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1998-11-24 第143回国会 参議院 文教・科学委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十一月二十四日(火曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月十一日     選任          世耕 弘成君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         南野知惠子君     理 事                 馳   浩君                 江本 孟紀君                 松 あきら君                日下部禧代子君     委 員                 亀井 郁夫君                 北岡 秀二君                 世耕 弘成君                 仲道 俊哉君                 橋本 聖子君                 石田 美栄君                 佐藤 泰介君                 本岡 昭次君                 山下 栄一君                 畑野 君枝君                 林  紀子君                 扇  千景君                 奥村 展三君     国務大臣         文 部 大 臣 有馬 朗人君         国 務 大 臣         (科学技術庁長           官)      竹山  裕君     事務局側         常任委員会専門         員       巻端 俊児君     説明員         警察庁生活安全         局薬物対策課長 樋口 建史君         総務庁行政監察         局監察官    北田 祐幸君         科学技術庁研究         開発局長    池田  要君         科学技術庁原子         力安全局長   間宮  馨君         外務大臣官房審         議官      赤阪 清隆君         外務大臣官房領         事移住部長   内藤 昌平君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         文部省学術国際         局長      工藤 智規君         文部省体育局長 遠藤 昭雄君     参考人         宇宙開発事業団         理事      石井 敏弘君         核燃料サイクル         開発機構理事           長       中神 靖雄君         核燃料サイクル         開発機構理事  笹谷  勇君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○教育文化学術及び科学技術に関する調査  (スポーツ振興投票実施に関する件)  (新教育課程に関する件)  (広島県の学校教育に関する件)  (宇宙開発事業団に対する経費水増し請求問題  に関する件)  (国立大学附属病院看護婦勤務体制に関す  る件)  (名古屋大学医学部教授汚職容疑に関する件  )  (海外日本人学校への養護教諭派遣に関する  件) ○派遣委員の報告に関する件     ―――――――――――――
  2. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本委員会は、世耕政隆君の逝去に伴い一名の欠員となっておりましたが、去る十一日、世耕弘成君が本委員会委員に選任されました。     ―――――――――――――
  3. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  教育文化学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会参考人として宇宙開発事業団理事石井敏弘君、核燃料サイクル開発機構理事長中神靖雄君及び核燃料サイクル開発機構理事笹谷勇君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 教育文化学術及び科学技術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 江本孟紀

    江本孟紀君 民主の江本でございます。  休会中にもかかわらず委員会開催させていただいて本当にありがとうございます。お忙しい中を両大臣、御出席ありがとうございます。  まず最初に、スポーツ振興くじ関連して御質問をさせていただきたいと思います。  二〇〇二年のワールドカップ開催に向けて本当は盛り上がっていなければいけないはずのサッカーが最近少し盛り下がっておりまして、どうも元気がないということですが、Jリーグ川淵チェアマンは、チーム、スポンサー地域、これが一体となった球団運営には十年が必要というようなことを、Jリーグができた当時はこの点に関して大変危惧をしておりまして、どうもそれが何かうまくいかない、そしてスポンサー企業の撤退とか入場者数の激減、そういったことも含めてJリーグ存在自体がちょっとこれ大丈夫かなというような状況に今なっております。  私は、こういった状況も少し考えて、反対の方が多いんですけれども、私はもともとスポーツ振興くじ早期に導入してこういったことへの対応もすべきだというふうに考えておりましたが、そういう点で現状非常に残念であります。  しかし、スポーツ振興くじは着々と進行しているようでありますが、そこで文部省お尋ねをいたしたいと思います。  先般の委員会等でも問題になりましたけれども、今回問題になりましたサッカーくじコンビニエンスストアでの発売についてということで、これも当然議論がありましたが、先日、コンビニエンスストアでの発売を当面取りやめるというような新聞報道もございました。文部省ではこのコンビニエンスストアでの発売についてどのようにお考えでしょうか。
  7. 遠藤昭雄

    説明員遠藤昭雄君) お答えいたします。  スポーツ振興投票法が五月二十日に公布をされました。その後、政省令の中身など制度の骨格につきまして検討するため、保健体育審議会スポーツ振興投票特別委員会というものを設けまして検討を行ってきたところでございます。  その結果、去る十月十五日に同審議会総会特別委員会審議まとめが基本的には了解されたわけですが、その際、コンビニエンスストアについていろいろ議論がございました。その際に、青少年健全育成の視点から、特に発売当初は、発売場所、時間についてより慎重な対応をすべきであるという合意がなされたところでございます。  私どもといたしましては、この発売当初のより慎重な対応という合意を今後どのように具体化していくかということを考えておりまして、この点については今月の三十日にスポーツ振興投票特別委員会というものを開催いたしましてその合意事項を具体化するわけでございますが、コンビニエンスストアにつきましては、当面発売場所としないことがあるということも含めまして、この特別委員会で御議論をいただきたいというふうに考えております。  私どもとしては、その議論を踏まえて今後具体化していきたいというふうに考えております。
  8. 江本孟紀

    江本孟紀君 次に、これもそのときに問題になりましたけれども保体審審議まとめの中で、サッカーくじについては一枚で五百口を上限として購入できるということで、これも一応問題にはなったんですけれども、この委員会でもちょっと多過ぎるんじゃないかというような話もございました。この点についてはいかがでしょうか。
  9. 遠藤昭雄

    説明員遠藤昭雄君) 先ほど保健体育審議会で了承されました審議まとめの中では、一枚で投票できる上限につきまして、上限五百口という結論をいただいております。これは一口百円を考えておりますから五万円まで買えるというものでございます。しかしながら、今お話がありましたように、五百口では高過ぎるという御意見もございました。  この口数につきましては、今月三十日に予定しております特別委員会で御議論をいただきながら、実施の段階において百口程度とする方向で検討をしていきたいというふうに考えております。
  10. 江本孟紀

    江本孟紀君 ぜひその辺で、私先ほども申しましたように、なるべく早くこの審議をしていただいて実行に移していただきたいと思いますが、先ほどお話ししましたように、今ちょっとJリーグを取り巻く状況というのが非常に心配されるわけですけれども、この辺について文部大臣の御感想を少しお聞きしたいと思います。
  11. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 私は、確かに今御心配の点もあろうかと思いますけれども関係者の間で努力をされることによってJリーグ活動が引き続き円滑に行われるよう期待をいたしております。  また、スポーツ振興投票制度というのは、スポーツ関係者方々から大変御希望が強く、早期実施を期待しておられますので、先般、関係政省令を公布し、さらに実施主体である日本体育学校健康センターにおいても委託金融機関選定基準作成について検討を開始したところでございます。  私といたしましても、今後多くの方々の御理解を得ながら着実に準備を進め、制度実施に向かって努力を行っていきたいと思っております。
  12. 江本孟紀

    江本孟紀君 どうもありがとうございました。  次に、新しい学習指導要領関連して御質問をさせていただきます。  その中で、中学校社会科公民的分野というところから抜粋をいたしますが、「「国家間の相互の主権の尊重と協力」との関連で、国旗及び国歌意義並びにそれらを相互に尊重することが国際的な儀礼であることを理解させ、それらを尊重する態度を育てるよう配慮すること。」、「内容指導に当たっては、教育基本法第八条の規定に基づき、適切に行うよう特に慎重に配慮して、生徒の公正な判断力育成を目指すものとする。」とございます。さらに、小学校音楽科において、「国歌「君が代」は、いずれの学年においても指導すること。」と明記をされました。  国歌国旗の問題につきましては、私もこの委員会で幾度となく質問をいたしましたが、独立した国の基礎である国旗国歌教育についてという部分が非常に難しい問題だということでありますけれども、私は国旗国歌というものをもっと充実して指導を徹底すべきではないかという考え方を持っておりますが、文部大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  13. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 私も国旗国歌は極めて大切だと思っております。  長年外国生活をした人間といたしまして、やはりその国々でどこでも国歌国旗は大切にしているということを重々認識しております。子供たちが将来国際社会において尊敬され信頼される日本人として成長するためには、学校教育において国民としての基本的マナーとして、我が国国旗国歌はもとより、諸外国国旗国歌に対する正しい認識とそれを尊重するという態度を育てていくことが極めて重要であると認識しております。  このため、文部省では、本年七月に教育課程審議会から答申が出ましたが、その答申を踏まえて学習指導要領というものを作成し、先般公表いたしました。この改訂案におきましても、社会科音楽科特別活動におきまして、今御指摘のように国歌国旗指導について明記しているところでございます。すべての学校において学習指導要領趣旨が理解され、国旗国歌に対する基本的なマナー児童生徒にきちんと身につくよう指導をしていきたいと思っています。また、外国国旗外国国歌に対しても正しく礼儀を持って対応するように教育をしていく必要があると思っております。
  14. 江本孟紀

    江本孟紀君 国旗国歌については、私は前に町村文部大臣のときに、しかし法律的なものがないのではないかというようなことで、法制化したらどうかというような話をしたことがありますけれども日本国旗国歌については、学習指導要領でこうやって指導するというような程度になっておって、どうもそこからこう相も変わらず、これだけ広く認められている中でもまだその点に関して問題が起きてくる、特に教育現場でそういったことにかかわる部分においての問題が出ているんじゃないかというようなことであります。  そこで、最近新聞紙上で時々問題になっておりますけれども東京足立区の中学校社会科先生の問題であります。  この件は、授業内容に疑問を生じた母親教育委員会に相談をしたところ、この先生が二年生の各クラスで母親を中傷するプリントを配って、その結果、いたたまれなくなった生徒登校拒否に陥った、そして転校を余儀なくされたというような内容のものであります。授業内容そのものは、沖縄の在日米軍基地について、その存在に否定的な自分考え方生徒に押しつけたというようなことのようであります。  私は、教師であれだれであれ、思想、信条、当然そういったものに対する自由というものは保障されるべきだ。それは私は自由でいいと思うんです、どんな考え方をしようと。しかし、その職にある、例えば教師が、小学校中学校といえば義務教育の中で、子供ですからまだいろんな判断力もない、そういった場で自分のいろんな考え方を強制する、もしくは一方的な教育をしてしまうというようなことがあっては、これは絶対容認できないということであります。  そこで、この件に関して問題があったのは、母親を中傷するプリントを全員に配ったりとか、余りにも挑戦的であるというような感じに見受けられるわけです。そうしてみますと、これはどうもその先生そのもの考え方が余りにも出過ぎているのではないかというような気もするわけです。  小学校中学校義務教育の場合、それはどこでもそうですけれども子供先生を選ぶことはできないわけです。これは一方的に押しつけられるわけですから、だから親にしてみれば子供はもう人質にとられているようなものであります。これは我々も皆さんも経験されたことだと思いますけれども。そういう場で、やはり私は公正中立、そういった部分教育の問題に立ち向かってほしいなということを非常に思うわけであります。  この中で一つ問題なのは、やはりその子供が物すごく影響を受けて、学校へ行きたくないと。どうもその雰囲気が、自分意見に沿っていなければこの子は悪いやつだ、この親はろくな者じゃないんだというような雰囲気というか、それによっていじめという雰囲気が出てしまった。これはやはり私は子供にとっても非常に大きな心に傷のつく部分ではないかなと思います。  この件に関しては、個別にこの先生云々ということを余り言いたくはないんですけれども、しかしこの問題が新聞都議会等でかなり取り上げられたわけです。しかし、都の教育委員会はこの問題が起きて約一年三カ月も放置をしておったわけです。今月の十八日にやっと、それは余りにもひどいじゃないかということで処分をされたわけです。  そこで文部省お尋ねいたしますけれども教員の採用と指導ということについては地方分権の見地から都道府県教育委員会にゆだねているということはもちろん承知をしておりますが、地方自主性を尊重するということと、こういった問題が多い教師をそのままにしておくということとは、これはかなり意味が違うと思うんです。この件について新聞等でもいろいろあって、どうもこういった問題を起こした教師教員に対して今回の件は処分が甘いのじゃないかというような声もあるんですが、しかし、この問題だけじゃなくて教師の質ということの中で、問題を起こした教師に対する処分をする場合によく言われるのは、地方公務員法で定められていますように、解釈して言えば信用失墜行為、それから職務命令違反というようなことで処分が下されるわけですけれども、私は、信用失墜行為というのはこれも含めてどのような事例が当てはまるのか、まずその辺についてお聞きをしたいと思います。
  15. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 御指摘ございましたように、信用失墜行為につきましては、地方公務員法におきまして職員が守るべき義務といたしまして、第三十三条におきまして「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」という規定がございまして、この規定に反するか反しないかということが信用失墜行為に該当するか該当しないかという法律解釈の問題になるわけでございます。  委員指摘のとおり、それぞれの任命権者がそれぞれのみずからの責任におきまして、その任命権に係る職員の具体的な行動に照らして社会通念等をもとに判断をするということに尽きるわけでございますけれども、一般的には、例えば教師というのは全体の奉仕者として自己の使命を自覚し、その職責遂行に努めなければならないというような教育基本法規定もあるわけでございますので、一般の地方公務員より以上に厳しく信用失墜行為に該当するという判断が下されるようでございます。  一般的には、さまざまな法令規定に違反するような行為を行った場合には、それぞれの法令違反とともに信用失墜行為違反処分をされるという事例が多いわけでございまして、本件に係る教員につきましても、東京教育委員会地方公務員法三十三条の信用失墜行為の禁止に違反するという理由で処分をいたしているところでございます。
  16. 江本孟紀

    江本孟紀君 そういった処分そのものをするということと、それから教員の質をやっぱり上げていくと。私もさっきも申しましたが、小学生、中学生ぐらいですとその判断力というか、こういったものが非常に薄いのは当然でして、日本に起きた過去のそういったいろんな事件もあったでしょうけれども、戦争も含めて、もう少し状況判断できるような歴史をしっかり教えるとかというようなことが当然必要だと思います。  私は昭和二十二年生まれですから戦後の教育の中に入ってきたわけですけれども、確かに小学校中学校、高校でもかなり偏向教育が行われてきました。ひどいのになると、アメリカの原爆はだめだけれどもソ連はいいんだとかいうような先生もいましたし、それは確かにその時代その時代でそういった偏向教育が行われてきておるんですが、そういったこととは別に、質の向上ということについては、単に地方にすべてを任せればいいということではなくて、もっとしっかりした方針というものを立てるべきではないかというふうに思います。  この足立区の中学の先生の件も含めて、この件に関して文部大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  17. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) まず、この足立区の問題から繰り返させていただきますが、御指摘のように、公立学校教員保護者を誹謗中傷するプリントを配布するというふうなことは極めて不適切と認識しております。公立学校に対する地域住民保護者信頼を損ねたことになり、大変残念なことでありました。このような行為を行い、またこのような行為によって公立学校に対する地域住民保護者信頼を失墜させ、さらにこれに関連して校長の指示に従わなかったことにつきまして、先ほどお話がありましたように、このたび東京教育委員会懲戒処分を行ったことは任命権者として当然の責務を果たしたものと考えております。  服務規律に違反した教員に対してどのような処分を行い、その程度をどうするかにつきましては、当該教員任命権者である教育委員会がその責任において適切に判断すべきものであり、本件に係る懲戒処分につきましても、任命権者である東京教育委員会において具体的な事実関係を十分に把握し、確認の上、行ったものと認識いたしております。  また、教員の質の向上ということにつきましては、文部省といたしましても常々心を痛めているところであります。さらにまたさまざまな点から努力をいたしたいと思っております。
  18. 江本孟紀

    江本孟紀君 ありがとうございました。  次に、質問をまたスポーツ関係に戻らせていただきますけれども国民体育大会意義について御質問をしたいと思います。  私は、既にもう国民体育大会という名前そのものをちょっとどうかしてほしいなというのがありまして、最近でも週刊誌等批判をされておるものも見ました。  先日、第五十三回国民体育大会神奈川県で行われました。松先生もいらっしゃいますから言いにくいんですが、莫大な経費をかけた割にはちっとも盛り上がらない。いつやったのかなという方がほとんどだと思われます。  この盛り上がらない原因ということも含めてここでいろいろ指摘をされておることもあるんですが、この中に書かれておる記事の内容を見ましても、国体運営に九十億かけている、それから関連施設建設費に二千四百億をかけたということですが、これはもともと開催する時期というのはもう随分前に決めたことなので、いろんな施設をつくるにしてもその当時のままだったとは思いますけれども、それだけのお金をかけた割には盛り上がらない。  その結果、国体のために神奈川県が負った莫大な借金というもの、これはだれが負担するかということになるわけですけれども地方自治体の最近の財政状況を見ても非常に厳しい状況ではないか。特に神奈川県の場合は七年連続の赤字財政でございまして、来年三月の決算期には赤字額が六百四十億だというふうに見込まれております。  そこでお尋ねをいたしたいと思いますけれども、今の日本全体の空気は不景気だ不景気だと言われておりますので特にこういう批判が来るとは思いますが、私は財政的なことよりも国体そのもの意義についてそろそろ問い直す時期に来たのではないかというふうに思います。  文部省は、広く国民の間にスポーツを普及し国民体力向上を図るとともに、地方スポーツ振興地方文化の発展に寄与するため、昭和二十一年以来毎年開催されている。国体は、各都道府県対抗形式による我が国最大総合競技大会であり、国民スポーツの祭典として、我が国スポーツ振興に大きな役割を果たしているというふうに言われております。既に四十七都道府県を一巡して、国体開催そのものがこの趣旨からいうとかなり形骸化をしておると思います。開催県以外はもう本当にこれに関して関心がない。隣の県でやっていたって、ああそうかという程度で、ほとんどそういった関心がないということでいえば、やはり意義が大分薄らいでいるんじゃないか。国体へは補助費として四億六千万を計上しております文部省の、今後の国体への取り組みについてお聞かせを願いたいと思います。
  19. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 御指摘の点が確かにございまして、国民体育大会国体と言っておりますが、全国的規模で行われる我が国唯一総合スポーツ大会であることは事実のようです。国際的な競技会日程等により、今のところ残念ながら一流競技者が参加しない場合があったりいたします。そういうことで、高水準の記録や結果を期待するマスコミの取り扱いなどが少し減少してきている。そういうことから、今御指摘のように、国民注目度が低下しているということはどうも一部の方たちから御指摘があるところであります。  しかしながら、先ほど議員がおっしゃいましたように、国体我が国スポーツの普及や競技力向上国民体力向上地域振興等にやはり大きな役割を今日まで果たしてきたと認識いたしております。私も先日、神奈川国体に行っておりましたけれども、少なくともそこで若者が行っているディスプレーは非常にすばらしいものであったと思っています。非常に寒い、雨の降る日でありましたけれども。そういう意味で、若者がかなりああいうところで積極的に活躍をしていることも事実だと思いました。  しかしながら、この国体も、御説のように創設から五十三年を経ましてさまざまな検討すべき点があると私も思っております。現在、国体に関しまして、日本体育協会、開催都道府県及び文部省の主催三者で協議する場を設けまして、国体の簡素化、効率化について焦点を当てて議論を行っているところでございます。また、競技種目の構成、参加区分などの国体の持ち方についても長期的な課題として検討する必要があると思っております。また、その費用についてもやはり少し簡素化を図っていく必要があろうかということで現在協議をしているところでございます。
  20. 江本孟紀

    江本孟紀君 国体に出ることを最大の目標としてやっておるスポーツの団体も当然あるのは承知しておりますけれども、ただ、国体のもう一つの意義からいうと少し変わってきているというふうに私は思います。  特に、もう最近なれてしまいましたからあれですけれども開催県が必ず優勝するというこんな大会も、これはよく考えれば変な話でして、この記事の中にも書いてありましたけれども、例えばよその県なんかに行っている人を無理に公務員等に採用して、体育の先生ばかりになってしまっているとかというような問題も出ているのではないかという指摘もあります。そういったいびつな、優勝するためにとにかくあっちこっちから集めてくるというようなやり方も、もともとの意義からするとちょっと違っているのではないかと思います。  それから、私は国民体育大会という名前が気に入らないんですけれども、とにかくネーミングをもう少し、みんなが参加しやすいような、また注目できるようなものに変えていくべきではないかと思います。プロ、アマなんかでも、国体に一緒になって出ているような団体ももちろんあれば、全くないものもあるわけですね。本当の意味でのスポーツ振興につながっているかどうかということを再考していただきたい。  それからもう一方では、国体をやるときの施設の問題ですね。単なる土建国体なんというふうに言われるようでは、これはもともとのそういった意味からはかけ障れていくわけですから、何とかアイデアをここで大きく変更して、みんなが参加できる国民スポーツ大会みたいな、スポーツ振興大会とか、サッカーくじ奨励と言うとまた問題がありますので、そういっただれでも参加できる楽しいスポーツというものにぜひ変えていただきたいと要望いたしておきます。  最後に、科学技術庁にお聞きをいたしたいと思います。  先日、私どもも種子島の宇宙センターに行ってまいりまして、私はあそこに初めて行かせていただいたんですけれども、本当にすばらしい施設と環境。中のいろんなものも、全く素人ですので見て非常に驚きました。その中で、短い時間ではありましたけれども、いろんな御説明を受けたり、それからNASAとの関係、今後の宇宙開発、これは今後の日本科学技術の進歩ということも含めて大変重要な分野であるということを短い時間ながら感じました。  そういうことですから、私どもも何とかもっと予算もつけ、こういった開発を振興してほしいというような気持ちを持っておりましたけれども、先日、防衛庁の調達実施本部の過大請求問題と同じようなことがこの宇宙開発事業団にもあったということであります。宇宙開発事業団の方はもちろん被害者の立場でありますけれども、これは防衛庁のことと同じでして、独占的な納入業者が勝手にどんどん予算をつけてしまう、勝手に値段を上げてしまうというようなことで、非常に嫌らしいやり方をしたなというふうに我々は単純に考えてしまうわけです。  この問題に対して、科学技術庁も非常に毅然とした態度で臨んでおられると思いますけれども、きょうまでのその件に関しての調査の御報告と、それから今後の対応についてお聞かせを願いたいと思います。
  21. 池田要

    説明員(池田要君) お答え申し上げます。  宇宙開発事業団におきましては、NECの防衛庁に対します水増し請求問題の報道をきっかけといたしまして、九月末にさかのぼりますけれども、このNECとの契約につきまして、過去五年間にさかのぼって水増し請求というようなことがあったかどうかといったことについて調査実施してきたところでございます。  今月の九日に至りまして、NECから、過去の契約の一部におきまして事業団に対して水増し請求がなされていたといった旨の報告がございました。この報告によりますと、NECは技術者の工賃に相当いたします人工費の工数を偽っておった、過去五年間の三十三件の契約につきまして約二十三億円に上ります過大請求を行っていたということでございました。  事業団におきましては、こうしたNECからの報告を踏まえまして、先週からNECに対しまして会計の専門家を含めました事業団の調査チームを派遣してございます。現在、実地調査を行っているところでございます。現時点におきましては、このような調査を確実に実施いたしまして早期に事実関係を解明することが肝要と考えております。  本件につきましては、こうした調査の結果を踏まえまして、改善すべき点がございますれば速やかに措置していくべきと存じております。  いずれにしましても、こうした水増し請求があったことにつきましてはまことに残念に考えておりまして、当庁といたしましても今後厳正な対処をするように事業団を指導してまいりたいと考えております。
  22. 江本孟紀

    江本孟紀君 そういうことで、ほとんどの方がこの科学技術に関しては興味があって、そして推進したいという気持ちを持っておりますので、ぜひともその辺をしっかりやっていただきたいと思います。  ちょっと時間が早くなりましたけれども、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  23. 扇千景

    ○扇千景君 国会の閉会中、しかも二十七日から始まるという直前ですけれども、両大臣ともども、きょうは欠席者もそのために少し多いなと委員の欠席の数も気にはしますけれども、こういうときに委員会を開いて御協力いただいたことにまず御礼を申し上げながら、国会が閉会中でもるる問題が山積する、また事件が起こる等々、私たちは閉会中といえどもこういう委員会を開いて、いけないことはいけない、いいことはいいときちんと論議できる場をつくっていただいたことをまずよかったなと思っております。また、御出席いただいたり御協力いただいた皆さん方にもお礼を申し上げたいと思います。  今たまたまちょっと質問が出ておりましたので、通知をしております質問の順番を変えていきたいと思います。と申しますのも国会が開会されておりますと当委員会では法案審議というものが主になりまして、なかなか一般質疑をしたり、あるいは特に私がきょう申し上げたいことは、行政監察機能を発揮するというようなことに関して国政調査をする機会がなかなかございません。  御存じのとおり、我が国は膨大な財政赤字も持っておりますし、あるいは肥大化もしております。硬直したいわゆる行政システムというものの問題が深刻化しているのが現在であろうと思います。その抜本的な見直しが求められているのが今現在であろうと思います。二十一世紀を迎えて、今こそ抜本的な改革をしなければならない時期に来ているだろうと思います。  平成九年、昨年の十二月三日に、行政改革会議の最終報告の中でも、「事前、事後に、厳正かつ客観的な評価を行い、それを政策立案部門の企画立案作業に反映させる仕組みを充実強化することが必要である。」と指摘されたんです。  私は、政策の評価というものが本当に必要であろうと思います。先ほど申しましたような財政的なこと、行政の硬直化ということを含めましても、やっぱり私はこの評価をするということが今ほど重要なときはないと思っておりますし、参議院でも、政策に関しての評価、あるいは政府部内または政府の部外からも行われることが重要であるということを、その必要性を参議院でも指摘したんですね。  ですから、少なくとも私は、文部省、科技庁はそれによってどのようにこれを実行してきたのかということを端的に、時間がございませんから短くでいいですけれども文部省、科技庁両方から聞きたいと思います。
  24. 小野元之

    説明員(小野元之君) 今日、文部行政につきましても、さまざまな観点からきちんとした政策を立てていくということが望まれているところでございます。  御指摘ございましたように、文部省は現在、教育改革を六大改革の一つで進めておるわけでございますけれども文部省が行っております初等中等教育あるいは高等教育等に絡みますさまざまな施策について、文部省におきましては、連絡課長会議という組織もございますし、それから局長会議という組織もあるわけでございます。こういった組織を十分活用しながら、現在私どもが行っております施策について、常にみずから見直すといいますか、みずから評価をしていく、みずから考えていくという努力を続けておるところでございます。
  25. 竹山裕

    国務大臣(竹山裕君) 科学技術庁に対する行政監察は、難病対策等に関する調査、震災対策に関する行政監察並びに宇宙開発に関する行政監察、以上三点がございまして、これらそれぞれに今後の対応をしていくわけでありますが、まず、難病関係につきましては……
  26. 扇千景

    ○扇千景君 細かいことはいいです。
  27. 竹山裕

    国務大臣(竹山裕君) いいですか。  そうした三点の指摘がありまして、それぞれにその勧告をしっかりと受けとめて、その指摘趣旨を十分に踏まえて適切な改善措置を講じていきたい。このためには、行政の制度、施策、組織、運営の全般にわたっての改革、改善を推進していかなきゃならないと、こういう次第です。
  28. 扇千景

    ○扇千景君 はい、わかりました。  総務庁、来ていますか。  十一月十八日に総務庁が、これは文部省と厚生省が一緒になっていますけれども文部省に対して補助金に関する勧告をしたはずですけれども、どのようなことか簡潔におっしゃってください。
  29. 北田祐幸

    説明員(北田祐幸君) お尋ねの補助金に関する行政監察ですけれども、これは、補助金等の執行の適正化あるいは補助事業の適性かつ効果的な実施等を図るという観点から、民間団体に対する補助金等につきまして、補助金の交付事務や補助事業の実施状況などを調査しているものでございます。  このうち、平成十年四月から調査実施いたしました文部省及び厚生省所管の補助金の中に不適正に交付されている事例が見られましたことから、関係機関に対しまして早急にその返還等の措置と今後の再発防止策を講ずるよう求める必要があるために、今先生言われました、去る十一月十八日に文部省及び厚生省に勧告をしたものでございます。
  30. 扇千景

    ○扇千景君 今回は文部省、厚生省一緒になっておりますけれども、金額がわずかだとか多いとかいうことではなくて、私は文部省の補助金というもののあり方に対しての大事なことであろうと思います。  先ほどもるるございました。文部省は、平成八年五月二十日、障害者の雇用・就業に関する行政監察結果。平成八年八月十四日、生涯学習の振興に関する調査結果。八年十二月三日、外国人子女及び帰国子女の教育に関する行政監察結果。九年六月三十日、学校給食施設の衛生管理に関する実態調査結果等々ございます。それから、ことしの五月十八日、麻薬・覚せい剤等に関する実態調査結果に基づく勧告等々るる勧告をもらっているんですけれども先ほど勧告に対してはという官房長のお話がございましたけれども、今回の、補助金に対して返還を求められ、今後の適正な補助金のあり方という勧告に対してはどのように対処されますか。
  31. 小野元之

    説明員(小野元之君) 御指摘ございました総務庁の監察結果については、私ども大変重く受けとめておるところでございます。  この件につきましては、民間の団体等への補助金でございますけれども、例えばあるものについては、値引きがあったにもかかわらず当初の額で申請をしたというようなことがあったわけでございます。この点、私どもといたしましては、補助金の適正・効率的な執行を確保するために、都道府県、さらに学校法人等にきちんと指導してまいりたいというふうに考えております。  特に、問題でございますけれども、一部不適正に支払われております補助金がございましたので、この点につきましては返還措置をとらせていただきました。  さらに、こういったことを未然防止するということも大事でございます。そういった観点から、交付要綱等の改正、それからさらには都道府県への指導の徹底等を図るべきだというふうに考えておりまして、直ちにこういったことについて努力をしてまいりたいと思うわけでございますし、改善を図るとともに、補助金の適正かつ効率的な執行について今後とも一層努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  32. 扇千景

    ○扇千景君 先ほど私がざっと読みましたけれども、この一、二年だけでも勧告を受けた事例が、文部省は私が今言っただけでも八つあるんですね。適正に処置しますと言われながら、行政監察の勧告を受けたものがどのようにという事後報告がないんですね。  ですから私は、総務庁は勧告をするだけで、どのようにそれが実行されたかどうかという、総務庁はどのように対処しているんですか。
  33. 北田祐幸

    説明員(北田祐幸君) 勧告後のフォローアップについてのお尋ねでございますが、勧告後の改善措置の状況につきましては、監察の実効性を確保するということが非常に大事でございまして、総務庁の設置法五条の規定にも、総務庁長官は関係行政機関の長に対して「勧告に基づいて執った措置について報告を求めることができる。」とされております。  具体的には、原則といたしまして、勧告からおおむね六カ月後までに関係行政機関のとった措置及び措置予定につきまして具体的な回答を求め、さらに、回答からおおむね一年後に再度その後の改善状況等について回答を求めることによりまして、勧告事項、指摘事項の改善措置の推進を図っているところでございます。
  34. 扇千景

    ○扇千景君 私たちは、補助金というのは一円、一銭たりともむだに使わないようにできるだけ多くの人に補助をしていくというのが本来であろうと思いますのに、水増し請求したり、今いろんな話題になっている大きな省庁ぐるみなんというのは、今ちょっとここは話題が外れますからよしますけれども、特に文部省では、こういう事例新聞記事になって文部省信頼にかかわるようなことは、今後そういうことがあったところは補助金の停止だとかあるいは責任問題だとかきちんとしなければ、二度とこういうことが世上に言われないように、今後、監督庁に、行政庁に報告するだけではなくて、世の中にこういうふうに対処をしたということが目に見えるようにぜひやっていただきたいと思います。  大臣のお気持ちだけを聞きたいと思います。
  35. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) おっしゃるとおりでありまして、特に文部省というのは教育の中心ですから、そういう意味でもこういう不適切なことのないようにさせていただきたいと思っております。
  36. 扇千景

    ○扇千景君 話題を変えます。  新教育課程の改訂が発表されました。時間がございませんから、内容について一々言うのは次の臨時国会が始まってからでもいいとは思うんですけれども、今回削除される項目とあるいは移行してしまう項目とございますけれども、それを簡潔にちょっと御説明いただけますか。
  37. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) 今回の教育課程の改訂は、基本的にはこれまで六日制でございました我が国の小中高を五日制にするということでございます。したがいまして、全体の時間数をまず削減する。ですから、週当たりに直しますと二こま、年間で七十時間をカットするというのが一つでございます。  それからもう一点は、各学校の特色ある教育活動を促すということで、学習指導要領の示し方を大網化する、これまで各学年ごとに示しておりましたものを二学年まとめて示す等でございます。  それから、各学校が創意工夫を生かして行う総合的な学習の時間というものを、小学校で三こま、中学校で二こまということでこれを創設するといったことで、骨格がそうでございます。  したがいまして、内容につきましてはこれを厳選する、時間数に比して二割、現行よりも三割をカットするということが一つと、それから、時間数の減に伴いまして、上学年あるいは上級学校指導をおくらせるといったこと等を基本に据えまして対応いたしました。
  38. 扇千景

    ○扇千景君 内容の一々につきましては次の質問時間に譲りたいと思いますけれども、私からお願いをちょっと申し上げておきたいと思うんです。  移行する主な項目等々がございます。例えば小学校の音楽、イ短調の楽譜を見て歌ったり楽器を演奏することを五、六年生にするとか、あるいは削除する分で、ヘ長調と二短調の楽譜を見て歌ったり楽器を演奏することというような、廃止するものあるいは統合するもの、移行するもの等に分かれています。  私がぜひお願いしたいことは、何十時間ゆとりができるというのは、大臣が所信でおっしゃったゆとり教育ということでいいと思うんですけれども、さっきの国旗の話じゃございませんけれども日本人でありながら日本の楽器を知らない子供がいっぱいいるんです。国立劇場なんかでも子供に見せる何とかというのを演目でやることはあるんですけれども、三味線知らない、お琴知らない、尺八知らない、せいぜい知っているのは太鼓なんですね。全然そういう日本古来の楽器というものを聞いたことも見たこともないし、まして触ったことなんかあるわけないんです。  ですから、私は、全部の学校にそういう日本古来の楽器をそろえると予算も伴うことですから今急に言うわけじゃありませんけれども、せめて昼食時間にBGMで、楽器の音をBGMでお弁当のときぐらいは流してみる。そうすると、これが三味線よとかあるいはこれがお琴なのよとか、日本古来の音楽の音ぐらいは少なくとも低学年の間でも一度ぐらいは聞かないと、居並ぶ国会議員も行政の長の皆さん方も余り日本の楽器のことにお詳しくない方が多いのかもしれませんけれども、私はこれからは大事なことであろうと思います。  洋楽器はもちろんですけれども、幼児期に、小学校あるいは中学校ぐらいまでに少なくとも日本の古典の音楽を耳にしたことがあるぐらいでなければ、耳どころか聞いたこともなげれば見たこともないという大変情けない状況であることも踏まえて、ぜひこれは何らかの対応をとっていただきたい。BGMで流すだけでもいいですから、聴覚だけでもと思うんですけれども大臣のお気持ちだけ聞いておきたいと思います。
  39. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 私は、日本文化子供たちがぜひ知るべきだということを常に主張している側であります。  まず、BGMのことは、いろいろな洋楽もあれば和楽もあると思います。それぞれの学校で工夫するというふうにお願いをしているところです。BGMは子供たちの情操を高めるという点から非常にいいことだと認識しておりまして、そういうことを工夫して、議員の御指摘のような、邦楽などもなれさせることはいいことと思っています。  しかし、それ以上に私が期待しておりますことは、学校週五日制になった場合に地域社会などにお願いをしたいと思っている中の一つがまさにこういう日本文化を理解させることであります。こういう点で今後も工夫をさせていただきたいと思っております。
  40. 扇千景

    ○扇千景君 文部大臣の御趣旨に従って、私はぜひそういうことをこれから精神的なゆとりの中にも持ち込んでいただきたいと思います。  それから警察庁、最近、第三次のと言われるのは大変私嫌なんですけれども、薬物乱用が小学校にまで及んでいるという今の実態を警察庁からちょっと御報告ください。
  41. 樋口建史

    説明員(樋口建史君) 現在、ことしの一月に発表申し上げたところでございますが、戦後三度目の覚せい剤の大きな乱用期にあると認識しております。幾つも原因があるんですけれども、社会の各層に乱用が広がっておるわけでございますが、最大の原因はやはり大きな供給があるということであろうと考えております。  薬物の我が国での乱用の状況でございますけれども、覚せい剤を初め我が国における乱用薬物のほとんどすべては海外で密造されまして、国際的な薬物犯罪組織の手によりまして国内に密輸入されたものでございます。日本側の受け手は日本の暴力団等の組織でございます。  密輸の状況でございますけれども、覚せい剤は主に現在のところ中国、コカインにつきましてはコロンビア等の中南米諸国、ヘロインにつきましてはタイなどの東南アジア諸国であると考えております。
  42. 扇千景

    ○扇千景君 私、大臣に申し上げたいんですけれども、薬物乱用対策推進本部というのが政府につくられておりまして、総理大臣が本部長で各閣僚が部員になって、少なくとも十年間かけて麻薬汚染組織を絶滅させるという目標で進んでいるんですけれども有馬文部大臣あるいは科学技術庁長官、大臣になられてこの薬物乱用対策推進本部という会議に御出席になったことがありますか、ありませんか。
  43. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) まだありません。しかしながら、国会で薬物乱用防止キャラバンカーというのがありましたが、それは見学をいたしました。  私は、薬物だけではなく、非常に青少年の犯罪がふえているということを大変心配しております。
  44. 竹山裕

    国務大臣(竹山裕君) 出席はしておりませんが、薬物関係には多大な関心を持って、科学技術のテクニックを使って捜査、検討もやっております。
  45. 扇千景

    ○扇千景君 私は、政府の中にこういうものをつくり各大臣委員になっていてもこれだけ、今警察庁のお話がございましたけれども、世の中に第三次のと言われるぐらいな時代になって、しかもそれが低学年化している。しかも、言葉は悪いですけれども、おじん狩りだとか援助交際とか、そういうことも薬物のためにするという人もいるわけです。にもかかわらず、政府の中に委員会を設置しただけで、しかも十年計画で薬物汚染組織の対策を推進するということになっていながらいまだにないということ自体が、担当大臣の以前に国務大臣として私はぜひそういうことをやっていただきたい。  この中にもキャラバンカーをごらんになった方があるかもしれませんけれども、全国七ブロックに一台しかないこのキャンペーンカー、薬物キャラバンカーというのが七ブロックに一台だったんです。それを委員会で申し上げてやっと三台ふえたと思いますけれども、少なくとも四十七都道府県にキャラバンカーが一台ぐらいできるぐらいの予算は来年度にぜひ努力していただきたいと思います。  こういうことに関して、外務省、来年の二月だと思いますけれども日本開催される薬物に関する国際会議が予定されているようですけれども、その辺の説明をちょっといただきたいと思います。
  46. 赤阪清隆

    説明員(赤阪清隆君) ただいま先生指摘のとおり、政府といたしましては、東南アジアの六カ国、国連薬物統制計画と覚書を締結しました中国、タイその他六カ国を招待いたしまして、来年二月ごろに会議を開催すべく、現在、各国各方面と調整中でございます。  政府といたしましては、こうした会議を通じて、我が国に対する覚せい剤等の密輸を防止するために引き続き努力してまいりたいと考えております。
  47. 扇千景

    ○扇千景君 ちょうどいい機会でございますし、来年の二月に国際会議を日本で開かれるということでございますので、文部大臣もぜひ今から声を上げて、この本部ができているにもかかわらず総理大臣もまだ本部長として開催の御要請がないということ自体が私は怠慢だろうと思います。ぜひそれを閣議の中で御発言いただいて、実行していただきたいと思います。  ついでにと言っては大変悪いんですけれども、科技庁長官、各国立大学、これは文部省にも関係ございますけれども、薬物管理が大変ずさんであるということが今月発表になりました。  これは科技庁というより文部大臣に申し上げた方がいいと思うんですけれども、変な話ですけれども、和歌山のカレー事件以来、大変大事なことだと思いますけれども、国立大学で薬物の管理の半数が不適正であるというふうに言われているんです。それに関してもぜひ大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  48. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 私も非常に心配をしておりまして、七月三十一日付でその保管管理の徹底、管理体制の点検強化等を行うように指導いたしました。しかし、残念ながら一部の国立大学において劇物等に起因すると考えられる事故が続きました。そこで、十月二十二日付で国立大学等に対し、七月の通知の指導項目に関する履行状況等の報告を受けたところであります。  しかしながら、今御指摘のとおり、まだ十分その管理が行き届いていないところがあって大変残念に思っています。そこで、十一月十七日付で各国立大学等に通知いたしまして、改めて一層の保管管理の徹底、管理体制の点検強化等を求めるとともに、いまだ十分な対応が行われていない国立大学等に対し、保管庫の整備、施錠、毒劇物等の表示、受け払い記録の整備や、必要に応じた毒劇物の速やかな廃棄などの対応を速やかに終え、文部省に報告するよう求めたところです。  また、先日、国立大学協会の席上でも、私よりも申しましたし、また担当の局長より強く要望したところであります。  今後とも、この方針は進めていきたいと思っております。
  49. 扇千景

    ○扇千景君 科技庁長官、研究所の話も聞きたかったんですけれども、時間になってしまいましたけれども、少なくとも全国で百六十四カ所の国立大学・研究機関で薬物を所有していて、しかもその半分と言ってもいいと思いますけれども調査によりますとその百六十四カ所の五一%しか完全に保管管理ができていない。あとは木製やガラス窓のついた保管所で簡単に置いてあると。  こんなことは、私はこの時期許されないことだと思います。何かあったときに困りますので、あるいは国立大学、あるいは研究機関等々、文部省科学技術庁双方に私はぜひこの対応を改めて通達していただきたいということを要望して、時間でございますので終わります。
  50. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 自由民主党の亀井でございます。きょうは初めての質問でございますのでいささか緊張しておりますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  きょうは文部省の方に教育問題について特にお尋ねしたいと思います。  率直に申し上げまして、戦後五十年、残念ながら我が国教育風土、大変荒れているように私は思うわけでございます。特に私の郷土広島県は大変厳しい状況にありまして、先回のこの文教・科学委員会でもいろいろと先生方から御指摘を受けたわけでございまして、私も実は穴があったら入りたいような気がしたわけでもございます。  特に、この四月に参議院の予算委員会で福山の佐藤先生教育の現場の荒れようを話されまして大変反響を呼んだわけでございますし、また、これを契機にしまして文部省からわざわざ広島まで調査団を派遣していただくということで、広島県の皆さん方もこれは大変だという思いを今持たれつつあるわけでございます。  また、先月は、福山のいじめで自殺した生徒の御父兄が、金高さんという方でございますけれども、わざわざ東京に来られまして文部大臣に事情を御説明になり、文部大臣も涙ながらにお聞きいただいたというふうに承っておるわけでもございます。  こうした荒れた風土を今一遍に変えるということはなかなかできないとは思いますけれども、いろいろな問題を一つ一つ地道に取り上げ解決していくことによって変えていかなきゃならないし、変えることもできるだろうと私は思っております。  そういう意味できょうは、身近な広島県のいろいろな事実もございますので、広島県が一番悪いのかもしれませんけれども、その例もとりながら文部省のお考えをお聞きしたいと思います。  まず最初に、中ブロ実力診断テスト、広島では中ブロテストと言われておりますけれども、高校生を対象とした業者テストでございまして、これは広島を中心に一時は島根、山口まで広がっておりまして、一年間に廷べ千四百校、二十万人の生徒が受ける時代もあったようでございますが、今は広島中心でございまして、縮小しておりますけれども、しかし、聞くところによりますと、二億数千万円の売り上げをまだやっているというテストでございます。  十月三十日の週刊朝日には、「どこかヘンだぞ広島県の公教育」「偏差値反対の組合が「業者テスト」でボロ儲け」という見出しで報道されておるわけでございます。また、産経新聞でも十月十四日と十五日に報道されております。これについてちょっとお尋ねしたいと思うわけであります。  このテストは中ブロ実力診断テストと呼ばれておりますけれども、これの実施主体、事業主体は中国ブロック高校文化事業連絡会という会でございまして、この会長は広島県の高教組の委員長の安保さんでございまして、副会長は執行委員の天満さんということでございます。また、この問題を編集する編集長は各教科ごとに五名おられますけれども、いずれも広島県の現職の高等学校先生でございます。  このテストは最近では、広島県学校用品協会という学校にいろんな文房具その他を納める会社がありますが、そこに委託しておりますけれども、この広島県学校用品協会というのも、よく調べてみますと、社長は高教組の副委員長の秋光さんだということでございますし、取締役にはちゃんと委員長の安保さんがおさまっているということでございますし、事務局長は高教組の執行委員の天満さんという方がやっているということでございますから、何と申しましてもこれは高教組の組合ぐるみでやっている業者テストと言っていいんではないかと思います。  そういうことで、このようなことが広島県だけなのか、あるいは他県でもこのようなテストが行われておるのかどうかということと同時に、こうしたテストが時間内に行われておるわけでありますから、そういう意味では、こうした高校におけるテストというのは文部省としては見逃されておるのか、野放しなのかということ、また三つ目は、これは組合がやっているからまあまあ大目に見ざるを得ないんだということで大目に見ておられるのか、この点についてちょっとお尋ねしたいと思います。
  51. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) いわゆる業者テスト等に対します文部省考え方をまず私の方から。  これにつきましては平成五年二月に次官通知を発しておりまして、いろいろとその通知では指導しておりますが、今先生お尋ねの点に関しまして申し上げますと、「学校は業者テストの実施に関与することは厳に慎むべきであり、授業時間中及び教職員の勤務時間中に業者テストを実施してはならないし、また、教職員は業者テストの費用の徴収や監督、問題作成や採点に携わることがあってはならない」、「そのため、学校の管理運営及び教職員の服務の適正が図られるよう」「改善すること。」ということで、これは直接的には中学校の業者テストに対しての通知でございますけれども、この考え方は高等学校にも当てはまるというふうに考えておりまして、従来、文部省はこのような考え方に立ちまして指導しているところでございます。  他県の様子につきましては、詳細は承知しておりませんけれども、このような通知に従った形で各県では行われているのではないかと思います。ただ、具体の詳細につきましてはまだ承知いたしておりません。
  52. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 文部省の方針はよくわかりました。  ところが、このテストにつきましては、先ほど申し上げましたように編集長の五名の先生はもちろんでございますけれども、問題作成は担当教師が交代で行っておりまして、一問一万円の謝礼をもらっておるわけであります。同時に、たくさんの採点がございますが、この採点も一枚五十円でやっておるわけであります。そういうことで、それだけの報酬が払われておりますから、この問題作成料、採点料だけでも年間二千万近くの金が払われているというふうに推定されるわけであります。  そういう意味では、こういうことをしますとこれは地方公務員法第三十八条並びに教育公務員法第二十一条の兼業にやはりひっかかるだろうと思うのであります。そうした場合に任命権者である県の教育委員会の承認が必要であると思いますけれども、当然得ていなければならないわけでありますが、得ていないと聞いておりますので多分そうだろうと私は思います。  そうした場合にこの兼業禁止の規定に反しますけれども文部省はこれに対してどのような是正措置をされるのか、あるいは処分問題を含めて、これまでこういうことを御存じだったのか、御存じだったけれども見逃してこられたのか、わかった以上はこの際どのようにされるかというあたりについてお尋ねしたいと思います。
  53. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 御指摘がございました中国ブロックテストにつきましては、現在広島県教育委員会において詳細な調査を続行中でございますが、現時点で報告を受けているところによりますと、委員指摘のとおり、問題作成につきまして、平成十年度の場合ですと県内十一校の現職の教員がこれに携わっている。それからまた、問題の作成、採点の対価といたしまして、各教員に平成十年度で五百万円程度が支払われているということでございます。  現在、個々の教員への支給の実態につきましてはまだ私ども報告を受けていないところでございますけれども、広島県教育委員会といたしましても、この問題の作成あるいは採点にかかわりまして現職の高等学校教員が受け取った金銭につきましては委員指摘のございました地方公務員法第三十八条の報酬に該当するものであるとの考え方でございますが、これらの教職員がこの報酬を得るにつきまして県教育委員会の許可を得ている事実はないということでございますので、私どもといたしましては地方公務員法第三十八条に抵触するものと考えているところでございますが、なお個々の職員の実態につきまして県教育委員会の詳細な調査が続行中でございますので、それを踏まえた上で広島県教育委員会におきまして適切な措置が行われるものと考えているところでございます。
  54. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 このテストは過去四十四年間も行われておったテストでございますので、ですからなれもあったんだと思うんですけれども、しかし今お話しのように、厳重に調査してちゃんとした処置をしていただくように、指導していただくようにお願いしたいと思います。  次に、この問題に絡みましてもう一つ驚くことは、このテストの料金表には学校経費として一五%を充当してくださいというふうに書いてあるわけです。ということは、天引きして一五%は学校で使うわけであります。二億数千万ですから、計算するだけでも三千数百万円の金が学校に落ちておるわけでありますけれども、これは進路指導担当教師の手元に入っていると一般に言われております。しかも、このテスト以外に、他の業者のテストについてもこのようにリベートがあるのは一般的なことなんだと言われておりまして、進路指導担当教師のところには相当多額の金が落ちていることが確実だと推測されるわけでありますし、これについては証拠がありますから、確実におりておるわけでございます。  この金が学校に入って寄附金として処理されておれば私は問題ないと思います。また、一歩譲っても、その金が特別会計みたいな形でちゃんと管理されておるのならまだ許されると私は思いますけれども、この金が全く使途不明な形で、学校長はもちろん、ほかの先生方もよくわからないというのが実態でございますから、これは私は大変なことではないかと思うわけでございますけれども、こういった事実を文部省は御存じだったんでしょうか。
  55. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 御指摘学校経費の問題につきましても、今回事件が明るみに出まして私ども初めて広島県教育委員会から報告を受けているところでございます。  委員指摘のように、その使い方につきましては、なお広島県教育委員会におきましても個々の学校ごとに、あるいは個々の教員との関係ごとに十分調査し終わっていないという段階でございますけれども学校経費という形で寄附金で処理されるということにいたしましても、それはきちっとした手続が要るということでもございますし、また、特定業者から寄附金を受け取るということが果たして父兄や生徒との関係で十分納得のいくものかどうかというような点についてもそれなりの問題点を県教育委員会におきまして持っているようなわけでございますし、また、個々の職員に仮にそれが渡るというようなことになりました場合には先ほどの問題作成料や監督料と同じような問題が生じてくるわけでございますので、県教育委員会におきましてはこの点も含めまして詳細に調査した上、適切に対処したいということで報告を受けているところでございます。
  56. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 この問題は、事実そういった金銭の授受があるわけでありますから、大きな問題につながるんじゃないかと思います。  特に、この問題は収賄罪に該当する可能性があろうかと思います。刑法百九十七条の収賄罪に該当する可能性も多分にあると思いますので、そういう意味では非常に大きな社会的問題を含んだ問題だと理解していただいて、文部省としても早急に事実を調査していただき、そして是正措置と必要な処置を行うようお願いしたいと思いますけれども、こういった問題について文部大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  57. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) ただいま議員御指摘の広島県の問題は、私も非常に遺憾に思っております。  まず、授業時間にいわゆる業者テストを教員が関与して実施するというのはやはり適当でない。それから、特に教職員学校が業者テスト等に関して報酬等を得ること、これは営利企業等の従事制限を規定した御指摘地方公務員法や各都道府県の定める規則等に照らして大きな問題があると私は思っております。  現在、これが広島県だけかどうかということは、先ほどお答えいたしましたようにつまびらかではございませんけれども、どこであろうとこういうことがあることは全く私としては不本意でございまして、今後こういうことのないよう気をつけていきたいと思っております。  なお、広島県の教育委員会に対しましては、引き続きこういうふうな法令に違反するような事態がないようにするよう指導を続けていきたいと思っております。
  58. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 二つ目は同和教育研究協議会、これについてお尋ねしたいと思います。  世の中に差別は絶対あってはなりませんし、許すことはできませんし、そういう意味では同和教育の必要なことは私も十分承知しておりますし、ちゃんとしなければならないと私は思っております。しかし現実には、広島県の場合には、区別や違い、あるいは得手不得手、こういった問題に着目いたしますと差別だということで問題になって、そうして先生たちが厳しく糾弾される。そういうことから、せっかく先生になりたいと思ってなったのに、教育に対して情熱を失っておる先生も多数おるわけでございます。そういう意味では、正しい同和教育、これを実施しなきゃいけないし、間違えた同和教育を排除していかなきゃならないと私は思うわけであります。  そういう意味では、全国ほとんどの県にあります同和教育研究協議会というのが設けられておるのは御存じのとおりでございますけれども、このことはまことに結構なことだと私は思います。  しかし、その同和教育研究協議会がどのような動きをするかということがこれまた大事になるわけでございますけれども、広島県の場合について見てみますと、広島県の場合は保育園から高校まで、公立学校、公立施設の教職員は全員加入でございます。そうしてまた、各地区の同和教育研究協議会の委員長はすべて学校長でございます。  そういう意味では、組織率一〇〇%の組織でございますからその影響力は大変大きいわけでございますけれども、この同和教育研究協議会の性格について、文部省としては同和教育を研究するための単なる研究会と見ておられるのか、あるいは同和教育を実践する運動団体としてとらえておられるのか、それについてちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  59. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) 同和教育研究協議会につきましては、教職員が参加し、学校単位で組織をつくり、それが上部と申しましょうか、単位となって各都道府県それぞれ同和教育研究協議会といった組織があることを私ども承知いたしております。  そこで活動方針として掲げられておりますことは、ただいま先生が御指摘になりましたように、学校教育におきましての同和教育の重要性ということを踏まえまして、教職員一人一人の意識改革、あるいは実践を通しての同和教育の推進という形で活動方針の上では示されているわけでございます。そういう意味では私どもは、いわゆる運動団体ということではなく、教職員の参加する研究団体という押さえ方でこの活動を見守ってまいりたい、こんなふうに思っているところでございます。
  60. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ところが、広島県の場合はどう見ても単なる研究団体という理解ができない、運動団体として理解すれば非常に理解しやすい実態にあるわけでございます。  ここに「広同教要覧」というのがございますけれども、これを見ましても驚くことが随分書いてあるんです。この「活動方針」には、三ですけれども、「「臨時教育審議会」答申・「新学習指導要領」など教育に対する反動化と弾圧に対決し、民主的な教育内容を創造していく。」と。もう明らかに文部省教育方針に反するようなことが書いてあるわけでありますし、また、「「新学習指導要領」によって書きかえられた教科書を厳しく点検し、「日の丸」「君が代」「元号」「天皇制」のもつ差別性を明らかにするなかで、自主的な教材を編成しよう。」、こういったことなどもたくさん書いてあるわけでありますけれども、実際の動きは研究団体ではなしに運動団体と理解したいようなわけでございます。  同時に、同じように、広島の高等学校の回教の事務局の文書でございますけれども、これの引き継ぎ文書によりますと、いろいろ書いてありますけれども、例えば日の丸・君が代、よく問題になりますけれども、これについては、「私たち一人ひとりがなぜ「日の丸・君が代」強制に反対するのかを明確にしつつ、各現場において、教育内容を含む反差別の取り組みをさらに強化していかなければならない。」ということで、明らかに文部省指導に反するようなことを堂々と活字で書き、そうして行動している団体でございますから、もうそういう意味では広島県の場合、全校を挙げて校長先生以下先生方が文部省指導に反対しているというふうにもとれるわけでございます。  そうした中で、文部省はこの事実について、こういう内容を細かくは御存じないのかもしれませんが、御存じだったのかどうなのか。そうして、こうした事実を文部省としてはどのように受けとめておられるのかということ。  もう一つは、こうしたようなことを事実上許してしまっている県の教育委員会であり市町村の教育委員会であります。地域によってはこの同和教育研究協議会の中に教育委員会の人も入っているわけですから、一緒になってやるわけですね。福山なんかはそうなんですね。一緒に入ってやっておるわけでありますけれども、そうしたところの実態を踏まえながら教育委員会に対して文部省としてはどのように指導してこられたのかどうなのかということについてお尋ねしたいと思います。
  61. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) ただいま先生から御指摘になられましたような、極めて不適切な活動方針が広島県につきましては掲げられておりましたことは承知いたしております。私どももこれは不適切であるということで指導を繰り返してまいりました。  ただいま先生が御紹介されました平成九年度の活動方針には確かにそのような文言がございます。繰り返して申し上げる必要はないわけでございますが、読み上げられましたような活動方針がございました。ただ、平成十年度にはその文言が削除されておりまして、先生が冒頭に紹介されました部分につきましては、「第十五期中央教育審議会・臨時教育審議会・教育課程審議会等の打ち出す答申について進路保障の観点で検討していく。」といった表現に直っております。それから後者につきましては、「「日の丸・君が代・元号」の教育内容化を充実させよう。」といった表現に直っております。  したがいまして、私どもといたしましては、このような活動方針上の文言の訂正と申しますか、これは是とするわけでございますが、先生が御指摘になりましたような実態がどうなるかということが次の課題だろうと思います。したがいまして、私どもといたしましては、このような文言の修正がありました後、具体にこの研究協議会がどのような形で研究を進めていくのか、そこにつきまして十分関心を持って見守ってまいりたい、こんなふうに今考えておるところでございます。
  62. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今お話を聞きましたように、非常に大きな問題でございますので、文言を変えたら済むというような問題じゃないと思いますので、文部省としても厳しく指導していただきたいと思います。  次に、やみ専従の問題にこれは絡むのでございますけれども、広島県の場合、この同和教育研究協議会に教師が三各国費負担で派遣されております。それから、事務局長一名は事実上やみ専従ではないかと思います。それから、役員の先生方は年百回以上たくさんの会合がございますので、それに出ますので、ほとんど授業はできないというのが実態でございまして、そういう意味では非常に教育にも支障を来している。この実態については、聞くところによりますと、会計検査院からも毎年指摘されているんだという話も聞くわけでございます。こうしたことについて是正する必要があるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  63. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 御指摘の広島県の同和教育団体の事務局での事務従事の実態につきましては、さきに文部省が実態調査をいたしました際に、福山市におきまして小中学校教員が毎日在勤校を離れて、その勤務時間の大半を市内出張の扱いで福山市同和教育研究協議会の事務局で事務に従事しているという実態がございました。この点を踏まえまして、福山市同和教育研究協議会におきます詳細な実態調査とあわせまして、御指摘ございました広島県同和教育研究協議会、さらには県下の各地域の同和教育団体事務局におきましても、そういった実態について現在文部省としても全般的な調査を広島県教育委員会にお願いをしているところでございますので、その調査まとめた上で、広島県教育委員会とも十分協議をして適切な対応をしてまいりたいと考えているところでございます。
  64. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 次にお尋ねしたいのは同和教育研究協議会に対する補助金の問題でございます。  先ほども補助金の問題が出ておりましたけれども、広島県の場合、同和教育研究協議会に各市町村からたくさんの補助金が出ておるわけでありまして、ちょっと足してみただけでも二千数百万円に上ったわけでございます。先ほど申し上げましたように、明らかに文部省教育方針に反するような活動方針を掲げ、今度下げたとおっしゃいますけれども、事実上そういう運動をしている団体に対してこうした多額の補助金をするということについては、県民感情としても市民感情としても非常に大きな抵抗があるわけでありますけれども、これについてはどのようにお考えになっているのか。  他県にもこうした同和教育研究協議会があるわけでありますけれども、他県についても同じような補助金が行われておるのではないかと思いますし、同和教育研究協議会の動向がいろいろと違いますから一概に言えないと思いますけれども、こうした運動体に対する補助金が出されることに対してどのように考えておられるのか、文部大臣にお訪ねしたいと思います。
  65. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) ただいまの点でございますけれども、民間の教育団体に対しまして県が独自に補助金を支出するかどうか、それは一義的には当該教育委員会判断にゆだねられているわけでございますけれども先ほど先生が御指摘になりましたような、学習指導要領に対しましてこれをいわゆる反動化あるいは差別化といった活動方針を掲げる、その他、日の丸・君が代等につきましてもこれに対抗するといった趣旨活動方針を掲げられる、そういった団体に対しまして公の機関であります教育委員会が補助金を支出するということは望ましいこととは考えておりません。  他の県につきましては、先生からの御指摘がございまして、活動方針を十県ぐらいの様子を見てみましたわけでございますけれども、そのような反動化、差別化等の活動方針を掲げている団体は見当たりませんでした。  ということでございまして、当該広島県について申しますと、活動方針に先ほど申し上げましたような方針を掲げる団体に対する補助金の補助というものは、私ども決して望ましいとは考えないということでございます。
  66. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 広島県だけがこういうことだと聞きまして、また穴があったら入りたいような気持ちになったわけでございます。しかし、教育県と言われる広島県がこういうことになってしまった原因は何かということをよく考えてみなければならないと私は思います。広島県だけが特に社会教育が悪い、家庭教育が悪いとは思いませんので、そうなってくるとやはり広島県の学校教育の体制にいろいろな問題があるんじゃないかと率直に申し上げたいし、しかもそれは間違えた同和教育が徹底的に行われているというところに大きな原因があると言っても過言ではないと私は思います。  そういう意味では、外部の団体に対する圧力の中でいろんな問題があるわけでございまして、先ほど問題になっておりました日の丸・国歌の問題につきましても同じでございまして、とにかく指導案なんか見ておりますと、本当にこれが日本の国の小学校中学校指導案なのかと言いたくなるような内容のものばかりでございまして、集めてこいと言われればトラック一杯分ぐらい持ってこられると思いますけれども、こういった教育の実態、もちろんこれは広島県の県民、私を含めて汗をかいて直していかなきゃいけない問題であると重々思います。  しかし、何といいましても文部省でいろいろと御指導いただかなきゃいけない。この春、四月に来て調べられた。これは中学校だけだったんですが、ぜひとも今度は高等学校について調査していただきたいと思います。その結果が物すごく大きな照り返しがあるわけでありますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。文部大臣、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  私の質問はこれで終わります。どうもありがとうございました。
  67. 松あきら

    ○松あきら君 前回の委員会でも少し質問をさせていただきましたけれども、使用済み核燃料輸送容器のデータ問題について、十一月二十日の報告書によれば、輸送容器の製作過程における改ざんは三十一基中二十一基となる。また、原子力発電所内で用いられるものを含むと、四十四基の輸送容器のうち四十基に改ざんがあったと。輸送容器の安全性については輸送物の線量当量率というのが法令に定める基準値を大きく下回っていたということなんです。  データに問題はあったけれども安全に問題はなかったよと、こういうふうにおっしゃっているわけでございますけれども、実際のところ、データに科学的根拠があったのかなかったのか。さきの委員会でお伺いしたところ、きちんとした明確なお返事がなかったというふうに私は思います。  そういうことであれば、こんなに厳しい基準値にしなくてもよかったんじゃないかなというふうに思うわけです。原電工事と日本油脂との間で科学的根拠があいまいなまま製作をしていたとすれば、原子力は危ないとみんな思っているわけですから、そういう気持ちをうまく使って利益を上げていたという、悪い言い方をすればそういうことになるわけでございます。  データの改ざんの原因はどういうことだったのですか、お答えいただきたいと思います。
  68. 間宮馨

    説明員(間宮馨君) 今、先生いろいろおっしゃいましたけれども、いわゆる法定の基準値というのがございまして、その基準値を満たすように設計をするわけでございますが、その段階で、遮へい材料につきましていわば業者の方がみずからこういう値を使いたいということで設定をいたすわけでございます。その値を守らなければいけないわけでございますが、今回の場合につきましては、データのいろいろ書きかえ等ございまして、あるいはその未満値も最終的には発見されまして、それが守られていなかったケースが出てきております。  その原因につきましては、今現在取りまとめ中ではございますが、今先生もおっしゃいましたように、若干契約上のあいまいなところであるとか、あるいはそういう仕様値に対する認識の甘さであるとか、そういうものが指摘されておりまして、そういうところを明確にして今後対応考えていきたいと考えております。
  69. 松あきら

    ○松あきら君 こういう新聞記事を読みました。遮へい材料に不純物が入っていたと。データ改ざんの直接の動機は、実はこの中性子遮へい材の原料に不純物が混入して、これを交換していた事実を製造メーカーが隠ぺいしていたというんですね。海外の材料供給会社から輸入された材料に炭酸カルシウムと見られる不純物が混入していて、そういったことでデータの自然なぱらつきを基準値内に補正するため、実際は予期せぬ不純物混入による混乱があり、このつじつまを合わせるためにデータを偽ったと見て、ほかの容器についても調査をしている、こういうことが新聞に書かれているわけです。  私はこれはとても重大なことだと思うんですね。やはり核とか原子力なんということは一般国民、庶民にとっても本当に重大なことでございまして、こういう不純物が入っていたのを隠すために三年間にもわたって改ざんしていた、そういうことを目にしますと何とも言いようがないわけですね。この容器で使用済み燃料を運ぶということがわかっていてこういう作業が続いたわけでございます。普通の場合、通常でしたらこんなデータを一度でも出したら確実に取引停止になる、これは当然のことなわけですね。こういうことを三年間も許されていたわけですから、反省もなく続けられていたわけですから、いいかげんを通り越しているというふうに思います。  そんないいかげんな輸送容器を再度使用するのでしょうか、明確に長官の見解をお伺いしたいと思います。つまり、これは問題がなかったから、実際やってみたら安全だったから、捨てるのはもったいないからもう一回使いますよということがあるんですかと伺っているわけでございます。
  70. 間宮馨

    説明員(間宮馨君) 今のお尋ねでございますが、これまでやってまいりました調査検討委員会の作業の中で、いわばこれまで得られたデータをすべて包含するような一番厳しい条件で解析をもう一度やり直しました。その結果に限って申し上げますと、総括的には今現在の輸送容器について法定の基準を下回るということは出ております。  別途、現在の輸送容器についての扱いを今お尋ねかと思いますが、これにつきましては現在調査委員会でも検討中でございまして、それを踏まえまして厳正に対応していきたいと考えております。
  71. 松あきら

    ○松あきら君 今、認識が甘かったということもおっしゃいましたので、しっかりとした対応をよろしくお願いいたします。  時間がないので次に参ります。  防衛庁に続いて、宇宙開発事業団でもNECの水増し請求問題が報道されております。これは先ほど来話が出ておりましたけれども、なぜ水増し請求が起こるのか、これを説明していただきたかったんですけれども、少し先ほど御説明があったというふうに思います。  普通は、買う側が、どのようなものを幾らぐらいで買いたいか、例えば特殊なものも設計や仕様書を独自につくって発注しているというのが本当であるというふうに思います。自社の仕様書による見積もりをチェックして発注するわけでございます。それがどうして上限限度つき概算契約というのがなされるんでしょうか。これは、上限を超えてはいけないよ、そしてそれ以下でもだめよと、こういうことですよね。どうしてそういう契約がなされるのですか。それを説明していただきたいと思います。
  72. 石井敏弘

    参考人石井敏弘君) お答えさせていただきます。  私どもの契約方式といたしましては、確定契約というものと上限つき概算契約というのがございます。  確定契約というのは、その中身がはっきりしている、あるいは市場価格があるといったようなもので、契約当初にきちっと積算できるものでございます。  一方、上限つき概算契約といいますのは、発注するときに作業内容が必ずしも明確でないような場合等に用いるわけでございますが、私ども宇宙開発事業団のロケットとか衛星の開発というものは、あくまでも研究開発ということで技術的に非常に新規であるとか高度であるといったようなことで、契約時点におきまして必ずしも作業の内容あるいは作業量というものを完全に把握をし得ないというような場合がございます。  したがいまして、そのような場合には上限つきの概算契約方式というものをとるわけでございまして、これは契約時におきましてできる限りの算定を行いますが、その算定に基づきまして上限を、契約時点で契約金額を定めます。そして、契約が終了いたしました段階で、契約時の査定内容等と実績との差というものを、原価元帳とかあるいは各種の伝票、発注書等を精査いたしまして、そして精算を行うということでございますが、その際に、この契約金額を下回っている場合はその差額は支払いません。上回っている場合は契約金額を上限といたします。この契約金額を上限といたしますのは、やはり余りにも過大な形で契約金額を上回るというような事態になってはいけませんので、一応契約時に業者も納得した形で契約金額を定める、このような方式をとらさせていただいているところでございます。
  73. 松あきら

    ○松あきら君 一体、上限限度つき概算契約はどれぐらいあるんですか、何件ぐらい。
  74. 石井敏弘

    参考人石井敏弘君) 事業団の過去五年をとりますと、大体平均いたしまして、金額ベースでいきますと全体の七割程度上限つき概算契約、三割程度が確定契約でございます。  ちなみに九年度におきましては、総契約件数は七千四百件程度で、うち上限つき概算契約は四百十八件、金額で申しますと総契約金額が千六百億円でございますが、そのうち上限つきの概算契約は一千百億円というような数字に相なっております。
  75. 松あきら

    ○松あきら君 今お話伺っていますと、悪く言えば、予算を持っている事業団があなた任せで、メーカーを指導監督する立場に育っていないというふうに私は思うんです。  なぜならば、今お答えの中で研究開発途上というようなことをおっしゃって、把握し得ないところがある、やはり難しいところがあるからというようなお答えがありました。だから上限限度つきの概算契約をするのだ、まだ見積もりがきちんとできない状況にあるからというような今お答えがあったわけです。  やっぱりこれそのものが私は非常に心配なんですよ。独自のチェック体制にこういうまだ把握し得ないなんということがあると、科学技術というのは高度な技術の集積ですから、あちらこちらで問題の発生が心配されるというふうに私は思うんです。長官は初代の行政監視委員長でございましたから、長官の視点で組織を見直していただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  76. 竹山裕

    国務大臣(竹山裕君) ただいまNASDAの石井理事から現場の状況は御報告したとおりでございます。  現在、宇宙開発事業団において実地調査をやっているさなかでございまして、これらの調査をしっかりと究明、解明をいたしまして今後の対応はしていかなきゃいかぬと。  また、松あきら理事指摘の点についても、科学技術の最先端を行く分野においてはこうした契約制度が現在まではよかれと思ってしてきたことでありますが、今回のこうしたことが発生したことによって、原因を究明して次への対応にも当たっていきたい、また指導をしていきたい、こんな対応考えております。
  77. 松あきら

    ○松あきら君 ところで、ロケットの分野で、HⅡの四号機が打ち上げられたときのロケットの推進薬、燃料、この日本油脂の固体燃料が納入されたということなんですね。それ知っていらっしゃいますか。
  78. 石井敏弘

    参考人石井敏弘君) お答えいたします。  私どものロケットはいわゆる固体燃料というものを補助ロケットとして使っておりますが、このロケット燃料は、下請けというような形態ではございますが日本油脂が製作したものを使っております。
  79. 松あきら

    ○松あきら君 推進薬については純度などの基準値というのがありますか。
  80. 石井敏弘

    参考人石井敏弘君) 推進薬の製造に当たりましては、当然のことながら私どもが示しました仕様書に基づいてこれをつくっていく、このようになっております。
  81. 松あきら

    ○松あきら君 その納入に際してその基準値はどういうふうにチェックしているんですか。
  82. 石井敏弘

    参考人石井敏弘君) 私どもは、固体推進薬の製造に当たりましては、製造工程で立会検査を行うというようなことを行い、製造工程の検査データを評価し確認するというようなことをやり、かつその過程でサンプルの燃焼試験を行い、そしてそのデータを評価いたしまして、製造工程等に間違いがないというようなことを確認しながらやっておると。さらに、打ち上げ後につきましても、打ち上げ時のフライトデータというものを取得いたしておりまして、その打ち上げ時の固体燃料の燃焼の各種データというものを地上で受けまして、それをこれまで評価いたしておりますが、要求性能を満足してきたということを確認いたしております。
  83. 松あきら

    ○松あきら君 日本油脂の有価証券報告書によれば、日本油脂はロケットの推進薬を納入することになっています。そして、成功して外国からも評価されたというふうにも書いてございます。しかし、先ほども申しましたように、三年間も先ほどの問題でデータ改ざんにかかわっていた会社なんですよ。こういうこともしっかり勘案して私はやっているのかなと。それはそれよ、これはこっちよというようなことでは私はやはり信用できないと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  84. 石井敏弘

    参考人石井敏弘君) 御指摘の点につきまして、このほどいろんな問題が出てきたというようなことではあるかもわかりませんが、私どもこれまで長年にわたりまして日本油脂の推進薬というものをつくらせてきたわけでございまして、先ほど御説明いたしましたように、これまでその製造工程等でも、私どものきちっとした検査の結果によればそれなりの成果を出してきており、かつ打ち上げ時のデータ等を見ましても十分に信頼できたものであったというふうに理解いたしておるところでございます。
  85. 松あきら

    ○松あきら君 これずっとやっていたいんですけれども、ちょっと時間がありませんので、また次回に回しまして、次に行きたいと思います。  サッカーくじでございます。  先ほど江本議員もサッカーくじについていろいろおっしゃっておりましたけれども、十一月十九日にサッカーくじは施行されたわけでございます。しかし、江本さんもおっしゃっているように、Jリーグは大激震に見舞われていると報道されております。私の地元の横浜フリューゲルス、これを初めといたしまして存立の危ぶまれているところがメジロ押し、残念ながらそういう現状ですね。  そもそも原因は、サッカーくじ計画によって観客を取り戻そうと、実力選手もそろわないのにチームばかりふえてしまったこと、チームがふえてくれないとくじに困っちゃうということもあるわけですね。そして、その選手を引き抜かれないために高額な年俸で経営も赤字となったこと、これが大きな原因であるというふうにも言われております。  文部省責任は重大と思いますけれども、この施行に当たってまず大臣の御所見を伺いたいと思います。
  86. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 先ほど江本議員の御質問にもお答えいたしましたけれども、まずJリーグの各チームの経営についてでございますが、その改善に取り組み始めたところであると認識しております。関係者間の努力によってJリーグ活動が引き続き円滑に行われることを望んでおります。  また、スポーツ振興投票制度スポーツ関係者等からも早期実施を期待されているものでございますので、スポーツ振興投票法先ほどおっしゃられましたように十一月十九日に施行され、関係政省令が整備されるなど、現在、スポーツ振興投票制度実施に向けて諸準備を着実に進めているところでございます。したがって、今後多くの方々の御理解を賜りつつ、制度実施に向けて努力を図っていきたいと思っております。
  87. 松あきら

    ○松あきら君 皆さん御認識のとおり、観客数も一時の最盛期と比べて凋落が言われているサッカー。私はこのサッカー界を見ていますと、例えば中央競馬会、えらい違いだなというふうに思います。  例えば、その体制が大きく違うわけですね。馬の生産者、そしてその生産した馬を所有するオーナー、騎手を育てる学校、馬を調教する馬場、いつも新しい人気馬をレースに送り出すシステム、その馬を見たさに集まるファン。こればかりじゃないんですね、システムがしっかりしているんです。  しかし、サッカーを見ていますと、どうでしょうか、どれ一つそれに当たるということがないわけですよ。いつも新しいスターが登場するというわけじゃないんです。スターが出ても、中田さんのように外国へ行っちゃったりするわけでございます。サッカー学校ができているわけでもないわけでございます。サッカー界は黎明期にすぎないというふうに思うんですね。  私は、やはりこれからはサッカーを育てる施策をしなきゃいけないと思うんですよ。なぜならば、この施行もまだ一年半先ということなんですね。これは議員立法ですけれども、このときは今のようになってなくまだサッカーに人気があったころでございます。サッカーくじでもやってお金を調達しようと、こういう計画をしたわけですけれども、そういう考えはだめだと思うんですね。やはりこれはきちんと育っていなければ私はこういうことをやるべきでないと思うんです、廃止しろとは言いませんけれども。例の財革法も、私ども野党は反対しました。通りました。しかし、やっぱりこれはよくない、大変だということで凍結じゃございませんか。  どうでしょうか、このサッカーくじ、一年半後凍結すべきと思いますけれども大臣の御所見を伺いたいと思います。
  88. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 先ほど申し上げたように、せっかく政省令も整備されておりますので、ともかく多くの方々の理解を得つつ、健全な制度実施に向けて努力をさせていただきたいと思っております。
  89. 松あきら

    ○松あきら君 そういうお答えしかできないかなというふうには思いますけれども、やはり私は、二〇〇二年に向けて文部省地域に根差した立派なサッカー界を育てるべきだと。やはり環境を整備して国民全体が、みんなが応援しようという気にならなきゃ。  どうですか、金融機関にこれを説明したらそっぽを向いていたというじゃありませんか。関心を持っている金融業界の方たち少ないわけですよ。もうこんなていたらくだから余り関係しない方がいいんじゃないかなんて、そういうふうに思っていらっしゃる金融界の方多いわけですね。私は、こんなくじで実は迷惑なのはJリーグサッカーファンという、こんなことになっちゃったら大変じゃないかというふうに思います。  実は口数を私も以前いろいろ質問もさせていただいて、一万円券とか三万円券ができるんじゃないかと言ったら、そんな悪意に満ちたことを何おっしゃるかと言われまして、そうしたら何と五百口で五万円の券ができちゃった。それで、この間そうやって申し上げたら、それを何か一万円に下げる、百口に下げる。そして、コンビニなんてとんでもないと、こういうことも申しましたら、先ほどのお答えでですか、何かコンビニで発売しないこともあると、こういうようなお答えですけれども、私が申し上げているのは、五百口が百口になったとかコンビニで発売するとかしないとかということよりも、まずきちんと、例えばサッカー界に仮に年間五百億ぐらいお金をばんと文部省が出して、じゃんじゃんサッカー界を盛り立ててしっかり十年ぐらい見て、そして本当に中央競馬会のようになったら、そのとき初めて国民を挙げてこれを応援しよう、サッカーくじでもやろうと。私はこれを申し上げて、このサッカーをだめにしたのは有馬文部大臣だと後世に言われないようにぜひお願いしたいというふうに思います。  これは申し上げても多分お答えは同じでしょうね。しかし、もう一回伺っておきたいと思います。
  90. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) サッカーくじ問題以前のことといたしまして、私としてはやはりスポーツ振興すべきだと思っております。そしてまた、特にサッカーというふうなものが今盛んに行われつつありますし、今度韓国と一緒になってワールドカップをやるというふうなことでありますので、やはりサッカーそのものをさらに振興すべく考えていきたいと思っております。そして、特に青少年の体力を増進するということをともかく図らなきゃいかぬと思っております。
  91. 松あきら

    ○松あきら君 伺いたいことは山ほどあるのでございますけれども、時間の関係で、学習指導要領の改訂について質問をさせていただきたいと思います。  二〇〇二年度から実施される学習指導要領改訂案、改正案が発表になりました。私は基本的にはわかる授業ということは大賛成でございます。常日ごろ余りにも勉強が過重になっていると思っておりましたので、これは大いに期待したいところでございます。これは先ほどお話で、簡単に言えば三割カットということで、各学校で創意工夫をしていろいろと総合的学習の時間なんかもできるというわけでございまして、私は、学校は教える場所から学ぶ場所、こういうふうに変わっていくべきである、それも自主的に学ぶ場所にならなければいけないというふうに思います。  しかし、こういう声もあるんですね。つまり、今、日本は高校にしても大学受験なんかも非常に大変である、難しい、その受験体制が変わらないのに、例えば授業が三割カットになっちゃって教えてもらえないとなると、余計塾なんかに行って教えてもらわなきゃならない、大変だ、こういう声もあるようでございますけれども、この辺について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  92. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 私は、まず子供たちが生きる力を持つように養成すべきだと思っています。生きる力というのは、たびたび申し上げますように、自分考え自分で問題を解決していくという力と、それからしっかりした倫理観、他人を思いやる、あるいは美しいものを美しいと思う、健全な身体を備える、これが生きる力でございまして、これを育成しなければならない。  そういう意味で、余りにも教えることが多くても、ゆっくりと自分でそしゃくすること、学んだことをそしゃくする時間がないというようなことがありますので、少しゆとりを持たせたいと思っているわけであります。したがいまして、今回内容を二割ないし三割削減する、そして週五日制というものを導入したいと考えているわけであります。  そして、最も大切なことは、この前の新聞情報等によりますと、子供たちが十分理解していないというふうなことがありますので、各学校において子供たちに十分わかる授業をしていただくということを求めていきたいと思っています。  そして、今御指摘の点は、私は一番心配をしていることであります。週に五日しか授業をしないとなったときに、土日を塾等々で勉強するというような人がふえるというのは一番心配をしていることです。これは何とかして阻止したいと思っています。  ただ、その際によく一点差の入学試験のことが話題になります。そこで私は、今回中央教育審議会に対して、もう一度高等学校から大学への接続を考えてくれという諮問をいたしたところであります。この心というのは、高等学校、それからそれをさかのぼる小中の学校教育が多様化しつつあります。そしてまた、生きる力を中心に教育を進めていくわけでありますから、そういう生きる力をちゃんと伸ばしていかなきゃならない、それにふさわしい入学試験というものを考えてほしい。特に、高等学校が多様化いたしますので、その多様化に対応して大学側と整合できるような学校にしたい、こういうふうなことを諮問をいたしたところです。ですから、まさに松先生が御指摘の点を私どもも非常に心配をして対策を講じているということを申し上げてみたいと思います。  それからまた、保護者方々にもぜひとも学校週五日制の導入とか今回の学習指導要領の改定の趣旨の十分な御理解を得たいと思っているところです。  そういう意味で、塾に行かないようにしていただきたいと思っています。
  93. 松あきら

    ○松あきら君 塾に行かないようにしていただくように、どうぞ文部省よろしくお願いいたします。  もう時間がありませんので、最後に要望になってしまいますけれども、実は私はさきの委員会で高等学校卒業検定試験について質問をいたしました。そうしましたら、これは大検があるから同じことだというふうに言われました。簡単に申しますと、大検の内容はミニマムで、そんなに難しくありませんよというようなことをおっしゃったんですけれども、とんでもないんです。九科目必須でプラス三科目、とっても難しいんです。例えば、今十一万人と言われている不登校の子供たちが、仮に高校はリタイアしちゃったけれども高校卒業の資格は欲しいなと思っても、これを通らなければ高校卒業の資格が取れないということであれば、これはちょっとおかしいなという気持ちなんです。  ですから、私の個人的な気持ちで言えば、やっぱり高校卒業検定試験というのは本当に低くして、それはそれとして、またこの大検は大検で大学へ行きたい人は受ければいい、こういう思いなんです。  もう一つそれとは別に、例えば専門学校に入学するにもこれは高校卒業の資格が要るわけです。大検なんか全部通って専門学校を受けるなんてことはとんでもなく大変なことでございまして、やはりその子供たちのためにも、高校卒業検定試験がもし仮にだめであれば、今度は専門学校入学資格検定試験なるものをつくっていただきたい。  つまり、人生のあらゆるところで教育のチャンスを保障してあげたい。そういうきちんとしたことがないとやはりたくさんの子供たちがいろいろ将来に対して迷ってしまう。そういうことでぜひこれは要望としてお願いして、質問を終わりたいと思います。
  94. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  私は、きょうは国立大学附属病院で働く看護婦さんの夜勤について御質問したいと思います。  先週、私は山口大学附属病院を訪れましていろいろお話を聞いてまいりました。昨年は夜勤が平均で一人月九・七回、ことしの十月は九・九回、これは平均ですから月に十二、三回という人もいるし、一番多い人は十六回も夜勤をする。この数字には病院当局もびっくりしたという驚くべき実態でした。そして過去三年間に、定年を除いておよそ百人が退職して四分の一強が入れかわっているというのも、その勤務の厳しさを反映していると思います。  しかし、これは山口大学附属病院だけではなくて、これは九七年度の調査ですけれども、京大の附属病院では月平均九・九回、大臣が総長をなさっていらした東大の大学病院では月平均九・三回。こういうように、四十二の大学附属病院のうち何と二十八大学、七割が複数夜勤月八日以内、二・八を満たしていないわけです。今から三十三年前の人事院二・八判定では、計画的に二・八の実現を図るべきであるということが明記されているわけですが、文部省としてはこれまでどのような計画を立てて改善を図ってきたのか、教えていただきたいと思います。
  95. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 国立大学の附属病院は、手厚い看護を要する重症難病患者の診療などにも当たっておりまして、看護体制の整備を進めるということは極めて重要なことであるというふうに考えておるわけでございます。そこで、国立大学附属病院につきましては、従来から、看護体制の充実と看護婦の勤務条件の改善を図るため、必要な要員の確保とそれから関係予算の充実に努めてきているところでございます。  その結果、平均の夜勤回数も現在では月八・三回となっておりまして、人事院判定等で努力目標とされている月八回に近い状況まで改善を進めてきたところでございますが、引き続き最大限の努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  96. 林紀子

    ○林紀子君 今、平均で八・三回、そこまで行ったということなんですが、私は「日本看護協会調査研究報告」という本を見せていただきました。これは一九九五年の段階ですのでちょっと資料は古いかと思いますが、その時点で、ほかの病院、全部とは言いませんが、平均で八・〇をクリアしているんです、夜勤の回数が。そのときに文部省管轄の大学病院は八・五回。今八・三回になられたと言いましたけれども、しかし、八・〇というのがもう全国平均ではクリアしているのに、文部省はそういうことになっていないということだと思うんです。  私の手元に今、人事院が二・八判定を下したときの実態を調査したという文書があるんですが、これは一九六三年、昭和三十八年の十月、調査をしたときに、夜勤は一人平均九・四日となっている。十日を超えるものが全体の二七・九%あり、中には十五日ないし十六日というものも見受けられる。これは三十五年前に調査をしたときの報告なんです。ですから、先ほど例に挙げましたところ、九・四回、九・三回などというところは三十五年前と同じだと、こういう実態なわけです。  重ねてお聞きしたいと思うんですけれども、一九九二年に文部、厚生、労働の三省共管で看護婦確保法というのがつくられました。その基本指針の中にも、二・八体制の構築に向けて積極的に努力する必要がある、こういうことが書かれているわけですが、この法律が施行されてからも計画実施というのは行ってきていないのか。計画を立てて今からでも急いで改善をすべきではないかと思いますが、全国的なレベルに追いついていくためにどのような計画を立てようとなさっているでしょうか。
  97. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 国立大学附属病院におきましては、高度医療の提供ということが一つの重要な使命となっております。そういった関係で重症患者の比率が高うございまして、場合によっては三人以上の勤務体制を組む必要がございます。二人以上勤務体制の約四割が三人以上勤務の体制となっておる等の事情がございます。  そんなこともございまして、先ほど申しましたように、現在のところ月八回の夜勤体制を達成するには至っていないわけでございますが、これまで国立大学病院の増員の中では看護婦の増員を重点といたしまして、例えば平成十年度では、増員九十六人中看護婦は五十四名というふうな形で増員を図ってございます。  非常に厳しい財政事情の中ではございますけれども、引き続きその充実に努め、月八回の夜勤体制の実現に向けてさらに努力を傾注してまいりたいと思っておるところでございます。
  98. 林紀子

    ○林紀子君 今、大学病院は三人、四人の勤務をしなければいけないというお話があったわけなんですけれども、これも日本看護協会の調査を私見せていただきました。これは九五年の調査が直近のものなんですが、三人以上の夜勤は、全国的に見てみますと既に四二%の病院が行っている。しかも、私立の学校法人というのは九五年の時点で六三%以上の病院が三人以上の夜勤というのを実施しているんですね。ところが、文部省はその時点では三五%。今ちょっとその割合が上がったというお話ありましたけれども、三人、四人だから八日はできないというのは、もうこれまた全国的に見ても言い分が成り立たないわけなんですね。厚生省所管の国立病院でも八日はクリアしておりますし、民間病院、自治体立の病院、日赤でも八日は達成している。文部省所管の大学病院だけおくれていると。文部省責任は大変大きいと思うわけです。  これは現場で聞いた話なんですけれども、民間や国立病院などでは当然になっている夜勤の際のタクシー代、これも大学病院によっては認められていないというところがあるということなんですね。文部省としては、看護業務改善経費などの使い道に、タクシー代はここから使ってはならないというような指導は行ってはいないと思いますけれども、ここでちょっと確認をさせていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  99. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 国立大学の実態を見ますと、夜間の勤務に伴って通勤を行う場合、それぞれの病院や地域の実情に応じて対処しておるわけでございまして、例えばタクシー料金を病院が負担するようなケース、あるいは夜間看護手当に一定額を加算して支給するケース等がございます。そういった意味で、それぞれの病院での配慮が工夫されているというふうに考えておるところでございます。
  100. 林紀子

    ○林紀子君 これも三十三年前の人事院判定には、一夜勤交替時の通勤事情に即応する対策をたてること一というのがうたわれているわけですから、ここもやはり、自宅に帰りたい人は、仮眠施設などということではなくてきちんと自宅に帰す、タクシー代も出すということを考えていただきたいと思います。  そして、私が行ってまいりました大学当局からは、病院経費をもっとふやしてほしいという切実な声が上がっておりました。大学附属病院は、ほかの病院と比べても、先ほどお話ありましたように、重症の患者が多い、また教育や研究という任務も担っている、こういうことを考えるならば、看護婦さんの夜勤の問題というのは、労働条件ということだけにとどまらないで、国民の命にかかわる問題だと私も大変重大に受けとめたわけです。この異常な夜勤を減らすことがどうしても必要だと思います。  お聞きするところによりますと、年間三十二億円の看護業務改善経費、そしてその倍の七十四億円の病院運営改善特別経費というものがあるそうですけれども、これを使ってでも夜勤を減らす、緊急に定員外職員をふやしてでも夜勤を減らす、そういう強力な指導、示唆を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  101. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) まず看護業務改善経費でございますが、これにつきましては、看護婦の産休交代要員や欠員の補充要員など、看護婦勤務体制を維持するために非常勤の看護職員を採用したり、看護婦の業務負担を軽減するためにベッドメーキングなど業務の一部を外部に委託できるように措置された経費でございます。  また病院運営改善特別経費は、各大学病院において教育研究の充実、良質の医療の提供、さらには患者サービスの向上といった病院業務の改善を図るに当たり、病院長のリーダーシップのもとに各病院の自主的な発想で円滑に取り組むことができるように措置している、そういう経費でございます。  したがいまして、それら経費の具体的な運用につきましては、各大学病院の実情に応じて使われるべきものでございまして、非常勤職員の採用、医療機器の整備充実、患者の療養環境の改善など、それぞれの大学で工夫をしておるところでございます。
  102. 林紀子

    ○林紀子君 そうしますと、今挙げた経費につきましては、大学当局がどうしても看護婦をふやしていかなければいけないと思ったらその裁量に任されるということになると承りましたが、それでよろしいですね。
  103. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) そのように御理解していただければと思います。
  104. 林紀子

    ○林紀子君 これから十八歳人口は確実に減っていくということがありまして、看護婦確保法の基本方針では、看護の魅力を積極的に若者に伝えていかなければ看護婦さんのなり手というのがますます少なくなってしまうだろうということも危惧しているわけですけれども、夜勤回数を確実に減らしていって、魅力的な看護ということを確立していくのに、文部省も大きな力をぜひ発揮していただきたいということをお願いしておきたいと思います。  時間が少なくなりましたけれども、あと一点お伺いしたいのは、文部省はこれまで毎年、同和地区の中学、高校生の進学状況等についてという調査を行っているということですけれども、これをことしは実施しているのか、そして今年度これを行わなければ文部省の施策に支障が起きるのかどうか、この点についてお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  105. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) まず、今年度の状況につきましては、調査実施いたしておりません。
  106. 林紀子

    ○林紀子君 今年度これを行わないと、文部省の施策に何か支障がありますか。
  107. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) この調査でございますけれども、同和地区の進学状況あるいは就職状況というもののデータをとりまして、同和地区の実態を把握するという調査でございます。したがいまして、私どもといたしましては、同和問題の現状把握というための基礎資料として有効な資料だというふうに思っております。
  108. 林紀子

    ○林紀子君 基礎資料というお話がありましたけれども地域改善対策財政特別措置法、これは昨年の三月に終了しました。総務庁の調査というのも一九九三年、平成五年に行ったのが最後になっているわけですね。  文部大臣にはお答えをお願いしていなかったのでちょっと申しわけないんですが、できましたらぜひ御決意をお聞かせいただきたいんですが、今申し上げましたこの調査学校現場でどんな事態を引き起こしているかということなんです。  同和地区ではかつてのような格差はなくなりまして、混住が進み、地域内外の婚姻というのも二十歳代では既に七〇%を超えているわけですね。ですから、同和地域子供とどのようにして判定するのか、もはや判断はできない、またすべきときではないというふうに思うわけですね。それにもかかわらず、こういう文部省調査があるために、学校生徒に断りなしに一方的に、同和の子、そうではない子と色分けをしなければならない。父母からは、うちの子供に勝手に同和のレッテルを張らないでほしい、これでは旧身分の洗い出してはないかという大変強い怒りの声が沸き起こっております。  このように時代おくれで人権侵害にもつながるような調査はもう取りやめるべきときではないかと思うわけです。このまま続けていっては文部省の人権感覚が疑われるということではないかと思いますので、文部大臣にぜひ、ことしから調査はやめるべきだという決意をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  109. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 今御指摘のように、近年、住居の混住化が進んでいます。調査実施に当たって、次第に把握に困難を伴う地域も見られるという御意見もありますので、このことをよく承知しております。このような状況の変化等を踏まえまして、文部省では、各地域における状況等も見きわめながら、この調査の扱いについて検討をさせていただきたいと思っております。
  110. 林紀子

    ○林紀子君 ありがとうございました。
  111. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  初めに、三十人学級に関する意見書が出されている地方議会の数についてお尋ねをしたいと思います。
  112. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 現在、三十人学級等の実施を求める意見書につきましては、全国で二百八十二の地方公共団体の議会において採択をされまして、文部大臣あてに提出されているところでございます。
  113. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 私の方から文部省の方に調査をお願いいたしまして、十一月十九日にいただいたこの資料でよろしいですね。――はい、よろしいというふうにうなずいていらっしゃいます。  私の住んでいる神奈川県でも、政令市の横浜市、川崎市に加えまして座間市から出されております。この三つの市で県内人口の六割近くになっております。三重県では県議会とともに五十二市町村の議会で、それから新潟県では七十九市町村、秋田県では四十六市町村、北海道では三十七市町村、岡山県では二十二市町村、千葉県では十二市町村を初めといたしまして、地方議会から意見書が出されております。小学校の中での学級崩壊というこんな状況も出されるような中で、今このように大きく広がっている三十人学級を求める地方議会の声に国は真剣にこたえるべきだと思います。  私たち日本共産党は、十月十四日に三十人学級法案を発表いたしました。ぜひ多くの皆さんと実現をしていきたいというふうに思います。  さて次に、スポーツ振興投票、いわゆるサッカーくじ実施の政令、省令にかかわって質問いたします。  まず販売場所についてですが、コンビニでのサッカーくじの販売はとんでもないことだ、こういうことを私も前回の委員会質問させていただきました。有馬文部大臣からも、「コンビニの問題に関しましても、私も大変憂慮をしている」、こういう御答弁をいただきましたし、また十月十五日の保健体育審議会総会で出された、青少年健全育成の視点から、特に発売当初は、発売場所、時間についてより慎重な対応をすべきであるとの合意がなされたことを、文部大臣としても、「私は重くこれを受けとめております」とはっきり答弁をされたわけでございます。  その後、コンビニでの販売中止の声は本当に広がりまして、PTAを初め教育スポーツ、消費者の団体の皆さん初め、大きな世論となっております。お母さん方がコンビニエンスストアに行って店主の方とも業界の方ともお話をされる、こういうことも言われております。またコンビニ業界からも、発売場所になることに対しては反対や慎重の態度が出されておりますし、店主さんの中からは、地域住民のためにならないものは売らない、こういう声が多く出されていると伺っております。やはり、青少年の健全な成長を願う思いというのは本当に切実だということが示されていて大変私は重要だと思います。  そこで、先ほども出されておりましたが、新聞各紙が文部省は販売場所から当面コンビニエンスストアを除外する方針だと報道されているわけですが、文部省態度として、当面コンビニを販売場所から除外する、そのように理解してよろしいですね。文部大臣いかがでしょうか。
  114. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) サッカーくじのことにつきましては、先ほど松先生にもお答え申し上げたことでありますが、繰り返させていただきます。  去る十月十五日に保健体育審議会審議まとめを了承するに当たって、いわゆるコンビニエンスストアについてさまざまな議論がありました、先ほど先生おっしゃられたように。同審議会で了承される際に、青少年健全育成の視点から、特に発売当初は、発売場所、時間についてより慎重な対応をすべきであるという合意があったところであります。このことを私はしっかり了承しているつもりです。  この、販売当初のより慎重な対応との合意をどのように具体化していくかということが一つ問題でございまして、今月三十日に保健体育審議会スポーツ振興投票特別委員会開催いたします。そこで、先ほど体育局長からお話を申し上げたように、コンビニエンスストアについては当面販売場所としないことがあるということも含め議論していただきたいと考えております。  文部省としては、その議論を踏まえつつ、総会の合意を具体化してまいりたいと考えております。
  115. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 文部大臣としての態度はいかが臨まれるおつもりですか。
  116. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 私は、せっかくこのスポーツ振興投票特別委員会開催するわけでありますから、この委員会を全面的に信ずることにいたしております。
  117. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 文部省態度はまだ決まっていない、こういうことですか。
  118. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 文部省といたしましては、先ほど申しましたように、コンビニエンスストアについては当面発売場所としないことがあり得ることも含めて検討せよ、してほしいということを繰り返します。以上です。
  119. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 多くの心配があるわけですから、ぜひ有馬文部大臣の御決意で、ないことがあり得ると、そういうことが実現できる方向で臨んでいただきたいというふうに思います。  こういう点で、やはり新聞報道を含めて本当に混迷するわけですね、国民の皆さんは。それで、私はやはり販売場所の明確な基準というのを文部省責任を持って出すべきではないかというふうに思います。とにかく、これまでの保健体育審議会特別委員会審議ではコンビニが有力だということで、体育局長さんからもそれが出たという御答弁があったわけですから、例えば青少年の健全育成の面からコンビニエンスストアなど青少年が多く出入りする場所では販売しない、そういう明確な基準を提示する必要があると思うんです。  そういう点での販売場所の明確な基準をまとめるように、少なくともコンビニは除外するようにすべきではないかと思うのですが、文部大臣、明確な態度を示すべきではないでしょうか。
  120. 遠藤昭雄

    説明員遠藤昭雄君) 大臣からも御答弁申し上げましたように、特別委員会でその合意をどうこなすかということを今月の三十日に御議論いただくということでございますが、発売当初においてはより慎重な対応をすべきであるという枠の中での御議論でございますので、コンビニエンスストアにつきましては、おのずと議論の方向というのは一定の方向が出てくるんだろうというふうに考えております。
  121. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 おのずとどういう方向なんですか。
  122. 遠藤昭雄

    説明員遠藤昭雄君) 具体的には今の段階では申し上げられませんが、先ほど申し上げましたように、発売当初はコンビニエンスストアは対象から除くということも含めて、その範囲の中で議論してもらうということで、おのずと方向が出てくるだろうということでお察しをいただければと思います。
  123. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 前向きに全力を挙げるということだと私は理解をいたしました。  さて、そういう点からも青少年問題を憂慮するということで文部大臣も体育局長も言われているわけですから、今後金融機関の選定基準の問題でもこの態度を貫いていただきたい、このことを強く要望するものでございます。  さて、私は十一月十九日の文部省の省令を見せていただきまして驚きました。サッカーくじが、国会論議をさらに超えて、射幸心をあおるギャンブル性の強いものになっているじゃないか、こういう問題でございます。省令では新たに三等を設定しております。三等の確率は幾つですか。
  124. 遠藤昭雄

    説明員遠藤昭雄君) これもとり方にもよりますけれども、十三試合の三通りでやりますと一等は百六十万分の一というふうになります。それから、二等が六万分の一、三等は五千分の一というふうになります。
  125. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 これまで言われてきたよりも本当に確率が高くなって、三等では五千分の一、こういうことで購買の行動をあおる。これは、射幸心をあおるものじゃないと言っていたこれまでの国会での審議、確認にも反していると思います。  さらに、省令三条の「試合の指定等」では、十三試合三通りにとどまらず、その他の組み合わせもできると言っていますが、これも国会審議を超えたものでございます。その他の組み合わせというものはどういうものを想定しているのですか。
  126. 遠藤昭雄

    説明員遠藤昭雄君) 先ほどの五千分の一で若干追加いたしますと、この五千分の一といいますのは、宝くじの例えば一千万の……
  127. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 違うんです。時間がないんです。
  128. 遠藤昭雄

    説明員遠藤昭雄君) 宝くじの方でも三等で五千分の一でございますので、そういう意味では、宝くじもやっておりまして、射幸性を特にあおるというものではないと思っております。  それから、後の質問の十三試合三通り以外の方法についてどうかということでございますが、これについては、くじが親しまれ、また多様な楽しみ方を提供できるということ、あわせて外国でも幾つか例もございますし、Jリーグの公式試合のやり方、実施方式も考えながらその他の組み合わせについてもくじを実施することができるようにしたわけでございますが、ただ、百万通り以上の選択肢となるものについてその組み合わせを考えてくださいというところで、射幸性をあおるようなものにはならない、ねらって当たるものにはならないという点の担保をいたしておるところでございます。
  129. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 時間が来ました。
  130. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 では、ぜひこういうギャンブル性の問題を含めて保体審で引き続き差し戻して審議を進めていただきたいということを申し上げて、終わります。
  131. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 ことしに入りまして、名古屋大学医学部の元教授が収賄容疑で逮捕、起訴されるという事件が発生しております。  その容疑者の元教授は既に十三年前、つまり八五年にもダミー会社を経由した多額の現金を受け取っているということで、無許可の兼業を行ったということで、文部省から国家公務員法違反に当たると戒告処分を受けている人物でございます。  名古屋大学では昨年秋に元教授の疑惑について調査を行ったというふうに聞いているところでございますが、それは事実なのかということが一点でございます。まず、それではその一点を聞かせていただきます。
  132. 小野元之

    説明員(小野元之君) この教官につきましては、御指摘ございましたように、三重大学の医学部教授としての在職中におきましても戒告処分を受けたことがございます。  それから、名古屋大学での事件でございますが、文部省自体がこの件で調査を行ったわけではございませんけれども、当該元教授に対しては、名古屋大学から昨年十月から本年二月にかけまして本人に対する事情聴取を行ってきたところでございます。この時点では本人が疑惑について強く否定したということから、具体的な非違行為の確認ができなかったというふうに私どもは報告を受けておるところでございます。
  133. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 それで、今の御報告でございますけれども、名古屋大学からは報告を受け取ってはいらしたわけですね。しかしながら、本人が否定をしたということで、文部省はこの逮捕に至るまで何も対応をなさらなかったということで受けとめてもよろしいのでしょうか。  また、この名古屋大学医学部では、昨年九月にやはり収賄容疑で胸部外科の教授が逮捕されて、懲役一年六カ月ですか、執行猶予三年の有罪判決も受けております。名古屋大学医学部にはそのような事件があり、そしてまた今回、日高元教授でありますが、八月二十八日、さらにまた別の薬品会社との関係で十月十五日に再逮捕もされ、そしてその日高元教授は以前に戒告処分も受けていると。そういうふうな事情があるにもかかわらず、文部省は本人が否定したということで何らの対応も行っていなかったのでしょうか。
  134. 小野元之

    説明員(小野元之君) 本件につきましては、当該元教授と製薬会社の関係におきまして疑惑が指摘されておったわけでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、大学としては昨年の十月から本年二月にかけて本人からさまざまな形で事情聴取を行ったところでございます。  ただ、御指摘のように、大学におきます調査と申しますのは強制捜査権等はないわけでございまして、本人が疑惑について強く否定をしたといったようなこともございまして、この時点では具体的な非違行為の事実を確認することができなかったわけでございます。  文部省といたしましては、この間、適宜名古屋大学とも連絡をとりながら名古屋大学当局を指導してまいったわけでございますけれども、今回このようなたび重なる逮捕につながったことにつきまして、結果として大変遺憾に存じておるわけでございます。今後とも文部省として大学に対する指導をきちんとしていかなければいけないというふうに認識をしておるところでございます。
  135. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今回の汚職事件はもとよりでございますが、その以前に、やはり昨年九月の問題もございます。そういううわさがあっただけではなく、事実、この日高元教授に関しましては過去戒告処分も受けているわけでございます。さらにまたこういう疑惑が出てきたということがございます。  したがいまして、この名古屋大学医学部そのものに対しても文部省は何らかの対応をとるべきではなかったかというふうに思いますが、その点を含めまして文部大臣、どのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
  136. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 今回の事件、私は大変残念だと思っております。  私は、こういう事件に東大時代に直面したことがあります。しかしながら、学内のこの問題を取り扱う場合、大変なことをやらなきゃいけない。すなわち、今官房長が申し上げましたように捜査権というものがありませんから、評議会の中に委員会をつくる、そこの委員会で問いただす。最終的には、本人が間違ったことをしたということと、本人の判こがないと辞任までは持っていけない。しかしながら、東京大学で一例あります。最後に辞任まで持っていったことがあります。こういうことは各大学の自主性に任されているところがございますので、やはり文部省としてはそう強く言うことはできないと思います。ただ、こういうことに対してしっかり大学がモラルを守ってほしいということは常に言っていることです。各大学の協力をまつということが一つ重要なことであろうかと思っています。  しかしながら、いずれにいたしましても、文部省といたしましては産学連携協力に関する諸制度を今整備をしております。まず第一に、外部資金は私的に経理せず、歳入歳出予算に計上すること。第二に、適切な審査機関の審査を経て受け入れること。第三に、兼業を伴う場合は正規の手続を経ることなど、適正な取り扱いを求めてきております。  そういう点から見て、もう一度繰り返しますけれども、今回の事件は大変遺憾なことと私は考えております。名古屋大学にも確認したところによりますと、このような正規の手続による適正な取り扱いがなされておりません。いわば教官個人のモラルに帰する部分が大変大きいものと推測されております。  今回の事件により私が一番おそれておりますことは、産学連携協力の推進に支障を及ぼすことがあってはならないと考えております、先日、来年卒業する学生諸君のために、多く就職できるようにしてほしいということを産業界の方々にお願いをした際にもこのことが指摘されまして、こういうことで産学協同がやりにくくなることは大変残念だということを言われましたので、これに対しまして私は、そうではないんだ、ちゃんとした手続をすれば今でも十分やれるのであるということも言ってきた次第であります。  また、文部省といたしましては、今、学術国際局長を中心に、これをさらに適切に進めていくにはどうしたらいいかということをもう一度きちっと整理して、産業界の方々にも御理解を得たいと思っております。  なお、既に九月八日付で事務次官通知等を行いました。各機関に対し、まず第一に綱紀の粛正を求める、第二に適正な手続による産学連携協力の一層の推進に配慮するように要請いたしました。今後とも各種会議等を通じて、こういうふうな問題に関しまして新たにどういうことができるか、検討を含め、趣旨の徹底を図るなど適切に対処してまいりたいと思っております。
  137. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 日高元教授は、逮捕される二日前、八月二十六日付で退職をしていらっしゃいます。そして、アメリカの大学への転任も決まっていたということでございます。もし逮捕ということがなければアメリカの大学でこういう方が教えられるのかなということを考えましたときに、私も研究者の端くれといたしまして、特に日本人の一人といたしまして大変に恥ずかしい気がいたしました。  今の大臣のお言葉の中で産学協同の問題を御指摘になりましたが、この産学協同というのは今盛んに進められているところでございます。そしてさまざまな形態がございます。例えば受託研究、あるいは奨学寄附金というふうな形がございます。また、それぞれにそれぞれのルールが義務づけられているということは今大臣がお触れになったところでございますが、今回の日高元教授の場合は、文部省通知による手続というものを何らなされないでこれだけ大きな、報道によりますと二億五千万に上るような金額の授受があったということで受けとめてもよろしいのでしょうか。  ある一部の報道によりますと、正規の手続を経た寄附というのが、例えば日本新薬からは二千七百五十万円あったと。また、大塚製薬でも正規の手続を経て多額の寄附を受け取っていたという報道もございますが、この点、確かめておきたいと思います。文部省いかがですか。
  138. 工藤智規

    説明員(工藤智規君) 先ほど大臣からも、官房長からも御説明申し上げましたように、今回の件はまことに残念なことでございますけれども、産学協同、いろんな類型がある中で、その適正な手続を経ない中で刑事事件として発展したということでございます。産学連携協力というのは御案内のとおり特定の企業との関係が生じますので、いやしくも国民あるいは社会から信用を損なうようなことがあってはならないわけで、そのためのルールづくりをかねがねして、しかも各大学の関係者趣旨の徹底を図ってきたところなのでございます。  ただ、残念なことに本件の場合、以前の大学でもこういうことがあったにもかかわらずということは、ある程度確信犯的な部分がございます。私ども、前科があったからすぐ疑うということはなかなかしにくいわけでございまして、たび重なるこういう事件が起こったこと、ざらに教官個人のモラルに関する部分が多いわけでございますけれども、私どもはさらなる趣旨の徹底を図りながら、正規の産学連携協力がさらに発展いたしますように努めてまいりたいと思っております。
  139. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今のお言葉で、やはり正規の手続を経ない金額が動いたということのように伺いましたけれども、そういう届け出をしないで共同研究を行っている実態というものに対しての実態調査というふうなことは試みられたことがございますか、あるいはこれから試みようとなさっているのでしょうか。
  140. 工藤智規

    説明員(工藤智規君) それは、先ほど名古屋大学における昨年の調査でも申し上げましたように、正規の手続をすれば明らかになるわけでございますが、それを経ないでやっておりますと大学当局自身も把握できない、したがって私どもも把握しにくいということがあるわけでございまして、これはあくまでもやはり趣旨の徹底を図りながら教官個人個人のモラルを高めていくしかない部分でございます。その点の御理解を賜りたいと存じます。
  141. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 産学協同研究の実施状況というのは、文部省からいただきました表によりますと現在ますます進んでおります。この制度がスタートいたしました一九八〇年のときにはわずか五十六件であったものが、昨年、一九九七年には二千三百六十二件というふうに急速に伸びております。  前常会におきましても、本委員会におきまして研究交流促進法の改正を行ったところでございます。私もそのときには非常に前向きに産学協同研究というのは進めるべきであるという姿勢で質問をさせていただいたわけでございます。しかしながら、産学協同というのは、本事件のように一歩間違えるとやはり癒着という危うさが常につきまとっていることでございます。今回の事件というのは、非常に残念でございますが、産学協同のそういった不透明な現状が捜査当局の手によって明らかにされてしまったわけでございます。  確かに日本の研究費、特に基礎研究におきましての国の予算というものが他の先進国に比べて少ないということは、これはもう事実でございます。そしてまた、研究者の倫理観ということを問わなければならない、これも当然のことでございます。  それは前提にいたしましても、今回の事件を考えますと、チェック体制の再点検、あるいはまた研究目的、あるいは研究成果の公表、あるいはまた企業からの資金、便宜供与の内容、その使途などにつきまして情報公開というものを徹底させなければならないのではないかというふうに強く感じるところでございます。  文部省としては通知をお出しになったというふうに今承りましたけれども、やはりそのチェック体制の整備ということ、それは当然大学の自治ということにも関係してまいりますけれども、こういう事件がこれから起きないようにするためには、この制度の整備ということをやはりここで再点検しなければならないというふうに思いますが、今回出されました文部省の通知というのは、そのような再点検というところまで踏み込んだものでございましょうか。  聞くところによると、この手続というのは非常に面倒くさいとか、それから会計処理が非常に面倒だとか、ルールの運用面においても問題があるというふうにも聞き及んでおります。そういうことを含めまして、もう一度そのチェック体制の整備ということに関して文部省の姿勢をお伺いいたしたいと思います。
  142. 工藤智規

    説明員(工藤智規君) 御指摘のように、産学連携に当たりましては透明性の確保というのは大変大事なことでございまして、これは昭和五十八年度にこういう仕組みを創設いたしました折から申し上げてきたところでございますし、今回の事件を契機にいたしまして改めて御通知申し上げたのは、その再確認かたがた、各大学における審査体制も含めていま一度の見直し等を求めたものでございます。  なお、先生今御指摘の中で、国の研究費が足りないので産業界からお金をもらってということもおっしゃいましたが、必ずしもそういう側面だけではございませんで、大学の研究者の方々、いろんな分野でいろんな研究をしていらっしゃるわけでございますけれども、単に学問の発展というだけではなくて、それが大学の研究者が気づかないところでひょっとしたら新しい産業の創出等の芽をはらんでいる部分があるのが多々ございます。そういう大学の関係者では気づきにくい部分を、産業界等の関係者と一緒になることによって次なる産業創出あるいは経済の活性化につなげていくという、より積極的な効果の方が大きいわけでございますので、今回の事件を契機に、さらに私ども大学ともども反省すべきところは反省しながら適正な制度運営に努めてまいりたいと存じております。
  143. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 技術開発をめぐる国際的な競争というのはますます激しくなるわけでございます。非常にまじめに、地道に研究に取り組んでいる研究者はたくさんいらっしゃるわけであります。そういう方々に対する信頼感までもこういう事件は損なってしまう。そして、ひいては日本科学技術の研究体制そのものに対しても各国からの疑惑の目が注がれてしまうということであります。非常に残念なことであります。二度とこういう事件で私が本委員会において質問をしないで済むような、そういう体制を文部省としてもきちんと整備していただきたいというふうに存じます。  次に、文部省が行っております科学研究費補助事業についてお尋ねをいたしたいと存じます。  本事業に関しましては、平成十年は千百七十九億円の予算でございましたが、文部省は、補助金適正化法による実績報告書に加えて、研究者は研究の終了した翌年度の四月までに成果報告書を提出することを定めている。間に合わない場合には理由を示し、一年以内に成果報告書を出すということが定められておりますが、この未提出の状況があるやに聞いておりますが、その点に関しましての御説明を承りたいと存じます。
  144. 工藤智規

    説明員(工藤智規君) 今お話がありましたように、科学研究費補助金につきましては、補助金でございますので交付金を使用いたします関係から、補助金適正化法に基づく実績報告書というのが必要なわけでございます。本件については会計検査の対象にもなるわけでございますが、この実績報告書につきましてはこれまでもすべてしかるべく提出されておりまして、補助金の違法支出等の指摘はないわけでございます。  ただ、お話ありましたように、これに加えて研究成果報告書あるいは英文でのアブストラクト等をお願いしてございます。これはどういう性格かといいますと、せっかく大学等でいろいろな研究等をしていらっしゃいますので、その成果を一般の方にも目に触れていただくようにしようという趣旨でございまして、アブストラクトにつきましては学術情報センターで電算処理いたしまして、日本国内はもとより、アメリカ等でもそれを閲覧できるような仕組みになっているわけでございます。  ただ、この研究成果報告書本文の冊子体といいますのは、研究のテーマによって違うのでございますが、例えばこれが一、二持ってまいったものでございますが、こんな厚いものからいろいろでございます。こういう冊子体は国会図書館に提出いたしまして閲覧いただくとかするわけでございますが、何分にも、例えばグループ研究等の場合はグループの足並みがそろわなくてレポートが間に合わないとかいうことがありますので……
  145. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 時間がありませんので、結果だけを教えてください、未提出の部分
  146. 工藤智規

    説明員(工藤智規君) なかなか予定の期限どおりには提出されない場合が多うございます。しかも、私どもは研究者の研究を邪魔しちゃいけませんので、余り目くじらを立てて督促していないわけでございます。延期の原則につきましても、原則一年以内と言っておりますが、一年でなければならないことはなくて、それぞれの研究を阻害しない範囲でこういうレポートの提出をお願いしているところでございます。先生がおっしゃいましたように、多分に当初の期限内に提出されない場合が多いのは事実でございます。
  147. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 私は、その理由ではなく、数字を持っていらっしゃれば数字だけを、事実を教えていただきたかったのであります。
  148. 工藤智規

    説明員(工藤智規君) 何分にも対象となる件数というのが科研費全体で年間四万二千件ほどあるのでございますが、一部の重要な研究テーマ等についてこういう研究成果報告書をお願いしてございまして、年間でいいますと七、八千件になるのでございます。  先ほど申しましたように、必ずしも期限どおり、つまり研究を終わった翌年度の四月末までというわずか一カ月間ですべてお願いするのは無理なこともありますし、研究者の方々に余り無理に督促するのもいかがかということもありますので、私ども、その期限内といいましょうか、四月末までにどれぐらい、あるいは一年後までにどれぐらい提出されているかということを詳細に調べてございません。
  149. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 それでは、現実に数字は持っていらっしゃらないというふうにとらえてよろしいわけですね。多分、これはまたそう時期を置かずして会計検査院からも報告が出ると思います。そのときに本当に数字がなかったということがおっしゃれるかどうかということでございますけれども、数字を持っていらっしゃらないというのは非常におかしいと思います。それを申し上げていては本当にもう時間がなくなってしまいます。  科学技術庁の質問、一つだけさせていただく時間があるかと思います。  十一月二十日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地で国際宇宙ステーションの最初のモジュールの打ち上げが成功したというふうに聞いております。これは一九八四年、レーガン大統領が提唱して、二〇〇四年に完成をするというふうな計画だったそうでございますが、その計画の中で我が国が担当しているいわゆるJEMという、これは実験棟でございますね、それに関しましてNASDAとNECが契約している。  そこで、先ほどから同僚議員が御質問なさっております今回のこの過大請求、この過大請求が最も多かったのがこのJEM、実験棟に関する部分であるというふうに聞いておりますが、それは事実かということ。  そして、今、取引停止処分などをNASDAはNECに対して行っていらっしゃいますけれども、その場合にこの国際宇宙ステーション計画に対する影響というのはどのような影響があるのか、このままこの計画を進めようとなさっているのか、その点につきましてお答えをいただきたいと存じます。
  150. 石井敏弘

    参考人石井敏弘君) お答えいたします。  国際宇宙ステーションにつきましては、先生指摘のとおり、我が国日本の実験棟、JEMというものを開発いたしておりますが、その中でNECは通信制御系の開発を担当してまいりました。そして、このJEMの開発費の中で、これまで平成二年度から平成九年度までにわたりました形でこの開発を進めてきたわけでございますが、その中で十六億円という水増しが行われておったというようなことがNECのこれまでの報告でわかってきておるところでございます。  私どもといたしまして、御指摘のとおり、NECにつきまして取引停止措置というものを既に十月七日からやっておったわけですが、今回、このような水増し請求が行われておった、過大請求が行われておったということで、さらに十一月九日から当分の間取引の停止をするということを決めたわけでございます。しかしながら、この取引停止というものにつきまして、やはり国損の回避とか、あるいは事業団がどうしてもやらなきゃならない、他の業者をもってしてはとてもできないようなものも場合によってはあり得るというようなことがございます。そういった場合はNECに契約をやらざるを得ない場合もあり得るかと、かように考えております。  特にJEMにつきましては、これまでの開発完了したもの以外も、今現在、JEM絡みの通信制御系の開発をさらにその後の契約で継続いたしております。このようなものにつきましては、ここで業者を変えるといいましても技術的に適当なものがなかなかない。非常に初期の開発の段階から担当いたしておる場合、他の業者が今から研究しあるいは開発をするというような点が非常に困難な場合がございます。本件につきましてもそのようなことがある範疇に属するのではないか、こう思っております。  いずれにいたしましても、私ども今回のこのJEMのみならず一連の過大請求について大変遺憾に思っております。現在、そのための調査を進めておりまして、その過程で今回のような不正のからくりというものも明らかになろうかと思います。そのようなものを踏まえまして十分に検討し、このようなことがないように十分今後対応させていただきたい、かように考えておるところでございます。
  151. 馳浩

    ○馳浩君 自由民主党の馳浩です。  日ごろは第一会派として最初に質問させていただくのですが、きょうはもろもろの事情によりまして最後になりまして、用意していた質問の大半を同僚委員質問なさいまして、日ごろの皆様方の御苦労をよく理解いたしました。  それでは、いろいろと質問したいことがありますので、大臣よろしくお願いいたします。  私は、十月二十六日から十日間、ドイツ、スペイン、イタリア等を参議院の特定事項調査目的ということで海外視察をしてまいりまして、そのときにイタリアのローマで日本人学校を視察させていただきました。児童生徒の皆さん、あるいは教職員、そして校長先生等とお話をいたしまして、海外子女に対する教育、とりわけ義務教育の問題につきましてなかなか問題があるのだなということを承りました。  そこで、海外での生活が長い大臣にまず冒頭にお聞きしたいと思いますが、国際的に我々日本人役割も高まるに従いまして、世界各地に在住する日本人の長期滞在者が増大しております。平成八年十月の段階で四十九万三千人。これに伴いまして、義務教育相当年齢の子女の人数も平成九年五月段階で五万人に達しております。これは大変大きな数字だと思います。そこで、とりわけ親の仕事の事情によって海外で生活せざるを得ない義務教育に相当する子女の教育ということは、親にとっても大変な心配事、もしかしたら一番大きな問題事であると思いますが、この点についてはやはり文部省、あるいは外交問題として外務省等も大変な配慮をしていただきたいと思いますが、まず大臣、どのように考えておられますか。
  152. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 大変難しい問題でございます。  私は、子供を連れて四、五年アメリカに行っておりましたけれども、私の信念は、外国に行ったなら外国学校に入れるべきだということで入れておりました。しかしながら、帰国したときに大変困難な目に遭いました。そういう点で、今日海外に在留している子供たちのために、日本国民にふさわしい教育を行うとともに国際性を培うことを目的として、文部省としては、先生御訪問になられました日本人学校、こういうふうなものを今整備しているところであります。そして、文部省としては海外子女教育が大変重要だと思っております。  まず第一に、日本人学校、補習授業校へ教員派遣する、第二に義務教育教科書を無償配付する、第三に教材整備に対する補助などの施策を行っております。  それからまた、帰ってきた子供たちをどうするかという問題も大きいと思います。今後とも、海外から帰国した子供たち教育の充実も視野に入れつつ、国際社会に生きる日本人育成ということから海外子女教育の充実に努めてまいりたいと思っております。  日本人学校がないところの子供たちは一体どうするのか、こういう問題もあるんですね。帰ってきたときに、大学はこのごろ帰国子女に対しては別な試験をやって大いに採用するようにしています。そういう点ではよくなったんですけれども、まだまだ初中教育での接続というのが難しいところがあることは私も重々承知しております。  こういう点で、文部省といたしまして、この問題に関しては今後もさらに慎重に検討していきたいと思っております。
  153. 馳浩

    ○馳浩君 私も大臣と同じように大変心配なのは、初中教育、いわゆる義務教育段階の子女に対する教育の充実という点であります。  具体的な質問ですが、文部省は、日本人学校が必要とする教員の約八割について政府の経費負担で日本から教員派遣を行っております。しかしながら、その中に養護教諭派遣は全く含まれておりません。ではどうしているかといいますと、現地で採用した教員で賄っております。その数は現在全部で十九名です。開校中の日本人学校八十五校中十校のみにしか養護教諭がいないという状況であります。残りの七十五校はだれもおりません。養護資格のないほかの教員が養護の仕事を請け負っている状況であります。  そこで質問ですが、法令上も何ら制約がないにもかかわらず、なぜ文部省養護教諭派遣をしていないのか。現実に養護教諭派遣を現地の日本人学校が望んでいるにもかかわらず、なぜでしょうかという質問であります。
  154. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 委員指摘のとおり、現在、義務教育対象年齢の海外におります子供たちはおよそ五万人でございます。この子供たちにつきましては、日本人学校に通学する子供が一万八千五百人ほど、それから、現地校に通いながら週末に特定の教科の補習授業を行います補習授業校に通っております子供が一万七千人ほどございまして、残り一万四千人ほどが現地校のみに通ったり、あるいは大変僻地なところで通信教育のみを受けているといったような状況で、区々でございます。  日本人学校はもともと、現地の日本人会や進出企業の皆様方の御努力によりまして学校をつくっていただき、その経費も企業の寄附金や授業料など自前で賄うというところから出発してきたわけでございまして、文部省といたしましては、こういった状況にかんがみまして従来から、できる限り日本子供たちと同じような義務教育を受ける機会を拡充するという観点から、先ほど大臣が申し上げましたような種々の施策を継続してやってきているところでございます。  現在、教員派遣につきましては、校長、教頭と、教科を教える教員ということについて先生指摘のような基準で行っているところでございまして、養護教諭につきましては、それぞれ現地の学校努力と御判断によって採用していただいているという状況でございます。
  155. 馳浩

    ○馳浩君 一言で言えば予算の問題も絡んでくるんですよね。  私はなぜきょうこの問題を取り上げたかといいますと、とりわけ義務教育段階の児童生徒に対しては日本国内でも養護教諭役割が大変必要であるということで、昨年来から養護教諭に対する研修の問題であるとか大変文部省も配慮をいただいておりますよね。  海外に在住している子女たちの日本人学校については、今局長おっしゃられたように、在留邦人の責任であるとか要請によって自主的に始められたというその趣旨は非常にすばらしいのではありますが、ただし、在外にいるからといって日本と同じような教育環境の中で学校教育を受けることができないということは、これは大きな問題だと私は思うんですよね。  ましてや、この国際社会の中で日本人の貢献する役割、働きというのが大変大きくなっている今日において、ある意味ではこの子供たちは小さな民間大使というふうに考えれば、この子供たちが十分な環境の中で、とりわけ言葉も通じないような、あるいは日本にいたときとは違う生活環境の中で、教育環境の中で過ごさなければいけない子供たちに対してより手厚く文部省も、とりわけ外務省も配慮をしていただきたいという観点から私はきょうは質問を申し上げているわけであります。  それで、ちょっとこれは法律的な話になるんですけれども、そもそも日本人学校は、海外において我が国教育関係法令に準拠して本邦の小学校または中学校における教育と同等の教育を行うことを目的とする全日制の教育施設である。そうであるならば、学校教育法二十八条、四十条で定める日本の小中学校に必ず置かなければならない養護教諭日本人学校に置かないのは、明らかに日本人学校の基本的性格に反するものであると思います。  さらに言うならば、日本におれば養護教諭の養護が受けられ、海外にいれば逆にその養護が保障されないというのは、教育基本法三条に定める教育の機会均等に反して居住地域における教育上の差別であり、ひいては憲法十四条の平等原則に抵触するものとも言えるのではないかと思います。いかがでしょうか。
  156. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 施策の方向性につきましては私も委員と全く同感でございますが、多少法律論にわたりますのでお答えをさせていただきたいと存じます。  憲法におきましては、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」ということで、義務教育を保障するために全国の市町村に小学校中学校を置かなければならないということで学校教育法に設置義務を課しまして、すべての希望する子供たちにその居住地におきまして義務教育を保障するという仕組みをとっているわけでございます。  国内におきましても、私立学校に就学する子供たちにつきましては、親あるいは子供の意思によりまして、地域におきます公立学校に就学せずに私学に就学するという形で義務教育が担保されているわけでございまして、そういった意味では、海外におきます日本人学校につきましては直接憲法二十六条が及ぶものではない。また具体的に、この子供たちにすべて国あるいは公共団体の責任において学校を設置するということは、現実的にも諸外国との関係で極めて難しい問題があるわけでございまして、そういった意味におきましては、日本人学校は、現在法律に定める学校という学校教育法の一応規定の外に置きまして、外国において子供たちにできる限り憲法あるいは教育基本法に定める教育の機会均等を実現するための手段として、現地邦人の方々努力によって行われているものに対しまして国ができる限りの支援をしていく。こういう法律的な考え方のもとに諸施策を展開しているわけでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  157. 馳浩

    ○馳浩君 その現地邦人の自助努力ということは、まず出発点として大事ですねというのは私も先ほど申し上げましたが、今局長が申し上げているように、つまり憲法二十六条の適用を受けないというわけなんですね。受けないんですね。そこが私はわからないんです。なぜなんですかというところなんです。  実は私も、昭和五十三年二月十四日、衆議院予算委員会における、憲法第二十六条の海外子女への適用に関する真田法制局長官答弁というものを拝見いたしました。「憲法二十六条の教育を受ける権利あるいは教育義務」、この規定との関連において云々とありまして、「外国にある子弟に対しては直接適用はない。」というこの理由がよくわからないんですね。その後はもちろん真田長官も、日本の憲法、法令に準拠するような扱いはなされなければならないというふうな、ある意味ではフォローはされておられるんですが、この解釈自体が私はよくわからない。  私が今申し上げているのは、これに基づいて日本と同じように、教科の教員もそうですし、養護教諭の問題に関して十分な配慮がなされなければいけないんじゃないんですかということを申し上げているのであって、その問題と日本の主権の及ばない外国における海外子女に対する教育ということと論点が違うのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  158. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 委員指摘のとおりでございまして、憲法問題につきまして私ども文部省が一義的にお答えする立場にはございませんけれども、従来、海外子女教育振興につきましては、憲法二十六条あるいは教育基本法学校教育法の規定に直接基づくものではございませんけれども、その趣旨に沿ってできる限り国として予算の範囲内で最大限の努力をする、こういう基本的な姿勢のもとに施策を展開しているということでございます。
  159. 馳浩

    ○馳浩君 ですから、私はこの昭和五十三年の真田法制局長官の答弁について異議があるということを申し上げているわけであります。  つまり、事例の性質ごとに判断をして適用を受ける場合と受けない場合とを区別すべきではないか。例えば海外子女を、日本国民であり、憲法二十六条も含めて適用されるが、外国の主権や法令との関係上制約されて、結果的にその保障を受けられない場合もあるというふうな解釈が必要なのではないかという観点からも、これは最初から予算の話をしているのではありますが、教員派遣に関しましてより一層の文部省の積極的な姿勢を見せていただきたいというのが私の質問趣旨なんですけれども、いかがでしょうか。
  160. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 海外子女教育を実際に担当しております日本人学校あるいは補習授業校につきましては、海外に在留する国民子供たちの数の増大とともに全世界に展開をされておりまして、日本人学校あるいは補習授業校の数も毎年のように一校ないし二校という形でふえてきているわけでございまして、文部省といたしましてはできる限り現地の方々教育に対する熱意というのを酌み取りながら予算化をし、新たな学校につきまして新たに教員派遣を手当てするというようなこと、あるいは外務省におきましてはその校舎等の経費や現地採用教員の賃金等を手当てするということで努力しているわけでございます。  予算、財政状況厳しい中ではございますけれども、現状では、教員派遣につきましては校長、教頭と一般教員までということで、大変厳しい中で努力をさせていただいているということで御理解いただきたいと存じます。
  161. 馳浩

    ○馳浩君 そこで現実的な話になってくるのでありますが、実は私も日本人学校へ行ってお話先生方から伺いましたが、どう見ても女の先生が少ないんですよ。海外へ行って日本人学校先生をやろうという意欲のある若い先生は男の先生が多かったんですよ。女の先生は一人か二人ぐらいなんですね。  私も一応教員でありましたのではっと思ったのは、小学校中学校と成長過程にある女の子の健康問題とか心の問題というのは大変微妙でセンシティブな問題なんですね。伺いましたその日本人学校は、ほかのところはどうかちょっと詳しいことは知りませんが体験学習が大変多いわけですね。生徒が一緒になってあちこち泊まり歩いたりする学習もあるわけです。あるいは校内においても、体育もそうですし、いろんな課外活動の中でやっぱりそれぞれ人には言えない悩みとか問題というのがある。それを請け負うのはだれかというのは、やっぱり女の先生なんですね。養護教員はもちろんいない。それで、その女の先生が十分に対応することができるのか。先ほど申し上げたように現地採用の人数も少ない。調べてみましたら、日本から派遣している教員の中で、これは千三百人ぐらいいますけれども、女性教諭は百二十名ちょっとしかいないんですね。ということを含めますと、その子供たち、とりわけ女の子たちの人に言いたくても言えないような心の悩み、体の悩み、健康の悩みというものに対して、これはより一層配慮をしていただきたい。  そこで、もちろん文部省にも予算獲得の努力をしていただきたいし、我々も努力いたしますが、例えば外務省では、現地採用教員、講師への謝金援助がありますね。この制度の拡張をして養護教諭の専門枠をつくったりということは考えられないでしょうか。外務省あるいは文部省の見解を伺いたいと思います。
  162. 内藤昌平

    説明員(内藤昌平君) 海外子女教育は外務省としても非常に強い関心を持って支援しております。ただ、支援の体制が、教員文部省、校舎は外務省というのが基本的な分業体制になっておりまして、私どもの現地採用教員あるいは講師への謝金による支援というのは、足らざる部分を補うという制度として活用しておるわけでございます。  そういう意味で極めてささやかな予算でやっておるわけでございますが、今先生指摘のような問題につきましては、こういう昨今の厳しい財政事情の中で、しかし現地の事情等を踏まえて今後どういう形で支援ができるのか、文部省とも御相談申し上げて研究していきたいと思います。
  163. 馳浩

    ○馳浩君 外務省、ちょっと追加でお伺いしたいんですが、外務省の在外の日本人学校に対しての援助の中で、借り上げ校舎については借料の六〇%の援助をしておりますね。これを現地では、この財政の厳しい折から来年は五〇%にカットされるんじゃないかという心配があるわけです。この借り上げ料の援助の六〇%の割合というのは維持していただけますね。
  164. 内藤昌平

    説明員(内藤昌平君) 私どもとしてはできるだけ維持したいところでございますが、何分にも財政事情との兼ね合いで、今後まさしく予算の過程の中で答えが出てくるという状況にございます。
  165. 馳浩

    ○馳浩君 先ほど文部省局長からもいただいたように、現地の学校法人の自主努力運営しておられる中でこの六〇%の割合は大変大きいんです。在外においてもそういう経営上の予算を寄附等で集めるのは大変苦しいということでもありますので、この六〇%の枠というのはぜひとも確保をお願いしたいという切なる願いがありましたので、その意向を酌んでいただきたいというお願いであります。  それで、この問題については最後の質問でありますけれども、要は、現実的に言えば予算の問題にかかわってまいりますが、ならば、日本から教員派遣するときに養護についての研修をしっかりやっていただきたいということなんです。  教科担当の、国語、算数、理科、社会、音楽、その先生方を派遣されますが、やっぱり学校教育現場といったら、その教科にかかわらずいろんな児童生徒の問題を解決しなければいけないわけです。そういったときに、養護に関する問題について基本的な研修、傷の手当てであるとか、どういう子供状況であるかという判断、カウンセリング、こういったものについてはぜひ研修をしていただきたい。今現在はしていませんよね。ぜひしていただきたいというのが要望でありますが、いかがでしょうか。
  166. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 御趣旨を体しまして、できる限り努めてまいりたいと思います。
  167. 馳浩

    ○馳浩君 そしてもう一つ、大臣に対しては、毎年こうやって在外で活動される日本人も多くなってきた、それにつき従っていく児童生徒も多い、こういう中で海外子女に対する教育問題に関する特別立法というものを私は考えられる時代日本は入っていると思いますが、その点も含めましてどのように今後お考えになられますか、お伺いしたいと思います。
  168. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) まず第一に、教育の機会均等ということがあります。その精神を実現していかなければならない。この際に、国際社会の中でどういうふうに日本人育成していったらいいかという観点が大きく問題になってくると思います。  そこで、文部省としては、日本人学校、補習授業校への教員派遣など、海外子女教育をまず推進する施策を行っていきたいと思っています。現に行っているわけです。今後とも、憲法二十六条の精神に沿って、海外子女教育の充実にまず努めさせていただきたいと思っております。
  169. 馳浩

    ○馳浩君 続きまして、先ほどお話もありましたサッカーくじの問題に絡みまして。  さて、いよいよ法律もできました、政省令が整備されております、の点ではなくて私がぜひお伺いしたいのは、サッカーくじができたから財源があるじゃないか、じゃ一般会計からのスポーツ・体育予算、振興予算というのは減らしてもいいじゃないかという論理がまさか文部省内では起きてはいないだろうなという点を確認したいというところです。大蔵省からそういう論理が出てくるのはいたし方ないとしても、そんなことは許さないと。これは基本的に私の言いたいことで、サッカーくじに反対されている皆さん方も基本的な振興予算というものの充実はやっぱり望んでいるところでありますから。  そこで、これは細かいことなんです。この法律ができまして、一般会計の予算、スポーツ振興基金からの運用の予算、それからスポーツ振興くじによる収益金、この三本立てということになりましたが、このうち、スポーツ振興基金とスポーツ振興くじの助成対象はそれぞれ重ならないようにとスポーツ振興投票法二十一条一項三号及び二項で規定されておりますが、文部省一般会計予算との区別はどうなるのかという点であります。私が言いたいのは、効率よく予算の執行、運営をしていただきたいということであります。この観点からいかがでしょうか。
  170. 遠藤昭雄

    説明員遠藤昭雄君) まず前半の御質問でございますけれどもスポーツ振興投票制度、これはスポーツ振興のための新たな施策を実現するための財源確保の手段として、スポーツ議員連盟により構想されまして法律として成立した、スポーツ振興のための重要な方策であると考えています。  国会での審議におきましても、スポーツ振興投票制度実施されることによって国のスポーツ関係予算が削減されることがあってはならないという観点からの御議論が幾つかありましたし、さらに、両議院の委員会におきまして「スポーツ振興のための予算措置について今後もその充実を図る」という附帯決議をいただいております。私どももこれまでもスポーツ振興のための予算の確保に努力をしてきたわけでございますが、そういった国会での御審議、附帯決議の趣旨、そういったものを踏まえまして、スポーツ振興投票による財源だけを頼りにすることなく、国として行うべき責務を十分に果たす必要があると。  ただ、財政事情が大変厳しくなっている中でございますが、スポーツ関係予算の充実確保について今後とも最大限の努力をしていきたいと思いますので、御支援方をよろしくお願いしたいと。  それからもう一点の、スポーツ振興基金、スポーツ振興投票くじによる収益、それから一般会計予算との三者の関係でございますが、先生指摘のように、基金とスポーツ振興投票くじの収益金の関係につきましては、このスポーツ振興関係の条文で調整をいたしておりますが、スポーツ振興投票くじの収入と一般会計予算との関係、ここについては必ずしもはっきりしておりません。  したがいまして、今後保健体育審議会でも、これから骨格がある程度整いましたら、この収入の使途につきまして御議論をいただき、整理する必要があると。助成の重複によるむだ遣いとか非効率な使い方、そういったことのないように適切に対処していきたいというふうに考えております。
  171. 馳浩

    ○馳浩君 よろしくお願いいたします。  一般会計予算との重複というものは私は当初はあってもいいと思っているんですよ。というのは、もともとの一般会計予算の中からのスポーツ振興、体育振興の予算というのは少ないわけですから、当初はいきなりこの区別というのはできないです、絶対に。だから、それはより効率よく、振興くじによる予算もうまく使っていただきたいということであります。  と同時に、きょうも先ほどから議論がありましたけれども、コンビニの問題については、それから一枚で何口まで買えるかという五百口の問題については、これはやっぱり参議院、衆議院での、国会での議論というのを踏まえた上での保体審特別委員会での議論でありますから、私はこれは絶対に看過することはできないので、先ほどからの答弁はそれはそれでいいと思います。と同時に、そのサッカーくじ議論をコンビニ問題や一枚で何口までという議論に矮小化しないでいただきたい。なぜならば、この法律によって、推進している私たちとしては、小口寄附金としてたくさんの国民に買っていただいて、これをスポーツ振興に役立てていただきたい。  ならば、どうやったらより安全に売ることができるのか、収益を上げることができるのかという議論をこそもっと私はしていただきたい。例えば、ではどこで売ったらいいんだろうかというメニューをもっとより一層出すような、文部省ないしは保体審特別委員会でも議論をしてそれをどんどんマスコミに出していただくような、そういう努力をしてこそサッカーくじ意味も私は深まると思います。  次の質問に移ります。  ちょっとこれは細かい話になるんですけれども、私は教員出身ということもありまして先生方からいろんな要望をいただくのでありますが、退職なさった教頭先生方の会というのがあるんですよ。こういうのがあって、私はどういう要望を持ってこられたのかなと思いましたら、退職教頭の叙勲の問題でありまして、ちょっと細かい話なんですが、させていただきます。  実は退職教頭の生存者叙勲についてです。昭和六十三年の文部省の通達で、叙勲候補者として教頭は教諭の中に含まれていたのが、校長と同様に独立して、「教頭」と明記されて叙勲候補者になりました。しかし、退職教頭で生存者叙勲を受けた人はごくまれであり、全国で数名しかいません。その理由は、先ほど言いました通達が言うところの叙勲条件の、特に功績が顕著であることという条件が厳しいんです。東京都が定める特別功績三例という三つの例示事項が全国統一の申請基準になっているからと言われたりしております。  具体的なその三例を申し上げますと、一、全国教頭会の会長あるいはそれに準ずる団体の長としての功績、二、僻地教育への多年にわたる功績、三、学術研究における功労者であります。この特別功績三例という基準のために、通常必要となる功績調書のほかにこの三例のいずれかを示す特記功績が必要となったというのです。  質問の第一番目です。まず、この東京都が定めたという特別功績三例が全国統一の申請基準となっているのかどうかを確認したいと思います。二つ目です。この一番目の質問がどうかということにもよるんですが、誤解を生まないような指導もきちっと文部省で行っていただきたいが、いかがかという点。三番目です。先ほど申し上げました、特別功績三例の一つである全国教頭会に準ずる団体の長、この準ずる団体というところでありますが、これに都道府県の教頭会も含まれているのかという点であります。  実は質問趣旨は、教頭先生方も、校長にはなれなかったけれども長年教育現場で頑張ってきたと、教頭で退職したと、その功績もやはり認めていただきたいというのが教頭先生方の望みであるということでありまして、いかがでしょうか。
  172. 小野元之

    説明員(小野元之君) 教頭先生が長年教育界において功績を果たされたことに対する叙勲をきちんと対応すべきだということについては、私どもそのとおりだと思うのでございます。  御質問にございましたまず第一点目の、東京都が言っております特別功績三例ということでございますが、実は文部省におきましては文部省独自の基準といいますか、ある程度考え方を示してございまして、これもちょうど三つになっておるわけでございますが、そもそも校長、教頭等を含めていわゆる公立学校先生方の生存者叙勲につきましては条件が幾つかございます。一つは、学校教育振興に貢献し、特に功績が顕著であると認められるというのが一つの前提でございます。それから二つ目が満七十歳以上、それから三つ目が教育関係従事年数が三十年以上、これが基本的な基準であるわけでございますが、文部省といたしましては、具体的にこの通知で示しておりますのは、教頭さんにつきましてもその功績が校長経験者に準ずる者を対象にしておるわけでございまして、その具体的な功績が校長経験者に準ずる者の範囲については三つの例を示してございます。これは、一つは指導的立場にあった方で県段階の教頭会の会長等として、以上として二年以上在任した者というのが一つの条件でございます。それからもう一つは、著名な賞を受賞なさっておるということがもう一つの条件、それから三つ目は、その他特に必要と認められる者、この三つのいずれかに該当する方については教頭さんについても生存者叙勲の対象にしておるわけでございます。  お話ございました東京都の特別功績三例と申しますのは、これは東京都が通知の中で示しておるものでございますが、文部省の三つの例とかなり近いのではございますけれども、正確には一致してございません。  各県においてどの基準において申請しておるかということでございますが、恐らく東京都の例も参考にしながら、文部省が示しておりますこの三つの範囲の中で御申請いただいているものというふうに認識をしております。  それから、文部省としてはしたがって文部省が示しております三つの範囲について指導しておるわけでございますが、三つ目の御質問にございました、準ずる団体に県の団体が含まれるかということでございますが、県段階での教頭会の会長といったものはこの中に含まれるというふうに考えております。
  173. 馳浩

    ○馳浩君 わかりました。校長経験者に準ずる功績という条件の漠然としたあいまいさというのが、この教頭会の皆さん方がちょっとどうなっているのというふうになったんだと思います。  と同時に、もう一つの質問ですけれども、平成六年後半から条件が厳しくなり、これは総務庁の方で厳しいのか、文部省の方で厳しいのか、各都道府県市町村の教育委員会で厳しいのか、そのどの段階かわかりませんが厳しくなったんだそうです。平成八年度はほとんどの申請が県、市区町村の教育委員会レベルで受理されなくなったということであります。その理由が、教育委員会レベルで受理しても文部省で受理しないからというもので、どうやら文部省が――済みません、先ほどは生存者叙勲の話でした。今のは死亡者叙勲の話です。済みません。  文部省が死亡者叙勲についても生存者叙勲の基準と同じものを要求しているからと団体の方々は思っているそうであります。この辺の真偽がどうなのか、退職教頭の死亡者叙勲の申請基準は従来どおりなのかという点について教えていただきたいと思います。
  174. 小野元之

    説明員(小野元之君) 御指摘ございました死亡叙勲の関係でございますが、死亡叙勲につきましても基準は生存者叙勲の申請基準に準じて扱っております。したがって、特別の基準を設けているわけではございません。  ただ、お話にございましたように、最近の例で見ますと、死亡叙勲については平成六年、七年についてはある程度数字があったわけでございますけれども、九年以降は叙勲がなされていないのが現状でございます。  文部省といたしましては、教頭先生の叙勲につきまして、学校教育の充実発展に御努力いただいた長年の御労苦があるわけでございまして、そういった関係からは、これは関係省庁への働きかけも文部省自身も行っていかなければいけないというふうに思っております。  ただ、問題といたしましては、各県教育委員会で御推薦される場合に、どうしてもある程度校長先生の方が数がたくさん出てくるのが現状でございます。もちろん教頭で終わられた方も立派な方はたくさんいらっしゃるわけでございますけれども、県としては校長先生の方をどうしても重視なさるというのが現実としてはあるわけでございますが、いずれにいたしましても、文部省としては教頭先生の御功績に報いるべく努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  175. 馳浩

    ○馳浩君 最後になりますけれども、要は、教頭を経験された方々も長年学校教育の現場で尽くしてきた、そして定年退職を迎えたと。その後に、せっかく長年教育界に尽くしてきたにもかかわらず、実は老後の自分たちの生き方、生きがいというものをなかなか求められない。別にそれは叙勲という意味ではなくて、ボランティア活動でもいいし、地域教育活動でもいいし、あるいはシルバーの青年海外協力隊への参加でもいいし、何かを求めて活動していきたいんだと。そういうときに一つの象徴としてこの叙勲、生存者叙勲、死亡者叙勲ということについて配慮いただければ、私たちの活動、結束力も高まる、より一層社会に貢献していきたいんだというのがこの要望の質問趣旨であったということを申し上げておきます。  以上、私の質問を終わらせていただきます。
  176. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 本日の調査はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  177. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。  先般本委員会が行いました地方における初等中等教育、大学の教育・研究及び科学技術等に関する実情調査のための委員派遣につきましては、その報告書が提出されておりますので、現地での要望とあわせてこれを本日の会議録末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十三分散会      ―――――・―――――