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中川(正)
委員 私、
国会の合間に地元に帰りまして、今現場をそれこそ確認をするという
意味で歩いておりました。その
反応というのは、私のところは自動車産業それからコンビナート、こういうものを中心にした鈴鹿市、四日市市、三重県なんですが、その雇用情勢というのが非常に不安になってきております。
コンビナートというのは、業界の再編もありまして、それからコンビナート基地そのものの戦略的な位置づけ、これは規制緩和によりまして製品輸入で押し上げられている、こういうことからくるわけでありますが、それがそれぞれ住民の中にもしっかり伝わっておりまして、配置
転換だけならいいけれ
ども、もうしばらくすれば相当合理化がなされるだろうということ、これが、例えば労働組合の
委員長が組合員に対して説明をしなければならない
状況なんですね。あるいは、雇用安定資金で一時帰休をやっていますけれ
ども、それがもうしばらくしたら切れるだろう。その後やはり、ボーナスだけじゃなくて賃金の一律一割カット、これをのんでほしいというような話、これが今それぞれの実情であります。今のところまだ企業の中で持ちこたえているんですね、辛うじて。
それが、この年を越えてもうしばらくすれば外に向けて失業者として出てくる。これが目に見えてくる。そうすると、それぞれ
国民の心理としては、失業ということがもう具体的な情報として入ってきている。それに加えて、住宅ローンを払っていかなきゃいけない、あるいは子供の教育をこれから見ていかなきゃいけない、そんな中で、これからの
生活設計をどうしようか、そういうマインドがしっかり今起き上がってきているんですね。
それに対して、例えば今回減税の話が出ています。あるいはその減税の
中身も、これは庶民に関係ないことですよね、上の方から最高税率を下げるだけですからね、これもありますけれ
ども、減税そのものの
議論、こういう話だとかあるいは公共事業をふやしていく話だとかというものは非常に空虚に響くんですね。そういう
段階じゃないんですよということなんです。それを私は今現場ではっきり感じているんですね。
帰ってきましていろいろ資料を見ましたら、それが、日銀の
生活意識に関するアンケートというのを去年とことしやっているわけですが、その中で、支出を減らした理由、これがことしの分が出ております。
去年からことし、大分変わってきているのですが、ことしの最高というのが、将来の仕事や収入に不安がある、これが六〇・八%、こういう形で出てきています。この不安の
中身というのは、先ほど私が現場で確認したその心理なんだろうというふうに思うのです。これは漠とした不安ではなくて、
現実に、うちのお父さんは職場でこういうような
状況なんですよというのがしっかり情報として入ってきているんですね。
それから次は、税制改正や医療保険制度の改正により家計の負担が増加したから、これは四八・六%ですけれ
ども、次はこの不安なんですね。ところがこれは、もう
一つ言えば、今こういう改正をやりつつある、将来どうなるんだろう、年金や社会保険の給付がどうなるんだろうという不安でもありますけれ
ども。
しかし、もっと今切実な不安感というのは、どうもこういうままでいったら、
政府の方も
補正予算をどんどん出しているけれ
ども、これは全部借金でやっているわけですね。借金でやっているということは、恐らく将来もまた増税があるんだろう、保険料の値上げもあるんだろう、これはリカルド
効果というらしいですけれ
ども、そういうものを
国民がもう読み始めている。だから、幾らここで
補正予算をかけても、将来それが
自分たちにはね返ってくるんだと
日本の
国民はよく知っているわけです。それに対してうかつに乗れないなというその不安というのが、こうした税制改正に伴い家計の負担が増加したから、こういう項目で挙がってきている。これが次で四八・六%。
最後の方に、不
景気やリストラなどのために収入が頭打ちになったり減ったりしている、これは
現実に減ったりしているという
人たちですね、これは三三・一%にもなってきております。恐らくこのままいけば、この不
景気やリストラなどのために
現実に収入が減りましたよ、あるいは失業しましたよというのがずっと上の方に上がってくるんだろうと思うんです、このままでいけば。
そういう
流れの中で、今
現実の
政策が打たれようとしているわけですね。ここのところを私
たちもしっかりと腹に入れておかなければいけないんだろうというふうに思うんです。
これを
前提にして、もう
一つ、ここを違った角度で私は
質問してみたいのです。
それは何かといいますと、これは私も、基本的にはそんなことはない、腹が立つんだ、こう言いたいんですが、実はムーディーズの
日本国債の格下げですね。これは、この間発表されました。トリプルAからダブルA1に格下げをされたということ。これに対して、
政府も、恐らく
大蔵省も反論を当然すべきでありますし、されたその報道も私は見ていますけれ
ども、しかしもう
一つ、具体的にその理由を見ていきますと、私は、これに対して
一つ一つしっかりとした反論ができて初めて
日本の
政策は成り立っていくのではないかなというぐらいに、実はこの
中身について非常に気になるんですね。
ということでありますので、改めてちょっと要約だけ
お話をさせてもらいたいと思うんですが、格下げの理由の
一つが、
財政悪化。これは、成長率が低迷する中で、
政府の
景気刺激策は
効果を上げずに国内債務を増大させている、
財政投融資から損失が生じる可能性もあるという
指摘ですね。
それから二番目が、
金融の弱体化。これは、銀行の不良債権処理を完全に終了させるには、過去の先進国の例をはるかに上回る巨額の公的資金が必要だ、こういう
指摘ですね。
それから三番目は、膨らむ年金の債務。これは、
政府が抱える年金債務の問題は、他の先進諸国より急速に顕在化する可能性があるということ。
それから最後に、
政策対応に不安がある。これは今の
政権に対しての不安なんですね。これは、現
政権で持続的な
経済成長、
財政負担軽減、
金融の活力回復という相反する目標の達成は困難である。現
政権に対して格下げしているんですよ、これは。さらに、
政治上のコンセンサス維持も難しい。要約すればこういう
指摘になっております。
そこで、これに
一つ一つ反論をしていただきたいのと同時に、私の基本的な考え方というのは、ここで
指摘されているのは、
構造改革にメスが入ってないじゃないかということだと思うんです。このまま、本来の
意味でメス、いわゆる血を流して、この
日本の社会にメスを入れるということをしないで
麻薬だけで逃げているという
政策に対してノーという審判なんだというふうに思うんですね。
そういうことも含めてお尋ねをしていきたいのですが、まず
日本の
経済成長率。これは、潜在成長率がいろいろな調査機関では三・五%はありますよ、あるいは三%ぐらいはありますよ、こういう
指摘でありますが、私は、どうもバブル崩壊後この十年間見てきて、いやちょっと違うんじゃないかというぐらいに心配をし始めました。案の定、ある機関では、これは一・二%ぐらいになってきているんだ、ということは、
構造改革が進んでないために古い体制というのがそのまま持続されて、それが足を引っ張っているという部分、これを解決していかないと
日本の潜在成長率もどんどん毀損されていきますよという
指摘なんだと思うんです。
そういうことを踏まえて、
政府としては、いまだ三・五%ぐらいの潜在成長率という考え方をお持ちなのか。お持ちだとすれば、その根拠はどの辺にあるのか、お聞きをしたいと
思います。