運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1998-12-11 第144回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十年十一月二十七日)(金曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。    委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 玄葉光一郎君 理事 藤田 幸久君    理事 東  順治君 理事 東  祥三君       柿澤 弘治君    瓦   力君       河野 太郎君    阪上 善秀君       櫻内 義雄君    中谷  元君       額賀福志郎君    深谷 隆司君       細田 博之君    八代 英太君       吉川 貴盛君    上原 康助君       島   聡君    羽田  孜君       丸谷 佳織君    山中 燁子君       藤井 裕久君    古堅 実吉君       松本 善明君    伊藤  茂君       井上 一成君 ―――――――――――――――――――――― 平成十年十二月十一日(金曜日)     午前八時五十分開議  出席委員    委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 玄葉光一郎君 理事 藤田 幸久君    理事 東  順治君 理事 東  祥三君       柿澤 弘治君    河井 克行君       瓦   力君    河野 太郎君       阪上 善秀君    桜井 郁三君       櫻内 義雄君    中谷  元君       額賀福志郎君    深谷 隆司君       細田 博之君    八代 英太君       吉川 貴盛君   吉田左エ門君       上原 康助君    川内 博史君       辻  一彦君    丸谷 佳織君       山中 燁子君    藤井 裕久君       古堅 実吉君    松本 善明君       伊藤  茂君  出席国務大臣         外 務 大 臣 高村 正彦君  出席政府委員         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省条約局長 東郷 和彦君         水産庁長官   中須 勇雄君         海上保安庁長官 楠木 行雄君  委員外出席者         防衛庁防衛局防         衛政策課長   増田 好平君         防衛庁防衛局調         査課長     山内 千里君         防衛庁運用局運         用課長     德地 秀士君         外務大臣官房領         事移住部長   内藤 昌平君         水産庁次長   森本  稔君         外務委員会専門         員       宮本 吉範君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十一日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君    吉田左エ門君   深谷 隆司君     桜井 郁三君   八代 英太君     河井 克行君   島   聡君     辻  一彦君 同日  辞任         補欠選任   河井 克行君     八代 英太君   桜井 郁三君     深谷 隆司君  吉田左エ門君     阪上 善秀君   辻  一彦君     川内 博史君 同日 辞任         補欠選任   川内 博史君     島   聡君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  漁業に関する日本国大韓民国との間の協定の  締結について承認を求めるの件(条約第一号)  (参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  漁業に関する日本国大韓民国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。外務大臣高村正彦君。     ―――――――――――――  漁業に関する日本国大韓民国との間の協定の   締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 高村正彦

    高村国務大臣 ただいま議題となりました漁業に関する日本国大韓民国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、大韓民国との間で漁業協定締結するため、大韓民国政府交渉を行いました結果、平成十年十一月二十八日に鹿児島において、先方洪淳瑛外交通商部長官と私との間でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定は、日韓両国について平成八年に発効した国連海洋法条約趣旨を踏まえ、原則として沿岸国が自国の排他的経済水域において海洋生物資源管理を行うことを基本とした新たな漁業秩序日韓間に確立することを目的としております。  この協定締結によって、原則として沿岸国資源管理を行う漁業秩序が確立されることとなり、日韓間に安定した漁業関係基礎が築かれることとなります。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いをいたします。
  4. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻一彦君。
  6. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、日韓漁業協定の問題について二、三質問いたしたいと思います。  まず、一月に、この協定については、現行協定終了を通告して出直しをやるということを明確にして出発をし、日韓間の新たな漁業秩序を構築していくための合意を目指した。しかし、暫定水域線引きでこの問題が折り合えない、こういうことで延びておったのですが、金大中韓国大統領訪日されるということで、非常に慌ただしく合意をしたという感じが非常に強いわけです。  そこで、暫定水域の東の線は、東経百三十五度、百三十六度、いろいろありましたが、両方を足して二で割ったような形に落ちついたわけですね。国連海洋法条約で規定する海洋生物資源保存管理観点から、もっと時間をかけてやれば暫定水域をあれだけ拡大しなくても済むのではないか、こういう感じが非常に強くするのですが、大統領訪日までのいわゆる政府交渉姿勢についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  7. 高村正彦

    高村国務大臣 暫定水域につきましては、日本側としては、これに関する交渉が行われた期間を通じて、可能な限り小さくする方向で鋭意韓国側協議を行ってきたところであります。最終的な大きさについては、日韓双方操業状況両国排他的経済水域において今後相手国漁民の既存の操業実績にどの程度配慮するかといった要素をも勘案して、交渉全体をパッケージとしてまとめる上でぎりぎりのものとして合意されたものであります。  ちなみに、東限線、足して二で割っただけじゃないか、こうおっしゃいますが、最後百三十五度、百三十六度で、その限りでは百三十五・五度ということになったわけでありますが、韓国側は当初、東限線は設けるべきでないと強硬に主張し、我が方は百三十五度ということで、そういう中でおりてきて、最後百三十五、百三十六で対峙していたということがあるということも申し添えておきます。
  8. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その百三十五度の線については後でもう少し論議をしたいと思うのです。  まずその前に、国内漁業者意見を十分聞くことなしに妥結をした、交渉をやった、こういう感じというか、そういう批判が随分とあるのですが、事前に国内漁業者意見を聞く、そういうことをやったのか、それをお尋ねしたい。
  9. 中須勇雄

    中須政府委員 新しい日韓漁業協定交渉に当たりましては、私ども水産庁といたしまして、各関係漁業者団体あるいは都道府県等十分意思疎通を図りながら交渉を進めてきたというふうに考えておりますが、ただいま御指摘ございましたように、九月の基本合意に際しましては、金大中大統領訪日を目前にして短時間のうちに決着せざるを得なかった、こういう状況の中で、率直に申しまして、結果的には我が国漁業者との十分な意思疎通が図られなかったという状況があったことは、私もそのように思っております。
  10. 辻一彦

    ○辻(一)委員 国内漁民あるいは水産団体関係者意見を十分に聞かなかったという批判は厳しくあるということをまず伝えておきたいと思います。  そこで、暫定水域が一番大きな交渉問題であったと思いますが、竹島という、領土問題を避けるための両国の絞った知恵であったと思いますが、暫定水域大和堆まで拡大して取り込む必要がなぜあったのか、この点を一つ初めに聞きたい。
  11. 高村正彦

    高村国務大臣 日本側としては、可能な限りこれを暫定水域に含めない方向で鋭意韓国側協議を行ってきたわけで、日本側としてこれの必要性があったわけではもちろんないわけであります。  暫定水域範囲は、そういう中で日韓間の協議の結果、大和堆の一部を暫定水域に入れることも含めて交渉全体をパッケージとしてまとめる上でぎりぎりのものとして合意されたものであります。確かに大和堆の一部は暫定水域に入ることになったわけでありますが、日本沖合の一部水域においては沿岸からかなり離れたところ、最大約七十海里に暫定水域を設定する等、我が方として暫定水域をできる限り小さくするように努力した結果も反映されているわけであります。
  12. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは外務省水産庁が出している線引きをした資料ですが、これを見ると、日本の陸地に沿って基線を直線で引いたときに、大和堆を無理に入れたという感じが非常に強いのです。  私は、交渉には妥協もいろいろ必要であるとは思いますが、譲り過ぎであるという感じが非常に強く思います。また、例えば私の方の北陸地方漁民は非常にここと関係が深いのですが、いずれもさきの東経百三十五・五度とあわせて大和堆の四五%を暫定水域に入れたということに非常な不満というか非常な強い反対をずっと今までもしてきて、要請をしてきたのですが、それが全く顧みられなかったということについて非常に不満感じておる。譲り過ぎでないかと思いますが、いかがですか。
  13. 高村正彦

    高村国務大臣 先ほど申し上げたとおりでありますが、暫定水域範囲は、大和堆の一部を暫定水域に入れることを含め交渉全体をパッケージとしてまとめる上でぎりぎりのものとして合意されたものであります。確かに大和堆の一部は暫定水域に入ることになりましたけれども日本沖合の一部水域においては沿岸からかなり離れたところに暫定水域を設定する等、我が方として暫定水域を小さくするよう努力した結果も反映されているわけであります。
  14. 辻一彦

    ○辻(一)委員 北陸地方漁民、それから山陰も含めてでありますが、暫定水域大和堆を入れるなという要求は非常に強かったわけですね。例えば、終了通告が行われて一年我慢をすれば日本水域になるんだから、ここは非常に韓国側の無法な漁法が随分行われておった地域ですが、我慢をしようというので耐えてきたということですね。それが、今言ったように四五%が暫定水域に入り、東経百三十五度が百三十五度三十分まで東の方へはみ出してきたということですね。一月終了通告時よりも大きく後退したと言わざるを得ない。  そういう点で、非常に裏切られたという感じを多くの漁民皆さん、特に北陸地方漁民は持ち、非常に激しい怒りを持っているというのが実態であろうと思うのです。例えば、水産庁外務省御存じのように、十一月二日には福井県の方から三百五十人からの漁民が座り込みをやり、厳しい抗議行動をやっているのはその一つのあらわれであると思いますが、この点について、外相並びに水産庁長官は、こういう石川、福井を中心とする北陸地方漁民の心情をどういうようにとらえているか、一言お伺いしたい。
  15. 高村正彦

    高村国務大臣 そういう陳情も受けた上でまさにぎりぎりの交渉を行ってきたものでありますが、これは、韓国漁民の方もまさに今大変な反対運動が起きているということも仄聞しておりますし、一概にいずれがより多く譲歩したかということは難しいと考えているわけであります。  いずれにしても、この協定締結によって日韓間で国連海洋法条約に基づく新しい漁業秩序を構築していく基礎が築かれたものではないか。基礎が築かれてもその運用がこれから大変でありますが、その運用方法をきっちりやって期待にこたえてまいりたい、こういうふうに思います。
  16. 中須勇雄

    中須政府委員 私も十一月二日の日は、たくさんお見えになった皆さんとお会いをいたしました。漁を休んで多数の漁業者皆さんが来られて生の声を聞いて、漁業者あるいは関係者皆さんが大変な不満なり不安を抱いているということを実感したわけであります。  ただ同時に、他方で、先ほど来外務大臣からお話し申し上げておりますように、私も交渉最終段階に参加した者の一人として思えば、ぎりぎりの段階でもなお韓国側はいわゆる東限線の百三十六度ということを主張し、それがそのまま真上に上がっていって日ロ中間線まで行く、そこまで広大な暫定水域ということを主張していた。それに対して我が方は、ただいま御指摘のとおり、北は三十八度三十七分の線で切るべきだという相当大きな対立があって、ぎりぎりの交渉の結果こういう結論になったということで、複雑な気持ちはするわけでありますが、一面でそういう事実があったというのもまた御理解をいただきたいというふうに思う次第でございます。
  17. 辻一彦

    ○辻(一)委員 漁民が一番今心配している一つは、暫定水域が設定された、こちら側から見れば非常に広い範囲に設定されている。そこで、日本のEEZ、排他的経済水域に入れないところの韓国漁船暫定水域に大挙押しかけて乱獲を行うのではないか、そういうことによって資源管理保護というものが非常に難しい状況になる可能性がある、このことをいろいろと懸念を私はしていると思うのですが、私が見るに、韓国側は必ずしもこの資源保護管理という点に十分な配慮をしているというようには思えない点が随分あるわけですね。  そういう点で、大和堆は日本海で有数の漁場なんですが、その半分。私も運輸委員長時代に、海上保安庁監視船がどういう活動をしているかということを視察するために、小松から二時間ぐらい大和堆を中型飛行機でずっと視察をしました。そして大和堆の状況把握をし、新潟まで帰ったんですが、そういう重要な漁場乱獲のおそれが非常に強くなってきた。  こういう中で、水産庁それから海上保安庁は、資源確保資源管理、あるいは漁業秩序の維持、今外務大臣も言われましたが、そういう漁業秩序が必ずしも維持される安定した場とはなかなかならない懸念がある。それらについてどういうような考え方を持っておるか、対応策についてひとつ簡潔にお伺いいたしたい。
  18. 中須勇雄

    中須政府委員 ただいま御指摘のとおり、暫定水域が設定されたとして、そこで従来どおりの無秩序な乱獲が行われるということでは本来の趣旨に合わないわけでありまして、私どもとしては、暫定水域においてもしっかりした資源管理が行われるようこれから努力をしていかなければならない。  また、具体的に、今回の協定におきましても、日韓漁業共同委員会協議を通じて、漁業種類別漁船最高操業隻数を含む適切な管理をこの暫定水域で行うということが明記されているわけでございまして、そういった規定に従って適切な資源管理が行われるように、引き続き韓国との間で十分詰めていきたいというふうに考えております。
  19. 楠木行雄

    楠木政府委員 海上保安庁長官楠木でございます。  新協定発効いたしますと、暫定水域等を除く排他的経済水域におきましては、韓国漁船に対して、許可条件遵守状況確認、それから無許可漁船検挙等監視取り締まりを行うことになります。それから、先生御指摘暫定水域につきましては、日韓漁業共同委員会協議結果に基づく措置に違反して操業している韓国漁船を発見いたしましたときには、韓国側に通報することになるわけでございます。  これらの業務に対する体制の整備につきましては、もともと私ども平成八年の国連海洋法条約の批准、発効に伴い排他的経済水域が設定されたこと等に対応いたしまして、船の速力、それから夜間監視能力の向上、こういった点を図りながら、巡視船巡視艇航空機整備を進めてきているところでございます。  それに加えまして、今般の第三次補正予算におきまして、ヘリコプター一機搭載型の巡視船代替建造等を予定しているところでございます。最初は、例えばこのヘリコプター一機搭載型巡視船、これは若干建造期間がかかりますので、そういったものをすぐは使えませんけれども、新協定発効当初におきましては、現有の勢力をフルに有効に活用いたしまして監視取り締まりを行うことにしておるわけでございます。暫定水域を含む大和堆付近での巡視船艇航空機の具体的な配備の考え方を若干申し上げますと、こういった点につきましては、陸岸からの距離、あるいは海域の広さ、それから冬季の荒天等を考慮いたしまして、ヘリコプター搭載型巡視船あるいは一千トン型の巡視船を配備いたしまして監視取り締まりを行います。  それで、この海域につきましては、広大な面積、広さをはかってみますと陸域の北海道より広いような海域になります。こういったところになりますので、巡視船搭載したヘリコプター及び航空基地航空機を適切に組み合わせまして、空からの広域的な監視を行う予定にしております。  また、韓国漁船に対する許可状況把握いたしまして、航空機によりまして、出漁する海域確認することによって、巡視船艇を効率的に配備するということにしております。  さらに、水産庁など関係省庁等とも密接な連携を図りまして、事案に適切に対応するよう全力を尽くしていく所存でございます。  いずれにいたしましても、先ほど水産庁長官が申し上げましたように、今後、操業条件等が決定した場合に、これを踏まえてさらに詳しい取り締まり方法等の細目を検討してまいる所存でございます。
  20. 辻一彦

    ○辻(一)委員 資源保護管理をやる場合に、それはいずれ日韓共同委員会が開かれるということに正式にはなると思いますが、単なる出漁船隻数制限にとどまるのか、あるいは漁獲の限定というか漁獲量を割り当てるというか、そこまで踏み込むのか。そこらについて、時間の点から詳しくは別として、要点だけ説明いただきたいと思います。
  21. 中須勇雄

    中須政府委員 御承知のとおり、今我が国では、昨年からでございますが、いわゆる漁獲可能量制度、TACの制度を設けて、一定漁獲可能量範囲漁獲を抑えて資源持続的利用を図るというのを基本的な考え方にしておりますので、そういう観点からいえば、暫定水域といえども漁獲量規制というところまで踏み込むのが本来の姿ではないかというふうには思っております。  ただ、実際問題として、暫定水域における取り締まりというのは基本的に旗国主義ということでございます。したがいまして、決まったことがどの程度本当に実行されるのかということの辺をしっかり押さえた上でないと、なかなかそういうことにも直ちには入れないということでございますので、当面、私どもとしては、暫定水域においては、隻数制限隻数最高限度を定めるということと、操業区域であるとか期間であるとか、そういった規制を組み合わせて管理をしていくということの実現を目指して努力をしていきたいというふうに考えております。
  22. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ぜひ漁獲数量まで踏み込んだ取り決めをし、論議をひとつやってもらいたいということを強く主張しておきます。  そこで、幾ら漁獲をする、あるいは船を何隻認めるという場合に、一つの基準として実績というものがもとになるのでしょうが、実績というものを具体的にどういうふうに確認をするのか。  例えば、私も漁村にはいろいろ縁があって、回ったときにいろいろなお話を聞いてはいますが、韓国側は、大和堆に韓国の船は多数の実績がある、こう一応言っておるのですね。それから、ベニズワイに対しても別に多数の実績があるということを主張しているというように聞いておりますが、実感としては、とてもそういう船が今まで動いておったとは思われないという受けとめをしていますね。  例えば、底びき網は三百から三百五十メーターぐらいで引くわけですが、船がたくさん出ておれば、岩に網をひっかけて切れる場合が相当あるわけですね。だから、初めて行って底びきをかけて網を引けば、岩で切れた網が、やった経過があればかなりひっかかってくるわけですね。しかし、日本漁船の底びき網にそういう韓国漁船の切れたような網というものがほとんどひっかかってこないということが一つ。それから、多くの船が入るとすると、たるを浮かべてブイに使っておりますが、そういうものがあちこちに目印で全部出るわけだから、相当数ブイで浮かぶはずだが、そういうものが余り見当たらない。それから、冬は日本海御存じのとおり非常に荒れるわけですから、そういうときになかなか出漁できるような状況はない。そうなると、本当に多数の実績があるのか。  だから、そういう実績を単に向こうの主張を丸のみにしてしまうということであってはいけないと思うので、実績をどのように確認をするのか、その点をひとつ伺いたい。
  23. 中須勇雄

    中須政府委員 日本海暫定水域の場合、先ほど海上保安庁長官からもお話ございましたが、大変広い海域でございまして、率直に申しまして、過去のデータというか、私どもが見ている範囲もやはり一部に限られております。そういう意味において、確実な数字把握というのはなかなか難しい。そういう意味では、やはり我々は、新しい協定に基づいて、政府間で一定信頼関係というか、そういう意味でのデータお互いに出し合うデータ基礎にとりあえずの作業を進めるということで考えているわけであります。  御参考までに申し上げますと、日本海暫定水域において、これは一回だけ行く船もあれば、極端に言えば一日だけちょっと行ったという船もあれば、四六時中というか、かなりの期間暫定水域操業した船というのもあって、千差万別でございますが、延べというか、一回行ったというような前提で数字を申し上げますと、日本側暫定水域で約二千四百隻の操業実績がある、それに対して韓国側は約千四百隻の操業実績というふうなデータお互いに交換して、もちろん不審な点は十分ただしてまいりますけれども、一応それを基礎にこれからの作業を進めていく、こういうことだと考えております。
  24. 辻一彦

    ○辻(一)委員 実績は、いろいろなデータのとり方によって随分違うと思うのですね。この点はひとつ厳密に資料整備して、実態と違ったことのないように、厳にひとつ取り組んでもらいたいと思うのです。  そこで、監視取り締まりの問題は先ほども海保長官から伺いましたが、韓国の船は、船名を消したり隠したりしている場合が間々あるのですね。発見しても高速で逃げてしまう。これは高速艇を配備すればそういう心配はないでしょうが。それから、識別をして先方に通知をしても適切な処理、対応がなされずに済んでしまう場合が今までもかなりあったということです。  こういう点で、海保の方は先ほど伺いましたが、水産庁として、暫定水域旗国主義でやっているわけですから、監視船両方が相乗りをして監視するというようなやり方が考えられないのかどうか、そこらについてはいかがですか。
  25. 中須勇雄

    中須政府委員 暫定水域におきます具体的な取り締まり方策ということに関しましては、御指摘のとおり、基本旗国主義ということでありますが、その中において、実効ある取り締まりができるようにいろいろこれから努力をしなければならないというふうに考えております。  具体的には、これも先ほど海上保安庁長官からお話がございましたが、協定上も、旗国主義のもとにおいても、我が方の監視船韓国漁船の違反というものを発見した場合には、その事実を韓国側に通報すると、韓国側は適切な措置をとって、それを日本側に、こういう措置をとったということを答えなければならない、こういうことが決まっております。  こういうことを足がかりにしながら、今韓国との間では、具体的に、まず一つは、暫定水域の中でも重点海域について韓国取り締まり船を集中的に配備していただく。それから、お互いに出漁する船について船の名簿の交換、それから船名表示ということを明確にする、こういうルールをつくろうではないか。三番目に、ただいま申しました協定の規定に基づきまして、日本から提供する韓国の違反漁船に対する証拠、これを、一定のマニュアルというか、つくりまして、それに沿ったものは、向こうがそれを活用して処分等をしていただく、そういうものの定型化というか、そういうこと。そして最後に、ただいまお話ございました、従来、連携巡視とか共同乗船というふうに言っておりますけれども、それぞれが取り締まるという前提ではありますが、一つの国の取り締まり船に両国の監督官が乗る、あるいは両国巡視船監視船が対になって、ペアになって行動してそれぞれの取り締まりを行う、こういったことの実現を目指して現在韓国協議中という状況でございます。引き続き努力をしてまいりたいと存じます。
  26. 辻一彦

    ○辻(一)委員 暫定水域または経済水域は当然ですが、これは外務省も、具体的には水産庁、保安庁ということになると思いますが、厳しい監視取り締まりを心がけてもらいたいと思います。次に、私は、資源保護管理という点から刺し網漁が非常に問題になっている、この点について二、三伺いたいと思います。  石川県も福井県も、大体陸地から沖合を指せば似たようなところにあるので、ほぼ私は同じような状況であると思っていますが、非常にカニ漁獲の減少が起こって、平成九年の十一月から十年の三月までの年度をとると、カニ漁については四割下回っておるのですね、四割減。それから、ことしの十一月六日から解禁ですが、ここでも既に去年に比べて二割はさらに減っているという。こういうように、漁獲のカニ漁については減少が明白に出ている。  この場合、韓国は、御承知のとおり、刺し網漁法をやっておるのですね。私の方の地元ではこれを地獄網と言っていますが、とにかく、海底に細かい細い糸をつないだ網を、下にはおもりをつけて沈め、上には浮きをつけて、二メーターから三メーター張って、これをずっと、それも短い距離ではないのですね、一隻の船が四千メーターの網を五つ以上持っている。だから二十キロぐらいになる。それを四、五隻あるいは六、七隻来て張れば、一直線に張ったとすれば、京都の経ケ岬から越前岬までずっと張れるぐらいの網の長さになるのですね。こういうものを張りめぐらして、小さい魚も、細かい糸目ですから、カニについても、小さなものを全部根こそぎとってしまうのですね。  日本の場合は小さいものは皆放してまた次に備えるのですが、これはもう損傷、傷みが激しいから、放してももうほとんど死んでしまって、放流しても、小さいカニの生存率は非常に少ない。こういうようなことが今、領海のちょっと外側に、ぎりぎりのところにずっと網を張っておるわけですね。しかも、北陸の方では、禁漁の期間、カニ漁を禁止する期間を設けて、十一月六日から三月二十日までを解禁として、それ以外はとらないとしているわけですね。資源保護管理を考えてとらない。  韓国の方は、六月の一日から十月の三十日までを禁漁期間として刺し網を禁止しているのです。ところが、九月の半ばになっても、現実にこの地点においては刺し網がまだ張られて、船が操業している。そういう意味では、禁漁期間なんかは全然無視をして、一年じゅう、冬場のこの十一月からカニの最盛期、それから春も夏も、秋の九月になっても、一年じゅうこの刺し網をやっているわけですね。こういう状況では資源枯渇は明らかである。  そういう点から、今、北陸沿岸一帯のこのカニ漁の漁獲減というのは、乱獲によって、今言った刺し網漁法によるところの無理が今ここに具体的にあらわれておるのではないかというように思われます。私は、こういう点から、このような全く資源を根こそぎ持っていくような刺し網は、我がEEZ、いわゆる排他的経済水域の中においては禁止を明確にすべきだと思いますが、これについてはいかがですか。
  27. 中須勇雄

    中須政府委員 御指摘のとおり、韓国が行っております底刺し網漁業につきましては、資源に与える影響、これは、ズワイガニにとどまらず、カレイとかそういうものを含めて、底生性の生物に対する大変大きなダメージを与える漁法であるということが一点と、それからもう一つは、やはり御指摘のとおり、漁場を非常に広く占拠して、ほかの漁業ができなくなる、端的に言えば、韓国側が網を張ると日本の底びき漁業はできなくなってしまう、こういう基本的な問題を抱えておりまして、我が国漁民としても大変反発の強い漁法だ、こういうふうに言えると思います。  そこに加えまして、特にことしでいえば、我が方は、資源のことを考えて十一月六日に解禁をする、こういうことをしているわけでありますが、その直前までというか、その直前に大幅に我が国漁業者が行く漁場に網を張って事前にみんなとってしまうのではないか、そういう意味で大変反発が強いわけであります。  そういう点から、私どもといたしましては、やはり我が国漁民がそういうものの禁止を求めるというのは最も妥当な御意見だろう、我々もそう思います。そのために、我が国排他的経済水域内においては韓国の底刺し網漁業というのは禁止するということで、現在韓国とその操業条件の話し合いをしているわけでありますが、その中ではそういう強い態度で臨んでいきたいというふうに思っております。
  28. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今私が論議をしようとしていた漁場の独占にも水産庁長官は踏み込んでくれましたから、それで大変結構だと思うのです。今お話しのように、日本漁船韓国の刺し網を張っている領海の隣にある経済水域に入っていくと、ここは刺し網をやっているから向こうへ行け、こう言うわけですね。  というのは、海底に刺し網を二、三メートルぐらいで張っているから、底びき船で網を引くと網の損傷が起こるのです。越前町の漁協では、それによって一隻の船がかつて四百万からの賠償金を払った例があるのですね。そうなるとなかなか難しさがあるというので、やはり遠慮してほかへ行っちゃうのですね。  すると、領海よりはちょっと外、十二海里よりちょっと外、まあぎりぎりのところですが、しかし、今、国際的にも、二国間、韓国との間においても、これが排他的経済水域として確認されているのですね、そこへ何十キロにわたって刺し網を全部、一重だけじゃない、二重も、三重の場合もあるのですね、張って、そこはもう固定をして、長い間網を動かさない、だから日本漁船はそこへ入れないですね、それでほかへ行ってやれと言う。そういうことをやっておれば漁獲が落ちるのは当然ですね。結局、今、沖合底びきの大型船というか、福井あたりでは大型になるのでしょうが、そういう船が廃船に、廃業に追い込まれざるを得ない寸前にあるのが実態ですね。これは大臣、どう思いますか。  向こうの排他的経済水域にあるのなら別として、我が排他的経済水域の中で、他国の船が全部漁網を張って、そこへ日本漁民が、自国民が入れない、そしてあっちへ行けと、それで廃船をせざるを得ない寸前にあるという、こんなの、これは逆な状況であると思うが、こういうことは許してはならない。外務省は、自国民のそういう立場を守る、日本の国の漁民の立場を守るという観点からいって、この刺し網は何としてもやめさせるべきであると思いますが、大臣の見解はいかがですか。
  29. 高村正彦

    高村国務大臣 このたびの協定によって、原則として沿岸国主義が採用される、そういう秩序が形成されるわけでありますから、先ほど水産庁長官が述べたように、日本としても強い態度で臨んでいきたい、こういうふうに思っております。
  30. 辻一彦

    ○辻(一)委員 海保の役割はそれらが二国間で確認をされた上になると思いますからあえて答弁を求めませんが、日本がしっかり取り組みをしたら、それをもとにひとつ厳しい取り締まり監視を強化してもらいたい、このことをつけ加えておきたいと思います。そこで、時間がわずかになりましたが、この資源保護管理についての話し合いが進まなかった場合、そのときには、この排他的経済水域においては日本の方針が当然優先するわけですから、この韓国の刺し網等は認めないということに当然なると思うのですね。これはいかがですか。
  31. 中須勇雄

    中須政府委員 新しい協定においては、三条の一項におきまして、自国の排他的経済水域内における操業条件、他国の漁船漁獲割り当て量を含めた操業条件については、沿岸国が決定して相手国に通報する、こういう権利が明確に記されております。
  32. 辻一彦

    ○辻(一)委員 だから、ちゃんとしたルールが確立されるまでは日本の主権が及ぶわけですから、違法な刺し網等は当然、その後においてもそうですが、まず続けるというようなことはあり得ないことであると思いますから、これをきちっとやっていただきたい。これは外務省水産庁もまた海上保安庁も、その必要がそれぞれ共同であると思いますから、頑張ってほしいと思います。最後に、日本海、東シナ海においては、資源が横ばいなのか、減っているのか、ふえておるのか、そういうことを日本、中国、韓国でそれぞれ調査をしているとは思いますが、こういう資源の共同管理というようなことを三国でこれから考えていく必要があるのではないか。だから、基礎データは共通で調査をするとか、その上に立った、東シナ海、それから日本海における漁業資源管理保護というものを三国が協力してやっていくというような道があるのではないかと思いますが、これについてどう考えるか、最後に伺って、終わりたいと思います。
  33. 高村正彦

    高村国務大臣 三カ国は同じ海を挟んでいるわけでありまして、御指摘のように、今後、そういうことについて必要に応じて話し合っていくことがいい、こう思っております。  ただ、現在はようやく日中、日韓そして韓中、それぞれの二国間の新たな漁業協定締結発効しつつあるところである。まずは二国間協定に基づく安定した漁業秩序の構築を通じて、海洋生物資源の維持管理に努めることにしていきたい、こう思います。  御指摘のように、将来のこととして今委員が御指摘になったことを考えてまいりたいと思います。
  34. 辻一彦

    ○辻(一)委員 まだまだ尋ねたいことがたくさんありますが、百三十五度以東の問題も論議をしたかったのですが、時間の点から割愛したいと思います。  答弁されたことは具体的にひとつ取り組んでもらうということが一番大事なので、三省庁の積極的な取り組みを強く期待をして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  35. 中馬弘毅

  36. 山中あき子

    山中(燁)委員 山中燁子でございます。  九月二十五日の外務委員会で質問させていただいて以来、今回の日韓漁業協定がようやく締結をいたしましたことに関して、高村外務大臣の御努力に敬意を表します。  しかし、今回の協定は、日韓関係の再構築という政治的判断において締結されていて、余りにも日本が譲歩し過ぎているのではないかという声が漁業関係者の間から多く聞かれます。その声も踏まえまして、まず協定に関すること、それから資源保護に関すること、そして時間が許せば韓半島の北朝鮮の問題に関して質問をさせていただきたいと思います。  私のところにこの数日間寄せられた漁業関係者からのファクスをまず御紹介したいと思います。  静岡県の静岡漁業協同組合連合会から来ているものをまず御紹介いたします。これは十二月四日に寄せられたものでございます。   日韓漁業協定は、先に、我々漁業者の意向を聞くこともなくなされた基本合意に基づき、本日の日韓閣僚会議において調印され、今臨時国会において批准される運びとなった。   しかるに、基本合意は、本来我が国の排他的水域である大和堆の大半等を暫定水域として韓国に譲歩している。日本海旗国主義をとる広大な暫定水域を設けることは、長年に亘る韓国漁船の不法・無謀操業を容認したことであり、現在の「乱獲の海」を一層拡大することにつながる。更に、我が国水域内で危機的資源状況にある魚種の漁獲一定期間韓国漁船に認めている。このため、我々はこの基本合意に対し、絶対反対の系統組織の意思を表明し続けてきた。   この度、上記のように日本海資源管理に逆行する基本合意に基づいて、新協定が調印されることになるが、この段階で我々は最低限、次の事項の実現について、政府が責任を持って取り組むことを強く申し入れるものである。  まず、二点ありまして、一つが「規制監視・取り締りの強化を図ること。」二つ目が「漁業経営の安定、資源漁場機能の回復等に必要な諸対策を継続的に講じること。」というのが寄せられております。  また、十二月三日には、愛知県の大浜漁業協同組合長からのメッセージですが、「日本漁民の為に少しでも有利に成るよう頑張って下さい。」これは、私が頑張るのではなくて、大臣初め関係者皆さんにこれから頑張っていただきたいという意思だと思いますので、お伝えいたします。  また、北海道指導漁業協同組合連合会、これも十二月三日に寄せられたものでございますが、それには、韓国オッタートロール漁船操業について、まず、操業条件についてということで五つほど挙げてあります。操業海域、これをオッタートロール操業ライン五マイルより外側の海としてほしい。それから、操業禁止の期間日本海側は六月十六日から九月十五日、太平洋海域では六月一日から八月三十一日というふうにしてほしい。それから、夜間操業は禁止すること。体長三十センチ未満の漁獲は禁止すること。スケトウダラ以外の魚種の漁獲は禁止すること。  それから監視体制に対しましては、漁獲日報の報告、オブザーバー乗船、チェックポイント設定等による厳格な漁獲監視を行うこと。  それから監視体制につきましては、違反監視体制を強化すること。例えば監視船増隻などということも含めております。  そして漁具被害補償について、漁具被害事故が発生した場合、国の責任による補償等措置を講じること。  最後に、新漁業協定発効するまでの間、監視体制を強化し漁具被害事故等を未然に防ぐことに万全を期してほしいというふうなものが寄せられております。  それを踏まえまして、まずお聞きしたいのは、日韓漁業共同委員会の中で、先ほど水産庁長官がおっしゃっておりましたけれども、その中でも監視体制に関して、共同乗船それから連携巡視ということをおっしゃいました。私の聞いているところでは、連携巡視というのは可能性はかなりあるけれども、共同乗船に関してはなかなか韓国側が同意しないのではないかというふうに聞いておりますけれども交渉が難航した場合はどういうふうになさるつもりでしょうか。まず水産庁長官にお伺いしたいと思います。
  37. 中須勇雄

    中須政府委員 お話のございましたとおり、暫定水域における取り締まりということに関しては、基本的な枠組みは旗国主義により行うということでありますが、私どもとしては、旗国主義という枠内においても実効ある取り締まりができるようにということで、いろいろ韓国側に問題を投げかけ協議を行っているという状況であります。  その中で幾つか、前進している事項もございますけれども、ただいま御指摘ございました共同乗船については、日本監視船日本の監督官と韓国の監督官が乗る、それで、日本漁船はもとより韓国漁船取り締まりを行う、こういうことを目指したいというふうに思っているわけでありますけれども韓国側は、率直に言いまして、領有権の問題等に影響するので大変消極的であるというのが現状でございます。私どもといたしましては、お互い暫定水域においては平等な立場というか、一方的に何か日本側だけがどうこう権力を行使するということではなくて、お互いに平等な立場で、協力して取り締まりを行うのだということで、引き続き韓国側の同意を得べく積極的に努力し、説得をしていきたいというふうに思っております。
  38. 山中あき子

    山中(燁)委員 相互入会水域で、日本側は九万トン、韓国側二十一万トンという格差があるわけですが、三年間でこれを等量にするということは、低い方に合わせるという意味で、九万トンに合わせるというようなことを目指して、今実際それに向かって交渉中であるというふうに伺っておりますけれども、もしこういったことが三年以内に実現されないで格差がそのままであった場合は、三年後の終了通告ということもあり得るというくらいの覚悟がおありでしょうか。これは外務大臣にお伺いしたいと思います。
  39. 高村正彦

    高村国務大臣 今の段階で、終了通告があり得るとかあり得ないとか、特に、あり得るということは余り穏当な言葉ではないと思いますが、期間を三年として、終了通告をしたら、六カ月で終了する、規定がそういうことになっているということを指摘するにとどめておきたいと思います。
  40. 山中あき子

    山中(燁)委員 そういうふうにならないことを願っておりますけれども。  先ほどのファクスで御紹介いたしました中で、北海道のスケトウダラに関して、現在一万五千トンを認めているわけですが、これは一年間のみというふうな措置ということですが、本当にこれは一年間で、守れるのでしょうか。そういう約束がなされているのでしょうか。  同時に、サンマなどほかの魚種の場合には禁止ということができるのかどうか、それと夜間操業の禁止、それから操業禁止期間というようなことについて、水産庁長官からお伺いしたいと思います。
  41. 中須勇雄

    中須政府委員 我が国の二百海里、排他的経済水域内における韓国操業によるスケトウダラの漁獲ということに関しましては、過去の実績では、平均してみれば年間大体六万トンぐらいとっていた、これが実績だということでございますが、明年からは新しい枠組みのもとで、当然船も大幅に減らすわけでありますが、一年目にそれを一万五千トンに減らす、そして二年目からは割り当てはゼロにするということは、明確に両国間の合意になっておりまして、文書に記されているということでございますので、整々とその実現を図っていくということだろうと思います。  それから、明年は一万五千トンに限って韓国操業を認めるわけでございますが、これについても、ただいまお話ございましたように、例えば、我が国のオッタートロール禁止ラインより外で操業することとか、従来、自主規制という形である程度韓国側もみずから規制していた、それよりもさらに厳しい規制韓国側にやっていただくということで、現在韓国側と話し合いを進めているところであります。
  42. 山中あき子

    山中(燁)委員 国際的な、韓国日本とのいい形のこれからの包括的な関係ということを非常に大事に考えますけれども、もう一方で、日本の国民の食ということを考えますと、やはり漁民の人たちの気持ちというのを十分踏まえて、できるだけの努力をして今おっしゃったところに近づけていただきたいと思います。  そういう現状を考えてみますと、実は私、十月にオーストラリアのブリスベーンで海洋と漁業に関する国際的な環境研究会が発足し、招かれまして、出席いたしました。これは、二年間世界各地の六カ国で会議をして、そして最終的に国連を初め各国に対して政策を提言するという趣旨でアメリカとイギリスの機関が一緒に開催し始めたものなのです。  実は、出席してみましてわかりましたのは、北東アジアあたりの情報がすぽっと抜けておりまして、日本がトロール漁船をやめているということも知られていないし、中国が大変な漁獲量を毎年増量している、そういう事実も余りはっきりと認識されておりませんで、国際的なそういった海洋、漁業、環境の問題の中で、つまり、日本からあるいは北東アジアからのきちんとしたデータとかあるいはインフォメーションというものが十分出ているのかどうかということを私は大変疑問に思ったわけで、それと同時に、そういうきちんとしたデータや何かの公表が国際的にされている量が少ないとすれば、もう一つは、どのようにして、日本海やオホーツクの海洋環境に関すること、それから漁業資源に関する保護がなされているのかということもまた、国際的にはよくわかっていない、本当にされているかどうかということも見えないという状況になっているわけでございます。  それで私は、この点、先ほど高村外務大臣が、まず二国間で今漁業協定がそれぞれ始まったところだからとおっしゃいますけれども、今、始まったときだからこそ、もう少し大きな枠組みで、日本海それからオホーツクそれから北太平洋、ここの共同の資源の調査管理という機構を日本が打ち出すという時期に来ているのではないかというふうに思っておりまして、個々にやっていることをもっと総合的に集めることができないかというふうに考えたわけでございます。  お手元に地図が配付されていますでしょうか。この地図を大臣はごらんになったことがおありになりますでしょうか。これは御存じかと思いますけれども、インターナショナル・カウンシル・フォー・ザ・エクスプロレーション・オブ・ザ・シーということで、国際的な海洋調査に関する協議会ということなのですが、これは実は一九〇二年に最初設立されておりまして、海洋学、水産学に関する研究を行うということで、世界で一番古い研究機関なのでございますけれども、これは政府機関です。それが現在では、ベルギー、カナダ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、ラトビア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ロシア、スペイン、スウェーデン、イギリス、アメリカという十九カ国が参加するに至っております。基本的には、北海と北大西洋に面する、あらゆる国々の科学者の集まりでして、毎年、水産資源に関するあらゆるデータ、つまり産卵ということなども含めまして検討して、それを漁獲割り当ての勧告の合意に結びつけているという作業をしております。一九七〇年代からは、これは欧州委員会とも連携いたしまして、欧州委員会が各国に行う科学的漁業政策それから漁獲量割り当ての勧告案の、その基礎になるデータを提供するという役割も果たしております。  毎年二十種類以上の魚種の調査を、その地図にあります区切ったものをボックスと呼んでおりまして、そのボックスの中ごとに行っているわけで、これを実際に行うことと同時に、年間百種類の会議、会合、各種作業グループの活動、研究グループ、ワークショップ、委員会などの活動を行っておりまして、それを毎年九月のアニュアル・サイエンス・コンファレンスの折に報告して、総合的な分析を行って、そしてデータを公表する、そういう作業をしております。  この海洋学的な調査というのは、各水域と生態学的なプロセスの特性とか、あるいは変化というものを主な目的としているわけですけれども、しかし、同時に海洋学調査に使用する機器の開発やその精度に関する測定の作業にかかわる品質の改良あるいは海洋学データの質の維持、データ間の比較をしやすくするための調整というような補助的なことにも実際には非常に予算をつけておりまして、そういったことで漁獲高に関する公式な統計、それから漁業アセスメント、それから国際はえ縄漁業網の調査、それから北海の漁獲高のデータバンク、北海の魚種のデータバンクというようなことがなされております。  御存じのように、実はカナダの大西洋岸のタラがとり過ぎて絶滅をしてしまったという物すごく苦い経験から、これがかなり強化されているという現実があるのですが、こういった意味で、今科学的なデータの収集、分析、勧告というのを国際的な機関あるいは国際的な研究所あるいは機器のメーカー、調査関係者それから漁業関係者、そういった人たちのネットワークをして、そして日本海、オホーツク、北太平洋にかかわる、例えば中国、ロシア、韓国――北朝鮮も入ればなおいいですけれども、カナダ、アメリカ、日本というような国がそういったネットワークを構築するとすれば、その技術と資金力というのはやはり日本がイニシアチブをとるというようなことになってくるし、それが日本にとっても、また日本のこの地域への貢献ということに関しても、あるいは世界への貢献ということに関しても非常に意味があると思うのです。  その中で、カナダとアメリカ、ロシアなどは既に大西洋側の方で参加しているわけですから、そういったことを構築しようというようなことを、いずれ時期が来たらではなくて、早急に構築できるかどうかという検討に入るという時期に私は来ていると思うんですが、その辺、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  43. 高村正彦

    高村国務大臣 非常に参考になりました。ありがとうございました。  そういうことは検討はしていかなければいけない、こういうふうに思います。ただ、まさに、日中韓三カ国、それぞれ二国間協定、まだこれから発効してこれから実施に移される、そういう中で、その二国間協定をそれぞれ実際にどう運用していくかということの協議が、日中韓、あるいはさらに多くの国を含めた共同の資源管理基礎にもなり得るものだ、こういうふうにも思いますし、こっちをやっているうちにはこっちは絶対に検討しない、そういうことを申し上げているわけではなくて、今、日中韓それぞれの二国間協定についてきっちりやっていくことが多数国間の資源管理の問題についての基礎になり得るものだ、そういう意味でこちらからまずやりましょうと言ったので、こちらをこの間検討もしないということではありませんので、御理解をいただきたいと思います。
  44. 山中あき子

    山中(燁)委員 ちょっと発想を変えてみますと、今の例えば日韓とか日中というのは漁業協定のことで大変なわけですから、そこからこういう枠組みをスタートしましょうというのはなかなか時間もかかりますし、大変ですけれども、逆に、先ほどちょっと申し上げましたように、アメリカとかカナダとか、北太平洋側からオホーツクにかけて、ロシアも、こちらのヨーロッパの方に入っているわけですから、その辺からこういうネットワークを構築しましょうという動きをスタートすることは逆にやりやすいのではないかと私は思うんです。  それを、中国、韓国も含めて、こちらの、今実際のバイでやっているところへ、だんだん国際的な枠組みに入ろうという形で浸透させていくという発想であれば、どちらからスタートした方が――将来、やはりこれは一九〇二年のが今ここに来てこういうふうに有効になっていて、七〇年、八〇年代、そして、旧ソ連の崩壊でロシアも入りというようなやはり歴史の積み重ねが必要なわけですから、一刻も早くスタートすれば、三十年後と思っていたものが二十年後にできるわけですよね、具体的に非常に効果を出していく。  そういう意味では、全く新しいものではなくて、ヨーロッパでやられているものをモデルにして考えて、データの集積の仕方、機器なども日本の機器と相互乗り入れができるくらいのスタンダードをつくっていけば、これはまた日本一つの技術の輸出にもなりますから、逆に北太平洋側からスタートするというようなことをお考えになるのはいかがでしょうか。
  45. 高村正彦

    高村国務大臣 委員意見も参考にしながら検討させていただきたいと思います。  水産庁長官の答弁を私から求めたいと思います。
  46. 中須勇雄

    中須政府委員 日本海あるいはオホーツク海を含む北太平洋におきましても、今は魚種別ということではありますけれども、例えば、ベーリング公海におけるスケトウダラに関する四カ国の条約であるとか、北太平洋におけるサケ・マスの保存に関します多国間条約とか、あるいは高度回遊性マグロに関して、これは北太平洋というより太平洋全域についてのマグロの委員会の設立条約など、やはり多国間で協力して資源を分析、評価し、それに基づいて利用方法を決定していくという枠組みは幾つかあるわけでございます。  やはりそういったものが将来さらに大きくなって、ICESのような長い歴史と伝統があるというところまでいくのは、率直に言って時間がかかると思いますが、可能性としてはそういうものをやはり北太平洋についても持っている、こういうことだろうと思います。  ただ、やはり最近の韓国あるいは中国との協定交渉等をやってみるというか、こういう経験からいいますと、やはり北太平洋では、昭和五十二年代のいわゆるアメリカそれから当時のソ連の二百海里ということから始まって漁業秩序ができてきた。やはり他国の、多くの人たちが利用していた漁場をある意味では沿岸国が囲い込むというか、そういう中で漁業秩序がつくられてきた、こういう歴史的な経過もございます。  そういうものを踏まえながら、将来の姿としては、ただいま先生が言ったような方向に進んでいくということを私どもも理想としてやはりしっかり持っていなければならない、こんなふうに思っております。
  47. 山中あき子

    山中(燁)委員 大西洋岸で実際に機能しているというのは一つのモデルになるわけですから、私たちが最初からスタートするよりはずっとやりやすいし、今おっしゃったように幾つかあるのをどうやってネットワークして総合的にまとめるか、そういうことですので、将来に向かっての実際のプロセスも戦略的にそろそろ考えていただきたいというのが私が強く希望申し上げたいというところです。それが最終的には、日韓、日中の間の漁獲量の問題だとか、あるいはその取り締まりをどうするかということにも必ずいい形の影響を及ぼすものというふうに思っております。  あと五分になりましたけれども、せっかく、十日に北朝鮮政策見直しの調整官という役割でペリー前国防長官がお見えになって高村外務大臣お話があったというふうに報道されておりますので、ちょっと北朝鮮の方に話を移らせていただきまして、どういうお話だったのか、ポイントだけをいただけますでしょうか、高村外務大臣
  48. 高村正彦

    高村国務大臣 私からは、北朝鮮のミサイル発射に対する我が国懸念説明いたしました。北朝鮮が核兵器を保有することを阻止するための手段としてKEDOを維持していくことが重要であり、そのKEDOに対して国民の理解を得るためにも北朝鮮がミサイルや秘密核施設問題に適切な対応を行うことが重要である、これを日米韓、緊密に連絡をとりながら北朝鮮に適切な対応をさせなければいけないということを話したわけであります。  ペリー調整官からは、今回の日韓中三カ国訪問でそれぞれの国がどのように考えているかにつき話を聞くことができた旨述べ、今後北朝鮮に対してどのような政策をとっていくべきか、我が国及び韓国と緊密に協議しつつ検討していく旨の発言があったわけであります。
  49. 山中あき子

    山中(燁)委員 大臣の印象を伺いたいんですが、今なぜペリー前国防長官が調整官になられたとお感じになりましたでしょうか。
  50. 高村正彦

    高村国務大臣 それは、アメリカ政府とすれば、北朝鮮の核開発を阻止するためにKEDOという枠組みが大切だと考えているけれども、そのKEDOの完全な抜け道になってしまいかねない核疑惑施設というようなものがある、あるいはミサイル発射によって特に日本国民の反応が大変厳しい。そういった状況の中で、KEDOを今後維持する、あるいはその他のオプションをとるか、あるいは、KEDOを維持するにしても、いろいろなことが考えられるわけでありますが、どういう政策をとっていくべきか。それと同時に、北朝鮮に対して、北朝鮮が建設的な対応をすれば解決するわけでありますから、北朝鮮が建設的な対応をするようにさせるために日米韓でどういうふうに協力し合っていくか。そういったことを含めて今やる必要があった、そういうことだろうと思います。
  51. 山中あき子

    山中(燁)委員 申し上げるまでもなく、アメリカでは、議会も国民も相当に、対イラクと対北朝鮮の対応が違い過ぎるのではないかというふうないらいらが募っているという印象を私は先月受けましたけれども、そういう中で、少しずつアメリカが、ソフトからハードも含めた政策の変更をしつつあるのかなという印象が一般的に広がっているわけですが、その辺はどういうふうにお話し合いの中でお感じになりましたでしょうか。
  52. 高村正彦

    高村国務大臣 少なくとも第一選択肢としては、KEDOの枠組みを維持していきたい、アメリカ政府が今そう考えているということは感じました。
  53. 山中あき子

    山中(燁)委員 アメリカの場合非常に上手に、そういった、アメリカの強い姿勢を示すぞというのと一緒にNGOを活用しているという印象を受けました。ワシントンのサーチ・フォー・コモン・グラウンドという予防外交のNGOがございますけれども、実は、ここの方とお会いしましたら、今この時期にアメリカの女子バレーボールチームを北朝鮮に派遣して、そしてバレーボールの友好試合をする、それは、国はできないのでNGOがやるんだということで、強い姿勢と同時に、もう一方、NGOを活用してどうにか人脈をつないでいこうという努力をしていると思います。  日本は、そういう意味では、歴史的に見ても地理的に見ても非常にたくさんのNGOの人たちが、NGOというか北朝鮮と縁の深い人がいるわけですから、やはり国の姿勢は非常にハードであっても、もう一つそういうところとの連携を国としてとって、そしてできるだけいい形になっていくようにしていただきたいと思います。  日本も、北朝鮮に対する政策というのを、バイのカードを、ある意味ではKEDOの署名というのを、北朝鮮が何もしないで、おわびもしませんし、それから、ミサイルのこれからの製造を禁止するという約束も何もしないうちに、いわばアメリカその他の国からの力によって署名したというふうにもしかして北朝鮮がとっているとすれば、日本としては非常に二国間の外交カードというのが弱くなっているというふうにも考えられますので、ぜひこれを機会に、NGOも含めていろいろなチャンネルをどういう形でもう一度構築し直すかということをお考えいただければと思います。お願いします。  一言いただいて、終わりにいたします。
  54. 高村正彦

    高村国務大臣 近い国でありますから、今厳しい対応をとっておりますけれども、いろいろなチャンネルで接触することは大切だ、こう思っております。
  55. 山中あき子

    山中(燁)委員 これで終わります。
  56. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、松本善明君。
  57. 松本善明

    松本(善)委員 日韓漁業協定は、海洋法条約趣旨に沿って海洋生物資源保護乱獲規制を前進させるものでありますけれども我が国漁民の立場から見ますと、いろいろ極めて不十分な点も遺憾な点もございます。  それで質問しますが、今までの同僚委員の質問にほとんど同感でありますし、私が質問しようとしていた点もありますが、重複を避けて要点を聞きたいと思います。  まず、水産庁に伺いますが、これまで我が国海域周辺では、韓国漁船による乱獲我が国漁船の漁具が引きちぎられるなどの被害が、特に北海道の襟裳岬沖だとか東北の三陸沖、それから日本海側の秋田、山形沖や山陰沖、さらに九州の対馬周辺などで頻発をしてきました。  特に今、既に議論もありました韓国漁船による刺し網漁業の問題、対馬では底流し縄と言っているようですけれども、こういう問題や、最近の金華山沖での、水揚げしたサンマを転載した韓国漁船が逮捕されるとか、そういうものが相次いでおります。  お聞きしたいのは、この協定によって、我が国排他的経済水域においては、これらの乱獲我が国漁船に及ぼしてきた漁具などの被害はなくなるのかどうか。この点をお聞きしたいと思います。
  58. 中須勇雄

    中須政府委員 これまでの我が国の周辺海域におきます韓国漁船操業というのは、従来の枠組みが、いわば領海十二海里の外は公海扱いという中で起きてきている、こういうことでございまして、今回の新しい日韓漁業協定締結ということも、国連海洋法条約に基づく沿岸国主義の海域排他的経済水域を確立して、沿岸国の主権のもとにそういった活動を取り締まる体制をつくるというところに眼目があったわけでございますので、そういった意味では、乱獲あるいは日本漁船に対する漁具被害ということを含めて、我が国の監督下において韓国漁船操業するという事態に変わるわけでございますので、こういった事態は大幅に改善されるというふうに考えますし、また改善されなければならないものというふうに承知しております。
  59. 松本善明

    松本(善)委員 特にはっきりしておきたいのは、我が国排他的経済水域では韓国の刺し網漁業は行われませんか。禁止されますか。この点をはっきり聞いておきたい。
  60. 中須勇雄

    中須政府委員 先ほど、他の委員お話の際にお答え申し上げましたとおり、底刺し網漁業については、資源に与える影響あるいは漁場競合、いろいろな意味において大変問題のある漁業ということが私ども基本的なとらえ方でありまして、今度の新しい協定で、日本排他的経済水域内における操業条件その他は最終的には我が国が決定する、こういう枠組みに変わったわけでありますので、そういう観点に立って、これを禁止するという強い態度で韓国と話し合いを続けていきたいと思っております。
  61. 松本善明

    松本(善)委員 これは話し合いというより、排他的経済水域ですから、我が国の主権の問題だろうというふうに思います。  外務大臣、伺いますが、日韓漁業協定ではかなり広い暫定水域が決められて、これについての我が国漁民不満が極めて強い。同僚委員の質問もございましたが。この地域での資源管理が適切に行われるかどうか、この問題が極めて重要で、同僚委員からも話がありましたが、国際的にヨーロッパだとかカナダ周辺などで行われているような資源管理、この精神が何か別物のようなニュアンスの、ちょっと答弁をお聞きしてそういう感じがしたんですけれども暫定水域においてはやはり海洋法の精神に基づいて資源を共同管理する、そしてその点についての共同の取り締まりを強くしていく、これが極めて重要なのではないかというふうに思います。  漁獲可能量を定めるとか漁具や漁法などの操業条件を決める、監視を行っていく、こういうことの方向へ進めていくということが極めて重要ではないかと思いますが、その点について、外務大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  62. 高村正彦

    高村国務大臣 暫定水域におきましては、協定に基づき設置される日韓漁業共同委員会における協議に基づいて資源管理が行われることとなります。  具体的には、各締約国は、日韓漁業共同委員会における協議の結果による勧告を尊重し、またその決定に従い、自国の国民及び漁船に対し、海洋生物資源の保存のために必要な措置及び漁業種類別漁船最高操業隻数を含む適切な管理に必要な措置をとることとしております。  我が国としましては、日韓漁業共同委員会における協議等を通じて、しっかりと資源管理が行われるよう全力を尽くしていきたい、こう思っています。
  63. 松本善明

    松本(善)委員 その中でもやはり漁獲量規制の問題が大変大事で、先ほどもお話がございましたが、我が国の好漁場であります大和堆の四〇%が含まれる問題、これも議論をされました。  問題は、我が国漁民の不安、韓国漁船への不信は非常に大きいものがありますので、これについての韓国側の姿勢、そしてこれを実効あらしめるためにどうするのか、問題点はどこにあるのかということを伺いたいと思います。
  64. 高村正彦

    高村国務大臣 問題点は、暫定水域の中は、実際に取り締まりを行うのは旗国主義ということでありますので、違反操業があっても韓国漁船日本側が直接取り締まることができない、これが最大の問題点なのかな、こういうふうに思います。  そういうことに対しましては、韓国側の違反操業等を見つけた場合には日本側韓国側に通報する、通報を受けた側はそれに対する対応をして、そのことを通報した側に、どういう対応をとったかきっちり通知をする、そういったことが定められているわけであります。
  65. 松本善明

    松本(善)委員 その旗国主義である点が一つの問題点なんですが、この共同委員会の決定の確かな実行のために、やはり取り締まり体制の強化ということが極めて重要なんだと既に各委員が議論もされましたけれども巡視船状況とかヘリコプターなどの話も出ました。  問題は、日韓両国による共同乗船、連携巡視、共同取り締まり船の配備、それから違反船に対して韓国側に通報した場合に韓国側取り締まり体制がどうなるかというような問題点だと思うのですが、その点についての韓国側の態度、そして我が国はどういう対処をしていくのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  66. 中須勇雄

    中須政府委員 現在、暫定水域における取り締まり旗国主義という原則のもとであっても、実際に実効ある取り締まりが行われるようにということで、韓国側と話し合いを続けているわけであります。  そういう中で、私どもの方として韓国側に強く要請をしておりますのは、一つは、当然のことでございますが、暫定水域は広いわけですが、やはり違反の起こりやすい地域、船が集中する地域というのはある程度わかるわけでございまして、そういう重点海域韓国側監視船を重点配備してほしい、もちろんその前提として我々も重点配備をするということでありますが、それが第一点。  それから、暫定水域に出漁する船については船名簿をお互いに交換し、船がそれぞれ自分のは何丸であるか、どういう許可番号であるかということがよくわかるような表示をする、これはお互いにルールを決めて表示をし合おうということ。  それから三番目には、今お話が出ましたように、日本側韓国の違反船を見つけた場合、韓国に通報することになるわけでありますが、その際、韓国が的確な国内における処分ができるように、どこまでの資料があればいいのか。例えば、衛星を使った位置測定装置により、どういう場所でこの船を見つけたということを相手方にデータを示してやるとか、あるいは写真とかビデオを撮ってそれを渡すとか、その辺は一定のマニュアルを決めて、こういうものが来れば相手方も的確に対処をする、措置をするというふうなことを決めていこう、そういうことを三点目に。  そして最後に、今お話の出ました連携巡視とか共同乗船という形で、それぞれの取り締まりということではあるけれども、協力し合って実が上がるようにしようではないか。  こういうふうな四点ばかりを韓国側に要請をしているということであります。  今やはり最大の問題は、共同乗船について、韓国側が領有権の問題等を挙げて難色を示しているということでありまして、共同乗船の実現に向けて韓国側を鋭意説得中というか、協議中というのが現状でございます。
  67. 松本善明

    松本(善)委員 海洋法条約の精神に従って人類の資源を守るという観点で、強い態度でやってほしいと思います。  もう一つ外務省に聞きたいのは、船名隠匿船、これの被害も結構あるのですが、これに対してはどういう対処をしますか。
  68. 高村正彦

    高村国務大臣 船名を隠匿して、また国旗も掲揚せず、船名照会にも応じない漁船操業を行っている場合でありますが、船舶の国籍が確認できないので、そのような船舶については日韓漁業協定上の韓国漁船とは認定し得ないわけでありますから、暫定水域内であっても我が国漁業関係法令に従って必要な取り締まりを行うということになります。
  69. 松本善明

    松本(善)委員 我が国漁民の要望の実現のために、一層の努力をしてほしいと思います。  食糧政策の問題は、世界の問題としても日本の問題としても極めて重要なので、水産庁に、関連して若干お聞きをしたいのでありますが、遠洋マグロのはえ縄漁船の減船問題です。  第三次補正予算では、百三十隻の減船補償を決めました。今、六百九十八隻のマグロ漁船のうち、その四割の基地になっている宮城県の気仙沼市では五十隻を超える減船が予想されて、漁業関係者ばかりでなく、関連業者も含めて地域経済に与える影響が懸念をされております。  負債の多くは、メーンバンクであります農林漁業金融公庫とか農林中金といった政府系金融機関の融資残で、減船補償額は、いわばそうした銀行の不良債権の整理に回されるのではないか、これでは造船や仕込み、漁具、資材、電装など、地元の関連中小業者が抱える債権については救済されないのではないかという不安が大きくなって、気仙沼市議会でも意見書を上げております。  減船補償は、金融機関が横取りするようなことは認められないと思いますけれども、どういうふうにするつもりですか。
  70. 中須勇雄

    中須政府委員 遠洋マグロはえ縄漁業につきましては、ただいま御指摘ございましたように、先般のFAOの政府間会合におきまして行動計画が策定され、資源漁獲努力の間に非常に大きな差がある、つまり世界的に見て早急に二、三割の減船が必要である、こういう行動計画が決定されたことを受けて、我が国としても、大変厳しい状況でございますが、二割の減船を実施せざるを得ないという状況であります。  このために、この遠洋マグロにつきましても、国際漁業再編対策という従来の枠組みにのせまして減船の交付金等を支払うという形で、この減船がスムーズにいくように私どもも支援をしようというふうなことで、予算を補正予算に計上するということもお願いをしているわけであります。  実際にこの減船交付金が交付対象者に支払われた場合、それは当然交付対象者の総資産の一部ということになるわけでありますから、減船対象者が例えば金融機関から仮に負債を有する場合には、その返済に充てられる部分もあるということは言えようかと思います。  ただ、この減船交付金は、御承知のとおり、例えば乗組員の退職金等労務費相当分については、実際にそれが船主から支払われたということを確認して、その分その船主に支払われる、こういう性格のものでございますので、御指摘がございましたように、交付金がそのまま金融機関に流れるというふうな状況は生じないというふうに考えております。
  71. 松本善明

    松本(善)委員 食糧安全保障の観点から、米の関税化の問題について質問します。  報道によりますと、政府は米の輸入を来年四月から関税化することを十八日の閣議で最終決定をして、二十一日にもWTOに通告するというふうに言われておりますが、それは事実でしょうか。
  72. 高村正彦

    高村国務大臣 少なくとも私は現在のところ、その日の閣議でそういうことを決定するということは承知しておりません。
  73. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣さえ御存じないということがもし行われるとしましたら、これは極めて重大なことだと私は思います。米の輸入は我が国の食糧安全保障にかかわることで、国会でも十分議論して、国民的合意を得て行うべきものである。これなしに行うということは重大な国会軽視ですし、国民に対する裏切りであります。特に外務大臣も知らないというようなことで、これが強行されるというのは絶対許されないと思います。  それで、外務大臣に伺いますが、同じ報道では、政府は従量税率を採用するということでありますが、この場合、従量税率は輸入米一キロ当たり三百五十円を軸に調整中だということであります。この従量税の水準は、最近のタイ米とアメリカ米の価格水準で従価税に換算すると、三五〇%から四五〇%に相当するという。これでは日本の稲作は壊滅をすると思います。外務大臣、この点についてはどういう認識を持っておられますか。
  74. 高村正彦

    高村国務大臣 私が申し上げたのは、いついつの閣議でどういうことが決定されるということはまだ知らない、こういうことを申し上げたので、大体、閣議の直前まで余り知らないことが多くの決定について多いということは一般的なことであるということは御理解いただきたいと思います。  ただ、二〇〇〇年のWTO次期農業交渉の開始に向けて、我が国においても、各界において現行協定について分析、検証が行われているということを承知しております。その中で、関税化についても農業協定上の選択肢の一つとして検討されているというふうに承知していますが、今おっしゃったような関税率がどのくらいなのかとか、そういうことは私は今存じておりません。
  75. 松本善明

    松本(善)委員 農水大臣と一緒に外務大臣、やはりWTO協定について交渉する責任者の方でありますので、私は、そういう状況でこれが強行されるのは絶対許されないと思います。  食糧安全保障ということを考えますならば、国民の食糧を市場原理に任すということはできない。市場が日本国民の食糧の安全を守ってくれるということは絶対ないわけですから。食糧輸出国にとっては極めて有利な現行のWTO協定を改定して、日本の国民がどういうときでも食糧の心配がないようにする義務が政府にはあると思いますが、その点についての外務大臣の見解を伺って、質問を終わろうと思います。
  76. 高村正彦

    高村国務大臣 食糧、特に米の安定供給ということは、米は日本人の主食でありますから、絶対に必要なことだ、こういうふうに思っております。  これまで我が国は、各種の国際会議や二国間会議などの機会を通じて、農業の持つ多面的機能や食糧安全保障、輸出輸入国の権利義務関係のバランス等の重要性を主張して、こうした考え方に対する国際的な理解が深まるような外交的努力を行ってきたわけでありますが、これからもそういった努力を続けながら、WTO次期農業交渉においても、農産物純輸入国としての我が国考え方が十分反映された内容の合意が得られるよう最大限の努力をしていきたい、こう思います。
  77. 松本善明

    松本(善)委員 日本の食糧と農業が守られるような立場でWTO協定の改定に努められるよう要求して、終わります。
  78. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、伊藤茂君。
  79. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 短い時間ですが、幾つか質問をさせていただきます。  その一つは、本協定に関する附属書Ⅰ、Ⅱの中でちょっと解明をしていただきたいのですが、附属書Ⅰの冒頭に、排他的経済水域の早急な境界画定のために誠意をもって努力するというのがございます。早急なというのは気持ちの問題でしょうか。同時に、この問題は非常に難しい調整であり、また錯綜した調整をしなくちゃならぬというのは事実であります。しかし、この早急なという意味に、単なる気持ちの概念だけではなくて、何か次への展開を考えるというふうな流れの時期に来ているのじゃないかという意味合いに思うわけですが、その点が一つ。  それから、附属書Ⅱに関連をいたしまして、Ⅱの3、三項目ですが、指定された三点を結ぶ線よりも北西側の一部の協定水域、一部適用除外水域ということが書かれておりますが、この範囲はどのように特定をされるのでしょうか。また、それにつきまして、日韓両国漁船我が国漁業団体などとどのような認識がなされているのでしょうか。二点。
  80. 高村正彦

    高村国務大臣 日韓の間においては、本件協定交渉とは別途に排他的経済水域の境界画定に関する交渉を行っているわけでありますが、残念ながら、双方の基本的立場の隔たりは大変大きいわけであります。境界画定について早期に合意に達することは相当困難であることが見込まれます。  現時点で見通しについて具体的に申し上げることはできませんけれども、御指摘の本件協定の附属書Ⅰにおいて確認されているとおり、日韓政府は、今後とも排他的経済水域の境界画定に関する交渉を誠意を持って継続していくと。具体的にどうというところまでまだ行っていませんが、単なるじゃなくて、一生懸命することを考えている、こういうことでございます。  それから、附属書Ⅱの3に言う「北西側の水域の一部の協定水域」とは、北西側の水域の一部をなす協定水域意味しておりまして、具体的には、北西側の水域のうちの我が国排他的経済水域及び韓国排他的経済水域を指しております。当該水域の中の我が国排他的経済水域では我が国漁船操業することができますけれども韓国側は、北朝鮮との関係もあり、当該水域での韓国漁船操業を禁止していると承知しております。
  81. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 暫定水域での日本韓国、北朝鮮、この関係につきましてお伺いしたいのですが、日本海暫定水域での北朝鮮漁業操業というのは大体どんな状態になっているのかという認識ですね。  それからもう一つは、従来、北朝鮮との間には、民間レベル、日朝民間漁業協議会とかそれに対応する向こうの団体とか、民間で協定が行われておりました。今までの長い期間さまざまな曲折がありという経過は私どもも承知をいたしております。現在、国際情勢あるいは朝鮮半島全体情勢のかかわりもあって、私の知るところでは、この四、五年間はとまったままになっているようなことも伺うわけでありますが、それらの状況と今後。  いずれにしても、さまざま複雑な外交問題がありますけれども、同じ海で同じ魚を追いかけてという問題ですから、やはり何らかの、今すぐ政府レベルとはまいりませんが、民間レベルでもそういうものができることが望ましいことだというふうに思いますが、どういう認識でしょうか。
  82. 高村正彦

    高村国務大臣 暫定水域における第三国漁船の取り扱いについては、操業許可の可否等も含めて、日韓漁業共同委員会において協議されることとなっているわけでありまして、北朝鮮漁船の扱いについても、必要に応じてこの委員会で協議することになるわけであります。  それから、北朝鮮との民間レベルでの漁業協定はどうなっているかということでありますが、一九七七年、北朝鮮が二百海里経済水域を設定したことに伴い、同年、日朝漁業協議会と朝鮮東海水産協同組合との間で日朝民間漁業暫定合意が成立し、それにより、過去、我が国漁民が北朝鮮の二百海里水域内で操業を行ったという経緯があるわけでありますが、同暫定合意については、一九九三年末に期限が切れることとなった際に北朝鮮側より延長の意思がない旨の回答が届き、その後更新されておらず、民間レベルでの話し合いは進んでいないと承知しております。  さらに申し上げると、今民間でも、どうしてもその水域漁業をやりたいんだという要望はそれほど強くないというふうに承知をしております。
  83. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 先ほど来、同僚議員の御発言の中で、いろいろ複雑な問題、また複雑な調整というものを経ながら、さまざま問題点は残っているがここまでやってこられた御努力というのは、私は敬意を表したい、共通の気持ちでありますし、同時に、長い、難しい経過に沿った問題でありますけれども、やはりこれから先を考えますと、何か積極的なアクション、提案があっていいんじゃないだろうかという趣旨の議論がございました。私も共通の気持ちでございます。  そういう面から申しまして、やはり日本、中国、韓国、まずこの間における協力関係をどう深められるのかという問題があります。  先ほどの御答弁にございましたように、二国間の協定、これを仕上げて、どうこれが動き出すようにするのか、あるいは残されたその間の懸案をどうするのかということが当面の課題であることは、私もそうだと思います。同時に、これから先の次のステップか、次のレベルの発展というものを、何か三年、五年、十年と、難しいというだけではない今日のアジア情勢、北東アジアの状況などがあるんではないだろうか、まだ日本としての努力の持つ意味も非常に大きいんではないだろうか。私は個人的に、いつも敬意を表しているんですが、七、八年前でしたか、世銀からの要請から、シュミットさんがシュミット委員会をつくりまして、特に経済金融問題中心でしたが、ワン・ワールドという報告を出されまして、その経過を、前に経企庁長官をされました宮崎勇さんが一月ぐらい協力をしまして、お話を伺ったことがあります。やはり、OBサミットの主要な方であるだけに、そこは、先進国からLLDCにかかわる国までの立派なリーダーに集まっていただいて、その方々の下に民間レベルでの有能な、さまざまの専門家に集まっていただいて、それを見事にまとめるシュミットさんの能力というのはすばらしかったという話を伺ったことがあります。何か先ほど来も議論がありましたが、政府あるいは民間レベル、さまざまの専門家、学者、いろいろなレベルでアクションを起こす、そういうものを何か提起をしていく、そういう構えといいますか努力というのは非常に大事なことではないだろうかというふうに思います。ちょっと簡単にできることではないかもしれません。  ですから、そういうものを、先般の金大中大統領訪日などの経過からいたしますと、やはり遠い先ではなくて、例えば新しい年にはそんな努力を何かトライしてみようじゃないかというふうなところを考えるとか、そういう方向に向けて何か勉強をやっていくとかいうふうな時代じゃないのかなという感じを期待を込めながら思うんですが、最後に大臣の感想を伺って、終わりたいと思います。
  84. 高村正彦

    高村国務大臣 先ほどから、各委員からそのような御指摘があるわけでありまして、大変有意義な御示唆だと思いますので、この問題の主体は水産庁にならざるを得ないかと思いますが、外務省としても関心を持って、どういうことができるか検討してまいりたいと思います。
  85. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 終わります。
  86. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、吉川貴盛君。
  87. 吉川貴盛

    吉川委員 自由民主党、吉川貴盛でございます。  新しい日韓漁業協定について質問をさせていただきます前に、今日までの日韓漁業問題を少しく振り返ってみたいと思います。そして、私自身検証させていただきましたことを最初に申し述べさせていただきたいと思います。  戦後の日韓漁業問題を振り返ってみますと、まず、マッカーサー・ラインが廃止される昭和二十七年にまでさかのぼるわけでありまして、韓国政府は、同年一月に、日本漁船が再び韓国近海に進出することを防ぐため、一方的に朝鮮半島周辺に李承晩ラインを引いて我が国漁船を締め出したと思うのであります。我が国政府は、この李承晩ラインの撤廃を求めて日韓両国政府会談を昭和二十七年二月から開始をして、十三年間という長年にわたる交渉の積み重ねの結果、昭和四十年六月、ようやく両国政府が現在の協定である日本国大韓民国との間の漁業に関する協定に調印をいたしました。そして、その年の十二月に協定発効されるに至ったのであります。  この締結されるまでの間に韓国側に拿捕された我が国漁船は、三百二十六隻に及びました。また、我が国漁船保護に当たっていた海上保安庁巡視船あるいは水産庁監視船が、銃撃を受けるあるいは連行される事件などもあり、まさしく異常とも言える事態も起こってまいりました。我が国漁業者は、まさしく苦渋を強いられた時代であったと私は思います。  このような日韓の厳しい漁業環境のもとにあって、昭和四十年に、今申し上げましたように、この日本国大韓民国との間の漁業に関する協定が決められまして、我が国漁船が拿捕という悲劇から解放されまして、安心して操業が行われるようになったことについては、長年にわたって苦渋を強いられていた我が国漁業者の喜びは大変大きなものであったと考えておるわけであります。  しかしながら、協定の内容を見ますと、今日のような二百海里時代を迎える前のことでありまして、かつ、当時は日本漁船沖合漁場へ進出していった時代でもありましたことから、韓国沖合の一部に共同規制水域を設定し、我が国漁船が利用できるようにしており、また、韓国漁船にあっては、西日本水域に底びき網・トロール漁業に対する一定の禁止区域を設けた程度でありまして、お互い沿岸から十二海里以遠は双方の漁船が自由に操業できることとした内容であったこと、世界的に二百海里時代を迎えた昭和五十二年以降に適宜に協定を見直さなかったことがその後我が国漁業者に犠牲を強いることになったのも、これもまた事実であろうかと思います。  昭和五十二年から、二百海里時代を迎えて、我が国も水産資源の適切な管理及び保護を図るため、漁業水域に関する暫定措置法を公布したのでありますが、大韓民国国民と中華人民共和国国民には、それまでの経緯もあって、法の適用除外をいたしております。  このようなことから、昭和五十二年、米国、ソ連邦が二百海里水域を設定したことから、両国水域操業していた韓国漁船漁場を失って、一千トンから二千トンを超える大型トロール漁船が大挙して、私の地元でありますが、北海道周辺水域に押し寄せて、通年操業を開始することになったのであります。  このことは、単に漁場競合の問題にとどまらず、北海道の零細な沿岸漁業者の漁具等にも多大な被害を与え続けておりまして、さらには、一千トンにも及ぶ大型トロール漁船操業でスケトウダラ等の底魚資源に大きな影響を与えたほか、漁場の破壊を招くなど、この間、漁業者は長年にわたって不当に苦しめられてまいりました。また、本州の日本海側等においても、長年の韓国漁船の違反操業資源管理を無視した無謀な操業により、多大な漁具被害をこうむるなど大きな影響を受けたことから、我が国漁業者が全国的な漁民大会を開催するなど、韓国漁船に対して二百海里排他的水域を即時適用するよう、大きな運動を展開してきた経緯がございます。  平成八年に入りまして、我が国国連海洋法条約を批准して排他的経済水域を設定するとともに、関連法令等を見直して国内の漁業体制を整備してきたのでありますが、このこととあわせて、政府は、国連海洋法条約趣旨を踏まえた日韓漁業関係を構築すべく、二年近くにわたって韓国交渉を行ってきましたが、決着の見通しがつかない中、早急に新たな協定締結する必要に迫られたことから、その時期を区切る意味で、本年一月二十三日、我が国韓国政府に対し、現行協定終了通告を英断を持って行ったものと認識をいたしております。  新しいこの漁業協定につきましては、九月二十五日に日韓両国政府基本合意して、十一月二十八日に新漁業条約が調印されたことは、二十一世紀の幕あけに向けて、まさしく海洋新時代の新しい枠組みとして私は評価をさせていただきたいと思います。しかし、幾つかの課題もございます。  問題点は今申し上げますが、例えば本協定に係る主な問題点、今も議論をされてまいりましたけれども一つには、大和堆まで広げたことによる暫定水域範囲の妥当性ですとか、暫定水域内の資源保護のあり方とか、あるいは暫定水域内での違反操業漁船取り締まりの実効性ですとか、排他的経済水域内における漁獲等割り当ての妥当性ですとか、あるいはFAOによる漁獲量削減計画後の日本水産業への影響ですとか、こういった問題も山積していることも事実でございます。幾つかその課題につきまして認識を問わせていただきたいと思います。  初めに、暫定水域についてでありますけれども我が国漁業者の切実な訴えを無視しと言うと言葉に語弊がありますでしょうか、我が国にとって大変重要な漁場である大和堆を含め、韓国側の主張をより多く受け入れて拡張したこの暫定水域範囲を認めた法的根拠を、まず伺わせていただきたいと思います。
  88. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 法的根拠についてのお尋ねでございます。沿岸国主義を基調といたします新しい海洋法秩序を体現いたしますところのただいま先生の御指摘になられました国連海洋法条約、この第七十四条3におきまして、境界画定の合意が達成されるまでの間、関係国は暫定的な取り決めを締結するために努力すべきである、こういうふうな規定がございます。  したがいまして、日韓両国間で境界画定の合意が達成されていない日本海の一部水域、いわゆる北部水域、及び東シナ海の一部水域、いわゆる南部水域におきまして、暫定的な措置についての取り決めを締結するということは、今回の協定の背景にあります国連海洋法の考え方の上から十分根拠づけられるものというふうに考えております。
  89. 吉川貴盛

    吉川委員 続きまして、韓国漁船に対する漁獲割り当て量でございまするけれども国連海洋法条約では、沿岸国は自国がTACのすべてを漁獲する能力を有しない場合、協定その他の取り決めによりTACの余剰分を他国に漁獲させることを認めるという、いわゆる余剰原則をうたっているのでありますけれども、今回の大韓民国の国民及び漁船に対する漁獲割当量に関する日本側書簡の数量等は、この余剰原則に基づいたものであるか否か、またこれに基づいたものでないとすれば、国連海洋法条約との整合性が問題になってきますので、このことはどのように考えられておりますか。
  90. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、国連海洋法条約第六十二条の2に「沿岸国は、自国が漁獲可能量のすべてを漁獲する能力を有しない場合には、協定その他の取極により、」「漁獲可能量の余剰分の他の国による漁獲を認める。」というふうに規定されております。  我が国の場合でございますけれども、現時点におきまして、我が国みずからがその漁獲可能量のすべてを漁獲する能力を有している、こういうふうに考えられておりますので、したがって、御指摘漁獲可能量の余剰分はないということになるかと思います。  しかしながら、この国連海洋法条約の規定、今申し上げましたこの規定は、漁獲可能量の余剰分を有しない国、つまり、今回の場合は我が国でございますが、我が国が、自国の排他的経済水域におきまして伝統的に操業を行ってきた国に対し、その操業実績などを勘案しまして一定漁獲を認めることを排除する、こういう趣旨では全くないというふうに解釈しております。  したがいまして、国連海洋法条約との整合性という点につきましては、余剰能力というもののない我が国が、韓国漁船に対しまして一定漁獲を認める、これは国連海洋法条約との関係では十分両立可能なことであり、問題が生ずることにはならないというふうに考えております。
  91. 吉川貴盛

    吉川委員 次に、この協定の周知期間、要するに、今、日夜漁業を行っているわけでありますけれども、特に本協定の内容をこの漁業関係者に理解をしてもらう必要があるのでしょう。よって、今申し上げましたように、この協定の周知期間についてどのように考えておるか。
  92. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 本件協定は批准書を交換する日に発効するということになっております。  御案内の、いろいろな状況によりました現行協定が明年一月二十三日に効力を失うということでございますので、私どもとしましては、それまでにこの協定発効すべく、韓国側との日程調整を行いたいというふうに考えているところでございます。そういう意味で、協定発効までの期間というものはもはや余り長くないというふうに考えております。  他方におきまして、九月末の基本合意以降、関係省庁から漁業者に対しまして、既に種々の形で説明を試みているところでございまして、また、今後とも、協定発効までの間、あらゆる努力をいたしまして、協定の内容というものを関係者の方々に御説明を続けてまいりたいというふうに考えております。  したがって、周知期間という点につきまして、問題が起きないようにきちんと対処をしたいというふうに考えております。
  93. 吉川貴盛

    吉川委員 時間もありませんものですから、急いで質問させていただきたいと思いますが、高村大臣に後ほど二つあわせて質問させていただきますので、今しばらくお休みになっていてください。  次に、先ほども私なりに検証させていただきました中で申し上げさせていただきましたけれども、漁具の被害についてであります。  韓国漁船による被害というものは極めて大きいものでありまして、被害を受けておる漁業者は大変困窮していると聞いているわけでありまして、今後、この違反の監視取り締まりを行うことはもちろん国の責任であるわけでありますけれども、漁具被害を起こさせないことも、またこれも一方では国の責任であると考えるわけであります。  万が一、この漁具被害が発生した場合は、私は、民間ではなく国の責任において処理すべきじゃないかというふうに考えております。さらに、今までの漁具被害につきましても、未解決のものが相当額に上っておりまして、今後、民間レベルでの解決が困難になることが想定されるわけでありまして、このような場合、政府が責任を持って解決を図っていくべきだと思いますが、この辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  94. 森本稔

    ○森本説明員 漁具被害の救済の問題でございますけれども韓国漁船操業に伴う我が国沿岸漁業者の漁具被害については、現在、日韓間の民間レベルの取り決めに基づき、民間団体での協議により処理されているところでございます。  水産庁としましても、民間協議の円滑な推進等のため、我が国民間団体を支援するとともに、政府協議のあらゆる機会をとらえて、相手国政府に対し、被害事案の早期解決について韓国民間団体等を指導するよう要請しております。  また、漁具被害の防止のため、漁業者の自警船による監視活動及び漁具設置状況等の通報に対する助成措置等を講じているところであります。なお、今般、新協定に関連して、漁具被害を受けた漁業者に対し、新しい漁具の導入を支援するための漁具損害特別資金助成事業を設立いたしまして、所要の経費を第三次補正予算に計上したところでございます。  また、新協定発効後は、我が国排他的経済水域の中で操業する韓国漁船我が国管理下に置かれるということになりますので、これら漁船の位置等の情報がわかること、被害が発生した際には臨検等の措置がとれることから、これまで以上に洋上における政府の支援が可能となると考えております。  しかしながら、漁具被害に関する補償問題については、加害者が存在する民事の案件であることから、国が補償金等のようなものを被害漁業者に支払うことは極めて困難ではないかと考えております。
  95. 吉川貴盛

    吉川委員 この点については少し議論を深めたいわけでありますが、残念ながら時間がございません。  最後に、外務大臣にお伺いをさせていただきたいと存じますが、いろいろ問題点があるわけでありますけれども、北海道から九州の沖までの広大な海域において韓国漁船操業に対する完全な監視、そして取り締まりが必要だと思うわけであります。この点についての大臣の見解を伺いたいと思います。  そして、もう一つ。この漁業暫定水域内の規制措置について、私のところに、島根県漁業協同組合連合会から重点要望事項というのも手元にいただきましたが、暫定水域内の規制措置について、五つぐらいあるのですが、一つ、「根拠ある実績以上に隻数を認めないこと。」あるいは、「日本漁船操業条件等規制は、韓国漁船にも同様に課すこと。」さらに三つ目に、「韓国小型底びき網漁業・小型トロール漁業の許可は出さないこと。」四つ目に、「韓国底刺網漁業の許可は出さないこと。」五つ目ですが、「すべての漁業を許可制とし、漁獲量把握のため、暫定水域我が国EEZ水域内とは、同一船に重複して許可を出さないこと。」等々が、強い形での要望として出されているわけであります。  要するに、漁民の一番の関心というのは、この協定で手足が縛られていないのかどうか、日本の主権がきちっと守られているか、こういうことだろうと思うわけであります。その辺について、高村大臣の御見解と、この協定に対しましての御決意と申しましょうか、それをお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  96. 高村正彦

    高村国務大臣 新たな日韓漁業協定のもとでは、我が国排他的経済水域として、韓国漁船を取り締まることのできる水域が大幅に拡大することになります。そうでありますから、これまでの旗国が漁船を取り締まる体制に比べて、取り締まりについても相当な体制整備が必要になる、こういうふうに考えております。具体的な体制整備については関係省庁間で鋭意検討中である、こういうふうに承知をしております。  それから、本協定は、平成八年に国連海洋法条約日韓両国について発効し、両国排他的経済水域を設定したことを踏まえ、両国合意に基づき、漁業問題の実際的かつ早急な解決を図るために、おのおのが漁業に関する主権的権利を行使する範囲の調整を行ったものでありまして、日本の主権を害するような性質のものではないと承知しております。
  97. 吉川貴盛

    吉川委員 終わります。
  98. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、川内博史君。
  99. 川内博史

    川内委員 民主党の川内博史と申します。権威ある当委員会で発言の機会をいただきましたことに、まずもって感謝を申し上げたいというふうに思います。  二国間の交渉という意味においては、大臣もよくよく御案内の昭和三十年代に行われたドミニカへの移民という問題は、大変に示唆に富み教訓を多く含んでいると思われますので、私は、十五分の時間をいただきましたので、この十五分の間にこのドミニカ移住者問題というものを取り上げさせていただきたいと思います。  大臣は、昨年ドミニカから日本にいらっしゃった日本人移住者の方々ともお会いになり、事情をよくよく御案内であるというふうに承知をしておりますので、詳しい説明は省きまして、まず事実関係確認をさせていただきたいと思います。  日本政府がドミニカ政府に対して、公式的に第一回目のダーボンという入植地への移民に関する具体的な条件を提示したのは、一九五五年の九月二十七日付の吉岡日本政府移民問題研究委員委員長からドミニカ政府農務大臣にあてた書簡、並びに、全く同じ内容でありますが、日本の在ドミニカ吉田公使がマルチェーナ外務大臣にあてた五五年の十月五日の書簡というふうに考えて間違いがないかどうか、内藤部長から御答弁をいただきたいと思います。
  100. 内藤昌平

    ○内藤説明員 お答え申し上げます。  ドミニカに対する移住は、実は昭和二十九年の八月に、トルヒーリョ当時の元帥が日本人の移民を歓迎したいというところから話が始まっておりまして……(川内委員委員長」と呼ぶ)
  101. 中馬弘毅

    中馬委員長 発言中ですが。
  102. 川内博史

    川内委員 いや、ちょっと、時間がないので、聞かれたことにそうかそうでないかだけ答えてください。
  103. 中馬弘毅

    中馬委員長 では、簡単に。
  104. 内藤昌平

    ○内藤説明員 その経緯を受けまして、御指摘の昭和三十年に吉岡調査団が現地に参りまして、現地の調査にとどまらず、入植の条件等につき協議を行っておりまして、その結果を吉岡団長は、この協議合意点につき確認を求める目的で、先方政府に御指摘の一九五五年九月二十七日付の書簡を出したものでございます。  そういう意味で、私どもとしては、既に実質的に合意は成立していたという認識でおりまして、さらに、それを受けて先方の回答は、実は昭和三十一年三月二十七日付にてドミニカの農務大臣から現地の吉田公使あての書簡で、これがドミニカ共和国への移住の枠組みを公的に確認した文書になっておるわけです。
  105. 川内博史

    川内委員 聞いていないことまで今答えていただきましたけれども、五五年の九月二十七日付の吉岡さんのドミニカ政府農務大臣にあてた書簡と吉田公使がマルチェーナ外務大臣にあてた書簡が具体的な入植条件の提示である。それに対する、合意に達していたというふうに今内藤部長は答弁をされましたが、それは違うというふうに御指摘を申し上げたい。  まず、この書簡の中には「上記の点について、再度、ドミニカ政府合意していることの確認をご通知願います。」というふうに、日本側合意しているというふうに思っているがその確認をしてくれということを言っているわけですから、その確認が来るまでは合意したかどうかはわからないと考えるのが交渉当事者として当然の責務であろうというふうに思うわけでありますが、今、内藤部長は、それに対する回答が五六年三月二十七日付の文書で来たというふうにおっしゃっていらっしゃるが、実は、それはちょっと違うのではないかというふうに思います。  それに対する正式な回答は、五六年の五月十二日付のドミニカの農務大臣から吉田公使あての書簡というものがございます。  それで、この書簡の中にどのように出ているかというと、私は、ついせんだって十一月二十五日から三十日までドミニカへ行って、ドミニカ政府が公開している外交文書等もすべて持って帰ってまいりましたけれども、この文書の中の五月十二日付の農務大臣から吉田公使にあてた書簡には、三月二十七日付の書簡で御不明な点がおありになるということなので再度御回答申し上げますというような文言があり、具体的な入植条件について列記をしてございます。したがって、最終的な回答は五六年の五月十二日付の書簡ということになるんではないですか。
  106. 内藤昌平

    ○内藤説明員 いろいろ交渉をやっておりますと、経緯といいますか流れが生じます。その中で私どもは、基本的な枠組みを定めたのはこの三月の手紙というふうに承知しております。
  107. 川内博史

    川内委員 いや、だから、政府があるいは外務省が勝手に思うのは構わないんですよ。基本的な枠組みをこれで定めたんだと思うのは勝手ですが、ドミニカから第一回目の入植条件について最終的な提示があったのは五月十二日付の書簡だということですねということを聞いているんですよ。
  108. 内藤昌平

    ○内藤説明員 私どもが受け取った三月二十七日の書簡は、現地への受け入れを確認しますということを明確に言っております。ですから、これをもって私どもは準備を進めたわけでございます。
  109. 川内博史

    川内委員 いや、ですから、受け入れを確認するとかしないとかではなくて、入植条件の最終的な提示があったのが五月十二日の書簡でしょうということを申し上げているのですよ。聞いたことに答えてください。
  110. 内藤昌平

    ○内藤説明員 枠組みがありまして、さらに、もちろん細部で状況というものを詰めていくという手続は、一つ一つの書簡に限らずこの後も実は続いております。現地の状況とこちら側の期待したことの差というのは紙でもあらわしにくいところがございます。ですから、その都度改善する長い交渉があったわけでございます。そういう意味では、いろいろなやりとりはこの後もございます。ですから、最終という表現はなかなか難しいと思います。
  111. 川内博史

    川内委員 いや、ですから、それはいろいろやりとりが続くのは当然ですよ。  ダーボンへの第一回目の入植者を受け入れるに当たって、ドミニカ政府から日本政府に対してこういう条件で受け入れをしますよという条件が提示されたのは五月十二日の書簡ですねということを言っているのです。
  112. 内藤昌平

    ○内藤説明員 今は二つの書簡が問題になっておりますが、その二つの書簡の違いは、最終的な送還の問題なんでございます。移住者が帰るときの条件が最後の書簡に付加されているわけでございます。そういう意味で、受け入れとは状況が違います。
  113. 川内博史

    川内委員 それでは、三月二十七日付の外務省さんが確認をしたという文書を公開できますか。私がドミニカから持ち帰ったこの資料の中には、三月二十七日付の公式交換文書というのがどうしても、どれだけ探しても出てこない。三月二十七日付の文書を公開していただけますか。
  114. 内藤昌平

    ○内藤説明員 これは、外交文書として、外交文書公開の原則にのっとって処理されます。
  115. 川内博史

    川内委員 ここが大変大事なところで、実はこの移民の募集というのは、両国が正式に合意する前に移民の募集が始まっているという事実があるわけですね。一九五五年の三月中旬に始まっている。一九五五年の三月の中旬には、既にドミニカへの移民の募集を始めている。しかし、今の内藤部長の御説明では、三月二十七日付で両国合意したんだとおっしゃる。私は五月十二日だと思うが。  結局、前回の東議員のこのドミニカ問題に対する質疑でも触れておりますが、政府は、ドミニカからもたらされる情報を提供しただけだというふうにおっしゃるけれども、しかし、ドミニカから情報がもたらされる前に移民を募集している。政府の勝手な見込みで、確認をする前に募集しているわけですよ。移民の募集を開始したのは三月でよろしいですね、三月の中旬で。もしかしたら一九五五年の二月かもしれないですが。
  116. 内藤昌平

    ○内藤説明員 恐れ入ります、四十数年前の日付なものでございますから。私どもが承知していますのは、募集が公募という形で開始されたのは四月に入ってからと承知しております。
  117. 川内博史

    川内委員 いや、そんなうそをついちゃだめですよ。三月の中旬に既にもう募集がかかっているんですよ。四月だという証拠を出してくださいよ。
  118. 内藤昌平

    ○内藤説明員 証拠と言われる、日付の入ったものはございません。  ただ、当時の流れからいいますと、三月中に基本を定めて、それから締め切りが四月の二十日ということで募集が始まったわけでございます。
  119. 川内博史

    川内委員 いや、私は現地に行って、現地のダーボンの入植者から話を聞いてきたんですよ。一九五五年の三月の中旬にはもう募集は始まっているんですよ。  三月二十七日付の、政府合意に達したと言っている文書も公開できない。四月から募集を始めたというのもでたらめじゃないですか。  具体的な事実関係について幾つか確認をさせていただきましたけれども、これらのことからも、今外務大臣ずっと聞いていただいていたと思うのですが、当時政府が、政府がというよりドミニカの大使館なりあるいは移住局が、十分な調査もないままに勝手な見込みで移民を送り出したということは明らかだと思うのですよ。大体、正式に合意が調う前に移民を募集して送り出しているわけですからね。  外務省はあっせんをしただけだというふうにおっしゃるかもしれないが、外務省設置法の中には移住者のあっせんということも出ておりますし、そのあっせんについて誠実に責任をとるということは十分にしなければならないと思いますし、昭和三十七年当時の決算委員会の中で、当時の移住局長の高木さんという方は、道義的な責任はある、私たちの見込みがちょっと違ったということはおっしゃっているのですよ。ですから、これは日本に集団帰国された方々にも、あるいはドミニカの国内に残っていらっしゃる方々にも、外務大臣は政務次官でおありになられたころ、十分話し合いをしながらこの問題を解決していきたいという大変に誠実なお話をされていらっしゃるし、大変にありがたいことだというふうに思っています。  ですから、まず私も、法的な責任などという大げさなことを申し上げるつもりはないし、それもまた大変なことだろうと思うのです。ただし、道義的な責任については、大臣がドミニカの移住者に対して何らかの御発言、それは外務省に何らかのミスがあった、見込みで動いたということを御発言いただかなければ、この問題の解決は糸口が見つからないというふうに思うのですが、最後外務大臣の誠意ある御答弁をぜひお願いしたいというふうに思います。
  120. 高村正彦

    高村国務大臣 昭和三十年代というのは、国内において海外移住に対する期待が最も強い時期であったわけでありますが、ドミニカ移住に対する我が国内の反響も極めて大きいものであったわけであります。  政府としては、本件移住の環境を整えるために当時としてはいろいろな措置をとったわけであります。しかし、移住当初において想定していなかったような問題が生じたことは事実であります。結果として移住者の方々は大変苦労した、こういう認識をしております。日本政府としては、このような状況を踏まえて、昭和三十六年、閣議決定を行い、移住者の希望に即して帰国等への援護措置を講じることで一応区切りをつけたことと考えているわけであります。  ただ、昭和三十六年当時残られることとされた移住者の方々に対しても、私、直接お会いしていろいろお話を聞いて、大変御苦労された、お気の毒だとも思っておりますし、外務省としてもできるだけの措置をとるように私から当時指示をしたところでありますし、そういう中で外務省としてもいろいろ努力している、こういうことを承知しております。
  121. 川内博史

    川内委員 ありがとうございました。引き続き取り組んでまいります。
  122. 中馬弘毅

    中馬委員長 最後に、東祥三君。
  123. 東祥三

    ○東(祥)委員 まず初めに、日韓漁業協定に関して質問いたします。  もう同僚議員が多くの問題点について既に質問しているところでありますので、基本的に、一点だけ外務大臣に質問したいと思います。  外務大臣は、昨年来からこの問題の担当者として大変な外交交渉をされてきたことを深く認識すると同時に、またその御尽力にまずもって敬意を表したいと思います。昨年の十二月の段階交渉が暗礁に乗り上げる、そして日本の一方的な破棄通告によって、現行協定の来年の一月二十三日までの失効を前にして現協定では進んでいくことはできない。そしてまた、交渉段階におけるものもそこで破棄せざるを得ない状況に追い込まれていく。  その詳細なことについてはもちろんこちらはわからなかったわけでございますが、問題は、当然、当時日本側の一方的破棄通告によって、今後この協定交渉が行われるに際して、必ずや前回の破棄通告の段階以上に何らかのものを獲得することができるという前提で破棄通告したのではないのか。しかし、残念ながら、当時の状況を思い起こせば、本日議題になっております暫定水域における大和堆、これは入っていなかったはずであります。  そういう意味からいたしますと、外務大臣の功績は僕は多としたいと思いますし、また外務大臣としては当時何とかして妥結の方向に持っていきたかった、そういうこともよくわかっているつもりでございます。しかし、事情によって破棄通告せざるを得なかった。今回、来年の一月下旬における失効を前にして協定を結ぶ必要があった、その結果は決して思っていた期待どおりの結果を得ることができなかったのではないのか。この点について、外務大臣はじくじたる思いがあるのではないのかと私は思うのですが、その点について、評価と御感想をお聞かせ願いたいと思います。外交交渉における今後の問題として極めて教訓になるものだと私は思っております。
  124. 高村正彦

    高村国務大臣 外交交渉の過程というのは、相手の立場もあるので余り詳しく話すべきことでもない、こう思っておりますが、もちろん我が方が考えてすべて万々歳と言えるような結果が得られたとは思っておりません。そうは思っておりませんが、ぎりぎりの交渉をして今の暫定水域ということにたどり着いた、こういうことでありまして、それでは昨年の暮れの段階で直接私が担当者として話していたときよりよくなったのか悪くなったのかと言われれば、これは全体のことでよくなった点もあれば悪くなった点もあるわけでありまして、私は、ぎりぎりのところで日韓両国漁業漁民にとっては大変なそれぞれに不満があるわけでありますが、ぎりぎりの妥結ができた、こういうふうに考えております。
  125. 東祥三

    ○東(祥)委員 外務大臣の評価として伺っておきます。  さて、きょう御質問したいのは、昨日、ペリー前国防長官が中国そして韓国を歴訪され、そして訪日された、その一事をもったとしても朝鮮半島情勢、とりわけ北朝鮮の状況が極めて深刻化しているというふうに私は思いました。日本状況は、既に八月三十一日のテポドン弾道ミサイル発射以来、この外務委員会で何回となく外務大臣と熱い議論を闘わせていただいております。基本的に私は、これは個人的にですけれども、あの八月三十一日以降、日本はまさにKEDOに関しての調印、これを当面の間見合わせる、そういう措置をとった。しかし、KEDOの枠組みをその後も維持していく必要があるという視点のもとに、状況は何も変わらないままそちらの方向に、上げたこぶしをおろさざるを得なかった。そういう状況の中で今の事態を迎えているわけでございます。  アメリカにとってみれば、いわゆる地下における核疑惑施設の解明、この問題に対して査察を要求しているわけでございますが、北朝鮮はそれに対して、もし査察するとするならばそれなりの賠償金を払えという、今までと同じような、全く変わらないビヘービアをそのまま持続しているわけです。日本は当然、昨今入ってきている情報によれば、第二弾目の弾道ミサイルを発射するのではないのか。それプラス、いわゆる地下の核疑惑施設の問題がどういうふうになっているのか。まさに、KEDOの枠組み合意をこのまま続行させていくのかいかないのか、そういう状況にあるんだろう。  そういう状況を踏まえた上で、すべてをわかった上で、まただれよりもこの問題に対して一番精通されているといいますか、一番心配し、またいざというときに何らかの行動をとることのできる唯一の国であります米国の前国防長官であるペリーさんが、まさに北朝鮮の担当相としてわざわざ来たんだろう、背景としてはそういうことなんだろうと推察いたします。外務大臣とペリー担当相との話についてはもちろん報道の限りでございますが、そこにはまさに外務大臣の現在お持ちになっている問題意識、また現実主義的な観点から考えた場合、KEDOの枠組みを続行させていく以外、今の状況を改変させていくわけにはいかない、そういうこともよくわかります。  問題は、日本として、テポドンが再び発射されたときにどうなるのか。さらにまた、アメリカが米朝協議において要求している地下の核疑惑施設、これを何の補償金も取らず、アメリカの言うように北朝鮮がちゃんと査察を応諾すればそれなりの道は開けると思いますが、応諾しない場合どうなるのか。そういう具体的な問題に入ってきているのではないのか。  日本として、そのようなことを踏まえた上で、外務大臣の視点というのはわかります、KEDOの枠組みを崩さない。しかし、KEDOの枠組みを崩さないというその前提には、今の北朝鮮のビヘービアが今のままでいいという前提でおっしゃられているのか、それとも前向きな形で、弾道ミサイル発射について撤回するあるいはまた核疑惑施設に対しての査察を了解する、そういうことを前提にしてでのKEDOの枠組みを続行させていくという意味なのか。その点について、極めて微妙なことでございますが、ぜひお考えを聞かせていただきたいと思います。
  126. 高村正彦

    高村国務大臣 貴委員とはこの問題についてかなり友好的な議論を重ねてきたわけでありますが、何ら状況が変わらないまま凍結を解除した、こうおっしゃられましたが、北朝鮮側の対応が何ら変わらないままという意味ではそのとおりであります。ただ、私は、KEDOの枠組みは壊さないということを最初から言っていたわけでありまして、途中から言い出したわけじゃない。だから、KEDOの枠組みを壊さないという観点から、いろいろな時間の推移で状況はそれなりに変わった、そういう時点で解除した、こう思っているということを一言申し上げておきたいと思います。  それから、きのうのペリー調整官との話でありますが、私が一番最初にペリー調整官に申し上げたのは、日本という国は独自に軍事オプションを持っていないんだ、その国とすれば今KEDOを維持するという以外にないんだ、そういうことを申し上げたわけであります。  それで、むしろ私としては米国がどう考えているのか聞きたい、こう言ったのですが、ペリー長官は、ともかく自分の任務は韓国日本、中国の意見を聞いてくることだから、まずそれを聞きたい、こういうような話であったわけであります。  私とすればもちろん、北朝鮮側に建設的対応をしてもらわなければいけない。建設的対応というのは、理想的に言えば核疑惑施設の査察は完全に応じる、それからミサイル開発については一切中止する、こういうことでありますが、段階でいろいろあるんだろうと思うのですね。オール・オア・ナッシングじゃなくて、いろいろあるんだろうと思うのです。そういったことを求める上において、日米韓が協力して、そういう建設的対応をさせるためにも一緒に努力しなければいけない。そして、日米韓だけでなくて、中国にもどういう役割をしてもらおうかというふうな話も含めてした、こういうことでございます。
  127. 東祥三

    ○東(祥)委員 外務大臣はとてもいい質問をペリー調整官にされたと思います。また、その辺のお話を聞かせていただいて、ありがとうございます。  ただ、私が申し上げたいのは、まさにそういうことも踏まえた上で今後どうしていったらいいのか。KEDOの枠組み合意は、そのまま保持されるにこしたことはない。ただ、前提条件として、あくまでも核疑惑が解消されなければならない。  具体的な問題として、米議会においても、核疑惑査察が許されない限り、KEDOの枠組みを構成している一つの要素である重油の供給は、議会において否決される見通しも高い。これもどうなるかわかりません。しかし、そういう可能性が高い。また、日本においても、年末かあるいは年始に向かってテポドン発射といううわさもある。  しかし、その第二弾目の弾道ミサイルが出てきたときに、外務大臣は十億ドルのKEDOの枠組みにおける日本の拠出金の分担金、この凍結を解除しているわけですから、ただ、これも議会における承認が必要なわけですから、私は凍結を解除すべきではないと言っていたのは、ある意味で、北朝鮮に対する一つのメッセージとしてとことんそれを使うべきだという視点から常に述べていたわけでございますが、そのカードは一つはなくなってしまっている。ある意味で、選択肢がどんどん限られてきているわけです。  他方、私たちが望まない事態が起きたときに一体どうするのか。  防衛庁の方としてもそれなりのちゃんとした準備をされていると僕は推察いたします。今外務大臣が、軍事オプションがないというふうにおっしゃった。おっしゃるとおりだろうと思います。しかし、軍事オプションはないなりにそれなりの準備をしておかなくてはいけないことが、まさに、防衛庁並びに外交を担当されている高村外務大臣が常に頭を悩ませていかなくてはいけない、そういう問題なんだろうと思います。そういう角度で質問させていただいているわけでございます。  その見通しについて日本として何かできることはあるのか。日本として、新聞紙上で言われている、日米韓並びに中国の北朝鮮に対する影響力を何とかして行使してもらいたいというアメリカ側の要求にそれなりのいい答えをしてくださっているということも報道されておりますけれども高村外務大臣が期待する、また予想している方向に行けばいいわけですけれども、行けない場合のことも踏まえた上でのそれなりの準備を政府としてしているのかしていないのか。この点について、いかがでしょうか。
  128. 高村正彦

    高村国務大臣 現時点では、日米韓が協力して北朝鮮に建設的な行動を起こさせるために全力を尽くすということに尽きるのだろうと私は思うのです。確かに、貴委員がおっしゃるように、凍結を解除したことによるデメリットというのは、全然なかったとは言いません。北朝鮮に対するメッセージが弱くなったということは、それはそうなんでしょう、その点だけをとらえればですよ。  ただ、そのことによって、協調して対応すべき日米韓の連携が弱くなるということの、そっちのデメリットの方がはるかに大きかった、私はこう思いますし、あのときのあの判断は私はよかったことだと思いますし、そしてこれからどうするかということは、それこそ日米韓で緊密な協議をして決めていくことで、我が国だけが独走して何かができるというほどのこの問題に関するものはないのだろう、こういうふうに思っています。
  129. 東祥三

    ○東(祥)委員 外務大臣が言われる、日米韓で協議する。日本が何を協議するのかといえば、私が先ほど申し上げました、テポドンがもし飛んできたら日本としてどういう対応をするのですか。KEDOの枠組みをこのまま続行しようとする、そういう意思をそのまま続けることができますか、どうなんですか。日本としては、もしテポドンがもう一発飛んでくれば、これは難しいですねと、そういう反応を言うということ以外ないのじゃないですか。
  130. 高村正彦

    高村国務大臣 国民の理解を得ることが非常に難しくなるであろうということは、当然申し上げております。当然言っています。  それと、さらに言えば、この間の日韓閣僚懇談会の席で、洪長官に対してでありますが、核疑惑の問題、これはまさにKEDOの目的そのものの抜け道になることであるから、これはある意味で理論的にもKEDOとリンクせざるを得ない話ですよということもあわせて私から申し上げているところでございます。
  131. 東祥三

    ○東(祥)委員 外務大臣、私は、もう既に大臣の提唱によって何らかの動きが政府部内において起きていることを信じたいと思いますけれども、まさにペリー前国防長官が来られた、それだけ緊迫している、そういうふうに僕は思います。  しかし、それを公にすることがどうかは別として、少なくとも政府部内において、私たちが維持しようとしているいわゆるKEDOの枠組み、この枠組みを断固として維持し続けさせなくてはいけない。その前提として、まさに北朝鮮のビヘービアが変わる必要がある、その一事に尽きるのだろうというふうに僕は思うのです。そのビヘービアが変わらない場合のことも日本日本なりにそれを考えておかなければ、まさに先ほど外務大臣が言われた日米韓における共通の認識を持った上での行動、連携、こういうものがうまく機能しなくなるのではないのか。当然、釈迦に説法でございますけれども。  逆に、外務大臣のイニシアチブで、政府部内においてそれなりの、安全保障会議なのか、よくわかりませんけれども、それなりの行動をとられることを僕はぜひ提唱したいと思いますし、ここに防衛庁の方も来ておられると思うのですけれども、その辺の情報収集等、またぞろ日本は危機の問題に対しては全く能力がないと言われますし、僕もそのとおりだろうというふうに思いますから、それなりの準備をちゃんとされることをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  132. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  133. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  134. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 中馬弘毅

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  136. 中馬弘毅

    中馬委員長 次回は、来る十四日月曜日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十六分散会      ――――◇―――――