○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。
それでは、私の方からも幾つか今回の
法案について御質問させていただきたいと思います。
実は私、議員になる前にこの問題はかなり個人的には関心を持っておりました。といいますのは、長年労働組合の役員をやっていたものですから、以前から、特に
日本企業の
海外駐在員が増加し始めました
昭和五十年代ぐらいから
年金の問題というのは私たちの間では結構大きな問題になっていました。
以前は、例えば駐在している間に
日本国内の
年金資格を失うとかいろいろな問題があったんですが、そういうものが順次改善されてきまして、今回初めて
ドイツとの間でいわゆる二重払いの防止等の通算
協定ができたということは、基本的には大変歓迎すべきことだというふうに思っております。
ただ、今申し上げたような私の経験から申し上げますと、先ほど来御議論ありましたように、かなりこれは遅きに失したんではないかという思いを一方では大変強く持っております。例えば、サミット等に加盟しております欧米諸国を見ましても、ほとんどのヨーロッパ諸国それから
アメリカ、カナダともこれら相互の間では、大体私もずっと資料を見ましたけれ
ども、一九五〇年代から六〇年代、遅くとも八〇年代までにはそれぞれ同様の
社会保障協定的なものを締結しております。
日本の場合には、特に
ドイツとの間では、
昭和四十年代から
話し合いを進めてきてやっと今回できたと。この労は多としながらも、やはりいろいろと反省すべき点もあったんではないかな、こんな思いもするわけであります。特に、表面的な見方かもしれませんが、ずっと経過を見てみますと、例えば
ドイツとの
話し合いも、一時進んでいたんですが、
ドイツの方の
制度改定によりこの二重
適用が一部免除となって、それから
協議が余り進んでいないとか。
それから、これは以前に
厚生省がいろいろ国会で答弁されているものを見ましても、
アメリカを例に挙げますと、やはり一時、
昭和五十四年から
協議したのが
年金財政の問題で中断をしていた。ただ、
日本の
保険料負担が最近高くなってきて、
アメリカの方からもこういう申し入れがあって
話し合いが進み始めたというようなことも、これは
平成八年に答弁されています。
イギリスでいいますと、従来
イギリスの
年金というのは本人
負担だけだった。ところが、
イギリスの方で
制度改正があって、
事業主負担が新たに発生した。現地の商工会議所等が英国政府に働きかけた結果、こういう
話し合いが進み出した。こういう経過のようなんです。
したがいまして、これらを見るとやはり、さっき相手があることだからという
お話が盛んにあったんですが、どうも我が方も相手がテーブルに乗ってくるようなことが起きるまでは積極的ではなかったんではないかな、こんな印象を率直に言って持つんです。
一方で、
昭和五十九年に当時の渡部厚生
大臣が、やはり国会でこの問題が議論になったときに、これは
我が国が
海外赴任者の立場に立ってこういった問題を解消していくというのは政府として大きな使命である、こういう言い方をされて、国会が終わったらすぐにでも私自身が
話し合いをしたいというふうなことを答弁されているんですけれ
ども、どうも
大臣のいわゆる大きなお気持ちと事務当局との
話し合いというのはかなり開きがあったんではないかなと、率直にこういうふうに思っております。
一つはこういった点を踏まえて、できるだけこれから
関係国とも早く同様の
協定を結んでいただきたいと思っているんですが、反省すべきあるいはこれからこの経験を踏まえて課題としてお持ちになっておられるようなことがあればお伺いしたい。
それから、外務省にお伺いしたいんですが、特に外交
交渉の場合、
日本側といいますか、我々の方にはかなり強いニーズがあるんだけれ
ども、相手にそういうニーズがないといいますか、必要性がないとなかなか二国間の
話し合いというのは進みづらいというのはよくわかるんですけれ
ども、やっぱりこの種の外交
交渉というのはそういうものなのかどうか、ちょっと率直な御見解をいただきたいと思います。
それから、外務省にもう一点だけお伺いしたいんですが、例えば、アジアの国は別にしますと、欧米諸国というのは大体同じようにどの国も
年金制度を持っていますから、例えばG7の間でとかマルチでこういう
話し合いというのはできないものなのかどうか、この点もちょっと御見解をお伺いしたいと思います。