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都築譲君 自由党の
都築譲でございます。久しぶりにこの総括
質疑の場に出てまいりました。
きょうは
行政改革基本法案の
質疑ということでございますが、まず初めに私
自身の考え方を申し上げたいと
思いますのは、今なぜ
行政改革法案なのかということでございます。
補正予算案が五月の半ば過ぎに出されております。
思い起こしてみますと、二月、三月の本予算を
審議しているときには、とにかく景気の現状が大変厳しい中で、
平成十年度の本予算案ではとてもこれからの一年間、経済運営として不十分である、欠陥予算であるということで、野党の私どもが予算の組み替えを要求しておりました。それに対して、これが万全の予算であるというふうなことを
総理は言われたと
思いますし、また一部からは四月早々には補正を組むからと、こういうふうなお話もあったわけですが、結局、四月が過ぎて本予算が上がって、そして一月半たったところでようやく補正予算が出てきた。しかし、この間に経済の現状は大変厳しいものになってきておるわけでございます。
そういったことを考えたら、例えばこの一年間の状況を振り返ってみましても、去年秋の金融機関の相次ぐ破綻、そしてまた金融機関の貸し渋りで中小企業の経営が大変厳しくなって、一年間に一万七千件も一千万円以上の負債を抱える企業倒産が起こった。最近の統計でも、一カ月に一千七百件も企業が倒産をしているという、これは戦後最悪でございます。そしてまた、雇用失業情勢、つい四月の状況が発表になりましたけれども、これも実に全国で二百九十万人の失業者の方があふれ、とうとう戦後最悪の四・一%を記録したわけでございます。
こんな中で、
行政改革法案も大変重要な
法案でございますけれども、これほど経済が停滞をし疲弊をしている、それぞれの商店でもあるいはまた製造業でも大変活力が失われつつある現状なのに、補正予算の中身自体が大変問題が多い、私どもはこういうふうに思っておりますけれども、それでもまず
国民経済のことを考えたら、
国民の生活のことを考えたら、まずとりあえずの応急措置として補正予算を打つべきではないか、
議論をすべきではないかと思うのに、今なぜ
行政改革法案を
審議するのか。これも結局は、補正予算をてこにして
行政改革法案を短期間で、しかも先に通過をさせてしまえよという党利党略に基づくものではないかというふうに思うわけでございます。
ここに本当に
国民不在の政治が今行われていることが明らかになるのではないか、こんなふうに憤りを
感じながら、そしてまたこのことは実は
総理にお答えいただくような話ではなくて、党の
国会運営の話でございますから、私なりの考え方を申し上げておきたいと
思います。
きょう実は私ども自由党は第一回の定期全国大会を朝から開催いたしまして、そして党綱領と
基本政策、これは従来の新進党時代に
議員がみんなで集まって
議論をした「日本再構築宣言」とか、そういったものを踏まえてさらに強化をした内容の、政策プロの集団としての自由党として党綱領そして
基本政策――
基本政策は「日本再興へのシナリオ 「
国民が主役の社会」を目指して」ということで満場一致で採択をいたしました。その後また三千名の代
議員なりあるいは支援者の皆さん方と懇親を深めたわけでございますけれども、この自由党の綱領、実はこれはまた
行政改革とも
関係がありますので、これからの国づくりをどうするのかという観点からちょっと簡単に御紹介をしたいと
思います。
私たち自由党ですが、「自由主義を基調とし、互いの尊厳を大切にして、自らの能力や個性を発揮できる国や社会を実現する。私たちの自由主義は「自律した個人が多様な選択肢と公正なルールのもとで、自らの生き方を創造的かつ自由に追求できる創造的自由主義」である。」ということで、ちょっと中略でございますが、そしてまた六つの
基本的事項の第一に来るのが、実は今のこの国の社会を展望したときに私たちとして、「国や社会に安易に依存するのではなく、自立を重んじ、自己を律し、家族の絆を大切にし、国を愛する
国民が自ら目標を定め、行動する「
国民が主役の社会」をつくる。また、
国民主権を形骸化している
中央集権を
地方分権体制にあらため、真の
地方自治を確立し、「住民が主役の地域社会」をつくる。」と、こういうふうに綱領の第一号でうたっておるわけでございまして、ここに実は私たちが本当にこの国の
仕組みを根底から変えなければいけないという考え方があらわれておるわけです。
そして具体的な中身として、今申し上げたことのほかに、
基本政策の中で、自由で公正な市場ルールによる消費者主権の社会、あるいはまた高齢者や障害者が堂々と活躍できる社会、さらに人間と自然が共生する社会へ、さらに民力
中心の元気な社会へ、残業なしでも暮らせる人間らしい社会へ、そして政官業の癒着のない社会へ、最後に
国際社会で信頼される日本へと。これは簡略版でございますけれども、こんなことで、これからも日本の政治、そしてまた
行政、経済、さまざまな分野の
改革をなし遂げていかなければいけない、私どもはこんなふうに考えております。
翻って、きょう
提出され
審議が行われておりますこの
中央省庁再編基本法案でございますけれども、まず私は
総理に
行革の理念とこの具体案の相違について実は幾つか御見解を伺いたいと
思います。
と申しますのも、けさからちょっと
総理の御
答弁などを聞いておりまして、今回の
中央省庁改革基本法案というのは
改革の
方向と手順を示したものである、こういうふうに御
答弁がございました。ただ、何のためにこの
行革を今の時点でやらなければいけないのか、美辞麗句と言いますと言葉が過ぎるのかもしれませんけれども、そこのところに本当に
改革が必要な理由といったものが十分
議論がなされていない、あるいはまた
認識が少し違うのではないか、私はそういうふうな印象を持ちました。
私どもは三年前、新進党時代に既に
中央省庁を十五
省庁に
再編するという案を
提出させていただきました。十五
省庁です。今、
政府は一府十二
省庁ということで取り組みをされておられます。しかし、今回のこの手順ということで考えてみますと、この
法案が成立してから五年内に、あるいはまた
平成十三年度、二〇〇一年までにそれなりの成案を得て実行に移していきたいということでございますが、私なりの考え方を申し上げますと、戦後五十年、あるいはまた一橋大学の野口先生が以前言っておられました四〇年体制、一九四〇年体制と言われる中で、戦後のあの廃墟の中から高度成長を経て、そしてさまざまな経済的な発展あるいはまた社会基盤の
整備などが行われてまいりましたけれども、しかし今の
仕組みが実は大変制度疲労を起こして、そしてまた実際にむだや非効率、そして最近よく報道されております汚職、腐敗、不正の問題がございます。
こういった問題の解決のために、ぜひ効率的でそしてまた本当に
国民の立場に立った
行政が実施できるようにということで
改革していく、これも大変重要でございますが、もう
一つ重要なのは、やはり
財政再建をどう支えていくのか。国と
地方自治体合わせて五百四十兆円も積もりに積もった借金があるわけでございまして、この借金の返済のために、すなわち国の
財政、
地方の
財政を再建していくためには実は
行政自身がもっと効率的でスリムにならなければいけない、そういう緊要性といったものを持っている。だからこそ、私たちは既に三年前に十五
省庁に
再編をするという案を出させていただいたわけでございます。きょう
提出されておりますこの
改革法案では、これから三年以内に
改革、あるいはまた遅くとも五年以内に
改革ということで本当に
財政再建が可能な基盤を
行政改革でつくっていくことができるのかということを疑わざるを得ないわけであります。
と申しますのも、一昨年の衆議院選挙のときに私どもは五つの契約ということを訴えました。自民党の皆さん方もそれなりの公約を掲げて、そして
総理が再選をされてから結局六つの
改革ということで行われてまいりましたけれども、考えてみますと、公共
事業関係あるいはまた
行政改革、みんな
検討先送りというふうな形になって、そして
財政再建はやらなければいけないと公約したから消費税引き上げ、特別減税の廃止ですという形で結局経済を大きく落ち込ませてしまって、また
財政ギャップを広げてしまったというのがこの一年間ではなかったか、こういうふうに思うわけでございます。
そういった意味で、本当にこんなタイムスケジュールで
行革の必要性というものを
総理御
自身が真剣に考えておられるのか。先ほど申し上げたように、今の景気の現状を考えたらまず補正予算を先に
審議すべきではないかというふうな
認識の欠落、そして今回の
行政改革法案のこのタイムスケジュールといったものについても私は大変な疑問を持っているわけでございます。この点について、冒頭、
総理の御見解を承りたいと
思います。