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1998-11-27 第144回国会 衆議院 本会議 第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十年十一月二十七日(金曜日)
—————————————
議事日程
第一号
平成
十年十一月二十七日 午前十時
開議
第一
議席
の
指定
第二
会期
の件
—————————————
一
国務大臣
の
演説
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
日程
第一
議席
の
指定
日程
第二
会期
の件
災害対策
を樹立するため
委員
四十人よりなる
災害対策特別委員会
、
公職選挙法改正
に関する
調査
を行うため
委員
二十五人よりなる
公職選挙法改正
に関する
調査特別委員会
、
石炭
に関する
対策
を樹立するため
委員
二十五人よりなる
石炭対策特別委員会
、
物価問題等国民
の
消費生活
に関する
対策
を樹立するため
委員
二十五人よりなる
消費者問題等
に関する
特別委員会
、
沖縄
及び北方問題に関する
対策樹立
のため
委員
二十五人よりなる
沖縄
及び北方問題に関する
特別委員会
、
行政機構
に関する諸問題を
調査
し、
行政改革
の総合的な
対策
を樹立するため
委員
四十人よりなる
行政改革
に関する
特別委員会
、
金融安定化
に関連する諸
法案
を審査するため
委員
五十人よりなる
金融安定化
に関する
特別委員会
及び
財政構造改革
の
推進
に関する
特別措置法
の
停止
に関する
法律案
を審査するため
委員
四十人よりなる
財政構造改革
に関する
特別委員会
を
設置
するの件(
議長発議
)
国会等
の
移転
に関する
調査
を行うため
委員
二十五人よりなる
国会等
の
移転
に関する
特別委員会
を
設置
するの件(
議長発議
)
小渕内閣総理大臣
の
所信
についての
演説
午後零時三分
開議
伊藤宗一郎
1
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
諸君
、第百四十四回
国会
は本日召集されました。 これより
会議
を開きます。
————◇—————
日程
第一
議席
の
指定
伊藤宗一郎
2
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
日程
第一、
議席
の
指定
を行います。
衆議院規則
第十四条によりまして、
諸君
の
議席
は、
議長
において、ただいまの仮
議席
のとおりに
指定
いたします。
————◇—————
伊藤宗一郎
3
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) この際、新たに
議席
に着かれました
議員
を紹介いたします。 第四百五十四番、
近畿選挙
区
選出議員
、
奥谷通
君。 〔
奥谷通
君
起立
、
拍手
〕
————◇—————
日程
第二
会期
の件
伊藤宗一郎
4
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
日程
第二、
会期
の件につきお諮りいたします。 今回の
臨時会
の
会期
は、十二月十四日まで十八日間といたしたいと思います。これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤宗一郎
5
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
会期
は十八日間とすることに決まりました。
————◇—————
特別委員会設置
の件
伊藤宗一郎
6
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
特別委員会
の
設置
につきお諮りいたします。
災害対策
を樹立するため
委員
四十人よりなる
災害対策特別委員会
公職選挙法改正
に関する
調査
を行うため
委員
二十五人よりなる
公職選挙法改正
に関する
調査特別委員会
石炭
に関する
対策
を樹立するため
委員
二十五人よりなる
石炭対策特別委員会
物価問題等国民
の
消費生活
に関する
対策
を樹立するため
委員
二十五人よりなる
消費者問題等
に関する
特別委員会
沖縄
及び北方問題に関する
対策樹立
のため
委員
二十五人よりなる
沖縄
及び北方問題に関する
特別委員会
行政機構
に関する諸問題を
調査
し、
行政改革
の総合的な
対策
を樹立するため
委員
四十人よりなる
行政改革
に関する
特別委員会
金融安定化
に関連する諸
法案
を審査するため
委員
五十人よりなる
金融安定化
に関する
特別委員会
及び
財政構造改革
の
推進
に関する
特別措置法
の
停止
に関する
法律案
を審査するため
委員
四十人よりなる
財政構造改革
に関する
特別委員会
を
設置
いたしたいと存じます。これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤宗一郎
7
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。 次に、
国会等
の
移転
に関する
調査
を行うため
委員
二十五人よりなる
国会等
の
移転
に関する
特別委員会
を
設置
いたしたいと存じます。これに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
伊藤宗一郎
8
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
起立
多数。よって、そのとおり決まりました。 ただいま議決されました九
特別委員会
の
委員
は追って指名いたします。
————◇—————
伊藤宗一郎
9
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) この際、暫時
休憩
いたします。 午後零時七分
休憩
————◇—————
午後二時三分
開議
伊藤宗一郎
10
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
休憩
前に引き続き
会議
を開きます。
————◇—————
国務大臣
の
演説
伊藤宗一郎
11
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
内閣総理大臣
から
所信
について発言を求められております。これを許します。
内閣総理大臣小渕恵三
君。 〔
内閣総理大臣小渕恵三
君登壇〕
小渕恵三
12
○
内閣総理大臣
(
小渕恵三
君) 第百四十四回国会の開会に当たり、国政に臨む所信の一端を申し述べます。 現下の最大の課題は、
金融システム
が健全に機能する基盤を整え、経済の再生を図ることであります。今回
臨時国会
の開会をお願いいたしましたのも、
我が国経済再生
のための
補正予算
、諸施策について、国会の場で御審議をいただくためであります。 このような重要な国会の冒頭に、まず
防衛装備品
の調達をめぐる
背任事件
のことから申し上げなければならないのは、まことに残念でなりません。防衛庁元
幹部職員
が逮捕、起訴され、さらに
証拠隠し疑惑
まで招いたことは、行政への国民の信頼を失墜させるものであり、心からおわび申し上げます。 防衛庁において、事実関係の徹底的な解明を図り、厳正な処分を行ったところでありますが、新しい体制のもとでさらに
調達機構
・制度の抜本的な
見直し
を進めるなど、
信頼回復
に全力を尽くしてまいります。
公務員諸君
には、国民全体の
奉仕者
であるとの使命を常に忘れることなく、みずからの職務を全うするよう強く求めます。 また、
政党助成金
の
不正使用疑惑
により
同僚議員
が逮捕されましたことはまことに遺憾であり、こうした事件が再び起きないよう、
政治家個人
が厳しく身を律していかなければなりません。行政、そしてリーダーシップを持って行政を指揮する立場にある政治のいずれもが、国民から十分な信頼を得られるよう、
議員立法
として御提案いただいております
国家公務員倫理法案
や
政治改革関連法案
の
早期成立
を、改めて期待いたします。 この夏以来、各地で豪雨や台風による災害が発生をいたしました。亡くなられた方々とその御遺族に対し謹んで哀悼の意を表するとともに、
被災者
の方々に心からお見舞いを申し上げます。政府といたしましては、
復旧対策
に全力を挙げるとともに、
災害対策
の強化に一層努力いたしてまいります。 現下の
日本経済
は、
金融機関
の経営に対する信頼の低下や雇用不安などを背景として、家計や企業のマインドが冷え込み、消費、
設備投資
、
住宅投資
が低迷しておる状況にあり、地価や株価の低下と相まって、企業や
金融機関
の
経営環境
を厳しいものとして、さらに貸し渋りや
資金回収
を招くという、いわば不況の環とも呼ぶべき厳しい状況の中にあります。こうした状況から脱却し、一両年のうちに
我が国経済
を
回復軌道
に乗せるためには、
金融システム
を早急に再生させるとともに、
公共投資
の拡大、恒久的な
減税等
の
景気回復策
を強力に推進することが必要であります。 私は、
政権発足
以来、思い切った施策を果断に決定し、実行に移してまいりましたが、さらに今般、平成十一年度において、はっきり
プラス成長
と自信を持って言える需要を創造すること、
失業者
をふやさない雇用と起業を推進すること、
国際協調
を推進することの三点を目標に掲げ、百万人規模の雇用の創出、安定を目指し、総
事業規模
にして十七兆円を超え、恒久的な減税まで含めれば二十兆円を大きく上回る規模の
緊急経済対策
を取りまとめました。これを受けて編成される第三次
補正予算
は、国及び地方の
財政負担
が十兆円を超える規模のものとなります。 本対策を初めとする諸施策を強力に推進することにより、不況の環を断ち切り、平成十一年度には
我が国経済
をはっきりした
プラス成長
に転換させ、平成十二年度までには
経済再生
を図るよう、内閣の命運をかけて全力を尽くしてまいりたいと考えております。(拍手)
緊急経済対策
の第一は、
金融システム
の
安定化
、
信用収縮対策
であります。 喫緊の課題であります
金融システム
の
安定化
を実現し、
我が国金融機関
に対する内外の信頼を回復するため、さきの
臨時国会
において、与野党間の真剣な討議を経て、
金融機能再生法
及び
金融機能早期健全化法
を車の両輪とする
法的枠組み
が整えられ、それぞれ十八兆円、二十五兆円の
政府保証枠
が整備されました。
金融システム
全体の
危機的状況
を絶対に起こさない、日本発の
金融恐慌
を決して起こさないとのかたい決意のもと、これらの制度の的確な実施に取り組んでまいります。 とりわけ
金融機関
の
資本増強制度
は、
不良債権
の処理を速やかに進めるとともに、その
財務状況
の
健全性
を向上させる基盤をつくるものであり、効果的で十分な活用が期待されます。個々の
金融機関
においては、その
社会性
、
公共性
を認識し、適切かつ十分な
情報開示
を行い、さらに、
金融システム改革
の進展の中で、戦略的な業務再構築やリストラに果敢に取り組むなど、みずからの努力を強く期待いたします。 政府といたしましては、新たに設置する
金融再生委員会
のもとで、制度の適切な運用に意を配るとともに、
金融機関
への
検査監督
の一層の充実を図ってまいります。
金融システム
の再生を図る際には、
預金者保護
に加え、貸し渋りや
融資回収等
による
信用収縮
を防ぎ、
中小企業
のみならず
中堅企業等
に対しても
信用供与
が確保されるよう、十分な措置を講じていかなければなりません。 このため、
金融機関
への
資本増強
の審査に当たり、
中小企業等
に対する融資への姿勢を重視することといたしました。四十兆円を超える規模の
資金需要
への対応を可能とする
中小企業等
貸し渋り
対策大綱
を着実に実施するとともに、
政府系金融機関
による融資、
債務保証
の拡充などにより、
中堅企業等向け
に新たに七兆円を上回る規模の
資金量
を確保するなど、貸し渋り対策に今後とも万全を期してまいります。 また、従来、
間接金融
を中心とした
資金供給ルート
につきましても、
金融システム改革
の着実な実施による直接
金融市場
の
整備等
を通じて、その拡充、
多様化
を図ってまいります。
緊急経済対策
の第二は、需要の回復などを目指した
景気回復策
であります。
経済戦略会議
の
短期経済政策
への
緊急提言
をも踏まえ、二十一
世紀型社会
の構築に資するよう、
即効性
、
波及性
、
未来性
の三つの観点を重視して取りまとめたものであります。当面は
公的需要
を中心に景気の下支えを図りながら、
民間消費
などの回復を通じた
民需主導
の
経済発展
に円滑にバトンタッチすることを目指すとともに、
景気回復
の動きを中長期的な
安定成長
につなげるため、二十一世紀の多様な知恵の時代にふさわしい社会の構築に向けた
構造改革
を推進してまいります。 私は、かねてより、政治は、国民が将来にわたり夢と希望を持てるよう、
我が国社会
の将来構想を示すべきであると考えてまいりました。先般、私が
生活空間倍増戦略プラン
と
産業再生計画
の基本的な
考え方
を提示いたしましたのも、まさにそうした
考え方
に基づくものであります。 これらの両構想につきましては、来年一月中を目途に
具体的姿
を取りまとめ、国民の皆様にお示しをいたしたいと思います。今般の
景気回復策
にも、こうした
考え方
のもと、二十一
世紀先導プロジェクト
や、ただいま申し上げました両構想の実現に向けた施策を重点的に盛り込みました。省庁の枠を超えて、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
景気回復策
の第一の柱である二十一
世紀先導プロジェクト
は、
先端電子立国
の形成、
未来都市
の交通と生活、安心・安全、ゆとりの暮らしの創造、
高度技術
と
流動性
のある
安定雇用社会
の構築の四テーマにつきまして、未来を先取りする
プロジェクト
の実現に
取り組み
、日本全体を
活性化
させることをねらいとするものであります。特に、
情報通信
など多くの省庁に関連する
プロジェクト
につきましては、私が直轄するいわば
バーチャルエージェンシー
とも呼ぶべき体制を設け、省庁の枠にとらわれることなく力を結集して、その推進を図ってまいりたいと考えております。(拍手) 第二の柱は、
生活空間活性化策
であります。 国民がゆとりと潤いのある活動ができますよう、
生活空間倍増戦略プラン
の実施に当たり、
住空間
を初めとして、質の高い
生活空間
の倍増に向けた投資を、
民間活力
をも活用しながら積極的に推進してまいります。また、個性的で誇りの持てる
地域づくり
が進むよう、各地域みずから選んだテーマにつき策定される
地域戦略プラン
に関しましても、強力に支援してまいります。あわせて、
土地債権
の
流動化
の一層の促進を図るとともに、特に、
経済波及効果
の大きい
住宅投資
に関し、財政、
税制等
にわたる広範な施策を講じ、
住宅市場
の
活性化
と
住宅ストック
の形成の支援を図ってまいりたいと考えております。(拍手)
景気回復策
の第三の柱は、
産業再生
、
雇用対策
であります。 新事業の創出による良質な雇用の確保と
生産性
の向上のための
投資拡大
に重点を置く
産業再生計画
の基本的な
考え方
を踏まえ、
我が国産業
の再生に全力を傾け、起業の拡大を図り、
中小企業
の
活性化
を促します。具体的には、
新規開業
及びその
成長支援
、
既存企業
の再
活性化
のための
環境整備
、将来の
我が国産業
をリードする新規、成長十五分野における
技術開発
、普及などを進めるため、
規制緩和
や
公的支援措置
の
充実等
を図り、また、
ベンチャー企業
を初めとする
中小企業
の技術の
事業化促進
などを図ります。 早急な雇用の創出及びその安定を目指す観点からは、
中小企業
における
雇用創出
、
失業給付期間
の訓練中の
延長措置
の拡充、
職業能力開発対策
の
充実等
から成る
雇用活性化総合プラン
を実施し、特に、
雇用情勢
に臨機に対応して中高年の
失業者
に
雇用機会
を提供できるよう、
緊急雇用創出特別基金
を創設いたします。これらの施策を強力に推進するため、今国会に新
事業創出促進法案
を初めとする
関連法案
を提出したところであり、その速やかな成立に御協力をお願いいたします。(拍手) 第四の柱は、
社会資本
の重点的な整備であります。
景気回復
への
即効性
や
民間投資
の
誘発効果
、地域の雇用の
安定的確保
の観点に立ち、従来の発想にとらわれることなく、二十一世紀を見据えて真に必要な分野、具体的には、
情報通信
、
科学技術
や、環境、福祉、医療、教育などの分野に大胆に重点化いたします。北海道や沖縄など特に厳しい
経済状況
にある地域や、
不況業種
の実情にも十分配慮し、
地域経済
の
活性化
にも資する
即効性
の高い
社会資本整備
への重点的な
傾斜配分
を行うとともに、民間の資金やノウハウを活用した
社会資本整備
の推進も図ってまいります。 以上の施策を盛り込んだ
補正予算
を速やかに今国会に提出することといたしており、その一刻も早い成立に向け、
議員各位
の御理解と御協力をお願いいたします。(拍手) 税制につきましては、
我が国
の将来を見据えた抜本的な
見直し
を展望しながら、
個人所得課税
については、平成十一年から
最高税率
の水準を五〇%に引き下げるなど四兆円規模の恒久的な減税を行い、
法人課税
につきましては、平成十一年度から
実効税率
を四〇%程度に引き下げます。この際、
地方財政
の円滑な運営に十分配慮いたします。これらの
税制改正
を具体化する法案は、次の
通常国会
に提出をいたします。 恒久的な減税の財源は、当面
赤字国債
によらざるを得ませんが、一方で、徹底した経費の節減、
国有財産
の処分などを進めることはもちろん、長期的には、今後の経済の
活性化
の状況、
行財政改革
の
推進等
と関連づけて財源のあり方を検討する必要があると考えております。 また、
個人消費
の喚起と
地域経済
の
活性化
を図るため、
一定年齢
以下の児童を持つ家庭及び
老齢福祉年金等
の
受給者等
に対し、
地域振興券
を交付いたします。(拍手) 少子・
高齢化
が進む
我が国
において、将来の社会、世代のことを考えるとき、
財政構造改革
の実現は引き続き重要な課題でありますが、まずは
景気回復
に全力を尽くすため
財政構造改革法
を当分の間凍結することとし、そのための法案を今国会に提出いたしました。その速やかな成立にも御協力をお願いいたす次第であります。(拍手) 最
重要課題
の一つである
行政改革
につきましては、二〇〇一年一月の新体制への
移行開始
を目標とするとのスケジュールは決して後退させないとの強い決意のもと、
内閣機能
の強化などを内容とする
中央省庁再編関連法案
の来年四月の
国会提出
を目指し、
政治主導
で作業を進めてまいります。 あわせて、
中央省庁
の
スリム化
のための
独立行政法人化等
や、業務の徹底した
見直し
に全力で取り組むとともに、
密接不可分
の課題である
規制緩和
、
地方分権
をも強力に推進いたします。 特に
地方分権
につきましては、五月に決定した
地方分権推進計画
を踏まえた
関連法案
を次の
通常国会
に提出するとともに、先日いただきました
地方分権推進委員会
の第五次勧告に対応する新たな
地方分権推進計画
を本年度内を目途に作成するなど、国と地方との
役割分担
、
費用負担
のあり方を明確にしながら、その一層の推進を図ってまいります。あわせて、
地方公共団体
における
体制整備
、
行財政改革
につきましても、その積極的な
取り組み
を求めてまいりたいと考えております。 かねてより申し上げておりますように、内政と外交は表裏一体であるというのが私の
基本理念
であります。
世界経済
が置かれている厳しい現状を直視するとき、
我が国
の
経済再生
に向けた
取り組み
は、
アジア
を初めとする世界の安定と繁栄にとって極めて重要であり、翻って、世界の安定と繁栄なくしては
我が国
の安全と繁栄はあり得ません。また、依然として不安定な要素を抱える
アジア太平洋地域
、とりわけ
北東アジア地域
における平和と安定の
枠組み
を一層強固なものとすることは、極めて重要な課題であります。 こうした認識に立ち、この秋、私は、
世界経済
の発展と
アジア太平洋地域
の安定、繁栄に特に重要な役割を担う米国、ロシア、中国、韓国の
各国首脳
との会談を初めとする重要な
外交日程
に、次々と取り組んでまいりました。(拍手)
日米関係
は、
我が国外交
の基軸であることは申すまでもありません。私は、就任以来二度にわたり
クリントン大統領
と
首脳会談
を行い、厳しい状況にある
世界経済
や
北東アジア地域
における
安全保障
の問題などに両国が緊密な協力を行っていくことで意見の一致を見ました。重要な課題である
日米防衛協力
のための
指針関連法案等
の
早期成立
、承認に、
議員各位
の御理解と御協力をお願いいたします。 また、米軍の施設・区域が集中する沖縄が抱える諸問題につきましては、先般の知事選の結果を踏まえながら、沖縄県が直面する深刻な経済、失業の状況を直視した上で効果的な
振興策
を実施するとともに、同県の協力と理解のもと、
SACO最終報告
を踏まえ、
米軍施設
・区域の整理、統合、縮小に向け、今後とも強力に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手) 先日、私は、
我が国
の総理としては二十五年ぶりにロシアを公式に訪問して、
エリツィン大統領
と
首脳会談
を行い、両国間の
創造的パートナーシップ
の構築に向けた
モスクワ宣言
を発表いたしました。これにより両国の関係は、信頼の強化を通じて合意の時代へ発展し、さらに実行の時代へと切り開かれていくものと考えます。 北方領土問題につきましては、両国が合同で
国境画定委員会
及び
共同経済活動委員会
を設置するとともに、旧島民やその家族による北方領土への
自由訪問
の実施に原則的に合意するなど、橋本前総理が
エリツィン大統領
との間に築いてこられた
信頼関係
を基盤として、その解決に向けて着実な進展がありました。 今後とも、間断なき対話の継続を通じ、さまざまな分野における関係を強化しながら、
東京宣言
及び
モスクワ宣言
に基づき、二〇〇〇年までに
平和条約
を締結するよう、これまた全力を尽くしてまいりたいと考えております。(拍手) 現在、
江沢民主席
が、中国の
国家主席
としては初めて国賓として訪日されておられます。
日中平和友好条約
の締結から二十周年を迎えた本年、
江沢民主席
との間で
日中共同宣言
を作成し、二十一世紀に向けた協力の強化に関する
共同発表
を行いましたことは、
日中関係
に新たな節目を画するものであります。今後とも、日本と中国は、
アジア太平洋地域
全体の平和と発展に責任を有する国家として、単なる二
国間関係
にとどまらず、
国際社会
に目を向けた対話と交流を一層拡充してまいります。(拍手) 先月、私は
金大中大統領
と胸襟を開いて
話し合い
を行い、過去の問題に区切りをつけ、二十一世紀に向けた新たな
日韓パートナーシップ
を構築することを宣言いたしました。
民主主義
のためにまさに身命を賭してこられた
大統領
の国会での演説は、同じく
民主主義
の推進を絶えず胸に刻みながら政治に携わってきた者として、深い感銘を受けずにはおられませんでした。これを契機として、今後、
日韓共同宣言
や
行動計画
を基礎として、
日韓関係
をさらに次元の高い
友好協力関係
に発展させていきたいと考えております。 明日、鹿児島での
日韓閣僚懇談会
に私も出席し、こうした流れを一層確固たるものとしてまいります。また、長年の懸案でありました
日韓漁業協定
につき
基本合意
に達したことを踏まえ、今国会に条約及び法案を提出いたします。新しい
漁業秩序
の
早期構築
に向け、
議員各位
の御協力をお願いいたします。(拍手)
アジア太平洋地域
の平和と安定の確保を考えるとき、北朝鮮による先般の
弾道ミサイル
の発射は、重大な懸念を与える出来事であり、また、
秘密核施設
の疑惑は、こうした懸念をさらに拡大するものであります。これらの問題につきましては、
我が国
は米国、韓国などと緊密に連携をとりながら対応しているところであり、今後とも、この地域の安定のために力を尽くしてまいります。北朝鮮に対しましては、これらの国際的な懸念や
日朝間
の諸懸案の解決に向け建設的に対応するよう、改めて強く求めるものであります。 こうした状況の中で、
我が国
の安全を確保するために、適切な
情報収集
に努めることが必要であり、
安全保障
や
危機管理
に資する情報の収集、分析、
伝達等
に関し、所要の措置を講じていく必要があると考えております。(拍手)
アジア経済
の安定は、緊急、喫緊の課題であります。私は、
アジア各国
の通貨・
経済危機
に対処すべく、従前からの総計四百四十億ドルに上る
支援策
に加え、新たに三百億ドル規模の
資金支援スキーム
の実施を決定いたしました。さらに今般、
アジア
の成長と
経済回復
のための
日米共同イニシアチブ
を取りまとめ、
日米両国
が中心となって、多数国間の
枠組み
の中で
アジア諸国
の
資金調達
を支援してまいることを明らかにいたしました。 こうした
考え方
のもと、今回の
緊急経済対策
の重要な柱の一つとして、
世界経済
、中でも
アジア経済
の安定のために、
アジア通貨危機支援資金
の設立を通じた
資金調達支援
などの
アジア諸国
の
通貨危機等
への対応策や、
政府系金融機関
による
融資制度
の創設、
拡充等
を通じた現地の
日系企業
などに対する
支援策
を盛り込んだところであります。 先週マレーシアで開催されました
APEC首脳会議
におきましても、私は、
アジア各国
の
経済回復
のためできる限りの支援を行うとの方針を改めて表明し、これに対し、
各国首脳
から高い評価と強い期待が表明されました。また、
国際金融システム
の強化や、
アジア経済
を
回復軌道
に乗せていくための
取り組み
などについても、有意義な
意見交換
を行ってまいりました。来月半ばには、ベトナムにおいて
ASEAN諸国
との
首脳会合
が予定されており、
アジア経済危機
の克服のための協力や、
我が国
と
ASEAN諸国
との関係の強化などについて率直な
話し合い
を行いたいと考えております。 このたび、ハリケーンにより甚大な被害を受けた
中米諸国
への支援の一環として、ホンジュラスに対し、自衛隊を初めて
国際緊急援助隊
として派遣いたしました。この活動は現地で非常に高い評価を受け、また感謝をされておると聞いております。(拍手) 今後とも、国民とともに歩む外交を推進し、
国際社会
における
我が国
の地位にふさわしい役割と責任を積極的に果たしてまいりたいと思います。
日本経済
は極めて厳しい状況にありますが、私は、
我が国
は経済的、社会的に強固な基盤を有しており、これまで申し上げてまいりました政策を果断に実行することにより、力強い成長を再び始めることを確信いたしております。国民の皆さん、自信を持ってともに歩もうではありませんか。(拍手) あすの日本のために今何をなすべきか、私たちは国民の英知を結集して真剣に検討し、その実現に全力を挙げていかなければなりません。そのため、例えば経済分野であれば、私に直属する
経済戦略会議
の場で専門家の方々の御意見を承ってまいりました。また、国民の皆様一人一人の立場からの御意見を幅広く伺うため、私は今まで、
中小企業
の経営や社会福祉、農業などの現場を訪ね、また、勤労者、学生、主婦などさまざまな立場の方々の御意見も改めてお聞きし、私の考えを直接お話しする機会を積極的に設けてまいりました。厳しい叱咤や激励の声も承りましたが、そうした御意見は謙虚にこれを受けとめ、政策形成の過程に十分反映させてまいりたいと考えております。(拍手) 内外ともに困難な現下の状況にあって、私は、国家の発展と国民生活の安定を図るため、政党間の連携を深め、党派を超えてさまざまな意見に耳を傾け、合意を求め、国民のために責任ある政治を行ってまいりたいと考えております。国民の皆様並びに各党各会派の
議員各位
の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。(拍手)
————◇—————
岸田文雄
13
○岸田文雄君
国務大臣
の
演説
に対する質疑は延期し、来る三十日午後一時から本
会議
を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されることを望みます。
伊藤宗一郎
14
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 岸田文雄君の動議に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤宗一郎
15
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時三十六分散会