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1998-02-17 第142回国会 参議院 国会等の移転に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年二月十七日(火曜日)    午後三時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         牛嶋  正君     理 事                 芦尾 長司君                 野村 五男君                 江本 孟紀君                 加藤 修一君     委 員                 石渡 清元君                 佐藤 泰三君                 鈴木 政二君                 保坂 三蔵君                 和田 洋子君                 瀬谷 英行君                 緒方 靖夫君                 西川きよし君                 岩瀬 良三君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  亀井 久興君    政府委員        国土庁大都市圏        整備局長        兼国会等移転審        議会事務局次長  林  桂一君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国会等移転に関する調査     —————————————
  2. 牛嶋正

    委員長牛嶋正君) ただいまから国会等移転に関する特別委員会開会いたします。  国会等移転に関する調査を議題といたします。  本日は、国会等移転審議会審議状況等について政府から二十分程度説明を聴取した後、四十分程度自由に質疑を行うことといたします。  それでは、まず政府から説明を聴取いたします。亀井国土庁長官
  3. 亀井久興

    国務大臣亀井久興君) 国土庁長官及び首都機能移転担当大臣を務めております亀井久興でございます。  牛嶋委員長を初め委員各位におかれましては、国会等移転に関し、かねてより精力的な御審議をいただき、心より敬意を表する次第でございます。  我が国現状は、政治、経済文化等中枢機能東京圏に過度に集中したことにより、人口の過密、生活環境の悪化、大規模災害時における危険の増大等の問題が深刻化する一方、地方における過疎、経済的停滞文化画一化等の問題が生ずるに至っております。  また、地方分権規制緩和その他の行財政の改革等推進することにより、自主的で創造的な地域社会の実現を図っていくことが求められております。  国会等移転は、来るべき二十一世紀以降の我が国のあるべき姿を問いかける国民的な課題であり、国土災害対応力強化東京一極集中是正に寄与するとともに、国政全般改革と深くかかわる大変意義深いものと認識いたしております。  本課題の今日までの検討経過を振り返りますと、平成二年十一月の衆参両議院における国会等移転に関する決議や、議員立法による平成四年十二月の国会等移転に関する法律の制定などを通じ、国会が主導的な役割を担ってこられました。  政府といたしましても、国会等移転調査会での調査審議を初め国会等移転具体化に向けた検討に積極的に取り組んできたところであり、平成八年十二月からは国会等移転審議会において移転先候補地選定に関する調査審議を進めているところでございます。  去る一月十六日には、国会等移転審議会が、今後より詳細な調査を行う地域として、国会等移転調査会報告選定基準地元意思などを踏まえた検討の結果、北東地域東海地域三重畿央地域の三地域から成る調査対象地域設定公表いたしました。  審議会では、調査対象地域について地域ごとの詳細な調査を行い、さらにその後、相互比較総合評価を経て、平成十一年秋ごろを一応のめどとし、移転先候補地選定する方針とされています。  このたびの調査対象地域設定により、国会等移転検討具体地域に即した検討という新たな段階へと進展を見るに至りましたが、私といたしましても、事務局を督励し、審議会調査審議が円滑に進むよう努めてまいる所存でございます。  また、候補地選定段階における土地投機の防止を図るため、調査対象地域公表に合わせ、関係地方公共団体に対し地価動向の詳細かつ迅速な把握等について指導を行ったところであり、今後も必要に応じて所要の措置を検討してまいる所存でございます。  一方、移転先候補地選定とともに重要な課題とされているのが国民的合意形成推進であります。折しも調査対象地域設定されたところであり、国民的な議論を呼びかけるには大変よい機会が訪れております。  国土庁では、去る一月二十六日に東京において本課題についてのシンポジウムを開催したところであり、二月二十七日には大阪においても開催することといたしております。また、こうしたシンポジウムの開催に加え、インターネット等を通じて国会等移転についての検討状況の周知に努めるなど、機会あるごとに、より一層の国民的な議論を呼びかけてまいりたいと考えております。  国会等移転は、国民に夢を与える前向きな政策課題であります。  私といたしましては、財政再建期間中の厳しい財政事情もとではありますが、国会等移転に関する法律に基づき、国会等移転具体化に向けて積極的な検討を行うという国の責務を果たすべく、全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。  当委員会におかれましても、本課題について、これまでにも増して活発な御議論が交わされますよう一言お願い申し上げ、私からの説明を終えさせていただきます。  なお、引き続き、国会等移転審議会設定した調査対象地域内容につきまして、審議会事務局次長も兼ねております林大都市圏整備局長より御説明申し上げます。
  4. 牛嶋正

    委員長牛嶋正君) 次に、林国土庁大都市圏整備局長より御説明いただきます。
  5. 林桂一

    政府委員林桂一君) それでは、去る一月十六日に国会等移転審議会設定公表いたしました調査対象地域内容中心に、審議会審議状況につきまして、お手元の説明資料に基づいて御説明申し上げます。  まず初めに、国会等移転審議会審議流れについて御説明申し上げます。  説明資料の一ページをごらんいただきたいと存じます。  国会等移転先候補地選定に向けた国会等移転審議会調査審議は、三つのタームに分けて段階的に進めることとされております。  第一タームでは、概括的な調査を行うこととされており、国会等移転調査会報告内容の確認を行った上で調査対象地域抽出、すなわち第二タームにおいて詳細な調査を行う地域決定することとされております。  第二タームでは、第一ターム決定された地域について詳細な属地的調査現地調査を行うこととされております。  さらに、第三タームでは、候補地間の相互比較総合評価を行うこととされております。  その上で、第一タームから第三タームを通じて首都機能移転意義と効果について検討を行うとともに、国民的合意形成状況社会経済情勢の諸事情、さらには東京都との比較考量検討を行った上で移転先候補地選定最終答申を行うこととされております。  国会等移転審議会では、平成八年十二月の発足以来、本年一月十六日までに九回の審議会と六回の調査部会を開催し、調査対象地域抽出決定中心的な検討課題としつつ、移転費用モデル試算等検討が行われてまいりました。去る一月十六日に調査対象地域決定公表されたことにより、国会等移転審議会調査審議は、第一タームを終えて第二タームヘと進んだところであります。  続きまして、調査対象地域設定の考え方につきまして御説明いたします。  説明資料の二ページをごらんいただきたいと思います。  調査対象地域設定は、この「調査対象地域設定進め方について」の流れに従って進められたところであります。  まず、東京から三百キロメートル圏内地域について、国会等移転調査会報告において示されている選定基準のうち、現段階で客観的な指標を用いて示すことのできるものに基づいて調査対象地域候補案抽出が行われました。  具体的には、説明資料の三ページにお示ししております「選定基準の整理とそれを踏まえた抽出条件について」のとおり、国会等移転調査会報告選定基準を整理し、日本列島上の位置等の「移転先位置条件」に係る項目と、土地取得容易性等の「移転先の新都市開発可能性」に係る項目に分け、それぞれの項目について客観的な抽出条件設定し、この条件に適合する調査対象地域候補案抽出しております。  もとに戻っていただきまして、二ページでございますが、これらの地域について、地域ごと特性把握及びグループごと特性把握もとに、首都機能都市としての特性東京との連携国土構造上の位置づけ、地元意思等観点から検討を行い、当面詳細な調査を行うことが適切であると考えられる地域設定いたしました。  また、三百キロメートル圏の周辺地域で同様の条件により抽出された地域及び地元地方公共団体等移転先候補地として表明している地域についても特性把握を行い、三百キロメートル圏内抽出された地域と比較しながら検討し、当面詳細な調査を行うことが適切であると考えられる地域設定いたしました。  さらに、調査対象とされた地域特性共通性隣接状況などから地域のまとめ方についても検討が行われ、二区分地域から成る調査対象地域設定されたところであります。  次に、調査対象地域概要につきまして御説明いたします。  説明資料の四ページをごらんいただきたいと思います。  さきに御説明申し上げました経過を経て設定されました調査対象地域は、大きくは北東地域中央地域の二区分とされております。このうち中央地域につきましては、位置的な状況等から東海地域三重畿央地域区分され、実質的には北東地域と合わせて三地域とされております。  北東地域は、宮城県南部から福島県を経て栃木県中北部、茨城県中北部に至る東北新幹線等交通軸周辺に幅広く広がる地域中心とする地域であります。この地域は、東京との連携が容易であり、開発可能性に恵まれた地域であります。  東海地域は、岐阜県南東部から愛知県三河地域を経て静岡県西部に至る地域中心とする地域であります。  また、三重畿央地域は、三重伊勢平野中央部から三重、滋賀、京都、奈良の府県境付近に至る地域中心とする地域であります。  これらの地域は、日本中央位置し、名古屋または京阪神との連携が容易な地域であります。  調査対象地域の性格につきましては四ページの上段をごらんいただきたいと思います。  第一に、今回設定された調査対象地域属地的調査、すなわち地域ごとの詳細な調査を行う地域としてとりあえず第二タームに進むに当たって選定されたものであり、今後の社会情勢変化調査進捗状況等によっては追加、変更があり得るものとされております。  また第二に、調査対象地域区分、名称は便宜的なものであり、その範囲は将来新都市として開発を行う区域だけでなく、その周辺地域あるいは既存都市なども含まれる広がりを持つものでございます。  このために第三として、属地的調査は、今後東京との連携、全国からのアクセス等交通条件文化的な一体性独立性開発可能性地形的条件等観点から地域内をさらに区分した上で、場合によってはそのうちの一部地域を選び出して行うこともあることとされております。  なお、調査対象地域のおおむねの位置を図示いたしますと、説明資料の五ページのとおりであります。参考までにごらんいただきたいと思います。  最後に、国会等移転審議会の今後の調査審議予定について御説明いたします。  このたびの調査対象地域設定により、国会等移転審議会調査審議は第二タームヘと進むことになりましたが、第二タームにおける調査進め方につきましては説明資料の六ページの流れに従って行われる方針でございます。  具体的には、おのおのの調査対象地域について、首都機能都市としての理念、あるいは我が国国土社会構造文化的特性、あるいは災害への対応力などに与える影響に関する調査がございます。また、交通経済文化等地域の全般的な特性に関する調査、また東京との連携土地取得容易性水供給安定性等の即地的な詳細な調査自然的環境等への影響に関する調査などがございますとともに、地域ごとの新都市づくりのイメージあるいはコストの検討なども行うことといたしてございます。  国会等移転審議会の当面のスケジュールといたしましては、四月下旬から五月下旬にかけて関係府県からのヒアリングを行う予定とされております。また、夏から秋ごろにかけて現地調査を行う予定でございます。  なお、答申の時期につきましては、第九回の審議会において平成十一年秋ごろを一応のめどとするとされております。  以上が、国会等移転審議会設定公表いたしました調査対象地域概要と今後の調査審議予定でございます。  これをもちまして私からの御説明を終えさせていただきます。
  6. 牛嶋正

    委員長牛嶋正君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  本日は、あらかじめ質疑者を定めず、委員には懇談形式で自由に質疑応答を行っていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。また、委員の一回の発言時間は、おおむね三分程度とし、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  7. 野村五男

    野村五男君 平成二年と大変社会情勢も変わってまいりましたけれども、この間三地域選定されたようですが、発表した後の国民意識変化というか、何かそういうものが出てきたのでしょうか。それをお伺いしておきたいのであります。
  8. 林桂一

    政府委員林桂一君) この国会等移転首都機能移転の問題に関しまして、常々国民意識は大変高いものがあるわけでございます。全国民対象にしましたアンケート調査によりましても、七割以上の方がこの問題について関心を持っており、また過半の人が賛成をしているというようなことが昨年の一月に行われた調査によって明らかになっております。その後、大規模国民意識調査ということは実は行ってございません。したがいまして、今回の調査対象地域決定しました段階におきまして、そういった国民意識等を把握しておく必要は十分あろうかと思いますが、そういったことは現在までのところは行われておりません。  ただ、私どもがこの調査対象地域公表をしてから、マスコミ等の報道あるいはそれによりますいろいろ各地から寄せられる御意見等を伺いましても、やはりこの問題に関しての関心は非常に高いものがあるというふうに考えております。そういう意味で、そういった関心を持っていただくことは大変ありがたいと思っておりますし、また一方で、国会等移転に関する法律にもありますように、国民合意形成に努めながらこの問題を検討していくということでもございますので、いろいろな手段を講じまして国民合意形成を図れるように今後とも努めていくということが必要であろうかというふうに考えております。
  9. 野村五男

    野村五男君 終わります。
  10. 加藤修一

    加藤修一君 そもそも国会等という形で、等の中身が非常に私は重要だと思うんです。移転費用モデル試算という資料をいただいていますけれども、その等の中身について、第一段階とか二分の一ケース、最大ケースというふうに仮に書かれているのか。そういうことでしょうけれども、国会決議の中の文章では「一極集中を排除し、」云々、そして「国会及び政府機能移転を行うべきである。」というふうに決議がなされているわけですけれども、国会等という形にしないで、国会及び政府機能移転というふうに明示的にさまざまなレポートについても私はやるべきだと思います。その辺についての見解を一つ。  それからもう一つは、中身の問題について、国会だけなのか行政府はどうなのか、あるいは司法はどうであるか。そして、さらに言うならば皇居についてはどういうふうに考えているのか。つまり、天皇がいらっしゃる住居を移転するということまで考えているのかいないのか。  東京と新しい都市の間が六十キロから三百キロという話が出ておりますけれども、天皇開会式のたびに移動するとか、あるいはサインをするに当たっても年間千件以上あったり、あるいはさまざまな公式の行事に参加するに当たっても二百や三百、そのくらいの数がございますので、そういった点についてどういうふうにとらえているか。すなわち、皇居移転の問題ということをどういうお考えを持ちながら考えているかどうか、その辺についてちょっとお聞きしたいと思います。
  11. 林桂一

    政府委員林桂一君) まず第一に、移転するのは国会のみなのか、行政機関も含まれるのかという御指摘でございます。  これにつきましては、国会等移転に関する法律で、今回のいわゆる首都機能移転対象といいますか国会等移転ということについての定義の規定がございまして、それによりますと、「国会並びにその活動に関連する行政に関する機能及び司法に関する機能のうち中枢的なもの」、こういう規定がございます。したがいまして、移転検討対象となりますものは、国会だけではなくて行政の一部が含まれているということでございます。その範囲につきましては、この規定にもございますように、その活動に関連する行政に関する機能のうち中枢的なものということになっておりますので、その範囲がどういうものになるのかということは検討していく必要があるわけでございます。  これに関しましては、国会等移転に関する調査会報告の中で幾つかの点が指摘されておりまして、国会活動に関連するという観点でございますので、もちろん内閣というのはその中に入るであろうと。そのほか、内閣を補佐する中央省庁の中で政策立案に関する機能というものはその中に含まれるのではないか。さらに、いろいろな意味で危機管理的な機能についてもその中に含まれるのではないかというようなことなどの提案がなされております。それ以外に、中央省庁の中でもいろいろ事業の実施に係る部門、いわゆる現業的な部門というものもあるわけでございますが、それらについて含ませることが適当なのかどうかということは、それぞれに応じて判断を加えていくというようなことを提言されているところでございます。  したがいまして、そのような規定ないしは調査会報告書を踏まえて、これからその範囲をどうするかということは考えていく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。  第三番目に、皇居の問題についてどのように考えているのかということでございます。  先ほど申し上げましたような国会等移転に関する法律の枠の中で検討させていただいておりまして、国会あるいは先ほど言いましたような行政機関の一部あるいは司法に関する機能の一部ということでございますので、皇居につきましては移転検討対象にはなっていないということでございます。  この問題につきましては、平成八年六月十三日の衆議院の国会等移転に関する特別委員会におきまして、橋本総理より、皇室に御動座いただく意思はありませんということでの御答弁をしているところでございます。
  12. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 昨年六月の閣議決定で二〇〇三年以降に延期、凍結するということが決められた首都移転の問題、私は、今の国、自治体のそういう財政状況を考えていくと国会決議当時と相当事情が変わっていると思うんですね。その点については、宇野收調査会会長が壮大なむだと言われたことがありましたけれども、移転そのものも、それから誘致運動もやはり非常に重大な問題があると思っているんですね。ですから、私は、移転を中止すべきだし、候補地選考調査もやはり閣議決定に合わせて中止すべきだという意見を持っております。  特に、先月十六日の審議会での絞り込み、その点で北海道が落ちたわけですね。北海道が外れたということは、私も行っていろいろ見てきましたけれども、北海道ではこんなパンフレットを出したり、さまざまな誘致運動をやってきたわけですよ。  地元の新聞は「苫東落選債務返済に影」とかいろいろ書いております。苫小牧東部開発の延命の口実にされてきた、国会が来るからということが地元で相当言われてきたわけですね、現地を見てもわかりますけれども。ですから、それが早くやめればよかった苫東開発にやっぱり大きなむだの拍車をかけた、そういうものもあるわけですね、独自の調査等々あるいは宣伝等々の地元出費以外に。北海道新聞は、落選落胆、そう書いているわけですね、経済界にも落胆広がると。移転推進の方々にとっても、首都移転は夢でありロマンであるということは言われてきた。しかし、最後には一つに絞られるわけで、これから落胆、失望が各地で繰り返される過程が進むわけですよ、はっきり言って。ですから、そういうことを考えていくと、やはり私は相当冷静に考える必要があるんだと思うんですね。  そういう点で言うと、今年度末までに各候補地宣伝等々の誘致関連に使われたお金が幾らかと私調べてみましたけれども、それが十一道県で財政出費というのは九億七千二百万円あるんですね。東京都は首都移転に反対している。だから、マイナス誘致ということで、この間使ったお金が四億四千万円なんですよね。来年度、東京都のそのための予算計画は六千万円なんですよ。そうすると、これからこういうことを繰り返していくと各地でそういう出費がわっとふえる、そういうことになってくるわけですね。  ですから、私は、そういう点で言うと、林局長審議会事務局次長として過剰な誘致合戦を慎もうと言われたということも報道されていましたけれども、やはりこうした選考やり方そのものが財界にも、それから自治体にも住民にも深い傷跡を残す、そういう懸念を持つわけですね。  そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、それは今の国それから自治体財政状況、その中で移転そのもの、それから、私はばからしいと思うんだけれども、こういう誘致運動あるいは誘致合戦、そういう現状についてどう考えられているのか。それが第一点です。  それから第二点として、今回畿央地域が入ったわけですね。これは自治体が手を挙げていない、しかし地元国会議員等々が誘致運動を進めたと。そうすると、先ほど局長説明もあったけれども、これに当たっては自治体への要請が多々あるわけですね、協力することが。そうすると、地方分権という時代に、自治体出費とかあるいは合併ということも予想される、またいろんな協力もある。そうすると、そういう点で非常に大きな影響があると思うんですけれども、地方自治体独自性の尊重という点から見てこれをどう考えられるのか。  それから最後に、審議会の中で、今となっては首都を移すことに意味があるのかという意見も出されたということも聞きました。その点について、移転に否定的な意見が出されたのかどうかという真偽のほど、それから具体的にどういう意見が出されたのか。  以上、お伺いいたします。
  13. 亀井久興

    国務大臣亀井久興君) 最初の御質問でございますけれども、確かに今財政状況中央地方も大変悪い、そういうことでございまして、首都機能移転のことについても、御承知のように財政構造改革期間の間は具体的な建設に財政資金は投入しないということを既に決めているわけでございまして、その一つの枠の中で今作業を進めているということでございます。  全体としてそうした財政状況があったにいたしましても、もともと国会主導で今日まで進んできている御議論でございますけれども、東京一極集中是正という問題、さらに国土災害対応力強化ということは何も変わっているわけではございませんし、東京圏に対する集中度が多少は緩和されているということでございますが、それでも国土面積三十七万平方キロの広い国土の中でわずか三・六%にしかすぎない東京圏に約二六%の人口が集中しているという現象というのは、やはり均衡ある国土の発展ということから考えてみれば、私は是正すべきものではないだろうかと思っております。  そういうことと、また国政全般改革が今進められているところでございまして、その方向と決して相反するようなものではないだろうと、そのように私は受けとめております。
  14. 林桂一

    政府委員林桂一君) 最後に御質問になりました、審議会で今なぜ首都機能移転なのかという意見が出されたということについてのお尋ねでございました。  一月十六日の審議会調査候補地決定の後で、ある委員の方から、そういう今なぜという言い方ではありましたけれども、首都機能移転意義について、例えばこれからは地方分権ということが必要になるので、重要な課題になるので、そういった面から首都機能移転位置づけられることが必要ではないかというような御趣旨で、今なぜかという問いかけの中でそういうお話をされたように私どもは理解しております。決して、首都機能移転意義が失われたとかいうような形での御意見ではなくて、むしろ新しい意義も見出しながらこの問題を進めていく必要があるのではないかというような御趣旨であるというふうに私どもは受け取ったところでございます。
  15. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 地方自治の方は。
  16. 亀井久興

    国務大臣亀井久興君) 先ほどの二つ員のお問いかけでございますが、地方がいわば候補地たらんとして熾烈な競争をされるというようなことの弊害という御指摘もございました。確かに、この競争が過度になってむだとも言えるような経費をこれに費やすというような、そういう事態はやはり避けていかなくてはいけないと思っております。  やはり、それぞれの地域が新たな夢を持ちながら地域の活性化を考えていくという、そういうことにプラスになっていく、そうした地域のいわば盛り上がりと申しますか、世論を含めた振興に結びついていけば、むしろそのことをとらえてそれがむだ遣いだということで言い切れるものでもないんじゃないかな、そのように私は受けとめております。
  17. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 当選以来ずっとこの委員会に入れさせてもらっていますけれども、まず第一点が国民的合意。大臣林局長もお話しだったんだけれども、国民的合意、さっき局長の話では大分上がっているという話なんですが、もう一つ、私は愛知県の出身なんだけれども、例えば小さな町の法務局の支所を移転させるだけでも地元は大反対なんですよ。この中で、隣に保坂先生お見えになるけれども、東京の合意といって、一体どういうふうにいつごろまでにするのかというのは大変重要な問題だと私は思うんですよ。これは歴史的な過程から見たって、もう大臣局長もおわかりのとおりでありますから、東京の合意をどうするのか、いつごろまでにするのかという話がまず第一点。  それから第二点目が、非常に不思議に思ったのは、この三ページ目の一番下の「例外」、「概ね三〇〇km程度範囲を超える遠隔地の取扱い」ということで、今度の場合は三重県、滋賀県、京都府、奈良県、これは地図を見てもらうとわかりますように、三百キロでかすかにチップしているんですね。かすっているんですよね、この中を。基本的に三百キロというのを基準として考える中で、今度の審議会でほかのところを、今の緒方さんじゃないけれども、北海道を外したりいろんなところを外してある中で何でこのところだけを三百キロの大原則というんですか、そういうものを超えてまでここへ入れたか。いろんなことがあるんでしょう、若干書いてあるんだけれども、こういう問題。  それからもう一つ、別に我田引水の話をしたくはないので、全国的に見て大事なことは、宮城県の方でもそうなんだけれども、宮城まで行って長細い新幹線がどうのこうのとおっしゃった。いろんな問題を客観的に見て、どうしてもこの「例外」という文章がここに書いてあるところが非常に不可解というか、これをきちっと一遍審議会説明をしてもらいたい。  もう一つ最後に、これは中央政府になるんですけれども、さっきの分権の話や加藤先生の話の陛下の問題などいろいろあるんだけれども、亀井大臣、初めてなられて、地方分権中央政府、この首都移転に対してどんな考え方を基本的に持っていらっしゃるか。  その三つ、ひとつお答え願いたいと思います。
  18. 林桂一

    政府委員林桂一君) それでは私の方から、東京都に対してどのように説得するのかというお話がございました。
  19. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 説得じゃない、合意ですね。
  20. 林桂一

    政府委員林桂一君) どのような形で合意をしていくことになるのかということでございました。  東京都のことに関しましては、首都機能移転につきまして、例えば一月十六日の審議会答申の後に知事が慎重に対応すべきであるという趣旨の御発言もなさっております。そういう意味で、東京都の御意見がいろいろな形であるということについては重々承知しております。  これに関しましては、一つ調査会報告書の中に、この移転の問題について東京都につきましては、例えば移転によって住みやすく働きやすい環境を創造していくというような首都の整備をする大きな契機になるのではないかといった問題、あるいは政治、行政経済区分ということになりますので、東京東京として世界の経済的な都市としての発展というものをこれから首都機能移転一つの契機にして図っていくという道が開かれるのではないかというようなことなどが調査会報告書でも提言されているところでございます。そういうことで、東京都のいろいろな現在抱える一極集中の問題等もございますし、そういうものを解決しながら新しい東京の姿を目指して発展していく大きな契機になるのではないかというのが調査会報告書で提案されているところでございます。  したがいまして、私どもも基本的にそういう認識に立ち、そういうものを踏まえた検討が必要だというふうに考えておるわけでございますが、一方で東京都を初めとする関係者の方々の御意向、御意見を十分に拝聴しなきゃいけないと思っておりますので、これからも審議会の場でそういった意見を十分に拝聴すると同時に、やはり最終的には、場所の問題については国会で別に法律で決めるということに国会等移転に関する法律が定められておるところでございますので、そういう場面でのいろいろな御議論もこれからはされるということになろうかと思います。  私どもとしましては、基本的には調査会報告書に沿った形で、それを具体的にどういうふうに考えていくかというようなことをこれから精力的に審議し、検討をしていきたいということでございます。
  21. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 それからもう一つ、今の三百キロの例外の話。
  22. 林桂一

    政府委員林桂一君) 失礼しました。  畿央高原を例にお取り上げになって、この例外についての取り扱いはどのように検討したのかということをもう少し具体的に説明するようにという御指摘だったと思います。  実は、先ほどの調査会報告書の中にもつの条件が示されておりますが、その中に東京から三百キロ圏以内の圏域であることが一つ条件として示されたわけでございます。ただ、これには特例がございまして、三百キロ圏を超える圏域であっても特にすぐれた特性を有するものについては検討対象にするということもあわせて決められておったわけでございます。  そこで、私どもとしましては、三百キロ圏内にある地域は当然のことでございますが、それ以外の地域についてもそのような特性の把握ということが一応は必要であろうという検討をさせていただいたわけでございます。先ほど申しましたように、三百キロ圏の周辺地域、それからそういうところではないけれども地元地方公共団体が具体的な地域をもって意思を表明しておられる地域、それらの地域についてはやはり検討対象にして、それが詳細な調査をする地域として必要かどうか、適切であるかどうかということを検討した結果、先ほども御説明したような地域選定されたわけでございます。  そういう意味で、畿央高原につきましても、これはぎりぎり三百キロのところに区域のくくり方としては入っておりますが、かなりそういう意味では周辺ということになると思います。そういうようなところは距離の面ではやや不利な面があるわけでございますが、それ以外の条件としまして、例えば名古屋と京阪神の中間に位置するというようなこともございますので、そういう意味では関西との連携はむしろ強いものもあるし、また既存の都市のいろいろな基盤の整備というものもかなり活用できるというようなメリットもあるということはございました。それからさらに、国会等移転ということでもございましたので、やはりかなりの国会議員の方々がその地域について推しておられるという事情審議会としても必ずしも無視できないという事情もございました。  そういう事情をいろいろ総合的に勘案しながら、この地域をとりあえず調査対象地域とするということが決定されたわけでございます。
  23. 亀井久興

    国務大臣亀井久興君) 地方分権についてどう考えるのかという御質問でございます。  たまたま本日、中央省庁改革基本法案の閣議決定をいたしたばかりでございますが、今日まで委員御承知のとおり、行政改革会議を中心にしまして中央省庁の再編統合について議論が行われてきたところでございます。私は、中央省庁の再編、これもまた行政改革のために必要なことでございますが、それだけではなかなか十分ではないわけでございまして、やはり地方分権の動きが並行して行われていかないと本当の意味での行政改革にはならないだろうというように思っております。  さらに、現在私ども、新しい全国総合開発計画の取りまとめ作業を進めておりますけれども、過去四次にわたる全国総合開発計画がつくられてきた中で、なかなかこれが計画どおりの姿になってこなかったということを私どもも反省をいたしております。それの大きな原因の一つに、私なりに考えてみますと、やはり地方分権がその裏づけとして行われていなかったということが非常に大きいんではないかというように思っております。例えば公共投資のあり方にいたしましても、それぞれの地域によって公共事業の優先順位というものもおのずから違うわけでございますから、それぞれの地域がその自主性を生かした公共投資を行っていけば、もっと個性的な地域がつくられてきたんではないかというように思っております。  その意味で、今度、地方整備局等が再編統合の中で設けられるということになれば、またそうした組織が地方公共団体ともっと緊密な連携もとにそうした事業を行っていくことになれば、より地方分権が根づいてくるんではないかなと思って期待もしておるところでございまして、やはりこれから地方分権というものが非常に大きな、国政全般改革の上でまさに最重要の課題ではないかというように私は受けとめております。
  24. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 局長、さっきの話で非常に気になっていたのは、国会議員の先生が後押しをしているという部分は非常にこれは、もう時間がありませんから次の委員会のときに僕はもう一回話をさせてもらうけれども、これはちょっとおかしいんじゃないかなという気がするんだけれども、きょうはそれだけ。
  25. 林桂一

    政府委員林桂一君) それがそのことのみで調査対象地域が決まるということではややおかしいというお話もあるのかもしれませんが、先ほど申しましたように、基本的にこの地域については、三百キロの圏域を超えているという面もありますけれども、一方で関西地域との近接性といった問題もあり、全国的に見れば、先ほど御説明しませんでしたけれども、これも全体としては中央地域という地域にもなっておりますので、全国の中でも比較的日本中心に近い、そういう意味では国会をそこに持っていったとしても国民から非常にアクセスのしやすい、そういう場所であるというメリットもあるわけでございます。  それから、ちょっと先ほど十分御説明できませんでしたが、関西とか名古屋といった既存の都市もございますので、そういったところでの都市の基盤というものも利用できやすいといいますか、近くにあるということでそういうことも利用しやすい。逆に言えば、整備に余り新しいお金を費やすということを必要としないという有利な条件もあろうかと思います。  そういうこともありまして総合的に決めたわけでございますが、その中に先ほどちょっと申しましたような、これは基本的には国会等移転ということでもございますので、そういうことを私申し上げましたけれども、それがすべてだと言うつもりはございません。最終的な候補地決定ということではございませんけれども、最終的なというところではございませんが、詳細な調査をこれからしていくというような段階において、やはりこういう地域もその可能性について詳細な調査をするということは適切ではないかということで申し上げたところでございます。
  26. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 審議会の中間報告が一月に出されたわけでございます。この今後の方向なんですけれども、審議会が来年の秋に答申をというようなお話もありましたが、どういうような答申をされるのか。そこら辺の方向づけをお伺いしたいんです。また、二〇〇三年まで凍結するよというような政府方針でもあるわけですから、今この時期に国会移転、長期的にはともかく短期的にはちょっと私も疑問を持っておるところなんです。その答申の仕方によっていろいろまた問題も生じてくるんじゃないか、地価の問題もあるし。どういうような形の答申を考えておられるのか、それが一点でございます。  それからもう一つは、跡地の問題にお触れになるのかどうかという点でございます。一極集中の弊害を排除ということからいくと、あとは一極集中にならないような形での跡地利用がないとこの問題は成り立たないんじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、そういう跡地のことについての、具体的な問題はともかくとして、方向づけなどもその審議会議論対象になるのかどうか。  そういう二点についてお伺いしたいと思います。
  27. 林桂一

    政府委員林桂一君) 最終的な答申がどのような形になるのかについてのお尋ねでございますが、現在までのところ、そのことについて審議会として一つの結論を持っているということではございません。今後、第二タームで各地域現地調査、属地的な詳細な調査を行っていく過程の中で導き出されていくということも十分考えられますので、そういうことなども踏まえた上で、第三タームにおいて相互比較をする、あるいは総合的な検討をするという過程の中でどういう答申をしていくかということが議論され、しかるべくその姿が明らかになってくるのではないかというふうに考えておりまして、今のところでは、例えば一カ所答申するのか複数答申するのかというお尋ねもしばしばあるわけでございますが、そういうことなどにつきましてはまだ一切決まっていないというのが現状でございます。  それから二番目につきましては、跡地についてどのように利用するかについてこの審議会検討をするつもりがあるのかというお尋ねでございました。  この問題に関しましては、移転調査会報告書の中でも首都機能移転した場合の跡地についてはいろいろな利用が考えられると。一つは、東京における防災対応力強化ということにも使えるということもありました。それから、東京生活環境なりの改善に使っていくということもあり得るということもございました。また、東京がこれから経済首都として発展していく、あるいは文化の面でも発展していくということになりますと、そういった機能をより高めるための土地利用ということを考えていくというようなこともございました。  いずれにしても、そういういろいろな可能性があるわけでございますが、調査会報告書でも言われておりますのは、こういった問題については東京都と非常に関係の深いことでございますので、東京都とよく議論をしながらその望ましい姿を決めていくということが必要であるというふうに提言されているところでございます。  審議会の仕事、これは候補地選定及びこれに関連する事項を審議するということで法律で決められておりますが、これに関連する事項というのは比較的幅の広いものであるとは思いますが、先ほど言いましたような跡地の土地利用の姿を審議会でいろいろ検討するかどうかということに関しましては、やはり東京都とのじっくりとした議論、調整ということも必要でございますので、ややなじまないのではないかというふうにも思っております。  いずれにしましても、国土庁といたしましては、逆にそういうことは東京都とよく話をして、東京都なり地元がどういう御希望を持っているかということなどは欠かせないことでございますので、そういった面から事務的にはいろいろそのことは詰めてまいりたいというふうに思いますが、審議会の事項になるかどうかについては、やや私としては、それはそういうことではないのではないかなという感じを持っておるところでございます。
  28. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私はたまたま生まれも東京だし、ですから戦前の東京も知っているし戦後の東京も知っているんですけれども、戦前の東京というのは割合とスリムで住みやすかったんですよ。人口は今の半分ぐらいだったでしょう。過密問題というのはなかったんですよね。  ところが今は、一つ具体例を挙げると、一日に東京へ通勤する人たちが埼玉県だけで百万を超しているわけですよ。それから、神奈川県、千葉県あるいは茨城県、山梨県等からそれぞれ百万近い人が通勤をしているわけです。これは極めて不自然な状態だと思うんです。まさに人間でいえば超肥満体なんですよ。お相撲さんの、一人にして八十キロや百キロじゃないんです。一人でいうと二百キロぐらいの目方になっちゃっているんです。  だから、その病状がどうなっているかというと、大気の汚染になっているし、それから交通の渋滞になっているし、住宅事情の悪化になっているし、昔は東京では住宅事情なんというのはなかったですよ。土地問題もなかったですよ。貸し家を求めようと思えば簡単に探すことができたんです。親の代はそうだったんですよ。今はそうじゃないんですよね。住宅を求めるなんということは大変な仕事ですよ。  だから、こういう状態を打開するためには、東京都に任せておいたって名案は出てこないですよ。私はそう思うんですよ。東京都はそういう打開策を持たないで、単なるエゴイズムでもって反対だと言っているだけの話で、これは干渉なんですよ。単なる干渉なんです。打開策を出せと言ったって出っこないですよ。今さら東京湾の水をかい出してあそこを埋め立てにするというようなわけにはいかないですよ。  この膨大な人口問題をどうするかということになれば、やはり地方に分散する以外にないです。これはもう物理的にはっきりしています。だから、私はやはりこの問題を打開するためには新しい首都を探すほかない。  しかし、今日までこの委員会でもいろいろ回ってきましたけれども、各地でもって首都移転を希望するところがあるんですね。行ってみると、希望するところは、なるほど、言われてみると感心するような点もあるんですね。だから、それを将来的に打開するためには、首都移転あるいは首都機能を分散させるというのが一つの解決の方法じゃないかと思うんです。たまたまこの委員会で行かれた人も感じている、ここはいいなと思ったところは必ずあるんですね。だから、各省庁をこのお役所はここへ、このお役所がここへと、こういうふうにすればみんなの希望をかなえることはできる。場所によっては北海道だって構わないと思うんですよ。そういうのは一つの打開策としてあるんじゃないか。  反対か賛成がだけでやっていたって、これはどうにもならないです。解決ができません。解決するためには、やはりそういうふうな新しい発想でもって首都を分散させて、そしてその問題の解決を図る、超肥満の状態を大手術によって解決をする、こういう方向でやはり進むべきではないか、私はそう思います。  以上です。
  29. 亀井久興

    国務大臣亀井久興君) ただいま瀬谷委員からの貴重な御意見でございますが、分散をさせたらどうなのかという御意見でございます。これも一つの傾聴に値する私は御意見だとは思っておりますけれども、現在、私どもといたしましては、国会等移転調査会報告に基づいて、国家の中枢機能というものがやはりばらばらにあるのではなく一体として効果を発揮していく、そういう必要があるということで、三権の中枢機能を分離するということは想定はしていないところでございます。  現在の審議会におきましても、分散ということは想定しないで今日まで議論を進めてきておるところでございますので、私どもといたしましても、その審議会の考え方を尊重してまいりたいというように考えております。
  30. 和田洋子

    ○和田洋子君 私も瀬谷先生の御意見に大変賛成なんですが、私は福島県で、福島県も首都機能移転に大変熱く、ぜひ福島県に来てもらいたい、福島県の森に国会が沈んだらどんなにすてきだろうというふうに思っている福島県出身でございますので、どうぞよろしくお願いします。  私は、基本的には一極集中を避けるということは多極に分散するということではないかというふうに思います。そして、地方分権と言われている現在の世の中で、何も一カ所に絞ることはないんじゃないか。三百キロが四百キロだって何も違わないんじゃないか。三百キロというのはどういうふうにして決められたのか私にはわかりませんが、それが三百五十で悪いのか、四百で悪いのかということになるんではないかというふうに思います。  例えば震災なんかが起こるとすれば、それはその地域全体に起こることですから、多極に分散して、こんなに電算システムが発達した世の中にどうして分散しては悪いんだろうかということが一つ。あと陳情の政治が私は悪いというふうに昔から思っておりますので、一極には集中しないで多極に分散して、その地域からいろんなことが送れるようなシステムにしてもらいたいという議論審議会ではなされなかったんでしょうか、お聞きいたします。
  31. 林桂一

    政府委員林桂一君) 審議会での議論は、先ほど申しましたように、国会等移転調査会において示されました選定基準を踏まえまして検討を進めてきているところでございます。その選定基準調査会報告書で定めました中に三百キロ圏以内と、鉄道でおおむね二時間程度という言葉が入っているわけでございます。  なぜこういうことが入れられたかと申しますと、東京から離れた地域首都機能を持った新都市を設置するという基本的な考え方はあるわけでございますが、一方でこのプロジェクトはかなり長期にわたって行われるもので、その経過段階においては、少なくとも東京とそれから首都機能を持った新都市とが同時に存在するという、重都構造と申しておりますが、そういうような状況が生ずるのではないかということ、それから政経分離とは申しましても、その政と経の連携ということもまた必要ではないかというようなこともございまして、東京との連携ということがやはり必要である、分離はするが連携も必要であるというような考え方に立っているわけでございます。そういうことで、その連携というものをいろいろ検討した結果として、一つの目安として距離でいけば三百キロ、鉄道の時間距離でいけば二時間程度というような基準が出てまいったわけでございます。  そういうことで三百キロというものが出てきたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、三百キロというのが満たされていない地域であっても、他のいろいろな条件がすぐれた特性があるという場合はそういうものも取り入れて検討していく必要もあるということも言われておりますので、大きな基準ではありますけれども、一つの目安ではないかというふうに考えておるところでございます。
  32. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 ちょっとお尋ねする前に、局長に、言葉は軽々に使わないようにお願いしたいというのが一点あるんですね。  それは一つは、移転後は東京経済首都だとおっしゃいましたけれども、首都という言葉は軽々に使わないでください。今度の国会移転というのは基本的には首都移転ではないですか、私に言わせると。三権の分立の中でも、結局は国会移転すれば行政の大半も移転するし、司法移転するんでしょう。これは首都移転じゃないですか、だから皇居の問題が出てくるんですから。それを使わないでいただきたい。  それから、重都構造とおっしゃいますけれども、重都というのは、東京都も一つの展都だとか重都というのを提案しているんですからね。六条に、「東京都の整備との調和を図る」、「新都市東京都との機能面での連携を確保する」、いずれもこれは重都ですよ、おっしゃるとおり。それでいいんですか。それが言葉のボキャブラリーの問題で、まず軽々には使わないでいただきたいということです。  それから、さっき緒方さんからもお話がありましたけれども、地方分権が進めば結局は一極集中というのは排除されるわけですよ。昔の一極集中というのは、言ってみれば田中総理が誕生されたころの一極集中というのは人口ですよ、基本的には。人口が東京集中していた。しかし、今は首都圏では集中しているけれども、東京は人口が社会増、自然増とも減っているわけですね。そうすると、一方では理論的にはおかしくなってくるわけですよ。  ですから、私は、今どうして首都機能移転しなくてはならないのかというのは、基本的には人心一新というのが一番残っているんじゃないかと、マインド移転じゃないかと、こう思っているんですね。だから、地方分権が本当に進めば東京から移転しなくてもいいんです。  それから、瀬谷先生がおっしゃるとおり、国会だけ移転したって、東京圏百キロ圏内だとしますよ、東京圏というのは六十キロだけれども、東京圏百キロ圏内で三千万、首都圏で四千万、果たして首都機能移転して減りますか。減らせるというんだったら東京の力をうんとそがなくちゃならない。東京経済力をうんと落とさなくちゃならない。そうしたら自然に減りますよ。こういう点では、一極集中のねらいというか首都機能移転のねらいをもう一回再構築していただかないと、やっぱりタイムラグが出てきているということがまず一点目。  これは前段です。済みません、東京は二人しかいないんで、三分プラス一分ぐらい。
  33. 牛嶋正

    委員長牛嶋正君) 大丈夫ですよ。
  34. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 それで、一つぜひお尋ねしたいんですが、たまたま今福島のお話が出ました。僕もそれは賛成で、移転するんだったらば大臣おっしゃるとおり、夢を持たせる。新たな夢とおっしゃるならば、日本じゅうを対象にすると。二時間とおっしゃるけれども、リニアが完成すれば大阪まで一時間、六百キロです。そういうことがあるんですね。しかも、通信、情報の時代ですから、人が動かなくたって全部情報の交換ができるんです、瞬時にリアルタイムにおいて。そうなれば、人が動くというパーソントリップだけを考えるような機能移転というのは本当の機能移転にはならないと思うんですね。  そこで、そうはいいますけれども審査基準はできてしまった。それで、三カ所に絞りましたね、今回。さて、三カ所に絞ったとおっしゃるならば、この三カ所に絞った計数を公開していただけませんか。要するに、北東地域はこの一の項目では何点だった、二の項目では何点だったと。したがって、三地域以外はどうして外れたかわかりますよね。  それは東京との比較考量の問題でも言えるんです。じゃ、東京は空港の整備だとか利便性だとか文化性では何点である。新しい地域は何点である。そういう合理的な比較の対象がありませんと、単にAとBを並べてどっちがいいかというんだったら、北東地域にもし最終的に決まったら関西、東海、全部反対ですよ。東京より北に打っちゃうんだから、離れちゃうんだから。東海だとかさらに西に行ったら、何だ、おれたち百三十年我慢したのにまた西に行ったかとなりますね、北東地域は。そうなるんですよ。  ですから、私は、そういうことを言うと、世論調査で賛成だとおっしゃるならば、最後にもう一回世論調査しなくちゃならない。どこかに決まったときに、それじゃ全国民がそこでいいよという、それが本当の国民合意形成だと思うんですね。したがって、数字を求めてしっかりと比較をされたのなら、その数字も明らかにしないと比較考量というのは難しいんではないでしょうか。これが一つです。  それから、もう一つお尋ねしたいのは皇居のことなんです。  皇居のことなんですが、これはどうしても割り切れませんのは、日本の国家の体制は立憲君主制ではありませんけれども、現に天皇家があって憲法が象徴としてお認めになっている。国事行為も認められている。となると、なるべく東京から離れたところに例えば国会が行ったとして、天皇陛下がそちらの方に行く、そこは離宮となる。離宮で国事行為ができますでしょうかね。例えば、その新しい離宮から国会に行って開会式のごあいさつをするというのは、これはできますよね。しかし、陛下がそこに三日逗留したら、陛下が東京にお帰りになるまで国事行為はできないんでしょうか。  それで、皇居というのは現実的に法律で定まっておりますんでしょうか、東京と。京都に言わせますと、ちょっと東京におわしましていると、いずれ京都にお帰りになると、こう僕らは説明を受けているんですけれども、皇居法律的にあるのか。  となっていくと、最終的に大臣にお願いなんですが、首都を定める法律というのをつくらなくちゃいけないんじゃないでしょうか。また、首都というのはどういうものだという概念はしっかり法律の上でも明確にしないと、じゃ、国連の年鑑で首都はどうなるのか。政治首都は新しいところ、経済首都東京となるんですか。そのあたりを、これは先の話でございますけれどもお尋ねしたい。  そして、長くなってしまいましたけれども、東京との比較調整はどの時期にやるのか、東京調査はいつ始めるのか。  以上です。長くなりまして済みません。
  35. 牛嶋正

    委員長牛嶋正君) 予定しておりましたのは四十分程度でございまして、大体五分超過をしております。しかし、非常に大事な御質問でございますので、この保坂委員の御質問を最後にしたいと思います。
  36. 西川きよし

    西川きよし君 僕も一つ聞きたかったんですが、だめですか。
  37. 牛嶋正

    委員長牛嶋正君) いえいえ、だめなことはございません。  それでは、ちょっと保坂委員の御回答を延ばして、先に御質問をお聞きすることにいたします。
  38. 西川きよし

    西川きよし君 ハードからソフトまでいろいろお話をお伺いして、すべて例えばクリアをしたといたしまして、この審議会検討項目一つで、僕なりにこれを局長さんにお伺いしてみたいなと思ったのが文化的側面に関するという部分ですけれども、こういうことが僕たち気になるんです。  物理的な問題とあわせて、新しい都市では例えばどのような文化が形成されるのか。あるいは、その形成された文化日本文化にどのような影響を今度は与えるのか。これは大変重要なテーマだと思うんです。言葉一つとりましても、新しい都市が従来から持っている言葉がその都市の言葉になっていくのか。また、あるいは外部から移り住んだ人たちが持ち込むそういう言葉がその他の言葉になるのか。日本の言葉の文化というんですか、なまりは国の手形というようなことを申しますけれども、本当に大きな影響を与えると思うんです。そうした意味におきまして、現在審議会検討されている文化の側面、今までのお話を少しお伺いしたいなと思います。
  39. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 先ほど質問したことで答弁がなかったのと、あと鈴木さんとの関連なんですけれども、先ほど畿央高原、畿央地域のことで局長の方から、国会議員などから要請があったということを言われました。国会議員などから要請があればそれが新たな候補地になる一つの理由になる、すべてじゃありませんよ、もちろん。一つの理由になるという趣旨なんですけれども、その根拠はどこにあるかというのが一つ。  それからもう一つは、地元自治体の誘致決議等々ですね。これが上がっているとは承知していないんですけれども、その点の事実関係ですね。地元に相当負担がかかるわけですね、地価を抑制するから先行取得等々。ですから、その点で、地元自治体が決めていないのに何で候補になっちゃたのか。  以上の二点です。
  40. 牛嶋正

    委員長牛嶋正君) それでは、今の御質問をまとめて、これで終わらせていただきますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  41. 林桂一

    政府委員林桂一君) では、簡潔にお答えさせていただきます。  まず、保坂先生の御指摘の中で、候補地を決めた際の判断となる計数について公表すべきではないかという御指摘であるわけですが、私ども、点数制で何点になったからこの地域対象地域にするという、そういった関係の作業は今回についてはしておりません。ただ、その九条件について具体的にどういうふうに把握したのかということの中でいろいろ数字というようなものが出てきておりますので、そういうものを公表するということは十分できますし、むしろそれはもう公表されております。  したがって、そういった数字など、あるいは定性的に表示しているところもございますが、そういう項目を総合的に審議会の中で御議論いただいて、そしてこの地域ではどうだろうということで、適切であるという御判断の中で決められたということでありまして、点数制にして、それが句点になったからというところは今回はしておらないわけでございます。  二番目は、皇居のことにつきまして、国事行為が東京から離れたところで可能なのかという御指摘とか、あるいは皇居の場所なり首都法律で決められているのかという御指摘でございましたが、法律で決めていることはないというふうに伺っております。ただ、一方で首都圏整備法とか、そういうような首都という名前を冠しました法律もございますので、そういう中では若干そういうことをうかがわせるものがあるわけですが、法律でここが首都だよ、ここが皇居の場所だよと決められたものはございません。
  42. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 国事行為はできるんですか。
  43. 林桂一

    政府委員林桂一君) 国事行為につきましてはまだ詳細な検討はできておりません。したがいまして、それは今後の課題ではないかと思いますが、現在のところ、そのことは十分な検討をされておらないのが実態でございます。  いつ東京都との比較をするのかというお尋ねでございましたが、第二ターム、第三ターム流れの中で東京との比較考量ということを審議会の場でもやはりすることが必要ではないかなというふうに考えております。基本的には、国会等移転に関する法律の中で、最終的に国会首都の場所をお決めいただくときに東京との比較考量検討した上で検討していくということが決められておりますので、最終的には、やはり国会の場でそういう御議論がされるものというふうに考えてございます。  それから、西川先生の方の、文化的側面の検討についてこれまでの状況と今後の考え方ということでございます。  やはり、首都機能移転されることによって文化的な面での大きな影響があるというのが審議会の各先生方が御指摘になっているところでございます。それからもう一つ、やはり文化というものの特性を考えながら場所についても考えていく必要があるのではないかと。日本文化をどのように評価するかといいますか地域的な文化がどういうようなものであるかということは、これは大変御議論のあるところだというふうに思っておりますが、そういうようなことなども分析しながら、首都移転一つの考え方の中に文化的な面から評価を加えていくということは必要なのではないかという御議論はございます。  したがって、今後、それがどういう項目なのか、どういうふうに検討していったらいいのかということはもう少し審議の過程の中で明らかにしていく必要があると思いますし、さらに文化といいましても、いろいろなライフスタイルとか仕事の仕方あるいは生活の仕方というようなものも含めた非常に幅の広い文化というとらえ方をしておりますので、そういった文化内容についてどういうことを意識して詰めていくか、検討していくかということも重要な議論だろうというふうに考えております。  そういうことでございまして、これから大きな柱としてその問題を取り扱っていくということが審議会の中での大方の先生方のお考えというふうに考えております。  それから、緒方先生の方から地元の意向があったのかどうかということでございます。  畿央地区につきましては、いろいろなさまざまの地域がございますので三重・畿央地区という全体としてとらえておりますが、この中で積極的に公共団体の代表の方が表明されたところもありますし、そうでなかったところがあることも事実でございます。
  44. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 議会の決議については。
  45. 林桂一

    政府委員林桂一君) 議会も含めてでございます。議会も含めてそういうことを表明されたところ、具体的な地域を挙げて表明されたところ、あるいはこういった問題について他の地域連携してそれを進めていくということについて、つまりその一翼を担うという形で表明されたところもございます。  そういうことで、公共団体それぞれさまざまでございますが、一方で私ども、先ほどちょっと申し上げましたところでございますが、地方公共団体等の意思表示のあったところとしておりますのは必ずしも地方公共団体だけでなくて、地元のいろいろな方々の意向というものも踏まえた検討ということになりますものですから、必ずしも知事とかあるいは議会だけに限るということではないのではないかというふうに思っております。
  46. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 国会議員については。
  47. 林桂一

    政府委員林桂一君) ですから、そういう意味で、国会議員の方も地元のことのいろいろな声を反映されておられてそういう御意見を述べられておられると思っております。したがいまして、そういう地元の中からの意見表明ということにやはり当たるのではないかということで、そういった取り扱いをしているところでございます。
  48. 亀井久興

    国務大臣亀井久興君) 最後に申し上げたいと思いますが、冒頭のごあいさつ、御報告の中で申しましたように、もともと平成二年の国会決議に始まり、平成四年の法律の制定に基づいてこの動きが始まってきたわけでございます。私ども、そうした国会の御意思に基づいて審議会も設置をし、その中で御議論をいただいてきているということでございますので、国会でさまざまな御議論があるのにそれを差しおいてどんどん作業を進めてしまうというようなことではないわけでございます。  先ほども申しましたように、これだけの大きな課題でございますから、国民的な合意というものがなければとても実現できるものではないわけでございまして、これがいろいろ審議会での御議論あるいは国会での御議論、こうしたことが進んでいくに従って世論もいろいろ私は変化をしてくる面は確かにあろうと思っております。そうしたことを踏まえて国民の合意というものが形成をされていくように私ども全力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
  49. 牛嶋正

    委員長牛嶋正君) 御意見も尽きないようですが、本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十六分散会