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金田(英)
委員 本当に連日の御審議御苦労さまでございます。また、
大蔵大臣には、
大変お忙しいところこうやっておつき合いいただきまして、恐縮に存じます。
金融システムの
安定化、
信用秩序の維持、安定ということを目がけていろいろと与野党で大変な御論議が進んでいること、本当に一日も早く、この
法案、
妥協案と申しますか、成案を得て、国民の
皆さん方にこれぞ
金融システムの
安定化のための
政策であるぞということをお示しできる日が一日も早からんことをお祈りしております。
つきましては、昨年の十一月に、
都市銀行である
北海道拓殖銀行が
破綻いたしました。私も、
北海道出身の代議士としてこの未曾有な
混乱を目の当たりにしてきたわけであります。単によくない
銀行は淘汰されればいいということを超えて、大変な
事態が発生したわけであります。あれから十カ月経過いたしておりますが、まだその
混乱は安定しておりません。
北海道拓殖銀行というのは、
北海道で最大の
金融機関でありました。
道内に網の目のように各種の
金融のも
細血管を張りめぐらして、
地域の
金融をしっかりと支えておったわけでありますが、
破綻という
事態になって大変なことになったわけであります。九千社に及ぶ
取引の
会社がありましたし、また、その
融資を受けている個人は十五万を超えておりました。そういった
拓銀との
取引先は、
破綻したんだからあすにでも取り立てがあるんじゃないかというようなことで、戦々恐々としたわけであります。
おかげさまで、
受け皿銀行は
北洋銀行ですよというようなことが示されまして、また、
預金については国を挙げて保護してまいりますというようなことがあったわけでありますが、大変な
事態になったわけであります。まさに、
北海道の
金融地図が一夜にして塗りかえられるというようなことになったわけであります。
どんなことが起きたかということを概略取りまとめてみたいわけでありますが、
拓銀の
資金供給がぴたりととまったというようなことになりまして、昨年の十一月から三月にかけて、その
資金の
供給がとまったがための
倒産が各
企業で起きてまいりました。大体三月までに百十二の
倒産が相次ぎまして、そして、その
負債総額は何と一兆二千億を超えるというような
倒産劇が発生したわけであります。大変な
事態でありました。多くの
失業者が世にあふれたわけであります。
また、
預金は保護されていると言っておりましても、
拓銀の
抵当証券を持たされてなけなしのとらの子を失ってしまった多くの
人方が大変な
事態になって、今でも訴訟だとかなんとかという形でがたがたしているわけであります。
また、この
拓銀の
債務の中には、
信用金庫が
相当の
お金を
劣後債という形で持たされております。何百億というような
劣後債を
信用金庫が持たされておったわけであります。ある
信用金庫に至っては百二十億というような
劣後債を持たされていた、それの弁済にもしものことがあれば、
信用金庫も巻き添えで
倒産しなければならないという
事態にあったわけであります。大変な
騒ぎになりました。多くの、六つぐらいの信金の
倒産がまさに現実のものとなったわけであります。
しかし、いろいろな
調整、そしてまた
大蔵当局におかれていろいろな配慮ある
措置によりまして、何とか他の
信用機関、
金融機関の
連鎖倒産までは防げたわけでありまして、本当にこの点につきましては、
大蔵省の御
措置、御査定に対して、心からお礼を申し上げなければならないというふうに思っているわけであります。
たくさんの
企業が
倒産いたしました。何で
倒産したか。それはやはり、ルーズな
貸し付け等々がきわまったんだという形で簡単に片づけられない点があるんだろうというふうに思うわけであります。やはり
地域の
企業を何とかして起こしたい、新しい
産業をこの
北海道内で起こすためにインキュベーター的な
融資機能も持っていて、そういった
融資もたくさんあったわけであります。
倒産という、
破綻という結果ではありましたけれども、やはり単なる安全な
貸し付けだけでは
金融機関の
機能を果たし得ない。やはり
地域の
企業をしっかりと起こしていこうというような形でやった投資が結局日の目を見なかった、
不良債権の山を築いたというようなことになるんだろうと思います。
また、
拓殖銀行は、たくさんの市町村の
指定金融機関としての
機能も果たしておりました。そういったことで、それの受け継ぎをどうするか、今でもその
指定金融機関の扱いをめぐってまだ
調整が続いているところであります。
そしてまた、
会社等々においては、
メーンバンクを失ったという形で大変な
騒ぎになったわけであります。九千社に及ぶ
取引企業が、
拓銀がつぶれたので何とかして新しい
メーンバンクを見つけなきゃならないという形で奔走いたしました。しかし、
道内における
金融機関というのは、
拓銀がまさにガリバー型の
トップ金融機関でありまして、その次にというと、
道銀さん、
北洋さんあるいは
北陸さんというような
零細な、
資金のネットワークが
道内隅々までネットワークされていない弱小の
金融機関でありまして、なかなか
メーンバンクも見つからない。私は
優良な
企業だから何とか
メーンバンクになってくださいといっても、なかなか、はいわかりました、というように簡単にはいかないわけであります。
私もいろいろの依頼を受けまして、この
企業さん困っているから何とか
メーンバンクになっていただけないだろうかというようなことをお願いしても、
会社に行って一週間も二週間も
会社の
経理内容を審査して、残念ながら、もうこういう
経済情勢、
早期是正措置等々が行われているこの段階で、
メーンバンクはお引き受けいたしかねますというような回答が相次いで、まさに
優良企業についてもその引き受けが拒否されて、第二
分類債権、今現在で、大体
引き継ぎの見通しがついておるわけでありますが、いまだ二百社については
整理回収銀行に回さざるを得ない、約一千億の金だというようなことになっているわけであります。この二百社については、大きな
建設業あるいはまた
流通業が含まれておりまして、それが
資金謀りが困ってしまうと何万人というような
失業者を
北海道内であふれさせてしまうというような実情でございます。
また、
北洋銀行さんは、七%の
自己資本比率が、
拓銀の
受け皿銀行となったばかりに三%から三・五%ぐらいに落ちてしまう。そういった、
受け皿銀行になったばかりに、
北洋さんまでも、
受け皿までもつぶれてしまうというような危機的な
状態の中で、何とかして円滑な
債権の
引き継ぎを受けようという形で、必死に今もがいている
状況でございます。
そんな
状況でありまして、
今北海道の
失業者は十四万人と言われております。一昨年は七万人でありましたから、
失業者は倍になっているわけであります。私も時々そのそばを通りかかるわけでありますが、まさに
残業安定所は芋を洗うような
騒ぎでありまして、大変な
状態になっている。
雇用保険等々で
手当てはされておりますが、
相当の
失業者が、十四万という
失業者が世にあふれている。また、こういう
雇用情勢でございますので、
有効求人倍率は日本の中で一番悪い。〇・三八というような極めて劣悪な
雇用状態が
今北海道で続いているわけであります。
こういった
状況を考えてみますときに、
拓銀というそういった
一つの
金融機関をつぶすということは
経済的に、社会的に大変なロスをもたらすものだというふうに思うわけであります。
北海道経済は大変な
事態になって、
拓銀ショックからいまだ抜けやらないという
状況でございます。
拓銀が
破綻したときの
債務超過額は約五千億か六千億ぐらいじゃないかというふうに言われていたわけでありますが、
劣後債の
処理をしなければまた波及が大変なことになる等々で、いろいろな、
日銀特融等々の
措置を講じて、まさに現時点で二兆円になんなんとする金が
拓銀整理のために投下されている、そういったことでありますし、またこれから、引き継がれた
預金の払い出しのために約一兆円にも及ぶ
資金の
手当てが必要である。また、
自己資本比率が劣化した
北洋、
受け皿銀行に対する
自己資本比率向上のための
公的資金の注入も
相当額予定されているわけでありまして、
一つの
銀行がつぶれて新しい
金融秩序をつくり上げるためには大変な血と汗が必要だということ、
拓銀の
破綻についてしっかりと我々は今後の
金融システム安定化のために学んでいかなければならない。この反省をしっかりと、これからの長銀の問題、あるいは、これから出てくるであろういろいろな
金融システムの
安定化のために生かしていかなければならない経験だと思っております。
そこで、
職業安定局長に確認させていただきますけれども、
北海道の
失業状態はまさに、管内、ブロックで一番悪いという
状況になっているわけでありますが、これと
拓銀の
破綻との
関係について、どのような関連を考えておられるのか。