運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1998-09-29 第143回国会 衆議院 厚生委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月二十九日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 木村 義雄君    理事 佐藤 静雄君 理事 鈴木 俊一君    理事 田中眞紀子君 理事 長勢 甚遠君    理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君    理事 福島  豊君 理事 久保 哲司君       安倍 晋三君    伊吹 文明君       岩下 栄一君    衛藤 晟一君       大村 秀章君    桜井 郁三君       砂田 圭佑君    田村 憲久君       戸井田 徹君    能勢 和子君       桧田  仁君    堀之内久男君       松本  純君    宮路 和明君       家西  悟君    石毛 鍈子君       五島 正規君    今田 保典君       城島 正光君    土肥 隆一君       青山 二三君    旭道山和泰君       武山百合子君    藤井 裕久君       吉田 幸弘君    児玉 健次君       瀬古由起子君    中川 智子君       河村たかし君    笹木 竜三君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 宮下 創平君  出席政府委員         環境庁企画調整         局長      岡田 康彦君         環境庁大気保全         局長      廣瀬  省君         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         文部省体育局長 遠藤 昭雄君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君         厚生省老人保健         福祉局長    近藤純五郎君         農林水産省農産         園芸局長    樋口 久俊君         農林水産省食品         流通局長    福島啓史郎君         農林水産技術会         議事務局長   三輪睿太郎君  委員外出席者         環境庁企画調整         局環境保健部環         境安全課長   吉田 徳久君         環境庁水質保全         局水質規制課長 畑野  浩君         環境庁水質保全         局土壌農薬課長 西尾  健君         労働省労働基準         局安全衛生部長 下田 智久君         厚生委員会専門         員       杉谷 正秀君     ――――――――――――― 委員の異動 九月二十九日  辞任         補欠選任   城島 正光君     今田 保典君 同日  辞任         補欠選任   今田 保典君     城島 正光君     ――――――――――――― 九月二十一日  遺伝子組換え食品安全性についての情報公開  に関する請願池端清一紹介)(第一六八号  )  同(石毛鍈子君紹介)(第一六九号)  同(濱田健一紹介)(第一七〇号)  同(横光克彦紹介)(第一八二号)  同(北橋健治紹介)(第一九一号)  同(三沢淳紹介)(第一九二号)  同(藤田スミ紹介)(第二二七号)  同(松本善明紹介)(第二二八号)  同(長内順一紹介)(第二九〇号)  同(保坂展人君紹介)(第二九一号)  同(金子満広紹介)(第三三〇号)  同(北沢清功紹介)(第三三一号)  同(小林守紹介)(第三三二号)  同(松本龍紹介)(第三三三号)  乳幼児医療費無料制度の創設に関する請願(堀  込征雄紹介)(第一八一号)  同(北沢清功紹介)(第三三五号)  公的介護保障制度の確立に関する請願瀬古由  起子紹介)(第二二三号)  医療制度改悪反対に関する請願大森猛君紹  介)(第二二四号)  同(佐々木陸海紹介)(第二二五号)  同(矢島恒夫紹介)(第二二六号)  同(山原健二郎紹介)(第二四四号)  同(金子満広紹介)(第二八八号)  同(佐々木陸海紹介)(第二八九号)  同(木島日出夫紹介)(第三〇六号)  同(山原健二郎紹介)(第三〇七号)  同(中路雅弘紹介)(第三二九号)  医療保険制度改悪反対保険でよい医療に関  する請願藤村修紹介)(第二二九号)  同(北沢清功紹介)(第三三四号)  医療保険改悪反対社会保障充実に関する請  願(瀬古由起子紹介)(第二三〇号)  同(佐々木憲昭紹介)(第二四五号)  同(瀬古由起子紹介)(第二四六号)  同(平賀高成紹介)(第二四七号)  医療保険制度改悪反対医療充実に関する請  願(佐々木陸海紹介)(第二四三号)  医療保険制度改悪反対医療充実に関する  請願大森猛紹介)(第二五七号)  同(中路雅弘紹介)(第二五八号)  医療費値上げ前に戻し、医療制度連続改悪  撤回に関する請願中島武敏紹介)(第二五  九号)  医療保険制度改悪反対保険によるよい医療  に関する請願東中光雄紹介)(第三〇八号  ) 同月二十八日  遺伝子組換え食品安全性についての情報公開  に関する請願倉田栄喜紹介)(第三五八号  )  同(佐藤謙一郎紹介)(第三七六号)  同(石井紘基紹介)(第四一〇号)  同(枝野幸男紹介)(第四一一号)  同(桑原豊紹介)(第四一二号)  同(佐々木陸海紹介)(第四一三号)  同(達増拓也紹介)(第四一四号)  同(中路雅弘紹介)(第四一五号)  同(冬柴鐵三君紹介)(第四一六号)  同(村山富市紹介)(第四一七号)  同(石井紘基紹介)(第四四四号)  同(桑原豊紹介)(第四四五号)  同(達増拓也紹介)(第四四六号)  同(寺前巖紹介)(第四四七号)  同(石井紘基紹介)(第四六四号)  同(桑原豊紹介)(第四六五号)  同(達増拓也紹介)(第四六六号)  同(桑原豊紹介)(第四八三号)  同(原口一博紹介)(第四八四号)  医療制度改悪反対に関する請願中島武敏君  紹介)(第四〇九号)  同(松本善明紹介)(第四四三号)  医療費値上げ前に戻し、医療制度連続改悪  撤回に関する請願古堅実吉紹介)(第四四  八号)  医療保険制度改悪反対保険によるよい医療  に関する請願石田幸四郎紹介)(第四六七  号)  同(石田幸四郎紹介)(第四八五号)  医療保険制度改悪反対保険によるよい医療に  関する請願石井一紹介)(第四八一号)  健保本人高齢者、薬代などの患者負担増をも  とに戻すことに関する請願吉田幸弘紹介)  (第四八二号)  は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 九月二十九日  臍帯血移植公的臍帯血バンク設置等に関する  陳情書  (第一〇九号)  乳幼児医療助成制度化に関する陳情書  (第一一〇号)  在日外国人に係る障害基礎年金老齢基礎年金  等の未受給者に対する救済に関する陳情書  (第一一一号)  遺伝子組換え食品安全性確保に関する陳情書  外一件  (第一一二号)  介護保険制度充実に関する陳情書外四件  (第一八〇号)  男性介護従事者の養成と介護従事者待遇改善  に関する陳情書  (第一八一号)  介護保険制度導入に伴う既存電算システムの改  造に要する経費の財政措置に関する陳情書  (第一八二号)  全国ハンセン病療養所に関する陳情書  (第一八三  号)  少子化対策充実に関する陳情書外二件  (第一八四号)  廃棄物処理に関する制度整備充実に関する  陳情書外一件  (第一八五号)  離島における廃棄物処理施設等整備に関する  陳情書(第  一八六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件(ダイオキシン  問題)      ――――◇―――――
  2. 木村義雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件、特にダイオキシン問題について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本純君。
  3. 松本純

    松本(純)委員 おはようございます。自民党の松本純でございます。  きょうの厚生関係基本施策に関する件、ダイオキシンの件でありますが、質問をさせていただきたいと思います。  厚生省におきましては、専門家による検討が重ねられまして、平成二年十二月にダイオキシン類発生防止等ガイドライン、いわゆる旧ガイドラインが策定をされたところであります。その内容は、可能な限りダイオキシン類発生防止対策を推進すること、排ガス中のダイオキシン類濃度は〇・五ナノグラムになることが期待されることなどにとどまっておりました。  その後、諸外国ダイオキシン対策研究対策の進展とともに、我が国においてもこの毒性評価研究が進められてまいりました。平成八年に一日耐容摂取量が提案されまして、これを受けて、厚生省ごみ処理に係るダイオキシン削減対策検討会設置をされました。  平成九年一月にごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン、いわゆる新ガイドラインを取りまとめたところであります。その内容は、発生段階で極力抑えるという観点から、健康への影響を防止するための技術的に可能な対策がまとめられており、緊急対策として、排ガス中のダイオキシン類濃度基準は八十ナノグラムとし、この基準を満たさない焼却施設にあっては直ちに対策を講ずることとしております。また、恒久対策としては、基準を、新設の全連続炉は〇・一ナノグラムとするとしております。また、ごみ処理広域化を推進すること、焼却灰等ダイオキシン類削減のための溶融固化等無害化処理を推進することなどとなっております。  なお、この新ガイドライン一般廃棄物焼却施設を想定したものとなっていたため、その後、厚生省は、産業廃棄物処理施設を含めた廃棄物焼却施設に係る構造維持管理基準改正を行いました。この改正によりまして、廃棄物焼却施設  に係る排ガス中のダイオキシン類濃度基準を、例えば一時間当たり四トン以上の処理能力のある焼却室の場合には、新設のものについては平成九年十二月から〇・一ナノグラム既存のものについては一年間基準適用を猶予し、本年、平成十年十二月から平成十四年十一月までは八十ナノグラム平成十四年十二月からは一ナノグラムとするように定められました。  また、平成九年五月、環境庁設置されましたダイオキシン排出抑制対策検討会から報告書が提出をされておりまして、そこでは、有害大気汚染物質のうち人の健康被害を防止するためその排出などを早急に抑制しなければならない指定物質ダイオキシン類を指定するとともに、主要な排出源である廃棄物焼却炉等に対するばいじん排出規制も有効であるとの提案がなされております。これを受けて、環境庁大気汚染防止法施行令及び施行規則等改正を行ったところであります。  このように、対策がさまざま講ぜられ、対応がなされていたところでありますが、それにかかわらず、本年四月に大阪府の豊能美化センター周辺土壌から八千五百ピコグラムという高濃度ダイオキシン類が検出され、それを受け、本年六月に厚生省生活環境審議会廃棄物処理部会ダイオキシン対策技術専門委員会設置し、今回、その結果が報告されたところであります。  その中で、豊能美化センターにおいて、開放型冷水塔からの飛散による周辺土壌汚染が明らかになったと聞いておりますが、このような汚染可能性というものについて事前に把握をすることができなかったのかどうか、この点についてまず初めにお尋ねをしたいと思います。     〔委員長退席鈴木(俊)委員長代理着席
  4. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 豊能美化センターにおきますダイオキシン問題につきましては、今先生指摘のございました、九月二十一日に開催されました生活環境審議会廃棄物処理部会ダイオキシン対策技術専門委員会におきまして、排ガスを水で洗浄する装置湿式洗煙塔と申しますが、その水循環系統などから極めて高濃度ダイオキシン類が検出されたことが明らかになったわけでございます。  その原因といたしましては、焼却炉におきます不完全燃焼等によりまして高濃度ダイオキシン類を含みます排ガスが発生した上に、排ガスを洗浄した排水を循環して使用していたということ等によりまして湿式洗煙塔におきましてダイオキシン類が濃縮されまして、その一部が屋上の開放型冷水塔から飛沫に含まれて環境中に排出されたものと推定をされたわけでございます。  このように、今回の高濃度汚染につきましては、さまざまな条件が重なった結果といたしまして、これまで汚染経路とは認識されていなかった開放型冷水塔を経由して生じたものと考えられまして、その可能性事前に把握するということは困難であったというふうに考えております。
  5. 松本純

    松本(純)委員 これは飛沫に含まれていて、さらに複合的な原因によって起こったものであり、これは予想ができなかったというお答えでありますが、今回の高濃度汚染については、施設そのもの構造的な問題については、そこに何らかの問題はなかったのでありましょうか、お尋ねをします。
  6. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 豊能美化センター焼却施設構造につきましては、燃焼室の真上にガス冷却室がある、いわゆる炉頂型と言われる焼却炉であること、また排ガス冷却水冷水塔開放型であるということ、あるいは洗煙排水焼却炉に循環していることといった特徴がございまして、高濃度ダイオキシンの生成との関係がないとは言い切れませんけれども、本件は、施設維持管理状況も含め、さまざまな条件が二重、三重に重なって生じたものというふうに考えられまして、現時点において施設構造的な問題があったと判断することは困難であると考えております。  私ども厚生省といたしましては、引き続き専門委員会におきまして原因究明のための検討を続けていただくこととしているところでございます。
  7. 松本純

    松本(純)委員 維持管理など運用上の問題であって、構造的なものであるという判断は難しいとのお答えではありますが、ということは、この場所での事故だけではなくて、他のところでもまた起きる可能性というのはその中に秘められているのではないかと思うのでありますが、類似の施設で同様な問題が起きるおそれはないのかどうか、どのようにお考えになっているか、お尋ねをいたします。
  8. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 豊能美化センターの場合には、ただいま御答弁申し上げましたように、さまざまな条件が重なった結果といたしまして高濃度ダイオキシン類が検出されたものと考えられるわけでありますが、より安全性を高める観点から、豊能美化センターと同様に開放型冷水塔を有します三十六施設につきまして調査を実施することといたしまして、既に、関係都道府県に対しまして、湿式洗煙塔冷却部を循環する冷却水及び施設敷地内の土壌調査をいたしまして、その調査結果を取りまとめの上、本年十二月二十一日までに報告するよう指示したところでございます。  この調査の結果等によりまして措置を講ずるべきであると判断をされた場合には、密閉型の間接冷却装置への変更などの設備の改善、あるいはフィルター等によります冷却水中ダスト除去等対策につきまして、国としても技術的な支援を行いつつ、早急に適切な対策をとるよう指導してまいりたいと考えております。
  9. 松本純

    松本(純)委員 この構造の問題というのは、その原因をそこに見ることができないという、逆に言うと、量がどうしても必要で、まずハードをつくって対応をということで、今までさまざまな施策が打たれてきたことと思うのでありますが、しかし、今、このさまざまな施設そのものの質を高めていくということもやはり大変大事なときを迎えているのではないか。  今回のこれらの問題を踏まえて、再度しっかりと検討をし直すことと同時に、もしも技術的に、運用でさまざまなことが起きるのであれば、それが未然に防げるような質的な問題というのもあわせて検討していくことが重要であると思います。どうぞこれからも、さらに量よりは質という問題での観点からも見直しをしていただければありがたいと思っているところであります。  次の質問でありますが、それによって全体のダイオキシン削減を目指して努力をしてきているところでありますが、この量的な目標というものについて、本年の十二月から適用される新たな基準であります八十ナノグラム、これにとどまらずに、さらに早期にいわゆる国際水準に合わせてそのレベルを上げていくことも大変重要なことだと思っておりますが、この国際水準に今比較をし、我が国水準がどのような状況にあるか、お尋ねをしたいと思います。
  10. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 諸外国排出基準は国によってさまざまでございますが、かなり厳しい基準適用しているという国もあることは承知をいたしております。  暫定的に定めました八十ナノグラム基準につきましては、いわゆる耐容一日摂取量十ピコグラムという研究班提案をもとにいたしまして、かなり安全性を見積もって、その十ピコに至らないレベルでの排ガス中の濃度レベルというものに設定をしたものでございます。  ただし、新設廃棄物焼却施設につきましては、昨年の十二月から一立米当たり〇・一から五ナノグラム、既設の施設につきましては、本年十二月から平成十四年十一月までは一立米当たり八十ナノグラム平成十四年十二月からは一立米当たり一ないし十ナノグラムダイオキシン類濃度規制措置を講じたところでございます。  なお、一立米当たり〇・一から五というのは諸外国と比べまして遜色のない規制値というふうに考えております。
  11. 松本純

    松本(純)委員 日本の置かれている状況は、国土の限りある面積だとか、あるいは埋め立てる場所がなくて焼却炉に頼らざるを得ないというお国の事情があるわけでありますが、それにあわせて、世界の基準というものと比較をして、さらに日本努力をしていかなければならない、そんな状況にあろうかと思っております。  我が国ダイオキシン類排出基準は諸外国と比べてまだ甘いのではないかというような、そんな御指摘を持っている専門家もおりますが、このことについて厚生省としてはどのように受けとめていらっしゃるか、お考えをお伺いさせていただきたいと思います。
  12. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 今先生指摘のように、我が国の場合、最終処分場確保というものがなかなか難しいというふうな状況がございます。そういった意味では、衛生的に処理するという観点と埋め立てるごみの量を減量するという観点から、いわゆる市町村単位でのごみ焼却処分が行われてきたわけでございます。  その結果といたしまして、諸外国に比べまして規模の小さな焼却炉が多数存在をしておりまして、このような施設におきましても実現可能な技術的水準を考慮いたしまして、先ほど申し上げましたような既存焼却炉に対する基準値を定めたものでございます。  例えばドイツの場合、ドイツにおきましては非常に焼却炉大型でございますが、この大型焼却炉につきましては先ほど申し上げましたような規制を実施することといたしておりまして、このドイツなどと同程度の基準値を定めたところでございまして、諸外国に比べまして新設基準につきましては必ずしも甘い基準になっているとは考えておりません。
  13. 松本純

    松本(純)委員 豊能美化センターにおきましては、当然汚染土壌が出てきてしまったということになるわけでありまして、とりあえず一時的に保管するとのことなのでありますが、汚染された土や水の処理、これは今後どのように対応していくお考えがあるのか、厚生省環境庁、両省に御答弁をいただきたいと思います。
  14. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 今回の調査結果によりますと、豊能美化センター施設内には高濃度ダイオキシン類を含みます固形物あるいは液状物等が残されていることが判明をしております。これらの汚染物につきましては、当面は環境中への飛散流出を防止するための措置を速やかに講じますとともに、早急に施設から除去し、無害化等処理を行う必要があると考えております。  このため、九月二十一日付で、大阪府を通じまして豊能環境施設組合に対しまして高濃度ダイオキシン類環境への飛散あるいは流出防止措置等を講ずるように指示したところでございます。  また、一般廃棄物処理市町村固有事務であることから、これらの汚染物処理等措置につきましては基本的には市町村が責任を持って対処すべきものでございますけれども、厚生省といたしましても、これらの汚染物が極めて高濃度であるということにかんがみまして、その適正な処理が図られますよう関係省庁及び大阪府とも連携をしながら、汚染物飛散流出防止等無害化等処理につきまして必要な対応を行ってまいりたいと考えております。  なお、汚染物の具体的な処理方法といたしましては、高温による溶融処理あるいは化学反応を用いた分解処理などの方法が想定されるわけでありますが、今後、専門家の御意見も聞きながらこれらの方法適用可能性について検討してまいりたいと考えております。
  15. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  環境庁といたしましても、今回の豊能美化セーンター周辺土壌汚染というものにつきまして重大に受けとめております。したがいまして、今厚生省の方から答弁しました点と重複いたしますけれども、この処理当たりまして飛散等をきちんと防止していくというようなための技術的な支援、さらには一時保管等に係る高濃度汚染土壌についていかに無害化を図っていくかということ、これが非常に重要なことではないかと思います。  ただ、問題は、この無害化技術というものがまだ基礎的な実験室段階レベルのものであるということで、土壌汚染現場に応用できる技術段階ではないというのが実情でございます。したがいまして、これら技術、例えば熱分解法などにつきまして、今後実用化に向けまして技術的な支援検討してまいりたいと考えております。
  16. 松本純

    松本(純)委員 固形化をして一時保管をするとか、安全な状況にするということはさまざまな手があるのだろうと思うのですが、一般的に、このダイオキシン類そのもの無害化というものについては、これを目指すことが実際にできるのかできないのか、その辺についてお考えがあればお答えをいただきたいと思います。
  17. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 ダイオキシン類無害化についてのお尋ねでございます。  確かに、安全性をより高めますためには、飛灰等に含まれておりますダイオキシン類無害化するということは非常に重要なことだというふうに認識をいたしております。  ただ、今環境庁の方からも答弁がありましたように、いわゆる無害化に関する技術というものを開発することは非常に重要でございますが、まだ確定された技術体系に必ずしもなっているとも言えないというような点もございまして、厚生省におきましては、今年度の厚生科学研究におきまして、ダイオキシン類微生物処理技術研究を採択したところであります。今後とも、さまざまな方法提案をされておりますので、これらにつきまして厚生科学研究等を用いましてそれらの評価を行っていただき、実用化に向けての努力をしてまいりたいと考えております。
  18. 松本純

    松本(純)委員 このようにできてしまったものをどうやって処理をしていくかということはもとよりでありますが、その前に、ダイオキシン類の人体に対する毒性発現メカニズム等の解明に取り組んでいく必要も重要だと思っておりますけれども、厚生省はこの辺どのようにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
  19. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 ダイオキシン類の人体に対する毒性といたしましては、これまで報告をされておりますものを参考にいたしますと、発がん性あるいは生殖毒性、催奇形性等の毒性指摘をされておりまして、このような毒性がなぜ起こるのかという発現メカニズムの解明というのは極めて重要な課題と認識をいたしております。  厚生省といたしましては、従来から、厚生科学研究費補助金によりまして、ダイオキシン類によります健康影響に関する研究について取り組んでいるところでございます。今後とも引き続きこの毒性の発現メカニズムに関する研究、その他関連する研究につきまして推進をしてまいりたいと考えております。
  20. 松本純

    松本(純)委員 また、関連をいたしまして、このダイオキシン類の人への健康影響については、動物実験から得た結果を外挿することにより評価しているとお伺いをしておりますが、一つ目といたしまして、このような動物実験による健康影響の評価について我が国における調査研究の現状がどのようになっているのか、二つ目に、最も人に近い霊長類である猿を用いた評価を行うべきであると考えるが、厚生省としてはどのように考えているか、そして三つ目に、人への健康影響評価はどのように行っていくのか、基本的な方針をお伺いをしたいと思います。
  21. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 ダイオキシン類によります生殖毒性あるいはホルモン系への影響メカニズムを中心にいたしまして、動物実験を含めました研究を現在推進しているところでございます。  現在、解明すべき健康影響といたしましては、ダイオキシン類の微量・慢性暴露によります人への影響が重要と認識をいたしております。そういう意味では、御指摘のように、人に最も近い霊長類であります猿を用いた実験系では、その結果を人に外挿しやすいという有利な点もございますけれども、問題になっておりますダイオキシン類の微量・慢性暴露による影響を見ますためには、研究期間が非常に長期にわたること、あるいは高度な管理が必要なこと等、技術的に克服しなければならない条件も多いということがございまして、現在のところは行っていないという状況にございます。  ダイオキシン類の人への健康影響につきましては、動物実験等による知識の集積に努めますとともに、廃棄物焼却施設等の高濃度汚染を受ける可能性がある地域の住民の方等の暴露実態を把握し、また、海外におきます大量暴露事故等のデータもございますので、これらと比較しながらそれを総合的に評価してまいりたいと考えております。  また、TDI、耐容一日摂取量等の策定に当たりましては、WHOの専門家会合におきます資料の収集あるいは評価を行いつつ、ダイオキシン類健康影響評価特別部会におきまして、耐容一日摂取量の見直しを行ってまいりたいと考えているところでございます。     〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  22. 松本純

    松本(純)委員 環境庁では一斉に環境調査を行っているとお伺いをしておりますが、どのようなスケジュールで、どのような内容について、実際にどのような機関が実施をしているのか、お尋ねします。
  23. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  御質問ダイオキシン類の緊急全国一斉調査は、環境庁が全国的なダイオキシン類汚染実態を把握するために、大気、水、土壌、底質等の媒体につきまして統一的な手法で把握するために行うものでございます。  本調査当たりましては、全国四十七都道府県及び十二政令指定都市から地点選定等の御協力をいただき、試料採取やダイオキシン濃度測定につきましては環境庁の請負先である民間分析機関において実施しておるところでございまして、お尋ねの測定時期等につきましては、今年の八月から来年三月までを予定しております。
  24. 松本純

    松本(純)委員 一般廃棄物処理は地方自治体の責任でありますが、その市町村設置するごみ焼却施設は全国で幾つあるのか、このうち改善の必要なものは幾つあり、いつまでにどのように改善するのか、また、そのために今まで以上の予算、税制など、どのような支援措置考えているのか、お尋ねをいたします。
  25. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 市町村設置をいたしますごみ焼却施設につきましては、本年六月末の時点での集計でございますが、全国で千六百三十五施設が稼働をしているというふうに把握をいたしております。  このうち、本年十二月から適用される当面の基準であります八十ナノグラムという基準につきましては、市町村からのこれまでの報告によりますと、実は十四施設からまだ報告がございませんが、これを除きますすべての施設におきまして、この八十ナノグラムという基準が既に達成をされております。  一方、平成十四年十二月から適用されます既存施設の恒久的な基準につきましては、現時点ではまだ達成をしていない施設が多い状況であるというふうに考えられますことから、今後、平成十四年までに、施設の改良等によりましてダイオキシン類排出削減を図っていく必要があると考えております。  このために、市町村設置いたしますごみ焼却施設からのダイオキシン類排出削減するための施設整備につきましては、従来から優先的に国庫補助の対象としているところでございます。  また、平成十一年度の廃棄物処理施設整備費につきましては、生活関連等公共事業重点化枠を含めまして、対前年度比五・三%増の千五百三十七億円を要求しているところでございます。その中で、ダイオキシン対策といたしましては七百三十二億円、対前年度比一八・三%増を盛り込んでおりまして、特に全連続炉やろ過式バグフィルターへの変更等を含みますごみ焼却施設整備に対する緊急、特別の財政支援を実施いたしまして、ダイオキシン対策がきちんと講じられた施設整備を促進することといたしているところでございます。
  26. 松本純

    松本(純)委員 もう時間になってしまいますので、最後に大臣にお尋ねをしたいと思います。  このように、ベトナム戦争における枯れ葉剤、これは一九六〇年代でありますが、そのころから長きにわたって問題になりながら、原因対策対応というのがなかなか難しいこのダイオキシン類の問題であります。  これらに対して、今までの取り組みなども踏まえて、大臣としてはこのダイオキシン対策に対し今後どのように取り組んでいかれるおつもりであるのか、大臣の御決意をお尋ねをし、私の質問を終わらせていただきます。
  27. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 ただいま議論されておられますように、ダイオキシン問題は国民の健康に非常に影響がございまして、これを未然に防止するという建前から極めて重要な課題であると認識しております。  このため、今お話しのように、廃棄物焼却施設ダイオキシン対策としてダイオキシン排出基準を設定しておりますし、また、この基準の遵守を指導するために、基準に適合した施設設置、改修等に対する補助、改善のための技術支援を実施しておるところでございます。  予算等につきましては今局長の方から御説明のありましたとおりでありますが、平成十年度の補正予算におきましても、そのほかダイオキシン対策のためのごみ焼却施設整備事業として百二十三億円を追加計上もさせていただいております。  それから、ダイオキシン類に関する調査研究でございますが、これは極めて重要でございまして、その総合的推進を図るために、環境庁関係省庁と密接に連携を図りながら、排出抑制技術研究開発や人の汚染状況の把握と健康への影響評価等に取り組んでおるところでございますが、なお一層それに努力をしてまいりたい、今後とも関係省庁と連絡をして万全を期していきたいと思っております。
  28. 松本純

    松本(純)委員 どうもありがとうございました。
  29. 木村義雄

    木村委員長 五島正規君。
  30. 五島正規

    ○五島委員 民主党の五島でございます。  本日はダイオキシン問題についての一般質問でございますが、その前に、今回全国的に台風による水害が発生いたしました。また、先週二十三日には高知市を中心とした高知県下に集中豪雨がございまして、甚大な人的、物的な被害が出ております。測候所始まって以来、高知市におきまして、時間降雨量が百十二ミリ、約二十四時間の間に八百八十七ミリという豪雨の結果、高知市の大津の食品団地は完全に水没し、多くの被害が出ております。私もそこに行ったわけでございますが、まるで昔の復興図に見るところの、紀貫之の時代に高知の地形が戻ってしまったというような状況で、非常に大きな被害が出てしまいました。  中でも問題になりますのは、水没した地域の中で多くの老人世帯、老人単身あるいは老人夫婦世帯がございまして、ようやく日曜日ぐらいから、市内の老人介護センターを中心としてお年寄りの消息の把握に努め、そして、必要なお年寄りに対する避難あるいは施設への収容というものになってきています。  しかし、この水没した地域、いわゆる汚水がはんらんし、その中にずっぽりつかってしまったそういう地域で、今、全市的に復旧あるいは洗浄あるいは後片づけということをやっているわけでございまして、市内のボランティア団体あるいは連合、また私ども民主党もボランティアの一員として全力を挙げて、緊急避難として市内の施設に収容されたお年寄りの援助に対して努力している最中でございますが、問題は、床上一メーター以上にも及んで浸水した老人の単身世帯について、緊急避難的にさまざまなところに避難あるいは施設への収容等は終わったわけでございますが、それらの家屋に対して、水害被災後の後片づけ、消毒ができないままに多数残っております。  老人単身世帯あるいは老人夫婦世帯でそこから避難された方の場合、そこにボランティア団体が入っていって、いかに汚染されておろうとも、それらのものを勝手に持ち出して捨てる、掃除をするというわけにはまいりません。  しかし、ようやく昨日ぐらいから携帯電話もやや通じるようになってまいりましたが、そういう状況の中において、そのお年寄りの立ち会いのもとでそういう後片づけを市民団体が全体として協力するということにはなかなかならない。そうかといって、これをそのまま放置するならば、感染症の発生あるいは環境汚染からの避難といった面においては大変おくれが出てまいります。  それで、厚生省として、感染症の防止の観点から、こういうふうな老人の独居世帯、単身世帯に対してどうずればいいんだろうか、これは多くの介護支援センターの職員などが今大変困っている問題でございます。この点について、厚生省、どのようにお考えなのか、まずお伺いしたいと思います。
  31. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今回の高知市を中心といたします集中豪雨による災害、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。  その上で、今お尋ねの点でありますが、一般論としては、こうした場合に災害救助法を適用いたしまして、応急救助を実施し、万全を期するような指導をしております。  被災した高齢者の方々の生活復旧を支援するためには、今お話しのようにホームヘルパーを派遣するというような制度も活用しておりまして、今回の災害でも、必要な世帯に派遣されておるものと承知をいたしております。  厚生省の防災業務計画におきましても、そういったひとり暮らしの老人とか障害者等々、恵まれない方々に対する十分な対応が規定をされておりまして、今回高知市では、保健婦、訪問介護員、ホームヘルパーの方々あるいは市職員、今御指摘のボランティアの方々等が在宅介護支援センターに派遣されまして、その職員との連携のもとに、要援護高齢者の台帳に基づきまして在宅高齢者の被害状況の把握を実施しておると伺っております。  必要に応じまして、自力で復旧が困難な独居老人世帯等に対しましてはホームヘルパーを派遣するなり、畳を上げて清掃を行うなど、生活支援に万全を期するように指導しておるところでございます。  さらに、感染症の発生防止につきましては、健康相談・調査を行うほか、被災家屋の消毒につきましても、独居老人世帯で本人が避難して消毒が実施できないような場合に、必要に応じて市町村が実施することが可能でございまして、今回の災害でも、関係自治体におきまして健康調査とかあるいは消事業の配布等を行いまして感染症の発生や蔓延の防止策を講じておるところでございまして、今後とも、被災家屋の消毒を含めて必要な対応を指導してまいりたい、このように思います。
  32. 五島正規

    ○五島委員 今の大臣のお話は、大臣自身は余り大きな災害に遭遇されたことがないのかもわかりませんが、実態からいいますと、そのようなことではないというふうに思います。  と申しますのは、こうした大きな災害が発生した場合に、自治体の職員がやる仕事というのは、どうしても人命救助、あるいは給水、あるいは大量に出てまいりますごみ処理、あるいは車その他が道路の上にいっぱい浮いて交通障害になっているものの整理、そうしたことに集中するわけでございます。  そして、独居老人の情報というものを持っておられるのは民生委員の方、あるいは高知なんかの場合は十五カ所あります介護支援センターの職員がその情報を持っている。その情報を、こうした場合に市なり県に一元的に収集する手段そのものも、電話が混乱して通じなくなるとできなくなってくる。したがって、介護支援センターがお持ちの情報をそれぞれの地域の方々がちょうだいしながら自発的に支援に入った。  今日の時代、共助といいますか、非常に助け合いが地域の中で根づいてきたなというふうに、その点では私も非常に喜んでいるわけでございますが、問題は、独居老人がふえてまいりますと、どうしてもそのお年寄りが——私の知っているお年寄りの場合は、二十四時間水の中につかったまま寝たというお年寄りがおられるわけです。そういう方を見つけた場合に、やはり施設その他へ収容することが最優先されてしまいます。  そこから復旧に入り、清掃その他に入っていった場合、そこの家には世帯主がおられない、家族がおられない。その地域全体がやられておりますから、多くの市民がボランティアで行った場合に、比較的お元気な家族がおられるところ、企業であれ施設であれ個人の家であれ、そこはその方々の要請でどんどん支援に市民は入っていっています。ところが、そういうお年寄り世帯で、ともかく避難されてしまったままのところというのは汚泥にまみれたまま手がつかないというところが、日曜日になってくるとばっと目立ってくる。これを何とかしないと衛生面でも問題があるじゃないか。  もちろん消毒について、保健所を通じて薬を云々かんぬんという話はあります、それもいずれしなければいけない。しかし、まずは何はともあれ洗浄し、そして汚物にまみれたそういう廃棄物を捨て出し、そういうふうなことを地域としてやっていかないといけないのですが、できない家は空き家と同じですね一そういうふうな形になって残っていった場合に、それを放置しておくとどうなるんだ。  これは土砂災害なんかの場合はそれの撤去というのは災対法で建設省なんかがやることができるわけですが、こういうふうな場合には一体どうずればいいのか。もちろん成人後見法等ができておれば、そういう方々に連絡をして市民が入ってやるということもできるのでしょうが、まだそういうものもないということになってきますと、結局災害の後の復旧というものが、市民がすべてそこを念頭に置きながら現実には手をつけられないという状況が起こってきている。このことについて厚生省はこのままでいいとお考えなのか、感染防止の観点から、とりわけまだ高知は暖こうございます、これから感染症が発生する危険性がないとはしない、そういう気温条件にございます、そういうふうな状況の中において何かお考えがあるかということをお伺いしたのですが、何か御答弁ございますでしょうか。
  33. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 ただいま先生がおっしゃられたところはもっともだと思います。  私ども、災害に備えてというよりも、常日ごろ、社会福祉の観点から、民生委員またホームヘルパー等によって独居老人の状況をつかんでおります。  今、このような災害が起こった場合、先生の御指摘されましたように、家の中の土砂、また消毒というものが必要になってくるわけでございます。ただ、消毒の場合は伝染病予防法に基づきまして本人の許可なくしてやれるわけでございますけれども、土砂の流出とか家の中の後始末という場合、やはり御本人なり家族の御了解が必要だろうというふうに思っております。  ただ、それをいかに、現在避難されておるところの御老人との連絡なりをとりまして、できるだけきめの細かい対処をしていくかということになるんじゃないかな。これにつきましては、災害救助法に基づきまして、土砂等の処理につきましては費用が公によって負担できるわけでございますので、そのような制度も活用しながら対応していくということになろうかと思います。
  34. 五島正規

    ○五島委員 時間がありませんから、この問題に余りこだわるわけにいきませんが、いずれにしても、汚泥で非常に汚れている状況の中で、消毒だけはいずれ保健所が行ってやりますよというようなことが全く無意味であることは御理解いただけると思います。これもやはり成人後見法なりなんなり、そういうものを早目にやって、高齢社会の中における危機管理の一環としてこれはぜひ厚生省としてきちっと考えていただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。  続きまして、高知県におきましては、この十月十一日に介護保険のケアマネジャーの国家試験が予定されています。しかし、今言ったような状況がございまして、ケアマネジャーの国家試験を受験する資格を持っておられる方々、その方々の中でとりわけ老人介護の最前線で働いておられる方々は、そういう国家試験を受けるどころか現実のそういう救援活動に、本当に寝ていないという状況で大変御努力いただいています。この方々が、このままいきますと、今年のケアマネジャーの国家試験は受験できないということになりかねない。  この点について、高知の場合は高齢化が非常に進んでおります、ここでケアマネジャーの受験ができないということになってきた場合に、介護保険の実施にも非常に大きな影響があることだというふうに思うわけでございますが、今回は国家試験は一回しか実施される予定がないということを聞いておりますが、今回被災は高知だけではございませんが、多くの被災地がございますが、そういうところの自治体の状況を勘案して、このケアマネジャーの国家試験が受験できるような措置というものをとっていただきたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  35. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 介護支援専門員の実務研修の受講試験でございますけれども、ことし初めてでございまして、九月二十日から、先生先ほど申されました十月十一日まで四回にわたりまして各都道府県で試験を実施する、ことしは特別に四回やる、こういう形でやらさせていただいているわけでございます。  高知県では最終日の十月十一日ということで予定されておりまして、今回は特別に四回ということで、試験委員先生方に大変頑張っていただきまして四回分の試験問題をつくっていただいたわけでございまして、残念ながら全部はないわけでございます。もし追加試験をやるということになりますと、そのための期間がまたさらに数カ月は要するであろう一こういうこともございまして、今年度、十月十一日よりさらに後に行うというのは極めて困難な状態だというふうに考えております。  こういうふうな災害のような事態で今回は受験生の方が困難ということでございますけれども、阪神・淡路大震災のような場合が起きますと試験そのものができなくなる、こういうふうな事態も想定されるわけでございますので、どのような方策がとれるか今後検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  36. 五島正規

    ○五島委員 今年、四回分の計画をして試験問題を四回分つくられた、これは厚生省と自治体の問題でございます。受験者が四回受けられるわけではございません。受験者の受験機会は各県が決めたところで一回しか受けられないということでございますから、そういう意味で言えば、受験者の側から言えば、年に一回しか受けちれない。  これだけ大きな災害が各地に発生しているときに、そうであれば十月十一日までの受験期間を一月延期するということもできないわけではない。ともかくここでこういうケアマネジャーの国家試験をやるとすれば、恐らく高知市においては医者とか歯科医師とか、現実問題としてケアマネジャーの業務に余り従事しそうもないような連中だけが受けてしまうということになりかねないということを考えた場合、試験問題は四つしかない、四回あります、これは回答になっていない。これは、もし試験問題がそうであれば、その受験の期日を一定の間ずらすとかいうことだって可能なはずでございます。  その辺について、ぜひきちっと検討していただかないと、私はそんな状態でできる介護保険というものについては到底認めるわけにいかないというふうに思います。  それからもう一つの問題として、今回の水害の被災地域で大量の廃棄物が発生しています。  こういう状況ですから、車も通れないほど家財ぐるみ廃棄物として出てくるわけですね、電気製品から畳まですべて。当然そんなもの分別収集とかなんとか言っておれませんから、出されたごみを全部、自衛隊も民間の企業も努力して、そしてダンプで運んで空き地に積み上げて、それを後ほど処分するという段階になっています。しかし、膨大なごみが出てきます。これは高知市の場合だけでなくて、各地で今回の水害に遭われたところで同じような状況になっていると思います。  これらの大半を埋め立てで処分をしろということを想定されるのか、それともそれを改めて分別して焼却処分をさせることを想定しておられるのか。もしこれを焼却処分させるということになりますと、塩ビ製品等々が大量に含まれておりますから、大量のダイオキシンが発生する危険性は否定できません。その場合は、例えば助燃剤を利用させるなり、あるいはそれぞれの自治体の炉で焼却させたら大変問題があるという場合は、その焼却が可能な炉を指定するなり、そういうことをしないと大変な問題が起こってくると思うわけですが、その点についてはどのようにお考えか。時間がございませんので、あわせてお伺いしておきます。  また、高知の場合は、今も申しましたように、食品団地が完全に水没するように、大量の雨水が地域全体に入ってまいりました。川の水が高くなっているわけですから、水門その他は一切閉じて、入ってきた時間百十二ミリという雨を全部地域の中に閉じ込めて、そしてさらに大量の水が川から入ってくるのを防いだという状態ですから、多くの雨水が浄化槽等に混入いたしまして、それが地域に広がりました。また、水没地域では上水の受水槽まで汚水が混入しています。  こういう状況の中で、感染防止の立場から当然浄化槽の全面点検等々が必要になってまいります。これだけ雨水が入りますと、どこの浄化槽も浄化槽として機能を果たしていないということは、専門家であればだれでもが理解できることで、今は単なる箱になっている。だから、これは当然浄化槽とその他を全面点検した上で改めてメンテナンスをしなければ、このまま浄化槽どして使えば汚物が汚物としてそのまま地域に排出されるという状況になることは御理解いただけると思います。また、上水道が復旧しても、受水槽に汚物が混入している以上、それの洗浄をやらずに上水道を使えば非常に大きな問題になってくるというふうに思われます。  こうした内容、すなわち、浄化槽の点検あるいは受水槽の清掃といったようなものについて、厚生省は何らかの指示をお出しになられたのかどうか。また、当然災害対策法の適用になるわけでございますが、この浄化槽の全面点検等々の費用というものについてはむしろ災害対策費用として措置できるようにすべきであると考えるわけでございますが、その点についてはいかがにお考えでしょうか。二点お伺いします。
  37. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 三点のお尋ねがあったと思います。  まず、災害によって生じました廃棄物につきましては、今先生が実例でお挙げになりましたけれども、大変多種多様な廃棄物がまじっているというふうなこと等で、これは八月末の豪雨におきましても、茨城その他でも問題になったわけでございます。  基本的には、その処分のあり方につきましては市町村の御判断にゆだねられるわけでございますけれども、不適正な処理がされますと環境保全上問題がございますし、それから、不適切な焼却処分ですとダイオキシンの発生を見るということも当然考えられるわけでございまして、具体的には高知の実例を十分お聞かせをいただきまして、技術的な援助あるいは情報交換というようなことが必要であれば、私どもとしても積極的に対応してまいりたいと考えております。  なお、過去の例で申し上げますと、八月末の豪雨におきまして茨城県の海岸に多量の漂着廃棄物がございましたが、これらの処理につきましては、担当官を派遣いたしまして、いろいろと現地と打ち合わせをさせていただいたという実例もございます。よく高知県の方からも情報を教えていただきまして対応したいと思います。  なお、災害によりまして生じました廃棄物処理市町村が行いますために要する費用についてでございますが、これは、廃棄物処理法第二十二条の規定によりまして、国がその処理の費用の一部を補助するという仕組みになっているところでございます。市町村からの被害報告に基づきまして、この仕組みが適正に作動するように対応してまいりたいと考えております。  次に、浄化槽の点についての御質問でございますが、大量の雨水の流入によりまして浄化槽の機能が損なわれているかいないかということを点検することは、御指摘のように、公衆衛生上非常に重要な事項であるというふうに考えております。  浄化槽につきましては、一般的にその設置者であります浄化槽管理者が維持管理について責務を担っているわけでございますが、これに加えまして、浄化槽の設置届を受理しております都道府県知事は、浄化槽管理者等に対しまして、その保守点検につきまして必要な助言、指導、勧告を行うことができるとなっておりまして、知事によります指導等の徹底が図られますよう都道府県を指導してまいりたいと考えております。  なお、浄化槽は個人の資産でございまして、点検を行う費用も個人負担が原則ではございますが、市町村が、水没をいたしました浄化槽の機能を回復させますために槽内にたまりました汚水等を引き抜く作業を行う場合には、くみ取り便槽が水没した場合と同様に、国がその費用につきまして一定割合の補助を行っているところでございます。こういったものを通じまして、水没した浄化槽の設置者に対する負担の軽減というものに努めてまいりたいと考えております。  第三点目の受水槽についてでございますが、ビル等の受水槽の水の衛生確保につきましては、その有効容量が十立米を超えるものにつきましては簡易専用水道として、水道法に基づきまして設置者による清掃、水質の検査、その他の維持管理が実施されます。また、水道法の適用を受けない小規模の受水槽につきましても、これに準じた管理を行うように指導しているところでございます。  こうした受水槽の管理におきましては、災害時あるいは通常時を問わず、汚水が混入、流入して受水槽に貯留されております水が汚染されました場合には、設置者は直ちに給水を停止いたしまして、使用者等の関係者にその旨を周知することとなっておりますし、また、汚水等が受水槽に流入した場合には専門業者に依頼をして清掃等を行うこととされているわけでございます。  今回の集中豪雨によりまして被害を受けました高知県下におきましては、県におきまして受水槽の水没等の被害の実態把握が行われておりまして、必要に応じまして、衛生確保観点から注意喚起を設置者あるいは使用者に対して行うこととしているというふうに聞いております。厚生省といたしましても、こういった観点から、高知県に対しましてきちっとした指導を行ってまいりたいと考えております。
  38. 五島正規

    ○五島委員 とりわけ浄化槽の問題につきましては、例えば高知県は全国でも下水道の整備の大変おくれているところで、高知市で三十数%しか下水が整備されていない、ほとんどが合併浄化槽でやられているわけです。通常のメンテナンスについては、局長が言うとおり、そうだろうと思います。しかし、こうした大きな災害が起こってきた場合に、放置することによって起こってくる危険性というのは、その設置者に対する危険ではなくて地域全体に対する危険であることは御理解いただけると思います。  そうだとすると、浄化槽に対するこの措置、とりわけ点検措置等の費用というものは、そんな大きなものではない。むしろ今大事なことは、浄化槽が浄化槽として機能していない可能性がある地域に対して、一刻も早くその点検をし、適切な措置をとらすということが一番大事なわけでして、そのことに対して災特法の範囲の中で措置をすることぐらいできないということはおかしい。その辺については、時間がございませんので答弁は要りませんが、大臣、閣議の中においてもぜひ強く求めていただいて、地域社会の安全ということに対しての措置というのは万全なものを期していただきたいと思います。  次に、今回公表されました大阪豊能美化センターダイオキシン問題についてお伺いしていきたいと思います。  まず、今回のダイオキシンの問題について、先ほど松本議員の質問にもお答えになっておられましたが、洗煙排水として使われている水がガス冷却室に戻されて、これがいわゆる循環方式になっていますね。その結果として、現在洗煙部に残っている残留水の中では、三百万ナノグラムですか、すなわち、リッター中三ミリグラムものダイオキシンがあったということになっております。  問題は、ここのところを私はどうしてもはっきりさせていただきたいのですが、洗煙排水した水を改めてガス冷却室に持ち込んでいる理由は何なのか。考えられるのは二つしかない。一つは、電気集じん機を使っておられるので、電気集じん機にかかる前の排煙の温度を下げるためにこの水を使っておられるということ。もう一つは、ここの洗煙部で出てくるさまざまなカーボンやダイオキシンをもう一度燃焼室で燃焼させてダイオキシンを破壊する、その目的でここへ持ってきている。その二つしか目的は考えられない。一体どっちだったのですか。
  39. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 ガス冷却室に噴射をしております洗煙排水は、いわゆる燃焼ガスを冷却するために噴射をしているというものでございます。  ガス冷却につきましては、排ガス処理設備、この場合は電気集じん機でございますが、その機器を保護するために燃焼ガスを所定の温度まで冷却するため設置されるものでございまして、施設から排水を出さないための工夫として洗煙排水を燃焼ガス冷却用に再利用していたものというふうに承知をいたしております。  なお、豊能美化センターにつきましては、昭和六十三年度に竣工したものでございまして、当時は御指摘ダイオキシン類についての知見が乏しかったということから、洗煙排水中のダイオキシン類焼却炉で再度分解をするというふうな設計思想はなかったものというふうに考えております。
  40. 五島正規

    ○五島委員 電気集じん機にかかる前のガス温度を下げる、これは機械の保護ということでやられたのだというお話でございますが、ダイオキシン問題が明らかになってきた段階で、この電気集じん機においてダイオキシンが再生される、とりわけその温度が三百度を超えている場合は、そこで再生産される危険性というのは厚生省指摘してこられたはずです。  そうだとすると、このガス冷却室の一体どこにノズルがついていたのか、この図ではよくわからないのですが、ガス冷却室に噴水している構造というものは、むしろ焼却炉から電気集じん機に至る過程においてノズルをつけて温度を下げるというのが常識なのではないか。そうでないと、焼却温度も下げてしまうし、結果において電気集じん機に入ってきた排煙温度も三百数十度と、逆にダイオキシンを生成する温度である。この構造図だけで見ても、ダイオキシンの問題として考えた場合に、構造に問題ありということになるかと思うわけでございます。  その点について、ダイオキシン問題が問題になってきた段階で、各炉の構造の点検、改造について、この能勢町のものということに限らずに、厚生省としては指示を出されたことはあるわけでしょうか。
  41. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 この美化センター焼却炉はいわゆる炉頂型といいまして、炉の上の方から水を噴射してガスを冷やすわけでございますが、こういった炉頂型の焼却炉というのはほかの施設でも採用されておりますし、そういった施設でのダイオキシン排出濃度を見てみましても、必ずしも高いというわけではございません。ただ、上から水を噴射するわけでございますから、御指摘のような不完全燃焼が起こるという可能性もないことはないと思いますけれども、要は維持管理をきちんとやるということに尽きるのではないかというふうに考えております。  ただ、例えば炉頂型のように上から水を出すのではなくて、別置型といいまして、ガスを冷やすものを炉の外側につくるというふうなタイプのものもございまして、実はこの豊能美化センターもこの別置型を検討したこともあるようでございますが、たまたま今は停止に至っているということでございます。  なお、平成二年のガイドラインにおきましては具体的な燃焼の基準というものを出しておりますが、新ガイドラインにおきましては構造についても必要な事項というものを指示をしておりまして、豊能美化センターはこの新ガイドラインに基づいて検討されたものというふうに考えておりますけれども、全体として見まして、私どもといたしまして、焼却炉あるいはそれに付随した部分につきまして、設備のあり方について必要な指示はしたというふうに考えております。
  42. 五島正規

    ○五島委員 常識的に言えば、この構造の中で考えていけば、三百万ナノグラムまでダイオキシンが残留してくるというのはだれも想像しないとしても、こういう密閉方式であればかなり高濃度ダイオキシンの残留というのは想定されるわけですね。そういう意味では、恐らくこの炉そのものがその時点できちっと点検されていなかった結果として、焼却炉においては低温、不完全燃焼し、煙とダイオキシンを大量につくり、しかも電気集じん機においては温度が下がっておらずに、そこでまたダイオキシンを再生するというばかげた結果の循環が起こり、その結果として、この密封循環型の洗煙排水の中に高濃度ダイオキシンがたまってきたという結果であることはまず間違いないだろう。  問題は、こうした密封型の洗煙排水を持っておられる炉というものに限らずに、一般的に電気集じん機を持っている炉というのは、流動床炉であれストーカー炉であれ、先ほど局長も言ったように、機械の保護の上からも大概のところはやっているわけですね。その水というものは、通常はこういう密封方式でなく、汚泥と一緒となり、あるいは排水として排水処理装置処理されているのが通常だろうと思います。  そこでお伺いしたいわけですが、こうした形で電気集じん機の前にノズルで水を噴きかけて温度を下げる、あるいは洗煙をするという構造を持っている炉において、密封方式でないとしても、排水処理装置の中における汚泥その他においてはダイオキシン濃度は測定されているのかどうか、測定されているとしたらそれはどうであったのか、お伺いしたいと思います。
  43. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 今回、洗煙排水を燃焼ガス冷却水として循環使用していない三施設につきまして、湿式洗煙塔内の冷却水ダイオキシン類濃度の測定を行った結果が、例えば豊能美化センターの場合、冷却水の中のダイオキシン濃度は千三百ナノグラムでございましたけれども、ほかの三施設におきましては〇・五から十二という非常に低い濃度でございまして、燃焼管理等が適正になされまして排ガス中のダイオキシン類濃度が低い施設につきましては洗煙排水処理装置からの排水へのダイオキシン類の移行も少ないということがうかがえるわけでございますが、これは三施設を除きます。その他の施設につきましても鋭意調査を行ってまいりますので、そのまとめの段階におきまして、この点については再度御検討いただきたいと考えております。  そういったことで、今後のいろいろな調査につきまして、今回の事例で得られましたものをもとにいたしまして、可能な限りの調査を行ってまいりたいと考えております。  なお、循環をしないで、いわゆる排水処理をいたしまして公共用水域に流している施設もございます。今手元に十分データがございませんので、大変失礼でございますが、私が散見した限り、いわゆる排水処理をきちんと行いさえずれば、公共用水域へ出ていく排水中のダイオキシン濃度は非常に低いレベルであったというふうに認識をいたしております。
  44. 五島正規

    ○五島委員 ダイオキシンは、これは水に混入しているので溶けるわけではありませんね。したがって、こういう密封方式の中においてはその水が循環するわけですから、その中にこういう高濃度ダイオキシンの混入がある。しかし、密封方式でなければ、その水をとってみても、そのリッター当たりダイオキシンの量が少ないというのは当たり前の話です。問題は、その水が排水装置を通じて排水される場合、当然ダイオキシンは沈殿するわけですから、排水槽その他において汚泥としてかなりのダイオキシンが、結局、トータル発生量と、そうしたものが底に沈殿していく危険性というのは当然あるわけで、その辺が大丈夫なのかということをお聞きしたわけです。そういう意味では、これからの調査の中において、ぜひ公共排水に使われる場合の、底のあたりの汚泥とかあるいは蓄じん、ほこり等のダイオキシンの量もチェックをしていただきたいというふうに思います。  その次に、こうした美化センター焼却炉、三百万ナノグラムも残留水の中に入っている。量はいいです。いずれにしても、ナノグラム、ピコグラムではしゃべれないような、どちらかというとミリグラムかppmでしゃべった方がいいような数値がずらっとあるわけですから、そういうふうな炉はどうせ閉鎖をして解体せざるを得ないと思うのです。こうした高濃度汚染が、あるいはダイオキシンの貯留がある焼却炉の解体については今どのような基準をお持ちなのでしょうか。また、この炉の解体事業について、きょう労働省もおいでいただいていると思いますが、安全基準その他の手順はあるのかないのか。もしないとすれば、それについてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  45. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 焼却施設を解体するかどうかという点は、これは市町村判断によらざるを得ないわけでありますが、とりあえず、今、私どもといたしましては、調査結果を踏まえまして、飛散流出の防止の緊急措置を講ずる、次の段階といたしまして、汚染物施設から除去する、それからそれを無害化等処理を行うということによりまして、施設自体の中のダイオキシン汚染を非常に低いレベルにするということがまず第一義的であろうと思います。  その次の段階として、この施設をこのまま存続させるのか、改造するのか、解体するのかというのはその次の三ステップ目であろうと思いますが、その点に関しましては、大阪府あるいは地元とまだ話をする段階に至っておりません。当然、その段階におきまして、この施設をどうするかということにつきましては、そういったステップを経る過程で十分協議をさせていただきたいと考えております。  なお、作業の安全につきましては、御指摘のように、私ども、例えば水を抜く操作一つにいたしましても、非常に危険性を伴うだろうということは十分想定をいたしておりまして、そういった意味では、つくったメーカーからもヒアリングを行わなければいけないと思いますし、作業の安全につきましては当然労働省のお知恵も拝借しなければならないというふうに考えております。
  46. 五島正規

    ○五島委員 解体という言葉が悪いなら、その汚染物の除去作業ですね。その作業に関する安全基準というのは当然必要なのだ。どう考えたって、ダイオキシンは、それ自身が非常に危険なものですが、アスベストと比べた場合に、アスベストよりもダイオキシンの方が安全だと言う人はいない。  そうだとすると、このダイオキシンの除去作業というものに伴うところの、一つは環境への飛散の防止、もう一つはそこで作業をする人たちの安全基準というものをつくっていかざるを得ないのだろう。これは厚生省でおつくりになるのか、労働省でつくられるのか、どこがつくられることになりますか。
  47. 下田智久

    ○下田説明員 焼却炉の解体作業に当たってのお尋ねでございますが、密閉化した後、焼却炉の解体作業に入った場合には、それに携わる労働者のダイオキシン類への暴露を防止するということは極めて大事なことというふうに考えております。  労働省といたしましては、かつてアスベストに対します解体作業等の知見もございますので、そういったものを参考としながら、解体工事全体に係ります総合的な工事計画を策定させ、堆積粉じんの発散を抑制する工法、あるいは解体材を安全にどうやって運ぶか、こういったこと等々とあわせまして、適切な呼吸保護具の着用、あるいは使いました作業衣なり手袋なり、こういったものからの二次汚染をどうやって防止するか、こういったことの細かい措置につきまして一定のガイドラインを定めまして、施設管理者あるいは施工業者に対しましての指導を行ってまいりたい、このように考えているところでございます。
  48. 五島正規

    ○五島委員 これはサリン等よりもはるかに取り扱いのうるさい物質ですから、これについての作業に対する安全、地域に対する飛散の防止という観点からもきちっと科学的に検討された対策をぜひ樹立していただきたいというふうに思います。  あわせて、これだけ、例えば冷却水槽の周辺の土壌の中から五万二千ナノグラムというふうな数字が出てくるような大きな汚染のあった地域で、当然この炉は運転されていたわけです。現在働いている人あるいは過去にここで働いていた人たちの健康上の心配があるわけでございますが、労働省、この辺について何かお考えでしょうか。
  49. 下田智久

    ○下田説明員 労働省におきましては、平成九年度からダイオキシン類に関する調査研究を進めてきたところでございまして、ごみ焼却施設で働きます労働者がダイオキシン類に高濃度に暴露されるおそれがあるということが調査研究でわかってきております。これを受けまして、当面の労働者のダイオキシン類暴露予防対策措置ということで、今年の七月二十一日に各都道府県労働基準局長あてに通達を流したところでございます。  この通達におきましては、事業者が作業環境におきますダイオキシン類濃度測定を定期的に行うということ、その結果を評価した上で、施設改善あるいは作業方法改善、場合によりましては呼吸保護具の着用等の必要な措置を行うように指導してきたところでございます。  今後、この通達に従いましてさらに指導の徹底を図っていきたいというふうに考えておりますし、ダイオキシンに関します調査研究はさらに進めることといたしておりますので、これらの知見を踏まえましてダイオキシンに関します総合的な対策充実に努めていきたい、このように考えているところでございます。
  50. 五島正規

    ○五島委員 作業環境チェックから入るというのは、当然正しいわけでございますから評価いたしますが、この能勢町の問題が問題となって以来、例えばそこで働いている人たちの健康診断あるいは住民の健康診断をやるとかやらぬとか、あるいは場合によってはそこで働いている人たちのいわゆる血中のダイオキシン濃度を測定するのしないのといううわさ話が耳に入ってまいります。そういうふうなことをお考えなんでしょうか。
  51. 下田智久

    ○下田説明員 このたびの豊能美化センターにおきます高濃度ダイオキシンが検出されたということから、労働者に対しまして暴露があったのではないだろうか、こういうことも指摘されているところでございます。  そこで、労働省といたしましては、九月二十二日に労働衛生の専門家によります調査研究委員会を特別に設けまして、そこでいろいろ御議論をいただいたところでございます。その意見に基づきまして、同センターで働いておりました労働者の血中ダイオキシン類濃度測定あるいは生活歴の聴取、皮膚視診等、こういった部分につきましての調査を行うことといたしておるところでございます。
  52. 五島正規

    ○五島委員 ダイオキシンを専門にやっておられる方々は、検査といいますか、そういうことの問題点というのは余りお考えにならないままに、ダイオキシンをはかることだけに集中されているというのがあると思います。  血中のダイオキシン濃度というものを実験室的に御本人の了解のもとにやるということは不可能ではないと思いますが、通常、血中のダイオキシン濃度をはかるというのは、中性脂肪とかコレステロールを分離してその中のものをはかる。最低でも百ccぐらいの血液をとって、そこからはからないとなかなか出てこない。それでも再現性に問題あり。動物実験等でやられているのはほとんど脂肪をはかっています。果たして血中の濃度と他の動物なんかの脂肪中の濃度とがパラレルな関係にあるかどうかということもはっきりしていない。そういう状況の中で健診とか血中濃度とかいうことを何か余りにもストレートに結びつけた議論が多過ぎるのではないか。  本当にそんなことが行政——研究者がやることについて労働省は云々できないだろうけれども、例えば労働省がダイオキシン濃度の高いところの作業員に対して特殊健康診断の一環としてダイオキシンの血中濃度をはかりなさい、百cc以上も採血してやりなさいというふうな指示が果たして出せるのだろうか、私はそれはほとんど不可能なのではないだろうかと。  また、ダイオキシンにおけるリスクというものを考えた場合に、今、下田部長は塩素アクネの話をしておられるのだと思いますが、一番心配されるのは発がんリスク、あるいは無精化によるところの問題であろう。これが一番知られている内容ですね。そうだとすると、こうした化学物質は、微量ではあるけれども、人間といいますか生命体の基本にかかわるところへのリスクの大変大きいものに対して、従来の労働管理のシステムではなくて、そこで働いていた人たちをもっと生涯的にフォローしていくというふうなシステム、すなわち慢性・微量暴露というものに対する労働者の健康管理のあり方というものを検討していかないと、従来の毒性による急性暴露と同じような観点で健康管理をし、そしてそのときの問診をやっていきということではやっていけないのではないかと思うわけですが、どうなんですか。
  53. 下田智久

    ○下田説明員 労働者の健康管理につきましては事業者の責務ということとされているわけでございます。本来であれば、今回の問題につきましても事業者にお願いをしていろいろ調べていただくことになるわけでありますが、ダイオキシンにつきましてはいろいろな御意見もある。非常に長期的な毒性を言われていることもございますし、今回は事業者にすべて任せるわけにはまいらないということで、緊急の措置といたしましてこの調査委員会を設け、健康調査をやろう、こういうふうに決まったものでございます。血中のダイオキシン等の濃度をはかる場合には非常に大量の血液を要するといった問題もございますし一すべての労働者にお願いをするというわけにはなかなかまいらないかもしれませんが、この部分につきましては、もう既に現地での説明会等も終わっておりまして、御協力をいただけるというふうに聞いておるところでございます。こういった血中のダイオキシン濃度をひっくるめまして、こういったものをどのように評価していくのかは、この専門委員会で十分御議論をしていただくということを考えておるところでございます。
  54. 五島正規

    ○五島委員 いかにも、余り医学的、科学的な手法ではなくて、こういう問題が出た以上は何かしないといけないから、とりあえず血中のダイオキシン濃度をはかろうというふうなことで走っているようにしか思えません。  血中のダイオキシン濃度というのは各人ばらばら、総コレステロール値が違うように、ある一定の血液の中における血中の脂肪というものは一定ではございません。そういう意味では、そうした問題というのは、他の動物において証明されている問題を、人の場合にまさか人間の体から脂肪をとって調べるというわけにいかないということで、それで研究者は代行しているのだと思いますが、本当にそのことがダイオキシンの暴露あるいはダイオキシン暴露に伴うところの危険の問題と関連しているのかどうか、そこの検討は全くないのですね。そこはやはりはっきりさせないといけない。  大事なことは、ダイオキシンに大量に暴露して急性の塩素アクネなんか出れば別ですが、そうでない限りは、発がんリスクというのは遺伝子上の問題が問題になっている、あるいは無精化という形での環境ホルモンとしての機能が問題になってきている。これを現在の医学のもとにおいて何か検査をして、それによって将来のリスクをワンタッチの健診によって見ていくということが、健診というメソードの上からいって適切かどうか。どう考えても、適切というような状況技術的にもまだ開発されていない。  そうだとすれば、こういう汚染されたところで働いた労働者に対しては、いかにその方々の生活経過をチェックしていくのか。これは、かつて健康手帳方式等々、いろいろ検討された経過はあるはずです。そういうふうな方法をもってこれらの方々に対して監視の目を付すべきなのであって、健診あるいは血中の濃度を、どう考えても医学的に整合性がないものを場当たり的に行って、それで何か事態の鎮静化を図るというようなことでおさまるものかなと思うわけですが、もう一度、答弁してください。
  55. 下田智久

    ○下田説明員 確かに、委員指摘のように、血中のダイオキシン濃度をはかって、それだけですべての汚染状況が把握できるのか、科学的根拠はいかがなものかということにつきましては、専門委員会でもいろいろな意見があったところでございます。しかしながら、現時点で、血中でのダイオキシン濃度がどの程度あるかということが労働者の暴露をあらわす一つの指標にはなり得るという御意見もございました。  また、長期的な視点で観察すべきだという委員の御指摘でもございますが、これにつきましては、血中のダイオキシン濃度の結果等も見ながら、あるいはそのほかに職歴であるとかいろいろな調査もあわせて行うことといたしておりますので、そういったこととあわせまして、どうするのか調査委員会で十分御議論をいただきたい、このように考えておるところでございます。
  56. 五島正規

    ○五島委員 時間が来ましたので、これで終わります。
  57. 木村義雄

    木村委員長 福島豊君。
  58. 福島啓史郎

    福島委員 まず初めに、先ほども五島委員の方から御質問のございました焼却施設の今後の処理についてお尋ねをしたいと思います。  先ほど局長は、まず飛散防止対策だ、そして次は汚染物の除去だ、施設について解体するかどうかということについては、基本的には自治体の判断であるという御答弁でございましたけれども、私は、逆なのではないかというふうに先ほどの御答弁を聞いておりまして思いました。解体すべきなのかどうなのか、その点についての判断基準になるものを国がまず示すべきなのではないか、自治体の判断ですということで球を投げてしまって事足れりとするということではよくないのではないかというふうに感じました。その点についてはいかがでしょうか。
  59. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 高濃度汚染物があるわけでございますから、それをそのままにしておいて解体というのは大変に環境保全上問題があると私は思います。したがいまして、先ほど申し上げましたように、とりあえず飛散流出の防止、その次に汚染物の除去をいたしまして、当該施設が高濃度汚染されたものがもう除去されたという状態で施設を点検し、それをどうするかということに議論としては進むべきだと思います。  先ほど答弁の中で、それは市町村のすることだとちょっとつっけんどんな言い方をして大変申しわけございませんでしたが、汚染除去した段階でその施設をどうするかということについては、当然最終判断市町村でございますけれども、私どもとしても、技術的に十分御相談に応じながら、どうしていくのが一番いいかということを、ベストの道は何かということを探るということになる。手順自体はそのようになるのだろうと私は思います。
  60. 福島啓史郎

    福島委員 御真意のほどはよくわかりました。  もし解体するという判断にしましても、お金のかかることでございまして、市町村がその責任を全部負うべきであるということであってもならないというふうに思うわけでございまして、技術的な支援のみならず、もし解体するというような場合におきましても、財政的な支援も含めてよく御検討いただきたい、そのように要望させていただきたいと思います。  次に、先ほど五島委員の方からも御質問ございましたが、かなり広範囲にわたってダイオキシン飛散をしているということでございますが、周辺住民にとりましては、ダイオキシン飛散によってみずからの健康に対してどのような影響があるのだろうかということについては大変不安があるだろうというふうに思います。  先日、大阪府より、「ダイオキシン緊急対策について」ということで、この調査結果の報告を踏まえた対応についての御説明をいただきました。健康対策ということにつきましては、「既存の住民健診等の分析、母乳調査、及び、環境庁調査に加えて、ダイオキシン類の健康影響の有無の確認のため、美化センター周辺住民等に対し血液中のダイオキシン類測定をはじめとする健康調査を地元町等と連携し実施する。」というふうに書かれておるわけでございますが、先ほども五島委員の方から御指摘がございましたように、どういう調査をすれば本当にいいのかそしてまた、それは一回だけの調査でいいのか、長期的に疫学的な、例えばがんの発生率がどうなったのかとか、子供の出生に関しての影響はどうであったのかとか、そういう観点も必要なのではないかなと思うのですね。また、そういう中長期的な調査をするということになりますと、財政的な面での裏づけも非常に必要になってくる。  そういう意味では、技術的な支援そしてまた財政的な支援も含めて、周辺住民の健康調査ということに対して厚生省としてもしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思うわけでございますが、御見解をお聞きしたいと思います。
  61. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 先ほど五島委員の方から血中ダイオキシン濃度の意味等についていろいろ御指摘がございました。  私どもも、ダイオキシン類に関します健康影響に関しまして、厚生科学研究といたしまして何本かの柱を立てているわけでございます。その中の一つとして、汚染実態の解明、調査というところで、血中濃度というものが汚染指標としてどうかというふうな検討を、いろいろと調査研究をしていただいております。  ただ、今まで私どもの調査研究班のいろいろな先生方と御議論をさせていただきましたけれども、決定的に、こういうものをチェックすればダイオキシンによる影響がチェックできるのだというふうなものが残念ながらまだはっきりしたものはない。したがって、現在私どもが進めております疫学調査研究班におきましては、できるだけさまざまな情報を持ち寄りまして、その中から何か選べないか、あるいはこれをチェックすれば何かわかるのではないかというようなものを絞り込む材料、試料を集めようという、残念ながらまだそういった段階であるということを御理解賜りたいと思います。それから、国際的にも、可能な限りいろいろ聞いてみましたけれども、こういうことでヘルスチェックをするというのはなかなかないようでございます。例えばイタリアのセベソの化学工場の事故の場合でも、先ほどもちょっと御指摘ございましたように、暴露した方々の長期のサーベイランスをやるというようなことで発がん率等をチェックされている、これもかなり長い期間でございますが、そういった例があるのは承知をしておりますが、今ここで問題にされておりますようなことで、人間の体から試料をもらえばすぐこういうことがわかるというようなことはなかなか難しいというふうに考えております。そういう意味では、いわゆる息の長い調査というものが必要でありまして、いわゆる短期決戦ですぐ済むという性格のものではないだろうと私は思っております。  今御指摘豊能施設関係でございますけれども、地元自治体が中心になりまして、周辺住民のダイオキシン類の血中濃度あるいはその他問診等の健康調査を緊急に行うというふうに聞いております。  私どもといたしましては、今私が申し上げましたような長期的なあるいは全国的な視点からさまざまな調査をしておりますので、その一環といたしまして、例えば住民の方々のダイオキシンの血中濃度がある程度出てきたときにそれを何と比較してどう評価するかというふうなバックグラウンドデータをそろえるというふうなことで、側面と言ったら大変失礼でございますが、そういった形での援助。それから一測定法によって非常に誤差が出ると五島委員の方からも御質問がございました。確かにそのとおりでございますので、標準的な方法で測定しませんと比較をできません。そう  いう標準的な測定方法といったようなものできちっと合わせるというふうなこと等の技術的な意味での最大限の援助は行ってまいりたいと考えております。
  62. 福島啓史郎

    福島委員 十分連携をとって、よろしくお願いしたいと思います。  次に、開放型冷却装置が今回の飛散原因になったわけでございますけれども、同様の設備を持っている施設は全部で三十六施設あるというふうに御報告をいただいております。大阪府には豊能美化センター以外に十五施設がありまして、それに対しては一斉立ち入り指導を行うという方針になっているようでございますが、残りの施設、埼玉県ですとか千葉県、東京都もありますね、兵庫県もあります、たくさんの都道府県にまたがっておりますけれども、こういった残りの施設についてどうするのか。調査も必要でしょうし、そしてまた、湿式の排ガス処理装置開放型冷却装置の改修、飛散防止対策というものはやはり早急に講ずる必要があるだろうというふうに思いますけれども、その点についての御見解をお聞きしたいと思います。
  63. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 先生指摘のように、開放型の冷水塔を有します施設は三十六施設ございます。これにつきましては調査を実施することといたしまして、既に指示をいたしております。湿式洗煙塔冷却部を循環する冷却水、それから施設の敷地内の土壌というものにつきまして調査をいたしまして、それを取りまとめ、十二月二十一日までに報告をお願いしますということで既に関係都道府県には指示をしたところでございます。  さらに、廃棄物焼却施設安全性をより高めるための措置といたしましては、既に都道府県に対しまして施設設置者に対する指導について通知をしたところでございます。  具体的な中身といたしましては、開放型冷水塔からの飛沫による汚染を防止いたしますために、いわゆる密閉型の間接冷却装置への変更、あるいはフィルター等設置いたしまして冷却水中のダストの除去といったような措置を講ずることが有効と考えられますので、これらの施設につきましては早急に適切な措置を講ずること、また、放流されます洗煙排水及び洗煙排水処理装置の点検、あるいは洗煙排水が予定されていない経路でどこかへ出ていってしまうというようなことがあるのかないのかというふうな確認を行うこと等によりまして、適切な排水処理の徹底を図ることをお願いしているわけでございます。  今後、これらの結果も踏まえまして、新たに判明いたしましたいろいろな事実をきちんと点検をいたしまして、規則またはガイドラインで示している望ましい措置にこれらを追加する等の措置で、環境保全上より適切な措置になるように図ってまいりたいと考えております。
  64. 福島啓史郎

    福島委員 続きまして、報告書で地図を拝見いたしました。大変広範囲にわたってダイオキシン汚染があると言っても過言ではないと思います。  ドイツでは土壌基準というのがございます。それぞれの基準に応じてどう対応すべきかということがきちっと示されているわけでございます。しかし、残念ながち我が国には土壌基準がございませんので、この地図をいただいても、どこまで何を一体どうしたらいいのかということが全く見えてこないわけでございます。  これは環境庁のお仕事でございますが、ドイツと同じでなければいかぬという話ではないと思いますけれども、早急に土壌基準を策定して、こういう事例は再び別のところで出てくる可能性が十分あるわけですから、そのときにどうしたらいいのかという指針づくりを進めていただきたいと思うわけでございますが、現状をお聞かせいただきたいと思います。
  65. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  ダイオキシン類による土壌汚染につきましては、先生御案内のとおり、まだ科学的知見というものが十分ないという現状にございます。したがいまして、ドイツとかオランダではガイドラインを定めておりますけれども、それ以外の多くの先進国においてはまだガイドラインも持っていないという実態にございます。しかしながら、これは我が国においてきちんといろいろ検討していかなければいかぬということは、私ども十分認識しております。  ただ、御案内のとおり、土との接触の度合いというものが、例えば日本人の場合は靴を脱いで家庭に上がる、それに対して外国の場合は靴を履いたまま家庭生活を送る。あるいは子供と大人の体重の相違等もあるというようなこともありますので、私ども、我が国の特性を踏まえて、専門家の意見を聞きながら対策の推進に必要な指針というものの設定を含めて今検討を進めております。平成十年度内には御報告をいただいて対応考えていきたい、こう考えております。
  66. 福島啓史郎

    福島委員 この中で僕も一つ申し上げておきたいのは、我が国は欧米と違って靴を脱いで家に上がる、だから少ないんだ、こういう理屈はあるのかもしれませんけれども、水田があるのですね。水田というのは作業者がかなり密接に土壌と接触するわけですね。ですから、そこの土壌基準というものはやはり早急に決めてもらわないと困るというふうに私は思います。  続きまして、この地図を見ておりまして不思議だなと思いましたのは、地図の中に天神池というのがありまして、ここのダイオキシン類濃度というのは三千三百ピコグラム・トクシック・エクイバラント・パー・グラムということになっているわけでございまして、周辺の水田よりもはるかに、一けた違う数字になっているわけでございます。これは、単に飛散したダイオキシンがこの池にたまったということではなくて、美化センターの中から汚染された排水がここに流れ込んできたのだとしか思えないわけですね。実態としてどういうふうになっていたのか、厚生省の御説明をいただきたいと思います。
  67. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 豊能美化センター設置者でございます豊能環境施設組合が実施した調査によりますと、天神池の底質に今先生が御指摘の極めて高濃度ダイオキシン類が含まれていたわけでございます。  天神池には豊能美化センターの敷地内及び周辺に降りました雨水が流入することがわかっておりますので、敷地内及び周辺に降下いたしましたダイオキシン類の一部が降雨に流されて流入したというふうに推定をされるわけでございます。
  68. 福島啓史郎

    福島委員 わかりました。  ということは、こういうケースがある。雨水によってダイオキシンが運ばれる、いわば美化センターを洗ってその水が流れていくということですから、こういうことがほかの施設でも起こることは十分あるのだということを考えて今後の対応の一助にしていただきたいというふうに指摘したいと思います。  次に、農水省の方においでいただいておりますが、農産物についてです。  これも、当初ダイオキシン汚染というものが明らかになった時点で、地元の農産物の販売に支障を来したというようなことがあるわけでございますけれども、ドイツ土壌基準では、四十ピコグラム以上では農地は利用制限というような大変厳しい基準がございます。  それが適切かどうかというのは議論があるというふうに思いますけれども、いずれにしましても、土壌汚染とそこで生産される農産物の汚染ということについての関係性、これを明確に、あるのかないのか、あるとすればどういうふうな形なのかということをきちっと調査して、そして一般の国民が安心するような枠組み、そういうものをつくっていただきたい。そしてまた、それが実際に美化センターの周辺で農業を営んでおる方にとりましても非常に大切なことだと思うわけでございまして、この点についての農水省の方針をお聞きしたいと思います。
  69. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 ダイオキシン土壌から農産物への移行等については、先生の御指摘のとおり農業関係者及び消費者にとって大変関心の高いところでございます。このため、農水省といたしましては、汚染土壌と農産物の関係性の解明等、影響調査について積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  70. 福島啓史郎

    福島委員 積極的に取り組まれるのは当然のことだというふうに思いますが、これはやはりいついつまでにはきちっとやっていただく、そういう時限を決めてきちっと取り組んでいただくべき課題なのではないかというふうに僕は思います。その上で土壌基準はどうするのかという話かなというふうに私は思うのです。いつまでたってもどうもよくわからないというようなことであっては困ると思いますけれども、再度御答弁いただきたいと思います。
  71. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 説明不十分で申しわけありませんでした。  平成十一年度から十六年度にかけてその研究を行うという予定でおります。
  72. 福島啓史郎

    福島委員 五カ年計画ということでしょうか。十六年ですから今から六年先ということになりますが、計画全体としてのプランはわかりますけれども、その中でも、こういった一番国民が関心を持っていることについては、本当に早急に検討を進めて、その計画の中でも前倒しで結論を出していただきたいというふうに要望いたしたいと思います。  次は、汚泥についてお聞きいたします。  先ほども五島委員から御質問がございましたが、局長の明快な答弁といいますか、答弁漏れだと私は思いますけれども、なかったように思います。  この結果についての報告を見ますと、汚泥そしてまた飛灰というのが出てきまして、飛灰に関しては、灰固化装置というもので固化されて最終処分場に運ばれるということになるわけですね。実際に、洗煙塔内の汚染状況ですとか、そこに残っている残留水の汚染状況ですとか、灰固化装置汚染状況を見ますと、汚泥ですとか飛灰、これはダイオキシンの高度の汚染があったのではないか、これは容易に推定されることだというふうに思います。  それで、この美化センターの焼却能力が五十三トンあります。何トン燃やしていたかという平均値はわかりませんが、昭和六十三年に開設以来十年間にわたって燃やし続けて、そして汚泥、飛灰が最終処分場に捨てられていた。ということは、相当大量のダイオキシンがその中に含まれて捨てられていたということになると思うのですね。  どこに捨てたかというと大阪湾。大阪湾フェニックス計画ということで、そこに捨てられていた。ダイオキシンは、自然に、簡単に分解するわけではありませんから、そこから環境中に流出してくるということは当然ある。そうすると、大阪湾の魚にそれがたまる、貝にたまるということもあり得る事態だというふうに思うわけでございますが、この点についてはどのように認識なのかをお聞かせいただきたいと思います。
  73. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 豊能美化センターにおきましては、不完全燃焼等のさまざまな要因によりまして汚泥あるいは飛灰等に高濃度ダイオキシンが含まれる結果となったものというふうに推定をされるわけでございます。  当該施設だけなのかということでございますが、今後は他の施設におきましても、洗煙排水処理の汚泥あるいは飛灰がダイオキシン類により高度に汚染される事態が生じないように、廃棄物処理法に基づきます規制基準を徹底をいたしまして、ダイオキシン類の発生の防止に努めてまいりたいと考えております。  また、飛灰についてでございますが、当該センターにおきましては、飛灰を洗煙排水処理汚泥とともにセメント固化をいたしまして、大阪湾広域臨海環境整備センターが大阪湾に整備しました処分場に運搬し、処分していたわけでございます。もともとセメント固化と申しますのは重金属の溶出を防止するために行われていたものでございまして、ダイオキシン類の溶出につきましても抑制効果があったものというふうに考えております。  なお、フェニックスセンターにおきましては、処分場の放流水に含まれますダイオキシン類の測定を行っております。その結果によりますと、周辺海域の濃度以下の低い濃度レベルとなっておりまして、問題がないと考えておりますけれども、今後とも水質管理に万全を期するように指導してまいりたいというふうに考えております。
  74. 福島啓史郎

    福島委員 当初固めて捨てたときにはそう簡単には出てこないと思いますけれども、中長期的な観察はぜひとも必要だというふうに思っておりまして、今後の取り組みをしっかりしていただきたい。これは大阪湾だけの話ではないというふうに思うわけでございまして、全国各地でこういうことはある。そうしますと、厚生省としましても、全国的な取り組み、観察、これを再度お願いをしたいと思います。  次に、ダイオキシン類削減プログラム、これは昨年の話でございますが、この内容について何点かお聞きをいたしたいと思います。  まず第一点目は、ダイオキシン類等の測定ということでございますが、この二十八ページにどう書かれているかといいますと、年一回のダイオキシン類の測定というのが義務づけられるわけでございますけれども、「排ガスだけでなく、焼却灰、飛灰を含めた総排出量を把握することが望ましい。」というふうに書かれております。この点につきましても、今汚泥の中に含まれているという話があったわけでございまして、望ましいということではなくて、ぜひとも積極的に、厚生省みずからであっても結構だと思いますけれども、データの収集をすべきであるというふうに思います。  そしてまた、もう一点私が疑問に思いましたのは、燃焼状況を把握する方法。これは一酸化炭素濃度というのが大切な指標になるわけですけれども、この報告書の中では、CO濃度というのは比較的連続測定が容易であると繰り返し書かれているのですね。そしてまた、中高濃度領域ではダイオキシン類濃度と正の相関関係があると。ですから、はかりなさいと。しかし、いつはかりなさいということになるかというと、平成十四年なんですね、これは。簡単にはかれるものを何でそんなに先送りするのか。もっと前倒ししてはかったらいいじゃないか。そして、運転状況というもの、維持管理状況というものが不適切であれば改めるという材料にすればいいわけです。  測定ということに関連しました二点につきまして、厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。
  75. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 ごみ焼却施設から排出されます焼却灰、飛灰に含まれますダイオキシン類につきましては、平成八年度に調査を実施しておりまして、その結果によりますと、焼却灰一グラム中の値といたしまして、最も小さい値は不検出から最大人・八ナノグラム、平均が〇・三ナノグラムでございます。飛灰につきましては、一グラム中に、最小は不検出から最大二百四十ナノグラム、平均は十三ナノグラムというふうになっております。  今後とも、測定データの収集に努めまして、安全性をより高めるための処分方法について、科学的知見を踏まえて検討してまいりたいと考えております。  また、一酸化炭素濃度関係でございますが、昨年八月の廃棄物処理法施行規則の改正によりまして、ダイオキシンの発生しやすい不完全燃焼を防止いたしますために、その目安となる排ガス中の一酸化炭素濃度を一〇〇ppm以下とすること、また一酸化炭素濃度を連続的に測定し、記録することとしたわけでございます。しかしながら、一酸化炭素濃度を一〇〇ppm以下に下げますためには、焼却炉の改修などの大規模な工事が必要になる場合があることから、既存施設に対しましては平成十四年十二月から適用することとしたものでございます。  なお、厚生省では、できるだけ早く一酸化炭素濃度を低下させますとともに連続的な測定を行いますよう市町村を指導いたしますとともに、改造工事につきまして国庫補助対象とするなど、ダイオキシン削減対策を一層推進しているところでございまして、これらにつきましては、できるだけ早く一酸化炭素濃度が下がるようなことで市町村にも働きかけてまいりたいと考えております。
  76. 福島啓史郎

    福島委員 次に、ごみ処理広域化ということです。  日本焼却炉の数が多いということで大変有名ですが、このガイドラインの中では広域化を進めなさいという話が書いてあります。確かにそのとおりだというふうに思いますし、必要なことだと。  ただ、現実には、地域の自己主張というのがありまして、意見をまとめていくということはなかなか難しいプロセスじゃないかというふうに想像いたします。そういうようなことが想像されれば、なおさらのこと、一定の時限を定めて、都道府県を主体として広域化による適正処理のプログラムづくり、これにやはり取り組んでいただく必要がある。いついつまでにはこういうふうにしましょうと、地元のそれぞれの市町村の意見をよく聞きながら広域化のプログラムというものを早急に策定すべきであるというふうに考えるわけでございます。  そしてまた、改修とかいろいろと施設を変えなければいかぬわけですね。変えてしまってからまた広域化という話にはもうならぬわけですから、やはりそういうこととあわせて進める必要がある。この点についての厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。
  77. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 ごみ処理施設におきますダイオキシン対策をより効果的に進めますとともに、同時に、建設コストの削減あるいは焼却によって発生いたします熱エネルギーの有効利用というような観点等から、今後建設いたしますごみ焼却施設につきましては、原則として一日の処理能力が百トン以上の全連続炉とすることが適当というふうに私どもとしては考えております。  このためには、今御指摘のように、ごみ処理広域化を進めることが必要でございますけれども、そのためには地域ごとのごみ処理の実情を踏まえる必要がありますことから、厚生省におきましては、平成九年五月、都道府県に対しまして、ダイオキシン削減対策、それから焼却灰の高度処理対策に留意の上、ごみ処理広域化計画を策定するよう指示したところでございます。  なお、現在までのところ、十の道県において広域化計画が策定されておりまして、残りの都府県におきましても本年度中に策定するように指導いたしているところでございます。
  78. 福島啓史郎

    福島委員 着実な対応をよろしくお願いしたいと思います。  そしてまた、土壌汚染につきましては、市町村設置した焼却炉については、それぞれに十分な対応がなされているというふうにも思います、その調査につきましても。  ただ問題なのは、民間の産業廃棄物業者の皆さんが管理する焼却炉について、この周辺の土壌汚染は一体どうなっているのか。報告をされているところの調査では、かなり高濃度排ガスを出している焼却炉もあります。そしてまた、豊能郡の美化センターと同じような仕組みでダイオキシン飛散というものがある可能性もあり得ます。この民間の産廃業者の管理する焼却炉の周辺の土壌、この汚染状況についてはどうなっているのか。だれかが責任を持ってやはり調べなければいけないと思うのですね。環境庁さんの御意見をお聞きしたいと思います。
  79. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  民間の産業廃棄物業者の運転する産廃焼却施設でございますけれども、先生御案内のとおり、まずダイオキシンにつきましては、大気汚染防止法に基づいて指定物質抑制基準というものを定めて、ばい煙についてチェックする、こういう形になっております。そこがまず第一のことではないかと思います。  次に、先生の御指摘土壌の問題でございますけれども、今回、豊能郡のこういう案件が出ましたので、多段階にわたっていろいろ対応していかなければいかぬ。私どもの行政的な対応についても一定のキャパシティーがございまして、そのキャパシティーに応じた、段階に応じた対応をしていきたい、こう思っております。  まず第一は、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の適切な施行という観点から、豊能郡のごみ焼却施設と類似の三十六施設への立ち入り、これがまず第一段階であろうと思います。その結果を踏まえまして、対象施設を絞り込みまして、ダイオキシン類に係る所要の環境調査、これを行う。  次に、豊能郡の施設と類似性を有する産業廃棄物処理施設につきまして、先ほど述べました三十六施設調査結果も踏まえつつ、かつまた厚生省とも連携いたしまして、まずは、これら施設構造とかあるいは運転状況の実態の把握、これが大気汚染防止法ないし水質汚濁防止法の適切な施行という観点から必要なんじゃないか、こう思っております。その上で、必要に応じまして、土壌調査を含めまして所要の調査の実施というものも検討していきたい、こう思っております。  なお、環境庁といたしましては、平成十年度からダイオキシン対策に関する五カ年計画というものをスタートさせておりますけれども、この計画の一環で、焼却施設等の発生源周辺の土壌調査を含めまして、全国一斉の環境調査を行うこととしております。この調査結果もいろいろ対策に役立てていきたい、こう思っております。
  80. 福島啓史郎

    福島委員 時間も限られておりますので次の質問に行きますが、次は最終処分場の話でございます。  先ほども飛灰ですとか汚泥には大変ダイオキシンが含まれているという話がございましたけれども、ことしの春に、厚生省調査では、適切に管理されていない最終処分場というのがかなりの数に上るということが報告されたわけでございます。  こういった最終処分場におけるダイオキシン汚染状況はどうなっているのか。そしてまた、適切に管理されていないということは、それが環境中に流出するという可能性があるわけでございますが、その流出の実態はどうなっているのか。そしてまた、こういった不適切な施設について今後どうされるのかということについて、まとめてお答えいただきたいと思います。
  81. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 市町村設置いたします一般廃棄物最終処分場に関しましては、遮水工または浸出液処理設備がないといった不適切なものが多いことから、厚生省といたしましては、ことし三月にその実態を公表したところでございます。その結果によりますと、市町村設置いたします千九百一の最終処分場のうち、五百三十八施設が遮水工または浸出液処理設備を有していなかったということでございます。  これらの最終処分場に関しましては、周辺地下水等の汚染のおそれがございますので、地下水環境基準項目等の測定を指示したところでございますし、また、焼却灰または飛灰を処分している処分場でありまして、周辺環境への影響に関する調査または改善対策事業を国庫補助により行う場合には、ダイオキシン類についても調査を行うように指導いたしているところでございます。  今後、測定の結果、周辺地下水等の汚染が認められる場合には、遮水工を設ける等の措置を講ずるよう市町村を指導いたしますとともに、そのための財政措置を講じてまいりたいと考えております。そういったことで、そのための予算といたしまして、今年度の第一次補正予算に五百四十七億円を計上いたしているところでございます。
  82. 福島啓史郎

    福島委員 最後の御質問でございますが、厚生省と農水省両省にお尋ねをしたいと思います。  土壌汚染というのは調べれば調べるほど出てくるのではないかと私は想像いたしておりますけれども、こういった汚染された土壌をどうするのか。除去してどこかに管理する、管理した後どうするのかという話になるわけでございまして、やはり一番大切なのは、松本委員でしたか、先ほども御質問にございましたけれども、生物学的な手法というのが非常に大事だろうと思うのですね。  微生物によるダイオキシンの分解というもの、これを効率的に行うような微生物を開発するということ、それによって土壌中のダイオキシン無害化する。この取り組みは本当にしっかりとお金をかけてやるべきだというふうに私は思いますけれども、両省の取り組みの状況についてお聞かせいただきたいと思います。
  83. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 飛灰等に含まれますダイオキシン類を分解する技術を開発するということは、処理安全性をより高めるという観点からも極めて重要でございますし、環境保全上も極めて重要なものと認識をしております。  そういった意味で、今年度の厚生科学研究におきまして、ダイオキシン微生物処理技術研究という研究テーマにつきまして採択したところでございまして、今後、これらの調査研究を進めますことによりまして有効な方策が開発されますことを期待しているところでございます。
  84. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 微生物を使った浄化法は低コストな処理技術として期待されているわけでありまして、分解菌の探索等が進められております。ただし、実用化されるまでには多くの基礎的な研究の蓄積が必要だと思っております。  ダイオキシンにつきましては、九州大学等によりまして分解菌の発見、改良が報告されております。また、当省におきましても、平成八年度から有機塩素化合物を対象として研究を行っているところでございます。今後は、こういう成果を踏まえまして、ダイオキシンの分解微生物の探索等に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  85. 福島啓史郎

    福島委員 もう時間が参りましたので、最後に一言だけ。  やっておりますということにとどまらずに、そういう方法を開発するのだ、開発して、もって日本土壌汚染改善するのだという、結果を出せる取り組みをぜひお願いをいたしたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  86. 木村義雄

    木村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時十九分開議
  87. 木村義雄

    木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武山百合子さん。
  88. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子です。どうぞよろしくお願いします。  それでは、ダイオキシン汚染土壌対策についてということでお聞きしたいと思います。  大阪府の豊能美化センターのように、焼却場によるダイオキシン汚染が生じた場合、土壌汚染処理をする中心の主体はまずどこになるのかということをお聞きしたいと思います。  それから、施設内の土壌それから施設外の土壌それぞれについて、この主体はどこになるのか、ぜひ伺いたいと思います。
  89. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 いわゆる家庭から出ます一般廃棄物処理事業の実施主体は市町村でございます。したがいまして、その処理事業によって生じた汚染その他の処理を行う場合には、当然事業主体である市町村が行うというのが原則であろうと思います。
  90. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、豊能町の場合は豊能町ということですね。施設内の土壌施設外の土壌も、もちろん豊能町で責任を持って処理するという意味でございましょうか。
  91. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 本施設は、施設管理組合という一部事務組合が施設を管理しておりますので、例えば施設内の汚染土壌あるいは施設の外側の汚染土壌も、原則としては、その費用負担、実施責任はその一部事務組合にあるものというふうに考えております。
  92. 武山百合子

    ○武山委員 主体はその地方自治体ということで豊能町ですけれども、今のお話ですと事務組合、それは豊能町に属して、豊能町、いわゆる町で行われている第三セクターという意味で事業管理組合ということになるのでしょうか。
  93. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 この施設管理組合は、豊能町と能勢町という二つの町の事業を行うためにつくられております一部事務組合でございますから、その一部事務組合が主体となって行うということは、これは豊能町それから能勢町双方の一定の負担、責任度合いと申しますか、そういったこと等は一部事務組合の中で決められるべきものというふうに考えております。
  94. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、能勢町と豊能町でするということですね。それはわかりました。  次に、汚染された土壌処理方法について、どこでこれは検討するのかという意味です。今お聞きしました、豊能町、能勢町でするということですけれども、土壌処理方法についてもそこでするのかどうかということです。それから、それぞれの処理の主体が独自に判断してまず決定するのかどうか、その辺伺いたいと思います。  また、処理に要するコストはどこが負担するのか、それをぜひお聞かせ願いたいと思います。
  95. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 非常に高濃度汚染をされております施設内の土壌あるいは冷却水等も、一たん除去をし保管をした後にこれを無害化するということが考えられるわけでございますが、その具体的な方法につきましてはかなり高度な専門技術的な事項に属するというふうに考えられます。したがいまして、私ども、あるいは大阪府それから地元の自治体と十分いろいろお話をしながら、国としては最大限技術的な方法につきまして支援を申し上げたいと思います。  それから、その費用につきましては、先ほど来申し上げましたように原則的には地元の負担でございますけれども、かなり高度の処理技術を要するというふうな点で、あるいは国として何らかの対応が可能かどうかということにつきましても、具体的な処理方法検討の過程で、いろいろ協議、御議論をしながら考えてまいりたいと考えております。
  96. 武山百合子

    ○武山委員 厚生省それから大阪府、豊能町、能勢町ということですけれども、ここには環境庁は入るのでしょうか。
  97. 西尾健

    ○西尾説明員 ただいまお話がありましたけれども、私どもも、非常に高度な技術が要るということで、保管されました汚染土壌処理につきまして、土壌に含まれますところのダイオキシンの分解、除去といった技術でございますけれども、これにつきましては、基礎的な実験室レベル技術といったものがあるということでございますが、今のところまだ土壌汚染現場に応用できますところの技術段階にはないといったことから、例えば熱分解法などという技術がございますけれども、こういったものにつきまして、今後実用化に向けまして技術的な支援検討してまいりたいというふうに考えております。
  98. 武山百合子

    ○武山委員 非常にあいまいでわかりにくいのですけれども、一緒に参加して議論に加わって処理方法にも意見を述べる、あるいは学ぶ、そういう意味なんでしょうか。
  99. 西尾健

    ○西尾説明員 先生の御指摘のとおりでございまして、さまざまな問題が出てまいると思いますが、厚生省などとも連携しながら、一緒になってその対策について考えてまいりたいというふうに考えております。
  100. 武山百合子

    ○武山委員 すると、厚生省環境庁大阪府、能勢町、豊能町ということになりますね。もう一度お答え願いたいと思います。
  101. 西尾健

    ○西尾説明員 ただいま御説明申し上げましたように、私ども技術的な方面から支援してまいりたいというふうに考えておりますので、そのように進めてまいりたいというふうに思っております。
  102. 武山百合子

    ○武山委員 それでちょっと、ちょっとどころか非常にほっといたしました、環境庁抜きかと思ったものですから。それで、いわゆる四者一体になってやるということですね。わかりました。  それでは次に、産業廃棄物についてお聞きしたいと思います。  産業廃棄物は事業者が処理することになっていますけれども、産業廃棄物処理場でダイオキシンによる土壌汚染が生じた場合、その処理の責任はまずどこが負うのでしょうか。
  103. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 みずからの事業活動によりまして何らかの汚染が生じたということであれば、その事業活動を行っている人、すなわち汚染者がその費用あるいは処理をするのが原則であろうと思います。
  104. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、例えば豊能町、能勢町の場合はどこが処理の責任になるのでしょうか。
  105. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 当該施設産業廃棄物処理場ではございませんで一般廃棄物処理施設でございます。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、一般廃棄物処理市町村の事業でございます。産業廃棄物につきましては、事業者が事業活動に伴って出した廃棄物でございます。これは、事業者がみずからその処理をするという原則に立っているわけでございます。
  106. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、事業者はその産業廃棄物をどこで処理するのでしょうか。事業者自身が、個々の事業者一社一社が焼却場を持っているというふうに判断していいのですか。
  107. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 事業者処理責任といいますのは、事業者がみずからの手で処理をするということもございますし、それから、許可を受けました産業廃棄物処理業者にその処理を委託するというケースもございます。
  108. 武山百合子

    ○武山委員 この産業廃棄物の問題は、事業者がみずから処理するということになりますと、いわゆる基準値や何かは恐らく決まっていないと思うのですね。ですから、汚染物をかなり出していると思うのですけれども、そこは事業者ということでわかりましたので、また追って別な機会にその辺は伺いたいと思います。  次に移ります。  ダイオキシン汚染された土壌の利用制限、それから土壌を交換するかどうかを判断する基準ガイドラインはあるのかどうか。それから、ガイドラインがなければ適切な判断をすることができないわけですけれども、オランダやドイツガイドラインを設けて対処しているわけです。我が国でも早急につくるべきと考えておりますけれども、厚生省はどのようにお考えでしょうか。
  109. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 汚染土壌処理の問題に関しましては、基本的には環境庁の所管というふうに承知をしております。私どもとしましては、一般環境におきます汚染土壌対策というものを特に手がけているわけではございません。
  110. 武山百合子

    ○武山委員 今のお話ですと環境庁の管轄だということですね。そうしますと、厚生省は一切これには手をかけないという意味でしょうか。
  111. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 一般的ないわゆる判断基準、それから、その判断に基づいて行うべき各セクターの役割といったような枠組みについては私どもの所管ではございません。  ただ一本問題に限って申し上げますと、これは汚染されたものの飛散流出の防止あるいは高濃度汚染物の無害化処理といったようなことが大きな課題となってまいりますので、そういった点での必要な支援を行ってまいりたいということでございます。
  112. 武山百合子

    ○武山委員 国民にとって非常にわかりにくいのですね。焼却場の施設厚生省、そしてそこから出る汚染物ダイオキシン、今問題になっておるわけで、その濃度土壌、水質、大気、それは環境庁だというわけなのですね。国民にとって非常にわかりにくいのですけれども、皆さんがお考え厚生省の管轄と環境庁の管轄、これは国民にとってわかりやすいと思いますか、厚生省
  113. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 ダイオキシンと申します物質は、先生よく御承知のように、いわゆる意図的につくられるものではなくて、もともと非意図的な化学物質と言われまして、ごみ処理の過程に伴って、意図していないにもかかわらず出てくるということにこのダイオキシン問題の特色があるわけでございます。しかも、それがごみ焼却場内だけではなくて、大気を通じ、あるいは水の中へ入ってといったような比較的長い経路をとりながら人間の体に入ってくるというふうな形をとっているわけでございまして、おのおのその所管する行政分野において最大限の対策をとっていく必要があるわけでございます。  私どもといたしましては、ごみ焼却施設対策の徹底、あるいは人が食べる食べ物の汚染調査、あるいは飲料水の調査、それから人がどのぐらい摂取しているのかといったような調査を行う厚生省としての責務を果たすのが私どもの役割というふうに認識をしております。
  114. 武山百合子

    ○武山委員 それでは汚染された土壌処理に関してですけれども、厚生省の役割分担というのはどうなっているのでしょうか。それから、環境庁の役割分担もお聞きしたいと思います。
  115. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、高濃度汚染をされました施設内の土壌あるいは冷却水といったようなものの飛散流出をまず防止すること、そしてそれを除去する、そして無害化をするということが極めて重要なことというふうに認識をしております。
  116. 武山百合子

    ○武山委員 ただ認識するだけなのでしょうか。私がお聞きしているのは、役割の分担を聞いているのです。
  117. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 今申し上げましたようなことというのは、先ほど来申し上げておりますように、基本的には事業実施主体である一部事務組合が行うことでございますけれども、事が非常に高度なあるいは危険を伴うというふうなこともございますので、これらの一連の作業、まだ具体的には飛散流出の防止措置までしかとられておりませんけれども、それ以降のプロセスにつきましては関係者あるいは大阪府等々とお互いの役割分担をしながらやっていくということでございまして、ただいまのところ、どのセクターがどういう役割、どこがどうというふうに決まっているわけではございません。
  118. 武山百合子

    ○武山委員 そうすると、国民にはなおさらわかりにくいのですね。厚生省は何をするのかということを聞いているわけなのです。結局、ごみの焼却場をつくったのは厚生省なわけですね。その焼却場の基準の認可をしたのも厚生省なわけですね。そこから出た汚染土壌が多くの影響を与えているわけです。その中で厚生省処理にどんな役割を果たすのかと聞いているわけなのです。
  119. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりますように、一般廃棄物処理市町村の事務とされているわけでございまして、ごみ焼却施設をつくる、あるいは最終処分場をつくる、あるいは収集、運搬、焼却をして埋め立てる、これは市町村が行うことでございます。そのごみ処理がうまく運びますように法的な枠組みあるいは財政的な枠組みというもので国として対応するのが厚生省の役割でございますので、そこのところはよく御理解を賜りたいと思います。
  120. 武山百合子

    ○武山委員 結果をお話しされていますけれども、一番最初のスタート時点で、この焼却場をつくったときの役割は、厚生省が認可してつくったと思うのですね。そこは違うのでしょうか。
  121. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 くどいようでございますが、ごみ焼却施設を建設する建設主体は市町村でございます。本施設に関しましては国庫補助の申請がございましたので、所要の手続に従って、国庫補助の対象として妥当ということで国庫補助対象としたわけでございます。
  122. 武山百合子

    ○武山委員 その妥当としたときの基準というのは厚生省がつくられたのじゃないのですか。
  123. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 施設構造基準というのがございまして、それにきちんと合致をしておりましたので国庫補助対象としたわけでございます。
  124. 武山百合子

    ○武山委員 その基準で認可してつくった焼却場から出たものがダイオキシンなわけですね。すなわち土壌汚染されているわけです。ですから、今の御答弁を聞きますと、この場合、あくまでも事業主体であるごみ焼却場の維持管理をしている市町村だと言わんばかりなのですけれども、厚生省の責任というのは何もないのでしょうか。
  125. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 午前中から御答弁申し上げておりますように、非常に高濃度ダイオキシンが生成されたという原因については専門家の御意見をいろいろお伺いしたわけでございますが、その結果といたしまして、不完全燃焼、あるいは電気集じん機の入り口の排ガス温度が非常に高かったこと、それから洗煙排水塔の中で濃縮が起こったこと、あるいは冷却水の中で濃縮が起こったこと等が原因であろうというふうに言われておりまして、当然、この施設自体が欠陥ということを申しているわけではございません。  さらにまた、ダイオキシンにつきましては、平成二年に旧ガイドラインを出しまして、高温での燃焼等をするようにということで都道府県を通じ市町村を指導してきたところでございますし、新ガイドラインにおきましては、さらにより細かな運転の基準、あるいは設備の基準、設備の基本的な方向というものを出しまして、これも同様に都道府県を通じまして市町村を指導してきたところでありまして、現在までのところ、私どもとしては適切に対処したものと考えております。
  126. 武山百合子

    ○武山委員 適切に対処していたらこのような問題は起こらなかったと思いますけれども。今の局長さんの答弁を聞いていますと、厚生省は何の責任も感じていないというような答弁に聞こえました。何か逃げの答弁のように私には聞こえました。  設置基準を出したのは厚生省ですから、やはりそこに反省というか、こういう問題が起こったという責任というのがなかったら、危機管理という点では非常に欠如していると思いますよ。  環境庁の役割分担について私お聞きしたいと思います。
  127. 西尾健

    ○西尾説明員 環境庁の役割というお話でございますが、私どもは、先生御承知のとおり、今のところ、ドイツ等が持っておりますところの汚染された土壌についてのガイドラインといったものを持っておりません。したがいまして、私どもの最大の役割につきましては、こういった指針といいましょうか、そういったものを検討していくというのが非常に大きな役割ではないかというふうに考えております。  それからもう一点は、先ほども申し上げましたけれども、汚染された土壌処理する際にダイオキシンが周囲に拡散しないような技術的な配慮をどのようにするかといった面でありますとか、あるいは実際に実用化技術がないような処理技術につきましての開発といいましょうか推進といった面につきまして、私どもとしては技術的な支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  128. 武山百合子

    ○武山委員 もう一度お聞きしますけれども、そうしますと、指針というのはいつごろまでに出す計画でおりますでしょうか。環境庁
  129. 西尾健

    ○西尾説明員 五月に専門家先生方にお集まりいただきまして委員会を設けておりまして、平成十年度末を目途にその委員会報告書を出していきたいというふうに考えて、今作業をしていただいておるところでございます。
  130. 武山百合子

    ○武山委員 事はどんどん進んでいっているわけですから、スピードに欠けるというのが今の日本のいわゆる政治、行政なわけですね、ぜひスピードを持ってやっていただきたいと思います。  それでは、次に移ります。  現在、土壌の有害物質による汚染規制する法律は、農用地の土壌汚染防止等に関する法律というのがあるわけですね。しかし、有害物質として指定されているのは、カドミウム、銅、砒素、それからそれぞれの化合物だけなわけですね。  では、ダイオキシン発生源の周辺土壌調査汚染防止対策はどこが行うのか、それをお聞きしたいと思います。
  131. 西尾健

    ○西尾説明員 ただいま先生が例に引かれましたところの農用地土壌汚染防止法の例で申しますと、これは先ほど来厚生省の方からも御説明がございましたように、汚染除去の対策、こういったものにつきましては、汚染原因者がはっきりしております場合には汚染原因者がやっていくといったことが基本でございます。
  132. 武山百合子

    ○武山委員 この周辺土壌調査、それから汚染防止対策は、能勢町と豊能町の管理組合、すなわち地方自治体が行うという意味なんですか。
  133. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 ごみ焼却施設からの排出を抑制する、可能な限り環境中への排出を抑制するというのは、一般廃棄物処理を行う市町村が責任を持って行うということでございますし、そのための排出基準というものも策定をいたしているところでございます。
  134. 武山百合子

    ○武山委員 私が聞いておりますのは、ダイオキシン発生源の周辺土壌調査、それから汚染防止対策はどこが行うのかという意味です。
  135. 西尾健

    ○西尾説明員 周辺土壌汚染状況調査に関してでございますが、原因者が非常にはっきりわかっております場合には、その原因者がその調査を行う、これがまた一つの原則かと思います。  それから、原因が非常にわからない場合には、場合によっては関連の地方自治体でありますとか、あるいは私ども環境庁もそのような調査をするといったことかと思います。
  136. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、この豊能町、能勢町のダイオキシンはどこが調査するのですか。汚染防止対策はどこがするのですか。
  137. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 現在、ダイオキシンによる汚染土壌対策調査あるいは対応というものの制度的なフレームはございません。したがいまして、その事案事案に応じて対応すべきものというふうに考えております。
  138. 武山百合子

    ○武山委員 非常に不安ですね。  では、豊能町や能勢町の問題はどこがするのですか、調査は。事案事案によって違うというのでしたら、どこがするのでしょうか。
  139. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 これまでに関しましては、本焼却施設の改造ということを計画なされておりまして、その前提として、周辺の住民の方から焼却施設周辺土壌あるいは水の汚染状況調査してほしいという要望があったのを受けまして、施設管理組合が土壌と水の調査をしたわけでございます。その結果として、高濃度汚染がございました。その高濃度汚染をさらにもう少し詳しく調べるために、管理組合の方で専門家による委員会設置をいたしまして、さらに詳細な調査を行ったということでございます。
  140. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、事業者が自主的に調査するのが当たり前という意味なのでしょうか。相談されるまで厚生省は何の関知もしないという意味なのですか。
  141. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 廃棄物焼却施設の改造に係る計画を施設管理組合が地域住民の方に説明をした際に、地域住民の方が、ぜひ土壌、水等をはかってほしい、その結果を示してほしいということを管理組合に要請をされたわけでありまして、管理組合の方では、その要請を受けて測定をされたということでございます。
  142. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、この豊能町、能勢町の土壌調査は管理組合がするという意味ですね。  そうしますと、汚染防止対策はどこがするのでしょうか。
  143. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 汚染のいわゆる目安といいますか基準というのは今ないわけでございますので、これにつきましては、施設管理組合で設置されました専門家会議先生方がドイツガイドライン等を基礎に一つの目安を示されておりますが、それは汚染者がはっきりしているわけでございますので、原則は汚染者負担ということになります。
  144. 武山百合子

    ○武山委員 私の質問に答えていただきたいのですけれども。  では、この汚染防止対策はどこが行うのでしょうか、豊能町、能勢町の。     〔委員長退席鈴木(俊)委員長代理着席
  145. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 汚染源がごみ焼却施設であれば、そのごみ焼却施設を所管している自治体が汚染の防止をするのは当然でございます。
  146. 武山百合子

    ○武山委員 豊能町、能勢町ということになりましたけれども、そこに能力が伴わなかったらどうするのですか。
  147. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 廃棄物処理法におきましては技術管理者を置くということになっておりまして、これにつきましては、一定の廃棄物処理についての経験を有するいわゆる理工学の学識を持った人がこれに当たるということになっております。一般的にこういった仕組みの中で他の市町村におきましては適正にごみ処理が行われているわけでございますので、そういった現在の枠組みで十分対応できるとは思いますが、もしもそういった技術的な援助というものを市町村が望んでいらっしゃるということであれば、都道府県ベースあるいは国ベースで技術的なサポートをするということになると思います。
  148. 武山百合子

    ○武山委員 時間がなくなってしまいました。  総合的なダイオキシン対策について二、三お尋ねしたいと思います。  土壌汚染したダイオキシンを初め有害化学物質が地下水を汚染したり河川に流れ込んだりすることも心配されているわけですけれども、その場合、水質を調査し、対策を行うのはどこなんでしょうか。
  149. 畑野浩

    ○畑野説明員 今、広く有害化学物質によりますところの環境汚染というふうにおっしゃったのでございますが、一応、環境汚染調査をして対策に結びつけるというのが環境庁の役割でございます。
  150. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、ダイオキシンの自然界や人体への暴露を防ぐためには発生抑制が大切であることは論をまたないわけですけれども、ダイオキシンを発生させるおそれがある化学物質を素材として使うことを規制することは、現行の法体系の中で可能なのかどうか。それから、法体系がない場合、それにかわる通達、ガイドラインを出すのはどの省庁なのか、お聞きしたいと思います。
  151. 吉田徳久

    吉田説明員 お尋ねの御趣旨は、ダイオキシンを発生するようなさまざまな化学物質を抑止し得るスキームがあるかということでございますが、今直接的に法的な強制力を持ってそうした幅広い対策をする仕組みはないと思っております。
  152. 武山百合子

    ○武山委員 では、それにかわる通達とかガイドライン、そういうものを出すのはどの省庁なのか。全くないでは済まされないと思うんですよね。
  153. 吉田徳久

    吉田説明員 御質問の趣旨でございますけれども、その事柄の性格に応じて千差万別であろうと思います。今までも化学物質対策について事業所管官庁から指導がなされたこともございますれば、環境庁が指導をしてきたこともあろうかと思います。一般的には申し上げられません。  ただ、今後、私ども、有害な化学物質による人の健康あるいは生態影響を防止するために、より包括的、総合的な化学物質対策を進めることは重要だと思っております。  こうした観点から、本年七月に中央環境審議会に対しまして今後の化学物質による環境リスク対策のあり方について諮問をし、現在、環境汚染物排出・移動登録、いわゆるPRTR制度の導入を含めた今後の対策のあり方について鋭意御検討いただいているところでございまして、私ども、その議論を踏まえて、今後とも、各省庁と連携しながら有害な化学物質による環境リスクの低減対策が一層効果的に講じられるよう努力してまいりたいと思っております。
  154. 武山百合子

    ○武山委員 国民にとって非常にわかりにくいわけですね。ケース・バイ・ケースで各省庁にまたがって、このケースは厚生省、このケースは環境庁、このケースは通産省、だれのためのガイドラインなのか、通達なのか、法律なのか、非常に国民にとってわかりにくいと思います。やはりぜひ国民の立場で考えていただきたいと思います。  それから、環境庁厚生省ダイオキシン対策でそれぞれどのようなグランドデザインを持っているか。この点、国民の目から見てはっきりしないわけです。例えば人体への許容量に関して、厚生省は十ピコグラム環境庁は五ピコグラムという数値を出しているわけですね。まず、なぜ一つに統一できないのか。こうしたことが行政に対する国民の不信感を高めているわけです。  したがって、母乳のいわゆる授乳に対して、厚生省が幾ら安全だと言っても、母親は子供に対するダイオキシンの影響を心配する余り粉ミルクにかえてしまう。国民を安心させるためにも、ダイオキシン対策について国として統一的な方向性を打ち出すべきではないかと思いますけれども、それについてお聞かせ願いたいと思います。
  155. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 いわゆるTDI、耐容一日摂取量と申しますのは、一生にわたって一日当たり摂取をしても健康に大きな影響の出ない容量という意味での耐容一日摂取量でございますが、これに関しましては、一九九〇年にWHOの欧州事務局におきまして十ピコグラム・パー・キログラム・パー・デーという値が提案をされました。それを踏まえて、イギリス等のヨーロッパ諸国におきましては、十ピコグラムというのをTDIの一つの基準、目安としていろいろな運用をしているわけでございます。  厚生省におきましても、研究班におきまして、過去の動物実験の結果あるいはWHO欧州事務局の提案等を踏まえまして、耐容一日摂取量検討いただきまして、十ピコグラムという値を御提案いただいたわけでございます。  その後、環境庁の方から五というふうな数字が出されたわけでございますが、私どもが承知をいたしておりますのは、耐容一日摂取量というのは、これ以上超えてはならないという数字でございます。五ピコグラムというのは、環境施策として望ましい基準というふうな意味で理解をしております。  ただ、そうは申しましても、国民の皆さんにとって確かにわかりにくいという御指摘があることは事実でございます。しかしながら、本年の五月にWHOの欧州事務局が専門家会合を開きまして、TDIといたしまして一ないし四ピコグラムという新しい値の提案をされております。ただ、この提案の根拠を詳細に知るだけの文書がまだWHOからは公表されておりませんので、何で一ないし四という幅を持ったTDI、耐容一日摂取量なのかといった点等、不明な点がございます。  しかしながら、これらにつきまして迅速に対応いたしますために、私どもといたしましては、とりあえず十ピコグラムというTDIをどう見直すべきかということについて専門家先生方によります検討を開始したところでございます。
  156. 武山百合子

    ○武山委員 現状では、総合的な対策を打ち出す組織や機関がないわけですね。これは国民にとって不幸だと思うんですね。やはり早急にその組織をつくらなければいけないと思いますけれども、時間が来てしまいましたので、これで終了いたします。
  157. 鈴木俊一

    鈴木(俊)委員長代理 瀬古由起子さん。
  158. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  私は、大阪府能勢町のごみ焼却施設豊能美化センターダイオキシン汚染の問題について質問したいと思います。  私も先日、二十六日ですけれども、現地を訪ねさせていただきました。そして、センターを視察し、関係者の皆さんからさまざまな御意見を聞いてまいりました。きょうは、現地の皆さんが不安にさらされ、切実に要望されている問題を中心にお尋ねしたいと思います。  九月二十一日、厚生省は、同センターの周辺土壌から一グラム当たり五万二千ナノグラムという世界最高の数値のダイオキシンを検出したことを発表いたしました。これは、地元の住民のみならず全国に大きな衝撃を与えております。同施設南側の斜面の土壌では八千五百ピコグラム、北側土壌八千八百ピコグラム冷水塔の残留水は十三万ナノグラム、この水を三十リットル飲めば二人に一人は死ぬと言われております。ここからファンによってダイオキシン類が空中散布されました。超高濃度ダイオキシン類を含んだ灰固化物が積み出されて、ダンプ一杯分になるまではと野積みされたままで、その後運ばれて大阪湾をも汚染したと言われております。  現在、対策予定地には少なくとも五グラムダイオキシン類があると専門家指摘しております。五グラムというのは、摂南大学の宮田教授の試算によりますと、八万五千人分の致死量、もちろんこれは人間で試すわけにはいかないので、実験動物などを人間に換算した場合に八万五千人分の致死量がここにまさにばらまかれたという状態になっているわけです。  そういう点では、まず最初に、汚染地域住民の健康が懸念されます。住民の血液検査それから母乳検査等を含む健康調査、そして食物の調査、全簡易水道及び井戸水の検査を至急やってもらいたいのだ、このように住民が要望されています。また、一回で終わりということではなくて、継続して安全な水の供給を保証するという立場で、ぜひ検査も急いでもらいたいということを要望されていますけれども、厚生省はどのような対策をとり、今後どのような対策をされようとしているのか、お聞きいたします。
  159. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 豊能施設に関しましては、地元自治体が中心となりまして、周辺住民の血中ダイオキシン類濃度の測定等の健康調査を緊急に行うことになったと聞いております。  厚生省といたしましても、厚生科学研究事業によりまして、血中濃度測定方法を示す等、この調査の円滑な実施に協力を行いますとともに、結果の評価のために必要な他の地域における調査、これは比較対照をしなければわかりませんので、そういった他の地域における調査を緊急に進めるといったこと等、最大限の支援を行う予定でございます。  また、大阪府と能勢町が、現在、施設の周辺住民の母乳調査を実施しているところでございまして、測定結果につきましては十月上旬にも中間発表を行う予定と聞いております。  厚生省といたしましては、これらの調査研究に対しまして技術的な支援を行いますとともに、厚生科学研究事業の中で調査結果の評価を実施してまいりたいと考えております。  次に、飲み水、食品についてのお尋ねでございます。今回、大変高濃度ダイオキシン類が検出された場所についてでございますが、これは施設内でございまして、非常に施設に近接をしたところに冷却水や灰が直接飛散した、そういう直近の場所でございますが、そういった点がございます。しかも、本施設は昨年の六月から稼働しておりません。したがって、周辺で栽培されました野菜のダイオキシン類の検出濃度から見ても、食品への影響があったとは考えにくいわけでございます。  実際、これまでに大阪府等が実施をいたしました本件施設周辺の玄米、野菜等のダイオキシン類の実態調査の結果では、玄米の二検体中一検体から〇・〇〇一ピコグラム・パー・グラム、シシトウの七検体中一検体のみから〇・〇〇〇八ピコグラム・パー・グラムダイオキシン類が検出されているわけでございますが、他の地域における検出量と同様の非常に低いレベルでございまして、食品衛生上、特段の問題はないと考えているわけでございます。  また、飲料水についてでございますが、大阪府等が実施をいたしました本件施設周辺の飲料水及び水源として利用しております河川水等のダイオキシン類の実態調査の結果でございますが、河川水三検体でございますが、〇・〇二から〇一ピコグラム・パー・リッター、井戸水、湧水、これは十検体ございますが、不検出ないし〇・三七ピコグラム・パー・リッター、水道水が二検体でございますが、これは不検出というふうになっておりまして、最も高い濃度が検出された井戸水をずっと飲用した場合におきましても、我が国の平均的な摂取量に比べまして十分に低いと考えられまして、飲料水の安全上、特段の問題はないものというふうに考えているところでございます。
  160. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 今のお話を聞いていますと、厚生省としては余り問題はないじゃないかみたいな御報告だったと思うのですが、実態は全然違うのですよ。  例えばセンターの近くには能勢高校というのがありますが、ここに附属の農場がございます。高濃度汚染により栗の木は枯れて、新しい苗を植えても育たなくなってしまった。それから、住民の六割は井戸水を使用していますけれども、厚生省の発表後、不安でミネラルウオーターを使って生活水にしている。農作物も食べ続けて安全なのか、田んぼにも汚染水が流れ込んでいます、大気汚染は一体どうなっているのかと、大変不安に住民は考えているわけです。  高濃度汚染地域、その施設の中だけじゃなくて外も検出されているわけですけれども、立て札もなくて、高濃度汚染の範囲も知らされていない。子供たちが知らずに遊び回っている。汚染土壌を掘り出している作業員は、これは私も見てまいりましたけれども、防毒マスクを一応してはいるのですけれども、そこに職員が配置されているのですね。その同じ敷地の中にいるわけですけれども、その職員は全く無防備の状態で仕事をしています。元従業員の中には、お医者さんからダイオキシン被害特有の色素沈着だ、こう言われている人もいます。私も実際にその方にもお会いしましたけれども、全身にそういう症状が出てきています。お医者さんの方は診断書を書いてもいいと言われているそうなんですが、そういう状況が生まれています。  住民はやはり国の責任ある判断対策を求めていると思うのですね。調査大阪府がやり、組合はやっているわけですけれども、そこ任せにするのではなくて、ぜひ厚生省もきちんと出かけていき、そしてまさにみずからの問題として調査をし、情報を公開して、単に厚生省だけでは当然できないと私は思うので、さまざまな各省庁とも連携しながら早急に対策をとっていただきたいというふうに思うのです。  ぜひ大臣にも現地に行っていただいて、こういう深刻な事態を現場でも見ていただき、そして対策を講じていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  161. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 ただいまダイオキシン大阪で実施いたしましたものの結果等につきまして、局長から報告がありました。一方、委員からは、全くそれと別個の判断でございまして、もっと厳しいものがあるという御説でございます。  私どもとしては、こうした問題は一義的に大阪府とか地元で対応していただけるという建前がございますので、その結果を尊重しておるところでございますが、もし今御指摘のようにそれほど大きな乖離があるとすればゆゆしき問題でありますから、これは一回専門家でも派遣して、どちらが本当に正しいのかということは調べる必要があろうかというように感じております。
  162. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 先ほどの質問の中でも出されているのですが、一九七六年に北イタリアのミラノの近郊で化学薬品工場が爆発して一・二キログラムダイオキシン類飛散した事件がございました。これはセベソの事故と言われているのですけれども、このときには住民約三万人が被害に遭って、うち住民七百三十六人が強制移転、家畜八万頭を処分するという事態になっています。実は、今度のこの能勢の事件がこのセベソの事故に匹敵する内容を持っているのじゃないかという指摘をする専門家もあるわけです。  そこで、先ほど厚生省は基本的には安全じゃないかと言われたのですけれども、今度のこの美化センターから排出されたダイオキシン類の総量というのは、この汚染の規模から推測してどの程度だというふうに厚生省は見ておられるのでしょうか。
  163. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 ダイオキシンの測定ができるようになったのはつい最近でございます。したがいまして、本施設は昭和六十三年から稼働しておりますので、例えば焼却量でありますとかそういったものは記録がございますけれども、ダイオキシン類濃度と掛け合わせた総排出量というのは計算が不可能だというふうに思います。
  164. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 敷地内またその近辺でこれだけ高濃度なものが検出されるということは、かなりのダイオキシンが出ている可能性は十分あるわけです。実際にはどこからどれだけ出たのか、総量がどれだけあるのかということをやはり調査して、それを明らかにしないと、大丈夫ですよ、安全ですよと言っても、それは信頼できないわけですよね。そういう点でも、総量もわからないで安全なんて、いや、これは基本的に大丈夫ですなんて言わないで、やはりきちんと総量も明らかにして安全かどうかということを厚生省としては判断すべきだというふうに思うのです。  この焼却炉設置されて十年たちます。実際には年間総量の十倍分のダイオキシンが出ているわけですけれども、安全だと言える根拠というのは一体何なのか。先ほど出ておりましたTDI、耐容一日摂取量ですけれども、これは厚生省は十ピコグラムとしていますけれども、この十ピコグラムをこの地域周辺ではちゃんとクリアしている、このように言えるわけですか、その点いかがでしょう。
  165. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 ただいま手元に資料がございません。正確に数字を申し上げられないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、最初に本施設の改造が提案をされましたときに、土壌、水をはかってほしいということで、はかりましたら高いのが出た。それで再度、この施設組合が専門家による委員会設置をいたしまして、のり面あるいはその周辺土壌汚染状況調査を行ったわけでございますが、その結果を踏まえまして、この施設管理組合が設置をいたしました専門家会合のレポートの中には、現在の汚染の程度であればTDIである十ピコをかなり下回るレベルであるということを明言をされておられます。ちょっとその数字、根拠は、今資料を持ち合わせておりません。
  166. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 厚生省焼却炉緊急対策値というのは、今八十ナノグラムになっているわけですね。これがクリアできればその十ピコグラム確保できる。私は、ダイオキシンは排気ガスの中で出されるだけではなくて、それ以外にも焼却灰とかそういうところの方が多いわけですから、実際には、この八十ナノグラムという厚生省の数値も、一部分のところだけ取り出して安全だという基準を設けていると思うのですが、しかし、今回は十三万ナノグラムなんですよ。  そうしますと、八十ナノグラムでもこれ以上は危ないよと言っているのに、十三万ナノグラムで大丈夫だなんという根拠はどこにあるのでしょうか。総量でこれだけ出ていますということがわかるならいいですよ。今言われたように、総量はわからないわけですよ。それで安全だと言われても、その根拠は出てこないんじゃないでしょうか、いかがですか。
  167. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 八十ナノグラムというのは、排ガス中の基準値でございます。今回非常に高濃度に検出をされましたのは、専門家委員先生の御指摘のように、非常に不完全燃焼が続いていた、それから、電気集じん機入り口の排ガスの温度が高かったということで非常にダイオキシンの発生量が多かったのではないか。それがざらに閉鎖系という水循環の中で、むしろ外へ出るというよりは濃縮過程を繰り返したために極めて高くなったということでございまして、八十ナノといりのは煙突の先から出る煙の基準でございますから、直接に対比をするのはいかがなものかというふうに思います。
  168. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 八十ナノグラム排ガスの問題ですから、それ以外にもいっぱいあるというわけですから、それが土壌やさまざまな残留水などで高濃度のものが出てきたということは、排ガスだってもっと濃いものが出ているわけです。そして、水蒸気、水をまき散らしてこの地域にダイオキシンがばらまかれ、また水が流れて田んぼにも入ってきている、こういう事態です。  また、この八十というのも、私たちも意見を持っていますが、厚生省が八十というのも大変だよというものを、実際には排ガスとして出され、また土壌としてもあるわけですから、もっとこれは危険な可能性があるということは当然素人でも考えられるわけですね。その点で、私はやはりきちんとした調査が必要だと思います。  その点で、私、環境庁にぜひお聞きしたいと思うのですけれども、環境庁は、健康リスク評価指針値として、一日当たりのTDIを厚生省よりも厳しい五ピコグラムというふうにしてきています。今回の能勢町の事態をどう受けとめ、どのような対策をとられたのでしょうか。また、焼却場に発生する焼却灰また飛灰、これに含まれるダイオキシン類は全体の八割から九割を占めていると言われていますけれども、それがどう最終処分されたのかという実態を把握してみえるでしょうか、いかがですか。
  169. 畑野浩

    ○畑野説明員 今回の厚生省の御発表を受けまして、環境庁対応についてまず御説明申し上げたいと思います。  私ども環境庁は、厚生省調査結果を受けまして、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法というものの適切な施行の観点ということから、豊能郡のごみ焼却施設と類似の開放型の冷水塔を有する三十六の施設につきまして、立入検査を二十一日付で実は都道府県に指示をいたしました。立入検査に当たりましては、適切な運転管理が行われていたかどうか、冷却水がミスト等により周辺に飛散していないか等について確認を行いまして、その結果を早急に環境庁に報告するように求めております。  私ども環境庁といたしましては、立入検査の結果を踏まえまして対象施設を絞り込んで、ダイオキシンにかかわる排水ないし周辺環境の緊急調査というものを厚生省ともまた連携しながら実施する予定にしております。  以上でございます。
  170. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 何でこんなに高濃度汚染が起きたのかということなんですけれども、これはことしの四月なんですが、参議院の厚生委員会が開かれて、我が党の西山議員の質問に答えて、これは前大臣だったのですけれども、ダイオキシン対策に対して対応がおくれてきたのではないかと心配している、こういう御発言がございました。  実際には厚生省対応は、きょうの論議でもありましたけれども、大変この問題でおくれています。新聞にも報じられておりますように、TDIを八四年から長期にわたって百ピコグラム、世界にも例のないようなこういう数値で厚生省は決めて、今WHOの基準改正で一ピコグラムにしようという流れなんですね、こういうときに、まだ今十ピコグラムですから、大変大きな違いがあります。それも環境庁基準が違うという状態になっています。ですから、対応が後手後手になっていまして、指導すら十分できていなかった。  私、現場に行ってみまして、いろいろ関係者から聞いてみました。そうすると、どういう状態で炉が回されていったのかといいますと、温度が上がると炉が壊れるので、焼却中のごみに繰り返し水をかけて温度を下げてきた、こう言っているのですね。それでダイオキシンが発生しやすい温度で焼却して、ダイオキシン類を除去するための集じん機では三百二十度から三百三十度、ダイオキシンが一番発生しやすいといいますか、ダイオキシン製造装置みたいな役割を果たしてきたわけです。  この焼却の管理は、この焼却炉設置した三井造船の子会社である三造エンジニアリングというところがやっていまして、さらにそこが下請に丸投げして、ともかく炉を壊してはいかぬという形でやられてきたわけですね。時たま三井造船の本社から技術者が来てサンプルを持ち帰っていた、こういう証言もありまして、この会社はダイオキシンが出ていることも承知で、排ガス基準をクリアすればいい、こういう形でやられてきたんじゃないか。検査前はどうだったかというと、三日間ほど空だきをしてやれば大丈夫、こういうことがやられたというのですね。  そこで、三井造船は今どう言っているかというと、厚生省の施行基準どおりで何の問題もない、こう言って開き直っている。私は、設置企業が管理運営もやり、そして厚生省の指導どおりの結果だと言っている、こういうやり方は大変問題がある、企業の責任というのは問われなければならないと思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  171. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先ほどの基準値の統一の問題は、確かに、環境庁環境基準を多くの化学物質についてまだ定めていないという実情がございまして、そこで各省間の若干の違いが出てくると思います。これは統一した方がよろしいかと思います。  それから、今のメーカーの問題でございますが、この美化センター原因には運用上のいろいろの問題もあったやにも聞いております。例えば八百度以下で、しかも連続運転がされないで途中で切られるとか、あるいはそのほかの管理上のいろいろな問題、冷却水を還流させている問題等々いろいろございます。  だから、これは機械設備と関係のないことではございませんが、今、一義的にもともと機械設備が全く不良品であったと断定するには、もう少し原因がはっきりいたしませんと何とも言えないんじゃないかな、そう思います。
  172. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ぜひ事実関係を調べていただいて、企業がかなり重要な役割を果たしているといいますか、ある意味では責任を果たしていない、こういう実態があるということをぜひお調べいただきたいと思います。  それと同時に、企業に責任がないと言わせている厚生省の立ちおくれです。実態が、この検査をやっても実態とかけ離れている。それで、排ガス規制だけでダイオキシンの被害というのは防止できないわけです。土壌や水やさまざまな基準の見直しといいますか、規制を今は求められているというように思います。  同時に、今世界の焼却施設の七割が日本にありまして、これもまた異常なんですね。何といっても、ごみを燃やせばいいというやり方を根本的に今変えなければならない、そういう時期に来ているのではないかというように思うんです。その点いかがでしょうか。
  173. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 我が国ごみ焼却施設の数が格段に多いといいますのは、家庭から出ますごみ処理責任の主体を市町村にしているということで、非常にごみ焼却施設の数が多い。したがいまして、非常に小規模なものも多いわけでございまして、しかも間欠型の運転ということになりますと、どうしても維持管理をきちんといたしませんとダイオキシンが出やすくなるというふうな問題がございます。  したがいまして、広域化計画を策定していただきまして、広域的に処理をしていただくという仕組みを今後導入していく必要があると私どもとしては考えております。さらに、燃やせばいいということではございません、容器包装リサイクル法でありますとか家電リサイクル法等を御審議を賜りましたわけでございますから、そういった意味で、焼却からリサイクルへ持っていくという循環型社会へ向けての検討は不可避であるというふうに考えております。
  174. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 きょうは、学校関係で文部省、また農水省の関係、労働省の関係に来ていただきましたが、時間がありませんので具体的な内容についてはお聞きできませんが、また引き続き取り上げていきたいというように思っています。  率直に現地の関係者の皆さんが言ってみえたのは、この能勢町でこういう事件が起きたのは大変残念なことだけれども、しかし、これを契機にこの町がダイオキシンを克服した町と言えるような取り組みをしたいという決意を語っておられたんですね。私は、これは日本の政府、国にとっても言えると思うんです。  こういう事件が起きているわけですけれども、これは決して能勢だけの問題じゃない、全国でも起きている可能性があるわけですね。そういう意味では、この問題を通じて、日本の政府がこのダイオキシン問題をきちんと解決できたんだと言えるような取り組みを、最後に大臣にその決意を伺いたいと思います。
  175. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 全体で千数百の処理施設がございます。この能勢の美化センターと類似のものも三十六くらいあるようでございますが、それらについても今検討をさせておりまして、おおむねそんなに問題はないんじゃないかなということでございますが、この結果を見て、能勢の美化センターに特有な問題であるのかどうか、これは私どもも重大な関心を持っておりますから、他の施設等についてはきちっとした調査をしなければならないと思っております。
  176. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 終わります。ありがとうございました。
  177. 鈴木俊一

    鈴木(俊)委員長代理 中川智子さん。
  178. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  私も能勢の問題を御質問したいと思います。  おとといでしたか日曜日に、今度十月に環境問題、このダイオキシンで兵庫の方で講演会をするわけです、それでチラシを配りましたら、五千枚のチラシがほんの数時間で受け取られた。そのチラシの表題を見まして、ダイオキシンのことなんですかということで、どんどん皆さんがそのチラシを受け取ってくださるわけですね。社民党のチラシだったらこのごろ余り人気がないんですけれども、ダイオキシンということで皆さんがとても関心を持たれまして、ぜひとも参加したいということなんです。  といいますのは、ここでの議論、厚生省にさまざまなことを伺いましても、国民感情、国民の危機意識と国の危機意識がどうも非常に乖離しているということを実感いたします。本当に大阪の能勢だけの問題じゃなくて、全国規模でこのダイオキシンの不安というのが広がっている、そのことをまず共通認識として持っていかなければいろいろな話がかみ合わないということをこの間痛感しておりますので、ぜひとも前向きな御答弁をお願いしたいと思います。  まず最初に責任の所在に関して伺いますが、今回のこの高濃度ダイオキシン、責任の所在はどこにあるというふうに厚生省は現在考えているか、お願いいたします。
  179. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 豊能美化センターにつきましては、平成二年に旧ガイドラインが示されました後に、このガイドラインに沿った維持管理がなされていなかったわけでございます。  具体的には、摂氏八百度以上での安定的な焼却がされていなかったこと、あるいは第二点目として、電気集じん機への排ガス流入温度が摂氏三百二十度から三百三十度という温度でございまして、摂氏二百八十度よりも高かったことなどの点で問題であったと認識をいたしております。  しかしながら、本件のような高濃度原因が、炉の型式あるいは湿式洗煙塔及び冷水塔構造上の問題に起因するのか、施設の運転管理に起因するのかといった点について、現時点におきましてだれの責任かについて判断することは困難でございます。  なお、引き続き調査も実施をいたしておりますので、発生原因の科学的な究明について専門委員会において御検討をお願いいたしたいというふうに考えております。
  180. 中川智子

    ○中川(智)委員 そうしたら、その炉の管理の仕方、燃焼温度の問題、それはいわゆる廃掃法の十九条に基づいて大阪府なども立入検査というのをしているわけですね。立入検査表というのが手元にございますが、豊能組合あてに大阪府が立入検査をして、毎年、平成五年も六年も七年も、指示事項として、ダイオキシン対策のための燃焼の管理をしろということを大阪府は立入検査をして施設組合の方に言っているわけですね。  でも、この報告などは大阪府から厚生省は受けたことがございますか。これは法律に基づいた立入検査ということですので、大阪府の方からこのように指示をしているんだけれども、施設組合としてはその後の報告がちゃんとないとか、その辺のチェックは国としてはどうなんでしょうか。
  181. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 都道府県におきましては、市町村処理施設に立ち入りまして、具体的な基準あるいは運営等に問題があるかないかということをチェックをするわけでございます。その段階で指示事項があれば指示をするということは通例でございます。そういった事務につきましては、原則的には都道府県知事が行われるわけでございまして、個々の事案につきましてすべて厚生省が毎年一つ一つの施設の事例について把握をしているわけではございません。  なお、本件に関しましては、こういう問題も生じましたので、詳細につきまして関係地方自治体からいろいろお話を伺っております。
  182. 中川智子

    ○中川(智)委員 そうしたら、指示した後全くそれに対してやっていないというのは、どこが責任をとるわけでしょうか。
  183. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 具体的な指示が出され、それに対してどういうふうな回答がされ、それは、例えばできなければできない理由というのもあるのかもしれませんし、あるいは何年計画をもってやるというふうなことで回答が出されているのか、ちょっと今手元にございませんのでわかりませんが、そういったことのチェックを経ませんと、今ここで、どこにどう責任があるかということに言及することはできないと思います。
  184. 中川智子

    ○中川(智)委員 それでは、大阪府がそのような指示を出して、その報告もないのにそれを放置していたということは、大阪府と施設組合、どちらに対して責任は重いというふうに厚生省考えられますか。具体的な資料というか、これは一般的な話です、どこに責任があるのか。法律を守っていないということに対して、報告義務が課せられているのに実行していなければ大阪府が悪いわけですね。
  185. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 いろいろな経緯があったようでございます。しかしながら、私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、平成二年に旧ガイドラインを出したわけでございますが、この旧ガイドラインにつきまして、燃焼管理の徹底等について都道府県に通知をし、都道府県が市町村に対しまして、折に触れ各種会議において指示をしてきたところでございますし、また平成八年の十月には、ごみ処理に係るダイオキシン削減対策検討会の中間報告を踏まえまして、緊急対策として、燃焼管理の徹底あるいは間欠運転から連続運転への切りかえ等を指示したところでございます。  したがいまして、従来の維持管理の記録をチェックをしてみますと、豊能環境施設組合維持管理のあり方について基本的には問題があったのではないかという認識をしております。
  186. 中川智子

    ○中川(智)委員 そういう長い御説明じゃなくて、結局これは土壌の入れかえとかすべてやるときには財政措置が伴うわけなんですね、自治体が悪いと。そこで何千平米もの土壌汚染を入れかえたりするときには何十億というお金がかかるわけで、自治体ではギブアップでできない。そうなると、国の責任が今のお話を聞いているとほとんど感じられない。大阪府なり施設組合、自治体に責任があるというふうにおっしゃるのならば、それに対して国は財政措置、いわゆる法律の最終チェックの責任は私は国にあると思うのですね。法律に基づいてそれを行政がやっていないのだから、それを管理する最終的な責任は国にあると思います。国だけとは言っていませんが、国に対しての責任はどのようにお考えかということを明確に御答弁をお願いします。
  187. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますが、家庭から出ます一般廃棄物処理の責任を持っておりますのは市町村でございます。したがいまして、市町村ごみ処理のプロセスの中で、例えば環境汚染問題を起こしたというふうなこと、あるいはごみの運搬中にそれが飛散しただとかいうふうなこと等が起これば、それは当然実施主体である市町村が原則的に対処すべきものというふうに考えております。
  188. 中川智子

    ○中川(智)委員 市町村に責任がしっかりあるということは承りました。  続いて、メーカーの責任に関して伺いたいと思うのですけれども、私も四月に、八千五百が出たときに三井造船にも行ってまいりましたが、三井造船の今度の責任に対してどのように考えているかということを伺いたいのです。  今回の厚生省ダイオキシン対策報告書を読みましたらば、本当に不幸なことだった、この炉に対して不幸な管理をしていて、そして炉自体も非常に不幸だった、たまたまそうなった、特定したあそこの場所だけの問題というふうな形で読み取れるのですが、そうなりましたらば、やはり焼却炉そのものをつくったメーカー、そして先ほど瀬古議員が質問した中にもございましたけれども、何度も三井造船はダイオキシンのことをチェックに行っている。チェックするのは企業としては当たり前のことなんでしょうが、その情報を持っていながら、それに対して何ら手を打たなかった三井造船の責任に対しては厚生省はどのように考えていますか。
  189. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 今回の調査によりまして高濃度ダイオキシン類が検出された原因といたしましては、豊能美化センター焼却炉構造及びその維持管理に係るさまざまな要素が関係をしていると考えております。しかしながら、まだ未解明の点もございまして、この点につきましては引き続き専門委員会検討を進めることといたしているところでございます。  したがいまして、豊能美化センターの三井造船製の焼却炉そのものに欠陥があり、メーカーに責任があったかどうかという点につきましては、現時点において判断することは困難であるというふうに考えております。
  190. 中川智子

    ○中川(智)委員 現時点において判断することが困難ならば、今後三井造船の責任に対して厚生省としてはやっていくのかどうか、全く責任がないと考えているのか。今の時点での、もう少し明確なメーカーの企業責任に対してお答えください。
  191. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 ただいまかなり明確に御答弁申し上げたと思いますが、現在の時点において責任を云々するという段階ではなくて、さらに解明を進めなければならないということでございます。
  192. 中川智子

    ○中川(智)委員 わかりました。  焼却炉の決定に関しては、廃棄物研究財団の技術評価書、それが根拠というか、そこのお墨つきがあったら焼却炉の決定というのができるということなのですけれども、この技術評価書の中には炉頂型の今回の三井造船のものは含まれていないんですね。別置型でお墨つきをもらっているのですが、たまたまその施設設置の中で、炉頂型、頭の上に置いた方が場所もとらないということで、この辺に関しては、は厚生省焼却炉の決定に関してはチェックは一切しないわけでしょうか。この財団に任せているのが現状でしょうか。
  193. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 焼却施設に関しましては、施設構造指針というのがございまして、その構造指針の中には今回の事例のような炉頂型のものも入っております。したがいまして、焼却炉をつくるのであれば、この構造指針に従ってつくっていただくということが原則でございますし、さらに、国庫補助の対象ということになりますと、当然これはチェックをするわけでございます。国庫補助の対象にならないケースにつきましては国がチェックするということにはならないかもしれませんが、しかしながら、それであっても構造基準に合致したものでなければならないというのが法律上の要件でございます。
  194. 中川智子

    ○中川(智)委員 その指針の中に炉頂型というのもきっちり入っていたということで、よくわかりました。  それでは、今回のダイオキシン問題というのは、私は、一番最初のつまずきというのは旧ガイドライン策定に当たっての時点だと思います。私は今回質問主意書をお出ししましたが、一週間で本当はいただかなければいけないのが、全く手が回らないということで一カ月半先延ばしというふうになりましたのでこの場で伺いますが、一九九〇年の旧ガイドラインの策定をするときに委員長をしていた平岡先生は、旧ガイドライン委員会で、我々が示した炉の機種ごとの目標値は新設炉を除き厚生省ガイドラインでは削られてしまった、また、同時に提出した削減計画は盛り込まれなかった、これが非常に不満だったということを委員長が述べておられます。  私は、この旧ガイドラインそのものの情報公開と、そしてできればその場のテープ、すべて情報公開していただきたいということを、この場できっちりした御返事をいただきたいと思います。
  195. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 隠し立てをするということではございませんが、平岡先生がそのように当時委員会で発言されたという件につきましては、当時の担当者に聞きましたけれども、そういう御発言はなかったというふうに承知をいたしております。  さらに、平成二年の旧ガイドラインに関してでございますが、これは、昭和六十年から設置をされました廃棄物処理におけるダイオキシン類等発生メカニズムに関する研究というのがございますが、その成果をもとにいたしまして専門家により作成されたものでございまして、厚生省といたしまして、原因を科学的に究明するための資料として必要があればお示しをしたいと考えております。
  196. 中川智子

    ○中川(智)委員 必要があるのでお願いしているわけですから、ぜひとも早急にいただきたいと思います。  最後ですが、大臣、環境整備課は、質問主意書を出しても、本当は二カ月欲しいと言われたんですね。今五人でやっていらっしゃるそうなんです。やはり厚生省ダイオキシン対策の課をきっちりつくるべきですし、そのような人的な予算をまずやってからさまざまなことをやっていかないと。本当に気の毒で、私も質問主意書を出すたびに身が細る思いがするのですけれども、環境整備課とかいわゆる厚生省ダイオキシン対策の部を充実していただきたい、それに伴う予算措置をお願いしたいと思います。  大臣、ぜひともこの問題をともに、いいときに大臣におなりになったと思いますので、最後に御決意をお願いしたいと思います。
  197. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 質問主意書のおくれにつきましては、なるべく早くしなければいけませんので、余りに時間がかかったことはおわび申し上げます。  なお、組織上の問題につきましては、御指摘のような点がございますが、今、中央省庁等の行政改革で労働省と合併するというようなことが論議されておりまして、これからそういう中で必要な部署をどう位置づけしていくかという問題としてやってまいりたい。それまでは今の環境整備課の中で十分対応できると思いますから、精力的にやっていただくように指導してまいりたいと思います。
  198. 中川智子

    ○中川(智)委員 ありがとうございました。
  199. 鈴木俊一

    鈴木(俊)委員長代理 笹木竜三君。
  200. 笹木竜三

    ○笹木委員 無所属の会の笹木竜三です。質問を始めます。  最初に、ちょっと基本的なことをお伺いしたいわけですけれども、日本の場合には、このダイオキシンの摂取量の安全の目安を体重一キログラム当たり十ピコグラムと定めている、九六年に。ドイツでは一ピコグラムを目標値に掲げている。十分の一。アメリカでは、さらに〇・〇一ピコグラム提案している。この認識の違いというのはどこから起こっているのだと思われているのか。  ドイツとかアメリカは厳し過ぎるのだ、今は基準値を再検討する、遅くても来年ぐらいには再検討して新しい基準を発表するかもしれないということは聞いてはおりますけれども、この数字の違いはどういうことで起こっているのか、まずそのことについてお伺いをしたいと思います。
  201. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 我が国ダイオキシン類耐容一日摂取量につきましては、今御指摘のとおり十ピコグラムという値でございますが、この値につきましては、一九九〇年にWHOが勧告をいたしました値でありまして、現在、英国、スイス、カナダ等においても同様の値を採用いたしているところでございます。  米国におきましては、先生指摘のように〇・〇一という非常に厳しい値を、ただ、これはまだ提案中でございまして決定されたというふうには聞いておりません。我が国を初めといたしまして、イギリス、スイス、カナダ等のいわゆるTDIの決め方は、いわゆる無作用量というのがあるという前提で、作用をあらわさない量があるというのを求めまして、それをもとに計算をしたものでございますし、米国の場合には、その無作用量がない、ゼロに近づいても非常に危険があるということで計算をして出している〇・〇一というふうに聞いておりますが、まだこれは提案中という段階であるというふうに承知をいたしております。  さはさりながら、本年五月にWHOの専門家会合におきまして、従来のTDIを見直しまして、コプラナーPCBを含めて体重一キログラム当たり一から四ピコグラムというふうな範囲とすることで合意がなされたわけでございます。  これにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、まだ最終的な報告書は出ておりませんので、この一ないし四という数字の根拠、それからなぜ幅があるのかといった点については点検のしょうがございませんが、こういった点も含めまして、我が国におきましても適切に対応をしていく必要があるということで、生活環境審議会及び食品衛生調査会にダイオキシン類健康影響評価特別部会というのを設置をいたしまして、見直しを始めたところでございます。
  202. 笹木竜三

    ○笹木委員 ドイツの場合とかは厳しい基準で、その結果、ダイオキシンの発生を防ぐ焼却炉技術とかそういうようなものがかなり開発されたというふうにも聞いておりますけれども、今の答弁を聞いても余りよくわからないのですけれども、基本的には、規制を強化する必要は今のところはまだわからない、研究者の方々の意見まで伺っていないからわからない、そういうことですね。
  203. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 WHOでさまざまな観点から御議論がなされた結果として一ないし四という値が提案をされているわけでございますが、先ほども申し上げましたように、どういう健康の指標をもって判断をしたのか。例えばがんに着目したのか、あるいはホルモン様作用に着目したのか、これはちょっとレポートを見ませんとよくわかりません。  そういったことがございまして、WHOの方の正式の報告書が出るのを今待っているわけではございますけれども、予備的にさまざまな面で検討をする必要があるということで専門家の御検討をお願いしているということでございます。
  204. 笹木竜三

    ○笹木委員 何か待ちの姿勢のように思いますけれども、例えば学校のごみ焼却炉について、簡易な焼却炉はなるべく廃止するように通達は出しているのだということ、これは文部省が出しているということなんですけれども、平成十年度もこの使用を継続する学校は何校ぐらいあるのでしょうか。把握されていると思うのですが。
  205. 遠藤昭雄

    遠藤(昭)政府委員 お答えいたします。  学校のごみ焼却炉につきましては、児童生徒の健康に与える影響というものを考えまして、その安全性が確認されない限りは原則として使用を取りやめ、廃止するという趣旨の局長通知を昨年十月三十一日に出しました。  その結果、昨年の五月時点で全体の八割以上の学校でごみ焼却炉を使っていたわけですが、ことし五月時点の調査結果によりますと、既に使用を取りやめている学校数は全体の八割以上でございます。十年度中に使用を取りやめると言っております予定の学校数を含めますと、全体の九割以上。御指摘の、一体何校が使っているのかという点ですが、五月の調査ですと、四千百三十一校が現在も使っているという結果になっております。
  206. 笹木竜三

    ○笹木委員 今の最初のお話で、安全が確認されない限り廃止するように言っているのだということなんですけれども、四千百三十一校は安全が確認されているということじゃないですね、もちろん。
  207. 遠藤昭雄

    遠藤(昭)政府委員 もちろん、ごみ焼却炉は同じでございますから、そういう点では趣旨は同じでございますが、これらの学校は、その内訳を見ますと、七百二十九校は離島、山間等の地理的な状況とかあるいは関係地域の廃棄物処理施設がない、そういった状況などから、自校で焼却処理のほか代替措置が困難でやむを得ないという状況になっております。  それから、残りの三千四百二校につきましても、そこではプラスチック類などを除き焼却とか、あるいは枯れ葉のみ焼却といったように、分別等に十分留意しながら焼却をいたしておりまして、通知の趣旨も十分踏まえて、廃止はほかに代替の措置がありませんからできないけれども、可能な範囲で少しでも適切な対応ができるような対応を各学校でとっていただいているというふうに理解をしております。
  208. 笹木竜三

    ○笹木委員 今、離島だとか、あと他に焼却施設がないから、そういう理由で四千百三十一校が、それだけがまだ使用を継続するのだということですけれども、そういういろいろ難しい事情があるところについては積極的に助成とかも考えて廃止させるという考えがないのかどうか、大臣にお伺いをしたいと思います。  それと、余り時間がないのであわせてお聞きします。これも大臣にぜひお聞きをしたいのですけれども、例えば、もう廃止している学校、でも今まで何年も継続して焼却炉を使ってきていた、そういうところでの土壌汚染の状態とか、そういうものを調べていくつもりはないのか。  あるいは、学校に限りません、今はその場所にないけれども、かつて何年も焼却炉が使用されていて汚染可能性があるところ、これも実態を厚生省は全く把握してないということですけれども。最初にお聞きした基準値、例えばドイツとの違い、アメリカとの違い。今既に動いているその状況を見ても、日本とはかなり違うと思いますけれども、結果的には、僕は対策がおくれていると思います。そういう対策がおくれていることを取り戻すためにも、こういった土壌汚染等も含めて、自治体の責任だと言っているのではなくて、おくれているのですから、むしろしっかりとサンプリングで調査をして、基準値の改定があるなら、それと同様に、こういうケースではこのぐらい汚染されていたと発表していく、そのぐらい積極的なことが必要だと思うわけですけれども、そういうおつもりがあるのかないのか、大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
  209. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 基準値の問題は、ここでたびたび議論されておりますように、まだWHOの一ないし四ピコグラムが公認されているわけでもありませんし、厚生省基準環境庁基準が若干異にしておるようでございますが、これはやはり統一していきませんと、ダイオキシンの人体に対する影響度の問題を測定するために大変重要な基準でございますから、今後その統一化はやはり図っていくべきだと思います。  それから、文部省の学校の問題につきましては、私の方で直接指導をする立場にございませんので、後で文部省からお答えいただきたいと思います。  土壌汚染等の問題につきましては、先ほど来議論がありますが、建前は建前として、これはやはり地方公共団体等の責任において行うことが建前でございます。  ただし、今回のような大量に発生したり、高濃度のものが出たり、非常に緊急的な重大な事態の場合には、やはり国が技術的援助をやるとかサポートしていくのは当然でございまして、大阪あるいは地元ともよく協力体制を築いて対応していきたい、こう思っております。
  210. 遠藤昭雄

    遠藤(昭)政府委員 財政措置の点についてお答えいたします。  学校におきますごみの収集委託に要する経費につきましては、十年度、今年度から地方交付税措置が講ぜられるというふうになっておりまして、それによって、県、市町村、それぞれ一定の交付税措置を行っておるところでございます。  また、その財政以外にも、ごみ処理の適切な実施に資するための参考資料を今年度中に文部省としても作成をしていきたい、このように考えております。  以上でございます。
  211. 笹木竜三

    ○笹木委員 もう時間が終わりましたので、きょうは終わります。
  212. 鈴木俊一

    鈴木(俊)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十三分散会