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1998-09-18 第143回国会 衆議院 文教委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月十八日(金曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 小川  元君    理事 栗原 裕康君 理事 小杉  隆君    理事 中山 成彬君 理事 増田 敏男君    理事 肥田美代子君 理事 藤村  修君    理事 富田 茂之君 理事 西  博義君       岩永 峯一君    大野 松茂君       奥山 茂彦君    倉成 正和君       栗本慎一郎君    佐田玄一郎君       下村 博文君    高橋 一郎君       松永  光君    宮腰 光寛君       目片  信君    渡辺 博道君       池端 清一君    山元  勉君       池坊 保子君    旭道山和泰君       松浪健四郎君    石井 郁子君       山原健二郎君    保坂 展人君       粟屋 敏信君  出席国務大臣         文 部 大 臣 有馬 朗人君  出席政府委員         外務小総合外交         政策局国際社会 上田 秀明君         協力部長         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省生涯学習         局長      富岡 賢治君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         文部省学術国際         局長      工藤 智規君         文部省体育局長 遠藤 昭雄君         厚生省健康政策         局長      小林 秀資君         厚生省保険局長 羽毛田信吾君  委員外出席者         国立国会図書館         長       戸張 正雄君         厚生省医薬安全         局麻薬課長   山本  章君         文教委員会専門         員       岡村  豊君     ――――――――――――― 委員の異動 九月十八日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     宮腰 光寛君   高鳥  修君     目片  信君 同日  辞任         補欠選任   宮腰 光寛君     岩永 峯一君   目片  信君     高鳥  修君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 小川元

    小川委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗本慎一郎君。
  3. 栗本慎一郎

    栗本委員 よろしいのですか、大臣がいなくて。大臣をお願いしていたはずなのですけれども
  4. 小川元

    小川委員長 大臣は、閣議が二十五分までありますので、五分ぐらい遅れるとのことです。
  5. 栗本慎一郎

    栗本委員 では、途中で御参加いただいて。  大臣おいでにならないのは大変残念でございます。というのは、本来お待ちしたいところでありますけれども有馬文部大臣の極めて貴重なる、世界も注目する最初の御答弁になると思いますので、私も大変それを光栄に思っていたわけでございます。質問通告を一般的にしてあるとはいえ、おいでにならないのは大変気合いの入らないものがございますが、おいでになりましたらまた若干繰り返してもいいということで始めさせていただきます。  まず第一に、一般的な方針として、私学助成及び私学に対する我が国政策について御質問申し上げたいと思います。  収れんするところはお金の問題になり、私学助成関係予算ということになりますけれども、本日はより一般的に、私学というものについて、どのように文部省としては育成あるいは支援をしていこうとしているのか、そういうまず一般的なお話を伺ってと思ったのですが、おいでになりませんので、それは後に回しまして伺うことにいたしまして、逆に少し数字的なことから始めたいと思います。  いわゆる私学助成関係予算大学及び高校以下両方あるわけでございますけれども、ここ数年非常に問題になっておりますのは、高等学校等経常費助成に対する補助の問題であります。  御承知のとおり、数年前に八百四十七億の予算がありましたところから、結果は六百億台には抑えることができましたけれども、第一次内示で五〇%カットという大変、全予算の中でも最も大きな削減額が提示されるということがあったわけでございます。これは、平成年度が八百四十七億の予算でありましたところが、平成年度には結果として六百三十五億になっております。ちょうど四分の一の二五%減、全予算項目の中でもこれは最大の、最悪の下げ幅であります。  その後毎年、我が自由民主党のみならず各党の先生方の御支援、お怒り等もございまして戻してまいりました。しかしながら、まだその八百四十七億の、いわば平成年度の当初水準といいますか、それに戻っていないわけであります。  現在この時点におきまして概算要求が出ているところでありますが、この概算要求額は七十億円の増ということでありまして、これは比率的にいえば、相対的にはほかの項目に比べてぬきんでておりますけれども、実はあと三十億足しますと八百四十八億のところに到達する。これはどうもよくわからない。ここまでいきますともう数字の問題ではないのではないか。あと三十億であります。それでも平成年度予算同額、同水準ということでありますから、決してふえていないわけであります。なぜこの三十億が要求できないのか。  現在日本国家予算、大変な不況の中にありまして、さまざまな点で景気刺激にかかわるものに関しましては、総額でいいますと、計算の仕方によりますけれども十六兆円、あるいは少し時間をかけて累積いたしますと二十兆円もの金額を積み上げているわけであります。  そしてまた、これはそれに関連する別件でありますけれども教育関係の税の軽減を私どもは強く政府に呼びかけている。これは単に、単にと申しません、非常に重要なことでありますけれども子供たちを抱える家庭の家計を補助する、あるいは教育費一般補助するというだけではなくて、そのことは実質減税の効果があるのではないか。  といって、他方で減税を言っているけれども、確かに項目減税にならないけれども、そうした助成が結果的に授業料軽減にはね返ってくるのは目に見えているわけでありますし、またそのよ うにさせねばならないわけですけれども、そういうことからいいますと、三十億円というのは極めて少額の金額になるわけですね。いわば国家非常時の現時点の予算編成において、あと三十億なぜ要求できないのだ。これは金額の問題であり、基本的な姿勢の問題であるように思われるわけであります。  文部大臣は極めて世界的に著名な学者でありまして、しかし同時に、極めて顕著な事実としては東京大学総長であられた。国立学校機関最高学府であり、最高のところにおいでになられた。だから、どうも逆に、ここ数年来懸案になってまいりました私学の問題について、これは甘いのではないか、あるいはおわかりになっていないのではないかというふうなことがあるわけであります。金額のことは事務方から答えていただいてもいいのですけれども大臣おいでになりましたので、もう一度まとめます。  日本学校教育の中で私学というものの位置をどのように考えていられるのかという一般的な施政方針の御開陳をまずお願い申し上げたいとともに、既に入ってしまいましたので、概算要求は出ておりますが、あえてあとわずかと申し上げます。三十億程度のことを、平成年度に象徴的な大変な大幅削減がありましたが、平成年度金額高校以下の経常費助成額が戻るというのに、なぜそこを戻さないのか。その程度のことを財政当局に言うような、これは気合いかないということは哲学がないのじゃないか、この二点について、重ねてしまいましたが、御答弁をお願い申し上げます。  また、最後になりましたが、ぜひとも今後とも日本教育のために、これを最初に申し上げるつもりだったのですが、調子が狂ってしまいまして、御健闘をお祈り申し上げまして、これでは質問が終わったことになりますが、そうじやありませんで、質問は残っておりますので、よろしくお願いいたします。
  6. 有馬朗人

    有馬国務大臣 閣議が少し時間がかかりまして、ここに参りますのが一、二分おくれましたことをおわび申し上げます。  ただいま栗本先生よりの御質問の中で、まず第一に、おまえは国立大学ばかり大切にするのではないかという痛い御質問をいただきましたが、絶対そのようなことはないことを申し上げておきたいと思っております。  そもそも、日本ほど高等教育に対して私学に頼っている国はないのです。圧倒的に私学高等教育、特に高等教育は頼り過ぎております。こういう点から見まして、常々私学をさらに大切にしなければならないということを考えておりますので、この点についてまずお答えを申し上げます。  こういう認識でございまして、予算に関係することでございますが、従来から文部省といたしまして、経常費補助金を初めとする私学助成充実に努めております。  平成十一年度概算要求についてただいま御指摘でございましたが、私学私立学校経常費に対する補助を中心に、二十一世紀発展基盤整備特別枠を含め、前年度約百四十一億円増、三・六%増の四千百十億五千万円を計上しております。  それから、平成十一年度概算要求は、大変つらく、なかなか苦労いたしました。財政構造改革推進という基本的な考えを守りつつ、二十一世紀発展基盤整備景気対策の二つの特別枠が設けられるとともに、科学技術振興費増額要求が認められておりますが、この点はよろしいのですが、そのほかは基本的に前年度同額とするという基本方針が定められたところでございます。  私学助成につきましては、このような厳しい枠組みの中ではございますけれども文部省全体のさまざまな経費をやりくりをいたしまして、最大限の配慮を払って概算要求を行っているところでございます。この点ひとつ御理解賜れれば幸いでございます。  なお、今後十月末に要求内容を提出することになっております景気対策特別枠におきましても、私立学校教育研究設備装置等整備にかかわる補助金につきまして、所要の要求を行うべく検討を進めているところでございます。  また、税制面につきましても、平成十一年度税制改正要望におきまして、私立学校に通う生徒たち保護者教育費負担軽減のための私学教育費減税創設等について要望いたしているところでございます。その実現に向け努力をさせていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、今後とも、私立学校経常費教育研究設備装置等整備に関する補助等私学予算充実を図るとともに、税制上の優遇措置活用等により、私立学校が独立の建学の精神に基づく個性豊かな教育研究活動を積極的に展開できるよう、厳しい国の財政事情ではございますが、それを踏まえながら、各種の私学振興施策推進に努めさせていただきたいと思っております。
  7. 栗本慎一郎

    栗本委員 ありがとうございました。  具体的なことを申し上げたいと思います。概算要求に関しましては、既にお出しになられました。今申し上げましたように大変不満な面がございますけれども、こうなりました上は、この概算要求を第一次内示で、つまり世に言う一発回答満額をぜひ獲得するために職をかけていただきたいと思います。  過去のことをレクチャー申し上げる気はございませんが、文部省内部からもちゃんとレクチャーがあると思いますけれども、不安でございますので改めて繰り返しますれば、各年度概算要求と獲得されている予算額との間には毎年ドラマがございました。一次内示、二次内示とちょびちょび出したりしているのですね。その数字も大体毎年同じ比率であって、数字的にも、今はちょっと忘れましたが、六、三、六だとか何か並べて、マージャンのような数字を出してきて、最後大臣折衝でそこそこのものをとるということになっているけれども、そのパーセンテージも同じである。冗談じゃない。昨年度は、財政当局の御理解も賜りまして、賜りましてというとおかしいですね、ようやくさせまして、何しろ別の角度からいえば、八百億だ七百億だというのは田舎の空港一つ金額であります。  私の選挙区に、三千数百人の住民の住む小笠原村がございます。この小笠原村に空港をつくらなければならないということで長年やってまいりました。小笠原東京二十三区から一番遠いところなんです。つまり、行って帰ってくるのに十日かかる。こんなところは全世界で、ネパールだろうとチベットだろうとございません。それで八百億程度である。これは非常に重要なことだからやめろといってもらっては困るので、文部省にも応援していただきたいわけでありますけれども。  それを、全国の高校以下の助成でそれに到達しないというのはおかしいではないかということ。それで、毎年交渉させて最後に出してくる、どうせ出すのなら最初から出しなさい、昨年はそのようになりました。ことしも、ぜひそれ以下に定めないように、国立大学総長であった以上、例年の二倍御活躍いただいて、そうかな、何とかあれなのかなと。  先生は、東大総長の後、法政大学にも奉職されたことがあると思いますけれども、余りにも期間が違います。ぜひとも、東大のことはすべてさておいても法政のために頑張っていただきたいというふうにも思うところで、どうしても満額回答を一発で出していただくようにということ。  それから、今後も、景気対策あるいは補正予算等で、どうしても建物とか施設のハードの部分だけをお考えになりがちでありますけれども、いい頭を振り絞っていただいて、実質経常費補助に当たるようなことがないのだろうかということをお考えいただきたい。それによって初めて、ああ私学のこともお考えなんだなというふうに我々は評価することになると思います。  それで、今のはいきさつのことであります。毎年度予算の、結果だけじゃない、途中のこともあるので、ぜひともことしは満額を、昨年並みに最 初からとっていただきたいということを申し上げます。  それからもう一つ、この私学助成の問題は別の視点、問題点がございまして、それは、大蔵省の論理というのは、この私学助成というのは、国が私学をやっているものじゃないのだから、そもそも国がやるべきことであるかどうかに大きな問題があるというふうなことを言いかねません。それはそうではないというお話を今いただいたと思っておりますけれども。  大体そんなことを言うのならば、日本長期信用銀行、民間の会社であります。金を投入しようなどということを考えるのは既におかしいことでありますし、八百億円やそこらで済まないことを何か言っているわけですね。冗談じゃないと。  それはもう十分理解していただいている、大蔵もあきらめていると思いますが、しかし、一般財源化されるという方向の中でもこの削減が行われた。そうすると、具体的には手当てしてあるじゃないか、鹿児島県でも神奈川県でもと。だけれども――私はたまたま東京選出議員であります。東京都は地方交付税の不交付団体でありまして、もっとも、きょうの産経新聞の報ずるところ、既に我々も前から知っておりますけれども東京都も財政再建団体に転落をするという可能性というか危険性があると言われているのですが、とりあえず今のところ不交付団体であります。そうすると、東京都は、勝手におまえのところ富裕だろうという話になつちゃう。交付税を受けていないと富裕なんだ。そんなことは、世界最大自治体東京都の財政中身を見た場合には全然言えないのですが、そうなっている。  そしてまた、御承知だと思いますけれども、特色のある私学、つまり、ベースが比較的大きい、地域が人口に比べれば狭いという中で、私学の展開は現在は大都市に比較的集中せざるを得ないというような、本来もっと地方に広げていくべきなんですが、状態になっています。この東京都を直撃するのだということなんですね。ですから、このことに関しまして、一般論として、結論としては、その一般財源化というのは、それはだめなんだというふうにぜひともしていただきたいということ。  それから、ロングタームの話といたしましては、今、財政の方でPFIということが言われている。PFI、プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、何も英語で言うことじゃないか、英語だか何だか、アルファベットで言うことはないじゃないかと思いますが、それがはやりであります。そうなっている。  そこで、日本学校制度の成り立ちを考えますと、御承知のように、大学制度整備されるはるか以前に小学校制度ができました。これはほとんどは民間で、村長さんがつくったり地域篤志家がつくったりして、それをまた文部省も認め、最終的に今は公立学校になっていく流れがあった。これがまさにPFI本当の姿でありまして、今日本で言われていますPFIは、民間も金を出せよ、政府の方もちょっと金を出しておいてやる。それは先行きの利権の先鞭になるよ、とは言っていないと思いますけれども、うっかりするとそういうことになるような種類のPFIPFIという言葉の本場はイギリスですが、本当PFIではないわけですが、日本小学校はそうだ。  今大学で言うと、一つの例として慶応義塾大学湘南キャンパスの中に国立設備がございます。このように相互乗り入れを今後やっていって、国立大学のいいところ、私立大学のいいところ、相互補完し合って、一世紀もたってみれば国立私立というものの区別というものがいろいろな意味でなくなっていく。国の財政補助はぜひしてもらいたいけれども、なくなっていくというふうになると思いますが、そういう流れにあったのです。  ですから、今ここで議論しておりますのは、一般論の次はいきなり私学助成お金の話になります。高校以下のちまちました話になりまして、満額獲得しても八百何十億円という話になります。その間に、そうじゃなくて私学自身を、まさに民間の英知を結集し、民間社会の力で学校教育を築き上げていくという、そういう地点にもう一度立ち直っていくような大きな方針を、私学助成予算獲得は当然のこととして、ひとつ御在任中に旗を振っていただきたい。そうすることによって、ようやく東京大学総長であったことが文部大臣として免責されるかなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  これはもうお答えいただかなくて、何かございましたら一言、違うとか――じゃ、頑張っていただけるということで了解いたします。  時間がございませんので、次の問題に移ります。大学のことであります。  先生も私も大学教授でございました。私は学長じゃなかったのですが、でございました。そしてまた、大学評価ということに関しては、たまたま私も先生も、議員になる前に一緒にお仕事をしたこともあったと思います。  そこで、現在、実は文部省の方でいろいろなことをお考えになっている。ここに九月十六日付の産経新聞の朝刊がございますが、「研究水準大学格付け」と大変大きな見出しで国立評価機関を新設するんだということが報じられているわけであります。イギリスではHEFCという公的な国立評価機関がある。この中身は、七段階で研究評価をしているということであります。こういったことを我が国考えるべきではないかとお考えになっている。  また、この記事の中では、ここがなるほどなと、実は私は、議員であると同時に、今言いましたように、大学評価自身をやっている人間でもありますので、いわば専門家でございます。日本大学関係者の中にこういう意見があるんだ、大学が受験の偏差値序列化される一因大学評価システムが未熟なことだという意見があるので、未熟じゃなくてしっかり国でやろう、こういう話なんですね。ちょっと待っていただきたいと。  私個人のことは言っても言わなくてもいいのですが、週刊朝日一緒になりまして、朝日本紙はそれを批判しておりましたが、週刊朝日栗本式と自分で言ったり言わなかったりする大学評価をしている一方、河合塾及び東洋経済あるいはその他その他のものが、今幾つかの大学評価民間から出てきています。私はそれは大変いいことだと思うのですね。  イギリスというのは、大体モデルにしてはいけないのです。大学の質というか意味が違います。数が違います。大学に進んでいく学生たち社会的位置づけが違います。日本が一番似ているのはその点でアメリカであります。多数の大学がある。アメリカは下手な大学はつぶれていくし、日本は下手な大学をつくっても今のところつぶれないという格好になっているのですが、アメリカでは大学評価システムがたくさんあって、相互に批判し合って、おまえのところの評価の仕方はおかしいとか、大学側も反論をしたりしてやっているわけであります。別にアメリカ政府が、クリントンが、これが正しいよとか言っていない。あんなやつが言ってもだめですけれども、言っていない。にもかかわらず、日本でそういうことを言うというのは、私はすごくおかしい。  というのは、偏差値序列化される一因は、東大をトップにするところのハイアラーキーシステムがあるかのように思われて、そこに行くことが目標になっていると言える。あらゆる部分東大ナンバーワンであるかどうかというのは、これはもう大臣自身がよく御存じのところだと思います。なかなかすばらしい大学だと思いますが、あらゆる部分ナンバーワン、特に研究の点でも全部がナンバーワンじゃないというのは明らかだと思いますが、にもかかわらず、偏差値では圧倒的に一番になっている。  それは、大学評価システムなんかが日本にないときからそうであって、それに対する相対的な ものを社会的に、受験生の諸君にというのはとりあえずは目先のことですが、出していこうじゃないかというのが、私だけじゃない、ほかのところの評価システムの出してきた出発点。それはまだ二年か三年、私どもが始めた一番最初のころから見ても六年、七年だから、未熟なのは当たり前じゃないですか。だから毎年変えています。  私が議員になった後も朝日新聞は大学ランキングというのを毎年版で出しまして、それは大学序列もその中で変わっていますけれども、まず今のところこういうことなんですね。トータルな序列は出していません。幾つかの評価基準をどんどん細分化してふやしていっています。就職のためにどれがいいとか見ていただきたいとか、社会に対する還元、特にマスコミを通じてならここだとか、大学全体でやるか学部でやるか、毎年変えている。だから私は未熟じゃなくて発展途上だと思いますし、後発国でありますので、既にアメリカシステムに対して、中から、大学教授からの批判があったりすることも全部踏まえてやっておりますから、そんな未熟なものだと思わない。恐らくこういう意見は、社会的にはまあまあと言われているけれどもどうも私たち評価ではだめだと言われたところが、まあ、だから長銀みたいなものですね、大蔵省だけの評価にしてくれというふうに言っているように見えるし、現実にそうなのであります。ちょっと長くなりました。  大学の格付はどんどん議論があっていいし、中にはかっとするものもあってもいいけれども、それを国がなけなしの予算でやっていく、私学助成の金、足りないのにやっていくというような話になるのは、どうもおかしいのじゃないかと思っているのですけれども大臣の一般的な御見解をお伺いしたいところです。
  8. 有馬朗人

    有馬国務大臣 お答え申し上げます。  私は、研究評価ということだけではなく、大学の場合には教育評価をきちっとやるべきだと思っております。アメリカですとアクレディテーションをそれぞれの大学がブロックになってやっておりますが、日本にまだそういうものがないということがかねがね気になっていたことであります。  本年の六月にまとめられました大学審議会の中間まとめにおいては、大学社会的存在としてその活動状況等を社会に対して明らかにしていくには、透明性の高い第三者評価を行う必要があるという観点から、第三者評価の実施や大学評価情報の収集提供、評価の有効性等の調査研究推進するための第三者機関を、例えば大学共同利用機関、これはもう私立国立もみな参画するわけでありますが、大学共同利用機関と同様の位置づけの機関として設置することなどが提案されております。  また、学術審議会におきましては、昨年十二月に学術研究における評価のあり方について建議がなされたところでございますが、大学審議会の中間まとめを踏まえまして、大学研究評価、特に第三者機関による研究面の評価について検討を行っているところでございます。  その第三者評価を行う、評価の目的というものをちょっと申し上げますと、まず第一に、多様な観点から第三者評価により評価結果を各大学にフィードバックをすることにより、各大学の自己点検、評価をより充実したものとして、教育研究活動の個性化や質的充実に向けた各大学の主体的な取り組みを支援、促進をすることでございます。  二番目に、また、研究教育機関としての特質を踏まえた適切な手法によりまして大学の諸活動の状況、学術、文化面での貢献度等を多面的に明らかにするとともに、各大学大学全体の教育研究活動の状況や成果をわかりやすく示し、公共的な機関として大学が設置、運営されていることについて広く国民の理解と支持を得ることができるようにしたいと思っております。  現在、大学審議会におきましては、中間まとめに対する各界からの御意見を踏まえまして、この秋の答申に向けて審議を重ねているところでございますが、この第三者機関の設置につきましては、中間まとめにおきましても「速やかな対応が望まれる。」とされているところでございます。  そこで、私といたしましても、長い間、大学はきちっと評価をすべきであると申していたことから、このような機関をつくったらどうかと考えております。また、大学評価を真に大学研究教育の質の向上や個性化につなげていくためには、広く社会が行っている民間評価を含めた大学評価充実が必要であると思っております。この点、栗本先生のおっしゃられたとおりでございます。  文部省といたしましては、大学の自己点検・評価充実をさらに図り、民間によって行われているさまざまな評価とも相まって第三者機関による評価を実施することにより、多元的な評価システムを確立し、我が国高等教育、これは私学も含めて、国公私立全体を含めまして、我が国高等教育全体の質的充実が図られることが重要であると私は考えております。そのための必要な条件整備に努めてまいりたいと思っております。
  9. 栗本慎一郎

    栗本委員 大臣、大丈夫ですから、もうお読みにならないで今後も御返答いただいても。大臣の方が頭がいいのですから、大臣のところの官僚よりも。そういうふうに自信を持っていただきたいのですが、時間がありまぜんので、最後に申し上げておきます。  今のお話であれば、民間のいろいろなのも入れるけれども、基本的に国である、それがだめなんですね。私は申し上げておきます。私が、議員としてでなく民間大学人としての面もまだ持っているのですが、大学評価をしているときに感じることは、ああいうやつに本当のことを言われたら困ると。もう言ってしまいますが、ちゃんと国として地方国立大学を位置づけておいてくれないと困っちゃうじゃないかという声が非常に強いのですね。そういう位置づけにならないようにしていただきたい。  イギリスじゃないのに日本でやるのは、それはもっと踏み込んで、民間評価も取り入れて。それを軸にしてやるのならいいです。まさにPFIですよ。そうじゃなくて、これまで実質、偏差値とか、過去の出身というか母体の格付からスタートして、だから実は給料という点では格付があるのですよね、国立大学大臣は、総長として多分某地方国立大学の学長さんより高い給料をもらっていたと思います。それがいいことなのか悪いことなのか私はよくわかりません。大臣ならいいと思うのですけれども、ほかの人はいけないのじゃないかと思います。そういったものがこういったところに反映したりしないようにしていただきたいし、もともと行革会議で第三者機関の評価をしろと言ったのは、もう言ってしまいますと、地方国立大学などは、一言で言うと、マーケットの信認を得てないのじゃないか。そういうことで、お時間でございますので、申しわけございません。その辺を十分留意していたたかないと、それが、文部省がつくることになると、文部省的なこれまでのいきさつのものをもう一度まとめるというふうなことに、その機関になったりするのではないかと非常に心配しておりますので、そうじゃないようにしていただくようにお願い申し上げまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  10. 小川元

    小川委員長 次に、奥山茂彦君。
  11. 奥山茂彦

    ○奥山委員 私は、栗本先生の後で、また自由民主党として、教育改革と入試のあり方、これは高校あるいは大学のことも両方含めましてお尋ねをしてまいりたいと思います。私も、最高学府の学長を務められた有馬先生に、また中教審の会長を務められた有馬先生に対してこのような機会が与えられて、本当に文教委員に入ってよかったなと思っております。ひとつよろしくお願いします。文部大臣は、戦後、二十一世紀我が国教育の改革ということで、教育改革の答申案をずっと審議されまして、昨年の六月二十六日に第二次の答申まで出されたわけであります。そして、これ までずっと審議される立場から、今度は文部大臣としてこれをまた実施する立場に立たれたわけであります。  この答申の中で要約されて、戦後五十数年の我が国教育が、識字率が世界一になったということがありますし、理科、数学等の理数の方の国際比較は極めて高い、このような戦後の評価ということになっておる反面、戦後の教育が画一的で単線的な内容、また一方において、応用力が極めて弱し、こういうことになるわけであります。  これまで中教審会長として日本教育をずっと見てこられたその立場から、現在の教育というものをどのように、その成果を評価されながら、また認識をされておられるか、冒頭にまずお尋ねを申し上げたいと思います。
  12. 有馬朗人

    有馬国務大臣 今奥山先生の御指摘のとおり、日本教育、特に初中教育は決して悪くなかったと思っております。それはやはり、御指摘のように、識字率が世界で一番高いとか、数学や理科に関する中学校の子供たちの成績が世界で第三位を占めているというふうなことで、一方においては極めてすぐれた面を持っております。しかしながら、他方で、これも今先生御指摘のように、応用問題が非常に弱い。これは何も初中教育の問題だけではなく、国民全体が明らかに応用力において弱いというところがあります。それは心配をしているところでございます。  それからもう一つ、私が非常に心配しておりますことは、今いい方をまず先生に従いまして申し上げ、また問題点先生に従って申し上げたのですけれども、やはり心の教育という問題が一つ大きく浮かび上がってきていると思います。特に、その原因はいろいろあると思いますが、子供たちが少なくなったこと、それから、はっきり言って大人が非常に倫理観が低下してきている、こういうふうな問題がございまして、子供たちにもそれが反映している。この心の教育は何とかしなければいかぬ。特にお父さん、お母さん、家庭がしっかりと子供たち教育してくださるようにしていただきたいと思っております。  こういう点、本来、国がそもそも家庭問題まで入るべきではないと私は思っているのですが、この際あえて、子供たち教育に関してお父さん、お母さん、特にお父さんの活躍を期待したいと思っています。  それとまた、学校と協力いたしまして、地域社会がより一層子供たち教育、特に遊びを推進するとか、安全な遊び場所を提供するとか、あるいは、悪いことは悪いとはっきり地域社会子供たちに対して教えてくれる、いいことはいいというふうに褒めてくれる、こういうふうなことを今後やっていかなければならないと思っております。  これが私の教育に関する基本的な考えでございます。
  13. 奥山茂彦

    ○奥山委員 今大臣は、特に心の教育ということが非常に心配だということでありますけれども、それもまた後ほど機会があったら論議をさせてもらいたいと思いますが、私はここで、戦後の入試体制に非常に問題があったのでなかろうかと思うわけであります。  私も、現場でPTAの活動をして、中学あるいは小学校先生方とよく接触しておる中で、先生方も非常に忙しいということをおっしゃるわけであります。私は、これは口癖かいなというふうに思っておりましたけれども、現実には、見てみると非常に忙しい。それから生徒の方も、学校の勉強も忙しいし、また学習塾も忙しいということで、その忙しさの原因というものは、結局受験に臨まなければならぬ、こういうことになっておるわけであります。  この間も子供に聞きますと、期末テスト、中間テスト、場合によっては一週間に一回テストをやられるということもあるわけでありますから、常に子供も忙しい思いをして、何か締めつけられる、ような思いで学校に通っているわけであります。そして、子供たちが言うことは、今の勉強はおもしろくない、このようなことを言う子供が非常に多いわけでありまして、かえって学習塾に行く方か好きなことをどんどんやらせてくれる、こういうふうなこともいろいろ言われておるわけであります。  そこで、学校の現場に非常にゆとりがなくなったということがいろいろ言われておるわけでありますが、もろもろの問題は、進学するためには、現代の入試という関門をやはりどうしても、通っていかなければならぬ。しかも入試はペーパーテストが中心でありますから、そのペーパーテストの結果生まれた偏差値によって子供の進路が決められてしまう。このような体制が戦後でき上がっておるわけでありまして、これが、学校はもちろんのこと、親も社会も、こういうことを経てきて初めて進学する子が評価される、そのようなことになっておるわけでありますので、このような入試体制というものを大臣はどのようにこれから改革をされていかれるのか、あるいはこれがよかったのか悪かったのかということも含めましてお尋ねをしたいのです。
  14. 有馬朗人

    有馬国務大臣 お答え申し上げます。  まず、奥山先生ただいま御指摘のことで私も極めて同感なことは、先生も子供もみんな忙し過ぎる、そういう印象がございます。そこで、直接大学入試の問題にお答えする前に申し上げておきたいと思いますが、ゆとりを子供たちそして先生たちに持たさなければならないという強い気持ちから、学校完全週五日制を二〇〇二年より導入するということにさせていただくことにいたしました。このことによって、土日が休みになる、そして、そこで子供も、お父さんお母さんも、先生も少しゆとりができることを私は願っているわけであります。  しかし、おっしゃるように、問題の一つは、子供たちの中には学校がおもしろくないというふうな気持ちを持つ子供たちがおりまして、不登校が極めて多くなってきたということに関しましては、私も大変心配をいたしているところでございます。学校で知識的なことばかり教えるということがしばしば御指摘になられるわけでありますが、しかし私は、やはり基礎、基本は、最低限の知識は身につけてもらわないとだめだと思っています。その基礎、基本という型、教育でもあるいは芸術でもそうだと思いますが、こり型はやはり身につけてもらいたいと思っております。  さてそこで、入試に関する私の考え方を申し上げます。  入試の問題については、非常に長い間私どもも真剣に議論を積み重ねているところでございます。率直に、最終的な結論がそれじゃ理想的かとお聞きになられれば、私はまだ理想的なものになっていないと思っております。  現に昨年の、私も会長としてこれの作成に参画いたしましたけれども、中央教育審議会第二次答申におきましては、基本的にはやはり子供たちの個性の尊重ということを考えたい、そして大学の入試におきまして過度の受験競争の緩和を図るということが極めて重要であると考えておりまして、御指摘のとおり、学力の偏重、偏差値に偏るというふうなことは避けたい、これは何としてでも避けたいということでございまして、選抜方法、尺度などの多様化を図っていきたいと提言をいたしております。  例えば、最近世の中を騒がせたというか、新聞等々をにぎわせましたアドミッションオフィスをつくったらどうかというふうなこと、大学においてアドミッションオフィスを置いて一年じゅう入試のことを考える、試験というよりも、どういういい学生をとったらいいかということを検討するというような機関をつくったらどうかなどという提案もいたしました。  それから、近年は随分大学も努力をしておりまして、個々の大学の試験を見てみますと、学科試験だけではなくなってまいりました。多くの大学で、面接を行う、それから小論文の実施を行う、さらにまた推薦入学を採用するというふうなことで、極めて各大学も努力をしてまいりまして、かつてのように単に成績がよければ入るというようなことではなくなってまいりました。  大学入試の改善は常にそういうふうによりよい方法を求めて不断に努力をいたしておりますので、今後もまた各大学に対しまして、個性的な、多様な入試を一層推進するようにということを指導してまいりたいと思います。  そして、要は、大学での学習に対して意欲を持つ子供たち、熱意を持つ子供たちを何とか探したい。入試でなくても入試でもよろしいのですが、いい学生を選んで、そして、その次に大学の使命というのは、やはりその子供たち、その学生たちをすぐれた人間として育てていくことだと思っております。もう一つまだ十分でないところがございますので、特に高等学校と大学との接続のあり方につきましては、今後も幅広い検討を視野に入れながら、その具体的な改善方策についてさらに検討をさせていただきたいと思っております。  ただ、私の心配を一つ申し上げますと、いかに入学試験を変えてもやはりどこかには競争が残る、それを社会がどう受けとめていかれるかということが一つ大きな問題だと私は思っております。
  15. 奥山茂彦

    ○奥山委員 今大臣からいろいろ改革の方向についてお伺いしたわけであります。  現場でも改革の努力が始まっていろいろな試みがなされているわけでありまして、一つは、さきの国会でも通りましたけれども、中高一貫教育に対する挑戦ですか、さらにまた、この間文教委員会で見てまいりましたけれども、千葉大学の飛び入学の問題とか、いろいろな試みが今始まっておるようであります。ところが、公立高校というのは、父兄の認識あるいは現場の先生方の認識等もなかなか変わってこないわけであります。  私はこの際、特に高校なんかが中心と考えていきたいと思うのですが、大学もまた考えてもらいたいのですけれども、原則としてペーパーテストはやはりやめていくべきでなかろうかというふうに思うわけでありまして、じゃ、それにかわる評価の方法は、一つは、それは従来から行われている学校の担任の内申書ですか、こういうものは当然やはり何らかの形で残していかなければならないであろうと思います。  しかしまた一方において、生徒会の活動とかあるいはクラブ活動、また場合によっては学校時代、在学時代のボランティアの活動とか、そういうものも何らかの形でその評価の対象に入れていくべきでなかろうかと思いますし、その体験談というのはみずから生徒自身に書かせるということが必要でなかろうかと思います。  それから、これまで学校ばかりでありましたけれども地域とか社会でその子供がどういうふうな活動をしておるか、生活をしておるか、例えば家庭協力とか地域協力とか、こういうものをどういう形でしておるかということも、やはりこれは何らかの形で評価の中に入れていくべきでなかろうか。  あるいは、子供たちの将来への思いですね、今の子供たちはなかなか夢がないということがいろいろ言われておるわけでありますから、やはり夢を自分たちでみずから持つという努力も子供たちにさせなければならないわけでありますから、そういうことも考慮していく必要があるかと思います。  また一方において、学校の方もどういう子供たちを入れたいかということを選択できる、受け入れ側のやはり立場もある程度はこれから尊重していくべきでなかろうかと思います。公教育といえども、みんなが同じレベルとかあるいは同じ内容の学校ということではなくして、公の学校でもいろいろな学校があっていいんじゃないかというふうに思いますので、いかがでしょうか、そういう点では。
  16. 有馬朗人

    有馬国務大臣 中央教育審議会でも、随分ただいま御指摘になられましたような方法を考えてまいりました。それぞれすぐれた面と問題点があるように思います。  しかし、御指摘のとおり、内申書を活用する、生徒会、ボランティア等々の活動を評価する、それから、家庭協力の結果どうなったかというようなことについて自己申告をさせる、これは私も気がつかなかったことでございますが、こういうことはぜひともやるべきだと思っております。  子供たちが夢を持つようにするという努力は、私も絶対しなきゃいけないと思っておりますが、こういうふうなことと、中学から高等学校に進学していく際の入学試験とどう結びつけるかということが極めて難しい問題であろうかと思いますが、先生の御指摘につきましては、より一層考えさせていただきたいと思っております。
  17. 奥山茂彦

    ○奥山委員 もう時間がありません、最後にもう一つだけ。  これは御指摘ということになるかと思うのですが、入試が済みましてその結果が発表されますと、特に高校入試の場合を取り上げますと、どこにもかからなかった生徒、どこにも入学できなかった生徒というのは必ず生まれてくるわけでありまして、先生方が、どうしてその子供をどこの学校に入れるかということで、もう最後の段階まで走り回っておられるわけであります。まことにそういう先生を見て気の毒だなと思いながらも、やはり頑張ってもらわなければならぬのでありますけれども、こういう生徒は、無理やりにどこかの学校へ入れましても、高校へ進学しますと、一年か二年の段階で、そのまま登校拒否をするような生徒もかなりたくさんその中から出てくるわけでありますし、途中でもう退学をしてしまうというようなことで、無理に入れるということも、またこれはかなり問題があるわけであります。  しかし、その段階で入れるか入れないかという話をするのじゃなくして、高校への進学体制の中でそういう子供たちを無理に高校へ送り込むということも、これはやはり問題があるのじゃなかろうかと思いますので、そういう点の対応がやはり今の教育現場では十分できておらない実態がありますので、そういう点についても、ひとつ十分これから御考慮していただきたい。  以上のことで、ひとつまたよろしくお願いを申し上げたいと思います。特に受験体制は、私はもり早急に改革していただくべきでなかろうかと思います。以上で終わります。どうもありがとうございました。
  18. 小川元

    小川委員長 次に、下村博文君。
  19. 下村博文

    ○下村委員 下村でございます。有馬文部大臣におかれましては、今まで東京大学の学長をされ、また中教審の会長を二期された、歴代の文部大臣の中でも最も教育のエキスパート、専門の方が文部大臣になられたことでありまして、大変に歓迎を申し上げたいと思いますし、またぜひそのキャリアを生かして、これから大臣として御活躍をしていただきたいというふうに思います。ただ、最近、文部大臣、歴代ずっとそうですけれども、一年弱ぐらいの就任期間ということで、有馬大臣の場合はもっと長くされることもあるかと思いますが、いずれにしても、平均しますと一年弱ですから、任期の中でしょうと思ってもなかなか限られているというふうに思いますが、しかし、そういう経歴からして、ぜひ文部大臣としての大なる実績をつくっていただきたいというふうに思います。そういう中で、限られた時間ですが、幾つかポイントだけお話をお聞きしたいというふうに思います。  一つ教育改革でありますけれども、橋本前総理のもとで、六つの改革の一つとして教育改革を掲げておりました。これは有馬文部大臣の今までのお立場からしても、あるいは現在からしても、せひ継続をし、またこれについてはさらに強化していただきたいというふうに思います。  先ほどお話もございましたが、来年度概算要求で、私学教育減税であるとか、あるいは奨学金制度においても十万人という大幅な要求をしているということは、大変にこれはすばらしいことであるというふうに思います。ぜひ大臣としても、その先頭に立って、この一〇〇%実現のため に努力をしていただきたいというふうに思いますが、そういう中での教育改革ということで、我々自民党の中でもこの教育改革についてはいろいろな議論がございました。  その中で、一般的に、私自身が思っていることでもあるし、また党内でも言われたことでもあるのですが、橋本内閣のときの教育改革というのは、これは教育制度改革であって、それぞれ必要な部分はありますが、しかしこの改革がそれぞれ実現の方向に行ったからといって今の日本教育の本質的な、例えばいじめの問題とか登校拒否の問題とか、そういう心の病の問題を解決するところまでメスが入っているような教育改革にはまだなっていない。そういう意味では、これからいかに本格的にこの改革に着手するかというそのスタートとしての教育改革だろうから、これに本格的にもっとメスを入れていくことは必要であるというふうに思うのですね。  その辺で、一般論で言えば、今まで中教審の会長というお立場からも、あるいは先ほど申し上げた一年近くという文部大臣という任期の中で、私はぜひこの教育改革についてはもっともっと、今までの不足部分は何だったのか、それから、さらにこれから強化していく部分は何なのかということを有馬大臣の就任中に、まさにこれについては明確にしていただきたいというのがまず一点ございます。これについてはいかがでございましょうか。
  20. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私といたしましても、先ほど申し上げましたように、心の教育という点で大いに、特に初中教育を改革していきたいと思っております。  もちろん、今御指摘のように、制度論、例えば中高一貫をどうするかというようなことは、法律をつくっていただきまして大変ありがとうございましたが、そういう制度論の問題もございますけれども、より本質的には、ただいま御指摘のように、子供たちが喜んで学校に行く、そして先生たちも余裕を持って、よく伸びていく子に対してはより進んだ教育を、そしてゆっくりと、私はよく大器晩成と言っておりますが、ゆっくりとしか理解できない、しかし逆に、ゆっくり教えれば極めてよく理解するような子供たちには丁寧な教育を行うというふうなことで、教育の仕方についても検討していきたいと思っております。  それから、もう既に予算要求に入っておりますが、心の教室というふうなものをつくりたい、そこには心の教育の指導者を置く、カウンセラーなどをふやしまして子供たちの悩みに対応できるようにしたい、こういうふうに思っております。  現在のところ、あらゆる手段でもって学校を楽しくする、それからまた、子供たちが喜んでいろいろ相談ができるような仕掛けをつくっていきたい、そして先生たちもまた、余裕を持って十分子供たちに対して教育が行えるような環境をつくっていきたいと考えております。
  21. 下村博文

    ○下村委員 それからもう一点、教育改革の中でもっとこれからぜひ力を入れていただきたいということの中で生涯学習がございます。これについては文部省でも大分力を入れ始めておりますけれども我が国がこれから教育立国として、やはり人材がある意味では唯一の財産であるわけですから、これからぜひ、大学までとかいう対象の年齢だけで学問が終わりということでなく、もう人生すべてが学習であるということに対して、意欲があり、またそれについて能力を磨こうという人たちをずっと受け入れていけるようなそういう体制、システムをいかに早くきちっとつくるかどうかということは大変に重要なことであるというふうに思います。  そういう中で、今まで発想のなかった、先ほど申し上げました、例えば私学教育減税とかそういう切り方のメスを入れることによって私学助成とは違う形で機会均等を図っていく。同じように、生涯学習という視点からも、さらに多くの方々が経済的なことで学ぶことができないということがないように、できるだけ生涯学習については、減税であるとか助成であるとか、何らかの行政的な力を入れていく、そういう姿勢を文部省としてもさらに明確にする必要があるのではないかというふうに考えておりますが、この生涯学習のさらなる拡充について、大臣としてはどのようにお考えでございましょうか。
  22. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私も生涯学習は極めて重要であると思っております。  現実に社会の様子を見てみますと、随分高年齢の人々が勉強意欲に燃えていまして、カルチャーブームというふうなことがございます。そういう意味で、ぜひともこの生涯学習を推進していくべきだと思っています。  そのためには、大学社会人に開放する。大学社会人を受け入れる場合には奨学金の問題などが起こってまいりますが、この点に関しましては、既に、社会人であっても奨学金が受けられる、正規の学生になれば奨学金が受けられるようになっていると思います。それ以外にも、さまざまな方策で生涯学習を推進していきたいと考えております。  その方策につきまして、もし細かいことがお知りになりたければまた申し上げますけれども、ともかく文部省といたしまして生涯学習は極めて重要である、特に、このように一方で少子化、一方で高齢化社会が発生しておりますから、この際は生涯学習を徹底的によくしていかなければならないと思います。  このことはまた、先ほどの御質問に関係してまいりますが、大学や高等学校の入学試験に対してもいい影響を与えていくと思います。ゆっくりと勉強すれば十分勉強できるんだというふうな社会にしていくことが、広い意味で一番大切なことであろうと思っております。
  23. 下村博文

    ○下村委員 今大臣がお触れになりましたように、生涯学習ということでは、大学の公開講座等を開くことによって一般の方々にもっと大学を大衆化するといいますか、オープン化する、そういう場所が既にあるわけですから、活用するということが大切だというふうに思います。  また、今お話がございました入学試験の問題ですね。これは端的な例として、大臣が学長をされておりました東京大学、これをどんなふうに改革をしていくかということが、ある意味では日本教育改革に対して文部大臣としてどういう姿勢で臨むのかということにもなるのではないかと私は思いますので、ぜひこの期間の中で東大改革というのを考えていただきたいというふうに私は思うのですね。  その中の一つとして公開講座というのがございます。これは調べてみましたら、今公開講座を開いている大学が五百二十五校ございます。国立大学だけですと九十六校ですが、七十七万人の方が既に大学の公開講座を受講されているということでありますが、ところが、東大の公開講座を調べてみますと、受講者は四千八百十九人で、多いようですけれども実際は大した数ではないのですね。講座数も三十三講座。  私の選挙区は東京の板橋でございまして、そこには淑徳大学という大学があるのですが、電車の車内広告の中に、公開講座はこういうのをしますよというのを常にPRをしているわけですね。そうすると、ああ、地元の大学でこんなことをしているのかなというふうに思うのですけれども、私自身は東大が公開講座をしていることさえ存じ上げておりませんでしたし、PRもどの程度しているのかちょっと疑問ですけれども、少なくとも電車の広告はしていないというふうに思うのですね。一般マスコミを通じた広告もしていないでしょうし、講座数そのものも少ない。  しかし、東京大学というのは、ほかの大学国立私立大学に比べても大変に恵まれている環境の中にあるわけですから、これをもっと十二分に生かすということが、そして、非常に大衆化した開かれた大学としてつくっていくという、イメージづくりとしても大切ではないかというふうに思いますが、この東京大学の公開講座の現状については、大臣としてはどのように御感想をお持ちでしょうか。 に努力をしていただきたいというふうに思いますが、そういう中での教育改革ということで、我々自民党の中でもこの教育改革についてはいろいろな議論がございました。  その中で、一般的に、私自身が思っていることでもあるし、また党内でも言われたことでもあるのですが、橋本内閣のときの教育改革というのは、これは教育制度改革であって、それぞれ必要な部分はありますが、しかしこの改革がそれぞれ実現の方向に行ったからといって今の日本教育の本質的な、例えばいじめの問題とか登校拒否の問題とか、そういう心の病の問題を解決するところまでメスが入っているような教育改革にはまだなっていない。そういう意味では、これからいかに本格的にこの改革に着手するかというそのスタートとしての教育改革だろうから、これに本格的にもっとメスを入れていくことは必要であるというふうに思うのですね。  その辺で、一般論で言えば、今まで中教審の会長というお立場からも、あるいは先ほど申し上げた一年近くという文部大臣という任期の中で、私はぜひこの教育改革についてはもっともっと、今までの不足部分は何だったのか、それから、さらにこれから強化していく部分は何なのかということを有馬大臣の就任中に、まさにこれについては明確にしていただきたいというのがまず一点ございます。これについてはいかがでございましょうか。
  24. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私といたしましても、先ほど申し上げましたように、心の教育という点で大いに、特に初中教育を改革していきたいと思っております。  もちろん、今御指摘のように、制度論、例えば中高一貫をどうするかというようなことは、法律をつくっていただきまして大変ありがとうございましたが、そういう制度論の問題もございますけれども、より本質的には、ただいま御指摘のように、子供たちが喜んで学校に行く、そして先生たちも余裕を持って、よく伸びていく子に対してはより進んだ教育を、そしてゆっくりと、私はよく大器晩成と言っておりますが、ゆっくりとしか理解できない、しかし逆に、ゆっくり教えれば極めてよく理解するような子供たちには丁寧な教育を行うというふうなことで、教育の仕方についても検討していきたいと思っております。  それから、もう既に予算要求に入っておりますが、心の教室というふうなものをつくりたい、そこには心の教育の指導者を置く、カウンセラーなどをふやしまして子供たちの悩みに対応できるようにしたい、こういうふうに思っております。  現在のところ、あらゆる手段でもって学校を楽しくする、それからまた、子供たちが喜んでいろいろ相談ができるような仕掛けをつくっていきたい、そして先生たちもまた、余裕を持って十分子供たちに対して教育が行えるような環境をつくっていきたいと考えております。
  25. 下村博文

    ○下村委員 それからもう一点、教育改革の中でもっとこれからぜひ力を入れていただきたいということの中で生涯学習がございます。これについては文部省でも大分力を入れ始めておりますけれども我が国がこれから教育立国として、やはり人材がある意味では唯一の財産であるわけですから、これからぜひ、大学までとかいう対象の年齢だけで学問が終わりということでなく、もう人生すべてが学習であるということに対して、意欲があり、またそれについて能力を磨こうという人たちをずっと受け入れていけるようなそういう体制、システムをいかに早くきちっとつくるかどうかということは大変に重要なことであるというふうに思います。  そういう中で、今まで発想のなかった、先ほど申し上げました、例えば私学教育減税とかそういう切り方のメスを入れることによって私学助成とは違う形で機会均等を図っていく。同じように、生涯学習という視点からも、さらに多くの方々が経済的なことで学ぶことができないということがないように、できるだけ生涯学習については、減税であるとか助成であるとか、何らかの行政的な力を入れていく、そういう姿勢を文部省としてもさらに明確にする必要があるのではないかというふうに考えておりますが、この生涯学習のさらなる拡充について、大臣としてはどのようにお考えでございましょうか。
  26. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私も生涯学習は極めて重要であると思っております。  現実に社会の様子を見てみますと、随分高年齢の人々が勉強意欲に燃えていまして、カルチャーブームというふうなことがございます。そういう意味で、ぜひともこの生涯学習を推進していくべきだと思っています。  そのためには、大学社会人に開放する。大学社会人を受け入れる場合には奨学金の問題などが起こってまいりますが、この点に関しましては、既に、社会人であっても奨学金が受けられる、正規の学生になれば奨学金が受けられるようになっていると思います。それ以外にも、さまざまな方策で生涯学習を推進していきたいと考えております。  その方策につきまして、もし細かいことがお知りになりたければまた申し上げますけれども、ともかく文部省といたしまして生涯学習は極めて重要である、特に、このように一方で少子化、一方で高齢化社会が発生しておりますから、この際は生涯学習を徹底的によくしていかなければならないと思います。  このことはまた、先ほどの御質問に関係してまいりますが、大学や高等学校の入学試験に対してもいい影響を与えていくと思います。ゆっくりと勉強すれば十分勉強できるんだというふうな社会にしていくことが、広い意味で一番大切なことであろうと思っております。
  27. 下村博文

    ○下村委員 今大臣がお触れになりましたように、生涯学習ということでは、大学の公開講座等を開くことによって一般の方々にもっと大学を大衆化するといいますか、オープン化する、そういう場所が既にあるわけですから、活用するということが大切だというふうに思います。  また、今お話がございました入学試験の問題ですね。これは端的な例として、大臣が学長をされておりました東京大学、これをどんなふうに改革をしていくかということが、ある意味では日本教育改革に対して文部大臣としてどういう姿勢で臨むのかということにもなるのではないかと私は思いますので、ぜひこの期間の中で東大改革というのを考えていただきたいというふうに私は思うのですね。  その中の一つとして公開講座というのがございます。これは調べてみましたら、今公開講座を開いている大学が五百二十五校ございます。国立大学だけですと九十六校ですが、七十七万人の方が既に大学の公開講座を受講されているということでありますが、ところが、東大の公開講座を調べてみますと、受講者は四千八百十九人で、多いようですけれども実際は大した数ではないのですね。講座数も三十三講座。  私の選挙区は東京の板橋でございまして、そこには淑徳大学という大学があるのですが、電車の車内広告の中に、公開講座はこういうのをしますよというのを常にPRをしているわけですね。そうすると、ああ、地元の大学でこんなことをしているのかなというふうに思うのですけれども、私自身は東大が公開講座をしていることさえ存じ上げておりませんでしたし、PRもどの程度しているのかちょっと疑問ですけれども、少なくとも電車の広告はしていないというふうに思うのですね。一般マスコミを通じた広告もしていないでしょうし、講座数そのものも少ない。  しかし、東京大学というのは、ほかの大学国立私立大学に比べても大変に恵まれている環境の中にあるわけですから、これをもっと十二分に生かすということが、そして、非常に大衆化した開かれた大学としてつくっていくという、イメージづくりとしても大切ではないかというふうに思いますが、この東京大学の公開講座の現状については、大臣としてはどのように御感想をお持ちでしょうか。 ております。個性に応じて教育をするという意味では、過度な公平原則というのは少し是正していかなければならないかと思っております。     〔委員長退席、栗原(裕)委員長代理着席〕
  28. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 ありがとうございます。  教育の基本というのは、人生をいかに生きるべきかというところに本質的な問題があると私は思うわけでありまして、本来であれば、それぞれ人は、機会は均等であるかもしれないが、能力はまさに平等であるということは基本的には考えられないと私は思っております。そういった意味におきましても、今後の教育のあり方として、伸ばすべきものは伸ばしていこう、また落ちこぼれた場合にはそれを受け皿としてどういうふうにしていくのか、こういったシステムをつくっていくことが大事ではないかというふうに私は思うわけであります。  その中で、特に、今までが知育偏重の教育とよく言われるわけであります。この知育偏重の結果、識字率が逆に高くなったり理数系の問題がかなり成績がいいという結果があったと思うのですが、ところが、やはり問題点も、今あったように、応用力がない、自分で考える力がない、自主的、自律的な判断に乏しい、こういった点があろうかと思うのですが、それではそれをどういう形で解消していくかということで、やはり一つの問題があると思います。  この点を考えていったときに、まず私は、やはりもう少し体験学習を多く学習の中に取り入れるべきではないかなというふうに思っておるわけでございます。  現実に、中教審におきましても、そしてまた総務庁でやっております、次代を担う青少年について考える有識者会議というものが本年四月に答申を出されておりますが、その中にも「自然体験、生活体験の重視」というような項目もございます。こういった項目とともに、中教審の中でも、「地域の行事に子どもたちをもっと参加させよう」とひ「会社や工場での子どもたちの見学・体験活動を広げよう」、こういった答申がなされております。  その中で興味のあることは、これは中教審のに出ているのですけれども、「社会に出ることへの意欲」という調査でありましたけれども、この調査を見ますと、仕事を持って社会で活躍するのが楽しみだというような答えをしたのが五〇%以下ですね。生計を立てるために仕方ないから社会へ出て働くんだという意識が大部分というような回答があります。本当にこういうことでいいのでしょうか。  これをやはりもう一度見詰め直す必要があるということで、実は、こういった体験学習を各地でどのような形で実践しているか、私はできるだけ地元を歩いてまいりました。運動会または文化祭とかそういったところに、なるべく地元の学校に行って、体験学習をどのようにやっているのですかというようなお話を聞かせていただいておったのですが、これまた幸いなことに、私の母校であります松戸の第一中学校というところが職場体験学習実施計画というのを、これは計画でありますけれども、既に実施しております。この内容についていささかちょっと触れさせていただきたいというふうに思います。  この松戸第一中学校で実施した職場体験学習の目的は、実際に働く経験を通して、働く人たちの喜びや苦労、意義を実感させるというようなものが大きな意味であります。そして、その実施時期は夏休み中の二日間でありました。対象の学年は二年生です。体験学習の内容でありますけれども、二名から四名のグループにして、各事業所で実際の作業を行ったということであります。  その結果、各事業所からのアンケート調査もいただいておりますし、その体験学習をした子供たちの感想文もここにあります。若干その辺の、実際にやった子供たちの体験の一端をちょっとお知らせしたいというふうに思います。  体験した事業者はそれぞれいろんな事業者がありますが、ちなみに、公的機関もあります。それから福祉関係がございます。商業関係、医療関係、交通関係、農業、工業、サービス、自由業と、それぞれの分野に職場体験で参加をしております。  そうした中で、終わった後に感想文をいただいておりますので、一、二、参考までにお話しさせていただきます。「人は何のために働くのか?」この質問に対する答えは、人により様々です。職場体験学習を終えた今、人は何のために働いているのだと思いますか。という問いかけがあります。それに関して生徒の方から、  難しい……答えはいくらでもあると思いますが、今回職場体験をして考えてみると、二つ感じました。一つは、働かないと暮らしていけません。もう一つは、他人(人)のためです。  わたしがいってきた事業所を例にとると、他人の介護をしたり、世話をしたり……です。そうすることで相手の力になり、そして自分の気持ちも満足することでしょう。総合的に言うと、人は豊かになるために働くんだと思います。それは、お金の事も入るけど、何より、心を豊かにします。例えば、家族のために働けば、家族に何かしてあげたり、買ってあげたりして、家族が幸せでお礼を言ってくれようものなら、その人の心は、とっても豊かだと思います。自分が直接感じていなくても、お店で物を売ってあげれば自分の利益だけでなく、相手も喜ぶし、結局のところ、それは自分の豊かさに結び付いできます。働く事は、そうやってぐるぐる回っていくものだと思います。もう一つあります。  私は、たくさんの人が一生懸命働いて、みんなやる気まんまんでやっていたのを身近に見  て、なんてすごいんだと思った。こんなにつらそうな仕事を、明るくやっていて、とても尊敬してしまいました。  普段なにげなく安心して行っていたスーパーは、そこで働いているたくさんの人が、裏で頑張っていることも知りました。「みんなのために……」と誰もが思っていると考えてしまうような活気にあふれた場所だった。「一人一人がコツコツ働いて、私たちがいつも安心していけるような店を作り上げていっているんだなあ」と実感しました。  今回の職場体験学習は、初めて知った事もたくさんあったけど、職場のみなさんが明るく迎えてくれたり、教えてくれたりして、とてもうれしかったです。このすばらしい体験を、将来私が大人になった時に、役立てていきたいです。というように、この子供たちは、初めて触れることに、その感動を忘れないわけです。人間の心の中にしっかりと刻み込まれた原風景というものは、大人になっても、そして老後になっても忘れないものだというふうに思うわけでありまして、こういった体験学習をすることの重要性というのは、まさに大臣、当然おわかりだというふうに思うわけであります。  さらに、この体験学習をして大変だったなというふうに思うのは、わずか二日間の体験学習のために、二カ月前から準備をしているということなんですね。それは、学校の先生がまず動きます、そして子どもたちが次に動く、と同時に学校は家庭に対してへ今度こういった職場体験を実施しますから参加を促してくださいというような形で、学校と家庭、そして学校と事業所が緊密な連携をとってこういった授業が行われるということであります。  そして、さらにすばらしいと思ったのは、実際に職場体験を受け入れた事業所からのアンケートもそこに加えられております。その中で一、二、ちょっと時間の関係で申しわけございませんけれども、また紹介させていただきます。  今回の職場体験学習は、私たち現場の者にも、とても逆刺激になりました。看護の原点の振り返りになりました。来年度からも是非、も う少し日数があれば身をもって体験できると思います。受け入ればいつでも良いです。もう一つございます。  暑い中での農作業は、子どもたちには大変な仕事だったと思います。良く頑張りました。大根の種蒔きをしましたので、秋には子どもたちに収穫させてあげたいと思います。というように、私は、この一つの体験学習を通じて、学校と家庭と地域がまさに一体となった、連携した教育が行われているのではないかというふうに実感させていただいたわけでございます。こういった意味におきまして、ぜひともこの体験学習というものの重要性を今後ますます地域の学校に知らしていただきたいと思うわけでありまして、この点について、大臣の方の御所見をお伺いしたいと思います。     〔栗原(裕)委員長代理退席、委員長着席〕
  29. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私も、体験学習は極めて重要だと思っております。職業体験であるとか企業体験、あるいはまた農業などに直接従事してみる、こういう体験は極めて大切だと思っております。これはやはり、単に小中高だけではなくて、大学でも同じでございまして、大学にもそういう職業体験をさせるべきだと私は常々主張している次第でございます。  ですから、中教審でもこの点非常に強く主張したことでございまして、これからの子供たちに必要な生きる力、すなわち、自分で判断し、自分で問題をつくり、自分で解いていく、あるいは自然が美しいと思う、隣人愛を持つ、こういうふうな倫理観の養成、そういうすべての点、これが生きる力でございますが、こういうすべての点の養成の上で、渡辺先生御指摘の職業体験や企業体験あるいは社会体験はやはり極めて重要なことと思っておりまして、今後ともこの方針を強く打ち出してまいりたいと思っております。  五日制を導入するということを中教審で決めました場合に、さまざまな御批判がありまして、その戸の一つが、地域社会はまだとてもその子供たちを土日受け入れるくらい成長していないというような御指摘がありましたけれども、今渡辺先生お調べいただきましたように、地域社会が急激に今子供たち教育に向かって開かれつつあります。そのことを大変喜んでいる次第でございます。
  30. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 大臣のそういった意向をぜひ酌まれて、文部省の方もしっかりやっていただきたいわけであります。  実は、文部省の方でこういった体験学習を推進するということで、平成九年、十年、十一年度中学校進路指導総合改善事業実施要項というものがございます。九年から実施したわけでございますので、全国で五十七のモデル校を指定しているそうでございますが、こういったモデル校を指定しても、結果としてどういう形でなされたかということをやはりしっかりと挙げてもらいたい。さらには、やはり情報を交換していくことが大事だというふうに思います。いいことはどんどん進めていくことが必要だと思うのですね。  とかくこの世の中というのは、悪いことですとどんどんまた広まっていきますけれども、いいこともどんどん進めていくようにしていかなければならないと思いますので、そういった意味ではこれからますます体験学習の重要性というものは深まると思いますので、文部省としてもし。かりとこの辺を踏まえてやっていっていただきたいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。  終わります。
  31. 小川元

    小川委員長 次に、山元勉君。
  32. 山元勉

    ○山元委員 民主党の山元でございます。  私は、感慨深い思いで質問をさせていただくわけです。今まで私は、有馬大臣は、日本教育最高の権威をお持ちといいますか、そういう見識を持った方だというふうに思ってきましたし、そして、たびたび触れさせていただきましたけれども日本教育の将来についてどのようにあるべきか描こうという情熱や努力をお持ちでございました。そして特に、中教審の会長として長い間日本教育についての提言や発言あるいは行政に対する発言を繰り返して重ねてこられた。現に、去年の五月だったと思いますが、大学教育について参考人としてこの委員会に来ていただいて、私も質問をさせていただきました。そのときには小杉文部大臣でしたし、佐田政務次官でした。これもまた感慨ですけれども。  そういう有馬さんが中教審答申を今度は受け取る側になられた。国民の、有識者の発言を受けとめる側になられた。いわゆる文部行政の最高責任者になられたわけです。行政の最高責任者に今度はなられたわけです。私は、選挙に出られたときにも驚きました、党派は云々しませんけれども。そして大臣になられた。これまた驚きました。  そこで最初に、答申をつくってこられた、あるいは行政に対して発言をしてこられた有馬さんが、大臣として現実にこれからどういうふうにその理想なり提言を実現していこうとされているのか。大変難しい時期にあるわけですけれども、私どもは、教育現場を知っている大臣、こういうことで熱い期待をしたいというふうに考えているんですが、そういう意味での今の御存念といいますか御決意を伺わせていただきたいと思います。
  33. 有馬朗人

    有馬国務大臣 御指摘のように、今まで専ら要求ばかりしてまいりました人間が要求される側に回ってまいりまして、多少の戸惑いかないわけではございませんが、しかしながら、その要求が、例えば中央教育審議会の答申というふうなものの持っている内容がどういうものであったかということは、自分自身が参画してかなり考えたことでございますので、その中で、実現が容易なもの、難しそうなもの、それぞれに対してある程度の予備知識は持っていると考えております。  それに従いまして具体的に申しますと、中央教育審議会の答申を受け取ってそれをどう実行していくかということについて、現在具体的に、例えば予算化するにはどうしたらいいかとか、あるいは日限、すなわち年次計画をどういうふうにしていったらいいかなどについて一生懸命検討させていただいているところでございます。いずれにいたしましても、大変責任を感じておりますし、これは大変なことだと思いながら日夜精進させていただいております。
  34. 山元勉

    ○山元委員 そこで、今少し具体的なものも出ましたけれども日本教育を高い水準に改革をしていくといいますか、そういう努力をしていただくわけですが、大臣、今そういうことで幾つかの問題があろうと思います。有馬会長と言ったらおかしいですけれども、そういう今までの理想を実現していくのに、文部大臣になって何でもできるとは言いませんけれども、一番の険路といいますかネックといいますか、何がこれからのそういう高めていく障害になろう、こういうふうにお考えでしょうか。
  35. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私が一番心配をしておりますことは、やはり子供たちが健全に育つということであります。何とかして子供たちが喜んで学校に行き、そして、先ほどお話に出ましたが、心の教育、すなわち、個々の人がみずから考え、みずから問題を見つけ、みずから解決していくというような知、徳、体の知の部分、それから徳、体に対しましては、隣人愛を持つとか思いやりの心を持つとか、あるいはしっかりした倫理観を持つという徳、それからさらにまた、自然を美しいと思う、芸術を美しく思うというようなそういう力、そして健康、こういう徳及び体の備わった子供たちを生み出していきたい。このためにどうしたらいいか、具体的に今既に不登校が非常に多くなっている、これをどう解決していくか、こういうふうなことで今大いに考えているところでございますが、いずれにいたしましても、こういう問題は中央教育審議会で随分議論を積み重ねております。特に幼児期からの心の教育のあり方ということにつきまして、現在中間まとめの段階でありますが、もうすぐこれの最終答申が出てくると私は考えております。その答申、提案に基づきまして今後幾つかのことをやらせていただきたいと思っています。  まず第一は、子供たちに、ゆとりの中で先ほど申しました生きる力をはぐくむ。まず、多少ゆとりを持たしてやらなければ、せっかく勉強したことを自分のものにすることができません。そういう余裕を持たせたい。ゆとりを持たせた中で生きる力をはぐくむことを目指して、正義感とか倫理観、思いやりの心など、そういう豊かな人間性をもはぐくむ心の教育充実させていただきたいと思います。  それから、先ほども触れましたけれども、これまでの行き過ぎた平等心は少し是正をして、子供たちがその個性に応じて多様な選択ができるような学校制度を実現していきたい、あるいは、教育地方分権を進めるとともに、主体性のある学校運営など現場の自主性、自立性を尊重していきたい、こういうふうに考えておりまして、こういうことをまず最初に具体的に実行するべく努力をさせていただきたいと思っております。幾つかの答申の中でまずできるところから手がけてまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、答申の趣旨を踏まえました教育改革の実現に最大限の努力をさせていただきたいと思っております。
  36. 山元勉

    ○山元委員 私がお尋ねをしたところと少しずれているんですが、私は、今大臣がおっしゃったような教育を実現していくためにはどういうようなネックがありますかということ、例えば、予算の問題だとか制度の問題だとか大人の状態だとかいろいろあるだろうというふうに思ったのですが、これはもう時間がありませんから。  私、解決すべき課題というのはたくさんある。例えば、教育の内容の問題だとか、あるいはシステムの問題だとか、あるいは予算のありようだとかいろいろの問題があるだろうと思うんですが、その中できょうは、私、時間もありませんから、一つの問題、教職員の配置の問題ですね。  今大臣がおっしゃるように、何回も心の教育という言葉を今の短い時間でもお使いになりましたけれども、そういうことを進めていくためにも、私は、設備だとかあるいは地域の協力だとか幾つかの条件はありますけれども一つ取り上げたいのは、教育の現場での職員のありようです。  第一次の中教審答申、これは有馬会長が提出をされた分なんですが、これは嫌みで言っているわけじゃないんですよ。有馬会長がおっしゃっているわけですけれども、こういう記述があるわけです。個に応じた教育をこれまで以上に推進していくためには、各学校において、学習集団の規模を小さくしたり、指導方法の柔軟な工夫改善を促したり、さらには、中学校、高等学校での選択履修の拡大を図っていくことができるよう、人的な条件整備を一層進めることが必要である。今後、教員配置の改善を進めるに当たっては、当面、当面です、教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みの水準に近づけることを目指してこうおつしゃつている。私は的を射ていると思うんですね。去年私もヨーロッパ各国をずっと回ってそういう状況を見てきましたけれども、四十人学級というような国はありませんよ。ですから、この中教審答申の指摘というのは的を射ていると思うんですね。  来週出される答申にどういうふうに触れられているのか関心がありますけれども、この思いですね、大臣、御見解を承りたいんですが。
  37. 有馬朗人

    有馬国務大臣 ありがとうございます。  その前に一つ訂正をさせていただきます。  さっきの幼児期からの心の教育のあり方という点の答申は、もう既に六月三十日に出ております。先ほどそのうちに出るというふうに申し上げたのは、地方教育行政に関する答申でございます。これが少しおくれて出てくるかと思います。そこを訂正させていただきます。  確かに、私は第一次答申で強く教員数の充実ということを要請いたしました。現在、中央教育審議会におきまして、先ほど申しましたように、地方教育行政のあり方について審議がされておりまして、二十一日に答申が出てまいります予定でございます。  御指摘の教員一人当たりの児童生徒数につきましては、欧米諸国並みにということを希望いたしましたが、現在の段階では、初等教育では、日本は十九・九、アメリカは十九、ドイツは十八・二、イギリスは二十二・四となっているということで、まあまあ実際運用の上ではかなりいい線になっているかと思っております。今のは初等教育でございます。中等教育ではその水準に近づいてはきておりますが、なお欧米諸国並みの水準に近づけることを目指して改善を図ることを私の最重要な課題であると認識しております。予算の問題がございますので、なかなかつらいところでございます。  現在、中央教育審議会においては、このような教職員定数等の課題とは別途、できる限り学校の実情に応じた学級編制や教職員の配置が行えるようにするという観点から、学級編制の基準や教職員定数の弾力的な運用について議論が行われ、答申がなされると聞いております。  文部省といたしましては、提言事項について、教育委員関係者や学校関係者等の理解を得ながら答申の趣旨を積極的に推進してまいりたいと思っております。
  38. 山元勉

    ○山元委員 この答申が出された明くる年ですね、財革法が通って第六次の改善計画が二年先延ばしになってしまって、だんとペースが落ちたわけです。非常に残念でしたけれども、ぜひそれを取り返す、そういう御努力をまずお願いしておきたいと思います。  それから、今も大臣触れられましたけれども、最近の新聞報道で盛んにいろいろと、地方教育行政小委員会がまとめていかれることが報道されています。私、大変心配しているのです。今大臣もお述べになりましたけれども、例えば四十人学級を弾力化する、こう言うのですね。それではこの教員定数をふやすのかといったら、それはふやさないのだ、工夫しなさいと。荒れた学校へ荒れていない学校から人を、それはないと思う。何が欧米並みだというふうに思いますよ。   ですから、私は、こういう工夫をするということを出してくるよりも、絶対数としての一人の持ち数、あるいは学級定員四十人、このことに問題があるのだということを、地方教育行政小委員会だったら地方の実態を踏まえて私はまとめていただきたいなというふうに思うのです。どうでしょうか。  これは、今欧米並みというのにこだわるつもりはありませんけれども、この答申を行政としてそうですねと言って受け取られるわけですか。どういう見解をお持ちですか。これはまとめてきたというふうに、合意したとかそういう記事になっていますから、文部省承知をしていらっしゃるだろうと思うのですが、いかがですか。
  39. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 大臣のお答えの前に、少し事務当局として簡単に御説明させていただきます。  第一次答申にもございましたように、欧米並みの水準にするという点につきましては、現在の小委員会におきましても、そういった議論の前提のもとにおきまして、それとは一つ別の議論として、もう少し現場で学級編制や教職員定数を弾力的に使う、そういった工夫をしてはどうかという新しい提言という形で御議論をされているものと承知いたしておりますので、御理解いただきたいと存じます。
  40. 山元勉

    ○山元委員 時間が少ないですから、それについて私は、そのことが今の状況を解決することには何にもならぬとは言いませんけれども、これはまずありきではないということを申し上げておきたいと思います。   それからもう一つ、今度は、九月になったら「先生「かけ持ち」」という大きな記事が出たわけですね。小虫局等学校、行ったり来たり先生はするんだ、こういうわけです。美術や音楽や体育だとか数学だとか書いてあるわけです。私は滋賀ですが、田舎の部分があってそういうのはありまし たよ。ここにも書いてありますけれども、「山間部など一部でやむをえず行われてきた措置だが、」とあります。これを今、日本教育の実態に合わせて工夫だということに私はならぬと思うのですよ。  実際に子供たちや今の学校の状況でいうと、先生があいている時間、できるだけ近くにいて、目と目を合わす、心が通うような、行をともにするというような時間が要るわけです。先生、授業を終わったらだあっと山の向こう側の学校へ行っているんだ、あしたはこっち来はるんだというような先生をつくることは、今までの時代、そういう教員免許の問題やなんかがあって工夫をされてきた部分はあるけれども、この中教審の小委員会が「提言する方針を固めた。」と記事になっているのですが、私は、悲しい思いがしますよ、これは。大臣、どうですか、これ。
  41. 有馬朗人

    有馬国務大臣 ケース・バイ・ケースだと思うのですね。  例えば、仮に総合的学習の時間というものが導入され、その使い方はいろいろ各学校に任されておりますが、例えばそれにおいて音楽を教えるあるいは語学を教えるというふうな場合に、音楽の先生を隣の高等学校から呼ぶとか英語のネーティブの人をお願いする、こういうのは今のように学校から学校に移るというようなことはかなり有効に活用ができるかと思っています。  ですけれども子供たちに密着していかなければならない人々を、今のようにあちらからこちらというふうに併任することは必ずしもいいことではないと判断をしております。  なお、ちょっと訂正を。先ほど初等教育では日本を十九・九と申し上げたかもしれませんが、十九・五人でございます。これが正しい数字でございますので、間違ったことをおわびいたします。
  42. 山元勉

    ○山元委員 この小委員会から提言が出てくるかもしれません。けれども、先ほど申し上げましたようなかけ持ちだとか、あるいは工夫してよろしいのですよ、ここは四十三人でここは三十五人でいいのですよと、それが文部省の行政指導や一つの工夫だというようなことにならぬようにしていただきたいとぜひお願いをしておきたいと思います。  それから、そういう現場についてはもう少し申し上げますが、私の地元に滋賀県立大学があるのですが、そこの先生らのグループが、去年小中学校の教員千八百人、京都と滋賀の先生の調査をした。この調査をしたというのは先生の悩みの実態の調査なんですが、欧米の一つの基準を当てはめてやったら、燃え尽き症候群という言葉があるわけですが、ストレスに限界が来て、そして糸が切れたように働く意欲を失ってしまうとか不眠になるとか、教師のいろいろな心の症状を言う。燃え尽き症候群というのはわかる言葉だと思うのですが、京都、滋賀で約三割の教員が燃え尽き症候群と言えると、欧米の物差しで言うと。大阪の先生三千人では、四分の一近くが燃え尽き症候群だ、こういう研究があるわけですね。  私は、先ほどから申し上げていますように、教員の配置の問題で、日本教育は大きな思いを持っているというふうに思っているわけですけれども、このような事態が進んでいるというふうに私は思います。一時期の問題でなしに、進んでいるという認識を持たなければならぬと思うのですが、大臣の御見解を承りたいと思います。  文部省の方にお伺いしたいのですが、こういう実態の調査、文部省はいろいろ子供のことについて調査していらっしゃるけれども、教職員の勤務の実態あるいは精神的な状態の実態というのは調査されているのですか。
  43. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 御指摘のような具体的な調査ということについては、残念ながら、文部省としては承知いたしておりません。  ただ、教員の病気休職等の一般的な状況につきましては、統計資料として、これまでの推移等を見守りながら、各都道府県教育委員会に適切な人事管理等をお願いするようにしているところでございます。
  44. 有馬朗人

    有馬国務大臣 一つ私が心配しておることは、教職員の人が忙し過ぎると言われていることでございますね。その忙し過ぎるということをどうしたら是正できるだろうかということに非常に心を痛めているところでございます。その一つの方策が、週完全五日制を導入することによって、土日はゆっくり先生方は休んでいただきたい、あるいは自分でやりたいことをやっていただきたいと思っているわけです。ですから、二〇〇二年以降は土日が休みになるというあたりで、少し休養をとる時間、勉強する時間ができるかと思っております。  いずれにしても、教員が心身ともにまずは健康でいていただかないことには、子供たち教育の上で困りますので、先生たちが心身ともに健康を維持して生徒諸君の教育に携われるようにしたいと思っております。そういう点で、教育委員会とか校長先生とかが日ごろから各教員の方たちの健康状態に目を配って、必要に応じて専門家とも連携を図るなど、教員個々の人の健康の保持、増進に意を使うことが重要ではないかと考えております。  文部省といたしまして、この点では非常に心配をしておりまして、常に教員の心の健康問題について教育委員会や校長による適切な指導が行われるようお願いをしているところでございます。そういうことについて、都道府県教育委員会等々に対しまして助言をしたりしておりまして、今後とも、各種の研修会とかしかるべき機会を使いまして、この教員の方たちの心の健康をより一層よくするよう努力をさせていただきたいと思っております。
  45. 山元勉

    ○山元委員 これは、大臣もいつもおっしゃる、あるいは日本教育の課題かもしれませんが、大きな課題ですが、心の教育ということであれば、これはやはり心も健全な教職員あるいは学校の雰囲気でなければできるはずがないと思うのですよね。夫婦げんかしておっていい子供は育たぬとよく言いますけれども、学校の先生がぎすぎすしておったのでは、あるいは心に悩みを持っておったのでは、今局長は、うちは休職なんかは調査していると。それは極限の人ですよ。  ですから、大臣、この実態調査を、教育委員会で調べたからといって、うちの先生三割燃え尽き症候群ですなんて報告しませんよ。学校の先生にやはり直接それぞれのアンケート、実態調査をして、何を求めているのか、それはサボろうという気持ちで言うものではなしに、本当に教師みずからが豊かな心、ゆとりのある心でそういう心の教育をしたいと望んでいるわけですから、実態調査をぜひしてほしいと思うのですが、いかがですか、文部省
  46. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 御指摘ではございますけれども、教員の人事、服務管理につきましては、基本的には、それぞれ都道府県あるいは市町村がすべて責任を持って管理をする。そういった意味で、学校経営上、校長あるいは教育委員会が、教職員の健康管理を含めながら、どうやってやる気を出していくか、大変重要なことでございます。  私ども、いろいろなこういった調査あるいは統計数値等からあらわれているさまざまな問題点というものにつきましては常に留意をしながら、各都道府県教育委員会等につきましても、御相談をしながら、具体的な人事管理を進めていただくようお願いをしているところでございますので、文部省が一括的にこういった状況を調査していくことは極めて難しいことであろうと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  47. 山元勉

    ○山元委員 それは学校は、設置者はどこ、任命権者はどこ、服務監督権者はどこと決まっている。けれども、今、心の教育では日本教育はこうあるべきだという方針を出していく文部省がそのことを知らないで、実際に生々しいものをつかまないで改革をしていこうなり、あるいは心の教育を実現していこうということについては、私は難しいと思うのです。そういう立場からも、きっちりとした実態把握をぜひ工夫してほしい。手を突っ込んでいってということでは決してならぬと いうふうに思いますから。  それから、時間が余りありませんけれども、これも私の地元の大学先生の小論文ですけれども、余り詳しくは言えませんけれども、クリントン大統領が、今いろいろの渦の中にいらっしゃいますけれども、ことしの一般教書の中で、アメリカにとって最も優先度の高い問題は教育である、今教育の時代だと改めて鮮明に打ち出して、よい教師が少人数クラスで教えることが大事だ、十万人の教師を採用して、二十二人の現在の学級定員を十八人まで削減して生徒指導を徹底させるという思い切った提案を行った、こう書いてある。  この一月ごろ日本は、子供たちの殺傷事件だとかそういうことで非常に荒れている状況があったのですけれども、そのときに文部省は、一人一人についての観察と指導を一層きめ細かくすることが肝要であるという指導はされたけれども、だからどうだということについては全然なかったわけですね。  私は、クリントン大統領のこの認識というのは非常に正しいというふうに思うのです。この小論文にも書いてあるのですけれども日本の義務教育の学級編制基準が四十人であると説明しても容易に信じてもらえない。フォーティーと聞いて、それはフォーティーンの間違いではないかという質問さえ大まじめに出てくる。日本がまさか四十人ということは理解できないわけ、ヨーロッパの人にとっては。そういう状況になっている。  EUは十二人というのを提案している。日本は四十人にしてから既に、標準定数を改正してから十八年目になるんですか、十九年目になるんですか、四十人というのがずっと二十年近く続いているわけです。この状況というのはやはり変えなければいかぬというふうに思うのです。大臣、いかがですか。これは欧米並みというと、EUは十二人だ、アメリカは十八人だ、こうなるのですが、いかがですか。
  48. 有馬朗人

    有馬国務大臣 一つ、現在予算要求等々で努力をしておりますことは、教職員をいきなりふやすということの前に、特に心の教育という問題において、カウンセラーを少しふやすとか、あるいは心の教室の指導員をふやす、そういう点の努力はさせていただいております。  もちろん、クラスの数が、生徒の数が、適正規模がどこかという問題はございますけれども、御指摘の点は私も重々承知しておりまして、生徒対先生の比を欧米並みに近づけようという努力をさせていただきたいと思っております。  予算の問題がございますので、直ちにそういう方向に向かうということは極めて難しいと思いますが、現在、あえてもう一度繰り返しますと、教員一人当たりの児童数という観点から比較いたしますと、米国は十九・〇人、日本は十九・五人まで近づいてきているということを御報告いたしておきます。
  49. 山元勉

    ○山元委員 それは一つ数字であって、実態をあらわしている数字ではないと私は思うのですよ。四十人、三十九人の学級が一組、二組、三組、ずっと並んでいる実態というのは大変な状況だ。僻地やそういうところで、確かに二十人の学級も、あるいは複式をやっている学校もあるわけですから、そういうのを調べるとそうなるのです。  最後になりますけれども、今まで申し上げてきましたような条件からいうと、答申をいよいよ受け取って、本当日本の文部行政をつかさどっていかれる大臣ですが、私はやはり、ひとつ日本教育史に残るような大臣になってもらいたいわけですよ。  心の教育というのは随分と大臣から聞きました。けれども、あのときにやはり学級定員三十人ということを、子供を、本当に心と心が、心の教育といっても、心、心よと粘土細工みたいにこうしてやるものと違うのだと思うのですね。目と目、心と心が通い合う中で心の教育ができるのだと思うのです。その条件は、第一はやはり教職員をふやしていって、教職員が山を越えてばたばたするようなことにならないように、そういう、日本教育を救うためと言ったらおかしいですけれども、三十人学級というのはヨーロッパに近づくまず第一歩だ。できたらクリントンが言うように十八人を目指したいということを、もう大臣わかりましたよと言われるくらいに三十人学級の旗を上げていただきたいと思うのですが、これをやってもらったら日本教育史に残りますよ。いかがですか。
  50. 有馬朗人

    有馬国務大臣 いきなり御要望のところまでなかなかいかないのですね。ですけれども、現在の改善計画をともかく平成十二年度までに完成させていただきたい、これを最大の努力の目標にまずはさせていただきたいと思っております。
  51. 山元勉

    ○山元委員 いや、これでは私も大臣に言い続けますよ。ぜひそのことについては、先ほどから何回も東大という言葉がありましたけれども、津々浦々の各府県の学校を一つでも幾つでもいいですから行って、教職員の声を聞いてください、子供が遊んでいる姿を見てください。そこの中でやはり私は三十人という旗が立ててもらえるだろう、こういうふうに期待をいたします。  時間が来ましたけれども、同僚議員にちょっと時間をいただいて、予定をしておりました質問について全体を一問だけにしてですが、この間、国連の子どもの権利委員会で日本に対する総括所見が出ました。これはやりとりがあって、日本の子供の権利状態はこうなんだという報告に対する総括的な意見だとかあるいは提言、勧告が出たわけです。一体これをどういうふうに受けとめられるのか。  六月の初めに日本に来ているわけですが、ここの中ではいろいろ注文がされているわけです。今までのやりとりだとかあるいは勧告だとか、そういうものについて刊行物にして周知をしなさいとか、あるいは具体的な事項について結果を公表しなさいとか、検討結果を報告しなさいとかいう注文といいますか勧告が出ているわけです。それについて一向に聞こえてこないわけですが、一体この国連の子どもの権利委員会の提言、勧告、所見をどのように受けとめられてこれから対応をしていかれるのか。  一つはその周知の問題です。そして一つは、こういうふうに国連で言われていますということは、ぜひ国会に報告、少なくとも委員会に報告をして、これは委員長にお願いをしておきたいのですが、これは日本子供たちの国際レベルでの権利の状態の問題ですから、ぜひここで論議をして、そして施策を立てていく、つくっていくということが大事なんだろうというふうに思うのです。このことについては大変たくさんのNGOの皆さんの発言もございますから、そういうものもしっかり受けとめて、ただ単に国連とのやりとりだったということにならないようにぜひしてほしい、それだけの値打ちのあるものだというふうに思うのです。  そういうことで、ひとつ、周知の問題だとか、あるいは検討のやりようだとか、あるいは委員会でということを質問したかったのですけれども、時間がありませんから、担当の方からまとめて。
  52. 工藤智規

    ○工藤政府委員 御指摘の件は、平成六年に発効いたしました児童の権利に関する条約のレビューという形で出されたわけでございますが、六月五日に採択されました提案、勧告につきましては、既に先生も御案内のとおり、同日にジュネーブで公表、公開されているところでございます。  これは、私ども文部省関係ではございませんで、政府全体、いろいろな役所に絡んでいるわけでございますので、その取り扱いについてどうするかというのは外務省が一義的に御判断される話ではございますが、少なくともここで御指摘されておりますいろいろなこと、例えば児童の権利に関する条約の広報でございますとか研修や教育充実でございますとか、あるいは障害児の対策、子供たちの自殺とかエイズ防止策でございますとか、不登校に対する対応でございますとか、いろいろ御指摘されている件につきましては、かねてから、御承知のように、条約の発効に伴って私ども次官通知を発して周知の徹底を図ったり、ある いは今申し上げたような諸問題についての対応、私どもことしの夏の概算要求の取りまとめにおきましても文部省の大きな柱の一つとして心の教育充実ということをうたっているわけでございますが、そういう子供たちの健やかな発展と権利の保全につきまして、これまで以上にさらに取り組んでまいりたいと思っているわけでございます。
  53. 山元勉

    ○山元委員 終わりますが、確かに国連の問題、法務省だとか外務省だとかいろいろの関連があることは承知をしています。けれども、子供の一番の責任を持つのはどこやといったら文部省であり、この委員会だというふうに思いますよ。  実際にこの勧告の中に、例えば、たくさんなんですが、競争の激しい教育制度日本に存在すること、並びにその結果としての子供の身体的及び精神的健康に悪影響が生じていることを踏まえ、こういう勧告が書いてあるわけです。ずけずけ書いてあるわけですね。さあどう受けとめるんだということについては、私は場所を改めて論議をすべきだというふうに思いますし、そうでないならそうでないと言えばいいわけですけれども、ぜひこのことについては文部省がしっかりとした対応をしていただくようにお願いをして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  54. 小川元

    小川委員長 次に、藤村修君。
  55. 藤村修

    ○藤村委員 民主党の藤村修でございます。  有馬大臣には大変御苦労さまでございますが、同僚委員ともども期待をしておりますので、歴史に残る仕事をぜひお願い申し上げたいと思います。  私の方は、少し具体的な話といたしまして、つい先ごろ、八月の下旬でしたか、各新聞に、トップに出たところもあります。これは朝日新聞ですが、「医・歯学部の募集削減 二-三年で各二百人近く 来春入試、五校三十人 文部省方針」、こんな見出しがある記事を、来年医学部、歯学部を目指す学生たちが見たときには、うっと胸を締めつけられるような思いがしたのではないかな、そんな気がいたします。   それはそれなりに理由があることのようで、「「将来の医師余りを防ぎたい」とする厚生省の意向を受けた措置」、こういうことでございますので、きょうはこの点についてはちょっと厚生省にも来ていただいてお話を順に伺いますが、まず、有馬文部大臣最初に基本的なあるいは一般的な話としてお伺いしたいのは、高等教育というものが、日本専門家、理系でいいますと医師とか歯科医師とかあるいは技術者とか薬剤師、科学者、有馬大臣は科学者でございますが、この中では国家資格があるものも幾つかあるわけですが、こういうものを我々高等教育の中で、やはり将来の日本のため、あるいは人類社会のために育てる、養成する、こういうことであると思います。  今、時代は高齢化時代あるいは高齢社会ということで、そういう資格を持った人あるいはそういう科学者たちも年齢が相当長寿になってきております。高くなっております。これをある年齢で、例えば七十歳なら七十歳でそういう専門職は終わりですとリタイアさせる、こういう政策というのは果たして妥当なのかどうか。一般論に近いですが、一応科学者とか理科系の話でとらえていただいて、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  56. 有馬朗人

    有馬国務大臣 大変難しい問題でございますが、少なくとも専門職というものをある年齢で、例えばお医者さんであるとか博士であるとか、それぞれそういうタイトルを年をとったから剥奪するということはもちろんできません。しかし、専門職がある機関に属していて、その機関としては定年制を導入しなきゃならないということがあると思いますね。ですから、例えば大学病院のお医者さんというのは、大学にもよりますが、東大ですと六十、京都ですと六十五、この定年は、これは若手を養成していく上でも必要であろうかと思います。  しかし、その人がしかるべき職を持っていて、そして例えば個人で仕事をしておられる、そういうときの専門職であれば、その人の能力に応じて別にリタイアする必要はないと思っております。それぞれの人の年齢に応じた力だと思います。
  57. 藤村修

    ○藤村委員 私もそのように思います。  それで今、一つの問題としては、医・歯学部の募集削減からスタートしまして、それが将来の医師とか歯科医師の需給バランス、こういうものに影響されて来年の入学定員の削減という話になるわけですが、そもそも医学部とか歯学部、お医者さん、歯医者さん、医者というものは本当に年齢で定年をつけるようなものではない、需給バランスを考えるときにどうもそういう議論も一部あるようでありますが、そう思います。  ヒポクラテスの言葉に、アート・イズ・ロング、ライフ・イズ・ショート、これは私は、芸術を学ぶには人生は余りに短いというふうに解していたら、いや、そうじゃない。最近、お医者さんから聞いたのです。これは、医術を学ぶに人生は余りに短いという言葉のようであります。  今や高齢化時代で、患者さんも高齢化している。その中で、やはり同じ世代なりそれに近い、痛みのわかるお医者さんたちというのも非常にこれは頼りがいが出てくるし、あるいは、例えば地域、特に過疎地などで一人しかお医者さんがいない、それで何歳で定年だと言われたら、これは大変なことになります。  そういう意味では、そういう専門職に法律で例えば定年を設けるなど、全部に網をかけるようなことは絶対できないと思います。いろいろな機関で働いている者が定年、これはいわゆる労働契約の問題でありますので、また話は全く違うのだろうと思います。  そこで、その医師について、需給の問題が出ましたので、これはことしの五月に、医師の需給に関する検討会、それから同じく歯科医師の需給に関する検討会も並行して行われて、報告書が同じく五月に出ております。  例えば、医師については、二〇一七年ごろから供給医師数が必要医師数を上回り、二〇二〇年には六千人ぐらい、二〇二五年には一万四千人ぐらいの医師が過剰となりそうだ、その後もまたそれがふえていく。それから、歯科医師につきましても、二〇〇五年以降は供給が需要を上回って、二〇二五年には九千人から一万八千人程度歯医者さんが過剰になるという推計があります。  また、これらの推計に基づいて、今後の需給の適正化のためには、一つ大学の入学定員の削減、それから一つは、国家試験がありますので、ここでの合格基準の変更も含めて抜本的改善をしたらどうか、それから三つ目には、入学者選抜の改善、厳正な進級や卒業認定、適切な進路変更などによりの削減、こんなことが言われているのですが、歯科医師の需給に関する検討会の方でもう一つ、ちょっと違ったものがありまして、高齢歯科医師が急増していくことから、高齢歯科医師の稼働停止が今後の歯科医師の需給対策において極めて重要であることを強調したいという報告書の一文がございました。  これは歯科医師の定年制に踏み込んだ考え方ではないかなと受け取れるのですが、果たしてこれ、今活躍されている歯医者さんたちの総意というか支持があるのだろうか、あるいは医者と歯医者さんでそういうことがちょっと違っているのだろうかということを、これは厚生省の方でこの検討会をやっていらっしゃいますので、そちらの方にちょっとお尋ねしたいと思います。
  58. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 お答えを申し上げます。  まず、一般に医師といった場合に、お医者さんでも、基礎医学をやられて患者さんを診ないお医者さんから企業に勤めるお医者さんからいろいろあるわけですけれども、一般的に医師といった場合は臨床医のことが想定されますが、この報告書で言っている医師という場合、よく読まれて先生お気づきになったかもしれませんが、医師そのものの資格の問題と、もう一つは臨床として患者さんを診る保険医、今日本は皆保険制度になっていますから、保険医の登録をされた方々が保険医として診療をされるという、お医者さんにも、医師というものの上にまた保険医を取っていただくという仕組みになっております。  これは、厚生省の中、局が、所管が分かれておりまして、私の方の健康政策局が医師そのものの身分のこと、それから保険医の問題は、きょうは保険局長も参っていますので、そちらから答弁をさせていただきます。  そして、今先生が御質問の中でお話しされました本年五月の医師の需給に関する検討会では、医師の資格そのものに年齢制限を設けることは適当でない、こう書いてあります。それから、歯科医師の方では、高齢歯科医師の稼働停止を行うこと、それからもう一つ、入学定員の話がありまして、それらにより歯科医師の適正化を図るということが書いてあります。  その稼働停止の具体的な例として、一方策として保険医の定年制ということが書いてありまして、歯科医師についても、歯科医師の身分そのものを停止をするということについては両方の検討会とも書いていない、私はこのように判断すべきだと思っております。  その背景には、先生もおただしになられましたように、これは高齢化になられれば、お医者さんのその豊富な経験もふえてまいります。それからもう一つ、患者さんが高齢の方はやはり高齢の先生がいいとおっしゃられる場合も結構多いということもあります。それから、先生がおっしゃられましたように、僻地だとか特定の地域では高齢の先生じかいらっしゃらないところもあるということもありまして、医師、歯科医師のそのものの身分を停止させるということは厚生省では考えていないところであります。
  59. 藤村修

    ○藤村委員 人事異動の前で、この医師、歯科医師ともどもの需給に関する検討会に小林健康政策局長はそのとき多分出ておられないですね。五月に出た最後のときには前健政局長がたしか出ていらっしゃったかと思うのですね。  結局、歯科医師の方にそういう稼働停止という言葉が載ってきた、これはどんな経緯か私ちょっと聞いてみたり調べてみたのです。  そもそも去年の七月三十日に歯科の方は第一回目の検討会がスタートし、過去、多分八回やっているのですね。第五回の検討会、ことしの三月十一日ですけれども、このときに、将来の推計について、中位推計とか下位推計をするときに、例えば仮定として七十歳以上の稼働をゼロとする、ここで一つ稼働停止みたいな言葉が出てきた。  第六回の検討会、ことしの三月二十日ですけれども、この中でこんな発言があるのです。日本歯科医師会では、需給対策について基本的な方針を取りまとめたとして、保険医定年制の導入というのをこれは歯科医師会から言っているような記録があるのです。  それから、ことしの五月十九日の検討会では、適正化の施策として高齢歯科医師の稼働停止を加えること、これは座長発言であります。そして文案をどうまとめるかというふうな議題で、たった一時間で終わって、最後に健政局長があいさつされています。  つまり、何か割に最後のところで無理やり歯科医師の稼働停止を加えることというのが入って、それで報告書にもこれが出てきたのじゃないかと見られるのでありまして、今、健政局長の方は保険医の話もされましたが、そもそもこれは保険医とは違って、稼働停止、もうあなたは医療を行ってはいけませんというこの稼働停止ということは、もう一度答えていただきたいのですが、正しい政策なのかどうか。
  60. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 お答えを申し上げます。  私、この七月七日付で健康政策局長になりましたので、そのレポートをまとめられたときはほかの局を担当しておりまして詳しくは承知をしておりませんが、この文面で読む限り、稼働停止と書いてありますが、その後のところに、一考察として保険医から外れていただくということが提案されているということでございまして、歯科医師そのものの身分を停止をするということまでは言及していないもの、こう考えております。
  61. 藤村修

    ○藤村委員 それでは今度は、保険医の問題にかかわるのは保険局なんですが、保険医の定年制について、こういう若干の議論の中で、保険医としての定年制は歯科医師会が言っているのでしょうかということと、それから、この報告書を受けた厚生省として、政府として、保険医の定年制を設けるかどうかというのは今の時点でどう受けとめているか、お答え願いたいと思います。
  62. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘の今の観点につきましては、歯科医師会におきましては、その内部でそういう御議論があることは私ども承知をいたしておりますし、医療保険関係の医療保険審議会というのが、これは今はないのですけれども、そこからも実は平成八年六月にそういう提言がなされたこともございます。  私どもの受けとめといたしましても、やはり医療保険という側面で、医師の需給あるいは歯科医師の需給というのはやはり大事な視点だと思いますし、そういった中で定年制といったような話が出てくる、これは私どもとしても問題意識としては十分持っているのでございますけれども、一方におきまして、先生お話のございましたこととも関連をいたしますけれども、例えば、現実におきましては、高齢のお医者さんが地域医療で非常に大きな役割を果たしておられるという現実がまだある。そういったときに地域医療への影響というものをどう考えるか。さらに大きく言えば、職業選択を制限するというようなことになりはしないか。あるいは、さらに広く申し上げれば、高齢化社会における就業のあり方というようなことをも含めて、相当大きい、根深い問題があるということも一方においてございますので、そういった観点から、なかなか難しい問題だというふうに実は考えております。  したがいまして、早急に今どうこうという結論というところまではまいりませんけれども、今後、医師の養成数等の動向とかあるいは地域医療に与える影響、それから国民医療の医療あるいは医療費の動向といったようなことを総合的に踏まえまして、関係者とも十分協議をしながら慎重に検討するということに現段階では考えていきたいというふうに考えております。
  63. 藤村修

    ○藤村委員 医師の資格をやめさせる、これは健政局長の方で、それは今のところない。それから今保険局長の方は、定年制ということも今当然考えてないし、議論にはなっているけれども当面慎重である、こういうことであったと思います。  今、今後の需給の調整とか医療費の問題とかとおっしゃいましたが、そもそも、ひとつこの点だけは忘れていただきたくないのが憲法二十二条に規定される職業選択の自由、こういうことをやはり念頭に置いてこういう需給のバランスを考えていただかないといけないのです。つまり、専門職の年齢によるリタイアというものは、法律とかあるいは保険医に定年を設けるとかということにつながってこないと思うのですね。  では、何歳なのかという話になる。それから、一人一人でも違うじゃないかという話になる。これは、その機関で定年が設けられるのは労働契約の問題でありますが、保険医というのは、実は今や日本の医療を支えている、もう一〇〇%に近いお医者さんであり歯医者さんであるわけです。そういう人たちを一律に何歳でという話にはなってこないだろう。やはり憲法の二十二条を思い出していただきながら今後も議論をいただきたいな、そういうふうに希望しておきたいと思います。  そこで、いよいよ養成側の高等教育の問題になるわけですが、ちょっと私、歯科の方だけで進めたいと思うのですが、昭和二十五年から昭和三十九年ぐらいまでは国立て、要するに国が毎年百二十人程度の歯科医師養成というのを行ってきた。  その後、昭和四十年から五十五年にかけて、新設の歯科大を私立ても相当つくり、あるいは国立も含めた歯学部の入学定員の増員を行って飛躍的にふえてきまして、昭和五十五年では国公立て九百六十人になりました。私立ては二千四百人。だから、かつてからいえば三倍を超えるぐらいの入学定員をもって養成を始めた。昭和五十五年ぐらいまでですね。  ところが、その間の昭和四十八年に、医科大学等設置調査会というのが当時文部省の中に設けられたようです。その歯学部会で中間報告を出しています。昭和四十八年当時、近年、歯科大学、学部の増設が相次ぎ、歯科大学の数は、昭和三十八年に八校で入学定員八百四十人であったのに対し、昭和四十八年には二十三校で入学定員二千百八十人となっている、近い将来に十万人に五十人のいわゆる適正数とされているそこに達し、その後はまたふえていくというふうに、ある意味では警鐘を既に文部省の中の検討会というか調査会で鳴らしていたわけです。それが昭和四十八年。  ところが、その三年後、昭和五十一年の各大学の入学定員を見てみますと、東北大学で四十人を八十人に歯学部はしました。九州大学は四十人を六十人にしました。それから私立大学についてはもう軒並み二〇から三〇%、ずっとふやした。  四十八年のこういう警鐘が聞き届けられてなかったのかどうか、この辺のところは、当時の高等教育の特に入学定員の問題の決め方について何か問題はなかったか、このことはちょっと複雑ですから高等教育局長でも結構ですが、お答え願いたいと思います。
  64. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 我が国の場合、高等教育への進学希望というものが、経済的成長を背景とし、また個人の資質を高める、あるいは親の子供の教育への思いというようなことを背景にして非常に高まってまいったわけでございます。それを高等教育全体で受けとめるという施策を文部省としてとったわけでございまして、その際、国公私立大学全体がバランスよく拡大を図っていくという施策を一貫して、進学希望にこたえる、積極的に対応していくという観点からとってまいったわけでございます。その際に、やはり医・歯学部の問題につきましても、それらの需要というものを踏まえて、できるだけ積極的に対応するという観点から対処してまいったわけでございます。
  65. 藤村修

    ○藤村委員 私は、だからその考え方は間違いでないと思います。つまり、将来の需要がこうだから、だから今ここでこれだけ絞るとかあるいはえらくふやさないといけないとかという、余り需給に左右されないで、むしろ文部省は、教育の問題で、そういう分野を勉強したい学生がどれだけいるか。今でも医学部、歯学部というのは数倍の倍率で、受けたい人あるいはその道に進みたい人はたくさんいるわけです。そういう意味では、厚生省からこう言ってきたから、先ほどの記事ですが、来年は早速五校三十人減らすという判断でなしに、もうちょっと慎重に考えてもらいたいというのが実は正直なところであります。  特に、国立大学で、医学部ほどあるいは歯学部ほど私立と公立の格差、特に経済負担があるところはないわけです。ちょっと調べましたけれども私立の初年度納入金というのが、名前は言いませんが、割に高い方で初年度一千九十二万一千円かかるようです。私立てこれは一番安いのじゃないかと思われるのですが、初年度納入金八百八十万円。国立てしたら、これは七十四万四千二百円ですからね。だから、この格差というのは、もう金持ちしか行けないみたいな分野であります。そういう意味では国立を絞らないでほしいというのが実は正直なところであります。  つまり、将来の医師や歯科医師の需給バランスからの定員削減、こういうものを公私バランスよく国立もやるのですということで、つまり国公立の門戸を閉めることで本当にいいのかどうか、これは大臣お話を聞きたいと思います。
  66. 有馬朗人

    有馬国務大臣 率直に申し上げて、大変苦慮するところでございます。  おっしゃるように、入学金とか授業料の差が大きい、それから高等学校の学生の中には医学部、歯学部に行きたい人が随分いる、そういうさまざまな観点が複雑に絡み合っていてなかなか簡単に解決できないのですけれども、ただ、厚生省の方の御要望、日本医師会等々の御要望で、それから国としての方針も、これは具体的には平成九年六月の閣議決定及び本年五月の厚生省の医師、歯科医師の需給に関する検討会報告において、将来の過剰に対応して削減する必要があると指摘されております。これに対して一体どういうふうに文部省が対応していったらいいかということについて、大変苦労しているところでございます。  文部省では、これを踏まえまして、将来における国民の医療サービスに対する要求や適切な教育条件の確保等を総合的に勘案しながら、現在、二十一世紀医学・医療懇談会をつくりまして、そこにおいて、医学部、歯学部の入学定員のあり方を含めた医学教育、歯学教育のあり方について検討を行っております。  また、医師や歯科医師の育成につきましては、国公私立大学がそれぞれの立場から国民の要請にこたえてその役割を果たしているということを考えますと、医学部、歯学部の入学定員の削減につきましては国公私立大学の全体で対応すべきだと考えております。ですから、国立だけ減らすとか私学だけ減らすということではなく、調和を保ちつつ、国公私立大学全体で対応していこうと考えております。国公私立大学関係者に対しましても、検討してくれということを現在要請しているところでございます。  こういう点で、御指摘のことよくよくわかりますけれども、現在、慎重に、この懇談会の結論や関係者の検討結果等を踏まえまして、国公私立大学全体として適切に対応するよう努力をいたしたいと考えております。
  67. 藤村修

    ○藤村委員 かつて、さっきちょっと指摘いたしました昭和四十八年ごろに、将来の需給バランスからいえばということで警鐘は鳴らされていた。しかし五十一年に、特に私立部分で相当の増員を認めてきたのですね。だからこれは、今時点でいえば、この私立の、そのときにやや無理して増員を認めたところをまず減らすべきではないか。さっきの、学生の側からいって、あるいは医学の道に進みたい人からいって、国立の門戸が狭められるというのは、これは非常に痛いことであります。このことは悩ましいところだとおっしゃいますが、バランスバランスと言わないで、やはりこれは過去にこういう例があるわけですね、私学に相当だあっと出したという。それはそこでちょっと返してくれよ、こういう話にしないといけないかと私は指摘したいと思います。  それで、もう一件、これはむしろ有馬元中教審会長ということで、答申を幾つかいただいている中で、先ほどから話題にもなっておりますが、六月三十日に出てきた「幼児期からの心の教育の在り方について」の答申、これを見るときに、私は、大分過去の答申とは大きく変わっているようにも思いました。非常に評価をいたします。  中の書き方として、まず家庭というのが来ましたね、それから次に地域が来て、三番目に学校が来ている。つまり、きょうまでの教育というのはへ学校学校でややそれに偏重していた。前から言われているけれども地域や家庭というのを、それを家庭、地域、学校、こういう順番に並べてきたことは評価したいと思っています。  この中で、きょうは、地域社会における教育について、特に民間の力を生かした自然体験プログラムの提供やら、それから長期自然体験村というものについて提案がありまして、これはむしろお考えになった側であったのかもしれませんが、現時点で、この答申を受けて、今の自然体験プログラムの提供あるいは長期自然体験村についての文部大臣のお考えを伺いたいと思います。
  68. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私は、子供たちが積極的に田んぼや川で自然体験ができるようにすべきだと考えております。そういう意味で、今御指摘のように、これは心の教育の基礎であると考えております。やはり子供たちが自然に触れる、そして自然の美しさに驚くとかあるいは神秘性に触れるとか、そういうようなことはぜひともやらせていただきたいと思っているわけであります。  今日、特に都会の子供たちは自然体験が著しく不足していると言われておりますので、これを何とか解決したいということで、現在、生涯学習等々とも組んで、例えば、川で子供たちが遊べるようにするために他省庁、特に環境庁それから建 設省などのお力添えをいただきまして、川で子供たちが遊べるようにする。あるいは、田んぼにもつと子供たちが自由に行って、どじょっこふなっこ、トンボなどの自然に触れるというふうなことをいたしたいと考えている次第でございます。  地域社会も非常にこういうことに関しまして現在御協力してくださるようになりましたので、多分この自然体験ということのプログラムは大いに今後伸びていくのではないかと思います。
  69. 藤村修

    ○藤村委員 先ほど同僚委員質問で、職場体験も一つございました。私は、むしろ自然体験の方で伸ばしていただこうという提案であります。今大臣がおっしゃった子供のこと、ある調査では、千メートル以上の山に登った人はというと、半分以下だそうですね。屋外でテントで寝たことがある人は、これも半分以下らしいです。これは、やはり自然とか野外とかいうことの意味が非常に薄れてきて、これこそちょっと力を入れないといけないかと。  さらに、その際に、きょうまではどうもそれを学校教育に押しつけていた部分がありまして、例えば、いわゆる自然教室推進事業、これは去年度まで学校教育の方でやって、予算でいいますと、平成年度六億八千万円程度、ことしは、平成年度はゼロにした。これは、ゼロにしたら、やはり私どもの大阪でも市の教育関係者は、自然体験重視と言いながら補助を打ち切る国の姿勢はおかしいという、確かにそういう声も出てきます。  これに対して文部省は、約八割の都道府県に自然教室の類似事業があって、先駆的な役割は終えた、だから補助を打ち切ったと。そのかわり今度は学校教育でなしに社会教育の分野で力を入れていくのだという、これはこれで一つの方向だと思いますので、そうしていただきたい。つまり、学校引率型から、むしろ民間の力を非常に生かして、あるいは既存の施設でも自然でも山でも村でも活用させていただいてと、こういう方向に転換したらいかがかと思うのですが、この辺はいかがでしょうか。
  70. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私も大変賛成でございます。すべてを国がやる、あるいは地方自治体がすべてやるというのではなく、やはり民間の力を活用していくということが非常に重要だと思っております。  そういう点で、最近、地域社会が、大変育ってきたというとちょっと言い過ぎかもしれませんが、前よりもずっと子供たち教育に対して関心を持ってくださるようになったと思っております。この点に関しましては、さらに促進すべく努力をさせていただきたいと思います。
  71. 藤村修

    ○藤村委員 去年からの話を受けて文部省はことし、たしか試験的にやられたかと思うのですが、長期自然体験村、心の故郷村とかいう名称で試験プログラムをこの八月に行いました。一カ月間子供を、小学校高学年、中学生、親から一カ月間離して、一カ月キャンプですよね。これは異年齢の子供同士が自然の中で互いに切瑳琢磨する、そういう体験プログラムで、これは高く評価したいと思います。  私もここへ実は行ってきました。山梨県で国際自然大学校という民間の団体が行うこの事業に行ってきまして、具体的な話を聞くと、途中に一回参観日があって、親御さんが来られたら、別れるときに親の方がみんな泣き出して別れられない、親の子離れができていないということも発見したような、そんな体験だったようでございます。  これを来年度予算、今、概算では多分少し広げるような方向を組まれておりますのでぜひ進めていただきたいわけですが、学校から社会教育力にある程度期待し、やるからには、条件整備というものが非常に重要になってくると私は思うのですね。だから、今後の課題としては、活動の場は、何も建物を建てるとかそんなことは言いません、つまり自然を利用すればいいのですから。しかし、必要なのは、やはりプログラムとノウハウですね、それから人材だと思います。さらに、民間でそういうことをやっているところはなかなか経営的には苦しい、そういうところに若干の応援をしていくような、こんな方向で、安上がりというとちょっと言葉は悪いのですが、より大きな効果が上げられるというふうに確信をしておりますので、こういう方向で進めていただければなと思いますが、いかがでございましょう。
  72. 富岡賢治

    ○富岡政府委員 先生御指摘のとおり、まさに社会教育で行います場合には、地域の、特に青少年関係の指導者あるいは地域の受け入れの協力とか、それから子供たちや親に対します情報提供というようなことが大事でございますから、こういう点で私どもとしましては、いろいろな意味で、そういうソフトの事業に対しましていろいろな形で支援できるように、しかもそれぞれのやり方、それぞれの工夫ができるような形で支援していくというような方式をとってまいりたいと思っておりますので、そういう点で先生の御趣旨に沿って進めてまいりたいと考えております。
  73. 藤村修

    ○藤村委員 人材の面では、そういう人材を養成する、これも高等教育の分野になると思うのですが、ちょっと聞いてみますと、今、筑波大学に何か野外学習とかそういう専門家の養成コースがある、それから信州大学にもそういう課程ができた、来年はちょっと数をふやすのだということでありますが、これはそのぐらいの例しかないのか。あるいは、来年以降この面について少し力を入れたらどうかと思うのですが、その辺、高等教育局の方でお考えを聞かせていただきたいと思います。
  74. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 御指摘の信州大学の例で申しますと、教育学部附属の志賀自然教育研究施設におきまして、自然や環境問題に対する教育を通じて、自然体験や野外教育の専門的な人材の養成を行っておるところでございます。  このほか、教員養成大学学部における環境教育コースなどの関連の教育コース、さらには、一般大学の環境に関連した学部等におきましても、自然体験や野外教育に配慮をした教育を実施している、そういう例も見られるところでございます。  文部省といたしましては、現在の子供たちに幅広く自然体験をさせる、そのことの重要性を十分認識をした対応を今後ともしてまいりたいと思っておりまして、それらの学部等における関連する教育研究あるいは人材養成が適切に行われるよう、引き続き努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  75. 藤村修

    ○藤村委員 先ほど渡辺委員の方からは職場体験ということで、子供たちの声として、人のためにという声が出てきましたよね。これは非常に一つの芽生えとしていいことだと思うのです。今度は、今の自然体験でいうと、これは多分、環境とかあるいは地球のために、こういう発想が生まれてくると思うのですね。  これらのことを、きょうまではどうも学校に学校にということで、そこでさっきの議論は、学校の先生が忙し過ぎる、生徒も忙し過ぎる、だから、さっき有馬大臣は五日制を完全にしてということでありますので、いよいよ私は、今回の中教審のこの六月の答申の順番のように、家庭教育を、確かに、文部省あるいは中教審が余り踏み込んで言うことはどうかというちゅうちょもさっき述べられましたが、これはしかし、言っていることは当たり前のことでありますから、言うことはみんなでどんどん言っていけば、これは一つのアナウンスとして、家庭教育もそれなりに親御さんも考えるようになる。  一方の社会教育の方は、これはやはり国の行政の中で必要な部分、今のノウハウを応援するとか人材を育成するとかということで、これを進めていくことによって、今度は学校教育の方がそういうものを――学校引率型というのも、遠足から何から学校引率型、先生本当にそういう行事で追われて大変だ、これも大変の一つであります。だから、それを少し外してこっちへ行く、これがやはり大きな文部行政の今後の方向ではないかな、そんなふうに私は考えるのであります。学校に学 校にと言わずに、いよいよ社会教育、生涯学習という部分に力を入れていただきたいな。そうなれば、先生の負担も軽減される。  私は、もう一つ踏み込んで、教育課程審も今回相当ゆとりで減らしてきましたけれども、精選から厳選ということになってきましたけれども、私は、その先には削除ということまで出てこないといけないのではないか。つまり、学校に何でもおんぶにだっこではなしに、そこからやはり精選し、厳選し、そして、もうこの時代、これはこっちでやりましょう、社会教育でやりましょう、こんな発想がやはり必要なのではないかと思いますので、その点について、もし文部大臣、コメントがございましたら、いただいて終わりたいと思います。
  76. 有馬朗人

    有馬国務大臣 御指摘のとおりでございまして、すべてを学校で教えてもらうということは、もう今後少し考え方を改めたいと思っております。アメリカなどで地域社会が非常に教育に熱心で、例えば、ブラスバンドの教育などというのは地域社会がやっております。ですから、もっと積極的に、音楽にしても体育にしても、地域社会が中心になって教育に参加していただければと思っております。  こういう点では、しかしながら、学校の先生たちともよく協力をしながら、そういう地域社会教育をゆだねていくような仕組みについては、今後も慎重に考えさせていただきたいと思っております。しかし、地域社会教育力を何とかして伸ばさなければならないと思っております。
  77. 藤村修

    ○藤村委員 予定時刻にほぼなりましたので、私の方はこれで終了させていただきます。
  78. 小川元

    小川委員長 次に、肥田美代子君。
  79. 肥田美代子

    ○肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  有馬文部大臣には初めて質問させていただきます。大臣が、目には見えない、そして点数にも出ない、人間の極めて奥深いところにございます心というものを教育の中の最重要の課題にされたことに、私は大変敬意を表したいと思います。  ところで、大臣が会長をされておりました中教審の答申に  読書は、豊かな感性や情操、そして思いやりの心をはぐくむ上で大切な営みである。しかし、今日、小・中・高校生の読書の状況を見ると、読書量が減少し、まったく本を読まない子どもも増加しつつあることなどがうかがえる。とありますけれども大臣は心の教育と読書についてどういうふうにお考えか、御所見をいただきたいと思います。
  80. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび申し上げますように、これからの学校教育においては、みずから学び、みずから考え、自分で問題を解決する能力というふうなこととか、豊かな人間性などということで生きる力をはぐくんでいかなければなりません。その上では、やはり読書というのが極めて重要なことだと判断をしております。  その読書も、実は私は漫画もあっていいと思うんです。ただ、現在、日本の漫画を見ますと、本当意味で心の教育に役立つという漫画が少ないので、例えば漫画というふうなものも、広い意味での心の教育に参画をするようひとつ漫画家たちも努力をしてもらえたらなというのが私の希望でございますが、確かに現在の本にはたくさん子供向きのいい本がございます。そういう読書活動を通じて子供たちが感性を豊かにする、情操をさらに伸ばす、思いやりの心などをはぐくむ、こういう意味で学校図書館の役割は極めて重要であり、読書の役割はますます重要度を増していると認識しております。
  81. 肥田美代子

    ○肥田委員 さらに、答申にも述べておられますが、朝の十分間読書、それが現在各地の学校で始まっております。この実践を通じまして、本に興味を持ち、本が好きになる、気持ちが落ちつき、集中力が養える、自分で考え、自分の感想を持つようになる、表現力が豊かになった、そういう効果があらわれているという報告があるのですね。大臣、この実践をさらに全国に広げようというお気持ちはございますか。
  82. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私は、この朝の十分というのは大変すばらしい、いいことだと思っています。ですから、さらにこういうのを各学校で実行してほしいと思っていますが、十分と言わなくて二十分だっていいと思っているのですね。  それからもう一つ、私はそこまで中教審の答申に書いたかどうか覚えていないのですけれども、お父さん、お母さんが子供たちに本を読んでやる、特に幼児にですね。こういうことはぜひ、文部省からそうしろとかというのは難しいのですけれども、お父さん、お母さんが本を読んであげるというふうな方向に社会が、世論が伸びていくといいなと思っております。  いずれにいたしましても、朝の十分間に読書をするということは極めてすばらしいことだと考えておりますし、できる限りこういうやり方を中学校だけではなく小、高でもやってもらえたらと思っております。
  83. 肥田美代子

    ○肥田委員 大臣に読み語りのところまで言及していただいて、私も本当にありがたいと思います。  実は、中学校でもやはり読み語り、読み聞かせというような運動が行われております。子供たちは、お父さんやお母さん、そして先生方、そういう方々の肉声でもって本の内容を聞くということは、やはり心に通じることなんだと私も思います。  それで、さらに答申の中身なんですが、  学校においては、まず第一に、子どもが感動する本を用意することが大切である。感動こそが読書習慣の形成を図るかなめとなる体験である。と述べていらっしゃいます。私もまさにそのとおりだと思います。子供たちの暮らしの中に感動がなくなったことが、実は現在の憂うべき状況とやはり無関係ではないと私は思うわけです。  そこで、子供の感動する本を用意するためには、とりもなおさず学校図書館の充実が必要でございます。そして、新しい学習指導要領ができてまいりますと、総合学習の時間があります。そうなりますと、子供たちの調べ学習の力ということも問われてくるわけですね。そういうときには、学校図書館の機能なしには教育は進まないというふうに私は考えるのですけれども、学校図書館の整備充実について、大臣のお考えをお聞かせください。
  84. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私は、学校図書館を充実すべきであると思っております。学校図書館は、読書活動を通して生徒諸君が豊かな感性、情操、思いやりの心をはぐくむ上で、極めて重要な役割を果たしていると思います。  今おっしゃられましたように、中教審でもこの問題について極めて積極的に述べているところでございますが、文部省といたしましては、学校図書館におけるボランティアの活用のあり方なども検討いたすために、平成十一年度概算要求において学校図書館ボランティア活用実践研究というものの経費を要求しているところでございます。こういうものが有効に活用されまして、そして学校図書館がよりょくなることを心から望んでいる次第でございます。
  85. 肥田美代子

    ○肥田委員 そこで、大臣に御提案させていただきたいのですが、景気対策臨時特別枠というのがございますね。学校図書館法改正後、文部省の御努力でパソコンが導入されることになりました。さらに、学校図書館そのものを心のオアシスにすると、これも中教審答申に書いてございます。大臣は心の教室ともおっしゃっておりますが、学校図書館が心のオアシスになるためには、やはり子供たちが利用しやすい、そして本当に行ってみたくなる、楽しく心弾ませて使いたくなるようなそういう図書館へ大胆な改修が必要であると思うのです。このオアシスづくりは、私は実は喫緊の課題だと思うのですね。子供たちの心がここまですさんでいる状況を考えますと、余り時間的余裕はないと。  それで、この臨時特別枠を使って学校図書館を 改修するお気持ちがおありかどうか、御努力していただけるかどうか、お願いいたします。
  86. 有馬朗人

    有馬国務大臣 やはり学校図書館がいろいろな役割を演ずるよう、よくしていく必要があると思います。  例えば、一つは、情報教育推進などの拠点になること、今御指摘のとおりでございますが、そういう学術情報センターとしての機能を果たせるように施設の整備を図っていくことが必要であると思っております。あるいはさらに、読書をする空間といいますか広さ、日本はすべてみんなちっぽけですね。ですから、読書スペースを広げるというようなこと。それから、情報関係であれば、情報関係としての設備充実というふうなことが必要でありますし、図書の充実ということも極めて重要なことだと思っております。  いずれにしても、学校図書館の役割の重要性を重々認識しております。そして、それのために施設を充実すべく一層努力をさせていただきたいと思っております。
  87. 肥田美代子

    ○肥田委員 ぜひ御努力をお願いしたいと思います。  次に、学校図書館整備五カ年計画というのがございまして、これは平成年度に終わりました。これで平成年度当時の一・五倍の量に図書をふやそうという目標がございましたけれども、残念ながら今一・二倍でございますね。  それで、どうしてそうなるかといいますと、どうも自治体への周知徹底が不足していたのじゃないか、図書に回すべきものがビルになったり道路になったり橋になったりしたのじゃないかと私は大変疑っております。今度、平成十年にまた百億円という、交付税でございますけれども予算措置をしてくださいました。今度こそは何とか頑張ってこれが本になるように努力していただかないと、このスピードでいきますとあとまだ七年もかかるわけです、たった一・五倍にするのに。ですから、可能な限り予算執行が完全にできますような努力をぜひお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
  88. 有馬朗人

    有馬国務大臣 努力をさせていただきたいと思いますが、なお、このことの実施状況については、ちょっと政府委員の方から御説明をいたしましょう。
  89. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 平成年度、ただいま先生御指摘のとおりの予算措置が地方交付税措置で講ぜられております。せっかくの予算措置でございますので、十分にこれが学校図書館の図書整備に当てられますように私ども努力を今いたしております。  具体的な各種会議等での趣旨徹底あるいはパンフレットなどもつくりまして、整備することの重要性を今一生懸命市町村の関係者に伝えているところでございますが、なお事後的にも、この予算がどのような形で使われ、整備されたのかということについての実施状況等も調査するというようなことと相まちまして、予算執行に遺憾なきを期していきたい、こんなふうに思っております。
  90. 肥田美代子

    ○肥田委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それでは次に、国立大学の図書館についてお尋ねします。  先ごろ当委員会で、千葉大学の附属図書館の運営状況についてお聞きしました。そこで私びっくりしたのですけれども、土曜も日曜も十二時半から十八時まで開館していらっしゃるんですね。夜間も、大学関係者ばかりでなく地域住民にも積極的に開放していらっしゃる。私は大変すばらしい努力だと思うのです。  国立大学全体を見ましても、土曜日とかそれから時間外というのは九割ぐらいの大学が努力されているんですね。休日開館というのがまだ五割に達していないそうでございますが、今後、地域住民に利用できるように、ぜひ休日開館も実践していただきたい。やはり大学地域に開かれるという原則をぜひ実践していただきたいと思います。  まず、そこのところで大臣、お答えいただけますか。
  91. 工藤智規

    ○工藤政府委員 御指摘のように、各大学、いろいろ御努力いただいておりまして、それも有馬大臣東大総長をやられたり、いろいろ各大学、理解ある総長、学長あるいは関係の皆様方の御努力によって、国立大学といえども地域から離れた存在ではあり得ないという自覚のもとに、今先生おっしゃいましたように平日の夜間開館あるいは土日の開館、それは地域住民の方々への開放を含めてサービスに努めているところでございまして、私ども、そのために、パートタイムの職員の経費でございますとか光熱水料のための予算を措置いたしまして、若干のバックアップをさせていただいておりますけれども、今後とも、各大学の御努力をさらにお願いいたしまして、サービスの向上に努めてまいりたいと思います。
  92. 肥田美代子

    ○肥田委員 次に、国会図書館への質問に移らせていただきたいのですが、戸張館長、御就任おめでとうございます。  国会図書館は、現在、第三土曜日に開館していらっしゃいますし、申し込みがあれば午後八時まで開館延長もされていると聞いております。ただ、地方都市に住む人たちには、土曜、日曜を使って国会図書館を利用したいという人が大変多いように私は伺っております。平日に、仕事を終えてから調べ物をしたいというサラリーマンも多いわけですね。こういう要望はこれからますます高くなってくると思うのですけれども、こうした新しいニーズを館長はどう受けとめておられますか。
  93. 戸張正雄

    ○戸張国立国会図書館長 国立国会図書館の利用者にそうした要望があることは承知いたしておりまして、これは、国立国会図書館に対する国民の期待として今後受けとめてまいりたいと思っております。
  94. 肥田美代子

    ○肥田委員 積極的な御答弁をありがとうございます。ぜひ今後よろしくお願いしたいと思います。  それで、国際子ども図書館について一つ伺いたいのですが、実は、二〇〇〇年に開館されます国際子ども図書館は、子供来館型の図書館であること、それから世界に情報発信する機能があるということ、それからもう一つ、子供の本、すなわち原資料を収集するという大きな役目があるわけです。  そこでお尋ねしたいのですが、アメリカのマッケルディン図書館にあるプランゲ文庫、ここには、私たち日本の活字文化の歴史を検証する上で貴重な資料がたくさんあるのですね。ここには、一九四五年から一九四九年の間に我が国で発行された約八千冊の子供の本が保存されております。まさにこれは幻の資料と言えるようなすばらしいものなんですが、国際子ども図書館に私はぜひ欲しいと思うのですね。返還をお願いすることも含めて、どうお考えになっているか、館長の御意見を伺いたいと思います。
  95. 戸張正雄

    ○戸張国立国会図書館長 今お話がございましたプランゲ文庫というものは、今お話がありましたとおり、私は大変貴重な資料であると思います。  ただ、外国の大学の所蔵であること、それから、私ども国立国会図書館を含めまして、今まで過去長い間いろいろな接触があった経緯がございます。そういった過去の経緯などを十分に配慮いたしまして、今後、これに対して国立国会図書館がどういうふうに対処していくか、明確に考えをまとめてまいります。
  96. 肥田美代子

    ○肥田委員 またまた積極的な御答弁をいただいたと私は理解させていただきます。  国際子ども図書館の開館に向けて、今皆さんのいろいろな楽しい計画がされているところなんですけれども大臣、実はさきの国会で町村文部大臣に、二〇〇〇年を子ども読書年と定めたらどうですかというふうに御提案申し上げたのです。そうしましたら、大賛成であり具体的方策について積極的、前向きに検討するとはっきり答弁されているのですね。  これは、私ひとりの意見ではございませんで、国際子ども図書館設立推進議員連盟という、そこにいらっしゃる多くの議員たち意見でもござい ますので、ぜひこれを有馬文部大臣、実現に積極的に御努力いただきたいと思うのですけれども、いかがでございますか。
  97. 有馬朗人

    有馬国務大臣 文部省といたしまして、町村前大臣の御答弁もありますので、今後、国立国会図書館や関係団体とも連絡を密にいたしまして、具体的にできるかどうか、具体的な方策につきまして、積極的に前向きに検討させていただきたいと考えております。
  98. 肥田美代子

    ○肥田委員 大臣、できるかどうかじゃなくて、できることはできるわけでございますから、ぜひ前向きにと、もう一度お願いします。ここは大事なところでございますので。
  99. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私はいつも、貧乏性でございますので、どうもはっきり申し上げませんでしたけれども、できる限りの努力をさせていただきます。
  100. 肥田美代子

    ○肥田委員 ありがとうございます。  終わります。
  101. 小川元

    小川委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後三時二十分開議
  102. 小川元

    小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。池坊保子君。
  103. 池坊保子

    ○池坊委員 新党平和の池坊保子でございます。  大臣には、大臣御就任おめでとうございます。大臣は、中央教育審議会の会長として、生きる力、心の教育、中高一貫制、飛び入学導入等のすばらしい答申をなさいました。私は、多分そのすばらしい答申を今度は実行なさろうと思って文部大臣におなりになったのではないかというふうに理解いたしております。  大変答申はすばらしゅうございました。もしあの答申の十分の一でも実行に移されたならば、すばらしい教育がなされ、すばらしい子供たちが育  つのではないかと思うのですけれども、現実には、実に残念なことに、答申は本当にたくさん、答申がむしろ多過ぎるのではないかと思いますぐらいに分厚い答申が参りますけれども、私は、それを一体どれだけの人が読み、そして実行しようと思っているのかというのが疑問でございます。文部大臣にはぜひ実行していただきたいというふうに切に希望いたします。  本日は、年々増大しております不登校児について大臣にお伺いしたいと思います。  御存じのように、国公私立の小中学校で平成年度に、学校嫌いを理由として三十日以上欠席した登校拒否児童生徒は、小学生一万九千四百九十八人、中学生七万四千八百五十三人の合計九万四千三百五十一人となっております。また、このうち五十日以上欠席した登校拒否児童生徒は、小学生一万五千三百十四人、中学生六万二千二百二十八人の合計七万七千五百四十二人となっております。  それが、平成年度に小中学校で三十日以上欠席した不登校児というのは十万五千人いるということでございます。九二年度から九七年度までの間、中学校の生徒数は五十五万人減っているのに対して、三十日以上の不登校は約二万六千人も増加している。これは、学校だけが唯一絶対の存在ではないことを私は示しているのではないかと思います。変化する子供たちに合った学校づくりがこれから問われていくのではないかと思っております。  大臣は、記者会見の中で、御自分も幼稚園のときに不登校児第一号でいらしたそうでございます。縄をつけられて登校した、それがいいとは思わなかったというふうに述べられていらっしゃいますし、お嬢様も高校には一日も行かなくて、大変それで悩んだので、不登校児に対しては積極的に受けとめ、対処していきたい、対策を立てたいと心強いことを言っていただいているので、私も安心いたしております。  文部省の中学校課がお出しになった「不登校問題の現状と文部省の施策」という本を拝見しておりましたら、「不登校の原因・背景と学校に求められる取り組み」という中で、児童生徒の多様な能力・適性等に十分に対応できていない学校のあり方、学校において、授業の内容がわからない、授業の進度についていけない、学校へ行ってもつまらないなど、学校への満足度や充足感が得られていないのではないか、児童生徒の価値観、倫理観の実態を十分に把握できないまま登校指導を行うことからくる信頼感の欠如があるのではないか、そういった観点から学校の指導体制を再検討したいというふうに書かれてございます。  現実に再検討なさったのか。なさったとしたら、その結果どのようなことをお感じになり、それをどのように実行していこうというふうに考えていらっしゃるのかをちょっとお伺いしとうございます。
  104. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、不登校の原因となりますとさまざまな要因があるわけでございます。  その中の一つ、学校の指導のあり方ということにつきまして、取り組んでおる状況を簡単に申し上げたいと思いますが、一つは、やはり一人一人の子供にわかる授業を展開するということ、そのためには人的な条件を整備することと同時に、教育内容の改善、それから教育方法の改善、そういう地道な取り組みがまず大切だと思っております。  それからあわせて、やはりどうしても子供の中には学校という集団になじめないという子供がいるわけでございます。どうしても学校に来させるということは、かえって逆効果の場合もあるわけでございます。  そういう実情を踏まえまして、まず一つは、公的な施設あるいは民間の施設、さまざまにありますけれども、そういった施設の中で、学校と連携を十分にとって、そこにいる場合は出席扱いをしてもいいというような、そういった取り組みをしている施設等がございます。そうした場合には、何が何でも学校にということではなく、そうした施設に通っていること自体を出席として評価するという形で、子供たちの緊張感と申しましょうか、そういったものを和らげる、そうしながら集団になれさせる、そういう取り組みが一つでございます。  繰り返しますと、一定の要件を満たします施設等に対しまして、これを出席扱いするという形で評価をして、そういう形でこの不登校の問題に取り組むというのが一つでございます。  それからもう一つは、従来、中学校を卒業していない子供に対しまして中卒認定試験というのがございますが、やはり猶予、免除を受けた子供ということで非常に厳格に運用してまいりました。そういたしますと、不登校の子供たちはどうしても同年齢の子供に比べますと最低一年はおくれてしまうという状況であったわけでございますけれども、中教審の答申を受けまして、この中卒認定試験におきます受験資格を弾力的に運用するということで、同年齢の子供と同一の時点で中学卒業資格が取り得るような運用をしていくということ、こうした二つの制度的な対応をも加えながら、私どもこの問題に取り組んでいるところでございます。  もちろん、教育相談体制ということで、スクールカウンセラーの問題等、そういった問題もあるわけでございますけれども制度の点につきまして申し上げますと、ただいまのようなことも含めまして取り組んでいるということでございます。
  105. 池坊保子

    ○池坊委員 今のお話の中に、公的並びに民間施設の出席を出席扱いにするとおっしゃいましたけれども、具体的にどんな学校を指すのでしょうか、また、どんな連携をしていらっしゃるかをちょっと伺いたいと思います。
  106. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 これにつきましては、私ども、協力者会議の報告を得まして、ガイドラインを設けまして、その要件に具体的に当てはまるかどうかは各教育委員会、学校の判断にゆだねているわけでございますけれども教育委員会、学校間と十分な連携をとりながら、そして子供たちの指導 に十分な体制があり、そして指導の実態も学校教育に学ぶと同等に評価されるというような形で個別にこれは評価するわけでございます。  一つ、公的なと申しますのは、市町村の教育委員会等が設けておる施設でございます。これは教育センターの一画ですとかあるいはその他いろいろな公の施設の一部を利用しまして、適応指導教室と言っておりますけれども、そういったものを設けてございます。  もう一つ民間の施設でございまして、これは個人で行われておる非常に小規模なものもございますし、数十人単位でそういった子供を集めて指導してくださっている施設もあるようでございますが、両方合わせまして、公立、私立合わせまして千くらいの施設があるというふうに私ども承知いたしております。  その中で、具体的に出席扱いをするかしないかというのは、先ほど申しましたガイドラインに沿いまして教育委員会、学校が御相談されて指定をするというような仕組みになっているわけでございます。
  107. 池坊保子

    ○池坊委員 私も、学校万能にはもう限界があるのじゃないか、さまざまな受け皿がこれから子供たちには必要だと考えております。  今おっしゃるように、学校法人というのは、校舎、校庭、教員人数とかに規制がございます。これからは、学校法人以外の、NPOとか、あるいは小規模で生徒たちの状況に応じてきめ細やかに対応している、個性的で自主的な運営をしている施設を大切にしていかなければいけないし、それとの連携が必要というふうに思っておりますが、学校法人ではなくても出席日数を認めるということはあるのですか。それが大学に行くことができるのですか。
  108. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 施設の主体は学校法人に限定しておりません。個人立のものもございます。そして、それはあくまで、先ほど言いました内容を評価をして、教育委員会が学校とで出席扱いしていいかどうかを決めるわけです。それは出席扱いになるわけでございますので、その子供たちは、その日数を学校に行った者と同じように扱って、その成果を踏まえて、卒業するか否かはそれぞれの学校の校長が認定をするということになるわけでございます。  したがいまして、学校に行っている子供たちと同様に、この子供が卒業に値するだけの学習成果があるということでありますれば、校長は中学校卒業という認定を与えるわけでございます。そこから高等学校等に当然に進んでいかれる、こういうことになるわけでございます。
  109. 池坊保子

    ○池坊委員 それは、学校等に準じて、学校に出ていれば、大検とかそういうのを取らなくても大学に入ることもできるということですね。そして、それは今全国にどれぐらい認められているのがあるのか、お聞きしたいと思います。
  110. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 今申しましたように、適応指導教室あるいは民間施設で出席扱いをしている施設、これは中学校の段階でございます。小学校、中学校の段階です。ですから、小学校の段階で出席扱いしている子供、校長先生が認めれば、それは小学校卒業という認定を受ける、そして中学校へ通うわけでございます。  中学校に行きましてもやはり学校に通えないという場合に、まだその施設に引き続きいるという子供もいるかと思いますけれども、その場合も、中学校相当として認められるという形の施設であれば、今度は中学校の校長先生が、籍は中学校にあるわけでございますので、ただ、その中学校に行けないものですからその施設に行っているわけでございますから、卒業段階におきましては、当該学校の生徒として卒業に値するかどうかということで、校長先生評価をするわけでございます。したがって、その子供は中学校卒業ということで高等学校にも進んでいける、こういうことになるわけでございます。  全体の施設の数でございますけれども、出席扱いをしている子供、扱っているいないにかかわらず、トータルとして、そういった子供たちを預かっております施設は千くらいあるというふうに私どもは把握をいたしております。
  111. 池坊保子

    ○池坊委員 多くの不登校の子供たちは、学校には行きたくない、でも友人はつくりたい、それから、自分の能力に合った勉強をしたいと望んでいるのだと思います。ですから、私は、学校という概念ではなくて、今のような千あるというのは、ちょっと私はその現場を見ておりませんので、どのような状態で千の学校があるのか、それからどれぐらいの子供たちをどういう教育をしているのかというのをきちんと見て申し上げたいと思いますけれども、これからどんどんそういうものがふえる必要があるのではないかというふうに考えております。  その連携の一つとして、今、サポート校というのがございます。例えば、通信制教育がある。通信制教育に通っているのだけれども、それに任せて自習をするにはちょっと自分の能力だけでは足りない、だから、午前中は通信制教育のサポートの勉強を教えてあげる、午後になったら部活とかいろいろな選択の科目があるという学校がふえてきております。  そういう子供たち、そこに通っております生徒並びに保護者が通学定期を欲しいと。その子たちは、学校と認められておりませんので定期券がないわけです。通勤定期で通っております。ある学校ですと、校則もある、制服もある、子供は月曜日から金曜日まで毎日通っている、だから自分は普通の学校と同じ意識を持っている、でも、ただ、学校法人と認められていないだけに通学定期がないんだ、それはやはり自分の気持ちとして定期を持って学校に通いたい、生徒はそういうふうに望むわけです。そして保護者は、例えば通信制教育にも授業料を払っている。それから、それを補佐するために、補完するためにサポート校にも授業料を払っている。せめてその負担の軽減のためにも通学定期が配付されたらいいなというふうな親並びに生徒の願いがございます。  三万人の署名を集めて、それを生涯学習振興課に提出しているというふうに聞いておりますけれども、例えば通学定期を上げるという、そういう協力の仕方はできないのでしょうか。
  112. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 ただいまの通信制のいわゆるサポート校でございますけれども、これは、通信制高校に学んでおります生徒、この子供たちは通信制高校にスクーリングのときには通います。そうでないときには、家庭等でレポートを作成して、それを学校に提出し、その単位を受けて卒業単位を積み上げていって卒業する、こういうことでございますけれども、その家庭等で行うレポートの作成等の指導をこういったところで受けている、それがいわゆる通信制サポート校と言われるものであるわけでございます。  先ほど、いわゆる適応指導教室等で学校出席扱いをしているということを申し上げたわけでございますけれども、この通信制サポート校に通っております。その性格は、本来の学校ではない、学校で行うべきこと、その支援を通信制サポート校で受けている、補習塾的なものであるというように思われます。したがって、これを学校教育の一環というふうに位置づけることはなかなか難しいわけでございまして、そういうサイドから、これを学校教育として評価して、したがって、通学定期につきましても、これを発給するという道筋はなかなかとりにくい、性格の上からいってもなかなか難しいのではないか、私どもはそんなふうに今認識をいたしております。
  113. 池坊保子

    ○池坊委員 そうすると、このサポート校は学校とはみなされないということでございますね。何か、先ほどは、不登校の子供たちを集めて、学校法人ではなくてもそれに準じた学校に行けば、それは学校と同じ出席を与えるとおっしゃった。にもかかわらず、このサポート校は学校ではないというのは、大臣、ちょっと矛盾しているのではないかと思いますけれども、どうお考えでございますか。こっちは学校法人ではなくても内容が学校に準じているんだとおっしゃり、ここは学校ではないのだというのはおかしいと思いますけれど も。
  114. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 この通信制サポート校は、学校で本来行います授業、家庭等で行うべき宿題等あるいはレポートの作成、それを助けるというわけでございます。ですから、通常の子供たちでも、小学校、中学校、高等学校に通いながら家で塾に通い、あるいは予備校に通いという子供たちがいるわけでございますけれども、それと同じような評価をこれはすべきではないか、そういう性格のものではないかと我々は思っているわけです。  ですから、前に申し上げました適応指導教室と申しますのは、そういう塾ということではなく、学校との連携のもとに出席に扱うということでございます。こちらは学校の宿題あるいはレポートの作成等を補習塾的な形で行っている施設ということでございますので、そこにはやはり線を画さざるを得ないのではないか、こういう理解でございます。
  115. 池坊保子

    ○池坊委員 この議論をしていると長くなるから、果てしなくなると思うのです。だけれども、その区別はつかないと思うのです。義務教育だからこれは学校に準じて出席を上げるということですか。つまり、不登校の子供たちを受けとめる、そして勉強を見てあげるということは、それに対して勉強に対する手助けをしているわけでしょう。サポート校も手助けをしているのです、通信制教育の。そうしたら、さっきのおっしゃる学校とどういうふうに違うのですか。
  116. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 確かに、学校に対する手助けという点では同じような実態があろうかと思います。ですから、いわゆる塾、子供たち小学校、中学校に通う、一方、その子供が塾に通っている、その塾に通っているというものをどう評価するかということだろうと思うのです。それを学校と同じように評価して出席扱いするかどうかということになりますと、それはなかなか難しいのではないか。この通信制サポート校というのはそういった性格のものだというふうに我々は認識するわけです。  一方、適応指導教室というのはそれとは違いまして、教育委員会とか学校との連携のもとに、いろいろなガイドライン、詳しい説明は今ここではいたしませんけれども、学校との連携のもとに学校教育に準ずるものを行っているわけでございまして、それはやはり塾とは違うということでございます。  ただ、子供の学習をサポートしている、支えているという点で、実態としてかなり重複している面もあろうかと思うのですけれども、我々、性格的にそこは一線を画さざるを得ないのではないか、こういうことでございます。
  117. 池坊保子

    ○池坊委員 何か釈然といたしませんけれども、理屈では負けますので、その理屈にかなうほどこれから構築して、もう一度出てまいりましょう。  では、その問題はそうとして、学校として認められないよということであるとしたならば、では、生涯学習の一環としてそれを認めることはできないのかという視点から考えていただきたいなと私は思うのですね。ただサポート校だけでなくて、今、生涯学習で高齢者が学ぶ場というのを文部省でも提供していらっしゃいます。学ぶ場をつくるだけでなくて、学びやすい周辺整備というのが必要だと思います。  例えば自治体で、京都でしたら市バスのシルバーパスが与えられます。また、都バスもパスがあると思います。JRが大変便利であるにもかかわらず、JRパスというのはないと思うのですね。ですから、例えば、勉強している十代の学生あるいは六十五歳の方たちには、勉強に行くときには、受講者証があるならばそういう割引が出るというようなことを文部省が積極的に運輸省、JRなどに働きかけていただけたらと思いますけれども、それはいかがでございますか。
  118. 富岡賢治

    ○富岡政府委員 先生、初中局長から御答弁申し上げましたように、学校教育の一環として位置づけることはなかなか法整備が難しいということが今の状況でございます。  他方、そのサポート校が専修学校とか各種学校であれば、これはあるいは通学定期ができる。ところが、実態が会社形式といいますか、株式会社の形態によって運営されているということでございますので、なかなか該当しないということで難しい問題があるわけでございますが、今先生御指摘のように、生徒がみずからの学習意欲といいますか意思で必要な学習を行うという、補助的に学習を提供するというのは民間教育事業の一つだという点に着目いたしますと、通学定期という方法がいいのか、あるいは何らかの措置を講ずることができないかということは、JR等とも少し相談をしてみたいと思っております。  ただ、民間教育事業というのは、要するに、今先生御指摘のように、塾からカルチャーセンターあるいはスポーツ教室等いろいろなものがございまして、その区分けというのはなかなか難しゅうございますので、実現ということではなかなか難しいかと思いますけれども、一応JRとは相談してみたい、こういうふうに思っております。
  119. 池坊保子

    ○池坊委員 ただ相談するだけでなく、積極的に、何かの効果があらわれる、そういう実績をぜひ上げていただきたいと思います。  私が先ほど申し上げましたのは、サポート校だけを保護するとかいうのではなくて、子供の居場所をたくさんつくってあげることが文部省並びに社会、そして親たちの責任ではないかなというふうに思っておりますので、では何ができるかというときに、例えば定期を上げることもその一つなんだ。具体的に一つ一つ子供たちがその居場所に行きたい、あるいは行くことが快適である、そういうような条件整備をしてあげなくてはいけないというふうに思っておりますので、その一つが通学定期ではないかというふうに申し上げたかったのです。  青少年向けの放課後の家というのをつくってはどうかという提言がございます。これは政府の、次代を担う青少年について考える有識者会議が提言しております。  これはスウェーデンのフリーティスというのをヒントにしておりますけれども、北欧の各地にあるこの施設は、自治体が管理し、常勤職員とボランティアなどで運営されております。居間や食堂、サロンもあって、子供たちが自主的に活動できる空間にしてある。北欧のことでございますから、週末には深夜までディスコなども自主企画をしているという、大変自由で伸び伸びとした放課後のフリーティスなんです。  これは地域との連携がなくてはできませんけれども文部省にも率先してこのようなものをつくっていただきたいというふうに思っておりますけれども、これについてはいかがでございますか。
  120. 富岡賢治

    ○富岡政府委員 今初めての御提案でございますけれども、私ども、学校外の青少年のいろいろな施設につきましては、それぞれの地域の実情に応じましていろいろな工夫があっていいかと思います。  今、ソフト、ハードについてはそれぞれの地域でいろいろな工夫をしておりますので、今のような御提案のことなどもまたよく勉強させていただきたいと思います。
  121. 池坊保子

    ○池坊委員 私は今までの経験上、よく勉強したいと思いますというのは何にもしないということの答弁であるというふうに感じておりますけれども、不登校児に対して大臣御自身はどのようにお考えかをお伺いしたいと思います。
  122. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私自身は、不登校の問題を非常に深刻にとらえております。  まず第一に、学校を楽しくしなければいけない。ですから、不登校の子供さんたちが自分のうち、ないしは今御指摘の通信制学校を使うとかいろいろなやり方がありますが、まずは学校そのものを楽しくする努力をしなければならないと思っています。  実は、先々週になりますが、私の母校であった銚子の小学校を何十年ぶりに訪ねました。大変うれしかったんですね。それは、チームティーチングが非常によく働いておりまして、ごく小人数の 子供たちが二つのグループに分かれて、若い先生も一生懸命指導しておられる。習熟度に応じて、非常にゆっくりと理解をしていく子供に対してはゆっくりとした教育をしてあげるというふうなことが行われつつあるということを見て、私は大変うれしく思いました。  各学校で、そういうふうにゆっくりと勉強していけば不登校にならないで済むような子供がいっぱいいると思うのですね。学校に対してそういう何か不満があったときに、それを解決していくということがまず最初にやるべきことだと思っております。  その上で、どうしてもしかし不登校になってしまった子供に対してはさまざまな手を、今後、単に検討というよりも実行策をつくっていきたいと思っております。それに対してどういうものがあり得るか、中教審でも随分考えましたけれども、さらにその中で具体的に手が打てるものがあるかというふうなことに関して実行策を考えていきたいと思っております。
  123. 池坊保子

    ○池坊委員 先ほど来の文部省の御意見を伺うと、抽象的にはいろいろなことが言えるけれども、不登校児対策について、何一つ実行に移すような施策はないということではないかとちょっと暗たんたる思いが私はいたしました。  例えば少人数クラスというのも、これは不登校の歯どめになるのではないかと私は思っております。それから、学区制度の廃止、この学校は合わないけれども隣の学校だったら合うということもございますから、これからそういうことに向けては大臣はどのようにお考えかを最後に伺いたいと存じます。
  124. 有馬朗人

    有馬国務大臣 転校というふうなことは極めて易しくなるように努力をしております。ですから、こっちの学校の方がよいというふうな場合には、学区を越えて転校ができるように努力をさせていただきたいと思っています。既にできるようになっていると思います。  それから、小人数教育というふうなことは積極的に推進をしていきたい、小人数というのは、チームティーチングなどということを利用してできることはやっていきたいと思っています。  それからまた、心の悩みというのが不登校の原因の一つでございますので、心の悩みを持つ子供たちがいつでも電話などで相談できるような形のものを推進しつつあります。予算要求をしております。  それから、カウンセラーを多くする。これもまた、不登校の子供たちが相談できるというふうな意味で大切なことだと思っています。
  125. 池坊保子

    ○池坊委員 たくさん伺いたいことがございましたけれども、時間が参りましたので、今まで、すばらしい答申をなさった有馬中教審会長でいらっしゃいました。これからは実行の文部大臣と皆様が評価なさるよう、すばらしい実行に向けて頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。
  126. 小川元

    小川委員長 次に、富田茂之君。
  127. 富田茂之

    ○富田委員 新党平和の富田でございます。  文部大臣は先ほど、母校銚子の学校に行かれたというふうにおっしゃっておりましたが、実は私も銚子市立興野小学校の出身でございまして、大臣の二十四年後輩になります。大臣が九月五日に学校に行かれたという新聞が読売新聞の千葉版に大きく取り上げてありまして、これで初めて大臣が私の先輩だということを知ったのですが、びっくりしまして、各党の委員先生、これまで大臣に実行してもらいたいということをおっしゃっておりましたが、私も、先輩としてぜひ頑張っていただきたいなというエールをまず送らせていただきたいと思います。  私の方からは、平成十一年度概算要求のポイントとして文部省の方で大きく七つほど挙げていらっしゃいますけれども、その中の一番目の「心の教育充実」の中で七番目に挙げております「子どもたちの心の健康と薬物乱用防止五か年戦略の推進」、この点と、五番目に大きく取り上げております「育英奨学事業の拡充」、この大きく二点についてお尋ねをしたいと思います。  まず、薬物乱用防止五か年戦略の推進についてですが、昨年の一月でしたか、政府の方で薬物乱用対策推進本部を設立されて、総理が本部長になった。文部大臣もたしか副本部長につかれていると思うのですが、この推進本部の方で、ことしの五月に、薬物乱用防止五か年戦略を策定して取り組んでいく、この戦略の基本目標として、第三次覚せい剤乱用期の早期終息に向けて緊急に対策を講ずる、特にそのために中高校生を中心に薬物乱用の危険性を啓発し、青少年の薬物乱用傾向を阻止するというような目標を挙げておられます。  そのために、いろいろな施策を文部省の方としても取り組んでいると思うのですが、基本的には、これは厚生省とか警察庁の方で、それぞれ自分の専門分野ですのでいろいろなことをやられている。そこときちんと連携した形で文部省が取り組まれるということだと思うのです。  私、たまたま地方行政委員会の方にも所属しておりますので、そちらでずっとこの問題についてもいろいろ質問させていただいてきたのですが、最近の薬物乱用事犯というのがどうもこれまでのと違う。中学生や高校生が簡単に手を出してしまう。昔でしたら、ちょっといろいろな悪い仲間に巻き込まれた上でシンナーをやったりした子が次に覚せい剤に進んでいくとか、なかなか覚せい剤等も子供の小遣いでは手に入らない、そういう状況があったのですが、今は普通の子、クラスの中でもまじめというふうに思われている子が突然覚せい剤に手を出す。その覚せい剤も、中学生や高校生の小遣い程度で買えてしまう。ちょっとした繁華街とか大きな駅に行きますと、不法滞在の外国人等が覚せい剤を密売している。あと、ひどい話では、覚せい剤を買う子供さんたちの電話番号が組み込まれた携帯電話が百万円ぐらいで密売人同士で売買されているというような事例も警察庁の方が検挙したりして挙がっております。  そういう意味で、子供たち本当に覚せい剤とか大麻に簡単に触れてしまう、そういう状況が最近ずっと続いているのじゃないか。そういうことを反映して、高校生が覚せい剤の使用あるいは所持等で検挙されたのが二倍になったとか、中学生も物すごく増加しているというような数字も警察庁の方からも報告されております。  こういう状況下で、文部省としては学校教育の中で一体どういうふうに中学生や高校生の大麻、覚せい剤汚染について取り組んでいくのか、また中学生や高校生が今どんな状況に置かれているというふうに文部省として認識されているのか、まずその点からお伺いしたいと思います。
  128. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 お答えいたします。  今先生も御指摘のように、高校生の覚せい剤の事犯の検挙者数は、平成六年が四十二人、平成七年が九十三人でございました。これが平成八年に二百二十人、平成九年は二百十九人と倍増いたしております。中学生の覚せい剤の検挙者数、これは平成八年が二十一人でしたが、平成九年には四十三人とやはりこれも倍増いたしております。  こういったように、薬物乱用の低年齢化ということが進行しておりまして、私ども極めて憂慮すべき状況であるという認識をいたしております。  このように、最近の児童生徒の薬物乱用事例が増大いたします。その背景にはいろいろな要素があるわけでございますが、一つは、これも先生お話しになったように、容易に入手できる、そういう社会的な状況がある。それから、児童生徒の自制心が弱まってきているという面もあるのじゃないか。それから、遊び感覚やファッション感覚で使っている。さらには、これは去年十月に意識調査をしたのですが、それによりますと、高学年になるほど薬物に対する罪悪感や危機感というものが低くなっている、一回ぐらいなら使ってもいいという割合がふえてきている。そういった誤った意識とかあるいは理解が見られたりいたしまして、大変複雑にそういった要素が絡み合ってそのような状況が生じているのではないかというふうに考えております。  私どもとしては、先ほどもお話の出ました五カ 年戦略を踏まえまして、ことしの六月に事務次官の依命通知を出しまして、関係省庁の協力を得て、すべての中学校、高校で薬物乱用防止教室を毎年開催するように努めてくださいということ、それからPTAなどの関係団体が積極的な役割を果たすように十分連絡、協力を図ってください、こういったことについて指導いたしました。  また、昨年度高校生用ビデオを作成いたしました。ことしは中学生用ビデオの作成とか、あるいは都道府県教育委員会が中心となりまして、学校、家庭、地域が一体となって、しかも専門家の協力を得た形で乱用防止の指導を支援する体制をつくろう、そういう実践的な事業というものも開始をいたしております。さらに、言うまでもなく、教員を対象とした研修会、あるいは。パンフレットによる普及啓発活動を図る、そういったことも十年度実施いたしております。  十一年度におきましては、これをさらに充実いたしまして、約三億円増の概算要求を行ってさらにその充実を図っていきたいというふうに思っておりまして、いずれにいたしましても、今後とも関係省庁とやはり連携協力をして、学校における薬物乱用防止に関する指導というものについて一層徹底をしていかないと、今の時期にきちっとやっておかないといけない、そのように考えております。
  129. 富田茂之

    ○富田委員 今局長の方から指摘があった点は大事な点だと思うのですね。防止教室を必ず毎年やる、またPTAと連携をとる。  PTAの方では、昨年、PTA連合会の方で調査したときに、PTAの皆さんは子供たちと全然この薬物について話をしていない、半数以上の家庭でこんな話はしたことがないというような調査も出ておりますので、次官の方の通知でそういうのをきちんと指摘されるというのは大事だと思います。  また、ビデオをつくったり、学校や地域が連携を持ってやるんだという御指摘もそのとおりだと思うのですね。  高校生用ビデオをつくったというお話がありまして、政府委員室の方にお願いしてちょっと借りて見てみました。「なくした自由」というちょっと暗い感じの表があるビデオなんですが、全部見てみて、実際にこれは暗過ぎるんですよね。薬物をやった方が、薬物乱用者になって、そこからどうやって社会的に更生するかというところをずっと追いかけて、ドキュメンタリー的でいいのですけれども高校生の教材として適切なのかどうか。大臣、これは見られたことありますか。(有馬国務大臣「ないです」と呼ぶ)ないですね。局長はどうですか、見られたことありますか。(遠藤(昭)政府委員「見ました」と呼ぶ)ああ、そうですか。  今局長が話された薬物教育という観点から見たときに、ちょっと観点がずれているのじゃないか。一たん薬物に陥ってしまった人が更生するためにはこれは物すごくいいビデオだと思う。こういうふうにしていかないといけない、また再犯してしまうからこういうのをきちんと注意しなさいという趣旨のビデオとしてはすごくいいのですが、これまで薬物に触れたことのない青少年に対してこういうのを見せて、薬物は怖いですよという感じはするかもしれないけれども、その体に与える影響とか、薬物に触れないのだ、そういうものに接触しないようにするにはどうすればいいかという観点からは、ちょっと残念ながらこのビデオは趣旨が外れているのじゃないかなと私は見て思いました。  厚生省の所管の麻薬・覚せい剤乱用防止センター、財団法人ですが、そこが「「ダメ。ゼッタイ。」スクール」というビデオをつくっております。こちらのビデオは、そういう意味では、子供たちが薬物に触れない、薬物に接触していかない、そういう教育目的としてはかなりよくできているなというような感じを受けました。  こういう二つのビデオが今高校に配られて、高校生が見られるようになっていると思うのですが、関係省庁と連絡、連携をきちんととるといっても、こういうふうに実際ビデオが別々にできて、どうも見てみると、厚生省所管のセンターがつくったビデオの方が、やはり専門的な知識もしっかりしていますし、かなりよくできているな。それだったら、このビデオをうまく利用して、文部省の方でもそれを使っていくというようなことができないのかなと私自身は思うのですが、きょうは厚生省の山本課長にも来ていただいておりますが、厚生省の方としては、こういう「「ダメ。ゼッタイ。」スクール」のビデオをつくって、これをどのように啓蒙活動に使われているのか、ちょっと御説明をいただけますか。
  130. 山本章

    ○山本説明員 お答えいたします。  厚生省におきましては、従来から、児童生徒用の薬物乱用防止読本でありますとか啓発ビデオ並びに教育関係者用の指導読本等をつくっております。その作成に関しましては、啓発資材の開発に専門的な知識を有しております、先生も今名前を挙げていただきました財団法人の麻薬・覚せい剤乱用防止センターに委託しているところであります。  私ども、より効果的な啓発活動を展開していく上におきましては、やはり対象者を小学校、中学校、高校別の児童生徒あるいは保護者教育関係者等に細分化して、おのおのの対象者に応じた内容の啓発資材を開発することが必要だというふうに考えております。  このような観点から、厚生省では、本年度新たに小学校の高学年から中学生ぐらいを対象とした啓発ビデオをつくったところでありますけれども、先ほどの麻薬・覚せい剤乱用防止センターにおきましても、高校保護者に対する乱用防止読本の作成、配付を今検討しているところであります。  このような啓発資材につきましては、やはり必要に応じて文部省あるいは学校教育関係者の皆様方の御参画を得ながら作成しておるところでありますが、今後とも、この資材の開発それから配付、そういったところにつきましては文部省とも緊密な連携をとりながら、できるだけ効果的かつ効率的な啓発活動を推進していきたい、そういうふうに考えております。
  131. 富田茂之

    ○富田委員 緊密な連絡を本当にとっていただきたいと思うんですね。  パンフレットも、厚生省も文部省も作成しているのですが、両方ちょっと見せていただいたのですが、これは文部省高校生用と中学生用と、なかなかよくできています。厚生省の方も、英文まで入って、かなり詳しくて、子供たちが持って帰ってお父さんやお母さんと一緒に見られるようにということでつくっている。これを参考にして文部省の方でつくられたと思うのですが、これはなかなかわかりやすくて、すごくよくできていると思うのですが、ただ、これがまたお互いの省庁の関係で一緒子供たちの方に配付されてしまっている。こういうところをもう少し、むだにならないように、もう一工夫できないのかなというふうに感じております。そのあたりはどうなんでしょうか。
  132. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 お答えいたします。  五カ年戦略の策定を受けまして、今先生の御指摘のように、各省でそれぞれ個別の施策をやっているわけですね。厚生省の方では、薬物乱用は「ダメ。ゼッタイ。」私もきのう見させていただきました。それから私の方は、文部省では「なくした自由」、これを全国の高校に配りました。  これは中身が、「ダメ。ゼッタイ。」の方は、もう先生ごらんになってわかると思いますが、中高生を対象に、広く青少年に対して薬物についての基礎、基本的知識を啓発普及するということを目的にした内容になっております。それに対して「なくした自由」というのは、薬物乱用経験者の更生施設を舞台にいたしまして、薬物依存症の恐ろしさとか、それから回復するのが大変だ、そういったことなどをドキュメンタリータッチでつくっておりまして、薬物乱用とは何か、あるいは自分の意思で、薬物を避ける強い意志を持つんだということを目的としているわけでございまし て、両ビデオはその内容、目的が異なるというふうに私ども考えております。  したがって、学校では、まずは普通、授業か何かで基礎的な知識を指導するわけです。ですから、厚生省さんのビデオをそういう場面で使っていただくのは大いに結構でございまして、それと同時にそういう、大変なんだよというものを与えるものもやはり必要だろうというふうに私ども考えておりまして、それらによって一層効果的な指導ができるのじゃないか。  ある学校でちょっと調査したものがありまして、それの子供の感想が出ておりまして、簡単に申し上げますと、先生おっしゃるように、確かに、うちのやつを見たら、暗い感じがしたというのがあるのです。だけれども同時に、怖い感じがしたというのがもっと多いのです。このビデオを見て退屈したか、集中して見たか。これは圧倒的に、集中して見たという数字が出ております。  それと、いろいろな感想があるのですが、麻薬を使うと自殺までしたくなるんだな、それから、たった一回使っただけであんなに苦しむのなら、何があっても覚せい剤など使いたくないと思ったというふうな感想も出ておりまして、やはり私ども、これからさらにビデオ等をつくることにしておりますが、厚生省さんともよく連絡をとりまして、それぞれにダブらないように、違う目的でそれらが効果的に使えるように十分注意をしてまいりたい、そのように考えております。
  133. 富田茂之

    ○富田委員 目的が違うんだというのはわからないでもないのですが、多分、両方のビデオを学校で見せているところはないと思うんですよ、そんなに薬物乱用防止の教育時間はとれませんのでね。そういう意味でもよく検討されて、むだにならないように連携をとってもらいたいと思います。  もう一つ委員長の御許可をいただきまして、大臣にこのパンフレットをちょっと見ていただきたいのですが、薬物乱用防止キャラバンカー。  これまで、平成五年にキャラバンカーが導入されまして、ずっと一台で全国をこのキャラバンカーが回っていたのですが、ことしの補正予算で、厚生省予算あと三台つきまして、十月一日からこのキャラバンカー四台で全国を回るというふうになります。  ことしの四月十五日に実は国会に来ていただきまして、私どもの平和・改革、公明でこのキャラバンカーを見せていただきました。実によくできていまして、子供たちがこのキャラバンカーの中を全部一通り見ますと、薬物がどれほど危険なものか、自分の体にどんな影響を与えるのか、そういうのがタッチパネル式で、クイズ形式でわかったり、いろいろな映像として飛び込んできたりして、子供たち本当に理解しやすいようになっている。  そして、また今回新しく三台加えるというので、もともとの一台もかなりリニューアルされて、子供たちが物すごく触れやすくなったということでこういうパンフレットも出ていますので、このキャラバンカーを学校教育の中でも本当にうまく利用していただいて、せっかく全国四台になったわけですから、こういうところもきちんと本部の方で連携をとって、子供たち本当に防止教育になるようなことをぜひ大臣主導でやっていただきたい。  これは、ここの部分は、基本的にはやはり厚生省さんの方が専門で強いと思うんですね。きょうは山本課長も見えていますが、課長さんも専門で、その知識をやはり文部省の方でも生かさない手はない。こんなのは省庁の壁をつくる必要はないので、そこは推進本部のもとに本当に司令塔になるようなセンターをつくっていただいて、ぜひ大臣からもそういうような御指示を出していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  134. 有馬朗人

    有馬国務大臣 御指摘ありがとうございました。  やはり各省庁が教育において緊密な連携をとるべきだと私も思っておりますので、今後さらに連携をして、有効な手が打てるようにさせていただきたいと思っております。
  135. 富田茂之

    ○富田委員 こればかりやっていると時間がなくなってしまいますので、育英奨学事業の拡充について、次にお伺いしたいと思います。  午前中も他の委員からちょっと指摘がありましたが、有利子奨学金の抜本的拡充を十一年度予算で目指しているということで、この点は文部省の方としても、マスコミにかなり広報されたりして新聞等でも大きく取り上げられておりました。貸与人員が十万人います、事業規模としても一千億ふえるんだということで、ことしの通常国会で育英会法の一部改正の法案が通りましたが、そのときにもこの委員会でもっと拡充すべきだという意見がたくさん出ておりました。それに沿った活動だと思って評価はさせていただきたいと思うのです。  このレジュメをちょっと見させていただきますと、貸与基準、成績基準、家計基準とありますが、ここが大幅緩和されるというようにペーパーでは指摘されています。この大幅緩和の中身が一体どんなふうになるのか、教えていただければと思うのです。
  136. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 御指摘のように、有利子貸与事業について抜本的な拡充を図りたいということでお願いをしておりまして、御指摘いただいた点のほかに、学生がその必要性に応じて幾つかの額を選択するような金額設定をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  御指摘の貸与基準でございますが、現在、成績基準といたしまして、大学学部の場合は高校成績が平均三・二以上、また、家計基準として、大都市圏の標準世帯で、国公立大学では年収千百六十八万円以下、私立大学では千二百十二万円以下となっておるわけでございます。  これらにつきまして大幅な緩和を図りたいというふうに考えておるところでございますけれども、これをどの程度にするのかということについては、現在財政当局と折衝中でございまして、まだ具体的な成案を得ていない段階でございますので、御理解をいただきたいと存じます。
  137. 富田茂之

    ○富田委員 ぜひ、その折衝は本当に頑張っていただいて、希望する方がきちんと奨学金を受けられるようにしてもらいたいと思います。  ただ、これは十一年度予算ですので、きょう実は質問したい点は、今深刻な不況の中で、本当に、高校生、特に私立高校生が、お父さんやお母さんの収入がなくなった、また、お父さんやお母さんが病気になったということで高校を退学せざるを得ない、そういうような状況がいろいろな地域で起きている。また、大学の方でも、学費の延納願いとか払えない学生が、今国立大学でも年間四十万、五十万、私立だと百万ぐらいという学費が必要ですので、アルバイトでもなかなか追いつかない、そういうような状況がかなり報告されております。新聞の報道でも毎月のように特集を組んで、いろいろな報告があります。  そういう状況を見るときに、十一年度予算でこういうふうに有利子奨学金を拡充していただいて、できるだけ多くの生徒学生が奨学金を受けられるようになるのはいいのですが、この秋に退学せざるを得ないとかいう生徒や学生のために、文部省として何かできないのか。今どういう状況に学生や生徒がなっているのか、そういうことを文部省の方で調査しているのか。その点をまず伺いたいと思います。  実は、七月に新聞報道でこの件を知りまして、政府委員室の方にお願いして、調査していますかとお聞きしたのですが、なかなかそういう実態調査は難しいと。平成年度に公立、私立の高等学校の中途退学者のうちで、経済的な理由で退学した生徒は二千七百二十三人だと、退学者のうち二・四%だという数字はいただいたのですが、九年とかこの十年度どうなっているのかという実態の把握はなかなか難しいと思うのですけれども本当子供たちが安心して勉強できるような環境をまず整えるのが文部省の務めだと思いますので、そのあたり、どう把握されて、そういう状況に置かれている生徒や学生に対してどのような援 今の段階で考えられているか、ぜひお聞かせ願いたいと思います。
  138. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 経済的理由で中退せざるを得ない大学生の実態につきましては、文部省としては現在把握しておりません。これは、一般的に申しますと、各大学において中退者の中退理由について把握していないというようなこともございまして、経済的理由による中退者を調査することがなかなか難しいというような事情がございまして、冒頭申し上げたような次第でございます。  具体的に、しからばどのような対応があるのかということについてでございますけれども、家計状況が急変をいたしまして、修学に支障を来すこととなった学生につきましては、日本育英会の奨学金において適宜応急採用を行って対応しているところでございます。その際には、学力基準につきましては通常の場合よりも緩やかな基準といたしておりますし、家計基準にいたしましても弾力的な取り扱いを行って、可能な限り対応をしておるところでございます。  また、授業料についてでございますけれども国立大学の場合には、年二回、四月と十月でございますけれども授業料の納期があるわけでございますが、その納期前に申請を行うことによりまして、納期必要額の全額あるいは半額が免除される授業料免除制度、これを有効に活用をしてまいりたいと考えておるところでございます。  ただ、私立学校私立大学の場合は、それぞれの学校において、経済的に困難な者に対して、各学校独自の、授業料に相当する額の給費奨学金制度あるいは一定額の奨学金貸与制度というものが実施されておりまして、それにより所要の対応をしておるところもあるというふうに承知をしておるところでございます。
  139. 富田茂之

    ○富田委員 今局長が話されたように、大学は結構いろいろ、授業料免除の制度とかがあったり、アルバイトもできますし、新聞報道によりますと、慶応大学等では、大学が保証人になって提携した銀行から一千万ぐらい借り入れできるというような制度までいろいろ工夫して考えている。それで、大学はまだ何とかなると思うのですが、特に私立高校のように、今局長が言われた応急採用といっても、普通一般の採用の場合、学力基準が、中学の成績が三・五以上というのを単に三・三以上にして、また、高校での成績が三・○以上が二・八以上になるということで、成績はそんなによくないけれども高校に行って一生懸命頑張ってやろうと思っていた子が、親の都合で、親の方が収入がなくなったということで学業を続けられない、そういう子に対しての何らかの制度的保障というのは今ないのですよね。  この十月末までに景気対策臨時緊急特別枠というのが、文部省として四千八百九十二億四千四百万国会のところ予定しているというふうにお聞きしていますので、本当に困っている子供さんたち、それでも何とか高校に入って、高校を続けたいと思っている子供さんたちに対して、これだけの枠があるのですから、この中から少しでも、何か制度考えて、ある程度お金を回すということは可能だと思うのですが、そのあたり、大臣、どうですか。
  140. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 先ほど、大学生につきまして申し上げました日本育英会の応急採用の制度あるいは授業料の免除制度、これらにつきましては高校生にも適用になるところでございます。  また、御指摘いただきました第二次補正予算の関係でございますが、これについて、例えば育英奨学事業、この制度を活用して拡充をし緊急に対応するということは一つ考え方として成り立ち得ると思うわけでございますけれども、ただ、時期的な問題が実は率直に申しましてございまして、本年六月に成立した第一次補正予算におきまして、私立大学の貸与人員増、これを二千名計上したわけでございますが、その際、奨学生の募集、採用の日程から、十月以降に支給する六カ月分を予算計上したというふうな経緯がございます。  そういった日程的な問題というものを考えますと、新たに第二次補正予算において奨学金を措置したとしても、現実に支給できるようになるのは新年度からにならざるを得ないというような事情がございますので、文部省といたしましては、今回、平成十一年度予算において抜本的な拡充をお願いしたという次第でございます。
  141. 富田茂之

    ○富田委員 時間が参りましたので終わりますが、日程的なこともよくわかるのですけれども、何とか学業を続けたいという子供たちが退学しなくて済むような制度を、ぜひ大臣の方からも事務当局に指示していただいて、実現できるように御努力いただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  142. 小川元

    小川委員長 次に、松浪健四郎君。
  143. 松浪健四郎

    ○松浪委員 自由党の松浪健四郎でございます。こうして質問をさせていただきます機会を賜りましたことを心から感謝申し上げます。  大臣におかれましては、長時間にわたりいろいろな質問があり、お疲れのことだと思いますけれども、いましばらく御辛抱賜りたいと思います。  大臣におかれましては、長い間深遠な真理を探求される学究生活を得、また多大なる成果を上げられ、そして我が国最高学府の頂点をきわめている大学の学長を務められ、そしてまた中央教育審議会等で社会的に大変な成果を上げられてまいりました。そのことに敬意を表したいと思います。  そしてまた、このほどの組閣に当たりまして、閣僚の中で一番適材適所と言っていいような、我々文教委員にとりましてはありがたい方が就任されたというふうに喜んでおりますし、同時に、同情もさせていただいておるところでございます。  最初質問をさせていただきますことは、スポーツにかかわる幾つかの問題点、また私がどうなっているのだろうかと疑問を感じていることを質問させていただきたいと思います。  ことしの六月、七月、フランスでワールドカップのサッカーが開催されましたことは御存じのとおりであろうかと思いますし、我が国にありましても、日本チームが初めて出場するということで国民を挙げて熱狂をし、テレビの視聴率も夜中であるにもかかわらず大変な数字をとりました。サッカーくじの問題を一生懸命やってまいりました私にとりましては、サッカー人気が上がるということは喜ばしい、こういうふうに思うわけです。  私自身もワールドカップの視察に行ってまいりました。そして、幾度かオリンピックというものを見たことがございますけれども、ワールドカップのサッカーというのははるかにオリンピックを凌駕する世界最大規模のスポーツイベントであるという認識を新たにしたわけであります。  そこで、フランスのサッカーは、もちろんフランスチームが強かったということもありますけれども、あれほど国民が一つになって燃えた、その一つの理由に、首都パリでも数試合が組まれ、パリっ子が熱狂したんだと。つまり、首都で開催する試合をするということがなければなかなか盛り上がることがない、そういうふうに思いました。そして、実際それを目の当たりにしたわけでございます。  二〇〇二年ワールドカップサッカー大会は御存じのとおり日韓共催という形になっております。そこで疑問に思うこと、これは非常に単純な疑問でありますけれども我が国の場合、十の都市でやるわけですが、その十の中に実は東京が入ってないのです。そして、愛知県は落選をいたしましたから何も言うことはありませんけれども、なぜ首都東京が立候補しなかったのだろうか、そして二〇〇二年ワールドカップは東京で何もやらないのか、そして東京はワールドカップに知らぬ存ぜぬで何らタッチしないのか、そのことが素朴な疑問として私の脳裏をよぎったわけであります。そのことについてまずお尋ねしたいと思います。
  144. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 お答えいたします。  我が国が二〇〇二年開催に手を挙げまして、候補地として、当初は十五立候補していたわけです が、その後曲折がありまして十になったということでございますが、東京都はこのワールドカップの会場地としての候補地として立候補いたしませんでした。手を挙げなかったわけです。  そこら辺の経緯につきましては、私どもも都には詳しくは聞いておりません。私ども自体が決めるわけではございませんので、確かな情報ではありませんが、恐らく、ワールドカップにおいて、試合会場について一定の、三、四万人だと思いましたが、収容人員を有するところで、しかも観客席の三分の二以上に屋根がかかっているということなど要件がございます。これをクリアするような競技場の整備に恐らく東京都としては問題が、ネックがあったのじゃないかというふうに推測しているわけでございます。  いずれにしても、なぜ東京都がならなかったかといいますと、手を挙げなかったからだというふうに承知をいたしております。
  145. 松浪健四郎

    ○松浪委員 今の遠藤局長の説明で事足りるのですが、我々一観客として、また一国民として、首都でやらなければ絶対に盛り上がらない。そしてまた、想像することができないぐらいの外国からのファンが日本にやってまいります。そうしたときに首都でやらなければ対応できないのではないのかという疑問も出てまいります。  今局長から説明がありましたように、競技場に屋根がかかっていなければいけないという問題があり、十の都市がそれらに対応するためのスタジアム、これらを建設したり、あるいは建設が終わっているところもございますけれども、これらのスタジアムの建設の進捗状況といいますか、この十カ所で十分にやっていけるというふうな状況にあるのでしょうか。     〔委員長退席、栗原(裕)委員長代理着席〕
  146. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 十カ所につきましては、まだ着工していないところが二カ所ございますが、これも、鹿島スタジアムとかもう既に使っているところを改修するとか、それから神戸も改修でございますか、もう基盤ができておる、そういう状況の未着工の二カ所、あとはもう既に着工しております。完成したところも、大阪の長居、横浜など二カ所完成をしておりまして、そういう意味では、十カ所の施設の整備については我が国の場合着実に進んでおる、そういう状況でございます。
  147. 松浪健四郎

    ○松浪委員 ちょっと東京にこだわるのは、首都を無視してこれだけの大きなイベントはできない、こういうふうに私は思うわけですね。例えば組み合わせを決める抽せんをする、そういうようなことについても、これはどこかの都市でやらなければいけないわけですね。となりますと、一番、トランスポーテーション等いろいろなことを考えたときに、やはり東京がタッチしてこなければならないのではないかというふうに思うのですが、この辺はどうなっていますか。
  148. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 御質問の趣旨が違いましたらまた訂正いたしますが、二〇〇二年のワールドカップに向けて地区予選というのをやっていくわけですね、今回のフランスの例もそうでしたけれども。それと同じようなことをやるわけですが、来年の十二月に国内でそれの抽せんをやるわけです。世界各国から百何カ国が集まって、かなりの期間にわたってそれを行うという事業がございまして、これには東京都とそれから広島市か県かちょっと手元の情報ではわかりませんが、手を挙げている、そういう状況はございます。
  149. 松浪健四郎

    ○松浪委員 注目されるそういうことについては東京がやる。そして、屋根をつけるスタジアムの建設等、こういう金のかかることには積極的でなかった。私は、東京で試合が行われないということを大変残念に思いますし、まだまだ検討の余地があって、何試合かは東京でやった方がいいのではないのか、またやってほしいという要望を伝えていただきたい、こういうふうに発言をさせていただいておきます。  そこで先ほど、二〇〇二年大会韓国組織委員会の朴世直委員長は、ある新聞社のインタビューに答えて、ワールドカップは普通六月、七月にやるのがならわしだ、ところが、日本はこの時期梅雨になる、それゆえに、六月、七月の開催よりも、一カ月ぐらい早めて五月、六月にした方がいいのではないのかというふうな開催についての発言をされておりますけれども日本側としてはこの発言をどのように受けとめられるか、お尋ねしたいと思います。
  150. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 その件につきましては私も新聞を拝見いたしましたけれども、それが日本のJAWOC、組織委員会の方にどの程度正式な話として来ているかによります。最終的には、FIFAの下にプランニンググループというのがございまして、そこに日本と韓国の組織委員会のメンバーも入って、試合にかかわる基本的なことについてはここで基本的に決めるというのが原則でございますので、今の開催時期につきましても、もし韓国がそのような方向でいきたいということであれば、このプランニンググループ、それから両組織委員会で話をして、どうするということを決めていくことになるのだろうと考えております。
  151. 松浪健四郎

    ○松浪委員 同時に、この朴委員長の発言の中にちょっと注目する発言がございました。皆さんも御案内のとおりだと思いますけれども、韓国政府並びに国民は、我が国の天皇陛下のことを天皇と呼ばずに、日皇あるいは日王と呼んでまいりました。しかし、近々大統領が来日するその際から、天皇という呼び方にするというふうに新聞で報じられておりますけれども、この二〇〇二年のワールドカップの開会式並びに開幕試合に天皇陛下が訪韓されるのではないか、そして開幕試合をごらんになられるのではないのかという発言がございました。これらについてわかっていることがあれば教えていただきたいと思います。
  152. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 お答えいたします。  その件に関しましては、私ども承知いたしておりません。一般的なことを申し上げますと、ワールドカップにおいて、その開会式には、従来の例を見ますと、その国の元首に当たる方が出席をして開会宣言を行うという例が多いというふうに承知いたしております。  今回は、開会式は韓国で行われることになっておりますが、史上初の二国の共同開催ということでございますので、今後、これをどういう形をとるかということは、関係者の間で慎重に検討していくのではないかというふうに予測いたしております。
  153. 松浪健四郎

    ○松浪委員 ワールドカップは初めてアジアで開催されますし、世界で最も人気のあるスポーツの最大のイベントでございます。日本と韓国で共同開催するということになりました。さらに、両国の関係がより親密に、また両国民が本当に兄弟と言われるような、手を携えて、立派な共同開催、イベントにしていただきたいというふうに切望したいと思います。  次に、サッカーくじの問題についてお尋ねをいたします。  この法律は難産でありました。ここにいらっしゃる委員先生方も、最初は賛成したけれども最後は反対する、心の揺れる先生もいらっしゃった。また、理解をしてくれない先生方もいらっしゃいました。残念に思うこともございましたが、我が国のスポーツ体育行政というものを概観したときに、また世界的視点から身体文化というものをとらえたときに、私は、このスポーツ振興投票法は必要である、何としても成立させたいという思いで、微力ではありますけれども協力をさせていただきました。この法律が成立したことについて、大臣から一言所見を伺うことができればと思います。
  154. 有馬朗人

    有馬国務大臣 お答え申し上げます。  スポーツ振興投票の実施等に関する法律及び日本体育・学校健康センター法の一部を改正する法律につきましては、スポーツ議員連盟を初めとする御検討を踏まえ、昨年、議員立法として国会に提出され、参議院での修正の後、本年五月に成立、公布されたということを存じ上げております。  この法律というのは、その規定により、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内で政令で 定める日から施行することとしており、十一月中旬までに関係政省令を整備する必要があるところとよく知っております。  あわせて、スポーツ振興投票の実施主体である日本体育・学校健康センターでは、スポーツ振興投票の販売等の業務を委託する金融機関の選定作業を進める必要があるということもよく知っておるところであります。  いわゆるスポーツ振興くじということでございますが、やはりスポーツを振興していくという点でこれは極めて重要な方策ではないかと考えておりますが、ひとつ、ここの議会でも、国会の審議においても御注意がありました、青少年に対する影響についての適切な配慮を行うこと、それから運営全般にわたって公正及び透明性を確保すること等について議論があったということをお伺いしておりまして、これは十分考慮をさせていただきたいと思っております。  現在、文部省では、こうした議論等を踏まえまして、いわゆるスポーツ振興くじの実施に万全を期すべく準備を進めさせていただいております。  まず、七月二十一日に開催されました保健体育審議会の総会において、スポーツ振興くじについて審議を行うスポーツ振興投票特別委員会が設けられたところでございます。今後、この特別委員会を中心に、スポーツ振興くじの実施に向けて整備すべき先ほど申し上げました政省令に関すること等について審議を行う予定でございます。     〔栗原(裕)委員長代理退席、委員長着席〕
  155. 松浪健四郎

    ○松浪委員 ありがとうございました。  それで、この発売開始は二〇〇〇年をめどにしてやるということになっておりますけれども、現在の保健体育審議会またはその特別委員会ですか、これらで審議されて、そして日本体育・学校健康センターに任せて本当に二〇〇〇年に間に合うのか、その心配をしております。  それで、二〇〇〇年に間に合わすためには、どういうプログラムをいつごろ決めて、どうしなければならないのかというようなことがあろうかと思うのですが、そのことについてお尋ねしたいと思います。
  156. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 お答えいたします。  大臣もお答えいたしましたとおり、まず、法律関係でいいますと、この法律は、五月二十日に公布をいただきまして、十一月十九日までに動かすようにというふうになっておりまして、したがって、それまでに政省令を定めなければならないということが一つあります。  それからもう一つは、実施主体であります日本体育・学校健康センター、ここでは販売等の業務を委託する金融機関の選定作業というものも進めなければならない。  この二つが当面の作業でございまして、さきの政省令の関係で申し上げますと、ことしの七月に保健体育審議会にスポーツ振興投票特別委員会というものを設けまして、現在、くじの年間実施回数とか、払戻金の割合、払戻金の最高限度額とか、何等まで設けるかとか、そういった骨格になるようなことをここで御議論いただきまして、それを受けて政省令を遅くとも十一月の中旬までには定めていきたいというふうに考えております。  日本体育・学校健康センターの方では、既に金融機関等を対象にいたしまして説明会やあるいは相談窓口というものを設けております。今後このセンターでは、委託金融機関の選定をするための基準をつくって公明正大にやろうということでございますので、まず基準をつくる、その次に、基準の策定後、委託金融機関の具体的な選定作業に入っていくというふうになると思います。  さらに、その後につきましては、このスポーツ振興投票特別委員会では、収益の配分の方針などについて御議論をしていただく。センターの方におきましては、選定されました金融機関とセンターとでより具体的な、コンピューターシステムとか具体的な準備作業に入っていくというふうに考えておりまして、ここら辺の時期のめどというのははっきりは申し上げられませんが、議員立法ですので、国会でのやりとりを見ますと、二〇〇〇年をめどにというふうなことを言われておりますが、一つのめどとして私どもも作業を進めていきたいのだ、このように考えております。
  157. 松浪健四郎

    ○松浪委員 とにかく、せっかくできた法律ですから、二〇〇〇年をめどに全力で頑張っていただきたい、こういうふうにお願い申し上げます。  平成十一年度概算要求なんかを見ましても、総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業であるとか、あるいは総合型地域スポーツクラブ普及、定着の推進、加えて広域スポーツセンター育成モデル事業の推進等、既に予算を獲得しようという姿勢がはっきりしておって、もし、とらぬタヌキの皮算用ではございませんけれども、サッカーくじで収益を上げれば、これらをより大きなものにしていくという形で努力されているわけですから、二〇〇〇年をめどにお金がうまいこと入ってくるように頑張っていただきたいということを要望しておきます。  と申しますのは、実は、私が深くかかわっておりますレスリング協会におきましても、サッカーくじでレスリング協会にお金が転がり込んできたら、こういうプログラムをつくってこうしょうではないか、そのお金を有効に使おうではないかというふうなプログラムもでき上がり、私のところにも送られてまいりました。  各スポーツ団体は、地域社会の皆さんだけにとどまらず、大変期待をしておりますので、二〇〇〇年をめどにうまいこといくように局長にお願いをしておきたい、こういうふうに思います。  次に移りますけれども、私も高等教育機関に身を置いた者の一人として心を痛めました。恐らく一番心を痛めたのは文部大臣であろうかと思いますけれども、さきの京都大学大学院理学研究科の入学試験におきまして、我が国学校教育法に定められた受験資格を持たない朝鮮大学校の卒業生が受験をし合格するということになりました。このことにつきましては、各紙が一斉に報道し、そして大臣もコメントを発されておるわけでございますけれども、私は、この際、この問題ははっきりとけりをつけなければいけないのではないのか、こういうふうに思う者の一人であります。  なぜならば、大学の自治、学問の自由、そして入学の問題、卒業の問題については、文部大臣は関与することができない。けれども、その大学を管理するのは文部大臣である。これはどうしなければならないのか。もしこれを認めてしまいますと、来年から朝鮮大学校の卒業生は、京都大学はいつでも受験できる。つまり京都大学は、朝鮮大学校は各種学校ではなくて、京都大学だけが国立大学の中にあって朝鮮大学校を大学として認めるということになります。これらの矛盾点は学生にとっても不幸でありますし、教育に携わる一人として私は、余りにもあいまいではないのか、はっきりすべきだ、こういう思いを持っておりますけれども大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  158. 有馬朗人

    有馬国務大臣 非常に難しい問題でございまして慎重にお答えをしなければいかぬと思っておりますが、まず、現在の段階においては、今お話がございましたように、京都大学において、大学院理学研究科において、当該学生について大学を卒業した者と同等の学力があると判断をし、朝鮮大学校卒業生の大学院の受験を認め合格させたということであります。  しかし、御指摘のように、我が国大学院入学は学校教育法に基づく大学教育を受けたことが基本とされ、学校教育法の体系で各種学校として位置づけられている朝鮮大学校の卒業者には大学院入学資格は認められていないというところでございますので、京都大学にはこの旨を指導しているところでございます。  文部省といたしましては、引き続き、このような考え方に基づき適切な対応がなされるよう、各大学に対して指導していく所存でございます。
  159. 松浪健四郎

    ○松浪委員 今の説明で尽きているのかもわからないのですが、釈然としない。  大臣は、東大の学長をやられておったときには、外国人学校扱いのアメリカのテンプル大学日 本校の学生の入学を認められました。そして今は、それを認めない立場の側に立ったわけでありますけれども大臣はテクノクラート、物事をはっきりすることをやってこられた研究者だと私は思う。今回は、今の説明だけでははっきりしていない。  私は、朝鮮大学校の資料を集め、そしていろいろ見させていただきましたけれども、朝鮮大学校の卒業生で国立大学で学位を得た者は、大阪大学で七名、京都大学で三名、東大三名、北大一人、東北大二人というふうに、主に理学、工学の学位を取られております。そして、御案内のように、私立大学あるいは公立大学では既に受験資格を与えているわけであります。この整合性というもの、これもはっきりしておかなきゃならない。  そこで提案でありますけれども平成三年に文部省は学位授与機構というものをつくられました。ここで学位を、学士、修士、博士、この学士の学位を手中にすれば国立大学も受験できるのではないか。今回合格した鄭鎮洪さんはこのまま入学される。しかし、これを認めてしまいますと、ことしはよくて来年がだめだというようなことになりますと、朝鮮大学校の卒業生も不利益であります。  ちなみに、朝鮮大学校のカリキュラムも私は点検をさせていただきました。しかし、この大学で行っている教育は、日本人からすれば容認しがたい一面があるということをも指摘しておかなければなりませんけれども、しかし、学問の自由、研究の自由というものを踏まえて見たときに、思想やあるいは民族というようなもの、あるいは現在の国交がないというような政治的問題、これらを無視してでも学問を受けさすべきである、ならば、その道を開く方法はないのか。私は、この学位授与機構というものを有効に活用すべきだ、こういうふうに思いますし、この鄭鎮洪君についても、可能ならば、この機構で学士の学位を取らすべきではないのか。そして、きちっとしたルールを定めておかなければ文部省も立場がないのではないのかというふうに心配をしておりますが、いかがでしょうか。
  160. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 御指摘いただきましたように、学位授与機構は平成三年の七月に設置をされたわけでございますが、これは、生涯学習推進の観点から、高等教育段階のさまざまな学習の成果を評価して、大学大学院の修了者と同等の水準にあると認められる者に対して学位等を授与するものでございます。  この学位授与機構におきましては、学位等を認める場合に二つのケースがあるわけでございます。一つは、短期大学、高等専門学校の卒業者などが大学においてさらに一定の学修を行った場合に、大学を卒業した者と同等以上の学力を有すると認められる者に対して学士の学位を授与する、それが一つのケースでございます。もう一つのケースは、大学以外の教育施設の課程で、その教育を行うについて他の法律に特別の規定があるもののうち、大学あるいは大学院と同等の水準にあると機構が認定した課程、その課程を修了した者に対して学士等の学位を授与する、この二つのケースがあるわけでございます。  他方、朝鮮大学校の関係でございますが、これは御案内のように各種学校でございますので、学校教育に類する教育を行う教育施設として自由で多様な教育を行い得る、そういう位置づけとなっておるわけでございます。したがいまして、学位授与機構が現在学位を授与する、高等学校教育の基礎の上に立って教育を行うといった性格のものではないわけでございますので、朝鮮大学校につきまして、学位授与機構の学位授与の基礎資格を与えるということは困難であるというふうに考えておるところでございます。
  161. 松浪健四郎

    ○松浪委員 局長は困難であるというふうにおっしゃるんですが、朝鮮大学校は朝鮮民主主義人民共和国が認めておる大学であります。としたならば、小平市にあるけれども、外国において学校教育における十四年以上の課程を修了した者、これが基礎資格を有する者ということになっておりますから、外国にある大学だ、学校だという解釈をするならば、この学位授与機構で学位を取得することが可能になります。  それで、大臣はテクノクラートであります。そして、私は今も忘れませんけれども、昨年の五月三十日、中央教育審議会の二次答申を出されるに当たって、実現可能なことはやるというのが中教審の会長としてのお言葉でありました。そして、答申は八十五点だというふうにおっしゃっておられました。どこにマイナス十五点があったのか存じませんけれども。とにかく実現可能なことをやるというのが大臣の姿勢であるとしたならば、この問題は何らかの形で決着をしないと、一言で言えば、表現は悪いけれども文部省が一国立大学にこけにされているということになります。その辺について大臣、いかがでしょうか。
  162. 有馬朗人

    有馬国務大臣 現在は、先ほど申し上げた態度をとっております。  しかしながら、この国際化の時代でございますので、さまざまな観点をもう一度整理をしてみようということは、この前新聞記者との会見でも言ったことでございますので、少し検討をする、そして整理をさせていただきたいと思っております。
  163. 松浪健四郎

    ○松浪委員 両国の関係は横に置きまして、学生の学問の問題、教育の問題でございますから、真摯に対応されますことを懇願しておきたいと思います。  話はもう一回スポーツに戻りますけれども、私は、きょうの新聞を見てショックを受けたものであります。と申しますのは、二月の長野オリンピックの折に中国のオリンピック委員会の会長が来たときに、中国は二〇〇八年のオリンピックには立候補しない、日本に、大阪に協力するというようなコメントがありましたけれども、どうも北京かあるいは上海が立候補をする。どちらになるかわからないけれども立候補をする。ついては、韓国の大統領は、もし中国が立候補すれば、大阪ではなくて中国を応援するという発言をされていらっしゃいます。  これは大変な強敵であります。と申しますのは、アジアから立候補するのは大阪だけだというふうに思っていたにもかかわらず、大変な強敵が出てまいりました。しかも、この強敵は、かつてシドニーと争って負け、一度立候補の学習をしている国であります。もしかしたらば、大阪も八八年の名古屋の二の舞を踏むのかという心配を私はするものであります。  大阪がこのオリンピックを確実に開催しようとするならば、これは一日も早く閣議了解をしてもらわなければなりません。過日の参議院予算委員会で大臣は、早期にやる。早期といいましても、辞書を引けばわかりますように、できるだけ早くと書いてあります。できるだけ早くといいましても、例えば歴史家が往古、悠久の昔の話のできるだけ早くといえば百年、二百年のことであるかもしれませんけれども、この大阪オリンピックの閣議了解は、文部省の説明を聞きますと、長野のときよりもまだ一年ゆっくり目だからという話でありますが、強敵があらわれて、大阪が闘っていく上において本当文部省や国が応援するとしたならば、文字どおりできるだけ早く閣議了解をしてもらわなければいけません。そして、その予算委員会におきまして、小渕内閣総理大臣も同様の答弁をされています。  けれども、テクノクラート大臣からすれば、数字をはっきり言っていただかないと、できるだけ早く、できるだけ早く、これでは何も有馬先生文部大臣をやる必要がないのではないのか。そのような答弁でやるとしたならば、これはだれでも大臣が務まることになります。実現可能なことからやっていくというのが大臣のお考えであるとしたならば、できるだけ早くというのはいつごろを指していらっしゃるのかお尋ねしたいと思います。
  164. 有馬朗人

    有馬国務大臣 具体的に何年というふうなことをまだ申し上げられないのですけれども、しかしながら、この前申し上げたように、長野の前例で やりますと、平成十一年までに閣議了解するというのが一応対応するわけでございますが、それより早期ということは、明らかにそれよりは早くというふうに考えていると申し上げましょう。
  165. 松浪健四郎

    ○松浪委員 僕でも答弁できるような内容でして、僕は、テクノクラートというものに物すごくこだわっているのですよ。これは順番に踏まえていかないと、適当に一夜漬けでできる学問ではありませんから。それで大変な業績を残された大臣が、一夜漬けでどこかの大臣答弁を勉強してきたような答弁では期待外れなんですよ。  それと、名古屋のときと甚だ異なるのは、冬のオリンピックと夏のオリンピックは全然違うということ。つまり、前回のシドニーのオリンピックでも十一の都市が競うということになりました。二〇〇八年は、今のところそれほど多くはありませんけれども、恐らくそれぐらいの国が立候補をするであろう。若人の祭典、平和の祭典であるオリンピックをどうしても大阪でやりたい。私は、経済的波及効果というもの、こんなものを度外視してでもこのイベントはどうしても大阪でやりたい、こういうふうに願っております。  それで、大阪が国際的に招致活動をしようとしたならば、これは閣議了解なくしてはできないわけですね。どうせするのなら早くすればいいじゃないか。既に各省庁の会議も持たれて、まだまだその回数は多くはないようですけれども政府がやる気があるのかないのかということ、これが問われております。大阪も名古屋の二の舞になればいいんじゃという思いであるならば閣議了解を延ばせばいい。私は、お隣の中国が、しかも一回オリンピックに立候補という学習をしている国が、その都市が立候補するということに大変な危機感を持っております。  しかし、どうも文部省は余り危機感を持っていないように思うのですが、もう一回お尋ねしますけれども、長野のときよりもというようなわけのわからぬ答弁よりも、どうですか大臣、できるだけ早く、それをいつごろかというのを、どうでしょうか。
  166. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 お答えいたします。  松浪先生おっしゃる気持ちもよくわかりますし、中国がもし立候補するということになりますと大変な強敵だというのもおっしゃっるとおりでございます。また、大阪市の方からも、かねがね国内外で活動していくためには、やはりできるだけ早く閣議了解をもらいたいということを強く要請をいただいておりまして、私どもも可能な限り努力をいたしておりまして、六月二十九日には関係省庁課長会議を開きましたし、その後現在は、競技施設整備に係る財政支援方策などにつきまして、財政当局を初めとしまして、関係省庁と調整作業を行っております。  これがある程度まとまれば閣議了解に持っていけるわけでございまして、大臣も先ほど答弁申し上げましたように、長野よりも一年前のスピードでいっているということは、まあ何月、何カ月というのはなかなか大臣のお立場では申し上げられませんけれども、技術的に積み上げて何カ月というふうにはお話しできないたぐいのものですから、できるだけ我々としてもそういう気持ちを受けて、一刻も早く閣議了解に結びつくようさらに努力をしたいということで御理解をいただきたいと思います。
  167. 松浪健四郎

    ○松浪委員 理解せいと言われて理解するのは簡単なんですが、これはなかなか理解できませんで、大臣、銘記しておいてください、心に。もし大阪が、オリンピックが開催できなかった、招致できなかったというときは、時の有馬文部大臣の行動が余りにも非テクノクラートで、優柔不断でお役人さんの言うことに余りにも耳を傾け過ぎてオリンピックを逃がしたと歴史に刻まれることをよく知っておいてもらいたいと思います。  それを避けるためには、今局長から話がありましたけれども、とにかく真剣に、大変な対抗馬、ライバルが出てきた、そこで真剣に、一日も早く閣議了解されますよう心からお願いします。  と申しますのは、閣議了解してもらわなければ招致委員会の設立もできないわけであります。となりますと、大きなハンディを背負うことになります。我々の国のシステムは中国と甚だ異なりますので、招致活動をより有効に、また有利に進めていくためには閣議了解が不可欠であることを、再三しつこく繰り返し、再三お願いをして、一日も早く閣議了解をしていただけるようお願いしますが、協力していただけるでしょうか。この答弁、ひとつお願いします。
  168. 有馬朗人

    有馬国務大臣 まず一つ、重要なファクターが変わりましたね。すなわち、中国が立候補するかもしれない、やはりこういう状況はきちっと考慮して今後の検討に入りたいと思っております。  いずれにしても、十一年よりは早期ということは申し上げてありますし、その早期がどのくらいかということについてのことをはっきり申し上げないものですから、非常に御不満でおありだと思いますけれども、今申し上げたような条件の変化等々も加味いたしまして、十分早く対処したいと思っております。
  169. 松浪健四郎

    ○松浪委員 十月までには閣議了解していただかなければ大阪が困るということ、この要望をお伝えさせていただきまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  170. 小川元

    小川委員長 次に、石井郁子君。
  171. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。  この夏、文部省発表の数字によれば、不登校の子供たちが十万人を超えました。十万五千四百十四人ということですね。また、いじめが原因で自殺をする子供、事件を起こす子供が後を絶たないわけであります。今の子供たちは二十一世紀を担うわけですから、本当にこのままでは日本社会の存続、発展が危うい、私は、日本社会の危機と見なければいけないと考えているところでございます。  折しもこの五月に、国連子どもの権利委員会で、子どもの権利条約の我が国の実施状況についての審査が行われまして、その中で、六月に同委員会から日本政府に対する最終見解が示されたわけであります。それを見ますと、今日の文部行政への重要な指摘が行われていると私は考えておりまして、きょうはこの問題について質問をさせていただきます。  まず有馬文部大臣にですが、この子どもの権利条約、そして最終見解、お読みになられたと思いますが、どのような感想を持たれたでしょうか。御感想をまずお聞かせいただければと思います。
  172. 有馬朗人

    有馬国務大臣 まず、児童の権利というものがあるわけでございまして、これについて十分私も認識をいたしております。  そのことに関して、日本の対策ということに関するいろいろなコメントが、勧告等与えられましたけれども、これの中で十分考えていかなければならないことが多々あるという認識をしております。  ただ、この提案及び勧告は法的拘束力を有しているものではございませんが、同委員会からの指摘を踏まえまして、文部省といたしましては、もう既に従来からも児童の権利を実現するための施策をさらに一層の充実に努めてまいりましたので、今後もまたこれをさらに努めていきたいと思っております。
  173. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 先ほど来出ておりますように、もう少し大臣の率直な御感想を大臣のお言葉でお聞かせいただければというふうに期待をしたのですけれども、それはおきまして、この最終見解は、「肯定的要素」それから「主な懸念事項」、そして「提案及び勧告」という三つの項目でなされておりまして、その「肯定的要素」というのは、これまでどういうことがやられてきたかということですが、評価は三点しかないのですね。「提案及び勧告」というのは二十二項目にわたっているという内容なんですけれども、私は、特にその中で、きょう問題にしたいのは四十三項目めなんです。  「児童が、高度に競争的な教育制度のストレス にさらされていること及びその結果として余暇、運動、休息の時間が欠如していることにより、発達障害にさらされているしというふうに書いてありまして、これは「主な懸念事項」のところですけれども、高度に競争的な教育制度の是正ということを勧告しているのですね。国連の機関が教育制度のあり方の是正を求める勧告を行うというのは異例のことだと言われているわけです。子どもの権利条約について、各国別にいろいろ審査をされてきていますからね。そういう他の国の勧告では、こういう形のものは見られないと言われているわけであります。  そういうことで、今大臣に御答弁いただきましたが、高度に競争的な教育制度の是正を求めるという勧告を文部大臣としてどう受けとめているのか、またどういうふうにこの勧告に対応されようとしているのか、先ほども答弁いただいたのですが、もう一度伺いたいというふうに思います。
  174. 有馬朗人

    有馬国務大臣 この競争的な問題点というのは中教審でも随分問題になったことでありまして、その一つの要因として、入学試験をどうするかというふうなことも入っているわけですね。そういう意味で、先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、さまざまな観点から入学試験を多様化する、改善をする努力を現在図っているところであります。こういうところから徐々に、余りにも過度な競争社会というのは教育の上からは外していきたいと思っております。  そのための具体的な方策は、まず、入学試験の上で、先ほども申し上げましたけれども、アドミッションオフィスを導入するとか、あるいは口頭試問をより積極的に使うとか、そういうふうに単に学力だけを検査するというやり方ではない方式を導入するというふうなことで、多面的な方向からこの競争的な社会を解消するべく努力をさせていただきたいと思っております。
  175. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 入学試験という問題で具体的に御答弁いただいたのですが、それは一つでありまして、これは後でもう少し突っ込んで議論をさせていただきますけれども、これは国際条約なんですね。実施の義務があるものですよね。  そこで、きょうは外務省にもお願いしているのですが、こういう勧告を受けているわけですから、子どもの権利条約を実施していく上で、この最終見解、いわば勧告というのがどういう意味を持つのか、この勧告に対して今後政府としてどういう対応をしていかれるのかということを、取りまとめが外務省だということですので、ちょっと外務省の見解を伺っておきたいと思います。
  176. 上田秀明

    ○上田政府委員 お答え申し上げます。  この児童の権利に関する条約は、国連の場で提唱されまして条約の形になりました。我が国がこれを批准いたしましたときには、当然のことながら、国内法との整合性を図りまして、国会で承認いただき、批准したわけでございまして、我が国が条約の遵守義務を持つことは当然でございます。  この条約に基づきまして、児童の権利委員会というのが、国連の機関ではございませんで、この条約の機関としてつくってございます。そこに専門家という方々が、知見を有される方々が個人の資格で選ばれて委員として活躍しておられます。その委員会がそれぞれ締約国との間で、報告書を求め、それをいわば審査し、そして質問もし、また答えも出し、そして今御指摘のような見解を示すわけでございます。  それで、当然でございますけれども、先ほど文部大臣から御答弁ございましたように、この委員会の見解そのものが法的拘束力を持つわけではございませんけれども、この条約の効果的な実施を促進するという観点から、十分に検討して、適切と考えられるものについてはこれを尊重するということに努めてまいる所存でございます。  現在、関係省庁の連絡会議を開催いたしまして、各省庁におかれてそれぞれの所掌事項がございますので、それぞれ検討していただいているところでございます。  こういった検討の結果を踏まえまして、また、我が国の第二回の国別の報告というようなことを含めて、また、委員会、先ほど申し上げました専門の委員から成る委員会でございますが、その委員会の方々とのいわば対話と申しましょうか協議と申しましょうか、理解を深めていただいて、一面、まだまだ我が国の事情について必ずしも十分な理解が得られていない点も散見されますので、十分またお話もし御説明もしてまいりたい。  いずれにいたしましても、目下関係省庁でそれぞれの所管事項につき検討いたしているところでございます。
  177. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 随分御丁寧に御答弁いただいたのですが、要するに、この子どもの権利条約の実施に当たってやはり勧告は意味を持つ、検討しなければいけないというふうに確認をしたいというふうに思うんですね。  この際、外務省に一つお願いをしておきたいのですけれども、この勧告の中の最後のところでは、最終見解そのものが国民に広く入手ができるようにするということをわざわざ書いていますよね。その点で、まだインターネットにも入っていないというふうにちょっと伺っているんですが、そういうのは至急やはり盛り込むべきじゃないのか、取り入れるべきじゃないのかというふうに思いますので、これは御答弁は要りません、ぜひ検討してください。やはり広く国民に知らせるということは、まず第一義的に政府がやらなきゃいけないことですから、そのことをぜひお願いをしておきたいというふうに思います。  どうもありがとうございました。  さてそれで、次、文部省の方に具体的なところで幾つあと質問をさせていただきますけれども、子どもの権利条約の第四十四条で、この条約に基づいて政府がとった措置あるいはもたらされた進歩、こういうことを政府に報告の義務づけをしているわけですよね。私これは大変重要だというふうに思うんです。  今外務省から御説明いただきましたけれども、批准してから二年以内にまず一回目の報告があって、それから五年ごとに報告をしていかなくちゃいけないということで、こういうふうに書いています。「この条約において認められる権利の実現のためにとった措置及びこれらの権利の享受についてもたらされた進歩に関する報告」を国連総長を通して委員会に提出しなきゃいけないというふうになっているわけですね。  だから、それが今回一回目の政府の報告書、そしてそれに基づく審査だというふうに思うんですが、次回は二〇〇一年に提出するということになるわけですよ、五年ごとにですから。だから、これまでどうしたのか、これから五年後をどうやっていくのかということがもう国連で審査されていくということですので、私は、文部行政、そういう意味では非常に重要になってくるというふうに考えているわけです。  それで具体的になんですが、まず広報関係について伺います。  この勧告の三十三項目めにこういうことがありますね。「条約の規定が児童及び成人の双方に広く知られ理解されることを確保するために一層大きな努力が締約国により払われるよう勧告する。」「権利の完全な主体としての児童の地位を強化するため、委員会は、条約が全ての教育機関のカリキュラムに取り入れられるよう勧告する。」と。つまりこれは、今までにこの広報が不十分だったということを指摘をされたということなんですね。  それで文部省、いかがでしょうか。子供たちがこの子どもの権利条約についてどのくらい知っているのか、そういうことを文部省として把握しているでしょうか。
  178. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 文部省として、子供たちがどのくらい理解しているかということにつきましての調査を行っているわけではございませんけれども一つただいま先生の御指摘のとおり、子供たち一人一人に児童の権利条約についての趣旨と申しましょうか内容というものが伝わらなければいけないということで、そのために教育活動を通し て学校でこれは子供たちに教えていくということが必要になるわけでございますが、その主たる教材でございます教科書には、小中高を通しまして社会科の教科書等を中心に、教科書によりましてはいろいろ書きぶりはさまざまでございますけれども、この児童の権利条約につきましては記述されてございます。  したがいまして、そうしたものを主たる教材としながら、各学校ではこの内容については教えられているものであるというように思います。その結果、子供たちがどの程度ということにつきましては私どもは調査はいたしておりませんが、そんなふうに思っております。
  179. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 教科書の話が出されましたので、私は、教科書についてこれは文部省にもいろいろ教えていただきまして調べてみました。  これは文部省からいただいた資料で、私たち自身が何十冊も小中高の教科書を見るのは大変ですから、これをいただいて大変参考になったのですけれども、大変がっかりいたしました。局長は、そういうふうにして教科書を通して教えているというふうに言われますけれども、例えば小学校六年生の社会科で見ますと、ここでは発展途上国の子供たちの問題ということを記述している。その欄外に子どもの権利条約が書いてあり、あたかも発展途上国の子供たちのためにあるかのように読めるというものがあります。  それからもう一つの例で挙げますと、この中には、子供の権利について「人の独立した人間としての人権を保障する国際条約」という書き方なんですよ。これは非常に抽象的ですよね。一人の独立した人間としての権利、こんなふうに言われても、その権利の中身は何なのか書いていない。これは大人だってわかりません。これで小学生にどうやって伝わるのか、わかるのかということは私は本当に疑問に思いました。  中学校、高校に行きますと確かに具体的な記述は出てくるんですよ。しかし今大事なのは、子供たちと言う場合は小学生からなんですよね、権利条約の精神というのは。だから小学生の子供たちに知らせなきゃいけないということなんです。私は必ずしもこれは教科書にこだわるものではありませんけれども子供たちはこうした権利がありますよ、あなたたちは権利を持っているんですよということを知らせるという努力は世界でいろいろしているでしょう。  例えば、スウェーデンなんかでは年齢別にこの権利条約というのがパンフレットになっていて、私たちがちょっと調べたところでは、七歳、八歳の子供用に、「だれも私をたたいたりばかにしたりすることはできない。」とか「私にはよい暮らしをする権利がある。」だとか、こういうことで書いてあるんですね。だから、まさにその年齢に見合って子供たちに、あなたにはこういう権利がありますということをこの権利条約の精神として知らせなきゃいけないというふうに思うんですよね。  こういう点で文部大臣、どうでしょうか、お考えございますか。
  180. 有馬朗人

    有馬国務大臣 現在小学校で使用されている教科書につきましては、すべての社会科の教科書において、先ほど先生お話しになられましたように、児童の権利条約について取り上げてはおります。  ただ、確かにおっしゃるように、具体的なことに関しましては、ページ数の制約等々がありまして非常に短いということはございます。しかし、ともかくこの権利条約について教科書がすべて書いているということをまず申し上げておきたいと思います。  教科書の具体的な記述は、しかし、今申しましたように、限られた紙幅の中でどのように取り上げるかということは、それぞれの著者の考え方もあるし執筆者にも任されているものですから、やはり、学校でこの教科書を使うときに少し工夫をするという必要があろうかと思います。学校での指導を通じてこの条約の趣旨、内容がわかりやすく教えられるように努めていきたいと思います。  これは北海道の方で出したものですね。これはとてもよくできていますね。小学校一年から三年まで、四年から六年までと、こういうふうなパンフレット、副読本というふうなものがそれぞれの地域で工夫されることを私としては願っているところであります。
  181. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 大臣、せっかくの御答弁ですけれども、すべての教科書にあるというのは事実と違うんじゃないでしょうか。たしか文部省からいただいた調査でも、教科書で載っていないのもある、載っているのもこういう形だということでありましたので、それはちょっと後でお確かめください。  それから、私は、最初に申し上げたのは、この権利条約が子供の中に届いているのかどうか、やはりそれを文部省はつかむ必要がある、それをつかまなくてどうして次の施策が打ち出せるのかということがありますよ。今各都道府県でもそういうパンフレット、いろいろ努力をされています。しかし、これは政府が第一義的にやらなければいけない、国際条約としての義務事項でありますから。それが子供たちにやはり届いていないという事実があるわけでしょう。  NGOの団体がいろいろ調査をしていますよ。これは九五年の条約の批准の間もないころ、内容について知っているというふうに答えた子供たちは三割です。ところが、一年後には二割と比率が低下しているのですよ。だから、本当に今どうなのかということをやはり文部省はつかむ必要がある。  その場合に、勧告の三十四項目めはへ条約の実施に当たってNGOと緊密に協力をすることということもあえて呼びかけているわけですから、そういう協力などをすればいろいろな調査ができるだろうというふうに思うのですね。もちろん本当にいろいろな形のサンプリング調査などがあっていいと私は思うのですが、やはり子供たちにどういうふうに周知しているのか。このことをやはり政府として、文部省としてつかむという点ではいかがですか。ぜひこれはやってほしいと思います。
  182. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 先ほど御説明しませんでしたけれども、先ほど大臣から一つリーフレットの例が示されたわけでございますけれども、各県が児童生徒に対してどんな取り組みをしているのか、リーフレットの作成をしているかどうかとか、あるいは広報誌等に掲載してそういったものを伝えるようにしているかどうかというような調査はございます。それから、教職員に対してどんな施策を講じているかというような調査はございます。こういったものにつきましては、さらに継続をして実施をしていきたいというふうに思います。
  183. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 それでは、もう一方で学校関係者あるいは教育関係者がどういうふうに権利条約について知っているのかという問題なんですが、今局長から出されましたけれども、例えば初任者研修のプログラムについて見ますと、子どもの権利条約というのは本当に入っているのでしょうか、どうですか。
  184. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 私ども、初任者研修、各都道府県のプログラムをすべて見ているというわけでございませんけれども、ほとんどの都道府県におきましては、人権教育に関するプログラムというのは必ず入っておられます。  例えば東京都で見ますと、その初任者研修に、対象としております新任の教員に渡す手引書の中に、具体的に児童権利条約に言及し、さらに児童権利条約の経緯と趣旨等についてきちっと取りまとめたものを手渡しながら研修しているという事例もございますので、今後とも十分意を用いるよう、各都道府県教育委員会等を指導してまいりたいと考えております。
  185. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 本当になかなかお寒い実態があるのですね。私は幾つか聞いてみました。確かに、東京都は副読本的なものを持っていてされているというのを聞きましたが、大阪では人権教育ということはあっても、子どもの権利条約については入っていない。それから埼玉県でも入ってい ないというふうに聞いています。恐らくそういうことで、ちゃんとつかんでほしいというふうに思うのですね。  これは勧告の中にもありますように、日本政府の報告を見るといろいろなことをやっているというふうにあるけれども、その達成された進歩を容易に評価できるようなデータの収集がないじゃないか、これはデータの収集をすべきだとわざわざ書いていますよね。私は、そういうことで、まず子供についてもどう周知されているのかとちゃんとつかんでほしい。それから、教職員関係の皆さんもどうなのかということでつかんでほしい。  それから、いろいろな研修を行う際にも、NGOの団体からも講師を招くとか、NGOの団体の方がこの間一生懸命取り組んでいらっしゃるわけですし、それなりの専門家を集めていらっしゃるわけですから、そういうことを本当考えてもいいのじゃないかというふうに思うのですね。  先ほどサンプリング調査をされるというふうにはちょっと御答弁なかったと思うのですが、もう一度、これはちゃんとあらゆる教育機関のカリキュラムに入れるべきだと指摘されているわけでしょう。少し前向きに御答弁いただけませんか。
  186. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 この条約の趣旨でございます一人一人の子供の人権をしっかりと守る、そして一人一人の子供の教育を大切にしていくということは大変大事なことだと思います。そのために、どんな形でやるのか、これはなかなか難しい点もあるわけでございますけれども、大変大切なことでございますので、先生の御意見を承りまして私どももいろいろと検討してみたいと思います。
  187. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 どうもまだ抽象的な御答弁にとどまっているのですけれども、決して人権一般じゃないのですよ。子どもの権利条約で言われている趣旨を子供たちに伝える、これが新しい点なんですよ。それはまだ伝わっていません。私はそこをきょうは申し上げているのですが、ぜひ検討してください。  それで、時間がないのですけれども、私は、過度に競争的な教育制度ということで、あえてというか、日本教育制度が国連という場で問題になった、このことを本当に正面から今受けとめなければいけないというふうに思うのですよ。文部大臣の方からは入試についてのいろいろ改善を図りたいという御答弁がありましたが、そこにとどまらないのですよ。  実は、この勧告は、もうお読みになっていらっしゃるから繰り返すのもなんですけれども、なぜこの問題を指摘するか。今子供たちというのは、過度なストレス及び登校拒否などをいろいろ起こしているじゃないか、これと闘うために適切な措置をとりなさい、こう言っているわけでしょう。なぜそれを言うかというと、この権利条約の三条、六条、十二条、二十九条、三十一条に照らしてこれを考えなさい、ここまで言っているじゃないですか。  それはもうあえて言うまでもありません。三条は子供の最善の利益を第一次的に考慮する。六条、生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する。十二条というのは意見表明権ですね。二十九条は教育の目的、三十一条は休息、余暇、遊び、レクリエーション活動の権利ということでしょう。こういうものを考えて検討しなさいと言っているわけですから、どうも文部省はそういう視野がないのですよ。それで、今入試の改善をしているということで終わりにするという点では、子供たちの今置かれている状況の全体を見ない、あるいはとらえることにならないというふうに私は思うのです。  それで、大変時間がないのですけれども、もし例えれば、この国連の審査において、こういう過度の競争的な教育制度ということをめぐって、例えばどんなやりとりがなされたのか、一つ御紹介されるとしたら何か具体的に言っていただけませんか。
  188. 工藤智規

    ○工藤政府委員 最終報告で、過度に競争的な制度という先生の御指摘のような表現があるわけでございますが、私どもこれは、二日ほどのヒアリングといいましょうか、意見交換あるいは質疑応答を経てこういうまとめになったと聞いているわけでございます。  その二日間でのやりとりを出席した者等から聞いてみますと、特に日本教育制度について何か突っ込んだお話というよりは、御案内のとおり、近年残念なことに子供たちのいじめでございますとか、あるいはいじめ等に起因する自殺などが頻発いたしまして、それが先方の専門家の方々の耳にも届いていたようでございまして、その原因として、何か子供のストレスを高めるような日本独特のものがあるのではないか。それが例えば受験であったり、あるいは学校内での子供たちの閉塞状況であったりというようなことが話題になりながら、その意見交換の中でこういう文章になったと聞いてございまして、格別日本の今の教育制度のどこをどういじるということではなくて、御提言にもありますように、学校における体罰でございますとかいじめ、登校拒否、あるいは少数民族の子供たちへの差別、人権教育の学校でのカリキュラム導入問題等、幅広くいろいろの御意見があってこのようになったと聞いているところでございます。
  189. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 この国連の審査の二日間には、日本のNGOの団体からもいろいろ参加されたと思うのですね。私もその方々からも御意見を聞きましたし、そのNGOの参加された方々が議事のやりとりを録音され、そして起こしもされているのですね。間もなく国連そのものが議事要録を発表されるというふうに思うのですけれども本当に興味深いですよ。  日本教育について各委員の方がこれほどいろいろよく知っていらっしゃるのかという点も、随分私なんかも勉強になりました。本当にそれは御紹介したいのですけれども、それはもう時間がありませんので。  私はここで、例えばある委員の方は、こういうこともおっしゃっているのですね。日本には学習指導要領が存在している。これは、学校にとって極めて厳格な基準となっていると思う。この考え方、態度の変化が求められる。この条約は、まさに考え方と態度の変化を求めるものだ。もし民主的社会となりたいのであれば、この条約をそのための強力な道具として用いることができる。ここまで踏み込んで言われているのです。  私は質問をしたいのですけれども、この子どもの権利条約の批准は一九九四年ですね。そうすると、当然この条約は、今審議されている教育課程のあり方の審議に根本の問題として取り上げられなければならないというふうに思うのですね。六月三十日には中央教育審議会の答申、七月二十九日には教育課程審議会の答申が出されたわけですけれども、この権利条約、勧告を審議したというようなことが見受けられないわけであります。これではもうこの勧告や条約も全く無視をして日本の文部行政が進められているというふうに受けとめざるを得ないわけですけれども、これは重大なことだというふうに思うのですね。  それで、文部省に伺うのですけれども、こういう審議会の審議に当たってこの勧告を本当に受けとめているのかどうか。いかがですか。
  190. 工藤智規

    ○工藤政府委員 先ほどの答弁の中でお話ありましたように、専門家の方々の、個人の資格での御参加でのいろいろなやりとりがあったわけでございまして、それぞれの方々の日本教育制度あるいは教育の現状についての御理解が、深い方、浅い方、あるいは偏っている方、いろいろあったかと思います。  それで、日本政府側とのやりとりの中で、ある程度理解が深まって誤解が解けた部分とそうでない部分があるかと思いますが、いろいろなやりとりで今先生の御指摘のようなこともあったかもしれませんが、また、私どもで聞いておりますのは、ある委員は、日本教育制度も保健制度も進んでおる、加えてこの条約により、児童も人権を有していること、権利の正当性が明確に定律されたと思うというような、むしろ積極的な御発言の方もいらっしゃって、いろいろだったようでござ います。  今のお話についていえば、日本教育制度について、学習指導要領がさも瑣末なことまで縛り、学校なりあるいは子供たちの自由な伸び伸びとした教育を妨げているかのような誤解が一部に、国内でもあるわけでございますけれども、一度学習指導要領をごらんになっていただければわかりますように、近年極めて大綱化してございまして、さらに今回の教育課程審議会での御審議におきましても、さらにそれをより大まかなものにし、各学校での、あるいは各先生方の専門性に応じての自由度を増すような形での、生き生きとした学校づくりに資する大綱的な指針にしようというふうに進められているところでございます。
  191. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私が伺っているのは、中央教育審議会や教育課程審議会のメンバーの方々あるいはその会合で、子どもの権利条約あるいは今回の勧告というようなことについて討議をされたのかどうか。単純な話なんです。それをお聞かせください。
  192. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 いわゆる児童の権利条約というような文言をテーマにしてということではなく、この児童の権利条約の趣旨というものが、先ほど申し上げましたとおり、一人一人の子供たちにしっかりとした学力を身につけさせて、基礎、基本をしっかりと身につけさせて、そして一人一人が自立していく子供を育てていく、一人一人の個性を大切にした教育を展開していくのだ、こういうことでございまして、そういう観点に立ちますと、教育課程審議会においては、冒頭の総論の一年間というのは、まさにそういうやりとりをしたわけでございます。したがいまして、十分にこの児童の権利条約の趣旨というのは踏まえた議論が行われたものというふうに確信をいたしております。
  193. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 局長がそうおっしゃるのは自由なんですけれども、事実の話として、審議会のメンバーの方々に権利条約や勧告は渡されているのでしょうかというふうに聞いているのですよ。それはちょっとここでは置いておきます、残念ですけれども。  この権利条約ではそういうことを問題にしているのですね。皆さんがちゃんとこれを審議してください、そうして施策を考えてくださいと。それを文部省がやはり率先してやるべきじゃないですか。やっていないでしょう。それで、こういうことがいろいろ出されてくる、次から次という話なんですね。  ぜひ私は、学習指導要領、近く出されるという話も聞いていますけれども本当にこの時点で改めて権利条約と勧告に戻って考えるべきだ、考えてほしいということを強調しておきたいというふうに思います。  きょうは、とても残念なんですけれども、私は子供の参加の問題についても質問をしたがったのですが、それはまた次回に回すことにしたいと思います。  いずれにしても、本当に国際的にこの子ども権利条約というのはこういう形で議論されている。ここから外れたことで文部行政を進めていくというのは、やはり日本は国際社会から大きく立ちおくれていくということになるわけですから、そういう点をぜひ踏まえてほしいということを重ねて申し上げまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  194. 小川元

    小川委員長 次に、保坂展人君
  195. 保坂展人

    ○保坂委員 本日の長い長い質疑も最後で、社会民主党の保坂展人でございます。  有馬文部大臣、御就任おめでとうございます。大臣御自身の体験、あるいは身近なところで不登校をめぐるお話、あるいはフリースクールをめぐってのお話、大変有意義なやりとりがあったと思います。また、超党派の議員で二十四時間子供の声を受けとめていこうというチャイルドライン、こういったことに対して文部省も前向きに取り組まれてこられているので、文部大臣にもぜひ御理解をいただきたいとお願いをするわけでございます。  ところで、先ほど松浪議員からも既に問題の提示があったわけですけれども、私は、事態の緊急性にかんがみて、本日は外国人学校の卒業生の入学、入学というよりは受験資格問題を中心に質問をさせていただきたいと思います。  若干重複もありますけれども大臣東大総長であられたときに、テンプル大学ジャパンの卒業生を、国際的にこれは評価の高い大学の生徒であるというふうに認定をしていただいて大学院受験を認められたということに対して、改めてではございますけれども、心から敬意を表したい、このように思います。大学人の良識に従った、時宜にかなった御判断であったと思います。  そして今回、今度は別の立場で、文部大臣として、京都大学大学院への先ほどあった朝鮮学校卒業生の受験、並びに今度は合格が伝えられてきたわけです。このとき、文部大臣に、かつての東大総長時代同様の良識ある判断を貫いていただきたいと強く切望する次第であります。  これは、新聞、雑誌でも、いろいろ散見すると、テクノクラートという言葉もありました。そして、この問題にどういう一歩をしるされるのか、大変注目が集まっているところでございます。そしてまた、大臣は理論物理学者であり、また同時に俳人でもあられると承っております。私も、言葉、文章で子供たちに学校やいじめの状況を伝えるということを十数年なりわいにしておりましたので、言葉に少しこだわって、ぜひ本音のところを聞かせていただきたいと思うのです。  といいますのは、十日ほど前でしょうか、新聞紙上に、この問題を検討されるということが載ったわけでございます。ところが、新聞によってはこれはニュアンスが百八十度違う見出しになっておりまして、大臣自身も、変えるということを前提にせずに検討していくと、ちょっとわかりにくい表現なんですね。変えるということを前提としないで検討していくということを少し考えてみますと、変えないということを前提にしない、つまり、絶対これは変えないんだということを前提にしないということであれば、もうそもそも検討する必要さえないわけでございます。あるいは別の表現では、矛盾がないかどうかの確認も含めてというお言葉もあります。矛盾がないかどうか再確認されるというのは、矛盾があるかどうかの疑いが発生したということではないかと思うのですが、ここらをもう少しわかりやすい言葉でお話しいただきたいと思います。
  196. 有馬朗人

    有馬国務大臣 まず、私が東京大学学長時代の平成三年における判断を申し上げます。  テンプル大学というのは、御承知のように、アメリカにおいてアクレディテーションを受けていて、私も訪問したことがありますが、非常にしっかりした大学であります。その大学日本校でありまして、かなり内容のしっかりした教育を行っている。そういう点で、法学部の方に属しております法学政治学研究科においてテンプル大学日本校卒業生の大学院の受験を認めたいということがありましたので、それは各研究科の自治の面もありますので、認めた次第であります。  このことに関しましては、今回の京都大学の問題と同じような問題がございまして、大学院入学資格を認めることについては慎重にすべきであるということを文部省より指導を受けたということが事実でございます。  しかし、先ほど申し上げましたように、東京大学内においては、従来の慣例といたしまして、大学院の入学資格の有無については各研究科の判断に任せられているという慣例がございまして、そういうことに従ってその後も同大学日本校卒業生に大学院入学試験を受けるというふうなことに対する資格を認めた例が二、三あったかと思います。  このことは、文部大臣となりますと、これはやはり矛盾があるということをつくづくと認識をいたしております。そこで、現在のところは、先ほど申し上げましたように、文部大臣といたしましては、今後とも各大学において大学院入学資格に ついて適切な対応がなされるように指導をせざるを得ないと思っております。  しかし、私がこの前新聞記者等々に対して答えましたことは、外国人学校の卒業者の入学資格について今後検討しようと考えていると申しましたことの真意を申しますと、今御指摘のように、必ずしも今までの取り扱いを変更することを前提とするものではございませんが、この機会に、まず、我が国の在学教育施設の卒業者が外国にいてどういう待遇を受けているかとか、あるいは我が国の在学教育施設の卒業者がそれぞれの国で、当該国でどのような扱いになっているかとか、そういうことを調査してみる、今後の国際化、今非常に国際化が進んでおりますので、極めて多様になってきておりますので、そういう多様な状況を一度きちっと整理してみたいと思っているわけであります。  しかし、現在のところは、たびたび申し上げますが、我が国大学大学院の入学資格は学校教育法上各種学校として位置づけられている外国人学校の卒業者には認められておりません。現在のところとしては、引き続きこれに基づいて適切な対応がなされるよう、各大学に対して指導していくということを考えております。  以上でございます。
  197. 保坂展人

    ○保坂委員 ちょっとあえて踏み込んでお尋ねをいたしますけれども大臣は、東大当時は文部省から指導を受けた、大学人としての判断で確信を持ってこれはよしという判断をされたということでございます。  今回、朝日新聞の朝刊、九月十七日ですけれども閣議後の会見で、京都大学も指導し、そして東大にも慎重な対応をしてほしいというふうにおっしゃっているのですが、これ、東大には指導あるいは何らかの対応を求められたのでしょうか。あるいは京都大学に対しては、やはりその大学人の判断ということを尊重された対応を貫かれてきたかどうか、そこの点を大臣自身の判断の経緯も踏まえてお聞かせいただきたいと思います。
  198. 有馬朗人

    有馬国務大臣 このことにつきましては、私も詳しく高等教育局長より報告を受けました。高等教育局長を通じて各大学に対してしかるべき指導を行っております。もし必要があれば高等教育局長に……(保坂委員東大については」と呼ぶ)東大にも言ってあると思います。
  199. 保坂展人

    ○保坂委員 では、少しこの問題、実は三月からたびたび文教委員会で機会を見つけながら取り上げてまいりまして、なかなか、平行線の議論が正直のところ続いております。何とか実態を明らかにしながら一歩でも二歩でも前進させたいわけなんですけれども、三月十八日に当時の雨宮学術国際局長に、まず外国人学校、これについて把握している数について伺いを立てたところ、ちょうど百三十校というお答えがあるのですね。ちょうど文部省のこの分厚い学校基本調査報告書平成九年版で調べていましたので、ここに百三十五というふうにありますよと。その議論の後ずっと、四カ月か五カ月たって、このずれというものがどうして生じたのかということを考え続けてきたのですよ。これについて、現在の学術国際局長に実態のところをわかりやすく簡明にお聞かせいただきたいと思うのですが。
  200. 工藤智規

    ○工藤政府委員 経緯からいたしますと、三月十八日の当文教委員会で委員から御指摘がありまして、平成九年五月一日現在の外国人学校の数についての御質問でございましたが、百三十か百二十九かということで食い違いがあったわけでございますが、その後精査しましたところ、百三十と答弁申し上げた中に廃止されていた学校が一校含まれていたということが判明いたしまして、後日先生に御報告しがてら訂正させていただいたところでございます。  学校基本調査の百三十五校との食い違いにつきましては、学校基本調査は学校種別の詳しい分析をしていない調査報告書なのでございますが、百三十五校の中に日本語学校が十一校あり、それから、県から生徒数がゼロで申告してあった学校が一校あったということの差し引きをいたしますとちょうど百二十五校になるということでございます。  先ほどの百二十九校との関係で申しますと、百二十九校の中には休校中のものが四校あるということでございますので、先生とのやりとりの関係で申し上げますと、大変混乱させて申しわけございませんでしたが、百二十九校ということで、その中には四校の休校中のものが含まれるということでの誤解で御勘弁いただきたいと思います。
  201. 保坂展人

    ○保坂委員 あえて確認させていただいたわけです。  そうすると、工藤局長にさらに伺いますけれども文部省国際教育室では、いわゆる個々の外国人学校の実態、教育課程であるとか教育内容であるとか、これは把握されているのでしょうか。簡単にお答えいただきたいと思います。
  202. 工藤智規

    ○工藤政府委員 御承知のとおり、国内でのいわゆる外国人学校というのは、かなりの学校が各種学校の認可を受けているところが多いわけでございますが、その所管は都道県知事でございまして、私ども文部省で直接各種学校の内容についてまで精査するような作業は行ってございません。
  203. 保坂展人

    ○保坂委員 余り精査してないということで、その数が何校あるのか、答弁とかあるいは報告書の数も実はいろいろずれていたということだったのかもしれません。  そこで、さらに文部大臣に伺いたいと思います。わかりやすい事例で、インターナショナルスクールに通う日本人の生徒の話をしたいと思います。  シンガポールの日本人学校に十一年半在学して、日本のインターナショナルスクールで残り半年をやって、さあ国立大学というのはだめですよということなんですね。受験資格がそもそもありません。逆に、日本のインターナショナルスクールに十一年半在学して、半年シンガポールのインターナショナルスクールに在学する、これはオーケーなんですね。これはやはり矛盾だとお思いにならないでしょうか。――いや、これは文部大臣にお聞きしていますので。もう前回、答弁聞いていますので、有馬文部大臣にお答えいただきたい。
  204. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 ちょっと事務的なことを申し上げさせていただきたいと思うのでございますが。  日本のインターナショナルスクールに十一年半在学し、シンガポールのインターナショナルスクールに半年在学したというケースでございますが、これにつきましては、シンガポールにおけるインターナショナルスクールがシンガポールの国内においてどのような扱いを受けているかということによって、我が国大学の入学資格が認められるかどうかということが決まってくるということを申し上げさせていただきたいと思います。
  205. 保坂展人

    ○保坂委員 それもわかっているんですね。たびたび、もう二十回ぐらい確認しているのでわかっているのですけれども、そういう前提がおかしいと思われませんか。
  206. 有馬朗人

    有馬国務大臣 先ほど申し上げましたように、そのような問題点がどういうところにあるか全般的にもう一度見直してみたいというのが、この前から申していることでございます。
  207. 保坂展人

    ○保坂委員 では、今度は答弁をお願いします。  それでは、今おっしゃったように、シンガポールにあるインターナショナルスクールも学校によって違うわけですね。それぞれインターナショナルスクールでも、各国の教育法制に準拠していたり、あるいはプライベートなものだったり、さまざまあるわけです。  そうすると、実際に日本人の子供たちが海外で卒業して国立大学受験を志してくるというときには、どうやってこれを調べるのですか。だれがどこで調べて、これはオーケー、ここはだめというふうに答えを出しているのでしょうか。
  208. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 外国のインターナショナルスクールがその国においてどのような扱いを受けているのかということについては、個々の大学におきまして、具体のケースについて確認をするとい うふうな扱いとなっておるところでございます。  したがいまして、各大学において、具体的には、その国の大使館等に問い合わせて、学校教育における十二年の課程に正規に位置づけられているかどうかということの確認を行っているところでございます。
  209. 保坂展人

    ○保坂委員 これだけ厳格に、私立大学あるいは公立大学の半分近くが受験の資格を認めているのです、国立大学はだめだということの中で。  実は先般、千葉大学に我々文教委員会で見に行きましたけれども大学独自の判断ということでいうなら、飛び級も千葉大学の判断ではないかと思うのですね。この判断が大学に付与されていないのであれば、全国であっちもこっちも一律に飛び級をやるというふうにはならないわけで、つまり、大学の判断というところにポイントがあろうかと思うのですが、文部大臣、いかがでしょうか。
  210. 有馬朗人

    有馬国務大臣 十七歳入学というのは、これはちゃんと法律的にも認めましたし、中教審でも随分議論いたしましたので、これは非常にすっきりしたものである。あとは各大学の自主性で、何人採るかというふうなことの判断を任せているわけですね。これは非常にはっきりしているので、私もこれははっきりとお答えができることであります。
  211. 保坂展人

    ○保坂委員 そうすると、先ほど局長答弁で、個々の大学が個々に照会をしていると。これはとても難しいのですね、実は照会するのは。  実は、国立大学の中には、日本人の子弟でインターナショナルスクールやアメリカンスクールを卒業したら、例えば仕事の都合でどこかの国に行ったら、たまたま赴任した町にその学校しかない、扱いの不平等が生じるので、もうこれは一律入れましょうという判断をとっている大学もあるのです。こういう判断も可能でしょうか。文部大臣に伺いたいと思います。
  212. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 入学資格というものは法令上規定されたものでございます。したがって、各大学において、それを大学の判断で変えるということはできないわけでございます。  そんなわけで、各大学における確認は法令に基ついて行われるべきものでございまして、それぞれの大学の判断で弾力的に入学資格を認めるというわけにはまいらないところでございます。
  213. 保坂展人

    ○保坂委員 では、もう最後の問いにして終わりますが、本当に矛盾しているのですよ、文部省。実は大臣文部省を指導していただきたい、ここの点は。ほかは、まあいいことも意欲的にされていますけれども、ここの点はちょっとやはり石頭ですよ。  実は、もし今局長答弁が正しいのならば、文部省で一覧表をつくればいいのですよ。それぞれのインターナショナルスクールは、ここは合っていますよ、ここはバカロレアがあるからいいですよとか。ないのです、それは。個々の大学が照会しなさいと言っているこの点も、ぜひ再検討して、実情をまず直視していただきたい。一言お願いして、終わります。
  214. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび申し上げておりますように、この国際化の時代に、さまざまな場合があり得る。例えば、外国で勉強した子弟が日本に来るときにどういうふうに対応するか、逆に、日本にある外国人の学校に対してどう対応するか、あるいは、日本にある外国の大学の分校のようなものをどういうふうに考えるか、さまざまな面について、一度きちっと整理をさせていただきたいと思っております。
  215. 保坂展人

    ○保坂委員 ちょっと時間が超過してしまったことをおわびして、ぜひこの問題の前進の一歩でも早かりし日を念願して、私の質問を終わります。
  216. 小川元

    小川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時八分散会