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1998-09-04 第143回国会 衆議院 環境委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月四日(金曜日)     午前九時四十一分開議 出席委員   委員長 北橋 健治君    理事 石原 伸晃君 理事 鈴木 恒夫君    理事 萩山 教嚴君 理事 福永 信彦君    理事 岩國 哲人君 理事 佐藤謙一郎君    理事 田端 正広君 理事 武山百合子君       愛知 和男君    岩下 栄一君       尾身 幸次君    大野 松茂君       小坂 憲次君    桜井 郁三君       戸井田 徹君    村上誠一郎君       山本 公一君    吉川 貴盛君       小林  守君    並木 正芳君       前田  正君    中村 鋭一君       藤木 洋子君    北沢 清功君       武村 正義君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 真鍋 賢二君  出席政府委員         環境政務次官  栗原 博久君         環境庁長官官房         長       太田 義武君         環境庁企画調整         局長      岡田 康彦君         環境庁自然保護         局長      丸山 晴男君         環境庁大気保全         局長      廣瀬  省君         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         農林水産大臣官         房総務審議官  石原  葵君  委員外出席者         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         環境委員会専門         員       鳥越 善弘君     ――――――――――――― 委員の異動 九月四日  辞任         補欠選任   戸井田 徹君     吉川 貴盛君   山中 貞則君     小坂 憲次君   冬柴 鐵三君     並木 正芳君   土井たか子君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     山中 貞則君   吉川 貴盛君     戸井田 徹君   並木 正芳君     冬柴 鐵三君   北沢 清功君     土井たか子君     ――――――――――――― 八月二十八日  環境ホルモンヘ対応強化に関する陳情書外一  件  (第九五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地球温暖化対策推進に関する法律案内閣提  出、第百四十二回国会閣法第一一一号)      ――――◇―――――
  2. 北橋健治

    北橋委員長 これより会議を開きます。  この際、先般環境庁長官就任されました真鍋賢二君及び環境政務次官就任されました栗原博久君より、それぞれ発言を求められておりますので、これを許します。真鍋環境庁長官
  3. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 このたびの小渕内閣発足に際しまして、国務大臣環境庁長官及び地球環境問題担当を拝命いたしました。浅学非才の身でございますけれども、皆様方の御協力をちょうだいして一生懸命頑張ってまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願いをいたします。  今日、人類経済社会活動はますます拡大し、環境に対し深刻かつ回復困難な影響を及ぼしております用地球温暖化影響が既に平均気温上昇や海面の上昇等の形であらわれていること、ダイオキシン問題や廃棄物問題など国民生活に大きな影響を及ぼすような問題が顕在化していることなど、まさに人類社会の基盤を揺るがしかねない環境危機ともいうべき状況が生じております。これからの私たちの対応のあり方が二十一世紀以降の人類の暮らしや経済活動の発展を大きく左右することとなり、国内的にも国際的にも極めて重要な問題であります。  このような重要な時期に環境問題を担当させていただくことになり、その責任の重さに身の引き締まる思いがいたしておるところであり、私としても全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。  特に、昨年十二月の地球温暖化防止京都会議議長国である我が国は、地球温暖化問題への取り組みにつきましては国際的に強いリーダーシップを発揮していくことが求められており、我が国自身が率先して温室効果ガス六%削減という目標の実現を図っていかなければならないと認識しております。さきの通常国会には、地球温暖化対策推進に関する法律案を提出させていただいておりますか、本国会におきましてぜひとも成立させていたたけるようお願いいたす次第であります。また、多くの国民皆さんに不安を与えているダイオキシン環境ホルモンなどの化学物質問題につきまして、本年度補正予算においても対策を講じてきているところでありますが、今後とも、一刻も早い問題の解決に向けて全力で取り組んでまいります。  委員長を初めといたしまして、皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、就任のごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手
  4. 北橋健治

  5. 栗原博久

    栗原政府委員 先般七月三十一日に環境政務次官を拝命いたしました栗原博久でございます。  ただいま真鍋大臣からごあいさつのとおり、我が国の抱えます環境問題は、地球規模を超え、また世代間を超えて、大変大きな問題をはらんでいるわけでありまして、環境ホルモンの問題とかあるいはまたダイオキシン、また地球温暖化など、本当に多くの関門が控えておるわけであります。  その中におきまして、住みよい地球をつくるために、真鍋大臣を補佐いたしまして、微力でございますが、一生懸命に環境行政推進のために努力したいと思います。大変浅学非才でございますが、皆様の御指導お願い申しまして、私のごあいさつにかえさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)      ――――◇―――――
  6. 北橋健治

    北橋委員長 第百四十二回国会内閣提出地球温暖化対策推進に関する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。本案につきましては、前国会において既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 北橋健治

    北橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――  地球温暖化対策推進に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  8. 北橋健治

    北橋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木恒夫君。
  9. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 おはようございます。自由民主党の鈴木恒夫でございます。  新しく大臣並びに政務次官就任をされました真鍋先生そして栗原先生日本地球全体の環境問題のために大きなお働きをいただきますように期待をし、激励をさせていただきます。  私はもともと生意気なことを申しておりまして、一内閣大臣国際的に日本リーダーシップを発揮していくには、少なくとも内閣主要閣僚は、慣例的に一年足らずでくるくるかわるのではなしに、総理大臣が在任中、その総理大臣と心中をするぐらいのつもりで働いていただかなければならないということを主張しておりまして、その主要大臣一つ環境庁長官、将来の環境大臣も位置づけられるべきだと考えておりますので、どうぞ真鍋大臣には、御留任の声がほうふつとして沸き起こるような御活躍を期待いたします。  私は四十分時間をいただいておりましたが、本法案につきまして、前国会以来、私自身が単細胞の頭脳でございまして、甚だ皆様に御心配、御迷惑、御不快の念までお与えしたので、質問は二十分に縮めて、私の意のあるところをお酌み取りいただきたいと考えております。そこで、端的に御質問もさせていただき、大臣初め政府側からは簡潔なお答えをいただきたいと思います。  私はことしの五月に中国に参りまして、中国要人環境問題についても意見交換をいたしました。偉大な指導者であった鄧小平氏がよくインタビューを受けて、あなたは文化大革命を初めとしていろいろな失脚あるいは悲嘆のときもあっただろうに、不死鳥のようによみがえったのはなぜでしょうという質問を受けると、いや、私は楽観主義者だからよみがえれた、どんなことがあっても天は落ちてくることはないんだ、こう言ったと言われています。  私は、中国関係者に、この鄧小平さんの不死鳥のごとき生命力は大変なもので、その偉業は中国の歴史にさん然と輝くであろうけれども、この鄧小平さんの言葉はやがて死語になるだろう、こう言いました。つまり、空からは酸性雨が降り、地球温暖化は進み、砂漠化は進み、オゾン層破壊をされ、もう天が落ちてくることは目の前に現実の問題として生じているわけでありまして、中国要人皆さんにそのことを申し上げて、日中が協力して、少なくともアジア環境破壊に歯どめをかけようじゃないですかと申したわけであります。今度の中国の大洪水も、明らかに天災、人災のまじり合ったものでございまして、人類の未来を暗示するものとして、我々は大変なショックを受けております。  私は、これからの地球環境問題あるいは国内環境問題も含めて、これまでの人間文明を根底から、意識の中から変えなければだめだ、人間文明への挑戦だ、こう考えておりまして、こうした基本的な考え方に長官がどういう認識を持っていらっしゃるか、まずこの点をお伺いしたいと思います。  そうした認識の上で、昨年の京都会議というものはどういう位置づけになるのだろう。この京都会議は、私もずっと携わってまいりましたので、政府はもちろんのこと、事業者、あるいはとりわけNGO皆さんが全国的に大きな声を上げてこのCOP3の成功をサポートしてくださった。これは本当にありがたかったことでございまして、あれがなければ京都議定書の採択ということはなかったかもしれないくらいに思っております。  我が国環境計画あるいは環境基本法には、循環、共生、国際的取り組みと並んで参加というキーワードがあるわけでございまして、すべての者がますます地球保全環境問題の解決に取り組まねばならない。そうした意味で、NGOを初めとする国民皆さんへの思いを、長官からぜひ一言お聞きをしておきたいと考えます。
  10. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 鈴木先生のお話を聞いて、まさに環境問題は地球規模になしていかなければならないということを痛感させられておるところであります。いろいろな御高説の中にうかがわれますように、これからの問題として取り組まなければならない姿勢がお伺いできたわけであります。  昨年の京都会議において厳しい削減目標を立てたわけでありますけれども、この京都議定書が採択されたことは、地球温暖化防止に向けて歴史的な第一歩を踏み出したと言っても過言でないと思っておるところであります。  京都会議成功は、京都会議に向けて、政府のみならず、NGOや企業といったさまざまな主体が自主的かつ積極的に取り組んだことによるものと考えます。このような各主体取り組みは、今後の地球温暖化対策推進するに当たって極めて重要なことである、こう考えておるところであります。  先生のお考えなどを入れながら、一緒になってこの問題に取り組んでいきたいと思っておるところであります。
  11. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 ありがとうございました。  COP3の議定書の問題は、引き続き各国とも継続的に取り組んでいるわけでありますが、我々の当面する目標として、十一月にアルゼンチンのCOP4が待ち受けているわけでございます。  与党立場からいたしますと申し上げにくいことですけれども、前長官大木浩さんが参議院議員選挙で議席を失われて、しかし、これは事務当局からお返事をいただきますが、議長としてまた行かれることになったのかどうか。これはちょっと答弁をいただきますが、多分議長としてブエノスアイレスへ向かわれるのだろう。  そうなりますと、今審議最終段階に入りましたこの温暖化対策法というものは、どうしても大木長官のかばんの中にしっかりと入れていっていただかなきゃいけない。京都会議議長国として、こういう法律世界に先駆けてっくったということは、日本リーダーシップを示す何よりの証左になるわけでありますから、そのことを熱烈に私は願望して今国会での成立を一日も早く、こう思ってまいりました。  COP4への準備あるいはその大木議長の件、それからCOP4でどういう状況が生まれそうか、御答弁をお匿いします。
  12. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  まず最初に、大木大臣議長としてCOP4に行かれることになるのかというお尋ねでございます。  この点につきましては、大木大臣のお立場が変わられましたけれども、政府といたしましては、引き続き条約締約国会議議長としてCOP4までお務めをいただくということをお願いすることとしたわけでございますので、そのようなお立場ブエノスアイレスに行っていただくことになるだろうというふうに考えているわけでございます。  さて、このCOP4でございますけれども、現在、そのCOP4に向けましてさまざまな準備を進めているところでございます。  大きな課題といたしまして、京都議定書早期発効を目指しまして、私どもといたしましては、新たに導入をされました排出量取引などの、国際的に協調して目標を達成する仕組みの具体的な内容についての検討をぜひ促進していく必要があるだろうと考えておるところでございます。  それからもう一つは、京都会議の大きな積み残しの課題となりました途上国取り組み強化という問題につきましても、やはりこれはいまだに途上国先進国の間の対立が厳しいために、その前進を図る見通しが大変つけにくい課題ではございますが、一歩でも二歩でもそうした問題につきましても議論前進を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。  こうした目的を持ちまして、我が国といたしましても、今月中旬には東京において主要国閣僚レベルの御参加を得まして非公式閣僚会議を開催するなど、COP3の議長国としてCOP4の成功のために最大限のイニシアチブを発揮してまいりたいと考えているところでございます。  こうした観点から、このお願いをしております法案でございますけれども、この臨時国会において制定していただくことによりまして、他の先進国における国内対策強化に弾みをつけるという意義があることがまず第一の大きな意義であろうというふうに考えております。同時に、ただいま申し上げましたようなCOP4で大きな議論となると見込まれます途上国取り組み強化につきましても、そうした国際的検討を円滑に進めていく上で、先進国の真剣な取り組み姿勢を見せるということが大変欠かせない重要な点でございます。  そうした意味で、途上国信頼感を高めるという意味でも、我が国が専ら温暖化防止目的とした法律世界で初めてつくるということの大変大きな意義がある、このように考えている次第でございます。
  13. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 議定書の中にあります共同実施とか排出権取引日本は六%を国際公約したわけです。アメリカなどはなかなか議論が進んでいないようですので、ロシアがああいう状況になっておりますから、共同実施対象国として話し合いができるのかどうか甚だ疑問でもありますが、その他の国も含めて、こうした新しいシステムを各締約国目標達成に向けて積極的に実現していく、そういう姿勢をとらせるためにも、日本政府取り組みは、外務省との問題もあるのでしょうけれども、少しネガティブに過ぎないか。もっとポジティブにどんどん前へ出て、目標達成に向かって日本は走っているという姿勢を見せるべきだと思います。これは要望をしておきますので、やはり日本は頑張っている、こういう評価を受けるように、これから十一月まで時間もそうありませんので、努力をいただきたい。  そうしてやっていけば、この審議中の法律案にございます附則の第二条、見直しを五年以内にするんだというくだりがありますけれども、私は、もうこれだけ時代のテンポが速いわけですから、五年などとこだわらないで、必要なことが生じればどんどん法律内容も変えていく、積極的に政府がそれを提起してくるくらいの積極性が欲しいと思いますが、どうでしょう。
  14. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、我が国COP3の議長国でもございますから、京都議定書早期発効に向けて積極的にイニシアチブを発揮していくべきであろうというふうに考えております。そのようにいたしまして、国際的な検討あるいは交渉のスピードアップをしていくということが必要でございますし、そのような国際的な検討が進み、あるいはまた温暖化に関するいろいろな科学的知見でございますとか対策の技術、こういうものの進歩も強力に図っていくというようなことによりまして、この法律を取り巻くいろいろな条件をできるだけ早く変化をさせていくということが必要だろうというふうに考えております。  そのような努力によりまして変化が起こりますと、この法律施行後五年以内に施行状況について検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるという規定、ただいま御指摘規定ではございますけれども、こうした事情対応をいたしまして、五年を待つことなく、検討が必要と判断されれば適時適切に見直しを行ってまいりたい、このように考えております。
  15. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 御存じのように、地球環境問題は、一九九二年の地球サミットリオで画期的な会議が行われて加速したわけでございます。  したがって、国際的にリオプラス10を二〇〇二年に開催することになっておるわけでありますが、その開催地、どこでリオプラス10をすべきかという議論がもう始まっておりますが、個人的にはアメリカ中国が望ましいと私は思っているのです。  なぜかといいますと、アメリカは、御存じのように世界最大温室効果ガス排出国でありながら、いろいろな事情から実質的に地球環境問題にそうポジティブに取り組みが進んでいない。したがって、アメリカ世界の代表が乗り込んで、少しアメリカの世論を喚起するというくらいのことがあってもいいのかなと思ったりいたします。  一方で、これから世界の人口の多くの部分を占めることになる中国の存在も、途上国問題を象徴するものとしてやはり大きな意義を持つと思っております。できれば中国リオプラス10をやって、地球サミットに続く画期的な前進をまた図らせたい、こう思っております。  大臣、これはちょうど二〇〇二年、リオプラス10は、我が国内におきましては環境省ができ上がっているかどうかというぎりぎりのところなんですね。私も、あえて環境庁の昇格とは言いません、環境省の設置に向けて懸命に努力をしておるところですけれども、このリオプラス10、それに向けて環境庁全体がどう取り組んでいくか。  私は、最後に一言申し上げれば、一番最初に申し上げたように、人間文明転換点だという認識に立てば、国連機構改革の中でも環境に関する、例えば常任理事国会議ぐらいのものがあって、環境危機管理という言葉を私今盛んに自分で使っているのですが、やはり地球環境危機管理というものを国連取り組みのメーンに置くべきだ。もちろん、日本政府部内でも、官邸機能の中に環境問題というものを中心的な一つの柱に置いていくべきだ、こう考えているのです。  時間が参りまして、もう二十分とっておけばよかったなと思っておりますが、お約束でございますから、この点に対する大臣の決意をお伺いして、質問を終わります。
  16. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生指摘のように、アメリカにいたしましても中国にいたしましても、環境問題ではこれから相協力してやっていただかなければ、温暖化防止等目的を達成することは不可能だと思っておるわけであります。先生の御提言をちょうだいしながら、何とかリオプラス10の成功をおさめたいものと考えておるところであります。  先ほど、二〇〇二年ということでありましたが、二〇〇一年からは我が環境庁も省に昇格することでありまして、今までのような姿でなく多角的な環境行政に取り組んでいかなければならないわけでありますから、調整省でなくて、積極果敢に環境問題に取り組む省庁としての目標を立てて頑張ってまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  17. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 ありがとうございました。質問を終わります。
  18. 北橋健治

  19. 岩國哲人

    岩國委員 民主党を代表いたしまして、環境政策、とりわけ温暖化防止条約に関連した質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、新しく大臣就任されました真鍋長官、また政務次官、心からお祝い申し上げたいと思います。  我々環境委員会委員一緒になって、党派は違いますけれども、環境委員会では党派を超え、そしてお互いの立場を超えて日本環境問題に取り組んできたつもりでありますので、長官政務次官も、ぜひ我々と同じ党に入党されるつもりで頑張っていただきたいと思います。  いろいろな問題があります。金融問題等々ございますし、私も予算委員会金融に関する特別委員会等でいろいろと激しい議論をしてまいりました。きのうも、またきょうも続けるわけでありますけれども。環境委員会で私がいつも思いますのは、我々、政府とか与党とかいいますけれども、今の政治に対して一番の最大野党は、私は環境問題ではないかと思っております。そういう環境問題という最大野党背景にして、内閣の中でもしっかりと閣議でも発言していただきたい、そのように思いますので、そうした国民意識の中で、あるいは国会の中においても環境問題を支持する、また関心を持つ議員の数は非常に多いわけでありますから、その最大の政党を背景にして闘っているのだという意識でもって閣議でも、それから予算要求でも闘っていただきたい、そのことを最初にお順いしたいと思います。  次に、温暖化防止条約に関連して、グローバルグローバルということがよく言われます。グローバルということについてはいろいろな場面で使われることが多いわけであります。例えば、社会グローバルになる、世界グローバルになるといったようなことに使われますけれども、文化の問題については、確かに各国文化の交流というのは非常に望ましいことではありますけれども、文化グローバルになれば、失われていくのは地域伝統、それぞれの地域文化伝統というのが失われていきます。  一方、経済あるいは最近の金融問題についても、ビッグバンに関連してグローバルということがよく言われます。金融の問題においてグローバルと言う場合には、大きなマーケットができる、効率のいいマーケットができる、それはグローバル化の結果として大変好ましいことではありますけれども、逆の面としては、ローカルなメリットはとかく軽視されて、それぞれの、ロシアとかインドネシアとかあるいは日本とかそういったようなところでグローバルマーケット影響を受けて、地域経済においては非常にマイナスが出てくるという面も出てくるわけであります。  しかし、事環境問題に関して言いますと、私は、最近のいろいろな環境に対する取り組み地球規模で、あるいは国際間の協力というのがどんどんふえていっているということについては非常に好ましいことだと思っております。  このグローバル協力関係を打ち立てていくという点からは、とりわけアジアの、アジアというのは地球上でも一番開発途上国、これから開発していこう、三十年、五十年、百年前の日本を追いかけていこうという国が非常に多いことは長官も御承知のとおりであります。ということは、開発環境という相対立するような概念からいいますと、地球上で一番環境悪化が懸念されるのがこのアジアであり、その悪化するかもしれないアジアの中にあって、技術と人と金を持っている、そして環境悪化の経験も持っているというのは日本であります。  そういう意味で、地球全体を見た中で、グローバル協力体制の中で、一番悪化が懸念されるアジアの中で、私は日本の役割というのは非常に大きいのではないかと思うわけです。技術と金と人と環境を悪化させたという貴重な経験、このすべてをそろえて持っているのはこの日本でありますから、そうした温暖化防止条約をこれから国内において推進しあるいは海外との協力推進していく上で、単に何十カ国の中の一つという意識ではなくて、これはアジアの中で、世界の中でもそれだけの役割を持つだけの条件を備えているのだという意識でこれから取り組む必要があろうかと思いますけれども、この点において長官の御意見を伺いたいことが一つ。  二番目に、最近安全保障のことについていろいろ言われますけれども、戦争についての安全保障よりも、先ほど鈴木委員がおっしゃいましたように、私は、環境に対する安全保障、環境安保計画というものを推進すべきじゃないかと思うのです。戦争の安全保障ばかりあるから、安保といえばあの戦争の話、ミサイルの話ばかり。安保といえば環境のことだよというふうに意識の切りかえをやっていく上でも、アジアを中心としたアジア環境安保計画を推進していくべきだと思いますけれども、この点についてどのような御意見をお持ちか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  20. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 岩國先生からの御指摘、しかりだという感じでお伺いいたしました。  と申しますのは、もう与野党はないんだ、グローバルに考えていかなければならない、我々も協力するからということで、環境党をつくれというような意味合いに私も受けとめさせていただいたわけであります。  まさに環境問題を考えるときに、グローバルに考えなければならない、またボーダーレスな対応をしていかなければならないという考えを持ってこれからの環境行政に取り組んでまいりたいと思うわけでありまして、私は、皆さんの英知を傾けた、この環境委員会であれ、まずは日本から発信する多くの技術、経済、いろいろな面で先進国としての力を発揮していかなければならないと思う次第であります。  先生から御指摘いただいたように、日本の戦後というものはいろいろな経緯をたどってまいったわけでありますけれども、その中において経済大国となり、また技術立国としてこれから進んでいかなければならないわけでありますし、その英知を持ち合わせておる我が日本であるわけでありまして、これらを駆使しながら何としても目的達成に頑張っていかなければならない、こう思っておるところであります。  先ほど、アジア地域における日本の役割分担ということについての御指摘があったわけでありまして、日本としても、今アジアの中で唯一の公害経験を持ってそれを再生していった国であるわけでありますから、そのアジア皆さん方の御期待にこたえるようにこれからも精進してまいりたいと思っておる次第でありまして、どうぞ今後の御指導方をよろしくお順いいたす次第であります。  それから二番目に、一つアジアの安保会議を提唱されたわけであります。今、自民党の方から食糧安保もあるぞというような御意見もいただいたわけでありますけれども、これらの安全保障にかかわる問題を取り上げて、何とか日本世界から畏敬、尊敬される国としてその振る舞いをしていきたいものだと思っておるわけでありまして、非常に貴重な御意見をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。その面に向かって頑張ってまいりたいと思います。
  21. 岩國哲人

    岩國委員 ただいま長官から前向きな御答弁をいただきました。  アジアといいましても数多く国があります。その中で、日本との気候、地理的なあるいは海を通じての関係が深いのは、ロシア中国と韓国、まあ北朝鮮というのもありますけれども、とりあえずはこの三国ではないかと思います。  したがいまして、例えば酸性雨の問題にしましても、中国の気候の変化がすぐにこちらへ来る。風は黄砂の問題もあります。あるいは海洋汚染の問題があります。これも国境を越えた問題。あるいは砂漠化の現象、これも中国日本とで関係があります。この砂漠化、海洋汚染の問題、酸性雨、いずれも国境を越えた問題として既に問題そのものがグローバルになっておりますから、グローバルな問題にローカルな努力だけで立ち向かうというのは十分でないと思います。確かに、京都会議において考え方についてはいろいろな議論が交わされ、グローバルに考え、そしてローカルに行動するという段階に来ておりますけれども、こうした中国、韓国、ロシアとの協力ということを考えますとそれだけでは十分でなくて、逆に、ローカルに考えグローバルに行動する、これがアジア安保計画の一つの役割ではないか、そのように思っております。  そうしたロシア中国、韓国との国際協力というものを進めていく上で、現在、この三国においては、京都におけるCOP3以後どのような努力国会を通じ、政府予算を通じ、それぞれの国で行われてきておるのか。我々は我々で日本の中の努力はちゃんとやらなければいけませんけれども、よその国はちゃんとやっているのか。決して失礼な意味のやじ馬精神ではなくて、グローバル協力体制というのは日本だけの協力では十分でないから、ほかの国の努力の度合いというものを常に見ながら日本のその努力も進めていかなければならないという観点から、ロシア中国、韓国、それぞれの国において、その後どのような努力をされているのか、いやもう日本の二倍ぐらいの努力でやっているというのか、あるいは意外にその後手が抜かれているということなのか、率直な御見解をお願いしたいと思います。
  22. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  ロシア中国、韓国の京都会議以降の取り組みについてのお尋ねでございますが、まずロシアでございますけれども、京都議定書では、削減率として一九九〇年の水準に比べまして〇%という目標が定められたわけでございますが、実際上は、一九九〇年以降経済の停滞を反映いたしまして二酸化炭素の排出量も大きく減少をしております。一九九五年のレベルでは約三〇%減少しているというふうに推測をしております。  そうした中で、またさまざまな経済的な困難に直面をしている中で、ロシアといたしましてもこれらに真剣に取り組もうとしておりまして、具体的には、西欧先進国あるいは我が国協力をいたしまして、共同実施というような形で協力をしながら温暖化防止のプロジェクトを進めようとしております。例えて申しますと、旧式の石炭火力発電所を近代化いたしまして発電効率の高い天然ガス火力発電所に建てかえるというような努力を他の先進国と共同して行うといったようなプロジェクトを進めようということでございます。  次に中国でございますけれども、中国は、御承知のとおり、途上国ではございますが、世界最大の人口を抱え急速な経済発展をしておりますので、これを放置いたしますと大変大きな排出量になることが恐れられているわけでございます。国際協議の場においては依然としてかなり強硬な主張をし、途上国立場から先進国の責任を追及する立場を続けてはおりますけれども、他方で、ことしになりましてからの中央政府の行政組織機構改革におきまして、従来の国家環境保護局を環境保護総局ということで、ちょうど我が国の総理府に所属いたします環境庁が国務大臣によって指揮されておりますのと同様のより高い立場に位置づけられておりまして、国内環境問題に一層積極的に取り組もうということで、国会におきましても新しい法律などを制定し実施していくというようなことで、全般的には環境保全についてより積極的に取り組もうとしておる。  そうした中で、我が国との関係におきましても、省エネルギープロジェクトや植林等を協力して進めようというような姿勢で臨んでいるところでございます。  最後に、韓国でございますけれども、韓国も昨今経済的な困難に直面してはおりますけれども、韓国自身はOECDに加盟をし、先進国の仲間入りをしつつあるという客観的な状況にあるわけでございます。そうした中におきまして、韓国といたしましても、条約上は途上国の仲間に入ってはおりますが、自主的に韓国みずから温室効果ガスの排出量についての目標を掲げて、これに取り組んでいこうというような意思を最近表明をしております。ただ、その目標の時期は、京都会議で決められた時期よりも十年ぐらい後になるということで、それは少し遅過ぎるのではないかという声も一部にございますけれども、しかし、今までそのようなことを言ってまいりませんでした韓国もそのようなことで積極姿勢に転じているというふうに理解をしております。
  23. 岩國哲人

    岩國委員 それら三つの国について御答弁いただきましたけれども、その三つの国いずれの国においても、COP3以前とCOP3以後とを見た場合に、この環境問題、温暖化防止についての取り組みは非常に前進しておるということが言えるかどうか。  二番目に、どの国においても前進したということであれば大変京都会議意義が大きかったということになりますけれども、日本を含めてこの四つの国の中で、仮に日本を格付でBとした場合、ロシア中国、韓国はどれぐらいの格付で我々の頭の中に置いておけばいいのか。人、金、努力、そういったものを総合的に見て、その前進の度合いはどうなのか。我々も負けちゃならぬわけですけれども、簡潔に御答弁を願います。
  24. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  なかなか客観的に比較をして評価することは難しい点がございますが、明らかにこの三国とも、先ほど申し上げましたとおり、京都会議以降、その以前に比べまして対策前進を見ているというふうに考えております。  その前進の度合いを我が国と比較してどうかということでございますが、私どもは、やはりその四国の中で明らかに我が国が一番熱心に対策前進させている、その努力の一端がこの法案を御提案申し上げているということにもあらわれていると考えております。しかしながら、我が国ほどでないにしても、先ほど申し上げましたように、この三カ国、中国、韓国、ロシアも一定の前進を見せているというふうに申し上げることができるかと思っております。
  25. 岩國哲人

    岩國委員 大木長官も非常に努力されたということは、我々も委員の一人として率直に評価したいと思います。四つの国の中でバッジを犠牲にしてまで法案推進されたのは大木長官だけではなかったか、そのように思いますし、今後とも、日本が常にアジアの中で一番熱心な国だという評価を得るように努力すべきだと思います。  次に、四カ国の体制を、決して四カ国に限定するわけではありませんけれども、こうしたアジア近隣諸国との温暖化防止のための努力を、相乗効果を伴う上で、そして、広域圏で取り組みの効果を上げるために、協力体制をしく上で、日本の大使館の出先にそれぞれ環境庁が直結できるような、情報をとるあるいはいろいろな働きかけをする、そういう体制は十分にできておりますか。我が国の大使館の中で環境庁の仕事をする人はいるのかいないのか、あるいは兼務でやっておって、頼んでも忙しいという理由でなかなか返事も来ないというような状況なのか、その点についてはどうなっていますか。
  26. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  この中国、韓国、ロシアの三カ国の中では、昨年から、中国の北京の日本大使館に環境庁からいわゆる環境アタッシェという形で職員を、これは外務省の職員になってでございますけれども派遣をしてございまして、現在、中国政府との間で密接な協力を行っているところでございます。失礼いたしました。ことしの四月から派遣をしております。  しかしながら、他の二カ国、韓国及びロシアにつきましては、まだそこまで至ってはおりませんが、これは兼務という形で環境問題につきましてもフォローをしていただきまして、それらの両国との間の連絡に努めているところでございます。  具体的に、韓国及びロシアとの間では、それぞれ我が国との間で環境保護のための協力協定を結んでおりまして、毎年でございますけれども、定期的に会議を開き、環境協力推進に努めているわけでございまして、それらの両国の大使館の担当職員もそうしたことなどの連絡のために非常によく働いていただいているというふうに考えております。
  27. 岩國哲人

    岩國委員 次に、新長官環境問題に対する取り組みについてお伺いしたいと思います。  真鍋長官は、今まで、長官就任までに、環境問題に対して、一参議院議員として、一政治家として、地元であるいはその他の論文等で、個性的、独創的な何か提案をされたことがあるとすれば、その一つか二つを御紹介いただけませんか。
  28. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 私には文学的な才能というものが欠けておりまして、なかなか論文を発表するところまではいっておりませんけれども、御案内のように、香川県にも豊島の廃棄物処理問題について大きな行政政治課題がございます。その現場にも、我が選挙区でございますので、たびたび参りまして、実情を調査しながらそれらの対応を提言したところであります。  いろいろな環境行政に携わる問題、地方で育っただけに、都会に出てきて比較しながら、ああもしたい、こうもしたいというような考えは日常持っておるところでありますけれども、なかなか環境行政一本に取り組んだ経験がございませんので、その提言もできていないところであります。  今後、先生方の御指示等をいただきながら、私もこの環境問題について真摯な取り組みを政治家としてもしてまいりたいと思っておるところであります。
  29. 岩國哲人

    岩國委員 例えば、真鍋長官環境税に対するお考えはどういう御意見でしょうか。環境問題を解決するために環境税が必要だという意見もあります、必要でないといういろいろな意見もございますけれども、長官はどういうお立場をとっておられますか。
  30. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 政治家が税について考えるのは至極当然でございます。しかしながら、細川内閣のときのような、一つの福祉税の目的税制を掲げましても、その問題に対する国民のアレルギーというものがあるわけでありまして、私も税問題につきましてはあれやこれやと考えるところでありますけれども、やはり慎重な取り組み方が必要だと思っておるところであります。
  31. 岩國哲人

    岩國委員 全くよくわからない御答弁で、その点は非常に残念に思います。  次に、質問の論点を変えたいと思います。  最近、各省庁からそれぞれの国会議員のもとにいろいろな予算要求に関する資料等が送られてまいります。建設省からもやってくる、よその省からもやってくる。最近の建設省のものを見ますと、環境という言葉を書いた項目が非常に多いのですね。ですから、これは環境庁一緒に作文されたか、事前協議なされてから建設省はこういうことを要求しておるのかどうかわかりませんけれども、この中で、例えば水循環についての健全化推進大綱、仮の名前ですけれども、こういうものができるようであります。この水の環境問題について、これは環境庁の方から働きかけてこういうことができているのか、建設省が環境庁と関係なしにやっておるのか。あるいは、水循環再生会議、これも新しいものを設置しよう、水循環のマスタープラン、これに書いてあることはみんな環境問題なのですね。こういったようなことについて建設省と事前にどの程度の打ち合わせがされているのか。内容については、環境庁のそれぞれの関係の担当の方は十分これを熟知した上でこのような予算要求一つ内閣として推進されるのかどうか。環境との共生を目指した健全な循環型国土システムの確立、環境との共生を目指しつつ、水循環の健全化を推進する、これは環境という言葉のはんらんです。  こういうことについて、環境庁としてはそういう助言をされたのか、あるいは意見を求められたのか。全く無関係に、厚生省は厚生省で、農林省は農林省で、環境環境という言葉を使っては新しい予算を要求しておるのかどうか。この点について、まず最初に御答弁をいただきます。
  32. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答えを申し上げます。  先生の御指摘でございます、例えば水循環の健全化ということにつきまして、建設省が環境という視点にも配慮しながらいろいろ政策に取り組み始めているという御指摘でございますが、これにつきまして、環境庁あるいは環境保全という立場からいろいろ調整をしているのかという御質問でございます。  この件につきましては、私ども、いろいろ水環境保全ということの重要性を関係各省に従来から言ってきております。具体的に言いますと、水の利用という観点、あるいは治水を図らなきゃいかぬ、いわゆる洪水を防止しなきゃいかぬという形での水の問題のアプローチもございます。それに、私どもの環境保全、水環境保全という観点のアプローチもございます。したがいまして、そういうものを総合化した対応が非常に重要であるということで、関係各省といろいろ意見を交換し、調整をしていかなければいかぬという観点で対応してきております。  具体的には、環境庁等が中心となりまして、建設省も含めまして、先般、健全な水循環系構築に関する関係省庁連絡会議というものを設置したところでございます。こういう場を通じまして、例えば河川をめぐります環境保全、治水あるいは利水の問題に総合的に対応していくような対応を今後いろいろとってまいりたい、こう考えておるところでございます。
  33. 岩國哲人

    岩國委員 建設省、農林省、いろいろな省庁が環境ということについて非常に関心を持っている、そして、国土の環境保全に取り組まれるということはいいことだと私は思っておりますけれども、ただ動機が、環境に名をかりた予算の確保であったり予算の獲得に走り過ぎると、結果として起きることは、本義を忘れてそのような事業を計画し、実行し、環境庁が後から追いかけてみたら全然その目的と外れておったということにならないように、十分いい事業であれば私はやるべきだと思います。環境庁の力ではやれないことが建設省の予算で、力でやれるんだという点は大いにそれは推進すべきだと思いますから、十分連絡をとって、むだな事業にならないように、そして、本来の環境保全環境の整備ということにつながるような体制をとっていただきたいということであります。  今でなくて結構ですから、昨年の建設省の予算要求のいろいろな資料、六冊も七冊もありますけれども、去年とことしと比較して、この環境という言葉があらわれた箇所が去年は五十三カ所、ことしは二百カ所とか、どなたか数えて教えていただけませんか。京都COP3の国際会議の一番早い効果がこの霞が関の予算獲得にドラマチックにあらわれておるんじゃないかというふうに思いますので、まあ私が一ページずつ数えてみてもいいんですけれども、環境庁としても、自分のところの名前が予算獲得にどこの省で一番愛用されているか、愛用度数というものを、昨年とことしと比較して教えていただきたいと思います。  それから最後に、もう時間も尽きましたから、今すぐお答えいただけるかどうかわかりませんけれども、CO2の排出量、この排出量というのが、今から約五十年前には年間十六億トン、一九五〇年。それが最近の数字で見ますと七十一億トンに激増しております。これは排出であって、ある統計によりますと、そのうち約半分の三十八億トンが海とそれから森で吸収されている、残りの三十三億トンが大気に残留する、つまり、半分よりちょっとは海と森のおかげで吸収されているということです。この三十八億トンのうち、どれだけが海でどれだけが森林で吸収されているのか、海の貢献度、森林の貢献度はどれぐらいと見ればいいのか、今すぐお答えいただけるようでしたら概数で結構ですし、今ないようでしたら、後ほどその資料提供をしていただきたい、そのように思います。
  34. 浜中裕徳

    浜中説明員 ただいま御指摘になられました森林と海洋の吸収ということでございますけれども、両方ともいろいろ科学的な調査研究が進んでおりますが、科学者の間でも正確な数値についての議論がさまざまでございまして、正確な見積もりは必ずしもできておりません。恐縮でございますが、後ほど、現在の科学者の間で見積もられております量につきましての資料をお届けさせていただきたいと考えております。
  35. 岩國哲人

    岩國委員 質問を終わります。
  36. 北橋健治

    北橋委員長 小林守君。
  37. 小林守

    ○小林(守)委員 民主党の小林守です。  このたびの地球温暖化対策推進法につきましては、昨年のCOP3の成果を受けまして、法的拘束力を持つ京都議定書の採択を受けたものとして、国内的な取り組みの枠組みをつくり上げていくためのものだというふうな性格を持ったものだと受けとめております。この法律の実現というのは、京都会議議長国であった日本の責任であり、また、次のブエノスアイレスに向けて、COP4に向けてのリーダーシップを発揮する一つの大きなグッズではないか、このように考えているところであります。  目的、性格をしっかりと明らかにしながら、この法律の持っている幾つかの条文の中で具体的な運用にかかわっている部分について、その条文の意味するところをしっかりと確認しておきたい、こういう観点で幾つか質問をさせていただきます。ちょっと細かい部分にわたるものですから朗読みたいな進め方になろうかと思いますけれども、お許しをいただきたい、このように思います。  それでは早速、基本方針の策定及び実行計画、第七条関係でございますが、始めさせていただきます。  政府は、この法案におきまして、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地球温暖化対策に関する基本方針を定めることになっておりますが、その際各主体、つまり国や地方公共団体、事業者国民、この各主体取り組みとともに、国民各層が自主的かつ積極的に参画することが極めて重要であるというふうに思います。  そこで、七条の条文の中にあります基本方針策定手続の規定の中に、市民参加はどのように保障されることになるのか、まずお聞きしたいと思います。
  38. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  基本方針についてのお尋ねでございますが、これは、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進をしていくために、国、地方公共団体、事業者国民の各主体が講ずべき措置の基本となる方向などを定めるものでございます。したがいまして、その策定手続におきましても、私どもといたしましては、審議会の御意見をいただきながら案の作成を行うことが必要だと考えておりまして、国民の各主体の御意見は、その審議を経る中で適切に反映してまいりたい、このように考えております。  具体的には、中央環境審議会におきます審議において適切な時期に案を公表いたしまして、国民の意見の募集、そして公聴会の開催などを行って透明性の確保に努めてまいりたい、このように考えております。
  39. 小林守

    ○小林(守)委員 次に、基本方針及び政府の実行計画については、今後しっかりとフォローアップをしていかなければならないと思います。国民の、市民の参加をしっかりと受けとめるためにも、情報開示、公表の仕組みが極めて重要だというふうに思います。  そういう点で、このフォローアップのための情報開示や公表の仕組みについてはどう考えておるのか伺います。
  40. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、基本方針や政府の実行計画につきましては、フォローアップが極めて大事でございまして、そのためにも情報の開示、公表の仕組みは非常に重要だと考えております。  この取り組みの実施状況やフォローアップに関する国民への情報の提供につきましては、毎年発行しております環境白書など適切な手法によりまして広く国民に公表してまいりたい。そういうことによりまして、国民に透明性の高い形で政府取り組みが進められていくものと考えております。
  41. 小林守

    ○小林(守)委員 基本方針や実行計画については、基本的に国民、市民の自主的、積極な参画のもとにまず進められなければならないし、当然のことながら、国や地方公共団体、事業者それぞれの社会的責務の中で取り組んでいくということも、これまた当然のことというふうに考えるところであります。  そういう観点に立って、第八条にかかわる問題でございますが、国や地方公共団体、いわゆる公的セクター部門について条文を見てまいりますると、国と都道府県は実行計画の策定や公表についていわゆる義務規定になっております。しかし、地方公共団体の中での市町村については、いわゆる努力義務というようなことになっておるわけでありますけれども、少なくとも国民の各主体が責任を持って取り組んでいかなければならない問題だ。  これは人類の生存にかかわる人類共通の課題だという観点に立つならば、また、日本COP3の議長国として大きな役割を、責任を持っている、こういう観点に立つならば、少なくとも公的セクター部門、都道府県や市町村は、これは基本的に努力義務ではなくて、やらなければならないんだという基本的なところを共通に押さえておく必要があるのではないか、このように考えているわけであります。  そこで、第八条の中で、市町村については努力義務になっておりますけれども、これをもっと基本的な姿勢に立ったものとして、すべての公共団体、公共セクターはこれをやらなければならないんですよ、そういう意味を込めて、余り強制的なものではなくて、当たり前の一般的な規定として、義務なんですよ、責務なんですよということをまずは位置づける必要があるのではないか、それをお伺いしたいと思います。
  42. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  市町村も実行計画の策定を義務づけるべきではないかという御指摘でございますが、確かに、公的主体として、国及び地方公共団体は率先して実行計画を作成することが事業者国民取り組みを促す上でも望ましいというふうに私どもも考えております。  しかしながら、小規模な町村まで含めてすべての市町村に実行計画の策定や実績の公表を一律に義務づけることは負担が大きいのではないかと考えまして、政府案におきましては努力義務ということで整理をさせていただいたところでございます。
  43. 小林守

    ○小林(守)委員 実行計画の策定とか実績の公表について、今の答弁では、一律に義務づけることは負担が大きいのではないかと。  そういうことで、趣旨は、公的セクターはすべてやっていくべきではないか。特に、事業者国民、それぞれの皆さんお願いしなければならないということでもあるわけでありますから、そういう点で、少なくとも公的セクターは率先実行というのが求められている、これは共通理解に立てると思うのですけれども、一律に義務づけるという問題について、これは一つの行政内部の課題というか問題というのがあるというふうに思うのです。  確かに、私自身も自治体出身の経験もございますので、それぞれの全国の地域の実情、行政規模などの問題がありまして、一律にひとしくやってほしいということは非常に難しい問題もあるのは事実だと思います。ただ、問題の内容が、課題というかこの法律の持っている大きな意義とか目的とかから考えるならば、これは少なくとも公的セクターは、一律とは言わずとも基本的にはやるんだという立場に立った法律体系が求められているのではないかな、このように強く思っているところであります。  そういう点で、確かに地域の実情、行政規模の問題、行財政力の問題等あろうかと思います。その格差があるのも事実だと思いますけれども、しかし、少なくとも国や都道府県、規模の大きいそういう団体が、大変困難な、なかなか容易でない自治体に対して、技術的な助言とか支援とかそういうものは今の法体糸の中でもできるはずであります。ですから、そういう観点に立って、自治体の実情に応じた取り組みができるように負担が大きいと考えられる自治体に対しては応援をする。応援をしますよ、ですから皆さん一緒にやろうじゃありませんかというような仕組みをつくり上げる必要があるのではないか、私はそのように強く感じております。  そういう点で、そういうことが担保されるならば、担保という言葉も官僚的な言葉でよくないようでありますが、そういうことが準備されておるならば、基本的な考え方として、すべての公共セクターはやるんですよという、義務づけと言っていいか、そういう法律解釈の条文でいいのではないか、このように再度お聞きをいたしたいと思います。
  44. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、市町村は非常に規模の大きなものから小さなものまでございますし、その行政能力もさまざまでございます。  そうした非常に幅の広い格差があるということにかんがみまして、各自治体の実情に応じた取り組みが進められるように、基本方針でそういった旨を明確にするということとともに、ただいま御指摘のとおり、計画策定に当たって参考になるような手引と申しますかマニュアル、こういったようなものも作成をいたしまして、そうした情報を提供するといった技術的な支援と申しますか、技術的な助言をするといったようなことによりまして、規模の小さな町村においても過重な負担とならないように、できる限り工夫をしていくことは必要であろうと考えておりますし、ぜひ私どももそういった方向で努力をしてまいりたい、このように考えております。  政府といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、小規模な町村の行政能力も考慮をいたしまして、御提案申し上げた法案におきましては努力義務とさせていただいたところでございます。
  45. 小林守

    ○小林(守)委員 それでは、次に移りたいと思います。  地方公共団体等も含む公的セクターについては、積極的に義務としてこれはやるんです、しかしそのやり方は身の丈に合ったやり方でいいのではないか、それに対して国や都道府県は支援をしますよというような法律の仕組みを準備してはどうかという話をさせていただきましたけれども、さらに大きな課題として、やはり温室効果ガスの排出に極めて大きなウエートを占めている産業界というか事業者主体の問題もあるわけであります。  第九条にかかわりまして、これまた事業者の多くは努力義務ということになっておるわけであります。  確かに、民間セクターでございますし、公的セクターとは違った側面を持っているわけでありますから、そういう点では実行計画の策定、そして報告、そして公表について法で一律に義務化するということについては、これはちょっと問題だろうというふうに思いますし、あくまで自主的な取り組みの中ですべての事業者がやっていただける、そんな形を国全体としてつくっていくのが望ましいのだろう、このように考えるところであります。しかし、それに大きなインセンティブを与える意味でも、少なくとも公的セクターはやるんですよということが、さかのぼりますけれども大きな意味を持っているのではないか、私はこのように強く感じます。  そこで、事業者の多くが自主的に主体的に実行計画を策定するような一つのインセンティブを与える政策、誘導政策というのですか、そういうものについてはどのように考えておられるのか、お聞きをしておきたいと思います。
  46. 浜中裕徳

    浜中説明員 事業者の計画策定が進むような誘導方策についてのお尋ねでございます。  御案内のとおり、本法案におきましては、事業者による計画の策定を努力義務と位置づけてはおりますけれども、そのような形で法律に定めることによりまして、事業者の計画的な取り組み国民に開かれた形で行うことを広く促していくわけでございますので、意欲のある事業者は積極的にその取り組みを公表し、国民に見える形で、いい意味での企業間競争が生じ、創意工夫を凝らした計画策定が誘導されていくものと考えております。  しかし、政府といたしましては、さらにそうした事業者取り組みを促進をしていくために、事業者が自主的に定めます計画に関する情報でございますとか、その他いろいろな技術的な情報を整理、分析をいたしまして、それをまた事業者などに提供をしていくということを通じてその取り組みを支援してまいりたい、このように考えております。
  47. 小林守

    ○小林(守)委員 温暖化防止のための温室効果ガス削減取り組みをそれぞれの主体主体的、積種的に取り組むということになると、大きな基盤というのでしょうか、そういう観点に立つならば、各主体を構成する国民一人一人、この動向にかかっていると言えると思います。そういう点で、国民一人一人の意識の改革といっていいか問題意識というか、これを高めていかなければならない、このように考えます。  そこで、生活の中でさまざまな工業製品、消費財、そういうものを通して我々は温室効果ガスの排出に常にかかわっておるわけでありますが、要はそういう生活の中で温暖化対策、そして温室効果ガスの排出について常に意識を持っていくということが極めて大切だろうというふうに思いますし、それがとりもなおさず大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済構造の改革に対して、我々のライフスタイルを改めていくというところにつながっていく基本的な意識啓発なんだろうというふうに思います。  そういう点で、改まってこのパンフレットを読んでくださいとか、この本を読んでくださいとか、この会議に出てくださいとか、そういうことではなくて、やはり日ごろの生活の中でそういうことが常に意識されるような仕組み、手だてを講じていく必要があるであろう、このように考えます。  そこで、国民一人一人がさまざまな消費財を通して生活の中で温暖化対策意識することがどのように考えられているのか、この条文の中のどういう部分でこの問題について受けとめようとしているのか、お聞きをしておきます。
  48. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  御提案申し上げております法案の中では、例えば第十二条に全国地球温暖化防止活動推進センターの規定がございますが、その中で、このセンターの行う事業の一環といたしまして、日常生活における利用に伴って温室効果ガスの排出がされる製品について、当該排出の量に関する情報の収集及び提供を行うことといった規定があるわけでございます。  こうした規定に基づきまして、私どもといたしましては、製品ごとの二酸化炭素などの温室効果ガス排出量に関する情報を、比較可能で国民が利用しやすい形で提供することを行ってまいりたい、このように考えております。  このほか、地球温暖化防止活動推進センターにおきましては、温暖化防止のための普及啓発や相談などの事業も行うこととしておりまして、このような活動と相まって、消費者の地球温暖化防止に関する意識が高まり、消費者によるより温室効果ガスの排出量の少ない製品の選択が促進されていくもの、このように考えております。
  49. 小林守

    ○小林(守)委員 それでは次に、今お話にありました地球温暖化防止活動推進センターについて、その運営が開かれたもの、透明なもの、そして本当に国民のニーズに的確にこたえられるようなものでなければならないと思いますし、また主体的、積極的に取り組んでいる市民活動団体の皆さん方、特にCOP3におきまして大きな働きをしていただいた団体が多々あるわけでありますけれども、そういう市民活動団体の皆さん方、条文上では民間団体等というような表記になっておりますけれども、こういう団体の皆さん方にやはり主体的に運営にもかかわって参画していただく、こういう仕組みが、また位置づけが必要ではないか、このように考えるわけでありますが、どのようになっているでしょうか。
  50. 浜中裕徳

    浜中説明員 地球温暖化防止活動推進センターの運営についてのお尋ねでございますが、私どもといたしましても、このセンターは市民の地球温暖化防止活動を支援し促進することをその目的としておりますので、このセンターの活動をより効果的なものにしていくためには、市民やNGOの意見あるいは提案といったものを適切にその運営に反映いたしまして、市民の実際の対策を踏まえた活動内容にしていくことが非常に大事であるというふうに考えております。  こうしたことから、このセンターの運営そのものにつきましても、御指摘のように、できるだけ開かれたものにしていくべく、市民や市民活動団体と申しますかNGOなどの参画が得られるように工夫をしてまいりたい、このように考えております。
  51. 小林守

    ○小林(守)委員 センターの運営については、そのような市民参画の位置づけがなされているというような答弁がございました。  もう一つ、センターの事業運営のあり方として、やはり情報をどのように集めるのか、情報センターの機能を基本的に担うものだというふうに思います。そういう点で、国、都道府県、事業者国民というように各主体があるわけでありますが、センターはどのように情報を収集して、それを開かれたわかりやすい形で公表する仕組みを考えているのか、これを具体的な例も含めてお聞きをしたいと思います。
  52. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  地球温暖化防止活動推進センターは、地球温暖化防止のための国民の活動を効果的に推進するために地球温暖化対策に関するいろいろな情報や資料を収集して発信する拠点、先生、情報センターとおっしゃいましたけれども、まさにそのようなものとなるものでございます。  具体的に申し上げますと、例えば住民からの問い合わせや相談などを通じて、住民あるいは国民地球温暖化対策に関してどのようなニーズを持っておられるのか、こういうことを把握いたしまして、そうした情報に基づいて、先駆的な取り組みの事例などの情報を提供してまいりたいと考えております。  また、自動車やエアコンなどの製品の利用に伴って温室効果ガスがどのぐらい排出されるかという、その排出量についての情報につきましては、製品ごとのデータを収集いたしまして、これらを国民にわかりやすい形で、比較しやすい形で提供してまいりたいと考えております。  この提供の方法でございますけれども、こうした情報をパンフレットやインターネットを通じて提供するとともに、市民相談といった活動を通じまして広くあわせて提供してまいりたい、このように考えております。
  53. 小林守

    ○小林(守)委員 ありがとうございました。  もう一つ、この法律の中でよくわからない部分があります。常識的に考えていった場合に、何でこういう表現の仕方になるのかよくわからないところがございます。その辺についてお聞きしたいのです。  いわゆる第三条第二項の中に調和条項という部分がございます。これは国の責務を規定した条文でございますけれども、この中で、温室効果ガスの排出の抑制等に関係ある施策については、排出抑制が行われるよう配意すると。各省庁のそれぞれの施策というか事業があるわけですね。この温室効果ガス排出の抑制等に関係ある施策については、配意するという言葉が使われております。  一般的に我々は配意とは使わないですね。普通は配慮するという形が一般的なのではないかというように思うのですが、なぜここが配意になったのか。私も国語辞典なども調べてみましたが、配意というのは心を配ることというふうになっている、当たり前のことなのですが。配慮とは何かというと、心をいろいろと配ることとかあれこれ配ること。そういうことで、若干きめの細かさが配慮の方にはあるのかな、このぐらいにしか区分ができません。  ところが、我々は、この論議の中で、配意などという言葉は非常にわかりにくいから取っ払ってはどうか、配意するというよりは、温室効果ガス排出の抑制に努めるものとするとか、そういうことについて排出抑制するようにするとか、配意とか配慮とかそういうことではなく、もうとにかくすっきりといってはどうか、このようなことを前回の委員会の中でも提案させていただいたのです。随分それぞれの省庁間の施策の問題があって、相当シビアな、我々からすると決してシビアな議論だとは思えないのだけれども、何をやっているのだというふうにしか思えないのですが、相当時間をかけて配慮にすべきか配意にすべきかということでやったという話を聞いております。これが三日三晩かかったなどという話もあるようでありますが、何を考えているのだと言わざるを得ない受けとめ方を一般の国民はするのではないかと思うのですけれども、なぜここが配意になったのか、そしてなぜ配慮ではだめなのか、この辺を、我々とすると大した問題じゃなかろうというふうに思うのですが、大事な問題だそうでありますので、お聞きしておきたいと思います。  特に、私が問題点として考えますのは、環境基本法の十九条ではこのようになっています。「国は、環境影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境保全について配慮しなければならない。」環境基本法ではきちっと配慮と使っております。国の施策、いろいろな省庁の施策の中で、環境影響を及ぼす施策の実施については配慮をしなさいというのが環境基本法には使われている。  そしてもう一つ、中央環境審議会の環境基本計画の第三回の点検結果報告がつい最近出されましたけれども、その中にも、すべての国の諸施策については矛盾するのもあるというのですね。排出抑制という観点からするならば矛盾してしまうような施策もある。そういうものについても、この環境基本計画の第三回点検については、それぞれの国の省庁の諸施策の問題についても調整しなければならないし、配慮しなければならないというふうになっている。ここでも配慮と使っているのです。  ですから、環境行政にかかわる主なところの文章の中には配慮しか出てこないのですよ。ところが、ここでは突然配意というのが出てきた。極めて奇異な感じもしますし、わかりづらいという実感なのでございますが、わけがあるようでありますから、とりあえず聞かせてください。
  54. 浜中裕徳

    浜中説明員 配慮と配意の違いということでお尋ねでございますが、この法案三条二項でございますけれども、これに対して、御指摘のございました環境基本法第十九条におきましては、環境影響を及ぼすと認められる施策という範囲に対象を限った上で、これらの環境影響を及ぼすと認められる施策については、環境保全について配慮しなければいけない、こういうふうに定めておるところでございます。  一方、この法案におきましては、温暖化対策推進のためには非常に広い範囲の施策を対象とすることが必要である、できるだけ広くとらえたいということを考えまして、排出の抑制等に関係のある施策をすべて対象にしたいということでございまして、そういう広がりの違いということを考慮いたしまして、この三条二項におきましては、国の責務として、関係のある施策への配意という規定を置いたものでございます。  このように、関係のある施策の範囲が非常に広いということを考慮して、言葉の整理として配慮ではなく配意ということにさせていただいたところでございます。
  55. 小林守

    ○小林(守)委員 時間が来ましたからこれで終わりますが、少なくとも条文上の言葉については、省庁間のいろいろな調整の言葉として出てきた、もう非常に裏のある話なのだと思うのですよ、三日三晩かかった言葉が配意だとするならば。  まず最初に、この言葉国民が理解しやすいかどうか、すぐにわかるかどうかということを最優先にしていただいて、そして、省庁間のいろいろな問題の調整の意味を込めた言葉はその次でいいのではないか。真っ先に、やはり国民に一番わかりやすい言葉は何だという視点に立って条文の作成というのは、調整というのはなされるべきではないのか、このように受けとめまして問題を投げかけさせていただいて、私の質問を終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  56. 北橋健治

    北橋委員長 田端正広君。
  57. 田端正広

    ○田端委員 平和・改革の田端でございます。  大臣には、内政、外交、大変多事多難な折に環境庁長官という重責に御就任なされて、非常に御苦労も多いかと思いますが、ぜひ頑張っていただきたい。そういう中での国務大臣としての御所見といいますか、御決意をまずお伺いしたいと思うわけであります。  今国民は、経済金融問題に対して、緊急課題としてのそういったところに注目度は高まっていますけれども、しかし、それだけではなくて、例えばこの夏の世界的な異常気象、我が国においても大変な被害がもたらされたわけでありますが、こういったことも一つはやはり地球温暖化影響もあるだろう、こういうことも言われているわけでありまして、そういう意味では、環境行政というものも今大変大事な立場に置かれているだろう、人類史的な大事なテーマになっている、こう思うわけであります。  そういった意味で、まず大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  58. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 田端先生指摘のように、環境行政というものはまさに多岐にわたっておると思うわけでありまして、私も、長官就任しましていろいろ事務当局から説明を受けたわけでありますけれども、余りにも身近な問題から始まって地球規模に達する問題等々がありまして、これはやらなければならない省庁であるけれども、大変な問題を持ち合わせておるなというのが実感でございました。それで、長官として、やはり全部の問題に気を配りながらも、今やらなければならない問題という点に焦点を絞り込んでやっていこう、こう思っておるわけであります。  いろいろな問題が指摘されておりますけれども、私は、やはり昨年の地球温暖化会議京都議定書にうたわれておる問題について、これは早急に取り組んでいかなければならないと思っておるわけでありますし、また、ことし行われますブエノスアイレスでのCOP4に対する日本の心づもりというものもしっかりと出していかなければならないと思っておるわけであります。  いろいろな問題に携わるわけでありますけれども、今こそ環境行政の中に吹く風を受けてしっかりと対応してまいりたいと思っておるのが私の心境でございます。
  59. 田端正広

    ○田端委員 ぜひひとつ、そういう決意を具体的にこれからお示しいただきたいと思います。  この地球温暖化防止の問題は、先国会から引き続いて今日まで議論をし、そして今回ここに来てようやく各党が合意した一つの修正案がまとまりました。これは私は、一つは、京都議定書という意義づけをこの法律の中に、京都議定書との関係性を明確にしたという意味で位置づけができた、そういう意味では大変よかった、こう思っておりますし、そしてまた、地方自治体、中でも市町村の計画策定に対する義務づけというものも明確になされたということは、これは実行が非常に大きく促されるということではよかった、こういうふうに評価しているところであります。  そういう意味で、環境庁がこれから温暖化防止に対して取り組む、役所としてのあるいは政府としての役割というものは非常に大きいものがあり、国民に対しても大きくこれはアピールしていかなければならないこれからのテーマである、こう思います。  さてそこで、例えば大臣が何か具体的にそういうことに取り組んでいるとか、あるいは環境庁として、小渕新内閣における新しい大臣としての宣言をするなり行動を示すなり、何かこういったことを打ち出すことがこの法律の論議と相まって国民にアピールしていくのだろう、こう思うわけであります。  けさここに入るときに、岡田局長がプリウスに乗ってこられて玄関で一緒になったわけで、そういった意味では、低公害車に対して環境庁もそういうふうに活用しているということはわかりますけれども、しかし、各省庁の公用車を合わせても、そういう低公害車を採用しているのはまだほんの一けたにも至らないぐらいの微々たる数字だと思います。  そういった意味で、政府あるいは環境庁として国民にそういうものを何かアピールする行動を示してもらいたい、あるいは大臣が、自分のエコライフとしてこういうことを私はやっているんだということを、意識を喚起する意味で促していただきたい、こういうふうに思うわけですが、大臣、いかがでしょう。
  60. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 私も就任しましてから最初の問題が川崎公害等に見られますように、環境汚染が激しい指摘を受けて、それに対する裁判結果が、最終段階ではございませんけれども一応出たわけであります。やはり地球に優しく、環境に優しくということが問われているわけでありまして、まさに私は、昨年の京都議定書の中にあります例えば二酸化炭素の減少、削減というものに焦点を当てるならば、これらに対する対策を講じていかなければならないということで、環境庁に参りまして早速この問題に取り組まさせていただいておるところであります。  昨日も低公害車の展示会がございましたので、そこを視察させていただきましてその低公害車に試乗させていただいたわけであります。まさに快適な環境が目の前に約束されておるような感じもいたしたわけでありますけれども、先生指摘のように、今各省庁におきましてそれでは低公害車をどの程度導入しておるだろうかということで調べてみました。まさに寂しい限りであるわけでありまして、まだ一%にも達しないような状況になっておるわけであります。  環境庁としましても、長官車をぜひ低公害車に切りかえてほしいということでお願いをいたしたところでありまして、やはり予算、買いかえの問題もありまして一気にはまいらないということでありますけれども、例えば十年間を想定しまして、その間にどの程度低公害車を導入して二酸化炭素を減らしていくことができるかということで、これらの問題に真剣に取り組んでいかなければならないと思っておるところであります。  そこで、私といたしましては、運輸省なり通産省、そしてまた党、政府税調等に働きかけまして、できれば低公害車に対する免税措置を講じてもらいたい。昨年減免をしましたところが、大変売れ行きがいいようでございまして、好評を博しておるというところであります。日本経済が沈滞化しておるわけでありますから、経済活性化のためにもそのようなことが必要かなと思っておるわけでありまして、先生方の御協力をちょうだいしながら、ぜひ来年度にはその面で目的に向かって一歩前進したい、こう思っておるところであります。どうぞよろしくお順いいたす次第であります。
  61. 田端正広

    ○田端委員 その減免税の実現を我々も積極的に応援したいと思いますけれども、大臣が各省庁に呼びかけて、そしてまたそういうことが国民にもわかるように、また国民が、それなら我々も参加していこうという気持ちが起こるような方向にリードしていただきたい、こう思うわけであります。  この地球温暖化防止に対してのキーポイントというのは、これは私は、産業界、事業者がどういう活動をするかということがやはり最大のポイントだ、こう思っています。そういった意味で、事業者の活動といいますか、あるいは産業界の協力、こういったものを抜きにして温暖化の防止ということは考えられません。  ところが、第九条を見ますと、計画を作成し、これを公表するように努めなければならないというところが、努めなければという努力規定に終わっているところが私は非常に気になるわけでありまして、本来ならば、そういった意味で、ここは義務づけるということが一つの大きなポイントであったろうと思いますが、いろいろな事情があり、こういう表現になったと思います。したがって、一気にそういう事業者に対する義務づけというものが無理であるとしても、そういう方向というものを示していく、あるいはそういうことを促していく、そういうふうに持っていくべきではないか、こう思います。  先ほどの答弁を伺っていても、確かにそういうことは一方言われているわけでありますが、私はまだまだ遠慮がちな答弁だったというふうに感じるわけでありまして、もっと積極的にこういうことを促すべきだと思いますが、どういうようにお考えなのか。特に、このままでいってどういうことが期待できるのかということを私は少し疑問に感じるわけでありまして、その辺のところ、長官のお考えなりあるいは環境庁がどういう方向を目指しているのか、国民にもわかるようにお示し順いたい、こう思います。
  62. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 事業者に対する私どもの今後の考え方、物の考え方について若干お答え申し上げたいと思います。  既に事業者に対しましては、お触れになりました条項のほかに、みずからの事業活動に関し温室効果ガスの排出の抑制等のための取り組み、それと同時に、例えば燃費のよい自動車の製造販売をすることによって消費者自身の排出する二酸化炭素の量を減らすような努力をしてもらうとか、さらには廃棄物の減量ということに努めてもらうことによりまして、例えば廃棄物の処分場での二酸化炭素ガスの減少等々自分みずからが抑制すること、あるいは、結果的に他の人の二酸化炭素ガスの排出の抑制になること等々幅広く両面から取り組んでもらうように、まずその責務として第五条に定めているところでございます。  その上で、第九条で、先ほど先生が御指摘のような努力義務が課せられておるという状況でございますが、私ども、この具体的な中身につきましての方向性につきましては、今後基本方針の中で定めていくことにしておりますので、今後さらに検討を続けていくことになりますが、現時点での考え方を申し上げますれば、まず、基本方針におきましては、事業者の計画に関する基本的な事項につきましては、具体的な計画の内容とか範囲、あるいは公表の範囲、方法については余り細かく規定しないで、むしろ事業者の判断にゆだねることによりまして、柔軟な取り組み、創意工夫を奨励する方向で考えていきたいと一方では思っております。  と同時に、各事業者が計画に盛り込むべき措置自体に関する基本的事項、どういうものを盛り込むべきかということにつきましては、事業者の理解が得られて取り組みが活発化されるように、例示を用いるなどしてできるだけ具体的でわかりやすいものを基本方針の中に盛り込んでいきたいと思っております。  いずれにしましても、先生先ほどの御指摘にございましたように、この努力義務の規定が設けられますことによって、現に取り組んでいる企業がございます、数は多くありませんがありますので、そういうところにますます元気を出してもらうと同時に、こういうふうにしていくものだ、これが普通なんだというような雰囲気といいましょうか土壌をつくっていく、その大きな第一歩になると私ども思っております。  そのために、私ども、既にアクションプラン大賞などで、こういう取り組みを公表するようなことをしている企業に対する環境庁長官賞を出すような形で既に取り組んでおりますので、さらに積極的に広げていこうと考えております。
  63. 田端正広

    ○田端委員 もう一つ大事な問題は、特に環境問題は、NGOの方々の協力といいますか活動、あるいは市民、消費者がどういう認識で取り組んでいくか、そういうこととのかかわりが非常に大事だと思います。だから、そういう意味で、NGOの方々の努力に対して環境庁はどういうふうに今評価されているのかな、こういう思いもいたします。  特に、この法律の中でいけば、第十一条の都道府県センター、この位置づけというものは、そういったことも配慮して各都道府県にセンターを設ける、こういうことにされているのだろうと思いますが、この中で、第三号、第四号で、情報及び資料を分析する、こういうこととか、あるいは分析の結果を定期的にまたは時宜に応じて提供するというふうなことも示されています。  そういう意味で、市民参加ということと情報開示ということ、こういうものを意図したところがこの法律の今の十一条二項の三号、四号、こういうところにあらわれているのかな、こういう思いをしておりますが、それでいいのかどうか。  そして、もう一つは、十二条の全国センターと都道府県センターとの関係というものはどういうふうに考えていけばいいのか。  例えば、十二条の全国センターの中では、温室効果ガスの排出がされる製品について、当該排出の量に関する情報の収集及び提供を行うというふうなことで、製品がいいとか悪いとか、そういう情報を出すという趣旨のことが書かれているわけでありまして、これは市民、消費者にとっては大変貴重な情報だ、こう思います。  そういう意味で、こういう国民挙げて力を合わせて取り組まなきゃならない大きなテーマであるだけに、消費者、市民、そしてNGOの方々、そういった方々と一緒になって推進すべき大きなテーマだと思いますが、今申し上げたようなことを積極的に、また市民が参加できるような形で環境庁はお考えになっているのかどうか、その辺を確認させていただきたいと思います。
  64. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 田端先生が御指摘になられたような、私どもはまさにそういう姿勢で取り組もうと考えております。若干敷衍させていただきます。  まず、私どもがイメージしております都道府県センターでございますが、日常生活における地球温暖化対策を効果的に推進していくためには、住民やNGOに対する普及啓発というのがもちろん一方にあると同時に、それらの各主体の活動の支援を継続的に行う一つの拠点としてまず位置づけよう、こういうふうに考えております。  それから、先ほどお話がございました全国センターとの関係でございますが、そういう意味では、地球温暖化対策に関する全国的な情報収集、発信基地としての機能とともに、全国センターは、都道府県センターに対して連絡調整や援助を行う役割を持つ組織というふうに位置づけておるところであります。  そのために、先生指摘のように、全国センターでは、都道府県単位では収集することが難しい例えば国際的な地球温暖化対策の動向等に関する情報収集であるとか、あるいは先ほど先生がお述べになられましたような自動車、エアコン等の製品の利用等に関する二酸化炭素等の排出量等の情報を収集して、今度は都道府県センターのほか一般の国民の方あるいはNGOの方に幅広く提供する、こんなような形でそれぞれ分担して、総合的に相まって力を発揮できるものと考えております。
  65. 田端正広

    ○田端委員 時間が参りましたので終わりますが、ぜひ大臣が先頭に立って、この大きな地球温暖化防止ということでお取り組みいただきたい、こういうふうに要請したいと思います。  ありがとうございました。
  66. 北橋健治

  67. 並木正芳

    並木委員 平和・改革、改革クラブの並木正芳でございます。  真鍋大臣には、御就任おめでとうございます。  さて、質問させていただきます。  人間がつくり出したさまざまな化学物質、これは私たちに多くの恵みを与えてくれました。また、反面、種々の毒性による健康被害やあるいは生態系の破壊、こうした地球規模での環境破壊をもたらし、御案内のとおり、公害病やダイオキシン環境ホルモンの問題、あるいは酸性雨オゾン層破壊、そして地球温暖化、これが今議題となっているわけですけれども、こうした人類存亡の危機とも言える問題を引き起こしているわけであります。  しかも、皮肉なことに、科学が進歩していく、これが本来の人間の幸せにつながっていくものでなければならないわけですけれども、進歩とともにまた新たな環境問題が提起されるというか、発見される、わかってくる。そういうようなことで、この分野におけるいわば人類の闘いというのは果てしないと言っても過言ではないと思います。  二十一世紀を今間近にしておりますけれども、健康で快適な暮らしを保障していく、つまり二十一世紀の人権とも言える環境権の確立のため、また、日本の将来に向けた、産業立国というこれまでの歩みから、環境立国、こういうものを打ち立てていくために、大臣初め御担当各位の環境行政において果たす役割の大きさに大いに期待させていただいているわけでございます。  ただいまも田端委員の御質問大臣の決意のほどがあったわけでございますけれども、ぜひ今のような観点から、環境基本計画が閣議決定されてことしでほぼ四年となるわけですけれども、こうした機に、大臣に御就任になられまして、まず抱負と決意のほどを改めてお聞きしたいと思います。
  68. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 並木先生指摘のように、科学技術の進歩とともに快適な生活に浴するわけでありますけれども、その反面いろいろな公害問題が出ておるところであります。  これは、人間社会と自然との調和ということに焦点を当てまして、これからの生活環境を整えていかなければならないと思っておるところであります。人間社会というものは生きておるのでなくて生かされておるというようなところにも焦点を当てながら、自然と人間との共生を図っていくというのがこの大きな基本スタンスではないか、こう思っておるわけでありまして、その面で環境行政指導を的確になしていかなければならないと思っておるわけであります。  しかしながら、ダイオキシンにいたしましても、環境ホルモンにいたしましても、いまだ十分解明できない問題が多いわけでありまして、これはもう人間の英知の足らなさを如実に示すところじゃないかと思っておるわけでありますけれども、世界各国からいろいろなデータを集めて、その情報のもとに各国協力し合って、人間社会によりよい環境づくりに励んでいく、これが私は大切なことだと思っておるわけであります。  いずれにいたしましても、環境行政の必要性というのは日々に認識されておるところでありまして、その認識の上に立った行政指導というものをなしていかなきゃならないと思っておるわけであります。先生方の御指導をいただきながら、その面において懸命に努力していこうと思っておるところであります。
  69. 並木正芳

    並木委員 ありがとうございます。御期待申し上げております。  さて、先日ですけれども、皆さんの中でもごらんになった方がいらっしゃるかと思いますが、テレビで海底の深層海流を取り上げた番組がございました。地球がこの一万年間にわたりまして安定した気候を保っているというのでよく知られた海流があるわけです。表層の海流とともに、二千年を周期として、ある海水が温められて、それがずっと海流になって、また北極の方で冷やされて、深層に潜り込んで、ずっと底の方を流れて、ぐるぐるつと地球を一周してきて戻ってくるまで二千年ということですけれども、こういう地球を循環する深層海流によって攪拌されて、今言ったように、温かいところあるいは冷たいところ、こういうものの寒暖のバランスがとれている、そういう報道でございました。もし地球温暖化などによってこの深層海流の流れがとまった、そしてこのバランスが失われたときは、たちまちのうちにこの地球は灼熱の地球あるいは氷河の地球となってしまい、人類の生存さえ脅かすものになる、こういう深刻な番組であったわけです。  今、水害もあるわけですけれども、水不足あるいは農作物被害による食糧危機、そして砂浜の侵食または低地の水没、こういう地球温暖化による影響のはかり知れない予想があるわけですけれども、この番組を見ていて実に考えさせられたわけであります。COP議長国としての日本の役割は、そうした意味でもますます重いものがあろうかと存じます。  そうした観点から、もう既に何人の方からも質問が出ているわけですけれども、地球温暖化対策についてお聞きさせていただきます。いろいろ言われてきておるところではありますけれども、地球温暖化に大きく影響するであろうと言われているCO2これが減らないというかずっとふえ続けてきているわけです。この問題が取り上げられてからもなおふえ続けていると思うわけですけれども、昨今の数値についてはいかがか、その辺をお示しいただければと思います。  また、この推進をしていく中でも、先ほどから市町村の努力規定、こういうものへの質問もありました。あるいは、ライフスタイルを変えていくということでの国民の自主的な協力、こういうものは当然私も必要であろうと思います。こうした中でも、産業界に対してもあくまで自主的な管理規制、これを原則としていく。こういうふうにして取り組み実績を公表すれば効果が上がるだろうということですけれども、日本の情報開示というのは、臭い物にはふたといいますけれどもそうした気質も見られる。今、金融問題等でいろいろな問題が起きておりますけれども、そういうものでも盛んに言われているわけです。  私が懸念するところは、いわゆる信用ある客観的な透明性、こういうデータが産業界の自主性に任せていて確保されるのかということと、また、こういう状態でやって、本当の意味で効果が保証されないで、削減目標六%というのを掲げたわけですけれども、この目標値に対しても相当量不足してしまって慌ててしまう、こういうことになりかねないのではないかという懸念もあるわけですけれども、その辺あわせてお聞きしたいと思います。
  70. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  二酸化炭素の排出量に関する昨今の動向でございますが、依然として残念ながら我が国は近年増加基調が続いておりまして、一九九〇年度に比較をいたしまして、一番最近のデータでございますと一九九六年度の排出総量でございますが、速報ベースでございますが、約九・六%増加をしているという状況でございます。部門別に見てまいりますと、産業部門からの排出量はほぼ横ばいであるのに対しまして、運輸部門、民生部門からの排出量は一貫して増加傾向にございまして、九五年度の数値で申し上げますと、両部門、すなわち運輸部門、民生部門とも約一六%の増加になっているという状況でございます。  また、産業界の取り組みで、あくまで自主的な規制ということであるけれども、それで信用ある客観的透明性が確保できるのかというお尋ねでございます。先ほど田端先生からのお尋ねに対して私どもの局長からも申し上げたとおりでございますが、こうした自主的なと申しますか、努力規定ではございますけれども、一定規模以上の事業者が排出抑制の計画を策定し、その内容や実施状況を公表することが努力義務ではあってもルールとなることが期待されるわけでございます。こうしたことによって、事業者取り組み内容国民の目の前に明らかとなって社会的な評価を受けるわけでございますから、自主的な取り組みの公表について客観的透明性の確保が図られるものというふうに期待をしているわけでございます。  しかしながら、なお削減量に不足が生ずることも考えられるのではないかということでございますが、この法案は、京都議定書で新たに導入されました排出量取引等のルールについてなお国際的な協議が続けられている現状ではございますが、一刻も早く増加基調にある我が国の排出量をできる限り抑制させていくというために、将来必要になります対策の土台を築こうとするものでございます。  したがって、現段階では具体的な数値目標国内での割り当て等は考えておりませんけれども、第七条に定めております基本方針を定め、その中で温暖化対策のあり方を網羅的にお示しすることを考えております。具体的には、政府の施策を充実強化することはもちろんでございますが、国民主体に期待される取り組みの方向などを体系的に明らかにすることによりまして、社会全体の自主的な取り組みを誘導するということを考えております。  こうしたことを通じまして、国あるいは地方公共団体はもちろんでございますが、事業者も含めまして、自主的な取り組みが広がることによって排出量の抑制が進むことになるというふうに考えているところでございます。
  71. 並木正芳

    並木委員 ぜひその効果があらわれるように期待をするというか、私自身もそういうふうなことに努めていかなければならないと思います。ふえ続けているものを、いろいろな排出権取引とかそういう手法もあるわけですけれども、そういうもので対処していくということになると、本質的な問題からはそれていってしまいますので、その辺、産業界にもぜひ強くお願いをしていっていただきたいというふうに要望しておきます。  ところで、連日、報道のトップというのは経済問題がにぎわせているわけであります。世界経済も混乱しているわけですけれども、日本経済というのはそれに比しても大混乱の渦中にあるということであります。こうした中で、予算確保とかなかなか難しい問題があるわけですけれども、環境行政にとっては先ほどからお話も出ています追い風ではないかと私はむしろ思っているわけであります。  それは、まず経済効率を高めていくということを当然経済困難な中で努めなきゃならないわけですけれども、先ほど大臣のお話のように、省エネ車というんですか自動車、そういうもの、あるいは家庭電化製品、OA機器、住宅、いろいろな産業分野もあります。そういう中で、まず省エネルギー技術が開発されなきゃこれはもう経済的にもやっていけない、そういう期待がされるということです。  また、公共投資というか景気対策、公共交通機関の整備促進あるいは交通渋滞解消のための道路整備、こういう中で交通システムの研究開発、こういうものも考えられているわけですけれども、これもまたうまく利用していけば環境をよくしていくというふうに活用できるわけです。  さらに、日本の産業がいろいろな意味で低迷しているわけですけれども、まさに、新たなリーディング産業ともいうべき環境産業の発達、発展、こういうことで日本産業のまた活路が生まれる、こういうような情勢が考えられているわけです。こうした情勢を踏まえまして、大変予算的にも厳しいわけですけれども、各省庁に協力を強力に求めていく、それが必要だと思います。  こういう意味で、予算措置あるいは環境政策の促進などこういうものをどのように呼びかけておられるのか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  72. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  環境保全を進めていくためには、まず大量生産、大量消費大量廃棄型の経済社会活動や生活様式というものを見直して、環境への負荷の少ない、持続的発展が可能な社会を構築することが不可欠だとまず基本的に認識しております。そうした認識のもとに、現在の経済社会活動環境保全を組み込んだ持続可能なものに変えていく上で、環境ビジネスの役割は大きく、今後の発展が大いに期待されていると考えています。  考えてみますれば、この地球温暖化対策につきましても、例えば省エネルギー、省資源や社会資本の整備ということが進みますれば、当然これによってこういう分野に投資が新たに起こる、こういうわけであります。新たな需要を直接生み出しますし、また、新技術開発や新たなビジネスを生み出す間接的効果も大きいと考えています。また、国民の生活様式、ライフスタイルの転換を進めていきますれば、環境保全型の製品、技術、サービスヘの需要を喚起する効果はもちろん大きい、こんなことでございますので、環境庁といたしましては、環境保全を進めると同時に、景気対策に必要なさまざまな対策政府一体となって推進しておるところでございます。  若干触れさせていただきますと、前回の補正等におきましても、例えばダイオキシン等の昨今の問題を一つの景気対策の観点からも位置づけて補正予算化させていただいて、そのときは関係省庁等連絡会議の中心になりまして取り組んでおるというようなこともございますし、先ほど来大臣からもお答え申し上げていますように、低公害車、低燃費車に対する自動車取得税の軽減措置についてもこれからも取り組んでまいります等々、私どもでできることは一生懸命やっていきたいと思っています。
  73. 並木正芳

    並木委員 また、今別の問題で、国鉄もそうですけれども、林野庁、これが累積債務を大変抱えていて、これを処理すべく法案が提出されているわけです。でありながら、国内産の木材市況というのはこれからもかなり厳しいものが予期されているかと思います。しかし、今のお話のように、環境問題と絡めて、CO2吸収源としての森林の果たす役割というのは大変大きいわけであります。こうした観点からして、植林推進、これを環境行政立場から後押ししていく、こういうことが必要になると思いますけれども、これについては具体的な助成策というのを今お考えになっていらっしゃるでしょうか。  あるいは、都市緑化として平成の森構想などというのが建設省でもあるようでございますが、これは具体的にまだ施策として計画化されているところまでいっていないかもしれませんけれども、これは建設省の分野でございますので、そういうものもあるということでぜひ推進していっていただきたいわけですけれども、環境庁としてこうした緑化政策に具体的助成策をお持ちか、その点についてお聞きいたします。
  74. 浜中裕徳

    浜中説明員 植林の推進についてでございますけれども、内閣に設けられました地球温暖化対策推進本部でことしの六月十九日に決定をされました地球温暖化対策推進大綱におきまして、植林などの二酸化炭素吸収源対策推進がうたわれているわけでございます。ただいま御指摘の平成の森の整備ということも含めまして各省庁のさまざまな対策が盛り込まれ、これから各省庁がこれらに真剣に取り組むこととしておりますが、環境庁といたしましても、国立公園その他の自然公園などの保護、管理といった立場から植林を推進していくことを考えておりまして、大綱を踏まえて、例えば以下のような取り組みを実施していきたいと考えております。  第一には、野鳥やトンボなどの生物が生息できる空間、いわゆるビオトープづくりというものを町の中のいろいろなところに、駐車場、駅前広場、学校周辺、街路樹、鉄道沿線等も活用をいたしましてつくってまいりたいというふうに考えております。  それから、樹木の二酸化炭素吸収能力というものについて小中学生に認識を高めていただくための調査をしていただくということで、こども葉っぱ判定士というものを認定させていただくというような事業も進めております。  第三には、森林そのものの炭素固定能力、こういったものがどのようなものかといったことについての調査研究を推進しているところでございます。  私どもといたしましては、今後とも、関係省庁と連携をして二酸化炭素の吸収源対策推進してまいりたいと考えております。
  75. 並木正芳

    並木委員 COP4が間もなく十一月にブエノスアイレスで開催されるわけです。日本は、それまでの議長国として、京都議定書に提起された排出量取引共同実施、クリーン開発メカニズム、吸収源の扱い方などの課題についてぜひ国際的なイニシアチブをとっていくべきであると考えます。  先ほどお話も出ていましたけれども、中国鈴木委員戸井田委員とも行きまして、環境センターを見せていただきました。こういった協力日本協力が生きているなと実感してきたわけですけれども、そういうものがぜひこれからも必要かと思います。現在のところ、先ほど申し上げたさまざまな課題について国際的な取り組みに関する形というのがまだ見えないようですけれども、現状なかなか厳しいものがあるかと思います。この辺については、強力に進めてほしいということで、時間があれですので、要望にとどめさせていただきたいと思います。  そして、ダイオキシン対策について何点かお聞きさせていただきたいと思います。  大臣も、新しく就任されて、先ほどもお話が出ていましたが、こうした問題に積極的に取り組んでいくということであろうかと思いますけれども、史上最強と言われる毒物ダイオキシン環境ホルモンの一種であるとも言われていますけれども、その発がん性、催奇性、こういうものは、WHO等でも既に認められるということが言われているわけです。  このダイオキシンでございますけれども、再三にわたって質問させていただきました。川越、狭山、こういうところにまたがる通称くぬぎ山と呼ばれる雑木林の中に、わずか五百メートルぐらいのところに十五カ所もの産業廃棄物焼却施設が密集して、周辺の土壌からは大変高濃度のダイオキシンが検出されております。また、南側に位置する所沢市、この中に、数キロ離れた公園、こうしたところでもやはり土壌から高濃度のダイオキシンが検出されて、子供たちにも汚染が広がり、住民というのは健康不安におののいているわけであります。奇形とか流産の事例、あるいは不妊症、新生児死亡率、そしてぜんそく、アトピー、ダイオキシン影響とも考えられるものが言われているわけですけれども、そうした兆候に住民は生命の不安すら募らしているわけであります。  平成九年十二月からの規制によりましてその対策に一歩を踏み出していただいたわけでありますけれども、こうした集中地域におきましては不安がなかなかおさまるものではありません。そうした意味では、いまだ不十分という感が否めないかと思います。いろいろな兆候との因果関係が証明されないとか、科学的知見が十分でない、こういう意見もあるわけですけれども、国民に、どうしますか、では、そういうものがわかってから予算措置をすべきですかと言えば、多少結果がわからないという部分があっても早急にダイオキシン削減を進めるべきだ、こういう国民の意見が恐らく大方であろうかというふうに思われます。  そういうことで、積極的なダイオキシン対策を望むものでありますけれども、何点かまとめて質問させていただきます。  集中的に施設が固まっているこういう地域につきましては、一定の基準値を設けて、例えば特別汚染地区に指定して、ダイオキシン類排出緊急抑制対策、こういうものを講じる必要があると思いますが、いかがでしょうか。そしてその場合には、地域内の、個別規制ももちろんですけれども、総量的規制をぜひやっていただかないと、今言ったような現状ですので効果が上がらないというふうに考えるわけです。  また同時に、こうした日夜煙が出ているその周辺に畑とかそういうものもございます。この地域内におけるこうした影響、農産物、畜産物のダイオキシン調査を優先して実施していくべきじゃないかというふうに考えるわけです。これはもちろん全国的規模でも早急に実施すべきであろうと思いますが、まずは、煙が目の前に来て、そういう口から入るというものの危険というのも大変考えられるわけですから、この辺についてはぜひお答えいただきたいわけですけれども、これは農水省の方だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  76. 廣瀬省

    ○廣瀬(省)政府委員 先生質問されました所沢市周辺の、焼却施設が集中しているところに対しての対策のあり方についての御質問でございますが、先生が御指摘のとおり、ダイオキシン類については今までにない考え方で進めなければいけない、つまり、長期間で低濃度で暴露を受けるということのために、具体的には、慢性の毒性とかそういうものとは全く違う感覚で進めなければいけないというふうに考えております。  それで、先生がおっしゃいましたように、昨年八月に大気汚染防止法施行令を改正して、廃棄物焼却炉についての規制措置を講じ、そして昨年十二月に導入されてございます。それから本年四月に、ダイオキシン対策の観点から、廃棄物焼却炉にかかわるばいじんの問題で排出基準を大幅に強化したということでございまして、このばいじんは、目で見ても黒い煙が出ているようなときには直ちに連絡をしていただければ基準の測定ができるということでございますので、その兼ね合いで強化がどうできるかということでございます。  そして、今の予測で、今までの規制で五年以内に全国のダイオキシンの排出量、約九割を削減できると見ているわけですが、これを当該地域で、個々の事業者に対してこの制度を徹底的にしていくという考え方を進めるわけでございますが、その中で今考えておりますことは、環境庁、県それから関係市町村の連携をどう強化するかどいうことだと思っております。そしてその強化のために、先生がおっしゃいましたように、実態調査について具体的に環境庁会議の中にも地元、県に入っていただきまして話を進めております。その中から具体的に、県と市町村との連携を強化する中で今の対策について徹底的に仕事を進めるということで、実効を上げるための対策ということに力を入れてまいりたい、そして早く結果を出したいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  77. 石原葵

    石原政府委員 お答えを申し上げます。  ダイオキシンの問題につきましては、先生の御指摘のとおりでございまして、農林水産省におきましても早急に検討をすべき課題認識しております。このため、農用地土壌それから農畜産物中のダイオキシン類につきまして、全国的な調査の実施を検討しているところでございます。  先生の御指摘も参考にさせていただきながら、また関係省庁との連携を密にいたしまして適切に対応していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  78. 並木正芳

    並木委員 今もお話ししていましたけれども、五年間の猶予措置というのが設けられたわけですけれども、このため業者の中には、この間にどんどん燃やしてしまって廃業、そんなに大きなお金をかけて炉を改良したりすることもできないから、とにかくやれるだけやって廃業しちゃおう、こういう発言をする者さえいると聞くわけです。結局、住民からすると、この五年間という中でさらに一層、現状でも不安があるわけですから、そんなことをやられたらどうなるんだろう、そういう不安も強いわけです。ぜひこの辺、地域を限ってということにもなるかどうかですけれども、そこら辺が難しいところかと思いますけれども、この五年の恒久対策基準というのを前倒しして、例えば平成十二年度ぐらいまでにということができないか。あるいはもっと、これはさまざまな意味で今検討もされていると思いますけれども、規制値を厳しくしていって、暫定的にどんどんそこまでに中間的な規制値をつくっていく、そういうことができないかというようなこと。あるいは、小型炉というのがとにかく大変問題にもなっているわけですけれども、構造基準、維持管理基準、こういうものをさらに一層厳しく明確化して行政指導を強められないか。  この辺については、行政指導、総合的な立場から大臣からもお答えいただければと思います。時間も余りございませんので、そのような点と、ダイオキシンへのさらに一層の取り組み強化お願いさせていただくわけですけれども、今の二点の質問お答えいただければと思います。
  79. 廣瀬省

    ○廣瀬(省)政府委員 一つ目の、五年以内でそれが実効あるようにするためにもつと基準を途中での強化を進めてはどうかということでございますが、これについて、先生に先ほど申し上げたとおり、ばいじん規制という形で、目に見える形のときに必ず測定ができますので、それとあわせて、具体的な業者指導とかそういうことも含めて、どうできるかという形に持っていきたいと思っております。  そのためには、やはり先ほど申したとおり、県と市町村と国がどのようにこの地域強化できるかということが一つ実効を上げるものだというふうに思っておりますので、現行の法律を、現行決めました規制値をいかに行政側が事業者に対して守らせるかというところに力を入れてまいりたいと思いますので、その辺を見守っていただきたい、とりあえず力を入れて仕事をやってまいりたいというふうに思っております。  それから、未規制の小型焼却炉については、具体的に工場、家庭、廃棄物処理業者、大変ありまして、各炉からどのようになっているかがまだはっきりわかっておりません。そこで、今回緊急に調査をして、その内容について具体的に調べてまいりたい、それに基づいてその対策をどうするかということで 関係省庁とも具体的に話し合って考えてまいりたいというふうに思っております。
  80. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 例えば小型炉の焼却規制なんというものがいまだ確定いたしていないわけであります。そこから排出される汚染物質というのは多大なものがあると思うわけでありまして、これらの問題についても各市町村との連絡をとりながら情報を収集して、そしてその対策を講じていかなければならないと思っております。  今廣瀬局長から答弁いたさせましたように、総合的な処理をして、その意識を高揚し、また目的に近づいてまいりたいと思っておる次第であります。
  81. 並木正芳

    並木委員 ありがとうございました。
  82. 北橋健治

  83. 北沢清功

    北沢委員 社会民主党の北沢でございます。大臣、御就任おめでとうございます。大いに御活躍を御期待をいたしたいと思います。  きょう私は、委員会委員ではございませんが、土井たか子委員のピンチヒッターで当委員会に参りまして、委員会皆さんの真摯な取り組みといいますかに敬意を表したいと思いますし、また、ここ数年間における環境庁を初めとするこの問題に関連する省庁も含めて御努力を多として感謝を申し上げたいと思っております。  私自身は、党の方針が環境重視ということで、環境庁の省昇格も含めて努力する立場で参りましたし、また与党の中でこのことに対するプロジェクトチームにも、また院の京都視察団の派遣にも一員として参加をいたしまして、少しく実は勉強させていただきました。きょうは、これらを踏まえて、簡単でございますが四点ばかり御質問いたしたいと思います。  私は、やはり昨年の十二月の地球温暖化防止京都会議では、議長国として成果を見たことは評価ができるというふうに思います。そこで上がった成果をどう実行に移すのかということが問われているわけでございまして、その意味からしても、この法案は実効性が問われている重要な第一歩であると考えております。  そこで、昨年いわゆるCOP3でも私ども感じたことは、NGOは御承知のように目覚ましい活躍をしてこの京都会議の成果を上げるための原動力となったと言っても私は過言ではないと思いますし、さきの本法案の参考人質疑においても、気候ネットワークの浅岡代表から、今後の運動の進め方と市民とのつながりの必要性について意味のある発言がなされておりました。  私も、この委員会で既に一度この重要性については指摘しておりますところですが、地球温暖化防止について、市民との協力参加なしては成果を上げることは難しいとさえ思われるわけでありますが、本法案に関してNGOのかかわりの必要性について、環境庁はどのように考慮されていたのか、お伺いをいたしたいと思います。
  84. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 社民党の土井党首におかれましては、環境問題に終始熱心に取り組んでいただいておるところでありまして、心から感謝を申し上げる次第であります。  そこで、このたびの法的拘束力のある京都議定書にかかわる六%削減目標でございますけれども、これから十年かかってその目的のための対策を講じていかなければならないわけでありますが、私も、環境庁に参りましてから、このCO2の排出量をできる限り削減していくとどの程度の効果が出てくるかというようなところの試算もいたしたわけであります。  何といっても、その六%削減がためには排気ガスを少なくしていかなければならないわけでありますけれども、その排気ガスを削除することによって目的達成が二割から三割だというようなことを聞いて驚き入っておるところでありまして、それがためにも、例えば自動車の排気ガスをできるだけ少なくしていくということで、その目的一歩を達したいと思っておる次第であります。  先生指摘のように、NGO協力なくして事の処理はできないということでありまして、私も全く同感でございます。一般市民、住民の協力もさることながら、NGO皆さん方の御協力というものも大切なことだと思っておるわけであります。先般この国会で通過しましたNPO法案というのもございまして、そういう面での協力もいただきたいと思っておるわけでありまして、先般の阪神・淡路大震災とか、また油流出のナホトカ号事件とかいろいろな問題に対して、市民協力をいただいておるということは立証済みでございますので、そういう人と相まってこれらの問題の解決努力してまいろう、こう思っておるところであります。
  85. 北沢清功

    北沢委員 大臣の評価については同感でございますが、特に、締約国会議におけるNGO影響力の大きさというものを考慮するならば、この地球温暖化防止に向けて、殊にNGOの関与は不可欠であると考えております。本法案を運用していく上でも、NGOとは密接な連携を図り、成果を上げる上にも、常にパートナーシップを構築していく必要があると考えるわけでありますが、この点について、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
  86. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 まさに先生指摘のとおりでございまして、パートナーシップを発揮しながら問題処理に当たっていかなければ目的を達成することは不可能だと思っておるわけでありまして、これらの認識のためにも、先生方のお力添えをちょうだいしながら一緒になってやってまいりたいと思います。
  87. 北沢清功

    北沢委員 今回の法案では、政府と都道府県が、みずからの施設から排出する温室効果から抑制の基本計画を策定するというふうにされるというわけでありますが、住民にとって身近な公共団体が率先して省エネに努力をすること、そしてそのことが住民の意識改革を促すことになり、重要な施策と私は考えますが、都道府県の実行計画の策定に当たりまして、国としてどのような具体的支援策を考えておられますか。例えば、マスタープランのようなものを示すお考えはございますか。
  88. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  都道府県の実行計画に対する支援でございますけれども、私ども、都道府県や市町村が、事業者国民の模範となるような創意工夫を凝らした実行計画を策定していただくことが大変重要であるというふうに考えております。  環境庁といたしましても、そうした都道府県や市町村にとって参考にしていただけるような手引と申しますか、マニュアルといいますか、そういうようなものをつくりまして、これを配布するといったことなどによりまして、こうした都道府県や市町村の取り組みの支援に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  89. 北沢清功

    北沢委員 ぜひ立派なマニュアルをつくって、それが実行できるような国の主体性というものも確保していただきたいと思います。  また、この法案は、責務規定、実行計画等による自主的な取り組みが柱となっておるわけであります。もう一方、省エネ法も、従来からの規制強化による対策に終始をしているというふうに思います。温暖化対策を徹底して根本的に解決するためには、本来ならば社会経済システムの改革が必要でありまして、自主的な取り組みをより効果的にするためにも、例えばスイスなどでは炭素税を導入しており、我が国でも環境を守るための費用についてはかなり国民的な理解が得られておる、条件ができているというふうに思われます。  また、ことしの環境白書でも、CO2の排出に応じてかける炭素税を初めとする環境税について、温暖化など多数の日常的行為から生ずる環境への負荷を低減させる点で有効性が期待されるというふうに実は指摘をされております。先ほど岩國委員から大臣にもそのことについて御質問がございました。しかし、白書ではそのような期待を持つということでございますので、大臣のこのことに対する態度についても、今後大いに検討をされたいというふうに思います、これは答弁を要しませんが。  また、省エネルギー技術の普及や新エネルギー開発に振り向けるなどの具体的な提案を行っていただきたいと考えるわけでありますが、ひとつ積極的な御答弁をいただきたいと思います。
  90. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 もう答弁は要らないということでございましたが、先生指摘の炭素税の問題につきましても、かねてから議論をいたしておるところであります。しかしながら、現今の税制問題を勘案いたしましても、なかなか目的税であっても税制改革については苦慮をいたしておるところでありまして、これらの問題についてはこれからの検討ということで熟慮させていただきたいと思っておるところであります。  今般の景気対策ということで考えられておるのが低公害車の開発ということで、その促進、販売がうたわれておるわけでありますけれども、おかげをもちまして、この低公害車が非常に人気を博して、今売れ行きがいいようでございます。やはり、この経済波及効果も相まって、これらの問題を進行させていかなければならないと思うわけであります。  一方、税制におきましても、これが昨年減税をしたということでその効果をあらしめておるわけでありますから、できることならば低公害車につきましては減税どころか免税をしてもらいたいということで要望していこうと思って、今環境庁が呼びかけまして、通産省とか運輸省等々に協力お願いいたしておるところであります。  やはり政府、党税調の中にもその議論を巻き込んで、皆さん一緒になってこの税の面からも進行を図ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお順いをいたす次第であります。
  91. 北沢清功

    北沢委員 私は、この問題というのは大変なことでありまして、産業界なり国民なりやはりそのことを常に意識をするという意味で、我々の環境は我々が負担するんだ、そういう意思というものは持つ必要があるんじゃないか、また、新しい省エネの産業分野についても積極的に減税を図ってその推進を図っていくということは非常に大事かことで、両面からひとつ御検討を、積極的に税調の中に反映できるようなリーダーシップをとっていただくことを要請いたしたいと思います。  最後に、温暖化ガスの削減について、この六月に推進大網が実は決まったわけですが、その中には、原子力発電を五〇%以上ふやすという表現がございます。これはこれとして、何か先ほども申しますように、企業なり国民の痛みを避けた、甘いという印象が私にはあるわけですね。経済的な負担を課す制度にも全く触れておりません。もっと生活や産業にかかわる実際的なデータを詳しく分析して、市民や企業と一体となって論議を深めることが非常にこの問題の推進に大事だろう。論議というものは、論議だけではなくてそのことの認識にもかかわるわけでありますから、社会変革をするくらいの意気込みがなくてはならないと私はそのことについて考えております。  今後とも、環境庁として、よりリーダーシップを発揮をされまして大いに御活躍されることを御期待したいと思いますが、最後に、このことに対する大臣の御決意をお伺いいたしたいと思います。
  92. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 論議を深めてまいることは、先生の御意見のとおりでございます。それがためには、情報をしっかりと掌握しなければならないと思っておるわけでありまして、あらゆる情報収集に市町村と一緒になって、協力を得て、果たしてまいりたいと思っておる次第であります。  御指摘のような面につきましては、重々承知しながら、積極的にやってまいりますので、よろしくお願いいたす次第であります。
  93. 北沢清功

    北沢委員 終わります。
  94. 北橋健治

    北橋委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十六分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十一分開議
  95. 北橋健治

    北橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武山百合子さん。
  96. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子でございます。  それでは早速、引き続きこの法案の中身について質問したいと思います。  この法案地球温暖化をもたらす温室効果ガス削減を目指すものでありますけれども、この温室効果ガス削減するという哲学あるいは理念、そういう意味で私は、目的はもちろん修正の方でいろいろ議論しまして、目的の方は入りましたけれども、この哲学について、理念についてちょっとお伺いしたいと思います。
  97. 浜中裕徳

    浜中説明員 ただいま、この法案目的と申しますか、むしろ理念は何か、こういうことであろうかと思います。  もちろん直接的には地球温暖化問題に対処しようということが目的ではございますけれども、私どもは、現在の環境政策の基本となっております環境基本法で定められた各種の理念も念頭に置いて、国、地方公共団体、事業者国民、すべての主体取り組みを促進いたしまして、地球温暖化問題に積種的に対処していくという考え方であろうかと思っております。  したがいまして、一九九二年のリオ地球サミット以来国際的にも共通の考え方になっております、いわゆる持続可能な発展ということにも通ずるものであるというふうに考えております。
  98. 武山百合子

    ○武山委員 単に温室効果ガス削減すればいいというものじゃないわけですね。各界各層の幅広い協力を求めていって、特に国民に対してはライフスタイルの転換を求めていくわけですけれども、それを求めていく以上は、二十一世紀へ向かって環境保全社会へ移行するその大きな一手段として温室効果ガス削減を位置づけるべきだと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  99. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど地球環境部長からお答え申し上げましたように、本法は地球温暖化対策ということですから、目的そのものはそうでございますが、当然のことながら、我々も理念というものは考えながら案をつくらせていただきました。  もちろん環境基本法の中では、三条、四条、五条と三つにわたりまして基本理念を掲げてございます。詳しくは申しませんが、三条が環境の恵沢の享受と継承等、それから第四条が、今お話のありましたことにストレートに結びつきますが、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等、第五条が国際的協調による地球環境保全の積極的推進、こういうことになってございまして、ストレートに一番近いところからいくと、五条がもちろんストレートに近いところでございますが、先ほど地球環境部長から申し上げましたように、もちろん四条も大いに関係がございますし、それから、最終的には環境の恵沢の享受と継承等ということで三条にも結びつく。  そういう意味で、先ほど地球環境部長の方から、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築の実現にも通ずるものとお答え申し上げた次第であります。
  100. 武山百合子

    ○武山委員 一般に、国民には削減をすればいいというだけのように映っているわけですね。ですから、その辺、やはりきちっとした理念というものを常に念頭に置いて、それでやはり常に行動の中で示していかなければいけないと思います。  二つ目に入りますけれども、この温室効果ガス等の定義に関するものでちょっとお聞きしたいと思います。  地球温暖化対策について、動植物による二酸化炭素の吸収作用の保全及び強化を定義しているわけですけれども、海中や岩盤中へ人工的に二酸化炭素を吸収させる技術が現実に研究開発されているということを聞いているのですけれども、この辺は法律に全然触れていないのですね。  この辺のことで、人工吸収の技術について今後どう進めていくのか、その辺の見解をちょっと聞きたいと思います。
  101. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  確かに、この法律第二条の定義におきまして地球温暖化対策が定義されております。その中では、動植物による二酸化炭素の吸収作用の保全及び強化ということで、御指摘のような人工的な吸収と申しますか、二酸化炭素の分離、固定といったようなことはこの対象にはしてございませんけれども、ただいま御指摘のとおり、政府におきましては、そうした革新的な技術の開発も大いに力を入れて進めているところでございます。  そのような技術が十分に実用化いたす見込みがついてきましたならば、こうした対策の中でいかに位置づけていくかということにつきましても私どもの検討対象として勉強をしてまいりたい、このように考えてございますが、現段階ではまだまだ、いわゆる科学技術といいますか、技術の研究開発が緒についたばかりの段階でございますので、そういう現状を踏まえまして、このような動植物による二酸化炭素の吸収作用の保全及び強化という形にさせていただいたところでございます。
  102. 武山百合子

    ○武山委員 何かもう既に通産省の方ではこれが研究開発されていると聞いているわけなんですね。ぜひ環境庁は通産省と連携を密にして、今後進めていっていただきたいと思います。  その辺はどうでしょうか。何かこれからというイメージですけれども、現にもう通産省の方が先に行っているわけですね。その辺、全然情報が行き来していないなんということはないと思いますけれども。
  103. 浜中裕徳

    浜中説明員 私ども、もちろん通産省とも十分連絡をし、そちらで研究開発が進められております技術についての情報は、そうした密接な連携のもとで逐次いただくことにしてございますので、そういった状況を承知しておるわけでございます。  私が先ほど申し上げましたのは、二酸化炭素というのは非常に膨大な量でございます。従来の公害物質などに比べますと膨大な量が出るわけでございます。吸収するとなりますと、そういうことで大変膨大な量を吸収しなければならないということでございますから、技術が実験室的な段階で有効性が確認されたといたしましても、これを実用化いたしまして大量に吸収しようといたしますと、その経済性が極めて大きな問題になるわけでございます。  そのような意味で、経済性を持った形で技術が実用化されるかどうかというところが実際の対策の問題としては極めて重要であるということを念頭に置いて申し上げた次第でございますが、もちろん通産省とは十分に連絡をとってまいりたいというふうに考えております。
  104. 武山百合子

    ○武山委員 通産省と比べますと人的にも資金的にも本当に比較にならないほど小さい環境庁なわけですけれども、これから省になるわけですから、競うことはないですけれども、ぜひ独自性を持った環境省としていろいろなことに積極的に、何か答弁を聞いておりますと、一応土台ができてから一歩やろうかなという発想なのですね。国民は、そういう発想のいわゆる答弁というのはもう聞き飽きているわけですね。やはりそこに何か新しい、やるんだという意気込みがないと、今までの考え方、それから機構、それからつながり、各省庁との連携、全く旧態依然としていたら、ああまたかという国民意識というのはあるわけですね。ですから、常に一つ一つ前向きに、やはりやるんだぞという気持ち、気概がないと国民の信頼というのは得られないと思うのですね。ですから、そういう頭の切りかえをぜひしていっていただきたいと思います。  それから、この法律の中で対象として挙げている六種類のガスはあくまでも京都議定書目的を達成するためのものですけれども、しかし温室効果ガスはこの六種類以外にもあるわけですね。対流圏、オゾンなどいろいろ、六種類以外にもあるわけですね。  HFC、PFCの特定フロンについては政令で定めるとしていますけれども、これは全体的にまず網がかかるのかどうか。それから、既存物質だけが指定されるのか。その辺、今までの物質だけが指定されるのか疑問なわけですね。まずお答えいただきたいと思います。全体に網がかかるのか、既存物質だけ指定されるのか、それをはっきりしていただけたらと思います。
  105. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  この法律の対象となるガスは既存物質だけかというお尋ねでございますけれども、法案第二条第三項におきまして定義されております温室効果ガスは六種類でございまして、御指摘のとおり、第四号のハイドロフルオロカーボン、いわゆるHFCと第五号のパーフルオロカーボン、PFCでございますが、これらは具体的には政令で定めるということでございますから、いずれにしましても、この六種類の範囲の中に限られているということでございます。  しかしながら、考え方といたしましては、現時点で国際的にも科学的な知見に基づいて対策の対象とすべきものということで六種類のガスが挙げられているわけでございまして、京都議定書でもその六種類のガスが対象になったわけでございますから、そのような、対策を講ずべきガスは網羅したものだというふうに考えているわけでございます。  なお、PFCやHFCにつきましてはかなりの種類のものがございますので、これらはこの政令で網羅してまいりたい、このように考えております。
  106. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、全体に網にかかるというふうに解釈してもよろしいわけですね。
  107. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答え申し上げます。  現在、国際的にも温暖化対策の対象として取り組むべき物質はすべて網羅されている、そのように考えられている物質は網羅されているというふうに考えております。
  108. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、これから開発される化学物質や混合冷媒など、温室効果が認められる場合、今後こういうことが起こってくる可能性はもう無限にあるわけですね、どんどん開発されて、いっそういうことが起こってくるかわからないわけですから。そうしますと、政令で指定して対処する必要があると思いますけれども、そういう場合はすぐ政令で対処するのでしょうか。
  109. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  もちろん、例えばフロンの問題、オゾン層破壊するフロンガスの問題などを考えますれば、今後の科学技術の進展によって思いもかけない影響を及ぼす物質がつくられるという可能性は否定することはできないわけでございますが、そのような意味で、新たな温室効果ガスとして対象とすべき物質が発見されました場合には、これはまず国際的に議定書の改正ということが行われることになるのであろうというふうに考えております。  そうなりますれば、国内的には法律を改正するということでこれに対応する必要が出てくるものというふうに考えております。したがいまして、政令で対処するというよりも、そのような事態が生じた場合には、法律改正によって対応する必要があるものというふうに考えております。
  110. 武山百合子

    ○武山委員 何かそれは非常にハードルが高いと思うのですね。現にもうあるものについては政令で定めるとしているのに、今後認められたときには法律で改正する。もっとその手前の政令でするのではないかと思いますけれども、大きなハードルにしてまた野放し状態にしていくというように国民にはとれるのですけれども、法律で改正するというのは大変なことだと思うのですね。その辺は法律であくまでも改正するというハードルなんでしょうか。
  111. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  先ほども申し上げましたとおり、今回の法案は、京都議定書で対象とされた六種類のガスを取り上げようという考え方でございまして、国際的にもその六種類のガスが当面地球温暖化対策として対象とすべき物質であるという認識があるわけでございますが、ただいま申し上げましたのは、その六種類をさらに拡大をしていくという国際的な合意ができる場合には、国際的なそういう条約といいますか議定書そのものが改正をされることになるであろう。そして、そこに何種類かはわかりませんが追加されるという事態になるものというふうに想定されるわけでございますから、その場合には、それに対応してはやはり法律の改正という形で対応することになるのではないかということを申し上げたわけでございます。
  112. 武山百合子

    ○武山委員 何か国際的に認知されないとやらないというお答えに聞こえましたけれども、では、日本で今まさに開発されようとしているものがあるとしたら、それも国際的に認知されないとやらないという発想なんですか。やはりみんな研究を重ねて、みんな開発に挑んでいるわけですね。それで、化学物質や混合冷媒など、これからどんどん温室効果が認められる場合はどうしますか。それもやはり国際的に認知が出てくるまでしないというわけなんでしょうか。
  113. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  必ずしも我が国国際的な合意がなければ環境保全取り組みを何もしないという意味で申し上げたわけではございませんが、今回の京都会議に至る経緯を振り返ってみましても、例えば新しいHFC、PFCといった、いわゆる代替フロンといった物質を対象にするかどうかという大変大きな議論がございましたけれども、議論を尽くした結果として、そういう物質につきましても今後国際的に取り組みの対象にしていこうということで合意がなされたわけでございます。  このように、やはり典型的な地球環境問題でございますから、一国のみの取り組みということではなくて、国際的に協調した取り組みが行われなければやはり効果を十分上げ得ないわけでございます。そのような意味で、取り組むべき物質が新たに生じてきたという場合には、やはり国際的な合意をまず形成すべく努力をすべきであろう。そうした国際的な取り組みの枠組みの中で、国内的にも法律という手当てをすることによって対策を進めていくべきではないか、このように考えている次第でございます。
  114. 武山百合子

    ○武山委員 まぜ返すわけではありませんけれども、何となくお話を聞いていると、これは国際的な枠組みで取り決めますからそういう枠組みでしますよと変にグローバルスタンダードを持ち込んでいるように聞こえるのですね。要は政令なのか法律なのかということで、開発されてそういう温室効果が認められる場合には、日本日本で独自でぜひ政令で対処してほしいということなんですよね、言いたいことは。変にグローバルスタンダードで、外の枠組みにやはり認知されるまで待っているというのじゃなくて、独自性というのは、日本主体的にやるというのは、そういうことの部分でもリーダーシップはとれるわけなんです、他国を待っていなくたって。  ですから、法律か政令かということで私は今議論したわけなんですけれども、相変わらずそういうときに限って、これは国際的な枠組みですという答弁ですから非常に残念ですけれども、この議論はまたしたいと思います。  それでは、基本方針の策定に関するもので、従来の基本方針の策定に当たっては、省庁の縄張り争い、密室の議論に左右されることなく、透明性を確保し、広範な民意を反映できるような仕組みを制度化するということを私も本当に強く言っておりまして、先ほどある議員質問しましたけれども、この点やはりこの法律では、私も欠落していると思うのですね。  それで、今後基本方針を公衆の縦覧に付して広く国民の意見を求めることをやはり制度化すべきではないかと思います。これは重複しますけれども、もう一度お尋ねしたいと思います。
  115. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  基本方針につきましては、これはこの法案におきまして、温室効果ガス排出抑制のために、国や地方公共団体、事業者国民のそれぞれが講ずるべき取り組みの基本的方向を示す極めて重要なものだと考えておりますので、そうした基本方針を定めてまいります手続といたしましては、広く国民の意見を聞いていくことが重要であるというふうに考えております。  したがいまして、作成に当たりましては、中央環境審議会の御審議お願いするとともに、その過程で国民の意見も広く伺いまして、それらを適切に審議に反映させていきたい。こういうことによりまして、国民の意見が適切に反映された基本方針がつくられるように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  116. 武山百合子

    ○武山委員 今回の法律の成立の過程を見ておりましても、相変わらず密室の議論なんですよね。本当に残念きわまりない心境ですけれども、国会の、こういう立法府の立場で相変わらず透明性が確保できないという現状にどれだけみんなが、一人一人が心の中で認識しているのかなと思います。密室の議論というのは本当に、それはある部分は必要でしょうけれども、なるべく透明性を確保したものがやはり我々この立法府の委員会において行われないと、国民には透明性だなんて言ったって何も説明にならないと思うのですよね。  ぞれで、今回の法律が上がる過程において非常に密室の議論に相変わらず執着していた、私から見たら執着しているわけですけれども、当のそれぞれかかわっている方々は無感覚というか無意識でかかわっているわけですよね。その辺やはり個人が、透明性というのはどういうものなのか、密室の議論というのはどういうものか、どういうときに密室の議論をして、どういうとき透明性を確保するのかということは、環境問題のこの法律だけではなく、やはり今まさに日本国民が問われている問題だと思うのですよね。足元をやはり見直す問題だと思うのですよ。  法案を成立させるための努力というのは、やはり議論をして、堂々と渡り合って政策で仕上げていかなきゃいけないものだと思うのですね。それをやはり私はいろいろな面で、私の党は闘う集団、もちろん私自身もそうですけれども、一つ一つ闘ってきたわけですけれども、そういう立場においても、何となく言葉のイメージとか、圧力とか圧迫とかかけてくるわけなんですね。  そういう不透明な議論では、絶対にやはり委員会自体もよくなりませんし、立法府自体もよくなりませんし、ましてや日本の、本当に国の根幹を問われているようなものを非常に今回感じたわけですけれども、やはりこれはそれぞれがそれぞれの立場で改革していかなきゃいけないんだということを痛感いたしました。これは、本当に百万遍言葉で語ってもやはり一つの行動が大事なことなんだと思うのです。  やはり言葉というのは、十分過ぎるくらいもう十分なんですよね。ですから、やはり言葉ではなく実行がまず求められていることなわけですから、実行をするということが今一番大事なことだと思いますけれども、その辺ちょっとお聞きしたいと思います。環境庁長官
  117. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生議論を聞いておりまして、ディスクローズするということは、もう情報化社会の中で大切なことは言うをまたないわけであります。そしてまた、政策的な議論をしていくというのは、立法府の中で何としてもそれが武器であろうという感じを持っておるわけでありまして、これからも議論を深めてまいりたいと思うわけであります。  ただ、時間的な有限性もございまして、いろいろな面で意を十分言い尽くしておりませんけれども、先生の言われるような目標を持ってこれからも委員会審議をやっていき、また多くの国民からの信頼性を高めていく方向に持っていかなきゃならぬ、こういうことを感じております。
  118. 武山百合子

    ○武山委員 今までも時間の制限ということはいろいろなところで出てまいりました。しかし、時間というのはっくればいいわけであって、やはりつくって十分時間をかけるということが大事だと思うのですね。時間がないということを理由にしてこういう大事な法案を上げるということは、やはりもってのほかだと思いますよ。時間がないから、時間がもうあといよいよだからと、もう時間は無制限にあると思いますよ。ですから、それは前もってある程度予定を立ててやらなきゃいけないことだと思います。そういう意味で、こういう反省を踏まえて、十分時間をとるということをせざるを得ないとやはりみんなが認識しなければいけないと思います。  それでは、次の質問に移ります。  事業者の事業計画の策定に関するものですけれども、京都会議日本削減目標は六%と決まっているわけですけれども、既に日本は基準年の一九九〇年から九・四%も二酸化炭素がふえているわけですね。そうしますと、実際は一五%くらい削減しなければ国際公約を達成できないわけですけれども、そのことを考えますと、事業者削減計画の作成、公表が努力目標というのは国民感情からして納得できないわけですね。  そして、この法律の七条二項四号というわけですけれども、国のつくる基本方針の中に、温室効果ガスの総排出量が相当程度多い事業者については、排出抑制計画の策定、公表について定めるとしていますけれども、この辺は具体的にどのような内容になるのかぜひ説明いただきたいと思います。  それから、これによって事業者に対して効果的な取り組みを促すことができるのかどうか、その二点について伺いたいと思います。
  119. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  事業者が策定をし公表すべき計画についてのお尋ねでございますけれども、まず、七条第二項第四号にございます温室効果ガスの排出量が相当程度多い事業者が作成し公表すべき計画に関しましては、この基本方針におきまして、計画を策定し対策を総合的に講ずることによって効率的に排出の抑制等を推進すること、それから計画及びその計画に基づいて講じた措置を公表することなどを定めることとしております。  それから、同じ第七条第二項第二号に、これは事業者だけではございませんが、国、地方公共団体、事業者及び国民のそれぞれが講ずべき温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する基本的事項ということで、ここに事業者が講ずべき措置に関する基本的事項が定まってくるわけでございますけれども、これにつきましては、例えて申しますと、高効率ボイラーなどの温室効果ガスの排出が少ない設備を選ぶ、あるいは温室効果ガスの排出の少ない製品を開発するといったことなど、できるだけ具体的でわかりやすい記述をいたしまして、これを読んで事業者が十分に理解をし、そして事業者の創意工夫に基づく取り組みが行われるようなものにしてまいりたい、このように考えているところでございます。  そのような基本方針を定めることによって、あるいはそのことに基づきまして、事業者努力義務ではございますが計画を策定し公表することによりまして、実際にどの程度対策が進むのかということにつきましてこの委員会でも繰り返し御議論がございましたけれども、私どもは、努力義務でございましても、このような形で法律にルールとして定められることによりまして、国民の目に見える形で、事業者の間にいわば前向きな、積極的な競争が働きまして、結果として創意工夫を凝らした計画の作成や公表の動きが広がっていくものだというふうに考えているところでございます。  こうしたことを通じて排出抑制あるいは削減へ向けての取り組みがさらに進んでいくもの、このように考えております。
  120. 武山百合子

    ○武山委員 ちょっと具体的ではないのですけれども。後の方はわかりましたけれども、前の方の質問の、それでは例えば公表はどういうふうにするのでしょうか、具体的に。
  121. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、計画を策定いたしました事業者については、その公表を行うことということを基本方針において定めることにしてございますけれども、具体的にどのような公表の仕方をとるかということにつきましては、それほど細かく定めることは考えておりませんで、そのあたりは事業者の自主的な判断によりまして、いろいろ工夫を凝らした形で公表をしていただこうというふうに今考えております。  実際に、既に一部の企業におきましては、環境レポートの作成といった形で、かなり創意工夫を凝らしましてそういう報告書を公表しているわけでございます。そういう動きが自主的な形でさらに広がっていくことを期待しているわけでございますので、余り細かいところまでは定めることは考えておらないところでございます。
  122. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、自主的ということですので、これはもう基本的にはだれの目に触れるか触れないかわからないわけですね。自主的ですから、そこでまた環境レポートを出しているかどうかもわからないわけですよね。そういう全くの自主的ですから、やってもやらなくてもいいという意味にもとれますし、そこで、ある事業者のAというところでレポートを出しているかどうかもわからないわけですよね。企業は、事業者というのはもう数限りなくあるわけですから。  その辺も全くの自主的という言葉意味どおりの自主的なんでしょうか。ある程度は見本として、例えばこういう手本がありますよとか出すのでしょうか。
  123. 浜中裕徳

    浜中説明員 お尋ねの公表についてでございますが、公表の趣旨としては、やはり公表することによってまた国民の目に触れて、いわばその目のもとで開かれた形で取り組みを進めていくということが趣旨でございます。  そのような意味で、公表された報告書をごらんになった国民からのいろいろな御意見もいただけるというようなことが期待されるわけでございますから、インターネットを通じて公表するなり、いろいろな刊行物の形で公表するなり、そういった多くの方が当然入手をして見られるような形で公表をしていくように、そのような形で公表を促してまいりたいというふうに考えております。
  124. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、今の答弁ですと、全くの自主的な公表の仕方を指示するという意味ですね。例えば、インターネットだとか半年に一度どこかへ報告してくださいとか、あるいはこういう報告がありますとか、都道府県が事業者リーダーシップをとるとか市町村がとるとか、そういうのは全くないわけですね。一事業者が、A社というところが全く自主的な企業ロイヤルティーで、うちはこういうふうにしようとかといえばそれは進んでいる会社。これはもう努力なので今忙しいからやらなくてもいいや、それも自主的な態度なわけですよね。やるかやらないかの態度じゃなくて、できないという自主性ですよね。  やはりある程度様子を見るのか、それともある程度リードしていくのか、大企業だけリードしていくのか、その辺が全く詰められていないというような今状態だと思うのですね。その辺はどうでしょう。
  125. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  基本的には、この法案の考え方は、企業といいますか事業者に計画の作成とその公表を努力するように努めることを求めているということでございますから、自主的な計画の策定と公表を求めているということでございます。  私ども政府といたしましても、事業者のこうした自主的な計画の策定やその公表を促していくために、いろいろな技術的な情報の提供その他いろいろ助言をし、支援をしてまいりたい。そういうことによりまして、そうした自主的な計画の策定や公表が進んでいくようにしてまいりたい、このように考えております。
  126. 武山百合子

    ○武山委員 やはりここはもっと話を詰めないといけないところだと思うのですよね。自主的というのはどうにでもとれますし、助言するといったって、どこをするのか。ある程度やってきたところをするのか。いろいろな意味で細かい議論ですけれども、これはもっともっと詰めないといけないと思います。  それから、あともう一つ。ISO14000というのですか、これは国際認証機構、日本のJISみたいな機構ですね。国際的な環境監査の認証だと聞いているのですけれども。このISO14000による環境監査が日本を初め世界的に普及してきていると聞いているのですけれども、監査の対象は事業者単位で、それは企業だけにとどまらず、自治体にも適用をされているということを聞いております。そして、自治体の中でも、国際認証機構、ISO14000というのですか、この認定を取る動きも出ていると聞いております。  こうした世界的な動きを見ますと、温室効果ガス削減においても環境監査の仕組みを制度化する考えがあるんじゃないかと思いますけれども、環境庁の見解をちょっと伺いたいと思います。
  127. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 ISO14000シリーズにつきまして今お話がございまして、もちろん私どもも、ISO14001、特に1につきましては、各事業所、事業所で一生懸命認証を取っていただくように我々も働きかけをしております。もちろん自治体で現に取ったところもございます。私どもも人様に働きかけをするだけではこれはまずいだろうということで、環境庁自身でも14001の認証取得に向けてチームをつくりまして現在取り組みを始めております。  したがって、そういう手法が一つ有効であることは十分承知しております。ですから、この手法が有効であるということはもちろん今申し上げました。  もう一つの、先ほど来の話との関連で申し上げますと、地球環境部長が御答弁申し上げた点でございますが、企業が現在どういうような環境レポートをつくり、その中でCO2等温暖化ガスについての排出量の把握なり記述なり、どういう記述がなされておるかということについては、それなりに私どもは企業からデータをとっております。  とっておりますと、企業によって本当に随分工夫をしてあるところがありまして、例えばライフサイクルで、原料段階から製造過程、さらには運輸、輸送部門、それから最後に顧客がそれを利用するところまで、そこまで把握しているところもあれば、製造段階のところもあれば、いろいろございます。  いろいろございまして、そのときに、先ほど来申し上げておりますのは、我々もいろいろな取り組みをしておることは承知しておりますので、少しでもいい取り組みをしてもらうために、いろいろなガイドラインみたいなものは出したいのですが、一方で、自主的取り組みということで、いい工夫をしていい発表をしてもらうためには、公表そのものにまだ逡巡しているところもあるものですから、できるだけ公表にまず引っ張り込む、公表してもらうように努めてもらう、ここをやりたいということがございまして、余り最初から大上段に振りかぶった枠をがっちり決めることはむしろ控えて、公表にみんなに乗ってもらうようにしたいということでるる申し上げました。
  128. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、制度化する方向だという意味ですね、この環境監査の仕組みは。もう一度お答えいただきたいと思います。仕組みを制度化する方向という解釈でよろしいのでしょうか。
  129. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 ISO14000が環境監査としての効果を持っていることは先ほど申し上げました。ただ、今の地球温暖化対策のための工場の取り組み等にこのものがストレートに結びつくかどうかについてはちょっとまた別のものだと思っております。したがって、そういうことからいろいろな弾力的な対応というのを考えたいというのは、先ほどの答弁で関連を申し上げたわけであります。
  130. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございました。
  131. 北橋健治

    北橋委員長 藤木洋子さん。
  132. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。よろしくお願いいたします。  先国会で、本法案審議に当たりまして、私は、法案事業者の規制措置が盛り込まれなかった問題や、また規制緩和による事業者の二酸化炭素の大量排出を事実上野放しにしている問題、また国内の措置というよりは吸収源や排出量取引などの抜け穴頼みになっている問題等について、これまで三度にわたって質疑議論を行ってきたところでございます。きょうは最後の審議となりますので、地球温暖化対策推進される政府の基本的な姿勢にかかわる問題について、幾つかお聞きをしていきたいというふうに思っております。  政府地球温暖化対策推進本部というのが設置をされまして、そこで六月十九日、地球温暖化対策推進大網というのを決定されました。  この対策内容なんですけれども、一つは原子力立地の推進、二つには国民のライフスタイルの見直し、三つには排出量取引共同実施、クリーン開発メカニズムなどの取り組みというふうになっております。そして具体的には、原子力立地の推進を中心にしておりまして、二・五%の削減を行う、代替フロン等三ガスをプラスニ%程度にとどめる、森林等での吸収で〇・三%の削減というふうになっておりますけれども、追加的な吸収で三・七%削減に努める、そして排出量取引共同実施、クリーン開発メカニズムの活用というふうになっているわけです。  私どもは、まだ安全性が確立していない、最大環境破壊ともなる原子力の推進ということには同意できないわけですけれども、それにしても、今ある程度削減が見込まれているのは、削減目標六%のうちわずか〇・八%にすぎないということなんですよね。この内容は、京都会議の前に政府の関係審議会の合同会議がございまして、そこで温暖化ガスの排出量を〇・五%削減するために取りまとめられた国内対策のメニューというのがございますけれども、これともほとんど変わらないというような状況になっているわけです。  そこで、大臣に伺いますけれども、これではとても京都議定書で交わした約束、六%の削減ということは履行できないのではないかと思うのですね。いかがでございましょうか。大臣お答えいただきたいのですが。
  133. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 六%の削減問題について、いろいろと今日までの経過をお話しなさっていただいたわけであります。  私も、環境庁長官になりまして、果たして京都議定書の六%が達成できる見込みがありゃ否やということで、具体的に事務方にも案を出していただいたわけであります。その中で、例えば二酸化炭素の排出によって削減される温暖化防止策はどの程度のものであろうかというようなことで数字的に取りまとめたわけでありますけれども、全体からすれば、それは六%のうちの二割から三割ぐらいだということであったわけでありまして、例えば排出量の多い企業の鉄鋼とかセメントとか化学部門とか、いろいろなところからも出していただいておるところでありますけれども、そんな数値では少ないということで、もっと多角的な対策を講じていかなきゃならないということで叱咤したところであります。  私ども、いろいろな面で御協力をちょうだいしながら、その目標達成に頑張ってまいりたいと思っておるわけでありますけれども、数字的なことにつきましては事務当局の方から御答弁させていただきたいと存じます。
  134. 藤木洋子

    ○藤木委員 長官、御就任になられて早速、この六%問題達成のためにいろいろと研究もされて、心砕いておられるというお話を今伺ったというふうに私は思っております。  それで、問題は、この大網そのものが私は問題だというふうに思っております。あと説明員の方には違った質問お願いをさせていただきますけれども、結局、経団連の環境自主行動計画が示しております九〇年比で安定化、九〇年比で安定するのだということが実はこの大網に盛り込まれているということが問題であろうというふうに私は思うわけですね。  結局、そうなりますと、産業だとか運輸などの国内措置で削減するのは〇・五%、残りは森林吸収で三・七%、排出量取引だとか、共同実施だとか、クリーン開発メカニズムの活用で二%程度を削減するというものでしかなかろうというふうに思うわけです。それではいわゆる抜け穴頼みになるのではないかと思っているわけですけれども、中環審の中間答申でも、各国地球温暖化防止対策推進させ、抜け穴を生ずることなく地球全体としての温室効果ガスの純排出量が確実に減少するような方向で政府努力することと指摘をしているわけです。  そこで、環境庁にお尋ねするわけですけれども、抜け穴頼みとならないで京都議定書で約束をした六%削減を履行できるような対策、これを強めるべきではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  135. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  京都議定書におきましても、排出量取引あるいは共同実施などは、目標達成に当たって国内措置を補完するものであるというふうに位置づけられているところでございまして、我が国といたしましても、国内対策を基本として目標の達成を図るべきだというふうに考えているわけでございます。  こうした考え方から、この法案におきましても、今日の段階から取り組むべき対策を講ずることによりまして、京都議定書の締結やその履行の確保に備えて今後の対策の土台を築こうとするものでございます。こうした枠組みの中で、省エネ法等関係する諸法律との連携を強化し、その他の地球温暖化防止対策の一層の充実などによりまして国内対策の強力な推進を図っていきたい、このように考えているわけでございます。
  136. 藤木洋子

    ○藤木委員 くしくも今、補完的な役割でしかないということをお認めになっていらっしゃるわけですけれども、そのとおりなんですよね。ですから、我が国の純排出量が確実に削減できるという計画にいたしませんと、それは本末転倒になろうというふうに思うわけです。ですから、ここの大もとのところで削減できないというような計画でしたら、やはり抜け穴頼みと言われても仕方がなかろうというふうに思うわけです。  森林吸収は二酸化炭素の吸収量を正確に測定できない、科学的にまだ不確実な面があるというふうに言われております。私も実際先ごろ、国立環境研究所で、科学の面から見ますと、吸収源の組み込みというのは問題があるというふうに伺ってまいりました。  そこで、今後の国際交渉で森林吸収の追加的吸収分が確保されなかった場合、〇・八%以外は排出量取引共同実施、クリーン開発メカニズムの活用で削減するということになるのではないかと思いますけれども、それはいかがですか。
  137. 浜中裕徳

    浜中説明員 御指摘のとおり、吸収源につきましては、京都議定書において、目標達成に算入することができるとされたわけでございまして、具体的には、その中に定められております植林あるいは再植林ということがございますけれども、現在の段階では、具体的にどのようなものを例えば植林とみなすかというような定義の問題が残っております。それから、今後植林や再植林以外に追加的にどのような吸収源を考慮することができるか、これも検討していく必要がございまして、こうした国際的検討我が国としても現在積極的に貢献をしているところでございます。  そういうことでございますので、今後吸収量としてどの程度の量を見込むことができるかにつきましては、こうした国際的な検討が進展いたしませんとなかなか具体的に申し上げることはできないわけでございますが、いずれにいたしましても、我が国としては、六%削減目標の達成は、これは国際的に公約したわけでございますから、もちろん排出権取引共同実施等の国際的な仕組みもございますけれども、同時に国内対策につきましても、今後必要に応じて見直し強化を図っていく必要もあろうかと思います。  いずれにしましても、そういうことによりまして全体として六%の削減が達成できるように私どもとしては万全を期してまいりたい、このように考えております。
  138. 藤木洋子

    ○藤木委員 その見直しを前提としなければならないものをつくるというのが、ちょっと私には理解できないんですけれども。  それでは、排出権取引では、EUが取引量の上限設定など非常に慎重な姿勢をとっておりますね。これに対して日本、米国、ロシアなど九カ国案では数量の無制限というふうになっております。結局、アメリカでは削減目標七%のうちの七五%に当たる五・二五%は排出権の買い取りで削減するというふうに報道されておりますけれども、では、我が国ではどの程度排出権買収で削減するというふうにお考えなのか、環境庁、いかがですか。
  139. 浜中裕徳

    浜中説明員 排出量取引などの新たな仕組みにつきましては、今後の国際的な交渉によって具体的な制度の内容が決まってくるわけでございます。したがいまして、今後それぞれの制度をどの程度我が国として利用することになるかは現時点で申し上げることはなかなか困難でございます。  いずれにいたしましても、国内におけるできる限りの排出削減対策を講ずる、それに加えまして、こうした排出量取引等の補完的な国際的取り組みによる削減量を合わせまして、全体として我が国に課せられた六%の目標を達成していくことが必要だ、このように考えております。
  140. 藤木洋子

    ○藤木委員 あくまでも補完であるはずです。ですから、その数量の無制限というような立場にお立ちになるべきではないというふうに思いますね。結局のところ、抜け穴頼みということではないかというふうに思います。しかし、本当にそれでは抜け穴でしか削減ができないのかということなんですけれども、決してそうではございません。  先ごろ、国立環境研究所の社会環境システム部の森田室長から、地球温暖化総合評価モデル、AIMというモデルにつきましてお話を伺う機会がございました。これによりますと、我が国の二酸化炭素排出削減の可能性として、大きい負担なしに二〇一〇年に九〇年比マイナス五ないしは一〇%程度存在するということでございました。このモデルは、三次産業へのシフトに重点を置いた知的立国型生活大国シナリオで二酸化炭素削減対策を行う、そういう対策ケースで、二〇一〇年の排出量が九〇年比でマイナス七・六%とすることが可能だというふうにしております。しかもその上、削減コストは年間三千億円程度あれば済むというふうになっております。  環境庁に伺いたいのですけれども、こうしたモデルで大幅な削減が可能だということが実際きちんとわかっているのに、なぜ国内措置による思い切った削減対策をおとりにならないのか、とれないのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
  141. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答え申し上げます。  御指摘のいわゆるAIMモデルでございますけれども、これは幾つかの社会経済条件等についてのシナリオやケースごとに予測を行うものでございまして、例えば技術の動向がどうなるか、あるいは生産システムがどうなるか、ライフスタイルはどのように変わっていくだろうかということについて幾通りかの仮定を設けまして、その条件のもとで計算をするわけです。しかもなおかつ、一定の経済的な措置、炭素税といったものも導入するというケースにおいて、ただいま御指摘になられましたような削減も可能だという試算が得られたものでございます。  このように、このAIMモデルでは導入を想定した施策が実施可能かどうかという点については、これは政策上の観点から判断すべき事項でございまして、モデルの計算そのものの中の問題ではなくて、外から与えられるものでございます。  そういうことから、政府におきましては、もちろんこうした研究者によります試算結果も参照したわけではございます。同時に、そこで前提とされたような施策の実施可能性も十分に検討いたしまして、先ほどから御説明申し上げておりますような施策、具体的に申し上げますと、大綱をお触れになっていらっしゃいますが、大綱の中では、二酸化炭素、メタン及び亜酸化窒素の三ガス、三つの種類のガスにつきまして、一九九〇年から二・五%削減をするというのを当面の我が国対策目標として取り組んでいこう、こういうことでございます。  そうしたモデルの計算も考慮いたしまして、そのような施策を進めていこうということにしたところでございます。
  142. 藤木洋子

    ○藤木委員 このモデルについて、研究もされ、いろいろと検討されたとおっしゃいますけれども、このモデルでは、省エネルギー技術の費用、効果に関する情報普及とそれに基づく合理的な機器選択行動の啓発、市場への導入促進、炭素税の導入などの対策で可能だとしているのではないですか。かつて、環境庁地球温暖化対策技術評価検討会の試算でも、各種技術的対策にまじめに取り組むならば、九〇年比で六・五%から八・一%の削減が可能だという結論をお出しになっていらっしゃったじゃないですか。ですから、削減できないわけはないと思いますね。問題は、政府が本気で削減対策をやるのかどうかにかかっていると思います。  大綱では、エネルギー需要面の二酸化炭素排出削減対策推進といたしまして、エネルギーの消費効率の大幅改善、省エネルギー基準等の強化、また、産業界等の行動計画の事後点検などを挙げておりますけれども、結局、二〇一〇年に九〇年比で安定化するところから一歩も出ていないと言わなければなりません。しかも、これらのほとんどは通産省所管の省エネルギー法に基づくものでございまして、私たちが今議論している、審議をしている地球温暖化対策推進法によるものが見当たらないと言っても言い過ぎではないと思います。  環境庁、この法成立による具体的な法益、今審議しているこれが成立いたしましたらどんな法益があるのか、メリットがあるのか、法的な削減効果をどの程度それでは見込んでいらっしゃるのか、具体のお答えをいただきたいと思います。
  143. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  この法ができることによる法益といいますか効果についてのお尋ねでございますが、この法律案は、たびたび御説明を申し上げておりますけれども、京都議定書の発効を待つことなく今日の段階から取り組むべき対策を定め、実行していくことによりまして、京都議定書の締結やその履行の確保に備えた土台を築こうというものでございます。  したがいまして、この法案京都議定書削減目標の達成を直接目指すものではありませんで、そういう意味での削減効果を定量的にとらえることは困難ではございますけれども、各主体の責務を明らかにし、国や都道府県あるいは市町村、事業者の計画的な取り組みを促していくということ、あるいは国民取り組みを促進するためのセンターの設置などの措置を規定しているわけでございまして、こうした枠組みのもとで各主体の創意工夫を凝らした取り組みが広がることによって排出量の抑制が進むものというふうに認識をしているところでございます。
  144. 藤木洋子

    ○藤木委員 今伺っていますと、法的効果を見込んでいるわけではないんですね。国民がどれだけ協力していただけるかということに期待を寄せているというのは全く驚きであります。このような姿勢では、議長国としての責任と京都議定書の約束は果たせないであろうというふうに思います。  枠組みだけでは具体的な削減効果は不十分だということを私は感じます。そこで、先ほどから大網の省エネルギーや新エネルギーの導入などエネルギー対策を強調して、それで国内の措置をとるんだというふうに言っておられるわけですけれども、京都議定書で約束した六%削減を確実に履行するためには、長期エネルギー需給見通しこそ抜本的に見直さなければならないのではないでしょうか。  通産省資源エネルギー庁は、五月十一日、総合エネルギー調査会の需給部会に対しまして、長期エネルギー需給見通しの原案を示しております。それによりますと、CO2排出量を九〇年度レベルに抑制することを前提にして、九六年度の五億九千七百万キロリットルを二〇一〇年度には六億一千六百万キロリットルに抑制をする。その供給内訳は、石油の場合、九六年度で五五・二%から二〇一〇年度で四七・二%、石炭は一六・四%から一四・九%にそれぞれ減らし、天然ガスを一一・四%から一三%に、原子力を一二・三%から一七・四%に伸ばす。新エネルギーは一・一%から三・一%に増加させるとしております。しかし、この程度の見直しでは、CO2排出量を九〇年度レベルに抑制するだけで、京都議定書で約束した六%削減にはほど遠いものでございます。  環境庁、どうですか、この長期エネルギー需給見通しの省エネルギーや新エネルギーでは、大幅削減は期待できますか、できないのではないでしょうか。
  145. 浜中裕徳

    浜中説明員 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘の長期エネルギー需給見通しに盛り込まれましたのは、エネルギーの消費に原因を持っております二酸化炭素の排出についての削減対策でございまして、環境庁といたしましては、こうした取り組みも含めまして、京都議定書で定められました六種類のすべての温室効果ガスの排出抑制対策が着実に実施されますように、この法案に基づく取り組みを強力に進めてまいりたい、このように考えております。
  146. 藤木洋子

    ○藤木委員 京都議定書で約束をした六%削減を確実に履行するというためには、私たち日本共産党が「新日本経済の提言」というので提案をしておりますけれども、例えば、エネルギー消費の二〇一〇年度までの伸び率を低く抑えて、供給での石油を一〇%以上削減する、石炭で二八%の削減、そして天然ガスを一六〇%程度、新エネルギーのシェアは一〇%程度まで大幅に引き上げるということをうたっておりますけれども、こうすべきだと思うのですね。  いずれにしましても、CO2排出量を九〇年度レベルに抑制するということを前提にした長期エネルギー需給見通しては、京都議定書の約束に反したものであって、抜本的に見直すということを要請すべきだと思うのです。この点は大臣お答えをいただきたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  147. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生おっしゃるように、化石燃料によるエネルギー削減を図っていかなければならないと思っておるわけであります。それから排出される排気ガス等は、何としても削減目標を立てて、目的達成のために頑張っていきたいと思っておるわけです。  一方、新エネルギーでございますけれども、いろいろな面で研究されておるわけであります。私も昨日見てまいりましたけれども、低公害車の普及でございますけれども、この普及をなすことによって、今の排気ガスが半減するということでありまして、それらも一つの大きな目標達成のための材料だと思っておるわけであります。  電気自動車にも乗りましたけれども、もう少しバッテリー関係が充実してまいりますと、ほとんど排気ガス等の問題は解消されるということでありまして、各メーカーにおきましても、それがために大変な研究努力をしていただいておりますし、また削減協力もいただいておるわけでありまして、あれやこれやの対応の中でその目的を達成すべく努力してまいりたいと思っておるところであります。
  148. 藤木洋子

    ○藤木委員 非常に大臣御熱心に、削減のための御研究も御自身なさっておられるようにお伺いいたしましたけれども、しかし実際その長期エネルギー需給見通しそのものが最初から削減目標の六%削減を履行するという立場に立っていないというところが問題でございまして、ぜひ地球環境問題の関係閣僚の一人として抜本的に見直すように、重ねて要請したいというふうに思います。  それでは、産業部門でのエネルギー消費の伸び率をこれ以上低く抑えることができないのかという問題ですけれども、環境白書では、産業部門のCO2排出量も近年横ばいでございまして、その背景としては、石油危機以後主要産業におけるエネルギー原単位が急速に向上したものの、実際、最近になりましてエネルギー利用効率の改善が見られなくなったという点が問題でございます。  確かに、エネルギー多消費四業種のエネルギー消費原単位の推移というのは、第二次オイルショックの後、八二年から八六年ごろまではうんと低下をしておりました。ところが、その後は悪化傾向で推移をしているというのが実態でございます。  ですから、この産業部門の中心になっている製造業、その中でもエネルギー多消費四業種が、八二年以降もエネルギー利用効率を改善するということを進めていたならば、製造業全体、そして四業種だけでもCO、排出の大幅削減が可能であったというふうに思われます。だから、やろうと思ったらできるという問題ですよね。産業部門では、エネルギー利用効率の改善を進めれば、エネルギーの消費の伸び率をさらに低く抑えることができて、京都議定書で約束した六%削減を目指すことが可能になるわけです。  そこで大臣に、やはり産業界に対して、一層このエネルギーの利用効率の改善をやりなさいということを要請していただきたいというふうに思うわけですが、その辺はいかがでしょうか。御決意を、ぜひお述べをいただきたいと思います。
  149. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 産業界にエネルギーの化石燃料からの転換を要請するのは、これは六%達成のために欠くべからざる行動だと思っておるわけであります。  日本は、オイルショック時には、いろいろな新エネルギーを開発し、またエネルギー多消費型の産業部門にもいろいろ注文をつけて、省エネルギーに協力してもらったわけであります。やはり二〇〇八年、一〇年には六%削減という目標をつくったわけでありまして、それは努力目標におさまらずに、必ず達成するという意気込みを持ってやってまいりたいと思っておるところであります。どうぞよろしくお願いします。
  150. 藤木洋子

    ○藤木委員 最後ですので、今のお話を伺いまして、一言お願いだけ申し上げておきたいと思います。  通産省が四月一日に、九八年度電力供給計画の概要というのをお出しになっていらっしゃるわけですけれども、この概要の計画ですと、そのもの自身が長期エネルギー需給見通しにも矛盾しておりますし、まして京都議定書の六%削減を達成するということには全く反するという内容になっております。ですから、COP議長国である日本政府地球温暖化対策推進本部の副本部長である環境庁長官がぜひともイニシアチブをおとりいただきまして、それぞれの関係する省庁に対して勇気を持って、こういった目標を達成するためのいささかでも妨げになるようなものに対しては、御意見をしっかりと述べていただきたいということを心からお願いさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  151. 北橋健治

    北橋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  152. 北橋健治

    北橋委員長 この際、本案に対し、鈴木恒夫君外五名及び藤木洋子さんから、おのおの修正案が提出されております。  順次趣旨の説明を聴取いたします。佐藤謙一郎君。     ―――――――――――――地球温暖化対策推進に関する法律案に対する修正案    〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  153. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 私は、ただいま議題となりました地球温暖化対策推進に関する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党、社会民主党・市民連合及び新党さきがけを代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  修正案はお手元に配付してありますので、案文の朗読は省略させていただき、その趣旨について御説明申し上げます。  地球温暖化は、我々人類を初めとするすべての生物の生存基盤である地球に対し、さまざまな悪影響を及ぼすおそれのある問題であります。そのため、温室効果ガスの濃度を安定化し、地球温暖化の防止を図ることが我々人類に課された責務であると考えます。  また、我々の消費活動等日常生活における温室効果ガスの排出は増加傾向にあることから、現在の大量消費、大量廃棄型のライフスタイルを環境への負荷の少ない環境に優しいものへ切りかえていくことが重要な課題となっており、この課題に本格的に取り組むに当たっては、すべての国民主体的な参加が不可欠であります。  さらに、国や地方公共団体の行う消費活動等が我が国経済活動のうちの相当部分を占めることから、その活動による温室効果ガスの排出が抑制されるよう計画を策定し、確実に実行する仕組みをつくり、国民に対し率先実行の姿勢を示すことが必要であると考えます。  よって、修正内容の第一は、法案目的規定に「気候変動に関する国際連合枠組条約及び気候変動に関する国際連合枠組条約第三回締約国会議の経過を踏まえ、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止すること」及び「すべての者が自主的かつ積極的にこの課題に取り組むことが重要であること」を追加するものとすること。  第二は、市町村も、都道府県と同じく、その事務及び事業に関し実行計画を策定するものとすること。  以上が、修正案を提出いたしました趣旨と内容であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  154. 北橋健治

    北橋委員長 次に、藤木洋子さん。     ―――――――――――――地球温暖化対策推進に関する法律案に対する修正案    〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  155. 藤木洋子

    ○藤木委員 私は、日本共産党を代表して、議題となっています地球温暖化対策推進法案に対する修正案の趣旨を説明いたします。  修正案は既にお手元に配付されておりますので、詳細な説明は省かせていただきます。  その内容は、第一に、COP3の議長国として、京都議定書で約束した六%削減を締結に先駆け国内措置で履行できるようにするため、政府が総量の削減に関する目標、総量の削減のための施策を明記した温室効果ガスの総量の削減地球温暖化対策に関する基本方針を策定し、排出量第四位の日本国際的責任を明確にするものです。  第二に、地球温暖化防止目的を最優先課題として達成するため、エネルギーの使用の合理化に関する法律の基本方針等、他の法令の規定する基本方針が、温室効果ガスの総量の削減地球温暖化防止対策に関する基本方針と矛盾し、または抵触するものであってはならないものと規定して、この法案における基本方針の上位性を明確にするものです。  第三に、政府温室効果ガスの総量の削減地球温暖化対策に関する基本方針を着実に達成するため、都道府県知事が住民も参画した総量削減計画策定協議会の意見を聞きながら総量削減計画を定めなければならないと規定し、住民参加による温暖化防止と地方公共団体の取り組みの一体性で排出削減の実効性を確保するものです。  第四に、京都議定書で約束した六%削減を抜け穴に頼らず履行するため、都道府県知事がある一定量の温室効果ガスを排出する工場または事業場を特定工場と指定し、特定事業者の都道府県知事への削減計画の提出、指導、助言、公表、命令等の事業者への規制措置を規定することで、国内措置による削減を担保するものです。  以上、委員皆様の御賛同をお願いいたしまして、趣旨説明を終わります。
  156. 北橋健治

    北橋委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  157. 北橋健治

    北橋委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。  第百四十二回国会内閣提出地球温暖化対策推進に関する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。  まず、藤木洋子さん提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  158. 北橋健治

    北橋委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、鈴木恒夫君外五名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  159. 北橋健治

    北橋委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  160. 北橋健治

    北橋委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  161. 北橋健治

    北橋委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、鈴木恒夫君、佐藤謙一郎君、田端正広君、武山百合子さん、藤木洋子さん、北沢清功君及び武村正義君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。鈴木恒夫君。
  162. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 私は、ただいま議決されました地球温暖化対策推進に関する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び新党さきがけを代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     地球温暖化対策推進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一 京都議定書で定められた我が国温室効果ガス削減目標については、排出量取引共同実施等は目標達成に当たって補完的なものであるとされていることに留意し、本法の適切な実施、省エネ法等関係諸法律との連携強化、その他の地球温暖化防止対策の一層の充実等により、目標の達成に向け国内対策の強力な推進を図ること。  二 地球温暖化対策に関する基本方針については、これが本法の目的達成のための最も重要な役割を果たすものであることにかんがみ、地球温暖化防止行動計画が策定された後も、一九九〇年以降二酸化炭素の排出量が増加し続けている現状を謙虚に反省し、各主体が真に削減効果の上がる対策を講ずることとなるように、その内容を厳密に定めること。  三 政府自らが定める温室効果ガスの排出抑制等のための実行計画については、率先実行の姿勢国民に示すため、具体的かつ明確にその内容を定め、これを確実に実行するとともに、計画の実施状況等についての分析、評価等を行い、さらにこれらの情報を国民へ提供していくとともに、できるだけ国民の声を反映させていくこと。  四 事業者が、温室効果ガス削減に向けて自主的に法律に基づく計画等を策定、公表するよう促していくため、技術的情報、他の事業者による先駆的な取組等についての情報の提供など、積極的な支援を行うこと。  五 国民温室効果ガスの排出削減を行うに当たっては、国民一人一人のライフスタイルを見直すことが肝要であることにかんがみ、国民各層に対し、本法及び京都議定書の趣旨の周知を図るとともに、特に、国民の担う役割に関して普及・啓発、教育・学習等を通じてなお一層の理解を得るよう努めること。  六 政府、地方公共団体及び事業者の策定する実行計画等の内容やその実施状況を公表し、社会的評価を受けることによって、地球温暖化対策推進を図ることが本法において重視されていることから、これを促進するため、策定された実行計画等及びその根拠となる情報を収集し、これらの情報に基づいて分析、評価を行うとともに、その結果を広く国民に提供するよう、必要な措置を講じること。  七 地球温暖化対策推進に当たっては、国民の賛同と参加を得ることが重要であることにかんがみ、基本方針の策定、実行計画の実施状況の評価等に当たり広く国民の意見を聞くとともに、全国及び都道府県地球温暖化防止活動推進センターの活動に国民、住民の意見が十分反映されるよう必要な措置を講じること。  八 京都議定書早期発効に向けて積極的なイニシアティブを発揮するとともに、排出量取引等の国際的仕組みの構築に当たっては、これらの仕組みが各国温室効果ガスの排出削減措置の抜け道とならないよう、その国際的な交渉に指導力を発揮すること。  九 二〇一〇年には途上国温室効果ガスの総排出量は先進国のそれを上回ると推定されていることから、途上国における取組が強化されるよう、我が国COP3で発表した「京都イニシアティブ」を着実に実施し、途上国への技術移転、資金供与、途上国での人材育成等を積極的に進めること。  十 大気中の温室効果ガスの濃度、気象や生態系の変化状況を適確に把握するための観測・監視及び地球温暖化による地球環境への諸影響の予測に関する調査・研究を充実するとともに、その成果を広く各主体に積種的に提供すること。  十一 環境委員会においても今後の地球温暖化防止対策推進に寄与するための必要性から、各主体における温室効果ガスの排出抑制等の実施状況等を初めとする本法の運用状況及び本附帯決議の実施状況を本委員会に対し適時適切に報告すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  163. 北橋健治

    北橋委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  164. 北橋健治

    北橋委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。真鍋環境庁長官
  165. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。  なお、先ほど答弁の中で委員皆さんに誤解を与えるような答弁をいたしましたことをおわび申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  166. 北橋健治

    北橋委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 北橋健治

    北橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  168. 北橋健治

    北橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十一分散会      ――――◇―――――