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山本正和君 長期信用銀行の問題に端を発しまして、
国民の中の
金融に対するさまざまな不信が芽生えているわけでありますが、実は長銀の皆さんの立場から言えば、いろいろ言い分があったんじゃないかと私は思っているんです。
特に申し上げておきたいことは、一九八九年当時、長銀がいわゆる第六次計画を立てた、そして何とか長銀をきちっとやっていこうとしたという時期があったわけであります。ところが、その当時、日銀枠と称して年間約七千億から九千億
程度のお金をちゃんと融資しなさい、こういう指示が来ておった。ところが、なかなか借り手がないわけですね。しかし、どうしてもそれを消化しなきゃいけないということでのさまざまな問題があった。これも一因だと言われているわけですね。
しかし、同じように、実は八九年以前に既にバブルの現象が出ておりましたから、
我が国の銀行はそれぞれさまざまな形での融資を始めた。ところが、
我が国には将来展望に立った産業を、これからどんどん伸びていくぞという産業に対して投資し得る場所がどこにあったんだろうか。ですから、田舎の家具屋さんでも例えばマレーシアに行って工場をつくってみたり、いろいろなことをやったわけです。大変なことをいろいろやりました。
私はここで、きょう
総理と大蔵大臣にということで御
質問しているわけでありますが、いろんな評価がありますけれども、
池田総理当時に所得倍増計画というものをお立てになって、そして
日本の
国民の所得を倍にしますよ、何年間でと、こういうことを明示されていろんなことを言われた。そのもとに国の
経済をそういう方向に向けようとされた。そしてまた、これはまたここでいろんな批判をする人もおりますけれども、田中
総理が
日本改造計画というものを立てて、
日本じゅうの町から東京へ来るのにもつと便利にしますよ、住みよい
日本にしましょうと。私ども三重県ですけれども、三重県の方にも伊勢湾架橋というのをつけて、第二国土軸をつくりますよというふうな話もあった。
国民に夢を与えたわけであります。
ちょうどその夢を与える前後に、八九年の例の消費税の大騒動がありまして、大騒動と言ったらおかしいですが、消費税の選挙がありまして、当時私どもは万年野党と言われておった
日本社会党だったんですけれども、この
参議院で一挙に七十九名の大勢力になった。ここに十三名座ったわけです、
参議院で、我が社会党は。今やちょこっとしかおりませんけれども。そういうときを私、今振り返って思うんですが、
政治が
国民に対して
国家目標を示しておっただろうか。消費税はけしからぬということは我々は一生懸命言ったんですよ。しかし、
日本の国はこれからどうなりますよということを我々野党として言ってきただろうかということを私はじくじとして反省しておるわけであります。
今ここで、きょうは締めくくり総括でありますが、確かにさまざまな問題がありましたけれども、これからの
日本はどうなるんだという観点から、当面する
金融問題の解決に
全力を挙げなきゃいけない、これはあると思うんです。しかし、これからこうなりますよということについての議論が私はどうしても欠けているように思えてならないわけであります、今度の
参議院の議論は。
そこで、私は特に申し上げておきたいのは、
総理大臣が来年度の
予算を組むに当たってのさまざまな所信をあちらこちらで表明されております。いずれも重要な事柄だったと私は思うんです。しかし、重要ですけれども、それは二十一世紀を控えた今から十年後、二十年後の展望の部分とどうも結びつかない。今、目の前に追われて仕方ないんじゃないかというような感じがちょっとするわけですね。しかし、恐らく
総理はそうじやなしに、
日本の未来についてお考えになっておられると私は思うんです。
特に、きのう韓国の金大中大統領の演説を聞きました。そして、日韓の
経済協力関係も随分厳しく言われた。アジア
経済についても触れられた。
日本がこれからアジア
経済でいろんなことをやっていきましょうという
提案もあったんですけれども、そこで特に私は彼の演説を聞く中で思ったのは、やっぱり私どもと同じ世代だなと。
孟子を例に引いて、天子は人民のために働く、人民のためにある天の子である、しかし天の子が人民のふためになることをしたときは人民は天子を追放する、こういう孟子の言葉を引かれた。ところが、私どもの世代は天子の上の方の、天の子であるまでは教わったけれども、大
日本帝国のときは人民が天子を追放するなんてことを言ったら大変でありますから教わっていないんですよ。しかし、そういう
政治理念を彼は語るわけですね。
そして、この前、盧泰愚さんが来たときも私は聞いたんですけれども、
政治理念を語った。去年、私は日中の
議員連盟で林さんが団長で行ったときに江沢民が中南海で私どもに話したのは、やっぱり哲学を語るわけですよ。いろいろと
アメリカの皆さんが人権と言われるけれども、私どもも人権は大切なんですけれども、当面十二億の
国民にとにかく着るものを着てもらって、食べるものを食べてもらうために私たちは
全力を挙げなきゃいけないんですと。そして、その中で中国の夢みたいな話も彼はちょっとされたんですけれども、やっぱり今、
日本の国がいろいろと
景気が悪いということを言うんだけれども、本当に足りないのは
政治が
国民に夢を語ることじゃないかという気がして私はならないんです。
そこで、きのうから
総理大臣に何を
質問するんですか、こういう話があったので申し上げておったんですけれども、やっぱり
総理の今の
日本の二十一世紀にかける夢というか展望というか、私は
こう思いますよということをどうしても聞きたい。この前のときにも私はそれは申し上げたんですけれども、当面こうしますというふうなお話であって、二十一世紀の展望がどうも見えてこないと私は思うんです。
私がこの前申し上げたのは、
日本の国は二十一世紀にこの地球を、環境をきれいにするための先進国になりますと、あるいはエネルギー問題を、こういう石油や石炭をどんどん燃やしてやっていくようなことじゃ地球はだめになるから、クリーンなエネルギーが使えるような立派な国になりましょうと、あるいは本当にお年寄りが生きていけるような立派な福祉社会にしましょうというふうな、いろんな言い方があると思うんです。
そういうふうな形でもって
総理が話をしていただいて、そして私は思うんですが、例えば来年度
予算を組むのに、これは大蔵大臣がまた御苦労願うお話なんですけれども、例えば環境枠、自然エネルギー枠、これは建設省にもあれば農水省にもある。いろいろなところにあるんです。そういうふうな形でもって枠をつくって、
我が国の像はこうですよということを示すような形での
予算編成に取り組む。
そうすると、ちょっと私調べてみたら、太陽光エネルギーの発電の問題だけでも通産省で計算している試算で二〇一〇年には一兆円産業になる、こう言っているんです。しかし、本当はもっと金をほうり込めばもっと早いと私は思うんです。環境でもそうです。大変な新しい産業が興るだろうと私は思うんです。それから、原子力の問題でもそうなんです。原子力で最大の問題点は、廃棄物の
処理をめぐってどうしていいかわからない。しかし、これを、
世界じゅうで一番上手に廃棄
処理が今進んでいるのが
我が国なんですね。さらにそれに例えばもっといろんなやり方があると思うんです。
ですから、そういう
予算枠を含めて、
我が国の姿勢はこうですよということを明示していただく、そして
国民の皆さんに、
我が国にはこれからこういう新しい産業がどんどんできますよ、みんなで頑張りましょう、こういうメッセージを発していただくことが
経済活性化の原点になるんじゃないか、こう私は思うわけであります。
そして最後に、
発議者の方もお見えでございますから申し上げておきますけれども、それは大変な御苦労の中で、確かに
政府案よりは一歩前進という形でのものができ上がったと思います。大変な御苦労をいただいたと私は思うんですね。しかし、このものは、たとえみんなでどれだけ苦労しても、今の
金融問題、
経済問題を解決するために百点満点がつけられるような答案が出るはずがないわけであります。したがって、それはそれぞれお互いに欠点がある、欠陥として出てくる。しかし、まず今必要なことは、
国民の間にある
金融不信を解くために時間が迫られている。時間が迫られている中で、実際はもう
中小企業の経営者はきりきり舞いしている、こういうふうな思いでいっぱいじゃないかということを私は思うのでございます。
私が今申し上げたことをひとつ、まあおまえさんの言うことを考えてみようということでお返事をいただきまして、私の
質問を終わりたいと思うんですが、いかがですか。