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1998-10-02 第143回国会 衆議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月二日(金曜日)     午後零時三十一分開議 出席委員   委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 玄葉光一郎君 理事 藤田 幸久君    理事 東  順治君 理事 東  祥三君       柿澤 弘治君    瓦   力君       河野 太郎君    阪上 善秀君       櫻内 義雄君    中谷  元君       野呂田芳成君    深谷 隆司君       細田 博之君    八代 英太君       吉川 貴盛君    島   聡君       葉山  峻君    木村 太郎君       丸谷 佳織君    古堅 実吉君       松本 善明君    伊藤  茂君  出席国務大臣         外 務 大 臣 高村 正彦君  出席政府委員         総務政務次官  阿部 正俊君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛施設庁長官 萩  次郎君         防衛施設庁施設         部長      守屋 武昌君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 阿部 信泰君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 東郷 和彦君  委員外出席者         財務委員会専門         員       宮本 吉範君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二日  辞任         補欠選任   上原 康助君     葉山  峻君   山中 燁子君     木村 太郎君 同日  辞任         補欠選任   葉山  峻君     上原 康助君   木村 太郎君     山中 燁子君     ――――――――――――― 九月二十八日  対人地雷全面禁止条約批准に関する請願(深  田肇紹介)(第三九四号)  日米物品役務相互提供協定改定反対に関する  請願佐々木憲昭紹介)(第三九五号)  在沖縄米軍基地縮小撤去に関する請願(古  堅実吉紹介)(第四二九号)  同(中川智子紹介)(第四五八号)  同(辻元清美君紹介)(第四七九号) 同月三十日  日本人拉致疑惑早期解決に関する請願(桜井  新君紹介)(第五〇六号)  WTO協定改定で米の輸入中止に関する請願  (松本善明紹介)(第五〇七号)  日米物品役務相互提供協定改定反対に関する  請願児玉健次紹介)(第五〇八号)  同(春名直章紹介)(第五〇九号)  同(松本善明紹介)(第五一〇号)  同(山原健二郎紹介)(第五一一号)  在沖縄米軍基地縮小撤去に関する請願(保  坂展人君紹介)(第六〇三号) 十月一日  日米物品役務相互提供協定改定反対に関する  請願吉井英勝紹介)(第六五七号)  在沖縄米軍基地縮小撤去に関する請願(土  井たか子紹介)(第六五八号)  同(濱田健一紹介)(第六五九号)  同(東中光雄紹介)(第六六〇号)  同(保坂展人君紹介)(第六六一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 九月二十九日  北朝鮮のミサイル発射問題に関する陳情書外二  件  (第一〇三号)  同外八件  (第一七五号)  新たな日韓漁業協定早期締結等に関する陳情  書  (第一〇四号)  サミットの沖縄県開催に関する陳情書  (第一〇  五号)  核兵器廃絶に関する陳情書  (第一七三  号)  アメリカ臨界核実験への抗議に関する陳情  書  (第一七四号) 十月一日  アメリカの未臨界核実験に対する抗議に関する  陳情書(  第二一七号)  日韓漁業協定締結交渉に関する陳情書  (第二  一八号)  北朝鮮のミサイル発射問題に関する陳情書外十  三件  (第二一九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。八代英太君。
  3. 八代英太

    八代委員 お時間をいただきまして、中馬委員長、どうもありがとうございます。自民党の八代英太でございます。  日本の一番近い国といいますとそれは朝鮮半島でありまして、特に韓国なのですね。北朝鮮は余りにも遠い存在でもございますし、あの体制、あの行動ではなかなか日本と胸襟を開いてという仲にはなれない状況もございます。そういう状況を見ましても、韓国存在が大変大切でございますし、朝鮮半島の安定のためのブリッジカントリー的な、今ブリッジバンクとかブリッジ何とかがはやっていますからブリッジカントリー的な立場と言えると思うのですが、いよいよ金大中大統領が七日に大統領として初めて来日されるということになるのですが、ぜひ温かく歓迎したいと思っております。  それに合わせるように、新たな漁業協定妥結方向が見えてまいりました。それまでに紆余曲折はありましたが、私も細田部会長の前の部会長でございましたから、ちょうどこの問題のいろいろな議論の中にかかわりがあったものですから大変喜んでいる一人でもございます。  おさらいも含めまして、ひとつこの日韓漁業協定の経過あるいは今後正式な妥結方向へいろいろとあると思いますが、そういう見通し等々もまず冒頭伺っておきたいと思います。
  4. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国韓国は、国連海洋法条約の趣旨を踏まえた新たな漁業秩序を構築するための協議を進めてきたわけであります。今般、新たな日韓漁業協定について基本合意に至ったわけであります。両国漁業が今後長きにわたって共存していく基礎がつくられたことは、政務次官時代から関与してきた私にとっても感慨深いものがあるわけであります。  ただ、我が国漁業関係者の要望をすべて受け入れられたわけでもないわけでありまして、これから資源管理の問題だとかさらに韓国側と詰めていかなければいけない点もある、あるいは国内対策もしていかなければならない点もある、こういうふうに考えております。
  5. 八代英太

    八代委員 現行協定は来年一月で効力を失うということになるのですが、もし妥結なくば日韓漁業秩序のない無協定時代に入るわけだし、双方かなり譲り合いをしているなというのを私たちも報道で見ておりますが、その譲り合い精神というのは大変結構だと思いますし、何よりも資源保護という点、そういう意味でも、今話し合われていることは大変いいことだなというふうに私は思っております。特に、大臣外務政務次官の折にはピストンで行ったり来たりの日韓でもございましたから、今感慨もひとしおということはおっしゃいましたが、お互いにリスクは背負うけれども、まさにこれは一日も早くやってもらいたいなというふうに思っております。  いずれにいたしましても、これは日韓双方が痛み分けという状況にならざるを得ないと思うのですが、そして、それがまた資源保護へのイントロになるということでありますと、日韓双方、大自然の恵みは大事にしなければならないというふうに思います。  しかし一方、日本国有領土竹島の帰属問題というのはどうも棚上げになっている。これまでの政策的な対応としてやむを得ないのかなとも思う反面、だからといってほうっておいていいというわけにはまいりません。この竹島領有権問題というのは引き続き粘り強く取り組んでほしいと思うのですが、その辺はいかがですか。
  6. 高村正彦

    高村国務大臣 漁業協定との関係でいえば、平成八年三月の日韓首脳会談において、国連海洋法条約批准に伴い生じ得る諸問題については竹島領有権にかかわる問題とは切り離しつつ協議していくということを合意した経緯があるわけで、まさに棚上げといえば棚上げという形で今度の漁業協定はできたわけでありますが、もちろんこの竹島領有権の問題、そういうわけで、本件漁業協定締結により解決されたというわけでは全くないわけでありますから、引き続いて解決に向けた努力を続けていく考えでございます。
  7. 八代英太

    八代委員 金大中大統領は、日本訪問は過去の歴史に縛られた関係から脱却するための重要な一歩である、こういうふうにおっしゃっているわけですが、本当にそうならうれしいのですけれども、戦後補償の問題や竹島問題等々、日本がかなり縛られている、そういう環境に大きな変化はないような気がいたします。  もっと両国で密接な関係を持てるような共同政策のようなものはないものか、こう思っておりまして、ワーキングホリデーという、青年たちがアルバイトしながらそれぞれの国の文化や史跡を訪ねる、こういうようなものも今度の来日を期して両国でまとまったように聞くのです。そのほか、例えば韓国議員さんたちとも私どもも何回か話しますと、両国で例えば国際協力ができないものか、あるいは海外協力隊のようなものを日韓でつくり上げたらどうか、そして若い人たち一緒にそれぞれの国を回って、心を開き合い、結び合うというような関係はできないものか、そういう声も韓国議員皆さんからも私たちは受けております。日韓両方のいろいろな混成部隊のようなものも、PKOを初めいろいろな形でできるのじゃないかと思うのですが、日韓双方の知恵が必要ではないかと思うのですけれども、その辺はどのようにお考えになりますか。
  8. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国といたしましては、七日からの金大中大統領訪日を契機として、両首脳間の信頼関係の強化を図りますとともに、二十一世紀に向けた新たな日韓パートナーシップの構築を通じた未来志向的な日韓関係を構築していきたいと考えているわけであります。  日韓双方とも、政治、経済文化等各般にわたる広範な分野での二十一世紀に向けた協力プランを作成したいと考えているわけでありまして、現在このための準備作業を鋭意行っている、こういうところでございます。  内容等必要であれば政府委員から答弁させます。
  9. 八代英太

    八代委員 では、ワーキングホリデーをちょっと補足してもらいましょうか。
  10. 阿南惟茂

    阿南政府委員 大統領訪日を前にいろいろ協力事業を準備しているという今大臣の御答弁のとおりでございますが、ワーキングホリデーにつきましては、もう先生先刻御存じのことと思いますが、青少年交流活発化を通じて相互理解を促進するという観点で、今実現方向で鋭意調整中でございまして、観光査証日本に来た韓国青年たちがある程度適切な仕事をしながら日本で滞在できるということを実現すべく、今先方とも調整しているところでございます。
  11. 八代英太

    八代委員 日韓は一番近い関係ですから、安全保障という点からも、やはりいろいろともっともっと親しくつき合うべきだというふうに思います。  北へ目をやりますと、これまで長く引きずる北方四島問題も含めまして、日ロの長い歴史を背負った宿題がございます。  ロシア担当総理とも言うべき橋本首相が先日訪ロされましたが、その成果はどうなのですか、剣道をやったとかそういうようなことは割合報道されているのですが、肝心かなめの部分がなかなか見えないものですから。欧亜局長あたり、あるいは大臣ども、その情報はいかがでしょうか。
  12. 高村正彦

    高村国務大臣 橋本総理訪ロという、まさに橋本総理から日ロ関係の一層の発展のために協力を得たいという小渕総理意向に基づいて行われたものであります。  この十六日から十九日までロシア訪問されたわけでありますが、エリツィン大統領との会談では、我が国対ロ姿勢がこれまでと変わらない旨伝えたほか、平和条約については、双方クラスノヤルスク合意実現に引き続き努力するということが確認されたことはよかったことだ、こういうふうに思っております。
  13. 八代英太

    八代委員 つい先日、阿部総務政務次官色丹島訪問する、したじゃなくて訪問するというニュースを聞いて、いつごろ帰ってきたか、どういう訪問であったかというのは一向に報道されないものですから、この際、私たちは、懸案の北方四島の問題も、これは大変重要な問題だというように思うので、ぜひ阿部総務政務次官色丹島訪問とその感想をきょうは伺いたいと思ってわざわざお出ましをいただきましたが、どうぞよろしくお願いをいたします。
  14. 阿部正俊

    阿部(正)政府委員 では、委員長のお許しを得てちょっと発言させていただきますので、よろしくお願いします。  十八日から二十一日まで色丹島に行ってまいりました。特に、私ども大臣が大変熱心にといいましょうか、今まで所管庁である総務庁が行ってなかったものですから、大臣政務次官、やはりどなたか行くべきだというふうな強い熱意がございまして、命ぜられまして行ってまいりました。初めてでございました。  その中で、色丹島代表者方々との懇談とか対話集会あるいは日本援助でできました学校校舎とか診療所とかというところも拝見してまいりましたし、あるいは実際御家庭に泊めさせていただきまして、いわゆるホームステイということで、一般の御家庭にも泊めさせていただいてまいりました。大変貴重な体験をしてまいったというふうに思っております。  特に、その中で、対話集会という、小さな公民館で、五百人ぐらいでしたでしょうか集まった中でのロシア人発言の中で、本来的には領土はやはり自分たちのものだという御主張もございますけれども、その中でも、本来この領土というのは日本のものだ、現実に、地震があった後で港に最初に来た船は日本の船であった、モスクワでもなかったしサハリンでもなかった、日本の船が来たというようなこともあるし、やはり本来の持ち主に返して、平和条約を早く締結して、いわば一緒にもっと平和な安定した生活を築いていくべきであろうというふうな意見もありました。これは大変な拍手がありまして、私も正直言ってびっくりしたといいましょうか、そういうことなので、かなりの方々がそうしたふうな考え方を持っているようになってきているなというのを実感してまいったところでございます。  あわせまして、やはり経済的なさまざまな困難な状況という中で、一つ地震被害というのはまだ回復しておりません。桟橋その他も、港も大きな被害を受けたままで、まだ野ざらし状態と言った方がいいのかもしれませんが、その中で、新しくできた建物といいますのは、見たところ日本援助でできた小さな診療所学校校舎だけで、まだまだインフラが未整備であるというふうな状況でございます。そんなこともあって、色丹島島民の感情というのが、どちらかといいますと日本側に向いているのかなというふうな感を深くして帰ってまいったところでございます。  ただ、現実ロシア島民方々はかなり苦しい中で生活しておりますので、そうした現実をやはり直視しながら、これからビザなし交流その他援助も含めて対応していかなければいかぬなというふうな感を深くして帰った次第でございます。
  15. 八代英太

    八代委員 どうもありがとうございました。  やはり北方四島に住む皆さんも、生活も決して楽じゃないだろうし、余りにもモスクワは遠いし、行く船は日本の船、また何かあると手を差し伸べるのは日本、それゆえに日本に対する期待というものも大きいと思います。また、北方四島を追われた旧島民皆さんは、一日も早く父祖の地が返ることを祈ってもおりましょうし、まさに二〇〇〇年の大きな夢の実現に向かって、やはりこの北方四島に住んでおられる皆さんへの心外交といいますか、こういうものは大切だという思いを持たれたと思いますが、いかがですか。
  16. 阿部正俊

    阿部(正)政府委員 そのとおりでございまして、島民の御発言紹介もいたしましたけれども生活状況としては結構厳しいものがございます。停電もしょっちゅうございますし、船の着く桟橋も、ちょっと言葉は悪いのですが、木造で少し傾いたようなところでして、わずか五百トンの船ですけれども、ようやく接岸できるというような状況でございますし、そうした基礎的なインフラの未整備というのはかなり厳しいものがございます。  そういう中でも何とか、二千人弱か、二千人程度だと思いますけれどもロシア人島民たち生活されておるわけでございまして、特にこの冬、寒い冬、どういうふうにしていくのかな、エネルギーの供給なんかも枯渇しがちでございましょうし、大変心配しておりまして、対話集会などでは、本土の方から五十人程度一緒に行ったのでございますけれども、それを加えた対話集会の中でも、お互いにこの冬元気で乗り切ってちょうだいねというふうな友好的な交流もありました。  ただ、そういう中で、やはり島民方々も何とか自活していきたいというふうな精神だけは旺盛でございまして、そうしたことに対して、私どもの方から何がどういうふうにできるのか。将来とも、そうした島民も含めて、領土問題は領土問題としてというのはちょっと言い方は極端かもしれませんけれども、やはり現実そこにそうした住民たちもおられる、そういう住民住民同士交流という中で、歴史を動かしていく大きな力になりはせぬだろうかなというふうな思いを持ちながら帰ってまいった次第でございます。  そうした感覚というのをこれからも持っていきたいものだなというふうに思っております。
  17. 八代英太

    八代委員 どうも御苦労さまでした。  北にロシア、西に朝鮮半島、それから西南の方には大国中国がございますけれども、二十一世紀極東時代日本海の時代、こう言われておりますだけに、この極東近隣外交というのは大変重要だと思うのです。  その大国中国江沢民総書記がいよいよ日本訪問する。かねて訪問の予定もありましたが、あの台風の影響で大変な事態になって、延び延びになっているという状況です。  これは、どうなんですか、もうその協議に入ったのでしょうか。来日のめどというようなものは固まったのでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
  18. 高村正彦

    高村国務大臣 江沢民主席訪日については、日本側もぜひことしじゅうに来ていただきたいと思っていますし、中国側も、ぜひことしじゅうに訪日したい、こういうことを言って、中国側から具体的な日時の提示があったこともあったのですが、それについて、我が方でちょっと対応し切れない日だった、そして、こちら側から新たな日を提示して、向こう、その日はちょっと難しいのだけれども検討してみる、そういうようなやりとりが今ある中で、具体的な日程は定まっておりませんが、日中双方ともことしじゅうに実現させたいという意向に基づいて今調整中でございます。
  19. 八代英太

    八代委員 日中国交正常化、あれから二十年たつわけですが、田中首相北京空港におり立ちまして、周恩来主席と抱き合って、そしてお互いにかたく新たな日中関係がスタートしたという思いを持ちますと、私もちょうど国会が二十年になるものですから、何か感慨深いものもあるのです。  しかし、どうも中国は近そうで近くなく、遠そうでやはり遠いのかなという気がするし、何か難しい中国日本関係という思いがあるのです。何か注文ばかりが多くてなかなか双務的ではないような気がするのですが、どうも中国ペースのような感がしないでもありません。  金大中さんが、過去の歴史に縛られた関係から脱却する新たな一歩、こういうふうにおっしゃっていますが、まさにそれも江沢民主席に聞かせてあげたいような言葉になるのですけれども、今度のこの来日の意義というものはどういうものになると考えておられますか。
  20. 高村正彦

    高村国務大臣 ことしじゅうに訪日していただければ、これはまさに日中平和友好条約締結二十周年という年の訪日になるわけでありまして、二十一世紀に向けた長期安定的な日中関係の枠組みを構築して、さらに、アジア太平洋地域、ひいては世界の平和と安定に対し責任を有する国家として、日中両国国際社会における協力関係を充実していきたい、江主席訪日に際しそういうことを両方で話し合っていきたい、こういうふうに思っているわけであります。
  21. 八代英太

    八代委員 なかなか細かい中身は難しいかもしれませんが。  六月にクリントン大統領が訪中をして、そのとき台湾について三つの不支持というのを述べたのですね。上海における三つノー発言中身一つ台湾独立支持しない、二つの中国、または一つ中国一つ台湾支持しない、台湾主権国家構成員とする組織のメンバーとなるべきことは考えない、こういう三つの不支持を述べたわけですが、これはかえって中台関係を緊張させたと思うし、現にさせていると私は思っているのですね。  確かに、国連方式でいうならば、中国一つ台湾はその一部であるということになるのですが、現状は、あらゆることを総合してもそうではないような気が私もいたします。台湾台湾という気がするし、中国中国という感が大変強いわけですが、特に、我が国中国よりも台湾の方が経済面でははるかに強いきずなで結ばれておりまして、貿易量を見ましても、中国が年間七兆円、台湾は何と五兆円。日本台湾貿易総額というのは、アメリカ中国韓国に次いで四番目。そして日本台湾への輸出額というのは、アメリカに次いで第二番目。こういう状況台湾であるということをまず私たちは認識しておかなければいけないと思うのですね。  日本外交としても、それは本音と建前というのは時には使い分けをするのは大切かもしれませんけれども台湾はやはり大切な日本との、友好国と言ってはいけないのだな、友好地域であるということを考えますと、これから日本台湾外交というものももっと違う意味の新しい始まりが必要ではないかというような気がするのですが、その辺は、台湾との外交はどのように考えておりますでしょうか。
  22. 高村正彦

    高村国務大臣 台湾日本関係というのは、まさに非政府間の実務的関係である、こういうことであります。  我が国の対中国台湾政策は、歴史的経緯を踏まえてさまざまな要素を考慮して作成しているものでありますが、その基本原則はやはり日中共同声明日中平和友好条約に集約されているわけであります。江沢民主席訪日されることについての準備段階においても、私たち日中共同声明日中平和友好条約をこれからももちろん尊重してまいりますよ、こういうことを申し上げているわけであります。  今、クリントン大統領がおっしゃったいわゆる三つノー政策、この三つノー政策を、日中共同声明日中平和友好条約と、さらにそれにつけ加えて三つノーということをはっきり言ってくれというような要求は、中国側からはないと承知しております。
  23. 八代英太

    八代委員 もしありました場合にも、それは突っぱねるぐらいの勇気は必要でしょうし、クリントンがあそこで言う、十一月の二十日ごろはクリントンさんがまた日本に来る、そこで江沢民さんと交錯するなんというようなことになって、何か台湾を取り巻く米中の思惑の中に日本がはめられるようなことがないようにくれぐれもお気をつけいただきたい、ガードも固めていただきたい、このように思っております。  外交というのは外の国々と交わると書きますから、これはいいにつけ悪いにつけ、いろいろな意味日本外交がすべての生命線という思いがいたしますし、北にロシア、西に韓国北朝鮮、北西に中国、南に台湾、それから東南アジア、こういう地域、どの国もやはりいい関係でありたい、しかし言うべきは言っていかなければならない、こういう思いがするのですけれども、ちまたではよく、日本土下座外交なんというようなことを言われてしまいますから、そういうこともないような、また毅然とすべきは毅然とする外交を展開していただきたいと思います。  特に、アジアのどの国も日本に追いつけ追い越せとの思いで頑張っておりますし、またどの国も日本との過去を引きずっておるわけでありますから、しかし、もうあれから五十三年もたっているわけですから、もう過去にいつまでも縛られるような関係から一日も早い脱却が必要である、まさにこれは金大中さんの言葉ですが、そういう思いも私自身もいたします。  これからはまさに北東アジア、太平洋から日本外交という時代と言ってもいいような気がするのですが、そういう意味でもぜひ高村大臣の北東アジア近隣外交のひとつ活発な展開を期待したいと思いますが、ひとつお述べいただければありがたいと思います。
  24. 高村正彦

    高村国務大臣 今ちょうどアジア金融経済危機の真っただ中にあるわけでありますが、そういう経済危機に対する支援というのは、日本も厳しい中でも継続していかなければいけない、こう思っていますし、また、それぞれの二国間の友好関係を増進する、そして、アジア太平洋という広がりの中で、開かれた地域協力や対話を重層的に推進していかなければいけない、こういうふうに考えております。
  25. 八代英太

    八代委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。  さて、時間もありませんので、最後に、私のライフワークでもございます福祉外交について述べさせてもらいます。  アジアは未曾有の経済危機でございまして、日本を初めどこもかしこも経済は火の車でございます。大変だという思いがするのですが、そうした折心配になるのが、それぞれの国々の障害を持つ人たちの問題なんですね。  日本はかつて、福祉もまた欧米先進国に追いつけ追い越せという時代から、もう肩を並べたと思いますが、アジアの国々は、日本に追いつけ追い越せ、こういう思い日本型の福祉を、私たちもノウハウを教えてきたし、今そういうものが芽が出て花が咲きつつあるときにこの経済危機ですから、今大変な状況になっております。  このアジア経済にも宮澤蔵相が三百億ドル、約五兆円ぐらいをひとつ融資するなんてことになっておりますが、その一〇%は障害を持った人たちですから、カンボジアあたりは二五%も障害を持った人がいるわけですから、言ってみれば、五兆円の一〇%というと五千億。では五千億、そういう人に使われるかというと、まあそんなことはちょっと無理だと思いますが、特に隣の韓国も非常に日本と近い関係があるので、この際私は、金大中大統領がいらっしゃるというのに、韓国の今障害を持った、いろいろな福祉工場が日本のノウハウを全部使っているわけです。  韓国では大変有名なイマニエル電子というのがありまして、六十人中五十人障害者がいる、こういう福祉工場なんですが、ここが今、IMFの、一つ経済の機構によって、金利が二〇%という状況の中で、何月何日までに全部支払え、貸したお金は返しなさい。貸し渋りというようなことじゃなくて、今度はもう全部せめぎ合って、つまり今までの借金を返せ、こういう状況に追い込まれていまして、今このイマニエル電子がつぶれることは、百十五、韓国だけで福祉工場がありますが、ここがばたばたと全部つぶれていくのです。  社会保障はあの国にはないものですから、年金の基礎年金というようなものもなければ、障害者手当のようなものはないものですから、全部この人たちの稼いだ金で生活をしているわけですね。今乗り切るために一生懸命で、給料も七割カットして今この取り組みをしているわけです。  金大中さんも若干障害を持ったとみずからおっしゃっているぐらいですから、この大統領訪日を機に、やはり韓国のこういう人たち日韓協力で私は、ODAの対象国ではないというのは大島局長から聞いていますが、しかし、本当に日韓のきずなという今後のことを考えたら、何か基金でもいい、貸し付けるやり方でもいい、いろいろな方法が私はあるような気がするのですが、その辺ひとつ、大島局長、いかがお考えになるか。  また、あわせて、アジア全体の、各国もそういう状況になっていまして、例えばそういう支援を、三百億ドルじゃなくて、私は、十億円でもあるいは二十億円でも、そういう障害者福祉の基金のようなものをぜひやはりアジア外交心外交の中に、外務省は積極的に取り組んでほしい、また各省庁を督励してほしい、こういう思いがするのですが、いかがでしょうか。
  26. 大島賢三

    ○大島(賢)政府委員 まず、東南アジアの方につきましては、アジア太平洋障害者の十年の後半にもう入っておりますので、私どもも、ODAを通じます事業を介しまして積極的に取り組んでまいりたいと思います。  この点につきましては、特に今のアジア経済危機の中で、やはりその影響が重くのしかかるのが貧困者、女子、子供あるいは身体障害者といった社会的弱者でございますので、こういった社会的弱者支援というのは、私どもも、現在のアジア危機関連の支援策において非常に重視をいたしております。  さらに、以前御提言も出ておりますが、アジア地域に対します、地域の障害者福祉センターをつくって日本協力の拠点にしてはどうかといったような御提言もいただいております。これにつきましては、近く、実現の可能性を具体的に調査するために、課長レベルから成ります調査団を東南アジア地域に派遣する予定でおります。  それから、韓国につきましては、早晩、韓国とのODAを通ずる協力関係はあと二年を残しまして事実上終わりますが、技術協力の面で、研修生の受け入れ等も来年あたりまでは若干可能でございますので、そういった枠をうまく使いまして、さらに、両国関係の幅広い経済協力の中でこういった福祉問題についても取り扱われるように配慮してまいりたいと思っております。
  27. 八代英太

    八代委員 時間になりました。終わります。ありがとうございました。  本当は委員長にもロシア外交で聞きたいことがあったのですが、申しわけありませんでした。時間がありませんからまた次回に。ありがとうございました。
  28. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、島聡君。
  29. 島聡

    ○島委員 民主党の島聡でございます。  本日は、金大中韓国大統領が七日から十日まで訪日されるということで、それに関連して、日韓関係を中心に質問をさせていただきたいと思います。  その前に、高村外務大臣、オルブライト国務長官とかと並んで記者会見されておりましたが、なかなか毅然とされ、日本のメッセージ性をきちんと発揮されておられるように拝見しまして、前の外務大臣と比較してでございますけれども、非常によかったと思いますので、その調子できょうも答弁していただきたいと思います。  七日に金大中韓国大統領が到着されて、外務省の方の公式日程がきのう発表されたと報道されておりますが、天皇、皇后両陛下との会見や宮中晩さん会などにも出席される。両国の過去の歴史の総括などを盛り込んだ日韓共同宣言が出されるのではないかというような報道があったわけであります。  近くて遠い国と言われる韓国でございます。私、もう十数年以上前になりますが、当時、松下政経塾の塾生でございましたが、韓国研究会というのをつくっておりまして、当時の韓国青年たちとよく交流をいたしました。青年たちとの交流の中で、二十一世紀が始まるころには、先ほども大臣おっしゃいました、未来志向的なパートナーシップというものができればいいなというような話を随時していたことを思い出しておる次第でございます。  今回の訪日に際し発表されることになっている共同文書等につきまして、駐日韓国大使は、過去は変えられない、悪化も美化もできない厳密な事実を事実として認めることが大切で、具体的にどうするかは日本次第だというようなお話をされている。歴史認識問題について特に我が国のイニシアチブが重要だという認識を示唆したのではないかと私は思っております。  また、同じく韓国政府、九月十一日に、我が国の天皇陛下の天皇という呼称について、韓国政府として、今までは日皇とかいろいろな言葉があったようでございますけれども、今後天皇という呼称を公式に使用すると発表したと聞いております。  これらの韓国側発言、新たな日韓関係構築に向けたシグナルだと私は思っておりますが、特に歴史認識の問題についてどのような方針で日韓共同宣言の作成に臨まれるのか、外務大臣にお尋ねしたいと思います。
  30. 高村正彦

    高村国務大臣 最近、韓国大統領府スポークスマンが、御指摘のように、韓国政府の見解を明らかにしたというふうに承知しておりますが、これは日韓両国相互理解の進展を目指す韓国側の努力のあらわれである、私としても歓迎したい、こういうふうに思うわけであります。  歴史認識に対する政府考え方が特に変わるということではないということであります。
  31. 島聡

    ○島委員 これはいろいろな議論がございますし、日本韓国の間ではよく紛糾する問題でもあります。だれかが発言して反発があって、韓国側に反日感情が高まったり、またそれがはね返って日本でもそういうことがある。こういう余りよくないサイクルにぜひとも終止符を打つという姿勢を早くしていただきたいと思いますし、それが新時代外交であると思いますので、この認識の上で臨んでいっていただきたいと思う次第であります。  同じく金大中韓国大統領が雑誌のインタビューで、アジア女性基金による元日本軍従軍慰安婦への償い金について、慰安婦問題は日本政府の責任で日本国民の責任ではない、だから国民からお金をもらう筋合いはなく、そういうものをもらえばこの本筋をすりかえることになると発言もされている。  この問題につきましては、一九六五年の日韓条約で、道義的責任はあるけれども、法律的には解決済みというのが多分立場だと思うのですが、この女性基金、九〇年代にこの問題が日韓両国で問題になりまして、九五年から一般国民の寄附金で元慰安婦らに補償女性基金という形でやって、政府が事務的な経費の負担を支援していると聞いております。  韓国政府は前の大統領のときから同様な、ある意味で批判として受け取らないように言っておられるわけですけれども日本国民の真意というものをこの際きちんと御説明していただくべきだと思うのですが、今度の金大中大統領訪日に当たりましてどのような方針で臨まれるか、できたら私は説明をきちんとしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  32. 高村正彦

    高村国務大臣 いわゆる従軍慰安婦問題でありますが、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である、こういう認識をしており、政府は、これまでも、おわびと反省の気持ちをさまざまな機会に表明するとともに、元慰安婦の方々に国民的な償いを行うことなどを目的に設立されたアジア女性基金に対し最大限の協力を行っているところであります。政府としては、これまでも、このような日本政府の立場やアジア女性基金にあらわされた日本国民の真摯な気持ちについて韓国側に伝えてきているところでありますが、韓国側の理解が得られるよう今後とも努力していきたいと思います。  この間、洪外交通商部長官が日本に来られたとき私なりにお話しいたしました。ただ、韓国側として率直に今、この問題は政府間ではもう終わりにしようという感じも強くあるということは、客観的な事実として申し上げておきたいと。ただ、私たちとすれば、あらゆる努力を通じて私たち考えていることを韓国側に伝わるようにしたい、こういうふうに思っております。
  33. 島聡

    ○島委員 よろしくお願いを申し上げます。  日韓漁業協定についてお尋ねします。  二年四カ月ぶりに決着しまして、平成十一年一月に迫っていた現協定の失効、無協定状態への突入が回避されたことはよかったのではないかと思っておりますし、無計画な乱獲を制限し、海洋資源の維持を図るという意味でも重要な問題であると思っています。  先ほどもおっしゃったように、経済問題と領土問題がある程度切り離してやられたということは必要だと思いますが、領土問題はやはりきちんと、私は厳然として存在すると思います。  まず、これは政府委員に確認のために聞きますが、領海とは、基線から十二海里で、これは沿岸国の領域の一部であって、竹島に対しては、一九五四年以来、日本国有領土と所有権をきちんと主張しているということは間違いございませんね。
  34. 阿南惟茂

    阿南政府委員 先生御指摘のとおりでございます。
  35. 島聡

    ○島委員 大臣にお聞きしますが、ということは、竹島沿岸は日本国有領土でありますから、十二海里以内の竹島からの水域において我が国の漁船が操業するということは可能であると考えてよろしいですか。
  36. 高村正彦

    高村国務大臣 法理的にはそういうことでございます。ただ、韓国側が不法に占拠をしているところでありますから、実際問題として大変難しいということは事実であります。
  37. 島聡

    ○島委員 日韓のパートナーシップというのは大事でありますが、やはりパートナーシップであるからこそきちんと言うべきことは言うという姿勢は極めて必要だと思います。特に、領土問題でございます。もちろん、今回の日韓漁業協定の判断というのは、私も、こういうものであろうということである程度評価をするわけでございますが、この竹島の問題については、今後とも粘り強くきちんと主張をしていっていただきたいと思います。  それで、きょうは時間が限られておりますのでどんどん行きますが、北朝鮮の弾道ミサイル発射問題についてお尋ねをします。  この北朝鮮の弾道ミサイル発射問題におきまして、発射された、その後、それをどういうふうにするかにつきまして、各国、例えば日本アメリカ韓国においていろいろな、やはり、ぎりぎり詰めてくると、それぞれの国の国益といいますか、それが違ってくるのだなという感じがしました。今後とも、日米両国韓国を加えて、引き続き緊密に連携していく方針を確認されたということでございますが、ミサイルの脅威については非常に温度差がある。  韓国北朝鮮短距離ミサイル、スカッドの射程内にもともとあったわけでございまして、今回のミサイル発射、弾道ミサイルが開発されてもほとんど現在の状況には変わりはなかった。それで、韓国は、北朝鮮からのこれ以上の軍事的挑発がない限り太陽政策を続けると言っている。アメリカの方は、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威、これがひょっとしたらアラスカに着くのじゃないかとかいろいろ言われておりますが、基本的には核開発計画の阻止に重点を置いていくという。  こういうような状況において、このような情勢判断の上で、韓国に対して日本は、今回の金大中大統領に一体どういうことを要請していかれるのか。特に、古来より、孤立した国の外交戦略というのは、自分の国のある程度敵性だと思われる国家が連携をするときには、分断作戦をとって包囲網を打破していくというのが常套手段と言われております。それを意図したかどうかわかりませんが、結果としてそういうような状況に今なっているのではないかと私は思いますし、その効果を北朝鮮はおさめたというふうに思っているのではないかと思います。  ますます共同歩調が必要となると思うわけでありますが、このミサイル発射問題につきまして、今後、日韓安全保障対話とか、それから、いろいろな北朝鮮の核兵器開発抑止のための協力などを求めるなどということが報道されておりますけれども、どういう方針で、あるいはどういう要請を金大中大統領になさるおつもりか、お尋ねしたいと思います。
  38. 高村正彦

    高村国務大臣 委員がおっしゃるように、孤立された国がほかの国を分断しようとするということは、そのとおりだと思うのです。ただ、北朝鮮は決してそれに成功してはいないわけでありまして、むしろ結束を固めてしまってしまったなと思っているのじゃないかな、こういうような感じすらしています。  もちろん、委員が御指摘のように、韓国日本、米国、それぞれ地理的にも違うわけでありますし、それぞれ独立国家でありますから、それぞれの個別具体的な政策が全く同じというわけではありませんけれども、ただ、この北朝鮮のミサイル発射についての基本認識、このミサイル発射を非難し、このミサイル開発が放置されれば日韓及び北東アジア地域全体の平和と安全に悪影響を及ぼす、あるいはこのミサイル開発が大量破壊兵器及びその運搬システムの拡散の観点から重大な懸念を引き起こすということについては一致しているわけでありまして、そういう意味から、政策のそごをもたらすというような差異はないと私たちは思っておりますし、現にそうであるわけであります。  日韓首脳会談においては、北朝鮮情勢は主要なテーマの一つでありますし、北朝鮮のミサイル発射について、先般の北朝鮮問題に関する日米韓三国外相協議における議論を踏まえつつ、その上に立ってさらに突っ込んだ意見が行えれば、こう思っています。
  39. 島聡

    ○島委員 今大臣がおっしゃったような情勢になるように努力していただきたいと思います。  それで、きょう防衛庁に来ていただいておりますので、TMDについてお尋ねをしたいと思います。  今後、日米の共国技術研究を予定するということが報道されておりますけれども、配備とは別問題だというようなことも、これも報道でありますがありました。  一つ疑問でありますが、首相の防衛出動の命令以外では武力行使を禁じられている現在の日本の防衛体制において、配備したとしても、数分の判断が勝負となる弾道ミサイルの迎撃というのは、つまりTMD自身がきちんとこれは機能するのか、配備しても大丈夫なのかということはどう判断をしているかをお聞きしたいと思います。
  40. 佐藤謙

    ○佐藤(謙)政府委員 今お話がございましたように、先般の2プラス2におきまして、BMDにつき共国技術研究を実施する方向で作業を進めていく、こういうことを表明したところでございます。今後、この方向性を踏まえまして、政府部内での調整を進めていくという段階でございます。  したがいまして、今の段階で配備を前提にした議論というのを申し上げるのは適当ではないとは思いますけれども、今おっしゃったような事例、そういったものを考えました場合に、法制上どういう問題があるのかということも当然検討をしていく必要があろうかと思います。  ただ、現行の法制上で考えましても、自衛隊法七十六条の防衛出動という場合には、おそれ出動という規定もございますから、そこはさらなる検討を要する点ではないか、かように思います。
  41. 島聡

    ○島委員 KEDOの支援凍結解除問題についてお尋ねします。  これにつきましては、制裁措置として、朝鮮半島エネルギー開発機構への資金拠出を凍結しておりますが、高村外務大臣の記者会見で、九月二十九日に、凍結を長く続けるつもりはない、総合的に判断してそろそろ解除する時期を真剣に検討しなければならないと言われたと。この背景には、二十日に行われた2プラス2においてオルブライト国務長官の発言等々もある、あるいは日本の制裁解除を求める国際世論が高まっていることもあると、これも報道でありますがありました。  ただ、この凍結解除、一たん日本として制裁をしたわけでありますから、その凍結解除には明快に、北朝鮮がこうこうこういうことの条件をクリアしたら解除するんだということを言わないと、何かなし崩し的に、あるいは結局、北朝鮮からすれば、アメリカに言えば日本は大丈夫だというふうに思わせることになります。しかも、これは与党内部においても厳しい、北朝鮮が謝罪しなければ解除をすべきでないという強硬意見があるとも報道されておりますし、現実に、これも報道ですが、自民党の外交・安保合同部会ですか、それは、謝罪すべきだ、KEDOについては別のことも言っておられるようですが、謝罪すべきだというようなことも決議されたとも聞いております。  なし崩してはなくて、どのような条件がクリアされれば凍結を解除するというメッセージをきちんと出して、それがされたら大丈夫だという形にしないと国民の世論の方も納得しないと思うわけでありますが、どのような状況になれば解除するか、あるいはメッセージという、このような条件ということをきちんとされるおつもりがあるかどうか、おつもりがあるかどうかというより、そういう条件を設定すべきだと私は思いますが、どうでありますか。
  42. 高村正彦

    高村国務大臣 北朝鮮が謝罪すべきだという決議があったとかいろいろおっしゃいますが、私も北朝鮮は謝罪すべきだと思っていますし、再発防止を約束すべきだと思っています。  ただ、それをKEDO解除のための絶対的条件にするかどうかというのは、これはまた別問題だと思うんです。そういうことがあれば、非常にKEDO解除しても国民は納得しやすいということはもちろんあります。私としても、そうすれば喜んでしてあげましょうということはありますが、もう一方で、KEDOというのは単なる支援じゃないんですね。これは今、北朝鮮の核開発を抑止する、あきらめさせる最も現実的で最も有効な手段、枠組みでありますから、そしてこれは日本だけでやっていることではなくて、日米韓そしてEUまで入ってやっているわけです。  EUが入るについては、これはグローバルな問題だからぜひEUも入ってくれと、日本がそういうことを勧めて入ってもらった経緯もあるわけです。そして、米、韓、EU、当初戦略的に、戦術的に日本が凍結したときそれを理解しました。それについて文句を言っている国は一つもありません。これは客観的な事実です。一つもないというのは、北朝鮮は除いてですよ、北朝鮮は除いて、文句を言っている国はないんです。  ただ、KEDOの枠組みが壊れてしまうほど長引かせてもらっては困るよというのは、これはもうすべての国が言っているわけです。日本政府自体も、KEDOの枠組みを壊すほど長引かせてはいけないというのは、これは最初から言っているわけです。凍結したときから言っているわけだ。途中からなし崩しに言い出した話じゃないんです。KEDOの枠組みは支持するんだ、維持するんだ、こういうことを言っているわけであります。  そういう中で、謝罪してもらえたらそれは謝罪してもらいたい、あるいは再発防止を約束してもらいたいと私も強く願っています。ただ、それを絶対的条件にしていいものかどうか。外交の手をあらかじめ縛ることよりも、私たちは今総合的に判断しながらその時期を決めていきたい、こういうことを申し上げております。
  43. 島聡

    ○島委員 きょうは同僚議員が後に控えておりますので終わりますが、先ほど申し上げた、十数年前に韓国青年たちと一生懸命議論したときに、日本韓国の将来を考えると、根本的な解決は、韓国経済が近代化していって生活水準もできる限り日本に近づいていくとそういうときが来るだろうというような話をしていたことを思い出します。当時は百年河清を待つような気がしましたが、非常に今そういう時期になっていると思いますので、ぜひとも日韓、今回の金大中大統領訪日を契機として、すばらしい未来的な外交を進めていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。
  44. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、葉山峻君。
  45. 葉山峻

    葉山委員 厚木基地における空母キティーホーク艦載機によりますNLPの実施につきまして若干質問させていただきたいと思います。  去る九月十一日、九月十八日から二十四日まで、硫黄島でのNLP訓練通告がありました。天候等の事情によりまして、三沢、横田、厚木、岩国でも実施するといっただし書きのほかに、本土飛行場における夜間訓練については現在検討中という異例の一行がありました。地元はすぐさま抗議や中止要請をいたしましたが、九月十七日になって、二十四日に厚木基地を強行使用すると通告して実施に至ったわけであります。  天候が悪い場合を除いてNLPは硫黄島でやることにするというので国費を、百七十六億円もの巨額の思いやり予算を投じまして硫黄島にNLP施設をつくったのではないでしょうか。一週間前から、天候のいかんにかかわらず厚木でNLPをすると決定してくるのは話が違うのではないかと思うのであります。  前回は、全く今までの一週間前に通告するという話を裏切って、無通告で夜間離発着訓練を再開したということで私は質問をさせていただいたわけでありますが、今回のこの措置は外務省はどういうふうにお考えになっておられるのか、米政府に対してどのような説明を求め、どのような抗議をしたのであるか、お答えをいただきたいというふうに思います。
  46. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 まず事実関係につきましては、先生から御指摘がございましたが、今回のNLPにつきましては、防衛施設庁におきまして、九月十一日に米側から訓練計画に関する連絡を受け、地元にもお知らせしたところでございます。  さてそこで、先生御指摘の問題点でございますが、夜間着陸訓練につきましては、騒音軽減のための努力の一環として、平成三年より、当面の措置として硫黄島に移転させることとした結果、大部分の訓練が硫黄島において実施されることとなっております。しかしながら、硫黄島の地理的関係と申しますか、厚木飛行場から千二百キロメートルも離れているというようなことから起因いたします即応態勢の問題ということがございます。一部の訓練につきましては本土の飛行場で実施せざるを得ない場合があり得るわけでございまして、本土の飛行場におけるこのような訓練が禁止されているというものではないと承知いたしております。したがいまして、NLP訓練の一部分を本土の飛行場で実施せざるを得ない場合があることについて御理解をいただきたいと考えます。  今回のNLPにつきましても、当初、先生先ほど御指摘のとおり、九月十一日に米側より訓練計画に関して連絡をしてきた内容によりますれば、本土における訓練計画につきましては、天候等の不確定要素により所要の訓練が硫黄島において実施できなかった場合に、その補充のための訓練を本土で実施する計画を述べるとともに、さらに、即応態勢等の運用上の理由からでございますが、本土において実施する訓練についても、その時点では、検討中であるが実施することがあり得るということを予告しておったわけでございます。  したがいまして、九月十七日に至りまして米側から、本土におけるNLPについて検討の結果、二十四日に厚木飛行場及び横田飛行場において実施する旨を改めて追加連絡してきた次第でございまして、このことにつきましては、九月十一日の通報ぶりから見ましても、特段不自然なこととは考えていないところでございます。
  47. 葉山峻

    葉山委員 NLPの演習を、人口百万を超える大都市圏のど真ん中で夜昼問わずやるということ、その不当性、これを三十八年間、地元の市民の方々は、硫黄島への移転ということで要求をし続けてきたわけであります。百七十六億という思いやり予算によって硫黄島へ九〇%以上移転済みといつも説明をするわけでありますが、これからガイドラインのこともあって、常に厚木飛行場を使うということになるのではないか、そういう懸念がわいてきているわけであります。  今回の厚木飛行場で行われたNLPの実態をどのように把握しているのか、お答えをいただきたいと思います。
  48. 萩次郎

    ○萩政府委員 葉山先生には昔から、厚木の騒音の問題についてはいろいろお世話になっておりますが、厚木その他横田等のNLPによる近傍住宅住民被害を少しでも軽減しようということで硫黄島に施設をつくって実行しておるということはかねて申し上げておるところであります。  九割、こういつも言っておるということでございますが、ひとつぜひとも御理解いただきたいのは、先般の先生のおっしゃいましたNLP関連につきましても、この間、硫黄島でやりましたのは二千四百十回でございます。それに対して厚木で行われましたのは二十回ということでございまして、逆に申せば、もし硫黄島で訓練ができなければこの二千四百十回というものが厚木の方に来る可能性があった、厚木の方が二十回で済んだ、こういうふうにも解釈できるわけでございまして、どうかその辺のところは御容赦をいただいて、先ほどもお話ありましたように、何せ千二百キロ遠方の地域でございますので、足の短い航空機あるいは緊急を要する航空機の訓練、若干なりとも厚木で行わざるを得ない分野が残っておるということは御了解いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、私ども、周辺住民方々被害を少しでも和らげるということから、かねてより厚木につきましては、住宅防音の経費の四割近くを支出させていただいて重点的に住宅防音を実施させていただいておるところでありまして、今後ともこういった施策を十分に続けてまいりたいというふうに考えております。
  49. 葉山峻

    葉山委員 通告になかった二十五日も同様の訓練が行われたわけであります。その爆音は百十デシベルを超えました。百十デシベルの爆音は明らかに違法であります。  二年前の最高裁差し戻し判決によって八十W値以上は違法という判決がなされております。飛行差しとめは認めず、しかし爆音は違法とし、八十W値以上の地域に居住の原告には受忍限度を超えたもので、損害賠償をせよということを裁判所は命じたわけであります。  御承知のように、相次ぐ事故と基地被害にたまりかねた厚木には住民運動の歴史があります。厚木基地爆音防止地域有償疎開期成同盟、これが一九六〇年の七月に結成されました。第一次厚木爆音訴訟を七六年の九月に、第二次厚木爆音訴訟を八四年の十月に行いました。第一次厚木爆音訴訟の差し戻し審、東京高裁で判決結果が確定をいたしました。しかし、違法判決後も厚木基地での訓練は違法行為を反復継続しておりまして、今回、第三次厚木爆音訴訟に踏み切られたそうであります。原告は五千二百人という大規模訴訟、三月十六日に第一回の口頭弁論が開かれたわけでありますが、病人や妊婦さん一受験生などが必死の訴えをされ、せんだって第四回の公判が済んだところであります。  法治国家としてこのような違法状態の継続は許されないのではないか。爆音同盟ができてから三十八年間、違法判決をかち取った後も何の解決もなく放置され、住民も市も苦しんでいるわけであります。  そういう意味で、NLPの硫黄島への完全移転を実現するということは、地元の方々の悲願であります。この点についてどのようにお考えであるか、伺いたいと思います。
  50. 萩次郎

    ○萩政府委員 先生がおっしゃいましたように、厚木第一次訴訟の差し戻し審におきまして、原則としてWECPNL八十以上の騒音による被害は、受忍限度を超えるものというべきであるという考えが示されたわけでございまして、私どももそれを大変重く受けとめておるところでございます。  ただ、若干司法的に申しますと、そういうことで、過去の損害賠償というのは、原告の主張が認められて国側より損害賠償が支払われたわけでございますが、これまでの訴訟におきましては、飛行差しとめとか騒音規制、それから将来分の損害賠償、こういった請求は大筋で国側の主張が認められている、こういう状況にございます。  しかしながら、いずれにおきましても、先生御指摘されておりますような判決の趣旨でございますので、私どもとしても家屋の防音住宅、こういうものに十分力を注ぎまして、何とか環境基準が達成されるよう今まで努力をしてまいりましたし、今後も重点的に行ってまいりたいというふうに考えております。
  51. 葉山峻

    葉山委員 ここで、神環保問題について若干質問をしたいと思います。  前回、予算委員会において、厚木の基地問題の質問をしました直後に、この春、私は厚木の騒音問題で基地司令官に面会を申し入れ、調査に行ったわけであります。そのときに、厚木の基地では、神環保、神環保と言う。私は何事かと思ったのでありますが、そういうことを盛んに米軍側は言っておった。バスで基地内を案内されましたら、厚木の基地のすぐ源流のところから引地川という川がずっと流れている。私の住んでおります藤沢の鵠沼海岸にその川は出ているわけでありますが、その源のところに神環保という民間産業廃棄物処理施設がつくられておりまして、そこから煙が出るのですね。これが川からちょっと上がった基地の地面をはうようにして米軍の家族住宅ずっと一面にその煙が当たる、これが公害だ、ダイオキシンだ、こういう問題であります。この焼却炉から出るダイオキシンを含む排煙が基地内の米軍家族住宅を直撃する問題であったわけであります。  伝えられるところによりますと、日米合同委員会環境分科会で、米側から再三強い改善要求が九二年からあった。ただ、国の規制基準を満たしていたからいろいろ苦慮があったのだということが報道されておりますが、結論的には、日米閣僚レベルでも折衝されまして、超法規的措置で解決することになって、ことしの九月十八日に閣議決定がなされた。全額日本側の負担ということになったわけであります。  これは思いやり予算であるのか、それともそうではないのかとか、その内容についてまず答えていただきたいと思うわけであります。  ともあれ地元としては、ダイオキシン被害が各地にあって、不公平とは感しますけれども、米軍の家族、軍属また基地従業員そして周辺住民のことを考えた場合には、被害がなくなること自体はよいことだとは思います。しかし、厚木の爆音同盟の方々は、少なくとも、この夜昼を問わずやかましい騒音のもとで苦しんできている。三十八年裁判で闘って違法判決をかち取っても、まだ爆音に苦しめられ続けている。こういうときに、この民間廃棄物施設の問題には、九二年からわずか六年にして、もう一挙に超法規的措置によって解決する、非常に割り切れない感じを持っておることは事実であります。  片っ方が六年、片っ方は三十八年苦しんでいる。これは極めて公正を欠いていると思うが、その点はどう思われるか。  米軍に強く言われれば何でも言いなりになる国の姿勢を見て、第二の敗戦状態、また、いまだ占領状態とも市民は嘆いているわけでありまして、私たちは棄民なのか、捨てられた民なのか、こういう思いが強いわけであります。  外務大臣、防衛庁長官、防衛施設庁長官、ぜひともこの問題に関してはもう一度深く考えて対処を考えてほしいと思いますが、御説明を伺いたいと思います。
  52. 高村正彦

    高村国務大臣 神環保の問題、細かい点については政府委員から答弁させますけれども、これは解決したのじゃないのです。米側の要求から見ればまだまだ隔たりのあるものを、これ以上悪くなるような状況に一応ストップをかけたというだけのことでありますからまだまだ、解決したのじゃなくて、米側はもっとちゃんとやってくれ、こういうことを言い続けているのがまだできない状況にあるということは、これは客観的な事実として申し上げておきたいと思います。  いろいろ厚木の住民の方には御迷惑をおかけしていますが、いずれにしても、政府としては、米軍飛行場における訓練に伴う周辺住民方々への影響を最小限にするべく、今後とも、できる限り多くの夜間着陸訓練が硫黄島で実行されるよう米側に申し入れていく考えであります。
  53. 萩次郎

    ○萩政府委員 厚木の神環保に関連しまして、今外務大臣からお答えがありましたようなことでございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、米側から平成四年度以降、強い要望が出されているというお話でございます。平成七年度、九年度、現地大気環境の調査というものを行った結果でも、いわゆるダイオキシン類にかかわる大気環境指針、これを超えているという結果が出ておりまして、やはり何らかの措置が必要であろうというふうに私ども考えておるわけでございます。  近くの米軍の建物には家族、子供などが住んでおりまして、また、幼稚園のようなものもあるものでございますから、なかなか放置していくわけにいかなかろう。それから、一番近いところは米軍の家族住宅でございますけれども、綾瀬市内にあるわけで、綾瀬市の一般の人々にも何らかの影響がないようにすることも考える必要があろう、こういうこともございまして、これから具体的な措置をどうすべきかということをまだ決定をしておりませんので、至急関係省庁で御相談をして、やるべきことを、どういうことができるか、できるとして、どれぐらいの予算がかかるか、これから早急に詰めたいという段階でございます。
  54. 葉山峻

    葉山委員 この予算は、これから予算要求をして、五、六億程度と伝えられておりますが、どういう費目になっていくんでしょうか。
  55. 萩次郎

    ○萩政府委員 五、六億という数字はまだないわけでございまして、これからどういうことをやれば少しでもこういった健康被害をもたらす可能性のある排煙を減らすことができるか、いろんな方法が提案されておりますので、これらをよく検討いたしまして、一挙に全部というわけにはまいりませんので、なるべく早くやりたいわけでありますけれども、その辺の内容をこれから詰めますので、どういうふうにお金がどれぐらいかかるかというのはもう少々時間をいただきまして、いずれにしましても、十二月の予算編成時期には間に合わせたいということで今作業をしておるわけでございますが、現段階ではまだ金額の方は固まっておりません。
  56. 葉山峻

    葉山委員 このNLP訓練は、申し上げたように、人口密集地の上空で行われておりまして、実に耐えがたい苦しみを周辺住民は味わっているわけであります。  ここに、爆音期成同盟から貴重な資料として、厚木基地発着飛行回数等の調査票がございます。この騒音は、言うまでもなく、眠れない夜が続いて、健康とか精神とか生活被害を市民が受けているわけでありますが、NLP以外の戦闘機騒音も非常に大きいわけでありまして、通告されない夜間訓練あるいは昼間の訓練もあるわけであります。この資料は、厚木の滑走路北端から一・六六キロ北の民家の尾形さんという方が百日間、観察調査を実施されました。途中からは、回数だけではなくて騒音も調査された。  これを見せていただいたんですが、これを見ていると長くなりますが、例えば九月十七日、無通告訓練でジェットが百四十七機、そして二十一時三十六分には百四デシベル、夜でこういう状況でありました。これが無通告でNLPではないと言っているわけでありますが、事実上のNLPという悲鳴が上がっている。これらのことが、ともあれ回数としても大変なものでありまして、例えばインディペンデンスの入港直前においては、一日それぞれ、ジェット機が百八回、プロペラ機が九十回、ヘリコプターが十二回、そういうことが記録されているわけであります。  また、航空機事故も後を絶たないわけでありまして、過去に大事故も数多くあった。八月十九日、ファントム18戦闘攻撃機ホーネットと日航DC10羽田発広島行きの旅客機のニアミスが相模原上空であったばかりでありまして、まかり間違えば大惨事になったわけであります。一九七七年に、ミッドウェーを飛び立った艦載機が横浜市緑区に墜落をいたしまして、炎上し、お子さんが二名亡くなられた悲惨な事故がありました。  こういう事柄について、人口百万あるいは百五十万を超えるそのど真ん中に、夜昼問わず離発着訓練が行われているということは世界に類例がないことであって、やはりこれは一日も早くなくす、そして、先ほどのように、一〇〇%硫黄島でそれは実施する、こういうことをはっきり答えていただきたいというふうに思いますが、その点について御答弁をいただきたいというふうに思います。
  57. 萩次郎

    ○萩政府委員 私も何度か厚木の飛行場に参りました。NLPも見ておりますが、その騒音が大変激しいものであるということは先生御指摘のとおりであります。  そういうことで、硫黄島の訓練場を整備させていただきました。近くに住んでおられる方は、ゼロにならない限りはどうしても御不満が解消されないわけでございますけれども、私どもの方として御理解をお願いしたいと申しますのは、例えば、NLPでございますと、硫黄島ができますまでには、少ない年で二千回、多いときで四千回ぐらいNLPを厚木でやっておりました。その近辺の被害が大変大きかったということは想像に余りあるわけでございますが、平成三年、四年、硫黄島で、できまして以降、先ほどから申しておりますように、九割以上、例えば、最近で多い年ですと、平成七年度なんですが、四千七百三十回NLPをやっておりますが、このうち厚木で行われたのが二百四十回ぐらいということで、もう今やほとんど硫黄島で実施しているという状況でございます。  現在でも、先生はもちろんでございますが、地元の方々から完全にゼロにしろという御要望を毎年のように承っておるのでございますが、足の短い航空機があったり天候のかげんで、やはり数%ないし一〇%ぐらいはどうしても残ってしまうということがございますので、その分は何とか、防音工事でカバーできる分は最大限カバーさせていただきたい、私どもこういう考え方でやっておりますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
  58. 葉山峻

    葉山委員 時間がないので、最後に、デモンストレーション飛行といいますか、曲芸飛行の問題について申し上げたいと思います。  基地側では、これは大勢見に来るから喜ばれているんだというふうに言われておりますが、このアクロバット飛行は地元では大変評判が悪い。周辺住民や市は、ある意味で恐怖を感じているわけであります。  毎年一回の一般開放日に行われているわけでありますが、去年は六月の最終週の土日に実施をいたしました。ことしも六月半ばに予定されておりましたが、インディペンデンスの到着がおくれて延期。次に八月二十九日から三十日と発表されましたが、タンザニアとケニアでの米大使館爆破事件と、アフガン、スーダンへの米報復爆撃で、太平洋司令官が基地開放に警戒心を持ったために延期されたまま今日に至っているというふうに思います。  これは、地元も、大和それから綾瀬市長さんを初め厚木基地を取り巻く七市、そしてまた神奈川県知事、これが全部反対をしているわけであります。やはりその要望にはこたえてもらいたいというふうに私は思っている。  そこでの問題は何かというと、日米合同委員会の合意文書「厚木飛行場周辺の航空機の騒音軽減措置」、こういうことがありますが、その合意文書の中の飛行規制協定と言われる部分の改正をすべきである。その合意文書のd−(3)で、「厚木海軍飛行場周辺の空域において、曲芸飛行及び空中戦闘訓練を実施しない。ただし、年間定期行事として計画された曲芸飛行のデモンストレーションはその限りでない。」このただし書きによって曲芸飛行が行われてしまっているわけであります。  現に、横田基地の協定はこのただし書きが初めからないわけでありまして、こういうことから横田の上空における、この文章には四−(7)に、「横田飛行場周辺地域の上空における曲芸飛行を禁止すること。」こういうことがあって、自衛隊のデモフライトは一時行われたわけでありますが、これも、平成三年からは福生市などの強い申し入れで中止、以後一度も行われていないというふうになっております。  こういう点から、この合意文書のd−(3)のただし書きぐらいを取る交渉を、やはり外務大臣並びに防衛施設庁長官は日米合同委員会ではっきり確約をとってもらいたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  59. 高村正彦

    高村国務大臣 いわゆる曲芸飛行と展示飛行というのは違うのでありまして、厚木の航空祭で今まで行われていたのはいわゆる曲芸飛行ではなくて展示飛行である、こういうことでありますから、合意文書そのものからやるとかやらないとかいうことが出てくるわけではないわけであります。  しかしながら、今まで地方自治体から強い中止の要請が外務省にも寄せられているわけです。曲芸飛行であろうと展示飛行であろうと、それは危険であり騒音もあるからということで要請が寄せられているわけでありまして、私たちとしては、このような地元の方々の強い要請を重く受けとめて、米軍に対し、米側に対し、在日米軍が地元住民のよき隣人となることが重要であって、地元住民の要請を真剣に検討するよう、これまでも申し入れてきましたし、これからも申し入れてまいります。
  60. 葉山峻

    葉山委員 最後に積極的な御答弁がありましたけれども大臣、やはりこれは削除をしてほしいというふうに思います。これは周辺の自治体の一致した要望でありますから、曲芸にしろあるいは展示飛行であろうと、演習には関係のない、練度には関係のない問題でありますから、これはもう一切やめてもらいたい。したがって、この問題をやはりアメリカ側との折衝の際には必ず議題にして、これを削除していただく、このことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  61. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、東順治君。
  62. 東順治

    ○東(順)委員 私は、先月の二十四日の本会議で、小渕総理が訪米中にニューヨーク・タイムズでもって、ちょうど大臣、まだ帰ってきておられないときなんです、ここで、橋本政権が失政であった、消費税を上げたことは間違いであったということを極めて率直にニューヨーク・タイムズに語ったという記事が出ていましたものですから、この真偽をただしました。堺屋長官の本をめぐって、予算委員会で議論の応酬があったということを引きながら小渕総理に真偽をただしたんですけれども総理は、そういうコメントは一切しておりません、橋本内閣並びに消費税の問題等につきましてはコメントをいたしておりません、こういう本会議の私の質疑に対する答弁でございました。  このことで、外務大臣はこのニューヨーク・タイムズのインタビューの席に同席をなさっておられましたか。どうですか。
  63. 高村正彦

    高村国務大臣 同席しておりません。
  64. 東順治

    ○東(順)委員 そうすると、そういうインタビュー取材があったということもアメリカでは全然存じておられなかったのでしょうか。
  65. 高村正彦

    高村国務大臣 知りませんでした。
  66. 東順治

    ○東(順)委員 それでは、本会議で私とそういうやりとりをしたということも御存じではございませんでしたか。
  67. 高村正彦

    高村国務大臣 今初めて聞きました。
  68. 東順治

    ○東(順)委員 わかりました。  ニューヨーク・タイムズ、僕調べてみたんですね。そうすると、やはり、橋本首相あるいは大蔵大臣、大手銀行首脳を批判して、明らかに、橋本政権は失政であったということを総理は述べておられるのですね、ニューヨーク・タイムズで。日本の国会の私の質問に対する答弁では、そういうコメントをいたしておりませんということだったので、私は、小さなことかもしれないけれども、実は大きなことだなと。  つまり、日本の中での発言と外国のマスメディアに対するコメントというものが百八十度、両極端違うということは非常によくないことである。日本に対する顔とアメリカに対する顔というような使い分けというか、結果としてそういう状況になっている、こういったことは大変よくない。しかも、あの予算委員会では大もめにもめたわけです。総理橋本前政権の失政を認めるか認めないか、消費税アップ、増税ということで日本経済が苦しくなっていったというようなことを認めるか認めないか、大変な大問題になった問題であります。ところが、さらりとニューヨーク・タイムズでこのようなことをおっしゃっておられる。こういったことは、どういうんでしょうか、本当に大きな問題なんだろうな、私はこう思います。  このことに対して、今お伺いされたということでございますが、どういうふうに思われますか。
  69. 高村正彦

    高村国務大臣 委員が本会議でそういう質問をされたというのは知らなかったのですが、質問通告がありましたので一応、私自身がニューヨーク・タイムズを読んだわけではないのですが、九月二十一日に行われたニューヨーク・タイムズ紙との懇談において小渕総理は、現在、内閣が金融再生及び景気回復に最優先かつ全力で取り組んでいることを説明されたわけであります。その際、橋本前内閣は、日本が直面する厳しい財政事情に対処するため財政構造改革を推進していたことから、アジアの金融危機が拡大する中で急な政策転換はできなかったとの趣旨の発言をしたということはあったということであります。  それで、この記事の中に、「橋本首相の財政緊縮政策及び増税政策は、アジア経済危機により圧倒されてしまった」という記述があるわけでありますが、実際の懇談におきましては、総理は、消費税引き上げを含め増税については一切言及されていない、こういうことであります。
  70. 東順治

    ○東(順)委員 こういうくだりがありますね。「小渕首相はきょう、銀行の危機的状況や世界の経済混乱を悪化させている深刻な不況を招くまで長い間時間をむだにしてきたとして、橋本首相や大蔵省、大手銀行首脳を批判した。国連総会演説の準備を進める中、」云々。それから、「小渕首相はまた、間接的な表現ながら橋本首相を批判、その緊縮・増税政策が十四カ月前タイに端を発した経済危機によっていかにして圧倒されてしまったかを語った。」こういうくだりもあるんですね。  つまり、橋本政治というのはやはり少し失敗したねと。それで、緊縮・増税政策が結局は、タイに端を発した経済危機によっていかにして圧倒されてしまったかを語ったと。つまり、このタイミングのときの増税、消費税アップというのは失敗だったね、こういう意味合いのことをおっしゃっているんですね。  今大臣が読まれたところと別のところでおっしゃっておられるので、結構有名な外国のこういう新聞に明確にこういう形で出ているということに対して、これはこれでいいんですが、要するに、国内での発言と外国での発言が若干でも違うということ、このことに対してどのようにお考えですか、こう伺っているわけでございます。
  71. 高村正彦

    高村国務大臣 国内の発言と外国での発言と違うということでは必ずしもないのではないかと思います。  ただ、小渕総理といいますか小渕内閣の政策を説明する仕方が、日米首脳会談を控えてかなり思い切ったものになってきた、こういうことで、外国に行ったからこうだ、日本だからこうだという話ではないのではないかなと思います。
  72. 東順治

    ○東(順)委員 ここで大臣と僕がいろいろやっていても時間がないので、これは次の機会に、直接また総理にも何かの機会に伺ってみたいなと思うのですが。  要するに、前政権は、政策は間違っていなかったと言うのと、いや間違っていたよと言うことは、これは大変な判断の違いであって、これは物すごい大きな違いであって、しかも前政権のときに、その政権の中の外務大臣という形でおられたわけですから、やはり内閣としての責任も持っておられたわけですから、小渕総理という方は。その方が、前政権は間違っていなかったんだよと言うのと、いや間違っていたんだよと言うことは、これは北極と南極くらいの違いがあるわけですから、こういったことはやはりそのままにできないだろうな、やはり、どうしてこういう発言になったのかなということをきちんとしていくということは非常に大事な問題だと私は思います。  それからまた、大臣も、外務大臣という重責にあられるわけですから、しかもアメリカでのそういう外国の新聞のインタビューに対する答えですから、これはやはり大変な関心を持って、これはどういうことなのかということできちんと認識をなさるということは非常に大事だと思います。  したがって、本会議質疑でこれをやったり、あるいはニューヨーク・タイムズに実際に二十二日付に出たりという、しかも小渕総理のインタビューに対する答えという、インタビュー記事そのものが出ているということですから、大変お忙しかったんでしょうけれども、これをお知りにならなかったということは、これはまた外務大臣としてもちょっとやはり反省なさるべきことではなかろうかな、こういうことはきちんと押さえておかないと非常に重大な事柄に発展しかねないな、大事なことだな、こういうふうに私は思いますので、一言、ちょっと苦言という形で呈させていただきます。何かございますか、これに対して。
  73. 高村正彦

    高村国務大臣 それを押さえていた方がよかったのか押さえていなかった方がいいのかと問われれば、押さえていた方がよかったに決まっているのだろうと思うのですが、ニューヨーク・タイムズだけじゃなくてワシントン・ポストにもその質問に答えておられますし、ワシントン・ポストの方はちょっと見たのですが、あるいは首脳会談にも同席したり、大体、その間の、米側に説明するときとそんなに変わる話ではないと思っていましたので、現にないと思いますので、読んでいなかったのがけしからぬと言われれば、これからできるだけ読むようにいたしますと言う以外にないのだろうと思います。
  74. 東順治

    ○東(順)委員 時間も大変限られておりますので、次に移りたいと思います。  九月九日の本委員会で、私は大臣にこう質問しました。北東アジアの平和と安定ということを考えたときに、朝鮮半島問題で行っている四者協議というものを何とか六者協議というところに拡大できないのか、ここに日本ロシアが加わってやっていけば、より北東アジアの平和と安定に寄与するものになるのじゃないのか、これに対してどう思われますか、こう聞いたときに、大臣はこのようにお答えになりましたね。四者協議が朝鮮問題の当事者と休戦協定の当事者から構成され、スムーズに開かれていない中、六者協議に持っていくには、北朝鮮も反対しておって、少し考えさせていただきたい、こう答弁なさいました。  そして、小渕総理アメリカに行かれて、アメリカで今度は、御承知のように、六者協議なるものを提案なさいましたね。  この六者協議というのが、朝鮮半島をめぐる六者協議なのか、あるいは北東アジアというもっと広い地域というものを対象にして、北東アジアの平和と安定のための六者協議提案なのか、これはどちらなんでしょうか。
  75. 高村正彦

    高村国務大臣 北東アジアの平和と安定のための六者協議と承知しております。それも、現実的に、近々の話としてではなくて、将来的にそういうことができることが望ましいという話を提案したものだと思っております。だから、今の四者協議そのものを六者協議にしろという話ではなくて、やはりこの地域に責任を持つ国として、その六者が入って北東アジアの平和と安定を考えていく必要がある、将来的にはそういうことが必要ですねということを提案したものだと承知しております。
  76. 東順治

    ○東(順)委員 それにしても、私は、ミサイルなんかが飛んできて非常に緊張しているこの時期にあえてこういう提案を思い切ってなさったということは、それは単なる願望ではなくて、また遠い将来の望むべき姿というそういう漠たるものでもなくて、やはりできるだけ早くこういうものができればということで一国の総理大臣がこういう六者協議というものを大胆に提案なさった。ということは、実現可能な何らかの裏づけがあって提案なさったのかなと僕は思ったのですが、これはどうですか。
  77. 高村正彦

    高村国務大臣 遠い将来の単なる願望ではないだろうというのはそのとおりだと思います。ただ、極めて近い将来にそういうことが実現する何らかの裏づけがあったというものでもないのだろう、その中間ぐらいに位置するものじゃないかな、こういうふうに思っています。
  78. 東順治

    ○東(順)委員 大臣はどう思われますか、この総理大臣の提案。
  79. 高村正彦

    高村国務大臣 私も大変結構なことだと思っています。
  80. 東順治

    ○東(順)委員 それでは、積極的にこれを進められる御意思はございますか。
  81. 高村正彦

    高村国務大臣 今、具体的なスケジュールを描くということから離れて、そういった広い意味での構想というのですか、そういったものを考えながらいろいろなことに当たっていくという段階だろうと思っております。
  82. 東順治

    ○東(順)委員 北東アジアの非核地帯構想だとか、さまざまに北東アジアの平和と安定ということはいろいろな角度からいろいろな人たちが述べていますよね。やはり、ここに日本ロシアというものがしっかり加わって、北東アジアといったって、やはりそこのいわば火薬庫は朝鮮半島なわけですから、その中の北朝鮮なんですから、やはり北朝鮮の問題というのは朝鮮半島の問題ではない、それだけではない、同時に、北東アジア全体の問題である。北東アジアの平和と安定というのを本当に確たるものにしていくためには、やはり朝鮮半島問題というのをきちっとやっていかなければいけない。結果的に、この朝鮮半島問題の四者協議の中に日本ロシアが加わってやっていくということは、北東アジアの安定に直接直結してつながる問題である、こういうふうに認識するわけですね、私は。  したがって、そこに日本が、総理そして外務大臣、口を開いたら六者協議、六者協議ということを言う、あるいは強烈なそういう一つの意思でもって、何とか六者協議をこの北東アジアのために、その急所である北朝鮮、この朝鮮半島問題でということで踏み込んで、積極的にこれを実現させていく御意思はございませんか。これは私は日本外交が見える顔、外交が見える日本であるか否かという一つの非常に大きなポイントでもあろうかと思いますが、いかがですか。
  83. 高村正彦

    高村国務大臣 そこまで現実的な問題としてとらえられると、この前の答弁に戻らざるを得なくなってくるわけでありますが。  十月の下旬ぐらいに四者協議も開かれる予定でありますし、これも紆余曲折があって、やっと開かれるというような状況、そしてまさに北朝鮮は明確に日本が入ってくることを拒否している状況ですよね、そういう中で、今、入れろ入れろと騒ぐことがそれだけいいことなのかどうか。ただし、私は日ロが、日ロも含めた六カ国がそれぞれ信頼醸成措置をやっていくということは大変必要なことだ、こういうふうに思っています。  だから、そういう意味では、当面の問題ではなくて、もうちょっと先の話として、そういうことを頭に置きながら今現実外交を進めていく段階ではないかな。今直ちに入れなさいと働きかけるというのはだめですよと言われる。だめですよと言われても、何回も何回も今から始めていくということもないわけではないですが、私としては先ほど述べたような感じ方を持っております。
  84. 東順治

    ○東(順)委員 一国の総理大臣国際社会で提案をする、これは大変重たいものがあろうかと思います。やはり外務大臣はこれをしっかりフォローして、支えていくべきである、こう思います。いきなり朝鮮半島問題というところに絞り込むのが難しければ、北東アジアのための六者協議というような形の提案をきちっと行う、これが私は総理と外務大臣の連係プレーだろうと思います。  ああ、日本というのは北東アジアに対してはこういう意識をきちっと持っているんだな、そうかということがやはり国民の中に、国際社会にもきちっとわかっていくということが大事なのだろうというふうに思いますので、ぜひひとつ、これは積極的に、大臣、進めてください、要望したいと思います。  もういよいよ時間が迫ってまいりましたけれども、最後に拉致疑惑問題についてお伺いをしたいと思います。  オルブライト国務長官がKEDOの凍結解除、先ほどの話にも出ていましたけれども、これを日本に求めてまいりました。十月十一日、十二日ぐらいまでにという期日指定みたいなことをして求めてこられました。一方、米朝テロ協議のときに、米国は北朝鮮に拉致問題というものを取り上げたと承知しております。そこで、北朝鮮に拉致問題というものを何とかしろという話を多分米国はしたんだろうと思います。同時に、今度は日本に、もうKEDO解除しなさい、できませんか、できればしてもらいたい、十月十一日、十二日まで。  北朝鮮に拉致問題を言い、日本に解除を言う。つまり、これは全くの推測ですけれども、拉致問題をあなたたちがもう少し進展させるならば日本はKEDO解除に乗ってくるよ、どうだい、こういう話をしたんじゃないのかなというようなことを勝手に思いましたが、これはいかがですか。
  85. 高村正彦

    高村国務大臣 必ずしもそうではないんだろうと思います。ただ、全体の雰囲気の中で、アメリカ側は、韓国もそうでありますが、EUもそうでありますが、日本もそう長く凍結したままでいては困りますよ、そういう雰囲気は持っているわけでありますが、それから、我が方とすれば、米朝協議でこういった問題を取り上げてくださいよ。これは、それぞれひっかけて、これとこれという話ではない。  ただし、外交の話でありますから全体的に何らの関係がないということでももちろんないわけでありますが、ただ、米朝協議の中でテロ問題を話じたときに、それとKEDOの話をひっかけてアメリカ側が北朝鮮に話しているということはないと思います。そういう話ではないんだろうと思うんです。むしろ、あるとすれば、テロ・リストから外せとか外さないとか、まさに米朝間である話との関係において、日本人を拉致していることもあるじゃないかとかそういうような話が出てくる、そういった脈絡の話だと私は理解しています。
  86. 東順治

    ○東(順)委員 わかりました。いずれにしても、七件十名ですか、この問題なんですけれども一全く該当する人たちはいませんみたいなことで扉が一たんは閉じられてしまったような感じなんですけれども、例えばよど号の乗っ取り犯の元赤軍派これをかくまっていますよね、北朝鮮。この日本政府の引き渡し要求というものに対して、本人たちにその意思がないと拒否をしていますね。しかし、本人たちにその意思がもし本当にないということであれば一例えば拉致されていると思われている人たちと引きかえでもって帰してもらいたいという交渉をやるだとか、あるいは、表に出して交渉することは国交がなくて、膠着状態になってしまってなかなか難しいということであれば、どうずれば拉致されたと思われている人たちを救出できるのか。これは国民の生命と財産を預かる政治の責任として極めて大事なものなんだろうと僕は思うんです。  大臣に、この拉致疑惑問題についての見解をまだ一度も伺ったことがございませんので、そういったことを含めて、どのような解決の道が考えられるのか、どういうアプローチの道が考えられるのか、いかがでしょうか。
  87. 高村正彦

    高村国務大臣 まことに残念なことでありますが、こうやれば間違いなく帰ってくるということがないから苦慮しているわけで、ただ、ないから苦慮している、それでいいという話でももちろんないわけでありますから、それはあらゆる、少しでも可能性のあることを少しでも追求していくということをやっていく以外ないんだろうと思うんです。ですから、例えば米朝協議においてこうしてくれと米側に私たちがお願いしているのも、そういう少しでも可能性があることを追求していこうという姿勢の一つだ。その他あらゆる可能性を追求していきたい。大変申しわけないんだけれども、今こういうことをやりますから間違いなく帰ってきますとか、そういうことを言える段階では残念ながらとてもない、こういうことであります。
  88. 東順治

    ○東(順)委員 全く国交がないとはいいながら、その中で、例えば野中官房長官とか加藤前幹事長だとか、個人的なルートにしてもいずれにしても、それなりのルートはおありだったんですね。そういったところで一生懸命努力をしたり何だかんだされたんでしょうけれども、結果としては全然深刻な事態は進展を見ていないということで、これは国の政治の責任感の問題であろうと思います。  大変難しい問題ですけれども、どうかひとつ外務大臣在任の間に、それこそあらゆる努力を重ねられて、なかなか表にできないことも、裏の努力というと変な言い方ですけれども、そういったことも必要になるかもしれませんけれども、何とか一刻も早くこの問題がめどがつきますように一層の御努力をお願いして、私の質問を終わります。
  89. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、東祥三君。
  90. 東祥三

    ○東(祥)委員 昨日に引き続きまして、同じ案件をこの外務委員会でも外務大臣に質問させていただきたいと思います。  日米首脳会談のときも、私は、個人的にですが、高村外務大臣が大変諸圧力の中で一生懸命頑張っている人間の一人である、このように思います。アメリカ議会はクリントン政権に対して、北朝鮮に対し極めて軟弱な姿勢をとっているんではないのか、そういう突き上げを受けていることもよくわかっております。そういう状況の中で、同盟国である日本に対し、また高村外務大臣が、日本の国民の意識を体現されながら、そしてお話をされているということも想像にかたくないわけでございます。  しかし、問題は、先ほどからずっと議論されているとおり、北朝鮮という我々は全く理解することができない、正確なる情報が入ってこない、その国を相手にしているわけでございます。何度も何度も、この場でも、別の場でも申し上げているとおり、我々の議論というものは当然北朝鮮に伝わっている。そういう状況の中で、まさにKEDOに関して言えば、あの署名合意寸前のところで弾道ミサイルを発射してくる。何を考えているかよくわからない。  そういう状況の中で、先ほど島議員に対しての外務大臣のお答えにもありましたとおり、別にKEDOに対しての署名を延期したからといってずっと延期するものではない、そういう意味で署名延期をしたのではない、このようなお話があったわけでございますが、問題はなぜこういうふうになっているのかといえば、日本が別に引き下がるものは何にもないということを強く我々が思っているということを北朝鮮に理解しておいてもらわなければいけないということなんだろうと思うんです。  しかし、では、だからといって北朝鮮がそれを踏まえた上で態度が軟化してくるのかといえば、それは確証がない。しかし、振り上げたこぶしをおろすためには、明確に主権を侵す、あるいはまた、国際社会においてあってはならないようなことをしたにもかかわらず、それに対して何の反省しているといいますか、そういう態度が伝わってきていない。そういう中で、しょせん日本というのはアメリカとの間に合意できれば必ずそれに従ってくる、こういうふうに思い込んでいる。そういう前提で考えていけば、まさに北朝鮮のやりたい放題にされている、そういう現実が浮かび上がってくるわけですね。それを考えたときに、日本としてどう対処しなくてはいけないのか。ある意味日本人は忘れやすいですから、約一カ月前に弾道ミサイルが発射されたということも、多くの人たちはもう忘れてしまっているかもわからない。そういう状況の中で、この問題に対して、やはりそれなりのちゃんとした筋道をつけておかなくてはいけない、そういう思いで、機会あるごとに自分の意識も再活性化させながら考えていかなくてはいけないものなんだろうというふうに私は思っているわけでございます。  したがって、制裁解除の問題が、にわかに日米首脳会談が終わってから出てきている。それも、アメリカの事情があり、あるいはまたオルブライト国務長官の事情があるかもわからない。しかし、日本日本としてのちゃんとしたスタンスを明確にしておかなければ、それこそ北朝鮮の思うつぼにはまっていく。  私が聞きたいことは、この一カ月の間に、北朝鮮における、表現が、どういう表現を使うのかわかりませんけれども、弾道ミサイル発射あるいは彼らが言っているところの人工衛星発射に関して、何らかのメッセージを送ってきているのか。自分たちがやったことが決して正しいことではなかった、そういうメッセージが送られてきているのかどうなのか。いかがですか、これはアジア局長いらっしゃるから。
  91. 阿南惟茂

    阿南政府委員 八月三十一日以来、いろいろ北朝鮮側も発言しておりますが、今先生おっしゃったような前向きのメッセージというものは、我々の承知する限り、出ておりません。
  92. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうであるとすれば、どういうふうにとらえたらいいのかという問題になってくるわけですね。  きのうもおっしゃられていたとおり、私も理解しているとおり、KEDOというのは、あくまでも北朝鮮の核開発をやめさせるという手段でしかないのですね、手段。しかし、これが唯一の手段でありますから、それをこのまま凍結し、ほごにさせるというわけにはいかない。しかし、そのKEDOの支援体制というものをこちらが一生懸命つくっているその渦中に、別の問題を惹起させているわけです。これはまた、基本的には別の問題ですね。しかし、そういうものを撃ち込まれたからといって、別の問題ですから、では一生懸命北朝鮮のためにKEDOを支援しましょう。これは納得いかない。したがって、たとえ短期間であったとしても署名合意、署名に対して延期した、そして矢継ぎ早に人道支援も中止する。さらにまたチャーター便も中止させる。この一連の流れはみんな御存じのとおりだと思うのです。  しかし、それに対して何の前向きのメッセージも出てこないとするならば、これをずっとやり続ける以外ないのではないのか。あるいはまた送金の問題もある、あるいは新潟港における、今まで北朝鮮に行き来する人々に対しての簡略な通関、その手続、これもちゃんと見直していかなくてはいけないだろう、そういうふうに私は思っているのですけれども、前向きな態度は一切見られない。にもかかわらず、もうこちらは振りかざしたこぶしをおろすことを一生懸命やっている。北朝鮮の思うつぼなのではないのか。だから、私が言っていることがちゃんと相手に伝わるように、またアメリカ議会にも伝わるように、日本だって国民は怒っているのですよ、政治家だって怒っているのですよということをちゃんと聞いていただくために、明確に申し上げているのです。  そういう御苦労は、当然大臣ですから、おわかりになった上でどういうふうにしなくてはいけないのかということを考えていると思うのですけれども、それはアメリカ政府に対しても、あるいは七日から来られる金大中大統領に対しても、違う思いはあると思います。それは、立場は違ったとしても、徹底的に伝えていかなくてはいけないのだろう。それを申し上げているのですが、それを踏まえた上で外務大臣、どのようにお考えになっているのか。
  93. 高村正彦

    高村国務大臣 まず、その問題に直接的にお答えする前に、私の外務大臣としての仕事は、国際社会の声を日本国民に伝えること、そしてもう一つは、日本国民の声を国際社会に伝えることだと思っています。その二つのことを私なりにきっちり努力して、成功しているか成功していないかは別として、これからもしっかりさせていただきたい、こう思っているわけであります。  この問題について、東議員と、ここで質問され、答弁するのは長くなるわけでありますから、もう東議員考え方というのは、私は、一〇〇%とは言わなくても、九〇%以上わかっているつもりでありますし、私がこれから答弁しても、そんなことはもう聞いたというような答弁になるのではないかということを恐れるわけであります。  それでも、御質問でありますから私なりに答えさせていただきますと、まず、振り上げたこぶしをおろす、こう言われましたが、振り上げたこぶしというと、もうその振り上げたのが間違いであった、今それをおろすのを迷っている、私たちはそうではないのです。あれはあれで、戦術的に我々の怒りを伝えるということをやったわけでありまして、そして、そのことについて、北朝鮮を除いては、あれが間違いだったね、凍結したのが間違いだったねということを言っている国は一つもないのです。これは事実の問題として申し上げているわけであります。ただ、そのことを長く続けておいて、KEDOの枠組み自体に支障を来すようなことがあったら困りますねと。  そして、本当にKEDOの枠組み自体を壊すことになりかねないのか、まだ少し大丈夫なのかということについては、それぞれの国でいろいろな判断があるでしょう。ただ、そういったことで心配し始めて、日本日本で独自に凍結解除をいつかということは決められるわけですが、ほかの国は決められないわけですから、あなたたち一体いつまで続けるのということは、これはアメリカ韓国や、あるいはEUの人たちが心配するのは当然なんです。  先ほどもちょっと申し上げたように、EUは最初はちょっとしり込みぎみだったのを、これはグローバルな問題だからぜひこの枠組みに参加してくださいよと。日本がというより、日本もお願いして入ってきてもらったわけです。その最初から引っ張り込んだ人が、私の国、ちょっと撃たれたからこれは凍結しますよ、そこまでは理解した、これは当然のことだろうと理解したけれども、これをいつまでも続けて、自分たちがせっかく入ったものを壊されては困るよという感じはEUにもあるのです。ただ、それは国際社会の声としてありますよということは、私は日本国民に正確に伝えさせていただかなければいけない。これは、単に圧力という言葉でぽんとあれして我々独自で決めればいい話だ、こういうことではないのだろう。これが一つあります。  私は、日本国民の声はきっちり、それは北朝鮮に伝えるだけでなくて、アメリカ韓国、EUにも伝えてきているつもりでございます。それは、東議員から質問されて答えるより、もう少し強い調子でアメリカにも、韓国にも伝えてきているつもりであります。  そういう中で、北朝鮮というのが非常にわかりにくい国だというのは、東議員と私は同じように思っているわけでありますが、そういう中で、北朝鮮は謝るべきだ、再発防止を約束すべきだと私も強く思っています。強く思っていますが、そういうわからない国の、そのことについての意思だけに、KEDOの存続ができるかどうかということをかかわらしめるということは、私はそれを絶対条件にするということは非常に難しいことだと思っています。  ですから、そういうことも一つの要素、当然重要な要素にはなるのでしょう。むしろ、そういうことがあれば積極的に解除はしやすくなりますねという要素になるのでしょうが、それがなければ絶対に解除できませんよということでは国際社会全体の理解は得られないのではないか。特に、KEDOの枠組み自体が怪しくなってくるというような状況がだんだんだんだん、少しずつそういう状況が時間の経過とともにふえてくるわけでありますから、それがいつかということも総合判断の中に入ってくるのだろう、こういうふうに思います。  ですから、例えば、私たちが、これは北朝鮮自体がそういうことを繰り返さなければ一番いいのですが、一つの条件としては、日米安全保障条約の信頼性が再確認されるというようなことも大きな要素の一つになり得るし、あるいは日米韓一緒になってこういうことに対応するという体制がきっちりできるということも一つの要素にはなり得るし、多くのことを総合的に判断して、この解除の時期といいますか、そういうことを決めなければならないので、このことが絶対的条件ですよと言ってみずからの外交の手足を縛ることは適当でない、私はそういうふうに考えているのです。
  94. 東祥三

    ○東(祥)委員 外務大臣、KEDOの枠組みというのはあくまでも北朝鮮の核開発をやめさせると。現段階のところで、一〇〇%北朝鮮は核開発の道をすべて断っているのかと。これもまた保証できる人はいませんね。現実に、某施設の実態も全部解明されているとは私は聞いておりませんし。  私たちの望みとしては、あくまでも、KEDOの、米朝枠組み合意の中で北朝鮮が核開発を断念する、それをやめる、そういう前提で動いているのであって、あくまでも、その可能性は一〇〇%今確保することはできないけれども、やらないより、唯一の手段として存在すると。したがって、政府も、また我々も、KEDOに対して、個人的にはともかくとして、それに進んでいっている、僕はそういう問題なんだというふうに思うのですね。EUあるいはアメリカあるいは韓国に今回の事態を説明したときに、私は当然それなりに理解してくれるというふうに思うのですね。また、日本がKEDOに対しての最大出資国であることは間違いないわけですから、韓国を除くならば。  最終的には、そういう次元で、一方においては日本の足元を徹底的に見られながら、しょせん日本は何もできない、アメリカを通してしか何もできない、アメリカがオーケーというふうに言えば必ずアメリカの言うとおりになる、こういう視点で北朝鮮日本のことを見ている。別の見方があれば教えていただきたいのですけれども。そういう状況の中で、このままずるずるずるずるいってKEDOの枠組みを崩すことになれば大変だと思う必要がないと僕は申し上げているのですよ。  そうではなくて、それはあくまでも、アメリカを通じて、アメリカしかチャネルがないわけですから、KEDOが壊れるというそれをもたらしているのはあなた方なんですよと。それを言い続けていかなくてはいけないんじゃないのかと。そこから何らかの反応が出てこない限り、やはりKEDOというのは凍結でしょう。それに対してどうこうするというところまでは、どうしても納得できる論理というのは出てこないんじゃないのかというふうに思うのですが、いかがですか。
  95. 高村正彦

    高村国務大臣 委員が御指摘になる、KEDOの直接対象物以外にもほかで核を開発しているのではないかという疑惑というのは、それは存在するわけであります。そういう存在は、KEDOあるいは米朝協議、そういったものの中で解消していくようにしなければいけないわけでありますが、KEDOを凍結し、そしてさらにその凍結が長引くことによってKEDOの枠組み自体が壊れたことによって、北朝鮮はもうだれも阻止する者なく核開発ができることになるわけです。少なくとも日本は阻止できないのです。アメリカは何ちかの手段によって阻止できるかもしれませんが、少なくとも日本は阻止できない。  アメリカ、その他の国、日本以外のその他の国がすべて、KEDOを壊してはいけませんよと。日本が怒るのはわかるけれども、KEDOを壊してはいけないと。だけれども北朝鮮が我々の言うことを聞かない限り我々はあくまで出しませんよと言って、KEDOが仮に壊れた場合ですよ、日本はどうするのですか。  北朝鮮が一番悪いというのは、そんなことはわかり切っているのです。悪いのは北朝鮮なんだ。そういうことはわかった上で、国際社会日本に、これが最良の手段なんだからKEDOの再開をしてくださいよ、こういうことを言っているときに、あくまでだめだ、日本の事情はこうなんだ、こういうことを言って、もしKEDOが壊れた場合に、壊れちゃったから、今度アメリカさん、あなた力あるんだからたたいてくださいよなんて、そんなことを仮に言うんだとしたら、それこそ甘えの構造だろう、私はそう思います。
  96. 東祥三

    ○東(祥)委員 もう時間が来ましたので終わりますが、当然、外務大臣、日米首脳会談、また実務者レベルでも構いません、一カ月以上前の状況と今の状況は違うのですよ。八月三十一日に、弾道ミサイルという、日本安全保障上の問題に触れる事件が起こったのですよ。そこから惹起している問題ですから。それを諸外国に説明したときに、それを理解してくれないとは僕は思いませんよ。それを踏まえた上で、どうするのかという議論をしてきているわけですね。  今の高村外務大臣のお話を聞いている限りにおいては、KEDOの枠組みを壊すのは日本みたいな形で、北朝鮮の論法にはまっちゃうわけですよ。そうではありませんか。それを言っちゃいけないのですよ。あくまでも徹底的に交渉者であるとするならば、それを徹底的に言い、見えないところでアメリカと、この場合どうするのか、そういう議論をしていかなくちゃいけないわけでしょう。そういう議論をしているという前提で、僕は話をしているわけですから。
  97. 高村正彦

    高村国務大臣 KEDOが壊れたら、その最大の責任は北朝鮮にあるんだということは、それはだれでもわかっているのです。日本もわかっている、アメリカもわかっているし、韓国もわかっているし、EUもわかっているのです。それにもかかわらず、このKEDOの枠組みを壊すようなことは日本さんしてくれるなよというのが国際社会の声ですね。  最初、KEDOを凍結したこと自体はみんな理解しているのですよ、それは当然のことでしょうと。だけれども、それが余り長くなることは、戦術的にそうしたことはわかるけれども、戦略的にこのミサイルの問題と核開発の問題をリンクさせるのは、これは間違っていますよというのが、それは残念ながらといいますか、先生の立場からいえば残念ながら、国際社会の声ですね。それは幾ら説明したって、それがわかってくれるほど国際社会は甘くないですよと思います。
  98. 東祥三

    ○東(祥)委員 北朝鮮はKEDOを壊したいと思っているのですか、高村外務大臣北朝鮮はどういうふうにKEDOに対して見ているのですか。壊したいと思っていると外務大臣はお思いですか。
  99. 高村正彦

    高村国務大臣 わからない国だから心配しているのです。
  100. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうであるとすれば、まさにこちらの方からボールを投げる必要はないということを僕は申し上げているのですよ。一生懸命高村外務大臣は、KEDOが壊れちゃうんじゃないのか、壊れちゃうんじゃないのかと。北朝鮮がKEDOの枠組みを欲しているとするならば、日本のメッセージは伝わるでしょうということを言っているわけです。我慢比べですよ。
  101. 高村正彦

    高村国務大臣 これは米ソ冷戦構造のときもよく言われたことですが、自由社会の方の弱みは、こっちの考えがそうでない方に伝わってしまう。向こうは伝わらないでやれる。そういうあれはずっと抱えていたのです、米ソ冷戦構造の中でも。  ですから、私は、聞かれれば言わざるを得ないんだから、そういうことが伝わって困るならここで聞かないでいただきたい。そういうことです。
  102. 東祥三

    ○東(祥)委員 時間が来ましたので、また続けたいと思います。
  103. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、松本善明君。
  104. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣、きょうは米軍の低空飛行訓練の問題をお聞きしたいと思います。  主に早明浦ダムの墜落事故についての報告の問題を聞きたいのですが、その前に、三月十一日の当委員会で、伊豆沼での米軍機F16の低空飛行の問題をちょっと決着をつけておきたい。質問通告もしておきましたので、当日の議事録もお読みいただいているのではないかと思いますが、これは、野鳥の生息地で、米軍のF16が飛んできて、そして野鳥がしばらく来なかったという、野鳥の研究家だとか地元が大騒ぎになった事件です。  そのときは、防衛施設庁も外務省も、米軍の三沢基地から米軍機は飛行していないという回答があったと言い、防衛庁は、米軍の他の部隊の航空機の飛行の連絡もなかったし、自衛隊機も飛行していなかったという答弁をいたしました。当時の小渕外務大臣は、F16とおぼしき機種ということを写真を見て答弁されました。  その質問の後で、小渕外務大臣と御相談していろいろ話をしていたのですが、外務省の専門家が私の国会の部屋に来られて、写真を見て、これはF16だということを認められました。  問題は、このF16がどこの国のどこの基地の所属のF16かということが問題になるのですが、これが決着がついていないのです。  この写真は河北新報にも報道されたもので、今年の一月十三日正午ごろ撮影のものです。米軍機もフライトプランは防衛庁に出さねばならないことになっておりますので、防衛庁は当然フライトプランを見て答弁をしたのだと思いますけれども、このF16は写真でも撮られているし、目撃者もたくさんおります。在日米軍がこれを認めないということになりますと、このF16は国籍不明機ということに形の上ではなります。  私は、日本政府はこういう問題をそのままにしておくわけにいかないのじゃないかと。外務大臣、いかがでございましょうか。
  105. 高村正彦

    高村国務大臣 申しわけないのですが、議事録は読んでなかったのですが。  宮城県伊豆沼での未確認飛行機による低空飛行事実の確認については、防衛施設庁仙台防衛施設局より在日米軍三沢基地に対し米軍機の飛行事実の有無の照会を行って、同基地から仙台防衛施設局に対し米軍機は伊豆沼上空は飛行していない旨の回答がなされた、こういうふうに承知しているわけであります。
  106. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣、私のお聞きしたのは、そういう答弁を前提にして、だけれども、それでは、そのF16はどこの国のものだということを我が国は放置していていいのか。  日本には主権があるわけで、政府が許可をしないで航空機が日本領土を飛ぶことは許されない。これは米軍機にしても民間航空機にしても同じです。全部フライトプランを出さなければいかぬ。それが、政府はどこの国の飛行機が飛んだのかもわからないということをそのまま放置しておくことは絶対できないと思います。  改めて聞きますし、それから同時に、この問題についてはきちっと調査をして、そして報告してほしいと思うのです。二つの点をお聞きしたいと思います。
  107. 高村正彦

    高村国務大臣 調査といいましても、事実上、米軍機以外の、F16ですか、F16が飛んできたとも思えませんし、仮に飛んできたとしたら、これから調査するなどということはとてもできないことだと思っております。  本件については、既に、政府の機関である防衛施設庁仙台防衛施設局より在日米軍三沢基地に照会の上、回答を得ているわけでありますが、これ以上調査するということは考えておりません。
  108. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣日本安全保障についても責任のある閣僚の一人です。米軍は違うと言っている、どこの国の飛行機かわからない、それをそのまま放置するのは重大問題だと私は思いますよ。それは調査しないなんということはあり得ない。  こういうことが起こりますのは、米軍が空域も高度も何の規制もなく日本の上空を飛んでいることに起因しているのですよ。だから、平気な顔をして、外務大臣、どこの国の飛行機かわからないことを形の上では答弁されているのだけれども、これは、我が党議員が予算委員会で質問をしたときにこの事実を明らかにした。自民党など他党の議員からも、まるで植民地じゃないか、明治の不平等条約と同じじゃないか、不規則発言が出ました。お聞きになった方もあろうかと思いますけれども。  米軍機が飛んだことを、私は恐らくこれは米軍機であることは間違いないと思いますけれども、米軍機が飛んだことも確認できない。これはもう絶対放置できないことです。これは調査をして報告することを求めます。  一九九四年の十月十四日に、アメリカ空母のインディペンデンスの艦載機A6Eイントルーダーが高知県の早明浦ダムに墜落した事件の報告書について質問したいと思います。  この報告書は昨年十二月、事故から三年目にようやく外務省が提出したものでありますけれども、報告書は、事故調査委員会が事故機は川の表面から四百フィートから五百フィートを飛行していて墜落したというふうに認定した。つまり、百二十メートルから百五十メートルの間を飛行していたということを認めたわけであります。  外務省はこういう問題については、米軍は、人口稠密地の上空では三百メートル以上、人のいない地域では百五十メートル以上という日本の航空法を尊重しているのだということを一貫して述べてきました。最近では、四月十六日の参議院外交・防衛委員会で当時の高野北米局長がそういう答弁をしております。報告書が出てからも高野北米局長はそういう答弁をしているわけです。しかし、この報告書でははっきり、百五十メートル以下を飛んでいる、日本の航空法を遵守しているということではないということがはっきり報告書で出ているわけです。これについて外務省はどう考えているか。  米軍はこの問題について、これは間違っていたとか違反して申しわけないとか、そういうことを言ったのかどうか、あるいは外務省は抗議をしたのかどうか、この点について聞きたいと思います。
  109. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 先生御指摘のA6イントルーダー墜落事故に関します報告書、確かに今先生から御指摘になりましたとおり、事故の起こりましたときの状況についての記述がございまして、そこでは、事故機の最終旋回直前の対地高度は約四百から五百フィートであったという記述がございます。すなわち百二十メートルから百五十メートルということでございます。これはまさに事故が起こりました航空機につきましての事実関係についての記述でございます。  他方、政府委員といいますか、政府の方から、従来何度も繰り返し述べておりますところは、この事故が起こりましたケースというのはまさに事故のケースでございますけれども、米軍というものが我が国におきまして飛行訓練を行います際には、我が国関係法令等にあります安全基準というものを尊重し、また公共の安全に最大限配慮を払うことは当然であって、政府としても、あらゆる機会に、安全確保の徹底とか地域住民への影響の最小化について申し入れてきたところでございまして、在日米軍としては、我が国のそのような公共の安全に最大限の考慮を払い、国際基準を遵守し、また我が国の航空法に言う最低安全高度を尊重し、規定された高度以上を飛行しているということを種々の機会に明確にしているところでございます。  すなわち、私が申し上げたいと思いましたのは、確かに、このA6の事故の起こりましたときは、その安全高度以下の四百から五百フィートの飛行であったということは事実でございますが、従来から述べておりますのは、米軍といたしましては、そういうことがないように、常々最低飛行高度に関する規則というものにつきましても、日本の国内法令を自発的に遵守しているということを述べているという事実を指摘してきたところでございます。
  110. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣、こういう答弁はやはりよくないのですよ。聞いたことにかみ合っていないのですね。わかっていることをそのまま述べているだけなのですよ。  私は、今まで米軍は百五十メートル以下は飛ばないと言っていて、外務省もそういうふうに言っていた。それが、それに違反をしていることについて、報告書は、遺憾であったとか、うまくなかったとかいうことを一言も述べていないのです。  事故は、グレーアウト、ブラックアウト、Gロック、これは要するに、旋回の際に、失明に近い状態になったとか、失明状態になったとか、遠心力がかかって金縛り状態になったとか、そういうことで事故が起こったということを言っているだけでありまして、それで百五十メートル以下を飛んだということは一言も言っていない。今までの外務省の見解とまた違うわけですよ。それから、米軍の言っていることとも違うわけです。  少なくもやはり、今まではそういうふうにやるということになっていて、今度は違ったと。正式の報告書ですよ。これは、日本政府に対して謝ってもしかるべきです、あるいは、日本政府抗議をしてもしかるべきです。この点について、外務  大臣はどう思いますか。そういうようなことを、今のような繰り返しのような答弁をされても、これはしようがないのですよ。外務大臣はどう思いますかということなのです。
  111. 高村正彦

    高村国務大臣 私は、事実関係が全くわかりませんので、抗議をしたのかどうかとか、それについてどうしたのかとか、そういう事実関係はわかりませんので、答弁は差し控えたいと思います。
  112. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 政府といたしましては、まず、事故発生後、外務省の北米局長より、東京の米大使館の公使に対しまして遺憾の意を表明いたしました。さらに、政府の方から、事故原因の調査とか再発防止について申し入れを行った次第でございます。  これに対しまして、在京の米国大使館の方からは、公使より遺憾の意の表明がございまして、さらに、事故発生後の日米合同委員会におきましても遺憾の意の表明、それから、事故原因の調査及び再発防止について我が方から申し入れたところでございます。さらには、当時の河野外務大臣より、ペリー国防長官に対し、遺憾の意の表明、事故原因の調査、再発防止等につき申し入れを行ったところでございます。  いろいろなことがございましたが、米側としては、この事故原因の調査を行いました後、この報告書にも出ておりますが、低高度飛行についての危険性、手続、技術、機体能力及び搭乗員の状態について見直しを定期的に行うというようなことを明らかにいたしまして、種々の安全対策がこの報告書でも書かれているところでございます。
  113. 松本善明

    松本(善)委員 初めからそういうふうに答えれば時間の節約ができたのです。  外務大臣、こういう状況ですが、イタリアと比べますとやはり日本は、先ほど自民党の議員の不規則発言紹介しましたけれども、イタリアは六百メートル以下の飛行は禁止をしているのですよ。それ以下で飛んだ場合には、それは事故原因の判定基準になっているのですね。これはもう日本とは本当にけた違いですよ。  この問題が起こってから、予算委員会での我が党の議員の質問に対しても、また、今紹介いたしました三月の私の質問に対しても、この問題についてアメリカ協議をしている。これは、こういうアメリカの軍用機の飛行について何の規制もありません。その規制について協議をしている。もう随分になりますけれども、これはどうなっていますか。
  114. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 政府といたしましては、米軍が飛行訓練を行う場合におきまして最も重要なことは安全対策ということと認識しておりまして、先般来、継続して米側とこの点について協議を行っているというところでございます。  一体、いつになったらそれがまとまるかというお尋ねだろうと思いますが、我々といたしましては、できるだけ早くまとめるよう作業を加速化したいというふうに考えております。
  115. 松本善明

    松本(善)委員 大臣、今の答弁のとおりですよ。他党の議員が、与党の議員でさえも、植民地的な状態じゃないかと言うような大問題について、半年以上たっても何にも進んでいない。これは外務大臣、私は大変残念に思うのだけれども、この質問通告をしたら、その問題について、大臣がやはり自分で、どういう問題なのだろうかということを考えていただきたい。日本の主権の問題ですよ。イタリアと比べた場合は、本当に格段の違いなのですね。  これは、大臣が決意を持ってやはり解決するというふうに答弁をしてもらいたいと思いますが、そういう考えはありますか。
  116. 高村正彦

    高村国務大臣 大変申しわけありませんが、そういう質問通告があったということすら私は知らなかったもので、大変申しわけないのですが、もう一問は質問通告がありましたので、前の問題ですね、それについてはそれなりに答えさせていただいたわけであります。よく事情を調べまして、そして、委員が御指摘のように、本当に植民地のような状態であるのであれば、それは改めなければいけない、当然の話でありますから、そういうこともよく私なりに調べた上で、どういう措置を、どういう指示をするかということを決めさせていただくということであります。
  117. 松本善明

    松本(善)委員 これで終わりますけれども、私の述べたことはすべて根拠を持って述べておりますので詳しく調べていただきたいし、それから外務省の、大臣が初めてお聞きになったということですけれども、やはりそういう仕事の態度、国会に対する態度を改めるように厳しくやっていただきたいということを要求して、質問を終わります。
  118. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、伊藤茂君。
  119. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 大臣、御苦労さまでございます。  この秋、いろいろな意味日本外交は大事なときだと思います。金大中大統領が間もなくお見えになります。また、近い時期に、延期されている江沢民主席もお見えになる。また、報道によりますと、クリントン大統領日本訪問なされると伺います。日ロ首脳外交もございます。  先ほど来、同僚議員の議論がございましたように、いろいろな意味で、騒然たると言っては何ですが、難しい問題がこの夏以来連続しているというわけでございまして、やはりこういう首脳外交、またトップレベルの外交などの季節の中で、我が国のアイデンティティーをどう鮮明にするのか、ある意味では非常に大事なときでもあろうというふうに思うわけでありまして、そういう方向へのいい成果が上がるように期待をしたいと思います。  そういう気持ちでもって、短い時間ですから、二、三だけお伺いをさせていただきます。  まず最初に、金大中大統領がお見えになる。最近、例えば今月号の雑誌、世界などに特別インタビューが載っておりましたし、いろいろなその関係の会見とか報道などが伝えられておりまして、それらを読んでおりますと、いろいろな意味韓国大統領が大変な意欲を持って日本訪問されるというふうな受けとめ方を私はするわけであります。一つには、歴史観と申しましょうか歴史認識と申しましょうか、過去をどう振り返るのかという問題もございますし、もう一面では、特に経済協力など日韓関係の前向きな打開を図りたいどいう意欲も常に強調されております。  そうなりますと、私どもも、どうそれに対応するのか、大事なときであろうというふうに思うわけであります。  前者の方から申しますと、村山元総理大臣のいわゆる八・一五談話というものをベースにしてとございまして、これは両国首脳とも異議のないところだど思いますが、そういうものをどう具体化していくのか、前向きな展開があっていいのだろうという気持ちが私はいたします。  先般、予算委員会のときにも総理に申し上げたのですが、最近感銘を受けた問題で、しばらく前ですがNHKでベトナム対話という特集番組がございまして、マクナマラさんなど当時のベトナム戦争の最高の責任者だった方々がハノイで三日間お互いに対話をして、あのときどうだったのか、どう判断したのかという対話がございまして、非常に意味があったという感想を印象深く聞きました。何か、いわゆる歴史認識とか共同作業ということはもちろんスタートしているわけでございますけれども、前向きにそういうものをとらえていく。  また、いわゆる慰安婦問題などにつきましても、これは国民のお金なのか、国の、政府の責任なのかとかいうこともございますし、私どもも、連立当時に、村山内閣当時、精いっぱい努力をして、これが今できるぎりぎり限度かなということでああいう措置もとったわけでありますけれども、今日になりましていろいろとまた考えさせられる気持ちもございます。  ですから、一つには、そういう過去への認識、そしてまた共同の歴史認識をどう持つのか。もう一つは、やはりもっと未来志向型でということを大変望まれているというふうに思いますけれども、具体的なことは別にいたしまして、外務大臣としてそれらのことを、金大中さんの訪日を目の前にいたしましてどのようにお感じになっておられますでしょうか。
  120. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国といたしましては、今般の金大中大統領訪日を契機といたしまして、首脳間の信頼関係の強化を図るとともに、過去を直視しつつ、二十一世紀に向けた新たな日韓パートナーシップの構築を通じた未来志向的な日韓関係を構築していきたいと考えております。  金大中大統領は、過去を清算して二十一世紀に向けて本当にいい日韓関係をつくりたい、こういうことを言っておられますので、日本の方もそれにきっちりこたえてやっていきたい、こういうふうに思っています。
  121. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 模範答弁で申しますとそういうことになるのだと思いますけれども、やはり金大中さんの最近の発言などをいろいろ読んでおりますと、何か、一面では過去の反省から将来へということについて意欲的に何かしていきたいというお気持ちが非常に出ているように思いますし、また、今日のアジアの深刻な経済危機、通貨危機というものが、お互いに相互協力、相互共存と申しましょうか、共生の時代と申しましょうか、そういう時代にやはりトライをしなくてはならぬという気持ちも非常に強く、日韓経済協力また日本の貢献も非常に高く評価なさっているという状況があると思います。  私の気持ちからすれば、トップ外交ですから、総理がさまざまの御発言をなさるにつきまして、外務大臣がヒットを飛ばして、何かいい成果が上がるぐらい、ぜひ努力をしていただければというふうなことも思うわけであります。  二つ目に、それに関連して思うのですが、先ほどから、KEDOとか北朝鮮関係とか朝鮮半島関係で議論がございました。この夏以来非常に複雑な困った問題が発生し、その経過を見ますと、野中官房長官が、一生懸命努力をしてきて、そしてこの前も与党訪朝などやったのに、やったのにという思いを深くするという気持ちをおっしゃっておられるようでございますけれども、私も当時一緒に携わった者として、本当にそういう思いがします。もっと国際社会に理解のできる、国際社会に生きられる、そういう方向を何でとってくれないのかという思いを、それらにかかわっただけに非常に思いを深くいたします。  しかし、これは、現実どう打開をするのかということが迫られているわけでありまして、私は、この八月以来の二、三カ月の経過だけでも大変なんですが、これから先を考えますと、KEDOの問題の打開にせよ、それから日朝関係の将来にせよ、ことし、あと残っているのは二、三カ月、これから来年に向けて、例えばこの三カ月とか数カ月間どうしていくのかという意味での判断を持たなければならない大事なときではないだろうかという思いがいたします。  そうなりますと、その都度その都度起きることに我が国が揺られているような感じではこれはだめなわけですから、そんな気持ちは我々も当然あるべきでないと思いますし、そうなりますと、あるべき原則とか我々が目指す基本方向とかというものは、やはり一、二、三とかきちんとして、その上に立ってその時々の判断をするのだということで、内外に理解されやすい戦略と判断というものを常に強調することが大事ではないだろうか。  私も、各党の皆様と御一緒韓国あるいは北朝鮮、その場合でも三つ言っておりました。一つは四者会談の進行、また四から六になることが望ましい。と同時に、やはり南北関係が進む。それと相伴って日朝関係が進んでいく。この三つはパラレルなんだ、並行とか雁行とか同時進行というのもございましたが、そんなことを年じゅう言っていたわけでございます。  そういうものをきちんとしながら、当面するKEDOの問題の対応、あるいは、やはりいつまでも窓が閉じたままで、ドアが閉じたままでいるわけにはまいりませんから、やはり直接に窓を開き、あるいはドアを開いて、正式に国交を正常化して話し合うという展望を、きちんと物を言い、またお互い協力をできるような時代を目指すということが必要ではないだろうか、そういう整理整とんした主張を常に言うことが大事ではないだろうかという感じがいたしますが、いかがでしょうか。
  122. 高村正彦

    高村国務大臣 北朝鮮との関係は、中長期的には、第二次大戦後の不正常な関係を正す、そしてそれが朝鮮半島の平和と安定に資するものであればいいという立場から、韓国や米国と緊密に連絡しながら対応していくという姿勢をずっととってきたわけでありますし、これは中長期的にはこれからもそうなんだろう、こう思います。  ただ、北朝鮮のミサイル発射によって、我々は厳しい、毅然とした対応をとることにいたしました。そして、それぞれいろいろあるわけでありますが、ほかの対応措置とKEDOは若干違う対応をとらざるを得ないのかな、こう思っています。KEDO以外の措置については、伊藤委員考えているほどそう簡単に解除していいものだとは考えておりません。
  123. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 残念ですが、時間になりましたから終わります。
  124. 中馬弘毅

    中馬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十九分散会