○齋藤勁君 私は、
民友連を代表して、ただいま
提案されました
沖縄振興開発特別措置法の一部を
改正する
法律案について
質問をいたします。
沖縄県の大田知事は、自由貿易地域の新たな展開、情報通信関連産業の集積促進及び国際観光・保養基地の形成の三分野を重点的に推進していくためには、
税制上の優遇
措置の導入が最も重要であり、国際都市形成に向けた新たな振興策の実現に向けてスタートを切ることになると評価をしていますが、私も本
法案を契機に本格的な振興策が実施されることを期待するものであります。
本
法案に関連して、まずは在日米軍基地に関して伺います。
私は、日本の防衛とアジア太平洋地域における平和と安定に果たす日米安全保障条約の役割を考えれば、
現状では、在日米軍が日本に
一定限度駐留することは認め、
我が国の安全保障に見合うコストを
負担しなくてはならないと考えます。しかし、日本を取り巻く安全保障環境の
変化や軍事技術の
進展、日本独自の外交・防衛努力に応じて在日米軍基地の機能や規模を
見直し、基地の整理、縮小を進めるべく日米協議を行うべきであります。
米軍の前方展開の
基本能力を維持するという
意味で、米第七艦隊及び第五空軍などの海空軍部隊に対する基地提供は当面継続するにしても、海兵隊を初めとした地上部隊に関しては、即応後方配備を漸進的に進め、在留米軍の機能、兵力を削減することが可能であると考えます。
SACO合意は、基地機能や兵力を減らさずに基地を整理、統合しようとする
計画で、基地問題に関する第一歩でしかなく、根本的な解決ではありません。
政府はSACO合意を取りつけることで精いっぱいで、米軍の機能、兵力削減についてアメリカと議論することを避けているように思えます。
沖縄の基地の整理、縮小なくしては、
沖縄振興はあり得ないことは言うまでもありません。もう一歩踏み込んだ基地の整理、縮小について、
総理はどのように考えているのか、
お尋ねをいたします。
次に、日米地位協定に関して
お尋ねをいたします。
私は、つい先日、衆参
議員有志と、
沖縄に次ぐ第二の基地県である神奈川県厚木基地及び逗子市池子の米軍家族住宅、そして横須賀海軍基地を視察するとともに、関係の市長さん方と懇談する機会がございました。大和市長からは、NLP、夜間離着陸訓練に伴う騒音問題、逗子市長からは、住宅建設問題が生じたときに国と地元が交わした約束事項の実現への要望、横須賀市長からは、基地内から検出された異常に高い数値の重金属混入の土壌汚染の問題や基地交付金について等、さまざまな要望や苦悩を訴えられました。
平成九年七月に、渉外関係主要都道府県知事連絡協議会が
政府に提出をした「基地
対策に関する要望書」は、地位協定とその
運用について適切な
見直しと改善を求めています。
例えば、米軍施設・区域において大気汚染法、水質汚濁防止法などの国内法を適用すること、施設・区域の規模や機能を変更しようとする際の日米
政府間協議、地元自治体との協議を義務化すること、低空飛行訓練を含む米軍機の最低飛行高度への国内航空法を適用すること、日本側が第一次裁判権を有する際に米軍関係の被疑者の拘禁、取り調べが支障なく実施できることなどを協定に明記することが挙げられております。地位協定の
見直しについては、昨年の駐留軍用地
特別措置法
改正の際、また、事あるごとに民主党が
政府に求めてきたことであります。
政府は地位協定の
見直しに関し、どのようにアメリカと協議していく考えなのか、
総理に伺います。
また、日米地位協定の第二条三項は、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなつたときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の
必要性を前記の返還を目的としてたえず検討する」と
規定をしております。
例えば、私の地元、先ほども述べました神奈川にある上瀬谷通信所施設や富岡倉庫地区など、私から見れば遊休化しているので当然返還されるべき
土地であり、多くの市民もそのことを望み、跡地の市民利用のプランもあるところであります。
ドイツとアメリカの間で締結されているボン協定は、各施設の使用目的や使用期間を盛り込んだ
計画書の提出が義務づけられていますが、日米地位協定についても、それに匹敵するような
改正が必要ではないでしょうか。
そこで伺います。上瀬谷及び富岡倉庫地区の返還の見通し及び日米合同
委員会の中で、米軍施設について本来の目的のために使用されておらず遊休化をしているのか、積極的に
質問したり
指摘をしたことがあるのか、
総理に
お尋ねいたします。
次に、懸案となっている海上ヘリポートの建設案につき、
政府の姿勢について幾つか
指摘いたします。
第一に、日米首脳間の合意である普天間基地返還に関し、代替ヘリポートの建設地を決定する
責任は
総理にあるのに、地元にげたを預けた
橋本内閣の姿勢は無
責任きわまりありません。移転問題の混乱は、
橋本総理のリーダーシップの欠如に起因すると思うのであります。
三月十二日に普天間基地問題について、大田知事と関係省庁の審議官の間で長時間にわたって行われた協議は、平行線に終わったと聞いております。
沖縄と国との信頼関係がますます希薄になり、溝が深まっていくことを危惧しております。今後の協議をどのように進めていこうとお考えなのか、
総理に
お尋ねいたします。
大田知事はかねてから、
総理と直接協議することを求めていますが、
総理はどうして大田知事に会おうとしないのか、あわせて
お尋ねいたします。問題解決の展望を示せないでいれば、
国民から理解を得られないばかりか、米国との信頼関係も損なわれるおそれがございます。
第二に、情報公開の問題であります。
政府は、キャンプ・シュワブ沖の海上ヘリポート案が最善策であるとして提示をしておりますが、どういう代替案が比較検討され、日米間でどのような話し合いがあったのかなど、最終案にまとまるまでの経過を全く情報公開しませんでした。このような不透明な意思決定プロセスはいかにも中央集権的な発想で、
政府は改めるべきであります。検討経過の中に出てきた他の案についても
総理に
説明を求めます。
また、海上ヘリポートの建設案の安全性、環境や住民生活への
影響、そしてヘリポートの建設費用、維持費用と、それをだれが
負担するかについて、防衛庁長官に改めて
説明を求めます。
次に、本
法案に関してですが、第一に、
政府はなりふり構わぬばらまき振興策でヘリポート建設反対の声を抑えつけ、建設案を地元に押しつけようとしていることであります。
政府は、普天間代替ヘリポートの建設地を決定するに当たって、地元の頭越しには決めないと言ってまいりました。これは
民主主義を尊重しているかのような体裁のよい言葉ですが、
政府の普天間移転問題への取り組み方を振り返ってみると、名護市に海上ヘリポートありきで押し通そうとする
政府の横暴さが露呈されています。
大田知事が二月六日に、海上ヘリポート建設案への反対を表明した際、防衛庁長官は普天間返還凍結を示唆されました。
沖縄開発庁長官は、振興策は基地問題とリンクするとし、本
法案の提出を見合わせるかもしれないと
発言されました。その二日後、名護市長選で基地反対を主張した玉城氏に岸本氏が勝ったのを受けて、
政府の態度は一転しました。
沖縄開発庁長官は、参議院本
会議で、国益、さらには国策に御協力いただいた場合には、当然、
予算の傾斜配分等があってしかるべきだと答弁され、十三日には本
法案が閣
議決定されました。金をやるから基地を受け入れろという姿勢は、地元の意思を全く無視したやり方で、振興策と基地問題は切り離して考えるのが当然であります。
また、
政府が昨年十一月に打ち出した
沖縄県北部振興策は、
沖縄が海上ヘリポートを受け入れる入れないにかかわらず実施すべきだと考えますが、この点につき、
総理と
沖縄開発庁長官の見解を
お尋ねいたします。
第二に、
法案が提示する
税制措置など一連の政策でどれくらいの
減税効果があり、その結果として
沖縄の地場
経済や雇用にどの
程度影響があると見込んでいるのでしょうか、
沖縄開発庁長官に
お尋ねをいたします。
最後の
質問になります。
沖縄問題の解決に向けて、これまでさまざまな議論が行われてきました。
沖縄独立論、特別自治地域構想、
沖縄自治州構想、特別県制構想など、さまざまな制度論が提起をされ、新たに地方分権を徹底した
沖縄自治
政府構想が話題となっております。
今、
沖縄自立の
基本戦略は、
沖縄県によって九六年に策定された二十一世紀
沖縄のグランドデザインに明確になっています。そこには、平和、共生、自立を
基本理念に、アジア太平洋地域における新たな地域間協力、国際都市形成構想が打ち出されています。私は、国のあり方を分権の方向に大胆に変える道筋を示しながら、
沖縄県民が主体的に打ち出した振興策を尊重し、実現していくべきと考えます。
経済の自立的
発展と自己決定の仕組みは、車の両輪のごとく不可分のものであります。
沖縄の歴史を踏まえつつ、新しい分権社会という未来を見据え、その実現を目指すプロセスの中で、分権日本のパイロットケースとして位置づけ、環境整備を大胆に行う必要があります。こうした方向での
沖縄自治
政府構想について、
総理の未来に向けた展望がおありかどうか、伺いたいと思います。
沖縄の青い海、美しい自然は日本の宝だと言えましょう。基地の整理、縮小なくして
沖縄の振興策もありません。長年基地の過剰
負担に苦しんできた
沖縄の痛みを重く受けとめ、継続的な取り組みを行うよう
総理に要望して、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣橋本龍太郎君
登壇、
拍手〕