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1998-09-22 第143回国会 参議院 交通・情報通信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月二十二日(火曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員異動  九月二十一日     辞任         補欠選任      川橋 幸子君     伊藤 基隆君  九月二十二日     辞任         補欠選任      伊藤 基隆君     川橋 幸子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小林  元君     理 事                 加藤 紀文君                 景山俊太郎君                 寺崎 昭久君                 森本 晃司君                 渕上 貞雄君     委 員                 岩城 光英君                 鹿熊 安正君                 田中 直紀君                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 山本 一太君                 若林 正俊君                 伊藤 基隆君                 内藤 正光君                 鶴岡  洋君                 筆坂 秀世君                 宮本 岳志君                 戸田 邦司君                 岩本 荘太君     国務大臣        運 輸 大 臣  川崎 二郎君        郵 政 大 臣  野田 聖子君     政府委員        運輸政務次官   林  幹雄君        運輸大臣官房長  梅崎  壽君        郵政大臣官房長  高田 昭義君        郵政省郵務局長  濱田 弘二君        郵政省貯金局長  松井  浩君        郵政省簡易保険        局長       足立盛二郎君        郵政省通信政策        局長       金澤  薫君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        郵政省放送行政        局長       品川 萬里君     事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査  (運輸行政の諸施策に関する件)  (インターネット普及促進不正利用対策に  関する件)  (放送デジタル化と今後の課題に関する件)  (情報通信基盤整備における日米格差我が国  の対応に関する件)  (中央省庁再編郵政行政の在り方に関する件  )  (Vチップ制導入の是非に関する件)  (北海道グルメ会の郵便局における販売活動に  関する件)  (郵便事業収支悪化料金据置きに関する件  )  (郵便貯金事業の今後の運営方針に関する件)  (電気通信料金地域間格差是正に関する件)     —————————————
  2. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通情報通信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、川橋幸子君が委員辞任され、その補欠として伊藤基隆君が選任されました。
  3. 小林元

    委員長小林元君) 運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査議題といたします。  運輸行政の諸施策に関し、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。川崎運輸大臣
  4. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) このたび、運輸大臣を拝命いたしました川崎二郎でございます。  委員長を初め委員の諸先生におかれましては、日ごろから運輸行政推進に格段の御理解と御支援をいただき、厚く御礼を申し上げます。交通情報通信委員会の開かれるこの機会に、一言ごあいさつを申し上げる次第でございます。  運輸行政は、国民生活と密着しており、豊かで活力のある社会を築き上げていくために期待される役割はまことに大きいものがあると考えております。このため、運輸省としては、来るべき国土交通省への再編も見据えながら、二十一世紀にふさわしい総合的な交通行政実現に向け、陸海空にわたり整合性のとれた交通体系の形成と安定的で質の高い交通運輸サービスの提供を目指して、各般にわたる施策実現に積極的に取り組んでまいる所存でございます。  その際、交通運輸分野においては、安全性確保を図ることが基本的課題であること、また、災害対策にも万全を期する必要があることを念頭に置いてまいりたいと考えております。  また、国鉄長期債務問題につきましては、国鉄改革の総仕上げの観点から先送りの許されない最重要課題であります。この処理のための所要法律案を引き続き今国会において御審議いただいているところであり、今後、本格的処理実施に向け、懸命の努力を払ってまいります。  なお、平成九年秋以降、特に我が国経済は厳しい景気低迷に直面しております。これらの状況を打開するため、運輸省としましては、八月三十一日に提出いたしました平成十一年度予算概算要求において景気対策につながる所要施策を盛り込んでおり、また、十月末までに具体的内容をまとめる景気対策臨時緊急特別枠についても、今後、具体的内容検討を進めてまいる所存でございます。  運輸行政をめぐる課題は山積しておりますが、現下の厳しい景気浮揚を図り、国民行政に対する信頼を確保しつつ、機を失することなく果敢に諸課題の解決に取り組んでまいる所存でございます。  委員長を初め委員の諸先生の絶大なる御支援と御指導を心からお願い申し上げて、ごあいさつといたします。(拍手)     —————————————
  5. 小林元

    委員長小林元君) この際、林運輸政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。林運輸政務次官
  6. 林幹雄

    政府委員林幹雄君) このたび、運輸政務次官を拝命いたしました林幹雄でございます。  豊かさとゆとりを実感できる国民生活実現する上において、運輸行政の果たす役割は極めて重要なものがあると考えております。この重責を全うすべく、運輸をめぐる諸課題に積極的に取り組んでまいる所存でございます。  委員長を初め諸先生方の御支援と御指導を心からお願いを申し上げまして、あいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍手)     —————————————
  7. 小林元

    委員長小林元君) 運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 質問に入る前に、野田郵政大臣には、はつらつとして元気いっぱい御活躍をいただいておることについて、心から敬意を表したいと思います。今後とも、御健康で一層の御活躍をお祈り申し上げ、御期待申し上げます。  それでは質問に入らせていただきますが、まず初めに、郵政大臣に昨年大議論となった行政改革についてお伺いいたします。  当時、郵政事業民営化なくして行政改革はないとの議論がいろいろとなされておりました。しかし、なぜ郵政事業民営化が必要なのか、国民生活、特に地方人たち生活に必要不可欠な存在となっている郵便局民営化国民にとってどのようなメリットがあるのか、全く理解しがたい議論でありました。  私は、郵政事業国営として守り、さらに国民の利益のために情報通信と一体となって郵政事業改革し守ることが真の行政改革と考え、多くの参議員とともに努力をさせていただきました。そして、大議論の結果、やはり郵便局国営にということになりました。このことは私は非常に重く受けとめられるべきだと考えております。  そこで、郵政大臣にお伺いいたしますが、今回の改革の中で、郵便局制度はどのように改善されるのかお尋ねいたします。また、郵政省の中で郵便局制度のより一層の改善についてどのようなビジョンを持っておられるのか、具体的にお聞かせ願いたいと思いますので、よろしくお願いします。
  9. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) ただいま御質問ございました行政改革の結果として、このたびは中央省庁等改革基本法というのが国会の方で成立しているわけでございます。  振り返ってみますと、行政改革議論の中では、郵政事業民営国営かという大きな議論、さまざまな御意見国民各界各層から寄せられたことを思い出しました。その中で、やはり大変心強かったのが、国民利用者の多くの方たちが、国営事業としての郵便局存在が非常に親しみやすい、使いやすい、親切である、便利であるといったような御評価をいただいた結果、基本法の中に盛り込まれている内容としては、郵政事業につきましては国民生活に不可欠なサービス全国あまねくそして公平に提供するという国営事業基本を維持しながらも、なおかつ自律的また弾力的な経営が可能になっていく。さらには、郵便貯金資金が今のような資金運用部への預託が廃止されて、そしてその全額が自主運用となる。そういうことで、郵政事業につきましては、もっともっと主体的で創造性に富む柔軟な業務運営ができることが可能になってくるのではないかと思っています。  そんな中で、じゃ具体的にはどういうことをしていくべきか。まずは、今申し上げたように、国民利用者のそういう支援があったことを忘れずに、さらにやはり利用者にとってそのニーズに沿ったようなものをサービスや商品の開発をしてまいりたいと思います。  あわせて、郵便局は御承知のとおり全国に二万四千六百という大変大きなネットワークを持っています。そのネットワークを広く開放して、民間運送事業者の方、または民間金融機関と提携してより便利な暮らしを導いてまいりたい、そういうふうにも考えております。  さらには、やはり国の機関として一番身近なものということを改めて考え直す中で、公的な役割、例えば高齢化社会に向けてとか福祉、防災について、具体的にこれは三事業とは別な、いわゆる第四の仕事になってくるのかもしれませんけれども、そういうものにも積極的に取り組んでまいりたい。  具体的には、ひまわりサービスのように過疎地のお年寄りの方に声かけとかさまざまな配達サービスをしていることも既にありますし、将来的には、ワンストップ行政サービスを今実験中ですけれども、身近な郵便局に行けばさまざまな行政サービスが一括して行われる、そんなようなことを今現在考えているところで、ますます情報・安心・交流の拠点として郵便局地域に根差していきたいということを考えているところでございます。  よろしくお願いします。
  10. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 どうもありがとうございました。  次に、現在中央省庁等改革推進本部において各省設置法等検討作業が進んでいると聞いております。  郵政省の中でも、郵政事業外局化などを含めたさまざまなテーマについて議論検討がなされておるものと思いますけれども、現段階においてその作業状況についてお伺いいたします。
  11. 高田昭義

    政府委員高田昭義君) ただいま先生の方からお話がございましたように、現在、政府におきましては中央省庁等改革推進本部を中心に、来年四月ごろを目途にいたしまして、内閣法国家行政組織法各省設置法等関係法律につきまして成案を得て国会に提出をする、それからまた、これにあわせまして、行政の減量・効率化のための事務事業見直し及び計画の策定を進めることとされておりまして、郵政省におきましても、現在、推進本部方針に沿いまして基本法内容を具体化すべく検討作業を行っているところでございます。  具体的に申し上げますと、郵政事業に関しましては、まず、基本法におきまして、郵政事業企画立案及び管理を所掌する内部部局及び郵政事業実施に関する機能を担う外局である郵政事業庁を設置することとされております。  その際、私どもといたしましては、国民利用者ニーズに的確にこたえられる郵政事業運営体制を構築するということが非常に大事だと思っておりまして、そういう観点から、現在本省が行っております事務企画事務実施事務に区分する検討、また本省地方との事務の配分というものが従来どおりでいいかどうかというようなことの見直しも行っております。  また、行政に関しましては、電気通信行政及び放送行政に関しまして、現在の通信政策電気通信放送行政の三局を二局へ再編成することとされております。その際、今後の情報通信分野発展動向がどうなっていくのかということが大変重要だと考えておりまして、そういう観点から今後の重点的な行政課題なり、あるいは行政需要動向というようなことについての検討を行いつつある状況にございます。
  12. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 どうもありがとうございました。  さて、先日、野田郵政大臣から所信をお伺いいたしました。とりわけ、小渕内閣最大課題である経済再生について、長期化する景気低迷国民の多くは公共事業、特に新産業を創出する情報通信基盤整備に大きな期待をしており、率先して取り組もうという大臣の意気込みが感じられ、感銘を持ってお聞きいたしておりました。  そこで、経済再生に向けて郵政大臣としてこれが目玉という施策がありましたら、その内容を具体的にお伺いいたしたいのであります。また、十月中にまとめられる景気対策臨時緊急特別枠具体的内容につきまして、現時点で話せるものがありましたらお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
  13. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 小渕内閣最大課題というのは、やはり経済再生ということが言われております。そして、それぞれの与えられた役割の中で、総理が望んでいらっしゃることは、即効性があるものを具体的にやはり出し上げなければならないということだと私は理解しました。  そこで、郵政省におきましては、皆様方に御協力、御支援いただいている情報通信分野を、今までもさまざまな技術開発研究とかやっておりましたけれども、その中でも特にすぐに実用化できるとか、または広く他の産業に役立てるとか、そういうものを今回、デジタル革命という言い方は大げさかもしれませんけれども、そういうものに主眼を置いてかなり絞り込んで予算等を今お願いしているところです。  特に、私たちは、具体的には、新規産業を生み出したい、そしてそこからまた雇用を新たに創出したい、さらには二十一世紀に向けて発展基盤整備をしなければならない、さらには少子化高齢化にきちっと対応できるものをつくり上げていきたいという三つの柱を持って情報通信高度化に向けた政策展開をほかの省庁と連携して今取り組んでいるところであります。  具体的にということでございますけれども、平成十一年度の概算要求におきましては、特別枠をちょうだいしておりますのでその特別枠の要望の幾つかを申し上げますと、例えば今急速にふえ続けているインターネットに対して、もっともっと速く、そしてたくさん、容量の大きい次世代のものにする。これはゆえに使う方の便利がよくなるということなんですが、そのための研究開発をさせていただきたい。  さらには、高度道路交通システムというのがございます。これはITSと呼ばれているんですけれども、それの実績の一つにはVICSというのがございます。車の中にカーナビゲーションシステムがついていて、それに付加価値サービスとして行政の方の渋滞情報などを瞬時に送り込んでドライバーの方たちが渋滞した道路を迂回していただけるとか、そういうようなことをもう既にITSは実用化しておりますが、これからはさらに、そういう情報通信を利用して、高速道路料金所なんかをカードを使ってとまらずにドライブスルーできるような、そんなようなことを実用化して新たな産業を生み出していきたい。  さらには、放送デジタル化というのがございまして、これはもう既に御承知のとおり、通信もその前のコンピューターの方もデジタル化されていますが、いよいよこれは世界的に放送テレビの方もデジタル化に入ってきているわけでして、またそのデジタル化されることによってさまざまな今までにはできなかったテレビを通じてのコンテンツ、いろいろな変わった中身の毛のがつくっていけるだろう、そういう市場が広がっていくという期待があるわけでございます。  さらには、公共においても、やはり社会経済全体の情報化起爆剤としてどうしても公共分野電気通信システム開発していかなければならない。さらには、そういうことを踏まえて、地方公共団体へもどんどん導入していかなければならない。  そういうようなことを念頭に置きまして、さらに情報バリアフリーの環境。これはどういうことかというと、情報通信高度化することによって、便利になる反面、やはり取りこぼしがあってはならない、すべての人が平等に情報通信高度化を楽しんでいただく、そして便利に感じていただくような実現をしていくと同時に、またテレワークといったような、今は仕事をするというのは通勤をするというのが一般化されているけれども、情報通信機器を自宅や地方のセンターに置くことによって、会社に通勤することなしにその情報通信機器を使うことによって仕事をこなしていける、そんなようなこともぜひとも実現させていきたいということで特別枠の方に盛り込んでいるところでございます。  と同時に、景気対策臨時緊急特別枠につきましては、現在必死で検討中でございまして、景気浮揚効果の高いものにしようということで今取りまとめの作業に入っているところでございます。  以上でございます。
  14. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 どうもありがとうございました。  野田大臣テレビ番組などでわかりやすく国民に語りかける姿を感心して見ておりました。ところで、情報通信などはその性質上どうしても片仮名言葉が多くならざるを得ないのでしょうが、そのことが一般の国民から情報通信を少し遠いものにしてはいないでしょうか。少し具体例を挙げてお聞きしたいと思います。  大臣所信の中に、今も話がありましたが、デジタル化ということが何カ所か出てきますが、具体的にデジタル化国民にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。わかりやすい言葉で説明していただければと思いますので、よろしくお願いします。
  15. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) この先生の御質問は一番悩みました。デジタル化自体は目に見えないものですから御説明のしょうがありませんが、デジタルまたはデジタル化されたものが今までのものに比べて便利に感ずるということが重要ではないか。  いろいろ思案した結果、一番身近に使われているものに体温計がございます。今までは水銀を使った体温計を大概使っておりましたけれども、最近は体温計デジタル体温計がだんだん主流になってきました。そこで、何がわかりやすいかというと、体温をはかった際に水銀の目盛りがどこまで出るかというのは正確にはわからなかったけれども、デジタル体温計だと三十六・五五とかそこら辺まであらわせる。そんなようなことがデジタル化したことによる恩恵というか便利さではないかと思います。  あわせて、デジタルカメラというのが今少しずつ市場に出回っておりますが、これは今までのカメラだと、撮って現像に出して、細工をするのがなかなか容易ではなかったわけですけれども、デジタルカメラコンピューターを使って取り込めば、みずからコンピューターを使って絵はがきをつくってみたりとかシールをつくってみたりとか、そういうような付加価値というかそういう新たないろんなものができてくるというのがデジタル化一つの家庭における、暮らしの中における変化ではないかと思います。  しかし、大きな意味では、デジタルというのは一つ共通言語と考えてもいいんじゃないか。今までデジタル革命と言いつつも、実はもう既に革命は起きていて、今私たち日本最終局面に来ているんじゃないか、放送デジタル化されることによってこの日本の国はいわゆるデジタル化されるということが言えるんではないかと思っています。  もう既にコンピューターデジタル化されている。当然デジタルですけれども、最近では通信デジタル化されました。そして、今取り組んでいるのが放送デジタル化ということで、この三者が同じ共通言語を持つことによって、例えば今までは電話電話テレビテレビコンピューターコンピューターと別々に使っていたものが、例えばテレビの半面がテレビ電話になってナイターを見ながら電話ができるとか、そんなようなことが自在可能になってくるというのがデジタル化のおもしろみであり、新しいさまざまな使い手または考え手によっていろいろなメリットが生まれてくるんではないかということを考えているところであります。  例えばデジタル放送だけを取り上げれば、これはよく言われていることですけれども、それによってはっきりくっきりとした美しい画面を見ていただけることになると同時に、今までテレビが見えにくいような場所もありましたけれども、そういうものの解消にもつながっていくということが言われているわけであります。  以上、確かに片仮名が多くて厄介なんですけれども、むしろでき上がったものが自然と暮らしの中に溶け込んで便利さを醸し出すのがこの情報通信のだいご味ではないか。そういうことで、技術開発に向けて一生懸命努力をしていきたいと思っています。よろしくお願いします。
  16. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 大変えらい丁寧に説明いただきましてありがとうございました。要は数量を数字で表示する、あるいは数や量を数値で表現するということに尽きると思います。いろいろ本当に詳しく御説明いただきましてありがとうございました。  次に、大臣所信の中で、ネットワーク不正利用の問題に対する取り組みの話をされておりました。光あるところに影ありで、影の問題をきちんとするところに行政の本当の役割があるのかもしれません。  そこで、二つの点についてお尋ねをいたします。  その第一点は、テレビ放送の青少年に与える影響についてであります。暴力シーン性風俗の描写など、子供を持つ親にとって大変切実な問題と考えます。郵政省ではこれについてどのように受けとめ、どのように具体的に改善しようとされているのか、またVチップ検討状況も含めてお伺いいたしたいので、よろしくお願いします。
  17. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  先生指摘の青少年問題と放送メディアとの関係は、放送役割の大きさからいたしまして極めて重大な問題だというふうに私ども受けとめております。  御案内のように、既に政府の五つの審議会において、この問題について放送メディアにおいていろんな努力をすべきではないかという御指摘もなされております。この問題は、我が国のみならず世界各国共通のいわば悩みと申しましょうか課題でございます。  加えまして、国連におきましても児童権利に関する条約、これは九四年に我が国も批准してございますが、この条約の中でも、児童情報へのアクセスに関する権利確保有害情報からの保護というものを世界共通課題として取り組んでいこうではないかということが国際約束として既になされておるわけでございます。  つい最近、この六月でございますけれども、この条約に基づきまして国連の中に設置されました児童権利に関する委員会におきまして、各国に対する見解意見が示されました。我が国に対する見解におきましては、ちょっと長くなりますがそのまま読み上げますと、「視聴覚メディアの有害な影響、特に暴力及びポルノグラフィーから児童を保護するため導入された措置が不十分であることを懸念」し、「法的なものを含め全ての必要な措置をとるよう」にという勧告と申しますか意見我が国に示されておるわけでございます。本件につきましては、二〇〇一年までにこの児童権利に関する委員会我が国対応を回答することとされております。  このような政府全体の取り組みの中で、我々放送法を所管する立場からいろんな議論もしてまいりました。平成八年には、今文部大臣をされております当時の有馬先生のもとで懇談会を開きましていろんな議論もいただきました。現在は前の東大総長の吉川弘之先生のもとで青少年と放送に関する調査研究会を開催させていただいております。  この中で、今先生から御指摘がありましたVチップの点も議論の対象とされておるわけでございます。もちろん、この青少年と放送関係につきましては大変幅広い検討を要します。そもそも放送時間、青少年向けの番組と成人向けの番組の放送時間はどうあるべきであるとか、あるいは放送番組についての情報をもっと視聴者にわかるように提供すべきではないか、いわゆるレーティングの問題、こういった多方面の問題がございますが、その中の一つといたしましてVチップ議論もなされております。  御案内のように、既にアメリカでは法的に義務づけられまして、これからVチップを活用して保護者あるいは親権者が子供にどのテレビを見せるか選択のチャンスを持つということになるわけでございます。現在、先ほど申し上げました吉川先生の勉強会でも、Vチップというのはこれは万能の手段ではないけれども、親が子供にこの番組を見せるか見せないかということを選択できるチャンスを提供するものでありますから、そういったものは親が利用できるようにするのがよいのではないかという御意見、あるいはそれもあるけれども、先ほど申し上げましたように放送時間の問題でございますとかあるいは放送番組についての情報を提供するということがまず大事であって、Vチップについてはもうちょっと慎重であるべきではないかというような、いろんな議論が交わされているところでございます。  この委員会につきましては、本年十月ないし十一月に最終的に意見をまとめていただくことにしておりまして、今申し上げましたような非常に多角的な広範囲な御議論をもとに、私ども郵政省といたしましては、表現の自由と青少年の健全育成、それから公共の福祉と、いろんな我々が達成しなければならない課題があるわけでございますけれども、それが調和がとれて実現されるように諸対策を検討を講じてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  18. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 二点目はインターネット不正利用の問題についてでありますが、日本においてもインターネットの普及には目を見張るものがあります。影の面として、わいせつ情報の流通、不正アクセス、個人情報の漏えいなどの問題点が指摘されるようになり、これらの対策の法制化に向けた動きもあるというように聞いておりますが、この問題に対する対策の現状についてお伺いいたしますので、よろしくお願いします。
  19. 天野定功

    政府委員(天野定功君) お答え申し上げます。  近年、インターネットが爆発的に普及しておりまして、利用者の利便性は非常に向上しているわけでございますが、他方、先生ただいま御指摘のように、インターネットの不正な利用によるトラブルが大きな社会問題になっております。私ども通信の主管庁である郵政省といたしましては、こうしたいわゆる情報通信社会の影の部分に対しまして適切に対処しまして、インターネットを利用される方々が安心して生活できるよう、その利用環境の整備を図ることは非常に重要な課題であると認識しておりまして今取り組んでいるわけであります。  まず、具体的な取り組み状況につきまして、わいせつ情報など違法あるいは有害な情報の流通に対しましては、昨年来、学者を初めとする有識者の参加を得ました研究会の報告書がございます。本年二月には、それを受けましてインターネットサービスを提供するいわゆるプロバイダーの皆さんが加盟する事業者団体におきまして自主規制のガイドラインを策定いたしました。また、未成年者に有害な情報を見せないようにするいわゆるフィルタリング技術につきましては、現在横浜市の協力を得まして研究開発を行っているところであります。  次に、不正アクセスの問題でありますけれども、ネットワークに対する不正なアクセスの行為を防止するために、私どもとしましては法制度の整備に向けて今検討を進めているところでございます。この法整備に当たりましては、国際協調に配意をいたしまして、関係省庁とも十分連絡、連携をとってまいりたいと考えております。  また、不正アクセスを防止するためには、ネットワーク上での不正アクセスの発信源を追跡するなどの技術の開発も必要でございまして、平成十一年度の予算要求を行ったところでございます。  最後に、プライバシーの問題でございますけれども、平成三年に電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインが策定されております。ここでは事業者がこれに従った取り扱いを行うよう指導してきているところでございますが、近年インターネットなどの新しいサービスが登場して、それに伴いましてプライバシーの侵害のおそれも増大していることにかんがみまして、現在このガイドラインを有識者の方々にお願いしまして見直しを行っているところでございます。  郵政省といたしましては、今後とも、インターネットの健全な発展と利便性の向上のため幅広く検討を行い、取り組んでまいりたいと考えております。
  20. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 次に、情報通信ネットワーク地域間格差を是正する非常に有効な手段であることは言うまでもありませんが、鉄道や道路といった社会資本と同様に全国民の共有財産となるべきものであります。本来ならば国策で郵政省地方財政負担のない直轄事業として行うべきでありましょうが、補助金などの形をとらざるを得ないことは、現在の地方の財政状況を考えるとそういうことだから推進が難しい点もあるのではないかと思います。地方の財政状況から地域情報化施策、例えば光ファイバーの整備あるいはケーブルテレビあるいは携帯・自動車電話等の整備等がそういうことによっておくれているのではないか。  そこで、その実態があることを踏まえて、郵政省としてはどのような改善策を考えておられるのか、お伺いいたします。
  21. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) 地方の財政状況から地域情報化がおくれているのではないかという御指摘でございますが、私ども、自治省の統計等を中心にして調べてみましたところ、近年、地公体を中心とした地域情報化への取り組みはこれまでになく積極的に行われております。  地方公共団体が構築いたします地域情報通信システムのシステム整備数でございますけれども、ここ数年、毎年、対前年度比で一〇%程度増加しているところでございます。  しかしながら、歳出に占める公債費の負担比率、これが一五%以上の地方公共団体が現在半数を超えておりまして、地方公共団体の財政状況は御指摘のように確かに悪化しております。したがいまして、地方公共団体から事業推進に当たりまして補助率の引き上げとか補助対象設備の拡充というふうな要望が寄せられていることも事実でございます。  このため、郵政省といたしましては、地域生活情報通信基盤高度化事業における補助金の拡充、それから平成十年度には自治体ネットワーク施設整備事業の補助対象に基幹伝送施設を追加するなど、補助対象事業を拡大してきたところでございます。  さらに、地方公共団体の財政負担の一層の軽減を図りますために、さきの一次補正予算におきましては、自治体ネットワーク施設整備事業、それからマルチメディア街中にぎわい創出事業、これにつきましては地方公共団体の自己負担部分の八割を地方債で措置できることといたしました。さらにその八割を地方交付税措置のある補正予算債の対象とするということでございまして、地公体の負担割合というものを相当下げたところでございます。  私どもこれでもまだ十分ではないというふうに理解しておりますので、先生指摘のような点についてさらに配意してまいりたいというふうに思っております。
  22. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 今ほど聞けばそう心配することはないようでありますが、郵政省におかれましても、その推進については格別にまたひとつ御努力をお願い申し上げます。  次に、郵政事業関係についてお伺いいたします。  大臣所信の中に、高齢者や障害者の方々が一層安心して郵便局施設を利用できるよう取り組むとのお話がありましたが、施設というハード以外にサービスというソフトの面でも一層積極的な取り組みが必要だと思います。  そこで、高齢者や障害者の方々のために郵政省が取り組んでおられる主な施策とそのPRはどのように行われているのか、またその効果についてどのように評価されているのか、お伺いをいたします。
  23. 高田昭義

    政府委員高田昭義君) お答えいたします。  今先生から高齢者、障害者のための施策についてハード面とそれからソフト面の両面にわたってどういう取り組みをしているのかということでございます。  まず、ハード面につきましては、高齢者や障害者の皆様が安心して郵便局を御利用いただけるように、郵便局舎のバリアフリー化ということでスロープを設置するとかあるいは階段に手すりを設ける等の施策を講じております。これは従来は平成十三年度までに完了する予定でございましたが、大臣の御指示もございまして、来年度中にはすべての郵便局舎のバリアフリー化を完了するということで現在概算要求を出しております。また、あわせて簡保の加入者福祉施設のバリアフリー化も鋭意進めてまいりたい、このように考えております。  また、サービスというソフト面でございますが、これまでも例えば障害者のために郵便料金を減免するとか、あるいは高齢者の方々のためのいわゆる福祉定期郵便貯金でありますとか要介護者に対する定期郵便貯金の金利優遇といったようなサービスを提供してまいりましたが、このほかにも、私どもひまわりサービスと呼んでおりますが、過疎地域における高齢者の方々の在宅福祉支援サービスということで、郵政省の外務職員の方がお年寄りのところに行ったときに声をかけるとか、あるいは郵便の差し出しを受け取って帰るようなサービスをしておりますし、また、寝たきりの独居老人等の方に対しましては年金の配達サービスというような施策にも取り組んでおります。  これらの施策のPRでございますが、私ども基本的には郵便局の窓口でできるだけ多くのお客様にこういう施策についての御案内をさせていただいておりますが、あわせて、地方自治体の御協力も得まして、地元の広報誌にこういうそれぞれの地元の郵便局施策等についても掲載をしていただくよう御協力をお願いしております。  これらの施策の効果でございますが、郵便料金の減免や郵便貯金の金利優遇につきましては直接的に障害者や高齢者の方々の福祉に寄与しているというふうに考えておりますが、このほかにも、ひまわりサービス等は平成十年七月で百一市町村で行われております。現在もまだまだこのほかにも多くの地方自治体から郵便局にそういうことの協力の依頼が来ておりますので、私どもの施策がそれぞれの地元で高齢者・障害者施策として所期の成果を上げているというふうに私どもは受けとめているところでございます。
  24. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 どうもありがとうございました。  次に、郵便局ネットワークの開放の一つとして、民間運送事業者と提携した保冷小包の取り扱いを挙げておられたが、民間運送事業者と提携した保冷小包の取り扱いについて、提携業者数は現在何社あるのでしょうか。また、その取り扱い件数はどのくらいあるのか、お尋ねいたします。
  25. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 郵政省では、今先生指摘のように、国民共有のインフラでございます郵便局ネットワークを各界に開放して活用いただくという観点から、郵便の分野では、この六月からでございますけれども、民間運送事業者の方と提携をいたしまして、保冷小包、私どもではチルドゆうパックと言っておるものでございますが、この取り扱いを開始しておるところでございます。  これは、民間運送事業者の方が自分の名前においてお客様から荷物を預けられまして、それを郵便局に差し出していただきまして、後は郵便局でもって責任を持って御配達するというものでございます。民間運送事業者の方がお客様から保冷荷物を預けられるに際しては、あらかじめお客様にこれは最終的に郵便局の方でチルドゆうパックとして配達されるものだというふうに御了承を得てそして差し出しをいただいておるものでございます。  先生のただいまの御質問でございますけれども、提携事業者の数は、この十月一日に実施予定の確定いたしております一社を含めまして五社でございますけれども、そのうちの西濃運輸株式会社におかれましては、西濃グループ全体としての提携の御参加となっておるところでございます。また、この数は近々増加する見込みであるというふうにも思っております。  取り扱い個数でございますけれども、まだ六月から開始したばかりでございますが、六月から八月までの三カ月間、トータルといたしまして約二万六千個ということでございますけれども、事業者の方ではまずまず順調な出足と評価されているように伺っているところでございます。
  26. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 ありがとうございました。  今の問題に関連してでありますけれども、民間運送事業者が例えば山村の奥地とかあるいは遠距離のためにできないところを郵便局が引き受けるということになっていると聞いておりますが、どのような協定が結ばれておるのでしょうか。また、そういったことになりますとコストの問題もございますので、その点はどうなっておるか、お伺いいたします。
  27. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) ただいまの先生の御指摘でございますけれども、私ども、民間運送事業者の方との合意事項におきまして、お預かりいたしましたものを全国に御配達をするということにいたしておるところでございます。確かに民間運送事業者ネットワークのないところを含めて私ども配達させていただくわけでございますが、これはある意味で国営事業としての責務というふうにも考えておりますし、また民間運送事業者の皆様との関係はさておいても、やはり全国津々浦々まで現在既に郵便局ネットワークを構築し維持しておるところでございます。  今回の民間運送事業者の方との提携は、この現在既にありますところの郵便局の郵便ネットワーク、これを有効に活用して行うものでございまして、ネットワークの稼働率を向上させるなどいたしまして、私どもといたしましても経営上もプラスになるものと考えて実施をいたしておるところのものでございます。
  28. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 ただいま説明を聞きますと、非常に円滑に業者間との仲がいっておるように承りますけれども、例えば民間運送事業者が面倒くさがって、もうどうにもならぬからこれは郵便局にひとつお任せしょうと、そういうことで、受け取ったものを面倒くさいからまた持ってきて非常に御苦労がかかっておるというようなことも聞くのでありますが、そういった例は余り感じられませんか。
  29. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 先生の御指摘でございますが、少なくとも現在までのところ、私どもが提携をさせていただいておる事業者の方との関係では、そのようなことはまだ発生はいたしておらないというふうに私どもとして把握をいたしておるところでございます。
  30. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 では最後に、郵便事業全体の収益状況についてお聞きいたします。  景気の落ち込みに伴いまして郵便事業の営業収入の確保も厳しいようでありますが、郵便は郵便局事業の柱であり、それが危ないということでは郵便局全体が大変なことになります。聞くところによると、出される郵便の量は減っておらず、例えば今まで八十円の封書で出されていたものが五十円のはがきで出されるというように利用構造そのものが変化しているようにも承っております。これははっきりしたことはちょっとつかんでおりませんけれども。  郵政省でも、このような利用構造の変化に対応したサービス区分の見直しやコストの圧縮など、大胆な事業運営の見直しが必要なのではないかと思いますので、以下、大臣の所見をお伺いいたします。  最近の郵便事業の収入状況は好転しているのでしょうか。また、利用者の利用構造の変化があるとすれば、それに対して、事業運営の見直し等を含め今後どのように対応していけばいいかということをお考えがあるとするならばお伺いさせていただきます。
  31. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 御報告申し上げますと、郵便業務収入につきましては、残念ながら、今先生指摘のとおり、景気影響がございまして、特に金融機関の破綻が相次いだ昨年度の下半期からマイナス基調でございます。今現在もマイナス基調を反転するまでは至っていない状況でございます。  ですから、この状況を打開すべく、私たちは、まずは増収対策としまして、今本省すべての職員挙げて郵便販売強化キャンペーンということで取り組んでいるところであります。  そして、コストの圧縮についてですけれども、これは国民利用者皆様方の御理解と御協力をいただいております新郵便番号制による局内作業の抜本的な機械化を進めておりまして、この先十年間で八千人、また金額にしては二千億円の節減策を着実に推進してまいりたいと思います。先般、私、視察で新しい区分機を見てまいりましたけれども、大変スピーディーでしたし、また職員の人も便利になったと。非常に効率的になったという感想を受けとめているところであります。  今、封書からはがきに利用者の使い勝手が変わってきたじゃないかと、そういう御指摘がございました。調べてみますと、確かに今現在は料金の安いはがきの方が封書の伸びを上回っているところであります。先生おっしゃったように、封書からはがきへの移行があるということも事実ということで承知しました。  じゃ、そのサービス区分を見直すかどうかということですけれども、世界の主要国、特にヨーロッパあたりでは封書とはがきが同じ料金のところが随分多い、ドイツであっても若干の料金差しかないということも知っております。  ただ、私たち日本におきましては、はがきというのが明治六年に誕生して、そのときの役割としては、国民にとって一番簡単で便利な通信手段ということで値段を安くしているという事情がございます。ですから、今後、先生の御指摘がありました封書とはがきのサービス区分の見直しについては研究課題とさせていただきたいと思います。  以上です。
  32. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 どうもありがとうございました。  大臣のますますの御活躍をお祈り申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  33. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 私はぴかぴかの一年生でございまして、二カ月前に議席をいただきまして早速このような機会をいただきまして、委員長並びに委員各位の皆さんには厚く御礼を申し上げます。  そして、その最初の質問野田大臣にさせていただくということで、光栄であるととともに、少し緊張いたしております。どうぞよろしくお願いいたします。  まず質問の第一点でございますけれども、私は、情報産業の成長はまさに低迷する景気回復のカンフル剤であるという観点から質問をさせていただけたらと思います。  情報通信産業は、唯一高成長を続け、まさに我が国経済の牽引車となっておりますけれども、新たな経済フロンティアを開拓し、ニュービジネスを創造するとともに、経済社会全体の活力を生み出すものと期待できるわけでございます。  通信分野というのは、一九九三年ごろですか、総合経済対策の中で新社会資本という定義づけをされておるようでございますが、その場合、産業への波及効果は大体一・九六になるであろうと、それまでの橋とか道路に関連するとそのあたりの投資効果というのは大体一・七三というように言われておりましたのですが、やや上回っているというような認識でございます。  ことしの四月二十四日に打ち出された総合対策においては、当初、郵政省は光ファイバー網の整備を中心に約一兆八千億ぐらいの要求をされておりますけれども、最終的には一千百億ということで、大体十六分の一に縮小されたと聞いております。こういった意味から、我が国経済の再生を図るためにも、情報通信分野への予算の集中的な配分というものは大胆な政策展開が必要ではないかと私は思っているんですが、この点について大臣の考えをお聞かせいただけたらと思います。
  34. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) ただいまの山内先生の御指摘のとおりでございまして、私のみならず、このたびの小渕内閣、小渕総理におきましても、この情報通信経済再生起爆剤になるということは所信のごあいさつの中でも何度もおっしゃっていることでございます。  私たち、特に私は、情報通信の単体の産業が大事ではなくて、情報通信というその道具自体が他産業に大きな影響を与えて新たな産業をつくり出したり雇用を創出するということにもやはり着眼していかなきゃいけないのではないか。かつて道路が物流の大変大事な道具であったと同じように、これからは情報通信網というのが、さまざまな情報通信を介在することによって、その先に教育のサービスであったり、医療のサービスであったり、またはビジネスそのものを生み出すのではないかということで、二十一世紀に向けた経済再生の原動力になるということを信じているところであります。  また、今回、内閣におきましては、概算要求に当たりましても情報通信・科学技術・環境等二十一世紀発展基盤整備特別枠というのを新たに設けていただきましたし、おかげさまでというべきか、情報通信分野の重要性が認められているところでございます。  私たちは、そういう国民期待または内閣の要請をきちっと受けとめまして、先ほど来申し上げていますけれども、デジタル革命最終局面にあるんだと。そういうことで、私たちが今まで手持ちにありましたさまざまな技術開発とか施策を通じて、新規産業・雇用の創出、二十一世紀発展基盤整備、さらには少子・高齢化への対応を柱として、ほかの役所の人たちと組んで、つまり郵政省だけでやるのではなくて、例えば教育に関しては文部省と組み、医療に関しては厚生省と組みということでその実行、実用化を急いでいきたい、そういうことに今努力をしているところでございます。  景気対策臨時緊急特別枠につきましても、非公共ということでかなり大きなお金をちょうだいしているところでありますので、これについてはまさに景気浮揚効果がすぐにあらわれるというような施策を盛り込みたいと今検討しているところでございます。
  35. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 ありがとうございました。  思い切った予算投入というのは私は大変大切なことだろうと思います。ぜひ頑張っていただきたいと思います。  そうしたら、今から二、三点ちょっとインターネットに関連したことで質問させていただけたらと思います。  もう既に御承知のとおり、インターネット接続会社というのは最近大変ふえてきておりまして、昨年度から約一・五倍、約三千社ぐらいになってきております。この通信分野というのは基本的に、ファクスもそうなんですが、一気にある時期を越しますとスティックワークごとく上昇してくるということをよく言われておりますが、多分このインターネット関連もそういった傾向を今見せているのではないかなと思っております。  これは既に一九九三年ぐらいにスタートしたんですが、一九九六年度から本格的にスティックカーブの状況を示してきておるわけでございます。ただ、最近ちょっと日本インターネットがやや低迷しかかっているという情報もあります。  これは財団法人日本国際フォーラムの政策提言の中にも書いてありましたので少し朗読させていただきますと、制度的にはアメリカ以上に日本というのは自由化、開放化が進んでいると言われておりますが、パソコンやインターネットの普及の伸びはここのところ急激なブレーキがかかってきている。この日本の現状というのはアメリカの好循環に比べて非常に悪循環を示しているんじゃないかと。  その分析した約四つの観点から、まず情報化投資を例にとってみれば、不況が深刻なため新規の情報化投資を控えざるを得ないというような一つ問題点がある。二つ目には、情報技術の導入がおくれているために既存の商環境や設備に国際競争力がなく、生産の題詞な回復、拡大に結びつかないというのが二つ目でございます。そして三つ目には、通信幹線の広帯域化をしようにも、現場での需要が期待できない以上なかなかそれに踏み切れない。まさに悪循環の状態を示しているわけなんです。四つ目には、現場での需要を喚起すべくインターネットヘの高速アクセス網を導入しても幹線の帯域が不足している現状では活用のしょうがない。こういうような分析をされております。  インターネットを次の時代の柱として位置づけていくには、クリントン・ゴア政権が情報通信基盤としてのインターネット推進に積極的に取り組んでいたと聞いておりますが、日本においてはどのように取り組んでいくのかというところでお答えをいただけたらと思うんです。
  36. 天野定功

    政府委員(天野定功君) インターネットに接続しているいわゆるホストコンピューターの数を日米で比較しますと、日本の場合、国民比で、一千人当たりですけれども大体十一台ぐらい、アメリカの場合ですと九十五台ぐらいでありまして、現状では大変隔たりが大きいわけであります。  今先生指摘のように、最近の景気影響インターネットの伸びも日本では少し衰えているといったような事実があるかもしれませんけれども、最近五年間の我が国におきます伸びというものは非常に大きいわけでありまして、将来的にはこの日米の格差といったものは縮まっていくであろうというふうに私ども予想しているわけであります。  そういう中で、私ども郵政省インターネットの普及、発展についての取り組みについて御紹介申し上げますと、まずインターネットの機能の高度化を図るのが不可欠であろうという認識で、次世代インターネットに関する研究開発平成八年度から五カ年計画で取り組んでおります。この中でより安全性、信頼性の高い、しかもスピードが速く大容量の通信のシステムを開発することで取り組んでいるわけであります。  さらに、民間のサイバービジネス協議会という団体がございますが、そこで電子マネーであるインターネットのキャッシュ、インターネットーキャッシュと言っておりますが、それの実証実験も昨日から開始されたところでありまして、郵政省もこれを支援しているという状況でございます。  また、次の世代のインターネットを利用して電子商取引が今後本格的に普及発展していくためには法制度上の整備が必要でございまして、電子署名とかあるいは電子認証の法的効果等に関する検討もあわせて進めていくことが必要であろうというふうに思っております。  これらの研究開発や実証実験プロジェクトを充実させるとともに、所要の法制度の整備推進していくことを通じまして、次の世代のインターネット高度化や電子商取引の発展のためにさらに努力してまいりたいというふうに考えております。
  37. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 インターネットの効果というのか将来的なものというのはもう大体国民にも理解されつつあるわけなんですが、ただ、私も戦後世代の男でございますけれども、団塊の一期生というところで、まだもう一つインターネット、新しい最近の情報の仕組みというのは十分頭の中ですっと理解できない状況ですけれども、最近の子供は生まれたときからテレビがあって、それからゲームをやり始め、インターネットにすぐ取り組んでいけるという非常に吸収体質がよくなってきております。  そういった意味からも、次の世代を担う青少年たちにやはりインターネットを利用した分野をもっともっと開発していただくという意味、また普及して社会に貢献していただくという意味から、青少年にどれだけ早くインプットさせていくかということになってきますと、当然教育分野が大切だろうと。先ほど大臣発言の中にも、いろんな意味で各省庁との連携をやりながらということでございますから、これらの状況の中で、教育分野に対しての郵政大臣の所見をちょっとお伺いしたいんです。
  38. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 御指摘のとおりでございまして、特に二十一世紀に向かって社会人として巣立っていく子供たちインターネットというのは国際化の中でもやはり必須アイテムになってくるのではないか。ですから、今の私たち大人がそういう子供たちが将来不便を感じないように制度を整えていくことはこれはもう即やっていかなければならないことだと思います。  とりわけ、これは私個人がいつも思っていることですけれども、パソコンはやはりキーボードを使う、また私たちは英語圏に住んでおりませんのでなかなかキーボードにも親しみにくい国だと思うんです。ですから、やはり早ければ早いほど子供たちにとっては楽なのかなという感じがして、先生指摘のとおりでございますので、ぜひとも御支援をお願いしたいと思っています。  実は、アメリカのクリントン大統領は、二〇〇〇年までにすべての教室をインターネットで結ぶ、十二歳でみんながインターネットにアクセスできるようにするということをもう既におっしゃっています。  私たちの国はどうかというと、学校単位でのインターネットの接続が一八・七%という状況で、この数字だけを言うとわかりませんけれども、アメリカでは七八%という大きな差がついていることで、ぜひともこの格差を早急に是正していくことがやはり子供たちにとっての幸せにつながっていくと信じています。  ちなみに、インターネットといいますと何となく悪いイメージがあるんですけれども、子供の教育にとってどういう可能性が広がってくるかというと、単に知識を先生や教科書から受け取るだけではなく、自分で知りたいことをインターネットを使ってさまざまなところに、アクセスという言い方はまた横文字でよくないんですけれども、つないでいって、自分で主体的にいろんな知識を取り込むようなことができるし、いろんな知識をもらうばっかりじゃなくて自分の方からもいろんな情報を発信できるということで、インターネットが教育におけるさまざまな効果を上げるのではないかということが言われているわけであります。  このようなことを実はもう昨年十二月から郵政・文部両大臣で懇談会というのを開いておりまして、私ども郵政省の方にいただいている提言というのは、今よく言われております違法や有害な情報へどう対応するか、そして通信回線の高度化、つまり遅いといらいらするわけで、やっぱり速くたくさんの情報が手に入らなければ時間がかかってしまう、そういうような解決。さらには、通信料金を安くしていこう、こういう御提言をいただいておりまして、私、大臣としましては、今の御提言を受けて、例えば関係団体や事業者の方に全面的な協力を要請するなどしっかり取り組んでまいりたいと思います。
  39. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 大体わかったんですけれども、昨年来より郵政省が学校インターネットに積極的に取り組んでいるということはよく聞いているんですけれども、なかなかその推進が見えてこないというところに問題、どこに問題点があるんだろうかということなんですが、そのあたりちょっとお答えいただけますか。
  40. 天野定功

    政府委員(天野定功君) ただいま大臣の方からお答え申し上げました中で、郵政大臣、文部大臣が主宰します有識者による懇談会がございまして、その中で幾つかの問題点が指摘されているわけであります。  まず、電気通信サイドといたしましては、現在のインターネットに接続するコンピューターにつきまして、回線速度が不十分であって、もっと高速の通信回線を用意しないと、今学校には小学校の場合二十二台配備を予定しておりますが、それらを一緒に使う、同時に使うことが困難であると。それから二番目には、これは通信料金の負担の問題になりますが、子供たちが存分に使っていくにはやはり現在の通信料金が非常に学校側にとって財政負担になっているということ。それから三番目には、インターネット上ではわいせつ情報など違法、有害情報も流通しておりまして、こういった情報から子供たちを適切に遮断する必要があるのでなかろうかと、こういったことが電気通信サイドとして挙げられております。  また、学校側の課題といたしましては、教員のインターネット利用能力の育成が必要であるとか、あるいは学校側における教育用コンピューター整備をもっと加速しなきゃいけないんじゃないかと、こういったことが指摘されております。  こうした諸課題につきまして、現在、文部省と連携をとりながら学校でのインターネット利用の促進が図られるよう引き続き努力してまいる考えでございます。
  41. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 ありがとうございます。わかりました。  大体、教育分野は文部省関係についてなんですが、今度は情報通信政策の観点というところから質問させていただきたいんですが、これは当然各省庁との絡みがあると思うんですけれども、先ほど申し上げました財団法人日本国際フォーラムの中で少しわかりやすく分析をしていただいておりますのがあります。五つの分野というのがありまして、「社会全体の情報化への指針」という一つ分野、そして二つ月には「民間部門・情報技術ユーザの課題」、三つ目には「教育分野課題」、これは今お答えいただいたと思います。四番目に「法体系等、政府全般の課題」、五つ目には「情報通信産業電気通信行政課題」と。  この五つの分野があるんですが、このあたりはアメリカとか欧米を見てみますと、非常にそのあたりをうまく機能させてパワーアップを図っているということで、非常に広がりが速いわけなんですが、日本の場合そのあたりがちょっと欠けているのかなと思っております。関係省庁との連携、これはどのようになっておるのか、このあたりをちょっとお聞かせいただきたい。
  42. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) 予算面について主として御説明申し上げたいと思いますけれども、もちろん情報通信というのは生活、文化、教育、経済というあらゆる活動にかかわるものでございます。したがいまして、さまざまな分野情報化推進していくためには、関係省庁との連携を図るということが非常に重要ではないかというふうに認識しております。このような趣旨は、「平成十一年度予算概算要求に当たっての基本的な方針について」という閣議了解がなされておりますけれども、この中においても盛り込まれているところでございます。  郵政省では、従来から省庁連携施策の充実に努めてきたところでございますが、平成十一年度概算要求におきましても、経済再生政府全体として取り組むという観点から、経済効果の高い新しいシステムの開発普及等につきまして他省庁との連携を一層強化しておりまして、例えば公共分野情報化等さまざまな分野で連携しておりますが、十二省庁二十四件百八十九億円に連携施策が達しているところでございます。平成十年度は十一省庁十三件八十九億円でございましたので、額からいきますと倍以上になっているということでございます。  郵政省といたしましては、通信行政を主管している主管庁でございますので、今後、高度情報通信社会の構築を先導するために、関係省庁との連携施策の拡大強化に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。  もちろん、予算以外の法制度その他の分野につきましても、当然不正アクセス等の問題につきましては警察と調整する必要がございますし、さまざまな分野関係省庁と調整を図りながら推進してまいる所存でございます。
  43. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 インターネットについては今のところそのぐらいにさせていただきます。  最近、放送デジタル化というのが大変叫ばれておりまして、特に、先ほどの景気回復の観点からいいましても非常にすそ野が広いわけでございますから、新しい産業を創出できるというメリットもあるかと思うんです。その場合、ソフトというのは今割に充実しつつあるんですけれども、逆にデジタル放送ということになってきますと、機器製造等というのは産業関係に非常に大きく、これはハード面なんですけれども拡大されるというようなメリットもあろうかと思うんです。  欧米諸国ではデジタル化がかなり進展をいたしておりますが、我が国放送デジタル化を進めるべきだと思うんですけれども、それに対してどのように今郵政省その他は取り組んでおられるか、そのあたりの現況をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  44. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  ただいま先生指摘放送デジタル化でございますけれども、もう我が国内におきましても通信の世界はすべてデジタル化されまして、放送分野でもCATVあるいは衛星放送につきましてはデジタル化は開始されておりまして、残るは地上放送という段階に来ておるわけでございます。  この放送デジタル化の意義というのは、改めて申し上げるまでもないことでございますけれども、まずは視聴者の番組選択の機会が質的量的に改善されていくということ、また加えまして、先生今御指摘になりましたように、我が国の経済社会の発展に大きく貢献するという意義を持っているというふうに認識してその推進に努めているところでございます。  今申し上げました視聴者への貢献ということを考えますと、これは私自身の経験で申し上げて恐縮でございますが、NHK技術研究所というのが都内にございますけれども、ここにお伺いするたびにデジタル技術のすばらしさといいましょうか、視聴文化の向上にいかに貢献するかということをいつも痛感しているわけでございます。  また、デジタル放送というものがいかに社会経済の発展に貢献するかということにつきましては、今先生指摘になられましたように、新しい産業を生むという側面と同時に、今までの産業の仕組みを大きく、旧産業の新産業化と申しましょうか、そういう機能を持っているというのが昨今の研究の明らかにしているところでございまして、そういう意味で放送デジタル化ということを積極的に推進していかなければならないというふうに承知しております。  先ほどの繰り返しになりますけれども、CATVにつきましては既に鹿児島におきまして新しい放送が開始されておりますし、それから衛星放送につきましては九六年からデジタル放送が始められました。二〇〇〇年には衛星放送通信衛星を使った放送放送衛星を使った放送とちょっと紛らわしいのでありますけれども、いずれにしましても衛星の世界も二〇〇〇年にはすべて基本的にデジタル化されていくということでございます。  残されましたのは地上放送デジタル化でございますが、これにつきましても昨年来いろいろな施策を講じてまいりまして、十年度予算におきまして、この十一月から東京都内におきましてデジタルの電波を出しましていわばパイロット実験を始めることができるようになっております。それから、今年度の一次補正予算全国七カ所でやはり同様にデジタル放送の実験を進めるべく今準備を進めているところでございます。  これからでございますが、十一年度予算におきましても、額的には四徳二千五百万ということでございますけれども、国として果たせるべき役割をこの予算額において十分果たしてまいりたいと思っております。それから、税制面、財投、政策金融面でも幾つかの要求をしておりますので、先生方のまた絶大な御支援、御指導を賜りたいと存じております。  我が国の地上放送デジタル化を進めていく上で大変大きな課題となっておりますのは、NHK及び民間放送の大変な御努力によりまして全国隅々まで放送が行き届いておりまして、現在五千四百三十二本の鉄塔で電波を出しておりまして、その中には一万四千九百二十五の送信機が置かれております。したがいまして、これからデジタル放送を始めることとなりますと、今までのアナログの放送デジタル受信機が普及するまで同時に発射しながらデジタル放送も進めていくというような大変な手の込んだ努力、工夫が要るわけでございまして、この点、放送事業者の皆さんと相協力しながら、そしてまた地域の皆様に新しい放送文化の機会に参加していただくという両々相まった努力を重ねながら、地上放送デジタル化を手順と段取りよく進めてまいるように努力してまいりたいと考えております。
  45. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 デジタル化というのは非常にいろいろいい意味での拡大基調がありますけれども、特にデジタル化をしまして衛星なんかを利用した放送等々を行い始めますと、これは文化とか経済、政治というあらゆるものがグローバル化されてくるわけでございまして、グローバル化されてきますと、じゃ日本がどう国際的に貢献するんだとか、どう日本がその放送をうまく利用して対日理解をいただくんだろうか、そういった双方向、いろいろ世界的に広がりが非常に出てくると思うんですが、そういった国際貢献の視点というところで郵政省はどのような取り組みをされておりますでしょうか。
  46. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  我が国内における通信放送の発展も、いわばその性格からいたしまして、グローバルスタンダードの形成と同時並行に進んでいくわけでございますけれども、通信放送の世界におきましてはITUにおいていわばグローバルスタンダードづくりが進められておるわけでございます。  その点、放送の面で申し上げますと、デジタル化研究というのは一九八〇年代後半から進められておるわけでございますが、その間におきまして、一つは、我が国は高精細度テレビジョンのスタジオ規格につきまして、具体的に申し上げますと千八十本の有効走査線で一つの国際基準にしょうじゃないかということで、我が国のコントリビューション、提案が採択されております。  それからまた、デジタル放送につきましては幾つかの放送方式があるわけでございます。大きく分けますと、アメリカ方式とヨーロッパ・日本方式、その中でも、ヨーロッパ・日本方式の中でも多少の差があるのでございますが、今世界ではこの日本方式、ヨーロッパ方式、アメリカ方式というのが国際的に今後採用されるべき基準ではないかというふうなことで進んでおりまして、そういう面でも貢献をしているわけでございます。  今申し上げましたのは、いわばマルチの世界での貢献でございますが、同時にバイの協力ということも進めておりまして、今先生お話しになりましたように、やはりこれからは放送番組というものも国際交流が進んでまいりますから、できるだけ方式も共通のものがよろしいわけでございまして、今特にアジアの国々とこのデジタル化につきまして実験でございますとか共同研究を進めております。具体的に申し上げますと、シンガポール、中国、インドネシアといった国々におきまして積極的に放送デジタル化を進める動きがございますので、日本が協力するとかいうよりは一緒に共同研究してまいりましょうというスタンスで対応してございます。  また、毎年のように行われているのでございますけれども、国際放送機器展というのが行われておりまして、この十一月にはまた千葉の幕張メッセで開催されます。そこに世界各国から専門家が集まるわけでございますが、この場も今申し上げました国々との共同研究の場に活用してまいりたいというふうに考えております。  まだまだたくさんいろいろ施策はあるのでございますが、時間の関係でこの辺にさせていただきます。
  47. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 私も時間の関係で、今のデジタル化に伴う今後の展望というところも聞きたかったんですが、大体答えていただきましたので、ちょっと大事な観点だけ質問させていただきます。  このデジタル化によって非常に多チャンネルになってくる、また双方向といういろんなメリットがあるわけなんですが、そういった場合、視聴者対策ですね、この視聴者対策というのはやはり情報弱者対策と青少年問題と大きく分けるとその二つぐらいあるかと思うんですが、放送分野における視聴者対策についてお答えいただけたらと思います。
  48. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  今までは、放送分野の視聴者政策と申しますといわゆる難視聴解消というのが中心だったかと思いますが、これは放送会社の皆さんの御努力によりましてはぼ全国行き渡ったということが言えようかと思います。なお、外国放送の混信とか、具体的には多々改善する点もございまして、再度の難視聴解消ということでは今年度予算でも実態調査をさらに徹底しようということで予算要求しておりますけれども、今先生が御指摘になりましたのは、放送番組の質との関係での視聴者政策かと存じます。この点につきましても、近年いろいろな施策を講じてまいっております。  一つは、視聴者の保護ということで、視聴者からしますと誤って放送された場合の訂正放送制度、あるいは放送番組のより充実ということから放送の番組審議会というのを各放送会社につくっていただいておりますけれども、その番組審議会の機能の強化、あるいは視聴者との情報交流の活発化、それから視聴覚、視覚あるいは聴覚に障害のある方々にもやはり同様に放送文化にアクセスしていただけるように字幕放送努力義務、これを放送法改正によりまして盛り込んでいただいております。この字幕放送につきましては、日本語による放送の特有のいろんな技術的課題がございますので、国としての支援策も予算措置等を講じさせていただいておるところでございます。  それから、御記憶もまだ新たかと存じますけれども、昨年暮れ、アニメーション番組を見まして数多くの子供が心身に不調を来したということがございました。実はアニメーションに限らず、コンピューターグラフィックによる映像でございますとかそれから立体画像でございますとか、本当に視聴者の生理といいましょうか心理的な面と番組の関係というものも考えなければならないという状況に来てございまして、アニメーションにつきましては一定の方針政府としても示しまして、放送会社においても二度とあのような事件が起きないような努力をなされておるわけでございますが、今後、今申し上げましたこれから出てくるであろういろいろな番組、番組コンテンツを安心して見れるようにするにはどうしたらいいかということで、これも新たな研究課題として今年度予算で要求をさせていただいているところでございます。  大きくは、今の問題も含めまして青少年の健全育成にとって放送メディアは大変重要でございますので、先ほども鹿熊先生の答弁でお答え申し上げましたけれども、青少年が保護者から見ても安心して放送メディアに接することができるようにはどうしたらいいかということで、吉川先生座長の勉強会で今御指摘の点についてもるる研究を進めておるところでございまして、その研究成果の報告をいただきまして、さらなる青少年と放送関係施策も充実してまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  49. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 それでは一つだけ最後に、郵便局についてちょっとお聞かせをいただけたらと思うんです。  昨年は確かに郵政事業民営化論というのが非常に物議を醸し出しましたのですが、私は、全国津々浦々約二万四千六百ある郵便局というのは、非常に国民にとって親しみやすく、そして大体うまくバランスよく配置されている。このよさをもっともっと生かしていく必要があるんじゃないかというようなことで、最近よく言われておりますのがワンストップ行政サービスというような観点が非常にクローズアップされてきております。私は、まさにこのワンストップ行政サービスというのは、各市町村の窓口と郵便局の窓口をつなぐというのは非常にいい提案だろうと思うんです。  この実験をもうやられていると聞いておりますけれども、地域住民の方々の反応とか実験の成果とか、そして今後の取り組み、これを少しかいつまんで御報告いだだけたらと思いますが、いかがでしょうか。
  50. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 簡潔に答弁させていただきます。  九年度の実験が先生指摘のようにただいま終わりまして、今十年度の拡充の実験に取り組んでおるところでございます。  九年度の実験で一つだけ御紹介させていただきたいと思いますが、沖縄県の竹富町、ここは石垣島の方に町役場がございまして、したがって例えば竹富島にお住まいの方は船で一々町役場まで行かなきゃいけなかったわけですが、郵便局の中に情報の端末を置きますと、竹富島からオンラインでもって町役場に、例えばホームヘルパー派遣申請などができるということで、非常に好評でございました。全国三カ所で実験を行ったわけですが、九〇%以上の方はこの実験は成功だし、またこれをさらに拡大してほしいということでございました。  そういうことも踏まえまして、十年度は一つの市町村だけじゃなくて近隣の市町村にもいろんな申し込みができるようにという実験の拡大を図っております。また、技術的にも電子内容証明というのを今考えておりまして、非常に安心して、例えば国に対していろんな申請を各事業所などからオンラインでもってやっていただく、フロッピーディスクでもいいんですが、そういうことに取り組んでおります。  さらに、十一年度につきましては、これらの一連の実験の継続、拡大とあわせまして、郵便局の中に市町村の方で住民票などを自動発行できるそういう端末を置いていただいて、さらに地域住民の方の利便に供したいということで関係省庁と現在調整をいたしておるところでございます。ぜひ御支援のほどよろしくお願いを申し上げます。
  51. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 各皆さんに御礼を申し上げ、私の質問を終わるわけでございますけれども、今の報告を聞きますと、非常に期待もあるし、国民からも支持を受けているということでございますので、最後に締めくくっていただく意味で、大臣の方から今後の展望と意気込みをちょっとお聞かせいただきたい。もうこれで質問を終わらせていただきます。
  52. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 昨年六月に郵政審議会から、できれば二〇〇五年ごろまでにこのワンストップ行政サービスの本格的な実現をという御提言をいただいているところでございます。  今、濱田局長からお話があったとおり、実験結果は大変好調ということで、また使われた方にも大変よかったという評判をいただいておりますので、来年度、また予算要求の実現などの課題に対して着実に、そして御支援をいただきながら必要であれば大胆に取り組んでまいりたいと思います。
  53. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 ありがとうございました。
  54. 内藤正光

    ○内藤正光君 まずは、時期はおくれてしまいましたが、野田郵政大臣、御就任おめでとうございます。私は、この七月、参議院選挙で初めて当選をさせていただきました内藤正光でございます。新人ながら七十五分ものお時間をいただき、郵政大臣所信表明を受けて質問に立たせていただくことを大変光栄に思っております。  情報通信は、まさに二十一世紀日本を切り開いていくものでございます。そういった意味からもできる限り大局的な質問をさせていただくよう心がけていきたいと思っております。  では、早速質問を始めさせていただきたいと思います。  まず、一番目でございます。それは大臣所信に対してでございます。  大臣は、所信表明にて、「急速に発展する情報通信産業は、グローバルな規模で市場と雇用を生み出すとともに、二十一世紀における経済社会発展基盤となるものであります。」とおっしゃいました。私はこのことに全面的に賛成でございます。そして、産業としての情報通信の発展を支えていくのが、情報通信政策大綱にもありますように、高度情報通信インフラの構築、そして利用技術の開発研究などでございます。情報通信基盤の高度化情報通信産業の発展とはまさに車の両輪の関係にあるわけでございます。  そこで、一つ目の質問をさせていただきます。  情報通信インフラの高度化情報通信産業の発展、なぜこの二つが二十一世紀に向けて日本の発展にとって欠くことができないものなのか、またどのように日本の発展に貢献をしていくのか、大臣の御認識を改めてお伺いしたいと思います。
  55. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 御当選おめでとうございます。御活躍を心からお祈り申し上げます。  今、内藤先生指摘のとおりです。私は何度も何度も申し上げてきたんですけれども、これからの日本のみならず、世界において情報通信というのが大変重要になってくる。これはいい意味でも、いわゆる影の意味でも大きな存在になってくる。  例えば、具体的に申し上げれば、先ほど来御質問があるインターネット、これだって十年ぐらい前には日本のこの世に存在していなかった一つ情報通信手段だと思います。ところが、近年、もうまさにこの委員会でもインターネットの話で持ち切りで、また先々の心配もある。またあわせて、インターネットを使ったビジネス、今さっき天野局長からインターネットキャッシュという話も出ました。インターネットを通じてのささやかな商いですけれども、最近では八百十八億の売り上げがあると言われています。しかし、額は少ないけれどもこの二年間で百二十倍という伸びを示している。  そういう、ある意味では楽しみでもありある意味では恐れ多い、そういう情報通信が私たちが知らないうちに大変ビッグバンを起こしているということをしっかり私たちは把握し、そしてそれに飲み込まれないように自分たちがシステムなり制度を築き上げていかなければならないという、やはり冷静に判断しなければならない時代だということを私は受けとめているわけでございます。  そこで、情報通信インフラの高度化がなぜ必要かといえば、先ほども例えに道路の話をしました。道路で言うと、ぼこぼこ道の細い道をトラックが何度も行き来するよりは、舗装されて四車線あった方がそれだけ物はたくさん大量に運べる。と同じような考え方で、情報通信網というのもやはり細くではなく太くそして大容量のものが、一気に運べるものが当然必要になってくるということは明らかであります。  あわせて、ただそうは言っても、ネットワークだけがきちっとできたとしてもその中身がなければならない。その中身というのは、やっぱり情報通信産業を通じての技術開発、もう御専門でいらっしゃるのであえて専門的なことは申し上げませんが、そういう中身があって初めてネットワークも十二分に生かされるんだということを私自身は認識しているところでございます。  具体的には、光ファイバーをきちっとファイバー・ツー・ザ・ホームという形で全国の各地に敷き詰めていくことや、今申し上げたように遅い容量が少ないインターネットから、大容量で多くの情報を多くの人たちに自在に受けとめてもらうようなインターネットの技術、実験研究が必要であると思っています。  さらに、情報通信の大事なことは、必ずしも大企業が情報通信産業に携わっていなくていわゆるベンチャーと言われているそういう人たちのいろんなアイデアや発想が起爆剤になることも今までのアメリカの例で十分考えられるわけで、そういう人たち支援をすることも重要ではないかと思っています。  以上です。
  56. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございました。  それでは次、二項目目の質問情報通信インフラの整備についてお伺いさせていただきたいと思います。  まず、皆様のお手元にもお配りをさせていただきましたが、こちらのグラフをごらんいただきたいと思います。(図表掲示)  これは民間企業によります情報化投資額の日米比較でございます。八五年以降九七年までの推移でございます。このグラフを見てまず感じますのが、日本は横ばい状態が続く、それに引きかえアメリカの方では、ずっと伸びているんですが、特に九〇年代に入って急激な伸びを示しているわけでございます。  この理由、なぜだろうかと考えてみますに、私は二つの大きな理由があろうかと思います。一つは、八〇年代以降のレーガン大統領によります抜本的な規制緩和、これが一つ。そして二つは、九〇年に入ってすぐでございますが、あのゴア副大統領によります全米情報スーパーハイウエー構想の提唱、この二つがあろうかと思いますが、この意見に対しまして何かコメントなりお考えがありますでしょうか。お願いいたします。
  57. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) お示しのグラフでも明らかなように、アメリカにおける民間情報化投資は日本を上回っていることは事実でございます。私どもとしてなぜアメリカの情報化投資がこれほど進んでいるのかという点を分析してみますと、四点ぐらいあるのではないかというふうに思っております。もちろん先生がお示しになりました点はそのとおりだというふうに私どもも考えております。  その一点目といたしましては、国防分野情報通信技術を民間に転用しているという話でございます。一九八〇年代から、例えば国防総省の高等研究計画局、これはARPAと言っておりますけれども、そのARPAがARPAネットというネットワーク研究開発用に敷設いたしまして、これがインターネットのもとになっているわけでございまして、このような軍事技術といいますものが民間に転用された結果、さまざまな分野にその波及効果が出ているということがございます。  それから二点目でございますけれども、情報通信分野のベンチャー企業が日本に比べてアメリカでは飛躍的に数も多いし成長もしているということでございます。例えば、NASDAQというアメリカの店頭市場がございますけれども、その上位二十社のうち十五社が情報通信関連というふうなことでございまして、日本の場合は店頭市場の三社が情報通信関連企業ということで、圧倒的に差があるということでございます。これは、ベンチャーキャピタルといいますか、ベンチャー企業にリスクマネーをどういう形で供給していくかという点があるわけでございますけれども、日本の場合はその点が非常に不足している、それから起業家マインドも日本の場合かなり欠如しているんじゃないかというふうなことがあるのではないかと思います。  それから、教育分野における情報化の進展ということがございます。教育の分野におきまして、公立学校のインターネット接続率でございますけれども、アメリカは七八%、日本は一八・七%ということで、日本の場合圧倒的におくれた状況にあるということでございます。  それから、御指摘のNIIという情報スーパーハイウェー構想、これをクリントン・ゴア政権発足後提唱されましたが、この計画のもとにアメリカではさまざまなプログラム、プロジェクトが推進されているところでございます。一つは、HPCC、高性能コンピューター通信プログラムというものを実施しておりまして、高性能のコンピューターによるネットワーク回線を整備しているところでございます。それから、NGI計画、次世代インターネット計画も行っております。それから、アプリケーションに対する支援措置。それから、ユニバーサルサービス基金を設けまして、学校、図書館等に対して役務提供を行います事業者に対する補助も検討されているということでございまして、さまざまな施策がアメリカにおいては打たれているわけでございますが、日本の場合こういう点について若干おくれた点があるということが、先ほどお示しのような民間情報化投資額の日米比較にあらわれてきているのではないかというふうに思っております。
  58. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございます。  さて、今私は電通審答申の「情報通信二十一世紀ビジョン」を持っております。ここの九ページに、このように書いてあります。「基盤整備の主体については、市場原理に極力委ね、公正有効な競争の下に基本的には民間主導で進められるべきである」と。このことは私はもっともなことだと思います。その後に、続けてこうも言っております。「しかし、基盤整備には多大の経費と時間を要することが多く、需要が顕在化するのを待ってから整備を始めたのでは遅すぎるおそれがある。」と。  そこで、国の責任として何をやっていかなければならないのか。こういうふうに言っています。「将来における技術動向」「をある程度予見し、民間における先行的・積極的な基盤整備支援」していかなければならない。これが国の責任だと言っているわけでございます。  つまり、インフラ整備基本的には民間主導で行われるべきではあるが、民間の事業者が安心して巨額な設備投資を行っていくための環境づくりとして、さきのグラフでもごらんいただきましたように、まず国が二十一世紀に向けた明確なビジョンを示していかなければならない。そのために我が国日本でも総理大臣を本部長といたしました高度情報通信社会推進本部が設置をされたわけでございますが、いまだにそちらの推進本部からも、あるいはまた郵政省からも何らビジョンが出てきていないように見受けられます。このままでは情報通信分野日本は致命的なおくれをとってしまうのではないかと私は大変懸念をしておりますが、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  59. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 御指摘のとおり、情報通信インフラ整備というのは、やはり私も基本的には民間が行うべきものだと思っています。しかし、本当に大変大きなお金がかかりますので、それに対して私たち国によって投資促進を生み出す政策支援というのはしてまいりましたし、これからますますしていかなければなりません。  例えば、今まで郵政省では低利融資を導入した加入者系光ファイバー網の整備促進というのをしてまいりましたし、さらには電気通信格差是正事業、皆さん格差是正事業とおっしゃいますけれども、過疎地とかにおいて電話が聞こえづらいというところに移動通信鉄塔施設を建ててきたりとか、または放送難視聴の解消施設の整備というようなことに力を入れて取り組んできたところです。  これからは、先生指摘のとおりおくれをとってはならないわけで、例えば光ファイバー網に関しては、おかげさまで民間事業者の方が一生懸命取り組んでいただいたので、当初の目標は二〇一〇年ということでしたけれども、今は二〇〇五年まで前倒しの目標が立てられることができました。それに対して、今後はその二〇〇五年の目標をもっと前倒ししていくための支援の拡充をしてまいりたい。  さらには、先ほども品川局長からありましたように、デジタル革命最終局面の中で放送デジタル化というのがやはり今大きな問題になっていますので、それに対しても積極的に推進していきたい。  最後には、今もずっと申し上げてきた次世代のインターネットのバックボーンの回線と言われているギガビットネットワークについては、積極的に施策を展開してまいりたい、そういうふうにビジヨンを持って取り組んでいきたいと思います。
  60. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございます。  情報通信産業市場は今グローバル規模で大競争の真つただ中にありまして、各国とも自国経済の命運をかけてその支援に懸命でございます。なぜならば、情報通信産業の世界では日進月歩、いや秒進分歩の技術開発競争を制した者のみがデファクトスタンダードを確立し、そしてグローバルなマーケットをその手中におさめることができるからでございます。  さらに、つけ加えて言うならば、この情報通信の世界では二番手以降が手にする恩恵というのは極端に少なく、日本が今まで得意としてきました後追い型の手法が通用しなくなる世界でもございます。もちろん、一義的には民間事業者みずからの努力においてこの大競争を勝ち抜いていかなければならない、戦い抜いていかなければならない、このことは私も全く否定するつもりはございません。しかし、情報通信産業を二十一世紀日本を支える基幹産業として位置づけて、例えば巨額な資金を要すのだけれども短期的には採算性を期待できないような分野だとか、あるいはまた基礎的な研究分野、そういった分野においてはもっとどんどん税制上の優遇措置だとか低利融資など、政府としてももっと積極的な支援を行っていくべきではないかと思いますが、いかがお考えでしょう。具体的な提案も含めてお願いします。
  61. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 情報通信がとても重要だと言われるようになって久しいわけですけれども、まだまだ言葉が先行しておりまして、じゃ具体的に何をやればいいのかというところがようやく今先生指摘のようなことになってきているんだと思います。やはりネットワーク、基盤の整備が非常に重要だと。どうかこれからも御支援いただきまして、私たちも積極的にそういうネットワークに関して政策的支援ができるように、いろいろとお知恵を拝借したいと思います。  具体的にというお話ですけれども、先ほど申し上げたとおり、光ファイバー網の整備に関しては低利融資制度を設けて支援しておりますし、あわせて財投なんかによりまして長期低金利な資金供給を今のところ実施しているところであります。こういう税、財投による支援措置によって情報通信産業が成長することを期待すると同時に、必ずしも情報通信産業というのは大きな会社ばかりではございません。コンテンツ、ソフト等はやはりベンチャーが立ち上げて頑張っていくわけですけれども、それに対してはテレコム・ベンチャー投資事業組合による資金支援とか、またはストックオプション制度の導入によって御支援ができるのではないかということで実施しているところであります。
  62. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございます。  次に、景気対策といった側面からひとつ質問をさせていただきたいと思います。  今、日本は大変な不景気の中にあるわけでございます。この閉塞感を払拭するために、こんな声が日増しに高まってきているわけでございます。従来型の土木中心の公共事業よりも情報通信を初めとした未来投資型の公共事業を行っていくべきだ、予算配分を変えていくべきだ、こんな声が日増しに高まっているところでございます。  郵政省も、この四月、総合経済対策策定の折には同じような主張をされましたし、実際に一兆八千億もの大型要求をされていたとは思いますが、情報通信分野への投資が従来型の公共事業投資に比べて景気対策だとかあるいはまた経済活性化に効果があるとお思いか、またその理由とか裏づけをお話しいただきたいと思います。大変答えにくい質問かと思いますが、よろしくお願いいたします。
  63. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) 情報通信は、我が国経済景気低迷の中で唯一の期待の星としてさまざまな注目を集めているところは事実でございます。この分野は特に技術革新が非常に甚だしい動きを見せているわけでございまして、新たな市場とか雇用を生み出すということで、日本経済再生の牽引役となるというふうに考えているところでございます。  情報通信産業景気に対してどのような効果があるのかということを、過去の情報通信産業の発展状況、それからアメリカにおける情報通信産業の位置づけ等々を参考にしながら少しお話し申し上げてみたいと思います。  まず、我が国におきましては、通信放送産業の売上高は一九九六年度に約十六兆円、前年度比一八・四%に達しております。このときに全産業の売上高は前年度比で二・四%減でございまして、情報通信産業は他産業に比べて非常に大きな伸びを見せているということでございます。また、通信放送産業の設備投資額でございますけれども、一九九六年度におきまして全産業、これが四十四・八兆円でございますけれども、約一割に当たります四・九兆円を占めているということでございまして、全産業中の一位というふうなことになっております。つまり、情報通信産業は具体的事例で見ましても日本経済の発展に非常に大きく貢献しているということでございます。  また、アメリカにおきましても、アメリカ商務省の報告、「ザ・エマージング・デジタル・エコノミー」という報告書を出しておりますけれども、その中で述べておりますところを見ますと、情報通信産業がGDPに占める比率は一九九八年において八・二%ということを言っております。実質経済成長に貢献する割合でございますけれども、一九九七年度において二八・三%というふうに推計されております。三分の一近くがこの情報通信産業によってアメリカの経済成長が達成されているというふうなことでございまして、日本の事例、アメリカの事例から見ましても、情報通信部門の経済的な重要性ということは論をまたないのではないかというふうに思っているところでございます。  我が国としても、このように経済再生、雇用創出に情報通信分野が非常に大きな役割を果たすということから、この分野に対して積極的に資金投下を行っていくことが必要だというふうに認識しているところでございます。
  64. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございました。  では、次の項目、これもインフラ整備に関連してはいるんですが、全国の小学校、中学校、高校への光ファイバー網の敷設についてということで質問をさせていただきたいと思います。  まずお伺いします。日米の学校におけるパソコン設置並びにインターネット接続の状況の違いについて説明していただけますでしょうか。
  65. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 文部省が行っております学校における情報教育等に関する実態調査といったものがございますが、ここで一学校当たりのコンピューター数を比較いたしますと、日本の場合は一校当たり平均約二十二台であるのに対しまして、米国は平均約七十二台ということで、かなりの開きがございます。また、インターネットに接続している学校の割合は、日本が一八・七%であるのに対しまして、米国は七八%という状況でございます。
  66. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございます。  実は私もこの日米比較、表として用意をしてあります。皆様のお手元にもあろうかと思います。ちょっと字が小さいのでそちらを御参照いただければと思います。(図表掲示)  パソコン設置に関しては、これは専ら文部省の主管でございますのでここでは申し上げることはいたしません。ここで注目をしていただきたいのは、インターネットの接続状況の日米における歴然とした差でございます。  接続率ということで申し上げますと、日本は、先ほど一八・七%というお答えをいただいたんですが、九七年の文部省調査ということでは、小中高平均しますと九・八%という数字を私いただいております。それに比べてアメリカは七八%、八割。日本は一割、アメリカは八割。つまり八倍の開きがあるわけでございます。  次に、確かに日本でも十校あるうち一校にはインターネット環境が整っていると。じゃ、その中身はどうなんだということで、具体的に幾つの教室につながれているのか、そういった調査もございます。とれを見てみますと、日本では悲しいかな一つの教室にしか線がつながっていない。それに対してアメリカの方では、一つの教室というのもあるが、それは三一%。そして、五つ以上の教室にインターネットがつながっているというのが実に四三%あるわけでございます。  さらに続けます。接続速度、日本は百二十八キロbps、その程度の速度なんです。それに比べてアメリカはどうかといえば、三百八十四。日本に比べて三倍。あるいはまたT1と呼ばれる一・五メガ、これは日本の十二倍でございます。もっと言いますと、これは光ファイバーでございます。  こういった現状を踏まえて、日本、アメリカ、それぞれに目標を立てられるわけですが、日本の目標は二〇〇一年までにすべての中学校と高校に、あるいはまた特殊教育諸学校にインターネット環境を整備する。そして、二年おくれて二〇〇三年にはすべての小学校。幾つの教室かというところまではここには書かれてはおりません。  それに比べてアメリカの目標、クリントン大統領が二〇〇〇年までに十二歳以上すべての生徒がインターネットを使えるようにすると公言をいたしました。それを支えるように、具体的な施策として、目標としてでかでかと出ております。二〇〇〇年までに学校ではなくすべての教室にインターネット環境を整備する、そしてなおかつ十二歳以上すべての生徒にインターネット環境を提供する、こういった目標を用意しているわけです。  さらに言います。  今通信料金がいろいろ問題になっております。それに対して補助すべきかどうかといういろいろな議論が行われているかと思いますが、日本は、一九九八年、地方交付税として一年間に十七億円の補助、プロバイダー経費だとか通信料というものを対象として補助を出すことになっております。それに比べてアメリカの実態はどうか。二十二・五徳ドル、今の換算レートでいいますと一二千億円なんです。日本は十七億円の補助しか出さない。一方、アメリカは三千億円。もうけた違いに補助金の額も違ってくるわけです。  このように、今つらつらと説明を申し上げましたが、愕然とするほどの日米の違いを見て、大臣、何かお考えをお聞かせください。
  67. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 私自身も教育に関する学校インターネット整備には大変関心がありましたし、大臣になる以前から議員の勉強会に出席しておりましたので、これからもっともっと頑張っていかなきゃならないなということは実感しているところでございます。  今御指摘がありましたアメリカのEレートについても私なりに調べてみたわけですけれども、これはインターネットの接続料などを大体二〇%から九〇%、地域のいろいろ富んでいるところ、貧しいところ、それぞれ格差がありますので、それに応じて割り引いていくもので、これはどうするかというと、通信事業者から収入に応じた拠出金を徴収して、いわゆるユニバーサルサービス基金というのがあるわけですけれども、そこに学校とか図書館向けの枠というのを新設され、この基金から通信事業者に割引分を還付する、そういう仕組みだというふうに承知しています。  今御指摘があった日本の方の地方交付税、こちらの方は学校インターネット接続のための通信料及び接続料の補てんというものであり、若干両者の性格というものは、お金の性格は異なるんですけれども、いずれにしても単純な比較はできませんが、日米の助成の差には大変大きな隔たりがあるということは事実であります。  郵政省としては、電気通信分野でございますので、先ほど申し上げましたけれども、通信料金の負担の軽減を事業者の方に御協力を要請するなど、私は大臣として、有馬文部大臣には直接この置くことに関して、さっきの目標、これは文部省が立てている目標なんですけれども、これをできる限り前倒しにしていただきたいという要望は申し上げているところであります。
  68. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございました。  さて、ことしの四月にまとめ上げた総合経済対策の中で、当初、八千三百億円を投じて全国三万七千の公立学校に光ファイバー網を敷設するというものがございました。私たちはこの施策景気対策といった面のみならず、二十一世紀日本を支える人材を育てていくんだと、そういった観点からも大変評価をいたしました。しかし、残念なことに、この施策は過大でそしてむだな投資だという大蔵省からゼロ査定を受けてしまった。  しかし、私がここで申し上げたいのは、野田郵政大臣御自身がこの施策を本当に重要だとお考えならば、今回の概算要求にて目玉施策一つとして最初から正々堂々と計上すべきではなかったかと思うんですが、まずこの施策に対する大臣のお考え、そしてまたその後の動きについてお願いします。
  69. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) これは、実は一次補正のときに提出しまして、ゼロ査定ということでございました。大蔵省から見れば、こなれていない部分、きちんと問題解決していない部分があったので、そうやすやすとお金を出すわけにはいかないということで、私たちも厳粛に受けとめているところでありまして、それぞれいろいろな御指摘があったことについて改善して、なおかつ磨きをかけて、やはり特に子供の将来にとって大切な政策ですので、完璧に近い形で頑張っていきたいと思っているわけです。  例えば言われておったことは、指導者がいないんじゃないか、小中学校にインターネット整備しても今の学校の先生ではとても指導できないんじゃないかという御指摘もありました。しかし、これは物は考えようで、いろいろな電気通信技術者の方たちが御定年を迎えられていろいろボランティア活動にいそしむ中で、地域の子供たちインターネットという道具を手に入れたときに昔のいろんな知恵を使っていただくとか、そういうさまざまなことは十分考えられるわけでございます。特に私たちは、先ほど申し上げたように基盤整備は民間主導なんだというそういう原則があり、そこら辺をきちっと踏まえて、教育に関してはどれだけのことが配慮できるかということを皆様方のお知恵をかりつつ懸命に努力しているところでございます。  繰り返しになりますけれども、これは大変重要な問題で、早急に解決していきたいと思っておりますし、なおかつ、もう失敗するわけにはまいりませんので、できますれば景気対策臨時緊急特別枠に向けて文部省ときちっと整合性のとれる施策にして提出したいということを考えているところでございます。
  70. 内藤正光

    ○内藤正光君 何としても頑張ってください。  では、次に基盤整備に要する財源などについてひとつ質問させていただきたいと思います。  情報通信など未来投資型の事業公共事業として推進していくために、民主党は建設国債と赤字国債とに分類する旧来の公債制度を抜本的に見直していく必要があるのではないかと考えております。橋や道路といった箱物土木事業だけが我が国の将来にとって建設的であるなどといった旧態依然とした考え方こそが、二十一世紀我が国の基盤づくり、高度情報化社会の構築を阻んでいるのではないでしょうか。(発言する者あり)質問を続けさせてください。  また、政府は、情報通信インフラの整備基本的には民間主導で行うべきだとのスタンスを崩しておりません。  しかし、ここで大臣にお考えいただきたいのは、今日のアメリカにおける情報通信産業の発展を築き上げてきたその大もとは一体何であったのか。これは紛れもなくインターネット網であったはずです。そして、そのインターネット網とはそもそも、先ほどおっしゃいましたように、ARPAネットと呼ばれる軍事研究用のネットワークだった。つまり、国がその予算において築き上げたネットワークインターネット網だったわけです。それが呼び水となって、その後民間主導でインターネット網の拡大成長が進んでいき、今日のアメリカにおける情報通信社会の礎となっているわけでございます。  以上、私が申し上げたいのは、根幹となるようなネットワークの構築については戦略的な視野を持って、財源を国債に求めてでも未来への投資として国が推進していくべきではないのか。情報通信政策をつかさどる郵政大臣として、また未来に責任を持つ一政治家として、大臣の御認識をお伺いさせていただきたいと思います。
  71. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 郵政大臣として、また一政治家としてということでございますが、私は岐阜県選出の国会議員でございまして、やはり岐阜県におきましてはまだまだ公共事業、十分なところがございません。多くの農村地域におきましては、やはり公共事業の中の道路とか橋とかそういうものを必要としている方がいるということは忘れてはならないことだと思っています。  ですから、今ある公共事業を否定するものでは決してございませんが、今後、特に最近はインターネットという、いいものか悪いものかは別にして、大変なものが世界じゅうをうごめいている。それでもう多くの国々がそれを利用してもうけてやろう、いろいろ軍事面でも何とかしてやろうとか、そういうような話が出てくる中で、日本だけは泰然としてそれを自分たちのベースでやっていくわということで果たして将来世代に対しての責任がとれるかどうかということもこれは大変重要なことでございます。  ですから、すぐに公共事業にするべきだとか、そういう議論よりも、やはり情報通信日本のみならず世界にインターネットとかを通じて大変影響を与えていることをより理解していただきまして、私どものできることは精いっぱいやってまいりたいと思います。  ちなみに、繰り返しになりますけれども、今まで光ファイバーに関しても民間主導等お願いしつつも、やはり低利融資とかいう政策をとってまいりましたし、またそういうものに対しても平成十一年度には拡充していきたい、少しでも民間の事業者の方がやりやすいような政策の支援の拡充をしてまいりたいと思っておりますし、アメリカに先駆けてというと大げさですけれども、ギガビットネットワークというのはやはりこれは日本が先んじて高速伝送のネットワークサービスを始めるということも御理解いただいて、必ずしも私たちは後ろ向きではない、やるべきことはやっているわけですけれども、今後の情報通信インフラの整備が財政制度上の理由だけでおくれることがないようには最大限の努力をしていきたいと思っています。御理解ください。
  72. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございます。  では、次の質問項目に移らせていただく前に、まずごく一般的な質問大臣にさせていただきたいと思います。  これまで電気通信審議会郵政大臣の諮問を受けまして数々の答申を行ってまいりました。野田郵政大臣、これらの答申を大臣は尊重されるのかどうか。もし尊重されるとしたならば、それらを具体的な政策として形にしていく、その気概がおありなのかどうか、お尋ねします。
  73. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 電気通信審議会のみならず、各種の審議会先生方には貴重なお時間をいただきまして、我が国の発展のために、情報通信のみならず各役所にそれぞれの審議会があって御苦労いただいているところでございます。恐らく、私だけではなく、それぞれの責任者はその審議会での審議を最大限尊重して、そしてできる限り努力してまいる、そういう姿勢であることは信じています。私も、一生懸命答申をいただきましたら受けとめてできる限りのことはやってまいりたいと思っています。
  74. 内藤正光

    ○内藤正光君 先ほどの「情報通信二十一世紀ビジョン」、電通審の答申がございます。こちらの十ページに、項目といたしましては「ダイナミックな競争の促進」というところで、こんな一文がございます。ちょっと読ませていただきたいと思います。  「一層の競争の促進と市場メカニズムの活用により、市場の活性化、消費者利益の拡大を図っていくべきである。ここにおける行政役割は、公正有効な競争が確保されるような環境を整備することであり、保護育成型行政ではなく、市場重視型ないしはルール型行政を目指すべきである。」と明確にうたっております。  ルール型行政とは、まず透明なルールをつくり、その下で幾つかのプレーヤーが建設的な競争を繰り広げる、そして、万が一あるプレーヤーがルール違反を犯した場合、中立かつ厳正なレフェリーによって裁かれるというものでございます。  この主張は本答申の柱とも言うべきものでございますが、改めてお伺いします。郵政大臣は、この部分を尊重されますかどうか、お伺いします。
  75. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 尊重してまいります。
  76. 内藤正光

    ○内藤正光君 尊重してまいるということで大変よろしいかと思いますが、では、ひとつ大臣の今の御認識をお伺いする必要がございます。それで、一つ質問をさせていただきます。  この答申が、ここまで明確にルール型行政を目指すべきだ、あるいはまた市場重視型行政を目指すべきだと言っているわけですから、普通に考えますと今の日本郵政事業はこれが実現されていないと考えるべきなんですが、大臣郵政大臣として、郵政省のトップとして、今の日本郵政事業、これらの答申が言う市場重視型あるいはルール型行政実現し得ているかどうか、どうお思いですか。
  77. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 恐れ入ります。郵政省は二つの大きな仕事に分かれておりまして、郵政事業の部分と情報通信部分についてですけれども、今は情報通信、要するにテレコムについてだけ申し上げればよろしいわけですか。
  78. 内藤正光

    ○内藤正光君 はい。
  79. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 郵政省としましては、私が申し上げるまでもなく、昭和六十年に電電公社が民営化されてから本格的な競争原理の導入が始まったと言われておるところであります。それによって、活発な新規参入と事業者間の競争を通じて通信料金はどんどん下がってきておりますし、とりわけ携帯電話、移動体通信というのは我が国の経済に大きなメリットをもたらしたと言われています。  今後とも、いろいろとNCCの参入に当たって、必ずしも競争が新規の人にとって有利かどうかというとまだまだ問題点があるのじゃないかということも承知しておりますので、NTTの再編ということを迎えてなおかつ公平なルール、例えば接続のときにはだれでも接続できるようなルールをつくったりとか、必ず余り強い人が高い値段で価格設定をしないようなそういうルールづくりというのをきちんとして、規制緩和、自由な競争のもとで結果的には消費者にいいサービスと安い料金で提供できるようにということをこれからも努めてまいりたいと思っています。
  80. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございます。  大臣、例えばNTTが巨大だから規制はまだ必要だとおっしゃいますが、NTTも来年には再編されるわけです。長距離・国際、あるいは地域においても西と東に分割されるわけです。一方、長距離会社として日本テレコム、DDI、テレウェイ等が、そしてまた地域会社としましてはネットワークのオープン化を通じまして電力系の有力な地域電話会社が育ってきているわけでございます。つまり、競争条件はもう十分整ってきたという認識は私は持っているわけでございます。  ですから、今後の情報通信産業の健全な発展のために本当に求められるのは、この答申が規定しておりますように、規制を通じた保護育成ではなく、競争ルールの策定と、それが遵守されているのかどうか、これを厳しく監視することにあるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  81. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) おっしゃるとおりで、例えばこれからNTTも再編していき、NCC等も競争の土台はもう整ったんじゃないかと言われつつも、まだまだ地域網においては独占状態ということで、なかなかNCCも厳しい状況にあるわけでございます。  私たちは、単に保護するだけではなくて、例えば加入者系無線アクセスシステムというような形で、有線はNTTが半ば独占状態だけれども、これから新しい新規参入に関しては無線を使っていただいて地域間の競争をしてもらおうじゃないかとか、そういう施策を通じて自由競争を促進していきたいと思っています。
  82. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございます。  以上を踏まえて、次の項目といたしましては、中央省庁再編に臨む基本的な考え方を大臣に何問かお伺いをさせていただきたいと思います。  ことしの六月に中央省庁等改革基本法が通過をいたしまして、それをもとに今省庁設置法の改正作業等を進めていることだろうと思います。郵政省につきましては、電気通信放送行政、そして通信政策のいわゆるテレコム三局は二局に再編をされて総務省の内部部局となり、そしてその中で電気通信並びに放送に関する業務をとり行っていくわけでございます。  さらに言いますと、昨年九月の行革会議の中間報告で、電気通信産業の振興などいわゆる政策機能は、当時産業省と言っておりましたが、産業省に移管し、そして監視・裁定機能として通信放送委員会を新たに設置するということがうたわれました。どういう経緯かは知りませんが、こういったものは十二月の最終報告ではすべてが立ち消えになってしまったわけでございます。  これらをまとめてみますと、これらによって総務省内につくられる電気通信並びに放送に関する新たな二局というのは、産業振興にかかわる政策機能、そして監視・裁定機能とをあわせ持つことになるわけでございます。  そこで大臣にお伺いいたしたいのは、二つの機能をあわせ持つことが許されたとはいえ、先ほどの電通審答申の趣旨に照らし合わせて、再編に向けて政策と監視・裁定、この二つの機能をごちゃまぜにすることなく明確に分けていく必要があるとの御認識かどうか、お伺いさせていただきます。
  83. 高田昭義

    政府委員高田昭義君) 確かに、今回の六月に成立をいたしました基本法の中におきましては、先生指摘のとおり、電気通信行政放送行政を二局に再編成をするということでございます。  先ほどもちょっと御答弁申し上げましたですが、情報通信分野をどういう形で区分をするか、今先生が御指摘になりましたような例えば規制と振興みたいなことで行政を分けるみたいな意見もあることは事実でございましたけれども、結果的には私どもはそういう行政事務の切り分けというのは必ずしも適当ではないということになったんではないかと。議論の過程では、例えば通信放送というような分け方をしたらどうだとか、あるいは伝統的に言いますと有線と無線というような分け方はどうだとか、あるいはハードとソフトというような分け方はどうだとか、情報通信行政の切り方というのはいろんな角度があるんだろうというふうに思っております。  一番大事なことは、これから二十一世紀に向かった行政の仕組みをつくるということでございますので、これからの情報通信というのはどういう形で発展をしていくのか、あるいは国民ニーズというものがどういうふうに発展していくのか、あるいは技術革新はどういう方向で行くのか、そういう行政需要の変化に的確に対応できる行政組織というのはどういうことなのかということが問われているんじゃないかというふうに思っております。  そういう意味で、先ほど申し上げましたですが、今私どもの検討している中身は、今後の重点的な行政課題というのはどんなところに出てくるのだろうか、あわせて、これまでの行ってきた行政需要というようなものをもう一度見直してみてあるべき二局体制というものを検討しつつあるという状況にございます。  そんな観点から、これからの総務省における二局体制というものを検討していきたいという状況にあります。
  84. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございます。  先ほどの答弁の中に、可能性として放送通信を分けるということにも触れられたかと思うんですが、今世の中は新たな技術の進展により放送通信の融合が進みつつあるわけでございます。明確にこれは放送だあるいは通信だと切り分けることができない、これが今の現状でございます。  こういったものもつまり現状認識として持ちながら再編作業を進められることだろうと思いますが、その辺について何かありましたら教えてください。
  85. 高田昭義

    政府委員高田昭義君) 御指摘のとおりだと思っております。  ただ、その中には、先ほど申しましたように、例えば有線と無線が一体になると。現在で言いますと、例えば無線に関しては電波法という法体系がございますし、有線に関しては有線電気通信法という法律の体系がございまして、法律の体系が別々になっておりますが、例えばユーザーから見ますと、有線と無線というのは実質は混合した形で使っていく、あるいは事業体の場合も混合したような形で使っていくというような問題もございますので、必ずしも通信放送という区分だけがこの領域を分ける区分ではないと思います。先生の言われているように、そこがまた融合しつつあるというような実態も生じつつあるということも承知しておりますので、そういうことも視野に入れて検討していくことが大事だというふうに理解をしております。
  86. 内藤正光

    ○内藤正光君 私が冒頭質問いたしました政策機能と規制機能とを、あるいは監視・裁定機能とを分けるかどうかという質問に対しては明確な答弁は得ることができなかったわけでございますが、じゃ一つ質問をここでさせていただきたいと思います。  やはり監視・裁定機能とは言わないまでも、監視あるいは裁定といった業務に一番求められるのはやっぱりそのプロセスの透明性であり公開性ではないかと思いますが、その辺のことを郵政省はどういうふうにお考えでしょうか。
  87. 高田昭義

    政府委員高田昭義君) 行政にとって一番大事なことは、やっぱり国民にとってわかりやすいということで、先生の御指摘のように、行政の透明性とかいうようなことを追求していくということが私どもに課せられている課題ではないかというふうに承知をしております。
  88. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございます。  今後の日本情報通信産業の活性化のために取り組んでいくべき最大課題は、私は行政産業へのかかわり方の改革にあると強く思っております。今回の与野党合意で大蔵省の財金分離が決定されましたように、あらゆる産業、あらゆる市場のグローバル化が今進んでおり、もはや不透明な行政裁量を許すようなシステムは否定されるわけでございます。規制というのはユニバーサルサービスといった必要最小限にとどめるべきであって、事業者間の競争を監視・裁定する機関というのは本来は行政と分話して第三者機関にゆだねていくべきものと私は思っております。  イギリスにおいてはOFTEL、アメリカにおいてはFCCを初め、カナダ、オーストラリアなど先進国においては情報通信規制機関行政から独立する傾向にあるわけでございます。事業者と許認可権限を持つ行政の利害から距離を置いて、そして情報通信の専門家による第三者機関の設置によってこそ公正な審判を求めることができるものと私は思っております。  もちろん、さきにも述べましたように、これは情報通信分野に限らず、我が国のあらゆる行政分野で求められていく問題ではないだろうかと思っております。公正な競争、活力ある競争は公正かつ透明な行政への脱皮によってこそ生まれるわけでございます。真の産業のグローバル化は行政のグローバル化によって生まれるわけでございます。このことは私の今後の検討課題、取り組み課題としてこれからの委員会において逐次質問等をさせていただきたいと思います。  さて、それでは最後の質問をさせていただきたいと思います。それは目の不自由な方にも使える電子マネーということでございます。  この話に移る前に、郵便局のATMについて一言申し上げさせていただきたいと思います。  目の見える私たちにとっては郵便局のATMも銀行のATMも何ら変わりがないように見えるわけでございますが、しかし、目の見えない方々にとってはすごく違いがあるんです。どういう違いか。銀行のATMは全然使えない、郵便局のATMは使える。それはなぜか。古い機種で言いますと、点字ピンというのがATMの機械から飛び出してきて、これをなぞることで残高照会だとかいろいろな使い方ができたわけでございます。そして、新しいATMにおいてはどうなっているか。備えつけの受話器を耳に当てることで残高照会だとかいろいろなサービスを受けることができるわけでございます。私は、そういった点で今の郵政省のバリアフリーという取り組みを大変高く評価をしております。  一方、大宮の方で今郵政省が中心となって電子マネーの実験に取り組んでいると思います。ちょっと聞いた批判といいますか感想なんですが、どうも今の電子マネーは目の見えない人には使えない、あるいはまたちょっと視力の弱いお年寄りだとかそういった方々もどうも使い勝手が悪い、こんな話を聞いております。  仮にも電子マネーがすべての人の手に行き渡るような普及を考えていらっしゃるのであれば、当然今の段階からそういった目の見えない方への配慮等を行っていくべきものと私は思っておりますが、その辺の配慮の状況につきまして御説明をいただけますでしょうか。
  89. 松井浩

    政府委員(松井浩君) 先生に御紹介いただきましたように、郵便局のATM、CDは二万四千台ございますが、すべての機種につきまして点字表示機能及び音声誘導機能を持たせまして、いわゆる特別のバリアフリー対策を国営機関としてとらせていただいているところでございます。  今御質問の大宮地域のICカードの実証実験でございますが、今年の二月からスタートさせていただいておりますが、これにおきましても、お名前を点字表示したICカードを発行しているなど、同じような考え方で対応させていただいております。  私どもの実験に参加していただいております企業にもICカードの読み取り機の点字対応をお願いしております。既にJR大宮駅の券売機だとかあるいはNTTの公衆電話につきましても点字によるサービス利用が可能となっております。  さらにスーパーとかコンビニとかそういういろんな店舗に参加していただくわけでございますが、その店舗に設置しておりますICカードの読み取り機につきましても、暗証番号を入れるわけですが、その暗証入力用の数字キーの部分に点字シールをつけることを検討しているところでございまして、先生の御指摘も踏まえましたそういった点に十分配意しながら実験を進めてまいりたいというふうに考えております。
  90. 内藤正光

    ○内藤正光君 残高の照会についてはどのように行えるんでしょうか。
  91. 松井浩

    政府委員(松井浩君) 残高の照会につきまして、ちょっと今手元に持っておりませんが、引き続き検討はしていきたいと思っております。
  92. 内藤正光

    ○内藤正光君 よろしくお願いいたします。わかったらまた教えてください。  時間をあと十分ばかり残してしまいましたが、これで私の質問を終えさせていただきます。大臣のますますの御活躍をお祈り申し上げまして、質問を終えさせていただきます。  ありがとうございました。
  93. 小林元

    委員長小林元君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  94. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通情報通信委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、伊藤基隆君が委員辞任され、その補欠として川橋幸子君が選任されました。
  95. 小林元

    委員長小林元君) 休憩前に引き続き、運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  96. 森本晃司

    ○森本晃司君 まずは、野田郵政大臣に御就任を心からお祝いを申し上げます。おめでとうございます。  また、大変暗い政治状況の中で、暗い世相の中で、居並ぶ閣僚も余り明るい顔をしていないんですけれども、その中であなただけが明るく情熱的に振る舞っておられるのは一つの光明かと私は思っております。同時にまた、野田大臣がけさからの質疑に対しても一生懸命取り組んでいらっしゃる姿、私はまことに立派なものだと思います。二十一世紀を前にして、これから情報通信産業というのは極めて大事な時代を迎えます。そんなときに、野田大臣のように若くて柔軟で未来に向かって取り組んでもらう大臣が誕生したことに私も期待をしておりますから、どうぞこれからも大いに頑張っていただきたいと思います。  参議院一年生でございますので、一生懸命質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  景気も極めて暗い、そして停滞しているということ、これはなぜ停滞しているのかということを今この委員会で論ずるものではございませんが、それぞれ皆さんもなぜかということは非常によくおわかりかと思います。景気の停滞が今長期化している中で、一日も早い景気回復が望まれている、これが現在の最大課題ではないかと思います。  野田大臣所信表明の中で、情報通信分野の活性化を図り、またデジタル革命による日本経済の再生を目指すということを表明されました。朝からの討論の中で、品川局長からデジタル革命の普及の状況あるいは進歩の状況、そしてこれから果たす役割についていろいろと話を伺うことができまして、私もますますデジタル革命の重要性を痛感しております。  そこで、情報通信関連産業というのは、今大きく経済効果が期待されているところでありますが、郵政省は一千億を超える景気対策臨時緊急特別枠を要求されて、十月までに具体的内容をまとめることとされました。朝から、鹿熊先生質問の中でだったと思いますが、大臣がその具体的内容を今必死で取りまとめておりますと、こうおっしゃっていただきましたが、具体的な内容については特にお答えがなかったように思っております。  一方、民主の若きエースが質問された中で、学校へのコンピューター導入の問題について、当初は大蔵省もゼロ回答で郵政省も一歩下がったけれども、今度の景気対策でしっかりと取り組んでいきたいと、こういう大臣の御回答もありました。この問題もぜひ準備万端の上で、大蔵に負けることなく、きちんとこれからの未来の子供たちを育てる教育の部門においても、また産業の部門においても重要ですが取り組んでいただきたいと思います。  今申し上げたことを含めまして、どのような景気対策を考えておられるのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
  97. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 冒頭に、先生におかれましては激励をいただき、心から感謝申し上げます。  情報通信に関しましては、やはり大勢の皆様方の御理解と御支援をいただいて事を運んでいかなければなりませんし、また大変急ぐことでありますので、今後とも引き続き御協力をよろしくお願い申し上げます。  今回の特別枠の話をする前に、小渕内閣は、いろいろと世間での評価はございますが、特に情報通信に関しては力いっぱい取り組んでいこうということを総理大臣を初めとして御表明されているところでございます。  それを受けまして、私は郵政大臣として、繰り返しになりますけれども、まずは新規産業・雇用の創出、これは将来できるとかそういうことではなく、この一両年、とにかくすぐに立ち上げられる実用可能なものに対して集中的に施策を施して実用化に向けて新産業を起こしていただこうということ。  二つ目には、これからの日本の国を考えたときに、やはり行政がそれぞれ連携をとって取り組んでいかなければならない、その土台となるのが情報通信の技術ではないか。そういうことで、いろんな役所と緊密に連携をとり合ってそういう未来に向かっての発展基盤整備をしていきたい。  さらには、これは情報通信だけの問題ではなくて国全体の問題ですけれども、少子・高齢化ということがもう取りざたされて久しいわけでありますが、それについて郵政省としてできることをやっていこうじゃないかという、その三つの柱で今現在取り組んでいるところでございます。  具体的にというお話がございましたので、例えば新規産業ではどういうことが考えられるかといえば、ITSという、先ほどVICSの話をしましたけれども、そろそろ高速道路のドライブスルーが実用可能になりつつある、それをこの一年か二年のうちに決着をつけて、成果を上げて、そしてどんどん産業の皆さんに実用化していただき、それに伴うまた新たなる情報通信機器なりそういうものを生み出していただこうと、そういうことを考えております。  デジタル放送もまさにその一つで、例えば設備投資が必要でありますし、またデジタルという新しい道具を使った放送においていろんなソフトが考え出されてつくられていくわけですけれども、そういう人材とか、またはソフトをつくっていく会社が立ち上がっていくだろうということが容易に想像できるわけであります。  さらに、二十一世紀に向かって、さっきもワンストップ行政サービスの話がございましたけれども、これからは情報通信単体で何かをするのではなくて、例えば情報通信という道具を使って遠隔医療をしていく。例えば山の中でけがをした、そのけがの症状が、その小さな村では大きな病院がないからどう施していいかわからないというときに、例えば高速情報通信網があって写真を撮ったりレントゲンを撮ったりして大病院に瞬時に送って、そして大病院の専門の医者によってきちんとした手当てができる、そんなようなことも情報通信網が高度化されれば容易にできてくる。そういうことを考えた中で、あわせて先生が御指摘されました教育についても取り組んでいきたいと考えているところでございます。  さらに、少子・高齢化への対応、これはまさに私も独身で子供がいませんのでいろいろとみずからを振り返りながら考えるところがあるわけですけれども、特に最近は働くお母さんの子育てが容易でない、核家族化が進み、働きながら子供を預かってくれる人がいないというのが都市部の働くお母さんの悩みと承っております。  そういう人たちが例えば家の中で子育てをしながら仕事をするにはどうしたらいいかと考えたときには、そういう情報通信網を土台に、また情報通信機器を使っていろいろな仕事ができるようになれば子育てと仕事の両立も可能ではないか、そういう将来の働くさまざまな勤労の選択肢を考えつつ一生懸命取り組んでいきたいと思います。  先ほど来、教育に関しては各先生方から厳しく、そして大きな御要望をいただいておりますので、今後の特別枠に関しては重点的に、どこかの役所に負けないようにというお話でございましたけれども、きちんと子供たちにとっていい政策がっくれるよう頑張って取り組んでまいります。御指導よろしくお願いします。
  98. 森本晃司

    ○森本晃司君 もう少し大臣から。  大臣から全般の郵政省の取り組みの話、少子・高齢化とかあるいは教育のことも聞いたんですが、私は、今景気対策として、景気刺激策としてどのようなことを考えておられるかということをもう少し具体的に聞きたかった、全般の問題じゃなしに。この十月にまとめられるんでしょう。
  99. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) はい、十月末までに。
  100. 森本晃司

    ○森本晃司君 十月末までに。  ITSはわかった。それから学校教育にコンピューターを導入しようと決意をしているということはわかった。そのほかにどんな具体的な、大枠じゃなしに、今度十月に出す中で具体的にどんなものがあるかということです。
  101. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 別に隠しているわけではございませんけれども、十月末の特別枠に関しては今まさに検討中で、ここで具体的に申し上げるものが今現在手元にございませんので御容赦いただきたいと思います。  ただ、今の教育の問題を含めて、それぞれ今月の終わりにはきちっと具体的に出し上げていこうということを各局に指示しているところでございます。
  102. 森本晃司

    ○森本晃司君 今月末に取りまとめようということなんだから、そのことについてはもう大臣の手元に、あるいは大臣の考え方としてあるはずなんです。今ここに資料を持ってきていないから答えられませんということではなしに、具体的こじゃ、わかりました。そこはまだ今検討中かもわからないので、大臣は結構ですが、居並ぶ局長の中でどなたか、例えばこういう問題に取り組んでいますと言える人があったら言ってもらいたい。
  103. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 実は、先ほども申し上げたとおり、郵政省単体でということよりも各省庁との調整を、例えば教育ですと文部省ときちっとすり合わせをしてとか、そういう今作業段階にあります。必ず十月末までには御期待に沿うようなものをつくってまいりたいと思いますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
  104. 森本晃司

    ○森本晃司君 各省庁との関連もありますが、どうか郵政省として考えている景気刺激策、きょうはもうこれ以上聞きませんが、しっかりとやっていただいて、景気刺激になるように、また景気回復になるように、再生になるように御尽力をいただきたいと思います。  そこで、インターネットなど情報通信分野ではアメリカが世界をリードしている。とれがアメリカ経済の発展にも大きく貢献している、その三分の一、二八%の貢献度がある云々ということについては金澤局長から朝の答弁の中であったかと思いますが、我が国における経済再生を図る上においても、あるいは二十一世紀を展望する、あるいは二十一世紀情報分野で世界をリードしていく、そういうふうな思い切った取り組みが極めて必要だと思いますが、大臣の考え方をお伺いします。
  105. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) インターネットは、御承知のとおりアメリカの国防技術の民生化ということで、私どもも大変大きな影響を受けているところでございます。  きょう、まさに日本におきましてインターネットキャッシュという新しい電子商取引の提供開始の式典があったわけですけれども、これから私たちが世界に先駆けて取り組んでいくとするならば、やはり次世代インターネットということになるわけです。  それはどういうことかといえば、世界に先駆けて次の世代のインターネット実現するために、まずとても速いということ、そしてたくさんの容量、量を送れるということ、そしてこれから電子商取引なんかでICカードができたりしてお金のやりとりがあったときに安全性がきちんと保証されていること、そしてまた途中でおかしくなったりとかそういうことがないような信頼性がきちっとあるということを踏まえた技術を開発していきたいと思っています。  あわせて、次世代インターネットの基盤になるのが、先ほども申し上げましたけれども、ギガビットネットワークという超高速のネットワーク、これは電話回線の一・五万倍以上に相当する研究開発用のネットワークということで、これの構築に向けて進んでまいりたいと思っています。
  106. 森本晃司

    ○森本晃司君 インターネット、極めてこれは世界の中においても大事ですし、これから我が国が世界経済あるいは世界の情報分野をリードしていく上からも大事ですから、大いに取り組んでもらいたいと思っています。  ただ、朝からも議論が出ておりましたが、インターネットにも陰の部分がある。インターネットの普及で、今、日本でも一千万人の人が利用している、こう言われております。私も、昨年は自分自身を見詰めるよき機会を与えていただきました。今までパソコンにはさわったこともなかったんだけれども、一生懸命五十五の手習いで挑戦をしたんです。そして、インターネットにも、少々ではありますけれども導入部分を自分で挑戦してみました。極めてこれから大事であるなということを痛感しているわけでございます。  ところが、最近、わいせつ情報が非常にインターネットを使って多く行われている。先日も、テレビを見ていましたら、Q2を使ってやっている、しかもその電話料金たるや親が知らない間にあっという間にたくさんの電話料金がかかっているということも放送されていました。同時にまた、それを取り締まろうという側と、業者側は幾らやってもさらに我々はまた知恵を働かせますよと、こういったことがテレビでも放送されておりました。果たしてそれでいいのかなと思います。  一昨日の新聞で発表になりましたが、「インターネット使う青少年の三分の一 ついつい接続ポルノ画像」と。パソコンの普及とともにわいせつな画像を見る青少年が急増しているという総務庁の発表が新聞に掲載されておりました。そういったわいせつ情報やあるいは他人の誹議中傷など違法有害情報の流通、それからパスワードの盗用による詐欺行為、マルチメディア社会の発展に伴う新たな社会問題が今生じているところであります。  インターネットの健全な発展普及のためには、法的規制も含めた対応が必要であると私は思っております。警察庁は、不正アクセス、ハッカー対策のためにアクセスログ、通信記録の保存を義務づける法改正を検討しているようでありますが、郵政省としてはどう考えておられるのかということと、また個別の法規制ではなく包括的にこれらの問題に対処するサイバー法、情報通信高度化基本法の制定の必要性もあると指摘されていますが、郵政省はこの問題にどう取り組んでいかれるか、この点お答え願いたいと思います。
  107. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 大変御質問は多岐にわたっておりますが、まず、おっしゃいますように、インターネットの普及に伴いまして、わいせつ情報インターネット上の違法有害情報が大変大きな社会問題になりつつあります。  特に、青少年保護の観点から、青少年がインターネット上でいわゆるポルノ情報を容易に見ることができることは非常な問題であろうと私ども認識しておりまして、これまでに、これは平成九年でございますけれども、学者を初めとする有識者の方々にお集まりいただきまして、こういった問題の対処の検討をいただきました。それを受けまして、インターネットサービスを提供するプロバイダーの団体の中で自主規制のガイドラインを策定していただく。それからまた、現在は受信者側でこういった有害情報をブロックするためのフィルタリングあるいはレーティングの技術の研究開発などにも取り組んでいるところでございます。  それから、法規制のことについても言及がございましたけれども、ネットワークに対する不正アクセス行為の問題につきまして、郵政省では通信主管庁の立場から、それの防止のための法制度の整備に向けまして現在鋭意検討を行っております。  例えば通信履歴、通信ログと言っておりますが、こういったものの保存などについても、いろいろ御議論がありますけれども、私どもの立場から言いますと、通信の秘密やあるいはプライバシー保護との関連でこれは慎重な取り扱いが必要であろうと思いますし、また、関係産業界からは、これの運用のことにつきましては複雑化あるいはコストの増大等の管理運用面での問題点が指摘されておるということで、いずれも慎重な検討が必要であろうというふうに認識いたしております。  そのため、現在、関係業界と意見交換を進めますとともに、さらに電気通信サービスにおけるプライバシー保護に関する研究会といったものを開催いたしまして、通信履歴、ログの保存と通信の秘密、プライバシー保護との関係等につきまして検討を進めている、そういう状況でございます。
  108. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、Vチップ制の導入について伺いたいと思いますが、中学生によるナイフ事件が起きましたとき、メディアの責任を問うということで数多くの投書が寄せられてきました。  過激な映像を親が子供に見せないようにする装置、Vチップ装置の導入が今いろいろと議論されていますが、こういったVチップ問題というのは、要するに社会環境がだんだん悪くなっていく、その悪くなっていくその一つに、マスコミのあり方があるんではないだろうか、マスコミ自身がもう少し自主規制的なものをやれば、また変わってくるんではないだろうか、マスコミがいろんなそういう暴力的な映像等々を流すことによって社会がますます悪くなっているんだという、社会環境悪化の条件の一つとしてマスコミが挙がってくるので、これを規制しなければならないということでVチップ制、これを導入せよという議論がされています。  もう一つは、その反対側に、反対側というか対局にあって、これを規制し過ぎると今度は言論の自由が侵されるんではないだろうか、こういった議論もあります。民放連の皆さんがいろいろと調査をされたことも、そしていろいろと意見を発表されたことも私どもは認識しているわけでございます。  アメリカも、この対立の中でクリントンさんがどう言ったかというと、異例の談話を発表したそうでありますけれども、それは、憲法をアメリカ政府は必ず守ります、これはあくまでも教育上の措置ですよというようなことを言ったということも伺っているわけでございます。  大臣にお伺いしたいんですが、Vチップ制の導入について検討されておると思いますが、言論の自由との関連についてどのような認識を持っておられるか、お伺いいたします。
  109. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 実は、私は大臣になる以前、一国会議員のときからこのVチップに対しては関心を寄せておりまして、自分なりに郵政政務次官当時、または一議員のときも勉強を重ねていろいろと調べてきたつもりでございます。  まず初めに、放送というのは、憲法のもとで保障されている表現の自由と公共の福祉の調和という上で成り立っていると信じています。そうした基本理念があって初めて放送法というのは、今お話が出てきました放送番組編集の自由とか、そしてそのための放送事業者が守るべき番組準則を定めるとともに、さらに事業者が法に従って番組基準を策定するという、放送の自律性を担保している、そういう仕組みになっているわけです。こうした法のもとで、それぞれの放送事業者の方たちの番組の適正化を図る努力が行われているものだと認識しているわけです。  しかし、最近、この国だけじゃなくて、世界的にもやはり青少年の問題、青少年の保護というのは、国連児童権利条約の批准から始まって、大変厳しくなってきている。そういうところで、放送メディアと青少年との関係等をどうとらえていくべきかということで、実は、ことしの五月から青少年と放送に関する調査研究会というのを開いていただいているところでございます。それ以外にも、随分多くの審議会とか勉強会で既に青少年と今の放送に関する関係というか、因果関係みたいなものを多くの審議会議論検討していただいているところだと思います。  そんな中で、Vチップというのはアメリカの方では法的にも義務づけられたと聞いておりますけれども、アメリカがVチップに至るまではやはりさまざまなハードルとまでは言わないけれども、プロセスがあったと思われます。  今私たちがやらなければならないことは、まず、日本の国というのは必ず一家に一台はテレビがあるという状況である。そしてそれに対して、家庭の中ではどういうふうにテレビとつき合っていくか、それはそれぞれの親子の対話の問題も考えていかなきゃならないし、青少年にとって何を見せたら悪くて何を見せたらいいかという、そういう議論もしてまいらなければなりません。また、放送事業者の人が逆に自発的にボランタリーで何をやってくれるかということも聞いていかなければならない。そういう意味ではたくさんの観点からVチップ導入に向けての検討をしていかなきゃならないと思います。  単に言論の自由が担保されるからVチップを導入すればいいというよりも、この国は、私たち大人は子供をどう育てていくのかというような、やはりそういうきめ細かい話をきちっとしていくことも含めて、多角的に議論する中での一つとして考えていきたいと思っております。
  110. 森本晃司

    ○森本晃司君 私は、言論の自由が担保されるという状況のもとでやっぱりVチップ推進すべきではないかなというふうに思っている方でございます。  今郵政省でいろいろ研究会をつくって検討されているというお話も伺いました。また、民放連からのいろんな意見が集約されている。また、私どもの手元にそういうメディア関係者の方々からVチップ制についていろいろと要望が寄せられているところでございます。  そういった中で、Vチップ制を導入すると親が親の義務を捨ててしまうという議論もあるようでございますけれども、必ずしもそうではなしに、私は、Vチップ制は何でもいいというわけではありませんけれども、だめなものはだめだと言えるそのこと自身もやっぱり親の子供に対する教育ではないだろうか。決して、Vチップ制が導入されて監督義務がなくなっていくんだという問題ではないと思うんです。  文部省でもいろいろと検討されているようでありますけれども、文部省は中教審などで導入を求める提言をやっているというふうなことも新聞で報道されておりますし、私も伺っていますが、文部省と郵政省郵政省研究会をやっておられるんですから、一緒になってこのVチップ制の問題をどうするのかということを大いに協議されてはどうか。郵政省郵政省で考えている、文部省は文部省で考えているというんではなしに、今これほどの大きな社会的問題になっていますから、その辺を協議するような機関を設けるなり、研究会を設けるなり、会議を持つなりやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  111. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 実は、文部省とのつながりにつきましては、前自見大臣、そして町村前文部大臣の個人的なお話し合いを通じてかなり親密に打ち合わせをしているところでございまして、先ほどの研究会ですか勉強会につきましても、文部省と相談してメンバーの人選に当たってきたところでございます。ですから、今後とも新大臣、有馬文部大臣とまた連絡を密にとり合いまして、そこら辺は誤解のない、ずれのないようにやっていくつもりでございます。  Vチップを導入するに当たって、Vチップテレビにつけばすべてがオーケーではなくて、その前にやはりレーティングの問題が出てきますし、それ以前にやはり放送時間帯の問題というのもいろいろ検討されるのではないか。つまり、かつてのように親がしょっちゅう家にいてそんなの見ちゃだめよと言えるような時代じゃなくて、働くお母さんがふえてくる中、そうやってどうしても一人でテレビを見る子がふえてくるというのはこれは事実であります。その前にやはりそういうステップを踏みつつ検討していきたいなということを私自身としては思っているところでございます。
  112. 森本晃司

    ○森本晃司君 トップ同士の話し合いということも極めて大事なことですが、ぜひ何かそういった機関を双方で設けられて、そして協議をされることを私は望みます。  次に、郵便事業についてお伺いしたいと思っています。平成九年度の郵便事業の損益は百九十八億の黒字でありますが、八年度の九百四十三億を大きく下回っています。また、十年度の予算、当初予算で二百九十五億円の黒字でありますが、収入が全く伸びておらずに数百億円の赤字が出るのではないだろうか。「苦境の郵便事業改革待ったなし」というふうな見出しで新聞報道もされたりしています。十一年度の予算概算要求で八百二十四億円の赤字が見込まれて、六年ぶりの赤字予算が組まれているという状況です。  郵便事業の収支が悪化している原因は、郵便物の増加にもかかわらず収入が伸びていないというところにある。平成九年度は単年度で戦後初めて減収となって、平成十年度も四月から八月の収入が前年同月と比べて五カ月連続の減収となっています。  郵政省はこのような収入の悪化をどのように分析をしておられるのか。いろいろと観光地へ出かけて一生懸命販売をしたり啓蒙したりされているということも私も観光地へ行けばかいま見ることができますが、今の状況をどのように考えておられるか、お願いしたいと思います。
  113. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) お答え申し上げます。  郵便業務収入につきましては、森本先生ただいま御指摘のように、特に昨年度の下半期から、銀行の破綻が相次いだあのときからでございますが、収入が対前年度比で絶対収入が下回るという戦後初めてのような状況になってきております。本年度に入りましても、まだ反転をするという状況には至っておりません。  このような郵便業務収入の状況の要因でございますが、午前中も御指摘ございましたけれども、例えば第一種郵便物から料金の安い第二種郵便物への移行といったところも全くないとは言えないかと思いますが、やはり基本的には、もう先生よく御案内のように郵便業務収入、特に物数はGDPの伸びと非常に相関関係を持って従来伸びてきておるところでございます。そういうところで、景気影響を受けておるところが基本的には非常に高いんじゃないかなと思っております。  逆に、今海の向こうのアメリカでは非常な経済の好調というふうに言われておるわけでございますが、アメリカのやはり国営の米国郵便庁の収益、利益でございますけれども、この三年ずっと十億ドルを超えるような非常に好調な収益を出しておられるというふうに聞いております。  ただ、景気景気とばかり言っておられませんので、今先生一つ御紹介いただきましたけれども、郵便局を挙げて事業所を訪問する、御家庭を訪問する、そしてまた先生指摘のような臨時出張所でふるさと切手とかふみカードとかそういうものを職員一丸となって販売する。こういうふうなところで、いろんな各種の取り組みを今九月、十月にかけまして郵便業務収入の増大を目指しまして一大キャンペーンを張っておるところでございます。
  114. 森本晃司

    ○森本晃司君 いろいろと郵便事業についてもう少し詳しくと思っておりましたんですが、あと二分ほどしか残っておりませんので、大変残念でございますが、また次回に質問をさせていただくことにいたします。  いずれにしても、大いなる御尽力を賜りたいと思いますし、郵便事業が悪化したからといってまた郵便料金を値上げする、そのことによってまたさらに悪化する。一時期は値上げしたことによって収入がふえるけれども、しばらくはそれをどんどん食いつぶしていって、そして悪化するとまた値上げをする、こういうことの繰り返しにならないようにしていただきたいと思うと同時に、野田大臣がプリクラ切手というのをおっしゃったようでございますけれども、さすがに若い大臣の発想だなというふうにも思っています。大いにそういったことも御検討いただきたい。  あと、大臣が岐阜でいろいろ講演をされた中で、私が大臣の期間中は値上げをしないと、こういうことをおっしゃったという新聞記事が載っております。大臣自身の御決意だと思うんですけれども。既に二〇〇五年まで据え置くということは、郵便局ビジョン二〇一〇にはそういったことが明示されているわけでございまして、大臣が二〇〇五年まで郵政大臣を続けられるんであればいざ知らず、あすをもわからない身でございますのに、私が大臣に就任中ということではなしに、要するに二〇〇五年まで料金は値上げいたしませんというふうにお答えいただくのが私は正しいお答えではないかと思います。そういったことを含めまして、最後に大臣のお答えを伺いたいと思います。
  115. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 郵便に関しましては、今局長が話したとおり大変厳しい状況にあります。ですから、私たちはとにかく二つのこと、一つは精いっぱいの経費節減をし、節約をしていこう。内的なそういう努力とあわせて、国民利用者に買っていただけるような商品づくりに取り組んでいこうという一つの中にプリクラ切手の発想がございました。これは、各郵便局人たちも懸命に今営業をやっていてくれるけれども、やはりもっともっと幅広く、例えば若い人たちにも郵便局に来ていただけるような中の一つにそういうことが考えられるのではないか。かつては切手というのは広く万人に評価されるものが望ましいと言われていたけれども、現在の消費動向を見れば、多品種少ロット、つまり人それぞれ趣味や好みが違ってくる中に、どれだけ合わせていくかということもこれは大事なことではないかということで、今精いっぱい知恵を出し合っているところでございます。  二〇〇五年までの、それは郵政審議会からの答申を受けてのものでございますが、経済の状況が安定していればという一つの条件がございます。ただ、今は大変厳しい条件なので、まずはこの景気をよくしていくことが最優先であり、長くやろうと個人的には思っておりませんけれども、やはり安定した社会づくりのために、精いっぱい自分自身の目標もそこに置いて頑張っていかなければならないと思っておりますので、御理解いただきたいと思います。
  116. 森本晃司

    ○森本晃司君 時間が参りました。  どうぞ大臣頑張ってください。小渕内閣には余り期待しませんが、あなたには期待しますので、これからもしっかりと頑張っていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  117. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  先ほど公明の森本委員の方からも、郵便事業の決算について、赤字になっているがどういう要因かという質問がございました。大体、御答弁で聞かしていただきますと、やはり景気の停滞が一番大きな背景にあるということもお話がございました。景気停滞の影響ということであります。  私どもは、景気停滞の影響というのを取り除く、打ち破る上では、昨年の消費税の増税を初めとする九兆円の負担、これがやはり景気低迷の大きな原因になっているというふうにも考えております。同時に、経費節減ということもおっしゃいましたけれども、現状は消費税の増税分二%をこれは値上げせずにかぶっているわけですから、消費税を三%に戻せば経費節減という点でも大きく四百億円ほどはずばり減るわけですし、同時に、各企業や各家庭がいろいろ消費を抑えているという点でも消費税の減税というのは極めて有効な手だてだと思われますが、まず郵政大臣のこの点についての御所見をお伺いいたします。
  118. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 私は、今現在郵政大臣としての仕事をちょうだいしておりますので、その範囲内でできることと考えたときには、繰り返しになりますけれども、いろいろと増収につながるような営業活動とかキャンペーンとか、または商品をつくっていくこととあわせて、節約、節減の方は、例えば国民に御協力いただいているとけた化とかそういうのを推進していくことで合理化させていこう、そういうことでございます。
  119. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私どもももちろん増収のための営業、販売活動というものを否定するものではございません、一概に否定するものではない。しかし、問題は、今郵便局の現場でやられていることは、今おっしゃったような適切な営業活動と言えるようなものではないと私は思います。  先日、我が党に、ある郵便局の管理者の方から手紙が届きました。きょうは私その手紙、全文をお持ちしましたので、よければぜひごらんいただきたいのですが。(資料を示す〉  この手紙でこう管理者の方が述べておられます。  郵政省は、事業収入を少しでも多く確保しよう  と、職員にたいし、ノルマを含む営業目標を押  しつけています。   特に管理者にたいしては、郵便局別に設定を  した業務収入の確保について、目標を達成させ  るべく、厳しく責任を負わせています。と指摘し、具体的には、各郵便局に割り当てられた「かもめーる」の売れ残ったものは、  管理者が自腹を切らされ、使うあてもない「か  もめーる」を、十万円、二十万円と無理やり買  わされてしまいます。そして、郵政局には、  「かもめーる」は完売できましたとうその報告  をしているのです。   このことは、春に売り出される「さくらめー  る」や年賀状についても、同様のやり方でおこ  なわれ、その度に管理者は、貯金を引き出して、  使いもしないはがきを泣く泣く買わされていま  すと、この方は指摘をしているわけであります。  そして、さらに続けて、   事業収入を確保する為にという理由で、国の  公の機関である郵便局で、一般常識で考えても  おかしいと思うやり方で、職員に無理を押しつ  けるやり方が、許されるものでしょうか。と、怒りを込めて告発をされているわけであります。  これが現在郵政省推進している、実施している増収対策の実態ではないんですか。ぜひこの中身について、こういうことをやられているのか、御答弁いただきたいと思います。
  120. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) まず私から事実関係を踏まえまして。  現実の非常に厳しい状況を打開いたします、先生からも営業施策全体について理解はしていただいておるというようなお話もあったように承っておるわけです。まさに今全職員が総力を挙げて営業活動に取り組んでいくということが国民利用者の皆様から見ても期待されておるというふうに思っております。  ただ、今先生指摘のような、職員、あるいは管理者を含めてでございますけれども、自腹を切るということを押しつける、そういうような営業活動を私どもとして求めておるものでもございませんし、私ども、少なくとも把握する限りにおいてはそのようなものがあるとは承知いたしておりません。
  121. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 自腹を切るというようなことはやらせていないという御答弁でしたが、実際にやられていることは、全国幾らでもそんな例はありますよ。私の地元の大阪でも、年間百万円も自腹を切ったという、購入している管理者の話も聞いております。また、営業成績を職場に張り出して圧力をかける、そういうこともいっぱいやられているわけです。これは各地の報告、労働組合等で調査された中身も私いろいろ教えていただきました。  例えば、広島のある郵便局ではこういうことです。「「かもめーる」の書損交換が異常に多い。それも身内によるものが。売れ残っているにもかかわらず、窓口から立秋の前に全てひきあげた。」。なぜ引き揚げるのかと聞いたら、「課長代理によると「売れ口が決まったらしい」とのことだった。」と。つまり、これはそれこそ全部買い取るという話になったと。  あるいは、名古屋のある局からも生々しい話をお伺いしました。「課目標・班別目標を各イベントごとに、課内の掲示板に貼りだし、毎朝のミーティングで「全員参加」「ゼロ者のないように」などと尻たたき」、「局長室には全職員の毎日の推進管理が貼りだしてあって、ゼロの人は個別に事情を聞く」、呼んで。こういうしりたたきがやられている。  そういうふうに使われている表だってありますよ。私、ここに東京のあるところの表を持ってきましたけれども、これ一見したって毎日毎日目標を持たせてしりをたたいているという中身が如実にわかります。お中元特選品、グルメ、「かもめーる」。指標、販売実績、販売率、参画率と日々数を出して、始終業ミーティング記録簿ということで一つ一つしりたたきをしているという実態があるわけです。  参画率というのが出てきますけれども、この参画率というのはくせ者です。あるチームが販売実績がないというので副課長からあなたのチームは参画していないと言われた。いや、そんなことはない、努力はしています、おかしいと言うと、参画イコール販売だ、販売が上がらない以上参画しているとはみなされないと。結局全員一個ずつ買わされた、こういう報告も私は聞いております。  郵政省としてはそのようなことはやっておらないとの御答弁だったと思いますが、各地の郵政局でこのようなことをやらせておりませんか。
  122. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 先生のお言葉でございますが、先生おっしゃる中で、私どもとして、事業であれば当然取り組んでいかなきゃならぬというような行為までも先生の方で何か否定されておるようにも伺えたわけでございますが、私がはっきり申し上げておるのは、自腹を切って職員、そして管理者に対して、今先生「かもめーる」というような商品をにおわせられましたけれども、そういうようなことはやっておらない。私どもの耳にも届いてきてはおりませんし。ことしの場合、ちょっと残念でございましたけれども、「かもめーる」は全体からいえばほんの少してございますが、現実に売れ残りもしております。こういったものは処分もするわけでございますので、その辺、先生の御認識と私どもの認識について相当な差異があるのかなというふうに今率直に思っておるところでございます。
  123. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 現実に現場の人たちからそういう声も出されて、そしてその中身として、管理者の中で自腹を切るということもあるし、あるいは販売実績が上がらないということになればみずから買い取らざるを得ないということもあると。こういうことになっているわけであります。これはしかも郵政局を挙げてやっていると私は思います。  八月二十五日に、九州郵政局長が「職員の皆さまへ」と題する文書を出しております。それにはこう書いてある。   万一、赤字を出すこととなれば、国民の郵便  局に対する信頼を一気に失う結果となり、今後  の事業運営に重大な影響を及ぼすこととなりま  す。   このような未曾有の危機を乗り切るため、本  年九月一日から平成十一年三月三十一日までの  間、郵政局及び管内全局に「九州ゆうびん緊急  増収対策本部」を設置し、三事業一体の強力な  営業推進を図ることとしました。   職員の皆さまにおかれましても、このような  現状を十分認識し、郵便販売収入目標の必達に  向け、なお一層のご努力をいただきますようよ  ろしくお願いいたします。  つまり、郵便、貯金、簡保、三事業一体、全職員で郵便販売収入目標の達成に取り組むということですよ。つまり、通常の営業で目標達成できない局では、先ほど指摘したような職員や管理者への自腹による購入の押しつけ、いわゆるタコ足ですね、タコ足ということの押しつけが拡大するおそれが多分にある。  絶対に職員や管理者に対して目標達成のために自腹で買わせるということはやらない、一切やらないと約束できますか。
  124. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 繰り返すようでございますが、自腹で職員、管理者を含めてですが、郵政省の方で販売しておる商品について強制的に買わせるというようなことはいたしておりませんし、今後ともしてもらうつもりは全くございません。  それから、今先生、九州郵政局長のお話をされましたけれども、それはそれで大部分のところにおいて必要な話ではないかなと思っております。私自身も、八月終わりに、日本全国の全部の郵便局、郵便関係職員でございますが、に対しまして、私どもの内部のテレビを通じましてやはり現在の危機を訴えるという行為は当然にしておるところでございまして、今先生から局長言葉として御紹介いただきましたけれども、やはり万一事業財政がおかしくなれば国民の皆様の郵便局に対する信頼を一気に損なう、これはまさしくそのとおりのことではないかなというふうに私も認識いたしておるところでございます。
  125. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 現場でこういう声が出ているわけですから、ひとつ調査をしていただいて、自腹で買わせるとかタコ足という事態がないのかどうか、あれば直ちにこれをやめさせるということでお願いをしておきたいと思うんです。  さて、次に私お伺いいたしますが、こういう営業活動が「かもめーる」などの郵便事業のためだけではなく、とんでもないことのためにもやられているということをきょうは御質問したい。  北海道グルメ会という会があると思いますが、この北海道グルメ会が、ことし十月から来年の九月まで、ゆうパックによる毎月一回の北海道などの食品を郵送する「美味旅情 第十一回頒布会」というのをやっております。きょうはパンフレットも取り寄せて持ってきました。これですね。「北海道グルメ会 第十一回頒布会」。これを郵便局に置いて募集をしておりましたけれども、これは郵政省の企画ですか。また、北海道グルメ会というのは一体どういう団体ですか。どうぞお答えください。
  126. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 北海道グルメ会と申しますのは、私ども承知いたしますところ、会員の方を集められまして、会員の納めた会費によりまして会員が希望される各地の特産品、今先生お示しのパンフレットに載っておるようなものだというふうに思っておりますけれども、それを郵便局のゆうパックで毎月お届けしている任意団体というふうに承知いたしております。  そういう任意団体から私どもとしてそういうようなパンフレットを寄附受けいたしまして、これはまさしくゆうパックの販売の拡大にもなるわけでございますし、そしてまたさらには、地場の産業の振興にも郵便局が貢献できるものでございますので、北海道グルメ会にかかわりますところのそうしたゆうパックに係るものの販売促進に私どもとしても御協力もし、また積極的に取り組んでもおるところでございます。
  127. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ところが、この北海道グルメ会というのは、なかなかマスコミなどでも取り上げられて、非常に奇妙な面を持っている任意団体であります。  北海道新聞社関連の月刊誌「道新TODAY」九月号によれば、北海道グルメ会は任意団体、職員は八名だと。連絡先は札幌白石郵便局の私書箱になっているといいますが、見たら、確かに私書箱十号となっております。そして、一九九六年九月の決算で売上高が四十億円、利益は九千八百万円。売上高では北海道の食品小売業七百十二社中十四位、業界大手並みの実績を上げております。  先ほど十二万人の会員という御答弁がありました。八人の職員で十二万人の会員を募集するというのはなかなかできる話ではございません。一人一万人以上も会員を募集したということになりますが、これは結局、郵政局が音頭をとって会員の募集を郵政省自身が郵便局の窓口でやらせたということではないんですか。
  128. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 先ほどもお答えいたしましたように、北海道グルメ会の施策というのは、まさにイコールと言ってもいいぐらいゆうパックの取り扱い物数をふやすということにつながるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、そういうものについては積極的に取り組むということで、郵政局、郵便局を挙げて北海道管内で取り組まれておるというふうに事実を把握いたしております。
  129. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 同じくこの「道新丁ODAY」にはこういうことも書かれております。六月十九日付で内部文書が出され、その文書の表題には「第十一回「北海道グルメ会」会員募集について」、こういう文書が郵便局に配付をされていると。その文書の中身もこの記事は引用しておりますけれども、「郵政施策として会員募集を行いますので、積極的な勧奨活動を願います」と書かれ、販売目標も書いていますよ、一人五件の会員の拡大をしなさいと。これが郵政局の施策だというふうに書かれています。  これ一人五件というのを調べてみたら、確かに現場でそうなっています。旭川郵便局ではこういうふうに言われております。個人指標一人五個で、あるチームが一人以外全員達成になった。残る一人もあと一個で達成になるので、チームリーダーがその人のところへ来て、自分の一個を譲るから達成させてくれと言ってきた。つまり、一人五個という目標全員達成ということをこのグルメ会でやるためにおれの分を譲るからひとつ全員達成ということにさせてくれと言ってきたと。また、別の人の報告では、このグルメ会はまず一個は自分で買い取り、もう一個は親に、三個目は兄弟や親戚にという実態ですと。数十個も実績を上げるには休日にセールスに歩くことになる、こういうふうに言われているわけです。  これオーバーじゃないですよ、休日に売り歩くというのは。これも旭川の方での話ですけれども、休日に職員の自宅に電話をかけて、君、グルメ二個しかやっていないよね、残りはどうなっているのかね、休日も勧誘に歩けと管理職から電話がかかってきた。努力していると答えると、努力だけではだめなんだ、結果だ、結果を出せ、やる気はあるのかと追い打ちをかけると。  つまり、グルメ会の新規会員の獲得というのは、全部郵政局に依存して、職員を駆り立ててやらせている。それで十二万の会員が八人の職員で集まっているということじゃないんですか。そうでなければ集まらないですよ、こんな数は。
  130. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 先ほど来御答弁申し上げておることの繰り返しになるわけでございますが、郵便局として、そしてまた郵政局として非常にメリットがあるということでございます。ひとりゆうパックがふえるだけじゃなくて、地場の産業の振興にも貢献できるという、それだけの意味のあることでございますので、郵政局、郵便局挙げて積極的に取り組んでおるということでございます。  また、土曜、日曜というお話でございますけれども、私は北海道について申し上げるわけじゃございませんが、管理者が今土曜日、日曜日、例えば東京でいえば渋谷の郵便局あるいは新宿の郵便局に臨時出張所を出して営業をしておるというのは別に珍しい姿ではございません。
  131. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 そんなことではないと思うんですね。では、今郵政省はゆうパックを使う企業であれば、どんな企業でも窓口に置いて十二万も職員を使って拡大、販売してくれるんですか。  なぜこの団体、この北海道グルメ会というのがそういう十二万もの販売を郵政局長のというか郵政局自身の活動としてバックアップをされて進められるのか。ここにはそんなことでない特別な実はいきさつ、理由があるでしょう。  つまり、このグルメ会というのは結局郵政省官僚OBの天下りの組織になっている。これ全部調べてみたら、望月という会長は札幌中央郵便局長を務めた幹部である。八人と言われる職員も郵政のOBが大半を占めている。つまり、みずからの天下り先をつくるために、そしてそういうグルメ会というのと癒着をして、みずからそこにもうけさせていくということになっているんじゃないんですか。私は、そのためにそういう形で全面的に応援をしてやっているとしか考えられない。そのためにこのグルメ会というものが郵便局の業務として会員拡大が進められているとしか考えられない、私、こう思いますが、いかがですか。
  132. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 先生誤解をされておられるのは、いかにも北海道郵政局なり郵便局がこの北海道グルメ会だけのゆうパック小包を取り扱っておるというふうに御指摘をされておるように私は少なくとも受けとめることができたわけでございますが、そういうことはございません。  北海道グルメ会に限らず、非常に意義のあるゆうパックの取り扱い、これは例えば別のイベントで、父の日とか母の日とか、それにちなんだゆうパックの取り扱いもいたしておりますし、一つのところに偏ることのないようこれは北海道郵政局でも心して取り組んでおるところでございますので、その辺は先生の方でも事実をお調べいただければすぐわかる話だと思っております。
  133. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 事実を調べて言っているんですよ。それは、もうそんな話はいっぱいありますよ。また、このグルメ会というものを名指しで進めているということも明らかです。  囲えば、郵産労の調査結果、別の、旭川でない場所のものをいただきましたけれども、「課長から「グルメ会をやめたら北海道の特産品約百万個が流通しなくなるから、何としても指標を達成せよ。」」とハッパをかけられたと。ひどい場合には、「君は障害者だから業務で他人に迷惑を掛けているぶん営業で返すことが必要だ」と公然と言われたと。中には、「北海道グルメ会とのトラブルがもとで一個もとらなかったある郵便内務の労働者が、課長との対話でも買い取り」、つまり自爆です、タコの足食いですね、これ「を拒否した結果、五回も副局長室によばれて長時間にわたって”脅し−恫喝”とも言うべき言葉で買い取りを強要され、最後には「自爆」した」と。まさに強制的に募集、自爆させられている、こういうことだと思うんですね。こういう実態がもしあるとすれば重大だと思うんです。
  134. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 今先生幾つか事例を挙げられたわけですが、やはり私ども今の中で非常に問題だなと思ったのが、郵便局で障害者の方に対して、職場の中でふだん迷惑をかけているからこちらの方で頑張らなきゃならぬのだと、そういうようなことをもし郵便局の職場の中で管理者が言ったというと大変な話だと思うんです。  先生、これだけの国会の場でそれだけの事実を指摘されたわけですから、この場でなくて結構ですから、後で私どもに対して、どこの郵便局のどの管理者がそういうような行動をされたのか、もし具体的につかんでおられるんならぜひ教えていただきたいと思います。
  135. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 わかりました。では後ほどそれについては。  さて、私は、こういうやりとりの上に立って、ぜひ郵政大臣にお伺いしたいんです。  自主的なものだという言い方で言い、また決してゆうパックのあれであって商品の販売ではないと言うんだけれども、結局、九七年度から新昇格制度の導入で自己評価がされ、昇級昇格に響くために職員は泣く泣く買い取らされている、こういうのが実態ですよ。国の機関で人権を無視した憲法違反の行為が行われているというのは絶対に容認できない。しかも、北海道グルメのゆうパックは職員への押しつけ、営利企業への奉仕、天下り先の確保と私企業の営業活動の促進に職員を強制するだけです。北海道の産業の育成にもこれでは決して結びつかない。  大臣にお伺いしたいんですが、職員の人権を無視している郵政省にこういうことがもし実際あるとすれば、ユニバーサルサービスとか国民本意の郵政事業を語る資格はないと思うんです。ぜひ大臣の御感想をお伺いしたいと思います。
  136. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 宮本先生からの御質問を若干事前に承っておりまして、先ほどの自腹の件に関しましては、何度も再三再四確認いたしましたところ、自腹で払え、自腹を切れという強制行為はないということでございまして、ただ、事実として強制、命令はなくても払わざるを得ない状況があるというのであれば、むしろ払わなくて結構なんだと。このお手紙も今管理者の方のを読まさせていただきましたけれども、どうか毅然として自分は自腹を切らないという行動を起こしていただきたいなということを思っているわけです。  ただ一つ、先ほど来ほかの先生方からも御指摘のとおり、現在、大変郵便事業は赤字で苦しんでいるところでございます。私たちはできる限りのことをしてこの郵便事業をよくしていきたい。ですから、全国郵便局の皆さんには、苦しいかもしれないけれども一生懸命できる限りの努力はしていただきたいということをお願い申し上げます。  私自身も、議員になる前はある民間企業で営業活動をしました。女性ですから特にハンデが多かったですけれども、毎週月曜日のセールスのミーティングでは働きの悪い私に対して上司から随分おしかりがございました。しかし、とにかく売り上げを上げなきゃならないんだということで歯を食いしばって頑張ったことを思い出しました。必ずしも、人権に配慮していないようなことはいけないわけですけれども、ある程度これは営業だと、仕事なんだということで、できる限りの努力郵便局の皆さんにも、私も頑張りますから、お願い申し上げたいと思います。  北海道グルメ会につきましては、宮本先生から今細かいいろいろの話をじかに承ったところでございます。濱田局長がおっしゃっていたように、障害者の方にそのようなことがあれば、私としてもきちっと処罰、処分させていただきたいと思っておりますので、御報告いだだきたいと思います。  私は、北海道グルメ会のさまざまな人たちが北海道の地場産業をゆうパックを通じて広めていただくことをやはり大切にしていきたいと思うので、現場にあって一生懸命取り組んでもらうけれども、それ以上の精神的な被害は取り除くとしても、そういう形で今の郵便事業の様子を皆さんで真摯に受けとめていただき、できる限り頑張っていただきたい、私たちも一生懸命頑張っていく、そういうふうに申し上げたいと思います。
  137. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 自腹を切らない勇気ということをおっしゃいましたけれども、やはりそれは勇気がなければそうできないような状況があるとすれば重大ですから、そのことについてもぜひ御検討いただきたいと思うんです。
  138. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) そういうことであれば、きちっとまた地方郵政局に確認して、そういう指導をしていきたいと思いますので、双方のやっぱり歩み寄りが大事ではないかと思いますので、お願いします。
  139. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 次に、少しこの問題とはまた切り口を変えて、幾つか天下り、癒着と言われる問題についても大臣の御見解をただしておきたいと思うんです。  野田大臣は、ATM、郵便貯金の現金自動預け入れ払い出し機、この保守管理会社をめぐってのさまざまな疑惑や郵便番号読み取り機の保守会社に郵政職員が大量に天下りをしている問題について、マスコミの大臣就任直後のインタビューで、「そういう不明朗なところは正していかなければならない。情報公開が必要だ。近いうちにきちんと報告する」と、これは八月五日付朝日新聞で述べておられます。  私は、この記事を読んで大臣の見識に非常に注目もし、こういう姿勢で取り組んでいただきたいと思ったところですけれども、先ほどの北海道グルメ会もそうですが、企業と郵政省との癒着、天下りという問題は今国会でもたびたび取り上げられてまいりました。マスコミでもさまざまな報道をいたしております。  衆議院の逓信委員会で我が党の矢島議員が取り上げた東京ユー企画、これは先ほどのグルメとよく似たようなことでございます。参議院決算委員会でこれも我が党の緒方議員が追及した振興機材、郵便番号読み取り機の談合疑惑では公取の立入調査もやられました。そして、最近では、衆議院で自由党の石垣議員がATM、CDの保守業務をめぐって日本オンライン整備を取り上げられました。また、郵政弘済会の問題も毎日新聞で取り上げられております。  郵政大臣、あなたは情報公開し近く報告すると言うのであれば、これらすべてを調査して報告するということですね。いかがですか。郵政大臣どうですか。郵政大臣のインタビューですから、郵政大臣のお答えに対する質問ですから。
  140. 高田昭義

    政府委員高田昭義君) 実は私も先生の御質問を受けまして、朝日新聞のインタビュー記事を読んでみました。  実は、大臣が就任される以前の本年の五月から、郵政省におきましてはATMの保守体制の見直しに着手をいたしました。見直しの主眼点は、これまでATM、CDの保守が随意契約による一社独占であったということに私どもも問題意識を持ちまして、契約方式の改善について検討を進めてきたわけであります。  その省内の検討がまとまりましたのが実は大臣が就任される前日でございまして、一応その段階で郵政省としての検討の方向づけをしたわけでございますが、その要旨を申し上げますと、郵政省といたしましては、来年度の保守契約から競争契約を導入するという方向で契約手続の見直しを進めるということ、それからあわせまして、これは日本オンライン整備の方の改善策でございますが、現在全国一社でやっております日本オンライン整備を二社に分割をするという改善策がございました。それらをあわせまして実は八月の二十六日の段階でそういう改善方策をとるということを私どもから対外的に発表をしたところでございます。
  141. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 はい、わかりました。  るる述べられましたけれども、幾つもの問題が今出ているわけですし、そして大臣自身がみずからそれを調査して公表すべきであるというふうにもおっしゃっているわけですから、ぜひそういう点についてきちっとやる必要があると思うんです。しかも、これはただ単にそういう癒着が取りざたされているという問題ではなくて、事は国民にかかわる問題だと思います。  例えば、四月に発覚した番号読み取り機の保守業務についての問題、NECで言いますとNECポスタルテクノレクス、東芝は日本自動機器保守、この二社が番号読み取り機の保守を事実上独占をしてまいりました。それぞれNEC、東芝の子会社ということですが、この二社も典型的な郵政官僚OBの天下りの会社であります。社長も郵政官僚OBなら、役員の重要ポストも天下り組が占めてきた。他社にはできない業務だとして契約は随意契約になっております。つまり言い値で契約してきた。新聞紙上で関係者の一人はこう言っております。「保守業務を発注するのが郵政官僚なら、仕事を受注する側の会社トップも元郵政官僚。カネを払う相手のトップが身内なので、保守費用を安くしてくれとは要求できない。」、こう言っているじゃありませんか。そして、郵政省は保守費用について公表もしていない。  問題は、こういうやり方で値段がつり上げられたら、その費用は全部最終的には国民負担として料金にはね返ってくるということです。あなた方の天下りのポストのために国民に負担が行くということじゃないですか。防衛庁の汚職もここが問題になっているんです。郵政大臣、これは徹底的に情報公開する、そしてこういう癒着をきっぱり断ち切るとはっきりお答えください。
  142. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) ちょっと事実関係。  ただいま区分機の関係の保守の御指摘がございましたけれども、この保守につきましては、我が国の会計法上、実際、例えば東芝ですと東芝の保守のノウハウを持っておるのは東芝の保守会社一社でございます。その余はありません。NECも先生指摘の会社一社でございまして、これは会計法令上も随意契約によらざるを得ないというのが我が国の現在の法制度で、実態でございます。  それから、事実誤認と申し上げましたのは、NECのポスタルテクノレクス社長は郵政省OBじゃございません。  その余の発言については、また別途先生にお話を申し上げたいと思います。
  143. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 今防衛庁の汚職が大問題になっておりますけれども、つまり独占価格のもとで防衛庁とNECが癒着をして総利益率を〇・一%上げてやった、それで不当な利益を与えて天下り先をつくっていったというのが今防衛庁で問題になっていることですよ。しかも、この番号読み取り機の問題というのは決して過去の問題ではない。これからまだ二千億円以上読み取り機というのは買うんでしょう。ですから、これからまだまだ二千億というお金がこの売買に絡んで動くわけです。NECといえば、まさに郵政省だって番号読み取り機を買っている会社だし、ATMも発注している会社じゃないですか。そういう意味では、本当にこういう価格がどうなっているのか、そしてそのことが天下りの先をつくるということになっていないのかと疑惑の目で省庁と官僚に国民の目が向けられていると思うんです。  郵政事業というものは国民との信頼の上に成り立つものであることは言うまでもありません。郵政大臣、あなたは私に私たちの世代が郵政事業を担うんだということもおっしゃいました。しかし、こんな天下りの問題や癒着の問題が国民に疑念を広げるという事態になって、二十一世紀郵政事業のまともな発展はない。最後に郵政大臣のぜひ御見解をお伺いして、そしてきょうは貯金局長も来ていただいているんですが、残念ながら時間が今来ましたので、そのことについておわびをして、ぜひ郵政大臣の最後の御見解をお願いいたします。
  144. 松井浩

    政府委員(松井浩君) せっかくお話しいただきましたので。  ATMをNECから買っているというお話がございましたが、それはちょっとございません、先生の言い間違いかもしれませんが。それだけちょっと申し上げます。
  145. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 恐らく宮本先生と私は同世代であろうかと思います。ですから、感性も似ていると思います。  今先生指摘にあったさまざまな新聞なんかに出てきた記事、情報につきましては、逐一私は目を光らせておりまして、その都度各局にこれは絶対大丈夫か、間違っていないのか、このとおりなのかそうじゃないのかと全部確認させてきました。その中で、今局長から答弁あったように、これは事実誤認だ、これはそういうことはないということを私は一つ一つ答えをいただいた上で、ならばそのままでいいんだ、それで問題ないんだというふうに今日までやってきたつもりでございます。  手を抜いていたわけではなく、やはりまだまだ私の突っ込みが弱いと言われるかもしれませんけれども、私なりにいつも問題意識を持って頑張っておりますので、これからもさらに、防衛庁の問題もございましたので、実はこの間も省議があった際には、きちんとやってくれと各局長さんにハッパをかけたところでございますので、今後とも引き続きよろしくお願いします。
  146. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 以上で終わります。
  147. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社会民主党の渕上でございます。引き続き野田大臣、大変御苦労さんでございますが、もうしばらくおつき合いを願いたいと思います。  大臣、どうでしょうか、女性の大臣としてこれだけはやっぱりやらにゃいかぬと、多くの日本の女性が期待をする、その期待にこたえて、それこそ今度の小渕内閣の中の目玉商品の野田大臣、やらなきゃならない仕事がある、どういうふうに国民期待をされておるか、もう大分日がたちましたので大体国民の声もわかってきたでありましょうから、御感想を。
  148. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 大変難しい質問でございまして、女性としてと聞かれますと、今の日本、いろんな女性の生きざまがあります。私のような生き方もあれば、違う生き方を選択している女性がありますので、一概に女性としてというのはおこがましいかもしれませんが、一国会議員として、またこれまで郵政仕事を勉強させていただいた者としては、郵政省には二つの仕事郵政事業とそしてテレコムの行政があるわけですが、ややもすると事業者とかやる側の立場、郵便局の立場とか事業者の立場に立っての施策が先行した嫌いがあります。これからはむしろ利用者一人一人にサービスなり利便性が浸透するような方向性で多くの声を吸収していきたい、それをまた形にしていきたいということを願っています。
  149. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 男性も女性もなく頑張る、そういう決意のようでございましたので、その点は安心して、これからもやっていただきたいと思うのであります。  郵政行政というものは、やはり信頼が一番のもとになる。今、宮本議員もいろんな御質問ありましたけれども、それはそれなりの評価はあるところでしょうが、やはり信頼をかち取るために公平なサービスを、郵政行政としては全国持っているわけですから、その基本となるところ、やはりその信頼になるものを損なわないような形できちっとやっていただきたいというふうにまずはお願いを申し上げておきたいと思います。  これから先の郵政事業のあり方として、二十一世紀は若者の時代と言うならば、これから先の生活の基盤をどういうふうな形で行おうとしているのか、とりわけ高度情報産業社会と言われる時代の中における郵政のあり方というものがやはり問題になってくるのではないかというふうに思っています。それは、やはりサービス基本は信頼でなければならないし、信頼が損なわれるようなことがあってはならない。  それには、逐一日を通してしっかりチェックして指示をしているというお話でございましたので、これはそれなりにひとつ頑張っていただきたいと思うのでありますが、これから先、郵政事業サービスに低下がないようにどういう努力をしていこうとしているのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  150. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) サービスの低下を望まないということは、それはもうだれしもが思っていることでございます。まずは二十一世紀というのはどういう社会になるかということを考えてこれからの郵政省または郵政事業サービスを考えていきたいと思います。先ほど来申し上げているのは、やはり急激な少子・高齢化であろう、そして、さらには情報高度化していくであろう、そしてまた、国際化にもきちっと対応できるようにならなければいけないだろうということが恐らく郵政行政の求められている柱ではないかと思います。  そういう意味で、郵政事業としては、今までの三事業、郵便、貯金、簡保のサービス全国あまねく公平に浸透させる、提供することは当然のこと、今後は郵便局単体じゃなくて、地域の中の公的機関だというみずからのスタンスというかそういう姿を見せていかなきやなりません。二万四千六百もあるネットワークをただ単に郵便局だけで使うのではなく、民間の事業者の人に使っていただいて、もっと民間事業者の人の利便にもかなう、かつ全国国民利用者にとっても便利になるような仕組みをつくっていかなければならないと思います。  さらには、福祉の問題においても、厚生省にお任せするということではなく、やはり地域の中にあるということで、できる限り、ひまわりサービスといったような話もありますけれども、人と触れ合う郵便局の中で、いいサービスに努めてまいりたいと思います。  さらに、情報通信分野に関しましては、情報通信高度化することで一番いいことは、いろんな格差がなくなっていく、地方と都市とか、男と女とか、若いとか年輩とか、さらにはいろいろなコンディションが情報通信によってなくなっていく、そういうことが重要であって、そういう特徴が十分に生かせるように、ただただ情報通信に特化している人だけに得になるようなことではなく、いわゆる情報弱者と言われる人が優先的にそういうメリットを味わっていただけるように積極的に取り組んでいきたいと思います。  いずれにしましても、先生指摘のとおり、やはり今までも国民利用者の信頼のもとで国営事業が堅持されてまいりました。今後とも、期待を裏切ることのないように精いっぱいの展開を図ってまいりたいと思っていますので、御指導よろしくお願いします。
  151. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 どうかその理念で頑張っていただきたい、私どもも積極的に応援をしてまいりたいと思っています。  そこで、先ほどの議論を聞いていましても、郵政省としての営業のあり方の限界というものがやはり私はあると思うんです。その営業の限界を聞いていましても、民間の企業であれば当たり前のことを、それを国がやろうとしたときにいろんな障害が起きる。それは何かと言えば、規制だろう。では、その規制緩和をやればどういうふうなことになっていくのかというようなこと、これはサービスとのかかわりの問題としてあると思うのでありますが、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  152. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 先生の御指摘郵政事業全体にかかわる話かと思います。郵便だけの話じゃないわけですが、やはり規制というところで、国であればこそというのは財政民主主義の観点からも当然のことだと思います。今度、中央省庁等改革基本法によりまして、郵政事業庁を経て、実施部門でございます、実施部門だけでございますけれども、国営の新たな公社が設立を予定されると。  国営の新たな公社については、先生今御指摘になったところと関連があろうかと思いますが、自律的、弾力的な組織にするということで、例えば予算統制ということをとりましても毎年度の予算統制を外す、そういうようなところも法律に規定されておるところでございまして、やはり営業とのかかわりの中で規制というものは当然無関係ではないというふうに思うわけですが、しかしそれはそれとして、国営事業で引き続きあるからには、国会によって私どもとしては御指導をいただく必要があるところも継続してあるのではないか、そういうふうに思っておる次第でございます。
  153. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 先ほど同僚議員からも質問がございました郵政事業の決算の問題でございますが、これらの問題について九月十五日の日経では、最近ちょっと言い回しが変わってきたのではないか、できるだけ長い間現行料金を維持できるように努力するというふうに、努力義務に変わってきているというふうに報道されています。大臣は、先ほどの答弁というか就任のごあいさつの中では、私が在任中は絶対上げない、こう明言をされたそうでありますから、そのことには賛意を表したい。  そこで、今のように三事業の中でも赤字になってくれば、当然そこから派生してくる郵便法との関係というものをどういうふうにお考えになるのか。当時は、二〇〇五年まで郵便料金を凍結すると事実上公約をしたような答弁をされているわけでありますから、そこらあたりの関連について少し解明をいただきたい。
  154. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) まず、事実関係を私からお話しさせていただきたいと思います。  先生御案内のように、昨年六月に郵政審議会から御答申をいただいたわけでございます。当時、当時といっても去年の六月の時点なんですけれども、GDPも七年、八年と二、三%で伸びておったというところを前提にされまして、このような安定的な経済状況を前提にということで答申が書かれておりまして、二十一世紀初頭、例えば二〇○五年までの手紙、はがきの料金据え置きについて御答申をいただいておるという状況でございます。  もちろん、私どもといたしましては、郵政審議会の御提言を当然真摯に受けとめなきゃいかぬわけでございますが、一方、郵便事業財政は、午前中来申し上げておりますように、経済情勢の影響を大きく受けるのも事実でございまして、審議会答申自体この点は前提としてある意味で留保をつけて指摘されておるというところでございます。  ただ、それはそれといたしまして、大臣も先ほど御答弁されましたように、新郵便番号制は国民利用者の皆様に大変な御理解と御協力を賜りまして九割近い七けたの郵便番号の記載を実現していただいておるわけでございますが、これらを踏まえまして、そういうような抜本的な局内作業の機械化も推進をいたします。そしてまた、情報化、経営のスピード化を初めとして経営基盤の強化を図っていく。もちろん、増収もさらに努めていくというような中で、できる限り長く現行料金を維持できるように今後とも努めてまいりたいと私どもも考えておるところでございます。
  155. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 恐らく今の答弁に加えて、郵便事業を合理化できるところは合理化を積極的に進めていきたい、こういうふうに思っているだろうと思うんですが、結果として収益が悪くなってくれば合理化せざるを得ない、リストラせざるを得ないというようなことがやはり出てくると思うのでありますが、今地方でそういうことがあっているのかないのかお聞きしたい。  同時に、あわせて、新たに雇用の創出を考えなければならないと所信の中で大臣は述べておられるわけでありますが、片一方でリストラ、合理化をしていく、片一方では雇用創出をしなければならないという文言の脈絡みたいなものは、大臣所信と現在実際リストラしょうとしているところとのかかわりといいますか、雇用の創出とリストラというものを我々はどういうふうに考えればいいのか、ちょっと矛盾があると思うのでありますが、そこらあたりの答弁をお願いします。
  156. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 前段の事実関係でございますけれども、経営状況が厳しくなってきたからさらに合理化を徹底というところも当然事業体ですからあるわけでございますが、それ以前に、経営状況いかんにかかわらずやはりやっていかなきゃならぬ効率化というのも先生御案内のようにあるわけでございます。  そういった意味で、例えば軽四輪の自動車に運送を委託しておるところなんかがあるわけでございますが、道路が非常に整備されますと運送時間も短縮をされるということで、従来二人の方にお願いしておった委託も一人で済むというようなことで一名の減員とか、そういうのを積み重ねてやらせていただいていると。そういう事例は過去もございましたし、また現在もあるというところでございます。
  157. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、大臣は、ネットワーク不正利用等高度情報通信社会の影の部分の対策についてということで、多くの同僚議員もこの点についてお話がありましたし、お答えもいただきました。そこで、インターネットになればもう国境がないわけでありますから、国際的な約束事といいましょうか、そういうものはどういう機関でどういう形で議論をされて国内の中で適用されようとしておるのか、その点をちょっとお伺いしておきます。
  158. 天野定功

    政府委員(天野定功君) インターネットにおきますいろいろな問題につきましての国際的な対応でございますけれども、これまで一九九四年のナポリ・サミット以来、ことしのバーミンガム・サミットまで、サミットで国際的な組織犯罪について毎回テーマとされております。  このサミットの検討を受けまして、今度事務レベルでございますけれども、G8ハイテク犯罪サブ・グループ会合というものが設けられておりまして、我が国としてもこれに積極的に参加しているわけであります。ここでは、産業界との協力、特にこの産業界と申しますのはインターネットサービスを提供している事業者団体が中心になるわけでありますが、そういった産業界との協力体制のもとに犯罪の防止に取り組もうと、こういったことになっておりまして、私どもはこの会合に積極的に参加して産業界との協力のあり方について協議を続けているところであります。  また、違法有害情報の対策につきましては、OECD等の場におきまして、やはり国際協力でこのあり方を今議論しているところでございます。
  159. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 では、こういうことですか。国際会議の場で議論をしたものをできるだけ国内にも適用をしていこう、こういう形になっていくことになるんですかね。
  160. 天野定功

    政府委員(天野定功君) インターネットというのは非常に国際的な広がりがありますので、その対策につきましてはやはりグローバルな共通ルールといったものが必要になります。ですから、そういったサミット、あるいはそれを受けました個別の会合で一つの原則的な考え方が整理されますので、それを受けて共通の枠組みを各国とっていくと、こういうような仕組みになろうかと思います。
  161. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 質問を変えますけれども、我が党として、高齢化社会を展望した生活基盤型の情報ネットワーク化を推進していこうというのを社民党は方針として決めています。そういう意味では情報通信基盤の全国整備と相通ずるものがあろうというふうに思っているところでありますが、先ほどもお話がありましたように、インターネットを利用いたしまして地域に密着をした医療だとか福祉だとか教育だとか行政サービスをやっていこうと。幾つかの町や村でそういうものが具体的に実験をされていることも事実でありますし、同時に、これから先の福祉対策、教育対策、そして郵政がやれる事業は一体何かといえば、こういうインターネットを活用した、そういうものを通じて地域にどう具体的にサービスをしていくかということになるのではないかというふうに思っています。  例えば、これは九月十八日の西日本新聞でありますけれども、村内を結ぶ遠隔医療とかというものがマスコミに大きく報道されるということになっています。そのときに、郵政省郵政省、農水省は農水省、先ほども森本委員でございましたでしょうか、省対省の個別の問題よりも、共通して共通の話題で一つのものをつくり出していくようなことをやっていくことが同時に新しい時代に対応する郵政行政のあり方ではないかというふうに思うのであります。  それにしても、こういう過疎地域の村の所得のことを考えますと、かなりの負担になっていく。もちろんそれは自治体も努力するでありましょうが、個人の努力もなきゃならないと思います。しかし、それも限度があると思うのでありまして、こういうところに対する補助の整備といいましょうか、補助金というわけにもいかないかもしれませんけれども、対策の強化をやはりやっていかなくてはならないのではないか。しかし、全額を補助しなさいというのにもある程度問題があるかもしれませんが、そこらの推進を積極的にやってもらいたいと思っているんですが、いかがでございましょうか。
  162. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) 活力ある地域社会の形成や国土の均衡ある発展のためには、地域情報化推進が非常に重要であるというふうに認識しておりまして、地域生活情報通信基盤高度化事業という形で補助事業郵政省として行っているところでございます。特に、これから高齢化社会を迎えるわけでございまして、御指摘生活基盤になるような情報通信ネットワーク整備することはますます重要になるというふうに考えている次第でございます。  このために、高齢者等の情報弱者も情報通信の利便を簡易に享受できる情報バリアフリーなどの環境の整備を行っていきたいというふうに考えております。また、テレビ電話や高齢者でも非常に容易に利用できるようなパソコン端末、そういうものを活用した在宅介護支援サービスなども今後郵政省として実施すべき重要な分野ではないかというふうに思っている次第でございます。  郵政省としては、先ほど関係省庁との関連ということもございましたけれども、関係省庁とも十分関係を持ち合いながら、連携をいたし合いながら、お示しのような事項について積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  ただ、情報通信端末とかテレビ電話とかという、これは耐用年数が非常に短いということもございますし、法人ではなく個々人が利用するものでもあるということから、補助対象とすることについてさまざまな難しい問題がございますけれども、郵政省として、その点についても重要性にかんがみ、さまざまな努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  163. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 一層の御努力をひとつよろしくお願いを申し上げておきます。  最後になりますけれども、大臣は障害者、高齢者の方々が一層安心して郵便局等の施設を御利用いただけるよう取り組んでいくと述べられています。郵便局は非常に利用しやすいと大臣はお考えになっておられると思いますけれども、一層努力するということでありますから努力をしていただきたいと思うのでありますが、とりわけ施設のバリアフリーという問題等を考えていただきたい。  同時に、あわせて、最近自動車社会になっているにもかかわらず、歩いていくには郵便局は大変便利がいいが、しかし自動車で行くと大変不便。とりわけ町の真ん中は特に不便です。隣近所だけ使えばいいということであれば別だけれども。地方に行きますと、地方の中核都市、それ以下の都市になると、非常に便利のいいところにはあるけれども、自動車でなかなか行けない。一方で、やはり自動車では行けない方々に対するサービスというものをどう考えるのか。あわせて自動車のサービスというものを考えていかなくてはならない。それは過疎地に住めば住むほど移動の手段を常に持たない人たちが多いわけですから、そういうことなどをひとつどうか考えていただいて、どういうことをやっていこうとされておるのかお考えを聞いて、最後の質問といたします。
  164. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 何度か申し上げておりますけれども、今度の平成十一年度の概算要求の柱の一つに、少子・高齢化ということを盛り込んでおります。  もうこれは私が申し上げるまでもなく、高齢化社会になりまして、ことしの敬老の日には全国で百歳以上の人がついに初めて一万人を超えたという、そういう時代を迎えている中で、高齢者の方が足が不自由になられても近くの郵便局には無事にお出かけいただき、お時間を過ごしていただけるようにという配慮から、実はもう既に郵便局舎のバリアフリーというのは進めておりましたけれども、今回の十一年度の予算要求でもう全部完了してしまおう、そういうことで増額させていただいているところでございます。あわせてスロープとかをつけるわけでございまして、障害者の方にも当然バリアフリーとしての建物の機能がございますので御利用しやすくなってくるのではないかと思います。  さらに、先のことを申し上げれば、例えば聴覚障害の方、窓口で手話でやってほしいという御要望がありますけれども、郵便局員の皆さんには大変御無理を言って一生懸命手話を覚えていただく傍ら、情報通信行政の中では、情報通信の中で手話をカメラに映してそれを文字に変換するような、そういう実験をあわせて郵政省では取り組んでいるところでございます。  簡保の方の施設におきましては、障害者の方が、なかなか気楽に旅行ができない。確かにバリアフリー施設というのはあるんだけれども、基本的にパブリックスペースがバリアフリーになっていて、居室自体は、寝泊まりするところはバリアフリー化されていないわけでございます。今度そのバリアフリー化の取り組みの一つに、簡保の施設にはとことんそういうものを追求した居室をつくらせていただきまして、障害者の方が自分の家にいるかごとくに旅行先でゆっくりしていただこうということに取り組んでいます。  これも一つには、今まではどちらかというとつくる側、郵政省が自分の思ったように設計をしていくわけですけれども、そうじゃなくて、介護する人または障害者の方、そういう人たち意見を聞いてからつくろうということで、今検討会をつくっていただいているところでございます。  駐車場の問題につきましては、私の方も岐阜で地方ですけれども、車の利用が多いわけで、町中の郵便局からの要望も来ております。これは建てかえのたびに近くの駐車場を確保するようにということで、利用者の方のニーズにこたえるよう努力しているところでございます。引き続き頑張ってまいります。
  165. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 自由党の戸田でございます。  野田郵政大臣、けさほどから本当に長時間質問にお答えいただいて大変お疲れさまであります。  この厳しい情勢の中で小渕内閣が発足して非常に大きな問題に取り組んでいるという状況でありますが、その中にありまして、小渕内閣のイメージアップといいますか、そういうことについては野田郵政大臣が一手に引き受けておられるのではないかと、そう思っております。御健闘をお祈りしております。  私は、基本的な問題について二、三大臣の御見解をお伺いしておきたいと思っております。大分質問がいろいろありまして、重複するところはできるだけ避けたいと思っておりますが、第一の問題は行政改革に関してであります。  行政改革については、御案内のとおり、中央省庁再編について既に法案も通り、各省の設置法をこれから検討していかなければならない、そういう段階に来ておりますが、私は、行政改革の本質というのは省庁再編とかそういったことにはなかったのではないかと思っております。  行政改革でまず何をしなければならないかということを言えば、国とそれから民間、これがどういうふうに役割を背負っていくか、それぞれの権限あるいは責任、そういったものをはっきりさせていく。  それからもう一つは、地方分権であると思っております。地方分権につきましては、相当長期間にわたって議論が進んでまいってきておりますが、具体的なものは何一つ進んでいないというのが現状ではないかと思います。  もう少し具体的に申し上げますと、税制の問題、地方自治体の財源、そういったことと地方自治体の権限、そういったことについてはっきりとしたものがなかなか出てこないというところにあると思います。  国と民間の役割の分担という点について申し上げますと、大きな課題はやはり規制緩和ではないかと思います。規制緩和につきましては、私は、郵政省というのは規制緩和の効果を最もよく認識している省ではないかと思っております。それは、携帯電話に象徴されますように、けさほどの新聞を見ましても、携帯電話、PHS合わせて四千二百万台の登録ということになっておりますし、また、情報通信という点から考えましても、携帯電話でそれなりの情報が送れる、そういうような時代になってきていますから、これが一つの大きな産業として、また国民の利便性という点から考えても最も成功した例ではないかと思っております。  そういった意味で、郵政大臣に、これからの郵政省としての規制緩和について、どういつだ点でどういうような体制でお進めになられるか、基本的な点だけでよろしいですからお聞かせいただきたいと思います。
  166. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 先生指摘のとおり、情報通信産業がここまで飛躍的に伸びた背景には、規制緩和、自由な市場でのそれぞれの事業者の競争ゆえ、さまざまなサービス、または料金が下がってきたという事実があると思います。  そういうことで、私たちはこの規制緩和については積極的に取り組んできたし、これからも取り組んでいくつもりであります。先般もUSTR、アメリカのバシェフスキーという代表がいらっしゃったときにも、各役所ではさまざまな規制緩和についてのお話がありましたけれども、郵政省に関してはさほど皆さんがバッシングされるようなことがなかった。私自身誇りに思っているところでございます。  さて、そういうことで、私たちは、三月三十一日の閣議決定による新たな規制緩和推進三カ年計画に基づいて実行してまいります。例えば、今度の十一月に予定しておりますけれども、第一種の電気通信事業の料金は原則届け出ということになりますし、もう既にKDD法は廃止してまいりました。また、平成十年中にはケーブルテレビの外資規制について撤廃の方向で結論を出していきたい。そんなような形で着実に規制緩和の推進を図ってまいりたいと思っています。
  167. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 関連でお伺いしたいんですが、例えば電気通信分野などについて、まだ相当の規制があるのではないかという感じがしております。  これは私の認識があるいは違っているかもしれないと思いますが、例えば事業の認可とかあるいは機器の規格、それを動かす人の資格、そういったものについて、これが事業としてあるいは職業としてということであるなら、それなりに厳しさが要求されるかもしれませんが、一般の人が利用するような場合、具体的に申し上げますとプレジャーボートなんかについているレーダーの操作などというのはそうかもしれません。そういう面で、実際の皆さんの要望とそれから郵政省のそういった規制がまだまだ合っていないところがあるのじゃないかと思いますが、そういった点についてはどのようにお考えでしょうか。
  168. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 電気通信分野におきます規制緩和につきましては、ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、行政としては非常に重要な課題であると認識しておりまして、これまでも積極的に取り組んできたところでございます。  具体的に言いますと、例えば、これは昨年でありますけれども、第一種事業の参入に当たります許可におきますいわゆる過剰設備の防止条項を撤廃しておりますし、また本年二月からは第一種事業における外資規制の撤廃も進めております。電波の割り当てや機器の規格につきましても、衛星携帯電話サービスが国境を越えて端末が自由に使えるような越境端末の自由化の実現、これは昨年の秋に実施しております。それから、電気通信事業者の無線局免許の外資規制の撤廃、これは先ほどの有線の場合と同じになるんですが、無線につきましても外資規制の撤廃をやっております。また、携帯電話等への包括免許制度の導入、あるいは個別免許制度の廃止。さらには、機器の規格につきましては、電気通信端末機器や無線設備の基準認証のため外国の機関の認証結果を受け入れるなど、これなどは世界に先駆けて取り組んでおるわけであります。  一方、ほかの例えばヨーロッパの諸国などを見ますと、これはEU諸国でございますけれども、基本電気通信分野についてはことしの一月からようやく競争が導入されたということでございまして、我が国の規制の実態と申しますのは、緩和の方向に向けて諸外国と比較しても遜色がないものというふうに認識しております。  しかしながら、全然ないわけではございません。先生がおっしゃったいろいろな規制は必要に応じてまだ残っているわけでありますが、私どもといたしましては、今後とも、電気通信市場における競争の状況等も踏まえながら、電気通信分野の規制緩和の推進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  169. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 非常に成果を上げておられるという点は我々も評価しないとならないと思っております。  次に、郵政事業ですが、これまでも相当の議論がありましたので、余り細かく議論するつもりはありません。  ただ、郵政事業の中で、郵貯、簡保、こういった点については、やはり民間金融機関との競合の世界、そういう世界の中で資金運用部とのかかわり、それから財投の問題、そういった問題と深くかかわっているという点がありまして、簡単に議論を進めるわけにはいかないだろうと思うんです。  一方で、こういう金融不安のような時代になりますと、郵貯の存在というのは見逃せない。そういったことから、二点お伺いしたいと思います。  特に、郵貯の今後の運営について、三事業の方向も示されていることですから、その運営について基本的にこれからどういうような進め方をしていったらよろしいか。  それからもう一点は、郵貯の限度額が今一千万になっております。それで、近く定額貯金が満期になるということになりますと利子を含めて払い出しをしないとならない。そういったことになりますと、非常に貴重な財源がどういうようなところに回っていくかということも考えていかなければならない。そういったときに、長いこと一千万という限度額を維持してきたわけですが、今後この限度額を引き上げるおつもりがおありかどうか。  この問題、実は我々の仲間であります扇千景議員が言い出しまして、きょうは差しかえをしても出張っていって質問すると言ったんですが、押しとどめて私がかわりに質問させていただいているわけですが、大臣、ひとつよろしくお願いいたします。
  170. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 戸田先生指摘のとおり、行革または財投改革後の郵貯の資金運用というのは大変重要なことだと私も思っています。  この問題については具体的にこれから検討していくわけですけれども、やはり簡保と合わせて三百五十兆円ものお金が運用されることになるというのは、これは日本の国の問題だけではなく、世界全体の経済にも与える影響とかいろいろなインパクトは大きいと思いますので、非常に責任重大だなということを痛感しているところです。  ですから、さはさりながら、実は簡易保険も郵貯の方も今までも自主運用の実績がございます。そういう実績を引き続き確保して、一番大切なことは、預金者からお預かりしているお金ですから、安全そして確実に、そしてまた有利に加入者や預金者の皆さんのプラスになっていくような努力をしていかなければならないわけであります。あわせて健全な経営も注意していかなきゃいけない。  そういうことで、私たちは実は九月から、今月から有識者、それぞれ金融にお強かったり、経済にお強かったり、または年金問題とか、さまざまな有識者の方々にお集まりいただきまして、郵貯・簡保資金運用研究会というものを開催させていただき、その場で検討していただくことになった次第でございます。  この研究会では、例えば今の資金運用に関する法制度、どういう枠組みがいいんだろうかということから、またはリスク管理はどうしたらいいんだろうか、そしてまた運用体制の整備とか充実にはどうしたらいいのか、いろいろな角度の議論検討をしていただけるものだと私自身は信じているところであります。  また、郵便貯金の限度額の件ですけれども、私も調べましたところ、一千万というのはいつ決まったかというと平成二年、どうして決まったかというと、その当時私たち国民のどれだけ貯金をしたいか、いわゆる平均貯金目標額というのが、数字を申し上げると平成二年のときに二千四百九十七万一般的には貯金をしたいと思っていたところを参考にして決定されたものだと承りました。  実は、今のところ、平成九年においても目標額というのが二千四百十九万、ちょっと下がりましたけれども、ほぼ同じに推移しているので、このままとりあえずは引き上げに対しては具体的に考えていない状況であります。
  171. 松井浩

    政府委員(松井浩君) 一点だけ、事実関係でございますので恐縮ですが。  預入限度額が一千万円になりましたのは平成三年でございましたので、その点だけちょっと、下克上で恐縮ですが、訂正させていただきます。
  172. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 失礼しました。
  173. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 非常に大事な問題でありますし、国民すべてが大きな関心を持って眺めている問題でもありますので、ひとつ御検討をよろしくお願いしたいと思います。  郵政事業の中で、もう一つ郵便事業でありますが、郵便事業について民営化とかいろいろな議論がなされております。民営化ということを言った場合に、過疎地の問題とかなんとか考えますと、やはり今のような方向で考えておられる、そういう方向を維持されるというのは極めて自然な成り行きではないかと思っております。シビルミニマムという点から考えても、郵便事業の現在のような体制といいますか、運営についてはいろいろ問題があるだろうと思いますが、そういった全国一律でサービスができる、そういう体制を維持すべきであると我々は考えております。  それと、もう時間もありませんから一言つけ加えさせていただきますが、郵政省関係、先ほどから規制緩和の問題もありましたが、経済学者はすぐサプライサイド・エコノミーなんて難しいことを言いますが、中身はよくわからない。恐らくこの郵政省所管の問題の中にはこれからのベンチャービジネスの種といいますか、そういったものが非常にたくさんあって、それをどう生かしていくかというのがこれからの我が国の、情報産業にしてもそういった面の発展をどういうふうに進めていくかという問題ではないかと思っております。  そういった点もあわせて大臣の御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  174. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 大変すばらしい御意見をいただきまして本当にありがとうございます。参考にさせていただきたいと思います。  先ほど二つシビルミニマムについてのお話がございました。特に小包なんかはもう既に民間との競争が始まっているという現状がありますけれども、私たちは、郵政事業というのは国営であるという誇りがあるわけです。国営であるという裏づけというのは、やはりユニバーサルサービスなんだ、採算がとれないところでもやはり国民として同じサービスが受けれるということを歯を食いしばってでも頑張っていかなきゃならないので、そういうところはきちっと踏まえて頑張っていきたいと思っております。  また、今もおっしゃいましたベンチャーに対しては、先ほどもいろいろ投資組合への支援とか、そういう形で協力をしてまいっておるところでございますが、もっと先々のことを言えば、やっぱり人材育成、そういう情報通信、ベンチャーにどんどん入っていけるような人材を育成するためにも、先ほど来御指摘があります教育のインターネットというのはこれは早急に取り組んでいかなければならないということを痛感しているところでございます。御支援よろしくお願いします。
  175. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 しんがりを務めさせていただきます無所属の岩本でございます。大変お疲れさまでございますが、よろしくお願いいたしたいと思っております。  まず、私ごとき一年生議員が申し上げるのも僭越でございますが、野田大臣大臣就任を心よりお祝い申し上げたいと思います。  私も情報通信関係について何点かお伺いいたしたいと思っておりますが、朝から諸先生方情報通信関係についても随分御議論いただきましたので、なるべく重複しないようにとは思うんですが、私の能力でそこまでできるか、重複した場合はお許しのほどを願いたいと思います。  私は、今回の参議院選挙まで地方行政の一端を担っておった者でございますので、地方に足場を置いた観点から数点御質問いたしたいと思っている次第でございます。  この高度情報通信でございますが、地方の立場から見ますと、距離の障害をなくして地域間、都市と地方との情報格差を解消するということで、地方に対しましては大変大きなインパクトを与えるものであると思っておりますし、その整備のこれからの成り行きを大いに期待しているものでございます。  特に、地域間格差の面からいきますと、通信以外にも高速交通ネットワーク等があるわけでございますけれども、そういうものは大変金がかかるわけでございまして、新幹線、高速道路、そういうものの枠の中でおくれをとっている地域にありましては、この高度情報通信ネットワークというのは、今度こそは乗りおくれまいということで必死なところでありますので、御理解いただきたいと思いますとともに、そのことによって地方は個性を尊重した心豊かな地域社会をつくろう、自主的な働きかけでそういう社会を構築したいということで頑張っておるわけでございますから、それが日本国全体の均衡ある発展にもつながるものである、大変有意義なものであると思っております。大臣もぜひその地方の思いを受け入れていただいて、温かい手をこれからも差し伸べていただきたいと思う次第でございます。  高度情報通信システムはこれからもどんどん整備されていくと思いますけれども、地方と都市との関係役割分担等もあろうかと思いますが、高度情報社会における地方の姿というものをどのようにイメージされて情報通信行政をやっていかれるか、まずその辺を大臣からお聞きいたしたいと思っております。
  176. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 私は岐阜市という地方出身の国会議員でございます。私が情報通信に一生懸命取り組む背景には、やはり情報通信高度化されることによって私たちがありがたいと感ずるのは、距離がなくなるということ、そして時間の経過がなくなるということが一番大きいことではないか。なぜかというと、今まで情報というのが都市に集中している。都市に集中しているから人がどうしても情報のあるところに寄ってしまう。今先生指摘のとおり、情報をとりにいくのに最初は車を使ったり電車を使ったりしていたけれども、これではいかにもコストがかかるからというので、そこに拠点を持ってしまう。例えば家を建てる、例えば会社を建ててしまうということで、もともと情報があったところにどんどん人が移動し、そこに物を建て、家をつくりということで、都市は大変活況を呈するけれども逆に地方が空洞化してくるというのが今までの日本の流れだったと思います。その流れを大きく変えることができるのが情報通信高度化ではないか。  ですから、今はまだ都市部の人にかなり情報通信についての理解が深まっているけれども、本当に必要なのは、むしろ地方の皆さんがそれを手に入れることによって、移動せずそして自分の場所にありながらそういう高度な情報を得ることができるものなんだという御認識をいただいて、御努力いただきたいということを私は切に願っているし、推進していただきたいと思っているわけであります。  そんな中で、じゃ私たちは具体的に地方の皆さんに何がお示しできるかというと、先ほど来出ているように、テレワーク、今までは大体の会社というのは都心とか中心地にあった。そこまで通う、通勤するということがあった。でも、これからは地方にあって、そしてそこで仕事をして、都市であろうとどこであろうとそういう企業と通信回線を利用して仕事のやりとりをする、そんなことも地方において可能になるでありましょうし、教育だって、別にその場所にいなければならないということではなく、例えばある東京の学校が岐阜県にそういうクラスを持って、それを高速回線を使ってテレビ会議のように先生とやりとりすることもこれは実際に可能になってくるわけであります。  私たちが今まで想像してこなかったようなことを情報通信高度化によってできるということで、どんどん地方の皆さんが積極的にどういうものが必要なんだ、どういうものが今の地元に足りないのかというのを模索していただいて、それを解決する手だてとして情報通信を御利用、御活用いただきたいというのが郵政省の今の施策の考え方であります。
  177. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  地方に対する思い、私と一緒でございまして、大変意を強くした次第でございます。恐らく一極集中が地方分散に広がる、こういう世の中を大臣は想像されているのではないかなというような気がいたしますが、まさにそのためには、情報地域間格差はこういう高度情報通信システムで解消すると思いますが、真の地域間格差是正ということを考えますと、通信料金の均一化といいますか、そういうものも必要ではないかなというような気がいたします。  確かに、将来像としては、それぞれ分散して生活すれば、通信網というのは双方向性がありますから料金は同じはずでございますが、現実にはまだまだ、先ほどもお話がございましたが、今東京に情報が集中しているわけでございまして、それにアクセスするための料金というのはばかにならない。それが例えば企業誘致をしようというようなときの障害にもなるとか、いろんな面でやっぱり障害になっているのが現実でございます。  その辺について、やはり将来は全国どこでも同じような料金で情報をとれるということが大事かと思いますが、その辺の通信料金の地域間格差の是正についてどのようにお考えになっているか、お願いをいたします。
  178. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 昭和六十年の電気通信制度改革におきまして、この改革の成果が一番よくあらわれているのが料金面だろうと思います。電気通信料金が今日非常に大幅に低廉化し、そしてまた、ただいま先生おっしゃいますように、近距離と遠距離における料金の遠近格差といったものも大幅に縮小しております。最も遠い最遠距離の料金は、これはNTTの料金でございますが、昭和六十年当時は四百円でございましたが今は九十円ということで、遠近格差は四分の一にまで低下している、そういう状況でございます。また、インターネット向けのサービスにつきましては全国均一料金も出現している、そういった状況でございます。  私どもといたしましては、これからますます電気通信市場におきます競争の進展、あるいは技術革新が進展する中で、事業者の創意工夫により遠近格差の一層の縮小や利用者ニーズ対応した多種多彩なサービスメニューが登場することを期待しまして、今後とも競争環境の整備に努めてまいる考えでございます。
  179. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  御努力は大変評価させていただきたいんですが、PRというか認識不足かもしれませんが、現実にはまだ格差が高いというような認識もございまして、その辺これからの郵政省の方々とのお話し合いの過程でいろいろわかってくるか、あるいはもっと必要なことがあればやっていただきたいなというような気がいたす次第でございます。  それで、先ほど渕上委員からの御質問にもあったかと思いますけれども、やはり地方では財政負担の差があるものですから、基盤整備等についてもやはりやりづらいという面があるわけでございます。それと同時に、基盤整備ができ上がった中で有効に利用するためのアプリケーションがどのように開発されるか、どのようなものになるのか。  先ほど大臣は、恐らくこういうことも地方からの発想で欲しいというようなお話ではなかったかと思いますけれども、現実を見ますと、そういう地方からなかなかこれだというようなものもございませんものですから、これはやはりある程度郵政省指導性を持ってやっていただくのもいいかなというような気がいたすわけでございます。  そのアプリケーション、何も郵政省ばかりじゃなくていろんな部門でやっておられると思いますけれども、主体的な位置づけでいろいろやっておられます郵政省の方で、このアプリケーションの開発、確立等の取り組みについてお話を伺わせていただきたいと思います。
  180. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) まず、情報通信基盤整備のことでございますけれども、基本的な情報通信ネットワークと申しますのは、国民生活に不可欠なユニバーサルサービス確保を初めとして、基本的には民間事業者による整備を原則として進めているところでございます。しかしながら、電気通信設備の整備には多額の初期投資を要しますし、これに対して政策支援が必要であるということから、財政投融資による支援を行っております。  それから、加入者系光ファイバー網につきましては、二〇〇五年までの早期の全国整備を図るために、超低利融資制度を設けているところでございます。さらに、携帯電話の不感地帯や難視聴地域解消のための電気通信格差是正事業を行っているということでございます。  このようなネットワーク整備とあわせて、地公体が独自にさまざまなネットワーク、基幹ネットワーク整備したり、それからセンターをつくるということについて、郵政省としては自治体ネットワーク等の補助事業を行っておりまして、地公体について応援しているところでございます。  さらに、そういうふうな基幹的なネットワーク、それから地方独自のネットワークの上にさまざまなアプリケーションをどのような形で乗っけていくかということでございますけれども、私どもとして、先生指摘のようにネットワークとアプリケーションというものは車の両輪というふうに考えております。これはあわせて推進する必要があるものということでございます。  これまでも、市役所と支所の間、それから病院相互間等を接続いたしまして、行政情報提供システムや病院間診断支援システム等々を行っております。また、最先端の研究開発成果を活用いたしまして、多様なマルチメディアモデルを全国に展開いたしますマルチメディア・パイロットタウン構想、これは通・放機構の直轄事業でございますけれども、成果展開型事業として新たな研究開発の成果を実用化するために施策を打っているところでございます。  御承知のように、アプリケーションというのは地方地方に適合したアプリケーションをつくるということが非常に重要でございますので、地方公共団体の要望をきちんと受けとめながら、適切なアプリケーションの構築に向けて地方自治体とともに努力してまいりたいというふうに思っております。
  181. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  まさに当初申しましたとおり、地方のこれからの活性化に大変大事だと思いますし、そのことで地方からの声を十分聞いていただきたい、こう思っている次第でございます。  次に、高度情報通信社会、これは午前午後とも諸先生方からの質問の中に出ましたけれども、すべてバラ色ではないということで、弊害も落とし穴もあるということでございます。大臣も先般のごあいさつの中でその影の部分を指摘されて、対策について力を入れる取り組みを強く言われたところでございます。先ほどもございましたが、総務庁の調査なんかでポルノ情報が青少年に非常にフリーに広がっているというような情報もございます。そういうものは大変倫理的な問題でございまして、郵政省も取り組みに励んでおるというふうに私は理解したわけです。  そういう問題ともう一つ違った面で、高度情報社会の弊害として、これは私だけの危惧かもしれませんが、危惧を抱いているところがあるわけです。それは、情報が言うなれば目と耳だけに頼る、マルチメディアとなるともっとほかの面もあるかもしれませんが、大体中心を目と耳に頼ると、これは非常に無機質的な情報になるんじゃないかというような気がいたすわけでございます。本来、我々人と人との情報というのは五官すべてを通して認識する、それが本物の情報であったような気がするんですが、そういう血の通った人間らしい関係がだんだんなくなっていくんではないかなというような気がいたします。  確かに、こういう新しい高度情報社会通信の機械がありますと、幅広く早く情報が得られるというメリットがございますけれども、私も地元で小学生がどこかのある企業からテレビ会議用の施設を寄贈されてそれのイベンドに出かけたことがありますが、子供たちは非常に喜んでそういうものに取り組みますけれども、やっぱり何かそれだけ見ていますとこれで本当にいいのかな、もう少し何か欠けている、フェース・ツー・フェースといいますか、スキン・ツー・スキンといいますか、そういうものも必要ではないのかな、そういうものもまたないと、失うと、これからの高度情報社会が非常に無味乾燥なものになっていくんじゃないのかなという危惧があるわけでございます。  そういうものに対して、これはしたがって従来型の情報といいますか、五官を通じた情報というものも大変尊重していかなければいけない、きちっとこれからの情報社会に組み込んでいかなければいけないというふうに私は思うわけでございます。そういう意味で、これは私自身も考えなきゃいけない問題でありますし、国民全体の問題であるかもしれませんが、郵政行政に携わっておられます大臣、この辺についてどういうようなお考えを持っているかお聞かせを願いたいと思います。
  182. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 私は、まず初めに、郵政大臣としてでなく一人の娘として、母と一緒にいるときにずっとパソコンをやっていてしかられたことがつい数日前ございました。やはり母にしてみると、たまに一緒にいるのに何であなたはパソコンをやっているんだと、そういうことを言われたので深く反省したところでございます。  御指摘のとおりでございます。一番大切なのはフェース・ツー・フェースとか心、五官の触れ合いであることはこれは間違いないことでありますけれども、私たち情報通信高度化することによって逆にそれにすべて取り込まれるのではなくて、そこで得られるメリットを十分楽しんでいただきたい、充実していただきたいということが第一義のことであります。  例えば、先ほどからテレワークの話をしていますけれども、これは、やはり働く女性にとって子育てと両立できる働き方はどういうものがあるだろうかというさまざまな選択肢の中の一つだと思うんです。お母さんが今までは例えば通勤時間二時間、往復四時間はとにかく子供と会えない。ところがテレワーク、在宅でそういう情報通信機器を使って仕事をすれば終日子供と一緒にいられる。これは別にお母さんに限らずお父さんでもいいわけですけれども、そういうことが可能になってくるんではないかとか、さらには障害者の方たちとのコミュニケーションというのはなかなか難しいものがございます。私自身もEメールをやって一番感動したのは、外国に住んでいる人との連絡が瞬時にできるということと、あわせて、ふだんは会っても対話のできない人たちとEメールで情報交換ができるという、そういうメリットを発見しました。  私自身がとらえているのは、かつて洗濯機がつくられたときに、女の人は手で洗っていた時間を洗濯機ですごく節約できた、その分自分の時間がつくれていろんなことができるようになったというような感覚で、高度情報通信社会もそれがすべてではなく、それによって得られる利便性とか効率化とか、そこであいた時間をいかに上手に使っていただくかということで、人間社会というか、暮らしの中での膨らみになっていただきたい。そういうことを願ってコンテンツなんかも真剣に考えていかなければならないと思っています。
  183. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大臣も私と同じ気持ちだと思いますので、ぜひとも、今後ともひとつその辺からの御配慮もお願いをいたしたいと思っております。  次に、具体的な事業につきまして、携帯電話とか自動車電話などの移動通信についてちょっとお聞きしたいんですが、この移動通信、先ほどもいろいろ御議論ございました。これは都会でも使っておりますけれども、やはり一般的な公共通信手段が少ないいわゆる地方といいますか中山間地といいますか、そういう地域では非常に効果が大きいと私は思っております。  この普及、整備については郵政省も積極的に進めていただいていると思っておりますが、ただ、有効に使えるいわゆる中山間地域は、また別の面でいいますと自然条件等の障害から非常に不感地帯が多い、そういう障害があるわけでございまして、この不感地帯の解消、ぜひともなくしていただきたいなと思っているわけですが、この辺について郵政省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  184. 天野定功

    政府委員(天野定功君) ただいま先生おっしゃいました山間地域等におきましては、不採算地域が多いと考えられますことから、携帯・自動車電話事業者の自主的な整備はなかなか困難であろうということで、不感地帯の解消に対しまして国としても何らかの助成が必要であろうと考えております。  そこで、郵政省といたしましては、平成三年度からこの携帯・自動車電話地域間格差の是正を図りますために移動通信用鉄塔施設整備事業実施しまして、過疎地、辺地、特定農山村等におきます中継用基地局の整備に要する費用の一部を国庫により補助しまして、平成九年度末までに過疎地等で全国で百六十四カ所の基地局を整備したところでございます。  今後とも、移動通信用鉄塔施設整備事業の積極的な推進により携帯・自動車電話サービスのエリアをさらに拡大すべく努力していく考えでございます。
  185. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 郵政省、その辺で大変御努力いただいておりますのは私自身も実際経験しておりましてわかるんですが、この不感地帯をすべてすぐに解消するというわけにいかないと思いますし、これからも続けていただかなければいけないと思うわけですが、その際に、どういうところからこれをやっていくかについて、私の誤解であればそれを御指摘願えたらいいんですが、どうも画一的な面があって、中山間地帯なんかは、例えば主要道路の周辺とかあるいはイベントの多いところとか、そういうところに通じるのを先にした方がいいようなのが、役場の周辺に限るとか、そんなようなことの御指導があるようなふうにちょっと聞いておるんです。もし誤解であれば、今後ともそういうことのないように御要望にとめておきますが、何かその辺についてお教えいただければ。
  186. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 先ほどお答えいたしました移動通信用鉄塔施設整備事業実施に当たりましては、事業主体であります市町村の要望を踏まえて行ってきているところでございます。  御指摘のとおり、従来各市町村の中心地域であり携帯電話サービスヘの需要の高い市町村役場の周辺地域について、これは地元の要望もありまして優先的に措置を行ってきたところでございますが、近年は市町村役場周辺以外でも携帯・自動車電話サービスを受けられるようにしてほしいという要望も高まってきておりますから、平成十年度の第一次補正予算によりまして市町村役場周辺以外で集落等一定以上の需要がある地域を対象に、主として従来よりもコストの安い簡易型の鉄塔施設を用いた整備に着手することにしております。  今後とも、このような新しい手段も用いまして、必ずしも市町村の中心部に限らず、その周辺部にも不感地帯の解消に努めてまいりたいというふうに考えております。
  187. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  私、当初申し上げましたとおり、地方行政に携わっておったものですからどうしても地方からの観点になりますが、今後とも郵政地方に対する目配りをぜひともお願いしたい。そのことによって過疎地帯が減少すればそれだけ有効に利用できる国土が広くなるということでもございますので、よろしくお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  188. 小林元

    委員長小林元君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十四分散会