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1998-12-03 第144回国会 衆議院 財政構造改革に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十二月三日(木曜日)     午前九時三分開議  出席委員    委員長 麻生 太郎君    理事 衛藤 晟一君 理事 大島 理森君    理事 小坂 憲次君 理事 茂木 敏充君    理事 上田 清司君 理事 日野 市朗君    理事 赤松 正雄君 理事 中井  洽君       浅野 勝人君    飯島 忠義君       江渡 聡徳君    大石 秀政君       奥山 茂彦君    佐藤  勉君       阪上 善秀君    桜井 郁三君       下村 博文君    菅  義偉君       園田 修光君    田中 和德君       田村 憲久君    谷畑  孝君       西川 公也君    宮腰 光寛君       目片  信君    山口 泰明君       池田 元久君    生方 幸夫君       海江田万里君    北脇 保之君       中川 正春君    原口 一博君       石垣 一夫君    田端 正広君       並木 正芳君    西川太一郎君       松浪健四郎君    児玉 健次君       春名 直章君    伊藤  茂君       中田  宏君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         厚 生 大 臣 宮下 創平君         労 働 大 臣 甘利  明君         建 設 大 臣 関谷 勝嗣君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     西田  司君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      堺屋 太一君  出席政府委員         地方分権推進委         員会事務局長  保坂 榮次君         経済企画庁調整         局長      河出 英治君         経済企画庁総合         計画局長    中名生 隆君         金融監督庁長官 日野 正晴君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 涌井 洋治君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         厚生省保健医療         局長      伊藤 雅治君         運輸省航空局長 岩村  敬君         労働大臣官房長 野寺 康幸君         労働省職業安定         局長      渡邊  信君         建設省住宅局長 那珂  正君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長 鈴木 正明君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      藤原 作弥君         衆議院調査局財         政構造改革に関         する特別調査室         長       中谷 俊明君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月三日  辞任         補欠選任   山口 泰明君     大石 秀政君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     奥山 茂彦君 同日  辞任         補欠選任   奥山 茂彦君     山口 泰明君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  財政構造改革推進に関する特別措置法停止  に関する法律案内閣提出第一号)      ――――◇―――――
  2. 麻生太郎

    麻生委員長 これより会議を開きます。  内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。
  3. 中川正春

    中川(正)委員 おはようございます。民主党の中川正春でございます。  きょうは大分寒くなりまして、北海道も雪が大変なようですけれども、こういう師走を迎えて、国民としては、経済状況それから資金繰り等々、非常にせっぱ詰まった思いといいますか、将来に対する不安を抱えながら年を越していくんだろう、こういうふうに思います。そんな状況を背に受けて質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず第一番ですが、責任問題であります。  きのうの議論を聞いておりましても、もう一つ、私、しっくりこないといいますか、不思議で仕方がないんです。政治というのは最終的には結果責任なんだと思うんですね。この法案をつくっていく過程で情勢を見誤った、あるいは二つのターゲットを同時に追ったことが間違いだ、こういう言いわけはいいんですよ。こんなものは、それぞれその過程の中でみんなが精いっぱい考えたことだ、こういうことだと思うんですが、しかし、結果としてこの法案がもたらした効果というのは何だったかということであります。  一つは、この財革法の本来の目的財政改革は達成されなかったということでありますし、そのまた逆で、きょうの新聞、朝日なんかを見ていますと、一面で、これは大蔵省の発表でありますが、長期債務残高が五百六十兆円になっていく、こういうことでありまして、これは、GDPの予想が四百九十五兆円でありますから、とうとうこのGDPを超えたということであります。こういう状況の中で、この目的そのものが達成されなかった、達成されなかったどころか、結果としては全く逆の方向になっている、こういうことですね。  それからもう一つ、これは重要な問題だと思うんですが、ではその一方で、景気対策として補正予算を、まあこれは結果的にはざる法であったわけですが、当初予算だけキャップをかぶせて補正予算は抜いた。抜いたということから補正予算を順番に組み立ててきて、最終的にそれもまたつじつまが合わなくなって凍結ということですが、それに対して、当初予算でいわゆる緊縮財政をやっていきますよというアナウンス効果があったわけですね。片方は、アナウンスの中で緊縮財政ですよ、こう言っておきながら、もう片方で、現実としては景気対策をやらなければならなかった。結果的には、やった景気対策そのものもこのアナウンス効果で相殺してしまったということ、こういう結果が出たというふうに思うんですね。  それに対して、いや済みませんでした、どうも見方が誤っていましたと言って、頭をかいて終われることかどうかということだと思うんです。それをやってしまったら、では、国民にとって政治とは一体何なんだ。だれが責任を持って政策を推し進めて、その責任をはっきりさせることによって、国民にとって政治というのはこういうことなんですよという表明ができるというふうに思うんです。  そういう意味で、これは内閣が総辞職をするということに値する大きな政策転換だということ、それから、それだけの責任があるんだということだと思うんですが、大蔵大臣、御答弁をいただきたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 平成十年度当初予算を御審議いただいております過程で、確かに今御指摘のように、平成十年度当初予算というものには国債減額等々、おっしゃいますような緊縮的要素がかなりございまして、そのことは、しかし、経済の動向に明らかに矛盾をするような姿になっておりましたから、それは御指摘のとおりだと私は思うんです。したがって、当初予算が審議されている段階で、既に補正ということを大っぴらにみんなが議論するような大変矛盾した局面になりました。明らかにそれは、政府経済に対応する予算措置としては一種の矛盾を露呈しておった、そのことは認めなければならないところであると思います。  結果といたしましては、参議院選挙がございまして、恐らく、いろいろなことがございますけれども、そのような政策に対する批判参議院選挙の結果にあらわれたと申さなければならないであろう、結果責任ということはそういうことであると思います。  そこで、私ども党内におきましては、実はそういう問題についての党内での処理は行われまして、いろいろ事情がございますから余り単純化して申し上げることはできませんけれども党内リーダーシップ交代がございました。そしてそのリーダーシップ交代の中で、我々が与党として従来推進してきた政策についての批判リーダーシップ争いの中で行われました。そして現在のリーダーリーダーになったということ、これは私ども党内における一つ責任明確化責任追及のいわば自己改革的な動きであったというふうに考えております。そのことは、国会におきましては首班指名という形になったわけでございます。  本来ならば政権交代があるべきであったろうという御議論は、これはまたございますかと思いますけれども現実には、国会におきまして小渕首班が選ばれた。こういうプロセスを考えてみますと、私どもは、私ども党内において、やはり自分たち政策の不適正、不的確であったことについての反省を私ども党内なりにはいたしておったというふうに私は考えております。
  5. 中川正春

    中川(正)委員 私たちもその党内議論を見ておったわけでありますが、私の解釈はちょっと違うんですね。  小渕総理橋本政権に次いで政権を担ったという過程の中では、小渕さんのスタンスというのは、橋本政権政策を引き継いでいきますよというスタンスでありまして、ほか、候補者として自民党の中でそれぞれ党首選挙を重ねながら政策議論をやった、これはよかったと思うんですよ、私見ていて。ところが、結果的におさまったのは、政策の達成ができなかったものを受けた小渕政権だ、こういうことでありました。それが改めてここでもう一回この財革法凍結するんだという具体的な決断になったわけであります。  そういう意味からいって、これは責任はとっていないんだ。ちゃんと政策を継承する、こう言っている人が、改めてこの財革法凍結するんだという具体的な決意をしたわけでありますから、これはその前提としてやはり内閣辞職ということがまずあるべきだ、こういうふうに思います。  しかし、もっと言えば、国民のあのときの判断というのは、政権交代しなさいよ、こういうことでありました。だから、本来からいったら、ここで解散をして衆議院の方をもう一度国民の意向に沿った形に組みかえていく、その中で政策をはっきりしながらこの国を運営していくんだ、その国民意思というのを反映させるべきだと私は思うわけであります。  そういった意味でもう一度聞きますが、この責任、これを自民党も含めてどのように感じておられるか、お答えをいただきたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私ども党内運営にも関することでございますので、幾らか申し上げるのにちゅうちょいたしますけれども、しかし、これは公党のことでございますから、公のこととしてお答えをいたすべきであると思います。  私ども党内におきまして、参議院選挙で従来の政策運営についての厳しい批判を受けた、したがって、党内リーダーシップ交代は不可避であるということになりまして、リーダーシップ争いが行われました。その中で当然政策論争は行われておりまして、例えば小渕総裁候補は、大幅な減税あるいは財政政策における転換等々の主張をせられました。その他幾人かの候補者がいろいろな政策主張をされたわけでございますが、党内においてそういう政策転換主張が公に行われて、それによって党内における総裁の公選が行われましたことは御存じのとおりでございますので、その間で党としては非常な厳しい自己批判をしておるわけでございます。  そこで、今の中川委員のお尋ねは、しかし、それは党内におけることであって、参議院選挙にあらわれた民意というものは明らかに自民党のそれまでの政策についての大きな批判であるから、自民党は改めてこれを衆議院選挙に問うて国民批判を受けるべきではなかったか、こう言っていらっしゃるわけで、それは政治学者お話としてはきっとそういうことになると私は思いますけれども、私どもで申しましたら、あれだけひどい参議院批判を受けて、もう一遍衆議院選挙をやって負けるみたいなことはとてもやれるものではない。とてもそういうわけにはまいりませんので、ここはやはり何とかして立て直さなければならない、そういうことで政策転換を図ってまいりました。  しかし、今でもこういう御批判があればいち早く衆議院選挙をやって世論批判を受けるべきである、おっしゃることはよく存じておりますけれども、願わくは、我々の政策を改めることによってもう一遍世論の支持を回復したい、こういうふうに考えておるところでございます。
  7. 中川正春

    中川(正)委員 そういう切り返しというのは年の功なんだろうとまずは感心をするところですが、しかし私は、その姿勢というのが国民に対する政治不信というのを今醸し出しているんじゃないかということだと思うんですね。  さっきのような切り返し、あるいはさっきのような説明を国民にすると、では一体民主主義というのは何なんだ、我々国民民意というのがどういう形で国政に反映されていくのかというそのプロセスが完全に否定されるじゃないか、こういうことで政治離れというのが今起こっているんだというふうに思うんです。だから、これは政治学者現実主義の違いじゃなくて、これは世代の違いなんだと思うんですよ。  我々の感覚で、もしこれからもそういう手法というのを政治で続けていくとすれば、恐らくこの国の民主主義は成り立っていかないだろうというぐらいの我々は危機感を持っております。そういう前提を持ってひとつ御理解をいただきたいというふうに思います。これは、本来は総理大臣に問うていかなければいけない話であります。  そこでもう一つ、そんなことを前提にして、防衛庁長官は、過去の話でありましたけれども、今度けじめをつけるために辞任をしようじゃないか、こういう流れになっています。これもそういった意味では、内閣辞職がないとすれば、政策担当者として、あるいはこの立案にかかわったお一人として、きのうもそういう答弁がありましたけれども、やはりこれは大蔵大臣辞任ということがあってしかるべきだと思いますし、それと同時に、具体的に大蔵省の中でこの法案立案にかかわった人たち、その流れをくむ局、これに対してはやはり担当者の更迭も含めて処分をすべきだ、今回はそれぐらいの重みのある凍結だというふうに思うんですが、その点についてどう考えられますか。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 財政改革という動きは、振り返りますと、先般の衆議院選挙において実はかなり公に論ぜられた問題でございました。また、そのときには日本経済もどうやら何とかいけるのではないかという楽観説もありまして、改革ということが二十一世紀に向かって選挙で随分論じられたところでございますから、したがって、それを受けて橋本総理大臣がイニシアチブをとられてこの改革を唱道せられた。私もそれに党員として参画をいたしましたけれども、それは大きな政治流れであったと思いますので、世の中で言う財政のエゴイズムというようなものであったとは私は実は考えておりません。  もとより大蔵省財政というものを大事に考える役所ではございますけれども大蔵省財政エゴでこの財政改革が行われたというふうには私は考えておりませんで、それはもっと大きな政治流れとして行われたものであるというふうに考えておりますので、もとより大蔵省内部におきましてもいろいろなことで人事的にはいろいろな変革がございましたけれども、この財政構造改革についての公務員としての政策主導責任というものは、私は、そういう矮小化されたものではなくて、やはりかなり大きな政治流れであったというふうに考えております。
  9. 中川正春

    中川(正)委員 大臣自身責任問題の答弁が抜けました。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはちょっと申し上げにくい点がございまして、当初私は、この協議に一年間、当時の各与党の方々と一緒に、私は一党員でございましたが参加いたしました。その責任はございます。  ただ、その後に、これをどうするかというときに、私自身は、次の段階では廃止をすべきであろうという主張をただ一人いたした人間でございました。それはただ党員として考えただけのことで、だからどうという意味ではございませんけれども、いろいろいきさつはございました。もとより私もこの相談に参画した一人であったことには間違いございません。  ただ、先ほど申しましたような党内のいろいろなリーダーシップの変化の中で、これはやはり廃止あるいは凍結、いずれにしても改めなければならない路線だということは私自身も明確に感じておりました。
  11. 中川正春

    中川(正)委員 そこまでおっしゃるのであれば、これはやはり国民に対しても、政治はこうして責任をとるんですよと、それを示すべきだというふうに思うんですね。このままでいったら、では何でもありか、一体、日本政治に最終的に責任をとるのはだれなんだ、こういうことになりますよ。この件に関しては大蔵大臣なんじゃないですか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、私ども党内におきましては新しいリーダーシップ、あるいは政府という意味では首班指名首班の変更という形で政策転換が行われた、そのことが民意に問うていないということは事実でございますけれども、しかし、恐らくやがて民意に問う日がいずれはあるわけでございますから、そのときにどのような審判を受けるかという問題は残っておると思います。
  13. 中川正春

    中川(正)委員 こういう流れ政治が行く限り、私は、この国は海外に対しても意思表示ができないだろうというふうに思っております。わからないんですね、何を考えているか。  そんなことを指摘しながら、我々も精いっぱいそれに挑戦をしていく準備を重ねていく、これしかこの席で私自身が歯ぎしりして言うことはないのだろうと悔しい思いをしますけれども、この質問は、そういうことを指摘させていただきながら、この程度にさせていただきます。  次に、これを凍結するという前提補正予算が、これはきょう出てくるんですか、上程をされようとしておりますが、これは、先ほどの朝日新聞の報道でもありますように、このままでいくと青天井ですね。ことしはこういう形で補正を組むということ、これはできますが、来年以降、ではどうなるんだろうと。  来年以降もこんな形で、麻薬効果といいますか、それぞれの景気対策の中で建設国債赤字国債を発行しながら、これ、全部合わすと五十五兆円になるそうでありますが、それを続けていけるのかということになると、ごれは国民もそうですし、恐らく今政権を担当しておられる皆さん方も、一体ここのところをどういうふうにけじめをつけていったらいいんだろうかということは、法案のあるなしにかかわらずやはり持つべきだというふうに思うのですね。そこのターゲットといいますか、その上限というのをどのように考えておられるか。  これは凍結法案をもう一回生き返らせるといいますか、この精神は生きているんですよと、きのうのお話ではありました。生きているんだとすれば、その精神を具現化するのは、目標として大体これぐらいのところが上限ですよということをはっきり言うことだというふうに思うのですね。どうお考えですか。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま麻薬効果という表現をされましたが、まさに定義によりまして、麻薬というものは長く用いてはならないものである、それは明らかであると思います。  それが現実には、願わしいことは、政府のこのような非常措置効果を生じまして民間から資金需要が生まれてくる。その資金需要政府資金需要、つまり国債発行等々による資金需要と競合をいたしまして、そこから金利が上がってきて、それによって民間資金需要活動というものが妨げられるに至る、それによって財政は引っ込む。引っ込まざるを得ないし、また、そこまで民間需要が出れば引っ込むことができる、そのような状況においておのずから自制が行われるべきものである、それを誤りましてなお麻薬を続けるならば、それは破局的な状況になる、こういうふうに考えております。
  15. 中川正春

    中川(正)委員 九二年以降、そういった意味では百兆円を超える経済対策を立てているんですね。それをずっと繰り返してきて現在の状況なんですよ。そうなると、さっきの麻薬の例からいったら、もうこの国は麻薬中毒になっているんじゃないか。その中毒を繰り返すことによって、逆に、構造改革がおくれてぼろぼろになっていくという過程に既に入っているんじゃないか、こういう気がするんですね。  そういう観点からいって、やはりこの麻薬をどこかで断つという意思ももう一方で必要なんだろうと思うのです。そのリードをするのがやはり大蔵省なんですね。それが財政だと思うのですね。具体的にこれぐらいのところですよというのは言えないんですか。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 国民がこれだけの国民生活をいたしておりますと、政治としては、どういう状況にかかわらずその生活は維持しなければなりませんし、また雇用というものに大きな破綻がないことは、これは政治責任でございますから、したがいまして、民間経済活動が興らないときには、仮にいろいろな弊害を知りながらでも、やはりそこは財政がカバーしていかなければならないというのは、私はやはり政治の課題であろうと思います。  ただ、それが余りに長く続いて、しかも民間がみんなこれに呼応してこないということになりますと、中川委員のおっしゃいますような危険になるわけでございますから、今私どもは大変に危ない道を歩いている、それは私は憂いを同じくしております。気をつけながら歩いておるつもりでございますけれども、そういう問題は常に気をつけていなければならないと思っています。
  17. 中川正春

    中川(正)委員 そこをもう一つ違った観点からお話をさせていただきますと、この補正予算中身というのが報道されてから、ではマーケットはどのように反応しているのか、あるいは国民はそれをどう受け取っているのか、こういう見方が大切なんだろうと思うんですね。これは結果的にどうかというと、マーケット反応なし。国民は、いや、そんな補正予算中身を見たけれども、それで景気が回復するとは思いませんねという冷ややかな反応ですね、今。  これは最終的には、もう財政的な措置、あるいはこれまでのいわゆる古典的な景気対策といいますか、財政でやる流れ金融でやる流れ金利は一番最低まで落ち込んでいますし、財政状況も、こういう形でGDPを超えるほどの国債を発行しなきゃいけないんだ、こんな流れになって、もう両方とも手詰まり状態の中でまだやろうとした。やろうとしたことが、じゃ、マーケットにも国民にも受け入れられているかというと、これは受け入れられていないんだ、それが今の基本的な問題なんだろうというふうに思うんです。そんな中で、さっきのような、何といいますか、あいまいなというか、従来型のお話をされても、基本的にこの国の経済が動くとは私は思いません。  そういった意味から、やはり国民に対してはっきりとしたメッセージを出すべきだというふうに思うんです。我々は実際こう考えているんだから、ここのところは辛抱して、血も出して頑張っていきましょうよという話があったときに初めて国民反応するんだというふうに思うんですよ、ここまで来たら。そういう意味から、やはりこのターゲットというのは、私は、大蔵大臣責任としてもはっきりさせていくべきだ、こういうふうに思うんですが、どうでしょう。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのマーケットというお話になりますと、私も気にはしていますけれども、実は余り気にしていません。  マーケットというのは何だというと、実際は、よくそういうことを言われるし、するのですけれども、後になってみたら、ああそうだったかなんということはもうしょっちゅうあることでございますから、だからこれでいいと申し上げているわけではないのですけれども、それを余り重く考えることはないのだろう。  国民は恐らく、しかし今の我が国の経済の実情を御存じでございますし、こういう無理をして国債を出し、補正予算をしているということは、これは国民は見ておられるわけですから、政府は何もしないでいるわけではない、非常に苦しんでやっているのだけれども、それでうまくいくのかなと多くの国民は思っていらっしゃる。そこのところまでは私はそうだと思うんですが、ああそうか、あのときにそうだったのかというようなことはしばしばあることでございますから、私は、政府として着実な努力をやっていって、よく経済企画庁長官が言われますけれども、事実を国民にお伝えする、それによって、さて動くか動かないかということであろうと思います。
  19. 中川正春

    中川(正)委員 同じ観点で企画庁長官にもお伺いをしたいのですが、どうですか、経済企画庁としては、いわゆる国の借金の上限というのはどの辺なんだというふうにお考えでしょうか。
  20. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 借金の上限というのは、そのときの経済状態によりましていろいろ変わってまいります。財政経済動向、景気対策とは、絶対にこっちがここまでだと、例えば財政の限界がこれだから、どんなに景気が悪くともそれ以上出せないとか、あるいは景気が悪いから青天井で出していいとか一概に言えるものはございませんから、その都度変わるものだと思います。  ただいまお説にございましたマーケット反応、これを仮に株価で見ますと、過去二回、平成九年の十一月とことしの四月に経済対策を発表いたしましたが、残念ながら、その両方とも、発表するなり株は下がっております。今回は、発表した日が十一月十六日、この日が一万四千四百二十八円二十七銭というのが東証の日経平均でございましたが、ついおとといまでは一万五千円を超えておりました。きのうちょっと割りまして、きょうは朝からちょっと安いようでございますが、これはいろいろな要因があって動きますから、株価に一喜一憂するのはいかがなものかと思います。  ただ、お説のように、人々に説得をしていくというのは非常に大事なことだと思いまして、私も、この補正予算あるいは緊急対策だけではなくして、金融の対策のときも、七月、八月ぐらいには、世論のまとまりといいますか方向性で公的資金の投入にはかなり批判的な世論が多かったのですが、いろいろなテレビその他に出演させていただいて御説明申し上げると、徐々に納得していただいている、景気対策の重要性、金融再建の重要性というのはかなり納得していただけるようになっているんじゃないかな、こう考えております。
  21. 中川正春

    中川(正)委員 私、国会の合間に地元に帰りまして、今現場をそれこそ確認をするという意味で歩いておりました。その反応というのは、私のところは自動車産業それからコンビナート、こういうものを中心にした鈴鹿市、四日市市、三重県なんですが、その雇用情勢というのが非常に不安になってきております。  コンビナートというのは、業界の再編もありまして、それからコンビナート基地そのものの戦略的な位置づけ、これは規制緩和によりまして製品輸入で押し上げられている、こういうことからくるわけでありますが、それがそれぞれ住民の中にもしっかり伝わっておりまして、配置転換だけならいいけれども、もうしばらくすれば相当合理化がなされるだろうということ、これが、例えば労働組合の委員長が組合員に対して説明をしなければならない状況なんですね。あるいは、雇用安定資金で一時帰休をやっていますけれども、それがもうしばらくしたら切れるだろう。その後やはり、ボーナスだけじゃなくて賃金の一律一割カット、これをのんでほしいというような話、これが今それぞれの実情であります。今のところまだ企業の中で持ちこたえているんですね、辛うじて。  それが、この年を越えてもうしばらくすれば外に向けて失業者として出てくる。これが目に見えてくる。そうすると、それぞれ国民の心理としては、失業ということがもう具体的な情報として入ってきている。それに加えて、住宅ローンを払っていかなきゃいけない、あるいは子供の教育をこれから見ていかなきゃいけない、そんな中で、これからの生活設計をどうしようか、そういうマインドがしっかり今起き上がってきているんですね。  それに対して、例えば今回減税の話が出ています。あるいはその減税の中身も、これは庶民に関係ないことですよね、上の方から最高税率を下げるだけですからね、これもありますけれども、減税そのものの議論、こういう話だとかあるいは公共事業をふやしていく話だとかというものは非常に空虚に響くんですね。そういう段階じゃないんですよということなんです。それを私は今現場ではっきり感じているんですね。  帰ってきましていろいろ資料を見ましたら、それが、日銀の生活意識に関するアンケートというのを去年とことしやっているわけですが、その中で、支出を減らした理由、これがことしの分が出ております。  去年からことし、大分変わってきているのですが、ことしの最高というのが、将来の仕事や収入に不安がある、これが六〇・八%、こういう形で出てきています。この不安の中身というのは、先ほど私が現場で確認したその心理なんだろうというふうに思うのです。これは漠とした不安ではなくて、現実に、うちのお父さんは職場でこういうような状況なんですよというのがしっかり情報として入ってきているんですね。  それから次は、税制改正や医療保険制度の改正により家計の負担が増加したから、これは四八・六%ですけれども、次はこの不安なんですね。ところがこれは、もう一つ言えば、今こういう改正をやりつつある、将来どうなるんだろう、年金や社会保険の給付がどうなるんだろうという不安でもありますけれども。  しかし、もっと今切実な不安感というのは、どうもこういうままでいったら、政府の方も補正予算をどんどん出しているけれども、これは全部借金でやっているわけですね。借金でやっているということは、恐らく将来もまた増税があるんだろう、保険料の値上げもあるんだろう、これはリカルド効果というらしいですけれども、そういうものを国民がもう読み始めている。だから、幾らここで補正予算をかけても、将来それが自分たちにはね返ってくるんだと日本国民はよく知っているわけです。それに対してうかつに乗れないなというその不安というのが、こうした税制改正に伴い家計の負担が増加したから、こういう項目で挙がってきている。これが次で四八・六%。  最後の方に、不景気やリストラなどのために収入が頭打ちになったり減ったりしている、これは現実に減ったりしているという人たちですね、これは三三・一%にもなってきております。恐らくこのままいけば、この不景気やリストラなどのために現実に収入が減りましたよ、あるいは失業しましたよというのがずっと上の方に上がってくるんだろうと思うんです、このままでいけば。  そういう流れの中で、今現実政策が打たれようとしているわけですね。ここのところを私たちもしっかりと腹に入れておかなければいけないんだろうというふうに思うんです。  これを前提にして、もう一つ、ここを違った角度で私は質問してみたいのです。  それは何かといいますと、これは私も、基本的にはそんなことはない、腹が立つんだ、こう言いたいんですが、実はムーディーズの日本国債の格下げですね。これは、この間発表されました。トリプルAからダブルA1に格下げをされたということ。これに対して、政府も、恐らく大蔵省も反論を当然すべきでありますし、されたその報道も私は見ていますけれども、しかしもう一つ、具体的にその理由を見ていきますと、私は、これに対して一つ一つしっかりとした反論ができて初めて日本政策は成り立っていくのではないかなというぐらいに、実はこの中身について非常に気になるんですね。  ということでありますので、改めてちょっと要約だけお話をさせてもらいたいと思うんですが、格下げの理由の一つが、財政悪化。これは、成長率が低迷する中で、政府景気刺激策は効果を上げずに国内債務を増大させている、財政投融資から損失が生じる可能性もあるという指摘ですね。  それから二番目が、金融の弱体化。これは、銀行の不良債権処理を完全に終了させるには、過去の先進国の例をはるかに上回る巨額の公的資金が必要だ、こういう指摘ですね。  それから三番目は、膨らむ年金の債務。これは、政府が抱える年金債務の問題は、他の先進諸国より急速に顕在化する可能性があるということ。  それから最後に、政策対応に不安がある。これは今の政権に対しての不安なんですね。これは、現政権で持続的な経済成長、財政負担軽減、金融の活力回復という相反する目標の達成は困難である。現政権に対して格下げしているんですよ、これは。さらに、政治上のコンセンサス維持も難しい。要約すればこういう指摘になっております。  そこで、これに一つ一つ反論をしていただきたいのと同時に、私の基本的な考え方というのは、ここで指摘されているのは、構造改革にメスが入ってないじゃないかということだと思うんです。このまま、本来の意味でメス、いわゆる血を流して、この日本の社会にメスを入れるということをしないで麻薬だけで逃げているという政策に対してノーという審判なんだというふうに思うんですね。  そういうことも含めてお尋ねをしていきたいのですが、まず日本経済成長率。これは、潜在成長率がいろいろな調査機関では三・五%はありますよ、あるいは三%ぐらいはありますよ、こういう指摘でありますが、私は、どうもバブル崩壊後この十年間見てきて、いやちょっと違うんじゃないかというぐらいに心配をし始めました。案の定、ある機関では、これは一・二%ぐらいになってきているんだ、ということは、構造改革が進んでないために古い体制というのがそのまま持続されて、それが足を引っ張っているという部分、これを解決していかないと日本の潜在成長率もどんどん毀損されていきますよという指摘なんだと思うんです。  そういうことを踏まえて、政府としては、いまだ三・五%ぐらいの潜在成長率という考え方をお持ちなのか。お持ちだとすれば、その根拠はどの辺にあるのか、お聞きをしたいと思います。
  22. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 担当の閣僚からお答えがあると思いますけれども、その前に、今ムーディーズのお話がありまして、四つほどの点をお挙げになりました。私は、基本的にはそれはみんな本当だと思うんですね、うまくいってないんですから、我が国は経済運営が。別にムーディーズに言われなくてもそんなことはわかっている。だから心配しているんです。  しかし、大事なことは、今中川委員構造改革が行われてないじゃないかとおっしゃったその点で、この数年、我々は何で苦しんでいるかといえば、この中で日本をどうやっていこうかというのでみんな一生懸命苦しんでいるのでして、その中からどういう日本が出てくるかということが私は大事なんだと思っていまして、その中から二十一世紀に向かっての日本が出てくる、こなければならないと実は思っているものですから、こうやって一生懸命努力しているんだと思うんです。  ムーディーズがそれができないと考えるのならそれは御勝手であるが、我々はできると思っているのでして、そういう日本が今度はどのような成長率をするかとかいうことは、それは、そういう新しい日本がどのようなものであるかということから私は考えるのが本当ではないかと、失礼でございますが、そう思っております。
  23. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 潜在成長率につきましては、人によっていろいろな見方がございますし、また時期によってかなり変わってきております。  私どもは、年末から来年の前半に中期計画をつくり変えることによりましてこれをきわめたいと思っておりますが、三・五%というほど高くはないと思っております。といいますのは、やはり労働人口の頭打ち、特に若年層の減少というのはかなり日本経済に基本的な影響があるんじゃないかという気がしております。  中川委員お話は、日本構造改革をしていないという前提お話しでございますけれども、ある時期はそうでございましたが、ここ何年か、例えば橋本内閣も六つの改革を掲げられてかなり改革を進められました。そのうちで財政改革だけはタイミングが悪かったので、小渕内閣はそれを継承することなく全く考え方を新たにして、きょうこうやって財政構造改革法も凍結するということを言っておりますが、行政改革とかあるいは金融改革とか社会保障の改革とかといったところではかなり大胆な変化をつけておりまして、これが成功するか失敗するかというのは全く見通しの問題ですが、我々としては、あるいは日本国民としては、ぜひとも成功させるという決意でやっていかなければならない問題ではないかと思います。  その点、ムーディーズの見方は、私もこの見方について詳しく聞いたのでございますけれども、これは日本がなかなか成功しないだろうという前提で、ある意味でいいますと、非常にムーディーズ自身がよく見ていることをアピールしたいというようなところもありまして、必ずしもそのものを絶対視することはないんじゃないか。もっと日本国民日本政府自身に自信を持って、この改革が成功する、するように持っていくという方が重要なんじゃないかと思っております。
  24. 中川正春

    中川(正)委員 私の表現の仕方が不十分だったのだと思うんですが、構造改革というのは、本来はバブルが崩壊してからすぐに手をつけなければならなかったということ、これは皆が今反省していることですね。それがずっと先送りされて、その間に経済状況がどんどん悪くなってきた。それで、今の時点はどうなのかというと、恐らく先ほどの御指摘のように、私もそろそろそれが始まってきているんだというふうに思うんですね。  ここで政府が間違えたのは、構造改革は短期的には景気に対してはマイナス要因なんだというふうに思うんですね。それが国民に対して今不安の意識をかき立てている、こういうことだと思う。それが片方にあって、財革のこの法案そのものも構造改革をやろう、中身は全然違いますけれども、そういうふうにはなっていないけれども、形だけでもやろうという意思表示だったというふうに思うんですね。片方でそれをやりながらもう片方景気を浮揚しなければいけないというこのジレンマに両方挟み込まれてしまって立ち往生したというのが現在の状況なんだ、こういうふうに認識をしています。  そういうことを、ムーディーズの評価は、構造改革の方が今からなされてくるものですから、過去になされていないという形の中で景気対策を打っているから、これはだめですよ、もっと正確に言えばそういう表現なんだろうというふうに思うんですね。  そんな中で、もう一つ、この指摘された部分の中で私は確認をしておかなければならないのは金融なんでありますが、金融監督庁来ていただいていますが、資本注入の議論があります。それは日銀の政策委員会でも指摘されておりますが、この年末に向けて早いところ資本注入をしないと、それぞれ資金ショートしてきますよと。ジャパン・プレミアムもどんどん上がってきている中で大丈夫ですか、こういう指摘があるんですね。  ここのところが今準備がどうなっているのかということと、それから、金融監督庁として、ターゲットですね、資本注入の総額をどれぐらいのことを想定しているのか、これをはっきりと表明すべきだというふうに思うんです、この時期。お答えいただけますか。
  25. 日野市朗

    日野政府委員 お答えいたします。  その前提として、資本注入は、本来、今月十五日に恐らく発足するでありましょう金融再生委員会の所管ということになっておりまして、それまでの間は内閣総理大臣が代行期間としてそれを行うということになっておりますので、私どもは、今内閣総理大臣の代行期間中のお手伝いをさせていただいているということを前提にして御答弁させていただきたいと存じます。  まず、現在どの程度資本注入の話が進んでいるかという御質問でございますが、私どもが現在やっておりますことを幾つか申し上げますと、この健全化法の規定の中にございますように、銀行法の早期是正措置効果的連携を図るということがうたわれておりますので、私どもといたしましては、銀行法を運営するという立場から、各金融機関との意見交換の場などを通じまして、健全化法の説明をこれまで何回かにわたってさせていただいて、環境整備に努めているところでございます。  また、これまでの各省にまたがる政省令あるいは承認基準等の告示の策定が行われてまいりましたし、また、私どもも、事務ガイドラインというものを改正いたしまして、これは総理の御指示にございましたが、検査監督行政の効果的な連携を図っていきたい、こういうふうに考えてやってまいりました。  そうした流れの中で、先日、各金融機関から中間決算の発表がございまして、その決算の発表時に大手金融機関から、業務の再構築を行うあるいは不良債権などへの抜本的な処理を行う、こういう主体的な取り組みが表明されてきたところでございまして、また、それとあわせまして、申請に対しまして前向きな姿勢が表明されているところでございます。私どもといたしましては、前向きな意向表明がなされております中で、果たしてそれぞれの各金融機関が業務の再構築を具体的にどういうふうに行うかということを中心にいたしまして、現在ヒアリングを行わせていただいているところでございます。  具体的にどのくらいの規模になるかという御質問の点でございますが、これは各金融機関が自主的にこれから決めるべきことでございまして、私どもから幾らの金額になるということを具体的には申し上げられませんが、この資本増強制度というものには、大きく言いまして三本柱がございます。業務の再構築、貸し渋りの解消、それから不良債権の抜本的な処理、この三本柱を中心に、これからこれを進めていくのに必要な金額をそれぞれの金融機関が具体的に算定されることになるものと思われます。  ただ、先日行われました中間決算の発表時の各金融機関の申していることを足し上げますと、およそ四兆八千億から五兆七千億ぐらいに現在のところはマキシマムでなっているというところでございます。
  26. 中川正春

    中川(正)委員 当初の六十兆円という枠に対して、さっきの数字というのは非常に違うんじゃないかという感覚がするんですけれども、どういうふうにそこのところは解釈をされていますか。  ということは、別な言い方をすれば、六十兆円という枠を想定しなければならないくらいに業界全体として大変なんだという判断が政府としてあったわけですね。それに対して、五兆円、六兆円というようなオーダー、これはいかにも政府が想定をした前提と違っていたか、それとも何らかの理由でそれが実行できないか、どちらかだと思うんですが、どうなっていますか。
  27. 日野市朗

    日野政府委員 お答えいたします。  ただいま六十兆円というお話がございましたが、この六十兆円の内訳は、もう御案内でございますので私から申し上げるまでもないと思いますが、十七兆円が従来の預金保険法上の勘定でございます。それから、十八兆円が金融再生法の勘定でございまして、現在、健全化法で与えられておりますのは二十五兆円という枠でございます。この二十五兆円は、我が国のすべての金融機関のリスクアセットを足し合わせますと、約四%ぐらいの自己資本比率を上げることになる勘定になるかと思います。  現在のところは先ほど申し上げたような数字でございますが、現在、金融監督庁といたしましては、先ほども御説明申し上げましたように、それぞれの各金融機関の業務の再構築をこれからどういうふうに進めていくのか、そういった過程の中で、果たしてそれで十分かどうかということを吟味させていただいておりますので、恐らく、現在は各金融機関が自主的に申しておるマキシマムでございますが、これが決して天井になるものとは考えておりませんし、また、これはいわゆる大手の金融機関の足し上げでございまして、あとまだ、我が国のその二十五兆円を使わせていただける金融機関といたしましては、地方銀行もございますし第二地方銀行もございますので、場合によりましては、相当の金額がその資本注入として行われることになるのではないかというふうに考えております。
  28. 中川正春

    中川(正)委員 時間が来たようでありますのでまとめだけさせていただきますが、さっきの金融監督庁の答弁でも、やはり変わっていないんだなという感じがするんです。変わっていないというのは何かといいますと、さっき言いましたように、景気というものあるいは経済運営というものが、構造改革をしていくその流れと相反しながら今は進んでいる。その中で、政府がとるべきスタンスというのは、一つははっきりさせることだというふうに思うのです。  今回、例えばこの金融関係で例をとってみたら、金融行政の中で十八行あるその業態というのをぐっと縮めていって、世間で言うように四つか五つぐらい、そういう形にしていく、そういう目標がはっきりしているのであれば、そのように私たちも腹をくくってここまでやりましょうよと。変化するけれども国民に対しては、大丈夫なんだ、こういう安心感を政府が与えなければ、ただただ倒産だあるいは吸収合併だ、その後リストラだ、こういう形でどんどん流れていくだけではやはり国民は不安になる、だから、どれだけ麻薬を打ってもそれは効くことができないんだ、こういうことを繰り返していくんだろうというふうに思います。  これは金融を例にとった話でありますが、各分野すべて今そういう状況になっているんじゃないかということ、ここを指摘しておきたいというふうに思うのです。  そんなことを含めて、政治が迷路を出るときには、あるいは政治責任をとらなければいけないときには責任をとる、それがやれないときには、なぜやれないかということを説明する、そういうことをしっかりやってください。できなければ我々がかわってやります。そういう意思表示をさせていただきながら、質問を終わりたいというふうに思います。  以上です。
  29. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて中川正春君の質疑は終了しました。  次に、北脇保之君。
  30. 北脇保之

    ○北脇委員 民主党の北脇保之でございます。  私は、今回の法案の法律的な側面、それから地方財政危機対策、この辺を中心に質問をいたします。  法律論に入る前にちょっと申し上げたいのです。私も国会審議に参加させていただいて二年ちょっとになりますが、この間、橋本内閣、そして小渕内閣に対して国会でさまざまな審議が行われてきたわけですが、私は、政策の失敗について言葉のごまかしで責任の回避をする、そういうことが非常に多いということを感じ、大変ゆゆしいことだと思います。そのことが典型的にあらわれているのがこの財政構造改革法の扱いだと思います。そのことを順次申し上げます。  まず第一点として、さきの通常国会のときに、財政構造改革法の改正が議論されたときのことがございます。なぜこの財政構造改革法の改正が議論されるに至ったかと申しますと、それは皆さんよく御存じのことなのでざっと振り返ってみますと、この財政構造改革法は昨年の秋の臨時国会で成立したわけですが、その時点で既に、九兆円の負担増等の経済政策の誤り等もあって、景気は非常に悪化してきていた。したがって、予算編成の直前に、あれだけ否定していた特別減税の継続を橋本総理は打ち出された。  また、年が明けて、当初予算そのものは財政構造改革法で大変緊縮的な予算が組まれていたわけでございますが、それでは到底現下の経済状況に対応できないということで、政府みずからが、もう当初予算が通れば直ちに補正予算を組んで景気対策を講じるというようなことを言う事態であった。そういうことを受けて、当初予算の成立後、この財政構造改革法の改正があって補正予算が組まれたということでございます。     〔委員長退席、小坂委員長代理着席〕  私がそこで問題にしたいのは、この展開を考えれば、財政構造改革法というものが、その当時、そして今現在においても、日本経済にとって最優先課題である景気対策ということについて、その障害になっているということは明らかだったと思うのです。緊縮予算を余儀なくされるということになるわけでございますから、それが景気対策というものと両立しないということは明らかだったと思います。  それに対して橋本総理は、当時の議論に対する答弁として、財政再建ということと景気対策というのは二者択一じゃないんだ、両立するんだとおっしゃっていました。財政再建というのは中長期的な課題であって、景気対策は短期的な課題なんだ、だからその二つは両立するというふうにおっしゃっていました。しかしそれは、当面の経済政策ということでいえば決して両立するものではなかったということを、私どもは当時も主張していましたし、今もそう思います。  というのは、先ほど申しましたように、当面の経済対策ということについて、財政再建、さらにこの財政構造改革法というのが当面の予算の編成の仕方を規制するわけですから、それは、当面の経済対策というその分野の中で景気対策矛盾するものを強いる、ですから両立しないんだということを申し上げました。しかし、橋本総理はあくまでも、これは両立するんだ、二者択一じゃないと言いました。  それは、私どもから言わせれば、財政構造改革法というものを、タイミングを失して、本来ならば景気対策最優先でやるべきときに無理やり通してしまった、その政策の失敗を認めたくないがために、二者択一じゃないんだ、両立できるんだということを主張したということだと思います。そこに、政策の失敗を認めずに、言葉のあやで乗り切ろう、そういう一つの姿勢があったと思います。  そこで、宮澤大蔵大臣は当時は財政構造改革会議の中心メンバーであったわけでございます。その当時の橋本総理の方針、財政再建と景気対策は両立するんだ、したがって、今年の通常国会財政構造改革法の改正が議論されたときに、我々は財政構造改革法はもう施行停止するべきだと言っていましたけれども、いや、そうじゃないということで、あくまでも目標年次の修正であるとか一部分の、例えば厚生省の量的縮減の特例を認めるとか赤字公債について特例を認めるとか、そんな程度の修正をしたわけでございます。ですから、そのことを当時の宮澤先生はどのように受けとめていたか、それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  31. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大変具体的にお尋ねでございますので申し上げざるを得ませんけれども、そのとき、財政構造会議でどうすべきかという議論がありましたときに、私は、廃止すべきであるという主張をいたしました。しかし、それは一人でございました。それで、固執いたしませんでした。私が思っておりましたのは、先ほど中川委員も言われましたけれども構造改革というものは確かに基本的にはデフレーショナリーなものでございますから、片っ方で景気振興しようというときに、なかなか合わないところがある。  ただ、橋本さんがおっしゃいましたことは、これも意味のないことではないんですけれども、いろいろ長期計画にキャップをかけております、キャップをかけている部分は既に予算化されておりますから、その部分について基礎をやはり残しておきたいと考えられたことは無理もないことである。  ただ、さらに申せば、そのキャップをかけること自身国民負担を意味するわけでございますから、そういう意味ではまたデフレーショナリーというところへ返ってくるという問題を持っていたんだと思います。あのとき、私はそういう意見でしたが、政府はしかし、長期計画等々でやはり将来は財政の節度を守るということは大事だ、及びキャップの問題もある、長期計画の問題もあると言われたことは理のあることでございますから、私は固執いたしませんでしたけれども、そういうことでございました。
  32. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいま大変率直な答弁があったと思うんですけれども財政構造改革法の求めるところであるキャップ制等がデフレーショナリーなものであるということ、まさにそのとおりだと思います。そして、宮澤大蔵大臣は当時、廃止すべきだということを、ただ一人であっても敢然と財政構造改革会議主張された。  そうしますと、その時点から今を比較してみますと、景気はさらに悪化している、そしてこの財政構造改革法というものの破綻は当時よりもさらに明らかになっている。まさに証明されているわけです。だったら、なぜ今度のこの機会に廃止をされないのか。宮澤大蔵大臣は今大蔵大臣であって、内閣においてこの問題についての責任者で、トップであります。政治家がリーダーシップを発揮されるならば、宮澤大蔵大臣は、その信念に従って、自分が大蔵大臣なんだから、当時言った主張は今こそ実現するんだと、なぜ廃止しないんですか。
  33. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは昨日もお答えを申し上げましたけれども、この内閣が発足をいたしましたときに、この法律をどうすべきかという議論が閣内でございまして、私は、廃止または凍結ということを実は申しました、これは一遍委員会で申し上げたこともございますが。しかしその後、総理大臣が、ここはやはり凍結をしておくべきだというふうに裁断をせられまして、私はそれに従いました。  従いましたゆえんは、確かに、将来に向かって長期的に日本財政債務というものがやはり野方図になってはいけない、あるいは、短期的に単年度の歳入補てん公債というものがとめどもなく大きくなるということは避けなければならないといったようなことは、ECの例を見ましても当然のことでございますから、そういう部分の考え方を残しておきたいと総理大臣の言われること、並びにキャップの問題もございましたけれども、それはそれで理のあることでございますから、私はそれに従いまして、今日そのようにお答えをしておるわけでございます。
  34. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいま財政構造改革法を凍結するという言い方をしていますが、そのこと自体、非常に誤解を招く表現だと思うのですね。凍結というのは、法律そのものは内容的にそのままでも施行できるものであって、ただ諸般の事情で一定期間その効力を発揮させないというのが、普通、凍結であって、だから凍結解除すれば、冷凍食品が解凍されればその食べ物は食べられると同じように、その法律というものがそのまま、ほとんど骨格はそのまま、まさに凍結で固まっていて、あと解かせばまた動き出すというような語感を日本語としては非常に与えるわけですね。しかし、現実にはそうでない。そこのところをもう少し詳しく後でまたちょっと追及したいと思います。  そもそも、凍結と言い、そこでまた財政構造改革の必要性はあるんだというところに話を持っていくところに、先ほど宮澤大蔵大臣は、この財政構造改革法というものが現在の経済対策としてはデフレーショナリーに働くから、それは廃止すべきだと考えたという、せっかく理論的に非常に筋道の通ったお考えを示されながら、すぐ違う次元に行ってしまうというのは大変残念に思います。  大蔵大臣は、小渕総理から、経済のことは任せた、最大最強の大蔵大臣であるということで、三顧の礼をもって迎えられたわけですから、みずからの理論でもって経済政策を領導するということは可能であったはずだと思うのです。ですからそこに、その理論を押し通せなかったとすれば、それは理論ではない別の要素が働いている。それは、私どもから言えば、すなわち、財政構造改革法の廃止ということまで踏み切れば、明らかにその財政構造改革法の昨年秋の提案、これもタイミング的には間違っていたし、またさらに、さきの通常国会での財政構造改革法の微修正といいますか、そういう改正も間違っていたということを認めざるを得ないことになるので、そういう判断から、内閣としては廃止という道を選ばずに、言うところの凍結という道を選んだ、そういうふうに思えるんですが、いかがでしょうか。
  35. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういう筋道のお考えも私は確かにあると思うのですが、他方で、先ほどもどなたかから御言及がありましたが、新聞等が、これで日本の長期債務というものはGDPを超えたといったような言説があったり、あるいは単年度の中央、地方の財政債務は一〇%に近いといったようなことがあったりいたしまして、その面からまた日本を見ていらっしゃる方もいらっしゃいます。そして、ムーディーズの中にもそういう見方もあるんだろうと思いますから、外国から見て、日本というのは幾らでも借金をしてやるのかね、こういう見方を、また突っ放して見ている人も、局面によっては私はあるんだろうと思いますので、今我々の至上命題はこういうことでございますけれども、しかし、将来に向かってそういうことを忘れているわけではないという部分がまた、そういう見方もございますでしょうから、そういう意味で、そういう目標は放棄したのでないということの意味はあるのであろう、そういうふうにも私は考えます。
  36. 北脇保之

    ○北脇委員 次の段階での、問題があるというかごまかしているというところをもう一つ言いたいと思うのですが、それは平成十一年度の予算編成の件でございます。  この予算編成、もちろんことしの夏の概算要求から、現在進行中であると思いますが、この予算編成作業というものは、概算要求の段階から、財政構造改革法の施行の停止、これを前提として行われているということで間違いないでしょうか。
  37. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 さように考えております。
  38. 北脇保之

    ○北脇委員 さきの臨時国会は七月の末に召集されて十月の半ばまでありました。片方予算編成の作業はもう進行しているわけですから、なぜこの臨時国会にこの財政構造改革法の廃止なり施行停止という法律を提案しなかったのか。  私は、皆さんの答弁を先取りして言えば、多分こういう答えが返ってくると思います。予算編成というものは、予算が決定するというのは、年明けて閣議決定されて、それで政府予算案ができるんだということだから、概算要求だの大蔵省の主計局での査定だのというのは一種の準備段階であって、本来の、例えば少なくとも政府原案決定の十二月末とか、または年明けての一月、そこの時点で財政構造改革法が施行停止になっていれば、これは問題ないんだというような答弁が多分返ってくるんだろうと思うんです。しかし、これこそ非常に役人的なといいますか、形式論理で物事を処理しようとする悪い例だと思います。  というのは、この財政構造改革法というのは、まさに政府を拘束するためにつくられた法律ですから、それが予算編成作業という政府の大変なエネルギーを注いで大作業をやる、官僚機構が総動員されると言ってもいい、そういうふうに政府が活動していく、それがもう既に概算要求から始まっているわけですよね。そのときに、政府を規律する、拘束する、そういう性格を持った財政構造改革法がその予算作業と矛盾する形で残っていていいのか。これは形式論理の問題じゃないと思うんですね。  政府を動かすという内閣の非常にわかりやすさ、そしてまたリーダーシップ、そういったもの、言ってみれば内閣を構成している政治家の政治責任ということから考えれば、そんな形式論理は吹っ飛んでしまうはずだと思います。この点について、どうお考えでしょうか。
  39. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 北脇委員はよく行政を御存じでございますので、先ほどおっしゃいましたような問題は確かにございます。  つまり、概算要求等々は政府の部内の問題でございますから、そういうものとして処理される。そして、過去にもしばしば国会に歳入補てん国債前提とする予算案を提出し、同時にそのような法律の許可を求める、特例公債発行についての許可を求めるという両方のことを同時に国会にさせていただくことはしばしばあるわけでございますので、特例公債を認められることによってその予算が初めて成立する、バリッドになるということはしばしばございます。法制局長官がこの点は前国会でも説明をしておられますとおり、その手続に私は間違いはないと考えております。  ただ、前国会にどうして財政構造改革凍結を出さなかったかということになりますと、先ほど申しましたような経緯の中で、私ども党内におけるリーダーシップ交代がございまして、そこで政策の変更が出てくるわけでございますけれども、にわかに財政構造改革凍結まで私どもの内部のいろいろ政策論議が実は行かなかった。そっちを志向していたことはもう確かなんでございますけれども、そこまで行かずに、そして具体的な予算編成の過程になって、やはりこれは論理的に、こういうふうになってまいったというのが実情であったと御理解をいただきたいと思います。
  40. 北脇保之

    ○北脇委員 今の答弁はとても理解できないですね。結局、私がお尋ねした、なぜさきの臨時国会停止ないしは廃止法案を出さなかったかということについてお答えがあったということはわかるのです。ただ、そのお答え中身が、結局党内のコンセンサスといいますか意見一致が、総裁交代どもあり、そこまでに至らなかったという御答弁だったと思うのです。  ただ、これは大変矛盾した答弁だと思います。というのは、もう既に概算要求、先ほどお尋ねしたら、もう財構法は凍結といいますか、その前提で要求させている。その概算要求方針というものは内閣で決定しているはずだと思います。とすれば、もう既に内閣としてのそういう決定をしておきながら、なぜそれを、同じ路線上にあるこの財革法凍結ないしは廃止ということが党内的に意見が一致していないと言えるのか。そんなことは全然理解できないと思います。いかがですか。
  41. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはちょっとこちら側に立ってお考えいただくとおわかりいただけると思うのですが、つまり、こういうことなんでございますね。  前国会財革法凍結をお諮りしたといたしますと、恐らく御質問は、ああそうか、わかった、じゃ、どういう予算を組むのかね、必ずこういうお尋ねになります。結論的に、私どもはこういう予算を組むということはわかっていないわけでございますから、こういう予算を組みますので、これが妨げになりますということが申し上げられない。今でございますと初めて、はあなるほど、おまえたち、こういう予算を組むんだからこの法律はだめだね、こう御説明ができるので、そういう問題が私どもの側にも実はございます。
  42. 北脇保之

    ○北脇委員 それは大変おかしいと思うのですけれども、もう既に予算編成というのは一つの概算要求という形で、現実のところはアウトラインは見えた形で、しかも一つの方針があるからこそ大蔵省としても査定ができるわけで、現実を言えば、財構法は無視してといいますか、あるべき予算というものは考えて、それで査定とかそういう作業が進んでいるはずなんですよね。だから、前臨時国会の時点ではどんな予算の姿になるかわからないから、財構法が障害になるかわからないので提案できなかった、それはやはり納得できないですね。  というのは、もう既に概算要求もし、作業も進んでいるのですから、どういう予算を目指しているかという内閣政府としての方針はあったはずなので、そこから見たときに財構法が抵触するかどうか、そんなことは明らかなことで、それをもっと具体的に言えば、例えば公共事業一つとってみても、今年度の補正予算でもうがんがんやっているわけですよ。第一次補正十六兆円の経済対策、そして今度また二十四兆円の経済対策と言っている。その中に公共事業がもう物すごくたくさん入っているわけです。これを全部補正予算でやっています。  もし財構法がそのまま生きていたら、来年度当初予算はことしの当初予算よりも公共事業は縮減しなくてはいけないのです。そんなことはできるはずもないです。この景気状況の中でこれだけ公共事業をふやしておいて、来年度当初予算ががくっと減る。ことしのような七%カットなんて程度のことではないと思います。補正後の公共事業予算に対して来年度当初予算の公共事業の額というのを比べたら、もう甚だしいマイナス。私も正確には言えませんが、半減するかもしれない。そういうことがもう明らかなんですね。  だったら、この予算の姿を考えたときに、この財構法がさきの臨時国会の時点においても、抵触している、障害になるということは火を見るよりも明らかだったと思うのです。ですから、先ほどの大蔵大臣答弁は納得できません。
  43. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おっしゃっていることはわかっていますけれども、ですが、大蔵大臣委員会で、これだけ概算要求がございますからというようなことはとても言えるのでないので、こういう予算でございますからと申し上げなければならないわけでしょう、そこは。
  44. 北脇保之

    ○北脇委員 答弁が非常に不十分で、これは国民に聞いていただければ、どちらが筋が通っているかということは明らかにわかっていただけると思います。  そこで、そのことを全然了解したわけではありませんが、今度の法案の法律的側面のことについてもお尋ねしたいと思います。  この法案の内容を見ると、凍結と言っていますけれども、正式なこの法律の名前は、特別措置法停止に関する法律案ということで、さすがに法案そのものの名称は停止ということをはっきり言っているわけですね。  停止ということがどういう意味かというと、これは講学上といいますか、物の本によれば、「法令の停止とは、ある法令の効力を一定期間停止し、その効力が全然働かない状態にしておくことをいう。」というのですね。その効力が全然働かない状態にしておくということ。ですから、この特別措置法はもともと、例えば第一条に目的があり、第二条に趣旨ということが書いてあります。しかし、この法律全部の効力が働かないのですから、法律的に言えば、第一条の目的とか第二条の趣旨、これはいいことが書いてあったとしても、ここの部分だって何の効力もないわけです。  ですから、そのことから考えると、昨日の同僚議員の質問に対して大蔵大臣は、財革法精神は残るとさんざんおっしゃいましたけれども目的の規定も趣旨の規定も効力がなくて何で精神が残ると言えるのか、法律的に説明していただきたいと思います。
  45. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 総則第一条にこういうことが書いてございますけれども、この法律が意図しております目的というものは実はこういうことでございますと。そのことは別に間違っているというわけではございませんでしょうが、これから現実に法律として施行するのにはどうも適当ではない、妥当しない、こういうことであろうと思います。  私は法律家でございませんので、例えば陪審法が停止をされておる状況というのはどういう状況であるのか、きちんと申し上げられませんし、この停止ということについても御納得のいただけるような御説明は私には十分にできないと思いますけれども、この志向している物の考え方そのものを否定するわけではない。しかし、そのことを今適用するとすればそれは現実的でない、こういうことで停止ということを申し上げておるというふうに私は考えております。
  46. 北脇保之

    ○北脇委員 ちょっとよくわからない答弁ですけれども、文言上からいうと、もう一つ停止解除に当たっては、再施行のために必要な措置を講ずると書いてあります。  ちょっと事務的なことになるかもしれませんが、この再施行のために必要な措置というのはどういうことを想定しているのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  47. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、この法律を廃止した場合には、その法律は、目的規定を含めて将来にわたって消滅してしまうわけでございます。それに対しまして、停止と申しますのは、これはあくまでもその法律の効力を一たん働かないようにしておくということでございまして、法律そのものはもちろん存在する、将来においてその効力が復活するということでございます。  その場合に、今の財構法の内容、例えばキャップですと十二年度までの規定でございます。この法律がいつ復活するかというのはこれは現段階では全く予測できないわけでございますが、仮の話として、それが十二年度を過ぎた後にこの法律が効力を復活するケースにおきましては、当然のことながら、もう十二年度までのキャップでございますので、それ以降そのキャップを、そもそもキャップ制度そのものをどうするのか、残すとして、それでは何年度までそれを延ばす、そういうような見直しが当然必要であろう。  それから、例えば、これだけ財政状況が悪くなったわけですから、三%の目標もその段階財政状況経済状況を見ながら見直さなくちゃいけない。  他方、やはり、法律の目的の一条とか二条とか、そういう部分は今のままでいいのか、あるいはその段階でもう一度もうちょっと考え方を変えるかどうか、そうした点を含めて再検討が必要である、そういう趣旨のことをこの附則で書いてあるわけでございます。
  48. 北脇保之

    ○北脇委員 今の説明ですと、再施行のために、例えばキャップ制、これを単に数字的なものとか年次を検討するというだけではなくて、キャップ制をやるかどうかも考えなくちゃいけない。それからまた、目標年次とか目標の数値の定め方、そういったもの、それからさらには目的、趣旨まで検討し直さなければいけない。これは今そうおっしゃいましたから、そういうことだとしっかり聞いておきますけれども、それはもう停止とかいう概念に入らないと思うのですね。また、再施行のために必要な措置ということの中に含まれる事柄ではないと思います。  私は、この法律がつくれない法律であるかどうかという議論をすれば、それは政策判断の問題だ、明らかに違憲ということでなければ違憲な法律であるということではない、そのことはわかります。だから、政策判断である意味ではいかような法律もつくれると言ってしまってもいいかもしれません。しかし、法律の通常の考え方、それから文言の通常の解釈、これを明らかに逸脱した法律であるというふうに言えると思います。  というのは、例えばこの特別措置法、財構法の再施行のために必要な措置ということであれば、それは凍結されたものを解除するために必要な措置ということですから、例えば解除する時点で、時点がずれるからその時点の修正を行うとか、そういったことが再施行のために必要になってくるということは当然よく理解できます。再施行のために必要な措置ということを条理上解釈したら、そこまでしか出てこないと思うんですね。それを、今局長答弁されたように、あらゆることも含めて再施行のために必要な措置をとるというのは、これは明らかにごまかしだと思います。  この点についてちょっとお答えいただきたい。
  49. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  私の答弁がちょっと舌足らずの面があったかもしれませんけれども、第一章の総則の部分ですが、例えば目的であるとか、財政構造改革の趣旨であるとか、それから第六条の国の財政運営の当面の方針、これはやはり財政構造改革一つ一つの歳出を見直す視点を書いてある分野でございまして、例えば公と民との役割分担を見直す、そういう面で一つ一つの歳出を見直しなさいとか、あるいは国と地方公共団体との分担についても役割を見直しなさいとか、こういう点については基本的にはこの鉄則は変わらないと思うのですね。これは多分再施行の段階でそのまま生きてくるということを申し上げたわけでございまして、キャップのように、仮の話として十二年度以降の解除になったときに、当然のことながら見直さなくちゃいかぬ部分もありますということを申し上げたわけでございます。
  50. 北脇保之

    ○北脇委員 今度なぜこういう全面的な効力の停止ということをせざるを得ないかということを考えると、やはり現行法の内容が、実質的な意味を持つ部分がほとんどキャップ制に限られている、そこに不備があるというふうに思います。  財政構造改革というのは、前回のこの改正議論のときに私ども、制度の見直しとかまた本来の仕組みを変えるということ、それをやらなければ本当の意味構造改革にならないんだということを主張しました。ただキャップで、例えば公共事業の頭を抑えるとか社会保障の経費の頭を抑える、そういうことをやってもいずれ爆発してしまうということになるから、そういう財政の膨張を招かないような制度の改革をするべきだということを申し上げたんです。  その点、現行法を見ると、財政の中で非常に大きな分野を占めるところといえば、社会保障と公共事業と地方財政だと思います。そのそれぞれにどういう本来の意味構造改革、制度改革的なことが盛り込まれているかというと、例えば社会保障の中の医療保険であれば、平成十二年度までのできるだけ早い時期に抜本的な改革を行うため検討を行う、こういうことしか書いていないのです。それから、公共事業についても、重点化、効率化を進めるということしか書いていない。また、地方財政についても、国の施策に呼応、並行して財政構造改革に努めるということしか書いていないのですね。  ですから、もしそういう部分について本当の意味の制度改革的なものがあれば、そこは残してキャップ的なところを停止していくとかそういうこともあり得たと思うんですが、その本来の意味の制度改革的なことは非常に乏しい。だから、結局、全面的な効力の停止になってしまうんだ、それを余儀なくされている、そう思います。  大蔵大臣にお尋ねしますが、現在の財政構造改革法、現行法というのは、その手法がほとんどキャップ制であって、その主要な部分についての制度改革の方針というのが具体的には示されていない。そういう意味で、この現行法そのものが非常に財政構造改革に取り組むにおいては不備な法律だと思いますが、大蔵大臣、どうお考えでしょうか。
  51. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おっしゃるとおりと思います。  キャップ制なんかで平成何年とか書いてございますけれども、今これが停止されました、さて何年かたってあけてみたときに、もうその平成何年というのはとっくに済んでいるわけですから、その部分は停止したはずだったが、実は死んでいるわけですね。生き返る余地はない。しかし、先ほども局長が言いましたように、一条、何条とかいう部分は物の考え方としては生きている、これは大事なことだと。ただ、そういう形で生き返ってみましても、ほとんど何にもこれは言っていないではないかということになるだろうとおっしゃっているので、私もそうだと思います。ですから、そのときはやはり新しく書きます、こういうふうに申しているのだと思うのでございますね。
  52. 北脇保之

    ○北脇委員 大蔵大臣は本当に素直に認められるので、質問しておってもちょっと拍子抜けしてしまうのですけれども、それだったらそのとおりにしていただければよろしいかと思うのです。その方法としては、もうはっきりこの際廃止すると言って、それと同時に内閣の方針としては新しい財政構造改革の方策を早急に確立するということを内外に明らかにして直ちにやっていく。だから、廃止してそれと同時に新しいやり方を出す、この方法が一つだと思います。これが一番私はわかりやすいと思います。  それか、または、もう一つの方策としては、まさに私どもが前の通常国会で提案した改正法の対案です。我々の法案というのは、二年間執行を停止する、そしてその二年間の間に財政構造改革に必要な法整備を行うということになっているのです。だから、財政構造改革に必要な法整備を行うということを盛り込むことによって政府を拘束しているのですね。ですから、我々の当時の法案、これは何の意味もない、単にその効力がゼロになってしまうという法律ではなかったのです。もう一度やり直せ、そのことを政府に義務づける法案だったわけなんですね。この方が、今の何にもしないで停止してしまうという法案に比べればずっと適切な法案だったと思います。この点、いかがでしょうか。
  53. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私はおつき合いの答弁を申し上げているつもりではないのでございまして、現実にこの法律案にも、ちょっとこれを読みますのでお聞き取りいただきたいのですが、「財政構造改革推進に関する特別措置法の再施行のために必要な措置については、この法律が施行された後の我が国の経済並びに国及び地方公共団体の財政状況等を踏まえて講ずるものとする。」と大変複雑に書いてございまして、ただ解凍して生き返りますとは書いていない。やはり、こういう思想でこの法律はできましたけれども、事情があって停止せざるを得ない、しかし、こういうことをもう一遍考えますときには、我が国の経済並びに国及び地方団体の状況を踏まえて措置を講ずると書いてございますから、やはりそのときはそのときの新しい構想で書かなければならないというふうにこの法律は申し上げておるのだと思います。したがいまして、委員のおっしゃったようなことをこの法律は志向しているのだろうと私は思います。
  54. 北脇保之

    ○北脇委員 この法案の文面からは到底大蔵大臣がおっしゃったようなことは読み取れないと思います。これは、法律というのはひとり歩きするわけですから、この法律の再施行のために必要な措置ということに本来限られてくると思うのですね。つまり、これは政府財政構造改革ということでこうしろというふうに縛るというふうにはちょっと読めないと思うのです。これは単に復活させるために法制的に必要なことをやれということを、この法律が整合性を保つために書いているとしか読めないわけですよ。  ちょっと言っていることが抽象的でわかりにくいかもしれませんが、要は、この附則でこんなことを書いているだけなんですから、非常に技術的に、例えば年次がずれてしまうとか、目標的な数値も理論的に到底不可能なものになってくれば、そこら辺はその状況に合わせて直して再施行する、そういう法律上の整合性を保つための予備的なクローズであるとしか言えないと思うのです、この書き方では。  ですから、そこのところに、先ほど私が冒頭申し上げたように、現在の内閣の姿勢といいますか、いろいろな物事が失敗したときに、それを正面から認めて、もう方針転換して出直すんだという骨太な姿勢がないと、表面的な法技術的なことで何とか切り抜けようという姿勢がこの法案にも明らかに出ていると思うのです。この点、いかがでしょう。
  55. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そこはわかります。つまり、この法律が将来生き返ったときに何が起こるんだということは、実は何にも書いていないわけです。そのときにどうするんだということも書いてありません。ただ、これが生き返ったままではいかぬということだけが書いてある。  それはおっしゃるとおりだと思う。つまり、こういうことを将来考えるときに、新しく何を法制定すべきかということは全くその段階で考えなければならないということだけを言っておるのだと思いますので、そこを明らかにしていないというのは、そこを御批判になっておるのではないのだろうと思うので、実際、そこまで見通して、何がそのときに大事かということが今わかっていないわけでございますから、そのときには虚心に、そのときに何が要るかということを、やはり議論政府としてもいたしますし、また国会の御意見も伺わなければいけない、そういうことであろうと思います。     〔小坂委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 北脇保之

    ○北脇委員 今までのやりとりの中で、この法案の問題点というものはかなり明らかになったと思います。  きょうは自治大臣それから分権推進委員会の方からもおいでいただいていますので、そちらの方にちょっと移りたいと思いますが、地方財政のことについては、これはもう今大変な危機状態だということで、例えば東京都、大阪府、愛知県、神奈川県というような、従来であれば財政力が強いと言われていたような自治体が軒並み財政危機宣言をしている、こういう状態になっております。  それで、自治大臣にお尋ねしたいのです。幾つか見通し等とかもまた改めてお聞きをしたいと思いますが、こういう現在の財政危機について、これは非常に焦眉の急になっていると思うのですね。今言ったような四つの団体でも、このまま放置しておけば準用財政再建団体に転落しかねない、そういう非常に切迫した事情になっている。そのことを踏まえて、この現在の地方財政危機の対策、緊急対策としてどのようなことを予定されているか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  57. 西田司

    ○西田国務大臣 お答えをいたします。  御指摘のように、現在の地方財政というのは容易ならない状態に進んでおることをひしひしと私も感じ取っておるわけでございます。先ほど来、財政問題あるいは経済問題、そういうことの御議論が非常に白熱いたしましたけれども、もう一つ、これからの日本の将来、新時代というものを考えた場合に、地方というもの、大都市も含めて、これをどのような方向に持っていくかということについては、私は重大な関心を持っておるわけでございます。  理屈は抜きにいたしまして、要約して私の考え方を申し上げますと、まず、国それからよく地方と言われますけれども、私は、国、都道府県それから市町村、これは機能的にも人材的にも対等な立場で仕事のできるような分権というものをやっていかなければいけない、こう考えております。  それから、二つ目の考え方でございますが、そういうような新たな地方の活動というものが起こってまいりますと、当然それに伴う税財源の見直し、このことをやっていかないと、幾ら形ばかりつくったってそれはやれない、こう思っております。  それからもう一つ、私が最後に考えておりますことは、今問題になっておる、国においても行革あるいは地方分権、そういうことが進んでおりますが、地方においてもみずから進んで地方行革、あるいはいろいろなことがありますけれども、その中でも、市町村合併等の問題は真剣に検討をして取り組んでいかないと新時代には対応ができない、こういうことを基本的な考え方として進めていく決意でございます。
  58. 北脇保之

    ○北脇委員 今の大臣の御答弁については、基本的な考え方は私もそのように思っております。  ただ、今大臣の御答弁の中にありました税財源の移譲ということ一つをとっても、これは、地方分権推進計画の中でも出ていますし、また今回の地方分権推進委員会の第五次勧告の中でも、補助金の一般財源化に伴って、地方税それから地方交付税で確保するように政府責任を持ってやれというようなことが書いてあります。ですから、その方向性ということについては異論を差し挟む向きはほとんどないのだろうと思うのです。ただ、問題は具体策だと思うのです。  では、今の自治大臣のお答えは、私はちょっと緊急対策ということでお尋ねしましたけれども、それを超えて中長期的な地方財政対策というところまで踏み込んでのお考えだったと思いますが、そこまで含めたとした場合にも、その税財源、それを具体的にどうするのか。例えば、どういう税目でもってどの程度国から移譲するのか、または地方で新しい税を考えていくというようなことになるのか。そこのところの具体的な考え方を、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  59. 西田司

    ○西田国務大臣 お答えをいたします。  御質問の前に、これは地方団体もそうでありますが、国も地方も財政的にはもう御存じのように重大な状態になっておるわけでございます。だから、どういう財源、税源、そういうものの税目をどうしていくのかということは、今後、私どもは関係省庁とよく連携をとりながら、意見の交換をしながら、知恵を出し合って、そして中長期的な将来を見越したものをつくり上げていかなければいけない、こう考えておるわけでございまして、今、御質問の趣旨に沿って、こういうものをこうしますよ、ああいうものをああしますよということはお答えをする段階ではありません。
  60. 北脇保之

    ○北脇委員 そういうことでは地方財政はますます悪化していくばかりで、もはや引き返せないところへ、その瀬戸際まで来ていると思うのです。  例えば、地方財政全体の借入金残高が百六十兆円に上る見込みであるとか、また、過去五年ぐらいさかのぼって毎年度の地方財源不足がどれぐらい生じているかというと、毎年五兆円以上の財源不足が生じているわけですね。それで、来年度、平成十一年度の財源不足の見通しを考えても、今度の減税の影響抜きでも八兆円を超える財源不足が生じると言われているわけです。  五兆円とか八兆円とかいっても余りぴんとこないかもしれませんが、入り口ベースでいっていけば、地方交付税の額が大体十五兆円程度なんですよ、いろいろ足せばもっと、数兆円は上がるかも知れませんが。いずれにしても、地方交付税の総額が十五兆円規模なんですよ。それに対して、来年度の財源不足は八兆円を超える。それも、来年度のことだけじゃなくて、毎年五兆円以上の財源不足が生じている。地方交付税の半分に相当するだけの財源不足が生じている。この事態を前にしてこれから検討していくということでは、地方財政は成り立たないと思います。  大変難しい問題だということは私もよくわかります。ただ、難しいから難しいからということで、根本的な対策を講じないで先送りしていけば、もっと破綻してくるということになると思うのですね。ですから、大臣が今おっしゃられたような、今具体的なことは言えない、これから検討していくということでは、現状に合ったお答えとは言えないと思います。
  61. 西田司

    ○西田国務大臣 私の言葉が足らなかったかもしれません。  私は、方針として、方向としては中長期的な地方財政のあり方というもの、これは検討をしていくということを申し上げたつもりでございます。  しかし、当面の財源不足、このことに対しては、平成十一年度の地財計画等も含めて、これは解決をつけていかないといけない問題でございますから、そのことには現在も真剣に取り組んでおるところでございます。地方に迷惑をかけないように頑張っていかなきゃいかぬ、こう思っております。
  62. 北脇保之

    ○北脇委員 今の地方財政の危機を招いた原因を考えていくと、地方自治体の責めに帰するというわけにはいかないと私は思うのです。  なぜならば、まず一つは、地方財政危機の根本原因の一つに地方税の減収ということがあります。これは、経済政策政府が決めているわけですから、その経済政策がうまくいかなくて減収になってしまっているということが一つあります。  それからまた、景気対策ということで、バブル崩壊以後、数次の景気対策に地方財政はつき合ってきた。例えば、減税だって、国税だけではなくて地方税でもやってきているわけですね。これを一つ考えたときにも、地方税の本当に詳細な部分まで地方税法で決まっているわけですよ。例えば、住民税減税を地方税法改正ということで行われれば、それぞれの自治体が自分の自治体はこれはやれないからつき合いませんと言う余地はないのですね。税の制度をとってみても、もうそういう確固とした形になっている。  また、景気対策の主要な柱である公共投資についても、公共事業の補助制度で本当に中央集権化している。そうすると、自治体としては、補助金がなくなっては困るからということで、補助金のある部分については、自分の財政は非常に苦しくてもつき合わざるを得ない。単独事業についても、政府の方針で、やってくれ、こう言われれば、今の全体的な国と地方の関係の中では、自治体も無理をしてでもつき合う、こういう関係があると思うのですね。  ですから、この地方財政危機をどう乗り切るかといったときに、自治体が行革で努力する、それも大事なことです。私はそれを決して忘れてはいけないとは思いますが、そのよって来る原因、それを考えると、政府の制度、そういうものによって地方自治体の財政が悪くなってきているという部分が圧倒的に原因として大きいと私は思うのです。  それだけに、政府としてこれを克服する方針といいますか対策を出していかないと現下の地方財政危機は乗り切れない、こういうふうに思います。  この点について、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  63. 西田司

    ○西田国務大臣 方向につきましては、きちっと方向性を出していこうと考えております。それからまた、当面の財源対策等の問題についても対処していく考えでございます。
  64. 北脇保之

    ○北脇委員 最後に、地方分権推進委員会の第五次勧告のことについてもちょっとお尋ねしたいと思うんですが、この第五次勧告、中間時点の論点整理、それと最終的な報告とを比較すると、まず第一に、委員会の答申は非常に、例えば直轄事業の区分等についても抽象化している。中間の論点整理は非常に具体的に言っている。例えば道路についても、国道については路線まで示して、高速自動車国道と国道の一号から五十八号までと言っている、それから自動車専用道路は、これも国の直轄事業でやっていく、こういうような非常に具体的なことを言っている。  今度出された答申では表現は非常に抽象的になっているわけなんですが、その具体例一つだけを、道路のことだけちょっとお尋ねしたいと思うんですが、この委員会の答申というものは、道路の直轄事業の範囲に関して、論点整理で委員会事務局が示したものと内容的には違うのかどうか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  65. 保坂榮次

    ○保坂(榮)政府委員 お答えいたします。  御指摘の論点整理は、限られた時間の中で調査審議の促進と関係省庁の建設的な議論を促すために、いわば議論の出発点、たたき台として私どもが関係省庁に提示したものでございます。したがいまして、委員会としては、これは当初から、論点整理の考え方に固執することなく柔軟に対応するということを私どもは予定しておりました。したがいまして、この論点整理というものと各省庁との議論を踏まえて得られた最終成果であります勧告とは、必ずしも同一のレベルで論じられるものではないというふうに考えております。  したがいまして、今先生がおっしゃいました例えば道路につきましては、昔の二けた国道というようなことを申しておりますが、今回の場合には、道路につきましては、原則として、国土の骨格を形成し、国土を縦断、横断、循環する都道府県県庁所在地等の拠点を連絡する枢要な区間、または、重要な空港、港湾等と高規格幹線道路、あるいは最初に述べた枢要な区間の路線を連絡する区間に限って直轄管理することというふうに述べております。  以上でございます。
  66. 北脇保之

    ○北脇委員 私がお尋ねしたのは、そういう抽象的な表現を具体的な国道に当てはめていったときに、例えば一号から五十八号というようなところに当てはまってくるのかどうか、それ自体が非常にあいまいだと思うんですね。ですから、結局、委員会で報告を出しても、それはもう政府側にゆだねられてしまっていると思うんです。それでは私は、この地方分権推進委員会に期待された公共事業のあり方の見直しということを、本当に鈍いなたというんでしょうか、そういうもので切っただけで、ほとんど切り口になっていないというふうに思います。  この問題については、まだ本当に勧告が出たばかりでこれからの議論だと思いますので、改めてさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、公共事業の中央集権制度というのは、財政構造改革の中でも非常に大きな柱ですし、また、いろいろな財政資源の配分という点でも考えていかなくちゃいけないことなので、これは非常に力を入れてこれからも取り組んでいきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  67. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて北脇保之君の質疑は終了いたしました。  次に、田端正広君。
  68. 田端正広

    ○田端委員 この財政構造改革法案につきましては、私は、この凍結というのは正直言って大変遅過ぎた、いや、むしろこれは提出すべきじゃなかったという思いを今強くしているわけであります。  例えば昨年のこの委員会において提出されたときに、当時の経済状況からいきますと、つまり人間の病気の状態でいえば、カンフル剤を打ってよみがえらせなければならないような状況のときに、ああしてはいけない、こうしてはいけないみたいな食事療法的な治療でやろうとしているような感じを受けるわけでありまして、そういった意味では、タイミングとしてはこれはもう最悪のタイミングであったな、こういう思いがします。  その後、小渕内閣が誕生して、凍結を明言され、そして今回の第三次補正予算ということにつながってくるわけでありますが、私は、当時、小渕総理も重要な閣僚の一人であったわけですから、そういった意味では大変これは大きな責任がある、こう思っております。  つまり、ざっくばらんに国民的な感情を言いますと、この一年間の議論は何だったんだ、こういう思いがしてならないわけで、この一年の間に経済がますます悪化し、景気がもう最悪の深刻な状況になっている、こういうふうに思うわけですが、こういう国民の怒りに対して、まず大蔵大臣、どういうふうに感じられているんでしょうか。
  69. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたので繰り返しませんが、少なくとも私ども党内におきましては、これにつきましては深刻な反省がございまして、リーダーシップ交代ということになったわけでございます。  また、国民からは過般の参議院選挙におきまして厳しい御批判を受けましたが、それもこの問題に関するところが少なくなかったというふうに考えております。  首班指名がございまして、小渕氏が首班に就任せられましたけれども、私ども党内におきましては、そのような形でこの問題についての厳しい反省をいたしてまいりましたことは御理解をいただきたいと存じます。
  70. 田端正広

    ○田端委員 反省というのは、次にどういうふうな政策を打ち出すかということになるかと思いますが、そういった意味では、今回の緊急経済政策、そしてそれに伴う雇用活性化総合プラン、これはぜひ国民が明るい展望が持てるように、具体的に、そしてまた景気回復につながるように、これは一刻を争う対策として実施していただきたい、こう思うわけであります。  昨日来の大蔵大臣の御答弁を伺っていて、非常に率直に失敗であったということをお認めになるのはわかるんですが、その分、じゃ、これからこういうふうにしていこうということを明確に打ち出していただかないと、国民には、生活がかかっているわけですから、そういった意味で、あしたへの希望といいますかそういうものが必要だろうと思います。  こういう議論をしている中でも、例えば完全失業率が四・三%とか、あるいは有効求人倍率が〇・四九というようなことで、現実は非常にどんどん厳しくなっていっているわけでありまして、私は、この百万人の雇用創出というのを、うたい文句じゃなくて、現実にどういうふうにしていくかということをぜひ国民の皆さんにお示しいただきたい。  労働大臣お越しいただいているのでまずお伺いいたしますが、この総合プランの中には、新規の雇用と、そして二番目に「臨時・短期的な雇用・就業の場の掘り起こし」とあります。一言で言えば、日雇い労働者等も含めたそういう就業の場を拡大していく、こういうことだろうと思いますが、これがどういうふうに具体的になっていくのかということが非常に大事だ、私はこう思っておりまして、そのめど、方向性、もしきょう具体的にお話しいただけることがあればお願いしたいと思いますが、よろしくお願いします。
  71. 甘利明

    ○甘利国務大臣 この百万人規模の雇用の創出、安定、これは田端先生御存じかとも思いますが、実は政労使の雇用対策会議というのをつくりまして、そこでいろいろ三者で努力をして、こういうことをやっていこうといういろいろな提案をする会を設けたわけでありまして、そこで百万人の雇用創出、安定ということについて緊急経済対策の中にぜひ盛り込もうという考え方が一致をいたしました。そこで、私が官房長官に要請をいたしまして、目標として掲げる、目指していくということにしたわけであります。  実は、これを柱にする際に労働省と経企庁で議論がありました。経企庁長官は精微な頭脳のエコノミストでありますし、私はどちらかというとアバウトなんでありますが、経企庁は、具体的にどういう数字が積み上がるか、それがきちんと精査できるかという問いかけでありました。私どもの方は、きちんと一人一人の精査は正直言って難しいです、しかし、政労使でこういう目標を掲げ、政府が緊急対策の一番の柱として打ち出すことが少なくとも雇用不安に対する明るい材料になるし、それに向かってみんなが精いっぱい努力をするということこそ大事じゃないかということで、若干私の方で押し切らせていただきました。  この中身を申し上げますと、一つは、GDPを押し上げる効果が緊急経済対策にありますから、それが雇用にはね返る数値、雇用弾性値がどのくらいあるか。それで計算をしますと、約三十七万人という算定をされるわけであります。これは経企庁の数字であります。  それ以外に、実は、雇用の創出、安定というふうに銘打っております。ただ雇用の創出だけじゃなくて安定という文字がなぜついているかと申し上げますと、ほっておくと失業が拡大しちゃうのを防ぐ効果もいろいろねらっていこうということで、労働が移動する際、失業なき労働移動をしっかりと支えていこうとか、あるいは雇用調整、雇用を抱えていくのに企業がもう耐え切れないということで放しちゃうことを頑張ってもらうような柔軟な措置を行おうとか、維持をすることも含めて考えていこうということでありまして、そちらの安定ということに重点を置いた数字が六十四万人というふうに試算をいたしております。  正直申し上げまして、かちっとした算定数値ではありませんが、とにかく目標を掲げて頑張る、政府一体となって頑張ろうということを多としてやらせていただいておりますし、この数字に向かって具体的に達成できるように精いっぱい努力をしたいと思っております。
  72. 田端正広

    ○田端委員 今具体的に、一応三十七万人と六十四万人という数字の目標が掲げられて、それに向かって頑張るということでございますが、例えば時期的に来年のどの時期にこういうふうにするとか、何かそういうものはあるんでしょうか。
  73. 甘利明

    ○甘利国務大臣 経企庁の試算をしております三十七万人という数字は、経済対策が実施されて後一年間にこれだけの効果があるということでございまして、私どもの六十四万人に関しましては、雇用活性化総合プランというものをできるだけ迅速に実施をしていく。具体的には平成十一年の一月から予定をいたしておりまして、この活性化プランの中には補正で見るものと来年度予算で見るものとありますから、いわゆる十五カ月予算という感覚で……(発言する者あり)もちろん法案もありますが、取り組んでいくということになります。できるだけ前倒しでやりたいと思います。
  74. 田端正広

    ○田端委員 ぜひひとつ国民が安心できる方向へ引っ張っていただきたいと思いますが、この問題はもうちょっと後でまた議論させていただきます。  ちょっと商品券のことでお伺いしたいと思います。  小渕総理は、この一両年に不況を克服して、平成十二年、経済の再生という目標を掲げて今取り組んでおられる。しかし、私たち国民の皆さんと接している中から起こってくる現実の声はなかなか厳しいものがあって、そういう明るい見通しになるような材料はなかなか見当たらない、そういう感じがいたします。その中で唯一、商品券、地域振興券という形で今回実施されることに対して非常に明るい議論が今始まりつつある、こういうふうに思います。  それはどういうことかといいますと、私は大阪ですが、大阪市には概算百二十億の地域振興券が来ることになります。そうすると、この百二十億のお金を大阪市でどう活性化させるかということになりますと、これは議論だけでも非常にいろいろな議論が出てきます。  例えば、大阪二十四区に均等割しましても、これは一区五億というお金になるわけですから、一つの区で五億のお金が落ちるとなれば、その地域の商店街、いろいろな業界が手を挙げようと。そして、これは有効期限があるわけだし、また千円券ということですから、つり銭の要らないようにしなきゃならない。そうすると、商売人の知恵として、例えばお米屋さんならお米屋さんが手を挙げて、そして地域振興券取扱店というのを店先に張り出す。そして、振興券をお持ちの方、例えばこれは二千円パックですと。つまり、二千五百円で今まで売っていたお米何キロかというものを、あるいは二千三百円だったものを、少しサービスして、つり銭の要らないようにして二千円のパックにして売り出すとか、こういう知恵が今もう既に議論として私の周辺では始まっているわけです。  例えば、これは業界として、いろいろな商店街とか加盟している区商連とか、こういうのがたくさんありますが、それぞれで手を挙げると思いますが、しかしそれ以外にもいろいろなところで、ぜひ我が方で使ってもらいたい、こういうことになっていくんだろう。例えばサービス業とか、あるいは床屋さんとか美容院とか、こういったところもいろいろな形でこれに今参画しようということが起こっている。医師会の人に会ったら、ぜひ医師会も加えてもらいたい、こういう意見も今起こっているわけでありまして、私は、こういう意見があちこちで起こってくることが、これが一つの明るい材料になる、マインド的に非常にいいんじゃないか、こう思うわけで、七千七百億円というお金が二倍にも三倍にも十倍にも気分的になっていくようにしていくことが大事ではないか、そんな思いがいたします。  そういう意味で、例えば大阪市では今、一本でするか区別でするかということが大阪市の中で、あるいは市会議員の議員団の中でそういう議論が既にもう始まっているわけでありまして、こういったことに対して担当大臣である自治大臣が、機械的に全国の関係者を呼んでそういうレクをするだけじゃなくて、大臣が、八千億のお金を十倍ぐらいにするんだ、こういう気持ちを込めて言うことが大事だと思いますが、いかがでしょうか。
  75. 西田司

    ○西田国務大臣 七千億を十倍にするということは、私の一言ではなかなか難しいと思います。  しかし、御承知のように、今回の地域振興券、この問題は、まず当面の景気対策に対して地域からその力を出してこようじゃないかということの発想が一つあったと思います。それからもう一つは、お正月が来ても、いろいろお年寄りであるとかあるいは子供であるとか、弱者という言葉はちょっとこれはまずいと思うのですけれども、そういう人たちに焦点を合わせてやっていこうじゃないか、こういうことで進めておるので、私も非常にその効果を期待しておるところでございます。  御質問の中に、この事業主体、大阪の例をとってお話しになりました。これは市町村が事業主体ということにしておりますが、それは、広域連携をして効果的な波及効果を及ぼすということは大いに結構だ、こういう方向で私たちも、このことに対していろいろな御議論があるようでございますけれども、大きく期待をしておるところでございます。
  76. 田端正広

    ○田端委員 ぜひ経済効果が大きく広がるように、普通、例えば企業であれば、それだけの投資をすればその何倍にもしていこうというのがもう社長の一念で決まっていくわけでありますから、ぜひその主管の大臣としては、そういう意味で心を込めて拡大するようにお願いしたいと思います。  実は私、景気の問題がもう如実に社会にあらわれている一つの現象としてホームレスの問題があるというふうに実感しております。本当にすさまじいふえ方でありまして、私は大阪市の西成区というところに住んでおりますが、もうまさに今倍増をしているという感じがあります。  実は、先日小渕総理が大阪入りされたときに、磯村大阪市長からもこの問題について要請をされたようでありまして、今やもう一地方自治体の域を超えて、国としてもこの問題に乗り出さないともう自治体だけではどうにもならないというところに来ているように感じるわけであります。  それを受けて官邸筋からお話があったようで、労働、厚生、通産、建設、国土、自治ですか、その六省庁が合同で勉強会をされ、そして近々に実際の実務者が集まって、これに東京や大阪や横浜の自治体の方も加わって協議して方向性を見出そう、こういうことが始まっているように聞いておりますが、どなたにお伺いしていいかわかりませんが、とりあえず、そのメンバーになっている甘利大臣、どういうことに今なって、経過がどうなのか、ちょっとお願いしたいと思います。
  77. 甘利明

    ○甘利国務大臣 田端先生御心配のとおり、このホームレス問題、深刻になってきておりまして、大阪ももちろんでありますけれども、東京でも隅田川河畔にテント村みたいなものもできてしまっております。  そして、先生さらに御指摘のように、これは雇用政策だけの問題ではありません。福祉政策であり、あるいは医療面の政策も総合的にいろいろ考えていかなきゃならない。あるいは、御本人の人生観というか価値観とか、そういうことにかかわってくる部分もありまして、単一の省庁で解決できる問題ではありません。  そこで、会議を開くことになったわけでありますが、それに先駆けて、自主的に関係する政務次官の方々が会議を開かれまして、この問題をやはり政府として早急に対処せよと、先生がお考えのような問題意識で政府に督励がありました。  具体的に申し上げますと、十二月の九日にホームレス問題の関係自治体のヒアリングを行いたいというふうに考えております。我が省以外に、厚生省、自治省、建設省、それからオブザーバーとして警察庁にも出てもらいまして、関係自治体でありますから、東京都、それから大阪市、川崎市、横浜市、名古屋市からお越しをいただきまして、各自治体におけるホームレスの実態、それからどうしていくか、御自身でお考えのところと要望されるところ等ヒアリングをまず最初にしたいというふうに思っております。
  78. 田端正広

    ○田端委員 この問題は、単に、例えば道交法とか河川法とか公園法とか、そういうことだけではどうしようもない問題であり、そしてまた、今もお話しあったように、野宿しているそういう生活者といえども人権という問題があると思いますし、あるいは財産とかそういったこともかかわってくる。また、社会保障的な問題も多分にあるわけでありまして、そういった側面から総合的に考えていくということになれば、どうしても国がしっかりと乗り出す必要がある、こう思います。  経企庁長官も、私の尊敬する大阪の先輩でありますから大阪のことをよく御存じだと思いますが、私の住んでいる大阪市西成区にはあいりん地区というのがありまして、ここには二万数千人の日雇い労働者がいる。まじめに働こうとしているその人以外にそういう形でのホームレスというものが加わって、今大阪では八千六百ぐらいのホームレスがいる。そうしますと、日雇い労働者の二万四、五千人の方と合算しますと三万三千人ぐらいの人がそういう形で、だから、どこが境目という区切りはないわけでありまして、そういう形で今たくさんの方がどんどんふえていっているというのが現状であります。  今、甘利大臣がおっしゃった東京、私は、きのうも新宿の地下街、やはり雨が降ると地下街にたくさんの方が来ておりますが、東京は四千人ぐらいですから、その倍のホームレスの方がいると思います。  それできょうは、こういうことを口で言ってもわかってもらえないと思いますので、パネルを用意いたしましたのでちょっとお見せしたいと思います。済みません、写真を皆さんにお配りいただけますか、たくさん焼き増ししておりますので。  これは、大阪城の金のしゃちほこが輝いているもとで、こういう木々がたくさんある中に青いテントがあちこちに見受けられるわけでありまして、大変広い大阪城公園の中に三百から四百ぐらいのこういうテントがあります。私も行ってもう全くびっくりしましたけれども、ジョギングしている人とか散歩している人とかたくさんいるわけですけれども、その横にこういう光景がずうっと続いているわけであります。これが大阪城です。  それから、長居公園というのがありますが、これは長居競技場でありまして、二〇〇二年にサッカーのワールドカップをやることになっておりますが、この長居公園の周辺、長居競技場の周辺にまたやはり同じようにずうっと二、三百のテント村があるわけであります。  これは西成公園というんですが、この西成公園は、ちょうどこういう形で真ん中に野球場があるんです。野球場があって、その四方にテント村がこういうふうになっている。だから、子供たちがこのグラウンドに入るにはこのテント村を通らなきゃならない。それが怖いために、御父兄といいますか、お父さんたちが車で子供たちを一カ所のところへ乗せてきまして、そこから出入りして連れて帰る。こういうことで、せっかくのいい野球場、グラウンドが、周りがこういう形で四方固めにされているものですから中に入れないというのが現実であります。  つまり、そういう意味では、この西成公園そのものがもう不法占拠されているような状況でありまして、ここは二百五十ぐらいあるんですが、例えば、こういう人たちの中には、ペットを飼っていまして、猫とか犬をこのテントの中に飼っている。そして、この西成公園なんかの場合はもう自治会組織のようなものができております。そして、ごみ出しを決めているわけです。ごみ出しを決めて、焼却場のようなものが、燃やす場所が決まっているわけですね。だから、そこへ持ってきて燃やす。こういうルールも決まってきているんです。そういうことで、本当の地元の自治会ともその辺のルールも話し合いが今始まっているんですね。  こういうことになってきますと、これはもう一つの社会を形成していくわけでありまして、正直言いまして、地元の人からいいますと、トイレと水道があるところは人が住みつくわけですね。そういう意味では、もう公園はなくしてくれ、要らないという理屈になってきておりまして、非常に困ったことであります。  何も大阪だけじゃないです。私、きのう隅田川の隅田川テラスというのにも行ってきましたが、白鬚橋から桜橋のところですね。これは隅田公園でございますけれども、隅田公園もやはりこういうふうになっております。だから、これは東京も一緒であり、大都市問題であると思いますが、この問題は大変難しい問題であり、困ったことだと思います。  まず、経企庁長官、大臣の地元の中之島公園も大川端も青いテントがいっぱいでありまして、大臣のおうちからも見えるんじゃないかと思いますけれども、最近は大阪に帰られてないと思いますけれども、今どんどんそういうことでふえているんですが、大臣、どういう御感想でしょうか。     〔委員長退席、大島委員長代理着席〕
  79. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私も、東京でも大阪でも、自転車が趣味なものですから、そういう公園を走り回って青いテントが猛烈な勢いでふえているというのを実感しております。  問題はこれの発生源なんでございますけれども、これはいろいろあるようでございまして、NPOの青年たちにも調べていただきました。二百人ぐらい聞いていただいたら、もともとそういう生活をしておられたという方が結構おられますが、そのほかに、失業が原因である。それからもう一つは、これは希有な例かもしれませんけれども、ローンが払えなくなってマイホームを失ったというような答えが返ってきたこともございます。  こういうことを考えますと、やはり今、景気振興が第一だと。働く気がある正常な方々が結構そういう状態になっているというのは憂慮すべきことで、年齢層もかなり散らばりがあるようでございます。その点、今非常に期待されております中小企業に対する貸付保証とか借り入れ保証とか、あるいは金融問題とかいうものの解決とともに、即効性のある公共事業を早く進めることが根本だと思っております。  大阪の場合につきましては、貸付保証の事務手続等にいささか遅延があるようでございまして、また先生にも御報告させていただいて、改善方を考えたいと思っております。
  80. 田端正広

    ○田端委員 その中小企業の貸し付けの問題についてもちょっと伺いたいと思いますが、しかし、このホームレスの問題、私はこれはひとつ深刻な問題として閣僚の先生方にも受けとめていただきたい。  つまり、これは、もちろん景気の問題が一番大事なんですが、雇用問題が大きな要素でもあります。そして、こういうことを放置しておきますと、これはもう環境あるいは衛生問題等が必ず起こってきます。例えば、年末この人たちが、今大阪でも大阪の南港というところに入っていただく施設がありますが、たった二千五百人分しかありません。そうすると、大半の人が正月を路上で過ごさなきゃならない、こういうことでありますから、そういった意味でも、治安の問題にも大変大きく影響してきます。  御存じのように、あいりん地区というのは暴力団もすごいし、そしてまた、ここは覚せい剤の密売の日本一の本拠地といいますか場所でありまして、そういったことともダブって、ここにこういう方々がたくさんいるということが非常に問題です。最近また不法外国人といいますか、不法滞在の人たちもこういう中に入ってきている、潜り込んできている、こういうことでもありまして、幾重にもこの問題が複雑に絡み合っているわけであります。  したがって、私もいろいろ申し上げまして、先般衆議院の決算委員会が視察に来ていただきました。あるいは建設委員会とか労働委員会もお越しになったようでございますが、ようやく国会の先生方も現場を見ていただく、こういうことがだんだんと出てきましたので、ぜひ皆さんの知恵を絞っていただいて、これは何も大阪だけの問題じゃなくて全国的な問題として、そして日本経済一つのあらわれ、シンボルとしてこうなっているわけですから、どう解決していくかということにお互いに知恵を絞り出さなきゃならないと思っております。  先般、私もニューヨーク、ワシントンに行きましたときに聞きましたら、七、八年前は向こうも多かったようですが、今好況に支えられてそういう人がやはりもうほとんど見当たらないということでありまして、そういった意味では、何といっても経済の再生というものが一番根本だ、こう思っております。  経企庁長官よく御存じのように、関西の完全失業率が全国平均四・三を上回って五・二という状況でもありますし、それから倒産件数も、これは大変、既に大阪府はことしもう二千件を突破しております。昨年は千八百ぐらいですから、それをはるかにしのぐ量になっているわけであります。  そういった意味で、私の周辺では、去年、ことしとマイナス成長だ、来年も正直言ってわからない、それじゃもう商売しないでじっとしている方がいいんだ、商売すればするほど泥沼にはまってしまう、そんなんなら今まだ黒字の間にもう店を畳んだ方がいい、計画的に自主廃業しよう、こういう人が今どんどんふえているわけでありまして、そういった意味では、本当に後ろ向きな発想かもわかりませんが、しかし、そこまで追い詰められていかざるを得ないところにまで今来ているのが現状だ、こういう感じがいたします。  来年プラス成長へというお話もございますけれども、経企庁長官、どうでございましょう、今そういう状況になっていることを御感想があればどうぞ。
  81. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 現在の景気状況はまことに厳しいものがございます。また、これからなおしばらく、特に雇用についてはより厳しい状態が続くのではないかというような懸念もしております。  そういうことを踏まえて、この緊急経済対策を早期に実行し、また、平成十一年度予算、税制においても十分配慮する必要があると思っております。
  82. 田端正広

    ○田端委員 甘利大臣、私は、こういうところを、例えば特定不況地域とか何かそういう指定をしていただいて、何か特段の配慮をしていただくということはできないんだろうか、例えば労働省そのものの出先機関をきちっと設けて府や市と一体になってこの雇用対策に取り組んでいただく、こういうふうなことを考えておりますが、いかがでございましょうか。
  83. 甘利明

    ○甘利国務大臣 地域指定をするという制度はございます。あるいは、業種指定をするという制度もあります。これを私は、今回の緊急経済対策絡みでさらに柔軟に対応できるようにしたらどうだという提案をして、これを具体的に実施をします。  例えば、特定の不況の業種の指定をするときには、全国一律調子が悪くないと指定ができないというようなことの要件を緩和して、一定のエリア内でもいいじゃないかというようなことを考えたいと思っておりますし、それから、先ほど先生から特にあいりん地区のお話が出ました。日雇い労働者が多いところでありまして、ここは、新しい政策として、日雇い労働者の雇用率が一割を超える企業に関しては、その超えた分について一人五千円の補てんをする。これは、日雇い労働者の日給が大体平均一万五千円ぐらいでありますから、三分の一ぐらいを企業に補助するということも考えております。  それから、職業訓練ももっと機動的にやろうじゃないか、民間の訓練施設も使っていろいろやっていこうということまで含めて、ブルーカラー、ホワイトカラー、幅広くやらせていただきたいというふうに考えております。     〔大島委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 田端正広

    ○田端委員 自治大臣、これはもう府とか市の自治体の域を超えている問題ですので、ひとつ大臣の方も、自治省としても真剣にお取り組み願いたい。そしてまた国家公安委員長として、そういう立場からも、ここは薬物の取り締まりとか暴力団の取り締まりとか、そういった意味で今後治安に対する非常に大事な問題になっていくと思いますので、その点もあわせてお伺いしたいと思います。
  85. 西田司

    ○西田国務大臣 先ほど労働大臣もお話しになりましたが、私の方としても、関係省庁とよく連携をとりながらやってまいります。もう一つ、地方の各団体ともよく情報収集、意見の交換等をやって対策を講じていきたい、このように思っております。  それから、最後に治安問題にお触れになったわけですが、治安というのは、国民の方々が安全で安心して暮らしていく基本になるわけでございまして、私どもの役割も非常に重要でございます。欠くことのできない仕事だ、このように思っております。御指摘のように、地域住民に不安を与えたり、または犯罪がそこから発生するというようなことは容易ならぬことでございますので、私の方も、国家公安委員会としても万全を期して督励をし、やっていこうと考えております。
  86. 田端正広

    ○田端委員 最後に大蔵大臣、今この問題、いろいろ私具体的に提示させていただきましたが、経済の失敗ということをお認めになった上で、この現実というものをどういうふうにお感じになったのか、感想を伺って質問を終わりたいと思います。
  87. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大変深刻に承っておりました。  今まで、幸いにして雇用というところまで余り深刻にならずにまいりましたけれども、最近、有効求人倍率がどんどん低下してまいりましたし、企業の耐久力にももう限度があるというような感じが出てまいりまして、労働大臣にもお願いをいたしまして雇用百万というようなこともお考えいただいておるわけでございます。来年はこの問題がもし深刻になりますと、本当にもう、ただ不況とかいうことでない、家庭でうちのお父さんがという話になりますと別の問題になってまいりますので、十分財政としてもできるだけのことをいたさなければならないと考えております。
  88. 田端正広

    ○田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  89. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて田端君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  90. 麻生太郎

    麻生委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りを申し上げます。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁藤原作弥君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 麻生太郎

    麻生委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  92. 麻生太郎

    麻生委員長 次に、並木正芳君。
  93. 並木正芳

    ○並木委員 新公明党の誕生により、公明党・改革クラブとなりました改革クラブの並木正芳です。お昼も近くなったわけですけれども、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  昨日から論議が行われておるわけですけれども、いささかしつこいようでございますけれども、実感として、思えばちょうど一年前ですけれども、一体あれは何だったのかという思いが今しております。国、地方を通して五百二十兆円もの借金があるというような問題意識から、我々も今四党に分かれてしまいましたプロジェクトチームにおいて本を著させていただいたわけですけれども、その中でも財政再建の必要性、こういうものは共通の認識として持っていたわけです。  しかし、景気経済状況に対する見方というのが著しく違っていたというわけで、我々は、まさに直面する経済状況というのは深刻である、景気対策というのを手足を縛ってしまったら大変なことになる、しかも、巨額の財政赤字を生み出してきた構造の面に触れてないような改革で果たして大丈夫なのか、こういう意見であったわけですけれども、きのうもお話が出ましたとおり、政府の方は、景気は緩やかな回復基調にある、桜の咲くころには景気はよくなる、あるいはそれが過ぎるともみじのころにはと、こういうようなことで財政構造改革法の採決を推し進めたわけであります。今、もうもみじから晩秋の落葉の景色に変わろうとしているわけですけれども、雪も北の方では大変降っております。  この国民の実感とほど遠い楽観論、これが続けられてきたわけですけれども、今、堺屋大臣、きのうからもお話を聞いております。厳しい見通しも語られたわけですけれども、まさに来年の桜の咲くころ、これはどういうふうになっているとお考えでしょうか。もう一度その辺の見通しをお聞かせいただければと思います。
  94. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私が夏に就任して以来、景気は非常に厳しい状態が続いておりまして、むしろこの間にも悪くなっているというのが現実だと思います。  なお、景気はこれからも悪くなる要素が結構多いと思います。ごく最近のことを申しますと、一方では一段と厳しくなっている数字が出ております。例えば、設備投資の計画は下方修正が依然として続いておりますし、雇用状態も厳しい状態があります。  その反面で、個人消費が下げ幅が減ってまいりまして、八月以降、前月で比べるとプラスになっているというようなこともあります。また、住宅金融公庫の融資枠拡大等を受けます個人住宅の着工戸数が持ち直した、あるいは半導体の出荷額及び価格が上昇をしてきているというような点もあります。九月からは公共事業、これは第一次補正を六月に国会でお認めいただきましたものが地方団体を通じてかなり出るようになって、伸びてまいりました。十一月になりますと、これはイベントセール等もございまして、チェーンストアの売り上げが伸びておりますし、ところどころそういうようなよさが出てまいりました。現在、悪くなるものとよくなるものとが混同しているという状態で、悪い一辺倒だったものが少し動きが出てきているんじゃないかという気がいたします。  それで、来年の四月にどうなっているかというのはまことにわかりにくいことでございますが、下げどまりということは言えるんじゃないかという気がいたします。前任者の轍もございますので、桜が咲くころとかいうことは申し上げませんが、かなり深刻な事態がありましたが、アジア経済の方も各通貨の下げどまり等がございまして、底入れと言いたいところでございますが、底ばいというような状態がこれからしばらく続くんじゃないか、その中にも星が見える状態がところどころあるという感じだろうと思います。
  95. 並木正芳

    ○並木委員 先ほど、田端委員の写真等を示されてのホームレスの問題、大変そういうものも厳しくなっている、失業者も、数字的にもそうですけれども、実態として増加している、そういうような披瀝もありました。このままいくと、まず来年の三月の決算を越えられないんじゃないかという会社が続出してしまう。そういう面では大変、桜の咲くころ、厳しいことも考えられるわけです。  つまり、財政構造改革法というのは、迅速な財政出動を難しくして景気をさらに失速させた、そして税収を落ち込ませて、結果として財政をさらに悪化させてしまったというような、何だったのか、まさにそこが言いたいところであります。  ただ、これも二重の失敗をしていると思います。いわゆる景気をさらに悪化させた、そういう失敗と、予算成立後、九八年度予算ですけれども、実質的には全くこの法は機能していない、つまり建前だけの法になってしまいまして、そういう意味で、法における支配というか、法のコントロール、そういった点で大変形骸化した法律になってしまった。法の権威も失墜せしめたということだと思います。  今、これを凍結ということで、建前論になりかねない。宮澤大蔵大臣精神という意味は我々もある意味でわかるところなんですけれども、やはり法の中では建前論と本音論というのが二重になっているというのが日本的風土でもあるわけですけれども、そういう点では大変好ましくないんではないかなというふうに考えるわけです。  そういう意味で、改めて政府はこの失政を認めて猛省をしというところを確認しておきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  96. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたので長くは繰り返しませんが、確かに、前回総選挙がございましたころに、片方で二十一世紀を展望して我が国の将来を議論いたしますと、財政の将来というものはいろいろに心配をせられ、消費税の議論どもございました。  たまたまそのときに、我が国の経済の足元がこれほどであるという認識がございませんこともありまして、ややそういう世論動きに乗って、当時の総理大臣としても将来に向かっての財政のことを考えられた。殊に、高齢・少子化ということがございますので、長期計画についていろいろなことを考えられた。それ自身は間違いでなかったかと思いますけれども、実は、いろいろなことから経済そのものは非常な悪化を深めてまいりまして、財政改革そのものはデフレーショナリーなものでございますから、それに実はさらに経済を追い込んだというような結果になったと思います。  私ども党内では、そういうこともございまして、リーダーシップ交代があり、新しい総裁が総理としてこの法律の凍結をお願いするに至った。党内としては厳しい反省をいたしましたことでございます。また、国民からは参議院選挙について厳しい御批判を受けたというふうに考えておりまして、その間に至る経済政策の運営の落ち度というものは、私ども政権党としてやはり認めなければならないところであると考えます。
  97. 並木正芳

    ○並木委員 今回、あくまで精神を残して凍結ということなんですけれども、実際に、修正して二〇〇五年の財政健全化目標、こういうものは全く形骸化してしまうわけですね。そういった点では、きのうも、廃止に近い凍結だというような話が出ました。  しかし、一方、再施行ということなんですけれども、この辺について総理は、来年度はプラス成長、二〇〇〇年度には必ず成長軌道に戻すんだというようなことを言われているわけです。ということは、きのうの発言ではあいまいであって、現状では見通しがつかないというようなことだったわけですけれども、総理の発言からすれば、そういうものを前提にこの再施行を考えるのかということにもなるわけなんですけれども、その辺についてはいかがなんでしょうか。
  98. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 来年度あるいは平成十二年度等々についてそういうことを総理大臣経済企画庁長官も言っておられまして、それが我々の政策目標であることは事実でございます。  ただ、それはそれといたしまして、我が国の経済がその後安定した確実なプラス成長の軌道に乗るということでなければ、将来に向かっての財政、税制等々の長期的な計画を立てることは難しいであろうと思いますので、そういう意味で申しますならば、この法律の見直しというものはもう少し確かな将来の展望に立たなければならないのではないかと私自身は考えております。
  99. 並木正芳

    ○並木委員 大臣の言はよくわかるわけなんですけれども、総理がある意味での明るさを国民にもたらすためのアナウンスかもしれませんけれども、やはり、今非常に政治が信頼を失っており、また、金融政策等、特に金融機関も含めて信用不況と言われる事態で、非常に信用がないという中では、そういった整合性をきちっと出していかないと、本当に国民が信じて、明るい兆しとして経済活動に活性化をもたらす、そういうことにはならないと思うんです。  その辺では、今のお答えも極めてあいまいな食い違いのようなものがあるんですけれども、食い違いでないとお考えなんでしょうか。その辺はいかがなんでしょうか。
  100. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点、私は、総理大臣の御意向を伺ったことは実はございませんけれども、仮に十一年、十二年がある程度の成長ができたとして、その段階で、もう余り財政は出動しなくてもよろしい、設備投資あるいは民間消費で経済はやっていけるということになりましたら、それはかなり長期的な見通しが持てるわけですけれども、さあ、二年ぐらいの間に今の設備投資というものが、仮に年間で数%の成長を製造業も非製造業も維持できるか、あるいは消費というものが堅調になれるかということを今から考えますと、それは、そうなったと将来に向かって考えることができ得るためには、やはり多少のトライアルが要るのではないんだろうかと思って申しておることでございまして、何と申しますか、弱気、強気といいますよりは、この法律をもう一遍考え直すに至る、将来の税制、財政までをまず安心して考えられるためには、もうちょっとの底固めが要るのではないかと私としては実は思っておるという意味でございます。
  101. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 来年度をプラス成長にし、再来年度、十二年度をはっきりとした回復基調に乗せるということは、経済運営の基本、目的でございますが、そのこととこの財政構造改革法を再発効させるということとは少し違うと思います。やはり経済は生き物ですから、成長率がこれほどになれば財政改革に乗り出していいと自動的にできるものではなしに、そのときの状況を見まして、そのときの状況がこれをやっても安全だと言えるときにならないといけないと思います。  一昨年経済がプラス成長だったというのでこれをやりまして、やはりマイナスに落ちたという経験もございますので、慎重に扱っていきたいと考えております。
  102. 並木正芳

    ○並木委員 別に経済改革がおくれることを望むわけでなくて、一日も早く経済が回復し、そして、当然財政再建という目標は中長期的にはあるわけですから、我々もそういうものに向かえるようになればと思うわけです。  中長期的に財政再建するというふうな事態になってきたときに、一つは増税による方法と、もう一つ経済の活性化あるいは構造転換によって景気回復での税収増、自然増といいますか、そういう方法と、あるいは行政、財政構造の思い切った簡素化、効率化、これによって歳出削減したところでの財源を生み出す、こういう方法が考えられるわけですけれども財政赤字がどんどん膨らんでおります。公債依存度も二倍になってしまうというような事態で、国民は、幾ら減税とかそういうのをしていただいても、将来にまた増税するであろうというような状況からすると、どうも安心できないというようなところで財布のひもがかたくなってしまうというところがあるわけです。  そういった点で、一番の増税による再建の方法というのはとらないんだというような、どこまで厳密に言えるかというのもあるかもしれませんけれども、そういう方向性を大臣が示すことによって、やはり経済の活性化とかいわゆる景気対策とかによる自然増、あるいはリストラによって財政を立て直していくんだ、そういう方向性を明確にすることによって国民も安心すると思います。  その辺について、国民の不安を払拭すべき言がお聞かせいただけるかどうか、いかがでしょうか。
  103. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そこのところは大切なところでございますけれども、このたび、来るべき国会政府がお願いいたしたいと考えております税制改正は、所得税の最高税率を六五から五〇に下げたい、また法人税率を四〇にいたしたいということでございますが、これらはいずれも国際水準というものを考えておりまして、願わくばこれはいっときのことでなく、少なくとも将来の我が国の税制がそれ以上の直接税負担を課さないようなものてありたいということを願いながら、私ども御提案をいたしたいと考えているところでございます。それは直接税に関することでございます。  他方で、少子・高齢化というようなことからくるいろいろな意味での国民負担の増大ということが、またございます。それをどのように処理するかという問題は、また別途ございますかと思いますけれども、少なくとも国民の働く意欲、あるいは企業意欲というようなものを損なわないという意味での直接税にはおのずから限度がありますし、また、国際的な基準というものも大事なものではないか、私は将来を展望してそのように考えております。
  104. 並木正芳

    ○並木委員 いわゆる消費税等においては、これは福祉、いわゆる高齢化時代に備える。そういう意味では、まあもともと導入がそういう動機もあったわけで、国民もある程度までは納得するものがあると思いますけれども、むしろ消費税に関しても、一般財源にして借金返しというようなところに使われかねない、こうなると社会保障も将来も年をとって不安でしようがない、こういうようなことにもなっていったと思うんです。  そういった点からすれば、今の大臣の発想というのは、きちっと明確な目的において国民に負担を強いることもあるということかと思います。そういった点での消費税の福祉目的化というのが盛んに言われておりますけれども、大臣のお考えもお聞きしたいと思います。
  105. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 消費税の福祉目的化につきましては、総理も申し上げておりますように、これはやはり将来を展望して十分御議論をいただきたいところだというふうに私も考えております。  他方で、直接税につきましては、先ほど申しましたいろいろな事情から今年御提案をいたしたいという水準は、将来に向かってこれ以上上げたくないという私どもの気持ちを反映いたしておるものでございます。
  106. 並木正芳

    ○並木委員 さて、一、二、三と述べました二番目の景気回復という方法ですけれども、これにはとにかくさまざまな方法を駆使しなければならないと思います。  地域振興券も当初の額からは大分小さなものになってしまいまして、そういったことからしますと、これまで小出しでは効果がない、非常に国民にとってのインパクトが薄いという点ではもっと思い切って出すべきであったというふうに思えるわけですけれども一つの対策であるというふうに期待をしているわけです。  減税についてなんですけれども、私は、一般的な所得減税よりも、やはりめり張りをつけた重点的な政策減税、こういうものがもう必要な段階じゃないかなというふうに思うわけです。  例えば、これはお聞きにくいかもしれませんけれども、公務員の方は少しでもベースアップはしたわけです。物価が下がっていることからすれば、それは将来不安とかあるわけですけれども、暮らし向きとしては決して悪くない、数字的にも悪くないということになるわけです。一方、貸し渋り等で苦労している中小企業、あるいは低金利によって困っている年金生活者、こういうようなものがあるわけなんですけれども、こういうところにめり張りをつけて政策を打っていくべきであるというふうに考えるわけです。  中小企業の方への対応として、貸し渋り対策等取り組んでいただいておるわけですけれども、中小法人への軽減税率とかあるいは重点的な減税策、こういうものが考えられないのかと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  107. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 お答え申し上げます。  中小企業についてお尋ねがございました。中小企業大切だということで、税制上、これまでもいろいろな措置を講じているところでございます。  中小軽減税率についてお話がございましたが、税の考え方といたしまして、これまでの税制調査会の答申でございますが、これが政策観点から設けられている、創設当初に比べ格差が相当大きくなっているということから、基本税率との格差を縮小するという方向で検討してはどうかというような指摘もございます。  いずれにいたしましても、平成十一年度税制改正につきましては、政策税制の問題を初め、現在税制調査会でまさに幅広い観点から検討が進められておりまして、こうした検討の結果を踏まえまして決定されることになるというふうに考えております。
  108. 並木正芳

    ○並木委員 きょうは日銀の副総裁もおいでいただいているわけですけれども、これまでの超低金利政策、これは借金に苦しむ企業とかあるいは銀行に大きな利益をもたらした、そういう効果はあったかもしれませんけれども、焼け石に水というか、実際に景気浮揚効果というのはほとんどなかった。  超低金利政策が普通もたらすはずの株や土地への投資意欲、それは信用不況、先ほども述べましたけれども、あつものに懲りてなますを吹くという言葉もありますけれども、非常にそういった点で、バブルの中での投資に懲りている国民にとっては、幾らお金を、安くして、借りてどうぞ投資に回してくださいなんと言っても効果がない。あるいは設備投資も、現在、需給バランスが崩れるほど過剰な設備投資になっている。  ですから、低金利でも、この際お借りして設備投資を進めましょうというところでも効果がないというようなことを考えますと、むしろ消費者サイド、先ほど年金生活者の問題もありましたけれども、あるいはお金を持っている方も、金利を楽しみにいろいろ消費に回していく、そういう大きなお金を使う人たちですね、そういった点においても、超低金利政策というのは、この辺でむしろ、常識的経済手法とは違うわけですけれども金利を上げるという中で消費者サイドを刺激する、そういう観点も必要じゃないかなと思うわけですけれども、日銀の方、いかがでしょうか。
  109. 藤原作彌

    ○藤原参考人 お答えいたします。  私ども、我が国の経済情勢は依然極めて厳しいと認識しております。そのために金融政策で何をなすべきかということは日夜腐心しているわけですけれども、今委員のおっしゃった金利を上げるという案も一つの案としてあるかもしれません。実際、エコノミストでそういうことを主張なさっている方もございます。  しかし、今のような経済情勢のもとでは、やはり、まずもって経済活動を金融面から下支えして需要の喚起を図りまして景気の回復を図っていくということがまず第一じゃないかというふうに私たちは考えております。  もし、今ここで金利を引き上げるというようなことをすれば、採算の悪化や企業収益の減少、さらには資産価格の下落などを通じて、経済活動全般を一層落ち込ませるんじゃないかと危倶するものです。このことが、ひいては雇用や所得を減少させ、結局個人消費にマイナスの影響をもたらすことになるんじゃないか。いろいろ試算してみましてもどうしてもそういうことになるわけでして、もちろん、景気が回復して、その回復軌道が定着した暁には私どもも超低金利政策というものを見直すわけですけれども、まだその状況には至っていないというのが、残念ながら私どもの現在の判断でございます。
  110. 並木正芳

    ○並木委員 それは理論的に、風が吹けば云々で詰めていった、そういう意味でのあれはわかるわけですけれども、やはりこの閉塞感の中で金利の問題というのはかなり、GDPの今や六割を消費が占めると言われております、この辺にインパクトを与えると思いますので、今後ともその辺を検討していただければというふうに思うわけです。  それでもう一つ、めり張りをつけたという意味で、地域的な問題なんですけれども、拓銀が破綻して以来、北海道経済というのは大変厳しい状況にあるわけです。  この北海道について総理が対策を講じるんだというような意味のこともおっしゃっているんですけれども、具体的な対策をどういうふうに考えておられるのか、その辺についてお聞かせいただければと思います。これは経企庁だと思いますが。
  111. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 北海道について、すぐ視察に、私自身も伺いました。  特に、北海道全般の景気の低迷、金融問題等につきましてさまざまな対策を打ちまして、十一月十六日に北拓銀行から北洋銀行への引き継ぎは比較的、予想以上には混乱なく移行できたとお伺いしております。  また、懸案でございます苫東関係の予算につきまして、今回また新会社を設立することになりまして、二百二十二億円、補正予算で組ませていただきまして、新しい苫東をつくり出そう、北海道に新しい夢をつくろう、これはもう特にお願いして、六百六十六億円の費用のうち三分の一を計上させていただいております。  そういうことで、また新しい動きが出てくるのではないかと、私自身期待しております。
  112. 並木正芳

    ○並木委員 困った人への重点的な対策というようなことも申し上げましたけれども、もう一方では、国民的に非常にまだニーズが高い、そういうものに対して施策を講じるべきじゃないか。その一つに、私は、より快適な住宅に住みたい、そういう国民のいわば欲望というか、そういうものは高いと思います。この辺を刺激すれば消費を喚起できるんじゃないかな、そういう考えも持っているわけですけれども、これについて二点お聞きしたいわけです。  これは、検討もされていると思いますけれども、住宅ローン利子をローンが終わるまで所得控除していく、こういう減税の導入はいかがかということと、もう一つは、住宅取得促進のため、時期を限って不動産取得税とか登録免許税あるいは印紙税等、これは何重課税かと言われておりますけれども、こういうものを免除するというか、そういう時限的な措置というか、そういうものはいかがかと思うわけなんですけれども、この二点についてお聞きしたいと思います。
  113. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 今般の緊急経済対策におきましても、住宅建設、民間設備投資等、真に有効かつ適切な政策、税制について精力的に検討するということで、まさに今、政府税制調査会を初め検討が続けられているわけでございます。  住宅減税についてのお尋ねがございました。  ただ、先生のおっしゃられますような、手法としての住宅ローン利子の所得控除制度でございますが、これは実は所得税制になじむのかという基本的な問題がございまして、この点も税制調査会でしっかり検討していただかなきゃならぬと思っております。いずれにいたしましても、中堅所得者のローンによる住宅取得を支援するということが大切だと考えておりまして、十分検討を行ってまいりたいと思っております。  あわせて、住宅関係の流通税を免除してはどうかということでございました。  実は、平成九年度におきましても優遇措置を相当拡充しておりまして、例えば登録免許税については、今、保存登記が平成九年の平均で一万七千円ぐらいのレベルにまでなっております。また、不動産の譲渡契約書の印紙税、これも相当負担軽減を図らせていただきました。  免除ということになってまいりますと税体系全体にかかわるだけに、このような優遇措置をとってきているということを御理解いただきたい、こういうふうに思っております。
  114. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 今の苫東でございますけれども、第三次補正予算じゃなしに、平成十一年度予算の要求でございます。訂正いたします。
  115. 並木正芳

    ○並木委員 今、住宅、主に持ち家にかかわる税の問題をお聞きしたわけですけれども日本の持ち家というのは、一時ウサギ小屋と言われた時代から、大分欧米水準に近いところまで来た。しかし一方、借家というのが、四十五平米以下のものが半数以上を占める、はっきり言って非常に劣悪な状態にあるわけです。そういうような意味で、優良な借家の供給のために優遇税制を一層充実させるべきと考えるわけなんですけれども、その辺、借家についての優遇税制。  それともう一つは、定期借家権、これは建設省の方にお聞きしたいわけですけれども、非常に誤解等々があるわけです。  借家法はもうかなり古い法律になっておりますけれども、より優良な借家の供給と、そしてそれによって健全な賃貸借関係を構築する、さらには景気を刺激する、こういうために定期借家権についても導入を図るべきと考えるわけです。この辺については建設省の方からお聞かせいただければと思いますけれども、借家の優遇税制と二つお聞きしたいと思います。
  116. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 まず、借家の方でございますが、これは先生御承知のように、今継続審議になっております。  それで、おっしゃるように、持ち家の平米数は日本では今百二十二平米ということで、これはドイツあるいはイギリスよりはもっと上でございますが、そういうようなことで、持ち家のスペースは十分と言ってもいいのだろうと思うのですが、先生御指摘のように、借家が大変狭小なものでございますから、これに対する税制あるいはまた定期借家権の導入を促進いたしまして、家を借りる方も家を貸す方も安心して契約をすることができるように、この法律が一刻も早く成立するように努力をしていきたいと思っております。  そして、そういうようなことをいたしますと、私は考えておるのですけれども、中古住宅の市場もまた新しく開発されてくるのではないか。何も家を持つだけが人生のすべてでもないと私は思うわけでございまして、やはり、借家制度を税制上もあるいはまた料金的にも低廉なものにしてまいりましたら、私は、中古住宅市場そしてまた借家の市場も大きく開発されてくると思うのです。  私は、常々思うのですけれども、大の男が本当に自分の人生すべてかけて一軒の家を残して、そして他界をしていくなんということは、考えただけでも寒けがするわけでございまして、人間、もっとやはり人生を楽しんで終わるべきじゃないかな、そういうふうに思っております。ですから、私は、今言いましたように、税制のことはまた担当の方から御返事をいただきたいと思うわけでございますが、ぜひファミリー向けの良質な賃貸住宅の開発に努力をしたいと思っております。
  117. 並木正芳

    ○並木委員 では、時間もあれですので、幾つかありますけれども、最後。  細かいあれかもしれませんけれども、主婦の勤労意欲というのが非常に高まっていると思います。パート労働による収入というのも、もちろん家計を助ける、そういう意味もあるのですけれども、主婦のお小遣いになるとか、そういった点では大変消費につながるあれが大きいのじゃないかなというところなんです。  主婦のお小遣いをふやして消費に結びつけるというのをさらに一層促進する意味で、パート労働による収入の扶養控除枠でございますけれども、これを拡大すれば、その辺の拡大した分を主婦はお金を使うようになるのではないかというふうにも考えるわけなんです。この辺、所得税の全体的なバランスの兼ね合いがあるとは思いますけれども、ぜひ進めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  118. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 パートの労働の問題につきましては、かねて御議論をいただいているところでございます。  このパートの非課税限度額でございますけれども、いささか技術的になりますが、所得税の基礎控除の三十八万円と、給与所得控除に最低保障額というのがございまして、この六十五万円を合わせて現在百三万円ということになっております。  これまでもいろいろな御指摘をいただきまして上げてまいってきたわけですが、今のようなことからその非課税限度額が成り立っているものでございますから、そこを上げるということになりますと、実は課税最低限を直接上げるというふうになってくるわけでございます。したがいまして、その課税最低限の引き上げといいますのは、今の日本の所得税制のあり方としてもいささか問題はありやしないかというふうに思っているわけです。  いずれにいたしましても、このパートタイマーの方の税制というのはいろいろな問題がございまして、くどくどと申しませんが、税制を個人単位でとらえるのか、世帯単位ととらえるのかとかございまして、いずれにいたしましても、今後基本的な問題として検討していかなければならないというふうに思っております。
  119. 並木正芳

    ○並木委員 政府委員の話を聞くと、これまで景気対策がおくれて、財政構造という建前論で執着していた、もちろん仕事としてはきちっと果たしていただいているのでしょうけれども、その辺のことが何かよくわかったような気がします。  ぜひ、景気対策最優先という路線に変わるわけなので、その辺を考えていただいて積極的景気対策を進めていただければというふうに御意見を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  120. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて並木君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  121. 麻生太郎

    麻生委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。松浪健四郎君。
  122. 松浪健四郎

    ○松浪委員 自由党の松浪健四郎でございます。  長いこと野党をやっておりましたので、法案について賛成する立場から質問をさせていただいた経験がございませんので、もしかしたならば与党の皆さんに不快感を与えるかもしれませんが、その点、お許しを賜りたい、こういうふうに思います。  昨日からこの委員会が開催されまして、宮澤大蔵大臣堺屋太一経済企画庁長官におかれましては、初めから終わりまでずうっとシルバーシートでもない厳しい席にお座りいただいて御苦労をいただいておりますけれども、幾つかの問題点を視点を変えてお尋ねしたい、こういうふうに思います。  この財政構造改革法は、我々野党にいるときには、成立させてはならない、景気を低迷させてしまう、こういうふうな思いから反対をさせていただいたり、あるいは凍結法案等を出させていただきました。結局は、これだけ我が国の経済が落ち込んで、景気が悪い、そこで、政府財政出動を余儀なくされ、この法律を凍結するというふうになったんだと思いますけれども、きのうからの議論をお聞きしておりますと、物が必要でなくなったから今冷凍庫に入れて冷凍しておく、必要になったら出すんだ、こういうふうな受け取り方の議員もいらっしゃいましたが、私は、そうじゃないんじゃないのか。  この法律をよく読んでみますと、我が国の財政という問題、ここから見たときには必要不可欠な法律なんだ。ただ、今の経済情勢、社会情勢がこの法律に合わないだけなんだ。そこでほうふつとさせられましたのは、実は古代エジプトのミイラの話でありました。  人間あるいは動物は、生を得たものは必ず死を迎える。しかし、死を迎えるけれども再生するんだ、生き返るんだ。そこで、古代エジプト人は、ミイラをつくる、そして保存するということにいたしました。必ず生き返って再び活躍するんだ、そういう思いであの古代エジプトの文化というものが大きく花を開き、今日、私たちにいろいろなことを教えてくれているわけです。  その生き返るミイラをつくるときに、そのままやっておくと腐ってしまう。そこでエジプト人は、カノプス容器というものに、内臓を外してそこに保存し、それをミイラの横に置いて保存するということにいたしました。そして、再生するときにそれをまた内臓として入れればいいじゃないか、そういう考え方であったわけであります。  この財革法をミイラとして保存する、しかし、そのまま保存しておいて腐らないかという心配が私にはあるのです。だから何らかの形で、それは、法律として一々列記するあるいは附帯決議として置くのではなくて、考え方として、工夫を凝らしておく、そして凍結するんだ、そういう思いがあるのか、あればどういうものであるのか、まず大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
  123. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この法律につきましては昨日からるる御説明を申し上げておりましたが、なるほど、今のような考え方をすればいいのかとお教えを受けたところであります。
  124. 松浪健四郎

    ○松浪委員 私は、かつて大学教授をしておりましたから人に教えるのは仕事のうちではあるのですが、しかし今は一議員でありまして、ちょこっと工夫するぐらいの知恵は大蔵大臣にはあるのではないのかと思いましたが、ないということで、ちょっと失望いたしました。  そこで、各党の皆さん方は、大蔵大臣をも含めて政治責任を追及されていらっしゃいました。なぜ今ごろ政治責任を追及するのか、私はちょっと不思議でありました。なぜならば、もう既に参議院選挙の折に責任をとられたじゃないか。あのときの大蔵大臣もここにいらっしゃらなければ総理もいらっしゃらないではないか。何をしたんだ、責任をとったんだ、私はそのように思っております。ですから、責任問題をここで再び持ち出すというのはいかがなものか、こういうふうに思うわけです。  新聞を読んでおりますと、大蔵大臣予算編成を終えたらやめられる。きのう、生方議員の質問に対しては、いや、当面やめないんだと。では、その当面というのはいつなのか、いつごろなのか。新聞を見せましょうか。とにかく大蔵大臣は、当面の間はやめない、こういうふうに言われておるわけですが、やはりやめられるつもりがあるのかないのかをお尋ねしたいと思います。
  125. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨日お答え申し上げましたのは、多少私的な事由によりましてそういうことを私は申しましたわけでございますけれども、それはまことに私的な理由でございまして、総理大臣に対しましてそのようなことをお願い申し上げたことはございません。  したがいまして、前にもこれは申しておりますけれども、国務の渋滞は許さないというふうに考えておりますので、総理大臣からそのようなお許しを得ておりませんので、大蔵大臣といたしまして、この法案の御審議に全力をもって当たらせていただきたい、このように考えております。
  126. 松浪健四郎

    ○松浪委員 宮澤大臣はおやめにならないということで安心をしたところでありますけれども。  政府が出した一つの法律を大変な労力を費やして成立させた。ところが、その法律を今度は凍結する。そして、三顧の礼でお願いをした大蔵大臣がやめるとかやめないとか、そういう活字が新聞に躍るようでは、私は、さらに政治不信というものが募ってくるのではないのか。国民は、政治というものはやはり信頼できる、そして最高道徳というものを理解しながら活動している。しかし、昨今の新聞を見ておりますと、切れ目なく政治家の不祥事が報道されているわけであります。これは、その一議員のことを私は申しておるのではなくて、国民政治不信というものが募って、そして国会国会としての機能を持たないようになる、これは大変つらいことである、そういう思いをいたしております。  きょう十二月三日は記念すべき日であります。なぜ記念すべき日であるのかと申しますと、関西国際空港の飛行ルートが新たに加わる。私の住む大阪府内に限って申しますと、貝塚市上空から知多半島に抜ける、もう一つは、淀川河口から滋賀県に抜けていく、この二つのルートが新たにきょうから加わります。  ところが、この関西国際空港ができるに当たりまして、政府側は、陸上を飛ばない、飛ばさない、こういう約束で地元の皆さん方が建設に協力してきたという経緯がございますが、大阪府内に限って、どのようにしてこの飛行ルートが可能になったのか、航空局長から御説明いただきたいと思います。
  127. 岩村敬

    ○岩村政府委員 関西国際空港に関する飛行経路でございますが、今先生から御指摘のとおり、当初、空港の着工に先立ちまして、昭和五十六年になりますが、地元に三点セットというものを示しております。その中で、「努めて海上を飛行する」ということで、先生今御指摘のとおり、大阪府域に直接離陸した飛行機が上がるようなルートを避けておったわけでございます。  しかしながら、平成六年の九月に開港いたしまして、その後順調に増便もしております。その結果、これ以上の増便ができない、特に昼間の時間帯の増便ができない、そういう状況に立ち至りました。そういうことでございますので、平成八年の七月以降、地元三府県、大阪府もございますが、御説明を続けた結果といたしまして、大阪府につきましては、今先生からございましたように、大阪市、それから貝塚市の上空になるんですが、そこから陸域上空に進入する新たな飛行経路を容認するという結論を地元の自治体、議会からちょうだいをいたしたわけでございます。それが本年の七月でございました。それで、本日よりその新しいルートを使って運用を開始したところでございます。  飛行経路の変更については、先ほどもございましたように、当初、海上を努めて飛行するということで、想定をしておらなかったルートでございましたので、地元の理解が必要となりまして、その理解を得るために、問題点、さらには新しいルートの説明等々を二年にわたり繰り返しました。そして、その御理解がいただけるに至ったのは、大阪府の知事、それから大阪市長、さらには直接関係いたします貝塚市長、こういった関係の都道府県の市長さん、知事さんが集まっております関西国際空港対策協議会という関係者の集まりがございますが、ここの皆様方の御理解と御協力のたまものであるというふうに思っております。  運輸省といたしましては、きょうから新しい経路で飛んでおりますが、安全かつ円滑な運用を確保するということ、それからこの問題の根っこにございます、環境が悪化してはいかぬということがございますので、環境監視体制の強化、これも地元とお約束しておりますが、それを着実に行って、騒音問題の生じない空港づくりという関空の基本原則に基づいて、地域と共存する空港となるように今後とも努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  128. 松浪健四郎

    ○松浪委員 いずれにいたしましても、きょうから運航が開始されているわけでありますけれども、安全運航には心がけていただきたいということと、もう一つは、八千フィート上空を飛ぶというこの約束を守っていただきたいということを重ねてお願いしておきたいと思います。  このなかったルートを突如運輸省が持ち出し、そして地域の皆さん方は、国に政治不信を募らせながらも理解を示し、国に協力してきたということは、今岩村航空局長からお話があったとおりであります。  この財政構造改革法を本当に有効なものにする、私は、やはり行政改革とセットにし、同時進行であったならば、もしかしたならば凍結させる必要がなかったのではないのか。若干、一生懸命政府も行政改革をやっている一面もありますけれども、おくれているがゆえに凍結せざるを得なくなったのかなというふうな印象を持っておりますけれども、何をするにしても、我々は、政治不信というもの、これを募らせてはならない、私はこのように思っております。  そこで、岩村航空局長からお話がありましたように、貝塚市上空を飛ぶ、そしてその貝塚市の市長が一生懸命この陸上ルートを可能ならしめるために協力をしてくれたというお話がありましたが、その貝塚市に国立療養所千石荘病院という病院があるわけですけれども、厚生省が行っている国立病院・療養所再編成計画によりますと、この地元にある病院は、防災の基幹施設として整備するということになっているとお聞きしております。その進捗状況について、厚生大臣からお聞かせいただければと思います。
  129. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 千石荘病院につきましては、確かに、大阪府の防災基幹施設として、関西国際空港関連施設整備大綱の中にも、救急医療施設と感染症専門医療施設群をつくるということと、それから同時に、これは別個の組織に今なっておりますね、先生御承知のように、市立泉佐野病院というところに統合されて、市が委託管理をされております。  しかし、そこにもう一つ、高度医療体制の整備ということで、国立泉北病院と国立療養所千石荘病院等地域の基幹となる医療施設については、救急医療体制の整備とあわせて拡充を促進し、高度な医療サービスを提供すること、こう書かれておりますが、私どもは、そういった全体の中で今現に国立病院・療養所の再編成合理化を進めておりまして、その基本指針に基づきまして再編成計画全体を見直しをいたしております。  当然、この千石荘病院も、どうするかということもその中の一環として検討中でございまして、まだいろいろの検討すべき諸問題等もあり、調整も要する点もあるようでございますから、今ここでそれをどうするかという結論を申し上げる段階にございませんが、そういった経緯その他は十分心得ているつもりでございます。
  130. 松浪健四郎

    ○松浪委員 行政改革をするということで、国立病院三十四、療養所は四十、これを統廃合する方向にある、これはもう既にかなり進められておるわけでございますが、残る国立病院あるいは療養所については、今大臣がおっしゃられたように、どのようにしていくか検討するということでありますけれども、この千石荘病院は廃止されるのではないのか、もちろんこの再編計画にのっとって廃止されるのではないのかというふうに巷間で言われております。  そこで、これだけ防災基幹病院にするという話がありながら廃止される、ますます政治不信が募ってくる、このように私は心配しておるわけですが、この情報は単なるうわさの域を出ないのか、それとも信憑性の高いものなのか、もう一度厚生大臣にお尋ねしたいと思います。
  131. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、諸種のいろいろな条件等がございますので、今ここで私の方から、存置するとか統廃合するとか、あるいは廃止するとかいう結論を申し上げる段階にないことだけ申し上げさせていただきます。
  132. 松浪健四郎

    ○松浪委員 当時の井出厚生大臣は、平成七年二月二十五日の予算委員会の答弁におきまして、この千石荘病院は防災基幹病院にする、こう答弁されております。その前段で、その前に関東圏では立川の病院を防災基幹病院として整備していく、そして西日本ではこの千石荘病院をやるという答弁でありました。けれども、国立病院や療養所の再編成を推進していく中で、我々は、政府が言うように、またかつて言ったように、防災基幹病院として整備をする、果たしてその努力を国がしてくれるのだろうか、なくなるのではないのか、そういうふうな不安とともに、防災基幹病院としての整備を希望しておるわけですが、もししてもらえないということになれば、ますます政治不信が募ってくる。一体だれの言うことを信用すればいいのだろうか、こういう危倶を持つものであります。  いま一度厚生大臣にお尋ねしますけれども、防災基幹病院として整備するということはもはやこの千石荘病院では考えておられないのか、それとも検討中であるのか、お答えいただきたいと思います。
  133. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 平成七年当時の井出厚生大臣が予算委員会でそのような御答弁をなさったことも承知しておりますけれども、その後、中央省庁等の改革基本法もできまして随分情勢は変わってきております。そして、基幹的な政策医療についてだけ国立病院としては特化する、あるいは研究センターみたいなものだけ残してあとはエージェンシー化するというようなことが言われるようになってまいりまして、大きく枠組みの変化があります。  したがって、今ここでイエスかノーかということを私が申し上げるわけにまいりませんので、これはノーとも言いませんが、またイエスということで、災害病院として、指定病院として整備するということも申し上げかねるということでございまして、今後の再編計画の中の一環として検討すべきものだ、こう思っておりますので御理解いただきたいと思います。
  134. 松浪健四郎

    ○松浪委員 ともかく国民政治不信を募らせることのないように、政府が一たん約束したことはきちんと守る、できないことはきちんと説明をし、おわびをする、そして責任をとるべきものはその責任を明確にしていく、このことが問われているような気がいたします。  そこで、この財政構造改革法の凍結をめぐるだけの問題ではありません。なるほど、経済は国の心臓でありますし、重要なものであることは多言をまつまでもありませんけれども、どうも我々は経済中心主義に陥ってはいないだろうか。経済が悪いから経済のことばかりを考えるという状況に今我々はないだろうか。人間が人間として豊かな心を持って生活していく、あるいは文化的な暮らしをしていくというようなことをも並行して考えていかなければならない、私はこういうふうに思うわけですが、新聞報道等は経済一色であります。  そのことは、それだけ特筆すべき経済の悪化、低迷があるからだと言われればそれまででありますけれども、私たちは、もう少し人間らしい生活をするような、経済中心主義というものからちょっと離れて、文化というものについて考えながらこの国のかたち、構えを考えていく必要があると私は思っております。  そこで、我々自由党は、自民党の皆さんと手を携えて、これから政府与党の皆さんに協力をさせていただくということになっております。  次の、来年度の予算では、おおむね自民党皆さん方は編成に着手されているであろうから、我々はそれほど口を出さない。しかし、概算要求等を含めて今度の予算案で本当に景気を回復することができるんだろうか、そういうふうな思いを持っておりますが、大蔵大臣、今度の予算景気を回復するためにどの程度自信がおありか、お尋ねしたいと思います。
  135. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先般、緊急経済対策を樹立いたしまして、その具体化として、間もなく補正予算を御審議いただきたいと考えておりますが、その緊急対策におきまして、経済企画庁長官は、我が国は平成十一年度においてはプラスの、ポジティブの成長をどうしてもしなければならない、そして平成十二年度においてさらに成長の足取りを確かにする、こういう目途である、そして、この緊急対策の波及効果というものは減税を含めて実質成長、実質二・三%であるということを言っておられます。  したがいまして、そのような緊急対策をバックアップいたしますために、補正予算並びに明年度の予算編成をいたしまして、そのような目的の達成を図らなければならない、このように財政当局としては考えております。
  136. 松浪健四郎

    ○松浪委員 とにかく立派な予算案をつくっていただきたい、こういうふうにお願い申し上げます。  それで、まあ補正もあるんだからそのとき考えればいいじゃないかというふうな安易な気持ちで予算案をつくるのではなくて、この平成十一年度予算景気を回復軌道に乗せることができる、その自信に満ち満ちた予算である、そういうようなものをつくっていただきたいとお願いしておきたいと思います。  最後に、我々自由党の若手議員は、選挙目当てのために自民党の皆さんと手を組むのだという思いは全くございません。真に国民が自信と誇りを持つことのできる立派な国をつくりたい、この思い自民党との連立に賛成をさせていただきました。単なる数合わせであるとは思っておりません。  いま一度、元総理の宮澤大蔵大臣に、この自自連立についてどのような感想をお持ちであるのか、お尋ねしたいと思います。
  137. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前国会におきまして、私ども少数党としていろいろ、金融関連法案を初めたくさんの法案の御審議を国会でお願い申し上げましたが、衆議院におきましても、参議院におきましても、その運営におきましていろいろ御協力をいただきつつ、非常な難航をいたしました。  それが最近の体験であったわけでございますけれども、考えてみますと、小沢党首が率いられる自由党は、私どもとかつては同じ、いわば同根でございまして、国政における考え方も非常に近いものがあるといったようなことから、両党首の間でお話し合いがあったと承知をいたしておりまして、願わくは、志を同じくして今後の我が国の進路を誤りなからしめるように提携をさせていただければ大変に心強いことであるというふうに考えておるわけでございます。
  138. 松浪健四郎

    ○松浪委員 真摯な御答弁を賜りました。時間が参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  139. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて松浪君の質疑は終了いたしました。  次に、春名真章君。
  140. 春名直章

    ○春名委員 日本共産党の春名真章でございます。  財革法のこの凍結法案によりまして行われる今度の補正では、社会資本整備費として三兆九千六百一億円が計上される。このことによって、今年度の公共投資の予算額が十七兆円を超えるということになると思います。国債発行額が三十四兆円、公債依存度は三八・六%、過去に例のない、そういう意味では最悪の予算ということになります。こうした公共事業積み増しの景気対策は、政府自身が、禁じ手である、余り効果がないということで既に断を下していたものでありました。そこで、私は、この最大の影響を受けております地方自治体の問題に絡めながら、きょうは議論をさせていただきたいと思っております。  第一に、西田自治大臣にまず伺いたいと思います。  第一次補正のときは大臣ではございませんでしたけれども、第一次補正のとき、一兆五千億円の地方単独事業が積み増しされました。しかし、今回はこれは計上されておりません。その理由、まずその点をお聞かせいただきたいと思うのです。
  141. 西田司

    ○西田国務大臣 お答えをいたします。  今回の緊急経済対策において御指摘の地方単独事業の追加要請を行わなかったのはどういう理由か、こういう御質問だと思うわけでございますけれども、まず第一には、地方財政が急激に悪化をしておる、一段と厳しい地方財政状況を考えております。  それから二つ目ですけれども、同一年度内に二度の過去最大規模の経済対策を実施するという異例の事態の中であって、その多くは地方団体が実施主体となること等を考え合わせますと、今回は単独事業は控えたい、こういうことでございます。  それからもう一つ、地方単独事業の追加については、今後の経済状況の推移、地方財政や地域経済状況、それからもう一つ、地方団体の意向も十分伺いながら方向づけをしていきたい、こういう考え方でございます。
  142. 春名直章

    ○春名委員 何はともあれ、それだけ地方財政が抜き差しならない事態になっているということの御認識を共通の土台といたしまして、これから議論をしていきたいと思います。  そうである以上、一次補正で地方単独事業を、私どもの反対も押し切りまして一兆五千億円やらせました。このことは今から考えてどうだったのだろうか、誤りではなかったのだろうかということを私は感じるわけでございますけれども、その点についての自治大臣のお考えをお聞かせください。
  143. 西田司

    ○西田国務大臣 先般来議論をなされておりますように、今当面国が取り組んでいかなければいけないことは、国民生活に一番身近な景気対策の問題であります。そういうことを何とかして前へ向いて進めていかなきゃいけない、こういうことでございますから、一次補正の問題についてはそれでよかった、私はこのように思っております。
  144. 春名直章

    ○春名委員 予算の方は、九月の補正などで恐らく計上をしているんじゃないかと思うのですよ、一兆五千億円は。ただ、これはもし御存じだったら大蔵大臣にお聞きしておきたいと思うのですけれども、第一次補正で一兆五千億円積み増しをさせられる数年前から、地方単独事業費の計画分、その額が十分消化し切れずにずっと来ていたんじゃないか、それぐらいあっぷあっぷしていたんじゃないかというふうに私は思っているのですが、そのような御認識といいますか、そういう事実というのは御存じかどうか。大蔵大臣、いかがでしょう。
  145. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は正確に存じませんけれども、地方にいろいろ御苦労をおかけしていたことは感じております。
  146. 春名直章

    ○春名委員 御苦労をおかけしていたということについて、私も冷厳に見ておきたいと思うのですね。  地方単独事業費の予算、決算の比較をちょっと調べてみたのですね。そうしますと、九四年度九月の補正後の予算を合計したものとの対比なんですけれども、九四年度で見ますと、決算はマイナス一兆五千二百十億円、九五年度マイナス二兆三千九百五十七億円、九六年度マイナス三兆三千六百二十五億円、恐らくこれは九七年度もマイナスになるんじゃないかと思うのですが、つまり、いろいろ御苦労かけて地方に御負担をお願いするということをやってきたがその体力がない、だから未消化のままに終わってしまっているというのが冷厳なる数字の事実であります。だから、三年間そういう事態になっていたのは、五月の補正予算をやるときには、一兆五千億円積み増しするときには既に自明の事実でありました。ところが、そうであったにもかかわらず、さらにそれを上乗せするということがやられたわけであります。  皆さん、予算は、その中身はどうあれ、執行されてこそ初めて効果があるのであります。特に、景気対策というのであれば、皆さん方は即効性が大事だというふうにおっしゃっているので、それはお金を早く使うということでなければ効果はあらわれないわけですよ。ところが、一〇〇%消化されないことが初めからわかっていて、なおかつ積み増しをする、そういう経済対策景気対策は私はどうかと思うのです。そういうやり方が正しいのかどうか、そのことを私は問いたいのであります。  地方財政についても大蔵大臣として大きな責任を持っていらっしゃいますので、そういう対策がいいのかどうか、このことを今改めて私は考えていただきたい。大蔵大臣の御認識を問いたいと思います。
  147. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 過去においてそういうこともいろいろ承っておりましたので、もとより不可能なことを最初からお願いをしたということはなかったはずでございますけれども、結果としてそうなりやすいということはこのたびもいろいろ反省をいたしました。
  148. 春名直章

    ○春名委員 反省をされるという率直な御答弁ですけれども、実は、これはまだ正確さを期さなければならないのですけれども、国がやる補助事業でも未執行額があるのじゃないかという疑いすらあるわけであります。  第一生命というところの経済研究所が八月二十六日に「公共事業は実施されたか?」という研究論文を発表しています。それによりますと、「九二年度から九五年度の間に、六十兆円の経済対策が実施され、約三十兆円が公共投資とされている。そのうち、約三分の一に相当する十兆円の公共投資が実施されていないとの試算が得られる。」こういう調査を報告しております。これは、誤差もかなりあるのでこれが正確だとは言わないがというただし書きがついております。しかし、そういう調査すらあるということであります。  公共投資の無理な積み増しがこういう事態になって、今矛盾となってあらわれている。即効性や波及性ということをおっしゃるわけですけれども、その前提がないというような予算をお組みになろうとしている。私は、こういう大問題がこの問題では横たわっているというように感ぜざるを得ないのであります。中身がいいのか悪いのかは別にして、そういう問題だということを私は認識していただきたい。  この間、大都市部の都府県に行ってまいりました。財政危機が本当にクローズアップされております。東京、大阪、神奈川へ行ってきました。私は、率直に申しまして、やはり政府の対策の失敗が地方の財政困難の重大な要因になっているということを感じました。  私、大蔵大臣にこの点でもう一度お聞きしておきたいと思うのですが、地方財政危機の認識、そしてその最大の要因が一体どこにあるのかということについて、どのようなお考えでしょうか。
  149. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今般も、緊急経済対策決定、補正予算の編成に当たりまして、自治大臣からいろいろお話を承りました。  今回の場合は、殊に富裕団体において法人事業税等々の影響が大きいということが新たにございますけれども、それらを含めまして、累年、地方財政が非常な危機にある。長いこと行財政の再編成ということは、もう本当に数十年言われ続けておりますけれども、行われたことはないわけでございますから、そのまま事態がなって今日に及んでおるということ、そういうことを基本的に私は容易ならざる事態であるというふうに認識をいたしております。
  150. 春名直章

    ○春名委員 実に容易ならざる事態なんです。赤字団体に転落して財政再建団体になるかもしれないということで、大変なことになっているわけですね。  二つ理由がありますね。その第一は、法人二税が激減したことであります。これは、九兆円負担増の政府経済失政のツケが地方財政を襲ったということの姿にほかなりません。しかし、私は、そのことが真の要因じゃないと思うのですね。バブル崩壊後、税収が一貫して落ちてきて、ことしは急激に落ちているわけですけれども、落ちてきている間に、実は公共投資、単独事業費は大幅に積み増しをされていたのです。クロスしているのです。そのツケが今劇的にあらわれてきているということを認識しないとだめだと思うのです。  大阪ではどうでしょうか。九〇年度の税収と九二年から九六年度までの平均税収を比較してみました。三千二百十七億円もマイナスになっております。九〇年度の税収と九二年から九六年度までの五年間の平均税収との比較です。三千二百十七億円マイナスです。ところが、同じその期間に、公共事業費は平均千八百二十四億円もプラスになっています。つまり、差し引き五千四十一億円ですが、その公共事業費の圧倒的部分は借金で賄われるということになりました。  神奈川県は県債を毎年大体平均二千六百億円発行してきた。これは、景気対策につき合わされた公共事業拡大のためのお金でした。そして、県税収入がことし千二百億円落ち込んだために、一気に赤字へと突き進んでいくということになりました。  大蔵大臣にお聞きをしたいと思います。  私、一般的なことを言っているんじゃなくて、税収減の中でこのように投資的な経費を次々と拡大してきた、そのことがその傷を二倍、三倍に深くしてきたということだと私は思っているのですが、その事実はお認めになられるでしょうか。
  151. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういう問題があったであろうと思っております。
  152. 春名直章

    ○春名委員 大変素直にお答えいただきました。  それで、私はこのことを一般論に済ますわけにはいかないと思っております。九二年から景気対策をやられてきました。これは七回やられて、今度八回目になりますね。この七回の景気対策で、減税を除いた事業規模で大体総額七十兆円の景気対策がやられてきたのですが、約八割が、五十六兆円が公共投資という形でやられてまいりました。  それで、この九二年の年度途中の景気対策、これをやり始めたのが、宮澤大蔵大臣が当時総理大臣のときに始まったことでありました。九二年八月二十八日、総合経済対策が始まったわけでございます。年度途中の景気対策に地方単独事業が組み入れられるようになったのもここからでございます。そして、それまでは全額借金でやることはできませんでした。しかし、この年度途中の景気対策単独事業から全額借金でやっても構わないということに改正をされていきました。改悪と言った方がいいでしょうか。こうして自治体に借金をかぶせながら公共事業が随分大きな規模で行われてきたというのが事の真相でございます。  九二年の単独事業の年度伸び率一一・五%、九三年一二・一%、九四年一二%。一方、補助事業、直轄事業は、九二年二・二%、九三年五・七%、九四年二・九%、一けた台の下の方の伸びでした。明らかに地方の方にシフトをしていって、そしてその多くの部分を地方にやってもらうということが誘導してやられてきたというのが今日の姿であります。  そのはしりをつけられたのが当時総理大臣だった宮澤蔵相でございますから、その点でのこういうやり方、地方に押しつけてきた誤りを改めてはっきり明確にして、こういう誤りを繰り返さないということを私は大蔵大臣の口からぜひ断言をしていただきたいなというふうに思っております。
  153. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 よって来るところはともかくといたしまして、今の状況というものはやはり非常に異常な状況でありますから、考えなければならない問題だと思っています。
  154. 春名直章

    ○春名委員 ともかくとしてというよりも、その点の国の対策のあり方についての真剣な吟味を私は訴えているわけでございます。  地方に支障がないようにするということも繰り返しおっしゃっていますけれども、実際、今支障が来ているのです。ですから、ともかくもというよりも、そういうやり方についての真剣な吟味をこれからしていただけますね。
  155. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今の状況については真剣に考えております。
  156. 春名直章

    ○春名委員 私は、そういうことがやられてきた結果、もう一つ重大な問題を議論してみたいと思っています。結局、この借金財政の大きな犠牲を受けているのが国民であり、住民だと思うのです。  それで、大阪に行って私は驚きました。財政再建プログラム案というのが横山ノック知事を先頭に出されております。これは西田自治大臣も御存じかと思いますけれども。そのプログラム案の趣旨は、財政再建団体に落ち込んだら大変だということで大宣伝をされまして、府民にもさまざまな我慢をお願いするということで言われております。  中身を見て驚きました。私学助成費、年収七百五十万円超の世帯への助成廃止、幼稚園の四歳、五歳児への保育料の助成の廃止、府育英会の助成費の削減、公立病院設置市町村助成金の廃止、老人医療費公費負担の廃止、障害者、母子家庭、乳幼児対象の医療費助成の廃止、府立高校の入学金十倍化などなどが並んでおります。  ある調査によりますと、このプログラムを実施するに、削減見込みが二〇〇〇年以降、大体年三百二十一億円から四百五十億円程度、大部分が府民負担になるわけですが、こういうふうになると言われているのです。夫婦と子供二人、私立高校に通わせている方とそれから乳児の場合、そして六十五歳以上のおばあさんがいらっしゃる場合、この家庭を想定したということで数字が出ております。何と、この府民プログラムがやられるだけで年間負担額が二十万八百四十二円になるという試算もあるのですね。  行政改革一般を私は否定いたしません。しかし、自治体というのは、大臣もそうだと思いますけれども、住民の安全や健康を守るという点では必死になって頑張らなきゃいけない、そういう自治体ですよね。それが、五人家族で二十万、新しい負担をかぶせるというようなことが、今、借金の増大ということが理由になってやられようとしているんです。東京でも神奈川でも愛知でもほかの県でも同じようなことが行われています。  そこで、私は、改めて自治大臣とはまた地方行政委員会等でも議論できると思うんですけれども、私は大蔵大臣にぜひ率直な御意見をこの点で聞きたいと思います。  住民にこのように残念ながら負担を転嫁していくということになりますと、逆にこれは消費拡大のブレーキになっているんじゃないか、景気回復をおくらせる一つの足かせになってしまうんじゃないか、このように思うのです。そういう構図になっているわけですから、その点を私は御理解いただきたいといいますか、認識してもらいたいと思うんですが、そのように考えませんか、大蔵大臣
  157. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 すべて国民の消費生活というものは不況によって非常に影響を受けるわけでございますから、それはだれでもそういうことである、おっしゃるとおりだと思います。
  158. 春名直章

    ○春名委員 一般論で私も言っているんじゃありません。  今大蔵大臣おっしゃいました。大阪がなぜそういう事態をやらざるを得なくなったかということを私は調べてみました。そうしますと、九六年八月に「財政健全化方策」というのを出しているんです。そうしますと、景気対策観点から増額を続けてきた投資的経費が約二千五百億円増になっている。これが公債費の急激な増加をもたらした。九ページに書いてある。  「建設事業が増加している要因としては、国において「公共投資基本計画」に沿った社会資本整備の推進平成四年度以降の数次にわたる景気対策により公共事業関係予算が増額されてきたことなどによるものである。」このように原因を分析しているんですね。  だから、先ほど素直にお認めになっていただいたわけですけれども、九二年以降の、国が地方に要請してやってきた、その路線に乗ってやってきたことが、結果としては府民の、例えば大阪で言えばこういう形で福祉や教育という絶対に切ってはならないような部分にメスを入れるということにつながってきた、そこの国の責任の重大さを私は問題にしているんであります。  率直に言いまして、自治大臣からこのようなやり方はやめた方がいいというぐらいのことを私は言っていただきたいと思っておるんですけれども、こういう問題、自治大臣は、ではどうお考えでしょうか。
  159. 西田司

    ○西田国務大臣 率直な御質問ですので、私も率直にお答えをしたいと思っております。  現在の経済状態というのは、国にとっても地方にとっても過去に体験をしなかったような異常な事態だと私は考えております。そこで、いろいろな考え方ややり方はあると思いますけれども、やはり国と地方が一体になって、経済景気、そういうものをちゃんと回復させていく方向というもの、それは何をやっていくかというようなことから物が始まらないと、あれもいけないこれもいけないということだけでは国民も非常に不安になってしまいますから、そこらをお互いに連携をとりながら、知恵を出し合って一つ一つ乗り越えていくことが今当面の大事なことではなかろうか、私はこのように考えております。  あなたの御質問とはちょっと答えが一致しないかもしれませんけれども、以上でございます。
  160. 春名直章

    ○春名委員 国も地方も一体になって景気を回復していくということであれば、私はそのやり方をもっと問題にしてもらいたいと問題提起をしているんです。  公共事業の積み増しというのは、九五年、九六年の財政制度審議会で、こういうやり方は、花火のようにそのときにはぱっと効果があるけれども、その効果はすぐなくなってしまうんだ、後で財政に大きな負担をかぶせて大変なことになるんだという評価を下していたじゃありませんか。それをまた同じようにやろうとされていることに私は憤りを覚えるのでございます。  公共投資のGDPの国際比較も私は見てまいりました。OECDが出しているナショナルアカウント九八年度版から見てみますと、公共事業一般を私たちは否定していないということは御存じのとおりですけれども、例えば、この国際比較を見ますと、GDP比で公共投資の額はどうなっているか。日本は九二年、GDP比で五・六二%でした。ところが、この景気対策をやり続けたために、九六年は六・六四%に増大をしております。アメリカは一・八二%から一・七五%に減っております。イギリスは二・〇九%から一・四〇%に減っております。フランスは三・四六%から三・〇六%に減っております。総額も突出しているが、何よりも、諸外国がその比率を低下させているときに日本だけが膨張させていることが一目瞭然であります。  財革法凍結というのは、こういう路線をさらに進んでいきましょうというために凍結するという方向じゃありませんか。だから私は問題にしているのです。地方に負担をかぶせるのは誤っていたとおっしゃるのであれば、そういう方向を根本的に見直さないと、世界の流れからいっても取り残されていくような方向じゃないですか。そこの点で大蔵大臣にもう一度御決断といいますか、こういう流れでいいのかどうか、ここを私は問いたい。  そして、西田自治大臣がいろいろなことをやらにゃいかぬと言われました。景気対策に一番効果があるのは消費税減税じゃないですか。なぜ消費税減税には背を向けるのでしょうか。中小企業への貸し渋り対策をもっと重視してやらなければなりません。そういう対策を日本共産党は出しております。そういうところには余りまともな議論をされないで、今までの失敗、既に財政制度審議会でも言われているようなことを改めてまたやろうとする。だから私は不思議でしようがない。そのことについて御所見を伺いたい。  大蔵大臣、いかがでしよう。
  161. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 国が公共事業をいたしまして地方に御迷惑をかけたことがあるということは、私、申し上げたのですが、そこから突然、今の大阪の財政状況を挙げて国に責任があるなんてお話は私は承服できません。
  162. 春名直章

    ○春名委員 大阪の責任を挙げて国にある、そんなことを言っているのじゃありません。もちろん、横山ノック知事や執行部の方がそういうことでやろうというふうにされてきたんでしょう。  しかし、私は、それだったら言い返させていただきますけれども、昨年の十一月に自治事務次官の通達が出ておりまして、行政改革の見直しをやりなさい、数値目標まで持って厳しくやりなさいという通知が出ております。ことしの八月の二十日には、さらにそれを来年の三月末までにきっちりやりなさいという通達が出ております。そういう通達に沿ってすべての地方団体から地方行政改革の計画を出させているんでしょう。出さなくていいんですか。その中身がこれなんですよ。  だから、私は、国一般に、突然大阪のことを全部国に押しつけるつもりはないけれども、そういう方向に沿っているから消費拡大に逆行するようなことになっているんじゃないですか、このことを申し上げているんでありまして、そのように怒られてもこの事実は私は消せないと思うのですね。  景気回復に命運をかけるというのであれば、このような、住民に最終的に負担をかぶせるそういうやり方はきっぱり撤回していく、また自治体にもそういう指導をされていく、そのことが大事なんじゃないでしょうか。自治大臣、いかがでしょうか。
  163. 西田司

    ○西田国務大臣 消費税の廃止の問題について御指摘がございましたが……(春名委員「三%に下げるのですよ」と呼ぶ)いや、もちろん、減額もそれから廃止も飛び交っておりますが、私は、そのことには消極というよりも問題あり、こう考えております。  それはなぜそうか、こう追及されるかもしれませんけれども一つは、直間比率的なものを国内的に一つ見るということ、それからもう一つは、やはり世界の趨勢というものを見ていくということ。決して五%というものが、これは私の領分ではありませんけれども、それがたえられないものではない、もちろんこれを上げるということには私どもも慎重にやっていかなきゃいけませんけれども、率直にお答えを申し上げて、私はそう考えております。
  164. 春名直章

    ○春名委員 直間比率とか世界の趨勢とかの議論は、それをやり出すと長くなりますので、もうやりませんけれども、しかし、今国民が一番望んで一番効果がある、期待しているその対策が消費税の減税だということは、事実であります。そして、消費を拡大することには逆行するような方向がこの法案で進んでいきます。私は、そういう方向に行けばいよいよ景気回復がおくれていくということにならざるを得ないということを指摘を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  165. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて春名真章君の質疑は終了いたしました。  次に、中田宏君。
  166. 中田宏

    ○中田委員 まず、結論をちょっと申し上げたいと思うわけでありますが、私は本法案に基本的に賛成でございます。すなわち、財政構造改革法の停止に賛同するということを冒頭お伝えをしてから私はお聞きをしたいのですが、財政構造改革という我が国の重大な命題に対する精神を基本的には残しつつこれを凍結するという、私もこの精神はやはり残しておくべきだ、こう思うからであります。ですから、あえて今回は、どうしても廃止に追い込むとかいうことではなく、今回の凍結という、停止という結論に賛成だということなんですね。ですから、ぜひ大蔵大臣、肩のお力をお抜きいただいて、時間が短いものですから、簡潔かつ心のこもった答弁をいただければ幸いだというふうにお願いを申し上げます。  当初、財政構造改革法では、今平成十年度からが財政再建集中期間の三カ年というふうに定義づけられていたわけであります。一方、この法律案の提出をしている理由というのは、ばあっと読みますと、「我が国の厳しい経済情勢を踏まえ、財政構造改革推進するという基本的考え方は守りつつ、我が国の経済の回復を図るため、財政構造改革推進に関する特別措置法の施行を停止する必要がある。」こういうふうに述べられているわけであります。  それから、昨日並びにきょうの議論をお聞きをしていっても、宮澤大蔵大臣は、とにかく経済を立て直すことが何よりも必要なんだ、それをやるんだ、こういうふうに幾度も繰り返し御答弁をされているわけであります。そういう理由によってこの法案が当然出てきたわけでありますから、いま一度繰り返しますと、景気回復がとにかく優先なんだ、こういうことだと思います。  私何も、この財革法があったから経済がさらに悪くなったとは絶対申し上げませんので、ひとつ大蔵大臣に、良心のもとに心のこもった御答弁をいただきたいのですが、平成十年度からは、財政再建期間の三カ年というよりは、むしろ経済再建集中三カ年だというふうにするべきだ、こういうふうに考えてよろしいですねということをまずお聞きをしたいと思います。
  167. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨日から御説明申し上げているとおり、おっしゃいますような趣旨でございます。ただいまとしては、景気の回復、経済を正規の軌道に乗せることが最大の政治の務めであるというふうに考えておるわけでございます。
  168. 中田宏

    ○中田委員 簡単過ぎる質問で大変恐縮なんですが、もう一度ちょっとお聞きをすればと思いますが、大蔵大臣、きのう本委員会で、二兎は追わない、こういうふうにお述べになっておられました。当然、この場合の二兎というのは、財政経済、この二つを指しているわけでありますが、そのどちらが先なのかということについて、当然のこれは答えになろうかと思いますが、景気回復、すなわち経済が優先する、こういうことでよろしいのですよね。
  169. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 我が国の財政はかなり悪い姿にはなっておりますけれども、そのことよりは今経済の再建、景気の立て直しということがより大切でございますから、財政が多少の犠牲になることもやむを得ない、こう考えておるところでございます。
  170. 中田宏

    ○中田委員 短いフレーズでちょっと言い直しますと、経済再建なくして財政再建はあり得ない、こういう言葉で整理してよろしいでしょうか。
  171. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 経済再建ができますならば、我が国の経済は正常な成長軌道に乗るはずでございますので、したがいまして、その成長軌道から税収が生まれる、そういう形で財政に寄与をする、そういう物の筋道でいいかとおっしゃれば、私はそのように考えております。
  172. 中田宏

    ○中田委員 もちろん、私、そういうつもりで申し上げていますので、そのとおりだというお答えをいただきました。  経企庁長官にちょっとお伺いをしたいのですが、私が次に申し上げることをちょっとお聞きをいただいて、ごく簡単で結構ですので感想をお聞かせいただきたいと思います。今回の政府の考えていることと恐らく同じようなことだと思います。  まず前提は、短期的には財政赤字がふえることを容認した上で、例えば所得税、住民税を現行の半分程度に減らしてみたり、そして、先般政府が打ち出したように法人税の実効税率を四〇%ほどに引き下げる、もちろん他の景気対策も適宜講じた結果として、経済回復が優先されて、中長期的には財政再建が達成される、こんなふうに述べた場合、別に実際にやるやらないという話ではありませんが、それを約束してくれという話ではありませんが、ごく簡単に、今のようなシナリオというのを、肯定的か否定的かということをちょっと経企庁長官に、感想をお聞かせいただければと思います。
  173. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 まことにそうなれば理想的だと思います。所得税等を半分ぐらいに下げて、そこまで行ければこれは理想的だと思いますが、アメリカの例を見ますと、一九八八年に三千億ドルの赤字を出していたのが、ことしは、十年後には八百億ドルの黒字になっております。そういうことから見れば、経済が伸びればそういう可能性もないとは言えない。まことに理想的なシナリオだ、やや楽観的だけれども理想的なシナリオだと思います。
  174. 中田宏

    ○中田委員 ありがとうございました。  何でそんなことを聞いているのかな、こう委員の先生方は思われたかもしれないわけでありますが、なぜか御説明しますと、私、実はこれで死んだ私の親の名誉が回復されたような気持ちなんですよ。  実は、今大蔵大臣にお聞きしたこと、例えば、財政再建集中期間というよりは経済再建集中期間にするべきだ、あるいは、経済再建なくして財政再建はあり得ない。それから、今経企庁長官にお伺いした、短期的な財政赤字を覚悟の上で住民税、所得税、これを大幅にカットし、カットというか下げ、そして法人税の実効税率を下げる。きょうはなるべくペーパーを見ながらやっているのです。なぜかと言うと、今お話しした三つというのは、全部、平成八年十月二日に発表された新進党の十八兆円減税の中身なんです。十八兆円のあの政策の全部中身なんであります。  あれから二年と丸一月経過をしたわけでありますけれども政府の小出しの減税で一体幾らほどの減税が積み上がったのでしょうか。あるいは、恒久減税はやらない、こうおっしゃっていたはずですが、小渕総理は今公約になっている。あるいは、法人税の実効税率下げも先般ほぼ方針が出たようであります。そういう意味で、私は、あのときの政策が正しかったんだ、こういうふうに確認をしたかったというのが実はその気持ちなんであります。  もう一つ、ちょっと分けてお聞きをします。  財政を均衡させることは大事なことです。しかし、そのために政治や国家運営があるのではありません。財政は、政治が設定した目的、暮らしの立て直し、経済の再建を達成するための手段です。それを成功させてこそ財政は健全となるのです。大蔵大臣、そう思われますか。
  175. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 異議ありません。
  176. 中田宏

    ○中田委員 実は今、私、一言一句そのまま読み上げたのであります。これは何かといいますと、平成八年十月二日の新進党の小沢党首のあいさつ文、一言一句、一言一句同じものなのであります。  いや、これは重要なことでありまして、私は、ここにいるマスコミの皆さん、あるいは当時の自社さ連立の関係者の皆さん、また、新進党の当時同僚だった皆さんもここにたくさんいらっしゃるわけでありますけれども、当時、この政策を打ち出したとき、私たちは本当に相当なる批判を浴びせられたわけであります。まるでうそつき呼ばわりをされたわけであります。  別に私は責任追及で申し上げているわけではありませんから、大蔵大臣を初めとした皆さんに別にここで謝ってほしいとか責任はとか言うつもりは全然ないから、冒頭、自分の賛否というものも明らかにさせていただきました。ただ、私がきょう確認させていただいたのは、新進党があのとき打ち出した政策、この名誉をやはり回復をしたい。謝れとは言いませんが、私たちは正しいことを当時主張したんだ、そのことは今お認めをいただいたわけであります。明確にお認めをいただいたわけであります。  政党はなくなりました。ですからこそ私は、今申し上げたとおり、何だか、死者といいますか、死者の名誉回復といいますか、今はなき政党の名誉回復ですよ、今はなき政党の名誉回復なんですよ。ただ、マスコミの皆さんにもぜひ申し上げておきたいのだけれども、新進党のあのときの政策は正しかったんだと大蔵大臣がきょうお認めをいただいた、このことは名誉回復として、国民の皆さんにもわかるようにぜひお伝えいただきたい。  私は、これでようやく、二年前の主張が正しかったですと、別に今の政府責任追及じゃない、正しかったですと自信を持って、大蔵大臣にお認めをいただいたことに自信を持って選挙区で説明をしたい、こう思って質問を終わります。
  177. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて中田君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る十二月八日火曜日午後五時理事会、午後五時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時十三分散会