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1998-05-19 第142回国会 参議院 国土・環境委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月十九日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      馳   浩君     上杉 光弘君  五月十三日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     永田 良雄君      堂本 暁子君     奥村 展三君  五月十四日     辞任         補欠選任      菅野 久光君     北澤 俊美君  五月十五日     辞任         補欠選任      北澤 俊美君     小山 峰男君  五月十八日     辞任         補欠選任      小山 峰男君     菅野 久光君      泉  信也君     高橋 令則君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         関根 則之君     理 事                 岩井 國臣君                 上野 公成君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 太田 豊秋君                 鴻池 祥肇君                 清水 達雄君                 鈴木 政二君                 永田 良雄君                 岡崎トミ子君                 菅野 久光君                 荒木 清寛君                 赤桐  操君                 高橋 令則君                 奥村 展三君                 山崎  力君    国務大臣        建 設 大 臣  瓦   力君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  亀井 久興君    政府委員        国土庁土地局長  生田 長人君        建設省都市局長  木下 博夫君        建設省住宅局長  小川 忠男君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        農林水産省構造        改善局計画部地        域計画課長    武本 俊彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○都市計画法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○都市開発法及び都市開発資金の貸付けに関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○国土利用計画法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○連合審査会に関する件     —————————————
  2. 関根則之

    委員長関根則之君) ただいまから国土環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月十二日、馳浩君が委員辞任され、その補欠として上杉光弘君が選任されました。  また、去る十二日、上杉光弘君及び堂本暁子君が委員辞任され、その補欠として永田良雄君及び奥村展三君が選任されました。  また、昨十八日、泉信也君が委員辞任され、その補欠として高橋令則君が選任されました。     —————————————
  3. 関根則之

    委員長関根則之君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  都市計画法の一部を改正する法律案都市開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、来る五月二十一日午前九時から、日本経済新聞社論説委員都市計画中央審議会委員井上繁君、法政大学法学部教授五十嵐敬喜君、関東学院大学経済学部教授岩澤孝雄君及び千葉商科大学商経学部教授伊藤公一君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 関根則之

    委員長関根則之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 関根則之

    委員長関根則之君) 都市計画法の一部を改正する法律案都市開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 上野公成

    上野公成君 自由民主党の上野公成でございます。  きょうは、三法でありますけれども、秋は都市計画法を主に質問させていただきたい。後で同僚議員岩井議員からまた質問をさせていただきたいと思います。  都市計画問題点といいますか、これからの都市計画あるいは今までの都市計画法問題点について、きょうは都市局長といろいろ議論させていただきたいので、最後に大臣から感想そして今後の方向をいただきたいというふうに思っています。  それで、最初に、大正にできました片仮名の都市計画法を四十二年に改正して今の法律ができたわけでありますけれども、その当時の状況と現在の状況というのはかなり違っているんじゃないかということが一つであります。そして、どうも都市計画というのは往々にして、法律に基づいた規則があるのはいいんですけれども、そのもとにある経済というものがなかなか反映されていないんじゃないか、都市計画には経済観念というのがないんじゃないかということさえ思うわけであります。  都市というのは、経済活動の結果、大都市集中してくるということが起こるわけでありますから、必ず都市成長とか都市活動というのは経済に全部基づいて行われているわけであります。ですから、いつでも都市計画というのは、そのときそのときの経済状況を本当に反映できるような都市計画になっているかどうかということが一番大事な問題だと思うわけでありますけれども、何かそういうところが少し薄いんじゃないかなというふうに思っております。四十二年の都市計画法改正された当時というのは、オリンピックの後で非常に経済成長の著しい、都市人口集中が著しい、そういう時期の法律だと思うんです。そういう法律が果たして今の経済状況、むしろ経済活動を活発にしなきゃいけない、活性化していかなきゃいけない、そういう状況に本当に対応しているかどうかということであります。  そういう経済状況基本に、都市計画として都市集中状況、その他四十三年のときと今の状況をどういうふうに認識しているか、まず都市局長認識をお伺いしたいと思います。
  7. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) まず、一般的な感じを申し上げますと、やはり先生がおっしゃられたように、私は制度というのはその時代時代によって変化するものであろうと思っておりますから、そういう適時適切な対応をしていくというのは行政の立場にある者として常に念頭に置かなきゃいけないと基本的には思っております。  そういう中で、ただ都市計画は、この後いろいろ先生から御質疑があろうと思いますけれども、やはり時間もかかるテーマでございますので、制度としての硬直性は極力我々も排除していかなきゃいけないと思っておりますが、片や都市計画制度の持つ性格というのも念頭に置きたいと思っております。  御質問は、都市計画法昭和四十三年に改正された当時と現時点でどうかという御質問でございます。大まかに申し上げまして三十年余りの時間がたっておるわけでありますが、当時は申し上げるまでもなく全国的に人口が急増して、かつ三大都市圏へ人なりあるいは産業集中していったわけでございます。  多少おさらい的になるかと思いますけれども、昭和四十年から四十五年の人口動態を見てみますと、五年間で約五・五%伸びている。かつ、いわゆるDID地区と言われています人口集中地区の総人口に占める割合が、当時四十年から四十五年の五年間に四八%から五四%近くにふえておりまして、その後もこういう傾向は続いておるわけでございます。産業においても同じような傾向があろうかと思います。  それでは、最近はどうかといいますと、定性的に申し上げますと、全国的な人口が横ばい近くなってきておりまして、厚生省等推計を見ますと、これはいろいろ推計の仕方があろうかと思いますが、二〇一〇年前後には日本の人口一つのピークを迎えるというようなところでございましょうし、それ以降は当然減少過程に入ってくると予測されております。とりわけ最近の状況だけで申し上げましても、三大都市圏への人口流入というのは完全にとまってきている。特に、大阪圏などはそういう意味では人口流入がマイナスになっているというのも顕著な傾向ではなかろうかと思っております。  そういうような人口動態、あわせて産業状態などを見まして、我々は今日的状況の中で都市政策なり都市計画制度というものを改めて点検し、抜かりのないような対応をしていかなきゃいけない、こう思っております。
  8. 上野公成

    上野公成君 今、人口の結果ということで二つの時期を比べていただいたわけでありますけれども、相当状況変化しているんです。  一つは、都市計画がこういう結果だからこそ経済活動がやりにくいということも実はあるわけでして、そういう中で三十年近くたっているわけでありますけれども、この三十年の中でもその都市計画ではなかなか対応できないということで、特に大都市の中で容積率を緩和するとか、これも何回か改正が行われてきたんです。何かに対応して改正を行う、また次の変化に応じて次の改正を行うということがかなり何度も行われてきたんじゃないかなというふうに思っておりますけれども、もうそろそろそういう対応じゃなくて、もうちょっと抜本的な今の時代に合った、今の経済は非常に苦しい状態にあるわけです。すべて経済活動というのは、一次産業、二次産業、三次産業、全部土地の上で活動が行われるわけであります。  その土地活動、この都市計画というものが基盤になって行われるわけですから、もう少し経済活動が活発になりやすいというような視点が、むしろ四十三年の改正人口が本当に都市集中してどうしようもない、それを何とかうまく誘導しないと公共施設も何もないという時代とはちょっと違うんじゃないかなというふうに思っておるわけであります。今局長からも多少前向きとも思われる御答弁もあったわけでありますけれども、やはりこういう部分的な対応、部分的な改正ということではなかなか今の問題には対応できないんじゃないか、先ほどのお答えと重なる部分があるかと思います。  ただ、今すぐやれと言ってもこれは無理ですから、今回の改正大変意義のある改正だということで、誤解をされないようにそのことだけは申し上げておきたいと思います。こういう今日的な経済活動を活発にしなきゃいけないというような時期に、このままの都市計画法、今のままの基本、根幹ではなかなかできないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  9. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先生が言っておられますように、部分的な改正を幾つかこれまでも三十年の間にしてまいりました。主として、それは制度というよりは事業そのものがやりやすくなるように、あるいは国民に都市計画制度そのものをわかりやすくするような工夫をしてきたつもりでございます。  今回も既に趣旨説明等で申し上げておりますが、一つは、やはり時代の中で、先生が言っておられました経済的感覚ということも込めておりますが、それ以上に地方分権なりあるいは身近なところで都市計画がつくられるという用にいささかでも役立つというような観点で法律案をお願いしておるところでございます。  現在の時代は、繰り返しになりますけれども、私たち何度か大臣の所信などでも御報告させていただいていますが、時代認識としては、先ほど来申し上げましたような人口の増大がほぼ安定してきた、あるいは地域間動向も見えてきたという中で、それぞれの地域が個性のある町、加えて大変国民的には多様なニーズを持っているわけでございますから、そういうものに対応するような都市計画制度というのを我々は構築していかなきゃいけないと思っております。  そのときに、特に既成市街地におきまして大変土地利用が周密でありますし、それから言うまでもないことでございますが権利関係もなかなか錯綜しておりますので、こういう中でいろいろ難しさも伴ってくると思いますが、都市整備町づくりをやっていかなきゃいけないという認識を持っております。  今回の改正はいささかなりともそういう意味でのものにも貢献していくんじゃなかろうかと思っております。特に特別用途地区についてはそういう感覚を持っておりますが、全体的には先と言っておられましたように、この際やはり大都市圏あるいは地方圏問題点をもう一回摘出してみて、現行の制度のいわば足らざるもの、あるいは時代に合ったものをこれからさらに組み立てていくという意味では、今、都市計画審議会などでもいろいろ御論議いただいておりますが、行政にある身としてその辺については判断を過たないようにしてまいりたい、こう思っております。
  10. 上野公成

    上野公成君 この問題は、時間があったらまたやらせていただきたいと思います。  少し具体的な問題に入りまして、やはり四十三年の改正の一番の目玉というのは何といっても線引きですね。調整区域市街化区域と、都市計画区域はそうですけれども、市街化区域市街化調整区域というものを設定したということなんです。これは通告した順番と違うんですけれども、最初にわかりやすい議論をしてもらうために実例について少しお話しさせていただきたいと思います。  私はことしの夏が選挙なものですから、群馬県じゅういろんなところへ行って、それでいろんな問題、こんなことがあったのかという問題が非常に多いんです。  実は、玉村町という町があります。これは、前橋市と高崎市と伊勢崎市の三つの市に囲まれているわけであります。全体でその周辺三つの市というのが合計しますと六十万から七十万人です。その真ん中にある町なんです。これはたしか平成三年に線引きをしたんです。これはバブルがもうおさまるころに線引きをしたわけでありますけれども、その後の結果を見ますと、大変これは異常な現象というような形になっているわけであります。  玉村人口線引きをしたときが何人ぐらいであったか、今、平成十年は何人であるか。それから、できれば市街化区域人口市街化調整区域人口平成三年そして平成十年とどれだけあったかということをまずお伺いしたいと思います。
  11. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) これはむしろ先生の御地元でございますから私は正確にお答えしないといけないんですが、事前にもちょっと御質問があったので地元にお尋ねして、手元にあります数字を多少御報告がてら申し上げさせていただきます。  お話がございましたように、群馬県の玉村というのは地勢的には周辺前橋とかあるいは伊勢崎あたりの影響を大変大きく受けているところであるということをまず前提として私は認識しておりますが、平成三年の人口が二万五千百五十八人ということで、平成十年は三万六千三百二十二人でございますから、差し引きいたしますと、単純に七カ年で約一万一千百人余りふえております。  市街化区域調整区域という区切り方はなかなか人口動態を押さえるのが難しゅうございますが、一応の推計なども含めて地元で作業をしていただいた中では、市街化区域はその一万一千百人余りの中の六百人、それから調整区域については一万六百人ぐらいというのが概数でございますけれども、状況でございます。
  12. 上野公成

    上野公成君 市街化区域で六百人しかふえていないんです。市街化を調整する区域で、これは推計ですけれども、実に一万六百人ということなんです。  何でこんなことになったか。市街化調整区域というのは開発をしない区域なんですけれども、そこで一万六百人という人口がふえているわけであります。これは既存宅地という制度がありまして、市街化調整区域ができるというので殺到して既存宅地というものを認めたわけであります。  平成三年までに既存宅地で認めた件数はおわかりになりますか。
  13. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 平成三年から九年まで全部合わせまして、したがってこれは九年度末の数字でございますけれども、二千四百八十六件が既存宅地として認定されております。
  14. 上野公成

    上野公成君 調整区域でどんどん人口がふえて、市街化区域はほとんど人口がふえない。  これはこういうことなんです。要するに市街化区域というのは地価が高くなるんです。これは前橋市でも高崎市でも伊勢崎市でもちゃんと都市計画をやっていますから、その一番近いところは調整区域になっているんです。距離からいいますとそんなにないものですから、玉村の、市街化区域は値段がそちらの方が高いということで、その既存宅地に大変な勢いで住宅が建っているわけです。  私もよく行くんですけれども、三十戸とか四十戸の新しい建て売りの団地がいっぱいあるんです。これは調整区域がどうかと聞くとみんな調整区域だと言うんです。それでその結果が、大体今の市街地状況を見ると市街化区域調整区域とが見分けがつかない、地図を見た限り。そういうような状況になっているんです。  それで、本来の趣旨からいうと、公共施設がどんどん追いつかないからそれを計画的に整備して、公共施設をやったところに住宅が建つ、事務所が建つようにするためにこうやったんですけれども、その結果は全く違うような状況になってきておりまして、そしてその結果、高崎に行くのにも前橋に行くのにも伊勢崎の方に行くのにも物すごい渋滞なんです。そして、橋がとにかく渋滞してにっちもさっちもいかないというような状態になっておりまして、どうも都市計画法最初に定めた趣旨とは全く相反するような結果になっております。ちなみにこの七年間で新しい道路は何にもできていない、橋もできていない。今は少し橋を建てかえを、少しかけ始めたところはあるわけでありますけれども、これは非常に極端な例じゃないかと思うんです。  もう一つ違うところがありまして、これは伊勢崎市の北の方、前橋からちょっと離れているんですけれども、東村というのがあるんです。これは都市計画をやっていないんですけれども、ここへ行きますと、地価も安いということもあるんですけれども、非常に大きな家がどんどん建っているんです。悪い都市かどうかということになると、自然に発生して自然に成長しているからそちらの方がよっぽど健全であるというような皮肉な現象なんです。それで、こういうことは素直にもう少し考えてもらった方がいいんじゃないかなというようなことで御紹介させていただいたわけであります。  そして、町会議員の方と随分懇談したんですけれども、もう町ではどうにもできないわけです。都市計画のやり直しをしてくれという要望が強いわけですけれども、都市計画になかなかそういう弾力性がない。しかも、これは県知事の権限でありますから、町としては何の手も出しようがないし、それで問題ばかりが生じているし、既存宅地のところをとった人はいいんですけれども、そうじゃない人のところは開発調整区域開発できないから、そういう不公平も生じているわけでありますし、本当に町の行政の中で大問題になっているわけであります。  何でこういうことになったのかというと、平成三年に平成十年の様子を予想しろといってもこれはなかなか難しいんです。ですから、やはりもう少し変更のあり方というか、変更の仕方というのをもうちょっと弾力的にすべきじゃないか。今、保留フレームなんというのがあることは承知しているわけでありますけれども、線引きは五年で更新だというようなことが原則、一度設定した都市計画というのは、先ほど局長都市計画には都市計画の論理があるとかというようなことも少し言われたんですけれども、なかなか変更がしにくいというようなことになっておりまして、今御紹介したような非常に急激な都市変化には全然対応し切れていない。もうバブルがおさまって、ほかが全部おさまっているのに、こういうような非常に不思議な現象といいますか、そういうものができているわけであります。  これは最初に、経済を反映しているのが都市計画だと、なぜこんなことを言ったかといいますと、土地の問題についても、地価が随分値上がりしました。そして、監視区域なんかをやったんですけれども、きょうは国土庁への質問じゃないんですけれども、これは随分おくれたんですね、監視区域の指定も。それから外すのも随分おくれたんです。ですから、こういう地価の問題だとか、これは高騰したらすぐに手を打って、それでおさまったらすぐに自然の形に戻してやるということが一番いい姿じゃないかと思うんです。  それと、その都市計画もやはり経済活動に基づいて町ができるわけですから、町の発展というかそういうものには問題があったら迅速に対応する、地価対策と同じような精神というのが一番必要なんじゃないかと思うんです。監視区域をもう早くやめたらいいというのは、私もこの委員会国土庁に何度言ったかわからないんです。清水先生も何度言ったかもわからないんですけれども、これは高熱の人がいるのに何にも熱を下げないで、もう平熱になったところで解熱剤をやって、平熱以下になっているのにまだ解熱剤をやり続けると、そういうような状況なんで、都市計画はそんなことにならないようにするということをぜひ心がけていただかなきゃいけないということであります。  そして、なかなか都市計画地方公共団体職員がやりたがらないという原因は、これは知事決定ですけれども、建設大臣の承認といいますか認可ということになっているわけです。これは旧法では建設大臣が、当時は内務大臣だったでしょうけれども、直前までは建設大臣都市計画決定をする。それを都道府県知事決定権者にしたということでありますけれども、認可ということをそのままにいきなり大臣から知事へ無条件にというのは、その当時としてはちょっと不安があったということがあると思うんですけれども、認可というのを入れました。特に、今はかなりよくなっていますけれども、改正された当時は、公共団体職員余りにも建設省に行っていろんなことを言われたりするので大変嫌になっちゃっているということがずっと続いて、今は非常にいい状態ですからそれは断っておきますけれども、皆さんの先輩がそういうことをずっとやってきたわけであります。  その結果どういうことが起こってくるかというと、公共団体都市計画をやっている人はもうちょっとやりたくないという感じなんです。なかなかそういうことをやりたくないという感じなものですから、やはりもう少し経済観念を持って、土地経済の一番の活動の基礎でありますから、弾力的にやっていくということもあるし、やはり弾力的にやるためにはもう少し都市計画変更がやりやすいという、雰囲気といいますかそういうことをつくっていかないとなかなか対応できないんじゃないかと思いますけれども、都市局長、いかがでしょうか。
  15. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先生の御地元の実態を踏まえた御質問でありますから、私もそれぞれについて特に反論する気は全くございませんが、多少言いわけをさせていただくと、ここの地域について私も御質問があるということで少しは状況だけを把握しております。  細かくなりますが、その昭和四十四年にそもそもこの玉村につきましては玉村全域都市計画区域に指定されておりまして、その後、首都圏整備法等に基づきまして昭和四十八年に前橋高崎都市開発区域に入れられ、それでかつ昭和五十一年に線引き対象市町村に入れられたというプロセスといいますか段階で、そこでその後、先生質問があったように平成三年でございます。  何を私が申し上げたいかと言いますと、そういういわば線引きまでにかなりの時間が経過しておりますので、多少言葉を選ばずに申し上げますと、やはり駆け込み的な開発があったことは間違いないわけでございます。では、その駆け込みのあったところについて市街化区域調整区域線引きをどうして、そのとき例えば市街化区域の中に今話題になっております地域なんかも含めて入れるべきではなかったのかということについては、現時点においてもう一度将来に向かってのための議論は私はそれなりに意義があると思いますが、そういう中で大変人口変化なんかも先生お話のあったようなことで、一つはこの線引きの難しさというのを御指摘いただいたわけでございます。  私、今先生のお話を伺っていて三つぐらい思っておりますのは、一つは、やはり制度そのものが非常に硬直的であるかどうかという視点も確かに我々見直さなきゃいけないんですが、そのつくった制度が適時適切に動いていないじゃないか。これはお話のあった建設省の責任も多少あろうか、多少ではいけないのかもしれませんが、関連しておると思います。やはり何といいましても都市計画制度昭和四十三年、繰り返すわけでありますが、地元にかなり権限を思い切って旧法時代からおろしておりますが、そのときに地元がそれに十分対応し切れないうちに制度が動き出したときのいわばタイムラグといいますかギャップがそれなりに今日にも影響していることも否めないわけでございます。加えて、都市計画区域の特に市街化区域に入れたところについてはしっかりとしたインフラ整備をすべきであろうと思いますが、このインフラ整備のための予算等が必ずしも十分でなかったということも今日的に言えば大変都市問題をより深刻化しているところがあろうと思います。  いずれをとっても、これはまた我々これからもさらに引き続き取り組んでいかなきゃいけない課題だと思っておりますが、先ほど来お話のございましたように建設省のいわば指導等が大変強くて、それが結果的に都市計画をじかに担当する地元公共団体に対していささかでも影響があったとすればそれについてはさらに工夫しなきゃいけませんが、御質問の中にありましたように最近は少しは改善されているというお話をいただきましたので、これは決して私たちそのことについては自画自賛する気はありませんが、今回の改正につきましても、できるだけ地方分権という姿勢の中で、しかし一方では地方分権したときに公共団体のそれぞれ実力に相当の開きがあることもまた否定できないわけでありますから、そういうものに対して新たないわば我々としての対策もあわせてやっていくことによって都市計画制度がより地元に密着した形で生かされることであろうと思います。  ちょっとお答えになったかどうかわかりませんが、そういうつもりで仕事をしていきたいと思っております。
  16. 上野公成

    上野公成君 私が言っているのは、むしろ弾力的に運用しなきゃいけない、経済活動に合ったようにしなきゃいけないということであります。どうも地方公共団体職員のマインドというのがそういうふうになっているんじゃないかということ、これは担当している人からも、よく話をしますから、そういうことがありますので、なるべくそういう状況じゃないようにということであります。  仮にこういう玉村みたいな、玉村というのは極端な例だと思いますけれども、どこでもかしこでもこんなふうになっているんだったら、先ほどの東村の例と比べると都市計画はない方がいいんじゃないか。これは全体にない方がいいという意味じゃなくて、地方のそういうところでは都市計画法は要らないんじゃないかなというようなことを真剣に考えざるを得ないようなこともありますので、やはりこのことは前向きに考えていただきたいということで、答えは要りませんけれども、そういう一つの参考にしていただきたいと思います。  それからもう一つ、先ほどからたび重なるいろんな改正をやられてきたということでありますけれども、まさに経済を活性化するために土地の有効利用のために都市計画容積率、さまざまな緩和制度を創設してきたと思うんです。特定街区その他ずっと幾つかの容積率を緩和した制度ができたと思うんですけれども、その制度の創設された年と制度の内容、これはごく簡単で結構ですけれども、それと今日まで何年間にどれだけの実績があったか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  17. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) お答えする前に、先ほど若干私の答弁が抜けていたかもしれませんが、おっしゃられたように都市というのは経済で象徴されると思いますが、とりわけ今日的にはさらにそれがいろんな分野、いろんな分野と申し上げますのは文化とかあるいは環境とかそういうものを含めてこれも大きな意味での経済活動だとは思いますが、そういう意味での総合性ということを心がけなきゃいけないかと思っております。そういうつもりで先ほどからお答えをしたつもりでございますが、若干先生がおっしゃられたような弾力性といったものについてのお答えが足りなかったところはあれでございます。  それで、御質問のありました容積率緩和等のことでございますが、昭和三十六年に特定街区制度が設けられました。以下それぞれございますが、代表的なものに限ってというお話でございましたので、かいつまんだお答えで御容赦いただきたいと思います。この特定街区の場合は、御案内のとおり当時の建築物のいわば絶対高さ制限の除外ということを行う街区として創設されたわけでございまして、その後制度が変わりまして絶対高さ制限の廃止などがございましたので、現在は容積率の特例を中心としたものになっておりますが、今までに約百三地区が活用されております。  それから、昭和四十四年になりますけれども、高度利用地区、これは最近では昨年の十二月に東京都の中央区、特に銀座かいわいのお話が話題になりましたけれども、機能更新型高度利用地区というのを昨年制度的には創設させていただきましたが、そのいわばベースになっておりますのが昭和四十四年、都市開発法の制定時に土地が大変小さい狭小敷地におきましての建て詰まりを防止するための土地の高度利用制度を創設したものでございますが、これは今までに約六百四土地区、面積にして約千四百ヘクタールぐらいが指定されております。  それから、昭和六十三年に地区計画に関しまして再開発地区計画というのを制度として創設しておりまして、これにつきましては工場跡地などが当時いろいろ土地利用の上で再開発を促進するという要請が大変強くなっておりましたので、公共施設の整備と具体の建築計画に応じた建築規制を柔軟に扱っていく制度として再開発地区計画を設けまして、現在までに百地区が指定されております。  最後に四番目でございますが、高層住居誘導地区、これは昨年の法案等でもいろいろ御案内いただきましたが、大都市地域におきまして都心居住を進めるということで、従来混在系の用途の中で比較的住宅系が押しやられておりましたので、一定割合以上の住宅を供給する建築に対して容積率の緩和をいたしまして、現在、東京都の区部とかあるいは大阪市において地区指定の準備を急いでおりまして、近々指定が行われると思いますが、現在またこれは準備中というところでございます。  以上概要でございますが、御報告させていただきました。
  18. 上野公成

    上野公成君 高度利用地区というのは、これは再開発事業をやるために今までは再開発の地区指定をするのと一緒にあわせてやってきたので、高度利用地区だけで指定するということは余りなかったので、これは再開発と同じで六百四十件ということがあるわけですけれども、その特定街区は百三件しかないんです。これは、都市計画決定が先ほど公共団体の方でやりたがらないというか、なかなかやってくれないということでこういうことになっているんじゃないかと思いますけれども、昨年できた制度はまだ準備中だということでありますし、再開発地区計画も十年で百件ぐらいであります。  その一方で、五十一年に総合設計制度というのができている。これは特定街区と実質同じようなことをやれるんです。これは都市計画決定が要らないわけですけれども、実質同じようなことをやるんです。これは実に千六百件の実績があるんです。違ったら後で、同じだったらいいですけれども、違うということであればまた計数を答えていただければいいと思うんですけれども、何でこんなに差ができてくるということは、これは都市計画のサイドとして少し反省してもらいたいといいますか、これは公共団体の方が、国が幾ら都市計画法を変えて経済活動ができるような制度をつくっても、やはり都市計画をやっている地方公共団体の方のマインドが、私がさっき言ったような原因ばかりじゃないと思いますけれども、いろいろな姿勢でもあると思いますけれども、なかなかうまくいかない、数が非常に少ない。  特定街区と総合設計制度が一番極端な例だと思うんですけれども、この辺のことについて、どういうのが原因で数が少ないし、どういうふうに局長認識しているのかということ、そしてどういうふうに改善していったらいいかということについて御答弁いただきたいと思います。
  19. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 総合設計制度につきましては、先ほど先生は千六百件余とおっしゃられましたけれども、多少私たちの方で持っております数字があれですが、これはむしろ多い方で申し上げた方がいいと思います。平成八年の末ですから若干古うございますが、千八百二十六地区ということで、これは昭和四十五年から創設されまして動いているわけでございます。  おっしゃられたように、ある程度一定の空地を編み出しながら都市の改造をしていくという意味では、確かに特定街区の場合であっても総合設計の場合でもそのいわば政策的目的といいますか、そういうものにおいて類似するところがあるという認識は私も持っております。  ただ、特定街区の場合には、こう申してはあれですが、総合設計がある程度敷地を念頭に置いて、小規模とも申し上げませんけれども、ベースからいきましても、たしか全体的に五百平米以上の制度ということで比較的小ぶりの地区を対象にできる、もちろん大きなものもできるわけでございますが。一方では、特定街区は名前のとおりそれなりの街区を念頭に置きながらやっていく制度でございますから、当然周辺に与える権利関係もより影響が大きいという認識のもとに、手続的には都市計画決定等の手続に載せておりまして、案の縦覧とか審議会の付議などをかける関係で確かに手続についてはなかなかシビアであろうということは言うまでもないことであります。  ただ、念頭に置かなきゃいけないことは、私たちこういう制度については、おっしゃられたようにできるだけわかりやすくて使いやすくてということは当然でありましょうけれども、一方では、都市のそれぞれのファクターを構成するこういう事業なりが関係者にも大変いろんな意味での影響を与えるわけですから、その際の権利関係を中心といたしましての整理は慎重にあらねばならないと思います。  ただ、活用されるかどうか、もう一つ制度の面ももちろんでありますが、さっき先生おっしゃられたように担当者として使いやすいということによるインセンティブをどう与えるかあるいはそれは使いやすさだけじゃなくて他の税制とか融資とか、そういうものを含めての制度的な補強もやるべきであろうと思います。全体的に私は、確かに地区数においては格段の差がございますけれども、念頭に置いておりますいわば計画なりの規模全体が少し両者においてそれぞれ異なりますから、それに伴う制度的な簡易なものと都市計画できっちりするところとの差が影響しているんじゃなかろうかと思っております。
  20. 上野公成

    上野公成君 小さいから数が多いということもあるんですけれども、やっぱり大きなものでもできるわけです。  それで、余り具体的なところの名前を言うのは差し支えがあると思いますので、他府県のことにもわたるので言いませんけれども、公共団体によってかなり積極的に受け入れているところと非常にネガティブなところというのも、これは資料を出してもらえばわかるんですけれども、かなりありますから、これは公共団体職員だけじゃなくて首長の考え方にもよるかと思いますけれども、なかなか都市計画法改正して建設省が本当に一生懸命やっても実際は何にもならないというか、本当に数が少ないというようなことでありまして、我々もこの都市計画法を審議しているのはいいんですけれども、せっかく皆さんで苦労して審議した結果、余り実績がないというんじゃ審議のしがいもないわけでありますから、やはりもう少し、せっかく法律をつくったわけですから、その精神でどんどん活用していただくということが必要なんじゃないかと思います。  そこで、先ほどもちょっと触れましたけれども、都市計画決定権者が旧法の場合は建設大臣だったわけです、直前は。それで新法は原則知事知事と市町村長というふうにあるわけですけれども、旧法ではなぜ建設大臣都市計画をつくっていたのか。そして、新法ではなぜ都道府県知事なのか。変更の理由というか、その辺をどういうふうに考えていたのかということが一つ。それから、いずれにしましても知事の場合も建設大臣認可がいるわけでありますし、市町村長の場合も知事の承認というのが必要なわけでありますけれども、何でこういうことが必要なのかということについてお伺いしたいと思います。
  21. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 御紹介のありましたように、確かに旧法時代都市計画区域都市計画決定はすべて主務大臣決定するということになっておりました。新しい制度については改めてくどく申し上げるわけではないんですが、基本的には地方公共団体決定するという姿勢になっておりますし、昨今の地方分権推進委員会などで指摘を受けておりまして、さらにその範囲付より地方へ、地元へという姿勢の中で我々も改正に取り組んでおるわけでございます。  御質問の何ゆえかということについて、これは私も当時の提案理由説明なども若干読み直してみたんですが、改正の理由は書いてございましたけれども、今おっしゃられた何ゆえかということについては、私は大まかに申し上げて、これは日本だけではないわけでありますけれども、都市計画制度そのものはやっぱり各国ともその時代、そのときの都市の発展段階といいますか、そういうものにあるんじゃなかろうかと思います。  そういう意味からいきまして、当時昭和四十年代は、先ほど来お話がございましたように、大変都市が膨張しておりまして、それぞれの都市がみずから町づくりといいますか地域づくりをしていくというような状況に相当全国的になってまいりました。片やそれに対する住民の都市づくり、町づくりに対する関心の高まりも、今日もそうでございますが、当時そういうものの兆しもあったわけでございます。その中から、今お話のございましたいわば策定に当たっては都市行政単位であります地方公共団体の立場を十分尊重するということで、公共団体決定権限を抜本的にふやしたというのが当時の昭和四十三年の改正の経緯じゃなかろうかと思います。  ただ、お話もございましたように、そうは言うものの施設によってはあるいはテーマによってはかなり都市の広域化ということに関連いたしまして、市町村の利害にかかわるものは市町村で決められるわけでございますが、周辺市町村との調整が必要なものもありましょうし、さらに言うならば国家的なテーマというものはあるわけでございますから、一応原則公共団体決定権を認めておいた上ででございますが、都道府県知事が定める計画については大臣認可によっていわば横の調整といいますか広域的調整、さらには市町村レベルにおきましても都道府県の承認ということを加えさせていただいておるわけでございます。  ただ、これも今回の地方分権委員会でも大分議論がありましたけれども、例えば関与につきましても極力排除するとか、あるいは視点を明確にしていくということについても当然地元を含めて御注文なり御指摘があるわけでございますから、さらにそのあたりについては我々としても基準化をより明確化していく必要はあると自覚しております。
  22. 上野公成

    上野公成君 先ほどからお話ししますように、建設省へ来て認可をもらうというのがなかなか大変なんです。それから、県も市町村に対しては、これは昔からの歴史もあると思うんですけれども、やっぱり上位官庁意識というのがありまして、分権というのは、国の仕事は国、県の仕事は県、お互いに口を出さないというのが本当の分権なんです。ですから、こういう分権を進めるということであれば、原則は知事認可のものは知事がやる、市町村のものは市町村がやる。  それで、今局長がいろいろ言われたように調整が必要だということは、そういうものに限って知事が調整することができるとか、大臣が都道府県にアドバイスするといいますか調整ができるというようにした方がわかりやすいんじゃないか。国がやらなきゃいけないということもあるわけですから、それは建設大臣都市計画決定権者になった方がいいものがあれば、いいというものがあると思いますので後でお話ししますけれども、そういうふうにすっきりさせた方がいいんじゃないでしょうか。
  23. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 御質問のお気持ちは私もわかりますし、多少私ごとで恐縮ですが、私も含めてですが、建設省職員公共団体の経験もございますから、みずからどちらかといえば建設省都市計画を相談に行き、あるいは手続を関係する立場にあってはおります。そういう経験からいきまして、先ほどお話のございましたように、確かに手続的には極力単一化すべきであるという方向は私もとっていくべきだと思っております。  ちなみに従来ですと、少し数字を申し上げますと、県が都市計画決定をするのが件数で大体全体の四割、残り六割が市町村決定でございましたが、今回の地方分権推進委員会でいろいろ議論いただきますと、これは数のとりようが多少幅があるわけでございますが、おおむね四分の三はいわば市町村がみずから市町村決定できるという範囲をふやしたわけでございますし、残りの全体の四分の一、その中でも全体に占める割合からすれば約一割ぐらいが国が関係する分野だという御認識をいただいていいようになってきております。  ただ、これも姿勢の問題でございまして、そうは言うものの、やはりとやかく口を出すんじゃなかろうかとか、あるいは県が市町村にどういう対応をするかということはこれからでございますが、くどくなりますけれども、計画に携わる者同士がお互いに協調するという必要性も私は一方ではあろうかと思います。なぜならば、やはり先ほど申し上げましたように都市づくりが大変広域化している部分もあるわけでございますから、これは姿勢の問題で言っておれば多少抽象的になろうかと思いますが、私はそれぞれの県が市町村に対してあるいは国が県とのおつき合いの中で、みずからそれぞれの市町村なり県がしっかりとしたプランなりやりがいのある計画を持ってきたときには、それに対してはむしろ積極的にやっていくという姿勢は、もちろん我々建設省職員も含めてこれからやっていきたいと思いますが、制度としては、ぜひおっしゃられたような問題点が極力発生しないような仕組みをしていきたいと考えております。
  24. 上野公成

    上野公成君 今みんな性善説でやれば確かにそういうことでいいんですけれども、現実はそうじゃないんですね。市町村がやろうとしても県が口を出すということが現実にあるんですね。そういう意識が、日本でずっと明治以来の官僚の仕組みがそういうふうになっているから、現実あるわけですから、やっぱりそういうものはもう少しすっきりした方がいいということであります。  また、局長自身が市の職員であったことがあると言いますけれども、これは建設省出身の人が建設省に相談に来たらだれだって相談しやすいに決まっているので、そういうこととはちょっと違います。もう少しやっぱり現実的にやれるように変える。  特に私が何でこういうことを特にしつこく言ってきたかというと、今度の改正市街化調整区域で地区計画をつくれば開発許可ができるということ、これは市町村長の権限としてやっているわけです。それを本当に市町村長の権限としてやれるようにするということじゃないと。また県が口を出してなかなかできないというようなことになると、何のために我々が一生懸命この審議をしているかわからないわけであります。  今回は都市計画法全体のそういう仕組みまではできないわけでありますけれども、それはなるべく市町村長がやれば余り口は出さない、根拠のあることは別ですけれども、そういうような指導を相当強くしていただかないと、またこれも新しい制度をつくったけれども余り実績がないというようなことになってしまう懸念も非常に今までの実績からすると多いわけでありますので、その辺のしっかりとした指導をしていただくという決意を披瀝していただきたいと思います。
  25. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) なかなか都市局長一人では世の中の都市計画全部をコントロールできませんが、御指摘は大変私なりに痛感しております。  二つばかり御披露させていただくと、くどいんですが、都道府県が市町村にどういうところで関与するのかという視点については、今回は地方分権推進委員会でも御指摘いただきましたので、法令上はっきりと明記をしていきたいと思っております。それはルールを変えたからといって、先生おっしゃられたように、いやそうはいっても現場はそうはいかないぞと恐らくまた言われるかもしれませんが、これは一歩ずつでございますが、やっていきたいと思っております。  それから、この国会にはまだ出しておりませんが、現在全国の三分の二ぐらいの市町村がそれぞれ市町村の都市計画審議会を持っておりますので、この審議会と県の審議会とのいわば重複を排除していくという意味で、市町村決定のできるものについては市町村審議会を最大限活用していくということも取り組みたいと思っております。これはいずれかの機会に都市計画法改正等でお願いをしなきゃいけないテーマでございます。  そんなことで、せっかく制度をつくるわけですから生きたものにしていけと、あるいは効果があるようにしろということについては、私たちもぜひ先生のおっしゃられたことについてもう少し具体的な話としてテーマが生きる方策をまださらにいろいろ考えていきたいと思っております。
  26. 上野公成

    上野公成君 今までの容積率の緩和というのは大都市だけの政策だったわけですけれども、今回はこれはオールジャパンでどこのところでもこういう可能性があるわけですから、やはりこれだけのことをしてなかなか実績ができないということでは大変困るわけであります。いずれは都市計画法をちゃんとそういう方向で検討いただきたいけれども、すぐというわけにはいきませんから、それまでは今局長言われた以上に、ひとつそういうことが起こらないようにお願いをしたいと思うわけであります。  そこで、一番最初の問題に戻るわけでありますけれども、今何といっても景気といいますか経済を活性化しなきゃいけない。少子・高齢化社会でありますから、どんどん高齢者がふえてくるわけでありますし、少子だということになると若者は少ないわけでありますから、経済だけでなく何でもかんでも活性化と反対の方向に行くという時期がこれからしばらく続くわけであります。そういう意味で、経済を活性化するということがこれまで以上に非常に大きな課題といいますか大命題になってくるんじゃないかなというふうに思うわけであります。  そういった意味で、先ほど旧法で建設大臣都市計画決定していたというのは大正にできた法律が根拠でありますから、この時代は戦争というものがあって、戦争の被害を受けた場合に一刻も早く対応するとか、防災というんですか、そういう意味が非常に強かったと思うんです。これは震災なんかのときも戦争で受けた被害と同じような状態になるわけでありますから、もう少し建設大臣が陣頭指揮で復興に向かっていくというようなことも今日としても、戦争というものも全然ないわけですけれども、しかしだれかにしかけられてそういう状態になったときの対応というのは一応考えておかなきゃいけないということもある。  それと同じように、中心市街地がこれだけ大変な状態になっているわけでありますから、そういうところを生き返らせるということこそ都市計画の一番の中心になってもいいわけでありまして、場合によってはこれは建設大臣が乗り出してもいいようなことじゃないかなと思うわけであります。将来、都市計画決定権者を考えるときには、建設大臣が持っていてもいい権限というのはあるんじゃないか。自分のやることはちゃんと自分でやって、人のやっていることには口を出さない、こういう姿勢が大事じゃないかと思うんです。  その一つの例として、サッチャーが民間の方にいろんな権限を移譲したり民間の活用というのをやったわけでありますけれども、ドックランドという昔の港湾地区みたいなところを、ドックランド開発公社という民間のところに全部都市計画を含めて任せて、そして公的な側が都市計画決定をするというんじゃない、実質白地にして民間の、ただの民間じゃないと思いますけれども、そういうものに全部任せてやっている。これは一時大変だったようでありますけれども、しかしこういうようなことも場合によっては、今すぐということじゃなくて、都市計画をせっかく変えるというか新しい方向でやられるというようなニュアンスのこともやっておられますから、そういうような仕組みも考えたらどうか。  特に、地方の中心都市でもそれぐらいの思い切ったことをやらないとなかなかうまくいかないですね。私の出身の高崎市なんかもかなり地上げで買われまして、そして今何にも使われないところがぽつぽつあります。ぽつぽつじゃなくてそういうところの方が多いぐらいで、ああいうところをやっていくのはなかなか大変じゃないか。買った人も、買った値段に比べたら今全然地価が下がっているわけでありますし、普通の経済活動をやったんじゃ同じだけの収益は受けられないから、経済的にはなかなか成り立たないわけでありますから、容積率でも何でもやっぱり白地にして、本当にそういうものができて、そして都市全体としてもおかしくないというようなことであれば、その辺のことまで踏み込まないとうまくいかないんじゃないかなというふうに思っております。  そういった意味でのこともぜひ検討していただいて、やっぱり建設大臣が主役になってやることも規制緩和の、先ほど言ったことも含めて相当そういう権限を残しておいてやられないとなかなかうまくいかないんじゃないか、法律をつくってもなかなか効果は出ないということがありますので、その点についてどうお考えでしょうか。
  27. 瓦力

    ○国務大臣(瓦力君) ただいまの上野委員都市局長質疑応答を伺いながら、専門家の応答でございますので、大変興味深く勉強いたしておりました。  振り返って戦後半世紀を見ましても、都市はいろいろ変化をしてまいりましたし、また欧米諸国と違いまして、我が国の地方自治体といいますか、また加えて、町は画一的な方向を求めておった時代からだんだん都市が変わってまいりまして、今日では自治という意識も相当に大きくなってまいりましたし、全体が都市化社会から成熟化した都市型社会へ転換をしてまいっておることはお話の中でも全く同様に考えるものでございます。こういう認識が今後の町づくりに当たりまして、いわゆる中心市街地の活性化など町中の整備を進める上で都市再構築に取り組んでまいることは大変重要だと思いますし、また後世に誇れる町をつくっていく、それぞれの顔を持った町をつくっていくということは重要な課題だと、かように考えております。  このような考え方に基づきまして、都市計画制度につきましても地域の実情に的確にこたえられるよう、今お話がございましたが、地方分権を初めとする制度の見直しを積極的に進めてまいる。なお、そういうこれからの町づくりにつきまして、私どもも胸襟を開いていろいろ地域のことも耳を傾け支援していく、そういう積極的な姿勢というものをつくり上げていく大事なときだと、かように認識をいたしておるところでございます。  殊に、先生の選挙区の事例で玉村町と東村のかかわりというのを、大都市に挟まれた自治体のあり方として興味深く拝聴いたしました。
  28. 上野公成

    上野公成君 建築基準法の方は、これも随分、昭和二十六年ですか、七年にできた法律でいろいろ問題があったんですけれども、これは次の審議でありますけれども、大変踏み込んで建設省の課題を一段階はクリアしたんじゃないかと思います。  都市計画はいろんな問題がありますので、ぜひこれは次の一番の建設省の課題だと思いますので、建設大臣がどうしたらこれをうまく前向きにいくかということをよくお考えいただいて、少しでも前向きにいけることをぜひ大臣に御尽力をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  29. 岩井國臣

    岩井國臣君 目下、橋本総理の六大改革、橋本総理はこれを明治維新の改革、戦後の改革に次ぐ第三の改革と言っておられるわけでありますが、加藤紘一自民党幹事長はこれをまた第三の自由民主主義改革と言っておられます。言い方はどうでもいいんですけれども、ともかくそういったことで諸般の改革が進んでおります。  規制緩和やら地方分権の視点に立ちましたいろんな動きがあるわけでございます。先般も総合経済対策が打ち出されました。これは景気対策ということでありますけれども、ともかく一度にいろんなものが噴き出しておる、こういう状況でございまして、若干何が何やらわからないようなところもありまして、いろいろ誤解が生じておるような向きもあるのではないかなと思ってちょっと心配しております。  先般の優良田園住宅なんかも、これは本来桜井新先生の長年のお考えといいますかロマンみたいなところがございまして、やはり国土の均衡ある発展を今後強力に進めていくためにこういうものが必要である。ところが、これは経済対策と結びついた議論が多少あったりして、誤解というほどではないかもしれないけれども、議論がちょっとゆがんでおるような向きもあるなと。  それから、私ども今PFIという方法をいろいろ勉強しているんですけれども、これも私はこれからの新しい時代における一つの公共事業の進め方、こういうふうに理解しているんですけれども、何か経済対策とリンクしたような議論がいろいろあるようでございますし、このたびの都市計画法の一部改正につきましても大分誤解があるのではなかろうか。建設省はもっとしっかり広報活動をやってもらいたいなと、こんなふうに思っておるんです。  この都市計画法の一部改正、本質的にはやはり地方分権といいますか、規制緩和の観点からやっていくんだというふうなところをもっとしっかりPRしてほしい。再開発法の一部改正もやっぱりそうなんだと思うんです。そういった改革というようなことでやっておるんじゃないか。  それから、私に言わせますと、それぞれが先ほど経済活動土地価格の関係を上野先生が御指摘になりましたが、民間活力の活用というふうなことと結びついておるんではないかPFIといったものともつながっているんではないか。要は、全国でいろんな地域がもっと自由に生き生きとできるように、そして民間企業がもっと自由に生き生きとやっていけるように我が国があらゆる面で仕組みを変えていく、そういうことを我々は今やっておるんだと、そういう認識に立ってすべての新規立法とか法律改正に我々は取り組んでおるんだと、ぜひ建設省国土庁におかれましてそういう認識を持っていただいて、いろいろそういう観点に立ってのPRをひとつやっていただきたい。  そこで、このたびの国土利用計画法の一部改正も、やはりそういった側面での規制緩和といいますか、そういった観点に立っての一部改正だろう。もちろん経済対策との関連もあるわけであります。そういうことで質問させていただきますが、このたびの国土利用計画法の一部改正では、事前届け出制が事後届け出制に移行することになっておるわけでありますが、規制緩和という視点に立って今回の法改正の背景とか趣旨を少しわかりやすく御説明いただければと思います。
  30. 生田長人

    政府委員(生田長人君) お答えいたします。  政府は昨年の二月に、時代に即応した土地政策を展開するという観点から新総合土地政策推進要綱というものを閣議決定したところでございます。その際、土地政策の目標をこれまでの地価抑制から土地の有効利用へということで転換をしたわけでございます。  その際、大変に大切なことでございますけれども、そういったことを実現いたしますためには、土地を有効に利用しようとする者が円滑に土地を取得するということが大変重要になってまいりますので、土地取引の活性化を図るということが大変重要になってくるということでございます。一方で、最近土地をめぐる状況につきましては、地価が大変長い間下落を続けておりますのと、同時に土地取引が大変停滞をしているという状況にございますので、こういった土地取引に係ります規制の緩和といいましょうか、そういったことを図ることが大変強く求められてきたわけでございます。  そういった観点から、こういう状況を踏まえまして、私どもとしては土地取引規制の合理化を図るということを今回の改正の一番の目的としたわけでございます。現在、御承知のとおり全国にわたりまして大規模な土地取引につきまして事前に土地取引の届け出をしていただきまして取引価格のチェックをさせていただいているところでございますけれども、そういったことにかえまして事後届け出制へ移行するということで、土地取引の円滑化を図りたいということが今回の改正の主たる趣旨でございます。
  31. 岩井國臣

    岩井國臣君 このたびの改正は緊急経済対策の一環でもあろうかと思います。土地の流動化対策に資する、こういう側面があるわけですが、先ほども申し上げましたように緊急経済対策、そういうものがあろうがなかろうが、今回のような改正はやっぱり必要ではないか、こんなふうに思いますが、そういう理解で基本的にはいいんでしょうか。
  32. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 改正の理由につきましては、先ほどお答えしたとおりでございますが、全くそのとおりでございます。どちらかといいますと、私どもとしましては、これまで行政がいろいろ関与いたしまして価格をチェックしてきたわけでございますけれども、時代の要請といいますか、そういうものに応じましてこういった規制について合理化を図ったという色彩が大変強いというぐあいに認識しているわけでございます。  なお、今回の改正におきましては、こういった規制の合理化を通じまして、結果的に事前届け出制が必要でなくなりますものですから、そういったことで土地の流動化に大きく資するという点がございますので、そういった意味で緊急経済対策の施策の一環として位置づけたということでございます。
  33. 岩井國臣

    岩井國臣君 何が主で何が従かというふうなことでお聞きしたわけですけれども、そういう認識に立ちまして、土地の流動化対策として行われるということも事実でありますので、土地の流動化対策としての効果というものはどのようにお考えになっているんでしょうか。
  34. 生田長人

    政府委員(生田長人君) お答えいたします。  今回の法改正では、御承知のとおり現在最長六週間の契約締結制限というのを課しているわけでございますけれども、そういった事前届け出制から、結果として契約締結制限のない事後届け出制に移行することになります。同時に、取引価格につきましては勧告等の措置は行わないということにしてございますので、この結果、今後は原則といたしまして随時自由に土地売買等の契約が締結できるということになるわけでございます。このことによりまして、これまで事前届け出の対象となっておりました約四万件近い大規模取引がございますけれども、こういった取引につきまして円滑化が図られるというぐあいに考えております。このことを通じまして、私どもとしては、我が国経済の活性化の一端に寄与するところがあるのではないかと思っております。  大変恐縮でございますが、そういう経済効果については数量的に申し上げることができない状態でございます。
  35. 岩井國臣

    岩井國臣君 今回の法改正では、事後にしろ届け出制が残るわけです。規制緩和の徹底を図るという観点から、そういう届け出制そのものをもうやめるべきではないかという意見もいろいろあります。自民党の中にもそういう意見を言われる先生がありますが、その点につきまして国土庁としてはどういう見解をお持ちでしょうか。
  36. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 先ほどお答えをしておりますように、最近の地価動向とかあるいは土地取引の状況等をかんがみますと、今後とも全国一律で土地取引につきまして事前届け出制を維持しまして価格に関する規制を行うというのは、これは必要性自体は大変低くなってきているところだということは事実でございます。  しかしながら、大規模な土地取引につきましては、普通はそういった土地取引が行われますと、その後で土地利用の転換も伴うということが大変多うございまして、これが大規模なゆえに周辺地域土地利用に与える影響も大変大きい場合があるわけでございます。そういった場合に、その土地利用計画に反して大規模な土地取引が無限定に行われるということになりますと、やはり土地利用計画自身の実効ある実現というのが今後大変困難になってくるということが予想されるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、土地の利用目的については適正かつ合理的な土地利用の確保を図るという観点から、従来どおり届け出をしていただくということにさせていただいているわけでございます。  また同時に、今後とも事後届け出制にいたしましても局地的には地価の上昇が生ずるおそれはやっぱりないとは言えないわけでございまして、これに対応するために、私ども今回の改正では注視区域制度というのを設けたわけでございますけれども、こういった注視区域制度を機動的に運用していくというためには地価を常に把握しておくということが大変重要なことになってまいります。そのために、実売価格といいましょうか、実際にどの程度の価格で取引がされているのかということをきちんと把握しておく必要がございますので、今回そういった意味で、取引価格を事後であっても届け出していただく必要があるということで、こういった点で事後届け出制を整備させていただいたということでございます。
  37. 岩井國臣

    岩井國臣君 わかりました。  次に、ちょっと視点を変えますが、一昨年五月の参議院建設委員会におきまして、私は土地の有効利用促進について質問をさせていただきました。政府委員から説明がございまして、民間の優良な都市開発プロジェクトに対してどう今後支援していくのかとか、あるいは都心居住という問題も視野に入れました都心部の密集住宅市街地における防災町づくりといったものをどのように進めていくのか、そういった問題を土地政策の面からいろいろと検討していきたい、こんなお話がございました。  そして、さらには土地情報システムの問題とか、それからそもそも土地に対する国民の認識といいますかかなり私権が強いわけですけれども、公共優先という考え方をもっと徹底させていくべきではなかろうかとか、土地に関連いたします基本的な問題がいろいろとあるわけでございまして、政府委員からそういう事柄に言及がございまして、土地政策のあり方についてしっかり検討していきますと、こんなお答えをいただいたんです。  私は、土地というのは何をやるにしても基本的に重要であると思います。土地政策というものがやはり基本だ、このように思っておるわけでありますが、それぞれの地域が自由に生き生きとやっていけるように、そして民間企業が自由に生き生きとやっていけるように、今後土地政策はどうあるべきか、ぜひそういう視点に立って土地政策というものを見直していただきたいな、こんなふうに思っておるわけでございます。  そういう視点に立ちましたとき、これは私個人の意見になりますけれども、やはり土地の証券化の問題とか、それに関連いたします土地情報システムというものをしっかり確立していく必要があるのかな、今後の土地政策を考える際にこれは極めて重要な課題かなと、そのように私は思っておるわけでありますが、土地の証券化とそれを支える土地情報システムというものにつきまして、国土庁長官はどのようにお考えになっているのか、御所見をお伺いしたいわけであります。そしてまた、今後土地政策につきましてどのようなお考えで諸般の改革の一環として改革をお進めになろうとしておるのか、その辺の御決意みたいなものをお伺いしたいわけであります。
  38. 亀井久興

    ○国務大臣(亀井久興君) まず、今御指摘ございました土地の証券化、不動産の証券化、そのことを推進していく上における土地情報システムとの関連、こうしたお尋ねでございます。  土地の有効利用を促進していくということを考えましたときに、その有効利用につながるプロジェクトに対してどう資金を確保していくかということも非常に重要な問題でございます。これは日本の金融のあり方そのものにもかかわることでございますが、日本の金融がそのプロジェクト自体に着目して資金を供給するといういわゆるプロジェクトファイナンスということではなくて、その資金の借り手の返済能力に着目をするいわば間接金融というようなことが中心でございますけれども、今度不動産の証券化ということによりましてその証券を流通し売買していく、そのことによってそのプロジェクトについて直接資金を得るという直接金融の道を開くということにとって大変私は大きな前進があるのではないか、そのようにも受けとめておるところでございます。  ただ、それを実現しようと思いますと、まだまだ法的な問題、さらに制度的な問題いろいろあるわけでございますから、そうした整備を進めていかなくてはいけないということも当然でございますし、また発行されました証券をどのように円滑に流通をしていくかという市場の整備ということも当然必要になってくると思います。そのためには証券の格付をどうするかという格付機関の問題を初めといたしますいわゆる評価機関をどうつくっていくか、こうしたこともございますし、そうしたもろもろの市場の整備とかあるいは税法上の取り扱い、そうしたこともあるわけでございます。同時にまた、国民の皆様方がやはりそうした自己責任と申しますか、みずからそのリスクを負うんだというそうした認識を持っていただくことも重要だろうと思います。  そのためにはやはり不動産、土地に対する情報というものは常に的確に提供されているということでなくてはいけないわけでございますから、その意味におきまして情報システムをいかに構築していくかということが非常に重要な問題だろうというように思っておるわけでございます。不動産の証券化とあわせまして、そうした土地の情報化のためのシステムをどのようにつくっていくかということは大変重要な視点だろうと、そのように受けとめておるところでございます。  それからまた、後半の大変重要な問題でございますが、これからの土地政策をどのように基本的に考えるのかということでございます。先ほど土地局長からも御答弁申し上げましたように、従来の地価を抑制するというような観点ではなくて土地を有効に利用していく、その適正な利用のための土地取引の活性化をいかにして図っていくか、そこに土地政策の重点を置いておるということは申し上げるまでもないところでございます。そうしたことを進めていく上におきまして、やはり総合的な土地利用の計画というものがしっかりとつくられていかなくてはいけないわけでございますから、そのことをまず重視しておりますし、その計画に従いまして市街地の整備とか優良な住宅の供給等の事業を行いまして良好な都市環境の形成を行っていきたい、そういうように思っているわけでございます。  それから、先ほど御指摘ございましたけれども、大都市部におきましてバブル期において発生をいたしましたいわゆる虫食い状態になった土地の存在でありますとか、あるいは密集市街地におきまして災害が起こったときには大変な事態が起こるわけでございますから、そうした既成市街地の再編というものをどうしても進めていかなくてはいけない、そのようにも思っております。  また、最近、御承知のように七年にわたりまして地価がずっと下落を続けておるわけでございます。個人にいたしましてもまた企業にいたしましても、バランスシートが非常に悪くなってきておるということから投資意欲が減退をしておりまして、そのことによって土地の取引が大変鈍くなってきているということでございますので、私どもといたしまして、土地に対する実需を喚起するということも土地取引の活性化を図っていくために大変重要だというように考えております。新しい総合土地政策推進要綱とあわせまして、昨年の十一月には政府・与党が中心になりました土地の有効利用のための検討会議の結論が出ているわけでございまして、こうした提言を踏まえながら各種の有効利用に向けた施策を推進してまいりたい、このように考えておるところでございます。  またさらに、今冒頭に申し上げました土地・債権の流動化あるいは土地の有効利用のための措置、こうしたことも先般の政府の総合経済対策にも盛り込まれていることでございますから、こうしたことにも注意を払いながら推進していきたい、かように考えております。
  39. 岩井國臣

    岩井國臣君 それでは、次の問題に移らさせていただきますけれども、もう御案内のとおり我が国の場合、高度経済成長期を通じまして猛烈な勢いでやはり都市化が進展してまいりました。しかし、昨今、ようやくにして大都市圏への人口集中も終息しつつあるような気配も出てきておる。したがいまして、都市整備につきましても従来の考え方を大きく転換しなければならないような段階に来ておるのではなかろうか。郊外の新市街地というよりむしろ既成市街地の再生、再構築といった問題に真剣に取り組まなければならない段階に来ておるのかなと、そんな気もするわけでございます。  大都市それから地方都市を問わず既成市街地におきまして、中心市街地における空洞化でありますとか、あるいは低未利用地の散在、虫食い状態に存在している、密集市街地におきます建物の老朽化、そして高齢化と相まった都市災害に対する危険性の増大等々、いろいろ問題が山積しておるかと思います。  二十一世紀を目前にして真に豊かな生活環境の実現を図るためには、やはり中心市街地を初めとする既成市街地を今までに蓄積した社会資本ストックを活用しつつ、土地の有効かつ高度利用を図っていく、そして都市機能の集積を進めていく。そうすることによりまして、子供や孫たちがともかく安心して住めるようにしていく、そういうことがこれから大きな課題ではなかろうかと、こんなふうに私は思っておるわけでございます。  そしてまた、地域交流でありますとか、地域経済を支える空間として中心市街地の再活性化というものが図られていかなければならないのではないか。そのためにとにかく新しいビジョンというものが要るのではないか、そういう新しいビジョンのもとに既成市街地というものを再構築していくということがこれからの喫緊の課題になっておると思います。  そこで、建設大臣にお尋ねしたいわけでありますけれども、今後あるべき市街地整備のあり方に関しまして何が最も今大事になっているのか。その辺、問題はたくさんあるわけですけれども、何が一番大事なのか、大臣の御所見というか御認識を教えていただければと思うわけであります。
  40. 瓦力

    ○国務大臣(瓦力君) 岩井委員からの先ほどのお話、全く私も同感でございまして、アグリーと、こう申し上げたいところでございます。  さらに、その前に経済対策という問題があるが、やはり都市のあり方というものを今追求するときではないかというような御所見もございまして、今その全く好機である、この時期を逃してはならない課題でありまして、これは経済対策は当然のことといたしましても、今市民の間に起こりつつあります町のあり方、また生活のあり方、こういったものを私どもはしかと受けとめてまいらなきゃならぬわけでございます。そういう考え方に立ちますと、今後の町づくりはまさに質が問われておる時代を迎えておる、かように認識をするわけでございます。  そこで、今何が重要かと、こういうことでございまして、今後の市街地整備に当たりましては、一つ都市基盤施設の整備水準の向上、こういう基礎的な課題があろうと思います。これは、下水道でありますとか、公園でありますとか、また街路などは欧米社会に比べましてそのストックは立ちおくれておるわけでございますし、また国民のニーズへの対応というような課題を考えますと、文化であるとか景観、またコミュニティー、環境、緑、福祉、情報、こういった問題も踏まえてまいらなきゃなりません。  それからまた、お触れになりました中心市街地の活性化でございますが、土地の有効高度利用でございますとか、また我が国は脆弱な国土でございますから、都市の防災並びに構造、こういった新たな課題もございまして、いわゆる市民生活者の視点に立ちまして、安全、快適で質の高い町づくり、また国際的にも魅力的な国土であり都市であるというようなことを、今まではどちらかというと金太郎あめと、こういうことでやってまいりましたが、みんなで渡れば怖くないと集団でいろんなことをやってきましたが、今度は個性的な町づくり、また歴史を踏まえた十分な色合いというものが発揮できるようなことに積極的に取り組んでいくときではないか、こう考えておるところであります。
  41. 岩井國臣

    岩井國臣君 今回の都市開発法の一部改正でございますが、都市開発の対象区域の拡大が図られますね。と同時に、民間活力を引き出すために認定再開発事業制度というものを創設しよう、こういうことになっておるわけですが、その辺の背景と趣旨について御説明いただきたいと思います。
  42. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 現在、日本の都市におきましては、今大臣からもお答えいたしましたような状況でございますので、重ねてお答えする必要はないと思いますが、大変中心市街地が傷んでおりますので、こういうところを含めて全国的な視野から各都市に個性を持たせた町づくりをしていかないといけない。  お話しございましたように、現在の再開発法のマスタープランは、義務づけされておりますのが二十二都市ございますし、それから独自に、体裁はともかくといたしまして約百八十ぐらいの都市がつくっておりますが、これから私たち町づくりをしていくためには、やっぱり中心市街地に目を向けるということになりますと、広い意味での再開発というものをやっていかなきゃいけない。加えて、先生のお話にもございましたように、民間の力を何とかそこには加えていく必要があろうかと思います。  そういう意味からいきますと、現在全国でいわば市街化区域調整区域線引きの対象となっております都市計画区域におきまして、整備開発の保全の方針というものを定めることになっておりますので、この方針の中身の一部として再開発のマスタープランをかくということになっておりますので、この手法を今回私たちは使わせていただいております。  そういうことになりますと、全国的には約八百余りになりましょうか、そういうような都市が対象になってくると思います。時間も多少かかると思いますが、既にそれぞれの都市においては、中心市街地のいわば活性化について大変意気込みも感じられますので、できれば今回お願いしております法律が通過し次第、各都市におきましてこのいわば再開発方針を定め、それを踏まえた形での民間活力ということをしてまいりたいと思っておりますし、くどいわけでありますけれども、いろんなインセンティブもこの中に加えていきたい、こう考えております。
  43. 岩井國臣

    岩井國臣君 認定再開発事業、従前の法定再開発が二十二都市ぐらい、今後この措置によって八百ぐらいに拡大していく。規模は従前のものに比べてかなり小さくなるかもわかりませんが、民間主導型の再開発が大いに進んでいくということで期待しておるわけであります。  その認定再開発事業につきまして、さきの税制改正で税制上の特例が受けられるようになったわけでありますけれども、これだけでは事業の推進力が弱いのではないかという意見もございます。他に何らかの支援措置が必要ではないでしょうか。その辺いかがでしょう。
  44. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 今までにも再開発事業をかなり実績として持っておりますが、お話しございましたように、なかなか土地を動かしあるいは建物を建てる、さらには建物の床を活用するという意味では、各種のやはり私は方策をあてがう必要があろうかと思っております。  今回の場合は、一つは、そうした支援策の中には入らないかもわかりませんが、先ほどお答えの中に少し私は触れるべきだったかもしれませんが、認定再開発事業ということは、従来のいわば市街地開発事業よりはより簡易な方法でいわば制度が活用できるということになりますので、多少私たちそういう意味では、先ほど上野先生からの御質問がありましたけれども、都市計画制度を外すわけではございませんけれども、計画としてより地元で受け入れやすい手続になろうかと思います。  そういうことの中で、今お話し申し上げました税制の面では、これは今回の法律と一緒に合わせた形で税制改正が行われているわけでございますが、従来は優良建築物整備事業ということでございまして、こういうことによりますと、補助金の世界でまず一つ制度的に活用できるでありましょう。それから、これも従来からやっていたことではございますが、一定の優良な民間再開発事業というものにつきましては、税制の上では、現地におきまして当該事業によって建築される建築物に従来からそこにお住まいになった方がその土地をお売りになって、さらにそのままその新しくできた建築物に入る、いわば直上借りかえというもので、その場での借りかえについても税制上はあったわけでございますが、こういうものも今回の認定事業などにも活用できるんじゃなかろうかと思っております。  それから、長期譲渡のいわば所得の減税、軽減税率などにつきましても、転出者に対しての一つの恩恵でございますか、これも土地の転換という意味では貢献されるでありましょう。加えて、御紹介のございました今回の法律に絡みましての税制改正としては、外から内に入ってこられる方、あるいは中でそのままお住まいになる方も含めてでありますが、借りかえ特例とか、くどくなりますけれども、特別土地保有税、さらには事業所税等々につきましてもいろいろやっております。  ただ、仰せやはり今の景気の状況の中では、先行きに対してしっかりとした見通しが立ちませんと、なかなか再開発、再整備の意欲も地元に沸き上がってこないと思いますので、そういう意味では地元公共団体が今回の法律改正の中身をうまく理解していただきまして、新しい町づくりに何とかこのマスタープランをベースにした認定再開発事業を大いに使う。それから、投資先を見ましても、日本の今の経済状況の中では、民間の方々も先行きに対していま一つの確かさを感じないわけでございますから、こういう意味では、需要面でも私たち新しいいわば公共性あるいは公益性の高いものも含めてでありますが、民間の方に乗り出していただくような方向づけも何とか工夫できないかと思っておりますので、ここらあたりはこれからの計画づくりの中で今御指摘のあった点も含めて努力してまいりたい、こう思っております。
  45. 岩井國臣

    岩井國臣君 大都市でありますとか地方の中枢都市等におきまして、高度成長期を通じまして随分密集市街地が広範囲に広がっておる。そういった密集市街地というのは、木造建築物が高密度に建ち並んでおるわけでありますし、道路も多くは四メートル未満、大変狭隘なものが多い。さらに建てかえが困難なために老朽化が進んでおる。そんなことで、火災、地震等の災害で大きな被害が予想される、いわゆる防災上の危険区域と考えられるものが非常に多いのではなかろうか、こういうふうに思います。  そこで、その対策ということになるわけですが、既成市街地におきます防災町づくり、これは私に言わせますと、とりもなおさず水と緑の町づくりでもあるかなと思っておるんです。それはともかく、そのような防災町づくりにつきましてあらゆる手段を講じて、例えば敷地整序型の区画整理はもちろんのことですけれども、公園事業あるいは治水緑地事業、あらゆる事業制度を使ってとにかく建設省として全力を挙げてやっていただく必要があるのかと。  当然、その際にこの認定再開発事業というものも大いに役立つと思いますし、それから今私ども勉強しておりますPFIというふうなものも役立つのではなかろうかと思います。ともかくそういう防災町づくりということについて建設省として全力を挙げてやっていく必要があるのかな、こう思うのでございますが、この辺のお考えはいかがでございましょうか。
  46. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 確かに、我が国の都市をそれぞれ見ますと、おっしゃられた環境面でもまだ十分ではございませんが、安全といいますか命にかかわるところについては、まず基本中の基本であろうかと思っております。その点からいきましても、おっしゃられたように防災対策という意味ではあらゆる手を使ってやっていく必要があると思います。ただ、こう申してはなにですが、昨年成立させていただきました密集法などにつきましてもそれぞれの公共団体が苦労しながら今地元に入っておりますが、建物の建てかえ等を含めまして正直申し上げてなかなか時間のかかる関係でございます。  ただ、平成八年に建設省の防災業務計画というのを改定しておりまして、この中に今お話がございましたような法律あるいは都市防災構造化対策ということのさらなる推進ということで計画の中に入れておりますので、いわば防災の都市づくり計画というものを各都道府県知事に対してもこれは基本の計画としてぜひ策定を促進させていただきたいと思っております。例えば再開発事業などは、そういう意味では先生の御質問のありましたPFIはこれからいろいろまた中身も御議論あろうかと思いますが、いわば民間資金の入りやすいテーマではあろうかと思っておりますので、それぞれがやはり得意なところで協力するという意味では、官と民との役割分担も十分念頭に置きながらでございますが、いろいろ施策としてこれからも総合的に進めていきたい、こう考えております。
  47. 岩井國臣

    岩井國臣君 それでは次に、都市計画法の一部改正に移らせていただきたいと思います。  今回の都市計画法の一部改正は、大店立地法との関係で行われるというふうな理解が行き渡っているようであります。私の理解といたしましては、もちろんそういう側面もあるんですけれども、やはり冒頭に申し上げましたように本来的には地方分権という観点に立っての改正である、そんなふうに認識しておるわけですけれども、その点建設省の明確な御説明をお願いしたいと思います。
  48. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 結論から先に申し上げますと、先生の御指摘のあったとおりだと私ども思っております。  それで、お話がございましたように、確かに効果としていろいろな効果を期待することは当然でございますが、今回の特別用途地区についての改正につきましては、もともと用途地域の指定を補完してよりきめ細かな、いわばゾーニングをするという意味での特別用途地区というものを決めておりましたが、その範囲あるいは使い方ということについて、より地元の身近なところでお考えいただこうということで、類型化を廃止するということでございます。  したがいまして、結果的には、各公共団体の考え方がまず主要なところを占めるわけでございますけれども、考え方としては、商業問題ももちろんテーマとしてはその際対応するでありましょうけれども、そういういわば一種の特殊解を求めるということではなくて、例えば伝統産業とかあるいは文化とかあるいは教育とか、そういうそれぞれの地域の持つ、俗っぽく申し上げますと風土を大切にしていくためには、やはり特別用途のような制度が用途地区をカバーする意味では大変必要なことであろうかと思いまして、今回取り組んでおるわけでございます。
  49. 岩井國臣

    岩井國臣君 市街化区域特別用途地区そして市街化調整区域の地区計画を決める区域、ともに市町村が策定するということになっておるわけでありますが、やはり都道府県の都市計画審議会にかけなければならない、そんなことになっておるんじゃないかと思うんです。  先ほど上野先生から、特に地区計画につきまして市町村と都道府県との関係のお話が出ましたが、私もそういう地区計画というふうなものは市町村が決定するんだけれども、なぜ都道府県の都市計画審議会にかけなければならないのか、その辺ちょっと理解に苦しむわけであります。やはり地方分権という観点からすべて市町村の責任で決定すべきではなかろうか、こういうふうに思います。  先ほど都市局長から前向きの、いずれ何か改正するみたいな話がありましたが、いずれみたいなことではなくて、来年の通常国会で改正すべきではございませんか。
  50. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほどの御議論でもお答えしたわけでございますが、基本におきまして、私たち市町村の都市計画決定の役割の拡大には従来からも取り組んでまいりましたけれども、なお一層努めていきたいというのが基本でございます。  お話がございました、そういう方向で今回もその一部、御議論がまだ出ておりませんけれども、例えば臨港地区の取り扱いなどにつきましても現実的な対応をすべきであろうということで改正案の中にも含めさせていただいております。  審議会の件につきましては、くどくなりますが、現行の都市計画法では、市町村の都市計画決定手続におきまして、知事の承認に当たって都道府県に設置された地方審議会の議を経ることとされております。しかし、先ほどもお話を申し上げましたように、全国のかなり多くの市町村におきまして市町村審議会というのを現在既に設置しておるのが実情でございますから、できれば私たちはこの市町村審議会を活用していくという意味で市町村審議会の法定化をしていきたいと思っておりますので、そういうことができれば当審議会の活用によってあえて都道府県の審議会の手を煩わせることなく都市計画決定を行うことが可能になろうと思っております。  できるだけ早くしろということでございますが、これは先ほど少し御説明させていただきましたが、地方自治法などで都市計画法の中にもかなりの部分について関連いたしまして、いわば機関委任事務の廃止をいたしまして自治事務へ移行する際に各種の改正をしなければいけないものですから、これらとあわせてしたいと私たち思っておりますが、地方自治法も恐らく今先生がおっしゃった時期には出てこようかと思っておりますので、それと符合した形といいますか整合をとってやりたいと思っております。準備は既にしておりますし、ことしの一月には都市計画審議会で既に方向はお認めいただいておりますので、これについては間違いなく取り組みたいと思っております。
  51. 岩井國臣

    岩井國臣君 ひとつ前向きにお願いします。  このたびの大店立地法の制定によりまして、大規模店舗は都市計画法の規制を受けることになるわけです。現行の大店法が廃止されますので、大規模店舗の立地規制というのは、都市計画法に対しまして大きな期待が寄せられておるかと思います。  中心市街地の疲弊というのは、何も大規模店舗の影響だけではございませんで、いろいろ原因があるわけでありますけれども、やはり大規模店舗の立地の影響というのが非常に大きいのではなかろうか。したがいまして、今後は中心市街地の商店街の方から、大規模店舗の立地に関しまして都市計画の用途制限でひとつ厳しく縛ってほしいという圧力というのかドライブがかかってくることになると思いますが、これは避けられないんじゃないか。私は、そういった都市計画上の立地規制というのは当然大規模店舗の立地にもきめ細かく適用されるべきであるというふうに考えております。  そこで、ちょっと諸外国の例、大規模店舗に対する都市計画ないし地区計画上の立地規制というのがヨーロッパだとかアメリカでも一般に行われているんじゃないかと思うんですけれども、その辺実態はどうなっておりますでしょうか、おわかりになりますでしょうか。
  52. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 基本的には我が国の制度と少し異なるということでございますが、これは先生も御承知のように、やはり都市が今どういう状態にあるか、発展過程にあるかということにも影響するんじゃなかろうかと思います。ある程度ヨーロッパなどは安定期を迎えておりまして、むしろその中で内的な充実を図っていくというような状況でございますから、いわば新規立地は大変慎重であり、厳密にチェックをしているという仕組みができております。  我が国の場合は、これからどういうプロセスを踏むかということについて軽々には申し上げにくいわけでありますが、先ほど来申し上げたようにかなり都市としては安定期を迎えつつありますので、都心部の市街地を中心とした整備をすることは言うまでもないことでございますが、その際に、今までの私たちがとってまいりました制度についてさらに時代に合ったものに変えていかなきゃいけないかと思っております。  結論的には、ヨーロッパの場合は、先ほど冒頭申し上げましたように個別審査というのを行っておりますので、そういう意味では今回お願いしております例えば日本の場合の都市計画法では、大きないわば土地利用規制という意味では用途地域があり、それをさらにきめ細かく補完していくという意味では、今回の改正として特別用途地区を多様化していくという意味で類型を廃止しております。私は、現状においてはこれは各公共団体がどう考えるかということが大変大きく影響するわけですが、かなり手法によってはヨーロッパとはまた異なる手法としてそれなりに効果を上げることは制度的には可能になってきているんじゃなかろうか、可能にしたいと、こう考えております。
  53. 岩井國臣

    岩井國臣君 私は、都市計画区域以外にも白地区域というか一般的な区域というのはあるわけでありますけれども、土地利用上の立地規制というのは我が国の場合大変弱いのではないかと思っておるんです。  私は、国会議員になりまして直後の決算委員会でそういった立地規制の問題を取り上げさせていただいたことがあるんですけれども、上九一色村は、ああいう風光明媚なところにあんな妙な建物がどんどん建っていった、これを立地規制という観点でできないのかなという思いもしたりして、そういう地域計画というか地域づくり上での立地規制の問題を取り上げたいと思ったんですが、時間がなくなってまいりました。  二十一世紀における国土グランドデザインで美しい国土づくりというのが一つの大きなテーマになっておりますので、そういう観点から、国土の利用計画上いろんな構造物に対する立地規制というのがある程度考えられてしかるべきではないかなという気がしておりますので、ちょっとそんな議論をしたかったんですけれども、また後日させていただくといたしまして、少しいろいろまたお考えいただいておけばありがたいなと思います。  最後の質問になります。  町づくりで大事なことは、中心市街地の再活性化でも全く同じなんですけれども、やはり確かなビジョン、そして町ぐるみの取り組み、この二点ではなかろうかなと思います。中心市街地の再活性化につきましてタウンマネジメントということが言われています。それなんです。中心市街地の再活性化のかぎはそこにあると私は思います。都市計画、施設というのはそれを支える手段でしかない。さきに述べました決算委員会ですけれども、当時の近藤都市局長はそういった私の基本的な考え方をお認めいただきました。  町づくりにおきまして重要なことは、ハードな施設もさることながら、タウンマネジメントといったようなソフト、そういうソフトが防災町づくりでも必要だし、過疎地域の活性化においても必要だし、中心市街地の再活性化においても必要ではなかろうか。確かなビジョンのもとで地元がとにかく必死になって取り組まなければならないのであって、そのためのソフトということだろうと思うんです。  地域活性化の条件として、ばか者、若者、よそ者というようなことがよく言われます。ばか者は地元の熱心な人、よそ者は外からそれを応援する人、こういうことでありますけれども、よそ者のいい知恵が入らないといい町づくりはできない、そういうことではなかろうか、こういうふうに思います。  ところで、市町村のマスタープランでありますが、いいマスタープランが前提になるわけですけれども、ほとんどマスタープランというのはつくられていません、現在。つくるということになっておるんだけれども、全国の一六%。それから、今回の法律改正特別用途地区に焦点が当てられているわけですけれども、特別用途地区が活用されておる市町村というのも一六%かちょっと多いと思いますけれども、似たり寄ったり。そんな状況だと思うんです。五分の四以上の市町村は、マスタープランも特別用途地区もそんなものは関係ない、やってないんです。なぜそんなことになっているのか。いろいろ原因はあろうかと思いますけれども、やはり市町村のノウハウ不足だとか人材不足を指摘される方も結構おられるんです。私はそういう面もあるかなと思ったりするわけであります。  そこで、建設大臣に最後に質問させていただきますが、建設大臣いかがでしょう。中心市街地の再活性化で通産省が考えておられるタウンマネジメントと同様な施策を、中心市街地だけじゃなくて、防災町づくりにも、観光町づくりにも、福祉町づくりにも、一般的な町づくりに展開していただけないか。町づくりのための機関と人の育成、そういうことにつきましてひとつ大いに建設省として支援をしていただく、そういう支援事業というのをやっていただけないか、こう思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  54. 瓦力

    ○国務大臣(瓦力君) 岩井先生の御指摘、ごもっともでございまして、ハードな整備、さらにソフトな問題につきまして地域が一体になって取り組んでいくということはこれからの町づくりにおきまして不可欠なことでございます。  また、町づくりにつきまして、人材を育成する、そういうことは重要でございまして、今まで村おこし、町おこしというようなことでございましたが、全体的にこれから我々の町をどうつくろうかという機運が市民間にもほうふつとして出てまいっておるかと思うわけでございます。いわゆる行政地域住民の間に立って町づくりのコーディネートを行うような組織、機構をつくるということも私は大事だと思っております。  都市局でも相当窓口を、いろいろ御相談に応じようというようなことで、地域にそういう方々をつくり、そういう雰囲気を醸成していくということに今取り組んでおるようでございますが、地方公共団体の取り組みに対しましても積極的に取り組んで、冒頭申し上げましたようにこういう機運を大事にして町づくりに寄与させていただきたい。そういう機構というものを積極的に支援し取り組んでまいりたいと思っておるところであります。
  55. 岩井國臣

    岩井國臣君 ひとつよろしくお願いします。  終わります。
  56. 関根則之

    委員長関根則之君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後一時開会
  57. 関根則之

    委員長関根則之君) ただいまから国土環境委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、都市計画法の一部を改正する法律案都市開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  58. 小川勝也

    小川勝也君 民主党の小川勝也でございます。  私は都市開発法国土利用計画法を中心に質問させていただきたいと思っております。そして、私の後に都市計画法質疑岡崎トミ子委員からさせていただきます。そういいましても、この二法は特に大問題があるというわけではありませんので、土地取引問題あるいは再開発のあり方、大くくりな問題を含めて質問させていただきたいと思っております。  いろいろとこの法律を調べてみますと、思い当たることがございます。それは、今までこの委員会で可決した一連の法律案にも共通しておるんですけれども、小手先の法改正により少しでも景気がよくなればいいなという思いが込められているということであります。当然、こんな状況でございますので、関係各方面から知恵を絞って少しでも経済が活性化するような法律をつくること、それ自体に反対するものではございません。しかしながら、本当はもっとこの国の将来を考えて土地というものはこうあるべき、あるいは開発というのはこういうふうにあるべきという、本当の論議が待たれるところであるように感ずるところでございます。  そんな中で、この国土法を見てみますと、思い返せばバブル経済の折、国土法がどうだからこの土地は買えないとか、いわゆる土地取引、土地価格上昇、そしてバブル崩壊に大きな役割を果たしたこの法律であります。ちょっと大きな問題になるかと思いますが、土地の値段が上がって、そして大蔵省から総量規制という大きな網かけが行われて土地が一気に下落してバブル不況を生じたということを考えますと、土地行政、総量規制、そしてこの国土法が果たしてきた役割、大きな総括が必要だと思うのであります。支持者の間でも、あの総量規制が我々をだめにしたんだ、あれは失敗だったというような声をよく耳にいたします。  国土庁長官はどのようにお考えでしょうか。
  59. 亀井久興

    ○国務大臣(亀井久興君) 今、小川委員から全般的な土地に対する政策についての御指摘でございまして、いわば経済対策という面から小手先に過ぎる改正ではないかというような御批判もあるのかと思いますけれども、申し上げるまでもなく、あのバブル期におきまして地価が高騰したということは御承知のとおりでございますが、これはいろいろその当時のことを振り返ってみますと原因もたくさんあったと思います。  例えば、いわゆる金余り現象というものがございまして、そうしたことも大きな原因の一つであったと思いますし、また資産として土地が有利であると、ずっと戦後一貫して土地の値段というものは上がってきておったわけでございますから、土地が値下がりをするというようなことはあり得ないといういわば土地神話のようなものができ上がっていたと思います。そうした土地というのが資産として大変有利だということも一つの原因だったと思います。  いずれにいたしましても、地価が高騰いたしまして、大都市地域を中心にいたしまして良質な住宅を求めたいという方々がなかなか手の届かない状況になってきたということもございますし、また土地を持っている人と持っていない人との間にいわゆる資産格差が拡大をしてきた、こういうこともあったわけでございます。  そうした状況にございましたので、地価の高騰を何とか抑制したいということでさまざまな施策がとられたわけでございます。その中の一つとして、今御指摘がございましたいわゆる金融機関における総量規制ということもあったわけでございますし、またさまざまな税制の強化、いわゆる譲渡益課税の強化でありますとか地価税を新たに創設したとか、こういうような税制上の強化措置もとられたわけでございます。また、さらには監視区域制度を設けまして届け出勧告制を活用する、そういう投機的な土地取引の抑制と、そういうことも行ったわけでございます。  こうしたことを総合的また一体的に行ったということによりまして、地価の抑制効果というものはそれなりに発揮されたのではないか、そのように私ども考えておるところでございます。  しかしながら、その後、土地の値段が下落をずっと続けてまいりまして、我が国の経済やあるいは社会、土地をめぐる状況変化、こうしたことにかんがみまして、バブル期に講じられましたさまざまな施策につきまして見直していくべきではないか、そういう広い見地からの御意見も出てきたところでございます。私ども、そうした声を受けまして、先般の土地税制の改正あるいは監視区域の解除、そうした役割を果たしたものにつきましては順次見直しを実施してまいった、そういうことでございます。  そして、先ほども申し上げましたけれども、昨年十一月に取りまとめられました政府・与党で構成されておりました土地の有効利用促進のための検討会議の提言がございましたので、そうした提言等を踏まえまして土地の有効利用、適正な利用のための土地取引の活性化を進めていこうという、そうした土地政策の目標に切りかえて今日まで実施をしてきておる、そうしたことでございます。
  60. 小川勝也

    小川勝也君 土地というのは、当然のことながら生産の三要素にも含まれてもおりますし、経済の源であります。土地の価格が余りにも高騰すると経済的な活動に支障を来す、当然のことでございます。私は、だからといって総量規制がよかったとは思いません。  話を未来に戻すとして、今この法律案でも議題になっておりますとおり、土地が有効な利用をされていないところがたくさんある、これが経済発展を阻害する要因になっていることは事実であります。そして、話は少しそれますけれども、バブル時代、いわゆる不動産屋と呼ばれる人たちは大変景気もよくて、銀座で一晩に何百万円使ったなどという話もたくさん聞きました。あるいは国民の間では、不動産屋さんあるいは地上げ屋さんの区別がつかなくて、土地や不動産に関係する人たちをうさん臭い目で見ていたこともあるかと思います。しかしながら、こういう御承知のような経済の中、景気状況の中、今でもしっかりとした不動産業に携わる方々が経済を支えていることも事実であります。しかるに、本当に経済の源である土地が活性化するのかどうかというのは大きな問題だと思います。  私も、今回の国土利用計画法の一部を改正する法律案は、規制緩和の一環として反対はいたしませんけれども、そもそも効果が上がるのかどうか、この点が心配でございます。国土庁、いかがでしょうか。
  61. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 先ほどもお答えしたとおりでございますが、私ども今回の改正の一番の趣旨は、その有効利用の促進につながるために規制の合理化をするという点にございます。しかしながら、今回の改正の効果といたしまして、最長六週間の契約締結制限があった事前届け出制から事後届け出制に移る、しかもその価格のチェックを行わないというこの二点がございますので、今後そういった大規模な土地取引につきましては随時自由にできるということでございます。  私ども、これまで事前届け出の対象となっておりましたのは約四万件ございますものですから、この四万件の土地取引につきましては比較的自由にできるということで円滑化に資するというように考えておりますが、実は件数では総取引件数の約二%強でございますけれども、面積を見てまいりますと総取引面積の約四割という大変大きなウエートを占めておりますので、こういった大きなウエートの土地が有効に利用するところへ向かって動くということはそれなりに経済の活性化に資するところがあるんではないかというように認識しているところでございます。
  62. 小川勝也

    小川勝也君 私も、やらないよりやった方がましだとは思いますが、本来この問題を解決する手段というのはみんなわかっていると思います。  例えば、税制の問題、そして国際的な問題にもなっております大きな問題は、金融システムの中に存在しておりますいわゆる塩漬けになっている不良債権、土地の問題であります。この両案とも国土庁だけが考えて解決できる問題ではありません。  そんな中で、私が思うのには、ここまで景気が冷え込む、経済が深刻な状況になるまで放置してきた責任は当然国土庁にもあると思いますし、その原因は対大蔵との政策協力の力だと思います。  例えば、税金を下げることを極端に嫌うのが税務当局でありますが、その税金を下げることが土地流動化の中心であると考えておるわけでございます。将来的にいつまでもこの景気が悪い状況が続くとは思いませんけれども、税制を機敏に出動させる、あるいは金融関係の不良債権の問題もまだまだ大きな問題でありまして、この問題が解決すれば日本の経済は一気によくなるわけでございます。その大上段の土地関係政策についてお伺いをいたします。
  63. 生田長人

    政府委員(生田長人君) まず、税制についての考え方についてお答えを申し上げたいと思います。  先生御承知のとおり、平成十年度の税制改正におきまして私どもが要望いたしまして実現していただきましたのは、先ほど大臣からもお答えございましたように、バブル期に土地に対して大変厳しい税制をつくったわけでございますけれども、これをできるだけもとに戻そうということで、土地税制改正の部分といたしましては地価税の課税を停止させていただいた、それから土地の譲渡益課税につきましては大幅な軽減措置をさせていただいたわけでございます。さらに、投資促進税制といいましょうか、資産の買いかえ特例につきましても拡充させていただいた、大変広い範囲にわたりまして土地税制の見直しを実際にやったわけでございます。  これらの措置の考え方といたしましては、先ほどから先生お話しございましたように現下の厳しい経済状況がございますので、期間を限って思い切って税負担の緩和を図るという考え方にのっとったものでございます。この措置によりまして、その他のいろんな施策を講じておりますので、相まって土地取引の活性化、あるいは我が国の経済の活性化に大きく寄与するものがあるんじゃないかというふうに思っております。  ただ、まだ若干し残した部分がございますし、これから恒久的な土地税制のあり方というものについても今後検討していかなければならないものだというように考えております。
  64. 小川勝也

    小川勝也君 必ずしも満足のいく施策ではないと思いますけれども、評価をいたしたいと思います。  そして、先ほど私が申し上げた、例えば空き地があってもだれも喜ばないわけでございます。そんなことも考え合わせまして、その土地を有効利用しようとする、土地取引をする企業にお金が出ないのが今の現状でございます。これも、先ほど申し上げましたように国土庁さんだけが頑張っても仕方ないわけでございますので、将来にわたって土地を所管する、土地を監督する省庁として対大蔵の発言力を高めていくことが必要だと思いますので、今後の御努力をお願いしたいと思います。  もう一つ法律案質問をさせていただきたいと思います。  これも小幅な改正とはいえ、本当にもっと考えなきゃいけないことがほかにあるという、先ほど申し上げましたことが当てはまると思います。午前中、上野委員から、都市計画法のないところがいい町づくりをしているという例もありました。逆に、同じ規制で全国の町づくりが行われているために、どの駅でおりてもほとんどイメージが同じだ、あるいは駅前だけが再開発の対象になっているなどという共通の問題もあると思います。その地域地域によって個性的な町づくりができるような、あるいは住民が参加して住民の望む町づくりができるような、そんな都市計画というものが求められていると思います。この新しい町づくりの総合的なビジョンについてお伺いをいたします。
  65. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 午前中の質疑の中では都市計画法がない方がというお話がありましたが、私の理解では、線引き問題をテーマにしてお話がありまして、線引きのないところがかえってというお話はあったかと思いますが、いずれにせよ、問題はそう単純ではないと私も認識しております。  それで、今おっしゃったビジョンということでありますが、各都市が同じような顔であるということも、私どもそれぞれの地方を見てまいりましておっしゃったようなことも感ずるところはございます。  しかし、果たして現在の制度がすべてを決めているというふうに言っていいかどうかということについては、私はむしろ各地域が、今までは手探りだったかもしれませんが、制度そのものをなかなか生かし切れなかった時代であったと思います。もちろん、これからそういう状態が急に変わるかどうかも確かな話ではございませんが、ただ私ども、今回の都市計画法改正などをお願いしております中身につきましても、今先生おっしゃられたように、できるだけ地方みずからのいろんな、自分のアイデアを含めまして、発想が生きるような仕掛けをつくっていきたいと思っていますから、その際には各都市が、マスタープランも含めてでありますが、各都市のビジョンをお決めいただく、あるいはそれにいささかでも国がお手伝いができればと思っております。
  66. 小川勝也

    小川勝也君 これも一つ法律を主題としてする質問じゃありませんけれども、午前中の質疑の中に建設大臣都道府県知事という話がございました。本来でしたら、そこに住む人たちの意見というのが最も近くで反映されるのは市町村であります。都道府県というのは遠いところにあり、市町村が近いところにある。私が思うに、今回の都市開発に関する問題でも、都道府県知事というよりも市長、市役所というところで解決するべき問題がたくさんあるのではないかなというふうに思うわけであります。  今回の法改正におけるさまざまな問題を含めて、都道府県と市長あるいは市役所との関係をどのように整理されたらよいでしょうか。
  67. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 公共団体の問題につきましては、これは地方自治の問題を含めまして、私ども所管している者からすればもう少しほかの省庁との意見調整をした上でお答えすべきテーマだと思いますが、基本的には今は、先生の御質問に沿って申し上げるならば、原則は市町村にいろいろ権限等も含めて基本は置くべきだと考えております。  しかし、先ほど来申し上げましたように、かなり広域な問題、あるいはこう申してはあれですが、体制的なことも含めますとまだまだ三千三百余りの市町村の中にはそれぞれの課題を抱えているところがあるわけでございますから、そういうところに問題なく都市計画制度が運用されるためには、県の立場から、あるいは場合によっては県がおまとめになるテーマについて国が関係する場面もあろうかと思いますが、基本は今申し上げましたように市町村にあろうかと考えております。
  68. 小川勝也

    小川勝也君 今の局長の御答弁どおりに、法律上は知事となっているようなことがあってもなるべく市町村の意見、その延長線上には住民の意見が反映されるような都市開発であってほしいものと思います。  私の質問はこれで終わります。
  69. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党の岡崎トミ子でございます。  五月十二日に本会議で質問をさせていただきました。このことに引き続いて、都市計画法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  初めに、市街化調整区域における地区計画策定を前提とした開発許可対象の拡大について伺いたいと思います。  都市計画法の第七条によりますと、都市計画区域市街化区域市街化調整区域に区分されておりますのは、「無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、」とあります。その趣旨からしますと、市街化を抑制すべき区域である市街化調整区域でもしも開発が必要となった場合には、慎重な検討と議論を経て一部を市街化区域に指定がえするのが本来の姿だと考えます。  衆議院の建設委員会で、都市局長は、市街化調整区域のスプロールの問題について、現に相当のスプロールが起こっていて町づくりの観点から見過ごすことができないと答弁していらっしゃいます。民主党の山本譲司議員の質問に対しては、市街化調整区域においてスプロール化を防止するために地区計画を策定してばら建ちを閉じ込めると説明されております。  しかし、そもそもスプロール化現象が起きているのは、市街化調整区域における規制が甘過ぎたり、あるいは徹底されていないからではないでしょうか。スプロール現象の原因をどう分析されておりますでしょうか。また、地区計画の対象を拡大するのならば、一方で市街化調整区域における規制を徹底する具体的な措置をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  70. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 午前中でも御議論いただいておりますが、昭和四十二年から線引き制度を入れたわけでございます。私、すべてが問題ということでお答えしたわけではございませんが、そこそこのところについてはそれなりにスプロール問題を我々としては見過ごせない状況として全国的に起こっていることは、今御紹介のあったとおりでございますが、四十三年度から、多少くどくなりますが、本来、農家の次三男の方々の住宅とかあるいは日常生活の上での利便施設、沿道サービス施設、こういうものはやむ得ない事情によるものであるということで一律に禁止するということはなかなか難しいだろうと、過剰な規制になるんではなかろうか、制限になるんではなかろうかということで開発を容認したわけでございます。  今回の場合は、そういう考え方そのものは私ども変えておりませんが、そういう問題も含めてでございますが、やはり市街化区域へ編入するまでは至りませんが、従来の市街化抑制はしておりますけれども、そういうスプロール問題の解決を横目で見ながら、やはり整然とした市街化調整区域のあり方というものではむしろ地区計画という形で二足の要件を加えまして、しかもそれは市町村が決める計画というレベルで全体をコントロールしていくということが、今のような状態よりはより改善されるのではなかろうかということでございまして、おっしゃられたように、かなり大規模のものは当然今でもいわば市街化区域として飛び市街化区域も含めまして制度的にはあるわけでございますが、そこまでの規模でないものについて今回念頭に置いて改正をお願いしているところでございます。
  71. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 市街化調整区域における開発許可規制の緩和、そして廃止については、ほんの二年前には建設省自身否定的な見解を示しているわけです。  私が持っておりますのは、これは「規制緩和に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの理由の公表について」という建設省が出しました平成八年四月十九日付の資料であります。この資料には、「市街化調整区域市街化を抑制すべき区域であり、開発許可は、」「例外的な措置であり、規制を緩和することは困難である。」と、このようにあります。真っ当な見解だと思いますので、ぜひこの方針に即した対応をお願いしたいと思います。  今回の改正案では、さすがに地区計画に適合した計画を開発許可に追加するということで一定の歯どめをかけているというふうに思います。この地区計画という制度は、都市計画の詳細な部分を住民参加の原則にのっとって決めようというもので、私も基本的な理念には賛成をいたしております。しかし、地区計画の決定手続を見てみますと、意見聴取が義務づけられているのは当該地区の地権者だけで、周辺地域に住む住民の意見を反映するシステムにはなっておりません。わずか数名の比較的広い土地を持った地権者が地区整備計画の設定を要請して、そしてこの地権者たちの利益に沿った形で大規模店舗や大型マンションの建設につながるといったことも改正案の条文と関係の法律を見る限りあり得ると思うんですが、その点はどうお考えでしょうか。  大規模店舗や大型マンションが建設されますと、周辺住民の人たちも大変大きな影響を受けることになりますので、そうした周辺地域の住民も地区計画の制定に参加できるようにすべきだと思いますが、御見解、考えられます対応についてお聞きしたいと思います。
  72. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 平成八年四月に私ども建設省からお答えしたことについて御披露ございました。くどくなりますので先ほどの答弁で足りたと思いますけれども、今回の改正基本的に調整区域趣旨そのものを私ども変えるものでもないし、また損なうような対応をすべきではないという考え方は変わっておりません。先ほど来申し上げておりますように、市町村が的確な判断をするということが前提でございますが、単なる規制緩和ではなくて、むしろ当該都市計画区域における計画的な市街化を図る上で支障がないものに限ってということでやっております。  それから、今二つの点で御指摘ありましたが、地区計画が決まりますと、その地権者のみで、周辺住民の御意見が出ないのではなかろうかということでございますが、これはそもそも地区計画は、都市計画権者は市町村でございますが、その必要に応じて都市計画手続を踏むわけでございますから、当然その案について公告縦覧、さらには関係住民の方々の意見書提出というのも手続上は本来の都市計画法の手続に沿ってできるわけでございますから、ぜひこれを御活用いただきたい。  それから、大規模マンションとか大型店舗のお話しございました。むしろ私は、これはそれぞれのケース・バイ・ケースでございますから、余りここで具体のお話についてお答えするのはいささか問題かと思いますが、地区計画の性格は先ほど来申し上げているようなことでございますから、そういうものこそむしろこの地区計画の中では方向としては認めていかないといいますか、それに該当してこない、あるいは念頭に置かないケースになろうかと思います。  ただ、これは私は、地区計画についても当然市町村がお決めになるわけでございますから、整然とした都市整備といいますかそういうものの中で公共団体がお考えになった上で御判断なさるものであろうと思っております。
  73. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 地区計画の策定については、市町村のマスタープランの策定を促進して、そのマスタープランに即したもののみについて認めるべきだと思いますが、これはいかがですか。
  74. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 現在、その地区計画を初めとする都市計画は必ずしもマスタープランが存在しなくても定めることができるわけでございまして、午前中も先生方から御質問がありまして、ちょっとくどくなりますが、マスタープランが現在二百八十余りでございます。該当する市町村からすれば確かに率的には低うございますが、こういう問題を取り上げるに当たって私たち全国の市町村にアンケート調査をしましたら、約八百を超える市町村がマスタープランを現在策定中でございますので、私はこういう市町村が恐らくそう遠くない時期にマスタープランそのものを策定してくださるんじゃないかと思っていますから、そういう意味では一つ町づくりの方向づけがそれぞれの市町村ごとにつくられることを期待しております。
  75. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、開発許可対象の拡大についてもう一点、これは農水省に伺いたいと思います。  確認いたします。市街化調整区域と農業振興地域の整備に関する法律に基づく農用地区がダブって指定されている場所に地区計画をするということはできるのでしょうか。また、策定された場合に、その地区計画に沿った開発は認められるのでしょうか。
  76. 武本俊彦

    説明員(武本俊彦君) お答えいたします。  法律制度上は農業振興地域法と都市計画法は別の法律でございますので、概念的には地区計画を農用地区域に設定することそのものができないという形にはなっておりません。しかしながら、農用地区域というものは農地の転用を原則として禁止いたしておりますので、仮にそのような地区計画が立ったといたしましても、開発行為の許可そのものがおりないという形になってまいります。  この点は、それぞれの制度を担当している行政主体が、基本的には最も基礎的自治体である市町村が計画を立てて、都道府県が認可・承認をするというシステムを都市計画制度も農振制度もとっておりますので、総合的な行政主体でございます市町村、都道府県がその点についてはきちんと判断をされて、制度の運用をしていただけるだろうというように考えております。
  77. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、特別用途地区の多様化についてお伺いいたします。  この改正の主な目的は、地方分権を進めることとなっておりますが、大店法の廃止を受けて、市町村が大規模店の進出を防ぎ、商店街を守るための道具になるとも宣伝されております。私自身、商店街で見知ったおじさんやおばさんのところで買い物をすることは大好きでありますし、車を運転しないお年寄りですとかあるいは子供を連れた親子がやはり御近所の商店街で買い物をするということがとても大事だというふうに思います。  何よりも商店街は町の顔であります。そしてまた、市民の触れ合いをはぐくむ商店街を守るということがとても今は大切だというふうに思いますが、一方で、価格が安くてあるいは品ぞろえも豊富な大規模店のよさは認めます。しかし、やはり私たちの生活の舞台である町の姿を決める上では、経済原理だけではだめで、自分たちがどういう町に住みたいかを市民が決定していかなければならないというふうに思います。  そうした意味で、市町村が自分たちの商店街を守る選択をしたときに、それを実行する道具を持つことがとても大事だと思います。今回の改正で市町村がそうした道具を手に入れることができるのか、幾つか疑問がありますので、お尋ねをいたします。  商店街を守るために、市町村が小規模小売店舗地区を指定することができるようになるということなんですが、仮にある自治体が商店街を育てるために床面積二千平方メートル以上の店舗、事務所等を制限する小規模小売店舗地区を指定したと仮定して、この小規模小売店舗地区を指定する意味のあるところ、つまり十二の用途地域のうちで床面積二千平方メートル以上の店舗、事務所等が許容されるのはどの用途地区でしょうか。また、それらを合わせた面積はどのぐらいで、国土の何%になりますでしょうか。
  78. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 若干前置き的なお答えをさせていただきますと、御案内のとおり用途地域は全部で十二用途ございまして、その中で店舗が許容される面積で整理いたしますと、第一種低層住居専用地域以下第一種住居地域までが、一定の面積で制限はされておりますけれども、店舗についての立地が規制されております。第二種住居地域以下商業地域あるいは近隣商業地域、あるいは工業地域、こういうものについて整理されておりますのは、すべての店舗が一応用途地域からいきますと立地が許容される内容になっております。それらを合わせますと、面積的に若干の差はございますけれども、おおむね全体で七割がいわば店舗に関しての制限があるということでございます。  今の御質問は、その中にありまして小売店舗につきまして二千平米以上の店舗は禁止するという内容についてはどうなのかということでございます。  そもそも、特別用途地区について決めも際には、もとになります用途地域を補完するということですから、私たちの考え方としては、中にはそのレベルよりは規制が強化されるものもありますし、事情によっては一部緩和されるようなケースがありますから、なかなかそのラベルを張る際にすべての地域について一律的にどうのこうのということは申し上げられませんが、七種類のいわば今お話のあった二千平米以上の店舗が禁止されるといいますか、そういうラベルが張られる意味のある用途地域の指定面積は現在全国で九十三万七千五百ヘクタールで、国土面積の約二・五%でございます。
  79. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この特別用途地区の内容は市町村が自由に決めてもいいんでしょうか。政令、省令による制約は設けないということですが、例えば容積率をゼロにして緑地を設けるというようなことはできるんでしょうか。商店街を保護するという点について大型店舗の立地の規制による手法ばかりが強調されておりますけれども、大型店舗と共生して活性化した商店街もあります。  そこで、例えば大型店舗を誘導することで小さな商店街が活性化するための特別用途地区を設定しようとする地方自治体が出てくることもあるかと思いますが、特別用途地区で用途地域の規制を緩和することもできるのでしょうか、お伺いします。
  80. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほど来申し上げておりますように、用途地域十二種類を補完するような形で各種の特別用途地区が決められるようにということで、今回我々としてはお願いして提案させていただいているわけでございます。したがいまして、くどくなりますけれども、用途地域の本来の目的の範囲内で特別の目的のために緩和することは可能でありましょうし、それぞれ立地可能な店舗の規模、それらをきめ細かく条例の中で書き込むことはあろうかと思います。  先ほど緑地その他御質問の中にもありましたけれども、我々はむしろ商業だけではなく、先ほどもお答えいたしましたが、他のいわば用途についてはもう少し幅広くそれぞれの地域に合った町づくりにこの特別用途地区が活用できればということでございますので、お答えそのものは御質問にちょっと外れているかもしれませんけれども、そういう意味での特別用途地区の広い活国策が本来の今回の御提案、お願いしている内容でございます。
  81. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 大臣の承認を必要とするというふうに伺っておりますが、なぜ大臣の承認を必要とするのか、お伺いいたします。  同時に、住民の意思を反映する地方自治体が判断をする方が望ましいと私どもは考えておりますが、いかがでしょうか。
  82. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) お答えいたします。  建築基準法の建築規制、わけても集団規制は市街地環境の確保という観点から私ども法制上必要最低限の制限であるというふうに理解いたしております。したがいまして、具体的な状況に即して、法律が予定している制度都市計画で現地の状況を判断しながら当てはめていくというのが基本形でございます。  ただ、その場合でも規制内容についてプラス・マイナス、つまり強化したり緩和したりというふうな必要性があるときにそれは特別用途地区で条例を決めてということでございますが、冒頭申し上げましたように、全国を念頭に置いた最低限の制限であるという事柄の基本的性格にかんがみまして、それを緩和する場合には大臣の承認でやるということで、私ども、最低限の制限ということと個別具体の地域状況との兼ね合いの中でチェックをさせていただいているというふうな制度をとっております。
  83. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この特別用途地区の類型の廃止、地方分権という観点からは望ましい方向性の改革であろうかというふうには思っておりますが、市町村がそれぞれの基本方針にのっとって自由な町づくりを展開するための道具としては私は十分なものではないというふうに思うんです。やはり抜本的な制度改革を行って、都市区域についても農地についても市町村がそれぞれの方針にのっとって一括した成長管理を行える体制を整えることが必要と考えております。そういうことを可能にするための地方分権、権限と財源を地方に持ってくるという行財政改革は大変重要だというふうに考えております。  続いて、都市計画における住民参加の仕組みについてお伺いしたいと思います。  今回問題になっております市街化調整区域における地区計画の策定、用途地域における特別用途地区の指定もそうですが、都市計画は当該地区の住民ばかりでなく、周辺地区の住民の生活に密接にかかわります。そうした住民の生活の質、人生の設計にまで決定的な影響を与える都市計画変更に対しては住民の声を反映させる仕組みが十分でないということは大きな問題だというふうに思っております。  先日、本会議で質問をいたしました際に、住民参加の一層の拡充については適切な制度の運用を促進するという御答弁をいただきました。都市計画決定過程における公告縦覧の期間を従来の二週間から延長することと公聴会開催の義務づけをぜひお願いしたいと思います。特に公告縦覧については、働いている人、勤労者がお休みの日、あるいは勤務外の時間にも縦覧できるようにする工夫も必要だと思いますが、いかがでしょうか。  また、住民が意見書を出してもそれが意思決定に反映されているのかどうかすらわからないというのを住民の不満として聞いております。少なくとも住民が質問した趣旨、それに対する回答を公開する、またこれを審議する市町村の都市計画審議会の公開を定めるべきだというふうに考えますが、この点、あわせてお答えいただきたいと思います。
  84. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 都市計画の手続について幾つかの点について御質問いただいたわけでございます。  お話にございましたまず公告縦覧の法定期間の延長でございますが、これは御承知のとおり現在二週間ということで決められておるわけでございます。ただ手続の中で、ここのところだけを見ますと二週間が短いのか長いのかという議論にどうもはまるわけでございますが、御案内のとおり、都市計画審議会の手続を踏む前に地元では説明会とかあるいは意見をお聞きするような機会というのは、それぞれ事業の大きざあるいは重要性によっても異なると思いますが、かなり私は公共団体は努力してくれていると思っております。したがいまして、法律上二週間ということについての直しをどうするかということについては、私は現在とりあえず状況としては問題はないと理解しております。  ただ、おっしゃったように、住民の意向を反映する手続全体を工夫しなさいということについては、これからも制度的な工夫はいろいろしていかなきゃいけないと思いますし、実際に扱う公共団体の判断でございますが、今お話にございましたように、例えば休日とかあるいは夜間についての縦覧等についてもこれは工夫次第であるものだと思っております。  それから、意見書を公開すべきであるかどうかということでございますが、これも先ほど申し上げましたように、むしろ積極的に事業説明会等々に御参加いただいて御意見を言う機会があれば、その間に各住民の方々、関係者の考え方というものが公共団体あるいは事業者に伝わるわけでございますから、私はこういう場面を大いに御活用いただきたいと思います。  何ゆえその意見書等についてそういうふうな扱いにするかということでございますが、実際にはその意見書そのものは御承知のように都市計画審議会の場に付議されておりますので、これについての判断はそれぞれの審議会の委員がしっかりしていただけるものと思っております。  それから、審議会を公開する必要があるんじゃなかろうかということでございます。  これは、時代の流れの中で、都市計画審議会に限りませんけれども、情報公開等との問題で一つずつ日本のいろんな各種の場面といいますか制度が変わってきていることも私承知しております。したがいまして、今後についてどうかということについては今お答えするには十分な詰めをしておりませんが、従来からお答えしていたことに多少こだわるわけでありますけれども、そもそもこういう権利関係について相当シビアな部分はあったりいたしますので、そういう意味では、どなたの委員がどういう発言をしたかということについて、いささかまだ日本の状況からいきますと、それについては議事録等もとるわけでございますけれども、公開ということをしておりません。  ただ、それは中身について論議することについて相当、秘密主義であるということでなく、むしろ審議会のメンバーにできるだけ多くの分野の方々に御参加いただいて積極的な意見交換をしていただく必要がある、こう理解しております。
  85. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今のではちょっと最後の審議会の公開ということについて、メンバーを公開して、あるいはメンバーのところを伏せて中身だけというような形の、ばらばらになっておりますけれども、だれがどういうふうに言ったかということももちろん必要だと思いますけれども、その中身についてはせめて公開ということはいかがですか。
  86. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほどお答えいたしましたように、住民の方々がどういう意見をお持ちであるかということの把握について積極的に公共団体が取り組むことに関しては、私はいささかもちゅうちょするものではありません。  ただ、制度的に、今の制度として公共団体としては審議会の役目からいきましてそれぞれが慎重審議をしていただいている状況の中で、当面そういう状況を見守りたい、こう思います。
  87. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ぜひ積極的に、この改正を機に公開という方向を考えていただきたいというふうに思っております。  住民の意思の反映、本当の意味での地方分権という観点から、都市計画決定過程に議会の関与を義務づけるということが大切だというふうに思っております。この点について建設省は非常に消極的だと私は思います。ほかの国はどうなっておりますでしょうか。  アメリカはどうでしょうか。
  88. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) お答えします。  アメリカにおきましても基本的には各都市計画の策定手続におきましてそれぞれの自治体に授権されておりまして、状況的には各地方政府においての取り扱いといいますか関与がされていると承知しております。
  89. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 アメリカは、市議会、議会が関与されておりますね。  ドイツはいかがですか。
  90. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) ドイツにおきましても、各市町村に当たるものとしてゲマインドというんでしょうか、そういう公共団体がございますけれども、そこにおきまして、いわばFプランとかBプランの策定に当たりましては市町村議会における策定ということが決まっております。
  91. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 議会が関与していますね、  イギリスはどうですか。
  92. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 私も今お答えしながら多少、十分な勉強をしておりませんので、正確を期してお答えした方がよろしいかと思いますが、イギリスの場合も、制度的には今までお話ししたドイツとかアメリカと都市計画制度そのものが多少異なりますが、日本でいう市町村に当たりますものがディストリクトといういわば区域がございますが、そこではローカルフランを策定する手続になっておりまして、そのディストリクトカウンシルがその策定に当たっておるというふうに聞いております。
  93. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 フランスの場合について教えてください。
  94. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほどお答えいたしましたドイツに近いということでございますが、市町村に当たるものがコミューンと称しておりまして、このコミューンに都市計画の策定権限を持たせておりますが、POSというものがございまして、このPOS、土地利用計画を策定する場合にはそれぞれの市議会におきまして策定されるというふうになっております。
  95. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 地域レベルのこういう都市計画策定の際、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、いずれも議会というものが関与しているということがおわかりだというふうに思いますが、なぜ日本では議会の議決が関与できないことになっているんでしょうか。選挙され負託を受けた議会の関与が望ましいというふうには思いませんでしょうか。  政治家であります建設大臣に伺います。
  96. 瓦力

    ○国務大臣(瓦力君) 岡崎委員にお答えをいたします。  都市計画決定に当たりましては、議会の考えを反映すると同時に、専門技術性の確保と国民の権利保護の要請との調和を期すため、都市計画の専門家でございますとか議会関係者を含む都市計画地方審議会の議を経るとともに、関係市町村の住民は意見書を提出することができる、このような措置を講じておるわけでございます。現行制度のもとでも議会の意思は適切に反映されている、かように考えております。
  97. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 議会の反映と。適切に反映されていることではなくて、議会をきちんと利用するというふうにどうして日本はできないのか。議会が関与できるように、ぜひそうした御尽力を建設大臣にお願いしたいと思います。  検討内容が非常に技術的だから専門家がかわって審議するという理屈だと思うんですね。それで本当にいいのかどうかということです。審議会の構成をできるだけ住民の意思を反映するものに近づける努力はもちろん必要でありますけれども、先ほども申し上げましたように、都市計画の策定は、当該地区のみならず周辺地域も含めた広い地域の住民の生活に直接影響を及ぼすものでありますから、その決定過程から住民あるいは住民の代表である議会を締め出すのではなくて、住民や議会に対してわかりやすく問題を整理して説明することにエネルギーを割くべきだというふうに思います。  もう一度具体的にお尋ねいたしますが、先ほど取り上げた地区計画の策定についてですが、議会の決議を必要とするということに、改めて建設大臣、お考えをお聞かせください。今の私の話ではだめでしょうか。
  98. 瓦力

    ○国務大臣(瓦力君) 先ほどお答えをさせていただきましたが、欧米社会が町をつくり上げていく歴史的経緯というものももちろん参考にし、考えてみますと、我が国におきましてこれからさらに地方自治でありますとかまた町づくりでありますとかそういったことにつきましての意欲というのは旺盛になってまいると思うわけでございます。  そうした観点からも、町づくり都市づくりのあり方につきましては、その時々の時代の要請に基づいて仕組みも変化をするものと思うわけでございまして、私は、岡崎委員が今御指摘のような方向にこれから我が国の歴史も大きく動いていくものと思うわけでございます。
  99. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 まだ時間もございますので、先ほどの御答弁の中のマスタープランについて、ちょっと戻って大変申しわけないんですけれども、お伺いしたいと思います。  マスタープランについて準備しているところも非常に多いので、地区計画もいい方向になっていくというふうにおっしゃっておりました。そのマスタープランとの整合性を義務づけることについてはどうお考えでしょうか。  そのマスタープランの策定が進んでいるとはいえ、まだのところもありますし、内容不十分のところも、コンサルタントに頼っているところもございます。事例の紹介あるいは研修会などの形で支援ということはいかがでしょうか。伺っておきたいと思います。
  100. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほど御質問の中にありましたが、日本の都市がなかなか画一的でどうも魅力に乏しいという御意見もあったわけでございますので、国としてどの程度のお手伝いをするのかというのは我々も若干悩むところでございます。決して、従来のような国が同じ町をつくるということは今の時代には合いませんし、我々も考えておりません。  お話のございましたマスタープランについても、先ほど全体の約半分以上が、二千余り都市計画区域を決めておりますが、関係市町村数で約八百を超えるところの市町村が準備中だということで、そういう準備中のところは間もなくマスタープラン策定という状況になるだろうということを申し上げたわけでございますが、私は、マスタープランそのものは現在の都市計画法で規定はされておりますが、いわゆる都市計画決定手続に乗っているものではありませんので、今後これをどういうふうにさらに充実し格付していくかということと、せっかくこういうマスタープランをつくる際に多くの方々が御意見を出すことが一つ町づくりに対してのコンセンサスをつくっていただくいい機会ではなかろうかと思っております。  都市の規模あるいは都市の持つ悩み、問題もいろいろ種々雑多でございますからそう簡単な話じゃないと思いますが、私たち、町づくりはこれから恐らく、先ほど来申し上げております一番地元のところの議論の中から一つずつの問題が摘出され、あるいはそれの解決策も出てくるであろうと思っておりますから、その方向づけとしてマスタープランを決めることを期待しております。
  101. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 本会議での御答弁をいただいたり、またきょうこれまでの御説明も伺いまして、緩やかだけれども硬直的で住民の声を反映しにくい日本の都市計画制度のあり方そのものを見直して、厳しいけれども柔軟で住民の声を反映しやすい都市計画制度にぜひ改めていかなければならないという、そういう認識を強くいたしました。そういうことの国民全体巻き込んだ議論が大切だというふうに思っております。  今回機会を与えられて、都市計画制度土地利用制度が非常に複雑なものだと、説明を伺っていても時々わからない、非常に難しい、説明をされる方も私の部屋にいらして難しいということもおっしゃっていらっしゃいましたけれども、市民一人一人の生活にかかわってくる、大変密接にかかわる問題でございます。この問題、一人一人が参加できる仕組みをつくるということがやはり我が国の民主主義やあるいは地方自治を育てていくという観点からも大切だというふうに思っております。  またあさって、木曜日にも参考人質疑が予定されているということでございますので、そのときの御答弁というのも期待をいたしまして、さらに充実していくということを心から念願して、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  102. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 国土庁長官にお尋ねをいたします。  この法案に関連して若干お尋ねしますが、土地の有効利用とそれに向けた土地取引の活性化を図るには地価の下落局面ではなかなか難しいという指摘もあるかと思います。これは白書でも明らかになっておりますけれども、国民の意識としては地価の下落を望む声が大変強い。しかし、一方で企業の方は下落よりも上昇を望む声が大幅に上回っているということも現実かと思います。  そこで、国としては今後地価の動向をどういう方向に誘導しようとしていくんでしょうか。要するに今の地価水準でよいという認識なのか、あるいは上昇が望ましいあるいはもっと下げるべきだというお考えなのか、その点についての見解を求めます。
  103. 亀井久興

    ○国務大臣(亀井久興君) 地価をどのように誘導しようとしているかということでございますが、私どもは地価を誘導しようということに重点を置いた基本的な土地政策ということは考えていないわけでございます。  御承知のとおり、バブル期以降すっと連続して地価が下落をしてきておるところでございまして、現在の地価はおおむね実際の需給関係によって決まってきているんではなかろうか、そのように受けとめておるところでございますので、今後の経済動向がどうなってくるのか、そういうことによりましてこの地価についても変化をしてくるだろう、そのように受けとめておるところでございます。  一方におきまして、現在、御承知のように大変経済が落ち込んでおる状況でございますし、また土地取引も停滞をしている。こうした状況でございますと、社会的に有効に活用しようとするそういう土地についてもなかなか思うような土地取引の活性化も起こってこないということで、土地の有効利用が進まないという状況が続いておるところでございますので、土地の有効利用につながるもろもろの施策、また土地に対する実需の喚起、こうしたことを何とか進めてまいりまして土地取引の活性化が進むようにいたしたい、そのように考えておるところでございます。  地価につきましては、こうした施策を実施することによって部分的には地価が、有効利用が進むことによりまして多少上がってくるというようなこともあるかと思いますけれども、一方において供給がどんどんふえていくということになれば、逆に下落が起こるというようなことも考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、基本的に土地の価格というのは実際の需給関係というものによって決まってきているということでございますので、そういった動向をこれからも注視していきたい、そのように考えております。
  104. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 要するに、上げるとか下げるということじゃなくて、あくまでもその活性化に有効利用されるようにしていくのが政府のスタンスなんだというふうにお聞きをいたしました。  そこで関連して、平成三年の総合土地政策推進要綱、いわゆる旧要綱というふうに言いますが、この中では「土地政策の目標」として、第一に「土地神話の打破」を設定していました。土地神話の打破のために「二度と地価高騰を招来することがないように、土地が最も有利な資産であるという状況をつくり出してきた要因の除去に努める。」というふうにうたってあります。  現在、その後のこういういろんな土地政策の中において、結果として土地神話はもう打破されたと、そのように認識してよろしいんでしょうか。そういう認識を政府は持っているんですか。
  105. 亀井久興

    ○国務大臣(亀井久興君) 先ほど小川委員の御質問にも私はお答えをしたところでございますが、戦後、バブル期に至るまでは一貫して土地の値段というのは上がり続けていたわけでございますから、そういう中で土地が資産として大変有利であるという常識もあの当時は定着をしておったと思います。それがいわゆる土地神話ということにもなったんだろうと思っておりますけれども、バブル期以降は先ほども申し上げましたように、ずっと地価は下落を続けてきておるわけでございまして、いわゆる土地神話ということはこのことをもって私は崩れたのではないだろうか、そのように受けとめておるところでございます。  いわゆる土地が資産として大変有利だということについての意識もかなり変わってきておりまして、先般の土地白書にも記述をしておりますように、最近の意識調査におきましても、土地以上に例えば預貯金等の方が有利だという理解も出てきておるように思っておりますので、こうしたことから、いわゆる今御指摘になった土地神話というものはもはや存在をしないのではないか、そのように考えております。
  106. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 この二つ目の目標としまして、旧要綱ですけれども、「適正な地価水準の実現」とあります。「地価については、土地の利用価値に相応した適正な水準まで引き下げることを目標とする。特に、住宅地については、中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保しうる地価水準の実現を図る。」という目標も掲げてあります。  この目標は達成できたという認識なんですか、どうなんでしょうか。
  107. 生田長人

    政府委員(生田長人君) お答えを申し上げたいと思います。  現在の住宅地の地価水準につきましてはいろいろ議論があるところでございますけれども、例えば首都圏で見ますと、最近新規に発売されましたマンションの価格、これは七十平米換算で平均いたしますと、いわゆる平均の勤労者の年収に対する倍率を見てみますと、平成九年五・一倍ということになっております。バブル最盛期の平成二年のピーク時にこれが八・五倍でございました。そういう点から見ますと、五・一倍というのは当時その目標としておりました五倍という水準にほぼ近づいてきているということだというように考えております。また、地価の動向自身も現在まだ需要の状況を反映いたしておりまして、依然としてわずかに下落傾向が続いております。  ただ他方、住宅の規模とか立地つまりどこにあるかということにつきまして、そういう点ではまだなお不満足な部分もかなりある。あるいは住環境の改善といったことについて、これを求める国民のニーズが非常に高くなっているということもこれまた事実でございます。  こうしたことから、私ども単に五倍だとか七倍だとかいうのではなくて、昨年二月の新しい推進要綱におきましても、ゆとりある住宅・社会資本の整備と豊かで安心できる町づくり地域づくり、こういったことが非常に大切だということを認識しておりますので、そういうことで土地の有効利用による適正な土地利用の推進に向けていろんな施策を講じていきたいというぐあいに考えているところでございます。  ただ、こうした有効利用の施策を講じるに当たりましては、私どもとしましてはまた再びバブル期のような大きな地価高騰を招くことがないように、地価の動向につきましても配慮して、地価対策が機動的に発動できる枠組みは維持しながらやっていく必要がある、このように考えているところでございます。
  108. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは、今回の法案で新たに設けられました注視区域という制度について若干お尋ねいたします。  政府の説明によりますと、この注視区域は機動的に設定するという説明でありますけれども、なかなか額面どおり受け取れない面もあるわけです。例えば、昨年三月の新聞報道によると、住宅地、地価下落なのにほぼ横ばい、国土庁が政策的表現、こんな書き方をしているのもあるわけです。実際には地価はまだ下がっているのに横ばいだという表現をしているみたいなこともありました。  そこで、今回機動的に設定するというんですけれども、実際具体的にどう機動的にやっていくのか、特に現在よりも的確な判断ができるようなシステムになるのか、そこを御説明願いたいと思います。
  109. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 御指摘の注視区域でございますけれども、これは法律上は、地価が一定の期間内に社会的経済的事情の変動に照らしまして相当な程度を超えて上昇するか、あるいはそういったおそれがあるという状況になれば指定ができるということになっているわけでございまして、今回その指定を機動的に実施するために内閣総理大臣が基準を決めるということになっているわけでございます。  現在、その内閣総理大臣の基準の内容につきましては検討中でございまして、正確なところをまだ申し上げるわけにいかないのでございますけれども、基本的には、まず年間の地価上昇率を基準にいたしまして、物価とか所得の伸びあるいはそこの地域のそれまでの地価の動き、こういったことを考慮に入れながら指定する基準、これは年間地価上昇率五%程度を考えております。そういった基準のほかに、機動的にやるために四半期ごとの短期的な地価の動向から判断をいたしまして、年間に引き直してみますと先ほど御説明しました基準に該当する蓋然性が高い場合にも指定ができると、そういった内容にしていきたいというぐあいに考えているところでございます。
  110. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 二番目におっしゃった四半期ごとの短期的地価動向調査の件ですが、これは今もやっておられまして、九年度で言うと九百四十九地点、評価員は一人鑑定というふうに聞いております。  そういう意味では、この精度を高めるためにはもう少し基準地点の数をふやすとか、あるいは二人鑑定にするとか、そういう精度の向上を考えるべきではないのでしょうか。
  111. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 二番目にお答えを申し上げました四半期ごとの地価動向で判断する場合につきましては、今先生御指摘のとおり国土庁がやっております短期の地価動向調査、これはお話がございましたように九百四十九地点現在やっておりますけれども、実はそのほかに都道府県が実施しております地価動向調査というのがございまして、これが五千四百七十四地点ございます。こういった四半期ごとの調査をすべて踏まえて判断したいというぐあいに考えております。  それから、年に一回ずつ地価公示、地価調査と半年ずつのタイムラグを置いてやっておりますので、したがって、半年間の上昇率はある程度わかりますので、そういうことも踏まえまして判断をしていきたいというぐあいに考えております。  御指摘のとおり、的確な地価動向の判断を行うことというのは大変大切でございますので、私どもといたしましては地価に関する各種調査の実施の充実ということについては今後とも検討していきたいというように考えております。  それから、ちょっと余談になりますけれども、今回の国土法の改正によりまして実売価格というのを把握することが私どもできるようになるわけでございまして、そういった現実の売買価格の動向につきましてもこの際の判断の基準にしていきたいというように考えているところでございます。
  112. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、最後に国会等移転候補地の地価対策についてお尋ねをいたします。  本年一月、国会等移転候補地にかかわる調査対象地域としまして、北東地域と中央地域、いわゆる二区分三地域が設定されまして公表になったわけであります。該当するのは十一府県になるわけですけれども、過去のバブル期においては監視区域が設定された地域でございます。こういう地域をめぐって、移転候補地が絞られていく過程の中で再び投機行為が全くないとは言い切れないわけであります。  この点、国としては、国土法上も要件を満たす場合には自治体による監視区域の指定を義務づけるというふうになっているようですし、あるいは本年度、通達によって各自治体において特別調査を行いなさいということも言っているわけです。  そういう場合における財政的な支援措置というのは具体的にどうしていくのかということを含めて、今後、政府として国会等移転候補地の地価対策にどう臨んでいくのか、細説明願いたいと思います。
  113. 生田長人

    政府委員(生田長人君) ただいま御質問にございましたように、ことしの一月十六日に候補地選定のための調査対象地域が公表されておりますが、現在の段階ではまだ地域の範囲が測地的にここだということが明らかになっていない状況でございます。  それでも、漠然とした地域ではございますけれども、その地域内の土地取引が今後活性化する可能性に備えまして、私どもといたしましては関係府県に対しまして、先ほどお話がございました首都機能移転候補地等特別調査というものを実施することにしておりまして、地価の動向であるとか、あるいは土地取引の状況のようなものを詳細かつ迅速に把握することができるようにしたところでございます。同時に、府県に対しましては、必要があると認められるようになった場合には機動的な地価対策を実施するようにということで指導させていただいたわけでございます。  もし、今後、より具体的な地域に即した選定作業がどんどん進んでまいりまして、調査対象地域の範囲が測地的に明らかになってきたという状況になってまいりますと、私どもといたしましては関係府県等と緊密な連携をより一層とりまして、例えば注視区域であるとか監視区域の指定であるとか、そういった具体的な必要な措置について的確に講じることができるように努めていきたいというように考えております。  なお、財政的な話でございますけれども、首都機能移転候補地等特別調査、こういった調査に必要な費用につきましては交付金で面倒を見るということにしているところでございます。
  114. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  115. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明の福本潤一でございます。  私の方は、最初都市計画法また都市開発法を先にやらせていただきたいと思います。何しろ三法案同時進行で審査するということになりますので、私の方も混乱しないように対応したいと思いますけれども、返答も手短にしていただければと思います。  今回、この法案並びに中心市街地法案は大店法とかなり絡みがあるということで、参議院としても連合審査、衆議院は連合審査をしたわけでございますけれども、最初に大型店の立地に関しまして、今回の都市計画法だけに限って言いますと、改正は、今回大店立地法もつくろうという中でどういう役割を担っておるのかというところを最初にお伺いさせていただきたいと思います。
  116. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 大規模小売店舗立地法につきましては、今、経済産業委員会の方で御審議いただいております。これはこちらで私がお答えするのはあれかと思いますが、出店に際しまして出店者が周辺地域における騒音とか渋滞、廃棄物等の問題に適切に対応するように促し、生活環境の保持を図ることを目的とするということでございますから、いわば立地に伴ういろんな影響度、こういうものをアセスする法律であろうと御理解いただいていいと思います。  今お話ございましたこの委員会でお願いしております都市計画法は、そういう大型の立地法との絡みはもちろんあるわけでございますが、先ほど岩井委員の方から御質問ございましたが、本来的に今回の都市計画法は身近なところで都市計画を決めていくということでございまして、従来いろいろ御意見のあったところを参考にさせていただきながら用途地域を補完するという立場、こういう立場での特別用途地区に関しましてその類型をあらかじめ法令で限定せずに市町村が具体の都市計画の中で決めていくということでございます。  したがいまして、ちょっと前置きが長くなりましたけれども、その考え方からいきますと、従来よりもきめ細かく公共団体が用途制限を行い、結果的には地域の実情に合った町づくりが進められるものと思っておりますし、その中には例えば御質問のあった大規模店舗の立地についてもより一層地域の課題に的確に対応するという立場からの考え方をその中に表現することは制度的に可能であろうかと、こう思っております。
  117. 福本潤一

    ○福本潤一君 大規模店舗にかかわる大店法がある意味では現実にそぐわなくなったという段階で、大店法の方は廃止方向へ向かっていくということだろうと思います。その中で都市計画法というのがさまざまな形で改正せざるを得なくなったということの答弁をいただいたと思いますが、この改正都市計画法だけに限って言いますと、何点か大きな項目があるようでございます。  この中で、特別用途地区というのが条例で内容を定めるというふうにして変わっていくというお話を伺っておりますが、具体的にはその特別用途地区というのはどういう中身なのか、内容をお伺いしたいと思います。
  118. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほども少し触れさせていただきましたが、特別用途地区につきましては、用途地域によります建築物の用途の制限、こういうものを個々の地区、特性に応じて条例によりましてより強化、場合によっては緩和ということは可能なようになります。  これは一般的な例としてお聞き取りいただければと思いますが、住環境の保全の観点から、例えば大型の店舗の立地について用途地域によりまして規制による強化をすることにふさわしい地域、こういうところを特別用途地区で決めるということについては、一例でございますが、現在、仙台市で行っている例をちょっと御紹介させていただくと、第二種の住居専用地域におきまして、まず文教地区を決めまして、その文教地区において建築物の建築をしてはならないという例として、簡易の宿泊所、それから今お話のございました物品販売等を営む店舗で床面積が五百平米を超えるもの、こういうものを建築してはならないとしているのが一つの例でございます。例として適当であったかどうかわかりませんが、そういうような決め方が現在実例としてございます。  これからは、しかしその十一類型を廃止するわけでございますから、そもそも特別用途地区の名称も含めて、あるいは今私が御紹介したような例もかなり地域によってはいろいろ弾力的にといいますか、多様的に決めることが可能になってくる、こう考えております。
  119. 福本潤一

    ○福本潤一君 都市計画法、かなり似た用語がいろいろ出てきますので、私の頭もあれとこれはどう違うかなとかいうような気持ちになってくるときがありますが、今言われたのは用途地区というものが十一類型、これは現行の法律で既になっている話ですね。
  120. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) もう一度重ねてお答えさせていただきたいと思いますが、用途地域というのが十二用途地域、種類がございまして、これはいわば住居系、商業系、工業系がそれぞれございます。これは先般いろいろ御議論をいただきまして、もともと住居系が例えば商業系とか工業系からある程度純化しなきゃならないという要請の中で用途がふえております。その十二用途の用途地域のもとに補完する制度として今御議論いただいております特別用途がございまして、これは現行では十一類型化しておりまして、この十一類型を廃止して、もちろん今までやってきているところは生きるわけでございますし、それから恐らく形としては十一用途がかなりポピュラーな形として私は使われると思いますが、それをさらにいろんな形でのモデファイといいますか、多様化することが可能なように今度の改正をしております。  十一用途は特別用途地区でございます。
  121. 福本潤一

    ○福本潤一君 ということは、十一の現行の用途地域に今回特別用途地区を多様化させてその補完をするという形だと理解してよろしいんだろうと思います。  そういう地区の類型、午前中そういう用途区域を指定すること、かなり現場では規制が大きい形になっています。ただ、例えば文教地区の中に特殊浴場とかなんかつくれないような形にしていますから、そういう意味では非常に役割を果たしているんだろうと思います。  こういう大店法の中で今さっき文教地区の例を言っていただきましたけれども、具体的に大規模小売店というのがこういう中で今回の大店法廃止に絡んでこの特別用途地区で何か特典、メリットありそうな例をあれば言っていただければと思います。
  122. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 繰り返してございますが、これから各公共団体がそれぞれ知恵を絞りやっていくわけでございますから、私が一つの類型を示すことは、御説明させていただくことは可能だと思いますが、先ほどもちょっと例で申し上げましたが、本来の用途地域の考え方がより詳細化されるという形で方向づけられるのが特別用途でございますから、そういう意味では、考え方は例えば住居系の中に新たな大きな店舗等が進出するときには面積とかそういうことでの規制をかけていくことは可能だとお考えいただいていいと思いますので、これは各公共団体が恐らくこれから工夫をなさいまして、例えば地元の地場産業を振興していくという意味ではむしろ一部緩和といいますか、そういうこともありますが、基本的にはより規制を限定していくという意味では規制の方向がとられるのが特別用途地区の役目ではなかろうかと思います。
  123. 福本潤一

    ○福本潤一君 最後のところ、ちょっとわかりにくかったですが、規制緩和になるという意味なんですか。
  124. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 規制緩和と申し上げましたのは、具体的な例を申し上げる方が早いかと思いますが、川口市の例を申し上げますと、川口市の場合に鋳物工場などが現在ございまして、これは大変地場産業としては積極的に振興していかなきゃいけない。それは原則的にもともとの用途地域の色塗りをしているときにはそういう工場が進出しにくい状況でございますが、むしろそこのところに鋳物工場が立地することは可能にしているという形での緩和といいますか、範囲が比較的幅広く選択できるということを例として申し上げたらよろしかろうと思います。
  125. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう例を最初から言っていただくともう少しわかりやすくなるんですが、なかなか具体例が出しにくかったようでございます。  この話で、建設白書というのを毎年出されておりますが、中心市街地というものの空洞化が進んでいる。その中に書いてあるわけですけれども、その原因として、自動車に頼る生活になって、駐車場のある大型店に需要というものがシフトしている。したがって、そういう分析をして、これは三年か四年前の建設白書の中に書いておるわけでございますが、今回地区計画をさまざまして郊外部の方に大規模店舗が進出しやすくなったということになりますと、中心市街地の一層の空洞化を招く方向でこれは進む法律改正かなと思いますが、その点に関する考えをお伺いしたいと思います。
  126. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) ちょっと私、御質問趣旨をたがえているかと思いますが、白書でお答えしておりますのは、全国的な傾向の中で、これは常々最近言われていることでございますが、例えば先生おっしゃられたような車社会の進行とか、あるいは共働きによりまして購買する行動パターンなどが、まとめ買いと言っていいかどうかわかりませんけれども、そういうものとか含めましてそれぞれお買いになる商品なりの買い方が大変変わってきていることも事実でございますし、人口動態からいっても高齢化が進むとか種々ございます。  そういう傾向の中で、確かに都心の空洞化が進んでおりますが、一方では、郊外立地というものを道路整備などが進むことによって可能にしてきていることも傾向としてあります。ただ、これからの財政状況とかあるいはお年寄りの方々の行動を考えますと、既に整備をしたもの、あるいは都市ストックとしてあるものをできるだけ活用していく方向というのは一つ都市づくりとして必要であろうと思います。  今回の場合には、特別用途地区についてもそうでございますが、それぞれの地域のいわば役目といいますか持っている機能を最大限活用させていただくようなことでそれぞれの特別用途地区というのが決まってくるのであろうかと思っておりますので、御質問とちょっと違っているかもわかりませんが、そういう世界での町づくりをこれから考えていきたいと思っております。
  127. 福本潤一

    ○福本潤一君 若干理解しにくい御答弁の面もありますが、基本的に、例えば地方都市へ行きますと、自動車で行ける大型店舗しか店が入りにくくなったという現状は実際上あります。中心街の、ちょっと何か昔は栄えていたけれども最近はうらぶれた感じの小売店というのがかなりふえているわけです。これは経済産業委員会関係の方の絡みですから、今後連合審査等々できるわけでございましょうけれども、もちろん東京の方の大都会、三大都市圏やなんかでもこれは人口動態で人間が中心街にほとんどいなくなった。  私も十五年前まで東京に住んでいたときは、中央区、千代田区ぐらいはドーナツ化が進んでいましたけれども、今や文京区、さらに広がって墨田区等々も昔住んでおった人がほとんど外に行って、真ん中の中心街にはドーナツ化の中心の穴がかなり大きくなっているなという印象を受けているわけです。そうすると、その両方にわたって、地方でも駐車場を大規模に持っているところはかなり潤っている、中心街の小売店もそこを引っ越さなきゃいかぬぐらいになっているというのが東京、地方共通にあるような形だと思います、原因は違うかもわかりませんが。  それで、こういう形での法律改正というのが具体的にどういう形で今後進んでいくのか。要するに、中心市街地の商店を活性化させようと思って大店法を廃止し、立地法を新たにつくって大店法に絡んで都市計画法を変えようとしているのか。どちらにある意味では軸足を置いて、今後誘導政策ということではないでしょうけれども、改正によるメリットとして生かしていこうかというのを建設大臣にお伺いしたいんです。これは大臣には投げていないので、都市局長でもいいですけれども、答えていただければと思います。
  128. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 大臣に、もしあれでしたら私の答弁を補足していただきますが、二つ、御質問がいろいろ多岐にわたっておりますが、私なりに理解をさせていただくと……
  129. 福本潤一

    ○福本潤一君 基本的に軸足をどちらに置いているかということです。
  130. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 二つと申し上げましたのは、御質問の中身が二つあって、軸足はどちらかというのは、これはなかなか割り切りにくいわけでございますが、都市型社会というふうに私が申し上げております都市政策の今の方向は、限りなく中心部をメーンにしております。  しかし、日本の町を今見ていますと、まだまだ安定期に至らない都市もあることも事実でございますので、そういう意味では、郊外部に対して一切それでは何も配慮しないのかあるいはやっていかないのかということになりますと、結論はそう簡単には出ないと思いますが、大筋で申し上げますと、やはり都心の中心街を中心とした先ほど申し上げた既存ストックを活用するような都市づくりというのがメーンではなかろうかと思っております。  それから、先生が言っておられました駐車場の問題とかいろいろございまして、今回の法律はどういうところをねらっているのかということでございます。これは、先ほど来申し上げておりますように地方へ権限をできるだけおろしていって、これは地方自身も大変悩み苦しまなきゃいけないことではなかろうかと私は思いますが、いろいろ道具だては準備いたしまして、自分の知恵を発揮できるような環境づくりをしていく、その結果が個性ある町につながっていくのではなかろうか。やはりやる気のある町がこれからは伸びてくるという仕掛けをつくりたいと私たちは思っております。
  131. 福本潤一

    ○福本潤一君 私も質問している中で大分整理ができ始めました。  要するに、本来、都市計画法改正というのは、別に大店法と絡みではなくても、地方分権というのがメーンにあった、そこにちょうど大店法が廃止になり、大店立地法が新たにつくられるという段階を迎えたものと関係がある、若干連動してきた方が役なんだという理解でよろしいんですか。
  132. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 議論としては、既に特別用途地区はかねてよりもう少し使いやすくしてくださいという御要請も地方から出ておりましたので、そういう意味では議論をしてきたことも間違いないわけでございます。時この国会には、先ほど先生も御紹介がありましたように大型店舗立地法あるいは中心市街地、さらには都市計画法ということで、その効果いかんということでの御説明の中に例えば他省庁に御説明をした嫌いもございまして、その辺のつながりについてのアクセントの置き方に多少強弱はあろうかと思います。  私ども都市計画を預かる立場からいきますと、先ほど申し上げましたように一つの特殊解、商業関係だけについて議論することではなく、もっと多用途にこの特別用途地区が使われることを期待しているというのが本音でございます。
  133. 福本潤一

    ○福本潤一君 おかげで非常にわかりやすくなりました。  基本的なねらいが、最初地方分権をかなり考えて権限移譲しようというところにあるということで始まって、それの絡みもちょうど出てきたということであるんですけれども、そのために逆にねらいが若干、恐らくいろいろを形で質問していてもわかりにくいところがあるわけです。こっちをねらっているのかな、あっちをねらっているのかな、どこなんだろうというのがわかりにくい人がかなり多いと思います。私も党に持って帰って説明するときにさまざまた言い方をしないといけないなというので、基本的にはむしろ地方にそういう特別用途地区を決めていただこうというのがこの法案改正趣旨であるというふうに私の方は理解させていただいた上で、また質問をさせていただきます。  市街化調整区域というものが都市計画法の中で定められているところがかなり多いわけでございますが、その中に地区計画というものが今回できる。これは、区域市街化調整区域ですから広いですけれども、例えばたった一軒だけそこにあるというときでも地区計画ということになりそうな感じのイメージで私は今回の改正を読ませていただきましたけれども、どういう地区計画のイメージになるのかというところを、一軒でも大きな地域だと地区計画という形になるのかどうかも含めて、お伺いしたいと思います。
  134. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 従来、私どもが説明してきていることが多少稚拙でございまして、十分御理解いただけなかった点はおわび申し上げたいと思いますし、午前中の審議の中でもPRが下手だということを言われておりまして、なかなか難しい制度をわかりやすく説明していくというのは我々の宿命、課題であろうと思います。改めて反省しつつも努力したいと思っております。  今お話がございました二月でもできるかという御質問であります。地区計画の性格からいえば、二月にもいろいろ大小あろうかと思いますが、多少そういう意味では雰囲気だけでお答えいたしますと、私は複数の建物がやはりあって地区計画が成立すると思いますが、その前にそもそも今回の改正調整区域で新たに追加される地区計画の対象区域のイメージをちょっと補足させていただきますと、比較的小規模でありましても計画的な開発が行われる地域ということを一つのイメージとして持っております。  もう少し申し上げると、ある程度の公共施設が整備されておりまして、その周辺の自然環境と調和し得る地域、こういうようなところを念頭に置いて数十戸単位ぐらいでゆとりのあるところを考えております。  もう一つのイメージをさらに申し上げますと、個別に許可される、これは本来法律違反ではなくてそういうことが許容されているわけでございますが、そういう開発がばら建ちになりまして、先ほど申し上げました例えばサービス施設とかあるいは日常生活にどうしても必要なもの、商業施設とかあるいは次三男対策で建つもの、そういうものが含まれるわけでございます。そういうもので、既存の集落の周辺や沿道地域で既に住宅が点在しているような地域におきまして、個別では一種のスプロール的なイメージを与えるわけでございますが、そういうものに一定の秩序を与えることができるような、そういうものをイメージして地区計画を決めていきたいと思っております。  基本的には調整区域の精神は変わっておりませんがいそういうばら建ちだとかあるいはスプロール的なものをこの地区計画によって整然とした土地利用につなげていく、私はそういう仕組みとしてぜひ御活用いただけるようにと思っております。
  135. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう趣旨でつくられた地区計画でございます。今後、市街化調整区域に地区計画という形になると、かなり今までの法の精神の市街化を抑えるというところの絡みで、ある人にとっては非常な大きな喜びになったり、ある人にとってはなかなかこれは環境問題でとかいうようなことが出てくるんだろうと思います。その点、市町村長さんの権限はかなり大きなものが出てくるだろうと思います。  そうした中で、地域によってかなり性格が違った開発が行われていくだろうと思いますが、乱開発というようなものが、先ほどは国土利用計画法で出ましたけれども、この地区計画の設定に対して、進む懸念、また対策はどういうふうに考えておられるか、お願いします。
  136. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほども国土庁の方からお答えがありましたけれども、これからの土地利用というものについては、従来の所有、保有から利用というお考えたということを政府全体のテーマとしてお答えいただいたわけですが、私たち都市計画を担当する立場からいきましても、そういう考え方、構えは変わるものではございません。むしろもう少し率直に申し上げますと、これだけの国土資源として考えていくときには、土地というのはあくまでもやはり多くの国民が共有財産として利用していくということであらなきゃならないと思っております。  今回の調整区域の中に地区計画を設ける際におきましてもそういう姿勢ではおりますが、調整区域、いわば市街化区域、この線引き決定主体が都道府県知事でございますので、その線引き決定主体であります知事の承認を得るということによって一つの私は地区計画のコントロールができると思います。広域的であるかどうかというよりは、この性格が大変重要であるという意味でお答えしたつもりでございます。
  137. 福本潤一

    ○福本潤一君 時間も差し迫っていますけれども、前回、議員立法で優良田園住宅建設促進法というものを出しまして、ある意味では二軒目の家をつくるとか郊外型住宅、いい家をつくる。日本の住宅は昔からウサギ小屋と言われて、特に大都会に住んでいる人は狭い家に住んで苦しんでおります、建築基準法絡みの話になりますが。  最後に、そこらの点も配慮していただくとして、建設大臣、せっかくお越しいただいて一間もないということのないようにしたいと思いますが、現在の経済状況にかんがみまして、さまざまな住宅、景気浮揚につながる策を今後、今回の法改正にとどまらずどういうふうに考えておられるか、大臣の御決意をお伺いさせていただきたいと思います。
  138. 瓦力

    ○国務大臣(瓦力君) 昨今の大変厳しい経済状況を踏まえまして、先般、経済対策閣僚会議におきまして、二十一世紀を見据えた社会資本整備でございますとか減税による経済の活性化でございますとか、土地・債権の流動化と土地の有効利用並びに経済構造改革の推進等を重点項目といたしまして総合経済対策が取りまとめられたところでございます。  建設省といたしましては、現在御審議をお願いいたしております平成十年度補正予算の早期成立を期してまいりたい。また、いろいろ御審議につきましてお願いを申し上げたいと思っておるわけでございますが、いわゆる諸施策を一日も早く推進することが現下の景気を回復する上で重要であると考えております。また、今委員からいろいろ御質問もございましたが、大きな転機でございますので、これらの政策と相まって、これらの財政措置、景気対策がうまくリンクして働くように全力を挙げてまいりたいというのが私どもの決意でございます。
  139. 赤桐操

    赤桐操君 それでは私の方から若干御質問いたしたいと思いますが、私はこの三案に賛成の立場でございますので、若干懸念される幾つかの問題について、以下御質問をしてまいりたいと思っております。  今俎上に上っておりまする都市計画法都市開発法国土利用計画法改正案、さらにまた、優良田園住宅の建設の促進に関する法律あるいは高速自動車国道法の一部を改正する法律などは先般既に成立をいたしております。こういうものでいろいろととられている措置が、有効利用を促進しながら、さらにまた土地取引を活発化せしめながら、景気の回復に資していくということについていろいろと進めておられると思うのであります。これは、私は一つの方法として考えなきゃなりませんが、そこで懸念されるものは結局大きな地価上昇が再び来るのではないだろうか、こういうことでございます。  私は、土地の流動化あるいはまた土地の有効利用、これは決して反対するものではないのでありますけれども、問題は、そういうことで今まで一連の政策として進めてきておりますけれども、地価の抑制については余り検討はされてきていないように思います。この点についてまず一つ伺っておきたいと思います。
  140. 亀井久興

    ○国務大臣(亀井久興君) 赤桐委員は、政府・与党で構成しております土地の有効利用促進のための検討会議の重要メンバーの一人でもございまして、赤桐委員の今お述べになりましたような御論旨については、私もそうした会議におきましてよく拝聴しておるところでございます。  今さら申し上げるまでもございませんけれども、バブル期以降、先ほども御答弁申し上げましたけれども、ずっと地価が下落を続けているという状況でございまして、土地取引につきましても低調に推移をしているということでございますので、土地の有効利用を促進していく、そしてそのための土地取引が活性化をしていくということが今得に強く要請をされているところでございます。  しかしながら、地価が再び高騰するようなことがあってはならないということはまさに御指摘のとおりでございまして、これからも私ども地価の動向等を十分に注視しながら、適切にそうした地価が高騰することのないような施策を講じてまいりたい、そのように考えておるところでございます。今回の国土利用計画法改正につきましても、今後生じることが予想されます地価の上昇に対応するために機動的に注視区域を設ける、そうした仕組みをつくったところでございます。
  141. 赤桐操

    赤桐操君 大臣の御答弁についてはわかりますが、また先般のいろいろ論議の中でも地価税の問題についてもかなり論議がなされております。  私は積極的に地価税は存続すべきだ、こういう主張を言ってきたわけでありますが、最終的な結論としては地価税は凍結ということになったようでございます。これもわからぬわけではありませんが、問題はやはりどこで歯どめをかけるのか、上昇気流に乗ったときにどの辺でどう抑えていくのかということが考えられていないということであっては政策にはならないのじゃないか、私はこういうように実は考えておるものであります。今までとられてきている各種の対策については、それなりのやはりいろいろ考え詰めたものでありまするから結構だと思いますけれども、この一点についてはさらにひとつ検討をいただく必要があるだろう、このように思っております。  都市計画法改正がいろいろ出ておるわけでありますけれども、市街化調整区域への住宅進出がこれから先はかなりいろいろ出てくるだろうと思います。それで、法案では地区計画を定めた場合と言っております。これである程度の歯どめをかけることになると思うのでありますが、優良田園住宅法が先般成立いたしましたが、この理念法とは言いながら、これと今の都市計画法との関係がぶつかるわけでありますから、運用のやり方によってはまたいろいろと問題が出てくるのではないか。  それで、特に市街化調整区域には今までかなりきちっとした線引きが行われてきたと思うんですけれども、ばら建ちが出てくるような結果になりませんか。この点はいかがでしょう。
  142. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) ばら建ちの定義はいろいろあろうかと思いますけれども、けさほどからの議論でも御質問がございましたけれども、むしろ都市計画法の世界で認められております開発許可というものについては、ばら建ちという現象の一部に該当するようなものもあろうかと思います。例えば次三男対策で認められているものも、その問題そのものは本質的な問題ではないのですけれども、現象面からいきますと一部ばら建ちに近いものもあり得るかと思います。  今回の地区計画は、先ほども申し上げましたように、それらも含めてむしろ市街化調整区域市街化区域に編入するほどの規模でもありませんけれども、一定の秩序立った土地利用をそういう際でもやっていただこうということで地区計画をある程度定めておりますので、私はむしろその地区計画をうまく使うことによって、ばら建ち防止につながっていく方向でこの地区計画を市町村がお考えいただくことが大切なところじゃなかろうかと思っております。むしろ、そういういわばスプロールの進行とかあるいはばら建ちの続発ということをこの地区計画制度によって防いでいく、私はそう考えていきたいと思っております。
  143. 赤桐操

    赤桐操君 私は、土地で景気回復を図るということは本来的なあり方だとは思っていないんです、率直に申し上げて。だから、そういう意味で根底にそういう考え方があるので、いろいろ政府側の考えておられるものとは大分基本で違う点が出てくる場合があります。  次に、都市開発法改正におきましては、認定再開発事業制度を導入する、買いかえ特例などの税制上の優遇措置が講じられるようになっている、再開発方針の策定を十万以上の都市に拡大する、その方針の策定と再開発促進地区を定めたことを条件として土地の有効利用を図る、これがその筋であります。今までの都市開発に係る事業というものをめぐって、認定再開発事業のほかにどの程度いろいろの事業がなされているのか、これについてはおわかりになりますか。
  144. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) いろいろ制度的には今までもお世話をいただきましてつくっております。  これは、一つには制度そのものがかなり多岐にわたっておりますのでなかなか世間一般にも御理解いただけない、または活用がかえってそれによって十分でないという御批判があることも十分承知でございますが、それぞれの地域にどんなメニューが使われるかということで、その都度時間を追って制度ができてきたという経緯もございます。  内容的には、御質問に沿った形でお答えしますと、補助制度としては、一つは優良建築物等整備事業、これは御承知のとおりでございますが、土地の合理的な利用の誘導とかあるいは優良な建築物の整備ということを目的としてやっております事業でございますし、それから街並み・まちづくり総合支援事業へこれは各種の事業がかなりばらばらに個別に行われてまいりましたけれども、昨今の状況の中で、地方に選択肢をできるだけ多くとらせて包括的な補助をすることによって事業が進むようにということで、建築物の整備を中心とした総合的な市街地整備の更新あるいは基盤施設の整備、こういうものをねらったりしております。  こういうものが補助制度でございますが、そのほかに税制上で先生質問のありました任意の再開発事業的なものといえば、敷地の共同化と空地等を有する建築物の整備を促進する制度として特定民間再開発事業等がございます。  なかなか名称だけ申し上げてもわかりにくいということでございますが、それぞれの地域に合った選択をこれらの事業の中でやっていただいているのが現状でございます。
  145. 赤桐操

    赤桐操君 土地の有効利用への転換ということでいろいろ国土利用計画法改正が進められてきているわけでありますが、土地はやはり何といっても先ほどの御答弁にあるように国民の共有財産であるし、公共的なものでございます。そして、国民生活のまさにこれは基礎となるものでありまして、そういう観点からするならば、当然もう住宅宅地の確保というものは社会酌な責任において国が果たしていかなきゃならない、こういうふうに私はいつも考えておるものであります。  したがって、いろいろの制約を撤廃していくことはいいけれども、それによって流動化することはいいし、風通しをよくすることは大変よいと思うけれども、市場原理にゆだねて、いわゆる国民のそうした公の社会的な国の責任を果たすことができない結果になったのでは、これはまさに逆な結果になるのではないだろうか、こういうように考えるものであります。  要するに、国民の住宅の確保というものは、少なくとも国の大きな任務として保障していくべきものであると考えまするし、この基本理念を踏まえたものでなくてはこれからの政策はあり得ないと私は考えるんです。地価がきちんと抑制されていなくては、いろんな仕事ができないと私は思うんです。地価を上昇させながら、あたかも国民の財産が上がっているような印象を植えつけながら、いわゆる住宅政策なり土地政策なりを遂行していくということは、私は国民に対する一つの欺瞞だと思うんです。  本当は地価を安定させて、上げないための政策をびちっととりながら、そして実際の効果の面で、例えば道路一本つくるにしても土地価格が上昇している中では買収がなかなかできなくても、現状のような場合においてはバブル時期よりははるかに多くの土地も買収できるだろうし、道路もつくることができると思います。これは住宅の団地にしても同じだと思うんです。  そういった方向づけを一つの方向として定めていかないことには本当の住宅政策であり土地政策にはならないと思うんですが、この点はいかがですか。
  146. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 国土庁長官がいらっしゃいますのであれですが、ちょっと私の立場からのお答えを先にさせていただきます。  今先生のお話にございましたように、土地政策をやっていく上で、あるいは住宅政策をやっていく上で地価が安定していることは大変私は肝要なことだと思いますし、ある程度経済が動いておりますので、その間に一定の適正な地価水準の変化があることも私は当然じゃなかろうかと思っております。  しかし、いずれにせよ、結論的、本質的には地価ができるだけ安定していることが住宅政策上、土地政策上、私は重要なことだと思っております。これから私たちも住宅をさらに質の高いものにしていくためには、先生がおっしゃられたように地価水準というものについて十分注視していかなきゃいけないと思っております。
  147. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 国土庁の方からもお答えをしたいと思います。  私どもも先ほど木下局長が御答弁されましたとおりでございまして、昨年の二月の新しい総合要綱におきましても、基本的に都市政策の目標は地価の抑制から有効利用へと言っておりますが、地価を上げろと言っているのではなくて、むしろ都市政策の目標というのは、ゆとりある住宅・社会資本の整備と豊かで安心できる町づくりなり地域づくり、こういったものを目指した土地の有効利用による適正な土地利用を目指すという点に力点があるものというぐあいに理解しているところでございます。
  148. 赤桐操

    赤桐操君 現在の道路の一つの例でお伺いしたいと思いますが、用地費の平均というのはどのくらいになっておりますか。
  149. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 道路といいましてもいろいろ種別がございます。ちょっと私、手元の資料で先生の御質問に沿った形でお答えできるかどうかわかりませんが、都市計画道路の整備手法として街路事業というのがございまして、この街路事業で申し上げますと、平成七年度ということで、新しい資料がなかなか探してもなかったのでこれでお答えさせていただきますが、全国平均で約四四%、東京都の場合は六〇%ということになっております。
  150. 赤桐操

    赤桐操君 私の聞いている範囲では、東京都は九〇%ぐらいかかっていると聞いていますがね。
  151. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 資料をまた確認させていただきますが、極めて高いところといいますか地価の高いいわば都心のところについては、そういう用地費が工事費に比べて大変大きなウエートを占めれば、結果的には先生の御紹介されたような数字に近いものも一部あるかもしれません。  これはこう申してはあれですが、都心部の場合には用地費が相対的に高うございますから、道路だけではなく、例えば公園用地などの場合にもかなり同じような地価水準で購入するわけでございますから、工事費と用地費を足した全体のいわば事業費と申しておりますが、それを分母にして用地費を割れば結果的には先生のおっしゃられた数字に近いと思いますが、平均的には九割を超すというふうな状態はかなり地価の高い限定された特定化されたところではなかろうかと思います。
  152. 赤桐操

    赤桐操君 数字のことはまた結構であります。  要するに地価の上昇ということが再び出てくる場合のことを私は懸念しながら申し上げているわけでありますけれども、今の国土庁の方の御答弁によれば、そういうことはないということを大分主張されております。その考え方はわかっているんですけれども、結果がそうはいかないだろうということを私は言っているんです。それは、いろいろ私も経験してきているものだから、言われているような形にはなかなかいかないんです。  私は、必ず上昇気流に乗るときがあるだろうと思っているんです。だから凍結という形になったと思うんです。いよいよのときには凍結を解かなきゃならないという腹がある。凍結という言葉は私は余り使われないと思うんですけれども、まあしかし凍結ということになっておるからそれはそれなりに理解しておりますが、ということだと思うんです。私も同じように考えているんです。私の方が強く感じているかもしれない、正直申し上げて。  ということは、大体国民も大変なバブルで懲りておりますから、国民の皆さん方も非常に用心深くなっていると思うんです。だから、自分である程度考えてみて、これならばと思うところまで下がらなければ買わないと思うんです、住宅にしても。それが今私どもの近辺で行われている実情です。だから、先般も私は申し上げたことがあるんですが、今の住宅の価格では売れません、これはやはり思い切った対策をとる必要がある、とるならばそれは売れる、住宅が必要でないわけじゃないんだ、こういうことを私は申し上げてきておりますけれども、そういう状況に今あると思うんです。  だから、土地の有効利用への転換が行われて、いろいろとこれから先対策がとられると思いますけれども、問題はこれ以上地価の上昇が始まるというともっとひどい結果になるのではないかと思っているんです。そういうことを今いろいろと申し上げてきておるわけであります。  今までの経過を考えてみれば、一戸の住宅を購入して、その結果は共稼ぎでローンの返済でほとんど終わってしまう、そして結局家庭が壊れる。あるいはまた、老後に対する対策がとれなくなってくる。少子化によるところの社会全体の破壊が出てくる。こういう結果を招いているわけですから、このことだけはもう再び繰り返してはならない、こういうふうに実は考えて申し上げているわけであります。考え方においては余り違いはないと思いますけれども、このことについて必ず地価の上昇が始まるときが来るのではないかというように私自身は懸念しておるものだから申し上げているわけです。    〔委員長退席、理事上野公成君着席〕  今日までの五十年間を考えてみるというと、工業用地、商業用地、こういうところの地価はまず一番先に上がっておりました。しかし、同時にまた、その土地が上がるんだけれども、そこに工業立地がなされれば当然そこに労働者が結集してくる、結集された労働者に対しては当然住宅が必要になってまいりますから住宅の団地がつくられてきた、こういうことになっていると思うのであります。  千葉県の場合や埼玉県の場合は、この工業立地とか商業立地によって地価が上がったというよりも、住宅団地の造成によって上がっているんです、現実には。余りその点は理解されていないように思うんですけれども、本当はそうなんです。まず一つの団地ができ上がってくるというと、何もまだ手をつけられていない雑地である隣の用地がもう値が上がってしまうんです。  それからまた、一方、工業団地あるいはまた企業の立地、こういうものをめぐる用地についてはどうかといえば、本当の原価に近いところの価格でもって企業の方には分譲されております、千葉県の例なんかで言えば。浦安、行徳の南岸から木更津、富津の沖合までの広大な四千五百万坪の埋め立てにたくさんの企業が集中してきましたけれども、この企業はほとんど造成の原価で譲り受けておるんです。また、企業庁の方もこれをそういう形で提供しながら企業の集中化を図ったわけです。  しかし、その埋め立ての代金はどうするかといえば、それは県が、企業庁がそれをディベロッパーに代金として用地で支払う。その用地をディベロッパーが住宅団地にしてこれを売りさばいていく、あるいはまたほかの用途に供したこともあると思いますが、大体は住宅団地にしたと思います。  そういう形でもっていくことになると、当然これは申し上げるまでもありませんが、隣の土地をまた引き上げていくことになるし、その隣の土地を近傍類地価格として引き上げていくことになる、こういう繰り返しになってきている、これが今日までの大きな地価上昇の原因だったと私は考えるんです。  こういう意味合いからいたしまして、少なくとも地価の上昇というのは商業用地や工業用地の立地だけでもって上がるものではない、やはり住宅団地の造成とか住宅用地の関係から地価上昇というものも始まってくるということを我々は考えておかなきゃならない、こういうように思うんですが、この点はどうですか。
  153. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 最近の土地をめぐる状況を考えてみますと、住宅の関連につきましては御承知のとおり需要が大変低迷してございますので、国民の土地を見る目というのは大変厳しくなってきておりまして、実際に住宅の売れ行き等を見てみますと、本当にいいもの、基盤施設がきちんと整って環境のいいものから順番に売れておりまして、それ以外のところにつきましては御承知のとおり在庫が大変残っている、大変苦しい状況が現出しているところでございます。  将来のことに関して今いろいろと御懸念がございましたけれども、私もその可能性は十分あると思っております。今後都市政策を進める上におきましては、住宅用地も含めまして地価の抑制といいましょうか、そういったことに十分配慮をして、いざというときには機動的に対応できる、そういう仕組みを持ちつつ、機動的に弾力的にそれを発動しながら地価の安定を図りつつ今先生のおっしゃるようないいものを提供していく、そのためのコストダウンにつきましてもいろいろと競争の中で実現をしていっていただく、こういうことが大変必要なのではないかというふうに思っているところでございます。
  154. 赤桐操

    赤桐操君 そこで、私はこれからの住宅政策を中心として少し申し上げておきたいと思うのでありますが、今回の補正でかなり大きな補正がとられておりますので、その中の一つとして、私も多年の要求をしてきたところでありますが、関連公共の費用の上積みが予定されているようでありますが、ぜひこれは実現をしてもらいたいと思っています。  当初予算を見るというと、せっかく二千億まで来たものが千五百億に切られておるんです、現実には。これはどういうわけかよくわかりませんが、中曽根さんのときには五年間にわたって一千億でストップされて、ゼロシーリングで抑えられておったことは事実でありますけれども、今度は初めて切られております。ですから、中曽根内閣当時一千億で、その後二千億にしたと思ったら今回千五百億に切られてしまっておるという状況でありまして、これは余り今までに例のないことであったように思うんです。  毎年百億なり二百億なりがその後もずっと続けて上積みされてきて、今日二千億に至ったと思うのでありますが、これが千五百億に切られた理由はどういうことなんですか。
  155. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先生の御質問は、関連公共費のことで御質問いただいておるわけでございます。  確かに、経過的に見ますと、二千億近くまでは平成八年度でなっておりますが、平成九年、十年と若干下がり、十年度は今お話がございましたように一千五百億余りでございます。そういう意味では、今御指摘いただいたようなことで、もっと力強く関連公共をふやせという御指摘だと思います。  片やもう一つ考えますと、これは決して言いわけで申し上げておりませんが、今の社会資本整備の中で、道路とか河川とか公園、下水道等、本来そういう住宅団地に絡むものについてはそれぞれの単独のプロパーの予算もあるわけでございまして、その予算を地域的にあるいは施策的にどこに重点化するかということも大いに関連があるわけでございます。  何ゆえ減ったかというのは、これはもう全体の予算のバランスの中で決まってきたものでございまして、せっかく応援してきていただきながらそういう意味での減額は大変私たちも残念でございますが、なお今回の補正などでは、御披露がございましたようなことで、加えてまたその補強をさせていただくようなことで何とか要求もさせていただきたいと思っております。  重ねてでございますが、土地の流動化というのはあくまでも最終的には有効利用につながらなければ意味がないわけでございますから、単に土地が取引されて動いているだけでは、具体的には新しい住宅の整備なり都市づくりにつながっていかないわけです。そのためには、今お話のございましたように、関連公共施設等がしっかりそれに関連して整備されていくということが実質的な有効利用につながるというつもりで、今後こういう予算等についてもしっかり獲得していかなきゃならないと思っております。
  156. 赤桐操

    赤桐操君 先般の方針に基づいて住都公団のこれからのあり方について出されておりますが、分譲住宅からは撤退をして賃貸と基盤整備に全力を注ぐ、こういう方針が明らかになっております。  その中でまず第一番に、これから将来のことはわかりますが、当面の問題として分譲住宅の処理の問題で残った分があったようでありますが、これについてはかなりの値引きをしながら処分したということになっております。問題はその処分の内容であります。値引きの仕方について、今まで入っていた方々と新しく値引きをして入る方々との間にいろいろ問題が発生したようでありますけれども、これはどうなんでしょうか。  今の一千万ないしは一千五百万の値引きにしても、住宅の賃貸にこれから進んでいくにしても、あるいはまた基盤整備の仕事を大きくこれから遂行していくにいたしましても、その中で大事なことは関連公共をどの程度まできちっとその中に含めていくかということじゃないでしょうか。今の一戸建て、あるいはまたマンションの一千万ないし二千万の値引きの問題にしても、計算をしてみると関連公共相当額に近いものじゃないんですか、率直に申し上げて。だから、特別に引いたということよりは本来は引いておかなきゃならないものであったのではないか、こういうように私は考えるんです。  それから、将来の基盤整備にしても、少なくとも政府の実施部隊として公団が行っていく以上は、関連公共そのものについて受益者負担の部分を中に入れながら民間のディベロッパーに任せて、住宅の建設をして販売させていくということにひいてはやるべきことではないのではないか、このように私は考えるんです。むしろ、そういうやり方をとらないで、この際本格的に思い切った関連公共費を投入して、一千万ないし一千五百万の値引きの問題についても理論をはっきりと整理して処理していく。  それから、基盤整備の仕事にしても、その中でよく計算してみると、大体四〇%くらいが関連公共費対象にすべきものであるように私たちは理解するんです。しかし、実際には七%ぐらいしか投入されていないようです。関公費をとっても政府の実施部隊には本格的に投入していないんです、今日まで。ですから、やはり私はみずからの政策の実施部隊である公団に本格的に関公費をぶち込むべきだと思うんです。そして、四〇%に相当するものであるならばきちっと四〇%相当のものを補償していく。そういうようにすれば家賃も安くなるし、あるいはまた分譲価格も安くなる。私は、そういうきちっとした整理の仕方がこの際必要ではないか。特にまた、二十一世紀に向かう新しい時代に入るに当たって整理をしなきゃならないとしても、理論立った筋道立った整理というものがこの際求められておるのではないだろうか、こういうように思いますが、いかがですか、局長
  157. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 二つに分けてお答えをしたいと思います。  一つは、新法人のあり方については、これは御紹介のありましたように分譲からは基本的には撤退をし、賃貸住宅については特定の政策課題を選択する、結果的には町づくり公団的なものになっていく。これは、今建設省の中でも公団ともども検討させていただいておりまして、できるだけ早い時期にその方向づけについてはまた御紹介をさせていただいて御論議に、俎上にのせていかなきゃならない時期が参ろうと思っております。  その背景というのは、やはり今先生がおっしゃられたように、上物等について民間である程度できるものを除いて、基盤整備に大変私たちとしては悩みあるいは必要性を感じておりますので、そういう意味からしますと、国なり公的なものがやるべきものにかわって一部新しい法人が担当するという意味では町づくり公団的な役目は多くなってくると思います。これは、先生のかねてよりやってきていただいております関連公共問題とも大いに通ずるところの取り組みだと私は思います。  先生がもう一つおっしゃられたのは、値引きの問題等も含みますが、これは私はちょっと所管ではございませんので直ちにお答えするのはいささか自信がないわけでありますが、経済情勢の中で民間などの不動産についてもそれなりの、地価が下がることも当然でございますが、分譲価格も下がっております。しかし御指摘は、むしろもっと安い住宅を提供していくことが国民にとって必要ならば、そのために公的な投資をもっと住宅政策につぎ込むべきじゃなかろうかという御示唆であろうと思っております。  そういう意味では、私たちは国民が安心して住める場を提供していくという役目を政策的にも掲げているわけでございますから、関連公共施設等も含めて先生がおっしゃられたように理論的な整理をして、必要なものは基盤整備という形で関連公共施設にしっかり投入していくための理屈づけをもう一度我々としても点検してやっていかなきゃならないと思います。大いにそういう問題に対しては我々もこれからの重要な課題だと認識しております。
  158. 赤桐操

    赤桐操君 時間の関係がありますからぼつぼつ締めくくりますけれども、少なくとも今論議されている一番大きな隘路はシステムにあるようです。七%しか入らないんです。公団には十分やっていると、こう言っているんです、当局者に聞くと。公団側に聞くと、どうなんだと、こういう道路は入っているのかと、入っていないと、こういう公園は入っているのかと、入っていないと。それじゃ何にもならないんじゃないのか。  例えば、一般の地方において団地がつくられたときには、少なくともそういう道路や公園はやがて整備されると自治体に採納されるんじゃないのか。同じようなものが公団の団地の中にもあるではないか。一般の採納に相当するものは、少なくとも公団としてどういうように処理するか考えるべきじゃないのか。四〇%相当、それを全部含めるとするならば四〇%相当を国が補償するという形をなぜとることができないのか、これはシステムによると、こう言うわけでしょう。それならそれを変えればいいのではないか。世界各国でないです、こんな国は、率直に申し上げるけれども。ドイツにおいてもありません、フランスでもそうです。欧米各国でもってこういう形をとっているところはほかにない。私は何回かヨーロッパの各国を見てきましたけれども、大体そういうようなことはしておりません、今日まで。  ですから、いわゆる受益者負担なんというものはもう考えないで、きちっと筋を通した、理論立てた新しい政策を樹立すべきだと思う。関連公共費は二千億の金ができているんですから、毎年、今できてきているわけですから。今度は千五百億円に落とされましたけれども、恐らく今度の補正でまた是正してもらわなきゃならぬと思いますが、それをやれば二千億を超えると思う。それをさらに来年も超えさせるようにしながら、少なくとも公団の政府の実施部隊だけはきちっと整備すべきじゃないですか、四〇%相当のものを補償すべきじゃないのか。  それで、地域振興整備公団というのもありますね。これもやはり私は、やがてこれが地方の時代になってくるわけですから、地域振興整備公団の任務も同じようになると思うんです。そういう地域振興整備公団の場合においても、今の住都公団がやっているようなやり方では、これは意味がない。やはり地域振興整備公団自体もそういう形をとるように努力すべきだと思うんです。世界の各国がみんなやっておる、先進諸国がやっておって日本はできないというのはどういうことかこういうことになるわけなんで、きちっとやはり筋を立てた、そういった補償すべきものを補償していく。弱肉強食の市場原理に住宅を任せるということは、国において住宅政策がないのと同じことです。だから、住宅政策というものを明らかにする以上は、国民のためになるものでなければ意味はないんですから、いろんな法律をいじくり回すのが住宅政策ではないんであって、国民のために何が本当に求められておるものなのか、どういう形にすればいいのかということを真剣に私は考えるべきだと思います。  そして、予算がついてきているならば、どの予算をもっとふやしていくべきか、この予算は削っても仕方がないがこちらはふやすべきだということを考えて、住都公団に対して、まず政府の実施部隊からきちっとした体制をつくってもらいたいと私は思うんです。やがて地域振興整備公団にこれは発展していく問題だと思うんです。そういう公的機関がきちっとした体制をつくり上げながら一定の一つの形を整えて民間にもこれを及ぼしていく、こういう形をひとつとってもらいたいと思いますが、この点は局長、いかがですか。
  159. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先生の御披露のありました数字は、私が直接お答えするにはちょっと自信がないのでございますが、いずれにせよ、今までのいろいろな資料などを見ましてもまだまだいわば関連公共施設費のウエートが十分実態に近づいていないというような認識は私も持っております。  今先生言っておられましたように、新たなやはり都市政策あるいは住宅政策を考えるときに、多少古くなりますけれども、たしか私の記憶では、昭和四十八年の住調では全国の各県で住宅戸数が世帯数を上回ったということで量的なものは一応充足したわけでありますが、それから考えますと既にもう二十年近くの年月がたっておりますが、まだまだ住宅意味では立地場所あるいは質の問題で問題を抱えており、あるいは周辺環境についても十分とは言いがたい状態でありますので、先生おっしゃられましたように都市政策あるいは住宅政策をやっていく上で、関連公共施設の重要性というものをむだのないいわば公共事業の代表選手としてぜひ我々も打ち出していかなきゃいけない。そういう意味での重要性は改めてきょうの御質疑を伺いましても認識しておりますので、ぜひ今後の予算においてもそういう点に対して力強くやらなきゃいけないと思っております。
  160. 赤桐操

    赤桐操君 私は、結論的に申し上げまして、いろいろの法案については結構でありますが、そういった基本的なものがないというと、土地の上昇を来します。まず政府がみずからの実施部隊にそういう形をとりながら、きちっと公的負担分を押さえながら住宅基本政策を樹立する、こういうようにしてもらいたいと思います。  こういう形をとりながら今の各種法案の遂行をしていく、土地の有効利用あるいはまた住宅政策の遂行、こうしたものをやってもらいたいということを要請して終わりたいと思います。
  161. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 審議しております三つの法案は、特別用途地区制度改正以外は、これも先ほど場合によっては緩和もあるという話もありましたけれども、これ以外はいずれも開発の促進、土地取引の活性化など土地の有効利用を目指すものだと思います。市街化調整区域における開発規制の緩和しかり、都市開発方針の2号地区での民間開発事業の支援しかり、公共施行の市街地開発事業の特別事業参加制度の創設もしかり、土地取引の事前届け出制を事後届け出制にするという転換もそういうことだと思うんです。  これらの施策というのは、昨年十一月、経済対策閣僚会議で決定した「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」、ここにありますけれども、この文書の第二の柱に位置づけられていて、土地の取引活性化・有効活用に盛り込まれたものです。その内容というのは、都市の再構築、積極的な土地住宅の供給、規制緩和等による土地有効利用策、不動産の証券化などで、土地の流動化の促進を景気対策の第一に置く、そういう中身になっていると思うんです。  国土庁長官にお尋ねしたいんですけれども、土地の利用というのは、そもそもその地域町づくりに即して行われるべきものであって、当面の景気対策のために土地を利用する、あるいは土地利用規制を緩和するというものであってはならないと思うんです。私は、その点でそもそもの基本の考え方、それがおかしいのじゃないかということを痛感するんですけれども、その点いかがですか。
  162. 亀井久興

    ○国務大臣(亀井久興君) 今御指摘になりました政府の緊急経済対策、こうした中に土地の有効利用を促進していく、そのためにさまざまな規制緩和を進めるというようなことも一つの柱としてあることは事実でございますが、確かに土地が有限な資源である、言ってみれば国民共有の財産であるという、そういう公的な性格もかなりあることは間違いないところでございます。    〔理事上野公成君退席、委員長着席〕  そういう中で、土地の利用を推進していくためには、今御指摘になりましたような土地を利用する基本的な計画というものがまずしっかりなくてはいけない、それは委員が御指摘になったとおりだろうと思っております。あくまでも土地政策の目標というのは、ゆとりのある優良な住宅でございますとか、あるいは社会資本の整備、そしてまた豊かで安心できる町づくり地域づくりを進めていく。そのために土地の有効利用による適正な土地利用を進めていく、こういうことであるというように私は考えておるところでございます。  ただ、現在の土地取引の状況でございますとかあるいは地価状況を見ておりますと、やはりさまざまな規制がまだまだ有効な土地取引の障害になっている、そういう面もあるわけでございますので、こうしたさまざまな規制をさらに緩和していきながら、また需要を喚起していくということによって土地取引が活性化をしていくことになればと、そのように思っておるところでございます。経済対策あるいは景気対策ということだけに重点を、着目をして今土地政策を考えているということではないわけでございまして、総合的な土地政策の展開の結果として経済が活性化をしていくということにつながっていくんではなかろうか、そのように認識をいたしております。
  163. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 先ほど大臣は、企業、個人の土地取引の減退、これをどう対策していくかということを言われて、やっぱりそういう点が、景気対策ということが相当念頭にあるということを感じざるを得ないと思った次第なんです。  さらに、四月の総合経済対策では、債権債務関係の迅速・円滑な処理、土地の整形・集約化と都市開発の促進、都市再構築のための土地需要の創出などのために、国と地方を合わせて二兆三千億円の事業を実施するとしております。住都公団が債権放棄に伴い流動化した担保不動産や都市部の虫食い地などを買い上げ、民間と共同で再開発する新たな土地有効利用事業に三千億円、民都開発推進機構の土地取得に五千億円、公共用地の先行取得に二千七百七十六億円など、こういう形でなってくると、金融機関に三十兆円の公的資金を投入した上に今度は大手ゼネコン、金融機関支援のための公的支援、公的資金の投入、そういうことにならざるを得ないんじゃないかと思うんですね。その点、建設大臣、いかがですか。
  164. 生田長人

    政府委員(生田長人君) バブル期の地価の高騰とその後の長期にわたる下落を経まして、不良債権担保土地を初めといたしまして大変大都市地域にいろんな低未利用地が発生している、これは事実だというぐあいに私ども思っております。  それで、こうした土地の中には事業の途中でそのまま中断してしまったというようなものが大変多うございまして、そういったそのままでは使えないような低未利用地をどうやって動かしていくかということもこれは大変重要なことだというぐあいに私どもは認識しているわけでございまして、そういった有効利用を図るために公的資金を活用していかなければならない場合もこれはあるというぐあいに私ども思っております。  こういうことから、先般の総合経済対策におきましては、先ほど先生御指摘の都市の集約化であるとか整形化であるとか、あるいは都市開発の推進であるとか都市開発のためのいろんな土地需要の創出、こういったもののためにいろんな各種の予算のお願いをしているところでございますけれども、主として建設省を中心に平成十年度の補正予算において計上しているというぐあいに承知しているところでございます。
  165. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 公的資金の投入も必要である、そういうこともあるということを言われたんだけれども、こういうことを進める、あるいはそういう仕組みをつくっていく、今度結局不良債権を証券化してABS市場の育成に官民ともに進めていくとか郵貯等々も投入する、そういうことさえも出されているわけですけれども、私はこういう方向というのは従来政府は言ってこなかったことだと思うんです。  例えば、二月十日、松永蔵相は記者会見で、私は公的資金の活用は考えていない、そういうことを述べられた。あるいは尾身経企庁長官も、私企業が持つものを公的資金で買い上げるのは自己責任原則という自由主義経済の根幹に触れる問題だという形で疑問を呈していたわけですね、二月の段階では。  こうした閣僚の発言と、今の公的資金を投入することもある、これはやはり非常に大きな乖離があると思います。その点の整合性をどう説明されますか。これは国土庁長官
  166. 亀井久興

    ○国務大臣(亀井久興君) 大変難しい御質問でございますが、確かに今民間が企業活動をやっていく上においてそれを円滑化、さらにまた促進をしていくための環境づくりを政府として総合的に考えていかなくてはならない、そのための経済対策を敏速に実行に移していこう、そういうことでさまざまな政策に取り組んでおるところでございます。  今御指摘になりましたような不動産の証券化ということも現実に進められているところでございまして、不動産を証券化することによって土地がより有効に流通していく、動いていくということにも資するわけでございますから、その新しい仕組みをどう構築していくかということについては、今私どもも真剣に検討をしておるところでございます。すべてそういうことに対して、公的な資金を投入してこれを動かしていこうというようなことは必ずしも私どもは考えているわけではないわけでございまして、あくまでも日本の自由経済市場というものを活性化していく、そのための環境づくりをしていくということが基本ではないか、そのように私は認識をいたしております。
  167. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 すべて公的資金投入で解決しようということになったらこれはえらいことで、そんなことはとんでもない話なんだけれども、今の私の質問に対してきちっとした答弁はなかったと私は思うんです。  それで、この間変わってきているんです、政府の答弁というのは、対応というのは。橋本総理がサミットで不良債権の抜本解決ということを言われた。その直後に、自民党幹部である野中広務氏は、ゼネコン、銀行が持っている不良債権を公的機関が引き取ってやるということまで述べているわけです。私はこれは大変な問題だと思います。  それはじゃ、だれのためなのか、何のためなのか、これが問題だと思うんです。その点で、私は二月十一日付の日経新聞に書かれていた記事に非常に注目いたしました。土地流動化への公的資金の投入、なぜ自民党がこれに熱心なのかということについてこう説明しているんです。担保不動産の流動化が公共事業の削減で苦境に陥っているゼネコンの支援につながる、こういう説明をしているんです。私は、やっぱりそういうことだろうと思うんです。文字どおり政府の土地・債権の流動化策というのは、金融機関に三十兆円投入する、それならば土地の流動化のために今度は公的資金を投入してもいいだろう、そういう考え方に立っていると思うんです。ですから、私はその点でまさにそれはだれのための景気対策なのかということも非常にはっきりしている話かなと。  結局は大手ゼネコンと金融機関を支援する、そういうものじゃないか、そう思うんですけれども、長官、いかがですか。
  168. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 今の先生の御質問の中に若干私の方で関連したことがございますので。  先ほどの御議論の中で住都公団が三千億使うとか、あるいは民都機構の保証額を五千億設けるということは、あくまでもやはり私は価格とそれから取得後にどう使われるかということに御注目いただきたいと思います。その土地の持ち主が場合によってはゼネコンあるいは金融機関もあろうかと思いますが、それはあくまでも次の都市構造再編という我々の課題に合ったもの、実需に結びつくものを私たちは考えておりますので、そういう姿勢の中で抜かりなくやっていかなきゃいけないので、あくまでもこれをつかんで後何も利用ができないというようなものを我々は取得する気は全くございません。
  169. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この法案で出されている中身というのは、実は経団連が昨年七月に提言している中身とずっと沿うんです。ですから、私は基本的にはその流れの中にある、そのことを指摘しておきたいと思うんです。  それで、私はその点で、実はことし二月に建設業界紙を見て驚いたことがあるんです。自民党が土地流動化に向けて都市再生促進法案なるものを、そういう原案をつくっていると、そういう記事だったんです。私はその現物を手に入れて読んで驚きました、これは自民党の原案なんだけれども。  そこにはどういうことが書かれているかというと、政府とゼネコン、金融機関で計五千億円出資して土地流動化推進機構を設置する、土地の取得や都市開発を促進する、出資したゼネコンや金融機関は最大で三十兆円の不良債権の買い取りを申請できる、しかも債権債務関係の処理を迅速に行うために公権力を活用し、利害関係者全員を拘束する、再開発プロジェクトなどの推進には土地収用法を活用する、十年間都市計画法や建築基準法、借地借家法の適用を除外するなど、こういうことも書かれているんです。  こういうことになると、まさに今、経済有事立法とも言うべきことを自民党の原案が述べているんじゃないかと、そもそも憲法に抵触する、そういう中身がそこに書かれているんじゃないかということを見て私は非常に驚いたわけです。  政府としてこうした施策を検討したことはあるのかどうか、その点をしかとお伺いしたい。大臣、責任を持って答えてください。
  170. 瓦力

    ○国務大臣(瓦力君) 緒方委員からせっかくの御指名でございますので。  今委員がお尋ねの新聞の記事をお読みになってのことにつきましては、私は承知をいたしておりませんし、答える立場にはないかと思うわけでございます。それは自民党でそういうことは検討されておるようだということでございますが、この際、まだ私はそれらのことについてよく承知をいたしておりませんので答えるべくもございません。ただ、委員から、だれのためにこれをなすのかということを先ほど以来たびたび御発言になっておられますので一言申し添えるわけでございます。  大変我が国の経済状況は深刻でございます。不良債権債務処理が進まないことによる金融システム不安、土地市場の低迷にある。かようなことは先ほど国土庁もお答えをしたところでございまして、これらの問題処理をすることは、我が国の大変大きな今不況から脱出するために私どもは全力を挙げて取り組んでいかなきゃならぬ課題だ、かように承知をいたしております。また、土地の流動化につきましては建設省は重要な役割を担う、こういう考え方に基づきまして、さらに土地の流動化につきましても、住都公団のあり方等も含めましていろいろ検討し、この経済対策に沿いまして努力をしたいと思っておるわけでございます。  我が国の経済をやはり元気なものにする、活性化することは当面の大切な問題であるという認識でございます。
  171. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は新聞報道で見たんじゃなくて、自民党の文書、原文で言っているんです。ここに書かれていることが私が今紹介したものなんです。それで、それについては大臣は知らないと言われたので、そのことで私はそういうことかなとわかりました。  しかし、私がここで非常に重視したいのは、自民党案というのは、政府がそのとおり進めにくい極端な内容を持っています、もちろん。しかし、流れで言えば、一連の土地・債権の流動化の動き、そういうものをつくる大もとになっている、これは間違いないんじゃないですか。実際に自民党案をもとにして大蔵、通産、建設、六省庁が折衝までしたという報道もあります。現に政府の総合経済対策には、不動産担保つき不良債権等に係る債権債務関係の整理をするための臨時不動産関係権利調整委員会、これは仮称ですが、が掲げられております。自民党の都市再生促進法に織り込まれている不動産仲裁委員会と軌を一にするものだと思うんです。自民党案ではこの委員会に用地決裁の権限まで与える、そういうことまで書かれている。  これはとんでもないと私は思うんですけれども、まさか大臣、政府として、このことを知らないんだからそれは別としても、現時点で都市計画法や建築基準法や借地借家法などの適用除外とか委員会への収用裁決権の付与などは考えていない、私はそのことはやはりこういう文書がある以上大臣として明言していただきたい、政府としてそういう対応なんだということをはっきりさせていただきたい。その点、いかがですか。
  172. 瓦力

    ○国務大臣(瓦力君) かつての共産党と政府というつながりとは異にいたしまして、我が国のシステムは政府と政党という、こういう中で政党の研究はいろいろやられることは私は自由であると思うわけでございます。また、それが現下の政策なり法律上どうかということはまた政府は検討するわけでございますが、今、自由民主党が検討しておりますことを私は承知しておりませんと、こう申し上げたわけでございます。  あたかも自民党が研究していること、検討しておるという委員がお持ちの資料に基づいて、それは政府であるかのごとき発言になりますと、私はお答えのしようがございませんので、政府と党の研究、党の検討につきまして私どもはまだ承知をしておりませんということだけ改めて申し上げさせていただきます。
  173. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ですから私は、そのことを前提にして、したがって政府として、今、自民党の案の中で述べられている向こう十年間さまざまな法律を棚上げする、そういうことはよもや考えていませんねということを確認しているんです。
  174. 瓦力

    ○国務大臣(瓦力君) いろいろ仮定に立っての御質問でございますが、私の立場でよもやと言われることについて答弁をしろと言われましても答弁を強制される立場ではございませんので、これ以上の発言は申し上げるまでもございません。
  175. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ここに実際に書かれているわけです。土地の流動化をするためにそういう特別の立法を行うという……
  176. 瓦力

    ○国務大臣(瓦力君) 承知していない。
  177. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 だから私は、やっぱりそういうことは大変な事態だと思うわけです。大臣は御存じない、この文書についても。それからまた、そういうことについても自分は関知しないという趣旨のことを言われたと思うんで、私はその点を、そういう極端なことまで自民党の中で検討された、そういう形跡があるという問題についてここで改めて紹介し、そしてまた大臣に答弁を求めた、それが私の質問趣旨です。ですから、そのことは大臣は御存じないと言われたので、次に進みたいと思います。  次の問題なんですけれども、私は、土地問題の解決、この問題でバブル期の土地投機、それを助けた過剰な金融や政府の経済政策、土地政策、これは先ほどからいろいろ議論になっておりましたけれども、やはりそれは非常に大きな問題だと思うんです。そういうことについての反省、これが非常に求められていると思います。  その点で、地価下落が日本経済の回復をおくらせている一因という認識が昨年二月に閣議決定された文書の中に書かれております。私は、こういう認識で出発すると、じゃどういうことになるのかなと思っていると、実は新総合土地政策推進要綱の中には地価抑制から土地の有効利用への転換、これは先ほどから大臣が答弁されていることですけれども、そういう方向が出されている。やっぱりそういうことになると、地価は今下落しておりますけれども、住宅を取得する、そういう問題では大変な苦労があるわけです。これは一々例を挙げませんけれども、まだまだ一般の勤労者が住宅を取得することができない、そういう地価水準にあると思います。  先ほど地価の安定ということも言われました。私は、その点の認識が非常に大事だと思うんですけれども、やはり一般の勤労者が土地を購入する、住宅を建てる、そこにまだ至っていないんじゃないか。その点はどういうふうにお考えですか、長官。
  178. 生田長人

    政府委員(生田長人君) お答えを申し上げたいと思います。  バブル期以前の昭和五十八年を一〇〇といたしますと、現在の地価水準につきましては、商業地が一二〇・三ということで約二割ぐらいのアップでございまして、それから住宅地については一五四・四ということで五割ぐらいのアップという状況でございます。この間に名目GDP自身は一八七・五上がっておりまして、いわゆるバブルの部分というものは現在の状況では解消された状態にあるというぐあいに私ども認識しているわけでございます。したがいまして、バブルを抑えるために緊急に整備されたいろんな措置につきましては見直しを行うべきだというぐあいに認識しているわけでございます。  先ほど他の答弁で申し上げたと思いますけれども、住宅地の地価につきましては、実際に首都圏の新規発売マンション価格、七十平米換算の平均の勤労者の所得に対する倍率を見てみますと、ピーク時に八一五倍でございましたものが平成九年には五・一倍になっておりまして、さらに住宅地の地価の動向も、現在需要の動向を反映いたしまして依然としてわずかに下落を続けているわけでございます。そういうことから、現在の地価水準は適切なものであるかどうかという議論は別にいたしまして、いずれにせよ、現在の地価はかってと異なりまして実需給の状況を反映して決まっているというぐあいに考えておりますので、今後私どもとしては適正な土地利用を促進すると同時に、あわせて地価についても十分配慮をしていかなければならない、このように考えているところでございます。
  179. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、今回の法案と、それから九六年十一月に土地政策審議会が出した「今後の土地政策のあり方について」という答申、それには非常に大きな乖離があるということを痛感するんです。  この答申はなかなかいいことが書いてありまして、社会効果的利用としての土地の有効利用、そういったことが強調されている。緑、オープンスペース、そういう点での重要性が書かれている、そしてまた同時に、公共公益の観点から必要なものについてはやはり土地の使用について規制していく、そういうことが書かれているわけです。  ところが、都市計画法改正の中では市街化調整区域開発、これがあるでしょう、あるいは都市開発法改正についても、その中で住民参加のシステム等々を答申の中では言われているにもかかわらず、地域住民どころか市町村の意見さえも聞き入れない、聞かない、そういった中身が書かれている。  私は、答申とそれからこの三法案、その間には大きな隔たりがある。その点で、土地政策審議会がどういう性格の委員会かということは非常にはっきりしているわけで、私はその方向からそれた形での法案が提起された、そのことはやっぱり非常におかしいんじゃないか、そのことを痛感しております。そのことについて一言お聞きして、この質問を終わりたいと思います。
  180. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 先ほどからお答えしておりますように、昨年二月の新しい総合土地政策推進要綱におきましても、先生御指摘のとおり、土地政策の目標は、やはりゆとりある住宅・社会資本の整備と、豊かで安心できる町づくり地域づくりを目指した適切な土地利用を実現するというところにあるということにつきましては全く同じことを言っているわけでございまして、そういった意味で一連のその方向というのは同じであるというように私どもは考えているところでございます。
  181. 山崎力

    ○山崎力君 最後の質問になりまして、質問通告をさせていただいたのがそのままというわけではないんですが、大分重なった形での質問が前の委員からなされて答弁もありましたので、若干虫食い的というとおかしいんですが、そういった形で質問をさせていただきます。  まず、この問題の基本というのは非常に大きな問題がございまして、その一つの関連として今回の法案が出てきたというふうに認識するわけですけれども、まずこの問題、すなわち都市という問題、都市づくり、町づくりの問題で建設省としてはどのようなものをこれからの二十一世紀の都市というふうに考えてそれを進めていこうとするのかということでございます。そういうことで今回の法案がどう役立つのか、そういう点でどのようにお考えか、まずお聞きいたします。
  182. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) けさほどからいろいろ御論議いただいておりまして、多少お答えがダブるかもしれませんが、確かに先生の言っておられたように、その都度の制度改正というのはまず現状をどう認識するかというところからスタートするのが常道であろうと思っております。そういう意味からいきますと、都市をどう考えるか、あるいは将来にわたってどう進めていくかということでございますが、これは以前にもお答えさせていただいておりますが、今や既成市街地の再構築というものが都市政策において大変重要であろうかと思っております。  ただ、それにしましても、例えば大変大きな都市圏が形成されております三大都市圏に代表されるようなエリアと、あるいは地方都市によってもまだまだ様相は異なっておりますので、私たち制度としてはかなりそういう意味では多種多様な顔を持ったものになっていくかと思っております。基本におきましてはそうした都市の中心市街地における再構築、それから地方におけるいわば個性ある町づくりという意味で、各都市が自分たちのいわば道具立てとして使えるような多様性のある制度を構築することが今回お願いしている法案の趣旨というふうに御理解いただきたいと思います。
  183. 山崎力

    ○山崎力君 そのお気持ちは非常によくわかるんですが、ちょっと話が飛ぶようですが、今NHKのテレビで「徳川慶喜」というのを毎日曜日やっております。ごらんになっているかどうかあれですけれども、その中身はともかくとして、私がちょっと取り上げたのは、放送の始まるときに幕末の写真を入れて出演者等を並べているシーンがあるんですが、その中で当時の江戸の町並みが出ているんです。それからもう一つ言えば、古い写真でいろいろな時代の町並みというものもある。まさに日本の顔である大都市のあれなんですが、機能面はともかくとしまして、あれ以来日本の都市政策というのはあったのかなという気が正直するわけです。  ごく一部を除けば人工的な都市というのは北海道あるいは旧満州国に限られて、私自身のこれは個人的な意見で言えば、日本の主な都市というのは江戸時代の財産のそれこそ食いつなぎで来た部分が多いんじゃないか。それがにっちもさっちもいかなくなって、その都度その都度、先ほど局長から現状認識ということがあったんですが、そのときそのときの要望に押されてそれを何とかかんとか役所として対応していこうということで、とうとう国が、もう行けるところまで、やれるところまでやったんだけれどもうまくいかぬ、そこで今回地方に任せようじゃないかというような感覚で物を見られるんじゃないかという気が私はするわけです。  ということは、繰り返しになりますけれども、あるべき日本の都市の姿がどういうものだということをとうとう建設省がグランドデザインを描けないまま今日に至っているんではないだろうかというふうな感想を持つんですが、その辺についてお考えがあれば。
  184. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 大変難しい御質問でございますが、おっしゃられたように都市というのはかなり古い時代から形成されてきておりますから、その都市によっては江戸時代の財産、そういうものを今継承しているところもありますし、極端に言えばその財産を食いつぶしかねないような町もあることも事実だと思います。  しかし、今回の問題の一番大きなポイントというのは、冒頭に上野委員からも御質問がございましたけれども、昭和四十三年に当時の急激な人口産業のいわば膨張という中で都市が大きくひずんでいく中で、整然とした町づくり都市づくりをしていくということであろうと思います。  私ども先ほど都市の再構築と申し上げましたが、そういう意味では局面は三十年経過いたしまして少し変わってきておりますので、それに沿った制度をつくっていかなきゃいけない。地方に任せるというのは、タイミングは確かにそういうふうに見られてもいたし方ないかもわかりませんけれども、逆に地方がそれなりの関心を持ってまいりまして、確かに戦前などはもっともっと各都市に個性があったと思います。それは恐らく、私が今申し上げた人口産業の急激な成長の中でいささか高度成長によって各都市が個性を失って、いわば高度成長を実現したという意味での見返りだったのかもしれませんが、もう一回その原点に返って、どこへ行ってもやはりそれぞれの町に誇りあるいはゆとりがあるような町づくりのためには、私は一つは地方に権限をおろしていくことが同時に必要でなかろうかという認識に立っております。
  185. 山崎力

    ○山崎力君 ポイントはそういうことでこの法案が出てきたのだろうと思うんですけれども、この際ですから一言言わせていただければ、国として一つ町づくりとして私はいい方向に行っているのかどうか疑問に思う点を一つ申し上げたいと思います。  というのは、私の記憶にある中でも、お堀端のあのビル街、いわゆる三信ビルでしたか、日比谷の交差点から東京駅に至るあのビル街、第一生命から始まって明治生命、日本郵船ビル、海上火災と、あの流れと、それから霞が関と言われているビル街、要するに警視庁から内務省ビル、焼けて戦後新しく建った外務省あるいは大蔵省、文部省と、逆に言えば明治時代の法務省から最高裁、そういう流れ。その中で農水省の薄べったいあのコンクリートの打ち出しのビルがいかにも安っぽい戦後の安普請だというようなことを記憶している者として、今やっている、警視庁が建て直り、それから最高裁は移り、そういったビルの都市景観として、まさにあれは国家事業としての官庁街をつくっているわけですけれども、ビルとしての機能性はともかくとして、全く都市としての発想のない人たちが勝手にそれぞれのところでビルをつくっているんじゃないだろうか。一番国が直接関与できるところであの程度の街路しかできないんだったらどうしようもない。  それから、海上ビルの高層化の問題のときに問題になりました。それで、反対された方がああいうふうな都市景観になるよというふうなことで反対されてああいう形になったわけですけれども、現実を見た場合、かつての都市空間としての景観と今のああいう景観とどちらがいいかと言えば、機能は劣っているかもしらぬけれどもかえって昔の方がよかったんじゃないかという発想を持っておりますので、その辺のところでの不信感というものが現実に都市づくりにあるわけです、私の感覚からすれば。  その辺のところは感想はともかくとして、そういうふうなところで、今回、地方の要望がそういうふうなことだから個性ある町並みをつくっていきたい。特に地方の中核でおられる方たちが、今度は別の話になるわけですけれども、中心市街地の活性化をあわせた都市づくりをしていきたい、町づくり、空洞化対策をしたいというところでのおろし方なんです。そのときに私がわからないのは、どこまで国が関与し、どこまで県がやり、どこまで担当市町村がやるのだという役割分担です。国はここまでやりますよと、県はここをやってください、それで地元市町村はこういうところをやってくださいというところがはっきり見えてこなければ、そのときの力関係、アイデアを出す能力と実行力という、予算面での力関係によって決まってくるのではないか。そこのときに今問題にされかかっているのは私権、これは昔からのことですけれども、まさに日本人の一番よって立つところでございまして、土地というもの、町づくりというものは。  後藤新平の大ぶろしき、いわゆる悪名高きと言われていた行政府、いわゆる天皇陛下の人たちがやろうとしても頑としてはねつけられてうまくいかなかった。そういった土地に対する日本人の執着心ということからいきますと、ただ地方におろしただけでうまくいくのか。  確かに、いいところは若干出るかもしれません。しかし、本当に枠づくりをきちっとした上でおろしているのかなという疑問がぬぐえないんですが、その辺の対応策はどういうふうになっておりますでしょうか。
  186. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) おっしゃられた霞が関かいわいの話も、まさに明治のころに、くどくなりますけれども、新橋におりた外国の要人を迎えるべく、あそこのあたりの一つのゾーンというものが日本の誇りであったということを我々も教えられてきたわけでございます。そういう意味では、今日的にいささかその後に建った建物と、これは官庁営繕も大変大きな責任、役割を持っておることは言うまでもないことでありますが、民間の建築も含めて、我々は後世に残すべき都市あるいは建築物をもっと性根を入れてつくっていかなきゃいけないということは先生おっしゃるとおりでございます。  今回、地方へおろすことだけで本当にどうかということでありますが、大変雑駁な言い方でありますが、まずは仕組み、制度がなければ地方におりませんので、そういう意味では基本的に町づくりの原点は地方公共団体、とりわけ市町村におろしていきたいと思っておりますが、その体制、陣容、必ずしも十分でないこともわかっております。  それから、けさほどからの御議論の中でも、一部には国家みずからがやらなきゃいけない仕事も当然あるわけであります。そういう意味では裏返しの話として、地方分権の流れと同時に、国がしかるべき責任を持ってやる、この役割、けじめというのは先生おっしゃったようにきちっと決めていきませんと、すべて地方にゆだねればめでたしめでたしということではないことも私はよく承知しているわけでございます。  ただ、やはり国としてもう一つやっていかなきゃならないのは、地方におろしたときにいかに横の連携をそれぞれの公共団体がとれるのか、あるいはそれに対して支援をどういう体制で組めるのかということは、決してお邪魔でない限りにおいて地方への支援をしていかなきゃいけない、そういう要素は国として持っているのじゃなかろうかと思っております。
  187. 山崎力

    ○山崎力君 そこのところの実効性あらしめるのは予算ですけれども、予算をどういうふうに、法律だけやれるようにおろしたってその分の予算が地方におりなければどうしようもないわけですから、その辺のところはきちっと権限を移譲して、やらせるのならその分の裏づけの予算を建設省として考えるということをやっていただきたいと思います。  都市の再開発というのは極めて難しい問題でして、それこそそれぞれのところがあるんですが、これは一言で言えば地域の地方性がなくなっている。地方の民家がどんどん建てかわって、それぞれ地域性のあった民家が普通のどこにでもある住宅に変わってきている。これはこれでいいのかもしれません、住み心地はよくなっているわけですから。ただ、先ほどの話で言えば、大都市のスプロール化に対しての歯どめ措置としての四十三年の法律、今度それがドーナツ化、空洞化に対しての再開発と、ある意味では後追いであることは間違いない。もちろん、現状は法律の予想したことをどんどん超えていくわけですからしようがないわけですけれども、ただその対処だけでやっていて本当にいいのか。  ある意味においては、自分の思いどおりの町づくりというか都市をつくるというのは、専制君主時代はまさに為政者の最大の道楽だと言われたこともあるわけです。それで、まさに江戸時代の町というのは、それぞれの城主が町割りを区切って、ここは武家の屋敷、ここは町屋、ここは社寺というふうな形でやっておりますし、そういったのが町であって在にあるところは村だと、町と村との違いというのはそこにあるんだというふうにずっと言われてきているわけです。  そういった中で、ここのところで出てこなければいけないのは、二十一世紀のあるべき都市像というのはどうなんだと、建設省さんでこういうものが来るべきものですよと。それで、我々の最大の都市政策の失敗は、都市に自然を組み入れるということができなかった。それから後の方にも関連してまいりますと、市街化調整区域の問題も出てきましたけれども、日本は江戸時代から明治、恐らく昭和時代に入っても、町であってもすぐ近くに良好な自然環境があったということがかえって悪い状況になってしまった。そこのところを残せないままどんどんスプロール化して、結局大した特色のない家だけが広がっていったということが、私に言わせれば大きな都市政策としての失敗であったのではないかと思うわけです。  どこの町を思い浮かべても、名古屋とかそういったところも、いわゆる都市型の自然を豊かに守った公園というのはほとんどないと言っていい。東京で言えば、旧大名屋敷の庭園以外で明治以降できたところというのは、ごく小さな日比谷公園と、あるいはもう一つ言えば明治神宮の外苑、内苑、そういったところだけです。あとはもうほとんど大名庭園が、上野公園にしたってあれは寛永寺の跡地ですし、周辺もほとんどそういったところだ。井の頭公園が若干そういったところがありますけれども。  そういったことを考えると、本当におくれてきている。基本を踏まえないで、地方にもそういったものが進んできている、地方の中核都市にも進んできている。そういった中で、市街化調整区域開発容認ということを考えて、そこのところを踏まえないでやっていいのか。結局、そのときできたところは自然環境も良好な住宅地域になりました。ところが、二次三次の開発が済んでみたら、最初のところの周辺の自然が消えてしまって、市街化区域と同じような住宅地になってしまうのじゃないか。そういう懸念をぬぐい切れないんですが、その辺の歯どめというのは考えていらっしゃるんでしょうか。
  188. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 大変多岐にわたって御質問というが御指摘いただきまして、全部お答えするにはあれですが、二十一世紀のあるべき都市像を示せということは、これは大臣のもとでお答えするのは私も大変胸が痛むわけでございます。しかし、しっかりそういうものは建設省としてやっていかなきゃいけない、あるいは政府全体として考えなきゃいけない、これは御指摘のとおりであります。  お答えはちょっとそこについては具体的に申し上げかねますが、いずれにしろ都市がそういうことで今ダイナミックに動いております。次の世代につなげていくための都市づくりという意味で、今回の都市計画法改正は、けさほども御議論がございましたけれども、これは抜本改正ではございません。どちらかといえば市街化区域調整区域のフリンジのところ、いわばそういうところで起こる事態についてより整然とした土地利用をしていきたいということでございます。  基本は、市街化調整区域の持っている性格は私たちは変えるつもりはありませんで、むしろばら建ち、スプロールの危険性のあるところをある一種の計画として閉じ込めるというと言い過ぎになろうかと思いますが、整然とした土地利用を誘導していくのがこの地区計画だと私ども思っております。  その問題はその問題としてありますが、今おっしゃられたようにもっと本質的な問題といいますか、全体を占める問題で、地方により強力なリーダーシップのもとに都市づくりをしていく雰囲気づくりをどういう仕掛けでつくっていくかということは、引き続きの懸案事項として私たちさらに検討させていただきたいと思います。
  189. 山崎力

    ○山崎力君 大臣に、建設省として最後のあれなんですが、そういう都市に対する基本的なスタンスというもの、これは本当に難しいところはあろうかと思うんです。  特に、土地に対する執着、一戸建てに対する執着の強い国民性の中で都市をどうするんだ。もちろん価格の問題がありますが、その辺のところを建設省として、都市というものを、私も地方出身ですし、大臣もそういったところはあると思うので、東京や大都市に何代も住んでいる方との感覚が違うかもしれませんけれども、その辺のところでのお気持ちを例えればと思います。
  190. 瓦力

    ○国務大臣(瓦力君) 我が国においての近代都市づくりというのはどういったことから始まったのだろうか、こう考えるわけでございますけれども、いよいよ戦後の一極集中のように多数の方々が都市へ集まり、住宅問題であくせくとし、やがて振り返ってみましたらもう高齢化社会に入って、団地の階段すら上るのが大変だというような、この短い三、四十年の間にもう大きく変わりました。  一方、その中におきまして都市に対する考え方もまた新たな意識として生まれてまいりましたし、都市機能を有する交通手段も相当変わってまいりましたから、これから強い町づくり、安心ができる町づくりであり機能的な町づくりであり、住宅もこれから質の問題でも整備されていく。まして今日、門戸が開かれて、住宅も各国の性能が持ち込まれてくる時代でございますから、改めて言えば、安全でしかも美しい都市というものをつくり得る意識が地方にも出てまいりましたし、地方にもそれだけのまた歴史を踏まえた町を愛する気持ちもありますので、大いに期待してまいりたいと思っております。  総じて言いますと、市街地整備のうち下水道であるとか公園とか街路などは欧米社会に比べて大変おくれておるわけでございますから、この面では都市基盤をしっかりつくり上げていくことが大事でありましょうし、またさきにも申し上げたわけでございますが、国民のニーズの多様化、加えて文化、景観、環境あるいは福祉でありますとか、こういった問題がその中にあるわけでございます。加えて申し上げれば、これから本格的に土地の有効高度利用というものにも私どもは取り組んでいかなきゃなりませんし、都市が防災に構造化されていく、そういう課題もございますので、そういうものを追求しながら、私は地方の自主的な意思が発揮される町づくりといいますか、そのことが魅力的であれば日本という国の都市整備というのは国際的に並んで評価されるんではないか。  私は、仙台へ初め早いうちに行ってみたときは何というそっけない町になったんだろうと思いましたけれども、最近仙台へ行きましたら相当緑が、街路樹もきれいになりまして、杜の都といったのは一時なくなったかと思っておりましたら、きれいな町になってまいりました。私のところの石川県は兼六園を持つ金沢市でございますので相当情緒がある町でございますが、そのキャパシティーだけではもう新しい町づくりと言えなくなってまいりましたので、いわゆる道路の整備であるとか新しい通信時代へ向けた町づくりをしなきゃならぬような状態になってまいりました。  道路というのは大変変わりまして、ここに永田先生もいらっしゃいますけれども、富山、高岡、金沢と並びますと、北陸自動車道がつなぐ状況は一変してまいりました。手前みそなことを言って申しわけありません。だから、だんだんこれから変わっていくんだろう、それを競い合わせてみたい、こういうような気持ちもしないわけではありません。
  191. 山崎力

    ○山崎力君 いろいろ御答弁いただきましたが、成熟した都市型社会というような表現もいろいろされているわけですが、そこに一言言わせていただければ、生まれて育って死ぬことが過不足なくできる町というのが成熟した都市ではないかなと私個人は思っております。  最後に、時間もないのであれですが、国土庁長官にお伺いしておきたいと思います。  というのは、今回都市の問題は出ておりますけれども、利用計画法の感覚から言えば、まさに都市だけでなくて日本国土全体の利用をどうするんだという話がありまして、我々の中にはやはりバブルのツケというものをどう処理しなきゃいかぬのかということがまだ課題として残されております。  私自身の感覚からすれば、税制の問題、特に土地の担保制度をどうするのか、最終的にはこれが全部金融にひっかぶってくる。金融以外ならつぶれてもかわりの事業が残ってやれるわけですけれども、金融がつぶれたらこれは大変なことになる。そういったところの総括ができていないところがある意味では今回のバブルの一番の問題点だろうと私は思います。  それで、先ほども赤桐先生からありましたけれども、バブルの復活に対してどうするんだと、今はそういうことなんだけれども将来起きるんじゃないかというふうなことで、その歯どめをどうするんだということがやっぱり一番の問題であろうと思うわけでございます。  そういった中で、今回のいろいろな法案というのは、先ほども対症療法的な法案だということはわかるんですが、将来的にこの問題に国土庁としてどう歯どめをしていけるんだと、自分の範囲内でどうするんだということのお考えをお聞かせ願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  192. 亀井久興

    ○国務大臣(亀井久興君) 今の御質問にお答えをする前に、都市のビジョンとか都市計画というお話が出ましたので、ちょっと私の方からも考え方を申し上げたいと思います。  御承知のとおり、新しい全国総合開発計画を策定したばかりでございまして、「二十一世紀の国土のグランドデザイン」と呼んでおりますが、その中に今委員が御指摘になりましたさまざまな観点からの検討も十分にした上でつくられたわけでございます。都市のことについてもいろいろ触れておるわけでございまして、特に都市のリノベーション、再構築ということも言っておるわけでございまして、「地域の自立の促進と美しい国土の創造」というサブタイトルもつけておりますけれども、地域の個性というものを十分に発揮できるそうした広域国際交流圏をつくっていこうという発想もあるわけでございまして、大都市のリノベーションということに基づいた新しい都市計画というものもこれからつくっていかなくてはならないわけでございます。  また、こうしたこれからの公共投資のさまざまな計画とかあるいは三大都市圏の整備計画とか地方の開発計画とか、これも新しい長期ビジョンに基づいてつくられていくわけでございますので、ぜひとも全総に示されました理念に基づいた都市計画がつくられていくということを私ども期待しておるところでございます。  それから、今の御質問でございますけれども、確かに再び地価が上昇するというようなことは防いでいかなくてはならないわけでございまして、そのための歯どめは私どもも十分に考えておるところでございます。  今回も事前届け出から事後の届け出ということに移行するわけでございますけれども、しかし実際に取引をされたその価格というものが把握できるわけでございますし、またその届け出の件数等も常に掌握をしていくということでございますので、地価が上昇する、そういう懸念が出てきたときには機敏に対応して注視区域を設けるというようなことも考えておるわけでございます。また、監視区域制度というものもそのまま残しているわけでございますから、著しい地価の上昇ということがあれば当然のことながらこうした制度もまた発動するということでございますので、その点につきましては十分に私ども注意を払ってまいりたい、かように考えております。
  193. 関根則之

    委員長関根則之君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  194. 関根則之

    委員長関根則之君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律案について、経済産業委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 関根則之

    委員長関根則之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 関根則之

    委員長関根則之君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時九分散会      —————・—————