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1998-10-15 第143回国会 衆議院 決算行政監視委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月十五日(木曜日)     午前九時三十二分開議 出席委員   委員長 原田昇左右君    理事 鴨下 一郎君 理事 栗本慎一郎君    理事 佐藤 静雄君 理事 村田 吉隆君    理事 田中 慶秋君 理事 田中  甲君    理事 大口 善徳君 理事 石垣 一夫君       安倍 晋三君    相沢 英之君       赤城 徳彦君    粕谷  茂君       熊谷 市雄君    倉成 正和君       桜田 義孝君    田中 和徳君       田邉 國男君    滝   実君       東家 嘉幸君    萩山 教嚴君       堀之内久男君    三塚  博君       矢上 雅義君    山口 泰明君       石井 紘基君    古賀 一成君       坂上 富男君    末松 義規君       古川 元久君    山本 譲司君       田端 正広君    中野  清君       若松 謙維君    青木 宏之君       米津 等史君    中林よし子君       東中 光雄君    保坂 展人君  出席国務大臣         外 務 大 臣 高村 正彦君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 額賀福志郎君  出席政府委員         防衛庁長官官房         長代理     伊藤 康成君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 大越 康弘君         防衛庁人事教育         局長      坂野  興君         防衛庁装備局長 及川 耕造君         防衛施設庁長官 萩  次郎君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省条約局長 東郷 和彦君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁石油部長   今井 康夫君  委員外出席者         総務庁行政監察         局企画調整課長 関  有一君         大蔵省主計局司         計課長     児島 俊明君         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    深田 烝治君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       船渡 享向君         会計検査院事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         会計検査院事務         総局第五局長  小川 光吉君         参  考  人        (石油公団総裁) 鎌田 吉郎君         参  考  人        (石油公団理事) 新  欣樹君         決算行政監視委         員会専門員   酒井 喜隆君     ――――――――――――― 委員の異動 十月六日  辞任         補欠選任   村山 富市君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   保坂 展人君     村山 富市君 同月九日  辞任         補欠選任   村山 富市君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   保坂 展人君     村山 富市君 同月十三日 辞任          補欠選任   村山 富市君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   保坂 展人君     村山 富市君 同月十五日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     田中 和徳君   三塚  博君     安倍 晋三君   島津 尚純君     坂上 富男君   山中 燁子君     中野  清君   佐々木憲昭君     東中 光雄君   村山 富市君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     三塚  博君   田中 和徳君     熊谷 市雄君   坂上 富男君     島津 尚純君   中野  清君     山中 燁子君   東中 光雄君     佐々木憲昭君   保坂 展人君     村山 富市君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関す  る件(防衛庁装備品調達問題等)      ――――◇―――――
  2. 原田昇左右

    原田委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関する件、特に、防衛庁装備品調達問題等について調査を進めます。  この際、防衛庁長官から、四社事案関連文書管理実態に関する中間報告について説明を聴取いたします。額賀防衛庁長官
  3. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 おはようございます。  ただいま委員長から御発言がありましたように、四社事案関連文書管理実態に関する中間報告をさせていただきたいと思います。  調達実施本部の元幹部ほかの背任事件関連をいたしまして、先月、防衛庁組織的に東洋通信機関連資料を大量に焼却処分をし、証拠隠しを行っているとの報道がなされたことに伴いまして、防衛庁は、四社事案関連文書管理実態に関する調査委員会を設置し、調達実施本部等関係部局職員等から聞き取り調査を行うなど、事実関係解明のため厳正な調査実施してまいりましたが、これまでの調査結果を取りまとめましたので、中間報告をさせていただきたいと思います。  九月十二日以来これまでの間、約二百人の職員等から聞き取り調査を行ってまいりましたが、その結果明らかになった事実関係の中には、強制捜査直前文書類自宅に持ち帰るなど国民疑惑を招いたものがあり、防衛庁職員はみずからの問題として襟を正し、徹底した綱紀粛正を図っていかなければならないというふうに考えております。  こうした事案再発を防止するため、今後防衛庁は、調達システムのみならず調本解体をも視野に入れた組織抜本的見直しを図るとともに、その実効性を確保するための職員意識面を含めた出直し的改革を行い、国民信頼を取り戻すことに全力を注いでまいりたいと考えております。まず、このことを冒頭申し上げさせていただきたいと思います。  次に、昨年九月以降の経緯をまず御説明をいたします。  調本は、昨年九月以降、いわゆる原価差異事案につきましての事実関係について調査等を行ってまいりましたが、その際、調本職員地検事情聴取内容を記したメモ及び当時の会社関係者等からの聞き取り結果などをもとに、事案一連処理経過等がわかるよう整理した事案処理経過表を作成をしたほか、そのもととなった東洋通信機に係る聞き取り結果等を本年夏に至りヒアリングファイルとしてまとめ、事実関係認識のベースとして国会、報道機関等への対応のために使用いたしました。  また、四社、特に東洋通信機返還額については、各種検討が行われましたが、本年夏には、それまでの調査前提に、事案についての防衛庁としての考え方、評価等を取りまとめた「東通事案に対する現時点での評価について」を作成し、地検提出をいたしました。その後、起訴事実及び当時の一部関係者からの見解の提示により従来の見解前提は覆ったと考えられるため、この見解は撤回をしたところでございます。  このような背景もとに四社事案関連資料管理状況等について申し上げますと、まず、平成九年九月から十月の時期について、捜査当局から四社事案関連資料提出を求められる可能性があったことから、調達実施本部関係課におきまして、原資料提出しても支障のないように業務遂行上必要な資料を昨年九月から十月の時期に大量にコピーをしております。しかし、この時期に四社事案関連資料を大量に焼却した事実は、現在までの調査では確認はされておりません。  次に、本年五月についてでございますけれども例年年度がわりの五月連休前後には保存期限経過した大量の文書焼却をされておりまして、本年四月から五月も同様でありました。しかし、四社事案関連資料を大量に焼却した事実は、現在までの調査では確認をいたしておりません。  本年八月から九月の時期についてでございますけれども、四社事案関連資料を含む各種資料自己執務室外に移転していた事例相当数確認をされました。移転された四社事案関連する主な資料は、ヒアリングファイル事案処理経過表地検提出した評価書想定問答集等でありました。一方、現在までのところ、この時期には、一部のヒアリングファイルを除き、四社事案関連資料処分を行ったとの聞き取り結果は得られておりません。また、四社事案関連資料の移転、破棄または焼却に関する組織的な指示が行われたとの聞き取り結果は得られておりません。  なお、具体的事例については、お手元の資料をごらんいただきたいと存じます。  次に、事案発生当時の原価元帳伝票類経費率算定資料について申し上げます。  四社事案返還額算定については、原価元帳伝票類基本的に使用しておらず、これらが昨年九月以降調本において処分されたとは考えがたいと存じます。なお、担当課で保有していた経費率算定資料については、昨年十月以降地検に任意提出されたとの聞き取り結果を得ております。  以上、総括をいたしますと、現時点におきましては、四社事案関連資料組織的かつ大量に焼却した事実及び焼却するよう指示した事実は確認できておりませんが、本年八月から九月の時期にヒアリングファイル等の四社事案関連資料自己執務室外に移転した事例等があったことは事実であります。これらの行為自体背任事件証拠隠滅に該当するかどうかは、捜査当局判断にまつべきところでありますけれども、不適切あるいは非難されてもやむを得ないものも含まれておりました。関係者のみならず防衛庁といたしましても深く反省をしなければならないところであります。  最後に、再発防止策国民信頼回復について申し上げますと、昨年九月以降今日までの防衛庁の動きが、国民の目にわかりにくくかつ不透明なものと映り、結果として国民信頼を大きく損なう事態を招いたことは厳粛に受けとめなければならないと思っております。  私といたしましては、二十一世紀に向けまして、国民信頼をされ、魅力ある防衛庁自衛隊を確立するため、事件徹底究明に努めるとともに、組織の現状を真摯に反省し、さらに、今回の一連事件背景にまで踏み込んだ改善策国民に示していきたいと考えております。具体的には、防衛装備品調達制度をめぐる基本的課題についての抜本的改善自衛隊員の再就職あり方に関する検討を鋭意行ってまいりますとともに、調本組織につきましても、そのあり方基本に立ち返って、解体をも視野に入れた徹底的な見直しを行う必要があると考えております。これらの諸施策の推進に、みずから先頭に立って、職員意識面を含めた防衛庁の出直し的な改革を行い、国民信頼を取り戻すことに全力を注いでまいりたいと思います。  最後に、国民皆さん方の御理解を賜りますようお願い申し上げ、また、御審議のほどを何とぞよろしくお願いを申し上げる次第であります。  以上、終わります。
  4. 原田昇左右

    原田委員長 これにて防衛庁長官説明は終わりました。  次に、会計検査院長から、防衛庁装備品過大請求事案に対する会計検査について説明を聴取いたします。疋田会計検査院長
  5. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 今般の防衛庁装備品過大請求事案に対する会計検査実施状況、及びその後東洋通信機ほか一社の事案司法当局捜査対象となりましたことを受けての本院としての今後の対応について御説明をさせていただきます。  まず、今回の事態概要とそれに対する検査実施状況でございます。  今回問題となりました日本工機株式会社東洋通信機株式会社藤倉航装株式会社及びニコー電子株式会社の四社の会社概要につきましては、一ページの表一のとおりであります。  そして、四社に係る過大請求事態及び調本のとった処理は、二ページの表二にございますが、日本工機以下四社の昭和六十三年度から平成六年度の間の契約におきまして、総額約二十一億一千百万円の過大請求が生じたとして、これを歳入に返納させる、また、履行中の契約から減額する処理がなされております。  四社に対する検査実施状況につきましては、二ページから四ページにかけまして会社ごとに記述してございますが、これを総括して御説明いたしますと、調本では、本件事案契約時の予定価格算定に当たりましては、個別に価格構成要素を積み上げて算定する方法を採用しております。  しかし、今回の四社の返還金額算定に当たりましては、三ページ四行目以降に記述しましたとおり、原価計算もととなる作業工数等に係る基礎的資料会社に保存されていないなどのため、個別契約ごと開差額算定することは困難であるとして、いわば例外的に、各会社決算書もととして過大額算定していたものであります。  これに対し、本院では、過大積算額算定する場合は、調本予定価格算定するときのように、個別の一契約ごと基礎的資料によって工数やその他の実績数値確認するなどして過大支払い額算定する方法によることとし、本件事案についても、これらの基礎的資料を入手し差額算定できないかどうか検討したところであります。  しかし、各社ごとにそれぞれ記述しましたような経過により対応したところでありますが、結局、四社いずれにつきましても、個別契約ごと差額算定するのに必要となる基礎的資料が作成されていなかったり、あるいは保存されていないとのことで、具体的な説明は得られず、結果として適正な返還金額検証ができなかったものであります。  次に、七ページをごらんいただきたいと思います。  本院は、本件事案につきまして、ただいま御説明いたしましたように、過大請求金額検証ができなかったことなどから、当時は、本院としてこれ以上の調査を継続しても新たな進展が望めないものと判断せざるを得なかったものであります。  しかしながら、今般、東洋通信機ほか一社の事案司法当局強制捜査対象となったことはまことに遺憾であり、本院としても大きな衝撃を受けているところであります。  本件事案につきましては、司法当局事態解明進展を見守りつつ、必要な資料の入手が可能となった時点においてこれまでの検査結果を再検討する必要があると考えております。  また、防衛装備品全般検査に当たって、その検査方法改善は緊急の課題認識しております。このため、早急に次に申し上げるような対応策を講じることとしております。  その一といたしまして、去る十月一日、事務総局防衛装備品調達契約検査に関する検討委員会を設置し、検査方法等検討に着手したところであります。  この検討委員会においては、防衛検査実施体制の強化に関する方策や、従来、会社の協力のもと肩越し検査対応していた会社検査について、会計検査院法第二十三条の規定を積極的に適用し、直接に会社検査するなど、検査方法及び内容について検討することとしております。  対応策のその二は、本院職員の再就職あり方に関する検討であります。  今般の事案に関して寄せられました国民批判は、本院としてこれを真摯に受けとめているところでありまして、政府全体で行われております公務員制度調査会検討状況を見ながら、本院としても、例えば昨年の地方自治法の改正により導入された外部監査人制度や、公的機関内部監査の充実と本院とのかかわり方など、再就職あり方について幅広く検討するなどして、今後、国民から本院の検査公正性に疑念を持たれないように努めてまいりたいと考えております。  このため、去る十月五日、事務総局職員の再就職に関する検討委員会を設置し、検討に着手したところでございます。  会計検査院といたしましては、本件事案に対する反省もとに、ただいま申し上げましたような対応策を早急に実施し、今後、装備品検査を含め、国民期待にこたえる会計検査実施に万全を期してまいる所存でございます。  以上をもちまして、御説明を終わらせていただきます。
  6. 原田昇左右

    原田委員長 これにて会計検査院長説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 原田昇左右

    原田委員長 それでは、私から、総括的に若干の質疑を行います。  まず、防衛庁中間報告についてでございますが、防衛庁調査においても、一部の職員の書類の移動等は認められたものの組織的な証拠隠滅は現在のところ確認できないということであります。官房長調達実施本部本部長といった組織幹部がみずから資料処分にかかわっていたとすれば、なぜ組織的でないと言えるでしょうか。係長がやっているのならともかく、その組織の長がみずからやっておるということで組織的でないということは言えるのかどうか。  また、具体的な事実の解明について、現在司直の手にゆだねられておりますけれども、いずれにしても国民信頼を著しく損なう事態であることには変わりありません。防衛庁で引き続き調査を行うのは当然として、早急に真実を明らかにした上で、一刻も早く国民信頼を取り戻すべきだと考えます。防衛庁自身真相解明についての今後の取り組み方針とその決意を改めて伺いたいと存じます。
  8. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 先ほど申し上げました中間報告の中で、今原田委員長が御指摘のように、防衛庁幹部強制捜査の入る直前自己の所有する文書について自宅に持ち帰るなどの行動を起こしたことが明らかになっております。  このことは、強制捜査直前に行われたという点で国民疑惑を招いたことは事実であり、公務員としてあるまじき行為である。その意味におきまして、強く反省を迫られなければならないし、また、私どももみずからの問題として厳粛に受けとめていかなければならないというふうに思っているところであります。  この問題については、司法当局証拠隠滅に該当するかどうかについては判断をなされると思っておりますけれども、私どもは、これが、先ほど言いましたように、国民皆さん方不透明感を与え、また信頼関係を損ねたというふうに思っておりますので、これを受けとめて、事実関係をさらに明らかにした上で厳正な処置をしていかなければならないというふうに思っております。  なぜ組織的でないのかということについては、これらはいずれも、それぞれの幹部がみずからの判断自己の保管する資料執務室外に移転させている事例であり、組織的に行われたという認識はしなかったというところでございます。  いずれにいたしましても、この点についてはさまざまなことが、東京地検資料を持っていっておりますので、判断がなされるものと思っております。  私といたしましては、こうした事態が再び起こることがないようにするためにはどうしたらいいかということを考えなければならないというふうに思っております。  そのうちの一つは、やはり私を含めて防衛庁職員が全員、これまでに起こったことについてみずからの問題として厳しく受けとめまして、徹底した、言ってみれば綱紀粛正を図っていかなければならないということであろうと思っております。  もう一つは、今委員長がおっしゃるように、引き続いて調査を進めまして、事実関係を明らかにして国民の前にお示しをし、その上で厳正な処置をしていくことが大事であるというふうに思っております。  その上で、私は、一つは、調達本部のこれまでのあり方について、やはり背任事件を起こした原点でありますから、これまでの組織、運営のあり方に問題があったのかどうか、そういうものをきちっと洗い出しをして、そして調達システムを透明なものに、オープンなものにしていくことが必要である。そのためには、調本の抜本的な改革を行い、調本解体をも視野に入れたそういう出直し的な改革が必要であろうというふうに思っているところであります。  もう一つは、やはり今度の事件関連をいたしまして、防衛庁天下りの問題について御批判を受けておりますので、この問題につきましても、自衛隊員の再就職の問題について原点に返ってルール化をして、国民皆さん方に御理解を得るような形をつくっていかなければならないというふうに思っているところでございます。  今後とも全力を挙げて事実を解明をし、そして諸改革を断行して防衛庁信頼をかち取ってまいりたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第であります。
  9. 原田昇左右

    原田委員長 今防衛庁長官からるる今後の改革について御答弁がございましたが、私も、その点については極めて重要な問題であると認識しております。  防衛庁内部担当者検査能力とか、チェック体制の不備とか、随意契約による現行調達方式が非常に大きな原因になっておることは事実であろうと思いますし、そういう意味で、今後、調達あり方をしっかり検討をして、これに対し結論を出す。  それから同時に、再就職問題について、再就職は、これは必要なものは大いにやってやらなければならぬわけでございますから、それはそれとして、しかし、防衛産業への天下りという形で不透明な関係を生むということについて国民は怒っているわけでありますので、国民から信頼される防衛庁自衛隊とすべきであると思います。その点は長官のおっしゃった点を非常に評価をいたします。  同時に、もう一つ私から御注文申し上げたいのは、今回いろいろと問題が指摘された防衛庁所管公益法人等についても、その必要性を厳しく吟味して、その必要性の薄いものはちゅうちょなく解散させるということでやっていただきたい、こういうように思います。  そして、このような事態が続けば、国民信頼もとより、自衛隊員の士気にも多大の影響を及ぼすことになります。現在、北朝鮮の問題その他でも、我々は自衛隊期待をするところが大変大きいわけであります。防衛庁自身の手で、逆にこの機会を生かして、従来の業務問題点を徹底的に洗い直し、正すべきは正して、防衛庁として二度とこのような問題を起こさぬよう、考え得るあらゆる方策を講ずることにしていただきたい。長官の御決意をもう一度お伺いします。
  10. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今委員長の御指摘のいわゆる公益法人の問題でありますが、防衛庁にあります財団法人防衛庁関連であります防衛装備協会あるいは防衛生産管理協会、この二つの元幹部が今回背任事件で逮捕され、起訴されたりしているわけでございます。このことについてはまことに残念な思いがあるわけであります。  もちろんこれは、昭和五十二年ごろに防衛装備協会設立をされ、防衛生産管理協会平成三年に設立をされたというふうに聞いておりますが、私といたしましては、委員長がおっしゃるように、すべての防衛庁関連公益法人財団法人等について徹底調査を行いまして、実態を明らかにした上で、必要なもの、不必要なもの等について仕分けをしてまいりたいというふうに思っているところであります。  また、今後のことにつきましては、今後とも先生方の御意見等も賜りながら、私といたしましては、既に防衛調達制度調査検討会あるいはまた自衛隊員の再就職に関する研究会外部の有識者の御検討をいただいているところでもあり、調達本部組織改革等については、私が本部長になって、内部でどういうふうにこうした国民期待にこたえていくかについて早急に研究体制をしいて、具体的な、抜本的な改革に向けて作業を進めてまいりたいというふうに思っているところでありますので、ぜひ先生方の御指導をいただきたいと思っております。
  11. 原田昇左右

    原田委員長 大臣、退席して結構です。  会計検査院に対し御質問申し上げますが、会計検査院に対する国民期待は非常に大きいものがあると思うのですね。ところが、今回の検査を見ますと、防衛庁のケースを見ますと、その期待にこたえていないように思えるわけであります。  今回の装備品調達に係る検査については、一つ検査方法検査院は試みた。しかし、その段階で、進展がないとして、いわば事実上検査を放棄しておるということでありまして、会計検査という立場からは、考え得る限りのほかの手段も駆使して徹底した検査を行うべきではないかと思うのですね。会計検査院検査を放棄してしまったことで、ところが地検はちゃんと検査しておるわけですからね。一体どういうことになっておるのですか。  私は、会計検査院としては、会計検査院法の二十三条を活用するとか、あるいは、東洋通信機なんか上場会社ですから、個別原価計算も総合原価計算もちゃんと書類は公表されておるわけだと思うのですね。そういう点について、検査院はどういうようにお考えになっておられますか。
  12. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 本院の検査状況につきましては先ほど御説明したところでございますが、今この時点で振り返ってみますと、結果的に本院の検査対応が手ぬるかったのではないかという御批判は、お受けせざるを得ないと考えております。  検査に必要な実績資料を把握し切れない事態が明白となった時点で、ただいま委員長指摘のように、別の手段を検討できなかったか、検査方法内容、さらに工夫すべき点がなかったか、こういった点につきましては、会計検査院法第二十三条の活用なども含めまして早急に再検討を行う必要がある、このように考えております。
  13. 原田昇左右

    原田委員長 今回の一件では、会計検査院職員天下りがまた疑惑を呼んでおるわけであります。検査対象である防衛庁所管財団法人会計検査院職員が再就職して、本当に厳正な調査ができるか、国民は疑問を持っておるのではないかと思います。先ほどの報告では、検査院の職員の再就職について検討委員会を設けたということでありますが、ぜひともこの点はひとつルール化して厳正にやっていただきたい。院長の御見解を伺いたいと思います。
  14. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 お答えいたします。  本院といたしましては、今回の事案に関する国会での御論議も真摯に受けとめているところでありまして、このたび設置いたしました検討委員会では、職員の再就職あり方について幅広く検討を行うこととしております。その際、国民から本院の検査公正性に疑念を持たれるということが決してないように、厳しく検討させていきたい、このように私としては考えているところでございます。
  15. 原田昇左右

    原田委員長 会計検査院長にぜひとも見解を伺いたいと思いますが、いずれにしても、国民信頼を回復するために、会計検査あり方を含め業務全般を総点検して、会計検査院としてぜひとも新しい改革を積極的に推し進めていっていただきたいと思うのですね。その点について御見解をいただいて、私の質問を終わります。
  16. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 今回の事案によりまして会計検査に対する国民信頼が揺らいでいるという点につきましては、私ども会計検査院といたしましても、委員長の御指摘のとおりゆゆしき事態と受けとめているところでございます。  本院は、これまで装備品調達に関しまして、重点的に検査する対象を変えながら鋭意検査を行ってきたところでございますが、本件事案を未然に発見できなかったことについては謙虚に反省いたしまして、検査方法内容について再検討しなければならない点があると考えております。  このため、防衛検査に関する検討委員会事務総局に設置したところでございまして、これまでの検査方法内容を総点検いたしまして、検査実施体制の強化とあわせまして、早急に抜本的な対策を講じ、検査に万全を期すことにより、国民信頼の回復を図ってまいる所存でございます。
  17. 原田昇左右

    原田委員長 それでは質問を終わります。  これにて委員長の総括的質問は終わりました。  午前十一時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十時三分休憩      ――――◇―――――     午前十一時五十分開議
  18. 原田昇左右

    原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
  19. 坂上富男

    坂上委員 坂上富男でございます。質問の時間を与えていただきまして、ありがとうございました。私はまた、決算行政監視委員会で質問をさせてもらいますのは初めてでございますものですから、あるいは御迷惑や何かになる場合もあろうかと思いますので、よろしく御指導のほどもお願いをしたいと思っておるわけでございます。  防衛庁中間報告書、二冊いただきました、それから会計検査院中間報告書もいただきました、きのうの午後四時ごろでございましょうか。せっかくでございますので、徹夜で少し読ませていただきました。そしてまた、いろいろ私の持っておる資料と突き合わせながら検討をさせていただきました。しかし、残念ながらまだ、時間がないことと、私の能力もあるものでございまするから、あるいはまとまりがつかないで時間切れになっておるのもあるのでございます。質問そのものが、そんなような事情であるいは見当違いの質問にもなるかと思いますが、お許しもいただきたいと思っておるわけでございます。  まず、法務省、おられますか。――はい。  この中間報告書二つをごらんになって、法務省はどんな感想でございますか。特に、この書類を見ますと、公用文書の毀棄罪、それから証拠隠滅、まことにはっきりした、いわば自白をした文書でないかと私は思っているんです。法務省は、まずこれについてどういうような感想を持っておられますか。  この中間報告書は、ちゃんと検察庁の方に参考資料として提出になったのでございましょうか。  それからいま一つ防衛庁にもお聞きをいたしますし法務省にも聞きますが、上申書、撤回した、撤回したと言っていますが、検察庁に出したものを撤回したということは、私ちょっと意味がわからないのでございますが、何か手続したんですか。あの上申書は間違いでございましたというような手続をしたのかどうか、この辺、法務省と防衛庁、お答えください。簡単でいいですよ。
  20. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 お答えします。三点お尋ねだと思います。  まず第一点目の防衛庁の昨日の中間報告でございますが、その中で証拠に関する記述があるということで、これは証拠隠滅の自白に相当するのではないかというお尋ねでございました。具体的な事案を踏まえまして、それが何罪に当たるとか、そういうようなことについては、結局証拠によって判断される問題でございますので、私がこの席でそれについての判断を申し上げるというのは適当でないと思います。(坂上委員「受け取ったかどうかと聞いている、受け取ったかどうかだけ聞いている」と呼ぶ)はい。  また、東京地検にそれが提出されたかどうか、これは前の上申書のときにもやはりその問題がございましたが、具体的にどういう証拠を捜査機関が入手したかしないか、こういうことについては、やはり私からお答えするのは適当でない、このように思います。  あとは、もう一つは御質問は何でございましたか……
  21. 原田昇左右

    原田委員長 あとは防衛庁です。
  22. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 中間報告につきましては……(坂上委員提出したかしないかだけでいいですよ」と呼ぶ)法務省当局及び東京地検に対しまして一応送付はしております。
  23. 原田昇左右

    原田委員長 上申書の件を。
  24. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 失礼いたしました。  上申書の撤回ということでございますが、この点に関しましては、当庁の考え方を先般、九月末でございましたか、公にしておりますので、広く認識されているというふうに承知をしております。
  25. 坂上富男

    坂上委員 法務省、証拠隠滅という意味はどういう意味か、公用文書毀棄というのはどういう意味なのか、それから組織的というのはどういう意味なのか、簡単に答えてください。
  26. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 順次お答え申し上げますが……(坂上委員「簡単でいい」と呼ぶ)公用文書とその毀棄という二つの概念でございますが、一般論として申し上げますと、公用文書というのは、刑法第二百五十八条にある文書でございます。これは「公務所の用に供する文書」ということでございまして、裁判判例上では、その作成者、作成の目的等にかかわりなく、現に公務所において使用に供され、または使用の目的をもって保管されている文書を総称するということになっています。  それから二番目の、毀棄とは何かという問題でございますが、この判例は次のような表現でこれを言っているわけですが、必ずしもこれを有形的に毀損することは必要としない、隠匿その他の方法によってその文書を利用することができない状態に置くことをもって足りるというふうに解釈しております。  それから二番目の、刑法上に言う証拠隠滅罪にある隠滅とはどういう概念かということ、これは簡単に申し上げますと、刑法第百四条に、「証拠隠滅等」の罪に「隠滅」という言葉がございます。一般的には、単に証拠そのものを滅失させる行為だけではなくて、いやしくも証拠の顕出を妨げ、またはその効力を滅失、減少させるすべての行為を指すというふうに理解されております。  この罪と、先ほどお尋ねの公用文書等の毀棄罪というのは、それぞれ保護法益が違いますので、一つ行為によって両罪が成立する場合もあり得るということになろうかと思います。  それから、この組織的という言葉そのものは、一義的にこうだというふうな解釈を申し上げることはなかなか難しいのでございますが、あえて申し上げますと、その行為組織的な対応、すなわち組織に属する複数の人が、指揮命令関係に基づきまして、それぞれあらかじめ定められた役割分担に従って一体として行動する、行為そのものがその一環として行われたる場合においては、犯罪が組織的に行われたものと見ることができるのではないかと思います。  以上でございます。
  27. 坂上富男

    坂上委員 今の前提に立ちまして、この文書に対する私の評価ですが、極めて拙劣な文書です、これは。それから、非常に卑劣な文書です、これは。それから、改俊の情もなく、反省の情もない文書です、これは。まさに国民を欺締する文書です。国会を嘲笑する文書であると思うのであります。言葉ではなるほど否定はしておりますが、今の御答弁でおわかりのとおり、この文書の中は、組織証拠隠滅、公用文書投棄が行われたことを顕著に証明しておるものでございまして、自白文書に私は当たると思っておるわけであります。もし検察庁の方でこれが手に入っていないならば、押さえて、押収したらいいと思いますよ、私は。  こういう事実を証明するために、私は以下の質問を行いたいと思っております。  まず、本年八月から九月に行われたと言われる証拠隠滅あるいは公用文書毀棄、このことについては額賀長官はもう御存じだったんじゃないですか、当時。どうですか。
  28. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 よもやそういうことが行われているとは、全然承知しておりません。
  29. 坂上富男

    坂上委員 このことについて報告もありませんか。直ちに報告はありませんか。
  30. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 九月十二日に報道されて……(坂上委員「いや、その前に」と呼ぶ)その前にはありません。
  31. 坂上富男

    坂上委員 長官、この中間報告と、今後の捜査等の進展によって事実が違ったら、だれがどういう責任をとりますか。まずこの調査委員会の諸君全員からとってもらわなければいかぬと思っておりますし、長官もこのことも責任を負ってもらわなきゃならぬと思っておりますが、事実が違ったらどうしますか。どうぞ。
  32. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 昨日発表させていただきましたのは、これまでの一カ月間の聞き取り調査に基づいて、系統的というか、問題ごとに整理を、あるいは期間ごとに整理をさせていただいたということで、これまでの聞き取り調査に基づいて作成されたものであり、今後も引き続いて調査を進めて最終報告に向けていくということになっております。
  33. 坂上富男

    坂上委員 水かけ論になっても悪いから余りつつきませんが、重大な報告を国会に今したわけです。これから、検察の捜査が始まっておるわけでございます、食い違いが起きたらどうするかということなんであります。検察の方の間違いなんだ、私らの調査はもう確信を持って言えるんだと言えるのかどうか、こう言っているんです。でありますから、今の答弁は答弁になっていないんじゃないですか。  そこで、長官、私はあなたが御存じであったという証明をいたします。  秘密保全に関する訓令があるでしょう。この訓令は読んだことはありますか、防衛庁。  まず、保管場所について三十九条の二に書いてあります。保管場所、どこに置いておけというわけ。それから、こういうものがなくなったら、翌日直ちに上司に報告せいと書いてあるわけであります。最終責任者は官房長官房長防衛庁長官に報告せいと書いてあるわけであります。報告していないの、これ。今のこの報告書を見ると、一週間とか十日とか、いろいろと分散したようだ。置いてある場所になかったということがはっきりしたわけであります。  保管の方法については、それからこれを持ち出す場合については三十七条、三十八条、そして私が指摘した報告については第九条、全部書いてあるわけであります。こういうことを何にもしなかったでしょう。したとするならば、長官の方へ報告が行ってなきゃだめなんであります。  官房長、これはどうしていたんだ。重要な文書だ、これは。あなた方の上申書で言えば、日本の防衛に関することが漏れるおそれがあるから、検察庁、こんなことについて一々捜査するなといって上申書を出した。だから、私は本会議で、何だ、防衛に名をかりて私利私欲の犯罪を抗弁しようとするのか、こう指摘をしたわけであります。ちっとも防衛庁はこたえていない。どうなんですか、これを見て。こういう文書はこのようにきちっとしておきなさい、保管しておきなさいと書いてあるわけ。  もう一つ申しましょう。  防衛庁の、今度は本当の文書だ、本当の文書。秘密文書でない文書ですよ。これは文書担当課で、官房長の担当だ。二つ方式があるんだ。わかっている。  分散整理保存方式というの。これはどういうことかというと、全部目録を書けというの、目録。これはもう燃やされないんだ。ずっとあるわけ。これを、目録をつくって管理するのが主管課。それから全索引簿、これを文書担当課がと、ちゃんと書いてあるわけだ。こんなの、これを見れば、どれを燃やしたか、何がなくなったかということはすぐわかるわけよ。  それから、いま一つ、集中整理保存方式というのが書いてあるわけです。これもちゃんと全部の目録と検索簿をつくっておくということになっておるわけです。これは、幾ら燃やそうと何しようと、ちゃんとここに書いてあるわけです。  そして、こういうものがなくなったり見えなくなったり――どういうふうに書いてあるか教えましょうか。いいですか、こう言っているんですよ。紛失、漏えい、破棄あるいはこういうようなおそれのあるときは直ちに報告しなさい、こう言っているわけでございます。  どうなんですか、これ。このとおりやっていないでしょう。今までの文書を見て、だれが承知をして海上幕僚監部へやったの。だれが自宅へ持っていったの。どういう条文からこれをあれしたの。まさに組織的な犯罪そのものじゃないの。簡単に一言答弁しなさい。まず長官、あなた、これ、報告があったんじゃないですか、この条文によって。
  34. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 まず、秘文書の管理でございますが、これは、先生先ほどお読みいただきました秘文書の管理に関する訓令というのがございます。そして、そのとおりに管理をしております。  ただ、今回いろいろな、私どもが報告書で報告を申し上げました書類というものは、そこの訓令に言う秘文書に当たるものはなかったというふうに私は現段階では聞いております。  それから、第二に、一般的な文書の件でございますが、確かにそのような規則がございます。これは、いわゆる公文書、官印を押したりとかあるいはその原議でありますとか、そういったものの整理について規定しているわけでございます。一般的には、役所の中でいろいろな資料等がつくられるわけでございまして、それらのすべてについてそのような取り扱いをしろということではございませんで、防衛庁としての公式な、いわゆる公文書と言われるものをでございます。そのほかには、私どもが一般的に日常いろいろな業務に使う資料というのはあるわけでございまして、それらにつきましては、必ずしも集中保管その他のルールではないわけでございます。
  35. 坂上富男

    坂上委員 長官、どうぞ。報告あったの。ちゃんと報告せいと書いてあるんだ。官房長は報告したの。どうぞ。
  36. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 九月十二日以前には、報道されるまでには、大量に組織的に証拠隠滅を図ったという事案がまさか起こっていようとは思ってもいないし、そういう視点から見ていたわけではありませんので、一々注意をして報告を聞いていたわけではありません。
  37. 坂上富男

    坂上委員 訓令というのは守らなくたっていいんですか、これ。ちゃんと、最終的には官房長防衛庁長官に報告しなさいと書いてあるわけだ。紙一枚ですよ、重要な文書は。紙一枚報告しなさいと書いてあるんだ、疑いがあれば。貸し出すにもちゃんと上司が許可しなければならないんだよ。最終的には長官の許可なんですよ、最終的には。  だから、こういうようなものをもって組織的な犯罪と言うんです。組織的というのは、法務省、辞典にこう書いてありますよ。確かに法律用語じゃない。しかし、個々のものが一定の秩序をなして行動することなんだ、書いてあるじゃないの。係長以下十数名の人たちがやったんだ、こう書いてあるじゃないの。こういうようなことから見てみて、組織的な犯罪でないということはどうして言えるの、しかも訓令を無視して。まさに防衛庁丸ごとの犯罪じゃないの、これは。どうなの。こんなのどうせ答弁しないだろうから、私は指摘だけしておきます。  さてそこで、防衛庁、石附副本部長が採用になったのおわかりですか。おととしの八月。そして副本部長になったのは去年の七月でございます。そして検察庁が内偵を始めたのが六月ごろでしょう。そして毎日新聞で七月にすっぱ抜かれて、そして石附さんを、そういう点に明るいものだから、いわゆる七月一日付でもってこれの担当にしたのでしょう、副本部長に。この点は、今言った経歴、このとおりでしょう、調査して私わかっているのだから。法務省はこの点の認識はどういうふうに思っていますか、簡単にひとつ。
  38. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 具体的事件で内偵をいつから始めたかというのはなかなか申し上げがたいことではございます。  一般論で申し上げれば、内偵というのは端緒をつかんだ段階からある程度嫌疑がはっきりしてくる段階、あるいは場合によりますと、必要な場合は強制捜査に移行する、その段階で対外的には明らかになるということでございますが、本件についてのその内偵が、どういうふうに、いつごろかということについては、具体的内容にかかわりますので、答弁いたしかねるということだと思います。(坂上委員「毎日新聞、七月、見てますか、去年の」と呼ぶ)昨年の九月以来さまざまな形で本件報道されてきたことは我々も承知しておりますし、当然検察庁も承知していると思いますが、では、具体的にいつごろから捜査がなされているかという点については、先ほど申し上げたとおりでございます。
  39. 坂上富男

    坂上委員 防衛庁、石附さんの経歴をちょっと。
  40. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 私、実は先般官房長代理になったばかりでございまして、当時の人事のいきさつを承知しておるわけではございませんが、私どもの役所の中の人事と申しますものは、それぞれその時々の適材適所と申しますか、いろいろなことを勘案して決めておるのだと思います。今先生おっしゃられたようなことがあったというふうには、私は聞いておらないところでございます。
  41. 坂上富男

    坂上委員 わからぬのが答弁していてもしようがないんだ。  いいですか。まず、平成八年の年に審議官になったのです。そして、去年の六月ごろから内偵が始まったのです。そこで毎日さんがすっぱ抜いたのでしょう。これが、あなた、七月でしょう。そこでこの七月という意味は大事なんですよ。毎日新聞が出たものだから何か調査委員会つくったというのでしょう、調査委員会を。調査委員会をして、事後ずっと調査をしてきたというんだ。  そこで、今度は会計検査院、この九年という年は、八月にはニコー電子、この調査をしようとしたけれども、証拠がなくてもうできなかった、こう言っているのです。それから、九年九月、中間報告によると、東洋通信機、この検査も、これも満足なことをしていないわけです。  どうも、石附副本部長になられてから一斉にこの防衛的な行為が行われたのじゃないですか。しかも、最初のころは防衛庁は、上野君や諸冨君らの涜職罪だろう、贈賄、収賄だろう、こう思っておったら、どうも、いろいろ検察の呼び出し等を調査をしてみると、涜職でなくして組織的な犯罪、背任罪、まさに防衛庁丸ごとの犯罪になるのじゃなかろうかというようなことがほぼわかってきて、それで一々聞き取り書をとったのでしょう。だから、もう捜査当局会計検査院、全部一斉にこの指示によってなされていたのではなかろうかと私は思っております。  でありますから、石附さんのことについては、あなたは今官房長になったばかりだと言うから、こんなのは経歴なんだから、はっきりしているんだ。そういう点だけをまず指摘をしておきたいと思っておるわけでございます。  さてそこで、ことしの九月三日、防衛庁に捜索が入りました。十四日にまた捜索が入りました。いずれも罪名は背任罪だ。これは何で二度もやったのですか。結局、大事な証拠が、さっき言ったように、海上幕僚の方へ行ったり、下っ端の部下のところへ行ったり、あるいは官房長が持って帰ったり、いろいろのことをしておるものでございますから、そこで、これは一体どうしたんだ、場合によっては証拠隠滅だよ、公用文書投棄に当たるよと御注意を申し上げたのじゃないですか。  そこで十四日に捜査をして、この間私の質問に答えて、十四日の日に海上幕僚監部にあったのを持っていったと言う。大体、三日にやって十四日にやった間、どれだけの隠された物件があったのですか、この紙箱の中に。物すごい数量じゃないですか。私はテレビを見た。まず貨物自動車一台あったのじゃないですか、どうですか。法務省。
  42. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 先生御指摘のとおり、東京地方検察庁が九月三日と九月十四日に背任の事実によりまして防衛庁の捜索を実施したことは、今御指摘のとおりでございます。ただ、いかなる理由から十四日も行ったのか、あるいはどの程度のものを押さえたのかということについては、まさに具体的な捜査の内容そのものでございますので、答弁はいたしかねるところでございます。
  43. 坂上富男

    坂上委員 もう一つ、ニコー電子と東洋通信機に関して、私たち国民に与えた損害というのは、検察はどれぐらいの損害があったと認定をしたのでございますか。  それから、上野被告人には贈賄がなされたと言っておるわけでございます。その金額は数千万円とか数百万円とかと言われておるわけでございますが、この点の捜査はもう始まったのですか。答えられませんければ、答えられないように言ってください。しかも、この金はNECの会社から出ていませんか。どうですか。
  44. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 今のまず第一点目の国に与えた損害の額でございますが、東洋通信機関係では、公訴事実によりますと、国に与えた損害額は二十一億一千七百七万七千円とされております。また、現在捜査中のニコー電子株式会社でございますが、これは背任事件の被疑事実ということになりますが、これによりますと、その額は十四億五千九百五十四万六千円とされております。  二番目に、贈賄事件があるのではないかというお尋ねでございますが、検察庁が現在何をどう捜査しているかという問題については、具体的な捜査内容あるいは現在の検察庁の動向という具体的内容にかかわりますので、私からは答弁いたしかねるところでございます。
  45. 坂上富男

    坂上委員 防衛庁、これだけはっきりしているんだ、損害が。何で返還要求しないの。国民の名においてなぜしないの。  会計検査院、これだけのことがわかっておって、何で会計検査院がしかるべく指摘なり指示なりしないの。お答えください、この損害。簡単に。
  46. 及川耕造

    ○及川政府委員 お答え申し上げます。  東洋通信機につきましては、起訴という重い事実がもう既にございますので、私ども関係機関と現在協議をしながら返還手続に入りたいと思っているところでございます。それからニコー電子につきましては、ただいまなお捜査中でございますので、東洋通信機の例等を参考にしながら、私ども内々に作業をいたしますけれども、その金額等の確定につきましては、捜査等の進展を見ながらこれもまた考えてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  47. 坂上富男

    坂上委員 防衛庁、これもまた分割返済ですか、一括返済、どっち。
  48. 及川耕造

    ○及川政府委員 債権管理法に従いまして、一括返済をまず考えながらやりたいと思っております。
  49. 坂上富男

    坂上委員 一括が原則でしょう。こうやって分割して取ったことが背任罪になっているんでしょう。わかっていますか、防衛庁。そんなのは当たり前のことなんです、そんなのは検討しなくたって。  こういうように分割をするとかしないとかというのは、全部上司の決裁が要るんでしょう。それから、認証官が認証をするんでしょう。こういうような証拠隠滅だけじゃないんです。背任罪というのは、これも丸ごと調本が、首脳部が中心になってやった犯罪なんです、これは。何が組織的でないですか。証拠隠滅だけじゃないですよ。背任罪そのものが、任務違背そのものが、国民に与えた損害そのものに防衛庁組織的に責任があると言っているんです。組織的な犯罪が行われたと私は言っているんです。どうですか。こんなのはたった一人で、分割返済でいいよと、大蔵省へ返さなくたっていいよなんというようなことができるの。組織的にやらなければだめでしょう。まず会計検査院、どうです。簡単に。
  50. 諸田敏朗

    ○諸田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  会計検査院は返還命令を直接出す立場にございません。会社に対しまして過大請求の返還命令は、今装備局長がお答えしたように、防衛庁歳入徴収官ということになります。  ただいま先生御指摘の返納方法につきましては、これは適切でなかったというふうに考えております。(坂上委員「違法だ。適切じゃないんだ、違法と言いなさい」と呼ぶ)現段階におきましては、債権管理法に違反すると思います。
  51. 坂上富男

    坂上委員 そうでしょう。  防衛庁、どうします。
  52. 及川耕造

    ○及川政府委員 私どもがこれまで聞いておりましたのは、手続は調本内の決裁等、正規の手続を経てなされたというふうに聞いておりました。  また、返済方法につきましては、既存の契約の中から減額というあれをとったわけでございますが、当時としては、このような方法も直ちに違法ではないということではないかということでとったわけでございますけれども、現在は私どもも、適切ではなかった、法に触れるのではないかというふうに思っているところでございます。
  53. 坂上富男

    坂上委員 検査院の方、どうですか。あの当時適正だと思ったと言うんだよ。あなたたちもそう言ったんじゃないの。どうなの。強く言うたの。お答えください。
  54. 諸田敏朗

    ○諸田会計検査院説明員 お答えいたします。  東洋通信機の返還方法について疑問を持ったわけでございますけれども、それは、履行中の契約が条件が変わったことによりまして契約価格が増減することはないわけでございますが、今回のように発生原因が過年度分の場合にも可能であるかどうかについて疑問を持ったということでございますが、その時点においては、現在お答え申し上げたようなところまで十分詰めていなかったということでございました。
  55. 坂上富男

    坂上委員 何でそういうことを会計検査院がわからぬでやっているの。わかっていたの、法律上違法行為なんだということを。適正とか不当とかというんじゃないんだよ、違法なんだよ。まかり間違うと、今のように犯罪なんだよ。あなたたちの報告書に、院長、どう言っているかおわかりですか。会計検査院は報告書にどう言っているんですか。これについてあなた方は結論として、検察庁が背任罪として認定されたことについてどう言っているんですか。あなた方の感じていたことと検察がこうやって逮捕したこと、この中間報告では、結論としてその認識についてどうだとあなた方は結論づけたんですか。どうぞ。
  56. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 私どもなりに当時は鋭意検査に努めていたわけでございますけれども、この報告書に書いてございますように、返納額の算定が果たして適切なものであったかどうかということを確認するに至らなかったわけでございます。  それで、このたび司法当局強制捜査によりまして今回の事態が明らかになりましたことにつきまして、私ども、非常に遺憾であるということを感じております。また、あわせまして、非常な衝撃を受けたわけでございます。  したがいまして、今後、私ども検査あり方について抜本的に見直しを行いまして、このようなことが二度と起こらないように私どもなりに努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  57. 坂上富男

    坂上委員 「本院としても大きな衝撃を受けている」と。衝撃の意味を聞いているんです、衝撃という意味。衝撃という意味の中には、あなた方の調査のやり方が法律にのっとった調査をしなかった。もしも疑いがあるならば、これをちゃんと検査報告書の中に明記すべきなんだ。それも明記していないわけ。あげくの果ては、大変悪いけれども、OBや子弟さんの就職をあっせんされるとか、食事を一緒にしたりゴルフを一緒にしたりして、そこで去年の九月、八月、一番大事なとき、石附さんが多分就任したときでしょう、全部一斉にそういう対策の中に引きずり込まれて、やるべきことをやらなかった。だから、衝撃というのは、やってはならないことをやってしまった、検査すべきことを検査しなかった。私たちとしては、もう本当に会計検査院の任務そのものが問われる、存在が問われる、こういうふうなことで衝撃を受けているんじゃないですか。素直に御答弁ください。簡単でいいですよ。
  58. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 会計検査院といたしましては、調達実施本部返還額を不当に圧縮していたということは考えてもいなかった面がございました。通常検査を行います場合には、私ども検査対象となりますのは各省を初め公的な機関でございまして、私ども検査検査を受ける側とはそれなりにお互いに信頼関係があって、この信頼関係に基づいて、私どもは特に強制捜査権もございませんので、相手方との信頼関係の上に立って初めて私どもの適正な検査が成り立つものであるという意識を持っていたところでございますけれども、そういった意味で、非常に強い衝撃を受けたという意味合いでございます。
  59. 坂上富男

    坂上委員 これは、会計検査院、だれがどういう責任をとるつもりですか。いずれ防衛庁にも聞きますが、後で答えてください。  さて、中間報告書にありますから指摘します。組織的な指示は確認できなかった。大体今の話で組織的という法律的な用語はわかったと思うのです。防衛庁はだれかが指示しなかったから組織的でないと言っているようでございます。しかも、燃やしたものは紙くず同様なものだというような言い方のようでございますが、とんでもない。  いいですか。石附前副本部長が、八月末、部下に命じて公用車を使っているのです。青山墓地などで資料を積みかえさせた後、部下の自宅などに保管させている。これは組織的な指示でしょう。きのうの記者会見、係長数人がかかわっていたと言っているわけです。何で係長は、運転手でもないのにこんなふうにかかわっているの。  その次。上野元副本部長が指示し、東洋通信機やニコー電子の返納額を算定した際、担当職員たちが企業側の決算書などに基づいて何種類もの試算額をはじいたが、そのとき独自に作成した集計資料などの行方が今もってわかっていないでしょう。ありますか。検察庁は、その行方がわからないので、当時の職員らに繰り返し繰り返し当時と同じ条件で算定させて、適正な返納額をはじき出したと言われているわけでございます。  大量焼却がなかったと言えるならば、こうした返納額算定のプロセスで出てきた大量の資料類は一体どこへ行っているのですか。検察庁にないらしいよ。どこに隠されているの。これを証拠隠滅と言わずしてどう言うたらいいのですか。証拠隠滅罪の典型的なことです。中間報告でこのことを解明してないでしょう。解明したかね。何も触れてないのであります。  三番目。中間報告は結論部分で、調本解体視野に入れて再発防止をやると。これは国民への目隠しじゃないの。形だけの話じゃないの。  こういう点どうですか。まず三つ、御答弁ください。
  60. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 まず、石附前副本部長の件でございますが、これは、自己の執務室にあった資料を、係長だけではございませんで、係長以下の数名の者に、手伝わせてと申しますか、これらを使って運ばせたものでございます。したがいまして、私どもは、石附本人の管理していた資料だけだというふうに認識をしておりまして、そういう意味で、必ずしも、幹部職員がその部下の職員等に指示して当該部下の管理する事案関係資料といったものについての移転または処分を行わせる、そういったような意味での組織的なものではないというふうに判断をしているところでございます。  それから第二点目でございますが、この報告書の七ページでちょっと触れているところでございますが、昨年秋に原価管理課の担当者によりまして、東洋通信機株式会社の過払い額についての再計算が試みられておるということは、私どもは承知しております。そして、その際、原価元帳等のコピーを一部入手したりしておりますが、それは会社側に返還しているということでございます。また、そのときの資料等につきましては、実はここには書いてございませんが、成果が得られなかったということで、その時点で破棄しているというふうに承知をしております。  それから第三点目の、調本組織見直しでございますが、これは防衛庁長官の御指示もございまして、私どもはこれより、まさにその文字どおり解体をも視野に入れて、どんな組織、どんなあり方がこれからの調達システムとしてよいのか、真剣に検討をし、できるだけ早い時期に結論を出したいというふうに考えている次第でございます。
  61. 坂上富男

    坂上委員 これは検察庁も、証拠がなくて、参考人で職員から詳細に聞いているでしょう。  それから、あなたたちの報告書の二ページにも、対策委員会を中心に検討をして、職員の中には当時の計算結果に疑問を持つ者があったと。何でこれをまじめに取り上げて調査しようとしなかったのですか。犯罪人である本部長、副本部長らの話を聞いて、これでよろしい、こうしたという。間もなく逮捕されたのでしょう。何で、おまえの言うことは正しかった、すぐもう一遍やり直してみようやと、どうして対策委員会、調査しないの。こんな対策委員会なんというのは、私から見ると、国会の答弁を対策委員会が終わるまで待ってくださいという言い逃れだ、時間稼ぎのための道具だ、こんなの。じゃ、どんな結論が出てきたかといえば、中間報告、こんな程度だ。こんなものは大学生でも書けますよ。防衛庁で私たちの命や国民の生命財産、日本の国を防衛できるの、こんな程度のことで。本当に腹立たしい思いです、これは。防衛庁調本はまず解散するの。  その次、青ファイル。事案処理経過表というらしいね、これ。青ファイル。秋山事務次官も藤島前官房長も、自宅に持ち帰ったはずであります。翌日返還した。中間報告にはそういうことが記載がない。報告書にあるように、不適切あるいは非難されてもやむを得ない行為にこういうかかわり方をしたのですか。調査委員会、わかっているの、こういう調査したの。何でこういうことを書かないの。どうですか、簡単に。
  62. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 報告書の二ページで、「昨年九月以降の経緯」ということで幾つか申し上げております。  その中で、調本の中に、当時の言葉でございますが、原価差異事案対策特別委員会というものをつくりまして、先生仰せのように、当時の計算が一体正しかったのかどうか、また、それはどういう過程でああいう数字が出てきたのかといったようなことについて、実は長い時間かけて検討をしてきたことは事実でございます。  そして、その件につきましては、この二ページの末尾の方に、先生御指摘の部分も含めまして書いているところでございますが、残念ながら、まさかということもあったかと思いますが、当時のトップ二人が何らかの違法行為をしていたということについては、ついに見つけることができなかったということでございます。  それから、秋山次官あるいは藤島前官房長の件についてのことでございますが、まず後者の藤島前官房長の件につきましては、五ページのところで、「自宅等への資料の移転及び処分」という中で記しているところでございます。  それから、秋山次官につきましては、実は九月三日の捜索の時点では、既にもう本人の手元にはございませんでした。一たん自宅に持って帰って役所に持って帰りましたが、それを作成元であります調達実施本部の方に返しております。したがいまして、その九月三日、強制捜索が入った時点では手元になかったものでございますから、この報告書には入れてございません。
  63. 坂上富男

    坂上委員 証拠隠滅というのは家宅捜索の前から始まっているんですよ。だから、家宅捜索の前に返したからいいんだなんて、とんでもないことだ、こんなの。いつ家宅捜索があるかと思って、それで持っていっているんじゃないの。何でそういうのを書かないのよ。こういうのが長になって調査しているんだ、満足なことができるはずないじゃないの。  それから、ことしの八月、九月にかけて、組織的な指示が確認できなかった、あなたたちはずるい言い方をしているのだよ。確認できなかった、あなたたちでは。検察庁はきっと確認するでしょう。だから、我々の確認の仕方が悪かったのであって、間違った報告ではないのだ、こう言おうと思って、確認できなかったなどと言って、何か偉そうなことを言っているのだけれども、こんなもの、ちょっと調査すればわかることなんだよ。  そこで、一体、こういうことを何と理解しますか。偶然同じような判断をして、同じ行動をとったわけです。会計職員として、普段から会計検査院対策でそうした証拠隠滅工作が身についていたから一緒になって行動する。しかも、きのうの記者会見では、十数人、十件こういうことがあったということが確認されたということは認めているわけであります。  そこで、これらのことをした、課、職員はどういう答弁をしているのですか、どういう報告をしているのですか、なぜこんなばかなことをしたかということ。そして、この順序に従って上司に報告したの。さらにその上司は、その報告をしたの。最後官房長に報告して、それで長官に報告が行かない。長官は聞いた覚えがないと言うのだから、これは。どういうことですか、これ。同じ行動を数人が、大体百人ぐらいだね、十件あるというのだから。これが組織的な行動でなくして何ですか。指揮命令なんというのは口に出さなくたっていいのですよ。暗黙のという、目配りで、黙って幾らでも指示できるのです。  だけれども、これは言うたのですよ。いずれ検察庁で明らかになりますわね。検察庁は、公用文書毀棄罪あるいは証拠隠滅でもうそろそろやる時期が来たのじゃないですか。(発言する者あり)うん、収賄はまあ別として、組織的なことからまず挙げてもらいましょう。少しきちっと対応してみてくださいよ。証拠全部出せば起訴猶予にするなんと言ったら、国民は承知しませんよ。  組織的という意味防衛庁はこの点から見てどう理解しますか、答えられないでしょう。漢和辞典引いてごらんなさい。
  64. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 まず一点目の秋山現次官の件でございますが、秋山次官は、たしか八月の上旬だったかと思いますが、勉強のために自宅に持ち帰りまして、二週間後ぐらいだったと承知しておりますが、一たん役所の方に持ち帰り、そして作成元に返しているということでございますので、いわゆる証拠隠滅疑惑の中におきましては、必ずしもそういうものには該当しないということで、私どもは報告書には載せなかったということでございます。  それから、二点目、先生御指摘の部分、恐らくきょうの新聞等のことではないかと存じますが、私どものこの報告書の中では、確かに十数人の者が移転をしたということを申しております。これらは、それぞれ、例えばヒアリングファイルとか、そういったものでございます。それらのものはいずれも、この資料は、例えば夜間とか休日における問い合わせのために必要であるとかといった理由を挙げているところでございます。そして、それらにつきましては、すべて調査委員会の方に報告もありましたし、また、九月十四日前後にいずれも地検の方には提出あるいは押収というようなことになっておるわけでございます。  さてそこで、先生最初に仰せだった文書管理の面でどうかということでございますが、先生御指摘文書管理規則は、基本的には、ごらんいただきますとおわかりいただけますように、起案から始まりまして、合議そして決裁というような手続を定めたものでございまして……(坂上委員「わかっているから、そんなこと。あなたたちがわからないから教えてやったのだから、いいわ、もう」と呼ぶ)そのような文書についての規則でございます。  今回、いろいろ持ち運びをした文書と申しますのは、そういういわゆる公文書に該当するものではございませんで、普通の、日常の業務の参考資料というふうな位置づけになろうかと存じます。
  65. 坂上富男

    坂上委員 法務省の解説をどう聞いているの、あなた。公用文書というのだよ。だから、私が書いてあなた方のところへ出してもこれは公用文書になるのですよ。あなたたち公務員が書くだけが公文書じゃないんだよ、ここに言うところの公用文書というのは。さっきそういう説明したのだよ、刑事局長が。何を言っているのですか、あなたの答弁。あなた、間違ったら責任とれますか。  その次、田中元副本部長、及川装備局長、藤島前官房長、石附前副本部長自宅に持ち帰った資料としては、具体的に証拠に該当するものは一切なかったと断言できますか。断言しておいてもらいましょう。  その次、中間報告では「押収を避けたいとの意識も働いていたものと思われる。」とありますが、これは石附氏を含む幹部らに証拠隠滅認識、法律上故意といいますが、あったという証拠なのだよ、これは。だから、検察庁は、これは大変ありがたいあなたたちの文書なのだよ。口では、ありません、ありませんと言ったって、平清盛だ。甲冑を着ていない、着ていないと言うけれども、そでの下から見えるのだよ。言いませんでした、しませんでした、したがって組織的犯罪ではありませんと言うけれども、さっき大漢和辞典の説明をしたでしょう、それが組織的犯罪というのですよ。  その次、故意の認識があったのじゃないかと思われますよ。石附氏は、業務上必要な資料だったから持ち帰ったと釈明しておりますが、なぜ部下の親類宅に持ち込む必要があったのですか。公用車を使い、部下に指示して、部下の親戚に資料を隠した、これは組織的な証拠隠しそのものであります。少なくとも石附氏本人は、証拠隠滅に当たるという認識があったのではありませんか。業務上必要な資料をなぜ部下の親戚に――業務上必要だから持っていった、こういう抗弁をしている。だけれども、実際は部下の親戚のうちに置いて、何が公務の必要上あったの。こんなことは弁明できるの。  さらに、組織的な証拠隠しはなかった、焼却はなかったとしておりますが、このとおり解釈していいですか。断言できますか。防衛庁は、一切こういうことはしないと結論づけたのですか。まだまだわかりません、そこまではわからないのです、こう言うのですか。検察の判断など待つ必要がない。防衛庁防衛庁独自でやってください。防衛というのは、大体そうなんでしょう。相手方が侵入、敵が侵入してきたのに、一々検察庁へ行って聞くの。そんなばかなことないじゃないの。そもそも、強制捜査直前防衛庁幹部が四社事案関係資料文書自宅に持ち帰る行為は確かにあった、それらの資料文書証拠隠滅罪による証拠に該当するかどうかは検察の判断にゆだねる、ぴしっとあなた方が、どうだと態度を決めてくださいよ。  最終報告は一体いつ出るのですか。この中にきちっと盛ってくださいよ。いつ出す予定なの。どうぞ、簡単でいいですから三十秒で。
  66. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 まず、証拠隠滅かどうかということでございますが、私どもは法律の専門家ではございませんので、行為の事実をお示しし、その御判断司法当局の御判断にまちたいというふうに思っている次第でございます。  それから、石附前副本部長の件でございますが、業務上必要な資料ということでございますが、そのほかに、部屋にありました資料で、用済みで本来は焼却すべきだったような資料があったようでございます。それらをまとめて部下の自宅に持っていった。そのうちの一部につきましては、必要なものについてはまたとってきましたが、残りの分については、先生御指摘のような他の部下のところへ行ってしまったというようなことでございます。  それから、三番目、最終報告でございますが、もちろん私どももさらにこれを急いでやりたいと思っておりますが、現段階でいつまでということはまだ申し上げられる段階ではございません。
  67. 坂上富男

    坂上委員 もう時間がありません。長官、今のお話、よくお聞きになったと思います。長官も、余り防衛庁をかばうことないのじゃないでしょうか。中身を全部出してもらって、そして国民や国会の審判仰いだらどうでしょうか。  さてそこで、まさにこれは組織的な背任行為です。組織的な証拠隠滅です。組織的な公用文書投棄です。こういうような状況の中にあって、長官に報告をすべきものを報告もしないで、こういう犯罪行為が行われていたのです。長官、先ほど参議院で聞いていました。佐藤先生がいろいろ質問したけれども、何か、長官は頑張るというようなお話でございますが、私は、やはりもう中間報告を契機に、国会もあす終わりますものですから、あす何か参議院の方で問責が出るそうでございますが、ひとつ問責などというようなことに進退を左右されないで――長官としては中間報告をやられたのです。新聞では変な中間報告だと言うけれども、私は、今言いましたように評価したのです、証拠上は。評価をしているのです。まあ、よくやったと思っていますよ、これでも。しかし、本当はもっとやらなきゃだめなんです。そんなようなことから、長官自身が、参議院の問責にかかわらず、この際もう決断すべき時期に来たのじゃなかろうか。中間報告も出した、これが私は一番いい時期なんじゃなかろうかと思っておりますけれども、いかがでございますか。決意のほどを。
  68. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 中間報告を出させていただきまして、今後も引き続いて精査をして、国民疑惑を招いたことも事実でありますので、その上で、きっちりと厳正な処分をしてけじめをつける、これはお約束をさせていただきたいと思います。  同時に、こういうことが二度と起こらないために、我々はみずからの問題として厳しく反省をし、綱紀粛正に努めるとともに、一方で、制度的にあるいはシステミック的にどういうふうに対応していくかということについてもきちっと方向性を出すことが、私の当面の課題であるというふうに思っております。
  69. 坂上富男

    坂上委員 どうもありがとうございました。
  70. 原田昇左右

    原田委員長 午後二時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ――――◇―――――     午後二時四十一分開議
  71. 原田昇左右

    原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中甲君。
  72. 田中甲

    田中(甲)委員 こんなに重要な問題を取り扱っている委員会の出席がこのような状態であって本当にいいのでしょうか。その辺を感じながら、私のいただきました三十分の時間、しっかりと質疑をさせていただきたいと思います。  中間報告が出されました。しかし、振り返ってみますと、これは、昨年の九月にある新聞社がこの問題を報道して、また昨年の十一月には我が党の石井紘基衆議院議員が質疑をしてから、もう一年が経過をしているものであります。防衛庁中間報告は当初、九月の末、二十八日ぐらいには出せるというそんなめどで進められていたはずでありますけれども、十月の十四日、昨日出されました。半月以上もおくれたのであります。  しかも、中間報告内容というのは、わずか十ページしか出していない。さらに、中間報告内容というのは極めていいかげんである。資料の移動というものをやったのを認めたものの、中間報告は、資料移動は証拠隠滅とはならないとして、例えば、証拠資料というものを自宅に移したこと、その理由は自宅で勉強をした、そんなことが果たしてまかり通るのでしょうか。極めて軽率なことをその理由に挙げている。  例の二点目としては、現時点ではと限定しながらも、四社事案関連資料組織的かつ大量に焼却した事実は確認できないという総括をされています。  もうかなり前の新聞になりますけれども、九月十二日、朝日新聞で大きく取り扱われました。調本で書類、伝票類を大量に焼却したという新聞報道等、こういう問題に対して、中間報告の中で今回はっきりとした事実というものが述べられてしかるべきだった。そして、それを期待していた多くの関係者、事実、真相というものを究明して、そしてどのように改善をしていかなければならないかということが求められていたはずであります。しかし、それが全く行われていない中間報告というのは、中身が全く詰まっていない報告を受けた、そう受けとめざるを得ないと受けとめております。  そこで、まず長官にお聞きをしたい点は、この中間報告国民信頼を回復することができたとお考えですか。その点を冒頭にお聞かせをいただきたいと思います。
  73. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 田中委員にお答えをいたします。  先ほど田中委員が新聞をお示しになったように、九月十二日に、防衛庁組織的に大量に文書等を焼却して証拠隠滅を図ったという報道がなされ、それが事実だとすれば重大な案件であるという問題意識を持って、防衛庁内に、みずからの力で自浄能力を発揮して事実関係を明らかにしていくことが信頼関係を構築する第一歩であるという認識もとに、この一カ月間、一生懸命に、休日返上して聞き取り調査をしてきたということであります。  九月末と言いましたのは、そういうことは公式の場では言っておらないわけでございまして、何人かの新聞記者がいる中で、個人としては、九月末ごろまでにまとまってもらうといいね、まとめるように努力をしたいねという話はしたことはありますけれども、公にいたしましたのは、衆議院の予算委員会において、あるいは参議院の外交・防衛委員会において、今国会中をめどに最大限の努力目標とするという話をしたのが私の公式的な目標でございました。努力したにもかかわらず若干おくれたわけでありますが、昨日、中間報告をさせていただいたわけでございます。  あくまでも中間報告でございますけれども中間報告の中に書いてありますように、強制捜査直前防衛庁幹部が四社事案を含む文書類自宅に持って帰ったりしておったことは、公務員としてあるまじき行為であり、国民疑惑を招いたことであり、この点については、私どももみずからの問題として反省をしなければならないし、今後、綱紀粛正を図っていくことが不可欠であるという認識をしているわけでございます。  したがって、この問題については、引き続いて調査をさせていただきまして、最終報告をし、そして厳正な処置をしてけじめをつけたい、そういうことをすることによって国民皆さん方との信頼関係をつくってまいりたい。同時に、こういうことが二度と起こらないような対策もあわせて考えていくことが求められているというふうに思っているところであります。
  74. 田中甲

    田中(甲)委員 第一点目は、今申し上げたように、証拠隠滅をしたということに対しての中間報告における真相究明、事実を突き詰めるという姿勢というものが全くうかがえないという点を指摘させていただきました。  二点目に御指摘をさせていただきたいのは、外見上は謝罪しながら、中身については全く認めていないという中間報告であります。なぜ謝るのかわかりません。なぜ謝るのか、長官、教えてください。
  75. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 この一カ月間、防衛庁は、背任事件、三度にわたる強制捜査、さらにいわゆる証拠隠滅疑惑等で国民皆さん方信頼を失墜いたしたというふうに、残念に思っているわけでございます。  その意味におきまして、防衛庁は、あるいは自衛隊員は、国民の生命財産を守り、国家の安全と国民の平和な生活を確保するのが本来の任務であります。それにもかかわりませずこういう背任事件等に見舞われたということは、言ってみれば国民期待を裏切っていることにもつながるわけでございます。私といたしましては、国民皆さん方に対し心の痛い思いが続いたわけでありまして、みずからの問題として防衛庁職員は一丸となって信頼回復に努めなければならないという思いで、そういう言葉を発しさせていただいたわけでございます。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  76. 田中甲

    田中(甲)委員 そのおわびをした、謝罪をした、申しわけないと思う気持ちを何であらわすかといえば、それは事実を突き詰めるという姿勢だと思います。  九月二十九日、この決算行政監視委員会で我が党の議員の答弁に立ちまして、長官は、「防衛庁が二回にわたって強制捜査を受けるに至りまして、国民信頼を失墜したことにつきまして、極めて遺憾であり、申しわけない」と。「大量に証拠隠滅を図ったという報道がなされ、私どもは、これが事実だとすれば重大な事態であるというふうに受けとめまして、」そう申されている。そして、「私どもも、我々の力で、我々の自浄能力を示す意味において、内部調査で真相を明らかにし、事実関係をしっかりとして国民の前に事実を展開していきたいと思っております。」と。中間報告では全くされてないじゃないですか。「これが国民信頼を回復する第一歩であるというふうに思っているところであります。」というふうに述べられていますが、重ねて、中間報告ではそれが一切されていない。このことをどう思われるか、お聞きをしたいと思います。簡潔で結構です。
  77. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 二百人余りの職員あるいは企業関係者から聞き取り調査をしたりアンケート調査をしたりして、明らかになった事実関係については報告に載せさせていただいております。  今後も、引き続いて事実関係を明確にしていきたいどいうふうに思っております。
  78. 田中甲

    田中(甲)委員 これまでの講本から逮捕者が出た不祥事は、大臣が就任される前のことであります。しかし、証拠隠滅と言われている書類の移動や焼却のことについては、まさに額賀長官が大臣就任後のことでありますから、この中間報告内容をもって、私は長官の立場は決定的に悪くなったというふうに受けとめております。  つまり、今までは、長官の責任ではないという同情の余地というものを押しなべて共通の認識として持っていたのですけれども、政治家としてリーダーシップを発揮することができないということがこの中間報告で明らかになった、そのように受けとめておりますが、御所見をいただきたいと思います。
  79. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 私は、九月十二日の報道以来、防衛庁内に調査会を設けまして、みずからの力で事実関係を明らかにするように指示をし、そして中間報告をまとめさせていただいた。そして、引き続いて事実関係を明らかにし、その上に立って厳正な処分を行い、けじめをつけていくことによって、国民皆さん方に御理解を得るように努力をしていきたいというふうに思っております。
  80. 田中甲

    田中(甲)委員 「厳正な処分を行い、」と言われていますが、それでは、その答弁がありましたので、先にこの質問をさせていただきます。  九月二十九日、官房長や石附調本本部長の人事異動について、大臣は、処分でなく、事件報道され事情聴取を受けたため職務の遂行に支障を来すのです、そう言われて、事実上の処分でないと言われていますね。それはそうですが。
  81. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 藤島前官房長につきましては、職を解き、参事官とし、事実上の官房付にしたわけであります。  したがって、これは前にも述べましたように、事情聴取を受け、本来ならば文書整理の総括責任者として、こういういわゆる証拠隠滅関係についての問題についてみずから率先して解明の先頭に立たなければならない立場でありますから、引き続いてその調査委員会の主要メンバーとしてやっていくことが適切であるかどうかということも考えてそういう措置をとらせていただいたわけでございまして、処分ではありません。
  82. 田中甲

    田中(甲)委員 国民から見ると、これは全く理解できない。なぜ処分されないのですか、人事異動という言葉を使って。これは大変に大きな問題があると思いますね。  例えば、十歩譲って、あるいは百歩譲ってそれを人事異動ということで受けとめましょう。ならば、大臣が直接指示、監督すべき事務次官の執務室まで検察に捜査されたという事実はどうですか。このことをこのまま放置しておくのですか。
  83. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 先ほどの藤島官房長を初め何人かの人事異動につきましては、いわゆる証拠隠滅に関する内部調査中間報告させてもらいましたが、引き続いて調査をし、最終的な段階になれば厳正な処分をする、その対象になっているわけでございます。  また、事務次官室が強制捜査を受けたということでございますけれども、これは、私どもも厳粛に受けとめているところであります。
  84. 田中甲

    田中(甲)委員 厳粛に受けとめるだけではだめですね。みんながそう思って聞いている。業務に支障を来すおそれのある人事異動であれば、まさに職務室を捜査された事務次官も同様の措置をとるべきだと思いますが、長官、いかがですか。
  85. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今、秋山次官においては内部調査の責任者として仕事をさせておりますので、この全体を解明した時点で私は厳正な処分をするというふうに言っておりますので、全体を見きわめた上で厳正な処置をしていくというふうに思っておるところであります。
  86. 田中甲

    田中(甲)委員 論理矛盾があると私は思います。我々の力でと、自浄能力を示す意味においてと、自分たちでそれをはっきりさせていこうということが国民信頼を回復する第一歩であるとおっしゃっている長官が、なぜ――これは何を待っているわけですか。検察等による証拠隠滅の事実が明らかになることを待っているのですか。
  87. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 中間報告をさせていただいた後に、私どもが引き続いて調査をし、あるいは確認をしたり、正確を期して最終報告をまとめるつもりでございます。その上に立って厳正な措置をとらせていただきたいと言っているわけでありますから、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思っております。  みずからの、我々の力でその全容を解明をする努力を続けているわけでございますので、御理解をいただければありがたいと思っております。
  88. 田中甲

    田中(甲)委員 時期を失するということは大変重要なこと、つまり、この時期に政治家がリーダーとしてリーダーシップを発揮して何を行わなければならないかということを、だれも何も言わないけれども国民はじっと見ているのですよ。この中間報告内容というものは、まさに時間延ばし、時間稼ぎにすぎない。  最終報告はいつ出すのですか。そして、その前に検察による証拠隠滅の事実が明らかになった場合には、どういう責任をとるのですか。もちろん、検察による証拠隠滅の事実が明らかになった時点では、事務次官は当然に更迭されるべきと私は考えますが、いかがですか。
  89. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 防衛庁といたしましては、できるだけ早く最終結論が出るように鋭意努力をさせていただきたい、そして、その上に立って厳正な処分をしていきたい、それによって国民皆さん方に御理解をいただき、信頼構築の第一歩の踏み台にしていきたいというふうに思っているところでございます。
  90. 田中甲

    田中(甲)委員 我々の力で、我々の自浄能力を発揮して正しい真相というものを、事実というものを伝えると言っているけれども、全くそれがされていない中間報告で、その言葉を私は信じるわけにいかないのです。  もし、検察の捜査の結果、この中間報告証拠隠滅など事実に反するものであった場合は、大臣、あなたが責任をとらなければいけない、私はそう思います。御自身の決断を聞かせてください。
  91. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今、私は、内部調査に総力を挙げて調査をしているわけでございまして、引き続いて、全体の結論、正確な結論を得るように努力をしているということであります。  中間報告は、あくまでこの一カ月間我々が、地検にいろいろな書類等が送られている中、あるいは地検で調べを行われている中で、鋭意、休日返上のもとに努力をしてきて、そして我々がまとめ上げて中間報告とさせていただいたわけであります。あくまでも中間報告でありまして、引き続いてこれは調査を進めて全容を明らかにしていくということが、私の約束事でございます。
  92. 田中甲

    田中(甲)委員 私は、最終報告を待つまでもなく、長官にはリーダーシップがないということを言わざるを得ないと思って、きょうはこの質問の席に立たせていただきました。  中間報告において、長官の責任というものが明確になったと私は思います。長官が、なぜ証拠隠滅等の事実というものをかばっていかなければいけないのか。長官が政治家として、ステーツマンとして今はっきりとした決断を下さなければいけないときに、この全く内容のない、十ページ程度の中間報告を受け取って、長官が首を縦に振らなければ、これは報告書としては作成されなかったのです。長官が認めたから、この中間報告が私たちに配られた。つまり、長官判断によってこの中間報告は出されたということが明確になったということを、私は重ねて申し上げたいと思います。  責任はその点だけではありません。今回のこの一連の不祥事によって、本来、防衛庁が、自衛隊員が、士気高揚というものをもって国防に当たっていかなければならないという重要な任務をしている人たち一人一人が、全くその気持ちがなくなってしまう。もうとっくに仕事なんか手につかなくなっているよというようなコメントを新聞で見たときに、この事件の責任は本当に大きいのだということを私は感じました。  古代より、孫子の兵法より、この士気というものが極めて重要であって、上部のごく一部の者だけがメリットを受けているというかこの事件の中で絡んでいる、そして、まじめに働いている、薄給の中で努力をしている自衛隊員は今回のこの状況というものをどういうふうに受けとめていると思われているのか。大臣から、その点について今思われている御所見というものを伺いたいと思います。
  93. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 私は、先ほども申し上げましたけれども防衛庁の本来の任務は、国民の生命財産を守り、国の安全と平和な国民の生活を確保することが本来の任務であります。それにもかかわりませず、背任事件等のこういう疑惑に包まれたことは、その意味では国民を裏切っていることになります。私どもは、みずからの問題として、綱紀粛正し、そして我々の身を処していかなければならないというふうに思っているところであります。  多くの自衛隊員は、第一線で日夜訓練に励む一方で、それぞれ国際的にもPKOに参加したり災害で汗を流していただいたりして、自衛隊に対する信頼を構築してきただけに、なおさらそういう思いを持つものであります。  したがって、防衛庁としては、この証拠隠滅に絡む疑惑については、我々がこれまで調査をして中間報告をさせていただいたことに引き続いて、事実関係を明らかにして厳正な処分をしていく、そういう中から国民理解を得て、自衛隊員皆さん方にも士気に影響がないような環境づくりをしていかなければならないというふうに思っているところであります。
  94. 田中甲

    田中(甲)委員 厳正な調査ということが中間報告ではされていませんし、国民理解というものは得ることができません。だから、何度も大臣が同じ答弁をされるのでしたら、私も同じことを言い続けたいと思います。  そういうレベルの中間報告を出すことに首を縦に振ったのは、長官みずからなのですから。これは、事実を隠そうとすることに長官が加担したということになりませんか。それほど重要な局面で、政治家として防衛庁改善を進めていくことになぜ力を注いでくださらないのか、大変に不満で仕方がありません。一刻も早く対応していく、真相を明らかにしていく、このことが、まさに自衛隊の一人一人の職員の方々にとっても名誉を回復してあげるということではないのですか。一部の者だけがこのような構造の中で組織的な犯罪を犯しているということを明らかにしていくことが大切なのではないのですか。  私は、少し話が外れたらすぐにもとに戻しますけれども、まさに謝罪外交と言われている日本の姿と全く同質のことを今長官はやられているのだと思いますよ。おわびをしながら、しかし一切事実を明らかにしていないということじゃありませんか。事実を明らかにしないで、何の改善が図れるのですか。防衛庁改善を、どの点をやろうとお考えになられているか、簡潔にお聞かせください。そして、事実を明らかにしないでその改善というのができるものなのか、長官がどのようにお考えになっているかもぜひお答えをいただきたいと思います。
  95. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 この一カ月間、私どもが聞き取り調査をしたり、企業の方にも話を聞いたりしていき、強制調査権を持たない中で懸命に努力をして知り得た事実関係というのは、全部網羅をさせていただいております。今後、引き続いて精査をし、正確な最終報告をつくらせていただきたい、その上で厳正な措置をさせていただきたいというふうに私は言っているわけでございます。  今後こういうことが二度と起こらないためにどうしていくかということにつきましては、現象面をこう薬張りに覆っていくことではなくて、原点に返って何が問題だったのかということをすべて洗い出して、そして将来の展望を開いていくというのが私の考え方であり、そのために、防衛調達制度調査検討会自衛隊員の再就職についての検討会等々をつくると同時に、また、背任事件の発端となった調達本部においても、組織面や運用面で何が問題であったのかということを総点検をして、この調達システムについてオープンなものにしていく必要があるという問題意識のもとに、この調達制度あるいは自衛隊員あり方について明確な展望を示していくことが大事である、そのために、あらゆる意見を聞きながら、抜本的な改革をしていかなければならない、私はそういうふうに思っているところであります。
  96. 田中甲

    田中(甲)委員 今回、大変残念な事件が発覚して、事実、このようなことが行われていたのでしょう。しかし、私は、それはある意味では千載一遇のチャンスだと思っておるのですね。この時期を、防衛庁を中心とするこの日本の霞が関のシステムというものをつくり変えていくチャンスだと思っておるのです。  そのためには、やはり長官が決断をして、時期を逃すことなく対応していかなければならぬということだと考えます。改善をするためには、今、先延ばしして事実が明らかになるまでということを言い続ける長官の姿は、私は正しい姿とは思えないのです。なぜならば、防衛庁にとってみれば、ある意味長官というのは、ある一定の時期に辞職したときに、トカゲのしっぽですよ。防衛庁の本質というものは、そんなことによって変わらない。  だからこそ、今、長官の立場でしっかりとした事実を究明して、どのように改善するかということをはっきりと国民に伝えていくというのが長官の役割じゃないですか。なぜそれをおやりになってくれないのですか。
  97. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 私は、事実を解明をして最終報告をし、厳正な処分をして、そしてけじめをつけたい。その上に立って、こういうことが二度と起こることがないようにするためにはどうしたらいいかということを考えていかなければならない。  一つは、今度の背任事件となった調達本部改革に手をつけなければならない。組織的なこと、運用の面でどういう問題点があったのかどうか、これは、調本解体視野に入れた抜本的な改革を図って、そして調達システムをオープン、透明なものにしていく必要がある。そのために、調本、内局の装備局、あるいは各幕の装備部、そういう役割分担も含めてこれは考えていかなければならない。  そのために、今、外部の知識人を入れた防衛調達制度調査検討会というのもつくらせていただいていると同時に、私は、みずからが先頭になって、内部からもこの調達システム制度改革に立ち上がる委員会をつくらせていただきたいと思っております。  一方でまた、自衛隊員の再就職の問題については、一連事件天下り問題の批判を受けているために、ここできっちりと検討して、二十一世紀にも、勇気のある、そして希望の持てる自衛隊の環境づくりをしていく必要があるというふうに考えており、そのための展望も示させていただきたいと考えているところであります。
  98. 田中甲

    田中(甲)委員 一体それまで小渕内閣が続いているかどうか甚だ疑問でありますが、これはもう短時間に処理をしていく、これが長官に課せられている急務だと私は思います。それを行わずして防衛庁改善ということは行えないだろうという気持ちを私は持ちますね。  いま一つ、答弁の中に含まれておりましたけれども自衛隊職員、薄給の中、再就職ということを考えていかなければいかぬという話をされました、まあ薄給の方はちょっと答弁の中にありませんでしたけれども。その再就職の問題というのは、問題の本質を変えていってしまう、見えなくしていってしまう。そうではない、この問題のすりかえを行ってはならない。今こそ、明らかになっている点を長官のお立場の中で、抜本的な改善を行うというならば、長官の首をかけて、この問題とこの問題とこの問題を解決して自分は辞職をするという姿勢を持たなければ、できないと思いますよ。いかがですか。
  99. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 私は、一連の問題等々に直面をいたしまして、田中委員がおっしゃるように、これは、禍を転じて福となすチャンスにしなければならないという問題意識は同じでございます。  したがって、進退をかけて、身を捨ててこの制度改革に取り組み、自衛隊員あり方、そしてまた調達本部あり方等々について改革のメスを入れて、新しい制度、そして最終的には、二十一世紀の安全保障を考える政策官庁として開かれた防衛庁をつくり出していかなければならない、そういうふうに思っております。
  100. 田中甲

    田中(甲)委員 時間がありません。大変残念でありますが、最後の質問になります。  今、答弁の中で長官は、進退をかけてとおっしゃいました。進退をかけて進めるというその手法の問題は、長官には長官のお考えがあるでしょう。しかし、国民から議席を預かっている衆院、参院、両院の中で、その議席の中の過半数以上が、あなたはやめるべきだ、そのような生ぬるい対応や、時間をかけて、中間報告の中でも全く真相を明らかにするという姿勢がない、あなたには今辞職をしていただいて、新しく防衛庁をつくりかえていくことに積極的にリーダーシップの発揮できる政治家というものを求めるという決議が出された場合に、長官はやはりそこで、国民の議席を預かっている両院どちらかのそのような結論が出た場合には、決断を迫られると私は思いますが、いかがですか。
  101. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 私は、今申し上げましたように、中間報告をさせていただき、引き続いて真相、事実関係を明らかにして、そして厳正な処分をし、国民信頼回復の第一歩をスタートし、再びこういうことが起きることはないように全力を尽くしていくということであります。
  102. 田中甲

    田中(甲)委員 以上で終わりにしますが、進退をかけてと、その決断をいずれの時期かしていただきたいと最後に申し上げ、質問を終わります。
  103. 村田吉隆

    ○村田(吉)委員長代理 次に、大口善徳君。
  104. 大口善徳

    ○大口委員 平和の大口でございます。平和・改革を代表いたしまして、質問をさせていただきます。  まず、私がいろいろ自衛隊の皆さんの会合にお伺いをするときに言っていることは、本当に、災害においてもPKOにおいても、そしてまた日本の国民の財産と生命を守っていただける、そしてまた防衛庁には不祥事というのはない、大蔵省の不祥事があったときに、防衛庁は一番国民から信頼されている、自衛隊員の皆さんは役人不信という中で本当に国民から信頼されている、そういうあいさつをさせていただいているわけです。  ところが、本当に現場で一生懸命任務についておられる自衛隊員の方々ではなくて、その中枢でこういう問題、背任の問題、または涜職罪になるかもしれない、そしてまた組織的なこういう捜索直前における資料の隠ぺい、これについては長官は何とお考えなのか、どう感じておられるのか。私は、そのことを第一線の自衛隊員に向かっておっしゃっていただきたいと思います。     〔村田(吉)委員長代理退席、鴨下委員長     代理着席〕
  105. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今の大口委員の御指摘、肝に銘じて聞かせていただきましたけれども、この一カ月半、おっしゃるように、背任事件あるいは三度の強制捜査、そしていわゆる証拠隠滅疑惑防衛庁は大揺れに揺れました。  防衛庁は、大口委員がおっしゃるように、国民の生命財産を守り、国の安全と平和な国民生活を確保するのが本来の任務であり、そもそもこういう背任事件とか、あるいはまた強制捜査等は起こってはならないことであります。そういう意味においては、国民を欺いてきたことになります。  私はこの一カ月半、毎日毎日、苦しい心の痛みを感じてまいりました。したがって、これから我々が考えなければならないことは、今まで起こったことについて、私も含めまして防衛庁職員がみんな、みずからの問題として厳粛に受けとめまして、綱紀粛正を図っていくことが第一歩であるというふうに思います。  おっしゃるように、自衛隊員は日夜猛訓練に励む一方で、あるいはまたPKOに参加をしたり、大災害が起これば西に行ったり東に行ったりして国民の生活に奉仕をし、今日まで防衛庁自衛隊に対する信頼関係を構築をしてきた。それを我々は忘れてはならない。したがって、今後再びこういうことが起こることがないようにきっちりと対応をしていくと同時に、これまでの証拠隠滅疑惑の事実関係等を明らかにして、厳正な処分をして、そして信頼関係の構築に努めることが私の務めであろうというふうに思っているところであります。  その意味で、自衛隊員皆さん方にも私は、責任を持ってこの信頼回復に努める、そして再びこういうことが起こることがないように、全力を尽くして制度改革に取り組むことをお約束をいたしますので、いま少し時間をかしてほしいということを訴えさせていただきたいと思います。
  106. 大口善徳

    ○大口委員 また、国民に対する信頼回復ということを、本当にもう一度一から出直してやっていく。そのためにも、今回のこの文書の隠ぺい問題についての事実関係を明らかにするということが非常に大事だと私は思ったわけでございます。  そういうことで、長官がこれにつきまして、四社事案関連文書管理実態に関する調査委員会というものをつくったわけであります。当初、この委員会は、委員長官房長になっております。藤島さんであります。それが四日ぐらいたって、今度は事務次官になった。これは異例ですね。そして私は、長官は今おっしゃったが、本当に事実解明をしようとするならば、しっかりとした調査委員会をつくらなければいけない、四日で更迭するようなそんな調査委員会であってはいけないと思うわけです。何で官房長にしたのか。本来からいえば、長官調査委員会委員長をやってもいいぐらいです。それであるならば、では役人に任せておけないというならば、政治家に、政務次官にきちっとやらせる。当たり前のことだと思うのです。  それから、山一のあの問題につきましても、有志が調査委員会をつくって、山一の倒産の経緯について立派な報告書を出されました。あのときに、弁護士団ですとか公認会計士さんがあそこに入っているのですよね。本当に長官がこの事実解明をしようということであれば、法律の専門家あるいは会計的な専門家、こういう外部の人も入れてやるべきではなかったのか。そういう点で、長官が今おっしゃったことと、実際、調査委員会のこの状況、中身を見ておりますと、私は、長官のお言葉というのがすっと入ってこないのですね。そのあたり、どうでございましょうか。
  107. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 内部調査について、当初、官房長に命じたわけでございますけれども、間もなく藤島官房長が事情聴取を受けたということを確認をいたしました。本来ならばそういう事実解明の先頭を切らなければならない立場の官房長が、みずからが事情聴取を受けるような立場になったという時点で、私は、事実解明に支障が起こってはならないということで、直ちに秋山次官に委員長をかえたわけでございまして、それは、事実関係解明に積極的に取り組む私の気持ちをあらわしたつもりであるわけであります。  したがって、その後一カ月間、いろいろな聞き取り調査、企業人からの聞き取り調査、アンケート調査等々によって知り得ている情報、確認している情報については、すべてこの中に盛られているわけでございます。  もちろん浜田政務次官についても、私ともども報告を聞いて、それぞれ次官なり官房長代理に指示をして、この解明が厳正になされるように、我々は積極的に対応してきたつもりであります。  あくまでまだ中間報告でありますので、引き続いて精査をして最終報告をし、そして厳正な処分を行ってけじめをつけてまいる、そういうことを国民皆さん方にもお約束をさせていただいて、積極的な姿勢というものを御理解いただきたいと思っております。
  108. 大口善徳

    ○大口委員 これは官の不祥事なんですから、やはり政がこういうときは出てやるべきだと思うのですよ。自民党の皆さんの中でもそういうふうに、政務次官がやるべきだ、政がやるべきだという意見もあるわけですね。私は、出発から間違っていた、こう思っております。  それで、今回二百名の事情聴取をした、アンケート調査をした。この二百名の事情聴取、そしてアンケートをだれがやったのか。調査員という人がやっているわけですね。この調査員という人は課長補佐クラスであります。そういう人が、自分たちより上の人たちも含めて、果たしてきちっと聴取できるのか。  それから、そのアンケート、こういうものについて、いつごろこれが全部終了したのか。つまり、聴取とアンケートの時期、いつ終了したのか、それについてお伺いしたいと思います。
  109. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 先生御指摘のとおり、調査員というものが調査委員の下に任命をされて、かなりの事情聴取をいたしました。  ただ、仰せのとおりで、例えば前副本部長とか前官房長といったような方々に対して、私どもでいう部員クラスの者が聴取をするというのは大変難しゅうございますので、そういう方々については、私ども自身でやったものもございますし、審議官等の委員が事情聴取をしたというのが今回のやり方でございます。  おおむね約二百人というのは昨日までの数字でございますが、その中には、実は複数回、何回も聞いた人もおりますので、延べにしますと、まだもう少し数は多くなるかと存じます。  それから、アンケートにつきまして、今ちょっと正確には手元にございませんが、九月の半ばにいたしまして、最終的な集計はたしか末ごろになったのではないかというふうに記憶しております。
  110. 大口善徳

    ○大口委員 二百人聴取した時期は。
  111. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 二百人の聴取というのは、実は、私がまだ委員になる前でございますが、九月十二日から始まっておりまして、ある意味では現在も続いておるわけでございます。
  112. 大口善徳

    ○大口委員 長官が九月末ごろということを、非公式ではあるけれども、そのぐらいに出していきたいということであったわけです。それから、調査員が二十人ぐらいいるわけですね。あと、上の人が五人ぐらいいるわけですから、五、六人、事務次官も入れれば七人いるわけですから、大体九月の末に、聴取も、それからアンケートも終わった、ほぼそれで主な調査は終わった、こう見ていいですか。
  113. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 確かに、連日十人、二十人といったペースの調査というものは、おおむね九月の末ごろには終わっております。  しかしながら、当然のことながら、この種のものは、一人の話を聞きますと、その関連の人何人かを聞かなければならないといったケースが出てまいります。そういう意味で、実は直前の時期まで、あるいはまた今後もさらに、最終報告に向けまして、いろいろとまだ解明できていない部分については、引き続き事情聴取あるいはいろいろな問い合わせ等を続けてまいりたいと思っているところでございます。
  114. 大口善徳

    ○大口委員 大体九月末には終わっておりますね。評価というのは入っていないのですよ。事実認識についてなんですよね。だから、大体調べ終わって、それで二週間もたっている。これでは余りにも、会期末ぎりぎりに出すという意図的な、そういうおくらせるという面が私はあったと思いますね。本当にそれはとんでもないことだと思います。  次に、細かく聞いてまいります。  まず、今回のあれで、平成十年の五月、ここで、「本年五月に強制捜査の噂を耳にした一部職員が、上司から書類を整理整頓するよう指示を受け、」こういうふうに言っています。この上司とはだれか。そして、その一部職員というのは、課はどういう課か。何人ぐらいいるのか。そしてまた、整理整とんするようにと言われたその量ですね。どれぐらいの量なのか。そしてまた、内容確認しないまま藤倉航装関係資料焼却した、こういうことでありますけれども内容確認しないまま焼却したというのはとんでもないことでありまして、その中身について、焼却リスト等はないのか。そこら辺をお伺いしたいと思います。
  115. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 報告書の四ページに、本年五月ごろ藤倉航装の現地調査報告書等を焼却したという記述をしてございます。このうち、上司と申しますのは課長クラスの者でございます。調本のいわゆる原価計算を担当している課の一つでございます。  そこで、ここで言う「整理整頓」というのは、必ずしも、その指示をした課長も、またそれを受けた者も、文書焼却というようには受け取ってはいなかったようでございますが、整理整とんするという過程の中で、課長補佐クラスの者が一人、ここに書いてございますような現地調査報告書等々につきまして処分をしたということでございます。  それから、「あるいは」というふうに書いてございますが、これは別の者でございまして、係長クラスの者でございますが、前任者から引き継いでいた資料でございますけれども、余り重要なものでないと言われたというふうに聞いておりますが、それを中身も見ないで焼却をしてしまったということでございます。これは、前任者からのそういうような話だったというふうに聞いておりまして、したがいまして、当然のことながら、中に何が入っていてどういう文書を焼いたのかということは、今の段階ではまだわかっておりません。  私どもとしては、そこにつきましては、さらになお、できるだけ中身を明らかにしていきたいと思っております。
  116. 大口善徳

    ○大口委員 中身は前任者に聞けばわかるのでしょう。二百人も調べて、この文書に前任者と書いているわけでしょう。中身を調べなかったのですか。前任者に聞かなかったの。
  117. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 当然前任者からも聞いておりますが、前任者自身も必ずしも明確に記憶をしていないわけでございまして、私ども、そういうところもありますので、なお聴取を続けているということでございます。
  118. 大口善徳

    ○大口委員 では、どういうものがないかというのはわからないと。それでどうやってさらに調べるのですか。焼かれているわけでしょう。前任者の記憶があいまいでしょう。それをどうやって調べるのですか。
  119. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 もう一度その前任者から記憶を呼び戻してもらうということしかないと思ってはおりますけれども、そこの努力は続けたいと思っております。
  120. 大口善徳

    ○大口委員 だから、この文書に前任者と書いているということは、これは相当重要な事実だということでここに書いているわけでしょう。ここには文書にならないいろいろなことが、報告事項が、事実があるわけだけれども、その中で、重要だからこれは書いたわけでしょう。  そして、これはもう一カ月もたっているにもかかわらず、まだ記憶を喚起させるといっても、それは前の方が事実に近いわけですから、今から記憶を喚起させても何にも出てこないでしょう。その責任をどうするのですか。この中身を確認しなかった課長の責任とか、前任者の責任はどう考えているのですか。
  121. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 この報告書に関しましては、私ども、聞き取りました事実関係につきましては、事の軽重は問わず、できるだけ記述するという方針をとっております。  したがいまして、先生、ここは重要なものだから書いたのではないかとおっしゃいますけれども、そこの判断はいろいろあろうかと存じます。  それから、今のそのような行為をした者の責任等につきましては、これは先ほど来大臣からも御説明ございますが、全容と申しますか、最終報告までの間にこれはいろいろ比較考量をしながら判断をしてまいることかと存じます。
  122. 大口善徳

    ○大口委員 長官、こういういいかげんな、中身も確認しないで焼却しちゃうようなこういう人たち、処分を考えていますか。
  123. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 大口委員の御指摘のとおり、聞き取り調査をしている過程で、いろいろさまざまな、Aという人がこう言っていた、Bという人がこう言っていた、矛盾点等があったり、食い違う点があったりとかあったと思います。そういう点については、一つ一つ裏づけ捜査をしたり、あるいはさらに何回も聞き取り調査をする、そういうことを重ねながら事実関係を明らかにしてきているというふうに思っております。  したがって、これからも引き続いて、この間き取り調査や裏づけ調査をしていく、そして最終報告でまとめさせていただきたいというふうに思っております。そして、私としては、少なくとも全体を見た上で厳正な措置をとらせてもらうという考え方でおります。
  124. 大口善徳

    ○大口委員 それから、この四ページの、平成十年八月から九月にかけて、これにかかわった者、それからその責任者はだれか。それで、何名ぐらいメンバーがかかわったのか。その課はどういう課なのか。人選はどういうふうにしたのか。荷物を積みかえるのに、青山墓地等でやったといいますけれども、その理由について。それから、その量でありますが、段ボール箱でどれぐらいの量なのか。そして、その文書を見ますと、ヒアリングファイル事案処理経過表、それから評価書、それから想定問答集、こう四つ挙げられていますが、これのそれぞれの作成目的、作成時期、そして配付先、これについてお伺いしたいと思います。
  125. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 便宜、後の方から御説明をさせていただきます。  事案処理経過表あるいはヒアリングファイルというものにつきましては、二ページに経過のところで述べておりますが、昨年秋以降のいろいろな事情聴取メモ等の、いわば集大成と申しますか、それらを整理したものでございまして、このヒアリングファイルと申しますものが一つの形となりましたのは、本年の夏ごろというふうに聞いております。  それから、事案処理経過表と申しますものも、そのヒアリングファイルから、いわばそれをベースといたしまして、年表式と申しますか、時系列に事柄を並べたものでございまして、そういう意味ではいろいろ更新をされておりますので、いつということを特定するのは難しゅうございますが、おおむね本年夏ごろということでございます。  それから、想定問答集等は、これは常につくられているものでございまして、いろいろな時期のものがあったと思います。  なお、評価書と申しますものは、これまた報告書の三ページ(4)のところに書いてございますが、東京地検にお出しいたしました「東通事案に対する現時点での評価について」というものを、私ども評価書というふうに略させていただいているわけでございます。  それから、ことしの八月から九月の時期に関しまして、だれがどういうふうにということでございますが……(大口委員「今の配付先を言わなくちゃ」と呼ぶ)  失礼いたしました。まずそのヒアリングファイルでございますが、これは全体で十一部ぐらい少なくともつくられていると思います。それで、事務次官あるいは調達実施本部長等の幹部に配付されておりました。  それから、事案経過表というのもほぼ似たようなところに配付されているようでございますが、これは若干数が多うございました。そして、かなりの部分が今地検の方に提出されておりますので、詳細はちょっとまだわかりません。  それから、評価書等のものにつきましても、これは作成に携わった者たちが一部持っておったと思いますが、現在は手元にございませんので、ちょっと正確な数字はわかりません。  なお、想定問答等は、それぞれその関係幹部あるいは課長等が持つものでございます。  八月から九月の時期ということでございますが、報告書の四ページでア、イ、ウというふうに概括的に書いてございます。それらをいわば具体的にいたしましたのが報告書の五ページ以下の大きなエの(ア)からでございますので、おおむねそこのところでご説明させていただきますと、最初の(ア)のところで、「自宅等への資料の移転及び処分」の中で「数名が」とございますが、ここでは四名でございます。具体的に申し上げますと、藤島前官房長、それから田中調達実施本部本部長、そのほか課長クラスの者が一名、補佐クラスの者が一名でございます。  それから、自宅に持ち帰りまして目を通した後、不要と判断して破棄した例があるというふうに書いてございますが、これは藤島前官房長の例でございまして、破棄したのはいわゆるそのヒアリングファイルというふうに承知をしております。そのほか、残りの三名の者も、ヒアリングファイルあるいは若干そのほかのものも持っていっているようでございます。  それから、その次の(イ)でございますが、「他機関への資料の移転」というところでございますけれども、この中で、四行目でございますか、「ダンボール箱」と書いてございますが、小型の段ボール箱二箱程度と聞いております。そして、この行為者は調本課長補佐クラスの者でございます。  それから、(ウ)のところでございますが、「部下職員宅への資料の移転」ということで書いてございますが、ここでは、石附前副本部長でございます。とこで持っていきましたものは、ここに書いてございますように、ヒアリングファイルとか、あるいは当時21世紀プロジェクト委員会というようなものを調達実施本部でやっておりましたが、そういったものの資料等、石附さんの場合にはかなりの量であったと思います。段ボール箱数箱、十まではいかないけれどもそれに近いような数字だったというふうに承知をしております。そのほか、紙袋幾袋かでございます。  そういったものを一たん部下の自宅に保管させまして、その保管させたものの中で、適宜必要なものはとって帰りまして執務室に置いておったようでございますが、残りの大半のものは、後日、別の部下の自宅に移されたというようなことでございます。
  126. 大口善徳

    ○大口委員 この五ページのところで、「押収を避けたいとの意識も働いていたものと思われる。」こういうふうに記述があるわけですが、この「押収を避けたいとの意識も働いていたもの」、これはだれの供述ですか。そして、その根拠はどういうことですか。
  127. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 五ページに総括的に書いてございますが、それぞれその自宅に持ち帰った者たちは、時期が若干前後しているケースもございますけれども、例えばあすの業務に困るとか、あるいは夜間とか休日の問い合わせに対応するためとか、あるいはまた自宅での勉強のためというようなことが我々に対して申し述べられたところでございます。したがって、だれもその押収を避けるということをはっきりと申した者はおりません。  しかしながら、私ども、いろいろ聞いてみますと、強制捜査の入る直前自宅に持っていっているというようなことでございますと、これはやはりこのような押収を避けたいとの意識も働いていたというふうに判断せざるを得ないと思いまして、このように記述した次第でございます。
  128. 大口善徳

    ○大口委員 これは主語が「数名が」となっているわけですね。その数名の中に藤島官房長だとかあるいは田中本部長が入っている。ですから、藤島氏ですとか田中氏もこういう押収を避けたいという意識があった、こういうふうに判断したわけですな。
  129. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 ここに記述いたしましたのは数名、まさにそういうことでございまして、はっきりと自覚していたかどうかは、私も、そういう意味では本人がそう言っているわけではございませんので、そこまで申し上げる自信はございませんが、我々の判断としてはそういうことでございます。
  130. 大口善徳

    ○大口委員 まだまだ――こればかり聞いていると時間がありませんので。  こういうことで、長官は、さらにこれについて調査をして、最終報告をする、できるだけ早くする、こういうふうに言っているわけですけれども、これについて、例えば調査方法ですとか、あるいは責任者をかえるとか、さらに調査体制を強化するといいますか、そういうお考えはないのか。それが一点。  それから、これを証拠隠滅罪という形で検察庁の方で立件するかどうかということはあるわけでありますが、検察庁で立件されることとの関係でどうなのか。そういう立件と関係なくしてこれは出していきたいということなのか。そして処分あり方につきましても、立件される場合とされない場合では違いがあろうと思いますが、まず調査をして、それで処分をし、さらに、立件された場合にはさらに処分をする、そういうことなのか、お伺いしたいと思います。
  131. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 大口委員の御指摘もあり、私どもは今、内部調査委員会の報告について、私と浜田政務次官で報告を聞きながらそれぞれ指示して、この調査の強化を指示してきたわけでございますけれども、さらに厳正な調査を進めるようにしていきたいというふうに思っております。  それから、この中間報告に書いてありますように、私どもといたしましては、捜査直前防衛庁幹部文書類自宅に持ち帰ったりしたことは、やはり公務員として、国民疑惑を招いたことにつながり、あってはならないことであるというふうに思っておりまして、さらに調査を進めることによって事実関係を明らかにして、厳正な処分をしていくべきだというふうに思っております。  また、これが証拠隠滅につながるかどうかについては、先生御指摘のとおり、これは東京地検で御判断をなさるものと思いますが、我々は我々として、強制捜査権はないけれども、できる限り内部の力で明らかにしていき、処分をしていくことを考えたいというふうに思っております。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 大口善徳

    ○大口委員 中間報告の中にも、防衛庁の体質そのものが今問われている、こういうことが書かれております。そういう中で、調本組織あり方についてやはり検討しなければいけない。これについては、長官、きょうの答弁の中で、長官本部長となって、調本組織あり方について、解体視野に入れて抜本的にこれをやる、こういうことでありますが、どういう検討主体をお考えになっているのか、いつごろまでに結論を出すのか、それがまず一点です。  それから、アメリカなんかは、国防兵たん局という形が調達の機関である。DLAというわけでありますが、これは、複数の軍、省にわたる共通の装備品あるいは需品等の調達を一元的に実施する。それから、陸軍省、海軍省や空軍省は、各軍の、直接的に係る主要な装備品をおのおの調達する。そして、原価監督庁、DCAA、こういうものをつくり、このDCAA、原価監督庁が、国防省の契約に対し必要な原価監査を実施し、会計、財政及び監査に関して必要な情報提供をする、こういうことであります。金融監督庁ではないですが、こういう原価監査庁、こういうようなことも考えております。そしてまた、独立行政法人というようなことも一部にはあるわけでございますけれども、いずれにしても、今回、査定をする、契約の相手がまた判断をする、こういうことでありますので、ここら辺の機構改革、きちっとやらなければいけないと私は思いますが、その点をお伺いします。
  133. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 大口委員指摘のとおり、私、就任直後に、この問題については、現象的なものを糊塗するだけでは再び繰り返されるおそれがある、したがって原点に返って考え直す必要があるという考え方のもとに、防衛調達制度調査検討会というものを有識者を中心にして開いていただき、第一回の研究会は終わったわけであります。  その中で、二十九年に防衛庁が発足し、それと同時に調本も発足しているわけでありますけれども、その経緯、それから、今大口委員から御指摘がありましたように、アメリカ等、あるいはヨーロッパではこういう調達システムはどういうふうになっているのか、そういうことも参考にしながら、一つの考え方を私に提言してほしいというふうに言っております。  ただ提言をしただけでなく、実行段階に移すためには、内部においてもきちっとその体制を整えておく必要があるというふうに考えておりまして、私を本部長にし、政務次官を本部長代理にして、また関係各局あるいは統幕議長、各幕の代表等々も参加をしていただいて、この調達システムを、内部からも検討改革の実を上げていきたいというふうに思っているところであります。  現実的には、この背任事件の端緒となった今の調本組織、運用の実態はどうだったのか、問題は何だったのか、そういうことから点検をし、問題点を洗い出して、そして調本あり方、そして内局との関係、各幕の装備部との関係、この役割分担等々を考えながら、研究そして対策を講じていきたい。  営々と続けていくことではなくて、調本解体するようなことも視野に入れた形で抜本的な改革を行うことが必要であるというふうに私は思っておりまして、そのために、できることから提言をして、実行に移していくことが大事である、あるいは監察制度チェック体制もきちっとしていく必要があるというふうに思っているところであります。
  134. 大口善徳

    ○大口委員 時期について明示をされませんでしたが、早急に結論を出していただかないと、結局は言葉だけに終わってしまうということになってしまいますので。どうですか。
  135. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今からスタートして、もう既に外部の方の検討会は第一回が開かれておりますので、年内には、できるものを整理して提言をし、そして具体化の端緒を開きたいというふうに思っております。
  136. 大口善徳

    ○大口委員 それから今、防衛産業自体に対する疑惑といいますか、これが出ておるのですね。それで、これは新聞記事、十月十一日の読売ですが、そこに会計検査院対策の講義ということで調本から出席者が来て、「ひのき会」というのを持って、航空機関連メーカー二十社が加盟をして、そして会計検査院対策をやっていると。  それから、NECあるいはニコー電子ですね、こういう上申書を検察庁に出しているわけです。そこでも、非常に厳しい経費査定なので、みんな水増しをやっている、こういうことを上申しているようでございます。  これは、どういうふうに経費率の査定だとか利益率の査定だとかをやっているのかということ、そして水増し疑惑が今報道されている以外にもあるのではないかという国民の不信がある。ですから、制度調査というのを今やっている。一般の確定契約について、約二百八十社、これについても調査をする、こういう状況ですが、平成八年五社、平成九年十四社、こういうことで、遅々として、この二百六十社、いつになったら全部制度調査できるかわかりません。これ、いつごろまでに二百六十社全部やるのか、お伺いしたいと思います。
  137. 及川耕造

    ○及川政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、平成八年度五社、平成九年度十四社でございました。平成十年度、今年度は三十五社、四十事業所について実施する予定でございます。  なお、来年以降は制度調査にかかわります担当の職員の数を大幅にふやしたいと考えておりまして、それらの戦力アップを背景といたしまして、今後五年間で御指摘の約二百八十社を終了いたしたいというふうに考えているところでございます。
  138. 原田昇左右

    原田委員長 会計検査院の答弁は要らないのですか。
  139. 大口善徳

    ○大口委員 いや、いいです。  それでは、最後会計検査院に聞きますが、こういうふうに国民防衛産業に対する不信があるわけです。ですから、会計検査院としても、防衛装備品調達については専従班をつくって、早急に検査していただきたいのですよ。  会計検査院の院長、非常に人柄がいいものですからいつも答弁があいまいなんですが、このことについてはやると言ってください。どうですか。
  140. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 お答えいたします。  防衛庁装備品調達契約につきましては、実効ある検査を行うために、午前中も御説明いたしましたように、検討委員会を設置いたしまして種々の方策検討しているところでございます。その中の一つといたしまして、原価計算に詳しい職員、それから企業会計に詳しい職員、コンピューター会計に詳しい職員、それぞれ院内にはおりますので、こういった調査官を選抜するなどいたしまして、装備品価格調査する専門のプロジェクトチームのようなものをつくって的確な検査を行っていきたい、こういうことで現在検討を進めているところでございます。(大口委員「いつまでですか」と呼ぶ)  ただいま検討中でございますけれども、具体的には、私どもの定期的な検査は年度末の検査報告の作業が終わった後から具体的な検査活動が始まりますので、できればそれに間に合うようにそういった体制を整えていきたい、このように考えております。
  141. 大口善徳

    ○大口委員 早急にやってください。  それで、会計検査院からきょう報告書が出ました。この報告書を見ていまして、会計検査院は本当にまじめにやっておられるのだけれども、非常に歯切れが悪い報告書でございました。  平成七年一月の東通についての記述を見まして、あきれたのですね。「本院は、同社の加工費の算定にかかる説明を求めた。しかし、その際の調本からの説明は、算定の裏付けとなるような基礎的資料会社に保存されていないとのことであり、具体的な説明は得られず、金額の検証ができなかった。」こういうことなんだけれども、この「会社に保存されていないとのことであり、」と、説明を聞いただけで、会社までこの基礎資料があるかどうか確認に行ったのですか、行っていないでしょう。これはもう検査の現場主義の基本に反するのです。こういうふうに防衛庁説明をうのみにしているようでは、これはとんでもないことなわけです。  それから、平成九年九月でありますが、この東通について、「返還金額の妥当性を検証することはできなかった。」こういうふうにあるわけですが、この中に一般管理費というのがあって、交際費だとか宣伝広告費とか金利ですね、こういうものについて調査すれば、これは数%ごまかしているわけでありますね。これは億単位なんです。ところが、「返還金額の妥当性を検証することはできなかった。」というけれども、一般管理費について、ちゃんと、宣伝広告費とか交際費だとか、会社に有利なような金利を採用しているわけです。こういうことについて、なぜチェックしなかったのか。  この二点をお伺いします。
  142. 諸田敏朗

    ○諸田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  七年一月の調本検査でございますけれども、その前の年のたしか六月ごろだと思いますけれども調達実施本部から、本件がこういうことで原価差異が発生しているという報告を受けたわけです。その際、主として工数に差異があったということで、加工費について重点的に検査を行うこととしたものでございます。  確かに、報告書にございますとおり、具体的な基礎資料会社では保存していないという説明を受けまして、私どもとしては、ほとんどが確定契約であるから、監査条項つき契約でないということもあって、保存されていないというものは出すわけにはいかないというふうに認識したわけでございますけれども、確かに先生御指摘のとおり、その際、もう少し十分な検査をすべきであったのではないかというふうに考えております。  また、平成九年九月に会社検査実施したわけでございますけれども、その際、一般管理費あるいは販売費について、非原価項目を見ているのではないか、そういうことをなぜ調査しなかったかということでございます。  また話が重複して恐縮でございますけれども、その際にも、加工費の工数の話が中心であったため、一般管理費等まで具体的には調査をしていなかったものでございます。もちろん、非原価項目が原価の中に入っていれば、それはやはりおかしいということになると思います。
  143. 大口善徳

    ○大口委員 本当に、今の話を聞いて、きちっと見れば数億の問題を見過ごしていた、とんでもないことだと私は思います。  それだけではなくて、平成九年八月、これも「当時の実情を良く知る責任者は退職したりしていて、返還金額の妥当性の検証ができなかった。」亡くなったわけじゃないのです。生きているわけですから、退職者であったって、聞けばいいのです。そういうことを今後、会計検査院はしっかり反省をしていただいて、お願いしたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  144. 原田昇左右

    原田委員長 次に、青木宏之君。
  145. 青木宏之

    ○青木委員 自由党の青木宏之でございます。時間が非常に限られております。簡潔にお尋ねをしてまいりたいと思います。  その前に、ただいまもいろいろ御質問等がございましたけれども、今回の防衛庁における事件、極めて遺憾であります。昔から、現在でもそうでありますし、いわゆるお役所等にはいろいろな権限、権力というものがありまして、それに関連をしてこういう事件は起こり得ると言ってしまえばそれまでですけれども、とにかくこういうことはあってはなりません。まだ全容は明らかでありませんけれども、特に国を守るという非常な使命を持っておるところにおいてこのようなことがあっては現場の士気に極めて影響する問題であるという観点から、特に大臣におかれてはこれを、災いを転じて福となす、そういう強い決意で今後に対処していただきたい、このことを冒頭申し上げさせていただきます。  大臣から決意のほどを、一言で結構ですので、お願いを申し上げたいと思います。
  146. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 青木委員の御指摘のとおり、防衛庁の本来の任務は、国民の生命と財産を守り、国家の安全と平和な国民の生活を確保することが仕事でございます。背任事件とか強制捜査を受けるようなことがあってはならないわけでありまして、その意味では国民期待を裏切っていることになります。  私は、この一カ月半、毎日毎日心を痛め、大変申しわけないという思いでありました。再びこういうことが起こることがないように、防衛庁職員はみずからの問題として反省をし、綱紀粛正を図り、そして、さまざまな防衛調達の問題とか自衛隊員の再就職の問題とかについて抜本的な改革を行って、新しい、政策官庁としての防衛庁に脱皮していかなければならないという決意であります。禍を転じて福となしていくために全力投球で立ち向かっていきたいというふうに思っております。
  147. 青木宏之

    ○青木委員 ぜひひとつよろしくお願いをいたします。  そこで、私は、きょうこれからお尋ねさせていただきたいのは、昨今とみに緊迫感が増しております朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮の問題に関係をして、数点お尋ねをさせていただきたいと思います。  まず初めに、日本ではいわゆるミサイル試射事件というふうに呼称されておりますことにつきまして、アメリカ、韓国初め大体においては、人工衛星の打ち上げであったというふうになっております。何ゆえ日本だけがミサイル試射と、今もってそういう立場をとっておられるのか、その根拠を明らかにしていただきたいと思います。
  148. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 青木委員の御質問でございますけれども、私どもは、米軍の情報と私どもが独自で入手した情報をそれぞれ慎重に分析をしてきております。  今般の北朝鮮のミサイル発射について、防衛庁といたしましては、これまで米国を含む国際的な各機関で北朝鮮の衛星の存在を確認しておりません。それからもう一つは、北朝鮮が地球上に伝送されているとしている二十七メガヘルツの周波数での放送を現時点確認をしておりません。それからもう一つは、人工衛星を軌道に乗せていくためには一定の速度が確保されていなければならないというのが常識でありますけれども、その速度に至っていないのではないかという判断をしております。したがって、実際に人工衛星が打ち上げられた可能性が低いというふうに考えてきているところであります。  また、北朝鮮は、人工衛星を打ち上げたということを言っているわけでありますが、その意図等についてはまだ確認をいたしておりません。  米側で、人工衛星の打ち上げを失敗したのではないかというふうにコメントしている向きがあるわけでありますけれども、これは、米側からはどういう情報が来ているかと申しますと、当初アメリカ側は二段ミサイルを発射したと考えていたが、データを再精査した結果、第三段目の推進装置の存在があったのではないかというふうに確認をしているわけであります。しかも、なおかつ、この第三段目の推進装置は、推力の大きい固形燃料を用いたのではないかということから、人工衛星を軌道に乗せようとしたけれども、結果的に失敗したのではないかという見方をしているわけであります。  したがって、私どもは、ミサイル専門家をアメリカに派遣をいたしまして、意見交換をしたり、それぞれ慎重に分析をしたりしているわけでありますが、アメリカ側の分析についても一定の推測が交えられているのではないかということもあり、防衛庁としては、今、さらにその解析を進めて本当の真実を追求しているというところであります。
  149. 青木宏之

    ○青木委員 今承ったところによりますと、ミサイル試射とも断定しかねるという感じがするわけでありまして、ミサイル試射の可能性もという程度の根拠のような気がどうもするわけです。  アメリカ、韓国その他が大体人工衛星の失敗というような表現のようですが、少なくともミサイル試射というところは一国もないので、マスコミ等々を通じまして国民の間には、宣伝が行き渡りましてミサイル試射というように断定的に受け取っておる部分がかなり見受けられる、こんな感じがするわけでありますが、発言をするときはぜひひとつ誤解を与えないように、今の根拠ですとミサイル試射と断定できるということではなさそうでありますので、もう少し、可能性でも、したがってなお真相を追求をしておるのだ、そこまできちっと発言をしていただくように、今後これはお願いを申し上げたいと思います。  さてそこで、それはそれとして、防衛の問題になりますが、ミサイルということになりますと、聞くところによりますと、現在では日本列島が全部カバーされ得る距離の開発ができ上がっているのではないかというように承っておりますが、防衛庁としてはその辺はどのような御判断があるか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  150. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 北朝鮮のミサイル開発の現状でございますけれども、これは当初スカッドBというものをソ連から導入をいたしまして、それをさらにスカッドCということで射程距陸を延伸をするということを北朝鮮は行ってきているわけでございます。スカッドBにつきましては射程が約三百キロ、それからスカッドCにつきましては射程が約五百五十キロ、こういうことでございます。  また、その後、北朝鮮におきましては、射程が一千キロあるいは最近では一千三百キロ、こういう情報もございますが、ノドンというタイプの弾道ミサイルを開発をしておりまして、これにつきましても、今回の八月三十一日の事例等を見ますと、このノドンタイプにつきましても、その開発を完了した可能性が高いのではないかと我々は考えている次第でございます。  さらに、現在北朝鮮におきましては、もっと射程の長いテポドン一号、これは巷間ですと、射程が約二千キロ、こういうふうに言われておりますし、さらにテポドン二号、さらにこの射程が延伸されているものも開発中、こういうふうに我々は承知しているところでございます。
  151. 青木宏之

    ○青木委員 そこで、これはお尋ねするまでもないと思いますが、あえて後の質問の関係でお尋ねしますけれども、日本の防衛は、防衛であるから当然といえば当然ですが、専守防衛という言葉が使われますが、その大方針だということをもう一度確認をしたいわけですが、いかがでしょうか。大臣、専守防衛。
  152. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 我が国は、憲法におきまして、最小限の自衛力を有するという考え方に立っております。また、基本的な防衛政策といたしましては、他から攻撃を受けたものに対しましてこれに対応すると。また、その対応につきましても、この自衛に必要最小限の、こういう対応に限られる、こういう専守防衛という考え方で防衛政策を展開している次第でございます。
  153. 青木宏之

    ○青木委員 それではお尋ねいたしますが、この専守防衛というものを内外に明らかにしております国は、この日本のほかにどんな国がございますか。あるいはございませんか。     〔委員長退席、栗本委員長代理着席〕
  154. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 専守防衛という内容につきましては先ほど申し上げたところでございますけれども、我が国とこういった同一の意味で専守防衛という用語を国防政策上使用している国があるかどうかというのは、私どもは把握できておりません。
  155. 青木宏之

    ○青木委員 今のは把握できていないというお言葉でしたが、少なくともそのように内外に公表、発表、態度表明している国は知らないということですか。
  156. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 我が国が専守防衛ということで表現している内容、こういったものを対外的に公表している国、そういうものがあるということは、私自身は承知をしておりません。
  157. 青木宏之

    ○青木委員 それが主ではありませんのでそれで結構ですが、そこで、どこに関係してくるかといいますと、ミサイルと専守防衛との関係が出てくるわけです。  要するに、今までは海から来るとか陸から来るとか、日本の場合は海から来るか空から来るかしかないわけです、日本を攻める場合ですね。そのときに、かつてミサイルのないときなら、専守防衛ということでも、ああ来たな、ああ来るなとかいう程度で、さあ守ろうという、これでいいかもしれませんが、この間、仮にミサイルだとしますと、ああミサイルが来たぞと、もう頭の上を越えてから何時間もたって気がつくようなことで、専守防衛だということで防衛が成り立ち得るのかということに関係してくるわけですね。  いわゆるミサイル時代、よく言われるのは、ミサイルが飛んできて、当たらなくても当たってもそうですが、もし撃ってきたら、こっちは発射基地を当然たたく、日本の防衛上もたたけるというようなお答えがあったと思うのですが、現実問題、もしたたくとしたら日本はどうやってたたくのですか。発射基地をたたく、たたけるということとしたら、具体的にどうやってたたくのですか。教えていただきたいのです。
  158. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 我が国といたしましては、そういった侵害が生じないように未然に防ぐということで防衛体制もとり、対応しているわけでございます。  仮に何らかの侵害があったという場合について、一般論として申し上げますと、まさにこの専守防衛という考え方で対応するわけでございますが、今先生おっしゃいましたように、昭和三十一年二月二十九日の政府統一見解におきまして、例えばミサイル等により攻撃を受け、しかも、それに対して対抗いたしませんとまさに座して死を待つべしというような事態となり、これに対してほかに手段がないということであれば、敵基地をたたくことは自衛権の範囲内に入っている、こういう考え方でございます。  では、現在こういう能力を我が国の防衛力として持っているかということになりますと、これは、実際どういう状況下でどういう軍事行動をとるかということになってまいりますけれども、実際上有効な軍事行動をとるということは、今の我が国の持っております装備体系ではこれは極めて難しいだろう、こういうふうに思っております。  さすれば、こういう事態に対してはどういう態勢をとるかと申しませば、我が国は、自衛力を整備すると同時に、日米安保体制によりまして我が国の安全を確保しているわけでございまして、この安保条約等によりましてこれまた対応をしていく、こういうことになろうかと思います。
  159. 青木宏之

    ○青木委員 日米安全保障条約の問題になってきますと、またガイドラインの問題等も絡まってきまして、それは、論議はこれからの機会に譲らせていただきたいと思いますが、要はそういう、時代が変わってくるといろいろと、防衛一つとってもいろいろな対応が変わらざるを得ないということなんです。  したがって、基本的には、ミサイル攻撃に対してはミサイル反撃というのはこれは常識なんでしょうが、その辺へいくのでしょうが、それは、きょうはちょっともう時間がありませんので、それはそれとして、そこで、やはり防衛の中には実力的な防衛も当然備えておかなければなりませんが、それよりも何よりも、何事もなければ一番いいわけですので、そこでやはり重要になるのは、もちろん防衛力としての抑止力、同盟国との関係の抑止力、そんなものもありますけれども、もう一つ大事なのはやはり外交ということになってくるわけです。  そこで、きょうは外務大臣にもお出ましをいただいております。この朝鮮民主主義共和国との間は、現時点では非常に冷え切った、向こうの発表するものからすれば冷え切った程度ではない、もう一触即発、開戦前夜だという表現まで使っておるようでありますけれども、いずれにしても、日本人妻の問題も食糧支援の問題もすべてがストップというようなことで、非常に冷え切ってしまっておるということで、これはどうしても現状打開をしなければならぬ、外交という面ではしなければならぬと思うのです。そこで、現時点における当局の、朝鮮民主主義人民共和国に対する今後の外交についてどのようにお考えか、現状分析も踏まえてお答えがいただければと思います。
  160. 高村正彦

    ○高村国務大臣 今後の北朝鮮の動きを予測するということは容易なことではないわけでありますが、我が国としては、北朝鮮が新たな体制のもとでより開放的かつ改革志向の政策をとるよう粘り強く求めていこうと思っております。  我が国は、先般の北朝鮮のミサイル発射を受けて、北朝鮮に対し毅然とした厳しい対応をとることとしており、国交正常化交渉の開催に応じることを当面見合わせるという措置をとっております。  先ほど申しましたように、我が国としては、北朝鮮が、金正日総書記兼国防委員長もとでより開放的かつ改革志向の政策をとり、我が国の関係においてもより建設的な対応を行うよう、粘り強く求めていく考えであります。
  161. 青木宏之

    ○青木委員 要するに、そういうことがあったので日本としてはいろいろ措置をして、例えばチャーター便にしてもKEDOにしてもそうですが、措置をして、とにかく今ストップしておるということですので、例えば、それでストップを解除して前へ進んでいこうというきっかけは相手側にあるというような感じがするわけなんですが、余りそれをやっておりますと、相手側からはボールが投げかけられてこない可能性が非常に強いと思います。それでよければいいのですけれども、今申し上げたように、やはり外交なんですから、むしろ、外交は日本からボールを投げていく、積極的に投げていく、どんどん投げていくということが私は必要だなというふうに思うのですね。  それで、ぜひひとつこれは日本の方から、あらゆる問題、今までの日本人配偶者の問題、一時帰国の問題、食糧支援、拉致疑惑もありますけれども、解決しなければならないいろいろな問題が山ほどありますから、ぜひひとつ、少しでも緊張が緩和されるような状況を外交でつくっていく、そういうぜひひとつ前向きの朝鮮民主主義人民共和国に対する折衝、行動を開始をしていただきたいと思います。  そこで一つ、懸案といいますか、今いろいろ取りざたされておりますいわゆる俗称KEDOの問題であります。  実は、御承知いただいておると思いますが、私も朝鮮民主主義人民共和国を訪れておりまして、向こうの政府あるいは党の高官とも話をしてまいっております。その中で、このKEDOの問題もありました。要するに向こうの態度は、これは自分たちが望んでおるものでも何でもない、アメリカや日本や韓国がやらせてくれと言うからやらせてやっているのだという、もうはつきりしたことであって、我々が望んでおるものでもない、要求したものでもないということなんですよ。だから、それは一にかかってアメリカ、韓国、日本の側の政策であるはずなんです。  だから、ミサイル試射かどうかはわかりませんが、それがあったからKEDOをストップする、調印しないというような日本のもし態度だとしたら、態度としたらといいますか、そうして何か向こうに反省させる材料になるのではないかというもしお考えがあるとしたら、これは大間違いでありまして、全くそんなものは痛くもかゆくもない。KEDOをつくらなければつくらないで結構だというのがはっきりとした向こうの態度ですから、そのかわり核開発にいくぞ、これはおどしでも何でもなくて、真剣に彼らは、彼らというか向こうの国は考えていると私は思っておりますので、このKEDOはやはりいつまでも延ばすのではなくして、これはできるだけ早く、もう建設にかからなければいかぬわけですので、ゴーサインをもう出すようにしていただきたいと強く思います。ぜひひとつ、御検討中だろうとは思いますけれども、その辺の大臣の決意、お考えをお聞かせをいただければ、こんなふうに思います。
  162. 高村正彦

    ○高村国務大臣 最初のボールがどっちにあるか、こっちからボールを投げろという話でありますが、向こうはボールを投げないでミサイルを発射してきたわけでありますので、やはりこれに対しては、厳しい対応をとるというボールをこちらが投げる必要があった、こういうふうに思います。  ただ、委員がおっしゃるように、KEDOというのは、単なる北朝鮮に対する支援ではなくて^まさに北朝鮮の核開発を抑えるための最も現実的で最も有効な手段であるということはそのとおりであります。北朝鮮が言っておるとおり、ありがたくも何ともなくて、こっちが頼んできたからやってやった、そういうものかどうかは、私は、直ちにそうだということはなくて、外交的に両方の利益が一致したからそういうことになっているのだ、こう思いますけれども、北朝鮮の核開発を防ぐ最も有効で現実的な手段だとすれば、この枠組みを壊してはならない。KEDOに対する共同事業者であるところのアメリカにしても韓国にしてもあるいはEUにしても、そろそろ悪い影響が出てくるのではないかと心配していることも事実でありますので、日本としてもそろそろ検討にかからなければいけない時期に入っているのかなという感じは持っております。
  163. 青木宏之

    ○青木委員 ありがとうございました。  以上です。
  164. 栗本慎一郎

    ○栗本委員長代理 次に、東中光雄君。
  165. 東中光雄

    東中委員 昨日、四社事案関連文書管理実態に関する中間報告という文書をいただきました。これを見まして、この中に、「ヒアリング・ファイル」という話が十ページのこの短い文書の中で実に七カ所出てきます。ヒアリングファイルというのは、どこがつくって、何部つくって、どこに配られたものですか、お伺いをしたい。
  166. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 私ども、報告書の中で「ヒアリング・ファイル」ということで統一させていただきましたが、これは、東洋通信機事案関係の事実関係を把握したり、あるいは問題点検討するために調本でつくったものでございます。  現在私ども確認している限りでは、少なくとも十一部あったと思います。それは、調本で、いわば原本と申しますか、これはいろいろな聞き取りメモとかそういうものを集積したものでございますので、厳密な意味でのオリジナルというものではないと思いますが、ある種のマスターファイルと申してもいいかもしれません、その中から、主要なものをファイルにしたものというのが十部、そのマスターファイルが一部ということでございます。  そして、内局では次官、関係局長、あるいは調達実施本部の中では調達実施本部長、石附副本部長等が持っておったものでございます。
  167. 東中光雄

    東中委員 その内容ですけれども調本職員地検に呼び出された、そういうことで事情聴取を受けた、それで、帰ってきた人にその事情聴取の内容を聞き取りするあるいは出してもらうということでつくったものですね。そういうふうにも読めるのですが、そういうことですか。
  168. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 ヒアリングファイルの中身でございますが、確かに今先生御指摘のような、事情聴取を受けて、その結果を自発的にメモにした、いろいろ上司と相談するというようなこともありまして、そういうメモをつくった方がおられます。そういったものもまとめて入っておるということでございます。  そのほかに、当時の関係者あるいは東洋通信機からの聞き取りといったようなもの等をまとめたものでございまして、基本的に、東洋通信機事案概要がわかる資料というふうに聞いております。
  169. 東中光雄

    東中委員 あら、これは大分違うようですね。ここに書いてあるのを見ると、そういうふうにはなっていないのですが。  ヒアリングファイルの中は、事情聴取を受けた人が帰ってきて、本人も家族も不安になったりして、上司に相談するのもいるし、それから言ってくるのもおるし、それでまた一課長が聞いて管理をした、保管した、それから調本としてやった、そう書いていますね。だから、初めは去年の十月から始まっているのでしょう。  それじゃ、その聞き取りの内容をメモした者は、取り調べを受けた人のうちの何人ぐらいがそのファイルに載っておるのですか。それをお聞きしましょう。
  170. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 報告書の二ページに書きました(2)の部分でございますが、これは今先生御指摘のとおり、若干時系列的に並べておりますが、最初からこのヒアリングファイルというものがあったわけではございませんで、本年夏にいわばこのヒアリングファイルという一つのまとまったものになったというふうに認識しております。  それで、その事情聴取したうちのどのくらいの数なんだということでございますが、これは実は現物がすべて東京地検の方に行っておりますので、私どもチェックするすべはないわけでございます。ちょっと今そこら辺、そういう意味で、その員数等のチェックはできておりません。
  171. 東中光雄

    東中委員 冗談じゃないですよ。十一部もつくって、それで局長クラス、調本幹部にも配って、それをみんな持っていかれた、あるいは処分したのかもしれぬけれども、今ないからわかりませんなんというようなことではないですよ。  それじゃ、検察庁に事情聴取をされた人は何人いますか。それで、そのうちの、メモに一切なっていない人がどれぐらいいるのか、それからメモになってしまっている人がどれくらいいるのか。そういう内容もわかりませんか。
  172. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 検察庁の方に何人ぐらい呼ばれたかということでございますが、これは検察当局が呼んでおることでございまして、私どもがその全部を累計してお答えするのはいかがかと存じます。  それから、そのうちのどのくらいかということでは、大ざっぱには半分とか三分の一とかという証言がございますけれども、正確な数字は持っておりません。
  173. 東中光雄

    東中委員 あなた、官房長代理なんです。あなたが代理になる前の官房長は、これをもらっておったわけです。だから、あなたの、官房長代理の職におる者としては、その内容は知りませんじゃ済まないのですよ。そういう性質のものじゃないのです。  それから問題は、呼び出しを受けて検察庁で調べられた、それを、帰ってきたら、何を言われたかということを聞き取りをやって、それをメモにする、そのメモにする人は、課長がメモにしたりいろいろしているのでしょう。そのメモにする行為自体は、それは防衛庁職員の公務ですか、何ですか。
  174. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 これは、必ずしも上の者が命じてメモを出せと言ったというものではないと聞いております。したがいまして、それぞれが呼ばれまして、いろいろこういうことを聞かれたというようなことで、あるいはどうしたらいいのだろうというような相談もあったようでございます。そういう意味でのメモというふうに承知しております。
  175. 東中光雄

    東中委員 そういうのを白々しいというのですよ。だって、ヒアリングファイルと称して、局長クラス、調本幹部に配る。これは公の文書にしてつくっているのでしょう。それが、全く個人的に適当にやったことをまとめて、局長クラスに渡して、自宅まで持って帰って、後で焼却してと、そんなことをしなければいかぬような文書防衛庁はつくっておるのかね。そんな頼りないものをつくっておるのか。これはあり得ないのですよ。  聞き取りをやって、そして検察庁はどう言っておるかということを知って、そしてその対策を練るというやり方を普通にやる。私は弁護士をやってもう五十年近くなりますが、弁護士のやる、普通の組織犯罪についてのやり方ですよ。ところが、防衛庁という本来の職務を持っておる公務員が、犯罪を犯すというようなことはあり得ないのに犯したわけでしょう、背任罪ということで。それで調べられた。調べられた人を呼んできて、何を検察庁に聞かれたのかということを整理して、ファイルにつくって、十一部もつくって配っている。ここが問題なんだ。  問題は、あなた方は、自分たちのやっていることの問題意識が全然ないんだ。もうそこまで麻痺しているんだよ。これは絶対に組織的じゃないとは言えないですね。ファイルをつくったのは、調本としてつくったのだ。配ったのは、局長に配ったというのは、これはみんな組織的な行動でしょう。公の行動としてやっているのでしょうが。  そのもとは、個人的に家族が不安を感じたから、言ってきたからと。大体、検察庁に呼ばれて、事情を聞かれて、その当該公務員が不安に感ずるということ自体が、普通ならあり得ないのです。家族まで不安に感じたと書いてあるのだ。そして、今度は上司に相談に来るというのです。(発言する者あり)そうでしょうね。そういう犯罪者集団の中でだったらそうなるのです。犯罪者集団の中ならそういう論理になるのです。ところが、本来の国家公務員としての調達行政をやっている、法律に従って行政をやっているという場合には、検察庁に調べられるというようなことがもし起こったら、それは異常なことなんですから。  公務員というのは、その職務の執行に当たって、犯罪があると思料したら告発しなければならないという刑訴法上の義務がありますね。ところが、呼ばれた、それで不安に感じた、こういう事態になっておる調本の状態。これは調本だけじゃない。官房長も今言いました、局長クラスにみんな配っていると。そういう状態になっているんだ。これはもう本当に異常な状態だ。それを自覚していないというところが最も怖い。私はそのことをまず言っておきたい。  それからもう一つ、これも事案処理経過表というのをつくった。これも、全体を見ると、十ページの中に四回出てきます。これも、事案処理経過表というのは、この説明によりますと「原価差異事案一連処理経過等をまとめた資料として整理された」もの、こう書いていますね。そうでしょう。何によってそれをまとめたかといえば、「事情聴取の聞き取り結果」、今のヒアリングですよ。それと「従来から行われていた当時の関係者会社関係者を含む。)からの聞き取り結果」、この二つをまとめて経過表にしたというのです。さっき官房長代理は、この二つともファイルの中に入っておるみたいなことを言いましたけれども、違うのですよ。分けていますよ。ここに書いてある。  どっちにしても、検察庁に調べられた人を聞き取り、リストにつくる。それから、当時の職員関係者を聞いた。それが、防衛庁が今認めている、事実の経過一連処理経過をまとめたものなんだ、こういうものですね。それ以外に、どういう経過でああいうことになったかという事実関係解明をやったものは何もないのだと思うのですが、この事案処理経過表というのは、これは防衛庁長官は見ておられるのですか。そしてその中身は、その処理についての経過を全部まとめてあるということなんですが、そう書いてあるのですけれども、見ておられますか。
  176. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 いつの時点だったか、一回説明を受けたことはありましたが、ほとんど中身は記憶に残っていません。見た、見て説明を受けただけであります。
  177. 東中光雄

    東中委員 そのほかにどういう、この四社事案でもいいですし、NEC関係一連疑惑案件の事実関係についての説明、こうなっておってこうなんだというふうな経過は、今の一度だけ説明を受けたということ以外に、あなたはほかには何にも聞いていないし、何にもわからないという状態ですか。それをお伺いしたいのです。
  178. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 私は、就任をして、こういう案件が、四社事案の案件が表ざたになっているということについては、就任直後に説明を簡単に受け、そして実態を掌握するために、この決算委員会でやりとりをしたこと等について一回読ませていただいた、あるいはまた当局から説明を受けたということはあります。  あと、NEC等の問題については、新聞等に書かれたときに、これは一体どういうふうになっているのということで、事情について、あるいは事実関係について調べさせたり報告を聞いたということであります。体系的に一連についてまとめて報告を受けているわけではありません。
  179. 東中光雄

    東中委員 私は、九月十八日の本会議で質問をいたしました。この四事案、NEC関係のいわゆる水増し事案について全容を解明しなければいけない、それを明らかにすべきだということを私は強く要求して、それの責任を明らかにすべきだということを申し上げました。  それに対する答弁は、総理はこう言いました。「今回の事案に関する検察当局の捜査を見守るとともに、防衛庁に対し、御指摘のような事実関係解明全力を挙げて、かつ徹底的に行うよう、強く指示いたしておるところでございます。」事案の真相を徹底的に解明して、そして全力を挙げて徹底的に解明すると強く指示いたしますじゃないですよ、「いたしておるところでございます。」と。  そのときの次のあなたの答弁ですよ。「事実関係の徹底的究明に関するお尋ねでございますけれども、私といたしましては、」ちょっと途中抜きますが、「今回の事案に関する検察当局の捜査を見守るとともに、防衛庁自身により事実関係解明が徹底的に行われることが最も大事であると考えております。」防衛庁自身が、検察庁がやるのは刑事責任の追及ですからね、それは見守るのですが、言ってきたことについて聞き取りをつくってどうするというような、そういう妨害みたいなことはやっちゃいかぬのです。だから見守ると言っているだけなのです。ところが、「見守るとともに、防衛庁自身により」こう言っています。  ところが、今お聞きしたら、何も聞いておらぬ、説明をちょっと聞いただけと。全然答弁と違うじゃありませんか。どういう追及をしているのですか。事実関係解明が徹底的に行われることが最も大事だと。どういうことをやられましたか。
  180. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 九月十二日の時点で、新聞に防衛庁組織的に大量に文書等を焼却して証拠隠滅を図ったという報道がなされました。これが事実だとすれば重大な案件でありますので、私は、防衛庁内に調査委員会を設けて、きっちりとみずからの自浄能力を発揮して事実関係を明らかにしていくことが最も大事であるということで調査をし、それをきちっとしていくことが信頼を取り戻すきっかけになるであろう、そういう思いで、事実関係を明らかにしていこうという話をしたわけであります。
  181. 東中光雄

    東中委員 違いますよ、あなた。それは全然違います。その証拠隠滅問題は、その次の段階で僕が聞いているのです。  この答え、総理の言っているのはいわゆる四事案というか、私は四事案という格好では出していません、NEC関連事案ということで言っています、それについて事実関係の徹底的解明と。だって、総理はそう言っていますよ。証拠隠滅関係、そんなことあったらいかぬので、それはあったら許せぬことやと。あなた、何遍も強調していますね。だから、それは調べると。そのことは調べたらいいです。  それとは別に、本来の事案の事実関係を徹底的に解明するということを言っているのです。それだって、この中間報告を見たって、この中間報告はなるほど文書管理実態に関する中間報告ですけれども、この一枚目、一番最後にどう書いていますか。一ページ目、1の「前言」の一番下です。前の方はあれですが、「防衛庁は引き続き調査を進め、できるだけ早く事実関係の全体を解明してまいる所存である。」と。  その前に、こういうこともありますね。真ん中の欄ですが、「また、いわゆる「四社事案」が報道されて以来約一年を経過しながら、これが刑事事件として立件されるまで防衛庁自らの手で問題事案の解決ができなかったことは、防衛庁の行政の在り方を問われていることであり厳しく反省しなければならない」、こう言っているのですよ。これは事案そのものですよ。検察庁が動いているけれども、こっちはさっぱりやっていなかった、反省せないかぬと。そして一番最後に、防衛庁は引き続き調査をして、できるだけ早く事実関係の全体を解明してまいる所存であります。  できるだけ早くというのはいつまで、そんな証拠隠滅をやったかやらぬかということだけじゃないです、ここで言っているのは。証拠隠滅の問題は書いています。しかし、また、いわゆる四社事案についてということで項が改まっているのです。その点、どうですか。そんなすりかえをやったらいかぬです。  防衛庁長官の報告でしょうが。何を言いに行っているのですか。聞いておらぬよ、あなたになんか聞いていない。
  182. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 この報告書でございますが、冒頭に書いてございますように、背任事件関連して防衛庁組織的に東洋通信機関連資料を大量に焼却処分し、証拠隠しを行っているとの疑惑報道されたことに伴って、調査委員会をつくってやった、その報告書でございます。  したがいまして、この一ページの一番下に書いてございます事実関係の全体と申しますのも、あくまでこの調査委員会のことを申し上げているところでございます。  なお、中段で、先生御指摘のとおり、四社事案の全般のことを触れておりますが、これは、この証拠隠滅疑惑を招いた背景として、私ども反省点として書いておるわけでございます。
  183. 東中光雄

    東中委員 何を言っているんだ。ここに書いてある文脈自体、君たちは本当に、無知というか、本当にひどい話ですよ。ここまで防衛庁というのは腐敗しているのかと思いますね、私は。こういう公式の場所でですよ。何だ、これは。  はっきりと書いてあるじゃないか。事実関係について、「これが刑事事件として立件されるまで防衛庁自らの手で問題事案の解決ができなかったことは、防衛庁の行政の在り方を問われていることであり」と書いてあるのですよ。そして、「できるだけ早く事実関係の全体を解明して」やっていくのだと。その前にどう書いてあるか。「再発を防止するため、」と。これも、証拠隠滅再発を防止するためじゃないでしょう。  だから、そういう自分の出した公式の文書で書いてあることを、まだ主観で曲げるんだな。  それじゃ、結局、総理大臣が、「防衛庁に対し、御指摘のような事実関係」、御指摘というのは、私が、公務としてやっておりながら、それが、行政庁の公の行為が、背任罪という刑事事件になった、前代未聞だ、何でこんなことが起こったのだ、その全容を明らかにせい、こう言うのに対して、「御指摘のような事実関係解明全力を挙げて、かつ徹底的に行うよう、強く指示いたしておるところでございます。」  そういう指示があったのかなかったのか、あったけれども無視しておるのか。あるいは、あったのに従って動いておるのだったら、どういうことをやったかということを言ってください。何もやったことないなら、ないでいいです。やったことあるなら、言ってください。――防衛庁長官に聞いているのです。官房長代理の言うことじゃないじゃないか。
  184. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 この東通事件をめぐる問題で、大量に、組織的に焼却した案件について疑惑を持たれていることについて、我々は、みずから強制捜査権はないけれども、自浄能力を発揮する上で、事実解明をしていくことが我々の仕事であるという話をし、小渕総理からは、できるだけそれは全力投球でやってほしいということは指示を受けておるわけでございます。  もちろん私どもも、この中間報告の中では、この証拠隠滅だけの話ではなくて、国民皆さん方にわかりやすくこれまでの経緯について述べさせていただいているというふうに受け取っていただきたいと思います。
  185. 東中光雄

    東中委員 何を言っているんですか。だって、額賀さん、事実関係というのは四事案の事実関係ですよ。それについて全力を挙げて解明しなきゃいかぬと。私は、その四事案だけに限らないすべての疑惑についてと、あのとき、わざわざすべてということを言ったのです。そしたら、御指摘のような事実関係について全力を挙げて、かつ徹底的に行うように、こういう答弁だったのです。その答弁の趣旨は、会議録でもう明白ですから。  だから、私が言うのは、証拠隠滅と言われていることについて、やったというのは私は極めておかしいと思っていますけれども、それは今は置いて、それとは別に、事案そのものについての解明、検察庁に任せておくのではなくて、防衛庁自身が、そのあり方が問われている問題としてちゃんとやらないかぬということを言っているわけです。それをやるのかやらないのか、今やっているのか、やっているならどこまでやったのか、やろうと思っているけれども、まだやってないというのか、それを聞いているのですから。それで、やるとしたらいつまでにやるのかということを聞いているわけですから。それを言ってください。そんなことやらぬというのだったら、やらぬでいいですから。最高責任者である総理が国会で答弁したことを、現防衛庁長官は無視しているということになるんだから。
  186. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 みずからの力で、立件されるまでの間に解明ができなかったことは、防衛庁の行政が問われているという問題意識は当然持っているわけであります。これについても我々は反省をして、みずからがみずからの問題として、絹紀粛正、それから、なぜこういうことが起こったかということについて事態解明して、再びこういうことが起こらないようにするためには事態解明をしていくことがなされなければならないというふうに思っているわけでございます。  もちろん、検察庁の方での捜査あるいは公判の過程で真相が明らかになっていくと思いますけれども、私どもも、こうしたことが再び起こらないようにするためには、私どもなりに問題点解明して対策を立てていくという意味で、事態解明に向かっていかなければならない、それは東中委員の御指摘のとおりであります。
  187. 東中光雄

    東中委員 時間ですから終わりますが、やはり違いますね。あなたが本会議場で答えたのは、こう言っているのですよ。「今回の事案に関する検察当局の捜査を見守るとともに、」これは見守るのです、聞き取り書を集めるというのではないのです。「見守るとともに、防衛庁自身により事実関係解明が徹底的に行われることが最も大事である、」こう言うのです。だから、最も大事なことをどうやったのですかと言ったら、今、どうやったということは一言も言われなかった。それから、どうやるんだということについても言われなかった。それで、違うことを答えておられるわけです。事実関係解明、あなたがそう言っているんだから。会議録見たら、そう書いています。  ところが、今あなたは、「事態解明」と言いましたね。違うのですよ。この四事案の事実関係解明というのは、全容を明らかにせいということ、これをやらないで対策なんかできませんよ。どこがどうおかしかったんだということを明らかにせないかぬということを言っているんだということを申し上げて、質問を終わります。
  188. 栗本慎一郎

    ○栗本委員長代理 次に、保坂展人君
  189. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  本日、同僚議員から、昨日の中間報告についてかなり具体的に質問がありましたので、前半、防衛庁長官が在席されている間に、基本的な姿勢についてまず伺っていきたいと思います。簡潔にお聞きしますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。  今回、抜本的な調本組織の、これは廃止も含めた根本的な見直し、抜本的な見直しを考える、その実効性を確保するために、職員意識面を含めた出直し的改革ということをおっしゃっています。とすれば、証拠隠滅行為についで国民疑惑を招いていることについて反省する姿勢がおありであれば、証拠隠滅と全く反対のベクトルは情報開示でございますから、徹底的に情報を公開していく、間違っていたというプロセスも含めてこれを開示するという姿勢がおありになるかどうか、ここを伺いたいと思います。
  190. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 内部調査の事実関係については、我々が把握している限り、全部この中間報告にも盛られているわけでございます。引き続きこの調査をして事実関係を明らかにしていくことが大事であり、その上で厳正な処分もしていきたいというふうに思っているわけでございます。  その上に立って、こうしたことが再び起こらないために、調本システムの再構築を図っていく必要があるという思いでございます。
  191. 保坂展人

    保坂委員 今のお答えを踏まえて、実は九月二十九日の当委員会で、石垣議員から十項目、そして私も実は、石垣委員と重ねる形で、二つの文書をぜひ当委員会に提出してほしいという要求をいたしました。一つは、検察に出した上申書、この中間報告では評価書という名前で呼ばれていますけれども、その文書でございます。もう一つは、今資料としてお手元に配りました、私の方で入手をいたしました、いわゆる新聞等で調本内で作成された内部文書というふうに言われている文書でありまして、タイトルは「東通事案における主要項目の基本認識について」という文書でございます。  この二つを委員会に出すようにと求めていましたが、防衛庁はこれは絶対出せないということで提出を拒んでいるということを、長官は御存じかどうか、そして、この二つの文書長官は当然お目通しになったと思うのですが、その確認も含めてお答えいただきたいと思います。
  192. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 いわゆる評価書については、就任して何日かたってから説明を受けたことがあります。しかし、今、これは背任事件で捜査、公判が行われているので、ここに出すことが適切なのかどうかということが検討されているというふうに思っております。  内部文書については、私、見ておりません。したがって、その中身もよく承知しておりません。
  193. 保坂展人

    保坂委員 予定より早く御退席だそうですから、では、この内部文書を今から質疑の中で確認しますから、これが真実のものであれば、先ほどの情報公開の姿勢で、きちっとこれについて防衛庁のコメントをつけて、責任を持った対処をしてくださるかどうか、それだけ伺います。
  194. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 私も、今言ったように、まだ見てもいないし、中身もよく知らないわけであります。当委員会で、理事会等で御審議をしていただきたいと思うし、また、私もその存在があるのかどうかさえ承知しておりませんので、今明快に答えることはできません。
  195. 保坂展人

    保坂委員 それでは、どうぞ。  長官にはまた別の機会にいたしまして、装備局長にお聞きしたいと思います。  現在手元に文書が配られているかと思うのですが、ございますか。――これを見て、装備局長が、あるいっとき目を通した、こういう文書があるのは認知していたというふうに私は聞いているのですが、大体こういう文書であるかどうか、見解を伺いたいと思います。
  196. 及川耕造

    ○及川政府委員 お答え申し上げます。  先般の理事会で、私からある新聞社の記者の方に目を通させていただいたことがあるというふうに申し上げました。本日ただいまお配りいただいたのは、ちょっと私の見たのとは様式とかなんとかが違っておりますが、内容的にはかなり類似しているのではないか。ただ、それが全く同じものかどうか、もともと私もオリジナルを見ておりませんので、そこの確認はできないところでございます。
  197. 保坂展人

    保坂委員 それでは、装備局長に重ねて伺いますけれども、大体、スタイルとか文書の質感というか、そういうものが違うということをお感じになった、けれども内容は類似をしておるということなんですが、このことを、調本内部文書を作成された方に、委員会終了後直ちに当たって確認していただけませんか。
  198. 及川耕造

    ○及川政府委員 私どもは、この本人が作成したメモは個人のものというふうに認識をいたしております。公の場でいただきましたものをそれと突き合わせてどのように取り扱ったらいいのか、私個人としてはちょっと迷うところでございまして、でき得れば、理事会等でまた御議論をいただければありがたいと思うところでございます。
  199. 保坂展人

    保坂委員 主要項目の基本認識についてですから、仮に基本認識文書というふうに呼んでみたいと思いますけれども、これは個人的なメモである、したがって防衛庁見解ではないのだというお話でした。  しかし、これは上申書の一部なんですけれども、検察に対しての上申書については、要約して言いますけれども本件は不法行為であり、相手方が同意しないのであれば裁判に訴えてでも取り戻すべきとの議論もあり得るが、挙証責任や裁判にかかる時間、コスト、秘密漏えいの弊害、裁判に勝っても当該企業が倒産して装備品の生産ができなくなるなどの問題があって云々というふうに、検察に対する上申書には実は書かれているわけです。  そして、こちらの今お配りした方を見てください。Aの訴えの利益というところにわざわざ注釈があります。ここを読んでいくと、「告発するとすれば、国側の立証責任の問題があり、裁判に要する時間、裁判に勝訴したとしても執行可能性の問題、裁判中において原価計算の仕組み等が明らかにされ、今後の調達に影響を及ぼす問題」云々とありますよね。ここはほぼ同じじゃないですか、上申書の部分と。これで個人的な見解なんですか。
  200. 及川耕造

    ○及川政府委員 上申書の中身につきましては、再三委員会でも御報告申し上げておりますように、この場では差し控えさせていただきたいと存じます。  考え方は、個人いろいろなものがあると思います。防衛庁の中でこの事案に関して多くの意見がある中で、大体今ここにあるような意見というのは当時一般的でございました。したがいまして、上申書と全く同じかどうかは別にいたしまして、そういう見解を持った方がたくさんいるということは事実だろうと思います。
  201. 保坂展人

    保坂委員 法務省刑事局長は来られていますか。――はい。  伺いますけれども、ちょっと予告になかった部分なんですが、我々は、今回の特捜部の捜査を極めて注目して見守りながら、一方で検察特捜部の捜査自体は、調達実施本部調本のシステム全体をクリーニングするという機能であるというよりは、やはり事件性の高いもの、そこを洗い出して一罰百戒的な効果たらしめる、そういう役割がやはり検察にあるのだろうというふうに思います。  国会の場での論戦あるいは質疑は、むしろ事件そのものも重大であることは踏まえながらも、しかし、全体としてどういう構造があるのか、どういう考え方があってこういった不正が行われたのか、あるいは巨額の不明朗な金銭が動いたのかということをただしていくのが国会の場だと思います。  その上で、刑事局長にお聞きしたいのですが、こういった論戦をすること自体、あるいは文書を我々が確認すること自体に、捜査について何らかの影響があるとお考えですか。
  202. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 なかなかお答えが難しい御質問だと思いますが、捜査当局は一般的に、マスコミ等の報道のみならず、もちろん国会における論議についても注意深く見守っているということでございまして、それが捜査にどういう影響を与えるかは私からコメントする限りではないと思いますが、そういうことでございます。
  203. 保坂展人

    保坂委員 もう一点伺いますが、たまたまというか、これは当時の防衛庁内部認識があらわれている文書だと思うのですけれども、検察の告訴、いわゆる便宜主義と言われているものも、制度の存在自身が背任ではないのかといういわば反論というか、そういうことがこの文書の中にあるのですけれども、そういうことを防衛庁が言ったことについてコメントしろということではなくて、そういう意見があるとしたらどのように説明されますか。
  204. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 今いただきました資料の中の二ページの③のところに、起訴便宜で告訴見送りの制度地検にあるがこの制度自体も背任に当たるのではないかと、この点についてのお尋ねだと思いますが、どういう意図でこういうことが書かれたのかつまびらかではございませんが、率直に申し上げて、こういう比較をされること自体が非常に心外であるということになろうかと思います。  なお、申し上げるまでもございませんが、検察官は刑事訴訟法の二百四十八条で、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」ものと法律で定められております。  以上でございます。
  205. 保坂展人

    保坂委員 心外だという言葉があったのですが、それでは、私ども理事会の中で求めてきた内容は、防衛庁はこの基本認識という文書が個人的なメモであるから出せない、そうであるとすれば、個人的なメモと防衛庁の現在の認識が違うということですから、コメントを防衛庁見解としてきちっとつけて提出してはどうかという、いわばアイデアも出したわけですけれども、それでもなかなか出なかった。  実は、たくさん疑問がある中で、厳選して十五点ほど疑問点をまとめましたので、ちょっとお聞きください。  まず、このBのところにありますけれども日本工機と東通は防衛依存度が、日本工機が七、八〇%に対して東通が六%と、依存度が違うんだと。それから、外部から日本工機は情報が入ったのに対して東通は通常調査で発覚したということで、いわば差異額算出が異なるという説明、これはどういうことなのかさっぱりわからないのですね。  それから、Cのところで、計算から生まれた数値を即採用せず、各企業、各業界等の特殊性を考慮の上に設定する、これは大変なさじかげんだと思うのですが、これはそのとおりなのかどうか。  それから、さっき触れました検察の告訴見送りの便宜主義、これは背任であるという見解は今はどうなのか。  それから四番目に、調本職員が背任なら会計検査院も同罪だ、この見解は現在はどうなのか。  Dのところで、予定価格が製品を製造するために必要な真の価格とは必ずしも言えないという見解は現在も同じか。  その後、判読不能の部分がございますので、それも教えていただきたい。六番目です。  そしてEのところ、七番目の質問で、東通側から穏便な処理、内密になど依頼はあったのか。  八番目に、一括返還は外部に、これはマスコミ等ということだと思うのですが、漏れるという認識があったのか。  九番目に、差異額一けたは特損処理をしなくていい、二けたの場合は二年にわたって処理する必要があるということを東通社長が上野さんに説明していることから、一部上場の株主に知れ渡るのはまずいという認識を相互に持っていたのか。  十番目に、予算の有効利用というのは一体何なんだ。  Fのところで、十一番目に、商事時効を考慮の上一年期間をずらしたというのは本当か。  G、契約個別でもマクロにはじいても結果は同じという認識は現在も同じか。  Hのところで、各担当官及び担当監査官は水増しの事実を知っていたのかという項目について、はっきり、無償の修理、巡回サービス、予算の厳しい年度は赤字を承知で生産に当たってくれたなどを承知していたというふうに書かれているのですが、これはつまり、知っていたということなんですか。  最後のⅠのところに移ります。十四番目に、防衛以外の省庁が見積査定方式で予定価格を作成の上、入札を行って契約した物件に、契約額と真の製造価格との間に大きな差があれば犯罪なのか。  十五番目に、Ⅰのところですが、取り返しの行為を今回調本が行わなければ今回の事案は発生しなかったと、現在も認識しているのか。  十六番目に、価格とは何なのか、製品の客観的価格とは何か、等々あるわけです。  時間がございませんので、これを責任を持ってきちっと文書で答弁していただきたい、こう思いますが、防衛庁いかがですか。
  206. 及川耕造

    ○及川政府委員 この文書に対するお答えというのが適当かどうかと思います。したがいまして、先生の方からこういう問題点という形でまた御指示いただければ――要するに、このメモは私どもとしてどう取り扱っていいのか、率直に言ってわからないわけでございます。当方の職員が書いたかもしれませんけれども、しかし、さはさりながら確認できておりません。したがいまして、今お尋ねのありましたような点につきまして逐一私どもがどういうふうにお答えをすべきがいいのか、これもちょっと検討させていただきたいと存じます。
  207. 保坂展人

    保坂委員 ですから、委員会が終わったら確認して、御本人が書いたものと相違ないかどうかを確かめれば、そのメモ自体は確認できるわけですね。  そして、防衛庁見解じゃないとおっしゃっているんだから、見解じゃないんだったら、こういう見解に対して、現在、この中間報告を踏まえてどういう見解を持っているのかを明らかにする必要あるでしょう。
  208. 及川耕造

    ○及川政府委員 私どもの現在持っております見解については、それなりにお答えできると存じます。  ただ、このペーパーに対してどのように私どもが考えるかというのと連携してお答えすることができるかどうか、そこがちょっと、相手が個人のものでございますので、それについて公の防衛庁としてどういうふうにお答えするのかと。先生のお尋ねということならばお答えできるかというふうに思っております。
  209. 保坂展人

    保坂委員 資料を焼いたり、車の中に入れたり、部下のところに移したりということは反省して、文書をつくっているんでしょう。我々は、こういう形じゃなくてちゃんと防衛庁から出してくださいと何回も言っているわけですよ。個人的なメモだというのなら、見解をちゃんと添付して出せばいいじゃないかということも言っているんだ。  しっかり対応していただきたいので、この件についてはぜひ理事会で、これは責任を持って防衛庁として、本当に情報開示、どういう間違い、いわば一般社会では通用しない価値観が存在したがゆえにこういったことが発生してきたというプロセスも我々きちっと酌み取って把握する必要があると思いますので、ぜひそれを理事会にお諮りいただきたいと思います。  この文書プラス十六点の質問事項ということです。もちろん十六点以外にでも、コメントしなければならないというふうにお気づきのところはどんどんつけていただいて結構であります。いかがでしょう。
  210. 栗本慎一郎

    ○栗本委員長代理 その十六点の問題につきましては、理事会ないし理事懇談会において協議をすることにいたします。
  211. 保坂展人

    保坂委員 それでは、時間になりましたので終わります。     ―――――――――――――
  212. 栗本慎一郎

    ○栗本委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として石油公団総裁鎌田吉郎君及び同理事新欣樹君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 栗本慎一郎

    ○栗本委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     ―――――――――――――
  214. 栗本慎一郎

    ○栗本委員長代理 次に、石垣一夫君。
  215. 石垣一夫

    ○石垣委員 石油公団の問題に関連してお尋ねいたしたいと思うのです。  今月の文芸春秋で、前通産大臣の堀内さんは、石油公団問題に関連して非常に厳しい指摘をされておりますね。「官僚はあてにはできない」「小松総裁を更迭する」「不可解な貸付金、棚上げ利息棒引き」「この天下り実態を見よ!」「最大の問題「ジャパン石油開発」」「なれあいによる経理操作は許されない」「小松総裁に退職金を払うな」と、七項目にわたって非常に厳しい御指摘をされております。  過日の商工委員会で、いろいろとこの問題に関連して論議が行われておりますね。その席上、通産大臣は、この堀内前通産大臣の指摘に対して、検討委員会を開いて一〇〇%を超えて対応した、こういうふうな答弁をなさっておるのですけれども、大臣はきょうはおられませんけれども、通産省としてはどういう見解を持っていますか。
  216. 今井康夫

    ○今井(康)政府委員 お答え申し上げます。  石油公団の問題につきましては、昨年の十二月三日に当委員会におきまして審議が行われまして……(石垣委員「結論だけ、早く」と呼ぶ)はい。  堀内大臣の御指摘につきましては、私ども正面から受けとめて、今度の報告書にまとめ上げたと思っております。
  217. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこでお尋ねするのですけれども、堀内前大臣は、この指摘の中で、いわゆるジャパン石油開発、これは平成八年度決算では、累積赤字が千四百十七億円、棚上げ金利が千四百四十四億円、これを計上すると実質欠損金は二千八百六十一億と、千百九十五億円の債務超過の会社である、このように決めつけておるわけであります。  ところで、現在石油公団が出融資している会社で債務超過の会社は何社ありますか。
  218. 今井康夫

    ○今井(康)政府委員 お答え申し上げます。  債務超過の会社は、現在石油公団が出融資している会社百二十三社のうち十三社でございます。
  219. 石垣一夫

    ○石垣委員 十三社の中で、九社は現在生産中である、二社は探鉱中、二社は解散準備中である、こういうことなんですね。これは間違いありませんか。
  220. 今井康夫

    ○今井(康)政府委員 間違いございません。
  221. 石垣一夫

    ○石垣委員 それで、この生産中の九社の債務超過の会社にジャパン石油は入っていないのですね。大臣は、この指摘の中で、ジャパン石油は債務超過会社だ、こういうふうに指摘しているのですね。この関係はどうなんですか。
  222. 今井康夫

    ○今井(康)政府委員 ジャパン石油につきましては、現在の財務諸表上は債務超過になっておりませんが、堀内前大臣の御指摘は、現在多額の、一千億を超えます簿外の棚上げの金利がございますので、それを本来簿内に入れれば債務超過である、こういう御指摘でございます。     〔栗本委員長代理退席、委員長着席〕
  223. 石垣一夫

    ○石垣委員 こういう中で、それは解釈の差である、こういうふうにおっしゃるのですけれども、堀内前通産大臣はしばしば、粉飾決算である、こういうふうに指摘をした箇所が三カ所もあるのですね。  こういうことについて、現在、通産省としては、この報告書が出る以前の資料に基づいての文芸春秋の記事である、こういうふうに言っておりますけれども、それでは、この報告書をつくられて、前通産大臣に持っていかれましたか。了解をとりましたか。
  224. 今井康夫

    ○今井(康)政府委員 前大臣には資料をお届けしております。
  225. 石垣一夫

    ○石垣委員 当然、前大臣もこの報告書をお読みになったと思うのですけれども、ただこの資料を届けただけですか。例えば、三カ所も粉飾決算だと決めつけられているわけですよ。通産省としては、このまま見逃すのですか。屈辱ではありませんか。やはり、きちっと大臣に納得いく説明をすべきではありませんか。ただ書類を届けました、これだけでは私は無責任だと思うのですよ。前通産大臣が、所管の大臣として、三メートルに及ぶ資料を全部精査して一つの報告書をつくられたわけですね。これはやはり、誠意に対しても労苦に対しても、届けましただけではちょっと無責任じゃないのですか。
  226. 今井康夫

    ○今井(康)政府委員 報告書を作成する過程で堀内大臣にはお会いいたしておりますし、その後、大変御多忙でございますので、時間はいただいておりません。
  227. 石垣一夫

    ○石垣委員 非常に今の感触は冷たい感じですね。  前通産大臣が、所管業務の責任を感じられて、延々三カ月にわたって精査された。その結論として、こういうことを発表されておるわけですよ。しかも、非常に厳しい指摘をされておるわけです。  やはり、その指摘に対して、もし誤解があるならば、私は、誠心誠意を持って誤解を解くという作業があってしかるべきだと思うのですよ。ただ忙しいから会われないとか、これはそんなものじゃないと私は思うのですよ。だから、ここに通産省の今日までの姿勢がうかがわれる、私はこう思わざるを得ません。  それでは、いつの時点で会われて、きちっと誤解を解く作業をされるのですか。
  228. 今井康夫

    ○今井(康)政府委員 この石油公団の問題につきましては、大臣御在任中から私は何度も御指導を受けておりまして、堀内大臣のおっしゃっていることは十分わかっておるつもりでございまして、それを、今度の報告書に正面から受けとめて取り入れたつもりでございます。  また、先生がおっしゃるとおりでございまして、堀内大臣と事務方の関係がいろいろ心配されているということではいけませんので、私ども、引き続き、堀内大臣と意見交換は続けております。
  229. 石垣一夫

    ○石垣委員 それでは、早急に前大臣と接触されて、今のところをきちっと了解いただく、こういうことを希望しておきますよ。  最後の一点なんですけれども最後の中で大臣は、前小松総裁に対して退職金を支払うな、こういうことを決めつけておられるのですね。これについて、現在の石油公団総裁としてはどうお考えですか。
  230. 鎌田吉郎

    ○鎌田参考人 御質問がございました小松前総裁の退職金問題でございますけれども、私の気持ちといたしましては、今回の通産省の報告書によりまして、非常に広範な分野にわたりまして、早急に取り紀むべき重要な課題が示されております。何とか、この早急な課題にできるだけ早く道筋をつけたいという気持ちでいっぱいでございまして、その方向につきまして見定められた後に、この問題について取り組みたいというふうに考えておる次第でございます。
  231. 石垣一夫

    ○石垣委員 これは、結論はだれが決めるのですか。
  232. 鎌田吉郎

    ○鎌田参考人 総裁でございます私が決めるということでございますけれども、ただいま先生御指摘のような前通産大臣の御発言もございますので、当然、通産省ともよく相談して最終的に決断をする、こういうことになろうかと思います。いましばらくお時間をいただきたいということでございます。
  233. 石垣一夫

    ○石垣委員 先ほど答弁があったように、現大臣が指摘は一〇〇%取り入れたつもりだ、こういう前提条件があるわけですから、それに基づいて、この指摘事項も実施してくださいよ。それを要望しておきますよ。  そこで、それぞれ現在生産中の九社の債務超過の会社について、再建計画というか、新しい、健全化計画といいますか、そういうものを提出されましたか。提出を命じましたか。できていますか。
  234. 鎌田吉郎

    ○鎌田参考人 石油公団といたしましては、従来より、個々の会社の事業、財務状況をチェックいたしまして、出融資会社の管理を行ってきたところでございます。  特に、先生御指摘がございました原油価格の下落や円高の進行等により、資金繰りが大変悪化し、元本や利息の返済が困難となった会社につきましては、通産省とも御相談し、特別措置をとってまいってきております。この特別措置をとりました場合には、再建計画を出していただき、長期的な資金収支見通しのもとに、経営の改善、合理化に取り組んでいただく、こういう形でやってまいってきております。
  235. 石垣一夫

    ○石垣委員 今、特別措置の話が出ましたけれども、これはジャパン石油では過去三回やっておるのですね、特別措置。それから、日中石油開発は四回やっていますね、これは今度廃止しますからいいのですけれども。ガボン石油は四回やっていますね。それぞれ特別措置を何回もやっていますね。そのたびに再建計画は出されていたと思うのですけれども、そのとおりいっていないから、やはりこれは二回、三回と重なるのですよ。その点はどうなんですか。
  236. 鎌田吉郎

    ○鎌田参考人 残念ながら、経済環境が十分好転しないということで、引き続き貸付金の返済期限の繰り延べ等を実施せざるを得ないというような状況でございます。  ただ、そういった中で、こういった石油開発会社の特徴といたしまして、開発の初期に必要な資本投下は行っておりますので、追加的な投資が必要というような状況ではございません。ですから、むしろ、操業の継続、事業の継続を通じまして、どこまで過去に投下した資金が回収できるかというところが勝負でございまして、そういったことで、できるだけ順調に操業してできるだけ資金を回収させていただくということで、強くお願いしているところでございます。
  237. 石垣一夫

    ○石垣委員 設立当時と、為替レート、また輸入価格にいろいろと差があって、その負担が引っ張っておる、こういうこともわかるのですけれども、例えばジャパン石油なんかは、年間百五十億から百六十億もいわゆる棚上げ利息がありますね。これはやはり初期の金利が大きなこと影響しておると思うのですけれども、この金利、いろいろ投資会社に格差がありますね。特に、ジャパン石油は六・一四ということで、非常に高レートの金利でありますね。こういうことについて、結局レートを引き下げる、こういう努力、これはもちろん大蔵省が関係しますけれども、こういうことについては今後どういうふうにお考えになっていますか。
  238. 今井康夫

    ○今井(康)政府委員 報告書におきましては、この報告書の性格上、石油公団をきちっとするということに集中いたしましたものですから、政策的観点からジャパン石油をどうするか、先生御指摘の金利の問題、企業としてきちっと回るような形にするというのが本来の姿でございますので、そこの議論はこの報告書では必ずしも十分できておりませんが、今後の課題といたしまして、金利の問題も含めまして検討していきたいと思っております。
  239. 石垣一夫

    ○石垣委員 これはジャパン石油の経営について非常に重要な問題でございますから、ひとつ鋭意頑張っていただきたい、このように要望しておきます。  それから、「石油公団の開発事業に関する通商産業大臣の認可、承認事項」というのがございますね。これは七項目にわたってあるのですけれども、一番の「重要な財産の処分等の認可」、それから「出資比率の特例承認」、「貸付け比率の特例承認」、これは四番目ですね、それから六番に「据置期間の延長の承認」、七番目に「元本の減免の認可」、こういう七項目があるんですけれども、私は、時間がございませんので、特に七項目めの「貸付元本を減免する場合の認可」についてお聞きしたいと思うのです。  今日までこういう問題については全部、いわゆる課長の決裁だ、専決事項だ、過去こういうことで来られまして、今回、部長の決裁事項、こういうふうに改革されたんですけれども、堀内前大臣のあれでは、そういう伝言を受けていない、こう書かれているわけですよ。少なくとも、石油公団の業務方法書の第十九条、「元本の減免」については、これは「通商産業大臣の認可を受けて、」とありますね。これは認可が必要なんですよ。ところが、今日までの経過を見ますと、ほとんど大臣が知らない間に全部専決事項として決裁をしている。  ところが、この元本の減免の金額が非常に大きいのです。例えば、平成九年度は、エム・ジェー・シー石油、これが九十四億、それから、カンボジア石油十二億、その他、十三社合わせて百四十億。平成六年度で二百二十億、平成七年度で百五十一億、平成八年度で百五十一億、今日まで通算累積減免合計は千八百六徳、こういう数字があるわけです。これについて、それぞれの時点で課長決裁で全部済ましている。この業務方法書の十九条は、これは死文ですか。
  240. 今井康夫

    ○今井(康)政府委員 役所の専決処理について御報告申し上げますが、従来、減免の問題については課長の決裁でございました。それを、堀内大臣の御指示もありまして、私、石油部長、国会に対する説明責任を持った政府委員であるということで、石油部長の専決事項になったわけでございます。  ただ、私のところが専決でありましても、重要な案件については大臣の御了解を事前にいただくというのは当然でございまして、私、着任してまだ日が浅いわけでございますが、重要な案件については大臣の御了解を得て進めております。
  241. 石垣一夫

    ○石垣委員 そのことについて前大臣から厳しい指摘があったんです。それも反省されて、今後は石油部長の決裁でございますけれども、やはり年間百四、五十億の元本減免の決裁をするわけですから。金銭感覚の問題です、これは。億ですよ。そういうことで、今後、そういう指摘がないように、万遺漏のないような運営を私はやっていただきたい。  それから、同じく業務方法書の二十条には、「資金の貸付けを行うにあたり担保を徴するものとする。」こうなっておるのですね。これ、全部担保とっていますか。過去を含め、二百八十三社で、それぞれ貸し付けしたら担保とりましたか。
  242. 新欣樹

    ○新参考人 御指摘のように、業務方法書第二十条におきましては、「公団は、資金の貸付けを行うにあたり担保を徴するもの」とありますが、ただし書きがございまして、「ただし、担保を徴することが著しく困難又は不適当と認められる場合は、その一部又は全部を徴しないことができる。」とございまして、大体、石油開発、探鉱に当たる者というのは担保がないというような状況からスタートしておりますので、とってございません。
  243. 石垣一夫

    ○石垣委員 それじゃ、ただし書きをいいことにして担保をとらないということなら、この条文要りませんよ、それなら。  この会社は担保はないんですか、現場以外に。資本金があるじゃないか。違うんですか。株式があるじゃないですか。担保物件はないんですか。
  244. 新欣樹

    ○新参考人 株式といいますか、資本金というのは、結局、探鉱資金に充てられるようなものとして民間が出資されるものでございますので、担保には不適当かと存じます。
  245. 石垣一夫

    ○石垣委員 そうしたら、この二十条は、これはもう全然要らぬわけですな、石油公団の貸し付けを行う場合は。これは無視ですな。
  246. 新欣樹

    ○新参考人 今までのところでこれに該当するケースというものがなかったわけでございますが、今後、担保がとり得るものがあるのかどうかということは、そのケースに応じて判断したいと思っております。
  247. 石垣一夫

    ○石垣委員 いやいや、そんなもの、だからいいかげんな経営やっているんですよ、全部これ。石油公団。それじゃ、何でこの条文があるんだ、二十条。こんな二十条の条文、要らぬじゃないですか。これは、開発事業に関する認可事項として、きちっと業務方法書という法律ができているわけでしょう。それなら、石油公団、法律無視なんですか。今後は考えるなんて、そんなばかな話ありますか。
  248. 新欣樹

    ○新参考人 あくまで私ども、この二十条の規定に基づいて運用しておるつもりでございまして、ただし書きに基づきまして、担保を徴することが著しく困難または不適当と認められるケースがほとんどであるということでございます。
  249. 石垣一夫

    ○石垣委員 いや、それだったら、今後検討すると、そんなもの、検討せぬでもいいじゃないか、それなら。違うの。それで突っ張ったらよろしいじゃないか。何で今後検討するんだ、それだったら。
  250. 新欣樹

    ○新参考人 今、通常の石油開発、探鉱開発に対する資金の貸し付けということの意味で申し上げているわけでございまして、にわかには、担保を徴するケースというのは私の頭にはまだわかっておりませんが、こういうケースもひょっとしてあるかなということのために申し上げた次第でございます。
  251. 石垣一夫

    ○石垣委員 ひょっとしてあるかな、そんないいかげんな答弁をしてはだめですよ。十分検討してください。  時間がありませんので、これで終わります。      ――――◇―――――
  252. 原田昇左右

    原田委員長 この際、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、決算の適正を期し、行政監視の機能を果たすため、お手元の印刷物にありますとおり  平成八年度決算外二件  平成八年度一般会計予備費使用総調書及び各省   各庁所管使用調書外一件の承諾を求めるの件  平成九年度一般会計予備費使用総調書及び各省   各庁所管使用調書(その1)外五件の承諾を求   めるの件  歳入歳出実況に関する件外五件以上の各件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  253. 原田昇左右

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。  閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間、派遣地等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 原田昇左右

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  閉会中審査におきまして、参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 原田昇左右

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十一分散会