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1998-10-01 第143回国会 参議院 国土・環境委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月一日(木曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員異動  九月三十日     辞任         補欠選任      脇  雅史君     中曽根弘文君      北澤 俊美君     福山 哲郎君  十月一日     辞任         補欠選任      中曽根弘文君     脇  雅史君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         陣内 孝雄君     理 事                 太田 豊秋君                 松谷蒼一郎君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 市川 一朗君                 坂野 重信君                 田村 公平君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 佐藤 雄平君                 福山 哲郎君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 島袋 宗康君    国務大臣        建 設 大 臣  関谷 勝嗣君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      井上 吉夫君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  柳沢 伯夫君    政府委員        公正取引委員会        事務総局経済取  上杉 秋則君        引局取引部長        北海道開発庁総        務監理官     斎藤 徹郎君        防衛施設庁施設        部長       守屋 武昌君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        環境庁大気保全        局長       廣瀬  省君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        国土庁防災局長  林  桂一君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        外務省北米局長  竹内 行夫君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        大蔵大臣官房審        議官       福田  進君        大蔵省主計局次        長        寺澤 辰麿君        農林水産大臣官        房総務審議官   石原  葵君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        林野庁長官    山本  徹君        通商産業省環境        立地局長     太田信一郎君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設大臣官房総        務審議官     小川 忠男君        建設省建設経済        局長       木下 博夫君        建設省都市局長  山本 正堯君        建設省河川局長  青山 俊樹君        建設省道路局長  井上 啓一君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君        自治省財政局長  二橋 正弘君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        林野庁業務部長  日高 照利君        建設大臣官房官        庁営繕部長    田村 至敏君        建設省住宅局長  那珂  正君        会計検査院事務        総局第三局長   大和 顕治君    参考人        日本道路公団総        裁        緒方信一郎君        住宅都市整備        公団理事     今泉 浩紀君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○国土整備及び環境保全等に関する調査  (建設行政基本施策に関する件)  (国土行政基本施策に関する件)  (北海道開発行政基本施策に関する件) ○地球温暖化対策推進に関する法律案(第百四  十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院  送付)     ―――――――――――――
  2. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから国土環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨三十日、北澤俊美君が委員辞任され、その補欠として福山哲郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土整備及び環境保全等に関する調査のため、本日、住宅都市整備公団及び日本道路公団役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 国土整備及び環境保全等に関する調査のうち、建設行政基本施策に関する件、国土行政基本施策に関する件及び北海道開発行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 自民党の松谷でございます。建設行政中心にいたしまして、若干の質疑をさせていただきます。  御案内のとおり、ただいま我が国は未曾有の厳しい景気状況にあります。これを何とか打開するということで、金融関連法案衆議院与野党一体となって法案成立に努力をしているところでございます。  私は、景気一つ先行指標として住宅建設動向というのが非常に大きいのじゃないだろうか。逆に言えば、景気対策のためにはまず住宅建設着工を何とか促進していくということが極めて重要というように考えております。公共事業も当然でありますが、しかし波及する関連業種の多さというのは住宅建築は非常に大きいものがございますので、そういう面で若干の時間をおかりしまして、住宅のこれからの動向等につきまして政府にお伺いをしたいわけでございます。  まずお伺いしますが、現在のところの住宅着工現状について御説明をお願いいたします。
  8. 那珂正

    説明員那珂正君) 住宅着工現状についてのお尋ねでございますが、御案内のとおり平成八年は年間で百六十三万戸でございました。昨年、九年度は百三十四万戸と大幅減を示しました。さらに、本年度に入りまして、四月から八月までの毎月の年率換算値で申し上げますと、百十万戸半ばから百二十万戸半ばまでの間を推移しております。非常に厳しい状況が続いていると思われます。
  9. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 昭和五十八年だったかと思いますが、住宅着工が非常に落ち込んでまいりまして、百十六万戸にまでなった。その後、見通しとして、場合によっては百万戸を切るのじゃないか、こういうような見通しを民間において推測されるような事態になったことがあります。  結果的にはそういうことにはならなくて、その後、住宅着工というのはどんどんふえていったんですが、しかしそのときの状況では、まだ住宅ローン金利あるいは住宅金融公庫金利というのはたしか五・五%を超えているぐらいだったし、地価も高かったし、住宅建設する周辺状況というものはかなり厳しい状況ではあったんです。  ところが、現在は金利は三%を切っている、公庫銀行住宅ローン金利も切っている、もうこれ以上は住宅ローン金利は下げられないというところまで来ているわけです。地価もかなり安くなってきております。建設費もかなり安い。したがいまして、住宅建設促進する周辺状況というのはこれまでになくいい状況にあるんですが、今住宅局長から答弁がありましたようにそれがなかなか着工が上向きにならない。その原因というものをどうお考えなのか。また、これから先、景気回復先兵として住宅建設を伸ばしていくためには建設省としてどういうような考えがあるのか、お伺いいたしたいと思います。
  10. 那珂正

    説明員那珂正君) 今日のように厳しい状況が続いている原因ということでございますが、確かに松谷先生指摘のように住宅金融の利率はかつてないほど低い状況にある、地価も大変低い状況にあるなどの状況はありますが、一方でやはり住宅を求めようとしている者にとって、経済全体の低迷状況、とりわけ将来の収入あるいは職業そのものに対する不安感等が背景に重くのしかかっておってなかなか新しい住宅投資に踏み切れない需要層が相当程度いるのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。  私どもとしては、当面、全体の経済対策推進の一部として、とりわけ住宅対策についても考えられるあらゆることを検討してまいる所存でございますが、とりわけ今後十月末までに政府内部で取りまとめる予定でございます景気対策臨時緊急特別枠活用等を含めて早急に対策をまとめていきたいと思います。
  11. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 住宅建設が伸び悩んでいる、あるいは落ち込んでいるというのは、今局長からお話がありましたように先行きに対する見通しが非常にきつい、暗い。したがいまして、今全額自分の資産でローンなしで住宅建設するということはほとんどあり得ないわけですから、やっぱり住宅ローンを借りてやる。住宅ローンを借りて住宅を建てた、ところが景気はどんどん悪くなる、あるいは下手すれば自分の所属する会社倒産をする、ローンが払えない。そういう見通しが非常に暗い状況にあるために、現在のところ住宅をわざわざ建てて、そしてローンを借りるということに対する危惧の念が一般の方に非常に多いのだろうと思うんです。住宅需要自体は、住宅需要実態調査でわかりますように非常に大きなものがあるわけです。潜在的な需要は大きいのだけれどもちょっとここでは踏み切れない。  私は一つやり方としては、住宅ローンを組みますね。組んだ後、これがいろいろな社会的環境によって例えば企業倒産する、あるいは職を離れる、そういうような場合にでも一定の期間、五年でも十年でもいいんですけれども住宅ローン返済を猶予する、何かそういうような仕組みを住宅行政の一環としてつくれないだろうか。そういうのがあれば、いろいろ将来に向けての厳しい状況ではあるが、しかしやっぱり潜在的には、狭い住宅の中に住んでいる、あるいは大変遠いところから通勤している、この状況を打破したいという気持ちは非常に強いわけですから、住宅ローンを借りて住宅着工に踏み切るということがあるのじゃないだろうかというように思うんですが、そういう面での対策というかそういうことは建設省では検討したことはありませんか。
  12. 那珂正

    説明員那珂正君) 御指摘のように、現在の景気低迷が続く中で、勤務先倒産などによって収入が減って既存の住宅ローン返済が大変難しくなっておられる方々が相当増加しているという認識をしております。  まず、住宅金融公庫につきましては、平成五年及び六年度に、当初大変よかれと思ってといいますか、なるべく住宅を求めやすくというつもりで、初期の負担の軽減という観点からいわゆる長期の、超長期スーパーゆとり償還制度というものを実施したわけでございますが、ここに来て、五年たちまして六年目に入りまして返済額が急増するというようなことで、あらかじめ準備を十分されていたとは思いますが、今申し上げましたように突然の勤務先倒産等やむを得ない事情によって返済額が滞るというようなことも出てまいりました。そこで、本年度から償還期間を最長十年延長いたしまして、その毎月毎月の返済額軽減をとれるようにしたところでございます。  さらに、ローン返済が苦しい、具体的に返済額が足りないというような状況は何もその平成五年、六年のスーパーゆとり償還制度だけではなくて、住宅金融公庫から借りられている方全体にかかわるわけでございます。この人たちにつきましても、積極的にローン返済相談を行うことによってその家計のそれぞれの実情に応じて、今申し上げました償還期間を大幅に延長し、その間の元金の据置期間を一定期間設けるなどの措置が講じられるよう現在検討中でございます。
  13. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 住宅ローンについては、政府系住宅金融機関だけでなくて一般都市銀行による住宅ローン等についても、債務者が非常に厳しい状況になった場合には猶予する、いわばそういう方向での政策的な措置ができるかどうか、ぜひ検討していただきたいというように思います。  ところで、住宅政策というのは昔からよく三本柱があって、公営住宅建設、これは特に低所得者対策といいますか公営住宅建設、それから大都市圏中堅所得階層に対する住宅供給としての住都公団による供給、それから住宅貸し付け住宅金融公庫、こういうように言われておるんですが、今特に住宅金融公庫役割が非常に大きいだろうと思うんです。もちろんそのほかには税制がありますが、税制についてはちょっと置くとして。  ところが、住宅金融公庫貸し付けについて、本来は貸し渋りなんかがあったらおかしいんですね。これは政府系金融機関で一番これから景気対策中心的な柱として活躍をしなきゃならない。にもかかわらず、住宅金融公庫ディベロッパーあたり融資に対して銀行保証を求めるというようなことがあると聞いているわけです。公庫住宅ローンを借りに行って銀行保証を持ってきなさいと言われ、それで銀行に行ったら、そんなことだったら私の方はみずから貸しますよ、こういう返事があった。  これは一般的でないかどうかわかりませんが、私どもが聞いた二、三の声があるんですが、そういうような事実があるのかどうか。政府系金融機関は、住宅公庫に限らないんですが、中小企業金融公庫にしても国民金融公庫にしても貸し渋りなんていうのをなくすための一番の重要な柱であるわけですから、そういうことはないとは思いますが、これについてぜひ積極的な融資、対応をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  14. 那珂正

    説明員那珂正君) 住宅金融公庫融資につきましては、貸付金償還に関し確実な保証人があることを貸し付け上の条件としております。ディベロッパー向け融資保証人としては、ただ銀行などの金融機関に限っているわけではございませんが、そのディベロッパー系列会社あるいは工事を行う建設会社等経営内容が優良なものを同列に認めております。さらにまた、物的担保が十分である場合には保証人のそういう資格についても相当弾力的に取り扱っているところでございます。  御指摘のように、住宅金融公庫融資役割がこういう時期に大変大きくなってきているということにかんがみまして、こういう運用が適切かつ円滑に実行できるように十分配慮してまいりたいと思います。
  15. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 住宅融資というのは担保をとるわけですね、住宅、土地、いずれも。十分な担保をとるわけですから、どこかの保証も取りつけてこいとか銀行保証を取りつけてこいというのはちょっと行き過ぎだと思うんです、特に住宅金融公庫のような公的金融機関の場合は。これはぜひ十分調査していただいて、きょうは住宅金融公庫関係者はお呼びいたしませんでしたが、住宅局として御指導をしていただきたいというように思います。  やっぱり景気対策、これから回復する先兵住宅です。住宅が上向いてくれば必ず景気が上向いできます。そういう意味でぜひよろしくお願いをする次第であります。  税制についても、きょうは総務審議官もお見えでありますが、例の住宅ローン利子控除制度、これが今話題になっております。これについて、建設省としても諸般いろいろな事情はあるかもしれません、住宅取得促進税制との関連等もあるかもしれませんが、ぜひ新しい措置として導入に踏み切っていただきたいと思いますが、いかがですか。
  16. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 現在の経済状況から考えますと、住宅がいま一つ元気がない、これが力強く建設される、これは非常に重要なことだと思います。  そういうふうな観点から、住宅取得促進税制、既に減税規模で六千億円を超える規模になっておりますが、これについていま一段のてこ入れという観点からいろいろ点検すると同時に、原理原則を異にいたします所得控除方式、これの利害得失、あるいは税額控除である促進税制との兼ね合い、この辺をどう考えれば一番有効に機能するのかというふうな観点から、向こう一、二カ月全力を挙げて全面的な観点から検討したいと思います。
  17. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 なお、公営住宅については今は特定優良賃貸住宅供給戸数が非常に大きなシェアを占めているというように聞いております。若干ここのところ伸び悩みがあるというようにも聞いておりますが、この方式地方公共団体でも地方の住民にとっても大変歓迎されている方式でありますので、これまで以上にこの方式推進方をよろしくお願いする次第であります。  大臣にお伺いをいたしますが、ただいままでいろいろお話をいたしましたように、この深刻な景気状況の中で住宅建設を何とか元気よくさせるということが非常に重要な政策の柱であると私どもは思っておりますが、住宅建設促進に向けて総合的に取り組んでいただきたいと思いますが、御決意のほどをよろしくお願い申し上げます。
  18. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 今回の内閣経済再生内閣と銘打ってスタートしたわけでございますが、そういう中にあって、やはり公共事業そして減税という二本の大きな柱、これが順調に進んでいけば景気もよくなってくると思うわけでございます。  いろいろな特別減税を行いますけれども、これはやはり今社会を覆っております不安感、若い人は若い人なりの不安感、または年輩の方は年輩の方の老後の不安というものがありますから、なかなか消費マインドを起こすものがないと思います。また、どうしても購買をしたい、買い付けをしたいというようなそういう新しい製品が今ないものでございますから、そうなりますと、私はやっぱり公共事業公共投資というものを大きく進めていって、そして世間にマネーサプライをして、それがまた活気に、景気回復になってくるというようなやり方をやっていかなければならないと思うのでございます。  そういう中にありまして、松谷先生おっしゃいましたように、建設省河川であるとかダムであるとか道路であるとか、これももちろん大きなものでございますが、国民が最終的に渇望しておりますものはやはり私は住宅だろうと思うわけでございます。ですから、この住宅がどのように伸びてくるかということが景気を興してくる大きな起爆剤になってくると思っておるわけでございます。ただ、数値を見てみますと、十九カ月にわたりまして対前月比でいわゆる発注戸数はだんだん減ってきておる、とうとう百十万戸になってしまったというようなことでございますので、先生指摘のようにあらゆる角度からの刺激を、住宅をつくるという状態、環境をつくっていかなければならないと思うわけでございます。  したがいまして、その中で御指摘のように住宅金融公庫などは無担保で一〇〇%のものを貸すべきではないかというような御意見、全くそのとおりであると思うんですが、また逆に言いますと、金融を取り巻く情勢はとにかく不良債権ということで、銀行の方も政府系金融機関にいたしましても、やはり貸し渋りが起こるような雰囲気にあることも事実でございましょう。しかし、政府系金融機関ですから、そういうようなところは思い切って貸し渋りのないようにやっていかなければならない。それから住宅促進税制も、今六年間で金額にすれば百八十万円というようなものを十年間にしょうというようなことを計画いたしておりますが、そういう税制上の援助というものもやっていかなければならないと思っております。  ただ、そういう中にありまして、最近の若い方々持ち家志向というのが余りないのでございます。三年たてばまた変わった家に住みたいとか、あるいは持ち家をするほどの収入がない、かつまたローン返済に対する不安感があるというようなことでございまして、建設省住宅促進で一生懸命やっておるわけでございますが、正直申し上げましてもうやれることは全部やっておるわけでございます。ですから、私はこの秋に景気が上向かなければならない、また必ず浮上はしてくると確信はしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、そういう国民の一番今要求しております住宅に対するその気持ちに十分報いるべく、政策的に金融的に税制的に一生懸命やっていきたいと思っております。
  19. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 どうもありがとうございました。  今、大臣から持ち家志向がだんだんなくなってきたという、これは本当の意味では住宅政策としていい形ではあるんですね。私ども住宅に関係したときに、持ち家だけでいくのは政策としてはひずみがある。賃貸持ち家がバランスよく供給されていく。戦前大都市、あるいは江戸時代でも賃貸住宅、いわゆる長屋というんですかね、それが非常に多かったわけなんです。戦前退職公務員方々が三軒、四軒の住宅をつくってそれを賃貸供給していたというような時期があります。それによって、空き家率の問題はありますけれども、非常にうまく住宅の住みかえが行われていたというような時期もありますので、私はある意味ではいい現象でもあると思います。それをうまくコントロールしながらやっていただければというように思っております。  ところで、住宅から別の議題に転じます。  現在、官公庁整備全国各地で行われているんですが、今まではとにかく地方の合同庁舎にしてもただ建てればいいというようなスタイルであった。それは非常にもったいないやり方だなと私どもかねがね思っていたんですが、こういうような地方での拠点になる公共建築というものを種にしながらコアにしながら再開発というようなものを考えていけばいいんじゃないかと思っていましたところ、先日いろいろお話伺いましたところ、シビックコア地区整備というんですか、中心市街地活性化関連をして官公庁施設整備を行うというような政策をとられているというように聞いております。  この概況につきまして、それから今後の見通しについてお答えをいただきたいと思います。
  20. 田村至敏

    説明員田村至敏君) 先生指摘のとおり、官庁施設整備に当たりましては、どちらかといいますとまず施設本体の性能の向上といったようなことを目的に整備してきた観点もあったかと思います。また、従来交通上の利便性都市の将来性のある立地条件というようなことを求めまして、郊外に官庁施設建設するようなことがふさわしいと考えてきた経緯もございます。  しかしながら、現在、特に地方都市などにおきまして近年都市構造が大きく変化し、さまざまな要因によりまして中心市街地が活力を失ってきている、そのように言われておることもございます。地方公共団体におきましては、こうした空洞化を補い、また中心市街地活性化を目指しまして、そもそも官庁施設の持つ都市の核としての役割や、また相当の市民が日々利用する地域の交流拠点としての公共性にかんがみまして、再び中心市街地の再生事業に官庁施設を組み込めないか、そのような要請が高まってきているところでございます。  官庁営繕部といたしましては、こうした要請にこたえまして、官庁施設整備におきましても従来から取り組んでまいりました、シビックコア地区整備制度を活用いたしました官庁施設とその周辺地域内施設との一体的な整備、あるいは地域の特性を生かした質の高い庁舎整備等を通じまして中心市街地活性化に向けて積極的に取り組むこととしております。今年度から地方の合同庁舎整備において具体的な取り組みに着手をしたところでございます。  また、今お話しのございましたシビックコア地区整備につきまして少し説明を加えさせていただきますが、この整備官公庁施設を核といたしまして、地域の特色であるとか創意工夫を生かした魅力と味わいのある都市の拠点形成、それを図ることを目的としたものでございます。平成五年三月に制度が創設されまして以来全国六地区で整備計画が策定されまして、その他全国三十五地区ほどで整備の適用につきましての検討がなされております。そういうような意味か巨町づくりの有効な一つの手法として定着しつつあるものと認識しております。  このシビックコア地区整備は、まず市町村が主体的に整備計画を策定し、その計画に従って官庁施設整備及び関連都市整備事業が重点的に実施されていくものでございます。
  21. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今の営繕部長お話はよくわかりましたが、これは予算として、例えば計画費、調査費あるいは調整費、そういうようなものがついているのかどうか。それから各地区の都市計画との関係がどんなふうになっているのか。都市計画決定をやりながらやっていくのか、あるいはまだその段階ではないのか、その点についてはいかがですか。
  22. 田村至敏

    説明員田村至敏君) まず、予算的な背景でございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、まず市町村が主体的に整備計画を樹立することとなっております。その時点で関連都市整備事業関係との調整というものがございます。その調整が整いますれば重点的な投資がされるという背景にございます。  また、官庁施設整備につきましては、官庁施設整備費の予算の範囲内での連係プレーがかなりの部分可能であろう。それで、お互いに知恵を出し合っていくことがまず先決であって、緊密な連係プレーをしっかりやっていくことによって予算的な面はかなりカバーできるのではないかと思っております。
  23. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 せっかくのいい制度でありますから、大体再開発にしても地区開発につきましても種地がないのでなかなか進展をしない。この場合は、営繕としては官公庁施設という種地、まさに種があるわけですから非常に開発がやりやすいんじゃないかなというように思うのです。ただ、今お伺いすると、知恵は確かに大事だけれども、知恵の上にさらに知恵を重ねてひとつ制度として万全なものにしていく。あるいは大きなものになっていくと都市計画との関連が出てくると思いますから、都市計画の中でどういうふうに位置づけていくかということを考慮しながら制度としての定着をぜひやっていただきたいと思います。  あわせて、このごろは営繕もなかなか行政的な対応を行うようになっていて大変結構なことだと思うんですが、名前を変えた方がいいんじゃないかと思います。官庁営繕というと何かやや古めかしいので、大きな公共建築中心として開発を進展させるようなそういう名前に、何か官庁営繕というと大蔵営繕管財局というのが昔あったけれども、そんなふうな気がするんです。  そのためには、各省庁にそういう官公庁営繕部もありますね、そういうものとの統合もぜひお考えになって、公共建築の分野を一括して、公共建築庁か何か知りませんが、もう遅いのかもしれませんが、省庁再編成の一環としてぜひ前向きにお考えになった方がいいんじゃないだろうかというふうに思うんです。厚生省にも公共建築の部門が病院とかなんとかいろいろありますし、法務省も刑務所とかなんとかいろいろあります。あるいは文部省の学校、労働省の基準監督署とかなんとかいろいろありますし、消防署もあります。そういうものを大きく一元的に、今言ったようなシビックコア制度じゃないけれども、そういう地方の、地区の活性化の一助としながらやっていくというような政策をぜひ御検討していただければいいんじゃないかというように思います。  なお、さらにこれも伺ったんですが一我が国土環境委員会で今建築の分野における大きなテーマになっております法案について審議をしているところでありますが、炭酸ガス削減の先導的な取り組みを行っているというように聞いております。環境配慮型官庁施設整備に取り組んでいるというように伺っておりますが、今後これをどのように進めていかれるのか。その中身について、時間がありませんので簡単で結構ですからよろしくお願いします。
  24. 田村至敏

    説明員田村至敏君) 建築分野における我が国の二酸化炭素の排出量は、我が国が出す分の三六%に達しているというふうなことが言われているところでございまして、建設省はその削減に向けて先導的な役割を果たしていく必要があると考えているところでございます。  それで、官庁営繕部といたしましては、これまでも官庁施設の省エネルギー対策推進してきたところでありますけれども、このたびの地球温暖化問題を契機にいたしまして、二酸化炭素の排出量の削減と環境負荷低減に寄与する官庁施設整備手法等を取りまとめたところでございます。環境負荷低減に資するために、平成年度におきましては、従来の庁舎に比べまして最大で二酸化炭素の排出量を三〇%削減することができる庁舎を環境配慮型官庁施設、通称グリーン庁舎と呼んでおりますが、そういう位置づけのもとにその整備を先導的に実施することといたしております。
  25. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 大臣、お伺いされましたのはよく御存じであると思いますが、官庁営繕という何よりも大きな政策的課題に取り組みながら今一生懸命営繕部もやっておるようでございますが、これについて大臣としてどう評価をされ、今後どのように進展をさせていくのか、お伺いいたします。
  26. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) まず最初に、先生の御指摘のように官庁営繕という呼称、名称でございますが、私も役所へ行きまして最初にこれは実に古い言葉であるなというふうに言ったわけでございます。先生の古巣のところのことでもございますし、先生の御指摘でございますから、直ちに検討に入りたいと思っておるわけでございます。  それから、中心市街地活性化法案というのができ上がりました。あれは駅前の開発であるとかあるいは商店街を中心とした開発がイメージとしては中心的なものなんですけれども、やはりこの営繕関係、どうしてもロケーションは非常にいい場所にあるわけですから、営繕関係の建物を中心にしてその地域の再開発をやっていくということは、これは私はもう非常に時期を得たものではないかと思っておりまして、これは力強く進めていかなければならないと思っておるわけでございます。  それから、環境の問題でございますが、このことは私は参議院の本会議での岡崎先生の御質疑で、前向きであなたはこれからすべてやりなさいというので、私も必ず前向きでやりますと答弁をしましたが、そのときに言いましたのは、これからの建設というのはやはり環境あるいはまた自然と共生できる、そういうものじゃないとだめだろうというふうに私お答えさせていただいたのでございます。そういうようなことで、二〇一〇年には温室効果ガスの削減目標を一九九〇年に比べまして六%削減するという京都議定書でございますが、COP3でも決まっておりますから、そのことに向けて努力をしていきたいと思います。  それと、私も最近教えられたことではございますが、このグリーン庁舎のイメージというのは本当にすばらしいことでございまして、例えば落葉樹によります日射のカット、あるいはまたきめ細かい照明の制御をするわけでございまして、窓から入ってくる自然光の明るさに連動して蛍光灯の明るさが変わってくる。ですから、日中の明るいときにはそれが絞られて、夕方になるとそれが明るくなってくるというようなこと、あるいはまた雨水の浸透トレンチなんというようなことでございまして、下水道に流すのでなくして地面に浸透をさせて地下水系の保全を図っていくとか、そういうような本当にいろいろなことをやっておるわけでございますから、このグリーン庁舎イメージというのを力強く進めていきたいと考えております。
  27. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 次に、再開発事業についてお伺いをいたしますが、再開発というのはやはり住宅と同じように景気対策一つの大きな柱と思うんですが、地権者の動向というようなものもありますが、キーテナントの問題で各地域で再開発の事業がなかなか進展をしないという動向にあります。時間がありませんので、これはまたいずれ後に譲りたいと思います。  再開発事業について、今まではキーテナントとしては、さあデパートだ、ホテルだ、スーパーだと、こういうように割に固定的に考えていたんですが、一般の商店も入れるとか、あるいはそれこそ公的な機関として小さな図書館を入れたり、あるいは公文書館を入れたり、そういうようなものとの配合をしながら、これが全体としてはキーテナントの役割を果たしていく、再開発事業が何とか経営上採算がとれていくというような形での仕組みと、それに対する助成、促進費というようなもので御考慮をいただければ、いろんな意味で再開発は進展していくと思うんです。  単に、図書館を入れなさい、保育園を入れたらどうですか、老人施設はどうですかと、それだけではなかなか進展しない。そういうようないろんな品目を挙げて、そういうものを入れるときには促進費として全体として促進費補助を出すというような仕組みをとっていけばかなり進展していくのじゃないか。そういうことによって地方公共団体も、そうか、それではやろうかと、こういうことにもなってきますので、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  28. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 市街地再開発事業、現在四百以上の箇所で完成をいたしており、また二百以上の箇所で今事業中でございます。先生指摘のとおり、中心市街地活性化でありますとか民間誘発効果は大変高いということで今後とも推進していかなければいかぬということであろうかと思います。  ただ、今御指摘のようにキーテナントがなかなか見つかりにくいとか、いろんな問題がございます。これについて対応いたしまして、今先生も御提案ございましたように、公的施設と組み合わせたような市街地再開発事業、これをやっていったらどうか、こういうことであろうかと思います。私ども都市の拠点に位置するものが大変多い、市街地再開発事業が多いということで、店舗、住宅の導入だけではなくて、ホールとか図書館とかコミュニティーセンターでありますとか、あるいは公益施設のデイサービス、社会福祉施設でありますとか、そういうようなものについて整備していくということもあわせてやっていかなきゃいかぬというふうに考えております。  私ども、公益施設とか福祉施設を導入した一定の事業については、通常の事業に比べて補助制度上優遇しておる、現在そういう制度もございます。現に、福山市でありますとか名古屋市でありますとか、そういう事業をもう既にやっておるところもございます。さらに、私ども年度から、こういう御指摘もございまして予算概算要求におきまして社会福祉施設を導入したプロジェクトへの支援の拡充を今現在要求いたしておるところでございます。  今後とも、先生の御指摘のような点を踏まえまして積極的に推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  29. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 ちょっと時間がありませんのではしょりますが、公共事業の問題です。  政府公共事業に対する多くの予算を考えながら、これによって景気回復の大きな柱にしていこうということで懸命の努力をしておるわけでありますが、ただ公共事業の場合も、不要な場合についてはこれを何でも景気対策だからやるというのはおかしいじゃないかと、これは確かに一理あると思うんです。  もう一つは、やっぱりこの時期、この一年二年というのは非常に重要な時期でありますから、公共事業も、新しく道路着工するとか新しく高速道路を計画するとか、それも必要ではありますが、できますれば今もう完成に近いようなもの、あるいは半分ぐらい来た、もう少しやればあと二、三年で完成する、こういうようなものに集中的に資本投下して予算配分をして、それでその成果を倍にも三倍にもしてもらうというのもまた重要じゃないかなというように思うわけです。  そういう意味で、大変我田引水で申しわけないんですが、我が長崎県におきましては、九州横断自動車道が長崎市のすぐ近くまで来て、あとちょっとでなかなか供用開始にならない。西九州自動車道も同じように、つい最近佐世保の大塔というところまで来ました。それが佐世保の中心まで行ったら、予想の車両数の三倍ぐらい車がふえたんです。非常に県民も喜んでおりますが、そういうことで、西九州自動車道もこれは唐津の方まで延伸すれば非常に効果を発揮するわけです。  それから、これは象徴的なことですが、今、大島架橋というのを長崎県でやっております。大島という島があり、そこに大島造船所その他いろいろな施設があるんですが、そこと対岸の長崎県西彼杵郡との間に架橋が大分でき上がっておりますが、よく見ますともう少しで足がつながるんだけれども、それがつながるようでつながらないんです。だから、大島町の人たちも一体あそこまで来て何で早く完成をしないのかということで大変焦燥感に襲われている。  こういうのは重点的に完成をして、それで経済効果を大いに発揮してもらった方がいいんじゃないかというように思いますが、いかがですか。
  30. 井上啓一

    政府委員井上啓一君) 道路整備につきましての御質問ですが、今先生のおっしゃられたように効果的な事業、特に昨今の状況にかんがみまして、景気に配慮した事業効果の上がるようなものを重点的にやっていこうということであります。また、高規格道路については、こういう状況の中で十一年度予算では一〇%以上伸ばすというようなことで、西九州自動車道あるいは長崎-長崎多良見聞の整備等を進めているところであります。  また、大島大橋についてでございますけれども、今なかなか進まないというお話でございましたけれども、既に中央径間に向けて整備を進めておりまして、今年度末には中央径間がつながるという状況でございます。けた架設が終わりまして、来年度には舗装とか照明工事等を行いまして供用を図りたいというふうに考えているところでございます。
  31. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 いつごろできるんですか、大島架橋は。
  32. 井上啓一

    政府委員井上啓一君) 来年度ということでございますが、できるだけ早い時期に完成させて供用を図れるようにしたいというふうに思っております。年度末ということにならないように、なるべく来年のそういうのを数カ月でも短縮できればというふうに思っております。
  33. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 時間がありませんし、きょうは北海道開発庁長官もお見えになっていらっしゃいますので、長官にお伺いをいたしたいと思います。  実は、建設大臣に総合経済対策公共事業のあり方等々についてお伺いしたいと思ったんですが、ちょっと時間がありませんので、次の機会に譲りたいと思います。  北海道開発庁長官にお伺いをいたしますが、本年四月に閣議決定をいたしました第六期北海道総合開発計画に基づきまして、「明日の日本をつくる北海道」、これを実現するというように聞いております。今後こういうような計画に基づきながらどういうように北海道開発の実現を進めていかれるのか、お伺いをいたします。
  34. 井上吉夫

    国務大臣井上吉夫君) 御承知のとおりで、北海道は全国の二二%の広さを持つ大変広い生活空間、産業生活の空間を持っております。大変自然に恵まれた地域でありますが、北海道の開拓が始まってから御承知のとおり百三十年と言われる。この短期間の間に大変な進歩を遂げましたけれども経済状況がこんなに悪い中、整備を必要とする高速自動車道や生活関連の施策がどうしてもまだ必要であります。私は大臣に就任いたしましてから二回ほど北海道を二、三日ずつ回ってまいりまして、その思いを深くいたしました。  したがって、こういう状況の中でどうやってこの北海道の大事な資源を残しながら、しかもここをどういうぐあいに発展させていくのか。これは、第六期の北海道総合開発計画の中でもこれを施策の中心としてやっていこうということが幾つか議論されましてまとまっております。  その一つは、まさに食糧供給基地として、北海道はこれから先は成長型産業とともに自然を生かしながら進めていこうではないかということが一つであります。もう一つは、北の交流拠点としての立場に立っての振興を進めていこう。さらに言うならば、重複するようでありますが、北海道の美しい雄大な自然をしっかり残して後世代に引き継いでいくという計画を中心として考えていこう。そして、これから先は、まだまだ公共事業も大事でありますが、もっとさらに国じゅうの人たちが北海道のよさを評価しながら来ていただくための観光なり保養なり、そういう交流の場所として進めていこうではないか。そして、安全でゆとりある生活、そのことを目指してやっていこう。  以上のことを主要施策として進めてまいりたい、このように考えておるところです。
  35. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 ありがとうございました。  終わります。
  36. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この六月に国会で成立をいたしました中央省庁等改革基本法、この第四十六条には、国が行う公共事業は特に必要のあるものだけに限定をして、そのほかの事業は地方にゆだねることを基本とすることが明記されております。  この法律の国会審議の過程でも、建設省、運輸省、国土庁そして北海道開発庁をあわせて新設されます国土交通省、これが巨大な公共事業官庁になるのではないかということは、これはもう野党のみならず与党の方からも懸念の意見が出されておりました。橋本首相は、公共事業については国と地方役割分担を本当に徹底的に見直すというふうに述べて、当時、建設大臣や運輸大臣は、巨大化の懸念を一掃するために努力をしていく、こういう旨の答弁をされているわけなんです。  しかし、小渕内閣が誕生いたしましてからはこの分権の風向きがすっかり変わりました。地方分権それから中央省庁再編そして行政改革の取り組みの姿勢が明確に見えてきておりません。国の事業の九五%を占める公共事業、そして十兆円、建設省、運輸省、農水省と、これは大変巨大な権限だというふうに思うんです。しかも、日本列島の住民の生活の隅々まで補助金による支配網を敷いて、そういう姿が目に浮かんでくるわけなんです。  せっかく、先ほど関谷建設大臣に地球温暖化防止のところで大変すばらしい発言をしていただいたと、冒頭にそういうことを言って始まろうかなというふうに思ったんですけれども関谷大臣のこれまでの発言が大変気になりまして、ここから聞かせていただかなければいけないということになってしまいました。  実は、政府地方分権推進委員会で、国道の管理権限の一部を地方自治体に移譲するというこの方針を打ち出されましたときに、歴代内閣が進めてきた地方分権推進政策に否定的な見解を示されました。つまり、初めに地方分権ありきは間違っておる、こういう新聞の書き出してございました。このことについて、所信表明のときには大臣は、公共事業の進め方の見直し、それから行政改革の推進について触れられましたので、現在の御見解、このことを踏まえてまずお聞きしたいというふうに思っております。
  37. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 私も建設省へ来ましてから二カ月になるわけでございますが、その間いろいろな場所で答弁をさせていただきましたが、包み隠すことなく正直に自分のことを述べさせていただくということは今日まできちっとやっております。また、これからもやってまいります。そういうことで答弁させていただきます。  地方分権推進委員会が第五次で国道五十八号以外のものは地方へ移譲したらどうかというような答申を出してきたわけでございます。それで、私もるる勉強をいたしましたが、その他の国道におきましては、私は国道というのはやはり日本全体を見ていかなければならないと思うわけでございます。確かに地方道であれば、それは地方の方が一番詳しいわけでございますから、それを私はそのところに移譲するのも結構だろうと思うわけでございますが、五十八号以外の国道を地方に移譲していくということになりますと、私は国としての基幹的な道路整備政策を打ち出していくことができないと思うんです。  それともう一つは、神戸のような大災害が起こったときにも、あのように適宜的確に対処ができましたのは、八つの地方建設局がございまして、その方々が直ちに現地に赴いていったというような、そういう組織上のこともあって私はあれだけの対策を打ち出していくことができたと思っております。  ですから、私は、今回地方分権推進委員会が打ち出しましたことをすべてだめと言っておるわけではないのでございまして、建設省で国の直轄の国道はいかにあるべきかという、その基準を今つくらせております。それを今月の末ぐらいまでにはまとめて、その基準に合ったものは国道として、直轄として置いておかなければならないというものはもちろん置いておきますが、それでないものは私は地方に移していくということは何にもやぶさかではないと思うわけでございまして、基準づくりを今やっておりますので、いましばらくお待ちをいただきたいと思っておるわけでございます。  そういう状況が今の状態でございます。その他のことは専門の方から。  私は、大臣としてはそういう感覚でやってまいります。
  38. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 分権のことですどか中央省庁再編ですとか行政改革とか、これをきちんと踏まえるというのがこれまでの国会審議で政府が約束されたことですので、これを破られないということがとても大事だというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  私は、平成年度建設白書を読みまして大変驚きました。建設省がみずから行ってきた公共事業に対するさまざまな批判を紹介しまして、どういう対策が必要かについて述べているわけなんです。ただし、惜しいのは、全体のトーンがまるで人ごとなんです。何よりも公共事業の問題をもたらしている根元的な問題については反省がない。そんなふうに私は読みました。  現在の国の公共事業が抱える問題のうち一番深刻なのは、市民の意思が政策に反映されていないことだというふうに思っております。最も象徴的なのは道路整備五カ年計画そして治水事業五カ年計画で、中長期の計画のほとんどが閣議で決められてしまいまして、国会すらこの決定には十分関与ができておりません。  そこで建設省伺いたいと思いますが、閣議による重要な意思決定が多過ぎるというこの深刻な指摘を白書で取り上げなかったというのはなぜなんでしょうか。五カ年計画は国会で審議をして決める仕組みに改めるべきではないか、こういうふうに思うんですが。どうぞお答えをお願いします。
  39. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 事務的な答弁を最初にさせていただきます。  各種五カ年計画を国会の御承認をいただくようなことでやってはどうか、そういう御意見が例えば公共事業コントロール法案といった形で民主党の方でいろいろお考えがあるということは十分承知をいたしております。  私ども公共事業の具体的な考え方でございますけれども、計画はあくまでも具体の支出あるいは具体の歳出等について決めるということではございませんで、毎年度の支出につきましては必ず国会の御承認を得て、これを承認いただいた上で事業としてやってきているわけでございます。  したがいまして、ある意味では公共事業の計画とは一つの目安と申しますか、五年間でございますとか場合によっては七年のもの、あるいは公共事業の種類によっては十年のものもございますけれども、ある一定の期間における具体的な目安といったようなことでつくられるものというふうに理解をいたしておりまして、その具体的な事業化に当たっての毎年の具体の歳出につきましては国会の御承認をいただいて実際の事業化をする、こういう建前でございます。  やはり将来の予算でございますとかあるいは政策の選択ということも時代によって変わるわけでございまして、そういうような変更の可能性というようなことを考えますと、余り長期にわたって財政を縛るというようなことはいかがなことか。  具体的な事業につきましては、例えば単年度で終わらないものにつきましては国庫債務負担行為制度といったものもあるわけでございまして、そういうようないろいろな制度というものを十分的確に運用することによって、ある程度具体的な計画としての目安の中で毎年毎年の歳出に基づきます具体的な事業というものは的確に行い得るのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。  したがいまして、それぞれの長期計画自体を閣議決定を経た上でさらに国会の御承認をいただくというところまでは、いろいろなお考えもあると思いますけれども、私どもとしては必要ではないのではないかというふうに思っております。具体の計画自体は閣議決定によってオーソライズをしていただく、それに基づいて具体化を図っていく、こういうような建前でおるわけでございます。
  40. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、大臣、今触れられました公共事業コントロール法、民主党が国会の関与ということでこの法律を出しまして廃案になってしまったんですけれども、この公共事業コントロール法や河川法改正案、道路法改正案、これに対しての大臣の短目の評価をお願いいたします。
  41. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 先生はなかなかお上手に誘導されますので、ついつい後でこちらにしかられるような答弁になる危険性があるわけでございます。  正直に言いまして、私も国会へ来まして二十三年ばかりになりますけれども、やっぱり単年度予算方式というのもいいところもあるけれども、私はちょっと時代遅れのところもあるだろうと思います。ましてや、建設というものは単年度で大きなものができるものでもありません。例えばダムなんかにいたしましても、そんなのは十年もそれ以上もかかるわけですから。ですから、先生の意図されておりますところ、私も一〇〇%理解できるものではありませんけれども、五〇%ぐらいは正直理解をしておるわけでございます。  ですから、今はそういう閣議決定をしておるわけでございますが、いずれその方向に行くにいたしましてもまず第一歩としてもっとオープンに透明度を、その事業の内容をもっと正直に示せばいいんです。そして、どう言いましょうか、今再評価の委員会もつくりましたが、例えば五年たっても土地の買収ができないとか、あるいは反対に遭って進むことができないというのはそれはそれ以上やったって無理ですから、それは休止をするなり中止をするなり、そしてその予算は重点配分でほかを進めていけばいいわけでございます。  そういうようなことで、私はまず透明度を高めていくということ、そしてオープンにやっていく、それから再評価をやる、これは事業の前も中間でも、そしてでき上がった後でも再評価をやるということで先生のお考えの方に徐々に持っていきたいなと思っております。
  42. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。  ところで、国が白書の中で公共事業政策の具体的な転換を反映しているというのも、これも読み取ることはできました。しかし、一たん計画されたら二度と見直しをしないというのがこれまでの公共事業だったというふうに思うんですが、今大臣が触れられましたダムや林道建設の事業が中止されたり、休止されたりいたしております。  ただ、中止、休止の事業のリストを見ますと疑問も生じます。それぞれ事業の中止の理由を見ると、最も多い理由で、なぜもっと早くやめられなかったのかなと思うものが多いんです。同じような問題を抱えたほかの事業はそれじゃどうなるんだろうかというふうに思っていて、例えば批判の強い吉野川の第十堰の改築事業はどうなるのかなというふうにも思います。  そこで伺いたいと思いますが、なぜ今までに発表されました事業が中止、休止の対象になっていて、なぜほかの事業は対象になっていないのか、建設省はダム事業の見直しに当たっては対象事業の選択や見直しに関して具体的な数値であらわせるような基準を持っていらっしゃるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  43. 青山俊樹

    政府委員(青山俊樹君) 実務的な答弁をさせていただきますが、今お話がございましたダム、堰等の事業につきましては、事業者が当該事業の目的、内容等につきまして地域の意見を的確に聴取することを目的といたしまして平成年度よりダム等事業審議委員会を試行的に設置しております。これは当初、十一ダムを対象に設置したわけでございますが、現在はそれに三事業ふえまして十四事業になっております。  また、すべての事業につきまして平成年度より概算要求時に事業の必要性、緊急性、地元状況等につきまして総点検を独自に行っております。この総点検におきましては、自然環境保全上の課題や費用対効果分析、代替案の検討も行っておりまして、結果について公表しているところでございます。これまで水需要の見込みがなくなったことが判明したことや代替案を含めた見直し、検討を行うことが必要になったこと等のために、今お話しございました十三の事業を中止、十一の事業を休止、一つの事業を一時休止することといたしております。  さらに、本年度からは先ほど大臣からお話がございました公共事業の再評価システム、これは建設省全体の事業に対して導入されておるわけでございますが、ダム事業につきましても当然このシステムによる評価を行うこととしておりまして、今後とも適宜事業の見直しを行い、より効率的な事業執行を目指していきたいと考えております。
  44. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私の見たところでは直轄事業は余りとまっておりませんね。自治体の要請でとめる場合が目立っていて、財政的にこれ以上続けることは困難だというのはやめることは当然なんですけれども、続けることのできる事業は、本当にこれがそうなのかというふうに思えるものでも、これは環境を破壊するということがわかっていてもしゃにむに続けるという、その疑いを払拭できるような透明でわかりやすい基準を設けて、見直し作業はぜひそういうふうにしていただきたいとお願いをしておきます。  林野庁に伺いたいと思います。  林野庁でも所管する代表的な公共事業であります大規模林道事業の再評価を始めております。この再評価委員会について橋本前総理の時のアセス導入の方針を受けておりますけれども、この委員会の討議が非公開でございます。関係当事者が委員として加わっていないこと、見直しのための十分な時間をかけた議論が保障されていないこと、公聴会すら行われる予定がないということなんですが、林野庁はこうした批判についてどうお考えでしょうか。
  45. 山本徹

    政府委員山本徹君) ただいま先生指摘委員会の件でございますけれども、まずこの会議を非公開といたしました理由は、これは委員会において委員の皆様方の御検討の結果でございますけれども、自由闊達な意見交換を確保するという観点から会議としては非公開にさせていただいたというところでございます。  ただし、情報公開のために議事録は公開することにいたしておりますし、また委員会における資料についても公開扱いになっており、さらに委員会終了後には記者クラブ等に対して会議の模様を御報告申し上げております。それから、公聴会でございますけれども、この委員会の委員構成につきましては、再評価の公平性を確保するという観点から直接の利害関係者ではなくて公平な中立的な立場から御意見をお述べいただくことが期待できる学識経験者等の第三者をそのメンバーとさせていただいております。  ただ、自然保護団体、地元自治体あるいは受益者等関係者からの御意見も十分承り、これも反映する必要がございますので、こういった自然保護団体、自治体、受益者等の御意見は既に第一回の委員会に資料として私どもまとめまして提出し、それぞれの御意見は委員会の審議に反映されることとなっております。  さらに、それでは直接に関係者の御意見を聞く機会をどうするか。これについては、その必要性の有無等について委員先生方に御議論のあるところでございますけれども、具体的に言えば、今後現地視察も行う方向で会の運営が検討されておりますので、そういった機会を活用する等により自然保護団体や自治体、受益者の御意見も聞く機会が出てくるのではないかということも考えております。  いずれにいたしましても、年内に結論は出したいということで、現地視察を含めて委員会の検討を精力的に行っていただくことになっております。
  46. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今のお話の中でも、審議をされる皆さんたち、市民の皆さんたち、学者の皆さんたちの御意見を伺う、その有無も問うというようなことではなくて、それは本当に時代おくれですので、ぜひお願いしたいと思うんです。  林野庁の見直しのあり方を見ますと、もし地元の反対で思うようにいかない場合には、代替ルートまでつくって工事を続行しているケースもありますので、関心を持って熱心に大規模林道の問題に取り組んでおられる市民や学者の皆さんが今後も林野庁に働きかけを行っていくというふうに思います。ぜひそうしたことに耳を傾けて、真剣な取り組みをお願いしたいというふうに思っております。  今多くの自治体が財政難に苦しんでおりますが、その背景にバブル後の無理な景気対策としての公共投資があります。国に求められるままに多くの事業を行ってきた裏負担が今になって自治体に大きくのしかかっているわけなんですが、このことについて自治体から恨みの声が聞こえてきております。ある県の知事さんも、県の借金が膨らんだのは景気対策の財源を起債で手当てさせてきた国の政策のためだというふうに言っております。  地方財政危機の背景に補助金や地方債に関する国の政策があるという批判について政府はどのようにお考えか、大蔵省と建設省伺います。
  47. 寺澤辰麿

    政府委員(寺澤辰麿君) お答え申し上げます。  国の財政事情も極めて厳しい状況にあるわけでございますが、御指摘のように地方の財政事情も同様に厳しい状況にあるというふうに認識をしております。  経済対策との関係での御指摘でございましたけれども、国と地方は公経済の車の両輪といたしまして地方財政当局とも連携をとりつつ経済対策の策定等を行ってきたところでございまして、その役割につきましては御理解をいただきたいと考えております。  先般の経済対策におきましては、地方財政の厳しい状況を踏まえまして、個別の地方公共団体地方債への依存を極力抑制しつつ、経済対策を円滑に実施するための臨時異例の措置といたしまして地方交付税の増額措置を講じたところでございます。  いずれにいたしましても、地方財政は国の財政とともに厳しい状況にございますので、国と地方という公経済の車の両輪がバランスのとれた財政運営を行うことができますように、地方財政の円滑な運営にも適切に配慮してまいりたいと考えております。
  48. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 小渕政権は財政構造改革路線を本当にかなぐり捨てるような形で巨額の景気対策予算を計上しました。地方自治体の現在の財政負担という体力を考えますと、大変厳しい、もしかしたらこの巨額な景気対策予算も消化できないのではないかという心配の声すら上がっているわけなんですが、地方自治体の協力が得られたとして、国の政策に協力したために財政危機を深刻化させることにはならないでしょうか。  大蔵省、自治省、建設省、農林水産省に、それぞれの立場から短目に伺いたいと思います。
  49. 寺澤辰麿

    政府委員(寺澤辰麿君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、今回の対策でも地方の財政事情には配慮したつもりでございますし、今後とも国と地方が車の両輪としてバランスのとれた財政運営を行うことができるように配慮してまいりたいと考えております。
  50. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今御指摘ございましたように、最近、地方財政が大変厳しい状況にございます。ただ、財政の立て直しをしていく上におきましても、経済を立て直す、経済の再生というのは何といっても先決でございます。そういう状況にかんがみまして、今経済対策を行って国、地方の財政とも努力をいたしておるわけでございます。  地方財政につきましても、そういう中でそれぞれ地方団体、非常に厳しい財政状況の中でございますが、地元の経済情勢もまた大変厳しい状況にございまして、それに対する地方としてのてこ入れもする必要があるということから、公共事業なりあるいは単独事業の追加なりに御努力いただいておるわけでございまして、それに対しまして私ども、先ほど大蔵省からも御答弁ございましたけれども、今回の経済対策地方交付税の増額を異例の措置で行うといったようなことも通じましてそれに対する財政的な対応をしていっているという状況でございます。
  51. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 先ほど御答弁が両省からございましたけれども、もともと公共事業はやはり国と地方が適切な役割分担のもとにお互いに協力しながら進めていく事業が基本だというふうに思っております。  先生指摘のように、例えば消化可能性といったようなことがどうか、こういう御指摘でございますけれども、もともと公共事業につきましては、従来から、あるいは今回の補正でもそうでございますけれども、地域経済状況とかあるいは地域の要望等を十分踏まえて実施の可能性というものを探ってまいってきておりまして、地方において実施の可能性がないようなものというのはもともとそういう事業として対象になることはないというふうに考えております。あくまでも我が国全体の経済状況、あるいは先ほど自治省から御答弁がございました地域の経済状況というものを勘案しながら地元の要望に沿った事業をやっていくということが基本だというふうに思っております。  その場合に、地方の財政的な負担の問題でございますけれども、今回の経済対策では臨時異例の措置として交付税の増額というものを認めていただいております。こういうようなことを的確に運用することによって一刻も早く経済対策の効果が上がるような事業の執行に努めてまいりたい、こう思っております。
  52. 渡辺好明

    政府委員(渡辺好明君) 三省からお答えがございましたので、私どもも同様の趣旨でやっておりますけれども、ちょっと違いますのは、農林水産省の関係、とりわけ農業農村整備事業は農家、農業者という最終の受益者と極めて関係の深いものでございまして、そういう方々からの要請に基づいて地方公共団体もこれをぜひやらなければいけないというものを取り上げているわけでございます。そういったことで、地元の要望を十分踏まえて実施することにしておりますので、そういう点では地元からも今回の経済対策における補正予算等は歓迎をされていると私は考えております。  いずれにいたしましても、二十一世紀に向けまして、真の意味での社会資本の整備に向けて事業の円滑な推進に努めてまいりたいと考えております。
  53. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この機会に中央と地方の関係の現状の一端について伺いたいと思っております。地方分権を妨げると言われております中央省庁の官僚の地方自治体への出向、重要政策の意思決定過程への関与について伺いたいんです。  建設省、四十七都道府県の土木部門の担当部長のうち建設省からの出向者は何人でしょうか。同様に、農水省も、農政担当部長のうち農林水産省からの出向者は何人でしょうか。自治省も、総務部長として何人の出向者を出しているでしょうか。人数だけお願いします。
  54. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 建設省から都道府県の土木担当部長へ出向している職員の数でございます。ことしの十月一日現在で三十府県、三十名というふうになっております。
  55. 石原葵

    政府委員(石原葵君) 続きまして、農林水産省でございますが、農林水産省から都道府県の農林水産担当部長に出向している者でございますが、本日現在で県の数が八県、職員の数は九名でございます。
  56. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) 自治省からの総務部長は現在十九名でございます。
  57. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今建設省、三十名ということですから、大変な数の出向者が地方自治体の重要政策に関する意思決定の中枢を握っているというふうに思うわけなんですが、やはり地方分権の観点からはおかしな状況だなというふうに、私はそういうふうに率直に思います。  この政策決定の中枢にいるということに関して、メリット、デメリットはどんなものだというふうにお考えでしょうか。これを簡単にまた建設省と農水省に伺います。
  58. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 地方公共団体への出向の問題でございますけれども地方公共団体にとりましては、全国的な広い視野に立った行政的あるいは専門技術的な知識を有する職員を受け入れる、そういうメリットがあるというふうに私ども考えております。また、私ども自身、出向させる側でございますけれども地方行政の現場の実務経験といったようなものを十分積む機会が得られる、あるいはもともと私ども社会資本というのは国と地方が一緒になって相協力してやるものが多いわけでございまして、そういったような観点からも意思の疎通が図られる、こういうふうにも考えているわけでございます。  デメリットということでございますけれども、出向者が特定のポストに長期間続くことによりまして当該地方公共団体の職員の意欲を阻害するといった、そういう弊害があるのではないか、こうも思うわけでございます。そういう弊害が生じてはならないというふうに考えておりまして、例えば地元で人材がおられればそのポストについて活躍していただくということは当然あり得るわけでございまして、適切な配慮をしていくことが今後とも必要であるというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、公共団体への出向につきましては、各地方公共団体の実情に応じてその要請に基づいて行っているというのが実情でございます。
  59. 石原葵

    政府委員(石原葵君) 農林水産省関係でございますが、農林水産省から出向いたしますと、当該県にとりましては、やはり国の農政の動き、あるいは農政につきましての専門的知識が得られるのではないか、そういうメリットが当該県にとりましてあるのではないかと考えているところでございます。  また、農林水産省にとりましては、農政は何といいましても、地域農政という言葉がございますが、地域の農業の現場、これを知りまして国の施策立案に生かしていくことが必要でございます。この点で農林水産省にとりましても大きなメリットがあるというふうに考えているところでございます。  それから、デメリットでございますが、この点は先ほど建設省の官房長さんの方からお話がありましたとおりでございます。何といいましても当該県の職員の意欲を阻害することになるのではないかというふうに考えているところでございます。
  60. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 最後に感想と宮城県知事の発言を御紹介したいと思うんですが、宮城県の浅野知事は、箱物事業の計画のずさんさを認めて、認めただけでなく議会説明の中で次のように発言をいたしました。  引用しますと、今回の経緯を単に遺憾であるというので済ますのではなく、つまりこれはいろいろ事業評価というものについて県庁の職員が発表したその中身について言っているわけなんですけれども、遺憾であるというだけではなくて今後の反省材料にしたい。今後は事業の必要性、財務的な合理性などについて事前に十分検討していきたい。検討について記録を残し、後の批判にたえられるようにしたい。それから、事前、事後に議会、県民に適時的確に報告することも必要で、こういった措置で検討過程の透明性を確保する。検討過程での県民参加の制度化も進めるということで、地方自治体の中でこうして努力をしているところも大変多いんですね。進めたいではなく進めるというふうに断言をしていることを強調したいわけなんです。  国と同じ問題を抱える地方自治体は、国に先駆けてさまざまな取り組みを始めております。国もぜひこうした流れにおくれることなく、地方と競い合って改革を進めていただきたいと思います。地方分権というのは国と地方とで権限の分捕り合いをするということではない、損得の押しつけ合いでもないというふうに思います。  制度疲労が目立っております現在の日本の中央集権的な政治や行政システムを変革していく、民主主義をどんなふうにして進めていこうかという壮大な試みだというふうに思っておりますので、その点をこれからも踏まえてともに努力し合いたいというふうに思っております。よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  61. 福山哲郎

    福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。  本日は、前回九月十七日の国土環境委員会で少し気になりましたことがございましたので、温暖化についての質問をさせていただきますことをお許しいただきたいというふうに思います。  COP4まであと一月になりまして、大変重要な問題がいろいろ山積をしておるわけですが、一般論として京都議定書でこのCOP4において中身を詰めようというふうに言われていました六条にあります共同実施というのは簡単に御説明をいただくとどんな制度なのか。それから、京都議定書の十二条にありますクリーン開発メカニズムというのは一体どんな制度なのかということをまずは簡単に御説明いただきたいというふうに思います。
  62. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  まず、共同実施でございますが、これは附属書1の締約国、すなわち先進国が共同して行うものでございまして、附属書1の締約国において排出削減等の事業を行い、その事業による排出削減量の一部を参加国の合意の上で当該事業が実施される国以外の参加国の削減量に加えることを認める制度でございます。  その次に、クリーン開発メカニズムでございますが、これは途上国が排出削減等の事業を行いまして途上国における持続可能な開発に役立てると同時に、この事業によって生じる排出削減量について認証を受けた上で附属書Ⅰの締約国、先進国に譲り渡し、先進工業国の削減量に加えることを認める制度でございます。  これらの制度の具体的なあり方については、現在国際的に検討が進められているところでございます。
  63. 福山哲郎

    福山哲郎君 ありがとうございます。  それでは、少し本題に入らせていただきたいと思います。  各委員の皆様にはお手元に資料をお渡ししたのですが、実は九月十七日の国土環境委員会におきまして私が日経の記事を取り上げまして、九月十三日の日経に日本政府が条約事務局に共同実施もしくはCDM、今お伺いをした二つでございますが、について提案をしたというような記事が出ておりますが、その中身はどういうことだということをお伺いしました。それに対して岡田局長の方から、「まず第一、そのような提言を、日本の提案を日本の政府がしているということはございません。」という御答弁をちょうだいいたしました。  ところが、実はお手元の三枚目を見ていただきますと、これ実は条約の事務局から出ているホームページなんです。条約の事務局から出ているホームページにおきまして、四番目、五番目、丸のついているところでございますが、これを見ていただきますと、一九九八年セプテンバーとなっていまして、これ九月十日に受け取ったということになっています。それから五番目もノンペーパーで、これは両方ジャパンというのがありまして、これも一九九八年の九月十日に受け取ったというのがありまして、これが実は条約事務局のホームページに九月二十二日に載りました。ところが、私が質問をさせていただいたのは九月十七日でございます。そして、私の質問に対しまして政府委員の方からは、「まず第一、そのような提言を、日本の提案を日本の政府がしているということはございません。」という答弁がございました。  さらにもう一つですが、実は私がもう一度この日経の条約事務局に日本案として提出したということはないのですねというふうに確認をしましたところ、二枚目の資料をごらんいただきたいと思いますが、政府委員から、「いろいろ議論はしているわけですから、いろいろな意見を言っているということでは何も言っていないという意味ではございませんが、そういうふうに途上国を絡めたような提案をしているということはございません。」と御答弁をいただきました。  ところが、最初に先ほどお話をしましたように、CDMというのは途上国を絡めないとできないものでございまして、このホームページの中においてはCDMについて日本から受け取ったと書かれているわけです。そうすると、世界じゅうのだれもがコンピューターのホームページで見られるようなものに対して、この国会の委員会の中におきまして二重の虚偽の答弁をいただいたということに対して、僕は実は前回初めての質問だったのでございますが、今回大変ショックでございまして、このようなことでいいのかということで、まず御答弁をいただきたいと思います。
  64. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 大変申しわけございません。若干状況を御説明させていただきます。  私も今回、再度御質問をいただくということで御質問の趣旨をもう一度ビデオから採録して見まして、実を言いますと突然の御質問でもあったものですから、若干私の方が質問の趣旨を取り違えていたんだということを私自身がわかりました。それで、大変これは申しわけなく思っておりまして、先生には別途おわびに上がったところではありますけれども、そこは突然の御質問だったという面もあってお許しいただきたいと思いますが、特に新聞記事をもとにおっしゃいましたので、新聞記事では「途上国に排出枠売却権 日本、温暖化会議で提案へ」というような書き方で、私どもは途上国に排出枠売却権について物を言うような提案の仕方はしておりませんでしたものですから、そういうことを申し上げました。  どうも先生は新聞記事のそのことを言っておられたんじゃなくて、条約事務局の方に私どもが出した文書のことを言っておられたんだということを、議事録を見、ビデオを見ましたところ、意味も恐らくそうであったんだろうと。これは私の方が質問を取り違えてお答えしたということで、これは申しわけないというふうに、全くそのとおりに思っておりまして、その旨先生にもおわびした次第でございますが、この委員会におきましても質問の趣旨を取り違えてお答えを申し上げたという点については深くおわび申し上げます。
  65. 福山哲郎

    福山哲郎君 議事録を見ていただいても、二回とも私は、条約事務局に日本案として提出したということではないという、そういう事実はないのですねとお伺いをして、質問の趣旨を取り違えたでは、済みません、委員長、これはなかなか納得しがたいものがあるんですが。
  66. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 後で理事会で協議いたします。  ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  67. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 速記を起こしてください。
  68. 福山哲郎

    福山哲郎君 では、その質問を取り違えたということは別に、この時点で岡田局長は日本政府が条約事務局にこういった提案書を出されたことは御存じだったわけですか。
  69. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 正直に申し上げたのがいいのかどうかということはありますが、全く正直に申しますと、正直言って申し上げようがございませんが、職掌ですから知らないと言ってはいけないんですが、私自身は率直に言って知りませんでした。申しわけありません。(「そんなばかな話あるかよ」と呼ぶ者あり)ですから、私が言うべきことではないんですが、正直に言えといえばそういうことでございました。
  70. 福山哲郎

    福山哲郎君 条約事務局に提出して、ホームページにこれだけ載っていて、実は中身はあるんです、ここに。あるんですけれども、この中身について局長が知らないで条約事務局に提出をされたということは一体どういうことなんでしょうか。
  71. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 申しわけありません。それは、ですから、私はもう一度さらに申し上げれば、私が知らないと申し上げるべき立場ではありませんので、それを知らなかったことが申しわけないだけであります。  これは部内分掌的に言いますと、要するに地球環境部長に専担で分担してもらっているものですから私が承知していなかったということですが、それは外に向けて言えるような話じゃありませんから、承知していなかったこと自身が申しわけないということになります。
  72. 福山哲郎

    福山哲郎君 あのとき地球環境部長は後ろに同席をされていたはずだと私は記憶をしておるんですが、地球環境部長は条約事務局に出されたことはもちろん御存じだったわけですね。
  73. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 申しわけございません。その点は、先ほども申し上げましたが、突然のお尋ねであったものですから、私も後ろを振り向きました、その際。ビデオでもそのとおりに映っておりますが。その後、私もどうしてこういう手違いが起こったかということについて調べてみたんですが、要は地球環境部長自身も新聞の話の方の伺った話をぼっと思って、新聞の見出しの方の……(「きちんと聞いているじゃないか」と呼ぶ者あり)、いやいや、ですから突然のお尋ねであったのでやや私自身も動揺しましたが、「途上国に排出枠売却権」ということの記事の方に気が行って、そういうことを言っているわけじゃありませんということを申し上げてしまったということであります。
  74. 福山哲郎

    福山哲郎君 今の御答弁には基本的には全く納得できないんですけれども環境庁長官、あのときの答弁で環境庁長官は、本当に誠実にNGOの皆さん、それから日本国民の皆さんが大変関心を持っているものに対して積極的にやっていかなきゃいけないという御答弁を私にいただきました。それで、そのことに対して、例えば国会でこういうことを聞いたにもかかわらず出てこないという中で、どこに国民に対して、京都議定書であれだけの皆さんの御努力の結果採択されたものを、次につながる直前にこういう姿勢でよろしいんでしょうか。環境庁長官、どのようにお考えですか。
  75. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) ただいまの先生お話を伺っておりまして、局長からも自分考えの取り違いをしておったことに気がついて先生にその意を伝えておわびを申し上げたわけでありますので、そこは完全な人間というのはもう存在しないわけでありまして、ぜひお許しをいただいて御理解をちょうだいできればと大臣として考えるわけであります。  また、浜中部長は、問題が質問されるという前提があったならばそのような答えも準備しただろうと思うわけでありますけれども、当日この席にいなかったわけでありまして、後ろの席には陪席しておったかもわかりませんけれども、その返事のいとまが、十分意思疎通ができなかったということで、これまた後ほどの打ち合わせの中で両者の理解ができたわけでありまして、浜中部長としては正規のそういう返書をいたしておったということでございますので、そのように御理解をいただきたいと存じます。
  76. 福山哲郎

    福山哲郎君 今の話もおかしくて、常識的に考えますと、長官、大変失礼ですが、十日に条約事務局に出したものを一週間後の十七日に突然質問されたから混乱をしたから答えられなかったと。そんな責任でこの条約に対して、COP4に対して臨むという姿勢でいいのかという点が一点。  それから二点目は、……(「局長が知らなかった」と呼ぶ者あり)局長が知らなかったという点もそうなんですが、おかしいということと、今少し興奮しましたので頭から抜けましたが、私がきのうこれを質問すると言って初めておわびに来られましたし、それまでに訂正は、これは十七日の質問ですから、きょう十月一日です。半月以上たっているにもかかわらず、その間に何の音さたもなくて、私がこれをきょう質問させていただくということになって初めてわびが入った、わびを入れに来ましたと。それは姿勢として、それが本当に今長官が言われたように勘違いをしていたということで申しわけありませんという話ではやはりこれは納得できないんですが、長官、いかがですか。
  77. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) もう一度おわびをさせていただきたいんですが、例えば承知しておって違うようなことを言ったということであれば、そのときから私自身が良心の苦しみを感じるとかそういうことがあるんですが、全く申しわけないことに、きょうもう一遍御質問をちょうだいするということで伺って、何かまずい行き違いがあったかということで、ビデオでも再度見た結果、これほひょっとしたら私がそういう新聞の見出しの方のことにとらわれて答弁したんではないかということで、もう一遍再度中で打ち合わせをしてみたところ、やはりその可能性が強いということがわかりまして、これは大変申しわけないということで、きょう本席でもおわびを申し上げると同時に、これは先生にも直接おわびを申し上げなきゃいけないということで気がついて早速行動はいたしたところでございます。
  78. 福山哲郎

    福山哲郎君 本当に私のような若輩が申し上げるのは生意気なんですが、そうやって、例えば条約事務局に出したり、内々で物事を進めようとする姿勢があるから、いろんな市民や国民の中から、この環境問題に対しては政府なり環境庁なりが自分たちに情報を開示してくれないという猜疑心が芽生えて、いつの間にか不信感が芽生えるというような状況が多々起こっているのではないかなという気がして仕方がないわけです。  本当に十年後、二十年後に環境破壊が目の前に起こってきたときに、そのときに国民に一体だれが責任をとるのかといったときに、このときにこんな情報も出ていなかったじゃないかということでは僕は済まされない問題だというふうにこの問題は思っているんです。  特に、COP4があと一月、十一月の二日から始まる。その直前でその責任者である環境庁さんがこういう姿勢で本当にいいのか、重なるようなことで恐縮なんですが、実は私はもう大変悔しくて、悲しいというか残念だというふうに思っています。  そしたら、ペーパーを出されたということはもうお認めになられるわけですね。
  79. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 六月の気候変動枠組み条約の補助機開会合においての決定に従いまして、条約事務局に対しまして九月十日付でクリーン開発メカニズム及び共同実施に関する文書を提出いたしております。  この文書は、クリーン開発メカニズム及び共同実施、それぞれの制度全般につきまして我が国としての議論のたたき台としての考え方をまとめて提出したものでございます。
  80. 福山哲郎

    福山哲郎君 では、この提案はだれがつくられたんですか。局長は御存じなかったんですね。御存じなくて提出されたんですね。
  81. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほど来、そのこと自体についておわび申し上げたところですから余り繰り返しませんが、内部分掌的には企画調整局の中に地球環境部というのがございます。当然私の職掌範囲ですから、私が知らなかったということは言いわけにならないことは承知していますので、その点は十分承知の上で申し上げることですが、内部分掌的には地球環境部長の責任で対応させていただいているというのが私どものあれでございますものですから、そのこと自体も事実として御報告させていただくことはやむを得ないのではないかと思います。  それから、一点申し上げますと、私どもたまたま地球環境部長が今国会から政府委員を外されたということもございまして、その間、若干そういうこと等で対応について失礼があったということも、ダブルでいろいろとこういうことが起こる原因になったということで、いずれにしても申しわけなかったとは思っております。
  82. 福山哲郎

    福山哲郎君 ではもう一度確認します。企画調整局内で作成されたんですね。
  83. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 本ペーパーは政府として提出されたものでございまして、外務省、通産省と環境庁が調整をして出したものでございます。
  84. 福山哲郎

    福山哲郎君 外務省、通産省と調整をして政府として出されたものを局長が御存じなかったんですか。もう一度お伺いします。
  85. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 申しわけございません。  ですから、先ほども申し上げましたように、今現在私も、その後そういう経緯を経ての事柄は承知いたしましたけれども、内部分掌的には地球環境部長の所掌ということで処理をしておりますものですから、その段階では存じませんでしたと申し上げます。
  86. 福山哲郎

    福山哲郎君 では、地球環境部長の権限で通産省や外務省と調整をして、政府の意見として提出をされて、そこには局長は要は入っておられなかったわけですね。
  87. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) その入っていなかったことがいいとか悪いとかいうことについていろいろ御議論があるかもしれませんが、事実としてはそうでございました。
  88. 福山哲郎

    福山哲郎君 済みません、もう僕はよくわからないんですけれども、そしたら、その地球環境部長と外務省と通産省とは一体どこのテーブルで調整をされたんですか。
  89. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 通常の各省協議の手法で、各省と連絡をとり合いながらやったように今聞きました。
  90. 福山哲郎

    福山哲郎君 済みません、通常の手法というのは僕はよくわからないんで、もう少し詳しく具体的にお教えください。
  91. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) もしもお許しをいただいて、浜中地球環境部長から御答弁させていただければ、答弁させていただきますが。
  92. 福山哲郎

    福山哲郎君 では認めますので、浜中部長、お答えください。
  93. 浜中裕徳

    説明員(浜中裕徳君) 御説明を申し上げます。  通常の協議のルールと申しますのは、担当の専門の人間がおりまして、まずはそういう人間のレベルで関係省庁の間で意見交換をいたしまして、その結果を私に報告がございます。必要がありましたら私と、例えば通産省の担当の審議官、それから外務省の担当の審議官の方が通常の私のカウンターパートでございまして、必要がありましたら直接電話なり、あるいは直接お会いをして協議するというのが通常の協議のやり方でございまして、本件に関しましては担当者のレベルでいろいろ意見交換させていただいた結果を私が報告を受けました。それで必要な指示もしたこともあったと記憶をしておりますが、最終的には私のレベルで直接関係省庁の担当、それぞれ同格の方々とお会いをしたり電話したりということはございませんで、その担当官のレベルでの協議によりまして、最終的にはまとめさせていただいたという経緯がございます。
  94. 福山哲郎

    福山哲郎君 一体それはいつ、何月何日の会議というかテーブルなんですか、部長
  95. 浜中裕徳

    説明員(浜中裕徳君) 御説明を申し上げます。  これにつきましては、九月十日までに条約事務局に提出を求められていたということでございまして、具体的に申し上げますれば、六月のボンで開催をされました補助機開会合以降、九月上旬までの間に何回もそういうやりとりをさせていただいてきたということでございます。
  96. 福山哲郎

    福山哲郎君 長官にお尋ねします。  局長が御存じなかったものを、政府として条約事務局に提出をされたものを長官は御存じだったんですか。
  97. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 私の大臣就任はもっと後でございましたものですから、六月の段階から議論をしておることについての詳細な報告はございませんでした。  それで、局長部長が今お話ししておることを伺いながら、やはり責任体制というものが各省庁にあるわけでありまして、その恒例に従って対応をしてまいったところでありまして、大臣には最終的な段階での報告はございますけれども、その過程についての報告というものは余りないわけであります。しかし、決断を迫る問題については逐次報告があり、それは大臣が決裁をいたしております。
  98. 福山哲郎

    福山哲郎君 そしたら、長官は六月の過程を就任前ですから御存じないのはいいんですが、九月十日に提出をされた時点で長官は決裁されたんでしょうか。
  99. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) もちろん大臣として決裁をいたしておるところでありますけれども、しかしながら、先ほど来お話をしておりますようにすべてに熟知するわけではございませんで、先生も御案内のことと思います。  これはお互いに知ることは知っておる、知らないことは知らないというような形でディスクローズしていくのは、もうこれは現在課せられた大きな責務であるわけでありまして、できるだけその趣旨に沿ってやっておるわけでありまして、私もこの環境庁長官になって以来、皆さん方からのいろんな御質問をちょうだいいたしておるわけでありますけれども、知るところはすべて報告させていただいて、そして皆さん方の御意見をいただきながら問題処理に当たっていこうという姿勢は終始一貫いたしております。
  100. 福山哲郎

    福山哲郎君 ということは、環境庁長官はいろいろ決裁しなければいけないから、それは理解をさせていただきます。  ということは、局長は飛び越えて長官のところに行って決裁をされたということでしょうか。
  101. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 申しわけありません。  先ほど来何度も申し上げておりますように、内部所掌的には、こうしたことの国際的な取り決めの取り組みにつきましては地球環境部長から直接大臣の方にお諮りをするようにいたしておりますものですから、大変失礼いたしました。
  102. 福山哲郎

    福山哲郎君 簡単にイエスかノーかで答えてください。中央環境審議会は、このペーパーを出すときに何かこのペーパーを出しますよという形の了解を得ましたか。
  103. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) そういうものをお諮りはいたしておりません、その段階では。
  104. 福山哲郎

    福山哲郎君 そうすると、国会の委員会では出していませんと言って隠して、そして局長も御存じなくて、大臣も基本的にはいろいろある決裁の中で、全くわからないけれどもとにかく決裁をしたという中で、それでいつの間にか通産省と環境庁と外務省が担当者レベルで調整したものが政府の提案として条約事務局に送られたわけですね。(「だれが責任をとるんだ」と呼ぶ者あり)
  105. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 環境庁の問題としては私が全責任をしょっておるわけでありまして、そのように御理解をいただきたいと思います。
  106. 福山哲郎

    福山哲郎君 委員長、これは大変重要な問題だと僕は考えます。本当にCOP4という大変大きな国際会議で、だれがつくったかわからない、局長も知らない、長官も知らない状況の中で条約事務局にれっきとしてこういう文書が送られているわけです。本当にこれで地球温暖化防止に対して議定書の議長国としての責任が果たせるのでしょうか。  私は、先ほどから何回も申し上げておりますように、本当はもっと聞きたいことがたくさんあります。では、だれが作成されて、ペーパーの中身にどんな調整が行われたのか。中央環境審議会にもこれは諮られていないわけです。国民や議員や中央環境審議会、全部何も諮られていないところで条約事務局にペーパーが提案として送られているわけです。一体だれの意見が条約事務局に送られたんだと。  もう時間がありませんのでこれでやめますが、この件に関しては、委員長を初め理事の皆さんにまたいろいろ御検討いただきまして、私もこういう状況で何をしていいのか今まだわかりませんので、また御指導をいただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  107. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 後刻、理事会で諮りまして、取り扱いについてはまた協議させていただきたいと思います。
  108. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明の弘友和夫でございます。  私は、今問題となっております住宅都市整備公団の分譲空き家住宅の価格の値下げ販売の問題について御質問をしたいと思います。  そもそもこの問題の発端というのは、昨年の七月三十一日、突如として住都公団が今まで二年間以上売れ残っていた二十九団地、千二十九戸について従来の価格より平均一九・三%、価格にして約一千万円値下げをして販売する、こう発表して、その三日後八月三日に値下げ分譲の受付を開始した、そこから起こっているわけですけれども、今まで住都公団はこの四十一年間、公団の分譲価格の決定というのは個別原価主義でありますからそういう値下げはやらないんだとずっと言い続けてきた。値下げはやらない、やる制度というか法はあるけれども、今まで買ってもらった人、伊藤副総裁がNHKで言ったのには、先発組も後発組もあるし、ということは要するに今まで買っていただいた人への影響とかいろいろあるのでそういう値下げは一切やりませんよということを七月三十一日まではずっと言い続けてきた。ある日突然値下げしますよと。それで、三日後にもう募集を開始しますよ、こういう発表をされたんですね。  どういうことでそうなったのか、お伺いします。
  109. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) お答えいたします。  バブル経済の崩壊に伴います影響というのはいろんな分野で発生したと思いますが、やはり住都公団の経営あるいは分譲のありようについても物すごく大きな影響を及ぼしたと思います。いろんな形で営業努力はいたしましたが、やはり結果的に膨大な売れ残り物件が発生したという現実がございます。それに対して、団地として未利用のまま、あるいは空き家のまま放置しておくこと自体がいろんな問題があると同時に、公団の経営に対しても極めて大きな影響が出ることが懸念されました。  したがいまして、何らかの形で抜本的な解決策を図る必要があるということから、住都公団といえどもやはり経営体であるという原点に立ち返りまして、周りの市況に応じた価格設定をするということで、言うなれば値下げ販売に踏み切ったと  いうのが率直なところでございます。
  110. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は当初報道等で見まして、確かに大変な税金をつぎ込んだ、そうした公団の分譲住宅がそのまま利用もされないで残っているというのは問題だ、やはりそれが完売できるような方法、値下げだとかそういうことも考えられていいんじゃないかなという受けとめ方をしたわけです。  しかしながら、また先に購入したそういう方にもいろいろな説明をしたり、御理解いただいてやっているんだろうというように思っておりましたけれども、これを調べれば調べるほど、また話を聞けば聞くほど、公団の対応、また建設省の対応にしても本当にこれは誠意がない。今、福山さんが怒っておられましたけれども、私もこれは調べれば調べるほど腹が立ってしょうがないんです。  いいですか。昨年の七月二十八日に当時の亀井建設大臣が公団の総裁に値下げを指示した。翌日、大臣が値下げを発表された。その翌々日、三十一日に今度は公団が建設大臣に価格変更申請を提出して即日、その日に許可になった。私はこれを見ましたら、ずっと四十一年間値下げをしなかった。それはいろいろな問題があって、簡単にできるんだったらもっと前からやっているわけです。だけれども、いろいろな問題、特に先に購入された皆さん方に対する影響だとか、いろんなのがあってやれなかった。それは公団から先に申請をしたんじゃない、大臣が指示をして、それを受けて三日後にこれを受付するという、こんな短時間で短期間でやっているわけです。  そしてそこで、では今まで購入された方にどういう手を打っているのか。何にも説明もしていない。そして管理組合の理事長あてにファクスが一枚ずつ行っているわけです、それぞれの団地の管理組合に。それには「公団分譲空家住宅の価格の見直しについて」云々と書いてありまして、最後に、「なお、不動産市況の変化に伴う価格の変更でありますので、既に購入された方への遡及適用は行わないこととしましたので、御理解の程よろしくお願い申し上げます。」と、この一片の通知をファクスで、しかも管理組合の理事長に送っているだけなんです。  四十一年間ずっとやったこともない。いろいろな影響があるからできない。それを大臣から指示されてばたばたとやってしまった。そして、既に購入された方には、まだ返してくれるんですかくれないんですかとも言ってないんです。説明も受けてないんです。そんな値下げをして、そういう説明も受けてないのに、なお、既に購入された方への遡及適用は行わないようになっています、こんな対応というのがあるのかということなんです。  どうですか。これは、値下げについては当時の大臣が指示されているわけですけれども、先に買った方への配慮とか、そういうことも考えてという指示はなかったのかどうか。大臣も後で答えてください。
  111. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 公団の分譲の歴史、御指摘のように非常に長い歴史があるわけでございます。ただ、バブル崩壊に伴いますいろんな影響というのは看過しがたいところまで来ていたというのも事実であろうと思います。それに対してどういう対応があり得るのかということを、事務的な意味で私どもと公団との間でいろんな検討あるいは議論を進めていたというのが間違いなく事実としてございます。  ただ、いろんなことを考えますと、今までやらなかったことに踏み切るというためには、やはり建設省としての国の判断であるということから、建設大臣から公団に対して指示をしたという形をとらせていただいたということでございます。  したがいまして、個々の住民の方々、入居者の方々に対して説明が不十分であるというふうな御批判はあるいはあろうかと思いますが、その後私どもが公団から聞いている限りでは、やはりできるだけ誠意を持って御理解いただくよう努力しているというふうに聞いておりますし、またこれからも努力させていただきたいと思います。
  112. 弘友和夫

    弘友和夫君 大臣はそのとき指示されているのかどうかについて。だから、当時の亀井大臣が値下げをしなさいと指示して三日目にやっているわけでしょう。そのときに、建設省として値下げをしなさいと言うのと同時に、そういう配慮はどうなのかという指示を建設省ではやっているんですか。
  113. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 二つあろうかと思います。一つは、既往の方々にさかのぼって値下げということについては、やはりマーケットという前提のもとで値下げをするわけですから、既往分にはさかのぼらないという前提で省内での議論が積み重ねられたという点が一つございます。  それから、具体的に入居者の方々に対しての説明の仕方等々について詳細を私どもから公団に対して指示するという状況ではございませんが、やはり誠意を持って対応するようにという話はしております。
  114. 弘友和夫

    弘友和夫君 誠意を持って対応するようにという今お話しですけれども、まず皆さんは、その価格、決定した根拠、自分たちの買った、値下げをした一カ月前に、八月の一カ月前、六月の末に買って七月に引っ越した人もいるわけです。その人は一千万以上高く買っているわけですから、ローンにしたら二千万ぐらいあるんです。それを、ではどういう価格の決め方をしているんだとかいろいろ聞きたい。  だけれども、一切そういうことは出せませんと今までの衆議院の国会論議の中でも出ているわけです。そういう価格の問題とかいろいろ私はお聞きしたいんですけれども、三十分しか私は時間がありませんのできょうはそれを省かせていただきますけれども、そういう前提の中でいろいろ皆さんが怒っておられるし、訴訟されているということをまず認識していただきたいんです。  それで、公団の分譲住宅の価格というのは建設大臣が承認しなければ決められないわけですね。それで、今までずっとそのまま売れないでも置いていた。それと同時に、去年衆議院で問題になったのは、勝手に下げられないから現状有姿販売というのをやってきたわけです、モデルルームと称して。モデルルームだったら傷むじゃないか、いろいろなところが。その傷んだ分、本来だったら公団が手直しをしてお客さんに渡さなければならないんだけれども、お客さんがこれでいいですよ、こういうことであれば現状有姿販売としてモデルルームを販売しております、こういうことだと。それが、ほとんどがモデルルームと称して何百万も値下げをしていたからこれはやみ販売じゃないかと指摘された。  今回のこの値下げのときと同時に、公団はその制度を変えてモデルルーム販売というふうにやったわけですけれども、それについて、その経過というか、お答えをいただきたい。
  115. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) お答え申し上げます。  ただいま先生から御質問の点でございますが、御質問にございましたように現状有姿販売ということで昭和六十一年度からこの制度を行ってまいりました。それ以前は分譲住宅を販売するに当たりまして、例えばユーザーの方の利便に供するということでモデルルームの形でお部屋を見せていたわけでございますが、そういった場合に当然部屋の損傷とか起こりますので、それをもとに、旧に戻して新しい姿にして購入者に買っていただくという仕組みをとっていたわけでございますが、購入者の中にはこのままでも購入していいという御希望があったという背景もございまして、昭和六十一年度から、ただいま先生の御質問にございましたように、その補修費相当を頭金の、一時金の一部に充当した格好での現状有姿販売制度を行ったわけでございます。  ただ、この現状有姿販売制度でございますが、これは現地案内所に来られましたお客様に御案内申し上げたということでございまして、そういった観点から、より透明性を高めるという視点に立ちましてこの平成九年八月、値下げと同時期でございますけれどもモデルルーム価格を設定いたしまして、各モデルルームにつきましてはモデルルーム価格といった形で表示いたしましてそういう制度を設けたということでございます。
  116. 弘友和夫

    弘友和夫君 だから、今売り出されている分譲住宅は、要するに価格が全部オープンになっているわけです。モデルルーム価格といえどもオープンになっているわけです。だから、価格を勝手に値引きしたりすることは法的にできないわけでしょう、大臣の承認を得ないとだめですから。だから、今現状売り出されているので価格がオープンになっていないものがまずあるかどうか、勝手に値引きをしているようなものがあるかどうか、お答えください。
  117. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) 先ほどお答えいたしましたように、モデルルーム価格といった形で表示してございますので、そういった形での値引きはやっておらないというふうに考えております。
  118. 弘友和夫

    弘友和夫君 だから、オープンになった以外に値引きをしたりなんかはしておりませんねということをお聞きしております。
  119. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) そうでございます。
  120. 弘友和夫

    弘友和夫君 ところが、つい先日なんですけれども、地名を言っていいのかどうか、これは港北ニュータウン、九月の十五日、特別限定内覧会というのがあった。つい先日です。特別限定内覧会。予約をしてこちらまで来てくださいと。見に行かれた方が何人かいらっしゃる。ところが、その中に家具をいっぱい置いてあるわけです。それもすばらしい家具なんです、それぞれの部屋に。後で見ていただいてもいいですけれども。  この家具をどうするんですか、この家具は分けていただけるんですかと言いましたら、お分けしますよと。この部屋は四DKでしたか、どういう種類の家具があるんですと一覧表を出してくれておる。総額六百七十一万五千四百五十四円のすごい家具なんです、各部屋。寝室が二つありまして、テーブルだとかなんとか、とにかく寝室の一つの方は百二十一万、もう一つが百三十八万、リビングルームが百四十二万、ダイニングが百二十八万、和室が五十五万、そういうふうにとにかく全部家具が入っている。六百七十一万五千円です。これを何と二十九万円でお分けしますというんです。ちゃんと会話したテープもあります。これはどういうことなんですか。  公取は来られていますか。  まず、この家具をつけて販売しているのかどうかということ。それと、これが事実であれば景表法だとかなんとかそういうものに引っかかるんじゃないかということ。六百七十一万が二十九万ですから、何を根拠に二十九万かどうかは知りませんけれども、要するに六百数十万値引きしますというのと一緒じゃないですか。どうですか。
  121. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) ただいまいわゆる家具つきの販売についての御質問だったわけでございますが、公団でやっております家具つきの扱いにつきまして御説明をちょっと申し上げたいと思いますが、モデルルームに家具を設けまして住宅購入予定者の方にルームを見ていただくということは現在もやっているわけでございます。  その設置の方法でございますが、二通りございまして、専門の業者の方にコーディネートなりその家具の設営を依頼する方法、いわゆるリース方式というものと、それから公団みずからが家具を購入して設置する方法というのがあるわけでございます。原則といたしまして、そういった使いました家具は、売れましたときにはほかのルームに持っていきましてその家具を活用するということをいたしております。  しかしながら、例えば住宅のタイプが異なることによってほかのモデルルームでは使えないとか、あるいは傷ができてしまったとか、設置の期間が相当経過したというようなことで損傷があった場合に、いわば家具としての価値が非常に低下しているような場合がございます。そういった場合に、住宅予定者の方から家具が欲しいという要望がありました場合には、要望におこたえをしているというような実情にあるわけでございます。  具体的にどういたしますかというと、専門業者の場合ですと、専門業者の方と購入者の方で話し合っていただきまして価格をどうするかというふうに決めていただいておるわけでございますし、また公団が設置する場合につきましては、もうほとんど価値がないというような家具になってございますので、その場合には無償でお渡しをするということになっております。
  122. 上杉秋則

    政府委員(上杉秋則君) お答えいたします。  公取の所管しております法律に不当景品類及び不当表示防止法というのがございまして、過大な景品つき販売というのを規制いたしております。この規制対象となる景品類というのは、法律及びそれを受けました告示によりまして定義されておりまして、簡単に申し上げますと、顧客を誘引するための手段として自己の供給する商品または役務の取引に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益ということになっております。ただ、正常な商慣習に照らしまして値引きと認められる経済上の利益というのは、値引きということで景品には当たらないということになっております。  ただいま御指摘の点を検討いたしますと、不動産の購入者に対しまして当該不動産に関連する家具等を安く販売するということでございますので、景品表示法上の取り扱いといたしましては、不動産本体の価格を実質的に安くしたんだということになりますので、これは景品類には該当せず、この法律に違反するということはございません。
  123. 弘友和夫

    弘友和夫君 今公取が言われたように、実質的にこれは値引きなんです。公団の方で、何かもう相当古くなっている、価値がなくなっているから、それを公団がやっている場合はただでやるんですか。業者がやっている場合は業者は二十九万でいいと言われるわけですか。これを外に出したらみんな買いますよ、これは二十九万だったら六百七十万の価値があるんですから。どこか傷んでいますか、これは。どこが傷んでおるんですか。では、私が買いますから持ってきますか。(「議員宿舎のどこに置くの」と呼ぶ者あり)議員宿舎は狭いから置けないですけれども。  だから、今の答弁を聞いたらもっと腹が立ってきますけれども、値引きと実質的に認められると。大臣、これはどうですか、これは値引きなんです。時間が余りないので、本当はもっといろいろやりたい。  だから、要するに売れない。それを、今まで価格の決定についてはコストよりも高くつける場合もあるし安くつける場合もあるとかいろいろ言っておるわけです。もう既にこの港北は二九%値引きしている。これは四千八百万のものですけれども六百万値引きしたら、もともとは六千八百万のものですから四〇%近いんです。四〇%近い値引き。  いろいろお聞きしたいんですけれども、会計検査院の方来られていると思いますけれども、こういう公団の、いろいろな税金が入っているわけで、財投が九千億以上、それから住宅建設費補助金、いろいろ入っている。通常の検査じゃなくて今度重点検査を実施すると去年の一月発表した。検査の結果はどうでしたか。
  124. 大和顕治

    説明員(大和顕治君) 住宅公団につきましては重要な検査対象といたしまして毎年検査を実施しているところでございます。  昨年は、売れ残りの分譲住宅及び賃貸住宅の空き家が多数に上っているという事態がございましたので、このまま推移しますと事業の目的を達しないばかりか事業収支にも少なからず影響を与えるということが予想されましたことから、公団がこの事態に対してどのような対処をなさっているかという観点について検査したところでございます。  その結果でございますけれども、検査に着手した段階では賃貸住宅及び分譲住宅において多数の空き家とか売れ残りの住宅が見受けられたわけでございますが、検査の過程で公団におきまして家賃の減額等の空き家対策や種々の販売促進対策を講じておられまして、空き家が減少しましたり譲渡が進むなどの事態の進展が見受けられたこともありまして、いましばらく事態の様子を見たいということで今後の推移を見守ることといたした次第でございます。
  125. 弘友和夫

    弘友和夫君 会計検査院は、重点的に入って、今言われたように値引き販売をするようになったから多分事態は売れるようになるだろうと。売れればいいというものじゃない。会計検査院は税金がむだに使われているか使われていないかというのを検査するのが会計検査院でしょう。売れればいいんだったらもう九〇%引きでもしてやれば全部売れますよ。売れるようになるから何も意見を述べませんでしたと、簡単に言えばそうなんです。これはおかしいんです。もっとやりたいんですけれども時間がありませんからね。  それで、去年一月そういうのを発表しておいて、今まで住都公団には会計検査院から住都公団の役員一人、監事だけしか行っていなかった。一月に入りますよと発表して、七月には理事がもう一名ふえている。二名になった。どういうことですか、これは。  時間がありませんので、最後に大臣にお尋ねしますけれども、要するにこういう問題がある。私は、何らかの既得、先に買われた方に、住宅供給公社なんかはそれぞれ全部返還している例がたくさんある、百三十万とか百万それぞれ先に買われた人に。同じ建設省の所管でしょう。何で公団ができないのか、最後に大臣にお答えいただきたいと思います。
  126. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 今までに伺いました質問で一番難しい質問でございまして、正直申し上げまして感情論的にいけば、感情論というとおかしいのでございますが、いわゆる常識的に考えればそういうことであろうと思うわけでございますが、私の立場としての御答弁とするならば、今言うまでもなく日本は法治国家であるわけでございますから、その中で提訴をされておりますから、やはり私は司法の判断を仰ぎたいと思っております。
  127. 弘友和夫

    弘友和夫君 最後に一言。  提訴されていますからあれですけれども、三千億積み立てているものがあるわけですから返せないことはない、私はそう思います。  終わります。
  128. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明の福本潤一でございます。  本日、採決予定の法案にも絡みますが、地球温暖化の影響かどうか不明ではありますが、ことしは殊に中国の洪水を初め、全地球的に水にかかわる災害が多いようでございます。きょうは、その中で高知の記録的な水害について質問させていただきます。  高知市では九月二十四日一日で六百二十九ミリメートル、二十四、二十五、二日間で八百七十四ミリメートル、繁藤ではほぼ千ミリメートルの記録的な降雨があったわけでございます。死者は六名、床上浸水七千二百十二棟、床下と合わせて二万四千棟、土讃線復旧まで三カ月の見込みである。農作物被害二十五億円の見込み。九月二十七日には関谷建設大臣は早速現地入りされて、公明の対策本部の遠藤衆議院議員の申し入れを受けていただきました。  そこで建設大臣に、今後これだけの大災害復旧の対策方をお伺いしたいと思います。
  129. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 先生と私は同じ愛媛県でございますので、高知の問題でございますから現地もよく御存じだろうと思うわけでございます。私は建設省へ行きまして二カ月になりますが、不思議にもう五回もこういう水害で現地へ行きました。前任者の瓦大臣はゼロ回、その前の亀井大臣が二回でございますから、私は二カ月で五回も行っておるものですから、それほど気候が異常なのであろうとは思います。  それで、五回の中で今回の高知県の水害は、ほかの四回行きました場所とは一つ違うことがございました。それは七千棟に及ぶ床上浸水、そして床下浸水を入れますと二万三千戸ぐらいでしたか、そういうふうになるわけでございまして、水が引きましても、床上浸水に遭っておりますから、住民の方々が翌日からもう直ちに生活に困るわけです。ぬれた畳の上に寝るわけにはいきませんから、ですからそこが今回私は大変気になっておるところでございまして、そういう方々に対する直ちに援助の方法はないかということをいろいろ調べましたが、直ちに例えば畳を入れかえることに対する補助があるかどうかというと、そういうものはないわけでございます。ですから、これを機会にそういうようなことができるようにやっていきたいとは思っておるわけでございますが、その家屋のそういう被害に対してもっと建設省は温かい援助をするようにやっていきたいと思っております。  それで、今の法律の範囲でできるだけのことをやってもらいたいと、また県の方も県独自のことをやっていただきたいということをお願いしておるところでございまして、復旧を急いでやっております。ですから、今まではいわゆる河川のはんらんであるとかあるいは土砂災害であるとか、そういうものは直ちに復旧の予算が出るわけでございますが、そういう国民の皆さんの日々の生活の直ちの援助というのが、これが神戸の地震の災害の後法律ができましたけれども、そういうものに類似したものをつくっていきたいと思っております。
  130. 福本潤一

    ○福本潤一君 温かい配慮をお願いしたいと思います。  国土庁、現在の法律で激甚災害特別措置法というのがあります。その中に局地激甚災害の指定、また阪神大震災に絡んで被災者生活再建支援法というのがあります。今回の災害を見ますと、事業所並びに生活している方々が不景気の中また市民生活に激しい災害を受けたということでございますので、支援法の法文の中に床上浸水、これが入っていないようでございますので、床上浸水また店舗、こういうことに対する法律の条文、また改正も含めて入れることを要望したいと思いますが、この二点お答えいただきたいと思います。
  131. 林桂一

    政府委員(林桂一君) 二点につきまして、まず激甚災害の指定でございますが、御案内のように現在高知の地元では応急復旧等の対策を講じられておりますが、それが一段落した段階で被害額の報告をいただきたいというふうに考えております。そのような額に基づきまして査定の見込み額あるいは局地激甚の場合には査定まで必要でございますが、そういった手続を早急にしていくというようなことでございますので、今のところそのようなことについての見通しを申し上げられる段階ではございませんが、そのような努力をしたいと考えております。  それから阪神の、阪神といいますか自然災害によります被害者の生活再建支援法のことにつきまして、八月末の洪水災害におきまして総理が福島、栃木に御視察になったときに、支援法の措置につきましては適用日が来年の早々ということになりますが、それまでの間についてもその法律に準じた措置を何ができるかということを検討するようにということで国土庁長官に御指示があったことでございますが、これにつきましてそういった同法の支援と同じような内容の措置を講ずるというようなことで既に決定しております。  したがいまして、高知の場合にも、災害の要件等もございますので、いろいろそういったことについて該当するかどうかということの検討の上、そのものができるということであれば支援法と同じ内容の措置が講ぜられることになるわけでございますけれども先生が今おっしゃいましたような床上浸水の家屋あるいはそれ以外のいろいろ対象についてのことにつきましては、あくまでも支援法と同様ということになりますので、御趣旨のところについては法律の範囲外ということで今回の措置の適用ということは少し無理ではないかというふうに考えているところでございます。
  132. 福本潤一

    ○福本潤一君 長官も同じ答弁になるんだろうと思います。せっかく長官お越しになっているので、長官にお答えいただきたかったわけでございますが、この床上浸水、店舗も含めて対応していただきたいと思いますし、今回メッキ工場から千五百リットルの青酸ナトリウムも流出した。環境問題にもかなり影響を与える。ただ、青酸ソーダでございますので揮発してかなり早期に分解する物質だということで、若干不幸中の幸いだったということもあります。  ですので、国土庁、建設省、地元高知県に任すだけじゃなくて最大限の支援をしていただくようにお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  133. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 まず最初に、私は、磐梯朝日国立公園西吾妻地区の登山道整備にかかわる問題について質問をしたいと思います。  現地は、福島県と山形県の県境の白布峠から尾根を通って馬場谷地という湿原に至る登山道、そこの整備ということで自然破壊の工事が行われております。経過を説明していただきたいと思います。
  134. 山本徹

    政府委員山本徹君) ただいま先生が御指摘の工事の経過でございますけれども、これは秋田営林局管内の工事でございまして、広く国民方々の自然との触れ合い、また森林あるいは緑資源の普及啓発に役立てるために、現在ございます登山道路整備しようとする事業でございます。  この事業に当たりましては、あらかじめ地元自治体、学識経験者、さらに自然保護団体の代表者等から構成されます検討委員会を開催して、工事方法等について検討した上で工事を実施したものでございます。
  135. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、九月十四日に現地を見てまいりましたけれども、登山道の脇の樹木を伐採したり、湿地を掘って丸太を埋め込むなどの非常に乱暴な工事で驚きました。  延長約三キロの登山道整備の名目で、湿原埋め込み用輪切り丸太、縦六十センチ、直径三十五センチというものですが、その資材を運ぶ運搬車、運搬車といってもこのぐらいの小さなもので、キャタピラーがついていて、多分軽油か何かで走らせるものだと思いますけれども、それを通すために、こういうキャタピラーを通すわけですから、あちこちで登山道を広げたり、あるいはだんだん高くなると木が迫ってきまずから、そうするとわきをずっと通さなきゃいけないということで、そちらの森林を伐採するというようなことで、地元の自然保護団体の調査によりますと、登山道の拡幅が十四カ所で合計二百十五メーター、迂回路が六カ所で合計二百二十メーターもあったということです。  広げられた登山道の横に三メーターから五メーターぐらいの幅で伐採した木を放置している、そういうのが二、三十メーターも続いているところが何カ所かあるんです。それで私が驚いて、わあひどいと言ったら、案内をしてくださる方が、いえいえこんなところで驚いていたらまだまだで丈もっと先にひどいところがありますというようなことで、本当に奥に行けば行くほどひどいところがありました。ひどいところでは幅十メーター、長さ三十メーターから五十メーターくらいの迂回路が次々とあらわれて、そこに伐採した木が積み上げられていました。  ここは国立公園内ですから、どうしてこういうことが起こってしまったのか、そういうことについて御説明をいただきたいと思います。  委員長、ここに写真がありますので、もしあれでしたらお回しをさせていただきたいと思います。
  136. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) どうぞ。
  137. 山本徹

    政府委員山本徹君) 先生指摘のように、この登山道の整備について、実際に私ども委員会で十分自然環境あるいは植生の保全に従事するようにという方向が出されていたわけでございますが、実際には工事の実施の過程においてそういった自然環境保全等に対する配慮が十分でなかった、また国立公園の地域であるということに対して配慮がなかったという点がございます。  これは私ども大変遺憾だと考えておりまして、こういったことが国立公園内で再び起きないように万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。
  138. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ここは、林野庁自身が、森林生態系の厳正な維持を図る保存地区を取り巻く保全利用地区、いわゆるバッファーゾーンに指定をしたところでございます。白布峠からの登山道はブナ帯に続いてオオシラビソ群落が広がって、私も歩いていて本当にすばらしいところだなというふうに思いました。標高千五百メーターの地点の前後に貴重な山地湿原があって、しかもその湿原が乾燥化の危険があるというふうに指定をされている地域でもあります。こういう場所での自然破壊そのものの林野庁の今回のようなひどい工事というのは、私は全くあってはならないということだと思います。  環境庁に伺いたいんですが、ここは国立公園ですけれども、どういう規制がかかっているんでしょうか。
  139. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 先生お話しの西吾妻連峰の白布峠から西大嶺に至る登山道でございますが、この地域は磐梯朝日国立公園の第二種特別地域及び第三種特別地域に該当するものでございます。
  140. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 この林道整備が行われたところは第二種の地域ですね。
  141. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) お答え申し上げます。  その林道整備が行われた箇所の中で、湿原地域が第二種の地域でございまして、それに至る尾根筋の区域は主として第三種の特別地域でございます。
  142. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それで、環境庁は、出先の北関東国立公園・野生生物事務所長が、林野庁が設置をした検討委員会、ここに報告書がありますけれども、この検討会に参加をしていたと思うんですが、どうでしょうか。
  143. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) そのとおりでございます。
  144. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 丸太が重かったので運搬車を入れたという説明なのですけれども、私は運搬車を入れることなど全く常識外だというふうに思いますけれども、事はそれだけでは済まないんです。つまり、馬場谷地湿原、今あった第二種特別地域に指定されているそういう湿原に直系三十五センチ、長さ六十センチの丸太を縦にかなりたくさんのものを埋め込んでいたわけです。だから、現地は、埋め込んだために湿原そのものは掘り返されてしまっているし、それから周りも運搬車が通ったということで非常に踏み荒らされているわけです。丸太自身も、歩いてみるとわかるんですけれども、とにかく不安定でふわふわしていて登山道の役割をなさないような状況になっているわけです。  そういうひどい状況の上に、湿原というのは水があるから湿原の状態を保てているのに、工事はおまけに側溝までつくってその湿原の水を流すということまでやってしまっているという、本当に信じられないような状況があそこで起こっているわけです。  検討委員会の場では、学者の委員から、湿原保全ということで丸太を埋め込むとよくないんじゃないか、そういう疑問が出されていたということですけれども環境庁の代表がその会議に出席をしていて、そのことを見逃してしまった、ちゃんとしなかったということについて、私は余りにもおかしいんじゃないか、ずれているんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点どうですか。
  145. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 先生お話しの馬場谷地湿原は、吾妻山系の中で最近比較的利用者がふえてきているところでございまして、いわば人が歩くことに伴いまして踏み荒らしがふえて、そういう意味での湿原のいわば裸地化が進んでいるというところでございます。その裸地化が進んだところに人の踏み跡がございまして、今回の木道整備は、そのような踏み跡による植生の影響が出始めておりますところに対しまして、踏み跡部分に丸太輪切りを設置するという整備計画が相談されたというふうに聞いております。  丸太輪切りの工法の採用につきましては、湿原におきまして安定性を欠いている、また自然環境への影響が懸念されるという点において配慮に欠けていたというふうに考えており、この工法につきましては湿原で行うことについては不適切であったというふうにも考えているところでございます。
  146. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、環境庁の代表がそういう計画の協議の場に参加していて、それで専門の学者からそういうことを指摘されて、そしてそれについてちゃんと調べることもなく見逃してしまった。本当に環境保護という仕事をみずからやらなければならないというプロ意識に欠けている。もう残念でならないんです。  林野庁は非を認めて、専門家や地域の自然保護団体の意見を聞きながら修復等を行うと言っているわけですけれども、その点ではまじめに反省している態度と言えると思います。しかし、自然破壊の工事にお金をかける、復元にまたお金がかかる。つくった丸太の階段も、ちょっと写真を見ていただければわかるんですけれども、一段が二本の丸太になっておりまして、それで高過ぎて上るのも上りにくい、おりるのも、それが続いていくと私なんかひざががくがくするんです。  それで、結局歩きやすいようにということで、丸太一本の階段にやり直すというようなことを今計画しているわけですけれども、税金で自然を破壊してしまってまた税金を使う、こういうむだな工事というのは本当にあってはならないというふうに思うんです。林野庁長官は何か時間があって退席をされたということなので、林野庁からお答えいただきたいと思います。
  147. 日高照利

    説明員(日高照利君) 現在、この件に関しましては学識経験者や自然保護団体、関係機関等の意見を聞きながら、当該工事に係ります植生の回復等に必要な修復作業を実施中でございます。  一部で工事の手直しが必要になるということは否めないわけでありまして、今後このようなことがないように万全を期してまいりたいと考えております。
  148. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 もともと国立公園内の登山道整備というのは環境庁の補助事業として都道府県が今までやっていたものだと思います。それが、さっき指摘をしました森林生態系保護地域バッファーゾーン整備事業ということで、九三年から林野庁が参入してきた分野でございます。  今回の自然破壊工事の大もとの責任はもちろん林野庁にあります。しかし私は、環境庁にも先ほどから指摘をしているようにプロ意識に欠ける、そういう責任があるというふうに思います。  そこで、環境庁の国立公園管理に関する体制について伺いたいと思います。  環境庁の管理下にある国立公園の数、面積、そして管理体制、それはどうなっているのでしょうか。
  149. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) お答え申し上げます。  現在の国立公園の数は二十八でございまして、総面積は約二百万ヘクタールでございます。  管理体制でございますけれども、現在この二十八の国立公園を十一のブロックに分けまして、各ブロックごとに国立公園・野生生物事務所を設置いたしまして管理しているということでございまして、さらにその事務所の下にそれぞれ国立公園管理官事務所といったものを全国で五十数カ所配置いたしまして、合計百六十八名の職員で現地の管理業務に当たっているところでございます。
  150. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 事務所一カ所について平均三人ぐらいの配置だということだと思います。また、国立公園の現地の管理事務所というのは私も何カ所かちょっと歩かせていただきましたけれども、一人のところもあれば二人ぐらいというところもあって、一人で見なければいけない公園面積というのはかなり広範囲にわたっているわけです。  それで、この西吾妻の現地調査に行くときに環境庁に連絡をしましたら、白光の方から来られたんですけれども、現地に来るのに自動車で三時間ぐらいかかるということでしたから、大変広範囲なところを少人数で管理をしなければいけない。私は、これでは十分な管理ができないというふうに思います。  今回の事件で環境庁に私は二つの問題があったというふうに思っています。一つは、湿原について学者から危惧が出されていたのに、そのことについて見逃してしまったということです。それからもう一つは、検討会に参加をしているんだったら、やっぱりきちっと責任を持ってその検討会に参加をしてかみ合っていかなければ、議論に参加をしていかなければいけない。そのためには現地をしっかり検討する、見るということが必要だと思いますが、現地には行っていなかったということです。  ですから、人手が足りないという問題もあると思うんですけれども、私は、もう一つ環境庁のそうした現地の管理官を含めて担当者がもっと環境についてきちんとした仕事をするに十分な、例えば現地の自然環境のよさをちゃんと判断できる、あるいは山地湿原というのはどういうふうに大切なのかということを判断できる、そういう力を持つことが必要だというふうに思うんです。ですから、人員の確保、今全体としては総定員を削減するという方向ですけれども、やっぱり必要なところには必要な人員を配置しなければいけないというふうに思います。  だから、必要な人員の確保と、それからそれだけでは済まなくて、環境についてきちんとした知識なりあるいは判断力、そういうことが持てるような研修あるいは研究、それができるような体制を保障すべきだというふうに思うんですけれども、これは大臣いかがでしょうか。
  151. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 大変細かい点の行き届いた御指示をいただいて感謝をいたしております。行政改革の折で人数はふやしてはならぬ、責任はしっかりとれよというような状態の中から環境行政をどのようにしていったらいいか、日々苦慮いたしておるところであります。  現在も、林野庁関係で人員が若干リストラをするというようなことがあればぜひ環境の関係の仕事に携わっていただきたいということでお願いして増員しておるところでありますけれども、なかなか思うようにまいらないわけであります。そしてまた、いろいろと指導をしておるわけでありますけれども、林野の指導と環境の指導というのはおのずから差異がございまして、そこらをどういうふうに意識改革するかというところでこれまた苦慮いたしておるところであります。  先ほど来、湿地のところに側溝をつけたりというのは、まさに環境庁としては、環境マンとしてはやるべき行為ではないと思っておるわけでありますけれども、それらの点につきましても重々注意を払いながらこれからの環境行政に万全を期していかなければならないと思っておるところであります。  いろいろと御指導いただいておるわけでありますけれども、御理解いただく御好意に対しまして感謝をいたす次第であります。
  152. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 しっかりとお願いをしたいというふうに思うんです。  今、側溝の問題については、これは環境庁が知っていてやったというのではなくて、その側溝は全く知らなくて現地で勝手に林野庁がつけてしまった工事でということでありますので、環境庁は被害者というか、国立公園を管理するものとしては被害者であっただろうというふうに私は思っております。  私がこの問題を重視して本委員会で取り上げようと思いましたのは、一番自然環境保全のための規制が厳しい国立公園でもこういう状況ですから、恐らく全国の国定公園とか都道府県の自然公園ではもっとひどいことになっているんじゃないか、そういう危惧をするからなんです。  それで、実は昨年のことなんですけれども、長野県の八ヶ岳の登山道で、一年に一遍ぐらいみんな登山者は行くわけですけれども、ある日前の年にはなかったキャタピラーで走った道が登山道になってしまっている。つまり、全体ではないんですけれども、登山道というのは人間が歩くわけですから歩きやすいようにジグザグになっているわけですけれども、それにキャタピラーが走りやすいように真っすぐの道路がつくられてしまっているというような箇所があって、一体どういうことなんだということで疑問も寄せられているし、あるいはとんでもないことが行われているんじゃないかという苦情もあるわけです。  この件について環境庁としてきちんと調査をして、そして報告をしていただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
  153. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 今先生お尋ねの件は、八ヶ岳中信高原国定公園夏沢峠という峠がございまして、そこに至る途中までは一般車両が通行いたしますけれども、その途中から管理車道に限定され、さらにその上につきましては登山道でございますけれども、その周辺にある三軒の山小屋の利用ということで、原則として荷物はヘリで荷揚げをしておりますけれども、ヘリ輸送自身は短期間に集中して行うために、不足がちな生鮮食料品を補完的に山に揚げるというために歩荷、人力を使っておりますけれども、昨今人手が足らないということでキャタピラー車、小型というふうに報告を受けておりますが、キャタピラー車を使って登山道でいわば野菜等を揚げていたということでございます。  山小屋の管理者といたしましては、一番自然に与える影響が少ない方法でキャタピラー車を使用しているということでございますけれども、この点につきましては、地元の長野県において現地調査を行い、現在どのような影響が出ているかよく調査をした上で適正に対処してまいる考えでございますので、環境庁としてもその結果を受けて適正に対処してまいりたいと考えております。
  154. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 このように西吾妻の問題については国立公園の中でこういうことが発覚をしたわけですから大きな問題になって、現地でもたまたま自然保護団体の熱心な方がおられたから非常に大きなニュースになったということですけれども、二度とこういうことが起こらないように、林野庁、環境庁とも全国的に再発防止を徹底すべきだと思いますけれども、まず林野庁からお答えいただきたいと思います。
  155. 日高照利

    説明員(日高照利君) 林野庁といたしましては、今回の工事を実施しました秋田営林局に再発防止を強く指導いたしますとともに、他の営林局あるいは支局に対しましても、このような工事の実施に当たりましては自然環境の保全等に十分配慮するように通達などで既に指導を徹底したところでございます。  今後このようなことがないように十分留意してまいりたいと考えております。
  156. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 国立公園や国定公園といいますのはいわば我が国を代表する傑出した自然の地でございます。このようないわば立派な自然環境というものを保全して後世に引き継ぐということが私ども環境庁の役目と心得ておりますので、今後とも自然公園の管理体制の充実を図りますとともに事業者への指導の徹底を行いまして、国立公園などの自然環境の適切な保全が図られるように最大限の努力を傾注してまいりたいと考えております。
  157. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 次に、開発に絡む猛禽類の保護について伺いたいと思います。  環境庁は一九九六年に「猛禽類保護の進め方」というマニュアルを出しています。オオタカの営巣中心域の定義についてどうなっているのか、またそこで避けるべき行為はどういうことなのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  158. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 環境庁で作成いたしました「猛禽類保護の進め方」におきますオオタカの営巣中心域といいますのは、いわば広義の営巣地として一体的に取り扱われるべき区域でございまして、営巣木あるいはその周辺で営巣に適した林相を持つ一つのまとまりの区域、またとってきたえさの解体場所、ねぐら、監視のためのとまり場所などが含まれるというようなものでございます。  このような営巣中心域におきます猛禽類に対する生息上の支障を及ぼすおそれのある行為につきましての事例でございますけれども、このような区域におきましては、住宅、工場、鉄塔などの建造物、リゾート施設、道路建設、森林開発は避けるべきであるといったことが指摘をされております。
  159. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 この「営巣中心域」に「営巣木および古巣周辺」というふうな記述があるわけですけれども、古巣周辺というのはオオタカに特別にそういう指定があるわけですけれども、それはどういうことなんでしょうか。
  160. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) お答え申し上げます。  お尋ねの件は営巣木の周辺及び古巣周辺というふうに理解いたしておりますけれども、この古巣といいますのは、オオタカの生態上通常みずからのテリトリー、縄張りの中に二つから三つの巣を保有しているというふうに聞いております。それで、条件がよい場合にはそのうちの一つを数年使用いたしますけれども、何らかの事情で便宜他の巣に移って、また数年後にいわば古巣を使用する習性があるということでございまして、いわば古い巣であっても数年後には再び使用されることがあるので、営巣中心域の中にこの古巣というものも含まれているというふうに理解をしているところでございます。
  161. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 そこで、建設大臣にお伺いしたいのですけれども、先ほど自然と共生できるようにしていかなければだめであると考えるという大変積極的な御答弁がありましたけれども、実はイヌワシなどの猛禽類については繁殖率が非常に低くなっています。トキの二の舞かと言われるような危機的な状況が生まれています。また、オオタカもあっちこっちで見つかってたくさんいる、こう言われるんですけれども、関心を持つ方がふえて発見率が高くなったので別に数がふえたということではない。  しかも、首都圏、特に市街地に近いところでは、例えば八王子では親が巣の中で子育て中に死んでしまったという事故がありました。それから、親がえさを一週間持ってこれない間に、ちょっと育ったひなだったものですから、ひな同士食べ合いをして、それで二羽いたのが一羽になってしまったとか、そういういわゆる事故。それから、巣が落下してしまうというようなことで、ここ二、三年ひなの巣立ちが悪くなっているんです。  今マニュアルというのがあるわけですから、しっかりそういうマニュアルに沿って建設省としても仕事をしていただきたいというふうに思うんですが、その点について伺いたいと思います。
  162. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 私も環境庁の猛禽類の保護マニュアルを読ませていただきましたが、そういうきちっとしたものもあるわけでございますから、それに従い、そしてまた猛禽類に詳しい専門家の御指導、御助言を仰ぎながら道路整備その他のことをやっていきたい、そのように思っております。  先生の御質問ではございませんが、先ほどの質問の中にもございましたように、地方の負担ができないので事業が滞っておるとかいうようなものもあるなんと言いましたが、それは国の負担、地方の負担両々相まってやるわけですけれども地方が負担できないものまでつくったということは、やっぱり物には限度が私はあると思うんです。ですから、自然環境というのも、自然環境を破壊していろいろな事業を行うというのは、それは私は限度を超えておることだろうと思います。ですから、地方で財政負担ができないようなことをやるということは、これは決して国の方からこれをやれなんと言っておるわけではない、地方からこれをやらせてくれというので来るんだけれども、それは地方の方の判断の間違いがあったにせよ、そういうことが起こるというのは、やっぱり物には限度があるんですから限度以上のことをやつちゃいけないんです。  ですから、破壊というのもこれはまた蘇生できる範疇の中で開発していくことはいいだろうけれども、こういうオオタカであるとかイヌワシとかそういうようなものはもう絶滅したのでは大変なことでございますから、私はそういうようなことで、自然と共生できる建設行政というのをやってまいります。
  163. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 大変力強い発言で私もよかったというふうに思っております。  最後に環境庁長官にお伺いをしたいわけですけれども、先ほどの論議でも、環境庁はもうちょっとしっかりしていただきたいという思いというのはもうみんな持っているような気がするんですね、大変申しわけないんですが。  環境庁設置法第三条には、「環境庁は、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他環境の保全を図り、国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、環境の保全に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」、こういうふうに書いてあるんです。  今建設大臣から御答弁がありましたし、先ほど林野庁からもお答えがありましたけれども建設省や林野庁というのは、その主たる任務は環境庁とは違うんですね。やっぱりそこのところをはっきりと私は見きわめていただきたい、区別をして仕事をしていただきたいというふうに思うんです。環境庁は自然を守る、あるいは猛禽類の種の保存を図る、これが主たる任務だと思うんです。そのことについて胸を張って、あるいは地球温暖化の問題でもそうです、環境庁がやらないでどこがやるんですかというぐらい胸を張って仕事をしていただきたいというふうに思うんです。  そういう点で、あちこちで環境が破壊されるというのは、環境破壊をしてまでそんな事業はいいんですかということで事業がストップされた、そこでバブルがはじけた後、ああよかった、環境保護団体のおかげで私たちは損しなくてよかった、そういう感謝を寄せられたとかという場所もあるんです。いずれにしても、やっぱりきちっと言うときには言うべきことを言っていく、これが環境庁の私は役割だろうというふうに思っております。  そういう面でのこれからの仕事の仕方について、大臣に一言答弁をいただきたいと思います。
  164. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 環境庁に対する叱尾激励をいただいたわけでありまして、心から感謝いたしております。  私も長官になりましてから、環境庁に入りまして、その面ではもう本当にくどくなるほど進言をいたしておるところであります。現在まで、環境庁は発足がおくれたという点もありまして、どうも自信のない行政というふうな映り方を皆さんにされておるわけでありまして、そんなことでは自信を持った、誇りを持った仕事ができないじゃないかと、やはり環境庁としてやらなければならない仕事というものは自信と誇りを持ってやれるようにしてほしいということで皆さんの士気を鼓舞いたしておるところであります。  そういう点におきましては、非常に至らない点がありまして、先ほども福山先生の方に大変御迷惑をおかけいたしたわけでありますけれども、その調整というものについては、私もだれにも負けない省にしていかなきゃいけないという意気込みでもって事に当たっておるところであります。どうぞ、そういう目でひとつ御指導いただきたいと思っておるところであります。  バブルが崩壊して、まさに今日環境の時代を迎えたわけでありますけれども、やはりいい時流にさお差した時期が来たわけでありますから、時来たりという気持ちでもって環境行政に励んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
  165. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  166. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 国土庁の方にお聞きをいたしますが、豪雨や台風と大変大きな災害が引き続いて起こっておりまして、建設省国土庁の皆さん方関係者は大変激務の中にあると思いますけれども、新潟県で起きました八月四日の集中豪雨災害について、激甚指定のための積算作業というのはどこまで進んでいるかということをお聞きしたいと思います。
  167. 林桂一

    政府委員(林桂一君) お答えいたします。  八月四日からの新潟を初めとする災害につきましては、現在、激甚災害の指定の前提となる被害額につきまして関係地方公共団体から関係省庁に対し被害額がほぼ提出されているという段階まで来ておりますが、現在それに対する査定作業等を進めているという状況まで来ております。
  168. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 次から次へと起こる災害で新潟県をお忘れないように、ぜひ早急に指定していただけるものは指定をしていただいて、そして災害復旧を遺憾なくやっていただきたいというふうに思うところでございます。どうぞ長官、よろしくお願い申し上げます。
  169. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 一連の災害、特に水害が本年度は集中的に発生しておりまして、私どもも、建設大臣も特に御精励いただいているわけですけれども、その応対に追われているという状況でございます。一つ一つ丁寧に見まして、制度の適切な適用に努めてまいりたい、このように思っております。
  170. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。  建設省にお伺いをいたしていきたいというふうに思っております。  関谷建設大臣から、先ごろの予算委員会の中で、福島潟放水路について三年間早く完工をしていただくという御返事をいただいて、私は大変喜んでおります。そして、地元の方にそのことを報告いたしましたら、福島潟放水路が完成をしても自分方の住んでいるところの水害はなくならないということでまた陳情をいただきました。  それはどういうことかといいますと、福島潟放水路と新発田川放水路というのができるところなんですけれども、その間に二級河川であります太田川という川がございます。この太田川は、県が事業主体として河川改修をやっているわけでございますけれども、毎年毎年少しの雨でも堤防が破堤をしたり溢水をしたりして水害がずっと引き続き起こっています。そういう状況の川で、県も河川改修を一生懸命やるわけですけれども、なかなか追いつかないという状況がございます。今度の八月四日の水害におきましても、上流の松岡川というところで堤防が二カ所決壊をして、そして太田川そのものは溢水という状況。堤防は壊れなかったんですけれども、あたり周辺は全部水没をするという状況が起こっておりまして、これは太田川の河口そのものが非常に狭くなっていて、降った雨をそのまま流せる能力がない状況なんです。  こういう川が新発田川放水路と今度できます福島潟放水路の間に存在をしているという状況で、この川は独立をした川でありますから、この川の河川改修をやらない限りここの地域は水害から免れないという事情がございまして、私はおしかりを受けたということになるわけでございます。  ぜひ、ここは一体のものとして取り組んでいただくか、あるいはこのたび概算要求の概要というところで災害復旧制度の一般会計の充実というこの案の中に、上流河川の中で堤防が決壊をしたりして、上流部でそういう災害が後を絶たない、そして河口部の川幅がとても間に合わないというような状況があった場合にはこれを適用しながら、県の事業であっても多分やれるという方向だろうと思うんですけれども、こういう制度で実現ができるならばこの川もぜひやっていただきたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  171. 青山俊樹

    政府委員(青山俊樹君) 実務的なお答えをさせていただきたいと思いますが、平成十年の八月上旬豪雨では新潟に非常な被害が出たわけでございます。このような災害の頻発に対しまして、災害復旧を行う制度の充実が必要だということは強く認識しております。  今お話しございましたように、再度災害防止の観点から、越流といいますか、堤防を乗り越えて水があふれる現象を越流と申すわけでございますけれども、越流した水位なり流量に対処できるように河道整備を実施することが重要だということで、原形復旧での災害復旧としてそれをまず取り上げるという内容の充実を大蔵省の方に要求させていただいているところでございます。  さらに、今先生お話しございましたように、河川は上流を改修すれば流量増が起こりますので、下流への流量増に対応するように、計画区間であっても一般会計の災害復旧のお金を入れて、あわせて改修するという河川災害復旧関連緊急事業制度というものの創設も要求しているところでございます。今御指摘ございました太田川の件につきましては、上流の松岡川におきまして二カ所で護岸が決壊したわけでございますが、その早期復旧を図るべく災害復旧作業を実施中でございます。  ただ、今見ましたところ、松岡川の洪水が全量太田川に流れ込むという構造にはなっておりませんで、また、松岡川の災害そのものも下流部へ大幅な流量増をもたらすような復旧計画とならないというのが実際でございます。ただし、住民の方々の御心配もよく理解されますので、県と綿密な打ち合わせを実施してその改修方針について検討してまいりたい、かように考えております。
  172. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ぜひ県と十分に議論していただいて改修をできるようにしていただきたい。そうでないと地域の人たちは毎回毎回、もう昭和の時代からなんですけれども平成年度、それから九年度と今回と同じような状況で不安に駆られる状況が起こっていますので、少しの雨でもそういう状況になるというところから、ぜひここは前向きに取り組んでいただきますようによろしくお願いを申し上げます。  それではその次に、住宅の税金のことについてちょっとお聞きをしていきたいというふうに思っております。  マスコミの世論調査では、小渕内閣の支持率は二五%と、大変危険水域に入ったというふうに報道されておりまして、関谷大臣も大変頑張っておられるのに残念じゃなかろうかというふうに思うわけでございますので、この際、国民が待っているようなあるいは期待されるような住宅減税にしっかりと取り組んでいただけたら少しはいいのではないかなと思いながら提案をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。  住宅関連産業も、この不況の中で当初計画を非常に下方修正しながら一割から二割削減を打ち出し、土地や住宅の価格引き下げなどをして滞留している在庫を一掃する方針に転換しているということでございます。今期中に個人の顧客に売り切ると言い切っている業者もあるわけでございます。不動産経済研究所の発表では、首都圏の在庫マンションは既にもう一方戸を超えている状況、そして建設省がまとめた七月の新設住宅着工戸数は、年率換算で言いますと、百十万三百余りと十五年ぶりに非常に低水準になっているということでございます。  こういう中で、住宅関連産業では、土地はもう大変安くなっていて土地で利益を回収することはできない、土地と建物をセットで販売すれば土地の売却損を住宅の販売利益で補えるような状況かなと、非常に厳しいけれどもこうしてでも売り抜かなければならないというような状況で、大変よい住宅とかよい土地が手ごろなお値段で入る、いわゆる住宅を取得したいと願っている人たちには今は絶好の機会が来たのではないかというふうに思われるわけです。  そこで、その住宅取得を希望している人たちに対して側面から支えるための減税が必要だというふうに思うわけでございますけれども建設省はどんなふうに取り組む決意でしょうか。
  173. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) ただいま御指摘ございましたように、マンションの在庫は一万戸を超えていると言われております。また、着工戸数も十数年ぶりに年率換算で百十万戸少しの水準まで落ちてきております。巡航速度としては恐らく百三十万戸後半、百四十万戸前後は欲しいところだろうと思います。その意味では、やはり経済に対して相当足を引っ張っているのが現状であろうと思います。  したがいまして、これは鶏か卵かというふうな議論、景気がよくなれば住宅着工もよくなるという点はございますが、ただ政策的な面でできるだけの措置を講じて住宅が取得しやすい環境をつくるというのも政府の責任であろうと思います。そういうふうな観点からは税制につきましても相当程度やってきたという思いはございますが、やはりいま一度原点に立ち返って基本的なところに点検のメスを入れてみたいと思います。  そういうふうな文脈で考えたときには、一つには住宅政策の基幹的な減税制度でございます住宅取得促進税制、これにつきまして、例えば六年間の期間が限られておりますが、これをもう少し大幅に減税期間を延ばすとか、あるいは敷地が計算上算入されていないという点がございますが、これを計算上減税対象に加えるとか、いろんな点で拡充を検討したいと思います。  また、基本的な減税政策として今申し上げた促進税制、いわゆる税額控除方式でございますが、例えばアメリカあたりは所得から金利を控除するという全く違った方式をやっております。その場合に日本に当てはめたならばどういうシステムがあり得るのかということも含めて、基本的な税制のありようを点検してみたいと思います。  また、居住用財産の譲渡損失の繰越控除という制度が昨年できました。バブル期に買ったものを今売ろうと思ったらキャピタルロスが生ずるというときの損失をどうやってカバーするかということでございますが、それについて制度はできたのでございますが、例えば住民税が対象になっていないという点もございます。これについて新たに住民税も加えたらいかがかというふうな点等々を含めまして、住宅税制については基本的な点、残り一カ月、二カ月ございますので、思い切った手だてが講ぜられるよう努力したいと思います。
  174. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それらの政策をやるのにどのぐらいの財源が必要でしょうか。
  175. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 制度の仕組み方によりますので、なかなか減税額というふうなのはぴたっとした形では出しにくいんですが、たまたまの参考の数値として申し上げますと、促進税制減税規模は平年度で六千億を超えております。したがいまして、例えばアメリカ方式というふうなことで原理原則どおりアメリカでやるのと同じようなやり方をした場合、想定しますと恐らく現在の促進税制を大幅に上回る減税額になるんじゃないかと見込まれます。  ただ、くどいようでございますが、制度設計によって相当違いますので、断定的に申し上げるのはもう少し時間をおかしいただきたいと思います。
  176. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、平成年度促進税に関する予算額は六千百九十億円でよろしゅうございますか。
  177. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) ちょっと、手持ちの数字がございませんが、先生のおっしゃるような額じゃないかと思います。
  178. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大蔵省、来ておりますか。  消費税をこの住宅の取得に関してゼロ税率にした場合に、財源はどのぐらいといいますか、歳入減収はどのぐらいでしょうか。
  179. 福田進

    政府委員(福田進君) 御案内のように、消費税につきましては売り上げにかかる消費税額から仕入れにかかる消費税額を差し引いて納税する仕組みとなっております。  したがいまして、住宅取得費にかかる消費税、これを今先生はゼロ税率とおっしゃいましたが、これも同じでございますけれども、どういうふうにするのかと、こういうことでございますが、住宅にかかる売上高、仕入れ高等を求めなきゃいけないわけでございますが、このデータがないため、大変申しわけございませんが試算が大変困難であるということを御理解いただきたいと存じます。
  180. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 消費税が導入をされてもう十年近くなりますけれども、どの部門でどのぐらいの消費税がというようなこともわからないでしょうか。
  181. 福田進

    政府委員(福田進君) おのおのにつきまして、例えば国民経済計算で項目があるようなものとか、そういったものはできますが、具体的に、先生案内のように例えば食料品についてかつて出したことはございますけれども、そういった計数があれば漠としたものができますけれども、一口に、例えば家計調査におきましても住宅取得費に該当する項目がございません。それから、統計上の制約から、なかなかマクロ的に推計することが困難なわけでございます。  どういうことかといいますと、家計調査におきましては、住宅取得にかかる費用は消費支出の実支出ではございませんで、資産、負債の増減を伴います実支出以外の支出に区分にされているものと考えられますけれども、この実支出以外の支出の中には、土地、家屋、借金の返済という項目しかなくて、住宅取得費は把握できませんので、この辺の事情を、なかなか困難であるということを御理解いただきたいと存じます。
  182. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 住宅の場合は、新築のときには当然新築の認定を受けなければならないわけで、建設をされる住宅の数は、私もさっき百十万というふうに七月の新築着工戸数ということで言いましたけれども、こうした数とか、あるいは中古住宅の売買であるとか、マンションの売買というようなことで、販売をされる数に一定程度平均値というようなものを出して五%を算入するという形でおおむね出すことは可能かなというふうに思います。  もう一つは、住宅生産団体連合会では、住宅関連の総売上高が平成年度では二十七兆円、平成年度では二十二兆円と、消費税が五%導入されたために五兆円の売り上げが減っているということを言っているわけです。この二十二兆円に五%を掛けると大体一兆一千億ぐらいということで、消費税は一兆円に満たない金額かなというふうに思っているところでございます。  そういたしますと、建設大臣、今建設省が計画しておられるいわゆる住宅取得を促進する減税は、大まか七千億以上かかるんです。そういう状況の中で、住宅取得に関して、取得をする人の最終段階のところを五%なし、ゼロ税率にするという状況、例えば三千万円の住宅を購入した人は消費税を百五十万円払わなければなりませんけれども、今度建設省が打ち出そうとする減税政策は、そういう取得者のローンの残金がもし三千万ということになりますと、二百八十万円まで控除するというような制度になるというふうに思うわけでございます。  こういう制度をつくろうとする建設省ですから、この際、すべての住宅購入者が等しく恩恵を受けられる消費税のゼロ税率化という、住宅に限って景気浮揚対策として打ち出したら、私は本当に国民から大歓迎されるんじゃないかというふうに思うわけでございます。建設省がやろうとしているこの減税の金額と消費税をゼロにすることによって減る財源が似ている、金額的にもそう大きな差はないというところで、ぜひこういうことも一つ考えられる。  内閣の支持率を上げるというようなことからしても、今度の参議院選挙は非常に景気対策が争点と言われましたけれども、やはり消費税の改革は何らかの形でやらなければならないという国民の大きな願いが込められた選挙でもあったと思うんです。ところが、小渕総理の減税政策を早急に出せという要求の中にも、その消費税改革の項目は新聞を見る限りにおいては全く上がってきておらないという現状でございます。  そこで、私はこの住宅が、住宅産業も大放出をするというこのときに、思い切って、ウサギ小屋に住んでいる日本人と言われてきた、この日本人の住環境を一気に改善をしていくためには、住宅の売買に対しての消費税はこの際ゼロにするというぐらいな英断があったら本当に促進していくんじゃないかなと思いながら、きょう意見を述べさせていただいています。建設大臣、ぜひ閣議などの折にこんな意見もあったということをどうぞおっしゃっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  183. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 大体先生の御要望は、今まで福島潟にいたしましてもすべて聞いてきておるわけでございます。  答弁いたしますが、先ほど先生の御指摘の、上流部分の河川をきちんと直しても下の部分がだめだとかというような話がございましたが、それは上と下を同時に改修しなければ意味がないわけですから、それだけの予算、今概算してみますと大体五百億ぐらい足せばそれができるということで、今委員会でやっております。ですから、そのことはちゃんとやります。  ただ、消費税ゼロというのはちょっと難しい話で、これは住宅関係の減税措置というのはいろいろやっておりますから、私は消費税ゼロというのは、これは消費税全体の問題になりますから、住宅だけをどうこうするということは法律的には無理です。ですから、それは今の時点では私では無理でございますが、いずれにいたしましても住宅の売買、そしてまた取得を促進するという減税はあらゆる角度からやっておりますから、現時点においてはそれでひとつ御理解をいただきたいと思います。
  184. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 住宅だけは無理とおっしゃいましたけれども大臣賃貸住宅は消費税ゼロになったんですね。なっているんですね、これは法律によって。ですから、豪華な住宅を借りてすごい家賃を払っていて大金持ちでも消費税は免除されているという状況もありますので、ぜひよろしくお願いします。  本当にありがとうございました。
  185. 泉信也

    ○泉信也君 まず最初に、苫小牧東部地域開発問題についてお尋ねをさせていただきます。  この問題については、着工以来既に四分の一世紀を経過した大型プロジェクトでございますが、今千七百八十一億円の借入残高を持っておる、これからどうするか、これが大きな課題になっておるわけです。九六年度の年間収入が八億に対して利払いが八十七億、あるいは千七百八十一億円のうちの約一千億が利払いのための借入金だ、こういうことを承知しておるんですが、これは事実でございましょうか。
  186. 井上吉夫

    国務大臣井上吉夫君) 泉委員が御指摘になったような、およそそういう実態でございます。  資本金は六十億ばかりで、土地をどんどん取得した分はほとんど借り入れでございました。そして、それが計画どおり処分されなかった、売れなかった、したがって資金がずっと借金という形で積み重なってきて千七百八十一億の借入残高になっている、しかも金利に見合うだけの収入が現在のところ全くないという、お説のとおりの内容であります。
  187. 泉信也

    ○泉信也君 こういう状態に対して、長官の方では所信表明の中でも、これまでの反省を踏まえて再出発したいという意向を述べておられまして、現在の株式会社を一応整理して新しい会社を起こそうという御計画を進めていただいておると承知しておりますが、このような事態になった反省を踏まえてという言葉をもつと具体的に、責任はどう考えるか。役所だけでも十三省庁が集まって議論をしながら進めてきた、またこれまでの進め方についてはなかなか責任の所在をつまびらかにすることは難しいとは思いますけれども、この状態を長官としてはどういうふうにお考えでございますか。  その責任という観点からどんなふうに受けとめていらっしゃいますでしょうか。
  188. 井上吉夫

    国務大臣井上吉夫君) 泉委員の言われた責任論という形で議論を始めますと、このプロジェクトが始まって以来、当時の計画がいつのころからどう食い違ってきたのか。あるいは取得した土地がうまく売れなくなったというのは、当初の考え方、計画が全然実情に合わなかった。  となると、途中で必要な時期に改定計画というのをいつやればよかったのかということをずっとたどっていきますと、私はそのことを今短い時間でこの時期に最大の責任があったということを御説明するだけの時間も内容もつまびらかにしておりませんが、少なくとも当時、重厚長大型の苫小牧を活用しながら、これが北海道の発展のためだけでなくて日本全体の、いわば工業分散ということのためにこれしかないなという大事な場所の一つとして、国家プロジェクトとして組み込まれた。そして、一番最初から六十億の出資があったら、それが予定どおり土地が造成されて予定どおり処分されて収入がうまく入ってきて回転するということになれば、借入金がずっと膨れるわけではありませんからつじつまは合ったかもしれません。しかし、昨今の状態を見ますと、到底その当時の計画どおりの事業展開というのはもう実情に合わないというぐあいに考えます。  したがって、新しいこの地域の利用の仕方を考えるとすれば、これだけの大きな、千八百億近くの借入金を抱えて金利に追われ続けるという体質の中では、これはだれがやっても全くやる気をなくしてしまうほどの大変な借金でありますから、したがってこれは一たん清算をして新しい会社を起こしてそして進めるしかないなと。六千六百ヘクタールの広大なあの地域が、しかも陸海空のいわば交通の要衝としてのこういう地域は北海道だけでなくて日本全国の中でも得がたい土地である。となると、これをもうどうにもならぬということでほっぽらかしてしまったら、この貴重な土地資源なり場所というのがどうなるかわからぬ。だから、これはどんなことがあってももう一遍どういう利用の仕方があるかということを考えて、しかも同じような借金体質が膨れていくということにならないような計画を全体として組み立てる。  そして同時に、それを執行する人的体制も、一連の期間内の役員の数なり職員の数を一通り私なりに調べてみました。とてもこういう大変な人的経費を使っていったんでは、いい値段で売れて事業がずっと右肩上がりで行くときは別ですけれども、こういうバブルがはじけるという状態から急にもうどうにもならぬところまで来たというぐあいに考えるんです。  したがって、そういう状態の中からもう一遍この地域を本当に生かすとすれば、これは国も道もそして経済界もみんなでこれをすばらしい地域として生かしていこうでないかという合意を得て、そしてそれに見合ったそれぞれの出資を皆さん方に御了解いただいて新発足するしかない、新会社で立ち上がるしかない、私はこう考えて申し上げたわけです。
  189. 泉信也

    ○泉信也君 長官の御決意を伺いました。長官のお言葉にありましたように、日本にとっては最大の、あるいは唯一の来世紀に残された有効な地域だというふうに私も思います。ですから、これまでの責任体制を問うことも私自身は大切だとは思いますけれども、むしろ新しい会社をつくってこのプロジェクトを生かしていくためには同じ轍を踏まないような責任体制を明確にしていくということが大変重要なことだというふうに私は思っております。  北海道の経済が苦しいときに民間に負担をしていただく、あるいは北東公庫の改組の中で債権放棄をしていただく、大変難題がございますけれども、ぜひ目先の収入を得るために細切れな土地利用にならないように長官にお願いをいたしまして、この問題に対するお尋ねを終わらせていただきたいと思います。  長官、御決意だけ聞かせていただけますれば。
  190. 井上吉夫

    国務大臣井上吉夫君) 今まさに泉委員が言われたような考え方で、実は私は就任いたしましてから一週間足らずのときに北海道に飛びました。この問題があったからです。そして、自分で現地も見てまいりました。知事さんとも会いました。苫小牧の市長さんとも会いました。会社の社長さんとも会いました。財界の皆さん方とも話をしながら、まず第一は、これだけの大事な場所だから何とか生かそうじゃありませんかと。  そして、再び同じような轍を踏まないということのためにはどうなければならぬのか、そのことを私は役所内でもう何遍も何遍も議論して、十分つり合いのとれる支出以内で仕事をやっていく、まずそこから始めるということをポイントとして、そして先々細切れにならないようにそういう活用の仕方をねらってやっていきたい、こういうぐあいに思っています。
  191. 泉信也

    ○泉信也君 北海満ちから今度高速道路の問題をお尋ねさせていただきます。  道路公団の総裁、御出席いただきましてありがとうございました。  私自身は、いろいろな道路建設に対する批判もございますけれども、縦貫横断、日本の国道を構成する道路をさらに整備しなければならないという観点に立つものでございます。しかし、ことしの夏の日本ハイカの問題から、こうしたことが繰り返されることによって国民道路建設に対する支持をなくすことにつながるのではないかということを危惧するものであります。  けさの新聞も、お読みになったと思いますけれども道路公団関連二十五社が総額五億三千万円の税の申告漏れがあった。これは事実かどうか知りません。新聞報道です。    〔委員長退席、理事松谷蒼一郎君着席〕  さらに、昨日ですか、まさに公団の業務の中で、「八業務」というふうに書いてございますけれども、特定十九社に、いわゆる身内のファミリー企業に発注しておるというように新聞に報道がなされております。  総裁、こういうことは事実でございましょうか。
  192. 緒方信一郎

    参考人緒方信一郎君) ただいま御指摘のありました税の申告漏れの問題でございますが、そういう報道がありましたことは承知いたしておりますけれども、事実関係については私どもまだ承知をしておりません。そういう報道がございましたので、ただいま各社にそれぞれ照会をして調査しておるところでございます。  それから、委託事業の問題でございますけれども、これにつきましては、公団は本来、道路をつくりまして管理するというところまで全うしまして初めて高速道路がその機能を全うするわけでございますけれども、公団みずからが管理をするというところまでやりますと公団組織が大変肥大化いたしますので、当初から民間企業に委託をする、いわゆるアウトソーシングの方式をとっておるわけでございます。  ただ、だんだん事業が大きくなってまいりまして、非常に閉鎖性というようなことが批判をされるようになってきておりますので、競争性と透明性を確保するために、料金収受業務でありますとかあるいは維持修繕業務、保全点検業務につきましては計画的に競争方式を導入することで、現在、逐次実現しております。それ以外の委託業務がまだ若干あるわけでございまして、不動産管理業務ですとか有料駐車場業務等々で幾つかあるわけでございますが、そのことについてはまだ競争方式を導入していないわけでございますけれども、これらにつきましても、先ほどのハイカの問題の処理の方針の中で建設大臣からも御指摘をいただきまして、ともかく順次競争性を導入していこうということで取り組んでいきたいと思っているところでございます。
  193. 泉信也

    ○泉信也君 確かに建設大臣の御指示で公団も業務の改善に取り組んでおられることを承知いたしておりますが、今総裁がおっしゃいました、例えば料金収受業務に関しては具体的な公募型の指名競争入札制を導入するということで既に一部スタートしておられるんじゃないかと思いますが、具体的にどんな状況の変化があったんでしょうか。いわゆるファミリー企業と言われるようなもの以外の全くの部外の参入が実現しておるんでしょうか。
  194. 緒方信一郎

    参考人緒方信一郎君) 料金収受業務につきましては平成年度から実施をしておりますが、新規供用区間については平成年度から実施をいたしております。新規供用で六件実施をいたしまして、新たな会社が入札に参加した件数が三件でございまして、その三件とも落札をしております。    〔理事松谷蒼一郎君退席、委員長着席〕
  195. 泉信也

    ○泉信也君 もう一つお尋ねをさせていただきますが、日本ハイカに絡むいわゆる商法違反、特別背任事件が発生をしておるわけですが、この事件に照らして、今までの方式を変えたやり方を公団の方では提示しておられます。  これで本当に再発防止が可能なのか。代理店方式というのは日本ハイカの機能を代理店に置きかえただけではないか。今まで日本ハイカがやっておった機能を代理店に置きかえただけであって本質的な解決策にならないんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  196. 緒方信一郎

    参考人緒方信一郎君) プリペイドカードであるハイウェイカードの販売につきましては、従来日本ハイカという会社一社にすべて販売をお任せしてきたわけでございますけれども、そういうことがやはり今回の問題を発生しました一つの組織的な遠因になっているのではないか。そういう反省のもとで、競争性を導入しようということで幾つかに分散することを考えたわけです。  かなり信用力のあります大口のものにつきましては、直接私ども日本道路公団の方からハイウェイカードを交付して販売してもらう。それから、大体今現在二千七百ぐらいの店を相手にしまして末端二万七千ぐらいの店舗で販売が行われております、日本ハイカでやっている場合ですけれども、細々したものにつきましては^どうしても公団から直接というのはなかなか管理できませんので、間にいわゆる卸売業者のようなものに入ってもらう必要があるだろう。それを一社でなくて複数の卸売業者に入ってもらってやろうということで、直売方式とそれから卸売方式と二本立てでやっていこう、卸売方式についても複数でやっていこうということで競争性を導入していくということでございます。  あわせまして、公団のチェック体制というものを強化しようということで、やはり今回の問題もそういうチェック体制が足りなかったんじゃないかと反省しておりますので、これも強化してまいりたいというふうに考えております。
  197. 泉信也

    ○泉信也君 これはまた推移を見なければならないと思います。本当にこういうやり方がおっしゃるように透明性があって効率的であるかどうかということは少し推移を見ながらまた議論させていただきたいと思います。  そこで、日本ハイカ事件では、再販売店の選定に際しまして、公団に政治家あるいは官僚、役人から何らかの働きかけがあったのではないか、読売新聞の報道ですと明らかにそういう行為があったというふうに報道されておりますけれども、この事件について具体的に公団に何らかの働きかけがあったんでしょうか。
  198. 緒方信一郎

    参考人緒方信一郎君) 本年九月二日付の読売新聞の記事に、ただいま御指摘がございましたように、いわゆる口ききがあったのではないかという記事がございました。早速私どもの方で、当時の関係者、当時というのは契約当時は平成六年でございますが、いろいろ関係者に直接聞き取りをいたしました。その結果、公団から日本ハイカに対しまして、いわゆるケイエス・プランニングという会社との契約に関して具体的な指示とか依頼を私どもの方から行ったということはないわけでございます。  ただ、平成六年の九月二日に、釜本スポーツ企画が日本ハイカと契約したいのでだれか紹介してほしいという話をさる役所から通じて聞いて、事情がよくわからなかったので、ハイカの方にこれはどういうことだということで照会した、こういう事実はございます。
  199. 泉信也

    ○泉信也君 今総裁の御答弁の中に、さる役所からというお話がございました。何らかの圧力と言っては言い過ぎかもしれませんが、動きがあったということは明らかになったと思います。  さきに参議院の法務委員会で自由党の平野議員が本件に関しまして幾つかの質問をさせていただいておりますが、その中で、この件で逮捕されました中道被告が書いたと言われます衆議院議員の名前が記載されたと報道されております念書が東京地検特捜部に押収されているかといったやりとりがなされたわけであります。  再度確認をさせていただきますが、念書の存在については、今の時点でこういう念書の存在があったという報告を受けておられますでしょうか、法務省の方、お答えいただけますか。
  200. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 日本ハイカの事件につきましては、九月一日に強制捜査に入りまして、九月二十一日に、今お尋ねの二名、松村及び中道ですが、東京地方裁判所に特別背任で公判請求しております。  具体的事件が公判にかかわっているわけでございまして、お尋ねの内容はそうした具体的な事件の内容そのものにかかわりますので、現在段階でも、その有無あるいはその内容についてお答えいたしかねるところでございます。
  201. 泉信也

    ○泉信也君 この事件では、建設省の資料でも、約二十七億円の使途先不明の金が生じておるというふうに言われておるわけであります。  もっと詳しくお尋ねをしたいわけですが、最後に建設大臣にお尋ねをいたします。  私が一番最初に申し上げましたように、道路事業をさらにしっかりやっていただきたい、また道路公団初めいろんな立場の方々がその思いでやっていただいておると思いますが、こうしたスキャンダラスな事柄が次々に出てまいりますと、どうも国民の支援をいただけなくなる。政治家あるいは官僚が介入をする余地がたくさんあるというような印象を国民に与えるということは大変まずいと私は思うんです。  ジャーナリスティックに言えば、道路予算を食い物にしておると、そういう世評には建設大臣としてさらに徹底した指導をやっていただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  202. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 日本ハイカの問題でございますが、日本道路公団に対しまして、とにかくもっと透明性、それと競争性というものを入れて組織を直すように指示いたしまして、九月七日に公団総裁から、一つの方法として、信用力のある大口の販売者に対しましては公団が直接販売をするようにする、それからこのカード自体をつくっておりましたのも日本ハイカだけでございましたから、そういう一社とするところにも問題があるだろうというようなこと、また代理店も複数代理店体制のもとでの販売とする、いわゆる日本ハイカだけではなくして、そういうものを複数にするというように直してまいったところでございます。それともう一つは、後払い制度をするからこういう事件が起こっておるわけですから、またそういうところにいろいろな第三者から疑われるようなことが起こってきまずから、後払い制度というものは今後やらないようにというふうに指示を出したところでございます。  先生がおっしゃられますように、内部のものでいろいろな道路関係の事業をやっていくというところは問題があるわけでございますから、パーキングエリアの利用にいたしましてももっと民間の方々にチャンスを与えるということもするように指示を出しております。  こういうことが今後起こらないようにとにもかくにも私は、泉委員のおっしゃるように私の政治家としての指導で今一生懸命やっておりますから、もうそうそうこういうことも起こらぬだろうと思っております。余りこういうようなことが起こりますと私も本当に責任をとらないとと思っております。そういうようなことはさせないでくれということを役所の中でも言っておりますから、襟を正して綱紀粛正ということはやらせていきますので、ひとついましばらく見守ってやっていただきたいと思います。
  203. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。
  204. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 二院クラブ・自由連合の島袋宗康でございます。  建設省に対して質問をしたいと思います。  駐留軍用地強制使用に関する沖縄県収用委員会への一部却下裁決に対する那覇防衛施設局による建設大臣への不服審査請求の件について、次の諸点についてお尋ねしたいと思います。  まず、その受理の日時、それから現状がどうなっているのか、また今後の審査手続の手順、いつ結論を出す予定なのか、その四点についてお伺いしておきたいと思います。
  205. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 御指摘の審査請求につきましては、既に御承知かと思いますが、六月十七日付で建設大臣として受理しておりまして、沖縄県の収用委員会に弁明書を求めまして、委員会の方からは八月十日付で弁明書が建設省に届いております。あわせて、那覇の防衛施設局長にそれに対する反論書を求めておりまして、これにつきましては施設局長から九月二十五日付で反論書が提出されている、こういう流れでございます。  今後は駐留軍用地特別措置法、いわゆる特別措置法と申しておりますが、その十四条において適用されます土地収用法第百三十一条第一項に基づきまして公害等調整委員会への意見聴取を行いたいと考えております。また、あわせて提出された書類等に基づき、公正に審査をしていきたいとしております。  結論的には、審査庁といたしまして今後今申し上げました公正な審査を行うというのがまず第一前提でございますけれども、裁決につきまして明確な時期を現在お示しするまだそういう状況ではございませんが、可能な限り速やかに処理していきたい、こう考えております。
  206. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 大体見通しとしてはいつごろになるかお聞きしたいと思います。
  207. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 今申し上げましたような手順でございますので、私はこの段階でいついっと申し上げるのはあれだと思いますが、最後に申し上げましたように可能な限り御趣旨を踏まえて速やかにやっていきたい、こう思っております。
  208. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ちょっとその件で建設大臣にお伺いします。  先日の所信表明の中で行政改革の推進についてお触れになっております。そこで、規制緩和、地方分権、地方支分部局への権限の委任を含めて行政改革の実を上げるというふうなことをおっしゃっております。そこで、その件について全力を挙げるということを述べられておりますけれども、私はその精神を先取りしていただいて、そして今申し上げました駐留軍用地強制使用に関する沖縄県収用委員会の判断を最大限に尊重するような立場に立っていただきたい、そういうことについて大臣の御所見をお願いします。
  209. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) このことにつきましては私も調べさせていただきましたが、平成十年の六月十七日に防衛施設局長から建設大臣の方に審査請求が参っております。それからの手続につきましては先ほど御報告があったようでございますが、弁明書の提出それから反論書の提出、そして意見聴取を行いまして、それがまた公害等調整委員会から私あてに意見回付が参りまして、それから裁決ということになるわけでございますから、その過程におきまして先生の御趣旨、私の当初の考え方を十分に入れてこの問題を解決していきたいと思っております。
  210. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ぜひ沖縄県の立場に立って地主の意向を尊重して判断していただきたいというふうに願っておきます。  次に、環境庁はいらっしゃいますか。  米軍厚木基地に隣接する民間の産業廃棄物処理施設の排煙問題で、米軍の調査によって大気中のダイオキシンが日本の指針値を大幅に上回った上、日本の測定値と十倍以上の開きがあることが報じられております。この問題については先日の本委員会でも同僚議員によって取り上げられました。  私はまず、何ゆえ日米双方の測定値に十倍以上の差が生じたかという点と、それから何ゆえ日米双方で物議を醸さないために合同調査をしなかったのか、その二点についてお伺いします。
  211. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) お答えいたします。  まず、技術面の問題でございますが、日本と米国で試料を採取したダイオキシン類の分析方法については大きな差異はなく、日本の測定分析のレベルが米国方式に劣っているということはまずないと考えております。  そして、ではどうしてそういう差が出たのかということでございますが、過去の米軍の調査結果と日本側調査結果とが異なる一つ原因は、双方の試料採取方法に異なることがあったということでございます。そしてもう一つは、米軍が毒性等換算値、ダイオキシンというのは異性体というのが二百十ございまして、それを全部換算していって一つの代表的なものに置きかえていくわけですが、この換算値を国際的に用いられていない方式で推定したことなどによって日本側と米軍の過去の測定結果を直接比較することが困難でございました。  そして、この前大臣も答えているとおりでございますが、このため当該地域の大気環境現状につきまして日米双方が共通の認識を持てるよう、昨年九月、厚木基地内において日米共同で測定地点及び試料採取時間を統一して調査を行ったところでございます。現在、日本及び米軍双方の調査データの比較分析を行っているところでございまして、日米合同委員会のもとに設置されています環境分科委員会において早急に調査結果をまとめたいと考えております。  以上でございます。
  212. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 これは朝日新聞なんですけれども、米軍の調査、日本の調査でダイオキシンの差が十倍もあると、こういうような報道をされています。これはもう三十日のことですから、そういったふうな答えを、やはり新聞にこれが出ないような形でちゃんと整理をしてもらってやらないと、国民はみんなこれに惑わされますよ。  また、これが事実だというふうなことになってくると、私は非常に懸念するのは、この問題で政府は、有害物質は規制基準内だというふうなことを前にもお答えあったんですけれども、そういった基準内でありながら、いわゆる閣議で民間の産廃施設を全額国費で改修する異例の決定をしたというふうな報道がなされております。それはどういうことなのか、その理由を伺いたいと思います。
  213. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 政府といたしましては、現地調査を行いました結果、当該地区の大気環境現状は改善が必要であり、特に民間の焼却炉から排出ガスが風向きによっては住宅に直接吹きつけるという類例のない状態にあることを踏まえまして、日米安保条約及び日米地位協定に基づき提供している厚木海軍飛行場のより安定的な使用を確保するとの観点から、米軍家族住宅地区の大気環境を保全するため政府として必要な措置を講ずることにつき、今月の十八日に閣議了解を行ったところでございます。
  214. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 先ほどの説明によると、今双方とも調査の結果を突き合わせているというふうな状況であるにもかかわらず、今の答弁というのはおかしいんじゃないですか。もう一遍お答えください。
  215. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 我が国に駐留いたします米軍の施設・区域の安定的な使用を確保し、その円滑な活動を確保することは、日米安保条約の目的達成の上で不可欠でございます。  かつ、ただいま申しましたような類例のない状況におきましてかかる措置を行うということは、日米安保条約及び地位協定に基づき我が国が米国に提供している厚木海軍飛行場の提供に関連して必要となった措置でございます。
  216. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 環境庁はまだ結論も出していないんですよ。それを防衛庁が先取りして、しかも民間の事業者に対して公金を使うというのはおかしいんじゃないですか、それを言っているんです、どう考えるかということで。もっと環境庁も防衛施設庁も本当に調査をして、これは税金を投入していいということならまだ話はわかるけれども、結論も出していない、突き合わせ中の事態にこういった公金を使うということが私は税金のむだ遣いじゃないかということを言いたいわけです。もう一遍答えてください。
  217. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 繰り返しで恐縮でございますけれども……
  218. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 同じことならいいです。  私は、これは非常に問題だと思っておりますので、ぜひ環境庁あるいはまた防衛施設庁、もっとしうかりした、国民に納得のいくような説明ができるようにしてください。これは納得いきません、私は。
  219. 守屋武昌

    政府委員(守屋武昌君) 本件につきましては、平成七年から平成九年にかけて現地を政府として調査いたしております。  当該地域周辺の現状につきまして、当該地区で行った大気環境調査では、環境基準で定めるすべての汚染物質が基準に適合していましたが、ダイオキシン類については基地内で最大二・四ピコグラムとなっておりまして、環境庁が生涯にわたる健康影響の未然防止の観点から制限目標として定めている大気環境指針、〇・八ピコグラムを超える値が見られた、こういうことでございます。
  220. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それにしても、環境庁と防衛施設庁はもっと精査して、公金を使うなら使うと、国民が納得いくような支出であればよかったんですけれども、どうも納得いきません。  私は、先日の本委員会でも取り上げました米軍嘉手納基地におけるPCB汚染の問題について再度お尋ねいたします。  去る九月二十八日に同基地を訪れた政府調査団に対して、米国の専門家チームが十月十三日に来て調査を行うということを同基地第一八航空団司令官が調査団に伝えたとのことであります。  外務省は、米国調査チームの来日調査日時についてどういうふうなことで理解しているのか、受け取っているのか。あるいはまた、現地の米軍司令官から聞かされて私たちはわかっているんですけれども、外務省としてはどういうふうなことで調査団が派遣されるということをおわかりですか。
  221. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) ただいま委員指摘の、一九六〇年代から七〇年代にかけて嘉手納飛行場のある地点にPCBが投棄されていた旨の報道が行われた問題につきましては、去る九月二十日の日米安全保障協議委員会、これはニューヨークで開かれたものでございますが、その際に米側から、日本からの要請を真剣に受けとめ、報道されているような嘉手納飛行場におけるPCB汚染地点があるかどうかを調査するため国防省の専門家チームを現地に派遣する旨の説明がございました。これは九月二十日のことでございます。その当時、派遣時期に関しましてはできるだけ早い時期に派遣したいということでございました。  先ほど先生がお述べになりましたとおり、九月二十八日に下地沖縄開発庁政務次官を団長といたします政府派遣団一行が同飛行場を訪問しました際に、米側関係者より、まだ具体的日程が決定しているわけではなく検討中であるとしつつも、例えば十月十三日という案もあるけれども、十月中旬には派遣されるであろうという旨の説明が現地において初めてあったということでございます。  いずれにいたしましても、まだ具体的な日程が決定しているという段階ではないと承知いたしております。
  222. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それで、十月十三日に、これは予定であるということで説明を受けておりますけれども、その際に、やはり日本側が合同調査をぜひ行うべきである。そうでないと、厚木基地みたいに米軍の調査と日本の調査が全く食い違っている、十倍の差があるというような状況になりかねない。ですから、どうしてもこれはアメリカの視察団と一緒になって日本側もちゃんと環境調査をやるというような姿勢を相手に伝えて、ぜひ共同で調査ができるような体制をつくっていただきたい、これはどう考えますか。
  223. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) アメリカ側の説明については、先ほど申しましたとおり嘉手納飛行場のPCB汚染があるかどうかにつきまして調査を行うということでございまして、その調査の一環としまして、嘉手納飛行場内及びその周辺に在住する沖縄の住民の方々等の潜在的な健康への危険についても調査をするということとしているそうでございます。さらに、調査の過程で適当な場合には、大気、地表水、飲料水及び地表の土壌のサンプル調査も行うものと承知いたしております。  我が国政府関係者の何らかの立ち会いということにつきましては、それが可能となるよう米側と調整を図ることといたしたいというふうに考えております。  他方、御指摘の日米共同調査という点につきましては、この米国の専門家チームが科学的な観点から調査を誠実に実施するものというふうに承知いたしておりまして、米側の責任において実施される本件調査の進捗を見守ることといたしたいというふうに考えております。
  224. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 その点について外務省はいらっしゃいますか。  これは食い違ってはいけませんので、ぜひ共同調査が実施できるような申し入れを厳重にしていただいて、これは沖縄県内の、しかも我が国のいわゆる環境の問題ですから、やはりその点は十分配慮していただいて、ぜひ合同調査をして同時な認識に立たないと、食い違ったようなことでは私たちが納得いきませんので、ぜひ合同調査を実施していただきたいということを要望して、時間でありますので終わります。  ありがとうございました。
  225. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  226. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 地球温暖化対策推進に関する法律案を議題といたします。  本案につきましては、去る九月二十四日に質疑を終局しております。  本案の修正について緒方靖夫君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。緒方靖夫君。
  227. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、議題となっております地球温暖化推進法案に対し、修正の動議を提出いたします。  お手元に配付されております修正案の内容の説明に入る前に、修正案提出の理由とも関連する政府提出法案の問題点について、簡単に発言いたします。  政府提出法案は、京都議定書の詳細規定が検討途中であるとして、法制化の過程を見れば明らかなように、大幅に後退したものとなっております。議長国としての国際的責任というならば、ほかの先進国に先駆けて京都議定書で約束した六%削減を履行できる法案とすべきであり、それは世界第四位の二酸化炭素排出国である日本政府の国際的責務であります。我が国の二酸化炭素排出量の内訳は、企業部門等が約八割、家庭部門は約二割と言われており、最も多く排出している部門での効果的対策のいかんが今法案のかなめとなるべきであります。ところが法案は、産業界や通産省の強い抵抗で、事業者の都道府県知事への排出削減計画の提出義務や指導、勧告、命令等の規制規定がなくなり、企業部門での実効性が極めて乏しいものとなっております。  以上のような政府提出法案に対して、温室効果ガス削減の実効性の上がる内容を盛り込んだ修正案を提出するものです。詳細な説明はお手元の案文を見ていただくとして、修正案の趣旨を簡潔に御説明いたします。  第一に、COP3の議長国として、京都議定書で約束した六%削減を締結に先駆け国内措置で履行できるようにするため、政府が総排出量の削減に関する目標、総排出量の削減のための施策を明記した温室効果ガスの排出の削減等地球温暖化対策に関する基本方針を策定するものです。  第二に、地球温暖化防止の目的を最優先課題として達成するため、エネルギーの使用の合理化に関する法律の基本方針等ほかの法令の規定する基本方針は第一に指摘した基本方針と矛盾し、または抵触するものであってはならないと規定し、この法案における基本方針の上位性を明確にするものです。  第三に、政府の温室効果ガスの排出の削減等地球温暖化対策に関する基本方針を着実に達成するため、都道府県知事が住民も参加した総排出量削減計画策定協議会の意見を聞きながら総排出量削減計画を定めなければならないと規定し、住民参加による温暖化防止と地方公共団体の取り組みの一体性で排出削減の実効性を確保するものです。  第四に、京都議定書で約束した六%削減を抜け穴に頼らず履行するため、一定の要件に該当する工場または事業場を都道府県知事が指定し、削減計画の提出義務と知事の事業者に対する指導、助言、公表、命令等の規制措置を規定することで、国内措置による削減を担保するものです。  以上が本修正案を提出する理由とその趣旨であります。委員各位皆様の御賛同をお願いいたしまして、趣旨説明を終わります。
  228. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) これより原案及び修正案について討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに地球温暖化対策推進に関する法律案について採決に入ります。  まず、緒方君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  229. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 少数と認めます。よって、緒方君提出の修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  230. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。.小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川勝也君。
  231. 小川勝也

    小川勝也君 私は、ただいま可決されました地球温暖化対策推進に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地球温暖化対策推進に関する法律案に     対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点につ  いて適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを  期すべきである。  一 京都議定書で定められた我が国の温室効果   ガスの排出削減目標の達成に向けては、排出   量取引等の国際的制度は目標達成に当たって   補完的なものであるとされていることに留意   し、また、過大な吸収量を見込むことは温室   効果ガスの排出削減努力を損なうおそれがあ   るとの指摘があることを踏まえ、本法を始め   国内における温室効果ガスの排出削減対策の   整備推進に力を傾注していくこと。  二 地球温暖化対策に関する基本方針について   は、地球温暖化防止行動計画についてなされ   ている様々な指摘を踏まえ、各主体が真に削   減効果の上がる対策を講ずることとなるよう   に、国民の意見を広く聞きながら、その内容   を厳密に定めること。  三 温室効果ガスの排出削減のためには事業者   の果たすべき役割が大きいことにかんがみ、   その事業活動に関する計画の策定・公表が促   進されるよう積極的な支援を行うとともに、   計画の実施状況についての把握に努めるこ   と。  四 国民一人ひとりの温室効果ガスの排出削減   努力を促していくため、京都議定書及び本法   の趣旨の周知徹底、普及・啓発等の一層の推   進を図るとともに、製品についてその利用に   伴って排出される温室効果ガスの排出量など   各般にわたる情報の収集・公表に努めるこ   と。  五 全国及び都道府県地球温暖化防止活動推進   センターについては、国民・住民の協力・参   加を求めて運営されるよう必要な措置を講ず   ること。  六 京都議定書の早期発効に向けて積極的なイ   ニシアティブを発揮するとともに、吸収量の   取り扱いや排出量取引等の国際的取組に関す   るルールづくりに当たっては、これらが各国   の温室効果ガスの排出削減措置の「抜け道」と   ならないよう、その国際的な交渉にリーダー   シップを発揮すること。  七 京都議定書の実施に対応した温室効果ガス   の排出削減ができる法制度を早急に構築する   こと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  232. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  233. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、真鍋環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。真鍋環境庁長官
  234. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。
  235. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十分散会      ―――――・―――――