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1998-09-25 第143回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月二十五日(金曜日)     午前九時五十分開議 出席委員   委員長 西村 章三君    理事 飯島 忠義君 理事 植竹 繁雄君    理事 砂田 圭佑君 理事 萩山 教嚴君    理事 土肥 隆一君 理事 福留 泰蔵君    理事 達増 拓也君       今村 雅弘君    小坂 憲次君       小林 多門君    佐藤 静雄君       阪上 善秀君    田中 和徳君       田村 憲久君    竹本 直一君       蓮実  進君    桧田  仁君       平沢 勝栄君    松岡 利勝君      三ッ林弥太郎君    宮路 和明君       目片  信君    望月 義夫君       矢上 雅義君    渡辺 喜美君       石橋 大吉君    大畠 章宏君       小林  守君    坂上 富男君       辻  一彦君    藤村  修君       山本 孝史君    青山 二三君       赤羽 一嘉君    木村 太郎君       三沢  淳君    平賀 高成君       藤木 洋子君    北沢 清功君       河村たかし君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 柳沢 伯夫君  出席政府委員         国土庁防災局長 林  桂一君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         農林水産大臣官         房総務審議官  石原  葵君         農林水産省経済         局長      竹中 美晴君         農林水産省構造         改善局長    渡辺 好明君         農林水産省農産         園芸局長    樋口 久俊君         気象庁長官   瀧川 雄壯君         建設省建設経済         局長      木下 博夫君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省道路局長 井上 啓一君         自治省財政局長 二橋 正弘君         消防庁長官   谷合 靖夫君           委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     池田 克彦君         衆議院調査局第         一特別調査室長 高橋 徳光君     ――――――――――――― 委員の異動 九月八日  辞任         補欠選任   坂上 富男君     小林  守君 同月二十二日  辞任         補欠選任   小林  守君     坂上 富男君 同月二十五日  辞任         補欠選任   田中 和徳君     渡辺 喜美君   宮路 和明君     蓮実  進君   辻  一彦君     小林  守君   旭道山和泰君     青山 二三君 同日  辞任         補欠選任   蓮実  進君     宮路 和明君   渡辺 喜美君     田中 和徳君   小林  守君     辻  一彦君   青山 二三君     旭道山和泰君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件  平成十年八月末豪雨災害による被害状況等調査  衆議院派遣議員団報告      ――――◇―――――
  2. 西村章三

    西村委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  去る九月二十一日に、平成十年八月末豪雨災害による被害状況等調査のため、本院から、災害対策特別委員及び建設委員で構成された議員団栃木県及び福島県に派遣をされました。  この際、団長として参加いたしました私から、念のため、委員各位にその調査概要について報告をいたします。  派遣議員につきましては、災害対策特別委員会から、私西村章三、ほかに、萩山教嚴君植竹繁雄君、神田厚君、小林守君、達増拓也君、藤木洋子君、建設委員会から、副団長として遠藤乙彦委員長蓮実進君、西川公也君、井上義久君、中西績介君の十二名であります。そのほか、栃木選出渡辺喜美君の参加を得まして、調査をしてまいりました。  なお、派遣日は、当初の九月十六日が台風五号の影響により変更されたものであります。  今回の災害は、八月二十六日から三十一日にかけて、関東北部及び東北南部付近に停滞した前線に向かって台風四号からの湿った空気が入り込み、各地で八月の月平均降水量を超える大雨となって、大きな被害をもたらしたものであります。  調査日程は、栃木県においては、黒磯市役所渡辺知事を初め各自治体から概況説明聴取各種要望聴取した後、黒磯市、那須町の被災地視察し、那須町役場で記者会見を行いました。  福島県においては、白河市の合同庁舎で中川副知事を初め東北地方建設局から概況説明聴取各種要望聴取した後、西郷村、白河市の被災地視察し、合同庁舎記者会見を行いました。  栃木県における被害状況は、災害救助法による救助黒磯市など四市町に適用され、九月十八日現在、人的被害死者五名、行方不明二名、負傷者十九名、住家被害全壊四十六棟、半壊三十六棟、床上浸水五百十六棟等となっており、また那須町では二十二名の方が避難所生活をしており、被災家屋復旧助成措置等が課題となっております。  被害金額は、農作物家畜等で約三十六億円、農地農業用施設で約八十四億円、農協等共同利用施設で約六億円、治山林道施設等で約九十七億円、公共土木施設関係で約五百十五億円等となっております。  視察は、黒磯寺子地区余笹川はんらんによる集落の被災那須下川地区農地被災、同じく小島地区国道四号線余笹橋被災、同じく豊原甲地区JR東北本線、県道の被災地を回りまして、自然災害の恐ろしさを実感いたしました。  福島県における被害状況は、災害救助法による救助白河市など三市村に適用され、九月十八日現在、人的被害死者十一名、負傷者二十二名、住家被害全壊三十二棟、半壊四十八棟、床上浸水千百五十九棟等となっており、郡山市などで三名の方が避難所生活をしており、早期復旧等が望まれます。  被害金額は、農作物で約三十四億円、農地等で約百十七億円、林業、治山関係で約六十九億円、公共土木施設関係で約三百八十四億円、保健福祉 関係で約十九億円等となっております。  視察は、西郷村にある総合社会福祉施設太陽の国・からまつ荘に参りまして、献花、黙疇を行いました。ここは裏山の土砂崩れにより五名の犠牲者が出たもので、百四十六名の入所者は他の施設への移送等措置がとられました。また、同じく的石前地区の水田への土砂流入状況白河市内堀川はんらん箇所被災地を回りました。ここでも、自然の持つエネルギーと、それによりもたらされた甚大な被害認識したところであります。  栃木県及び福島県からの要望事項として挙げられた主なものは、一、今次災害激甚災害指定し、特別な財政援助を行うこと、二、被災者生活再建支援法の趣旨を踏まえた生活再建のための予算措置を講じること、三、公共土木施設等早期復旧のための災害査定の実施を行うこと、その他、住民避難早期に決定するために雨量計の設置をふやすことなどでありました。  以上が調査概要でありますが、改めて、この災害により亡くなられた多くの方々に衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災地域皆様方に心からお見舞いを申し上げ、また、今回の調査に当たり御協力をいただきました栃木県及び福島県初め関係地方公共団体政府関係皆様感謝を申し上げて、報告を終わります。  この際、お諮りいたします。  ただいま報告をいたしました概要の詳細につきましては、平成十年八月末豪雨災害による被害状況等調査衆議院派遣議員団報告書として議長に提出いたしますが、この報告書を本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西村章三

    西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  4. 西村章三

    西村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。蓮実進君。
  5. 蓮実進

    蓮実委員 私は、自由民主党の蓮実進でございます。  ただいま西村委員長から災害の御報告がありましたが、まさにその中心的被害地であります栃木県の余笹川那須町の生まれ、出身ということで、質問をさせていただきたいと思います。  八月の二十六日、二十七日未明にかけて、栃木北部で局地的な豪雨がありました。一年間の降雨量が大体千五、六百ミリということでありますが、何と千三百、大体一年間に匹敵するぐらいの豪雨が二、三日で栃木県の那須北部に降ったということでございますから、河川がはんらんするのは当たり前であります。実は、多くの住宅が流失をしたり、死者も、今御報告がありましたように五名、行方不明者は二名、負傷者が十九名、そして住宅床上、床下の浸水が三千戸を超えるという非常に大きな災害であり、その災害に当たって、人命救助のためにヘリコプターなどによる救出者も百六十五名、住民四千百二十六名以上が避難をするという大災害に見舞われたわけであります。  このような大変な激甚災害に対しまして、小渕総理大臣初め、本日御出席をいただいております国土庁長官、そして建設大臣農林大臣、各政務次官、そして衆参の災害対策特別委員会また建設委員会、そしてそれぞれ党の調査団など、連日のように現地を見ていただきました。地元選出国会議員として、各大臣その他お見舞いをいただいた皆さんに心から厚く御礼を申し上げたいと思います。  そこで、具体的な問題を質問いたしたいと思いますが、今回の記録的な豪雨によって、道路河川等公共施設など大変甚大な被害発生をいたしましたが、栃木県内市町村に関連する河川道路被害状況について、特に被害の大きかった那須町ではどうなっているのか、建設省河川局長にお伺いをいたしたいと思います。
  6. 青山俊樹

    青山政府委員 栃木県内市町村管理河川道路等公共土木施設被害についてのお尋ねでございますが、五百四十七カ所で約九十六億円との報告を受けております。このうち、河川では二百一カ所で約六十三億、道路橋梁では三百三十四カ所で二十九億、公園、下水道では十二カ所で約四徳となっております。  なお、普通河川黒田川の河岸決壊町道砂ノ目・新田線協和橋の損壊など、特に被害の大きかった那須町の被害は二百十四カ所で約六十三億の報告となっております。
  7. 蓮実進

    蓮実委員 今回の災害特徴一つとして、私は現場を何回か見て回ったわけでありますが、例えば四号国道余笹橋というところが不通になったわけでありますが、あそこは昭和十三年につくった橋でありまして、その後ちゃんとした工事をしていないというか、補強程度で今日まで来たというふうに承っております。橋脚間隔が非常に狭いものですから、上流の倒れた木材が流れできますね、そうするとその流れてきた木材が、橋脚がたくさんあるためにそこへ全部つかえてしまうのですね。大変な激流がそこにぶち当たるものですから、それが横にはじけて橋の根っこの部分に当たって道路あるいは堤防決壊をして、そして激流が下に流れていく。そのために従来の河川が五倍にも十倍にも広がって農地や何かを浸水させた、あるいは大変な被害をつくったということであります。  これからの復旧に際して、やはり橋脚間隔を広げるとかあるいは川幅を広げるとか、そういうことをやはり工夫をしてやるべきだろう。  本当に今回の特徴は、余笹橋だけじゃなくて、下流をずっと歩いた、あるいは黒川という余笹川の支流もあるのですが、そこの橋もずっと見たのですが、ことごとく今のような状況で、実は橋がそっくりしているのです、割合。橋がそっくりしているのですが、そのつながりの堤防から、堤防というのですか橋のつけ根、そこが全部決壊されている、それが大変な被害になってきているということであります。  そこで、その激甚災害を受けた余笹川について、四号国道です、抜本的な復旧を図るべきだと思いますが、建設省としてはどういう考えを持っておるか、御説明伺いたい。
  8. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 今先生お尋ね余笹川にかかる橋梁でございますが、十五カ所ありますけれども、そのうち十四カ所において取りつけ道も含めて被災いたしました。千二百五十四ミリという大雨でございました。そのために、国道四号につきましても、今お話しのように被災いたしました。  余笹橋左岸側橋脚、これは昭和十三年にかけられまして、約九メートルの径間が六径間ある鉄筋コンクリートの単純橋でございますが、八月二十七日に流失いたしまして、橋台背面も大きく洗掘されて不通になったわけでございます。九月二日には応急橋をかけまして復旧しましたけれども、本格復旧に際しましては、国道四号の重要性にかんがみまして、今回の災害教訓といたしまして、洪水に対して安全な橋梁にかけかえなければならないというふうに認識しております。  現在の直轄道路災害復旧制度では原形復旧が基本となっておりますけれども、再度災害防止のための橋梁全体のかけかえが現在は復旧制度として認められておらない状況でございますけれども、再度災害防止のために原形復旧とあわせて改良復旧を行う災害復旧制度を、直轄工事におきましても新規制度として要求しているところであります。  そういうことで、これらの制度も活用して余笹橋全体のかけかえ事業に着手しまして、このような洪水に対しても安全な橋にかけかえたいというふうに思っております。具体的には、仮橋工事に早急に着手して、十一年度内には本格的な橋梁が完成するように、今関係のところと設計等を詰めているところであります。
  9. 蓮実進

    蓮実委員 十一年度中に完成をさせるということでございますが、ぜひお願いをいたしたいと思います。  実は、四号国道つけ根のところが流されたのです。あそこはガソリンスタンドがありまして、ガソリンスタンドが全部流されてしまった。それで、実はこの間も陳情をいただきまして、ガソリンスタンドのところが半分ぐらい流されてしまいまして、商売できないのですね。その隣で食堂とパチンコ屋をやっているのです。全く商売できない。あの災害でもってトラクターとか重機があそこへ全部入って、いまだに仕事ができないということで、地元としても一日も早く復興させていただきたいということでございますので、ぜひひとつ道路局長、よろしくお願いをいたします。  実は、きのうも党の方の災害対策特別委員会お話があったのですが、上流余笹川でそういう災害があって、大変な大水が物を全部流して、茨城県の方に流したものですから茨城県は大変困ったというお話がありましたが、やはり川は上流だけじゃなくて下流から築いていかなければならぬ。そういう意味で、どうしても最近、公共事業はもういいんだというような議論をする人がおりますが、私はそうじゃないと思う。もしこれだけの雨が東京山岳地帯、すなわち埼玉県の方に同じだけの雨が降ったら、東京は麻痺です。これはもう現場へ行ってみればよくわかりますが、人ごとじゃないのですね。どうしても東京都の方々はそういうところに関心がなさそうでありますが、大変なことになるというふうに思います。  ですから、ぜひ建設省道路河川局でひとつこれから長期展望に立った道路行政河川行政に取り組んでいただきたい、心からお願いを申し上げたいと思います。決意のほどを伺いたい。
  10. 青山俊樹

    青山政府委員 今先生おっしゃいましたように、余笹川等では、記録的な集中豪雨により現在の能力をはるかに超えるような規模の洪水が生じたわけでございますが、通常の災害復旧では十分な効果は期待できないという認識を持っております。  そういったことで、こういった川の復旧に当たりましては、築堤それから河道の拡幅、橋梁の改築など、抜本的な対策について現在栃木県で検討中でございますが、建設省といたしましても、県の復旧計画早期に実現できるよう指導するとともに、県と一体となって抜本的な治水対策を図ってまいりたいと考えております。  なお、先生御指摘のように、今回の一連の災害教訓にしまして、上下流のバランスの問題がございます。被害をもたらした洪水を対象にいたしまして、まず越水を防ぐ災害復旧制度の拡充を図りたい。さらに、下流部での流出増対策が必要となる場合には緊急的に一般会計から予算を投入するような、河川災害復旧関連緊急事業制度の創設を要求しているところでございますが、余笹川における適用の可能性につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。
  11. 蓮実進

    蓮実委員 ぜひひとつ真剣に長期展望に立った河川道路行政に取り組んでいただきたい、そう思っております。  それでは、国土庁にお伺いをいたしたいと思います。  道路河川などの公共施設に甚大な被害発生をいたしました那須町や黒磯に対して、局地激甚災害指定の見通しは一体どうなっているのか。町の税収とか、具体的要件があるというふうに承っておりますが、御説明をいただきたいと思います。防災局長お願いいたします。
  12. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 今回の災害におきます局地激甚災指定見込みについてのお尋ねでございますが、御案内のように、公共土木施設に関する局地激甚災指定基準といたしましては、市町村道などの市町村がその費用を負担する施設に係る災害復旧事業に要する経費が、その市町村標準税収入を上回ることが必要と定められております。  平成十年度の標準税収につきましては、現在いろいろ精査中でございますけれども、例えば黒磯市では約九十億円、那須町では約五十二億円というような数字になっておりますが、こういった標準税収入を上回る災害復旧事業に要する経費があるかどうかということが判定の基準になるところでございます。  この災害復旧事業費につきましては、地方公共団体被害報告を受けて関係省庁において査定作業を行う必要がありますので、現在その作業を急いでいただいているところでございます。  したがって、現時点でのその指定見込みについてのお尋ねでございますが、現時点ではちょっとお答えはできませんけれども、事業費査定を待って、指定基準に該当するものについては速やかに対処するという考え方でございます。
  13. 蓮実進

    蓮実委員 時間も余りないので、簡単に答弁をいただきたいと思いますが、今の防災局長お話ですと、市町村標準税収が、例えば那須の場合五十二億、それ以上上回れば局地激甚災害指定、こういうことになるわけですね。きょう現在、私の県当局町当局から伺いますと、六十二億九千九百二十八万九千円だ、こういうことであります。そうしますと、標準税収が五十二億ですから、上回りますね。これを受けて国土庁に県の方から上がってきて、国土庁建設省大蔵省にそのことをお話しして、大蔵省建設省現地を見てそれを査定して最終的に指定をする、こういうことになっていますか。
  14. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 今御質問にありましたその数字は、あくまでも市町村からの被害報告ではないかというふうに認識しておりますが、したがいまして、今後それを、その災害復旧事業の適正かどうかにつきまして査定という行為が必要である、そのことの査定行為によってその額が少し下がってくるという可能性もございますので、そういったものを確定した後で判断をするということになろうかと思います。
  15. 蓮実進

    蓮実委員 今の査定が下がるということを私もその筋から承りまして、そうすると、例えば八〇%の査定だということになりますと、六、八、四十八で一、二億足りなくなるのですね。そうすると、災害状況下における現場視察もしないで、ただ仮復旧をしたところへ大蔵省建設省か行って査定をして、これは足りない、一億足りないから激甚じゃないとかどうのこうのというものは、いかがなものだろうかと私は非常に疑問に思っているわけです。  私は、この余笹川というところで実はこんな小さいころから水泳ぎしたり魚とりしたり、非常に懐かしい川なのですね。あんな災害があるなんて夢にも考えられない。百年に一回あるかどうかなのです。五百年かもしれない。そういう状況で、今那須町の財政というのが厳しい状況になっている、大変なのですよ。ですから、それをある日突然行って鉛筆なめて査定して、八掛けだとかと、そんな議論はもう当たらないと思う。ぜひひとつ国土庁も真剣にそれらの点を踏まえて、報告に基づいて現場査定をしていただきたい。そして、先ほど委員長からお話がありましたように、一日も早く激甚災害指定いただいて、やっていただきたい。  殊に、この余笹川というのは那須町だけじゃないのですね。黒磯市もある、黒羽町も小川町も鳥山も、あともずっとあるわけです。多少なりともみんな被害があるのですよ。それで、那須町が激甚災害黒磯はそうじゃない、黒羽もそうじゃない、同じ川の流域でそういう災害があって、片一方は激甚、片一方はそうじゃない、これはいかがなものだろう。今後、こういう問題についてもぜひ、国土庁では検討に値するだろうと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  もう時間がほとんどありませんので、せっかくおいでをいただいておるので大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、二十九日、あの豪雨の中、ビニールかっぱを着て、小渕総理大臣大臣、そして自民党の代表の森山先生、そして参議院の自民党岩井先生、党、政府挙げて現場にすぐ駆けつけていただいて、そして避難している方々に一々総理国土庁長官も手を差し伸べてお見舞いをしていただいた。大変心強く、感謝にたえなかったわけであります。  きょうも地元の、この平成十年八月末の豪雨による災害、これは速報版として、大臣も写真に出 ておりますが、ぜひひとつ今お話ししたようなことを中心にこれからの国土行政に取り組んでいただきたいというふうに思っております。  それで、被災者生活再建支援法、これは来年の四月一日に本当は適用されるということであったのですが、前倒しで今度の災害に認める、こういうことでございますので、流失した家族の皆さんは大変喜んでおります。町当局県当局も心から感謝をしております。  そこで、国土庁長官、従来型の公共事業はもう要らない、先ほど私申し上げました、そういう意見がありますが、公共事業はおろそかにしてはいけないと思います。改めて災害対策の重要さを認識すべきだと思いますが、国土庁長官、ぜひひとつ御見解を伺いたいと思います。
  16. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 委員は、まさに先般の八月末豪雨災害の当該の地域の御出身、幼少のころからあの川にも親しまれた、そういう御体験からの切実な御質疑であるわけでございます。  確かに、昨今、公共事業に対しては非常に風当たりが強い。特に、都市に住む方々がたまに地方に行きまして、道が整っているとか橋が整備されているとかいうところを見て、もうこれで十分じゃないかというような、やや根拠のない印象的な言葉を弄して公共事業を批判する向きが非常に多いわけですけれども、今回の風水害によるところの被災の実態を考えれば、状況は到底そういうことではないということがわかるわけでございます。  したがって、私ども、このあたりのことについては、今後とも国民一般認識を正しくしていただかなければならない、こういうことと同時に、今現に執行中の各公共土木施設に対する中期計画を着実に進めていく、こういうことが大事であろう、このように考えております。
  17. 蓮実進

    蓮実委員 ぜひお願いをいたしたいと思います。  終わります。
  18. 西村章三

  19. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 渡辺喜美でございます。  八月末の大変な豪雨に見舞われた地域一つであります栃木北部那須地域を地盤とする代議士として、質問の機会を与えていただきましたことを心から感謝を申し上げます。また、この災害特別委員会の先生方におかれましては、西村委員長を初め、過日、私どもの地元をくまなく御視察をいただきました。心から御礼申し上げます。  今回の水害に際しまして、政府が異例のスピードで素早い対応をしていただいたことを地元の人たちは大変に喜んでおります。政治もやればできるじゃないか、そういう期待も抱いているところであります。ぜひ素早い対応を今後の復旧に当たってもお願いをしたいと思う次第でございます。  私は子供のころ、川というものは何万年もかかってできるのだろう、そう思っておったのですね。ところが、川というものはたった一晩でできる、そういうことがわかったわけでございます。また、雨や風というものは市町村単位に、行政区単位に降ったり吹いたりするものじゃないのだなということもよくわかりました。また、危機管理あるいは復旧というものは、各役所がばらばらにやっていたのでは到底うまくいかないなということもわかりました。危機管理や復旧というのは総力戦なのですね。ですから、国も県も市町村も、あるいは霞が関の各役所も連携をとってやっていくことが非常に大事なことだ、そう思った次第でございます。  今のところ、霞が関の各役所も、総理大臣あるいは柳沢大臣中心に極めてスムーズな連携をとっていただいていることを、改めて感謝を申し上げる次第でございます。  今回のこの水害というのは、昨今のちょっと異常な気象とも大いにかかわりがあるのかもしれません。中には、ヒマラヤの方とかあっちの方にたくさん雪が降って、そういうことも原因があるのじゃないかとか、あるいはインド洋の海水温度が高まったことも関係があるのじゃないかなどと言う人もいらっしゃいます。ことしは梅雨が明けそうで明けなかったという地域もございまして、こういった災害、とりわけ激甚制度というのがあるわけでありますが、こういうものが仮に激甚災害との関係で論じられるとすれば、一体今回の水害というのはどこからどこまでがつながっているのだろうか。  例えば、五月ぐらいにも新潟や石川の方でも水害がありました。また、七月の二十二日には会津の方でも大雨が降って被害が出ております。八月の初めには新潟で水害が起こっております。八月の末には栃木福島、九月になると、これは台風で、きのうも高知県で大雨が降って被害が出た。一体どこからどこまでを一つ災害と考えたらよろしいのでしょうか。これは国土庁でしょうか。
  20. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 激甚災害指定における災害の単位のとらえ方についてのお尋ねでございますが、基本的に、激甚災害指定は同一の気象現象による災害に対し行うということを原則としております。ただ、複数の気象現象が相互に密接に関連する場合には、気象庁等関連省庁の意見も踏まえまして、一連の気象現象による災害であるという認識のもとに一つ災害と見ることができるということでございまして、それらの判断も行っているわけでございます。  過去の事例を見ますと、梅雨前線などの継続的な気象現象については、比較的長期間の期間設定による災害指定を行っているということが通例でございますが、台風につきましては、発生、消滅までの時間が短いということで、比較的短期間の期間設定による災害指定を行うのが一般的な例となっておるところでございます。  今回の豪雨災害に係ります激甚災害指定に関しては、前線によります八月末までの豪雨災害全体について、これを一つ災害と見ることができるかについて関係省庁と現在検討を進めているところでございます。
  21. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 激甚制度というのは、市町村復旧を国が支援をする、端的に言うとそういうことであろうかと思います。この制度昭和三十七年にできた制度なのでありますけれども、今回の栃木福島、あるいは新潟なども入るのかもしれませんけれども、どこからどこまでかによって被害額も違ってまいりまして、そのあたりは鋭意御検討されておられると思いますが、農林大臣は過日の農水委員会で、農地農業用施設については本激に当たるのではないか、こういうお話をされておられます。  私のような素人が見ても、農業については、要するに全国の農業所得推定額のおおむね〇・五%を超える災害というのは本激指定基準二項Aというところに書いてあります。農業所得は大体四兆五千億円でございますから、二百二十五億円を超える被害ということになればこのA基準が適用されるわけでございます。また局地激甚というのは、先ほどもお話があったように、例えば那須町においては五十億円ぐらいですか、税収額を超える被害、こういうことなのでありますけれども、それぞれ本激、局激、今御検討いただいておりますが、大臣にはしつこくて申しわけありませんけれども、政治家としての見通しはいかがなものでしょうか。
  22. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 渡辺委員から激甚指定の見通しをお尋ねいただいたわけでございますけれども、これはもう本当に長いこと続いておる制度でございまして、それぞれの方々がこの制度を築くに当たって恐らくいろいろなことの検討の積み重ねの結果、今日の姿になっておるのだろう、このように考えるわけでございます。現在の制度では、これを財政支援、市町村が主として担当するところの災害復旧経費に対して、これが非常に高く募る場合に国がまたさらに特別な上乗せ的な支援をしていく、こういう制度として仕組まれておるわけでございます。  それで、今回もその先人が積み上げてきた制度と申しますか、基準に照らして判断をさせていただくということになるわけでございますが、今回の八月末の豪雨に対しては、今農水大臣の発言の 御引用がありましたけれども、農業関係施設につきましては、だんだん判明してきた被害額との照らし合わせによって、本激というような指定が行われ得る条件が整ってきているのではないか、このように考えておりまして、十月半ばから末にかけてそうしたことの指定が可能になるのではないか、このような展望を現在持っておる、こういう次第でございます。  加えまして、通常の公共土木施設につきましては、これはなかなか本激ということにはまいらないわけでありますけれども、これにつきましては、先生御指摘の局地激甚災制度の適用というものは、市町村被害状況によってはあり得るということでございまして、これについては若干時間をいただいて、先ほど他の委員の御質疑にもありましたけれども、災害査定というものを行わせていただいて、そして決定の運びになる、こういうことを考えている次第であります。
  23. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 激甚指定基準というのがありますけれども、これは昭和三十七年にできております。公共土木施設基準というのは本激の基準でありますけれども、全国の都道府県、市町村のその年度の税収総額の四%を超えるというのがA基準なのですね。B基準は一・二%という基準でございます。  当時の税収を調べてみたのですが、昭和三十七年は大体一兆五百億円ぐらいが税収総額なのですね。何で四%なんだと聞いてみたら、その以前、昭和二十年代の後半からいろいろな災害がありましたけれども、そういうものがおよそ四%を超えるような災害であったというだけの話なのですね。今この標準税収総額がどれくらいかというと、大体三十二兆円ぐらいか三十五兆円ぐらいかな、それくらいなのですね。この三十年の間にインフラ整備は着々と進んできたわけですね。そうすると、昔みたいな台風が来ても大雨が来ても、被害は出ない。一方、経済はある程度成長してきたわけですから、税収額は伸びてきたのですね。そうすると、そのこと一つとってみても、この指定基準というのは、もうちょっと古くなってきているのじゃないのかという気がするのですね。  お手元に私ども地元の地図をお配りしてございますが、余笹川と黒川というのが今回主にはんらんをしたところなのですよ。この余笹川というのを見てみますと、那須町それから黒磯市、国境線をまたいで流れているわけですね。委員先生方もごらんいただいたところは、黒磯の一部もあるのでございますが、那須町と同じ被害が出ている黒磯市については局地激甚の基準にすら該当しないというようなことになりますと、非常に問題が大きくなるな。国、県、市町村という仕切りが前提なのでありますけれども、せっかくこういう制度があって、この制度がうまく機能しないということであると、ちょっと基準の見直しというものを考えてもいいのじゃないのかなという気がするのでございます。  そこで、最近、流域指定というような概念も議論されているわけでございますが、国土庁、そのあたりはいかがお考えでしょうか。
  24. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 激甚災害指定に当たって、流域を一体として指定すべきではないかというお尋ねでございますけれども、これにつきましては、本激あるいは局激と言っておりますが、両方とも、具体的に支援の対象となるその団体については、市町村単位で指定をするということになるものであります。  したがって、なぜ市町村単位で指定しているのかということについてでございますが、基本的には、公共土木施設の場合には、事業の費用負担者である市町村がその財政状況に比較して著しい被害を受けたかどうかということを判定いたしまして、被害を受けたと認められる場合にはその財政負担を緩和するという制度でございますし、また農業関係の場合には、農家一戸当たりの負担額の大小に応じた支援をできるだけきめ細かい配慮をして行うということになりますと、最小行政単位である市町村ごとに農家の費用負担額を判定して、それらが著しい負担であるという場合にその緩和を図るというようなことで、市町村単位の認定ということにしているわけでございます。  いずれの場合も、その事業の費用の負担が市町村であるかあるいは農家であるか差はありますけれども、これらの負担する方の負担能力に比して著しくなるものかどうかということを市町村単位で判断するということでございまして、その意味から、これは一つの合理的な制度ではないかと考えているところでございます。
  25. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 せっかく復旧について異例のスピードでやっていただいているわけでございますから、余りしゃくし定規にならずに、ひとつ政府の方の対応もお願いをしたいというふうに思うわけでございます。  今回、危機管理というものを私も痛切に感じさせられました。危機管理というのは、ある程度権限を集中して一元的にやっていかないと意味がないなという気がしました。もう時間がありませんから触れませんけれども、復旧に当たっても、これは各役所の連係プレーというものが非常に大事なことでございます。  那須地域においては、一晩にして川ができちゃったわけでありまして、前日まで田んぼや畑だったところが朝行ってみたら川になっていたというところがたくさんあるわけですね。ですから、こういうものを復旧する場合には、まず、どこからどこまで川なのかということを確定しないといかぬわけですよ。当然、これは私有財産が川になるわけでございまして、私有財産を公共の用に使うためには正当の補償ということが必要になってくるわけでして、ですから、今、川になっちゃったからといって、河原の石ころ程度の値段で収用されたらこれはかなわぬ話でありまして、そのあたりはぜひ、正当補償とは何ぞやということを念頭に置いて対応していただきたいと思います。これは査定額を出すときに決まっちゃう話ですからね、査定官が朱入れとかやるのだそうですけれども。これは、農地自体も公共的な機能を持っておるわけだし、河川はなおさら公共的な機能を持っておるわけですから、そういうことを念頭に置いて評価、補償をやっていただきたいというふうに思っております。  また、そういう田んぼなんかが、土地改良が終わったばかりだというようなところがもしかしたらあるかもしれないですね。そうすると、土地改良の負担金は一体どうなつちゃうのか。もう川になつちゃっているわけですから、これは農地復旧がなかなか難しいというところで負担金だけ残っちゃったら、これまた大変な話になっちゃうのですね。ですから、これは恐らく答えはないと思いますので、どういう解決方法があるか、制度的な解決方法があるのか、あるいは実務上の解決方法があるのか、ぜひ知恵を絞っていただきたいと思うのでございます。  今回、お手元の地図でわかるように、那珂川と箒川に挟まれた地域那須野原というのですね。この地域は、被害は多少は出ましたけれども、上流の山の方には大量の雨も降ったのでございますが、それほど大きな被害が出なかったのですね。  というのは、この深山ダムというダムが大体二千万トンぐらいかな、水をためることができるのですよ。これは農業用のダムなのですけれども、豪雨の三日間で千二百万トンぐらい水をためたのですね。したがって、那珂川に流れ込む水をここで食いとめたということがありました。それから那須疏水という農業用水路があって、これが上から流れ込んでくる水をせきとめた、ここで排水機能を果たしたのですね。ですから、こういうインフラ整備が非常に役立って、黒磯中心部とか西那須中心部の方は被害が非常に少なくて済んだのでございます。  たまたま、今月の末に国会等移転審議会の視察がこの地域にあるわけでございまして、国会移転の候補地になっているところは西那須野町というところでありまして、ここは余り被害が出ておりません。これは私の住んでいる町なのでございますが、そういう点もPRをしておきたいと思います。  とにかく、那須町においても政府の素早い対応のおかげで復旧が進んでおりますから、那須は観光地ですから、これから紅葉のシーズンになるわけです。もう全く心配ございませんので、大臣におかれましては、ぜひ運輸大臣とか総理大臣に、那須はもう大丈夫ですよ、そういうPRをぜひやっていただきたいと思います。  以上、質問を終わります。
  26. 西村章三

    西村委員長 大畠章宏君。
  27. 大畠章宏

    ○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。渡辺議員に続いて、今回の豪雨災害に対する質問をさせていただきます。  八月二十七日から三十日にかけて、大変な大雨によりまして水害が発生したわけでありますが、冒頭に、被災されました皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  この水害問題につきましては、さきの災害特におきまして、同僚の玄葉議員から福島県内の問題について既に質問がありました。それから、後ほど小林守議員の方から栃木県内の話を中心とした形で御質問があると思いますので、私は、地元茨城県の水戸の水害問題を中心として質問をさせていただきたいと思います。  先ほど、渡辺議員からは、政府の迅速な対応ということでお話がございました。視察等の対応は非常に迅速だったかもしれませんが、十二年前も水戸は水害に遭っておりまして、そのときの、十二年前の水害から学んだ対応策というのがまだ実施されていないということから、今回、水戸の水害が発生したわけであります。そういう意味では、まだまだ災害対策というものが、起こったときはわっといろいろやるのですけれども、ある程度過ぎてしまうと非常にスピードが遅くなってしまう。そういうことから十二年前に被災された方々がまた被災をしたということで、住民方々のこの災害対策のおくれに対する不満というのは大変高まっているということをまず冒頭に申し上げたいと思います。  いわゆる十二年前の教訓が生かされず、堤防の整備が比較的進んだ右岸と対照的におくれている左岸は、建物の移転の問題や用地買収の問題等があるということはよくわかっておりますが、当時のままに放置された区域があり、それが水害の原因になったというような指摘も地元から出されているわけであります。  したがいまして、政治の大もとは治山治水というのは昔からのベースでありまして、ぜひとも大臣におかれましても、さらに力を入れてやっていただきたいということを冒頭に申し上げておきたいと思います。  水戸市を中心とした被害については、報道がされておりますが、床上浸水が五百四十三戸、床下浸水が五百五十戸、合計千九十三戸で、負傷者が五人、こういうことで、十二年前の水害に比べますと約半分ぐらいで済んだわけですが、これも結局は、先ほど言いましたように、築堤が進んだところについては水害をとめられた、築堤が進まずに放置されたところから浸水して水があふれて、その地域が非常に広範にわたって床上、床下浸水が進んだということでございます。そういうことから考えまして、地元茨城県あるいは日立市、ひたちなか市からも要請があると思いますが、私としては次の四点が重要な課題だろうと思っておりますので、まとめてこの問題を取り上げて、関係省庁の現状の対策についてお伺いしたいと思うのです。  一つは、今申し上げましたように、那珂川の築堤など河川改修が進んでいないところについて、できるだけ早くやってくれという声があるのですが、この問題についての現状と完成時期。  それから二点目には、那珂川の本流があるのですが、実は支流というのが流れ込んでいまして、那珂川だけの堤防をやっても支流の方に逆流して、その支流のところから水が漏れて、結局その付近の人が床上あるいは床下浸水になっているのですね。したがって、この支流、藤井川というのと西田川という二つがありますが、この支流のところは県の所掌でありますけれども、そこに水門をつくってくれという要求が十二年前から入っているのです。この水門の建設を急いでほしい、要するに、国の所掌範囲のところと県の所掌範囲のところの分離点である水門をつくってほしいという要求が出ております。この問題についての現状と完成時期についてお伺いしたい。  さらに三点目は、那珂川の洪水により流失した県道水戸枝川線というのがあるのですが、これがいわゆる潜り橋というふうに言っていまして、潜り橋というのはもともと、増水したときには潜って水が引いたらまたあらわれるというのが潜り橋なのですが、増水して潜って水が引いたらなくなってしまっている、これは決して潜り橋とは言わないのですね。これは十二年前も同じなのですよ。それでまた同じような潜り橋を建設したのですが、今回もまた流失してしまったということで、ここのところは潜り橋というのは非常に問題があるということで、県の方でも、県道でありますから永久橋を建設したいというので、そういうふうな計画を変更しまして、これを要求をしているところであります。この問題についての現状についてお伺いしたい。  それから四点目には、この次に御質問されます小林守さんの栃木県の方から大量にいろいろなものが流れてきまして、それが大変なことなのです。大体四万トンというふうに伺っておりますが、これが海岸にずっと並びまして、それをみんなで、ボランティアの方とかなんか集まって一生懸命やりましたけれども、その漂着した廃棄物の処理にすごいお金がかかるのですね。この問題についてどういうふうに今対応をされようとしているのか、お金の問題も含めて。  まず四点を関係の部署からお伺いしたいと思うのです。
  28. 青山俊樹

    青山政府委員 今お尋ねのうちの初めの三点につきまして、私の方からお答え申し上げたいと思います。  まず一点目は、那珂川の水戸市の水府地区の築堤の御指摘であろうと認識しておりますが、六十一年に災害を受けまして以降、河川激甚災害対策特別緊急事業床上浸水対策特別緊急事業等各種事業を組み合わせて改修を促進しておるわけでございまして、決して放置してきたわけではございません。ただ、改修に当たりましては、三百七十六戸に上る多大な家屋移転や用地買収が必要なことから、今日まで時間を要しておるところでございます。  平成十年度末で万代橋からJR常磐線橋梁までの地区につきまして用地取得が約九割進んでおりまして、築堤が約五割となる予定でございます。また、平成十二年度完成に向け努力しているところでございまして、一日も早い完成に努力してまいりたい、かように考えております。  次に、二点目の御指摘の那珂川支川の西田川と藤井川の合流点の改修工事につきましてでございますが、御指摘のとおり西田川に水門を設置することといたしております。今回、当該流域で浸水被害発生したことから、できるだけ速やかに水門を設置すべく努めてまいりたい、かように考えております。  三点目の御指摘の、県道水戸枝川線の寿橋の流失の問題でございます。災害復旧事業として現在申請手続中でございまして、本復旧工事による一日も早い供用ができるよう、早期災害査定を実施する所存でございます。  なお、先生お話ございましたように、一般県道水戸枝川線は、水戸市と勝田市を連絡する幹線道路であることからも、県の方で永久橋の建設について検討しておられるというふうに聞いておりまして、茨城県から要請がございますれば建設省としても必要な支援をしてまいりたい、かように考えております。
  29. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 海岸に漂着した廃棄物の処理に係る御質問でございますが、八月末の水害によりまして茨城県の沿岸に漂着いたしました廃棄物でございますが、九月二十二日現在で把握をしておりますが、約三万七千トンございます。その処理に必要と見込まれます費用についてでござい ますが、約八億四千万円以上に上っているという状況にございます。  その回収あるいは処分の費用につきましては、財政的な支援を図る制度が廃棄物処理法の中にも整備されておりますので、市町村被害状況調査いたしました上で、その制度にのっとりまして適切に対処してまいりたいと考えております。
  30. 大畠章宏

    ○大畠委員 それぞれ御答弁いただきましたけれども、一番の那珂川の築堤については一日も早くやりたいという話と、二番目の支流の水門についてはできるだけ速やかにという話でありますが、どうもそういう話ばかりで、結局、気持ちはわかるのだけれども、全然それは具体的になっていないのですね、速やかにとか一日も早く。一日も早くというのは一日も早くなのですが、これは大体、築堤関係平成十二年までには完成させるということになっているわけですよ。ですから、ほっておいたわけじゃないと言いながらも、やはり床上浸水した人から見れば十二年間ほっておいたのじゃないか、そういう気になるわけですよ。  まあ各所であるでしょうけれども、実際に水害にもう何回も遭っています。ですから、今回も避難勧告したら速やかにみんな、住民の人が協力してやってくれましたけれども、やはりそこに行政府は甘えちゃいけませんよ。それで、一日も早くとか速やかにという答弁で過ごしていていいかどうかというのは、私は疑問に思いますね。  だから、来年また栃木県の方に千二百ミリを超える雨が降る可能性があるわけですよ。そうしたらまた水害が起こりますよ。そのときにどうするのですか、そういうのは。だから、そういう速やかにとか一日も早くというのじゃなくて、おおよそ何年何月ぐらいまでには交渉を進めてやりたいと思います、そのぐらいの答弁ができなければ行政としては、私だって答弁できますよ、速やかにとか一日も早くなどというのは。被災者の人のことを考えたら、そんな答弁じゃ済まされませんよ。それだけは改めて申し上げておきたいと思うのです。  それから、県から要請があったらという話ですが、これはもう既に建設省に県から要請が上がっているはずなのですよ。きのうの夜私も確認しましたが、それは要請していますというので。ちょっと担当部署、きのうまで私も県が要請していないのかなと思ったけれども、水戸市も県も要請しているのですよ。ですから、これは再確認して、これこそ速やかに県から要請があったらやりますという話ですから、そのところを少し整理して、もう一度局長、再答弁してください。
  31. 青山俊樹

    青山政府委員 完成時期をなかなかはっきり言わないということでおしかりを受けたわけでございますが、水府地区の築堤につきましては平成十二年度完成に向けて努力しているところであり、それよりも一日も早く速やかな完成を目指したいという趣旨の答弁をしたつもりでございます。  また、水門の件につきましては、できるだけ速やかにということでお許しをいただければと思います。  また、県の方の橋梁に関するお話につきましては、県から正式に具体的な要請がございましたら対応してまいりたい、かように考えております。
  32. 大畠章宏

    ○大畠委員 本当に水害を受けた人は、長銀はいろいろな支援をしてもらえるというような話でわいわいやっていますが、被災者の人は私有財産を失ってなかなか大変なのですね。そういう意味では、そういう環境をできるだけ整えるようにぜひ要請をしておきたいと思います。  それから、農林水産関係とかそういうものを質問しようとしましたが、時間が来たという話でございますので一言要請だけしておきますが、被害を受けた農業者に対する既往貸付制度資金の償還期間の延長問題、それから農業共済金の早期支払いの要請が来ています。それから、農地農業用施設被害に対する対応をきちっとしてほしいという要請が来ていますので、時間が来てしまいましたけれども、簡単に、この件について答弁できるところがありましたら、現状についてお伺いしたいと思います。
  33. 石原葵

    ○石原政府委員 お答えいたします。  今回の異常な大雨による水害を受けまして、何といいましてもその被災農家の方々が意欲を持って再び営農に取り組んでいただけることができるように、速やかな復旧と経営再建を図ることが重要であると考えております。  それから、今先生がおっしゃいました共済金の早期支払いの問題、それから既往貸付金の償還条件の緩和、こういうことによりまして経営の維持、継続を図っていくということでございますし、また農地農業用施設等の生産基盤の被害につきましても、災害査定を早急に実施いたしまして、早期かつ的確な復旧を図っていきたいと考えておるところでございます。  今後とも、全力を挙げてこれらの対策に取り組んでいくつもりでございますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
  34. 大畠章宏

    ○大畠委員 終わります。ありがとうございました。
  35. 西村章三

  36. 小林守

    小林(守)委員 民主党の小林です。大畠委員に引き続きまして、八月末に栃木県の北部そして福島県南部を襲った集中豪雨による水害の問題につきまして質問をさせていただきます。  冒頭、被災地皆さんに心からのお見舞いを申し上げ、一日も早い災害復旧生活再建に取り組んでいかなければならない、このように表明をさせていただきたいと思います。  また、この間、全国各地から温かい義援金を寄せていただき、また若いボランティアの皆さん方が被災地に入って家屋の中から土砂をかき出したり田畑に入ってしまった土砂やごみを撤去されている、このような姿に本当に感動を受け、また茫然自失としている被災住民皆さんにとっては、本当に強い大きな励ましになっているというようなことを申し上げておきたいなと思っております。  死者・行方不明合わせて二十一名というようなことでありまして、特に栃木県におきましては、死者五名、現在行方不明二名というような状況であり、被害総額が現状では七百五十億から八百億近い数字が出ているところでありますけれども、いずれにしても、行政は全力を挙げて災害復旧生活再建に取り組んでいただきたい、このように思うところであります。  今回の集中豪雨の特色というか、雨量等の問題を見ていきますると、まさに異常気象と言えるような状況ではなかったのかな、このように思います。  ちなみに、那須観測所における雨量によりますると、八月二十六日から三十一日の総雨量が千二百五十四ミリ、これは当地域の年間降雨量の三分の二に当たる。わずか一週間足らず、五日間の間に年間降雨量の三分の二が降ってしまったというようなことであります。また、八月二十七日の未明、午前二時ごろの一時間当たりの雨量では九十ミリというようなことが記録されておるようでありますし、また、その日の二十四時間の総雨量が六百ミリというようなことでありますから、まさに異常と言えるような降雨量であったのではないのかな、このように思うわけであります。  これは、一説に、温暖化による異常気象だというような指摘をなさっている専門家もいらっしゃいますけれども、いずれにしても、予測不可能な、百年に一遍どころか、もっと確率の低いというか少ない雨が局地的に集中的に降ったということだろうというふうに思います。そういう点で、今後の災害復旧や防災対策を考えていく上で、私は、大きな教訓をこの災害から引き出しておかなければならないのではないか、このように考えているところでございます。  実は、地元の酪農家で被災された方の談話などがありますので、ちょっと紹介させていただきます。  黒磯市の寺子というところで酪農を営んでいる佐藤さんという方のお話でございますが、現在避難所で生活中でございます。この方は、百四十頭の乳牛を余笹川の濁流に失ったわけであります が、その中でも何頭か生き残ったのがおるようでありまして、百四十頭のうち十九頭が残ったというようなことでありますけれども、これを元にまた営々と酪農をもう一回やり始めようというようなお気持ちになっておられるようであります。  八月二十七日の午前四時に、毎日の仕事ですから、目が覚めて牛舎の戸をあけていったらば、まさに牛舎では牛がひざまで水につかっておりまして、悲痛な鳴き声を上げていた。しかし、それまで気がつかなかったというか、もちろん牛舎と住まいの方は離れているでしょうし、すごい雨の音で牛の鳴き声などは全然届かなかったというようなこともあるのでしょう。突然、四時に毎日の仕事のつもりで牛舎の戸をあけたらば、まさにどうにもならないような状態になっていた。そして、要は、牛を救うどころか、自分たちの家族をたたき起こして逃げるのが精いっぱいだった、こんな状態で、茫然自失を余儀なくされてしまっているというような状況であります。  その方がこう言っております。行政が豪雨の情報を早く流してくれていれば牛は救えたのではないか。もちろん家族は救われたのですけれども、やはり牛を救いたかったというお気持ちを強く表明されておりました。少しでも早くその情報がわかっていれば牛を流さずに済んだ、殺さずに済んだというような思いだろうと思うのですね。  こんなことを考えるならば、今回の災害の大きな特色として、記録的なというか未曾有の降雨量であったということ、しかも、早期の情報伝達システムとか早期警戒や避難を進めるための行政などのソフトの取り組みが不十分ではなかったのか、落ちている問題点がなかったのかということを指摘しなければならないというふうに思います。  もちろん、雨量観測のシステム、アメダスの設置場所はどうだったのかとか、それから建設省の方の雨量観測のデータ収集の情報、気象庁と建設省の情報交換はどうなっていたのかとか、それを集計して県を通して自治体に情報の流れがきちっとされていたのかどうか。もちろん情報は自治体までは行っていると思うのですけれども、行政から住民に対してどのような早期警戒や避難のための情報が伝えられていたのかどうか。この辺に私は、この災害における大きな教訓があるのではないかなというふうに思うわけであります。  温暖化の問題は別にしまして、避けられぬ自然現象、当面このような異常気象というのはより激しくなってくるのではないか、私はこのように思えてならないのですが、避けられぬ自然現象であるならば、被害をいかに少なくしていくのか、こういう観点に立って今後の対策を立てなければならないのではないか、このように考えているところであります。  そういう点で、予知や観測体制のあり方、強化の問題、雨量観測体制はどうだったのか、そして防災行政無線の整備は黒磯那須町ではどうだったのか、この辺についても確認をし、不十分であるならば早急に、少なくとも、あそこは危険ですよ、一定以上の雨量があると危険になりますよという危険な箇所とか危険な地域とか、それから災害の弱者、こういう人に対しては地域防災計画の中にきちっと位置づけられている、なおかつ、防災行政無線をより住民に直接的に知らせられるような措置地域防災計画の中に位置づけられていなければならないのではないか、こんなふうに思えてなりません。  ただ、ある程度の危険地域はわかっていても、住宅をそこに建てて生業を営む、これはだめだということはなかなか難しいのではないか。これは、さまざまな建築関係の方の規制とか都市計画上の規制とかありますけれども、しかし、河川のそばではあっても、それが法律的に満たされているところであるならば、危ないから住んではいけないというような規制はできないところなのだというふうに思うのですね。  ですから、一定の自己責任を持ってもらわざるを得ないわけですけれども、しかし、おたくはこれ以上の雨が降ると危険になりますよということだけはよく知らせておく、知っておいていただく。そして、防災体制の中ではそこにはいち早く情報を流す。こんなことがこれから災害において求められている問題ではないのかなというふうに思います。  一連の質問、重なってしまいましたけれども、今回の防災対策について、災害についてどのような教訓を受けとめているのか。それから自治体における初動の取り組み、一生懸命やってくれているのはわかりますけれども、しかし初動の体制はシステム的にどうだったのか。ソフトの体制はどうだったのか。早期の情報伝達システムや防災行政無線の整備はどうだったのか。この辺をしっかりと総括していただきたいなというふうに思います。
  37. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 小林先生から、大変行き届いた論点の御提示をいただきながらの御質疑をいただきました。昨今起こっている災害の問題についてはいろいろ問題が伏在しているということ、先生の御指摘のとおりだと思います。  先ほど大畠先生からの御質疑もありましたけれども、私実は、昭和三十八年ごろでございますのでもう四半世紀近く前になるのですけれども、災害査定の事務に参画したことがございます。ずっと沢を下から上っていって、被害のあったところの災害復旧の費用を査定するという事務でございますけれども、それをやった経験があるわけでございます。  それ以来、かなりの時間がたっているにもかかわらずこのような災害発生する、一体どういうことだろうかというふうに考えるわけでございますけれども、別に、その間公共事業予算の大変な制約で何も進まなかったというわけではありません。現在、いろいろな物の見方のある中ではありますけれども、公共土木事業のやり過ぎだなどというような論議もあるぐらいに、実は公共投資を行ってきたわけであります。  どうしてかといえば、それはやはり、人間の生活のありようというものと諸土木施設との相関の関係が固定的なものではない、だんだん動いていく。例えば、ある水路は農業用水専門の水路としていろいろ設計をしてある。ところが、いつの間にかその近辺の農地が宅地に転用されておって、宅地の団地ができておる。そうすると、そこにはもう土木施設と人間の居住の仕方のアンバランスが生じておって、それがまた時として災害を呼び起こすというようなことが、今先生もその点を御指摘になったのですが、あるわけでございます。  もう一つ、最近の異常気象の問題があります。いろいろな学者がいろいろな観察をしておるようですけれども、その中には、実は最近は一回に降る雨が非常に強いというようなことを指摘する向きもあるようでございます。そういうことではありますけれども、現在の土木施設、特に河川の堰堤などというのは、大体時間で流水能力が四十ミリから五十ミリというところで設計をされておるというわけでございますから、それをオーバーするような気象が起こったときには、これはもう災害が容易に想定されるということでございます。  そこで、どうしたらいいかということは、やはり結論として先生がまさに御指摘になられたとおりでございまして、公共土木事業をやりながらも、しかしその能力をオーバーするような気象現象が起こったときには、いかに的確に避難をするかということが非常に大事になってきておるわけであります。それには、情報及び情報の伝達、観測あるいはその観測結果の伝達というものが非常に必要になってくるということは、まさに御指摘のとおりであります。  今回の災害一つ言われたことは、防災無線で一生懸命放送をしたんだけれども、雨の音でうちの中に入っていると聞こえなかったことがあったというような御指摘もいただいております。  私は、そういうことを御指摘いただく前に実は現地視察したわけでありますけれども、つくづく思ったのは、よくテレビやラジオで放送する、時間何ミリの雨が降りますよということの情報の評価の仕方、これがどうも不十分ではないか、四 十ミリとか降ったらもう大変な雨だよということが、国民みんな一人一人がその意味がわかるということが大事じゃないか、こういうように考えておりまして、そういうことの啓蒙をぜひ建設省を初めとする関係の部署でやっていただくように、これは私、帰京後すぐにお願いをしたというようなこともいたしました。  今後とも、先生の御指摘の点に努めてまいりたい、このように考えております。
  38. 小林守

    小林(守)委員 時間が一問で来てしまいましたので、まだいろいろあるのですけれども、特に観測体制の中で、降雨量と流域防災対策ということで、先ほど大畠委員の方からも、那須の方の降雨量が少なくとも何時間後には水戸での流量になってくるわけでありまして、そのような一つの、那珂川なら那珂川の水系における各地点の流量シミュレーションですかね、このような情報システムというのでしょうか、防災対策できちっと把握できるような、しかも早期に警戒・避難体制がとれるような流量のシミュレーションシステムを、きのうちょっとお聞きしましたらば一定程度のシステムはもうできていますということなのですが、その情報が行政から住民に伝わるところがよくできていないというのが現実なのかなというふうに思うのですね。その辺を十分今後の課題として取り組んでいただくようにお願い申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
  39. 西村章三

    西村委員長 青山二三君。
  40. 青山二三

    青山(二)委員 平和・改革の青山二三でございます。  私は栃木県内に住んでおりますけれども、比較的被害の少なかった県南の方に住んでおりますけれども、県内一帯に支持者もたくさんおりまして、被害もたくさん受けたということでございまして、こうして発言の機会をいただきました。心から感謝を申し上げて、質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、このたびの災害で亡くなられました方々に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の方々、そして被害に遭われました方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  今回の集中豪雨による災害は、先ほどもるるお話がありましたように、想像を超えたすごい災害でございました。だれもが、改めて豪雨の恐ろしさを知ったとか、これほどまでひどいとは思わなかったと、その感想を漏らしております。  栃木県では、先ほど御紹介がありましたように、集中豪雨のつめ跡をこのような冊子にまとめておりますが、これを見ますと、本当に一目瞭然に、いかにすごかったのかということがわかります。壊れた家屋、流されてしまった橋、冠水した田畑、そして崩れ落ちた鉄道、このように写真で記録されております。  こうした建物とか河川とか田畑、鉄道、このようなものは修復すればまたもとの姿に戻りますけれども、失われてしまった命は二度と戻ってまいりません。栃木県では五名の方がお亡くなりになり、私の住んでおります足利では、増水で水が多くなってしまった用水路に足を滑らせて落ちてしまって、高校生が一人亡くなっております。御両親のお気持ちを思うと、私も胸の痛くなるような思いがいたしております。  ですから、何といたしましても二度とこのような災害犠牲者が出ないようにということで、これはもちろん何十年に一度あるいは何百年に一度であるかもしれませんけれども、このような災害が起きましたときには、やはり国として、国民の命を守り、そして地域の安全を確保するというのが使命ではなかろうかと思います。  そういうことで、今回の災害教訓にして、いろいろな細かい災害対策を立てなければならないのではないか、また、いろいろと見直していかなければならないのではないかと私は思っておりますけれども、まず大臣に、どのようにお考えなのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  41. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 今先生が御指摘になられたように、災害で一番私どもが残念に思うのは、人命が失われる、こういうことでございます。もちろん、財産あるいは体に対する被害というようなものも避けなければならないわけですけれども、最も悲劇的なのは人命が失われることでありまして、これは何としても避けなければならない。全く同感でございます。  そこで、私どもとして、そうした悲劇を生まないためにどうしたらいいかということでございますけれども、やはり一つは、国土の保全事業というものをしっかりやっていく。しかし、人間の社会的な生活のありようというものがどんどん動きます。これに対して、ある種計画でもって規制をしていくということも大事でございますけれども、現実に、昔の農地住宅団地になってしまったというようなことも避けられないとすれば、それに見合った公共土木というものも必要になってくる。そうした意味で、今後ともこれに万全を期していかなければならない。これが第一点です。  しかし、そうは言い条、今日のような異常気象が起こりますと、そうした通常のものに対しては万全だと思われる公共土木事業も、機能を十分果たせない場合があるわけでございます。その場合には、これはもう避難をしていただくということが最も大事なことでありまして、そのためには、情報の伝達、警戒の体制を周知せしめるといったことが非常に必要になってまいります。  それから、あえてここで申させていただきますと、これは決して不注意だったとかというようなことで申し上げるわけじゃありませんけれども、水が今どんな状況かというようなことで水路を視察に行かれるような場合にも、やはり慎重には慎重を期していただく。日ごろよく散歩する道だからおれはなれているんだというような、そういう気持ちで行かれるのではなくて、やはり、かなり雨が降っているときには、もう慎重には慎重を期してそうした見回りをやっていただく。屋根の上に上って何か全体を眺めるといった場合にも、これはもう本当に慎重を期していただきたい。  こういったことについても、今後、市町村当局等はもっと啓蒙と申しますか、そうしたことに力を入れていただきたい。このことを今後私どもとしても努めてまいりたい、こういうように考えております。
  42. 青山二三

    青山(二)委員 大変ありがとうございました。  そこで、栃木県では、今回の災害教訓にいたしまして地域防災計画を見直しまして、住民への災害情報の強化策を検討するというようなことでございます。大雨を伴う台風が本当に次々に全国各地に被害をもたらしている昨今でもございますので、この際、全国の自治体の地域防災計画を総点検すべきではないか、このように考えますけれども、この点いかがでしょうか。
  43. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 都道府県と市町村地域防災計画につきましては、実は阪神・淡路大震災を契機にして、抜本的な見直しということでこれまでお願いをしてきたわけでございます。  都道府県についてはもう既に終了しておりますが、市町村の段階では、まだこれからというところ、あるいは作業中というところが非常に多い、こういう状況になっております。それに今回の災害ということでございまして、被災を受けられました地方団体においては、自分たちの行った応急措置と現実の防災計画というものをよく見比べて、点検、見直しという作業がこれから始まるというふうに承っております。  したがいまして、私どもといたしましては、そうした被災団体の実情というものをよくお伺いをして、それを参考にしながら現在全体的な見直しが進んでおりますし、また、終わったところでも必要に応じて見直しができることになっておりますから、そうしたことを参考にしながら、今後、より実践的で具体的な地域防災計画となるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  44. 青山二三

    青山(二)委員 これも早期にやっていただきたいと思います。  豪雨災害からはや一カ月になろうといたしております。栃木県では二名の方が行方不明のままで ございまして、大変心配をされております。県では連日百人態勢で捜索が行われ一それに消防団とか自衛隊も加わりまして必死の捜索活動を展開いたしているようでございますけれども、いまだに発見されておりません。  新聞報道によりますと、捜索規模が大幅に縮小されたということでございますけれども、今後の捜索活動をどのように進めていかれるのか、お伺いをしたいと思います。
  45. 池田克彦

    ○池田説明員 豪雨によります行方不明者の捜索状況についてお答え申し上げます。  栃木県警察では、先般の大雨による河川のはんらんに伴いまして、直ちに災害警備本部を設置し、人命保護を最優先に、情報の収集あるいは行方不明者の捜索、警戒、住民避難の誘導等に当たってきたところでございます。  現在把握されております栃木県下の行方不明者は二名でございますけれども、栃木県警では、発災以後、今日まで延べ三千三百四十名の警察官が出動して、足場の悪い中、一刻も早い発見をすべく捜索活動に当たってきたところでございます。  もとより、警察のみが行方不明者の捜索を行うものではございませんが、警察といたしましても、今後、関係機関と連携を密にしながら、引き続き行方不明者の発見に努めてまいりたい、こう考えております。
  46. 青山二三

    青山(二)委員 家族あるいはいろいろな周りの方の心配を思いますと、やはりしっかりと継続をしていただきたいと思っております。  次に、もう時間もございませんので最後の質問になろうかと思いますけれども、阪神・淡路大震災のときには大変なボランティアの方々が活動されました。まだ記憶に新しいことでございますが、今回も被災地では本当にボランティアの方々が大変な救援活動をされました。断水あるいは停電、床上浸水が何日も続きまして生活を断たれた方に、そういう被災地をめぐったり、いろいろな避難所をめぐったりいたしまして、愛の手を差し伸べたわけでございます。  ちなみに、ちょっと調べてまいりましたけれども、八月二十七日から三十一日まで五日間にボランティアの方々が届けました救援物資というのは、おにぎりが四千個、いろいろな家庭の方々が力を合わせてたくさんつくって持ち寄って、四千個も届けた。それから、カップラーメンがいろいろ買い集めて三万個、パンが三万個。そして水は、これが一番命に大切でございます、PETボトルを二万本も届けた。黒磯市とか那須町全域、そして矢板市、黒羽町、そして大田原市の一部にまで広範囲にわたって届けております。もちろん車で搬送するのでございますけれども、とても車で行けないところはリュックサックを背負って届けた、こんな感動的なお話もございます。  また、新聞報道によりますと、那須町では、地元のボランティアの人たちが総出で、産業廃棄物処理場のあの散乱した廃棄物、災害廃棄物を片づけた。そのごみの中には医療廃棄物とか注射針などが見つかりまして、幸いけが人はなかったようでございますけれども、もし手でも刺したら大変なことになるところでした。そのときの作業には、高校生を含む四十人のボランティアが参加したということでございます。  このように、自分の危険も顧みずに頑張っているボランティアの方々がいることに、私は本当に感激いたしております。  私は、こうした災害時に、何の報酬も求めず、困った人を助けてあげよう、そういうふうにけなげに頑張っていらっしゃるボランティア団体などをやはり評価してあげたい。その方たちは決して、評価されたいとか感謝されたい、そんな気持ちはないと思いますけれども、しかし、こんなに頑張ってくださっているボランティアに何らかの評価をすべきではないか、このように私は考えるのでございますけれども、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  47. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 阪神・淡路大震災のときのいろいろな要素の中で、外国人等の目から見て逆に非常に感心させられたということの中に、一つは、被災者が整然として、いろいろな救援物資をいただくにつけても先を争うというようなことを全くしないで、非常に静穏のうちにそうしたことに対応した、これが一つあります。と同時に、もう一つはボランティアの活動でございました。  これは、日本人というのはミーイズムというか、自分のことばかり考えているのではないか、特に若い人はそういう傾向が強いのではないかというようなのが一般的な見方であったわけですが、これが幸いの方向に見事に裏切られまして、実はそうではなかった。大変ボランティアの方々の活動が活発で有効であった、このことがあったわけでございます。  そこで、私ども防災を担当する国土庁といたしましても、災害対策基本法とか防災基本計画の中に災害時におきますボランティア活動の環境整備の問題を取り上げまして、これをまず平常時、出す側の市町村がボランティアの意思のある人たちをきちっと登録しておく、それから今度は、受け入れる方の人たちがその受け入れ体制をしっかりしておくというようなこと、それからまた活動の拠点を確保するといったようなことをやっていただきたいということをここに位置づけをして、規定をさせていただいているわけであります。  ただいま青山先生からは、さらに何か国の側からこの評価を考えたらどうかというようなお話がございましたけれども、これはなかなか難しいところでございまして、ボランティアの人たちからいたしますと、何か行政の一環に組み入れられることを必ずしも望まないというようなこともあるような気もいたしますし、そういうようなこともございますので、これは先生の御提案でございますから、今後の検討課題ということにさせていただければと存じます。
  48. 青山二三

    青山(二)委員 大変ありがとうございました。  黒磯市長さんからは何かすばらしい感謝のお手紙をいただいたということで感激しているようでございますので、そんなかた苦しいことではなくて、ちょっとした言葉、ちょっとしたお手紙、そういうことで御配慮いただければどんなにすばらしいかと思います。  いろいろな質問を用意いたしましたけれども、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
  49. 西村章三

    西村委員長 赤羽一嘉君。
  50. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 私は、八月末の豪雨災害の件ではなくて、九月二十二日の台風七号、これは実は、神戸市内のど真ん中の兵庫区、そしてその兵庫区の中のごく一部の限られた東山商店街周辺というところで、実に床上浸水四百六十六棟、床下浸水二百二十棟の被害が出され、同日災害救助法の適用も決めていただきました。この別の災害につきまして質問させていただきたいと思います。  まず、二十三日、休みだったものですから、私は、被災された床上浸水の方全部戸別訪問させていただき、お見舞いに伺わせていただきました。被災住民皆様は、九割五分以上の人たちが口々に、これは天災ではない、人災だと、大変厳しい反応でございました。  といいますのは、この東山商店街の北側に、二級河川でありますが、新湊州という実は小さな川がございまして、この川は阪神・淡路大震災のときに非常なダメージを受けて、実はここにもパンフレットがありますが、河川災害復旧助成事業としてまだ継続して工事をしているところでございます。川幅が実に半分になって、平素から工事用の鋼材に流木とかごみが詰まって大変危ないのじゃないかということを言われておりました。事実、この一月前の降雨の際にも見る見るうちに増水があったので、神戸の中部建設事務所に、私もよく知っている人ですが、この増水を何とかしないと危ないのじゃないかということを言っていたのです。  しかし、何も適切な措置がとられないまま、今回、この新聞にもありますが、水位が二十分間で二・八メートルも上昇したと。ここに、この新聞の記事がどうかわかりませんが、「復旧工事中県〝誤算〟認める」というような、まさに天災 だったら神戸市内でいろいろこういうはんらんがあってもおかしくないのですが、兵庫区のこの限られたところだけ起きてしまったという今回のはんらんについて、速やかに責任を持ってこの原因の追求、究明をし、その責任の追及の中で責任のとり方も研究して、また、あのくらいの雨であれだけのはんらんがあるということは、また起きるのじゃないかという、物すごい周辺の人たちが不安になっているので、この不安を取り除くために早期説明会をぜひ開催するように、これは二級河川ですから建設省直轄ではありませんので、県として開催するべしだということを国としても、建設省としても責任を持って指導していただきたいと思いますので、ぜひ建設省から端的に、時間も五分間ですので、一言だけ御回答をお願いします。
  51. 青山俊樹

    青山政府委員 事実関係は今先生お話しになったことのとおりでございまして、兵庫県からは、河川工事区間からの溢水により多くの家屋が浸水したことにかんがみ、浴水の発生原因の解明はもとより、出水期の工事方法、安全対策等について提言を賜る調査委員会を設置するというふうに聞いております。  建設省といたしましては、このような災害が再び発生しないよう、調査委員会での検討を含め、また説明会を含め、県に積極的にそういう対応をするように指導してまいりたい、かように考えております。
  52. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 よろしくお願いいたします。  それでは大臣に、端的に三点質問させていただきたいと思います。  一つは、今回の震災は商店街がまさに被害を受けたのです。公的支援のときも、実は生活基盤というのは住宅と生活必需品だという話をされた。片や我々は、経済基盤も生活基盤をなす大事なことだと。ですから、住宅が助かっても店がつぶれてしまうような被災者に対して、今の災害救助法につきましても今回成立した被災者生活再建支援法につきましても、実は支給の対象外になっておるのです。ですから、現法律では全く対応できない状況がある。家は助かったけれども店がつぶれて商売が全く再開できない、こういった状況について、こういう話をすると特例融資制度とかなんとか言うのですが、貸し付けを受けられるような大型の店舗じゃないのですね、パパママストアみたいなところなので。こういった被災者に対してどう対処するかということをぜひ前向きに検討していただきたいというのが一点でございます。  二つ目は、これは我々の災害だけじゃなくて台風災害共通なのだと思うのですが、罹災証明が、今回は全壊半壊ということじゃなくて、地震のときとは違います、床上浸水、床下浸水という罹災証明です。こうなると、被災者生活再建支援法では、罹災証明の全壊が条件になっているのですね。ところが、床上浸水になって空間は全部流されたのだけれども、柱とかが残っているので全壊ではない。しかし、こういう人たちは、生活基盤、空間を失いながらも被災者生活再建支援法の適用を受けられない。これは明らかに僕は欠陥であると思うのです。  ですから、全壊の罹災証明をもらえなくても、床上浸水であっても、実質的に生活基盤を失った人たちに対しては、ぜひ善処していただく方向で考えていただきたいというのが二つ目でございます。  最後に、そういった寝るところを失った人たちが、実は今回は商店街が大半なのですが、十数軒あるのです。この人たちが今言っていることは、実は震災の現場ですから、すぐ近くに、同じ町内に仮設住宅ができているのですね。この仮設住宅は、実はもう全員出たら撤去するという仮設住宅なのですが、ここに何とか、一週間でも五日でも間借りしたい、とりあえず寝させていただきたいということを言われております。  これを聞くと、厚生省の管轄がどうだとか自治省がどうだとかという話になって、まさしくもうがんじがらめになるのですが、どうせもうあとは撤去するだけのような仮設がたまたまあるわけですから、そこに入れてあげるというのはだれが考えてもそんな難しい話じゃないと思いますので、これは、国としてどうのこうのというのじゃないけれども、長官として、そういう方向で県に善処させるようにぜひ指導いただきたいということを三つ質問させていただきまして、御答弁を待っておしまいにします。
  53. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 御商売の基盤が大変損なわれたというときにどういう手当てをしていくかということでございますけれども、これは先生のお言葉ではありますけれども、被災者生活再建支援法においては、やはり生活の基盤、これを全く失ってしまった人がその生活の基盤を立て直していく、これに対して支援をしていこうということでありまして、御指摘のような御商売の関係のところにまでは、まだというか、この法律は手が回っていないということでございます。  それは恐らく、緊急融資とかなんとかということでもう既に先回りされた御指摘もいただいたわけでございますけれども、やはり国民金融公庫なりの、あるいは各市町村の団体がやっている、県がやっている、そういういろいろな融資制度、こういったものが基本になるということについてはやはり御理解を賜っておきたい、このように存ずるわけでございます。  それからもう一つ床上浸水方々について支援法の適用があるかないかということでございますけれども、これは基本的に、床上浸水をされて、水が引いた後、自分たちのいろいろな御苦労はあるにせよ、そこでまた生活の基盤としては回復をしていくというような方々については、やはりこの支援法をそこまで手を伸ばして適用していくということについても、現在のところは到底予定できていないということを、これも先生御案内のとおりでございますけれども、御理解を賜っておきたい、こういうように思います。  それから、仮設の住宅の活用、これは、現地をよく知っている赤羽委員に私が全く現地を知らないで物を申すわけにもいかないかとも思いますけれども、基本的には、そこのところは市なり県なりの御判断でなさるべきことであって、国土庁からこうしろ、ああしろというようなところまで指図をする立場にあるのかなということについては、私としては、ちょっとそこまでの気持ちは持ち合わせられないということでございます。
  54. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます。  被災者生活再建支援法は、実は五年間の見直し条項をつけております。ですから、現行の法律で助からない現状があるんだ、ではどうするかという立場に立ってぜひ前向きに検討していただきたいということを要望して、終わります。ありがとうございました。
  55. 西村章三

  56. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  今回の八月末豪雨災害で気づくことの一つに、学校関係被害がかなりあったということがあると思います。これは、各都道府県でそれぞれ被害が多数出ているわけでありますけれども、例えば、岩手県の場合ですと約七億円。九月十一日時点の数字ですけれども、約七億円の被害が出ておりまして、公共土木施設、農業関係、林業関係に次ぐ被害額となっているわけであります。それで、政府に対しまして、学校関係被害状況、また復旧、その対応ぶりについて伺いたいわけであります。  これは、児童生徒のために一日も早く普通の授業を受けられるような体制に戻してほしいということもあるわけですけれども、同時に、災害時に学校というものが避難所ですとか災害に対する一つのセンターの役を果たすようになっていて、阪神・淡路大震災のときにも非常に注目されたと思うのですけれども、物的、あるいは学校の先生中心とした人的支援ができるような体制が学校に求められてきているのだと思います。  そういうことも含めて、学校というのは災害に強い施設、また災害が起こったときにいろいろな対応ができるような状況でなければならないと思うのですが、そういう観点も含めまして、学校関 係の被害状況、その復旧ぶりについて質問したいと思います。
  57. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 この八月末豪雨によりまして、公立学校関係被害状況は、北海道も含めまして八道県におきまして、小中高等学校等百七十八校でございまして、被害の総額は、現在のところ約十三億円強になろうかと思っているところでございます。  今回の被害の多くは、校舎の浸水あるいはグラウンド冠水、さらにはグラウンドののり面の一部崩壊等ということで、学校教育そのものへ直接の大きな支障は生じていないかと存じているところでございます。  文部省といたしましては、早速現地に担当者も派遣いたしまして、今後の速やかな復旧事業のための事前着工の指導も含めまして対策に当たっているところでございますので、一月以内には各設置者におきまして災害復旧計画を出していただきまして、できるだけ速やかに復旧の手続を進めてまいりたいと考えているところでございます。  御指摘のございました学校の建物の安全性、さらには大規模な災害時におきます避難場所としての学校の活用という点につきましては、大変重要なことでございまして、従来からもさまざまな工夫を図ってきたところでございますが、阪神・淡路の大震災の経緯にかんがみまして、特に非常時におきまして、備蓄倉庫あるいは防災の広場、浄水型プール、あるいは学校給食施設の防災機能など、こういった点につきましても国庫補助制度を設けるなど、適切な対応を図っているところでございます。  また、実際に大勢の住民等が避難してくるという場合等も含めまして、児童生徒の安全確保等につきまして、教職員の具体的な各学校におきます行動マニュアルまで含めましてその指針を示して、各都道府県や市町村におきまして具体的なマニュアル、指針というものを整備していただくよう指導もいたしているところでございますので、御指摘も踏まえまして、今後とも十分各都道府県や市町村の取り組みに支援をしてまいりたいと考えております。
  58. 達増拓也

    達増委員 今学校について、一部、学校の荒廃などということが取りざたされる社会状況であるわけでありますけれども、いざというときに、地域や他の行政機関と一体になって人の命を救う、生活を守る、そういう機能も学校について強化していくことで、学校というものの全体的な回復、そういうものにも資すると思いますので、頑張っていただきたいと思います。  次に、八月末豪雨災害は非常に異常な雨であったわけでありまして、那須町に視察に行った際には、現地の人たちが、有史以来の雨だったというような表現でその異常さを表現しておりました。  こういう場合に、通常の大雨警報、洪水警報、そういう警報あるいは注意報といった情報だけですと、いつものとおりの雨なのか、そういう誤った認識を受けてしまうおそれがあるのだと思います。今回の雨が、そういう通常の警報が出るような事態をもさらに超えるような異常事態だったということが、現地住民の方やあるいは自治体にきちんと伝わっていたのかという疑問を抱くわけであります。  それに関連して、その後の台風五号の際に、たまたまNHKの朝のテレビのニュースを見ていたのですけれども、大雨警報、洪水警報、そういう警報というのにまざりまして、記録的短時間大雨情報というテロップが流れたのですね。画面に記録的短時間大雨情報というのが出ますと、やはりこれはただの普通の警報、注意報とは違うなというわけで、ぎょっとするわけで、非常に注目するわけであります。  こういう記録的短時間大雨情報というような警告、これは今までからずっとそういうものはあったのでしょうか。今回の異常な大雨をきっかけとしてつくったものなのか、それとも以前からあったものなのかを伺いたいと思いますし、警報や注意報が出るというのは普通のとは言えないのですが、そういう普通の警報や注意報を上回るような異常事態をうまく伝えるための工夫というのを今後どのようにやっていくつもりなのか、質問したいと思います。
  59. 瀧川雄壯

    ○瀧川政府委員 ただいま御指摘のございました記録的短時間大雨情報でございます。  これにつきましては、大雨によって災害が起こるおそれがある場合には、警報、大雨警報を出しております。大雨警報を出しているような状況で、数年に一度程度の非常に記録的な大雨を観測することもございます。そういうときには、非常に顕著な大雨が観測されたということをお知らせいたしまして、より一層厳重な警戒が必要であるということを知らせるために、このような情報をつくってございます。例えば大雨警報で申しますと、一時間の雨量が、場所によりますけれども、例えば五十ミリという場合には警報を出すというふうに行っております。  しかしながら、今回の大雨は、先ほどからも御指摘がございましたように、一時間に九十ミリとか非常に大量の雨が降っております。そういうことで、警報ではありますけれども、さらに、数年に一度のこのような大雨が降っております、そういうことをお知らせして、より一層の警戒を呼びかけるものでございまして、これは以前からやっております。
  60. 達増拓也

    達増委員 こういう警報以上の警告について、さらにいろいろ工夫していく必要があると思うのですね。  それは、もちろん気象庁から他の役所、自治体に通報する場合もですけれども、自治体の側あるいはマスコミの側でもそうした工夫にさらに力を入れて、例えば地震情報というのはかなりきめ細かく、マスコミはチャイムなんかを鳴らしてテレビの画面にテロップを流すような工夫をしているわけですけれども、この記録的短時間大雨情報というようなものについては、まだ国民一般認識も広がっていないのじゃないかと思いますので、そこは国民サイドもさらに工夫していく必要があると思いますし、また政府側でもさらなる工夫をしていっていただきたいと思います。  次に、栃木県の国道四号線余笹橋復旧作業、これを視察団は実際に見てきたわけでありますけれども、そこでの応急組立橋の活用というのは非常に印象的でありました。そういう緊急事態の迅速な復旧のための機材、資材、そういったものを平素から備蓄し、いざというとき、今回もかなり、東北建設局もまた関東建設局も、それぞれ管内あるいは管外から資機材をかき集めて各種対応をしたという、岩手県の一関や福島県郡山等では排水ポンプが活躍し、普通の消防ポンプの二十数倍の威力ですか、そういう排水ポンプが活躍したということで、これは緊急事態に対する危機管理体制としてそういう方向性でさらに頑張っていただきたいと思うわけであります。  今現状として、かなりあちこちから資機材をかき集めて必死に対応したようなのですけれども、現在の備蓄の状況、十分足りているのか、また今後それをさらにどう発展させていくのか、その辺について伺いたいと思います。
  61. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えいたします。  御質問の中にございました排水ポンプ車とかあるいは応急の組立橋、これにつきましては、まず基本的には、今お話のございましたように、迅速でかつ機動的な対応ができるというメリットがあるというふうに御認識いただいているわけで、私は全く同感でございますが、現在、全国で排水ポンプ車が二十二台、それから応急組立橋が二十一橋でございまして、それぞれ過去の災害状況を勘案しながら配置しておりますが、今回、一つ特色ございましたのは、御承知だと思いますが、例えば東北地建管内の今お話ございました岩手、福島に、関東地建あるいは北陸地建からも広域的な出動をさせていただいたわけでございます。  数限りない施設を配置することが最もいいわけでございますが、やはり災害とかそういうことを考え合わせますと、できるだけ効率的な配置をこれからしていきたいと思っておりまして、これは私たちの中の検討でございますが、ここ四、五年 のうちに、例えば排水ポンプ車は約五割増しぐらい、それから応急組立橋も、現在二十一台と申し上げましたけれども、これについても数台ぐらいは追加させていただきたいと。いずれにせよ、機動的な対応でこうした緊急の事態に対応してまいりたい、こう思っております。
  62. 達増拓也

    達増委員 それぞれ、主要な幹線道路の一日あるいは一時間も早い復旧、また床上、床下浸水状態の、これも一時間も早いそうしたところからの回復につながる非常に重要なことだと思いますので、しっかり対応していただきたいと思います。  次に、いつも災害になると、まず最初に現場で活躍し、また最後まで残って地域に根差して活躍するのが消防団の皆さんであると思います。今回の災害に当たりましても、危険箇所等の警戒巡視、要救助者の救助行方不明者の捜索、避難の誘導、土のう積みなどの水防活動等、いただいた資料によりますと、延べで十三万三千人の消防団員がやはり延べ二万八千人の消防職員とともにそのような防災救助活動に当たったということで、非常にありがたいことだと思うわけであります。  政府として、今回の災害におけるこういう消防団の活躍、貢献というのをどう評価しているのか伺いたいと思いますが、またあわせまして消防団、これはもう各地どこでもそうだと思うのですけれども、装備の老朽化ですとかあるいは若年層の人員不足、そういうものでかなり悩んでいると思います。そうした状況にある消防団を今後どう支援していくのか、これを伺いたいと思います。
  63. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 消防団につきましては、今回の災害に際しても、今お話がございましたように、本当に献身的な大きな役割を果たしていただいたというふうに思っております。ただ、消防団につきましては、一般的にやはり団員数の減少でありますとかあるいはその高齢化、さらにはやはりサラリーマン団員というのがかなりふえておりますので、そうしたことで日常時の活動についていろいろな課題を持っていることは事実でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、消防団の拠点施設あるいは装備の充実というような面での財源措置、あるいは処遇改善というようなことに努めますとともに、サラリーマン団員を前提にいたしますと、やはり企業の御理解というのが必要でございますので、そうした企業への御理解を求めること、あるいは若い女性を含めた一般の方々の加入といいますか、そうしたものへの啓発活動というようなものを含めまして、今後とも、やはり地域社会の消防防災のかなめでございますので、そうした活動の活性化、充実というものにできる限り努めてまいりたいというふうに考えております。
  64. 達増拓也

    達増委員 ぜひ力を入れてやっていただきたいと思います。  やはり消防防災というのはコミュニティーの基礎でありまして、村づくりですとか町づくりですとか、消防防災の部分を固める、そういう消防団をきちっと固めることによりまして、村づくり、町づくりの基盤が安定して、またさらに商工業の面から見た地域振興ですとか、あと伝統文化の継承、発展、そうしたものにも、消防団の皆さんは大体地域のリーダーとして活躍していることが多いので、副次的な効果も多々あり得ると思いますので、頑張っていただきたいと思います。  では次に、激甚災害援助法に関連した質問なのですけれども、これは他の委員皆さんからもそれぞれ地域的な観点から出ている話でありますが、福島県や栃木県のみならず、岩手県もですし、今回被災したところ、各自治体からその援助法の適用について政府の方にお願いが行っていると思います。その中には、いつもよりもなるべく早いスピードで認定してほしいとか、あるいは指定の仕方について、流域指定といった新しい指定の仕方を工夫してほしいとか、そういう柔軟な対応も求められているわけでありますが、改めて激甚災害援助法の適用についての政府の姿勢を伺いたいと思います。
  65. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 激甚災害指定につきまして、流域への一体的な運用ということをすべきではないかという地方公共団体等の要望を踏まえた御指摘でございますが、先ほどからも繰り返しておりますように、基本的には、市町村単位で指定しておりますのは、公共土木事業でいきますと市町村、あるいは農地農業用施設であれば農家の費用負担というものをできるだけきめ細かく市町村単位で判断し、著しい負担となる場合にはその緩和を図るという趣旨で市町村単位で指定を行うということにしておりまして、それはそれなりに合理的な制度ではないかなというふうに考えているところでございます。  また、早期指定に関しましては、現在、被害の把握等に努めていただいております。今後また、査定作業というものも入ってまいります。それらを鋭意急いでいただきまして、早急にやりたいというふうに考えております。よろしくお願いします。
  66. 達増拓也

    達増委員 では、最後に一言。  これは、先ほど渡辺喜美委員那須町につきまして、那須町は観光地でもある、それで、そういう観光の面から、那須町は大丈夫なので政府もPRしてほしい、これは私も大いに共感するところでありまして、それはやはり岩手県についても同様でありまして、秋の行楽シーズンからスキーシーズンに入っていく。  そういう中で、岩手県は、今回の水害に加えまして、岩手山の火山活動ですとか、その近くでの地震ですとか、非常に災害多難な最近なのでありますけれども、そういったことへの万全の対策を講じることを地域で一生懸命やっておりますので、それへの支援と並行して、そうした観光等の振興についても国と地方と協力しながらやっていっていただきたいということを述べさせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  67. 西村章三

    西村委員長 平賀高成君。
  68. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成です。  東北南部と関東北部を襲った今回の集中豪雨は、甚大な被害をもたらしています。そしてその後、台風五号や台風七号の被害も拡大をしています。我が党は、八月の集中豪雨災害発生した直後から、党内にも災害対策の本部をつくりまして、現地調査団派遣し、その調査に基づいて、二回にわたって柳沢長官にも具体的な申し入れを行ってきました。被災者の救済と補償、そして深刻になっています農業被害や林業の被害、そして、さらには公共施設災害復旧を急いでいかなければなりません。  私は、調査に行きまして本当に疑問に思うのは、阿武隈川や静岡県の三島の大場川の災害など、過去の災害が繰り返されているということです。阿武隈川の水害ですが、西郷村以外では、これは支流河川との合流地点や、さらには蛇行している部分や、さらには川幅がしぼんでいる部分、こういうところで堤防決壊やはんらんが起きています。それが水害の大半を占めているわけです。白河市では、支流の堀川の堤防が、合流地点の手前の大きなカーブのところで決壊をする。そしてさらに、須賀川市の釈迦堂川との合流点付近で、堤防が整備されていないところから水があふれ出しております。これらは、十二年前の八月五日の水害、ここでも同じような水害を受けたところであります。  阿武隈川は、須賀川市よりも上流部は福島県、そして下流部建設省が管理をしております。県にも建設省にも河川改修や堤防築造の計画はあるわけですが、計画が延び延びになっているわけです。須賀川市の助役さんは、我が党の調査団、特に県会議員団に対して、築堤と内水排除のための整備を切実に要望しておりました。  建設省に聞きますが、国や県の管理の部分で繰り返し災害が起こっているところについて、地元の要望に沿った、排水ポンプの強化や増設や、さらには築堤を早急に整備する考えはないのか、この点について質問します。
  69. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話ございました阿武隈川につきましては、先生御指摘のとおり、六十一年八 月に次いで今回の大出水になったわけでございます。  阿武隈川の河川改修の現状を申し上げますと、本川に対する整備を最重点で実施しておりまして、特に六十一年で大きな被害を受けました本川地区について、築堤等の整備を進めてきたわけでございます。その結果もありまして、六十一年当時二千六百ヘクタールの浸水面積があったわけでございますが、今回は約半分の千四百六十ヘクタールというところまでは減る状況になったわけでございますが、まだまだ本川、非常に不十分な状況は御指摘のとおりでございます。  また、繰り返し災害を受けているということにつきましても、私どもも非常に深刻に受けとめておりまして、そういった地区の築堤なりポンプの増強なりは鋭意進めてまいりたい、かように考えております。
  70. 平賀高成

    ○平賀委員 これは、直ちに復旧のために努力をするというふうに理解をして、もう少し具体的に聞きます。  白河市の堀川は、集中豪雨によって二度にわたって決壊をし、白河市の公設市場とその付近の工場や商店やアパートや民家、こういう大きな被害を与えたわけです。そして、決壊した周辺は十二年前にも崩れておりまして、改修が求められていました。しかし、改修工事は行われてきませんでした。県の計画では、来年から着工ということになっていて、阿武隈川に合流する川の流れを、堀川橋の下から真っすぐな流れにつくりかえる工事を一刻も早く実施することが必要だと私は思います。あわせて、堀川橋上流堤防の改修も急ぐことが求められているわけですが、これらの点についてどのように考えているのか、答えてください。
  71. 青山俊樹

    青山政府委員 今お尋ねのございました堀川の阿武隈川合流点につきましては、新たにショートカットいたしまして、川を滑らかに本川につなげるというための水路開削工事をする予定でございまして、これができますと洪水の疎通がかなり改善されるというふうに認識いたしております。  そのための用地の手当てが必要でございまして、その用地取得につきましては平成九年度から着手したところでございまして、今後とも引き続き地元の御理解を得ながら、速やかに整備を行うよう県を指導してまいりたい、かように考えております。
  72. 平賀高成

    ○平賀委員 私も今しっかりと聞きましたので、ぜひ早急に改修をお願いしたいと思います。  それでもう一つ、これは須賀川市の地域のことなのですが、河川改修のおくれは深刻だと私は思います。特にここでは、阿武隈川と釈迦堂川との合流点は、阿武隈川の下流の遊水地のような役割を担わされているわけです。堤防の一部が十メートル弱削り取られた状態で放置をされております。ここは上流部の築堤のないところよりも低くなっていて、付近の道路よりも低くなっているわけです。ちょっとした増水で水が流れ込んでくることになりまして、このために、仲の町の周辺の住民は翌朝まで、自分の住んでいる家が浸水してきているという、こういうことさえも知らないでいたわけです。避難の態勢をとることができずに、家財道具を失っているわけです。堤防が削られたまま放置をされていたことが被害拡大の大きな原因であるわけです。  ですから、建設省は、削られている部分やまた上流部分を含めて、早急にその改修をすることが必要だと思っておりますが、この点についてどのように考えているのか、答えてください。
  73. 青山俊樹

    青山政府委員 今お話のございましたのは、須賀川市の江持橋下流左岸部のことだと認識いたしておりますが、当該箇所は、治水の安全度のバランスと申しますか、左右岸のバランスというふうなことを考慮しながら、また地元の御理解を得ながら順次整備を進めてきているところでございまして、平成十年度中に締め切り工事は完了する見込みでございます。
  74. 平賀高成

    ○平賀委員 この間、建設省としてもいろいろなことはやってこられたと思いますけれども、しかし、工事をしている途中であったとしても、これはちゃんと締め切り工事はやっておかなければならないということですから、早急にこの点については対処していただきたいと思います。  それで、河川改修や堤防の整備、それから内水対策というのは、これは本当に重要でありまして、急がなければなりません。今回の集中豪雨では、阿武隈川の調査地点のすべてで警戒水位を超えて、須賀川市では計画高水位さえ超えています。水害を繰り返させないために、流域の住民も参加をした阿武隈川全体の治水対策が必要になっていると思います。急いで検討されなければならないのは、阿武隈川流域の適切な地点に遊水地を設けることが必要だと私は思います。  建設省は、計画的に水を逃がし、そして増水を防いでいく遊水地の設置を住民合意で進めていくことなど、森林や農地の保水機能も統合した治水計画を検討するべきではないのかと私は考えるわけですが、この点について答弁をお願いします。
  75. 青山俊樹

    青山政府委員 今先生からお話がございました流域の持つ保水機能、遊水機能、これを極力保全することが重要ではないかという御指摘でございますが、私どもも、それは重要だという認識は持っております。  現在、阿武隈川流域に計画上の遊水地というものはございませんが、適地があれば、極力遊水機能を持たせるような治水対策をも住民方々の御理解を得ながら検討してまいりたい、かように考えております。
  76. 平賀高成

    ○平賀委員 この点では明確に、はっきりと遊水地の計画を検討するという答弁でありましたので、私たちもいろいろそういうお話を伺ってきておりますが、特に農地を持っている農家の皆さんともいろいろ合意の上で契約を結んで、本当に総合的な、そういう森林機能や農地の機能を果たす、そういう計画をぜひつくっていただきたいと思います。  そこで、柳沢長官に伺いたいと思いますが、長官は、今回の災害特の議論の中でも、今後地球の温暖化などで多雨傾向が、雨がたくさん降っていく傾向は当然予測をされますので、それを前提とした上で総合的な防災対策検討したいという答弁をされています。私は特に、今の阿武隈川だけの問題ではなくて、これ以外の大きな河川についても総合的な計画を持つべきだと思いますが、この点についての長官のお考えを聞きたいと思います。
  77. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 委員の御質疑で、私が、今後異常気象が、あるいは多雨現象が予想されるというふうな前提で物を言っておるという御指摘があったのですが、これは必ずしもそういうことを申しているわけではありません。昔から計画流量をオーバーするような雨というのはあったわけでございまして、今回もまたそういうことがあったのだということを指摘させていただいておるわけであります。もちろん、学者さんの中には、一回に降る雨が非常に強くなってきているというようなことを指摘する人もいるということは、私の耳目にも触れておるということは申しておるわけですが、我々役所としてそのような予測のもとに立っているのだということを申しているのではございませんので、その点は確認をさせていただきたいと思います。  そこで、問題は、しかし今申したように、どの施設をつくるにしても、計画値というか目標値というものが設定された上で設計がなされ、建設がなされるわけであります。しかし、我々が直面する現象というのは、必ずしもその計画、目標の範囲内に常におさまっているということばかりではないわけで、これをオーバーすることもあり得るということでございまして、さて、これをオーバーするような現象が起こったときに、人命なりあるいは財産なりをどのように守るかということも考えておかなければならないということを強調させていただきたいと思っております。  それはどういうことかというと、もう少し、雨量の予報が出たときに、それが自分たちの近隣の河川の能力との関係でどういう意味を持つのか、 あるいは自分たちが住んでいる近くにある山やがけとの関係でどういう意味を持つのであるかということをもっとみんなが的確に認識するような、そういう素地を日ごろから培っておく必要があるのではないか。これを私としては強調させていただきたいわけであります。  私は、今回も視察に行って、すぐそのことを申したのでありますが、建設省河川局がすぐ飛んできてくれまして、こういうふうになっておりますということを、実情を教えていただきました。それによりますと、河川の能力を近隣の人たちに配っておるという自治体が三十七自治体ぐらいございますという話でございました。  日本じゅうには、平賀委員も御存じのとおり、若干動きがありますので、最近どうかということを的確には申せませんが、少なくとも三千二百以上の市町村があるはずでございます。そういう中で三十五とか三十七の市町村でそういう危険マップを配っておるというのでは、やや心細いわけでありまして、そういったことについては、むしろもっと普及に努めるということでなければならぬということをお互いに確認をさせていただきました。建設省当局におかれましても、そのようなことを努力してくれるものと私として期待をいたしております。  それから、もう一つ申しますと、こうしたことは、教育の場でももっと的確に子供のころから教え込むということが大事ではないか、こんなことも私は感想として持っておりまして、これらについては、これからおいおいまた、教科書の内容等々に挿入していただくように文部省等にも働きかけてまいりたい、このように考えております。
  78. 平賀高成

    ○平賀委員 今私が聞いたのは、阿武隈川のそういう遊水地なども活用した総合的な防災政策を、これをほかの河川でもぜひやるべきではないのかというふうなことを聞いたわけで、この点について、本当に短く、一言だけ言ってください。
  79. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 これは昔から、水を治める者が国を治めるということで、我々の近くにも信玄堤なんというようなものがありまして、あるいは霞堤というようなものがありまして、それで遊水をさせるということが治水の一つの技術であるということでやってきた、これは我々の先輩たちの知恵でございます。  しかしそれが、先ほど来私もちょっと触れさせていただいたのですけれども、やはり人間が住むところのスプロール現象の中で、なかなかそうしたことが許されなくなった。どこの堤も全部閉じた閉鎖系の堤になるということになっておりまして、それをどのようにしていくかということは、河川の技術者の今後の課題であろうと私は思います。
  80. 平賀高成

    ○平賀委員 それでは次に、静岡県の三島市の大場川の問題で伺います。  集中豪雨によって、ここの六カ所の堤防決壊をしました。そして、大場川付近の住民は九〇年の九月にも被災をしております。その後、六十五億円をかけて大場川の災害復旧助成事業を実施してきました。工事も完成して住民皆さんは安心していたところなのですが、ところが、今回の災害では溢水はしなかったわけですが、しかし堤防は六カ所も決壊をしました。災害復旧工事が行われた河川で同じような災害が起こること自身問題でありまして、県管理の部分ではありますが、道路が陥没して護岸崩壊をした大宮町の被害住民は、川の水が護岸の基礎から浸透したのではないかと話しています。  建設省に聞きますが、事実関係はどうなのか、この災害の原因を究明して、住民の意見をよく聞いて復旧工事を行うべきだと思いますが、この点について答弁をお願いします。
  81. 青山俊樹

    青山政府委員 今の大場川の付近でございますが、八月末の集中豪雨により、護岸が決壊する被害発生いたしまして、この被災箇所の応急復旧は九月八日に完了したところでございます。  現在、静岡県では、施設の詳細な点検及び河道調査を行っているところでございます。このデータ及び被災の過程を目撃されました地元方々お話を聞きながら、再度このような災害が起こることのないよう、学識者、専門家等による復旧工法検討委員会を設置し、復旧工法の決定をしてまいりたいというふうに聞いております。  工法が決まり次第、速やかに復旧していくということでございます。
  82. 平賀高成

    ○平賀委員 よく住民皆さんの意見を聞いて対応していただきますように要望しておきます。  そして、最後になりますが、今回の那須町の八月二十七日の集中豪雨で、数カ所の産業廃棄物処分場の壁面が水流でえぐられて、廃棄物が流出をしました。処分場は、農業用水として使われている通称高津用水沿いの東側にありまして、下流では余笹川に合流をしています。産業廃棄物処分場から、針のついた注射器やまた点滴の管などの医療廃棄物が大量に流出をしたことが明らかになっています。廃棄物処理法で特別の管理が義務づけられています医療廃棄物が適正に処理をされていませんと、これは感染のおそれがあって重大な問題です。  厚生省は、那須町の産業廃棄物処分場からの医療廃棄物の流出、原因者の特定などについて、どのように対策を行っているのか。それからもう一つは、今後こういう産業廃棄物の処分場が水害に遭うということが予測されますので、ミニ処分場や産業廃棄物の処分場について総点検を行うべきだと思いますが、この点について答弁を求めます。
  83. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 御指摘の件でございますが、平成十年八月末の豪雨によりまして、那須町柏台地区の通称高津用水が増水をいたしまして、その左岸部分が九十メートルにわたりまして崩壊したわけでございますが、その崩壊した土地の中にあったと思われます廃プラスチック等が流出したものでございます。この件は、私も実はテレビの報道番組で見ております。これにつきましては、地元住民方々等のボランティア活動によりまして、既に撤去済みというふうに聞いております。  ただ、当該廃棄物につきましては不法投棄の可能性も考えられるわけでございまして、これらの点を含めまして、排出者等に対しまして現在栃木県が調査を行っておられるというふうに聞いております。この調査の結果に基づきまして、廃棄物処理法との関連等々を明らかにしながら、適切に対処するように指導してまいりたいと考えております。  なお、最終処分場についてでございますが、技術上の基準というのがございまして、法に基づきまして、自重それから土圧、水圧、波力、地震等に対して構造体力上安全であることという規定がされているわけでございまして、そういった意味では、豪雨も想定した設計がなされるべきであるというふうに私どもとしては考えております。  私どもといたしましては、今後とも、最終処分場等を含めまして廃棄物処理施設に対します指導を行っているわけでございますが、そういった点も踏まえた適切な対処をしてまいりたいと考えております。
  84. 平賀高成

    ○平賀委員 以上で終わります。
  85. 西村章三

    西村委員長 北沢清功君。
  86. 北沢清功

    ○北沢委員 社民党の北沢でございます。  相次ぐ台風豪雨災害でとうとい人命を失われ、また物心両面で大きく傷ついた皆さんに、心からお見舞いを申し上げたいと思います。  今回の七号台風被害については、例えば私の地元の長野県では農作物被害が主でございまして、収穫期を間近に、リンゴの落果を中心に八十四市町村、なお被害額は百六億円に上りまして、今後さらに被害が拡大をするというふうになると思います。落果を早急に処理する必要に迫られておりますし、また風によって傷つきました果物の防疫対策等、緊急な課題となっております。  過去、平成三年度に同様な被害があったわけでありまして、当時の果樹被害は大きな痛手をこうむっております。平成三年度においては、私も当時、県下をくまなく回りましてその対応に当たったわけでありますが、農水省といたしましてその 当時のとられた処置を具体的にお尋ねをいたしたいと思います。
  87. 樋口久俊

    ○樋口政府委員 お答えを申し上げます。  今先生からお話ございましたように、平成三年、中旬から下旬にかけまして、台風十七、十八、十九号と連続的に来襲をしまして、大きな農作物被害が出ておりますが、その中で、果樹につきましての被害金額農作物全体の四五%ほどでございまして、約九百六十四億円というように私ども承知をいたしております。被害面積はほとんど全国にわたりまして十二万ヘクタール余ということでございまして、果樹被害といたしましては、ほとんど未曾有のものと言っていいほど甚大なものでございました。  このような被害にかんがみまして、私どもの方では、まず農業共済によります減収の補てん、それから農林漁業金融公庫の自作農維持資金の融通のほか、果樹につきまして、先ほど先生もおっしゃいましたけれども、落下果実の利用対策といたしまして、加工原料用果実の一時貯蔵あるいは加工原料の県外輸送、それから果汁の需給状況に応じました調整保管等の実施、それから被害果樹についての栽培技術の指導等の対策を講じたところでございます。
  88. 北沢清功

    ○北沢委員 今言われましたように、それぞれ応急対策がとられた処置でありますが、今回それぞれ急がれると思われる点について、一刻も早く実施をお願い申し上げたいと思います。前回の事例を踏まえての、より行き届いた、そして充実した対応が講ぜられてしかるべきと考えております。ぜひ前向きな対処をしていただきたいと思うが、いかがでしょうか。
  89. 樋口久俊

    ○樋口政府委員 特に、先生の方から御発言ございました落下果実の輸送対策でございますけれども、これにつきましては、先ほど御答弁を申し上げましたとおり、前回もかなりの量が被害になったこともございまして、私どもの方で落下果実の利用対策として、一時貯蔵でございますとか県外への輸送等々を実施しております。今回も、まだ被害全体が確定をいたしておりませんで、調査中のものもございますが、県を通じまして具体的な要望をお申し出いただければ、私どもの方でも対応を検討したいと思っております。  いずれにしましても、最終的な結論は、そもそもまだ全体の規模が決まっておりませんので何とも申し上げられませんが、具体的な要望を県を通じて出していただければというふうに考えているところでございます。
  90. 北沢清功

    ○北沢委員 私としては、前回の対応も相当されましたので、これらの面についてはぜひ前回以上な対応をお願いいたしたいと思います。  特に、今ジャムやジュース等については非常に過剰在庫がございます。それから、今後考えられる点としては、いわゆるきずもののリンゴを都市の皆さんに御理解をいただいて安くお分けをしなければならないわけでありますが、これらの輸送について、やはり安いなりに補助をしていただかないと、都市の皆さんに安く、内容的には、傷ついたけれども立派なリンゴとして味を維持できるわけでありますから、これらについては特に対策お願いいたしたいと思っております。  それから、今申し上げるように、融資が主でありますし、融資は融資でありますからいずれ返さなければいけないわけですね。だから一年の収入を失うわけであります。それから果樹共済も、後で申し上げますが、極めて加入率が低いわけでありますから、実質的には被害の救済なり農家の生活不安というものはぬぐえないわけでありますから、これらについては特にお願いを申し上げたいと私は思います。  特に、被害を受けた場合の融資制度として自作農維持資金がございます。今は低利時代でございますので、これらの金利について、今の低金利の時代に合うような積極的な対応をいただきたいと思っておりますが、これらについてはいかがお考えですか、御答弁をいただきたいと思います。
  91. 渡辺好明

    渡辺(好)政府委員 御指摘の自作農維持資金のうちの災害資金でございますけれども、当面の収入減を補てんするなどの目的のために、立ち上がり資金もしくはつなぎ資金という形で融資をされるものでございますけれども、現行の仕組みが据置三年、二十年償還、金利一・七%という状況になっております。  一・七%という貸付利率につきまして、これを引き下げてはどうかという御指摘でありますけれども、実情を申し上げまして、今の貸付利率は、制度創設以来最低の利率でございます。それから、貸付利率は、やはり農林公庫の融資ということもございまして、財投金利を踏まえて決定をされているという点が二つ目にございます。さらに、この災害資金だけではなく、国全体の災害融資の金利体系とのバランスというものも考える必要がございますので、私は、さらなる引き下げというのは困難であると考えております。
  92. 北沢清功

    ○北沢委員 さらに御検討をいただきたいと思います。  そして、こういう場合の備えで頼りになるのは果樹共済の制度でございます。果樹共済の制度については、私どもの長野県の例で言うと、加入率が一八%でございます。それも年々加入率が低下をしておりまして、五アール以下の小規模農家は入れないし、また掛金が米などの共済と異なって高いわけであります。  したがって、この場合については、やはり果樹共済についてももう一考しないと、加入者をふやしていくということと、こういう災害に共済制度で備えるということが重要な制度でありますから、これらについて、新たに各観点から、促進方策等についても積極的な対応をいただきたいということを申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  93. 竹中美晴

    ○竹中(美)政府委員 果樹共済についてのお尋ねでございますが、農業共済におきます掛金率は、先生御存じのとおり、保険の理論に基づきまして、過去の被害状況等に基づいて設定される仕組みになっております。  果樹共済について見ますと、昭和四十八年度の本格実施以来、台風等による災害が連年発生いたしまして掛金率の上昇を招きましたことや、そもそも面積当たりの生産金額が高いことから、水稲等に比べますと共済金の掛金の額が高くならざるを得ない事情にございます。そういうこともございまして、御指摘もありましたように、他の共済に比べますと果樹共済への加入率は相対的に低位に推移しているところでございます。  そういう中にありまして、農家の掛金負担を極力抑制しまして加入促進を図ります観点から、これまでも、農家の選択制で、例えば暴風雨だとかひょう害だとか、特定の事故に限定した掛金の安い方式、これを特定危険方式と言っておりますが、そういった方式の導入や、防ひょうネットのような防災施設を用いた農家に対する掛金の割引の実施とか、また共済事故の発生状況に応じまして、被害の少ない農家の掛金率を低くするような方式の導入とか、さまざまな工夫を凝らしまして制度の改善に努めてきたところでございます。  こういう取り組みもございまして、現在、果樹共済全体として見ますと、加入率は二五%で、樹種別に見ましても、リンゴで三四%、ナシで三三%と割合低い状況になっておりますが、県別樹種別に見ますと、リンゴで秋田の場合に五三%、青森が三七%、ナシで鳥取が四九%、栃木が四四%というふうに、比較的高い加入率となっている主産県も出てきているところでございます。  今後とも、果樹共済に対します農家のニーズとか掛金負担、加入促進といった観点も踏まえまして、引き続き果樹共済のあり方について研究をさせていただきたいと考えております。
  94. 北沢清功

    ○北沢委員 今回の果樹災害については、テレビ等で、非常に落胆をした農家の主婦の皆さんや若い人たちの姿が映像を通じて私どもの胸を打つわけであります。災害について、いわゆる補償というものは、一年間収入がないわけですね。だから、これは大変なことです。投資をした上でしかも収入がないということは、俸給取りにとりましてのただ働き以上に非常に受けているという、こ れは果樹の持っている運命でありますが、新農基法が議論をされているわけでありまして、農業共済制度というものがより実効あるものとしてさらに検討を加えられるということでありますから、そういう面では私は大いにこの面について期待をしておりますし、果樹は主食ではないわけでありますが、地域産業の重要な役割を担っておると同時に、所得の不安定な農業後継者にとって必要不可欠なものであるということを重ねて申し上げ、要望して、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  95. 西村章三

    西村委員長 以上で質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十七分散会      ――――◇―――――