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1998-09-29 第143回国会 参議院 外交・防衛委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月二十九日(火曜日)    午後三時二十五分開会     —————————————    委員異動  九月十八日     辞任         補欠選任      益田 洋介君     続  訓弘君  九月二十四日     辞任         補欠選任      佐々木知子君     上杉 光弘君  九月二十五日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     佐々木知子君  九月二十九日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     櫻井  充君      田村 秀昭君     戸田 邦司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         河本 英典君     理 事                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 柳田  稔君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 岩崎 純三君                 亀谷 博昭君                 佐々木知子君                 鈴木 正孝君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 齋藤  勁君                 櫻井  充君                 吉田 之久君                 続  訓弘君                 立木  洋君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 戸田 邦司君                 佐藤 道夫君                 山崎  力君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        外務大臣     高村 正彦君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君    政府委員        防衛庁長官官房        長代理      伊藤 康成君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  大越 康弘君        防衛庁人事教育        局長       坂野  興君        防衛庁装備局長  及川 耕造君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        外務省総合外交        政策局軍備管   阿部 信泰君        理・科学審議官        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  竹内 行夫君        外務省経済局長  大島正太郎君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        外務省条約局長  東郷 和彦君        大蔵省主計局次        長        坂  篤郎君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川  明巧君    説明員        会計検査員事務        総局第一局長   関本 匡邦君     ————————————— 本日の会議に付した案件対人地雷使用貯蔵生産及び移譲禁止並  びに廃棄に関する条約締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十八日、益田洋介君が委員辞任され、その補欠として続訓弘君が選任されました。  また、本日、木俣佳丈君が委員辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。     —————————————
  3. 河本英典

    委員長河本英典君) 議事に入るに先立ち、高村外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高村外務大臣
  4. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 先般、国会に提出いたしました対人地雷使用貯蔵生産及び移譲禁止並びに廃棄に関する条約締結について承認を求めるの件につきましては、同条約署名国会に提出するまでの間、種々の検討に時間を費やし、国会提出がおくれることとなりました。特に、参議院において十分な時間を持って御審議をしていただくことが困難な状況に至りましたことは極めて遺憾であり、外務省として深く反省をしております。  今後、条約締結案件につきましては、国会において十分な御審議をいただくべく、遅滞なく国会に提出するよう努めます。  委員各位の御理解と御協力を改めてお願いいたします。     —————————————
  5. 河本英典

    委員長河本英典君) 対人地雷使用貯蔵生産及び移譲禁止並びに廃棄に関する条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。高村外務大臣
  6. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ただいま議題となりました対人地雷使用貯蔵生産及び移譲禁止並びに廃棄に関する条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成九年九月にオスロで開催された国際会議において作成されたものであります。  この条約は、対人地雷使用生産保有移譲等禁止及び廃棄義務について規定し、あわせて条約上の義務の実施を確保するための事実調査制度等について規定するものであります。  我が国がこの条約締結することは、対人地雷全面的禁止に向けた国際協力を促進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  7. 河本英典

    委員長河本英典君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより本件に対する質疑に入ります。  まず、内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 吉田之久

    吉田之久君 民主党の吉田でございます。  総理に御出席いただいておりますので、総理にだけ御質問をいたしたいと思います。  総理外務大臣に就任されましたとき、対人地雷禁止条約について極めて積極的な姿勢を示されました。その署名に踏み切られたことでありまして、大変立派な態度であると国民もひとしく敬意を表した次第でございます。  世界じゅう七十カ国、一億一千万個の対人地雷、毎月二千人が死傷している。この悲惨な状況から一刻も早く脱するために、我々は世界国々に伍して人道上のこの問題、軍縮にかかわる問題に積極的に参加したいと考えておったのでございますが、それにしては、先ほど外務大臣からも弁明がありましたけれども、このたびの着地は悪過ぎると思うのでございます。  どんなに立派な体操競技でも着地がお粗末であったら台なしでありまして、ぎりぎりのきょうに至って衆議院を通過したので直ちにこの委員会が開かれまして、提案説明をして直ちに質疑、採決をしてほしいということでありました。また、あす三十日には本会議で可決してほしいということでありますが、いささか乱暴過ぎると思うのでございます。察するに、四十カ国がこんなにスムーズに批准するとは思わなかったのではないか。ところが、既にそういう状況になりまして、来年三月一日に発効する、おくれてはならじと慌てて駆け込んでいるような状況と受け取らざるを得ないのでございます。  参議院与野党ともに今度のこの運び方につきまして大変強い不満を持っております。いかにも釈然としません。議会はそんなに便利にできているものではないということは外務省も篤と御承知のはずであります。  行政の最高責任者として、総理はこの機会に各省庁に大いに注意を促していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  9. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) お尋ねにお答えを申し上げます前に、本対人地雷禁止条約の批准に当たりまして、河本委員長初め理事、委員各位におかれまして、この委員会で御審議をいただきますこと、改めまして心からお礼を申し上げますと同時に、今御指摘にありましたように、この取り扱いその他につきまして、今日になりましたことを深くおわび申し上げる次第でございます。  私、昨年十二月三日にカナダ・オタワにおきまして当時の外務大臣としてこれの署名式に出席いたしたわけでございますが、以降、この条約発効のために、四十カ国をもって発効に至りますのでございますので、我が国といたしましてもぜひ第一陣の中に入りまして、明年三月一日発効に至るその四十カ国に入るべく最善の努力をいたしたわけでございますが、国内法の手続あるいはその他万般にわたりまして十分な審議が進みませんで今日になりましたことを深くおわびいたす次第でございます。  が、そうした日程にもかかわりませず、参議院の当委員会におきまして御審議をいただきますこと大変ありがたく、ぜひ御審議の上、速やかに御可決ありまして、明日までにこれが寄託をいたしますと来年の発効に至る間我が国としての姿勢も明らかにできますので、ぜひ御理解をいただきたい、このように考えておる次第でございます。
  10. 吉田之久

    吉田之久君 具体的に二点だけ質問をいたします。  現在、我が国には約百万個の対人地雷貯蔵されていると承っておりますが、何年かかってこういう貯蔵に至ったのか。  それからいま一つは、我が国の場合には埋設された地雷はゼロだと思いますけれども、それで間違いはないか。ちなみに、米軍基地に敷設しているやに聞きますが、その辺はどうなのか。  なお、ついこの間まではこの地雷除去のために一発三万円かかると防衛庁の方から聞いておりましたが、今度は二千円で済む、だから年間二十二万発、四億円の予算が要るということでございますけれども、大体防衛庁予算の算定というのはいつもぐらぐらしているんじゃないか、そう疑わざるを得ないわけであります。貯蔵されているのであるならば信管を抜くだけのことでありますから、相当人員は要ると思いますけれどもそんなに困難な作業でもないと思いますが、いかがでございますか。
  11. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 何年かかって百万発あれしたかという点につきましては、恐縮でございます、突然のお尋ねでございますので資料がございません。後ほど御報告を申し上げたいと思います。  それから、何年かかって廃棄するかという点に関しましては、条約の定めましたとおり四年をかけて廃棄いたしたいというふうに思っております。
  12. 吉田之久

    吉田之久君 それでは二点目に、有事の際に在日米軍対人地雷は一体だれが輸送するのか。五月の政府見解では、米軍基地での貯蔵、持ち込み、持ち出し、さらに米軍による日本国内での輸送が認められるという見解を出しておられますが、九月になって今度は首相の見解として、そういう政府見解国際的に理解が得がたいとの認識に改めなければならない、こう聞いておりますが、今日時点で総理はどのような見解をお持ちでございますか。
  13. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 対人地雷輸送する行為は条約禁止をされております活動一つである保有に当たりますので、御指摘のような場合も含めまして自衛隊による在日米軍対人地雷輸送は認められず、また民間人による輸送我が国国内法対人地雷の所持に当たるものとして禁止されることになります。  他方在日米軍自身による対人地雷輸送につきましては、条約締約国に対し自国管轄または管理の及ぶ範囲条約禁止する活動防止及び抑止する適当な措置をとることを求めていることから、我が国条約上これを防止及び抑止する義務は負わない、こういう立場でございます。
  14. 吉田之久

    吉田之久君 時間がありませんので、はしょって御質問を申し上げます。  北朝鮮ミサイル発射事件でありますが、これは極めてゆゆしい問題であります。にもかかわらず、北朝鮮側はあくまで人工衛星の打ち上げであったと言い張っておるわけでございますが、それならば、今後、人工衛星以外は一切打ち上げないということを世界に宣言、確約したというふうに受け取ってよいのかどうか。その辺をきちんと相手の国に対して問いただすべき必要があると思いますし、人工衛星ならば時間、場所、種類も公表できるはずであります。もし今後も紛らわしい発射が繰り返されるならば、国家の存亡にかかわる問題でありまして断固対抗手段をとらなければなりません。およそ一切の交渉、援助協力を断つ、KEDOも食糧援助も絶対に断る、そういう強い姿勢を厳重に通告すべきであると思いますが、いかがでありますか。
  15. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先般の北朝鮮ミサイル発射事前通報を伴わずして行われ、対外的な透明性を全く欠いていることは問題でありまして、北朝鮮に対しミサイル開発輸出等を行わないよう求めていくべきだという点につきましては、全くそのとおりと認識いたしております。  他方政府といたしましては、北朝鮮が射程の長い運搬手段保有するに至ったと考えられること、並びに北朝鮮自身人工衛星打ち上げ能力を軍事的に使用する可能性を示唆していること、及び北朝鮮について大量破壊兵器開発の疑いがあることを考慮すれば、北朝鮮が先般のようなミサイル発射をすることは、人工衛星の打ち上げを意図しているか否かにかかわらず、我が国を含む北東アジアの平和と安定の観点から懸念せざるを得ないわけでございます。  したがいまして、こうした考え方に基づきまして、北朝鮮に対して、あらゆるチャネルをこれから生かしながらこうした我が国立場を伝達し、今御指摘のありましたような北朝鮮側の無警告のこうした発射に対しまして、これを二度と行うことのないように注意を喚起する努力は続けていきたい、このように考えております。
  16. 吉田之久

    吉田之久君 ありがとうございました。終わります。
  17. 高野博師

    高野博師君 それでは、小渕総理に何点かお伺いいたします。  まず、小渕総理外務大臣のときからこの対人地雷禁止条約に関心を持たれておったわけですが、その主たる理由は何でございましょうか。
  18. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 結論的に申し上げれば、人道主義的精神に帰着するのではないかと思われますが、世界に一億個と言われるような対人地雷でございますが、この間のいろいろ各国の報道によれば七千万個という説もあるようでございます。  いずれにいたしましても、毎日、毎月多数の死傷者、特に無事の子供たち、こうした人たち被害を受けているという問題でございまして、これに対してやはり犠牲者ゼロに向かって努力すべきことが我が国立場ではないか。したがいまして、普遍的かつ効果的な対人地雷禁止地雷除去及び犠牲者の支援、こういうものも我が国のとるべき態度ではないか、こう考えたわけでございます。
  19. 高野博師

    高野博師君 対人地雷の非人道性あるいは無差別性あるいは民間人被害を受けている、そういう残虐性も含めて、この対人地雷核兵器について総理はどうお考えなのか。核兵器こそが非人道的、まさに無差別な兵器なのでありますが、その点についてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
  20. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 我が国といたしましては、申すまでもなく、従来から核兵器のない世界の実現のために現実的な核軍縮措置を着実に積み重ねてきたところでございますが、今後とも種々国際会議、二国間の協議等の場を通じて真剣に取り組んでまいりたいと考えております。  しかしながら、この核問題につきましては長い経緯もございまして、一日にしてこれはなし得ないところでありますが、我が国立場はかねて主張しておるところでございますので、層一層努力をいたしまして究極的核廃絶に向けて努力をいたしていかなければならない、このように考えております。
  21. 高野博師

    高野博師君 究極的な核廃絶を目指すという立場からすれば、今回アメリカが行った臨界核実験についてはどういうとらえ方をされているんでしょうか。
  22. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 米国が、核実験を行わず、貯蔵する核兵器安全性及び信頼性を確保し、核抑止力を維持するための未臨界実験を行っているものとその理由承知いたしております。包括的核実験禁止条約において禁止される核爆発に該当するものでないというのは国際的認識であることは承知をいたしております。  しかし、我が国としては、今お話しのように核兵器のない世界を目指すという立場から、この未臨界実験取り扱いにつきましても今後核軍縮の取り組みの中で検討すべきものと考えておりまして、この点につきましてもこれから各国とも積極的に話し合ってまいりたい、このように考えております。
  23. 高野博師

    高野博師君 アメリカ核実験については理解を示したということでしょうか。
  24. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 理解を示したというよりも、CTBT禁止条約において禁止される核爆発に該当するものでない、こういう認識をいたしておる、こういうことであります。
  25. 高野博師

    高野博師君 CTBTでは禁止されていない臨界核実験ですが、核兵器安全性とか信頼性を確保するためだというこの目的は、結果としては核兵器による国際の平和と安全を脅かす、あるいはアメリカがこういう実験を行えば国際社会における信頼性を失うということになると思うんです。  今、積極的に国際社会の中で話し合っていくということをおっしゃられましたが、これは日本イニシアチブをとってやるということなんでしょうか、それとも受け身なんでしょうか。
  26. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 未臨界実験につきましても、今委員指摘のように、未臨界であれ核実験ではないかという意見国際的にはあるのかもしれません。しかし、現実にはこれ核の大量の保有という問題がありまして、こうした核兵器そのものが安全に、もちろん削減する努力はSTARTを初め核大国も今積極的に取り組んでおるわけでございますが、現実にそういう状態の中でこれの安全を確保しなきゃならぬということもこれまた事実だろうと思います。  長くなりましたが、こうした中ではありまするけれども、やはり国際的な意味で、未臨界といえども、この実験についてはかの国々もどのような考え方をしているかということも含めて日本としても話し合ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  27. 高野博師

    高野博師君 総理は、二十一日の国連総会で、核不拡散あるいは核軍縮について核保有国も含めて積極的に取り組むべきだという訴えをされたわけですが、アメリカのこの未臨界核実験、あるいはロシアも近くやると言われている、これは結局は核兵器開発につながる実験でありますから、これについても抗議をすべきではないかと思うんです。  日本アメリカの核の傘のもとにあるというような事情あるいは日米安保体制という枠の中での、難しい状況の中での核廃絶を目指すという日本のスタンスがあるわけですが、そういう中でやはり日本はもっと声を上げていかないと、核兵器信頼性とか安全性を確保するためという目的で今の現状ではこれはやむを得ないという態度をとれば、いつになっても核廃絶に向かって一歩も進まないということになると思うんですが、この辺についての認識はいかがでしょうか。
  28. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) CTBTあるいはNPTの条約を遵守していくということは、基本的にこれは世界の大きな流れであるとは承知をいたしております。と同時に、日本としては核保有国でない国々、しかもある意味では核開発能力を持たれる国々、こうした国々十分連絡を取りながら、保有国に対してのある種のプレッシャーといいますか、究極を目指しての廃絶に向かっての努力日本としてはそのイニシアチブをとるべきものではないか。これは、元来私が主張もし、またそういう努力をいたしてきたと思っております。十二分な成果はまだ正直に申し上げて上がっておりませんけれども、その姿勢はこれからも堅持して努力を続けていきたいと思っております。
  29. 高野博師

    高野博師君 それでは最後に、これはまた後ほどの質疑の中で取り上げますが、防衛庁背任事件、それからこれがかなり広がりを見せている。それから、秘密文書流出事件も明らかになっている。  そういう事情の中で、防衛庁藤島官房長更迭政府が決めたということでありますが、これは当然責任をとっての更迭だと思うんですが、官房長責任をとってやめる、あるいは更迭されるのであれば、これは当然秋山事務次官引責辞任ということになると思うんです。そうすれば、これは当然額賀長官辞任すべきだと思いますが、この点についての総理認識を伺います。
  30. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 防衛庁官房長人事異動につきましては、現下発生をいたしております事案につきまして直接これを調査いたさなければならない当人だ、こういうことでございまして、したがいまして、その任に当たることについて公平性を欠くことがあってはいかぬということでそうした措置をされたものだというふうに認識をいたしておりまして、要は、今次事件に関して徹底的な解明が、もちろん検察当局も当然でございますが、みずから防衛庁におきましてもこの問題について徹底的な究明がなされるものだと思っておりまして、こうしたことを最高責任者として処置することが現下防衛庁長官の果たすべき役割だと私は考えておりますので、積極的に額賀長官のそうした努力に今は期待をしておると、こういうことでございます。
  31. 高野博師

    高野博師君 終わります。
  32. 立木洋

    立木洋君 総理はもう先刻十分御承知だと思いますが、昨年、当委員会でこの地雷に関する改正議定書審議を行いました。その際、我々も幾つかの意見を述べたわけですが、そういう点から見て、今回のこの対人地雷禁止、それから廃棄、こういう条約というのはさらに前進された内容のものだというふうに受けとめることができるものだと私たちも思っております。  これを我が国が批准するに当たってどうしても考えなければならない問題は、国内にある米軍基地内にある対人地雷については貯蔵保有を認めるというふうになるわけですが、これはどういう理由からでしょうか。また、この条約のどの条項でそれが認められているんでしょうか。
  33. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 条約第九条は、締約国に対しまして、自国管轄または管理の及ぶ範囲条約禁止する活動防止し及び抑止する措置をとることを求めているのでありまして、我が国在日米軍による対人地雷にかかわる活動防止し及び抑止する義務は負わないと、こういうことだと思います。ただし、条約締結する我が国立場から、在日米軍による我が国国内における対人地雷使用開発及び生産については我が国政府政策判断としてこれを認めないことといたしておるところでございます。  他方我が国安全保障確保等の要素を総合的に勘案いたしますと、米軍朝鮮半島における安全保障上の理由等から本条約署名しておらず、二〇〇六年までに朝鮮半島での対人地雷代替兵器開発を目指すとしていること等も踏まえまして、我が国としては在日米軍による対人地雷貯蔵及び保有まで認めないとすることは適当でないと考えておりまして、そうした結論に至った次第でございます。
  34. 立木洋

    立木洋君 その解釈については、私はいささか正当性を欠くと思うんですよ。これはもう御承知のように第一条の「一般的義務」の中に明確なんですね、「対人地雷使用すること。」は禁止する、それを約束すると。それから同時に、御承知のように開発生産、さらには貯蔵保有、またはいずれかの者に対して直接もしくは間接に移譲すること、こういうことまで禁止しているわけです。貯蔵保有まで禁止しているんです。そして、同条項の(c)項においては「この条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき、いずれかの者に対して、援助し、奨励し又は勧誘すること。」、これをも禁止しているんです。  日本に対して米軍基地内で、これは日本の領域内ですよ、そこに貯蔵保有を認めるということは、米軍のそういう行為、この精神に反することに対する援助に当たり、奨励に当たり、それを勧誘することになる。そうすると、まさにこの条約を批准しても事実上精神に反することになるんじゃないですか。どうして精神に反しないと言えるんでしょうか。総理のお考えを聞かせていただきたい。
  35. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今ほど御答弁申し上げたような基本的考え方政府としては対処いたしていると、こういうことでございます。
  36. 立木洋

    立木洋君 国際的な条約に基づいて締結された場合に、いわゆるそれに基づいてそういうことを行うことができる根拠はどの条項にあるのかということが明確にされないで、しかもそれに反した行為を行ってもその条約を批准して事足れりとするような態度は、誠実な態度ではなくなるということを指摘しておかなければならないと私は思うんです。  そこで一つお聞きしますけれども、例えばNATOの加盟国で米軍基地内に地雷保有やあるいは貯蔵を認めている国はどういう国があるんでしょうか、日本と同じように。
  37. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 対人地雷禁止条約のもとで米軍対人地雷をいかに取り扱うかにつきましては、NATO諸国の対応は必ずしも一様でないと承知をいたしております。  ただ、ドイツは外国軍隊による対人地雷使用について認めないとしつつも、外国軍隊による対人地雷貯蔵保有輸送は認めるとしていると承知をいたしております。
  38. 立木洋

    立木洋君 それはドイツも今検討し直しているようですね。NATOにおいては、例えばノルウェー、スペイン、ベルギー、カナダ等については認めないということが新聞等の報道によっても明確にされています。  NATOよりも、いわゆる日本の場合のこの日米安保条約の体制下においても今のようなお話によると、結局はこの地雷禁止廃棄に関する条約を結んでも、このような基本的な一般的義務の第一条の(a)から(c)までの内容から見ると、必ずしもそれに正確に順応する態度をとると日本政府態度は言えなくなるんじゃないか。それを外国にいかなる説明をするのか。そういう態度をとることが条約上正当だということをどのようにして述べることができるのか。私は、そういうことは世界的にも納得し得る条約の解釈にはなり得ないと思うんですが、もう一度明確にしていただきたい。
  39. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 締約国が駐留外国軍隊の対人地雷取り扱いにつきましていかなる立場をとるかにつきましては、各国条約に反しない範囲自国の置かれている状況を踏まえて判断すべき問題でありまして、我が国としては、この条約締結する我が国立場我が国安全保障の確保にかかわる諸要素を総合的に考慮した上で在日米軍保有する対人地雷取り扱いについて判断したものでございまして、本件につきましてNATO諸国でも必ずしも対応が一致しておらないということは理解いたしておりますが、これを単純に比較し得るということはなかなか適当でなく、我が国が今日までの在日米軍との関係も諸般考慮いたしました上で、我が国として条約違反にあらざる点であるとすれば、最大限今回の処置をもってこの条約に批准をお願いすることができるものと考えて御提案させていただいておる、こういうことでございます。
  40. 立木洋

    立木洋君 最後になりますけれども、この貯蔵保有を容認するということは、何のために容認するのかといえば、これを使用することにつながるんですよ。物があるということは使用につながるんです。なければ使用にはつながらないんです。だから、使用することにつながるような保有貯蔵を認めるということは、本来この精神の基本にかかわる問題なんです。そのことはもう私が申すまでもなく、総理は十分御承知だろうと思うんです。先ほど来、同僚議員からもお話があったように、この問題に対して総理自身が力を入れてこられたというふうな態度を見ていますと、そういうことを全くわからないでおやりになっているとは私は思いません。  だから、先般アメリカとの間で日本側が、外務省の役人がこの問題に関して話し合いをしております。そして、その問題に関して日本側はそれを了とするというふうな態度をとっているわけです。私は、この問題について少なくともアメリカ政府が述べている姿勢については、四年後にはこれは廃棄するという方向で努力をする、そしてそのかわり二〇〇六年に代替のものを生産したいというふうな話さえ声明で出されております。  ですから、この問題に関しては、この精神を貫く立場に立って、アメリカ側に対しても、こういう地雷禁止廃棄条約にぜひともアメリカ側も参加をされて、そういう方向で努力をするようにという点について積極的に話し合いを進めていくような態度をぜひともとっていただきたいということを最後に述べておきたいんです。そうしないと、整合性がやっぱり欠けてくるということをあえて言わなければならなくなりますから、そういうふうなアメリカ側の態度をも十分考慮に入れた上で、今までの話し合いの経過も踏まえて、そういう立場を米側にも伝えるというふうに努力をしていただくことを最後に強く要望しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  41. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) アメリカ世界安全保障に対して大変大きな責任を負っているという自覚があって、すべての対応をしておるんだろうと思います。ただ、この対人地雷につきまして、我が国におけるものにつきましては貯蔵保有を認めないことは不適当と考えておりますが、これを使用するということは我が国においてはあり得ないことだというふうに認識しております。  アメリカ対人地雷にどう対応するかにつきましては、アメリカとしても非常に苦慮しておりまして、たしかクリントン大統領もこの問題についてその方向性を指し示しておりますが、現実には世界に対する安全保障立場から、現時点ではこの条約に参加できないという趣旨を申し上げておると思っております。  それぞれの国の対応がありますが、少なくとも我が国における対応については、きちんと私、対応をされるという確信がありますので、そうしたことで対処していきたいと思っております。
  42. 田英夫

    ○田英夫君 大変短い時間ですから、若干意見を申し上げてそれに対する総理の御意見を聞かせていただきたいと思います。  この条約については対人地雷禁止するということですから、持たないとか貯蔵しないとか、そういうことが中心になって議論され、またマスコミの報道もそういうことに焦点が当たっていると思いますが、実はこの条約の前文にありますように「世界各地に敷設された対人地雷除去するという目標に取り組み」と、現在既に一億一千万個と言われる数がカンボジア、アフガニスタンなどにあるわけで、毎日のように被害者が出ている。まず除去するということが実はこの条約の大前提になる。今日ただいまの時点で対人地雷について言えば、今まであるものを除去するということが一番大事なことだと私は思っているんです。  ところが、この除去ということについては、今までは軍事的な、もちろん兵器ですからそういう観点から考えられていて、軍事的には地雷原のところに一つの安全なベルトを、除去したベルトをつくれば、後はあっても軍隊はその安全なところを通ればいいわけです。除去ということについての考え方が一般平和時における除去ということと、例えば今のカンボジアは平和になってきた、そこで除去するときには一〇〇%ゼロにしなくちゃいけない。そういう意味で、軍事的な視点と平和的な視点と、この地雷除去ということについては根本的に違うと思います。これからは平和時の地雷除去、一〇〇%ゼロにするという観点からこの問題を考えなくちゃいけない。  そういう意味で、実はカンボジアに今私の若い友人が地雷除去機、これを持ち込みまして、カンボジア政府の了解のもとに一定の土地をカンボジア政府から提供されて、地雷除去してそこを田んぼにする、畑にするというテストを実施しています。  私も昨年行ってみました。プノンペンから車で一時間ぐらいのところですが、かっては地雷原であったところでまだその部分も残っております。行ってみますと、除去する前の状況というのはうっそうとした灌木が生えているようなところで、そこに地雷がある。それを、いわゆる道路工事のシャベルカーのようなものですが、それを改造したもので根こそぎ掘り起こしてしまう。そこに地雷があると爆発します。しかし、アームが長いから大丈夫と。そして、その機械を使って最終的には輪中のようにするんです。周りに堤防をつくって中に水をためてそこを田んぼにするという長良川や木曽川の河口辺でやっているあれの大規模なものをつくるわけですが、そういうテストをやって、既にことし前半、乾季のお米はとれています。こういうことをもっと大々的にやるべきではないか。  今、国際的には実はこの平和時における地雷除去ということでNGOを中心にして大きな運動が起こっているわけですが、残念ながらその地雷除去というのは全部いわゆる金属探知器で探して、地雷があったらそれを手で一つ一つ処理するということですから、一億一千万個処理するには何十年かかるかわからないんです。しかも、カンボジアの根っこなんかに入っているものは容易に見つけられない。  こういう状況の中で、私の若い仲間が開発したものは、フィンランドなども似たようなものをつくっておりますけれども、性能的にも非常にすぐれているとカンボジアの方では言われております。外務省の担当の方々は既にこのことをよく御存じです。現地の大使館はもちろん南東アジア課やあるいはODAの担当者の皆さんも調査を進めておられるということを承知しておりますが、ぜひ総理もこのことを頭に入れて、除去ということについて日本国際的な貢献をされるようにお願いをしたいと思いますが、御意見を伺いたいと思います。
  43. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 全く田委員の御指摘のとおりだと思います。  この条約に参加することは大事ではございますけれども、現実世界の中に散布されておる対人地雷をいかに早く除去するかということでございまして、その責任我が国としての大きな仕事だと私は認識しております。  そこで、昨年、外務大臣のときにも国連でも申し上げたんですが、この地雷除去あるいは犠牲者支援のために五年間を目途に百億円程度の支援を行うということを、失礼しました、昨年のオタワのときに私そう申し上げたのでございますが、ぜひこれにつきましては二国間でODAを通じた地雷除去の関連機材、車両、灌木除去機、無線機等の供与を検討して積極的に取り組んでいきたいと思っております。その技術は、今委員指摘のように、我が国で積極的に取り組んで新しい除去機を開発いたしておりまして、非常に性能がよろしいのではないかと、私は現地へ行って見ておりませんが、私のところにも持ってきていただいていろいろ実験をしていただきました。  実はこういう機械が、御案内かと思いますけれども、今までは武器輸出三原則に拘束をされまして、地雷という武器を除去するための除去機は武器の能力を減衰せしめるゆえにこれを武器と、こういう概念でおったわけでございます。これを私、通産省にお話ししまして、武器輸出三原則からこれを外していただいておりますので、そういった機械がこれから世界じゅうでワークするということになりますと、相当の数が私は除去できるものだと認識をいたしておりますし、そのためには今申し上げましたようなODAのお金等も活用させていただいて積極的にこれから取り組んでいくべき課題だと、こう認識をいたしております。
  44. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  45. 田村秀昭

    田村秀昭君 この地雷禁止条約小渕総理外務大臣のときに積極的に進められたものでありまして、人道的な立場からそういうふうにされたというふうに伺っております。もともとカナダが自国の面目躍如のためにオタワ・プロセスにおいて打ち出したものであって、さらにダイアナ妃の死によってムードが一気に高まり調印されたものであって、我が国については決して理性的な議論がなされてできた条約とは思っておりませんけれども、その辺総理の理性的な御判断についてお聞かせ願いたいど思います。
  46. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 対人地雷問題は非戦闘員に大きな被害を及ぼす等深刻な人道問題であり、その解決のために国際社会が結束して取り組んできておるところでございまして、我が国としては従来より対人地雷の全面禁止に向けた国際協力を支持してきたところでございます。地雷問題に積極的に取り組む我が国にふさわしい姿としてこの条約署名した経緯がありまして、一日も早い締結を願って今日まで来たわけでございます。  先生のおっしゃる理性的ということはちょっとどういうことかわかりませんが、日本安全保障上の問題だということ等を考えますと、この点につきましても私自身もこういう決断に至ります間大変大きな問題であるというふうに認識をいたしておるところでございまして、そういった点でこの地雷の持つ意味あるいはまた機能、こうしたものにつきまして、一方では十分その代替の兵器開発というようなことも考えていかなければならぬかと思います。  いずれにしても、世界の中でこうした百三十を超えるような多くの国々がこれの署名に至り、かつ申し上げましたような人道立場からこれを支持しておる。それから、民間あるいはNGOの方々も積極的に取り組んでおるということでございます。たまたまカナダのアクスワージー外相が積極的にこれを取り上げているということがございますが、私はカナダが自国の面目というようなことでなくて、やっぱり全地球的、全世界的な意味でこのことをなし遂げるという先頭に立っておることでありまして、私ども日本としてもこれに積極的に参加することが極めて意義深いことだと、こう考え署名をさせていただいたということだと思います。
  47. 田村秀昭

    田村秀昭君 我が国地雷は武器輸出ができませんから、よその国に散布されているわけではありません。我が国地雷は着上陸作戦のときに使うわけで、しかも無力化装置をつけて、期限を切ってそれは無力化するようにもなっております。  総理一つお尋ねいたしますが、今の自衛隊は地雷が必要じゃないと言っているわけではないわけで、その代替を考えようと言っているわけですから、もしも要らないものであるならば代替の措置考える必要はないわけでありますから、その点はどういうふうにお考えになって代替を考えておられるのか、考えておられるというか指示されておられるのか。その代替手段も考えなきゃならないものを破棄するというのは理性的にちょっとおかしいんじゃないかと私は思いますが、どのようにお考えになっておられますか。
  48. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 純軍事的な問題は田村先生の方があるいは御専門で、私お答えすることは難しいかと思いますけれども、いわゆる対人地雷もそうですが、例えばイラン・イラクとかあるいはエジプトの砂漠とかいろいろ見てみますと、いわゆる戦車部隊との交戦、そのときにおける地上軍の行動、こういうものを対戦車地雷とこうした対人地雷を総合的に使用することによって軍事的成果を上げるというふうな感じがしておるんじゃないかと思いますが、今の日本でそのようなことを想起することは全くないとは言いがたいとは思いますけれども、日本としては安全保障に対しましてはさらなる軍事的な角度もさることながら、外交的手段をもちましてそのような事態の起こらないことの最善の努力を傾注していくということでなかろうかと思います。  純防衛的な意味でこの対人地雷にかわる武器を開発するということにつきましては、これは現時点、防衛庁としてもそうした考え方のもとで研究、検討していることについては承知をいたしておりますので、その点の認識もあることは承知をいたし、理解をしているところでございます。
  49. 田村秀昭

    田村秀昭君 非常に人道的なお立場に立たれてそういうことを決断された偉大なる外務大臣として百年後評価されるか、あるいは多数の自衛隊の死傷者が出るかどうかは先の話でわかりませんが、いずれにしても小渕総理がこういう政策をお決めになったことに対して最後まで責任をとっていただきたいということをお願いして、質問といたします。  お答えにならなくて結構です。
  50. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私は、先ほどの立木委員質問にも関連いたしまして、在日米軍保有する対人地雷の扱いが今後どういうことになるのか、そういう観点からお尋ねしたいと思います。  私から言うまでもなく、地雷というのは極めて防御的な兵器でありまして、専守防衛の日本にぴったりの兵器でもあるわけでありまして、もし万が一日本に侵略の危険が迫った場合には敵の上陸する地点などに大量の地雷を敷設するということにおいて侵略を防ぎ得るということでありますけれども、あえて高度な人道的な配慮に立って、この地雷という武器の使用はもうしない、現在自衛隊が保有している地雷もすべて破棄する、こういうことになっているようでありまして、私もそれを高く評価するわけであります。  その際、万が一日本に危険が迫った場合に、安保条約日本を守る義務のある米軍地雷を海岸線に敷設することが一体できるのかできないのか。できないとすれば、それは日本がこの条約に入った、その効力等に基づいてできないと、いわゆる法律的にできないということなのか、それとも日本立場考えて事実上地雷使用しない、別な方法で敵を撃退する、そのどちらかなのか。  まず最初に、米軍が海岸線に大量の地雷を敷設することができるのかできないのか、そこをお答え願いたいと思います。
  51. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほども御答弁申し上げたんですが、在日米軍における我が国領域内での使用開発及び生産について我が国政府政策判断として認めないということになっておりますので、今御指摘の点は使用ということになるかと思いますので、これは日本政府としては認めない、こういうことだと思います。
  52. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 認めないというのは、法律的には使用可能なのだが事実上使用は遠慮してもらうと、そういうことでありますか。結論だけで結構です。
  53. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) お説のとおりです。
  54. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 地雷使用する、あるいは保有することが極めて人道上許しがたい、よってもって日本はもう一切地雷とはかかわりを持たないと言って大変きれいごとを並べ立てておりますけれども、日本を守る際に米軍地雷使用することは法律的には可能なんだ、しかし事実上やめてもらうことにするんだと、そういう考え方は私はちょっと何かひきょう者の論理みたいな気がするんです。自分では手を汚さない、しかし米軍は手を汚すこともできるんだけれども、なるべく手は汚さないようにしてくださいよというお願いをする、そういうことで事実上使用させないんだと、そういうことでありましょうか。
  55. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 現実に今米軍我が国内に保有するものについて、その処理方につきましてもいろいろ日米間でお話をさせていただきましたが、アメリカ軍の持つ地雷は、先ほども御答弁申し上げましたように、我が国内においての使用というものは不可能だと、こういうことでございまして、日本安全保障に関して全体的な問題からいえば、対人地雷なくして日本の安全が確保できるかというそうした問題の論議を今後進めていくとすればそれはそれとして成り立つ論理かもしれませんけれども、日本としては、米軍のそうした対人地雷というものの使用についてはこれは不可能であるという政策的判断に基づいて米側にも通告をいたしておるところでございます。
  56. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 先ほどの吉田委員に対する説明で、輸送も認められないということでございました。これはもちろん空中輸送も含むのだろうと思います。そうすると、全く移動できない武器を米軍が後生大事に基地内に保有する、こういうことになるのでありましょうか。
  57. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) たしか、私は日本の業者、何かそうした者がこれを移動させるのに手をかすということは行えない。米軍自身がそれを移動させることについて、これは拒否されるものではないと、こういう考え方です。
  58. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 よくわかりました。要するに、米軍保有使用することは米軍の自由であるが、なるべく日本国内では使用しないでほしい、あるいは日本の業者を使って運搬したりするようなこともやめてほしいという願望をあらわしているだけになるわけですね。
  59. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これは、なるべくでなくて、日本政府が存在いたしておる限りにおいては、これはそのような米軍使用というものを我が国内においては認め得ないと、こういうことでございます。  でありますから、先ほども御答弁申し上げましたように、我が国安全保障確保等、要素を総合的に勘案するとともに、米軍朝鮮半島における安全保障理由等から本条約署名しておりませんので、二〇〇六年まで朝鮮半島での対人地雷代替兵器開発を目指すということも踏まえ、我が国としては在日米軍による対人地雷貯蔵及び保有までは認めないとすることは不適当であるということで申し上げたわけでございます。
  60. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最後になりますけれども、私の言いたいのは、アメリカとの間で日本がこの条約に加入したことを前提といたしまして、日本国内においてはもはや地雷のジの字の存在も許さないというぐらいの協定を結ぶべきではないのか。  これは、防衛上非常に重要な武器であるということはお互いわかっておりますけれども、日本政府はあえてもう地雷には頼らないということを言っているわけですから、アメリカにもそれぐらいのことは言っていいんじゃないでしょうか。双方の協定、国相互間の二国間協定でもいいと思うんですけれども、この地雷条約日本が加入したという厳粛な事実を受けとめて、日本国内においてはもう地雷の存在は一切許さないと。可能だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  61. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 佐藤委員の御意見も貴重な御意見として拝聴させていただきます。
  62. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 終わります。
  63. 山崎力

    ○山崎力君 総理お尋ねいたします。  一連のこの中で、まさにいろいろな事情はあるにしろ、戦術的には非常に有効な防衛手段としての兵器をみずからの手を縛る形で禁止する、こういうことでございます。  その中で、当然防衛庁あるいはそういった軍事的な観点からすればその分弱体化するわけですから、その辺、国防上これを補う兵器あるいは軍事体制をとりたいということは、これは当然のことだろうと思うんですが、その辺はどのように総理考えでございましょうか。
  64. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) この点は先ほど御答弁申し上げましたが、それに代替する手段として、防衛に万全を期する観点から防衛庁におきまして、条約上の対人地雷に該当せず、一般市民に危害を与えるおそれのない代替手段として、センサー、爆薬等を組み合わせ、監視、遠隔操作により要員が関与して作動させる装備である対人障害システムの研究を平成九年度より鋭意行っておるところでありまして、このような代替手段が装備化されるまでの間は指向性散弾の使用等により我が国の防衛に万全を期する考え方である、こういうことであります。
  65. 山崎力

    ○山崎力君 その点でございますけれども、私が総理にお願いといいますか、政府として考えていただきたいのは、今回の要請というのは、むしろ総理みずからなさっていらしたいわゆる外交上、それから全世界における日本立場をアピールしたいということだろうと思うんです。  そういった点で、その代替兵器を今一生懸命なさっているということで、それはそれで当然お願いしたいわけですけれども、その辺のところで一番問題になるのはお金の問題でございます。ただでできるわけでもございませんし、それから地雷というのはほうっておいてもある程度戦術効果があるというのが特色なんですが、それをウォッチしていなければならない、人も必要になる、それなりの部隊編成も当然必要になってくるでありましょう。それをいわゆる今ある防衛計画の中と別の形でやらなければ、当然その分、装備あるいは補充されるべき人員、そういったものに対するしわ寄せが来るというふうに私は考えるわけでございます。  その辺を財政的な面で、総理みずから音頭をとってなさったことを防衛力の低下という形で日本国内だけに押しつけるというのはいかがなものかという気がいたしておりますので、その辺のところを財政当局に予算措置、そういったところを明確に御指示しているのかどうか、またするつもりがあるのかどうか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  66. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) この点は防衛当局として適切に対処しておると存じますし、またそれについては私自身も責任を持ってそうしたことの問題が残りませんように、財政的な措置につきましても考えていくべきものと考えております。
  67. 山崎力

    ○山崎力君 その辺のところは非常に埋もれてしまう部分で、内局それから主計との予算折衝の中でどうなんだということはなかなか出てこないところではあるので、総理みずからがそういう観点でなさる。  それからもう一つ、この問題は、非常に総理には申しわけないんですが、総理一代で解決する期間の問題ではない。恐らく四、五年はかかるでありましょうし、それからそういった兵器開発できたとしても装備するまでには何年もかかる。恐らく向こう十年くらいでいくものだろうと思うわけでございます。  似たような問題として、中国大陸のいわゆる毒ガス弾の処理の問題、これも膨大な費用がかかる。これは防衛庁がある程度助けなければいけない。外交絡みのこういった防衛の問題について、どうしてもそれは予算的な部分というのがかなり重要になってくるものですから、その辺のところ、これから後の議論でもちょっとお尋ねしなければならないと思っているんですが、いわゆる総理大臣として音頭をとってこういった枠組みをとられたわけですから、その財政的な面、制度的な面について、これは防衛庁だけでなかなかやれる問題でなくて、大蔵の方にも指導力を発揮していただかなければならない問題でございます。  それから、外務省も一たん自分のところでやったからもうその辺のところは関係ないやと、防衛庁と大蔵省で話しなさいという立場をとられると、非常にこれもまた若干問題のあることでございますので、まさに指導力を発揮するという意味で、各省庁を統括した形で今後の防衛体制をとるんだという御決意を御披露願えればと思いますが、いかがでございましょうか。
  68. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 万遺漏なきを期して努力いたしたいと思っております。
  69. 山崎力

    ○山崎力君 よろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  70. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) お許しをいただければ、先ほど高野委員の御質問に対して、防衛庁官房長の大事につきまして、私は公平性云々ということを申し上げました。そのことは、直接担当していた方がその任にあることについて誤解をされてはいかぬという趣旨で実は申し上げたと思いますが、防衛庁におきまして行われておる事実解明のための調査は私としては徹底的かつ厳正に行われているものと考えておりまして、したがいまして、こうした調査が行われる中で、種々の業務に支障が生じていることを避けるため今般の人事が行われたものと承知をいたしておりまして、いささか言葉の使い方に間違いがあったとすればお許しをいただいて、そうした理解であると御理解をいただきたいと思います。
  71. 河本英典

    委員長河本英典君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  72. 佐々木知子

    佐々木知子君 最初に、外務大臣に何点かお尋ねしたいと思います。  専守防衛、海岸線の長い我が国にとりましては、対人地雷というのは最も有効かつ最上の兵器考えられるわけです。上手に管理して使用すればいいのですが、何がここで問題になっているかというと、管理能力のない国がゲリラ的に無差別に使用している、それが問題なわけです。いわば、我が国は全面禁止を命ぜられる枠外にあると考えられ、かつ代替兵器開発されているとは言えないこの現状下において、その全面禁止条約をこのように早急な形で批准しようとするのはどのような防衛理念ないし哲学に基づいたものか、それについてお伺いしたいと思います。
  73. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国といたしましては、従来より特に人道上の観点から対人地雷の全面禁止に向けた国際協力を支持してきたところであります。対人地雷問題に積極的に取り組む我が国にふさわしい姿としてこの条約署名したわけであります。  本条約締結により対人地雷使用等を禁止されることになるわけでありますが、我が国安全保障の確保については、御指摘のように、これまで対人地雷が国防上重要な位置を占めてきたことを踏まえ、まず当面の代替手段を導入した上で本格的な代替手段を早期に開発導入し、引き続き我が国安全保障に遺漏なきを期していく考えであります。  委員管理能力のない国と違って我が国管理能力があるんだからいいじゃないかということは、それも一つの見識だと思いますが、国際的にそういうことで通用するかどうかというとなかなかそういうことでもないので、管理能力のない国にやめてもらうためには、やはり我が国管理能力があっても率先してやるという姿勢がないとなかなか難しいんではないか、こういうような感じを持っております。
  74. 佐々木知子

    佐々木知子君 次に、本条約の実効性を担保するためには、言うまでもなくできるだけ多数の国に批准してもらう必要があるわけです。署各国百三十カ国中批准は現在までに四十カ国、かつ最大の欠陥は、米国は期限つきで批准するというふうに言っているそうでございますが、ロシア、中国、インド、パキスタン等いわゆる対人地雷大国の参加がないことにあると思われるわけです。  この点につきまして、外務省はどのような今後の戦略を練っておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  75. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国は普遍的かつ実効的な対人地雷禁止を実現することが重要であるとの一貫した立場をとっているわけであります。より多くの国がこの対人地雷禁止条約署名するよう国連総会等適切な場で呼びかけているわけであります。  今御指摘のロシア、中国等対人地雷禁止条約に直ちに署名する見込みがないと見られる諸国についてでありますが、そういう国についても例えばまず輸出入の禁止から取り組めるように、ジュネーブ軍縮会議でそのような条約交渉の開始を促進するため特別委員会の設置を提案してきているわけであります。我が国としては、今後とも関係国とともに普遍的かつ実効的な対人地雷禁止の実現に努力していく所存でございます。
  76. 佐々木知子

    佐々木知子君 次に、地雷探知及び撤去等のために来年度から五年間ODA予算から百億円を拠出する方針と伺っておりますが、具体的にどのような貢献を考えておられるのか、それについてお聞きしたいと思います。  例えば、より効果的な地雷探知器を開発されるとか被災者、特に子供たちの歩行器具や被災者の職業訓練への援助をなさるとか、どのような貢献を考えておられるんでしょうか。
  77. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国は昨年十二月の対人地雷禁止条約署名式において、今後の対人地雷問題に対する取り組みとして犠牲者ゼロ・プログラムを提唱いたしまして、地雷除去及び犠牲者支援として今後五年間を目途に百億円程度の支援を行うことを表明したところであります。  具体的には、従来行ってきた国連等国際機関に対する資金協力による支援、草の根無償、NGO事業補助金による支援等に加えて、二国間援助を通じた地雷除去関連機材等の供与、医療や義肢製作、義肢は義足のようなものですね、リハビリテーションに係る施設整備、機材供与、技術協力等、地雷の探知、除去犠牲者支援の両面において積極的に協力を実施していく方針であります。
  78. 佐々木知子

    佐々木知子君 我が国対人地雷を一度も使用していないのにかかわらず、人道的配慮から世界一レベルでの多額の貢献をするということでございますから、これだけの貢献をしていると世界及び日本国民にその旨をぜひ知らせていただくよう、これは何もひとり対人地雷に限ったことではありませんが、謙譲の美徳などというものは事国際社会では決して美徳でも何でもございませんので、常に大きな声で日本はこれだけやっているとPRするということを外務省は今後強く心にとめておかれることを心から希望しております。
  79. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私は個人的には大変謙譲の美徳を持っているものでありますが、外務大臣といたしましては仰せのごとくいたします。
  80. 佐々木知子

    佐々木知子君 では、次に防衛庁長官にお伺いします。  冒頭で申し上げましたように、対人地雷は最も有効な兵器と思われるわけですけれども、本条約発効後四年以内に現に貯蔵保有する対人地雷約百万個を順次廃棄して、それにかわり得るどのような兵器開発される御所存でいられるのか、それについてお伺いしたいと存じます。  防衛に空白は許されないわけですが、開発予定の代替兵器はどのような機能を持っているものなのか、その装備時期のめど、それから費用対効果についてお伺いしたいと存じます。
  81. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、佐々木委員指摘のとおり、対人地雷というのはこれまでは、我が国の島国という地政学的なところからいっても、費用対効果の面からいっても非常に有力な抑止力を持った、抑制力を持った武器、兵器であったというふうに認識をしておりますけれども、このたび小渕総理高村大臣の英断によって、人道的な立場から対人地雷禁止条約署名する、批准をするということでございますから、私どもも新たな観点から我が国の防衛と安全をどういうふうに考えるかということについて研究をしてきたところであります。  今、私どもが考えておりますことは、代替手段といたしまして、センサーとか爆薬などを組み合わせまして、そして人が監視をして遠隔操作をしながら作動をさせていく、通称対人障害システムというふうに言っているわけでございますけれども、これによって地雷にかわり得る役割を果たしていこうというふうに思っております。このシステムにつきましては、平成十一年度の概算要求で参考品を調達して各種実験を行い、この条約発効して向こう四年の間に廃棄をしていくということでございますから、これからの技術研究にまっところもありますけれども、全力投球でその四年の間に実現方が図れるようにしたいというふうに思っているところであります。
  82. 佐々木知子

    佐々木知子君 順次廃棄するということでございますけれども、それについてのめどとかはもう立っているんでしょうか。民間に委託するとか、そういうようなこと。
  83. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) とりあえず、平成十一年度に四億円の予算で二十二万発の処理をさせていただきたい。順次四年間で、佐々木委員今おっしゃったおよそ百万について処理をしていく計画を立てております。
  84. 佐々木知子

    佐々木知子君 申し上げましたように、防衛に空白というのは絶対許されませんので、ぜひ機能の万全な代替兵器開発について最善の努力を尽くされるように要望して、随分早く終わりましたけれども、私の質問はこれで終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  85. 柳田稔

    ○柳田稔君 条約について質疑をする前に、ちょっと防衛庁長官お尋ねしたいと思うんです。  きょう部屋の方に防衛庁発令ということで官房長を免ずるという発令が届きました。ほか何名か更迭されたようでありますけれども、こういう方々の任命権者というか、責任者は一体だれなんでしょうか。
  86. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私です。
  87. 柳田稔

    ○柳田稔君 藤島官房長更迭した理由をお聞かせください。
  88. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 藤島長官官房長につきましては、いわゆる官房付にいたさせたところでございます。  今度の大事につきましては、いわゆる証拠隠滅事件等で新聞に報道されていた経緯もありまして、一日もゆるがせにできない行政の停滞のことを考えたときに、この人事を行い、職務遂行に支障のないように万全の体制をしいたということでございます。
  89. 柳田稔

    ○柳田稔君 何か落ち度があって更迭されたんですか。
  90. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 落ち度があってこの人事を行ったことではなくて、職務の遂行に支障がないように、万全の体制をしくためにこの人事を行ったということでございます。
  91. 柳田稔

    ○柳田稔君 職務の支障というのは、じゃ具体的にどういうものが考えられたんですか。
  92. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 前に、この委員会だったと思いますけれども、例えば証拠隠滅について報道をされて、そういう事実があったのかないのかということについて、それまでは官房長を中心にして調査を進めておったのでありますけれども、そのころから事務次官を長として内部調査の強化を図ったといういきさつからも推測していただけるように、防衛庁はいろいろな面で行政が展開されているわけでありますから、多方面にわたる官房長としての仕事を機能的に弾力的に行っていくために今度の人事を行ったということでございます。
  93. 柳田稔

    ○柳田稔君 質問の趣旨は、支障とは一体何なんですかと聞いているんです。かえなきゃならなかった支障というのは一体何なんでしょうかと。
  94. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) ですから、私が、いわゆる証拠隠滅事件等で事情聴取をされたという新聞報道もこれあったことをかんがみ、防衛庁内部で仕事を全力的に打ち込んでくれる人をまず採用したということでございます。
  95. 柳田稔

    ○柳田稔君 事情聴取を受けたから職務に支障を来すために更迭をしたということですか。
  96. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 事情聴取を受けたという報道等もあり、私も内部調査の委員長を事務次官にさせたときに、その理由一つとして、事情聴取を受けていたということを申し上げたこともありましたけれども、もろもろのことを総合的に考えて私が決断をしたことであります。
  97. 柳田稔

    ○柳田稔君 決断されたことはよくわかっているんです、発令がもう出ましたので。その理由がわからないんです。  支障があると先ほど長官おっしゃいましたよね。職務に支障があるからかえましたとおっしゃった。その支障というのを我々がわかるように具体的に教えてもらいたいんです。
  98. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 職務に支障がないようにということで人事を行ったということであります。
  99. 柳田稔

    ○柳田稔君 職務に支障がないように人事を行った。  とすると、藤島官房長官房長であり続けるということは官房長の職務を果たせない。そういう理由がなければ更迭する理由にはなりませんよね。私はこれが普通の常識だと思うんです。とすると、支障が何かあるからこそ更迭したんだと、これも常識なんです。  だから、我々がわかるように長官、説明してください。きょう、長官が人事を行ったんですから。ずっと前の話じゃないですよ、きょうのことですからね。はっきりと我々にわかるように教えていただきたいんです。
  100. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 防衛庁の仕事に支障がないように進めていく上で、全体のことを見回しながら、そして人心を把握しながら最も仕事ができやすい環境づくりをすることも私の仕事であり、その中で官房長につきましてはいわゆる官房付にして、官房長代理を置いて支障がないように万全の体制をしいたというふうに私が決断をしたことでありますから、これからの仕事を見ていただきたいということであります。
  101. 柳田稔

    ○柳田稔君 長官がおっしゃることを聞いていまして、理解できないんですよ。  人事異動する、それも官房長人事をかえたということは防衛庁の大事にとっては大変重要なことですよ。今の説明でもその理由がよくわかりません。もっとわかるように説明していただきたい。
  102. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほどから言っておりますように、この元調達実施本部長らの背任事件後のいわゆる証拠隠し疑惑に対して、内部部局等に対して指導すべき立場にあった長官官房長らが東京地検に事情聴取をされたという報道等もあり、今後職務に支障がないように私自身が考えてこの人事を行ったということでございます。私の責任において行ったことであります。
  103. 柳田稔

    ○柳田稔君 よくわからないんですけれども。  事情聴取というのは何か罪を犯した可能性のある人に対してだけ行うのか、それとも検察が、どういう仕組みなのか、どういう状況なのかわかっている方においでいただいて説明していただくか、いろいろあろうかと思うんですね。  もし、善意的に見て、官房長が今回の一連の事件には関係ないと、ただ単に防衛庁の仕組みなり状況なりを説明しただけだということであれば、わざわざ更迭する必要はないんじゃないですか。  長官が長官になられたときに藤島官房長を見られて、この人だったらば官房長の職を全うできると、そう信じたわけですよね。そして、今回の調査委員会についても委員長に長官は任命されたわけでしょう。その人をなぜ更迭するのか。どう長官の話聞いてもわからないんですけれども、どうでしょうか。
  104. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど来申し上げておりますように、私が防衛庁の職務全体を見回して、一日もゆるがせにできない、行政に支障が起こらないように万全の体制をしく上で官房長をいわゆる官房付にさせていただいたということで御理解をいただくほかはありません。
  105. 柳田稔

    ○柳田稔君 理解をしたいんですよ。今回の条約についても防衛庁には一生懸命頑張ってもらわないといけないんです。その頑張ってもらわなきゃいけない防衛庁がわけのわからぬ人事をされたのでは、理解しろと言われても、これは困るんですよ、私たちとしては。  きょう、支障がないように更迭をしたとおっしゃいましたね。支障があったからこそ、支障がないようにするというのが普通の常識なんですけれども。何か理由があるからこそやられたんだろうと。その具体的なものがわからないと理解しがたいんですけれども。
  106. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 支障がなくしかもなおかつ万全を期していきたいという思いで人事をさせていただいたと。
  107. 柳田稔

    ○柳田稔君 長官が防衛庁長官になられて二カ月ですか、藤島さんが官房長されているわけですよ。最初からこの事件というのはいろいろあったわけですよ、長官が長官になるときに。そのときにもいろいろなことを多分お聞きになったと思うんですよ。そのときは、信じます、頑張ってやってほしいと。しかし一回か何回か知りませんけれども事情聴取を受けたと。その事情聴取の中身は我々はわかりません。多分防衛庁立場なり仕組みなりの説明をされたんではないかなと、非常によく見ておるんですけれども。それなのになぜ更迭なのかと。何かこの一連の事件に関与したとか、それとも藤島官房長官房長在任中に証拠隠滅に関係したとか、そういう件について事情聴取を受けたということであれば、私はわからぬでもない。だから、長官の説明を理解しろと言っても非常に理解しにくい。どうでしょうか。
  108. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 官房長につきましてはいわゆる官房付にしたわけでございまして、官名は残っておりますけれども職を解いたわけでございます。  したがって、私といたしましては、先ほど来言っておりますように、この藤島官房長は私が任命したわけではありませんが、私が防衛庁長官を拝命したときに官房長としていろいろと補佐をしていただいたということは柳田委員のおっしゃるとおりでございます。しかしながら、先ほど来御説明申し上げたようなことから、今後行政の職務の遂行に万全を期す上でこの人事をさせていただいたということでございます。
  109. 柳田稔

    ○柳田稔君 私の持ち時間も余りないんで、指定職、石附さん、これも更迭ですね。さらに田中技官、指定職、これも更迭というふうに発令には書いてあるんですけれども、これはどういう理由ですか。
  110. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 石附調達実施本部副本部長は長官官房付を命じ、太田調達実施本部長にその事務取扱を命じた次第であります。田中調達実施本部副本部長にも長官官房付を命じ、野津調達実施本部副本部長に調達実施本部副本部長を命じた次第でございます。  一連の人事異動は、先ほども申し上げましたように職務遂行に支障がないように万全の体制を築くために私がとった措置でございます。
  111. 柳田稔

    ○柳田稔君 この二名、これも同じなんですけれども、何か支障がないとこういう大事かえませんよ、普通の世界では。普通の社会ではこういうことしませんよ。何かがあったからこそこういう人事をされたんでしょう。その理由は一体何なんでしょうか。わかるように説明してください。
  112. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 行政は一日も停滞することはないんでございまして、支障がなく万全の体制をしくために考えさせていただいたということでございます。
  113. 柳田稔

    ○柳田稔君 言葉じりをつかまえるつもりはないんですが、一日も停滞してはいけない、これは当然のことです。じゃ、この両者が副本部長の職にあったらば停滞するんですか。
  114. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 支障がないように、なおかつ万全の体制をとるためにやらせていただいたということでございます。
  115. 柳田稔

    ○柳田稔君 もう時間なんでやめますけれども、長官の御答弁は何としても理解がしがたい。ですから、また改めて当委員会を開いてしっかりと究明をさせていただきたいと委員長にお願いさせていただきます。  以上です。
  116. 高野博師

    高野博師君 TMDの研究に関してお伺いいたします。  報道によると、二十四日のアメリカの下院の外交委員会の公聴会で、キャンベル国防次官補代理が先般の2プラス2の会合の中でこのTMD共同研究に関する了解覚書に署名したということを証言されているんですが、これは事実でしょうか。
  117. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 署名されたという事実はありません。
  118. 高野博師

    高野博師君 そうすると、キャンベル次官補代理はアメリカの議会でうそをついたということでしょうか。
  119. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) うそをついたかどうかは知りませんが、米側もそのような報道内容を否定しているものと承知しております。
  120. 高野博師

    高野博師君 この公聴会の議事録は見ましたでしょうか。
  121. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 見ておりません。
  122. 高野博師

    高野博師君 なぜ見ないんでしょうか。
  123. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 見る必要もなく、私自身が署名していないんですから、あるいはだれも日本人が署名していないんですから、この署名したという事実はないわけであります。
  124. 高野博師

    高野博師君 そうすると、これは明らかにキャンベル次官補代理が了解覚書に署名したといううその証言をしたということ、そういうことになりますね。
  125. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私は見ておりませんし、うその証言したかどうか知りません。
  126. 高野博師

    高野博師君 これは非常に重要な話だと思うんですが、このTMD共同研究開発というのは非常に日本安全保障にとっても重要なプロジェクトなわけで、それについてアメリカ側の言っていることと今大臣が言っていることが違うということは非常に重要な、重大な話じゃないかと思うんですが、これは事実関係を確認すべきじゃないでしょうか。
  127. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 事実関係を確認するまでもなく、日本政府はそんな署名をしたことはないということであります。もし日本政府署名したということであれば、私は責任をとります。
  128. 高野博師

    高野博師君 2プラス2では何か合意文書はっくつたんでしょうか。
  129. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) つくっておりません。署名もしておりません。
  130. 高野博師

    高野博師君 そうしますと、この合意というか、共同開発するというのは、口頭で一応の了解がとれたという、そういうことでしょうか、長官。
  131. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 2プラス2におきましては、いわゆる共同発表というのが会議の後に発表されておりまして、その中でこのTMDに関しましては、閣僚は共国技術研究を実施する方向で作業を進めていくということが記されているわけでございます。
  132. 高野博師

    高野博師君 その共同発表は後でぜひ一部いただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。  それでは、防衛秘密文書流出事件について、防衛庁長官にお伺いいたします。  航空自衛隊の新自動警戒管制、いわゆるバッジ・システム、この関連の秘密資料がNECの工場から流出したという報道がありますが、これは事実でしょうか。事実関係はどうなっているでしょうか。
  133. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) NECから流出していたことは事実であります。これは平成二年六月にフィリピンでバッジ・システム関連資料が発見されたとの情報を入手したところから防衛庁において調査を進めました結果、防衛庁の秘相当の資料一点を含むバッジ・システム関連のNECの内部資料が外部に漏えいしていたことが判明したことでございます。
  134. 高野博師

    高野博師君 この件は背任事件で問題になった上野被告がもみ消し工作をした、そしてNECに対しては軽い処分を行った、これが九一年四月から二カ月間の取引停止と。それから、今後こういう事態を起こさないという誓約書を書かせたということですが、これも事実でしょうか。
  135. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 高野委員指摘のとおり、平成三年四月、七年前ですが、調達実施本部からNECに対して文書をもって厳重に注意をすると同時に、一つは再発防止にかかわる誓約書を提出させ、二つ目には具体的な再発防止対策の提出を求めました。そして、再発防止策が実施されるまでの二カ月間の取引停止をしたということでございます。
  136. 高野博師

    高野博師君 この問題に対する、この重大さに対する認識はどのようなものでしょうか。
  137. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は、事の重大性については極めて深刻に受けとめておりまして、今後再びこういうことがないように、企業の秘密の保持の徹底を図る必要があるというふうに思っておるところであります。
  138. 高野博師

    高野博師君 防衛庁がこの秘密文書が流出したことを知ったのはいつでしょうか。
  139. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 平成二年六月です。
  140. 高野博師

    高野博師君 これも報道によれば、一九九〇年六月に、フィリピンである日本人が犯罪組織に売り渡す交渉中だという情報を現地の警察がキャッチして、それを在フィリピンの日本大使館を通じて通報してきたということでありますが、この犯罪組織というのはどういう犯罪組織か、つかんでいるんでしょうか。
  141. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 私どもとしては、今先生御指摘のように、平成二年六月に、フィリピンにおいて身元不詳の日本人がバッジ・システムの文書と称する資料の売り込みを図った事案が発覚し、当該資料七十一枚が現地警察当局から外務省ルートを経て当庁に届けられたということでございまして、それ以上の背景と申しましょうか、今おっしゃったようなところは、私ども特別の情報を持っているわけではございません。
  142. 高野博師

    高野博師君 どういう犯罪組織だったのか、身元不詳の日本人とは一体だれだったのか、もっとこれは調査すべきではなかったんでしょうか。
  143. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) その点については、所管の部署等がそれに応じていろいろ調査をされたと思いますけれども、詳しいことは判明しなかった、こういうふうに承知しております。
  144. 高野博師

    高野博師君 非常にこの問題に対しての認識が甘いというのと、危機意識が非常に欠けているのではないかと思うんですが、このバッジ・システムというのは我が国安全保障でどういう位置を占めているんでしょうか。
  145. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 我が国の防空を考えます場合に、例えば領空侵犯措置あるいは防空における対抗措置、こういうことをするためには航空機の飛来なりなんなりを即時的確に把握する必要がございます。その上で、さらに具体的にどういう対応をしたらいいのか、航空機で対応するのか、あるいはミサイルで対応するのか等々も含めまして兵器の割り当てを行うということが瞬時に行われる必要がございます。  こういったものを自動的に行う仕組みでございまして、我が国防空体制上、極めて重要なシステムでございます。
  146. 高野博師

    高野博師君 NECは、この秘密文書が流れたのは八五年七月から八六年の初めにかけてだという報告をしているそうですが、これは間違いありませんか。
  147. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 私どもの方で承知しておりますのは、先ほど申しましたように平成二年六月に端緒があったわけでございますが、その後七月に我が方でその資料の分析を行い、それがバッジ・システムの技術指令書関連文書であるということがわかったわけでございます。さらに、これはバッジ・システムの本機製造請負契約を受注したNECが業務過程で作成した内部資料だ、こういうことが判明したわけでございまして、これを受けまして同年八月にNECに対して社内調査の実施を指示いたしました。  その結果、平成三年三月に至りまして、調査の結果、当該資料がNECにおいて作成されたものであるということ、それからNECから漏えいしたことが判明したわけでございますが、漏えいルートその他につきましては解明には至らなかったところでございます。
  148. 高野博師

    高野博師君 このバッジ・システムというのは我が国の防衛体制の中で安全保障上、非常に根幹、中枢部分を占めているということでありますが、この文書が冷戦時代に流出していたということも非常に重大な話だと思うんです。危機管理体制が全くできていないのではないか、あるいは民間にそういう秘密文書を任せておくというか管理をさせておく、あるいは流出する可能性があるという体制に僕は問題があるのではないかと思うんですが、長官、いかがでしょうか。
  149. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もちろん契約企業に対しましては、特別の秘密事項があれば特約条項をつくってこれを遵守させ、秘密の保持に万全を期してきたというのが実態であろうと思います。  それにもかかわらず、こういう事件が起こったことであり、私どもといたしましては、改めて契約企業に対しまして秘密の保持について重大性を再認識していただいて、こういうことが再び起こることがないように厳重に指示をしたところでございます。
  150. 高野博師

    高野博師君 民間に防衛装備品を発注する中で、財団法人の防衛生産管理協会が発注装備品の関連の情報を管理しているということを、これは以前にもこの委員会でも質問をいたしましたが、こういう財団法人が秘密情報を管理しているということ自体も、民間の秘密文書の流出と同じように非常にこれは問題があるのではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか、今回の事件との関係で。
  151. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、高野委員の御指摘につきましては、防衛装備協会……
  152. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 生産管理協会におきまして管理をしているというのにつきまして、そのこと自体はそれなりの知見と経験を持つ者が行っておりますので、それなりの成果はこれまで上がってきているのではないかというふうに思っております。
  153. 高野博師

    高野博師君 それではもう一つ。  九月十七日のこの委員会で、財団法人の防衛装備協会が事業の一つとして、装備品等の生産調達について顕著な功労のあった企業に対して防衛調達功労企業表彰を行っているということについて、どういう企業を表彰しているのかということを聞いたんですが、その中で、日本航空電子工業とか日本工機とかニコー電子株式会社、こういうものが表彰されているということの答弁をいただいたんですが、この中で東洋通信機についてはなかった。  後で個人的に何か漏れていましたということを言ってきたんですが、その後も、理事会等でこれについては陳謝すると言っていながら、防衛庁は何もしていない。非常にこれは問題があると思うんです。まさにこの東洋通信機のことを私は聞きたかったので、意図的にこれを外したとすればちょっとけしからぬ話だと思うんですが、これはいかがでしょうか。
  154. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) この点につきましてはおわび申し上げます。  前回の答弁で、私、昭和五十九年と平成五年に東洋通信機が表彰されているのを申し上げることができませんでした。したがいまして、直ちに高野先生のところにおわびに上がりまして、そして御報告を申し上げた次第でございます。  なお、その際、理事会等で御報告したいということでございましたけれども、出席できないことがございまして、それで御報告できませんでした。  改めておわび申し上げるとともに、修正をさせていただきたいと存じます。
  155. 高野博師

    高野博師君 では、時間ですので最後に。  この防衛装備協会が個人に協会賞を出しているんですが、この個人に表彰している中で、現在逮捕され、あるいは被告になっている人はいるんでしょうか。
  156. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 恐縮でございます。調べて後ほど……
  157. 高野博師

    高野博師君 これは調べて教えてください。
  158. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 調べて御報告を申し上げたいと思います。
  159. 高野博師

    高野博師君 終わります。
  160. 立木洋

    立木洋君 防衛庁長官、よろしいですか。  新聞等の報道によりましても、今の自衛隊では六種類ぐらいの対人地雷を大体百万個ほど保有しているというふうに言われております。この第四条では、御承知のように、この廃棄については遅くとも四年以内にというふうなことが述べられているんですが、これは既に計画を開始して、四年以内に廃棄することが実現可能だというふうな計画がもうできているんでしょうか。まだ研究中なんでしょうか。その見通しについてはいかがでしょうか。
  161. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 御質問にお答えいたします。  先ほどもお答え申し上げたのでありますが、同条約で定められた廃棄期限、おっしゃるように発効後四年以内にこれを廃棄する計画を今立てっっあるところであります。当面、十一年度には二十二万発を処理させていただきたいというふうに考えているところであります。予算的には四億円を計上させていただいております。
  162. 立木洋

    立木洋君 陸幕長がこの問題に関して、新聞の報道によれば、つまりこの条約発効後四年以内に地雷廃棄しなければならない、これが自衛隊の考えとして、代替兵器開発がそれに間に合うかどうかということはなかなか難しい、今研究中だというふうなことが、括弧つきで発言された内容が出ております。アメリカが主張するように、できれば九年間ぐらいは欲しい、代替手段を持つには、というふうなことを述べられているんですが、じゃ、計画はまだ確定しているという状況じゃないんですね。
  163. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 代替手段につきましては、私どもといたしましては、平成十年度の概算要求において、参考品を調達して各種試験を行って、この四年の間に何とか装備ができるように全力投球をしてまいりたいというふうに思っておるところであります。
  164. 立木洋

    立木洋君 九九年度のいわゆる予算の概算要求では、対人地雷廃棄のための予算としては四億円計上するというふうなことになっていますね。その年に大体二十万発廃棄するという計画でいきますと、大体五年間が見込まれるということになるんじゃないかというふうに一つは思うんです。  それからもう一つは、対人地雷にかわる代替システム開発のための六億円というのが計上されている。それから同時に、改良型兵器の取得のための三億五千万円が計上されているということになる。  先ほどの、ちょっと長官おいでにならなかったけれども、総理から述べられたのでは、この対人地雷廃棄するという基本的な考え、精神はいずこにあるんですかという他の議員からの質問に対して、人道的な立場に立って、この問題は人命に被害を与えないようにするために必要だと考えていると。そういうことでこの対人地雷の全面的な廃棄禁止ということを行うならば、それに代替するような兵器をさらに多くの金をかけて開発しなければならないというようなことになるんでしょうか。人道主義の立場に立って考えるならば、いわゆる地雷を全面的に禁止するという精神をさらに貫いていくということが必要になるんではないでしょうか。  いろいろと新聞を見ていますと、今のような状況では外国から日本に大量の軍隊が上陸してくるというふうな状況ではほとんどないだろう。そういうときに、いわゆる地雷を敷設して、そしてそれに対抗するというふうなことが今の状況で果たして起こり得るんだろうか。  先ほどの質問の中でも、さらに、米軍が今保有している、あるいは貯蔵している地雷、これは日本には敷設させない、使用させない、そういう政策を日本政府としてはとっているんだというふうなことになってくると、対人地雷代替兵器開発するというふうなことに、いわゆる廃棄にかけるお金よりもさらに莫大なお金を、十億円近くも計上するというふうな考えが果たして正当性があるのかどうかという点に疑問を持つんですが、先ほどの総理の答弁も聞きながら感じるんですが、その点はどのようにお考えなんでしょうか。
  165. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 対人地雷禁止条約禁止されている、いわゆる無差別に自動的に破壊をして多くの方々に犠牲を強いるということについて人道的な立場から政策判断なさったということについては、私どももこれを受け入れまして、と同時に一方で、日本の国民の安全を守るために有効に働いてきた対人地雷にかわって、同じような機能を果たし、なおかつ無差別で多くの方々に犠牲を強いない、そういう武器、兵器ができるのかということについては当然考えなければならないということで、代替手段の研究をしてきたということであります。  国を守る、国民の安全を守る立場からすると、費用対効果等から考えても、これはぜひ代替手段を考えていかなければならないというふうに思っているところであり、先ほど申し述べたような予算措置も要望しているところでございます。
  166. 立木洋

    立木洋君 先ほど総理は、いわゆる国際人道的な立場に立ってこの問題に対して禁止をするという方向で努力をしてきたという趣旨のことを述べられたわけなんですよ。紛争当事者というのは、戦闘の方法あるいは戦闘の手段、これは戦争であるからどんな手段をも選ぶ権利があるんだというふうな考え方というのは、御承知のようにハーグ陸戦法規の第二十二条で否定されているわけですね。戦争だから、人殺しだからどんな武器を使ってもどんな方法をやってもいいというような考え方というのは、人類の英知の発達の中で否定されてきているわけなんですよ。  だから、そういう全面的に対人地雷廃棄する方向に今新たな歩みを開始する状況の中で、その代替施設をつくらなければならないというふうな考え方を新たに持つということについては、先ほど来問題になった核兵器の問題についてもそうですが、そういうふうな危険な、人類に悲惨な状態を与えるような武器は人類の史上からなくしていくという方向に進んでいくべきではないだろうかという考え方なんですが、こういう点についてはよく検討していただいて、今の世界の大きな歴史の流れの中で、いわゆる軍縮という方向が大きく進んでいきますし、アメリカの方も、この地雷代替兵器、いわゆる対人地雷とそれから対戦車地雷という混合システムが確立できるような武器を開発したい、九年間ぐらいでその状況ができればこの地雷の全面禁止署名してもいいというふうなことをアメリカ政府は述べているわけなんですね。  そういうことになると、いわゆる地雷を全面的に禁止するという精神から見て、本当にハーグ陸戦法規の考え方、人類の英知の前進の歴史から見て、逆方向に進むということにならざるを得なくなるのじゃないか。それをやるためにも莫大な金がかかりますし、そういう点については今後十分な御検討をしておいていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  167. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 対人地雷禁止条約の批准ということになれば、立木先生のおっしゃる理想に向かって前進をしたことに私はつながっていくものと思っております。だから、やっぱり理想と現実を私どもはきっちりと踏まえた上で一歩一歩政策の展開をしていかなければならないというふうに思っております。
  168. 立木洋

    立木洋君 これはちょっと外務省の方にお伺いしたいんですが、先ほど来同僚議員の方から出ておりましたけれども、この対人地雷輸送については、自衛隊もあるいは日本人のいかなる従業員もあるいは地方自治体もこの輸送に関与することはできないと。それから、同時にまた、米軍が行うためのいわゆる対人地雷の敷設の行為あるいは敷設の作戦等に対して、一切これに対する援助も奨励の行為もできないし、行ってはならないということについては間違いないんでしょうか。それは政策的なものなんでしょうか。それとも、そういう方針を一貫して貫くと。後になって周辺事態法の中でその問題については米軍の要望を受け入れるなんというようなことはない、一貫した考え方だというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  169. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 間違いないものでありますし、一貫して貫きます。
  170. 立木洋

    立木洋君 これは先ほど総理お尋ねした点とも関連があるわけなんですが、米軍日本で行ういろいろな行為、軍事的な行為等であっても、これは無制限、無限定に行えるというものではないということは、これはもう大臣御承知のとおりだと思うんですね。  これは日米地位協定第十六条の中でも、米軍自身に日本国において日本の法令尊重の義務を負わせているわけですから、この点については日本の法律を尊重しなければならないという義務は当然米軍も負わなければならないと。  そうすると、この対人地雷禁止国内法が成立し、その国際条約日本が加盟するという立場との関連において、日本国内法あるいは日本が締約した国際条約に反する立場日本の法令を尊重するという立場に立つならば、先ほど来私も総理に何回もお尋ねしたんですけれども、このあたりの関連性はどういうふうに解釈されるんでしょうか、外務省としては。あるいは条約局長の答弁でも結構ですが、条約的な解釈でも結構ですが、ちょっと。
  171. 東郷和彦

    政府委員(東郷和彦君) 委員指摘のように、在日米軍に関しましては、地位協定第十六条におきまして、我が国国内法令を尊重する義務というのを持っているわけでございます。しかしながら、我が国国内法をどの程度に尊重しなければいけないかということに関しましては、米軍側の行動の必要性、それから接受国の公共の秩序と国民生活に対する影響との相互関係において個々に判断されるべきものであるというふうに考えております。  この対人地雷条約につきましては、これまでの質疑で累次申し上げましたように、条約上の義務、法律的な義務といたしましては、在日米軍に対して条約上の禁止行為を強制することはできないというふうに考えております。しかしながら、我が国の政策上として、まさに今申し上げました条約上の義務、それからその条約によって我が国が形成することになる国内法、この規定を総合的に勘案いたしまして、最終的に対人地雷貯蔵及び対人地雷保有、それに関連する輸送というものを米軍自体が行うことに関しては、我が国は異議を唱えないというふうに判断するに至ったわけでございます。
  172. 立木洋

    立木洋君 今、条約局長がおっしゃったことは確かにそのとおり、今までも何回もそういう答弁をお聞きしているんですよ。  例えば、大臣も御承知のように、この間もお尋ねしたんだけれども、いわゆる地位協定の十八条ですか、この問題で、横田基地だとか厚木基地なんかの騒音の問題で裁判がありましたですね。裁判があって、全面的に米軍側に責任のある場合、その場合には七五%補償しなければならないという規定があるんです。その裁判の結論は日本アメリカの両政府が同時に負わなければならない義務的なものであるというふうになっているんです。  ところがもう四年過ぎたんですよ。米軍はただの一銭も払っていないんです。そして、私はこの間法務省に行って見てきました。これは我々の払う義務のないものである、そういう文書を法務省に提出しています。地位協定で決められておきながら、そういうふうな裁判で結論が出ているにもかかわらず、アメリカ軍は守ろうとしないと。それはただ一件だけではないんです。  特別協定の問題でいろいろ問題がありましたときに、公的な光熱水道料については、いわゆる思いやり予算範囲か何かわかりませんけれども、それは日本側が負担するということを特別協定で結んでいるんです。だから、公的とは何かといって私は前に何回も聞いたんです。ところが、家族なんかの方々が住んでいる場合の請求書も一緒に来た場合にそれが区別できるのか。できないと言うんです。米側の要求されたとおりにお金は支払いますというのが防衛施設庁の回答でした。  こうなると、日本側とアメリカ側で取り決めた内容については、そのときそのとき適当な形でやっているんではないかということになるんですよ。東郷さん、それはそのときの状況を判断しながらと言いますけれども、結局はアメリカの言われた主張をのみ込んでしまうという結論にならないか。そうなってくると、この地雷の問題についても私はそういう懸念がどうしても残ると言わなければならなくなる。  こういう点については、やはり決められたことは、私たちは地位協定については賛成ではございませんよ、いろいろ意見はありますけれども、しかし、少なくとも決められたことについてはきちっと守るというぐらいのアメリカとの交渉はきちっと行うべきである、あいまいに済ませることのないように御努力をお願いしたいということが高村大臣に対する最後の要望なんですが、その御答弁をいただいて、質問を終わります。
  173. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 在日米軍による我が国国内における対人地雷使用開発及び生産については、我が国政府政策判断として認めないということにしておりまして、そしてアメリカとの間でいろいろあった結果、アメリカ側が最終的にこれに理解をするということで決着がついた問題でありまして、この問題については、日本アメリカにのまされたという話じゃなくて、日本の主張をアメリカにのんでもらったと、こういうことでありますので、これからもこれを貫いてまいります。
  174. 立木洋

    立木洋君 あとの質問は次回にします、ちょっと物足りないけれども。
  175. 田英夫

    ○田英夫君 先ほど小渕総理にも申し上げましたが、対人地雷禁止条約考えるときに、もちろん現在保有している地雷防衛庁・自衛隊も廃棄するという決断をされていますし、貯蔵その他禁じられていることを守るということはもちろん重要なことでありますが、今の国際情勢を見た中で地雷考えますとへ既にカンボジアやアフガニスタンやソマリアや旧ユーゴというような紛争地にそのまま放置されている地雷によって多くの被害が現在、本日ただいまも出ている。この状況を一日も早く除去しなくちゃいけない。文字どおり、地雷除去することによってその状況をなくさなければいけない、このことこそが  その視点からすると、例えば日本と一番関係の深いところで言えば、カンボジアの現状を見ると一向に地雷除去が進まない、こういう現実があります。私ごとですけれども、三十年ほど前に社会党の佐々木更三さんがつくられた日本カンボジア友好協会、シアヌーク国王との間でつくられたものですが、実は私はその三代目の責任者を今やっておりますので特に関心があるんですが、今カンボジアではCMACという組織、これは国連の組織ですが、これが地雷除去の作業をやっております。ところが、そのスタッフはほとんどがオーストラリアとかカナダとかそういう国の軍人が中心でやっておりますから、さっきもちょっと触れましたが、常識として当然軍事的な観点からの地雷除去ということが中心になっているように思うんです。  軍事的な観点ということは、軍隊が戦争をしているとき、敵の地雷原を突破するということを考えると、こちらの軍隊がそこを行進していける、突破していける、それだけの地雷除去すればいいので、残ってもいいんですよ。  ところが、平和時におけるカンボジアのような状態のところの地雷は一〇〇%ゼロにしなくちゃいけない。地中に潜ってしまったものもたくさんあるわけです。カンボジアのようなところは、雨季になるともう道路が川のようになる。対人地雷は軽いですから、流れて移動してしまう。あの辺にあるなと思っても、それはまた雨季が過ぎてみれば全然違うところへ行く。しかし、水に流れて低地にどうしても集まってくる。こういうような事情考えますと、除去というのは容易なことではない。  ところが、CMACという組織がやっているのは、依然として金属探知器で一つ一つこうやって探してそれを解体すると。これではいけないだろうということで、私の属している日本カンボジア友好協会のメンバーの一人の若い人が、もともと技術者なものですから、カンボジアへ行ってずっと定住をしているうちに考えついたのが地雷除去機という、これ何でもないことなんですね、考えてみると。  要するに、道路工事で皆さん御存じの、無限軌道がついたアームがあって先にパワーシャベルがついたあの機械そのものなんです。操縦席を防弾ガラスにして、そしてアームを少し長くして、八メートルありますが、その先についている。パワーシャベルをすきを逆さまにしたような大きなものに取りかえることができる、あるいは回転する耕すものにつけかえることができる。そういうことをやることによって、これで地雷をやりますと、このすきのようなもので根こそぎ灌木も何も、全部爆破してしまう。そしてその後を耕す、そしてパワーシャベルで土を移動して、輪中のようなものをつくって田んぼにする。経過を申し上げると、長くなりましたけれども、こういうことなんです。  そこで、考えなければならないことは、一つ一つ今までのようなやり方でやっていたんでは何十年かかるかわからない。これを機械的にやるという技術を日本は持っている。そしてそれを、今やっているのは二台持っていってテストしていますが、六百ヘクタールのところが今完全に除去されて田んぼになりつつあります。約百ヘクタールは既に田んぼになって米がとれました。そういうところまで今テストは行っているんですが、問題はこれからなんですね。  つまり、カンボジアのようなところは、そうやってもし地雷除去することができたとしても、一年間放置しておくとたちまち一メートル以上の灌木が生い茂ってしまう、非常に温暖というか暑い多雨の地帯ですから。したがって、除去したと同時に、すべてその先の農地にしてしまうというところまで連動してやっていかなければいけない。ですから、カンボジアに例をとれば、カンボジア復興プロジェクトというような、そういうものを一連のものとしてやらなければ行き着かない、成功しないへこういうことになるわけです。  実は、大島経済協力局長においでいただいていますが、もう既に以前に詳しく御説明したから御存じと思いますけれども、こういう状況に対して日本がどのくらい、どういう貢献ができるか、そういうことを考えていただいているでしょうか。
  176. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) カンボジアの現状につきましては、ただいま委員の方から御指摘があったとおりというふうに私どもも承知いたしております。  そこで、現在、我が国におきまして、民間企業、それから一部のNGOにおきまして地雷除去関連の技術の開発がいろいろ進められておるわけでございまして、カンボジア等におきましても探知器とかあるいは地雷除去機の実験等が行われておる、こういうふうに承知いたしております。政府としましては、こういった除去に関する支援、これはODAで可能でございますので、これから積極的にしてまいりたいと思っております。  ただ、カンボジアにつきましては、現在のところは御指摘のようにいろいろな考慮がございまして確かに手作業でやっております。ボスニア等では一部機械を使っておるということもあるようでございますが、これはいろいろ、草木、灌木等が生えてなかなか機械が使えないというような特殊事情もあるようでございます。  いずれにしましても、これからそういった除去機が開発されていくというようなことになりましたら、具体的にどういう支援がこういう分野で可能であるかということはよくよく検討してまいりたいと思っております。
  177. 田英夫

    ○田英夫君 今現地でテストしているグループ、NGOですが、その人たちの技術者が試算するところでは、カンボジア全土にこれを適用して、かつてはお米の輸出国であったわけですから、その農地を復興させるためにはおよそ六十台から七十台の機械と、それに伴うそれぞれの補助的な、輸送するためのトラックとか、いろんなそういうものを六十グループつくれば全土でこれが完全に復興できるだろうということを試算しております。ひとつそういうこともお聞きいただいて、地雷除去と同時に農地復興まで結びつけなけりゃならないということもお考えいただきたい。  これが成功しますと、これは本当に世界じゅうにある一億一千万個という地雷を機械的に除去することができれば人類にとって大変なことで、地雷除去機を発明する人が出たらノーベル平和賞だろうという声がNGOなんかの中ではやや冗談まじりに言われているぐらいのことでありますから、実際はそれができつつあるわけでありまして、ぜひ政府でこのことを真剣にお考えいただきたい。  最後に、外務大臣に一言感想をお聞きしたいと思います。
  178. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 多くの人が地雷除去に携わっていただいているのは大変ありがたいことだと思いますし、それも委員がおっしゃるように、一つ一つじゃなくて一遍にたくさんできる、そういうことになればそれはまたまさにノーベル平和賞ものなのかもしれない、こう思っていますので、とりあえずODAの関係では、現地のニーズ、いいものができて、そういうものが欲しいというニーズが出てくれば、当然のことながら我が国もそれにODAを適用することを検討してまいりたい、こういうふうに思っています。
  179. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  180. 田村秀昭

    田村秀昭君 先ほど総理にも申し上げましたけれども、今回の地雷禁止条約を批准する問題につきまして、安全保障上の観点から理性的な議論がなされた結果だというふうには私は思っておりません。先ほど人道的という総理のお答えでございましたけれども、我が国地雷は他国に輸出されておりません。一切武器は輸出していないということは、非常に声を大にして言えることじゃないかと私は思っております。  それで、防衛庁に二、三お尋ねいたしますが、地雷禁止した場合、自衛官の死傷率にどのような影響を与えるかが現在まで明らかにされておりません。米軍は死傷率三五%アップと算出しているようでございますが、禁止した場合に自衛官、もちろん、先ほど同僚議員がそんな敵が攻めてくるような状態じゃないと言われましたけれども、百年兵を養うのは万が一あったときに対処できる、そのためにやっているのであって、その可能性があるとかないとかでやっているわけじゃありませんから、そういう場合に、もし地雷を敷設しない場合にどのくらいの自衛官の死傷率アップを見積もっておられるのか、防衛庁の御見解をお伺いいたします。
  181. 大越康弘

    政府委員(大越康弘君) 防衛庁といたしましては、今回の対人地雷全面禁止条約署名に当たりまして、対人地雷使用禁止が自衛隊の行動にどのような影響を与えるかということにつきましてシミュレーションを行いまして、これを評価、分析いたしております。  具体的には、一定の前提を置きましてやったわけでございますけれども、対人地雷使用した場合としない場合について、戦闘が起きた際の自衛隊の人員の残存率について評価いたしております。  これらの結果は、当然のことでございますけれども、使用した方が当方に有利ではございますけれども、この数字を具体的に明らかにすることにつきましては、事柄の性格上、お答えを控えさせていただきたいと思います。
  182. 田村秀昭

    田村秀昭君 今、何と言われましたか。明らかにすることはやめる……
  183. 大越康弘

    政府委員(大越康弘君) 控えさせていただきたいと思います。
  184. 田村秀昭

    田村秀昭君 控えておられるなら結構ですが、私は、防衛庁はなぜもっと頑張らないのかなと思ったんですよ。  というのは、これを人道的という名目で、それはすばらしい言葉ですからそれに反抗はできないけれども、専門家として、人道的に本当にそれを禁止してしまおうというふうに思われるなら、代替手段というのを何で、必要だから代替手段というのを考えるんじゃないですか。そこのところはどうなんですか。今、代替手段をいろいろ研究開発されているとおっしゃいましたけれども、そんなものはいつできるかわからないし、できる確度が非常に高いというふうにも思っておられるのかどうか。その点と、それからなぜ代替手段を必要とするのか。せっかくあるものをなくして、それで違うものをつくるという、そんなむだなことをどうしてするんですか。
  185. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど来申し上げておりますように、我が国の地勢的な特徴からいって、対人地雷が防衛政策上大変有効な効果をあらわすであろうということは推定をされますし、また、そういうふうに考えてきたわけであります。  今回、総理の決断で対人地雷禁止条約を批准していこうということでございますから、防衛庁といたしましては、代替手段を講じることによって対人地雷禁止条約で言っている地雷については禁止をしていこう、無差別に殺傷していくようなものはやめていこうということに相なったわけでございまして、対人地雷の機能を兼ね備えるような、そして無差別に殺傷を起こさない形の代替手段を開発していこうということになっているわけでございます。
  186. 田村秀昭

    田村秀昭君 やっぱりどう考えてみても理性的な議論がなされて結論が出されたというふうには私はどうしても思えないんです。  一番ここで重要な点は、先ほど同僚議員が指摘されました在日米軍との共同対処の問題だと私は思います。これは、在日米軍日本の防衛も含めて共同対処するわけですから、日本は使わない、それは結構かもしれないけれども、米軍は使うわけですね。もしそういうことが起きたときに必ず使う。それも、そのときに米軍保有する地雷を必要なところに、その時期になれば、そういうことになれば必ず敷設するわけです。何か自分のところは美名のためにそういう政策判断をして米軍にやってもらう、そういう形に最終的になるんじゃないかと私は思うんです。そういうことが実際に同盟を組んでいる在日米軍との信頼性を高めることにはならないと私は思うんですが、防衛庁長官外務大臣見解を伺いたい。
  187. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本政府政策判断として米軍に対しても日本国内での使用を認めないと、こういうことをアメリカに言い、アメリカはそれをわかったと、こう言ったわけでありますから、アメリカ使用しないわけであります。使用しないんですから共同対処のときに問題が起こるはずはない、こういうふうに思っております。
  188. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 対人地雷禁止条約我が国で効力を発揮していく場合に、我が国においては対人地雷を使うことができないということについて、米側と緊密な連絡をとってこれは理解してもらったというふうに受けとめておるし、したがって日米安保体制について信頼関係が揺らいだとは思っておりません。
  189. 田村秀昭

    田村秀昭君 現実朝鮮半島では三十八度線のところに米軍地雷も敷設されております。それで、日本の有事のときには日本には敷設しないと外務大臣言われましたけれども、私はそういうことが起きたときにそういうふうには絶対ならないと思いますけれども、本当に在日米軍と調整されたのか、どうも私はその辺が非常に疑問であります。もしもそうならば、きちっとそういう文書を交わすなり、きちっとされた方がいいんじゃないかと私は思いますが、そのときになってそういうことに私は必ずなるんではないかというふうに思います。  代替手段というのは開発される可能性は非常に高いんですか、高くないんですか、ちょっとお答えください。
  190. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 代替手段の開発については、先ほど来述べておりますように鋭意、技術研究をしておりまして、発効後、廃棄される四年間の間におおよそのどがつくような形で今精力的に取り組んでいるということでございます。
  191. 田村秀昭

    田村秀昭君 質問を終わります。
  192. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 先ほどの総理との質疑の続きにもなりますし、また、今の田村議員の質問とも関連いたすわけでありますけれども、いずれにしろ在日米軍地雷を一体どう考えるのか、大変私は法律的に重要な問題だと思うんです。  先ほど外務大臣は、政策判断として在日米軍地雷使用は認めない、こういう申し入れをしたら、それを理解するという回答であったということでありますけれども、どの段階でだれの回答なのかもよくわかりませんし、そもそも理解するというのが、否定したのか肯定したのか、申し入れということ、事実を了承したのかよくわからないわけであります。常識的に考えれば、なるべく使用しないというのか、それとも絶対に使用しません、日本と全く同じ考えでございますというのか、その辺があいまいもことしておるのは大変いぶかしいと思うんです。  今の質問にもありましたけれども、なぜそれならきちっとした文書にしないのか。これは当たり前のことだと思うんです、二国間の協定にすることは、こういう重大な事項につきまして。そもそも日本が侵略の危機に差し迫っているときに、軍隊が倉庫の中に有効な武器を山ほど積んでおいて、それを、日本政府からこういう申し入れがあって、それに対して理解すると、こう言ったのでこれは使わない、そんな軍人がいるとは私ゆめ思えません。軍法会議にかけられる可能性だってあるわけですから。やっぱり軍人というのは最大の努力をして侵略を防ぐ、これが軍人の義務であります。  しかし、それに対してチェックをするとすれば、やはりきちっとした文書でもってあらかじめ申し入れておく。そもそも使わない、使わないでくれ、わかったという程度のものであるとすれば、もうそれを日本国内に保存しておく意味も全くないわけですから、やはり文書において日本国内においては保有しない、使用しないということを二国間協定としてきちっと確認すべきではないか。そんな難しいことじゃないと私は思いますよ。  長い目で見れば、いずれアメリカはこの条約に加盟するであろう、それまでの一時の方便としてそれぐらいのことを約束はできないわけはないと、こう思うからあえてお尋ねするわけでありまして、いや、朝鮮半島で有事の際に使えるんだとか、そんなことを言い出したら、この条約に加盟しようとする我々の、日本国の崇高な気持ちというのか、小渕総理の非常に高い気持ちが損なわれるんだろうと思います。もう使わないといったら、どんな有効な武器手段であっても使わないということで徹底したらいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  193. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本政府としては使いません。日本政府としては使わないし、政策判断として、日本国内において米軍が使うことも認めない、こういうことであります。  ただ、米軍がこの条約に加盟していない範囲の中で、両方が話し合ってきたところが今までるる説明したとおりのところであります。
  194. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私の質問、なぜそんな簡単なことが二国間の文書にできないんでしょうか、それをお尋ねします。
  195. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 同盟国の間でるる話し合って、日本政策判断はこういうことだ、わかったと、そういうことで十分足りると考えているわけであります。
  196. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私は足りないと思うからお尋ねしておるわけでありまして、文書にするぐらいは何のこともないわけでございましょう。同盟国で緊密な関係にあればあるほどなおのこと、じゃ、念のため文書にしておきましょうと。将来、言った言わない、そういうことの起こらないようにきちっとしておきましょうと考えるのは、これ当たり前のことでございましょう、国際主義といたしましても。何かあいまいとしておくことは、やっぱり深入りしたくないという日本政府の思惑がそこに介在しているんじゃないでしょうか。  我々は格好いいことを言って、もう地雷は絶対に使わない、米軍地雷を使って日本を守ってくれる、それは米軍の勝手ですからよろしく御理解くださいと、そんな感じなんでしょうかね。
  197. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) そういう感じではなくて、日本政府としては使用することを認めない、同盟国であるアメリカがそれでわかりましたと、こう言って、佐藤先生はそれでは足りないと思うとおっしゃるけれども、日本政府としては足りると思っている、こういうことでございます。
  198. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 日本政府アメリカのどの段階でのそういう口約束でございましょうか、それだけは明らかにしておいてください。  それから、口頭の申し入れと口頭の回答だそうですから、その文言も申しわけありませんけれども詳しくここで話していただきまして、議事録にとめておきたいと思います。
  199. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今月十六日に行われた米側との協議で、米側代表団であるニューサム国務次官補代理より、須田審議官に対し、米国政府考え方として理解するということが表明されたものであります。
  200. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 ちょっとはっきりしなかったんですけれども、だれとだれですか。もう一回ちょっと念のため。
  201. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ニューサム国務次官補代理と外務省須田審議官との間で交わされたものであります。
  202. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 これはあるいは余計な法律論かもしれませんけれども、それに違反したらどういうことになるんでしょうか、効果とすれば。単なる国際信義上だけの問題でしょうか。損害賠償とかそういう問題が起こるんでしょうか。このことをお願いします。
  203. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 同盟国としてそういうことはあり得ないと思っておりますが、国際信義上の問題としてそういうことはあり得ない、こういうふうに考えております。
  204. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 了解しました。なるべくそういう信義が守られることを私も希望いたします。  最後になりましたが、ブータンに対するODAの不正支出の問題でお尋ねいたします。  八月二十三日付の朝日新聞でありまして、当然ごらんになっていると思いますけれども、不正支出を本格解明することになった、会計検査院があすからJICAを検査すると。こういう報道がなされておりまして、その中身は、外務省の調べで、コンサルタントの日本の業者の現地責任者が無許可で四輪駆動車を十六台購入したり、あるいは機材やその他の設備や工事内容を勝手に変更したり、七年間で四十二項目、総額六億四千万円分についての不正経理処理が判明した、こういうことが報道されております。  この事実があるのかどうか。これは外務省の調べでわかったということでございますので、まず外務省の調べ、それから会計検査院の検査。  ちょっと時間がありませんので私が敷衍しておきますけれども、曽野綾子さんのエッセーだと思いますけれども、善意の事業ほど厳しく会計をチェックする必要があると。要するに、善意でやっておりますと、ODAも無償援助ですから、善意でやっているんだから悪いことはするわけはないと世間はそう思いますし、やっている人も我々はボランティアでやっているのであるからして少しぐらいのいいかげんな処理も世間は見逃してくれるだろうと安易になってしまうから、善意でやる以上はもう一片の不正も許されないのだと、そういうつもりで関係者は臨むべきだというのが曽野綾子さんの言わんとした趣旨だろうと思います。私も全く同じです。  防衛庁長官おられますけれども、重大な防衛の仕事をしているんだから少々の会計経理の不始末ぐらい何だという思いがあるとすれば、これは大変な心得違いでありまして、会計準則も守れない人に、役所に国を守る資格なんかはない、こう言ってもいいわけであります。  そこで、外務省がこの問題についてどれだけの検査をされたか、ちょっと披露お願いします。
  205. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) ブータンの通信事情が劣悪であるということで、平成三年度から八年間にわたりまして通信網の整備の計画をやってきました。ほぼ完了に近づいております。  このプロジェクト自身は大変に成果を上げておって案件としても非常に優良だと思っておりますが、ただ、その実施過程におきまして一部コンサルタントあるいはその下請けの請負の企業等にかかわる問題が若干ございまして、現在それを詳細に調べております。  現在実施中のものは第四期の工事にかかわるものでございますが、この第四期にかかわる工事について問題が判明したということでございますけれども、さらにさかのぼりまして、既に完工しておりますけれども、第一期から第三期までのものにつきましても、ただいまちょっと御指摘がございましたような計画の無断変更といったような事項があったようでございますので、まず事実関係をきちっと調べる、さらに問題と考えられます変更にかかわる経費、これをどういうふうに扱うか、また関係企業等に対します措置、それからこういった問題が将来にわたって起きないように再発防止策を含めます措置、こういった点を含めまして現在鋭意検討中でございます。会計検査院にも説明を行っております。  いずれにしましても、現在調査そのものはほぼ最終段階に来ておりますので、作業が終了次第、その結果を明らかにさせていただきたいと思っております。
  206. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 会計検査院、来ておりますか。簡単にお願いします。
  207. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) お答え申し上げます。  この問題は、今お話がございましたように外務省の無償資金協力とそれからJICA、国際協力事業団でございますが、コンサルタントに発注した設計業務の二つから成っているわけでございます。このうちJICAの関連の設計業務につきましては、JICAでは通信網整備計画の第三期におきまして無断で前倒しで設置された施設が第四期の設計の対象に含まれていたことが確認できたといたしまして、コンサルタントから契約金額の一部を返還させますとともに、九カ月間の指名停止処分をしているわけでございます。  検査院といたしましては、JICAから関係書類の提示を受けるなどいたしまして、事実関係の確認あるいは返還額算定の適否等の検討作業を今行っているところでございます。  それから一方、無償資金協力の方でございますが、今お話がございましたように、外務省において調査中であるということで、検査院といたしましてはその調査の進行状況について説明を受けているところでございます。  今後、この外務省の調査完了を待ちまして、速やかに関係書類の提示を受けるなどいたしまして、不適切な事態であるとかその金額の確認、あるいはこのような問題が発生した原因等について検査をする予定でございます。
  208. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 一言だけ。  これはODAに関する、私率直に言いますと、氷山の一角だろうと思うんです。善意の名に隠れていろんな不正が介在しているのではないかという気もいたしますので、法務省にもお願いしておきますが、このODAの不正使用とか目的使用とか不正支出とか、それにどういう類型が想定されるのかわかりませんけれども、それに対する取り締まり法規をきちっと整備してほしい、こういうことを法務省に要望しまして、質問を終わります。     —————————————
  209. 河本英典

    委員長河本英典君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、田村秀昭君が委員辞任され、その補欠として戸田邦司君が選任されました。     —————————————
  210. 山崎力

    ○山崎力君 それでは、対人地雷の問題についてお伺いしたいと思います。  同僚委員よりいろいろな角度から質問がありましたが、まとめという形での質問になろうかと思うんです。先ほどの総理の発言にもありましたように、これに対する負担増についてはもう格段の措置をとるというふうな形で総理もおっしゃっていただいたわけですが、防衛庁にお伺いします。簡単に言いまして、もちろんこれからの開発その他、あれがありますけれども、人員増も含めて、今回この条約に入らないで地雷をそのまま利用していた場合と、これからの開発、装備、あるいはそのための人員増、そういった簡単に言えば今回の条約に伴うコストアップというのはどのくらいになるというふうに考えていらっしゃいますか。
  211. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 今回の条約の加盟に当たりまして、私どもとして、コスト増といいましょうか負担増となり得るものは、まず廃棄の問題、それからその新装備を装備する問題と、大別して二つあろうかと思います。  まず、廃棄の方は、私ども平成十一年度からまず四億円の計上をし、それで四年間で廃棄する大体のめどが立っております。こちらの方は約十八億円から二十億円ぐらいで廃棄できるのかと、こんなふうに思っております。  一方、新しい対人障害システムの方でございますけれども、これは九年度、十年度と調査費をいただきまして調査をし、今度六億円の予算で十一年度に参考品を購入して実際の運用等もやってみて、それでもって決めていきたい、こう考えておりますので、今の段階で全体として幾らになるかという点につきましては、ちょっとこちらの方はまだ明確に申し上げられない、こんなふうな状況でございます。
  212. 山崎力

    ○山崎力君 これはある意味では人道に対する費用だと思うわけです。それで、総理はその辺の費用は政府として持つよというふうに先ほどおっしゃられたと私は受けとめております。他の装備品あるいはそういった点での負担増、圧迫はしないというようなことをお約束されたと思うんですが、一つここで問題になるのは、現在の我が国が会計上単年度主義をとっているという、そういった点があると思うんです。その辺も踏まえて役所の引き継事項にもなっていくと思うんですが、大蔵省おいでになっていらっしゃいますか、その辺のところについての詰めといいますか、総理の指示というのは大蔵省には来ているんでしょうか。
  213. 坂篤郎

    政府委員(坂篤郎君) 総理大臣から特段私どもに具体的な御指示というのはただいまのところまだ承っておりませんが、先ほど私、総理の御答弁なさるのを後ろで聞いてはおりました。
  214. 山崎力

    ○山崎力君 聞かれてどういうふうにそのポストの任に当たる者として受けとめられたでしょうか。
  215. 坂篤郎

    政府委員(坂篤郎君) 対人地雷の代替手段につきましては、今防衛庁から御説明がありましたが、九年度から研究開発を始められておりました。また、十一年度予算の概算要求、この前いただいたわけですが、それには対人障害システムの参考品購入ということで約六億四千万円、これはすぐにというのではなくて、先に買うというようなものも入りますが……
  216. 山崎力

    ○山崎力君 もう時間がないので、数字を一々聞いているわけじゃないんで、総理の先ほど言ったことについて主計局次長としてどのような受けとめ方をしたのかということを私は質問しているんです。
  217. 坂篤郎

    政府委員(坂篤郎君) 失礼いたしました。  当然、総理の御意向でございますから、そういうのも考えまして、財政当局といたしましては全体の防衛予算の中で適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  218. 山崎力

    ○山崎力君 全体の防衛予算の中ではないんじゃないですか。私が総理に言ったのは、これは今までのと違って新たな負担増になるんですよ、その辺のところを含めた上でお考えはいかがなんですかと、大意としてはそういうふうに質問したわけで、それは遺漏なきようにいたしますというふうに総理が言われたということは、今防衛予算の中でということでいえば、もちろん定義的には防衛予算になるんですけれども、従前の防衛予算範囲とプラスの部分でこの問題を対処するというふうに受けとめていただかなければ、総理の先ほどの答弁を大蔵省として受けたということにはならないんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  219. 坂篤郎

    政府委員(坂篤郎君) 予算と申しますのはやはり全体として、防衛予算ばかりではありませんが、考えるものだろうというふうに思っております。ただ、本件につきましては、財政当局といたしまして、これらに要する経費につきましては防衛予算全体を見る中できちんと予算措置を講じてまいりたいというふうに考えているということでございます。
  220. 山崎力

    ○山崎力君 どうも先ほどの総理の答弁と今の大蔵省の答弁とは違うような感じがいたします。この問題は改めてちょっと問題とさせていただきたいと私は思うわけでございます。  時間の関係もございますけれども、今度は防衛庁に戻らせていただきます。  確かにおっしゃることはわかるんですけれども、代替兵器が非常に難しいということはこれはもう関係者であればわかっている話でございまして、それを補完するにはないわけじゃないよと。ただし、今までの地雷であれば、ほっておけばそこのところでそれだけの戦術効果があらわれたのが、遠隔操作であれ何であれ人員を配置してやるためにはそれだけの人間が必要であると。要するに、どこの部隊に所属するかは別として、そのための監視要員が必要となるということは理の当然でございまして、その辺の人件費も部隊編成を変えてその増加分をふやさにゃいかぬ。  それから、開発費が幾らかかるか。これはもちろんやってみなきやわからぬ部分でしょうけれども、とんでもない天文学的な額になるということもこれも問題だ。開発しました、それを装備するのに幾らかかる。簡単に言えば百万発の対人地雷に匹敵する装備をするのに幾らかかる、このくらいのある程度のめどを立てないで、これを単に人道的だということからいってオーケーするというのは、国防の任にある庁としては問題がある。  もっと端的に言えば、それだけのお金があるんだったら、その分を外務省なりODAにやって、世界じゅうに隊員を散らばして対人地雷を撤去した方がよほど世界の困っている人たちのためになるかもしらぬ、そういうふうに私は感じるんですが、その辺についての御答弁をいただけないでしょうか。
  221. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、山崎先生の御指摘でございますけれども、例えば対人障害システムあるいはその開発するまでの暫定的な措置として指向性散弾措置をとるという場合に、今までの対人地雷よりも人員がふえるではないかということでございます。  私は、対人地雷の場合も伏せておいてそのまま放置しておく場合もあるかもしれませんけれども、そこが敵にとっても味方にとっても有力な陣地であれば、当然監視要員がいることになっているはずでありますから、人員の場合はそんなに差が起こってこないのではないかというような気がしないでもありません。  一方で、先ほど来のコスト増でございますけれども、平成九年から技術研究をやっておりまして、ことしは試験的にいろいろやってみるということで、これまでの経験、研究からすると向こう四年間で大体同じような機能を発揮できる代替装置を、手段を開発できるのではないかという見通しを持っておるところであります。  したがって、国防上これは百万発の地雷廃棄するのに二十億前後の金がかかるということで、それに見合った金しか投入できないということではないのでありまして、代替手段を開発するためには全力投球で行っていく必要があるし、これは大蔵省にも我々はよく相談をして、その対応策をきちっとしていかなければならないというふうに思っているところであります。  また、自衛隊の経験を、ノウハウを持つ者を全世界に散らばせて地雷除去に努めたらどうだという考え方でございますけれども、PKFで凍結問題になっております。この問題は言ってみれば地雷除去等について自衛隊のノウハウを活用するという項目でございますけれども、この法律がどういうふうになっていくのか等々をにらみながら、我々も自衛隊が持っているノウハウを世界国々のためにどういうふうに役立てることができるのかということについては勉強する必要があろうかと思います。  御提言を踏まえて、いろいろと勉強させていただきたいというふうに思います。
  222. 山崎力

    ○山崎力君 非常にすれ違いで残念なんですが、別に自衛隊をやれと言っているわけじゃなくて、金額が膨大になる可能性があるんだと。しかも今、長官おっしゃられましたけれども、代替兵器開発するのに、百万発の対人地雷に相当する兵器を本来なら四年間で装備しなきゃならぬという話ですよ。そうじやなかったら、同じ意味での戦術効果はないわけだから。それを四年間で開発すればいいでしょうというような長官では私は困ると思う。  それで、装備するまでに幾らかかるかもわからない。その計算ができないでやるようだったら、私は国民に対しての説明というのはできないのじゃないか。膨大な金がかかるんなら、我が国は百万発の地雷廃棄しません、そのかわりその分の何百億かかかるような装備のお金で世界地雷の撤去をしますと言った方が一つの行き方ではないか、それも考えられるんではないかということを言っただけで、PKFその他自衛隊をやろうとしたわけではない。  時間でございますのでやめさせていただきますが、そういうふうな点でもう少し御検討が、この問題、これからの実施、大蔵省等の先ほどの答弁を含めてあるんだということを指摘して、私の質問をやめさせていただきます。
  223. 河本英典

    委員長河本英典君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  対人地雷使用貯蔵生産及び移譲禁止並びに廃棄に関する条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  224. 河本英典

    委員長河本英典君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 河本英典

    委員長河本英典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十七分散会      —————・—————