○海野義孝君
大蔵大臣のこれから二十一世紀に向かっての
日本の金融界のあるべき
一つの姿といいますか、そういった方向がお話の中にも承れた、このように私は思っているわけであります。
もう
一つ、
大蔵大臣、先週G7にお行きになりまして、そのときのことで、片や今この
法案の問題を
審議している中でいろいろと話題になったんですけれ
ども、この点ちょっと確認をさせていただきたいと思うんです。
G7の共同声明というのは、ある程度国際的な公約というか、我が国がそれに向かってやはり必死に努力していかなくてはならないということかなと私なりには思いますけれ
ども、その中で
日本の
金融システムの安定には存続可能な
銀行への公的
支援を含む
支援措置の早期立法化が重要というようなことがあるんですね。
これは
日本で今いろいろやっているんですけれ
ども、その場合に存続可能ではないと判断する場合の目安、基準、こういったものは一体何かと、これについては今情報開示が不十分でして、私なかなかわかりにくいんです。
私にとって不思議なのは、例えばことしの三月本決算の
段階での大手十八ないし十九行の自己
資本比率、それとこの九月中間での自己
資本比率、この中にはいわゆる当期利益等については確定されていない部分もあるわけですからある程度推測かと思いますけれ
ども、この間、江田先生がたしかパネルでお出しになったのを拝見していたら、ほとんどの
銀行が自己
資本比率がよくなっていますね。こんな奇怪なことは
考えられない。
ということは、要するに今
不良債権の
処理をしているのは、
一つは土地の問題、それから株価の問題、こういったものはいずれも三月よりは下がっています。地価も下がっています。株価も下がっています。そしてもう
一つは、いわゆる業務純益、これにつきましても三年間ずっと超超低金利で
銀行さんにそういう
不良債権の
処理のためにもやはり利ざやを取らせるような、ある面でいうとそういうことでやってきたけれ
ども、この面でもだんだん最近は資金を取るのにコストがかかるようになってきたというようなことで採算は悪くなっている。こういうようになってきますと、あと自己
資本だけなんです。これは今だんだん取り崩していっている。
聞くところによれば、
日本の大手十九行の中では実質的にいうとほとんど
債務超過になっているのではないかというふうなことを分析しているような連中もいる。これは別にそのことを信ずるわけでもなんでもないですけれ
ども、そういうこともまことしやかに書かれている。それをまた読んでいる。それで、みんなそうかなというような疑いのあれを持っている。
そういうような中で存続可能な、あるいはこれは存続させてはいけないと言っては問題あるかと思いますけれ
ども、そういう面で大変今情報不足であるということなんです。だけれ
ども、さっき大臣がおっしゃったように、今回の時間をかけてやってきたということのいい面もかもわかりませんけれ
ども、そういった中で大変
日本の金融界もそういった提携の問題であるとか、あるいは言うなれば
合併の問題であるとか、いわゆるユニバーサルバンク的な方向に向かっての業務の提携的な動きがあるとか、いろんなことが出たということは私はかなり前進したことではあろう、こう思います。
やはりこれから大事なことは、
公的資金などを
導入し、そういった戦略的な部門を強化する。大きな
銀行が
二つ、ただ一緒になったって、大きいだけがいいことじゃないわけです。
日本の
銀行はそれでなくても収益が低い。
銀行の収益の中の大体三分の二ぐらいは貸し出し業務によっての収益である。いわゆる戦略的な金融商品とか、例えばデリバティブズであるとか、いろんな面で国際的に見ると、先端を行っているような
銀行なんかの場合は三分の一ぐらいがそういった貸し出し業務による収益だというようなことも承知しているんです。そういうような中で、これから存続させていくとか、あるいは
公的資金を投下していくとか、いろいろそういった金融の健全化
スキームということを
考えた場合、これはいろいろな問題をはらんでいるということで、私は大変難しいことだと思うんです。
これは、
発議者の方々はこれからまたそういった問題にも取り組んでいかれることかと思いますけれ
ども、大臣としてはそういった面について、本来的な金融の
再生というものは私はただ
法案をつくることじゃないと思うんです。
先ほどもどなたが御
指摘になっていましたけれ
ども、もっと大きな問題だと。そのためには、セーフティーネットをつくるとかそういうことをまずやるということの先に、二〇〇一年の春からはペイオフ、そういうことになっていったときに、それまでの間にとにかくすべてのことをやっていかなくちゃならぬということからすると、この
法案ができるということは、これは要するに終わりでも何でもなくて、つまりこれは始まりであるということだと思うんです。
そういったことを含めて
大蔵大臣、ちょっと長々と申し上げてわかりにくかったと思いますが、何か一言。