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1998-10-13 第143回国会 衆議院 金融安定化に関する特別委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月十三日(火曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 相沢 英之君    理事 石原 伸晃君 理事 大野 功統君    理事 藤井 孝男君 理事 村田 吉隆君    理事 山本 有二君 理事 池田 元久君    理事 中野 寛成君 理事 坂口  力君    理事 谷口 隆義君       愛知 和男君    伊藤 達也君       伊吹 文明君    江渡 聡徳君       大島 理森君    大野 松茂君       金田 英行君    河村 建夫君       倉成 正和君    佐田玄一郎君       下村 博文君    砂田 圭佑君       滝   実君    津島 雄二君       中谷  元君    蓮実  進君       宮本 一三君    保岡 興治君       山本 公一君    山本 幸三君      吉田六左エ門君    渡辺 博道君       渡辺 喜美君    上田 清司君       枝野 幸男君    岡田 克也君       海江田万里君    仙谷 由人君       中川 正春君    肥田美代子君       古川 元久君    石井 啓一君       上田  勇君    大口 善徳君       西川 知雄君    鈴木 淑夫君       西田  猛君    藤井 裕久君       木島日出夫君    佐々木憲昭君       春名 直章君    濱田 健一君       笹木 竜三君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         金融監督庁長官 日野 正晴君         大蔵省金融企画         局長      伏屋 和彦君  委員外出席者         議     員 大野 功統君         議     員 村田 吉隆君         議     員 保岡 興治君         議     員 山本 幸三君         衆議院調査局金         融安定化に関す         る特別調査室長 藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十三日  辞任         補欠選任   金田 英行君     下村 博文君   杉浦 正健君     渡辺 博道君   上田 清司君     中川 正春君   北村 哲男君     肥田美代子君 同日  辞任         補欠選任   下村 博文君     金田 英行君   渡辺 博道君     大島 理森君   中川 正春君     上田 清司君   肥田美代子君     北村 哲男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  金融機能早期健全化のための緊急措置に関す  る法律案保岡興治君外三名提出衆法第一五  号)      ――――◇―――――
  2. 相沢英之

    相沢委員長 これより会議を開きます。  保岡興治君外三名提出金融機能早期健全化のための緊急措置に関する法律案議題といたします。  この際、本案に対し、中野寛成君外二名から、民主党提案による修正案が、また、保岡興治君外七名から、自由民主党、平和・改革及び自由党の三派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。  提出者から順次趣旨説明を聴取いたします。岡田克也君。     ―――――――――――――  金融機能早期健全化のための緊急措置に関す   る法律案に対する修正案     〔本号末尾掲載〕     ―――――――――――――
  3. 岡田克也

    岡田委員 金融機能早期健全化のための緊急措置に関する法律案に対する修正案につきまして、民主党を代表して、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、金融機関等資本増強に関する緊急措置制度を設けることにより、我が国金融機能早期健全化を図ることを目的として、自由民主党提出したものであります。しかし、その内容は、最終的には国民の税金により担保された公的資金投入するにもかかわらず、投入基準や条件があいまいであり、国民に対する十分な説明もなされず、しかも、またしても問題先送りになるという極めて問題の多い法案であります。そこで、民主党としては、これらあいまいな点を明確化、具体化し、問題先送りをやめて思い切った解決を図るため、所要の大幅な修正を施すこととし、修正案提案させていただくものであります。  以下、修正案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、金融機関に対する資本増強を行うに当たって、行政による裁量をできる限り排除するため、金融再生委員会による株式等引き受け等の承認の要件を明確に定めることとしました。  第二に、資本増強申請する金融機関自己資本比率の算定において、その保有する有価証券評価低価法により行うものとすることとしました。  第三に、著しい過少資本銀行国際統一基準に係る自己資本比率が〇%以上二%未満国内基準に係る自己資本比率が〇%以上一%未満金融機関については、収益性等に照らしてその経営を維持することができない場合は、金融機能再生緊急措置法に基づいて、金融整理管財人による管理または特別公的管理に移行することとしました。  第四に、預金保険機構が行う借り入れ及び預金保険機構債券の発行の限度額について、国会の議決を経た額とすることとしました。  第五に、金融機関の真の経営実態を明らかにするため、金融機能再生緊急措置法の一部を改正し、金融機関資産査定基準及び引き当て基準明確化することとしました。  以上が、修正案趣旨であります。  自由民主党提出法案は、行政による裁量にゆだねる部分が多く、不透明な方法による巨額の公的資金投入を可能とするものであります。しかも、金融機関の真の経営実態を明らかにせず、見せかけの数字に基づいた資本増強を行うことから、その効果は全く不十分であり、またしても問題先送りとなることは明らかです。その上、特に著しい過少資本状態にある金融機関に対して、当該金融機関の存続が特に必要と認められる場合には資本増強できることとなっており、破綻した金融機関は救済しないとした金融機能再生緊急措置法と明らかに矛盾するものであります。  これに対し、民主党修正案は、何よりも国民に対する説明責任を果たし、思い切った問題解決を可能とするものであります。  何とぞ民主党修正案に御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手
  4. 相沢英之

    相沢委員長 次に、保岡興治君。     ―――――――――――――  金融機能早期健全化のための緊急措置に関す   る法律案に対する修正案     〔本号末尾掲載〕     ―――――――――――――
  5. 保岡興治

    保岡委員 私は、自由民主党、平和・改革及び自由党を代表して、ただいま議題となりました金融機能早期健全化のための緊急措置に関する法律案に対する修正案につきまして、提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。  この修正案は、我が国金融システムに対する内外の信認を回復することが現下の喫緊の課題であることが与野党の共通の認識であるとの理解のもと、本委員会での審議等を踏まえ、三会派において取りまとめた次第であります。  以下、この修正案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、目的規定に「不良債権処理を速やかに進める」ことを追加するとともに、この法案に基づく早期健全化のための施策を講ずる前提として、金融機関が適切に資産査定引き当て及び有価証券評価等を行うことを法律に明示することとしております。  第二に、原案における情報開示に係る措置をさらに充実させることとしております。具体的には、原案では、金融機能早期健全化のために講ずる施策原則として「情報等の適切かつ十分な開示に努めること。」と規定しておりますが、これを「情報等の適切かつ十分な開示を行うこと。」に改めるとともに、金融再生委員会による経営健全化計画履行状況公表を義務化することとしております。  第三に、虚偽記載に対して罰則等を強化することとしており、金融再生委員会は、経営健全化計画虚偽の事実が含まれていた場合には、この訂正を求めるとともに、虚偽事実の記載に対する罰則規定を追加することとしております。  第四に、原案では、金融再生委員会自己資本比率の各区分等を勘案して定めた基準に従った経営合理化経営責任株主責任明確化及び信用供与円滑化のための方策の実行が資本増強要件とされていますが、この要件自己資本比率の各区分に応じて明確かつ具体的に規定することとしております。  第五に、健全行優先株式等引き受けは限定することとし、原則として、破綻金融機関の受け皿となる金融機関及びそれに準ずるもの、急激かつ大幅な信用収縮回避のために不可欠なもの及び合併等金融再編の視点から資本増強を行うことが不可欠なものを対象にすることを規定することとしております。  第六に、原案では規定されておりませんが、特に著しい過少資本行については、金融再生委員会自己資本の充実、大幅な業務の縮小、合併または銀行業廃止等措置のいずれかを選択させた上実施するよう命ずるとともに、資本増強を行うことができるのは、地域経済にとって必要不可欠等の場合に限定することとしております。  その他、経営健全化計画株式等の消却のための財源確保策を加えること、経営健全化計画履行を確保するための措置を規定すること等所要修正を行うこととしております。  以上が、この修正案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手
  6. 相沢英之

    相沢委員長 以上で両修正案趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 相沢英之

    相沢委員長 これより原案及び両修正案を一括して質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川元久君。
  8. 古川元久

    古川委員 民主党古川元久でございます。  一カ月半近くにわたりまして、二カ月近くになりましょうか、この特別委員会で、我が国金融システムが一日も早く本当に安定するように、そして、二十一世紀に向けて一日も早く、金融システムが足を引っ張ることによって経済状況がますます悪化していくことのないように、そのために万全のやはり措置をとっていく。そういう考え方から、与野党とも、党利党略に乗る形でなく、今回いろいろな議論を行わせていただいたわけでございますが、昨日参議院の方を通過して成立をいたしました金融再生法案、それについては、私たち民主党もまさに共同責任をとるような形で、責任を共有するような形で破綻後の処理スキームについてはつくらせていただきました。  そして、ある意味で、小渕総理もそれと車の両輪をなすと言われておりますこの早期健全化スキーム議論をされて、きょうそれが採決されようとしているわけでございますが、もしこの車の両輪の一方がいわば最初からパンクをしているような状況であれば、これは、せっかくしっかりした金融再生法案という破綻処理についての一つスキームタイヤというものをつくっても、もう一方のタイヤパンクをしているようでは、走り出した途端にハンドル操作を誤って、せっかく正しい方向に行きかけようとしている日本金融システムを、また新たに混迷に巻き込んでしまうのではないか、私はそういう危惧を感じて仕方がないわけでございます。  この質問に入るに当たりまして、この車の両輪について、自民党さんはもちろんその両方責任政権党として負われたわけでございますが、平和・改革さんは、まさにこの両輪部分について、両方共同提案者ということで名を連ねられたわけでございますので、最初に、まさにその両輪について責任を共有することになられた御感想を平和・改革提出者から言いただければと思います。
  9. 坂口力

    坂口委員 前半の再生法のときには、古川先生初め民主党皆さん方と御一緒にやらせていただきまして、めでたく成立したところでございますが、今回のこの健全化法につきまして、民主党さんの方からの修正案も昨日見せていただいたところでございます。  再生法の方は、これはどちらかといいますと破綻処理の方でございますので、民主党さんの理想主義というものが貫かれて、私は大変それはよかったのではないかというふうに思っております。  ただ、今回の健全化法の方は破綻前の金融機関の問題でございまして、かなり現実経済社会というものに影響されるものでございます。それだけに、理想的な考え方現実経済動き両方を見ていかなければならない。そこに私たちの苦渋の選択もあったわけでございますが、理想理想としながらも、やはり現実的な経済動きというものも無視することはできないということで、私たち自民党側修正案を選ばせていただいたところでございます。  例えば有価証券低価法の問題にいたしましても、これは民主党さんが御提案になっておりますように、すぐに低価法なりあるいは時価法なりという方向に向かう方が私たちも実はいいと思っているわけでありますが、しかし、これは生きている経済でございますので、そのよしあしとは別にいたしまして、またそれが理想的であるかどうかは別にいたしまして、その与える影響、それによって起こるさまざまな変化、そうしたものがあるわけでございます。そうしたものを勘案いたしましたときに、やはり、理想理想としながらも、しかし段階的な改革というものが必要なのではないか、そんなふうに思ったところでございます。  お答えになったかどうかわかりませんが、突然の御指名でございましたので、お答えをさせていただきました。
  10. 古川元久

    古川委員 ありがとうございました。  坂口先生の苦悩が今の御答弁からもかなりうかがえました。お気持ちをお伺いしただけでございましたが、次に聞こうと思っております、今提出されております修正案と私ども民主党提出いたしました修正案と、どういうふうな違いがあって、どこがすぐれているというふうにとらえられてこの提出者となられたのか、その点までちょっと踏み込まれたかと思うのですけれども、今、破綻処理については理想である、今度、破綻処理については理想だけでなくむしろ現実をというお話がございました。  確かに、私たち民主党も決して現実を見据えておらないわけではありません。むしろ現実を私たちが一番深刻に受けとめているからこそ、しかも今度の破綻処理スキームの中では、私たちも、その金額だけが前に出まして、五十兆円の枠組みとかそういう金額だけが躍っておりましたので誤解を国民皆さんにも与えたところがございますが、それぐらいのお金を使ってでも、金融システムを安定させなければいけないものはさせなければいけない。ただし、一時的とはいえこれはリスクのあることにお金を使うわけでございますから、しかも、もしそこで損が出た場合には、それは最終的に国民皆さんに負担をしていただかなきゃいけない話になる。  そういった意味では、余りに現実――今坂口先生のおっしゃった現実というのは、責任とかあるいは基準とか、今低価法お話もございましたけれども、そういうルール部分を余りあいまいにしておきますと、最終的に損失が大きくなった場合にどう国民に対して説明をするのか。最終的に、これは一時的とはいえ国民リスクお金を民間の一企業に投入するということになるわけですから、それの大前提といたしましては、ちゃんと国民が納得できるようなそういう枠組みというものは、まさにこれは現実問題として考えなければならない問題ではないか、そのように私ども考えておるわけでございます。  そうした点から、私どもも、破綻処理スキームにつきましては――破綻処理スキームについては、政府案ではだめだということで、先生にも御参加をいただいたわけでございますが、野党三党が協力をして、まさにお役所の力をかりないで、私たち政治家の力で金融再生法案というものをまとめ上げ、それをベースにした金融再生法が昨日成立した、そういう画期的なことを行ったわけでございます。  しかしながら、今のお話にもありましたように、現実金融状況そして経済状況、そうしたものが大変に厳しい。そうしたものを踏まえて、この金融早期健全化法につきましては、私ども民主党もまさに修正という形で修正案を出させていただいたわけでございますが、それにもかかわらず、私ども修正案ではなく自民党さんの出された修正案の方に共同提案者として並ばれたわけでございます。  そこで、これは提案者の方々、自民党、もう一度坂口先生、そして自由党提案者の方にもお伺いしたいのですが、皆様方がお考えになっている、自民党、平和・改革自由党が出された修正案が私ども修正案よりもどの点ですぐれておられるのか。私どもは、これは大規模な資本投入をするのであれば、それに見合った情報開示、そして明確なルールの設定といったものはやはり最低限必要だと思うのですが、そうしたものを提案しております私ども提案にどうして乗っていただけないのか、その点を御説明いただければと思うのです。
  11. 保岡興治

    保岡委員 古川議員が言われますとおり、金融再生法と今度我々で提案いたしました金融健全化法というのはまさに車の両輪で、前者が破綻処理に関する対応、そして今度は存続可能な銀行に対して、今の金融危機対応し、そうしてまた金融再編という積極的な二十一世紀我が国金融を構築する、そういった大きな目的のためにも、今度の施策というもの、制度というものは非常に重要だという点は、お互い認識は変わりないと思います。  しかしながら、まず資本増強対象となります金融機関に、民主党案でいきますと、自己資本比率八%以上の銀行株式等引き受け対象にしないことになっておりますが、これはやはり八%以上の金融機関とはいえ、システミックリスクというものを考えた場合には、健全な銀行といえどもなぎ倒されるという事態もないわけではない。金融安定化スキームというのは、あらゆる事態対応する万全なものでなければならないという意味で、私は、その点がない民主党案については一つの問題がある、こういうふうに思います。  それからまた、経営健全化計画というものが今度のスキームの中心的な命題になって、資本増強を行う際にはそれを提出していただいて承認するということになっているわけでございますが、これが申請後五年間という長期のものになっております。もちろん、ある程度長期のものも必要でありましょうけれども、問題は当面の危機回避であり、再編を急がれる状況の中での健全化計画でありますから、こういう点はもう少し短期間を想定する必要があるのではないかということ。  それから、健全化計画及び履行状況公表除外理由が、預金者等その他健全な取引者の秘密を害するおそれのある事項に限定されております。しかしながら、健全化計画というものをしっかりした内容のものとして、これを適切に判断していくためには、申請行のいろいろな情報というものを附属書類その他で出していただいて、それをよく検討して審査する、承認するということが必要でございます。  そういった意味で、健全化計画の中には、それをしっかりした内容にすればするほど、場合によっては、申請金融機関業務の遂行上、不当な利益を与えるような情報も中にはないわけではないと思います。そういったものの除外が必要であるほか、例えば合併等のことが触れられた場合、それが事前に漏えいするということが、当該行業務にも非常に重大な問題を起こすということもありましょうし、またシステミックリスクが発生するような大きな広がりをつくってしまうというようなケースもないわけではない。そういうことに対する情報開示についての除外事由というものは、やはり私は必要なことだと思います。  それから、役員解任命令というものが決められておりまして、健全化計画履行がされていないと認めるとき、あるいは優先株式等に対する利益の配当を確保することが困難であると認められる場合、取締役等役員解任を命ずるという措置民主党案にありますが、これは株主権との関係で、もう少し慎重に考えた方がいいのじゃないかと我々は考えました。  資産売却命令等については、場合によってはそういうことも、業務改善命令などの一環としてないわけではないとは思いますが、特に一番問題な点は、先ほど坂口提案者からも説明がありました不良資産に対する引き当て率強制でございます。  これは、御案内のとおり、時価を反映したり、あるいは十分な備えをするために低価法を採用することは、一つ理想的な考え方ではあると思うし、いずれそういうものにできるだけ早い機会に我が国対応できるものでなければならないとは思いますが、現下の本当に危機的な状況国民経済危機金融危機にあえいでいる、こういう状況において、さらに、高い、実態を正確に反映しない引き当て率強制するということは、無用な資金金融機関にとどめることにさせると同時に、そのために貸し渋りがさらに広がるという危険性があることを考えると、今は何をおいてもこの経済危機を乗り越えるということを前提にすれば、この強制引き当てというものは今時点においては非常に危険な対応で、そういうリスクを我々は冒すべきではない、そういうふうに考えているところでございます。
  12. 坂口力

    坂口委員 先ほども少しだけ答弁させていただきましたが、どちらがいいかと言われれば、甲乙つけがたいと私は実は思っております。どちらが理想的かと言われれば、私は民主党さんの方が理想的だと実は思っているわけでありまして、そこは、古川先生の御質問だからそう申し上げるのではなく、心底実はそう思っているわけです。  ただ、それじゃおまえはなぜそこに立って答弁しているのか、こういうことを言われるわけでございますので、もう少しだけ申し上げなければなりませんが、先ほども半分申し上げましたように、再生法の方は、これは非常に理想的なことで済んでいくのだろうけれども、しかし健全化法の方は、再生法解剖学なら、こちらの方は生理学でありまして、日々の動きというものが非常に影響が大きい。現実の世界、現実経済社会動きというものが必ずしも理想どおりにいかない、そういう動きでございますから、理想理想としながらも、しかし一歩一歩行く以外にないのだろう。こういう日本経済の厳しいときでございますから、その状態を見ましたときに、一足飛びに行くということにはやはり危険性もある。そこは一歩一歩前進することの方が賢明ではないかという判断でございます。  しかし、初めにも申しましたとおり、民主党の案にあこがれを持っていることだけは事実でございまして、ましてや民主党さんに対する友情を失ったわけではございません。余分でございますが、一言つけ加えておきます。
  13. 藤井裕久

    藤井(裕)委員 私も、古川さん初め皆さんが長いことかかって専門的に勉強された積み上げが民主党案であるということはよく承知をいたしております。特に、拝見いたしておりまして、情報開示、公開ということについて、すぐれた発想であるというふうに考えております。  そこで、我々の考えは何かということを申し上げることでお答えにさせていただきたいと思います。  私どもは、この金融問題の法律一連のものを考えるときに、一つは、経済がここまで来てしまったために不良債権が非常に大きくなった、これを早期処理しなければならない。これは一つの柱です。もう一つ柱がある。それは、金融ビッグバンに対して、あの物の考え方というものにしっかりと対応していかなければならない、こういうことだと思うのです。この二つを兼ね合わせたものが一連金融関係法であるというふうに私は考えています。  そういう意味で、金融ビッグバンから考えますと、やはりオーバーバンキングであることも間違いないのだし、効率の悪い銀行のあることも間違いないわけで、そういう中で世界にちゃんと伍せられるだけの強靱な体力を持った金融システムをつくっていかなければならない。こういうことを考えますと、やはりどうしても合併だとか大幅なリストラということが出てくる。  それに対して、大変失礼なんですが、民主党さんの案は、業務改善命令等々のことが、本当のことを言うと政府案原案にも載っていなかった。皆さんのにも載っていない。私どもは、いろいろ議論する中で、合併等を含む業務改善命令を出すことによって強い金融システムをつくっていくということの柱がどうしても必要だと考えて、今のような態度をとらせていただきました。  なお、大変皆様方がすぐれていると私申し上げました情報開示につきましても、ちょっとさっき保岡さん触れられましたけれども資産評価基準引き当て基準、そしてその結果としての自己資本基準、あるいはその中で銀行のランクづけ等々を初めて法律で明記したわけですね。法律で明記した。今までの原案は、大変失礼ですが、そこいらは全部行政裁量権に入っていた。これをやめるということによってそこの基準を明確にし、同時に、仮に虚偽のことを申告してきたらそれは罰則を付するという修正も加えられましたので、私はそのことについても、民主党さんの案の物事の本質はこの修正案には入っていると考えて、我々はこちらに座る立場に立っているということを申し上げたいと思います。
  14. 古川元久

    古川委員 大先輩の御答弁ですので、私の理解が足らないのか、あるいは状況が、ここ毎日のように二転三転いろいろしておりますので、その案に私が気がつかないところで変わっていたのか知りませんが、今の藤井先生お話を聞きますと、私ども修正案にはちゃんと引き当て率等まで法律の中で明示しておるわけでございまして、政府案の方は、要はこれは金融監督庁が決めると書いてあるだけでございますから、何も中身が決まっているわけではないのですね。  そういった意味で、今の坂口先生そして藤井先生お話を聞いておりますと、決して今自民党さんと一緒に共同提出されておる案が私どもの案にすぐれておるというふうに考えておられるわけではないような認識、これは私の認識が間違っておるのかもしれませんが、私は認識いたしております。  私は、つい先日、こちらの委員会金融再生法案が通る直前に、自民党の方の某大先輩の議員の先生から、党内の勉強会か何かで、野党を洗脳することができたというお話があったという話がございましたけれども、私たち民主党はそういうつもりはなかったものですから、今回そちらに坂口先生お座りになっておられますから、洗脳されたのは坂口先生たちだったのか、そういう心配をしておりましたが、今の坂口先生の御答弁を聞きまして、まだそこまで、洗脳というのは自分がそういう立場に立っておられること自体がわからなくなることでございますから、そういった意味ではまだそこまで洗脳はされていないということを今確認をさせていただいて、ちょっと安心をした次第でございます。  もう少し中身に入っていきたいと思うのですが、今のお話にもございました、これは藤井先生お話の中でもあったのですけれども、次に考えていきたいのは、昨日成立いたしました金融再生法とこれは車の両輪という話でございますから、どのように両者の関係をとっていくのか。  きのうの委員会での鈴木先生の御質問は、破綻処理は後ろ向きの話だ、今度の話は前向きですからどんどん宣伝をしてくださいと。宮澤大蔵大臣も、この委員会で見たこともないようなにこやかな笑顔で、鈴木先生と何度も厳しい議論を交わしておられたのをずっと見ておりました私などからは、やはり永田町というのはよくわからないところだなという意識を持ったわけでございますけれども。鈴木先生からもお話がありましたが、ただ、これは両輪でありますから、破綻処理スキーム早期健全化スキームとがそごを来すようなことがあってはいけないわけでございます。  とりわけ、これは私たち野党三党、中でも自由党さんが私たち野党三党間の協議でも一番はっきりした主張をされておりました金融機能安定化特別措置法を廃止したわけですね。これを廃止をするということを金融再生法案に入れてあの破綻処理スキームをつくったわけであります。  しかしながら、これは民主党の議員の勉強が足らないせいなのかもしれませんが、今回の今共同提案されておられます提案は、確かに、前のときのように、要するに破綻のおそれがないところにだけ入れるというわけではなくて、本来であれば破綻してもおかしくないような、非常に著しく資本の欠損したようなところまで資本注入できるという形になっております。しかし、これはよく見てみると、実はあの金融機能安定化特別措置法をちょっと化粧がえして、この前着物を着ていたのが今度はドレスを着て出てきたような、そんなふうにしか私ども見えないのでございますが、そこについての御説明をしていただけますでしょうか。
  15. 藤井裕久

    藤井(裕)委員 破綻前と破綻後といいましょうか、二つの法律には、私どもは画然と差異があるべきであるというふうに考えてずっと発言してまいりました。私は、はっきり言いまして、破綻後に、必ずしも破綻していないものまで引き込んだ案というものに、だから反対をしたわけであります。あれはまさに破綻スキームだと考えなければいけない。したがいまして、あの修正案には反対をいたしました。  今度は破綻前の話でありまして、私どもは、この修正案の中に明記してありますように、債務債権の関係が、つまり自己資本比率〇というものは救わない、これは明確に書いてあります。そして、地域に密接に関係のあるところについては〇から二の間、〇じゃありませんよ、〇超ですよ、〇から二の間について、それについて物の考え方を整理して、特に地域の経済に非常に影響のあるものについては入れることもあり得る、また八%以上についても一定の条件をつけて入れることもあり得るとして、前の十三兆のときはそこいらの基準がなかったのですよ。だから、それでは困るということから、単なる衣がえでない、全く質的に違ったスキームだと私は考えておりますので、御了解をいただきたいと思います。
  16. 村田吉隆

    村田(吉)委員 古川先生の御議論につけ加えさせていただきますし、また藤井大先輩の御説明につけ加えさせていただきたいと思いますが、昨日の岡田議員の質疑の中でも、破綻に近い破綻周辺部分の問題の処理に当たって、再生関連法案と今回の法案との関係がどうか、そういう御指摘もあったわけであります。  私どもは、今、藤井委員から言われたように、〇から二%、そういう場合については、地域経済が本当に求めるもの、そういうものは存続させよう、しかし、再生関連法案と今回の法案との違いは、前の法案は、再生法破綻後の処理であるということ、そしてこちらは破綻していない金融機関についての資本注入を定めてあるものだということをはっきり書いてある。  それから、きょう提出しました修正案の中でも、〇から二のケースについては、「当該銀行が特に著しい過少資本状況にある旨の区分に該当するときは、当該銀行の存続が地域経済にとって必要不可欠である場合その他特に必要と認められる場合」ということを明記したということでございます。
  17. 古川元久

    古川委員 今のお話の中で、ここだけ確認しておきたい。〇は入っているのですか、入っていないのですか、どっちですか。
  18. 村田吉隆

    村田(吉)委員 その場合も、今申したような条件に該当すれば資本注入の該当となる、そういうことだと思います。
  19. 古川元久

    古川委員 では〇%も入っているというか、〇%ということは破綻なんではないですかね、それは。答弁されますか。
  20. 村田吉隆

    村田(吉)委員 これも昨日から議論になっているところでありますが、今回の法案のケースは、債務超過ではないということ、これが六条にしっかりと書いてありまして、それが条件でございます。
  21. 古川元久

    古川委員 ということは、では〇は入っているというふうに考えていいわけですね。そうしますと、藤井先生のおっしゃることと矛盾するのではないですか、藤井先生
  22. 保岡興治

    保岡委員 先ほど藤井先生が言われたことは、これは恐らく、債務超過にもなっていない資産超過にもなっていない、〇という場合は、一般的なケースとして考えればほとんどこの健全化スキーム対象にならないだろうという趣旨を実質言われたのだろうと思うのです。しかし、法律にはきちっと、今村田議員が言われたとおり、債務超過でない場合、こういうことになっておりますから、〇というものも含まれる。  しかし、その場合に、きのうからの議論で、じゃ、いわゆる再生法における公的管理と著しい過少資本行に対する資本注入とが重なるケースがあってあいまいじゃないかという御指摘が重ねてあるわけでございますけれども、純公的管理というのは全株国が取得するというケースですね。また、著しい過少資本行で減資を行い、第三者割り当てをして、そしてこれを国が引き受ける場合というのは、実質支配ができればいいので、五〇%を超える場合もあれば、事実上それよりか少ない株式の保有でその目的を達成することができる場合もある。  しかし、いずれにしても、市場経済というものを大原則とする我が国においては、市場の力、民間の力というものをできるだけ生かしていく、その上で公的な支援を行っていくという基本がありますから、債務超過と資産超過の境の〇においても、選択肢が二つあっても、それは危機管理対応、あるいは破綻処理対応としてすぐれているスキームだ、私はそういうふうに思います。
  23. 古川元久

    古川委員 鈴木先生お話しされますと長くなりますが、ちょっと鈴木先生、今週の週刊東洋経済で、「自己査定に基づく不良債権を自主開示し、第Ⅳ分類は一〇〇%、第Ⅲ分類は七五%、第Ⅱ分類は二〇%の引き当てをする。その結果、自己資本比率が国際業務をする八%銀行の場合は二%以下、国内業務限定の四%銀行の場合は一%以下になったら、業務停止して清算に入る。」そう御自分でインタビューで答えていらっしゃいますね。今みたいなお話でいいのですか、これは。
  24. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 長くならないようにしようとは思いますが、最初に、さっき藤井提出者が〇は入る、入らないと言った点について正確に申しますと、確かに、当該銀行がその財産をもって債務を完済することができない状態でありますから、債務と資産が等しければ完済できるよ、だから〇も入るよ、理屈をこねればそういうことは言えるのですね。だけれども、さっき藤井提出者が言ったのはこの法の精神に基づいているわけで、著しい過少資本行の場合は、銀行業務の廃止を含めて命令が出せるのですね。だから、そういう意味で、ちょうどとんとんの自己資本比率〇だったら、当然その対象になるだろうなということで答えていたというふうに思います。  それから次に、週刊東洋経済は、これはインタビューを受けたのは大体二週間ぐらい前で、その時点での私の意見を中心にしゃべったわけですけれども、実は、そのとき私は、第二分類というのは、アメリカではもっともっと細分化されていろいろなものがごっちゃに入っておる、本来なら引き当て率一〇%でいいものも入っていれば、一五%でいいのも入っていれば、二〇じゃなきゃいけないのも入っている、ごっちゃだよ、だから、ここももう少し細分化していかなきゃいけないんだよというふうに答えているのですね。  だけれども、そこでは非常にステレオタイプ化してそういうふうに書かれておるということで、第二分類についてはもう少しきめ細かくやらなきゃいけないと思います。その上で、二%あるいは一%未満自己資本比率行については、別に〇じゃなくても、二未満、一未満については中身をよく見た上で業務停止命令を出して清算させるということも大いにあり得ると私は思います。  それで、この我々が共同で出している案においても、そういう業務停止を含めたさまざまのケースがあって、そういう命令を出すと書いてあります。
  25. 古川元久

    古川委員 日ごろはっきりと筋を通される鈴木先生の御発言としては、何かきょうは非常に奥歯に物が挟まったような言い方で、従来から自由党さんは、経営の健全性の確保が困難な金融機関は存続させない、これははっきりとおっしゃってきたわけですね。まさにこのインタビューでもその部分ははっきりされておられる。  小沢党首を初め自由党は、筋を通すのが自由党だ、そういう宣伝でやってこられて、まさに国民自由党に期待している人たちも、そういう世論に迎合しなくて筋を通すところ、そこに自由党の支持者があるというふうに党首なども言っておられるかと私は聞き及んでいるわけでございますが、そのかたい筋が、かた過ぎて折れちゃったのかな、そんな気がいたすわけでございます。  じゃ、これは二週間前だ、状況が変わったとお話しされましたけれども、今の鈴木先生お話だと、要は、一%以下のようなところは業務停止をさせるのだ、そういう認識をしておられるというふうに言われましたが、それで自民党さんもよろしいのですね。
  26. 保岡興治

    保岡委員 著しい過少資本行の場合は、いろいろな資本充実を命じて、まずみずから努力させて、そうでない場合、資本増強を行うに適するかどうかを判断する場合もありますし、合併とか営業譲渡、そういったことを促す場合も、当事者である金融機関の選択で一応求めて、それが適切であるかどうか判断する。場合によっては業務停止という場合もありましょうし、いわゆる金融再生法に言う公的管理に移行するケースもあろうかと思います。それはケースによって判断されるべきものであろうと思います。
  27. 古川元久

    古川委員 今の保岡先生お話を伺いますと、鈴木先生がおっしゃっているような清算に向かうような部分は極めて例外的であるというふうに見ますけれども、鈴木先生、それはいいのですか。
  28. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 保岡提出者も、どれが原則だなどとは一言も言っていないわけですね。今ずらずらと並べられたような方法の中から選択するが、それを見てこれは無理だと思ったら業務停止命令を出すということなんですね。だからケース・バイ・ケースでありまして、どれが原則になるか、これはやってみなきゃわからないことですが、要するに、二%未満、一%未満については、我々自由党がかねてから主張しているように、業務停止というケースを含んでいるわけですね。それは、その状況、具体的なケースによってさまざまあり得るが、私は、業務停止を必ずさせるとは言っていない。含んでいる、含んでいるとさっきから言っているわけです。そういう意味では、我々の主張はここに入ったわけであります。
  29. 古川元久

    古川委員 三党協議の中で、鈴木先生が、とにかく整理という言葉もだめだ、清算という言葉を使えと。そこまで存続可能でない銀行については原則清算だというふうに主張されておられた同じ先生がこういう御答弁をされるということについて、私も尊敬しておりました先生の御発言で、大変に残念でございます。まさに今の御発言が本当に、この法律が実際に運用されていく中で、鈴木先生の言われていることが担保されるのかどうか。それは時に判定していただくことになりますから、それに任せるといたしますが、やはり私は、自由党さんが言ってこられたそこの原則を曲げてまでこの法案を共同提出された、どうしてもそこについては納得ができない。  金融再生法案については、まさに自由党さんは、存続可能でない銀行についてそれを結局存続させるものになるのだというお話をされたわけですね。それで共同提出にも乗られなかった。それにもかかわらず、この金融早期健全化法については、今おっしゃったようなところについて、かなりの確率、恐らくほとんどが、今のような極めて過少資本の一%、〇%近くのものでも実質的には救われてしまう、そういうものでも、清算というものも一手段として入っているから、それで乗ったのだというところについては、もう少しよく考えていただきたかったなというふうに思います。  次の質問に移らせていただきたいと思いますが、先ほど藤井先生お話の中でも、今回のこの法案にはかなり、引き当てだとか、法律上でルールがしっかりと明示されているというお話がございました。  しかしながら、この法律案修正案を見せていただきますと、その引き当てについては、三条の二項で「金融再生委員会金融機関等の有する債権の貸倒れ等の実態を踏まえて定めるところにより、前号に規定する資産査定の結果に基づき、適切に引当て等を行うこと。」というふうにありますが、この号については、第二十一条で「金融再生委員会は、第三条第二項及び第三項並びに前条の規定による権限を金融監督庁長官に委任する。」というふうにあります。  ということは、これはまずその事実関係を確認いたしたいのでございますが、この引き当て率というものは、まさにこれは結局金融監督庁が定めるというふうに理解してよろしいのですか。
  30. 山本幸三

    山本(幸)委員 法律でそのように書いております。
  31. 古川元久

    古川委員 ということは、引き当て率等については、金融再生委員会実態的には金融監督庁に要は丸投げしてしまっているわけですよね。これで本当に基準が明示されていると言えるのかどうか。  坂口先生に御質問いたしますけれども、とりわけ平和・改革さんは、さきの金融再生法案の協議のときに、こうした公的な関与をする、そういうものについては行政の判断だけでなく客観的な第三者の判断とかそういうものが必要だ、だから今の金融監督庁だけじゃなくて裁判所の関与をかませるべきだ、そういうような御主張までされた。そういった意味では、今の行政機構にこういったものの権限を任せてしまってはいけないのではないか、そういった思想が極めて強かったのではないかと思うのです。  そういった観点からいたしますと、引き当て率をどれくらいにするか、そういったものを金融再生委員会でなくて金融監督庁がすべて決めてしまう、これは権限が委任されてしまっておりますから金融再生委員会は手が出せない、金融監督庁が出したそのままにしか乗れない、そういうことになってしまっているわけでございますが、それで、平和・改革さんが言ってこられた思想はこの中で生きてくるのでしょうか。
  32. 坂口力

    坂口委員 御指摘のように、できる限り裁量行政が行われないように、ルールに従ったルール行政が行われるように私たちは主張してまいりましたし、この法案修正に当たりましても、できるだけそういうふうにしてほしいということを指摘をしてきたところでございます。ただしかし、金融監督庁によります基準でありますとか規則でありますとか、そうしたところにゆだねることが多くなっていることは御案内のとおりでございます。  それで、そこをもう少し何とかすることができ得ないか、もう少しそこを具体的にすることができ得ないかということを我々も主張してまいりました。しかし、残念ながらさきの再生法案の方もゆだねてしまっているものですから、そこをどうするか、そことたがえるというのもまたおかしい、一緒にしていかなければならないということもあって、そしてこういう事態に落ち着かざるを得なかった。  こういう状況になっておりますことに満足を決してしているわけではございません。もう少しここは裁量行政のできないようにしていかなければならないというふうに今も思っていることは事実でございます。いろいろお話をしましたけれども、これ以上進まなかったというのが事実でございます。
  33. 古川元久

    古川委員 お気持ちはわかるのですけれども、共同提出者になられるということは、まさに責任を共有されることになるわけですから、そういった意味で、本当にこれで――私たちが出した再生法案のときには、これは金融再生委員会委員会規則で決めるということになっていました。今回、私たち修正案の中でその部分をまた修正をして、引き当て率については法律で定めるという形で出させていただいているわけでございますが、そういった意味では、本来責任を共有するということであれば、そこについてまで考えられるのがやはり筋ではないのかな。  私ども、平和・改革さんとはここまで一緒にやらせてきていただきましたので、そういう不本意な形で受け入れられて、それで責任だけおっかぶされる、そういう状況に至られるのは、一緒に苦労をともにしてきた仲間といたしまして大変に心配な気がいたすものですから、余計なおせっかいかと思いますが、申し上げるわけでございます。  まさに、引き当て率のところにつきましていえば、今おっしゃったようなところ、これは監督庁に完全に権限が委任されていますから、再生委員会は全く口が出せないということになってしまうわけですよね。ですから、ここのところは何とか、提案者であるわけですから、これは修正するとかそういうような御発言まではできないのですか。
  34. 坂口力

    坂口委員 初めは、適切な資産査定でありますとか、あるいは引き当てでありますとか評価でありますとかいうようなところも、この法案の中の文言としては入っていなかったわけでございます。何とかしてこの法律の中に言葉を入れて、そしてある程度法律で縛る、できる限り法律によらなければならないようにできないかというので、いろいろと交渉した。  初めはなかったわけでございますが、この辺のところが、この金融機能再生緊急措置法案の、法案じゃないです、もう通りましたから法ですね、法の「第六条第二項に規定する基準に従い」「適切に資産査定を行うこと。」こういうふうに一応ここに文言として入ってきた。これは一歩前進だというふうに思っているところでございます。また、その後の「適切に引当て等を行うこと。」もそれは同じでございまして、そうした意味で、ここへとにかく引っ張り出してきたというところは、一つ前進をしたというふうに思っております。
  35. 山本幸三

    山本(幸)委員 もう少し補足させていただきますが、資産査定ですけれども、三条二項で金融再生委員会が定めるところによるということでありまして、基本的には、金融再生委員会がその基本的な方針を決める。ただし、権限の委任の規定のところがありますので、そこの部分、実際はそれぞれの実績率等を勘案して決めていかなければなりませんから、監督庁と権限をどのように割り振るかということがあり得るわけであります。しかし、再生委員会が自分でやるということになれば、権限の委任のところも再生委員会規則で定めるところを除くとありますので、そこは再生委員会の判断に最終的にはゆだねられるということであります。
  36. 古川元久

    古川委員 ということは、今の山本先生お話ですと、ここに「実態を踏まえて定めるところにより、」とありますが、これは規則で定めてもいいというふうに理解していいということですか。
  37. 山本幸三

    山本(幸)委員 それは、金融再生委員会が定めるところによりでございますので、再生委員会が判断することであります。
  38. 古川元久

    古川委員 そういうふうに再生委員会が定めることということであれば、そういうわかりにくい、まさに裁量行政をできるだけ今や排除していこうということになっているわけでありますから、そういうことであれば、坂口先生、今のお話であったように、そこまでは、規則で定めるということまではいいというふうに自民党さんもおっしゃっているわけですから、提出者さんもおっしゃっていらっしゃるわけですから、ぜひ、そこのところをもう一歩踏み込んでいただきたかったなという気がいたします。  いずれにいたしましても、これは、藤井先生最初におっしゃったような形でルール法律明確化されたと到底言えないということは、藤井先生も役所にいらっしゃいましたからよく御承知だと思います。このような中では、実質的には多くが行政裁量の中にゆだねられてしまうという結果になってしまう。  そこについて、平和・改革そして自由党両党は、政権党であります自民党さんと責任を共有されるということで、私たちは、そこがはっきりしない以上、こうした問題についてそういう責任を、やはり責任を共有するためにはそれだけの枠組みができなければ共有できないというのは、自由党さんが金融再生法案のときに共同提出者から抜けられたことからもおわかりだと思いますが、そういった趣旨で私たちはこの法案には乗れなかった。その意味でも、私たちがなぜ乗らなかったか、そこをぜひとも平和・改革そして自由の皆さんには理解をしていただきたいなというふうに思います。  時間も少なくなってまいりましたので、まさにこの委員会考えてきました、これまで議論されていましたことを踏まえて、最初保岡先生お話の中でも、今回の法案はまさに金融再編を進めていくものだというお話がございました。  私たち民主党は、金融ビッグバンをもう目前に控えて、一日も早く新たな形で金融システムの新秩序をつくり上げ、そして長期的に安定するような状況をやはり一日も早くつくり出すこと、そうした枠組みをこの委員会での論議でつくり出すこと、それこそが私たち政治家に求められることではないかというふうに考えておりますが、そういった点から私たち民主党考えますには、この法案で一体どのように金融再編が進んでいくのか、これではむしろ実質的に金融再編をまた先延ばししてしまうことになるのではないか、そのように危惧をしておるわけでございます。  その点に関しまして、これは自由民主党さんといいますよりも、政府として大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思いますし、また、この法案に乗られた、野党であります平和・改革そして自由党の両提出者の方々は、この法案によってどういう形で金融再編が進んでいくというふうに考えておられるのか、その御意見をお伺いさせていただきたいと思います。
  39. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 別にそういう心配はいたしておりません。
  40. 古川元久

    古川委員 大臣、大変にきょうは、きのうの鈴木先生とは違って御気分を害しておられるようでございますが、私がお伺いしておりますのは、この法案によってどういう形で金融再編が進んでいくことになると考えておられるのか。これは、出したからといって、いや、このままずっとあとはやるままに任せておくよということなんでしょうか。あるいは、これによってやはり何らか政策を打ち出すということは、その効果というものが及んでいくものだと思いますが、その辺についてはどのようにお考えになっておられるのか、それをお伺いしたいというふうに思っているわけです。
  41. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これというのはどれを指していらっしゃるのですか。
  42. 古川元久

    古川委員 この今出ている法案です。
  43. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 どの法案
  44. 古川元久

    古川委員 この早期健全化スキームの、今まさに審議している法案です。
  45. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 修正前の法案
  46. 古川元久

    古川委員 いや、修正後の法案
  47. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 どの修正ですか。
  48. 古川元久

    古川委員 だから、自民党さんとこちらの平和・改革さんとみんなで出しておられる、今まさにここで審議している法案です。
  49. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いや、ほかの修正案審議されておりますから、そのどちらかと伺ったのです。
  50. 古川元久

    古川委員 ですから、今まさに、三会派の。
  51. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 きのうも申し上げましたが、やはり護送船団方式というものが終了して、厳しい銀行監査が行われて、そして各行はもうディスクローズをしなければ弱者だと思われるような関係になりますので、そういう中で、幾つかの国際業務に活躍する金融機関も出てくると思いますが、国際業務を今やっております幾つかの銀行は撤収することになろうか、それは地方銀行も含めましてです。そして国内では、やはり各行が自分の得意とする分野で商品をつくり、サービスをするということになろうかと思います。地方銀行は大体余り変わらないように思いますけれども。そういう中で、利用者、お客さんにとっては自由競争の中でいろいろな選択ができる、そういう状況になっていくと考えております。
  52. 古川元久

    古川委員 今のお話、別にこの法案があろうがなかろうが、いつも何か聞かされておるお話のような気がいたしますが、この法案ができることによって、金融再編どのように進んでいくと思われているか、平和・改革さんと自由党さんからお話を伺いたいと思います。
  53. 坂口力

    坂口委員 これがどのように影響をしていくかということはよくわかりにくい点もございますが、いずれにいたしましても、今回の法律は、これは有事に際する法律でございます。平時になりましたときに今回のこの法案が残した影響がどういうふうに出るかということでございますが、私は、この現在の法案が効力を発揮しております間に、いわゆる自立ができる金融機関というものができ上がり、国民の側もまた、預金者の側もまた自己責任の確立した立場というものを認識をして、そして国際的な金融システムというものをつくり上げていくということにしなければならないんだろうというふうに思っております。  これから先どれほど国際化が進んでいくかということは、日本における産業の国際化と直接結びつく話であろうというふうに思いますから、その進展度合いによってもこれは大いに違うというふうに思いますが、いずれにいたしましても、国際化することだけは間違いありません。受け皿銀行になります銀行が外国銀行であることもあるでしょうし、また預金者にとりましては、外国の銀行に預金をして、その銀行破綻の起こることもあるでしょう。そうした国際化の中で、危機管理というものもまた新しい立場で自分たちのものとして身につけていくという、それをこれからやろうというふうにするのがこの法案ではないかというふうに思っております。との法案によって金融機関がやはり危機管理というものを身につけて、そして自立をしていくようにする、そのことがより大事なことであり、そういうふうになるのではないかというふうに期待をいたしているところでございます。
  54. 藤井裕久

    藤井(裕)委員 十分御承知のように、この法律ができることによって、早期不良資産処理、これだけははっきりできると思いますね。その結果、いろんな自己資本状況に陥っていく銀行もあるであろう。そのときに、ある一定の基準によって自己資本資本注入するということによって、さらにまた、私が冒頭申しましたように、そういうものを受けた以上は、業務改善命令というものを公が出すことによって、リストラあるいは合併、そしてもう本当にだめな銀行については廃業等を含めた措置をとる等々によって、日本全体の金融システムが強靱な、健全なものになっていくということを私は期待をいたしておりますし、そうなる一つ前提というか、けじめができると考えております。
  55. 古川元久

    古川委員 時間になりましたので終わりたいと思いますが、私は、この法案が本当に今、藤井先生がおっしゃったような形でワークするのであればそれはいいのでありますが、しかしながら、それをやるためにはやはり本当に思い切った資本注入もしなきゃいけない。その資本注入をどれだけしなきゃいけないかというためには、大前提として、現状がどうなのか、その情報がはっきりとわからなきゃいけない。  にもかかわらず、例えば株価の評価方法について、低価法と原価法とどちらでもいいだとか、あるいは引き当てについても、適正なものというものがどういうものかもあいまいなまま、そういう中で、情報がはっきりしない中で中途半端に注入すれば、かえってこれは問題を先延ばしして、坂口先生などはソフトランディング路線を目指しているのかなという気がいたしましたが、結局ソフトにもランディングできないで、最終的には先に行ってクラッシュしてしまうのではないか、この法案の成立によってさらにそういう危険が大きくなってしまったのではないか、そういう危惧を私ども民主党は強く持っていることを最後に申しまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  56. 相沢英之

    相沢委員長 これにて古川君の質疑は終了いたしました。  次に、西川知雄君。
  57. 西川知雄

    ○西川(知)委員 平和・改革の西川知雄でございます。  きょうは二十分でございますので、情報公開のことについてのみお尋ねをいたしたいと思いまえ  今度の健全化法案、これの第三条二項でございます。ちょっと今資料を配らせていただきたいと思うんですが、委員長、よろしいですか。
  58. 相沢英之

    相沢委員長 はい。
  59. 西川知雄

    ○西川(知)委員 それを見ながらお話をさせていただきたいと思います。  今度の法案の第三条二項一号、二号、三号、特に二号、三号でございますが、ここには、金融再生委員会が「資産査定の結果に基づき、適切に引当て等を行うこと。」ということが書いてございますし、また第三号は、「その保有する有価証券その他の資産を適切に評価すること。」こういうふうに書いてございます。私も法律家でございますが、適切に評価するというようなことは、これは全く当たり前のことで、不適切に評価するなんというようなことが書けないことは当たり前のことでございます。  これで適切か、何が適切かどうかということを、この法律を見た人は、一たんこれが通過しますと立法者の意思を離れてこれは解釈をするわけですね。そして、保岡議員も元裁判官でございましたからよく御存じのように、裁判官が新たに提出されたものとして自分で見てそれを解釈する、こういうことになるわけで、御自分が裁判官であれば、適切とは一体何なんだろうな、こういうふうに思うのが通常だと思いますが、まず、そうかどうか、保岡議員、ちょっとお答え願えますでしょうか。
  60. 保岡興治

    保岡委員 難しい質問ですけれども、適切であるかどうかということは、その適切な判断基準というものがどこにあるかということが法令で定めてあったり、あるいは、慣習によってそれが正当であるというような基準である場合もあれば、事案によって、具体的な事項によってその適正を判断する根拠はいろいろあると思います。
  61. 西川知雄

    ○西川(知)委員 ということは、よくわからないということだと思うんです。  そこで、この資料に我々の提言というのを書かせていただきました。本来なら詳しく説明したいんですが、簡単に説明をさせていただきます。  今、その適切なということを、何が一体適切なんだろうということを、ある程度情報を持った人が例えばガイドラインとして言ってあげないと、何が適切かどうかということはよくわからないと思うんですね。  引き当て率についても、例えばこれを法定化しろという議論がございます。例えば一〇%から二〇%と。ただ、それも、法定化するのは一つ考えでしょうが、一〇%がいいのか二〇%がいいのか、本当は一三%かもしれないということで、これももう一つ、ちょっとよくわからない。それじゃ、金融再生委員会というのが一応一番の情報を持っているんですから、金融機関がこういう適切な引き当てというのは一体何だろうと自分でも悩むと思うんですね、この法律を見て。そのときには、引き当てのガイドライン、こういうものを一応つくってあげて、そして、こういうふうにして大体引き当てをするんですよ、これがガイドラインですよというのを言ってあげるということが、私は、金融機関に対しても親切であるし、後で裁判になったときもそんなあいまいな基準で決めなくて済むと思うんですが、山本幸三議員、いかがですか。
  62. 山本幸三

    山本(幸)委員 私も委員の御意見に賛成したいと思います。  そういう意味で、おっしゃったように、適切なというのは、多くてもいけないし少なくてもいけない、何らかのところがあるはずでありますので、引き当てというのは多くてもこれは不適切なんですね。経営にも過重な負担を与えます。そういう意味で、まさに、過去の経験等を踏まえて何らかのガイドラインというものは出てくるでしょうし、そういうものをつくっていくことは必要だろうと思っております。
  63. 西川知雄

    ○西川(知)委員 非常に適切な御意見であるというふうに私は思いますが、さらにもう一つ、適切なことをお尋ねしたいと思うんです。ガイドラインを公表しました、こういうふうにやってください、わかりましたといって、それを参考にしてガイドラインをつくって各行が適切な引き当てをいたしました。しかしながら、本当にそういうふうに引き当てをやっているかどうかというのは、各行によっていろいろ違うと思うんですね。あるマネーセンターバンクと、小さな銀行と言っては失礼ですけれども、そういうことをやっていない銀行と、それから非常に歴史のある銀行と新しい銀行、そういうところは顧客層も当然のことながら違います。  ですから、各銀行でも、例えば一分類から十ぐらいまで分けて、それを細かく分けて、例えばどういうお客さんでどういう債権であればこの分類だなという一応のガイドラインというものをつくっているし、また、今度新しい適切な引き当てのガイドラインを金融再生委員会がつくった場合には、それに基づいてある程度のガイドラインをつくると思うんですね。それはどんなガイドラインかということを、やはり比較する上でちゃんとそれも公表させた方が、それは当然のことながら正確性がわかる、こういうふうに論理的結論になるんですが、山本幸三議員、いかがでございましょうか。
  64. 山本幸三

    山本(幸)委員 おっしゃるとおりだと思います。
  65. 西川知雄

    ○西川(知)委員 そこで、もう一個やりたいんですけれども、私、よくわからない。わからないというか、法律の解釈としてちょっと混乱をしているんですけれども、前の再生法案の六条と七条、これは、資産査定とこの公表について規定をいたしまして、金融再生委員会、または、これができるまでの間は総理府令、労働省令もありますが、そこでいろいろな資産査定の仕方とか資産査定公表の仕方、これを書いているわけなんですね。  これは私も提出者の一人となっていましたので、私の理解では、この主務省令において、例えば有価証券をどういうふうに査定するか、評価するかということも書くものだというふうに頭では理解していたんですが、さっきの山本幸三議員のお話ですと、今度の新しい法案において、二十一条で、権限が再生委員会から金融監督庁に委任されている、これは金融再生委員会で定めるものを除いているんですけれども。そうすると、金融再生委員会規則で有価証券その他の資産の適切な評価というものがあらわれると私は思っていたんですが、そうじゃなくて、山本議員の御理解は、今度の法案において金融監督庁長官が決める、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。  二つ同じような条文があって、片っ方は金融再生委員会の規則で決める、片っ方は金融監督庁で、ちょっとこれはおかしいんじゃないかというふうに私は理解するんですが、これは、せっかくですから山本幸三議員と民主党のお一人ずつに聞きたいんですが。
  66. 山本幸三

    山本(幸)委員 再生委員会の方も権限の委任の規定がありますので、それは再生委員会の判断でやろうと思ったらできるわけでございます。同じように、今回の案でも再生委員会が基本的に定めるということでありますが、事柄の内容によっては監督庁の方がそういうデータを持っておりますし、そういうことをやらせた方がいいと判断することもあり得るということで、同じように権限の委任の規定も入っているわけであります。  したがいまして、最終的には、再生委員会が自分のところでやるということであれば、それはそれで当然再生委員会で行いますけれども、そこは実態に応じて再生委員会が判断するものだと思います。
  67. 池田元久

    ○池田(元)委員 西川委員お答えします。  これはきのうの党首会談でも私の方から申し上げたことですが、今おっしゃるように、大事な、一番大事なと言ってもいいと思うのですが、資産査定引き当て評価について、金融再生委員会が定めるところにより、適切な云々、そして二十一条では監督庁に委任ができるということになっておりまして、ここに規則で定めるということも書いてありませんし、極めてあいまいで大変問題のあるところだと私は思います。この修正案一つの大きな問題点がここに出ているのではないか。  私たちは、やはり明確にその基準、西川先生のおっしゃるガイドライン、そういうものをはっきり明示的に法律で打ち出すべきであると考えております。
  68. 西川知雄

    ○西川(知)委員 そこで、自民党のどなたでも結構なんですけれども、お尋ねしたいのですけれども、前の再生法案ができたときに、どうやって情報公開をしようかというときに、国際会計基準を勘案してやりますということを言っているわけなんですが、その話はまだ生きているのでしょうか、そのまま存続しているのでしょうか、保岡議員、いかがですか。
  69. 保岡興治

    保岡委員 それは、提案した会派による覚書として生きていると思います。
  70. 西川知雄

    ○西川(知)委員 私、ちょっと物事をはっきりとしておきたいのですが、そうすると、有価証券評価に関してもこの覚書というのは適用されるのでしょうか、どうでしょうか。
  71. 保岡興治

    保岡委員 適用されるものと思います。
  72. 西川知雄

    ○西川(知)委員 そうすると、金融再生委員会が定めるところにより、その有価証券その他の資産を適切に評価すること、こういうふうに今度の法案では書いているのですが、これは提案者として、今の覚書とそしてこの文章の「適切」ということを見て、どういうふうな基準金融再生委員会にこういう規則をつくれというふうにおっしゃるのでしょうか。ちょっと立法者の意図だけ山本幸三議員にお尋ねしたいと思うのです。
  73. 保岡興治

    保岡委員 この三条二項は、金融再生法による六条、七条を受けて規定されております。  そこで、適切な資産評価であれ、引き当てであれ、有価証券評価であれ、これは金融再生委員会が定めるところによって、具体的にはその基準等は、監督庁で委任された権限のもとに法律的には責任を持って決められていくものと思いますが、決める際には、権威のある、責任の重いこの再生委員会が、その基本的なところ、大事な留意点、こういったものについては何らかの形で意思を表示して、適正な対応がなされるように方向づけていくものと思います。
  74. 西川知雄

    ○西川(知)委員 なかなか難しい問題で、御答弁しにくいと思って、答えがよく私は正確に理解できないのですが、いずれにいたしましても、今皆さんにお配りした「情報公開に関する平和・改革の提言」ということで三つ挙げております。  一つは、金融再生委員会が、金融機関が適正な引き当てをなすために必要な引き当てのガイドラインを作成し、これを公表するものとする。二番目は、金融機関は、自己査定をするについて策定した引き当てのガイドラインを公表する。三つ目は、金融再生委員会が定めるところにより、その有価証券その他の資産を適切に評価するときに、国際業務を営む金融機関については、特に国際会計基準に基づき適切に評価すること。こう三つ提言しておりますが、先ほどからの御答弁で、私の理解しておるところでは、自民党の方もそれから民主の方もこの三つの提言には賛成していただける、そのとおりだというふうにおっしゃったと思うのですが、もう一回、言われた山本議員からと池田議員から御意見を確認のためにいただきたいと思います。
  75. 山本幸三

    山本(幸)委員 基本的にそのように考えておりますが、ただ、国際会計基準のところについては一応のスケジュール等が決まっておりますので、それに従っていくというふうに理解しております。
  76. 池田元久

    ○池田(元)委員 この三項目につきまして、「資料」と書いてあるのは大変残念でございます、ぜひ今からでも、修正案審議をやっておりますので、盛り込むことができたらなと思います。
  77. 西川知雄

    ○西川(知)委員 情報公開だけにしようと思ったのですが、まだ時間がありますので一点だけお尋ねしたいのです。  第五条ですけれども、「経営の健全化のための計画」というのがありまして、そしてその中に四号で「資金の貸付けその他信用供与円滑化のための方策」、こういうものをつくって提出しなければならない。ただ、その中で例外が第二項にありまして、いろいろとたくさん書いてある。信用秩序を損なうおそれのある事項とか、取引者の秘密を害するおそれのある事項とか、金融機関等業務の遂行に不当な不利益を与える事項についてはこの限りではないということを書いていまして、そして、どういう履行状況かということについても同じような例外規定が設けてある。  こういうことでございますが、これを余り広く解釈すると、みんな取引に関係することですから秘密事項だということにすると、これは情報公開の思想から大分離れてくると思うので、これは限定的にやはり解釈すべきじゃないかというふうに私は法律を読むときに法律家として思うのですが、保岡議員、いかがですか。
  78. 保岡興治

    保岡委員 この健全化計画内容公表であれ、履行状況公表であれ、これは、かなりの大きなお金を公的にファイナンスして、今度の金融再生あるいはシステミックリスク回避とかいう法の目的趣旨に沿うように対応する根幹になるわけですね。ですから、西川議員が御指摘のように、国民の理解を得る、そして国民みんなで新しい金融を二十一世紀に求めていく、そしてこの大変な経済状況金融危機状況を克服する、国を挙げて頑張るという意味では、国民の理解を求める意味情報の公開が極めて重要であるということは認識をしております。  ただ、例えば、先ほども申し上げましたとおり、取引の具体的な内容とか、あるいは合併が予定されている場合とか、そのことが発表されることによって当該行業務影響を受けるとか、あるいはシステミックリスクにばんとはじけるようなケースもないではない、そういう限定的な判断でやはり例外条項も大事にする必要があると思います。
  79. 西川知雄

    ○西川(知)委員 では、限定的に解釈するということで御答弁いただけましたので、私の質問を終わります。
  80. 相沢英之

    相沢委員長 これにて西川君の質疑は終了いたしました。  次に、西田猛君。
  81. 西田猛

    ○西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  この金融機関に係る早期健全化方策について非常に重要な議論がここのところなされてきました。そして、本修正案をまとめるに至られました関係者の皆様方、また対案をお出しになりました野党の皆様方にも、御労苦に対し心から尊敬を申し上げたいと存じます。  そこで私お聞きしたいと思いますのは、現下我が国が直面している経済危機、それから金融危機に対処するために必要な視点というものは、幾つもあるとは思いますけれども、そのうちで最も重要なものが二つあると思います。  そのうちの一つは、どうしてもやはり我が国発の、日本発の世界恐慌というふうな事態を招いてはならないということが一つでございましょう。それから第二番目には、この難問を先送りしないで、今まで先送り先送りしてきたことでございますけれども、もうこの時点からは先送りをしないで、かつスピードを持って、我が国金融システム金融業界と申し上げてもいいと思いますけれども、それそのものを本当の市場競争ができるようにする。そしてまた、消費者本位のサービスを金融業界が提供することができるというふうにするために徹底的に構造改革を行うという、この二点ではないかなというふうに思っている次第でございます。  その意味で、私たち自由党は、さきに提出されました金融再生法案修正案につきましては、残念ながら賛成することができなかったわけでございます。なぜならば、いろいろと議論はあるとは思いますけれども、あの金融再生法修正案、参議院で終わりましたので金融再生法と呼びますけれども、それは、実は、かつて金融危機安定緊急措置法にありましたいわゆる十三兆円のスキームが潜り込まされておりまして、どうしてもやはり税金というものを破綻した銀行投入するシステムが残されていたからでございます。  私どもは、やはり市場競争というものを第一義的に考えなければいけない。もちろん、いろいろな委員理事の方からもお話がありましたように、市場の失敗というものは時としてございます。しかし、市場の失敗を原則としてはならない、市場原理を原則としなければならないと考えておりますので、その中で、破綻した銀行については、明確にこれはもう破綻だということを宣明して、そしてそれについては清算を行っていくということが重要なのであると主張しておりますし、そのことがやはり正しいのだと思います。したがって、我々は、この金融再生法については、残念ながら賛成することができなかったわけでございます。  しかしながら、今回の、今審議されております金融早期健全化法修正案につきましては、いわゆる早期健全化勘定の資金、このお金、これはいわゆる金融再生法におけるところの資金とは異質なものである、全く質を異にするものであるというふうに私は考えています。  なぜならば、これは公的資金という言葉がよく使われます。けさの新聞などを見ておりましても、今回の早期健全化法でも公的資金が使われることになった、それはなぜかといえば、用意される早期健全化勘定が政府保証がついているという意味においては公的資金だという議論がなされておりました。それは確かにそうかもしれません、そう呼ぶのであれば。しかし、それは全くの税金とは違うのだということをここで峻別しておかなければならないと思います。  といいますのは、そういう意味でいえば、例えば予算を使った公共工事、これも当然公的資金となりますし、あるいは各種の政府系金融機関を通じて民間機関あるいは個人に配られているお金、これも公的資金ということになりますので、ありとあらゆるところに公的資金ということが散見されることになってしまいます。したがって、今回の金融機関に対する措置については、税金を直接投入するのか、そうじゃないのかということは峻別しておくべきだし、そして、その対象となる金融機関破綻しているのかしていないのかということについても、明確に区分しておく必要があると思います。  その意味で、我々は、今回の早期健全化勘定の資金は、むしろ公的資金という呼び方はもうやめて、例えば金融改革のための緊急ファイナンスと、これは返ってくるお金でございますから。我々はそのためにこの修正案に新しい条項も設けております、後で紹介をさせていただきますけれども。したがって、今回のお金金融改革のための緊急ファイナンスとでも呼ぶべきものであるというふうに考えて、この修正案に賛成し、共同提案をしたわけでございます。  今の、現下日本金融危機を一刻も早く克服するためには、存続可能な銀行には潤沢にこの緊急ファイナンスを与えて、そして強い銀行をつくり、今弱まっている日本経済に脈々とした資金を注入してもらって、そして日本経済を牽引してもらわなければならない。むしろ私は、存続可能な健全な銀行について、そのような認識を持っておる次第でございます。  この法案の共同提出者となられました自民党提案者の方及び大蔵大臣は、この資金の性質あるいは本法案修正案趣旨についてどのような認識をお持ちか、お伺いをいたしたいと思っております。
  82. 保岡興治

    保岡委員 今、西田委員の御指摘のように、金融改革金融危機回避、二つの大きな目的がこの法の趣旨でございます。しかも、かなり思い切った、決定的に今の金融危機回避を実行というのか実現すると同時に、また、金融改革をするための力強い岩盤というか、そういったものをこの際にどうしても築きたいという悲願のこもった仕組みだと思います。  そういった意味で、投入される公的な資金とはいいますけれども、今まさに西田委員が言われるように、これはファイナンスでございますから、金融危機回避あるいは金融改革緊急ファイナンスというような呼び方が一番ふさわしいのかなと、今つくづくそう思って伺いました。  我々の法案も、そういう大事な資金がきちっと回収できるように、存続困難な金融機関あるいは回収が極めて難しいと思われるようなケースには投入をしないという歯どめをしているところでございます。
  83. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今のおっしゃいますことは、なるほど、大づかみに言えばおっしゃるとおりだなと。そして、それは基本的には戻ってくる金でございますから、納税者云々というのは実は余り正確な表現でない、そこはわかりました。  今ちょっと議論していましたのは、再生勘定にも実は出しきりでない部分があるはずでございますから、回収される部分が。まあ、それはちょっと申すだけで、大づかみに言えばなるほどそうかなと、今お話を伺っておりました。
  84. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大蔵大臣は非常に慎重にさきの法案についても配慮をされて、今のような御発言になったのだと思います。  確かに私も、再生勘定における資金が全く返ってこないものだとは申しておりません。返ってくるものも含まれていますけれども、返ってこないものもあるんだと。他方、今回の早期健全化勘定は、全部返ってくるということを基本だとしているということでございます。この違いが、我々が前には反対をし、今回は賛成をしたということの違いでありますので、ここは非常にクラリファイをしておかなければならないということでございます。(発言する者あり)  いや、もちろん、それともともと資金が違うわけですね。再生勘定の中には、税金と呼ばれる部分がまだ残っております。だけれども、今回の資金には全く税金はありませんということを私は申し上げているわけです。そこが峻別されることでありまして、再生法とこの早期健全化法は、全く質を異にした体系だということでございます。  そもそも我が国金融危機がここまで進行してまいりましたのは、これは少し大蔵大臣のお耳にも痛いことかもしれませんけれども、なぜここまで我が国金融危機が進行してきたのかということを考えますれば、まず第一に例えば不良債権早期処理、それから二番目に銀行自己資本の充実、それから各銀行がなさなければならないというビッグバン対策、この三つの大切な事項、イシューを、本来銀行が三つともに同時になすということは非常に難しい、むしろ不可能だということだと思います。  ところが、この三つの事項を、大変だ大変だ、もう金融ビッグバンになってくる、しかしバブル後遺症の後始末はまだできていないというふうに慌てた政府が、同時に今になって急に銀行に押しつけた、それで銀行が困ってしまって大変な事態になっているというところにも大きな原因があるのだと思うのです。  ですから、本来であれば、不良債権処理、そして自己資本を充実せしめて、それからビッグバンに悠々臨む、本当の消費者サービスができる銀行になるのだという体系的でスピードのある政策スキームを政府が提示して、それを各銀行に実行なさしめるということだったと思うのですけれども、それができなかったというところにも、今このようにまで深まってしまった金融危機が起こった大きな原因があるのだと思います。  そのあたりについて、若干のコメントで結構ですので、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  85. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私自身は、この問題の難しさは、片っ方で不良債権処理をしなければならない、同時にビッグバンには対処しなければならない、両方がある意味で反対の方向を向いている要素がございますからということはかねて言っておりましたので、今西田委員のおっしゃっていらっしゃることは自分なりによくわかっております。  実は、不良債権というものは、ずっとたどっていきますとプラザ合意のところまで行くわけでございますけれども、私は、九三年でございましたか、総理をしておりますときに、この問題は公的な関与をしないと、公的な支援をしないといけないのではないかということを申しました。不良債権の方ですが。  もちろん、やがてビッグバンというものが来るしという気持ちはありましたが、ただ、そのときに不良債権処理をするという話は金融界にも産業界にもお役所の間でもいろいろな理由で受け入れられませんで、かえって住専の問題というようなものが出てきてしまった。  しかし、片っ方でビッグバンの方は待ったなしで時間が参りましたから、全くそういう問題が一緒になってしまって、銀行にはリストラクチャリングをやれ、しかし貸し渋りになるのは困るというような、非常に難しい問題をたくさん一度に解決する、そこに問題の難しさがありますし、またそれに対応する前回、今回のような立法にも御苦心があったというふうに考えております。
  86. 西田猛

    ○西田(猛)委員 しかし、今このような事態に立ち至ってしまいましたので、この経済危機を、金融危機を一刻も早く我が国は脱しなければならないと存じます。その意味では、今回の金融機能早期健全化法が果たす役割は非常に大きなものが期待されているところでございます。  その意味で、両方の、再生法と今回の法、再生法破綻のための対処法でございます、この早期健全化法はこれから我が国がどのような金融システムを持っていくのかという法律でございます。  その意味で、我々がこの法案に賛成いたしましたのは、むしろ今の日本経済金融の緊急事態考えれば、ある意味で存続できる銀行の中でも、健全でかつ日本経済の牽引役となり得るような銀行にも潤沢な資金をファイナンスして、そしてそれらの強い銀行が民間経済に潤沢に資金を供給してもらう、そして経済の血脈となる資金日本経済が大きく発展していくというふうな図式をとらないと、これは緊急事態ですから、幾つかの強い銀行に思い切り日本経済を牽引してもらう、これからはそれぐらいの政策態度があっていいのだというふうに思うのであります。  したがって、今法案では法七条一項五号で、健全な銀行への資金融資について、私はもう資金注入という言葉は使いませんが、資金融資についてある程度厳しい条件を課しておりますけれども、今のような緊急事態考えれば、健全な銀行についても、強くなってもらうために、日本経済を引っ張ってもらうために、より潤沢な資金融資をしていいのではないかなというふうに考えているのですけれども、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  87. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはまことに同感でございまして、委員にはおわかりいただけると思うのですが、実はこの二つのセットの法案をこの九月にも、またこの間もルービンなんかに話をいたしますときに、呼び方が非常に難しいものですから、私は前の方の法案はインソルベンシー・アンド・レシーバーシップ、そういうふうに呼びまして、今御審議中の法案はリキャピタライゼーション、そういうふうに呼んで説明いたしました。それは割にわかりやすい説明だと思いますし、委員のおっしゃいますように、本質的にそういうものだと思います。  したがって、このリキャピタライゼーションは、将来に向かって日本金融秩序の信頼が確保され、そして強い銀行ができて、国民に対しても、また国際競争についても強い、そういう意味で、どっちみちおっしゃるようにこれは戻ってくるファイナンスでございますから、前向きに処理をすべきものだというふうに考えております。
  88. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今大臣がおっしゃいました、金融再生法の方はインソルベンシー・アンド・レシーバブルなんだと。私はデフォルト・アンド・ディソリューションじゃないかなというふうに思っているのですけれども。今回の早期健全化法はあくまでもリキャピタライゼーション、この精神を持って今後の政策運営に当たっていただきたいなというふうに思うのであります。  なかなか時間がないのでございますけれども、対案をお出しになられました、御苦労された民主党の皆様にも敬意を表したいと思いますけれども、今私が申し上げたような、日本経済を再建していくために健全な銀行についても潤沢に資金を供給していくべきではないか、資金を融資していくべきではないかということについてはどのようにお考えになりますか。簡単にお願いしたいと思います。
  89. 岡田克也

    岡田委員 それも一つ考えとしては私はあり得ることだというふうに思います。  ただ、前提として、どのようにきちんとした資産評価を行うのか、あるいは債権に対する引き当てを行うのか、そういうことがはっきりいたしませんと、我々の考え方では、我々の案ではきちんとやりますから、八%のものであってもちゃんとやれば六%ということもあると思うのですね。しかし、皆さん提案のものについては、かなりいいかげんな資産査定をしておりますので、実態上は八といいながら六だ、五だというものについて資本注入する、こういうことだろうと思うのですね。  その辺が、もしおっしゃるようなことをやるのであれば、きちんとした資産査定をまずやるということがなければ非常にあいまいになってしまって、おっしゃるような趣旨でやるのか、それとも八%に事実上到達するためにやるのか、はっきりしなくなるということだと思います。
  90. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今岡田委員がおっしゃったところは、まさにある意味ではそのとおり。  ただ、我々が持っております法体系がそういうふうなことになるのかどうかはこれからのことでもございます。ただ、情報開示というもの、それから資産査定というもの、これが最も重要で、すべてのスタートだということはそのとおりだと思います。  その意味で、最後になりますけれども修正案の第一条の目的に、不良債権処理を速やかに進めるとともにという文言を加えたこと、それから二条三項、三条二項等で、資産査定方法を法定し、自己資本比率による区分の法定、過少資本行に対する措置業務改善命令を含んだこと、そして虚偽報告には厳罰を科したということなどなどが、我々が従来主張していたことでもありまして、この修正案について評価できる点でございます。  すなわち、すべてのスタートは、先ほども話がございましたけれども情報開示でございます。この情報開示、これがすべてのスタートであります。  大蔵大臣、今後、金融再生委員会所管の特命大臣も置かれるかもしれませんけれども、大蔵大臣としてこれらの法運営に当たっての御所見を伺っておきたいと思います。
  91. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 このたびの修正を概観いたしまして、今までの案がややいろいろなことが腰だめでございまして、詰め切らないところをきちんと法律で詰めていただきました。  及びディスクロージャーのことですが、これは、ディスクロージャーというものがマストではありますが、同時に当事者たちにとってそれがいわゆる自己防衛である、自分たちのために正確なディスクロージャーが必要だ、そういうふうな物の考え方がだんだん熟してくるように思いますので、そういうふうにこの法律がまた促進する材料になっていかなければならないと思います。
  92. 西田猛

    ○西田(猛)委員 では、時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  93. 相沢英之

    相沢委員長 これにて西田君の質疑は終了いたしました。  次に、木島日出夫君。
  94. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  本日、政府は、本金融機能健全化法案の成立を前提といたしまして、附則第四条に基づいて、早期健全化勘定に二十五兆円、金融再生勘定に十八兆円、合計四十三兆円の政府保証をつける補正予算を閣議決定して国会に提出する。そして、本臨時国会中に本法案とあわせて補正予算も成立させようとしておるようであります。  本金融機能早期健全化法案は、金融機関の自己責任、自己規律を放棄して、最悪のモラルハザード法案であると私は考えます。一つは、何といっても、金融機関がみずからの乱脈経営でつくり出したバブルの後始末を何の責任もない国民の税金で埋めようとしている問題である。もう一つは、金融再編の名のもとで大型合併公的資金の後押しによって推し進める、そして、巨大銀行が国際的な投機的な活動をより促進させることになることであります。断じて認めるわけにはまいらないと私は考えます。  それを前提にいたしまして、本日、自民、平和・改革、自由の三党から提出された修正案並びに民主党から提出された修正案について、幾つかの点についてお聞きをいたします。  最初は、三党修正案について自民党提案者の代表からお聞きをいたしますが、公的資金投入対象金融機関についてであります。  法案修正案によりますと、自己資本充実の状況に応じて、対象金融機関を四段階に区分しております。健全行過少資本行、著しい過少資本行、待に著しい過少資本行の四区分であります。具体的には「金融再生委員会規則で定める」と法律に書かれておりますが、どのように定めることを想定しているのか。  私から聞きますが、健全行は八%以上、過少資本行は四%以上八%未満、著しい過少資本行は二%以上四%未満、特に著しい過少資本行は〇以上二%未満、そう想定しているとお伺いしてよろしいですか。     〔委員長退席、石原委員長代理着席〕
  95. 保岡興治

    保岡委員 そのとおりでございます。  国内業務については、それぞれの半分ということでございます。
  96. 木島日出夫

    ○木島委員 次に、公的資金投入対象となる金融機関の範囲についてお伺いします。  まず、健全行についてでありますが、公的資金投入対象となる健全行について、限定はあるのかという質問であります。どういうことかというと、自己資本比率が例えば一〇%以上の銀行あるいは一五%以上の銀行、こういう銀行は、この法律対象公的資金投入対象から外されているのですか、それとも法律にはそういう限定はないのですか。
  97. 保岡興治

    保岡委員 法律にはそういう限定を置いておりません。
  98. 木島日出夫

    ○木島委員 大変な法律だ。どんなに自己資本比率が高くても、法の要件に該当すれば公的資金投入が受けられるという法律だということが明らかになりました。  法案第八条一号にこういう条文があります。これは健全行の問題でありますが、合併により当該金融機関自己資本の充実の状況が悪化したこと、これが公的資金投入要件一つになっております。合併により自己資本の充実の状況が悪化したこと、具体的にはどの程度自己資本比率が下がった場合を想定しているのでしょうか。
  99. 保岡興治

    保岡委員 それは合併する相手先の金融機関経営状況等を反映して適切に決められるものであって、ケースによって違うと思います。
  100. 木島日出夫

    ○木島委員 非常に要件があいまいであるということが今答弁で明らかになりました。  例えば自己資本比率一五%の巨大銀行が、ある銀行合併することによって自己資本比率が一〇%に下がったというような場合も、場合によっては公的資金投入になるということをも今の答弁は意味するわけでありまして、裁量行政の最たるものと言わざるを得ない、大変な法律だということだと思うのです。  では、次の問題。公的資金投入前提として、法案第三条第二項で、適切な資産査定、適切な引き当て有価証券の適切な査定修正によって明記されました。  そこで自由党さんにお聞きします。自由党修正要求で、保有株式や債券や土地等の評価基準時価評価することを求めていたと思います。しかし、修正案では「適切に」としか書かれておりません。時価評価とすることをあくまでも求めるのか、それとも自民党が当初言い続けてきたように、原価法と低価法どちらでもいい、選択制にするというのか、どういうお考えなんでしょうか。
  101. 藤井裕久

    藤井(裕)委員 私どもは、今木島委員がおっしゃったように、国際基準である時価であるのはごく当然のことだと考えておりますし、これから決められる話のようでございますけれども、私どもの立場では時価を主張したいと思います。
  102. 木島日出夫

    ○木島委員 わかりました。  しかし、この法案にはその保証はないのですね。「適切に」としか書かれていない。それはだれが決めるのですか。
  103. 保岡興治

    保岡委員 資産の適切な評価等は、金融再生委員会が決めるところに従って、金融監督庁等において、いろいろ基準が法令によって定められているとおり、あるいは、さらに今藤井提案者からも御説明があるとおり、これからできるだけ理想的なものに、状況の変化を見ながら適切に措置されていくものと思います。
  104. 木島日出夫

    ○木島委員 まことにおかしな法律なんですね。「適切に」としか書いてなくて、今答弁では、何か金融再生委員会で決めるか、あるいはそのもとで金融監督庁が決めるかのごとき答弁でありますが、委任条文もないのです。まことにいいかげんな法案だと思いますね。  では、自由党さんに改めて聞きますが、もし金融再生委員会で、もう時価はだめだ、やはり選択制だ、原価法、低価法どっちでもいいんだというような決定がされたときには、改めて反対するのですか。
  105. 藤井裕久

    藤井(裕)委員 国会の場を通して私どもの主張を強く政府・与党に申します。
  106. 木島日出夫

    ○木島委員 大変重要な問題が、こういうあいまいなまま、本法案がきょうじゅうにも採決に付されるというのは、私はそれ一点でも許せないのではないかと思います。  そこで、もし原価法の選択を認めた場合、自民党の長年の主張ですから、また日本金融機関の主張ですから、選択制によって原価法の選択を認めた場合、こういうことになるのです。自己資本比率〇%の金融機関というのは、実質的には原価法の選択を認めると債務超過状況になっているということを意味するのです。そういう場合がある、そういう銀行があるということを認めるのです。本法ではそういう金融機関にも公的資金投入を認めるということになってしまうと思うのですが、それは認めますか。
  107. 村田吉隆

    村田(吉)委員 著しい過少資本行であっても、地域経済に大変必要な金融機関であって、地域の皆さん方が一致して協力していこう、そういう金融機関に対しては支援をしていこうという考えに立っておりますが、再生法案と違いますのは、申し上げますが、条文にも書いてありますように、「当該銀行がその財産をもって債務を完済することができない状況にあること等その存続が極めて困難であると認められる場合でなく、」ということが六条に書いてありまして、存続可能な銀行であるということを明示してあるわけでございます。
  108. 木島日出夫

    ○木島委員 基本的には、地域経済にとって必要不可欠な場合は自己資本比率〇%の金融機関でも公的資金投入を認める、原価法の選択の場合は実質債務超過になっている場合でも認めるということをお認めになりました。  それで、今答弁の中にあったように、確かに本法案第六条第三号には、債務を完済することができない状況、存続が極めて困難、引受株式の処分が著しく困難、そういう場合でないことと。そういう場合はとてもじゃないけれども救うわけにいかぬということでしょう。それが公的資金投入要件になっていることは確かであります。しかし、実は同様な規定は、廃案となった金融機能安定化法にも三条三項二号であったわけですよね、「著しく悪化している金融機関等でない金融機関」と。これが、金融安定化法案審議では、いわゆる健全な金融機関のみに十三兆円を投入する、そういう理屈の根拠となったわけでありますね。  そうすると、今答弁の中で触れられた六条三号によるこの要件、債務を完済することができないような状況にある金融機関、存続が極めて困難な金融機関公的資金投入対象から外すのだというこの要件と、同じ条文で隣にある、自己資本比率〇%で原価法の選択を認めてしまって事実上債務超過状況にあるそういう銀行には公的資金投入を認めるということは、法律の中にある自己矛盾、それ自体矛盾して両立しない要件法律の中に並んでいるということを意味しませんか。
  109. 村田吉隆

    村田(吉)委員 一律に取り扱うことが適当でない場合もありますから、矛盾しないと考えております。
  110. 木島日出夫

    ○木島委員 何か全然説得力ある答弁になっていない。  まさにそうなのです。この法律は、原価法で資産査定を認めてしまって、自己資本比率〇%でもいいのだということを認めちゃうと矛盾するのですよ。そういう欠陥法だということを指摘をしておきたいというふうに思います。  それで、次のテーマに移ります。  今の質問でも、本法案が、あらゆる状況金融機関に対して、破綻さえしていなければ公的資金投入対象になる、無限定だということが明らかになったと思います。  次に、投入される公的資金の額についてお聞きします。  幾ら本法は公的資金投入しようとしているのか。まず最初に、投入される公的資金の額の上限はどうなっているのか。さっき四区分をしましたが、その四区分それぞれについて法律はどうなっているのか、天井を決めているのか、答弁願いたい。
  111. 保岡興治

    保岡委員 天井は法律には決めておりません。しかしながら、健全化計画をきちっと出させて、本当に法の趣旨に沿う必要な限度というものを金融再生委員会できちっと判断してこのファイナンスをするのであって、無原則に幾らでもやれるような言い方は、法の趣旨をよく御理解されていないだけでなく、先ほどから勝手にいろいろな解釈をされているようでありますが、例えば金融再生委員会から金融監督庁に委任条項がないみたいなことも言われましたが、ちゃんと二十一条に措置されております。よく見て御質問を願いたいと思います。
  112. 木島日出夫

    ○木島委員 私は、そういう委任がおかしいと言っているのですよ、そんな大事なことを委任するようなのはおかしいと。  健全化計画でしっかり決めるんだと。しかし、健全化計画がいかにずさんでいいかげんなものであるかは、既に金融安定化法、そしてそれに基づいて本年三月三十一日に大手二十一銀行投入されたあのやり方を見れば明らかですよ。健全化計画なんというのは、全く実行もされなければ、適当な作文ではないのでしょうか。事実上、投入される公的資金が、金額が青天井である、無制限に法律上なっているということをお認めになったと思うのですね。  そこで、健全銀行についてお聞きします。  法案第八条三号には「合併等の円滑な実施のために必要な範囲を超えないもの」という規定があります。正確に言いましょう。そういうものとして金融再生委員会が定めて公表する基準を設けることになっている。私、この法律を全部隅から隅まで読んでみて、辛うじて、投入される公的資金の天井を決めていると思われる条文はそこだけなのですよ。  そこで、「合併等の円滑な実施のために必要な範囲を超えないもの」という法八条三号は何でしょうか、どのくらいを上限と読み取れるのでしょうか、お答え願いたい。     〔石原委員長代理退席、委員長着席〕
  113. 保岡興治

    保岡委員 それはケースによりますが、必要な額は所定の手続の中で適正になるように担保される仕組みになっております。
  114. 木島日出夫

    ○木島委員 本当に無限定だ。要するに、金融再生委員会が認めれば幾らでも金額はふやせるんだということをお認めになったような答弁だと思うのですね。これは大変な法案だと私は思わざるを得ません。  それでは次に、第六条と第七条の要件についてお聞きいたします。  そこには、内外の金融市場において円滑な資金の調達をすることが極めて困難な状況に至ることが公的資金投入要件になっております。資金の円滑な調達が得られるようになる、その程度にまで公的資金投入を認めるということですね。そうすると、これは、今のような日本金融機関状況はそうじゃないというのは、これまでの審議でもジャパン・プレミアムがついているということで明らかですから、事実上底なし、底なしというか天井なし、事実上無限定だということを意味しているのでしょうか。
  115. 保岡興治

    保岡委員 健全化計画の中にきちっと、円滑な金融の実施について、いろいろ配慮すべきこと、当該金融機関の守るべき、また対処すべき内容をできるだけ詳細に求めて、そうして金融再生委員会において資本増強の承認の条件とすることになると思います。
  116. 木島日出夫

    ○木島委員 時間の関係で、次の質問に移ります。  法第三条三号の施策原則として、金融機関再編を促進することとあります。これまで公的資金投入理由としては、最初は預金者保護でありました。そして、だんだん膨らんでいって、貸し渋り対策、借り手保護というのが加わってきました。また、金融システムの維持ということも加わってきました。それで、公然と金融機関再編公的資金投入の根拠として登場するのは本法案が初めてであります。その具体的内容はどのようなものか、簡潔に御答弁願いたい。
  117. 保岡興治

    保岡委員 これは、金融再生法によって預金者保護や破綻した関係の企業を守る、そういう目的のために成立を見たところでありますが、今度は、存続可能な金融機関が、システミックリスク金融再編という観点から、どうしても必要とされる資本状況について健全化計画の承認を条件とする形で対応して、今大変な状況にある金融危機経済危機国民、政府、みんなで一体となって乗り切る、そのための大事な施策だと認識しています。
  118. 木島日出夫

    ○木島委員 大変だ大変だと叫んで、実際、自己資本比率が八%をはるかに超えているような健全銀行が中小金融機関をどんどんと吸収合併していく、そして肥え太る、その力によって国際競争に勝ち抜いて、そして国際的規模で今展開されている巨額な投機的な金融取引をやらせたい、そのために公的資金投入をするんだということが、この金融再編のための公的資金投入の本質だろう。私は、こんなところに、巨大銀行の体力増強を図るために公的資金を入れるなんというのは、本当に露骨きわまりない大企業支援法案だと言わざるを得ない、到底認めるわけにいかないということを申し添えて、次の質問に移ります。  民主党さんにお聞きしますが、修正案で附則第四条を削除しています。一方、法第十七条の政府保証は残されています。これはどういうことなんでしょうか。民主党さんが自民党に申し入れた、金融再生のためには二十兆円、金融早期健全化のためには三十兆円、計五十兆円の予算措置が必要だという立場は、今もおとりになっているんでしょうか。
  119. 池田元久

    ○池田(元)委員 お答えをいたします。  附則第四条は、金融再生勘定、金融機能早期健全化勘定の予算措置を、予算総則を書きかえるという当たり前の方法によらずに、金融機能早期健全化法の附則で措置するという条項です。つまり、この法律をもって政府が十兆円の保証をすることができるというものでありますが、これは自由党初め野党があれだけ強く反対した金融機能安定化法の金融危機勘定をそっくり流用しようというものであることは明らかであります。  そしてついでに言いますと、自民党提出の附則四条の修正前、三党の修正案というのは、読み比べてみますと、再生法の条文を全く読み違えた部分だけ修正しているわけでありまして、まさにこの修正案の拙速さがあらわれているものと私は思います。  それはともかく、必要な予算については、予算総則を書きかえるという正しい方法で行うべきであると私は考えます。同様のこの規定が、実は金融再生法案修正協議の中で自民党等から出てまいりまして、これは金融安定化法の流用規定であるということで、それは不採用といたしました。そういう経過もございますので、改めてここで申し上げたいと思います。
  120. 木島日出夫

    ○木島委員 最後に、民主党、平和・改革、自由の野党三党の皆さんにお聞きしたいと思います。  三党は、八月二十五日、金融再生法案の概要に関する合意の中で、第六「金融安定化特別措置法の廃止 金融安定化特別措置法は廃止し、預金保険機構金融機関自己資本充実のために出資することはしない。」と明確に約束をされました。また三党は、本年九月四日の衆議院本会議答弁におきまして、我が党の佐々木憲昭議員の質問に答えて、細かい言葉ははしょりますが、結論的には、長銀への公金投入はしない、そして十三兆円の公的資金投入の根拠はなくなる、こう明言されました。  これまで、三党の一貫した立場は、破綻前の金融機関には公的資金投入しないという立場だったのではなかろうかと思います。この立場と、本金融機関早期健全化修正法案との立場は矛盾し、両立しないと思います。従来の立場を変えたのはなぜか、簡潔で結構であります、それぞれの政党から御答弁願って、質問を終わります。
  121. 池田元久

    ○池田(元)委員 長銀への公的資金投入はしない、自己資本充実のための出資はしないという立場を変えたのかというお尋ねでございます。  まず、長銀への救済のための公的資金投入はしないということは、九月四日の本会議で我が党の伊藤政調会長が明確に答弁しておりますので、この方針を貫いております。  そしてまた、自己資本充実のための出資はしない、ここだけ取り上げるのはいかがなものかと思うんですが、「金融安定化特別措置法は廃止し、自己資本の充実のために出資することはしない」という文章が、我が党がつくりました三会派の法案概要にございますが、これは金融安定化措置法に基づく自己資本充実のための出資はしないという意味でございますので、誤解のないようにお願いします。
  122. 坂口力

    坂口委員 先日、本会議においてお答えをしたとおりでございまして、何ら変わっておりません。  長銀に対しまして、長銀がもし特別公的管理に入りましたときには、それは株の買い上げでございますとか、あるいは預金者保護に一時必要なことは当然でございます。しかし、それは長銀を救うものではございませんから、これは長銀に対する支援とは全く違うということを申し添えておきたいと思います。
  123. 藤井裕久

    藤井(裕)委員 お二人のお話と同じでございますが、私どもは、長銀を助けるというようなことは全く今の時点においても考えておりません。  また、十三兆の問題については、先ほど来の議論がありましたように、これは安定化法の衣がえとは考えておりません。前のは全く裁量的に行われた、それに対して、基準というものを明確にしている違いがあるということを申し上げたいと思います。
  124. 木島日出夫

    ○木島委員 終わりますが、今の三党の答弁では納得できない。金融安定化法に三党とも反対した根本理由は、破綻前の銀行公的資金投入しない、そういう原則に立っていたからではないか。今回、その立場を変えられたのではないか。変えられたについては説得的な説明がなかったという感想を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  125. 相沢英之

    相沢委員長 これにて木島君の質疑は終了いたしました。  次に、濱田健一君。
  126. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 数点の御見解と確認をさせていただきたいと思います。  原案修正によって、経営健全化計画の発表とその履行状況の発表は義務化されることになりました。原案の第五条二項のただし書きと修正案四項最後のただし書きは、金融再生委員会裁量情報の非開示を許すものであるというふうな見解が多くの皆さんから出されているところでございまして、これは外すべきだと考えているわけでございますけれども提案者、いかがでございましょうか。
  127. 保岡興治

    保岡委員 先生が今お話しのように、このたび、経営健全化計画履行状況の発表も修正案では義務化いたしました。できるだけ情報開示をきちっと行って、そうしてこの金融危機金融改革国民とともに乗り切っていこうということで極めて重要なテーマだと思います。  しかしながら、先生がおっしゃっておられます。ただし書きでございますけれども、これは、健全化計画の中に具体的な取引先というものが記載してあったり、あるいは合併が予定されて、秘密裏に行われているものが書かれてあったり、そういうケースもあるわけでございまして、そういった場合には、これを直ちに全部公表するということになりますと、これはまた当該金融機関に不当な、業務の遂行上の不利益を与えてしまう、あるいは場合によっては、その合併が破談になって壊れてしまう、あるいはそれがシステミックリスクにつながるケースなど、いろいろこの法の本来の目的を達成する障害になってしまうような事例もあろうかと思います。限定された事例として、限定された解釈をできるだけして、国民情報開示すべきことは重要だと思いますが、そういう例外もまた必要な措置だと思います。
  128. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 修正の第六条六号と、原案の第七条三号の「実行が見込まれること。」という書きぶりがしてあるところでございますけれども、この「実行が見込まれる」という判断基準はどのように作成されようとしておられるのか、提案者にお聞きいたします。
  129. 保岡興治

    保岡委員 金融再生委員会が定めて公表する方策の実行が本当に見込めるのかどうかということの判断は、申請を行った個別の金融機関状況、それを証明するために提出された健全化計画等の中身やまた資料、こういったものによって具体的なケースにより総合的に判断するということになろうと思いますが、チェックポイント、留意点というものについては、金融再生委員会等できちっと方向づけがされるものだと思います。
  130. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今、金融界のさまざまな不祥事に関して、公的資金導入というものに対する国民のアレルギー、これは弱くなっているというよりも、ますます強くなっているというふうに考えられます。再生勘定や健全化勘定、数字がちらちらしてきているようでございますけれども公的資金導入に対して、国民感情からして、個々の契約についても国会の承認案件とすべきだと私たちは主張してきておりますけれども、この辺の御見解はいかがでしょう。
  131. 大野功統

    大野(功)委員 本件は、日銀のお金であろうと民間のお金であろうとも政府保証をつけるわけでございますから、先生のおっしゃる国民感情という観点もわからないではございません。しかし、基本的には、このことによって危機管理ができる、それから将来のよりよき金融システムをつくるための再編合併を軸にして再編していく、こういうことも視野にあるわけでございます。そこが一番大事なところでありまして、この法律目的は、あくまでも危機管理あるいは将来の再編である、こういう見通しをすれば、国民にとってはその方がベターなわけでございます。しかも、このお金というのは、原則返ってくるお金でございますから、この点を国民の皆様に強くお訴えしなければいけない、このように思っております。  なお、対応の仕方は機動的、迅速にということでございます。  こういうことを考えますと、この金融再生委員会委員は国会の同意人事でございます、したがいまして、一件ごとに重ねて国会の承認は必要なのか、私は、そこまで求めなくてよいのではないか、このように考えております。
  132. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 私たちは、現下金融機関に対する厳しい世論の中で、御党の政治献金に対する姿勢を問いただしてまいりました。私は、きのう、党首会談に参加することができませんでしたけれども、お聞きするところによりますと、きのうの党首会談の中で、平成八年以降、過去の借入金返済に充当するものを除いて、各行からの寄附は自粛してこられた、公的資金投入される銀行からの寄附は、今後、過去の借入金返済に充当するものを含めて、当分の間、自主的に辞退することを決定したというようなお話があったそうでございます。  私たちは、すべての金融機関から政治献金をもらうことはやめるべきだというふうに主張しているわけでございますが、いかがでございましょうか。
  133. 保岡興治

    保岡委員 社民党が従来、企業献金に対して非常に厳しい対処をすべきだというお考えを持っていることを承知しております。我々もまた、この際、金融危機金融改革、次の時代を目指して、本当に国家国民一体となってやらなければならない今度の法案提出させていただいていることから、今濱田先生がおっしゃったことを幹事長談話で明快にしまして、金融機関からの、特に公的資金の注入を受けた金融機関からは寄附を受けないということできちっと対処していこうという党の方針を決めたところでございます。
  134. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 昨年、自民党国民政治協会から銀行業界によってなされた献金は四億六千五百七十三万円というふうに報道がなされているようです。住専問題のときに、銀行業界からの献金を辞退すると言いながら全銀協に献金を要請したという過去を見ると、この問題は重大な問題だというふうに私たち認識しております。  九〇年の総選挙のときに百五十億円、九三年に百億円、巨額の融資を受けておられて、その返済をするために銀行業界の献金で相殺されてきているというふうに思うわけですが、今、保岡先生、いかがでしょうか、一括してお返しされるという思い切った方向性というのは見つけられないものでしょうか。
  135. 保岡興治

    保岡委員 なかなか厳しい御指摘でございますが、私は党の経理局に直接関係したことがないのでつまびらかな数字等はよく承知しておりませんが、今おっしゃったような御意見もまた念頭に置きながらではありますけれども、今回、幹事長談話でとった措置は、この公的資金のファイナンスを行う金融機関からは一切献金を受けないということを明快にしておることを御理解賜りたいと思います。
  136. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 著しい過少資本状況にある銀行基準をさらに明確にする必要があると私は考えます。とりわけ、再生法特別公的管理と今論議しております健全化法特別公的管理、ここは、きのうの党首会談でも池田政調会長もなかなかうまく説明できないというようなニュアンスでお話をなさったようでございますが、このグレーゾーンはどのように仕分けをしていかれようとしているのか、お聞かせください。
  137. 村田吉隆

    村田(吉)委員 濱田先生、昨日の質疑でもこの問題についての質問があったと記憶いたしております。  基準が不明確であるということでございましたので、修正案では、第二条の「定義」のところで、三項で自己資本の充実の状況に係る区分について四つのカテゴリー分けをしたわけであります。著しい過少資本状況にある金融機関と、それから特に著しい過少資本状況にあるというものを分けて、しかし、再生法との関係につきましては、再生法対象金融機関破綻後の金融機関でありまして、こちらの健全化法対象となる過少資本行につきましては破綻前の存続可能な金融機関ということでございます。  これは、法文の第六条にも、先ほど私も答弁いたしましたけれども、「当該銀行がその財産をもって債務を完済することができない状況にあること等その存続が極めて困難であると認められる場合でなく、」ということが条件とされていることから、私どもは、明確に区分されているというふうに考えております。
  138. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 きのうの質問の中で、中小零細企業への資金貸出枠の拡大を経営健全化計画に書かせ、確実な履行をという質問に対して、山本委員が十分配慮するという旨の答弁をされましたが、金融再生委員会公表する具体的基準の中にどう盛り込むおつもりか、再度お伺いしたいと思います。
  139. 山本幸三

    山本(幸)委員 中小企業に対する金融機関からの融資が非常に重要である、特に大変困っているということで共通の認識を持っておりまして、その意味で、この資金投入申請に当たって提出が求められております健全化計画の中に、資金の貸し付けその他信用供与円滑化のための方策を定めることとなっておりまして、それが要件になっているわけであります。  その具体的基準金融再生委員会が定めて公表するということになっているわけでありますが、そこに中小企業に十分配慮した貸し付けの方針ということをきちんと盛り込んでいただきたいということで考えております。
  140. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 これもきのうの質問保岡委員にお聞きしたわけですが、虚偽報告については法的手当てをすることも極めて重要というふうに答弁をされました。これは、銀行法二十六条のところに書いてある法的な規定で適用できるという解釈でよいのかどうか。その場合に、今回金融再生委員会ができるわけですので、ここに書いてある大蔵大臣というのは、大蔵大臣及び特命大臣というふうに読みかえる必要はないのか、これらはいかがでしょうか。
  141. 保岡興治

    保岡委員 虚偽報告の法的手当てについては、それが発見された場合に訂正を求める条項を加えたことと、それから二十四条に、虚偽の事実が健全化計画の中に書いてあったり、あるいは履行状況の報告にそれがあったりした場合には罰則を科すことに新たに追加修正をいたしております。  なお、その読みかえについては、今濱田委員が言われたとおり、しかるべき読みかえをしなければならないということに定めてあります。
  142. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 有価証券等の評価方法について、低価、原価、時価の三つの方法で金融監督庁に届けさせ、その最も正しい評価金融監督庁に任せるべきであるという趣旨できのう私は質問をいたしました。保岡委員は、コストがかかる、制度上、運用上いろいろ問題もある、ただ三つの評価は実質的に検査を行う監督当局にはよく把握できるところなので、運用に当たっては、きちっと当局が把握した実態に即した資本増強が行われるものと承知しているというふうにお答えいただきました。  これは、三つの評価方法で監督庁に届けさせ、資本注入の際には適切に取り扱われるものと解釈をしてよろしいでしょうか。
  143. 保岡興治

    保岡委員 資産評価のあり方あるいは有価証券評価のあり方については、これはやはり時価法低価法の選択制という商法での原則を今行っているところでございますけれども、将来、より適切な評価につながる時価法あるいは余裕のある自己資本等を備えさせるために低価法制度を採用するなど、今後理想的なものに近づけていくということであって、その三つを一挙に採用するという選択なのかどうか、ちょっと御質問趣旨がよくわからないのですが。  ただ、いずれにしても、金融機関の具体的な財務状況というものは正確に把握され、また含み損なども有価証券報告書やいろいろな会計書類によってきちっと外に開示されているところでございます。
  144. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 最後の質問です。  今夜、予算委員会が開かれる予定になっているようでございます。予算総則書きかえということでございますが、再生勘定及び健全化勘定の政府保証枠、どういう根拠で数字が出てくればいいのだろうか、出てくるべきなんだろうかというふうな話があちこちでされているようでございますけれども、その辺の御見解はいかがでしょうか。
  145. 大野功統

    大野(功)委員 再生勘定、健全化勘定、それぞれの役割に応じまして必要な額を今予測しろ、こうおっしゃられますと予測しがたい面がありますけれども、必要と思われる額を思い切って計上することにより金融経済に安心のネットワークを構築することが一番大切である、このように思っております。
  146. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 これで質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  147. 相沢英之

    相沢委員長 これにて濱田君の質疑は終了いたしました。  次に、笹木竜三君。
  148. 笹木竜三

    ○笹木委員 無所属の会の笹木竜三です。質問を始めます。  きのうも何度かお話をしたわけですけれども、今回のこの修正案においても、ハードルが高いこの公的資金を受けるよりは、申請しないで、むしろ貸し出しを減らす、あるいは債権を回収する、そういったおそれもあるということがいろいろ報道もされております。それに対して、官房長官あるいはきのう委員の方あるいは与党の答弁者の方も、行政による資本強制注入もあり得るというお話をされていました。  ここでまず与党の修正案提案者である坂口委員にお聞きをしたいわけですけれども、この申請をびびってしないということに対する対応として強制注入も今後あり得るのか、考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  149. 坂口力

    坂口委員 私は、これは強制注入ということではなくて、やはり個々で申請をするということの方が妥当だろうというふうに思っております。  ただし、先生が今御指摘になるようなことがあるということになれば、これは健全化計画なり、そしてそれがスムーズに行われているかどうかということをよく見ながらやるということであって、強制的にこれをやるということは極力私は避けるべきだというふうに思っております。
  150. 笹木竜三

    ○笹木委員 民主党の案でも、早期是正措置が講じられた後二カ月以内に必要な資本増強を行わないときには株式等引き受け等の申し込みを行わなければならない、これも一種の強制的な注入というふうに考えられなくもないわけです。  この場合に、経営者の、特に経営陣の更迭も含む経営責任強制注入の場合にもやはり問うていくのかどうか、どういうように問うていくのか、確認をしたいと思います。
  151. 岡田克也

    岡田委員 今御指摘のように、我々の法案では二十一条がございます。その中で、二カ月以内に増強を行わないときには申請を行わなければならないということでありますから、おっしゃるような意味合いを持っていることは事実であります。責任はとらなければいけないということになります。  ただ、個人的な意見になりますが、私としてはここまで本当に必要かどうかというのは、これは党内で最後まで議論が分かれたところであるということを申し上げておきたいと思います。  そもそも我々の案ですと、厳しい査定をやりますから、みんな申請をせざるを得なくなる。ほとんどの金融機関が実際今公表している額よりも二ポイント、三ポイントあるいはそれ以上に下がった数字になりますから、貸し渋りとかそういったことではとても対応できない状況になる、そういうことを前提に全体を組み立てているわけでございます。
  152. 笹木竜三

    ○笹木委員 やはり申請を促すような措置が必要じゃないかというふうに思います。感情的には、どんどん銀行業界に何か甘くなってきているように、自分でも腹立たしいわけですけれども、しかし、やはりこの強制注入の可能性も含めて、三年後に結果を見て責任追及を、そのときにはより厳しくてもいいと思いますけれども経営陣の更迭を含む責任追及は時期を区切って、三年後とか二年後とか、そういった工夫がやはり必要になってくるのじゃないか、そう考えております。それに対するコメントをまた修正案委員民主党委員の方にいただきたいと思います。  もう時間が来たそうで、あわせて検査体制、今後はますます検査が煩雑で非常にエネルギーもかかるような検査になるわけですから、きのうもお話をしたわけですけれども自己資本比率が悪いところについてはより濃密な、検査に差を設ける、そして充実をさせる、これがぜひ必要だと思っております。それについてもあわせてコメントをそれぞれいただきたいと思います。お願いします。
  153. 藤井裕久

    藤井(裕)委員 今の笹木委員お話のとおりだと思いますね。やはりこれからの行政というのは事後チェック型にしていこう、そして事前のいわゆる行政指導を排除していこうという考えでありますから、事後チェック型は、今おっしゃったと思いますが、そのとおりであり、そのための充実は政府・与党においてぜひお願いしたいと思っております。
  154. 岡田克也

    岡田委員 基本的に同感であります。  ただ、我々は、自己資本比率のいい、悪いにかかわらず厳しく検査をし、厳しく引き当てをしていく、こういう考え方であります。
  155. 笹木竜三

    ○笹木委員 もう時間ですから終わりますけれども、必ずこの後で、今言った、時期を区切って責任を追及するということの必要性が出てくると思います。それと、検査体制の充実は、常駐も含めて必要だという考えを持っております。ですから、濃淡をつけてやるべきだと考えております。  質問を終わります。
  156. 相沢英之

    相沢委員長 これにて笹木君の質疑は終了いたしました。  これにて原案及び両修正案についての質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  157. 相沢英之

    相沢委員長 この際、金融機能早期健全化のための緊急措置に関する法律案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。宮澤大蔵大臣。
  158. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 保岡興治君外三名提出金融機能早期健全化のための緊急措置に関する法律案につきましては、政府としては異議はありません。     ―――――――――――――
  159. 相沢英之

    相沢委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。谷口隆義君。
  160. 谷口隆義

    ○谷口委員 私は、自民党、平和・改革自由党の三会派提出金融機能早期健全化のための緊急措置に関する法律案及びその修正案について、自由党を代表し、賛成の立場から討論をいたします。  景気、経済に大きな影響を与えているのは、生きている金融機関の抱える不良債権問題にほかなりません。我々自由党は、破綻金融機関については、預金者、借り手、決済システムの維持に配慮した上で清算すべきである、それより重要なことは金融システムの安定化であると一貫して主張をしてきた唯一の党であります。破綻金融機関処理方策に関する議論に一応の決着を見た以上、本来の重要課題である早期健全化に全力を挙げて取り組まなければなりません。  不良債権引き当て、償却できない金融機関の体力のなさ、収益性の低さはゆゆしき問題であり、ビッグバンも既に始動しております。大手十八行でさえ、トータルすれば実質債務超過ではないかとのうわささえあります。金融システム不安は、銀行セクターの抱えるオーバーキャパシティー問題を初めとする我が国の産業構造問題に直結しており、これが我が国金融機関に対する先行き不安の本質です。構造改革を断行しなければなりません。早期健全化は、個別金融機関の救済であってはならず、我が国金融機関合理化及び再編に資するものでなければ何の意味もありません。  以下、原案及び修正案に賛成をする理由を申し上げます。  第一に、本法案に基づく資本注入を初めとする早期健全化のための施策を講じる際、最も重要なことは、全金融機関が適切に資産査定し、有価証券評価し、引き当てを行うことであります。修正案では、これらの手続を明確に規定をし、義務規定といたしております。  第二に、これらの資産査定等に虚偽があっては、破綻金融機関を救済することにつながりかねません。修正案では、虚偽記載に対し、業務停止命令を含む厳しい処分を科することができるとしております。  第三に、金融機関自己資本比率区分によって早期健全化のための施策、それに伴う経営健全化計画内容が異なるのは当然であります。修正案では、各区分に対する要件を明確、具体的に書き分けております。  第四に、早期健全化のための施策として行う資本注入は融資・融通、つまりファイナンスであって、必ず返済されなければなりません。修正案では、経営健全化計画において株式等の消却のための財源確保策を盛り込むこととしており、返済を担保する内容となっております。  第五に、資本注入を受ける金融機関の作成する経営健全化計画は必ず履行されなければなりません。修正案では、経営健全化計画虚偽があった場合は訂正を求めることとし、同時に、経営健全化計画履行を確保するため、業務改善命令業務停止命令を含む厳しい処分を科することができるとしております。加えて、経営健全化計画及びその履行状況虚偽報告に対して罰則を追加しております。  第六に、これら一連の健全性確保の施策に関する情報開示されなければなりません。修正案では、情報開示を努力規定から義務規定化しております。  この修正案は、我々自由党が目指す、事前指導型行政から事後チェック型行政への改革、フリー、フェア、オープンな社会の実現にはいまだ不十分ではありますが、原案のように、裁量行政の余地を多分に残し、資本注入のための方法論を羅列してあった内容と比べれば、我々の考え方を取り入れており、一歩前進であると評価をし、賛成をいたします。  なお、民主党提出修正案については、我々と考え方を異にするため、反対をいたします。  以上、金融機能早期健全化のための緊急措置に関する法律案及びその修正案に賛成する理由を申し述べ、討論を終わります。(拍手
  161. 相沢英之

    相沢委員長 次に、海江田万里君。
  162. 海江田万里

    ○海江田委員 私は、民主党を代表して、民主党提出金融機能早期健全化のための緊急措置に関する法律案に対する修正案に賛成、自由民主党、平和・改革自由党提出金融機能早期健全化のための緊急措置に関する法律案に対する修正案及び自由民主党提出原案に反対する討論を行います。  自由民主党、平和・改革自由党提案する金融早期健全化法案は、水増しした不良債権査定有価証券評価を許し、公的資金でずさんな経営状態にある金融機関株式等引き受け経営者や株主の責任も申しわけ程度にしか問わず、公的資金による不良債権処理を中途半端に行うという極めてあいまい、極めて無責任金融健全化法案です。  以下に三党案の問題点を述べます。  まず、あいまいな資産査定有価証券評価に原価法採用を継続する結果、表に出てくる不良債権の要処理額は、銀行経営の健全性を真に担保する水準よりはるかに低く見積もられるでありましょう。残りの不良債権は、銀行経営者の責任問題に発展しないよう、従来どおり先送り処理されることになります。しかし、不良債権処理しなければ時間の経過とともに増殖します。先送りの結果、不良債権は数年後にはまたふえてしまうことになるでしょう。不良債権は一括処理しなければ永遠になくなりません。三党案は、この肝心かなめの事実に党利党略から目をつむってしまっています。  提案者は、あるいは資産査定引き当て基準金融再生委員会が規則を定めて厳格に行うと強弁されるかもしれません。しかし、第二十一条はこの最も重要な金融再生委員会の権限を金融監督庁に委任しています。権限の委任を受ける金融監督庁が信頼できるものであればまだ救いがありますが、これが金融業界との談合、大蔵省の圧力に弱い存在であることは、残念ながら周知の事実です。また、このような金融監督庁に、本来金融再生委員会が担うはずの金融監督行政の根幹の部分を委任してしまうことは、昨日参議院で可決成立したばかりの金融再生法案が定める財金完全分離、金融行政の一元化にも逆行します。  公的資金投入しなければ経営が立ち行かないということは、市場経済原則とする我が国においては、多かれ少なかれ経営者と株主に経営不振の責任が存することは当然です。今日まで不良債権一括処理に手をこまねいてきた能力なき経営たちに今後もかじ取りをゆだねるということは、金融健全化という重要事を成功させる気があるのか、疑わざるを得ません。  次に、肝心かなめの不良債権処理を中途半端なままに済ませ、いや、それどころか公的資金不良債権処理を行わせるという順番を間違えた公的資金投入は、金融健全化勘定に預かる数十兆円規模の国民の財産を毀損するおそれが非常に高いと言えます。いいかげんな資産査定金融機関を水膨れに評価した上で金融健全化勘定が増資を引き受けるのですから、その引受価格は当然割高なものになります。  民主党案は、不良債権早期処理を当てにならない金融監督庁や金融機関に任せず、分類債権ごとの基準引き当て率を定め、有価証券評価方法に低価法をとることを義務づけるなど、厳格で明確なルールのもとで一気に不良債権処理を完了させてしまおうというものです。もちろん、責任をとるべき経営者には退いていただきます。不良債権処理に係る損失を剰余金と準備金で埋め切れなければ、その相当額を減資して株主の責任を問います。その結果、過少資本状態になった銀行に対して、金融再生委員会の判断に基づき、必要な水準まで公的資金による株式引き受けを行うことを可能にしております。不良債権処理を済まさせて、実力どおりの株価で早期健全化勘定は増資を引き受けるわけです。実際に国民負担が生ずる可能性は、三党案に比べて格段に低いと考えられます。  要するに、三党案は、昨日廃止を決めたばかりの金融機能安定化特別措置法の焼き直しであり、日本金融システムは何も変わりません。株価も目先の反発にとどまるでしょう。無意味な財政赤字の拡大によって、日本国債の格下げも一段階にはとどまらないかもしれません。不良債権処理が完了しないのだから、貸し渋りも永遠に続きます。民主党案は、昨日成立した金融再生法案原則にのっとり、日本金融システム改革するものです。不良債権処理に一気に目途をつけることから、貸し渋りはおさまり、景気全体によい影響を与えます。  最後に、国民生活に密接にかかわり、国の将来を大きく左右するこのような重要法案を、十分な審議も行わず、我が国金融システムの深い病巣に対する認識と、それを解決するための緊迫感も政治的意思も持たない政府と一部の政党に警鐘を打ち鳴らして、私の討論を終わります。(拍手
  163. 相沢英之

    相沢委員長 次に、春名直章君。
  164. 春名直章

    ○春名委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました金融機能早期健全化のための緊急措置法案及びそれに対する二修正案のいずれにも反対の討論を行います。  まず初めに、本法案は、さきに強行成立させた金融再生法案と同様、十分な審議も行わずに短時間で採決しようとしていることに対し、厳しく抗議するものです。  本法案に反対する第一の理由は、今までの十三兆円枠の資本注入の仕組みを、破綻前のすべての銀行に拡大したことであります。  これまで資本注入の対象を健全銀行に限定していた仕組みを、その枠組みを外し、自己資本比率の段階に応じて、健全であろうと破綻直前であろうと、金融機関であれば一定の要件に合致するすべての銀行に適用することにしたのであります。これでは、廃止した十三兆円のスキームの復活、拡大強化と言わなければなりません。  第二に、注ぎ込む公的資金の額が天井知らずになるからであります。  金融再生勘定と合わせて十兆円とされていた当初案の公的資金の規模を、本日午後提出される第二次補正予算案では、本法案に基づく早期健全化勘定に二十五兆円、金融再生勘定に十八兆円と政府保証をふやすことが予定されております。合わせて四倍以上の四十三兆円であり、これに従来からある特例業務勘定十七兆円を合わせると、実に六十兆円という空前の規模となるのであります。これは今年度の国の税収を上回る規模であります。しかも、投入された資金が返ってくる保証もありません。  第三に、本法案でも貸し渋りの解消に保証がないことであります。  本法案では、資本注入の申請をした金融機関提出する経営健全化計画の中に「資金の貸付けその他信用供与円滑化のための方策」を明記しました。しかし、十三兆円のスキームでも、危機管理審査委員会提出する健全化確保計画に金融円滑化という項目があったにもかかわらず、貸し渋りや資金回収は直らないばかりか一層ひどい状況に陥っており、政府でさえ役立たなかったことを認めているではありませんか。銀行に対する監視と指導こそ徹底すべきであります。  第四に、今回の資本増強策が、金融ビッグバンのもとで弱小銀行を整理、淘汰し、巨大銀行中心の金融再編を促進するからであります。  法案では、早期健全化のための原則一つに「金融機関等再編を促進すること」を明記しました。その上で、健全な銀行同士が合併する場合でも資本注入を可能としております。国際的な金融機関再編が進められている中で、それに対応する巨大銀行同士が合併する場合にも資本注入を認め、国民の税金で巨大銀行をさらに太らせる金融再編を推し進めるものであります。  政府は、これまで金融機関への公的資金投入の論拠としていたのは、第一に預金者保護であり、さらに借り手保護や金融システムの維持が加えられてきました。本法案で新たに加えられた論拠は、まさに巨大銀行の一層の体力増強を図る露骨な大銀行支援であると言わざるを得ません。  なお、自民党外二党共同提出修正案は、手直しされたとはいえ、基本的には原案と変わるものではなく、賛成できません。また、民主党修正案は、公的資金投入の点では三党修正案と本質的に違うものではなく、認めるわけにはまいりません。  こうした資本増強スキームの撤回を求め、銀行に自己責任、自己負担原則をあくまで貫くべきであることを主張し、私の反対討論を終わります。(拍手
  165. 相沢英之

    相沢委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  166. 相沢英之

    相沢委員長 これより採決に入ります。  保岡興治君外三名提出金融機能早期健全化のための緊急措置に関する法律案について採決いたします。  まず、中野寛成君外二名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  167. 相沢英之

    相沢委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、保岡興治君外七名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  168. 相沢英之

    相沢委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決された修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  169. 相沢英之

    相沢委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 相沢英之

    相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  171. 相沢英之

    相沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十八分散会      ――――◇―――――