○旭道山和泰君 旭道山和泰です。
私は、公明党・改革クラブを代表して、ただいま
議題となりました
政府の
財政演説に関し、
総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。よろしくお願いします。(
拍手)
私は、相撲の世界から政治の世界に身を置き、約二年が経過しました。それまで私が経験した世界とは全く違う世界であっただけに、がむしゃらに日本じゅうを駆けめぐり、多くの
国民の皆様と対話を続けてきました。まさに政治の世界の全国巡業であり、一からのけいこで今日までやってきました。
しかし、その率直な会話の中で、
国民の皆様の声を聞けば聞くほど、政治とはこんなに
国民から遠いのか、
国民の声は政権には届かないのか、そして、政治にこれほど信頼感がないのかと思い続けてきました。これが私の二年間の印象です。
専門技術より常識が問われる、これは、アメリカのミネソタ州の知事になった元プロレスラー、ジェシー・ベンチュラー氏の言葉です。もちろん、今日のような複雑かつ多様化した社会では、専門性というのはますます重要性を持つことは言うまでもありません。しかし、その専門性を政治の場で遺憾なく発揮させるためには、その根底にある常識がなくてはならないと思います。常識とは、まさに
国民の目線に立つということではないでしょうか。
しかし、振り返れば、
橋本内閣誕生以来、
自民党政権は、この
国民から遊離した、まさにひとり相撲、
国民不在の相撲をとってきたのではないでしょうか。(
拍手)
橋本政権のとった
経済失政が今日大不況をもたらし、多くの失業者を生み出し、昨
年度に続いて
平成十
年度もマイナス成長となるのがほぼ確実となりました。
橋本前
総理は自他ともに認める
政策通でありました。その専門知識においては、私は足元にも及びません。横綱と幕下かもしれません。しかし、相撲でも、心技体がそろって初めて立派な力士として大成するのです。たとえ技術や体力がすぐれていても、肝心の心、すなわち一国の宰相として庶民の心がわかることが何よりも大事なことだと思います。(
拍手)
景気が
悪化しているのに、
財政再建が最重要だとして、
総額九兆円もの
国民負担増を押しつけた結果、日本
経済は瀕死の状態に追い込まれました。失礼を省みず申し上げれば、
橋本前
総理は、結局その専門性におぼれ、
国民の常識、
国民の心というものを理解されなかったゆえの大失政ではないか、私はそういう感想を強く抱いています。
なぜ私が前
総理のことを言うかといいますと、今国会で、
橋本前
内閣が強行した
財革法の
凍結法案が出されているからであります。小渕
総理は
財革法の
失敗に対してどう反省されているのか、お
伺いいたします。私は、
橋本前
総理と同部屋の小渕
総理におかれましては、決して同じ
失敗を繰り返されないように強く期待するものであります。
私は、
橋本内閣のデフレ
政策を初めとする数々の
経済政策は
失敗だったということを
総理みずからが
国民の前で認め、謝罪することからスタートするべきだと
考えています。
総理の
国民に対する明確な答弁をよろしくお願いします。
今
国民の間にさまざまな不安が渦巻いています。金融不安、
社会保障に対する不安、リストラの恐怖、賃金の据え置き、削減、さらに世界的な格付
機関からの国債すなわち
我が国の格下げなど、あらゆる不安におびえ、自信や誇りも揺らぎかねない
状況に陥っているのであります。
このような将来に対する不安を払拭するためには、
国民一人一人が、将来に対して自信と安心が持てるような確固たる
ビジョンを示すことであります。その上で、当面する不況に対しては、国と
地方が一丸となって立ち向かい、あらゆる知恵を結集し、より迅速でより着実な実行に移すことであり、なかんずく、この第三次
補正予算と
平成十一
年度予算が切れ目なくつながり、
効果を発揮させていくことが重要だと思います。
このたび小渕
内閣は、
緊急経済対策として、二十四兆円
規模の、過去最大の
経済対策を打ち出しました。
橋本前
総理が四月にまとめた
総合経済対策を合わせると四十兆円を超える
規模となるものの、この
経済対策をもってしても、残念ながら、OECDの世界
経済見通しでは、
平成十一年は〇・二%、
平成十二年は〇・七%、世界銀行の発表では、
平成十一年はマイナス〇・二%、悲観的ケースでは何とマイナス四%という極めて厳しい予測が出されております。
体重がどんなに重く、一見体格がよくても、鍛えられていない力士は勝つことはできません。
緊急経済対策においては、十一
年度ははっきりとした
プラス成長へ転換としておりますが、はっきりしていません。
政府・与党内においても、
平成十一年の
経済成長率の
考え方については、与謝野通産大臣や森
自民党幹事長が一%である旨の発言をしているようですが、
総理はどのようにお
考えでしょうか。そして、それが達成されない場合の
責任についてどのようにお
考えか、あわせてよろしくお願いします。
第三次
補正予算案では、重要な柱として、
金融システムの
安定化、貸し渋り
対策で二兆一千億円、
事業規模で五兆九千億円が計上されております。しかし、実際に
企業の現場に目を向けると、いまだに貸し渋りの実態は深刻です。多くの
中小企業の方々は綱渡りの
経営を強いられ、連鎖倒産や失業の恐怖は続いております。優良な
企業が資金繰りの問題で倒産するのは、何とも忍びがたいものがあります。
財政的な支援と同時に、我々の強い主張で貸し渋り一一〇番が設置されるなど、監視体制はかなり
整備されてきていますが、さらに、不条理な貸し渋り防止のために全力を挙げてやるべきだと
考えます。
総理の見解をお
伺いいたします。
現在、各
金融機関は、中間決算において、早期健全化法に基づく
公的資金の申請予定額をそれぞれ公表していますが、その
総額は大手行で約六兆円
規模と言われております。金融監督庁の間ではこの六兆円という申請予定額では不十分であるという評価もありますが、この点について、小渕
総理の答弁を求めます。また、六兆円が
緊急経済対策における
景気の下支えになり得るに十分な
規模なのか、あわせてお
伺いします。
恒久
減税について、何点か
質問いたします。
総理が
さきの臨時国会で恒久的な
減税について明言されてから、既に四カ月が経過しました。
総理は、臨時国会の所信表明で、所得課税
減税については来年一月以降に
実施するとおっしゃられました。
国民がこの
総理の決意を聞けば、来年の一月の給与から
減税がなされるものと
考えるのが自然であります。しかし、恒久
減税の具体的な
審議は
通常国会に先送りとなり、
実施は四月になると聞いております。
総理は、立ち合いでいかにも
減税をやるぞと仕切っておいて、いざ立ってみたら猫だましを仕掛けたのであります。いや、猫だましならぬ
国民だましを仕掛けたのであります。その意味において、
総理は
国民の期待を裏切ったのであります。その結果、年末年始にかけての消費刺激のチャンスを逃したと言わざるを得ません。私は、一月
実施と四月
実施ではおのずと
景気に対する刺激
効果に違いが出てくると
考えますが、この点、
総理の
認識をお
伺いいたします。
私は、所得課税
減税について、早急にその具体像を明らかにし、四月
実施とは言わず、できる限り前倒しの
実施をするべきではないかと
考えるものであります。
総理の見解をお
伺いいたします。
そもそも、来年から
実施される所得課税
減税は、恒久
減税なのですか、それとも恒久的な
減税なのですか。恒久的な
減税だとすれば、本格的な恒久
減税はいつ行うつもりなのですか。
総理の答弁をよろしくお願いします。
減税規模と配分については、国が二・九兆円、
地方が一・一兆円ということになっています。神奈川県のように、ボーナスの減額を余儀なくされるほどの
財政危機に直面しているのが実情であり、基本的には国税での
減税で
対応するべきではないでしょうか。
地方分権の流れからいえば、この際、国と
地方の税の配分の見直しという観点からもそうするべきであると
考えますが、この点について、配分割合の決定を下した
宮澤大蔵大臣並びに西田
自治大臣の率直なお
考えをよろしくお願いします。
また、最近、
政府税調や
自民党の
関係者から、
減税のさらなる上積みを求める声も出ていますが、この点、
総理はどのようにお
考えか、お
伺いいたします。
我々は、
景気刺激
効果が高い住宅について、個人の住宅取得を促進し、ローン
負担の軽減を図るための
施策として、全ローン期間を
対象とした住宅ローン利子控除
制度を創設すべきであると主張してきましたが、この点について、
政府の
方針はいまだ定まっておりません。
総理の英断を期待したいと思いますが、明確な答弁をお願いします。
消費税についてお
伺いいたします。
現在、自由党との連立を視野に協議を行っているようですが、消費税に対する両党の
考えには開きがあると言わざるを得ません。自由党の主張されるように消費税を一たんゼロにするのと、
現行税率を維持するのでは、百八十度違うわけであり、
さきの所信表明
演説に対する答弁の中で、
総理は、引き下げは困難であると答弁されております。この意味は、小渕
総理は、消費税率の引き下げはしないということと理解してよろしいのでしょうか。
総理の消費税に対する基本的な
考えをお聞かせください。
また、自由党の、一たんゼロにして、段階的に税率を
引き上げ、最終的には六%にするという主張について、
総理はどのようにお
考えか、わかりやすく御
説明ください。
最後に、
地域振興券についてお
伺いします。
この
地域振興券については、あらゆる方面からさまざまな
意見が寄せられています。
地方自治体では、既に商品券を実行しているところがあります。野中官房長官の地元である園部町でも大きな実績が出ていると聞いております。この
地域振興券の
経済的な波及
効果についてどのように
認識されておられるか、官房長官にお
伺いします。
地域振興券について、初めての試みでもあり、試行的な意味合いも含め、
規模も
対象も限定されていますが、その後の
経済状況によっては追加的な
政策を打ち出していくべきであると
考えております。
総理の
認識をお
伺いいたします。
総理、
総理は今の日本の
状況について、
景気が低迷し、国家的危機ともいうべき困難な時期にあるとおっしゃっております。
総理におかれましては、こういうときこそ、
政策的な詰めを先送りした自自連立という小わざに頼るのではなく、不況をがっぷり四つに組みとめ、寄り切る、力相撲が今求められているのではないでしょうか。
総理の相撲に
国民から待ったをかけられないよう、一言申し添えて、私の
質問を終わらせてもらいます。(
拍手)
〔
内閣総理大臣小渕恵三君
登壇〕