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1998-06-08 第142回国会 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年六月八日(月曜日)    午前九時開会     ―――――――――――――    委員の異動  六月五日     辞任         補欠選任      野村 五男君     阿部 正俊君      三浦 一水君     鈴木 政二君      朝日 俊弘君     小山 峰男君      竹村 泰子君     前川 忠夫君      渡辺 四郎君     及川 一夫君      泉  信也君     永野 茂門君      奥村 展三君     堂本 暁子君  六月八日     辞任         補欠選任      石田 美栄君     竹村 泰子君      前川 忠夫君     笹野 貞子君      橋本  敦君     緒方 靖夫君      吉岡 吉典君     山下 芳生君      西川きよし君     佐藤 道夫君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         遠藤  要君     理 事                 石渡 清元君                 片山虎之助君                 釜本 邦茂君                 高木 正明君                 野間  赳君                 伊藤 基隆君                 小島 慶三君                 猪熊 重二君                 赤桐  操君     委 員                 阿部 正俊君                 石井 道子君                 海老原義彦君                 鎌田 要人君                 亀谷 博昭君                 久世 公堯君                 国井 正幸君                 清水嘉与子君                 須藤良太郎君                 鈴木 政二君                 田村 公平君                 常田 享詳君                 長尾 立子君                 林  芳正君                 松村 龍二君                 宮澤  弘君                 石田 美栄君                 小川 勝也君                 小山 峰男君                 笹野 貞子君                 竹村 泰子君                 寺崎 昭久君                 前川 忠夫君                 牛嶋  正君                 海野 義孝君                 益田 洋介君                 渡辺 孝男君                 及川 一夫君                 清水 澄子君                 緒方 靖夫君                 山下 芳生君                 吉川 春子君                 永野 茂門君                 星野 朋市君                 佐藤 道夫君                 堂本 暁子君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法 務 大 臣  下稲葉耕吉君        外 務 大 臣  小渕 恵三君        大 蔵 大 臣  松永  光君        文 部 大 臣  町村 信孝君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   島村 宜伸君        通商産業大臣   堀内 光雄君        運 輸 大 臣  藤井 孝男君        労 働 大 臣  伊吹 文明君        建 設 大 臣  瓦   力君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  小里 貞利君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)          (沖縄開発庁長        官)       鈴木 宗男君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       谷垣 禎一君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  大木  浩君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  亀井 久興君    政府委員        内閣審議官    坂野 泰治君        内閣審議官    松田 隆利君        内閣総理大臣官        房審議官     榊   誠君        総務庁長官官房        長        菊池 光興君        総務庁人事局長  中川 良一君        総務庁行政管理        局長       河野  昭君        北海道開発庁総        務監理官     小野  薫君        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁原子        力局長      加藤 康宏君        科学技術庁原子        力安全局長    池田  要君        環境庁長官官房        長        太田 義武君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        環境庁大気保全        局長       野村  瞭君        環境庁水質保全        局長       渡辺 好明君        国土庁長官官房        長        久保田勇夫君        国土庁計画・調        整局長      河出 英治君        法務大臣官房長  但木 敬一君        法務省刑事局長  原田 明夫君        法務省人権擁護        局長       横山 匡輝君        法務省入国管理        局長       竹中 繁雄君        公安調査庁長官  豊嶋 秀直君        外務省総合外交        政策局軍備管        理・科学審議官  阿部 信泰君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省経済局長  大島正太郎君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        外務省条約局長  竹内 行夫君        大蔵大臣官房長  溝口善兵衛君        大蔵省主計局次        長        寺澤 辰麿君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省国際金融        局長       黒田 東彦君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部大臣官房総        務審議官     高  為重君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        厚生大臣官房総        務審議官     田中 泰弘君        厚生省保健医療        局長       小林 秀資君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        社会保険庁運営        部長       真野  章君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        通商産業大臣官        房長       村田 成二君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        岩田 満泰君        通商産業省産業        政策局長     江崎  格君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君        中小企業庁長官  林  康夫君        中小企業庁計画        部長       中澤 佐市君        運輸大臣官房長  梅崎  壽君        運輸省運輸政策        局長       土井 勝二君        運輸省港湾局長  木本 英明君        海上保安庁次長  長光 正純君        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省労政局長  澤田陽太郎君        労働省女性局長  太田 芳枝君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設大臣官房総        務審議官     小鷲  茂君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○中央省庁等改革基本法案内閣提出、衆議院送  付)     ―――――――――――――
  2. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を開会いたします。  中央省庁等改革基本法案を議題とし、大蔵省外三省を中心として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 常田享詳

    常田享詳君 自由民主党の常田享詳でございます。  まず、戦後において我が国政府が独自に省庁再編を行ったことは過去になく、その意味において今回の省庁再編法案は画期的なものであると私は思っております。  言うまでもなく、国会は国権の最高機関であります。立法府が巨大な官庁を国民のために、しかもその時代に合った形で再編成することができるということを国民に示すことは極めて大切なことだと思います。国民から見て、官僚が上で政治が下といった意識を変えるべきであり、政治行政をコントロールするのが本来の姿であるということを示すべきであります。まさに、この改革は、先般の参考人方々お話の中にも出てまいりましたが、政治の復権だというふうに私は考えるものであります。  このことにつきまして、まず総務庁長官の御所見お尋ねいたします。
  4. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 行政改革最終報告におきましても、さらにまた今次の基本法案におきましても、「この国のかたち」の再構築という言葉を用いておるところでございます。この言葉、そして意味するものは広く国民全般に大変大きな響きを与えているのではないか、さよう判断をいたします。  私は、主権者たる国民が当事の主体として、個人の尊厳と幸福に重きを置いた社会を築き、国家の健全な繁栄と運営を図る、まさにそのよう国家でなければならない、さように思っております。国民の直接の負託を受けた我々政治リーダーシップお話しのとおり今ほど問われている時期はないのではないか、さよう判断をいたします。  かかる認識のもとに、今回の省庁改革におきましても、省庁の太くくり再編により縦割り行政の弊害を排除しながら内閣機能強化すると同時に、政治リーダーシップを重点中の最たるものに置いたつもりでございます。
  5. 常田享詳

    常田享詳君 志方俊之帝京大学教授は、「危機管理理念と実際」という文献の中でこのように述べておられます。危機管理にとって最終的に問われるものは、政治リーダーシップであることに帰着する。なぜなら、危機管理のための行動では、それぞれの組織がそれぞれの特性と能力を生かして調整された行動をすることが重要であるからであるということであります。私は、今般の内閣機能強化、とりわけ内閣府の目指すところはここにあるというふうに考えるものであります。  ところが、先般、あるお役人方たちに率直に意見を聞きました。そういたしますと、役人の最大の興味は昇進と退職後の処遇だというのが皆さんの一致した御意見でありました。となりますと、現状のような各省庁ごと縦割り人事決定機構が温存されれば内閣府は機能せず、また省庁横断的組織をつくってもただ寄り合い世帯になる可能性が大きいわけであります。  私は、内閣総理大臣人事権を持ち、高級公務員省庁横断的人事を実行しなければ縦割り行政は打破できない、むしろ内部抗争行政の停滞を生むのではないかということを危惧するものであります。内閣府危機管理人事権について、総務庁長官の御所見を承ります。
  6. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) お話にございましたように、災害、事件等に際しての危機管理体制強化を図る上では、御指摘のとおり内閣政府全体の司令塔として、しかもその役割を的確に、そして機敏に果たす一つ体制が最も肝要である。さよう判断をいたしまして、できるだけ早い時期に、そして機敏に政府のいわゆる行政総合力が発揮できるようにすることが最も重要である。そういうことが、最終報告でももちろんでございますが、今次の基本法においてもきちんと記されておるところでございます。中でも、総理大臣指導性明確化、そして総理大臣責任を持って国務を総理する十分なる一つ体制を基礎的に整備するために、その支援、補佐体制強化をいたしたことも御承知のとおりでございます。
  7. 常田享詳

    常田享詳君 外相整いて内相おのずから熟すという言葉がございます。  私は、このたびの改革がやはり国民方々に開かれたものであり、よりわかりやすいものでなければならないというふうに思います。組織が巨大になればなるほど秘密主義になりやすい。そして、徹底した情報公開がなければ恐ろしいことになりかねない。したがって、私は、情報公開法早期成立は無論のこと、内閣広報機能強化が必要であるというふうに考えております。この際、内閣広報局設置検討されてはどうかと思います。  ちなみに、韓国におきましては、日本より後から省庁再編に取り組んでもう既にでき上がっております。韓国も過去になかった国家報道処設置しておりますし、ドイツでも内閣が統一した広報をやっております。  これらのことを見ても、日本におきましても内閣広報局設置を今真剣に考えるべきときだと思いますが、御検討いただけますでしょうか。
  8. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 御指摘の点、もっともなことであると存ずるのでございますが、率直に申し上げまして、現内閣体制におきまする具体的な意味における広報体制内閣広報官という存在はあると思いますけれども、御指摘よう組織立って、そして内外に具体的に精度の高い広報活動を行うという組織については、今次改革におきまして留意して、そして補完、整備をするべきであるという観点に立っております。  一つは、戦略性機動性専門性国際性を重視しながら企画機能強化いたします。これが一つございます。それからもう一つは、広報に関する専門的な知識、技術を持ち国際的なセンスを持った人材も登用しなければいけない。三つ目には、内閣広報官政治的任用も、つい先日も若干その話もあったようでございますが、内閣広報官政治的任用も考慮することなどが提言をされておりまして、この国会意思を御決定いただきました後、これらも十分留意しながら対応するべきである、さように思っております。
  9. 常田享詳

    常田享詳君 この問題は、先ほど申し上げましたよう国民方々に開かれた行政を進めるという一方、国際社会の中で、やはり日本国際戦略上からいっても、あらゆる情報を集積してその中から的確に日本方向性を打ち出していくということがなければ、外交上も私は立ちおくれていくんではないかという危機感を持っております。ぜひともその内容の充実に向けてさらに御検討賜りたいとお願いを申し上げておきます。  外相整いて内相おのずから熟すという観点でもう一点お尋ねをいたします。省庁名称の問題であります。  新省庁名称につきましては、法案の中で採用されております例えば教育科学技術省国土交通省労働福祉省といった名称等に対しましては、好ましくないという反対の声が私のところにも多く寄せられております。すべての人を満足させるよう名称はないと思いますけれども、名は体をあらわすということであります。  やはり新省庁名称は大変大切なものであり、今回の改革で太くくりの省をつくるわけでありますから、二十一世紀の国民の要望に対応でき、縦割りに偏しないという改革理念国民によく伝わるよう名称であるべきだと私は考えます。また、私は、日本文化における表意文字のよさを、そしてまたその伝統を生かした簡明でかつ品格のある新省庁にふさわしい名称をつけるべきだと思います。  まず、総務庁長官の、新省庁名称かくあるべきという御所見を賜りたいと思います。
  10. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 本法案決定までの過程におきまして、省庁名につきましていろいろ起伏がありましたこと、よく存じております。そしてまた、政党を初め内外で一部お話もございました。  正直申し上げまして、あの段階で余り行革本部なり政府がこの名前の問題一つをしていたずらに混乱させてもいかぬな、そういう配慮もございました。したがいまして、今御指摘よう世論にも注目はしながらも、じっと刮目を申し上げてまいったという一つ経緯もございます。  それから、三党なりあるいは内外皆様方の御意向もございましたので、決して私ども政府側が考えていたことが、省庁名についての話でございますが、これは完全無欠であるなんという、そういう気持ちは全く持っていないわけでございまして、ぜひひとつ国会の論議を通じましてもこのことについてお聞かせを願った方が賢明じゃないか、そういう判断も手伝ったと思っております。私もそう思っておりました。  そして、基本法調整、そして案決定におきまして、御承知のとおり、その任務をより適切にあらわす名称となるよう検討を行うこと、二つ目にそれぞれその結果に基づき異なる名称とすることをそれぞれ妨げないとしたところでありまして、この附則によりまして私どもは新たな名称についての責任課題が発生しておると、そう思っております。  国会意思を御決定いただきましたなれば、それぞれの御意向もありましょうし、また国会におきまする皆様方審議経緯もしっかりと踏まえながら、そしてかりそめにも、皆さんの強い意向が特定の省庁名についてここは修正を要しますよ、そういうことがあらば、決して従来の省庁名にこだわるものではない、むしろ前向きで皆さんの御意向を聞くべきではないか、さよう判断をいたしております。
  11. 常田享詳

    常田享詳君 私は、しつこいかと思われるかもしれませんが、この問題を取り上げておりますのは、四月三十日の衆議院の行政改革特別委員会での参考人質疑の際、佐藤行政改革会議委員は、今、小里総務庁長官が言われましたように、十分行革会議の中では審議する時間がなかった、むしろそういうことは先送りして中身を先に詰めようということで来てしまった、やはりこれではいけない、この先実際に実施するまでの段階で十分検討すべきことだと。  ところが、今お触れになりました附則が、「当該省が担う任務をより適切に表す名称となるよう検討を行うこと及びその結果に基づきこの法律において規定するものと異なるものとすることを妨げない。」というような非常に回りくどい言い方になっておりまして、これを意地悪く読みますと、検討を義務づけているわけではないともとれるわけであります。  しかし、私は今の長官の御答弁は検討するということだというふうに受け取りましたが、再度、それでよろしいですか。簡単に、そのことだけで結構です。
  12. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 中央省庁再編全体が、これは政府は、今までもですが、これからの作業は謙虚に、しかも内外世論を重視しながら対応しなければならないわけでございまして、名称の問題も私はきちんといずれかの機関でひとまずチェックする必要がある、さように思っております。  これは、今申し上げるのはどうかと思いますが、大方は適正妥当な名称だなと。現在の一府二十一省庁体制の幹部の皆様方も思っておられるところが相当あるとは思っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、必ずしも全部が全部そうではないなという印象を受けておりますことははっきりしておりますから、どこかでか一応整備しなけりゃいかぬ、そう思っております。
  13. 常田享詳

    常田享詳君 ありがとうございます。  ぜひとも、後世においてこのたびの行政改革の問題が名称の問題でその真価が問われるようなことのないように、先ほど申し上げましたよう品格のある、そして伝統文化を重んじた、きちんと後世にも自信を持って胸を張って受け継いでいけるよう省名にしていただきたいと思います。  次に、外務大臣お尋ねをさせていただきます。  私は、外交は国と国との表舞台、これは大切なことだと思っております。しかし、私はあわせて地方地方、人と人、とりわけ私は国会議員の一人一人がみずからの地道な努力の中で積み重ねていく外交努力というものも非常にこれから大切なことではないかなというふうに考えております。  そういうふうに思いまして、私は、アジア、特に環日本海国々ロシア中国韓国北朝鮮、モンゴルを初めミャンマー、タイそして台湾といった国々を近年毎年のように訪問させていただき、その国の首脳の方々意見交換をさせていただいております。もちろん、その多くは同僚議員方々と一緒に行かせていただいております。その中で、私は今、アジアの共生というものの重要性と難しさというものを本当に身にしみて感じております。  そういうことで、まずお尋ねをしたいと思います。  北朝鮮でありますけれども、私は昨年、同僚議員の方と九月に北朝鮮を訪問してまいりました。全容淳書記ともお目にかからせていただきました。正直言って、私は初めての訪問でありますし、いまだに非常にわかりにくい国だという印象のまま帰ってまいりました。  その北朝鮮にパキスタンの核実験が飛び火するのではないかという懸念があるわけであります。すなわち、米朝合意から北朝鮮が離脱して、そして核開発への回帰という誘惑に駆られるのではないかということであります。このようなことは絶対あってはならないことでありますけれども、私は非常にわかりにくい国だという印象を持っております。  そういった点から、外務大臣に、この北朝鮮誘惑回避の道をどのように考えておられるのか、お尋ねするものであります。
  14. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) まず、外交につきましては、これは政府が専権といいますか責任を負っている立場であることは事実でございますが、とみに最近はGツーG関係となりますと、どうしても表の仕事になりまして、本当に真実、深度の深いいろいろ交渉、話し合いというのはなかなか表向きできない面もあります。こういった点を相補いつつ、議員外交という言葉があるかどうかわかりませんが、非常に積極的に各議員がこの問題についてお取り組みいただいておること、私もかつてそうしたことを続けてまいりました立場からも非常に重要なことだと思っております。  特に、常田委員が今お話しように、日本海を取り巻くといいますか、中国、南北朝鮮、あるいはまたロシア、こういった地域との関係、お地元の関係が一番深いわけでしょうけれども、熱心にお取り組みいただいておることに深い敬意を表しておるところでございます。  つきましては、今の御質問は印パの核実験についてその後こうしたものがほかの国々に波及するおそれなしや否やということですが、特に北朝鮮につきましてのそうした危惧は、これはひとり日本のみならずかなりの国々がそういった認識をしておることは事実でございます。  ただ、北朝鮮はNPTに既に加入済みでございまして、その北朝鮮が核兵器開発疑惑が生じた九三年にNPT脱退の意図を表明した後、右脱退の中断を表明して現在に至っておりまして、またCTBTにつきましては北朝鮮は署名していない、こういう立場でございます。したがって、巷間、この印パの関係につきましても何らかのかかわり合いがあるのではないかという疑惑もなしとしないということでございまして、今度のパキスタンの核実験がこうした北朝鮮のみならず他の諸国に誘発といいますか、そういうものを起こしてはならぬということでしっかり対応しなきゃならぬというふうに思っております。  このパキスタンの実験によりまして、核軍縮、核不拡散の体制が深刻に直面しておることは今申し上げたとおりでございますが、特に北朝鮮につきましては従前いろいろの疑惑がありましたことにかんがみまして、KEDOを中心にしての軽水炉プロジェクト等について実務的な協力作業が継続しておりまして、ぜひこれを推進することによりまして、ただいま御指摘ような疑念があってはならぬという方向を着実なものにしていかなきゃならない。  当面、今々に北朝鮮にそうした何か明確な兆候が見られるかと言われれば、今の段階では見出し得ないと思っております。したがいまして、重ねてでありますが、KEDOのこの事業をしっかり行って、平和的核利用は当然のことでございますが、いやしくも核開発による兵器の開発というようなことについては完全に一線を画していっていただくよう日本としても努力をいたしていくべきだ、このように考えております。
  15. 常田享詳

    常田享詳君 ルーズベルトは、恐怖以外恐れるものは何もないということを言っております。また、小渕外務大臣は、みずからは生まれながらの楽観主義だということをおっしゃっております。いたずらに私は恐怖感をあおる必要はないというふうに思いますけれども北朝鮮の動向というのは日本に大変直接的に安全保障上厳しい状況を生み出すわけでありますので、さらに御質問をさせていただきます。  今、外務大臣が触れられましたKEDOの問題であります。  この問題は日々報道されておりますけれども、ニューヨークにおける今月一日、二日の朝鮮半島エネルギー開発機構、KEDOの理事会の大使級会談では負担の問題で不調に終わった、引き続き検討しと。日本政府としては、何とか一日でも早くこのことを上げたいということでありますが、この問題の解決が長引くことは、北朝鮮の先ほど申し上げました核開発回帰への火種に油を注ぐことになるのではないかということを私は懸念するものであります。  そして、一方で難しい問題は、北朝鮮日本人拉致疑惑問題で行方不明者の該当者は存在しないということを回答したことに対して、日本世論の反発が高まってきております。  こういう両面の難しい局面を解決していくというのは大変難しい外交手腕が必要だと思いますが、これらのかじ取りを外務大臣はどのようにされるのか、あわせてお尋ねをいたします。
  16. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 申すまでもありませんが、我が国として国交のないただ一つの国としての北朝鮮との関係を改善すべき課題は、橋本内閣の対ロ外交とともに大変大切な課題であるという取り組みをいたしてきつつあったわけでございます。最近の種々の状況を勘案いたしますと、必ずしも前向きに大きく前進しと言いがたい点がありまして、むしろ後退しておるのではないかという印象を持たざるを得ないことはまことに申しわけないと思っております。  後段の方の日本人妻故郷訪問につきましては、国交がございませんので、これは日赤と向こうの赤十字との関係におきまして精力的に取り組んできておるところでございますけれども、残念ながら拉致疑惑事件に関連をいたしましてなかなか進捗しておらないということはまことに残念だと思っております。  拉致疑惑事件につきましては、今申し上げた赤十字の方から行方不明者として該当する者は一人としておらないという回答が来ておることでありまして、まことに遺憾の限りであります。ぜひ、さらに政府としてはあらゆる手段を講じて、我が国民の生命にかかわる重要なことでございますので、粘り強く対応していかなきゃならぬと思っております。  特に、今回の問題につきましては、橋本総理大臣が本会議場におきましてみずからアピールをしたわけです。本来、トップ同士の話し合いができるお立場にあれば直接的に手紙、会談等ができればようしいですができませんので、本院において総理大臣がみずから呼びかけをするということはある意味では最大の我が国の意思の表明だろうと思っております。にもかかわりませず、御返答は赤十字を通じてではありますけれども、このようなことになりましてまことに残念のきわみであります。ぜひこういった点につきましても、今後とも努力をしていかなきゃならないというふうに思っております。  そして、前段のKEDOにつきましては、従来一つ一つ着実に進めてまいりまして、ほぼ韓国日本、米国、その他関係する諸国にも加わっていただきまして、何とかその費用を捻出し、そして一日も早い発電所の建設ということを願っておるわけでございます。  最近、中枢約七〇プロは責任を持つと言っておられる韓国の方も御承知ように財政状況が極めて厳しい折でございますので、日本としてはできる限り努力をしようということで、先般アメリカのオルブライト長官が参られましたとき、私、会談をいたしまして、従来日本は約一千億円の協力を申し出ておったことでございますが、これは一千億でなくて十億ドルというラインでも協力をしようということで、我が国としては可能な限り、厳しい財政状況でありますが、努力をいたしておるところでございますから、北朝鮮におきましてはこうしたそれぞれの国々のせっかくの努力というものを受けとめられて、ぜひこの計画が実施のできるように積極的にひとつ取り組んでいただく。そして、申し上げるまでもありませんが、そのことは核兵器の開発ということが行われないという前提で行っておることでございますので、そのラインで、やや停滞ぎみではありますけれども、さらに積極的に努力をしていきたい、このように考えております。
  17. 常田享詳

    常田享詳君 外務大臣の御努力を高く評価したいと思います。  私は、先ほど申し上げましたように一回の訪問しかしておりませんので、何度も申し上げておるとおり非常にわかりにくい国だという思いしか、まだよくそれ以上わかりません。しかしながら、北朝鮮との間の二国間でお互い言うべきことはきちんと言うということが大切だろうと思います。  しかしながら一方で、今、外務大臣からおっしゃっていただきましたように、KEDOのような多国間で協力してやっていくことについては、やはり日本リーダーシップをとってきちんと約束を果たしていくということもまた大切だろうと思います。日本ロシア日本中国日本韓国日本とアメリカ、そういった関係の好転を生かしながら北朝鮮をソフトランディングさせていくということも、直接的にお互い言うべきことは言うということとあわせて私は必要な問題だろうと思います。これはもう大臣はよく御存じのとおりのことでありますが、ひとつ一層の御努力をお願いしておきたいと思います。  そういう意味で、天然ガスパイプライン構想のことをお尋ねさせていただきたいと思います。  私は、小渕外相がロシアを訪問された直後の三月三日、東京でロシアの当時のキリエンコ燃料エネルギー大臣、現在のキリエンコ首相のお話を聞かせていただく機会を得ました。キリエンコ現首相は、ロシアの資源と日本技術と財政力によって中国に対するエネルギーの供給が可能となり、中国の莫大な石炭使用量の増大にブレーキをかけることになる、そのことはアジアのエネルギー問題だけではなくて環境問題、先般の京都会議でのCO2の削減問題等についても大変貢献することになるんだという意味からぜひともこのエネルギー問題を進めていきたい、特に橋本・エリツィン・プランの柱の一つである両国間のエネルギー対話の強化について大変強い意欲を示しておりました。  私は、やはり橋本・エリツィン・プランの中で示されておりますロシア・シベリアのイルクーツク、そしてモンゴル、中国韓国日本に至る天然ガスのパイプライン構想をできるだけ早く実現させることが、北東アジアのエネルギー問題の解決だけではなくて安全保障上からも大切な問題ではないかなというふうに考えております。この天然ガスパイプラインの問題に対して、外務大臣から。  そして、この問題については、過去、残念ながら通産省は非常に消極的という印象を私は持っております。日本がどうこうという問題でなくて、先ほど来申し上げましたロシア中国、モンゴル、韓国日本、そういったところに天然ガスのパイプラインを引くことによって、ラインを変えれば将来北朝鮮を含めることもできるわけですから、そういうエネルギーを共有することで北東アジアの安全保障を確立していくという大局に立って橋本・エリツィン・プランは出されているという側面もあるわけでありますので、ぜひこの際、外務大臣とあわせて通産大臣の御所見も賜っておきたいと思います。
  18. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 委員の御指摘は、これからの日ロのみならず、中国、南北朝鮮、こうした北東アジアの今後の安定に極めて重要な計画だろうと思っております。  今次、ロシアとの関係におきましては、平和条約の締結ということが主題ではありますけれども、その根底には、ロシアにおけるエネルギー資源、こういうものをアジアでどのように効果的に活用していくかという問題もあろうかと思います。  本件につきましては、委員も大変御熱心に御推進をされておりますが、ちょっと長くなりますが、昨年の三月に実は中山太郎元外務大臣と私、御一緒に北京に参りまして、江沢民主席にもお目にかかりまして、その計画につきまして考え方を申し述べました。  ちょうどモスクワに訪問される前でございましたので、この点については、ロシア中国日本、こうした国々が本当に力を合わせていくということになりますと、資源が埋蔵されておられるのはロシア領かもしれませんが、それを今後パイプライン等において引いてまいりますと、モンゴルあるいは中国そして南北朝鮮を経由して我が日本、こういうことになります。石油はもとより、それ以上に天然ガスというものがきれいなクリーンなエネルギーとして極めて重要だと、こういう考え方で今計画し、出しておる。このことは橋本・エリツィン・プランにも合致することでございますので、そういった点でぜひこの夢といいますか、これを現実のものにしていく努力をこれからいたしていかなきゃならないかと思っております。  この点につきましては、ロシアあるいはパイプラインが通過するでありましょうモンゴルそして中国、こういう国々と相共同していたしていかなきゃならない。幸いに、民間としても熱心にこれに取り組んでおられますので、政府としてどういうふうなバックアップができるかということを熱心にこれから検討して対処していきたい、このように考えております。
  19. 堀内光雄

    国務大臣(堀内光雄君) 常田委員の御質問にお答えを申し上げます。  近年の、イルクーツクを含むシベリアにおきますところの天然ガスの開発、並びにそれに伴うところのパイプラインの構想というものが動き始めているということはよく承知をいたしております。そして、こうした構想が仮に実現をいたしますと、我が国を初めとするアジア地域の今のエネルギーの増大という面から考えますと、アジア地域のエネルギー供給の安定化と同時に、先生御指摘の北東アジア地域の各国の経済的な緊密化という面にも大いに意義のあるものだというふうに考えております。  そういう意味で、先般、当時のキリエンコ・エネルギー担当大臣がお見えになりましたときもよくお目にかかりましたし、橋本・エリツィン対談の延長線上でお見えになられたわけでありまして、その際にも熱心に討議をいたした次第でございまして、通産省は決して腰が引けているようなことはございません。  ただ、本構想の実現のためには、まずガス田の事業化の可能性というものが一番重要になってまいりまして、経済性をもとにいたしましたフィージビリティースタディーを行う必要があるわけでありまして、現在これをいかに行っていくかについて、ロシアそれから中国韓国、モンゴルそして我が国という間のそれぞれの関係機関におきまして協議が行われているところでございまして、今後の進展を大いに期待いたしているところでございます。    〔委員長退席、理事高木正明君着席〕  また、この構想を初めといたしましてシベリアにおける天然ガス開発のためには、ロシアにおきますところの外国の投資のための投資環境というものの整備が非常に重要でございまして、こういう点についても日ロエネルギー協議等の場を通じてロシア側にこれを促しておりますし、先般のキリエンコ首相との対談においても、私もその点についてよくお話を申し上げたところでございます。  今後も、日ロエネルギー協議等の場を活用しましてロシア側に投資環境の整備を促していくとともに、本構想は現在民間の関係者によって進められておりますが、この協議の動向を見守ってまいりたいというふうに思っております。
  20. 常田享詳

    常田享詳君 通産大臣からも力強い御答弁をいただきましたので、よろしくお願いいたします。  私は、エネルギー問題とあわせて、アジアの食糧の問題また砂漠化の問題についても大変憂慮をしております。  言うまでもなく、今、人口では世界の約六分の一、九億人の方が砂漠化の影響を受け、世界の陸地の四分の一が砂漠化をしています。特に、北東アジアにおいても砂漠化のために将来の人口増加に食糧の供給が追いついていかないと。二十一世紀は食糧危機、飢餓の世紀だということも言われているわけでありますが、これはひいては日本にも大変大きな影響を及ぼすわけであります。  私たち参議院議員の一年生は、これまで二年半、この天然ガスパイプラインの問題に研究会をつくって十数人で取り組んでまいりました。その研究会の研究の延長線上で、私はきょう一つの提案を小渕大臣にさせていただきたいと思います。  天然ガスのパイプラインは、イルクーツクから中国、モンゴル、先ほどおっしゃいましたように朝鮮半島、日本ということで引っ張っていくわけでありますが、特に中国の内蒙古地区及びモンゴルにおきましては大変水不足で悩んでおります。また、砂漠地帯を抱えております。そういう地域にとってはのどから手が出るほど欲しいのは、天然ガスもそうでありますけれども、私は水であろうと思います。  幸い、イルクーツクの近郊にはバイカル湖がございます。豊富な水を持っております。このバイカル湖の水を天然ガスパイプラインに併設した水パイプラインでモンゴル、中国まで引き込む。その水パイプラインだけを引き込むということになれば莫大な投資になりますから、これは水では合わないということになりますが、天然ガスパイプラインに併設するわけでありますからトンネル工事及びその他の工事についてもあわせてできる、合わせわざでありますのでできる。ましてや、天然ガスでは恩恵をこうむらない多くの方たち中国、モンゴルで恩恵をこうむるということでもありますし、ひいては冒頭に申し上げたそのことがアジアの将来の食糧危機の解決の一助にもなるというふうに考えるわけであります。  そういうことで、これは先般、外務大臣には参議院の天然ガスパイプライン研究会の延長線上で提案書を出させていただいておりますけれども、これからこのことは検討していただきたい。今どうこうということは外務大臣もおっしゃれないと思いますので、ぜひとも検討していただきたいと思うのでありますが、大臣、いかがでございましょうか。
  21. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 東アジアの食糧問題に対する対応は、将来に向けさまざまな角度から検討していくことは意義深いことであり、また農業開発に当たって水利事業が重要であることは御指摘のとおりと思います。  現在、政府ベースでも、中国におきましてはかんがい分野の協力などを実施してきておるところでございますが、水利分野の国際協力として今後さまざまなアイデアがあると思いますが、各地域の地理的環境、採算性、各国の意向を踏まえて具体的に立案していくことが重要かと思っております。  そこで、今、委員から御指摘ように、先生方が御勉強された報告書を拝見させていただきました。  特に、モンゴルにつきましては、実は政府としては無償の協力としてウランバートル市給水施設改修計画、九七一九八年で二十億八千万、あるいはゴビ・アルタイ県の地域地下水開発計画等、水の問題に関連して協力はいたしておるんです。おるんですが、私は、かつてモンゴルが、エルニーニョかわかりませんが、国全体が大火事になったりしたようなときのことを考えますと、やっぱり水というものが死活の問題じゃないかと思っております。  そういう意味で、先生方がおまとめいただきましたのは、極めて大きな計画ではありますけれども、考えてみましたら、おっしゃるようにバイカル湖の水、バイカル湖というのは先生のレポートによりますと四百五十六メートルぐらいのところにあるんだそうですが、ウランバートルは千三百メートルぐらいですから、水をどうして上げるのかという気もします。これは何か揚水の発電所をつくってやるんだということですが、もしその世界で八番目の湖の水がモンゴルや中国に益するということになりましたら、まさに大きな当地域が一種の農業地帯としても発展しますし、人間が住む場所として緑濃き場所になるんじゃないかと思って、大変感銘深く実はレポートを拝見させていただきました。  特に、経済面から言いまして、確かに天然ガスパイプラインと併設をするというようなことになりますれば、単独で引くよりもそれは当然コストダウンを図れるんだろうと思いますから、今後一生懸命勉強させていただきまして、その夢が実現できるようにやっていかなきゃならぬと思っております。  ただ、私は技術のことはわかりませんが、そんなでかい湖の水は恐らく北極海に注ぎ込んでいるんだろうと思います、量はわかりませんけれども。そういうものを南の方にみんなおろしてきて、エコロジーやその他の問題いろいろあるんじゃないかと思いますが、何はともあれそういう大きな計画というものを立てて実現を図っていこうということで御研究をされておりますので、我々政府としても一生懸命この点については同じような気持ちで検討させていただきたい、このように考えております。
  22. 常田享詳

    常田享詳君 大変心強い答弁、ありがとうございました。時間がもう追ってまいりましたので、まだ何点か用意しておりましたが簡単に。  もう一点は、麻薬・覚せい剤の問題であります。私は、昨年五月、ミャンマー、タイを同僚議員方々と訪問いたしましたときに、ミャンマーのキン・ニュン第一書記に思い切ってこの麻薬撲滅の問題を切り出してみました。いわゆるゴールデントライアングル、黄金の三角地帯におけるケシの栽培をやめてほしいということを申し上げました。今、日本に入ってきている麻薬の大部分がいわゆるゴールデントライアングルと言われる地域で栽培されているケシが原料になっているんではないかということであります。このことにつきましてはその後、外務省がことしミャンマーでケシ代替開発に関する麻薬セミナーを開いていただき、積極的に取り組んでいただいておりますので質問は割愛させていただき、なお一層進めていただくことをお願いしたいと思います。  もう一つ心配しておるのは、覚せい剤の方の問題であります。まさに警視庁は一月二十九日、我が国は第三次覚せい剤乱用期に突入したと発表しております。既に摘発人員は二万人、日本人の百万人が既に汚染をされているという指摘を警察庁はいたしております。そして、そのもとは中国であります。そのほとんどは中国からのルートであります。このことについて外務大臣橋本総理もこの麻薬・覚せい剤問題は大変重要な問題だと、バーミンガム・サミットでも宣言のかなりの部分がこれに割かれているわけでありますけれども、この中国ルートの撲滅について今まで中国とどのような話をしておられるのか、お尋ねをさせていただきます。
  23. 阿南惟茂

    政府委員(阿南惟茂君) お尋ねの麻薬・覚せい剤の問題は中国におきましても今大変大きな社会問題になっておりまして、中国関係機関との間でこれまでも種々の機会に意見交換を行ってきております。  特に、本年五月に上杉国家公安委員長が訪中をされました際に、中国の公安部長との会談の場で、薬物、覚せい剤の密輸等、これは国境を越える問題であって中国とのかかわりが大きい、協力関係強化していきたいという点を申し入れていただきまして、先方も、今後事務レベルでさらに協議を緊密化していくということに同意をした経緯がございます。
  24. 常田享詳

    常田享詳君 最後になりましたけれども、ODAの問題について申し上げてみたいと思います。  先般、参議院国際問題に関する調査会から「二十一世紀に向けた我が国の経済協力の在り方」ということで調査報告書が出ました。その中でODA基本法の推進の問題、またチェック体制の整備の問題等々、大変すばらしい提言がなされているということで私は感銘深く読ませていただきました。しかしその一方で、最近新聞紙上をにぎわわせる問題は、大蔵省がODA資金を使って幹部職員の研修をやっているとか、ブータンのODA約六億四千万円の不正等ということでありまして、まさに参議院国際問題に関する調査会が指摘したとおりのことが日々起こっているということであります。  早急にこれらの問題に対してODA基本法の制定とODAをチェックできる体制の整備、自民党参議院ではODA基本法推進プロジェクトチームを発足し、これらの問題に取り組むということを決定しておられますけれども、私は今こそ早くこの問題に取り組まなきゃならないときだと思います。  最後に、総理大臣おみえになりましたので、一言だけODAの今のような問題について御答弁いただけますでしょうか。
  25. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ODAは、我が国にとりまして国際社会に貢献する大きな手法の一つでありますとともに、同時に、良好な二国間関係をつくり上げていく上でも大きな役割を果たしております。そして、それは当然のことながらそれぞれの地域における安定を確立する上でも必要な手段であり、また評価を受けている手法であります。これについての透明性を確保する、これは当然大事なことでありますけれども、同時に、ODAの持つ機動性というもの、さらには、特に二国間関係の場合に相手国政府を経由する部分について内政干渉にわならないような工夫、同時に事後における国会のチェックというものが有効に働く、そうしたことを今後とも我々も心していかなければならない、そのように思っております。
  26. 常田享詳

    常田享詳君 終わります。(拍手)
  27. 前川忠夫

    前川忠夫君 民主党・新緑風会の前川でございます。  きょうは、通産省それから総務庁、特に独立行政法人の問題と特殊法人の問題にできもだけ絞ってお伺いをしたいと思います。  最初に、通産大臣にお伺いをしたいんですが、この基本法によりますと、通産省は機構的には余り大きくは変わらないようですが、さまざまな通産省が所管をしている政策については、縮小するとかあるいは重点化を図るとか強化するとか、非常に抽象的な言葉ではありますが、政策面では変わるようなことが幾つか記載をしてございますが、具体的に今やっている政策とどのように変わっていくのかなかなかイメージがわいてこない。  確かに、機構的な問題はほかの省庁に比べますとそう大きく変わらないのかなという思いがある反面、内容的には一体どういうことになるんだろうなという思いがありまして、なかなかイメージがつかみにくい。できましたらひとつわかりやすく、今度の改革でどんな点が変わりどんな点が変わらないのかお教えをいただきたいと思います。
  28. 堀内光雄

    国務大臣(堀内光雄君) 前川委員にお答えを申し上げます。  今回の行政改革会議最終報告並びにこれを受けた基本法案におきまして経済産業省に対しましては、民間経済の活性化、対外経済関係の円滑な発展、エネルギーの安定的、効率的供給、こういう任務を付するということになっております一方、個別産業の振興施策から撤退あるいは縮小をして、そして市場ルールの策定だとかあるいは整備など業種の横断的な政策、こういうものに重点的に取り組むように求められているということであります。  これを砕いて申し上げるとこういうことになると思うのでありますが、現在通産省において、経済構造改革の推進など、考え方としてはその方針に基づいて現在邁進をしているところでありますが、企業活動の基本となる諸制度、つまり税制だとか年金だとか雇用だとか企業の創業の支援だとか、こういうようなものに関する諸制度の改革だとか、あるいは高コスト構造の是正というようなものを横断的な観点から取り組んで民間経済の活力を促進していくように、個々の業種あるいは個々の産業の振興施策というような直接的な仕事からは撤退、縮小しろと、こういうことであると考えております。  そして、今後とも強靱な我が国の経済の構築に向けて、行革会議が求められている方向、政策に重点的にこれからも取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  29. 前川忠夫

    前川忠夫君 確かに、通産省の今の大臣のお答えを聞いている限りにおいては、形の問題よりもむしろ内容の問題について重点を置いていこうと。これはこれから具体化されるわけですから、最終的にはその内容が出てこないとはっきり評価をするというか、なるほどということにはなかなかならないんですが、私は今度の行革基本法を見ておりまして、省の数を減らす、局の数を減らす、課の数を減らす、あるいは定員を何人にするというようなことがどうも先行し過ぎていて、内容が後から追いかけてくるというような感じが実はしてならないわけです。  通産省でも恐らく局や課の見直しというのもいずれされるんでしょうが、それはあくまでも仕事があって、その仕事との関係で必要のある局ない局、したがって数は結果的にこうなりましたと、こういうことでなければならない。あらかじめ幾つにするんだという前提で仕事の再編成をやるというのは私は本末転倒だというふうに逆に思います。  特に、民間企業の場合は随分前から局ですとかあるいは課だとかあるいは部なんていうのはもうとっくになくなりまして、ある特定の仕事が来ますとプロジェクトチームをつくって、さまざまな専門分野の人間を集めて、一定の決着がつくと解散をするという形で非常に機動的にやっている。やっていかざるを得ないんですね、民間企業というのは。そういう手法がどうも少し行政の中ではおくれている。最近、そういうさまざまな省庁の人たちが集まってやるというのが少しずつふえてはきているようですが、民間の企業に比べますと非常に少ないという点が私は大変気になっています。  これはなぜこういうことになっているんだろうかということを考えてみますと、やはりここには省庁ごと縦割り行政機構というのが厳然と残っているということ、さらにはいわゆる処遇の面では年功序列的な処遇というのが厳然として残っている、このことがなかなか民間のように柔軟な発想で人を集めて仕事をして、原局に戻って何かあればまた集まるというような、こういう機動性が欠けている原因の一つではないだろうか、こんな感じがするわけです。  特に、今度は経済産業省というふうに名称が変わるようですが、民間産業、民間企業、あるいは経済の中枢な省と言われている現在の通産省あるいはこれからの経済産業省が、民間企業から見てちょっとおくれているねと言われるようじゃ実は困るわけですね。そういう意味で、これからの考え方を含めて、大臣にもう一度この辺の問題については付言をしていただきたいと思います。
  30. 堀内光雄

    国務大臣(堀内光雄君) 先生御指摘ように、現在のように非常に内外の情勢の変化あるいは行政の需要だとか政策課題の変化が激しく移り変わる状況の中では、こうした変化に応じた臨機応変な行政運営ということは非常に重要になってまいると思っております。特に、動きの速い経済だとか産業についてはこういう機動的な行政運営が必要であると認識をいたしております。    〔理事高木正明君退席、委員長着席〕  こういう認識に基づきまして、通産省におきましては昨年七月からプロジェクトチーム制度を開始いたしておりまして、例えば省を挙げて取り組むべき問題、横断的な政策課題である産業の情報化だとかあるいは地球温暖化の問題への対応だとかそういう問題につきましては、従来の課長ではなくて、それぞれ参事官とか企画官を各部局に配置いたしておりますが、彼らが政策課題のテーマごとに集まりまして問題解決に取り組むというようなプロジェクトチーム、委員お話ようなプロジェクトチーム制度を置いて現在まで既に取り組みを行ってきております。  今後とも、委員の御指摘ような柔軟な組織編成を実現することによりまして総合的でかつ機動的な行政運営を行えるような経済産業省にしてまいりたいと考えております。
  31. 前川忠夫

    前川忠夫君 今度の行政改革の重要なテーマの一つに、全体としてのコストの削減といいますか、そういう要素があることを私も承知しているつもりですが、機構ということを考えてみますと、国の行政機構として何が必要で何が不必要になってきたかという判断は時の状況の変化、世の中の変化に応じてそれぞれ判断をされなければならないと思うんですが、問題はその判断の主体がどこにあるのかと。私は、その主体はやはり国民の側になければならないというふうに思うんです。  確かに、今度の中央省庁再編については行政改革会議という、民間の皆さん方にも入っていただいてさまざまな議論をされたという経過は私も承知をしているつもりですが、本当に一般の国民の声が十分に反映されたと言い切れるのかどうかという点については甚だ疑問なしとは実はしないわけであります。  最終的な報告の内容と今回の基本法の違い、あるいはこれから具体化をされていくという過程のいわゆるアイ・エヌ・ジーがついているわけでありますから、なかなかその評価がしにくいというさまざまな事情がありますが、行政行政改革を主導した場合には必ず組織や機構を温存したい、温存するという保身の本能みたいなものが働く可能性というのは十分あり得る、それをどこで断ち切るかということが一番私は大きな問題だろうと思います。  特に、今のように財政的に厳しいということになってきますと、とにかくコストを削減するということだけが先行してしまう。そうなりますと、逆に市民が本来求めているものまで切ってしまうということになりかねはしないだろうかというふうに私どもは見るわけです。  もう細かい点については余り触れたくはないんですけれども、特に行政サービスという点では、市民が求めている最も身近なサービス、これを簡潔に簡便に身近なところでもしサービスが受けられるということであるならば、多少コストがかかっても、そのコストを国民皆さん方に負担をしてくださいと言えば、恐らく理解をしていただけると思うんです。今はそうなっていないところに、国民行政に対する反発というのは当然そこにあるんだろうというふうに実は思うわけです。  したがって、そういう意味で今度の機構改革とコストという問題については、ここまでどんな視点でどんな議論がされてこられたのか、通産省の関係でお答えいただければ結構ですし、また総務庁の方から付言をできればお願いしたいと思います。
  32. 村田成二

    政府委員(村田成二君) 先生まさしく御指摘ように、必要な仕事までやめてしまうということは本来の行政組織のあり方として全く不適切だというふうに思います。また、その場合にコストの観点だけが唯一の視点ではないということもおっしゃるとおりであろうかと思います。通産省の経済産業省への衣がえの中で、今申し上げましたような視点はしっかり私ども行政改革会議におきましても、その後の検討におきましても踏まえられているというふうに考えている次第でございます。  先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、今後、経済のグローバル化に伴いまして、企業が国を選ぶ時代に入ってまいります。あるいは市場におきます消費者の選択というものが一番大事な要素になってまいります。そういった視点にのっとって、通産省あるいは経済産業省としてどういう業務を中心に編成すればいいかという形のめり張りがこの法案の中にもきかせられているというふうに考えている次第でございます。  具体的に申し上げますと、やはり民間経済の活性化ということが一つの大きな柱でございます。そういった観点から、個別産業の問題からやや距離を保ちつつ、しかし、もちろん産業ごとの特性も踏まえながら、市場ルールの策定、整備だとか、あるいは業種横断的な基盤の整備、そういったことに重点化していく。さらには、中小企業政策におきましても、新規産業創出環境の整備という観点から重点化していくという、ある意味国民ないしはこれからの市場におきます要望に適した形での重点化を図っていくという形に整理されているものと考えております。  今後ともめり張りのついた行政組織行政運営というものを国民の要望に沿って心がけていきたい、かように存じている次第でございます。
  33. 前川忠夫

    前川忠夫君 確かに、これから検討をし具体化していく政策といいますか、施策が多いわけですから、これからの動きを私どもとしてはきちっとチェックをさせていただきたい、このように考えております。  そこで、今回の中央省庁改革の中で、これは今回始まったテーマではもちろんないわけでありますが、規制の緩和推進やあるいは撤廃ということもかなり大きな重要な柱になっているというふうに承知をいたしております。  ただ、これまでも私も予算委員会あるいはその他各委員会でも指摘をしてまいったんですが、規制緩和というのは、国が規制をしているものをただ緩和するあるいは廃止をするという視点だけにとどまらず、それが民間のひいては国民のさまざまな生活に直結をする、そのことが逆に、よく言われるように光と影という部分で国民の生活や企業にとっても重要な影響を与える。その際、これまで規制をさまざまな形で緩和し廃止をしてまいりましたことの評価がどうなっているのか。全くそのことについての評価なしにしてさらに新たな規制の撤廃あるいは緩和ということになると、これは私どもとしてもなかなか素直に乗り切れないという部分があるんですが、これについての評価をどのようにお考えになっておられるか。  規制緩和は全省庁にまたがりますけれども、きょうは通産省の方にこれまで行ってきた規制緩和の結果についてどんな評価をされておられるのか、最初にお聞きをいたしたいと思います。
  34. 江崎格

    政府委員(江崎格君) これまで政府としてやってまいりました規制緩和でございますけれども、幾つか具体例を申し上げますと、例えば持ち株会社の規制につきまして、事業支配力の過度の集中を防止するという独禁法の目的を踏まえまして、これは昨年の六月でございますが、持ち株会社制度について解禁をいたしました。それから、同じく昨年の十一月、第一種電気通信事業の参入にかかわる過剰設備防止条項の撤廃というようなこともいたしました。それから、例えばガソリンスタンドでございますけれども、消防法で従来は有人のスタンドだけ認めておりましたけれども、有人によるセルフサービス方式による給油の取り扱いというものも導入を認めたりいたしました。また、証券あるいは金融の分野でも各種の規制緩和を行ってまいりました。  こうしたことを通じまして、私どもとしましては経済の活性化に非常に寄与をしつつあるというふうに考えているところでございます。
  35. 前川忠夫

    前川忠夫君 経済の活性化に寄与をしていると一言で言われてしまうと、実は本当ですかというふうにお聞きをしたくなるんですが、さまざまな影の部分についてはどんなふうにごらんになっているか。  これは、必ずしも通産省の所管だけではありませんので通産省を別に責めているわけではないんですけれども国民皆さん方に、新しい経済や社会の仕組みをつくるに当たってこれまでのルールをこういうふうに変えますよ、変えた場合にこういうマイナス面があります、プラス面がありますときちっと説明をしてやっていかなければならないというのが、私は本来の行政のあり方あるいは規制を廃止する側のやり方ではないか。  かつて、行政改革推進会議の中でこんな議論があったそうですね。規制を継続するんであれば継続をする側が規制の必要性について説明をしなさい、そうでなければ全部廃止をしなさい、こういう議論があったというふうに実はお聞きをしているわけですが、私は、行政というのは一体何の仕事をするのが行政なんだろうかというふうに考えるわけです。  例えば、何々をしたいという場合にはその届けを出しなさい、この届けもある意味では一つ行政の仕事であり規制なんですね。これをやめますという場合に、これこれこういう理由でやめますというのを説明するのは当たり前の話なんです。今のようにプラスの面だけが強調されるんでは、やはり私どもとしては本当にそうなんでしょうかというふうに言わざるを得ない。  これまでもよく議論になりましたように、先行しておりましたアメリカあたりでも、例えば航空機、いわゆる航空運賃の自由化によって中小の航空会社はほとんどが壊滅状態に近くなった、そのうちだんだんローカル路線の便数が少なくなった、あるいは飛ばなくなってくるというような弊害がある。日本の場合でも過疎のところはそういうことが恐らくこれから起きる可能性というのもあるわけですね。  あるいは、タクシーやハイヤーのいわゆる参入規制が廃止をされていくということになってくると恐らく価格競争が起きてくるでしょう。価格競争が起きてきて、もちろん乗る側にとっては安い運賃で乗れるかもしれません。反面、なぜ安くできるのかということになれば、いわゆる働いている運転手さんの長時間労働が起きたり、あるいは運行する車両の点検を怠ったりというようなことが起きてくる。つまり、安全の面で心配はないんですかということをさまざま申し上げてきたわけです。  そういうことに対するマイナス面、こういうマイナスがありましたということは一切触れられないままに次々と緩和をしていくということについては、私は極めて問題だというふうに言わざるを得ないんです。  きょうは細かい部分について一々お答えをいただく時間がありませんので、改めて規制緩和の問題については別な場で取り上げさせていただきたい。もし通産省の方で、通産省にかかわる問題でマイナス面がこういうふうにあって、これはこういう形でクリアをしましたという点があれば、後ほど御指摘をいただけたらというふうに思います。  そこで次に、独立行政法人の問題と特殊法人の問題についてお伺いをしたいと思います。  今度の基本法の中の三十六条に独立行政法人についての条項がございます。これを読んでおりまして、独立行政法人というのはどんなようなイメージで考えたらいいのか正直言ってわからないんです。というのは、今現在さまざまな特殊法人と言われているものがございます。この特殊法人と独立行政法人との違いを、総務庁長官の方からできれば一言で言っていただければ大変ありがたい。  と同時に、きょうは通産省に主に質問をしておりますので、通産省所管の特殊法人は現在十二というふうに私は承知をしているつもりですが、もちろん今法律で、例えばジェトロとアジ研を統合するとか、これはいずれ減っていくわけですけれども、今現在の通産省の所管をしている特殊法人と、今度ここで提起をされている独立行政法人というのはどういう違いがあるというふうに通産大臣はお思いになりますか。この点について、後ほどお答えをいただきたいと思います。
  36. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 行政の事務事業の簡素化を進めていく上におきまして、官民分担や地方分権の徹底を図る、あるいは行政サービスの提供等について業務の性質に即した効果的、効率的な実施が可能となる新しい体制、それがいわゆる独立行政法人制度であるわけでございます。  この考え方から、基本法におきましては、現在、国自身が行っている事務事業のうち一定のものを、国の行政組織とは別の法人格をつくりまして独立行政法人に行わせると。行政機関から一定のものを引き出して、別の法人格を有する独立行政法人に行わせる。そして、その法人の目的と性格、責任を明確にさせました。しかも、行政機関の制約からできるだけ外に脱しまして、弾力的な組織あるいは業務運営ができるようにいたしました。そして、効率性やサービスの質の向上や透明性の確保を図っていこうというところにこの大きなねらいがございます。  なおまた、先生、特殊法人との差をちょっと言ってみろというようお話でございますが、これに対しまして、特殊法人の長所もあるでしょうけれども、短所を申し上げますと、あるいはまた効率性が低いんじゃないかと言われるところを申し上げますと、特殊法人は御案内のとおり現在八十四残っております。多種多様、共通ルールがありません。それから、主務大臣の強い事前統制が入っておるということは御承知のとおりでございます。したがって、責任体制が不明確でありますということが指摘をされております。同時にまた、行政機関一つとしてその業態が動いておりますから、運営が非効率的で硬直的であると。最後になりますが、経営内容等も往々にして不透明なところがある、あるいはまた存在意義の低下した業務、法人の存続などが問題になったところでございまして、それを裏返しに独立行政法人制度という新しい制度を導入することによって効率化、合理化を図ろうというところに大きなねらいがございます。
  37. 堀内光雄

    国務大臣(堀内光雄君) ただいま小里総務庁長官からお答えがございましたので改めて申し上げるところもないとは存じますが、独立行政法人制度というのは、現在、国の行っている業務、事業、こういうものの一定のものについて国と別の法人格を有する独立行政法人を創設するということによって弾力的な組織、業務運営を可能にする、効率性だとか質の向上だとか透明性の確保を図るということをねらったものというふうに認識をいたしております。  やはり国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事業あるいは事務であって、国がみずから主体となって直接実施する必要はないが、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないというようなものというふうに認識をいたしております。  特殊法人の面におきましては、やはり民間においてはなかなか事業的に成り立たない、また国がある程度の手を差し伸べていかなければ国民のために有益な事業が民間だけでは行われないのでありますが、そこに採算性とか機動性とかというようなものを持たせて大いに意義のある活動をさせようというような性格的な違いがちょっとあると私は認識をいたしております。  ただ、今までの特殊法人のあり方というものを考えてまいりますと、今、小里長官からもございましたけれども行政官庁の統制下にありながら統制がほとんど行われがたいような状態になったり、民間の採算性だとか機動性だとかいうものを求めていたものが役所的な面の方が大きく出てきてしまって効果がなくなってきている面もあるような感じがいたしておりますので、そういうところを是正した一歩進んだ独立行政法人というものがここで浮かび上がってきたんだろうというふうに私は認識をいたしております。
  38. 前川忠夫

    前川忠夫君 余計話がわからなくなってきたんです。先ほどの小里長官お話をお聞きしておりますと、特殊法人というのはどうしようもないなという感じがするんですが、この独立行政法人が特殊法人にならないという保証はないんですね。  特殊法人だって最初から効率性が悪いものをつくったわけではないと思うんです。機能や何かから考えて今さまざまな見直しをしようという動きがございますね。なぜそうなったかというのはもう多く申し上げませんが、もともとはそういうことでつくったわけではないんですね、特殊法人というのは。結果的に長い歴史の中でそうしてしまったわけですよ。あるいはそうなっていってしまったんですね。その原因をきちっと分析しておかないと、私はこれから独立行政法人という形で、今はこの議論の過程の中では郵政三事業ということが議論の対象になりましたから多分そのことがイメージをされているのかもしれませんが、特殊法人と同じような道をたどるのではないかという心配があるわけですね。ぜひそのことはきちっと踏まえておいていただきたい。  そこで、今の特殊法人の問題点についてよく言われるのは天下りの問題なんですね。確かに予算やさまざまな面で所管の官庁との関係は切っても切れません。そのことからくるいわゆるなれ合いみたいな部分がないのかどうか、多分あるのじゃないかというふうに思わざるを得ないわけであります。  と同時に、所管官庁から天下ることによって幾つかのポストはプロパーの人たちからはもう手の届かないポストということになってしまう。こういうことになってきますと、当然の話ですが、プロパーの職員からしてみればやる気がなくなってしまう。民間の企業の場合に社長になれるのはどのくらいの確率かはわかりませんが、少なくとも努力次第で社長になれるチャンスというのは常に平等にあるわけです。ところが、特殊法人等の場合には、もうあのポストはどこどこの省の既定のポストというふうになってしまっているというケースが非常に多いんです。こういうことも私は今の特殊法人のさまざまな問題点の一つだろうというふうに思います。  そこで、なぜそうなってしまったのかということなんですが、特殊法人やあるいは後ほど触れますが民間の企業に天下るという、この天下りという表現は私は余り好きじゃないんですが、なぜそうなってしまうのかということを考えた場合に、先ほどもちょっと申し上げましたように、例えば特殊法人なら特殊法人の業務だとか事業の内容が問題ではないんです。組織だとか経理だとか人事という点が問題なんです。  つまり、今の官僚機構は完全なピラミッド型になっていますね。それから完全な年功序列です。ですから、いずれかのレンジの人たちはどんどんそぎ落としていってどこか外へ出さなければいけない仕組みになっているんです。簡単に首を切るというわけにいきませんから、結局どこかへ押し込んでいくというしかないわけです。そうすると、一番身近なところ、つまり自分の所管をしている官庁に一番近いところからまずやっていって、場合によっては、民間企業で受け手があれば民間企業へということになっていくわけです。そこに私は特殊法人の持つ問題点があるのじゃないか。さらには予算の絡む経理の問題、そういう問題が解決をされない限り、私は特殊法人に天下った人たちは決して悪いとは言いません、むしろ問題なのはそうせざるを得ない仕組みそのものに問題があるのじゃないか。  したがって、こういう年功序列的な仕組みや今の官僚機構のあり方について大胆にメスを入れない限り、特殊法人問題は解決をしないし、独立行政法人も二の舞になる危険性がありますよということをあえて申し上げておきたいんですが、通産大臣あるいは総務庁長官、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思うんです。
  39. 中川良一

    政府委員(中川良一君) まず、公務員の人事管理の関係からお答えさせていただきますが、これまで官庁におきます人事というのはどうしてもライン官職を中心に行われておりまして、このライン官職というものが構造としてはピラミッド型の構造になっているというのは御指摘のとおりでございます。したがいまして、こうしたことによって定年まで勤務をするというのが大変難しい理由の一つになっておるということは言えようかと思います。  今後、高齢社会の到来等を踏まえますと、ピラミッド型からいわゆる台形型とか円筒型とかいろいろ言われますが、そういう形への転換というのはどうしても考えていく必要があるのではないかということで、現在、スタッフ職を活用したいわゆる複線型の人事管理などを含めまして、公務員が公務をライフワークとして働くためにはどういったような制度にしていったらいいのかというようなことにつきまして、公務員制度調査会でいろいろ御検討いただいておるという状況でございます。
  40. 前川忠夫

    前川忠夫君 事前に申し上げておかなかったのでお答えがしにくいかもしれませんが、例えば民間企業においても六十歳定年制というのが施行されました。官僚の皆さん方の定年制が、六十という仕組みがあることを承知していますけれども、現実にはかなりの人たちが六十以前にやめていかざるを得ないような仕組みというのがあります。  もし、そういうものが例えば平均的にはきちっと六十歳までいけるんですという仕組みになった場合に、今度の行政改革の中で公務員の総定数についても削減の計画が出ていますね、こういうものとの関係はどうなっていくのか。  今の総定数というのはかなり早い時期から、モラールも、キャリアのほんのわずかな人たちですから、そういう気はありませんという答えが返ってくるかもしれませんけれども、今現在の総定数と定年制をきちっとやった場合、どういうような変化があらわれるか、大体のイメージで結構ですからお聞かせいただければと思うんです。
  41. 中川良一

    政府委員(中川良一君) 仮に、いわゆるⅠ種の職員が全員六十まで勤めた場合のポストあるいは定員との関係について必ずしも厳密に計算したものがあるわけではございませんけれども一つには定員の問題ともう一つはポストの問題と、両方考える必要があろうかと思います。  ポストの問題につきましては、ラインを余り複雑な形にするというのは業務が非常に非効率になりますから、結局はスタッフ職あるいは専門職ということで、公務部門に必要なポストとしてそういうものを確保していくことが一つは必要になるんだろうというふうに思われます。  それからもう一つ、定員との絡みですと、どうしてもこれは新規採用者の抑制でありますとか、あるいは途中で入ってくる中途採用者の抑制というような形で、そういったような方向で調整をしていくということで、結果的に少しずつ定年近く勤務する方がふえていくということで、一挙にそれをやろうとすると定員の面でもポストの面でも非常に難しいということは言えようかと思います。
  42. 前川忠夫

    前川忠夫君 先月の完全失業率が初めて四%を超え、四・一%という大変厳しい雇用環境にありますので、民間の企業の状況を考えますとさらに悪化をする危険性すらあるわけです。  だからといって、官僚の皆さん方もその厳しさを味わうためにやめろということを私は申し上げるつもりはさらさらありません。むしろ、今の行政の仕組みの中でそれなりの仕組みをきちっと、ある仕組みをそのままに使って、先ほどから申し上げているような、例えば天下りをする。天下りをすることによって特殊法人にもさまざまな問題を起こす。例えば民間企業に天下った場合もさまざまな利権関係を含めた、つい最近でも幾らでも例が挙げられるようなさまざまな汚職まがいのことがあったわけですから、そのことに対する警告の意味を含めて、今の処遇制度を含めて全体を見直さない限り、行政の数、いわゆる省庁の数やあるいは局の数、課の数を減らして結果的にコストがこれだけ削減をしましたと言っても、だれもその効果を認めないんです。むしろ内容が問題なんだということをあえて申し上げておきたいと思います。  時間もありませんので、最後に、これは多少私の意見が入るわけでありますが、特に今申し上げましたことの延長線上で、私、民間と官のさまざまな交流というのをもっと本格的にやるべきだ、垣根を低くすべきだということをあえて提言させていただきたいと思います。  特に、それぞれの専門分野において大変優秀な官僚の皆さん方がおられるということは私ども承知をしていますし、あるいは新技術の開発等で国の研究開発機関皆さん方の成果というのは大変目覚ましいものがあるということは私ども十分承知をしています。そういうものを民間との間で、ただ単に技術、ノウハウだけの交流だけではなくて、人の交流まで含めて行うことによって行政と民間企業、民間産業との間の垣根を低くして、場合によっては民間から官僚の例あるいは行政の側に優秀な人たちを送り込むことによって民間の手法を取り入れる。逆にまた、官の側で蓄積をしたさまざまな専門分野の技術やノウハウを民間の企業で生かす、民間の新技術開発のために生かす。こういうことをすることによって新しい行政改革の非常に大きな私は目玉になるというような感じがいたしております。  なかなか歯切れのいい、例えばこれからこういうことをやることによって省の数が幾つ減りますとか、あるいは課の数が幾つ減りますとか、総定員何名にしますとか、何%減らしますということは出てこないけれども、長い目で見た場合、私はその方がむしろ国民の側、市民の側が求める行政改革に近くなるんじゃないかという感じがいたしてならないわけです。  最後に、総務庁長官にこれらのこれからの考え方、精神についてお伺いをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  43. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) お話のとおり、いわゆる公務の活性化あるいは雇用の流動化等のためにも十分検討をいたさなければならないお話であろうと思っております。  ただ、昨今、官民癒着の業者あるいはいろいろ不祥事等も指摘されておるところでございまして、さようなことは粛然と整理しながら、公務員制度調査会等で十分検討してまいりたい、さように思っております。
  44. 前川忠夫

    前川忠夫君 終わります。(拍手)
  45. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 公明の猪熊でございます。  きょうは、法務省を中心にお伺いしたいと思います。  法案の十五条によりますと、「新たに編成される省の名称、主要な任務及び主要な行政機能は、別表第二のとおりとする」、こう規定しまして、別表第二には十の省の「名称」と「主要な任務」、「主要な行政機能」というのが記載されております。  どうもよく読んでもこの主要な任務という用語と主要な行政機能という用語がどういうことを意味しているのかよくわかりませんので、法務省の方から、全部十省の問題ではあるんですが、とりあえず法務省にきょうはお伺いするということですので、この主要な任務、主要な行政機能、これの意義を御説明いただきたいと思います。
  46. 下稲葉耕吉

    国務大臣下稲葉耕吉君) お答え申し上げます。  今、猪熊委員指摘のとおりに、第十五条の別表第二に、法務省としては、「基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護等」、これが主要な任務と記載されております。この主要な任務とは、法務省が担うべき基本的かつ重要な任務と申しますか、法務省そのものの一つの基本的な任務であるということで、私はいつもかねがね法秩序の維持と国民の権利の保全が法務省の仕事でございますということを国会でしばしば答弁申し上げておりますが、そういうふうなことの基本の考え方を述べたものでございます。  それから、主要な行政機能というふうなことで、これは具体的に「司法制度、民事行政(国籍、戸籍、登記、供託)、刑事・民事法の立案、検察、矯正、更生保護、国の利害に関係のある争訟、人権擁護、出入国管理、公安調査等」と書いてあります。これはこの主要な任務を受けまして法務省が具体的にどのよう行政機能として仕事をやっていくかということを書いてあるわけでございまして、法務省の果たすべき行政機能の主要なものを列記したものである。要するに、主要な任務を受けて具体的な行政機構として考えられる機能を書いたものである、このように理解いたします。
  47. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そうすると、この主要な任務というのと主要な行政機能という用語は、現行の国家行政組織法四条に「行政機関の所掌事務の範囲及び権限は、別に法律でこれを定める。」と、こういう規定があるんですが、国家行政組織法上のこの所掌事務、権限と、この二つの主要な任務、主要な行政機能とはどういう関係にあるんでしょうか。
  48. 坂野泰治

    政府委員(坂野泰治君) 今後、新たな省の設置法を規定いたします際に、御指摘の省ごとの所掌事務及び権限について具体的な規定を検討する必要があるわけでございます。その際に、ここに掲げております任務及び主要な行政機能に基づいて詳細な所掌事務及び権限の規定を置く必要がある、このように考えておるわけでございます。そして、この所掌事務及び権限と申し上げるのは、現在の国家行政組織法に言う所掌事務及び権限に当たるものでございます。
  49. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そうすると、この前の質問のときにも私申し上げたんですが、所掌事務を規定するということは当然のことなんです。その所掌事務がまさに先ほど法務大臣も答えられたように、法秩序の維持とそれから国民の権利保全、これが法務省の中心的な仕事ですよ、所掌事務を一番集約すればそうなりますと。  その所掌事務、すなわち、イコール主要な任務ということは理解できるんですが、今の内閣審議官の話だと、この主要な任務、主要な行政機能のほかに各省設置法みたいなのをつくると。その場合に、やはり現行の国家行政組織法と同じよう意味で所掌事務だとかあるいは職務権限範囲とか、こういうものを規定するということならば、そういうことは大変重要なことだから、この法案の条文の中から全然出てきていませんね。その辺はどうなんですか。
  50. 坂野泰治

    政府委員(坂野泰治君) この基本法は、新たな省編成を実現する上でその方針を定めておるものでございます。この基本法の成立を受けまして推進本部を設け、その推進本部において新たな省についてそれぞれ設置法を立案する、そういうことをこの基本法に規定しておるわけでございます。  したがいまして、新たな省の所掌事務及び権限というものを規定するその設置法の規定のあり方については、特に御指摘の権限規定のあり方については、種々これまでもいろいろ御論議もございましたのを踏まえていろいろ検討をしていくということは当然必要でございますけれども、具体的な設置法においてそれぞれの省が担います所掌事務あるいは権限について明確な範囲を確定していくということはまた必要なことだろうと考えております。
  51. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そうすると、第四条「中央省庁改革の基本方針」、その第四号によれば、国の行政機関における政策の企画立案に関する機能とその実施に関する機能とを分離することを基本として今度編成していくんだと、こう書いてあるわけです。私も、行政府が政策の企画立案に関する機能を持って、いろいろこういうのがいい、ああいうのがいいというふうなことを企画立案する機能を持つ、これは非常に大切だし重要なことなんです。しかし、そのことと実施に関する機能とは別に考える、こういうふうに書いてあるから、国の行政機関における政策の企画立案に関する機能は、その結果として、国会法案として提出していい法律案をつくること、つくるのは国会ですけれども、それが行政府の非常に大きな今後の仕事なんだということを明確にしている、これは非常にいいことだと。  しかし、行政府が実施する機能というのは、法律に基づいてだけでなければならないということを前提にするから、機能なんというものを書く必要はないんだと。ないというのは、法律を実施するのは行政府の義務であり権利。ですから、その権限なんというのはあえて書く必要ないじゃないか、法律を執行する以外の行政権独自の権限、機能というふうなものを認める筋合いはないということをこの前も申し上げ、私、今でもそう考えているのです。  だから、この規定からいったら、今回のこの主要な任務と主要な行政機能、もちろん書けばこれは幾つでもありますよ、幾つ書いても書き切れないぐらいあるから、ここで主要なということでやっているんですが、これだけで十分で、この後さらに権限規定みたいなものをつくる必要はないと思うんですが、今私が申し上げたような前提とは無関係に、どういう権限規定をつくる必要があるとお考えなんですか。
  52. 坂野泰治

    政府委員(坂野泰治君) 設置法におきます権限規定の必要性の有無については、これまでも御指摘ような御論議を含め種々御論議をいただいたところでございます。したがいまして、これまでも御答弁申し上げてきておりますけれども、新たな省の設置法においてその権限規定のあり方をどうするかということは一つ検討課題にするということをこれまで御答弁申し上げてまいりました。  なお、補足して申し上げれば、組織法たる設置法で言う権限というものと、それから各種作用法におきまして定めます権限というものとはやや性質が違うのではないかという議論もございますので、そういうことも兼ね合わせていろいろ検討をさせていただきたいと考えております。
  53. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 まだ法案がどういうふうなものをつくられるか。しかし、そのつくるときの基本的な考え方として、各省の設置法で権限と書くとすれば、所掌事務を具体化した法律及びこれに基づく法令を実施することが権限であって、それ以上の権限はないというふうにしておけば行政が非常にすっきりするし、この前も申し上げました予算補助だとかあるいは通達行政、裁量行政とかというものをなくしていく上で根本的な問題だということだけ申し上げておきたいと思います。  それから、法務大臣、これも十省全部同じなんですが、法務省の場合は十八条に「法務省の編成方針」というのが書いてあります。「法務省は、次に掲げる機能及び政策の在り方を踏まえて編成する」と。この編成方針というのはどういう意味なんでしょうか。
  54. 下稲葉耕吉

    国務大臣下稲葉耕吉君) お答え申し上げます。  十八条の法務省の編成方針は委員指摘のとおりでございます。これは、先ほど申し上げました十五条の別表二に主要な任務と、それから今御議論いただきました主要な行政機能というものが書いてございます。  法務省の主要な任務及び主要な行政機能を前提といたしまして、新たな法務省の編成に当たりまして法務省が担う機能や政策のあり方についての留意事項を示したものであるというふうに私ども理解いたしておりまして、これを踏まえて、先ほど来お話がございます具体的な設置法等々の検討が進められるものだと、このように理解いたしております。
  55. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 ちょっと今よく理解できなかったんですが、主要な任務、主要な行政機能を前提として、その中から主要なものをピックアップして編成していくという趣旨なんでしょうか。どうもこの編成方針というのがよくわからないんです。  なぜわからないかというと、今後新しく法務省を編成していく場合には次のようなことを考えて編成しろと、その中に、人権擁護行政の充実強化とか、あるいは出入国管理機関について整備するとか、この辺まではわかるんですが、私の考えからすれば、法務省が今一番考えなきゃならないのは、裁判遅延の問題をどうするかということ。もちろん、裁判は裁判所でやることですから法務省が直接的に裁判を進行させることができるわけじゃありませんけれども、裁判制度の仕組みというか、その辺についての法制の整備は法務省の仕事なんであって、一つの刑事事件が十年も二十年もかかるような裁判、二十のとき悪いことをしたのが判決が確定したのは四十だなんていうんじゃ、四十のときにはあなた、二十のことは忘れちゃっているよ。そんな裁判の遅延をどうするか。  具体的に言えば、オウムにしてもまだ先は全然見えていない。オウムの麻原彰晃に対する判決なんというのは確定するまでに十年かかるか二十年かかるか全然わからぬ。二十年もかかったら当の本人はいるかいないかなんていう事態になってしまう。もっと裁判を迅速にしなければならない。迅速にするのは、裁判所が裁判をするんですけれども、そのための法整備を図るということが一番重要だろうと思うんですが、そんなことはここには直接書いてない。  もう一つ、法務省が今一番やらなければならないことの第二番目は、国民の裁判を受ける権利をどのように実現していこうかということで、民事的に言えば、民事法律扶助制度をどれだけ強化していくか、刑事的に言えば、被疑者に対する弁護人付添強制制度をどうするかというふうな、国民の裁判を受ける権利を実質的に今後保障するためにどうしたらいいかというようなことがこの編成方針のどこかにあるべきだと思うんですが、そんなことはなくて、今度こういう編成方針で編成した法務省では、今後も真に国民のための行政を実現していく法務省というわけにはいかないんじゃないか。  要するに、この法務省の編成方針というのは一体何なんだ。今、法務省が抱えている緊急、最大課題が起こっているんじゃなかろうかと私は思うんですが、今の裁判の遅延問題、それから国民の裁判を受ける権利の保全に関する問題について、法務省としてはそういう編成方針との関係でどう考えているのか、お伺いしたい。
  56. 下稲葉耕吉

    国務大臣下稲葉耕吉君) 委員指摘のことは大変重要な問題だと理解いたしております。  裁判の遅延の問題は深く法曹三者のかかわっている問題でございますし、その辺の中で具体的に協議なり何なり進めている段階もあるわけでございます。  それから、もう一つの法律扶助の問題につきましては、既に委員承知のとおりに、研究会の答申も得まして具体的な作業に入りつつあるわけでございます。これは予算と深くかかわり合いがあることでございます。  いずれも御指摘されていることは重要なことでございますが、役所の体制をいかにするかということがこの法案においては重点的に書かれていることでございますので、今御指摘ようなことはそれを受けた組織の中で一つ一つ具体化していく問題であろうというふうに私ども理解いたしております。
  57. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 法案の全体的な問題は以上で、あと具体的な法務省の対応に関する問題についてお伺いしたいと思います。  時間がありませんので、私の方から申し上げると、昨年の五月二十四日、神戸市内において十五歳の少年Aが小学六年生の少年を惨殺する事件が発生した。この事件の報道に関し特定のマスコミが、写真あるいは少年の供述調書あるいは家裁の診断資料である鑑定主文などを公表、報道した。この報道に対し法務省人権擁護局は、報道機関に対し報道の不当、違法について抗議した、こう報ぜられています。  細かいことを伺うとまた時間がありませんので、このよう法務省人権擁護局の申し入れというか抗議に対して、新聞報道を見る限り、相手方の報道機関は特別に謝罪したわけでも、申しわけない、今度はやりませんと謝ったわけでもなさそうなんですが、人権擁護局がそういうふうな抗議、申し入れをしたにもかかわらず、何らの対応がなくてもそれ以上のとり得る手だて、手段はないんでしょうか、その辺についてお伺いします。
  58. 横山匡輝

    政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。  ただいま委員が御指摘されました抗議ということでございますが、抗議の内容、これは具体的には勧告ということでございまして、各出版社、二社でございますけれども、出版社に対して反省と人権侵害の再発防止策の策定及び被害回復の措置等を求めたものでございます。  これにつきましては、法務省の人権擁護機関が行います人権侵犯事件の調査、処理は、関係者に対しまして人権尊重の意識を啓発するごとによりまして、関係者、人権侵犯の相手方等でございますが、自主的、自発的に人権侵犯の状態を除去してもらう、あるいは改善することを第一義とするものでありまして、法的措置を要する場合は裁判等の他の制度によることを予定しております。  そういうことで、強制力を伴う法的措置は設けられておりませんでして、現在は法務大臣訓令であります人権侵犯事件調査処理規程に基づいて人権侵犯事件の調査、処理を行っている、そういうことでございます。
  59. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 この少年Aの事件の少年法にかかわる問題とは別個に、週刊誌等による名誉毀損、プライバシー侵害、一口に言って人権侵害が非常に現在行われている。そして、それを回復する手段はほとんどない。  今、人権擁護局長お話ししたように、侵害されたと思う人は自分で法的手続をとれと。しかし、侵害された上に金を払って弁護士を頼んで裁判して、三年後にどんな人権回復ができるのか。法務省としても、人権擁護局という局があるんですから、もう少し何か、人権侵害に対する直接効果的な手段というものを考えるべきじゃなかろうかと思います。  法務大臣、大変難しいことではありますが、せっかく新しい省庁をつくるんだとすれば、犯罪捜査に対して一生懸命やることのほかに、国民が困り抜いているそういう人権侵害に対する回復についても勧告だけじゃなくてもうちょっと何か考えたらどうなんだろうか。  新聞を見ていると、法務省の人権擁護局の何々人権擁護担当官が行って話をしたけれども、向こうはああそうかいと言っただけだというんじゃ、人権擁護局長が言えば、それは勧告に行ったんだと言うけれども、勧告に従うか従わぬか、それは向こう様の勝手といえばそうかもしれぬ。国家機関としての人権擁護局長なり人権擁護局職員が行って、ああそうかいなんと言われて帰ってくるだけじゃ余りに能がないと思うんです。  直接的な犯罪行為でないにしても、もう少し何か国として、国民の名誉、プライバシーの侵害に対する保全措置というものを考えるべきだと思いますが、法務大臣、御所見があったらお伺いしたいと思います。
  60. 下稲葉耕吉

    国務大臣下稲葉耕吉君) 今、委員指摘の点は、法務省といたしても実は頭を悩ませているところでもございます。  まず、基本的に前提として考えぬといかぬのは、憲法の保障する報道の自由にかかわることである。だから、そういうふうな問題は、基本的には報道される主体において人権侵害にならないように十分御考慮いただくというのがまず前提であろうと思います。  にもかかわらず、今、委員指摘ようなことが行われ、人権擁護機関でございます法務省で勧告をする、これは罰則の規定が御承知のとおりございません。そして、そのまま済まされている、相手側は確信犯みたいに次々に繰り返す、こういうふうな状態は決して好ましい状態ではないと思います。  そこで、委員承知のとおりに、一昨年、人権擁護推進法が通りまして、法律に基づきまして人権擁護推進審議会なるものが昨年の三月から発足いたしております。これは両院の附帯決議もなされておりますが、その意向を尊重いたしまして、人権教育、啓発に関する施策の基本的事項と並びまして、人権侵害の場合の被害者救済にかかわる施策の基本的事項について、法律に基づいて設置されました審議会で検討することになっております。  附帯決議等々もございまして、前者の方を先にやっておるわけでございますけれども、今申し上げました人権侵害の場合の被害者救済に関する問題、これもその一つが終わってからというわけにはいかぬから早く立ち上げようじゃないかというふうなことで、名称は準備委員会という名称にいたしましたけれども、現実に二回委員会を開いて慎重な御審議をいただいている最中でございます。  今、委員指摘ような、例えば国が被害者にかわりまして裁判所に対して差し押さえだとか損害賠償の請求をするとか、あるいはまた国の勧告に対して制裁措置についての法的な根拠を与えてやるとか、いろいろなことが考えられるわけでございますが、そういうふうな問題につきまして、委員会で今申し上げました基本的人権とのかかわり合いもございますので、十分御審議いただいて、そして、そういうふうなものも踏まえまして私どもがこの問題に対処いたしたい。  委員指摘のとおり、現状のままでいいとは決して思っておりません。そういうことでございます。
  61. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 あと時間がもうほとんどありませんので、意見だけ申し上げて、法務省によく考えておいていただきたいと思います。  この「法務省の編成方針」の第十八条四号によると、公安調査庁について次のように書かれているんです。「相当数の人員を在外における情報収集活動の強化及び内閣における情報の収集、分析等の機能の充実のために充てる」、こう書いてあるんです。  しかし、公安調査庁は本来破壊活動防止法の規定による破壊的団体の規制に関する調査をするのが目的であって、在外というのは恐らく外国のことだと思います。外国に公安調査庁の職員を派遣して一体どんな破壊的団体の調査活動を行うのか。その辺、なぜ外まで出向くのかという点で疑問があります。オウムの場合に、ロシアでオウムがどうこうという一つの例はありますが、これも後になってわかっただけで、全然公安調査庁は機能していたわけじゃない。国内でも機能していなかった。  それからもう一つ内閣そのものの情報収集機能に助力するというふうなことも書いてありますが、この辺も非常に難しいことだと思いますので、よく検討していただきたいと思います。  これは意見だけで、終わります。(拍手)
  62. 及川一夫

    及川一夫君 及川でございます。  行革の問題、私も直接参加をさせていただきました立場ですから、それなりに責任を十分感じながら、二、三の問題についてお伺いをしたいと思います。  とりわけ、私としては行革全体を見たときに、総理のリーダーシップで、要するに入れ物をつくったということははっきり認識いたします。もちろん、やり方については、入れ物を決めて、そこにどんなものを入れていくかというやり方もあるし、もともと現状を踏まえて、行政サービスの問題とかあるいはそれとかかわる定員の問題とか、そういうものを整備した上ででき上がったものが、国の行政という立場からいってこれが正しい、これが行政改革だということがあって、それが総理が当初やられた入れ物、箱の数というものに振り分けていくという方法も率直に言ってあるわけであります。今回は、総理はそうでない方法をとられたと。それなりに理由があると思っていますし、それに従って私も議論に参加させていただきたい、こういうふうに思っております。  そこで、入れ物を決めましても、どういったものを入れていくのかというのはこれからの課題ですから、そういうものだけに、むしろこれからが本番と、こういうイメージで私はとらえているつもりであります。したがって、これが本来の行革かと、こう言われたら私はノーと言いたい。これから本当の行革が始まるんですよという認識に立ちたいというふうに思っていますが、そうしませんと、行革全体のイメージがわいてこない。また、中間報告あるいは最終報告に出された一定の数字がございますね。例えば公務員の数にすれば一〇%ぐらい減らしていきたいというふうなものがあるわけでございますから、そういうイメージで私はとらえておりますので、その点、総理よろしゅうございますか。
  63. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは一点だけ委員の要約されたものに補足をしたいと思うんです。  既に御承知ように、規制の緩和・撤廃、あるいは地方分権推進計画に代表される地方分権、官民分担の見直しといった作業は進行いたしております。それを土台にし、国の権限と仕事の減量を進めながら、将来のあるべき機能、役割というものに対応した姿をつくろう、そういう意味では、私は確かに議員が言われましたようにスタート台といいますか、どなたかが山登りに例えられて、私は今ベースキャンプ建設中という言い方をいたしましたけれども、まさにそのベースをつくる、そしてその方向づけができた中で具体的なそれぞれの役割を明確にした省庁というものが、分権が進み、規制緩和・撤廃が進み、官民の役割分担の見直しが進み、その上に築かれる。その意味ではまさに土台を固める、それだけに少しでも早くスタートさせていただきたい、我々も早くスタートをしたいとお願いを申し上げている次第です。
  64. 及川一夫

    及川一夫君 小里長官お尋ねをしたいんですが、実は念頭にありながらついつい出さなかったわけでありますけれども、なぜならば、例えば労働三権といいますと、行政改革の中で論議をすべき問題であるかどうかというふうに考えたときに、論議すべきであるという立場に立ちながらも、実は深くこれは触れませんでした。同時に、民間の皆さんが中心になってやられた、総理が本部長でやられた会議の中でも、労働三権という問題はほとんど出ていないというふうに私は認識をしているわけです。  しかし、これはちょっとまずいんじゃないかなという思いをしているわけであります。したがって、これからの行政改革の問題について論議をしていく場合に、一方では、例えば一般職員、労働者という立場から見ればこれは職場を失うということも考えられるし、同時にまた、自分の仕事がなくなれば職転をしなければいけない、配置がえをしなければいけない、こういうイメージでもって私はとらえていると思うわけです。  したがって、それを例えば労働者に対して負担をかけるという意味合いで言うなら、負担をかけるだけが行政改革なのかということではちょっと私はいけないんじゃないか。やはり労働者なり一般職員のことについて、あなた方はこれからこうしますよ、こうなりますよ、話し合いを十分しますよという形のものを私はつくるべきだと思っているんですが、長官、労働基本権の問題が全く行革の中で触れられなかった理由というのは一体何だったんですか。
  65. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) むしろ、行政改革会議経緯あるいは本法案を提出するまでの前後、当時与党三党のしかも中心発言者としていろいろ御意思をお聞かせいただいたことでもございますし、また詳細詳しい議員でございます。  今のお尋ねに率直に申し上げますと、要約いたしましたところ、いわゆる労働者の御意見あるいは立場というものは十分全体的視野の中において多く比重をかけて配慮していくべきである、そういう雰囲気であったことは先生も御承知のとおりでありました。したがって、この基本法案におきましても、良好なるいわゆる労使関係というものは大事にしなければいけませんなということも明確にしてあること、御承知のとおりでございます。  それから、労働三権のお話でございますが、率直に申し上げまして、私は、労働三権の話は一般的政治事項として非常に次元の高い問題であるなど、そういう一つのことも念頭にあったろうかと思っております。しかしながら、前段で申し上げましたように、労使共栄と申し上げますか、あるいは良好なる労使関係というものは基調にありますよということをきちんと記してあるところに、今申し上げました一つの象徴的なものを御理解いただきたい、さように思います。
  66. 及川一夫

    及川一夫君 既存の労働組合があって、その労働組合の中でも、労働三権は整っていないが結社の自由と交渉権というものが備わっている組合の皆さんもおられます。全くすべてが与えられていない労働者の皆さんもおられるわけです。  今、前段で述べられた長官お話は、交渉権を持っているということの中で、そういう方々には当然これまでの労使関係とか、あるいはいろんな話をされて決められたことに対しては責任を持って対応するようにという意味では、確かにお互い確認をしたと思います。  しかし、そうでない方々の問題というのは、労働三権があろうとなかろうと、この行革というものをやっていけば大なり小なり影響を与えることは間違いないわけであります。しかも、戦後昭和二十二年に公務員法というのができ上がってから労働三権というものを失ったという経過があって、今日なおかつそれが現実に存在をするということは、果たして国際的な社会を論ずる今日の日本の状況の中で残しておいていいのかどうかということも私は率直に考えなければいけない、こう思っているわけです。実は労働大臣に対する質問はなかったんですけれども、そういった点で、労働大臣にも私はお聞きをしなきゃいかぬなと思っているのであります。  総理、これはこれからの行革全体のでき上がりの問題を含めまして、やはり少なくとも交渉権、話し合いということをする保障というものをこの際与えていくというような方向で物は考えられないものでしょうか。
  67. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、総務庁長官からお答えを申し上げましたけれども、私は、国民全体の共同利益に対する保障、国家公務員というものの労働基本権については、その地位の特殊性そして職務の公共性というものからやはり制約は免れないと思うんです。  しかし、それは議員も今言われましたように、国家公務員も勤労者でありますから当然ながらその生存権を保障する、そうした視点から労働基本権の制約に見合う人事院勧告制度などの代償措置を設けてまいりました。今回、議員、恐らくわざとお触れにならなかったと思いますが、実は独立行政法人の対象になります分野、これは組織上の裁量権あるいは自律性というものを可能な限り拡大する、弾力的、効果的な業務運営を確保することが求められるものですから、その職員が国家公務員の身分を保有する場合でありましても、独立行政法人の場合には労働協約締結権を含む団体交渉権が付与されることになっております。  また、ここまで論議を進めてまいります間にも、これは委員を初め与党三党の調整の過程におきましても働く方々の代表者から意見をお聞きいただきましたし、行革会議そのものに労働界の代表に委員として加わっていただきますと同時に、議論の過程で随分いろいろと働く方々を代表される、公務員としての中で働く方々を代表される方々意見も伺ってまいりました。  そうしたものが、この独立行政法人につきまして、本法案におきましてもこれに行わせる業務及びその職員の身分などを決定するに当たって、「これまで維持されてきた良好な労働関係に配慮する」、こうした規定を置き、いたずらに不安を呼ぶことのないように努めているところでございます。  基本法成立を受けて、今後改革を具体化していく場合、第三者機関を設けることを含めまして、実際に現場で働いておられる方々の声をどのように酌み取っていくか、くみ上げていくか、そうした点も工夫をしていきたいと考えているポイントの一つで、御指摘は感謝を申し上げたいと思います。
  68. 及川一夫

    及川一夫君 総理が御指摘になられましたように、独立行政法人の対象になる職場というのは、本来労働三権を持てるものが、労働組合を結成しないために持っていないという形のものも大分あるんですね。ですから、総理が言われた点を長官にさまざま御要求申し上げたときに、労働組合の組織はないのにということに非常に私はこだわりがありました。したがって、余り強く主張したわけじゃないんですけれども、しかしおっしゃられるような配慮はしてありますということでありますので、そういった点でこれは大きな課題だと思います。  どちらにしても、日本の労使関係の中で交渉権というか話し合いの場が全くないということでいいのかどうかということが私はポイントだと思いますので、ぜひこれから先考えていただきたいということを御要請申し上げます。  大蔵大臣にお伺いしますが、ずばり、今度の行政改革の中では財務省という名前が書いてありますね、今は大蔵省。これはどう違うんでしょうか。
  69. 松永光

    国務大臣(松永光君) 大蔵という言葉と財務という言葉、どういうふうに解釈するのか、私はそういう文字の解釈についての大した知識はございませんが、その言葉意味は別といたしまして、今御審議を願っている基本法のもとでは、いわゆる財政と金融の分離、これはもう相当徹底して進むというふうに思っております。  特に、その前に申し上げておきたいわけでありますが、委員も主要メンバーとなられて一昨年この財政と金融の問題につきましては合意をしていただいて、その結果、金融監督庁が設立されることになり、この二十二日からスタートいたします。  金融監督庁は大蔵省の所管じゃなくして総理府の所管であるわけでして、それによって国内の民間金融機関あるいは証券会社等に対する監督・検査の業務は全部金融監督庁に移ることになります、この二十二日に。大蔵省の方には百名弱の国内金融に関する企画立案の部門だけが残る、これが私は第一段の財政、金融の分離だと思うんです。  この基本法に基づいて省庁再編が行われれば、金融監督庁は金融庁となり、そして国内の金融に関する企画立案の部門も二十条の八号に書いてありますように、金融破綻処理制度と金融危機管理に関する企画立案、それだけが財務省に残ってあとは金融庁に移る、こういうことになるわけでございまして、相当思い切った財政と金融の分離がなされるというふうに見ておるわけであります。
  70. 及川一夫

    及川一夫君 私はそのことだけ言っているつもりはないんですが、大蔵省というネーミングを財務省というふうに変えられて提案されたときに、みんな、おっと思ったんですね。なるほど、これはいいこっちゃというふうに思ったのが全体の空気だと私は思うんです。要するに、従来の大蔵は変わるんだ、変わらなきゃおかしいということがあったからだと思うんですね。  ただ、この出された資料で見ると、「税財政」という言葉が入っているわけです。ですから、これは大蔵大臣の胸のうちをたたいていかないとわかりませんけれども、今金融庁のお話をされましたが、どちらにしても、そういうものを含めて大蔵のあり方というのは今日の大蔵のあり方とは違うんだ、大胆に変えていくんだという意味のことがあるということを私は確認していただきまして、終わりたいと思います。(拍手)
  71. 山下芳生

    山下芳生君 私は、行政改革と言うのなら、省庁再編という形よりも、これからの行政はどうあるべきかという内容がより重要だというふうに思います。そこで、金融行政について貸し渋りの問題でお伺いをしたいと思うんです。  政府は、銀行の貸し渋り対策にも資するとして自己資本比率改善のために十二兆円の公的資金を投入することを決め、既に三月、二十一の銀行に合計一兆八千億円の資金を投入いたしました。また、総理も大蔵大臣も、銀行業界に対して貸し渋りの解消という要請を繰り返しされてきたところであります。しかし、依然として貸し渋りは解消しておりません。一日銀が先月の二十日に発表した国内銀行預貸金調査結果によりますと、今年の一-三月の中小企業向け貸出残高は前年比マイナス三・三%、中堅企業はプラス〇・六%、大企業マイナス一・六%となっておりまして、中小企業にとって特に厳しいものとなっております。  それからまた、通産省が先月二十二日に発表した貸し渋りの調査結果でも、民間金融機関の融資態度が厳しくなったとする回答は、中堅、大企業が収束の方向に向かっている一方で、中小企業は三月三二・五%、四月三二・二%、五月三〇・八%と依然として三〇%以上という高い水準が続いております。  私は、金融機関がその地域の金融ニーズにこたえて地域経済の発展に貢献することは金融機関の公共性に照らして当然の責任だと考えております。  そこで、大蔵大臣にまずこの貸し渋りの現状と金融機関社会責任について認識を伺いたいと思います。
  72. 松永光

    国務大臣(松永光君) 民間金融機関、これは健全な中小企業などの企業に円滑に資金を供給することが本源的な役割だと、こう認識しております。そして、この機能が十分に果たされることが望ましいわけでありまして、これが果たされることによって我が国経済は順調に発展する、こう思っております。果たされないという事態があれば、それは国民経済上極めて問題があるというふうに認識しております。  先ほど委員は全国の金融の数字をおっしゃいました。これはいろいろなとり方があるわけでありますが、実は全国銀行協会連合会が発表した四月末の主要行の貸出残高、これは前年同月比では〇・三%の減少だが、三月末に比べれば一・一%の増加、こうなっておるわけであります。  ただ、この統計についてはよく見なきゃならぬ点があるわけでして、それは不良債権等を流動化すれば、すなわち売却すれば、貸出金額の減少になるわけです。そういった点を差し引けば、実は三月に比べて四月の方は約二・八%の増加という数字が見られるわけであります。  したがいまして、三月末の時点で行った申請銀行に対する資本の注入の措置というものは、それなりに効果があったというふうに見ておるわけであります。
  73. 山下芳生

    山下芳生君 それなりに効果があったということですが、日本経済新聞が五月二十七日の夕刊で発表しております。「都市銀行各行が企業向け貸出金利の引き上げ要請に動き出した。」、「貸出先企業を格付けし企業の信用リスクに応じて貸出金利を提示している。引き上げ幅は中堅・中小企業向けで〇・二五-〇・五%程度の例が多い。金利引き上げに応じない企業には返済を求めるケースもあり、産業界はこうした動きに反発している。」。  私も大阪の地元の中小企業の皆さんの状況を聞きましたけれども、例えばずっと黒字を計上して業績も上向きであった企業が、銀行に預金をしこれを担保に借り入れをしておるわけですが、四月以降、銀行から、本来なら金利は二・八%、二・八五%だ、おたくはこの金利の基準より低いので預金を積み増すかあるいは金利を上げたいというふうに突然言われた。これは、新たな融資を申し込んだわけでもないのに、銀行側からの一方的な金利引き上げ要求であります。  そのほかにも、担保価値が下がっているので担保を追加するか金利引き上げをしたいと言われた企業がもう四月以降続々と出ているわけであります。たまたまほかの地方銀行や信金、信組から借り入れて急場をしのいだ方はいいんですが、それができない、当てのない企業は、残念ながらサラ金に手を出したり、あるいはもう会社を続けていくことができなくなったりしている状況が生まれているわけですから、公的資金の投入で貸し渋りが解消されたという認識には私は到底立ち得ないというふうに思うわけです。  それで、私、こういう貸し渋りの実態がずっと続いている背景に、昨年三月五日付の「早期是正措置制度導入後の金融検査における資産査定について」という金融検査部長から各財務局長、金融証券検査官などに出された通達があると思うんです。きょう私持ってまいっていますが、勉強させてもらいましたけれども、まずこの通達の性格について説明いただけますでしょうか。
  74. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 官房の金融検査部長名で通達を出しておりますが、これまでの金融検査のあり方を見直すという趣旨でございます。より効率的、また各金融機関の自主的な、例えば自己査定等をよくチェックするというところに重点を置くというような内容でございます。
  75. 山下芳生

    山下芳生君 これが金融機関の自己査定の一つの基準になるわけですね。それをチェックするものであります。  この通達を見ますと、貸出金の分類基準というものが書かれてあります。債務者の状況などによって正常先、それから要注意先、破綻懸念先、実質破綻先、そして破綻先の五つに貸出金を分類することにしております。  この正常先とは一体何かということで、これも中身が書かれてあるんですが、「正常先とは、業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者」というふうになっております。  そこでお伺いしたいんですが、この「業況が良好」、「財務内容にも特段の問題がない」というのはどういうことなんでしょうか。
  76. 山口公生

    政府委員(山口公生君) ケース・バイ・ケースで判断をするということだろうと思いますが、一般的に言って、銀行が貸し出しをやっておりますので、金利あるいは元本の返済が確実だというよう観点から見たわけでございます。そうしたことで、その会社が業況、例えば売り上げあるいは利益等から見て返済に問題がないというような場合を指しているものと考えられます。
  77. 山下芳生

    山下芳生君 ケース・バイ・ケースという非常にあいまいなお答えなんですが、私は大蔵省の金融検査部に問い合わせをしまして、大蔵省としては確かにケース・バイ・ケース、しかし参考にしてくださいということで送っていただいたのが金融財政事情研究会の自己査定の実務というマニュアルであります。  これによりますと、「業況が良好」というのは、売り上げが業界の平均以上に伸び、安定的に黒字決算をしている状態を指す、これが大体金融機関の常識というふうになっております。それから、「財務内容に特段の問題がない」というのは、バブル時代の被害の痕跡をとどめていない、含み損や不良債権がないということだというふうに、ここにもそういう趣旨のことが書かれてあります。  そうしますと、こういう条件をつけられますと、この不況の中で大部分の中小企業というのはもう最初から貸し付けの対象から外されてしまうことにならざるを得ない。  国税庁の資料、平成八年分の「税務統計から見た法人企業の実態」によりますと、赤字法人、欠損法人の割合は六四・七%。もう少し小さい中小零細企業になりますともう七割以上が赤字ですから、黒字じゃなかったらもう最初から貸してもらえない。法人ですらこれですから、個人事業者にとってはもっとこれは厳しいハードルになるわけであります。  これまで銀行は確かにこういう定量分析も一つの基準にしてきました。しかし、これまでは支店長の権限などもあって、経営者の資質などを評価する定性的な分析も重視していたわけであります。継続的に融資をそういう経営者の資質を評価して続けてきた。中小企業のほとんどはこれまでも、財務上は赤字ということが多かったんですけれども、商売の実態を見て判断していたわけであります。しかし、こういう通達が出され、これに沿って自己査定をやれということになりますと、これはもう定量分析による査定が優先される、多くの取引先がこれによって融資不可能になる、融資対象から外れる、格下げされる結果になって、これがクレジットクランチの一つの大きな要因ではないかと思うわけであります。  大臣は先ほども健全な企業というふうにおっしゃいました。普通、世間一般で健全な企業といったら、やはりきっちり元金を払う、利息を払う、最初の約定どおり返済をしている企業、これはもう普通一般では健全な企業の範疇に入るんじゃないかと思う。しかし、幾ら一生懸命やりくりして返済をしていても、この大蔵省の通達の基準に従ってやれば正常先に入れてもらうことができないということになるわけです。私は、こういうことがまかり通ったら、これは行政指導による貸し渋りの勧め、貸し渋りマニュアルになっていくんではないかという大変な懸念、現状はそうなっているということを指摘せざるを得ないわけです。  大蔵大臣、正常な健全な企業というのをここに言うこんな狭い企業だというふうに限定してしまったら、私は銀行が中小企業に対する責任を果たし得なくなるんじゃないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。
  78. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 今御指摘いただきました貸付債権の分類は、銀行の自己査定、つまり自分のところの貸し出し状況をきちんと把握するというためにやるものでございます。  今、先生の御指摘で、正常なもの以外は貸し出さないというふうな前提でお話しように承りますけれども、例えば第Ⅱ分類、要注意先債権でも現実に貸し出しを続けております。言ってみれば、第Ⅱ分類といいますのは、不良債権と決めつけるものではございませんで、結局はよくリスクを管理する、逆の言葉で言いますと、ハイリスク・ハイリターンとも言える部分があるという部分でございます。  中小企業の金融等につきましては、金融機関は、その企業の将来性、今は赤字であるけれども将来は伸びていくというような場合には、それを金融機関の収益源として見るということもしばしばあるわけでございます。したがって、自己査定で正常先でないからすべて融資がとめられるということはないというふうに思います。  そうしたことを金融機関はよく管理をしながら自分の銀行の健全性を保ち、健全性を保つことによってまた新たな中小企業への貸し出し余力というものを生み出す、こういうことではないかというふうに考えております。
  79. 山下芳生

    山下芳生君 それは非常に理想的な期待なんですね。  しかし実際は、これは要注意先あるいは第Ⅱ分類にされますと、金融機関としてはそれなりの引き当てや償却をしなければならない。それがちゃんとやられているかどうかを今後自己査定に基づいて金融検査が入ったときにチェックするというふうになるわけですから、これは幾ら貸したくてもそういう分類を定量的にしたところについては引き当てや償却をしなければだめだというチェックなんですね。  ですから、金融機関としては、ただでさえROA、総資産利益率を高めなければならない、そういうときにこういう貸出先を抱えておったら、やはり利益が下がっていくからどうしようもない、貸し出しを圧縮しなければならない、金利を上げなければならないというふうになるわけです。やはりこれが背景にある。  大蔵大臣、大臣の言う健全な企業、正常な企業というのは一体どういう企業なのか、もう一度御答弁願いたいと思います。
  80. 松永光

    国務大臣(松永光君) いましばらくの間は民間金融機関に対する銀行法に基づく監督、そういったものの権限は大蔵省にあるわけですが、あとしばらくすると金融監督庁に移るわけであります。その間のことではありますけれども、先ほども申したとおり、銀行というものは健全な企業に対しては必要な資金を融資するというのが本来的な任務ですね。  ただ、大蔵省としては、日本の銀行が多額の不良債権を抱えておるなどということをそのまま存置することは、日本の金融機関そのものに対する信頼が低下していきます。そういったことは避けていかなきゃなりませんので、銀行の健全性を確保するためのことはきちっとやっていかなきゃならぬ、こういうことであります。一方、個々の貸し出しをどうするかという問題は個々の金融機関判断によってなされることでありますが、余り厳しくやるとお客さんがなくなっていきます。  一方、政府の方では、政府系金融機関に対する貸出枠の拡大あるいは信用保証制度の拡充等々やっておりますので、そちらの方で救済するというか対応する、こういったことをやっておるわけでありまして、いずれにせよ、貸せ貸せとやりますというと銀行の体質は悪化します。それは全体として日本経済のマイナスになります。したがって、その点の健全性確保だけはきちっとやれということを行政としてはやらざるを得ないという面があるわけです。  両方あるわけですから、その両方を適切にやっていくのが大蔵省の務めであろう、こう思っております。
  81. 山下芳生

    山下芳生君 中小企業をつぶしながら銀行の健全性を確保しても私は本末転倒だということを指摘して、終わります。(拍手)
  82. 永野茂門

    永野茂門君 最初に核兵器の管理問題について外務大臣に承ります。  時間の都合がありますので、現状を御説明いただくつもりでありましたけれども、現状につきましては現在までにとった措置を含めまして私の現状認識を申し上げ、大臣の方からは、特に重点はこうでありますとか、あるいはつけ加えるものがあるとか、間違っているところがあったら御指摘をお願いしたいと思います。  五日の国連安保理常任理事国、いわゆるP5の外相会議では共同声明で、そしてまた引き続き七日、国連安保理は決議でNPT体制の堅持と印パ両国をNPT上の核保有国としては認めないということを明らかにしました。  報道によりますと、政府はこれを受けて、十二日にロンドンで行われるG8外相会議で核保有国に対し、STARTⅡの早期発効、CTBTの批准など具体的な軍縮努力を求める方針を固め、かつNPT体制の堅持、印パに対するNPT、CTBTの無条件締結、そして印パ両国の対話促進などを主張すると理解していますが、間違いありませんでしょうか、外務大臣
  83. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 世界の百八十六カ国で締結をしておるNPT体制がインドとパキスタンの核実験強行によりまして重大な挑戦を受けております。一昨日、全会一致で採択されました国連安保理決議一一七二に至るすべての国際的声明などはNPTの堅持で一致しておりまして、崩壊したというのは当たりませず、今後ともこの体制を堅持、強化していく必要があると考えております。  こうした認識のもとで、我が国は核兵器のない世界の実現を目指して核兵器国にはさらなる核軍縮を求めるとともに、国際的な核不拡散体制を堅持、強化しつつ、CTBTの早期発効やカットオフ条約の早期の交渉開始及び妥結に向けた働きかけを行う等、現実的かつ具体的な措置を積み重ねていく考え方でございますが、この印パの核実験以来、P5、すなわち核保有国がインド、パキスタンの俗に言う核クラブ入りについてはこれを拒否しておるわけでございまして、そういった意味で現状を何とか維持しながらさらなる拡散を防ぐ、こういうおおよそのコンセンサスのもとでジュネーブでのP5あるいは軍縮会議、さらにまた今後行われるG8の会議等において進んでいくのだろうと思います。  今御説明しましたように、国連総会におきまして、我が国、スウェーデンが提案国になりましての決議案が採択をされたということは大変意義深いことだろうと思っております。私自身も許されれば十二日のG8に出席をさせていただきたいと思いますが、実はこの核実験につきましては突然の印パの、特にインドは二十四年ぶりというこの実験に対して、国際社会がどのように対応するかということは極めて重要なことでございます。  ここ数日間の国会での御議論、あるいは政府部内での調整、そして国際社会の動き等を十分勘案しながら、唯一の被爆国としての日本立場をどのように主張し、今後の核管理に向けて対応していくかということは大変重要なことだろうと思っております。そういった意味で、この問題について各界の考え方も取りまとめさせていただきましてG8に臨んでいきたい、このように考えております。
  84. 永野茂門

    永野茂門君 ただいま御答弁ありました我が国がとりつつある措置につきましては、とりあえずの措置としては私は結構だ、強力な措置をとられつつある、こういうように評価いたします。  しかしながら、世界の現状あるいは将来の動きについて予測しますと、NPT、CTBT体制、これに支えられた核管理の体制は根底から揺すぶられ始めておる、あるいは既に破られつつあるといいますか、壊れつつあると言った方がいいのかもしれません。そういう状況にかんがみて、今根本から核管理のあり方を見直すべきであると考えます。  つまり、NPTがP5の核独占を許して他への拡散を禁じているという構造は見直す必要がある。保有国の核軍縮を進めることなく措置することは難しいのであって、保有国の核軍縮を十分進めながら、保有国並びに非保有国双方が納得する新たな核管理体制に向けて努力すべきである、そういう核管理体制を新たに創造すべきである、こういうように考えます。  もちろん、世界に核抑止力の保有が不要になるか、ゼロにしていいのかということになりますと、これは大変問題がありまして、現在のように人類が核を保有した以上、核兵器の絶滅は非常に難しいので、国際的に管理された核抑止力の保有というものはなお維持しながら、今後の検討にまちながら抜本的な体制をとるということが必要であると私は思いますが、総理並びに外務大臣の見解を承りたいと思います。  最初に、外務大臣にお願いいたします。
  85. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) ただいまも御答弁申し上げましたが、NPT、CTBTあるいはカットオフ条約、こうした形で現実的に処理をしようという形で国際社会努力いたしてまいりましたが、これがインド、パキスタンの核実験によりましてどこへこれから行くのかという大きな問題を提起されておるわけでございます。  そういった意味で、五大国自身の核の削減というようなことにつきましてもこれから国際社会意見を申し述べていかなきゃならない。特に、我が国といたしましても、核をかりそめにも持つことの可能性があると言われる国々も、その国の方針としてそうしたことをしておらない国がおられますから、そういった国々とも十分話し合いながら、保有国についても核の削減について一層の努力をしていくということでありませんと国際的な世論というものは納得されない、こういう形になるんだろうと思っております。  ただ、核の問題につきましては、その抑止力というのは軍事的な側面もございますから、そうしたことはそうしたこととして勘案しなければならないのかもしれませんけれども、核の問題についてはやはり究極の目標に向かって努力をしていく必要があると思っております。
  86. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、外務大臣から答弁を申し上げましたことに尽きるのかもしれませんが、今NPTは百八十六カ国が締結をして、いわば普遍的な条約になっております。  確かに、インド、パキスタンのほかにも、イスラエル、キューバ、ブラジルなど、NPTを締結しておらない国はございますけれども、このうちブラジルは加入の意向を既に表明していると報告を受けております。また、CTBTも未発効ですが、既に百四十九カ国が署名をし、世界の国々の大半が支持する条約となりました。また、カットオフ条約の専門家会合を先般日本が主催をいたしましたときにも、インド、イスラエル等はこれに加わってまいっております。  日本としては、核保有国そのものの核の削減を当然のことながら求めつつ地道な努力を積み重ねていく、これが最終的な目標に到達する結局は一番の早道ではないか、そんな思いで地道に取り組んでまいりたい、今、そのように考えております。
  87. 永野茂門

    永野茂門君 時間が参りましたので、これで私の質問は終了させていただきます。  ありがとうございました。(拍手)
  88. 堂本暁子

    堂本暁子君 行財政改革に対する総理の御努力、そして熱意を評価させていただきたいと思っております。  ただ、さまざまな障壁があることを大変残念に思っているのですが、我が国の明治時代以来の官僚制度、もういささか古くなっておりまして、二十一世紀には通用しないということで、今回の中央省庁等の改革は効率だけではなくて質的転換が大事ではないかというふうに思っております。  その重要な問題の一つとして、設置法の権限の問題をきょうは伺いたいと思っております。結論から申しますと、私は廃止すべきだというふうに思っております。それは、総理の権限強化、そして内閣の権限強化と矛盾するのではないかという考え方からでございます。  例えば、各省の事務分担がはっきりしないというような議論が今まで行われていますが、それは設置法の所掌事務と、それからその範囲内での各個別の法律に基づく権限で十分ではないか、むしろ逆にその域を超えるべきではないというふうに考えます。  それから、不測の事態といったような議論も行われました。この場合こそ総理の権限が行使されなければいけない、内閣の権限が行使されなければいけない、あるいは国会の権限が行使されなければいけない。そこで省庁の権限が出てくるということは、やはり今まで裁量のために非常にあいまいなことが行われてきてしまったというふうに思っておりますので、ここはあくまでも総理の権限強化ということを大事にするためにも、省庁の権限規定というのはなくていい。  先ほどの審議官の答弁では、今後検討するというようなことでしたが、これは事務的に検討する問題ではない。今回の改革のある意味では本質にかかわる問題、それはあくまでも行政が今まで相当な権限を持ってやってきたことを総理並びに内閣に移譲するということがこれから二十一世紀では非常に大事だと思うんです。  そこの決定を事務的に行うのではなくて、やはり国の決定としてどれだけ早く行えるか、それから外国との関係でどう総理が実際判断して交渉できるかといったようなところまで含めて、私はこの権限規定というのがあってはならないと考えておりますので、総理の御見解を伺いたく存じます。
  89. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 他の院のことになりますが、衆議院で同じ御指摘をされましたある議員が非常におもしろい図を示されました。その真四角の紙、これを完全に線で引きまして、すべてその四角が積み重なる空白のない図面が一枚、同じ図面に、大小の丸が散りながら空白の部分を残している図面、私はこれを大変興味深く拝見いたしました。  その議員がイメージされましたのは、その四角のびっしり詰まった、これが現在の日本行政の仕組みであり、いわば裁量行政というものにより国民行動のすべてが法の事前の管理のもとにかかる、そしてもう一枚のその空白に丸を大小描かれましたのは、あるべき姿として、行政府は存在をするものの一定のエリアにとどまる、そしてその行政の全くかからない空白の部分が国民生活の中に存在する、そういう図面を示されながら、議員同様、所掌事務が明確であれば権限規定は必要ないのではないかという御指摘でありました。  私は、今、議員の御質問も同じなんですけれども、事前裁量型のあるいは事前管理型の行政、その裁量の幅を残した行政から、明確なルールに基づき、その上での事後チェック型の行政に変わらなければならないという点は、全く意見は変わりません。そしてその上で、各省の裁量による恣意的な行政というものを排除するためにも、むしろ行政指導の乱用を招くことがないように、設置法の権限規定は逆に私は検討する必要があると思っております。  言いかえれば、そのときに必要な視点は何かといえば、まさにその事後チェック型の行政である、そういう方向に持っていく。そのためにも、行政指導の乱用あるいは裁量による恣意的行政を排除するために行政機関の行為の範囲を明確にする、その上で、臨機の複雑多岐にわたる行政活動の柔軟性を損なわない、こうした観点は必要であろうと思います。  そうした思いを持ちながら、それぞれの設置法のあり方というものは今後十分検討させていただきたいと思います。
  90. 堂本暁子

    堂本暁子君 伺いたいこと多々ございますが、時間でございます。  ありがとうございました。
  91. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  92. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、中央省庁等改革基本法案を議題とし、厚生省外四省庁を中心として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  93. 阿部正俊

    阿部正俊君 自由民主党の阿部正俊でございます。  行政改革の集中審議ということで、文部、厚生、労働、科技、環境の諸大臣方々を中心に少し論議をさせていただきたいというふうに思います。  行政改革省庁再編基本法案、改めてそれぞれの省庁に関するところを読ませていただきましたけれども、正直言ってどうももう一つイメージが伝わってこないなという感じがしないわけではございません。  総理が、明治維新を第一、それから戦後の復興といいましょうか、あの体験が第二、それから次が、今論議されつつある行政改革三つ目のエポックメーキングな時代の転換点である、こんなふうなことをよく申されます。  さて、明治維新というのはこんな状態、非常に冷めたような雰囲気の中だったのかなというふうな気がしないでもありません。あるいは、戦後の大きな変革というものと比較しても、どうも何となく言葉だけ先走りしておって、世の中、本当にその気になってやろうとしているかどうかということについてはいささか疑問なしとしません。特に、火だるまになってもというのをよく総理が言われますけれども、いつ、どこで、どういうふうな形で表現されたかわかりませんが、その割には当のお役人さんは、失礼ですが、大臣方々も含めまして、少しさめているんではないかなという感じがしないでもありません。  きょうは総理がおられませんけれども、総理のかわりと言っては何ですが、総務庁長官、どうも行政改革省庁再編というふうな大きな変革点、あるいは総理の熱意という割には、お役人さん方の熱気があるのかなと。どうでしょうか、きっちり、いや大変だというようなことでこれはもうやろうというふうな気になっているのかどうか、熱気が伝わっているのかどうか、その辺について、ちょっと最初にお伺いしておきたいと思います。
  94. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 私は、昨年の十二月三日前後、いわゆる行政改革最終報告を取りまとめるあの前後におきまして、行政改革、しかもその基本的な突破口である中央省庁再編問題、これがいよいよ軌道に乗るのかな、そういう実感が出始めてきた前後ではなかろうかと、そういう感じを持ちます。  もとより、行政改革審議の過程におきましても、国会を初め内外皆様方の各方面の叱咤激励も多々ございました。最終報告をまとめまして、そしていよいよ法案化にかかりますよと、そういう状況にだんだん進捗してまいったわけでございますが、さめたと申し上げまするよりも、むしろ冷静な雰囲気で、役所の職員の皆様方もそういう視線で見てこられたのじゃないかなと。  越年をいたしまして、いよいよ基本法案が具体化をしてまいりました。このよう基本法案という大変重要な目標、そして役割、使命感を持つ法案の作成でございますから、ただひとり幹部のみが幾ら力んでみてもできる話ではございませんでして、その間におきまして、各省庁の幹部の皆さんを初め職員の皆さんの前向きの協力があったればこそと、さように評価を申し上げております。  なおまた、近々におきましては、御承知のとおり、省庁再編ありきという、むしろ国会意思の確定を待つまでもなく、一応国会意思を確定していただいたときにはできるだけそれに手がたくおこたえしなければならないという準備行為の意味も含めまして、各省庁間におきまして一府十二省庁一つの焦点に置いた連絡会議等も行われておりますことは御承知のとおりでございます。
  95. 阿部正俊

    阿部正俊君 さめたというふうに言うか冷静だと言うか、言い方はあるのだと思いますけれども、どうかひとつ、役人さんの意識改革ということがなければやはり行政改革というのはうまくいかないのだろうと。そちらの方に二、三十人の政府委員の方がおられます。多分、行政改革ということは、例えばこの政府委員方が半分になる。あるいは、ここに並んでいる秘書官の方々二十人ぐらいおられますけれども、二十人までいかないか、多分半分になる、こういうことなんだろうと思うんです。  行政改革といいますと、組織のいろんな再編というのは非常に冷静に見られるかもしれませんけれども、一面お役人さんを半分にしたり、半分とは言いませんけれども相当減らしたり、あるいは意識も今までのスタンスと変わるという意味では、私は行政改革というのは役人像の改革であるということにつながらなければ本物じゃないんじゃないかな、こんなふうに思えてなりません。そういう意味で、先ほどの総務庁長官の御発言はそのままちょうだいしておりますけれども、もう少し突っ込んで、いわゆる役人像ということについて物を見させていただきたいなというふうに思います。  行政改革理念のときによく、午前中も総理がおっしゃっていましたけれども、事前調整型から事後チェック型へというようなことを申されました。これは、役人責任の持ち方というのとも絡んでくる話ではないかなというふうに思うわけです。逆に言えば、国民の方から見ますと、何でも役人がやってあげるからおれに任せろみたいな形で今まで来たような気がするのですけれども、今度はそうじゃなくて、事前調整じゃなくて事後チェックということは、逆に言うと、国民というか行政の対象と言ったらいいんでしょうか、相手さん方には自己責任を持ってもらわなきゃいかぬ、こういうことが出てくるのだろうなという気がするわけです。  そうすると、今までのお役人さんというのは、例えば情報公開問題一つ取り上げましても、ただ隠しておくということじゃなくて、何かすべてお役人さんがやってあげる、それに責任を問われるというふうなことなのでどうしても隠したがるということがあったのではないか。そうじゃなくて、今度は事後チェックだということになれば、オープンにして、それに一定程度の行為といいましょうか、情報公開をしまして、そこまで来たのなら、そこから先は役人責任は問われないということになりますので、役人さんの国民と向き合うときのスタンスの違いというのがどうしても必要になってくるんじゃないか。そういう意識になっていただいておるかどうかということになると、まだまだという感じがしないでもありません。  従来型で自分の権限を拡大するというよりも、一生懸命だと思うんですよ。結果的にそれで拡大していく、それで自分が裁量の範囲で責任をとらされるものだから事前に余り言わないというふうな姿勢になってくる、こういうことだと思うんです。それはやっぱり変えていかなきゃいかぬのじゃないかなという気がするわけです。言ってみれば、そうなるとこれからの行革型の役人像というのは、まさに大きな権限から小さな権限になりましょうし、それからいわば無限責任から限定された責任といいましょうか、事後チェックなんですから当たり前の話ですけれども、あとはできるだけオープンにやりましょうと、こういうことになってくるんだと思うんです。  そういうふうに考えていいのかなというふうに思いますし、そういう意味で、それがこれからの行政改革というふうな性質に沿った役人像のまず基本なのではないのかなという気がしますけれども総務庁長官、そんなふうに受けとめるというのは間違いかどうか、ぜひお答えいただきたいと思います。
  96. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 議員から御指摘がありますように、折しもと申し上げていいんじゃないでしょうか、この大行財政改革が計画をされる、断行される、この前後におきまして現任の役人皆さんは、あるいは役人像という表現でございますが、非常に私はその意味におきまして重大な試練に立たされておいでになる、そういう一つの認識を申し上げております。  従来、長い伝統組織の中で志を持って役所に入った。そして仕事を計画して職務遂行に当たっておられる。たまたまその働かれる一つの環境、組織、舞台というものが根本から変革を求められるし、求められるのみならず、求めるその変革の舞台づくりにも参加をしなければならないわけでございますから、その意味におきまして大変な一つの仕事の条件変化だなと。そのようなことから、今お話がございましたように、例えば行政改革の焦点、大きな権限から小さい権限へ、あるいは無限責任から限定責任へ、そういうふうに一つの基本が大変革をしていくわけでございます。  したがいまして、私ども政府といたしましても、ついては昨年の暮れでございましたか、役人像の改革であるとの観点から、先ほど先生も若干お触れになりましたように、役人の評価システムをどうしていくのか、改革に積極的な役人を評価するための新しい発想があってもいいのではないかと。先生は今そういう一つの意識でお話があったと思うのでございますが、私どもも今後の改革検討の基本的な方向として、客観性の高い人事評価システムと能力、実績重視のいわば昇進、管理の確立が必要であると。そういうことを検討いたしました。そして、公務員制度調査会におきましても、この検討を踏まえていただきながら、今後の人事評価システムのあり方について幅広く御検討いただきたい。そしてまた、行政改革の推進に真摯に取り組む職員の適切な評価と処遇のあり方はその際の重要な検討課題の一つであると。そういうことを閣議等も了解をいただきまして進めているところでございます。
  97. 阿部正俊

    阿部正俊君 ありがとうございました。  私も役人で三十年間お給料をちょうだいしてやってきました。一般的に言いますと、役人というのは、必ずしも悪意じゃないと思いますけれども、自分の持っている仕事をできるだけ一生懸命やりたい、余り失敗しないでやりたいというふうな習性がどうもあるんですよね。私は少しはみ出していたかなと自分では思うんですけれども、一般論としてやはりどうしても今までの形を温存し、かつ拡大していくというような発想で物を考えてきたのが今までの役人さんで、それは決して悪いことじゃないんですが、そういう習性というものがどうしても身についているような気がしてなりません。  病気に例えれば、厚生省で今度成人病じゃなくて生活習慣病という名前になりましたね。やっぱり生活習慣病なんだろうと思うんです。だって、行政改革ということで省庁再編したから、二つの省が一つになったからとかなんとかという外科手術的なことで私は役人の意識というのは変わらないんじゃないかなと。生活習慣病というのは本人がその気にならなきゃ絶対治らないわけですよ。厚生大臣にも後でお聞きしますからよく聞いてもらいたいんですけれども、やはり手術したり薬を投与したからといって生活習慣病は治らない。自分がその気にならなきゃだめだと思うんです。ここにたくさんお役人さんがおられますけれども、その気になっている人は、一人一人確かめていって、本当にどうなのかなという感じがしないでもないんです。  やはり大臣、閣僚としてこれからこの行政改革について、恐らく総務庁長官責任者でしょうけれども、閣僚としてもお一人お一人サインなさっているわけですから、自分の省庁役人の意識改革も含めてやっていくんだというふうな意識を皆さんにどれほどお伝えになっておられるか、あるいは役所からそういうふうに出してこいということをおっしゃっていただいているか少々疑問でございます。何か自分の役所がもう侵されないようにするみたいなところをむしろ応援している、そういうふうに今までどおりの雰囲気で過ごされているような、それは間違いだというふうにおっしゃっていただければ結構でございますけれども、そんな気がしないでもないわけです。  ということで、端的に言いまして、これから本当に権限は縮小する、組織は縮小する、それから今まで余計なパターナリズムでやってきたことはやめる、できるだけ簡素な行政組織、あるいは役人の仕事の範囲というものを狭めていく方がどっちかというとすぐれた役人なんだよと、本当ですよ、本気ですよというふうなことを本当に皆さんおっしゃっていますか、あるいは役人が考えていますか。そこはやっぱりこれから確かめてみなきゃいかぬことなんじゃないのか、こういう法律をいかに立派に出しても一人一人の生活習慣病は多分治らないんじゃないかなと、こんなふうな気がするんです。  そういうふうに、今までの権限拡大、いいことをしてあげるというふうなことよりも、むしろ簡素な行政、それは世代を超えた国民に対する基本的にはいい行政だと思うんですね、長い目で見て。それを目指すのが役人の本来のあり方だよというふうなことをいわばどんどん言ってこられるような雰囲気づくりというのが大変大切なんじゃないかなと思うんですけれども、大臣の代表として総務庁長官と、あと科技庁長官にちょっと一言ずつその辺の感覚についてお答えいただきたいと思います。
  98. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、新しい役人像として阿部委員がおっしゃったことは、おおむね私もそのように考えております。  それで、私どもの役所はこの数年動燃という失敗の経験がございます。その中で何が指摘されたかということになりますと、はしの上げおろしとまでは言いませんけれども、先ほど先生のおっしゃったパターナリズムというようなところもあったんだろうと思いますが、動燃に対していろいろ指導をする、その反面また動燃も自己責任で物事をやっていくということよりも、科学技術庁の顔を見ながら仕事をしているというところがあったように思います。その両者の権限と責任を明確にしていなかったということがいろいろな癒着を生んだんではないかというのが、この間いろいろ議論をしてみた一つの結論でございます。  したがいまして、方向は阿部先生がおっしゃったとおりでございますけれども、その前提として私ども政治行政あるいは行政官に対して明確に権限を与えていく、権限と責任を明確に与えていくということを我々政治の側もやらなければならないんではないかなと、こんなふうに感じているところでございます。
  99. 阿部正俊

    阿部正俊君 それでは、時間も余りありませんので次に進みたいと思います。具体的に各省庁ごと一つ二つずつ挙げながら、法案審議というふうな形で進めたいと思います。  最初にこの法律の二十五条、「労働福祉省の編成方針」というのがございます。これで一つ二つお尋ねしたいんですが、いわゆる省庁の名前につきましては午前中の質疑でもありましたので、政府全体として何らかの検討がされるんだろうというふうに思いますが、それは触れません。  ただその中で、例えば四号に「労働関係の変化に対応し、その調整に係る行政を見直し、縮小すること。」と、こうあります。役所全体でも一省で十局以下ということを目標にすると書いてございますし、公務員の数も相当削減をするというふうなトータルの目標も掲げてありますから、おれのところは違う、おれのところは違うというのじゃやっぱり目標は達成できませんので、例えばこの四号なんかについてはどういうイメージで組織及び人員、それからこれからの行政機能を考えておられるのか、ちょっと簡潔に労働大臣にお答えいただければと思います。
  100. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) これは総務庁長官からお答えするのが適当だと思いますが、この法律の構成としては、まず十五条というものがあって、この十五条を受けて御承知ように別表がございます。この別表の中に書いてあるのが新しくできる省庁の基本的な権限でございます。そして、先生の今御指摘の二十五条は、この別表を受けて各省庁設置法をつくる場合の注意事項というんでしょうか、行革会議で議論をされたことを国会意思として確認してもらうためにここへ書いてお出ししていると、こういう前提だと思います。  そういう前提で申し上げますと、先ほど来の御議論で権限の縮小をする役人がいいんだというお話がございましたが、私は実は率直に言ってそうは考えておりません。まず、政治家というものが歴史の流れの中で今というものを考えて、そしてどの権限を残すのか、そして何を自由化するのかということを明確にやはり議院内閣制でありますから政治主導で話してやる必要が役人に対してはあると思います。従来より当然役人に与えられた権限は少なくなっていくでしょう。その与えられた権限の中で役人はのりを越えず一生懸命仕事をしてもらう、これが私は理想的な役人像だと思います。  今の労働関係の問題について言えば、労働組合と使用者側の紛争はこのところずっと減っております。しかし、労働者個人と経営者との間の紛争は逆にふえております。というのは、残念ながら組合員の組織率が落ちて、組合がそれだけ魅力がなくなったというか、今は組合に頼らなくても暮らしていけるというふうに労働者は思っておられると思いますので、そういう問題に対応できるところはやはりきっちりと残しながら、組合と使用者の間のトラブルを昭和二十年代、三十年代のように大きな門構えでやらなくてもいいんじゃないかというようなイメージで設置法をつくり省庁のあり方を考えていくんだと、こんなふうに考えております。
  101. 阿部正俊

    阿部正俊君 それでは、同じ条で、第八号に社会保険の徴収事務の一元化をすると、こう書いてあるわけです。「健康保険、厚生年金保険、労働者災害補償保険及び雇用保険に係る徴収事務の一元化」と、こうなるわけですね。この二十五条の条文については、労働大臣はいわば注意事項という程度に言われましたけれども、ただ編成方針なんだと思うんです。ということは、基本原則なんだと思うんです。その他の御注意願いたいということではなくて、省庁再編成するわけですから、そのときの編成の方針なんだということを考えますと、この八号なんかはまさに、今二重になっているわけですけれども、どういう形で一元化するのかイメージをそろそろ持たなきゃいかぬ時期なのではないか、どういう問題認識に立つのかということを厚生大臣にお願いできればなと思いますけれども、どうですか。
  102. 真野章

    政府委員(真野章君) 先生御指摘のとおり、二十五条の八号に社会保険と労働保険の徴収事務の一元化を図ることということになっております。  御承知のとおり、社会保険と労働保険は、例えば適用対象それから保険料の賦課をする対象の所得それから保険料の納付方法、こういうところが異なっておりますが、いずれも被用者を対象とした制度ということで、保険料につきましては事業主を通じて徴収するということで、現在それぞれの制度面から規定がされているところでございます。  私どもは、制度はそれぞれ異なってはおりますが、こういう点に着目をいたしまして、できるだけ共通化、簡素化を行うということによりまして事務処理の効率化や事業主の利便ということを考えた仕掛けにしたいというふうに考えております。
  103. 阿部正俊

    阿部正俊君 いま一つ、どういうふうなことになるのか、先ほどの行政改革を積極的に進めるのがいい役人だということからすると食い足りないなという感じがしないでもないんですが、これからのことでしょうけれども、どうかひとつ積極的にお願いしたいなと思います。  次は、せっかく文部大臣も来られていますので、二十六条になりますが、この中に国立大学について触れでございます。「教育科学技術省の編成方針」が二十六条ですが、その中の四号に「国立大学の組織運営体制等の改革その他高等教育の改革を行うこと。」とあるんですね。改革を行うことが改革の基本編成方針だというのはどういうことなのか、正直申しまして。改革することが改革することの基本方針だという意味ですよね、これ。それは何らかの編成方針を示したことになるのかな。素人論議かもしれませんけれども、そんなことあるのかな。  一方で、じゃ、もとはどうなっているかということで行政改革会議最終報告を見てみました。そうしましたら、ちょっと違うんです。「国立大学の自律的、主体的な組織運営体制の整備、各大学の自己責任体制及び評価制度の確立」と書いてあるわけです。これを最大限尊重すると言われるこの法律がなぜ、何か知りませんけれども、国立大学の改革をするんだよということだけになってしまったのか。あるいはこういう編成方針というのは余りにもおざなり過ぎるんじゃないかなと率直に思うんですけれども、文部大臣の御決意と御感想と、なぜこう変わったのかということあたりについてのお話をお伺いしたいと思います。
  104. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) お答え申し上げます。  二十六条は言うならば柱をいろいろ書いてあるわけでありますが、国立大学につきましては、委員が今御指摘の行革会議の御指摘について、四十三条の二項という部分がございまして、ここで国立大学のあり方、産業、地域社会との連携でありますとか、あるいは教育研究の評価、情報の公開、人事・会計、財務の柔軟性向上、大学の運営における権限及び責任明確化、事務組織の簡素化、合理化等々のことはむしろこの四十三条二項の方に行革会議の御指摘が、全く同一の文章ではございませんが、同趣旨のことが書かれているわけでございまして、私どもはそういう受けとめ方をしております。  そして、具体的に今どういうふうにやっておるかといいますと、昨年の秋に大学審議会に諮問をいたしました。近々中間報告をいただく予定にしておりますが、今ここに指摘をされているような学部教育のあり方、大学院のあり方、あるいは大学の組織運営のあり方等々につきましては、今月末に審議の概要というものを公表させていただいて、皆様方の御意見をさらにいただいた上、秋には答申をいただく、このことによって行革会議の御指摘をしっかり文部省としても受けとめ、そして新たな教育科学技術省の中でそれを生かしていきたいと考えているところであります。
  105. 阿部正俊

    阿部正俊君 大変失礼ながら、お役人がおつくりになった御答弁をそのまま読まれているような気がしてなりません。  やはり本当の意味で、日本の第三の国難と言われる今の状況を打破し、これからの国際社会における日本の役目を果たしていくと考えれば、大学教育というもののあり方というのはやはり相当大幅に私は変えなきゃいかぬのじゃないかな、そこから教育改革の根本が始まっていくんじゃないか。  むしろ小学校、中学校というよりも大学教育のあり方というものが他の先進国と比べて日本は非常に違っているということだけは事実であるし、もうそれでなくても大学進学率が五割に近づこうとしている現在、これから先、大学教育というのは、これは私の意見ですけれども、相当自由化するというふうな中、国立大学だからこちらのサプライサイドの方から金を出してコントロールしていくという時代ではもうないんじゃないか。むしろ、極論すれば、国立大学向けの金をやめて全部奨学金制度に回す、あとは自由にしなさいという形で、教育の自由というのが生まれないと、これからの大学を含めた教育の本当の個性に合った力というのは私はついていかないんじゃないかというような気がしてなりません。
  106. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。  この行革会議の報告はたしか十二月の三日であったと思いますが、私ども十月の末に既にこうした問題意識を踏まえながら大学審議会に諮問をいたしております。今ここでゆっくりとその諮問の内容あるいは近々出てくるであろう概要を十分に御説明するためには十分、二十分必要でございますが、それは省略をすることにいたします。  問題意識といたしましては、今まさに阿部委員が言われたような、このままいくと日本の大学というものは国際社会の中で取り残されてしまうという非常な危機意識、あるいは現実に大学の質というものを見たときに、かつてのように大学進学率が一割、二割のときならいざ知らず、短大を含めて五割になんなんとするこういう状況の中で、本当に今までどおりでいいんだろうかという、極めて危機的な状況にあるという問題意識のもとで、私どもは、私自身も相当手を入れて諮問を出して、今そういう意識で御議論をいただいております。  ただ、では国立大学はどうあったらいいかなということについて、一部には完全民営化をしたらどうだとか、あるいは独立行政法人にすぐしたらどうかというような御指摘もありました。私は、いささかそこは考えを異にしておりまして、やはり国立大学は国立大学でなければ果たし得ない役割というのが日本のこれまでの、それぞれ国によって違いますよ、国によって違いますけれども、やはり日本の中にあっては私立大学と国立大学のおのずと果たすべき役割が私はあると思います。  そういう意味で、国立大学は例えば理工系の教育、お金がかかるものですから、これを全部私学に持っていけば日本の理工系の教育あるいは研究というものが非常に劣化をしてしまうということでありましょうから、私は、日本の今の状況の中ではこれはやっぱり引き続き国立大学でやっていく必要があるであろう。あるいは全国に相当私大ができたとはいうものの、八割までの学生がやはり大都市におります。地方における教育というものをどうしたらいいかということを考えると、そこは一定程度国立大学の果たすべき役割もあるだろう。あるいは大学院というものを見ると、私立大学も強化をしているけれども、現状ではなかなかそこまでの水準には来ていない、やはり高度な研究というものは国立大学で先端的にやっていかないと国際競争に追いつかないといったような状況。  したがいまして、私は現状のままで全くいいと申し上げるつもりはございません。さらに効率化すべき点、国際的なスタンダードに合わせていくべき点は多々ありますし、思い切った大学改革をそれぞれの大学に求めていきたいし、中には、今のままの国立大学の姿ならばもう当然ながら廃校ですよと、このままいけば廃校する国立大学も出てきますよということを私どもは国立大学協会の場などで申し上げながら改革を今迫っているところでございまして、決してのんべんだらりとやるつもりもありません。ただ、残すべき点はやっぱりしっかり残しながら改善すべき点を思い切って改善していく、そういう基本方針で大学審の答申を近々いただく、こういう作業を進めているところであります。
  107. 阿部正俊

    阿部正俊君 大臣の積極的な御意見、どうもありがとうございました。文部省のお役人さん方にもそういった趣旨でさまざまな改革の案を出してもらうように大いに、むしろ黙っているよりも改革の方向を出す役人がいい役人だよというふうなことをきちっと大臣の口から申し上げないと、役人というのは後が怖いものですからなかなか言わないんですよ。どうかひとつその辺、私も役人をもとやっていたものですから、習性としてそうなんで、ぜひ大臣の口からその旨をおっしゃっていただきたいと思います。(「大臣から聞け」と呼ぶ者あり)  何か厚生大臣の方を見て、大臣から聞けと言っている人もいますから、厚生大臣どうでしょうか。もと私も厚生省にいたものですから、厚生大臣からもそうしたふうなことをぜひ、要するに黙っているよりも、こうしたい、ああしたい、こう改革よう、こうしようと言う方がこれからの役人としてはいい役人なんだよというようなことをおっしゃっていただきたいと思いますけれども、厚生大臣どうでしょうか。
  108. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 基本的にこれからはみずからの権限を手放してもいいのではないか、仕事を減らすということにもっと積極的になるべきではないかということを私も常に役所では言っているわけです。国民のためにどれが必要かということを主眼に考えるべきであって、みずからの権限とかあるいは縄張り意識を捨てて頑張ってもらいたいということは常に言っております。  これは、役人自身も大事でありますが、もっと大事なのは政治だと思います。政治が主導権を発揮しないと、国会というのは国民のためにあるんですから、役人と一緒に既得権に振り回されるよう政治だったらどうにもならない。  かつての幕末、第二次大戦、いずれも既得権を維持しよう、既存の制度を維持しようという勢力と、徹底的に壊そうという勢力の戦いがあったからこそあの大改革ができたんです。幕末もそうです。幕府を守ろうという勢力と、徹底的に壊そうという勢力との内戦。第二次世界大戦も、日本の国体、日本の秩序を維持しようとするのが外国勢力にこてんぱんにやられたんですから。それで改革になった。  ところが、今回の改革というのはまだそこまでの意識がない。戦争によって改革できた、非常時の改革だからあきらめを持って改革に臨むことができた。今回は平時の改革ですからそれだけ難しいと思います。そういうことを考えますと、役人以上に政治家が改革の意欲を持つこと、それが大事ではないかと思います。
  109. 阿部正俊

    阿部正俊君 ありがとうございました。  私もそんなふうな気がするわけで、何とか平時で改革ができたら、本当に日本始まって以来のある種の静かな革命だというふうにも思いますが、どうかひとつお願いしたいと思います。  同じよう意味で、国民に対してもやはりそれなりの御覚悟を持っていただかなきゃならぬことも事実ではないかなと。現に生きている世代の人たちが利害の調整をうまくやって、行政改革はだれかがうまいことやればうまくいくんじゃないかということでは済まないんだろうと思うんです。国民の受けるサービスもあるいは減るかもしれません。あるいは自己責任が問われるかもしらぬというようなことも、やはり私ども政治家の端くれとして語っていかなきゃならぬことだろうなと思います。  その例として、環境庁長官に一言お尋ねしたいんですけれども、CO2の問題で京都会議がせんだってございました。その後、産業界でもこういうふうにしますとか、あるいは車もハイブリッドカーをどうするとか、太陽熱電池をこれぐらいまでふやすとかいろいろありますけれども、一番基本になるのは、私は国民の消費行動あるいは生活行動というのを変えていくというふうなことをしなきゃいかぬことなのではないかなと。そうでなけりゃ最終的にはCO2は減らない。でも、国民の意識はどうも、大木長官が京都で一生懸命頑張っている割には、何か六%、七%、八%でうまく国が役目ができるかなみたいなことを、何か他人行儀に物を見るような感覚で見ていた人が圧倒的に多いのではないか。  考えれば、これから先、地球規模のことを考えるまでもなく、本当に日本国内だけでもやはり相当国民の消費行動なり生活行動なりを変えていかなきゃいかぬのじゃないか、こんなふうに思うんですけれども、その辺きっちりやはり国民も変わってくださいというようなことを積極的に呼びかけ、かつ何がしかの行動を促していく施策というのを打ち出していかなきゃいかぬのじゃないかなと思います。一言ちょっとお願いします。
  110. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) 私も短い経験でございますが、環境庁長官として、今環境問題でいろいろ議論がされておりますが、日本を考えましても、今おっしゃったような地球温暖化というような非常に全地球的な問題あるいはオールジャパン的な問題と、もう一つ、最近のいろいろとごみの処理のように非常に地域的な問題と二つあると思うんですが、今のお話はむしろ初めの方の問題ということでございますので、それに絞って私の感じを述べさせていただきます。  今度の京都会議の結果合意されましたこと、いろんな分野にわたっておりますし、まだ実は具体的にどうやっていくかということについても十分に詰め切れていないところが非常に多いというわけでございますから、できることはまずやろうということでございまして、これは主として通産あたりが関係の業界とも協力して省エネということをやっていただく、あるいはよりクリーンなエネルギーへの転換というものをやっていただくと。これはかなりはっきりと目に見えることでございますから、これはやっていただく。  それからもう一つ、よく言われますが、運輸交通部門でございますが、これもひとつできるだけやっていただく。これは自動車の燃費をよりCO2削減の方に向けてやっていただくということで、これはそういった自動車をつくっていただくということと、それから、無用とは言いませんけれども、不要不急の自動車の使用はできるだけ抑えていただく、これも一つ目に見えるところと。  そうしますと、今おっしゃいました国民一般の言うなればライフスタイルを大いに変えていくというところ、これがまさしく今の御質問の焦点だと思いますが、これはなかなか正直申し上げまして時間がかかると思います。これからまさにそれは広い意味での教育から始まらなきゃいけませんけれども、できるだけひとついろんな場を設けて、例えば子供の教育でいえば、そういったいい環境に接して環境というものの重要さということを理解していただくというようなこともありますし、あるいは各市町村、特に市、政令都市あたりぐらいのところが多いんですけれども、各地域でまたそういった地球温暖化の、CO2削減計画をつくっておられますから、これはまたいろいろと具体的なものを並べておられますから、これはひとつ大いに実施していただきたいと思っています。  ただ、長くなって申しわけありませんけれども国民一般には、やっぱりライフスタイルを変えていただくという問題でございますから相当気長にやりませんとなかなかうまくいかないんじゃないか。ただ、そのためには具体的に何をやるかということを、私どもとしてはこういうことをやっていただきたい、あれをやっていただきたいというようなことを実例を並べまして、いろいろなそういったものをやっていただけばどの程度に削減効果があるかというようなことをまず量的にも少し理解していただきまして、国民運動をひとつ強力に進めていただきたいというふうに考えております。ただ、ちょっと時間がかかるんじゃないかなということは実感として持っております。
  111. 阿部正俊

    阿部正俊君 多少不満といいましょうか、あれですけれども、やはりそういうふうな行動を促す経済システム、構造というものをこれからつくっていかなきゃいかぬのじゃないかなという気がするんです。道徳論として、国民に変えてくださいとお願いをするものではないだろうと思うんです。やはり経済のシステムとしてどういう構造が環境庁なら環境庁が目指すこれからの社会にふさわしいのかということを国民に率直に私は訴えていくべきじゃないか、むしろそういう経済システムを導入しなきゃいかぬのじゃないか、こんなふうに思うことを申し添えます。  最後に、残り十分ですが、実験をいたします。  きょう私は、行政改革は結局役人像の改革である、役人の意識改革がなきゃいかぬのじゃないかなというふうに思って質問してきたつもりなんです。きょうは、政府委員という制度もありますから、政府委員で今局長さんになっている人たちは来年、再来年あたりあるいは公務員を終わるかもしれませんので、未来の公務員としてどういう公務員を考えるのか、お役人としての行政改革に取り組む決意なり自分なりの意見というものをそれぞれお持ちだろうし、また持っていただきたいというふうに思いますので、大臣には、ひとつ何を言っても、あいつはだめだとか何とかは絶対言わないということをお約束いただいて、できたら二つか三つぐらい積極的なことを提言できないよう役人ではどうかねというくらいのお気持ちで、御答弁いただくことをお許しいただいてよろしゅうございますか。――ということで、政府委員にお聞きしたいと思います。  代表的で申しわけないんですけれども、当たり外れで不運と思って覚悟してもらいたいんですが、一つは文部省の方にお伺いします。これは事前にお調べして、まだ局長でない方で政府委員になっている若い方ということだったら高総務審議官がおられるそうですが、四十五年、文部省に志を持って入られ今日まで来たそうですけれども、二分から三分で結構ですが、御自分の文部行政のこれからの改革について御所見をひとつ自由に、大臣が約束してくれているんですから、むしろ積極的なことを言わなきゃだめだよぐらいな感じで約束していただいているんですから、どうかひとつお述べいただければと思います。  その後、二、三分いただいて、厚生省の、これも同じよう意味で一番年の若い、四十四年入省の田中総務審議官、両方ともたまたま役目柄こうなったのかなという、この辺もちょっと私は不満なんですけれども、田中総務審議官に、同じように三分以下ぐらいで御自由に厚生省の将来の行政機構及び行政改革についての自分の意見というのをひとつお述べいただきたいと思います。お願いします。
  112. 高為重

    政府委員(高為重君) 私は、正真正銘この四月から政府委員になりましたので、最も若いといいますか、年はそんなに若くはありませんが、そういうことでございます。    〔委員長退席、理事高木正明君着席〕  御承知よう行政改革、教育改革、いずれをとりましても大変難しい課題だと認識しておりますが、いずれにいたしましてもやり遂げなければならない重要な課題だと認識しております。そうした時期に改革の一端を担うことができますことは、個人としては大変だと思いますけれども、公務員としては大変幸運なことではなかろうかと思っております。いずれにいたしましても、二十一世紀の子供たちに禍根を残さないように、微力でございますが、全力を尽くしたいとまず思っております。  教育には、委員承知ように、時代を越えて変わらぬ価値を次の世代へ伝えていくという基本的に保守的な面があるわけですが、しかし、時代に伴って変化をしていくことに鋭敏な感覚でこれをとらえて、どういう改革が必要なのかということをできるだけ本音で議論がしていければと思っております。  と申しますのは、これは必ずしも教育の分野だけに限らないと思うんですが、私の三十年弱の経験からいたしまして、教育というものにつきましてはいろんな意味で配慮をすべき事項がありまして、必ずしも本音ベースでの議論がなかなか過去しにくかったというふうに思っております。そういう意味で、できるだけ本音の議論がしていければと思っております。  その中で、私自身としては、確かにそれなりの行政経験を積んである程度の仕事ができるという面はあると思いますが、そうした経験の持つマイナス面と申しますか、できるだけ従来の発想にとらわれずに、それからまた若い人の柔軟な発想も大切にして、もう一度原点に戻ってその職責を務めてまいりたいと思っております。
  113. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) ただいま御紹介いただきました田中でございます。私も厚生省で政府委員になりましたのが昨年の七月からでございます。若い方からいいますとナンバーツーというところでございますが、お許しをいただいてお答えしたいと思います。  御質問の行政改革等に対する考えでございますが、私の考えますところ、やはり昨年、行政改革会議で報告書を出されました「「この国のかたち」の再構築」という言葉でございます。総理大臣もよく答弁されておりますけれども、この話を聞きまして、正直言いまして目からうろこが落ちるような気持ちになった次第でございます。これまで日本が営々と築いてきました経済、社会、これを支えてきました今までの流れ、これに対する反省と大きな転換ということでございまして、大変なショックも受けたところでございます。この大きな変革、社会の変化をなし遂げるためには、やはり行政改革が大変重要な一翼を占めているだろうというふうに思いますし、行政改革はその中心ではないかなというふうに思っております。  それからまた、この行政改革と並行いたしまして、六つの改革の中で、私ども社会保障の構造改革を進めておるところでございます。社会保障の構造改革につきましては、我が省、厚生大臣を筆頭にいたしまして、血眼になってこれに取り組んでいるという状況でございますが、その社会保障構造改革の議論の中で、何をすべきかという議論をいろいろする中で、やはり既存の考え方、既存のいろんな権利その他にメスを入れる、そして歳出構造、費用負担構造、そういったものにメスを入れ、それに大胆に取り組んでいくということで、私ども行政改革の議論とこの社会保障構造改革の議論、これはまさに軌を一にしているのではないかなというふうに思っております。この社会保障構造改革をなし遂げるにふさわしい行政改革なり、我が省の改革をなし遂げる必要があるのではないかなというふうに思っております。  三点ございますが、第一点は、社会保障の今後のあり方の基本としましては、やはり個人を尊重する、そして自立を支援し社会連帯で支えていく、公的な面はその後ろに回ってそれを後押しする、そういう意味では、規制緩和なり民間活力の導入なり地方分権、こういったものを推し進め、そしてそれを進めることが中央省庁の効率化なり簡素化につながるのではないかなというふうに思います。  それから第二点は、国民本意の立場に立って施策を考えていくということでございます。この点は、今までの縦割り行政、それから省の中でも縦割りがございまして、それを改めていくいい機会だと思いますし、まさに労働省との統合はその方向に向けて重要な方向だと思っておりまして、大きな効果を上げるべく努力しなきゃならないなというふうに思っております。  それから第三点目は、こういう改革の中で、常に新しい流れなり需要に的確に対応できるよう行政なり組織体制をつくっていくということでございまして、そういう面で情報公開の問題あるいは政策決定過程の公開の問題等、せっかく改革した後も引き続き柔軟に対応できるよう体制なり行政なりをつくり上げていく、そういったことも見据えて考える必要があるのではないかなというふうに思っております。  今、私は思いつきのように申し上げましたけれども、こういった考えをもとにしまして省一丸となって改革に取り組んでまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  114. 阿部正俊

    阿部正俊君 もう時間ですから終わりますが、最後に大臣、お二人は多分被害者だと思うのでございますので、帰ったら慰めてやってください。あと、できたらお二人に、高さんと田中さん、二十一世紀の役人としてやっていけるかどうなのか、よく御判断いただきたいし、またできればちょっと御返事いただきたいんですが、どうかひとつ省内的にも積極的ないい意見がどんどん出るような雰囲気づくりをぜひお願いしたい。それが火だるまになって行うと決意されている橋本龍太郎に多少縁のあった者としてみんなで支えてやっていけることにつながるんじゃないか、こんなふうに思えてなりません。役人が変わらなければ行政改革は成就しない、そんなふうにも思う次第でございますので、どうかひとつそれぞれ省庁の大臣方によろしく誘導していただくようにお願いしたいと思います。  以上で終わります。(拍手)
  115. 笹野貞子

    笹野貞子君 私は民主党を代表して、この重大な法案に対して質問をさせていただきたいというふうに思います。  行政改革というのは、本当に言うはやすし、行うのは大変だというふうに思います。しかし、今果敢にもそれに挑戦しようとしているこの時期、私は、こういう大きな法案、そして国家百年の計を見据えたこういう法案というのは、十分に審議しても尽くせないぐらい審議をしなければいけないというふうな思いでいっぱいでございます。  まずもって、私の素朴な疑問から質問をさせていただきたいというふうに思っております。  この行政改革が議題になった時期に、総理は、火だるまになってもやり遂げるということを、これは私も何で聞いたのかなとずっと思いながら、しかしもうこの火だるまという言葉が一世を風靡したかのような感じを受けております。私は、そのときは火だるまという言葉を私なりに素直に受けとめたんですが、今こうやって質問に立ってみると、火だ谷まという言葉は辞書で引いてもないということがわかりました。そうすると、火だるまになってという総理の言葉は、総理がどういう状態になることが火だるまなんだろうかなという、そんな気持ちでいっぱいなんです。  総理、火だるまになるというのは総理がどういう状態になることを言うのか、そこからちょっとお聞かせいただきたい。
  116. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに当時、考えてみますと二年前、行政改革会議を立ち上げ中央省庁再編に取り組みたい、そうしたときのやりとりの中にその言葉があったと言われております。私は実は、火の玉と言ったんじゃなかったかなと自分で思いましたということをその後に申し上げたことがありますけれども皆さん印象には火だるまという言葉の方が残ったようです。  そして、本当に行革会議は一年間をかけて、たしか五十回以上だったと思いますけれども、各界の本当に立派な方々にお集まりをいただき、二度ほど合宿に近い形までとりまして真剣な議論をしていただきました。その最終報告を受け、いよいよ地方分権とか規制緩和とか、こうしたものを一方で進めながら、その上で中央省庁の将来のあるべき方向というものを決めていただけるこの基本法の御審議を願えるようになり、参議院で現に御審議をいただけていることを、私は、スタートをするときのさまざまな批判というものを思い起こしながら、感無量の思いがいたしております。そうした当時の自分自身の気持ちをそのままあらわしたと、そのように御理解いただければ大変ありがたいと思います。
  117. 笹野貞子

    笹野貞子君 私も素直に聞きますと、火だるまというのは、総理がいろんな批判に耐えてもう全身やけどになってしまったというそういう意味なのか、それとも、私たちはだるまというと紙でつくっただるまを思い出すんですが、あれに火をつけるとすぐ燃え尽きてしまうので、途中で燃えちゃったらおっぽり出すという意味なのか。非常に私はこの火だるまという言葉に、きょうの質問を考えるときにうんうん頭を抱えて、どういう意味なんだろうかというそんな素朴な気持ちできょうは質問に立ちました。  私といたしましては、やっぱりこういう重大なことをやるときには最後まで私たちの意見をしっかり聞いていただいて、途中でおっぽり出したり燃え尽きたりしないような、そういう審議をしていただきたいと、まずそのように思います。  続きまして全く素朴な質問を、私はきょうは本当にこれを読みながら素朴に思ったのですが、この法案ができる前は行革会議というのを総理も今おっしゃいましたように一年近くやられたということですが、私はこういう通達を非常に鮮明に記憶しているんですね。これは平成八年五月二十一日、男女共同参画推進本部が決定ということで「国の審議会等における女性委員の登用の促進について」という文書であります。  この文書を見ますと、西暦二〇〇〇年に向けての国内行動計画という項目において、一九九五年までに指導的地位につく女性の割合を少なくとも三〇%までふやすというナイロビ将来戦略の勧告を踏まえて、具体的には平成七年度末までに女性委員の割合を総体として一五%とする、そしてこの目標を達成した場合には、今度は国際的な目標である三〇%を十年かけて達成する、これをしっかりやれと、こういう通達なんです。私は女性として大いにいいことだというふうに思ったのですが。  さて、今回のこの行革の委員の名簿を見ますと、十五人中一人の女性委員しかおりません。一人というのはこれはパーセントでいいますと六・六%の割合になります。今、日本のいろいろなところを見ますと、平成九年の九月三十日で一七・四%までに達しました。これは目標の二〇%にもうあと一歩というところで、私は大変すばらしいことだなというふうに思うんですが、この行政改革会議を見ますと六・六%という割合で、この割合は昭和六十二年の割合ですから、これは一気に十年間も後退してしまったということになります。  先ほどから、行革というのは将来展望を見越して新しい改革をするんだという、かけ声はいいんですけれども、中身を見ると女性の委員は六・六%というのでは、私は、この行革というのは一体前に向いて進んでいるのか後ろに向いて進んでいるのか、そういう感慨すらいたします。  その点、総理は本当に女性の政策について造詣が深く、いろいろと女性のことに御配慮いただいている首相でもありますのに、これは一体どのように受けとめたらよろしいんでしょうか。
  118. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、審議会などにおける女性委員の登用について、私が本部長であります男女共同参画推進本部におきまして、国の審議会などの全体に対し、平成七年度末一五%という目標を〇・五%上回りました。そして、平成八年五月に、十二年度末までに二〇%という目標を設定しました。  これからもこういう努力はしてまいりますけれども、同時に、議員が今仰せられましたが、行政改革会議委員十三名中女性が一人、それは確かにそうでした。その上で、各界を代表される学識経験者にお集まりをいただき、しかもどうしても女性に入っていただこうと私は思い、人選をいたしました。そして、その中でまさに中央省庁のあり方について、二十一世紀を見据えながらの御議論をいただきました。  一日行政改革会議、五都市で地方の声を聞く機会としてこうしたものを考え、そこでは男女を問わず、また老若を問わず多くの方々意見を聞かせていただきましたし、また五十回を超える会議の中におきまして有識者からの御意見等、さまざまな角度の御意見を伺いながら進めてまいりました。事実としてそう申し上げたいと思います。
  119. 笹野貞子

    笹野貞子君 総理の今の御発言は、事実としてよくわかりました。しかし、目標を達成するというその御意思はどのように受けとめたらよろしいのでしょう。
  120. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、それぞれの分野における代表をそれぞれの分野の皆さんかどう選考されたかまでは存じません。  例えば、学界において、何々においてというところに少なくとも私は女性の代表が欲しいと思い、女性の代表に参加をしていただきましたという事実を申し上げております。
  121. 笹野貞子

    笹野貞子君 大変しつこいように思いますけれども、では各分野の中にはパーセントに達する女性がいなかったという意味にとってよろしいんでしょうか。
  122. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御推薦をいただきました中に、例えばメディアの世界もございます。各界から御推薦をいただきました中に、確かに女性のお名前が少なくとも一人ぜひ追加をしたいと申すまで存在しなかったという事実は事実でございます。
  123. 笹野貞子

    笹野貞子君 大変しつこいようですけれども、こういう目標というのは、だれかがその目標を達するためには相当な強い力でその目標を達成する意図がなければ、ただ目標は絵にかいたもちになってしまうというふうに思うんです。そういうときには、総理が目標をつくって、そして広く皆さんにこの目標を達するようにということなんですから、今度の会議でも、たった一人の女性が女性を代弁するには余りにも、やっぱり質だけではなく量が必要だというふうに思います。  私は、これ以上御質問すると時間がなくなりますので首相に要望いたしますけれども、やっぱりこういうときには、せっかく目標を達成して一歩一歩進んでいるわけですから、その目標が十年も後退するようなそういう数値であってはいけないというふうに思います。今後とも、こういうときにはその女性のパーセントをしっかり達成するような御努力はしていただきたいと、女性の一人として強く御要望する次第であります。  続きまして、素朴な疑問が次々と起きるんですけれども、女性のことをやっているうちに、ふとこういうことが目につきました。  この条文の十二条、内閣組織のところを見ていまして、ここに四つの会議を持つことができるんだというのがあります。  それで、別表一を見ますと、四つの会議というのが出ております。一つは経済財政諮問会議、もう一つは総合科学技術会議、もう一つは中央防災会議、そして最後に男女共同参画会議という四つがあることがわかりました。経済財政、総合科学、中央防災はそのトップが内閣総理大臣であって、それ以外に四つに該当する人がこの会議に出席できるんだとあるんですが、男女共同参画会議、これは女性にとっては非常に重大な会議でもあり、私も興味を持っているんですが、そこになると急に内閣総理大臣の名前がなくて内閣官房長官というふうになっております。  総理、この四つの会議の中で女性のところだけ首相が出なくてもいいんだというのは、これは女性のことについては格下げだという意味でしょうか。
  124. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) もし議員が女性の立場としてお尋ねになり、そう受け取られるのであるとすれば、私は大変残念でありますし、同時にこういう形を主張された行革会議委員の方が随分がっかりされると思うんです。  男女共同参画に関する施策の政府全体における推進のために、男女共同参画推進本部、本部長内閣総理大臣、全閣僚で構成されるものが存在をいたします。そして、男女共同参画に関するまさにさまざまな角度からの行政改革会議の議論の中で、この男女共同参画推進本部はそのまま内閣総理大臣が本部長、全閣僚という形態で存置をされる。そして、現在の男女共同参画審議会にかえて総理を補佐する中心的な役割を担う内閣府に男女共同参画会議を置く。この主宰者として、官房長官が長となり男女共同参画に関する基本方針や総合的な計画案の検討などに当たることが最もふさわしいと判断をされ、行政改革会議最終報告を踏まえまして、この法案についてもそのような形態をとらせていただきました。
  125. 笹野貞子

    笹野貞子君 先ほど行革会議委員のパーセントのことで随分私は大臣に要望を申し上げました。現在の日本の状況というのは有能な女性が意見を述べるという機会に余り恵まれておりません。だからこそ、これから男性と女性が国について共同で責任を持ち、共同で知恵を出し合うという社会をつくり上げていかなければいけないわけです。今こそこの男女共同参画会議という中では首相がそのトップになって、こういう状況を二十一世紀に五分五分に変えていくというぐらいのそんな気持ちが私はあってもいいんではないかというふうに思います。  こういう質問をすることが行革会議皆さんに悲しみを与えるという意味は私はちょっと理解困難でして、社会にともに責任を持ち合うということはとても重大なことですから、これは私は、せっかく四つある中に三つだけが総理大臣がリーダーになり、あとの一つはそうじゃないというのはやっぱり何かちょっとバランスを欠いているように思います。  そういう意味では、私は、こういうときには四つ横並びで総理がリーダーシップをとっていただいて、こういう行革会議のときにたった一人しか入れないというこの現状を事実としてしっかり認識していただきたいというふうに思います。  さて、続きまして、労働大臣に御質問させていただきたいというふうに思います。  何といっても今私たちが一番不安なのは雇用情勢であります。どんどん失業がふえていって、今もう四・一%となり、過去最高になりました。それで、有効求人倍率も〇・五五というふうに史上最悪の〇・五一に近づこうとしております。こういう状況というのは本当に私は大変だなというふうに思います。そういうときに、政府は産業構造転換・雇用対策本部の会合を二年四カ月ぶりに開催したところですが、大臣は今のこの現状に対してどのような受けとめ方を持っていらっしゃるのか、まずお聞きしたいと思います。
  126. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) ただいま現下の雇用情勢については先生がお述べになったとおりでございますので、繰り返しません。  橋本総理としてはこの状態を非常に厳しく受けとめて、先般、関係大臣をまず官邸に招致されましてるる御指示をいただきました。その後、今お話しになりました雇用対策本部が設置されまして、そこで一つの当面の対策が決定をされたわけであります。  大きく申しますと、将来的にはやはり雇用の受け皿というか、日本の経済そのものの体質を変えていかねばなりませんので、これについては規制緩和でありますとか、あるいは厚生省が法案をお願いした介護保険法の成立でありますとか、あるいは科学技術庁を中心とした技術の促進とか、こういうもので新しい雇用の受け皿、ニュービジネスをつくり出していくということだと思います。しかし、急激に体力を増強させようとしていろいろトレーニングをやりますと筋肉も痛くなったり、そのときにまたアジア等の状況が悪くなって、天候が悪くなったりすると肺炎になったりということは当然起こるわけで、今の苦しさはそういう状況だと私は思います。  そのときに、大変残念なことですが、バブルのときの後遺症の金融システムに対する不良債権問題というのが出てまいりました。これは言うならば体内にあるがんのようなものだと私は思います。これで三十兆円という抗がん剤を打ったわけですが、やはり最終的にはこのがんを摘出してしまわないと、基礎体力を増強しておってもなかなか将来の経済はうまく回りません。  そこで、総理の言葉をかりればバランスシートからこれを落とすということになると思いますが、この対策を今自由民主党、政府で鋭意詰めております。そういう状況でございますから、体力が今弱ってきておりますので、そこで常に減税だとか公共事業の追加というその補正予算をカンフル剤、ビタミン剤として追加している。しかし、それでも痛み、失業というものが出てきますので、それについては失業保険だとか職業紹介という痛みどめで対応していくと。  そうして考えますと、根本的にはやはり基礎体力が強くなるまでの間持ちこたえながら、元気に暮らしていけるような状況になるための療法を今やっているということでございますので、労働省としては与えられた分野で全力を尽くしますし、橋本内閣としてはおのおのの分野で総合的に長期的視野も含めて、今は苦しいと思いますけれども、今を乗り切るために全力を挙げていきたいと考えているところであります。
  127. 笹野貞子

    笹野貞子君 大臣は非常に医学に造詣が深いようで、委員会でもしばしば医学用語をお使いになって副作用論議もやったことがあります。今、日本はがんの状態だと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、このごろがんというのは余り恐ろしい病気ではなくなりました。早期発見、早期治療するとがんはほとんど治る時代になりました。  やっぱりこの雇用不安あるいはこういう経済的な不況というのは、がんに例えるならば、早く発見して早く治療するというのが最も効果的なのにもかかわらず、非常に手おくれ手おくれで重症になって、もうがんがあちこちに転移して今瀕死の状態だというような、私はそういう気がいたします。がんに例えるならば早期発見、早期治療――十六兆円であれ三十兆円であれ、どんなにいいお薬であってもそれが手おくれだったらやっぱり病人は瀕死の状態になりますので、どうぞその点は間違いない方策をとっていただかなければ、この雇用問題というのは大変重大な問題だというふうに思います。
  128. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 御指摘のとおりでございます。この患者は自由民主党という医者に今かかっておりますが、先生もその一員でございました羽田内閣やあるいは細川内閣という病院にも実は通いながらがんができてきたわけでございますので、みんなで力を合わせて早くがんの摘出に努力をいたしたいと思います。
  129. 笹野貞子

    笹野貞子君 何か大臣とお話をしていると厚生大臣とお話ししているかのような錯覚を受けてしまうんです。ここでお互いに頑張って治療しようという大臣の御発言なんですが、ちょっとそれを聞いて私はふとまた素朴な疑問が起きてしまいました。  私は非常に素朴が好きなものですから、素朴なんですが、行革会議のメンバーの中に有馬先生という学者の方がおりますが、今度自民党の比例区から立候補されるということです。  総理大臣にお聞きしたいんですが、これは早く治療するために自由民主党が、学者の方が自由民主党に非常に好意的だからこの行革のメンバーにしたのか、それとも行革会議をやっているうちに、これは自民党にとって非常に好意的だからというふうにして候補者にしたのか、どのように受けとめたらよろしいんでしょうか。
  130. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一に、有馬委員は五月二十八日、行革会議委員辞任しておられます。そして、私どもは行革会議組織いたしますとき有馬先生の学識、経験というものを高く評価し、お入りをいただき、その中でよいお仕事をしていただきました。そして、私は、この最終報告に至るまでの間、真剣な論議に参画していただいたことをその学識とともに高く評価をいたしております。  その上で、党が私どもにとりまして必要な人材としてお願いをし、立候補の気持ちを持っていただけたことを私は大変幸いだと思っております。そしてそれは、党は党の立場においてその学識、人格、こうしたものを私どもの党に欲しいという思いでお願いを申し上げたものであり、全く異質のものであります。
  131. 笹野貞子

    笹野貞子君 立候補をする自由というのは何人にもあるわけですから、これは法律的な善悪の問題ではありません。しかし、こういう重大な委員の選定というのは、私たち共通の認識として、中立て公正である人と、そういう思いでいっぱいです。  まだ審議が終わっていない、今一生懸命そのことについて審議をしている最中に、おやめになったというのは私も知りませんでしたけれども、おやめになって、一つの政党から出るというのは何か私としてはちょっと釈然としないものがただ感じられるだけです。そういう点ではこういう委員のメンバーというか、任期というか、そういうことがやっぱりなるほどと思うような、そういう公平さが必要じゃないかなというふうに私は思っております。  それでは、続きまして次の質問に移らせていただきます。  実は私は、去年だったと思いますが、九州の熊本のホンダというところがやっている希望の里というところに、障害を持つ人に対する仕事を盛んにやっているところを視察に参りました。  これからの日本社会というのは、こういう障害を持つ人にどれだけ行政が温かい手を差し伸べられるかという思いで見ておりました。そこの寮長さんが、全寮制だそうですが、こういう説明をいたしました。障害を持つ人は家庭でちょっと過保護に育てられる傾向があるので、何かするときになるとその過保護だった部分がわがままになって出てきててこずることがあります。そういうときは、そんなにわがままを言うとあした仕事をさせないよと言うと、その子供はすぐにそのわがままをやめて、仕事をさせてくださいと、こういうふうに言いますということを私は説明で聞きました。  この会話を私は何か胸が熱くなる思いで聞いておりました。かつて、障害を持つ人とかそういう人に仕事をさせると、あそこの親は子供をいじめるとか、こき使ってとか、そういう表現をされました。また、そういう子供というのは外に出ないでうちの中で隔離されて、仕事などということはとんでもないという時代がありました。  そういう、仕事をするということが生きがいになるというのは、私は、これぞ私たち人類が最も大切な価値は何だったのかというその価値観がどんどん変わっていって、適性に合った勤労をするということはどんなに人間にとって有意義な価値のあるものであるかという社会を私たちはみんなでつくり上げてきたんだなと、そういう意味で私はちょっと胸の熱くなる思いで聞いておりました。  しかし、私はそういうことを踏まえながら、今度の行革を見ますと、労働省と厚生省が一緒になるということなんですね。私は、先ほど小泉厚生大臣の、思い切った改革こそ新しい時代をつくる、変えていかなければいけないというお言葉を聞いて、全くそうだというふうには思ったのですけれども、やっぱり行革というのは、変えるためにはいい方に変えなきゃいけないので、悪い方に変えると私はそれはちっとも行革の意味をなさないと思います。  そこで、御質問しますが、世界の各国を見ますと、労働省単独型と、今度この改革でやろうとする労働省と他の省庁が一緒になろうとする複合制と二つの形態があります。労働省単独型を見ますと、これが圧倒的に世界で多いんです。アメリカを初めとして二十五カ国がこの単独型の労働省というのを持っております。  私は、そういう意味で、先ほどの障害を持つ子は、仕事をさせないということが罰になる。私たち子供のときは、悪いことをするとお使いに出すよと、こう言って仕事をさせることが罰だったのですが、今はさせないことが罰というすばらしい私は価値観に変わったというふうに思います。  そうすると、労働省という省は人間の価値観を将来に向けてどんどん変えていくという大変重大な省なんだなという思いもしますし、アメリカ、隣の韓国を見ましても、働く人のためにどういう社会をつくるかというのは、その一国の非常に大きな将来展望になるというふうに思うわけです。  そこで、私は、アメリカを見ますと、あの高かった失業率を、今はアメリカは労働省という省が単独で頑張って四・三%までどんどん失業率をなくしていきました。これもアメリカが労働省という単独の省を持って頑張った、そういうものではないかなというふうに今思っております。  そういう意味で、日本の憲法ができて、勤労権、団結権、そして労働組合というものが認められて、厚生省から独立した労働省が、また五十年後にバックして一緒になったというと、何かちょっと釈然としないものがあります。かつて大分前に厚生大臣も、労働省と一緒になるのは嫌だと言わなかったでしょうかね、何か私、厚生大臣、やったなと思ったことがあったんですが、労働省が単独で思い切った価値観の展望、雇用の安定、そういうものをすべきだというふうに思うんですが、大臣はどのようにお考えですか。もしよければ続いて厚生大臣にもお願いしたいと思います。
  132. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 今、先生が一番最初にお引きになったことは、私も全く同じ気持ちでおります。  働くということは、単に収入を得る、生活を支えるということを超えて、人間として存在するということをみずから自覚し、人間の尊厳を自分で感じ得る行為でございます。  したがって、経過を追って言えば、労働福祉省の前に雇用福祉省という名前が一時取りざたされました。雇用というのは英語で言えばもう御承知ようにエンプロイメントで、雇う雇わないという契約関係意味します。私はこれが労働という言葉に変わったのは非常によかったと思います。その後、四文字か二文字かという御議論が小泉先生からもいろいろありますが、それに私は触れません。  そして、労働省が独立がどうかということは、労働省の役割、仕事というものの大切さについては私は先生と同じ気持ちを持っております。しかし同時に、少子・高齢社会の中で国民の税負担をふやさずにできるだけ少ない税金で効率的な行政サービスを提供するというXという変数があります。それから労働関係をしっかりしなければいけないというYという変数があります。国民生活をしっかりとやっていこうというZという変数があります。政府をお預かりしているものはXとYとZの連立方程式を解いて共通の答えを同時に出さねばなりません。幾らでも税金を負担していただけるとか、あるいは経済が、Zの方がいつでもうまくいくということであれば、Xのことだけ考えれば私は当然労働省は独立させていただきたいと思います。しかし、X、Y、Zという変数を解く中で今回はこういう連立方程式の解として出したわけですから、その解が出た中で、先生の今おっしゃった精神というか気持ちを私たちはしっかりと持って労働福祉省設置法を書き、そして労働福祉省の仕事を議院内閣制の前提で政治家が主導しながら進めていくということでありますので、精神は全く先生とは変わりません。
  133. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 労働の重要性、勤労の重要性を否定することは全くありません。資本に労働が加わることによって富が生まれる、これはもう経済学の初歩でありますけれども、労働と資本がプラスになって富を起こすということを考えれば労働の重要性はおわかりだと思います。  そういう中にあって、私は労働省が独立したからアメリカの失業率が減っているとは思っておりません。経済全般の影響があります。しかも、これから労働政策、雇用政策と福祉政策というのは重なる部分が多いわけです。保険一つとってもそうであります。今障害者の例を出されましたけれども、障害者の労働を考えても福祉とかなり深いかかわりが出てくる。  私は、むしろ連携をとる意味において労働省と厚生省が一緒になってお互いの福祉政策を実施していくということは大変大事な点ではないかと。労働も福祉の一環として考えれば、むしろ一緒になった方が自然だと考えております。
  134. 笹野貞子

    笹野貞子君 労働大臣のX、Y、Zという言葉を聞いただけで何か私は理解をするのに非常に苦しくなりまして、連立方程式なんて言われるとますます高校の数学を思い出して私は背筋が寒くなりました。大臣、今度はどうぞできるだけ連立方程式じゃない、自然な日本語でお願いをしておきたいというふうに思います。  続きまして、もう一問お聞きしたいというふうに思います。  この基本法の第二十五条の十号を見ますと、「職業紹介事業等に対する規制を緩和することにより、労働市場を通じた需給調整の機能の発揮を促進する」云々とあります。私は、規制を緩和するということは非常にこれからの日本にとっては重大なことでありますし、それに対しては何ら問題はありません。しかし、社会的規制というのは私はちょっと経済的規制と違うと思います。我々女性にとって、かつて歴史を見ると、労働力イコール女と、そういうことによって人身売買をされたという、非常に苦い経験というかつらい経験があります。  そういう意味におきましては、規制緩和に対して軽々しくこの基本法の中でこういうものを論ずるのは私はまだ早いというふうに思うんですが、大臣の御見解を聞きたいと思います。
  135. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 職業紹介あるいは労働者派遣というのは経済的な規制緩和というとらえ方も私は否定はいたしません。それは先ほど厚生大臣がおっしゃったように、資本と労働を維持することによって生産が行われるということからいえば、そのとおりだと思います。  しかし同時に、経済がこれだけ大きくなって、昔でいえば世帯主である男の人だけしか雇えない大きさの経済であったのが、先人の努力によって女性も社会に出られるだけのキャパシティーになりました。そして、その中で女性が社会に出てお働きになるということは非常にいいことだと私は思います。それから、若い人たちの中にも、学校を出てわからないときの判断で一生をコントロールされるのは嫌だという、いろいろな働き方のニーズが出てきているわけです。  したがって、保育園に子供を連れていった後働きたいとか、あるいは子育てをした後働きたいとか、いろいろなニーズが出てきているわけです。そのニーズにこたえるためにいろいろな職業選択の道を広げてあげるということは決して悪いことではないと思います。そのことが経済的に女性に不利になるとか、弱肉強食というのか、規制緩和というのはそういうふうにとられる面がありますが、そういうものではなくて、余りそこのところを保守的に考えると、選択の自由を全く奪ってしまうというおそれの方を私は強く感じているわけです。
  136. 高木正明

    ○理事(高木正明君) 笹野君、時間になりました。
  137. 笹野貞子

    笹野貞子君 時間ですのでやめますけれども、どうぞ女性にしわ寄せが来る弱肉強食にならないよう行政をこれからお願いいたしたいというふうに思います。  終わります。(拍手)。    〔理事高木正明君退席、委員長着席〕
  138. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 前回に引き続きまして、中央省庁改革基本法に関連しまして質問をさせていただきたいと思います。前回、中央省庁改革縦割り行政の弊害がどのように改善されるのか、国民にとって益する形で本当に改善されるのかどうかと。その残った質問をさせていただきたいと思います。  最初に、具体的にダイオキシン対策を例にとって環境庁長官と厚生大臣に質問をさせていただきたいと思います。  これまで成人に対してのダイオキシン類の安全基準につきましては、厚生省が、耐容一日摂取量、それからテトラクロロジベンゾパラジオキシン、TCDDとして十ピコグラム・バー・キログラムボディーウエート・パー・デー、そのように決めておりましたけれども、環境庁の方では一方で健康リスク評価指針値としまして五ピコグラムの値を決めておりまして、一般国民から見ますと、どちらを本当の基準としていいのかなかなかわかりにくいということであります。  今後、中央省庁改革の流れの中でもっと国民にわかりやすい形で統一された安全基準のようなものが示されるようになればありがたいわけでありますけれども、その点に関しまして、まず環境庁長官、続きまして厚生大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
  139. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) 今お話のございました環境庁と厚生省で違う数値が出ているじゃないかと。確かに二つ数値が出ておりまして、物の言いようとしては、片方はぎりぎりの数値、片方は望ましい数値というようなことで多少感覚が違っておりますし、検討していただいた人も違うというようなことで、いろいろと議論があって、その結果として二つ数値が出ておるということは確かでございます。  ただ、この数値につきましては国際的にもいろいろ議論がございまして、最近もWHOの方で新しい数字が出てまいりました。これは五とか十とかこちらが言っているのに対しまして、一から四というような非常に違った数字が出ております。また、一から四というとかなり幅があるわけですから、これはどういう意味で一から四という大きな幅があるのかというようなことも含めましてこれから勉強しなきゃいけないと思っております。正直申し上げてまた環境庁、厚生省の間で事務的に詰めは行っておりませんけれども、やはりこれは両方で一緒に勉強する課題だと思いますので、厚生省の御協力も得てひとつ一緒に検討をさせていただきたいと思っております。
  140. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 環境庁と厚生省と目安にする基準が違ってわかりにくいという御指摘ですが、確かにわかりにくいものがあると思います。厚生省が基準値を示しますと、これは流通を禁止しなきゃならない、販売も禁止しなきゃならない。例えて言いますとたばこですね。健康のために吸い過ぎに注意しましょうと。危険だといえば、医学者の間でも、たばこは肺がんに非常に危険の高い物質ですから禁止するべきだという考えがあります。じゃ厚生省が、一日何本までいいのか、あるいはたばこは少しでも危険性があるから販売を禁止しろと言うと、これまた大変な議論になる。望ましい基準値を環境庁が出している、厚生省がもし基準を出せば流通を禁止しなきゃならない、その点をどう考えるかですね。  確かに難しい点がありますが、この点は今後とも国民にわかりやすいように、どのような啓発活動あるいは理解のための活動が必要か、環境庁と十分連絡をとっていかなきゃならない問題だと思っております。
  141. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 先日、厚生大臣もテレビで記者会見をしておりまして、WHOの欧州専門家会議のTDIが一から四ピコグラムの方に引き下げられたということで、今後、日本としても検討していかなきゃならないということでそういう記者会見がありましたわけですが、今後のスケジュールですけれども、どのくらいの期間を見て再検討していくということになるんでしょうか。その点につきまして、もしおよそ計画が決まっておりましたらばお教えいただきたいと思います。
  142. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) WHOの報告がどういうものであるか、いろいろ詳しく知りたいという識者の意見もあります。国民もこの環境汚染問題について大変大きな関心を持っておりますので、厚生省としては、派遣しております職員から詳しい内部の議論の報告を関係審議会で受けて、この審議国民に公開するという形で、国民の疑念や不信を払拭する方法で適切な対応を考えるべきだという方針を決めております。  そこで、いつまでなのかというのは、その検討状況、報告を見て、できるだけ早期にしかるべき措置をとらなきゃいけないと考えております。
  143. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 できるだけ早期にということでありますけれども、最近ですと、乳児の飲む母乳に関しましてもやはりダイオキシンが高濃度で含まれているということで、非常に母親としましては敏感になっているということでありますので、もしこのTDIの基準が変わってくれば、母乳に対するダイオキシン類の含有量に関しましてもまた少し見方が変わってくるんじゃないかなというふうに思いますので、できるだけ早く環境庁とも一緒になって基準を決めていただきたい。その場合には、やはりぎりぎりの値というものではなくて、先ほど環境庁の方は望ましい値を示しているんだということでありますので、できるだけ望ましい値の方で統一的な基準というものをつくるべきではないかなというふうに私自身は思っておりますので、そういう点を強調したいと思います。  次に、ざっと総務庁長官にお伺いしたいんです。  今までダイオキシン類の問題に関しましても、各省庁間でいろいろ立場があってなかなか対策が進まないようなことがあったんではないかというふうに私自身は考えるわけでありますけれども、今回の中央省庁再編が成りますと、そういう省庁間の縦割りの弊害といいますか、そういうものがどういう形で調整されてより早期に効果的にそういう数値も出せるようになるのか、その新しい中央省庁再編に関しまして、その点、どういうふうに改善されるのか、お教えいただきたいと思います。
  144. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) お話がございましたように、だれがどの基準によってどの範囲の調整をするか、この辺はきちんと整理するべき要請でございまして、今次の法案では政策調整制度として次の三つをきちんと整理してございます。  一つ内閣官房による総合調整、これは申し上げるまでもなく、内閣にとりまして高度な案件の調整をするなど、そういう場合の一つ内閣官房による調整。もう一つは、内閣府による総合調整、これは担当大臣が主宰するいわゆる総合調整でございます。三つ目に各省間の相互調整、このことについては先ほども若干話が出ていたようでございますが、以上の三類型の調整を組み合わせまして、政府として政策調整機能を抜本的に強化することをねらったわけでございます。  本制度の導入はもちろんのこと、各省庁間の調整に明確な形とルールを与えるものでありまして、これによりまして円滑にかつまた戸惑うことなく調整を進められるものと、さよう判断をいたしております。
  145. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今後、地球温暖化防止などに対しての対策は、かなりやはり省庁間で立場の違いによって調整が難しいということもあると思いますので、そういう調整に本当に益する形での中央省庁再編であることを望みたいわけであります。  次の質問に移らせていただきたいと思います。  国立病院・国立療養所の独立行政法人化について厚生大臣の方にお伺いしたいんですけれども、本法案の第四十三条では、国立病院及び国立療養所も独立行政法人の対象となり得ることが示されているわけであります。  例外としまして明示されているものでは、「高度かつ専門的な医療センター、ハンセン病療養所等時に必要があるもの」というふうに述べられておるわけでありますが、この中に「等」という字が入っておりますけれども、このハンセン病療養所あるいは専門的な医療センター以外に、除外対象として想定されているものというのはどういうものがあるんでしょうか。もしわかっておれば教えていただきたいと思います。
  146. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) お答えを申し上げます。  この法案では、高度かつ専門的な医療センターやハンセン病療養所等時に必要があるものは独立行政法人化の対象外とされまして、国立を維持することとされたところでございます。  ここでの考え方は、高度な研究機能を有し、それが業務全体の中で高いウエートを占めるものと、民間、地方に期待することが困難な医療になるものは国立を維持するというものでございます。  この趣旨に照らしまして、現在のところ国立がんセンター、国立循環器病センター等の国立高度専門医療センターや国立ハンセン病療養所がこれらに該当すると考えておりますが、先生のおただしの「等」ということですが、そこにつきましては、今後この範疇に属するものについては具体的に精査していくことが必要と考えているところでございます。
  147. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 またこの第四十三条からしますと、国立病院・療養所に関しまして、国の医療政策として真に国が担うべきものとして特化するものはそのまま存続するというふうに考えられるわけでありますけれども、その選定基準ですね、どれが真に国が担うべきものとして特化されるのか。そういう何か選定基準というものがありましたらお伺いしたいんですが、これは厚生大臣の方にお願いします。
  148. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 法案第四十三条の三項に関してのおただしでございますが、御指摘の真に国として担うべきものに特化することにつきましては、行政改革会議長終報告におきまして、「国立病院・療養所については、公私立医療機関の充実や医療の高度化・専門化など医療をとりまく環境の変化を踏まえ、昭和六十年以来取り組まれてきた再編成に関する方針を、真に国として行うべき医療に特化する方向で見直すべき」とされたものを受けたものでございます。  厚生省におきましては、昭和六十年に国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針を策定いたしまして、国として担うべき政策医療範囲を定めるとともに、さらにその後の国立病院・療養所を取り巻く環境の変化を踏まえ、平成八年に同指針の改定を行い、国として担うべき政策医療のさらなる見直しを行ってきたところであり、本規定もこれまでのこうした取り組みと一にしているものでございます。  具体的に申し上げますと、国の担うべき政策医療としては大分けにいたしますと四つぐらいに分かれますが、一つは、国家危機管理や積極的国際貢献における役割というのがございます。御存じのように、国際感染症の侵入時の対応ですとかこの前のペルーの事件だとか、そういうものが入ろうかと思います。  次に、二つ目には、戦略的医療における役割といって、がんとか循環器の先駆的な医療だとか、それから少子化時代を迎えておりますところに関連します成育医療だとか、それから免疫異常だとか感覚器障害、分泌物など、長期にわたり日常の社会生活を大きく阻害する疾病などに対する先駆的医療が入ります。  また、三つ目としては、歴史的、社会的な経緯等により、地方、民間での対応が困難な領域での役割、例えば国が前面に出て対応することが必要な領域では、HIVやスモンへの対応ですとか、それからハンセン病療養所の入所者への対応などが挙げられます。また、国がいわば最後のとりでとしての役割を果たすべきものとしては、筋ジストロフィーだとかALSだとか結核だとかというのが入ると思います。  それから四つ目のグループとしては、国家的な見地から重要な医療政策を実践する役割といって、例えば診療報酬支払い方式に関するモデル的な試みの実施だとか、緊急に急がれる医薬品に関する重点的な臨床研究の実施などというのが挙げられると思います。  このように、本規定では、今後とも国立病院・療養所について、公私立医療機関との連携を図りながら、国立病院・療養所が担った方が最も資源活用上望ましい分野に一層集約、集中し、量的なカバーから質的な充実を図ることにより、他の医療機関では担い得ない役割を果たすべきものと規定をしていると考えておるわけでございます。
  149. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今お話を聞きますと、結構広い範囲で国が担うべき医療というのが示されたわけでありますけれども、今後具体化していく中で、個別にはそこでお働きになっている方の意見とか第三者、中立的立場の方の意見も聞くような形で進めていくべきではないか、そのように考えるわけであります。  それで、もう一つお聞きしたいんです。  これは厚生大臣の方になりますけれども、もしこの国立病院・療養所が仮に独立法人化した場合に、その長というのは公募されることになるのかどうか、そしてまたその場合の長の資格というものは医師以外にも多様な資格、能力のある方の応募を認めることになるのかどうか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
  150. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) これは今後の課題でありますので、どういう選任方法がいいか、どういう人物がふさわしいか、今後検討していきたいと思います。
  151. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 そうすると、もう一度確認したいんですが、公募も結構多く行われるというような方向で検討されるということでしょうか。
  152. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) まだ必ずしも公募を行うとは考えておりません。それも含めてどういう方法でどういう人物がふさわしいか、そのためにはどのような方法がいいかを含めて検討させていただきたいと思います。
  153. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 これも小泉厚生大臣にお伺いしたいんですけれども、二〇〇〇年をめどに本格的な医療保険制度の抜本改革の時期に入るわけであります。いろんな医療保険制度、諸制度が変わってくるということでありまして、もしこの独立行政法人になりますと、やはり三、四年間の収支見込みとか中期的な計画を立てるということになるわけでありますが、そういう改革期間のときにはなかなか数値目標とか決めにくいような状況になるんではないかというふうに思うわけであります。病院経営の場合には自己努力だけではなくて診療報酬体系によってかなりの影響が出てくる、そういう性質を持った機関でありますので、そういう医療保険制度の抜本的な改革が行われる時期というのはやはり独立行政法人化して中長期的な計画を出すというのはなかなか難しいのではないか。  目標に対して責任を負ってやっていくというのが独立行政法人の立場であると思うんですが、医療保険制度の抜本改革が終わった時期にそういう独立行政法人化というのが具体的に実施されることになるのか、その医療保険制度の抜本改革と独立行政法人化の進行ぐあい、その関係についてお伺いしたいと思います。
  154. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) お答え申し上げます。  国立病院・療養所の独立行政法人化につきましては、今後提出される予定の独立行政法人制度の基本となる共通事項を定める法令を踏まえて具体的に検討していくことになると思います。  国立病院・療養所というのは、先生もよく御案内のように、今は国として担うべき医療というのをそっちへ特化してやろうと努力をしている最中であることは御存じのとおりだと思います。  したがいまして、医療保険制度の改革というのが考えられているところですけれども、その医療保険制度の改革というのは医療経済の問題としてあるわけです。我々がやっているのは国民の待っていらっしゃる医療、国民が期待している医療のうち国が担うべき医療をやっていくということですから、これは医療保険制度とは別個の問題として、医療は医療として少しでも早くきちっと特化をして国がやるべき医療に努力をするのが当然だと思っております。我々としては、今回この法案検討するようにされているわけですけれども、その検討を踏まえ着実な施策の実行に当たってまいりたい、このように思っているわけであります。
  155. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 国が担うべき部分として残っていくものに対しては問題ないと思うんですけれども、それが独立行政法人化されて独自に経営していくということになれば、医療保険制度の抜本改革というのはかなりの影響が出るんではないか。そういう場合には、中期的には三、四年の計画をきちんと立ててそれを請け負ってその目的どおり達成するというのは、なかなか変化がある時期ですので難しいんではないかと、そういう趣旨で質問したわけなんですが、その点どうでしょうか。
  156. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 医療といいますのは、国が担うべき医療、それから民間だとか地方の公的医療機関が担っている医療、いろいろあろうかと思いますが、そのいずれも国民にとって必要な医療であります。したがいまして、医療保険制度というのは、それらの医療を国民により受けやすく、またある意味では国民に必要なところはある程度の負担をお願いして医療をやっているということでありまして、医療サービスそのものの質を落としていいとか、この医療サービスは後回していいとかということには私どもはならないと考えております。  したがいまして、必要な医療サービスの提供という国立病院・療養所が担っている役割についてはそれをしっかりやっていくということが大切であると、このように考えておるわけでありますので、その点については御理解を賜りたい、このように思っております。
  157. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 これは総務庁長官にお伺いしたいんですけれども、中央省庁改革推進本部、その中で独立行政法人、そういう方向に変わるところも検討していくことになると思うんですけれども、その場合に、やはり国立病院・療養所の独立法人化の場合は専門的な方、第三者的な方で中立的な立場の方の意見も尊重すべきではないかというふうに思うんですけれども、そういう方の意見をどういう形で反映していくのか、改革本部の中にそういう方も採用していくことになるのかどうか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
  158. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 先ほど厚生大臣の方からお話がございましたような趣旨を十分参考にしながら推進本部の構成も進めていくべきであろう、さように思っております。
  159. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今度は政策評価に関しましてお伺いしたいと思います。  やはり、総務庁長官にお願いしたいんですけれども、独立行政法人化などの導入を通しまして、今後政策の実施部門は結果と責任明確化される方向に動くと思います。  一方、政策の企画立案部門におきましては、その結果責任とかいわゆる不作為責任、そのようなものはどういう形でとられるようになるのか。法案の第二十九条には、政策の企画立案部門に関しましては「評価結果の政策への反映について国民に説明する責任」、それはあるということが表記されているわけでありますけれども、もともと行わなかったというふうな不作為責任などの企画立案に関しての失政があった場合にはどういう責任をとっていくのか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
  160. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) お話しの政策評価でございますが、非常に肝要なところを御指摘いただいたなと思っておるところでございます。申し上げるまでもなく、国民本位の政策運営を基本的に図る観点から、政策の効果を客観的に点検し、しかもその結果を政策の不断の見直しや新たな政策立案に反映させることを目的とした制度であることから考えましても、企画立案部門のいわゆる企画立案政策それ自体を当然評価することは基本的に大事なところでありまして、言いかえますと、政策評価の対象に当然その企画立案部門は置かれるべきである、さように思っております。
  161. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 そういう場合に、実施部門の方は明らかな目標があってそれを達成するという結果と責任がはっきりするわけでありますけれども、企画立案部門の方は、しっかりした企画が立てられてそれが実施されるということであればはっきり結果もわかるわけでありますけれども、そもそも必要であった計画そのものが立案されていなかったというような場合の責任といいますか、そういう場合はどこがどういう形できちんと責任をとるのか。もし企画立案がそもそもなくて国民が多大な損害を受けたというような場合の責任のとり方について、もうちょっと詳しくお伺いしたいと思います。
  162. 坂野泰治

    政府委員(坂野泰治君) 政策責任という問題だろうと思うわけでございますけれども、この政策責任という意味内容については、政治的な側面あるいは行政的な側面、さらには法的あるいは司法的な側面、さまざまな側面があると考えられるわけでございます。  先生がただいま御指摘の、例えば損害賠償であるとかあるいは司法責任の問題であれば、それは現在のさまざまなそれに関して定めのある法律に照らして措置をとる場合は必要な措置をとられましょうし、また判断がなされるということではないかと思います。
  163. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 もう時間もないので、最後に総務庁長官にお伺いしたいんですが、やはり国家百年の計というようお話もありまして、今回の法案は非常に大事な法案であると思うんですけれども、この法案はこの中央省庁再編の制度がどれくらい長く機能を果たすというようなつもりでおつくりになったのか、その点だけお伺いしたいと思います。
  164. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 少なくとも二十一世紀におきまして国が担うべき機能あるいは課題にこたえられる、最小限そういう展望と一つの分析のもとに組み立てられたものであると言わせていただきたいわけでございます。さらにまた、本法案国会審議等を通じまして内外多彩にわたっていろいろ御指摘もいただきましたから、磨きをかけてそれらの期待にこたえられるものにいたしたい、さように思っております。
  165. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 どうもありがとうございました。(拍手)
  166. 及川一夫

    及川一夫君 午前中も御質問させていただきましたけれども、この行政改革問題というものを皆さんの御意見を聞きながら平成六年の十一月から平成七年の十一月まで、総理が恐らく国民に公約された、いずれにしても一年間で打ち上げる、結論を出したい、こういうふうにおっしゃられました。  それで問題は、十カ月間は民間の方々にお集まりいただいて論議をされました。我々、当時与党という立場からいえば、政治段階での議論は二カ月でございました。十二月三日までの間ですから、ほとんど狂いなく橋本内閣としては一応行政改革段階的な意味での一定の結論を得たということだけは約束を果たされたんだろうと思うんです。  したがって、今各党の皆さんから出ている御意見というものは傾聴に値するし、同時にまた十分踏まえて具体化していかなきゃならぬという問題もたくさんあるわけですけれども、当時の与党三党とはいいながら、この二カ月間というのは大変な議論をしたように私は思っています。  それだけに、物事には経過がありますし、約束事もあるわけですね。しかも、一党だけでやっておるわけではありませんから、三党でやったということはより以上に約束事というものはお互い守らないといけないということだろうと思うし、それがまた政治の信頼につながる、こういう意味であると私は思っているわけであります。  そこで小里長官に、午前中の質疑のやりとりの中で、各省のネーミングの問題という意味でしょうが、いわば妨げないという言葉意味をずばり検討ということにするのか、あるいは、いや検討することを妨げないよという程度にするのか。私からいえば、妨げないという言葉そのものを原則に例えると、検討することではなしに、検討しないかという前提に立って検討することを約束してもいいのかな、こういう中でああいう結論になったという認識を私は持っているわけであります。  したがって、三党で議論をした内容というのはどんな事態になっても変えられないとは思いませんけれども、少なくともあれだけの時間をかけて論議をして一たん結論が出て、特に労働福祉省の問題についてはほとんど反対の意見がなかったという中で決められて、多少自後いろんな問題が起きてああいうような確認になったという経過からすると、私は、ここでもって原則が曲げられたんじゃ大変だなと、こういう思いで実は聞いておったわけでございますけれども、午前中の答弁の問題について長官にちょっとお伺いしておきたいと思います。
  167. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 行政改革会議の取りまとめ前後を中心にいたしまして集中論議に御参加をいただきました議員お尋ねでございます。そしてまた、見方によりましては大変厳しい経緯を持つ本問題でございますだけに今答弁に立った次第でございますが、一つは、先ほどの答弁でも申し上げましたように大変複雑な経緯がございました。しかしながら、あの当時の気持ちを私は実は刮目させていただきました、申し上げたいこともあった、それから耐えがたいような感じのときもないでもなかった。というのは、先ほど議員がおっしゃるように、三党協議、十者協議においてつぶさに詰めた経緯があったじゃないか、そして一定の集約を得ていたのだというお話がございましたが、それらの背景を十分知っておりまする私どもであっただけに大変苦労もいたしたという感じがいたします。  しかしながら、あの当時、各省名の論議にそんなにまた限りなくお互いに労をかけることもどうかなという判断をいたしました。行政改革を、中央省庁再編そのものの基本的なところをうんと進める。そしてまた、そのほかの問題を軽視するわけでもありませんけれども、これを余り議論しておりますと本体そのものが停滞しかねないのではないかというよう判断も働いたことは事実でありまして、いろいろ最終的には各位に御相談を申し上げました。  その結果、基本法案を出して国会意思が確定したといえども、この名前の問題だけは一定の議論が必然的に出てくるのではなかろうか、あるいはまた出てきた場合に対応することを寛大に構えておいた方があるいは最も中央省庁改革問題を全体として成功せしめる一つの道筋ではなかろうか、私はそういう一つの総合的な判断が働いたものと、こう思っております。  したがいまして、きょう午前中の答弁におきましても、そのような道筋というものははっきりとしてありますと、それはただいま先生も法解釈をいただいたとおりであります、そのことを申し上げた次第です。
  168. 及川一夫

    及川一夫君 なぜこんなことを申し上げるかというと、ほかにも、これは各省の大臣という意味じゃなしに、やはり一般職員の皆さんも注目しておられますね。また、関係する労働組合も経過を御存じなわけでございますから、これまでの約束事はきっぱり守るということが大事だし、そういう前提で今回の基本法というものを見詰めてみますと、ほとんど正確に反映されていると、こうは思っております。  問題は、その運用ということになりますといろんな、私から言うといい知恵なのか悪知恵なのかわかりませんけれども、やはり労使間の問題になっていくと悪知恵ということになることがしばしばあるものですから、そういった点で私は懸念をいたしますので、御忠告申し上げておくということが一つであります。  それで、小泉厚生大臣、笑顔があるわけですから大体気持ちは通じているというふうに私は思っておりますけれども、衆議院の特別委員会における大臣の答弁をつぶさに見てみますと、要するに終始一貫二文字でなければいけないんじゃないかということを言われておる、わかりやすいからと。それはわかりやすいです。そう言いながら、きょうは、先ほどの笹野さんの御質問の中で、それに対して、労働も福祉もそれこそ大事な問題だ、一体でやってもいいんじゃないか、こういうお話もされている。  というふうに考えていきますと、一文字にしなければいけないという意味は一体どこにあるのかなと。簡単にネーミングが言われて、そしてまた理解されればいいというだけの話で主張されておったのかなと。それにしては小泉大臣が横になるような話というのは、余りその程度の話ならいただけないな、こう思ったりするんですが、大臣、いかがですか。
  169. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私は、当初から、役所の名前は、わかりやすい、その省の仕事が的確に表現されるような簡明な一文字が望ましいということを言っているわけです。今までの例におきましてもほとんど二文字だ、一文字以外の名前が出ても大体呼び名が伝わるころには二文字に簡略化されているということを考えますと、今回の名前のつけ方、労働福祉省ももちろん、教育科学技術省国土交通省もできたら二文字がいいということをはっきり主張しているわけであります。  日本語というのは表意文字なんです。この言葉、言語、文化の根幹にかかわる問題だと私は思います。日本も一文字。中国の例を見ますと、みんな一文字ですね、唐とか溝とか明とか光とか。一文字とは言わぬけれども、一文字で十分あらわせる。  今回も、労働省、厚生省、私が厚生省の名前にこだわっているんじゃないかと言う方もいますけれども、厚生、労働、どちらをとればいいかといえば、はっきりと厚生省の方がいいと私は思っています。しかし、それを言うと労働省を主張される方は承知しないでしょう。だから、厚生、労働には私はこだわらぬ、政治家や役人よりももっと素養のある、教養のある学識者の意見を聞いて日本語のよさを十分あらわした一文字で検討すべきではないかということの主張が受け入れられて、ようやく附則二、この法案附則が加えられまして、今後検討する、その結果に基づいてこの労働福祉省を変えることを妨げないという規定が設けられたわけであります。  私は、単に労働福祉省だけじゃない、全省庁、的確な一文字で日本語のよさをあらわした文字で新しい省の名前がつけられることが望ましいと思っております。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)
  170. 及川一夫

    及川一夫君 大体、今こちらの方から声がかかりましたように、何が問題かというのは私もよく知っているつもりであります。ただ、二文字二文字と言われるが、小泉純一郎さんという名前の方は三文字でございまして非常にわかりやすい。ですから、字の数の問題ではないと私は思います。やはりそういった点で、私は労働ということにむしろこだわりたいんです。  これは、労働大臣もおられますけれども、なぜかというと、一体労働省ができ上がったあの経過は何だったのかということを率直に私は考えてほしいと思うんです。つまり、戦前は労働者は物でしたから、人間じゃなかったんです、率直に言って。それが戦後、民主主義というものが生まれてきて、憲法上も、第二十二条で言うように職業選択の自由の問題がうたわれ、また二十五条では生存権の問題がうたわれ、そして二十七条では勤労権の問題がうたわれ、そして労働三権が二十八条でうたわれた。こういう経過に基づいて、私の党だから言うわけじゃありませんが、当時の片山内閣が労働省というものをつくった、こういう経過があるわけです。  ですから、そういう意味でいうと、ただ単にネーミングの問題を私は言っているつもりはないんです。そういう歴史的な経過というものを踏まえると、各省庁にそれぞれあるでしょうが、私は、労働という言葉を消すようなそういう物の考え方ではいけないんじゃないか、こういう思いでございます。そういった点で、労働大臣には質問はなかったわけでありますが、労働大臣、率直に言っていかがですか。
  171. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 閣議でいろいろ小泉先生と話し合ったことをここで申し上げることは私はいたしません。  やはり役所の名前が国民にわかりやすいということは私は結構だと思います。その中で、一文字でなければならないというふうに私は思っておりません。橋本龍太郎であり、小泉純一郎とみんな三文字でございますから、立派に名は体をあらわせばよろしいわけで、そういうことをすべて踏まえて、先ほど小里総務庁長官がおっしゃったことを閣議で決めたわけですから、閣議で決めたことを後で私はどうこう言う立場はとりません。したがって、小里長官の御答弁ですべてが尽きておると思っております。
  172. 及川一夫

    及川一夫君 別に小泉厚生大臣を非難して言っているつもりはございません。ですから、私も先ほどの答弁もよく理解できるんです。しかし、やっぱり物事には幾ら簡単に簡単にと言ったって、言葉一文字一文字に意味があるわけですから、そういったことを考えると、私は余り二文字論ですべてを律してしまうというやり方はよろしくない、こんなふうに率直に思いますので、仲よくこれから論議をしてやりたいと思います。  それで、長官、特に午前中は労働関係のことでお話を申し上げたわけですけれども、推進本部というのはこれからできるわけですね。この推進本部というものが、おれに権力あり、おれに権利あり、おれに指導的立場があるんだという形で各省庁とやり合うと私は大変なことになると思うんです。  ですから、法律を見ると具体的な推進本部みたいな書き方になっているものですから、これがやはり職場あるいは省庁に行くといろんな議論になっているわけです。ですから私は、少なくとも推進本部対省庁の対立を生み出すような、そういうやり方はいけないというふうに思っていますが、その点長官、性根のうちをひとつ明かしてもらいたい。
  173. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 私はただいまの先生のお話は教訓だと思っております。  行政改革審議運営状況を振り返ってみましても、政治が決めるよと、この一つの自覚、そしてそういう使命感というものはきちんと持って総理大臣を座長としてお進めいただいた、こう思っております。  しかしながら、二歩進んで、そして一歩とは言わないが〇・五歩ぐらいは周辺を振り返った、謙虚に振り返る、そしてその分野分野の言うなれば経験と専門的な意見を求めたと。この事実からいたしましても、今お話があったことは、いわんや基本法が通った後のお話を先生はなさっておられるわけでございますから、あえて申し上げますれば、この国会審議においてお聞かせいただきましたいろんな意見も十分に振り返りながら、そして次の省庁再編への道を運営していかなければいかぬ、さように思っております。
  174. 及川一夫

    及川一夫君 終わります。(拍手)
  175. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  国立病院の問題について質問させていただきます。  法案の第四士二条三項は、国立病院・療養所の問題について、八六年の再編成計画策定以来実施してきた廃止、民営化、地方移譲を一層促進することに加えて、新たに独立行政法人化を検討すると明記しております。これはこれまでの再編成計画に新たに対象病院を追加して二〇〇〇年度末までに国立病院のスリム化を徹底した上で、さらに残った施設は独立行政法人にしようという方向のものだと思います。  これには国立病院の関係者、職員や患者、家族、地元自治体、住民の皆さんから強い懸念や批判が出ております。例えばこういう声です。国立病院が担ってきた結核医療や重症心身障害、僻地、離島の医療などの不採算医療を切り捨て、国の責任と役割を放棄するものではないか、こういうものです。  再編成計画では、八六年からおおむね十年間で全国にある国立病院のうち七十四施設を削減する計画、こういう計画のところを、十二年を経た今日でも厚生省によりますと二十一施設にとどまっております。計画の二八%ということですね。これはやはり行き詰まりを端的に示していると思うんです。  そこで、厚生大臣にお伺いしたいんですけれども、九六年度の厚生白書を見ますと、再編計画が予定どおり進んでいない理由について、地元自治体等の理解が十分に得られなかった、このことが書かれております。また、行革会議のヒアリングにも、当該施設の経営を引き受ける地元の地方公共団体や民間団体がなかなかあらわれないことが最大の理由だと述べられております。  なぜ地元自治体などの理解を得ることができないのか、その点についてお伺いします。
  176. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) これは、地元自治体にとってみれば病院は多い方がいいんですね。どんな機関でも多ければ多いほどいい。ここが行政改革の難しさだと思うんです。  しかし、国全体の立場から、これからは公共機関だけが公的な役割を担うものではない、民間の機関でも公共的な分野に活躍できる部分はたくさんあるじゃないか、医療もその例外ではないということから、私はこれからの時代というのは、官、公が民間の補完に徹するということから一歩進めて、民が公の分野に進出していくその姿勢が大事だと思います。そういう主張が共産党と自民党は真っ向から対立いたしますが、しかしこれは避けて通れない。国の役割は厳しく限定していく。民間はどこもやらない、しかしながら国は民間がどうしてもやらない事業だけに絞っていくべきだということを考えるならば、国立病院・療養所においても、この医療というのは国じゃなきゃできないのか、民間でもあるいは地方でもできるんじゃないかという分野は積極的に民間なり地方に移譲していくべきだ。  そして、国の機関としては、ほかがどこも手を出さないけれども国として政策上としてどうしても必要なものだけに限っていくということをやるんですが、政府は非常に国民に優しく穏やかで親切ですから急激にはやらない、住民の理解を得ながら着実に漸進的にやっていくけれども、基本方針はやっぱり堅持していかなければならない。時間はかかりますけれども、できるだけ国の医療資源を限定的に、重要な部分に使うという姿勢をとるべきだと私は思っております。
  177. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大臣は、病院は多ければ多いほどいいと言われましたけれども、こういう措置の結果、病院がほとんどなくなってしまう、そういうケースもあらわれます。あるいはまた、官から民へということを言われました。しかし、これによってこれまで国が果たしてきた重要な役割、国立病院の役割、これが一体どうなるのか、そういう実態があるわけです。  私は、きょうその実態を直視して議論したいと思うんです。行革会議のヒアリングでも厚生省は確かに大臣が今言われたような、ちゃんとした答えはなかったけれども、理由を認めているんですね。その理由というのは、地域医療の確保という強い要請がある、このことをはっきり認めております。私はその点で、再編計画があったにもかかわらず、それを推進してきたにもかかわらず、それがわずか二八%の結果になった、そこにやはり地域との大きな矛盾、それがあると思います。  全国で約三千三百の地方自治体があります。その中で三千の自治体が地域医療の確保と国立病院の存続、拡充、これを求めて決議を上げているんです。私はきょうその決議を持ってまいりましたけれども、これだけになるんです。三千の自治体の決議ですよ、これが。これは時間はかかっておりますけれども、これだけ決議が上がってきた。北海道と九州では、一〇〇%の自治体が国立病院の存続をということで訴えている。大臣は今簡単に言われたけれども、ここに事態の深刻さと重要な実態がある、私はそう思うんです。  その点で、私は、国立病院の存続、この住民の願いとのかかわりで紹介したいんですけれども、山口県の国立山口病院、これをめぐる問題についてちょっと紹介してみたいと思うんです。総理大臣、よく聞いていただきたいと思うんです。  山口県の豊浦郡にある山口病院は、主に豊浦町の二万一千人、豊北町の一万四千人の一般医療と健康管理の中枢病院として機能しております。この病院の隣にはてんかんや心臓疾患などの病気を持つ生徒たちの通う養護学校がある。この面でも重要な医療の活動を担っている。ところが、厚生省は、山口病院を再編成計画の対象に位置づけ、国立下関病院と統合する計画を打ち出しているんです。もし山口病院が廃止されれば大変なことになる。私はその声、実態を聞いてまいりました。紹介したいと思います。  山口病院は非常に広い地域での唯一の総合病院、もし廃止されれば、患者は下関の中心市街地に集中する病院まで最大五十キロ、車で四十分、JRで二時間通うことを余儀なくされる。山口病院は唯一の救急病院でもある。現在、年間十二万人の外来患者が利用するほか、一日十件、年間で三千五百件、救急患者を引き取っている。もし、こういう救急患者が下関まで運搬される、搬送されるということになったならば、助かる命も助からない、そういう問題だと思うんです。  したがって、地元住民の人たちは、地域人口の七割の署名を集めて、そして厚生省に山口病院の存続をと訴えている、これが実態ですよ。そして、私は一つだけ例を挙げたけれども、こうした事態というのは、程度の差こそあれ全国にあるわけです。だからこういう署名になるわけですよ。  私はその点で、まさに国立病院の廃止というのは住民の生死にかかわる重大な問題、これにかかわっているということ、このことをはっきりと認識すべきだと思いますけれども、総理の御所見を伺いたいと思います。
  178. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 地域の方が、国の機関がある、病院がある、ない方がいいかあった方がいいかといえば、それはみんなあった方がいいと言いますよ。私の地元、国立横須賀病院がありますけれども、ほとんど反対が多いですよ。  しかし、全体の立場を考えれば、移譲ができることがあったら移譲していった方がいいという姿勢は、先ほども申し述べたとおりであります。  これは、国の機関というのは確かに信頼があります。これほど政府が非難され、役人がけしからぬと言われながら、実態を見ると、国の機関とか役人が信用あるんだなと私は思っているんですけれども国会で言われていることと地域と違うんじゃないかと思うことはしばしばありますよ。何でこんな国を信頼し役人を信頼しているのかと。民間じゃ不信なのかと。その辺が官尊民卑という国民の意識があるのかなと。日本というのは随分やっぱり役人がしっかりした点があったのかなということを見直す場合があるんですけれども、各地域においても同じですね。本当に国の機関をなくすると、もう病院だけじゃない、どこへ行っても反対です、支分部局でも。  しかし、全体のことを考えると、それだとどんどん役人をふやさなきゃならない。役人を養うために税金をどんどん徴収しなきゃならない、これも嫌だという中で効率的な簡素な政府を目指すと。ひいてはこれが民間活力を発揮させて、民間ではできないといっていたのが、民間でもどんどん今まで役人のやっていた仕事ができるということの環境が整えば、国民経済的にもプラスになるんじゃないかなと。そういう点から進めているということを御理解いただきたいと思います。
  179. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 山口の方がこういうことを言っているんです。地域住民の大多数がここで生を始め、ここで生を終え、人々はそれを見守り、私たちの一生はここに託すものと思ってきました。国家への信頼感も小さからぬ部分はここで生まれています。今、大臣が言われたことと結びつくでしょう。やっぱり地域の人たちは国家をそういうふうに思っているわけです。そこに国家とのかかわり、きずなを強く持っている。  その点で、私はこういう経過を考えたときに、まさに大臣の今言われた、じゃあとはどうなるのかということに対する答えがないわけで、その点は人命、健康を預かる省庁責任者としてやはり私は重大な見解を述べられたと思います。  さらに私は述べたいんだけれども、厚生省がこの間再編成等々を進める際に、再編成への地方自治体等の理解が進みつつあるなどと最近は評価しているようですけれども、私はその点で、地方自治体に対してさまざまな形での圧力、おどし、こうしたことがかけられているのではないかということをいろいろ聞いております。  いつまでも存続を主張するならば施設を廃止する、そうしたことも医務局等々から言われているということも聞いております。そういうおどしとか恫喝まがいなことというのはこの再編成に向けて行われていないのかどうか確認したいと思いますけれども、いかがですか。
  180. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 役所が、まして厚生省がそんな地方の方をおどしたり恫喝したりなんということはあり得ない。いかに住民の理解を得てこの再編計画を進めるか。なおかつ今まで再編計画どおりに進んでいない、この点もやっぱり反省して、国立病院等を統合したり廃止するんだったらば民間がより引き受けたくなるような、地方が移譲してもいいというような条件において問題がなかったか。もっと積極的に、それでは民間がやってみよう地方でも引き受けてみようというような措置も、今までのやり方を踏まえて今後反省すべきじゃないかと私が言っているほど、穏やかに、そして決しておどすことなく、住民の理解を得るような方法を考えて今後の統廃合の計画を進めていきたいと考えております。
  181. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そういう実態というのは私もいろいろ調べてみましたが数多くあるんです。私はちょっと紹介したいと思うんだけれども、例えば長崎県の国立壱岐病院をめぐって昨年十二月開かれた守る会の総会で来賓としてあいさつに立った石田町の町長は、厚生省の九州医務局から、平成十二年までに国立病院を引き受けない場合は診療行為をストップし、入院患者は退院させ、ほかに移ってもらう、これは既に決定事項である、そういうふうに報告しているんです。あるいは香川県の西香川病院をめぐっては、ことし一月、四国医務局が高瀬町に対して、西香川病院を十二年度末までに決着しなければ存続はあり得ないと判断してほしいということを述べている。  こういうことは幾つもあるんです。大臣、大臣は御存じないかもしれないけれども、こういうことが現に起こっている。大臣はないと言われた。私はこのようにこういうことがあるんじゃないかとここで提起しました。やっぱりその問題は大臣として責任を持ってきちっと調べていただきたい。私がここで提起した以上、それを調べていただきたい。その点、いかがですか。
  182. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) それぞれ地域地域によって事情があると思います。その事情を踏まえながら、厚生省としての政策、方針を理解してもらうように今後とも話し合いを通じて努力をしていきたいと思います。
  183. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 ですから、これが話し合いではないと私は述べているわけですよ。こういう実態がある。  私は、その点で非常に重要なのは、再編成計画について八七年九月三日に当時の斎藤十朗厚生大臣が述べている答弁があります。再編成についてこう言っているんです。   見切り発車をしてやっていくというような性格のものではないということをたびたび申し上げてまいりました。まさに話し合いを十分に重ね、大方のコンセンサスを得られるまで努力をいたしてまいる。その大方のコンセンサスが得られるまでは、これまでの国立病院・療養所はこれまでどおり存続をしていくということも当然であると思っております。 こういうことで、私はこれは非常に大事な答弁だと思います。  住民の生命、医療、国の責任にかかわる大問題だけに、私は第一に計画の一方的な押しつけはしない、第二に地元住民や関係者、自治体、住民の意見をよく聞く、このことが求められていると思います。貫くべきだと思いますけれども、その点いかがですか。
  184. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 先ほども医療というのは国立でなきゃやっていけないという考えとは違うんです。国立病院がない地域はたくさんあります。その分野は民間が立派にその役割を果たしている。国立でなきゃ嫌だということではなく、民間でも国立にもまさるとも劣らない病院がたくさんあるんです。そういう民間の病院に今までやっていた国立の病院を引き受けるというようなところがあったら引き受けてもらってもいいし、国立でなきゃ医療じゃないという考えがあったらその考えを改めてもらわなきゃならない。  地域地域によって事情は違いますけれども、厚生省としては、医療資源を効率的、合理的、できるだけ多くの国民が適切な医療が受けられるような措置を講ずる。その中にあって、どのような適正な医療資源の再配置が必要かという観点から進めているのでありまして、国立病院の統廃合に向けては、住民の理解を得られるよう努力をしてこの計画を進めていきたいと思います。
  185. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 やっぱり実態から出発していただきたい、このことを重ねて要請したいと思うんです。  それで、私は最後に総理にお伺いしたいんですが、やはり国立病院の重み、このことが行革会議の経過からもあらわれていると思います。国立て維持するという意見と、独立行政法人化するという意見が拮抗して両論併記になって、そして会長一任、つまり総理の判断でということになったと思うんです。それがこういう形になった。  私、そういう点でやはり総理の責任は非常に重大だと思うんですけれども、その点、最後にお伺いしたいと思います。
  186. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど来厚生大臣がお答えをいたしましたことに問題は尽きていると思います。  そして、厚生大臣もむしろ民間を強調されましたけれども、私は地方公共団体は議員のお考えの中にどこに存在するんだろう、その責任というものはどうなるんだろうという疑問を持ちました。  国立病院は、議員もよく御承知のとおり、かつて大日本帝国時代における大半は陸軍病院であり海軍病院でありました。それを第二次大戦後、国立病院という、それ以外の要素もありますけれども、形で集約をいたしました。当然ながら地域的にもばらついておりますし、随分格差もございました。  私は、本当は国立病院というものが、当然のことながら高度かつ先駆的な医療、そしてハンセン病等大変民間の医療機関で対応するには難しい医療、こういうもの以外が独立行政法人という形になっていくこと、それだけでなく本当は適正配置も考えられてよい性格のものではないだろうか、これはむしろ二十年以上前に私は若い議員として提起をしたことがありますが、残念ながら聞き入れられなかったことであります。  しかし、そうした地域的なばらつきがあるということもどうぞ御議論の中にお入れをいただきたいと存じます。
  187. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 時間ですから終わります。(拍手)
  188. 永野茂門

    永野茂門君 第二ラウンドの質問を始めさせていただきます。  教育改革は、総理の提唱する六大改革の重要な一分野でありますが、本日は、総理の示した理念に基づいて文部大臣は具体的にいかなる教育改革をやりつつあるかということについて、文部大臣に承ります。    〔委員長退席、理事高木正明君着席〕  最近、少年犯罪でありますとかあるいは企業幹部の犯罪でありますとかあるいは高級官僚の犯罪でありますとか、いろいろな反省すべき、教育にはね返るような重大な問題も派生しておりますけれども、文部大臣はまず具体的にどのような教育改革を行いつつあるかを承ります。  その第一といたしまして、どのような人材を養成するということを重視して行いつつあるか、お伺いいたします。
  189. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) どのような人材がというお尋ねでございました。私は、いろいろな表現の仕方はあろうかと思いますけれども、非常に変化の激しい時代でもあります。しかし、だからといって人間として持たなければならない要素というのは、素養といいましょうか道徳観といいましょうか、それは当然あると思います。  そうした人間として持つべき基礎というものをしっかりまず身につけること。これは何も知識という意味ではなくて、もちろん知識も入ると思いますが、人間として持つべき道徳観、倫理観、それらを含めたもの。そして、その上に立ってつけ加えるならば、非常に変化の激しい時代、国際化、情報化、いろいろな要素がございますが、そうした新しいものもしっかりとまた身につけていく、そういう人材を教育界の中から輩出できればいいなと、かように考えております。
  190. 永野茂門

    永野茂門君 今、大臣は人間の基礎を培い、そして道徳でありますとか倫理を身につけた、基礎的にはそういう要素を重視して人材養成を行いつつある、こういうことでございましたが、全くその点については同意でございます。ただ、最近日本の状況を見ておりまして私が感じますのは、別な表現で言いますと心の問題でありまして、心の教育が必ずしも十分ではなくていろんな欠陥を露呈している。  いろんな欠陥というのは、例示いたしますと、社会のルールを守る心でありますとか、あるいは地域でありますとか国家でありますとか世界という公共に奉仕し、献身するような心、これも非常に欠けてきておる。愛国心もありませんし、そして最近では犠牲という言葉もほとんど忘れられているような状況であります。さらに、我が国の歴史、文化伝統を誇りを持って継続、発展させるというような心もだんだん薄くなってきている。いろいろな理由があることはもちろん承知しておりますけれども、誇りもなく、そして大変に卑屈な態度でいろいろと接していく。  したがいまして、たくましく生きていく力というのはほとんどなくなっているんではないか。どちらかというと、先ほど申し上げましたように卑屈という表現を使いましたけれども、自己主張もなく、ディベートにおいても負ける、商売あるいはその他の交渉においても引っ込み思案であり、妥協を先に求めるというような非常に弱い状況を呈しておると思います。  そして、一方では自己の利益を追求することについてはきゅうきゅうとしてやっておるし、その自己の利益の追求が満足な状態に達すると、それをかえって誇りに思うような人さえおるというような状況にあって、この状況はまさに憂うべき状態であると思います。自己のみの利益を追求し、背徳を許す社会に潤いもなければ余裕もあるはずはありませんし、たくましく闘うことなくては安全も平和もそして安定もから取ることはできないと思います。  したがって、こういうことについて十分に自覚させなきゃいけないし、親も社会も、そして教育を担当している教官、先生たちも、こういうことについて分析を明確にし、そしてその対応をしっかりやらなきゃいけないと思います。  こういうことについて大臣はどういうようにお感じになり、そしてどういうようにすればこういうことが長く時間はかかるでしょうけれども是正できるとお考えでしょうか。
  191. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 委員から大変重要な御指摘をいただきました。  戦後の特に教育ということを考えたときに、もちろんこれだけの教育の普及が図られた等々すばらしい面もあったと思います。他方、戦後教育の問題点も年とともにだんだん顕在化してきた、こう思っております。余りにも知識の詰め込み、それを暗記する、覚える、暗記能力のみをその人間、生徒の判断基準に置いてしまってきているといったことは大いに反省していかなければ、変えていかなければならないと思います。  あるいは戦後、権利とか自由を余りにも強調し、それが大切だということを言い過ぎた余りに、個人が果たすべき責任とか義務を余りにも軽視してきたといった問題もあろうと思います。あるいは戦後、平等ということを意識し、それもよかった点もありますが、行き過ぎると、個人の個性を伸ばすとか、あるいは人との違いを、むしろない方がいい、違うとむしろいじめの原因になってしまうといったような行き過ぎた平等、こういったものもあったと。そうしたことを是正する。私は今言った二、三の点を今の教育改革の基本に据えて制度的な面に手をつけていこう、こう思っているわけであります。  特に、委員は心の大切さということを言われました。今私ども四本柱で教育改革を進めようとしている。その第一が心の教育という点でございます。中身は多岐にわたりますので簡単にいたしますが、道徳教育の重視、あるいは家庭のしつけ、家庭教育の充実、あるいは学校でもう少しゆとりとたくましさを持てるような週五日制、教える内容の厳選といったようなこと、そしてそれを支える指導力のある教官、教師の育成という意味で、先般、教員養成に関する法律も可決をしていただいたわけでございますが、そうした各般の施策、確かに時間がかかるかもしれませんが、そうした心を育てる教育というものに重点を置いてこの教育改革を進めていこうと考えております。
  192. 永野茂門

    永野茂門君 町村大臣のやっていらっしゃることに全く同意であります。国じゅうを挙げてこの教育改革キャンペーンを力強く推進する必要があると思いますので、大臣は今のようなことで頑張っていただきたいと思います。  次に、時間が迫っておりますが、教科書、特に歴史教科書問題について大臣はどういうよう所見をお持ちでしょうか、承ります。
  193. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 歴史教科書、それぞれ検定を経て採択をされて使用されているわけでございますから、それぞれにおいて誤りがあるとは思っておりません。  ただ、私も幾つかの教科書を読んでみたときに、全体のバランスがどうかなというところでいささか欠けている点があるのではないか。特に明治以降の日本の歴史というものを振り返ったときに、当然、よかった点あるいは反省すべき点、両方あるんだろうと思いますが、いささか日本の歴史の特に明治以降、否定的な要素を余りにも書き連ねている印象を与えるそういう歴史の教科書が多いよう印象を私も個人的に持っております。  その辺を今後の教科書の検定、あるいはそのもう一つ前の執筆の段階から各編集者に、もう少しいいバランスを保てないんだろうか、そして採択の段階でもう少し改善すべき余地はないんだろうか、そんなことを今教科書検定に関する審議会で御議論をいただいているところでございます。
  194. 永野茂門

    永野茂門君 私は、今のような教科書では大臣がねらっていらっしゃる、あるいは総理が所信表明でお示しになったような人材は育ちにくいのじゃないかと。この際、今おやりになっておるそうでありますけれども、教科書検定制度について検討していただくことをお願いしておきたいと思います。  時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、総理、この際、教育改革についての御決意を改めてお伺いしたいと思います。
  195. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 時間切れの後でございますので一言だけにさせていただきますが、先刻来、町村文部大臣が既に述べておりますように、私どもは今の日本の教育の中にもう一度さまざまな、我々の先輩方が持ち、そして私どもの世代に伝え、日本として守り育ててきたさまざまなよさ、これをどうしたら反映できるのか、伝えていけるのか、そうした思いでこの問題に取り組んでおります。  議員はそれを心の教育という言葉にあらわされました。先輩、先祖から伝えられた我が国のよき伝統文化、こうしたものを保ち続けられるような教育というものをつくり上げたい、そのように補足させていただきます。
  196. 永野茂門

    永野茂門君 以上をもって終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  197. 堂本暁子

    堂本暁子君 けさに続いて総理に伺いますが、設置法の権限規定を見直すとおっしゃったんですが、私はそうではなくて、見直したのではまた半端に終わってしまうということで、やはり廃止すべきだというふうに思うので、このことを確認させていただきたいのが一つです。  それから、次にもう一つ質問させていただきますけれども、環境省のスケールが今回のこの法律では余りにも少ないのではないか。人数のスケールもそうです。例えば、スタッフは一応千人というふうに書いてありますが、これでは、一方で国土交通省は六万人、アメリカの環境省の場合は一万八千人。もし日本が環境先進国というのであれば、そういった役所のスケールにおいても、それから権限においても強化していただく必要が――こういうイメージの図です、イメージの図でちょっと人数を申し上げたのですが、できたらできるだけふやしていただきたい。これは法律に書いてあることではございません。  それから、法律の中で、私が割に熱心にやっている生物多様性の保全については、温暖化については書いてあるんですが、生物多様性の保全というのは項を立てていない。これは条約も批准していますし、それから基本法にも書き込まれているので、ぜひ入れていただきたい。  そして、共管の部分ですけれども、やはり森林の保全、河川の保全の部分もどの程度環境省が、省になった場合ですが、具体的に政策立案に共管できるのか。その点もどの程度かはっきり、全部短くて結構なんですが伺いたいということと、それからあと、今環境ホルモンなんかが問題になっている時期に、二〇〇一年を待たずして、やはり各省庁がもっと合体していろいろできるような方策を総理の権限でぜひやっていただきたい。  大変短くそれぞれ伺いました。
  198. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 午前中の所掌と権限規定の話、これはどうも私は議員と考え方が違うようです。全部を四角に切ったケースと白地の中に丸が飛ぶケースとを私は二つ例で申し上げました。  私たちは、民間が自由に動ける空間をできるだけ残した行政組織にしたい。そのためには、省庁がみずからの権限を越えて行動することを制止するためにも、私は権限規定というものはきちんと位置づけておく必要があると思うんです。その点は残念ながら議員のお考えと違うようですが、所掌事務だけを法定し権限規定を置かない場合にはその所掌というものはどう自己増殖をするか、これは非常に私は危険だと思っておりまして、むしろ民間が自由に行動できる空間を確保するためにも所掌と権限というものはきちんと位置づけるべきだと。それは議員のお考えとちょうど道さの格好になるんですが、私はその点は残念ながら意見を少々異にいたします。  それから、環境省になるとき千人と言われましたが、小里長官にも今確認をいたしましたが、私ども実はそういう数字を用意いたしておりません。  むしろ、この中央省庁等改革基本法案におきまして「環境省の編成方針」として、専ら環境保全を目的とする制度や事務事業などは環境省に一元化をする。また目的、機能の一部に環境保全が含まれるものについては、環境省が環境保全の観点から基準、指針、方針、計画等の策定、規制等の機能を有す。そして、これを発揮することによって関係府省と共同で所管するときちんと位置づけております。  しかもそれだけではなく、基本法におきまして、それぞれの府省はその任務の達成に必要な範囲におきまして他の府省が所掌する政策について提言、協議、調整を行い得る仕組みが用意されております。特に環境省につきましては、他の府省が所管する事務及び事業について環境保全の立場から必要な勧告等を行う、環境行政における横断的な調整機能を十分発揮すること、こうした規定を設けております。  むしろ、これから環境省の設置法などの立案過程において、今申し上げたような機能がきちんと担保される、そして環境省が環境問題に対して戦略的、総合的に取り組んで十分機能が発揮できるようなものにしていかなきゃなりません。そういう点での御協力をぜひお願いいたします。  また、生物多様性条約の関連について御意見がありました。  私は、生物多様性の保全というものは、当然ながらさまざまな動植物、これはもうよくお互いに申し上げているように本来の生息環境の中で生き続けられる状態、そう考えますときに、まさに環境省の主要な任務であります自然環境保全に含まれるものだと考えております。  そして、もとよりこの省庁改革基本法案の中においては官然環境保全は環境省の主要な任務です。そして、これから先、詳細な所掌事務は議論を詰めていくことになりますけれども、生物多様性の保全につきましては多くの省庁がかかわりを持っておりますだけに、環境省が関係省との連携、調整の緊密化を図りながら適切な推進に取り組んでいくべきもの、私はそう位置づけております。
  199. 堂本暁子

    堂本暁子君 終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  200. 高木正明

    ○理事(高木正明君) 次に、建設省外四省庁を中心として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  201. 鈴木政二

    鈴木政二君 自由民主党の鈴木政二でございます。  今回の行政改革、特に中央省庁再編でありますけれども、各党みんな選挙には公約をしてきたわけであります。しかし、どうも最近、景気対策や政局の動向で行政改革の関心が非常に何か薄まってきたような気がいたしておりましたけれども、やっと衆議院、そして今参議院と白熱した論議が続いているわけであります。  御案内のように、この法案は早ければ二〇〇一年の一月に中央省庁再編のスタートが始まるわけです。そのためには、直ちに中央省庁改革推進本部を設置して、そして設置法をつくって二〇〇〇年度の予算に新省庁関係の予算を盛り込まなきゃならない、そういう段取りになっているわけであります。これらの手続面から見ますと、この基本法は今国会でもう絶対に成立しなければ二〇〇一年には間に合わないということであります。  しかし、野党の皆さんはこの法案にどうも反対の姿勢が感じられております。成立をおくらせたり不成立に追い込んだり、ましてや橋本政権を窮地に追い込もうとしているような節がすごく感じられるわけであります。私はそれでいいのかなという気がいたします。  この行政改革は、総理がだれであろうとも、あるいは仮に民主党の菅代表でも、自由党の小沢一郎さんでも、もうちょっと言うなら公明の浜四津さんでも、政権担当をしておるのなら、交代したとしたら絶対に実現しなきゃならない緊急の課題だと私は思っているんです。行革は経済、財政の改革どまさに表裏一体なんですね。  御存じのように、アメリカとかイギリスの例を見ればわかるんです。一九八〇年代、アメリカとかイギリスは不況のどん底でした。しかし、その時代の党首、首相が、また大統領が大胆な行政改革をやり、規制緩和をやって今のアメリカやイギリスの活力を生んだということになるんです。  ましてや、この中央省庁を舞台に大蔵省や厚生省の不祥事件、また不景気など、私はまさに待ったなしの行政改革だと思っています。それだけに私ども与党も、当然ながら野党の皆さんも、反対ならば代替案やまた修正案を堂々と出して議論を尽くして、私ども与党もただすべきはただし、問題点を指摘して、一刻も早く成立すべき法案だと私は思っております。  しかし、この法案は結構問題点が多い、不明な点も非常に多いわけでありまして、早速質問させていただきます。  先ほどからずっと論議を聞いておりまして、今回の省庁再編、一府二十一省庁から一府十二省庁、これは余りにもバランスが悪過ぎるんです。例えば総務省は現行の総務庁と自治省、郵政省を合わせて職員の数が実に三十万人以上、また国土交通省は御案内のとおり公共事業の八割を所管して強大な、これは利権と言っちゃ大変恐縮だけれども、利権官庁というような声もある。環境庁も、先ほど堂本先生からお話があったように、ちょっとこれもはっきりしない。  さっき総理が答弁されましたけれども、こういう省庁間のバランスがこのままで本当にいいのかなという気がいたします。このアンバランス、一府十二省庁ありきというような、数字に余りにもこだわっているんじゃないか。小里長官、なぜ一府十二省庁でなきゃならなかったのか、その理由をまず聞かせてください。
  202. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) いろいろお話もございましたが、私どもは決して最初から一府十二省庁ありきではございません。いろいろそのための手続あるいは根幹にかかわる制度上の問題等々もたくさん御相談申し上げておるわけです。  本来、事業、事務、権限を縮小いたさなければなりません。これはもう御承知のとおり硬直化しております、肥大化しております、戦後五十年型のシステムでありますと。ですから、簡素化、効率化して、縦割り行政も透明性もきちんと整理しなけりゃいけませんよと。これらはもうこの委員審議を通じまして各先生方からも強く御指摘をいただいたところでございます。  しからば、そのためにどういうふうにして組織を、事業を、あるいは権限を縮小していきますかと。その手段、手続についてももろもろ御相談を申し上げておるところでございます。例えば、機能性という面から、現在の事前管理からこれを事後チェックに切りかえていきましょう、そうすることによりまして、裁量行政というものも非常に強く批判されておりますが、これも粛正されますよ、そして一定の明確な具体的な、しかもできるだけ裁量の余地の少ないルール行政に根本を変えるんですよと、こう言っております。  この一つをとってみても、一府二十一省庁体制の現状を見てみますときに、今日果たすべき国の役割、機能というのは本当にこれでいいのかということを振り返ったときに、大変長所もありましょうけれども短所もあるし、あるいはこの点はもう既に整理、淘汰していいのではないかなという部門もないわけではございません。  あるいはまた、いわゆる政策・企画立案機能、これをきちんとしましょう、そして実施機能というものときちんと分別をします、これも簡素化するし効率化をします、こういうことを呼びかけておりますし御相談を申し上げております。  今申し上げました実施機能の分離についてもいろいろありますけれども、最も典型的なところを先生が今ちょっと指摘されたから申し上げますが、さて統括をして三十一万になんなんとする巨大官庁ができますなとよく言われるんですね。これは決して先生にお言葉を返すわけではございませんが、三十万八千、三十一万人の新官庁、総務省となりますと、なるほど巨大だなというイメージを与えることは否定はいたしません。  しかしながら、それではただ単に従来の省と省を合わせただけの話でございますから、改革の精神に私は背くと思います、実態上。だから、三十一万になんなんとする新しい総務省の言うなれば所定の職員層であるけれども、その中を思い切って改革をするんですということを相談申し上げております。  したがいまして、政策の企画立案部門は新しい総務省の中にいわゆる郵政企画管理局的なものを一局は置きます、しかしそのほかは外に引き出します。言うなれば、三十万四千人という郵政事業に携わっておられる人々を外に引き出すんです、郵便事業庁に。そして、そこでいわゆる企画立案と実施機能がきちっと分離をされますから、そこで今私が二番目、一番目で申し上げた大きな根幹にかかわる一つの実効というものは明確に出てまいります。  さらに、許されるなれば、二〇〇一年一月一日に移行してから二年以内にこれを郵政公社化します。三十万四千という大世帯と申し上げていいんでしょうか、大変大きな組織員の皆さんに御相談をいたしまして公社化をいたしますと。そして、公社化をいたしまして、ここで完全に行政部門から外に出た別法人格を有する郵政事業者として、いわゆる郵政公社として独立の運営が始まりますから、この姿を御想定いただいただけでも大変な意義があるし、そしてまた事務事業の削減、政府行政形態のいわゆる縮減という意味におきまして大きな役割が期待できる、私はさように説明を申し上げておるわけであります。  そのほか、内閣の機能を強化しますよ、そしてその支援体制もつくりますと。あるいは、総理大臣リーダーシップも明確にいたしますという、内閣機能強化も別な意味でまた大きな役割を御相談できるのではないかと。あるいはまた、官民分担、地方分権、先ほどから議論されておるとおりであります。情報公開においてもそのとおりであります。あるいは、評価制度を制度として今次確立をいただいて、これも根幹として採用いたしますよ、あるいは公共事業の合理化、補助金等におきましても御承知のとおりでございますが、もろもろの改革を縦横から打ち込んでまいります。  これらの作業はこれからすべてを始めるわけではございませんで、総理も先ほど言っておられましたように、例えば規制緩和等におきまして、あるいは地方分権等におきまして方針が策定されたものもあるし、あるいは既にもう実行中のものも大半あります。それらの改革のための作業の進捗度合いを今までも見ながら一府十二省庁というものに打ち込んでまいった経緯があります。  もっと根本を言いますと、総理大臣がこの国の新しい形はいかにあるべきか、国富の維持のために、あるいは国力拡大のために、あるいは教育、文化のために、あるいは国民生活を守るために新しいこの国の形を四分類してスタートいたしました背景もあります。そういうようなものなどの作業を逐次進めてまいりまして、この基本法を策定するまでの段階におきまして一応このような整理をいたしましたという背景を御理解いただきたいわけでございます。
  203. 鈴木政二

    鈴木政二君 大変御丁寧な答弁で、迫力もありまして非常に感じ入っておりますけれども、一応という最後の言葉なんですが、大きいとか小さいとかという問題は私は余りこだわらないんです。やっぱり中の省がこれで国民皆さんに本当に適切なのか、これを言っているんです。私は、大きいからいかぬとか小さいからいいとか、そんなことを言っているわけじゃない。  今、小里長官の話、大変丁寧に言っていただいておるのですが、私も質問を結構したいものですから、当然ながら大事な骨幹の話ですので、これからまた論議を進めていきたいと思います。  先ほど及川先生お話し名称の話、それから我が党の同僚の常田先生の午前中の話、私はどうしてもこの省の名前にこだわってしまうんです。小里長官が先ほど来ずっと答弁をされて、午前中の常田さんの話ですが、大方は適正だ、関係の各皆さんはそんなことを言っていた、でもどこかで一応整理をしなきゃならないなという答弁でした。  これはさっき小泉厚生大臣が話をしました。四文字や六文字というのは、基本的に今まで戦後やってきた中で、通商産業省でも通産省、いろんな言葉があります。だけれども、私も大体二文字だと思うんです。教育科学技術省なんていうこの言葉は、略すと教科省になっちゃうんですね。これは国民皆さんは一体何をやる省なんだろうと、だんだんひとり歩きしていくとそうなっていく。例えば国土交通省、これは短くすると国交省、国交省なんていうと外国と交渉する省かなと思う。  省の名前というのはわかりやすく親しみやすくやらなきゃいけない。特に、この新しい名称は二〇〇一年から長期にわたってこの名称でずっといくわけです。そういう面では、いろんないきさつがあります。いろんなプロセスでいろんな話が出ておりましたけれども、いろんな名前が欲しいのはわかりますよ。お役人の方でも自分のふるさとの名前が欲しい、そういうのもわかりますから、これは有識者の第三者機関に任すか、国民皆さんには新しい中央省庁再編するんだなという意識もあるものですから、私はできたら国民の公募にしていただきたいなという要望であります。  もう一つこの問題で、小里長官はもう話が大体わかっておりますので、私は今度のここの担当であります亀井国土庁長官国土交通省、この話を聞きたいんです。  今度の場合は運輸省、建設省、大変巨大な省であります。隣に北海道開発庁長官もおりますけれども、その中に、小渕外務大臣流に言うとビルの谷間のラーメン屋とよくごあいさつをいただきますけれども、まさに小さいけれども全総や何かをいろいろ持って国土の全体的なのがあるわけであります。亀井長官、私はもう正直言って、いろいろ問題が出るなら一文字の国土省でいいじゃないかと思っているわけです、個人的に。この名称に関してちょっと御意見をお聞かせください。
  204. 亀井久興

    国務大臣(亀井久興君) 今、国土交通省という名称についてのお尋ねでございますが、申し上げるまでもなく国土交通省は建設省、運輸省、国土庁、そして北海道開発庁を母体といたしまして、国土の総合的、一体的な開発利用、そしてまたそのための社会資本の整合的な整備を進める、それと同時に交通政策の推進を主要な任務としている行政組織である、そのように受けとめておるところでございます。  国土という名前がついておるということについてはごく素直に私も受けとめているところでございまして、その機能をいろいろ示しております中にも国土計画ということが一番最初に書いてあるわけでございます。ただいま委員指摘になりました全国総合開発計画を初めといたしまして、もろもろのしっかりとした国土計画があって初めてその開発利用というものが的確に進められていくわけでございます。やはり国土計画がしっかりと位置づけられているということで、現在私ども国土庁が果たしております役割、機能、そうしたものは今度の国土交通省になりましてもより適切に発揮できるのではないか、そのように受けとめておるところでございます。  国土交通省というその名称についていかがか、そういうお尋ねでございますが、そのことについては、確かに附則におきましてより適切な名称があればそれを変更することを妨げるものではないとされているわけでございますけれども、やはり交通政策というのも大変重要なテーマでございますので、そのことを名称から外してしまうということが果たしていいのか悪いのか。その辺、当然運輸大臣のお考えもあろうと思いますけれども、私といたしましては、国土交通省という名称でいいのではないか、そのようにごく素直に受けとめております。
  205. 鈴木政二

    鈴木政二君 しゃべりにくい質問だったかもわかりません。私も運輸省がどうのこうのと言っているのではありません。運輸省ももちろん国土の中の一つだと。これは建設といろんな関係で一体化をしているというのは私もわかります。別に運輸省にどうという腹も何もありませんけれども、短い名前で国民皆さんに親しんでもらうというのが私は大事だという意見であります。  次に、先ほど小里長官の話で、総理大臣の権限を非常に強化する、これは私は大変重要なことだと思っておりまして、大変すばらしいことだと思っております。ただ、もう一つ、今度の法案を見ましても、各大臣の補佐や支援とか強化というものは何一つ載っていないんです。これはちょっといかがなものかなと。これだけ一府十二省庁になってきて一つの省が大きくなって大事な話でありますから、ここらの各大臣の強化というのは、小里長官、どうなっているんですか。これは法案には載っていないんです。
  206. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 政務次官の問題であろうと思うのでございますが……
  207. 鈴木政二

    鈴木政二君 いや、それだけじゃない。ほかに補佐官とかいろいろな問題もあるんですけれども
  208. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) それはどういう意味でしょうか。もう一回ちょっと。済みません。
  209. 鈴木政二

    鈴木政二君 当然、政務次官も私は重要な問題だと思っていますけれども、例えば国土交通省でしたらここに四大臣入るわけですね。そうすると、その大臣、ヘッドというのは大変なリーダーシップが要るわけです。そういう面では、民間の人を入れたり、要するに総理と同じような、ある面ではそういう民間の支援とかいろんな補助官とか補佐官とか、そういうものも入れたらどうだという考え方はないのかと聞いているわけです。
  210. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 先生のおっしゃるとおり、政務次官、しかも政務次官というこの職分名と申し上げましょうか、これを副大臣とかいろいろ話がないわけでもございません。いずれにいたしましても、政務次官の職分強化というものは非常に大事な一つである、さよう判断いたしております。
  211. 鈴木政二

    鈴木政二君 ちょっと私の言いたいこととも違いますけれども、もう時間がなくなってまいりました。また後日、ある機会でさせてもらいます。  今、政務次官の話が出ました。私はこれは本当に重要なポストだと思っております。御存じのように、大正時代に政務次官制度ができたわけであります。ただ、この政務次官の現状というのは、悪い言葉で時たま耳にするんですけれども、しゃくにさわる話ですけれども、霞が関の盲腸だとか、いなくても別に不都合がないとか、いろんなことを言われて、こんな重要なポストをやゆする人もおるわけですけれども、これは国家行政組織法では十七条にきちっと明記されております。  ただ、明記されているこの地位というのは、ある面では副大臣の形になっていますけれども、実際は大臣が何らかの事故で長期に入院したりしたときにその政務次官が大臣にかわれるかといったら、そんな制度じゃないんですね。本当にわずかな短期間の制度だと。  私は、政務次官というのは行政政治との調整役だと、これはもう間違いなく調整役だと思っています。もう一つ行政に対する政治の優位の目的を実現していく、今回の趣旨の理念の中でも同じように説いてあります。  ただ、そういう面で現状を見ていますと、この間、我が党の太田誠一筆頭副幹事長が二十省庁の事務次官に政務次官の実情をヒアリングした調査があります。私もこれを大変興味深く読んだんですけれども、簡単に言いますと、政務次官が出席の全庁的な会議が年四回以上あるのはどこかとか、大臣への決裁は必ず政務次官が目を通すとか、大臣不在の場合は政務次官が代理で決裁するとか、もろもろがあります。こういう項目の中で、何と大蔵省は一つもやっていない、大蔵政務次官は一つもこういう話がない。辛うじて国土庁は全部やっています。建設省もある程度やってくれている。運輸省はたった一項目だけなんです。  これは一体何なのか。余りにも政務次官を軽んじているんじゃないか。私は、今回のこの問題について、行政改革のこの中央省庁の中で政務次官というのが本当に重要だと思っています。  もう一つ、私ども気をつけなきゃいかぬことは、これを言うと片山理事にしかられるかもわかりませんけれども、大臣が海外へ行くという場合、やっぱり政務次官を強化して権限を持たすことは私は大変重要なことだと思っています。特に、「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」と憲法の前文にきちっと書いてある。こういう社会の、世界の情勢の変化の中で、やはり大臣はそれなりに海外へ行って、国際会議、世界会議の中で我が国の立場、我が国の主張をきちっと言うべきだと私は思っております。  そういう面で、時間がありませんので、私は島村農林大臣にちょっとお聞きしたい。振って大変申しわけありません。  島村大臣は政務次官を三回やっております。特にこの間うちは閣僚の文部大臣をやった後で農林水産政務次官をやっていらした。島村大臣はそういう経験を積んでいるので、そしてことしの三月でしたか、バリの例の農相会議にも行かれた。そういう意味で、島村農林水産大臣、今の私の言っている政務次官のあり方、この中に取り組む姿勢について一度所見を述べていただきたいと思います。
  212. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 大変重要な御指摘だとは思います。私は鈴木委員は今大変大事なことを御指摘になっていると率直に感じます。  御承知ように、経済社会は今急速に国際化しておりますし、政治、経済あるいは万般にわたってまさに複雑多岐になっておりまして、閣僚の仕事も昔に比べたらはるかに忙しくなっている。特に拘束時間がめちゃくちゃ長くなって自由がきかない段階に入っている、こんなふうに思っています。このような状況の中で、日々の行政事務を的確に処理する一方で、国会には出席し、また国際会議にも出て我が国の主張すべきものはきちっと言わなきゃいけない。  また同時に、閣僚が出席しないと肝心の会議から外されるとか、先般、私はOECDの農相会議では副議長を務めましたけれども、その場合に、もし代理対応であると副議長の役が飛んでしまう。共同コミュニケに農業の多面的機能という我が国の悲願を盛り込む、食糧の安全保障を盛り込む、こういうときに参画できなかったらこれは盛り込めなかったはずであります。これは政務次官の悲劇ということでなくて、やはり本人が出るということは、国のビヘービアの立場からもきちっとこういう今後の対応を考える段階にあるのではないか、率直にそう思っています。  今、政務次官の話が出ましたけれども、実は私が初めて政務次官になったのは、私の場合は当選三回でしたけれども、私たちのときは四回でした。衆議院は四回。二名だけ例外で政務次官にしていただいたわけですが、私はそのときの政務次官会議というのは実に中身のある、閣僚会議みたいだなと思うくらいに内容のある会議を繰り返していたように思います。私は政務次官のあり方というのはこうあるべきじゃないのかなと当時感じたことを覚えておるわけであります。そういう意味からすれば、政務次官の機能の強化ということは時代の要請に即応した大変すばらしい考えだとは思いますが、その一方では、政務次官がいわば閣僚の名代として役割を十分に発揮するためには、閣僚と同様、相応の政治的、行政的な経験とかあるいは見識が当然求められると思うわけでありまして、皆さんそれぞれに立派におやりになっておられますが、政務次官もそれだけの立場に立つ以上はそれ相応の適材が求められるのもまた当然だ、こう考えます。
  213. 鈴木政二

    鈴木政二君 ありがとうございました。  今おっしゃるように、確かに私ども国会もそういうものに十分配慮して今後国会運営をケース・バイ・ケースで進めていかなきゃいけないなというふうに思います。  次に、小里長官、今度の国土交通省と農林水産省の関係なんですけれども、実は建設省、農林水産省、運輸省は公共事業側二家と言われて、公共事業が大変高いウエートを占めている省であります。一時期、行政改革会議の中間報告の中で国土開発省と国土保全省の二つが提案された時期があったと私は記憶しております。これが最終報告になったら、今言いましたよう国土交通省と農林水産省が一つずつになった。交渉の段階でいろいろあったと思うんですけれども、もう一つ一つの案としてよく聞かれるのは、公共事業を担当する省、今言った省を一つにしたらどうだという案も論議の対象の中にあったと思います。  そういう面で、なぜ国土交通省と農林水産省の二つに分けたか、この理由をひとつ教えていただきたいと思います。
  214. 坂野泰治

    政府委員(坂野泰治君) 行革会議の中間報告の段階で、公共事業関係組織を開発と保全という概念で分けるという考えが示されたわけでございます。こういうふうにいたしましたのは、当時の議論として、一つは大規模化の懸念というものがあったということと、それからもう一つは考え方として開発と保全の機能のある意味では相反関係にあるという点への配慮という議論もあって、中間報告ではそのようにされたということでございます。  なお、中間報告に至る過程で先ほど御指摘の全体を一つにまとめるような考え方がどうかという議論も会議の最中にはあったということでございます。  ただ、その後、最終報告に至ります過程におきまして、そもそも開発と保全とを峻別することそれ自体が問題ではないかということ、あるいは河川行政と道路その他の社会資本整備との一体性の確保が必要じゃないかというような議論が出、その結果、総合的に判断がなされまして、公共事業関係の業務や組織を抜本的に大幅に改革する、そういうことを前提にごらんのような案を最終報告として取りまとめたという経過でございます。
  215. 鈴木政二

    鈴木政二君 これは確かにいろんな議論があるし、当時いろんな見方が私はあったと思うんです。最終的にこういう落ちつき方をしたというのは、ある面では綱引きもあっただろうし、いろんなことがあるんです。私は最終的にはこの形の方がいいと個人的には思っています。私は今の省庁をまとめていくにはこのほかにはちょっと難しいんじゃないかという気がいたします。今の政府委員の話もよく理解できるつもりでおります。  ただ、この四つが一つになったときに、先ほども言いましたように大変大きな公共事業の官庁になってしまった。それだけにまた、今までの二省と二庁が一つになるということで、だれが見てもこの国土交通省というのはスリム化をしていかなきゃいけない。これはもう今まで衆議院も参議院も先輩や同僚の皆さんがどしどし同じ質問をしていると思いますけれども、確認の意味で、小里長官、若干簡潔にひとつお願いをしたいと思います。
  216. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 非常に大事な問題をお尋ねでございますから、簡潔にと言われてもなかなか困るところでございますが、お話しのとおり、公共事業といえ補助事業といえ、これはもうこれを機会に本当に整理合理化しなけりゃならぬ。これは現在の関係省の大臣あるいは機関とよく相談をいたしました。あわせまして、また支分部局も整理統合しなけりゃならぬなと本当に痛感をいたしております。  今、先生がお話しように、職員数から見ても大変巨大官庁になったなと。なるほど七万人おります。その七万人の約九割、六万人は地方の支分部局にいるわけでございまして、この辺を思い切ってこの際整理統合して、そして簡素化、効率化を図らなけりゃいかぬ、さように思っております。  簡単でどうも恐縮です。
  217. 鈴木政二

    鈴木政二君 若干ちょっと簡単過ぎたかなという気もありますけれども、よく趣旨はわかっておりますから。  ここで、建設大臣と運輸大臣にちょっとお聞きするわけですけれども、このスリム化に当たって今話題になっている公共事業の具体的な見直しというのは一体どうなっているのか、まず瓦大臣、それから藤井運輸大臣、一人ずつちょっとお願いします。
  218. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 公共事業についてまず国と地方が適切な役割分担のもとに協調、協力して事務を進める、このことは基本でございまして、地方への権限移譲、補助金等の整理合理化などを今進めておるところでございます。  どのように現在進めておるかということでございますが、徹底的な規制緩和、地方分権の一層の推進、地方支分部局への権限委譲などによる減量化、また透明化でありますとか効率化、こういった観点から建設省との類似事業間の調整、コストの縮減、事業の決定過程の透明化、評価の適正化、こういうことを進めておるわけでございます。
  219. 藤井孝男

    国務大臣(藤井孝男君) お答えをいたします。  今、建設大臣からお話がありましたことにつきまして、運輸省といたしましても同じ基本的な考え方を持っております。  いずれにしましても、スリム化をしなきゃいけませんし、その場合には地方と国との役割分担、それから地方の支分部局をどう統合整理していくかという問題、さらには時の評価と申しましょうか、時のアセス、再評価、こういったことについて、やはり今後ともスリム化に向けて効率的、効果的に、またコストの面でも同じでございますが、そういったことをどう進めていくか。現段階でも費用対効果あるいは時のアセスも運輸省等の公共事業ではもう取り入れてやっているところですが、今後さらに関係省庁と具体的に詰めて効率的、効果的なスリム化をしていかなきゃならないと考えております。
  220. 鈴木政二

    鈴木政二君 今、藤井運輸大臣から出た地方支分部局の話でありますけれども、これは今各省がやっておりますが、この業務の範囲とか仕組みが異なっている。一体これは再編後どうなるんだろうというのが非常に大きな問題だと思います。また、当然ながらそれに伴う直轄事業だとか補助事業、また地方単独事業の現状はどうなっているのか。そして、この法案の中で一番大事な四十六条一号の公共事業の見直しを行った場合どうなるのか。  ちょっと時間がありませんので一括で、建設大臣、運輸大臣、それから農水大臣、大変重要な話でありますので簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。
  221. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 地方支分部局であります建設省の地方建設局でございますが、現在、河川、道路等に関する直轄公共事業の執行、直轄公共施設の管理、国土計画や地方計画にかかわる調査などを実施しておるわけでございます。  基本法案におきまして、国土交通省の公共事業に関する事務を行う地方支分部局に関しまして、これは二十二条にかかわることでございますが、その管轄区域における国土交通省が所掌する公共事業の実施及び助成、二つ目地方計画に関する調査及び調整三つ目に公共施設の管理、四つ目に災害の予防及び復旧その他の国土の整備及び管理に関する事務を主体的かつ一体的に処理させる地方整備局を設置する、かようにいたしておるところでございます。
  222. 藤井孝男

    国務大臣(藤井孝男君) お答えいたします。  基本法案におきましては、地方支分部局につきましては運輸省及び建設省に置かれた公共事業に関するフロック単位の地方支分部局に統合すること等、その整理及び合理化の方針が規定されている、これは御承知のとおりです。  ですから、先ほどもお答えいたしましたように、スリム化していくということは地方支分部局をどう合理化していくかということにかかわるわけですから、この効率的、効果的な実施を図るため、運輸省といたしましては、大都市における拠点空港、中枢国際港湾等の投資の重点化、そういった事業の採択段階における費用対効果、先ほど申し上げましたように時のアセス等々従来から取り組んでおりますけれども、今後、再編に当たりまして、地方支分部局のあり方についてはこうした基本法案の趣旨を踏まえながら真剣に対応していかなければならないと考えております。
  223. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 地方農政局を例にとりますと、農業関係の公共事業のうち国費ベースで約三割を占める直轄事業を実施するとともに、その一方で約七割を占める補助事業の年度予算の個別実施地区への割り当てや、団体へ、すなわち土地改良が主体となる事業の地区の新規採択を行っているのが現状であります。  今後は、本基本法案の趣旨を踏まえまして、事業の決定及び執行に関する権限を可能な限り地方農政局に大胆に委任しよう、こういう措置を進めていこうと考えております。
  224. 鈴木政二

    鈴木政二君 最後に、島村大臣が今言った大胆にという話は私も本当に重要だと思うんです。  ただ、ここで私が非常に心配をするのが一つあるんです。それは何かといいますと、国土交通省となりますと建設省と運輸省が一体になるわけでして、そうしますと建設省だと地方建設局、運輸省ですと港湾建設局とか地方運輸局、またもっと大きなことで言えば地方航空局、こういう局が地方支分部局はあるわけです。  実際、今の現状ですと、例えば私の地元の愛知県とするならば、地方建設局は中部地建といって岐阜、静岡、愛知、三重の四県です。偶然にも港湾建設局というのも四県。ただ、地方航空局というのが静岡だけは東京管区になっている。私どもの愛知県は大阪になっている。要するに、四県の中でも静岡だけが違ってしまう。もう一つ地方運輸局というのは今度は今の四県プラス富山、石川が入る。そうしますと、今のいろんな趣旨、御答弁の中でここらの地方の支分部局は一体どういうふうに整理統合していくか。今度、もっと広げるなら農政局、島村大臣が今言ったけれども、農政局もこれまた違う。それからまた、法務局も警察管区も違う。本当にばらばらの支分部局になるわけです。ここらの整合をきちっとしておかないと。  私は地方議会でずっと二十何年やってきましたけれども、例えば保健所や警察署や税務署が違うだけで市町村がみんな変わってくる。こういう話というのは非常に地方自治体も困るし、また住民も非常に困るということを実感として感じているわけですので、今の御答弁をひとつお願いしたいと思います。
  225. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 農水省関係をちょっと別にいたしまして、国土交通省関係を申し上げますと、ただいまも触れられましたように、運輸省の関係、建設省の関係、例えば港湾建設局、これが五カ所あろうかと思います。そして、建設省の地方建設局が八カ所、十二カ所あるわけです。これはそれぞれ大臣、省に相談しながら統合を進める方向にあると。  それから、後の方でさまざまありますなというお話の中で、例えば運輸省関係地方運輸局、航空局、交通管制部、管区海上保安本部あるいは管区気象台等、本当にさまざまな専門的任務を持った機関がたくさんございます。恐らく五十九カ所前後かなと、こう思っておるところでございます。  これらのところは、行革会議の過程から申し上げますと、可能な限り統合してほしいけれども、しかしながらなかなか専門的任務性というものが特徴的だと、そういう議論もなされておりまして、こういうところは関係省と十分協議をして合理化をしていかなけりゃならぬ、さように思っております。
  226. 鈴木政二

    鈴木政二君 私は、ぜひこれはきちっと、例えば最低でも国土交通省の場合はそれなりのきちっとした同じエリアで私はすべきだと思っておりますので、長官、またいろんな事情はあろうかと思うんですけれども、余り負けずにきちっとしていただきたいなと思っています。  時間もそろそろ来たんですけれども北海道開発庁長官だけ質問がないというのもどうも気が引けますので、大変お待たせをいたしました。  私はこの行政改革会議最終報告、その理念、これは非常にすばらしく書かれていると思います。だれが書いたか知りませんけれども、本当にいい文章で書かれております。  ここの中で、司馬遼太郎氏の「この国のかたち」という言葉があります。総理が今お見えになっていますけれども、総理が衆議院がどこかでこの「この国のかたち」の答弁をされたようであります。これは本来でいきますと総理か小里長官が話す話かもわかりませんけれども鈴木宗男長官なら私は絶対に難しい質問でもやれると思っていますので御指名をさせていただきました。  この「この国のかたち」の再構築を目指すとする「この国のかたち」というのは、北海道開発庁長官も兼ねているわけですけれども、閣僚の一人として「この国のかたち」というのは一体どんな形なのか。将来、中央省庁再編なり行政改革をやっていく「この国のかたち」というのはどんな形なのか、四分ありますので四分使って説明をしていただきたいと思います。
  227. 鈴木宗男

    国務大臣鈴木宗男君) 極めて難しい御質問でありますから、私ごときに答えられるような問題ではないなという感じを今持っておりますけれども、せっかくの御指名でありますから答えさせていただきます。  「この国のかたち」、総理がもう国会でも既に答弁されておりますし、私なりに判断させてもらうならば、北海道をイメージしているのかなという感じを持っております。  今、日本人にとって必要なのは、心のゆとりが足りないのではないんだろうか、何かしら不平不満といいますか、権利だけは主張して義務を果たせない日本に今なっているなという感じを持っているんです。しからば、二十一世紀の「この国のかたち」を考えるならば、やっぱり日本人の心のゆとりが必要ではないか。さすれば、日本の二二%の面積を占める北海道、しかも四季折々の風光明媚さ、日本人のオアシスとして、北海道に来たならばしっかりした日本人ができると、こんな形で私は「この国のかたち」というものを私なりにイメージしているんです。  さすれば、北海道の果たす役割はますます重い、ぜひとも先生の御支援もいただきたい、こんなふうに思っております。
  228. 鈴木政二

    鈴木政二君 まだ三分残っていましたから、総理、せっかく来ていただいておりますので、ここは総理に質問していいですね。  総理、さっき冒頭にこの法案の成立に対してちょっと厳しいことを言いました。私はそれだけ総理がこの法案に情熱をかけているというのを非常に感じていますので、ちょっと野党の皆さんに言い過ぎた部分もあるかもわかりませんけれども、私はこの法案を通さないとこの国はだめになってしまうと思っています。  そういう面で、総理の考える「この国のかたち」、参議院でも一度御答弁を願いたいと思います。
  229. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) とっさのお尋ねでありますので、私の思うままにお答えを許していただきたいと思いますが、もともと私が行政改革というテーマに興味を持ちましたのは、人生五十年時代に設計された仕組みというものがいつまで通用するんだろうという思いからでありました。そして、土光臨調の名で知られております第二次臨時行政調査会はそうした思いでこの問題に取り組まれたと思います。  しかし、土光臨調をも含めまして、当時私ども一つ大きく見落としておったことがございました。それは出生率がこれほど低下し続けるという発想がなかったという点であります。  高齢化ということは我々は既に真剣に受けとめておりました。そして、高齢化社会というものにおいて一体我が国の伝統の家族制度というものがどう変化するのか、そしてその中でこの国の持つ温かみとか自然を大事にする気持ちとか、そうしたものをどう位置づけていけばいいんだろうということは考えておりましたが、その後の少子化の加速というものは実は我々の想像を超えていたわけであります。  そして今、その意味では私は日本社会経済のシステムというものは人生八十年時代にふさわしいものにならなければならないと思っております。しかも、この少子化の速度というものを計算に入れ、人口構造の上からいくならより深刻になる、そうした中で社会経済すべてがやはり人生八十年代の設計に変わらなければならない。その中で、行政改革というのは実はすべてのルールづくりの基礎でありますから、この法律案にかける夢は私としては極めて大きなものがございます。  その夢をかなえるためにぜひ引き続き努力をさせていただきたい、また院の御協力を心から願いたい、そんな思いでいっぱいです。
  230. 鈴木政二

    鈴木政二君 どうもありがとうございました。  終わります。(拍手)
  231. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党の小川勝也でございます。  総理におかれましては、お忙しいところおいでをいただきましてありがとうございました。  この委員会で、この前の財革法から今回の省庁再編法案、閣僚の方々は大変だなというふうに思わせていただいております。注釈がつきますけれども、大したことのない法律の審議のためにと、こういうふうにつくわけでございますけれども。  今、行革、そして幅広い総理のお話をお伺いいたしました。人生五十年から八十年になる、あるいは少子・高齢社会が到来する、そのことと今回の法律案とどのよう関係があるのか、全然私には理解ができません。  先ほど土光さんの名前を出されました。私が初めて行革という言葉に接したのは大学のときでございまして、当時、土光さんが目刺しを食べて行革をやるというニュースにもなっておりました。某新聞社系の主催によります行革を考える学生の会というのがありまして、私なりにその金あるいは自分の大学のサークルなどで勉強させていただいておりました。  そして、この省庁再編法案の動きが活発になってくると同時に、民主党の中でもこの問題を勉強させていただいておりました。そのキャッチフレーズというんでしょうか、民主党としての行革の理念を簡単にまとめたものがございます。それは、市民にできることは市民にゆだねる、そして市場にゆだねることができるものは市場にゆだねる、そして地方に任せることができるものは地方に任せると。ああ、なるほどな、思っていたことが簡潔に伝わるキャッチフレーズだなというふうに思いました。    〔理事高木正明君退席、理事片山虎之助君着席〕  そして、常々思ってきたことは、この行政改革という問題は規制緩和あるいは地方分権ということと密接に結びついていることであって、その二つが大きく関係しないと行政改革は実施できないということでございます。  中央省庁再編、いろいろと審議の内容でも各先生方からいろんな御意見が出ておりました。  例えばきょうの主題であります国土交通省、幾つかの省庁をくっつけて省庁の数を減らすだけではないか、そんな批判もあります。そして、今回のこの改革法案をつくることによって市民生活がどのように変わるのか、あるいは景気がよくなるのか、経済に与える影響はどうなのか、コストは削減できるのか、公務員は減るのか、さまざまな疑問が全く払拭できないでおります。  まず最初に、どういった理念でこの中央省庁再編法案をつくったのか、お伺いをしたいと思います。
  232. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員から大したことがないという御批評をいただきました。議員の目からはそう見えるのかもしれません。  しかし、土光臨調と言われました第二臨調で、中央省庁について、例えば国土、沖縄、北海道の三庁の統合というテーマが一つ、当時の総理府と行政管理庁を束ねるというテーマが一つ省庁についてはその二つしかあの第二臨調でも御意見は出てまいりませんでした。その中で実現をしたのは総理府と行政管理庁の統合だけでありました。そして、そのようなやり方であった場合、私もあの時点における沖縄県あるいは北海道もまだ特別な措置を必要とする地域と考えておりましたから、それだけを束ねるということについては疑問を持っておりました。  その上で、ただいま議員から御指摘がありましたように、規制緩和はこの数年の間に随分進みました。首をひねっておられますけれども、よくお調べください。そして今、この四月一日から新たな規制緩和の三カ年計画が進んでおります。  例えば運輸省の場合、需給調整をもって行う規制はやめるという決意のもとに、少しでも全体のショックの少ない着地に努力しております。エネルギー関係においても規制緩和が進んでおることは御承知のとおりです。そして、分権推進委員会から四次にわたる地方分権についての勧告をいただき、先般、地方分権推進計画として公表させていただきました。これを私どもは着実に実行していかなければなりません。  そうした措置が進むことを前提にし、官から民への移しかえをも含めまして、逆に先ほど来、むしろ国がやっておりますことを民または地方に移すことに反対の御議論もあったのは議員もお聞きのとおりであります。  そういう御意見がありますけれども、そうした見直しのために独立行政法人という仕組みも考え、その上で中央省庁を太くくりにくくりながら、戦略性を持って行動できる柔軟な組織を考えていこう、そのような考え方で取り組んでまいりましたことは御理解をいただきたいと存じます。
  233. 小川勝也

    ○小川勝也君 この省庁再編あるいは省庁の名前が変わるということが歴史的に大変なことだということはよく理解をいたしますし、あるいはもう一つ今回の法改正にあります内閣機能強化、これも素直に評価をさせていただきたいと思っております。  そして、我々は何を考えたのかといいますと、まず順番が違うんじゃないかということであります。各省がやっている仕事の中で、これはもう国がやらなくてもいい、これは規制を外してもいいということを精査して、そして例えば現行の運輸省であるとか建設省の中をスリムにしたことによって一緒の省庁にするという考え方が素直であろうと僕らは考えておりました。しかしながら、百二十五歩譲ったとして、この順番が変わって、今回はこの省庁の形を外見だけ変えて後はじっくりやっていくのであろうということであれば少しは理解をさせていただこうと思っております。  それにも増して、ただいま鈴木委員の御質疑の中にもありましたが、これからが大変だと思います。箱だけ決めて中が減るということは物すごく大変だと思います。  そしてまた、総理の今御答弁されました気持ちがどうしても伝わらないのがやはり国土交通省に対する批判であろうと思います。数字で言いますと七万人、そして七兆円、こんなことがひとり歩きをしております。そして、我々野党側も厳しく追及しておりますが、公共事業と政治のあり方の問題、そして公共事業の優先順位をどう決めているかという不透明性の問題などを解決しないままに大きな公共事業を扱う官庁が出てきてしまう。さまざまな問題点、先ほど鈴木委員からの御指摘にもあったとおりでございます。  この巨大利権官庁が誕生するという批判には、総理のお言葉でどうかわされますでしょうか。
  234. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員のお考えは議員のお考えでありますから、それをあえて私は批判するほどうぬぼれてはおりません。その上で、国土の総合的、体系的な開発及び利用、そのための社会資本の整合性のとれた整備、交通政策の推進などを主要な任務とする国土交通省というものを私どもは考えました。  そして一方で、既に何回か本院においても御答弁を申し上げておりますけれども、公共事業につきまして、この基本法案におきまして国と地方との役割分担を徹底して見直していく、そして国が直接行いますものは全面的な政策及び計画の企画立案、また全国的な見地から必要とされる基礎的または広域的事業の実施に限定する、あわせて補助事業についても直轄事業に関連する事業とか先導的な施策に係る事業に限定する、それ以外のものはできるだけ適切な目的を付した統合的な補助金などを交付する、そうした考え方をまず打ち出しております。  そしてその上で、事業の決定及び執行に関する大臣の権限、これをできるだけ地方支分部局長に委任する、そして地方支分部局ごとに所要の予算額を一括して配分することによりまして、それぞれのブロックにおいて、フロックという言葉が適切かどうかわかりません、地方支分部局長の所管する地域と言いかえても結構ですが、主体的かつ一体的に公共事業に係る事務の処理を行うことができるようにしております。  さらに、民間委託の徹底などによる業務の効率化、これは例えば道路公団等でも御批判を受けた部分がかつてありました。こうした問題も含めまして、民間委託の徹底などによる業務の効率化や客観的な費用効果分析の実施、公表などによる事業の決定過程の透明化、また評価の適正化を図ろうとしているところであります。  現在の役所をただ単に足して、それがすべてそのままであるという前提での御批判でありますなら、どうぞそのお考えは今申し上げたような方向に訂正をしていただいた上で御批判をちょうだいしたいと存じます。し
  235. 小川勝也

    ○小川勝也君 先ほども申し上げたとおり、厳しいこと、つらいことを先にやらないと後で大変なことが残ってしまう、そんなことを老婆心ながら心配させていただいているところでございます。  そして、この国土交通省の分野で言いますと、限られた予算の中で最も効率的に必要なものから社会資本の整備が行われればいいわけでありまして、いろいろ御批判もあるとは思いますけれども、私たちは公共事業や社会資本の整備すべてを否定しているものではありません。そんな観点から、角度を変えて御質問申し上げたいと思います。  鈴木長官にお伺いをしたいと思いますが、北海道では当然のことながら北海道開発庁あるいは北海道開発局の施策、事業等に経済が依存している部分が強くありました。道民にとってもシンボル的役割を果たしておりましたので、今回の省庁再編に関してはいろんな心配が起こっておると思います。  まず、北海道開発庁がなくなっても北海道は大丈夫だというところを御答弁いただきたいと思います。
  236. 鈴木宗男

    国務大臣鈴木宗男君) 今回の行政改革省庁再編では、北海道開発庁の看板はなくなりまして北海道開発局というものが国土交通省の内局に入ることになっております。橋本総理初め多くの関係者の御理解もいただきまして、予算の一括計上権、さらには北海道の特例等は維持されることになりました。そういった意味では、北海道開発局が国土交通省の内局にあっても今の北海道開発庁と同じ役割、機能、重要性は果たせると、私はこんなふうに思っております。  特に、農林水産省は独立した官庁として残りますけれども、農林水産省のいわゆる農業基盤、林野、公共、さらには漁港等も国土交通省の内局の北海道開発局がこれまた一括してまとめて予算対応等もするというふうになっておりますから、従来の組織形態と何ら変わらぬ、そういった意味では北海道の皆さん方には御安心をいただきたい、こう思っております。
  237. 小川勝也

    ○小川勝也君 私はこれからちょっとお伺いしたいことがございます。それは総理からも今フロックあるいは支分部局という言葉がございました。先ほど総務庁長官もそのことに触れておりました。それは地方の支分部局が一体となって、一括した予算の中でそのシェアの配分が行える、あるいは優先順位をつけることができるということであります。北海道開発局の仕事のやり方に関してはこれからもまだいろいろと工夫をしていただく点は多々あると思いますけれども、この北海道開発局のシステムこそ、今回の中央省庁再編の中にその魂を取り入れていただきたいと私は考えております。  この北海道開発局のあり方について、今までうまくいっていたのかどうなのか、ほかの府県に対しましてメリットを享受できるかどうか、鈴木長官の経験に即して御答弁をいただきたいと思います。
  238. 鈴木宗男

    国務大臣鈴木宗男君) もう小川委員承知のとおりだと思いますけれども、北海道開発局は、運輸省の港湾、航空部門、さらには建設省の地方建設局の部門、さらには農林省の農政部門を一括して仕事をさせていただいております。今回の行革の一つ縦割り行政の弊害をなくすという大きな使命や理念があったと思うんです。その上から考えるならば、北海道開発局は私はモデル的な組織であったと、こんなふうに思っています。  幸い、あれは十一月二十三日未明の取りまとめの際の橋本総理の記者会見でも、いわゆる北海道開発局を一つのモデルとして考えてもらいたいという明確な国民に対するメッセージもありましたから、私は少なくとも北海道開発局のこの組織形態は模範になるべきものであった、同時にその流れはこれからも維持されるということは明確である、こう思っております。
  239. 小川勝也

    ○小川勝也君 私は長官から今御答弁のありましたこのシステムを全国に応用して発展させていく形でメリットをたくさん享受できるんではないかなというふうに思っております。このことはまた後で触れたいと思います。  そうしますと、国土交通省という建物をまずつくります。その中に何部屋できるのかなということが心配になってくるわけでございますが、これはまだ決まっておらないと思いますけれども、一応聞いてみましょう。    〔理事片山虎之助君退席、理事高木正明君着席〕  国土交通省の局の数ですけれども、幾つを想定されておりますでしょうか。
  240. 坂野泰治

    政府委員(坂野泰治君) 端的に申し上げれば、現時点でこの国土交通省、それ以外の省ももちろんでございますが、それぞれの省の内部部局の数が確定をしておるというわけではございません。
  241. 小川勝也

    ○小川勝也君 それでは、この両省が、あるいは国土庁や北海道開発庁も一緒になりますけれども、総定員は減る見込みなのか、あるいは予算規模は減る見込みなのか、御答弁をいただきたいと思います。
  242. 坂野泰治

    政府委員(坂野泰治君) 新たな省庁編成のもとにおいて、組織及び人員についてはこの基本法に掲げておりますとおり、局の総数において縮減を図ること、あるいは定員について削減をすることという目標を定めておりまして、この目標を実施する上でそれぞれの省に必要な簡素化、合理化、削減というものを求めていくことになると考えております。  また、予算についてはこの基本法は特段定量的な目標を掲げておるわけではございませんが、財政構造改革を進めておるという趣旨にのっとり、それぞれの省の予算についても必要な合理的な措置、そういうものが検討されていくべきものと考えております。
  243. 小川勝也

    ○小川勝也君 これは漏れ聞いた話でございますけれども、先ほども話にありましたように、現建設省の河川局が別な省庁になってしまうという案が出た時期がございました。このときは、瓦大臣も当然御存じだと思いますけれども、省を挙げて抵抗したと容易に想像できるわけでございます。そして、これはうわさとして聞いていただきたいんですが、道路特定財源を差し出してでも河川局は守らなければいけない、そんな考えを持った人までいたというふうに聞いております。  これから局が減ってしまうということになると、これは大変なことだと思います。だから、先ほど申し上げましたように、最初に苦しいことをやっていかないと後で大変なことが起きると思います。建設大臣と運輸大臣と来ておられますけれども、自分たちの局がある、その局がなくなってしまうかもしれないといったことが物すごい大きな問題となっております。このことを御認識いただいた上で、この巨大官庁国土交通省をつくるというメリットがあるのかどうなのか、瓦建設大臣と運輸大臣にそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。
  244. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 小川委員には建設関係委員会でもよくお話を申し上げるわけでございますけれども、きょうはいわゆる道路と河川についての御質問が冒頭に御意見としてございましたが、さようなことはございません。非常に厳しい国土条件にございまして、南北に長く脆弱な国土でございますから、道路を整備することと河川とが絡み合いますので、国土の整備についてはいかがなものかというようなことで深く心配をする向きはございましたが、省を挙げてというようなことは、橋本内閣でございますから、私はさようなことは申し上げるまでもないと思うわけでございます。  ところで、このような厳しい国土条件のもとにある我が国でございまして、国土の整備、管理を適正かつ戦略的に行うということは重要な国家課題の一つであることは御案内のとおりでございます。国土の総合的、体系的な開発及び利用という行政目的実現のために、四省庁を母体として社会資本の整備や国土政策等の関連政策を総合的、整合的に行う組織としてこれから取り組んでまいるわけでございまして、国土の適正な整備、管理につきまして責任官庁として設置するという意義、これを踏まえながら各関係者とさらに検討していかなければならぬ、こう考えております。
  245. 藤井孝男

    国務大臣(藤井孝男君) お答えいたします。  国土交通省が創設されることによりまして、交通政策が総合的に、また一体的に実施されるということがございます。  具体的に申し上げますと、先ほどの物流のコストを削減しなきゃいけない、こういった問題につきましても、構造的に是正しなきゃいけない。そういう場合の道路輸送、海上輸送、鉄道輸送等を通じた総合的な施策が、この再編によって高コストを是正できるのではないかなということが考えられます。また、陸海空を通じた効率的な、また効果的な交通体系の整備が進められる。さらには、来るべき高齢社会に対する都市交通の交通整備体系。  そして、基本的な交通政策に大変大事な点は安全の確保であります。建設省も運輸省も交通安全の確保のためにこれまでさまざまな施策を講じてまいりましたけれども、これを継承し、そして一元化することによって交通安全の確保、またサービスを提供することにもこれからメリットがあるのではないかなと思います。  いずれにいたしましても、最終報告またこの基本法案の趣旨を十分踏まえてさらに検討を進めていかなきゃならない、そのように考えております。
  246. 小川勝也

    ○小川勝也君 かなり苦しいメリット探しだったのではないかなというふうに思います。例えば事業を考えてみますと、建設省と運輸省で一緒にやった方がいいなと思うことは当然あります。しかしながら、先ほど私が申し上げたよう観点から、もし一つの役所の中に仲よくおさまるとしても、今までの局の壁を越えられるとは到底思えないわけです。  よくやゆする言葉に、局あって省なし、省あって国益なしなんという言葉があると思います。そのくらい局の壁というのが大きいわけでございますし、その局を減らしてまで運輸政策と建設行政とをミックスしていく、これは言うはやすく行うはかたしで、物すごく心配をしているわけでございます。  そこで、次の御質問になるわけでございますが、先ほどの実施主体をまとめていく方が現実的な政策だと思います。  北海道開発庁をモデルにと長官はおっしゃいましたけれども、例えばただいま鈴木委員から、愛知県においてもさまざまな分野によってその所管するエリアが支分部局によって違うなどというような問題もありました。私はこれを発展させていく形で、さまざまな連携をとりながら一つの部屋の中で予算を執行する、こういう方向にすることが今回の省庁再編法案を実のあるものにしていく最も現実的な方法だと思います。  どなたかで結構でございますが、方向性についての御答弁をお願いしたいと思います。
  247. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 先ほどからしばしば申し上げておりまするように、支分部局の統合合理化、これは徹底して行わなければならない、さように思っております。  ただ、その中におきまして、先ほども他の委員の御質疑にお答えいたしたのでございますが、極めて高度な専門性を持った機関は、なかなか複雑に形成されておるようでございますから、関係省、大臣あるいは機関と十分相談する必要があろうかと思っております。  それから、先ほど鈴木大臣の方から説明がありましたように、北海道開発局というのは実は昨年の行政改革会議長終報告を整理するについて大変大さな参考にいたしました。そして、今答弁いたしました支分部局の統廃合等も一つの背景にあったということを申し添えさせていただきます。
  248. 小川勝也

    ○小川勝也君 そういうお答えをいただいているわけなんですけれども、先ほどの話に戻りますと、例えば省庁間の予算のシェアが変わらないと同じように、各省庁間もほとんどシェアが変わらないと思います。それと同じように、局ごとに、瓦大臣はよく御存じだと思いますけれども、例えば河川の伸びが何%なら道路の伸びも何%だと、こういうよう行政が固定化しているという現状があると思います。  それともう一つあわせてお伺いをいたしますと、例えばそのいい例がこの前改正をいたしました財革法の一律カットだと思うんです、七%一律カット。というのは、本来役所の部局の中においても、これから大事になってくるところとかつて大事だったところとあると思うんです。これは当然のことながらその仕事に携わっている役所の方では判断はできません。我々の仕事はもう要りませんよなんということは言うわけないんですね。私はそれを判断する係は政治であり国会だと思っているわけでございますが、この財革法の一律カットにもあらわれますように、役所にすべてのイニシアチブを奪われているのが今の政治の現状じゃないかと危惧するわけでございます。各役所間のシェアも決定できないものが、これから必要になる部署に配分をふやすという政治的配慮が今度の中央省庁再編後もできなくなるんじゃないかという心配もございます。御答弁をお願いいたします。
  249. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 議員にお言葉を返すわけではございませんけれども、ただいま御指摘になったようなことは注意はしなければならぬけれども、私はそれは政治が許さないと思うんです。今おっしゃるようなそういう無節度な無原則は絶対評しちゃいかぬ、そう思っております。  また、現実に行政改革最終報告をまとめる前後の経験からいたしまして、各省庁の幹部の皆さんも私心、省益を徹底的に払拭して大きな立場から協力をしてもらった、そういう経験も持っております。いわんや、今次の基本法におきまして国会でこのような重要法案を決定いただきまして国の方向をきちんと整理されたわけでありますから、そういう邪道は毛頭ない、そういう前提で信頼してかかっていっていいんじゃないか、そういう感じを持ちます。
  250. 小川勝也

    ○小川勝也君 あわせてお伺いをいたします。  建設省には道路特会という大きな箱がございます。そして、運輸省関係には自賠責保険の関係があると思います。これが一つ省庁になるわけでございますけれども、この二つを中心とした特別会計というのは今後どうなっていくものなんでしょうか、お伺いをしたいと思います。
  251. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 小川委員にお答えする前に、本当に一緒に仕事をしておるわけでございますが、道路、河川の予算が極めて硬直しておるということはございません。省庁の間では若干それが見受けられますが、それぞれの省が局の分野について何が必要かということにつきましては、その時代時代の要請に基づいてバリエーションを講じておりますので、これまた委員承知のことであるが、改めて申し上げておかなきゃならぬと。  なお、道路特会の問題でございますが、我が国の道路整備を進めるにつきまして利用者との間における特会を設けた経緯は御案内のとおりでございます。我が国の国土条件に照らしまして、道路整備はなお道半ばと言わざるを得ません。よって、これから社会資本整備を急ぎまして、強い国土で、安心できる国土で、よって企業が国境を越えて移動するという時代でございますから、我が国の国土基盤というものを強めていく中で道路の果たす役割が極めて大きいと、こういうことでこの特会を続けさせていただきたいと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、我々の将来を考えまして、この行革というのは相当の痛みを感じますが、我々はよほどの決意をして新しい時代を切り開くということでなければ開けないことでありますので、ぜひ御理解と御協力を賜りたいと思うわけであります。
  252. 小川勝也

    ○小川勝也君 今、小里総務庁長官から、政治判断をすべき問題だというふうにお伺いをいたしました。そして、瓦建設大臣からお答えがありましたように、道路がいきさつ上特別会計を持ち、今もなお道路整備にお金をかけなければいけないことは私も理解をしております。  しかしながら、道路特会というのも人生五十年時代の特別会計でございまして、二十一世紀に向けて新しい中央省庁再編法案ができたときにこそ、シェアを配分することを私は政治の手に握るべきではないかというふうに思います。  そして、政治が握るといいましても、私はもっと次の段階を考えております。先ほど来話をしております地方に一元化して選択権を与えるということであります。今は建設省なら建設省の部局ごとに予算がついております。あるいは運輸省なら運輸省で部局ごとに予算がついております。例えば港湾に使えるお金はこれだけ、河川に使えるお金はこれだけ、あるいは公園に使えるお金はこれこれ、こういうふうなメニューが霞が関にあって、そして地方からそれを少しずつもらいに来る、これが今の行政だと思っております。  先ほど総務庁長官から少し優しい答弁がございました。地方に一括して予算を渡して、そしてその地域が必要なものから順に予算を配分できるようにしたいというふうにお答えをいただいたと私は解釈をしております。  総理にお伺いをしたいと思います。  地方あるいはブロックごとに一括して予算を渡して、その受け皿として今話題になっております新しくできた官庁の支分部局を統合して、そしてその地域や住民が自分たちの望む優先順位、シェアで執行が行われるような、そんな二十一世紀を私は求めたいと思いますが、総理の御答弁をお願いいたします。
  253. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一に、公共事業関連の特別会計で道路特会だけを議員はお挙げになりました。公平を旨とするために申し上げますならば、治水特別会計、道路整備特別会計、港湾整備特別会計、空港整備特別会計、国営土地改良事業特別会計、国有林野事業特別会計、都市開発資金融通特別会計、産業投資特別会計とございます。  あなたは全部なくせばいいと簡単におっしゃいますけれども、本当にそうでしょうか。それぞれこの中には目的税として国民からちょうだいをし、財源にしているものがあります。その目的税を全く違うことに使うことを国民の了承を得ずに、議員は御自身の判断だけで他の目的に使えるという御意見でありますならこれは別ですが、例えば航空機においてその燃料に対する税、これは空港の整備に入っている。道路におけるガソリン税もそうです。それを全く異質のものに転用するにはそれなりの手続を踏むべきであり、議員がおっしゃるように全部やめてしまえというような結論を私は簡単に出すべきものではないと思います。  また、先ほども申し上げましたように、公共事業について基本的な役割、これは本当に企画立案の部分も全国的な政策及び計画、そして全国的な見地から必要とされる基礎的または広域的事業の実施、これは国に限定をしている。補助事業についても、直轄事業に関連する事業や先導的な施策に係る事業などに限定をする。あとはできる限り適切な目的を付した統合的な補助金などにしたいということも申し上げました。  また、北海道開発局を私どもも頭に描きながら、地方支分部局に一括して配分するという考え方を持っております。それは鈴木北海道開発庁長官が御説明を申し上げたとおりでありますが、ここでその事業がどう運営されるか、それはまさに北海道開発局の諸君がしておる仕事をごらんいただけばよいのではないでしょうか。もちろん北海道開発局にもなお努力をしてもらい、工夫をしてもらい、より行政改革努力をしてもらいたい部分はございます。しかし、ああしたやり方がいいなということは私たちは共通して考えました。  北海道開発局でできることがなぜ他の地方支分部局では一括して配分をした場合にうまくいかないとお考えなのか、あるいは現在の北海道開発局が道民の期待にこたえておらないとお考えなのか、であるとすれば御疑念は無理もありませんけれども、私は他の地域における地方支分部局がそれぞれの地域の国民意思に背くものとは思っておりません。
  254. 小川勝也

    ○小川勝也君 優しい口調で厳しいことを次々と言われますので怖くなってきますけれども、まず特別会計を外すことができないわけですね。中央省庁再編という法案が何十年に一回の大切な法律だとおっしゃるから、それならそういうこともあわせて議論をさせていただいたらいいんじゃないかと私は思っただけでございます。そしてまた、この中央省庁再編法案がやりやすいところから手をつけたので、あとができるかどうかということを物すごく心配していたからこんな質問をさせていただいただけでございます。  時間もなくなってまいりましたので、最後に農水大臣にお伺いをいたしたいと思います。  農産物の価格交渉等でいろいろと御意見を伺うこともございました。農林水産省という建物へ入っていきますと、どうも違和感を覚える場所もいろいろあります。なるほど、考えてみますと、人生五十年時代につくられた役所かもしれません。そして、例えば第一次産業人口の推移、あるいは輸入農産物の量の変化、農は国そのものであるという考えは今も変わっておらないと私は思いますけれども、例えば農産物を安心して自分たちが食べられるために国の税金を使っているんだということを正しく国民に認識していただくなど、時代に即した新しい仕事が農水省にはあるんじゃないかと思うんです。  今回の中央省庁再編と同時に、農水省は今のままだというんじゃなくて、こういう希望を持って新しい二十一世紀に即した農水省にしたいという大臣の言葉をお伺いしたいと思います。
  255. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  農林水産省につきましては、今回の基本法案におきまして、今後地球的規模の問題になる食糧の安定供給の確保を重要な任務としてこれまで以上に明確に位置づける、また従来必ずしも位置づけが明確でなかった農村、特に中山間地域等の振興を主要任務一つとして明記する、第三に消費者及び原料ユーザーの視点を重視する、第四に国土、環境及び景観の保全等農林水産業の持つ多面的、公益的機能の位置づけを明確化する、第五に国民生活の基盤である緑と水の確保を図る森林の保護及び育成を主要な任務とする等、二十一世紀の農林水産行政に対する国民のニーズにふさわしいものとすると大きく変わってきているわけであります。  事実、今回の法案だけでなくて、農林水産省ではまさに時代に即応したこれからの国民のニーズにこたえようと各分野において大変意欲的に取り組んでいるところでありますが、ただ一つ、長い歴史があり、かつ厳しい自然条件と闘いながら、時には予期しない気象条件などに見舞われるわけでありまして、もともと劣悪な条件の中でいわば食糧の安定供給等を担っているわけでありますから、なかなか理屈どおりにいかないし、大きな成果を国民に公表するというような性格の仕事ではありません。  しかし、この農業、林業、水産業、これらが全国に定着することによって国土の保全がなされているということは再三申し上げているとおりでありまして、これからもこの姿勢を大きく伸ばしていきたい、こう考えております。
  256. 小川勝也

    ○小川勝也君 終わります。(拍手)
  257. 海野義孝

    ○海野義孝君 公明の海野でございます。  せっかく総理がおいでですから、最初にお願いしたいと思います。  今回の中央省庁再編に絡んでの基本法案審議も大分進んでまいりまして、各委員方々からの御質問もかなり集約されてきているというように思います。  私は先般の総括の際にも御質問申し上げたと記憶しておりますが、今回の法案というのは省庁再編具体化に向かっての言うなればプログラム法案である、このように理解をしているわけでございます。  そもそもは行政改革という問題が一昨年の暮れ、総理の方からお話がありまして、当面の内閣及び政治の最重要課題である、私もそのように認識をしているわけでありますけれども、そういった中で、この法案について論議をする限りからは、踏み込んだ問題の方がむしろ大きいというような議論が多かったように思います。  それはそれとしまして、行政改革という大きな命題の中で、今回の中央省庁再編という問題をどのように位置づけたらいいかということをもう一度総理にお答えいただきたいと思います。
  258. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど他の委員にもお答え申し上げたことでありますが、あれほど大きな国民的な関心を呼び、国民的な支援を受けた第二次臨時行政調査会、非常に大きな成果を上げられたと思いますけれども、三公社の民営化というところで時間が切れた、率直に私はそんな感じを持ちました。さまざまな角度から御論議をいただきましたものが、結局、中央省庁再編というところまでは、残念ながらごく一部のところに触れられてとどまったわけであります。  当時、私は党側の責任者として、その中の一つである総理府と行政管理庁の統合の案をつくろうといたしましたが、両省の事務方から全く協力が得られないままに、自分自身で新しい役所の組織図を自分なりにかき上げました。そして、それをもとに議論いたしました。強烈な反発を受けました。それは官僚の諸君だけではなく、当時の主管閣僚を初めとして非常に厳しい反発でございました。それなりに最終的な案はまとめましたが、私自身が考えたものに対してはほとんど支援は得られませんでした。随分内容も変わりました。  しかし、第二臨調が目指された一つだけはようやくつくることができました。そして、その時期から今日までの間に、例えば地方分権推進委員会におきまして、地方分権につきましても六団体の御意見をベースにして真剣な議論が進められ、四次にわたる勧告が出され、地方分権の勧告の内容は先日、地方分権推進計画として国会にも御提出をいたしたとおりであります。  また、この間に規制緩和も着々と進み、いわば官民の役割分担というものもそれなりに進んでまいりました。そして、本年の四月一日から新たな三カ年計画をスタートさせておりますが、先ほども例に引きましたように、従来、運輸省の規制の手法として用いられておりました需給調整という手法はとらない、既にその方向が定められ、その上でいかに軟着陸をするか、これは実はエネルギー分野についても同様であります。  そうした地方分権の進捗状況、規制緩和・撤廃の進捗状況、そういうものを土台にした上で、太くくり中央省庁再編の中でより効率的なスリムな行政形態を目指そう、そうした思いで行政改革会議は議論し、最終報告をまとめ、このたびそれを皆さんに御審議いただいております。さまざまな角度の御論議があることは私も承知をいたしております。  そして、先ほど御質問がありましたように、一方では楽なところから手をつけたとおっしゃりながら、複数の局を統合することのいかに困難か、その抵抗が激しいかと言われる。行政改革というのはまさにそういう問題でありますし、国鉄改革のさなかの運輸大臣として運輸省にロケットを撃たれたこともございます。まさかそんなことは今度はないでしょう。しかし、それぞれの職場におられる方々からすれば自分の人生設計を変えることでありますから、これに対する抵抗というものは大変強いものがありましょう。  今回御審議をいただいておりますこの法律は、その方向性とプログラム、あるべき姿を決めていただく、その意味ではまさに基礎であり、この前ここで御答弁をいたしました言葉をそのままに使わせていただきますなら、山登り好きの私から申し上げれば、まさにベースキャンプを今築きつつあり、この法律案が通過、成立することによってベースキャンプができ上がる。そこから内閣としては本部をつくり、全力を挙げて各省設置法を初めとする具体的な内容に入っていきたい。しかし、そのためにもその方向性国会でお認めをいただき、その方向性に対する御支持を得たい。今、私は率直にそのように感じております。
  259. 海野義孝

    ○海野義孝君 大変詳細にわたって御説明いただきまして、全く総理の考え方は基本的に変わっていないということをよく理解できます。  それで、時間も限られておりますから、今回の法案の中で各論の前に二つほどお聞きしたいと思うんです。  総理、一つは先般私が御質問した際にもお答えになりましたけれども、いわゆる中央省庁改革推進本部、いよいよベースキャンプから出発するに当たってここがまさに中枢になるわけです。  そういった中で、第三者機関の必要性ということをそのときの御答弁でも、あるいは新聞等でも折に触れておっしゃっているわけですけれども、これについてもう一度具体的に、この中では、総理が本部長をおやりになって各大臣が副本部長をおやりになる。あと具体的には事務局をおつくりになって百名から百五十名のスタッフでスタートされるというんですけれども、これは各省庁からそこにスタッフが集まるということですが、その事務局長というのは言うなればそこの権限を握っているということで、ここは大変重要なポストになろうかと思うんです。その辺も含めてちょっと教えていただきたいと思います。
  260. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 法案が通過、成立した後のことをどう考えているかについてお答えをするとしばしばしかられることがあるんですが、議員お尋ねにできるだけ率直にお答えを申し上げたいと存じます。  内閣総理大臣を本部長とする本部をつくり、全閣僚がその本部員であると。その構図はそのとおりでありますし、本部長から事務局長、事務局という中に、どういう形にすれば、私の意思を確認しながら事務局をきちんと誘導してくれる役割の方をその中間に配置すればいいか、今そういった工夫を一ついたしております。  同時に、これは本部長である内閣総理大臣に直結する第三者機関として一つ組織体をきちんと組織し、その皆さんには私に対しての御注意とか、いろんな言い方はできるでしょうけれども、その事務局の作業がきちんと行われるかどうか、また行われなければ困るんですが、大局的な見地からチェックをしていただき、場合によってはお手助けもいただき、そうした仕組みを用意したいと考えております。ただし、それはあくまでも第三者機関でありますから、責任を持つのは全閣僚をもって組織する本部そのものであります。  そして、事務局長には、これは法律案づくりでありますから行政に練達な人間を必要とすると存じますが、その上で、できるだけ多く民間からこの事務局にはお手助けをいただきたい、私はそう願っておりまして、さまざまなところで既にお願いも申し上げております。御快諾をいただけたところもありますし、ちょっと人選で渋っておられるというのもありますけれども、この事務局には民間の方々の協力を得なければ絶対にいいものができないと思っております。  同時に、第三者機関には、やはり行政を知っておられる方も少しは必要ですけれども、圧倒的にそこに必要なのは民間の方々であり、これは学識を持たれる方であり、あるいは企業経営を通じて組織、人事、リストラといった問題に見識を持たれる方であり、あるいは高い立場から御指導いただけるような、そうした人材をここに確保したい、そのように考えております。
  261. 海野義孝

    ○海野義孝君 もう総理もお疲れでしょうから、ちょっと総務庁長官の方に。  独立行政法人、これについては毎日のように論議の対象になっております。例えば独立行政法人と特殊法人の違いはどうかとか、そういう話はよくわかりましたけれども、そもそもこの独立行政法人の発想ですね。この独立行政法人というものが、三十六条でしたか、基本法の中に出てきましたね。これのそもそも発想というのは一体だれが考えたのか。  具体的に行政改革を進める、あるいは省庁のスリム化とか、それから規制緩和とか地方分権とか、そういったものとの絡みの中でこれはどういう重要な意味を持つのか、この独立行政法人をつくると。これはどこがすぐれているとか、そういうことじゃなくて、これが出てきたそもそもの発想ということなんですが、その辺をちょっと。
  262. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 議員もお触れいただいたことがあろうかと思うのでございますが、簡素化、効率化のために、国から地方へ、あるいはまた官から民へ、あるいはまた現在国が行っておるものでございましても、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務事業であって、国がみずから主体となって直接に実施する必要はないが、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるなどのもの、ちょっと回りくどい表現でございますが、趣旨はおわかりいただいておるところでございますけれども、そのような見地からいろいろ多方面にわたりまして議論の経過がありました。  その結果、国の現在行っておりまする行政事務の中から一定のものを、外に法人格をつくって、法人格を有する独立行政法人をつくって、そしてそのようないわば自主性、自律性を持たせながら、しかも公共性は基本的に一定のものを国民に対して保持しなければならない、そういう感じのものを整理いたしまして独立行政法人化していく、そういう一つの出発点と申し上げましょうか発想であった、さように思っております。
  263. 海野義孝

    ○海野義孝君 もう一問、その点についてお聞きしたいんです。  といたしますと、独立行政法人は例えば一府十二省庁になった場合に具体的にどのくらいの数を想定されているとか、具体的にどういうイメージのというか、どういうような省にはこういったものが考えられるというような何かがあってそこから話は始まったわけで、まず独立行政法人ありきで、何とかそういうものをつくれつくれということでは、それは恐らく発想が転倒していると思うので、何かがあってこういう発想が出てきたと思うんですけれども、その辺はいかがですか。
  264. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 一つは、今申し上げましたように、政府権限の縮小合理化あるいは事務事業の簡素化、そういうところから始まっていきますが、具体的業務の形におきまして、この際完全に廃止することもできません、あるいは完全に民間にゆだねることもできませんと。何かそこで中間的なと申し上げましょうか、その機能を最小限保持しながら、そして国民に対するサービスも保持する、保全をしておく、そういう見地から出たものでありますことが一つ。  それからもう一つは、特殊法人、現在八十四あろうかと思いますが、これがだんだん縮減されていく。既往の計画も既にありますが、七十一から七十四ぐらいを一つの確定的なめどに置きましてこれが推進中でございますが、さらに残されたる七十一ないし七十四の特殊法人も合理化をしなけりゃいけをいと。そしてまた、統合も必要だという論議が主体的にあることも御承知のとおりでございますが、これらの中でも独立行政法人に移行可能なものもある、これもひとつ検討ようということで議論をされた経緯がございます。  それから、そのほかにいろいろな政府系統の許認可機関、施設、団体等があります。あるいはまた、国営のそういう施設がございます。かれこれその種のたぐいのものが一応議論の対象としては百十前後あったかなと、そういう感じでございまして、問題は、今回この法律を決定いただきまして、具体的本部をつくって先ほどの総理の説明のごとく作業に入って、そして選別されるものである、こういう御理解をいただきたいと思います。
  265. 海野義孝

    ○海野義孝君 せっかく各大臣がお見えになっているので、御質問しないのも大変失礼ですから、本当は今の独立行政法人の話ももっと突っ込んだお話をしたいと思ったんですけれども、これはまたいろいろな機会があろうかと思います。  それでは、建設大臣に一つお聞きしたいと思いますけれども、先ほど鈴木委員からも話がありましたように、今度の構想によりますれば、国土交通省ということで大変巨大な、例えば人数にして七万人ぐらいですか、それから一般会計の公共事業分でも七兆円ぐらい、財投分でも十四兆円ぐらいですか、もっとありますか、そういうことで大変巨大なわけです。方向としては、将来そういう大くくりになっていくということが一応は考えられるわけですけれども、大変権限が集中してくるんじゃないかということが懸念される。というよりも、現在の省庁の機構から見ればむしろ何かアンバランスな形のものができ上がってくるような気がしますので、私は余りこういったのは好まないんです。  ところで、そういった中で、瓦大臣、いわゆる直轄事業の独立機関化というのは巨大省庁が現出するのを防止する手段でもあるということなんですけれども、公共事業の一元化ということを主張し今日に至っている御省としましては、こういう巨大省庁を防止する具体的な手段というものをこれまで考えてこられたのかどうか、その辺についてはいかがなものでしょうか。
  266. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 海野委員から国土交通省が巨大であるということの懸念をちょうだいいたしました。確かに事業官庁といたしまして大きな役所でございますから、一緒になればまた大きくなるわけでありまして、私も藤井運輸大臣も体が大きい方でありますが、巨大であるというのは、どういう仕事をこれからやっていくかというようなことと、いわゆるスリム化でありますとかいろんな努力をしてまいらなければなりません。徹底的な規制緩和であるとか、類似事業間の調整であるとか、コスト縮減とか、事業の決定過程の透明化でありますとか、評価の適正などいろんな努力をしていかなければならぬし、しておるところでもございます。  今、委員からのお尋ねは直轄事業の独立機関化に関する見解いかんということでございますが、限られた財源の中で立ちおくれた社会資本の整備を進める我が国におきましては、計画でありますとかあるいは整備、管理を有機的に結びつけまして、その本来の機能を十分に発揮させることにより段階的な社会資本の整備水準の向上を図っておりまして、施設管理や事業執行と政策、計画の企画立案とも有機的で密接な連携が必要であると考えております。  国の直轄事業は国にとりまして根幹的な施設を対象に実施しているところでございますが、その実施に当たりましては、地域に拠点を持ちつつ、住民の信頼を得て推進していくことが必要でございまして、国みずからが責任を持って行うことが不可欠でございます。  最終報告基本法案におきましても、国土の整備、管理にかかわる事務を実施する地方整備局を設置し、そこに公共事業の実施及び助成等とあわせて地方計画に関する調査及び調整を所掌させ、企画立案機能と実施機能を一体的に行うこととされておりまして、これらを踏まえれば、直轄事業は独立機関化の対象にはなっていないものと認識をいたしておるわけでございます。基本法におきます基本的な考え方でございますので、以上申し述べさせていただきます。
  267. 海野義孝

    ○海野義孝君 どうもありがとうございました。  島村大臣に一間お聞きしたいんです。  この基本法の二十三条八号のところに「統計調査の実施において、地方公共団体及び民間の能力の大幅な活用を図る」ということが一応うたわれております。これはその方向に向かってきちっとやっていただきたいと思うんですが、それに絡んで、私はかねてから思っていたことですが、農林水産統計の調査要員といいますか、これは私の知る範囲では五千人ぐらいの職員の方が携わっているということで、各省庁にもそれぞれ統計職員というのはいらっしゃるんじゃないかと思うんですけれども、そういった中では私は多い方ではないかと思うんです。そういうこともあってここの第八号でこういった方向を考えていらっしゃると思うんですけれども、私の考えでは、これは公平性の確保というような点で問題があるからということで、民間委託についてはどうも渋っていらっしゃるように思うんです。  もう一点は、国の財政支出と直結しているということから省の職員がずっとやっているというんですけれども、これはほかの省庁においても統計調査というのは外部委託とかそういうことじゃなくて、全く公務員の方がそのようにやっているのかどうか、その辺についてちょっと。
  268. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  御質問を伺っておりますとかなりの知識をお持ちのように感じますが、御高承のとおり、農林水産統計調査は国土の八割を占める耕地、森林等を調査対象といたしておりまして、全国に職員を配置した対応がまず必要になっております。  特にこの統計は、いわゆる先進国あるいは文明国としての統計という意味合いを大きく超えておりまして、農産物の行政価格算定の基礎となるなど、各審議会などでもこれが活用されておりまして、客観性、中立性が要求されるために国の統計専門員による対応が必要だ、こういうことであります。そういうことから一定規模の組織が必要であり、単純に他省庁のものとは比較できない、こういう性格を有しております。  また、農林水産統計調査につきましては、現地調査や集計業務の民間委託等を通じまして、昭和四十二年度以降、約三十一年になりますが、この間に職員数を半減するなど、組織の簡素化、効率化に努めたところでありまして、今後とも調査の客観性の確保に留意しつつ、民間委託の推進等を通じてさらに組織の効率化を図っていきたい、こう考えております。
  269. 海野義孝

    ○海野義孝君 では、もう一問だけ大臣に簡単にお願いしたいんですが、国土庁長官にお願いします。  これは事前に申し上げていないので恐縮なんですが、例のバブルのときに地価が大変高騰したんですけれども、このときに国土庁はどのような役割を果たしたかということ。物価の高騰に対してと、それからもう一つは土地の有効利用問題という点では、バブル発生以後、それぞれどのように対応されてきたかという点をちょっと。
  270. 亀井久興

    国務大臣(亀井久興君) バブル発生当時の状況でございますが、申し上げるまでもなく国民の地価の高騰に対する御批判も大変強かったわけでございますので、地価をいかにして抑制するかということのためにさまざまな措置をとったわけでございます。  当時、国土利用計画法におきましても新たな監視制度を設けまして、大規模な土地取引につきましてはいわゆる事前の届け出制というものを導入したわけでございますし、また国土庁ばかりではなく建設省のさまざまな法律等におきましても地価を抑制するということ、それからまた税制面におきましても土地取引についてさまざまな税制面での強化をするという措置をとりながら、総合的な地価の抑制策をとったということでございます。  ところが、御承知のとおり、バブル以降ほぼ七年にわたりまして地価も下落を続けておるわけでございまして、いわゆる土地神話というものはもう既に崩壊をしている、そういう受けとめ方をしております。  したがいまして、土地政策の目標が、地価の抑制ということから土地の有効利用をいかに促進するか、そのための土地取引をいかに活性化するか、そういうことに大きく転換をしておるわけでございまして、今国会におきましても国土利用計画法で、先ほど申し上げましたいわゆる事前届け出制ということも廃止いたしまして事後の届け出に変える、そういう基本方針を大きく転換したところでございます。  これからまたさらに土地の有効利用の促進に向けまして総合的な政策をとってまいりたい、かように考えております。
  271. 海野義孝

    ○海野義孝君 どうもありがとうございました。  終わります。(拍手)
  272. 及川一夫

    及川一夫君 総理、私も一日に三回も立つなんというのは初めてでございまして、多少戸惑いがあるんですけれども、もうしばらくおつき合い願いたいと思います。  行政改革の問題について、この特別委員会で本当にさまざまな形から解明されたと私は思っています。ここまで参りますと、やるかやらないか、これはまさかやらないというわけにはいかないわけですね。そうしますと、実行に移すという前提で何が大事かということが問われるんだろうと私は思うんです。  今度の行政改革というのは、確かにスタートラインに立ったと言われていますが、これからが本番だ、こう総理も午前中おっしゃいました。それだけに、これを実行していく総理の姿勢といいますかリーダーシップといいますか、これは閣僚の皆さんの職場における対応というものについては、それこそ誠実ということが前面に出なきゃだめだというふうに私の体験から実は思っているわけです。  もう御承知のことだと思いますが、私も労働組合の幹部を三十年やりました。御案内のような電電公社でありましたから大変大きな企業でありました。しかし、当初は全国で十四万という数字でしたけれども、これが三十年の拡大合理化によって三十五万まで膨れ上がったと思います。  それが、総理もおっしゃるように、三公社五現業の中の三公社民営化ということで、今日では二十万を切り、グループ企業としては結構大きいんですけれども、従来の電電公社という発想でいけば二十万を切って、しかも効率よく市場原理を働かせて電気通信事業が情報産業というふうに言われるまで私は発展したというふうに思っております。  これには、人間はふえたんだけれども職場は全部統合されていくという企業の体質を持った事業でありました。統合するわけですから、二万五千ぐらいあった職場が次の年には二万四千になる、次の年は二万三千五百になるというふうにどんどん縮小していく。したがって、従業員の配置転換、職種転換、住居の変更、通勤時間の拡大ということがあったわけです。そのときに本当にどうするかという思いで大変だったわけです。今までもしもし何番へと言ったのが、ダイヤルでいわばひとりでつながるような電話に変わっていくわけですから、当然交換手は必要なくなっていく、こういう状況であります。  そういったことを考えますと、昭和三十三年でしたけれども、当時の電電公社の経営者の方々というのは私は大変偉かったと思う。労働組合との間に合理化の進展に伴う基本的な了解事項というものを結んだんです。総理も今回のことで言われていますが、解雇のような事態は起こさないよ、こう言われました。そして、合理化することによって労働条件は向上することがあっても低下させない、こういう約束もした。そのかわり、労働組合に対しては配置転換に応じてくださいよ、こう言われたわけです。  しかし、配置転換というのは大変です。今のように新幹線で、例えば東京から仙台まで二時間足らずではあっと打っちゃうというような世の中とは違いましたから。そういう意味でいうと、こういうような基本的了解事項を結んで、事前協議制を入れて、配置転換についても労働組合と協議をするというところまで踏み込んだんですね。それが昭和三十三年でした。今でも続いているわけです。  私は、やはり労働者から見れば我々のことを考えているんだなという思いでした。また、そういうふうになったのは労働組合の幹部から私はなったと思う。したがって、午前中から盛んに労働者との対話とかあるいはまた対応を通じながら具体的な条件について話をしていただく、そういうことが非常に大事になってくるし、今雇用の問題では大変厳しい状況にありますから、なお私は当該の公務員の皆さんは身構えるというふうに思うんです。  したがって、そういう方々政府の対応が信用されるような、信じられるような対応というものをお願いしなければ成功しない、私はこんな思いをしているわけであります。総理も大体同感ということになるかもしれませんが、いかがなものでございましょうか。
  273. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 電電公社が人間による交換から自動交換に切りかわるその途中からを私も記憶いたしております。そして、その合理化によって削減される定員を逆に他の分野、しかも他省庁の業務増のいわば財源として他の分野に人間をふやしていった、そんな作業に携わった時期もございます。それだけに、議員の今お話しになることを私は真剣に聞かせていただきました。  そしてその上で、国鉄の分割・民営という事態にまだ至ります前に、九州あるいは北海道から各地域に転勤をお願いし、そのときに一番苦労いたしましたのは、実は公立の高等学校あるいは受験校と言われるような地元の高等学校に子供さんを入れておられる方の転勤でございました。むしろ、寝たきりのお年寄りを抱えておられたりするケース、それはうまく移送することができれば新たな環境を用意することができました。小学校、中学校は義務教育でありますから、学期の始まり、終わりと全くかかわりのない時期に転勤をいたしましても公立の小学校、中学校は必ず受け入れてくれるわけであります。  しかし、高等学校のお子さんはそうはまいりません。各都道府県の教育長さん方に私どもは随分お願いをし、便法をもって臨時の受け入れを、少なくとも受験のチャンスを与えていただきたいというお願いを一生懸命にいたしました。聞いていただけた県もありましたが、学期の切りかわりでなければだめだということで、泣く泣く単身赴任をしていただいたこともございます。議員はどこうした問題に直接携わった経験はありませんが、国鉄改革のプロセスの中で私も随分多くのことを学びました。  そして、先ほど他の委員の御質問にお答えをしたときに申しましたように、行政改革というのは当然ながら実はその職場に働いている方の人生設計を変えるわけでありますから抵抗は当然出てくる。それを受け入れていただけるよう努力をし工夫をするのはまさに私ども責任であります。  その上で、独立行政法人という形態に一番不安が募っております。しかし、場合によっては国家公務員の身分を持って独立行政法人に移行することをも認めております。トップに立つ人間、中心になる人々の裁量権が現在より大幅に拡大するわけでありますから、そこからは今度は自分たちの腕です。そして、よりよい環境をつくり出すこともその努力いかんでできるわけであります。  私は、この行政改革による痛みというものをむしろそうした別な道を開いていく可能性というものにプラスに見ていただくことはできないだろうかと。しかし、今申し上げましたよう一つの例でありますが、高等学校の転入学の難しさとか、私たちも職場が動くときの問題というものはそれなりに存じておるつもりでありますので、でき得る限りの努力をしてまいりたい、そのように思います。
  274. 及川一夫

    及川一夫君 ありがとうございました。  そういう総理のお答えは私は当然これからの行動として――連合には百七十万人おられます、公務員の方が。さらに、全労連というのが七十二万人おられる。あと、小さくなりますが、全労協というのが十七万おられるわけです。ですから、一つの労働組合といってもナショナルセンターということですけれども、いわばそういう労働組合の代表的なところに総理自身がやはり今回の行政改革そのものについてある意味では訴えるということも私は必要ではないのかという感じがいたしております。これはこれからの執行の段階でお考えいただきたいものだというふうに申し上げておきます。  それで、小里長官、多少細かくなるようですけれども、総理もお触れになりました独立行政法人、これは特殊法人がそう変わっていくわけですから、ネーミングを見たってえらい違いますね。恐らく何か変化があるんだと思うんです、当該の労働者にとっても。それは端的に言えば、効率性の問題とか民営化の問題とか、そういうものを背負っていこうということだろうと思います。したがって、初めての経験ということになるんだろうと思います。  そういう意味でいうと、例えば移行の時期の問題であるとか業務の内容の問題であるとか、それから機構のあり方の問題であるとか、あるいは要員ということになると容易じゃありませんけれども、しかしこれまたお互い話し合いの対象になるべきものだと私は思っています。しかも、省庁という場合と特殊法人が独立行政法人に変わっていくというのでは多少趣が違うような感じがいたします。弱い層、強い層という意味合いで表現をしていただくならば、公務員よりも弱い層ということになりはせぬか、それだけに心配がいっぱい出てくる、こういうことだと私は理解をいたします。  したがって、この方々に対しては、当然組織があれば組織というものを通じておやりになるだろうし、労働組合の組織がないという場合には、職員の代表の方々がどういう形で選出されるかはともかくとして、そういう方々とも話し合うという姿勢が必要ではないのか。そういったことが「労働関係に配慮する」というこの基本法でうたっている中身だというふうに考えますが、いかがですか。
  275. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 先ほど総理の方から、労働関係あるいは職員関係についての基本的なお話もございました。あのお話に尽きていると思うのでございますが、行革会議をまとめる前後、あるいはその後の基本法案作成過程におきまして、これはもうだれよりも先生よく御承知いただいておるところでございますが、私ども関係機関ももう本当に多数にわたって、あるところでございますけれども、その筋にもいろいろと私ども誠意を持って、そしてまた少なくとも行政改革の進捗状況のあらましは何らかのチャンネルを通じて御承知いただかなきゃいかぬなと、そういうことを念じてまいったところでございました。また、先生にはその間におきまして大きな役割も担っていただいたと、私はそういうふうに判断いたしておるところでございます。  少なくとも、これからさまざまな機関にわたりまして法人化のための関連が急速に出てまいります。しかも、大幅に出てまいります。それらの関係者の皆様方にも、最小限一つ一つを対話のテーブルの中で処理しますよということはここでは言いかねますけれども、誠意を持って政府あるいは中央省庁改革推進本部が考えておるアウトラインだけは説明を申し上げるような何らかの機会を、あるいはそういう状況というものを留意しながら進めていかなけりゃいかぬなと。先生のお言葉を借りますと、強制解雇あるいは雇用の秩序を乱すがごときことは決してやってはならぬ、そういうふうに認識をいたしております。
  276. 及川一夫

    及川一夫君 大変ありがとうございました。  私も行政改革の問題ではさまざま仕事をさせていただきまして、ただ頭の中で考えるわけにいきませんので、私の立場なものですから、労働組合との関係も深かったものですから、むしろじかにいろいろと議論した上で今回の一定の結論に到達したと思っています。しかし、十分とは言えないというふうに私も思います。  これから一体何が出てくるか、そういったものも考えると、内心じくじたるものがないことはないんですけれども、お互いやっぱり信じ合って、とにかくこの日本の国の現状というものを本当の意味改革するために残された時間を一生懸命頑張ろう、こんな気持ちを持っていることを申し述べて、終わりたいと思います。(拍手)
  277. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 今回の法案による中央省庁再編によって、建設省、国土庁、運輸省、北海道開発庁が統合されて国土交通省がつくられることになります。こうしたもとで日本の国土づくりはどういうことになるのか、これが大きな問題だと思うんですね。  二十一世紀に向けてこの国の形がどうなるか、これを示すものとして五全総があると思います。二十一世紀に向けて国土づくりの基本計画としてうたわれたもの、そしてことしの三月に閣議決定されたものです。五全総は総論では、環境とか参加と連携とか、いろいろ美辞麗句が並んでおりますけれども、具体的な国土整備の構想では、過去のどの全総にも増して、国際、国内の物流対策のための大型開発を各地につくっていく、そういうことが大きな特徴だと思います。六つの超大橋構想とかあるいは首都機能移転、これを提起しております。首都機能移転では十四兆円という試算が出ております。  全体で一体どのくらいの投資額になるのか、政府に尋ねても試算はないという回答でした。これら事業を進めれば莫大な費用がかかることははっきりしている。しかも、財政再建と五全総は政府の手のひらにちゃんと乗っているわけですね、同じ政府の中にある。そういう点で、今政府が財政再建を進めているときに、概算にせよどの程度の投資規模になるのかというその程度の見通しもない、そういうことで閣議決定を行われた。そうすると、財政の破綻はない、そういうことが言える根拠は一体どこにあるのかな、私はそう思うわけですけれども、その点、総理にお伺いしたいと思います。
  278. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は議員が御主張になる点は拝聴いたしました。その上で、この三月末に策定をいたしました新しい全国総合開発計画、議員は全く違った要約をされましたけれども、この中で私たちとして一番目指しているものは、現在の一極一軸型の国土構造から、長期的な観点から多軸型のものに変えていく、そしてその道を通ることによって国土の均衡ある発展を図る、それが基本だと考えております。  それは私どもにとりまして、多数の人命とともに非常に大きな被害を受けました阪神・淡路大震災というものが国土という面から振り返ったときの一つの大きな教訓でありました。一軸型の国土構造というものがああした事故が起きたときいかにもろいか。私どもは多軸型の国土構造というものは長期的に必要だと考えております。  その上で、それぞれの地域、その意向というものを、今回、参加と連携のもとにおける地域の選択と責任、これによって行うことが基本だということを考えておりまして、基幹的なプロジェクトはそうした視点から示されております。当然ながら、これを具体化、実施をしていくには、費用対効果分析及び環境影響評価の実施などを踏まえて総合的に検討していく必要のあるものであることは間違いがありません。その上で、一軸一極型の国土から多軸型の国土に変えていくことによってより均衡のある発展を私どもは目指しております。
  279. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 総理、お答えがなかったと思うんですが、私は財政破綻ということが起こらないかということをお尋ねしました。  財政的な見通しがない、このことは試算もしていないということですからそういうことだと思いますけれども、そうすると、総理がたびたび言われてきた例えばこの間の赤字国債の累積、これもやはりバブル崩壊後の累次にわたる公共投資の追加、いろいろ総理は理由を挙げられたけれども、そのことが一つ大きな理由になっているわけですよ。そうすると、その点で見通しのないまま費用対効果ということを言われましたけれども、私はそういうことではなかなか通用しない話だと思います。  その点で私が述べておきたいのは、全総の位置づけなんですよ。全総の位置づけというのは、法的位置づけと実態、その点から述べたいんだけれども、全総というのは国土総合開発法に基づく全国にわたる総合計画ですね。ですから、総理は今費用対効果と言われたけれども……
  280. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 及び環境影響評価。
  281. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それも言われました、アセスもあります。都道府県総合開発計画、地方総合開発計画の基本とするということが実際に法律に明記されているわけです。ですから、こういう中で事業化が進むわけですよ。五全総に書かれた、だからこれを進めよう。これは実際そういう形で進んでいるわけですね。調査費はつく、それからそのためにどうするかと。実態からしても、五全総で例えば基幹連絡道路が掲げられた。よし、それではということで、地元の財界や自治体も含めてそれ早期着工だということで、一斉にそういう世論が起こるわけですね。それは五全総に書かれているからですよ。ですから、結局地方にそういうことを進めるような仕掛けをつくって、つまり五全総に明記しておいて、そして費用対効果云々ということを言われても、実際には五全総という法的位置づけというのはそうなんですよ。確かに五全総に書かれていますよ、費用対効果等々が。でも、実際にはそういう形で進んでいく。  総理、ないんでしょう、試算とか財政的見通し。ですから、やっぱりそういう問題をはっきりさせる必要があると思いますよ。  私は言っておきたいんだけれども、これまで三全総では三百七十兆円、あるいは四全総では一千兆円という、そういう額が計画内に書き込まれていた。今回は書き込まれていない。別に私は額をちゃんと出せなんて言っていませんよ。構想とかそういうので出しにくいこともある。それはよくわかりますよ。ただ、大まかにせよ、どういう財政負担になるのか、そのことを抜きにして私は国土づくりを議論できないと思うんですね。
  282. 亀井久興

    国務大臣(亀井久興君) ただいま総理から基本的な考え方について御答弁があったところでございますけれども、そういう解釈もあるのかなと、そういう思いを持ちながら伺っておったわけでございますが、全国総合開発計画は、先ほどの御答弁にありましたように、一極一軸型の国土構造から思い切って複数の……
  283. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 わかりました、総理の答え。
  284. 亀井久興

    国務大臣(亀井久興君) それで、全体の投資規模を明示しなかったという点でございますけれども、これは「21世紀の国土のグランドデザイン」と名づけておりますように、まさに二十一世紀における国土づくりのあり方を総合的に示した、太くくりの指針を示したということでございまして、それだけに全体的な投資規模を示すという意義が薄れてきておるということと、それから計画目標年次が二〇一〇年から二〇一五年ということになっておりまして、これから大きく経済社会環境が変化していく大転換の時代でございますから、そういう中でなかなか投資規模をはっきりと明示するということが難しい、そういう事情もあってあえて示さなかったということでございます。
  285. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 本音は、財政再建に取り組んでいるときに巨大な額を示しにくい、そのことに実際の理由があると私は思うんですね。実際に財政当局はそう述べているという話も聞きました。  その点で、やはりこういう大きな開発を進めるために今回、国土交通省という省庁設置されるのかな、私はそういうことを思うわけです。私は計算してみましたけれども、建設省と運輸省合わせた公共事業の関係予算というのは、事業費ベースで二十七兆一千四百二億円になるんですね。相当な額ですよ。この巨額な事業費に加えて、陸運、鉄道、航空、船舶、すべての交通、物流に関する権利が集中する。建設、運輸の合体は大変な力を持つということになるわけですね。これはある市長が、今だって建設省に逆らえば仕返しがある、国土交通省ができたら手持ちの切り札がふえる、中央からの出向者ももっと受け入れざるを得ないと述べていることが報じられておりました。  私は現実にこういう懸念があると思うんですけれども、こうしたことを起こさないというその保証、それはこの仕組みの中の一体どこにあるのか、お伺いいたします。
  286. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 私は委員の質問がいかなるソースに基づいて御質問なのかよくわかりませんが……
  287. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 朝日新聞です。
  288. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 今また新たな御発言をいただいたわけですけれども、巨大官庁というのはいろいろ御批判もあるわけでございます。私はたびたびお答えをいたしておりますが、我が国の脆弱なこの国土条件は御理解いただいておると思うのでございます。この国土におきまして基盤的な整備をするということは、振り返って建設省は五十年の歴史を持つわけですが、実態的には私は三十年ぐらいの仕事で今日の国土整備をやってきたと思うんです。これから先々魅力的な国土形成をするということになりますと、なお十分有体制が要るだろう。それは国民にとって安心、安全な国土を提供すると同時に、これから国際社会においてもそういう基盤が必要だということが重要だと思うわけでございますので、委員にも他の委員会におきましてこのことについてはたびたび申し上げておるところでございます。
  289. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 全然答えになっていませんね。私が尋ねたのは、そういう懸念がないか、起こらないかと尋ねたんだけれども、全くその答弁はありませんでした。  いずれにしても、先ほどから話を伺っておりますと地方支分部局への委譲ということが言われております。これは結局この場合でいうと地方建設局と港湾建設局を合わせて、仮称でしょうけれども地方整備局をつくるということになると思うんですね。先ほど総理は北海道開発局について、改善すべきことはいろいろあるけれども、ああしたやり方がいいなと、そういうことを言われたと思います。私は北海道開発局というのはそういう組織なのかなということを率直に思うんですね。  その点で私が一つ思うことは、北海道のように知事が一人という行政単位でも、北海道開発局長というのは道知事と比べてもやはり公共事業のいろんな利権を持つ、そういうことで非常に強い権限を持つと言われてまいりました。俗名いろんな言い方をされておりますけれども、これがばらばらな県、各県と一つ地方整備局という関係になった場合には、やはり強大な権限を地方整備局は持つんじゃないか、そういうふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  290. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 繰り返しになるようで大変恐縮ですけれども、今回の法案における公共事業の位置づけをもう一度私は御説明させていただきたいと思います。  まず、この法案におきましても、国と地方の役割分担を徹底して見直す、そして国が行うものは全国的な政策及び計画の企画立案、全国的な見地から必要とされる基礎的または広域的事業の実施に限定している。これにあわせて、補助事業についても、直轄事業に関連する事業や先導的な施策に係る事業などに限定し、できる限り適切な目的を付した統合的な補助金などを地方に交付する、まずこれがありまして、その上で、事業の決定及び執行に関する本省の権限を地方支分部局へ委譲し、事業決定と過程の透明化、評価の適正化などの見直しを行う。そういうことを繰り返し申し上げてきました。  ですから、私は北海道開発局が何も今のままでいいと申してはおりません。変えてもらわなければならないところもあります。その上で、議員は利権を握るという言葉を使われましたが、私はこの言葉は権限と言いかえていただきたいと思っております。そして、公共事業に関する事務を行うブロック単位の地方支分部局を統合しながら、事業決定の、また執行に関する大臣の権限はそこにできるだけおろしていく、そして予算の所要額を一括して配分をする。そして、議員がおっしゃるようなことにならないように、それこそ地方支分部局については、これは国土交通省に置かれるものも含めて、その他の各省についても再配置、統合、廃止、組織、定員の整理合理化などきちんとした対応をしていき、全体で簡素で効率的なものになるようにしていこうと考えているわけであります。  先ほど来の、現在の省庁の予算を単純に寄せ集めたものがすべて何か特定の目的に使われるような御批判は私は当たらないものだと思っております。
  291. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 今言われた問題で、北海道開発局が、庁もそうですけれども、どういう分析をしているか。これは行革会議のヒアリングがあるんですね。現行の体制で抱える課題、みずから述べていることが三つあります。その中の一つに、例えば国主導の開発による北海道は官依存型の体質となった、地域の自立が阻害されているというものもあります。あるいは実施官庁の縦割りの弊害が残っているのではないか、そういう指摘もあります。これはみずから言っていることですよ、役所が。  私は、その点で一つ予算のことを取り上げたいと思うんです。北海道はブロックごとに先ほどから一括予算と言われているけれども、この点で、例えば建設省掌握の予算、事業費ベースのシェアですけれども、道路整備は三五%、治水は一五%、住宅市街地は四%、こういうシェアが過去十年間、ここに資料がありますけれども、平成十年度までずっと続いているわけです。ほとんど変わらない。一%前後の違いです、大きいもので。  それで、こういう中で一つ省庁のもとで固定化してきたわけですから、統合して大臣が一人なら縦割りにならない、そういう保証はないと私は思うんです。  ですから、先ほどから話がありましたけれども、結局、局ごとなんですよ。局ごとにそういうのがあって、やっぱりそれをぶち割らない限り、この問題は一括予算等といっても前進にならないし、地方整備局、総理の言われるように正確な言い方をすればそういう大きな権限を持つ省庁ができるわけですから、その点で非常に大きな問題だ、私はこのことを指摘して、質問を終わります。(拍手)
  292. 永野茂門

    永野茂門君 運輸大臣に対して御質問をいたします。  まず、海上保安庁の巡視船による邦人の救出について承りたいと思います。  今回のインドネシアの暴動に際しましては海保の巡視船を派遣されましたが、若干細部を承りたいと思います。その使用した船種、数量あるいは期間、与えた任務、それから武器使用について何か指示をしたか、インドネシアの了解状況はどうであったか、派遣の法的根拠等についてまず承りたいと思います。細部については説明員にやっていただいて結構でございます。
  293. 藤井孝男

    国務大臣(藤井孝男君) まず、インドネシアヘの巡視船派遣の法的根拠につきましては、委員承知のことと存じますけれども、在外邦人の保護に関する事務を所掌しているのは外務省でございます。今般の巡視船を派遣するに当たりましても外務省からの要請を受けた次第でございます。  そして、海上保安庁といたしましては、基本的には関係行政庁に対する協力を定める海上保安庁法第五条第十七号の規定に基づいて海上保安庁の任務の範囲内で行う、こういうことで私どもは派遣を決定し、行動に移した次第でございます。  その他事務的な御質問につきましては事務当局からお答えさせていただきます。
  294. 長光正純

    政府委員(長光正純君) お答え申し上げます。  今般のインドネシアの情勢に関しましては、外務大臣より運輸大臣に要請がございまして、インドネシア近海に巡視船を派遣されたいということでございまして、私どもの巡視船二隻、一隻は「みずほ」と申しますけれども、これはヘリコプター二機搭載型の巡視船でございます。それから、巡視船「えちご」、これはヘリコプター一機搭載型の巡視船でございますが、この二隻を派遣いたしまして、シンガポールに待機するということでシンガポールに入港し、その後撤収の要請がございましたので帰国いたしております。  以上でございます。
  295. 永野茂門

    永野茂門君 インドネシア領海に、近くに行ったのかと思ったらシンガポールでありました。私の誤解でございました。  次に、その場合に巡視船は国際的には軍艦として扱われますか、それともそうでないのでしょうか。さらに、この種の任務を付与する地域はどういう地域まで、世界じゅうどこでも付与することになるんでしょうか、お伺いいたします。
  296. 長光正純

    政府委員(長光正純君) お答え申し上げます。  まず、今般の巡視船でございますけれども、今回のインドネシアヘの派遣巡視船につきましては、外務大臣からの要請を受けて派遣いたしたということは申し上げたところでございますが、今回、武器等を使用するような事態は想定していなかったということで、国際法上の巡視船の扱いにつきましては軍艦と論ぜられることもしばしばございますけれども、海上保安庁及び巡視船は学説上はいわゆる条約上の軍隊、軍艦に該当しないというふうに解されているというふうに理解しております。
  297. 永野茂門

    永野茂門君 使用海域は限界はありますか。
  298. 長光正純

    政府委員(長光正純君) 官庁間の協力ということで要請を受けて出動いたしますので、限界はないというふうに解しております。
  299. 藤井孝男

    国務大臣(藤井孝男君) 今、政府委員から御答弁を申し上げましたけれども、先ほど申し上げましたように、海上保安庁の任務は海上保安庁法第五条第十七号に照らして今回出航いたしたわけでありますけれども、いずれにいたしましても第一義的には在外邦人の保護というのが外務省の所掌でありますので、本来の海上保安庁の任務はこうしたものを目的としていないということだけは御理解をいただきたいと思います。
  300. 永野茂門

    永野茂門君 そうしますと、最終的には外務省がそういうことを要請するというか、その前に外務省としての決定があるわけですが、外務省が地域等は限定することもあるし、そうでないかもしれないと。今のところ確たる考え方は政府としてまとまっていないわけでしょうか。
  301. 藤井孝男

    国務大臣(藤井孝男君) いずれにいたしましても、今後また外務省から今回のケースのような要請があれば、その状況を総合的に判断し適切に対処する、こういうことでございます。
  302. 永野茂門

    永野茂門君 若干の疑義が残りますけれども、本件について最後に、今回のインドネシアの邦人を保護するという活動で巡視船を派遣し、さらにまた自衛隊の輸送機もシンガポールの方に待機させるという準備行動をとらせたわけですが、とりあえずこういうような邦人救生活動を経験して、どのよう所見をお持ちでしょうか。  まず運輸大臣にお伺いし、さらに総理にも御所見をお伺いしたいと思います。
  303. 藤井孝男

    国務大臣(藤井孝男君) 先ほどから御答弁申し上げましたように、外務省の要請を受け、そして出航させたわけでございますけれども、このようなケースを想定して海上保安庁が任務を遂行しているわけではございません。あくまでも要請に基づいて総合的に判断して対応したということであります。しかし、結果においては、シンガポールで待機をし、そしてその後はまた外務省の方から撤退の要請があって帰航したわけであります。  結果においてこの巡視船が活動しなかったというのはよかったなと思っておりますが、今回のこうした状況等が今後ないことを念じておりますけれども、いずれにいたしましてもさまざまな観点から海上保安庁、運輸省といたしましてもいろんな教訓を得たことも事実でございます。
  304. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今の議員の御指摘、私は、この巡視船のことだけではなく、インドネシアにおける混乱とそれに対する対応という点でお答えをさせていただきたいと存じます。  私どもは、今回、まず第一に自衛隊機、これは当然ながらインドネシアの了承も得た上でシンガポールに待機をさせたわけでありますが、またこの巡視船の派遣が両方とも役に立たずに帰ってくることができたことを本当によかったと思っております。  その上で、多数の島から形成されておりますインドネシアの場合、混乱が交通の途絶につながりました場合、巡視船の積むヘリコプターというものは責任を最終的にとるべき私の立場としては大変魅力のある輸送手段でございました。しかし、領海にまで入らず反転することを得ましたことも非常に幸いなことでありました。  今回、何よりも民間航空会社が非常に積極的に協力をしてくれ、チャーターフライトをどんどん運航してくれた、そして非常に緊迫いたしました一時期には他の路線に割り当てられておりました機材を変更して国の要請に応じ邦人の搭乗のために供してくれたこと、私はこの民間航空会社の協力の態勢というものに本当に感謝をいたしております。  また、現地大使館等における連絡網の整備、万一の場合の集結等に対する指示も、結果として今回成功裏に終了いたしました。  しかし、詳細に検討いたしました場合、警報のグレードを上げるタイミングあるいは輸送態勢の準備等、なお我々はこの中から教訓を学ぶべき部分が存在するように考えております。
  305. 永野茂門

    永野茂門君 時間が参りましたので私の質疑はこれで終わりにさせていただきますが、邦人救出について初めていろいろと経験したわけであります。十分経験を検討されて今後の対応をよろしくお願いいたします。  以上です。ありがとうございました。(拍手)
  306. 堂本暁子

    堂本暁子君 飛び石の質問で最後の三度目で、しかもきょうのトリでございます。だものですから、意見と、そして最後に一つだけ質問させていただきたいと思っております。  先ほどの生物多様性のことなんですけれども、自然保護の一環でというふうにおっしゃいましたが、自然保護という概念では広過ぎるというふうに私は認識しております。今回の中央省庁改革基本法に盛られている「野生動植物の種の保存」というのは逆に狭過ぎるということで、設置法の中で生物多様性の概念を、少なくとも条約が二つ平等にあるものですから、温暖化防止と同格に扱っていただきたいというのがお願いでございます。  それから次に、国土交通省の大きさ、巨大さに危惧を抱かれる質問が幾つも出ましたが、私もいささか同じような感想を持っております。  今後、道路ですとか河川の整備は環境の視点あるいは自然への配慮が十分に取り込まれて建設されていく必要があるということ、これは万人の認めるところだと思っております。そのためには、最初の計画段階から環境省が積極的に関与していくべきだというふうに考えるのですが、さっき総理が国土交通省についてるる御説明くださいましたけれども、それに対して小さい環境省が対応できるのかどうか、埋没してしまうのではないかと心配したりしております。量、質ともに環境省を充実していただきたいというお願いです。  それから最後に、小さい環境省が小さくとも巨大な国土交通省とそれこそ対等にきちっと対応できる、そういう体制を、これは長官にも、きょういらっしゃる大臣方全部にお願いをしておきたい。そうしないと日本の国はめちゃくちゃになってしまうと申し上げても過言ではないというふうに強く思っております。  それから次には、環境だけではなくて、例えば情報化、国際化、こういった問題も二十一世紀に向けての新しい社会資本としてその重要性が認識されておりますし、整備が大変大事でございます。そうしたときに、この巨大な国土交通省で一番心配なことは、公共事業それ自体を自己目的化してしまうことではないかというふうに思っております。  先ほど総理は全国規模の事業だけについてというふうにおっしゃいましたけれども、やはり国土交通省が、環境ですとか新しい産業、もっと言えば福祉や教育や文化などの考え方も入ってくると思いますが、いずれにしても二十一世紀が求める新しい国民的な価値、それを視野に入れた形で行政を展開していくべきだろうというふうに思っておりますが、総理の御所見を伺わせてください。
  307. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一に、国土交通省についての御疑念があると言われました。  同じことを繰り返すことは避けたいと存じますけれども、私はむしろ地方支分部局に一括して予算が配分をされる、そしてそこで執行されるときに、果たしてその地域の住民は環境破壊を許すような仕事のやり方を黙って見逃されるんだろうかという疑問です。そして、国が中央で全部を計画し決定し実施してきた、その中に一つの問題があったというのは私は率直に認めなきゃならないと思うんです。それだけに、それが全国的ならこれは別です。しかし、それぞれのブロックにおいてまず第一に不公平な配分がされればそれ自体が問題ですし、不適切な執行があればフロックの他の地域で必ず問題になるでしょう。その意味では、私は住民の監視というものが今までよりはるかに行き届くようになると思います。  同時に、ここに環境の視点は、私は今回の環境省の設計図というものは当然ながら十分に機能し得るだけの権限を持ち、その対応ができると思っておりますけれども、それは同時に地域の住民がその環境というものにどれだけのいたわりの目を持つか、それによっても大きく変わることではないでしょうか。そして、そうした国民の目と環境省の持つ役割というものを合わせることによって十分対応していかなければなりませんし、かってしばしば起こりましたような事業による自然環境の破壊がそのまま許される時代では既になくなっている、日本国民のレベルはそれだけ高くなっていると私は思います。  それから、私は議員と違いまして、自然環境保全の中に生物多様性の概念を入れられると考える、そう申し上げてまいりました。その上で、具体的な法整備の段階におきましてどういう形にすればこれに十分おこたえできるのか、工夫をしていきたいと思います。
  308. 堂本暁子

    堂本暁子君 どうもありがとうございました。(拍手)
  309. 高木正明

    ○理事(高木正明君) 次回は明九日午前九時に開会することとし、本日はこれにて散会します。    午後六時五十分散会      ―――――・―――――