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1998-12-11 第144回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十年十一月二十七日)(金曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。    委員長 穂積 良行君    理事 赤城 徳彦君 理事 増田 敏男君    理事 松岡 利勝君 理事 横内 正明君    理事 小平 忠正君 理事 木幡 弘道君    理事 宮地 正介君 理事 一川 保夫君       今村 雅弘君    小野寺五典君       金子 一義君    金田 英行君       岸本 光造君    熊谷 市雄君       熊代 昭彦君    鈴木 俊一君       園田 修光君    中尾 栄一君       中山 成彬君    丹羽 雄哉君       萩山 教嚴君    御法川英文君       宮腰 光寛君    宮本 一三君       矢上 雅義君    石橋 大吉君       今田 保典君    鉢呂 吉雄君       原口 一博君    堀込 征雄君       漆原 良夫君    木村 太郎君       西  博義君    佐々木洋平君       菅原喜重郎君    中林よし子君       藤田 スミ君    前島 秀行君       岩浅 嘉仁―――――――――――――――――――――― 平成十年十二月十一日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 穂積 良行君    理事 赤城 徳彦君 理事 増田 敏男君    理事 松岡 利勝君 理事 横内 正明君    理事 小平 忠正君 理事 木幡 弘道君    理事 宮地 正介君 理事 一川 保夫君       今村 雅弘君    小野寺五典君       大石 秀政君    金田 英行君       岸本 光造君    熊谷 市雄君       桜井 郁三君    鈴木 俊一君       園田 修光君    戸井田 徹君       中尾 栄一君    中谷  元君       中山 成彬君    萩山 教嚴君       御法川英文君    宮腰 光寛君       宮本 一三君    矢上 雅義君       石橋 大吉君    今田 保典君       鉢呂 吉雄君    原口 一博君       堀込 征雄君    松本 惟子君       漆原 良夫君    木村 太郎君       西  博義君    佐々木洋平君       菅原喜重郎君    中林よし子君       藤田 スミ君    前島 秀行君       岩浅 嘉仁君  出席国務大臣         農林水産大臣  中川 昭一君  出席政府委員         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省条約局長 東郷 和彦君         農林水産省経済         局長      竹中 美晴君         農林水産省農産         園芸局長    樋口 久俊君         水産庁長官   中須 勇雄君         海上保安庁長官 楠木 行雄君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      安藤 裕康君         農林水産委員会         専門員     外山 文雄君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十一日  辞任         補欠選任   金子 一義君     中谷  元君   岸本 光造君     桜井 郁三君   熊代 昭彦君     戸井田 徹君   丹羽 雄哉君     大石 秀政君   石橋 大吉君     松本 惟子君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     丹羽 雄哉君   桜井 郁三君     岸本 光造君   戸井田 徹君     熊代 昭彦君   中谷  元君     金子 一義君   松本 惟子君     石橋 大吉君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  排他的経済水域における漁業等に関する主権的  権利行使等に関する法律及び海洋生物資源の  保存及び管理に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出第六号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 穂積良行

    穂積委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利行使等に関する法律及び海洋生物資源保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。農林水産大臣中川昭一君。     ―――――――――――――  排他的経済水域における漁業等に関する主権的   権利行使等に関する法律及び海洋生物資源   の保存及び管理に関する法律の一部を改正す   る法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 中川昭一

    中川国務大臣 排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利行使等に関する法律及び海洋生物資源保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  我が国は、大韓民国との間で、海洋法に関する国際連合条約趣旨を踏まえた新たな漁業協定を締結するため、交渉を続けてまいりましたが、去る十一月二十八日に新たな漁業協定の署名が行われ、本国会に御承認をお願いしているところであります。  この漁業協定においては、原則として、沿岸国が自国の排他的経済水域において操業する相手国漁船に対して許可及び取り締まりを行うこととするとともに、我が国大韓民国との間の一部の水域漁業に関する主権的権利行使する水域境界線を設けること等を内容としております。  この新たな漁業協定のもとで、我が国漁業に関する主権的権利行使海洋生物資源保存及び管理を的確に行うことができるよう、所要の規定を整備するため、この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  まず、外国人が行う漁業等規制措置を定めた排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利行使等に関する法律につきまして、条約規定により我が国漁業等に関する主権的権利行使する水域の範囲について調整が行われるときは、その調整後の水域対象水域とすることを明確化することとしております。  また、漁獲可能量の決定及び管理について定めた海洋生物資源保存及び管理に関する法律につきまして、同様に漁獲可能量対象水域を明確化することとしております。  さらに、現行我が国大韓民国との間の漁業協定実施するための国内法である日本国大韓民国との間の漁業に関する協定実施に伴う同協定第一条一の漁業に関する水域の設定に関する法律につきまして、現行漁業協定が失効することに伴い、廃止することとしております。  以上が、この法律案提案理由及び主な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 穂積良行

    穂積委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 穂積良行

    穂積委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石橋大吉君。
  6. 石橋大吉

    石橋(大)委員 きょうは日韓漁業協定と関連する国内法に関する質問が中心ですが、ちょうどいい機会というか、これしか機会がありませんし、非常に重要な問題として米の関税化移行の問題がありますので、最初に、この点について農林水産省考え方を二、三ただしておきたいと思います。  まず、事務方トップに聞きたい。  第一の質問は、農林水産省は、米の関税化問題について、我々野党に対してはどこまでうそをつき、どこまでしらを切るつもりか、そのことについてしっかりとした答えをいただきたい、こう思っているのです。  御承知のとおり、全国農協中央会機関紙日本農業新聞は、米の関税化問題について、十二月二日から十二月六日にかけて「迫られる選択 緊急検証 米関税化問題」という特集を組み、米関税化問題について詳細な特集記事を載せている。  十二月六日の朝日新聞では、日米貿易摩擦交渉実務経験者である帝塚山大学教授児玉克治氏が「税率一〇〇〇―一三〇〇%高過ぎる」、こういう談話記事を載せ、九日には「コメ早期関税化 「従量税」浮上に混乱 「論議拙速」反発広がる 自民討議、来週以降に延期」、こういう記事を載せている。  十二月六日の読売新聞には、「コメ関税化従量税」採用 二〇〇〇年度で一キロ三百五十円前後 農水省自民方針 全中容認方向」という記事と、解説で「コメ関税 次期交渉の圧力必至」、こういう記事を掲載している。  きのうの十二月十日の日経新聞では、「コメ輸入 来年四月関税化 政府WTO年内通報」、こういう見出しをつけて、「政府自民党コメ輸入の九九年四月からの関税化受け入れを来週決定し、年内世界貿易機関WTO)に通報する方針を固めた。」こういう記事が載っている。  きょうの農業新聞では、農水省高木勇樹事務次官インタビュー記事が大きく載っているが、「早急に次期交渉戦略を」、こういう大きな見出しがついていて、政府与党全中の「三者一体の体制を維持する中で、現行WTO協定についての共通認識をつくり上げ、最善の選択は何か、結論を出す。」こう言っているわけであります。農水省もこの問題に深くかかわっていることを示す談話記事だ、こういうふうに私は思っているわけであります。  こういう状況の中で、我々民主党農水部会も何回かにわたってこの問題について農水省の話を聞いてきた。きのうの朝も、食糧庁総務部長経済局国際部長を呼んで話を聞いた。問題なのは、関税化の問題やミニマムアクセスにかかわる農業協定合意事項についての解説はするけれども、この件について農水省は全く関与しておらず、いいとも悪いとも何らの判断も示していない、農協中央会さんが勝手にやられておることだ、求められればガット農業合意はこうなっていますという解説ぐらいはしている、そういう考え方で終始している。  我が国食糧政策の根幹にかかわる重大問題にもかかわらず、我々に対して積極的に問題提起をし、理解を求めようとする姿勢みじんも見えない。非常に残念だ。本当は深く関与しながら、関知していないと言ってうそをつき通し、しらを切り通そうとしていること。だれもそんなことは信用していないけれども、こういうことでは農水省当局に対して抜きがたい不信感が広がるばかりだ、私はこう思う。  政府与党も、口を開けば、米についても農業の将来についても国民的合意が非常に大事だ、重要だ、こう言っている。しかし、こういう姿勢では、国民的合意どころか、日本農政農水省に対する不信は、さっきも言ったようにますます抜きがたいものになるばかりではないか、こういうふうに私は考えるわけです。  こういうことについて事務方トップは一体どう考えるのか。大臣考え方最後に聞きたいと思いますから、はっきりと答えていただきたい。
  7. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 お答え申し上げます。  西暦二〇〇〇年の次期農業交渉が迫っておるわけでございますが、そういう中で、世界各国におきましてもいろいろな議論が始められております。どういう方向でこれに対応していくか、各国でもいろいろな議論が始まっているわけでございますが、我が国におきましても、どういう方向で二〇〇〇年の交渉に臨むか、いろいろ議論を深めていくべき時期に来ておろうかと考えているところでございます。  農業団体におきましても、昨年のJA全国大会議案等にもそうした問題提起現状協定分析の上に立った今後の交渉についての問題提起がされ、系統内でもいろいろ議論されてきておるところでございます。そういうことで、各界におきまして現行協定についての分析検証等が進められております中で、私どもといたしましても、これに資料提供等々いろいろな形で御協力してきておるところでございます。  次の交渉のことを考えますと、農業団体だけでなしに、各界の広範な関係者共通認識理解の上に立って対応していくということが何よりも重要であると考えておりまして、私どももそういう面で努力をさせていただいているところでございます。
  8. 石橋大吉

    石橋(大)委員 答えになっていない。各界関係者の広範な意見を聞いてそれを大事にしたい、こう言っている。我々政治家は無視するつもりか。特に野党政治家は。もう一遍はっきりした答えをしてもらいたい。
  9. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 ただいま申し上げましたように、各界のいろいろな議論に協力をさせていただきます過程で、各党議論におかれましても、御要請に応じて御説明させていただいたり議論に参加させていただいたりしているところでございます。
  10. 石橋大吉

    石橋(大)委員 さっき言ったとおり、少なくとも我々に対する農水省当局説明は、農業合意の決まったことの解説だけですよ。ここでどういう判断に立って政策転換をするか、あるいは政策転換をしたときにはこういうメリットがあるとかないとかいろいろなことを、そんなことは全く、一切ないですよ。まあ、いいや。これは余り時間がないからこれぐらいにしておいて、後で最後大臣の見解を聞きたい。  第二の問題は、もしここでミニマムアクセスから関税化へ転換するとすれば、九三年十二月の農業合意のときにミニマムアクセス選択したことは農政当局の重大な政策判断のミスだった、私はそうなると思う。そういうことを言われたくないために、あえて政治家には黙って事を運んでいるんじゃないか、こういう感じがして仕方がないわけであります。  そのことに関連をして、さっき言った「迫られる選択 緊急検証 米関税化問題」、日本農業新聞の十二月二日の特集記事によると、こういう記事がある。   ラウンド以後も、政府与党農業団体は関  税化拒否方針を堅持。歴代農相も「農産物を  単純に自由経済にゆだねて解決する問題じゃな  い」(大河原太一郎氏)、「主食だけは自由化し  てはいけないと思う」(野呂田芳成氏)などと  明言してきた。   早期関税化提案は、これまでの経過からす  ると百八十度の方針転換だ。震源地は同省で、  次期交渉での米戦略内部検討した結果、「方  針変更批判を浴びても、早期関税化が得策。  歴史の評価に任せたい」(幹部)と今夏までに  腹を据えた。当然、「なぜ、いま転換するのか」  との政府内外からの批判を覚悟してのことだっ  た。 こう書いてある。これは大変立派な覚悟だ。  しかし、内部ではそう腹を固めているかもしらぬけれども、我々政治家に対する態度を見ていると、これはひた隠しですよ。みじんもそういう、この歴史的な評価にゆだねたいというような壮大な決意の姿が見えない。私は非常に残念だ、こういうように思っているわけであります。  ガットウルグアイ・ラウンドにおいて、ミニマムアクセス選択したのは政策判断の誤りではなかったか。当時我々はもう与党だった。我々の不明も恥じなければいかぬ。しかし、国際交渉に深く関与してきたのは事務当局だ。正確な情報と問題提起があれば十分な議論はできたはずだ。その点について、二番目にちょっと確たる意見を聞きたい。
  11. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 お話がございましたウルグアイ・ラウンド農業交渉におきましては、当時包括的な関税化、いわゆる例外なき関税化ということを基本的な考え方にいたしまして交渉が進められておりました。関税化例外を設けるべきではないという主張が大勢を占めていたところでございます。その一方で、我が国におきましては包括的な関税化に対する強い拒否感が一般的な世論となっておりまして、例外なき関税化の修正を求めて粘り強い交渉を行っていたところでございます。  そういう中で、交渉最終段階におきまして関税化特例措置を含む調停案が示されましたが、ウルグアイ・ラウンド交渉の成功のために応分の貢献を果たすことが我が国の国際的な責務である、そういう観点から、当時の政府として、ぎりぎりの決断として最終的にこれを受け入れたという経過でございます。  現在、この米の関税化特例措置の取り扱いを含めまして、WTO次期農業交渉にどういう方向で臨むかにつきまして、各方面において真剣な議論が続けられているわけでございますが、政府といたしましては、この議論を十分拝聴させていただきまして、その上で我が国にとって、あるいは我が国農家にとって何が一番よい選択であるかということに最大のポイントを置いて対応していくということになろうかと考えております。
  12. 石橋大吉

    石橋(大)委員 揚げ足取りをするわけではないのですが、今の経済局長の話は、何が一番いいか、農業団体農家の皆さんの理解を得たい、得なければいかぬ、こう言っている。しかし、今の状況農家の人が全く理解していないですよ。農協自民党政府と三者で密室の中で議論している。こういうことで農民やこの全国農業団体にちゃんとした理解を求めるといったって、そんなことできっこない、不信感が募るばかりだ、こういうように私は思う。  三つ目の問題は、時間がありませんから余り申し上げませんが、もう一つだけ質問しておきたい。  初めに誤解のないように言っておきますが、我々は必ずしも関税化選択絶対反対という立場じゃないですよ。事と次第によってはそれはあり得ると思う。問題なのは、さっきから言っているように、どうもうそしらを切り通して逃げようとしている。我々に対して責任ある対応をしようとしていない。そのことについて非常に腹が立っているわけですよ。そのことを誤解のないようにして、次にもう一つ質問したいのです。  もしここで関税化に転換するならば、もっと早く問題提起をして、しっかりした議論の上に立って、国民的な合意をして転換するならすべきじゃなかったか、こう私は思うわけであります。農林水産省内部だって相当前から、ミニマムアクセスよりも関税化の方がいいのではないか、こういう判断をした人もいたはずだ。  例えば、九三年の十二月十三日にウルグアイ・ラウンド農業合意政府は決めた。十四日から十七日ぐらいまで日本経済新聞が、「コメ開国後の構図」という特集記事を載せている。それの最初のところにこういう記事が載っている。   「関税化のほうが良かったかもしれない」。細  川政権コメ問題の収拾で混乱しているさな  か、農水省のある若手幹部がこうつぶやいた。  「例外なき関税化」をなんとか押し戻し、最低  輸入量ミニマムアクセス方式で当面しの  げることになった安堵(ど)感が広がる農水省  内にあって、この発言は懲罰ものだろう。だが  「関税化最低輸入量方式か」の選択は、改め  て論議してみる価値がある。 こう若手幹部が、事と次第によっては首になりかねないことを覚悟して言っている。こういう記事が出ている。  また、農林水産省のOBで食料・農業政策研究センター理事長をやっている並木正吉さんが、明くる九四年の総合雑誌世界」の七月号に、「農業合意における米(コメ) どのような決着だったのか」という論文を書いておる。その中では、あのダンケル提案に言う関税化従量税特別セーフガードを組み合わせればかなり防壁的な役割を果たせる、こういう問題について冷静な議論をする必要があったと思う、それができなかったのは残念だ、こういう論文を書いている。これ以上詳しいことは言いませんが。  学者の中でも、例えば東大の森島賢さんは徹底的な関税反対論者だったけれども佐伯尚美さんなんかはどちらかといえば関税論ではなかったか、こう私は受けとめている。いろいろな議論がある。  そういう意味では、恐らく農水省内部では、相当前からかなりちゃんとした議論をして温めていたんじゃないかと思う。また、もし一年、二年早くやることがミニマムアクセスの数量を何万トンか減らすことができる、そういうことに非常に大きなメリットがあるとすれば、去年からでもおととしからでもちゃんとやるべき話だ、私はそう思う。ここに来て、わずか一週間か十日の間に、しかもないしょでこの問題のことを決しようというのはまことにもって私は不可解、残念だ。この点についてどう考えるか。まず事務方の話を聞いて、あわせて、最後農林水産大臣からこの問題についての所見を伺いたいと思います。
  13. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 ウルグアイ・ラウンド交渉を受けまして、当時、ぎりぎりの判断として関税化特例措置を適用することにしたという経緯は、先ほど申し上げたとおりでございます。その後、ミニマムアクセス受け入れをいたしましてから三年以上経過しているわけでございますが、その間に、消費者外国産米の購入の実態とかあるいは食糧法の制定、新たな米政策策定等政策面でもいろいろな経過があったわけでございます。  そういう中で、農業協定実施状況につきましては、役所の方といたしましてもかねてからいろいろ分析検討をしてきているところでございますし、一方、農協系統におきましても、昨年十月のJA全国大会議案におきましても、今後の方針について問題提起がされている。そういう状況の中で、今後、二〇〇〇年の交渉を展望いたしました場合に、現時点でどういう対応が最も適切であるか、論議を行うべき時期に来ておるということであろうかと思います。  私どもとしましては、各界意見も十分に踏まえて、適切な対応をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  14. 中川昭一

    中川国務大臣 石橋先生農政の大家であり、また、与党党時代にはプロジェクトチームで数年間一緒にお仕事をさせていただきましたので、ざっくばらんに申し上げさせていただきます。  先生の御指摘は、我々も批判として指摘されることが特に最近多いわけでございますが、うそをつき、しらを切り通すのか、あるいはミニマムアクセスは間違いじゃないか、なぜ今ごろと三つの御指摘があったわけであります。  なぜ今農林水産省が、マスコミあるいは団体あるいは各党で真剣に御議論されていることに対して、前に出た形でこの議論を引っ張っていく、あるいは方向性を示していかないのかということは、実は九三年の交渉のときの、これは私自身経験もあるわけでありますけれども、あのときは国会決議を含めて、ほとんどの農林関係議員というか国会が、極端に言えばもう米は一粒たりとも入れるべきではないという大勢であり、生産者もまた我々もそうであったわけであります。  一方、外交の当事者である農林省あるいは外務省世界の場に行きますと、例外なき関税化というのがまさに大勢であった。そこに実は大きなギャップがあって、しかもその状況を、当時役所は我々に伝えようとしたのかもしれませんけれども、伝えられない雰囲気だったということもあるかもしれません。正確にその状況を我々は受けとめることができなかったというのは私自身の率直な感想であります。  そういう中で板挟みにあって、最後関税化は阻止した、しかしミニマムアクセスという特例措置をとった。これは、日本以外はいわゆる後進国扱いということで、フィリピン、韓国、それから乳製品のイスラエル、四つの国だけが特例措置をとったわけでありまして、次期二〇〇〇年からの交渉では、まさに日本のこの問題だけが世界の中で議論されていくということになるわけであります。  そういう中で、今回も二〇〇〇年以降、我が国の国益を守るために厳しい交渉が予想されるわけでありますが、そのときに前車の轍を反省といたしまして、国論を一致させ、共通認識共通の方法、そして共通の目的を持って、消費者も含めた国民的立場でやっていかなければならない。そのためには、国民的な議論を大いにやっていただくということで、まず去年の十月から団体内部検討をされたようであります。自民党においても九月以降鋭意検討されておるようでありますし、民主党さん、先生のところ初め各党、今御議論をされているわけでございます。  そして、その議論を踏まえた上で、何が一番国益にベストなのか、あるいはベターなのかということの方向性を示していただくということをもって我々は外交交渉に臨んでいくということが現時点で一番必要なことであろうということを、私自身、農林省に強く指示をしておるところでございます。  野党に対して情報を教えないではないかという御指摘がありましたが、実はさっき先生指摘のように、農業協定に関する協定附属書等、必要な資料以上のものは、実は与党であろうが野党であろうが現時点ではお渡しをしておりません。予見を与えるような資料というものは一切今出せない。関税率を、例えば何%になるんだか試算してみろなどと言われても、これがひとり歩きする、またマスコミで生産者に不安やいろいろな印象を大きく与えるということで、資料は本当に、白々しいと言われるかもしれませんけれども、極めて基礎的なルール以上のものはどの政党にもお出しをしない。つまり、農林省として判断するような資料はお出しをしていないというのが現状でございます。そういう中で、全中全中なりに、あるいは学者は学者なりにいろいろな試算を出されておるのだろうと思います。  そういうことで、現時点で、四つの選択肢とよく言われておりますけれども、二〇〇〇年の次期交渉に向けた作業の一環として、その前にやろうと思えばやれるという判断もあるんだということも含めて今御議論をいただいておるわけでございまして、そういう意味で、二〇〇〇年に向けての交渉、そしてその前に何らかの措置をとった方が有利だということがあればそのことも含めて今御議論をいただいておるところでございます。  どうぞひとつ先生にも、この場を初めいろいろな場で、我が省あるいはまた団体に対しても、あるいは消費者理解も私は大いに必要だと思っておりますので、そういう努力もしていきたいと思いますので、先生の格段の御指導を個人的にもお願いを申し上げさせていただくということで、今のやりとりを聞かせていただいていたところでございます。
  15. 石橋大吉

    石橋(大)委員 もうこれで三十分過ぎましたから、これ以上やると本論の方がおろそかになりますから質問をやめます。  これはこれでやめるけれども、やはり一言言っておきたいのは、今大臣も、農水省としての判断などは示していない、こう言われる。一見もっともだ。しかし、僕が言いたいのは、さっき言ったように、ミニマムアクセス選択をしたことが間違いだったかもわからぬ、だから転換しなきゃいかぬ、こうなっておるわけだね、どういう説明があっても、そうだと思う。やはりあのウルグアイ・ラウンド農業合意受け入れたときに、フィーバーもあった、あったが、しかし国際交渉に深くタッチをしてきた人がちゃんとした情報を知らせ、問題点もきちっと出しておけば別の選択があったかもしらぬと思うのです。  そういうことに照らして、今度また同じように秘密主義みたいな形でやっておるとまたまた重大な政策の選択の間違いを犯しかねない、そう思うから僕は言っているわけだ、そういうことだけ申し上げて、次に進みます。  本題の日韓漁業協定についての質問に入りますが、米問題で少し時間を食いましたから、まとめてちょっと質問をすることにします。  まず最初に、なぜ今度の漁業協定において暫定水域を広範囲に認めることになったのか。特に、非常に重要な漁業資源の宝庫である大和堆の四割も暫定水域の中に組み入れることになったのか。水産庁長官農林水産大臣も、このことについては日本海沿岸の漁業団体漁業者の皆さんを中心にして厳しい反発があることは御承知のとおりだ。そういう意味で改めて、関係者にかわって公式の場でちょっと政府の見解を聞いておきたいと思うのだ。  韓国との最大の焦点であった竹島の領土問題、これを棚上げにしたために暫定水域を設定しなければならぬようになった。日本側は東経百三十五度、距岸三十五海里を主張し、韓国側は東経百三十六度、距岸三十四海里を主張して、交渉が難航した、このことは私たちも承知をしている。そして交渉最終段階を迎えて、我が国漁業関係者の間からは、暫定水域の範囲は、昨年末、日本政府が最大限の譲歩として示した北緯三十八度線以南の東限線を東経百三十五度、距岸三十五海里から後退させないこと、こういう強い要望が出されていたわけですが、今回の最終合意によって、暫定水域は、日韓両国の主張の中間線をとって、東限線を東経百三十五度三十分、距岸三十五海里とすることとなったわけです。また、さっき言いましたように、北緯三十八度三十七分以北については一部水域を暫定水域に含むこととしたため、好漁場である大和堆については、四〇%が暫定水域に、六〇%が我が国沿岸国主義に基づき管理する水域に含まれることになった。  海洋法条約に基づく沿岸二百海里の排他的経済水域設定に対し、距岸三十五海里だから、中間線はあるものの、額面どおり一応考えれば、実に百六十五海里分の広い水域を許し、加えて大和堆の四割を暫定水域の中に入れた、非常に深刻な問題だというふうに漁業者は受けとめているわけであります。  御承知のとおり、山陰や日本海沿岸の漁業者は、一九五二年一月の韓国の一方的な李承晩ラインの設定以来、その李ライン以内の韓国側での操業を禁止され、さらにまた、一九七七年の漁業水域暫定措置法における規制水域からも外され、東経百三十五度以西適用除外、もっとも韓国と中国の船はほとんど自由に操業できるようになっていたわけですが、どちらにしても、実に半世紀近く韓国漁船の不法操業や乱獲に悩まされ、国連海洋法条約の批准とそれに伴う二百海里の排他的経済水域を一日千秋の思いで文字どおり切望してきておったわけであります。それが裏切られたわけでありますから、その失望や怒りがいかに大きいものかということは大臣も当局も十分理解をされていることだろう、こう思うのです。  そういうことに関連して、まず最初に、改めてこの場で、暫定水域がなぜこれだけ広くなったのか、大和堆をなぜ入れることになったのか、ちゃんとした説明を承りたい。以上です。
  16. 中須勇雄

    ○中須政府委員 ただいま先生からお話ございましたとおり、今回の日韓漁業協定、国連海洋法条約に基づいて、その趣旨に沿った新しい秩序をつくるということが眼目でございまして、そういった意味からいいますれば、本来、日本と韓国との間で排他的経済水域境界線をはっきりと定めて、それぞれを沿岸国管理する、これが本来の姿だったということは御指摘のとおりだと思います。  ただ、御承知のとおり、日本と韓国との間では、日本海の一部の水域、それから済州島の南部水域について、両国の主張の違いから、排他的経済水域の境界を早期に画定するということにどうしても困難な状況があったということで、やむを得ず暫定水域の設定という手法になったわけでありまして、その限りにおきましては、私ども農林水産省といたしましても、暫定水域の設定自体はやむを得ないものというふうに考えております。  ただ、その範囲をめぐって、ただいま御指摘のように、我が国は、必要最小限のものとしてできるだけ狭い海域にとどめるべきである、こういうふうに主張してまいりましたが、韓国側は、できるだけ広くとるべきということでございまして、先ほどの百三十五度、百三十六度あるいは三十五海里、三十四海里という話のほかに、当時、韓国側は、東限線の百三十六度をそのまま北に上げて、日本とロシアの排他的経済水域の中間線まで上げて、いわば大和堆が全部入る水域、こういうものを暫定水域にすべきだ、こういうような主張がぎりぎりまで続いたという状況でありました。  最終的には、十月初旬に金大中大統領が訪日をされる、そういうような状況を目前に控えまして九月の二十五日に、小渕総理の御判断によりまして、現在のような形で合意がされたということであります。もちろん、漁民の皆様のお気持ちなり不満や不安ということは我々も十分受けとめておるわけでありまして、それにはまたそれとしてこたえていかなければならないということだと思いますが、私どもとして、ぎりぎりの交渉の結果こういうことに決まったということが今率直に申し上げられることであります。  ただ、暫定水域が設定されたといいましても、やはりそこでしっかりした資源管理を行うというのが条約にも書かれているわけでありまして、その具体的な内容については、これからも韓国側と協議し、努力をしていきたいというふうに思っております。
  17. 石橋大吉

    石橋(大)委員 これは当時の新聞報道など、あるいは内部からいろいろお話を聞くと、水産庁を含めて、農林水産大臣自身もだったという記事があったんですが、非常に不満だったと。しかし、最終的には小渕総理の、高度かどうかは知らぬけれども、地元の漁民は高度だとは思っていないが、政治判断によって決着する、こうなった。そういう意味でこれは小渕内閣の責任だ、こう思うので、なぜ暫定水域をこれだけ広くとったのか、将来的にこれをどうするのか、そういうことについて、大臣の方に所見があればちょっと伺っておきたい。
  18. 中川昭一

    中川国務大臣 交渉でありますから、我が国漁業あるいは資源管理という観点から我が国立場を主張し、また向こうは向こうで言ったわけであります。交渉が我々にとって百点満点でなかった、むしろ、漁業者の皆さんの怒り、不安を現時点においても強く感じている立場から見れば、本当に不満の残る結果でありましたが、これは相手との交渉でありますので、最後は、今御指摘のように、深夜、総理大臣執務室での総理の判断ということにしたわけであります。ですから、責任といえば、政府で決めたという意味では政府の責任で決めたわけでございます。  今後について、どうしていくかということであります。後ほど御指摘に対してお答えすることになるかもしれませんが、現時点でも、今まだ実務的に、細かいというか、漁業者にとって関心の深い事項を交渉中でございます。日本立場を暫定水域を含めてできるだけ主張するように、今事務当局、頑張っている最中でございます。  将来的にどうかということでありますが、この協定は、御承知のように、三年間たった後は、六カ月経過前に通知をすれば終了することができるということもございますので、そういう協定上の条文も一方ではあり、また、実際に私が向こうの漁業大臣とやっていると、違反とか資源管理とかいうことに対しては、非常に大臣としては深い関心、そして理解を共有しておるところでございますが、今後の状況をよく見ながら、協定のルールにのっとった形でどうしていくかということを判断するということで、いいスタートが切れるようにぎりぎりまで最善の努力をするということが現時点での我々の立場でございます。
  19. 石橋大吉

    石橋(大)委員 以下、地元の漁業者や漁民の皆さんの問題意識に立ちまして、少し細かい話をするかもしれませんが、特に、主としてこの点は水産庁の方からお答えをいただきたい、こう思います。  暫定水域の中の操業規制措置について伺いたいわけですが、まず第一に、資源管理を担保するための操業条件についてどう考えるか、こういう問題であります。  地元の漁協の希望では、一つは、根拠のある実績以上に韓国漁船の入漁隻数を認めないこと、こういう要望があります。水産庁としては、暫定水域内における韓国船の根拠ある実績なるものをどういうふうに評価しているのか、わかればお聞きしたい。現段階でその実績がつかめていないとすれば、どういう形でそれを把握するつもりか。  また、暫定水域内において適正な資源管理を行うことは日韓両国にとってもそれぞれの利益にかなうことであり、したがって、当然双方の入漁隻数の制限等についても協議がされている、あるいはされることだと思う。どうするつもりか。  暫定水域内の操業隻数の決定に当たっては、全水域を対象に日韓同数にするのか、それとも、本来あるべき中間線等も考慮に入れて相互の隻数に差をつけるような方法をとるのか、水域によって濃淡をつけるようなことを考えるのか。そういうことについて、ちょっと最初に伺いたい。
  20. 中須勇雄

    ○中須政府委員 暫定水域内の資源管理につきましては、新しい協定におきまして、一つは、日韓漁業共同委員会の協議を通じて、漁業種類別の漁船の最高操業隻数を含む適切な管理を行う、お互いに協力し合うということが明文化されております。  それと同時にもう一点、それぞれの国が資源保護のために講じております規制措置についてお互いに通報し合って、規制措置を協議する場合には、相手国がとっている措置に十分配慮をする、こういうことが協定上決まっているわけでありまして、私どもは、基本的に、この協定規定に従って暫定水域における資源管理のために必要な規制措置を韓国側と合意を得たいというふうな基本的な態度でおります。  その際、実はそのそもそも基礎になる操業隻数が一体何隻それぞれあるのかという問題がございますが、これは実は大変難しい問題でございます。暫定水域は大変広大な水域でございまして、率直に言って、過去の実績というものをお互いに十分確認し合うということはなかなか難しゅうございますし、極端に言えば、暫定水域内でほとんど操業している漁船と、たまたま一回だけ暫定水域に行ったという漁船の差もあるわけでございまして、なかなか一概に言えないわけでございます。  今の段階では、お互いの数字といたしまして、日本漁船が約二千四百隻、韓国漁船が約千四百隻というものを一応の出発点として、それぞれ状況等をただし合いながら、過去の実績の数字としてそういうものをベースにして話し合いをしているということでございます。  我々としては、基本的に、暫定水域においてこれ以上ふやさないということがまず一番基礎だろうということで、こういう数字を基礎にして最高操業隻数を決めていったらどうかというふうに話しているわけでございますが、韓国は、かなり差があるということで、むしろ同じにならないのかというふうな問題提起もしているというふうな状況にあるというのが現状でございます。  そのほか、例えば休漁期間の問題でありますとか網目の規制であるとか、それについては、日本立場からすれば、日本の漁船に課している条件は韓国側もぜひ課していただきたい、こういうことで議論を続けている、そういう状況であります。
  21. 石橋大吉

    石橋(大)委員 次に、日本漁船の操業条件等の規制、韓国漁船に対しても同じような規制をちゃんとやるべきだ、こういう要望があります。  これに関連して、今、日本漁船に課せられている操業規制、具体的にどういうことになっているか私も十分承知をしておりませんが、それを要望のように韓国漁船にも厳しく適用する。これは当然過ぎるほど当然のことですが、今まで何遍か日韓の間で話をしてもなかなかそれが守られない、こういうような経過もあって、厳しくそういうことが希望されている、こういうふうに私は思っているわけですが、その点どうか。  次の問題は、韓国の底刺し網、小型底びき網、小型トロール漁業については、暫定水域内における操業を許可しないでほしい。今まで日本近海においてもこれによって資源が根こそぎ、ごっそり持っていかれる、日本海における漁業資源はどんどん減っていく、こういう状況になっているわけですから、非常にこの点に対する漁業関係者の要望は強いものがあるわけであります。  そういう意味で、この底刺し網と小型底びき網、小型トロール漁業、たしか小型底びき網と小型トロール漁業は韓国でも禁止していたんじゃないかと思うんですが、この点について改めて、許可しない、こういう厳しい注文ですから、水産庁としてはどういう姿勢交渉しており、また交渉するつもりか、伺っておきたい。
  22. 中須勇雄

    ○中須政府委員 第一点目の、暫定水域におきます操業規制の問題でありますが、実はこれまでは、日本と韓国の間、お互いに十二海里というのは領海ということで入れない、その外側についてはいわば公海扱いということで、いろいろ韓国側に私ども操業規制等を求めてまいりましたが、形としては自主規制ということでしかなかった。韓国側は一定の日本側に配慮した自主規制措置をとるという合意があったわけでありますが、それに仮に韓国側が違反しても、我々としても、向こうの自主的な措置という建前でございますので、率直に言って最終的に何の力も持たない。やはり、こういうことを変えなきゃいかぬということが今回の協定の一番大きな原動力であります。  そういった意味では、今回、暫定水域内では、取り締まり自体はもちろん旗国主義でございますけれども日本側は、お互いに話し合って決めたそれぞれの規制措置を守っていない韓国漁船を見つけた場合には、それを韓国側に通報して、それを受けた韓国側は、処分等適切な措置をとって日本側にその結果を伝える、こういうことが条約上決まっているわけであります。やはりそういう意味では大きな前進があるわけでありまして、これを具体的な形で生かすような、先ほど申しました、例えば禁漁期間であるとかあるいは操業区域の制限であるとか、そういうものが設けられた際、それが守られる体制を、我々としても取り締まりという面で努力をしていきたいというのが第一点でございます。  それから二点目は、底刺し網、小型底びき、小型トロールというようなお話がございました。  御承知のとおり、我が国の周辺水域で行われております底刺し網漁業につきましては、資源に与える影響という点で大変問題な漁業だということはもちろんでありますが、同時に、非常に広大な漁場を独占してしまうということで、我が国漁業者との間で操業上のトラブルが絶えないということを含めて、やはりこのまま今の形で続けていくということは我々として容認しがたいと思っているのが率直な気持ちでございます。  また、対馬とか九州北部から山陰にかけてのいわゆる小型トロール、これは、御承知のとおり韓国国内では違法とされている漁船、これが日本近海に出てきて操業しているということでございますので、こういったものについても当然日本国内での漁業者の反発は強いわけでありますし、資源保護上も大変問題がある、こういうことであります。  このため、現在、韓国との間では操業条件等について話し合っておりますけれども、こういう協議の中で、暫定水域につきましては、底刺し網の漁業等については規制をしていく、また小型トロールについては、韓国国内では禁止されているわけだから、明確に禁止ということを継続し、その取り締まりの実効が上がるようにしてほしい、こういうことをお願い申し上げておりまして、そういった協議を粘り強く進めていきたいというふうに思っております。
  23. 石橋大吉

    石橋(大)委員 認識において、関係漁業団体漁業者の皆さんの認識と水産庁の認識は一致しているようですから、ぜひひとつ、これは要望にこたえて実現できるように頑張ってほしい、こういう要望をしておきたいと思います。  次に、暫定水域内の監視、取り締まりについて幾つか聞きたいわけですが、時間がありませんから、全部まとめてやります。  暫定水域内においては、当然のこととして日韓双方の漁船による操業が行われ、しかも、その期間は、新協定の有効期間が三年間の期限が付されているとはいうものの、通告しない以上相当長期にわたって続くこともあり得る、したがって、暫定水域内の漁業資源の維持、確保のために、しっかりした漁業秩序を確立することは極めて重要である、こういうふうに考えるわけです。国連海洋法条約趣旨からも、暫定水域は資源管理すべき水域であり、日韓両国が協力して資源管理を行っていくことが求められていると思うわけです。  具体的には、日韓漁業共同委員会の検討、協議を待って決められることになると思いますが、以下の点について幾つか聞いておきたい。  まず一つは、この間水産庁長官の話を個人的にちょっと聞いたことがあるんです。そこでも大体そういう考え方を述べておられましたが、船名を隠ぺいした漁船に対しては操業を厳しく禁止すること。それでもなお船名を隠ぺいしたまま操業する漁船に対しては、臨検を実施するとともに徹底排除すること。長年にわたって不法操業を続けてきた韓国船の大部分は、ほとんど船名を隠ぺいして不法操業を続けてきた、そういう実績があるわけです。船名隠しが不法操業を事実上野放しにする大きな原因の一つだった、こう言ってもよかろうと思うんです。そういう意味で、船名を隠ぺいする漁船に対する厳しい規制を加えることは極めて重要であると思うんですが、この点どういうふうに考えているか、改めてこの場でも伺っておきたい。  二つ目は、実効ある共同取り締まり体制をぜひ築いてほしい。  具体的には、恒常的な乗船、連携巡視、共同取り締まり船の配備などをやってほしい。ここで恒常的というのは、一年に一遍か二遍、ある日限を切って一斉に監視をする、こういうような一時的なやり方ではだめだ。常日ごろから、ふだんから、常時、恒常的にしっかりした監視体制でもって取り締まりをしないと資源の確保や維持はできない、こういう危機感があってのことですから、この点についてもお聞きしたい。  加えまして、違反船に対する厳罰処分の励行、その報告制度を確立することもあわせて要望されています。  以上、三つの点を含めてお答えをいただきたいと思います。
  24. 中須勇雄

    ○中須政府委員 第一点目の、船名を隠して操業する漁船の問題でございますが、私ども、船名を隠し、船籍も明らかではない、こういう船は韓国漁船というふうには認められないわけでありますから、当然第三国の漁船ということで、我が国排他的経済水域と考えている水域においては、当然取り締まり権を行使できる、こういうものだというふうに思っております。  ですから、暫定水域内においても、そういう漁船に対しては臨検、掌捕等が実施できる、こういう考え方で臨むべきだというふうに思っております。  それから、当然のことでございますけれども、暫定水域内におけるお互いの出漁漁船等については、船名簿を交換し合う、あるいは許可番号等の表示を見やすくする、そういうことをお互いに取り決めまして、そういう船名隠ぺい船との差が明確にわかるように措置をしていきたい、取り締まりの対象が明確になるように措置をしていきたいというふうに思っております。  それから、二点目にお話のございました、実効ある取り締まりという意味で共同乗船とか連携巡視ということを実施すべきである、こういう御指摘でございます。  もちろん、私どもとして、それぞれ暫定水域における取り締まり自体は旗国主義ではあるけれども、その中において実効ある取り締まりができるようにするためには、共同乗船、連携巡視といった取り締まり面での協力が不可欠ではないかということで、具体的に、恒常的にこういう措置を実施しようではないかということを韓国側に要請しております。  御承知のとおり、連携巡視というのは、日韓両国の監視船が一緒になって、ペアになって水域を巡視するというやり方でございますし、共同乗船というのは、どちらか一方の監視船に両国の監督官が乗って、お互いにそれぞれの国の取り締まりを行う、こういう形でございますが、韓国側は、現時点におきましては、共同乗船による取り締まりについては、管轄権の問題等があって非常に消極的だというのが現状でございます。  なお引き続き、これらについては強く主張いたしまして、どういう形かは別にいたしまして、実際上、日韓両国による取り締まり面の協力ということが実現するように、そこは努力をしていきたいというふうに思っております。  それから、三点目の違反に対する通報制度でございますが、これは先ほどもちょっと触れましたが、今回の新しい協定におきましては、暫定水域の取り締まりに関しましても、日韓両国は、相手国漁船の違反操業を発見した場合には相手国に通報する、通報を受けた側は、関連する事実を確認して必要な措置をとり、その結果を相手国に通報するということが条約上明記されております。私どもは、この規定を活用して、我々が発見した違反船については韓国側に厳重な措置を要請するということで対処していきたいというふうに思っております。
  25. 石橋大吉

    石橋(大)委員 ぜひひとつ、そういう方向で厳しく対処をしていただきたいと思います。  次に、我が国のEEZ水域内の規制措置について伺いたいと思います。時間が過ぎていますから一まとめにして質問したいと思っていますので、一まとめにして答えていただきたい、こう思います。  まず一つは、暫定水域が沿岸に近接した島根県沖合の海面については対韓国漁業許可の操業区域から除外をしてほしい、こういう要望があるわけであります。  海洋法条約によりまして、我が国排他的経済水域内における漁業資源の管理については沿岸国の主権にゆだねられているわけだから、我が国判断でこの点は決定できるものと考えているわけです。したがって、暫定水域が沿岸に近接した島根県沖合の海面、具体的に言うと、大田市の沖、浜田の沖、隠岐島の周辺海域、こういうところについては非常に問題があるので対韓国漁業許可の操業区域から除外をしてほしい、こういう要望があるわけであります。この点についてまず一つ。  二つ目。日本海全域にわたって資源状態がかなり悪化をしている、特にヒラメだとかタイだとか、いわゆる底魚資源、イコール高級魚でもあるわけですが、こういう資源状態の悪化をしている海域での韓国漁船の操業は認めないでほしい、こういう要望もあるわけです。  私が一々説明するまでもなく、日本海における今言った底魚資源、高級魚の資源が日に日に減少の一途をたどって深刻な状態にあることは水産庁もよく御承知だと思いますから説明はしませんが、こういう海域での韓国漁船の操業を認めないこと、これが二つ目。  三つ目我が国漁業と漁場競合する漁業は許可しないでほしい、こういう要望が三つ目であります。  具体的には、シイラ漬け、バイかご、大和堆でのカニかご、イカ釣り。韓国は、大和堆でカニかごとイカ釣りを全面禁止したらほとんど暫定水域でなくなるという主張をするかもしれぬのですが、どっちにしても、我が国漁業者から非常に強い要望があるわけであります。さっき言ったように、EEZの専管水域の中での話ですから、この点は我が国考え方で決定できるのじゃないか、ぜひそうしてほしい、こういう要望があるわけです。  それから最後の一つは、底刺し網、かご漁業については絶対禁止をしてほしい、こういうことがあるわけです。  もう一つつけ加えておきますが、もう一つは、協定発効後、取り決め事項に違反する事例が頻発したら、三年を待たずに暫定水域の範囲を含めて協定の見直しをしてほしい、これは外務省の答弁かもしれませんが。  それから、共同委員会の準備会合に漁業者の意見が十分反映されるような措置を講じてほしい、こういう問題もあります。  以上を一まとめにしてお答えいただきたいと思います。
  26. 中須勇雄

    ○中須政府委員 まず第一点目の、島根県沖合海域における韓国漁船の操業の問題でございます。  これは大変難しい問題というか、本来日韓の漁業協定は、日本の漁船が韓国の水域に入っていく、韓国の漁船が日本の海域に入ってくる、それを相互に一定の規模でそれぞれの沿岸国の主権を認めた上で相互入会をしようではないか、これが基本的な協定の姿でございまして、しかもそれを互恵の立場でやっていこう、こういうことであります。  問題は、それぞれの水域というのが、同じ水域で同じ漁業が入り会っているのであれば全くそれはお互いに理解し合えるわけでありますが、場合によっては、ただいまお話がありましたように、一定の海域では日本の船は日本水域だけで操業している、それなのに韓国の船が一方的に入ってくる。他方で、考えてみますと、日本の船も韓国が操業しているところに行くばかりではなくて、韓国が操業していないところに一方的に入っていく、そういう姿があるわけでございまして、漁業者の利害が必ずしも一致していないという点で難しい問題があるわけであります。  ただ、そこはやはり関係の漁業者の皆さんのお気持ちも十分酌みながら、すべての漁業が例えば島根県沖で禁止できるかどうかということは別でありますが、先ほど御指摘がございましたように、例えば底刺し網だとかかご漁業であるとか、そういう意味で競合の激しいものについて禁止を求めていくとか、いろいろやり方はあろうかと思います。そういう意味で、その点は沿岸の漁業者の考え方というものに十分配慮をしながら妥当な解決策を見出していきたいというのが私どもの考えであります。  二点目に、ヒラメ、タイなど資源の悪化しているものについては漁船の操業を認めない、こういうことでありますが、これはやはり基本的には御指摘のとおりだろうと思います。ただ問題は、資源の悪化の状況なり過去の操業実績なり、あるいは仮にやめさせるにしても一定の段階を踏んでやめさせていくとか、いろいろな対応の仕方があるわけでありまして、その辺は漁業者とも十分話し合いながら、資源の状況に応じた適切な対応をしていきたい、こういうふうに考えます。  三点目の、我が国漁業と漁場競合する漁業、これはシイラ漬けであるとかバイかごとか、そういう御指摘がございました。これは我が国立場からしてかなりの漁場を使うということでございますので、そういう水域については、韓国側が操業すると我が方の操業が困難になるという意味で、この辺は、具体的な話として、漁場競合を避けるための区域を、禁漁区というかそういうものを設定するとか、そういうふうな形での対応も可能ではないかというふうに思います。もちろんそういう意味で、漁場競合が生じないように十分配慮をしながら、仮に認める場合でも、韓国漁船の入域については考えていきたいというふうに思います。  ただ、その中で、御指摘のありました刺し網漁業、底刺し網については、先ほども申し上げましたとおり、資源に与える影響あるいは我が国漁業との競合の程度において大変大きな問題を抱えているということでございますので、我が国の主権が行使し得る我が国の二百海里水域内においては韓国にやめていただくという強い態度で臨んでいきたい、こんなふうに考えます。  最後に、国内の漁業者の意見をそういった漁業交渉漁業委員会等で議論をする場合に十分反映させる仕組みを考えるようにというお話でございますが、この点については漁業者からもそういうお話がございます。具体的には、この協定が発効して以降、共同委員会が発足した後にどういうような体制をつくるかという問題になろうかと思いますが、その点は漁業者とも相談しながら、要は、交渉当事者、交渉に当たる者と背後にいる漁業者の間の意思疎通が十分図れる体制をつくるということだと思いますので、そういう面で、具体的にどのようにするか、よく話し合って具体案を考えていきたいというふうに思います。
  27. 安藤裕康

    ○安藤説明員 協定発効後、取り決め事項に違反する事例が多発した場合どうするのか、協定の見直しを図るべきではないかという先生の御指摘に対するお答えでございます。  本件協定規定上は、協定は、発効後三年間効力を有し、その後は、いずれか一方の締約国が協定終了の意思を通告することにより、そのような通告がなされた日から六カ月後に終了するということになっております。したがいまして、条約上は、三年間はどちらか一方の意思で一方的に協定を終了することはできないというのが規定でございます。  ただ、現在の古い協定は当初の有効期間が五年でございます。これが先生指摘のような懸念があるわけでございます。したがいまして、日本側としても三年ということを強く主張いたしまして、今回の新しい協定においては三年ということになったわけでございます。  先生指摘のとおり、適切な資源管理を行うということが必要だということは私どもも十分承知しておりますので、今後は、漁業共同委員会における韓国側との協議を通じて、この協定に基づいて安定した漁業関係を構築できるよう全力を傾けていきたいというふうに思うわけでございます。
  28. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今の外務省説明ですが、一たん国際的な交渉の中で合意したことですから、それをひっくり返すことはなかなか難しい、それは私も承知している。ただ、地元の漁業者の中からは非常に強い要望がある。それだけに、今の外務省の答弁にもあったように、適切な資源管理と操業をちゃんとやる、三年後を待たずに改定しろ、こういうような声が起こらぬようにする、そういうことが大事だと思いますから、その点を改めて要望しておきたいと思います。  次に、新日韓漁業協定実施に伴う国内対策について幾つか伺っておきたいと思うのです。  まず一つは、平成十年度の第三次の補正予算では、二百六十九億円でしたか、この日韓漁業交渉の妥結に伴う減船その他の対策に充てるための予算の計上がされている。これで十分かどうかは実際滑り出してみないとわからぬことでありますが、とりあえず第三次補正ではそうなっている。では、来年度以降の措置についてどう考えているのか。  それから、もう一つは、漁業振興対策の一環として創設される日韓新協定関連漁業振興基金については、真に漁業者及び漁業協同組合の救済となる事業に関係者の意向が十分反映されるよう措置することとの要望がありますが、水産庁の所見いかん。  以上、三つをまとめてお答えいただきたいと思います。
  29. 中須勇雄

    ○中須政府委員 今回の日韓漁業協定実施に当たりましては、関係漁業者に生ずる影響を防止し、経営の安定を図る観点から、特別の漁業振興策等を講ずることとしております。  具体的には、第三次の補正予算案において、今先生指摘ございました二百五十億円の基金の造成によりまして経営対策等漁業者への支援の充実を図る、それから二点目といたしまして、県営栽培漁業センターの整備等水産資源の培養対策を促進する、そして三番目に、監視取り締まり体制の整備を図る。こういったことで、新日韓漁業協定関連対策に必要な経費ということで、水産庁関係で二百六十九億円、このほか海上保安庁の方で別途あるわけでございますが、計上をお願いしているわけでございます。  この二百五十億円につきましては、実は、当面三カ年間各種のいろいろな事業を実施する、そのために必要な資金として二百五十億円を今回基金として造成するということでございまして、これは、基金の取り崩しを含めまして、三年間で二百五十億円を使って各種の事業を実施していただくということを想定しているわけでございます。  具体的な事業内容といたしましては、経営安定資金に対する利子補給を行うとか、漁獲共済の掛金の補助に使う、あるいは漁場機能の回復など関連の漁業協同組合等が行う活動を推進するために必要な支援の経費に充てる、こういうふうなことを考えているわけであります。  いずれにいたしましても、韓国漁船との競合等によって影響の生じる漁業者等を対象に所要の対策を講ずるということがこの資金の趣旨でございますので、実施に当たりましては、現在交渉中の操業条件等の内容、あるいは協定実施後の外国漁船の操業実態等を十分勘案しながら、関係漁業者への影響を極力回避するように万全の努力をしていきたい、こういうふうに思っております。  したがいまして、二点目のお尋ねだったかと思いますが、来年はどうするのかということに関しましては、二百五十億円については、三年間の必要額が計上されているというふうに考えておりますし、それから、県営栽培漁業センターの整備等の資源培養の促進であるとか、監視取り締まり体制の整備につきましては、明年度以降、さらに必要な事業について、当然のことながら予算計上を含めて取り組んでいく、こういう考え方でやってまいりたいというふうに思っております。
  30. 石橋大吉

    石橋(大)委員 次に、海上保安庁に一つだけ伺っておきたいと思うのです。  この日韓新漁業協定の妥結によりまして、平成十年度の第三次補正予算で、海上保安庁の場合は、巡視船の建造その他ということで約百億円だったと思うのですが、計上されておるわけであります。  新たな排他的経済水域の設定、さっきから言っているように非常に広範囲にわたる暫定水域、こういう中で、適切な資源管理を行うためにも取り締まりをしっかりやるということが非常に重要になってくるわけであります。水産庁及び各県の監視船も当然あるわけですが、一番機動性がある海上保安庁の巡視船、ヘリコプター、航空機などを含めて、そういう広範囲にわたる取り締まり監視体制については海上保安庁の果たす役割が非常に大きい、こう思うのです。  そういう意味で、海上保安庁のこの問題に対する当面の予算措置等を具体的にどうしようと考えているのか、あわせて、今後中長期にわたってどういうようなことを考えられておるのか、現段階であれば、この辺で改めて伺っておきたい、こう思います。
  31. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えいたします。  まず、現在の海上保安庁の勢力でございますが、海上保安庁におきましては、巡視船、巡視艇合わせて三百五十五隻、航空機六十九機を保有しておりまして、我が国周辺の重要海域に配備いたしまして、漁業取り締まりを含む各種業務に対応してきたところでございます。  特に、平成八年の国連海洋法条約の批准、発効に伴いまして排他的経済水域が設定されたこと等に対応いたしまして、その速力それから夜間監視能力の向上など、高性能化を図りながら、巡視船、巡視艇、航空機の整備を進めているところでございます。  先生指摘の体制強化でございますが、新日韓漁業協定の締結に伴いまして、海上保安庁といたしましても、無許可船の検挙等新たな業務が発生することから、今般の第三次補正予算案におきまして、先生が御指摘の予算案の金額におきまして、ヘリコプター一機搭載型巡視船の代替建造等を予定しているところでございます。  新協定発効当初におきましては、現有の勢力を有効に活用いたしまして、韓国漁船が多数操業することが予想される日本海、九州周辺、東シナ海等の重要な漁場に重点を置いて監視、取り締まりを行うこととしております。  こういったことで、まず当面、それから中長期的な体制を築いていきたいというふうに考えております。  さらに、水産庁などの関係省庁等とも密接な連携を図り、事案に適切に対応し得るよう全力を尽くしていく所存でございます。
  32. 石橋大吉

    石橋(大)委員 いろいろなことがありまして大変だと思いますが、しっかり頑張ってやっていただきたい、こう思います。  もう残り時間が十分ぐらいしかありませんが、次に、日中漁業協定の発効の見通し、中国漁船の日本近海での操業は一体これからどうなるのか、この辺をちょっと伺っておきたいと思うのであります。  中国との漁業協定は、既に平成九年に基本合意に達して、十一月には署名も行われたわけです。国会でももう承認されているわけですが、どうも、その後の具体的な措置について、日中の漁業共同委員会準備会合などにおいて協議が進んでいない、こういう状況もあるようです。  そういう意味で、まず、いつから日中の漁業協定を発効するのか、漁業共同委員会の準備会合の協議は一体どうなるのか、我が国周辺海域における中国漁船の操業も部分的には大変深刻な問題があったことは御承知のとおりですが、そういうことに関連して、これからどうなるのか、時間がありませんから簡単にお答えいただきたいと思います。
  33. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 既に先生指摘のとおりでございまして、現在、漁業共同委員会準備会合でいろいろな問題を詰めておりまして、新しい海洋法条約のもとでの新秩序でございますのでいろいろな問題がございますが、鋭意この努力を行っております。  いつ発効するかという点については、当初から私どもは、できるだけ日中、日韓両漁業協定の同時発効というものを目指して努力してきているところでございます。
  34. 石橋大吉

    石橋(大)委員 さっき言ったように、もうそろそろ終わりですから、ちょっと順序を変えて、竹島問題についてこれはもう触れないわけにいきませんので、一番最後質問はまずこれをやって、時間があればほかの質問もちょっと引き続いてする、そういうことにしたいと思うんです。  大臣も、また外務省もよく御承知のとおり、竹島は島根県の西郷の五箇村の領域に入っているわけですね。そういう意味で、五箇村を初めとして隠岐島の漁民の皆さん、島根県、鳥取沿岸の漁民の皆さん、この竹島が返還をされれば、当然それを中心にして二百海里の範囲内は日本の専管水域になるわけですから、いろいろな意味でできるだけ早く返還してもらいたい、こういう希望があることは御承知のとおりです。  竹島問題については、一九五二年に突如として韓国が李ラインを設定して日本漁船がその中へ入れないようにした。そして、一九七七年の暫定水域法でも、東経百三十五度以西は専管水域から外された。もっとも、そうはいっても、このときには全国的に日本周辺の海域で韓国と中国の船だけは操業する、こういう状態がありました。どっちにしても、四十数年間、約半世紀にわたって、この竹島問題の解決、領土の返還、関係地元や島根県などにおいては非常に大きな課題として、毎年県の要求のトップに挙げて要望してきているところであります。  この問題についていろいろ話をすると、外務省は、毎年何遍となく韓国に対して日本国領土であるということを通告しております、これだけの答えだった。実際は、今竹島は韓国が軍事占領しておるわけですから、この領土の返還をしていただくことは残念ながら非常に難しい。日本も軍事力を発動して戦争するわけにいかぬですから、外交交渉で解決するしかない。しかし、その外交交渉で解決する見通しはほとんどないと言っていいと思う。実効支配がずっと続けばやがては事実上韓国のものになってしまう、こういう感じもするわけであります。そういう意味で、一体全体、外交当局としては竹島問題をどういうふうにして解決しようとしておるのか。  もう一つは、今後もまた半世紀以上にもわたって韓国の実効支配が続くとすれば、地元の漁民や隠岐島の皆さんなどに対して、それが領土として返ってこないことに伴う損失を補てんするようなことを政府としても考えてもらいたい、考えなきゃいかぬのじゃないか、こういう感じがしているわけであります。  きのうも外務省の審議官は、そういうことをやると韓国の実効支配を認めることになるからできないみたいな話がありました。しかし、それをやったってやらなくたって、韓国の軍事的支配、実効支配はずっと続くわけですから、そういう意味で、この点について隠岐の皆さんは非常に切実な期待と希望を持っていますから、きょうもこの場でひとつ改めて伺っておきたいと思います。
  35. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 竹島の問題につきまして長くは申し上げませんが、この問題の重要性ということは十分に認識しつつも、この問題に関する日韓両国の立場の違いというものが、両国民の感情的な対立に発展する、両国の友好関係を損なうということは、これはまた適切なことではないということでございます。いずれにいたしましても、両国間でこれは冷静に粘り強い話し合いを積み重ねて、解決に向けて努力していく以外にないというふうに考えております。  また、先生指摘の現状が長く続いている、これからも恐らくそうだろう、そういう中で、何らかの損害賠償的なことは考えられないのかという御指摘でございました。  先生既に御発言の中にもございましたように、現在も、今までも政府としては韓国側とこの問題の話し合いによる解決というものを目指してやってきているわけでございますので、損害賠償、仮にそういう暫定的な措置をとるという問題が生じてくることはないというのが認識でございます。
  36. 石橋大吉

    石橋(大)委員 余り歯切れのいい答弁じゃないですな。  問題の難しさからいってわからぬでもないが、しかし、今までの歴史を振り返ってみると、韓国から膨大な、いわば金銭についての援助だとか融資だとか、要求されることは再々あっているわけですね。やはりこういうときには、言い方は悪いが、少し取引するぐらいのことを言って、返せ、返してほしい、こういうことを言うべきだと私は思う。文書の通告だけではだめだ、こういうふうに思います。  しかし、時間がありませんからこれぐらいにしておきますが、今までの質問をずっと聞いておられまして、最後に、農林水産省の最高責任者としての大臣の所見を総括的に私の質問に対する締めくくり答弁として聞きたい。本当は時間があれば中韓両国への漁業援助だとか、日本海の環境、生態系の保全などについての国際協力などについても聞きたかったのですが、時間がありませんから、最後大臣の総括的な答弁を聞いて終わりたいと思います。
  37. 中川昭一

    中川国務大臣 先生の、米そして漁業、特に日韓関係の漁業、お話をずっと拝聴させていただきまして、日本の資源を守り、そして育てていくという日ごろの情熱を改めて今拝聴したわけであります。  魚につきましては、我が国固有の漁場あるいは海そのものに対して、今回こういう協定ができ上がったわけでございまして、私も、先ほど申し上げたように、万全の交渉ができたということではないわけでありますが、最終的な総理の判断がございました。総理の判断はもう一つございまして、とにかく日本漁業を守るためには全力を尽くせという指示も実は私はいただいておるところでございまして、そういう観点からも、第三次補正、海上保安庁と一緒になって要求をしているわけでございます。  そういう中で、日本の食文化の中枢である漁業について、安定的に供給できる、そして漁業者が将来に向かっても安定的な経営ができる、また二百五十億円の基金の中でも、いろいろな負債対策、減船対策等も盛り込んでおるところでございます。  そういう意味で、日本の海、日本の国土、そして水産物、農産物にかける先生の情熱というものをひしひしと感じながら、これからも農林水産行政に対しての御指導をいただくことをお願い申し上げまして、お礼のごあいさつとさせていただきます。
  38. 石橋大吉

    石橋(大)委員 きょうは非常に厳しいことを言いましたが、これは私個人の問題じゃなくて、我が党の農林水産部会を代表して私は申し上げているので、誤解のないようにしていただきたい。以上で終わります。頑張ってください。
  39. 穂積良行

    穂積委員長 次に、漆原良夫君。
  40. 漆原良夫

    漆原委員 公明党・改革クラブの漆原でございます。  まず、新協定について。  今回、日韓新漁業協定の締結に際し、外務大臣は、これにより両国は国連海洋法条約を踏まえた新たな関係を構築されることを期待する、こう述べておられます。私も、日韓間の現行漁業協定平成十一年一月二十三日に終了することを考えれば、日本海における日韓の間の漁業秩序の混乱を回避し、また、国連海洋法条約に基づいた両国の新たな漁業秩序の基礎を築いたものとして、基本的には評価をしたいと思います。また、本協定の締結に当たりまして、中川大臣、大変御尽力されて、御苦労さまでございました。関係者の皆様には心より敬意を表するものでございます。  そこで、今回の本協定の締結に当たり、大臣の所感をお伺いしておきたいと思います。
  41. 中川昭一

    中川国務大臣 今回の日韓協定は、一九六五年に制定された旧協定を、資源管理あるいは国連海洋法条約に基づいた精神にのっとってきちっとやっていこう、排他的経済水域漁業秩序等も、新たな時代を迎えた中で対応していくものでございます。  二年半にわたる交渉で、我が国の主張が完全に通ったわけではございませんけれども漁業者の皆さんの不満や不安をできるだけ払拭するために、今も日韓両国で日本立場を強く主張し続けておるところでございますし、その目的は韓国側の資源管理あるいは違反の絶滅ということであります。これについては向こうの漁業大臣もはっきりと、それについては自分の国の問題として、一部かもしれないけれども大変恥ずかしい問題であるというような発言もあったところでございまして、それについては共通認識があると思っておりますが、実効性が担保されなければ何もならないわけであります。  そういう観点と両々相まちまして、三次補正において適切な対応をできるだけとらせていただくことによって、今後とも日本の大事な食糧資源、あるいはまた大事な産業であります水産業の発展、経営安定に資していくべく努力を続けていきたいと思っております。
  42. 漆原良夫

    漆原委員 今大臣も、実効性の担保というお言葉をお使いになりましたが、私は、この実効性の担保という点については、日韓漁業共同委員会、これが非常に重要な役目を果たすのではないか、こう考えております。  この日韓漁業共同委員会が設置されて、相互入会措置をとる水域での操業条件、また暫定水域における資源管理等について協議し、両締約国に勧告をする、こうなっております。  この点について、漁業関係者からは、暫定水域における規制が旗国主義をとっていることから、次のような大変厳しい指摘がなされております。  自国の違反操業を見逃してきたこれまでの韓国政府対応を見ている限り実効性が疑わしい、また、日本が取り締まれない暫定水域に小手繰りが入り込み、漁場を荒らすことが考えられる、また、暫定水域の資源管理の具体的な内容と有効な方策が定まらなければ実質合意とは言いがたい、あるいは、日韓漁業共同委員会の取り決め次第では大和堆が違反操業の拠点となって、日韓関係にひびが入る可能性もある、こんなふうな大変厳しい指摘があるわけでございます。私も、まさにこの共同委員会こそ本協定の眼目と考えているところでございます。  この本協定が、冒頭にこううたっております。「日本国及び大韓民国は、」中略「国連海洋法条約を基礎として、両国の間に新しい漁業秩序を確立し、両国の間の漁業の分野における協力関係を更に発展させる」。その目的が書いてあるわけなのでございますが、この共同委員会の円滑かつ実効性のある運用がなければ到底この目的は達成できない、こう考えております。  そういう認識に基づきまして次の質問に移るわけですが、まず日韓共同委員会に対する私のこの認識に対して大臣はどのようにお考えか、大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  43. 中須勇雄

    ○中須政府委員 ただいま先生の御指摘、基本的にはそのとおりだろうというふうに私どもも受けとめております。  特に暫定水域内の資源管理につきましては、やはり共同委員会での議論ということが前提になっているわけでございまして、そこで合意を得てそれぞれの国が適切な措置を実施していくということでございますので、やはりそこがしっかりしないと絵にかいたもちになってしまうということだろうと思います。  ただ、御承知のとおり、今回の協定では附属書Ⅰの二で「両締約国は、この協定の第九条一に定める水域で」、いわゆる暫定水域でございますが、「海洋生物資源の維持が過度な開発により脅かされないようにするため、次の規定に従い協力する。」ということで、その辺の両国の基本的な立場は明確に書かれているわけでございます。  それともう一つ、実態的に言えば、暫定水域において的確な資源管理を行うということは、何も日本だけの利益ではなくて韓国の漁業者の利益にもなるわけでありまして、私どもとしては、こういった協定規定に従い、両国の漁業者の利益を達成するという観点から、暫定水域における資源管理の重要性について強く韓国側の理解を求めて共同委員会で適切な合意が得られるように努力をすべきだ、こういうふうな立場に立たされているというふうに認識しております。
  44. 漆原良夫

    漆原委員 まず、委員会の構成についてお尋ねしたいと思うんですが、この委員会は、一人の代表及び一人の委員、必要な場合には、専門家で構成される下部組織、こうなっております。  一人の代表及び一人の委員というのは、具体的にどんな方を現在予想されているのか。もう一つ、下部組織の中に利害関係者でございます漁業関係者を入れるべきではないか、こう考えておりますが、この二点についてお尋ねいたします。
  45. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 既に先生お述べになりましたように、この新しい漁業協定におきます共同委員会では二名でございまして、今回は政府関係、外務省関係者と水産庁関係者ということで考えております。従来、御案内のように、これに専門家の方にも入っていただいて双方三名ずつでやっておりました。  これは、これまでの漁業委員会と今回の漁業委員会が少し性格が変わってまいりまして、従来の旗国主義を原則とした漁業協定から沿岸国主義ということになってまいりましたので、先生も先ほどちょっとお触れになりましたが、漁獲割り当て等、そういう勧告、決定をするという機能がございますので、直接個別の漁業者の利害に結びつくようなことにもかかわるということで、現行委員会と違って、民間の方を外させていただいて、外務省、水産庁からそれぞれ一名というふうに考えております。当然のことながら、この委員会の運用に関しましては、漁業関係者の方々、専門家の方々の御意見を十分お聞きして運営に当たる。  また、下部組織につきましては、先生協定本文を引用されましたけれども、そのとおりでございまして、下部組織を設けることができる。どういうものをつくるかはまさに今後の課題で、関係省庁ともよく御相談して、必要に応じて必要な構成でつくらせていただきたいと考えております。     〔委員長退席、増田委員長代理着席〕
  46. 漆原良夫

    漆原委員 もう一つ、漁業関係者意見が十分に共同委員会に反映されるようにするために、私は、政府漁業関係者との協議機関を設けてはどうだろうか、そこでいろいろな要望を聞いたりいろいろな政府方針を話したりして理解を求めながら共同委員会に臨むというふうなことで、常設のというか定期的なというか、そういう政府漁業関係者との協議機関を設置することを提案したいと思いますが、いかがでございましょうか。
  47. 中須勇雄

    ○中須政府委員 交渉を、具体的な協議を進める際に漁業者の意見を徴しながら、相談をしながら進めていくということの重要性は、御指摘のとおりだと思っております。  先生のお話にございました協議機関を設けるというアイデアを含めて、どういう形で意思疎通を十分図っていくか、十分検討してまいりたいと思います。
  48. 漆原良夫

    漆原委員 では、次に移ります。  冒頭に述べましたとおり、この委員会は、相互入会措置をとる水域での操業条件及び暫定水域における資源管理等について協議し、両締約国に勧告することとなっております。そしてこの両締約国は、同委員会の協議の結果を尊重し、あるいは協議の結果による勧告を尊重して適切な管理に必要な措置を自国の国民及び漁船に対してとる、こうなっております。  そこで、日韓漁業共同委員会が何らかの理由で協議事項の一部または全部について合意が成立しない、そして両締約国に勧告をすることができない、そういう事態になった場合について、次のとおりお尋ねします。  まず、相互入会措置をとる水域において協議が成立しない場合には、相手国の排他的経済水域における操業の一部または全部が不可能になる、すなわち、日本から見れば、韓国漁船は日本排他的経済水域では操業することができなくなるというふうに私は解釈すべきだと思うのですが、この解釈はいかがでしょうか。
  49. 中須勇雄

    ○中須政府委員 それぞれの排他的経済水域において他国の漁船の操業をどう認めるかということにつきましては、協定の第三条の一項で、各締約国は、自国の排他的経済水域における他方の締約国の国民及び漁船の漁獲が認められる魚種、漁獲割り当て量云々その他具体的な条件を毎年決定し、その決定を他方の締約国に書面により通報する、二項で、各締約国は、一の決定を行うに当たり、漁業共同委員会の協議の結果を尊重し、及び云々、こういう要因を考慮する、こういうことになっているわけでございます。  私ども、そういう事態が本当にあるかどうかということを想定しているわけではございませんけれども、理屈の上からは、もし共同委員会での勧告ということがない場合には、一の規定に従って二の後段の規定が働いて、具体的な条件をそれぞれの国が決定して相手国に通報するということで、操業を行うこと自体はそうやれば可能になるというふうに思っております。
  50. 漆原良夫

    漆原委員 日本排他的経済水域において全く共同委員会からの勧告がない場合に、日本が勝手に操業条件等を決めることができるということになるわけですか。
  51. 中須勇雄

    ○中須政府委員 そのように考えております。  したがいまして、例えば、ある操業を認めるか認めないか、漁獲割り当て量をめぐって例えば日本と韓国との間で話し合いがつかない。つかないと共同委員会の勧告は出ないわけでありますが、そうすれば、例えば一例でいえば、そこで日本側が主張していた割り当て量を、日本側は一方的にこの数量の範囲内ならあなたは操業して結構ですよという形で条件として決定して通報する、そういうような形での操業を認めることは可能ではないか、こういうふうに思っております。
  52. 漆原良夫

    漆原委員 そういう意味では、日本の裁量にある意味では任されておるところがある、こうなるわけですね。  もう一つ、他方、暫定水域において協議が調わないため、共同委員会が両方の締約国に勧告することができない、この一部または全部の事項については。十二条四項、五項で定められる規制が全く及ばなくなるというふうに解釈してよろしいでしょうか。
  53. 中須勇雄

    ○中須政府委員 暫定水域におきます具体的な資源管理のための措置ということについて、仮に共同委員会で合意が得られない、勧告がなされない場合には、基本的には、それぞれの国は自国の漁船に対して自国の国内法に基づく規制措置を課するということでそれぞれ操業が行われる、こういう姿が実現するというふうに承知をしております。
  54. 漆原良夫

    漆原委員 そういう意味では、先ほど私申しました本協定十二条の四項、五項というのは共同委員会で決めた制約でございますから、共同委員会で決めた制約の全く及ばない海になるということでよろしいのでしょうね。
  55. 中須勇雄

    ○中須政府委員 両国間で合意した規制措置が適用されない、それぞれの国が自国にとって必要な措置をとる海域、こういうことになろうかと思います。
  56. 漆原良夫

    漆原委員 私もそう思います。  そうだとすると、この暫定水域については、その協議事項が自分の国にとって不都合だ、不利益だと考えれば共同委員会で協議を成立させなければよいということになってしまって、ある意味では無理が通って道理が引っ込んでしまうという結果になりはしないかな、こう思います。  したがって、仮に万全の監視体制をしいて協定の遵守を図ろうとしても、その根拠規定が全くなくなるわけですから監視体制も作動することができなくなってしまう、こう思います。それでは暫定水域というのは結局無法の海になってしまって、あるいはエゴの海、あるいは乱獲の海、こうなってしまう危険性があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  57. 中須勇雄

    ○中須政府委員 その点に関しましては、突き詰めていくと今先生のおっしゃったようなお話もあるわけでございますが、先ほどの御質問にお答えしたときに申し上げましたとおり、そもそもこの協定では、暫定水域内における資源管理について明確な規定がございます。  一つは、日韓漁業共同委員会の協議を通じて、漁業種類別の漁船の最高操業隻数を含む適切な管理を行う。要するに、過度の開発に資源が脅かされることのないように協力をするということが協定で明記され、その適切な管理措置を行うということが書かれているわけでありますから、日韓両国は、そういう規定に従って合意を得るためにお互いに努力をしなければならない、こういう義務は負っているわけでありまして、十分な話し合いを通じてそういった合意を見出す努力を行うということが協定趣旨であろうというふうに思っております。
  58. 漆原良夫

    漆原委員 そのような事態にならないように一生懸命努力するということだと思います。  しかし、本協定書の中には相手国の意思を強制する法的手段というのは全く講じられておらないわけであります。したがって、本協定を締結するに当たり政府は、暫定水域が場合によっては無法の海となってもしようがない、エゴの海、乱獲の海となってもしようがない、結果的にはこれを容認したという判断をされてもやむを得ないのではないか、こう思います。  もう一点。  日韓双方の政府が、この協定書の冒頭そして附属書Ⅰの二、二項、三項に記載されている、暫定水域における資源管理の目的を真剣に達成しようと考えたのであれば、共同委員会で協議が成立した事項に限って操業を認める、言いかえれば協議が成立しなければ日韓双方とも暫定水域での操業はできない、そういうふうな法律構成をすべきであったのではないかと思います。  本協定がそのような構成になっていないその理由、そしてその点に関する日韓の間での交渉経過について、御説明を願いたいと思います。
  59. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 交渉の経緯も踏まえてという御質問でございます。  先生も御案内のことと思いますけれども、この交渉の過程で韓国側は、できるだけ広い暫定水域を設定したい、そしてその中は公海と同じような、自国の主権が十分に及ぶような、逆に申しますと日本の主権が及ばないようなものにしたいということを最初から強く主張していたわけでございまして、交渉のある段階までは韓国側のその主張は非常に強いものでございました。  これではいけないということで、私ども鋭意、資源管理、そしてそれを実現するための取り締まりを暫定水域の中で何とか両方でやっていこうということで、少しずつ向こうに歩み寄りを促して今のようなことになっておりますので、先生がおっしゃいましたように、本来あるべき姿とちょっと違うんじゃないかという点は実際上あるかと思います。  しかし交渉の経緯からいくと、向こうは全くの公海という主張を、何とか両方で協力してやろうということでございまして、申し上げるまでもなく、海洋法条約というものの精神、原則に基づいて、やはり排他的経済水域はもとより、暫定水域の中でも資源保護というものをやっていかなくてはいかぬ、そういう精神では韓国側も基本的には同じような考えを示しておりますので、そういう交渉の過程を踏まえてこういう決め方になっているわけでございます。
  60. 漆原良夫

    漆原委員 交渉事ですから、大変苦しい中での交渉として成立したのじゃないかなとは思っておりますが、約束を履行するかどうかということを相手の意思に任せてしまうということは、約束しないと同じことになってしまうわけですね。  ただ、本協定は、約束事が相手の意思にゆだねられているという点が、果たして実効性があるのかどうか、非常に私は疑問に思っていることなのでありますけれども、その交渉の中で、暫定水域については、共同委員会で協議が調わない場合には調うまで操業をやめようではないか、そういうふうな主張を日本側としてしたことがあるのかないのか、お聞かせ願いたい。
  61. 中須勇雄

    ○中須政府委員 暫定水域自体は、我が国の漁船、韓国の漁船がそれぞれ現状でいえば入り会って操業している水域ということでございまして、こういう協定自体は相互主義というか、二国間が対等の立場で結ぶ協定でございますから、仮に韓国側が何かの条件をつけて、それをのまない限り絶対操業ができないということになると、それをてこにして、我が国が不当な要求に屈服しなければならないということも逆の立場からいえば起きるわけでございます。  現在、暫定水域では、我が国の方が漁船あるいは漁獲量とも大きいわけでございまして、率直に申しまして、そういった現実的な背景から、今先生のおっしゃったような提案を我が方からしたことはございません。
  62. 漆原良夫

    漆原委員 本協定は、その冒頭に、「日本国及び大韓民国は、海洋生物資源の合理的な保存及び管理並びに最適利用の重要性を認識し、」「国連海洋法条約を基礎として、両国の間に新しい漁業秩序を確立し、両国の間の漁業の分野における協力関係を更に発展させることを希望して、」本協定を締結した、こう述べております。  しかし、日韓の間の漁業に関する具体的な約束事というのは、挙げて日韓漁業共同委員会にゆだねられております。そして、そこでの協議の成否というのは、ひとえに委員の胸のうちにかかっているということであります。私は、排他的経済水域はともかくとして、暫定水域における本協定の実効性は極めて脆弱で心もとないものであるということを指摘しておきたいとともに、申されたような、真剣な粘り強い交渉をお願い申し上げておきます。  もう一つ、私はさっき石橋先生への答弁もずっと聞いておりまして、日本と韓国の間ではそもそも暫定水域における漁業について、この暫定水域というものに対する認識の大きな差があるんじゃないか、こういうふうに思っております。  日本漁業者の間では、とる漁業から育てる漁業へというふうな意識の改革が進んで、網目の拡大や、休みの日とか禁漁期間などを設けて、資源の保護を図ることが活性化しております。しかし、暫定水域をめぐる韓国側の今回の交渉が、むしろ自由に操業できる既得権の確保に重点が置かれ、また、その後の日韓間の協議においても、韓国側は、暫定水域における操業は自主的管理を主張しているというふうに伝えられております。したがって、韓国では我が国と違って、育てる漁業よりもむしろとる漁業の方にいまだ重点が置かれているというふうに思います。  暫定水域は、我が国にとってみれば、日韓両国が協力をして資源の管理を図っていく水域というふうに認識されておりますが、韓国においてはむしろ、十二海里時代の公海と同様に、韓国側が自由に漁業ができる水域というふうに認識されているのではないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
  63. 中須勇雄

    ○中須政府委員 その点は、先ほど外務省の方からの御説明にもございましたとおり、韓国側は当初、暫定水域についてはいわば公海扱い、公海と同一の扱い、こういうことで、先生から御指摘があったような立場に立っていたのではないかというのは、そのとおりだろうと思います。  ただ、長い交渉の過程を通じまして、私どもといたしましては、現段階では日韓両国が合意した協定に書かれていること、これが、これから先の日韓漁業共同委員会における協議を初め、協定実施していく上での出発点である、こういうふうに考えて、先生おっしゃったような粘り強い交渉を進めていかなければならない、こんなふうに考えております。
  64. 漆原良夫

    漆原委員 日本排他的経済水域における韓国への漁獲割り当てが、これまで日本近海で年間二十二万トンをとっていたという漁船が三年後には十万トンに削減されて、多分、将来的には日本排他的経済水域から締め出されるということも考えられるわけであります。この場合に、行き場を失った韓国漁船団が暫定水域を目指してくることは明らかであって、この水域における日韓の対立というのはいよいよ熾烈になり、先鋭化していくだろうということが考えられます。  このような事態になった場合に、暫定水域に対する根本的な認識を異にしている日本と韓国との間で、日韓漁業共同委員会が本当に円満かつ実効性を持って機能するかどうか、非常に私は心配であり疑問に思っております。本協定の眼目ともいうべき同委員会を本協定趣旨に従って機能させるために、政府は今後どのような措置を講じていかれるか、お聞かせ願いたい。     〔増田委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 中須勇雄

    ○中須政府委員 冒頭、先生からの御指摘に対してお答え申し上げましたが、私ども、やはり暫定水域においてしっかりした資源管理をやるということは、決して我が国が一方的に言うべきことではなくて、韓国もそういったことを行うことによって、お互いに資源を長い間持続的に利用できる、こういう利益を生むわけでありますから、その基礎の上に立って話し合いを進めていく、こういうことが必要でございますし、また、協定はそういう趣旨に立って合意したものというふうに思っているわけであります。  具体的に先生指摘になりましたとおり、お互いの二百海里水域内から締め出された船が全部この暫定水域に集まって操業をするということになれば、暫定水域の資源管理ということ自体が絵にかいたもちになってしまうわけでありまして、そういうことがあるからこそ、逆に言えば、協定におきまして、漁業種類別の最高操業隻数を含む適切な措置をとるという一文を私どもとしては挿入していただいたというふうに思っております。  暫定水域がそういった乱獲の場所にならないように、この協定趣旨に従った適切な資源管理措置が行われる、規制措置が行われるように、韓国を相手に粘り強く対応していきたいというふうに思っております。
  66. 漆原良夫

    漆原委員 最後になりました。  私は、この点に関して、新潟県漁協の皆さんから次のような話を聞いております。  自分たちは、佐渡沖にあった佐渡北方漁業群という天然礁を、大正時代の初めから開発して守ってきた。しかし、これが韓国のトロール漁法によって壊されてしまい、だめになってしまった。今回の協定では大和堆の約四五%が暫定水域に入ってしまうということであるが、韓国側の底刺し網漁法で無制限にとられてしまうのではないか。漁場や水産資源の開発保全などの規制をきちっととっておかないと、佐渡沖のように漁場が壊されてしまう心配があるというふうなことでございました。  この考え方は、この心配は、私は、佐渡だけじゃなくて、新潟だけじゃなくて、全漁業関係者共通するものと思います。政府としては、この意見を、心配をしっかり受けとめて対応してもらいたいということを要望しまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  67. 穂積良行

    穂積委員長 次に、木村太郎君。
  68. 木村太郎

    木村(太)委員 いただいた時間が少しですので、早速質問させていただきたいと思います。  今、漆原委員から日韓のことについて詳しく指摘しながら、国の方から答弁がありましたけれども、私、少し視点を変えましてお尋ねしたいと思います。  まず、今回の日韓漁業協定でありますが、この合意、また暫定水域の設定などによりまして、漁業種類というもの、あるいはまた地域によっての影響というものが出るのかどうか、この点をお知らせいただければと思っております。  例えば、私の地元の青森県なんかではイカ釣り漁業者に対しての影響が大変大きいのではないかというふうに考えておりますが、その点はどうなっているんでしょうか。
  69. 中須勇雄

    ○中須政府委員 暫定水域の設定によりまして我が国漁業者にどのような影響が生ずるかということにつきましては、協定に基づいて交渉中の具体的な操業条件がどういうふうに決まってくるか、また、協定実施後、外国漁船の操業実態がどのようになるか、また、取り締まりがどの程度実効ある形で行われるのか、こういう将来の要素にかかっている部分がありまして、なかなか確定的には申しがたい部分がございます。  しかし、いずれにしても、特に大和堆等につきましては、かなり双方の漁船が入り会って操業するということでございますので、規制措置内容あるいは漁場競合の面で経営にも影響が生じる可能性があるというのは御指摘のとおりだろうと思います。  イカ釣り漁業の問題を含めまして、今後の具体的な操業規制の内容なり取り締まりの状況等を十分見ながら、影響を受ける漁業者に対しては十分な経営安定対策等を講じていくということで対処してまいりたいと思います。
  70. 木村太郎

    木村(太)委員 全漁連を初め漁業関係の声というものをぜひ重要視していただきたいと思いますが、その際、ただいま答弁があったように、地域の声というものも、また地域の影響というものも、皆さんの立場から随時適切にとらえながら対応していただければということをお願いしたいと思います。  次にお伺いしますけれども、今回の日韓の合意に至って大事なことは、日韓間に加えまして中国を入れた三つの国、三カ国間での漁獲量の把握、あるいはまた資源管理の遵守、あるいはまた取り締まり体制の構築というものをきちっとやっていくことが、本当の意味での日本海あるいはまた我が国周辺においての漁業考え方をはっきりさせていくことだ、私はそう思っております。この辺をどのように考えているのか、お尋ねしたいと思います。  特に、中国とは昨年新漁業協定の基本合意に達しているというふうに聞いておりますが、ただ、今現在までは漁業共同委員会準備会合という場で協議が行われているというふうにも聞いております。しかし、実際、現在はこの協定の効力が発効していないというふうになっていると承知しておりますので、この辺の見通しというのがどのようになっているのか。  また、もちろん、日本と韓国、日本と中国ということだけでなくて、やはり中国と韓国、この二国間での取り組み、協議の姿勢が大事だし、その方向によっては我が国に対してもまた影響がいろいろとあるかと思います。中国と韓国間の協議というか、取り組みの現状がどのようになっているのか、また見通しというものがどのようになっているのか、あわせてお尋ねしたいと思います。
  71. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 日中漁業協定につきましては、もちろん、署名の後、既に先般の通常国会で御承認をいただいておりまして、今先生もちょっと御指摘になりましたけれども漁業共同委員会の準備会合ということで詳細を詰めている段階でございまして、これはもう国会の御承認を早々にいただいておりますので、そういう作業を急いで、なるべく早く発効という段取りにいたしたいと思っております。  中韓でございますが、これは先般、金大中大統領の訪中の際に漁業協定の仮署名、イニシアルが行われたということで、余り詳しい内容を私ども承知しておりませんが、やはり日韓と同じように暫定措置水域というものを設けて、境界線が引けないという状況のもとで、双方工夫してイニシアルの段階に達していると思います。これから本署名、そして両国の国内手続を経て批准に至るまでどのくらいの時間がかかるか、ちょっと私どもはまだはっきりした見通しは持っておりません。  それから、先生最初に提起されました、この水域、海域での日中韓の三カ国でのいろいろな形での協力という体制をつくっていくべきではないかという御指摘は、まことにごもっともでございまして、将来そういう必要が当然出てくると思います。  ただ、現在は、ようやく日中、日韓、そして中韓もイニシアルという段階に至ったところでございますし、特に海洋法条約のもとでの新しい漁業秩序をこれからこういう協定を基礎につくっていくという段階でございますので、とりあえずは日中、そして日韓の新しい漁業秩序の確立ということにまずは意を用いたい、そういうふうに考えております。
  72. 木村太郎

    木村(太)委員 御答弁ありがとうございました。  もちろん、日本と中国、日本と韓国、また韓国と中国という二国間での協議というか、お互いの信頼関係の構築ということは大事だと思いますが、しかし、先ほども言ったように、日本海あるいはまた我が国周辺の海の恵みというものを守っていくためにも、例えば先ほど言った漁獲量とか資源管理とか取り締まり体制なんかにおいても、日本と韓国との内容と中国と韓国との内容が格差があったり、お互い条件的なものが結構開きがあった場合に、今後ある面では心配することにもつながっていくと思いますので、もちろん農林水産省のみならず、今御答弁いただいた外務省、再度、外交上でも積極的に日本考え方というものを二つの国に対してぜひ主張を続けていってほしいなということをお願いしたいと思います。  もう一つ、漁業についてでありますが、今回の日韓の合意によって、ちょうど合意が示された直後でありましたけれども、具体的には十月の二日に全漁連が、当初、一番最初は絶対反対という決議を採択したわけであります。しかし、日本と韓国の両国の外務大臣が署名した十一月二十八日の前日においては、全漁連、漁業関係者考え方というのは、私の解釈からいけば、条件つき容認という趣旨の決議をしたと私はとらえております。しかし、実際、私も地元の漁業関係者の声を聞いた場合に、今回の協定についてはまだまだ依然として不安というものを持っている声が多いというふうに考えております。もちろん、不安の声に対して、今回の第三次補正において対策費というものを盛り込んでいると思いますが、漁業関係者の不安に対して十二分にこたえた内容として考えているかどうか、今回の補正を含めてですね。  あるいはまた、今回の日韓の合意というのは、物の考え方からいきますと、当面三年間に対して、予算的にも補正において打ち出したと私はとらえておりますが、今後とも、状況の変化あるいはまた漁業関係者の不安が現実化してきた場合とか不安がますます高まっていった場合に、今回打ち出した対策のみならず、また一層の努力をする考えを今からも持ちつないでいただきたいなと思いますが、この点、御答弁をお願いしたいと思います。
  73. 中川昭一

    中川国務大臣 二年半の交渉の間も、例えば日本の禁漁期間の間にばっと入ってくるとか、あるいは操業が始まる前にわっと入ってきて漁網、漁具に被害を与える、とても信頼を構築できるような状況にないということは日本側から、私も含めて強く申し上げて、今も実務的に交渉しておるわけであります。  ですから、漁業者の皆さんも大変不安に思っておられるわけでありますが、今後、遅くとも一月二十三日までには発効させなければいけない、実施に移していかなければいけないわけであります。今先生指摘のように、これは日本もそうでありますけれども、特に韓国の、資源管理あるいは操業ルールをきちっと守る、まして違反、しかも船名隠ぺいとかああいう悪質な違反があってはならないということを具体的に今詰めておるわけでありますが、それが最低限の前提だと思います。そのルールなくしては、これは日韓間の信頼も日本漁業の安定もないわけであります。  と同時に、その不安を払拭していただくために、二百六十九億円プラス海上保安庁の百億円という対策をとっておるわけでありまして、これは三年間を一応のめどとして、しかも基金本体を使っていける基金でございますから、その中で負債対策、経営の安定等々に役立てていきたいということでございまして、この操業ルールの厳守そしてまた国内的な財政面を初めとする諸対策でもって、漁業者の皆さんに今後不安や怒りが、ふえることはもとよりでありますけれども、なくなっていくために全力を挙げて今交渉をやっておる最中でありますし、またそういう成果が上がった新しい漁業体制にしていくべく、全力を挙げて今努力をしている最中でございます。
  74. 木村太郎

    木村(太)委員 ぜひ、大臣の今の全力を挙げてという考え方で、交渉あるいはまた国内対策も続けていってほしいというふうにお願いしたいと思います。  次に、私、せっかく時間をいただきましたので、日韓の漁業問題とはちょっとかけ離れまして、植物検疫制度について触れたいと思います。  さきの臨時国会でも、大臣を初め皆さんに御指摘、主張させていただきましたけれどもWTOでのパネルにおいて最終報告が、日本の主張がほぼ認められることはなかったというふうな結論が出ました。なぜそういうふうになったのか。その分析、どうとらえているのか。その分析を答弁としていただければと思います。  また、今現在は上級委員会での審議に向けて日本の努力が始まっているようであります。仮に、今までパネルにおいて一生懸命日本の主張を続けてきても、最終報告はアメリカ側の主張が通ってしまったわけでありますから、この上級委員会で今までどおりの考え方、主張で日本側が努力していっても対応できないはずでありますので、この上級委員会に対してはどのような姿勢で取り組むのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  75. 樋口久俊

    ○樋口政府委員 まず、事実関係の方につきまして私の方から御答弁を申し上げたいと思います。  御質問にございましたパネルの報告では、若干引用させていただきますと、「品種ごとの試験が必要であるとする日本の措置と日本が示した科学的証拠の間に合理的・客観的関連はなく、品種の違いが検疫措置に影響することが結論付けられないことから、品種ごとの試験は十分な科学的証拠なしに維持されている」、まずこのような認定がされております。  このパネルの報告は、私どもとしましては、輸入国の側、つまり本件では日本になるわけでございますけれども、より大きな証明責任を負うべきである、そういう考え方に立っておるということで、日本の主張を認めるためには日本側が提出しました科学的証拠では不十分であるということで、米国側の主張に沿ったものとなっているというふうに考えております。  しかしながら、我が国としましては、このパネルの判断は承服できるものではないということで、去る十一月の二十四日に上級審、つまり上級委員会でございますけれども、これは法的な議論を行う場というふうに位置づけられておるところでございますけれども、ここに申し立てを行って、今後審議が始まるというふうに考えております。
  76. 木村太郎

    木村(太)委員 十分な日本側の科学的な根拠を示す裏づけがなかったのでというようなことでありますが、その辺が本当に出発点が違うというふうに私は感じております。今の答弁では、上級委員会というのはあくまでも法的な議論をする場ということでありますけれども、ただ、私はできれば、委員会そのものの性質がパネルとは違うにしても、私、パネルのときも言いましたが、植物検疫制度とか農産物の病害虫に関して専門的な知識を持つ方の意見を聞く場をぜひ持つようにとか、もっともっとやれることはないのかどうか、最大限の最後までの努力をしていただければなというふうに思っているのです。  先ほど漁業について大臣からかたい決意があったのですが、大臣から何かありましたら、上級委員会に対しての日本側の対応というものをお聞かせいただければ。
  77. 中川昭一

    中川国務大臣 日本もやはり植物、動物の安全といいましょうか、病害虫をできるだけ慎重にしていく、これは日本だけではないと思いますが、我が国もそういう重要な行政の責務を負っておるわけでありまして、その根拠はあくまでも品種ごとにきちっと試験をするということであり、その主張に我々は過ちはない、やり方に問題はないという立場は今でももちろん変わっていないわけでございます。  したがいまして、今回のパネルでの科学的根拠がないという判断には承服できないわけでございまして、上級審におきまして、今先生指摘のありましたように法的解釈みたいなものが中心になるようでありますが、我が国の主張をより明確に訴え続けていきたいというふうに考えております。
  78. 木村太郎

    木村(太)委員 これまた万が一の話をして恐縮でありますが、仮に上級委員会でも日本側の主張が通らないとした場合に、その後において、最後最後というかその判断を覆すような手段というのは残されているのかどうか、ちょっとここで確認したいと思うのです。  また、もし日本側の主張が通らない結果になった場合に、手続的には今後どういうふうなことが予想されていくのかお聞きしたい。  いま一つ。今現在協議しているのは八品目についてでありますが、その一つに私の地元のリンゴなんかが含まれているのですけれども、将来においてはこの八品目以上に拡大されていくような可能性もあり得るのか、お尋ねしたいと思います。
  79. 樋口久俊

    ○樋口政府委員 お答えを申し上げます。  WTOの紛争解決手続は、裁判に例えて申し上げますと二審制ということになっておりまして、上級委員会におきます審議は最終的な主張の場でございます。  上級委員会の報告が否定される道がないわけではございませんが、それは、全加盟国で構成されます紛争解決機関の会合というものがございまして、上級審の報告を採択しないということを全会一致で決定するという場合に限られておりますけれども、実際問題としてはこういうことはなかろうと考えられるわけでございます。  したがいまして、仮定の話であるという御質問でございますのでその前提でお答えを申し上げますけれども、最終的な決定があった場合に、それに従って所定の措置を実施するということになりますと、その旨の通報をして、一定の時期までに行うということになりますが、その期間につきましては、一律に定められているわけではございませんで、当事国が合意をする期間、あるいは合意が調わないというときには仲裁というようなことも行われるわけでございますが、仲裁が行われる場合には、原則としてその期間は十五カ月を超えないということになっております。  私ども、一生懸命そういう上級審の場で一定の主張をしておりますものですから、現時点でこれ以上のことを言及するということは難しいことをひとつ御理解いただきたいと思います。  なお、品目の件が出ましたが、今回紛争の対象となっておりますのは、コドリンガが寄生をいたしますリンゴ等の八品目でございます。これ以外の品目につきまして同様の紛争が起こるかどうかというお話がございましたけれども、紛争と申しますこと自体、相手国の方から起きてくるということでございますので、我が方としましてその見通しについて言及するということはなかなか難しいし、そういう性格ではなかろうということで御理解をちょうだいしたいと思います。  以上でございます。
  80. 木村太郎

    木村(太)委員 済みません、時間が来ましたので、最後に一つだけお尋ねして、答えも簡単で結構ですので。  そういう状況の中で、国内の生産地体制の強化は一層大事だと思いますので、前にも指摘しましたが、リンゴの生果の価格補てん制度的なものをつくれないかどうか。前に質問したときには、リンゴだけやっちゃうと、ミカンもありますし、ほかにもありますということでありました。ただ、地元の話で恐縮ですけれども、実はリンゴ関係者からは、地元の青森県に対して、県単独でもつくってくれないかというような動きがありまして、県は苦しいながらも検討せざるを得ないような状況になっている。だとすれば、国のバックアップはそこにあってしかるべきではないかなというふうに思います。  いま一つ、リンゴの園地若返り事業というのもやっているわけです。これも国のバックアップをいただいておりますが、目標年次が平成十二年になっております。十三年以降も生産者の声が続くとすれば、それに対しての考え方があれば最後にお尋ねして、終わります。
  81. 樋口久俊

    ○樋口政府委員 二つお尋ねがあったわけでございます。  一つは、御提案の所得補てんの仕組みでございますが、これについては、現在価格下落の大きな要因でございます急激な需給変動に対する対策とか災害の対策を講じているわけでございますけれども、新たに今おっしゃったような所得補てんを講じますには、例えば、市場で自由な取引をされております価格形成をもとにやっております経営展開を前提にします生果とかの取り扱いをどうするか、あるいは先ほどお話をしました需給変動や農業災害に対するいろいろな対策を講じております以外のものをどうするか等々難しい問題がございまして、前回もお答えをここで申し上げたわけでございますが、将来の検討課題とさせていただきたいと思っております。  なお、リンゴ矮化栽培の緊急推進対策事業につきましては、先生御承知のとおり平成十二年度までを事業期間ということで実施をしておりまして、現地では積極的に取り組んでいただいておることは承知をいたしております。その後の取り扱いにつきましては、リンゴをめぐりますいろいろな状況を見定めさせていただいて検討したいと思っております。
  82. 木村太郎

    木村(太)委員 失礼しました。
  83. 穂積良行

    穂積委員長 次に、一川保夫君。
  84. 一川保夫

    一川委員 私の方から日韓漁業協定に関連しての質問をさせていただきますけれども、これまで大分質問が重複いたしておりますので、事前にお願いした問題と若干ずれるかもしれませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。  まず、今回の新たな協定でもって暫定水域と称する区域が漁業者の観点から見ると相当広範囲に設定されたということで、日本海沿岸の漁業者の皆さん方、大変な不安感を抱いているわけでございます。こういった暫定区域、当初我が国漁業団体を中心にして漁業の方々が主張しておられた区域から相当後退したというような形に一応設定されておるわけですけれども日本海側沿岸地域、漁業者に対する影響といいますか、そういうものはどのように認識しておられますか。
  85. 中須勇雄

    ○中須政府委員 暫定水域の設定に伴う我が国漁業への影響につきましては、この水域における操業規制の具体的な内容とか取り締まりの実効等について今協議をしているという状況でございまして、そういう意味で、なかなか確たることは申し上げにくいというのが率直なところでございます。  しかし、この水域の一部では、日韓両国の漁船がかなり稠密な操業を入り会って行うということになるわけでございますから、漁場競合の問題を初め、多くの影響が生ずる可能性があるということは事実だろうと思っております。今後の資源管理措置や協定実施後の韓国漁船の操業実態、そういったものを十分見きわめながら、我が国漁船に起きる影響については、その防止のために万全を期するよう対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  86. 一川保夫

    一川委員 これからの具体的な影響はちょっと推測できかねるというような、そういう面ではまだ非常に不安感が残っているわけでございますけれども。  今漁業関係者の方々が御心配されていますように、この基本協定合意された後、細部にわたってはこれからいろいろ交渉されていくわけでございますけれども、この協定趣旨、そういった期待するものが十分発揮されていない。これは日本側にも言えると思いますけれども、そういうことがもし現実に出てきた場合に、そういうことに対してこれからのいろいろな交渉の詰めの段階で具体的なルールを定める場合に、場合によってはこの協定の見直しとか破棄といったようなことも含めてそういう条項的なものが入るのかどうか、そのあたりはいかがでしょうか。
  87. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、協定あるいは附属書あるいは交換書簡等々、一連のものがお手元にあると思いますが、かなり具体的に協定には書かれていると私は思います。  まず、協定自身を両国、特に韓国がきちっと守ればかなりの効果があるだろうと私は思うわけであります。そして、今細部の詰めをやっておるところでありますが、そういうお互いの政府同士が約束をしたことがきちっと守られれば、そう大きな被害あるいは問題は起こらないだろうと思っております。しかし一方、それに対する不安があることは、私自身関係者の皆さんのお気持ちは十分承知をしております。  したがいまして、三年間はこの協定でいくということになっておりますけれども、三年の間にどういう状況が起きるか、現に起きるか、特に、漁業者の皆さんあるいは日本の海に、あるいは暫定水域の資源管理に対してどういう悪い影響が起きるのか起きないかということを十分見きわめた上で、三年後以降どう判断するかということになろうかということで、今の段階はそういうことが起きないようにするために、鋭意日本国の代表が協議をしているという状況でございます。
  88. 一川保夫

    一川委員 この協定にうたわれているそういう趣旨で両国の関係者がしっかりとルールを守っていただくというのは当然大前提でございますけれども、守っていただくという一つの取り締まり体制といいますか、そういうことは、本来余りお互いの信頼の中ではそう強化すべき問題ではないのかもしれません。しかし現実問題として、これまでもいろいろな不法的な操業があったということが現実でございますので、やはり、排他的水域はもちろんでございますけれども、暫定水域について、今回のこの協定の精神がしっかりと守られる、そういう取り締まりの体制強化というのは当然必要なことだというふうに思っております。  今回の補正予算、また来年度予算の当初予算の段階でもいろいろな措置が講じられているというふうに聞いておりますけれども、そのあたりの取り締まり監視体制の強化に対する基本的な考え方をぜひお聞かせ願いたいと思います。
  89. 中須勇雄

    ○中須政府委員 これまでの古い日韓漁業協定のもとにおきましても、私どもとしては、違反が多発する海域を中心に、水産庁の漁業取り締まり船を配置して、海上保安庁等と協力をしながら監視、取り締まりを行ってきたところであり、同時に、漁業取り締まり船の増隻であるとか代船の建造、あるいは航空機による取り締まりなど、拡充を図ってまいりました。  しかし、ここで新しい日韓漁業協定が動き出すということになれば、我が国排他的経済水域、そしてまた暫定水域を通じて取り締まりの一層の強化ということが必要になるわけでございまして、水産庁といたしましても、取り締まり船のさらなる増隻あるいは高性能航空機の導入等を行うとともに、暫定水域等の幾つかの重点海域に取り締まり船の集中配備を行う、こういうことで対応していきたいと思います。  今後とも、海上保安庁等と十分連携をとって、外国漁船に対する取り締まりに的確に対応していきたいというふうに考えております。
  90. 一川保夫

    一川委員 海上保安庁の方も出席だと思います。  海上保安庁の本来の任務からすれば、もっと広範囲な任務がたくさんあるわけでございまして、その海域全体の安全性確保という観点で日夜努力されているというふうに思います。今回のこの漁業協定がスタートするという段階で、当然ながら漁業に対するいろいろな操業取り締まり的なものは海上保安庁にとっても関心事であろうと思いますし、また我々も、漁業の問題について、海上保安庁も十分関心を強く持っていただいてこれからの体制を強化していただきたい、そのように思いますけれども、そのあたりの考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  91. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えいたします。  先ほど先生指摘のように、今回の三次補正予算におきましても、水産庁の予算と並んで、私どもの方にもヘリコプター一機搭載型巡視船の代替建造等も予定しておるところでございます。そして、全体的な海上保安業務の中で、特に今回このような協定の締結ということがございますので、重点を置いて、重点海域等についての監視、取り締まりを強化していきたいと思います。  そして、これまでに海洋法等で整備を進めてまいっております高性能な巡視船艇あるいは航空機等がございますので、こういうものを有効に活用して、暫定水域あるいは沿岸水域、こういったところで韓国漁船が多数操業する海域を重点的に監視、取り締まりをしたいと考えております。  なお、このような関係がございますので、水産庁などと、関係行政機関と連携してやってまいりますが、私どもの方も、早速、部内の体制を固めるという意味で、来週、関係の管区海上保安本部の警備救難部長を呼んで会議をしていく、こういうことで着々と準備を進めたいと考えております。
  92. 一川保夫

    一川委員 では、最後にちょっと大臣にお伺いしたいと思います。  先ほど来、こういう新しい協定下における漁業振興の問題というのは、いろいろと質疑がございましたけれども漁業者の皆さん方は、この新漁業協定のもとで、これからその精神をしっかりと守って操業していくという前提で、いろいろ漁業に努力されるということになると思います。  一方、韓国側にもしいろいろなそういうルール違反的なことが起こった場合、日本漁業者がそのことによって、新しい協定を遵守するという中でいろいろな面でマイナス面をこうむってきたといったようなときに、政府として、それをしっかりと責任を持って、漁業者に対してのそういう損害、マイナス面に対する対応策を措置するというお気持ちがあるかどうか。そのあたりを確認したいということを含めて、これからの漁業振興策についての基本的な見解をお聞かせ願いたいと思っております。
  93. 中川昭一

    中川国務大臣 先ほど申し上げましたが、今回の協定の基本合意は小渕総理の判断でなされたわけでありますけれども、もう一つの判断が万全の対策をとれということでございまして、そのスタートが、今回の水産庁、海上保安庁の予算措置でございます。  今後、厳しく違反取り締まりに努力をしてまいりますけれども、相手側が原因で、日本漁業あるいは漁民の皆さんに被害が起こる、あるいはまたいろいろ問題が起きてくるということにならないようにすると同時に、なったときに、注意深く見守って、きちっとした対応をとり続けていかなければならないというふうに思っております。
  94. 一川保夫

    一川委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  95. 穂積良行

    穂積委員長 次に、菅原喜重郎君。
  96. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 通告順序を変えて、外務省の方にまず質問申し上げます。  竹島の領有権については、一九四五年八月の第二次大戦を終結させたポツダム宣言の受諾によっても、私たちは主権は日本に帰属していることを主張してまいったのですが、連合国軍司令部GHQの占領政策によって韓国側が同島の実効支配に移り、今日まで韓国の支配が続いているわけでございます。一九六五年の日韓国交正常化においてもその領有権の決着は先送りされ、両国の主張は歴史的経緯あるいは国際法上の正当性ともに食い違いのまま、ホットな外交交渉の中にこれが続けられてきている。  こういうような中で暫定水域を設定しなければならなかったことは理解もできますし、この水域に竹島が入ったということは双方の努力もあり承知できるところですが、しかし、国土あっての主権という立場で、竹島へのスタンス、外務省姿勢というものをまずお聞きしたいと思います。
  97. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 竹島の領有権問題につきまして、我が国立場は一貫したものがございます。  先生先ほどおっしゃいましたように、現実は、遺憾ながら韓国側がこれを不法占拠しているという状態が続いておりますが、極めて重要な問題であるという認識を持っております。他方、この問題に関して、両国の立場の相違というものが両国の友好関係を著しく損なうということは適切でないという考慮もございます。  今後とも、両国間で、冷静にかつ粘り強く話し合いを積み重ねてこの問題の解決に向けて努力をしていくということでございまして、韓国によります不法占拠の実態が進展するということのないように十分注意深くこれをウオッチしていくという考えでございます。
  98. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 もうちょっと強い姿勢外務省の答弁があってもいいのではないかと思うのですが、ただ、今回の暫定水域内のいわゆる線引きといいますか、それが、今までも多くの方から質問されてきましたように、随分これは日本側に拡大されております。さらに、暫定水域内の取り締まりにつきましては旗国主義がとられたわけでございますが、こういう結果を見ますと、果たして、国益の関係から、また資源の保全あるいは海底環境の保全、そういうような点から見ましても、どうも国会で素直に承認されるような内容じゃないんじゃないか、こう思っているわけでございます。  それで、なぜ強硬にも韓国が暫定水域内に竹島も入れたか、どうもそれには、日本側がこの水域日本側の方に拡大したことが向こうの方にもこれを認めさせた、そういうような勘ぐりもされるわけでございます。  そこで、見直しは三年後にはあるわけでございますが、大体、この暫定水域内の旗国主義は、これはもう現実に不法操業、違法操業が行われて、過般、山口県に行って現地調査の際、現地の漁民の声を聞いても、韓国では全く海賊的な、いわゆる殴り込み的な操業も行っている。それに対して日本の取り締まりは生ぬるいという声も聞いている中で、違法操業というのは、これは韓国の法律でも禁止されている例えば小手繰り操業、そういうようなのが暫定水域内に入ってきたとき、旗国主義だから韓国の方に取り締まりは任せると言ったのでは、全くこれは治外法権を許したんじゃないかというふうに思われるわけです。  そこで、三年後の見直しは、どうしても問題が起きてくると思いますので、ぜひこういうようなことが解消されていくように、やはりこの線引きされたところは沿岸国主義の立場で双方が臨めるような、そういうことが絶対必要である、こう思うわけです。三年後のことを話しては変なんですが、こういう見直しに対して外務省はどのような決意を持って当たろうとするか、お答えいただきたいと思います。
  99. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 協定にそういう三年という規定がございますけれども、現在は、日韓新漁業協定が署名をされ、今、国会の御承認を得ている最中でございまして、この新しい漁業協定海洋法のもとでの新しい日韓の新漁業秩序をつくりたい、まず、それに最大限の努力を傾注すべきだというふうに考えております。また、暫定水域内の違法操業ということがございました。これは、現在の日韓漁業の実態で、漁民の方々から私どもが伺うお話の中で一番この問題が、大きな御不満の原因になっております。  そういうことで、今後も、ルールはつくっても違法操業が行われるということでは、まことに実効が期せないわけでございますので、取り締まりをきちんとやる。また、この暫定水域の中におきましても、この水域の資源保護ということをきちっとやっていくことが日韓双方にとっての長期的利益でございますので、そういうことも踏まえて、まずは、この新協定のきちんとした運営に最大限努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  100. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それでは、またお伺いしますが、この暫定水域内の違法操業については、旗国主義に一応のっとって個々の取り締まりをすると言っていても、日本のいわゆる取り締まりは違法操業に対しては韓国船にも及ぼすことができるわけですか、それとも、やはりこれは旗国主義でできないのですか、この点をはっきりお答えいただきたいと思います。
  101. 中須勇雄

    ○中須政府委員 暫定水域内における韓国漁船の取り締まりは韓国の官憲が行うというのが旗国主義の基本的な姿ということになるわけでございまして、我が国の監視船なり巡視船というものが拿捕、臨検、調査をするとか強制的に乗船をするとか、そういうことは認められていないわけであります。  ただ、今回の協定では、この暫定水域内で我が国が、違法操業を行っている、協定を守っていない韓国漁船を発見した場合には、その事実を韓国政府に通報すると、韓国政府は関連の資料等を調査した上で必要な措置をとって、その結果を我が国に報告をしてくる、こういうことが義務づけられておりますので、こういう規定を活用して、我が方が発見した韓国の違法な操業というものが韓国の国内法で適切に措置されるように努力をしていきたいということが一つございます。  もう一つは、これも再三申し上げていることでございますが、旗国主義という中でも取り締まりを協力してやっていくという意味から、連携巡視とか共同乗船という形でそれぞれの国の監視船がタイアップしながら監視を行う、あるいはどちらかの国の監視船に両方の国の監督官が乗ってそれぞれの国の漁船の監督を行う、こういうようなことを実施することによって取り締まりの実効性を上げていく、そういうふうに取り組んでいきたいというのが今私ども考え方でございます。
  102. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 旗国主義の取り決めなんですから、不法操業あたりまでは一応旗国主義でもいいと思うんですが、それでは、本当に韓国側に引き渡した場合、韓国側でこれをどのように処分していくか、そのことに対する詳細な情報の交換をなす、何かそういう話し合いがなされているわけでございますか。この点に関して、もうちょっと詳しく説明いただきたいと思います。
  103. 中須勇雄

    ○中須政府委員 先ほど申しましたように、我が方が違反を発見した場合には、もちろん適切な証拠等を添えて韓国側にお渡しをして適切な措置を頼む、こういうことになるわけでございますけれども、それに対して韓国は、適当にやっておいたよということではなくて、具体的にどういう措置をとったかということを我が方に対して回答してくる、通報してくるということが協定上義務づけられておりますので、そういうことを活用して、しっかりした違反に対する韓国側の措置が行われるように、我々も、側面的に協力していくというか、そういうふうに対応していきたいという趣旨を申し上げたわけでございます。
  104. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、山口県での各漁民の方々からの現実の声を聞いて、違法操業を韓国側に引き渡しても何らナシのつぶてになっているというわけですよ。そして、みんな歯ぎしりしているわけですから、ひとつそういう点は、国際信義上、厳重に韓国でも対処していけるように外務省でも折衝を重ねていっていただきたい、こう思うわけでございます。  次に、時間がなくなってきましたから、この暫定水域内には大和堆の優良漁場も入っているわけなんですが、ここでこういうような取り決めをされた暁においてどのような資源の保護あるいは海底環境保全等がなされるのか、また、なしていこうとしているのか、農林水産省の方からお聞きしたいと思います。
  105. 中須勇雄

    ○中須政府委員 暫定水域内の操業ルール、資源保護のために必要な操業上の取り決めということに関しましては、新しい協定では二点ございまして、一つは、日韓漁業共同委員会の協議を通じて漁業種類別の漁船の最高操業隻数を含む適切な管理を行う、つまり、日韓双方、それぞれ漁業種類ごとに何隻までこの水域に漁船を出すかということをお互いに決めよう、そういう趣旨でございます。これは一つの例示でございますけれども、そういうことを含めた適切な管理を行うということが挙げられていること。  もう一つは、この暫定水域に出漁する漁船に対して、現在双方が自分の国の漁船に対して課している規制措置、これを相手国に通報することになっております。相手国は、その通報を受けた相手国が講じている操業規制について、それに十分配慮をして自国の措置を決めていく、そのための協議に臨むということが決まっているわけであります。そういった観点からは、例えば、その暫定水域に出漁する日本の沖合底びき漁船について、夏の七月、八月は休漁期というものを我が国は設けているわけでありますが、それと同じ規制を韓国の同様の漁船について講じていただきたい、こういうことを申し入れていく、一例でございますが、そういう形で、最高操業隻数の規制等、そのほか操業区域の限定であるとか休漁期間の設定であるとか、そういうような措置を通じて具体的な資源管理措置が行われる、こういうことを目指していきたいというふうに思っています。
  106. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それでは、こういう資源保護や海底環境保全等に対して、何か韓国側とも協力して行うような話し合い、そういうものも持たれたわけですか、持たれているわけですか。
  107. 中須勇雄

    ○中須政府委員 新しい協定の枠組みのもとでは、そういった話し合いは本来、日韓漁業共同委員会で行うということになっているわけでございます。ただ、御承知のとおり、現時点では協定自体が発効していないわけでございまして、共同委員会も当然のことながら設けられていない。  ただ、明年、御承認をいただきますれば、批准書を交換すれば直ちに新しい協定が発効するということになるわけでございますので、それに備えて、事前の形で、準備的な意味で、日韓両国の政府間でそういった操業条件を含めた話し合いを現在積み重ねている状況、こういうことでございます。
  108. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 もう時間になってまいりましたので、次に取り締まりにつきましてお伺いしますが、過般、私たち、水産庁の取り締まり船を現地で見学させていただきました。しかし、取り締まりは放水銃だけで、果たして、今回こういう暫定水域と地域が拡大していった中でも取り締まりを徹底しようとするなら、水産庁だけでいいのか。海上保安庁との連携を一層密にして、あの地帯は何といっても問題ばかり多発しているところでございますので、徹底した取り締まりをしていっていただきたいということをまず要望して、また別な質問に入ります。  一応これに関連しますので、ひとつ資源保護という立場から、これからどう考えていくか。三年後の結果を待たなくとも、予想される非常に深刻な事態が必ず出てくると思われるわけでございますので、この見直しも含めて、大臣の所見を伺いたいと思います。
  109. 中川昭一

    中川国務大臣 協定その他で確認されているルールをきちっと守ることが大前提だと思います。また、共同委員会での意見が合わないときには、第三者による紛争解決の処理ルールも協定に盛り込まれておるわけでありますが、それも含めて、信頼を日韓の漁業を通じて保ち続けるために、違反その他があっては絶対にならないということを大前提にして、そしてその上で取り締まり方法等も今いろいろと考えておるところでございます。  その上に立ちまして、三年後にどういうふうになるかということを今の段階では予想すべきではないと思います。万全の対策をとるべく、今外交的にも国内措置もとっておるところでございます。三年後に、余りにも違反がひどいということになるか、あるいは違反がめっきり減るか、今の段階では私は後者の方を期待しながら今作業を進めているところでございまして、三年後にどうするかについては、その時点で判断をしたいと思っております。
  110. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにしても、日本の今回の取り決めの態度は、やはり旗国主義を入れたこと、それから水域日本側に拡大したこと、これはなかなか国会でも承認されがたい、そういう内容を持っている。ですから、これがこのまま国会で承認されていきますと、またこの次の交渉に何か日本外交の軟弱ぶりが危倶されるわけでございますので、いずれにいたしましても三年後、見直しに対してはそういうことのないように、ぜひ今から心構えをしっかり持っていっていただけるようにしたいものだ、こう思っております。  次に、過般、これは広島県の現地調査で、ヘテロカプサの赤潮で養殖の貝が随分へい死しておりました。そこで、私、山と一緒に見て、今林野庁で指導している植林方法というのはもう密植主義でありまして、フォレストをつくっているんじゃなくして、むしろいわゆる物資をつくっている、杉山物資を。それで、下は腐敗菌が満ちている。そういうような状態なので、水質の関係、それから海の植物性プランクトンあるいはそういう養殖、養魚関係の研究、こういうことを主題として水産庁の方で取り組んだことがあるのかどうか、一応そのことだけをお伺いしたいと思います。
  111. 中須勇雄

    ○中須政府委員 ただいま先生指摘のとおり、最近になりまして、森と魚の関係といいましょうか、そういうことに非常に関心が高まっておりまして、漁業関係者自体が、木を植えて魚をふやす、こういうような運動を展開している、こういうような状況があるわけでございます。  私どもも大変この問題については関心を持っておりまして、どういうようなメカニズムでそういうことが起きてくるのか、科学的にもそういうことを追求していきたいというふうに思っているわけであります。  具体的な話としては、やはり植物プランクトンというのが海の生物の連鎖の中で一番基礎にあるわけでございまして、そこが一定水準あるということが豊かな海をつくっていく。そうなると、海における植物プランクトンの発生量というのは陸域から河川水を通じて入ってくる分がかなりのウエートを持っているわけでございまして、河川水の水質と植物プランクトンの関係について、今、非常に大きな構想でございますが、中国大陸の長江から流れ出るプランクトンというものが一番先の段階では対馬暖流域の一番先まで行って、それがどういう影響を海の生態系に及ぼしているか、そういうことの研究などに着手している、そういうような状況にございます。
  112. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今質問しました関連についての研究を一層進めていただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。
  113. 穂積良行

    穂積委員長 次に、中林よし子君。
  114. 中林よし子

    中林委員 まず、日韓漁業協定問題について質問をいたします。  日本海の秩序ある漁業操業というのは山陰漁民の悲願でございます。それだけに、今回の協定に対する期待も非常に大きいものがございます。同時に、その合意事項を見ながら、さまざまな意見あるいは不安も私どもに述べられております。私ども日本共産党国会議員団は、とりわけ島根県の県漁連、あるいは大きな影響を受ける浜田漁協また益田漁協と懇談をしてまいりました。そこでお聞きした話で論議を進めていきたいと思います。  島根県沖のところは暫定水域がずっと迫ってきていて、排他的経済水域が思ったよりも狭くなったということでの不安が大きいわけです。そこで、今回の協定第三条の問題でお聞きするわけですけれども、この協定第三条で、「各締約国は、自国の排他的経済水域における他方の締約国の国民及び漁船の漁獲が認められる魚種、漁獲割当量、操業区域その他の操業に関する具体的な条件を毎年決定し、その決定を他方の締約国に書面により通報する。」こういう規定になっているわけです。この規定は、相手国に認める操業条件の一つに操業区域も含めることだと思うのですけれども、この点はどうかというものです。これは、当然、日本側の主権的権利として、日本排他的経済水域のどこでも韓国が入漁してよいというのではなくて、区域指定ができるというものだと思うわけです。これをそう解釈していいのかということです。  それから、今、協定発効前に操業ルールの協議が継続中だというふうに聞いているわけですけれども、この区域指定の問題あるいは操業区域の除外区域の設定もその議題になっているのかどうか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  115. 中須勇雄

    ○中須政府委員 第一点目の操業区域の問題については、御指摘のとおり、一定の漁獲割り当て量を出して操業を許可する場合も、この区域に限るとか、この区域では操業してはならないとか、そういう条件を付することが可能である、こういう規定だというふうに理解しております。  それから、現在、韓国との間で、共同委員会がまだ発足していないわけでございますが、いわばその予備的な協議を続けております。そういう中では、例えば、韓国のイカ釣り漁船が日本水域で操業する場合には、我が国の中型イカ釣りの禁止区域、大体沿岸から例えば二十海里とか三十海里が禁止区域になっているわけでございますが、同様に、韓国のイカ釣り漁船が入ってくる場合もその区域内に入ることはお断りする、そういう条件を日本側としては付する。一例でございますが、こういうことで話し合いを行っている、そういうような状況でございます。
  116. 中林よし子

    中林委員 外務省の方にも来ていただいているわけですが、外務省の方には、それでは海洋法条約に基づいての質問をさせていただきたいと思います。  今回の新日韓漁業協定というのは、海洋法条約に基づいて新たな漁業秩序を築くために交渉してきたものだと思うわけです。国連海洋法条約の六十二条には、相手国に対して漁獲割り当てにとどまらず、漁期及び漁場、漁具の種類や大きさ、漁船の種類、魚の大きさ及び年齢等、多岐にわたる資源保存措置を課することができる、こういうふうにしているわけです。区域指定、操業許可除外地域も資源保護や漁業振興の観点から積極的に提起すべきだと私どもは思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  117. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりでございまして、国連海洋法条約第六十二条の第四パラグラフに、沿岸国排他的経済水域において漁獲を行うことを認められた他の国の国民は、沿岸国の法令に定める保存措置及び他の条件を遵守する旨、規定されているところでございます。  したがいまして、例えば我が国が、我が国排他的経済水域におきまして外国漁船による漁獲を認めるに当たり、特定の魚種、漁法について一定の区域での操業を規制したとしても、これは海洋法条約上問題は生じないというふうに考えております。
  118. 中林よし子

    中林委員 今具体的な事前協議の中にそういう問題も個別には話しているというふうに聞いたのですが、実は、大臣、御存じだと思うのですけれども、これは島根県沖の地図なんです。日本海の地図です。経済水域と暫定水域、どういう漁業がその近辺で行われているかということの色分けのパネルでございます。だから、見ていただければわかると思いますけれども、これが暫定水域ですね、これが島根県側です。この間が経済水域になるわけですが、この暫定水域排他的経済水域のちょうど境界線のところで極めて多種多様な漁業が営まれているということがおわかりいただけると思うのですね。そういう意味では、ここの排他的経済水域の中に安易に韓国側の入漁を許可するということは非常に大きな問題があるのではないかということで、この地図を見ていただいているわけです。  どういう問題があるかといいますと、多種多様な魚種があるわけですから、ここへ韓国側が入って、いざそれが本当に割り当ての漁獲量をとっているのかどうかということを見ようと思っても、暫定水域内へ逃げ込んでいけば、これはなかなか確認ができないというようなことになるし、ましてや不法操業を行っている韓国漁船については、そこのところが出入りが自由なものですから、監視、取り締まりについて非常に問題があるというふうに思います。  それから、こちらの方を見ていただければわかるのですけれども、島根県沖にはシイラ漬け漁、バイかご漁という伝統漁法がございます。これは固定漁具を使うわけですね。そうすると、経済水域と暫定水域、まさにこの境界のところにこういう漁法が行われているということで、実はこれらの漁業秩序を守る上で、ここに韓国漁船が来ればなかなか秩序が守れないという問題が出てまいります。それからさらに、この海域では漁獲量そのものが減ってきていて、資源がずっと減ってきているという話を聞いてまいりました。  そういう意味では、資源を守る、こういう観点からしても、入漁許可というのは安易にするのじゃなくて、こういう状況をよく考えていただいて検討していただきたいというふうに思うのです。とりわけバイかごなどは県独自でTAC制をしいていて制限を加えているという問題がございますので、こういうことを考慮に入れて入漁許可については慎重な対応が必要だと思うのですけれども、水産庁の見解をお聞きしたいと思います。
  119. 中須勇雄

    ○中須政府委員 基本的には、先ほども説明を申し上げましたが、互恵の立場でお互いに、日本漁船は韓国の水域へ、韓国漁船は日本水域へというふうな相互入会を実施する、そういうことを可能にする枠組みが日韓漁業協定に設けられているわけであります。  ただ、先生がただいま御指摘になりましたように、それはいずれもやはり自国の漁業というものがある意味では基本的には優先しているわけでありまして、そのことは一つは資源問題の観点から、資源の悪化しているものについては自国を優先し、他国の分については、一挙に直ちにゼロにするかどうかということについてはいろいろ御議論もあろうかと思います。漸進的にやっていくというようなこともあろうかと思いますが、そういう基本的な考え方で臨むべきでありましょうし、また、漁場競合というのが生ずる可能性のある場合には、やはり我が国漁業者のこれまでの操業ということに十分配慮した形で相手の入漁を認める、そういう意味でいろいろ条件をつけるということが必要になってくるというふうに思っております。  そういった意味で、先ほど言いました、例えばイカ釣り漁業の沿岸域での禁止だとか、いろいろ御議論が出ております刺し網漁業の底刺し網漁業について、我が国の二百海里内では禁止をすべきである、こういうこともそういう観点から主張していきたいというふうに思っているわけであります。
  120. 中川昭一

    中川国務大臣 今水産庁長官から話がありましたが、先生協定三条を引用されました。協定三条にのっとってやっていくということでありますが、この協定は、沿岸国主義に基づく相互入会という原則になっておるわけであります。何といっても、TAC七魚種を初め資源管理をきちっとやっていく、日本の場合は特にきちっとやっていく、その上で日本漁業というものをきちっと確保していく、そしてその上でそういう入会をお互いに認めていこうということでありますから、特に今御指摘になりましたいわゆる浜田沖、あるいは隠岐近辺の漁場は大変に好漁場でございますし、それだけに、監視の重点地区として、きちっとした違反の取り締まりあるいはいろいろな資源管理の面でも特に配慮をして考えていきたいというふうに考えております。
  121. 中林よし子

    中林委員 相手国もあることですからこちらの主張ばかりというわけにはいかないのだと思いますけれども、基本は日本の主権でできる範囲内ということを踏まえて、ぜひお願いしたいというふうに思います。  さらに暫定水域のルールを初め、これから交渉すべき問題というのは、今までも言われましたけれどもたくさんあると思います。今回の交渉の経緯を聞いていて、これは漁民の間からたくさん出た言葉なんですけれども漁業問題を協議しているのに漁民の声が余り反映されているように思っていない、この不満の声がかなりありました。漁民こそが現場で具体的な問題に遭遇するわけですから、そういう意味では、漁民の声をどれだけ反映するかというのも今後の交渉の中で生かされなければならない問題だと思います。  先ほどから、そういう問題は日韓漁業共同委員会でやるんだ、こういうお話でございました。もちろん日韓漁業共同委員会という役割は大きいわけですけれども、双方、水産庁それから外務省、代表一名ずつということで、計四名の共同委員会、もちろん事務方が出るのでしょうけれども、そういう共同委員会が規定されております。  この協定の十二条の二項では、共同委員会には「必要な場合には、専門家で構成される下部機構を設置することができる。」こういうことがあるわけですね。私は、この機構をぜひつくっていただきたい。そこには漁業者の代表だとかあるいは水産研究者を入れて協議すべきだと思うのですけれども大臣の前向きな御回答をいただきたいと思います。
  122. 中川昭一

    中川国務大臣 協定十二条第二項に「専門家で構成される下部機構を設置することができる。」こうなっておるわけでありますが、現場の漁業者の声をできるだけ反映していくという観点から、今の御意見は十分承知をしておるところでございます。  今後、具体的にどういうふうにしていくかにつきましては、漁業関係者を初めとして関係省庁ともよく相談をしながら取り組んでいきたいと考えております。
  123. 中林よし子

    中林委員 さらに、海上保安庁にお伺いしたいので、これは確認になると思うのですけれども排他的経済水域内で違法操業をしている船が暫定水域内に逃げ込んでいく懸念というのは物すごく感じているわけですね。そういう意味では、排他的経済水域で違法操業をしていることを現認した場合、それが暫定水域に逃げ込んでも取り締まりをすることができますか。
  124. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃいますように、暫定水域とそれ以外の排他的経済水域におきましては我々の取り締まり方針はもちろん違うわけでございますが、排他的経済水域におきましては、無許可操業や許可条件に違反して操業する韓国漁船を発見した場合は検挙までいくということで、そういう検挙する等の取り締まりを行うということになるわけでございます。  問題は、その境界線というところがそうなるとどうなるのかということでございますが、そこにいろいろ問題が集中してくるというおそれがございますので、そういう境界線の付近でありまして多数の韓国漁船の操業が予想される海域に重点を置いた効果的な監視、取り締まりを行いたい、こう考えております。したがいまして、先生おっしゃいましたようなところにつきましては、レーダーで監視をするとか写真を撮るとか、そういったことでしっかりとした取り締まりを行っていきたいと考えております。
  125. 中林よし子

    中林委員 次に、資源管理上問題になっている韓国漁船の韓国国内でも違法な操業船の問題、いわゆる無許可の取り締まりの問題など、協議の対象にはなっていると思うのですけれども、特に小手繰り船と言われるものだとか、それから操業区域違反の、日本海のギャングと言われているトロール船操業の問題、これらを解決していく上で、実は私は日本側の努力というのも当然必要だと思うわけです。  これらの漁獲物の多くが日本の業者によって輸入されているということなんですね。ですから、これは農業新聞の十月一日に出ておりましたけれども、「コテグリを支える日本の業者を含め、資源管理を徹底させる取り締まり体制の確立が、日韓両国政府に求められている。」というふうになっているわけです。私どもの調査でも、韓国の指定の港以外に水揚げされ、日本の業者が買い入れてフェリーで渡ってくる、こういうふうに言っているわけです。だから、日本の業者がその買い付けに行かなければ韓国の無法な操業もないということですね。その分、日本の漁船が魚がとれて日本の港で水揚げをしてそこで業者が買える、こういういわば正式なルートに乗せるという努力が必要だと思います。  そこで、日本国内生産物の取り扱いをふやすためにも、韓国水産物輸入、これはIQ、金額で行っているわけですけれども、発給要件など自粛を要求したり、あるいはそれなりの指導というものが必要だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  126. 中須勇雄

    ○中須政府委員 ただいま御指摘のございましたような小手繰りあるいは小型トロールというふうな、韓国の国内法でも違法とされている漁船が我が国の近海まで来て操業している、こういう事態については、やはり新しい日韓漁業協定のもとでしっかりした取り締まりを行うことによって一掃するということが基本的な考え方だろうということで、この辺、繰り返しになりますので繰り返しませんけれども我が国の二百海里あるいは暫定水域内における実効ある取り締まりということによってそういうものを一掃する努力を行うということが基本だろうと思っております。  それから二点目に、輸入についてはどうかということでございますが、率直に申しまして、違法操業した船がとった漁獲物あるいは適法に操業した船がとった漁獲物ということは、実際上、流通段階で区分けをするということは大変困難でございまして、そこは実施するには大変難しい問題があるというのが私どもの現段階での率直な考え方でございます。
  127. 中林よし子

    中林委員 ただ、やはり日本側の業者が韓国側に買い付けに行かなければ、当然韓国の無法な操業、指定外の港で水揚げされていくという状況というのはなくなっていくだろう。それはお考えになるでしょう。そこはお認めになるでしょう、そこがもし取り締まれることになるならば。
  128. 中須勇雄

    ○中須政府委員 いずれにいたしましても、流通段階に漁獲物が投げ込まれた段階で、我々として、これは違法にとられたものか、あるいはそうじゃないのかという区分ができるということがない限り、行政指導を含めまして、そういうことは言っても効果が出てこないということになりますので、やはり冒頭申しましたように、そういう違法操業を取り締まり面から根絶していくということが何よりも基本だろうというふうに思っております。
  129. 中林よし子

    中林委員 今後の検討課題としてぜひ考えていただきたいと思います。そして、この新しい日韓漁業協定が、水産資源を枯渇させずに持続的に利用できて、日本海を日本の漁民が生活の糧として、本当に国民の食糧安定に貢献できていく、そういう海にするべく努力をしていただきたいと思います。  日韓漁業協定問題については以上ですが、最後に、米の関税化問題について大臣にお伺いします。  私は、今、米関税化問題について、関税化という根本問題が、何ら論議されていないとは言わないけれども、本当に集中的に論議もされないで、当面のミニマムアクセス米の輸入量がふえるのか減るのか、こういうことだけで進められていくのは大変遺憾だと思います。  ここに、前回のWTO協定問題が論議されていたときに農水省の若手官僚が「コメの自由化問題を考える 問答集九〇」という、これはコピーを持っているわけですけれども、ここで関税化の問題についてこういうふうに指摘しています。  いったん関税化受け入れたとしても、税率が  どのように設定されるか、どのように変化して  いくかは全く何の保証もないものであり、米国  が途中で税率の急速な低下を要求することは、  今までの態度からして大いにあり得ることで  しょう。このように中長期にわたって不安材料  が残されているものを、目先の短絡的判断で受  け入れようとすることは、将来に悔いを残すこ  とになります。 と極めて端的な指摘をしております。また、こういう指摘もあります。  米の国際価格は不安定な市場構造の下で、豊凶  のわずかな変動を反映して乱高下するという性  格を有しています。今後世界の食料需給が中長  期的に多くの不安定要因を抱える中で、日本人  の主食である米の供給を、このような不安定な  国際市場に依存することは、国民食料の安定供  給を確保する上で問題があるといわざるを得ま  せん。 というふうに指摘をして、さらに、  価格の変動や為替レートに大きく左右される関  税化を行うことは困難だといえます。 こういう結論づけを行っております。  だから、こういった関税化問題に対する検討なしに、四つの選択肢しかない、どれを選ぶかという方向性をもう今出してきているということは、国民や農業者を誤った方向にリードするやり方であると言わなければなりません。  そこで、報道によるわけですけれども、十五日にも政治決断をすると伝えられております。関税化についての根本的な問題について、農業者、消費者を含め、国民的な討議、それから国会での徹底的な審議と同意、これなしには政府は手を下せない、これが民主主義の原則だと思うわけですけれども大臣の見解を伺います。
  130. 中川昭一

    中川国務大臣 結論部分、最後先生がおっしゃった部分については今もまさにそういう議論をしていただいているところでありますし、先生がおっしゃるような幅広い議論は必要なことだということは私も重々承知をしております。
  131. 中林よし子

    中林委員 質問時間が終わりますので終わりますけれども国会決議が三度あります。それから、九日の参議院予算委員会でも小渕総理大臣が、さらにいろいろな方法があるか勉強したい、つまりWTO協定の新しい貿易ルールをつくるということも含めて検討する課題だ、こういうふうに言っているわけですから、ぜひ国民的な討論、国会での慎重な議論、集中的な討論、これを求めて質問を終わります。
  132. 穂積良行

    穂積委員長 次に、前島秀行君。     〔委員長退席、赤城委員長代理着席〕
  133. 前島秀行

    前島委員 時間も経過していますので、端的に二、三質問をいたします。  今度の日韓漁業協定というのは、国連海洋法条約の精神に基づいて、日本と韓国の間がどう秩序ある、お互いの漁場の確保だとか保全だとか管理をお互いにどうルールを持ってやるかというところが最大のポイントだろうと思います。そこを双方が責任を持ってやり合う、責任を持って処理するということだろうと思うので、その前提というのが私は大事だと思っています。  その前提というのは、この日本周辺の水産資源というのは一体どうなっているのか、どういう量であるのか、どういう状況にあるのかという政府としての認識と、それからお互いに漁獲する、どれだけのものをやっているか、あるいは魚種別にというところをどうちゃんと掌握するのか、また、その技術というのをちゃんと持っているのかというところが私はこれからの日韓漁業協定が実効ある、そしてまた、お互いに違反といいましょうか混乱しないでやっていくための絶対的な前提条件ではないだろうか、こういうふうに思います。  そういう面で、日本海を中心とした日本周辺の漁場に対する基本的な認識、それから双方がちゃんと漁獲量等々を掌握するだけの技術とお互いの信頼感を持っているのか、その技術は我が日本にあるのかという点について、最初政府の方の認識を含めて聞かせていただきたいと思います。     〔赤城委員長代理退席、委員長着席〕
  134. 中川昭一

    中川国務大臣 日本世界一の水産国だと言われていたのはもう過去の話でありまして、一千万トンを超えていた生産高がもう七百万トン前後になっている。  日本の周辺も資源がどんどん悪化しておるという状況の中で、先生指摘のように、大事な食糧資源でもあります漁業について資源管理をきちっとしていくということは非常に大事なことだろうと思います。具体的にどういう管理をしているかということを御希望でしたら具体的に答弁をさせますが、そういう中で日本海、特に暫定水域を念頭に置かれているのではないかと思います。ここにおいては、日本が開発した好漁場であるだけに、今度こういう協定内容になったわけでありますが、韓国も日本と同様の資源管理、そしてルールをきちっと守るということについては大臣レベルでは合意しております。今事務的な詰めをやっておりますが、とにかく韓国漁民挙げてルールをきちっと守っていただかなければならないというふうに思います。  また、資源確保につきましても、いろいろな技術開発が必要でございますので、これも積極的に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。
  135. 前島秀行

    前島委員 漁業関係者にしてみると、今度の協定に基づいて今後どうなるのかなというところが非常に心配事だろうと思います。したがって、これから具体的に詰めていく段階で、三年後の見直しにおいて、当面、スケソウダラとかズワイガニ等々の一定の割り当ての数字がある、その他は三年後に双方同等量にするんだ、こういうことがありますね。当然、それがどういうふうになるのかによって、関係者というのは場合によったら減船という措置も考えにゃいかぬのかなとか、あるいは経営上の合理化というものも考えにゃいかぬのかなということの心配がつきまとってきている。そういう面で、ある意味で、私たちも下関で意見を聞いてきましたけれども反対という形でもって出てきているんだろうな、こういうふうに思います。  そこで、当面割り振っているズワイガニ等々の数字を出した根拠というのは一体何なのか。あるいは三年後に、三年をめどに同等にするという協定になっていますけれども、それは現在の日本側の漁獲量との兼ね合いでどんなところを一定の目標にしているのか。関係漁民にしてみると、その辺がどうなるのかということが非常に心配事であるだろうし、それぞれの個々の経営対策上重要なことだろうと思いますので、その辺の当面の数字の目標と今後の同等量の目標というのはどんなところに置いているのかというところを聞かせていただけるとありがたいなと思います。
  136. 中川昭一

    中川国務大臣 今回の協定の附属書でしたか、具体的に先生指摘の数字が両国で確認されたものがあるわけでありますが、この精神というのは、先ほど申し上げたように、お互いにお互いのEEZの中に入ることができます。しかしそれは、沿岸国が主権を行使した中での相互入会ですよという前提であります。  したがいまして、大ざっぱでありますけれども、二十万トンを超える韓国の日本のEEZ内での漁獲量、日本からは十万トンを切る漁獲量ということで、これは等量にすべきである、それから、日本の中で資源が大変心配されておりますスケトウ、ズワイガニについてもなくしていくべきだ、韓国の方は冗談じゃないということでかなり激しいやりとりをやったわけでありますが、最終的には、御承知のとおりスケトウについては六万トン、現在六万五千トンぐらい韓国はとっておるようでありますけれども、二五%の一万五千トン、これは一年限りで、二年目からはゼロにする。  それから、非常に漁獲資源が少ないズワイガニにつきましても、二年間は五〇%、五〇%と半減で二年続きますが、三年目にはゼロにする。そして、そのズワイとスケトウを除いた日本と韓国との差、十数万トンだろうと思いますが、それを三年で等量にしていくということを決めたわけでございます。  具体的には、そのスケトウとズワイを除いた差を、来年一月二十三日からスタートするとするならば、三分の一を減らした量を韓国に割り当てる、二年後にはまた三分の一を減らした量を割り当てる、そうすると、三年後また三分の一ですから等量になる、こういう計算でございまして、これはあくまでも、日本のEEZ内での資源確保、そして日本漁業者の生産の安定という観点からこういう交渉結果になったわけでございます。
  137. 前島秀行

    前島委員 やはり相手もあることでありますけれども関係者にしてみれば、急激な変化とかというものはやはり一番大変な事態になるわけでありますから、その辺のところは十分御配慮でその数字を出していただきたいな、こういうふうに思います。  それから、私たち農水委員会が下関で関係者に聞いて、私、あの中で、これから細かな協定を共同委員会で決めていくときにどうしても明確にしてほしいなというのが二つあったような気がします。  その一つは、魚種別のあるいは漁業種類別の隻数はちゃんと出してくれ、このことと、もう一つは、どうも現行の違法行為の中に、どこの船だか旗の国名もわからない、船名もわからない、国籍がわからないのがあって違法行為になっている、旗国主義のもとでそれがどうしようもないということなんですね。この二つが、私は現場で聞いてみて、絶対に今度の交渉の中で決めてほしい、こういうことだったなというようなことが強く印象として残っています。したがって、このEEZの中は日本が許可をするわけでありますから、こちらの方でもって許可条件という形でもって出し得ることだろうと思いますね。  そこの中で、魚種別だとか操業の期間だとか、あるいは範囲だとか漁具だとか、そういうものまである程度許可条件、操業条件として出すべきではないだろうかなと。そういう面で、EEZの中での日本が出す許可条件は一体どんなところなのかということと、それから、暫定水域の中をお互いに共同して決めよう、こういうことですからこれは交渉事になるけれども、それでもやはり隻数の問題はちゃんと明確にしてくれ、しかもそれは魚種別にということと、相手の船は明確にしてくれ、この二点はどうしても入れてくれ、こういうふうに思っています。  EEZの中での許可操業条件は何なのか、あるいは暫定区域の中で日本側が、我が方が最低これだけはルールとして確定したいという点は何なのか、交渉事ですからこれからの問題はあると思うけれども、臨むに当たってのその辺のところの態度といいましょうか、基本的な方針を聞かせていただければありがたい、こう思います。
  138. 中須勇雄

    ○中須政府委員 まず前段の、我が国の二百海里水域内において韓国漁船に操業許可を出す場合、どういう操業条件を課すのかということに関して言いますと、それは、それぞれ魚種別に、基本的には我が国の漁船に課しているのと同じような許可条件を相手方に課そうという考え方でございます。  例えば例で言いますと、日本海のイカ釣り漁業ということであれば、我が国の中型イカ釣り漁業の禁止区域というのがおおむね岸から二十から三十海里で設定されております。その区域内では、韓国の漁船にイカ釣りの許可を出す場合でも、当然この区域では操業は禁止するぞというふうなことがございますし、また、我が国の中型イカ釣り漁業については、操業禁止期間、これは、資源のことを考えまして三月と四月は操業禁止ということにしております。したがいまして、韓国のイカ釣り漁船に許可を出す場合も、その三、四月については操業を禁止するぞ、こういうことを条件として付する、一例でございますが、そういうような形で条件を、期間禁止だとか区域禁止だとか設定していきたいというふうに考えているわけでございます。  それから、暫定水域内につきましては、まさに協定に書いてございますように、漁業種類別の最高操業隻数の設定を含む規制措置を講じようということでございますので、一番わかりやすい規制措置として、漁業種類別にそれぞれが何隻まで暫定水域に出漁させるのかということについて合意を得たいというふうに思っているわけでございます。
  139. 前島秀行

    前島委員 もう一つの船の所在というのも明確にしてもらわないと困るというのが強い声だったというふうに、それが取り締まりの出発点なんですね、片っ方で旗国主義ですから。  その辺のところはどうですか。
  140. 中須勇雄

    ○中須政府委員 大変失礼をいたしました。  一つは、これまでの経験というか、船名隠ぺい等で非常に大規模な不法操業が行われている、これを一掃するというのがやはり新しい協定のもとでの一つの大きな課題であるというふうに私ども認識しております。  そのために、まず一つは、我が国の二百海里内では当然そういう船を取り締まるのはもちろんでありますけれども、船名隠ぺい、今お話に出ましたように、国籍まで隠ぺいしている、どこの国の船だかわからない、こういうようなものが暫定水域内で発見された場合には、私どもは、これは別に韓国の船だけではないということでございますので、第三国に対する我が国の主権を及ぼすという意味において、暫定水域内においても、私ども排他的経済水域というふうに考えられる水域ではそういう漁船を掌捕、臨検するということを含めて主権を行使していく、取り締まりをしていく、そういうふうに考えている次第でございます。
  141. 前島秀行

    前島委員 最後大臣に伺います。二年余に及んだこの協定をまとめていただいたということについて、本当に感謝しているし敬意を表したいと思います。  ただ、これからその基本的なルールが実効性を持って行われるかということが文字どおり大切でありまして、そういう意味ではこれからがまた大事だな、こういうふうに思います。  やはり、関係業界の皆さんからの不満も現実にある。だとすると、国内対策はちゃんとやってほしいなという気持ちもあるし、また現場へ行くと、過去の例ですけれども、韓国の乱獲といいましょうか、違法操業は目に余るものがあったということは間違いないわけですから、今度は国連海洋法条約に基づいてルールをつくってやろうという以上は、お互いにぴしっとルールを守ってもらうということは、ある程度毅然とした態度も必要だろうな。片っ方でまた同時に、日韓という関係も大事だなという、微妙な問題を含んでいますけれども、やはり守るべきところはちゃんと守ってもらう、ルールはちゃんと守ってもらう、またそれが本当の意味の相互の信頼につながるんだという姿勢を持って臨むことも大切だろうなというふうに思います。  そういう面で、実効性あらしむるためには大変だろうと思いますけれども、国内対策を含めてその辺のところはちゃんとやってもらいたいな、こういうふうに思います。  最後に、大臣のその辺のところの基本的な今後に臨む方針を聞かせてもらって終わりたいと思います。
  142. 中川昭一

    中川国務大臣 大変重要な御指摘をいただきました。  私が大臣交渉しているときも、信頼関係というものをこれから漁業においても構築していかなければならない、ともすればルール違反が続発することによって漁業だけではなくて日韓全体の信頼関係を損ないかねないということを何としても避けなければいけないということは、両者で合意をしたところでございます。  そういう意味で、そうは言いながらも、漁業者の皆さんの不安あるいは不満がまだまだ私のところにも強く来ておるわけでございますので、徹底したルールの遵守、そして資源管理、と同時に、先ほどから申し上げている水産庁、海上保安庁を中心とした国内対策も万全にとるという政府の基本方針がございます。そういうことを万般準備して新しい時代に入っていって、漁業を通じて違反のない信頼関係が日韓間にできるように私も最善の努力をしていきたいと思いますので、先生の御指導も引き続きよろしくお願いいたします。
  143. 前島秀行

    前島委員 では、終わります。ありがとうございました。
  144. 穂積良行

    穂積委員長 次に、宮腰光寛君。
  145. 宮腰光寛

    宮腰委員 さきのAPECにおきます早期自主的分野別自由化問題におきまして、中川大臣には、林産物、水産物に関して日本立場をしっかりと守っていただいたことにまず深く敬意を表したいと思います。  そこで、この日韓漁業協定でありますけれども、今回の合意につきましては、日韓関係全体をにらんだ小渕総理の高度な政治的な御決断によるものでもありますけれども農林水産大臣としては、新協定について、現協定と比較して全体としてどう評価しておいでになるのか、まず伺いたいと思います。
  146. 中川昭一

    中川国務大臣 新しい協定の策定に向けまして二年半、前任の閣僚から引き継いだわけでございますが、最終的にああいう形になりました。決して満点とは思っておりませんし、今申し上げたように、関係者の皆さんの強い御不満も現に今もいただいておるわけであります。  ただ、少なくともあの協定の精神、あるいは金大統領、金国務総理あるいは金海洋水産部長と合意したことは、やはり漁業資源をきちっと守り、そしてルールをきちっと守り、違反なんということはとんでもないことだということは韓国側も認識を強く持っておるところであります。  そういう前提のもとで、先ほど申し上げたように、お互いの中に入ってとる漁獲数量を、日本漁業者を守る観点、資源保護の観点からああいう形で、スケソウ、ズワイ、そして全体の三年での等量という形にしたことは、私は一定の成果が出たというふうに考えております。  しかし、きょうずっと御議論が出ております暫定水域の問題、それから違反等の問題について大変な危倶がある。私自身も、率直に言って、あの暫定水域を含めて漁業者の皆さんの御期待に沿えなかったということは率直に認めざるを得ないと思っておるところでございます。  そういうマイナス面を、国内対策を万全にすることによって何とかカバーすることによって、漁業者の皆さん、日本の水産がこれからも持続し発展をしていくべく、新協定がうまくスタートできることを念じているというのが今の感想でございます。
  147. 宮腰光寛

    宮腰委員 イカ釣り漁船の光量規制についてでありますけれども、ぜひ同じ土俵で相撲がとれるようにしていただきたいということであります。光量規制につきましては、実際のところ、韓国の方が数字の上では厳しくなっておりますけれども、韓国の国内法自体が守られていないという状況でありますので、日本の漁船は、韓国の船に光力では全く太刀打ちできておりません。漁場に行って、現場では韓国の船が来るとそちらにイカが集まるといったような状況であります。  ぜひ、それぞれの国の船が規制のルールをしっかりと守っていただくように、共同委員会の方で詰めていただきたいと思いますけれども、その点どういうふうになっているのか、お聞きしたいと思います。
  148. 中須勇雄

    ○中須政府委員 暫定水域におきます規制につきましては、先ほど来申し述べておりますように、それぞれの国が現に講じております規制措置をお互いに通報し合って、新しい規制措置を考えていく際には、相手国が採用している規制措置について採用していない国は十分配慮する、規制として実行するように配慮をしていく、そういうような趣旨協定に盛られているわけであります。  そういう意味で、我が国が守っている措置、操業区域であるとか操業期間であるとか、そういうことを相手方にも同等の措置をとっていただくということを旨として、これから漁業種類ごとにそれぞれ話し合いをして適正な結論を得ていきたいというふうに思っております。
  149. 宮腰光寛

    宮腰委員 水産資源の培養につきましては、県営の栽培漁業センターの整備に助成をするということもありますが、ぜひこれからは、県営だけではなくて、漁業協同組合など民間が主体となって行う栽培漁業につきましても力を入れていく必要があるのではないかと思います。  例えば、海洋深層水を利用した栽培漁業の実用化のために、漁協が整備する深層水取水施設の整備などにも支援の枠を広げることができないか、伺いたいと思います。
  150. 中須勇雄

    ○中須政府委員 御指摘のございました海洋深層水につきましては、いろいろ漁業外の用途を含めて、これから先大変着目をされております。漁業の面におきましても、栽培漁業においてこの海洋深層水を利用することによって大変効率的な種苗生産ができる、こういう事例もございます。  こういった状況でございますので、私ども、都道府県とか市町村が実施するつくり育てる漁業を支援するというために、海洋深層水の供給施設の整備について、今回提出をいたしました第三次補正予算におきまして、漁港高度利用活性化対策事業という中に新しいメニューを拡充するということで、こういった事業に取り組めるようにしたところでございます。  今後とも、各地域で御要望があればできるだけ積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  151. 宮腰光寛

    宮腰委員 最後に、漁業者に対する直接的な支援策の強化について伺っておきたいと思います。  実際のところ、韓国の漁船は能力において、スピード、装備ともに日本の船を大きく上回っているという状況にあります。今回、日韓新協定関連漁業振興基金というものを創設することになっておりますけれども、ぜひ漁獲の向上につながる装備の向上や魚価のアップのための漁船のスピードアップ資金など、漁業者に対する直接的な支援を強化していただきたいと思います。  以上で質問を終わりますが、よろしくお願いいたします。
  152. 中須勇雄

    ○中須政府委員 御指摘のように、韓国漁船との競合による影響を受ける漁業者が、いろいろ漁船の設備の改善等を図ってより効率的な漁業に変えていこうという場合に、私ども、もちろん既存の資金を含めて積極的に対応していきたいというふうに思いますが、今回、二百五十億の基金を設けることによって実施する事業の一つでございます日本海沿岸漁業等経営資金というものの中においても、そういう事業に取り組めるように努力をしていきたいというふうに思っております。
  153. 宮腰光寛

    宮腰委員 終わります。
  154. 穂積良行

    穂積委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  155. 穂積良行

    穂積委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  156. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  157. 穂積良行

    穂積委員長 この際、本案に対し、松岡利勝君外六名から、自由民主党民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び岩浅嘉仁君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。宮地正介君。
  158. 宮地正介

    宮地委員 私は、自由民主党民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び岩浅嘉仁君を代表して、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利行使等に関する法律及び海洋生物資源保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利行使等に関する法律及び海洋生物資源保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   我が国水産業は、周辺水域における資源状況の悪化と外国漁船の無秩序な操業等による国内漁獲量の減少、水産物の輸入の増加等から、漁業経営が年々悪化し、これと相俟って、漁業者の高齢化、後継者不足等多くの困難に直面しており、その解決が緊急の課題となっている。   こうした中で、我が国漁業関係者は、国連海洋法条約趣旨を踏まえ、沿岸国主義に基づく新たな日韓漁業秩序の構築を強く求めてきたところであり、今国会に提出された新たな日韓漁業協定及び関連法案は、先に承認した新たな日中漁業協定とともに、今後の我が国水産業の将来を大きく方向づける内容を含んでいる。   よって政府は、新たな日韓漁業秩序の確立と水産業の健全な発展を図るため、左記事項の実現に万全を期すべきである。       記  一 我が国排他的経済水域における韓国漁船の操業については、資源保護の徹底を期するため、資源及び漁業操業に重大な影響を与える漁法の禁止又は制限、禁漁期間の設定等の措置を講ずること。また、暫定水域においては、漁業種類別の最高操業隻数の適正な決定、漁法の規制等の資源管理措置を講じ、特に、我が国漁業者にとって重要な漁場である大和堆については、重点的な規制を行うよう韓国との協議に努めること。  二 韓国漁船の違法操業の監視・取締については、水産庁、海上保安庁等関係機関の協力・連携を密にし、その強化を図るとともに、重点海域への取締船・巡視船の配備を充実する等により、迅速かつ的確な対応に努めること。また、暫定水域において、日韓両国の取締船等の連携強化等実効ある体制の構築が図られるよう、韓国との協議に努めること。  三 外国に対する漁獲割当数量を決定するに当たっては、国連海洋法条約の原則に則り資源状況を十分勘案するとともに、我が国漁業者に及ぼす影響に十分配慮すること。また、当該漁獲割当数量が厳に遵守されるよう、漁獲実績の正確な把握等適切な管理に努めること。  四 日本海、東シナ海、黄海における資源管理を的確に行うため、韓国、中国との間での協力を進めるとともに、将来的には日中韓三国による共同の資源把握及び資源管理の体制の構築を目指すこと。  五 新たな日韓漁業協定の発効に伴い、関係漁業者に生ずる影響を防止し、経営の安定を図る観点から、新協定下における我が国漁業の振興を図るための積極的な施策を講ずること。  六 水産資源を良好な状態で次代に引き継ぐことは、日韓両国の責務であることにかんがみ、水産資源の積極的な培養による資源回復を図るための事業を早急に実施すること。特に、我が国排他的経済水域における漁場の資源回復については、万全を期すること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  159. 穂積良行

    穂積委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  160. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣中川昭一君。
  161. 中川昭一

    中川国務大臣 御可決いただき、ありがとうございました。附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をしてまいります。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  162. 穂積良行

    穂積委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  164. 穂積良行

    穂積委員長 この際、御報告申し上げます。  本会期中、当委員会に付託になりました請願は、食料自給率の引き上げに関する請願一件であります。本請願の取り扱いにつきましては、理事会において慎重に検討いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、御了承願います。  なお、本会期中、当委員会に参考送付されました陳情書は、新たな農業基本法の制定に関する陳情書外十一件であります。念のため御報告申し上げます。      ――――◇―――――
  165. 穂積良行

    穂積委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業の振興に関する件  農林水産物に関する件  農林水産業団体に関する件  農林水産金融に関する件  農林漁業災害補償制度に関する件 以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。  まず、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣の目的、派遣委員、派遣期間、派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中、委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、その出席を求めることとし、人選及び日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十九分散会      ――――◇―――――