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1998-08-31 第143回国会 衆議院 日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林野事業の改革等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年八月三十一日(月曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 大原 一三君    理事 赤城 徳彦君 理事 衛藤 晟一君    理事 杉山 憲夫君 理事 牧野 隆守君    理事 小平 忠正君 理事 佐藤 敬夫君    理事 宮地 正介君 理事 江崎 鐵磨君       今村 雅弘君    江渡 聡徳君       大石 秀政君    岡部 英男君       木村 隆秀君    久野統一郎君       小坂 憲次君    阪上 善秀君       実川 幸夫君    下村 博文君       中谷  元君    萩山 教嚴君       平沢 勝栄君    御法川英文君       八代 英太君    山口 泰明君       山本 公一君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    北脇 保之君       木幡 弘道君    今田 保典君       永井 英慈君    鉢呂 吉雄君       細川 律夫君    赤羽 一嘉君       長内 順一君    木村 太郎君       一川 保夫君    西川太一郎君       二見 伸明君    中林よし子君       平賀 高成君    秋葉 忠利君       中田  宏君  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         農林水産大臣  中川 昭一君         運 輸 大 臣 川崎 二郎君  出席政府委員         国土庁防災局長 林  桂一君         大蔵省主計局次         長       寺澤 辰麿君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省理財局長 中川 雅治君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         農林水産大臣官         房長      高木  賢君         林野庁長官   山本  徹君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         気象庁長官   瀧川 雄壯君         郵政省貯金局長 松井  浩君  委員外出席者         衆議院調査局日         本国有鉄道清算         事業団債務処         理及び国有林野         事業改革等に         関する特別調査         室長      長尾 正和君     ――――――――――――― 委員の異動 八月三十一日  辞任         補欠選任   河井 克行君     山口 泰明君   中谷  元君     小坂 憲次君   藤井 孝男君     今村 雅弘君   細田 博之君     御法川英文君   西川太一郎君     二見 伸明君 同日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     藤井 孝男君   小坂 憲次君     中谷  元君   御法川英文君     細田 博之君   山口 泰明君     平沢 勝栄君   二見 伸明君     西川太一郎君 同日  辞任         補欠選任   平沢 勝栄君     八代 英太君 同日  辞任         補欠選任   八代 英太君     河井 克行君     ――――――――――――― 八月二十八日  旧国鉄長期債務処理に関する陳情書  (  第五九号)  国有林野事業改革に関する陳情書  (第  九六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関す  る法律案内閣提出、第百四十二回国会閣法第  四六号)  国有林野事業改革のための特別措置法案(内  閣提出、第百四十二回国会閣法第四四号)  国有林野事業改革のための関係法律整備に  関する法律案内閣提出、第百四十二回国会閣  法第四五号)  森林法等の一部を改正する法律案内閣提出、  第百四十二回国会閣法第七八号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、東北森林管理局及び関東森林管理局設置  に関し承認を求めるの件(内閣提出、第百四十  二回国会承認第二号)  一般会計における債務承継等に伴い必要な財  源の確保に係る特別措置に関する法律案内閣  提出、第百四十二回国会閣法第四三号)      ――――◇―――――
  2. 大原一三

    大原委員長 これより会議を開きます。  第百四十二回国会内閣提出日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案国有林野事業改革のための特別措置法案国有林野事業改革のための関係法律整備に関する法律案森林法等の一部を改正する法律案地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務承継等に伴い必要な財源確保に係る特別措置に関する法律案の各案件を一括して議題といたします。  各案件につきましては、第百四十二回国会において既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大原一三

    大原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関す   る法律案  国有林野事業改革のための特別措置法案  国有林野事業改革のための関係法律整備に   関する法律案  森林法等の一部を改正する法律案  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ   き、東北森林管理局及び関東森林管理局の設   置に関し承認を求めるの件  一般会計における債務承継等に伴い必要な財   源の確保に係る特別措置に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 大原一三

    大原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤晟一君。
  5. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 本日は、日本国有鉄道清算事業団債務処理及び国有林野事業改革等に関する 特別委員会総括質疑ということで、自民党を代表いたしまして質問をさせていただきたいと思います。  冒頭に、今回の豪雨災害被災された方々、お亡くなりになられました方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、哀悼の意を表したいと思います。  この豪雨災害は、東北、北関東を初めとする各地に大きな被害をもたらしています。総理も、既に土曜日に状況視察に行かれるなど、その対策に御尽力されているところでございますが、ここで、今回の豪雨災害に対して政府としてどのように取り組んでいくおつもりなのか、総理大臣にお伺いをいたします。
  6. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 初めに、今回の豪雨災害により不幸にして亡くなられた方々に対し、謹んで哀悼の誠をささげますと同時に、御遺族に対しましても、心から哀悼の意を表したいと思います。また、被災された多くの方々に対しまして、心からお見舞い申し上げたいと思います。  お話のように、私、土曜日に、福島並びに栃木の被災地をつぶさに視察をさせていただき、被害め状況を自分の目で確かめてまいりましたと同時に、被災をされた方々にも直接お見舞いの意を申し上げさせていただきました。  今回の災害に対しまして、政府といたしましては、災害発生直後より、現地からの被害情報の収集を行うため、体制整備を図るとともに、自衛隊、広域緊急援助隊の派遣、近隣県からの消防防災ヘリ応援出動、これも近県の茨城あるいはまた群馬からもヘリが参りまして、この水流、濁流にのまれておられた、そして、家の屋根等救助を待たれた方々を適宜救助するというようなことができました。この点は、この防災へりその他大変活躍されておられまして、人命救助行方不明等の捜索・救助活動も適切に行われておりました。ただ、残念ながら、既に水流にのまれた方々が行方不明になられておりまして、この点はまことに残念だと思っております。こうした水防活動等、国、地方公共団体を挙げて応急対策実施しておるところでございます。  また、五県十市町村に対しまして災害救助法を適用し、避難所設置食料品の提供など応急救助実施するなど、被災された方々に対する応急対応を総力を挙げて行っておるところでございます。  さらに、今後、台風四号の動きに伴いまして各地豪雨が予想されることから、引き続き、地方公共団体関係行政機関等の密接な連携を保ちながら、被災箇所応急復旧を行うなど、万全の警戒体制をとってまいる考えであります。本日、中央防災会議を開きまして、この点につきまして徹底を図ってまいりたいと思っております。  また現地視察した結果、河川、道路、福祉施設等各種公共施設、あるいは農地、農業用施設等に大きな被害発生をいたしておることを実感いたしておりまして、今後とも、被害状況早期把握被災地の一日も早い復旧全力を尽くしてまいる所存でございます。  さらに、激甚災害指定等の御要請もありましたが、現在、被害状況、あるいは被害を受けた自治体の財政状況被災地農業所得状況等に照らしまして最終的に判断することになりますが、最近の前線による豪雨各地に大きな災害をもたらしておりますことを考慮いたしまして、早急に検討してまいりたい、このように考えております。
  7. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 政府と一体となった取り組みをぜひともお願いを申し上げます。  ところで、豪雨災害では、鉄道を中心として交通関係にも大きな被害をもたらしているところでございますが、これからの気象の動向や災害復旧など、運輸省の果たすべき役割は大変大きなものがあるというように考えております。ここで、豪雨災害による交通機関被災状況、今後の気象状況見通し、さらには、今後、運輸省として災害復旧にどのように取り組んでいくのか、運輸大臣にお伺いをいたします。
  8. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今日の豪雨で亡くなられた方に心からお悔やみを申し上げますとともに、負傷された方々、また、今日困難な状態に置かれておる方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  お尋ねでございます、まず鉄道被害でございますけれども、朝現在で、JRが二十五線二十七カ所、その他民鉄五線におきまして、今鉄道がとまっておる状況にございます。そのうち、JRにおきましては七カ所、これは崩壊とか土砂流入等でストップになっております。それから、北海道におきまして民鉄が一カ所、同様な状況にあるところでございます。その中でも、特にJR東日本東北本線及び上越線で規模の大きな崩壊土砂流入発生しており、復旧に約一カ月かかる、こういうように見ております。運輸省としても、地域皆様方早期復旧への期待を十分承知しており、可能な限り早期開通するよう、特にJR東日本を指導してまいりたい、このように思っております。  気象状況でございますけれども、台風が少し東へ向きを変えておりますけれども、日本付近での前線の停滞と台風四号の北上に伴い、大雨の降りやすい状況はあすまで続くと考えております。これまでの記録的な大雨により、河川の水位が高くなっておりますとともに、地盤が水分を多く含んでいるため、今後はわずかな雨量でも河川のはんらんや土砂災害発生する危険が非常に高い、このような状況にございます。  報道機関を通じながら、気象庁といたしましても、また運輸省といたしましても、厳重な警戒を呼びかけてまいりたいと考えております。
  9. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 被災地方々が一刻も早く立ち直ることができますように、真剣な取り組みをぜひともお願い申し上げます。  以上で豪雨災害につきまして終わりたいと思います。  それでは、清算事業団債務処理について質問をさせていただきたいと思います。  経営破綻に陥っていました国鉄分割民営化いたしまして鉄道事業再生を図ることを目的といたしました国鉄改革は、我が自由民主党によりまして断行されて、はや十一年が経過いたしています。これによりましてJR七社が誕生じ、昔の国鉄時代と比較いたしまして、サービス面の改善あるいは赤字体質かちの脱却、円満な労使関係の構築など、国鉄改革の成果は目をみはるものがございます。  しかし一方で、JR七社の中でも、経営が順調な本州三社と、脆弱な経営基盤の中で厳しい経営を強いられていますJR北海道四国九州のいわゆる三島会社JR貨物との経営格差の問題や、まさに今、本特別委員会で審議されようといたしております清算事業団債務問題といったいわば影の部分が非常に大きな問題になっているところでもあります。  私も運輸政務次官を経験させていただきましたが、中でもこの二つ、二十八兆に達する清算事業団債務処理、そしてまた、そういう中からも浮き彫りになってきた経営格差の問題、ある意味では恣意的とも言えるようなぐらい大きくなってきていると思うのでありますが、そういう問題につきまして、大変大きな問題でもございます。私どもといたしましても、このまま放置することは絶対に許されないというぐあいに考えております。そういう意味では、与党も野党もないのではないかという認識をいたしております。  ここで、まず、国鉄改革に対する評価につきまして、総理大臣及び運輸大臣にお伺いをいたします。
  10. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 昭和六十二年四月に実施をされました国鉄改革につきましては、これまでのところ、JR全体として、鉄道輸送サービス向上が図られますとともに、収支状況も改善しておりまして、我が国鉄道事業再生という観点から、おおむね順調であると考えております。  しかし一方で、今お話しのように、国鉄清算事業団に残された膨大な債務本格的処理につきま して早急に実施をしなければならないことなど、国鉄改革の総仕上げのための解決すべき重要な課題が残されていると認識をいたしております。でありまするゆえに、今回この法律をお願いいたしておるゆえんのものも、そうした状況に対しまして何としても解決をしなければならぬ、こういう趣旨でございますので、御理解いただきたいと思っております。
  11. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず、国鉄改革基本理念でございますけれども、国鉄事業破綻原因衛藤委員の御指摘のとおり、公社制度による全国一元的な経営、ここにあった、このような理解のもとで、分割民営化によって、効率的で地域の実情に即し、かつ責任ある経営実施してまいろう、これによって交通事業再生を図ろうとするものでありました。また同時に、国鉄が当時抱えておりました膨大な債務、これをどう適切に処理をしていくか、これが二本柱であったと思っております。  その中で、今総理からも御答弁のとおり、本州三社につきましては、大変生産性も高く、サービス向上が図られておるところでございます。ただ一方で、JR北海道四国九州及び貨物、この四社につきましては、なかなか経営状況が厳しい、また、完全民営化への道筋というものが現在明確になっておらぬということは事実でございます。  運輸省として、この四社に対する経営に対する援助、こういうものをどう考えていくか、大きな課題であると思っております。同時に、今御審議いただいております国鉄清算事業団債務本格的処理、これをこの国会、何とか皆さん方の御協力を得たい、このように考えております。
  12. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 御答弁のように、やはり国鉄改革実施我が国行政改革観点からも、鉄道事業再生という観点からも大変な偉業であり、引き続きこれを遂行していく点においては、自民党責任与党としてその責任を、責務を果たしていかなければいけないというように考えております。  ここで、清算事業団債務問題に焦点を当てて質問させていただきたいと思います。  国鉄改革によりまして総額三十七兆一千億円の債務処理することとなりましたが、そのうちJRが十一兆六千億、実質的には新幹線のリース料を入れまして十四・五兆、十四兆五千億の債務負担することとなりました。残る二十五兆五千億円は清算事業団負担することとなりました。  ここで、昭和六十二年の国鉄改革時において、この清算事業団の二十五兆五千億円の債務をどのように処理しようとしていたのか、運輸大臣お尋ねいたします。
  13. 川崎二郎

    川崎国務大臣 国鉄改革によって清算事業団に残された債務につきまして、昭和六十三年の一月二十六日の閣議決定におきまして、土地処分収入等自主財源を充ててもなお残る債務等については最終的には国において処理するものとするが、その本格的な処理のために必要な新たな財源措置については、土地処分等見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出全般的見直しとあわせて検討、決定するとされております。  この方針に基づき、資産処分全力を挙げて取り組んできましたが、土地処分等見通しがおおよそついた今日、事業団債務処理するための財源措置決定して、その本格的処理を今お諮りをいただいているところでございます。
  14. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 土地株式といった資産は、実際に売却が行われるまで、いつ幾らで売却できるのかわからないという問題があります。まさにとらぬタヌキの皮算用という言葉がありますが、特にバブルの時期を挟んで土地資産額は大きく減少していることを考えますと、清算事業団債務処理スキームは、後から振り返ってみれば、まさにバブルに、結果的に見ればバブルに翻弄されたという側面があるのではないかというふうに思わざるを得ません。  結局、このような不確実な資産売却収入に依存しながら、最終的な処理方策については資産売却が完了してから考えるということは、ある意味では、先送りされてきたということがこの問題を大きくさせてきた要因ではないかというぐあいに言えると思います。  昭和六十二年の緊急土地対策要綱におきまして、清算事業団土地売却を凍結いたしました。あのときに土地売却しておけばよかったという意見もございますが、その点についてどう考えるのか、運輸大臣お尋ねいたします。
  15. 川崎二郎

    川崎国務大臣 地価高騰時におきます国鉄清算事業団一般競争入札による土地売却の凍結についてのお尋ねでございます。  債務償還国民負担の軽減という観点からすれば、早期売却をすべきとの主張があったことは事実でございます。逆に、急に高騰しつつある土地、これにかんがみて地価を抑制するという、当時の国家的緊急課題があったことも同時に事実でございます。  今御指摘のように、緊急土地対策要綱基づきまして、事業団土地売却は見合わせろというのが大勢になったということは事実でございます。当時の国会マスコミ等においても、大勢はそのような議論の方が主体であったと理解をいたしております。
  16. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 結果的には平成十年度首の清算事業団債務は二十七兆七千億円と言われており、国鉄改革実施時の二十五兆五千億と比較しますと、減るどころか、むしろ増加してしまっています。  清算事業団債務が増加した原因をどう考えているのか。また、これに対して政府はどのような措置を講じてきたのか、運輸大臣お尋ねいたします。
  17. 川崎二郎

    川崎国務大臣 国鉄清算事業団債務が増加した原因でございますけれども、一つは、先ほど言いましたように、資産処分が順調に進まなかったことが第一でございます。これは先ほど申し上げましたように、地価高騰問題に対処するため土地売却政府全体として見合わせられる決定がなされたということに基づきます。  それからもう一つは、バブル経済崩壊後、土地需要低迷、今度は土地の値段が下がってきたということから土地売却収入が減少したこと、これが二番目の理由でございます。  それから、株式につきましては、株式市況低迷、そこへ阪神・淡路大震災の影響、こういうものが出てまいりましてJR株売却が順調に進まなかった。このようなことでふえてまいったと思っております。  その他、年金負担を負うことになりました。当時予想されていなかったことでありますけれども、鉄道共済の救済のため、国鉄事業主負担不足分として二年度から八年度まで総額七千億円の特別負担を負ったことでございます。それから、今度は共済から厚生年金への移換ということになり、九年度に七千七百億円の移換金負担を負いました。  こういうさまざまな事情により、事業団収入は支出を賄うものにならなかった、結果として債務が増加してしまった、このように考えております。
  18. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 債務をできるだけ減らして、最終的にその処理方策決定しょうとしていたけれども、結果的には全く逆になり、反対にその処理額が増加することになってしまいました。今回このように多額負担国民処理をお願いせざるを得なくなったことについての責任について、総理大臣から一言お願いいたしたいと思います。
  19. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 国鉄清算事業団債務につきまして、国民負担を求めつつその本格的処理実施することは、国鉄改革の総仕上げを行う上で避けて通れない課題でございまして、また、将来世代へ負担を先送りする形で処理を行うことは何としても回避いたしていかなきゃならぬと考えております。御指摘をいただきましたように、事業団債務年金負担処理するために国民多額の御負担をお願いしなければなりませんが、こうした事業団債務の本格的な処理必要性につ いて、ぜひ御理解を賜りたいと思います。  よって来る原因につきましては先ほど運輸大臣から御答弁ございましたが、種々の理由によりましてこうした事態を招いてきておるわけでございます。その責任は痛感をいたしておりますが、これ以上この状態を延ばしていくということは、これは全く将来にわたってその負担を先送りすることになりかねないということでございますので、ぜひこの機会に一応の処理をさせていただきたい、このように願っておる次第でございます。
  20. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 さて、現実に二十八兆円に達する債務が存在しており、この処理を早急に実施する必要があるというように思います。しかしマスコミ報道では、この債務処理法の成立がおくれればどうなるのかということが取り上げられているようでございます。  ここで、債務処理法案が十月一日とされている期限までに国会を通らなければどうなるのかという点につきまして、運輸大臣にお伺いいたします。
  21. 川崎二郎

    川崎国務大臣 十月一日に清算事業団を解散いたすことになっております。本法案基づ清算事業団有利子債務一般会計への継承や無利子債務の免除の実施がおくれる、こういうことになりますと、事業団は、まず第一に、民間金融機関等に対する返済、これができないことになります。それから、債券を発行しております。この債券保有者に対する返済ができなくなります。それから、鉄道共済組合に対する年金負担の支払い、共済組合から厚生年金に払うわけでありますけれども、この資金が不足してまいることになります。  ちなみに、事業団は、無利子債務償還日であります九月二十九日以降十月末までの間に、六千五百億円の資金を必要といたしております。
  22. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 これは、資金的に大きな問題が発生するということは海外の日本に対する評価を下げることにもなり、ゆゆしき事態ではないかというように考えております。その意味では、清算事業団債務処理を早急に実施することが必要であり、もはや待ったなしの状況になっているのではないのかというぐあいに考えますが、清算事業団債務本格的処理早期実施に向けた決意を総理大臣及び運輸大臣から言いただきたいと思います。
  23. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 国鉄清算事業団資産が非常に減少しております今日、事業団に残された債務本格的処理実施することは極めて重要な緊急課題であることは申すまでもありません。このことを深く認識をいたしております。  このため、政府といたしましては、今年度より国鉄清算事業団債務本格的処理の実現を図るものとし、関係法案国会提出させていただいておるところでございまして、これらの法案基づく施策が早急に実施できますように、重ねて御理解を賜りたいと考えておる次第でございます。
  24. 川崎二郎

    川崎国務大臣 既に総理から御答弁ございました。私どもといたしましては、皆様方から、債務の本格的な処理を決めることがおくれたのではなかろうか、こういった御批判をいただいている中でございます。また、将来の世代に先送りをしてはいかぬ、そういった意味で、当委員会におきまして御審議をいただき、国鉄清算事業団債務処理法に基づく施策を一日も早く実行してまいりたいと考えております。どうぞ委員皆さん方の御審議のほどをお願い申し上げたいと思います。
  25. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 それではここで、今回政府が提案をいたしております清算事業団債務処理スキームについて質問してまいりたいと思います。  今回の処理スキームは、平たく言えば、二十八兆円の債務を三つに分けまして、国が有利子債務十五兆二千億円と無利子債務八兆三千億円の合わせて二十三兆五千億円を負担しまして、鉄道建設公団、鉄建公団が年金負担三兆五千億円とJR社員分以外の厚生年金移換金〇・四兆円の合計三兆九千億円、そしてJRJR社員分の厚生年金移換金の三千六百億円を負担いたしまして処理を行うものであるというぐあいに理解をいたしております。  ちょうど平成八年の年金の統合化のときに私は自民党の社会部会長をしておりまして、この問題にいささか汗をかかせていただいたところでもございます。今、このJR負担が大きな問題となっているわけでございますけれども、国民の側からは、年金は自分が退職してからの問題であり、また制度そのものも若干わかりにくい、マスコミも年金の問題については十分な理解をしているとは思えない節がございます。  ここで、今回の清算事業団債務処理に際してJR負担を求めていますけれども、その基本的な考え方について総理大臣及び運輸大臣にお伺いをいたします。
  26. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 厚生年金移換金国鉄改革において予定されていない負担でございまして、また、その処理を行う場合には最終的にだれが負担することが一般国民との関係で最も合理的であるか、その判断をすることが必要になろうかと考えております。  JR社員分の厚生年金移換金JR社員の年金給付のための負担であることからすれば、JR負担とすることが合理的であり、こうした特定企業の社員の福利厚生のための負担を一般国民負担とすることは不適当であると判断させていただいた次第でございます。
  27. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず、御理解をいただきたいと思いますのは、国鉄改革のときに、昭和六十二年でございますけれども、国鉄清算事業団に帰属した債務の問題、もう一つは、今御答弁にもありました、平成八年に議論がされ、平成九年にJR共済厚生年金に統合するに当たり必要になった厚生年金移換金の問題、この二つは明確に分けて御論議を賜りたいと思っております。この七千七百億円のうち、JRの社員の分三千六百億円、毎年二百四十億円の御負担JRにお願いしたい、このように思っております。  事業団債務処理するためには、今申し上げたこの二つ、一つ国鉄改革によって清算事業団が負った債務の問題と、共済年金から厚生年金へ統合する、移換をする、この問題を処理していかなければならない。そのときに、この厚生年金移換金の問題を一般国民負担とするか、事業主であるJR負担とするか、こうしたことが問題の本質であると考えております。  JR社員の移換金負担というものは、JR社員の年金を給付するための負担でございますので、社員の福利厚生費という形でJRに御負担を願いたい、こういうようにお願いをいたしております。現実に平成二年から平成八年まで、JRは、社員の福利厚生のため、共済制度を支えるため、毎年二百二十億円の御負担をいただいてきたところでございます。  このように、JRの社員のための移換金の性格や内容を考慮すれば、政府としては、こうした特定企業の社員の福利厚生のための費用を一般国民負担をお願いする、いや事業主が負担すべきだ、こうした議論の中で、やはり事業主が負担すべきではなかろうか、こんなことで今回の法案をお願いしているところでございます。
  28. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 JR共済に対しましては、他の年金制度からの多額の支援を行ってきていますが、この点について余りよく知られていないようでございます。また、JRは、自分の責任を果たしているというぐあいに主張しているようでございますが、年金について支援を受けているのがわかっているのかどうか、大変疑問に私は考えています。  そこで、鉄道共済に対する厚生年金を初めとする他の制度からの支援措置について、運輸大臣にお伺いいたします。
  29. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほど御質問にありましたように、衛藤委員がお取りまとめの一人になられましたのでよく御存じのことでございますけれども、JR共済の時代につきましては、その職員の年金の給付を支えるために、厚生年金、国家公務員共済組合、NTT共済、地方公務員共済、私立学校教職員共済、農林漁業団体職員共済等の年金制度 から、平成八年度までに九千三百億円の御支援をいただいているところでございます。  それから、厚生年金移換になりました。これから受けます支援は、今後とも約四十年間にわたりまして、毎年一千五百億円、総額六兆円に及ぶ支援をいただく予定になっております。
  30. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 民間サラリーマンや公務員の方々が、自分の年金のために保険料を納めていると思っていたら、これが国鉄JRの社員の年金にも回っているという現実でございます。そのことを知ればどう思うだろうか。それにもかかわらず、厚生年金移換金の自分の社員の分をさらに国民の税金で負担すべきだというJRや一部の方々の主張に対しまして、おかしいというぐあいに普通であれば思うと思うのでありますが、私は大変不思議なことだなというように思っております。  ここで、この問題について、正確な情報や事実に基づかない報道や論議がなされていますので、確認をしてまいりたいと思います。  国鉄改革JR国鉄から離れて民営化されたのでありますが、JR負担昭和六十二年の国鉄改革のときに決着済みではないのかという意見がありますが、これに対する説明を運輸大臣からお願いいたします。
  31. 川崎二郎

    川崎国務大臣 昭和六十二年の国鉄改革によってJRが発足いたしました。当時の三十七兆一千億円の国鉄債務JR国鉄清算事業団で分担をいたしております。今申し上げましたとおり、平成九年にJR共済厚生年金に統合するということに当たって出てまいりました費用とは全く別物であり、改めて申し上げれば、昭和六十二年の国鉄改革では全く予定されていなかった費用が新たに生じた、このように考えております。したがって、厚生年金移換金の問題は、国鉄改革で決着済み、もしくはそのときに議題に上がった課題とは考えておりません。
  32. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 この厚生年金移換金は、JR共済厚生年金に統合することを内容とするいわゆる平成八年の年金統合法によりまして決まったものでございますが、そのときに、清算事業団JR負担決定いたしました。平成八年の年金統合法によりまして清算事業団負担分は国の負担としたのではないかという意見がございますが、この点について運輸大臣から説明をいただきたいと思います。
  33. 川崎二郎

    川崎国務大臣 平成八年の年金統合法についてお尋ねでございます。  厚生年金保険法等の一部を改正する法律の中におきましては、この厚生年金移換金国鉄清算事業団負担とすると定められており、これを国が負担するとは定められておりません。
  34. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 また、平成八年三月八日の閣議決定で、清算事業団厚生年金移換金負担は国において処理するというぐあいにされておりますが、これをもって国の負担となっておるのではないかという意見がございますが、これについて運輸大臣から説明をお願いいたします。
  35. 川崎二郎

    川崎国務大臣 国鉄清算事業団債務につきましては、昭和六十三年一月二十六日、たびたび申し上げますけれども、閣議決定基づいて、最終的には国において処理するものとするが、その本格的処理に必要な財源措置は、土地処分等見通しのおおよそつくと考えられる段階で検討、決定するとの方針がとられてまいりました。  御指摘平成八年三月八日の閣議決定は、事業団が負った厚生年金移換金についても、こうした従来の方針に基づいて、他の債務と同様、その処理のために必要な財源措置は、土地処分等見通しのおおよそつくと考えられる段階で検討、決定することといたしたものでございます。  そういった意味で、先ほど申し上げましたように、昭和六十二年の国鉄改革、そして今日の厚生年金への移換金、この問題はあわせて今御審議をいただいておる、特に、清算事業団負担をすることとなったものについてこの移換金をだれが負担するか、今日、今御議論をいただいておる、このように考えております。  また、「国において処理する」という文言でございます。この文言は、国において事業団債務本格的処理実施するということでありまして、債務の中身にかかわらず処理に必要な財源をすべて国が、すなわち一般国民負担をするということを決定したものではないと理解をいたしております。  国が事業団債務処理する場合には、当然ながら、個々の債務の内容、先ほど申し上げております、性格や内容に応じて、これを一般国民負担とすることが適当かどうか、これを御判断いただきたい、このように思っております。
  36. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 また、JRの主張や一部の人の意見では、国鉄JR昭和六十二年で明確に分かれたのだから、それ以前の問題は一切関係ないんだという議論がなされています。  年金統合法では、清算事業団JR負担昭和六十二年を境にした期間案分により算出しているのではないかという議論が出てくると思いますが、JR国鉄改革国鉄とは別の法人格となった、清算事業団負担となった国鉄期間分の移換金負担を負う理由はないのではないかという意見もありますが、これについて運輸大臣から御説明をお願いいたします。
  37. 川崎二郎

    川崎国務大臣 国鉄改革国鉄JRは切断されたのではなかろうか、まさにお説のとおり、鉄道経営形態や労働関係につきましては、また別個のJRというものが生まれたというように判断しております。  しかしその中で、一方で、共済年金という職員の福利厚生の問題につきましては、職員の利益を守るために共済制度を継続する、現役が過去の国鉄期間分の年金を支えることが国鉄改革の明確な方針であると思っております。既に、退職手当につきましても、JR国鉄期間分を含めて自分の社員の分を負担することが国鉄改革の方針として決められているところでございます。  したがって、JR発足後も、国鉄期間分を含めた年金の支払いのため、JR社員が保険料を、JR事業主負担をしていただいております。また、国鉄期間分を含めた年金の支払いに充てるため、先ほども申し上げましたように、JR平成二年から平成八年まで任意に二百二十億円の負担をいただいているところでございます。
  38. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 一部の報道では、JR負担はグローバルスタンダードに反するのではないかという主張もあります。JR共済を含めた年金の問題は、国民でもわかりにくいが、海外ではもっとわかりにくいのではないのかと思います。民営化したJRにこのような負担を追加的にさせることは国際社会に通用しない措置ではないのかという意見がございますが、それについて運輸大臣の説明をお願いいたします。
  39. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほどお話し申し上げましたように、経営形態は明らかに変化をし、国鉄JRは切れたと思っております。しかしながら、この年金の問題については継続して、まさに社員の福利厚生でありますから、しっかりしていかなきゃならぬ、こういう理解のもとに進めてまいりました。  今、外国でお考えになっているのは、ひょっとしたら、昭和六十二年に決定された債務負担をまた新たにJR負担をさせるような考え方があるのではなかろうか、多分間違った御理解ではなかろうかと思っております。  JRに御負担いただきますのは、たびたび申し上げておりますとおり、共済年金から厚生年金移換をする、自分の社員の福利厚生のための費用負担JR社員のみに限ってお願いをしたいということでありますので、合理的な負担だと考えております。逆に、一般国民負担に福利厚生の費用までするということになれば、少しおかしな感じになるのではなかろうか、このように思っております。
  40. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 JRがこれまでこの負担に反対する理由として、一度この負担を受け入れると、将来、同じようなことを言われて、次から次へと負担を求められるのではないのか、そういうことを懸念しているということがあるのではないかと いうぐあいに思われます。時々そういう御発言もあるようでございますが、ここで、そのような不安に対して、総理に確認をしておきたいというふうに思います。  清算事業団債務処理の中で、JR負担は今回の措置で終わりである、今後これ以上の負担JRに求めることはないというぐあいに理解していいのかどうか、総理にお願いを申し上げます。
  41. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 国鉄清算事業団債務、また年金負担のうち今回JR負担としないものにつきましては、今回、その最終的な負担者を国及び鉄道建設公団と決定し、JR負担とはしないことを明確に決定するものであることから、御指摘のとおり、政府といたしましては、将来JRにその一部を負担させることはあってはならないと考えております。
  42. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 さて、JRと一言で言っても、経営が順調で文句のつけようのない本州三社と、経営が大変厳しいJR北海道四国九州、さらにはJR貨物という四社とにはっきり明暗が分かれてしまっています。今回の負担は、本州三社のみならず、苦しい経営をしている四社にもかかわってくるというぐあいに聞いております。  ここで、今回の厚生年金移換金負担が四社の経営に支障を与えるのではないかという意見がありますが、運輸大臣お尋ねいたします。
  43. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず第一に、四社の経営状況はまだまだ厳しい、したがって、民営化のはっきりした道筋がついていない、このことは先ほど申し上げたところでございます。  また一方で、共済年金から厚生年金への移換問題、これは社員の福利厚生の問題でありますので、経営状況が悪いから受けられないとか受けられるとか、こういう問題ではないと思っております。一つの筋論として御理解をいただきたい。  しかし、その中におきまして、JR四社、本州を除く四社の経営につきましては、運輸省として何ができるか十分考えてまいらなければならぬ、このように思っております。
  44. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 確かに、経営状況とは関係なく負担をしなければならないということはよく理解いたします。しかし、本州三社は、ある意味では、通常一生懸命やれば必ず利益が出るんだというような形での分割をしてきたというぐあいに思います。それとは違う経営基盤が脆弱な四社にとりまして、今回の厚生年金移換金負担が悪影響を及ぼすのではないかということについて心配をいたしております。この負担で四社の経営が成り立たなくなるということになりますと、また本末転倒になってしまいます。  ここで、経営が厳しいと言われております四社に対しまして今後どのような支援を行っていくのか、運輸大臣にお伺いをいたします。
  45. 川崎二郎

    川崎国務大臣 御指摘の問題でございますけれども、今までも助成制度や税制措置をお願いしてまいったところでございます。今後一層、JR四社の株式がやはり上場できるようにしていかなきゃならぬ、その見地からいきますと、鉄道建設公団からの無利子貸付制度を創設することによって収益力の強化を図っていきたいと思っております。  具体的に申し上げますと、平成十年度におきまして、新規税制措置として約七億円、日本鉄道建設公団による一千億程度の無利子資金の貸し付け、それから、平成十一年度におきましても新規の税制措置をお願いしてまいりたいと思っております。それから、十一年度要求の結果として、今後の金利動向等を見据えながら、場合によっては鉄建公団からの無利子貸し付けを追加してまいりたい、このように思っております。
  46. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 今年度から鉄建公団によりまして無利子貸し付けを行うということでございますが、十年度には一千億円程度というぐあいでございました。しかしながら、私は、この程度の貸し付けでは不十分ではないのかというぐあいに思っています。さらに十一年度にも無利子貸し付けを拡大いたしまして、四社の経営に支障を来すことがないように万全を期すべきであるというぐあいに考えますが、運輸大臣お尋ねいたします。
  47. 川崎二郎

    川崎国務大臣 御指摘の御意見、十分取り入れて考えていきたいと思っております。
  48. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ぜひ四社につきましてはよろしくお願いをいたします。  それでは、債務処理方策の策定の経過につきまして、ちょっとお尋ねをいたしたいと思います。  自民党は、国鉄長期債務問題特別委員会平成八年の十一月から設置されまして、精力的な検討が行われました。その後、昨年の十月から政府与党から成る財政構造改革会議で検討がなされ、最終的には、平成九年十二月十七日に同会議決定といたしまして国鉄長期債務処理策が定められたところであります。  債務処理を行うためには、財源をどうするかということを考えることが不可欠でありまして、とりあえず赤字国債を発行して後で考えようというのでは、余りにも節操がないというぐあいに思います。現在の政府案に対してはさまざまな批判がされているところでございますが、結論だけ見れば、もっとほかの案がないのだろうかという疑問も出てくるのは当然であろうかと思います。自民党特別委員会の中間報告でも、財投資金の繰り上げ償還、無利子国債の発行、JR負担等いろいろな案が挙げられていました。  ここで、幾つかの財源案について、どういう検討がなされ、どのような理由でだめになったのかということについてお伺いをしたいと思います。  相続税の減免といった恩典をつけた無利子国債の発行という案が出たことがございますが、これについてはどうなったのか、運輸大臣お尋ねいたします。
  49. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今御指摘のように、無利子国債の発行、例えばJR乗車の割引等の特典をつけた国債を発行したらどうだ、こういう御意見もございました。また、交通利用者の負担ということで処理をしたらどうだ、道路財源等を活用したらどうだ、こういう御意見があったところでございます。  税制上の特典をつけた無利子国債につきましては、利子負担の軽減以上の税収減によりかえって国の財政収支が悪化するのではなかろうか、無利子国債を購入できる一部の資産家だけが利益を受け、課税の公平という観点からもどうであろうか、こんなことが出てきたところでございます。  また、JR乗車の割引等の特典をつけた無利子国債についても、特典のための民間企業の負担の義務づけに問題があるということから、この問題については今日的な利用は無理であろう、こういう結論に至ったと承知しております。
  50. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 今大臣のお話にもありましたが、交通利用者全体の負担についての議論はどうなったのか、お尋ねをいたします。
  51. 川崎二郎

    川崎国務大臣 御指摘いただいた財政構造改革会議企画委員会、その検討グループの中で、新たな国民負担について鉄道利用税、総合交通税の創設について検討が行われたことは事実でございます。  鉄道利用税については、現在の鉄道利用者、特に国鉄と無関係の民間鉄道利用者に国鉄長期債務をかけるということになってまいりますので、これについては否定論の方が多かったと承知しております。  また、総合交通税についても、最終的に国民に税負担を求めざるを得ない場合にあっても、国民に受け入れやすい負担として、国民生活上必ずしも強制感を伴わないものとする必要があるという意見が多数を占めました。やはり交通利用者の負担という問題については無理だという結論になったと承知しております。
  52. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 それでは、いわゆるガソリン税を初めとする道路特定財源の活用についてはどういう議論になったのか、お尋ねいたします。
  53. 川崎二郎

    川崎国務大臣 これは運輸大臣答弁かどうかわかりませんけれども、道路を直していく、そしてそれは車を利用される方の利便に供することになる、そこから上がる税収によって道路をきちっと整備していこう、こういう基本的な受益者負担 というものが明確になっておる制度でありますので、その財源をここへ持ってきて処理をするというのはやはり無理であろうという結論になったと思っております。
  54. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 清算事業団職員の再就職対策についてお尋ねをしたいと思います。  今回の処理スキームでは、債務償還の役目を終了する清算事業団を解散するということになっています。土地株式といった資産処分の業務は鉄建公団が行っていくということになっていますが、清算事業団には千人を超える職員の方々が勤務されているというぐあいに聞いております。この方々に対しまして再就職のお世話をしていくということになると思いますが、大変な苦労をされているこれらの方々の再就職対策状況と今後の見通しにつきまして、運輸大臣にお伺いいたしたいと思います。
  55. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今日御提案をしております法律が成立しますれば、清算事業団が解散をいたすことになります。当然、その再就職対策に万全を期していかなければならない。平成八年十二月の閣議決定を受け、運輸省内にプロジェクトチームを設置いたしました。平成八年度首の事業団のプロパーの職員は千八百七十二名でございました。JR各社、各省庁、また特殊法人等から採用の申し出をいただきました。既に五百名以上が就職をいたしまして、現在千百七名に減少をいたしてきております。  残りのことにつきましても、同じような形で、運輸省を中心としながらお話し合いの中で採用をお願いしたい、万全を期してまいりたいと考えております。
  56. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 まだまだこれだけの人数の再就職対策を行っていくというのは大変なことであると思います。  清算事業団の職員の方々は、国鉄改革に協力いたしまして、債務の償還という、ある意味では大変つらいというか、そういう業務に一生懸命邁進されてこられた方々であります。このような清算事業団の職員が路頭に迷うことのないようにやらなければいけないというぐあいに思っております。政府においてはぜひとも、内閣、各省庁の総力を挙げてそのための対策実施していただきたいというぐあいに思います。  また、この問題につきましてJRも最大限に協力すべきではないのかというぐあいに思います。一部に、JR負担問題に関連させれば、職員の再就職問題を人質にされては困るというような意見もあると思いますが、そんなことはないと私ども思いますけれども、そういうことのないようにちゃんとやっていただきたいというぐあいに思います。  最後に、総理大臣運輸大臣から、清算事業団の職員に対します再就職対策について、決意をお伺いさせていただきたいと思います。
  57. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 現状は運輸大臣から先ほど御報告がございましたが、現在の国鉄清算事業団の職員は、資産処分による国鉄長期債務処理等を行うため事業団に残りまして、十年以上にわたりまして土地売却等の業務に努力してきた職員でございまして、事業団の解散に当たりましては、職員の雇用安定確保が何よりも重要と認識をいたしております。  事業団の職員の再就職対策につきましては、平成八年十二月の閣議決定基づき、既に、各省庁等による職員の受け入れ、地方公共団体JR等に対する採用の要請等の対策実施いたしておるところでございますが、今後とも関係各方面の協力を得ながら、雇用の確保には万全を期してまいりたい、このように考えております。
  58. 川崎二郎

    川崎国務大臣 衛藤委員指摘のとおり、清算事業団の職員は、資産株式売却のために大変な苦労をされてきた職員でございます。ある意味ではその評価は高いと理解をいたしております。既に五百名以上が再就職を決定したと申し上げましたとおり、御懸念もあるようでございますけれども、JR各社も積極的に協力をしていただけるものと思っておりますし、運輸省としても、政府を挙げて万全を期してまいりたい、このように思っております。
  59. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 それでは質問をこれで終わりたいと思いますが、もうこれ以上、この問題の解決は先送りは許されません。勇気を持って、総理以下全員、これは頑張っていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  60. 大原一三

    大原委員長 細川律夫君。
  61. 細川律夫

    ○細川委員 民主党の細川でございます。  まず、清算事業団債務処理の問題についてお尋ねをいたします。  国鉄改革から既に十年以上経過をいたしております。今では、民営化されましたJR各社は、当初の予想を上回る実績を出しているところでございます。JR各社は、十四兆五千億を超える債務を負い、これを着実に返済しておりますけれども、まだ十二兆円余りが残っているところでございます。この数字は、JR各社の経営努力のたまものでありますけれども、同時に、なお大きな負担を強いられているということを端的にあらわしているものだというふうに思います。  一方、清算事業団の方の債務は、平成十年の初めで二十七兆八千億円の債務になっております。国民一人当たり二十二万円を超える大変大きな額になってしまいました。この膨れ上がった原因は一体どこにあるのか。私は、時々の政府がこの長期債務問題を先に先にと先延ばしをしてきた結果である、このように考えるところでございます。  私は、この点につきまして、本会議の場でも、これは国民に対して、内閣として、政府として謝罪をすべきではないかということを主張したわけであります。今この委員会が開催をされまして、まずお聞きをいたしますけれども、総理は、この国鉄改革の意義というものをどのようにお考えだったのか、そして、これほどまでに長期債務が膨大になってきた、その政府責任について、総理から明らかにしていただきたいと思います。
  62. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 先ほども衛藤委員にお答えを申し上げましたが、この国鉄改革、これは昭和六十二年の四月に実施をされましてから、JR全体といたしましては、鉄道輸送サービス向上等が図られましたし、国民といいますか利用者にとりましても、大変サービスその他向上をされておられるという評価があるのだと思います。そういった意味で、それぞれの会社の中で、既に多くの利益を上げておられる会社もありますが、この収支状況もそうした点で改善をされておりまして、我が国鉄道事業再生という観点からは、おおむね順調という評価ができるのじゃないかというふうに思っております。  しかし、御指摘のように、一方では、国鉄清算事業団に残された膨大な債務本格的処理につきまして今日の時点を迎えざるを得なかったということでございまして、これをぜひなし遂げることによりまして、国鉄改革の総仕上げということとして、解決すべき課題が残されておると認識をいたしております。  そこで、事業団債務処理につきましては、昭和六十三年の閣議決定基づきまして、まずは資産処分全力を挙げてきたところでございます。しかし、地価高騰問題に対処するための土地売却の見合わせや株式市況低迷などから、土地株式処分が大変残念ながら思いどおりに進まなかった一方で、国鉄改革により負担とされた債務や年金等の支払いに加えまして、改革後に新たに年金関係の負担を負ったこともありまして、この結果、債務が増大するに至ったものでありまして、遺憾であると認識をいたしております。  政府といたしましては、これまで、約一兆六千億に及ぶ国庫補助金の交付や一般会計による事業団有利子債務の承継など、その時々の情勢の中で、国鉄長期債務処理のためにできる限りの措置は講じてきたところではございます。  また、事業団資産が減少した今日、事業団債務本格的処理実施することは極めて重要な緊急課題であると認識をいたしておりまして、このため、政府として、今年度より、国鉄清算事業団債務処理の実現を図るため、関係法案国会提出させていただいておるところでございます。
  63. 細川律夫

    ○細川委員 今の総理の御答弁では、この長期債務を膨張させたその責任、それはどうなのかという私の質問に対しては明確にお答えになっていないというふうに思いますけれども、それでは具体的にお聞きをいたしたいと思います。  まず、JR株式の放出時期の問題でありますけれども、JR東日本株式については二度にわたって凍結をされております。JR西日本についても九四年には上場を見送りをいたしました。その結果、負債に対しての利子が大きく膨らんだわけでございます。  土地売却の凍結、これは八七年の十月に閣議決定されたわけですけれども、この土地売却凍結も、土地売却できないことによって、これまた利子が膨大になっていったということでございます。  これらについて、一体、政府はどう考えているのか一あるいは総理はどう考えているのか。運輸大臣でも結構ですけれども、これらについて一体どうお考えなのか、御説明をいただきたいと思います。
  64. 川崎二郎

    川崎国務大臣 二点につきまして御質問がございました。一つ株式の上場のおくれにつきまして、一つ土地売却の凍結措置につきましてでございます。  JR株式につきましては、当時、株式市況低迷をしておった、そこへ、JR西の場合ですと、阪神・淡路大震災の影響、ある意味では予測しがたい状況が生まれて売却が困難になった、このように考えております。  また、土地売却の凍結につきましては、もちろん債務償還を急ぐべきである、国民負担の軽減のために早く土地を売れ、こういう御意見があったことも事実でございます。しかしながら、一方で、急激に高騰しつつある地価を抑制する、当時、国家的緊急課題でございました。そうした議論の中で、最終的に、事業団土地売却は見合わせろ、こういう措置がとられたと理解をいたしております。  そのときの議論の中で、国会におきましても、またマスコミ等でも、さまざまな意見があってこのような結果になったと思っております。しかし、結果として、資産処分が思いどおりに進まなかったことは事実でございます。  国鉄清算事業団は、国鉄改革により負担することとされた債務や年金等の支払いに加え、先ほど総理からも御答弁ございました、新たなる共済年金から厚生年金への移換金債務をしょったことも事実であり、これが重なって事業団債務がふえてきた、結果として増加するに至ったということについては、運輸省としてはまことに遺憾でございます。  また、この間、政府といたしましても、時々の情勢に応じながら措置を講じてきました。しかし、結果的に、もっと早くこの抜本処理をすべきではないか、こういう御意見に対しましては、我々はまさに謙虚に受けとめなければならないだろう。私も初当選以来十八年たちます。そういった中で決断すべきときがあったのではなかろうか、こんな思いでおることは事実でございます。
  65. 細川律夫

    ○細川委員 まさに結果責任でありまして、政府の対応、そのときそのときはそれなりの努力はしたと思いますけれども、しかし、結果としてこのような膨大な長期債務になったことについては、当然責任があるというふうに思います。  次に、年金の移換金JR負担をさせるという問題についてお聞きをいたします。  政府は、JR各社に対して、年金債務負担という名目、これで年間約二百四十億円の支払いを求めております。これについては、JR各社はもちろんでありますけれども、マスコミも、あるいは市場関係者も、ことごとく反対をいたしております。私も、これはどう見ても筋の通らない、納得のいかない話だというふうに思っております。政府の方は、この件については、JR社員の福利厚生の問題だからJR負担させるのが合理的だというふうに言っておりますけれども、しかし、二年前の年金統合の法案できちんとこの問題は決着をしているわけでございます。  平成八年の通常国会厚生年金保険法の改正がありまして、昔の三つの公社、旧国鉄、電電公社あるいは専売公社、この年金が厚生年金に統合されました。そのときに、旧国鉄の年金であります日本鉄道共済組合につきましては、年金の移換金、これは持参金などとも言われておりますけれども、九千四百億円、これを、国鉄改革の基本フレームに基づきまして、清算事業団国鉄時代の分、JRJR時代の分というふうに区分をいたしまして負担をすることに決定いたしまして、清算事業団の方では七千七百億円、JRの方では千七百億円、こう負担することが決まったわけでございます。こういうふうに、年金の移換金問題については、だれがどのように負担するかということについては、二年前のあの年金統合のときに決まったわけなんです。それを二年後の今になってなぜ変えるのか、まことに納得がいかないものでございます。  これについて、なぜ、こういう仕切りになったのを、今これをほごにして新しくJRに年間二百四十億円もの負担をさせるのか、はっきりとお答えをいただきたいと思います。なぜ政策を変更してJRにこのような追加負担を決めたのか、理由を言っていただきたいと思います。
  66. 川崎二郎

    川崎国務大臣 お尋ね負担の問題であります。  平成八年の問題でありますけれども、平成八年の時点においては、共済関係事業主として事業団負担をした、この事業団負担を国が負担をすると決められていたわけではない、このように私どもは承知いたしております。  まず第一に国鉄改革の問題、昭和六十二年の問題は、もう委員もおわかりのとおり、これは六十二年の改革として決められたことである。そして、平成八年に、共済年金から厚生年金への移換問題としてこの問題が出てきた。このときに、一つJR負担分、一つ清算事業団として決定をされたということは事実でございます。しかし、それが、清算事業団が解散されるときにどのような負担になるかということを決定したわけではないというふうな理解を私どもはいたしております。  したがって、そうなりますと、国鉄清算事業団が抱える債務のうち、この共済年金の厚生年金移換金についてはだれが負担すべきであるか、こうした議論になろうかと思います。  先ほど申し上げましたように、平成八年までJR自体が任意で二百二十億円の負担をいただいていたことは事実でございます。また、たばこにつきましては全額御負担をいただいていることも事実でございます。そういった中で、JR社員の負担につきましては、社員の事業主でありますJRに御負担をいただきたい、こういう形で今回法案提出させていただいたところでございます。
  67. 細川律夫

    ○細川委員 それならば、その二年前の年金統合のときに、今回のようなことを入れて決めればよかったじゃないですか。二年前にこういうことを決めればよかったわけですよ。それをなぜ二年後に変更するかの問題なんです。  もう一度お答えください。二年前になぜこう決めなかったのか。
  68. 川崎二郎

    川崎国務大臣 国鉄債務処理問題、二十八兆円という処理問題と年金問題があったことは事実でございます。清算事業団を解散するということは、二十八兆円の処理問題もしっかり決めた上でやらなければならない、当然のことでございます。そういった意味では、処理の問題をどうするかということで今日お諮りをさせていただいている。旧国鉄債務処理問題が第一、そして、第二の問題として共済年金から厚生年金への移換問題、この二つを今お諮りをさせていただいておると考えております。
  69. 細川律夫

    ○細川委員 今回の法案で、一年間に二百四十億円JR負担さすのが合理的だ、こういうことを提案されておるわけでしょう。そうだったら、二 年前にそういう合理的なことをなぜ決めなかったかと言っておるんです、二年前のこの法案のときに。そうでしょう。そのことを私は質問しているわけです。そのときに決めればよかった。今回のことも含めて決めておけば、問題は起こらなかったのですよ。ということは、もうそこで全部決着をつけたということじゃないんですか、二年前に。
  70. 川崎二郎

    川崎国務大臣 お尋ねのことは、清算事業団を今解散をするという中で私ども提案をさせていただいている、そのときに清算事業団と切り離しておけばよかったじゃないかという御下問になろうかと思うのですけれども、国鉄長期債務問題は、二十八兆円に上る巨額の債務処理をどうするかという国民的な課題であります。それは清算事業団負担にもなっているわけであります。このため、平成八年の時点では、この移換金だけを切り離して最終的な処理を先行させたらいいではないか、これは細川委員の御指摘でございます。  ただ、他の債務と同様に、土地処分等見通しのおおよそつくと考えられる時点でやりたいということで……(細川委員「その問題じゃないんですよ。そういう質問じゃないんですよ」と呼ぶ)いえいえ、清算事業団において負担をさせる、これを平成八年に決定をいたしたわけでございます。今日は、清算事業団を解散させるという中において議論を進めておるというように考えております。
  71. 細川律夫

    ○細川委員 どうも質問答弁がかみ合わなくて困るんですけれども、二年前の統合のときには、厚生年金移換金については、JRになった以降はJR負担、それからJR以前、国鉄時代については、これは事業団負担をする、こう決めたわけでしょう。今回は、今のJR社員になっている人は、その国鉄時代までも含めてJR負担をさせる、こういうことでしょう。では、JRの社員については、国鉄のときの分も含めてJR負担をさすということをなぜ二年前に決めなかったのか、こういう質問なんです。
  72. 小幡政人

    ○小幡政府委員 ちょっと補足して御説明させていただきたいと思います。  平成八年に厚生年金鉄道共済年金が統合される場合に、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、移換金の分担といたしましては、旧国鉄期間分については清算事業団、それからJR期間分についてはJR各社ということで分担させていただきましたけれども、この考え方は、その当時、清算事業団が存在しておりました。それは、清算事業団と申しますのは、これも大臣が御答弁申し上げましたように、旧国鉄の身分をそのまま引き継いだ事業団としての事業主でございます。これが存在いたしましたために、旧国鉄期間分については清算事業団が分担させていただくという仕分けになったわけでございます。  今回は、その清算事業団が分担いたします、昭和六十二年に分担いたしました債務と、今申しました平成八年に分担いたしました移換金債務の分担、これについて、それをどういうように最終的に処理するかということをまさにお諮りしている、こういうことでございます。
  73. 細川律夫

    ○細川委員 全く納得できません。  質問を進めていきますけれども、うわさによると、郵便貯金特会からの繰り入れとか、あるいはたばこ特別税を創設するから、したがって、では当事者であるJRにも負担をさせろ、こういうようなものが今回出てきたんじゃないですか。  そもそも、二年前に決着がついているからこそ、この法案自民党の中で議論をされたとき、総務会でもいろいろもめたのではないですか。当時の官房長官、梶山さんとか、あるいは運輸大臣の亀井善之さんなんかが反対されたんじゃないですか、決着がついていたから。  今回は、郵便貯金から持ってくるとか、あるいはたばこの特別税を創設するから、どうぞ運輸省さんも何とかつき合ってくれ、こういうことで理屈なしに決めたんじゃないですか、これは。おつき合いでこういうふうにさせられたんじゃないですか。
  74. 川崎二郎

    川崎国務大臣 私はそのときの運輸大臣でございませんけれども、まず第一に、党の了解をいただいて提出をされた法案でございます。いろいろな議論があったことは事実でありますけれども、党の了解のもとで出された法案でありますので、その点の御理解ばいただきたいと……(発言する者あり)
  75. 大原一三

    大原委員長 ちょっと、大臣答弁してください。
  76. 川崎二郎

    川崎国務大臣 そういう意味で、党の了解のもとに提出をさせていただいた。  もう一つの点につきましては、年金問題についてどう処理をするか、厚生年金移換金の問題についてどう処理するか。この議論で、私どもは、国民負担にすべきか、事業主負担にすべきかと議論した中で、今日の結論を今御提案をさせていただいているところでございます。
  77. 細川律夫

    ○細川委員 これは私は、理屈ではなくて、JR負担をさせる、これは運輸省がいわば無理やりおつき合いをさせられたような形でこういうのがつくられたというふうに思いますけれども、そういうふうに出てきませんから、私の方でちょっと申し上げますけれども、運輸省そのもののトップの事務次官の方が、ある会合でこういうことを講演をして、「汎交通」という五月号にちゃんと載っているのですよ。ちょっと読みますから聞いていてください。ちょっと長くなりますが、これを読みます。  国の方も、一般財源を入れる。さらには、たばこに税金を上乗せして、それを長期債務の支払いの方に入れる。また、郵貯の方からは、二千億円掛ける五年、イコール一兆円を出そうではないか。こういう仕組みができたのであります。  これを議論する前において、メリットを受けるJRの方が全然負担しないというのでは、たばこも郵政省もつき合えない。こういう話が出てまいりました。その場では、JRについて、持たせるのは反対である。JRは、別途長期債務を持っているのだ。これ以上上乗せするのは反対であるという主張を、鉄道局長ほかがいろいろと言ったのですが、いわば理屈よりも、世の中の感情というか、常識と申しましょうか、とにかく、JRにもある程度のものを負担してくれない限りでは、この大きなフレームが成り立たないということになりまして、私どもの力足らずということで、JRにも幾分の負担をということになったわけでありますと。  運輸省のトップの方が、事務方のトップの方がこういうお話をされているのですけれども、これはどういうことですか。
  78. 小幡政人

    ○小幡政府委員 ちょっと事務当局の話でございますので説明させていただきますと、実は私の名前もございましたので説明させていただきます。財政構造改革会議で議論されました中で、いろいろな御意見が出た中で、我々といたしましては、先ほど大臣から申し上げましたように、六十二年の国鉄改革時に引き継ぎました債務については、明確な仕切りがあったという認識でございますので、それについて我々頑張ったということが一点でございます。  それともう一つ、実は移換金債務については、六十二年の分担ではない、その後に出てきた債務でございますけれども、これについても実は我々、概算要求では、年金の世界ではございますけれども、できれば国民負担でお願いしたいという要求をさせていただいたのは事実でございます。  その中で、年金の世界の議論として財政構造改革会議の中でも種々議論がございまして、その中で、年金の世界の分担論として、JRについてもやはり最低限の、JR社員になられた方の分については持つのが年金の世界の考え方であるということで、我々実はその点については説明及ばず、我々の要求の考え方がある意味では正しくはなかったという反省で、この結論を迎えたということでございます。
  79. 細川律夫

    ○細川委員 先ほどから質問をさせていただいておりますように、この移換金の問題については、 もう二年前に決着がついている、ついていたにもかかわらず、それをほごにして新しくJR負担をさせる、それについては理屈はない、そんなような感じを私は受けます。そういう意味で、私は、この法案については大変大きな問題があるというふうにまず指摘をしておいて、次に移ります。  このJRの追加負担約三千六百億、年間にして二百四十億円、この件につきましては、市場関係者の人たちも一様に政府のやり方に疑問を呈しております。一つは、政府が悪意的に民間企業に負担を課するという、このシステムの問題。もう一つは、現実に負担を課せられたJR各社の株式は利益の減少のために下落するであろう、こういう具体的な問題がございます。  そこでお伺いいたしますけれども、この新しいJRに対する追加負担によってJRの株価がどう変動するのか、政府はどのようにこれを見ているのか、お答えいただきたいと思います。
  80. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  一般的に、株価は、さまざまな要因を背景にいたしまして、自由な市場の需給関係の中で決まってくるものでございます。そういうことから、JRの株価の動向につきましては、今回の負担だけで御説明できるようなものではないというふうに認識しております。  さらに、株式処分は、株式市場の動向を見きわめた上で適切な時期に実施するというものでございますので、実際の処分時期の株価に今回の負担がどのように影響するか、これもまたますます予測が難しいというふうに考えております。
  81. 細川律夫

    ○細川委員 運輸省の方としてはそういうようなお答えをされるだろうということも予測をいたしまして、私どもは、今度新しく衆議院の中につくられました予備的調査というものが、この衆議院の調査局によってなされることになりましたけれども、そこに、一体、二百四十億円の負担をさせた場合に株価はどういうふうになるのかということを調査してもらいました。これは衆議院の、院の方の調査報告書がこれでございます。  その報告によりますと、海外の投資家も、政府の民間企業に対するやり方に疑問を持って、日本株式市場全体に不信感を持つようになっております。理屈の通らない負担は、そういう意味では私はやめるべきだと思いますし、このJRに対する負担を課すとどれくらい株の値段が下がるか、これの推定もきちっと出ております。  これは大手の証券会社あるいは研究所というようなものからの報告でありますけれども、その報告によりますと、その報告に基づいて先週の終わり値で試算をいたしますと、全部で三百二万株持っている政府は合計で千三百億から二千億程度の損、これは株価が下がるという意味で損、こういうことになっております。これは、政府の放出計画が六年でありますから、これを六で割りますと、年間に二百十億から三百三十億円程度マイナスになるということになります。これは私じゃなくて、この調査結果で当てはめますとそういうことになるということでございます。  さらに、この二百四十億円を負担させることによって、法人税収のマイナスもございますし、先ほどお話がありました三島のJRやあるいは貨物会社に対して千億円の無利子貸し付けをいたしますと、その運用益も損失になるというふうに考えられます。  そこで、政府にお聞きいたしますけれども、このJR負担によって法人税などの減収はどれぐらいになるでしょうか。
  82. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 機械的にしかお答えができませんが、法人税率が三四・五でございますので、八十億ちょっとぐらいと思います、国税で申しまして。
  83. 細川律夫

    ○細川委員 大臣の方からは、大体八十億程度の減収だと。これは地方税の方も、いやいや私が言うのですけれども、国税の方をおっしゃられたのですが地方税についても当然減収になるわけですね。そうすると、地方税の方が減収になりますと、結局は、基準財政の収入が減って、交付金で賄わなければいかぬという意味でまた国の出費が出てくる、こういうことになるのではないかというふうに思います。  そうしますと、これはJRに年金のこの二百四十億円を負担させることによって、株は下がるわ税収は少なくなる、あるいは経営のよくないJRにいろいろな手当てをしなければいかぬ、そういうお金の運用益なんかを考えますと、二百四十億円をさらに超えるような額のマイナスに国としてはなるのではないかというふうに予測がされます。そうしますと、JRに二百四十億負担させる意味がないのではないかと私は思いますけれども、これについてどうでしょうか。
  84. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほど鉄道局長からお答えいたしましたけれども、株式処分株式市場の動向を見きわめた上で適切な時期に処分するものでありますから、それを今想定するというのは難しいであろうと思っております。  それから、税の問題が出てまいりましたけれども、やはり年金問題を、共済年金から厚生年金への移換問題をどう処理するか、どれが適当であろうかという御判断であろうと思います。国民負担にすべきか、JR事業主として負担をしていただくか。二年前に、先ほどからお話ししておりますとおり、JR負担清算事業団負担とに分けられた。清算事業団が今度解散されるに当たり、JR社員の年金負担分についてはどのような形で負担をしていただくか。その中で私どもは、筋論として、やはりJR側に御負担をいただくのが筋ではないかという議論でありますから、税の議論とは全く別物であろう、このように思っております。
  85. 細川律夫

    ○細川委員 私は、この清算事業団の膨大な債務処理するためには、まず筋の通ることをきちんとやらなければいけないということと、それをJR負担をさせることによっていろいろなところからのマイナスを考える。例えば、海外からの日本政府に対する信頼感、あるいはJRが今後の経営についてまたいわゆる国の方から、あるいは政府の方から負担がかかるのではないかという不信感、いろいろな意味で市場関係でも大変なマイナスになるのではないか。加えて、二百四十億円もJR負担をさせてかえって国の方がマイナスになるのでは、私は何のために負担をさせるのかというふうに思います。  そういう意味では、私は、この二百四十億円をJR負担をさす、このことは撤回をする、あるいはこの法案は廃案、そういうふうにしていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。  そこで、全く角度が変わる観点でお聞きをしたいと思いますが、政府は、この年金の統合の際に、年金債務についても事業団の既存の債務と同様の扱いをする、こういうふうな閣議決定をしております。事業団の既存の債務と同様ということは、自主財源で足りない分は最終的に国において処理する、こういう意味だと思います。  そして、今政府は、国において処理するということは、これは国が全額引き受けるんではないというふうに言っておりますけれども、それでは、事業団の既存の債務の中で、国鉄改革以降、ほかに民間に負担を求めたような例があるのか。もしそれがないならば、既存の債務と同様というこの閣議決定趣旨に私は反することになるんではないかと思いますけれども、その点どういうふうにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  86. 川崎二郎

    川崎国務大臣 国鉄清算事業団債務につきましては、六十三年一月の閣議決定において、必要な財源措置について、土地処分等見通しのおおよそつくと考えられる段階で、検討し、決定をする、このようになっているのは委員御承知のとおりでございます。  平成八年三月の閣議決定において、事業団負担とされた厚生年金移換金については既存の債務と同様の取り扱いをすることとされたが、これは既存の債務と同様に、移換金処理に必要な財源措置についても、土地処分等見通しのおおよそつくと考えられる段階で、検討、決定され たことと考えております。すなわち、事業団債務処理するための財源措置、最終的にだれが負担をするかは、事業団債務を一律に論じるのではなく、あくまで個々の債務の内容に応じて合理的に決定することが大事であろう、このように思っております。  再三申し上げますとおり、厚生年金への移換金の問題については、そういった意味で検討をした結果、今日法案として出させていただいているところでございます。
  87. 細川律夫

    ○細川委員 私としては、ちょっと納得がいかないわけであります。それは、閣議で既存の債務と同様に取り扱うということを決めていますが、既存の債務で今までこういうことがないということならば、それは今までどおりのやり方でやらなければいけないんじゃないかというふうに思いますので、大臣の答弁には同意をしかねるところでございます。  それでは、次に移らせていただきます。  債務の承継財源確保法案についてお尋ねをいたします。  この法案は、国鉄、林野の債務一般会計に承継をされることに伴って一般会計負担が増加するため、その財源確保することを目的にする、こういうふうに聞いておるところでございます。  その内容は、郵便貯金特会から毎年二千億円の一般会計への繰り入れ、そしてもう一つ、たばこ特別税を創設して、国債整理基金特会への組み入れということでありまして、この法案が成立すれば、たばこ一箱当たり約二十円の値上げになります。このたばこの値上げにつきましては、全く長期債務とは無関係な喫煙者にとっては大変迷惑な話だというふうに思います。  そこで、このたばこ特別税はいわゆる目的税なのかどうかをまずお聞きをいたします。
  88. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 たばこも、昔の専売公社の時代と変わりまして、国税、地方税になっておるわけでございますが、このたびは一般会計が大きな債務を承継いたしますので、その一般会計財源を助ける意味で、たばこはある意味で消費物資でもございますし、景気動向に余り左右されない。また、たばこの料金の中に占める税金の割合というものも、料金が上がっていきますとだんだんに低下をするというようなことも考えまして、一般会計を助ける意味で、たばこ特別税を創設いたしました。したがって、それはいわゆる目的税ではございません。
  89. 細川律夫

    ○細川委員 いわゆる目的税ではないというお答えでございます。確かに、国鉄、林野の債務はたばことは全く関係はないわけでありますから、これは私も目的税ではないというふうに思います。  しかし、この法案で、たばこ特別税から上がりました収入は、一般会計ではなくて、国債整理基金特会へ組み入れる、こういうことになっております。これは債務処理ということでこの収入の使途を限定した税というふうに考えてよろしいんでしょうか。
  90. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 さようでございます。
  91. 細川律夫

    ○細川委員 先ほども御紹介をいたしました予備的調査の報告書がございます。この報告書によりますと、東京大学大学院経済学研究科の経済学部教授、これは神野直彦先生ですが、この先生の回答が来ておりまして、この先生によりますと、こういう特別の税は目的拘束禁止の原則に反する、こういうことを言われております。ちょっと読みますと、こういうふうに書いております。   国鉄長期債務及び国有林野累積債務処理方  策として、たばこ特別税を創設し、その収入を  国債整理基金特別会計に組み入れることは、特  定の歳入を特定の歳出目的に結びつけてはなら  ないという目的拘束禁止の原則に反するといわ  ざるを得ない。したがって、たばこ特別税を創  設し、国債整理基金特別会計に組み入れる措置  は、議会が財政をコントロールする権限を侵害  する危険があると考える。ということで、こういう税はだめだ、目的拘束禁止の原則に反するからだめだとはっきり言っておられるんですね。  そして、この先生は、もう一方でこういうことも言っておられます。この税の創設は、地方税源充実に逆行する政策というふうに言っておられます。これは、従来のたばこ税ならば地方にも収入が入るわけですけれども、特別税ですから、地方はもう関係なくて国だけの収入になるわけです。それでこの先生は、地方税源の充実に逆行する政策だ、こういう批判をしているわけでございます。  今までは、価格に占めるたばこ税の負担割合の低下を回復するというようなことが言われてきたわけなんですけれども、目的拘束禁止の原則に反するという考えでありますから、これについてどういうふうにお考えになっておるのか。たばこ税でなぜいけないのか、たばこ税を上げるということをせずになぜ特別税にしたのか、そこのあたりの理由も話していただきたいと思います。
  92. 寺澤辰麿

    ○寺澤政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘の予備的調査報告書におきまして、今回のたばこ特別税が目的拘束禁止の原則に反するとの見解が紹介されていることについては承知しております。  従来、特定の歳入を特定の歳出に充てることにつきましては、財政の一般論といたしまして、資源の適正な配分をゆがめ財政の硬直化を招くということから、その妥当性については常に吟味していくことが重要であるという指摘がされていることでございまして、私どももこの問題につきましては慎重に常々検討しているところであります。  さて、今回のたばこ特別税でございますが、先ほどの大臣の答弁のとおり、一般会計財源を補てんする趣旨でお願いをすることになったものでございます。国鉄の長期債務国有林野の累積債務一般会計に承継することに伴い、一般会計負担が増大いたします。その債務の利払い等の財源に充てるということでございますので、一つは、債務の性格が、国鉄、林野の債務から一般会計債務に変わっております。その一般会計債務に変わった債務財源に充てるということで、特定の事業の経費に充てるという従来の目的税とは性格が違うのではないか。  もう一つは、課税根拠といたしましても、一般会計の財政問題への対処を理由とするものでございますので、歳出との受益負担関係を根拠といたします目的税というものとは違うのではないかというふうに考えているところでございます。——失礼いたしました。特別税にした理由が欠けておりました。  今回、現在ございますたばこ税とたばこ特別税を別々にした理由でございますけれども、このたばこ特別税の財源はすべて今回の利払いと元本償還財源に充てるという意味で、それを従来のたばこ税とは違った形で、きちっと全部その債務の利払い、元本償還財源に充てますよということをはっきりするということで、納税者にとってもその税収が一般の歳出財源に充てられないということを明確にするということが一つ理由でございます。  もう一つ理由は、たばこ特別税は国鉄と林野の一般会計に承継いたしました債務の利払い、償還のための財源でございますので、それは当分の間の措置ということになっておりまして、恒久的税制でございますたばこ税とは性格が違うという意味で特別税ということにしたわけでございます。
  93. 細川律夫

    ○細川委員 今、最初の方で、目的拘束禁止の原則に反しないということの説明として、特定の事業の経費に充当される税ではないんだ、こういうことが説明されておりましたけれども、それについてはまたこの先生が明確に反論しています。ずばりそのことについて。ちょっと読みます。  「目的拘束禁止の原則に反するという議論に対して、次のような反論が予想される。」次というのは、先ほど言われたようなことです。それはたばこ特別税の税収が国債整理基金特別会計に組み入れられ、債務償還財源に充当されるとしても、たばこ特別税は特定の事業の経費に充当される目的税ではなく、目的拘束禁止の原則には反しない という反論がある。今の反論です。「しかし、こうした反論は詭弁にすぎない。」こういうことでざあっと、これを読みますとちょっと時間がかかりますが、そういう主張をされておられるのです。だから、税についての、財政についてこういう原則に反するような今度のたばこ特別税というのは、私はよくないというふうに思います。  そこで、もう時間もありませんからお聞きをいたしますが、このたばこ特別税というのは、先ほども申し上げましたように、税の理論から見ましても大変な無理がある、地方自治体の不利益ということもまた間違いないわけでございます。  もう一点、私が五月七日の本会議質問をいたしまして、当時の松永大蔵大臣は、財政構造改革趣旨を踏まえてこのたばこ特別税を創設ということを御答弁されたわけなんですけれども、この法案そのものは財政構造改革法と表裏一体になっておるようなものだというふうに私は理解をいたします。そうしますと、財政構造改革法そのものが今度の内閣によって凍結あるいは廃止というような政策変更をきちっとされたわけでありますから、この法案も当然再検討をされるべきだというふうに考えますけれども、これはいかがでしょうか。
  94. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨年、財政構造改革政府与党の御協力を得ていたしましたのは、二十一世紀を迎えて、人が生まれない少子の日本になってまいりますから、この際、短期、長期の債務というものはやはり一遍全部洗い直す必要があるという意識が基本にございまして、そこで国鉄も林野もその一つとして取り上げられたわけでございます。年金などもそうでございました。  したがいまして、そういうものについてこの際、対応を決定すべきではないかという意識のもとにこの問題も取り上げられました。そして、一般会計負担をさらに増大させないための方策もあわせて考える、そういうことでございましたので、財政構造改革そのものと申しますよりは、構造改革に当たって、将来に向かって考えておかなければならない負担すべき債務をこの際どう処理すべきかという一環としてこの問題が取り上げられたもの、私は、そういう意味で松永大臣が答弁をされたものと考えます。
  95. 細川律夫

    ○細川委員 この法案そのものは、大変問題が多いわけでございます。本来なら、行政改革あるいは地方分権の推進によって行政経費を縮減したり、あるいは公共事業の見直しあるいはコストの低廉化等、一般会計全体の構造改革の中から求められるべきであるのに、そういう点についてはほとんど従来の手法をとり続けられております。取りやすいところから取るというような発想でこの法案は考えられたというふうに思わざるを得ないわけでございます。  したがって、私は、この法案は廃案にすべきだというふうに主張いたしまして、私の質問を終わります。
  96. 大原一三

    大原委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  97. 大原一三

    大原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鉢呂吉雄君。
  98. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄でございます。国有林野改革法案あるいは森林法に限って質問をさせていただきたいと思います。  まず総理にお伺いいたします。今も昼のニュースでやっておりますけれども、二十七日から北関東あるいは東北南部は大変な集中豪雨でありまして、大きな被災をしておるところであります。昼のニュースでは、二十一名の方が亡くなられた、または行方不明ということで、私も心から弔意を申し上げさせていただきます。また、多くの方が今なお避難をしておる、あるいはまた道路の決壊、交通網のさまざまな決壊、土砂崩れ、あるいはまた農業、農地に対する被害も東日本あるいは北日本全体に出ておるようでありまして、そういう意味では、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げるところでございます。先ほど衛藤先生の御質問に対して、総理から、それらの対策を行う、また行っていくという趣旨の御答弁がございましたので、万全を期していただきたいというふうに考えておるところでございます。  実は、私ども民主党は、小平農林水産部会長を先頭にいたしまして、その前の日にこの国有林野関係の視察をちょうど那須高原、栃木県に行ってまいりまして、国有林野の実態について調査をさせていただいてきたところであります。  とりわけ、那須高原のいわゆる保安林等の水土保全林に対する取り組み、また治山事業を幅広くやっておりまして、今回は一千二百ミリを超す豪雨ということで、これは未曾有の豪雨でありますから、森林の果たす役割が十分できたかどうかは難しいところでありますけれども、しかし、そういうところも見させていただきましたし、八溝山系という茨城県寄りの方は人工林をやっておりまして、間伐等の事業を行っておる。私どもの見ておるところ、十分な予算や人や、あるいは事業取り組みというものが必ずしも行われておるというふうには言えないというふうに見てきたところであります。  そのような観点で、総理として、このような災害を踏まえて、どのように森林というものをとらえておるのか、あるいはまた日本の森林整備対策を講じていくのか、お聞きをいたしたいなというふうに思っております。  総理も御案内のとおり、地球温暖化防止のための京都会議もございましたし、あるいはまた中国でも長江が大はんらんということで、伝えられるところによりますと、上流の木材の伐採が大きな影響を与えておる、その制限もしていかなければならないということを江沢民主席が表明したとか、あるいは韓国でも大変大きな災害が出ておるということで、地球環境全体が森林の役割というものに対して目を向けなければならない。今回も一千二百ミリという大豪雨でありますけれども、これらも、地球の気象状況が異常を来しておる、これも随分言われておることでありますけれども、そこに寄与する森林の役割というものも極めて大きいのではないか。  そういった意味で、総理として、この時点で、二十一世紀も見通して森林整備政策というものをどのように考えておるか、基本的なことをお伺いいたしたいと思っております。
  99. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まず、今般東日本初め全国各地に集中豪雨における大きな被害が出ておりますこと、その中でたっとい命を失われた方々に改めて哀悼の意を表しますと同時に、その後の対策につきましては、政府全力を挙げて努力をいたしまして対処いたしていきたいというふうに考えております。  私自身も土曜日に参りましたが、もうこれで雨が上がってくれればいいと願いつつ帰りましたが、昨日、また本日に至りましても、なかなか、この異常気象と申しますか、こうした事態が継続しておることを甚だ憂慮いたしておるわけでございます。何といっても、一日の降雨量が一年間の半分くらい集中してあったということでございまして、そうしたことが仮にありましても、今委員指摘のように、万全の体制を整えると同時に、山野に降った雨が適切に川に流れて大洋に注ぎ込まれるという形がなければならぬと思っております。  特に森林の問題についてお触れになられましたが、我が国の国土の七割を占めております森林が、災害防止等の国土の保全、水資源の涵養、二酸化炭素の吸収等、国民生活にとってかけがえのない重要な役割を果たしておることは言うまでもございません。そのため、植林、間伐の適切な実施や治山事業等を通じて、森林の公益的機能の発揮を重視した森林整備を計画的かつ着実に推進してまいりたいと思いますが、ややもいたしますと、災害が起こって初めてその重要性を再認識するというようなことが起こりがちでございますけ れども、不断の心得として、日本が森林、特に山地が七割を占めるというようなこと、そして、その急峻な山地に降られた多くの雨量等が急速に海に流れ込む、こういうことでございますので、そうしたものを森林におきまして十分涵養していかなければならない。  そういう意味からも、改めて今回のこうした事態を踏まえながら、森林の持つ大きな役割というものにつきまして、我々も認識を新たにして対処しなければならぬ、こう真剣に考えておる次第でございます。
  100. 中川昭一

    中川国務大臣 今、総理からお答えございましたが、森林の有する災害防止等の国土の保全、水資源の涵養等の公益的機能は、いわゆる川上、山村地帯だけではなく、広く下流地域の都市住民の皆さんの生活の安定や安全の確保にも欠くことができないということが、残念ながら今回の災害でも証明されたというふうに思っております。このため、公益的機能の発揮を重視した森林整備を推進することが重要であり、植林、保育、間伐あるいは複層林施業等の森林整備や治山事業の計画的かつ着実な推進に努めてまいりたいと考えております。  ちなみに、被害状況をちょっと御説明させていただきますが、現時点で把握しております被害につきましては、被害面積は八千ヘクタールでございます。これはいわゆる田畑でございますが、この中には先生、私の北海道も含まれておるわけでございます。さらには、家畜、農地、農業用施設、林業、水産関係等も被害発生しておりますが、何しろ水が引いていない状況でございますので、現在まだ調査中でございます。  農林水産省といたしましては、この関係被害の大きさにかんがみまして、八月二十八日に平成十年八月豪雨災害対策本部を設置したところでございます。林業に関しましても、きのう段階で七道県で百三十三カ所で被害が確認されておるところでございまして、これから万全の対策をとるべく努力をしていきたいところでございます。  なお、被災に遭われた方々に対しまして心からお悔やみ、並びに被災方々にお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。
  101. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 総理あるいは農林水産大臣から、一過性のものとしてではなくて、この森林の役割というものをこういう異常気象にも対応できるようなものにしていかなければならない、そのとおり受けとめて、まさに今回の国有林野改革法が、その森林の役割を果たす長期的な視点に立ってその第一歩になるようなものとして位置づけをしていきたい、このように考えておるところでございます。  この審議に入る前に、一つだけ農林水産大臣にぜひ政治的な善処方をお願いいたしたいものだなというふうに思うわけであります。  今回、国有林野改革法案の中に入っております農林水産省設置法案というのがございます。この一部を改正するわけでありまして、総理も中之条営林局の所管だと思います。私も昨年、総理の群馬県のあの中之条管内を視察をさせていただきました。まさにそのような営林署、今二百二十九カ所あるわけでありますけれども、これを森林管理署というふうに名称を変えまして、農林水産省設置法の一部改正ということでやるわけでありますけれども、九十八署にするという形が示されておるわけであります。  しかし、この森林管理署の設置箇所の決定を、参議院選挙終了後の翌日、まさに橋本総理が辞職を表明されたその日に農林水産省が決定という形で公表をし、当該する地域の営林署にもそのような通知をされておるわけでありまして、該当する地方自治体もそういう形でその通知を受けておるという事態でございます。この経緯について、まず中川農林水産大臣にお伺いいたしたいと思います。
  102. 中川昭一

    中川国務大臣 今御指摘の二百二十九の営林署を七月十三日に九十八の森林管理署、これはその法案が成立した後の名称でございますけれども、九十八森林管理署の設置につきましては、林野庁におきまして、これまで国有林野の分布状況あるいは管理運営の効率性を基本としながらさまざまな面から検討を行ってきたところでございます。  七月十三日に検討内容がまとまりましたもので、一日も早い法律案の審議をお願いしてきた観点から、国有林野事業改革の姿として森林管理署への再編の具体的内容を明らかにし、法律案の御審議の便に供するため同日発表したものでございまして、意図的に参議院選挙直後の時期に公表してきたものではないことを御理解いただきたいと思います。
  103. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今、国会審議に供するためにという大臣の御答弁でありますけれども、そうではなくて、林野庁が決定をするというふうに文書で明記をされておりますし、私どももそのように受けとめておるわけであります。  これは委員長にもぜひ善処方をお願いいたしたいのでありますけれども、その森林管理署というのは、根拠法となる法案が今まさにこれから審議をしよう、七月十三日というのは全く継続審議で審議されておらない状況であることは、大臣も御案内のとおりであります。私は、そういう意味では国会の審議を無視する、軽視することにつながるのではないか。  あるいはまた、参議院選挙直後という、我々議員もいろいろな意味で、ある面では政局の方に向いているところへ、どさくさに紛れと言ってはおかしいですけれども、十三日に決定をして公表する。私ども、当初はこれは八月下旬だというようなことも聞いておったわけでありますけれども、この参議院選挙直後にやるという必然性は何もないわけであります。あるいはまた、参議院選挙で参議院の与野党が逆転をするという政治状況もある中で、この審議を十分踏まえてやるというのが本当ではありませんか。  また、我々も北海道なり、先ほど言いましたけれども、栃木県で調査をさせていただきましたけれども、異口同音、各自治体の町長さん方、市長さん方は、このように営林署に協力もし、極めて大切だと。あるいは総理も御案内のとおり、今回の国有林野改革法案の大きな柱は、国民共有の財産としてこの国有林野というものをやっていくんだと。林政審でも言っておりますように、従来は国有林野の管理運営について、ともすれば国民から遊離しがちであった、そこまで林政審で述べておる。したがって、視点を変えて、国民にも情報公開をして、また国民の協力もいただいて、あるいは国有林、民有林一体となって事業を推進していかなければならない、このような精神でこの法案が組み立てられております。  そういう中で、森林管理署、それはもちろん廃止になる市町村で賛成していただける市町村はないと思います。しかし、そういう真摯な手続というものが私は必要だったと思いますけれども、これまでに全く事前の協議も何もない、まさにいろいろな市町村長さんも、こういう決め方はひきょうだと。私は、行政と地域住民との決め方においても、こういう決め方というのは将来に禍根を残すというふうに思うわけであります。ここはやはり、国会の審議に供するということであれば、森林管理署の決定ということになっているわけでありますから、案ですとか国会の審議に供するという形で、一つのたたき台という形ではありません、決定をして地方自治体に通知をしておるということでありますから、ここを農林水産大臣、私どもの審議にきちっと公平な形で加わるためにも、白紙撤回をしていただきたい、このことを強く求めて御答弁をいただきたいと思います。
  104. 中川昭一

    中川国務大臣 今先生から御指摘がありましたように、七月十三日に発表をさせていただきました。これは、今まで全国の都道府県の意見、地元市町村の御要請も聞き、この森林管理の効率性を基本としながら作業を進めてきたところであります。いずれの市町村からも森林管理署として存続していただきたい、もう全部の地元からの要望でございました。  一方、この効率化の観点というものも非常に重要だということで、この時点で一々、一つ一つ、 お一人お一人の御意見を聞いていますと、混乱を招き御迷惑をかけるおそれもあると判断し、林野庁がみずからの決定として公表したものでございます。  この案の決定につきましては、これからの法律の審議そしてまた省令の改正等の諸手続を行って、御承知のとおり一月一日からこういう形になることでありますが、これはあくまでも法律案が成立した後に決定されるものであることは言うまでもございません。しかし、この案に基づきまして省令の規定を定めたいと思っております。  なお、私は、この法律案そしてまたこの森林管理署の決定についてはベストのものというふうに考えて、御審議をよろしくお願いをいたしたいと思います。
  105. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 この法案の審議に対しては、大臣はどういうふうに考えておるのか。私どもも衆議院の法制局に聞きました。根拠法が制定をされておらない段階で、前の段階でこのような法律を根拠とする設置の箇所を決定するというのは聞いたことがないと。違法とかそういうことではありません。まさに我々、国会の審議云々、その前の段階でそういう決定をされるということになりますと、私どもとしては国会審議とは何ぞや、これは国民の皆さんもそう言うわけですね。  この法案が最良のものだとか、この設置箇所がどうだとか、我々はそこまでは言っていません。設置の基準程度は国会で論議すべきものだと思っております。したがって、それに基づいて、設置箇所というのは法律が決まってから、決まってからですよ、行政が粛々と決定すべきものであるというふうに考えます。  委員長、どのように思われますか。
  106. 大原一三

    大原委員長 私からは答える限りではございませんが、よく皆様と御相談をしたいと思います。(発言する者あり)
  107. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 委員長からこの委員会後に協議をしたいということでありますけれども、私は、中川農林水産大臣に、国会審議に当たって、こういう決定という言葉はないのではないか、この点についてもう一度御答弁願います。
  108. 中川昭一

    中川国務大臣 御指摘のとおり、この九十八の森林管理署あるいはまた全国七つの森林管理局等々につきましては、この法律案あるいは国会承認等々の成立を待って最終的に決定されるべきものでございますけれども、先ほど申し上げましたように、地元の皆さん方の大変熱心な存続の要望、あるいはまた来年一月一日を、この法律が成立させていただきましたならば、この実施ということも勘案いたしまして、この法案地域に関係のある問題でございますから、事前に林野庁の案というものを公表させていただきました。  しかし、これはあくまでも法律あるいはまた省令等々が成立した段階で最終的に決定されるものでございますけれども、この案どおりにいくことを我々は希望しながら審議をお願いいたしたいと思います。
  109. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今、大臣は、これは案であると言いましたけれども、それはそうですが。そのとおりに受けとめていいんですか。
  110. 中川昭一

    中川国務大臣 林野庁が決定いたしましたこの法律と一体となった案でございます。
  111. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 この法案はまだ法律として決まっておらないわけであります。今林野庁が決めた法律というふうに言いましたけれども、まさにこの国会で今議論をしておるところでありますから、そういう意味では、これは案と受けとめてよろしいんですか。いや、大臣に、簡単に、出てこないでください。
  112. 山本徹

    山本(徹)政府委員 大臣から先ほど来御答弁申し上げておりますように、今回の森林管理署の決定の内容、これは、都道府県や地元市町村等の御意見、御要請を十分承りながら作業を進めて、これは、行政部局としての林野庁としてこの法案の一部をなすものとして決定させていただいたものでございます。この決定の内容は、国有林の効率的な管理運営、民有林との一体的な管理、また地方行政との連携等々を総合的に勘案した上で公平、客観的に決定させていただいたものでございまして、廃止される地元市町村等々に対しましては、この決定の内容を御理解いただけるように引き続き最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  113. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今、市町村の理解を十分得たということでありますけれども、私どもの聞いている範囲では、都道府県にはこの内容についてはお知らせをしたということを聞いていますけれども、市町村は、私の二カ所行ったところの、例えば、北海道の森町の湊町長さんは、これまでは必ず事前の話があった、また、営林署に協力をしてきた、しかし、今回は突然の発表でショックを受けている、こういう形で、これは必ずしもこの場で言っていいかどうかわかりませんけれども、出先の責任者、必ずしも、この間の状況について地方の自治体の皆さんと十分協議をしてきたというような発言は見られなかったところであります。  まさに、皆さんは事前に漏れたら大変だということで、一切発表になるまで、私は、むしろ内部ではきちっとした周知徹底をするのが本当だと思いますけれども、内部にもまさにそういうことは内密にして七月十三日に発表したというふうに聞いておりまして、私どものところにも函館営林支局長の名で、それもファクスですよ、こういうふうな形で決まったと。ほかの議員さんも大体そういう形で、何だと、ファクスで。しかも、別の議員さんによれば、選挙中で忙しいものですから、こういうことについては慎重にやってほしいと電報まで皆さんのところに送っているにもかかわらず、ファクスで送ってきてそれだけだという状態でありますから、私は、国会審議をするに当たってもきちっと撤回をしてやっていただきたい、このように思うわけであります。長官は、いいですよ。
  114. 山本徹

    山本(徹)政府委員 今回御提案させていただいております国有林野改革法案は、御案内のとおり、これまでの国有林を木材生産を中心とした役割から公益的機能を中心とした役割にその管理運営のあり方を転換するとともに、三兆八千億の累積債務のうち二兆八千億について一般会計に承継をお願いしておるところでございます。  この一方で、今後健全な国有林の管理運営ができますように、組織・要員の徹底した縮減合理化を図る必要がございました。このために、現在の二百二十九の営林署を九十八森林管理署と十四の支署に再編、整理、統合することにいたしたわけでございますが、大変大きな改革でありますだけに、これは全国の関係の市町村、自治体等から大変な、昨年来の検討の経過の中において御意見等がございました。  私どもは、そういった地元の御意見を承りながら、大変大きな再編統合案であるだけに、私どもが責任を持って、客観、公平的な基準のもとに再編の考え方を決定させていただいたものでございます。これは国会のこの改革法案の一日も早い国会における御審議をお願いするために、内容のある御審議をお願いするために、成案がまとまりましたので、七月十三日に、一日も早い国会の審議をお願いするという観点からも公表させていただいたところでございまして、当然のことながら、現在御提案させていただいております法律案の成立を待って、この法律案の定めるところに従いまして、省令の制定等の所要の手続を行って初めてこの林野庁の決定は実現する内容のものでございます。
  115. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間もなくなりますので、先ほど委員長理事会等で協議をするということでありますので、ぜひ国会の審議に差し支えがあるような形にならぬように、きちんとしたものにしていただきたい、このことを委員長にお願いを申し上げます。よろしいでしょうか。
  116. 大原一三

    大原委員長 はい。
  117. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それでは、次に移ります。  この問題は、今年の五月七日に本会議の代表質問がございまして、当時、我が党の木幡弘道委員質問に対して、国有林野事業の膨大な累積債務原因なり責任についてただしたものに対する橋 本前総理の御答弁でございます。債務の累増は、木材価格の低迷、森林資源の減少などに起因するものと考えていますと。また、別の質問に対してでありますけれども、平成三年度に策定された経営改善計画において、債務処理財源として、林野・土地売り払いの収入を見込んでおったところ、バブル経済崩壊などにより林野・土地売り払い収入が予定を下回ったことが財務悪化の原因となったと御答弁されておりますけれども、小渕総理はどのようにお考えでしょうか。
  118. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 お答え申し上げますが、橋本前総理国会で御答弁いたした趣旨が、やはり今日の事態を招いた大きな原因であるという考え方には、私も同じような考え方をいたしております。
  119. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間がなくなりましたから私の方からお話ししますけれども、この間の、とりわけ平成三年度以降の累積債務については、このような木材価格、伐採量あるいはまた資産としての林野・土地を売り払う、そのことが経済的な要因によってなし得なかったということではない別の要因であるということをこれから申し上げたいと思います。  実は、平成三年三月に、農林水産委員会で、当時の近藤元次農林水産大臣、第四回目の国有林野の改善計画、特別措置法という法案の審議をしておりまして、その中の答弁で、確かにこれは、昭和五十三年以降、木材価格あるいは伐採量等が旧来に比べてずっと減少せざるを得ない、低下せざるを得ないということはありました。  しかし、平成三年の改善計画は、まさに、当時二兆三千五百億あったのですけれども、この累積債務平成三年度始まりの累積債務を別に置いて、別勘定に勘定区分をして、これは平成二十二年まで二十年かかってなくしていく。そして、経常事業収支というのは平成三年から別経理にして、これは平成十二年、十年後に収支均衡を図っていくという形でなされたわけであります。そして、この二兆三千億というのは、これまでの借金ですけれども、これは、一つは、林野・土地等の資産の売り払い、それから、経常収支で利益が出てきたときには、それをあてがう。そして三番目に、一般会計から処理をするという仕組みをつくったわけであります。  近藤元次大臣は、当時の前島委員質問に対して、累積債務部門を解消する分野につきましては、一般会計導入がございますから、私は、累積債務の解消というものについてはかなり自信を持っておるわけであります、こういうふうに答えておるわけであります。  時間がありませんから、先ほど総理が言われました、材価とか木材量は低迷した、減ったということについては、私の試算では、約一千四百億程度しかなりません。この平成三年から平成八年までです。これは試算ですから、林野庁は出しておりません。平成三年度の材価とそれから切るという計画は、林野庁、計画を毎年度つくっておりますから、それに平成三年度の価格で、あるいはまた実際に切れなかった量というものを計画どおり切ってという形で、一千四百億の減しかなりません。  それから、林野・土地売り払いについても、当時、平成三年から八年の六年間で五千億。実はこれは、一兆二千億、二十年間で売っていく、一年間に六百億程度、平均すればですけれども、予定をしておったわけであります。この六年間、八年度までは、五千二十億の予定のところを三千二百八十七億円であります。したがって、一千七百億程度の減であります。  これを二つ合わせても三千数百億にしかならないわけでありまして、総理も御案内のとおり、当時二兆三千億の累積債務が今や三兆八千億。一兆五千億出たわけであります。この一兆五千億は、当初の計画でも、林野・土地を売り払っても、あるいは平成三年当時の材価なり、伐採量を計画どおり見込んでも、一兆五千億を埋め合わせるものにはならなかったのでございます。  したがって、前総理答弁しております、経済的な外部要因に責任を押しつけるというのは、私は、当たっておらないと。この点について、総理の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  120. 山本徹

    山本(徹)政府委員 ただいま先生御指摘平成三年の国有林野事業の改善計画でございますが、この内容は、国有林野事業において保有いたしております林野・土地等の資産について、徹底した見直しを行い、その処分の拡大を図ることにより、その収入の増大を図り、累積債務処理に充当する。それから次に、自己収入確保に加えて、組織機構の簡素化、合理化、要員規模の適正化等による自主的改善努力の徹底等を図ることにより、経常事業部門で将来生ずる剰余金については累積債務処理に充当する。これら徹底した自主的努力による累積債務対策を講ずることとした上で、なお不足する費用については、別途、財源措置を講ずる等が内容となっております。  私どもは、こういった基本的な計画に沿って、国有林の管理、また国の厳しい財政事情という制約の中で、毎年度の予算編成過程において一般会計の繰り入れの充実に最大限努力してきたところであり、当時の近藤大臣の御答弁もそういった趣旨の御答弁であるわけでございますけれども、この平成三年当時の計画で期待していたような国有林の、林野・土地処分が進まなかったこと、あるいは木材の価格が低迷したこと等々の要因により、この計画どおりに改革は進まなかったわけでございます。  そういった反省に立って、今回、国有林野改革法案により、抜本的な経営改善策、また国民に期待されるような公益的機能を重視した国有林の経営管理、さらに三兆八千億のうち二兆八千億は一般会計に承継し、ここで返済していただくというような内容の計画案を御提案させていただいており、また、この計画案の内容は、今後の木材価格の推移等についてもこれまでの実績をもとにしておりますし、林野・土地等の売り払いについてもかなり控え目な、手がたい内容となっておりますので、私どもは、この計画案に沿って、国民に期待される国有林の管理運営にこれから努力してまいりたいと考えております。
  121. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 御答弁が長いのですけれども、要するに、今長官が言われましたように、橋本前総理の、材価ですとか、あるいは森林、土地バブルで価格が低迷したということでは、三千百億ぐらいしかまともにいっても増加にならない。一般会計からの繰り入れは、平成三年以降、百億、百二十八億、百四十三億等々、まさにけたが一つ違う。きちっと精査をすれば、当時、平成三年は、皆さんは、長期見通しも示さないで、ただ、頑張る、頑張るという形で御答弁されました。しかし、実際には、百六十億から百九十億、どんなに逆立ちをしても、一般会計からこれを繰り入れなかったら成らぬ、そういう計画でした。したがって、それを先送りしただけに、総理も御案内のとおり、財投資金という、国有林野は利回り五・四%ぐらいだそうです、これは、金利が、借入金に変わって、今日、一兆五千億が約七年で雪だるま式にふえたというのが実態であります。  ですから、そこを、どういう状態で来たかということはきちんと認め合おう。我々、大臣も、必ずしも一つ一つ中身を見ていませんから、確かに、官僚の皆さんが言ったことをそのまま言っておるのでしょうけれども、それは昭和五十三年当時から、全体、平成三年度まで言うのであればそのことは当たっておるかもわかりません。しかし、平成三年度以降、今日までの、この一兆五千億がふえた原因は決してそんな経済的な変動ではないということについて総理も御認識をしていただきたいものだというふうに思います。いかがでしょうか。
  122. 中川昭一

    中川国務大臣 平成三年の改善計画のとき、たまたま私は党でその委員長をやっておりましたので、そのときのことを思い出しますと、今先生御指摘のように、三年から十二年まで、それから十三年から二十二年までと二段階に分けて、国有林の経営を何とか健全化していこうということでありましたが、御承知のように、やはり経済の状況 が非常に大きかったということが一点だと思います。景気が悪くなった、あるいは地価が下がった、そして円高になった、そういう大きな問題が、先生から具体的に試算の御指摘がございましたけれども、それが一つだと思います。  それからもう一つは、やはり財投からの借り入れというか、いわゆる借金が先生御指摘のように二兆数千億あって、その金利が、現時点で計算しますと五・四%とかなり高い金利だった。だから、金利が金利を生むような状態が続いた結果、それと、見通しと経済状況とのギャップ、いろいろな要素が相まちまして、あの計画を今日撤回し、新しい今度の計画として、新たにこれは責任を持ってやっていかなければならなくなったという認識を私は持たせていただいております。
  123. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、農林水産大臣の御答弁でよろしいかと思います。  その上に立って、今後のあり方をどういうふうにするのかというところに来るわけであります。  今回のこの政府案については、三兆八千億のうち一兆円は、今後五十年間で国有林野特別会計で利益を生み出して、そこでこの処理ができるという枠組みなわけであります。  これも、五月七日に衆議院の本会議で当時の島村農林水産大臣が、我が党の木幡委員に対しての御答弁で、これはできるのだという要素を四つ挙げております。一つは、収穫量が今後資源が成熟するので将来的に増加すること、二つ目は、木材価格はこれまでの価格動向を踏まえれば今後も横ばいに推移をすること、それから三番目は、林野・土地等の売り払いについては実績を踏まえて算定すること、四番目は、公益林についてその管理等の経費について一般会計から繰り入れを行うこと、これらを踏まえれば五十年間で約一兆円の剰余が見込まれる、このように本会議答弁をされております。  私は、この一つ一つ、今、あと十分しかありませんから詳しくはお話しできませんけれども、一つは収穫量について、今五百万立米ぐらいです、総理、これが五十年後に千五百万立米、今の三倍切ることができると。確かに帳簿上の蓄積量は、これからだんだん切る木が出てくるという意味では帳簿上はあります。しかし、総理も御案内のとおり、この間中間施業というものをきちっとやっておらないという面がありまして、伐採量がふえるのは十五年後、十六年後からふえてくるのですけれども、果たして本当に将来切れるのかな、切る木があるのかなというのが一つであります。  それから、長伐期施業といいまして、今度は長い期間かかって、今までは皆伐といって一斉に全部切ってしまったのだけれども、百年ぐらいかかってすぐり切りをしていくというような施業を考えておるのですけれども、一気に切るよりコストは三割増かかるというふうに言われています。ですから、もちろん非常にコストがかかることは自明なのですけれども、そうなった場合、果たして今までのような利益というものが、コストも踏まえて出るのか。  あるいは、総理も御案内のとおり、一昨年計画を見直しまして、今まで木材を生産する林地は五一%ほど国有林野はあった、そういう取り決めをしていました。これからはこれも二一%に、半減以下にするというふうに、政府みずからそういう方向にしたわけであります。そういうことを考えますと、今よりも三倍もふやして、伐採量というものはあるのか。  それから、二つ目の価格の動向ですけれども、これは今後も横ばいだと。これは、国際的な輸入量というものも見ながら試算をしておりますけれども、果たして三十年、五十年後の価格の動向、横ばいで試算をすることが現実性があるのかどうか。価格については、今までも下がってきております、不確実性が強いという意味では、これを横ばいとしてとらえるのがいいのかどうか。  それから三番目に、林野・土地等の売り払い、これは前半の二十五年で五千億売ることにしております。これも中身を見ますと、林野を三千六百億。林野というのは木としてこれからも利用するというようなところ、土地というのは、今木が生えていない、例えば営林署の跡地を売るとか営林局の跡地を売る、純粋の土地です。林野というのは、木が生えて、今後も木として利用するようなところを三千六百億売るという、これは二十五年であります。そういうところからいきますと、地球温暖化にとって森林がCO2の吸収量ということで極めて大事だというときに、今後も林野を三千六百億も売るというのが、果たして国際世論からいっても妥当かどうかということが私は問われておると思います。  そういうものを考えたときに、しかも、総理御案内のとおり、この一兆円を生み出す利益は、これから十六年後になって初めてプラスの利益が出てくる。それは、先ほど言ったように伐採量が多くなるから出てくるわけであります。したがって、十五年間は一切出てこない。これは、金利については一般会計から全部処理をしていく、五十年間金利については一般会計から見るということでありますけれども、そのような元金を、一兆円を、十六年以降から始めて三十五年間で処理をするというのが果たして現実的かどうか、私は非常に先送り的な今回の収支の見通しではないかというふうに強く指摘をせざるを得ないわけであります。  私ども民主党としても、このような非現実的な材価が、売れるかどうかわからないというような形でまたぞろ一兆円が、とりわけこの五年間なりが非常に伐採量が少ないわけですから、通常の経常事業部門でもさらに赤字を生み出す。実は、来年の概算要求を見ましても、八百億新たに借り入れをしなければならないという数字が出てきます。そういうものが、その一兆円のほかに、改革初頭には起きる可能性が強い。そうなった場合に、この一兆円というのは、またぞろ雪だるま式にふえる可能性が強いのではないかというふうに言わざるを得ないわけであります。  そういう点で、私どもは、思い切って三兆八千億というものを一般会計処理をして、仮に十六年後なり三十五年後に利益が出てきたときには、一般会計にその利益を、黒字を繰り入れるという手法の方が責任を持った会計制度ではないか、そのように考えておるわけでありまして、その点について農林大臣としてどのように考えるか、御答弁願いたいと思います。
  124. 中川昭一

    中川国務大臣 今先生の御指摘は、現在ある三兆八千億を丸々一般会計に承継させて、その上で、五十年か何十年かわかりませんけれども、計画を立ててという御指摘でございます。  我々といたしましては、これからいろいろなコスト軽減の努力をし、そしてまた、何よりも三兆八千億のうち二兆八千億を一般会計に承継することによって、残り一兆円という金額であれば、これから五十年かけていけば、その一兆円についてきちっとお返しができるという計算を立てているわけであります。  逆に言いますと、三兆八千億丸々を一般会計というところに承継させますと、これは、我々の改革の原点はやはりぎりぎりの自己努力だと思いますので、ぎりぎりの自己努力なくして丸々三兆八千億を一般会計に渡すということは、自己努力という意味国民の皆様からどういうふうな御指摘を受けるかということも配慮をしていかなければならないわけであります。  平成十五年までは、先生おっしゃるとおり、金融機関から借り入れをしたりいろいろなことをしながら、また、ずっと利子等につきましては一般会計から注入されるわけでありますけれども、この一兆円という範囲の中で、そしてぎりぎりの自己努力をしていけば、五十年後にはきちっと長期債務がゼロになっていくという計画が、現在我々としては、実現可能であるし、また実現していかなければならないというふうに思っているところでございます。
  125. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間がございませんからまたの議論にしたいと思いますけれども、十六年後から初めて元金を償還する、私は、来年から償還できるような収支計画であれば、それはそれとして、例え ば昨年の概算要求のときに、一兆円ではなくて五千億をこの国有林野特別会計で持つという農林水産省の概算要求が大蔵省になされたわけでありまして、私は、先ほど言った不確定要因が余りにも大きい中では、果たしてこの一兆円を本当に十六年後から返すという計画でいいのかどうか、疑問に思わざるを得ないわけであります。  時間がありませんから次に移らせていただきますけれども、私どもとしては、政府案について、今まで改善ということから改革ということに言葉をかえただけに、我々はこれが全くだめなものというふうには思っておりません。さまざまな形で、財政当局も含めて、思い切ったところをこの法案に出しておる点も見られるわけであります。  しかし、我々としては、問題点もさまざまある。きょうは問題点だけ指摘をして、後日の論議をさせていただきたいわけでありますけれども、一つは、政府案は、公益機能といいながら国土保全その他のという形で、それ以外のものを「その他」という形にしております。  いろいろ聞いてみますと、「その他」の中身を入れると、ほかの省庁とのすり合わせが相当かかるというようなことも聞いておるわけであります。しかしながら、私ども、先ほど総理からも御答弁いただいたように、森林の多面的な価値ということからいけば、例えば水資源の涵養ですとか、自然環境の保全ですとか、あるいは国民のレクリエーション機能の発揮ですとか、同時に一番大事なのは地球温暖化防止のための寄与というような国有林野、森林の大切な機能というものをきちっと法案、条文上に明記をして、したがって、それをどのような形で具体化をするかということについて、国民の合意を得るというものにぜひしていただきたい。その意味では、言葉ではその大切さを訴えておるわけでありますけれども、必ずしも農水省なり政府の中身はそこまで至っておらない、そういうふうに思わざるを得ません。  したがって、私どもとしては、具体的にそれらの公益的機能を確保するために何をなすべきか。例えば、植林、再植林というようなものが地球温暖化防止にとって極めて大切だということは国際会議でも決定されておるわけでありますから、そういう植林、再植林、あるいは中間の施業というようなものについてきちんと明記をしたものにしていただきたい、このように考えておるわけであります。  時間が来ましたので、まだまだ私どもの政府案に対する見解をまた後日述べることにいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  126. 大原一三

    大原委員長 宮地正介君。
  127. 宮地正介

    ○宮地委員 新党平和の宮地正介でございます。平和・改革を代表いたしまして、総理を中心に御質問をさせていただきたいと思います。  最初に、二十六日からいまだに続いております東日本並びに北日本における集中豪雨、または台風四号による災害の問題について御質問をさせていただきたいと思います。  今回の豪雨によりまして十六人の方がお亡くなりになり、五人の方がいまだに行方不明になっているとのことでございます。心から哀悼の意を表したいと思います。また、全壊五十三棟、半壊百八十三棟、また農業地域におきましても、福島県では二千六百ヘクタール、岩手県では二千三百ヘクタール、宮城県では七百八十ヘクタールなど、多くの国民の皆さんが被害に遭われているわけでございます。こうした被災者に対しましても、心からお見舞いを申し上げたいと思います。  そこで総理、先ほど総理は、激甚災害特別措置法の激甚災害の指定については早急に検討をしておる、こういう前向きの御答弁がございました。私は、こうした被災者に対しましていかにスピーディーに政府が誠意のある、真心のある対策を講じるかが今一番求められていると考えております。早急な検討でなくして、いつまでに実施に踏み切るのか。また、この災害指定についてはそれなりの調査は必要でありましょう、しかし、被災地域、被災者は大変な苦しみの中にあるわけでございます。さらに、あらゆる災害に対する法律また対策を万全を期して私はスピーディーに措置すべきだと思います。  例えば、災害弔慰金支給法に基づいて災害弔慰金の交付とかあるいは災害支援の資金の貸し付け、こうした問題もスピーディーに対応するよう、関係当局に総理みずからが指示をすべきだと私は考えております。また、農業共済金の早期支給、こうした問題も、過去の災害の中から大変に制度の、支給のおくれがいろいろ指摘されているわけでございます。また、総理がみずから現地に激励に行かれて、記者会見の中でもお話しになっておりました、阪神大震災の教訓の中で、議員立法の中ででき上がった、来年の四月一日の施行の被災者生活再建のための法律についてもその趣旨を踏まえて対応する、記者会見でもこういうお話があったようであります。  私は、この際、一刻も早く国民の皆さんに、政府のそうした対応が、真心が行動として現実にスピーディーに対応するよう強く申し上げたいと思います。  きょうは時間がありませんので、総理が代表して、この点についての、国民に対しての決意と対策の今後について御説明いただきたいと思います。
  128. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今般の豪雨災害被害の大きさにつきまして、私自身も二十九日に福島、栃木両県に参りまして実態を把握してまいりました。そのとき記者会見がございましたので、今全く委員のお説のとおり、国としてなすべきことは極めてスピーディーに対処しなければならないということの気持ちを率直に申し上げてまいりました。  激甚災害についての指定の問題がございましたが、これも実はその後まだ、昨日、今日にわたりましてもいろいろ被害が増大しているようでございます。今日、この委員会が終了いたしましたら直ちに中央防災会議を開きまして、その対策方につきまして十分これから各省庁に万遺漏なきを期して対処することを指示いたしたいと思いますが、同時に、既に発生いたしました被害について、これを救済する手だてにつきましても検討を早めていくように指示をしたいというふうに思っております。  激甚災害につきましては、これは被害状況被害を受けた自治体の財政状況被災地農業所得状況等に照らし最終的な判断をいたさなければならない資料が、実は、先ほど申し上げたように、今なお増加いたしておるのだと思いますので、その決定につきまして今申し上げることはできませんが、お説のとおり、できる限りその被害状況を十分早く、早期に把握をいたしまして適切な対応をとらせていただきたいと思っております。  それから、来年四月一日から施行されます被災者再建のための措置法律案が、議員立法で成立をいたしましていよいよ明年四月一日から施行することになっております。たしか十軒を超えるような被害が一地域発生した場合に対して、そうした方々に対する救済の方法等につきましても政府のなすべきことについて法律は定めておられますが、法施行以前ではございましたけれども、たまたま柳沢国土庁長官も御一緒されておりましたので、法を先行して施行するということは許されざることではありますけれども、同様の趣旨を生かすことができないかどうかということにつきまして、国土庁長官にも検討をひとつお願いをいたしておるところでございます。被害の姿がはっきり出てまいりまして、明年以降の法律によりまして、もしその法律が現在施行されておられれば適用になったであろうと思われる状況であるとすれば、それに対してどのような施策が講ぜられるかどうかということについて、今検討をお願いしておるところでございます。
  129. 宮地正介

    ○宮地委員 大蔵大臣、やはり財政当局としても絶大なるフォローアップをぜひお願いしたいと思います。特に、予備費の弾力的な運用をぜひ私はお願いしたい。  いまだに九千九百人の方々が避難をされております、一時は最高九万人になっておる、こういう状況もあります。生活の本当に身近なところで、家をなくしたり、あるいは預金通帳をなくしたり、まだ電気やガスのついていないところ、医薬品のないところ、いろいろと御苦労が多いと思います。そうした本当に国民の苦しみに対して、同じ苦しみに立って、総理がここまで決意をしているのですから、財政的なフォローアップを、具体的に予備費の弾力的運用をぜひやっていただきたい、この点についてのお考えと御決意を伺いたいと思います。
  130. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 災害対策費は十分に計上してございますし、総理の方針が実現いたしますように万遺漏なきを期するつもりであります。
  131. 宮地正介

    ○宮地委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは、今回の特別委員会に付託されております五法案承認案件を中心として、まず私は総理大臣に基本的な、骨太なところの話から進めてまいりたいと思います。  今回の国鉄清算事業団の二十八兆円に上る累積債務処理、また国有林野事業の三・八兆円の累積債務の中における二・八兆円の処理、これは端的に言いまして国の経営破綻、こう私は言わざるを得ないと思います。  今回、清算事業団についても、そのうち二十四兆円を一般会計に繰り入れ、また国有林野事業においても二・八兆円を繰り入れる、簡単に申し上げれば、国民の税金でこの累積債務処理するということであります。今、経済、金融の危機の中で、金融機関の経営破綻責任問題等々が国民の間から大変厳しい指摘を受けております。しかし、今回のこの処理スキームは、まさに国の経営破綻に対する処理であります。  まず、総理大臣、今日までのこうした清算事業団あるいは国有林野事業経営破綻に至った責任をどこまで痛感されているのか。本当にこれを処理するのであれば、私は、その責任を痛感すると同時に、国民に何らかのおわびをする必要があるのではないかと考えております。総理大臣のお考えを伺いたいと思います。
  132. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 国鉄清算事業団債務処理につきましては、昭和六十三年の閣議決定基づきまして資産処分全力を挙げて取り組んでまいりました。  しかし、地価高騰問題に対処するための土地売却の見合わせや株式市況低迷など、土地株式処分が思いどおり進まなかった一方で、国鉄改革により負担をされた債務や年金等の支払いに加えて、国鉄改革後に新たな年金関係の負担を負ったこともあり、この結果、債務が増加するに至ったものでありまして、まことに遺憾であると認識をいたしております。  政府といたしましては、これまでの一兆六千億円に及ぶ国庫補助金の交付や、一般会計における事業団有利子債務の承継など、その時々の中で、債務処理のため、できる限り措置をいたしてきたところであります。  また、事業団資産が減少した今日、事業団債務本格的処理実施することは極めて重要な緊急課題であると認識し、このため政府として、今年度より国鉄清算事業団債務処理の実現を図るための関係法案国会提出させていただいておることでございます。  今、宮地委員指摘のように、長い経過の中で、政府といたしましては全力を挙げて、その時点時点において今申し上げましたように対処をいたしてまいりましたが、残念ながら、そうしたことが累積をし、今日もう後がないという状況に来っておるわけでございます。したがいまして、今日までの政策その他をすべてにわたりまして精査する、また評価するということにつきましてはなかなか困難な点もありますが、しかし、精いっぱいやってきた中で、こうした事態を招いたということについては反省をせざるを得ないというふうに認識をいたしております。  さすれば、今回こうして法律四本を出させていただきまして、何としてもこれ以上後送りはできないという形で法律の御審査をお願いいたしておるわけでございますので、この点につきましては御理解と御協力をぜひお願いをいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  133. 宮地正介

    ○宮地委員 総理大臣としては、私は反省はしているという程度で、国民に対して本当に申しわけなかったな、この気持ちがまだ伝わってきません。  特に総理に、きょうは時間が一時間と限られていますから、端的に御質問してまいります。  総理大臣は、小渕内閣は、自民党総裁選挙以来、いわゆる財政構造改革については凍結宣言をされました。総理になられて、ちょうどきょうで一カ月です。この財政構造改革の凍結宣言に基づいて来年の通常国会に凍結法案提出する、こういうことについては宮澤大蔵大臣が表明をしております。なぜこの臨時国会に、総理、凍結法案提出しなかったのでございましょうか。その理由について御説明してください。
  134. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 若干の経過を申し上げますと、今委員指摘のように、過ぐる自由民主党総裁選挙に当たりまして、私が立候補に当たりまして幾つかの諸点につきまして公約を申し上げました。その中で、いわゆる所得課税、法人課税の軽減、あるいはまた今年度そして来年度にかけての予算の中で、特に追加補正予算について言及をいたしております。こうしたことを実行いたそうといたしますれば、現在のいわゆる財革法を、このままの形ではそうしたことが処置できないことでございますので、翻ってこの財革法につきましての凍結も改めてお願いをしなければならぬ、こういうことでございます。  そこで、今お尋ねは、しからば今国会にと、こういうことでございましたが、率直に申し上げまして、ようやくこの考え方を、総理になりまして、与党のまだ全体の御理解を得ておりませんけれども、方針について御理解をいただいた形で、来年度の予算編成の概算要求につきましての方針を定めさせていただきまして、その過程で、この財革法の凍結につきましても、これを前提として概算要求について各省の要求の提出を求めることになりました。  長くなりましたが、先にこの法律提出いたして、その凍結の後に予算を編成すべきであるというのも一つのお考えかと思いますが、今の時点ではまだその作業その他が進んでおりませんし、また、予算が実際編成され、御審議をされるという中でこの凍結の問題と当然整合性を図っていかなければならない問題でございます。したがいまして、今日の時点では残念ながらまだ凍結法案提出いたしておりませんが、必ず整合性のある形で処理をするということでいかなければ当然来年度の予算もお願いできないわけでございますので、そうした時点まで御猶予をいただきたい、こうお願いをいたしておるところでございます。
  135. 宮地正介

    ○宮地委員 私は、総理、凍結宣言というのは、まさに橋本内閣から小渕内閣に政策の変更を行ったと理解しております。その政策の変更の最大の眼目はデフレ政策の転換にあったと思います。  今、総理のお話を伺っていると、来年度の予算編成、あるいは来年の通常国会冒頭に提出するのかわかりませんが、第二次補正予算の対応として来年に凍結法案を出す、私は遅いと思う。  今、日本は経済、金融の最大の危機です。世界恐慌に向けて日本が経済不況を発信してはならない、そのために総理は今汗をかいていると再三おっしゃっている。総理大臣になったら直ちにデフレ政策を転換するのであれば、この臨時国会提出をするのが私は当然であろう。そして、八月、九月、十月、十一月、十二月のこの五カ月間のスタートダッシュがこれからの日本、経済の再生のポイントなんです、総理。  総理は、経済再生内閣と銘打って内閣をつくられたじゃないですか。であるならば、年内の五カ月間の勝負なんです。来年一月から十五カ月予算をつくって景気対策をやる。遅いんです、総理。そこの原点をもう少し確認しておれば、この臨時 国会に出して当然であろう。そんな悠長なことを今言っているような日本経済でありますか、総理。  もう一度確認したいと思います。その角度から——宮澤大蔵大臣、ちょっと待ってください。その角度からまず総理の御決意を伺い、大蔵大臣の手順についてはいろいろなことを伺いたいと思います。どうでしょうか。
  136. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 財革法というのが成立し、かつこれを一部改正をいたされました。しかし、私は財革法そのものの基本的理念を否定しておるものではありません。橋本内閣として六大改革を企図されたのは、恐らく二十一世紀に向けて我が国のあるべき姿を考えたときに、この改革をまず実行していかなければならぬという強い御意思だったと思っております。その中で財政というものを健全化していかなければならないということは、これはやはり当然のことであったというふうに思っております。  ただ、この財革法がありましたために、幾つかの経済政策が適宜適切に行われたかどうかについての御批判は世にあることも承知をいたしております。  したがいまして、今回、私、内閣を仰せつかりました以上は、この事態に対処して経済を再生するために、先ほど申し上げました、財革法の中で、もしこれが実施をいたしていけば新しい政策が打ち出せないということで、その部分についての凍結をお願いいたしておることでございます。  したがいまして、橋本内閣のとってきた政策が今委員指摘のようにデフレ政策であったかどうかということについては、認識の相違があるかと思いますけれども、もっと経済を活性化するためには今申し上げたような趣旨の手段を講じていかなければならない、そのためには財革法につきましても一定の凍結を行ってそうしたことが整合性を持ってできるようにということでいたしてまいりたい、こう思っておりますので、ぜひこの点は御理解を賜れれば大変ありがたいと思っておる次第でございます。
  137. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今宮地委員の御指摘になられましたことは、私は大変に大切な点だと思っておりますし、実は小渕総理御自身がそれを既にやっておられるのではないかというふうに私などは考えて、総理の方針を体しております。  すなわち、これを凍結するという宣言を総理は就任後いち早くされました。その方針のもとに、私どもはまず来年度から実施せらるべき所得税、法人税の減税案の大綱を内定いたしました。そしてまた、その方針のもとに、来年度の予算編成のシーリングにつきまして、かなり思い切った決定をいたしております。  これらの決定は、実は、財革法を凍結するという総理の宣言がなければ、現在の法律と矛盾いたしますのでなし得なかったところでありまして、宮地委員のおっしゃいますように、半年先のことではない、今急ぐんだと言っておられることを既に宣言で総理はしておられるというふうに、私は解釈をいたして施策をいたしてまいりました。  それで、なぜしかし凍結案を早く出さなかったかと言われます点は、違法、合法という点では、いわゆる歳入補てん国債で予算編成をいたしますときにも、これは財政法の違反でございますから、特例国債の法案を予算と一緒に御提出をしておるのと同じことだと思いますが、現実的に今凍結法案国会に御提案いたしますと、何ゆえにということをかなり具体的に申し上げなければなりません。しかし、来年度の税制改正を今具体的に申し上げることもできませんし、来年度の予算編成もまた具体的に申し上げることができない。したがって、提出いたします以上それを計数的に御説明しなければならないと思いますけれども、今それを御説明するだけのものを私どもは持っていない。したがいまして、その方針のもとにやらせていただいて、あわせまして国会の御承認を将来の機会に得たい、こう考えているわけでございます。
  138. 宮地正介

    ○宮地委員 宮澤大蔵大臣の言わんとすることもわかります。しかし、大臣の言うのは来年の一月から先の話なんです。今私が言っているのはこの十二月までにどういう施策を打つかなんです。  そこで、その議論は、ちょっときょうは時間がありませんので、また別の機会に譲りたいと思いますが、私は、小渕総理の経済再生内閣と、今この委員会で議論されておる関連の法案との関係において、やはり大変な矛盾といいますか乖離があり過ぎる、この点を指摘したいと思います。  それは、まず一つはたばこの特別税、増税をこの法案は含んでいるということです。確かに財源として利払い分に入っておりますが、このたばこ増税というものは、まさに消費マインドを冷やし、消費を冷やし、これはわずかな額とはいえ、率とはいえ、少なくともデフレ効果に働くことは間違いない。まず増税ありきからこの法案が、スキームがつくられているということです。  二番目は、大事なことは、今、新しい二十一世紀を目前にして、官から民への新しい民間活力をいかに引き出すかという、そういう時代の要請の流れに入っているということです。  それを見たときに、今回、JT、民間企業に対して増税をして、JTは結果としてそれを受けてたばこの価格を引き上げざるを得ない。JTもこれは大変な、民営化されてから血のにじむような企業努力をして、今日一千億円近い利益を上げる企業に発展をしてきた。  さらに、JRに対しても移換金の追加負担をやろうとしている。JRも六十二年四月以降の民営化の中で血のにじむような経営努力をし、今や本州三社、東日本、西日本、東海は世界でもトップレベルの鉄道会社になっているのです。そこに今度は理不尽な、不条理なやり方で追加負担をさせようとしている。  まさに、官から民への新しい時代の流れの中で、官が民を干渉している、何か昔の専売公社や昔の国鉄を頭に描かざるを得ないような。今、民間のこの二つの企業は、親離れをして、自己責任の原則で、自由経済市場の中で世界に羽ばたこうと猛烈な努力をしているのです。それを政府がアゲンストの風を吹き込み、冷水をぶっかけようとしている。逆なんですよ、総理。今やらなければならぬのは、フォローの風を送って、頑張れ、二十一世紀の日本の企業の先頭に立って頑張ってもらいたい、これが政府のとる道ではなかろうか。  さらに三つ目は、大事な視点は、先ほどお話ししましたように、今、日本は経済、金融の大変な危機。経済再生をするために総理は、株式市場、金融市場の活性化をしようと今努力をしているではないですか。今世界は、東京金融市場、株式市場に注目しているのです、ニューヨーク市場、ロンドン市場、東京市場、この三大国際金融市場に対して、日本の東京市場は大変世界から注目されている。六十年四月に民営化したJT、六十二年四月に民営化したJR、みんな企業努力によって株価もそれなりの価格に上昇してきている。政府が逆にこの二つに対して今回のような措置を、増税の措置JR追加負担措置、みんな見ていますよ、世界の市場は。何だ、日本民営化した企業というのはこういうふうに政府が干渉してくるのか、こういうことになれば、金融市場や株式市場における信頼感はなくなる。日本民営化というのはこういうことなのか、こうなるのですよ。  総理、私は、経済再生内閣であるなら、ここは小渕総理の決断と実行力と良識によってこういうような策をとるべきではない。むしろ、橋本内閣から小渕内閣にかわったのだ、凍結宣言をして政策の変更をしたのだ、これからはまず景気最優先の対策小渕内閣は行くのだ、一両年中に日本経済を活性化するのだ、こうおっしゃるなら、私の今申し上げた三つの観点からして、私は、この提出した法案は思い切って勇気を持って見直しをするなり修正をすべきだと思います。政府みずからがやるべきだと思います。この点について総理のお考えを伺いたいと思います。
  139. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今宮地委員から三点にわたりましての問題点についてお触れになりました。  確かに、たばこの値段を引き上げるということ についての影響もなしとしないと思います。それから、せっかく民営化したJTにつきまして、改めて政府がいろいろなお願いをするということについての視点もございました。また同時に、JRその他民営化した、全部の株が、民営にしているわけではありませんけれども、民営化をされてかつての国鉄のような状況ではない姿として、特に三社においては税負担にもたえておられる、こういう姿から考えますと、一般論としてはよく理解できると私は思っております。  ただ問題は、今日こうして法案提出していかなければならない国鉄債務、そしてまた林野の債務、これをこのまま継続していくと、さらにこの状況について将来にわたっては国民負担がますます増大せざるを得ないということでございますので、あらゆる機関の御協力も得ながら、この際は、政府国民も当然こうした、郵貯特会、あるいはまた今お話しのようなそれぞれの会社にもそれ相当の御負担を願いつつ、何としてもこの時点で一つの区切りをつけなければならないというせっぱ詰まった状況に立ち至っておるということでございますので、宮地委員の御指摘を私は否定するつもりはありません。しかしこの際は、今日この問題の処理をしなければ、将来にわたってこの禍根を、今日まで残してきたことの整理ができないという意味で、政府としても最後め問題処理のための施策をこうした形でお諮りをいたしておるということでございまして、この点についての御理解を重ねてお願いいたしたい、こう思っておる次第でございます。
  140. 宮地正介

    ○宮地委員 見直しとか修正をする考えはないということですか、今の御答弁は。
  141. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 現在提案させていただいておる法案について、ぜひ御理解をいただきたい、こう願っておる次第でございます。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
  142. 宮地正介

    ○宮地委員 それでは総理伺いますけれども、これだけの債務処理をするに当たって、このスキームがベストであるとは私は見ていません。国の経営の失敗によって、結果として国鉄清算事業団が二十八兆円もの累積債務をつくってしまった、国有林野事業が三・八兆円もの累積債務をつくってしまった、さて国民の皆さん、よろしく処理について御理解をいただきたいというならば、まず政府がやらなければならないのは何でしょうか。行政経費の削減によるリストラですよ。  民間企業の皆さんだって、企業が経営破綻したらオーナーは全部、家も土地も、自分の財産を全部処分するのですよ。中小企業の皆さんなんかは、処分処理ができないから結局夜逃げ同然になる。国は、どれだけ汗をかいたんですか。どれだけ血のにじむような行政経費のリストラをやつたんですか。それをまずやって、さらにその次にやることは何でしょうか。国の資産の総点検です。国がどれだけ資産を持っている、その資産をどこまで処分してみずからの財源を捻出するか。この努力をされましたか。  JTにしたって、これはたばこ産業株式会社法二条、三条、そういうところで二分の一条項とか三分の二条項がある。しかし、百三十三万株持っている。九十万円を超える株ですよ。法律で動かせないから百三十三万株は国はそのまま。愛煙家三千万の皆さんには、利払い分は増税、元本の方は国民皆さんの税金。国は、資産処分しません。行政経費のリストラは幾らやりましたか。JR運輸省分だって二百五十億、林野の関係だって農水省、三百五十五億。その他いろいろあるかもしれません。しかし、この法案に見えるのはその二つですよ。国民には二十四兆円だ、二・八兆円だ、増税だ。国は、行政経費削減はわずか、資産処分はわずか。こんなことが通用しますか、総理。増税は最後の最後ですよ。余りにも、初めにたばこ特別税、増税ありきからこのスキームは始まっているのですよ。総理大臣、どうお考えでしょうか。
  143. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 午前中の自民党衛藤委員お尋ねがございました中で、御本人も、このスキームをつくり上げるに当たりまして党におきまして責任ある立場で努力をしてきた、その過程におきましては、いわゆるほかの税、すなわちJRその他の、乗客そのものに税負担をお願いできないかというようなことも種々検討されたというお話がございましたが、いろいろの処理のための財源確保のために努力をされてまいりました。  端的に、一番簡単と言えば、それは何らかの公債を発行するというような手段もあるいは考えられたのかもしれませんが、それも今の財政の状況を考えて、また将来にわたっての責任をまた延ばすことになるということで、結果的には今ここでお出しをしておるようなことに、検討に検討を重ねた結果、集約して、それぞれの方々に応分の御負担を願ってこの問題を処理しようということに、恐らく今日、法律を提案するまでにはそうした多くの方々のお考えをおまとめして、今日こうして提案させていただいているんだろうと思います。  重ねてではございますけれども、その間の状況につきましてぜひ御理解をいただきまして、この法案についての御賛同をぜひお願いしたい、こう思っておる次第でございます。
  144. 宮地正介

    ○宮地委員 総理は、もう最後は、御理解いただきたいというところでいつでも結末になる。質問に対してぴしっと答弁してください、国民に対して。  もう一つ、私はこの法案指摘せざるを得ないのは、余りにも不条理、筋が通らない、そういう手法によってスキームがつくられたということ。これもぜひ総理大臣、きちっと答弁してもらいたい。  けさも話がありましたが、このJRの追加負担の三千六百億円の移換金の問題というのは、もうこれは平成八年の厚生年金の統合のときに決着済みなんです、総理、だれが見ても。それを、昨年十二月の十七日の財政構造改革会議でこのスキームが政治決着したら、その後変質するんです、すべて。それまでは、JRの三千六百億の追加負担は考えられない、これは国鉄清算事業団が七千七百億を負担するんだ、こういうふうにみんな理解している。その国鉄清算事業団というのは、日本国有鉄道清算事業団政府出資一〇〇%。運輸大臣は先ほど、国が負担することじゃありませんとばかげたような答弁をしています。清算事業団は国ではありませんと、これを言わんとしている。何を言うか。英語でもナショナルと入っている。  そこで、総理に私は、いわゆる厚生年金保険法等の改正案の審議の中で、まずあの平成八年三月八日の閣議決定厚生年金への移換金七千七百億円というのは国において処理する、こういう閣議決定をして、あの厚生年金保険法等の改正案を国会提出したんですよ。そして、あの平成八年の五月から六月にかけて改正案が審議をされた。もう与野党の委員政府委員室も調査室も、みんながあの議論を聞いていて、まさか後でJRの追加負担三千六百億が出てくるなんて、こう解釈して聞いた人は一人もいない。そして、この法案の中に、日本国有鉄道改革法等施行法三十八条の二というのがつくられたんですよ。  鉄道局長、ここだけ説明してもらいたい。この三十八条の二の前段の「政令で定める」というところは、七千七百億円の移換金の積算の根拠でしょう。それを受けて国鉄清算事業団負担する、こうなっているんでしょう。イエスかノーだけ言いなさい。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  145. 小幡政人

    ○小幡政府委員 御説明申し上げます。  日本国有鉄道改革法等施行法の三十八条の二でございますけれども、ちょっと読み上げますと……(宮地委員「イエスかノーかだけ言えばいいんです。中身は全部わかっている」と呼ぶ)この条文は、旧国鉄期間分について清算事業団負担するということを定めた規定でございます。
  146. 宮地正介

    ○宮地委員 私は、衆議院法制局で全部確認してある。ここは、いわゆる厚生年金への統合のときの移換金七千七百億円の積算が書かれているのです、「政令で定める」というのは。ありますよ、政令。そしてその後に、国鉄清算事業団負担す る、こうなっている。決着済みなんですよ。  それを十二月十七日の財政構造改革会議で、今回提案された法案のスキームがつくられて、決着して、そこにJR、三千六百の負担が出てくるのです。そして、下にたばこの特別税が出てくる。二週間前の十二月三日の当時の加藤幹事長が座長の企画委員会が出したときには空白になっているのです、ここ二つは空白に。決着済みなんです。  だから、きょうは時間がありませんから言いませんが、当時の企画委員会の関谷建設大臣の入っていた年金等グループだって決着済みだということを言っているのですよ、無理があると。黒野事務次官だって言っているんだ、十月に定例記者会見で。ところが、十二月十七日に財政構造改革会議がスキームをつくって政治決着された後は、全部理由づけなんです。これが境目なんですよ。  こんな不条理なことをやったら、日本の民主主義は大変なことになる。ましてや、この国会で審議された平成八年五月から六月の審議は何だったんだ。何のために三十八条の二をつくったんだ。何のためにその前に閣議決定したんだ。  国において処分するとは、決して国の負担意味するものじゃありません、国が処分を考えるのです、こういうへ理屈。清算事業団等が負担するというのは決して国が負担するということではありません、こういう解釈。これは十二月十七日以降に出てくる。その前はそんなことを言っている人はだれもいない。明らかに政治的に変質されたのです、総理。  ですから、今回のこの法案についても、新法の第九条、処理法案にこの三十八条の二がストレートにそのまま入っていないのです、総理。二つに分かれるようになっている。一つは鉄建公団に、一つJR負担させる。二分化されるのです、七千七百億が三千六百と四千百に。こんなばかげたことを国会がやっていたら大変なことになる。ちょうど橋本内閣から小渕内閣にかわった、これは手直しする、修正するチャンスです。小渕内閣の良識が今問われているのですよ、総理。こんな不条理なことをやったら、小渕内閣は先行きはもう見えますよ。ここは総理の決断ですよ。  総理、断じてこの追加負担は、お金の問題じゃない、やるべきではない。これは修正すべきです、新法九条。そして、国鉄清算事業団から鉄建公団に、年金勘定にそのままそのとおり移せばいいのです。財源だってあるのですよ、総理。年金勘定をそのまま六百五十億の補助金でいけば、平成三十五年度には黒字になるのですよ、総理。無理しなくたって、二百四十億円を上乗せしなくたって、平成三十五年度には運輸省の資料によってもプラスになるのです。あえて財源措置は要らないのです。平成十年度で補助した六百五十億をそのまま続ければいいのです。  九条、承継法人のJR負担、ここの部分は削除して修正するのが私は小渕内閣の見識であろう、こう思います。総理大臣のお考えを伺いたいと思います。
  147. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 段々の経緯につきましては宮地委員の方があるいはお詳しいのかも存じませんけれども、私が今回、総理大臣として再びこの法案についての審査の責任を持つ立場になりました立場から申し上げますれば、今回のスキームにつきましては、閣議決定その他におきましても、今日、全般的に財源については検討した結果これを行うということでございます。  国として処置するということの中では、移換金の問題も含めまして、その問題について最終的に、今般法律案として出させていただいているような形をつくり上げる中で最終的な判断をする、こういうふうに閣議の決定もなされておるというふうに私は承知をいたしておりまして、その決定によりましてこのようなスキームをつくり上げたものと認識をいたしておる次第でございます。
  148. 宮地正介

    ○宮地委員 どうか総理、今私が申し上げたことについて、官邸に帰られてよく御思索をしていただいて、この場ではなかなか言いづらいでしょう、しかし、本当に宮地正介の言うことが、これは考えなきゃいかぬぞとお思いになりましたら、ぜひ勇断を持って政府みずからが修正案をおつくりいただきたい。これは民主主義のルールの問題なんです。三千六百億の財源の問題は出てきます。いろいろ工夫すれば出てきます。今、私は年金勘定の例を言いました。まだまだあるのですよ。  例えば、今回繰り上げ償還をする、繰り上げ償還を八・一兆円有利子債務をする、それによって、二・六九%の国債で切りかえる、二千五百億円出る、こういう計算になっているのです、スキームは。しかし、今国債は、実際に一・七%前後の利回りで出ている。そこでも一%の乖離がある。これだって、精査していけば二千五百億円以上出るのです。さらに、ましてや国民の皆さんに負担をお願いするのですから、まだまだ行政経費を全体としてリストラしていけば、二百四十億円ぐらいの財源は出るのです。  別に運輸省に予算を削減しろと僕は言いません。全体で見れば、いつも補正予算を組むときに、各省庁から既定経費削減で持ってこいと大蔵省がハッパかけてやるじゃないですか。大体いつも三千億から五千億ぐらい出てくるじゃないですか、既定経費削減は。本気になれば出ますよ、この程度は。  私が言いたいのはお金の問題じゃない、政府債務処理に対する手法、基本的な哲学、これが国民から余りにもかけ離れているんじゃないですか、これを言っているのです。  そして、ちょうど橋本内閣から小渕内閣にかわったんですから、これは橋本内閣閣議決定して通常国会へ出されて、臨時国会に継続されて今審議しているのですから、ちょうど小渕内閣は財政構造改革法についての凍結宣言もされたんだ、これは財政構造改革会議で財政構造改革法をつくるのと同じように、一体不離の形でつくられた法案なんですよ。であるならば、総理の決断で幾らでも見直し、修正はできるのです。橋本総理でしたらできないでしょう。それは小渕総理だからできるのですよ。そこをぜひ決断をすべきである、このように思います。  最後に、私は、国有林野の問題についてもお伺いしたいと思います。  これは後ほどまた一般質疑等の中で詳しいことは質問したいと私は思いますが、この国有林野事業改革、一番私が心配しているのは、一つは人員のリストラ問題です。総理平成八年度末一万五千人。定員内の職員九千人、定員外の職員六千人、合わせて一万五千人。これを十五年度末に三分の一程度にする、こういうのです。そして、この定員外の六千人のところの仕事は全部全面的に委託事業に切りかえる、言うなればここはゼロにするということです。これはなかなか至難のわざなんです、総理。  林野庁に、自然退職でこれがどうなるんだ、調べて報告させました。平成十五年度末、二千人から二千五百人は自然退職のまま置いておくと残ってしまいます。それでも三分の一程度にするとなれば大変です。全体で五千人程度です。ここのリストラについてはソフトランディングさせなきゃならない、生首は切れない、こういう問題もあるんだ。  あるいは、残った一兆円の債務については、国有林野事業の特会に残して、今後国有林の資産処分で五千億、木材生産などで五千億収入を得て、それで一兆円を五十年かけて返す、こういう法案になっている。これも果たして大丈夫かな、こういう危惧もあります。  ぜひ総理、この点についても精査していただいて——国有林野事業改革については私どもは賛成です、改革は。しかし、そういうリストラやあるいは今後の残った債務処理には問題がある。これから国有林野事業は、今までフィフティー・フィフティーだった公益事業と林産物生産事業、これが八対二で、環境保全、国土保全、管理人、林産物生産事業二、これは時代の流れです、緑を守り、森林を守り、こういう思い切った改革については私は賛成です。しかし、その中身を精査していくと今のような問題があるんです。  どうか総理、この対応については慎重にしていただきたい。この点について最後に総理のお考えを伺って、質問を終わりたいと思います。
  149. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今回の国有林野事業の抜本的改革につきまして、今宮地委員から基本的な方向性についての御理解をいただきました。その中で、いわゆる要員の体制についてのお話もございました。お話にありましたように、俗に言う生首は切れないということは当然のことでございまして、営々として山を守ってこられた方々をこれからどのような形で、雇用問題、労使問題、こういうことに十分の配慮をしつつも、一方、徹底した合理化、縮減を図って、そうした要員をもって山が守れるという形のものにしていかなければならぬことは当然だろうと思います。  なお、五十年かかって一兆円の処理の問題についてお触れになられました。  かなり先の長いことではございますけれども、とにもかくにもその計画を立てて、それを着実に実行していくという形の中で計画がなければならないわけでございますので、そうしたことについての諸点につきましての御意見あるいは御提案等は承らせていただきまするけれども、政府といたしましては、今般提出をいたしております法案が、長い間かかってこの問題の最終的処理として御提案をいたしておりますので、重ねてではございますけれども、ぜひ御理解もいただきたいと思っておる次第でございます。
  150. 宮地正介

    ○宮地委員 最後に、総理、一時間足らずの質疑の応答でございましたが、どうか国民の立場に立って、そして、小渕内閣は本当に国民の側にある内閣なんだ、どうかこの行動を示していただきたい。そして、いろいろ官僚の諸君の抵抗もあるでしょうが、やはり不条理な点は改めて、国民のためにどうか決断をして、この法案の思い切ったそうした修正をすべきである、このことを私は強く要請をいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  151. 大原一三

  152. 二見伸明

    二見委員 国鉄の長期債務の問題について政府の御見解を承る前に、今般、北関東、東北を中心にして大規模な洪水が発生しました。十数名の方がお亡くなりになりました。私は、その方々に心から御冥福をお祈りしたいと思います。  また、依然として行方不明の方もいらっしゃるし、けがをされた方もいらっしゃる。家屋の全壊、半壊、床上浸水、床下浸水等々の被害を受けた方がたくさんいらっしゃるし、農産物に対する被害も相当なものだと私は思います。私は、これらの方々、これらの被害について政府全力を挙げて対処してもらいたい、これをお願いします。  と同時に、復旧作業が始まりますけれども、地方自治体にとっては大変な負担だろうと私は思います。復旧に取り組む地方自治体の財政も念頭に置きながら、政府のきちんとした対応をお願いしたいと思います。  それでは、長期債務について若干お伺いをしたいと思います。  昭和六十二年に国鉄清算事業団処理することになっていたのは二十五兆五千億円であります。そして六十二年度初めでは、土地株式等の自主財源を充ててもなお残る債務等について、最終的に国において処理するものとされた。その最終的に残る債務は幾らか。試算では十三兆八千億円と当時は見込まれました。ところが、今は二十八兆になんなんとする。十三兆どころか二十八兆になんなんとする巨額な債務であります。細かいことは別にして、結局これは難しい問題を先送りにしたツケの恐ろしさというものを私は心に感じているわけであります。  私もこの期間に、短期間とはいえ、運輸大臣を経験したわけでありますから、全く責任がないと私は自分自身について言いません。しかし、あえて自分勝手に言いますと、私が運輸大臣のときに、この問題は運輸委員会で議論になったんです。これから本格的に、大変だから取り組まなきゃならぬなと思っているときに、内閣総辞職で運輸大臣を首になったものですから、その点では責任の一点はあるけれども、こういう事態に追い込んだというか、追い込まれた責任は九九%政府自民党にあると私は思います。  難しい問題を先送りにすることの結果は大変なことになるんだというふうに私は認識しておりますけれども、総理大臣の御認識はいかがでしょうか。
  153. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 これも御答弁を既にいたしておることではございますけれども、やはり事業団債務処理について、六十三年の閣議決定基づきまして資産処分全力を挙げて取り組んでまいりましたが、時あたかも地価高騰の問題がございまして、土地売却の見合わせ等がございました。私も、今般、この答弁に当たるに当たりまして、当時の議事録あるいはまた新聞論調その他拝見をさせていただきましたが、確かに当時としては、土地暴騰などの中で、さらに、この国鉄用地を、さらなる需要が高まっておる中でこれを売却するということは、ますますもって地価高騰に拍車をかけるということで、これをやめるべきだという論調がほとんどでございました。そうした中で、結果的にはその土地売却等も行い得なかったわけであります。その他、株式市況低迷等、いろいろと、その処分が思いどおり進まなかった一方で、国鉄改革により負担とされる債務や年金の支払い、こうした国鉄改革後に新たな問題として年金問題の負担を負った等のこともありまして、結果的に、総合いたしまして、債務が増加し、今二見委員指摘のような数字に膨張したわけでございます。  そうした中で、政府といたしましても、国庫の補助金交付や一般会計による事業団有利子債務の承継など、その時々できる措置は最善を尽くしてきたことではございますけれども、結果的にまたこういう事態を招来しておるわけでございまして、いよいよこの時点に参りまして、国鉄事業団の債務の徹底的な処理の実現を図ることなくしては政治の責任を果たし得ないという立場で、今般この関係法案提出させていただいておるということでございます。  この言葉を使いますとまたおしかりをいただくかもしれませんが、本当に、ぜひ御理解をいただいて、この機会にこの問題に対する決着を図りたいという政府の強い意思でございますので、この問題についての法案をぜひ今国会で御処理をいただくように、心からお願いいたす次第でございます。
  154. 二見伸明

    二見委員 私は、やはり見通しが甘かったということ、そして、その見通しが甘いことに気づいたときに抜本的な対策を講じようとしなかったところに今日の大きな問題があると思います。  昭和六十二年十月十六日に、緊急土地対策要綱では、地価が異常に高騰しつつある地域内の用地の売却については、地価の異常な高騰が鎮静化するまで見合わせることになった。それは、総理がおっしゃったとおりです。当時、汐留を売れば三兆円で売れるのじゃないかとか、五兆円じゃないかという話がありました。平成八年に汐留のA、B、Cを売ったときには、三千六百六十二億円だ。十分の一です。高かったときに売った方がよかったかどうかということはいろいろ議論の余地はあるけれども、国鉄債務を減らすという観点から見るとあのときの対策はどうだったのかなということは、これから歴史的な評価を得なければならないだろうと私は思っています。しかし、土地が売れなくなった。  そして、その二カ月後の昭和六十三年一月二十六日の閣議では、清算事業団債務総額は二十五兆五千億円と見込んだ。そして、そのときには「土地株式等の資産の適切かつ効率的な処分を進め、自主財源の増大を図り、極力国民負担の軽減に努めるものとする。」こう書かれた。国民は、そのときには、六十三年一月二十六日も六十二年度ですけれども、六十二年度の初めの試算では二十五兆五千億の債務等総額は、土地なんかを処分した結果、最終的には十三兆八千億円だという六十二年度当初の試算がありますから、いろいろあっても最終的には我々が負担しなければならな いのは十三兆八千億円だな、こう理解していた。  ところが、平成元年、これは六十三年の翌年です、一年後、平成元年十二月十九日の閣議ではどういうことになったかというと「平成元年度末には二十七兆円を超える見込み」であると。六十三年一月二十六日の閣議では、国民は十三兆八千億円負担するんだなと腹をくくっていた。一年後には、とんでもない、二十七兆円を超えるという。わずか一年で十三兆が二十七兆に変わってしまったんです。しかも、そのときにどう書いたかというと、事業団債務等から発生する金利等は年間約一兆五千億であり、事業団債務等処理は、いわば金利との競争である、土地を売ろうと株を売ろうと、それは全部金利に化けてしまうのだというのが平成元年十二月十九日の閣議での決定なんです。  まさにこれは、国民にとっては寝耳に水であります。借金は毎年減っていくものだと思っていた。ところが、とんでもない、倍にふえてしまった。一体これはどういうことなんだ、こう思うのは当たり前でしょう。そのときに何が決まったかというと、平成九年までに土地を売れと決まった。これが、このとき政府が決めたことですよ。土地を売れ、それだけしか決めていない。この点、どう思いますか。
  155. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今の御指摘でございますけれども、一つだけ先にお話し申し上げたいと思います。  二十五兆五千億の借金が平成元年に二十七兆七千億になった、これはもう御承知のとおり、金利の負担分がふえてきた、土地売却が進まなかった、収入はなくて支出がふえたということであります。二十七・七兆円の借金そのものが、資産処理したけれども残ったという話ではございません。
  156. 二見伸明

    二見委員 二十五兆五千億が二十七兆になった。どうしようか、このままほっておけば大変だぞ、土地を売ろうと株を売ろうと、全部金利に持っていかれてしまうぞ、元本は減らないぞ。元本を減らすのにどうするか、こう考えるのは当たり前でしょう。また、高い金利をどうするか。  今回のスキームでは、繰り上げ償還することになりましたね。我々は当時、この議論をしたときに、繰り上げ償還すべきだ、借りかえと言ったのです。借りかえしようじゃないか、高い金利で借りているものを安い金利に借りかえようじゃないかという議論を我々はしていたのです。そのときに、当時の我々の言葉で言えば借りかえだ、今この法案が出てくれば繰り上げ償還だ、断固として反対したのは大蔵省ですよ。この点、どう思いますか。
  157. 中川雅治

    中川(雅)政府委員 資金運用部は、これまで国鉄清算事業団に対しましては、国鉄改革法に基づき、閣議決定を踏まえ、政府保証を付した上で、本格的な処理を行うまでの間、当面のつなぎの措置として資金の融通を行ってきたところでございます。  今回、国鉄長期債務本格的処理策の実施に伴い、国鉄清算事業団が廃止され、資金運用部に対する債務一般会計に承継されることにより、資金運用部資金は従来貸し付けを行ってきた根拠、目的を喪失することになるわけでございます。したがって、一般会計に承継された後の債務につきましては、資金運用部が融資を行う必要がなくなるということで、今回の法律案基づき、償還が行われるものでございます。  ところで、財投の過去の高金利のものにつきまして繰り上げ償還をするということは、借り手が負担の軽減を受けるかわりに資金運用部にそのコストを転嫁するものでございまして、資金運用部は、できるだけ低利の資金を供給するということで、貸付金利と預託金利を同一といたしまして、利ざやを取らずに長期固定の貸し付けを行いながら、収支相償うように運営されているわけでございまして、このようなコストの転嫁を受け入れる余地はないわけでございます。  したがいまして、今回の本格的処理策の実施以前に繰り上げ償還を行うことは困難であったということに御理解をいただきたいと思います。
  158. 二見伸明

    二見委員 大蔵省のその説明は何度も聞いている。しかし、平成元年十二月十九日の閣議で、土地を売ろうと株を売ろうと、それは全部借金の利息に消えてしまうんだと言っておられる。どうやって金利を減らすかというのが当たり前でしょう、そのときは。  資金運用部の預託金とかいろいろ理屈を言うけれども、そのときに、高い金利で借りているものは低いのに借りかえましょう、やればいいじゃないですか。それが政治の決断でしょう。大蔵大臣、結局そのときも、金利はかさみますよ、全部金利に化けますよと言っているだけで、金利をどうやって減らすかという対策を講じようとしなかった。この責任は、私は大蔵省にあると思いますよ。これは大臣の御見解を承りたい。いろいろな仕組みの、理屈の話はわかっている。
  159. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘のことはよくわかりますが、資金運用部としては、やはり独立の資金運用部としてそう考えたということかと思います。
  160. 二見伸明

    二見委員 それで、平成元年の段階で大変なことになるとわかった。そのときに、平成九年度までに土地を売れということになった。一年で売れるものじゃないから、それはやむを得ないんだけれども。  ただ問題は、政府は「「新たな財源措置」については、雇用対策土地処分等見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入・歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定する。」こうなっていますね。そうすると、雇用問題は、平成二年の四月一日に大体けりがついている。残っているのは土地の問題だけだ。土地売却、それは平成九年度までだ。  そうなると、結局、いろいろな難しい問題は平成九年度までにこれは先送りですよ。既にこのときに、平成九年度まで先送りするということに決めたんです。大変だな、大変だなと思えば、一方で土地を売りながらも、では、どうしようかという議論が当然あって、平成元年の、二年、三年とは言わぬけれども、かなり早い段階でこういうやり方に変えようという政治の決断があって、私は当然だったと思います。冒頭に、難しい問題を先送りすることの難しさ、結局それは最終的には国民がツケを払わされるんだということを、私が申し上げたいのはこういうことなんです。  このことについて、総理大臣、別に歴史の歯車はもうもとに戻せないんだけれども、改めて御感想を承りたい。
  161. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 この問題につきましては、今日この時点まで達したということの過程の中には、二見委員がおっしゃられるように、幾つかのターニングポイントがあったのではないかというふうに理解をいたしております。そのことが適切にそうした時点での決断があるいはなされなかったのかもしれませんが、これは恐らく国会におきましても、もちろん行政府としても十分この認識はいたしながら、その処理につきまして今日まで持ち越してきたということの中には、我々自身大いに反省をする点があったのではないかと思っております。  私自身も正直申し上げて、ずっと長い間この問題に取り組んでまいったわけではありませんが、ただ、いろいろとお話の中で、例えば金利の問題なんかについてお触れになられましたが、私も、JR責任者等といろいろお話ししている過程の中で、借りかえ問題等につきましても、たしか御要請をいただいたような経験もあったように記憶をいたしておりますが、いずれにいたしましても、この問題について抜本的な対策を考慮しつつも、結果的には今日に立ち至っておるということだろうと思いますので、御指摘をちょうだいすれば、まさにそういった点での反省の上に立って今日この法律案を出させていただいておるということでございます。
  162. 二見伸明

    二見委員 今回のこの問題で、論議の焦点は、いわゆるJR年金負担分をどうするかというのが一番ある面ではわかりやすくて、わかりやすいだけに非常に難しい問題だなと私は思います。  私は、先国会での衆議院の本会議での論議、それからきょうの論議を聞きながら、JR負担させることについての政府側の説明には無理があると思います。私は、JR負担分は、JRの社員の福利厚生の問題だからJR負担するのは当たり前だと思う。国民の税金でやるべきではないというのが私は一般論で、そう思います。しかし、平成八年の議論を踏まえてみると、だからJR負担させるんだという政府側の言い分は、無理があると思います。  例えば、平成八年五月十五日の厚生委員会では、当時の新進党の青山二三議員の質問に対して、今回の移換金にかかわる清算事業団負担についても、本年三月に、「既存の債務等と同様の取扱いをする」すなわち、最終的には国において処理するということを閣議決定されている、こう答弁があった。これは青山さんだけではない、鴨下さん等々いろいろな人が質問した。同じ答弁をずっとされておる。橋本総理大臣は、五月十七日の厚生委員会で、今回の八千億円の移換金というものが移換されなければ、この仕組み自体が壊れてしまうわけでありまして、私は当然のことながら、この移換は行われると思う、また、それでなければならないという答弁をされている。  これを素直に読むと、今になってJR負担させるということには私はならないんじゃないかと思う。当時は、JRに追加の負担をさせるということは恐らく政府は想定していなかったんではないかと私は思います。いかがですか。
  163. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほどからこの御論議が続いておりますけれども、国において処理する、それは国が負担をすることだ、こういう仰せでございますけれども、先ほどから申し上げておるとおり、清算事業団負担をする、そして国が処理をするということであります。今日、清算事業団が解散に至るという段階において、共済年金から厚生年金への移換金の問題、改めて議論をしておるというのが今日の議論であろうと思っております。  そこで、最大の問題は、JRの職員の年金負担をどうすべきか。私どもは、一つは、JTは全額、共済年金から厚生年金へ移行したときに、JT、事業主が負担をしておるという事実がございます。また、平成八年までJR自身が、共済年金、この負担二百二十億円をしていたという事実もございます。また、福利厚生、給与の問題として、退職金については、JRの職員についてはJRが全額負担をする、こういう一つのものを照らし合わせながら今日の法案提出させていただいているところでございます。
  164. 二見伸明

    二見委員 最近、政府はこの問題についてこう言っていますね。清算事業団負担とされた額については、将来、清算事業団が廃止された場合に、最終的にだれが負担するか決められていなかったところである。これは、平成八年の時点においては、この移換金を含めて清算事業団債務等本格的処理方策がまだ決定されていない状態であったからである。  これはどういうことですか。
  165. 川崎二郎

    川崎国務大臣 基本的に、共済年金から厚生年金への移換金の問題につきましては事業主が負担すべきであろう、そういう意味では、旧国鉄を承継いたしました清算事業団それからJR、二つの事業主が基本的に処理するべきものであろうということで、そのときはその負担ということで解決をしたものであろう。今日、清算事業団が解散をされるという事態にかんがみて、今申し上げたような理屈でお願いをしているところでございます。
  166. 二見伸明

    二見委員 平成八年五月の厚生委員会の議論では、いわゆる移換金八千億円、正式には七千七百となるのだろうけれども、この問題について各委員は、こんなに清算事業団負担できるのか、かぶれるのか、過重じゃないかというのが当時の厚生委員方々の疑念というか危惧だった。結局、負担し切れないで国民にツケを回すのではないかという質疑もあった。政府はそのときに、国において処理しますということだった。今私が指摘したように、清算事業団がなくなる時点で、JRの年金の負担についてはどうするか、いわゆるアバウト八千億円をそのまま鉄建公団が引き継ぐのか、あるいはそこで改めて処理をもう一度検討するのか、そんな答弁していないでしょう。大丈夫なのかと言ったら、大丈夫です、国で処理しますと。それならこれで終わりとだれでも思うよ、私もそう思うもの。それを今になって、清算事業団が廃止された場合に、最終的にだれが負担するか決めていなかった、だから今になって決めたのです、これは余りに問題の本質をそらそうとした答弁だと私は思いますよ。いかがですか。
  167. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほど宮地委員から財源論の問題がございました。これは確かに、国から六百五十億の繰り入れをずっと続けていけば、いっかは払い終えるのだという財源論でございます。まさにそのとおりであろうと思います。  しかし、私どもが申し上げておりますのは、やはり共済年金から厚生年金への移換、もっと申し上げれば、国鉄が清算をされる、そして新しいJRという会社ができ上がる、そのときに、この間というものの整理は終わっている、切れている、しかしながら、年金問題については共済年金という形で継続をする。それはまさに従業員、職員の福利厚生の問題でありますから、当然、共済年金はそのまま残っていくという理解のもとで今日まで進んでまいりました。  そこで、共済年金から厚生年金へ移るという新しい事態が生まれて、平成八年の一つの議論が出てまいった。そのときに、事業者であります国鉄清算事業団JRとの案分が決められたことは事実でございます。しかしながら、今度は清算事業団というものが解散に至るという中で、この共済年金移換分、まさに福利厚生分としての負担、どうあるべきかという議論の中で、JRの職員に関しましてはひとつJRに御負担をいただきたい、このような法案提出させていただいているわけでございます。
  168. 二見伸明

    二見委員 六十二年の国鉄改革以後、いわゆる旧国鉄共済については厚生年金に統合すべきであるという議論があった。私も、その運動といいますか、それを支持していろいろな会合で議論もしてきた。それは当時、運輸省や厚生省はわかっていたはずです、確かに具体的になるのは平成八年だろうけれども。しかし、国鉄改革が終わった段階で、六十二年以降その問題が大きな焦点となってきた。当然、そうすれば、もし厚生年金に統合して移換した場合にはどうなるかということは、全く考えもしないわけにいかぬでしょう。そうなれば、今ここで議論しているような問題は、既に六十二年、六十三年、六十四年、六十四年は平成元年か、これは政府部内でも議論もあったはずだし、その場合、どうしようかということぐらいは検討していたはずですよ。むしろ、現場の役人にできなければまさに政治家が主導して、こういう場合どうやるんだということは当然あったはずですよ。  それでは、もし平成八年の五月の段階で、当時は、八千億円は大丈夫か、過重ではないかという議論だったけれども、さらに一歩突っ込んで、国において処理をするということの中にはJR負担は入っているのですかと聞かれたら、そのときは何と答えたのですか、もしそういう質問があれば。JR負担させませんと言ったのか、JRにも応分の負担をしてもらいますと言ったのか。もしそういう質問が出た場合、どうなりますか。そのときは八千億円の議論しかなかった。そのときもしもう一歩突っ込んで、八千億円が払い切れない、そうなれば、払い切れない分は税金で持つのですか、JRが追加負担するのですかという、もう一度追いかけた質問が出た場合には、果たしてそう言えたかどうか。その点、どうなんですか。
  169. 小幡政人

    ○小幡政府委員 ちょっと説明させていただきます。  お話しのように、平成八年の厚生年金鉄道共済年金の統合の際に、移換金負担鉄道共済側として必要になったわけでありますが、その負担につきまして、具体的には七千七百億の負担につきまして、厚生年金の方から、清算事業団が非常 に収支繰りが悪かったものですから、果たして円滑に支払いがあるだろうかという不安、それからもう一方、我が運輸省といたしましては、清算事業団、なかなか収支が悪うございましたので、将来、七千七百億というものが負担し得るかどうか、こういう問題意識がございました。  そのために、ここに対して例の閣議決定を用意していただいたわけでございますけれども、その趣旨は、大臣申し上げましたように、ほかに抱えております、六十二年以来抱えております他の二十数兆の債務とそれからこの移換金債務七千七百億、この全体につきまして、将来、土地等の処分等見通しがつく段階において、所要の財源措置等も検討しながら、検討、決定していこうということを、政府として責任を持って行うということを実は言っていただいた趣旨閣議決定でございまして、「国において処理する」というのは、責任を持って将来決めるということでございます。  その意味で、その当時においては、JRに将来負担していただく可能性があるとか、あるいはないとかというようなことの議論はされておりません。
  170. 二見伸明

    二見委員 されていないのじゃなくて、むしろ我々は、JRの問題は、年金の問題はこれでけりがついたなという、平成八年の段階でそういう受けとめ方をした。それは、我々もそう思うし、JRもそう思うだろうし、突然三千六百億円、年当たり二百四十億円を負担しろと言われれば、びっくりするでしょうよ、あれ、どうなんだと。それは平成八年の答弁をずっと読んでみると、私はびっくりする方が当たり前だと思いますよ。それを今になって、いや、これはJRの社員の福利厚生にかかわることだから、国民の税金で何かするのはおかしい、これはJRの方でやってください、それは、平成八年にその議論をやっていない。しかも、この問題は、いっか厚生年金移換するということは大体わかっているわけだから、当然いろいろなケースを考えていたわけなんだから。  私は、その点では、政府は、この問題は一番面倒くさい問題だ、もし、いや、将来負担することはあり得るんですよというような答弁をすれば、また別の論議が沸き起こって、この辺はまとまらなかったかもしれない、そういうことがあるものだから、臭いところ、肝心の、一番将来問題になるなと思われるところはふたをしてしまって、通り抜けたのではないかというふうに私は思います。いかがですか。
  171. 川崎二郎

    川崎国務大臣 当時の詳細については私は承知しておりません。  ただ、先ほどから御答弁申し上げておりますとおり、国鉄清算事業団負担とされた、国が処理をすると書かれておる、その中でさまざまな議論が積み重ねられたということで、今日法案提出させていただいている。理由についてはいろいろ申し上げたとおりでございます。
  172. 二見伸明

    二見委員 この議論ばかりやっていられませんから、ちょっと話を変えますけれども、今度、たばこ特別税を導入しますね。これはいろいろ議論がありました。だから、その議論を省きます。  財政物資という耳新しい言葉を聞いたものだから、びっくりして広辞苑を引いたら、これは広辞苑に出ておりません。大蔵省の税務に聞いたら、これは税の世界では古く使われている言葉ですと言う。たばこは財政物資だ、嗜好品だから。酒はどうですか、酒も財政物資ですか。
  173. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 お答えいたします。  酒もたばこと同様、財政物資というふうに言われておりますが、御承知のように、酒税につきましては、平成六年度税制改正におきまして、酒類間の税負担の公正を図るということで引き上げを行っております。また、平成九年、十年度の税制改正で、御承知のようにWTOの蒸留酒の税率格差の問題がございまして、その改正途上にあるわけでございます。
  174. 二見伸明

    二見委員 財政物資というのは、「特殊な嗜好品であり、景気動向に比較的左右され難く、安定的な財源確保できる、いわゆる財政物資」。酒については、平成六年度とかいろいろ御説明がありましたけれども、しかし、財政物資である以上、別に来年上がるという意味じゃありませんけれども、財源確保するために、酒税もいつでも引き上げられる、一般論としてそういうものなんですね、これは。
  175. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私も、出たり入ったりしておりますけれども、この言葉は余りよく知りませんでした。正直言って、余りいい言葉じゃないように思いますですね。  それは、嗜好品でございますから、ある程度、一般の課税よりは多少の弾力性はあってもいいことだろうと思います。しかし、たばこについて言えば、価格の中で税金が占める割合というのは、おのずからやはり、どれだけあってもいいというわけでもございませんし、酒は、今主税局長申しましたように、国際的な、WTOなんかの関係がございましたりして、これも勝手に税金を幾らでもできるわけのものではないというふうに思います。
  176. 二見伸明

    二見委員 いろいろ理屈をつけるけれども、取りやすいところから取ったというふうな印象を私は持ちます。私はたばこを吸いませんから、私個人には影響はないけれども。酒の方はだめですな。財源確保のために酒税を上げるといったら、体を張って反対しますから、そのときは。それはそれとして、やはり取りやすいところから取るという、それは否めないと思います、いろいろ理屈をつけても。  これは、湾岸戦争のとき、法人税の臨時特別税というのをやりましたですね、湾岸危機の九十億ドルの財源捻出で。ケースは違うけれども、たばこの特別税も性格的には同じようなものだと考えてよろしいですか。片っ方は湾岸、片っ方は国鉄。いかがでしょうか。
  177. 寺澤辰麿

    ○寺澤政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の法人臨時特別税につきましては、湾岸平和基金への追加的資金拠出のための財源措置の一環といたしまして講じられたものでございます。その税収が入ってくる間のつなぎのために発行されます臨時特別公債の償還財源に充てるものでございます。この関係を明確にするために、法人臨時特別税の収入を国債整理基金特別会計に直入をするという措置がとられたわけでございます。
  178. 二見伸明

    二見委員 時間が来ましたので、最後の質問になろうかと思いますけれども、私もかつて、短期間といえども運輸大臣を経験した一人でございまして、この問題を非常に大事な、重要な問題だというふうに認識をいたしております。  二十八兆円の債務をこのまま放置しておけば、二十一世紀には間違いなく三十兆円を超える、国民にツケを回すことになる。だから、今国会、何としてでも決着をつけたいと私は思います。その決着は、政府の言い分を丸々のんで決着というわけにいきません。これはいきません。  私は、与党も我々野党も、そしてこの法案提出した政府も、そして今、一方の当事者であるJRも含めてテーブルに着いて、どうしようかという議論を真っ向からやらなければならないと思います。これが結局まとまらずに先送りになれば、また利息だけを払う、二十一世紀には三十兆円を超える、国民にツケを回すということになると私は思います。  我々野党三党は、この問題について、実務者が集まってどういうふうにするかいろいろ検討をすることになっております。私はこの問題について総理大臣伺いたいのですけれども、国会の審議あるいは与野党の折衝の中においてある種の成案を得た場合、総理大臣として決断する用意、意思があるのかどうか、これは総理大臣お尋ねいたします。総理大臣のお答えによっては、運輸大臣お尋ねすることもあります。
  179. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 国鉄清算事業団債務処理は、全体として国民負担に係る重要な問題でありまして、国民的見地から論議が必要だと認識をいたしております。  政府といたしましては、現在提案してあるのが最善と考えておることをぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  180. 二見伸明

    二見委員 公団が株を売ることになっている、三千百十億円を予定している。今の立て方は、三千百十億円、運輸省の予算が六百五十億円の補助金、そうしてJRの二百四十億円、こういうスキームになっている。JRに二百四十億円丸々負担させれば、それは株価を下げる要因になりますよ。そうなれば、三千百十億円の金なんか入ってこない。株価が下がれば、結局それは国民負担じゃありませんか。二百四十億円JR負担させるんだということに拘泥すれば、株価が下がって、結局全体として国民にツケが回ってくる。そのことも考えれば、かたくなに二百四十億円に拘泥する必要はない。与野党、政府JRを含めてそういう歩み寄りのテーブルができ、そこで、国会の審議、与野党の折衝の結果等々、一つのリーズナブルな成案ができれば、当然それは政府はのんで当たり前でしょう。あくまでこれなんですというなら、これは廃案だ。このままでいくといえば廃案です、それは。間違いありません。それでいいなら、それで結構。その点は、総理大臣総理の決断いかんにかかりますよ。二百四十億円に拘泥し過ぎると、結局すべてがだめになると私は申し上げたい。
  181. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今日、この法案の御審議を始めていただき、私も最高の責任者として本委員会に出席をいたしまして、午前から今までいろいろと各先生方の御主張あるいは経過、またこの法案に至る間長い間この問題に専念をされてこられたそれぞれの委員のお話もお伺いをいたしました。  先ほど申し上げましたように、私、今、この法律案提出いたしておりまする立場でございますので、政府の原案、最もこれを理解していただきたいとお願いをいたしておりますが、これから段々の審議が恐らく本委員会におきまして行われるだろうと思います。そうしたことの経過も、これから十分運輸大臣その他関係の大臣からもお聞きをいたしながら、最終的にはこの国会で御判断をいただくということに相なろうかと思いますので、これから勉強させていただきたいと思っております。
  182. 二見伸明

    二見委員 これで終わりにしますけれども、この問題を二十一世紀まで残しちゃいかぬ、今国会できちんとリーズナブルな決着をつける必要がある。私は今、政府、与野党、特に国会の審議、与野党の話し合いが大事だということを申し上げましたけれども、私はやはり、JRも当事者ですから、JRもこの話し合いのテーブルに着けるように、運輸大臣にこれは頑張ってもらいたい。いたずらに運輸大臣JRが敵対関係でお互いに物も言えない、本音の話もできないというようなことではなくて、やはりこれは、政府JR与党、野党、これが一つのテーブルに着いて、どうしようか、このままほっておけば二十一世紀大変なことになるぞ、結局それは国民に、国民の税金という形でツケが回ってくるんだぞという客観的な認識をする必要があると私は思う。その点、私は、運輸大臣にもJRをテーブルに着けるように努力をしてもらいたい。その中でお互いに知恵を出し合ってこの問題を解決していきたいというふうに考えておりますので、最後に、運輸大臣の御見解を伺いたい。
  183. 川崎二郎

    川崎国務大臣 特別委員会でこうした審議の場をおつくりいただいていろいろな御意見を賜っておりますことについて、心から御礼申し上げたいと思います。  先ほど総理からお答えいたしましたとおり、現在提案している案が最善の策だと考えておりますが、各党の意見を聞かせていただく中、また与野党で話し合いが続けられる中、適切な案が出されればしっかり受けとめて勉強してまいりたい、このように思っております。  また、こうした審議が始まりましたので、時間を見てJR各社とも話し合いをしてまいりたい、このように思っております。
  184. 二見伸明

    二見委員 終わります。
  185. 大原一三

    大原委員長 一川保夫君。
  186. 一川保夫

    ○一川委員 私は、短い時間でございますけれども、このたびの国有林野事業改革の問題につきまして基本的なところをお伺いしたい、そのように思っております。  これまで、質問者それぞれ、冒頭に今回の災害の問題を取り上げられてお見舞いを申し上げておりましたけれども、私も同感でございます。  特に農林水産大臣にお伺いしたいと思いますけれども、こういう集中豪雨によりまして、いろいろな災害がこれまで過去相当起こっております。こういった災害が起こるたびによく言われるのは、山の管理がよくなかったというようなことも含めて、そういった反省を込めたような論評がよくあるわけでございますけれども、このたびの北関東なり東北地域を中心とするああいう被災状況なり、いろいろな報道をごらんになって、農林水産大臣として今現在どういう所見を持っておられるか、そのあたりをちょっとお聞かせ願いたい、そのように思います。
  187. 中川昭一

    中川国務大臣 もとより日本は、細長くて、背骨のような三千メートル級の山が真ん中にあって、そこから、ほかの国々の川に比べると滝のような感じで川が海に注いでおるわけであります。しかも、年間の降雨量が二千ミリを超すという非常に雨の多い国でもございますから、治山あるいはまた治水、そしてまた国土の保全ということは、これはもう本当に日本の歴史とともに歩んでいるような感じすらするわけでありますけれども、まだまだやるべきことがたくさんあるというふうに、改めて今回の集中豪雨災害で痛感をいたしました。  先生はもうその道のプロでございますから、あえて申し上げる必要もないかと思いますけれども、国土の保全、水資源の涵養等の公益的機能は、川上の山村地域だけではなくて、今回、本当に不幸なことに、まさに河口近くで大災害があったわけでありますけれども、まさに川下の都市部、そしてそこに住む人々にも大きな災害を及ぼしたわけでございます。  このため、水も大事であります。そして、それを管理すること、そのためにも山あるいは森林をきちっと管理することがこれからますます必要になってくるということで、我が省といたしましても、植林、保育、間伐あるいは複層林施業といったことも今まで以上に頑張っていかなければならないと思っておりますし、この地形を何としても人に優しい日本の国土にしていくためにも、天然力を生かした国土の保全というものに全力を挙げて頑張っていかなければならないと、今回の災害を通じてつくづく思ったところであります。
  188. 一川保夫

    ○一川委員 今回の災害は、大変大きな雨量を伴っておるということは間違いないわけでございまして、そういう面では、今回の被災状況なり、またその原因的なものをしっかりと分析する中で、これからのいろいろな施策にしっかりと生かしていただきたい、そのようにまず要望を申しておきたい、そのように思います。  さて、この国有林野の問題というのは、これまた、この制度が発足して五十年経過した、大変歴史のある制度でございますけれども、そういった制度を、今回、抜本的に見直しをかけて基本的な方向づけをしていきたいということでございます。その方向づけをする、改革をするという場合には、当然ながら、これまでになぜこれだけ三兆八千億の累積債務を生じてきたかという、こういった体質なりいろいろな問題点、そういったものが当然あるわけでございまして、まずそのあたりをどういうふうに認識をしておられるのか。基本的にここに問題があった、先ほど来若干そういう話題も出ておりますけれども、基本的なところをどういうふうに認識しておられますか、そのあたりをまずお聞かせ願いたいと思うのです。
  189. 中川昭一

    中川国務大臣 今先生御指摘のとおり、現在の国有林制度はちょうど五十年経過をいたしましたが、戦争中から敗戦、復興期、そして高度経済成長と、木材需要が非常な強いニーズがあったわけでございまして、そういう中で、一方では外材の供給も必要であったということで、昭和三十九年に木材輸入の自由化が完了するわけであります。それから、木ですから、何といっても五十年、百年タームの期間が必要になってくる。そして、その木がきちっと生えていることによって先ほども申し上げた国土の保全があるということでありまして、その間の時間のずれというものを結果的には埋められなかった。足りないときにはうわっと切ったけれども、気がついたら山にはまだ若い木ばかりが残っているというような状況。さらには、高度経済成長、その後のいろいろな経済状況の中で、円高という問題もありまして、外材がどんどんどんどん入ってきて、国産材需要が低迷する。また、国産の林業経営者が非常に厳しい状況に置かれて、経営が難しくなる。したがって、山を守るためのコストもだんだんかけられなくなっていくという、今は非常に悪い循環の中にあるのではないかと率直に私は思っておるところであります。  したがいまして、過去五十年の反省を、特に五十三年からの四回の改善計画を踏まえてやってまいりましたけれども、先ほどから申し上げておりますように、先ほど総理からも、これがもう最終的な、二十一世紀に向かっての一つの大きな抜本的な改革なんだという御答弁もございましたが、五十年先を踏まえて、きちっとした形で、国有林、特にこの公益的機能を重点的にした形での、極めて自己努力を大前提とする形での、山を守り、そして国土を守っていくという観点、もちろん一部は生産活動にも資するような体制にしていかなければなりませんけれども、過去を十分反省し、将来に向かってたえ得るような国有林野行政にしていきたいということで、この法案を御審議いただいているということでございます。
  190. 一川保夫

    ○一川委員 今の大臣の答弁、ほぼ理解できますけれども、私は、その中で特に、いろいろな伐採が戦後相当無計画に行われてきた時期があるのではないかなということを、自分自身もいろいろな面に携わってきた人間としても反省しながら、そう思うわけです。こういった伐採計画、日本の森林というものを基本的にどういう計画で回転させていくかということも含めて、しっかりとした反省の中に改革の方向づけをぜひしていただきたいということがまず一つ。  それからもう一点、余り皆さん触れられませんけれども、いろいろなコストがかかってきたという中でのいろいろな合理化ですね、組織も含めて。そういうものに対する努力が余り実っていないのではないかというふうに思うわけですけれども、そのあたりの見解はいかがでしょうか。
  191. 山本徹

    山本(徹)政府委員 まず第一点、先生御指摘の、伐採についてしっかりした計画を持って実施すべきであるという点でございます。御指摘のとおり、戦前戦後から高度成長期にかけて、木材というのは非常な不足物資であったものでございますから、国土の二〇%、森林の三分の一を管理する国有林におきましても、この高度成長期には成長量の二倍程度の伐採を行って、国民の大変強い木材のニーズにおこたえし、また、当時卸売物価高騰の大きな原因でございました木材の価格の暴騰を抑えたわけでございます。  その後、オイルショック以降、高度成長期が過ぎまして、輸入の増大等もございまして、木材の伐採量が減少するという事態に至ったわけでございますので、今度の御提案しております改革法案におきましては、計画的な伐採、また公益的機能を重視した森林整備というものを重点に置きながら、長伐期施業また複層林施業等に工夫して、国民に期待される立派な森林として整備し、また計画的な伐採を行ってまいりたいと思っております。  それから、これまで組織あるいは要員の合理化の努力が実っていなかったのではないかという御指摘でございます。私ども、五十三年以降の四次にわたる改善計画におきまして、そういったリストラにも懸命な努力をしてまいったわけでございますけれども、オイルショック以降の低成長経済のもと、また木材の代替資材が非常に普及したこと、また輸入が拡大する中で、木材の需要、価格が低迷し、また国有林において伐採する資源が減少してきたという点から、十分な改革の実を上げるに至らなかった点を反省して、今回抜本的な改革案を御提案し、二十一世紀に向けて国民に期待される国有林の整備を行ってまいりたいと考えております。
  192. 一川保夫

    ○一川委員 それで、今回の国有林野改革の方向づけで最も基本的な転換と称されておりますけれども、要するに、こういった公益的な機能をできるだけ重要視していきたいという観点で、従来、国有林の中でもそういう木材の生産林として活用する部分は五十数%、全体七百六十万ヘクタールの五十数%はそういう部分だというふうな位置づけをしていたわけです。それを今回からは二〇%ぐらいにする、残りはできるだけ公益的な機能を重視しながら管理していくという、割と大胆な方向転換をされるわけでございます。一方では、この国有林のいろいろな伐採量が今後どうなっていくのかというところが、僕もちょっとそのあたりが理解しがたいところもあるのですけれども、これから一兆円という債務を償還していくという中で、国有林のこういった伐採量というものは、基本的にこれまでとこれからと大幅に変わるのかどうか、そのあたりも含めて、ちょっと御答弁をお願いしたいと思います。
  193. 山本徹

    山本(徹)政府委員 ただいま御質問の伐採量の見通し等でございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、高度成長期、昭和三十九年度に例えば二千三百二十五万立方、これは成長量の二倍の伐採を行いました。その後、オイルショック以降、木材の需要、価格は低迷し、また国有林の資源も伐採可能な資源が減少してまいっておりますので、平成九年度においては、六百四十九万立方、したがって三十九年度対比約三分の一、これは同時に、現在、成長途上にございます国有林の木材の成長量の約三分の一の伐採にとどまっております。  今後、公益的機能を重視しながら伐採の計画的な実施を図ってまいりたいと考えております。平成十一年度−十五年度までは、伐採を、長伐期施業、複層林施業等を導入するために、毎年四百六十万立方程度、現在よりさらに減少いたしますけれども、その後、国有林の資源は、戦後大量に植林した森林が収穫期に入ってまいりますので、平成四十年度以降はおおむね年度平均千五百万立方程度と推定いたしておりまして、私どもは、こういった千五百万立方程度の水準で、長期的に伐採量を平準化、安定化させたいと考えております。
  194. 一川保夫

    ○一川委員 もう持ち時間がなくなりましたので、最後に小渕総理大臣に、一言、総理の決意も含めてお話をお聞きしたいわけです。  この森林の問題、国有林の問題も含めてでございますけれども、我が国の七〇%近い面積を森林がカバーしているわけでございまして、しかし、そこに住んでいる方々は割と数が少ないということで、政治家の方々はこの森林問題に関心を持たないというケースが非常に多いんじゃないかということで私は心配をしているわけです。ただしかし、この森林というのは、単なる森林地域だけじゃなくて、その下流地域皆さん方に対して大変な恩恵を授けているわけでございまして、そういう面では、私は、もう国民挙げてこの森林問題に関心を持って取り組んでいく必要があると思います。  そういうことで、小渕総理も水源地域に近い県の出身でございますけれども、そういう面で、国有林野のこの問題をきっかけに、この森林問題、我が国の林野行政といいますかこういう問題について、総理のこれから取り組まれる決意のほどをぜひお聞かせ願いたい、そのように思っております。
  195. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 委員指摘のように、我が国土の七割を占める森林が、木材の供給ほか、国土の保全、水資源の涵養、二酸化炭素の吸収等、国民生活にとってかけがえのない重要な役割を果たしておることは十分承知をいたしております。  このような森林の機能の十分な発揮のため、森林整備を計画的かつ着実に推進することとし、特に国有林は国民共通の財産であるとの認識のもと、このたびの改革法に基づき、公益的機能を重視した管理経営に転換するとともに、累積債務処理を行うなど、抜本的改革を着実に推進してまいりたいと思っております。  御指摘のように、私自身も生まれ育ちましたのは国有林を背景にいたしましたそうした地域でございまして、緑の大切さということにつきましては十分承知をいたしておるつもりでございますので、全力を挙げて努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  196. 一川保夫

    ○一川委員 細部の質問につきましてはまた次回にいたしまして、私の質問をこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  197. 大原一三

    大原委員長 平賀高成君。
  198. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成でございます。  私は、国鉄、林野の長期債務の問題についてまず質問をいたしますが、この長期債務の問題というのは、これは合わせますと全部で三十兆を超える膨大な長期債務です。国家予算の四割にも匹敵をしております。一体これがなぜ生まれたのか。これは国民責任がある問題ではなくて、政府に明確に責任がある、失政の問題です。これをまさに全く責任のない国民に押しつけるわけでありますから、私は絶対に認めるわけにはいきません。  しかも、分割民営化のときに国家的な不当労働行為で生まれた千四十七名の国鉄労働者の皆さん、当時の中曽根元首相は、一人たりとも路頭に迷わせない、こういう約束をいたしました。ところが、十年たって、この国鉄労働者の皆さん、千四十七名の労働者の皆さんは一体どのようになっているのか。まさに路頭に迷わされています。放置されたままであります。そして、今回の政府が提案をされました長期債務処理策の問題につきましても、これは、十年前にはきれいさっぱりと解決をすると言っていたものが何と倍に膨れ上がって、しかも一体どこからお金を持ってくるのか、たばこだとか郵便貯金、全く関係のないところからお金を持ってきている、本当に無責任な話だなというのが私の率直な感想であります。  しかも、今回の営林署の統廃合の問題でも、七月十三日に突然発表されました。私たちもいろいろ調査に行きますと、全国の多くの自治体が、私たちに何の相談もなく突然決定をされたと本当に大きな怒りの声を上げておりました。  私は、こういう重大な問題を議論する場でありますから、十分慎重な、時間をとった議論が求められていると思います。きょうはせっかく小渕首相が見えておりますので、私は、分割民営化のこの長期債務の基本問題について少し議論をしてみたいと思います。  まず、長期債務をここまで膨らませた政府責任についてであります。  分割民営化の最大の課題は、国鉄の長期債務の解消でありました。ところが、政府国民負担を圧縮すると約束したにもかかわらず、十三・八兆円のこの債務が、十年後の九七年度末には何と二十七・八兆円に膨れ上がっているわけです。その上、政府債務を倍増させたみずからの責任には全く無反省のまま、巨額の長期債務を何の責任もない国民に押しつけているわけです。国民の税金を銀行に三十兆も投入し、その上さらにこの国鉄、林野の長期債務も丸ごと国民に押しつけるということになるのは、私は絶対に許されるものではないと思います。  総理は、この国鉄の長期債務国民負担が二倍にふえた問題、一体何が原因だとお考えになっているのか、端的に説明をしてください。
  199. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 先ほど来も御答弁申し上げておりますように、この国鉄清算事業団債務処理につきましては、昭和六十三年の閣議決定基づきまして、その処分全力を挙げて取り組んでまいりました。しかしながら、地価高騰の問題に対処するための土地売却の見合わせや株式市況低迷など、土地株式処分が思いどおり進まなかった一方で、国鉄改革により負担するとされておりました債務や年金の支払いに加えまして、国鉄改革後に新たに年金関係の負担を負ったこともあり、この結果、債務が増加するに至ったものでありまして、このことは遺憾であると認識をいたしております。政府として、これまで約一兆六千億に及ぶ国庫補助金の交付や一般会計による事業団有利子債務の承継など、その時々の情勢の中で債務処理のためにできる限りの措置を講じてきたところでございます。  また、事業団資産が減少した今日、事業団債務本格的処理実施することは極めて重要な緊急課題であると認識をいたしまして、このため、政府といたしまして、今年度より、国鉄清算事業団債務処理の実現を図るため、関係法案国会提出させていただいたところでございます。
  200. 平賀高成

    ○平賀委員 今いろいろ御説明があって、株式の問題がうまくいかなかったとか土地の暴騰を抑えるためにさまざまな規制があったとか、いろいろ説明がされました。説明を聞く限りでは、これはしようがないのかなというふうに思いますが、しかし私は、そこに原因があるというふうには思っておりません。大体、政府自身、長期債務を減らしていくためにやるべきことをやってこなかったというのが実態だと私は思います。  運輸大臣にお聞きいたしますが、清算事業団法の第三十一条で、政府は、事業団債務の償還等の確実かつ円滑な実施を図るものとし、このために、事業団債務の償還に関する基本的な基本方針をつくる、このことが三十一条に書いてあります。また、清算事業団法の第三十二条には、事業団は、その債務の償還等を確実かつ円滑に実施するため、運輸省令で定めるところにより、その債務の償還等のために行う資産処分資金確保その他の事項について実施方針を定めなければならない、このように清算事業団法の三十一条と三十二条に書いてありますが、実際にこの実施方針をつくられましたか。
  201. 川崎二郎

    川崎国務大臣 御指摘のように、償還実施方針については定められておりません。  償還実施方針は、事業団が、事業団債務の償還及び利子の支払いの予定額、資産処分に関する業務の実施方針、事業団債務の償還等のために行う資金確保に関する方針、その他事業団債務の償還等の確実かつ円滑な実施に関する事項について定めるものでございます。  しかし、これらの事項については、既に償還基本方針、閣議決定という形において規定されております。特に土地JR株式の処分方針については、その後、平成元年十二月十九日に閣議決定された「日本国有鉄道清算事業団債務の償還等に関する具体的処理方針について」においてさらに詳細かつ具体的に規定されるに至った結果、事実上、償還実施方針において新たに規定しなければならない事項がなくなった、そんな事情によりまして事業団としての決定は行いませんでした。  以上でございます。
  202. 平賀高成

    ○平賀委員 今答弁がありましたように、つくってこなかったというのは明らかだと思います。  それで、政府清算事業団法の第三十二条に明記されている償還計画さえもつくってこなかったわけでありますが、説明の中にありました閣議決定というのも、これは法律ではありませんから、政府みずからがこの法律をつくって、法律基づいて実施方針をつくるということを決めたわけでありますから、しかしこういうことさえもやってこなかったというのは、私は政府の姿勢が端的にここのところにあらわれていると思うのです。  こういうことでは、私は国民は納得しないと思いますが、いかがですか。運輸大臣にお願いします。
  203. 小幡政人

    ○小幡政府委員 御指摘のとおり償還実施方針の策定は法律事項でございまして、清算事業団がこれを策定していないということにつきましては、必ずしも好ましい状態ではないと思っております。  政府の累次にわたる閣議決定によりまして償還 実施方針を定めることと同等以上の内容について政府レベルで意思決定をしてきた現状を踏まえますと、事業団サイドで改めて策定しないまま推移してきたことそのものは、実質的には問題を生ずるものではないというふうに考えております。
  204. 平賀高成

    ○平賀委員 今答弁の中でありましたが、実施方針をつくらなくても実質上問題はなかったと言われましたけれども、では一体何でここまで、二倍にふえたのですか。大臣、答えてください。
  205. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今御説明申し上げましたように、閣議決定、また重ねて、事業団債務の償還に関する具体的な処理方針、決定をいたして発表いたしましたので、それで御理解を賜りたい、こういう形で処理をいたしたようでございます。
  206. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、今の答弁でも、御理解願いたいと言われますけれども、こういうことでは絶対に理解することはできません。  しかも、まだあります。利払いの問題でも、私は、やるべきことをやってこなかったというのが政府の態度だと思います。  九三年の総務庁の行政監察局の国鉄清算事業団に対する監督行政監察結果報告、こういうものが出ています。これは平成五年の一月に出たものでありますが、七十ページにこういうことが書いてあります。「現状のように土地処分が順調に進まない場合、その間の利払費だけでも巨額となり、債務が雪だるま式に増加するおそれが十分あると考えられる。」こういうことを政府自身がちゃんと認識をしていたわけです。利払い費だけでも巨額になると指摘をしていたわけです。長期債務がここまで膨れ上がった最大の要因というのは、私は金利の問題だと思うわけです。  そこで、運輸大臣にもう一度お伺いいたしますが、分割民営化が行われて以降、一九八七年以降、年金の問題も含めて一体どれだけの金利を負担してきたのか、その額について答えてください。
  207. 川崎二郎

    川崎国務大臣 昭和六十二年から平成九年まで支払った借入金等の利子の総額は十兆八千億円でございます。
  208. 平賀高成

    ○平賀委員 今の答弁というのは、長期債務の利払いについてですね。年金も含めると一体幾らになりますか。
  209. 川崎二郎

    川崎国務大臣 年金につきましては三兆八千億……(平賀委員「全部合わせて」と呼ぶ)全部合わせて十四兆六千億になります。
  210. 平賀高成

    ○平賀委員 先ほど政府の方から、朝、レクを求めて教えていただいたのは、長期債務の問題と年金の問題、合わせまして、利息だけ合わせますと、これは八七年以降全部で十五兆八千億円、こういうことをそちらの方から教えていただきました。  この十年間で、土地やそれから株式などを全体で十四・六兆円もの国民資産売却して利払いに充ててきだわけですけれども、今答弁がありましたように、これだけでもまだ足りなくて、そのためにさらに借金を繰り返す、こういうことで債務が大きく膨れ上がってきたわけです。  我が党は、分割民営化以降も一貫して長期債務の借りかえを政府に強く要求をしてきました。我が党が主張していたように、もし分割民営化の時点で借りかえを行っていれば、債務がこんなに膨らむことはなかった、このように思います。私、総理大臣質問をしたいと思いますが、なぜ借りかえを行ってこなかったのか、この点について答弁をお願いします。
  211. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 借入金に対する利子支払いというのは、いろいろなところからの借入金だろうと思います。国ないしあるいは民間の金融機関もあったかと思いますが、当時の金利体系の中でそれは支払われてきたことでありまして、もしそれを代替するとすれば、国の方からの利子補給なりなんなりができなければできない話でございまして、そういう決断はされなかった、こういうことだろうと思います。
  212. 平賀高成

    ○平賀委員 大蔵大臣に伺いたいと思いますが、今回の長期債務処理策で初めて債務の借りかえを行うことになりました。そのことによって二千五百億円利息が軽減されるということになるわけですが、今回の借りかえの措置について、これは政府の判断でやるということになったのではないですか。
  213. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは、先ほども財政改革会議のことを申し上げましたが、将来に向かって、二十一世紀に向かって、今政府が背負っておるいろいろな債務をなるべくこの際きれいにしてしまおうということが議論の一つの問題になりまして、そこで、国鉄にしましても林野にしましてもそうでございますけれども、そのためには政府自身が、例えば資金運用部でございますけれども、いろいろな意味で、低利の借りかえに応じなければ全体の再建計画ができないということがございますので、これは当然のことでございますけれども、そういう意味で、法律規定によって払うべき負担はしょうべきだというような思想でそういうことを決定いたしております。
  214. 平賀高成

    ○平賀委員 よくわからないのですが、少なくとも今まで、地方自治体がお金を借りていたものを借りかえをするのは、政府はいろいろ拒否をしてきました。しかし、この借りかえをやるに当たって、今回やるわけですね。  これは、政府自身が判断をすれば、別に何の障害もなく、法律的にも何ら制限もなくて、政府自身が本当にそういう決断をすればできる問題なんでしょう。この点について明確に答えてください。
  215. 中川雅治

    中川(雅)政府委員 一般的に、資金運用部は低利の金利で長期間融資をするということで、預託金利と貸付金利を同一といたしまして、利ざやをとらない仕組みで運営しております。したがいまして、過去の高金利の分を繰り上げ償還するということになりますと、それは借り手は利益を得るわけでございますけれども、その分の負担資金運用部に転嫁するということになるわけでございます。  資金運用部の場合には、今申しましたように利ざやをとらない仕組みでございますので、今の低金利の貸し付けにつきましても、長期間、これは金利が仮に上がりましても繰り上げ返済を求めない、そういう運営をいたしておりますので、高い金利のものだけ繰り上げ償還を受けるということになりますと、いわば片面的な不利益をこうむりまして、財政投融資の制度自体が成り立たなくなるわけでございます。  したがいまして、いわゆる金利の低下を理由といたします繰り上げ償還は、これは困難な仕組みでございますが、今回の繰り上げ償還と申しますのは、国鉄長期債務本格的処理策の実施に伴いまして、国鉄清算事業団が廃止されるわけでございます。資金運用部に対する債務一般会計に承継されることでございますので、資金運用部といたしましては、従来、清算事業団に対して本格的な処理までの間のつなぎの融資を行うという根拠、目的を喪失することになるわけでございますので、まさに一般会計に承継された債務資金運用部が融資を続けるという必要はないという判断で、今回の法律案基づき、償還を行うことにしたものでございます。
  216. 平賀高成

    ○平賀委員 いろいろ説明がされましたけれども、私がこの問題で聞いているのは、借りかえをやるに当たって、これは法律を変えるとかそういうことがなければ借りかえができない問題ではない、これは政府自身が判断をすれば借りかえを行うことができる、そういう性格の問題なのかということを聞いているわけです。もう一回答弁をお願いします。
  217. 中川雅治

    中川(雅)政府委員 今申しましたように、過去の高金利のものを繰り上げ償還するということは、政府といたしましては、そういう判断をいたしますと財政投融資制度自体が成り立たなくなりますので、そういう判断はしないということにしております。
  218. 平賀高成

    ○平賀委員 本当に答弁になっておりません。まさに、そういう判断をすればできるんだと、現に今こういう提案をされているわけですから、私は、そういう点で、やれるべきこともやってこな かったというのは、はっきりしていると思います。  それで、私はちょっと試算をしてみたのですが、八七年の、これは分割民営化されて以降ですけれども、資金運用部と簡保から借りている債務ですが、当時六・六兆円。この部分に限っただけでも、当時七・一%の金利でこれを借りてきたわけなんですが、当時の貸付利息の四・六%に切りかえただけでも年間千六百五十億円、十年間でいえば少なくとも一兆六千五百億円の金利の低減ができるんだ、こういうことは明らかだと私は思います。  私は、一連の、この十年間の経過を見ましても、そもそも清算事業団債務をしっかり返していくという返済計画もつくってこなかったし、さらに、本当に借りかえもやろうと思ったら政府の判断でちゃんとできるにもかかわらず、そういうことをやってこなかった。ですから、この長期債務がこれだけ、二倍にもふえてしまったというのは、これはまさに国民の側に責任があるのか、それとも政府の側に責任があるのか、はっきりしているというのが今や明白だと私は思います。  この点について、総理、どうですか。
  219. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、しかし、貸している方の立場もございますから、資金運用部の方はそれでどうなりますか。
  220. 平賀高成

    ○平賀委員 そこのところは、まさに政府の判断だと思いますよ。ですから、先ほども言われていましたけれども、まさに国民負担を本当に減らすといす立場に立つのだったらできるということですよ、現にやろうとするわけですから。ですから、私は、政府責任というのは非常に今回明らかになったと思います。  次に行きます。  総理伺います。今回の債務処理のスキームについて、この債務の元本は一般会計につけかえて六十年で返済するということになっていまして、単純に計算しましても年間四千億円、こういうことになっているわけですが、一体この財源の裏づけはどのようにお考えになっているのか、この点について伺います。
  221. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 国鉄清算事業団債務について、国民負担を求めつつ、その本格的処理実施することは、国鉄改革の総仕上げを行う上で避けて通れない課題でございます。  御指摘のとおり、事業団債務年金負担処理するために国民負担をお願いしなければなりませんが、こうした事業団債務本格的処理の必要については、また御理解をいただきたいと思います。
  222. 平賀高成

    ○平賀委員 いや、四千億円の元本の債務返済財源の裏づけは一体どうなっているのかということを私は聞いているのです。
  223. 寺澤辰麿

    ○寺澤政府委員 お答え申し上げます。  国鉄の長期債務処理に関しましては、財政構造改革会議の企画委員会におきまして、あらゆる財源が検討されたわけでございます。現在提案をされております利払い費を中心とした財源のほかに、元本償還についても財源をどうするかという議論がございました。  しかしながら、昨年の暮れにおきましては、当時の景気状況から、元本償還財源まで税負担に求めることは困難である、とりあえず利払い費が、利子負担が新たな元本の債務増加にならないようにしたい、これが将来世代に安易に負担を先送りしないという方針のぎりぎりの線だということで、このようなスキームが定められたわけでございまして、その元本償還に必要な財源につきましては、今後、予算編成過程におきまして、歳入歳出両面にわたり努力をしてまいりたいと考えております。
  224. 平賀高成

    ○平賀委員 まさにその内容が全く不明だ、これは本当に、今言われましたけれども、まさに先送りだというのが私ははっきりしていると思います。債務処理を一体どうするのかということが今審議に上っているにもかかわらず、まだ元本の返済の裏づけがはっきりしていないというのは、まさにこれは債務処理の方針がそのていをなしていないということが問われているというふうに思いますよ。今のままでいきますと、これは一体どういうふうになっていくのか。  私、小渕首相に伺いたいんですが、このままいきますと、毎年毎年一般会計から四千億円出さなければならないということで、これは、新たな社会保障の削減だとか、実際に私たちの国民生活に関係する予算が削られる、こういうことになるのではありませんか。
  225. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは確かに、おっしゃいますように、一つの問題であるわけです。  つまり、今まで利払いがだんだん積もって、大きくなって、根雪になってきた。今回は、少なくとも新しい雪が根雪になってそれがふえるのだけは防ごうではないかというのが精いっぱいのところでございます、正直を申しまして。ですから、有利子債務が十五兆、無利子債務が八兆余り、これを六十年間で償還するといたしますと、元本のための財源は四千億以上になる。その四千億をどうやってつくるかということは、今ここで具体的に計画が立っておりません、正直を申しますと。  つまり、一般会計の歳出歳入両面で努力していかなければならないということでありまして、しかし、これによって、利払いがふえて根雪が大きくなるということだけは防げる、これ以上悪くしないというのがいっぱいいっぱいのことで、それが今の我が国の財政でなし得る、計画として申し上げられる限度だということでございます。
  226. 平賀高成

    ○平賀委員 これ以上悪くしないというふうに言われましたけれども、今のままでいきますと、これは、新たな増税をするのか、それとも一般歳出を削るのか、それから赤字国債を発行するか、この三つに一つですよ。この三つしかないわけですよ。この長期債務は一体だれがつくったのか。これは国民がつくったわけじゃないですよ。にもかかわらず、そういう膨大な、国家予算の四割にも達するような長期債務国民に全部丸ごとつけかえる、こういうやり方は本当に無責任なやり方だと思います。  今回の処理策で、皆さんもそれぞれ言われましたけれども、私は、おかしいなというか、不思議だなというふうに思うのは、なぜ国鉄の長期債務返済にたばこや郵便貯金のお金を投入するのか。特に、その象徴的なあらわれとして、郵便貯金の運用益を五年間にわたって毎年二千億ずつ、全部で一兆円になるわけですが、債務の利払いに投入することになっているわけです。この預金者の金利は、銀行を圧迫しないようにということで、九三年の法改正で市場金利より〇・五%低くして集めているわけです、郵貯の利率は。大蔵省資金運用部の金利と預金金利の利ざやが以前と比べて大きくなったために運用益が増加をしたわけです。今後の金利の動向によりますと、場合によっては、今はいいかもしれませんけれども、これは、利ざやが逆転して、運用益を取り崩さなければならないような、こういう事態だって生まれてくるわけです。  これは、ことしの八月二十七日の朝日新聞に、「郵貯赤字一兆六千億円 来年度見通し」ということで出ていました。これは、今年度から千五百億円の赤字、高金利時代に大蔵省資金運用部に預託した資金が七年満期を迎えて低金利の預けかえとなって利息収入が大幅に減るなど、来年度には一兆五千九百七億円の赤字に膨らむと見られている、こういう新聞の記事が出ているわけです。  私は大蔵大臣に伺いますが、なぜこの運用益を国鉄の長期債務返済に使うのか、この点についてはっきりと説明してください。
  227. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 計数だけのことでございましたら、確かに利益が減りつつある、今おっしゃいましたことはそうでありますし、それはいつときのことでないかもしれない。しかし、特別会計の積立金というのはかなり大きゅうございまして、したがいまして、これは十年から十四年までの五年間でございますが、二千億円、五年間で一兆でございますが、それは不可能になることはない、そう考えております。つまり、積立金が四兆九千億あるそうでございますので、それは心配ないと。
  228. 平賀高成

    ○平賀委員 私が質問をしたのは、なぜ国鉄の長期債務に郵便貯金の運用益を投入するのかという質問ですよ。
  229. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 二つお尋ねがありまして、まず数字のことをおっしゃいました。  それから、それは先ほど申し上げませんでしたか。つまり、こうやって一般会計負担をして、おっしゃいますように、たばこの特別税もする。そして、まあ言ってみれば、どこかで負担をし得るところがあればお願いをしたい、ひとつ持ってくれというような感じのことでございます。  これは、財政再建会議のときに、特別の部会を設けまして、そしてどういうふうにするかという検討をいたしましたときに、郵貯にはこれだけの特別会計に積立金があって、まあまあ経営も決して悪くありませんので、ここにひとつ申しわけないがお願いをしようか、そういう程度に、しかし、一般会計負担が大きくなっておりますから、支援を頼んだ、こういうことが本当のところでございます。
  230. 平賀高成

    ○平賀委員 まさに私は本音だと思いますが、しかし、その本音というのは、これは本当に無責任な話だと思いますよ。大体、なぜ郵便貯金を使うのかという明確な理由がないわけですよ。とにかく財政が大変だから、お金のあるところからこっちに持ってこようという、これしかないわけです。ですから、こういうやり方というのは、長期債務をこれだけ膨らまして困ったから、では、お金のあるところから持っていこう、国民負担だ、それから郵便貯金だということをやり始めましたら、これはまさに政府自身のモラルハザードだ、私はそう思いますね。  ですから、十年前に、分割民営化をすればすべてうまくいくんだ、この長期債務の問題も全部解決するんだということで出発しましたが、しかし、やるべきこともやらずに、返済方針もつくらずに、そういうことでやってきて、結局国民負担は二倍に膨れ上がった。まさに、この一連の経過から見ても、本当に誠意があるんだったら、もうこれ以上国民負担はやらない、そういう立場から債務処理の方針をつくるべきだ、私はこの際に改めて指摘をしておきたいと思います。  私たち日本共産党は、この債務処理の問題で、国民負担でいくのか、それとも、もう国民負担はやらせないんだという立場でいくのか、この二つの選択が今問われていると思います。私は本会議でも二回にわたって日本共産党の提案を行いました。私は、やはり今の時点で、日本共産党が提案をしている、国民の新たな負担なしで解決をするというこの提案について、ぜひ小渕首相に考えていただきたいと思うんです。  私たち日本共産党の主張というのは、長期債務ができてきた経過に即してこれは解決をしていくんだ。一つは、長期債務をまず低金利のものに借りかえをするんだ。これは政府自身も今までやらないと言ってきましたけれども、今回やるというふうになりました。  そして、二つ目には、これは分割民営化のときに、JR本州三社に対して債務をつけました。しかし、これは本当に債務が小さかった。ですから、本当にこういう長期債務が大きな問題になっているときに、少なくとも関係者でもありますし、そのような債務負担する、こういう状況にあるJRに対して応分の負担をやはりさせるべきだ。  そして三つ目には、抜本的な対策として、道路特定財源など、これを繰り入れました総合交通特別会計をつくって、これで長期債務の問題についてもやはり検討していくべきだ、こういうことを私たち日本共産党は本会議の中でも二回にわたって提案をしてきました。ぜひこの機会に小渕首相に検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  231. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ただいま日本共産党の長期債務についての解決方法につきましてお伺いいたしました。  まず第一に、低利の資金による借りかえにつきましては、今回の国鉄長期債務本格的処理に際して、財政投融資資金について一般会計が継承した後に繰り上げ償還することといたしておるわけでございまして、この事業団との縁を、きちんと今回繰り上げ償還することによって切ってけじめをつけていくということで、今回の政府の考え方はとっておるわけでございます。  次に、JR本州三社の応分の負担について、今回JRは、JR社員分の厚生年金移換金負担することといたしておりまして、このこと自体も先ほど来いろいろと御論議をされておられることでございまして、これ以上にJR負担を求めていくということが可能かどうかという問題もあろうかと思います。  それから、道路特定財源を含む総合交通特別会計の創設につきましては、特定財源制度は受益者負担の考え方によるものでございまして、ある施設の利用者の負担で別の施設を整備することが適当かどうか、また国民理解が得られるかどうかという問題があると考えておりまして、いずれも困難な問題だと思っております。
  232. 平賀高成

    ○平賀委員 もう時間が来てしまいましたので、私は、この問題については後の特別委員会の審議の中で改めてやりたいと思いますが、この論戦の中でもはっきりしましたけれども、やはり政府責任というのは非常に重大だと私は思います。こういう政府責任を全部国民にツケ回しをする、こういうやり方に対しては私は絶対に認められるものではない、この立場を改めて最後に表明をいたしまして、時間が来ましたので、以上で私の質問を終わります。
  233. 大原一三

    大原委員長 秋葉忠利君。
  234. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 国鉄長期債務それから国有林野事業改革に関連して何点か基本的な問題を提起しながら質問をさせていただきたいと思います。  最初に、国有林野の方から始めたいのですが、まず最初に、これは、せっかく総理がおいでいただいておりますので、基本的な点ですから、認識を伺った上で先に進みたいと思います。国有林野事業、三兆八千億円の累積債務があるわけですが、この原因は何だというふうにお考えになっているのか。  一般的な考え方で結構だと思いますが、先ほど来、きょうのこの委員会の審議をずっと聞いておりますと、国鉄清算事業団債務それから林野事業における債務等、非常に重要な問題である、国全体として、日本という社会全体として取り組まなくてはいけない問題だ、二十一世紀に先送りしていい問題じゃない、そういう認識は、ここに出席している委員すべて、それから政府の関係者の皆さんも同じ思いだと思います。  それほど重要な問題であるならなおさらのこと、どういう経緯でこれほど大きな問題が発生したのか、その責任はどこにあるのか、そのあたりについての共通の認識が形成された上で、ではそれぞれの立場からこういった貢献をして問題を解決しょうというような方向が出てくるんだというふうに思いますけれども、先ほど来の政府側の答弁は、本当に私たちが疑問に思っている点について真っ正面から受けとめて、実はこうなんだ、ここは理解した上で一緒に解決をしましょうという姿勢には余り見えないのです。  どちらかというと、問題を糊塗して何とか隠して、つじつまを合わせるといったような答えに聞こえてしまいます用意図されているところはそうではないかもしれませんし、あるいは、財革会議等に我が党も参加をいたしましたけれども、そういった場では政府側の説明が説得力を持つのかもしれませんが、こういった委員会の場ではなかなかそういった方向が出てきていないような気がいたします。  国有林事業についての三兆八千億円の累積債務、何が原因でこんなに大きくなってしまったのか、そのことを、まず総理から基本的な考え方を聞かせていただきたいと思います。
  235. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 国有林野事業におきましては、これまでも要員の合理化、事業の効率化、一般会計繰り入れの拡充等、できる限りの経営改善の努力を行ってきたところでありますが、木材価 格の低迷等によりまして財務状況が予想を上回って大幅に悪化いたしたところでございます。  戦後、この焼け野原になった首都を初めといたしまして、これを復興するために木材需要というものが非常に多く、その時点ではかなり伐採が多く行われたわけでございまして、そういう中でその需要が大変大きく、国内のそうした木材資源というものも適切に活用されてきた。ただ、その後、御案内のとおり、いろいろ外材その他の輸入等もありまして、なかなか国有林のみならず、一般の私の山林経営も極めて厳しい環境になってきまして、これが恐らく予想外のことでなかったかと思っております。そうした中で、要員の合理化等非常に努力をいたしましたけれども、結果的には事業としては極めて困難な状況に立ち至った、こう考えております。  そこで、しかしこのために、災害の防止等の国土の保全、水資源の涵養等の公益的機能の発揮を初めとする国有林野事業の使命を、さりながら十分これからも果たしていかなければならない、こういうことでございましたので、今回、この事業に対して改めてその過去の反省に立ち、国有林事業改革いたしていかなければならない、そのために国民理解を得ながら抜本的改革に取り組んでいかなければならない、このように考えておるところでございます。
  236. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。  この国有林野事業改革法案ですけれども、今おっしゃったようなさまざまな非常に重要な役割を森林資源、水資源といったものが持っているわけですから、国民が持っている期待にこたえるべく、この改革法案、ぜひその改革法案趣旨を生かしていただきたいと思います。  次の点について伺いたいんですけれども、この三兆八千億のうち二兆八千億は一般会計負担ということになっております。残る一兆は新たな特別会計で五十年間で処理するということですが、この一般会計に移す二兆八千億、この利子負担について、財政構造改革会議では既存の農林水産関係予算に支障を来さないという条件がついているわけですが、改めてこの点について確認をしたいと思います。利子負担、非常に重要ですけれども、同時に農林水産予算の方も大事なわけですから、ここがきっちりと分離をされているか確認をしたいと思います。
  237. 中川昭一

    中川国務大臣 今先生御指摘の二兆八千億は一般会計が承継するわけでありますが、これが二・五%の金利ということで、掛け算をいたしますと七百十億円ということになるわけであります。この七百十億円のうち、先ほどから御議論いただいておりますたばこの方の特別税から半数の三百五十五億円をいただきまして、そして残り三百五十五億円が農林水産予算からの出費ということになりますけれども、農林水産予算をもう一度検討いたしまして、できるだけ節約をして、その三百五十五億が丸々、今までの予算に影響を与えることのないように、重要な政策遂行のためにこの三百五十五億円分を、ほかのところの節約でへこまさないように努力をしていきたいというふうに考えております。
  238. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それに関連して、その残りの一兆円の方ですが、これは新たな会計制度のもとで五十年かけて処理することになっております。  実は、ここと、今おっしゃった三百五十五億の方とも関連があるんですけれども、長期収支試算といったものが当然あるべきだと思うんですが、その試算というのは既になさっているんでしょうか。一兆円の方です。
  239. 中川昭一

    中川国務大臣 細かい数字は長官の方から答えさせますが、平成十年度十月一日にスタートさせていただくという前提で、平成十五年度までの五年半、集中改革期間ということであります。その間、御承知のとおり、その間といいましょうか、人件費等あるいは利子等につきましては一般会計からの繰り入れがずっと続くわけでありますけれども、その集中改革期間におきましては、民間金融機関からの借り入れというものを当てにしております。  これは、財投からの借り入ればもうなくなったということでありますが、平成十五年度までの五年半につきましては、民間からの繰り入れを回しながら収益を上げ、その段階ではまだ赤がだんだん上がっていくような状況でありますけれども、その集中改革期間の間にいわゆる要員等のリストラ努力もいたしながらやってまいります。  平成十六年度以降につきましては、民間からの新規の借り入れもゼロという形の中で、いろいろな収益事業等も含めまして、五十年間かけて一兆円の剰余金を出してこの一兆円の借金に充てていく、これが平成六十年ということになるわけでございますが、御必要であれば、細かいことは長官の方から答えさせます。
  240. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 概要で結構なんですが、今のお話を聞く限りではそれなりの整合性はあるんですけれども、例えば、収益事業というところで大体五千億円、半分ですね、これが計上されているわけです。林産物収入は、公益のための林がふえているということで林産物収入が減っていますし、木材価格は大きく変わりますから不安定です。  それからもう一つ、非常に大きな問題は、今次の水害、例えば福島の、裏山が崩れたというところですね。そこを我が党の調査団が実際に視察に出かけた際に理解してきたことは、山が崩れたという程度のものではなくて、一キロか何か、ともかく距離は確定されていませんけれども、土石流が実は福祉施設を直撃したというような状況で、我が党の調査団の認識では、災害の性質が非常に変わってきて、その根本的な原因はやはり山が荒れているということだ、そういう調査結果を私たちは得ております。  そういたしますと、収支の点から考えると、確かに、林野、土地、土石、こういったものを売って収入確保することは大事かもしれませんけれども、それと同時に、自然環境を保全する、あるいは災害の防止のために山をきちんと守っていくという観点から、相矛盾することを実はやらなくてはいけないということになるような気がいたします。  そういたしますと、この一兆円の部分についても、山を荒らさない、林野を守るといった視点から、例えば、一般会計からの繰り入れをしたり利子補給をしたりといったことでこの一兆円の負担部分を削減して、結果として累積債務が生じないような方策をとるべきではないか。となると、また先ほどの話に戻って、今度は一般の農水予算というところで非常に厳しい状況にあるような気がいたします。こういうところで何か綱渡りをしているような計画のようにも見えるんですけれども、そのあたりについての認識を伺わせていただきたいと思います。
  241. 山本徹

    山本(徹)政府委員 先ほど、大臣から基本的な改善計画の方向を御説明申し上げましたけれども、さらに先生から具体的な御指摘がございました。  まず、山を荒らしてはいけないということでございます。御指摘のとおりでございまして、私どもも、これまでの国有林を木材生産を中心としたものから、国土保全、水源涵養あるいは国民に広く保健休養の場として開かれた国有林として提供していく等々の、公益的機能を重視した国民に本当に歓迎される国有林としてこれから整備していきたいと考えております。  そういった中で、まず収穫でございますけれども、これは山を荒らさないという形から、長伐期施業あるいは複層林施業等々公益的機能を重視した施業の形に改めてまいります。こういった中で、国有林の二割は木材生産を中心とした森林として今後育てていくつもりでございますし、また、八割の公益的機能を重視した森林につきましても、これは木材を適期に長伐期施業等々、複層林施業等々の中で伐採することを通じて木材の販売収入は得られます。  そういったことを検討してみますと、現在まだ伐期に到来しない四十年生以下が八五%になっておりますけれども、これはいずれ伐期が到来し、木材収入として国有林特会への収入として見込め るわけでございます。また、この価格につきましては、オイルショックまでは非常に価格が右上がりに上昇しておりましたけれども、四十八年以降、横ばいでございます。内外の木材需給等を勘案しますと、この横ばいの水準で算定するということは手がたい方法であろうという判断で、先ほどの収穫量の見通しと木材価格から、今後の木材収入を見込ませていただいております。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕  それから、土地の売り払い等でございます。  これは、私どもも国土の保全また治山事業というのを大変重視しながら国有林の経営を行っておりますけれども、三兆八千億のうち二兆八千億は一般会計国民に御負担をお願いするわけでございますので、我々も徹底した組織のリストラを行うことにいたしております。  そういった中で、余剰となった、例えば営林署の土地等についてこれを計画的に売り払うことにいたしておりますが、これまで、バブル崩壊後の過去平成四年から八年の年平均で、土地等の売り払い、毎年六百億円行っております。国有林として今後も守っていかなければならない林野・土地については私ども大事にしていきたいと思っておりますので、そういう不要なものについてのみ売り払うということで、最近の三分の一の年平均二百億円を売り払い対価として予定しておりまして、平成三十五年までに五千億円の収入見込みを立てております。  また、先ほどの木材収入でも五千億見込みということで、今後五十年かけて、利子補給につきましては一般会計から繰り入れることにいたしておりますが、この一兆円については、私ども、国有林の公益的機能を重視しながら、あわせて効率的経営を行いながら返済してまいりたいと考えております。
  242. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 かなり詳細な御説明をありがとうございました。  幾つか疑問がございますが、ちょっと時間がありませんので、また詳細については機会を改めて伺いたいと思います。  今お話の中にありました組織のリストラをして、例えば要らなくなった営林署の土地を売るとか、あるいは人件費で収入確保するといった話なんですが、そこのところも実は非常に大きな問題で、そういった不確定要素がたくさんある将来計画、やはり不安に思うのです。  それにしても、例えば、林野庁が七月十三日、これは参議院選挙の翌日ですけれども、何の事前通告もなく九十八の森林管理署、十四支署、八直轄事務所の配置を発表なさいました。労使間の合意ももちろんありませんし、地方自治体への説明も全くなかった。我々政治家も、参議院選挙をずっと、ほとんど地元に張りついて頑張っているというような状況で、迅速に対応ができなかった。何か余りフェアなやり方ではないような気がいたします。  ついでに申し上げますけれども、どうもお役人のこういうやり方でいつも疑問に思うのは、死刑を執行するのは必ず国会が開かれていないときですし、それと同列ではないかもしれませんけれども、林野庁のこういった突然の発表というのもやはりおかしい。社会的に賛否の多い問題であるからこそ、国会開会中にきちんとした手続を経て、真っ正面から議論をした上で、国民的な合意を得るような努力をすべきなんじゃないでしょうか。それを回避するために、せこいという表現、ちょっと余り上品な表現じゃないですが、そういうような方法をとるということは全く納得がいきません。  しかも、この現在の法案、ようやっときょう審議に入ったわけですから、それがもう七月にはそれに重大な影響のある配置を発表してしまうということもこれまた国会の軽視だと思いますし、そういったさまざまな点を考えると、今までずっとお聞きしてまいりました説明の中にどこか隠さなくちゃいけないところがあるんじゃないのという疑いまで抱かざるを得ない。  ですから、やはり私たちは、もう少しフェアに事を進めていただきたい。労使の合意が必要であるということが要員問題についてもずっと言われてまいりましたし、我々も主張してきましたけれども、その点についても、あくまでもフェアに、労使の合意は前提にするということをおっしゃっているわけですから、その点もきちんと守っていただきたい。  それから、国有林のある今のさまざまな直轄事務所、森林管理署等の配置にしても、我々は、国有林のある全国の百十三流域に何らかの組織を置くべきであるという主張をしてまいりましたけれども、改めて、そういった主張に対して、真っ正面から受けとめて、きちんと議論をしていただきたい。その上で、抜き打ち的に決定をしてしまうのではなくて、本当に国民の目に見える、それから住民や流域の地域の人たちの合意を得た上でのきちんとした決定にしていただきたいというふうに思います。農水大臣、お考えをお聞かせください。
  243. 中川昭一

    中川国務大臣 七月十三日の件については、本当に我々も参議院選挙をやっている最中のことでございましたが、これは、二百二十九の営林署あるいは地元、どこを聞いても残してもらいたい。山村といえば、過疎とか、非常に厳しい条件、社会条件も含めて、地域でありますから、残してもらいたいという気持ちがこれはもう全部であったと言っても過言でないと思います。  そういう中で、一方では、本当に早くこの計画、抜本的な再スタートを切るためにも準備をしていかなければならない。そしてまた、徹底的な自己努力をしないと、この二・八兆円あるいは一兆円というものに対しての国民的な理解というものもなかなか得られないという、片方でのそういう問題もございました。  したがいまして、七月十三日に、九十八プラス十四の支署を含めました発表をさせていただいたわけでございまして、関係地域、特になくなってしまう地域については、私の地元もそうでございましたけれども、大変に驚きと悲しみがあったわけでございます。  しかし、だからこそ、この計画を何としても遂行していかなければなりませんし、そして、これはあくまでも林野庁の中での内部の決定事項に今の段階ではすぎないわけでございまして、国民理解のもとでこの計画を進めていくためにも、この法案そしてまた省令等々、これに基づくいろいろな決まりを何としても成立をさせていただきたい。そのために、ぜひともこの場で御議論をいただきまして、法律の成立そして省令、そして一月一日からの、先ほども申し上げた森林管理署等の新しい体制に向けての御理解をいただきたいと思います。  また、要員につきましては、平成八年の一万五千人の三分の一程度を基本としつつという文言が、我々が使っておる言葉でございますが、何といいましても生首を切るということは、これは絶対にすべきではないことでございますし、また、現場の皆さん方、八割が公益的機能として残るわけでもございますし、国土保全のためにも、何としてもその営林署職員の皆さんが引き続き大きな役割を持つわけでございます。一方では、必要最小限の職員ということも行革プログラム等々での議論でもあるわけでございますので、今先生御指摘になりましたように、労使でよく論議をして意思疎通をきわめていただいて、双方、納得といいましょうか話を尽くしていただいて、できるだけ早い時期に必要な要員体制にさせていただきたいというふうに思っておるところであります。
  244. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 どこの施設も、自分のところは残してもらいたい、それはそうだろうと思います。だからといって、突然何の前ぶれもなく決定をしてしまうというのはちょっと乱暴で、大体、受験生はだれでもいい大学に入りたいと思っている。だからといって、突然入学者を決めるというのではなくて、一応の客観性を持った入学試験というのを行って決めているわけですね。  だから、今回の場合でも、客観性を担保するのは国会における審議ですし、明白に多くの人に納 得してもらえる基準を公表した上で決定を行うということだと思います。そういった手続をきちんと踏んでいただくというところが大事なんだと思います。そういったことによって、公正であるということによって、仮に自分の願いが最終的な結果に反映されていなくても、それなりの納得を得られるし、将来の協力も得られるということがあるわけですから、ぜひそういった点についてお願いしたいと思います。  要員の問題については前向きのお答えをいただきました。  時間が余り残っておりませんが、国鉄長期債務問題について、一、二確認をさせていただきたいと思います。  この問題も非常に重要な問題だと思います。社民党としての立場もございますが、これはさまざまな機会に申し上げてきておりますので省略いたしまして、総理のこの国鉄長期債務問題に対する認識、それから解決に向けた決意、簡単で結構ですからお聞かせをいただきたいと思います。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  245. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 国鉄清算事業団資産が減少をいたしております今日、事業団に残された債務本格的処理実施することは極めて重要な緊急課題であると認識をいたしております。  このため、政府といたしまして、今年度より国鉄清算事業団債務本格的処理の実現を図るものとし、関係法案国会提出させていただいておるところでございまして、これらの法案基づく施策が早急に実施できますように御理解を賜りたいと考えております。
  246. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 先ほどからのいろいろな御意見にも反映されていますように、この問題、国民的に非常に大きな問題だと思います。  その中で、どういう形で解決するにせよ、国民理解を得るということが非常に重要だと思いますけれども、この長期債務問題について、JR側から出した新聞の一面広告というのは非常に目立ちました。それなりの説明を一生懸命しているという姿は感じられたのですが、政府として国民に対する説明を余り十分にやっているようには見えないのですが、どんな努力をしているのか、運輸大臣、お願いいたします。
  247. 川崎二郎

    川崎国務大臣 政府のPRでございますけれども、やはり特別委員会でこうした審議が始まる、この中で議論を重ねていく、これがまず第一だろうと思っております。  その他、記者発表、記者会見を通じた広報、それから運輸省の広報誌「トランスポート」というものを通じて広報をやらせていただいております。また、運輸省のホームページ、インターネットにも広報をさせていただいておる。  ただ、やはりこうした審議を通じながらしっかり御理解いただくように、一層努力をしてまいりたいと思います。
  248. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それだけで本当に十分なんでしょうか。  やはりこの問題については、先ほどからのいろいろ指摘があるように、国民の側が何かをしてその結果大きな問題が生じた、国民的な関心があって何とか解決しようという慣性が働いている問題ではありません。ですから、やはり政府側から説得を積極的に行うということが必要なんじゃないかと思います。  それに関連して、JR東日本はこの問題について政府の案に対しては反対をしているわけですけれども、その理由一つとして、外国の株主の理解が得られないということを挙げています。  政府としては、外国の株主に対して一体どういう努力を行っているのでしょうか。それがある意味で非常に象徴的な問題だと思います。ビッグバンなどということが言われていますけれども、やはり、そんなことも考えると、外国の株主に対するきちんとした説明というのはある意味で必要最低条件じゃないかと思うのですが、お答えいただきたいと思います。
  249. 川崎二郎

    川崎国務大臣 在外公館を通じた広報とか海外マスコミの取材等と、ありきたりのことがここに書いてあるわけでありますけれども、まさに秋葉委員指摘のとおりでありますので、しっかり私ども心がけてまいりたいと思っております。  基本的には、年金問題と昭和六十二年改革のときに国鉄改革として決められた三十七兆円の処理の問題、この問題は全く別の問題であるという御理解をやはりお願いをしていかなければならぬだろう。そういった意味で、御指摘いただきましたので、しっかりやりたいと思います。
  250. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 まだ非常にたくさん問題がありますが、委員会の審議の中で機会を改めてまた伺いたいと思います。  時間が参りましたので、これで質問を終わります。
  251. 大原一三

    大原委員長 中田宏君。
  252. 中田宏

    ○中田委員 無所属の会の中田宏でございます。  ありがとうございます。同僚議員の拍手をいただいて、気合いを入れてお聞きをしたいと思います。  まず、この委員会で、国鉄清算事業団債務処理に関して初めて実質的な審議が行われる日が、出されている本法案の十月一日の施行日の、まさにもう時間がないようなこの時期に出していることについて、非常にこれは、今まで政府国鉄債務についての問題を先送りしてきたある種の象徴があるような気が私はするわけであります。  昭和六十三年の一月二十六日に閣議決定しているのですね。土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団債務については最終的に国において処理する、こういうふうに閣議決定で決まってからおよそ十一年。先ほど来の議論の中でも、やるべきことをやっていたとは言いがたいわけでありまして、計画すら立てていないわけであります。その意味においては、これは十年間サボタージュをしてきたと言っても仕方がないと思います。  そういう意味で、これは先ほど川崎運輸大臣も、議論をこういう場で重ねていくべきだ、こういうふうにおっしゃいました。総理にぜひお聞きをしたいわけですが、まず、このサボタージュの責任についてもちょっと言いただきたいですが、何よりも、この法案をとにかく早く、一刻も早く通せ、通せというような形で、原案どおり何が何でも前に進めていく、こういう姿勢では私はだめだと思います。  この部分について、御答弁総理からお願いしたいと思います。
  253. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 中田委員お話しのように、今日まで長い間多くの経過を経まして、ぎりぎりの状況に立ち至っておりまして、政府といたしましても、この機会にぜひ国鉄清算事業団債務処理につきまして全力を挙げて対応しよう、こういうことになってまいっておるわけでございまして、そういう意味では、大変厳しい環境に来ております。  確かに、六十三年の閣議決定以来、事情の変化がいろいろございましたので、なかなか抜本的な解決に至りませんでしたが、このままの状況で参りますと、それこそ、今日事業団に残された債務処理を本格的に実施いたしませんことは、まことに重大な緊急事態に相なるわけでございます。そういった意味で、政府といたしまして今般この法律案を出させていただいたということでございますので、ぜひこの法律案が早期に実施のできますように、よろしく御審議のほどをお願いいたしたいというふうに考えております。
  254. 中田宏

    ○中田委員 今の御答弁は、既に他の委員にもお答えをいただいている内容でありまして、私が申し上げたのは、とにかくただひたすら、この原案どおり早く通せ、通せと言うだけではだめですよ、この部分は今までの責任政府にあるわけだからぜひわきまえておいていただきたいということを申し上げたわけで、その部分、今うなずきをいただいていますので、ぜひ要請をしておきたいと思います。  さて、中身でありますが、民間企業であるJRへの追加負担、あるいはたばこ税、それから郵貯の特別会計、こういったところについては既に議 論が多々出ているところであります。何でこういうところから引っ張ってくるのだという議論は既にいっぱい出ていますので、私もお聞きをしたいところでありますが、しかし、それはとりあえず飛ばしまして、私がぜひ大蔵大臣にお聞きしたいのは、大方、大部分は一般会計につけかえるわけですけれども、しかし、たばこ税などに関しては、新たにたばこに税金をつけ加えるわけですから、これは、たばこを私は吸いませんけれども、吸っている人にとっては新たなる国民負担になることは間違いないわけでありまして、そういう意味においては国民負担増である、新たなる国民負担増であるということは、間違いなくその部分、認識してよろしいのでしょうか、大蔵大臣にお聞きします。
  255. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 たばこを吸われる方にとりましては特別税だけ負担がふえる、それはそのとおりでございます。
  256. 中田宏

    ○中田委員 そういう意味では、たばこを吸う吸わないは、もちろんいろいろ個人差はありますけれども、しかし、とにかく国民の新たなる負担増につながっていることは間違いないのだということについて、今大蔵大臣からお認めをいただいたということだと思います。  私は、基本的に申し上げて、いろいろ議論はありますよ、しかし、政府が犯した責任といいますか、結果として政府が赤字を、債務をより膨らませてきたことの責任も含めて、最終的には私自身は一般会計の中で処理すべきだ、こう思っているのが私の考えであります。ただし、その会計の処理の仕方において、そこで新たなる国民負担にならないような形にしていかなければいけない。それは、今別の議論がなされている行革議論でありますとか、やはり国民負担増につながらない形でしっかりと削っていく努力ということをしなければいけないと思うわけです。  そこで、運輸大臣にお聞きをしたいわけですけれども、第一義的に責任があるのはやはり運輸省ですね。この運輸省が、果たして今御自身の中で、どういうむだを削って今回この国鉄債務について少しでも責任を果たそうとしているのか、その点について、大臣、お伺いをしたいわけです。
  257. 川崎二郎

    川崎国務大臣 運輸省の努力でございますけれども、具体的には国鉄清算事業団に対する国庫補助金四百一億円に加えまして、今回二百五十億円程度を運輸省予算の見直しによって捻出をいたしているところでございます。合わせて六百五十億円でございます。
  258. 中田宏

    ○中田委員 平成十一年度の概算要求も出てきています。港湾整備四・〇%増、海岸事業〇・三%増、空港七・八%増、新幹線七・九%増、こうあるわけですけれども、今の答弁ではなくて、もう一度お願いをしたいわけですが、運輸省の中で、例えば不要あるいは不急の工事等、こういうところを切り詰めて、運輸省の予算の中でも、第一義的に責任ある省として一生懸命努力をしているのだというような部分がどこにあるのかというふうにもう一度お聞きをしたいわけです。  例えば、私、昨年、平成九年の四月十一日の運輸委員会の中で鳥取港の問題を指摘させていただきました。四百億円使って大型タンカーが入れるようにしたけれども全く利用されていない、タンカーの予想見込みの十分の一しか来ていない、そういう事業をあっちこっちで平気でやっていながら、この国鉄債務について一体どういう努力をされておられるのですかと。私、こういうのを具体的に指摘をさせていただいたのは去年でありますけれども、さて、運輸大臣、もう一度お願いをしたいと思います。
  259. 川崎二郎

    川崎国務大臣 港湾、地方空港の問題につきましては、見直しをさせていただいているのは御承知のとおりでございます。  特に来年度予算につきましては、第一に、経済対策に資する、景気対策に資するというのが大前提になってまいります。その中で、私ども来年度予算の基本的な考えといたしましては、三大都市圏、東京、名古屋、大阪でありますけれども、そこの拠点空港整備、都市鉄道整備、それから大港湾の整備、ここに大体予算の六二%ぐらいは投下しよう、こういう考え方で進めております。  一方で、地方の活性化を進めなければならぬという中で、当然空港の整備とか新幹線の整備、大きな期待感があることは事実でございます。その辺をしっかり見据えながら、地方活性化と今求められております都市の社会資本の整備、こういった問題に真っ正面から取り組みたい、こういうふうに考えております。
  260. 中田宏

    ○中田委員 これも私が昨年同じ運輸委員会の中で指摘をさせていただいた整備新幹線のことでありますけれども、整備新幹線についても、はっきり言ってこの国鉄債務の問題と同じような体質を抱えていると私はそのとき言わせていただいたわけであります。なぜ国鉄はこれだけ債務を抱えて、そして結果として、その後また金利で膨らんできたのは別にしても、そういう体質に陥ったのか、ここですね。  整備新幹線に関しても、新幹線をつくることそのものは、JRにも負担を求めなければ、国がやるのだ、そして受益者負担の中でJRにはそれは出してもらえばいいのだ、こういう言い方で、第二の国鉄ではないと言っているけれども、しかし現状は、在来線を廃止する、在来線をJRから切り離す、結果としてそこに第三セクターをつくる、地方がお金をいっぱい出す。例えば、長野県のしなの鉄道だったら、二十三億円の資本金のうち、長野県七五%、そのほかの市町村一五%、要するに九割は税金で出す、そして、それが赤字になったらまた税金で補てんする、こういう体質が問題なのだというふうに申し上げた。  不要不急とは言いません。関係の議員もいらっしゃいますから不要とは言いませんが、しかし、不急の予算をしっかりと削って、こういう債務にみずからが詰め腹を切ってお金を出していくのだ、こういうことをしないと、私は、運輸省責任も果たせないし、また国民へのしっかりとした説得材料にならぬ、こう思っているわけであります。  しかし、それは決して運輸省だけの問題ではなくて、行革議論全体について言えることですから、これは新たなる国民負担ではなくて、しっかりと政府の中で不要不急のものについて削っていくのだ、それが行革とセットでこういうものが議論されるのだということがぜひ必要だと思う。  そのことについて、最後に、もう時間が来ましたので、総理に、そういう部分、まさにリーダーシップが必要なんですよというふうに申し上げ、一言、総理、もし御答弁いただけたらお願いをしたいと思います。
  261. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 行革の問題につきましては、言うまでもありませんが、国民のためにこれはなし遂げていかなければならない問題だろうと思っております。そういった観点から、常々予算につきましても厳しくこれを見詰めながら対処をいたしていくことは当然のことと理解いたしております。
  262. 中田宏

    ○中田委員 終わります。
  263. 大原一三

    大原委員長 赤城徳彦君。
  264. 赤城徳彦

    ○赤城委員 自由民主党の赤城徳彦でございます。  質問に入ります前に、今般の豪雨災害によりまして被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  最初に、総理お尋ねをいたします。  自由民主党では、参議院選後、いろいろな反省の思いも込めてでありますけれども、都市政策調査会を発足して都市政策について重点的な検討を始めております。  今般の災害状況を見ましても、都市政策というのは都市だけでは完結しないと思います。都市に対して水を供給している、食糧を供給している、それは農山村あってのことでありますし、また、こういう災害においては特にそうです。水を保水する、そういう機能は山地や水田が持っているわけで、そうした農山村をきちっと整備をする、それによって都市が守られる、まさに都市と いうのは農山村を基盤にして成り立っているのだ、こういうことだと私は思います。  したがって、都市型とか農村型とか、そういう対立概念でとらえるべきではない。今後、都市政策を考える上でも、農山村整備ということは決して忘れてはならない大事な役割である、そういう基本的な考え方、総理の御認識伺います。
  265. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 全く赤城委員のお考えに同感でございます。  農山村が、国民生活に不可欠な食糧や木材の安定供給を初めといたしまして、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全等、多面的な役割を果たし、都市部を含む国民全体の生活や安全の基盤を形成していることから、農山村の健全な発展は国全体として極めて重要であると認識をいたしております。  このため、国民生活の安定とその基礎をなす農山村の健全な発展を確保するとの観点から、緑と水の源泉である森林の適切な整備はもとより、農林業等の生産の基盤と生活環境の計画的な整備全力を挙げて取り組んでまいらなければならない、このように考えております。
  266. 赤城徳彦

    ○赤城委員 一点、別の案件総理にお願いしたいことがございます。  総理は九月下旬にはクリントン大統領との日米首脳会談がございますし、また十一月中旬にAPECの首脳会談がございます。この中で林産物の関税引き下げということが話に出るかと思いますが、既に森林は大変な厳しい状況にあります。木材、林産物の自由化は、昭和三十二年に始まって、関税率ももう随分下がって、これ以上後がないという今まさに危機的な状況にあります。  また、APECというのは、これは交渉事をするところではありませんで、各国が自主的にできる措置を持ち寄るという自主的な場でありますから、もうこれ以上我が国の——今まさに総理が言われたとおり、山を守るという大変大事な機能を持っています。それを損なうようなことがあってはならない。我が国として、できることはやるが、これ以上できないということについては頑として対応していただきたい。この問題については毅然とした対応をとるようにぜひともお願いを申し上げます。このことについては御答弁は結構でございますので、よろしくお願いを申し上げます。  それでは、総理はこれから中央防災会議もあるということでございますので、大変お忙しいと思います。もう退席していただいて結構でございますので。大蔵大臣、運輸大臣も結構でございます。  これからは国有林野改革につきまして専ら農林水産大臣伺いたいと思いますが、その前に中川大臣にも、ぜひ今次の災害について、農林水産物また林野に対して大変な、八千ヘクタールにも及ぶという被害がある、こういうふうに伺いました。今後の対応につきましては万遺漏なきようにぜひお願いを申し上げます。  大臣から一言ありましたら……。
  267. 中川昭一

    中川国務大臣 今赤城先生からお話がありましたように、このたびの福島、栃木そして茨城等を中心とする集中豪雨につきましては、現時点におきます農林水産関係の被害は、被害面積で八千ヘクタール、このほか家畜、農地、農業用施設、林業、水産関係に被害が集中しております。しかし、被害金額につきましては、先生も御承知のとおり、水が引いて、そしてその後の生育状況がこれからどうなっていくか、かなり時間がかからないと最終的な数字が把握できないというのが実情でございまして、現在鋭意調査中でございます。  農林水産省といたしましては、早速八月二十八日に、松下政務次官、林野庁長官を初め担当官を現地に派遣するとともに、こうした集中豪雨による災害につきまして、農林水産関係の被害の大きさにかんがみ、同日、平成十年八月豪雨災害対策本部を事務次官を本部長として設置したところであります。  今後とも、県、市町村等との密接な連絡により被害状況早期把握に努めるとともに、災害対策に万全を尽くしてまいりたいと思っておる決意でございます。
  268. 赤城徳彦

    ○赤城委員 ぜひともよろしくお願いを申し上げます。  それでは、国有林野改革の問題でございますが、この問題については、今まで国有林野が果たしてきた役割とか、今日に至ったさまざまな状況というのをしっかりと皆さんにわかっていただくということが大事だと思うのです。  これまでの審議の中にもございましたが、国有林野は戦後の復興期や高度成長期に木材を供給するという大変大きな役割を果たしてまいりました。本来、森林はそのサイクルの中で伐採をしなければいけないのですが、それ以上の伐採をして貢献をしてきたのだと思います。  そのために、その後、四十年代以降、伐採量が大幅に減少してまいりまして、現在でも伐期に達しない四十年生以下の人工林が八五%、そんな形になっておりますし、一方では木材、林産物の自由化が進んで材価が低迷して大変な状況になっているわけであります。経営につきましても、円高の基調でありますとか、オイルショック以降の経費の増大、こういったことで経営環境が悪化してまいりました。  こうした問題というのは、国有林野そのものというよりもさまざまな周りの状況の変化であって、なかなか国有林そのものの責めに帰すことのできない状況変化であります。  しかしながら、そういうことで経営環境が悪化しましたので、昭和五十三年から四次にわたる改善計画を立てて、いろいろな努力をしてきたわけです。しかし、その努力にもかかわらず、今日、三兆八千億にも至る累積債務を抱える、こういう状況に至ったわけでありまして、国有林が一生懸命協力をし、努力をしてきた。にもかかわらず、予見しがたいさまざまな事情でこうなっているというその辺の事情を、四次の改善計画にもかかわらず今日の累積債務を抱えているというその理由を、もう一回整理してお話しをいただきたいと思います。
  269. 中川昭一

    中川国務大臣 先生御指摘のとおり、今の国有林制度は昭和二十二年からスタートしているわけでありますけれども、戦後復興、高度経済成長という中で急速に木材需要がふえてきたわけであります。そういう中で、今から考えると、十年、二十年、五十年計画の計画的な伐採が果たしてうまくやれたんだろうか。需要が強いだけに、需要の強さに供給がついていったというような印象を非常に持つわけであります。  一方、木材の輸入につきましては、昭和三十九年に木材の自由化が一応完了するわけでありますけれども、昭和三十九年をピークといたしまして実は国有林野の会計が赤字に転落をするわけであります。そういう状況の中で、その昭和三十九年以降、外材がどんどん入ってくる。そして一方、材価の方は、昭和四十九年のオイルショック以降、価格がずっと低迷をしておる状況が二十五、六年続いておるわけでございます。したがいまして、現在の国産の木材のいわゆる自給率はもう二割程度しかないという状況であります。  短期的に見ますと、先ほど申し上げた戦後の植林によって育っている木がまだ十齢級以下であり、伐採期に達していないという状況もあり、そして……(発言する者あり)
  270. 大原一三

    大原委員長 どうぞ、どうぞ答えてください。
  271. 中川昭一

    中川国務大臣 そしてまた一方では、ここ数年、二度のオイルショックあるいはまたバブル崩壊等で非常に厳しい経済状況が続いておるわけでございまして、産業構造の変化あるいはまた住宅需要の低下等々で、非常に国産材、特に国有林経営、あるいはまた民間も含めた林業経営が大変厳しくなってきておるわけであります。  先生御指摘のように、昭和五十三年以降、四度にわたる改善計画をやってまいりましたけれども、いずれもなかなか目標どおりにいかないということでありまして、その間、先生にも御尽力をいただいて、流域管理のシステムでありますとか、川上、川下一体となった林業の活性化であり ますとか、あるいはまた、今回特に重要ポイントの一つでありますけれども、国土保全、水源涵養といった機能、先生御承知のとおり、森林の公益的役割を金銭に直すと約四十兆円になるというような試算も出ておるわけでございまして、そういう中で、とにかく国有林あるいは日本の山全体を守っていく。  中長期的には、先ほど申し上げた木がやがて伐採期に入っていく、あと二、三十年先には伐採期に入っていく。あるいはまた長期伐採等々も含めまして、これからいい適齢期の材が出てくるわけでございますけれども、ある意味では今が一番厳しい状況ではないか。  このボトムのときに大きな改革、二兆八千億を一般会計に継承させまして、一兆円を五十年間で返済をしていくという非常に大きな計画の変更、新しい計画のスタートをしたところであるわけでございます。いずれにいたしましても、この計画、現在御審議をいただいている法律で、これからの日本の国土を未来永劫保全し、また先生冒頭お話のありました、すべての国民、山間部だけではない、都市部、下流部に至るすべての国民の安全かつ安定的な生活のために資するような計画をこれから、先ほどの総理の言葉をおかりすれば、最終的な計画なんだという言葉もございましたけれども、そういう観点からこの問題に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
  272. 赤城徳彦

    ○赤城委員 なかなか予想しがたいいろいろな状況の変化を受けて、しかしそれでもなお国有林としてできる限りの努力をしてまいった、結果として今日こういう累積債務を抱えたわけでありまして、これが最終、最後のという決意でもって、さらに大幅な要員・組織の合理化とか、そういう改革案を御提示いただいたわけであります。その中でも、特に三兆八千億の累積債務処理、その中の一兆円をみずからの努力で返済しますというその決意というのは、これは多としなければならないと思います。  しかし一方で、これまでの審議の中にもありましたけれども、本当にそれで返せるのかね、こういうふうな疑問を呈せられたわけであります。一兆円のうちの五千億は林野・土地の売り払い収入で、一方の五千億は木材の販売収入で、こういうことでありますけれども、これから材価はなかなか上がらないだろうと思います。また、公益的な機能を重視していくということになりますと、今までのような伐採の仕方ではいかない、伐採量も変わってくるのではないかと思います。土地の売り払いも、毎年毎年二十五年商売り払うということでありますけれども、だんだん売りにくい土地が残ってくるのではないかなと思います。  そういったことを考えていきますと、相当に手がたく見積もって、本当に大丈夫なんですということでないと、これまで四回の改善計画を立ててきたわけですから、また同じことの繰り返しになるのではないかなという疑問を出されるわけでありまして、その辺のところを、本当に大丈夫なんだ、間違いないんだ、そういうことを大臣からお答えをいただきたいと思います。
  273. 中川昭一

    中川国務大臣 おっしゃるとおり、過去四回がいずれも予定目標と違っていたということで、このままいくと本当に大変なことになるということであります。したがいまして、三兆八千億のうちの二兆八千億を一般会計の方に、つまり国有林野特会と切り離して、一兆円の世界で、しかも一般会計から毎年毎年繰り入れをしながら五十年間かけてひとつこの債務をなくしていこうということでございます。  おっしゃるとおり、不確定要素はいっぱいあります。為替の問題、景気の問題、あるいはまた今回のような大災害が万が一起きるということも考えられるわけでございまして、そういうような不確定要素がありながらではありますけれども、何としてもこれをやっていかないと大変なことになるのだという決意で、これは取り組んでいかなければなりません。  そして、そのための大前提というのは、まさに我々が、みずからの努力というものがまず最初になければならないわけでございます。したがいまして、林野庁の職員を初め、これは国家全体の問題として山を守るためにみんなで頑張っていこうという意識なくしては、一般会計への投入というものに対する国民からのコンセンサスはとても得られないであろうというふうに考えておるわけでございます。  そして、要員の問題、それから先ほどから御議論いただいております森林管理署等々の問題、いろいろな問題を含めて、まず自分たちが先頭を切って、本当に身を切る思いでこの計画を立てていくということがまず大前提にあるわけでございます。  そして、五十年かけた計画については、細かいことは後ほど必要であれば林野庁の方から説明いたさせますけれども、十月一日に何とか実施をさせていただきたい。  それと同時に、そこで二兆八千億は移管され、一兆円の世界になるわけでありますけれども、民間金融機関からの借り入れを平成十五年度までいたしまして、以後新規借り入ればゼロ、そしてまた収支差も、ずっとバランスをとりながらいくわでありますけれども、平成三十年度からは少しずつ収支のプラスの差が残ってまいりまして、それが積み上がっていくことによって最終的に平成六十年には一兆円の剰余が生じ、そして債務の充当に充てるということでありますが、冒頭申し上げたように、これは不確定要素が確かにいろいろございます。  しかし、これを実現しなければ、我々の次の世代、その次の世代に対して国土を引き渡すという我々の責務を到達することができないわけでございますので、みんなで、先頭を切って、みずからの努力でもって何としても実現をすべく努力をしていきたい、また先生方の御指導も心からお願いを申し上げたいと思っております。
  274. 赤城徳彦

    ○赤城委員 時間も限られておりますので、次の質問に移りたいと思います。  繰り返しにもなりますけれども、今次の集中豪雨による痛ましい災害を見るにつけましても、山を守るということの重要性を改めて感じるわけであります。山を守るということが、すなわち我が国の国土を守るということでありますし、国民の生活、安全を守るということでもあります。特に日本は背骨のような山が連なっているわけですけれども、その一番水源地の大事なところを国有林が担っている。したがって、山の持つ国土保全、水源涵養、そうした機能をしっかりとこの国有林が果たしていかなければならない、そう思います。  今後の国有林の役割について、大臣の認識といいますか、これをしっかり守っていくという決意をお伺いして、私の質問を終わります。
  275. 中川昭一

    中川国務大臣 結論的には、先生と全く同じでございます。  災害の防止等、国土の保全や水源涵養といった公益的機能を有しておる森林でございますが、特に最近は、地球温暖化問題、生物多様性の保全の問題等、世界的な意味で森林を守っていこうということであります。  特に、御指摘がありましたように、国有林は、一番の奥地の脊梁部分や水源地域に広く存在し、それから原生的な天然林も非常に多く存在するわけでございまして、公益的機能が一段と重視される地域に存在するわけであります。  したがいまして、今回の計画におきましても、ほぼ五対五で生産機能と公益的機能という今までの国有林体系でございましたけれども、思い切って八割を公益的機能にその国有林機能を重点化する、残り二割程度の中で生産活動をしていくということで、もう国有林の本来的機能は、外注する部分は別にいたしまして、本来的機能は国土の保全を含めた公益的機能の保持発展であるということに尽きまして、これがこの法律の根っこ、精神でございますので、何としても、その精神に基づいたこの関連諸法案の実現に向けまして、先生方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げたいと いうことで、私の決意表明とさせていただきます。
  276. 赤城徳彦

    ○赤城委員 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  277. 大原一三

    大原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十八分散会      ————◇—————