけです。内閣総理大臣という一国のトップが、トップがですよ、テレビで国民に向けて、そして自民党の筆頭理事からの質問に対して、来年も六万五千円は最低限もらえますよということを言われた。そして、それを信じて、それを頭に入れて期待をしている。政府はそれを保証しているわけですよ。最低限の六万五千円を保証しているわけです。  これは、政権がかわったってそんなことは関係ないですよ。一国の内閣総理大臣国民に対してそういうふうな約束をした、こういうことでございますから、最低限の戻し、最低限の減税は六万五千円である、最低限どんな場合でも六万五千円は戻ってくる、減税になるというふうに考えて、小渕総理、よろしゅうございますね。総理大臣の約束、内閣が約束した話ですから、六万五千円は最低限戻ってくる、そういうふうに考えてよろしいですね。
  125. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 厳密、厳密に言えば、政権がかわりましたら、その政権としての責任において、過去を十分見詰めながらも、新しい政権としての対応というものは許されるものだと考えております。
  126. 西川知雄

    ○西川(知)委員 それは違いますね。要するに、一国の総理国民に対してテレビでこういうふうにしますと言ったことが、選挙でその政策がよくなかった。そして、自民党政権からほかの政権にかわったら別ですよ、自民党の中で総裁がかわっただけだ、そういうときに、国民に対して言っていたことが全然違う。  そうしたら、六万五千円もらえなかった人、これはどうするんですか。実は三万円しかもらえなかった人、二万円しかもらえなかった人、それは内閣総理大臣が前に言ったことが違っているというふうに解釈していいんですか。その説明なり、どうしてそういうふうになるのか、合理的な説明が必要じゃないですか、総理
  127. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今の論理を言いますと、財革法を何としても成立させたいと言った前政権の考え方に対して、これを凍結するということも認められないということになりかねないことでございまして、やはり前政権として国民に対していろいろなお約束をしたこと、これは忠実に私としては、同じ政党であり、同じ政権にも席を同じくしているわけですから、その考え方はできる限り踏襲しなければなりませんが、私としては、経済全体の大きな大転換を図るということでこの内閣をお認めいただいて、党内で総裁になり、今日この仕事にあるわけでございますので、その点はぜひ御理解をいただき、四兆円超の所得税減税という形で、国民の皆さんに対する御期待も含めて、また、政策としてあるべき姿としてもこのことを実施していくことが私の務め、このように考えております。
  128. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 西川委員の言われますことは、深谷質問等々からお考えになって、一つの御主張だとは私は思うのですが、当時の政府側の事情を申しますと、橋本さんがそういうことを言われました後、平成十年四月二十四日に経済対策閣僚会議でいわゆる総合経済対策を講じております。その中で、早急に二兆円の特別減税を行うということのほかに、「また、来年も二兆円の特別減税を行う。減税方法等については今後検討する。」という決定になっておりまして、政府としては、来年二兆円の特別減税を行わなければならない、しかし、その方法、中身については今後検討する、政府はそういう気持ちでおったということがこの経済対策閣僚会議の決定で出ております。  したがいまして、小渕内閣は、二兆円の減税を行うことについてその責めを前内閣から負った、しかし、その方法等については政府が検討する、こういうふうに政府は考えておったというふうに私には思えます。
  129. 西川知雄

    ○西川(知)委員 時間が来ましたので、斉藤議員に譲りますけれども、最後に申し上げたいことは、今のお話も私はちゃんと資料で読んでおりましてわかっておるのですが、国民に対してテレビで、国民の権利義務、特に権利に関係あることについて直接総理大臣がお話しして、保証して約束されている。これは財構法のような政策転換とは違うんです。要するに、個々の個人の権利義務に関することに対して約束をしているのが、政権がかわったからこれは違いますということは、とても国民は納得しないというふうに私は思います。  もっと時間があったらこの点詰めたかったんですが、時間でございますので、斉藤議員にかわりたいと思います。
  130. 中山正暉

    中山委員長 これにて西川君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤鉄夫君。
  131. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 公明党・改革クラブの斉藤鉄夫です。  第三次補正予算の中に情報収集衛星、いわゆる偵察衛星の開発が入っております。分解能一メートル級、つまり一メートルの大きさのものまで判別できる光学センサー衛星、これは普通のレンズ、光学レンズを使ったものですけれども、これを二機。それから、電波をみずから発して、反射してきた電波を使って地上の絵をかくいわゆる合成開口レーダー衛星、これは分解能が三メートルだそうですが、これを二機。合計四機を平成十四年度に打ち上げる。そうすると、ある特定地域を一日一回以上の頻度で観測できるということだそうでございます。  衛星本体と光学センサー、レンズを使った衛星については科技庁と宇宙開発事業団が、それからいわゆるレーダーを使った衛星については通産省が、またデータ伝送系の開発を郵政省通信総合研究所が担当する、また地上設備とその開発と運用を内閣官房が担当するという壮大な計画がこの第三次補正予算から始まりました。  我が国が偵察衛星を持つことの是非については、宇宙の平和利用を規定した昭和四十四年の国会決議、また、宇宙開発事業団法というようなものもございまして、これまでいろいろと議論をされてきましたけれども、一定のコンセンサスが得られていたという状況ではなかったと思います。  ところが、ことしの八月三十一日、北朝鮮がテポドン一号を発射し、その先頭部分は日本上空を通過して太平洋上に落下する、こういう事態が判明いたしました。そうしますと、翌日の九月一日には官房長官が画像衛星の活用に関して検討すると発言されまして、また九月十日には自民党の中に情報衛星に関するプロジェクトチームが発足します。そして、十一月六日には情報収集衛星導入を閣議決定、十一月十日には宇宙開発委員会、委員長科学技術庁長官ですが、この宇宙開発委員会で、情報収集衛星の研究着手を承認しております。  偵察衛星と宇宙の平和利用を定めた国会決議との整合性について、長い間議論がされて結論がなかなか得られなかったのに、テポドン一号一発で、あれよあれよという間に余り議論もされずに導入が決まってしまったという感じがしております。国民もそのように感じております。  私自身、我が国が偵察衛星を持つということを初めから否定するつもりはございません。しかし一方で、宇宙の平和利用を定めた国会決議、これも大変重たいものでございます。原子力の平和利用、そして非核三原則と並ぶ我が国のありようを決める大事な原理原則でございます。その原理原則、国会決議との整合性を議論することなく導入を決めるというのは、国会決議、ひいては国会そのものを軽んずることにつながると思います。このような観点、問題意識で質問をさせていただきます。  まず、総理にお尋ねいたします。  今回導入される衛星、名前は多目的の情報収集衛星ですが、実質は導入の経緯からいっても明らかに軍事偵察衛星でございます。この偵察衛星は、宇宙の平和利用を規定した昭和四十四年五月九日の国会決議に抵触しない、このようにお考えでしょうか。
  132. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 宇宙平和利用の決議に関しましては昭和六十年に政府見解が出されておりまして、それによりますれば、その利用が一般化している衛星及びそれと同様の機能を有する衛星につきましては、自衛隊の利用が認められるものとされ、現在に至っております。情報収集衛星の導入につきましては、この政府見解にのっとって進めておりまして、昭和四十四年の国会決議等に抵触するものではないと考えております。
  133. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 利用が一般化された技術衛星については国会決議に抵触しないという昭和六十年の政府見解、このことについてはちょっとまた後で議論をしたいと思いますけれども、その昭和六十年に至るまでの議論をちょっと私も振り返ってみました。  まず、ちょっとその国会決議そのものを読んでみたいと思うのですけれども、「わが国における地球上の大気圏の主要部分を超える宇宙に打ち上げられる物体及びその打上げ用ロケットの開発及び利用は、平和の目的に限り、学術の進歩、国民生活の向上及び人類社会の福祉をはかり、あわせて産業技術の発展に寄与するとともに、進んで国際協力に資するためこれを行なうものとする。」という文章でございます。  ここで言う「平和の目的に限り、」の意味についてですけれども、我が国も批准をしている宇宙条約の文章は、「条約の当事国は、核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せないこと、これらの兵器を天体に設置しないこと並びに他のいかなる方法によつてもこれらの兵器を宇宙空間に配置しないことを約束する。」とありまして、非侵略的イコール平和、平和という意味を非侵略的という概念でとらえております。  これが宇宙条約の概念なんですけれども、我が国の国会決議ではこの概念をもう一歩広げて、この非侵略的にプラスして、軍事的目的を持つものすべてを排除する非軍事という意味もある。つまり、ここで言う「平和の目的に限り、」とは、非侵略的プラス非軍事なんだということが、当時の木内科学技術庁長官が答えておられます。  それを受けて、昭和五十八年五月十六日の参議院の安全保障特別委員会で当時の角田法制局長官が法制局見解として、「宇宙開発事業団が打ち上げる場合に、いまのような偵察衛星と申しますか、そういうものを打ち上げることはできない」と発言されております。論理は明快です。国会決議の平和利用は非軍事という意味だ、偵察衛星は軍事だ、だから偵察衛星は国会決議上は我が国は持てない、こういうことでございます。  科学技術庁長官、当時の長官はそう答えていらっしゃいますが、科学技術庁としてはこの点をどのようにお考えでしょうか。考えを変えられたのでしょうか。
  134. 竹山裕

    ○竹山国務大臣 ただいまの、過去において、国会において宇宙の平和利用についてのそのような議論があったことは承知しております。  また、御指摘の点につきまして、ただいま総理からの答弁にもありましたとおり、昭和六十年の政府見解における一般化の考え方をとっているところでありまして、今回の情報収集衛星につきましては、民間における衛星利用の状況及び将来における計画を踏まえれば、本件衛星の機能が一般化している場合に限って、防衛庁ないしは自衛隊が当該衛星を利用することを前提としている限りにおいて、本件衛星の導入は政府見解の一般化の考え方に反するものではないと考えておりまして、したがって、国会決議の「平和の目的に限り、」の趣旨に反するものではないと考えております。  また、宇宙開発事業団法の「平和の目的に限り、」についても、国会決議の「平和の目的に限り、」と同じ趣旨のものでありまして、このような考え方のもとで宇宙開発事業団が今回本件の情報収集衛星に関する研究に着手することは、宇宙開発事業団法の「平和の目的に限り、」の趣旨に反するものではない、こう考えるところでありまして、本件に関して、これまでの政府の認識の変更はありません。
  135. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 今の科学技術庁長官の御答弁は、昭和六十年に政府見解が出た、一般化された技術、一般化された衛星については宇宙空間を利用した衛星、技術といえども使えるんだ、この偵察衛星は一般化された衛星だ、だから今回のこの情報収集衛星、偵察衛星は国会決議に抵触しない、こういう三段論法だと思うのですが、ここで一般化された衛星、一般化された技術、この意味をちょっと考えてみたいと思うのです。  昭和六十年にこの解釈が出てくるまでの議論を私もちょっと勉強しました。そうしますと、自衛隊が情報通信衛星を使った、例えば電話をかける、そういうときに、自衛隊は宇宙空間を利用した衛星は使えないはずだから電話をかけちゃいけないんじゃないか、こういう議論があったわけでございます。それに対して、もう既に一般民生で使われている国際電話、みんなが使っているのに自衛隊だけ電話をかけちゃいけないなんて、これは常識から考えてもおかしい。このような議論を経て、一般民生で使われているような、いわゆる一般化された技術については、これがたとえ宇宙を利用した技術であっても自衛隊は使える、こういうものでございます。  つまり、ある大きな目的の中の一つの要素技術、電話なら電話という要素技術、電話をかけるというそのことが目的じゃないわけです、その別な目的の中のある一つの小さな部分の要素技術について、それが民生でも使われている一般化された技術であれば、自衛隊はそれを使ってもいいですよということでございます。  今回の偵察衛星は、偵察そのものが目的でございまして、これは、いろいろな意見があるでしょうけれども、軍事という見方も十分できるわけでございます。  したがいまして、あの一般化理論が出されてきた経緯と今回の偵察衛星の論議、全く土俵が違いまして、その違う土俵から出されてきた結論を軍事そのものを目的とした衛星に適用するのは無理があると私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  136. 竹山裕

    ○竹山国務大臣 科学技術庁としての見解を申し上げます。  本件の情報収集衛星の機能は地表面を精緻に観測することでありまして、民間における衛星利用の状況及び将来における計画を踏まえれば、平成十一年度に打ち上げを目標としておりますイコノスを初め多くの衛星もございますが、特に本件の衛星の打ち上げ、利用の開始までには、このような機能を有する衛星が広く一般的に利用される状況が来るという蓋然性が極めて高いと考えられますので、このことから、衛星の利用開始時において当該機能が一般化している場合に限って防衛庁が当該衛星を利用することを前提として行う限り、本件衛星の導入は政府見解の一般化の考え方に反するものではないと考える次第であります。
  137. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 私の質問は、この一般化という議論が出されてきた前提は、衛星が持っている目的には直接関係のない一部機能、要素技術のところに一般民生でも使われている技術が使われていた、これは問題ない。これは民間でも使われている技術だから、自衛隊も使っていいでしょう。それは目的と関係のない技術だから、そこのところでそういう結論が出されたわけですが、今回は、偵察衛星そのものが軍事目的ですから、その軍事目的そのものに一般化理論を当てはめるのは、論理の飛躍、すりかえがあるのではないか、このように私は主張しているわけでございますが、いかがでしょうか。
  138. 竹山裕

    ○竹山国務大臣 御指摘のことでありますが、機能としてこれは一般化している、利用しようとする衛星の機能が軍事あるいは民間を問わず広く一般的に利用されている状況という理解でございますので、我が国において衛星を保有していなくても、そうした衛星がほかの国のものであれ、その機能が広く一般的に利用されるようになれば、政府の見解の一般化の考え方とは反しないという理解でございます。
  139. 杉田和博

    ○杉田政府委員 委員御承知のとおり、現時点におきますところのいわゆる民間の衛星利用、特に今回打ち上げようといたします衛星の機能というのは、まさに地表面を精密に観測をするという機能でございますけれども、こうした種類の衛星の利用状況を見ますと、現時点で、国際的には二メートルから三メートルの分解能を持った衛星というものが商業化をされて、一般的にも利用されております。  さらにまた、計画中ではありますけれども、平成十一年から十三年にかけまして、約一メートル程度の分解能を持った衛星、これは商用衛星でございますけれども、これが打ち上げられる。そして、それから得られたデータというものが一般の用に供される。  こういった状況から、我が方が打ち上げようといたします衛星、これは十四年度でございますけれども、その時点においては、そういった一メーター程度の分解能を持った衛星というものが一般化をしておる、その蓋然性が極めて高いというふうに考えておるわけでありまして、そういう状況の中でこの衛星を開発するということは国会決議に反するものではないと私どもは理解をしているのでございます。
  140. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 では、話を進めたいと思います。  ちょっと、先ほどの疑問についてはまだ私解けておりませんけれども、先ほどの御答弁の中で、現在の技術レベルは分解能は二メートルから三メートルだ、これを一メートルのものにするためには技術開発が必要だ、こういう話がございました。  外務省が日本航空宇宙工業会に委託調査をした報告書の中にも、分解能を、いろいろな技術開発項目が挙げてございまして、こういう技術開発をしなければ一メートルにならない、そのためには三年から五年の時間がかかるだろう、三年から五年後にはこういう技術レベルになるであろう、こう書いてございます。  ちょっとこれはおかしいのではないでしょうか。民生でも使われているような一般化された技術を使う分には自衛隊も使える、これが一般化理論です。これから三年ないし五年もかけて技術開発をしなきゃいけないものが、もう既に民生で使われているような一般化された技術と言えるのでしょうか。これは、自己矛盾じゃないでしょうか。
  141. 杉田和博

    ○杉田政府委員 この衛星でございますけれども、まさにこれから打ち上げるものであります。先ほど申し上げたような状況のもとで、今の技術の進歩のスピードということを考えますと、まさに平成十四年度末、ここらあたりにはまず間違いなく、極めて高い蓋然性でそれが一般化をされておるというふうに考えておりまして、そういうことを前提に、その時点において一般化をしておるということを前提にして今から開発を進めていくということは、これは国会決議に反しないと私どもは理解をしておるのでございます。
  142. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 その論理を使ったら何でもありになってしまいますよ。多分何年先にはこの技術が開発されているだろう、だからそれはもう一般化されている、そこに向かって今からいろいろな準備をする、ちょっと私は無理があるような気がいたします。  私は、情報収集衛星に反対しているわけじゃないんです。ただ、国会決議、これも重い。これは国会議員としては当然でございます。素直な目で見れば、私はこの情報収集衛星は国会決議に抵触していると思うのですよ。今私が申し上げましたように、いろいろなところで無理な論理展開がある。  だから、本当に我が国の安全にとって情報収集衛星が必要なのであれば、その国会決議なりその自衛隊の宇宙利用についてもう一度真剣に考えてみて、その国会決議を変えなければいけないのであれば変える議論をしよう、そういう努力こそ大事なのではないか。  今回の政府の動きを見ていますと、とにかくややこしいところにはふたをして、こそこそっと情報収集衛星を理論づけた、こういう気がしてしようがないのです。いかがでしょうか。
  143. 杉田和博

    ○杉田政府委員 たびたびで恐縮でありますけれども、まさに今先生御指摘になったように、これから打ち上げようとする衛星というものを考えますと、今の時点で既に二メーター程度の分解能を持った衛星が商業化されておるわけでありまして、しかも、その上、来年度中には一メーター弱の高分解能を持った衛星も打ち上げられる、そういう具体的な計画があるわけでありまして、そういう状況を見ますと、今申し上げたような、いわゆる今回打ち上げようとする衛星は国会決議に反しない、かように考えております。
  144. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 私は、先ほど申し上げたような理由、つまり、目的そのものが軍事目的、これは否定できないと思います。ということが一つと、先ほど言いましたように、一般に民生で使われているような技術というのが一般化理論の前提でございます。これから三年ないし五年かけなければ、技術開発しなければ利用できないような技術、これが一般化された技術、民生にも使われている技術とは到底思えません。その二つの意味で、今回無理がある。この議論、もう時間もありませんので、この辺にしておきます。  次に、外務大臣にお伺いします。  アメリカは、当初、日本が独自の情報収集衛星を持つことに対して反対するのではないかということが言われていたのですが、意外や意外、協力をするということでございました。  そういたしますと、アメリカの持っている情報収集機能と日本が新たに持つ情報収集機能、あわせることになると思うのですが、ある思考実験ですけれども、日本の情報収集衛星が集めた情報によって、米軍がそれを使って他国に対して軍事行動を起こすというふうなことも当然可能性としてはあり得るわけでございますが、そういう事態に対してどのようにお考えでしょうか。
  145. 高村正彦

    ○高村国務大臣 今そういった画像衛星の開発を問題にしているところで、日本側の情報をどう提供するか、そういった場合にそれがどういうふうに使われるかといったところまでまだ検討が進んでいるわけではありません。
  146. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 私は大変重要な問題だと思うのです。米軍の軍事行動との関連性、武力行使との関連性というのは非常に重要な問題だと思うのですが、そういうことも検討されないで情報収集衛星の導入が決定された。余りにちょっと議論不足だ、このように思います。総理大臣、いかがでしょうか。
  147. 高村正彦

    ○高村国務大臣 今、日本はアメリカからいろいろな情報の提供を受けている部分もあります。あるいは、もちろん衛星はないわけでありますが、日本側からアメリカにいろいろな情報を与えているところもあります。それは、それぞれの時点においてどういう情報を与えるべきか、そういった具体的な判断をしながら日本としても米国に与えておりますし、米国としても日本に与えている、そういうことでありますから、その具体的な状況のもとにどういう情報を与えるか、そういう判断は当然していくということになるわけであります。
  148. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 最後に官房長官にお伺いします。  衛星を打ち上げただけでは何にもならないわけでございまして、その衛星が送ってくる情報を整理し、解析し、分析し、解釈するという膨大な地上施設、それから地上のスタッフが必要になると言われております。その地上施設、スタッフの規模がどのぐらいになるか、かなり大きな予算になるのではないかと思いますが、そのコストと、情報収集衛星によって得られる情報によって得られる効果、そのコスト対効果について、どのようにお考えになっているかをお伺いします。
  149. 野中広務

    ○野中国務大臣 お答えいたします。  委員指摘の情報収集衛星につきましては、先般の北朝鮮のミサイル発射とか、あるいは近年打ち続いて起きました大規模災害等を考えますときに、我が国独自の情報衛星を持つべきではないか、こういうことから、各省にまたがる問題でございますので、内閣官房を中心として今勉強をしておる最中でございます。  委員は我が国トップレベルの指導者でもございますから、またぜひお知恵をかしていただきたいと思うわけでございますけれども、そういう中におきまして、今おっしゃいましたように、解析をし、将来打ち上げた後これをコントロールしていく要員というのは大きな数になっていくと思います。逐次専門家を養成していかなくてはならないわけでございますけれども、最終規模におきましては、今勉強しておるところでは、約二百人程度になるのではなかろうかというように存じておるところでございます。いろいろ御指導をいただきたいと存じます。
  150. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 終わります。
  151. 中山正暉

    中山委員長 これにて斉藤君の質疑は終了いたしました。  次に、上田勇君。
  152. 上田勇

    ○上田(勇)委員 公明党・改革クラブの上田でございます。  最初に、年金問題について若干の御質問をさせていただきたいというふうに思います。  今のこの不況からなかなか脱出できない、長期化しているその原因として、その一つに、国民が、年金、医療、福祉、そういった社会保障制度について、政策の不透明性、不安定性のために信頼感を失って将来の生活設計に関する不安を増大させているという点が挙げられるのではないかというふうに思います。とりわけ公的年金制度は、これはやはり安心できる老後の生活設計にとって不可欠な要素であるにもかかわらず、これまで年金の受給年齢の引き上げや保険料率の引き上げ、たび重なる制度改正や将来見通しの変更がありまして、まさに信頼感を失ってしまっているというのが現状じゃないかというふうに思います。  こうした中では、これはやはり国民としては、独力で、独自に老後に備えてできるだけ貯蓄を充実させていこうというような心理が働くのは当然でありまして、その結果、消費が減少し景気低迷の原因になっているという点があるんじゃないかというふうに思うわけであります。  それを裏づけるように、例えば、これは日銀の調査でありますが、貯蓄目的を挙げている中で、病気、災害への備え、これを理由に挙げている人が七割以上、老後の生活資金、これも五五%以上が貯蓄の目的として挙げておりますし、また、公的年金への不信感、これを裏づけるように、最近は個人年金への加入率が大変伸びているという現状があります。  私は、現在のこの経済の低迷から脱出して、その上で中長期的に安定した経済の成長を確保していくという意味では、安心できる公的年金を確立して先行き不安を払拭する、このことが重要であるというふうに思うわけであります。そうでなければ、減税などの景気対策を実施したとしても、その多くはやはり老後の備えとして貯蓄に回ってなかなか景気浮揚の効果が減殺されてしまう、これまでそういう現象が起きてきたのではないか、そういう一面があったのではないかというふうに思うわけであります。昨日、総理それから経済企画庁長官もパネルを使って御説明いただいた中で、こうした生活の先行き不安に対する要因といったことがちょっと欠落していたのは残念であったというふうに思います。  そこで、ちょっと最初に総理にお伺いしたいのですけれども、私は、この公的年金を初め社会保障制度に対する国民の不信感が現在のこの景気低迷の長期化に一つの重大な影響を及ぼしていて、やはりこの問題の解消が経済の本格的な再生の前提であるというふうにも考えておるわけでありますけれども、その辺についての総理の御認識をまず伺いたいというふうに思います。
  153. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 基本的には、上田委員指摘の点はそのとおりと認識しております。  年金制度は、現役世代が高齢者世代を支える世代間扶養の仕組みをとっており、国民の老後生活を支える柱として重要な役割を担っていることは認識をいたしております。  そこで、少子・高齢化、特に高齢化が急速に世界に例を見ないような速さで進んでおるわけでございまして、そうした進展の状況、経済成長の低下など年金を取り巻く状況が厳しくなる中で、将来にわたり安心して、年金を、長期的に安定した制度としていく必要があると思っております。このため、給付と負担の均衡を確保し、将来世代の負担を過重なものとしないよう、制度全般にわたる見直しに取り組んでまいりたいと思っております。  先ほど不況の環のお話がございましたが、これは現時点における経済の状況をわかりやすくいたしたわけでございまして、中長期にわたっての、今委員の御指摘のような年金制度に対する不安というものも、それは潜在的に大きな、国民の中に存するものだと思っておりますので、こうした問題につきましてもこれから十分検討していくことも、広く言えば、現在の状況を乗り越えるための原点であるということは承知をいたしております。
  154. 上田勇

    ○上田(勇)委員 私も中長期的に経済の再生を図っていくために重要だというふうに申し上げたんですが、同時に、そうした見通しがないと、国民に安心感、信頼感がなければ、これまで減税でかなりの経済対策を打ってきても結局貯蓄に回って、なかなか消費の回復に役立ってこなかったという現実があるわけでありまして、これはやはり非常に短期的な問題としても、将来の展望、ビジョンといったものを今はっきりさせることというのは非常に重要なことなんじゃないかというふうに思います。  今、信頼できる年金制度を確立していくというふうな総理のお考えを伺ったんですが、残念ながら国民全体の一般認識というのは全く逆でありまして、その一つのあらわれが、国民年金が非常に空洞化しているというような現象がよく言われております。保険料を、未加入、未納、そういった者が国民年金対象者の三人に一人に当たるというようなことが今現実でありまして、特に若い世代でその傾向が顕著になっているというふうに言われております。どうも、国民皆年金と言われながら、それとは全く違うのが現実の国民年金の姿でございまして、こうした現実というのは、この制度自体、非常にその存続自体を危うくしているというふうに思うわけであります。  そこで、厚生大臣に、国民年金が非常に空洞化しているというような実態についてどのようにお考えなのか、また、こうした実態を生む原因また対策について、ひとつ御見解を伺いたいというふうに思います。
  155. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 国民年金の空洞化と言われるのは、具体的に申しますと、大ざっぱに言って国民年金の加入者は約二千万、そのうちの、今仰せのように三分の一、つまり六百万以上が未加入者、未納者、免除者ということになっております。免除者はそのうち三百三十万くらいございますから、それを引きますと、この免除者というのは言うまでもなく低所得でございますから、これは政策的に免除しているものです。未加入者と未納者がそれぞれ百五、六十万ずつございまして、三百三十万くらいになっておりますね。そういう現状でございます。  やはり今申されたように年金制度の信頼性を確保するということは非常に重要でございまして、基本的な考え方は総理が今述べられたとおりでございますが、私ども、国民年金の空洞化対策としては、まず未加入者の解消を先行させようということで、平成七年度から三カ年計画で、二十歳に到達した者のうち、加入届が未届けである者に対して年金手帳を送付するとか、あるいは、国民健康保険の方は加入しながら国民年金には未加入になっている者もかなりございますから、それらに対する勧奨等を実施しております。それから、平成九年一月から実施した基礎年金番号の活用によりまして、未加入対策にひとつ大いに取り組もうということでございます。  今後は未納者、今度は未加入者ではなくて未納者ですね、加入はしているけれども未納しておる、この方々に対する対策も必要でございますから、いろいろの、広報の充実でございますとか、口座振替で払い込みが簡易にできるようにするとか、あるいは徴収強化対策をやるというようなことなどもやってまいります。  なお、今回の年金改正の中でこの問題も年金審議会等で指摘されておりまして、被保険者の負担能力をきめ細かく配慮した制度が望ましいということで、従来は今申しましたように全額を免除する制度だけがございましたが、一定の所得以下の者に対しましては保険料を半額にして免除する、そして、給付の方も満額ではなしに、今、年金審議会等で予想しているのは、保険料を二分の一にしたら給付を三分の二くらいにしよう、今の免除者は、税金部分が三分の一保険負担をしていますから三分の一の給付を行いますが、それとの均衡をとって、そういう制度等も充実させていこうということでございます。  いずれにいたしましても、国の行う所得保障の年金制度でございますから、この制度のほころびがないように努力していくのは当然でございます。
  156. 上田勇

    ○上田(勇)委員 今大臣からいろいろ御説明をいただきましたけれども、この空洞化に対処するための一つの方法として今いろいろなところで話が出ているのが、基礎年金部分については、社会全体で高齢者を公平に支えていくという観点から今の保険方式から税方式に変えるべきじゃないかというような意見もありますし、また、基礎年金の国庫負担分を現行の三分の一から二分の一まで引き上げるべきだというような意見も多く出されております。この国庫負担分の引き上げについては、聞くところによりますと、与党内でもその方向で意見が集約されているというふうに聞いております。  国民にとって安心できる生活設計を実現するためには、やはり将来的にはこの基礎年金の部分については税方式に転換していく、そしてその間、漸進的に改革を進めるべきだというふうに私も考えますが、とりあえず、今いろいろと話題になっております国庫負担の割合については、年金財政改善あるいは保険料の負担軽減、そういった観点からも、現行の三分の一から二分の一までに引き上げるべきだというふうに考えております。この点について政府としてはいかがお考えでしょうか。
  157. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 基礎年金部分を全額税方式でやることにつきましては、率直に申し上げまして、私は反対でございます。  なぜならば、社会保険方式から税方式に完全になりますから、所得保障を税で全部やるということになりますと、生活保護費と何ら変わりなくなります。したがって、所得制限とかミーンズテストの問題が発生してまいります。そんなことがございますので、社会保険としてやはりぎりぎり二分の一までかな、今二分の一議論がございますけれども、これはそれなりの一つの考え方だと思うんです。  ただ問題は、三分の一から二分の一にいたしますと、毎年かなり巨額の、来年の計算でいきますと、二兆二千億くらい要しますが、再来年になるともっとそれがふえて、二兆五千とか、どんどん膨れていくわけですね、給付がふえますから。  そういうこともございまして、総理も本会議答弁もしていただいておられますが、やはり莫大な財政負担を伴うものですから、直ちにはできないという基本的な考え方に立っておりますが、将来いろいろの税制改正の中で、また財源が確保できれば、そういう二分の一くらいまでならば、した方があるいはいいのかなという感じがありますが、今やろうとしますと、例えば来年二兆二千億かかる、それは赤字国債の増発になりますから、どういう総合判断をするかという問題で、極めて困難ではないかなと私も思うんですね。そんなことでございます。
  158. 上田勇

    ○上田(勇)委員 私は、この点についてはもう与党内で、一説によると、二〇〇四年までには二分の一に引き上げるということを決めたというような報道にも接しましたし、また、何か連立の協議の中ではもう既に行うというようなことで合意されたというふうに聞いたので、将来的にというのはちょっと今意外な感じがしたんですけれども、仮に二〇〇四年だとしても、でも、これは実際、この国庫負担率の引き上げというのは、前回の九四年の法改正のときにも議論になってきたことで、次までに結論を出すということでいわば先送りされてきた宿題みたいなものなんですけれども、それをまた二〇〇四年に先送りする。  さらに、ちょっと今の大臣の御答弁では、その期限も明示されなかったんですけれども、では、これは次の改正時までに、財源の点なども含めて結論が出るというような、そういう保証はあるのでしょうか。もう一度、ひとつその辺、明らかにしていただきたいと思います。
  159. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 確かに、二分の一にすることを二〇〇四年、つまり次期再計算までにということで自民党の年金問題調査会で議論されて、それが報道されていることはよく私も承知しております。しかし、まだ最終決定したわけではございません。これが第一。  それから、私も年限が、したがって、これから協議していかなくてはならない話でございますから、厚生省の立場としては、二分の一程度になった方が、保険料の基本保険料も一%ぐらい下がりますし、国民年金の方も影響を受けますから、それの方が保険システムだけで考えればベターだと思います。しかし、財政全体の中で判断すべきことだと思います。  それから、今委員の御指摘のように、前回の財政再計算期に、年金保険法の改正でそのことが明記されていることも承知しております。三分の一を二分の一にすべきであるという附帯決議も当時の改正で行われたことも承知はいたしておりますが、今回、この問題につきましては年金問題調査会でも随分議論をいただきましたけれども、これはいわばもうちょっと先の課題かなというのが率直なところでございます。
  160. 上田勇

    ○上田(勇)委員 公的年金に対する信頼感が失われているのはまさにそこじゃないかと思うんですね。  将来、先のことを、これは年金というのは一生の生活の設計でありまして、その場その場で変わっていくと、到底一人の人間の人生設計、生活設計というのはできないわけであります。しかも、これはもう既に五年前の議論が続いていて、また五年を先送りする。十年間も、一体将来どうなっていくのかということに結論が出ない。だからこそ、これは普通に考えれば、公的年金は頼りにならないというふうに考えてしまうんではないかというふうに思いますので、これはぜひ次の再計算まで先送りというようなことをせずに、できるだけ、来年法改正でありますので、そのときまでに結論が出るようにひとつ努力をしていただきたい、このことを御要望したいというふうに思います。  年金問題についてまだお聞きしたいことも幾つかあったんですが、ちょっと時間の関係もあるので、少し飛ばしていただきまして、奨学金の拡充の問題について一点お伺いしたいというふうに思います。  今、こうした長引く不況の中で、企業倒産やリストラ、そういったものによって、大学生、高校生の中には学資の負担ができずに、やむを得ず中途で退学するというような事例が出ております。このことは新聞等でも報道されましたし、私も幾つかそういったことにつきまして直接話を伺ったことがございます。将来のこの国を担っていく人材がこうした事態に追い込まれているということは極めて残念なことでありまして、何とか学業を続けられるように、その一つの方法として奨学金事業の大幅拡充が今望まれているというふうに思うわけであります。  何とか、今こうした経済状況の中でどうしても学資が負担できずに、そういう意味で将来のことについて支障が出るというふうなことがないように、この奨学金事業の拡充を文部大臣にぜひ御要望したいのですけれども、ひとつ御見解を伺いたいというふうに思います。
  161. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 私も極貧の人間でありまして、苦学をいたしましたので、奨学金の制度には大変興味を持っている次第でございます。  ただいま上田議員の御指摘の日本育英会の有利子奨学金というふうなものでございますが、平成十一年度概算要求において、少子化対策としての教育費負担の軽減を図る、それは、今御指摘のように、非常に経済的に困ってきている家庭を救うために、そして学生が自立して学べるようにするために抜本的な改革、拡充を図ることを要求しているところでございます。  具体的には、貸与人員を拡充する。二番目に、貸与月額について、学生が幾つかの額、例えば大学、短大、専門学校の場合でございますと三万円、五万円、八万円、十万円というふうな額がございますが、その中から自分が希望する額を選択できるようにする。それから三番目に、貸与にかかわる学力基準及び家庭基準をかなり緩和するなどということを現在要求しているところでございます。  こういう点で、委員指摘のように、日本育英会の事業をさらに拡充するために、文部省といたしまして、この要求の実現に向け最大限の努力をさせていただきたいと思っております。
  162. 上田勇

    ○上田(勇)委員 ぜひお願いしたいと思いますが、私、文部省としてこの第三次補正予算において五百億円規模の奨学金事業の拡充を要求していたというふうに承知しておるのですが、残念ながら今回は計上されていないということであります。ということであれば、査定されたということなんでしょうけれども、こうした深刻な事態が多発している中で査定した理由というのは、私としてはちょっと理解に苦しむわけであります。補正予算がきょう採決でございますので、補正予算に追加というのは今からはもう遅いということでありましょうけれども、できれば、今文部大臣から御説明いただいたいろいろな運用の改善とともに、また、文部省においては十一年度の当初予算にもこの新規事業を要求しているというふうに伺っておりますので、それが十分な額が実現できるように、ひとつ文部大臣、それからまた、これは文部大臣の方から要求していただいて予算の、補正予算では査定をされてということでありますので、ひとつその辺、これは実現に向けて総理にもぜひ御尽力をしていただきたいというふうに思うわけであります。  ひとつ御見解をそれぞれ伺えればというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
  163. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 奨学金制度は、ますますその重要性が増しておると思っております。ただいま文部大臣からも御答弁ございましたが、政府としては、この問題につきましても将来にわたりまして十分検討し、これを受けられる方、すなわち将来の日本を支える学生たちが安心して勉学にいそしめるよう努力いたしたいと思います。
  164. 上田勇

    ○上田(勇)委員 ぜひ十一年度予算で実現できるように御要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  165. 中山正暉

    中山委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。  次に、鰐淵俊之君。
  166. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 私は、自由党の鰐淵でございます。  御案内のとおり、今、日本の経済、社会、国難ともいうべき時期にある、私もそのように認識しております。したがいまして、総理も、小渕内閣は日本再生内閣である、経済再生内閣である、こういうことをおっしゃったことはまさに当を得ておるのではないか、このように思います。  そこで、私はまず第一に、行政改革と財政投融資につきまして、これは通告がちょっと遅くなりましたが、この二点、総理並びに大蔵大臣に御質問したいと思っております。  その第一点は、確かに二十一世紀になりますと、社会経済システムの再構築の一環として、中央省庁の改編あるいは改革というものを推進すべきだ、私はそのように考えます。言ってみますと、今は国難ともいうべき時期ですので、経済の仕組みあるいは社会の仕組み、あるいはまた財政の仕組み、すべて、これは抜本的な、構造的な改革を要求されておる、私はこのように思うわけでございます。だからこそ、総理を初めとするトップの皆様方のリーダーシップというものは、かつてないほど要求されるであろう、こう思うのであります。  そこで、その一つでありますが、私が常々考えておりますのは、今中央省庁の再編が取りざたされておりますが、私たちの耳には、そのことがどうも性急ではないか、このように思うのです。なぜならば、機構の改革というのは、大きくする小さくするという改革は、まず一つは、それに伴って人員がどうなるのか、あるいはもう一つは、そこの省庁の持つ仕事がどのように変わっていくのか、あるいは国の仕事がどのように地方に移譲されるのか、そういったことがリンクされていかなければ、本当の意味で省庁の改編というものは余り意味がないのではないか、ただ事業官庁を一つにして巨大な事業官庁をつくるということでは非常に大きな問題がある、私はこのように思うわけでございます。  したがいまして、今の緊急課題を解決していくためには、この官庁の皆さんの持っているノウハウを十分政治家としてはまた活用していく、内閣としては十分活用していく。そういうことを考えますと、今官僚の皆様の中にも、この中央の再編が大変不協和音、どうも異質のような官庁が一緒になって、何かしら意思の疎通が欠けているような感を私はぬぐえないのであります。  同じ公共事業でも、海もあれば陸もあれば、道路もあれば河川もあればダムもあれば公園もある、住宅もある。同じ公共事業ではあるけれども、どうも仕事は異質である。それを一つにすればいいんだということではないと私は思うわけでありますが、そういった、中央官庁の活力を全くそいでしまうような再編を余り急ぐべきではない、私はこう考えるわけでございますが、その点につきましての総理の御見解をまず伺いたいと思います。
  167. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 中央官庁の改編が、今鰐淵委員指摘のように、行政に携わる役所の人たちの意欲をそいでしまうというようなことがあってはならぬことであります。  ただ、国民の目から見まして、従来それぞれの役所自体も、長い間旧来のシステムの中で過ごしてこられたことによりまして、時代の変遷に合わなくなっておるような点もありまして、今回大抜本的改革を行うということになったわけでございまして、御指摘はよくわかりますが、何はともあれ、法律として定まったこのことを実現していく。しかし、その過程においては、今御指摘のような点には十分留意しながらやっていかなければならぬという認識は同じゅうしております。
  168. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 私ども自由党では、今こそ抜本的な、構造的な改革をしていかなければ日本の再興は難しい、そう考えまして、この問題につきましても、特に国の総定員は十年で二五%カットする。あるいは地方の自治体の仕組み、制度ですね、これも三層制から二層制を考えて、本当に中央と地方というものが、中央でなければならない仕事、地方がやるべき仕事を明確にして、より住民に近いサービスは地方が責任を持ってやるんだ。そのためには、中央の税財源も地方に移譲していく、あるいは権限もなるべく地方に分権していく。そういう意味で、住民に近い方に、多くの住民と接触する仕事はなるべく省庁が持つのではなくて地方に移譲することが妥当であると私は考えているわけでございますので、どうかそういった点、十分御勘案をいただきたいと思います。  続きまして、財政投融資の問題でございます。このことにつきましては、昨今マスコミにおきましても大変多くの批判がございます。と申しますのは、財政投融資を活用するいわゆる特殊法人の失態あるいは不正事件、こういったものが絡みまして、どうも財政投融資につきましてのシステムに関する批判というものが増嵩しているのではないか、こう思うわけでございます。  したがいまして、行革の中でも、市場原理に徹する場合は、まずはなるべく財政投融資というものを活用すべきではない、こういった現象が見られると同時に、昨今は、むしろ貸し渋り等において、政府系金融機関、例えば開発銀行あるいは中小企業公庫あるいは東北開発公庫、こういったところの資金はどんどん財投をもって充てて、貸し渋りを大いに解消していくということで、これは財投について大いに活用しているわけであります。そうしますと、一概に財政投融資制度が悪い、市場原理に従ってなくするということについてはいかがなものか、私はこのように考えているわけでございます。  そこで、道路整備に一つ例をとりますと、道路も租税だけでやるということになりますと、今のように、非常に税収難でございます。したがいまして、税収難でございますから、この財投を活用することによって、民間の料金もいただくわけでありますが、そういった料金もいただいて、より早く国民に対して道路建設の希望といいますか期待、こういったものを満たしていく、そういう意味で、財政投融資を大いに活用していく方がはるかに効率よく道路の整備は進んでいく、私はこのように考えているところでございます。したがいまして、現下の厳しい状況を乗り切るために、あるいはまた将来の世代に社会資本を残していくためには、どうしてもこの財政投融資という政策手段を有効に活用していくべきである、こういうように私は考えているわけでございます。  そこで、財政投融資にかかわる大蔵省の理財局初め、事業官庁もそうですが、財投が悪であるということから、ここに携わっている方々の意思、つまり意欲も、どうも陰りがあるというか、後ろめたさを感ずるというか、そういうようなことであってはならない、私はそのように思うわけでございまして、やはり一生懸命そういったことに携わる職員の士気を大臣は啓蒙していく必要があるんではないか、こう思います。  そういう意味で、今後とも財政投融資というシステムを、将来とも国の政策として効果的あるいは効率的に活用していくべきである、こう思うわけでございますが、この点について大蔵大臣の御所見をお願いいたします。
  169. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いわゆる財投機関というものに問題がございましたことから発しまして、財投そのものが何かうさん臭いというような印象を世間が持たれる、その行政に当たる人たちがまたしたがって自信をなくすことがあってはならないということは、地方行政に長いこと御苦労されました鰐淵委員の今の御発言は、大変力づけられるものであるというふうに思います。  確かに、使いようによっては非常に大きな力を発揮するものでございますし、先ほど開銀の話がございましたが、開発銀行自身がかつて民業の圧迫をすると言われて、それで財投がへこんだ感じが、今度は、開発銀行はやはり中堅企業の融資の助けをしなければならないということからまた元気づくというようなところがございますので、おっしゃいますように、これから将来に向かって財投というものはどういう機能を果たすべきであるかということは、金額が大きゅうございますので、前向きに、自信を失わずに、新しく考えていくべき問題だというふうに考えております。
  170. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 今お聞きしますと、大体三百兆ほど財投の金が活用されておる。私も長い間市長をやりまして、随分財投資金を使いながら町の施設整備を非常に効果的にやらせていただきました。そのありがたさを十分知っておりますので、ぜひ、この財投に対しましては、やはりフェアにしかもオープンに、大いに国民にとってためになるような財投の使い方をひとつしていただきたい。  そこで、一つはこれはケースになりますが、財投の、主に大きく活用しておりますのは道路関係であります。これは道路財源もありますが、道路であります。特に、高速度道路の整備がやはり高速ネットワークの中で私は非常に重要だと思うわけでございます。しかし、まだまだこの高速ネットワークは日本の国土の中で十分対応されておると思っておりません。特に北海道などは非常にまだおくれております。供用率が二二%。  そういうことを考えますと、早くこの財投で整備を進めていくことが必要ではないか、このように思っておるわけでありますが、そのためにはやはり、国民負担がまたどんどん過重になってもいけない。そういう意味で、料金を上げないで採算性をとっていくということになれば、今までの、現行の財投の償還の期限というのは四十年ということになっておりますが、何とかこれを十年ほど延長しまして五十年に延長して、その中でも公的助成もひとつリンクをしていく、こういうことが必要ではないか、こう思うのですが、この点について大蔵大臣、いかがでしょうか。
  171. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 建設省でそういうことをお考えの点は承知をいたしておりますので、予算編成に関しまして、いろいろ御相談をいたしてみたいと考えております。
  172. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 ぜひひとつ、十分大蔵大臣、お考えをいただきまして、やはり、おくれた地方の高速ネットワークを少しでも早く完成していくようにぜひ御協力を賜りたい、このように思います。  続きまして、次は地方自治の方に参りたいと思いますが、御案内のとおり、今国の財政も非常に危機的状況であります。加えて、地方も大変な財政危機に見舞われております。そのために、今回の二十四兆の補正予算の中でも、地方の行う仕事につきましては全額国でもって手当てをしていただきましたから、地方にとっては大変ありがたいわけでありますが、こういうような手法はいつまでも続かない、私はこのように思うわけでございます。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、やはり地方にできるだけ税源も移譲する、あるいはまた権限も移譲していく、そして国は、本当に基本的な国家の仕事としてやるべきことを優先してやっていく、こういうことが必要ではないか、このように思うわけでございますが、そういった点で、総理大臣におかれましては、今の地方財政の実態というものをどのように今御認識をされておるのか、その点ひとつお伺いしたいと思います。
  173. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 地方財政は現在、我が国の経済の厳しい状況にありまして、多額の財源不足が続き、借入金が急増するなど、極めて厳しい状況にあることは認識をいたしております。  したがいまして、経済対策を着実に執行することによりまして、我が国経済を回復軌道に乗せるよう努めるとともに、毎年度の地方財政対策におきまして、地方税、地方交付税等の、必要な地方一般財源の確保に努め、地方財源の運営に支障が生じないよう適切に対処してまいりたいと考えております。  この点、政府といたしましても、地方団体と十分な連絡を密にしながら、双方、この厳しい経済環境は、地方のみならず国においても同様ではございますけれども、相助け合ってこの難局を乗り切るために努力をしていかなければならぬ、このように考えております。
  174. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 ぜひ総理の今の御認識を十分持っていただきまして、地方財政に深い配慮をいただきたい、このように思うわけでございます。  その中で、一般的に地方の税と国の税というのは、大体六割強は国が租税として取ります。それから地方が四割弱。実際、交付税が地方に行きますと、地方が二分の一、国二分の一。そして国庫補助金、国庫交付金が入りますと今度は逆転いたしまして、地方が六強の、政府の方は四割弱、こういうことになっているわけです。  したがいまして、この交付税というのは地方にとりましては大変大事な財源なのでありますが、残念ながらこれは国税三税の収入によって上がったり下がったりしますので、今のように大変財政が窮屈になってまいりますと、交付税の特会からどんどん借り入れをして、そして地方に持っていかなければいかぬ。今、実に特会の赤字も二十兆はもうはるかに超えておる、このように思います。  こういった大きな数字になりますと、本当に経済が再生しなければ地方も危機的状況にどんどん陥ってしまうということになりますので、今特に三カ年連続財源不足にありますので、その中で、地方交付税法の中にある条文からいたしますと、地方財政の制度、税制を変えていくというか、制度を変えていくということと、もう一つは交付税率を上げる、こういう二つの方法があると言っておりますが、制度を変える方はやっておるのですが、いまだに交付税率を上げることはなかなかやっておらない。したがって、不安定な方向で、制度はいつでも改正されますので、安定していないのですね。  したがって、地方六団体は、何とかこの交付税率を上げていただきたいという要望でございますが、この点、きのう地方行政委員会でも御質問いたしましたが、再度自治大臣、お願いしたいと思います。
  175. 西田司

    ○西田国務大臣 来年度の地方財政対策につきましては、ただいま御指摘がございましたように、地方税や地方交付税の原資となる国税五税の伸びが見込まれません。そういうことで、またその上に、公債費の増加等の状況の中で、当面の最大の課題である経済対策にも取り組んでいく必要があります。  そういうことを総合的に考えると、来年度の地方財政というのは極めて深刻である、このように認識をいたしております。十兆円を超える巨額の財源不足が起こってくるのではないか、かつてない極めて厳しいものだ、このように判断をいたしておるわけでございます。  そういうことから、平成十年度の地方財政対策において、御指摘がございました地方交付税法第六条の三第二項の規定の趣旨を踏まえまして、平成十年度から十二年までの三年間は、財源不足のうち、交付税対応分について国と地方が折半をして、そして補てんをしていこう、こういうような方向を当面考えておるわけでございます。  自治省といたしましては、以上申し上げましたような極めて厳しい地方財政の事情を踏まえつつ、よく関係当局とも意見の交換をし、将来の展望を見出していかなければいけない、このように考えております。
  176. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 私の時間もあと五、六分しかなくなりましたので、出しておりました質問の中で、介護保険を除いて少し割愛します。  最後、厚生大臣の方にお願いをいたしますが、御案内のとおり、介護保険は二〇〇〇年から行われるということで、それで準備をしておるわけでございますが、余りにも介護保険にかかわる問題が、それぞれ勉強すればするほど、地方にとってこれは大変なものだというぐあいに言われているわけであります。  一つは、果たして、二〇〇〇年に実施する場合に、その介護保険の該当者に対する需要が、基盤整備としてはっきりこれが達せられているのかどうか、あるいはマンパワーがちゃんとできているのかどうか、システムが全部整っているのかどうかということになりますと、町村会でもなかなか自信がない。あるいはまた、一部の地域についても、なかなかこの介護保険、実際具体的に実行する場合には難しい、こういうぐあいに言われているわけでございます。あるいはまた、介護保険のいわゆる保険料を徴収するということは、賦課がまず必要です。課税、賦課、徴収、未納処理、これは莫大なエネルギーが要ります。  まず一つは、国民健康保険というのがありますが、国民健康保険の未納者というのは、北海道は特に高いのでございますが、私の町では、大体最高いっても八五、六%、ことしは、ちょっと聞いてみましたら八三か四だ、札幌市でも大体そのくらい、そうしますと、一七%あるいは普通でも一五%、国民健康保険、未納なんです。  そうしますと、国民健康保険に三万円オンするわけですから、オンしますと、未納にオンしたってこれは未納になるんです。ですから、これは、その市でもって何億も未納額がふえるわけですね。しかも、三万円でそうです。しかし、今、実際、二〇〇〇年に実施いたしますと、高知県の知事の方では、高知県では大体四千円前後かかる、あるところでは六千円かかる、もう始まるときには三千円以上取らなければとてもやっていけない、こういう試算も出ているわけでございますが、こういった状態で果たして介護保険というものができるのかどうか。  私ども、党といたしましては、やはり目的税にして、介護とか基礎年金だとか老齢医療とか、こういったものは税で行うことによって、むしろ、今言った介護保険の負担、年金の負担、こういったものの負担を軽減することがより私はフィットした政策ではないか、こう考えているわけでございますが、この点について、厚生大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  177. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 委員の方から幾つか御指摘がございます。  逐次ちょっと申し上げたいと思いますが、まず国民健康保険料の未納の状況でございますが、確かに、平均的には九三%前後にはいっておりますが、市町村によってそれは非常に差があるということがございます。  確かに、今度の介護保険制度によって、いわゆる四十歳から六十五歳までの二号被保険者の保険料を徴収していただいて、オンしておいていただいて納めていただくという仕組みになっておりますが、確かに過重になるという点がございます。そういう点は、いろいろ市町村の方々に徴収の努力をしていただいておりますが、なお一層お願いしたいことと、どうしてもという場合は、また適切な収納対策を講じつつ、調整その他の措置も多少考えざるを得ないのかなというように思っております。  それから、基盤整備が不十分ではないかという点につきましては、一応私どもは、平成十年の予算におきましても、また、今度の補正予算におきましても特別枠をかなり利用いたしまして、例えば特別養護老人ホームで申しますと、ゴールドプランでいきますと十一年末には二十九万人分でいいということになっていますが、三十万人を達成できますから、これはさらに引き続き、市町村が介護事業計画というのをおつくりになりますから、その需要の実態調査を見まして、さらなる充実を図っていかなきゃいかぬなというように思っています。  それから、ホームヘルパー等につきましても、予定よりもオーバーして今のところ措置をいたすことができます。予定よりというのは、整備計画よりもですね。  それから、確かに、十二年の四月の実施は難しいのではないかという意見が全国町村会から十月に出されていることも承知いたしておりますが、これはいろいろの不安感が、新しい制度でございますからあろうかと思いますね。特に保険者たる市町村長さん方は、今のお話ではございませんが、国保の二の舞になっちゃって到底たえられるかどうかなという不安感はあると思いますので、仕組みとしては、公費で給付費の半分は全部見てやる、国は二五%、あと県等が見るわけです。そしてまた、二号被保険者といいました、今の四十歳から六十五歳まで、これはオール、保険組合から全部徴収いたしまして、それで全体の給付の三分の一は補てんしますから、実際は市町村の中で一七%の負担ということになりますけれども、そんな状況がありますから、私どもとしては、枠組みとしてはそうなっておりますが、なお引き続き、円滑な施行ができるように、今あとう限り努力させていただいております。  例えば、介護の認定業務の実際のモデルを全市町村にお願いしてやっておりますし、また、コンピューターによるチェックポイント、それを入力させて、認定が適正にいくようにとか、そのほかのいろいろな措置も講じておりますから、何としても実現にこぎつけたいと思っております。  今のところ予定を変更するつもりは全然ございませんが、町村会の方でも、同制度の施行準備が整わない場合は実施を延期することも考慮に入れてほしいということでございますので、私どもは、その責任を果たして、円滑にできるようにとにかく努力いたします。
  178. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 最後になりますが、次は三沢議員に引き継ぎますけれども、この介護保険は、私、調べれば調べるほど、非常に難しい問題がございます。今大臣いろいろ答弁がございましたが、これは私も後で厚生委員会でいろいろとまたお尋ねしたいと思っておりますけれども、やはり基本的に、保険あって介護なしと言われないような体制をきちっとつくっていかなければ、せっかく制度として始めたものが、かえって混乱を招いたり国民の不信を招いたりするということになってはせっかくの制度も生きてこないということになりますので、ぜひひとつ充実させるようにお願いしたいと思っております。  以上、私の質問を終わります。
  179. 中山正暉

    中山委員長 これにて鰐淵君の質疑は終了いたしました。  次に、三沢淳君。
  180. 三沢淳

    三沢委員 私は自由党の三沢淳です。  総理初め各大臣の皆様、きのうからの長時間、大変御苦労さまです。私にとりましては、この予算委員会、初登板でありまして、野球時代の巨人戦に初先発したような感じでありまして、きょうは大変思い出に残る一日になると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  税制問題や社会保障の問題、景気の問題、いろいろ皆さんから質問されていますけれども、私はやはり、スポーツの世界から政治の世界へ入らせていただきましたので、スポーツに関する質問を少ししていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  小渕総理は野球好きだということを聞きまして、大変うれしく思っております。ことしは横浜ベイスターズが三十八年ぶりに優勝いたしまして、こういう球団にも日が当たったということで、私も、野球経験者としましたら大変喜んでおります。  特に今、景気の問題がいろいろ言われているのですけれども、一球団が優勝したために七百億円の経済効果をもたらしたという、景気に対しても、スポーツの世界、この一チームが貢献している、スポーツも国民にとりましたら生活の一部になっていると言っても過言じゃないぐらいに大切なものだ、そういうふうに思っております。  その中で、まずは最初に、総理が野球好きということでひとつ聞いてみたいんですけれども、総理はどこのチームのファンなのか、そしてどうしてそのチームが好きなのか、その辺のところをまずはちょっと伺っておきたいと思います。
  181. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まず、先般は本会議でスポーツ界出身の旭道山議員の国会初土俵に立ち合わせていただきましたが、きょうは、国民的スポーツであります野球、その中で、プロ野球で現役時代百七勝という大記録を達成された三沢議員の下手投げの御質問をお受けいたします。私も、ぜひバッターとしてはホームランでお答えをしたい、こう思っております。  ただいまお尋ねの点ですが、小学生、中学生ころ、それぞれいろいろのプロ野球チームに大いに感動しておりました。我々の子供のころは、御案内のように、赤バット、青バット、こういう時代でございましたが。現在、プロ野球がこのような最盛期を迎えておられるということは大変うれしいことですし、今お話しのように、横浜が優勝して、あの地域の景気も大いに盛り上がっていると聞いておりまして、波及効果の大きさに改めて驚いた次第でございます。  結論から申し上げますと、今の段階でいいますと、三沢議員がおられた球団と言いたいところではありますが、すべからく我々は、それぞれにいいチームだな、こう考えておるわけでございます。
  182. 三沢淳

    三沢委員 はっきりと巨人ファンなら巨人ファンと言っていただけると……。ただ、私も中日の出身なものですから、それとトレードで日本ハムも参りましたので、ぜひセントラルは中日、パリーグは日本ハムを少しは目にとめておいていただきたい、そういうふうに思います。  そこで、今社会問題にもなっていますけれども、今度のドラフトの問題でいろいろな悲しい事件が起きてまいりまして、このドラフト制度、大変これは、入る選手側、チームを持っている球団側、それぞれの思いがありまして、この制度は歴史の中でいろいろな方法をとってまいりましたけれども、本当に何が一番いいのか、これから球界で物すごく議論されていくんじゃないか、そういうふうに思っております。  なかなか政治が球界に口を出すことはできないかもわかりませんけれども、ぜひ、やはり日本のリーダーでありますので、総理初め、そしてこういう問題は文部大臣に一言感想を聞かせていただきたい、そういうふうに思っております。  やはり野球は、野球に限らずほかのスポーツもそうなんですけれども、何がすばらしいかといいましたら、ルールを守って行う、これが一番好かれるところじゃないか。一つのルールをかたくなに守ってプレーをする、これが一番人気のあるところじゃないか、そういうふうに思っております。  そして、サラリーマンの方の一生分を短期間に、十数年で稼いでしまう、こういう魅力もありますし、子供たちに夢を与える競技でもあると思われますので、その辺のところで、今問題になっていることを何とかやはり解決していかなきゃいけないんじゃないか。入る選手も採る球団側も本当にすんなりと、野球発展のためにこのドラフトというのがなければいけないと思われますので、大変難しい、球界には口は突っ込めないかもわかりませんけれども、総理の御意見、そして文部大臣の御意見、御感想をちょっと伺わせていただきたいと思います。
  183. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 プロ野球でいいますと、今二リーグ制をとっておられます。それぞれのリーグも発展しなければならぬし、それぞれに所属する球団もそれぞれ優勝を目指して活躍をしておるわけですが、かねて議員は、ウエーバー方式と言うんですか、こういう方式を御主張されているように聞いておりますが、このドラフト制度がなかった時代を考えますと、ある球団が大変な力を持っておりまして、また人気もあるというようなことで、優秀な選手が皆そこに集まってくる。そうしますと、リーグの中ではひとり勝ちということになりますと、プロ野球全体の発展から考えるとまたどうかなという気があります。  恐らく、ドラフト制度というのが起こってきましたのは、そういうことも配慮しながら、それぞれの選手がそれぞれの球団に、ある意味では自分の思いどおり、最終的にはなるのでしょうけれども、時には抽せんというような形で選ばれていくという制度については、いろいろと問題なしとしないとは思います。思いますけれども、それ以外の道があるのかなということを考えますと、結局、長年の経験の上で、プロ野球全体の発展という観点からこうした制度は生まれて、これが実行されているのではないかと私は今思っておる次第でございます。
  184. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 今、総理がお答えになられたとおりであろうかと思います。  やはり、スポーツをフェアにやっていく、野球をフェアにやっていくという意味で、ドラフト制度というのが、プロ野球十二球団で構成されている日本プロフェッショナル野球組織において、ほかの野球の関係者の意向も踏まえつつ自主的に定めておられるということで、私は、皆さんの、この野球組織の方々の良識を信じているところです。これで、いい選手が公平に各球団に所属するようになることはいいことではないかと思っております。
  185. 三沢淳

    三沢委員 これはちょっと通告していなかったのですけれども、これに絡みまして、もう一つ。  野球界、今、野茂投手にしろ伊良部投手にしろ、アメリカのメジャーリーグに行って大変日本の選手が頑張っております。米国の球団も、この前、ソーサとかマグワイアとか、すばらしい、アメリカの子供や世界じゅうに夢を与える選手がすごい記録を打ち立てまして、ソーサも来まして日本のファンも喜びました。  これから問題なのは、アメリカのチームもふえています。そして、日本もいい選手が欲しい。そういう中で、ドラフトをしていかなきゃならない。アメリカもドラフトがあります。日本もドラフトがあります。そして、アメリカだけではありません。韓国もプロチームがあります。韓国は経済が非常に今落ちていますので、選手がどんどん、中日にも三人来ています。韓国の中心の選手です。こういう選手が抜けましたら、韓国野球界というのは大分響いているそうなんです。これから、アメリカの野球、日本の野球、そして韓国の野球、台湾もあります。この辺のところで、選手のとり合いのいざこざ、これは政治の問題、外交の問題になってくるのですけれども、スポーツが絡んで外交の問題へ発展するおそれもなきにしもあらずと思っております。  特にスポーツというのは、政治的な外交以外にも、名古屋でも、ピンポン外交というのが昔中国でありましたけれども、スポーツでも外交はできると思います。スポーツでも外交がこじれる場合があるのではないか。  特にこれから、アメリカとの、大リーグとの選手の、今度上原投手が巨人に入りましたけれども、巨人におさまったのですけれども、これから、大リーグに行きたいという、この辺の問題、非常に私も難しい問題でまだちょっとわからないのですけれども、これがちょっといざこざが起きてくるおそれがあると思われます。  その辺のことについて、アメリカとの、韓国との、台湾との、外務大臣、まして総理も、御意見をちょっと伺わせていただきたいな、そういうふうに思います。
  186. 高村正彦

    ○高村国務大臣 質問通告がございませんので、制度等々全く知らないことを前提にお答えいたしますと、私は、それは、それぞれの、個人の自由が最大限に発揮できるようにするのがいい、こういうふうに思っております。全く個人的見解でありますが、ドラフト制は余り好きではありません。  ちなみに、私はジャイアンツファンではありません。
  187. 三沢淳

    三沢委員 ありがとうございます。はっきりした御意見を聞きまして、こういう答えを返していただきたいと思います。総理にもお伺いしたいのですけれども、外務大臣がお答えいただきました。  確かに、ドラフトというのは、私もウエーバー方式で中日に三位に指名されまして、本当にこれは難しい問題でして、選手は自由なところへ入りたい。でも、自由になれば、裕福な球団、人気のある球団に集中してしまう、いろいろなバランスが崩れてしまうという大変な問題がありまして、この問題は必ずこれから日米、日韓、日台、いろいろ出てくると思いますので、その辺のところを、指導といったらなかなか政治が介入できませんけれども、もしまた一つの方針として御意見が出れば球界の方も検討されるんじゃないか、そういうふうに思います。  それと、文部大臣にお伺いしたいのですけれども、この前のオリンピックでは、プロのバスケットチームがアメリカンドリームをつくりまして、すばらしいゲームを見せていただきました。オリンピックにプロの選手が入って、テニスでも、グラフとか出て、オリンピックですばらしいプレーを見せてくれました。  野球の問題で、これからいろいろ問題になってくると思われるのですけれども、日本はアマチュアを中心に外国に出す、しかし、台湾は、韓国はプロの選手を中心にオリンピックに出す、この辺の問題。プロのチームといたしましても、秋にオリンピックがあれば、ペナントレースの一番最終段階に入っていますのでなかなかレギュラークラスを出せない、こういう問題が出てまいりますけれども、その辺のところの御感想をちょっとお伺いしたいと思います。
  188. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 今すぐにはっきりとお答えする力は持っておりません。しかしながら、多くの国々でどういうやり方をやっていくかということをやはりよく見て、そして、日本もそれに不利にならないようにやっていかなければならないと思っています。  私の理解では、野球もオリンピックの正式な種目として採用され、また、シドニーのオリンピックからはプロの選手も参加できるようになったと承知しております。そこでプロとアマの交流が盛んになるということは、スポーツの振興にとって非常に必要なことと私も認識しております。  しかし、今御指摘のような日本の方針、諸外国の方針との違いにおける不公平さが出てくることもまずいことでありますので、これは慎重に検討していくべきではないかと思っています。  それから、先ほど外務大臣がお答えになられたこと、ちょっと私の感想を申し上げます。  かつて日本のすぐれた研究者がアメリカにとられてしまったことがありました。頭脳流出ということであります。これはやはり、日本の経済が弱かったときにはそれが起こりましたけれども、日本の経済が強くなったときに戻ってくる人が大勢おりました。同じように、野球選手などでもそういうことが起こり得るだろうと思います。やはり日本の国力を強くしていくことが一番大切だと思っております。  感想を申し上げました。
  189. 三沢淳

    三沢委員 オリンピックに出るのなら、やはり国に、日の丸をつけて参加するものですから、これは勝ってほしいというのが日本人として当たり前だと思いますので、出る以上はやはり勝てるチームをつくっていってほしいなというのが私の感想であります。これも文部大臣がなかなか口を挟む問題ではないかもわかりませんけれども、やはり指導性というのに関しましては影響があるんじゃないか、そういうふうに思っております。  それともう一つ、もう一遍外務大臣に戻りますけれども、今、日本もキューバとの国交もありますけれども、実は野球に限らず、キューバの選手というのはすごくスポーツ万能な人たちが多くて、特に野球では、ぜひメジャーリーグとか日本の野球に来てプレーをしてほしい、子供に夢を与えてほしいというようなすばらしい選手がたくさんいるんです。これは他国の問題でなかなか口を挟めないかもわかりませんけれども、そういう選手が世界で活躍できるように、特に日本で活躍できるように国と国との努力はできるものかどうか。大変これは難しくて、他国の問題に口を挟むことはできないかもわかりませんけれども、ちょっと御感想を聞かせていただければ、そういうふうに思います。
  190. 高村正彦

    ○高村国務大臣 私は、キューバのある偉い方に、キューバのすばらしい選手が日本で活躍できるようにしたらどうですかと申し上げたことがあるわけでありますが、その方は、キューバの選手は自国の名誉のために野球をやりたがっている、こういうお答えでありました。  それはそれとして、日本でキューバのすばらしい選手が活躍できることがあればそれは大変いいことだ、こういうふうに思っております。
  191. 三沢淳

    三沢委員 ぜひ努力をされまして、すばらしいプレーを、埋もれているというのはもったいないと思いますので、本当に野球少年に与える影響は絶大だと思いますので、できましたら少しでも頭に入れておかれまして、ぜひ御努力をしていただければ、そういうふうに思っております。  続きまして、スポーツ振興で文部大臣にお伺いしたいんですけれども、サッカーくじが、実は二〇〇〇年をめどに発売されるという、くじの法案ができたわけですけれども、実は今スポーツの世界は、アマチュアも特にそうなんですけれども、景気の動向とスポーツの動向が同じような感じでして、今、大体企業が持っているチームが多いんですけれども、景気が悪いですから、どうしてもそのチームを廃部してしまうという、そのようなところが出てきています。  スポーツというのは、たかがスポーツと思われるかもわかりませんけれども、実は国民にとりましては健康維持、お年寄りにとりましては、一兆円という今医療費負担がかかっていると聞きますけれども、やはり予防医学をしていかなきゃいけない、そういうためには運動というのは必要でありますし、それと同時に、やはり青少年の育成のためには必要なことだと思います。そして、何より生活の活力、スポーツが衰退するということは、生活の活力が奪われる。  特に、もう一つは、海外に出まして日本人が活躍することによって、日の丸をつけて出ることによって、やはり愛国心が生まれてくるんじゃないか。海外へ出て日本人が頑張ることによって、ああ、日本人が外国で頑張っているんだ、日本人が頑張って、すばらしい能力があるんだという、これも勉強以外でひとつ子供たちが愛国心を学ぶのにいいんじゃないか、そういうふうに思いまして、スポーツが衰退するのもよくないんじゃないか、そういうふうに思っております。  そこで、このサッカーくじですけれども、保健体育審議会等で議論が続けられまして、この前は、総売り上げが、コンビニの発売も入れて大体千八百億円の売り上げがあると出されたわけですけれども、最近状況が変わりまして、コンビニでは売らないということになりましたけれども、この辺の、せっかく法案ができたんでしたら、やはりスポーツ振興のために、そういうところに貢献できるものですから、財源をしっかりふやしていかないといけないんじゃないか、そういうふうに思っております。  そこで、今、どこで、だれにより、幾らの売り上げを想定しているのか、そして、体育関係に幾ら充てるのか、現状の見通し、今後のスケジュールなどをちょっとお教えいただければ、そういうふうに思います。
  192. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 まず、コンビニをやらない場合にどうなるかということでございますけれども、調査をいたしましたときには、確かに発売場所としてコンビニエンスストアを希望する人の割合が非常に多くありました。しかしながら、購入意欲の調査をいたしましたところでは、その調査を行ったときには、別にコンビニエンスストアで売るということを具体的に考えて調査したわけではございません。したがいまして、私どもは、コンビニエンスストアを仮に発売場所としなくても、先ほど御指摘の売上額は小さくならないと考えている次第であります。  今後、さらにどういうところで売っていくかということでございますけれども、日本体育・学校健康センターにおきましては、スポーツ振興くじの実施の準備のために、八月当時から、資料提供、招請相談窓口を開催しております。これまでに金融関係を初め販売業務、情報処理業務、消耗品等供給業務、広報宣伝業務など、多岐にわたる業務に関心を持つ会社など、約百社が提案を行ったり相談に訪れてまいっております。  この中で、どの企業が販売候補となるかという点につきましては、今後、金融機関を選定する際に行います公開の提案競技に提案されてくるものでありまして、現段階では全く白紙の状態でございます。  販売関係につきましては、個別の企業名はここで申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、業種としては、ガソリンスタンド、たばこ販売所、酒類の販売所、鉄道会社、チケット販売会社、旅行代理店などが窓口を訪問していると報告を受けております。  こういうふうなことで、せっかくスポーツ振興くじを行うわけでありますから、これがうまくいって、スポーツに対して貢献が得られるようにしたいと思っております。
  193. 三沢淳

    三沢委員 ぜひ早く実施してほしい、そういうふうに思います。  くじにはいろいろ批判もあるのですけれども、やはり予防医療、医学に関しましたら、スポーツというのは、こういうところに使えばお年寄りの健康も維持できますし、青少年の育成もできますし、そういうことを早く実施してあげれば国民の皆さんも納得できるものがあるのじゃないかと思われますので、早期に努力をされまして早く実施していただければ、そういうふうに思っております。  スポーツ関係の話題はこれぐらいにいたしまして、続きまして、私の選挙区でいろいろ問題になっている貸し渋りに関しまして、いろいろな議員先生方が今質問されていますけれども、私も少し質問してみたいと思いますので、よろしくお願いします。  自由党が主張しておりました信用保証の融資、自民党さんとの政策協議があり、総理が推進されまして、融資枠二十兆円のこの特別枠は、名古屋の方でも大好評でして、本当に助かっているという方がたくさん出てまいりました。この開始から二カ月で七兆二千億円の実績が出たと言われておりまして、本当にいい政策を打たれた、そういうふうに思っておりますが、確かに年末、正月前ということもあるかもわかりませんけれども、このままいった場合に、追加枠のお考えがあるのか、そのままこの二十兆円の枠で終わるのか、その辺のところを通産大臣にお聞きしたいのです。
  194. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 現在まで、先生のお話がありましたように、既に審査が済んで保証を付与したところが三十万件を超えまして、金額にいたしましても、先生が御指摘のように七兆二千億を超えました。  これは現在進行中でございますし、また、資金の問題としては、十二月というのは中小企業にとりまして従来から資金繰りが大変な月でございます。こういうときですから、恐らく、十二月に関しましてもこの保証枠を利用される方が非常にふえるのだろうと思います。したがいまして、それぞれの県の保証協会は、今事務処理を全力でやっておりまして、きちんとした対応をするべく努力をしている最中でございます。  そこで、先生の御質問は、その二十兆の保証枠を設定したけれども、使い切った場合はどうするのかということでございますが、使い切るまではまだ相当時間があると思います。あると思いますが、仮に、それを使い切ってなおかつ貸し渋りがいまだ消えていない、将来そのような状況であれば、中小企業に対する金融をどうするべきかということは、適宜適切に今の保証の特別枠を含めて全体として当然考えていかなければならない。その場合には、当然、保証枠の拡大ということも大蔵省にお願いをする、こういうことになるわけだと私は思っております。
  195. 三沢淳

    三沢委員 今の貸し渋りがなくなりまして、たくさんの中小企業の方が借りられて、会社が本当によくなるようになれば、一番うれしいように思っております。  特に、この勢いでいろいろ企業の方が借りていただければ、本当に随分助かるし、会社も、日本の経済にも随分影響してくるんじゃないか、そういうふうに思っています。  本当にそこまで、第二、第三の追加枠が出るぐらいならいいんですけれども、実は私の選挙区でも、何度もいろいろな先生方が言われていましたけれども、保証された融資による貸付金を銀行が回収し既存の借入金返済に充てていたり、預金をしろと迫ったりするのが名古屋の方でも起きていまして、ある零細企業の借りられた方からそういうお話を実際に現場を回りましたら伺っておりますので、ぜひこの辺のところは金融監督庁の御指導をしていただきまして、こういうことがなくなれば、本当に追加ができるぐらいに中小企業が助かるんじゃないか、そういうふうに思っております。  そこで、今名古屋では、信用保証の申し込みが中小企業センターというところ一カ所だけでして、大行列ができております。そうした、朝から並んでも全然だめだったという話は随分聞くのですけれども。それと、自由党のアンケートでは、申請書類が多過ぎるということと審査日数が長いということの声が高かったのですけれども、これらの運用上の問題も正していただければと思いますけれども、その辺のことについてよろしくお願いします。
  196. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 この制度を発足するに当たりまして、自治省にも御協力をいただいて、また各県にいろいろ話をしていただきまして、各県も商工部を中心に、この保証枠を迅速にうまく利用しようということで体制をつくってくださいました。  一つは、こういう保証制度ができたということを全体に知らせていただくということのほかに、やはり今先生御指摘のように、各県とも窓口に人が殺到しております。大阪の例ですと、十一月の中旬ぐらいでちょっと古いのですが、一日六百件近く申し込みがあって、実際の事務処理能力というのは一日五百数十件ということで、やはりどうしても数十件ずつ残ってしまうということです。そういうことでございますが、今は保証協会も、保証協会を既にやめて現場を離れている方々にも職場に復帰をしていただいて事務処理をやっております。  いずれにしましても、現場では誠心誠意やっております。まだ足りないところがございましたら、ぜひ県の商工部あるいは通産局あるいは商工会、商工会議所等、すべて相談に乗る態勢になっておりますので、御遠慮なく、そういう方々はそういう場所に御相談をしていただきたいと思っております。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕
  197. 三沢淳

    三沢委員 どうもありがとうございました。  これで質問を終わらせていただきますが、最後に総理に、やはり一国のトップ、リーダーですから、先見性と決断力と信念を持ってこの苦しい時期を乗り越えていただきたい、そういうふうに思いますので、どうかしっかり頑張っていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  198. 臼井日出男

    ○臼井委員長代理 これにて三沢君の質疑は終了いたしました。  次に、矢島恒夫君。
  199. 矢島恒夫

    矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。私は、まず昨日来いろいろと本委員会でも問題になっております貸し渋りの問題で質問したいと思います。  このたびの第三次補正、緊急経済対策を見ますと、貸し渋り対策が大きな目玉となっていると思います。八月二十八日の閣議決定では、信用保証として二十兆円、それから政府系金融機関で二十兆円、総額四十兆円が中小企業に対する貸し渋り対策ということで計上されました。まさに大変思い切った額だと私は思うわけです。今もお話がありましたけれども、十月一日から始まりましたら、この特別枠の受け付けということで全国の窓口に利用者が殺到する、十月の一カ月だけで申し込み件数が約十万件、十一月が二十一万件という規模になっている。  そこで、通産大臣にお尋ねするわけですが、通産大臣、これは九月十八日の衆議院の商工委員会で我が党の吉井議員質問に答えた中で、今回の保証枠の拡大というのは、いわば新規の融資枠と申しますか、そういうことを目指しているわけでございます、こうお答えになりました。  大臣の言われるこの新規の融資枠、それと現在の金融機関の融資額の伸び、これについて大臣は今どのように認識されているか、お聞きしたいと思います。
  200. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 先生の御質問を完全に理解しているかどうかわかりませんが、そのとき申し上げましたのは二つ意味がございまして、一つは、今回の保証制度の新規枠というのは、従来の考え方と全く違った制度設計をしているということが第一点でございます。  これはもう先生よく御存じですが、従来ですと代位弁済率を大体二%ぐらいにとってリスクの計算をしておりましたけれども、新しい保証枠ではリスクのとり方をやや大胆にとる必要があるだろうということで、大体代位弁済率を一〇%という水準で審査をしております。そういう意味では、今までとは違ったという意味では新規枠という言葉を使わせていただいたわけです。  それともう一つは、今問題になっておりますように、銀行がみずからの債権を回収するためにこの保証枠を使っていただくということではなくて、中小企業が、運転資金であれ、あるいは設備資金であれ、みずから中小企業の経営に必要な新たな資金を獲得するための融資枠でございますということを申し上げたつもりでございます。
  201. 矢島恒夫

    矢島委員 その後半に言われた、いわゆる銀行が自分のリスクを保証協会につけかえるということなどがあってはならないというのも同じ答弁の中で出ております。  私がお聞きしたのは、そういうことがあるので、実は借りたい大勢の中小業者がいる、そしてこの貸し出しが行われているけれども、実際に金融機関の融資額というのはどれだけ伸びているのだろうか、本当にそれだけの必要な人たちに十分融資されているのだろうか。それは、今大臣が言われた後半の部分の影響が非常に全国各地で起きているということを考えるからなんです。  そこで、日銀に来てもらっていると思うのですけれども、中小企業向けの貸し出し調査結果、これがどうなっているか、お聞きしたいと思います。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
  202. 村山昇作

    村山参考人 お答え申し上げます。  御質問の国内銀行の中小企業向け貸し出しでございますが、昨年の末あたりから数字を申し上げますと、中小企業向け、昨年十二月末は、前年比で申し上げますとマイナス一・三%でございました。その後三月末はマイナス三・三%、さらに六月はマイナス二・八%、この九月末、これは最新の計数でございますが、マイナス四・〇という数字になってございます。
  203. 矢島恒夫

    矢島委員 今、日銀の方から言われたように、それぞれ大変なマイナスの数値が出ています。残念ながら十月分というのはまだ出ていないということですので、実際にこの特別枠が開始された以降どうなっているかというのはこれからのことになりますけれども、全信連の調査でもマイナス〇・七八という数字も出ております。  そこで私、お聞きしたいのは、十月、十一月の二カ月間で三十一万件、承諾額は約七兆二千億円、こういうことになっていると思いますが、これに見合うだけの貸出額といいますか、これがあっていいわけなんだけれども、実態はどうもそうなっていないという点について幾つかお尋ねしたいわけです。  それは、実は、先ほど大臣も御答弁の中にありました、少なくとも、銀行が自分のリスクを保証協会につけかえるなんということがあってはならないというその部分の問題ということになろうかと思います。マスコミでも報道されましたし、本委員会でも既に問題になっておりますけれども、金融監督庁に聞きます。  済みませんが、資料を配っていただけますか。  金融監督庁は、問題になった横浜銀行、十月六日付の文書、これを入手しておりますか。
  204. 日野正晴

    ○日野政府委員 ただいまの、十月六日付でございますか、入手しております。
  205. 矢島恒夫

    矢島委員 今配付してもらっております資料ですが、その一ページから三ページまで、これが横浜銀行の十月六日付の文書そのものであります。  一ページ目には、アンダーラインを引いてありますが、本制度を貸出資産内容健全化の千載一遇のチャンスとか、あるいは、二ページ目に行きますと、格付の問題で、「信用与信圧縮のために、徹底的に活用する。」アンダーラインを引いてあるところですけれども、そういうような中身がありますが、金融監督庁、こういう表現についてどのように把握していましたか。
  206. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  中小企業の特別保証制度というのは、先日来御議論ございますように、中小企業に対する金融機関の信用供与の円滑化ということが目的とされているのでございまして、その目的からはみ出した表現になっているということは事実だと存じます。
  207. 矢島恒夫

    矢島委員 まだこれから後聞いていきますが、報道によりますと、横浜銀行は不適切な表現を撤回したというように聞いております。不適切な表現というのはどこを撤回し、撤回後の文書、中身について問題はないのか、その辺、監督庁、把握しておりますか。
  208. 日野正晴

    ○日野政府委員 御指摘文書につきまして、横浜銀行が、不適切な表現であったということでこれを撤回して、新しい通知といいますか、そういったものを出したというふうに承知しております。
  209. 矢島恒夫

    矢島委員 そうすると、まだその新しい文書というものについては監督庁は入手していない、こういうことですか。
  210. 日野正晴

    ○日野政府委員 入手しております。
  211. 矢島恒夫

    矢島委員 そこで私、先ほど質問の中で、不適切な表現を撤回した、こう言うんだけれども、どこを撤回し、そして撤回の中身に問題はないのかということをお尋ねしたわけです。
  212. 日野正晴

    ○日野政府委員 新しい文章を全部御紹介すると、結構長い文章になっておりますので、この場ではそれを述べるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、横浜銀行に対しましては、昨日付で、銀行法二十四条第一項に基づきまして、事実関係について至急報告するよう求めておりまして、この結果を踏まえました上で適切な措置を講ずることとしたいと考えております。
  213. 矢島恒夫

    矢島委員 千載一遇の機会というふうな言葉が今まで、これは撤回したのかどうか、その辺については、中身の問題はまだ長官は答えてなかったのですが、この言葉を聞きますと、総理もそうだろうと思いますが、二十五年前を思い出すのです。あの石油ショックの際の物不足の中で、ゼネラル石油の内部文書がまさに千載一遇の、あのときはチャンスと書いてあったのです、これは千載一遇の機会、こうなっていますけれども。大変な内容だと私は思うわけなんです。人の弱みにつけ込んで、そして自分のもうけだけを求める、いわゆる悪徳商法そのものだというわけです。  しかも、私、総理にお尋ねするわけなんですが、そういうことをやっている横浜銀行の頭取というのは、ずうっと大蔵事務次官の指定席になっているのですね。この間、現在の頭取もそうですけれども、十一年間ずうっと大蔵事務次官、その前も調べれば出てくるかもしれませんが、頭取をやっているのです。こういう大蔵省のトップにいた人、こういう人がこの制度を悪用するというようなことはとんでもないことだと思うのです。ぜひひとつ厳重に対処してもらいたいと思うのですが、大臣、いかがですか。
  214. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 委員指摘ありましたように、私もこれを拝見しておりまして、あの石油ショックのときに飽くなき追求をされた業界の、そのとき有名になった言葉だと理解しておりまして、今日なおこうした言葉がまた使われるというようなことは、大変残念のきわみでございますと同時に、しばしば申し上げておりますように、今回の中小企業金融安定化特別保証制度、先ほど来、この制度そのものについては各党からも、政府のこうした態度に対して御理解とまた評価もいただいておる中で、現実にこれに対処される金融機関がこのような態度をもって中小企業、すなわち債務を負っている方々に対応するということはもってのほかだというふうに認識をいたしております。  たまたま今、頭取の経歴が出ました。確かにそういう経歴の方がトップを務めておると思いますが、私は、善意に考えれば、こうしたトップ自身がこうした事態を十分熟知しているかどうかについては定かではありませんけれども、しかし、経営の責任者として、かつまた金融機関がこうした厳しい環境の中で何とか中小企業を救済しようという、こういう努力の中で、こうしたことが事実であるとすれば、お金を融資しなければならない金融機関が社会的責任を果たしておるのかという、そういう憤りさえ実は感ずるわけでございまして、こうしたことで先般も、第二地銀、地銀も含めまして、都市銀行のみならず、すべての金融機関に政府としての通達を出していきたいということを答弁しましたが、さらに徹底のできるようにいたしていかなければならない、私も痛感いたしておる次第でございます。
  215. 矢島恒夫

    矢島委員 もちろん、こうしたやり方をしているのは、横浜銀行がたまたまマスコミでも取り上げられたりしたという点で、そこだけではないのですね。  金融監督庁、都銀を調査したという答弁がありました。都銀十八行で十九億円の振りかえがあった、こういう内容だったと思います。そんなに少ないのか、どうもこれが信用できる数字なのか、私、いわゆる同意書添付だけの数字ではないか、このように思うんです。つまり、問題は、都銀で借りる側の同意書をとらないで振りかえるケース、これが横行しているわけですけれども、この数字というのは同意書つきのものを言っておるんですか。その点を確かめたいと思うのです。
  216. 日野正晴

    ○日野政府委員 おっしゃるとおりの御報告でございます。
  217. 矢島恒夫

    矢島委員 だからこんな十九億円などという数字が出てきたんだと思うんです。  私、東京都で調べたんです。これは十月末の件数になっております。振りかえ件数というのが承諾数全体の約三%、こう出ております。十月末の承諾の金額を見ますと、全国で二兆六千億円ぐらいになると思います。そこで、都銀が十九億円ということは、わずかそれの〇・〇七%にすぎないわけです。残りの二・〇三%分というのは、大体七百六十億円程度になるかと思いますが、信金や地銀の分ということになってしまう、このまま計算したら。だから、なぜこんなふうな数字になったかといえば、これは実際に調査の段階で、先ほど言われたように同意書つきだけで行っている内容だからだと思う。都銀の中小企業分野へのシェアは約三割、都銀の振りかえがこんなに少ないというわけはない。その点の調査はどう考えていらっしゃいますか。
  218. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  この十九億円の数字でございますが、これは実は十月だけの数字でございまして、十一月に入ってからの数字はまだ集めておりませんので、そういう前提でお聞き願いたいと思います。  昨日来申し上げておりますが、実は私どもは大手十八行についてだけ調査をしておりましたが、昨日来の情勢もございますので、やはり地銀、第二地銀も調査してみないと、この数字が果たして正しいかどうかということは、今のところちょっと申し上げられません。全体が把握できるような状態になりましたならば、先ほどから通産大臣がお答えになっております数字と合わせまして、果たして銀行の方の報告が正しいかどうかということがおのずからわかってくると思いますが、現在の段階では、そういった前提つきの数字だということで御理解いただければありがたいと思います。
  219. 矢島恒夫

    矢島委員 ですから、私も十月末の数字で先ほどの質問はつくったわけでございますから、その十月末ということについては一致しているんですが、ただ、こんなに少ないわけがない。恐らく振りかえ、つけかえという形が同意書なしに行われている、そういう事態がこんな結果にあらわれてきているんではないか。  というのは、都銀のつけかえ事例というのはいっぱい出されているんですね。全部話しますと私の持ち時間がなくなってしまいますから、幾つか言います。これは大阪で調べた結果です。東海銀行やさくら銀行、その他六つの銀行についてその内部で内部調査をしました。こういうのがあります。ある銀行、九八年度下期の営業方針の重点課題として、全支店が顧客をリストアップし、プロパー融資を保証つき融資に切りかえるセールスを展開しなきゃならない。あるもう一つの銀行、これは支店長への心得というのを出しておりますが、その心得の中に、債権回収にちゅうちょしてはならない、当行が引けば、自分の銀行ですね、引けば倒産の引き金を引くかもしれないと心配する前に、当行の回収を最大にすることを優先しなければならない。とんでもないものを出している。  だから、都銀が十九億円というのは、先ほども私言いましたように、これは本人の同意書をつけたものだけだからこういう結果になったので、本当に自分の債権と振りかえてしまっている事態というものを十分調査していかなきゃならないんじゃないか。やはり私は、通産大臣、こういうことは野放しにしておくわけにいかないと思うんですが、大臣のお考えをお聞きします。
  220. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 銀行がお行儀が悪いというのは、先生の御指摘のとおりだろうと私は思っております。そこで、私どもとしては、せっかくこういう特別枠をつくって中小企業に円滑に資金が流れるようにした。今の文書にもございますが、それにつけ込んでみずから持っている債権を回収しようということは、銀行の本来の健全な業務とはおよそかけ離れたことであって、私はそういうことを放置してはいけないと思っております。  したがいまして、これは中小企業庁を初め、金融監督庁あるいは各県の商工部等もございますので力を合わせまして、そういうことが起きないように厳重に監視の目を光らせる必要があると思っております。
  221. 矢島恒夫

    矢島委員 監督庁、都市銀行に対する調査をそういう本人の同意書だけに絞らないで、そういう中でやっている資金回収、こういうのもひとつ徹底的に調べるということ。  それからもう一つは、野中官房長官がこういう発言をされておりました。モラルのない銀行については金融機関名を公表する、資金注入をストップする、あるいは住宅金融公庫の業務取り扱い停止などの制裁措置をすべきだという発言がありますが、金融監督庁としてどうですか、こういうものを具体化するというお考えはありますか。
  222. 日野正晴

    ○日野政府委員 官房長官の御発言のとおりでございまして、金融機関は、その業務の公共性にかんがみまして業務の健全かつ適切な運営を図る必要がありまして、いやしくも信用保証協会の保証制度の趣旨を逸脱するようなことがあっては絶対にならないというふうに考えております。  先ほど来申し上げておりますように、私どもは、そういった観点から、都銀主要十八行の調査を初めといたしまして、地銀、第二地銀の調査も開始いたしましたし、また、その結果によっては適切な措置を講じていきたいと思いますし、さらに一層、先ほど先生がおっしゃいましたように都銀の十九億円で果たしてそれが正しいかどうかといった観点も頭に入れながら、調査を続行していきたいと考えております。
  223. 矢島恒夫

    矢島委員 総理、今やりとりをやってまいりました。週刊誌なんですが、こういうことを書いている。金融機関が特別保証制度を貸出資金の健全化と、債権保全の手段にしているのは疑うべくもない、信用保証協会の代位弁済の不足額は国が補てんする、第二の公的資金注入がひそかに、しかし組織的に行われつつある、こんな報道もあるんです。事は非常に重大になっております。  今、通産大臣やあるいは監督庁からの答弁もございました。ひとつ、例えば公的資金を引き揚げるとかあるいは業務改善命令を出すとか、相当の決意を持ってやるべきだ、そうしてこそ国民のこの問題についての信頼を回復するだろうと思うのです。いかがでしょうか。決意をお伺いいたします。
  224. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 あらゆる手法を通じて、罰則があればこれを適用して、こうしたことのないように徹底をいたしてまいりたいと考えております。
  225. 矢島恒夫

    矢島委員 次に、防衛庁の新たな資料隠ぺい問題で質問いたします。  このことは、もう本委員会で昨日も問題になりました。けさもこの問題が取り上げられました。八月下旬から九月にかけて関係資料中央指揮所の地下に隠した問題であります。  野呂田長官長官は、その答弁の中で、今後、技術本部や施設庁を含めて、全部局を対象とする調査をする、このように言っていらっしゃいます。その調査結果に基づいて、再度、最終調査報告、これを提出するということは確認できますか。
  226. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 今御指摘のとおり、全庁調査を直ちに開始しているところでございます。その報告は近々出したいと思いますが、少なくとも前半の額賀長官責任において出された部分については、内局及び調本に対する調査結果については的確なものだと思いますから、その分を除いたものの報告をしたいと思っております。
  227. 矢島恒夫

    矢島委員 前回の最終調査報告書というものの中身についてはまだまだ多くの問題があるのです。完璧なものだなどと言えるような状況じゃないのです。その点はそのままにしておいて、新たな部分だけを報告されるというお話でございますが、前回の最終報告書については、まだこれから私たちも取り上げていきたいとは思っております。  さて、長官答弁の中で、隠された資料の中に十一年度の概算要求資料や十年度の予算執行にかかわるいわゆる予算関連の資料がある。その理由として、長官は、予算編成の仕事に差し支えるというのでコピーをとって、そのコピーを隠したんだ、こういう答弁をされていると思います。  私は、この予算関係資料の隠ぺいというのは、どうもただ単に仕事に差し支えるなんという生易しいものじゃないと思うのですよ。というのは、一連の水増し請求、過払い事件、こういうものとこの予算とのかかわり合いというものが非常に重大な問題があるのじゃないか。例えば、今回の補正予算の歳入の中に弁償及び返済金四十七億円以上が計上されております。これは、背任事件で起訴された東通と、それからニコー電子の返納額であります。  四社事案という言葉がよく出てまいります。この四社事案についてこれまで防衛庁が明らかにしてきたのは、四社別の水増し請求、過払いがあったところの対象契約額、それと返還額、この総額だけが出ているわけなんですね。例えば、日本工機の場合には、対象契約額が七百十九億円、返還額が五億八千五百万円、以下、東洋通信機あるいは藤倉航装、それからニコー電子、それぞれマクロの数字だけが出されているわけであります。具体的な内容は一切わからない、こういう状況になっています。  長官、これら各社の事業について、中身、どういう契約で幾らの水増し請求、過払いがあったかということ、つまり具体的な事実関係、こういうものを明らかにして発表すること、少なくとも最終報告にはこれを入れていく、こういうお考えはありますか。
  228. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 中央指揮所等に隠匿したものにつきましては、明らかに予算関連説明書でありまして、議員がおっしゃるような意図で隠したものはこれまでの段階では確認できなかったということであります。  詳細なデータについて公表するかという点につきましては、既に捜査当局によって今調べられているところでありまして、その結果を待たなければ公表できないものと思っております。  なお、細かい数字につきましては担当局長から説明させます。
  229. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、隠されたこれらの予算関連の資料というのが、私が考えるのに、こういう意図があったんではないかということであって、別に隠そうといってやったんじゃないんだという答弁を私は求めていたわけではありません。  むしろ後半の、まだ捜査中だとかいろいろ言われておりますけれども、この四社事案について、もう少し中身を詳細に報告できないのか。事務系で結構です。数字そのものはいいです。
  230. 及川耕造

    ○及川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣御答弁申し上げましたように、四社のうち東洋通信機、ニコー電子については既に起訴をされているところでございまして、その他二件につきましてもそれとの関連等があろうかと存じます。したがいまして、その公判の行方等に応じてその事実が明らかになってくるものではないかというふうに思っているところでございます。
  231. 矢島恒夫

    矢島委員 そうすると、防衛庁長官、専ら検察任せであって、それはそうなんですよ、この返還額を調べてみまして、今度の補正予算に入っている額というのは、検察の出した最低の額が補正予算の中に計上されているんですよね。向こうが結論出さなきゃこっちは決まらないと。  防衛庁としては、どうなんですか、具体的内容について調査はしているんですか、それとも全然そういうことで、お手上げだという状況なんですか。
  232. 及川耕造

    ○及川政府委員 返済額につきましては、現在、相当膨大な資料でございますけれども、これを精査いたしまして、そして返還額を幾らにするかというのを検討しているところでございます。出次第、直ちに返還の手続に入りたいというふうに考えているところでございます。
  233. 矢島恒夫

    矢島委員 そのときに、対象契約額と返還額をマクロに出すんじゃなくて、その中での、幾ら水増し請求があって、過払いが幾らあったかということや、具体的な契約内容などをぜひ一緒に示すべきだ、それを最終報告の中で出すつもりは、最終報告というか、今度新たに報告する中身の中でやるお考えがありますかというのを長官に聞いたわけですが、できないと言うんですか。
  234. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 額が確定次第、公表したいと思っております。
  235. 矢島恒夫

    矢島委員 押し問答になります。額だけ出してもらっても中身はさっぱりわからないということを指摘して、今回の事件防衛庁の装備品の装備をめぐっての国民の血税を食い物にした事件なんですから、こういう内容を明らかにしないで国民信頼なんというのは得られるわけがない。  もう一つ質問します。  防衛庁長官、今回移動された書類の中に天下りリストがあった、移動の理由としてプライバシーの保護だ。もっといろいろ言われましたが、大体大まかにそういうことを答弁されたと思います。  私は、防衛庁と取引がある企業に勤務する防衛庁OBの名簿、いわゆる天下りリストと言われるものを入手しました。会社名があります。電話番号から所在地、資本金、それから従業員数、年間売上高、その下に防衛庁売り上げ、これを記載している。そして、その下に大きく防衛庁OBとあって、氏名、生年月日、退職時の階級、退職時の経歴、入社日、現職名、こういうものがずらっと並んでいるものです。  その実物の中から、私がお手元に配付しました資料の五ページをごらんいただきたいと思うわけです。これは、私の入手したその天下りリストの中から、防衛庁との契約額が多い上位七社、この現職名をキーワードに作成した資料であります。一番左側に会社名があります。防衛庁の売上額。それから、左から二番目に在職者の人数。そのうちの、これは海将、空将、陸将、つまり将クラスです。その次の、一番右側が将補のクラスです。いわゆる幹部だけをリストアップしたというので並べかえてみたわけです。  この五ページから八ページまで、上位七社の一覧ですけれども、将にしても将補にしても、高級幹部が軒並み全部顧問、顧問、顧問、顧問、こうなっているのですよ。将補の方は、本部付とか何々付というのもありますけれども、圧倒的に顧問になっている。  今回の背任事件で立件されたのは、東洋通信機に天下りした調本OBが、実際には勤務していないのに顧問料を受け取っていた。これが被疑事実として、東通から調本の退職者の顧問料という名目でお金が提供されている、わいろだ、こういう認定なんですよ。この四社事案が発覚した後も、次々と水増しの事件が発覚しています。これらの水増し請求をしている企業に防衛庁OBがどのように再就職しているか、このことは非常に重要な問題なんです、今度の事件を考えてみても。  防衛庁長官防衛庁OB天下りリストを隠したわけですけれども、プライバシーというだけの理由ですか。水増し背任事件と無関係と言えるのか、その点についてのお考えをお伺いしたい。
  236. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 これまでの調査によって、取り調べをしました当事者が、プライバシーの保護だと思って隠したということを言ったわけで、私がそう言ったわけじゃありません。
  237. 矢島恒夫

    矢島委員 当事者が言ったので、この事件を今、水増し背任事件と無関係だとも思っていないし——そのことのお答えはございませんでしたが、少なくとも、当事者の考え方だ、プライバシーというのはということなので、事件と無関係とは言えないと私は思うわけです。  というのは、この私のつくった資料もそうなんですけれども、いわゆるたすきがけ、こういう状況が所々方々に見られるのですよ。百三十五社、約千四百二十名、これらを調べた段階ですけれども、一つの企業に就職する、もう一つ同時期に別の企業に就職する、顧問として兼務する、こういう人たちが三十人も出てきたのです。  上位だけを申し上げますと、例えば、五ページの将補の欄のEの方ですね。これは、三菱重工に顧問としている。この人は、もう一カ所、七ページの、日本電気、Eの海将補、これは同一人物であります。まさに、幹部天下りで退職するときに、退職のときの給与と比べて著しく減少するから、だから複数の企業に天下りできるようにするんだと。三菱重工や日本電気に請われて行っているのじゃないのですよ。つまり、これは防衛庁がそういうリストをつくって、それで配分しているのですよ、明らかに。  こういうのはまともな就職と言えるのか、こっちの顧問でこっちの顧問。幹部クラスだけを私は言っておりますから。いかがですか、これはまともですか、長官
  238. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 最初にちょっと申し上げておきたいと思いますが、先ほど委員が御指摘のとおり、これらの全部は常勤の役員というのじゃなくて、顧問という資格で入っております。その趣旨は、これまでの技術、技能や経験を請われて行ったものであります。しかし、確かに私も、この表を見て、ちょっと行き過ぎじゃないかな、こういう感じもしないでもありません。  そこで、私どもとしては、これからそういった顧問として、非役員として行く場合であっても必ず、今は長官の承認が必要となっておりませんが、基準を見直しまして、全部長官の承認に係るようにしたい、あるいはこういうものにつきましては一部始終国会に報告して、透明性を維持するように改革をしたい、こう思っております。  また、自衛隊の再就職のあり方に対する検討会、部外の学識経験者の助けもかりまして、中間報告をやったところでありますが、再就職規制の見直し、再就職の審査体制の充実強化、再就職状況の透明化、あるいは人材の公務内での活用、それから就職援護施策の充実、こういったものについて今鋭意検討して、改革を図るつもりであります。
  239. 矢島恒夫

    矢島委員 時間になりました。資料の説明だけさせていただきます。  四ページです。四ページの資料は、これは防衛庁資料を使ってです。上の黒丸二つを読んでいただければわかると思います。一番左、上位七社、まさに天下り幹部人数と受注額とが相関関係にあるということ。一番右側は私の調査による資料であります。人数の違うのは、幹部としてどこまでを入れたかの違いであります。これを見ても、やはり相関関係にある。一人当たりこれで五十億から八十億になります、割り算すれば。  ある幹部が言いました。おれぐらいの地位の者が入れば五十億や六十億の仕事は持ってくるんだ、こういうことまで言わせるような天下りを行うということは、もってのほかだ。ひとつ総理も含めて、閣僚の皆さん方に御努力いただくことをお願いして、質問を終わります。
  240. 中山正暉

    中山委員長 これにて矢島君の質疑は終了いたしました。  次に、北沢清功君。
  241. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、社会民主党の北沢でございます。  現在、非常に国、地方ともに深刻な大不況の中にあるわけですが、特に地方財政の危機は、先ほど鰐淵委員からもお訴えがございましたように、大変な状況でございます。特に大阪市、愛知県、神奈川県においては、最近まで非常に裕福と言われたわけでありますが、これらの自治体も再建団体一歩手前という事態で、財政危機の深刻さを物語っておるわけであります。  このような危機的な状況の中で、四兆円を超える所得課税、二兆円を超える法人課税の恒久的減税が行われることになりまして、そこで、恒久的減税の内容について、私も長年地方議員としてやってまいりまして、地方財政の立場から質問をいたしたいと思います。  地方分権推進委員会の第二次勧告では、「地方税の充実確保」として、国と地方の歳出純計に占める地方の歳出の割合は約三分の二であるに対し、租税総額に占める地方税の割合は三分の一であります。歳出規模と地方税収入との乖離が存在している中で、地方税について、基本的に、この地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、財政自主権を尊重しつつ、その充実確保を図っていくべきであると言っております。  これについて政府は、最大限尊重するという決定をされておりまして、また、五月に決定された地方分権推進計画にも盛り込まれております。言うなれば、地方税の充実は政府の方針でありますし、また、その方針に反する方向の税制改革は問題ではないでしょうか。総理にお伺いをいたしたいと思います。
  242. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今回の恒久的な減税は、我が国の将来を見据えたより望ましい制度の構築に向けまして、抜本的見直しを展望しつつ、景気に最大配慮して実施するものであり、国と地方の分担につきましては、国、地方の厳しい財政状況などを踏まえ負担割合を定めたものでございます。  減税によりましての地方の減収の補てんをするためには、当分の間の措置として、国と地方のたばこ税の税率変更による地方たばこ税の増収措置、法人税の交付税率の上乗せなどを行うこともあわせ考えますれば、地方税の充実確保という要請にも配慮したものでございまして、地方分権推進委員会の勧告等にも示されておるものと理解しております。
  243. 北沢清功

    ○北沢委員 恒久的減税によって歳出規模と地方税収の乖離が拡大されてくるわけでありますが、これは地方分権の方向にも逆行する、極めて問題が多いというふうに私は思います。とりわけ法人事業税と個人住民税はそれぞれ基幹税目でありまして、やはり、仮に減税を行うものであれば、減税によるところの減収には、地方独立税源の充実など、課税保障とセットで対応すべきであるというふうに私は思います。今回、たばこ税の税源移譲は〇・一兆円程度にすぎず、極めて不十分であります。  そこで、先般の地方公共団体の六団体の決起大会もございましたが、地方自治体からの要望が強い地方消費税の配分割合の引き上げ、法人事業税の外形標準課税、地方所得税の創設等、地方財源の拡充強化については総理はどのようにお考えになっておられますか、お尋ねをいたしたいと思います。
  244. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 このたびのいわゆる減税に伴います地方との関係は、今お話のありましたように、たばこ税を一つ渡した、あるいは法人税の交付税率を上乗せいたしました。あるいは、今までなかったことですが、地方特例交付金といったようなものも創設をいたしまして、なるべく地方の痛みが緩和できるようにといたしました。  ただ、おっしゃいますように、今交付税率をどうこうするという状況に、国は到底ございません。ございませんが、将来本当に国の財政改革をいたしますときには、やはり国と地方との行財政の再配分という、戦後言われて今日一度も実現しなかったこの問題に手を触れざるを得ない、今度こそはそういうことではないかという感じがいたしております。  なお、今、一言、法人の地方税の外形標準の話がございまして、それはそういうふうにしていただければ、私は地方の財源になると存じますけれども、赤字法人自身はいろいろ抵抗のあるところであろう。何といいますか、税の立場からいえば、赤字法人もまた外形標準か何かの形で一定の負担をしてくれることが本来望ましいし、それは地方の税源にもなるんではないか、私自身はそういう感じを持っておりますけれども、これはまた納税者の側でいろいろやかましい問題であるようにも存じております。
  245. 北沢清功

    ○北沢委員 危機的な地方六団体の要請にこたえられまして、自治省も大蔵省との交渉において頑張ったわけでありますが、今回のたばこ税の税率の改正であるとか交付税率の引き上げや地方特例交付金、減税補てん債が恒久的減税の実施に伴う当分の間の措置として実は行うことになっておりますが、まだまだ不十分と言わざるを得ないと私は思います。  そこで、不交付団体対策として地方特例交付金を設けられることになりましたが、具体的にはどのように配分をされるのか、自治省にお尋ねをいたしたいと思います。
  246. 西田司

    ○西田国務大臣 今回の税制改正に伴う地方特例交付金でございますが、恒久的な減税による減収を補てんする地方税の代替的な性格を持つものだと考えておりまして、個々の地方団体の減収額を基礎としてその交付額を算定するものでございます。  この交付金は、交付税の不交付団体にも交付されるものでございます。具体的な内容につきましては現在検討中でございますが、いずれにしても、減税による減収の影響額等を指標として、客観的な算定を行うことといたしております。
  247. 北沢清功

    ○北沢委員 当分の間の措置というのは、いつまででしょうか。お尋ねをいたしたいと思います。
  248. 西田司

    ○西田国務大臣 恒久的減税という表現がございますが、言葉をかえれば、抜本的な税財源の構造、地方財政というものがきちっとなるまで、恒久的な減税の続く限り、この制度は続くもの、こういう考えでございます。
  249. 北沢清功

    ○北沢委員 税制の問題がこれから非常に問題になるわけでありますが、明らかに地方分権という問題は、現在、いわゆる国、地方の事業分量をどうするかということや権限をどうするかということ、またそれに基づく財源を地方にやはり付与するということを抜きに考えられないし、そうであるならば、やはりこのことは、地方分権が絵にかいたぼたもちになるというふうに私は思っております。  したがって、この問題は、当分の間ということは、やはりいずれは国と地方の財源の再配分を議論いたしまして抜本的に改めなければならないものでありまして、私は、そのためのつなぎのようなものだというふうに理解をしております。  この際、税制改革に当たっては、地方税の充実強化、国と地方の税源配分にも踏み込んだアプローチから議論を行うべきではないかと考えますが、総理、いかがでしょうか。
  250. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたように、政府としてはやはりそう考えざるを得ない、結局そこへいかなければならないだろうというふうに思っています。
  251. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、もう一点、いわゆる独立行政法人の中における民営化について、具体的な例として林木育種センターについてお尋ねをいたしたいと思うわけであります。  先ほども総理から、科学技術のあり方というものが、日本の発展の大きな基礎になり、今後もますますこれが尊重されなければならない、そういうふうに言われまして、実は意を強くしたわけでございますが、今行われております中央省庁の改革推進本部は、中央省庁改革基本法や行政改革会議最終報告に具体的に言及されておらない事務及び事業についても検討対象を幅広く設定をしまして、非常に頑張っておるように見受けられます。しかし、現象として、名を挙げられた現場の方からは、これはうちはどうなるだろうか、果たして独立行政法人になじむものかどうかという心配の声が寄せられております。  その点について、先ほど申し上げた林木育種センターという機関があるのですが、このセンターでは、具体的には、花粉の少ない杉だとか、松くい虫にも強い松だとか、林木の品種改良等の業務を実施しておりまして、花粉の少ない杉にしても、品種改良をしておるわけですが、それを苗として育てるには、やり直しのあるものなども考えるときにやはり期間が必要であります。大体五十年かかるのではないかというふうに言われておりますが、採算ベースにはとても乗りがたいものがあると思います。本当にこのような研究育種等は果たして民営化になじむのかどうかということについて、担当の農水大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
  252. 中川昭一

    中川国務大臣 先生御指摘のように、林木育種センターは、行革会議最終報告におきまして具体的に言及された他の事務事業と同じように民営化の検討対象とされております。しかし、先生御指摘のように、数十年という長期間かかる樹木の品種改良、あるいはまた、市場も小さく採算ベースに非常に乗りにくいということも現実でございます。また、優良な品種の開発は、国土保全等公益的機能の高い森林の育成に欠かすことのできない公益性の高い事業であります。  林木育種センターの取り扱いにつきましては、このような点も踏まえながら、業務の確実な実施という面を十分考慮しながら、中央省庁等改革基本法に基づき検討してまいりたいと考えて存じます。
  253. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、やはり今の民営化というかけ声の中で、基本的な国民の資産である研究やそのことが、福祉やまた日本の環境にも非常に有効な役割を果たすわけでありますから、このことはただ短兵急に進めるのではなくて、ただ単に民営化ということだけを取り出して、本当に民営化になじむ事業なのであるかどうかということについてはきちんと検討された上で、数合わせであるとかそういうような職員の人身御供という形で進められるとするならば、職員にとっても国民にとっても非常に不幸だというふうに私は思います。真の行政改革にはならぬと思いますので、こういう点については、継続できるような安定的なシステムづくりをしっかりとひとつ知恵を出して取り組んでいただきたい。そのことを強く要請いたしまして、また総理大臣から、そのことに対する姿勢についてもお尋ねをいたしたいと思います。
  254. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 行政改革を断行するということは、なかなか厳しい困難な問題と心得ております。国民の期待されるような改革を行わざれば、この内閣としての責任を果たし得ないということでございます。  今先生の御指摘いただきましたような具体的な問題につきましては、それぞれの実態に触れて、現実に対処しなければならないと考えております。今後とも、いろいろな声をお聞きしながら、適切に対処してまいりたいと思っております。
  255. 北沢清功

    ○北沢委員 今御答弁にございましたように、実態に触れて、ひとつ慎重に配慮をしていただきたいということを特に御要請を申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  256. 中山正暉

    中山委員長 これにて北沢君の質疑は終了いたしました。  次に、岩永峯一君。
  257. 岩永峯一

    岩永委員 総理初め各大臣におかれましては、二日間にわたり大変御熱心に質疑に応対され、本当に御苦労さまでございます。これだけ熱心な御議論でございますので、これを聞いている国民は、これだったら景気浮揚をしていかなきゃならぬということで、私自身、国民の皆さん方の期待に沿える質疑であったと思っております。  そこで、最後の質問でございますが、自由民主党を代表して質問をさせていただきます。  最初に、先日実施されました沖縄県知事選挙でございます。我が党自由民主党が推薦した稲嶺恵一氏が、見事大田氏を破って初当選をされました。  私も、実は二日間沖縄に入らせていただきました。特に北部に入らせていただきまして、本当に沖縄の経済の実情をつぶさに見せていただき、失業率も十八歳から二十一歳までは何と二一%の失業率、平均九・二%という状況を見たときに、よくぞ暴動が起こらないなというような感じがしたわけでございます。  それだけに、沖縄県の県民は悲痛な思いで今回の選挙の投票に行っただろう、このように思うわけでございますし、北部、特に企業らしい企業を何も持つことがないというような状況の中で、この稲嶺氏の当選を契機に、小渕総理、何とぞ沖縄の経済活性化のために国も全力投球して御対応いただきたいということを最初にお願い申し上げておくわけございます。  そうした沖縄の知事選で、一つ明らかになったことがございます。地方自治体の住民は、自分たちのリーダーたる首長に、地域の経済振興に関して明確にリーダーシップをとることを求めているということであります。経済問題は霞が関だけが担当するということではなく、これからは地方自治制度の中で思い切った地方の自主性を発揮していくことが大変大事であると私は痛感している次第でございます。  私自身、町議会一期、県議会五期、二十四年地方政治に携わらせていただいてまいりました。これからは、住民の最も身近にある地方自治が主役であろう、このように思っているわけでございますし、そういう時代がもうそこまで来ている、こういうことを感じている次第でございます。  私は、地方自治体が自分たち責任で政治を行えるような環境、地方自治に関連して、実は質問を展開したい、このように思います。  地方の時代と言われて久しいわけですが、特に現在、我が国では、今までに類を見ないほど地方分権の機運が高まりを見せてきております。特に市町村は、これから介護保険制度などの住民に密着した重要な仕事を主体的に担うのでありまして、地方行政の主役であることはだれもが認めるところであります。  しかし、現在の市町村の姿を見る限り、非常に規模の小さい自治体が多く、財政状況も厳しい中で、それらの仕事を十分に果たすことができないのではないかという声が地方の方からも上がってきております。さきに分権推進委員会が第五次勧告をまとめたときでも、仕事の分権だけではなく、自主財源や人材の分権も果たしてほしいという声が聞こえてくるわけでございます。  そして、地方に仕事、財源及び人材を受け入れられる体制を本格的に整えるために、結局は市町村合併により、自治体が現在よりも大規模で強力な組織とならなければならないとだれしもが認めるところであろう、このように思います。  もちろん、一部事務組合や広域行政の制度はございます。しかし、これだけでは各市町村に存在する複雑な利害を解決し切れず、その連合体の統一的な意思決定を行うことに困難が伴うなど、限界があるのも事実でございます。  先日も、衆議院本会議におきまして、市への昇格要件を緩和する法案が通過いたしました。国会の場において市町村合併に積極的な姿勢は示されておりますが、このような流れは大変大事なことである、このように思っております。しかし、さらに合併を進めるためには、政府の市町村合併に対する根本的な姿勢、将来像を明確にしていくことが必要であると私は考えているわけでございます。  自治省として、自治体の主体的意思、必要性に基づいて合併を行うべきという立場をとっておられると聞きます。しかし、このような態度では、自治体は、どのような合併、どのような新市町村を目指してよいのかわからないと思うのであります。例えば、町村はやめて郡の単位ぐらいの市になればよいのか、またあるいは、三百市町村などと言われるように、今の小選挙区制ぐらいの規模なのかすら実はわからないのであります。  地域の混乱や議員数削減など、痛みの伴う改革ですから、地方に合併の試行錯誤をさせるというわけにはいかないと思います。しかし、自治体が新しい国家像に従った合併を的確に、かつ迅速に行い得るように、国家の持つ新しい国家像を何としても明らかにしておく必要があると考えるのでございます。そして、そのためには、市町村がどのくらいの人口、財政規模を持つことがふさわしいのかということに関して、国民的な議論を今してもいいのではないか、このように考えております。  そして、市町村合併を進めていくためには、地方に関するさまざまな制度について検討することが必要であると考えます。  例えば、現在の交付税制度では、合併に伴う経過措置は考慮されていますものの、非常に小規模の自治体はそのままいても何も困らないということになっております。しかし、これでは、政府が適正と考える規模がこの制度からは全く見えてこないのであります。  また、ほかにも調整が難しい問題として、地方議員の残存任期や議員年金の問題もございます。合併を最終決定する立場である議員や首長の利害をどう調整するのか。地方議員の方々は公益を優先する立場にあるものの、彼らの利害といいましてもささいなことかもわかりませんが、実際に、あと一期で年金をもらえるという議員が積極的に合併に動くでしょうか。現行の制度が合併の阻害要因になっている一面もあるのではないかと思うわけではございます。  現在、急迫の課題である市町村合併を進めるために、私は、完全な地方統一選挙を実施するとか、合併によりその地位を失うことになる首長に副首長として残存期間を保証するなど、国が積極的な対応を図るべきである、このように考えております。  また、いずれにいたしましても、市町村合併は時代の要請でありまして、今よりもはるかに市町村の規模は大きくなっていくと言えます。そうすれば必然的に都道府県のあり方についても問題になってくるだろう、このように考えるわけでございます。  現在の各省の地方ブロックごとに州政府をつくるなんということも、そろそろ本格的に議論をすべき時期に来ているのではないかと思います。市町村制を考えていけば、道州制についても真剣に議論せざるを得なくなるのでございます。あわせて、道州制の議論を今どう考えているか、これは大きな議論を沸き起こしていかなきゃならない時期ではないかということを考えております。  そこで、小渕総理並びに西田大臣と、地方分権の大家であります堺屋長官にお伺いをいたしたいと思います。  市町村はどのような仕事を具体的に担おうとしているのか、小渕総理と西田大臣に具体的にお聞きしたいと思います。  そして、それらの仕事を担うために、市町村はどのくらいの人口と財政規模を持てばよいと考えておられるのか、これを今まであいまいにしてきたことが根本的な誤りであると考えますので、この際、とかくはっきりと西田大臣に御答弁をいただきたいと思いますし、またこの大家であります堺屋長官にもその考えをお聞きしたいと思うのであります。  さらに、交付税制度や地方議員の残存期間、地方議員の年金制度など、地方分権推進を取り巻く制度的な障害に対してどのような措置を必要と考えておられるのか、このことも西田大臣、よろしくお願いしたいと思います。  そして最後に、道州制の議論につきまして、現在多くの議員や識者がその見解を示しております。そこで、これら世論の高まりにもかかわらず、この道州制について政府はその見解を示すことを控え続けるべきなのかということについて、あわせてお伺いをしたいと思うところでございます。
  258. 西田司

    ○西田国務大臣 なかなか御質問の間口が広うございますので、お答えが十分にならない点があるかもしれません。また御指摘をいただきましたら、こちらへ帰ってまいりましてやります。  それで、私の基本的な考え方、非常に重要なことを今御指摘されたわけでございますが、地方分権というのが御承知のようにいよいよ具体化していく時代になってまいりました。考えてみると、明治以降、中央集権の中で行政もいささか中央に偏り過ぎた。それで、地方も国を頼り過ぎる、そういう感じすらするわけであります。  私の考え方は、単に国と地方との分権、こういうことを言いますけれども、国と都道府県と市町村は、対等な立場でそれぞれ役割分担をし、税財源の配分をし、そして住民の生活に一番近い行政をやる市町村というのは、それなりの機能というもの、力というものを持ってやっていく、これが私は当面の地方分権の重要な目的である、このように考えております。  特に、御指摘もあった介護保険や幼児の保育等、それからまた地域の特性に応じた町づくり、それから地場産業の振興、こういうことも見落としてはなりません。社会資本や生活環境の整備、こういうことをやっていかなければいけないわけであります。  国、都道府県、市町村が役割分担を踏まえながら、市町村は住民に一番声が入ってくるわけでございますから、こういうことに対して、国と県と市町村、こういうものが連携をする形をつくっていく。その規模がどうであるかということは、たびたび申し上げておるように、これは住民の考え方あるいは近隣の市町村の考え方、こういうことです。  それで、私は、国としてはぴしっと指針を示さなければいけない、市町村合併のみならず指針を示していかなければいけない。都道府県も、人ごとのように考えてもらったんじゃ困る。これはやはり、どのようなパターンが一番その県にとって大切であるか、それから市町村も、ただ単なることを考えずに、お互いが新時代、地方自治の新時代にどう対応することがいいかということを、きちっとお互いが連携をとりながらやっていくべきだと。  少しお答えが長くなりましたけれども、以上でございます。
  259. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私どもの直接の所管でございませんので、ちょっと遠回しな話をさせていただきたいと思います。  明治維新のころ、大体三万ほど市町村、村があったそうでございます。それが、昭和の初め、戦前には一万二千ぐらいになり、それから戦後十年ぐらいの間に三千六百ぐらいになったのでしょうか、それが今三千三百。だから、終戦のときにぐっと減って、それから余り減っていないというのが現状のようでございます。  この市町村が、どれぐらいの単位でどれぐらいの数がいいかということは、まず第一に、技術条件。交通条件とか通信条件とか、役場に行くのにどれぐらい時間がかかるかとか、そういうこととも非常に関係がございまして、自動車が発達したのでもっと広くてもいいんじゃないかというようなことも起こっております。それから、その市町村がどんな仕事をするか。これにも非常にかかっているところでございまして、終戦のときに、戦後大幅に減りましたのは、やはり新制中学をつくるという負担と関係があったと伺っております。  したがいまして、どんな生活を描くかによって、例えば沖縄県なら、今委員指摘になりましたような、沖縄県の北部と東京や大阪とはうんと違ってくるので一律には申し上げられませんが、どんな生活を描くか。これは、来年から私どもの中期計画をつくる段階でもちょっと考えてみたいと思っております。そういう生活の態度、技術の進歩、そして仕事の度合い、そういうものを勘案して考えるべき大きな問題だと思っております。
  260. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 岩永委員、二十五年にわたりまして地方政治に携わりまして、地域の情勢について十分承知をされた上で、現下、国会議員とされて、先ほど来の御主張を拝聴いたしておりました。  国と地方との関係は、今堺屋長官も、過去の歴史を振り返ってお話ありましたが、明治の新政府ができて以来、いささか、国の基本的国策を遂行する、そういう意味で、地方というものは、中央に対してその行政の末端としての機能が行われればいいという感じがあったのではないかと考えております。  しかし、現下は、住民に密着した、それぞれの方々のニーズにこたえていかなきゃならない。そのためには、地方のしっかりした組織がそれを吸収していかなきゃならぬ。そういう意味でも、地方の重要性というものがますます大きくなっておると思います。  今後、中央と地方との関係も含めまして、今問題になっております分権の問題等を考えながらいたしていかなきゃならぬと思います。合併の問題等につきましてもそういう観点から対処していく必要があると、今お尋ねをお聞きいたしまして、痛感いたした次第でございます。
  261. 岩永峯一

    岩永委員 ありがとうございました。  我々、自治省だとか、また地方分権推進委員会の答申等を見ておりますと、どうも、地方の主権の問題だ、だから国自身が何らの指針を出すということがなかなか難しいんだという形で、すべて、逃げられておったといいますか、避けられておったということでございますが、今、総理を初め西田大臣の方から、国がこの方針を示すべきだということをはっきりと申されまして、やれやれ、これから地方の広域合併、そして地方分権というのが具体的に進むんだな、こういう感じで聞き取らせていただきましたので、ひとつ早急に地方に具体的な指針をお示しいただけることをお願い申し上げる次第でございます。  次に、もう一つ、地方分権を進める中で大きな課題がございますのは首都機能移転の問題であろう、このように思います。  東京は、経済、文化においても日本最大の中心都市でございます。ということは、政治の中心であるということと、それから多くの経済そして文化の中心であるということは、地方分権を進める上にとって非常に大きな実は妨げになると思うのでございます。  諸外国の例を見ましても、地方分権的な政治体制を持つアメリカ、ドイツ、さらには近年発足いたしましたEUにおきましても、その政治の中心はワシントン、ボン、ブリュッセルであります。それぞれ、経済、文化の中心であるニューヨーク、ベルリン、パリ、ロンドンとは、距離的にもかなり離れたところに存在するものであります。また、我が国同様に中央集権的であると言われるフランスは、経済、文化、政治のいかなる中心もパリにあります。  これから地方分権を進めるに当たり、これら海外先進諸国の例を十分に考慮するべきではないか、私はこのように思います。最大の都市がそのまま首都であり、なおかつ地方分権的である国は、全く存在しないと言ってもいいのではないかと考えます。  さらに、世界的に類を見ないほど強固な中央集権国家は私の国であります。これから分権的社会をつくろうというのに首都機能移転は非常によいきっかけになるわけでございます。我が国の国民、政治家、役人、そして外国の方々、これらの人々の意識を決定的に変えることができる大変よい機会であろう、私はこのように思うわけでございます。幸い、政府の方でも来年十一月に新首都の候補地を最終決定することになっておりますが、確実にその方向に向かっている、私はこのように考えております。  世間では、いまだ首都機能移転に対して半信半疑であるという部分もございます。私は、地方分権と首都機能移転は車の両輪であると思います。しかし、地方分権を積極的に進めることが先決であるという意見もございますし、また、この議論についてここで一度確認した方がよいということで質問させていただきました。  先般、国会等移転審議会が一万社の民間会社にアンケートをとりましたところ、首都機能移転のための投資が内需拡大の契機になると思うかという質問に対しまして、七割以上もの企業から、そう思うという回答を得ました。経済の小渕と言われる小渕総理大臣は、ひとつこの結果については無視できない結果であろうと思いますが、いかがでございましょうか。  そこで、私といたしましてはぜひとも、小渕総理以下関係各大臣に対して質問をさせていただきますので、一言ずつで結構でございますのでお答えをちょうだいいたしたいと思います。  まず、地方分権と首都機能移転をどのように関係づけて、役立てて進めていくつもりであるのかという点について西田大臣にお聞きしたいと思います。  そして、新首都の決定はどのような手続で行うか、特に我々国会議員がその決定過程にどのようにかかわるのか、最終的に国会の場で投票によって決めるのかということにつきまして、井上長官、ひとつお答えをいただきたいと思います。  さらに、移転の必要性、経済的費用、経済的効果について、長官就任前には首都機能移転論者でありました堺屋長官は現在どのような見解をお持ちであるのかということにつきましても、思うところを率直にお述べをいただきたいと思います。  そして、最後に小渕総理、首都機能移転を計画どおり本当に行うのかどうか、そして新首都についてはどのようにあるべきとお考えになっておられるのか、そして総理自身の国家像について、どのようにお考えをお持ちであるかということについて、それぞれの大臣にお聞かせをいただきたいと思います。
  262. 西田司

    ○西田国務大臣 首都機能の移転は、地方分権とともに、多極分散型の国土形成を実効あるものとするために、我が国社会の変革の一環として取り組む重要なテーマだと考えております。そして、これらを進めていくためには国民の合意というものが不可欠である、このように思っております。  地方分権の推進は、東京一極集中の是正など、新たな時代の状況と課題に的確に対応し、国民が豊かさとゆとりを持つ国土を形成していくことであります。首都機能移転による新しい都市が定められた場合には、再び一極集中の弊害を起こさないように、今や実行の段階にある、先ほど申し上げた地方分権と一体になって強力に推進をしていくことが重要である、このように考えております。
  263. 井上吉夫

    ○井上国務大臣 首都機能の移転に国会がどういうかかわりを持つかという質問であります。  首都機能移転については、国会等移転審議会が内閣総理大臣の諮問に応じ、国会等移転調査会の報告及びこれに関する国会の審議を踏まえつつ、調査審議を行い、移転先候補地について答申を行うこととされております。  なお、国会等移転調査会は平成七年に作業を終えまして、その答申に基づき、国会の議論も経て、既に審議会で候補地を三地区に絞りながら、具体的な調査をほぼ完了し、それぞれの地区ごとの長短をいろいろ調べ上げて、それを比較検討しながら、どういう形で絞り込むかという段階に入っているというのが現状です。  さて、内閣総理大臣は、答申を受けたときは、これを国会に報告することとなります。その後、国民の合意形成の状況、社会経済情勢の諸事情、東京都との比較考量を踏まえて、国会等の移転に関する法律二十三条に基づき、国会が別に定める法律で移転先を決定することとされております。決定の方法を投票によるかどうか、その細部は法律上は決めてありませんが、国会が決めるということは明文化されております。
  264. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 これまた私の所管でございませんので、いろいろと経済効果等につきましては、国土庁の方で私も委員をしておりましたときに数字が出ておりますが、それを私の口からは申し上げませんから、また資料をごらんいただけばいいと思います。  ただ、一つ、例え話で申し上げたいと思うのは、日本の歴史をひもときますと、全部、あらゆる時代が首都機能の所在地で呼ばれております。奈良時代、平安時代、鎌倉時代、室町時代、安土桃山時代、江戸時代、そして東京時代でございますが、江戸から東京へ行く間、今ちょうど大河ドラマでNHKでやっておりますけれども、首都機能が京都に五年間移転しているんですね。その間に大きな改革が行われました。首都機能の移転がいかに世の中を大きく改革するか、また移転しなかった場合の改革がいかに難しいか、日本の歴史はよく示していると思います。
  265. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 首都機能の移転につきましては、その移転先の新都市像につきまして現在審議会におきまして御議論いただいておるところでございますが、いずれにしても、その姿や計画、理念が我が国の進路を象徴するとともに、広く国民や国際社会に受け入れられるものでなければならないと考えておりまして、首都機能の移転につきましての新都市というものは、それこそ国家百年ではありませんが、まさに今後の日本を決定することでございますので、こうした答申を待ち、最終的には国会、すなわち国民の意思によって決定されるべきものと考えております。
  266. 岩永峯一

    岩永委員 時間がございませんので少々質問が粗雑になると思いますが、お許しをいただきたいと思います。  首都機能移転につきましては、私は滋賀県でございまして、畿央高原を一生懸命に推進いたしておりますので、この場で大臣並びに皆さん方のひとつ格別なる御支援をよろしくお願い申し上げます。  特に、地方分権とかかわりが大変深いと思われます今回の法案の中で、地域振興券に関して私自身の提案を申し上げたい、このように思います。  これほど国民の関心が高く、また地方の経済振興に重大なインパクトを持っているものはないのではないか、私はこのように思っております。しかし、世界的に例を見ない制度でありますから、これが最適の運用方法だと政府でもなかなか決め切れない部分があると思います。金券購入に充ててはいけない、重複使用することは許さないなどということは、ほぼ間違いなく言えると思います。しかし、本当に単一市町村だけで使わなくてはならないのか、大店舗で使用することは許されるのかなどということは、全国一律には私は決められないものだろうと思います。地域経済の実情はさまざまです。ですから、このように地域経済に密着した政策を全国規模の経済政策として論評すること自体がいかがなものかと思うのであります。  そこで私は、さきに述べましたように、必要最低限の技術的規制は国が決めるとしても、それ以外の用途については市町村が考えるべきであると思います。実質的に潤いのある市町村でありさえすればいいのでありますから、その結果、市町村ごとにその細則はばらばらになったとしても、全く結構なことではないかと思うのであります。  これほど注目を浴びた政策というのもめったに出てこないものであります。そのような政策の大綱が自分に身近な地方政府で決定されるということになりますと、日本国じゅう、よい意味での大混乱が起こります。家庭では親と子がその使い方を相談し、議会では議員がその用途規制を議論する。例えば、裏面に名前を書くべきと定めることによって、一人一人が責任を持って、少しでも経済効果が上がるような使い道、それも道徳的な使い道に使うようにしむけるのはどうかと提案を申し上げるものでございます。このように、地域経済を活性化させるためにみんなでいろいろ知恵を出し合うことが大変大事であると思います。地方政治は一気におもしろくなるであろう、このように思います。  小渕総理は、御兄弟が町長をしておられるということでございますが、ひとつそういう市町村のことをお考えいただいて、私自身が御提案申し上げた考え方についてどうお考えなのか、お聞かせいただければ大変幸甚に存じます。
  267. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 せっかく生まれますこの振興券をいろいろな角度で御検討いただきまして、これが支出される場合には、要は地域の振興のために、と同時に、大いにこれが役立つことによりまして、せっかくのこの考え方が国民に十分理解されるように、今御指摘のようないろいろのアイデアも含めましてこれから各地方で検討していただきたいと願っております。
  268. 岩永峯一

    岩永委員 どうもありがとうございました。  ことしもあとわずか三週間となりましたが、総理並びに大臣におかれましては、御自愛をいただきまして、すばらしい年を迎えられますよう、公務に精いっぱい励まれますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  269. 中山正暉

    中山委員長 これにて岩永君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして平成十年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  270. 中山正暉

    中山委員長 これより討論に入ります。  討論の通告がありますので、順次これを許します。北村直人君。
  271. 北村直人

    ○北村(直)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております平成十年度一般会計補正予算(第3号、特第2号及び機第2号)三案に対し、賛成の討論を行うものであります。  現下の厳しい経済情勢から脱却し、一両年のうちに我が国経済を回復軌道に乗せるためには、金融システムを早急に再生するとともに、景気回復策を強力に推進することが必要であります。こうした観点から、政府・与党は、十一月十六日に、総事業規模にして十七兆円を超える緊急経済対策を決定いたしました。今回の補正予算は、この緊急経済対策に盛り込まれた広範な施策やその他の緊要な措置を実施するための裏づけをなす、まことに重要なものであります。  以下、賛成する主な理由を申し述べます。  その第一は、本補正予算が、金融システムの安定化と信用収縮の防止に積極的に取り組むこととしている点であります。  具体的には、本補正予算においては、信用収縮を防ぐため、中小、中堅企業等に対する信用供与が適切に確保されるよう、先般閣議決定された中小企業等貸し渋り大綱に基づく施策を推進するとともに、日本開発銀行等の融資・保証制度の拡充のほか、信用保証協会等による新たな信用保証制度の導入等を行うために必要な経費として、信用収縮対策等金融特別対策費を計上しております。日本経済再生のためには、経済全体にとってのいわば動脈ともいうべき役割を担う金融システムを再生することがまず必要であり、まことに適切な措置であると考えます。  賛成の理由の第二は、二十一世紀型社会の構築に資する景気回復策として適切な措置が講じられていることであります。  まず、社会資本の整備について、今回の補正予算においては、景気回復への即効性や民間投資の誘発効果、地域の雇用の安定的確保の観点に立ち、省庁横断的に実施する二十一世紀先導プロジェクト、生活空間倍増戦略プラン及び産業再生計画も踏まえ、二十一世紀を見据えて真に必要な分野、具体的には、情報通信・科学技術や、環境、福祉・医療・教育などの分野に重点的な投資を行うこととしております。  さらに、住宅投資の現状にかんがみ、住宅投資促進策を講ずるために必要な経費を計上するとともに、現下の極めて厳しい雇用情勢を踏まえ、早急な雇用の創出とその安定を図る観点から、雇用活性化総合プランの実施等のために必要な経費として、雇用対策費を計上しております。  さらには、個人消費の喚起と地域経済の活性化を図るため、地域振興券を交付するための経費を計上しております。  また、世界経済リスクへの対応に際しての我が国の役割の大きさを踏まえ、我が国と密接な相互依存関係にあるアジア諸国の実体経済回復の努力を支援するために必要な経費として、アジア対策費を計上しております。  以上、本補正予算に賛成する理由を申し述べましたが、私は、このような本補正予算が、我が国の最優先課題である金融システムの再生と景気回復を図るために必要不可欠なものであるとして、賛成の意を表するものであります。  本補正予算は、まさに我が国の景気回復のかぎを握る予算であり、ぜひともその速やかな成立を期するものであります。  以上、賛成討論といたします。(拍手)
  272. 中山正暉

    中山委員長 次に、海江田万里君。
  273. 海江田万里

    ○海江田委員 私は、民主党を代表して、政府提出の平成十年度第三次補正予算案に対して、反対の討論を行うものであります。  民主党は、さきの臨時国会を延長し、恒久減税を含む抜本的な景気対策を早急に取りまとめ、補正予算を成立させるよう提言いたしましたが、政府は早々とさきの国会を閉じ、不況の深刻化を拱手傍観いたしました。景気対策と補正予算の編成に手間取り、国会開会をおくらせた政府・自民党責任は、重かつ大であります。  私たち民主党は、十一月十二日に減税、安心、未来への投資をキーワードに、国費で総額二十兆円規模の「構造改革につながる景気・雇用対策」を発表いたしました。私たちの主張に誠実に耳を傾ければ、このような対処療法にすぎない補正予算になるはずがありません。政府は、日本経済を再生させるという名目で、自民党が戦後築き上げてきたみずからの利権を保持するためだけに景気対策を行っていると言っても過言ではありません。  以下、具体的に反対理由を申し述べます。  第一に、来年一月からの減税が何ら措置されていないことであります。  現在の経済情勢を考えた場合、目先の需要喚起の財政措置だけではなく、減税についても速やかに前倒しをして行うべきであったにもかかわらず、政府は予算措置のみを先行させ、減税を通常国会に先送りしてしまったのであります。これでは、景気に対する刺激としては余りにも不十分であると言わざるを得ません。今までの政府の景気対策の失敗は、大胆な対策を講ずることなく、場当たり的に小規模の対策を続けてきたことにあります。その失敗を今回も繰り返すものであり、愚の骨頂と言わざるを得ません。  第二に、今回の経済対策も公共事業中心の従来型予算編成であることであります。  本年四月の総合経済対策における事業消化すら円滑に行われていないにもかかわらず、さらに公共事業を追加することの意味は一体何なのでありましょうか。四月の総合経済対策の都道府県分の契約率は、十月末現在でわずか二五・二%にすぎません。このような状況でさらに追加的な公共事業を行っても、即効的な景気刺激策になるはずもありません。  また、今回の経済対策の公共事業についても、国が事業の種類、箇所づけまで決めて行うものであり、地方の自主性は全く尊重されておりません。国民が本当に必要とする社会資本とはほど遠い、単なる利権保持のための公共事業が延々と続けられているのであります。  第三に、今回の緊急経済対策では、地方に二兆八千億円の支出を強制していることであります。  現在、地方自治体の財政状況は極めて苦しくなっております。そのような状況下で地方自治体の支出を強制するという政府の態度は、全く理解できないものであります。  また、今回の経済対策における一般公共事業の地方負担分はすべて地方債で賄うこととされており、既に公債費負担比率が警戒ラインである一五%を超えている団体が全体の五六%、千八百四十七団体という異常な状況であり、これ以上地方に地方債の発行を強いることは、政府が自治体を強制的に倒産させるものであり、非常識きわまりない政策であると言わざるを得ません。  第四に、弱者の切り捨てであることであります。  平成十年度における社会保障関係費については、平成九年度からの自然増が八千億円であったにもかかわらず、財政構造改革法のキャップにより三千億円に圧縮したのであります。当初予算において五千億円の福祉切り捨てがなされたのであります。今回の経済対策においても、三千八百億円程度が復活したにすぎず、残りの千二百億円はいまだに圧縮されたままとなっております。  政府は、金融システム安定と称して、十分な情報公開もないまま銀行に公的資金を湯水のごとく注入する一方で、弱者を切り捨てるものであります。これでは、国民は安心した暮らしを送ることができず、消費をふやそうという気持ちが起こらないことは明々白々であります。  第五に、財政赤字がさらに拡大することであります。  平成十年度の国債発行額は三十四兆円程度で、公債依存度は三八・六%となり、戦後最悪となります。また、国債残高は今補正後約三百兆円とさらに増加し、将来の負担がさらに増加しております。  私たちは、経済構造改革を行った上で、将来のビジョンを明確に示し、財政出動を行うのであれば、それは許されるものであると考えます。ところが、先ほど来指摘させていただいておりますとおり、今回の経済対策も、従来型の場当たり的なみずからの利権保持のためだけの経済対策にすぎないのであり、このようなことに莫大な予算を投入することは、国民に対する裏切りであると言わざるを得ません。  政府は、私たちの提案した景気対策を全面的に受け入れ、直ちに予算案を出し直すべきであります。さもなければ、日本経済はますます混迷の度を深めることとなるでありましょう。今行うべきことは、みずからの利権を守ることではなく、日本経済の構造的な改革を通じての景気回復なのであります。そのことを強く申し上げて、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)
  274. 中山正暉

    中山委員長 次に、北側一雄君。
  275. 北側一雄

    ○北側委員 私は、公明党・改革クラブを代表して、平成十年度第三次補正予算案外二案に対し、賛成の立場から討論を行います。  去る三日に経済企画庁から発表された平成十年度七—九月期の実質GDPは、前期比マイナス〇・七%、年率換算マイナス二・六%となり、平成十年度の政府経済見通しのマイナス一・八%も、今後の二半期を平均してプラス〇・七%ずつ成長しなければ達成できないほど、我が国の経済の実情は深刻さを増しております。個人消費、設備投資、住宅など、民需が総崩れとなってしまっており、早急な景気対策を実行に移さねば、我が国経済はデフレへの泥沼に陥りかねません。  もちろん、この大不況の責任は、第一義的に、橋本政権以来の自由民主党政権における経済失政の積み重ねであり、その責任は決して免れるものではありません。  よって、小渕総理は、これからの経済政策を遂行するに当たっての大前提として、国民の生活を破壊したこれまでの経済政策の誤り、特に財政構造改革法における緊縮財政路線の誤りについて、率直に国民に謝罪すべきであります。  その上で、現在の日本経済を直視するならば、まさに死に至りかねない大きな病のふちの中から抜け出して、安定した回復軌道に乗せることができるのかどうかの極めて緊迫した状況にあります。その意味において、一刻も早く第三次の補正予算案を成立させ、景気対策を実行に移すべきであります。  こうした前提に立って、主な賛成理由を申し述べます。  第一には、緊急を要する金融システム、信用収縮対策として、事業規模で五・九兆円に上る貸し渋り、融資回収対策が盛り込まれていることであります。経済の血液である金融が滞るどころか収縮に向かっていては、幾ら投資をしても、穴のあいたバケツに水を入れるようなものであります。私は、さきに我々の主導で成立した金融再生法及び早期健全化法の実行と相まって、金融システムが安定化し、経済の下支え効果を発揮することを強く期待するものであります。  第二には、社会資本の重点整備として緊急経済対策で盛り込まれた八・一兆円のうち約六・八兆円が本補正予算案に計上されており、短期的な需要増加による景気回復への効果が期待されることであります。  しかしながら、公共投資については、政府の言葉で言えば二十一世紀先導プロジェクトとして、我々が従来から主張してきた未来型ストックの形成に向けた努力は見られますが、具体的な事業においては従来型のものもなお多く含まれており、一層の改善が必要であることを指摘しておきます。  第三には、雇用対策の充実であります。中高年を中心としたリストラの実情は極めて深刻であります。雇用活性化総合プランの実施による雇用創出など、国民不安を取り除く安定装置をつくることは極めて重要であります。  第四には、地域振興券として七千億が計上されていることであります。我々は、地域振興券が地域経済活性化の呼び水としてその効果を発揮することを強く期待するものであります。  以上、主な賛成理由を申し述べました。  第三次補正予算案の内容は、もちろん一〇〇%パーフェクトなものとは到底言えません。  特に、今般の補正予算案に、小渕総理が八月に公約した六兆円を超える所得課税、法人課税の恒久的な減税が盛り込まれなかったことは極めて残念であります。私たちは、本年初頭から、恒久減税の早期実施こそ景気対策のかなめであることを強く主張してきました。恒久減税の実施がおくれればおくれるだけ、我が国の景気回復は遠のくのであります。  従来、我々も所得、法人課税で六兆円超の恒久減税を主張してきましたが、現在の景気の状況からかんがみれば、特に所得課税減税は四兆円規模では不十分であり、平成十年から比べて増税になる中堅所得者層に対して、追加的な減税を組み込むことなどの対策を講じ、規模の一層の拡充を図るべきであると考えております。さらには、住宅ローン利子所得控除制度の創設を含めた住宅対策の拡充などの政策減税等も含め、規模にして十兆円程度の減税を行うべきであると考えます。  いずれにしましても、小渕総理が、恒久減税のできる限りの前倒し実施を図るため、早急にその全容を国民の前に明らかにし、国会に提出されることを強く要望し、私の討論といたします。  以上でございます。(拍手)
  276. 中山正暉

    中山委員長 次に、西村眞悟君。
  277. 西村眞悟

    西村(眞)委員 私は、自由党を代表して、平成十年度補正予算に賛成する立場から討論をいたします。  この未曾有の経済危機は、日本経済の抱える構造問題が元凶であり、構造改革を断行しなければ本格的な景気回復はあり得ないのであります。この日本経済を民需主導の自律的安定成長軌道に復帰させるためには、旧来の手法にとらわれない発想が必要であり、今ほど政治の役割が期待されているときはありません。その意味において、小渕総理所信表明演説において述べられているとおり、平成十一年度においてはっきりとプラス成長とするためには、さらなる努力が必要であります。  つまり、加えて今行われなければならない政策は、日本経済が避けることのできない構造改革を促すとともに、改革に伴う痛みを和らげるものでなくてはなりません。同時に、先行き不安を解消するため、構造改革のビジョンと具体的な政策を一体として提示してスタートさせ、今世紀中に改革を軌道に乗せなければなりません。  減税額については、小渕総理は、十一月十九日に自由党の小沢党首と、「いま直ちに実行する政策」として、減税規模を十兆円をめどとすることで合意されております。我が国構造改革に資するためにも、また景気対策に資するためにも、減税額はさらに上積みをすべきであります。  また、恒久減税の財源については、短期的には赤字国債に頼らざるを得ませんが、中長期的には、恒久減税のための恒久財源として、行政改革による経費削減を行うべきであります。自由党は、行革による歳出削減を財源とする恒久減税、すなわち行革減税を主張しております。これが真の恒久減税であります。また、経済が立ち直れば税の自然増収も当然期待でき、政府には一層の行政改革努力を求めます。  自由党は、他党と協力して、破綻金融機関と取引をしていた中小企業向けの融資円滑化法及び貸し渋り対策法を成立させ、また今国会においては、破綻金融機関の取引先はもとより、一般の中堅企業向けの貸し渋り対策法を他党と協力して成立させましたが、それに対する予算措置がこの補正予算に盛り込まれており、評価できる点でございます。  また、金融システム安定及び貸し渋り解消のため、早期健全化法の有効活用により、我が国金融機関の体質強化を行う必要があります。政府には万全の対策を求めるものであります。  財政の健全化について、自由党は、以前より、経済再建なくして財政健全化なしと主張してまいりました。デフレ予算により経済を失速させていては、財政の健全化など望むべくもありません。実際、平成九年度、政府は七兆円の増税を行いましたが、マイナス成長となった結果、税収が落ち込み、当初の増税分に見合うほどの額が帳消しとなる減収となっております。財政健全化は増税によって行うのではなくて、行財政一体不可分の見直しによる歳出削減と、再建された経済から得られる税収増によって達成しなければなりません。財政健全化のためには、経済再建最優先策をとらなければならないのであります。  小渕総理におかれては、内閣の命運をかけて、経済再建を最優先の課題として取り組まれることと存じますので、国家国民のため、なお一層の御努力を期待し、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  278. 中山正暉

    中山委員長 次に、春名直章君。
  279. 春名直章

    春名委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました平成十年度補正予算三案に対して、反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、本補正予算案が、今や国民の八割、九割が切望している消費税減税をあくまで拒否し、ゼネコン、大銀行支援の従来型の景気対策となっており、景気回復には何ら役立たない内容になっているからであります。  経済再生内閣という表看板とは裏腹に、小渕内閣が発足後行ってきたことは、大銀行支援のための六十兆円もの税金投入の枠組みづくりであり、実体経済回復のための対策は、何ら手を打ってきませんでした。鳴り物入りで策定した緊急経済対策は、消費拡大の効果はほとんど期待できないいわゆる商品券、地域振興券の交付や、国民の多数が今年度より増税となる金持ち優遇の減税策であり、これでは冷え込んだ消費が一層凍りつくのは明らかであります。消費税減税が消費拡大に効果があるということは、政府自身も否定できなかったことであります。高齢化社会を支えるためという理由も、国民の納得のいく説明はありませんでした。ましてや、将来の税率引き上げの障害になるという理由で消費税減税を拒否することは、党利党略のきわみであり、言語道断と言わなければなりません。  第二は、財革法の凍結法案と一体に、ゼネコン奉仕の公共投資を景気対策の中心に据え、さらなるむだと浪費を拡大していることであります。  景気対策としての公共投資の積み増しが、景気回復に何ら役立たず、巨額の借金のみを残すことになったことは、九二年以来七回の経済対策によって既に証明済みのものであり、政府みずから一度は否定した禁じ手の対策であります。本補正予算によって、九八年度の国債発行額は三十四兆円、国債依存度は一気に過去最悪の三八・六%に膨らむなど、財政事情は一層深刻さをきわめるものとなります。公共事業中心の国の景気対策が地方自治体の財政を危機的な事態に追い込んできたことも、宮澤大蔵大臣自身が認めたことであります。国民生活関連予算を抑制して国民の将来不安を増幅し、深刻な消費大不況に拍車をかける元凶となってきた財革法は、停止ではなくきっぱりと廃止し、今こそ逆立ちした財政構造にメスを入れ、社会保障に手厚い財政へと転換すべきであります。  第三は、乱脈経営で破綻した銀行救済のために、公的資金投入の経費を初めて計上したことであります。  昨年破綻した北海道拓殖銀行や徳陽シティ銀行などの破綻処理に使った預金保険機構への交付国債の償還分一兆一千五十四億円を、特例公債を充当して初めて計上したことは、バブルに踊った大銀行の不始末の穴埋めに、いよいよ国民税金をつぎ込む道に踏み出したことであり、断じて認めるわけにはまいりません。  景気対策を言うなら、今こそ消費税減税を中心とした庶民に手厚い対策に踏み出すべきであります。消費税を直ちに三%に戻し、庶民が潤う減税を実施する、医療、年金で国民負担を軽減し、将来が安心できる社会保障制度をつくる、中小企業への貸し渋りをやめさせ、官公需をふやすなど、庶民のための景気対策の実行を強く要求し、反対討論を終わります。(拍手)
  280. 中山正暉

    中山委員長 次に、秋葉忠利君。
  281. 秋葉忠利

    秋葉委員 私は、社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、平成十年度補正予算案に対する反対討論を行います。  反対する第一の理由は、このたびの補正予算案が、相変わらず従来型の公共事業中心、大型プロジェクト方式による景気対策だということであります。もはや大規模公共事業依存による景気対策では効果がないことは、この間の経緯でも明らかであります。しかも、各省庁別事業費構成も従来どおりであり、既存の利益誘導型予算案であります。  当然のことながら、社民党が主張する、環境、福祉、生活、情報など、生活基盤を充実する対策には極めて冷淡であります。これでは国民生活の質の向上にはつながりません。財政負担ばかりが水膨れし、将来の国民負担をさらに過重にするだけであります。  第二に、生活の不安、子育ての不安、年金や医療、介護を初めとする老後の不安、雇用の不安など、国民の先行き不安を解消するための対策が希薄だということであります。  社民党は、現在の不況の原因は生活に対するこれらの国民の先行き不安にあり、景気を回復するためには、国民の不安を解消する施策こそ実施しなければならないことを繰り返し主張してまいりました。強調したい点は、対策の効果が、抽象的な社会とか公といったところではなく、具体的な家庭や個人に及ぶような対策が求められているということであります。政府の対策には、残念ながらこの視点が欠落しております。  第三は、党首会談において社民党が提案した、飲食料品にかかる消費税額戻し金制度の創設や児童手当の抜本拡充、テレビ電話やパソコンの自治体による各家庭への無償貸与、来春新卒者の有給インターンシップ制度の創設などが全く受け入れられていないということであります。  第四に、この補正予算は、自自連立の出発点であり、日本を普通の国に堕落させる第一歩です。我が国が普通の国になるということは、人類史的なスケールで日本が行える最重要の国際貢献であることを信ずる社民党としては、その片棒を担ぐことはできません。  以上、社会民主党・護憲連合が平成十年度予算に反対する理由を申し述べ、私の反対討論を終わります。
  282. 中山正暉

    中山委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  283. 中山正暉

    中山委員長 これより採決に入ります。  平成十年度一般会計補正予算(第3号)、平成十年度特別会計補正予算(特第2号)、平成十年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  284. 中山正暉

    中山委員長 起立多数。よって、平成十年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました平成十年度補正予算三案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  285. 中山正暉

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る十四日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十四分散会