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1998-10-06 第143回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月六日(火曜日)    午後一時十三分開議 出席委員   委員長 坂井 隆憲君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 葉山  峻君    理事 桝屋 敬悟君 理事 佐藤 茂樹君       大石 秀政君    滝   実君       中野 正志君    西川 公也君       平沢 勝栄君    藤本 孝雄君       宮島 大典君    持永 和見君       保岡 興治君    川端 達夫君       桑原  豊君    田中  甲君       松崎 公昭君    白保 台一君       富田 茂之君    西村 章三君       穀田 恵二君    春名 直章君       畠山健治郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     西田  司君  出席政府委員         内閣審議官         兼中央省庁等改         革推進本部事務         局次長     松田 隆利君         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       竹島 一彦君         地方分権推進委         員会事務局長  保坂 榮次君         警察庁長官   関口 祐弘君         警察庁生活安全         局長      小林 奉文君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         警察庁交通局長 玉造 敏夫君         国土庁防災局長 林  桂一君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    上田 秀明君         大蔵大臣官房審         議官      福田  進君         大蔵省主計局次         長       藤井 秀人君         厚生省健康政策         局長      小林 秀資君         厚生省保険医療         局長      伊藤 雅治君         厚生省医薬安全         局長      中西 明典君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君         自治政務次官 田野瀬良太郎君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長 鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君         消防庁長官   谷合 靖夫君  委員外出席者         内閣官房内閣内         政審議室内閣審         議官      森山 幹夫君         法務大臣官房審         議官      渡邉 一弘君         地方行政委員会         専門員     蓼沼 朗寿君     ――――――――――――― 委員の異動 十月六日  辞任         補欠選任   木部 佳昭君     大石 秀政君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     木部 佳昭君     ――――――――――――― 八月二十八日  行政書士制度見直しに関する陳情書  (第四号)  過疎地域振興のための法的措置に関する陳情書  外一件  (第五号)  安定的な地方財政基盤確立に関する陳情書外  二件  (第六号)  警察官の増員に関する陳情書外一件 (第七号)  地方議会権能強化に関する陳情書  (第六一号)  薬物乱用防止対策推進に関する陳情書  (第六二号) 九月二十九日  地方公務員法改正に関する陳情書  (第一〇〇号  )  原子力発電所立地地域振興を図るための核燃  料税の拡充に関する陳情書  (第一  〇一号)  地方財政基盤確立に関する陳情書外一件  (第一六〇号)  国庫支出金一般財源化に伴う財源確保に関す  る陳情書  (第一六一号)  市民税法人税割の大都市と地方都市との配分の  見直しに関する陳情書  (第一六二号)  市町村における臨時福祉特別給付金給付事務  の簡素化に関する陳情書  (第一六三号)  過疎地域振興のための法的措置に関する陳情書  外三件  (第二八四号)  過疎地域活性化のための新立法措置に関する  陳情書  (第一六五号)  離島におけるスクールバスの有効活用のため普  通交付税基準財政需要額への算定に関する陳  情書(第一  六六号)  地方公務員共済年金等改善に関する陳情書  (第一六七号)  毒物混入事件続発防止に関する陳情書  (第一六八号) 十月一日  地方税財源充実確保に関する陳情書外一件  (第二一〇号)  地方議会の権限及び機能強化に関する陳情書  (第二一一号)  過疎地域振興のための法的措置に関する陳情書  外六件  (第二一二号)  住民基本台帳法改正案についての慎重な対応に  関する陳情書  (第二一三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 坂井隆憲

    坂井委員長 これより会議を開きます。  この際、西田自治大臣国家公安委員会委員長及び田野瀬自治政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。西田国務大臣
  3. 西田司

    西田国務大臣 このたび、自治大臣国家公安委員会委員長を拝命いたしました西田司でございます。何とぞよろしくお願いをいたします。  地方行政委員会委員長理事ほか委員各位におかれましては、かねてより地方自治行政並びに警察行政推進格段の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。  まず、このたびの八月の豪雨及び九月の台風等による災害によりお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被害に遭われました多数の方々に対し、お見舞い申し上げる次第であります。被災した地方公共団体において見込まれます応急対策災害復旧への財政負担に対して、地方交付税地方債による適切な財源措置を講ずるとともに、消防防災全般にわたる充実強化全力をささげて取り組んでまいります。  新時代にふさわしい地方自治確立するため、地方分権推進がまず取り組むべき課題であり、平成十一年の通常国会に所要の法律案を提出するなど、地方分権推進計画を着実かつ速やかに実施してまいります。私といたしましても、国、都道府県市町村役割分担を明確にし、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体が担っていくことを基本として、強い決意で取り組んでまいる所存でございます。  また、新たな地方公共団体役割を担うにふさわしい行政体制整備確立に向けて、地方行革や自主的な市町村合併などにつきましても積極的に推進してまいります。  前国会から引き続き継続審査とされております住民基本台帳ネットワークシステムを構築するための住民基本台帳法の一部を改正する法律案につきましては、その実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  ところで、現下地方財政は、引き続き巨額の財源不足が生ずるとともに、平成十年度末で借入金残高が百六十兆円に達する見込みとなるなど、極めて厳しい状況にあり、その健全化を図ることが喫緊の課題となっております。  このため、国、地方を通ずる行財政簡素効率化、限られた財源重点的配分行政改革推進等による経費支出効率化に徹するとともに、地方分権推進計画などを踏まえ、必要な地方税地方交付税などの地方一般財源確保を図り、地方財政運営支障が生じないよう適切に対処してまいります。  また、政府におきましては、景気最大限配慮して、六兆円を相当程度上回る恒久的な減税実施することといたしております。今後、その具体的な内容を決定していくこととなりますが、極めて厳しい地方財政の実情や地方分権推進に伴う地方税源充実確保要請などを踏まえて対応してまいりたいと考えております。  二十一世紀に向けて活力ある豊かな社会を実現するためには、何よりも地域に夢がある、地域から元気が出る、そういう社会にする必要があると考えております。こうした考え方のもとに、地域活力創出を目指した幅広い取り組みに対して積極的な支援をしてまいります。  また、良好な治安は、国家社会発展基盤であり、国民一人一人が安全で安心できる生活を送るために欠くことのできないものであります。現下治安情勢は、毒物混入事件の発生や来日外国人犯罪組織化悪質化、薬物問題や少年非行問題の深刻化、暴力団による犯罪交通事故の増加など、極めて厳しい状況にあります。私は、我が国が誇る財産ともいうべき良好な治安を維持向上させるため、全力を尽くし、国民の皆様の期待と信頼にこたえてまいる所存であります。  七月二十五日、和歌山県下で毒物混入事件が発生して以来、飲食物に対する毒物混入事件が新潟、長野で発生し、さらに飲食物に対する有害物質等混入事件などが全国で多発しております。この種の犯罪模倣性も強く、地域住民はもとより国民全体に大きな不安を与えております。  一昨日、和歌山警察において、知人男性に対する毒物使用による殺人未遂事件及び入院保険金詐欺事件などで、和歌山市内に居住する夫婦を逮捕いたしました。  警察におきましては、早期にこの事件全容解明を図り、七月二十五日に発生した、カレーに毒物が混入された殺人事件との関連性について徹底した捜査推進するとともに、その他の毒物混入事件等早期解決再発防止対策の万全を期し、一日も早く国民の不安を取り除くことができるよう最大限努力を傾注してまいります。  また、昨今の情報通信ネットワークの急速なグローバルな規模での発展により、我が国においても新たなコンピューター技術等を用いた犯罪、いわゆるハイテク犯罪が増加しているところであります。その対策が国際的にも重要課題となっております。  こうしたいわゆるハイテク犯罪に対し、警察におきましても、国際的要請対応しつつ、先般警察庁において策定されたハイテク犯罪対策重点推進プログラムに基づき、捜査力強化とその技術的な支援体制整備を図るなど総合的な対策推進してまいります。  情勢は大変厳しいものがありますが、重要事件については、その解決に向け断固とした対応をとるとともに、新しい犯罪情勢などにも的確に対応し、国民が安心して暮らせる社会を実現するため、今後一層の努力をしてまいります。  また、以上申し上げましたような情勢に的確に対応し、治安水準を維持し、向上させるためには、警察力の一層の充実強化が必要であります。  警察におきましては、従来にも増して組織、人員の効率的運用など業務の合理化を積極的に推進するとともに、警察職員一人一人が誇りと使命感を持って職務に精励できるよう、引き続き処遇の改善などにも取り組んでまいります。  私は、これら地方行財政の諸課題解決治安確保最大限努力を傾けてまいる所存でありますので、委員各位におかれましても、よろしく御指導、御鞭撻お願いいたしまして、ごあいさつといたします。(拍手
  4. 坂井隆憲

  5. 田野瀬良太郎

    田野瀬政府委員 自治政務次官田野瀬良太郎でございます。  本委員会委員長理事初め委員皆さん方には、平素、地方自治の進展に格段の御尽力をいただいておりますことに、まずもって謝意と敬意を表する次第でございます。  私も、地方行財政を取り巻く諸課題が山積する中、これらの問題の解決全力を挙げて、しっかりと大臣を補佐しながら取り組んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。  今後とも委員各位の御指導、御鞭撻、切によろしくお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  6. 坂井隆憲

    坂井委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮路和明君。
  7. 宮路和明

    宮路委員 自民党の宮路和明でございます。  最初に、西田大臣お話の中に、今回の集中豪雨あるいは台風による災害対策についてしっかりと取り組んでいきたい、地方における災害復旧等に万全を期していきたいという旨のお話があったところでございますが、私も実はきのう、田野瀬政務次官のおひざ元へ参りました。特に台風七号による、奈良県あるいは和歌山もそうなのでありますが、農林関係被害が甚大であるということで、きのう一日、奈良の方へ行ってまいりました。大変、聞きしにまさる被害でございまして、名物の吉野杉もめちゃめちゃにやられておりましたし、カキなどの特産果樹がこれまた大きな打撃を受けておったところでございまして、我々、党としても、この問題の対策に一生懸命取り組んでいかなければならぬと思っておるところでございますが、どうか自治省におかれましても、格段救済対策にひとつ御尽力を賜りますよう、この席をかりて冒頭お願いを申し上げさせていただきたいと思う次第であります。  さて、最初お尋ねしたいことは、先ほど大臣お話にもあったところでございますが、最近の地方公共団体財政でありますけれども、経済不況の中にあって、また特別減税を国、地方一体となって景気対策の一環としてやっていくという中にあって、地方自治体税収が、ここのところへ参りまして大変落ち込んでいる。そして、思いもしなかったそうした税収の減によって、財政赤字になってしまうのではなかろうか、そういう懸念を抱かざるを得ないような自治体も出てきているというふうなことを耳にし、また、報道でもそういったことを承知いたしておるわけであります。  そこで、こうした昨今の地方自治体景気低迷不況あるいは特別減税実施による財政悪化税収減に伴う財政悪化、これはどういうような状況になっているのか、まず最初お尋ねをしたいと思います。
  8. 西田司

    西田国務大臣 宮路委員お尋ねでございますが、昨今、毎日のようにマスコミ等によって、地方財政が緊迫化しておることは広く伝えられておるところでございます。我々自治省におきましても、この問題を非常に重要に考えておるところでございます。  都道府県税収というのは、法人関係税地方消費税個人道府県民税自動車税などが主な税源で、このうち法人関係税は最も大きなウエートを占めているわけでございますが、景気の影響により税収の変動が大きく、今年度の税収は、景気低迷を反映して大きく落ち込んでおるものと考えております。  今後の状況につきましては、このような状態を注意深く見守っていく必要がございますが、極めて厳しいものになるのではないか、こういう考えを持っておるわけでございます。
  9. 宮路和明

    宮路委員 今大臣も率直に、地方自治体における税収法人関係の税を中心として最近大きく落ち込んできているということで、ゆゆしい、厳しい状態だというお話でございましたが、今後さらに政府の方では景気対策を、一段と思い切ったものを打っていかなければならない。そういう中で、六兆円を超えるという大きな規模恒久減税、あるいはまた公共事業中心とした臨時緊急特別枠四兆円規模といった補正予算、そういったことで景気対策をさらに積極的にやっていく、こういうことが言われておるわけであります。  一方で、今のような非常に落ち込んだ地方財政でございますので、地方公共団体からは、いわば悲痛な叫びが我々の耳にも届いておるところであります。  けさも私のところへ、地元の川辺町というところの町長が寄っていってくれたのですが、とにかく、これまでの特別減税でも、四、五十億円程度の町の予算の中で、今までの減税による減収が九千万円強、一億近くあったというようなことで、これはそうした町にとっては大変な痛手である、したがって、公共事業推進についてもお金がなくてなかなかやっていけないというふうな話でありました。また、私の地元の枕崎というところで、この間、地元漁業関係者から、今度政府の方でやろうとしております臨時緊急特別枠補正予算を使って漁港の整備推進したいということで要請があったりいたしましたけれども、どうも地元の方に聞いてみますと、地元負担をする能力がないから、国の方では予算の手当てができたとしても、地元ではとてもそれにおつき合いということはできかねるので、なかなか対応が無理ですというふうなことを聞いたりするわけであります。  これから一段と景気対策を打とうとされておる中にあって、地方対応はもう限界に来ておって、なかなかおつき合いはできない。そうなりますと、この景気対策、これから打っていこうとするものも、絵にかいたもちといいましょうか、実行が危ぶまれてくるというふうなことにもなりかねない、こう思って非常に心配をいたしているわけでありますが、この辺、どういうぐあいに取り組んで、きちっとした景気対策確保していこうとされておるのか、その辺のお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  10. 西田司

    西田国務大臣 私も、現場地方自治、それからその後は中央地方行政に携わってまいりましたが、私の体験上からいたしましても、地方財政緊迫度というのは、現在のような状態を体験したことがございません。先ほども申し上げましたように、大変厳しい状況だという認識を強く持っておるわけでございます。  よく言われておることでございますけれども、平成十年度には、地方が抱えております借入金残高が百六十兆円に達する見込みでございます。そういう状況下でございまして、私はたびたび自治本省において各地方団体方々から、今委員が御指摘になったような苦しい事情をお聞きをいたしておるわけでございます。去る九月二十五日に行った地方団体の代表との意見交換においても、改めて各地方団体財政運営の厳しさというものをひしひしと体で受けとめた次第であります。  また、一方では、我が国経済が極めて深刻な状況にあることは御存じのとおりでございます。まずは当面の緊急課題である経済再生全力を尽くす必要があるということも、御理解をいただきたいと思うのであります。  景気対策実施により、我が国経済回復軌道に乗せるということがまず基本的に重要なことであろう、その実施に対して地方財政運営支障がないように、地方税あるいは地方交付税地方一般財源確保というものに私どもも最大限努力を払って支援をしていかなければいけない、こういう認識でおるわけでございます。
  11. 宮路和明

    宮路委員 これは大変難しい問題でありまして、今の大臣の御答弁をお聞きしておりましても、そうした大臣のお気持ちがにじみ出てくるようでありまして、私も本当にこれは容易なことではないなと痛感をいたすわけであります。  例えば、先般の特別減税の場合ですと、これは恒久減税ではございませんので、自治省とされてもその穴埋め減税補てん債というものの発行を行うというような形で対処されるといったことでやってこられたわけでありますが、これが恒久減税になりますと、今度はその穴埋め減税補てん債といったもので対応できるのかできないのか、これは非常に厳しいものがあるのではないかなというふうなことも考えますときに、これからの、さらに一段と強化されるという景気対策地方対応というのは本当に容易ではないなと、先ほど申し上げたような現場の悲痛な叫びも聞こえてくるわけでありますだけに、非常に心配をいたしておるところであります。  ですから、大変難しい問題でありましょうけれども、アクセルとブレーキを両方踏んで、どうやって車がうまく進んでいくのかというような、例えて言えばそんな話でございますだけに、その厳しさはよくわかるわけでありますが、地方自治関係団体と申しましょうか、全国町村会あるいは全国知事会あるいは全国市長会、こういったところからも「平成十一年度税制改正に関する意見」というようなところでそうした地方自治体の悩みが端的に出てきておるわけであります。  「景気対策としての減税は、国の責任と負担のもとに行うべきであるとの考え方に立って検討されるべきものであり、財政基盤の弱い町村へのしわ寄せば行わないこと。」これは全国町村会の提出された意見書でありますけれども、そういったことで大変な地方自治体における財政のつらさが訴えられておるわけであります。どうか英知を絞りに絞っていただいて、そして何とかその景気対策財源対策が両立してうまくいくような、そういう道を切り開いていっていただきたいものだなと、心からこの点を願うものであります。  次に、市町村合併のことについてお聞きをしたいと思いますが、先ほどあいさつの中でも、自主的な市町村合併、積極的にこれに取り組んでいくという御決意の表明があったわけでございます。この市町村合併は、この委員会でも委員会が開催される都度、多くの委員皆さんからその積極的な推進についての御意見あるいは御要請がこれまでも繰り返しなされてきておるところでございます。  去る四月に、地方制度調査会の方からも合併についての答申が出されたわけでありまして、それを踏まえて、自治省の方でも市町村合併促進に向けてどういつだ対策を講じていくか、今鋭意検討をしておられるかと思うのです。そして来年の通常国会を目指して、これを何とか提案されよう、そういう動きにあるというふうにもお聞きしておるわけでありますが、今どういう状況になっておるか、その状況と、これからのそれに取り組む大臣の御決意をひとつお示しを賜ればというふうに思います。
  12. 西田司

    西田国務大臣 お答えをいたします。  若干私の考え方を申し上げますと、よく地方分権地方分権と言われるわけでございますけれども、この分権という問題は、私は一つ時代の大きな変化の中で避けて通ることのできない非常に重要な課題である、こう思っております。  分権の中身につきましては、先ほども所信で申し上げたように、いろいろ重要なポイントがあるわけでございますけれども、その中でも市町村合併は、私は、これから本当に活力のある地域社会や日本というものをつくっていくためには、住民の一番身近な行政をやる市町村というものがどのような機能、どのような力、どのような知恵、これを出していくかということによってでき上がっていく、市町村合併というものは、あるいは分権以前の問題、分権以前ではないけれども、分権と同等にその一つの重要な考え方だと思っております。  進め方についておまえはどう考えておるかということでございますが、既にそのことの研究はいたしておりますけれども、私は、時代変化や将来に対する地方あり方市町村あり方というものの指針を明確に国は示すべきである、こう考えております。  それから、二つ目に非常に重大なことは、市町村地方における一番のまとめは都道府県でありますから、都道府県というものがいろいろなことに精通をしておるわけでございまして、市町村合併のケースであるとかパターンであるとか、そういうものを市町村と一緒になってちゃんと研究をやっていく、このことが私は県段階で必要だ。  それから最後に、過去において昭和二十八年の促進法、当時のような時代ではなくなりました。ですから、自主的、自立的といいますけれども、それはやはり市町村も、住民との対話の中で合併必要性認識住民方々に持っていただく、そういうものが一体になって、国、県、市町村、これらの役割が連携することによって、市町村合併は非常に難しい問題でありますけれども、どうしても通り越していかなければいけない一つのハードルである、このように考えております。
  13. 宮路和明

    宮路委員 地方自治の問題にも、御自分で御経験もされて大変造詣の深い西田大臣から、それに向けての御決意と申しますか御見解を賜ったところでありますが、どうか地方分権推進のためにも、これはまさに避けて通れない喫緊の課題であると思うわけでありますので、ぜひ、そのお気持ちをさらに一層高めてこの問題の前進に取り組んでいただきたいと願うものであります。  最後に、もう時間もなくなってまいりましたが、今お話のありました地方分権との関係で地方分権推進委員会の事務局長にお聞きをしたいと思うのですが、実は最近、地方分権推進委員会の方から、公共事業に関する見直しといいましょうか、論点整理というものが示されたと聞いておるわけであります。その反響だと思うのですが、私どものところに地元からいろいろな要望が寄せられておるわけであります。  ここに二つ持ってきておりますが、一つは、これは奄美大島の名瀬の市長さんから来たものであります。名瀬港は奄美大島の島民の生活や産業を支える物資の流通拠点港湾であり、住民にとっては生命線であります。そして同時に、本土と奄美、沖縄という南西諸島を結ぶ基幹海上ネットワークの拠点港であります。ところがそれが直轄事業でなくなってしまうと、大都市圏の中枢的な港湾の方の整備促進されるのかもしれないけれども、自分のところの名瀬港みたいなものは整備が非常におくれてしまって大きな支障を及ぼすというものだとか、それから、これは鹿児島市長、それから桜島の町長から参りました要請でありますけれども、桜島は現在砂防あるいは治山の直轄の事業が展開されておるわけでありますが、これが直轄でなくなった場合には、桜島の火山活動や脆弱な地形、地質という特殊事情に対応したスピーディーな、そしてまた技術的にも財政的にもいろいろ難しい、いわゆる事業の展開が実施できなくなってしまって非常に困るのだ、こんな要望であるわけであります。  先ほどお話がありましたように、地方財政もなかなか容易じゃない。また合併もなかなか進んでいなくて受け皿も非常に立ちおくれているという状況の中で、こうした国土の整備、管理という問題における国の役割地方役割、どういつだぐあいにこれを検討されて、こうした分権委員会における提案と申しましょうか、作業が進んでおるのか、その辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  14. 保坂榮次

    ○保坂(榮)政府委員 お答えいたします。  地方分権推進法におきましては、国は、国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動もしくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務または全国的な規模もしくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施その他の国の本来果たすべき役割を重点的に担うとされております。当委員会の第一次勧告におきましても同様の考え方を示しているところでありますが、地域における行政の自主的かつ総合的な実施役割を広く担う地方公共団体役割を分担した上、国と地方公共団体が相互に協力して国民の福祉の増進を図ることが国の責務であると考えております。  それで、最近当委員会の方で各省庁に示しました論点の整理というものでございます。これにつきましては、現在行っております、昨年の暮れの橋本総理からの要請を受けまして、中央省庁等再編に絡む問題については前倒しでやってほしいということで作業を進めているわけでございますが、この論点の整理というものは、私どもとしては議論の出発点としての考え方を示したものというふうな理解をしているところでございます。
  15. 宮路和明

    宮路委員 今の局長お話お話として、その趣旨はわかりました。そしてまた、地方分権が必要であることは百も承知でありますけれども、いずれにしてもこれが、先ほども申し上げましたような財源の問題あるいはまた受け皿の問題、そしてまた国土の整備、管理、あるいは交通体系の構築、食糧の安全保障といった、国として責任を持ってやらなければならないこれらの諸課題、そういう中にあって、国の責任もしっかりとこれが遂行されるというような形でなければならないわけであります。  そういったもろもろの観点をしっかりと踏まえていただきながら、余り性急な、現実と乖離してしまったような形でこれが進んでいくというようなことは、やはり我々国政を預かる者としても懸念されるところでもありますので、今申し上げたようなことをしっかりと念頭に置いてひとつ取り組んでいっていただくようお願いを申し上げて、私の質問を終えさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  16. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、西川公也君。
  17. 西川公也

    ○西川(公)委員 自民党の西川公也でございます。  宮路議員に引き続きまして、地方行政に関する当面の課題を尋ねていきたいと思います。  一番最初地方税源の充実、こういう問題につきまして大臣にお伺いしたいと思いますが、先ほども、景気の落ち込みがひどくて特に法人関係税が落ち込んでおる、こういう中で財源をどうやって確保するか、これは非常に難しい、こういう認識をしておるということを聞きました。  大臣もそう思っておると思いますけれども、要は、私が尋ねたいことは、ことしの五月に地方分権推進計画を閣議決定して、いよいよ分権を始めよう、こういうときでありますけれども、政治状況も当時からしまして大変激変をしましたし、さらに景気悪化の速度は当初の予想をはるかに超えて悪くなっておる。そうしますと、本当に分権はできるのだろうか、私はこういう懸念を持っております。しかしながら、分権というのは時代の流れでもありますし、やはり行政住民に一番近いところに預けてやる、これが一番効率がいい。これは私も理解しておりますけれども、この分権を進めていくためには何としても財源確保を図らなければならない、こう思います。  昨年の党の税調の中では、ことしから外形標準課税の導入について議論しましょう、こういうことで去年終わっておりますけれども、とてもこんな時期に外形標準課税の導入なんというのは地方ではできようもありませんので、この辺も危惧をしております。  そういう背景の中でありますけれども、地方税充実強化、これはやっていかなければならない基本的な事項でありますので、非常に難しい、そして大臣のお立場もわかりますけれども、ぜひこの強化につきましての所見をまずもってお伺いをさせていただきたいと思います。
  18. 西田司

    西田国務大臣 地方分権の進展に応じて地方公共団体がより自主的、自立的な行財政運営を行えるようにするためには、地方自治体財政基盤を充実していくことが、まずこれがベースである、私はそういう認識をいたしております。  去る五月に閣議決定をされました分権推進計画においても、その中で、課税自主権を尊重しつつ地方税源充実確保を図る、こういうことが明記してあるわけでございます。  また、地方分権推進計画を踏まえて、所得、消費、資産等の間におけるバランスのとれた地方税体系や、税源の偏在性が少なく税収の安定性を備えた地方税体系の構築などに今後全力を挙げて努めていかなければいけない、こういう考え方でおるわけでございます。  地方税源充実確保をまず念頭に置いて取り組んでまいります。
  19. 西川公也

    ○西川(公)委員 大臣決意をお伺いをしました。本当にみんなで頑張らなければ、とてもとても財源確保はできないと思いますけれども、分権を進めるためにも、ひとつ決意のように努力をしていただきたい、こう考えております。  次に、平成十年度の地方税の収入の動向について伺いたいと思います。  収入減ですけれども、最近の新聞を見ますと、国税で二兆円から三兆円ぐらい足りない、こういう話がありますね。それから都道府県税も恐らく一兆円ぐらい減収になるだろう、こういう話もあります。神奈川県、大きな県が財政再建団体への転落を視野に入れた、そして財政非常事態宣言を行った、こういう話もあります。また東京も税収不足が四千億を超える、財政危機宣言だ、こういう状況になっておる。私の住む栃木県は予算が大体八千億円程度の県でありますけれども、どうだということを尋ねましたら、今、どう少なく見積もっても三百億円は足りない、こういう状況であります。  恐らくこのような状況は、全国どの県も同じような状況だろうと私は思っています。しかし、ことしの事業はして、また来年の仕事をやっていくということになりますと、正しくこれをまずつかんで、それらをどうするかという議論を深めていかなければなりません。  そこで、自治省としましては、地方団体平成十年度の地方税の収入、これはどの程度におさまるか、どういう見込みを立てているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  20. 成瀬宣孝

    ○成瀬政府委員 お答えをいたします。  平成十年度の地方税収入の見通しについてでございますが、まず、七月末現在の道府県税の状況地方財政計画ベースの調定額累計で見てみますと、前年度同期に比べまして、道府県税の中核を占めております法人関係税が企業業績の不振を反映いたしまして、法人住民税はマイナスの八・四%、また法人事業税はマイナスの一一・六%、不動産取得税は不動産市況の低迷の中でマイナス一四・七%、自動車取得税につきましても新車販売の不振などによりましてマイナス九・〇%などと落ち込んでいるところでございます。  また、市町村税につきましては、六月末現在の道府県庁所在都市、政令指定市などの四十九団体の抽出調査でございますが、同じく地方財政計画ベースの調定額累計で見てみますと、前年度同期に比べまして、市町村民税所得割は特別減税などの影響もございましてマイナス一八・七%、また市町村民税法人税割もマイナス八・四%などと、それぞれ落ち込んでいるところでございます。  したがいまして、景気低迷や消費の落ち込みなど、今のような深刻な経済状況が続きますと、今後の地方税収入額は当初見込んだものよりも相当厳しいものになると懸念されるところでございます。
  21. 西川公也

    ○西川(公)委員 厳しいということはお互いに認識をしておりますけれども、地方に借金をさせるのかどうか、こういう話になりますけれども、地方が借金をするということになりますと、建設関係の地方債発行以外にちょっと道はない、こういう状況でありますので、何か考えてやらなければならない。ひとつ、自治省でもこれらを認識されてしっかり指導していただきたい、こう思います。その詳しい問題につきましては、私、財政関係の中でまたさらにお尋ねをしていきたい、こう思います。  次に、減税に対する大臣の所見をもう一度聞かせてもらいたいのですが、確かに小渕総理、これから大型補正やりますよ、さらには、六兆円を相当上回る恒久的な減税もやりますよ、こういうことを所信表明をされたわけであります。減税はこれからの景気拡大のためには非常に必要なことだし、私も賛成でありますけれども、先ほど来申し上げているように、地方財源がなくなってしまったら本当にどうしようもない。こういう状況の中で、減税はしてほしいけれども地方税は痛まないように、こういう考え方地方考え方です。一方、国の考え方は、地方には少し負担をしてもらって、国は余り痛まないように、こう考えていると思うのです。  問題は所得税ですけれども、今最高税率六五%を五〇%に一五%下げます、こういう話が取りざたされたわけであります、結論は出ていないと思いますけれども。そこで、国の所得税は五〇%の最高税率を四〇%に一〇%下げる。税率ではうんと効くように見えますけれども減収の金額は約二千億だ、こう伺っております。それから地方税の方は、住民税を一五%から一〇%に下げる、率はわずか五%でありますけれども六千億ぐらい減収になる、こういう話になりますと、とてもとてものめる話じゃない。  大臣も、地方六団体の皆さんから話を聞いて、そして財政当局にかけ合ってくれた、こういうような報道もありましたけれども、これは大臣にどうしても頑張ってもらわなければどうしようもない話でありまして、今後どういう形でこの減税負担をしていくかという問題につきまして、大臣、どうお考えになっておられるか、お聞かせをいただければと思います。     〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕
  22. 西田司

    西田国務大臣 今回の税制改正の具体的な内容については、今御指摘がございました国税と地方税をどのように取り扱うかということが一つの大きなポイントだと考えておるわけでございます。この問題につきましては、なかなか一長一短で、右だ左だというわけにはまいりません。しかし、政府及び党の税調等の御意見もよくお伺いをし、幅広い議論の中で、その結果を踏まえて決定をしていかなければいけない問題だ、このように考えております。  また、個人住民税や法人事業税、法人住民税は、申し上げるまでもございませんが、これは地方税の基幹税目であるわけでございまして、ここに与える影響というものは、その改正内容によっては大変重大な問題が地方団体に起こってくる、それは即財政運営に影響を与える、こういう理解をいたしておるわけでございます。  減税の具体的内容については、先ほども申し上げたように地方団体意見を十分伺いながら、極めて厳しい地方財政の実情や地方分権推進に伴う地方税源充実確保要請などを踏まえて、これから取り組んでいきたい、このように思っております。
  23. 西川公也

    ○西川(公)委員 次に、財政関係について尋ねていきたいと思います。  先ほど宮路議員の質問に対しましても、大変財源が不足をしておるし借入金の残高もふえてきた、大変厳しい状況認識をしておる、こういう話でございましたが、さらに私ももう少し確認をさせていただきたいと思います。  まず第一点は、個別の地方団体財政状況について自治省はどう認識しておるか、こういうことをお尋ねしたいと思います。  それは何かといいますと、先ほども言いましたように、財政再建団体になりそうだとか財政危機を宣言したとか、こういう話があったわけでありますけれども、その宣言している県を見ますと、東京、大阪、神奈川、愛知、こういった大きな大都府県であるわけです。今まで、私ども栃木県なんかにいますと、大都市の税収は非常に上がってうらやましいな、こう思ったところばかりがこういう危機状況に入ってきた、こういう状況にあるわけであります。今までこれらの団体は非常に裕福だ、こう言われてきたわけでありますけれども、ここへ来て急に危機状態になってきた、こういう話になってきたわけであります。その原因は一体何だろうか、そしてこの傾向は、大都市だけでとまってくれればいいのでありますけれども、やがて一般の規模の県にも来るのだろうか、こういう心配をしております。  今の状況からしまして全国的な状況だ、こういうことになりますと、この状態が広がっていくのだろうと思いますけれども、その原因を自治省はどう考えているんだ、この辺につきましてまず見解をお聞きしたいと思いますし、このような危機状態になった団体に対しましてどんな財政指導をやっていくんだ、非常に関心のあるところでありますので、あわせてこの辺についてお答えをいただければと思います。
  24. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今委員から御指摘ございましたように、地方財政全体、各団体におきまして大変厳しい状況にまずございまして、当委員会でも再三お答えいたしておりますように、基本的には、いわゆるバブルの崩壊後の地方税の伸び悩みでございますとか、あるいは交付税の原資になります国税収入の低迷の片方で、景気対策ということで、減税でございますとかあるいは公共事業の追加等をやってまいりまして、そういったようなことが重なってまいりまして、全体に地方債の残高が急増してきて極めて厳しい状況になっておるということでございます。  その中でも、今お挙げになりましたような大都市部の都府県におきましては、もともと法人関係税のウエートが非常に高いということがございまして、景気が好調なときは税の伸びが非常に大きいわけでございますが、今のような状況になってまいりますと、その分落ち込みもまた非常に大きくなってまいります。一方で、歳出の構造はかなり義務的経費のウエートが高いということもございまして、硬直性が高いということでございます。こういう税の落ち込みが生じてまいりますと、そういう意味での財政の厳しさが一段と生じてくるという状況でございます。  これらの団体におきましては、再建プログラムでありますとかあるいは財政再建のためのアピールでありますとかということで、各団体ごとにそれぞれいろいろな取り組み、努力をされておりまして、それぞれの財政悪化の要因を分析しながら、事務事業の見直しでございますとかあるいは人件費の抑制などの健全化の取り組みをされておるところでございます。  私どもといたしましても、その状況を適宜お伺いいたしておりますけれども、こういう行革なりあるいは財政健全化に取り組む団体に対しまして、将来の財政負担の軽減ということを見込む、そういう範囲内で、財政健全化債の発行を認めるといったようなこともやりながら、各団体のそういう自主的な取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。  なお、こういう法人関係税収の減というのは、法人二税のウエートは、少ないなりにもやはり県の場合には相当のウエートを持っておりますので、多かれ少なかれ全国的に、やはりこういう状況というのは、法人関係税収の減の影響は出てくるものというふうに考えております。
  25. 西川公也

    ○西川(公)委員 県も相当努力はしておると思います。  しかし、後で行政改革の問題で触れてみたいと思いますけれども、今の答えの中に、財政健全化債の発行を認めていきたい、こういう話がありましたけれども、そのように受けとめてよろしいですね。
  26. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 財政健全化債、これは地方債一つでございますが、建設地方債の増発という形になりますが、片方で行革努力といいますか、健全化努力がございまして、将来その償還の財源が見込めるというものでございまして、そういう範囲内で健全化地方債を認めていくということでございます。
  27. 西川公也

    ○西川(公)委員 公的資金の導入と同じような話でありますけれども、銀行はどうであっても地方公共団体は、これは倒すわけにいきませんので、ひとつ手厚く、長期間にわたって結構ですから、財政悪化から脱出できるように特段の指導お願いをしておきたいと思います。  次に、平成十一年度の地財対策についてお伺いをしたいと思います。  今の危機的状況はわかった、さらには、将来を健全化するために今のような地方債の発行で乗り切っていきたい、こういう話も理解をしました。しかし、各県とも今、立ち直れるどころか貯金を全部使い果たす状況に、私、来ていると思うのです。  例えば、栃木県の例を挙げますと、平成十年度の当初予算は八千三百十五億でありましたけれども、八月下旬に大規模災害がありました。さらにことしは、景気対策ということで六月にも大型補正を組んだ。さらにはまた九月に災害とあわせて大型補正を組みましたので、栃木県の予算が、今まで八千億を超えたことがなくて初めて超えた超えたと騒いでいる予算が、何と九千二百三十八億という一般会計に膨らんでしまったのであります。最初は、余り伸ばさない予算でいこうということで地財計画をやってきたと思うのですけれども、今になってみますと、景気対策の問題でどの県も恐らく結果的に積極財政になった、こういう状況になっていると思うのです。  問題は財源の問題でありますけれども、栃木県を例に引かせていただきますが、栃木県は、大体自治省から総務部長と財政課長が来ますから、非常にお国の意向が行き渡っておりまして、金持ち県であることは事実なんです。財政調整基金はどうだと言ったら、今は二千三百億ぐらいある、財調だけは非常に優良県だということになっていますが、こっちに積んでしまったものですから、庁舎の建てかえ費の基金だとかそちらの方にはありませんよ、こういうことなんです。しかし、今はもう危急存亡のときといいますか、こういう状態でありますので崩してはいきますけれども、これ以上崩したくない、こういう話であります。ことしはとりあえず幾ら崩したということを聞きましたら、補正額九百二十三億でありますけれども、もう既に財政調整基金百三十億取り崩しております。これからまた崩さなければならないと思いますけれども、できる限り額を減らしていきたい、こういうことであります。  それから、今の補正予算九百二十三億のうち、災害等も含んでおりますので、国庫は大体三分の二出ています。残りの三分の一の負担でありますけれども、これはすべて地方債で賄っておる、こういう状況ですね。それで、前の景気対策をやったときの償還期も来ている公債がたくさんありますけれども、そういう状況の中でもまたふえていく、こういう状況をひとつよくわかってほしいと思うのです。  その上に、ことしは金庫が空っぽだ、こう財政当局が言っていますけれども、なぜかといったら、ふだんは税金がもう納入されてくるのですけれども、延納が多い、こういうことですね。そういう中でも災害に関する仕事あるいは補正の問題等がありますので積極的に出しているものですから、金庫は空のような状況にある、こういうことをわかってほしい。  これから第二次補正予算、さらには平成十一年度の予算を組むわけでありますけれども、地財対策というのはもう予想をはるかに超えた厳しさになる、私はこう思っております。しかし、地方は、元気を出せということを大臣もおっしゃられましたけれども、元気のある地方をつくっていくためには、やはり地方団体が安心して行政運営ができる、こういう仕組みをつくらなければならない、こう思います。さらに景気対策も、国だけではこれは効果が上がりませんので、地方も頑張る、こういうことになると思うのです。また、間もなく介護保険制度も始まる、これらもどうなるんだ、当初は赤字じゃなくて進めるのでしょうが、将来の見通しからいうと、そう簡単な話じゃない、こう思います。  こういうところで、二次補正、十一年度の当初予算、この地財対策につきまして、大臣先ほどから、危機感を持っておる、こういうことでありますが、特に来年度の予算と今度の大型補正、これについて地方に対して大臣はどんな決意で臨まれるか、お聞かせをいただければと思います。
  28. 西田司

    西田国務大臣 たびたびお答えをいたしておりますように、地方財政状況は総合経済対策時に比べてさらに私は悪化をしておると考えております。  そこで、お尋ねの第二次補正予算について、地方財政措置についてどうしていくかという問題は、私は、ただ補正だ補正だということだけでなくて、その裏づけがなくては地方もやれるわけはないわけでございますから、ここらについては十分な議論が必要である、このように考えております。  さらに、平成十一年度の地財対策についてのお尋ねでございました。  これは、地方税地方交付税の原資となる国税が落ち込んでいくわけでございますから、この国税五税の伸び悩みという問題は交付税原資に直接影響をしてくるわけでございまして、容易ならないことが感ぜられる、このように考えております。特に、経済対策推進に加えて恒久的減税の話題も、話題というよりも問題もあるわけでございまして、厳しい話ばかり申し上げて恐縮でございますけれども、私は、厳しさをひしひしと感じておるような次第でございます。  私としては、地方団体方々が安心をして行財政に取り組んでいっていただけるようなことが一番大事なことだ、私はこのように考えております。また、十分に関係の皆さん方の御意見も伺いながら、地方税地方交付税地方一般財源確保全力を挙げて取り組んでいきたい、こういう考えでございます。
  29. 西川公也

    ○西川(公)委員 次に、災害対策でありますけれども、八月の上旬、八月末の豪雨台風五号、七号、さらには九月末の豪雨、こういうことで災害を受けられた多くの方がおりますけれども、ここで改めてお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。  そして、大規模災害時に対する生活再建支援法の話でありますけれども、先般五月二十二日に公布されたわけでありますけれども、恐らくこの施行は来年度になるんではないか、こう思うのでございます。しかし、災害を受けられた方々は、もう本当にどんな救いでも欲しい、こういう状況でありますので、できる限り自治省で、交付税等で市町村を見てやっていただければ、また市町村からのお見舞金等が早く出せる、こういう状況につながってくるわけでありますので、この辺の対応。さらには、自治省には多くの地方団体から財政負担について報告があり、できる限り援助をしてくれという話があると思いますが、ぜひよろしく御対応いただくように要望させていただきたいと思います。  次に、私は、地方分権推進に対する話を聞かせていただきたいと思いますが、地方分権の話、先ほどから税財源の問題で話はしてきましたけれども、平成七年に地方分権法が制定され、そしてこれまでに第四次勧告までやった。地方分権推進計画もできた。そして、地方を通じる行財政システムの変革をこれからやっていかなければならない。さらには十月下旬に第五次の勧告が出される予定だ。その中身は、確かに中央から地方へ、官から民へ、さらには規制緩和もやっていこうということで、非常に結構な話でありますけれども、これは先ほど宮路議員からも出ましたけれども、地方の受けとめ方、非常に期待はするものの、中央省庁の問題もあってなかなか難しい、こういう話になっておると思いますけれども、時代の流れの中でどう進めていくのか。  さらには、あわせまして、今、地方分権推進計画の進捗状況でありますけれども、これまでの四次にわたる勧告の中で、機関委任事務制度の廃止とか、地方と国とは同等の間になるとか、それから権限移譲はどの程度やっていくかとか、たくさんの問題も織り込んできたわけでありますけれども、その進捗状況を、ひとつ大臣の話の後に当局からお聞かせをいただければと思います。
  30. 西田司

    西田国務大臣 お答えをいたします。  地方分権推進は、もう御承知のように、明治以来形成されてきた中央集権型行政システムを変えていくということでございますから、いろいろな問題もたくさんあると思います。そして、国、都道府県市町村を対等・協力の関係にして、そして新しい時代対応していく、こういう考え方基本でございます。そして、新時代状況課題に的確に対応して国民が豊かさとゆとりを実感できるような地域社会を実現していく、これが取り組むべき目標だ、このように思っております。地方分権推進に向けて、国、都道府県市町村の対等な立場での役割分担の明確化を図っていかなければいけないと思っております。  それから、二つ目でありますけれども、地方公共団体の税財源充実強化を図らなければいけない、こう思っております。  それから、三番目に、こういう時代でございますから、国が今行革に取り組んでおります。これは、地方地方行革というものを取り込まずして分権はあり得ない、私はこう考えておりますので、あわせて、先ほども申し上げました自主的な市町村合併推進などをひとつ整備確立をしていきたい、こういう考え方でございます。  ちょっと長くなりますが、現在政府においては、地方分権推進委員会の勧告を最大限尊重して作成された地方分権推進計画の内容について、その法案化作業を進めております。そして平成十一年通常国会に所要の法律案を提出するなど、本計画を着実に実施していきたい、このように考えております。
  31. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 分権推進計画に盛り込まれた内容の具体的な作業の進捗状況でございますが、現在、各省庁の個別法の改正作業に役立つようにということで、自治法の関係の共通部分、機関委任事務の廃止に伴います国と地方の関係の規定、こういうものを中心とした自治法改正部分を、十月中に各省に示せるように作業をいたしております。これを踏まえまして、各省ともども各法案についての改正作業を進めまして、年内には関係の改正法案をおおむね確定をさせて、その後、今大臣からお話のありましたように法律案として提出していく、こういうことでございます。
  32. 西川公也

    ○西川(公)委員 自治省関係の最後の質問でありますけれども、消防関係について伺っておきたいと思います。  今回、私の地元も大変なる被害を受けましたので、作業服姿で事務所総動員で私ども現地調査をやりました。しかし、どこへ行っても、消防団の皆さんが夜を徹して河川を守ってくれたとか、態勢を整えて被害に備えておった、こういう話を聞かされます。消防団が大変一生懸命やっておられたということは自治省消防庁もよく御承知かと思いますけれども、やはり何らかの支援をやってやらなければだめだ、こういうことになるわけでありますけれども、今回の災害等もありましたけれども、今後の支援をどうやっていくのか、その辺を消防庁長官にお伺いをしたいと思います。
  33. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 今回の災害消防団、本当にいろいろな活動をして災害救済に貢献をしていただいたと思っておりますが、消防団は、現在、相当の団員数の減少であるとか、あるいは高齢化だとかサラリーマン団員がふえているというようなことで、やはり活動上いろいろな課題を抱えているのは事実でございます。  したがいまして、支援というお話でございますが、今後とも、活動拠点の整備あるいは資機材、装備の整備というものに努めますとともに、処遇の改善とか、そうしたことにも努めてまいりたいと存じますし、また地元住民とか企業の方々にも、参加の要請であるとか、あるいは活動の理解、そうしたものを深めていただくためのPR活動というようなものについても、一生懸命取り組んでいきたいというふうに思っております。  いずれにせよ、消防団は地域防災のかなめでございますので、今後ますます活性化できるようなそうした手だてを一生懸命講じていきたいというふうに思っております。
  34. 西川公也

    ○西川(公)委員 あと、地域防災計画について尋ねたかったのでありますが、時間の関係でこれは削除をさせてもらいますけれども、日光砂防事務所は、テレビカメラでどの河川がどんな流量で出ているかというのを二十四時間体制で見られる設備を持っていました。そして、災害を受けた黒磯市では、ぜひこれらをやがての防災上検討してくれないか、そして住民に今この川は水が出ていますよ、こういう早期警戒を出せるようなシステムを考えてくれ、こんな話もありましたので、ここで要望しておきたいと思います。検討していただきたいと思います。  次に、毒物混入事件関係について尋ねさせていただきたいと思います。  国民の関心は、和歌山のカレー事件がいつ解決をするか、こういうことを非常に期待しながらいるわけでありますけれども、この事件はその後に新潟県の話、長野県の話あるいは全国各地へ波及をして、結局全国に二十五件もの毒物混入事件の連鎖をもたらした発信源だ、こういう重大な事件だろうと思います。  今回の、きのう、おとといと新聞報道をされておる和歌山の保険金詐欺事件の関係は、今後その毒入りカレー事件とどう結びついてくるのか、捜査状況を見なければわからないのだと思いますけれども、当局の一層の奮起を期待しておきたいと思います。  そこで、お尋ねをしたいと思いますけれども、一連の毒物混入事件の発生状況並びにその捜査状況について聞かせていただきたいと思います。
  35. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 今もお尋ねの中にございましたけれども、多数の毒物事件等として報道がされておりますうちで、いわゆる毒物であろうないしはそれに近い有害物質であろうと思われる事件は二十五件でございます。したがいまして、その事件について申し上げてまいりたいと思います。  昨日までに当庁に報告がありましたものについて見ますと、いわゆる青酸でありますとか砒素でありますとか、まさに毒物である、そういう事件につきましては五件発生をいたしました。御指摘の和歌山、新潟、長野、長野は二件ございました。そして埼玉でもう一件発生をいたしておりましたけれども、これは青酸が混入されたものを飲んだという人からの申告でありました。これにつきましては、本人の自作自演であるということが後日わかりました。業務妨害で逮捕いたしております。したがいまして、五件のうち一件検挙をいたしました。  次に、農薬等の有害物質が含まれたということで、その意味での事件は二十件ございました。そのうち、鹿児島で発生をいたしました水道に農薬を混入した事件等七件を現在検挙いたしております。  したがいまして、都合、合計二十五件中八件、昨日までに解決をいたしたということでございます。  しかし、御指摘のように、和歌山、新潟そして長野の青酸、砒素あるいはアジ化ナトリウムを混入させた事件についての解決が何としても望まれるところでございますので、今御指摘ございましたように、その解決のために鋭意捜査を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
  36. 西川公也

    ○西川(公)委員 今、和歌山事件も長野も新潟も、これを解決するために一層の努力を重ねてくれる、こういう決意であったと思います。  和歌山毒物混入殺人事件、今までは、おとといまでですか、青酸中毒あるいは中毒の疑いということで私ども死因を聞いておりました。今度の新聞発表ですと、砒素中毒と断定した、こういう話でございます。私の関心を引いたのは、十月五日付の毎日新聞の警察庁刑事局幹部の談話で、毒物事件というのは非常に難しくて、毒物事件の歴史は警察の苦闘の歴史だ、こういう言葉を言われておるようでありますが、確かにそれは難しい問題だと思うのです。カレーの中に何が入っているかわからない、こういう状態から決めていくわけですから、相当御苦労をしたと思いますけれども、これらのことに対して、初動捜査が不適切であった、こういう指摘をする声もあったと思います。警察にしてみれば、そんなことない、こういう気持ちであろうかと思いますが、この辺についてお聞かせをいただきたいと思います。  それから、薬物を判定するときに、東京とか大阪とか、大都市にはそういう機器があるのでしょうけれども、地方都道府県はどんな状況になっているかわかりませんけれども、これらの対応についてもあわせて聞かせていただきたいと思います。
  37. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 確かに、当初食中毒ということで警察が認知をいたしまして、その後毒物事件ではないかということで鑑定をいたしまして、青酸が予備試験で検出をされたということで、しかる後に、後日砒素が検出されたということから、その現象だけ見ますと、いかにも初動において紆余曲折があったかのように思われるかもしれませんけれども、決してそのようなことはございませんで、過去の毒物事件におきましても、発覚をするまでに一年あるいは二年はかかったという事件が珍しくございません。それほど、毒物によるものであるかどうかということの認定が、医学的にもまた経験的にも、警察の経験におきましても難しいというのが現実でございます。したがいまして、その種の手法を用いて犯行を行う者が後を絶たないということであろうかと存じます。  しかしながら、今回の場合には、食中毒で認知をいたしました後、病院から消防当局を介しまして毒物の可能性があるということを速やかに連絡をいただきましたので、警察といたしましては、鑑定員を急速招集いたしまして直ちに鑑定に入り、先ほど申し上げた経緯をたどったものでございます。加えまして、今回の場合には、特に検体と申しますけれども、検査すべき対象物件が非常に多い。これはもう三けたを超す物件を現在もなお鑑定いたしておりまして、それも、そういう判断能力を持った者がごくわずかしか日本にはおりませんので、機材も限られておりますけれども、そういうようなことで時間がかかるということでございまして、これは絶対的にかかるやむを得ない時間でございます。  したがいまして、その限界の中で、警察といたしましては全力を挙げて今日まで来たと考えております。確かに、全国にその種の機材と、またそういう判定能力を有した技術者がいるということではございませんので、このたび、そのような機材に関する措置もさせていただこうということで準備をいたし、またそのような技術者の育成につきましても努力を重ねてまいりたいというぐあいに考えております。
  38. 西川公也

    ○西川(公)委員 警察の方はよくわかりました。  また、新聞報道によれば、保健所に対しましても、被害者の保護等で初動の措置が不適切だったのではないか、こういう指摘もあったわけでありますけれども、これらにつきまして、厚生省で何か意見を述べることがありましたらお願いをしたいと思います。
  39. 伊藤雅治

    ○伊藤(雅)政府委員 和歌山毒物混入事件につきましては、保健所は当初、食中毒ということで動き始めたわけでございますが、通常、このような食後に多数の者の健康状態がおかしくなるというのは、まずこれは食中毒を疑うわけでございますが、それは事実でございます。その後、警察より青酸化合物の反応があったということで、そのような対応になるわけでございます。  さらに、八月二日になりまして、和歌山警察署から砒素化合物検出の情報を受けまして、医療機関にそういう情報を提供する。さらに、聖マリアンナ医大の砒素中毒の専門家である山内助教授を現地に派遣をする、このような対応をとったわけでございます。  通常、保健所は、このような事件のときに、まず原因の究明、それから被害に遭われた方に対する適切な医療に必要な情報の提供というのが主たる任務だと思いますが、確かに今回、そういう観点から申し上げますと、毒物中毒であるという観点が少し欠けていたということでございますが、この辺につきましては、今回の事例を点検をいたしまして、危機管理の観点から、いろいろ地域におきまして、警察、医療機関との情報体制をふだんからつくっておくということを今後指導してまいりたいと考えております。
  40. 西川公也

    ○西川(公)委員 最後の項目になりますけれども、薬物関係について尋ねたいと思います。  きょうの読売新聞でありますけれども、覚せい剤の記事が大きく出ていました。大型摘発が相次いで、三倍を超す急騰だ、こういう話も出ています。東京や高知で八月末に覚せい剤の大量摘発があったわけでありますけれども、警察当局全体が相当御苦労された、こういうことを伺っております。  我が国の薬物関係の状況でありますけれども、戦後三回目の覚せい剤の乱用期だ、こういう話をお聞きしました。当局が一生懸命やっても、検挙人員はここへ来てまたふえ続けてきた、こういうことでありまして、平成七年から平成九年、そして平成九年は約二万人に迫ろうとしていると言われておりますけれども、最近の乱用の状況、特徴、傾向、それらについてお聞かせをいただければと思います。
  41. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 最近の覚せい剤の乱用についての特徴についてお尋ねでございますが、何点が御指摘できょうかと思いますけれども、供給面からまず考えてみますと、新たに中国から大量の覚せい剤が流入して、それに伴って覚せい剤の末端価格が低下している、こういう状況がございます。  さらには、従来は暴力団が薬物密売を手がけておりましたが、それに加えまして、イラン人組織が新規参入いたしまして、街頭において無差別に市民に対して密売を行うという新しい形態をとってきております。そういったことによりまして、だれでも比較的容易に覚せい剤を入手することが可能になった状況があるということでございます。  また、乱用する側から見ましても幾つかの点がありますが、特に特徴的なのが、少年層を中心として、覚せい剤乱用に対する罪悪感、警戒感が希薄化してきている、こういう状況がございます。そういった事情を背景といたしまして、少年、特に中学生、高校生による薬物乱用事犯が激増するなど、薬物乱用の層が大きく拡大している、こういうふうな実態にございます。  こういった状況をとらえまして、私どもは、戦後第三回目の覚せい剤乱用期、このように言って、諸対策を強力に現在推進しているところでございます。
  42. 西川公也

    ○西川(公)委員 今生活安全局長から、中国の品物が入ってきている、さらにはイラン人が新規参入した、こういう話も聞きました。なかなか日本国内でこれを精製するのは大変だろうと思いまして、恐らく周辺の諸国でそういうものができてくるのだと思います。  まず最初に、イラン人の密売組織でありますけれども、資料によりますと、平成十年の上半期、百三十八人で前年同期比二十一人減っておるけれども、平成六年以降は年間検挙人員が二百人以上だ、そして高水準を維持しておる、こういう話を聞いておりますけれども、イラン人、同じような顔をしているから、一回捕まえてもなかなか捕まらないし、売っている姿を見てもその本人か、身元確認も難しいのだと思いますけれども、イラン人の密売組織の撲滅を図る、このためには問題点がたくさんあろうかと思いますけれども、どんな点が問題なのですか。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  43. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 イラン人の薬物事犯についてのお尋ねでございますが、御指摘のように、平成九年には、三百人を超える検挙人員となっているということで、大変憂慮すべき状況でございます。  このイラン人の密売組織についての特徴でございますけれども、先ほど御説明させていただきましたように、街頭で売るという形態とともに、携帯電話を使用して薬物の売買をするということで、大変捜査が難しい状況になっております。我々としては、そういった状況を克服して、こういった組織の撲滅に向けて努力していかなければいけないと思っております。  また、こういった犯罪組織との関係につきましては、外国の政府との協力というのが極めて不可欠だと思います。そういった観点から、平素からICPOルートによる情報交換のほか、警察庁が毎年開催しております薬物犯罪取り締まりセミナーにイランの担当者を招致するなどの交流を行っておるところでございます。  今後とも、取り締まりレベルで、イラン国の取り締まり当局と緊密な連携をとって万全の対策を講じてまいりたい、このように考えております。
  44. 西川公也

    ○西川(公)委員 今諸外国と協力をしなければ日本に入ってくるのをとめられない、そのとおりだと思います。  それで、NGOの組織で、ゴールデントライアングル、ミャンマー国でありますけれども、ケシの栽培から転換をさせてソバの栽培を指導している人がおります。これは犯罪組織に絡むことでありますので、ねらわれることが怖いものですから、お話し申し上げませんが、問題は、できたソバをどこへ売るんだ、本当に売れるのか、どうやって運ぶのだ、こういう話があるわけであります。  きょうは外務省からも来ていただいておりますので、ODA等を利用してインフラの整備等ができれば幾らかはこの事業が進んでいく、こういうことになるのであろうと思いますけれども、海外の問題を解決していくためにはどうしても外務省に頑張ってもらわなければなりませんので、その辺の考え方についてお聞かせをいただければと思います。
  45. 上田秀明

    ○上田政府委員 お答えいたします。  薬物の供給を遮断するという観点から、今御指摘ございました、特にミャンマーを中心といたします黄金の三角地帯の密造地域におきます対策、この支援のための国際協力ということが大事であるということを認識いたしておりまして、国連の薬物統制計画というのがございますが、そこと協力いたしまして、その薬物統制計画に拠出金を出しまして、そこがクイに事務所を持っておりますけれども、そこがいろいろと計画を行っているのに日本が協力するという形が一つございます。  それから、ミャンマーに対しましては、直接、ケシにかわる代替作物を栽培させる、そのための農機具でありますとか肥料でありますとか、そういうことを支援するために、今年も去る七月に、いわゆる食糧増産援助の枠組みで八億円の無償協力を行うことを決定したところでございます。  それから、今御指摘ございました各NGOが活躍しておられますので、無償資金協力の中から、NGO補助金、それから、草の根無償と称しておりますけれども、小さいさまざまなプロジェクト、代替作物でありますとか厚生とか教育の問題でございますとか、そういったところへの支援を行ってまいっておるところでございます。
  46. 西川公也

    ○西川(公)委員 最後に大臣決意を聞きたかったのでありますが、時間でありますので質問を終了させていただきます。御了解ください。  ありがとうございました。
  47. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、桑原豊君。
  48. 桑原豊

    ○桑原委員 さきの台風等災害で、至るところで大変大きな災害が起きたわけですけれども、ぜひ国としても、また自治省としてもしっかりした対策を講じていただいて、万全の遺漏なきようによろしくお願い申し上げたいと思います。  私どもの地元でも、百年に一回ぐらいの災害対策といいますか、そういう対応では難しいのではないか、むしろもう二百年に一回ぐらいの、そういうことに備えるくらいの対策が、日ごろのそういう備えが必要ではないかというふうな意見も出るくらいに非常に厳しいものであったというふうに思います。そういうことで、冒頭にそのことをお願い申し上げたいと思います。  そこで、先ほどからいろいろと地方財政の危機についてお話がございます。金融機関も破綻に瀕していると言われていますけれども、地方財政の方もまさにそういった状態にある。特に、景気動向に敏感な大都市圏、大きな都道府県といいますか、そういったところに集中をしているようでございますし、相次ぐ景気対策で、減税であるとか公共事業等への投資、そういうものが地方にも求められるというようなことで地方債が増発をされる。こんな厳しいおつき合いならやめてしまえというようなこともあるわけですけれども、例えば、厳しい不況に直面しているところであればあるほど、逆にそういった公共事業なんかに積極的に取り組んで景気の浮揚を図らなければいかぬというようなことで、そういうところほどジレンマが深い、こういうような傾向もあるように思います。  既に、九八年度の地方自治体予算の段階でも、非常に公債費の負担比率が高いところが多くなっているとか、あるいは地方債の増発によって、借入金の残高が十年度の末では百六十兆円になるのだとか、いろいろなことが今年度の予算の中からも読み取れたわけでございますけれども、その後の地方財政運営なども含めて、危機の様相が大変深まってきたと思います。  ここで、現状の認識と評価、そしてこのよって来る原因について、先ほどからお話がございましたけれども、いま一度簡単に大臣の御認識をお伺いしたい、このように思います。
  49. 西田司

    西田国務大臣 地方財政は多額の財源不足が続き、借入金残高が御指摘のように百六十兆円に達するという見込みでございます。  個々の地方団体財政状況についても、公債費負担比率が一五%以上の団体が半分を超えておりまして、財政の硬直化が進むなど、極めて厳しい状況にあると認識をいたしております。
  50. 桑原豊

    ○桑原委員 さきの百四十二国会で、前の上杉自治大臣に対して、この委員会で、私は、景気対策に連動する地方税減税の問題で幾つか質問をしたわけでございますが、その際に上杉大臣は、国全体の政策として必要である場合には、国と一体として減税を行うことがあると考えているというふうな趣旨で御答弁をされました。  また、こういうような厳しい地方の現状でこのようなことが繰り返されていくと、なおなお地方財政の将来にとっても、地方財政の構造を改革していくためにも決してプラスにならないのではないか、ぜひ国とは別個に、地方分権の方向からいっても、地方にとって減税問題が自主的な選択ができるようなことにすべきではないかというようなことを私の方から質問をしたわけですが、お答えは、国全体の政策として景気対策のために減税を行う必要がある場合には、国税のみではなくて、地方税においても一体として減税を行うことが必要である、こういうようなお答えでございました。  そこで、この先、恒久的な減税なども含めて国が減税を行う、このような際に、地方としてこの減税に対してどのような対応をされていくのか、西田自治大臣のお考えをぜひお伺いしたいと思います。
  51. 西田司

    西田国務大臣 御承知のように、政府景気に最大配慮をして六兆円を相当上回るという減税、恒久的な減税実施することにしたところでございます。  そこで、お尋ねのポイントでございますけれども、現在の地方財政は極めて厳しい状況に置かれており、一方で、たびたび申し上げておるように、地方分権推進するために地方税源充実強化することが地方団体にとっては重要な課題となっておるところでございます。こうした中で、今回の減税について地方として果たしてどの程度の対応が可能か慎重に検討をしなければいけない、こう私は考えております。
  52. 桑原豊

    ○桑原委員 ただいまの御発言からは、今までのように国が決めたからそれに従うというようなことではなしに、地方の立場に立って、やるかやらないかも含めて慎重に検討をしていくのだ、こういうふうに読み取れるかと思うのですけれども、そういうふうなことでよろしいわけですか。
  53. 西田司

    西田国務大臣 考え方は再度御質問になったお受け取り方で結構だと思いますが、しかし、このことはなかなか私どもだけで検討のできることではございませんので、広く意見を聞いてやっていかなければいけないという一方で、慎重さも大変持っておりますので御理解をいただきたい、このように思います。
  54. 桑原豊

    ○桑原委員 私は、今回のこの財政危機の背景には、現下の深刻な不況というものが大きな影を落としているということは事実だと思います。ただしかし、一方では、との地方財政制度というものそのものの中に問題が含まれているのではないかというふうに思います。  私は、地方財政というのは、やはり本当に住民に直結をした、なくてはならない行政サービスをどう確保していくのか、その土台をしつらえる、そういう大きな任務があるわけでございます。そういう意味では、地方財政制度は、そういった景気の動向であるとか国の意向であるとか、そういうものにできるだけ左右されずにいかなるときにも安定的に確保されていくべき性格のものであり、それを担保する仕組みでなければならない、こういうふうに思うのです。  そういう意味では、やはり安定的な税財源というものは何なのか、そしてそれをどう地方に大胆に移転をしていくのかということが常にこの問題でもやはり問われているというふうに思うわけですけれども、そこら辺の認識について大臣にお伺いしたいと思います。
  55. 西田司

    西田国務大臣 ただいまの御質問は、安定した地方財政確立するために大胆な税財源の移転を行ってはどうか、こういう受け取り方をいたしましたが、地方分権推進に応じて、地方公共団体がより自主的、自立的な行財政運営を行えるようにするのが基本でございます。地方自治体財政基盤充実強化していくことが極めて大切である、重要である、私はこのように理解をいたしております。  去る五月に閣議決定された地方分権推進計画においては、国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に国と地方税源配分あり方についても検討をしていく、地方税充実確保を図る、こうされておるところでございます。今後、地方分権推進計画を踏まえ、地方税源充実確保を図ってまいりたい、このように考えております。
  56. 桑原豊

    ○桑原委員 話の関連から、地方分権推進についてお伺いをしたいと思います。  昨年の末に、当時の橋本総理が閣僚懇談会で発言をされました。市町村への権限移譲を含む国及び都道府県からの事務、権限の移譲などの問題について、これは中央省庁の再編成といいますか改革に関連をして、さらに中央の権限のスリム化を図っていく、そして地方権限の充実を図っていく、そういう立場からぜひ分権推進委員会で検討してくれ、こういうことで、先般も言われておりました第五次の勧告に向けた分権推進委員会の作業が、検討が始まったわけでございますけれども、その後、御存じのように、参議院選挙の結果を受けて橋本総理は退陣をされました。  そして、小渕総理ということになったわけでございますが、小渕総理は、私の知り得る限りでは、八月四日の中央省庁等改推進本部の会議では、橋本前政権時代に決められたスケジュールに沿って地方分権推進を行っていくのだ、こういうふうに表明をされたと聞いております。  そういうことなのですが、具体的に小渕総理から、この第五次の勧告に向けた内容について分権推進委員会の方に指示があったのかどうか、そのことをお聞きしたいと思います。
  57. 保坂榮次

    ○保坂(榮)政府委員 お答えいたします。  本年六月十九日に、前の橋本総理大臣のときに、検討項目とか検討課題等について、あるいは時期について御説明して御了解いただきましたが、そのような第五次勧告に向けての検討の視点、検討課題、特に中央省庁改革推進本部の作業に関連する課題につきましては、十月末を目途に勧告を行う予定で検討をする方針であるということを、ことしの八月、諸井委員長から小渕総理に御説明をしまして、この点につきまして御了解をいただいているところでございます。
  58. 桑原豊

    ○桑原委員 それでは、この第五次勧告に向けた検討の視点でありますとか検討事項、それから勧告の時期などについては、検討の視点といたしましては、国と地方役割分担を明確にして国の役割を重点化する、さらに中央省庁再編により大ぐくりされる国の行政機関のスリム化に資する、こういうことが視点だ。それから検討事項は、国の直接執行事務の縮減、移譲、公共事業などの国庫補助事業の範囲の見直し、事務、権限の移譲に伴う税財源の移譲。勧告の時期は、平成十年十月末を目途に行う。こういうふうなことが言われているわけですけれども、内容的にはそういうことでよろしいわけでございますか。
  59. 保坂榮次

    ○保坂(榮)政府委員 お答えいたします。  今先生がおっしゃったとおりでございます。
  60. 桑原豊

    ○桑原委員 そうだといたしますと、先ほどの議論にもございましたが、中央省庁が直轄をする公共事業、そういうものの権限の核心に触れる大変重要な中身をはらんでいるというふうに思うわけであります。  重要であると同時に、恐らく中央省庁にとっては、その権限を地方にゆだねるかどうかというのは、まさにその省庁の存立にもかかわる大変中身の重たいものであるわけでございまして、私は、分権推進していくということになりますと、大変大きな抵抗が予想をされるのではないか、既に省庁ヒアリングを分権推進委員会の方で行っているわけですけれども、そういう状況になっているのではないかというふうに思うわけであります。  その話し合いが、ヒアリングがどういう形で行われているのか、順調にいっているのか、また非常に大きな抵抗に遭ってなかなか難航しているのか、あわせて、そうした予想される抵抗を乗り越えていくために、分権推進委員会として具体的にどんな手だてを考えてやっておられるのか、そこら辺も含めてお聞かせを願いたいと思います。
  61. 保坂榮次

    ○保坂(榮)政府委員 お答えいたします。  本件につきましては、七月に各省庁からヒアリングを行いまして、その後当方の考え方を提示しました後、八月の末から、八月それから九月と、分権推進委員会の下にございますいわゆる作業グループの方で各省庁からヒアリングを行っているところでございます。  現在のところ、各省庁の協力のもとに意見交換というものをやっているところでございまして、私どもといたしましては、この第五次勧告につきましては、中央省庁等改基本法に基づき政府として対応することが求められているところでもありますので、そういうことも踏まえて、各省庁と議論を重ねて適切な結論が得られるように努力しているところでございます。
  62. 桑原豊

    ○桑原委員 難航しているのか順調にいっているのかということについてはどうですか。
  63. 保坂榮次

    ○保坂(榮)政府委員 お答えいたします。  現在、各省庁と活発に意見を交換しているところでございます。
  64. 桑原豊

    ○桑原委員 大変御努力をされて論争しておられる様子がありありでございまして、ぜひ頑張っていただきたいと思いますが、勧告の時期はもう十月末に迫っておるわけでございますし、私は、恐らく非常に御努力をされて苦心惨たんであろうというふうに推察をするわけです。  ここで、自治大臣にお伺いをしたいのですけれども、私は、やはりこれだけの中央省庁の権限をスリム化していくという、ある意味では分権の核心に切り込んでいくような作業というのは、よほど強い政治の後押しがないとできないのではないか、こういうふうに思います。先ほど、諸井委員長お話しになって、総理はぜひやってくれというふうにお答えをされたということでございますけれども、私は、やはりこの段階で総理が強力なリーダーシップを発揮されて、中央省庁のこういった権限については分権の角度から移譲していく、地方に移していく、ぜひそういうことについて強いリーダーシップを発揮していただきたい、こういうふうに思うわけです。  どうも小渕総理は就任されて以来、いろいろ金融問題などで大変なことであったことはわかりますけれども、この種の問題についてきちっとしたメッセージが我々にも国民にも伝わっていないのではないか、こんな気がいたしております。ぜひ自治大臣、総理にそういうきちっとした対応をされるように、分権推進委員会努力を後押しできるように、総理が役割を発揮されるように、強く自治大臣の方から進言して求めるべきではないかというふうに私は思うのですが、どうでしょうか。
  65. 西田司

    西田国務大臣 御承知のように、小渕総理も所信表明でこのことについては述べられておるわけでございます。地方分権行政改革を進めていく上からも極めて重要なことでございまして、私も、少し言い過ぎかもしれませんけれども、不退転の考え方でこの問題に取り組んでいきたい、こう思っております。  それから、総理のしりをたたけ、こういうことでございますが、ひとつ私からも、機会を得て総理に強くお願いをしたいと思っております。
  66. 桑原豊

    ○桑原委員 自治大臣と同様、私は、中央省庁の再編、改革を進めていく責任者でもある総務庁、やはりその立場からもぜひそういった権限移譲については強力にやっていく、そういう手だてを講じていくことが必要だろうというふうに思うのですけれども、総務庁の方から何かそこら辺の考え方についてちょっとお聞かせください。
  67. 松田隆利

    ○松田政府委員 今次の中央省庁等改革におきましては、基本法で規定されておりますとおり、簡素で効率的な行政、機動的で効果的な政策遂行を実現するということで、規制緩和、地方分権あるいは官民分担を徹底いたしまして、国の権限と仕事の減量を進めて、そして新たな省庁体制へ移行していくということが規定されているところでございます。今御質問の公共事業見直しを含みます地方分権推進の問題は、国の権限と仕事を絞り込んでいく一つの重要な要素ではないかと考えているところでございます。  中央省庁改革推進本部におきましては、地方分権推進委員会の第四次までの勧告、これにつきましては既に五月に地方分権推進計画として決定されておるところでございまして、これに基づきまして中央省庁の事務事業の減量、効率化推進しているところでございます。  さらに、今般、地方分権推進委員会で検討されております第五次の勧告に係るさらなる事務事業、権限の移譲につきましても、その勧告を尊重し、中央省庁等改革にぜひ反映させていきたいと考えております。
  68. 桑原豊

    ○桑原委員 第五次勧告の中身についてお伺いしますが、市町村への権限移譲についてはこの中に盛り込まない、権限移譲等については第六次の勧告にゆだねる、こういうふうに言われているわけでございますが、この第五次の中に市町村への権限移譲はないが、国から県への権限移譲というのは入るのかどうかということと、それから、第六次の勧告はどのようなスケジュールで考えておられるのか、そのことをお伺いいたします。
  69. 保坂榮次

    ○保坂(榮)政府委員 お答えいたします。  第五次につきましては、国から都道府県の権限移譲を含めて検討を行っているところでございます。それから第六次の勧告時期でございますが、これは現在、まだ具体的な勧告時期を申し上げる段階には至っておりません。  以上でございます。
  70. 桑原豊

    ○桑原委員 そうしますと、第五次の方はいわゆる四月あたりに決定をされる省庁の設置法に合わせてやっていく、こういうようなことで、市町村の具体的な権限移譲についてはもちろんそれ以降になる、そういうことなんですか。
  71. 保坂榮次

    ○保坂(榮)政府委員 お答えいたします。  市町村への権限移譲を主体とします第六次につきましては、これは県から全市町村に行く場合、あるいは県から中核都市とか政令指定都市とか、いろいろなバリエーションがございます。そのようなものを今後検討していくわけでございますが、中央省庁のスリム化と直接関係するのが少ないものと思いますので、第六次という形で第五次の後に検討をするというふうに考えております。
  72. 桑原豊

    ○桑原委員 それでは、三点目の質問に入りたいと思います。  現在、周辺事態法案が審議をされておりますが、この法案の第九条の中に、米軍の活動に対する後方地域支援などについて自治体の長に協力を求めることができるとの定めがございます。  そこでお伺いしたいのですけれども、自治体の長の協力ということになりますと、結果的に住民皆さんに、その権利や義務にいろいろな影響が出てくるのではないかと思うわけですが、この条項について、自治大臣としてこのことをどういうふうに理解されているのか。これを具体的に条文化するに当たって自治大臣として了解をされたのか、あるいは了解をされたということであれば、その理由等についてまずお聞きしたいと思います。
  73. 西田司

    西田国務大臣 お答えをいたします。  我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態である周辺事態において、政府として地方公共団体に協力を求める事態が想定されることから定めたものであります。  この場合において、一つは、あくまで協力を求めるということで、地方公共団体に対して強制するということではありません。それから二つ目ですけれども、地方公共団体は、正当な理由がある場合にはこれを拒むことができるという中身になっております。三つ目、損失を受けた場合には、国において必要な財政措置を講ずる旨も規定の中で設けておるようなわけであります。  以上のことが担保されており、地方公共団体の立場には十分な配慮がなされていると考えておるところでございます。
  74. 桑原豊

    ○桑原委員 正当な理由があればそれを拒否できるというようなことで、強制に及ぶものではないというふうな解釈なわけですけれども、正当な理由ということなども含めて本条の意味内容というのをどういうふうに解されておられるのか、その点お聞きしたいと思います。
  75. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答えいたします。  この法案におきます条文は、あくまで協力を求めるということで規定をいたしておりまして、したがいまして、地方団体は個々の関係の法令あるいは条例に基づきまして、正当な理由がある場合には協力を拒むことができるということになります。  具体的な運用に当たりまして、正当な理由がありますか否かということは、結局、周辺事態に対応する措置が極めて緊要性が高いということと、他に代替的な手段を求めることが難しい、そういつた事情を考慮いたしまして国から協力の求めがあるわけでございますので、そのことを前提としながら、地方団体におきまして法令または条例に照らして個々具体のケースに即した判断をしていただく、こういうことになるものと考えております。
  76. 桑原豊

    ○桑原委員 聞くところによりますと、こういった条文がなくても、日米安保条約等の規定からして、そういった協力を求めることができるというような意味内容のことは担保されているのではないか、あえてこの条文をつくることの意味は何なのか、こういうようなこともあるわけです。あえてこれがなくてもそういうことはできるということになるわけですから、その根拠も含めてちょっと教えていただきたいと思います。
  77. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答えいたします。  お尋ねの件につきましては、この法律の直接の所管官庁であります防衛庁等からお答え申し上げるのがあるいはよろしいかとも存じますけれども、自治省の立場から申し上げますと、この法文は、あくまで国が地方団体に対して協力を求めるということでございますので、協力ということでありますと、個別の法令等に根拠がなくてもそれ自体は行い得るものと考えております。  しかしながら、本法案というのは、周辺事態に対する対応の重要性、緊急性、あるいは国を挙げて取り組む、そういう事態でございますので、国が地方団体に対して協力を求めることについての根拠を法律で明らかにしたものである、かように理解をしておる次第でございます。
  78. 桑原豊

    ○桑原委員 協力を求められる自治体の長、それはその有する権限の範囲内だ、権限について協力を求められるということなんですが、この長の権限の範囲というのは、例えば現行ですと機関委任事務あるいは固有事務、そういうものもすべて含めて、長の権限に属するものはすべてなんだという考え方なのか、新しく分権で変わっていく内容でいうと法定受託事務と自治事務、そういうものを全部含んだものなのかどうなのか、その範囲について少し考え方をお聞きしたいと思います。
  79. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答えいたします。  国の方から地方団体に求めます協力の種類あるいは内容等につきましては、この法案によりますと、基本計画において定めるということに相なります。その場合、協力の種類、内容等は、周辺事態に対する措置の緊急性、あるいはほかに代替手段を求めることができるかどうか、こういった事情を考慮して定められるものでありますけれども、事の性質上、機関委任事務の場合も固有事務の場合も当然あり得ると考えておりますし、制度が変わった後の法定受託事務、自治事務、いずれもあり得るものと考えております。
  80. 桑原豊

    ○桑原委員 それから、私は、自治体の受けとめ方として、これは協力を求められるということであるけれども、ほぼかなり強制的なものだ、こういうような危惧もあるのではないかというように思うのです。そこで、自治体の長がそれなりの裁量権を持ってしっかり判断できるようなものなんだということを、ぜひ自治省の方としてもその点は重ねて説明をしていただきたいと思いますし、それから、自治体の長が協力するのかしないのかという判断をする際には、やはり適切な情報というものがちゃんと保障されていなければならない、そういうふうに思うのですけれども、そういった情報提供についてはどういうふうに考えておられるのか、その点お聞きしたいと思います。
  81. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答えいたします。  繰り返し御答弁申し上げておりますように、地方団体の長は、協力の求めを受けました場合には、正当な理由がある場合にはこれを拒むことができるわけでありますけれども、正当な理由があるか否かは個々具体の事例に即して判断されることになるものと考えておりますが、この場合、地方団体対応を行うために必要な情報、これは住民の理解を得る上でも極めて重要なことでありますが、これにつきましては関係省庁から適切な情報提供がなされるものと考えております。  自治省といたしましても、地方団体対応が十分できますように、関係省庁と地方団体との仲介あるいは関係省庁との協議等につきまして万全を期していく所存でございます。
  82. 桑原豊

    ○桑原委員 私は、この周辺事態というのは概念としてはかなりあいまいなものを含んでいる、あいまいであるがゆえに抑止効果があるというふうな考え方もあるわけですけれども、非常にあいまいなものがある、時として、米軍や我が国対応が本当に日本の安全にとって必要なのかどうかという枠を超えて過剰に反応する、そういう危険性もあるというふうに思うわけです。  そういったときに自治体がちゃんとした判断をして、きちっとした対応をするというのがそういう意味での歯どめにもなってくるのではないか、チェックにもなってくるのではないかというふうに思いますので、国がやることだから、あるいは緊急事態だから自治体もストレートに従え、こういう考え方ではなしに、そうではあってもそこでまた一つチェックをかけていくというような、そんな役割をぜひこの中に持たせていくようにすべきではないかというふうに思いますので、そういったことも含めてきちっとした長の裁量が及ぶように自治省としても御努力をしていただきたい、こういうことを重ねてお願い申し上げます。  それでは最後に、警察の方に御質問をいたしたいと思います。  いわゆる自動車学校、指定自動車教習所の問題でございますが、今般、指定自動車教習所関係事務処理要領の一部改定がございまして、いわゆる指導員の中に、繁忙期だけ働いてもらうというような臨時的指導員の制度が認められました。このことについてちょっとお聞きしたいと思います。  従来は、「アルバイト指導員等とは、他に本業をもっている者が、その本業のかたわら教習等に従事する者をいい、このような者を教習等に従事させることは、指定教習所の持つ公共的性格、職員の管理掌握及び部内教養、研修等に問題があり、好ましいものではないので、このような指導員等を教習等に従事させないこと。」ということで考え方としては来たわけですけれども、その例外的なものとして今回この臨時指導員が認められた。それなりに繁忙期への対応というのはどうするかと苦慮されたあげくそういうふうなことをされたと思うんですが、その物の考え方からして少し矛盾があるのではないか、こういうふうに思うわけですけれども、まずその点についてお聞きしたいと思います。
  83. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 お答えいたします。  このたび、臨時的指導員という制度を考えたわけでございますけれども、これは、春休みあるいは夏休みなど、教習生の集中する期間におきまして教習を円滑に実施してもらいたいという運転免許取得希望者からの要望を踏まえまして、教習生の利便を向上させるという観点から、厳格な要件のもとに、繁忙期に限って臨時的に教習を行う教習指導員でありますところの臨時的指導員を認めることとしたところであります。  これまではどうかということでございますけれども、いわゆるアルバイト指導員、これは他に本業を持っておりまして、その本業の傍ら教習に従事する、こうしたアルバイト指導員につきましては、先ほどございましたように、指定教習所の公共的な性格であるとかあるいは職員の管理掌握、部内教養等々に問題がある、好ましくないというふうに考えておるところでございまして、これはいささかも変わっておりません。  臨時的指導員の場合には、条件といたしまして、教習指導員資格者証の交付を受けていることであるとか、あるいは、他に本業を持っている者がその本業の傍らに従事するものでないこと、繁忙期に継続して教習に従事できること、教習指導員として年間を通じて選任すること、あるいは指導員の数は、繁忙期対策のために必要な数に限られ、かつ、当該指定教習所において選任されておりますところの教習指導員の総数の五分の一を超えるものでないこと等々、各種の条件のすべてを満たす必要があるということでございます。これらの要件を満たす場合には、職員の管理掌握あるいは部内教養、研修等にも問題がないと考えられるところから、これを認めることとしたところであります。  以上のような厳格な運用を行うことによりまして、教習指導員としての資質は維持できると考えております。
  84. 桑原豊

    ○桑原委員 ちょっと時間がなくなってしまいましたが、この指定教習所の制度また指導員の制度、ともにドライバーの資質の向上を図っていく、そしてそのために相当厳しい資格要件を、あるいは研修等を含めて指導員の資質の向上を図っていく、こういうことが行政目的だというふうに思うんですね。  ところが、今おっしゃられたような、厳格な要件で繁忙期認めるんだと言われても、私は、この要件で該当するのは、例えば定年退職をされた指導員の方、常時そういった教習に当たっていないわけですし、加えて定年退職されたわけですから高齢でもあるということで、そういう意味では、確実に資質の向上というところからすると問題があるんではないか。問題があるという言い切り方はできませんけれども、資質の向上にとって、必ずしもそういう方向に行かない危険性があるんじゃないか、そんなふうにも思います。  また、一年以上一つの教習所に登録して、登録をされている間はほかで働いてはいけない、繁忙期だけは休みなく働く、そういうふうなことになると、該当する人もほとんどいないのではないか、難しいのじゃないか、そんなふうにも思います。  そこら辺、どうも、繁忙期に対応したいという気持ちはわかりますけれども、やろうとすることが逆に行政目的と反することになってしまうのではないかというふうに危惧をするわけですけれども、その点どうでしょうか。
  85. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 お答えいたします。  この制度は、あくまでも繁忙期において教習生の便宜を図るというために考え一つの方策であります。あくまでも教習水準の維持という立場がございます。その採用に当たっては、先ほど述べたような厳重な要件のもとに実施してまいりたいと思います。  このたび、教習生の負担軽減という立場から、指定自動車教習所の教習課程の再編あるいは短縮といったこともとることとしておるわけでございますが、これと臨時的指導員の活用と相まって、繁忙期における教習生の利便の向上に寄与することとなるというふうに考えております。
  86. 桑原豊

    ○桑原委員 それでは時間だから終わりますが、最後に、やはり行政目的を遂げようという気持ちは、それはわかりますが、そこでとられる手段が逆に行政目的に反するおそれが出てくるのではないかという危惧が捨て去れません。  ですから、私は思うに、基本的にはこういう資質を持った常用雇用の人が基本ですよということをむしろ警察庁は決めておいて、あと、例えば具体的に、再雇用して一年間一定の条件で雇用していくというような通年的な雇用についても労使の合意をとりながらやっているところもあるというふうに聞いていますから、そこら辺は、基本原則を定めて、あとはもう経営問題、労使問題というふうにしていった方がむしろ行政目的を達成できるのではないかというふうな意見を持っておりますので、そのことを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
  87. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、田中甲君。
  88. 田中甲

    ○田中(甲)委員 田中でございます。  委員長初め与野党筆頭理事皆さん方理事皆さん方お話し合いの中で、今国会、一般質疑の時間を持てますことを感謝申し上げる次第であります。  また、西田大臣、昭和三年、ちょうど私の母と同じでございまして、父親に質問させていただくような、そんな気持ちで、時にはざっくばらんな、歯にきぬ着せずというような言葉で質問をしてしまうかもしれませんが、どうか御指導のほどよろしくお願いしたいと思います。  警察庁関係の質問からさせていただきたいと思います。  迷ったんですけれども、やはり、命を守る、政治とはそういうことだろうと思います。そんな中で、現在の日本の中でさまざまな犯罪が多発している。和歌山のカレーに毒物が混入した事件解決というのはまだ見ておりません。どうか、努力をされている中でございますから多くは申しませんけれども、積極的な、警察庁のさらなる努力ということをもって早期解決を望んでおるところでございます。ぜひ御努力を継続していただきたいと思います。  少子・高齢化、そして地方分権、このような柱をもって進めていくこれからの社会の枠組み、その中で私が大変気になりますのは、若年層と申しますか、若い世代の責任感ということが余り感じられない。選挙の投票率もそうでありますし、そのほかのさまざまな社会の中の現象というものを見てまいりますと、少子・高齢化の中でますます若い世代が責任を持っていかなければならないにもかかわらず、逆行しているような、そんな感がある。若い世代の絶対数が少なくなっている中で、例えば犯罪がふえておるということは、これはやはり、かなり問題視をしていかなければならないのではないかと受けとめているところであります。  そこで、冒頭お聞かせをいただきたいのは、最近の犯罪の傾向や特徴、現状、あるいは検挙率の推移、特に低年齢化という傾向をどのようにお受けとめになられているか、あるいはどのように実態を把握されているか、刑事局長の方からお答えいただければありがたいと思います。
  89. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 まず最初に、私どもは、捜査力をどこに集中すべきかという観点から、重要犯罪、重要窃盗犯という範疇を設けております。  その重要犯罪というのは、殺人、強盗、放火、強姦、強制わいせつ、略取・誘拐を総称いたしまして重要犯罪と申しております。これが、この十年間おおむね横ばいでございますけれども、平成四年ぐらいから一万件台に上りまして、昨年は一万二千件強発生をいたしております。その検挙率はおおむね八〇%から九〇%でございます。  それから、重要窃盗犯、これは住居に対して侵入をいたします侵入盗、自動車盗、ひったくり、すりでございますけれども、この認知はこの十年間おおむね三十万件台を推移しておりまして、その検挙率は六五%から七〇%前後を推移いたしております。  そういう状況でございますけれども、そのうち少年の事件といいますのが、例えば冒頭に申し上げました重要犯罪で申しますと、二年ぐらい前から検挙人員の中に占める少年の比率がふえてまいりまして、ここ一、二年は三〇%強で推移をいたしております。それから重要窃盗犯の中に占める少年の比率でございますけれども、これは三六%前後で、この一、二年推移をいたしてきております。  なお、低年齢化ということでございますけれども、この傾向は、全体といたしましては凶悪犯について認められるところでございますけれども、平成九年、昨年から顕著でございまして、特に強盗で、少年なかんずく低年齢の者にもこの強盗の増加が著しいというのが傾向と認められるところでございます。
  90. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございました。  それでは、引き続き、生活安全局長、今答弁の中にも出てまいりました犯罪の低年齢化の問題について、生活安全局の方ではどのように受けとめられているか、御答弁いただければありがたいと思います。
  91. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 最近の少年非行情勢についてでありますけれども、先ほど説明がございましたように、平成八年から増加に転じている状況にございます。本年上半期もその増加傾向が続いております。ちなみに、平成九年は十五万二千八百二十五人ということで、対前年比一四・四%の増加となっている状況にございます。  そういった増加傾向にあるほか、本年に入ってからは、相次いで発生しましたナイフ使用事件に象徴されるような凶悪化が進展してきているということ、それから、中学生、高校生を中心とする覚せい剤乱用が増加しているということ、それから、遊ぶ金欲しさの性非行の拡大など、こういった状況というものが顕著になってきておるわけでございます。  我々といたしましては、こういった状況をとらまえて、戦後第四のピークに向けて少年非行が深刻化してきている、こういうふうな評価をしておるところでございます。  その中で、特に我々として指摘しなければならない点でございますけれども、ある意味で一見何の問題もないと思われる普通の家の子が、みずからの抱える問題を街頭での不良行為で紛らわせているうちに非行に対する抵抗感を失って、遊ぶ金欲しさなどの言うなれば短絡的な動機からいきなり強盗等の凶悪犯罪に走る、こういった状況というものが目立っておりまして、そういった面でも極めて憂慮すべき状況にあるのではないか、このように考えておる次第でございます。
  92. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  それでは、少し角度を変えまして、少年法の関係等で今注目がされています法制審議会におけるこの見直しについて、法務省の方から答弁いただけますか。どのような審議をどのような形で進めているか、御答弁いただければありがたいと思います。
  93. 渡邉一弘

    ○渡邉説明員 お答えいたします。  少年法の問題につきましては二つの問題がございまして、一つは、現在の少年審判の事実認定の適正化という問題がございます。これは、現在の少年審判は非公開の上、検察官が出席していないということがございまして、少年が非行事実を激しく争うような場合に裁判所として十分な事実認定が適正に行えるのかという手続の問題でございます。これにつきましては、本年の七月、法務大臣から法制審議会に諮問をしていただきまして、現在審議をしているところであります。  もう一点が、先ほどから御指摘になっておりますように、少年法の年齢の問題でございます。この問題につきましては、現在の少年法の、少年の健全育成を目的として少年の教育や更生を考える立場は、基本的には今後も維持されるべきものと考えておりますけれども、先ほどからありますように、近時、低年齢の少年による凶悪事犯が発生したことなどを契機としまして、少年年齢の引き下げあるいはその当否ということが国民の関心事になっているところでございます。  この問題につきましては、さまざまな議論があるところでございますけれども、少年の最近の犯罪の動向あるいはその実態、さらにはその処遇の実情、さらには民法上の成人の年齢や選挙権が与えられる年齢など、年齢について定めている法令との関連性など種々の観点から、現行法が適当かあるいは法改正すべきかということについて検討することが適当であると考えている次第であります。  法務省におきましては、このような観点から、少年法関係、少年非行に関係の深い関係各部局におきまして、実態の分析、検討を行っているというのが現状でございます。
  94. 田中甲

    ○田中(甲)委員 審議会の中で年齢の改正という議論はされているのですか。
  95. 渡邉一弘

    ○渡邉説明員 基本的には、先ほどお答えいたしましたように、法制審議会の諮問には年齢の引き下げ問題についての諮問は含まれてございません。年齢の問題につきましては、現在法務省の中でそういう実態の分析、検討を行っているということでございます。
  96. 田中甲

    ○田中(甲)委員 現在のところは年齢を引き下げるということは審議されていないということですね。  その辺を踏まえた上で、再度生活安全局長に御質問をしたいのですけれども、犯罪を犯した少年についてその再犯が懸念されるということをだれしもが感じていると思います。継続的補導の現状がどのような状態になっているかという点と、あわせまして、凶悪犯罪を犯した少年は過去にも犯罪を犯している傾向が強いと聞きますけれども、その辺はどのような実態になっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  97. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 まず、第一点の問題についてお答え申し上げたいと思います。  犯罪を犯した少年につきましては、再犯を防ぐなどその健全育成を図る上からも、少年の年齢やその置かれている環境に応じ社会全体として適切な対応をとっていくことが極めて重要ではないかと考えております。  我々といたしましても、悪質な非行につきましては、甘やかさず毅然とした捜査を行い、非行少年に対しましては、犯罪社会的意味や被害者の痛みを理解させるよう努めるほか、非行少年に対する少年相談活動を充実する、そういった取り組みを今後とも続けてまいりたいと思っております。  次に、再犯の関係についてでございますが、平成九年中に警察が補導した刑法犯少年について、それ以前に何らかの犯罪を犯して警察に補導された経験がある人の割合について見てみますと、刑法犯少年全体で二一・二%でございます。そのうち、凶悪犯少年の比率というか再犯者率は五二・二%でございます。凶悪犯罪を犯した少年については、それ以前に犯罪を犯して警察に補導されている者の約半数でございます。  そういった意味で、こういった点に我々として十分留意しながら、少年の健全育成に努めてまいりたいと思います。
  98. 田中甲

    ○田中(甲)委員 非常にまとまった御答弁をいただきまして、それはもちろんその姿勢で努力をしていただきたいと思う反面、これだけ青少年の犯罪ということが増加している、極めて異例な伸びを示しているという中で、法務省の少年法の改正についての議論ということを待つのではなくて、積極的に警察庁において犯罪の低年齢化に対する必要な措置ということを講じていく必要があるのだろうというふうに思います。その辺が国民に対して見える形で、こういう改善が行われました、安心して生活できる治安行政ということを積極的に警察庁が行っていますということがわかるように対応をしていかなければならないだろうと思います。  平成九年からこういう傾向が出てきたと言われていますから、早い段階でそのような対応をとっていく、早い措置を行っていくということが非常に重要だと思われます。どうか積極的な検討をして、そして目に見える対応を行っていただきたいと思います。  関連でありますけれども、実は選挙関連のことであります。  少年法の改正で年齢の改正のところまで論議が進んでいくには、五年、十年のスパンで時間が必要なのかなというふうに感じています。私が今申し上げたいのは、日本の場合には、先進諸外国と比べまして、成人年齢が二十ということで、ヨーロッパ、アメリカ、アメリカの州におきましてはほとんどが十八歳という形になっています。そして、成人した年齢十八歳とともに選挙権と被選挙権を与えられているというのが国際的なほぼ常識になっています。十八歳の選挙権は地方議会でありますけれども、政治というものあるいは地方行政というものに若者が参画をしていく扉が開かれているというのは非常に重要なことだと思います。  冒頭申し上げましたが、少子・高齢化社会という中で、若者の担っていかなければならない分野というのがさらに大きくなっていくわけでありますから、担っていく義務だけではなくて、権利というものを若者に与えていくということが今後検討されていかなければならないのではないだろうかと考えます。  日本の場合、成人年齢が二十ですから、一つの私の考え方でありますが、御所見を賜れればありがたいと思っている点は、成人年齢二十、選挙権、つまり参政権が二十、さらに地方自治体における政治への被選挙権、立候補する権利というものを同じ年齢にそろえていく。二十というところで、立候補するしないにはかかわらず、その権利というものが与えられている、そういう社会環境づくりということが必要になってくると思いますが、これは自治省の方から御答弁をいただければ、どのような考え方で現在いらっしゃるか、お話を例えればありがたいと思います。
  99. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 選挙権の年齢につきまして、お話がございましたように、成人年齢ともに十八歳としている国が多いということは御指摘のとおりでございます。また、これまでも国会等におきまして、十八歳に引き下げるべきだというような御意見が何回となく主張されたということも承知をしているところでございます。  この問題につきましては、ただいま先生からもお話がございましたように、民法上の成人年齢あるいは少年法上の成人年齢、これとの関連というものを十分慎重に考えなければいけないということでございまして、特に少年法との関係でいいますと、十八歳、十九歳という方は刑罰が科せられずに保護処分になるということになります。そうしますと、選挙権の剥奪とかあるいは連座というようなものが対象になってこないというような問題がございますので、これとの整合性をどう考えるかということを慎重に考えなければいけないというふうに思っております。  また、被選挙権につきましては、昭和二十年に選挙権が二十になりました折に被選挙権を二十五歳あるいは三十歳としたゆえんは何かということにつきましては、自分たちの代表を選ぶ権利あるいは能力というものは成人年齢と同じ二十で与えてもいいかもしれないが、一定の公職につくということであれば、やはりある程度の経験を積んで、相当の知識や豊富な経験を必要とするのではないかということで、現在の被選挙権年齢が定められているというふうに承知をしておりまして、ここにつきましても、各方面いろいろな御意見はあろうかと思いますけれども、そういう御意見を十分に踏まえる必要があるということでございます。  いずれにいたしましても、選挙権、被選挙権の基本的な問題にかかわる事柄でございますので、私どもは、国会の場において各党各会派が十分御議論をされて、それを踏まえて私どもとしてやるべきことがあれば適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。
  100. 田中甲

    ○田中(甲)委員 国会対応を十分に見ながらということ、それはその姿勢は持っていただきたいとは思うものの、同時に、自治省も、被選挙権の話というのは成人年齢にそろえるという話ですから、そんなに十八歳の投票権の問題とは、民法や少年法上の関係とはリンクしてこないと思うのですね。ですから、積極的に検討をしていくことができないまでも、世論といいますか、どういう考え方をその世代は持っているのか、自分たちもやはり立候補する権利を与えてもらいたいという意見が強いのか、そういう調査というものをやはりしておく必要があると思うのです。少子・高齢化、一人の若者が先輩方を支えていかなければならない時代に入っていくと、やはりそういうところでの、自分たちがどういう思いを持っているか、どういう社会構造にしていってもらいたいかということを発言する機会というのを当然つくっていく必要があると思うのです。  そういう意味においても、近い将来、少し、これ以上は申しません、公選特の場でお話をさらに進めさせていただければとも思っておりますので、今後ともまた御検討、調査等を進めておいていただければありがたいと思います。  少年犯罪の話はこのぐらいにしておきます。  最後に一点触れるとするならば、今少年の犯罪には民間のボランティアが随分と協力をしてくれていると思います。補導員の形ですとか、その他名称が三つか四つぐらいに分かれて、それぞれ所管が違うのか、あるいは目的が一つならばもう少し整理統合して、警察がその活動に対して支援を行うということができないのだろうかということなども考えております。この辺は決して質問ではありませんで、どうか積極的な対応をして、より青少年の健全育成といいますか犯罪の低年齢化ということを防いでいく、そんな一助になるような幅広い連携というものをとっていただきたい、私からの要望でございます。  それでは、警察庁関連の質問を終わりまして、次に、自治省の、特に税制改正に伴っての財源というところで御質問をさせていただきたいと思います。  私のところに緊急要望ということで書面が回ってまいりました。そこには、私がちょっと席を外しているとき、部屋にいなかったときですけれども、千葉県の副知事さんの名刺が置かれておりまして、「税制改正に関する緊急要望」ということであります。その中に、これは千葉県知事沼田武さん、今回市長職を任期途中で辞任されましたが、千葉県の市長会会長の浦安市長の熊川好生さん、千葉県の町村会会長の辰馬さんとおっしゃるのですか、この三名の連名で届けられているわけでありますけれども、二つの要望であります。  一つは、法人事業税というものは都道府県税の約三五%を占める主要税目であるから、国税である法人税を中心にこの減税というものを実施して、地方減税分が負担になることのないように、法人事業税の税率の引き下げは外形標準課税の導入とあわせて措置してもらいたい、これが一項目であります。もう一項目は、個人住民税は県及び市町村の基幹税目であって、これもやはり非常に重要なものなんだ、最高税率も十分低いものとなっていることから、個人所得課税の減税に当たっては地方の減収影響をできるだけ少なくしてくれということであります。平成十年九月七日に届いているわけであります。  これに対して、減税税制改正、累次の景気対、策によるそれぞれの措置が地方財源に及ぼしている影響というものをどのように今自治省がとらえられているか。前段の質問者も同様の質問があったと思いますので、簡潔で結構であります、お聞かせをいただければと思います。
  101. 西田司

    西田国務大臣 お答えをいたします。  たびたび申し上げておりますように、政府は、景気に最大配慮して六兆円を相当上回る恒久的な減税実施しようとしております。今回の税制改正の具体的内容については、国税と地方税をどのように取り扱うかを含め、今後政府税調などにおける幅広い検討の結果を踏まえて私どもは決定をしていきたい、このように思っております。  あわせて、個人住民税や法人事業税、法人住民税は地方税の基幹税目でございますので、その改正内容によっては地方団体財政運営に大きな影響を及ぼすもの、これもたびたび申し上げておるところでございます。減税の具体的内容については、地方団体の御意見も広くお聞きをしながら、極めて厳しい地方財政の実情とそれから地方分権推進に伴う地方税源充実確保要請などを踏まえて今後取り組んでまいりたい、このように思っております。
  102. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございました。大臣から御答弁をいただきました。  あわせて、財政局長で結構でありますけれども、地方債の発行残高の増大ということが地方財政に極めて厳しい状況をつくり出しているんじゃないかと思われる点があるんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  103. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 近年の地方財政が非常に厳しくなっている状況は、端的に地方債の発行残高の増でございまして、平成四年度ぐらいの時点と現在と比較いたしますと、現在が十年度末で百六十兆円という地方債残高の見込みでございまして、平成四年度時点ぐらいでございますと七十兆ぐらいでございましたから、倍を超えるような急激な増加になっているという状況にございます。
  104. 田中甲

    ○田中(甲)委員 俗に三割自治と言われますけれども、自主財源が三割しかない、残りの七割は国から、あるいは地方交付税交付金、補助金をもらっている状態、これを三割自治と申しますね。それで、財源がないために、今県職員が自分たちで行いたい、必要だと思う事業が十分に遂行できないという状態だろうと思います。  地方交付税の交付金は自治省ですね、窓口になっている。そして補助金の交付は他の中央省庁ということでありますから、私は、幾ら国税の税目で減税を行って地方財源ということを最大限残せということを主張しても、そのような要望書が来ているわけですけれども、しかし、これでは抜本的な地方分権推進ということにはつながらないんだろう。  また、この厳しい財政難だから、どうにかやりくりをして地方財源地方交付税や補助金が取れるようにということでとどまってしまって、本質的な地方分権ということがなかなか前に進まないというのが、現在、いろいろと権限の移譲ですとか言われているところでありますけれども、根本的な財源のシステムということを変えていかない限り、なかなかこのような状態というのは変わらないのではないかと私は受けとめております。  具体的に、河川事業、道路事業というのは建設省の評価次第でありますし、空港の整備というのは運輸省。補助比率が決まっているから、単年度事業の場合、中央予算の概算要求が先に決定すると、したがって、それに比例するような形で地方の支出する額が自然に決まってくるという実態になっていると思います。  補助金の率は事業によって違いますけれども、例えば二分の一を国が払って、そして四分の一、同じく四分の一を県と市町村地方自治体は、ある意味では意思決定機関に参画できていないという思いを持っている節がうかがえます。補助金金額が多い場合は県の拠出というものが増加しますから、ある意味では財政悪化するという危険性を伴いながら進めることになります。補助金の額が少ないというのは事業を縮小できないというようなことにもつながってくるでしょう。つまり、地方が自立した形で事業というものをつくっていくことがなかなか難しくて、中央省庁次第だというところがどうしてもぬぐえないということではないでしょうか。  例えば地方交付税交付金、地域格差をなくすための客観的な制度であるということがよく言われますけれども、ここで、その点で一点質問させていただきます。  自治省のさじかげんによるもの、そう思われてやむを得ない点があるんではないでしょうか。この点いかがですか。
  105. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方交付税の算定についてのお尋ねでございます。  地方交付税の算定は、基準財政需要額と収入額を見込みまして、その差額をもって計算をいたしておるわけでございますが、基準財政需要額の算定に当たりましては、それぞれの費目ごとに、今委員がお挙げになりましたような実例でございますと土木関係の費用でございますが、そのほかにも、警察でありますとか教育でありますとか福祉でありますとか、それぞれの費目ごとに数値を積み上げて計算をいたしておりまして、また、その過程でそれぞれの財政需要の実態に応じた算定をいたしておるということでございまして、決して私どもの方がさじかげんをするといったようなものではございませんで、毎年度毎年度の地方交付税法の審議を通じまして、単位費用の計算なりあるいはその測定単位のとり方につきましては、国会の御審議をいただいたそれをもとにして算定をいたしておるところでございます。
  106. 田中甲

    ○田中(甲)委員 それでは、地方自治体がなぜ自治省を初めとする中央省庁からの出向者を受け入れざるを得ないのか、こういう話につながってくると思うんです。  出向者と地方交付税交付金の関係。地方交付税の交付金額一位北海道、ここは自治省から財政課長が出向しています。三位の福岡県、ここは自治省から総務部長と財政部長が出向しています。そうですね、これは事実だと思いますが、違う点があったら後ほど御指摘ください。地方交付税交付金の額の第四位新潟県においては財政課長。五位鹿児島県においては同じく財政課長が自治省からの出向、まだまだ例を挙げれば幾らでも例を引き出せるんですけれども、自治省からの出向者が財政課長となっている県が地方交付税交付金の上位を占めているというのはどういうことでしょうか、端的に。
  107. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今委員は交付税の大きさの順番をお挙げになりまして、先ほど申しましたように、交付税の算定は基準財政需要額と収入額との関係で計算をいたしますので、例えば、今第一位北海道と言われましたけれども、北海道はあれだけ広大な面積を持っておりまして、また、いろんな項目についての財政需要が多うございます。また片方で、どちらかといいますと税収のウエートが少ないという面がございまして、その差し引きの計算をいたしますと今の交付税の北海道の額が出てきておるわけでございまして、先ほど申しましたように、それぞれ項目ごとに交付税法で定められたところによりまして計算をした結果でございまして、そこのところと、今の私どもの関係者がついておる仕事との関係は、ぜひとも誤解のないようにしていただきたいと思います。
  108. 田中甲

    ○田中(甲)委員 別に私もけんかを売っているわけではないのですけれども、こんな記事を見てやはりそうなのかなということを思いましたが、これは新聞の記事であります。昨年の五月八日、地域経済レポートの発表準備を進めている経済企画庁の課長が自治省に呼び出されて、レポートで地方交付税や特定補助金、地方債について自治省の既得権益をそぐ内容が盛り込まれていたことに自治省側が気づいたので、入れかわり立ちかわり書き直しを求め、何と長時間にわたりまして、これは午前七時からですか、午後五時半まで続き、修正を求めたというような記事が新聞に書かれておりました。  もし抗議があれば、後ほど答弁の際に抗議していただきたいのですが、やはりこの辺はかなり自治省のさじかげんで、あるいはさじかげんをうまく取り計らってもらうためには、主要な役職に自治省の出向者というものを迎え入れるということを行っていくようなシステムといいますか、構図というものがあるのではないですか。  地総債というものにちょっと触れさせていただきたいのですが、これは地方債の一種でありますね。地域総合整備事業債でありますけれども、地方自治体が単独に起債により財源を調達して事業を行うとして、自治省地方単独事業として推進を図るわけで、そのときに、これは地方自治法の第二百五十条の、私も十分に精通しているわけではありませんからその点は苦しいところがあるのですけれども、疑問と思う点を質問させていただきます。  「普通地方公共団体は、地方債を起し並びに起債の方法、利率及び償還の方法を変更しようとするときは、当分の間、政令の定めるところにより、自治大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならない。」ということになっております。この地方自治法の場合には、「当分の間」というのが盛んに出てくるのですけれども、大臣都道府県知事の許可を受けなければならないというふうになっています。  この地方交付税交付金算定のもとになる基準財政需要額というものは、公共事業地方債の発行が多ければ多いほど増額をされていくというものでありまして、特にこの地総債というものは非常に有利に地方自治体にとっては機能してくるという部分が制度的にございます。地方自治体は交付金欲しさに、表現が悪ければ言い直しますが、交付金をさらにいただくことができればという思いを持って、この地域総合整備事業債というものを発行して事業を行うという傾向があったように思います。いかがでしょうか。そのために、この起債の増加による地方財政悪化ということを結果的に招いてしまったところがあるのではないでしょうか。
  109. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地域総合整備事業債についてのお尋ねでございますが、これは地方団体の自主的な地域づくりを進めていく、そのために地方団体が計画的に実施する単独事業を対象にするものでございまして、その元利償還につきまして財政力に応じて三〇%から五五%に相当する額を交付税の基準財政需要額に算入することにいたしておるものでございます。地方団体がみずから企画した内容を実現しやすくするために、こういう地域総合整備債というのを設けておるわけでございます。  この全体の単独事業の量をどういうふうに設定するかということは、毎年度の地方財政対策あるいは地方財政計画をつくる際に、その時々のいろいろな経済状況でありますとか、地方団体のニーズの状況でありますとか、そういったようなものを総合的に勘案して決めておるわけでございます。  なお、一番最初委員がおっしゃいました景気対策の関連で、単独事業の追加といいますか増額が図られてきたということは、平成四年度以降、バブルの崩壊後にそういう状況があったことは確かでございます。
  110. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ここに一枚のペーパーがありまして、地域総合整備事業債リーディングプロジェクトについて、これが本当に地域の単独事業と言えるのだろうか。  これはある町の事業でありますけれども、「みんなのふれあい公園」ということで、ガーデンサバーブという事業を推進していたときですね。トイレの工事を行わなければならない。初年度は下水道が引かれていないから浄化槽でトイレを工事するということになっていたのですけれども、その間に下水道が引かれるということになった。残念ながら、引かれるのはいいのですけれども、時差がありますから、浄化槽をつくって、そして下水道が引かれてからまたそれを撤去するということを行わなければならない。余分な予算というものが必要になったときの出来事であります。このときに、驚くことなかれ、極めて自治省の関与が、このリーディングプロジェクト、地域総合整備事業債にかかわっているという事実が明らかになりました。  推進計画をつくっている策定委員会の九名の中には、自治省から振興課長、財務調査官の二人が加わっているし、その他有識者、大学教授や県の総務部長、町からは、単独事業と言われているこの町からはただ一人町長が加わっているだけである、これが実態であるということですね。  そして、その下部機関として町の住民と職員が中心推進幹事会というものがつくられているのですけれども、ここにもコンサルタントとして自治省が推薦した東京の財団法人が加わっている。同省認可の公益法人で、役員には同省のOBが何人も名前を連ねている、こういうところが結局は事業を推進しているということになっている。こういうところに、地方への出向の実態や、あるいは地総債ということを行っていく単独事業の色合いを見せつつも、実態には自治省が極めて関与をしているというのが明らかになってきている。これについて、何か御所見がありましたら御答弁ください。
  111. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地域総合整備事業債という仕組みが設けられております事情といいますか背景は、先ほど申しましたとおりでございまして、地方団体の方が単独事業を進めていく際に、特に財政力の弱いところでそういう財源的な手当てがございませんと、どうしても補助事業に頼るということになります。補助事業に頼るということになりますと、もちろん補助事業のいろいろな要件というものがございまして、地元の実情とは別にそういうものに合わせていくような、どうしてもそういう傾向になりがちでございまして、そういうことから、地方がみずからいろいろな工夫をした事業を実現しやすくするための事業ということでそういうものは設けられております。  今、たまたま個別の例をお挙げになりまして、ちょっとその具体のケース、私も承知いたしておりませんが、基本的に単独事業でありますから、地方団体が計画する際に、みずから自分のところの職員だけで計画するというケースもございましょうし、それから第三者的に、いわゆるアドバイスを求めるための、そういう委員会のようなのをつくって計画をつくるケースもございましょう。そこはそれぞれケースがございますが、あくまでもそこは事業を行います地方団体の判断によるものというふうに私どもとしては考えております。
  112. 田中甲

    ○田中(甲)委員 私も、言った以上、直接現地に入って視察をしてきたいというふうに思っております。そのぐらいの責任を持って私たち議員も動いていかなければいけないのだろうどいう気持ちであります。  さて、第百四十国会平成九年三月六日、地方行政委員会で、出向に関しての質問を実は私がさせていただいたのですが、当時の自治大臣でございます白川さんの答弁の中で、時の大臣は、「私は前から、明らかに指定ポスト化をしているような県や市が多いのじゃないだろうか、こういうことについては私として一つの問題意識は持っておりました。」「私は、中央省庁の人はみんな局長とか部長になれるのだから、」みんなかどうかわかりませんが、「その上でなおかつ地方自治体のナンバーワンのポストまでみんなとろうなんというのは明らかに欲張りだよと。」中略でありますけれども、「とにかくずっと続けて自治省があるポストを独占しているみたいなのがあって、」ちょっと中略いたしまして、「僭越だよということで、私は、」「自治省はまずそれをやめなさいと。」「こういうことで、私は、この出向人事の問題、同じポストに連続して自治省から出向するということはするな、こう言って、」「少なくとも私が大臣のときは例外は一つもつくるなということで今指導しているところであります。」こういう大臣指導ということもありましたけれども、その後いかがなのですか。
  113. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 自治省といたしましては、国と地方団体との人事交流は活発にしていきたいと考えておりますが、地方団体へ職員を派遣する場合には、あくまでも地方団体側の要請によるべきものであるということと、もう一つは、どのポストに任命するかというのは、当然のことながら、その任命権者である地方団体の長の判断によるものであるということが原則だと考えております。  ただ、今御指摘ございましたように、一方で、長期間指定席ポストみたいな感じで長く国からの派遣が続いていること、そのことによっていろいろな弊害もあるのじゃないかということが指摘されているところでございまして、自治省としましては、今御指摘ございましたような大臣の御指導もございまして、新たに派遣する者のポストは原則として前任者と同一なものにならないようにしていただきたいということを地方団体に申し上げているわけでございます。これは、すべての人事交流の場合にもそういうふうに申し上げてございます。  ただ、平成十年度四月以降の人事交流等を見ておりましても、地方団体側の御事情によりまして、どうしても総務部長なり財政課長を自治省から欲しいというようなケースもございまして、そういう地方団体側の強い御事情、これを自治省としても無視することはできませんので、そういうものを受けとめて、例外的に同一ポストを続けてということもございます。ただ、全体として、これからも、御指摘ございましたような指定ポストとか、あるいは、そういうことに決してならないように、我々としては人事交流は地方団体と我々の側とのお互いの有益な結果となりますように今後とも努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  114. 田中甲

    ○田中(甲)委員 失礼ながら、地方自治体にも同じ質問をして、どういう答弁が返ってくるかを確認してみたいと思いますね。やむにやまれぬ事情で、人事交流という名目のもとに行わないと財源確保ができないという点が強くあるのじゃないでしょうか。また、このような景気の悪い時期に入ってまいりますと、財源確保ができない、難しいとなりますと、ますますそういう傾向が強くなる。  私は、時間がありませんので、最後の結論として申し上げようと思ったのですが、地方分権推進というのは、自治省が小さな省になるということだと思っているのです。自治省地方自治の権限を握る、統治権を手放さない限り、むしろ地方分権を阻む壁となっているのが自治省自体だということが、これからさらに声が大きくなってくると私は思っていますよ。  実は、きょう時間がなくなりましてお話しすることができませんでしたけれども、そのためには、じゃ、どのような税体系をつくるのかということをきちっと打ち出していかない限り、いつまでたっても地方分権というのは進んでいかないのだろうと思います。いや今は、ことしは景気が悪いから、財源確保に四苦八苦しているから、いや、またその時期がありましたら、こういうことを繰り返していたらいつまでたっても地方分権地方主権という時代が来ないのだろう。  時間が参りました。最後に一つだけお話しさせていただきますが、全国青年市長会というのがございます。この青年市長会は、最初に読み上げた要望とは違う、国庫補助負担金を段階的に廃止をして、それを、仮に地方分権推進交付金、一般財源として配分をしてもらいたい、そして十年計画で地方分権財源、税財源の移譲ということを行ってもらいたいということを言っております。こういう声というものも若手の市長会の中から上がってきているということを最後に御報告申し上げ、私の質問を終わります。
  115. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、富田茂之君。
  116. 富田茂之

    ○富田委員 新党平和の富田でございます。よろしくお願いいたします。  私の方からは、毒物、劇物の管理体制の強化ということについてまずお尋ねしたいと思います。  小渕総理が、九月十六日の閣僚懇で、各地で類似事件が発生して国民の不安が増加している、毒物などが簡単に手に入る現状の改善やチェック体制の強化が必要ではないかという指示をされたようであります。この指示に基づきまして、内閣官房副長官を議長とする毒劇物対策会議が設置された。九月十八日に第一回の会合が開かれたようでありますが、報道によりますと、この会議の目的として、毒劇物の管理徹底や各省庁間の連携強化事件を未然に防止するのがねらいだというふうにされておりました。  本当にこういう目的でこの会議が設置されたのか、また、九月十八日に一回目の会合が開かれたようでありますが、各省庁から出てきた局長さんたちだと思いますけれども、今後どういうような協議を進めていくのか、そして、いつまでに毒劇物の対策として具体的な対策を立てられようとしているのか、ぜひ御説明いただきたいと思います。
  117. 森山幹夫

    ○森山説明員 御答弁申し上げます。  御質問の毒劇物対策会議につきましては、最近多発しております毒物混入事件にかんがみまして、毒劇物対策に対する国民の皆様方の不安を解消することを大きな目的とするものでございます。内閣官房副長官を議長に、内閣に設置されまして、関係省庁が連携して対策をとるものでございます。具体的には、毒劇物の管理体制の強化、危害や事故発生時における関係省庁の間の情報伝達、並びに、連携して事態に対応する体制を強化していくものでございます。  対策会議は九月十八日に第一回が開催されましたが、今後これら対策強化につきまして早急に検討を進め、国民の皆様方の不安の払拭に努めてまいりたいと考えております。その際、検討を進めながらも、できる対策から直ちに着手いたしまして、さらに年内を目途といたしまして、対策会議として一定の取りまとめを行いたいというふうに考えているところでございます。以上でございます。
  118. 富田茂之

    ○富田委員 今のは何をするのだか全然わからないのですけれども。年内にというのだけは出てきたのですけれども、年内に一体何をするのか、どういう方向でこの対策会議で議論されているのか。十省庁から局長レベルの人が出ているようですけれども、何か幾つかの論点に絞ってやっているというようなことはないのですか。  今のようなお話ですと、結局、省庁連絡会議みたいなものをつくったけれども、何の成果もなしに、この毒劇物対策というのは何もできなかったというふうになるのじゃないか。オウム真理教によるサリン事件の際等も、この委員会でサリンの特別法をつくりましたけれども、その際にもこういうものが必要だという話はいろいろな委員から出ていたはずですよね。それで何もされていない。毒物及び劇物取締法が一法あるだけだ。その枠内で何かできないのかというような議論で堂々めぐりしているということでは、せっかく本当に珍しく小渕総理がリーダーシップをとってこういう会議を設置されたわけですから、もう少しきちんとしたものを出せるような、何かもう少し具体的なものはないのですか。
  119. 森山幹夫

    ○森山説明員 ただいま御指摘の点でございますが、九月十八日に第一回の会議を開催いたしましてそれぞれの省庁がとっております対策につきまして議論を申し上げました。ここで具体的な対策というのは、今後の結論の話になりますので、まだ審議しているところでございまして、つぶさに申し上げるわけにはいきませんが、できるだけ対策を深める方向で一生懸命全力を挙げて頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  120. 富田茂之

    ○富田委員 では、ちょっと観点を変えて、厚生省がお見えだと思いますので、今お話ししました毒物及び劇物取締法、この法律の枠内でしか今なかなか議論が進まない。この法律の第一条を見ますと、「この法律は、毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締を行うことを目的とする。」というふうに書かれています。犯罪の防止、犯罪予防というような見地からの法律ではない。だから、厚生省所管でどこかに載っていないかなと思って探しましたら、衛生行政六法という中にこの毒劇法は載っておりまして、厚生省が自分たちの法律だとしっかり抱え込んでいるのじゃないかなと思うのですが、この毒劇法の強化、管理体制の強化という点から毒劇法の改正が必要なのじゃないか。いや、毒物・劇物取締法は厚生省の所管です、だからそんな犯罪予防の観点からの改正はできませんというのであれば、この枠を超えて管理強化する何か具体的な案というのを出す必要があると思うのですが、まず、厚生省はその点どのようにお考えですか。
  121. 中西明典

    ○中西政府委員 毒物、劇物の管理につきましては、御指摘の毒物・劇物取締法によりましてその製造、輸入、販売等を規制しておりまして、特に、毒物、劇物の販売に際しては、購入者の氏名、職業等を記録することを義務づけておりますとともに、使用目的を確認する等の指導を行うなど、必要な措置を講じてきているところでございます。  それで、犯罪防止といいますか、当然、毒劇物の管理をきちんと行っていくということは犯罪の未然防止につながっていくわけでありますし、それから、仮に盗難等があったということがわかった場合は警察に届け出る等の義務づけも行っているところでございます。ただ、氏名や使用目的を偽って入手するあるいは窃盗によって入手するといったような場合においては、毒劇法、毒物・劇物取締法の枠内では対応が難しいことも事実でございます。  なお、毒物、劇物の管理状況につきましては、現在、全国約三千人の毒物劇物監視員が毎年六、七万件程度の立入検査を行いまして、その実態を把握するとともに必要な指導等を実施しているところでございます。  いずれにいたしましても、毒物、劇物の管理体制を一層強化していくということは必要であるというふうに私どもも認識いたしておりまして、先ほど内政審議室の方から話しました毒劇物対策会議が設置されまして、今後の対策の取りまとめを行うということにしておりますので、その検討結果を踏まえてさらに必要な対策を関係省庁連携しながら講じていきたい、かように考えております。
  122. 富田茂之

    ○富田委員 今のままでいくと、多分毒劇法の範囲を超えないような対策しか出てこないのじゃないか。この質問をするに当たって、警察庁現場の方、現場の方というか質問取りに来られた方といろいろ話をしていたのですが、警察庁の方でこの毒劇法の枠内あるいは枠を超えても犯罪予防の観点からもう少し管理強化できるような規定を入れ込んだらどうなんだというふうにお尋ねしましたら、私の方からはとてもそんなことは言えませんと。所管庁が厚生省だからということなんでしょうけれども。それであれば、せっかくこの毒劇物対策会議というのをつくったのですから、内政審議室の森山さん、どうですか、内政審議室がちょっとリーダーシップをとってこういうものはやっていきますよと、一言言ってみたらどうですか。
  123. 森山幹夫

    ○森山説明員 ただいま厚生省の方から御答弁申し上げましたように、この対策会議の内容につきまして、毒劇物対策強化ということも視点に入れておりますので、その中で所要の措置を講じていくということが検討課題でございます。そういったことで鋭意検討してまいりますので。
  124. 富田茂之

    ○富田委員 余り期待できない答弁で残念ですけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  森山さんの方からお話ありましたように、関係省庁の連携強化という点で、警察庁の方、八月十日付で「有毒物質混入事案に対する管理者対策推進及び認知時における的確な対応について」という通達を出されております。また、厚生省の方からは、七月二十八日付で各都道府県知事に対して「毒物及び劇物の適正な保管管理の徹底について」と題する通知を出されて、毒劇物の保安管理の徹底を要請されております。両方ともほぼ似たような内容でして、こういう通達、通知を出すに当たっても、現場でどういうふうに連携をとっていくか、厚生省と警察庁の方から同じような通知が現場に流れてきて、現場としてどうずればいいのかという点も問題になると思うのですが、警察庁と厚生省はこういう点についてどのように具体的に連携をとろうとされているのか、教えていただきたいと思います。
  125. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 毒物混入事件は極めて模倣性が強い事件だと思います。この事件につきましては、厚生省さんを初め関係省庁と十分連携をとりながらその再発防止対策を講じていかなきゃならない、このように考えておる次第でございます。  警察といたしましては、先ほど御指摘の通達を都道府県警察に発しまして、通報体制の確立と認知時における的確な対応、こういったものを指示しますとともに、毒物等取扱業者に対する指導、それから店舗等に対する防犯指導、こういった再発防止対策推進するように指示したところでございます。  これを受けまして、各都道府県警察、これはまさに現場そのものでございますが、警察、知事部局、消防機関等で構成する毒劇物事故等対策連絡会議等におきまして被害予防のための総合対策について協議をするとともに、初動対応マニュアル等を作成して関係行政機関と連携して所要の再発防止対策を講じておるところでございます。こういった現場レベルでの関係行政機関、団体等が連携していくことが極めて重要だ、そういう観点から現場では努力しているものと私どもは理解しております。  この種事犯の再発防止につきましては、基本的には起こしにくい環境づくりをすることが肝要であると考えておりまして、そういった毒劇物の管理を含めて、今後とも関係省庁、団体との緊密な連携のもとにそれぞれの対策を進めてまいりたい、このようにして現在やっておるところでございます。
  126. 中西明典

    ○中西政府委員 答弁がダブるかと思いますけれども、先生御指摘のとおり、都道府県レベルで警察当局と衛生当局との連携が十分に図られるということは重要であるというふうに認識しておりまして、かねてから、毒劇物に係る事故を未然に防止していくという観点に立ち、私どもといたしましても、毒劇物の監視要領の中で、警察当局あるいは消防当局と定期的な連絡、協議体制を確立して連絡、協議を行っていくように指導をいたしてきているところでございます。  また、具体的な事例に応じて関係省庁間で従来からいろいろ協議を図ってきたところであり、今後ども毒劇物対策会議におきまして、さらにどのような連携方策をとるのがよいのか十分検討してまいりたい、かように考えております。
  127. 富田茂之

    ○富田委員 都道府県レベルでの連絡会議でいろいろな問題点が挙がってくると思いますので、ぜひ毒劇物対策会議の方でも、そこをきちんと警察庁、厚生省の方でバックアップしていただきたいと思います。  今、管理体制の強化ということでお尋ねしましたが、毒物等の分析体制の確立というのがまた一つ重要になると思います。原因不明の中毒事件等が発生した場合に、どういつだ毒物が含まれているのか、この分析体制の確立が急務だと思います。  例えば欧米では、既に中毒情報分析センターが整備されておりまして、数時間単位で迅速な分析を行って治療に役立てている。日本の場合、先ほど西川委員の方からちょっと御指摘ありましたけれども、現場でかなり混乱があったのじゃないかというような指摘もありました。日本では、警察庁の科学警察研究所、そして各都道府県警の科学捜査研究所が分析を行っていますけれども、医療機関との連携が法律上義務づけられていません。非常事態が起きたときに対応のおくれにつながらないのかという心配があります。  そこで、警察の今言いました科捜研、科警研、各研究所と医療機関との連携をもう少し密接にして、科警研、科捜研で分析した結果を治療に迅速に反映できるような、そういう体制がぜひ必要ではないかと思うのですが、その点、警察庁の方はどのようにお考えでしょうか。
  128. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、そこで早速、本件が進行中でございますので、先ほどの通達以降、各県警察におきましては、病院等の医療機関それから保健所と直接連絡をとる体制を確立をいたしております。  したがいまして、例えば、御記憶にあろうかと思いますけれども、京都でケーキを買って帰った親子が異状を感じたという事件がございました。あのときにも、直ちに府警に持ち込まれまして、医療機関と連携をとって、ドライアイスがそのケーキの中にしみ込んでそういう症状が生じたということを早期に解明をいたすなど、その連携の成果は如実に上がってきておるというぐあいに思います。  ただいま一つ御指摘されましたように、平素から、科警研あるいは県警察の科学捜査研究所とその県の医療機関等との連携体制の確立も必要であろうというぐあいに思いますので、その辺の知識と経験の交流もさらに活発に行うよう指導してまいりたいというぐあいに思っております。
  129. 富田茂之

    ○富田委員 今局長が言った、平素からの連携というのをどうとっていくかというのが大事だと思うのですね。科捜研というのは、本来その地域で起きた事件対応のためにつくられたものですから、鑑定機器とかも十分じゃないところもあると思うのですね。そういう場合は科警研の方へ全部上がっていく。そういうことをやっていると時間がたってしまって、なかなか実際現場でうまく対応できないのじゃないかというのがある。平素から本当に医療機関と警察の方がうまく連携をとってきちんと処理できるようにぜひ進めていただきたいと思います。  そういう意味でも、これは警察庁の応援になるかもしれませんが、警察庁の方で、二次補正で、高度な毒物鑑定能力を持つ機器を全都道府県警に導入したいというような希望があるやに聞いております。報道では、数十億単位で要求するというような報道もされておりました。  例えば、今、科捜研にあると思うのですが、ガスクロマトグラフィー、いろいろ分析する機能、今回のようにいろいろな毒物が出てくるというと、高速液体クロマトグラフィーというのがあるようですけれども、そういうまた高度な分析機器、こういうものをぜひ導入したいという話があると思いますが、ここはちょっと早いかもしれませんが、警察庁の方で今後二次補正等でどのように考えていらっしゃるのか、もし検討していることがありましたら教えていただきたいと思います。
  130. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 ただいま要求の作業中でございますのでつまびらかにいたすことができない部分が多々ございますけれども、今御指摘ございましたように、毒物の検査といいましても、有機物であるもの、それから無機物であるもの、それから検査をいたします場合に気化をしてから検査すべきもの、液体のままないしは液化して行うもの等々、対象物件並びに検出しようとする毒物の内容によりまして千差万別でございます。  したがいまして、あらゆることに対応しようと思いますと、一つ研究機関、検査機関に多種多様のものを装備しなければならないということになりまして、その効率性の問題もございます。したがって、そのあたりを勘案しながら、最低限これがあれば有機物にもそして無機物にも対応できるであろうという、今御指摘ございましたような機材を含めまして、各県に整備することを検討中でございます。
  131. 富田茂之

    ○富田委員 今局長の方で言われたように、全部の地域に同じようなものはなかなか整備できない。そういう観点から考えますと、今回の毒物混入事件の際に、日本中毒情報センター、ここが分析していろいろな情報を提供して、和歌山の方で入院あるいは通院していた方たちの治療に物すごく役に立った、お医者さんたちもそこからの情報で治療方法がわかったというような声もありました。  こういう中毒情報センターと警察がうまく連携する。この中毒情報センターでは、例えば症状や検査結果を入力すると、原因と思われるような毒物をリストアップしてくれるようなデータベースまでつくりたいということで今研究を進めているようですので、こういう点について、警察庁も、科捜研、科警研がうまく連携をとってバックアップする、また厚生省の方でも、自治体や保健所がここの中毒情報センターの会員になりたい、会員になると十万円近くかかるようですが、そういうものについてきちんとこの際バックアップ体制をとっていくべきだというふうに私は思うのですが、警察庁、厚生省、どうでしょうか。
  132. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 御指摘のとおりだと考えております。  したがいまして、警察庁といたしましても、具体的な捜査の過程で捜査の情報ということで支障がある場合は格別でございますけれども、そうでない限り、また事件捜査の結果、年月を経ましてそれが一つ研究テーマとなるというようなこともございますので、現在におきましても学会を通して毒物研究者の経験交流は行っておりますけれども、今御指摘ありましたセンターとの交流も視野に入れまして、積極的に交流をし、健康の阻害要因を少しでも減らす、そしてまた事件解決にも生かしていくという両方の観点からそのように配意してまいりたいというぐあいに考えております。
  133. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 今回の事件で出てまいりました財団法人の日本中毒情報センターというものは、日本救急医学会等が中心になりまして、厚生省の支援を受けて設立された公益法人でございまして、情報提供活動を賛助会員からの会費等によって賄いつつ財団運営が行われております。そして、今先生のお話がありましたように、これは、賛助会員になっていただいて、そこに情報提供をお求めになったときに出すという仕組みになっておりますけれども、それ以外にも個別に相談に応じる方法というのがありまして、一件二千円ということで対応させていただいておりまして、例えば地方自治体の場合に、村だとか町とか件数が少ないところはこの一件二千円ということで対応されればいいのではないかな、私はこう思っております。  また、厚生省としましても、より的確な情報が提供できるということが大変大切でございまして、今回の事件でいろいろ御意見をいただいておりまして、より的確なサービスができるように今後も努めてまいろうと思っております。  ただ、今中毒情報センターの経費を賛助金という形で補っていただいておりますけれども、今日の財政状況は大変厳しいものですから、今後とも、地方自治体においてもその情報センターについての御協力をお願い申し上げたい、このように思っている次第であります。
  134. 富田茂之

    ○富田委員 時間も来ましたので、最後に、国家公安委員長たる大臣、ちょっと一点お伺いしたいのですが、七月二十五日に起きた和歌山毒物カレー事件、これ以降、和歌山市の園部地区では、ここに居住する自治会住民数を上回る報道陣が連日のように詰めかけて、この地域は物すごく混乱しております。住民の方たちからは、心身ともに疲労しております、報道取材を自粛して静かに休息させてください、こういった報道取材の自粛を求める要請文が各世帯に張り出されるようになった。こういう事態に至って、日弁連の方も、一部の報道機関が特定の個人の住居を昼夜監視し、子供の写真を撮影するなど個人のプライバシーや近隣住民生活を侵害している、これは問題だということで、会長談話を発表されました。  事件捜査はきちんとやっていただきたいし、本当に早く解決していただきたいと思いますけれども、捜査機関、司法機関でない報道機関が、まるで人民裁判のように押しかけて犯人捜しをする、そういう中でいろいろな人権侵害が起きてくる、こういった点について、大臣は、国家公安委員長として今どのようにお考えになっているか、最後にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  135. 西田司

    西田国務大臣 一般論を申し上げるようでございますけれども、取材や報道のあり方等について、私、国家公安委員会委員長がコメントを申し上げるということは控えさせていただきたい、これをひとつ御理解をいただきたい、こう思うわけであります。
  136. 富田茂之

    ○富田委員 立場もわかりますが、やはり国家公安委員長というのは、犯罪捜査の上で、国民の安心感をかち取っていくというだけじゃなくて、そういう周辺にいる人たちも守っていくのが警察庁の役目であり、また国家公安委員長のお立場だとも思いますので、ぜひ人権に配慮した報道体制がとられるように、大臣からお言葉をいただきたかったのですが、大臣はそう思っていらっしゃると思いますので、うなずいていらっしゃいますから、これで質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  137. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、桝屋敬悟君。
  138. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 外は日も暮れてまいりまして、大変皆さんお疲れだろうと思いますが、新党平和の桝屋敬悟でございます。できるだけ簡略に一般の質疑をさせていただきたいと思います。  きょう、一時からずっと、大臣、お疲れでございますが、話を聞いておりまして、地方財政の本当に危機的とも言える厳しい状況や、あるいは毒物混入事件や、何も明るい話がないわけでありまして、非常につらい思いで聞いておりました。  そんな中で、この地方行政、この国会、実は法案としては宝くじを変えようという話がありまして、これもこれほど厳しいときに宝くじだけかという、こんな気もしないでもないのでありまして、ただ、宮路先生いなくなりましたけれども、夢をお届けするという話、それも理解できなくはないのであります。  きょうは質問通告はしておりませんから、これは聞いていただければいい話でありまして、本日、我が平和の友党であります公明が参議院におきまして、すべての問題は景気対策でありますから、景気がよくなればいろいろな問題は解決するわけでありまして、本当にこれから政府におかれても大型の経済対策、もう一回お考えになるかもしれませんが、国民経済の活性化に資するための商品券の支給に関する緊急措置法案を本日参議院に提出されたようでございます。御報告をさせていただきまして、宝くじよりもはるかにすばらしい、まさに夢のある案ではないか、このことを報告しながら質疑に入りたいと私は思います。  決して笑っていられない厳しい地方財政状況があるわけでありまして、先ほど宮路先生あるいは西川先生あたりのお話を伺っておりましても、本当に私は、地方財政が危機的な状況にあるというように思っております。一昨日ですか、私は東京都議会議員といろいろな議論をしておりました。これほど厳しい中で頑張っております、本当に行政経費を節減して、四百億、五百億というオーダーで頑張っております、何とか地方の仕事が後退することがないように頑張っている、こういう話がありましたのですが、にもかかわらず、この景気の中でありますから、税収の落ち込みは四千億以上という東京の話を伺いまして、本当に地方自治体の厳しい状況をかいま見させていただいたわけであります。  先ほどの議論の中で、それぞれ税収の落ち込みの状況、事細かに数字も挙げられて話があったわけでありますが、もう一回確認でありますけれども、自治省としてはどれぐらいの税収の落ち込みと見ているのか。マスコミでは一兆円とか二兆円とか、話もありますが、今の状況からいくと、地方税収、都道府県税十七兆円余、市町村民税で二十一兆円余、合わせて三十八兆円が地財計画では予定をされておりますけれども、どの程度へこむというふうに見込んでおられるのか、もう一度確認をさせていただきたいと思います。
  139. 成瀬宣孝

    ○成瀬政府委員 お答えをいたします。  先ほどお答えいたしましたように、道府県税の方の収入見通しは、現在把握しておりますのが七月末現在の調定の状況でございます。それから、市町村税につきましても、これは道府県庁所在都市と政令指定都市四十九団体の抽出調査で、時点も、市町村でございますので、現段階では六月末の調定状況ということで、まだ年度末までは相当の期間を残しておりますので、まことに恐縮でありますけれども、現時点で落ち込み額が当初の予想、見込みに対してどの程度の規模になるものかということを具体的に申し上げるのはちょっと難しい点があることを御理解いただきたいと思うのです。  いずれにいたしましても、現在の景気低迷あるいは消費の落ち込みというような深刻な状況が続きますと、かなりの規模地方税収入の減になるのではないかというふうに見込まれるところでございます。
  140. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の時点では定かな数字はないのでありましょうが、ただ、先ほどの御報告の中で、法人二税の状況あるいは不動産取得税、自動車税、いずれも大変な数字でありますから、私は、今年度まだありますけれども、これから決していい見通しは立てられないのだろう。大臣の方から、注意深く見守っていきたい、極めて厳しい状況だというお話をいただきまして、まさにそのとおりだろうと思います。  それで、税収が落ち込んだ場合に、ともかく地方自治体にとりましてはこの税収の落ち込みにどう対応するかということが極めて重要でありまして、対応を誤ると、何も東京とか神奈川とか、もちろん大きいところもそうでありますけれども、すべての県、地方におきましても、これは対応を間違えますと福祉や教育を切り捨てざるを得ないという厳しい状況になろうかと私は思うのです。  そういう意味で、この地方財政対策の中で税収の落ち込みに対しては具体的にどういう対応をされるのか、かいつまんでお伺いしたいと思います。短くお願いします。
  141. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 例えば十年度の地方税収が落ち込んだ場合でございますが、十年度の地方交付税は、御承知のようにもう算定をいたして配分をいたしておりますので、その当初の地方財政計画を前提にして計算をいたしております。  したがって、それから落ち込んでまいりますと、交付税の計算をもう一遍やり直すというわけにいかないものですから、その年は結局、税収の穴があいた分については基本的には減収補てん債という形で対応をして、その元利償還を後年度交付税に算定をしていくということにいたします。それから、資金的に減収補てん債を出さなくてもいけるというところにつきましては、翌年度以降三年ぐらいかかって、特に法人二税なんかにつきましては精算というやり方で、交付税の中でいわばそれを戻していくというふうなやり方をする。それで、その当該年度をどうするかというのは、あくまでも資金状況に応じてやっていくということでございます。
  142. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今お答えのありました減収補てん債であります。減収補てん債の対象税目ですね。法人二税等は当然ながら、基幹税については減収補てん債という対応があるのだろうと思うのですけれども、例えば不動産取得税、ことしも一四・七%の三角だというようなお話がさっきありましたし、自動車税等も大変に厳しい状況にある。特に消費が今厳しい状況にあるわけでありまして、地方消費税あたりも私は大変に厳しい状況にあるのではないかというふうに思います。それで、減収補てん債ではどこまで対応してもらえるのか、特に地方消費税、これは始まったばかりでありますけれども、私の地元状況を聞きましても相当大変な数字になっておるやに伺っております。そういう意味では、地方消費税税収減見込みといいますか、そういうものがもしわかりましたらお知らせをいただきたいし、あるいは減収補てん債で対応していただけるのかどうか、その辺をあわせて伺いたいと思います。
  143. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 各県からの税収状況を聞いておりますと、法人二税はもちろんでございますが、今消費が伸び悩んでおりますので、地方消費税についても減収が出そうだという話は聞いております。  減収補てん債というのは、原則といたしまして交付税で精算をいたしますような法人関係税あるいはその利子割といったようなことについて減収補てん債を発行するということになるわけでありますが、九年度の場合でも、そのほかに不動産取得税で、これは特定の団体にかなり偏って減収が出たということがございまして、そういう団体でいわば資金不足が生ずるという御相談がございました。そういうケースにつきましては、九年度は不動産取得税につきましても減収補てん債の対象といたしました。  この精算ということは、あくまでも法人二税とか利子割とかということに限定をいたしておりまして、減収補てん債の対象として不動産取得税も九年度は出したということはございますが、いわばその元利償還を後年度交付税に算定するというふうなことはいたさない、その年度の資金的な不足対策として、減収補てん債の対象にするということで九年度はいたしました。  地方消費税について十年度はどうするかということは、これはまた、これからどういう減収の状況になってくるかよく見きわめなくちゃいけませんし、それから、団体ごとでどういう状況になってくるかということで、団体の方のいわば資金的な状況をお聞きして御相談をすることになると思いますが、その場合でも、地方消費税は、御承知のように、消費に応じまして各団体間で精算をするというふうな性格の税でございますので、交付税の精算対象の税目とはなっておりません。  したがいまして、仮に地方消費税の減収分について資金的な対応として減収補てん債を出すということは、御相談でございますが、これはあり得ると思いますが、それについて精算の対象にするとか、あるいは減収補てん債を出したものの元利償還を交付税で後年度計算するとかということの対象にはならないというものでございまして、そこのところはちょっと区別を要するということでございます。先ほど申しましたように、九年度の不動産取得税につきましても、減収補てん債という形で、いわば資金不足対策としての地方債を起こして、それでその資金的な不足をその団体について乗り切っていただいたということでございます。
  144. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかりました。精算がないということは、それはそれで結構なんですけれども、資金手当て、要するに、今地方はどういう状況かというと、ことしが越せない、大臣、それぐらい現場は厳しいんですよ。ことしの予算の執行、ことしの状況が厳しいということがあるわけでありまして、今お答えはなかったんですが、地方消費税はどんな状況かというのはまだわかりませんか。
  145. 成瀬宣孝

    ○成瀬政府委員 地方消費税につきましても、先ほど申し上げましたように、まだ年度中途でございますので、最終的な税収額を見込むのは現時点では困難でございますけれども、昨年から引き続き個人消費あるいは住宅建設などが低迷しておりますことを考えますれば、平成十年度、今年度の地方消費税収入額が地方財政計画で見込んだ額を下回る可能性も十分に考えられるところでございます。
  146. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 法人二税はもちろん大きいのですけれども、消費の今の状況を見ますと、総務庁の家計調査あたりを見ますと、七月の状況でも九カ月連続前年割れの状況でありまして、すべての国民は消費が落ち込んでいるというのはわかっているわけでありまして、また、この消費の落ち込みは、先ほど我が党の友党の商品券の話を出しましたけれども、すぐこれを打開できるような状況は、私はなかなか厳しい見通しだろうと思うんですね。  そういう中にありまして、東京とか神奈川の大都市部は法人二税の落ち込みが大きいわけでありますけれども、地方は、やはり私はこの地方消費税、相当大きな影響があるのではないか。私も確認をしてみたいと思っておりますけれども、今の総務庁の家計調査あたりを見ますと、大変厳しい見通しがされるだろうと私は思うんです。そういう意味では、財源手当てでも何でも、ともかく昨年の不動産取得税のような取り扱い、多分地方によっては随分差があると思います、そういうこともよく踏まえていただいて、きめ細かに地方の実態を聞いていただいて対応お願いしたいと私は思いますが、いかがでありましょうか。
  147. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今委員が御指摘になりましたように、それぞれの地方によって状況はまたさまざまであろうと思いますが、いずれにいたしましても、各地方団体の個別の財政状況をよくお伺いしながら、適切な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  148. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 しつこくこのことを言っておりますのは、この辺は道を誤りますと、地方はこういう財政の厳しい状況の中で、さっき言いましたように、福祉、教育等のきめ細かな地方の事業がどうしても犠牲になるわけでありまして、この厳しい中で、できればいろいろな制度を合理化したいという動きもあるわけでありまして、その辺がニーズ等よく検討もできないままに後退をしてしまうということになっては大変だということを私は危惧をしているものでございます。その点、どうかよろしくお願いをしたいと思います。  持ち時間もほとんどありませんから、最後に大臣ともお話をしたいと思うんですけれども、きょうも先ほどからずっと出ております。これから今後の減税を小渕政権は公約をされておりますけれども、大臣も、先日地方団体と懇談をされたというふうにおっしゃっておられまして、減税基本的には国が責任を持つべきだ、減税するなら代替財源確保してもらいたいという地方の切実なお声は聞かれたと思います。さらにまた、具体的には、消費税のうち地方への配分をふやしてもらいたいというようなお声もあったというふうに伺っているわけであります。  大臣減税をするならば、地方に影響があるものは必ず代替財源確保するということはぜひお考えいただきたいし、具体的に提案のありました、消費税のうち地方への配分をふやすというようなこともあわせて、どんなふうに検討されているのか、どんなふうにお答えになったのか、最後にお尋ねをしたいと思います。
  149. 西田司

    西田国務大臣 お答えをいたします。  地方分権推進や、それから高齢化の進展に伴う地方財政の現状を考えると、地方税の充実とあわせ、安定的な地方税の体系を確立することが私は一番大切ではないか、このように思っております。  それから、今回の減税の具体的な内容については、たびたび申し上げておりますように、国税と地方税をどのように取り扱うかを含め、今後政府税調等の御意見も十分に聞きながら、検討の結果を踏まえて決定をしていきたい、こう思っております。  それから、大変重要なことを御質問されたわけですが、御指摘になった消費税のうち、地方税源である地方消費税配分割合の引き上げなど、さまざまな議論を踏まえての御質問であったと思うわけでありますが、この問題については、減税の具体的内容とあわせて総合的に検討をさせてもらいたい、言い逃れのようでありますけれども、総合的に検討をさせてもらいたい、このように考えております。
  150. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 先ほどからずっと大臣の御答弁を聞いておりまして、今回は特別減税じゃない恒久減税ということも含めて政府税調でもということですが、どうしても、さっきからの大臣お話を聞いていて、今回の減税というのは、やはりある意味では急ぐわけですね。この景気を何とかしなきゃいかぬというわけでありまして、一体いつになったらその結論が出るのかというのは、大変に私は気になるところでありまして、大臣、具体的に政策日程としてはいつぐらいまでにどういう方向をお出しになるのか、内容は結構として、政策日程はどういうふうになっているのかというのを最後に確認をさせていただきたい。
  151. 西田司

    西田国務大臣 今、自治省でも総力を挙げてこれらの対策に取り組んでおるところでございますが、これは引き続いて、来年の地財計画との問題もございますので、今ここで、こうでございます、ああでございますというお答えはできませんけれども、私も、私以下自治省、必死で取り組んでおるところでございます。
  152. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 具体的な日程をお教えいただきたいと思ったのでありますが、何でそういうことを聞くかというと、地方は、本当にことしをどう乗り越えるか、来年の展望はないわけでありますけれども、ともかくことしをどう乗り越えるか。二次補正等の対応もあるでありましょう。大変に苦しい中で地方財政を検討されているわけで、今から慎重にじっくり検討しますということでは、地方も本当に大変だろう。恐らく、各県を呼ばれていろいろなヒアリングをされ、その中で具体的なことはおっしゃっていると思いますけれども、私は、地方が本当に立ち行かなくなるようなことがないように、現場の九月議会あたりではどんなことになっているのか、大変に心配であります。  本当に蛇足でありますけれども、この前労働委員会でこんな話があったんです。現下の厳しい雇用情勢の議論をしているときに、いつになったら完全失業率がよくなるんだと言ったら、甘利大臣が、いやいや、十六兆の経済対策だってなかなか効果が出ないんだ、それは地方が議会でまだいろいろ決定できないからと、地方に責任があるようなお話をされまして、私もそれはわからぬこともないけれども、本当に地方は大変に苦しんでいるということもありますから、私は、積極果敢に日程等についても、あるいは方向性等についてもどんどん出していただきたい。  もう少し言いますと、これほど厳しい時代ですから、将来展望はともかく、私の持論は、いつも手足ばたばたでありまして、ばたばたばたばたしていない限りどうにもならぬというのが今の地方の差し迫った状況だということだけ申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  以上であります。
  153. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、佐藤茂樹君。
  154. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 自由党の佐藤茂樹でございます。きょうはお時間をいただいておりますので、地方分権推進についてということと、あと、今世の中を大変不安に陥れております毒物混入事件について、大きく二点、大臣並びに関係省庁の方にお尋ねをしたいと思います。  それで、まず一点目に地方分権推進についてということなんですが、私は、橋本前総理、参議院選で厳しい審判を国民から受けて、責任をとっておやめになった。ほとんどが失政が多かったと思うのですけれども、その中で何点かいいものも残されたのではないか、そのように思うわけですね。  その一つが、昨年末に地方分権推進委員会、四次勧告までで一応審議終わりというふうに御本人たちは思っておられたそうですけれども、そこに対して、もう一度権限移譲について、きちっとしたテーマを持って検討してもらいたい、そういう指示を出された、それは本当にいいことではないのかなというように私は個人的には思っている次第なんです。ところが、この七月ぐらいから、各紙報道をずっと拝見いたしておりますと、この第五次勧告の作業、地方分権推進委員会の作業というものが、省庁と族議員の抵抗に遭って、大変な正念場に来ているのではないのか、そういう印象を持たざるを得ないわけですね。  時間もありませんので、各紙の見出しだけざっとさらっていきますと、新聞名は言いませんが、「守り固い公共事業」「農水、運輸ゼロ回答」「族議員・官僚の抵抗 公共事業改革に壁」「猛反発 自民部会 建設省」というように、事ほどさように、先ほどある方が、分権推進委員会の作業というのは難航しているのかという質問をされたと思うのですが、私は、その質問以前にも、難航しているのではないか、そういう実感を得ているわけです。  その中で特に一番問題なのは、分権への熱意というものがなかなか小渕総理からはうかがえない、そういうことではないのかな、そのように思うわけです。これは十月五日の日本経済新聞にも出ておりましたけれども、その報道によると、地方分権推進委員会の「諸井委員長は八月十日、小渕恵三総理に会い、分権への協力を求めたが、返ってきた言葉は「おれも勉強してみるわ」だった」とあります。私は、地方分権というのは勉強も大事ですけれども、もはや勉強のときは過ぎて実行する段階に来ているのではないのか、そのように私は認識しておったのですが、総理から出た言葉というのはそういう言葉であるというように報道されております。  さらに、作業を進めている中心者である諸井委員長はインタビューで、総理のことについて、「小渕首相が橋本前首相のように細かいことまでご承知でないとしても、行革が重要な継続課題であることはわかっているはず。ただ行革の中の分権の重要さをどう考えているのか分からない面もある。」これは、地方分権推進委員長の諸井さんがそういうように疑問を呈しておられる。そういう状況なんですね。ですから、私どもから見ていても、やはり小渕総理の地方分権観というのもわからないし、熱意もわからない。諸井さんも、どちらかというと疑問を呈しておられる。  最初にやはりそういう意味から聞きたいのは、一体、小渕政権の地方分権に対する必要性認識、さらに熱意、そして地方分権を進めていこうという姿勢というものはどうなっているのかということを、閣僚の一人であられる、また、地方行政地方自治を担当されている自治大臣にまず御所見を伺いたいと思います。
  155. 西田司

    西田国務大臣 お答えをいたします。  私は先ほど来いろいろと意見のやりとりをいたしておりますが、今小渕内閣が当面しておる大きな問題は、これは経済、金融問題もありますけれども、行革という問題だと思っております。行革と地方分権というのは、これは一体的と言っても言い過ぎではないと私は考えております。ですから、いろいろ今総理の御認識等について触れられましたけれども、私はそういう面から考えると、小渕総理も、何としてでも地方分権はやっていかなきゃいかぬ、そうしないと日本の根幹である行革というものが進まないということは十分考えておられると思っております。また、私ども実務を担当いたします者は十分に総理を補佐してやっていこうと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
  156. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 それで、これは実は橋本前総理と前国会で行革特の最後の総括質疑のときにもやりとりをしたのですけれども、私は、今大臣がおっしゃった行革の中で、地方分権と規制緩和というのが車の両輪であって、それがまず先にあって、それから中央省庁のそういうスリム化というものが今度その結果として当然スリムになるので、後で機構をどういじるかということをやってはどうですか、私はそういう行政改革観を持っています、そういうふうに申し上げたところ、総理は、いや、今は中央省庁の改革が大事で、地方分権と規制緩和はそれぞれの委員会に今ゆだねております、地方分権推進委員会については近々、あの時期でしたから、計画にもなる予定ですので、その辺は御案じなくという、そういうトーンの答弁をいただいたのですね。  しかし、事ここに来て、今大臣がおっしゃったように、中央省庁等改基本法案で法律として成立した中央省庁の行革の姿と、そして地方分権推進計画、さらには第五次勧告なんかで検討されているものとがどうリンクしていくのかということが非常に大事になってきているだろう。特に第五次勧告で検討されている内容というのは、公共事業の権限移譲をどうしていくのか。  しかし、これは、実は後先になりますけれども、今度の中央省庁等改基本法案で既にそれはもう法律で明記されているのですね。この四十六条に「公共事業見直し」という項目があって、ざっと、長いので読みませんが、すなわち、国の行う公共事業は特に必要のあるものだけに限定して、そのほかの事業というのは地方にゆだねることを基本とするんだ。たしか総理も行革特の審議のときにそういう答弁をされていたと思いますし、特に巨大官庁になるのではないかという批判が国土交通省という省に対してあったのに対して、当時の建設大臣とか運輸大臣もそういう懸念を一掃するために、地方分権であるとか規制緩和というものは努力するんだ、そういう旨の答弁をされていたと思うのですよ。  ところが、事ここに至って、具体的に省庁に対してヒアリングとかを行ったり、またいろいろ行っていく中で、地方分権推進委員会の具体的な作業がなかなか乗っていかない。このままでいくと失速して、十月末の勧告に間に合うのかどうなのかわからないという報道までされている事態ではないかなというように私は思うわけです。  そこで、ぜひ具体論として大臣から、少なくとも自治大臣としては、現在難航している地方分権推進委員会の作業をバックアップすることが先決であるということをまずやはりきちっと意思を明確にして、そういう協力の意思を、そしてなおかつ、いろいろなそれぞれの事情があって抵抗されている省庁もあると思います、具体的に知っていますが、言いませんが。そういう閣僚の皆さんにも声をかけるとともに、もちろん小渕総理のリーダーシップも発揮していただくように具体的に声をかけまとめていく、そういう働きかけをするということが、今この十月、もう入って六日です、このタイミングで非常に大事になってくるのではないかなというように思うのですが、そういう地方分権推進委員会の作業のバックアップをする御意思があるのかどうか、もう一度大臣に御見解を伺いたいと思います。
  157. 西田司

    西田国務大臣 私は、地方分権推進委員会の御苦労や、それから、いろいろ今当面する問題についての取り組みに対しては大変敬意を表しておるわけであります。私たちも一体になって取り組んでいかなきゃいけないことでありますので、御指摘の点は十分わかっております。ただ、内閣を挙げてこれはやっていかないと、自治省なら自治省だけでやれるものじゃございませんので、そこらをまた、御意見がありましたように、私たちも閣内において総理にも御進言申し上げ、そして進めていくような努力最大限に払ってまいります。
  158. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 ぜひ、自治大臣一人で孤独であれば総務庁長官なんかとも連携して、閣内で立ち上がっていただきたいな、そのように申し上げておきたいと思います。  それで、第五次勧告の作業についての注文はこれぐらいにしまして、五月二十九日に地方分権推進計画が閣議決定されたにもかかわらず、その後、実は当委員会も開かれておりませんでしたので、この後の時間を使って、地方分権推進計画について何点かお尋ねをしたいと思うのです。  まず最初に、地方分権推進計画について自治大臣としてどう評価されているのかというのをお伺いしたいのですが、当時の前任者の上杉大臣は、この閣議決定の後にへ中央集権が通用しなくなる、明治の廃藩置県以来の大改革であり、政府のスリム化につながると、一言で言うとオーバーなくらいに自画自賛をされたのですけれども、具体的に、自治大臣としてはこの推進計画についてどのように評価をされているのか、まずお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕
  159. 西田司

    西田国務大臣 地方分権推進計画は、これは地方分権推進するための具体的な指針が示されたわけでありまして、地方分権推進委員会の四次にわたる勧告を最大限に私は尊重していかなければいけない、こう思っております。政府の計画としてこれは閣議決定をしておるわけでございますから、このことは尊重をしていくことは当然であります。  それから次に、今回の計画は、機関委任事務の廃止、国の関与の見直し、権限移譲の推進、国庫補助金の整理合理化等の地方税財源充実確保などが主な内容になつておることは御存じのとおりであります。地方公共団体の自己決定権と、それからもう一つは自己責任というものも当然これは並行してくるわけでございまして、分権社会を実現するために大きな意義があるものと私は考えておるわけでございます。  最後に、今後はこれらを着実に実施していかなければなりません。そのことに対して我々も努力をしていく、こういう考えでございます。
  160. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私も、今大臣の答弁にもありましたけれども、明治以来の機関委任事務を廃止された、上下主従関係にともすればなりがちな国と地方の関係を、対等・協力関係に持っていこうという試みの第一歩であるという点では私も評価しているのです。しかし、いろいろ、これは五百ページ以上にわたりますけれども、さっと中を見させていただきましたけれども、まだまだそれでも多くの課題や懸念材料、そしてさらには論点も残しているのではないのかな。そういうことも前総理は感じられて、第五次勧告もするようにというように言われたのだと思うのですけれども、私自身挙げるだけでも、例えば、少なくとも九つほどはこれから考えていかないといけないだろう。  それは、一つはやはり税財源の移譲の問題。二つ目は、市町村という基礎的自治体の充実をどうしていくのか。三つ目は、さらに権限移譲の問題ですね、国から都道府県もありますし、さらに市町村という場合もあると思うのですけれども、これが今回六十四件しかなかったのですね。四つ目が、法定受託事務の定義とか法制化をどうしていくのか。五つ目が、今度つくろうという国地方係争処理委員会について、内容をどうしていくのかということをもうちょっと検討する点がある。六つ目は地方の意識改革、これは大臣も今おっしゃったと思うのですけれども。七つ目が、分権によってどれだけむだを省けるのか。八つ目が、住民参加という検討課題をこれからどうしていくのかという問題もあります。九つ目は受け皿の問題ですが、地方行政行政体制あり方をさらに具体的に詰めないといけないだろうということがざっと見た私の感想なのですが、この後の時間を使って一つ一つ、聞けるだけお聞きしたいと思います。  その中で、やはり先ほど来も、昼からずっと議論になっておりますけれども、一番大きな地方分権推進計画の中での不満、これは、発表されたと同時に、もう読み上げませんけれども、東京都知事初め各都道府県知事が申されておりましたけれども、その課題というように各知事さんもおっしゃっていたのは、この計画では、税財源の移譲の問題は事実上すべて中長期的な問題として先送りされている、具体的な考え方はほとんど計画に示されていないということが異口同音に言われているんですね。私自身もやはりそれは本当に同感だと思います。  先ほど、前の質問者に対して大臣も、安定的な地方税の体系を確立することがこれから大事なんだ、そういう話をされましたけれども、やはり仕事はおりてくる、権限はおりてくるけれども、財源がセットでおりてこない、そういう地方分権というのは画竜点睛を欠くものであるというように私自身も思っておりますし、さらには、先ほど来、昨今の地方財政悪化というものを考えていったときに、今の地方と国の税体系また財源配分状況というのはもはや本質的な、構造的な問題になってきているのではないのかな、そういう感じがしてならないわけですね。  そういう意味からいうと、今第五次勧告で行われている公共事業についての権限移譲に絡む税財源の移譲だけではなくて、大きな意味で、国と地方の税体系をどうしていくのか、この税財源の移譲の論議をどうしていくのかということを、まだまだこれからも、地方分権はやっとスタート台に立ったのだという意識に立って、きちっと論議していく必要があるのではないのかなというように私自身は思うのですが、大臣の所見をまず伺いたいと思います。
  161. 西田司

    西田国務大臣 私の地方分権に対する考え方は、確かにお話があるように、明治以来の中央集権型、このことを本当にこの時期に、時代の大きな変革期に、思い切ってやっていこうということでございます。  私は、分権の中で、実はこういうことを考えております。一つは、これは国と地方、国と県、市町村役割というのをどのように分担していくかということが、これがやはり根っこになってくるだろう、こう思っております。  それからあわせて、それはいろいろ立派なことを言ったり書いたりしたって、財源というものがなかったらこれはやっていけないのです。だから、今後の税財源構造というものをどうしていくかということが一つ地方分権の中でこれは整理がされていかなければいけないことだ、こう思っております。  それから最後に、これは先ほど来、市町村合併の問題も出ておりますが、これは市町村合併ももちろんでありますけれども、地方行革というものもやっていかないと、それは、一遍に市町村合併に行くのか、あるいは広域連携をしながらそういう準備をしていくのか、そういうことに取り組んでいかないと、地方分権地方分権と言ったって、それはお題目になってしまう、私はそう考えておりますので、そういうことを今後計画の中でも具体的に詰めていかなければいけない、このように考えております。
  162. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そこで、今大きく三つほどのこれからやらないといけないことを言われたのですけれども、それをどういうようにしていくかですね、具体的には。  第五次勧告、今ずっと事務局なんかの御説明をいただいている感じでも、やはり公共事業の権限移譲のところで手いっぱいになっている。本当は、当初の掲げるテーマとしては地方税等の充実確保というところも一番下ぐらいの項目であったと思うのですけれども、これがなかなか実際そこまでの勧告になるのか非常に不明なのですね。  先ほど来もあったと思うのですけれども、この第五次勧告で、やはりそこの部分がまだまだ不十分であるとするならば、この権限の国から地方への移譲に伴う税財源充実確保というものをどうしていくのかということは、引き続き地方分権推進委員会の皆さんに当然検討していただかなければならない課題であろう。それはもう一次から四次、またさらに五次まで論議されてきたその流れがありますから、そういうことでいうと、あと二年まだ任期もあるので、同じメンバーでやはり詰めてやっていただかなければいけない課題であろうというふうに私自身は思っているのですね。  これは、だから勧告の結果次第ですけれども、それを見ていただいた上で、もしその辺の税財源充実確保という部分が不十分であるならば、ぜひ大臣の方からでも結構ですので、小渕総理大臣また関係閣僚の皆さんに働きかけていただいて、引き続きその部分について、地方分権推進委員会に作業をしてもらうように働きかけをしていただくということをぜひお願いしたいと思うのですが、大臣の所見を伺いたいと思います。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  163. 西田司

    西田国務大臣 御趣旨を踏まえて、私は私なりに委員会あるいは内閣で努力を払ってまいりたいと思っております。
  164. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 ちょっと先を急ぎますが、幾つか問題点を出した中で、権限移譲ということについて、ちょっとお聞きしておきたい部分があるのです。  今回、市町村という基礎的自治体の充実という観点からの計画内容が非常に弱かったという話をいたしました。権限移譲が六十四項目しかなかったという話もしましたけれども、その権限移譲の項目の中で、一つだけ目を引く部分がこの分権推進計画の中に実はあったのです。それは、都道府県から人口二十万人以上の市への移譲、そういう項目が権限移譲の項目の中にきちっと掲げられているのですね。  この人口二十万人以上の市への権限移譲については、当該市からの申し出に基づき指定することにより、権限をまとめて移譲するための必要な法制上の措置を講ずることとされている。そういうことなのですけれども、今私の認識している限り、人口三十万人以上が中核市、またそれ以外に指定都市という特別な権限を移譲される市があることは認識しておるのですけれども、なぜ人口二十万人の都市なのか、そういう疑問を持つのは私自身だけではないと思うのです。どういうところから、そういう指定都市でもなく中核市でもなくて、人口二十万人以上という定義が出てきたのか。さらには、二十万市をどういうようにつくっていこうというように自治省として考えておられるのか。今のところの見解をお伺いしたいと思います。
  165. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  地方分権推進委員会の勧告におきまして、市町村に対する事務移譲の考え方が示されております。  基本的な考え方は、できる限り市町村への権限移譲は一律に、全市町村に権限を移譲していくということが望ましいが、現実問題としてそれをスピードアップして移譲というものを進めていく場合には、規模とか能力に応じた移譲ということを考えるべきだということで、「行政ニーズが集中し、事務処理に必要とされる専門的知識・技術を備えた組織整備することが可能と思われる市町村から、人口規模に応じて段階的に権限を委譲する」ということでございます。  お話のように、市町村におきましては指定都市制度あるいは中核市制度がございますが、それに次ぐものとして、おおむね人口二十万の都市についてまとめて権限を移譲するということを検討すべきである、こういう勧告でございまして、私どもといたしましては、分権計画にその旨を盛り込みまして、指定都市、中核市、人口二十万以上の市、それから一般の市町村ということで、勧告の内容を踏まえまして法律改正に臨むということで現在作業をいたしております。
  166. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 勧告の内容を踏まえてそのまま載せるのは簡単なのですが、きょうは時間がないので今後また議論をしたいと思うのですが、さっきも言いましたように、中核市であるとか指定都市との整合性ですね。こういうものをどうしていくのかというのはこれから本当に法制化するまでに非常に大きな問題になってくると思うので、この辺は引き続き議論をさせていただきたいと思います。  それで、自治省関係でもう一つだけお尋ねをしたいのですけれども、法定受託事務の定義について、ちょっと最終的に確認をさせていただきたいのです。  今回、先ほどからもありましたように、機関委任事務を廃止して、自治事務と原則自治事務でなおかつ法定受託事務、そういうように立て分けられたわけですけれども、今回、実は勧告から計画に至る段階で、大きく二つ違っているのですね、内容が。法定受託事務の定義の内容が微妙に表現が変わっているということが一つ。もう一つは、国地方係争処理委員会、これは今度総理府に置かれるそうなのですけれども、それへの国からの審査の申し出というものをなくしたということが二つ目の違う点だと思うのです。  一つ目の法定受託事務の定義ですけれども、第一次勧告では次のようになっているのですね。「事務の性質上、その実施が国の義務に属し国の行政機関が直接執行すべきではあるが、国民の利便性又は事務処理の効率性の観点から、法律又はこれに基づく政令の規定により地方公共団体が受託して行うこととされる事務」と定義されていた。  そして、昨年の十二月に機関委任事務廃止大綱というのを自治省はつくられておりますが、ここでもちょっと定義が変わっているのですが、もう時間がないので飛ばしまして、地方分権推進計画では、その法定受託事務の定義が「法律又はこれに基づく政令により都道府県又は市町村が処理する事務のうち、国が本来果たすべき責務に係るものであって、国民の利便性又は事務処理の効率性の観点から都道府県又は市町村が処理するものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの」とされている。  つまり、勧告の段階では、国の義務で直接執行すべきだが、国民の利便性などから法令により自治体が受託する事務ということになっていたのですが、計画の段階では、法令により地方自治体が処理する事務のうち、国の責務にかかわる事務へと変わったのですね。  これは要するに、一言で言うと、法定受託事務というのは国よりも地方自治体の仕事である、そういうことを明確にした表現である、いろいろやりとりがあったと思うのですけれども、そういうものになった、そういうように私自身は認識しております。つまり、法定受託事務を、国の事務ではなくて、今回の計画では明確に地方公共団体の処理する事務なんだ、そういう定義がなされたという認識をしておりまして、一言で言うと、この機関委任事務の廃止に伴って地方自治体現場から国の事務は一切なくなった、そういうように計画では定義しているんだというように認識しておるのですが、こういう認識でいいのかどうか、自治省の見解を伺いたいと思います。
  167. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 法定受託事務についてのお尋ねでございますが、今御指摘のように、分権委員会の勧告の表現ぶりと分権計画での表現ぶりは違っておりますが、これは、勧告の定義の文言あるいは趣旨というものを踏まえまして、頭にありますのは、いずれ法制化、条文化いたしますので、法制的になり得るような表現として計画には書きたいということで検討いたしまして計画に書いているものでございまして、基本的には勧告の趣旨に即したものである、こういうふうに考えております。  お話の点につきましては、ポイントは三つありまして、一つは、法定受託事務も自治事務と同じように地方公共団体の事務であるという点。それからもう一つは、事務の性質において国の責務に係るものであるという性格を持ちますから、自治事務と異なる法的効果を自治法上与えるべきであるという点。それから三点目は、法律またはこれに基づく政令の定めるところにより処理されるものであるということ。この三点を法定受託事務のいわば定義の基本的要素ということで考えておりますので、勧告と同じ考え方でございます。
  168. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 それでは、きょう冒頭に話しました二点目の大きな問題である毒物混入事件について、残りの時間でお尋ねをしたいわけであります。  一昨日の十月四日の朝、私もテレビを見ておりましたら、突然、特番に変わりまして、番組が変更になって、和歌山市内園部地域に住む夫婦が保険金詐欺と殺人未遂の容疑で逮捕された。その報道ぶりが異常なこともあって、その後、この二、三日見ておりますと、ともすればこの逮捕があの社会を震憾させた毒入りカレー事件解決につながるのではないかという期待感を地元にもまた我々国民にも持たせてしまうような報道ぶりなのですけれども、ぜひ私は、警察当局には、予断を持たずに、期待の重さに屈しない、そういう地道な捜査を求めてまいりたいと思いますし、ともに私たちも冷静にその捜査の進展を見守りたい。  そういう前提の上に立って、しかし、あの逮捕からもう二日がたちましたけれども、現在、毒入りカレー事件自体の捜査状況というのはどうなっているのか、さらには、保険金詐欺とこのカレー毒物混入事件との何らかのつながりや確証または証拠というものを得ているのかどうか、まず警察庁の方にお尋ねをしたいと思います。
  169. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 大変難しいお尋ねなのでございますけれども、まず、カレー事件につきましては、七月二十五日の発生を受けまして捜査をしてまいりました。その捜査の過程におきまして、今回逮捕いたしました詐欺未遂あるいは殺人未遂事件が発覚をいたしまして、捜査をしてまいったわけでございます。  また、御指摘のように、当面は、この逮捕いたしました事件につきまして今捜索、検証中でございますし、またそれに引き続きといいますか、並行いたしまして、所要の鑑定も多数ございまして、それをやっております。したがって、当面は逮捕した本件についての捜査に専従をするという感じでございますけれども、しかし、従前よりカレー事件捜査をやってきておりますので、実質的には並行してその捜査を行っていくということになろうかと思います。  いずれにいたしましても、我々が解決すべきはカレー事件ということだけではございませんで、やはり我々が認知をした違法事件、それから生命、身体を侵害した事件につきましては厳正に捜査をする、あわせて七月二十五日の事件についても当然検挙を目指して捜査を鋭意進めてまいるということでございますので、御理解いただきたいと思います。
  170. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 ぜひ警察当局、現場では過労で一人亡くなられた方もいるという報道もありましたけれども、頑張りを期待したいと思うのです。  きょうは警察庁長官に来ていただいておりますので、ちょっと御所見を伺いたいのですが、もう先ほど来、何人かの方が質問されましたけれども、この七月二十五日の事件以降、新潟、長野を初めとして、毒物さらには有害物質混入事件を含めて二十五件以上起こっているという事態を受けて、今は、国民的にも安全な市民生活に重大な脅威が生じている、その不安と恐怖をどういう形で消していくのかということに日々苦慮されていると思うのですけれども、関口警察庁長官が、たしか報道によると九月三日の記者会見で、国民の不安を一刻も早く解消するためには、一つ一つ事件早期検挙することである、そういうように言われているのですね。  その会見からあっという間にもう一月以上たってしまいまして、警察庁の資料をいただいたものだけで数えても、その九月三日以後も十六、七件の毒物並びに有害物質の混入事件というのが、これは狂言も含めて発生しているわけですね。今現在のそういう捜査状況も含め、長官の全国民に向けた、決意も含めた御所見を、きょうわざわざお越しいただいたので、ぜひお伺いしておきたいと思います。
  171. 関口祐弘

    ○関口政府委員 御指摘の七月二十五日に発生をいたしました和歌山事件以降、全国的に毒物等混入事件が相次いで発生をしておりまして、国民の間に少なからぬ不安が生じているところでございます。こうした国民の不安を一刻も早く解消をしてまいるためには、これらの事件一つ一つ早期にかつまた確実に検挙していくことが何よりも重要であろうと考えるところであります。  したがいまして、当面警察全力を挙げて取り組むべき最重要事件といたしまして、現在、関係警察におきまして事件解明のため最大限の力を尽くしているところであり、警察庁としてもこれを支えてまいりたいと考えております。
  172. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 それと、先ほど既に同じような質問があったのですけれども、毒物の管理体制について、厚生省、来ていただいていると思うのですが、確認の意味で質問をさせていただきたいと思うのです。先ほども紹介されておりましたけれども、毒物及び劇物取締法、これは昭和二十五年に制定された法律だと思うのですけれども、その第三条とか四条には、そういう毒物、劇物を製造、輸入、販売する者はきちっと厚生大臣あるいは都道府県知事に登録しなければならないということに始まって、それなりに衛生上はきちっとした体系の法律をつくられているかとは思うのですけれども、しかしながら、やはり国民の疑問というのは、そういう法律があるにもかかわらず、この今回の一連の毒物混入事件を見たときに、どうしてそういう危険な毒劇物が簡単に手に入ったのか、そういう疑問はもうだれしもが持っているのではないのかな、そのように思うわけですね。  やはりここに来て、今までの行政行政としてきちっと踏まえながら、だれが何のためにどれくらいの量を購入したり使用したのかということが正確に管理できる制度を早急に検討し確立していかなければ、やはりそういう国民の不安というのはなかなかぬぐい去れないのではないかな、そういう感じがいたしております。  例えば、営業登録制度では、製造業者であるとか輸入業者は、製造所、営業所、店舗、また名称、所在地、そういう申請者の氏名、住所というものを登録しなければならないとなっていますし、販売業者から客がそういう毒劇物を買うときには、氏名、住所、職業、品目の名称、量、年月日、そしてさらに加えて使用目的まで書いて、そして判を押して出さなければいけない、そういうように一応手続的には踏まえていますけれども、先ほど答弁でもありましたけれども、虚偽の申し立てとか盗難に遭ったときにはなかなか防ぎようがない、そういう現実問題の実態もあるわけですね。  そこで、やはり段階段階だと思うのですけれども、今厚生省にお聞きしたところ、六つのカテゴリーが大体あるというふうに聞いているのです、製造業者、輸入業者、そして一般販売業者、そして業務上取扱者、特定毒物研究者、そしてさらに一般国民と。そういう段階を踏んでそれぞれの層に、集中管理をきちっきちっとこういう形でしていますよ、そういうものを、一般国民までというのはまだなかなか難しいと思うのですけれども、そういう現状から一歩進んだ毒物、劇物の集中的な管理システムを検討し、また早急に実行していくことが私は必要ではないのかなというふうに思うのですが、今厚生省としてどういう取り組みをされているのか、最後にお尋ねをしたいと思います。
  173. 中西明典

    ○中西政府委員 厚生省といたしましては、現在、平成九年三月から、毒物劇物営業者登録等システムというのを開発いたしまして、各都道府県、保健所を結び、これを稼働させてきているところでございます。  このシステムは、毒物劇物製造業者、輸入業者、それから販売業者の営業所の名称、所在地等や、あるいは製造業者、輸入業者の製造、輸入する毒劇物の名称、性状を一元的に管理していくことによって、登録事務、監視事務の適正かつ迅速な実施を図っていこうとするものでございまして、事件が発生したときにも、特定の毒劇物を製造、輸入している事業者や、特定の物質が毒劇物に該当するかどうかを迅速に把握することができるようにということをねらいにしております。  現時点では、平成九年三月から稼働させたということもございまして、十九都道府県がこのシステムを導入いたしまして、毒物劇物営業者の約四分の一について、このシステムで一元的に管理できるようになってございますが、まだこのシステムを導入していない都道府県における早期の導入を促進するなど、システムの機能の充実に努めてまいりたい、かように考えております。
  174. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 引き続きこの委員会でも、毒物、劇物が出回らないような社会環境をどういうようにつくっていくのかという議論を続けてまいりたいとともに、先ほども申し上げましたけれども、早期解明への警察当局のなお一層の御努力に期待いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  175. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、春名直章君。
  176. 春名直章

    ○春名委員 日本共産党の春名直章でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  大臣最初災害問題についてお触れになりました。福島や栃木の大洪水に続きまして、今私の地元である高知県でも、九月二十四日の夕方から二十五日にかけまして、集中豪雨、記録的な豪雨に見舞われました。高知市では、最大時間雨量が一時間に百二十九ミリ、総雨量は数時間で八百七十七ミリになりました。九月一カ月の降雨量が千三百五十五ミリで、年間雨量の半分以上がこの短い期間に降ったということになりました。  こういう大災害になりましたので、一つ写真を持ってきましたけれども、こういう「県都水没」ということになってしまいました。まさに水没状態になりました。現在までに十五市町村で、亡くなられた方が六名、全壊家屋が十二棟、半壊・一部損壊家屋が九十四棟、床上浸水が一万二千三百七十棟であります。農業被害が百三十五億円、商工業被害が百三十八億円、今わかっている段階でございます。そして、国道は全部陥没をし、JRはいまだに復旧のめどが立っておりません、土讃線ですけれども。学校や保育園や県立美術館、全部大浸水に遭いました。とりわけ、一気に雨が降りましたので、なすすべがなく浸水したという世帯、業者が圧倒的でありまして、そのことが被害をさらに深刻化する、こういう事態になったわけでございます。  今、住民や自治体が、ボランティアの皆さん支援も受けて、必死の復旧作業を続けております。この労苦にこたえる国の問題、責任ということで、きょうは少し最初に御質問させていただきたいと思います。  最初に、厚生省に来ていただいておるわけですけれども、災害救助法についてであります。  今、県下五市町村でこれが適用されておりますけれども、適用項目の基準価格が低かったり、基準が実態に合っていないために、自治体の負担が大きくなる事態が予想されているわけであります。  例えば、高知市の場合ですけれども、早期に学校を再開するために、不足しているすべての教材、学用品の支給を国の補助があるかどうかいかんにかかわらず緊急に行いました。これは当然の手だてだとは思いますけれども、行いました。  ところが、国の基準でいいますと、床上浸水以上の家庭に限って、教科書、学用品を喪失したものは対象になるけれども、学校に置いて喪失したものは対象にしないというふうになっているわけです。また、文房具とか衣服などの学用品などの支給も、小学生一児童当たり四千百円、中学生四千三百円ということが一応の上限になっていて、これでは体操服一つ買えないという声も出る状況でありました。  学用品の給与については「必要に応じ特別基準で対応する場合も考えられる」、このように「災害救助の実務」にも述べておりますので、改めてこれを準用していただいて、万全の財政支援を厚生省としてもぜひとっていただきたいということをひとつ御質問させていただきたいということと、改めて災害救助法の基準単価を見まして、実態に合っていないということがたくさんあるなと思います。実態に合わせて引き上げていくということも早急に検討すべきではないかと思っております。その二点について、まず最初に御質問させていただきたいと思います。
  177. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 まず、学用品の関係でございますけれども、先生ただいま御指摘されましたように、現在の学用品の給与につきましては、災害救助法の規定によりますと、児童の方の家が災害に遭った場合を対象にしているわけでございます。これは災害救助法の趣旨からくるわけでございまして、先生が御指摘されましたような学校に置かれている教科書、教材が被害に遭った場合は対象にならないというような扱いにしているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、お子さんの学習の確保というのは非常に重要でございますので、現在の被災の実態というものにつきまして、地元の県や市町村との連絡を十分させていただきまして、相談に応じていきたいというふうに考えております。  また、額の引き上げにつきましては、現在の額で一応おおむね、災害救助法というのは応急の対応でございますので、応急の対応は可能であるというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、地方の実情というものを十分把握して、適切な対応をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  178. 春名直章

    ○春名委員 必要に応じて特別基準で対応する場合もあるということですので、そういう立場で、子供の学習権の問題にもなりますので、よく相談していただいて、対応お願いしたいと思います。  それからもう一つ、理不尽といいますか、私自身が実感したことで言わせていただきますと、同じ洪水流域でありながら、たまたま数字的にこれに合っていないので救助法が適用されないことがあるということを、今回私自身が初めて体験をして、初めて知ったわけであります。  例えば、土佐山田町というところがありますけれども、滅失の家屋が二十五以上なければ災害救助法が適用されないということになっています。公共土木などは全県で一番大きい被害を受けているのですが、たまたまその滅失家屋というのが、今の数で言えば、二十五に対して二十三・八、あと一・二足らない。須崎市が二十一・三で、あと三・七足らないということで指定を受けることができておりません。同じ人口の区分の中で同じ対比になる野市町というところでは、二十七・五で指定をされているというのです。隣町です、土佐山田町というところは。家屋や工場などへの土砂などの障害物の除去は、被災者個人の負担にすべて任されることになります。町内で、自主避難を含めて、私が調べたところでは十カ所、五十九世帯、二百三十一名の方が避難をされているのですが、これは救助法の適用を受けた別の自治体よりもかなり多いわけなのですが、その費用も、自主避難ということは入らないかもしれませんが、避難所の確保などで自治体の負担に全部なるということになります。  同町は、昭和四十七年に繁藤というところの大災害がありまして、ここで死者がたくさん出ました。その教訓がありまして、早い段階で消防分団員の皆さんの活躍、緊急出動されたり土のうを積み上げるなどの努力を緊急にやってきまして、結果的に床上浸水をある程度食いとめることができたという、こういう実態もあるわけです。災害対策をとればとるほど国の支援が受けられないという矛盾した実態は解決されなければならないと思うのです。  そこで、私は、再三にわたってお願いしているのですが、数字上だけを問題にするのではなしに、実態に即して救助法を柔軟に適用していただきたい。そこに救助を待っている人がいるわけですから、自治体があるわけですから。具体的に言いますと、今申しました土佐山田町や須崎市というところに災害救助法を即座に適用してほしい。こういう適用を、柔軟な対応をできないのかどうか。その点をあと一点、厚生省に伺っておきたいと思います。
  179. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 災害救助法は、災害によって大規模被害を生じた場合、市町村だけではなかなか対応できないという場合、国の責任において応急の救助を実施する制度になっているわけでございます。  したがいまして、このような大規模災害という関係上、適用基準については、市町村の人口規模に応じまして、日常生活に著しい支障を生じる全半壊または床上浸水の世帯数を用いることを条件にして運用しているわけでございます。このような災害救助法の趣旨からくるわけでございます。  ただ、大規模災害で多数の者が生命または身体に危害を受けるおそれがあるような場合には、被災地の都道府県知事が判断され、または厚生省に御相談いただきまして、柔軟な対応もできるような制度も残されているということをつけ加えさせていただきます。
  180. 春名直章

    ○春名委員 自治大臣お願いでございますけれども、仮に適用されないという場合でも、被災者の救援という点では、かなりの努力を自治体自身が当然するわけですね。ですから、当然の趣旨なのですけれども、特別交付税の算定に反映して財政支援を行うということがやはりどうしても必要だと思うのですね。そういう点について、自治大臣からの意見を聴取しておきたいと思います。
  181. 西田司

    西田国務大臣 九月下旬の大雨による災害により、今お話がありましたように、大変広い地域被害を受けた方々がおられます。そしてまた、地方団体応急対策や復旧対策などに相当の財政負担が生じたことが見込まれておるわけでございます。  そこで、自治省といたしましては、これらの被災した地方団体の実情を十分お聞きして、特別交付税等による財源措置を講じ、その財政運営支障が生じないように適切に対応したいと考えております。
  182. 春名直章

    ○春名委員 この問題の最後に、一番今要望が強いのは、福島とか栃木などもそうだと思いますけれども、激甚災の指定をしてほしいというのが強い要望になっていると思うのですね。それは、本当に住民にとって安心できる、そういう町づくりを復旧だけではなしに復興に向けてやろうと思ったときに、今議論がされてきたように、地方財政は大変な危機的状況です。ですから、激甚災の指定を受け、地方自治体負担では賄い切れないそういう事態に対応できるようにぜひ見通しを持ちたいというのがやはり一つ大きいわけです。高知県でいっても、大はんらんを起こしたのは国分川、舟入川、新川川などの河川ですが、抜本改修しなければなりません。  その点で、激甚災の指定について、ぜひ国土庁に真剣に検討していただきたいと考えますし、また見通しなどをお聞かせいただけたらというふうに思います。
  183. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 激甚災の指定の関係のお尋ねでございますが、激甚災もいろいろな種類がございまして、例えば公共土木施設の場合はその被害額あるいは被害を受けた地方公共団体財政状況をもとに判断いたします。また、農地、農業用施設等については、その被害額や被災地方公共団体における農業所得の状況をもとに最終的に判断するというような仕組みになっているわけでございます。このため、指定につきましては、地方公共団体被害報告を受けまして、関係省庁において指定の前提となる被害額、これは復旧事業費の確定という作業が必要でございますが、その作業をすることになります。  現在、この確定作業を鋭意地方公共団体で急いでいただいているところでございまして、災害の当面の復旧等の対応ということが急がれますが、それが一段落した段階でそのような作業をしていただく、その結果を踏まえまして指定基準に該当するかどうかの判断を速やかにいたしたいというふうに考えております。
  184. 春名直章

    ○春名委員 被災者と被災地の実態に即した支援をぜひお願いしたいと思います。  それで、私は次に、地方分権推進計画の問題について、膨大な体系ですので全部を網羅して質問できませんけれども、一点に絞って御質問させてもらいたいと思います。  この推進計画が実施されるということになりますと、特に国の地方公共団体に対する関与、国と地方公共団体との関係にどういう変化が起こるのか、またどういう期待を持てるのか、このことをまず伺っておきたいのです。  推進委員会では、国と地方が対等・協力の関係へと真に進んでいくということが大きなテーマであるということでやられてきたわけであります。推進計画が出されました。国と地方の関係がどうなっていくのか、この点について簡潔にまずお答えいただけますか。
  185. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 地方分権推進計画におきましては、勧告を踏まえまして機関委任事務制度の廃止を行いまして、それによりまして国による包括的な指揮監督の根拠規定をなくすということでございます。同時に、国の関与の一般原則を定める、また自治事務及び法定受託事務の区分に応じましてそれぞれの関与の基本類型を明示するということでございまして、それを踏まえまして現在法制化に向けて作業を行っております。具体的には、地方自治法の改正中心になるものでございます。  大きく変わる点は、今もお話し申し上げましたように、まず国の関与は法律またはこれに基づく政令に根拠がなければ行えなくなるということが第一点。それから、関与の基本類型ごとに、助言とか勧告、資料の提出の要求、是正の指示などについては地方自治法に基づいて関与を行う場合の要件が示されてくる。  それから、自治事務に係る基本類型以外の同意とか許可・認可・承認などについては、個別の法令に関与の根拠規定を設けることができますが、その場合のメルクマールが計画において明らかにされておりますから、それを踏まえることが必要であるということで、その考え方に基づきまして、計画において個別の法律に基づく関与につきまして廃止及び縮減の項目、事項を掲げておりますので、それは関係法令の改正により実現していくということでございます。  こうしたことで、省令とか通達のみに根拠を置く国の関与、あるいは基本類型に属さない関与というものは整理合理化が図られていく、これによって地方自治体の自主性、自立性の向上につながっていく、こういうふうに考えております。
  186. 春名直章

    ○春名委員 分権推進委員会が三つの原則を言いまして、法定主義、一般法主義、公正透明の原則という三つのことを言われて、その方向で前進が図られるということを今御説明されたと思うのですが、では、その関与、特に自治省自身の関与について、幾つかお聞きをしておきたいと思います。  今までの四次の勧告を受けて、昨年まとめました自治省の「機関委任事務制度の廃止後における地方公共団体の事務のあり方及び一連の関連する制度のあり方についての大綱」、これを読ませていただきました。これに基づいて推進計画が出ているわけですが、この中の十三ページに、関与の中の「第十二 助言及び勧告」の中にこういう文言が出てまいります。「自治大臣及び都道府県知事の技術的助言・勧告(法第二百四十五条第一項及び第二項)については存続するものとする。」二百四十五条第一項、第二項を存続するものとするということがあえてここに入っているわけでありますが、この文章を入れた意味は何でしょうか。
  187. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 御案内のとおり、自治法の二百四十五条におきましては、二つのことを内容としております。一つは、地方公共団体組織及び運営合理化に資する自治大臣または都道府県知事の技術的な助言または勧告ができるということでございます。もう一つは、主務大臣または都道府県知事、その他の執行機関は、その担任する事務について個別の技術的な助言または勧告ができるということでございます。  今お話し申し上げましたように、勧告及び分権計画におきましては、国の関与の基本類型としまして、技術的な助言または勧告というものを掲げておりますので、分権計画におきましては、それぞれの各法令所管大臣の助言・勧告、また自治大臣の助言・勧告について計画に盛り込む、こういう趣旨を明らかにしたものでございます。
  188. 春名直章

    ○春名委員 それでは、ちょっと確認しておきますが、分権推進委員会の四次までの勧告では、一般ルール法というものを別につくって、公正透明に、関与も減らすということが検討されていたように思うのですね、一般ルール法というのを。今の御説明では、一般ルール法というのは別個につくるのか、それとも、地方自治法そのものを改正することによって、一般ルール法にそれを充てるというふうにしょうとしているのか、どちらでしょうか。
  189. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 勧告で触れております一般ルール法というのは、分権計画におきましては、地方自治法がその役割を果たすという位置づけで整理をいたしております。
  190. 春名直章

    ○春名委員 それであるならば、少しお聞きしたいのですが、一般ルール法として地方自治法を改定していくということになります、第十一章を改定していくようになるのだと思いますけれども、それはこれからやる作業です。しかし、これからやる地方自治法の改正の作業の前提として、同じ地方自治法の二百四十五条の自治大臣の技術的助言・勧告については存続するということだけは先に盛り込んでいくというのがなぜなのかというのが私の疑問でございます。  まるで地方自治法を個別法に見立てて、二百四十五条を存続する、そういうふうにやりますと、一般法主義という原則が外れて、例外をつくるようなことになってしまうのじゃないでしょうか。その点を非常に私は疑問に感じるわけであります。  それで、質問としてお聞きしたいのですが、この二百四十五条というのは、それまで行われてきた行政指導を制度化した条文だと思います。なぜそのような条文をわざわざ存続させる必要があるのかというのが私の疑問でございまして、一般ルール法としてしっかりとこれから検討していくということであれば、それに予防線を張るように二百四十五条だけは残しますというふうにしないで、むしろ地方分権を実行すべき今こそ、これは改めるべき条文ではないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  191. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  勧告に言うところの国と地方、国の関与に関する一般ルール法の役割というのか、法制度につきましては、地方自治法においてその役割を果たしていくということで位置づけております。  それで、地方自治法には、そのほかにもいろいろな規定がありますから、国の関与として、例えば合併関係とか境界変更とかいうものについては、それはそれぞれの、自治法に基づく関与でございまして、国の関与に関する一般ルールの法の部分とは違ってまいるわけでございます。その点は御理解をいただきたいと思います。  それで、二百四十五条についてのお尋ねでございますが、現行の、自治大臣及び都道府県知事の地方公共団体に対する助言・勧告につきましては、いわば法の要請であります地方公共団体組織及び運営の全般の合理化について行いますところの技術的な助言・勧告というものを規定をいたしているものでございまして、いわば組織及び運営の全般につきまして総合的な見地から行うものとして置いているものでございまして、その必要性は今後ともなおあるということで、分権計画で規定しているところでございます。
  192. 春名直章

    ○春名委員 総合的に、地方自治体へそういう指導といいますか、必要性があるということでいみじくもおっしゃったわけですが、一般ルール法の中に二百四十五条も吸収されていきますと、自治省地方自治体への包括的な指導がなかなかできなくなるということがやはりあるのじゃないかと思うのです。  もう時間も来ましたので、一言言っておきますけれども、この二百四十五条の規定は、今行政局長さんおっしゃったように、地方公共団体組織及び運営合理化に資すると自治大臣が判断すれば、言えば何でもできるという規定になっているわけです。私、こちらに、この一年間に出てきた主な通達、自治省から出てきた通達の一覧をつくっていただいて、持ってきましたけれども、この通達のほとんど、二百四十五条を根拠にして全部出されています。地方行革についても、これで通達が出されて、三千三百自治体のほとんどがその指針を出す、計画を出すというようなことになっているわけですね、実態としては。  ですから、私は、そういうものこそ、この地方分権推進計画地方分権の流れの中で、それ自身、今検討する対象になるのではないかということを感じているわけでありまして、そういう点からきょうは質問させていただきました。  時間が来ましたので、以上で終わりますけれども、引き続きまた質問させていただきたいと思います。  以上で終わります。
  193. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、畠山健治郎君。
  194. 畠山健治郎

    ○畠山委員 私は、極めて限られた時間でございますから、今日地方自治が直面している二つの大きな問題、一つ地方分権と省庁再編との関係、もう一つ財政構造改革法の凍結と減税がもたらす地方税財政に対する影響問題、この二つを中心に、大臣並びに関係省庁から幾つかお尋ねをいたしたいと思います。どうか、簡潔に、明瞭にお答えをいただきたいというふうに思います。  まず、地方分権について三点お尋ねをいたします。  昨年十二月、当時の橋本総理は、事務、権限の移譲についてさらに検討されたいと発言され、これを受けて推進委員会は、中央省庁等改推進本部に関連する作業については十月末を目途に第五次指針、勧告を行うことを前提に、公共事業などの国庫補助事業の範囲の見直しなど四点について検討作業を行うことで総理の了解が得られております。この四点については現内閣もこれを当然引き継いでおると考えますが、内政審議室の見解をお尋ねしたいということが一つであります。  それから、中央省庁等改基本法四十六条は、「公共事業に関し、国が直接行うものは、全国的な政策及び計画の企画立案並びに全国的な見地から必要とされる基礎的又は広域的事業の実施に限定し、その他の事業については、地方公共団体にゆだねていくことを基本とする」と規定しております。また、同法二十二条並びに二十三条では、国土交通省、農林水産省について、四十六条の定める公共事業見直しの義務づけ等を規定しております。この規定からすれば、省庁再編にかかわる法制定と十月末を目途とする勧告、指針とは一体的なもの、第五次勧告なくして法改正はできないと考えますが、省庁改革推進本部はどのように認識をしていらっしゃるのか。これが第二点。  これに関し、先般、官房長官は推進委員会に協力するよう各省に要請しておるが、伝え聞くところによりますと、公共事業にかかわる関係省庁と推進委員会との意見調整は極めて難航し、場合によっては勧告ではなくて報告になるのではないかとの悲観的な報道さえなされております。このような事態になれば、内閣の指導性が問われることはもちろん、省庁再編と地方分権そのものが官僚によって骨抜きにされたことを意味するということになりはしないのか。内政審議室並びに省庁等再編推進本部の見解をお伺いいたします。
  195. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 お答え申し上げます。  まず、地方分権推進委員会に対しまして、橋本前総理から第五次、要するに、市町村への権限移譲を含めまして、国ないし県からの権限移譲についてさらに検討してほしいという諮問がございまして、地方分権推進委員会が鋭意その後検討しているというのは事実でございますし、その方針につきましては、小渕内閣になりまして、所信表明演説でも触れておりますけれども、これは踏襲をしております。  ですから、先生御指摘のとおり、中央省庁の再編との関係でも、また地方分権そのものということからいきましても、この第五次ないし第六次につきましてきちんとした成案を得ていかなければならぬという重要性は何ら変わっていないというふうに思っております。確かに、地方分権推進委員会、各省庁とこれをめぐって議論をしておられます。いろいろ難しい問題があって、十月末という当初の日程がだんだん近づいているわけでございますけれども、いよいよその期日のうちにきちんとした答えが出るように、いろいろな意味で努力していかなければならぬ。その一つとして、今畠山委員お話の中にもございましたけれども、先月二十五日には官房長官が公共事業の関係三大臣、総務庁長官と御一緒に、このことにつきまして前向きに取り組んでほしいという要請もしているところでございます。時間も大分なくなってまいりましたけれども、これから精いっぱいやっていきたいというふうに思っております。
  196. 松田隆利

    ○松田政府委員 お答え申し上げます。  中央省庁等改革と地方分権との関係でございますが、中央省庁等改基本法にも規定してございますように、地方分権推進中央省庁等改革のいわば一つの重要な要素と考えております。  このような観点から、地方分権推進委員会の第四次までの勧告につきましては、既に五月に地方分権推進計画として決定されておるところでございまして、これに基づきまして中央省庁のいわば事務事業の減量効率化をただいま推進しているところでございます。  さらに、御指摘の公共事業を含みます、現在地方分権推進委員会で検討されておりますさらなる事務事業、権限の移譲につきましては、先生御指摘のとおり、基本法にも規定されている事柄でございまして、その勧告が出次第、これを中央省庁等改革に反映させるべく努力してまいりたいと考えております。
  197. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、地方財政についてお伺いをいたしたいと思います。  第一次補正によって地方財政のGDPに対する割合は当初一・九%から二・七%と昨年度以上に拡大をしております。一次補正による自治体の補正予算への計上並びに状況についてお聞きいたしたい。  また、これに減税を含む第二次補正が行われた場合、自治体の事業執行は可能なのか。大変厳しい状況の中でございます。大臣の見通しをお伺いいたしたいと思います。
  198. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 総合経済対策を踏まえました地方団体公共事業等の追加でございますが、六月補正におきます都道府県と政令指定市を合わせました追加計上額、公共事業等で約一兆八千億、それから単独事業で約三千四百億円と相当前倒して予算計上しておられまして、このほかに一般市町村においても相当額の前倒し予算計上を行っているという状況でございます。  現在、九月補正の対応状況を把握しつつあるわけでございますが、大変厳しい財政状況の中でございますが、一方で地域の経済状況も踏まえまして、この公共事業等の追加は順調に行われる見通しでございまして、単独事業につきましても総合経済対策要請をいたしました一・五兆円という額は何とか達成できるのではないかというふうな見込みを持っております。  また、第二次補正につきましては、景気対策実施によりまして引き続き我が国経済回復軌道に乗せるという課題があるわけでございまして、地方にとっても非常に重要な課題であるというふうに考えております。  一方、先ほど来いろいろお話が出ておりますように、地方財政は大変厳しい状況が続いておるわけでございまして、第二次補正予算についての地方財政措置につきましては、それを踏まえた十分な論議が必要であるというふうに先ほど大臣がお答えいたしましたとおりでございます。  いずれにいたしましても、地方団体がこれらの景気対策事業に円滑に取り組んでいけるように適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  199. 畠山健治郎

    ○畠山委員 景気対策としての減税を行うことについて一般的に否定するつもりはございませんが、問題はその内容と方法であります。  そこで、まず大蔵省にお尋ねいたしますが、総理の言う個人所得にかかわる減税内容には地方税を含んでいるのかどうか、また、含んでいるとすれば、税率や所得税との割合をどのように考えておるのか、お尋ねいたします。
  200. 福田進

    ○福田政府委員 お答えいたします。  個人所得課税につきましては、国民の意欲を引き出せるよう、最高税率を六五%から五〇%に引き下げますとともに、あらゆる所得階層に効果が及ぶよう、期限を定めない定率減税方式を組み合わせることによりまして恒久的な減税を行い、減税規模は四兆円を予定しているところでございます。  御質問の、この場合に所得税と個人住民税をそれぞれどのように取り扱うのかを含めまして、減税の具体的な内容につきましては、今後、政府並びに与党の税制調査会における幅広い検討の結果を踏まえて決定されるものと考えているところでございます。  いずれにいたしましても、国、地方ともに極めて厳しい財政事情のもと、国、地方といういわば公経済の車の両輪がバランスのとれた財政運営を行うことが必要であると考えられるところでございまして、今般のいわゆる恒久的な減税につきましても、今申し上げましたような考え方を踏まえつつ、地方財政の円滑な運営にも十分配慮してまいりたいと考えているところでございます。
  201. 畠山健治郎

    ○畠山委員 我が国の法人課税は国際水準に照らして高過ぎる、その元凶は法人事業税にあると言われておるが、果たしてそうでしょうか。地方制度の異なる国の表面税率のみをもって高い低いを論ずることは誤りであると指摘しなければならないと思います。  そこで、大蔵省にお尋ねいたしますが、法人課税を引き下げようとするなら国税の範囲内で行うべきではないのか、この点をお伺いいたしたいと思います。  それから、自治大臣お尋ねいたしますが、法人事業税の税率が本当に高いと考えているのか。むしろ今大切なことは、課税標準の外形化によって、約六〇%以上が欠損法人になっておる現状を改めることこそ重要ではないかと考えますが、見解をお尋ねいたします。
  202. 福田進

    ○福田政府委員 法人課税につきましても、我が国企業が国際社会の中で十分競争力を発揮できますように実効税率を四〇%程度に引き下げることとしておりまして、減税規模は二兆数千億を予定しているところでございます。  このことにつきましては、既に大蔵大臣予算委員会において御答弁申し上げております。  大臣の答弁をお読みいたしますと、実はこれから政府部内での調整が要るところでございまして、もう国税分はこれで十分ではないか、下げ幅は。あとは地方事業税ではないかという主張が片方でございますけれども、しかし、地方財源という点もございますから、全部それを地方負担をしてもらうということは果たして現実的であろうかという議論もございます。したがいまして、このおっしゃいます国際基準並みの答えをこれから地方税だけで出すのか、国税もそれにやはり関与しなければならないものかというあたりが政府部内の調整を要するところでございまして、しばらく調整に時間がかかると思いますが、いずれにいたしましても、答えとしては、支払われる方からいえば、国際基準並みということに、そういうことだけはお約束を申し上げているわけでございます。  ということでございまして、具体的内容につきましては、今後、これも所得課税と同じでございますが、政府・与党の税制調査会における幅広い検討の結果を踏まえて決定されるものと考えております。  なお、これにつきましても、同じことでございますが、国、地方ともに、繰り返しになりますけれども、極めて厳しい財政事情のもとでございます。両方、国、地方という公経済の車の両輪がバランスのとれた財政運営を行うことが必要であると考えられるところでございまして、今回の減税につきましても、こうした考え方を踏まえつつ、先ほどお話しいたしましたが、地方財政の円滑な運営にも十分配慮してまいりたいと考えております。
  203. 畠山健治郎

    ○畠山委員 地方の現状を見ますと、減税の余地は極めて狭いという状況であろうかと思っています。となれば、基幹税目についての制度改正をする場合、地方財政の性格上、当然それに見合う税源保障があってしかるべきものと思います。例えば、消費税における地方消費税配分割合の引き上げなどもその一つの方策かと考えます。  自治大臣並びに大蔵省の見解をお伺いいたします。
  204. 西田司

    西田国務大臣 今回の減税の具体的内容については、国税と地方税をどのように取り扱うかを含め、政府税制調査会などにおける幅広い検討の結果を踏まえて決定いたしたいと思っております。  その際、御指摘の、消費課税のうち地方税源である地方消費税配分割合を引き上げるなどさまざまな論議があることであり、減税の具体的内容とあわせて総合的に検討をさせていただきたい、このように思っております。
  205. 成瀬宣孝

    ○成瀬政府委員 先ほど法人事業税の関係についてお尋ねがございましたので、補足をさせていただきます。  法人事業税を含みます地方法人課税の実効税率につきましては、例えばニューヨークは我が国より高い水準にございますことなどから見ましても、必ずしも我が国が高いとは言えないものというふうに考えております。  いずれにいたしましても、御指摘にもございましたように、各国における地方自治制度や、国、地方を通ずる税体系、地方団体役割などを無視して諸外国と単純に税率を比較するということは適当でないものというふうに考えます。  また、法人課税の実効税率を引き下げる具体的な内容につきましては、地方公共団体意見も十分踏まえながら、今後政府あるいは与党の税制調査会における幅広い検討の結果を踏まえて決定されるものと考えております。この場合、法人事業税は都道府県最大の基幹税目でありますため、都道府県財政運営に与える影響が甚大であること、都道府県が現在直面しております大変深刻な財政難、地方分権推進等要請を踏まえて総合的に検討しなければいけないと思っております。  また、法人事業税への外形基準の導入につきましては、最近の経済情勢等からさまざまな議論がございますが、税制のあり方としては望ましい方向であるというふうに考えております。今後、導入のタイミングの問題も含め検討を進めていくことが必要であり、引き続き政府税制調査会等の場において理論的、専門的に検討が進められることを期待いたしております。
  206. 福田進

    ○福田政府委員 地方消費税配分割合の見直しの御質問でございますが、御案内のように、平成六年の十一月に成立いたしました税制改革関連法におきまして、消費税率につきましては、平成七年度から既に先行実施しておりました所得税、個人住民税の制度減税等とおおむね見合う形で、昨平成九年四月一日から四%に引き上げますとともに、あわせて地方税源の充実を図るために、税率でいいますと一%相当の地方消費税を導入することとしたものでございます。  また、これと同時に、消費税に係る地方交付税率が二四%から二九・五%に引き上げられまして、この結果、消費税収地方への配分割合は、三九・二%から四三・六%に引き上げられたところでございます。  以上御説明申し上げましたように、先般の税制改革におきましては、厳しい財政事情のもとで最大限地方税源の充実を図ったものでありまして、現在の極めて厳しい国の財政事情、危機的な財政事情、少子・高齢化の進展という構造変化への対応必要性を踏まえますと、地方消費税の割合を上げて消費税の割合を下げるということは極めて困難であると考えております。  なお、では今回の税制改正でどうするのかということでございますが、今回の税制改正は、抜本的な見直しを展望しつつ、景気最大限配慮して実施するものでございます。その具体的内容につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、国税、地方税、それぞれどのように取り扱うのかといった点も含めまして、今後政府・与党の税制調査会における幅広い検討の結果を踏まえて、最終的に今の財源の問題を含めて決定されるものと考えております。
  207. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間が終わりましたので答弁は求めませんが、一言だけ指摘しておきたいというふうに思っています。  国と地方は公経済の車の両輪という意味でありますが、この言葉は、国の財政に匹敵する地方財政の大きさから導き出される言葉であって、国財政地方財政を単純に同じに扱っていいという趣旨のものではございません。単一体規模の大きい国家財政と個々の小規模財政の集合体である地方財政は、本質的に異なる点があることに十分留意する必要があろうかと思います。  今後、この点について重大な関心を持って論議させていただくことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  208. 坂井隆憲

    坂井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十一分散会