○森本晃司君 私は、公明を代表し、ただいま議題となりました
金融機能の
再生のための
緊急措置に関する
法律案外関連
法案につき質問をいたします。
小渕
内閣が経済
再生内閣と命名して出発してから早くも二カ月が過ぎ去りました。しかし、一向に不況打開の糸口は見えず、株価は下がり続け、ついには一万三千円を割り込むところまで下落し、完全失業率は四・三%で戦後最悪、完全失業者も過去最多の二百九十七万人となっております。その上、倒産は相次ぎ、日本経済は
再生どころか、今や日本経済は、小渕ではなく、がけっ縁に立たされていると言っても決して過言ではありません。
これは、小渕総理が経済
再生へのリーダーシップを全く発揮せず、丸のみ、丸投げの無
責任な政治姿勢に終始しているからであります。総理には不況に苦しむ国民の声が聞こえていないのですか。総理には国民の怒りがわかっていないのですか。
今回、参議院に送られてきた
金融再生関連
法案も、与野党
修正協議に政府・与党は
修正を小出しにし、いたずらに時間を浪費、九月十八日の与野党合意でようやく決着したとだれしもが思ったのでありますが、その直後から、長銀への
公的資金の注入にこだわる訪米中の総理発言を初めとする自民党幹部の発言により、早急に
処理すべき
法案が迷走に続く迷走を繰り返してまいりました。
総理が口を開けば迅速かつスピーディーにという言葉をお使いになりますが、それとは全く逆に、
衆議院での審議入りから一カ月過ぎ、会期末までもうあとわずかというところでやっと本院で審議することになったのであります。総理、どうせ丸のみするのだったら、もっと早くスピーディーになぜやらなかったんですか。
党首会談の合意を踏みにじる発言は、
法案の
共同修正作業を大混乱させ、内外の市場に誤解を与えました。その
責任は極めて重大であり、政党間の信頼を損なう悪質な背信
行為であると言えます。総理は、このような
事態に対してどのような対応をされたのか、またどう思っておられるのか、まずお尋ねいたします。
宮澤大蔵大臣は、長銀は「
特別公的管理で対処する」とした野党案に対して、長銀への資金投入の道が閉ざされると思い、党首会談の合意文書を「
特別公的管理等」とするように働きかけたと言われております。これが事実ならば、
修正協議を混乱させたのは大蔵大臣自身ではないのですか。
あなたは
平成の高橋是清ともてはやされて大蔵大臣に就任されました。高橋是清は四十二日間で昭和恐慌を鎮静させました。あなたは就任以来六十六日たちました。ますます
事態は混迷を深めるばかりではありませんか。混迷を打開できない大蔵大臣はその
責任をどう感じておられるのか、お尋ねを申し上げたい。
先ほど来の答弁を伺っておりましたけれども、余りにも情けない、余りにもこの混迷を打開しようとする姿が見えない、元気がなさ過ぎる。もっとリーダーシップを発揮しながらやってもらいたい。
ともあれ、不協和音もありましたが、政府・自民党は
提出法案を取り下げ、野党案をほぼ全面的に受け入れ、譲歩したことは恐らく自民党政権下では前代未聞の画期的なことであります。大蔵大臣は、担当大臣として政府
提出法律案を取り下げられたことをどう考えているのか、お答えいただきたい。
また、G7御苦労さまでございました。世界経済がデフレ色を強めている中、ワシントンで行われたG7の
共同声明で
我が国に対して名指しで注文をつけておりますが、主な協議事項、
我が国としてこれにどのように対応していくのか、G7に出席した大蔵大臣にお伺いいたします。
総理、野党案をほぼ丸のみに近い形で受けざるを得なかった
共同修正案をどのように
評価しておられますか。また、野党案をほぼ丸のみしたことについて、自民党内からも、自民党は
金融問題については落第だ、野党の党首に総理を譲ってはとの声が上がっています。身内をおさめずしてどうして国を治めることができるのですか。
秋の夕日はつるべ落としと言われておりますが、昨今の世論
調査を見ておりますと、小渕
内閣の支持率はまさにつるべ落とし、わずか一カ月で低いところからスタートしているにもかかわらず一〇%ダウン、これだけは迅速にスピーディーであったと思う。総理、政権担当能力はもはや限界に来ているように見えますが、総理の率直なお考えをお伺いいたします。
次に、
発議者である新党平和の石井議員にお伺いいたします。
撤回せざるを得なくなった政府・自民党案の問題点及び今回の三党
共同修正案についてどのように
評価しておられるのか。また、財政と
金融は完全に分離し、
金融行政は一元化されると承知しておりますが、その経緯をあわせてお聞きいたします。
バブルをつくり、その
処理に失敗した長銀を初めとする
金融機関の情報開示についても全く不十分で、国民が到底納得できるものではありません。今回の三党
共同修正案では情報開示についてどのように取り扱われたのか、同じく
発議者の西川議員にお聞きいたします。
次に、長銀の
金融債についてお尋ねします。
長銀は、
金融債の発行等で資金調達しております。信用が著しく低下し、株価が額面割れの
状況でも依然として
金融債の発行が続いていることは疑問でなりません。長銀の
金融債は自由な市場では消化できないと思うのですが、消化できるとすれば政府部門、例えば資金運用部、政府系
金融機関あるいは日銀などが購入するしか考えられないのであります。もし政府部門が購入しているとすれば、形を変えた
公的資金の投入であり、国の財産保全の面からも大問題であります。購入しているのか、していないのか、引受額を含め、大蔵大臣の明快な答弁を伺います。
聞くところによると、長銀の
不良債権は九割が
回収不能であり、その額も公表されている四、五倍はあるのではないかと言われております。住友信託も、住友
銀行や大和証券との提携に参加する方向で、長銀との合併を見直す方向であるとも伝えられています。高橋社長をわざわざ官邸にまで呼んで説得された総理でありますが、もし合併が白紙になったらどうされようとしているのか、所見を求めます。
日本経済は戦後最悪の
状況であり、不況はさらに悪化するおそれがあります。民間経済研究機関も、九七年度のマイナス成長に続き、九八年度、九九年度も大幅なマイナス成長を予測しているところがふえております。このままでは戦後初の三年連続のマイナス成長必至であります。このような景気の動向に対して、経済
企画庁長官は経済見通しをマイナスに
修正する意向を示していると報道されておりますが、今どのような判断をされているのか、所見を求めます。
今回の一連の法的
整備は、
金融危機打開への第一歩であります。引き続き早期健全化のスキームを早急につくるべきであります。現在、与野党で調整中と聞いておりますが、デフレ連鎖を防ぎ、国会発の
金融恐慌を回避するためにも、一刻も早い決着を望むものであります。しかし、自民党案を拝見しても、日本の
金融界を中長期的にどのようにしようとしているのか不明確であります。総理はどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
総理は、六兆円超の恒久的減税、事業規模十兆円超の景気対策を所信表明で明らかにされておりますが、景気対策の表明があっただけで、何も具体化されておりません。住宅ローン利子減税を初めとし、今あらゆる景気対策を総動員し、早急に
実施すべきです。いつ、どのような
内容で
実施するのか。あわせて、失業率が最悪の今日、国民の不安解消のためにも具体的な雇用対策をどう考えておられるのか、お答えいただきたい。
最後に、GDPの六割を占める個人消費の喚起を図ることが肝要です。減税の恩恵を受けられない中低所得者や年金受給者などが六千万人もいると言われています。景気対策のために、我が党は、単に減税だけでなく、四兆円規模の一人当たり三万円の期限つき商品券を支給するよう要請してまいりました。あすにもこの
法案を国会に
提出する予定であります。政府も研究されていると伺っております。
総理、期限つき商品券の支給を決断すべきときであります。総理は、所信表明で、「今日の勇気なくして明日の我が身はない」と述べられました。総理が民衆のため、今こそ勇気ある決断を迅速かつスピーディーにされることを強く要求し、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
衆議院議員石井啓一君
登壇、
拍手〕