○立木洋君 私は、
日本共産党を代表し、
橋本内閣総理大臣問責決議案に対して、賛成の
討論を行います。
最近の世論調査によれば、
橋本内閣の
支持率は
歴代内閣最低の水準で、支持しない率は五割から六割にも上っています。失政と悪政を続け、これほどまでに
国民の支持を失った
内閣が
政権に居座り続けることは、主権在民と
議会制民主主義の根本理念に反します。
総理府の世論調査でも、実に七割以上の
国民が
日本は悪い方向に向かっていると答えています。既に
国民は、
橋本総理に
政治のかじ取りも
経済のかじ取りも任すことはできない、退陣せよとの結論を突きつけているのであります。この大
不況をもたらした上、何ら有効な
対策を講じることができずに、ただ右往左往するのみの
橋本総理の姿を見たとき、これは当然の
国民の声だと言わなければなりません。
以下、
問責決議に賛成する
理由を述べます。
問責決議に賛成する第一の
理由は、昨年、
橋本内閣が
消費税率の五%への引き上げ、医療制度の改悪などによる九兆円もの大負担増を強行し、
日本経済と
国民の暮らしをどん底の大
不況に陥れたことであります。
経済企画庁が十二日に発表した昨年度の
国内総
生産成長率は、戦後
最悪のマイナス〇・七%、
国内総
生産の約六割を占める
個人消費は対前年度比一・二%減と、戦後初めてのマイナス、
失業率も統計をとり始めて以来
最悪の四・一%という、あらゆる指標が
最悪を記録するなど、
経済の混迷と
国民生活の深刻さは未曾有のものであります。
この
不況を一刻も早く打開し、
国民生活の安定を図ることが問われてきたにもかかわらず、
橋本総理がこの間に行ってきたことは、
銀行支援のための三十兆円の税金投入や、ゼネコン支援のための巨大な
公共事業の追加など、
銀行・ゼネコン支援一辺倒のものでしかありませんでした。そして、
国民の六割が
景気対策として最も強く求めている
消費税減税には冷たく拒否しているのであります。
しかも、
景気と
財政の一層の悪化という悪循環に陥るとの我が党の
警告を無視し、貸し渋りの横行、
倒産や
失業の激増など、
不況が深刻化しているそのさなかに、
財政構造改革法、将来の不安を増大させ、逆噴射をかけたのであります。これほどの大失政はありません。ニューヨーク・タイムズが、一九二九年に始まる
世界大恐慌の引き金をつくった当時のアメリカ・フーバー大統領をもじって、フーバー・ハシモトと呼んだのも当然であります。
しかも、
財政構造改革法は、わずか半年後で再改正、一切の聖域なき歳出削減という法律の名目が崩れたにもかかわらず、来年度に限り
社会保障のキャップを外すものの、骨格は変えないという
総理の答弁は、
社会保障など
国民生活を切り捨てる
国民犠牲の仕組みは変えないというものにほかなりません。これはあくまで失政の
責任を回避し、
政権の延命を図る
総理の無定見ぶりを示すものと言わざるを得ないのであります。
賛成する第二の
理由は、
総理が、やらなければならない
財政上の浪費構造には全くメスを入れず、これを温存、
拡大する一方、
国民生活を一層苦しめる逆立ちした
政治を進めてきたことであります。
政府は、
補正予算による建設国債増発に何ら歯どめがないことを利用し、
総合経済対策で三兆五千億円もの
公共事業の
積み増しを行い、
財政構造改革法にうたった
公共事業費の前年度当初比七%削減どころか、二五%増の大盤振る舞いであります。加えて、首都機能移転や六海峡横断プロジェクトなど、超大型
事業を
推進するなどの五全総であります。
ゼネコンの大型
公共事業中心の
経済対策が
不況を何ら
解決せず、
財政破綻の大きな要因となってきたもので、
政府みずからがいわば禁じ手としてきたものであります。従来型の
計画を無反省に繰り返せば、二〇〇五年に
財政赤字ゼロの目標達成どころか、
財政赤字のツケを一層大規模な形で
国民に負わせることになります。国、
地方自治体の
社会保障負担は二十兆円、公共
投資は五十兆円という、欧米に例のない逆立ちした
財政構造をあくまで温存するものではありませんか。
公的資金の投入は住専に限るとしてきた公約を投げ捨て、
銀行への三十兆円もの
公的資金の投入、しかも貸し渋り
対策の資金を投入したまさにその月に、貸し渋り
倒産は過去最高、中小
企業に対する
銀行の貸し出し態度の厳しさはおさまる様子もなく、その
責任が厳しく問われます。
商店街や中小小売店での買い物は地域
経済にも大きな波及効果を及ぼし、地域コミュニティーの核としても大切な役割を果たしてきましたが、大型店の出店ラッシュで大打撃を受けています。
さらには、財界の要請に沿って八時間労働制を崩壊させ、首切り自由やサービス残業を制度的につくり出す労働基準法の改悪は、今でさえ膨大な利益を上げている大
企業のリストラ、合理化を一層大規模に進めることを可能にするもので、労基法改悪の策動はやめるべきであります。このような悪政を進める
総理の
責任は重大ではないでしょうか。
問責の第三の
理由は、憲法の平和原則を踏みにじり、
国家の主権をないがしろにする
世界にも例のない
橋本総理のアメリカ追随の
姿勢についてであります。
日本の防衛とは何の関係もなく、
世界に出撃する在
日米軍の無法な戦争や軍事干渉に、
日本を
国民総動員させる周辺事態法案など、一連の対米支援の軍事法案は、平和的手段によって恒久平和の堅持を
我が国の進むべき道とする憲法の平和原則をじゅうりんし、
日本と
アジアの平和に重大な緊張をもたらすものであります。自治体や民間の力も動員しろというアメリカの注文により全面的にこたえるために、日々の市民
生活、労働者の命と安全にも直接影響する重大問題もはらんでいます。
在
日米軍の行う危険な超低空飛行訓練、夜間離着陸訓練の
繰り返しなどは、
日本防衛のためではなく、アメリカがいつでも遠征出撃できるようにその機能を常時維持していくためのものであります。
また、上官の指揮命令によって自衛隊として組織的な武器の使用を容認するPKO協力法の改正は、海外での武力行使への道であり、平和原則に逆行するものであります。
さらに、インド、パキスタンの核爆発実験が
アジアでの新たな核軍拡競争をもたらし、核戦争の危険を現実のものとする絶対に許されない暴挙であることは明らかですが、
橋本総理がアメリカの核抑止力に依存する立場から、核保有国の核兵器独占を維持する核不拡散体制の堅持を表明し、速やかな核兵器の廃絶について言及しない態度をとり続けていることも重大であります。
我が国は
世界で
唯一の
被爆国であり、核兵器の廃絶と、人類に再びこの惨禍を繰り返さないための特別の
責任があり、
総理の態度は厳しく
批判されなければなりません。
第四の
理由は、
内閣総理大臣の
権限強化によるトップダウン的な
政策の
推進、国の果たすべき
国民へのサービス部門を
省庁再編を通じて民間にゆだねるなど、戦後の
我が国の
社会経済システムを強権的かつ反
国民的方向に全面的
転換を図ろうとしていることであります。
真に
行政改革というのなら、厚生省や大蔵省・日銀汚職など、政官財の
癒着構造にメスを入れ、天下りの禁止、
企業献金の禁止などによって
行政のゆがみを正し、真に
国民に奉仕する清潔な
行政とすべきなのに、これらに一切手をつけない
総理の
責任を不問に付すことはできません。このことをまともに
解決しようとの
意思がないことは、
総理が会長を務めた
行政改革会議の最終報告に一切盛り込まれていなかったことからも明らかであります。
総理に、もはやこれ以上、
日本の
政治を担う資格はございません。直ちに退陣することこそが
唯一の選択であることを最後に指摘して、
討論を終わります。(
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